グランブルーファンタジー 十二の獣と十二の戦士 (謎のコーラX)
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0話 アスクレピオス
刻み良い靴音が響く、そこは、星の民が住まう場所、その中の星の獣の研究を行う建物で、ある二人が廊下で出会う。
「・・・退け、俺は忙しいのだ」
ルシファー、星の民の中でも抜きん出た知恵を持ち、天司という星の獣を多数作り上げた、最近の彼は今まで以上に研究に没頭しており、目もこころなしか更に鋭い。
「まぁそう言わずにさ、僕の話を聞いてかない?、時間の無駄にはさせないから、ね?」
毒々しいほどに暗く濃い紫色の髪の男はアスクレピオス、ルシファーと同じく研究者であり2匹の蛇が、絡まった杖を持ち、優しい声音と常に笑顔を崩さないことから、他の星の民なら緊張が多少解れる、だが例外はいる。
「・・・ふん、一応貴様のことは認めている、良いぞ、どんな成果だ」
「やったぁ、そうだね、まず一つに星の獣と星の民、あるいは空の民について」
・・・5分後
「・・・なるほど、人と獣の融合か、だが他人の机上の空論には興味などない、しかし、時間の無駄と吐き捨てるにしては良いことを聞いた、今度成功例を見せてみろ、それまで俺の視界に映るな」
「酷いねぇ、まぁしばらくは部屋に籠もりっきりになるし、じゃねルシルシ」
「・・・・・」
その後、何百の犠牲が出たと告発され、最高評議会にその研究は禁忌とされ、アスクレピオスは投獄された。
だが・・・。
アスクレピオスはほぼ完璧と言ってもよい分身を作り上げており、投獄されているのは偽物だ、感情もあり、身体の組織も同じでルシファーのような天才ほどでないと見分けがつかない。
今彼は顔を変えて、別人として研究室に籠もり、自らが作り上げた星の獣の一人と、椅子に座り、机にある大量のサンプルの研究資料を読み込んでいた。
「アスクレピオス様、わたくしが盗み出した研究資料はお役にたってますでしょう」
ヴァルゴ、アスクレピオスの十二の星の獣の1体であり、アスクレピオスと同等の知性を備え、助手としてアスクレピオスの側にいる、彼女は褒めて褒めてと言わんばかりに無表情ながら頬を染めて、踵を少し上げ下げしながら待っている。
「うん、役にたってるよぉ、ありがとうヴァルヴァル」
それを聞いたヴァルゴはお辞儀をして、そそくさと研究室から出ていったヴァルゴには忠誠心、そして後天的に恋心が芽生えた、もちろんアスクレピオスに対して。
「バレバレなんだけどなぁ、まぁいっか、さて、だいたい読み終えたかな、そろそろ始めようか」
椅子から立ち上がり、客用のソファーに腰掛ける少年に目を向ける。
「あれだけの資料をものの30分で読み終えたのか、天井に届くほどのあったのに凄いなお前」
ヘリオス、燃え上がるような炎のような赤い髪 瞳の少年で 星の民、空の民とも違う、謎の少年、幽世の軍勢を素手で圧倒していたところを星の民に見つかり、研究として殺されそうになったところをアスクレピオスが助けた、条件付きだが。
「星の獣のコアを取り込めとかいうよくわからん条件だったが、その前に一つ、貴方に聞きたい、アスクレピオス」
「なに?、命かけてもらうからだいたい話せるけど」
「何故、そんな研究をしているんだ、人と星の獣の融合とか」
アスクレピオスはそれを聞き、先程までの笑顔が歪み口角が更に釣り上がった。
「よくぞ聞いてくれた!」
大きく声をあげ、アスクレピオスはヘリオスに近づく。
「うおぅ!?近いよアスクレピオス!」
「あ――、ごめんな」
アスクレピオスは正気になり、反対側のソファーに座る。
「あぁ、うん、で、目的は?」
「うん、そうだったね、まぁ簡単、簡単な理由だよ、[体]、最高の生命を作り上げる、それが僕の目指すものだよ」
「最高の生命、か、それなら星の獣とかがそれじゃないのか?、ルシフェルっていうのがそれに当たるとか聞くけど」
ルシフェル、ルシファーと同じ顔を持つ星の獣であり、天司の中でも一線をかくす絶大な力を誇る。それをあげたはずなのにアスクレピオスは不満げな顔をしている。
「どうしてそんな顔をする?、貴方の星の獣のほうが強いとか?」
「それは無い、僕のやつなんてそこまで強くないよ、まぁ・・・最奥に至ればもしかしたら」
「最奥?」
「今回の話には関係ない、生命には関係ない、で、ルシフェルは最強だが最高ではない、理論上ではあるけどケイオスマター、もとい幽世の力なら殺せてしまう可能性がある、だから可能性でも殺せてしまう時点で最高とは言えない」
「うーん、まぁそういうことにしておく、で、ルシフェルが最高ではないとして、何故人と星の獣の融合?、人に星の獣のコアを移植が最強の道というのは?」
「あぁ、これも理論だけど星の獣のコアを取り込んだ人は本来の星の獣よりも強力になるということがわかった、なんせ失敗例でもそれなり拒否反応から暴れた連中を見てきたけど、一番下のコアでうちのヴァルゴとそれなりにやりあったからね」
「地味にエグいことしてるよな貴方、さて、話はこれくらいにしてコア、早いところ埋め込もうか」
「あんたが言うのか、まぁいいよ」
ヘリオスは研究室の実験部屋に通される、近くにはヴァルゴが立ち、アスクレピオスは硝子ごしにヘリオスを見ている。
「さて、始めようかヘリオスくん、ちなみにそれ僕のハンドメイドの十二の獣、その1体のコアだよ」
「それはまた、やばいものを押し付けてきたね」
「では一連の過程を説明しておくね、ます激痛が襲うでしょ、次に効能としては機能の組み換えにー、肉体の再組織でしょー、で、新たなる部位の生成だね、さて、膨大の体力が無ければコアに拒絶されてセミファイナル、もといヒトファイナル起こすから、わかりやすく言うと最期の大暴れ」
「ふん、そんなもの承知をうえだ、このままだと俺は死ぬ運命なんだろ?お前に殺されてな」
「・・・なんだ、よくわかってるじゃないか、幽世と戦える人間なんて素材、最高を目指す僕には至高の素材だよ」
「おぉこわ、ふぅ・・さて」
ヘリオスは唾を飲み込み、深呼吸をすると手に持つコアを身体にねじ込んだ。
「ぐっ―――ァァァァァァァ!!」
想像を絶する痛み、そして身体を組み替えられる不快感、息すらまともにさせてくれないその痛みに転げ回り、叫びを上げる。
「ふむ、組成の速度は上の上、ここまでは今までの被験体でも見られた、さぁどうなる?」
アスクレピオスは今回の記録を冷静に淡々と書き記していく、ヴァルゴも何時でも取り押さえ、あるいは殺せるように戦闘態勢をとる。
――あれから何時間か経ち、ヘリオスのうめき声も収まった。死んだのか、否、
「・・・なるほど、これはヤバイ、充実感が今まで以上だ」
少年は生き残り、自らの変化に歓喜していた。
「――成功例第一号おめでとう、ヘリオス、早速自らの力を試したくないか?」
「あぁ・・・ヴァルゴだっけか、ちょっと相手してくれ」
「・・・人間の分際で」
「ヴァルゴ、相手しろ」
ヴァルゴは不服ながら、頷いて見せ、即行でヘリオスに向かっていき、拳を振り抜いた。
それをヘリオスは片手で受け止める、何の何ら顔を歪めずに。
「なっ!?・・・まさかこれほど」
「これはなかなか、なかなか良いよ!アスクレピオス」
ヘリオスはもう片方の拳を握りしめ、ヴァルゴの腹を思いっきり殴りつけた。
ヴァルゴはうめき声一つあげることなく硝子をぶち破り、そのまま壁にぶつかり、倒れた。
「・・・さて、こういうのもなんだけど、僕の新生命計画を手伝ってくれたり?」
「するわけないだろ」
「・・・残念」
アスクレピオスは肩をすくめながら、部屋から出ていくヘリオスを見送った。
続きは・・・(´・ω・`)やっぱり人気次第ですね、一つの感想で決まるかも
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1話 タロス 前編
「―――いかん、眠っていたのか」
ヘリオスは玉座で目を覚ます、眼前には幾人もの人が列をなしている。
「ヘリオス陛下!」
「ヘリオス様!」
「星神皇帝様!」
そう、今の彼の役職はエルステ帝国、正式名称、エルステ星帝国の皇帝、ヘリオス、星神とは自らに宿った原初獣、覇空戦争以前の星の獣を宿していることから、星神皇帝と名乗っている。
「わかった、わかったから、手早く終わらせるぞ」
数時間後、ヘリオスは様々な仕事を終わらせ、太陽が必ず当たる玉座でため息をついていた。
「ふぅ、やはり仕事というのは慣れないな」
「陛下、ガンダルヴァ中将がお話がしたいと」
「・・・はぁぁぁ、いい、入らせろ、ドア壊されてはたまらん」
兵士からそれを聞くと、更に大きなため息を吐き、兵士にそう言うと、扉を開かせる、そしてすぐに大柄なドラフが鞘から剣を抜いて、駆け出した。
「おらァァァ!」
そのまま剣を上段に構え、剣を振り下ろす。
「はぁ、ガンダルヴァ中将、貴男は本当に力というものが好きだな」
その一撃はヘリオスの指2本で軽く摘んで止められる。
「・・・は、はははは!、やはりお前との力の差が測りかねないな!皇帝ヘリオス!」
「が、ガンダルヴァ中将、陛下にそのような」
「あぁん!?」
「ひっ!」
ガンダルヴァは兵士を人睨みすると、兵士は腰を抜かし、玉座の間から出ていった。
「ガンダルヴァ中将、あまりうちの兵士を怖がらせないでくれ、戦いならいくらでも付き合ってやる、不意打ちでもなんでもな」
「・・・は、お前と一度でも戦いと呼べるものができた試しはないがな」
「なら研鑽を積むのだな」
「あぁ、そうさせてもらうぜ、じゃあな」
ガンダルヴァは剣を鞘に収め、玉座の間から出ていった。
「最初の頃はかなり突っかかってきたのに、成長したのか、はたまた諦めてるのか」
『トウゼンであろう、貴様に勝てるやつなどそうおるまいて』
ヘリオスの内から声が響く、ヘリオスはその声に返答する。
「そうだなタロス、だが俺に勝てるやつがいることが問題だろう、常に成長しようとしてるのが証拠だろう」
『ワレのチカラがあってもフマンとはな、異国の武術も取り入れて、ホントウにストイックなヤツよ』
「まぁね、さて、入ってこい」
ヘリオスがそう言うと、扉を開き、兵士と、鎖で縛られたポンメルンが入ってきた。ポンメルンの顔色は青く、汗もかなり流れ出ている
「話は既に聞いてる、ポンメルン、ポンメルン・ヴェットナー大尉、貴男は青の少女に対して非道な実験を行い、逃げた青の少女を捕まえる過程で原住民の少年をヒドラで殺害した、と、うちの専属の傭兵から聞いてるのだがね」
「へ、陛下、そのことについてですが」
「おい!、勝手に」
兵士が剣を抜こうとするのをヘリオスは手で制する。
「よい、ポンメルン大尉、詳しく聞かせてもらおうか」
ポンメルンの話からすると、フリーシアに呼ばれた後のことがかなり曖昧なこと、自分が魔晶の制作に関わったこと、手厚い保護を任命していた青の少女に虐待じみたことなど、ポンメルンは大粒の涙を流しながら、語った。
「うう、私はなんということを・・うう」
「なるほどね、まぁだいたい予想した通りかな」
「予想、とは?」
「言葉の通りさ、フリーシアに関しては前々から泳がせてはいたが、さすがに証拠を揃いすぎているからね、マショウとか、改竄された資料とか、ね、そろそろ終わってる頃かな」
「たっだいまー!、ヘリオス陛下!」
扉が再び開き、快活な声の青髪のエルーンの男と、鋭い目つきの赤髪のドラフの女、そして黒い鎧を着た騎士がエルーンの女、ヘリオスは知っている、フリーシアが、ボロボロな姿でポンメルンと同じく鎖で拘束されて現れる。
「おいドランク!、ヘリオス陛下に対してその態度はなんだ!」
「あ痛てて!、ゴメンよスツルム殿」
ドランクと呼ばれた青髪のエルーンがスツルムと呼ばれたドラフの剣につつかれる、黒い鎧の騎士は、兜を取ると、フリーシアを引っ張って、ヘリオスの前で跪く。
「ヘリオス陛下、無事フリーシアを捕縛しました」
「頑張ったねアポロニア、後で休みと褒美を用意しておこう、後ろの専属の傭兵にもね」
「くっ・・・」
フリーシアはヘリオスを殺意を込めた視線で睨んだ。
「おぉ、怖いね、ポンメルンの拘束は解いていいよ、さて、フリーシア・フォン・ビスマルク、我が帝国が王国だった頃からの古い付き合いの家系の者だったね、何故このようなことを」
「エルステは貴様の物ではない!、偽物の皇帝め!」
フリーシアはヘリオスを言葉を遮り、怒鳴った、アポロニアはフリーシアの頭を床に叩きつける。
「貴様、立場というものがわかってないらしいな」
「事実を言ったまでよ!、あの玉座に君臨していいのはエルステ王家のみだ!、何処ぞの星の民ではない!、それも獣と混じったものなどを皇帝などと!」
「ほう、これ以上陛下を侮辱するなら、ここで殺してやろう」
アポロニアは腰の銃に指をかける。
「いい、アポロニア、全て事実、いや、少し違うところがあるかな、うん、フリーシア以外は部屋からでてくれ」
その言葉に、アポロニアは目を見開き、動揺する。
「陛下!、それは危険です!」
「なんだ?、お前は俺が負けるとか思ってるのかな、なに、内緒の話さ、聞かれたくないからね、ほら、出ていった出ていった」
「・・・わかり、ました、行くぞ」
アポロニア スツルム ドランク、そして拘束を解かれたポンメルン、兵士達は部屋から出ていった、残ったのはヘリオスとフリーシアだけだ。フリーシアは以前変わらず睨んでいる。
「・・・さて、何から話そうかな」
「貴様、何を考えている」
「ん?、まぁとりあえず」
ヘリオスは軽く腕を振ると、フリーシアを拘束していた鎖が切れる。
「まぁ楽にしておいて、まず一つ目に、俺は星の民ではない、まぁそこに関しては誰でもお前は許せないから関係ないとして、ほい」
ヘリオスは四角い箱のような物を懐から取り出す、それは複雑に変形していき、中心部から光が出てくる。それは人の形を成していく、いわゆるホログラムだ
「・・・この映像を見ているのは、フリーシア、きみであるのだろうね」
「え、エルステ国王!?」
「ヘリオスとフリーシア、きみ以外が聞いてないことを願うよ、では、話すとしよう―――」
――30分ほど経つと、ホログラムは消え、箱も砂になった。
「――まぁ、そんな感じだ、これでも俺が憎いかな」
「・・・何故、最初から話さなかったんですか、このようなことを」
「そうだね、お前が小さな時に話す内容ではないし、普通に話すにしても・・・まぁぶっちゃけちゃうとデウス・・・なんだったかな、そいつとの戦闘で破損してしまってね、やっと完成したと思ったらその時にはフリーシアが暗躍してるって聞いたわけ」
「・・・さようですか」
「それで、どうする?」
フリーシアは数分黙り、思案し、平服した。
「エルステ国王とヴィオラ様の命なのです、このフリーシア、忠義を尽くしましょう、ですが」
「わかってる、何時でも暗殺でもしてくるといい、まぁとりあえず、メフォラシュに追放する、そのくらいはしないとな」
「は!」
――その夜、ヘリオスの寝室にて。
「あー・・・つっかれたわぁ、はぁ・・・それにしても」
ヘリオスはベッドの上で、ある資料を見る、そこには殺された、そして青の少女によって蘇生し、星の獣を呼び出した少女について書かれていた。
「ジータ・・・ね、あの男の娘か、ふふ、これはまた面白くなってきたなぁ」
資料をベッド横に置くと、ヘリオスは眠りについた。明日のことを考えながら。
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2話 タロス 後編
「―――よう」
ヘリオスが目を開けると、そこは四方八方全てが星の世界、そして、目の前にはよく知ってる顔、巨体、牛の顔をした巨人、いや 巨神がそこに立っていた。
「なんだタロスか、こうやって話すのは何百年ぶりかな?、とりあえずエルステ王国の兵士だった頃まで無かったな」
「ふふ、そうだな、さてヘリオス、特異点というのはシってるか?」
「ん?、まぁ聞いたことはあるな、それがどうした?」
「あぁ、ネるマエにシリョウをミただろう、そいつが特異点だ」
「ほうほう、まぁ妥当なところではあるかな」
「オドロかんのだな」
「まぁね、さて、明日も早いんだ、完全に眠りたいわけだが」
「まぁマて、ホカのドウホウからキいた、シンオウなるものがチカづいているとな」
「・・・わぁお」
・
「ヘリオス、ヘリオス様、起きて」
「うーん・・・」
「おら!、起きろ!」
何かがヘリオスの上に乗っかる。
「ぐぐぐ、我の眠りを覚ますのは誰ぞ」
「言ってないで起きてください、ツヴァイもヘリオスの上に乗らないでください」
ヘリオスは観念して目を覚ます、上に乗ってるのは片目を隠した水色の髪の少女 ツヴァイ、隣でヘリオスを揺すってるのは物静かな印象を受けるもう一人と同じ水色の髪をツインテールにした少女 オーキスがいた。
「ツヴァイ、オーキス、起こしにきてありがとう、ふわぁ、ま、今日も頑張りますか」
ヘリオスは皇帝の服装に着替える、最高級宝石類、最高級の布などとりあえず高い物を使った青と赤を基調とした服だ、空と地を統べる者という意味が込められている、そしてこれを着れるのはヘリオスのみ、地位以外に重量的な意味で他者が着れる物ではない。
道中、当たり前だが道行く人々は頭を下げる。
「それで、今日の予定は・・・ヘリオス様?」
後ろからついてくる、ヘリオスの第2補佐オルキス、球体の関節からゴーレムということがわかるが、それさえ隠せば人間にしか見えないほど完璧なゴーレムだ。
「本当に、よくできてるよな」
「ありがとうございます」
「うん、それでだが、オルキスは元気か?」
「はい、とくに問題はありません、執務室にてお仕事してるかと」
オルキスはツヴァイとオーキスの元となった、エルステ王国の王女だった女性だ。
「ふむ、一応ツヴァイをつけているが、何か怪しい行動してるやつはいないか?」
「わたしが見る限りではいませんね、女王派にも皇帝派にも今のところは表立ったことはしてないかと」
女王派 皇帝派、これはエルステの2大派閥であり、わかりやすく説明するとオルキスを女王にしようとする一派と、皇帝ヘリオスに心酔する一派と言った感じだ、ちなみにフリーシアはどちらにも属さなかった。
どちらの派閥も問題を起こすことが多く、仲も悪い、なんとかしたいが下手にどちらかを弱らせれば何が起こるかわからないため、オルキスの安全のため、ツヴァイ、そしてエルステの大将アダムが護衛についている。
「ふむふむ、それで、今日の予定は?」
そして、道中であらかたオーキスから聞き、ヘリオスの仕事が始まる、他の空島への援助、ルピの流れから、様々なことを行う。
そんなこんなで6時から6時間経ち、12時、休憩時間に入った。
「ふぅ、だいたい終わったかな、後残ってるのは?」
「残りは書類の判子と・・・真王との外交ですね」
真王、アウライグランデ大空域の王であり、七曜の騎士がいる空域。
「ふむ、そういえばそんなことをアポロニアから聞いたな」
アポロニアはアウライの情勢を報告する、いわゆるスパイに近い。
ヘリオスはため息を吐き、頬を叩いて気合を入れる、それほどの相手である。
「よし!」
それから1時間後、玉座の間の扉が開く、そこから真王、そして黄金の騎士 緋色の騎士、そして白騎士が現れる。
「アウライの大王様が直々に来てくれるのは助かりますね」
「なに、それほど苦ではなかったよ、それでた、ヘリオス、私のもとに来る気は無いかね?」
「何度も言ってきたがそちらの軍門には下らないと言ってきたんだが、ボケたか?」
「貴様」
黄金の騎士が剣に触れようとした瞬間、自分の首が斬られた・・・ような幻覚を見た。
「!?・・・これは」
「駄目ですね、そんなことをしに来たのかな、アリアちゃん」
いつの間にか、玉座の近くに、白銀の軽装の鎧を纏ったヒューマンの少女が現れる、腰に2本の剣を装備し、軽薄そうな口調とは裏腹に濃い殺気を真王達に浴びせてる。
「ソフォン!?、何故貴様がここにいる」
「呼ばれたからに決まってるじゃないですか、なんですか?、私がコイツに尻を振ってるとでも?、困るなぁ、私は私、どこにも属すきもないっての」
「ソフォン、双星剣王の名が泣くぞ」
「へーい」
ヘリオスに言われ、頬を膨らませて、殺気を抑えて、口を閉じた。
「それで?、本当にやり合うのかな」
「それはそなた次第だな」
真王が右手を掲げると3人の騎士が剣を抜く。
「断ると言うなら、殺すしかないな、エルステは強くなりすぎた、このまま膨張させるのを見逃せぬな、ついでだアーカーシャを貰おう」
「意外と好戦的だな、何を焦ってるのかな?」
ヘリオスは玉座から立ち上がり、服を脱ぎ捨てる、道着を下に着ており、軽くジャンプすると一瞬で消えた。
「!」
黄金と緋色は反応出来なかったが、白騎士は真王に向かう拳を剣で受け止めた。
「・・・・」
「さすがにあなたがいると成功しないかな!」
そのまま身体を捻り、白騎士を蹴り飛ばす。
「黄金はお前に譲るわ、緋色は・・そうだな、ツヴァイ、オーキス、頼んだ」
「
オーキスとツヴァイがゴーレムを連れて現れる、すぐさま緋色の騎士に攻撃を仕掛ける。
白騎士とヘリオスは広い玉座の間で辺りを壊しながら一進一退の攻防が繰り広げられてる。
それは一時間も行われた。
「・・・もう良いだろう」
「・・・まぁ、確かにな」
真王とヘリオスの言葉で皆動きを止める。
「それほど動けるなら、同盟もよかろう」
「それ、断れないやつだよな」
「当たり前であろう」
「・・・まぁいいか、まだ命かけるときではないし」
「では、これで私らは去ろうか、壊した費用はこちらが払おう」
「当たり前であろう」
「はは、これからも良い関係を持てたらと思ってるよ、ヘリオス、では」
それだけ言うと、真王は騎士たちをつれて帰っていった
「・・・はぁ」
「・・・じゃあ、私帰るねー、よくこんな茶番に付き合わせてくれるねー」
「あぁ、それじゃあな、ソフォン」
「ん、後で何か菓子贈ってね」
ソフォンも、扉からその場から去った。
「あれが、双星剣王・・・」
「ん?、何か知ってるのかオーキス」
ツヴァイがオーキスにソフォンについて聞いた。
「はい、双星剣王、ソフォン、噂ですが十天衆頭目の弟子であり、星の力を宿していると」
「つまりヘリオスと同じかぁ、ふぅん、凄そう」
「月並の発言ですね」
「オーキス、ツヴァイ、とりあえず口約束だがアウライと同盟になった、まぁ利用しないわけがないよな」
「はい、そうですね、それではオルキスにも伝えてきます」
「・・・ここからがめんどくさいな、さて、ジータ、どこまでやってくれるのかな」
ヘリオスは皇帝の服に着換え、再び玉座に座った。
ちなみにモンク的なことができますヘリオス、奥義はアルデバランフィスト、結局使わなかった設定(´・ω・`)、次のやつはクリュサオルです
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