ショタ(17歳)、Vtuberになる (蓮山)
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第1話 ショタがVtuberになる前
『あ…んっ…だめ…激し』
『あ…ちょっと…』
なんか隣の部屋から妖しげな声が聴こえますね…。
僕の名前は平 翔太。17歳です。まあ声変りもせず、身長も小学4年あたりで成長が止まり見た目はどう見てもショタですね。別に遺伝という訳ではないです。一つ違いの妹は身長169cmで母親は172cmと大きいですし、幼い頃に他界した父も176cmと高身長なので遺伝の線は薄いんです。
で、隣の部屋から母親と妹のものと思われる百合っぽい声が…。
さて、どうしましょうか。僕としては恋愛は自由でいいと思いますが隣の部屋から嬌声、しかも母親と妹のが聴こえてきたら寝付ける訳がありません。
明日の朝に隈でも作って「昨日はお楽しみでしたね…お陰で寝付けませんでした」とでも言ったら家庭が凍りつくのは必然です。まあ言わなければいい話ですけど。
やはりここは心を鬼にして「ラブホかどっかでやってください」と言いましょう。
コンッコンッ
ノックはします。いくら自分の肉親だからと言っていきなり部屋に入るのは失礼です。もちろん片付けさせるのもありますが…。
…………………
反応がありません。相変わらず嬌声染みた声は聴こえますが…。
突入するべきでしょうか…。しかし母親と妹の百合なんて直視したくはありません。いや別に不細工とかそういう訳ではなくこう…気持ちというかそういう問題です。
………仕方ありません。突入しましょう。
「ナニやってるんですか?」
「「あっ」」
そこにはカメラの前で仲良くゲームをしている二人の姿が。
…早とちりしてしまった…恥ずかしい…。
「あら~翔太ちゃん。ちょっと待っててね?お母さんこれからこのクソを殺ってるから」
「お兄ちゃん、今日も可愛いね!そうだ、一緒にこのゲームやらない?」
「可愛いなんて言わないでください。で、死にそうですよ?操作しているキャラ」
「「え?」」
あ、ヘッショ決められて死にましたね、妹のキャラは。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」
「あ、ヤバい死んじゃう!」
これはFPSですね。インターネット対戦の。協力プレイは出来ないので二つの画面でやってますけど。
あ、地雷踏みましたね…どっちも負けですか。
「んん…負けちゃった…」
「でも10位以内に入れたからいいかな…2キルできたし」
「私は14位で1キル…まあいっか」
「で、何やってるんですか?」
「配信よ」
配信というと、動画配信ですか。
「あら、コメント来てるわよ。翔太ちゃんに対して」
生配信でしたか。
コメント:ヤバい声可愛いいいい!!
コメント:ショタボ助かる【オンドゥル教信者 ¥5000】
コメント:アヤネちゃんのお兄ちゃんがショタってまじだったのか
コメント:こんだけ可愛い声ならVになってもよくね?
コメント:V化しねえのか?
「ヒェッ」
変な声出ました。いやいや、流石になりませんよ?
「実はね?すでにモデル自体は作ってもらってるの。あとは翔太ちゃんが同意してくれれば機材も用意するわよ」
「お兄ちゃんがVtuberになったらコラボできるよね!楽しみだなぁ」
あう…。すでにVtuberのモデル作られているんですか…。
「というか何時から?」
「それは後でね。そろそろ配信終了だし挨拶しなきゃ」
「あらあら?もうこんな時間?時間が過ぎるのは早いわねぇ」
「それじゃあ皆さん!綺羅星 アヤネと」
「綺羅星 ヒナタの」
「「綺羅星チャンネルコラボ動画のご視聴ありがとうございました~!」また見てね~」
コメント:888888
コメント:888888888
コメント:88888888888888888
終わったみたいですね。
「で、いつから配信を?」
「そうねえ。まあ結構前よ私は。2年前から始めたからね~」
「私はお母さんがやってるのを見て1年前から始めたかな?」
「というかVtuberの綺羅星ヒナタと綺羅星アヤネって登録者10万人を突破してるんだよね?」
数回見てたけど声とかあんまり意識してなかったので身内に似ているとか思わなかったんですよね…。
「そうねえ。私は14万人で綾香が11万人だったかしら?」
「アスタリスク・コードでデビューできたのは大きいよね」
アスタリスク・コード。
ヴァーチャルYoutuberことVtuberの大手会社。
親会社はパソコン企業の最大手でそのおかげもあって最新鋭の機材をそろえてくれるということで企業Vtuberの応募が殺到したこともあるところだ。
現在3期生までが在籍しており綺羅星ヒナタは2期生トップ。綺羅星アヤネは3期生トップ。1期生はハラルカというVtuberがトップで登録者数25万人となっている。
つまり凄い会社だ。
「で、やってみない?Vtuber」
「前に撮ったカラオケのやつでもうマネージャーさんはオッケー出してるよ?モデルもあるし」
すでにモデルが作られてる!?
モデル作るのにいくらかかったんだろう…。
「ついでにモデルっていくらなんですか…」
「そんなにかかってないって。せいぜい3万くらいじゃないかな?」
「高いよ!?高校生男子としては高いよ!」
「まあまあ。落ち着いて?もうね?4期生募集の時には1次審査と2次審査はパスにしとくからって言われてるのよ」
すでになんか3万を無駄にしたくないとか考えてるんですけど…。
「なんで!?」
「だって翔太ちゃんの声。とっても可愛らしいんですもの!マネージャーさんも『ショタVtuberは少ないですし入ってほしいですね』って言ってたし」
「コンプレックスが褒められるのは複雑です」
背が小さい(131㎝)、声がショタボ(幼くてちょっと舌足らず)、顔が可愛い(かっこいいと言われたいのに)。
「お兄ちゃん…コラボしてくれないの…?」
「んぐっ」
たとえ自分よりも背が大きくても妹の涙目にかなう兄がいるだろうか…。
「はぁ…わかりました…3次審査で合格しなかったらやりませんけど…」
「やった~!お兄ちゃん大好き!」
「へぐっ!?」
く、苦し!?押し倒されて息がッ!!
「ッ!ッ!」
「えへへへ~お兄ちゃんと一緒の動画が作れるんだ~…」
死ぬ!死ぬ!
「綾香。翔太ちゃん息できてないわよ?」
「え?あああ~!!お兄ちゃん大丈夫!?」
…だいじょばない…。
―――キャラ設定―――
星野 翔太
身長131cm
体重29.8kg
男性
年齢17歳
誕生日9月14日
本作主人公。見た目も声もショタ。それがコンプレックスになっている。成長は9歳で止まった。
せめて声だけでもイケボになってほしかったけどその場合Fate/のアンデルセンみたいになったと思う。
サブカルにもある程度は浸かっている。
小心者というかお金を無駄にしたくないため3万という額は彼を動かすのに十分な額。
ファミレスに行けばお子様ランチを勧められ、R-15作品の映画を見ようとすれば止められる。なので彼のかばんには学生証が必ず入っている。
バイトはせずに母親と妹の代わりに家事をしている。家庭的ショタ。
高校は平均より少し上のところで私立。
学校ではショタコンな先輩にお持ち帰りされそうになった逸話がある。が、本人はまったく気づいてなかった。クラスメイトが助けてくれたが何が起きていたのかわからないので正直『何してんだろうかこいつ』としか思ってなかった。
クラスのマスコット的存在で、よくお菓子をもらう。そしてお菓子を食べさせられそうになる。
星野 綾香
身長169cm
体重59.3kg
女性
年齢16歳
誕生日7月28日
主人公の妹。綺羅星アヤネという人気Vtuberの顔を持つ。
兄が小さくて可愛いのに自分は大きいと嘆いていた時期があったがおねショタもの(健全)を読んでむしろこの体が好きになった。
ブラコンで毎日のように翔太を膝の上に乗せて撫でたいという欲求がある。
サブカルは結構知ってる。というかBL、GL、TSものなんかも好き。
母親の星野 日菜子の影響もありVtuberになった。
反抗期はなかったため今でも甘える。
高校は通信制にした。得意なゲームはFPSなどの対人戦ができるもの。苦手なゲームはホラーゲーム。声がチンパンジーみたいになるらしい。
兄とのコラボでは絶対にホラーゲームをして抱き着きたいと考えているため意外と腹黒いのではと母親に思われている。
これでいいのか…。
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第2話 同期との初めまして
「受かった…」
本当に受かりました…。
「やったわね翔太ちゃん!」
「お兄ちゃんとコラボできるんだね!」
で、来週の日曜に本社で同期と顔合わせをするようです。まずは同期とコラボさせるのがアスタリスク・コードのお約束みたいになっているので連絡が取れるように、という意図もあるようです。
2回目のコラボは1期前。つまり、3期生の誰かとコラボさせるらしいですけど…。
「にしても…ほとんどモデルは現実と変わりませんね」
黒髪でちょっと長め。目はこげ茶。大きさもこちらと変わらず童顔が似合っている。ショタなのはわかっていましたけど…。これは心に来ますね。
「そうねえ。でも現実の翔太ちゃんのほうが可愛いわ!」
「うんうん。もう少し可愛くできなかったのかな?」
それは製作者に失礼かと…。
「で、本社には…」
「送っていくわ。翔太ちゃんを電車なんかに乗せたら攫われちゃうわ!」
「はあ…」
まあ別にいいんですけど…。流石に心配しすぎでは…?
「お兄ちゃんはショタコンにとって本当にドストライクなんだよ!自覚持ってね?」
「知りたくないですそんなこと」
自分が変態のストライクゾーンに入っているとか嫌です。
―――日曜日―――
ついにこの時がやってきました。
「秋葉原なんですね…」
王道らしいといえばらしいですけど…
「じゃあメロブにいるから。何かあったらすぐに連絡してね、お兄ちゃん!」
ああ、趣味の薔薇が咲くやつでも買いにいったのでしょう。妹が腐るとは夢にも思いませんでしたが、まあ彼女の趣味にとやかく口出しする権利は僕にはありません。
「すみませーん」
「おや?迷子かな?君」
そう言われました。
クール系の美女ですね。スラッとしているのに一部は豊かでモデルさんみたいです。スーツ姿と相まってキャリア・ウーマンの雰囲気です。身長も妹より少し低いくらいでしょうか。サラサラとした艶のある長髪が似合ってます。
「違います。あの、今日の同期の顔合わせに来ました」
「あ、もしかして綺羅星の」
「はい。妹と母がここに所属しています」
「そうか君が4期生の綺羅星 翔太くんか…本当に17かい?」
「こんな見た目ですけどれっきとした17歳です!」
「そ、そうか…フフッ…」
あ、微笑ましいものを見た顔ですねこれ。まあショタが背伸びしたようにしか見えないので仕方ないですが…ちょっとむくれてしまいます。
「そうだ。自己紹介しないとな。私は清川 冷子。冷たそうな名前だろう?Vtuberとしては春川 ひやしんすとして活動している」
「ひやしんすさんでしたか!?」
春川 ひやしんす。
アスタリスク・コード2期生の一人。
声が綺麗でかなり歌が上手く、よく歌配信をしている。
また独特のネーミングセンスによって配信ではよく視聴者が腹筋を鍛えるのに使えるとのコメントが殺到するというなかなか見ないタイプのVtuberだ。
個人勢からアスタリスク・コードに入ったため、1期生よりキャリアが長かったりする。
名前のセンスが残念ですけどそれも魅力なんですよねえ。
「ええ。そういえば時間は大丈夫なの?」
「え?あ、あと30分あるので大丈夫ですよ」
「時計がずれてたなんてことは…」
「そんな漫画や小説じゃないんですから…念のため聞きますけど何時ですか?」
「9時30分ね」
「なら大丈夫です。10時からですし」
30分前行動を心掛けないと落ち着きません。流石に早すぎるとは思いますけど。
「とりあえず、入りましょうか。流石に暑くなってきたわ」
初夏だからそこまで暑くないとはいえやっぱりずっと外にいるとキツイものがあります。
「そうですね」
ひんやりとした空気が心地いいです。ただちょっと半袖で過ごすと寒いですね。
「ふー…涼しくていいわあ…」
「おや、冷子さん。もしかしてその子は?」
「浅野さん。おはようございます。この子は4期生の綺羅星のとこの」
「ああ、星野くんですね。初めまして、浅野 宏人です。2期生の総合マネージャーをしています」
「初めまして、僕は星野 翔太です。こんなナリですけど17歳です」
挨拶してきたのは好青年というか爽やかイケメンの浅野さん。見た目的には20代後半だろうか。
「ええ。写真と履歴書で知っていますし日菜子さんからよく聞かされてます…とても」
ああ…。お母さん…この人が少しの間、遠い目をするくらい話してたんですね…。
「ええと、お疲れ様です?」
「まあまだ日菜子さんはマシですよ…。雷電さんほどハチャメチャなわけでも準堂下さんよりもおとなしいですし」
雷電とは2期生でも突拍子のないことをするトラブルメイカーの雷電 電電。マイクラのサーバーをTNTで埋め尽くしたりポケモンで一撃必殺技だけを使ったりBloodborneを24時間耐久配信をしたりと何かと話題に絶えない人物だ。
今更ながらここはまともなのが少ないんじゃないかと不安になってきました。
「まあ、いいんです。迷惑料代わりに高給ですし自分のやりたいことでしたし」
「はあ…」
その割には目が死んでるような…。
「あ、顔合わせは3階でやります。顔合わせ会場って書いてありますのでその部屋に行ってください」
「わかりました」
さて、どんな人が同期なんでしょうか。
……濃い面子なんだろうなぁ。
――――――――――
う~ん。そんなに見た目は変わってないですけど…部屋にいる5人の本性がわかるわけがないんですよね。
「はいはーい。今日から私がプロデューサーになります武藤 霧華です。皆よろしくね」
部屋に入ってきたのは小柄…といっても僕より大きい美少女ですね。ツインテールが似合っているんですけど…本当に18歳以上でしょうか…。いや僕が言えた口じゃないんですけど。
「じゃあまずは君から自己紹介してね!」
「わ、私ですか…ええと、上条ニアといいます。母がアメリカ人なのでこの名前です。Vtuberとしての名前はトラペゾヘドロンです」
……ええ…?何故にそのチョイス…。
「クトゥルフ神話じゃないですか…」
「あ、わかるんですね!いや~いいですよねクトゥルフ神話。あれの発想はすさまじいと思いますよ。私もあんな狂気の世界を書きたいですねえ」
クトゥルフ系Vtuber…新しいと言えば新しいんでしょうか。
「好きなゲームはバイオハザードとダクソです!Vtuberは初めてなのでよろしくお願いします!」
なんというか…いきなり元気になりましたね。
「じゃあ、次は…君行ってみよう!」
「俺ですか。俺は山田太郎。あ、ネタじゃないですよ。本当にこの名前です。Vtuberとしては御堂 ルイスで活動してました」
あ、御堂 ルイスといえば個人勢としてもそれなりに名が知れているVtuberですね。
話題になった理由は2時間お経を読むという謎の配信のせいでしたっけ?『名前は外国風なのにお経を読むVtuber』という切り抜きが一時期トレンド2位になりました。
「配信から察していると思いますけど寺生まれです。ホラー系だとお経を読んでしまうんですよね…」
そういえばそんなことを…。『むしろお前がホラー』とかコメントがありました。
「じゃあ「次は私だね!」…ええ…」
突然割り込んだのは隣の自分よりほんの少し背が高い女性でした。
正直いきなり言ったので体が跳ねました。心臓に悪いです…。
「私は神無月 真莉愛!Vtuberとしては花園マリアです!Vtuberになった理由はアイドルになりたいからです!ちっちゃい体だからって甘く見るなよう!私はホラーにもつよつよなんだぞ!ってやっていきます!みんなよろしくね~!…まあこんな口調疲れるんですけどね…」
キャラ作ってんですね…。素とのギャップで採用されたのでしょうか。
「本当は家に引きこもっても生きていける仕事が欲しかったからです。よろしくお願いします…」
ぶっちゃけましたね!?そして発想がニートです!引きこもりです!
大丈夫でしょうか…。早速不安です。
「次は「私だニャン!」ちょっとぉ!?」
2人目の割り込みですか…!?
「私は猫田 夏帆だニャン。得意なのは空気を読むことと歌と料理だってばよ!口調がぶれるのは気にするな!そういうもんであります!」
もうこの人が爆弾にしか思えなくなりました。大丈夫でしょうか。
というか空気読めてないです。頭大丈夫じゃなさそうです。
「Vtuberとしては天下 猫で行くでコン!」
それは狐です。
「…じゃあ次は君」
あ、疲れてますね…。分かりますけど。
「…僕は平野キリヤ…Vtuberとしては…院鬼矢 久良で…よろしく…」
院鬼矢 久良といえばダウナー系の中のダウナー系としてコアなファンがいるVtuberです。そのあまりのダウナーさでホラーでもアクションでもほとんどリアクションを取ってないので人形みたいと言われてたりします。唯一リアクションが大きいのはギター配信のときで、ヘドバンやスクリームをするというあまりにも普段との差があるため2人でやっているのではとまで思われています。
「じゃあ最後は君だね」
僕の番ですね。
「びょ!?…噛みまみた…。ええと、星野 翔太です。Vtuberとしては綺羅星 翔太で活動します。基本ゲームは得意です。初心者ですので皆さんよろしくお願いします。あと、僕はこれでも17歳です。ですので子ども扱いだけはしないでください!」
…口の中がちょっと鉄っぽいです…。痛い。
「はい。じゃあ皆はLINEのほうで連絡するから友達登録はしておいてね」
さて、この後は自由時間という名の交流会ですね。
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