ここはどこ?
私は誰?
私の名前は…アイシャ、アイシャ・ルイス。
ここは…ダンジョン…かな。確か、身代わりになれって突き落とされたんだっけ?あー…心臓やられてる?…病気だし、長くはないと思ってたけど、思ったより早かったな…。生まれ変わったら復讐してやろう。輪廻転生なんて信じてなかったけど、神様曰くあるらしいからね…。そうすると、脳内に言葉が浮かんできた。
『我が問いに答えよ。』
はいはいいいですよー。どうせ死にますし。
『汝、生を望むか?』
まぁ、できたら生きたいね…
『復讐する覚悟はあるか?』
うん。あるよ。突き落とされたり、切られたりしたからね。
『モンスターになる覚悟はあるか?』
あるよ…どんな手を使ってでも殺してやる。
『汝に力を授けよう。』
そう言われた後、私の意識は暗転した。
少し、昔の話をしようか。
私の患っていた病は、『過剰魔力病』。生まれた時から患っていたらしい。肉体の限界値を越えた魔力によって、体に異常が起きる病。私の場合は臓器の機能が停止したり、筋力が衰えたりする。そんでもって私に残された時間は十七年。私は今十七歳だから、どのみち死んでたね。過剰魔力と言っても、それをコントロールできたら生きられるけれど、私は魔力量が多過ぎてコントロール出来なかったのよ。まぁ、その内の少しは利用できたから、独自の剣術作ったりはしてたけどね。そんな風に生きてきたけど、よく解らんまま終わったな…私の人生。
…あれ?私何でこんなこと考えてんだろ。もしや…?すると同時に、私の意識は覚醒した。
「目覚めたか。」
最初に聞いた声は、さっき脳に響いた声だ。そして、目の前には女性が立っていた。
「…誰よ。」
「私はグリード。お前のように『復讐を望む者』だ。」
おっおっお?復讐を望む者ってなんぞや。あれか。復讐する覚悟はどうのこうの~って奴ね。
「現状を教えてくれますか?」
「もとよりそのつもりだ。今のお前は、半分モンスター状態だ。生命を繋ぎ止めるために、魔石を取り込んだならな。」
「…まじすか。」
「マジだ。だから、お前にも特殊能力が目覚めてる。お前の場合は…
「それって何ですか?」
「物体の記憶、解放が出来る。例えば、『氷』を記憶すれば氷系の魔法、能力が使える『メモリ』を生成する。メモリは『通常解放』、『マキシマムドライブ』、『記憶全解放』がある。専用の武装に取り付けたり、直接自分に使用することも出来て、通常解放の場合、その記憶に応じた能力が発動できる。記憶全解放は、強力な記憶を発動できる。が、そのメモリは一定時間使用できなくなるがな。マキシマムドライブはその中間で、少し高い能力の状態で記憶を放つが、使用不可能にはならない。記憶の半魔というのは、私達と同じような半魔の中でも上位の『階級持ち』だな。階級持ちと言うのはそのスキルによって決まる。私も階級持ちで、私は『再構成の半魔』だ。物体の再構成が出来る。」
なるほど…チートやないかい。
「後、レベルに換算すると…ジャガーノート級だな。」
「ジャガーノートって何ですか?」
「ダンジョンが、修復できないほどのダメージを負ったときに生まれるモンスター。そのダメージを与えた奴らを殺し終えたら消滅するっていうダンジョンの最終兵器だ。」
おう…ヤバイ奴やんけ。
「そうだ、お前に武器を渡すのを忘れていた。先代の記憶の半魔が使用していた武装…『エッジ・オブ・マーキュリー』と、『ドミネーター』、ドミネーターは、先代曰く『銃』と言うそうだ。」
その剣は、青色の刀身に柄の後ろの部分にコネクタがあるという、歪な剣と、なにやら青く発光するよく分からない物だ。これもコネクタがついている。銃って言うらしい。
「後、これも。先代の作ったメモリだ。少ししかおいてなかったがな…それをコネクタに差し込むと、その武器に能力が付与される。自分にも適用可能だ。後、これはメモリの効果を纏めたものだ。読んでおけ。」
そこには『ジョーカー』、『ライトニング』、『ミラー』、『アイスエイジ』、『ウイルス』、『ゾーン』のメモリがあった。そして、『取扱い説明書』と書かれた本があった。
「よく分からないけど…これで奴らに復讐すればいいのね?」
「ああ。後、普通に生活することも出来るが、ファミリアには所属していない状況になっている。気を付けておけよ。」
「了解したよ。じゃあ、また。」
『ゾーン!マキシマムドライブ』
私は早速、ゾーンメモリのマキシマムドライブで地上に戻った。いやぁ…楽だわ、うん。今後もこれで移動しようかね。
アイシャsideout
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