ウルトラダンガンロンパ 才能を魅せる学園 (ユキミス)
しおりを挟む

プロローグ ようこそ魅才学園
プロローグ 


 魅才(みさい)学園……俺、上条翔太が通うことになった高校だ。ここに入れば将来の成功は間違い無しと呼ばれ、多額の奨励金が授与される。魅才学園には、超高校級と呼ばれる才能がある生徒だけがスカウトされ入学が許可される。例えば、超高校級の探偵や超高校級の映画監督とか超高校級の美化委員なんて才能もある。そして俺は『超高校級の陸上選手』として入学することにされた。

 されたって言う言い方なのは、親が無理矢理入れたからだ。俺の家系は代々スポーツ、特に陸上が得意でそれが故に俺にはその才能が……。いや、こんなことを考えるのはよそう。入ることになったのは仕方ないんだ。

 俺は魅才学園に足を踏み入れた、その時、俺は気をし失った。

 

 

 

 

 

 

 

上条「ここは?」

 

目が覚めると俺は教室にいた。確か、入り口に入った途端、気を失って……。誰かが運んだのか?

 

俺は教室から出て見たが誰もいなかった。

 

上条「ここ、本当に魅才学園なのか?学校なのに誰もいないなんて……」

 

 そもそも教室からしておかしかった。窓には鉄板が張られ、教室から廊下まで監視カメラがあちこちにあって学校とは思えない異様さだった。

 

上条「とにかく人を探さないと」

 

俺はとりあえず、外に出るために玄関に向かうことにした。そこまでの道にも相変わらず誰かもいない。

 玄関ホールにつくと15人の姿が見えた。その玄関ホールでさえ、禍々しい扉に固く封じられていた。まるで閉じ込められたみたいに。

 

 

「お前も新入生か?」

 

金髪の子がいきなり俺の肩を掴んで話しかけていた。慣れ慣れしい奴だ。

 

「俺は監原誠也、超高校級の映画監督だ!」

 

 思い出した。超高校級の映画監督。世界一の興行収入を叩き出した監原正二の息子で彼もまた大ヒット映画を何本も撮って、賞も受賞した男だ。よくテレビにも出てインタビューを受けている。

 

監原「なんだなんだ?お前も俺のことチャラいなーとか思うのか?」

 

事実じゃないか。

 

監原「これからクラスメイトなんだからよろしくな」

 

「全くもう、困ってるじゃないの、それくらいにしなさい」

 

上条「君は?」

 

「あたしは加賀美優子。超高校級の美化委員としてこの学園に入学したのよ」

 

 美化委員、そんな才能でも学園に入ることが許される。しかし美化委員って才能はどう使うんだろうか。

 

加賀美「あなたの名前も教えて欲しいな」

 

上条「え、えっと……俺は上条翔太。超高校級の陸上選手です」

 

監原「陸上選手!あの上条翔太か!テレビで見たぜー!」

 

上条「あ、あの、君たちも俺と同じなのか?」

 

監原「同じ?この現状?ああ。魅才学園に入ったら気を失って教室にいたことだろ?みんな同じらしいぜ」

 

16人がみんな一斉に!?おかしいだろ!?なんでこんな落ち着いてるんだ!?

 

「はいはーい!次はワタシだね!ワタシは超高校級の探偵だよ!探し物はこの深沢由奈にお任せあれー!」

 

背の小さい子が俺たちの周りをぐるりと駆け巡り、「深沢由奈だよー!覚えてって!」と一人一人に言い続けた。

 

「あはは、可愛い子だね」

 

 こいつ、どこかで見たことあるな。

 

「久しぶりだね、上条くん。中学の学校対抗のリレー以来だね」

 

上条「えっと、蹴上秀だっけ?」

 

蹴上「うん、超高校級のサッカー選手、蹴上秀だよ。あの時は負けちゃったけど次は負けないから」

 

 蹴上秀。プロリーグから既にスカウトを受けた超高校級のサッカー選手。弱小サッカーチームを全国大会優勝まで導いたんだよな。性格も良くてファンもたくさんいるんだとか。中学の時に学校対抗リレーで俺と良い勝負したんだ。サッカー選手だけあって足は俺並みなのがすごいところだ。

 

 

「俺も自己紹介しなくちゃだな!」

 

筋肉ムキムキの奴が出てきた。

 

「俺は岩田圭介!超高校級のロッククライマーだ」

 

 超高校級のロッククライマー……テレビで見たことがある。最年少でボルタリングの大会で優勝して、難関ロッククライムも簡単にクリアしたとも聞いた。にしても声がうるさいな。

 

岩田「お前、スポーツ選手にしては筋肉が足りないな。もっと鍛えた方がいいぞ!」

 

 余計なお世話だ。

 

「ああ賑やかですね」

 

すごい目を引く美人さんが言った。

 

上条「君は……」

 

「私は香月薫です。超高校級のセラピストです」

 

超高校級のセラピスト、少しだけ雑誌で取り上げてたの見た。彼女のアロマセラピーで元気になる人が続出したらしい。引きこもりがちな生徒も学校に行けるようになったんだっけ?そんだけ元気になるなら試してみたいな。

 

上条「すごい、なんかやって見せて!良い匂いの!」

 

香月「はあ?何言ってんの?」

 

上条「え……」

 

香月「ハッ、い、いえ今はセラピー道具を持っていませんので今度の機会に」

 

なんか一瞬口悪くなかったか?

 

「私も自己紹介しなければならないな」

 

上条「君は……」

 

「私は将口歩夢。超高校級の棋士だ」

 

将口歩夢。将棋で最年少の8歳で竜王を打ち破り、最年少で数々のタイトルを取った棋士だっけ?将棋だけじゃなくて囲碁も段位を取っていて、オセロやチェスの大会でも優勝してるボードゲームの神とか呼ばれていたような。

 

「次は僕か。僕は超高校級の指揮者の式野龍馬だ」

 

 式野龍馬。確か中学生にして有名なオーケストラの指揮をしたんだっけ?オーケストラとかあまり興味ないからよく分からないんだけど……。

 

式野「皆、興味ないって顔してるな」

 

上条「いや、その」

 

式野「高校生でオーケストラに興味があるのは吹奏楽部ぐらいだし、僕は気にしていない」

 

 最初に言ったのはお前じゃないか。

 

 まあ良いか。他に自己紹介してないのは。

 

「……」

 

加賀美「やあ、君は誰かな?」

 

「超高校級のゲームクリエイター、メイクビット・松原・テル。略称メイビー。以上」

 

メイビー?あのスーパーモンスターパニックシリーズの制作者じゃないか。最初はギャルゲーとホラゲーの同人ゲーム制作から始まり、企業に目をつけられ、スモパて世界で既に累計で3000万本突破した。けど最近は企業を離れているみたいだけど。

 

上条「すごい!俺、スモパのファンなんです!」

 

メイビー「……で?」

 

上条「でって……」

 

メイビー「スモパは別に俺だけが作ったわけじゃない。シナリオ、一部背景、基本システム発案、一部音楽だけだよ。そんなことも知らないの?」

 

なんだよ、スモパの制作者ってこんな性格なのか。

 

監原「その気持ち、俺にもわかるな」

 

上条「え?」

 

監原「映画だって俺だけが作ってるわけじゃない。役者、音響、カメラマン……たくさんの人が集まって出来るものを俺だけの功績にして欲しくない」

 

そっか、そんな考えもあるのか……。俺も気をつけないとな。

 

 

監原「気を取り直して」

 

切り替え早っ!

 

監原「よー!お前?誰?」

 

「え、え……あの、僕は」

 

困ってるじゃないか、いきなり話しかけてやるなよ。

 

「僕は知念悠馬です……」

 

知念悠馬か……聞いたことないな。

 

監原「で、お前の才能はなんだよ?」

 

知念「え、えっと」

 

上条「お前の才能を教えてくれたらテレビで見たってこと思い出すかもしれない」

 

知念「……」

 

それでも知念はもなかなか答えない。

 

監原「ん?どうしたんだ?言えないのか?もしかして恥ずかしい才能とか」

 

上条「そんな才能でこの学園に入れないよ」

 

もしかしたら知念は俺みたいに才能がコンプレックスなのかもしれない。

 

知念「……分からないんだ」

 

監原「ん?どういうことだ?分からないで学園にスカウトされたのか?」

 

知念「覚えていないんだ、名前以外。才能も家族も、今までどんな人生だったかも」

 

 ……!?なんだよそれ……

 

監原「やばいレベルの記憶喪失じゃねぇか」

 

岩田「大変だー!医者ー!この中にお医者様はいませんかぁー!」

 

加賀美「いるわけないでしょ!」

 

深沢「私が探すね!人探しなら任せて」

 

加賀美「だからいないって」

 

「さっきからぎゃーぎゃーうるさいわね」

 

急に遠くから俺たちを睨んでくる奴。

 

上条「あいつは……」

 

加賀美「確か、彼女は超高校級の弓道家よ。名前は弓長詩織」

 

弓長「あんたたち、状況が分かってるの?友達ごっこしてる場合じゃないんだけど」

 

感じ悪い奴だな。確かテレビでも取り上げられてたっけ。選手権優勝したって。テレビでは普通の受け答えしてたのに。

 

加賀美「そんなこと言わないでよ、クラスメイトじゃない」

 

弓長「目が覚めたらこの状況で、クラスメイトどころじゃない」

 

「その女の言う通りだな」

 

赤髪がそれに同調する。

 

「俺たち以外に人っ子1人いない状況でよく悠長に馴れ合いが出来るな」

 

蹴上「君は確か超高校級のバスケ選手、籠森健一だったよね。君もバスケ大会で負けなしだったよね」

 

聞いたことがある。無名の学校が全国大会で優勝し、地域別大会でもたった1人で圧倒したらしい。でもそれはワンマンプレーすぎて周りから評判良くないらしいが、あの性格なら当然だ。

 

籠森「俺にかかれば当然のことだ。それより、お前たちは自分たちが犯罪に巻き込まれたと思わないのか?」

 

「いやあぁぁぁあ、ははは、犯罪!?あたしたちそんなことに巻き込まれたの!?」

 

加賀美「落ち着いて一帆ちゃん。あ、あの子は絵馬一帆。超高校級のイラストレーター。あたしとは中学の同級生よ」

 

絵馬「いやあああああ」

 

絵馬一帆、アニメやゲームやラノベが好きなら知らない人はいない売れっ子イラストレーターじゃないか。彼女の描くイラストは大人気でどの業界も彼女を取りあっている。まだ高校生だったのか。

 

 

「上条くん……」

 

上条「え?君は?」

 

「やっぱり、覚えてないんだ……」

 

え?俺の知り合いにこんな子いたっけ。

 

「超高校級の……パティシエール、佐藤……雪香。本当に……知らないの?」

 

佐藤雪香、佐藤雪香か…あ!

 

上条「小学校の時に6年連続で同じクラスの!」

 

彼女が作るスイーツ店はいつも行列で、予約は年単位待ちで、その年のトレンドも司るパティシエールだ。それに小学校の時は6年連続で同じクラスだった。でもあんまり話したことないんだよな。

 

深沢「ワタシもあのスイーツ食べたよー!美味しかったよ!」

 

「私も食べた。あそこのミルクプリン美味しかったよ」

 

佐藤「ありがとう」

 

加賀美「君は確かえっと」

 

監原「超高校級の天文部だったよな。名前は確か星野リコ。学校は違うが地元だから知ってるぜ。新しい星をよく見つけるんだよな。すごいなぁ」

 

星野「……つまんない」

 

監原「はぁ?」

 

星野「学校なんてつまんない。ずっと星見ていたい」

 

監原「じゃあなんで魅才学園に入ったんだよ!」

 

星野「親が無理矢理」

ああ、そこは俺と同じなのか。それは少し同情したい。親なんてどうせ多額の奨励金目当てで俺たちの気持ちなんか考えてないんだ。

 

 そんなことを考えていると……

 

 キンコンカンコーン

 

 「あー、マイクテス、マイクテス、校内放送校内放送」

 

気味悪さを増大させる気の抜けた声が響き渡り、近くにあるモニターは故障したように砂嵐だ。

 

「入学式を執り行いますので、至急体育館までお集まりください」

 

 

監原「なんだよ、普通にやるじゃねぇか」

 

香月「段取りがゴm……いささか悪いようですが、入学式とあらば行きましょう」

 

蹴上「良かった、無事にやるんだね」

 

岩田「体育館に集合だー!」

 

式野「そうしようか……」

 

加賀美「なーんだ犯罪じゃ無かったのね、みんな、行こう」

 

絵馬「同然よね。超高校級のイラストレーターのあたしがここで死ぬわけないもの」

 

籠森「魅才だがなんだが知らないが、俺を手間取らせやがって」

 

弓長「こんな下らないどっきりなんか仕掛けるなんて……」

 

 安堵する者、愚痴る者いたが、それぞれが体育館に向かった。

 そんな中、俺はいいように知れない不安感があった。

 

佐藤「上条くんも不安なんだね?」

 

上条「う、うん。佐藤も?」

 

知念「僕も不安なんだ。まだ何かに巻き込まれている気がして」

 

将口「私もだ。犯罪に巻き込まれた線もまだ消えていないと思う。私たちは超高校級の才能がある。嫉妬や身代金目的で何かをされるかもしれない」

 

上条「そうだよな……」

 

メイビー「さらに俺らを驚かせるつもりだろうね」

 

上条「なんでわかるんだ?」

 

メイビー「これがゲーム、レクリエーションなら、ね」

 

 メイビーが意味深な言葉を呟いて体育館に向かった。

 

知念「でも行かないことには始まらないし、行こうよ」

 

上条「そうだな」

 

佐藤「あ、星野さんが……」

 

 寝てる……立って……。

 

上条「星野ォ!行くぞ!」

 

寝てる星野を俺と知念と将口で引っ張りながら体育館に向かった。

 

 

 

でもまだ知らなかったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 絶望の始まりが待っていることに。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

プロローグ2

 みんなが体育館に集まったが16人以外誰もいなかった。

 

 

 

星野「ぐうぐう」

 

上条「星野、起きろって」

 

なんとか星野を連れて来たがこの状況で爆睡出来るなんて……。超高校級の居眠りかな。

 

監原「なんだ?誰もいねぇじゃねぇか」

 

深沢「はいはーい、ワタシが探すよ!」

 

上条「本当に魅才学園なのか……?」

 

香月「私たちを嘲笑ってるみたいね」

 

弓長「やっぱり罠だったのね」

 

加賀美「一体これはどうなってるの」

 

絵馬「終わりだ!あたしたち誘拐されたのよ!」

 

蹴上「誘拐なんて……ほんとにそんなことが出来るのか」

 

式野「実際に誘拐されたようなものじゃないか」

 

岩田「おおーい!さっきの奴出てこーい!」

 

加賀美「なに呼んでるのよ!危険人物だったらどうするの!?」

 

籠森「それにさっきの抜けた放送はなんだったんだ。まさかここに集めて俺たちを殺す気か!?」

 

 

 

 

「もう抜けたなんて生意気だね」

 

 さっきの体育館への集合を呼びかけていた声が聞こえた。

 

 ピョンとクマのぬいぐるみが飛び出してきた。

 

 

絵馬「ぎゃあ!?ぬいぐるみが動いた!喋った!」

 

「ぬいぐるみ?違うよ、僕はモノクマだよ」

 

 自称モノクマという白黒のクマのぬいぐるみが歩き、くるりと一回転する。夢でも見てるのか俺たちは。

 

香月「趣味の悪いぬいぐるみねですね。誰の所有物でしょうか」

 

モノクマ「誰が趣味悪いだ!僕は愛されマスコットのモノクマだよ!」

 

監原「じゃあモノクマ。お前は一体なんなんだ」

 

受け入れるの早いな監原。

 

モノクマ「ん?僕?僕はこの魅才学園の学園長だよ」

 

弓長「バカ言わないでここが魅才学園なはずないでしょう。他の人は?ぬいぐるみが学園長なんて聞いたことないわ」

 

モノクマ「今聞いたんだよ!ほら!」

 

籠森「うるさい!とっとと俺たちをここから出せ!」

 

モノクマ「ダメダメ!オマエラにはこの学園だけで共同生活を送ってもらうんだから!」

 

将口「学園だけで共同生活?どういうことだ」

 

佐藤「……いつまで」

 

佐藤が小さくでも聞こえる声で呟いた。

 

佐藤「いつまでこの学園にいなきゃいけないの?」

 

モノクマ「そんな期限はないよ。オマエラは死ぬまでこの学園で共同生活をして貰います!」

 

みんな驚愕した。急にわけのわからないぬいぐるみが俺たちを閉じ込めた。いや、まだ閉じ込められたと決まったわけじゃない。みんなで出口を探せば良いんだ。こんなぬいぐるみの言うことなんか気にしちゃダメだ。

 

モノクマ「心配しなくても寝食は大丈夫だよ」

 

岩田「そういうことじゃねぇよ!一生学園にいろなんてそんなバカなこと」

 

蹴上「僕らを誘拐したって言うのか!」

 

式野「理不尽にも程がある。僕らが何をしたというんだ?」

 

弓長「くだらない茶番に付き合ってる暇ないわ。私はここから出る」

 

モノクマ「無理だよ。全部鉄板で覆われてるから出られないよ!」

 

絵馬「やっぱりあたしたちを閉じ込めたのね!」

 

知念「そんな……」

 

モノクマ「ああ、でもなんか超高校級の力で壊そうとしてもダメだからね。あそこにある学園中にあるガトリングガンで蜂の巣だよ」

 

モノクマに指摘された箇所を見ると今までなぜ気づかなかったのかと思うくらい、ガトリングガンが設置されていた。それに、監視カメラやテレビらしきものがいくつもあった。

 

弓長「っ……」

 

おびただしい数のガトリングガンにさすがの弓長が警戒していた。

 

籠森「くだらない!そんなことで俺を留められると思うなよ!」

 

籠森はモノクマを鷲掴みにした。

 

モノクマ「あーっ!学園長への暴力は校則違反ですよ!」

 

ブォンブォンとモノクマから警報音が鳴る。不安を煽ってくる。

 

メイビー「……!!早くそれを投げろ!」

 

メイビーがさっきの会話の声の小ささが嘘のように大きな声を出した。

 

籠森「あぁ?」

 

監原「いいから投げろって!」

 

監原は籠森の手からモノクマを奪い取り投げたと同時に爆発した。

 

 みんなさっきよりも驚愕し、悲鳴も上がる。

 

 

星野「なになに?」

 

加賀美「星野ちゃん、起きたのね!」

 

爆発でさすがの星野も目覚めたらしい。

籠森「嘘だろ……」

 

さすがの籠森も爆発を見てぬいぐるみが本気で殺そうとしたのが分かったのか、青ざめていた。

 

上条「さっきのぬいぐるみはいなくなったのか?」

 

 

 

 

モノクマ「僕はここだよーん!」

 

モノクマがまた飛び出して来た。

 

 

上条「嘘だろ?まだいるのかよ!」

 

深沢「どっから出てきたの?すごいねー」

 

絵馬「いやああああ!?な、なんなのぉ!」

 

 

モノクマ「さっきのは警告で済ませたけど、今度はそうはいかないからね!次、校則に違反したらグレートな体罰を執行するからね!」

 

加賀美「校則?」

 

モノクマ「そ、君たちが持つ、電子生徒手帳に書いてあるはずだよ」

 

上条「俺たちが持ってる?」

 

不意にズボンのポケットに手を入れると何やら機械が出てきた。ぬいぐるみの言うことが本当なら電子生徒手帳だ。

 

蹴上「こんなもの、僕持ってた記憶ないのに」

 

将口「私たちが気絶してる間に忍ばされたのかもしれない」

 

式野「まさか僕らを気絶させたのも奴か?」

 

監原「お前、こうまでして俺たちを縛りあげるからには、俺たちに何かやらせたいんだろ?」

 

上条「何かをやらす?」

 

モノクマ「さすが超高校級の映画監督。話がわかるねー。そうです!どうしても外に出たいという君たちのために出る方法を教えてあげるよ」

 

籠森「貴様さっきまで出られないとか言ってただろうが!」

 

モノクマ「それはそれ!だから出してあげる方法を教えるの!」

 

監原「その方法はなんだ」

 

「誰かを殺すことだよ!」

 

は……?

 

 何言ってんだこいつ。

 

モノクマ「誰にも知られずに殺したら学園から出ることを許可しましょう」

 

 

絵馬「ああああいやあああ死にたくないぃぃぃ」

 

加賀美「大丈夫よ、一帆ちゃん」

 

 

モノクマ「殴殺刺殺撲殺斬殺焼殺圧殺絞殺惨殺呪殺。殺し方は問いません。誰かを殺した生徒だけが出られる、簡単なルールだよ」

 

岩田「人を殺すことが簡単だと!?ふざけるな!」

 

岩田のもっとも意見に俺はうなづいた。

 

モノクマ「簡単だよ、コロシアイだよコロシアイ。人間ってね簡単に死ぬんだよ。階段からこけるだけとかさ。かーんたんだよねぇ」

 

加賀美「ふざけたこと言わないで!あたしたちをとっととここから出して!」

 

岩田「俺はお前になんか屈しないぞ!」

 

上条「そうだ!俺たちはコロシアイなんかしない!」

 

弓長「ここに人間は嫌いだけど、私はそんな悪趣味に付き合ってる暇ないわ」

 

籠森「いい加減にしやがれ!」

 

蹴上「なんの目的で僕らコロシアイさせるんだ!」

 

深沢「ワタシ、人を困らせる人、大嫌いだよ」

 

モノクマ「あーもう我儘な生徒たちだなぁ」

 

 

 ドドドン!と設置してあったガトリングガンが発射された。

 一同は息を呑み、静かになった。

 

モノクマ「あんまりしつこいと怒るからね。

 

監原「おちおち逆らえないってわけか」

 

モノクマ「というわけで豊かで陰惨な学園生活を楽しんでくださいな。まったねー!」

 

 それだけ言って、ぬいぐるみ、モノクマが去ってしまった。

 さっき爆発したもう一体のモノクマの残骸とガトリングガンの跡がこれが現実であることを物語っている。

 

 

監原「学園生活でデスゲーム……映画の設定がなんかかよ」

 

知念「そんな……記憶が戻ってないのに……」

 

岩田「みんなそんな深刻に考えるな!全部嘘っぱちだ」

 

弓長「ならさっきの爆発やガトリングガンはなんなの?明らかに私たちに殺意があったわ」

 

メイビー「嘘かどうかが問題なんじゃないよ。問題なのはこの話を本気にする奴がここにいるかどうかなんだよ」

 

 メイビーにそう言われると一同が互いを見つめ合った。まるで、お互いを探るかのように。

 

 

 

 

 

 

 俺は魅才学園で程々に暮らせれば良かった。そんな俺の望みを打ち消す、絶望の学園に魅才学園はなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

生き残りメンバー 16人



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

設定
登場人物 


名前 上条翔太 カミジョウ ショウタ

性別 男性

才能 超高校級の陸上選手

髪色 黒

好き ジャンクフード 

嫌い 陸上

身長 175cm

体重 69kg

誕生日 3月21日(最初の陸上競技大会の日)

イメージ声優 進藤尚美

主人公

大会や選手権を総なめした陸上選手。だが、あまり陸上のことを聞かれるのが好きではない。

癖の強いメンバーの中で足が速い以外は普通の感性や常識の持ち主であるが故に中心人物となる。

 

 

 

 

名前 監原誠也 カンバラ セイヤ

性別 男性 

才能 超高校級の映画監督 

髪色 金

好き 映画・ミュージカル・ドラマ・アニメ・漫画・小説の全ジャンル

嫌い 解釈を押し付ける人 

身長 178cm

体重 67kg

誕生日 12月1日(映画の日)

イメージ声優 関俊彦

父親は世界有数の映画監督で本人もまたたくさんの映画を出掛け、賞を受賞している。

いつもおちゃらけているが、監督という立場からからいざという時は冷静。

ミステリー映画を撮ったり、ミステリー小説や映画を鑑賞しているため殺人事件の知識は豊富。

 

 

 

 

名前 知念悠馬 チネン ユウマ

性別 男性

髪色 深い青色

才能 超高校級の???

好き ??? 

嫌い ???

身長 162cm

体重 53kg

誕生日 ???

イメージ声優 折笠愛

名前以外何も思い出せない少年。何もわからないなりにみんなの役に立とうと努力している。

 

 

 

 

 

名前 深沢由奈 フカザワ ユナ

声優 女性

才能 超高校級の探偵

髪色 ピンク

好き クッキー

嫌い ビスケット

身長 150cm

体重 40kg

誕生日 5月21日(探偵の日)

イメージ声優 堀江由衣

探偵の肩書からよく殺人事件を解決すると勘違いされるが浮気調査やペット探しの実績から超高校級の探偵になった

明るく元気だがやや空気が読めない

 

 

 

 

 

名前 佐藤雪香 サトウ ユキカ 

性別 女性

才能 超高校級のパティシエール

髪色 白

好き 優しい人 

嫌い 怖い人

身長 152cm

体重 41kg

誕生日 3月12日(スイーツの日)

イメージ声優 桑島法子

行列の出来るケーキ屋の娘で、彼女の考案したスイーツはその年のトレンドに必ずなる。

あまり喋らない大人しい性格。

小学校では6年連続で上条と同じクラスだったが、上条は覚えていない。

上条とは比較的良く話す。

 

 

 

 

名前 蹴上秀 ケアゲ シュウ 

性別 男性

才能 超高校級のサッカー選手

髪色 黄緑

好き サッカー 

嫌い ピーマン 

身長 180cm

体重 74kg

誕生日 11月11日(サッカーの日)

イメージ声優 保志総一朗

得点王で数々の試合で勝利して来た選手でプロにも勧誘されている。

優しく爽やかでファンもたくさんいる。

 

 

 

 

名前 絵馬一帆 エマ カズホ

性別 女性

才能 超高校級のイラストレーター 

髪色 茶

好き 絵を描くこと 

嫌い 絵以外の勉強

身長 155cm

体重 46kg

誕生日 10月2日(美術を楽しむ日)

イメージ声優 悠木碧

ラノベやゲームなどイラストやキャラデザを務める売れっ子イラストレーター。

重度のオタクで知識の偏りが激しい。いったん絵に集中しだすと周りの音やものが見えなくなる。

喜怒哀楽が激しい性格であり、よく騒ぎ、推理では的外れなことをいう。

 

 

名前 籠森健一 カゴモリ ケンイチ

性別 男性

才能 超高校級のバスケ選手

髪色 赤

好き 師匠、動物

嫌い 師匠以外の人間、血、死体

身長 182cm

体重 75kg

誕生日 12月21日(バスケの日)

イメージ声優 関智一

他を圧倒するバスケ選手で一人で大量得点し、チームを勝利させた。一人でバスケをしているため、チームメイトや監督から嫌われている。

協調性もなく、1人で行動する。

 

 

 

 

 

 

 

名前 弓長詩織 ユミナガ シオリ

性別 女性

才能 超高校級の弓道家

髪色 水色

好き ダーツ

嫌い うるさい人

身長 170cm

体重 58kg

誕生日 9月10日(弓道の日)

イメージ声優 水樹奈々

大会を制覇し、道場破りもした弓道家。クールであまり話さず、メンバーとも距離をとり協調性がない。

人を見下しており、単独行動をする。

 

 

 

 

 

 

 

名前 将口歩夢 ショウグチ アユム

性別 男性

才能 超高校級の棋士

髪色 銀

好き 子供、将棋。

嫌い 子供を傷つける者 

身長 173cm

体重 62kg

誕生日 11月17日(将棋の日)

イメージ声優 神谷浩史

小学生で竜王を打ち破った棋士。将棋以外にも囲碁、オセロ 、チェスなどのボードゲーム全般で活躍している。

孤児院育ち故に面倒見が良く、口数少ないが社交性はある。

また将棋のこととなると饒舌になる。

 

 

 

 

 

 

名前 星野リコ ホシノ リコ

性別 女性

才能 超高校級の天文部

髪色 紫

好き ミルクプリン

嫌い 普通のプリン

身長 148cm

体重 39kg

誕生日 7月7日(七夕)

イメージ声優 田村ゆかり

新たな星を見つけては天文学者を大騒ぎさせる。しかし、本人は地位や名誉に興味がなく、ただひたすら天体観測をする。 事あるごとに興味ないやつまんないと言う。

 

 

 

 

 

 

 

名前 加賀美優子 カガミ ユウコ

性別 女性

才能 超高校級の美化委員

好き 掃除  

嫌い 他人を傷つける人

身長 168cm 

体重 56kg

誕生日 9月24日(清掃の日)

イメージ声優 喜多村英梨

成績優秀な優等生。掃除が趣味で学校全てを掃除した結果、超高校級に。5人兄弟の長女であるゆえかお姉さん役になっている。

リーダーシップを発揮して超高校級のメンバーをまとめている。

 

 

 

 

 

 

 

 

名前 式野 龍馬 シキノ リュウマ

性別 男性

才能 超高校級の指揮者 

髪色 薄茶色

好き ロック 

嫌い 騒音

身長 170cm

体重 61kg

誕生日 3月31日(オーケストラの日)

イメージ声優 浪川大輔

数々のオーケストラを指揮してきた指揮者。オーケストラだけでなくロックも大好きだが人に言えない。

指揮者という特殊性のため、真面目な人間とよく思われているが性格は一般の高校生と変わらない。

 

 

 

 

名前 メイクビット・松原・テル   メイクビット・マツハラ・テル

性別 男性

才能 超高校級のゲームクリエイター

髪色 黒紫

好き リンゴパイ

嫌い レモンパイ

身長 165cm

体重 58kg

誕生日 11月23日(ゲームの日)

イメージ声優 宮野真守

通称メイビー。ハーフで最初は同人ゲームクリエイターだったがそれが瞬く間に人気になり、ゲーム会社からオファーされ、制作したゲームシリーズ累計は3000万本を突破した。しかし、最近は会社を離れているらしい。

単独行動をよくするが、協調性が無いわけではない。

冷静に物事を観察し、捜査や推理のヒントを出す。

 

 

 

 

名前 香月薫 コウヅキ カオル

性別 女性

才能 超高校級のセラピスト

髪色 青

好き 宇都宮餃子

嫌い カラオケ 

身長 155cm

体重 43kg

誕生日 11月3日(アロマの日)

イメージ声優 田中理恵

劇的に人を元気付けるセラピスト。彼女のいる店や保健室には大量に人が押し寄せる。テレビや雑誌の姿は営業用で、本来は毒舌。

毒舌なだけで思いやりは持ち合わせている。

 

 

 

 

 

名前 岩田圭介 イワタ ケイスケ

台詞 男性

才能 超高校級のロッククライマー 

髪色 オレンジ

好き トレーニング 

嫌い じっとしていること

身長 187cm

体重 95kg

誕生日 4月1日(トレーニングの日)

イメージ声優 子安武人

筋肉モリモリのロッククライマー。ボルタリングの大会出場もしているが、ロッククライムがメイン。みんなの兄貴分になろうとしているが、脳筋であるため空回りする。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter1 舞い降りる絶望
Chapter1 (非)日常編1


1日目

 

加賀美「ずっとここにいるのもなんだし、学園を探索しない?あのこれを仕組んだ奴が知らない抜け道があるかもしれないじゃない」

 

深沢「ワタシに任せて!探し物は大得意。普通の人なら見逃す場所も見逃さないよ」

 

監原「その前に校則を確認してみないか?うっかり校則違反したら殺されるんじゃねぇの、あのガトリングガンで」

 

上条「そうか」

 

俺たちは電子生徒手帳で校則を確認した。

 

 

校則

1.生徒たちはこの学園で共同生活を送ってもらいます。共同生活に期限はありません。

 

2.22時から4時までを夜時間、4時から9時までを朝時間とします。夜時間と朝時間それぞれで立ち入り禁止区域があるので注意しましょう。

 

3.魅才学園について調べるのは自由です。特に行動の制限はありません。

 

4.学園長、モノクマへの暴力を禁じます。監視カメラの破壊も禁じます。

 

5.電子生徒手帳の貸し出しを禁止します。

 

6.誰かを殺した場合、卒業出来ます。

 

7.殺人が起きた場合、一定の捜査時間の後、全員参加の学級裁判が行われます。

 

8.学級裁判で正しい犯人のクロを指摘出来た場合はクロだけがおしおきされます。

 

9.指摘出来なかった場合はクロ以外のシロ、全員がおしおきされます。

 

10.モノクマが殺人に関与することはありません。

 

校則は随時増えていくことがあります。

 

 

 

 

上条「この学級裁判って……」

 

岩田「この『おしおき』ってなんだ?お尻ペンペンか?」

 

香月「人を殺しておいてよくそれだけで済むとお思いね」

 

香月、薄々思ってたが黒くないか?

 

監原「俺たちにコロシアイをさせる奴のことだ。おーーい!モノクマ!」

 

上条「呼び出すのかよ!というか、モノクマが来るわけ……」

 

 俺がそう言いかけたその時

 

 

モノクマ「はい、なんでしょ」

 

籠森「出て来やがった」

 

絵馬「もういやああああ」

 

 

監原「どうせ監視カメラで俺たちを監視してんだ。モノクマ、この校則にある『おしおき』ってなんだ」

 

モノクマ「処刑だよ」

 

薄ら予想していたことを即答され、背筋が凍る。

 

加賀美「処刑?殺すってこと?」

 

モノクマ「そうだよーん。スペクトルな体験が出来るよ。オヤシロ様の力でタイムリープするよりねぇ」

 

深沢「うるさい!」

 

監原「つまり、ここから出るには実質、自分以外を殺すことになるんだな」

 

モノクマ「はいそうです。どっかのアニメみたいに民間人が戦争に巻き込まれてロボットに乗ったら動かせて仲間を守れたみたいなご都合主義はないんだよ」

 

蹴上「うるさい!黙れ!」

 

上条「監原!そんなこと聞いてどうするんだよ!誰か殺すつもりなのか!?」

 

監原「そういうわけじゃない。むしろ安全性を高めてるだろ。いくらなんでも他の人間を皆殺しにしてまで出たい奴はあんまりいないだろ。突発的な殺人が起きないようにしたまでだ」

 

モノクマ「質問はそれだけ?」

 

監原「ああ」

 

モノクマはどこかに消えてしまった。

 

監原「ま、とりあえず出口でも探しますか」

 

知念「あ、あのまず、この寄宿舎に行ってみない?手帳のマップを見る限り、開放されたみたいだよ」

 

電子生徒手帳のマップを開くと体育館の近くに寄宿舎が表示されていた。

 

深沢「わー、それぞれの個室もある」

 

蹴上「ここで寝泊りしろってことか」

 

加賀美「じゃあこうしない?みんなとりあえず個室についたら探索を自由にして……今は9時だから12時になったら寄宿舎の近くにある食堂に集合しよう」

 

 加賀美ってすごいリーダーシップだよな。ただの美化委員って感じじゃない。

 みんながそれぞれの個室に向かった。

 

 

 

 

 

上条「ここが個室……」

 

 ベッドが高級ホテルみたいにフカフカだ。机にはルームキーと紙があった。ただそれ以外は特になさそうだ。

 紙にはシャワールームは夜時間と朝時間には水が出ないと書かれていた。不便だな。

 そして相変わらず個室にも監視カメラがあった。

 

 

上条「他に何もない、つまらないな」

 

俺は外に探索をすることにした。

ぼんやりと電子生徒手帳の地図を見る。

 

 寄宿舎にあるのは16人分の部屋と浴場、更衣室、食堂、トラッシュルーム。

 学校にはトイレ、教室が3つ、視聴覚室、体育館、体育館前ホール、購買部、美術室、玄関ホールにエレベーターか。なんだか寂しいし、図書室でもあれば良いのに。

 しかもエレベーターは使えないなんて……。

 

 

知念「あ、上条くん」

 

上条「知念か。知念も一緒に探索するか?」

 

知念「あ、うん。あの、僕、気になるところがあるんだ」

 

上条「わかった、行ってみよう」

 

知念が地図を頼りに寄宿舎を出て向かった先は……

 

浴場と男子と女子に分かれた更衣室だった。

 

知念「ちょっと考えがあってね」

 

知念は浴場のドアを開けた。

 

上条「知念!服来たまま入るのかよ!っておい!」

 

 知念はそのまま浴場に入った。

 

上条「知念!」

 

俺は知念を追いかけるが知念は浴場をキョロキョロするだけだった。

 

上条「なにしてんだ?」

 

知念「やっぱり監視カメラはないみたいだね」

 

上条「監視カメラ?」

 

知念「うん。浴場は湯気で監視カメラをつけても見れないんだよ」

 

上条「そうか……風呂まで監視されちゃストレスだしなぁ」

 

知念「それだけじゃなくて、モノクマに見られたくない時はここで話せば良いかなって思うんだ」

 

上条「なるほど、じゃあ報告は浴場にするか」

 

知念「ダメだよみんなが浴場に行ったらモノクマに怪しまれるよ?とりあえず僕ら2人だけの秘密にしよう」

 

上条「わかった」

 

 知念ってよく考えてるんだな。

 

上条「きっと頭良いんだな、知念。頭脳系才能持ちだよ」

 

知念「そんなことないよ。さっきまで頭がこんがらがってたし」

 

上条「俺もだよ、それなのにそこまで考えられるなんてすごい」

 

 俺たちは浴場から出た。

 

知念「あはは。照れるな。上条くん、学園を探索しない?食堂やトラッシュルームは他の人が調査してるみたいだし」

 

上条「そうだな」

 

モノクマ「そうそう」

 

上条「ぐぁ!」

 

唐突にモノクマが現れた。一体どこから。

 

モノクマ「男子更衣室には男子の電子生徒手帳、女子更衣室には女子の生徒手帳が必要だからね、異性の更衣室に入ったらガトリングガンで蜂の巣だからね!校則に追加するね」

 

 

11.異性の更衣室の出入りを禁止します。

 

モノクマ「少年少女の交わりなんかやったらBPOに苦情来るもんねぇ。やっぱり健全に行かないと。夕方アニメは苦情の嵐」

 

上条「うるさい消えろ!」

 

そう言うとモノクマは消えてしまった。

 

 

知念「なんなんだろう、モノクマって」

 

 

 

 俺たちは学園に向かい、探索を開始した。

 

 

加賀美「あっ、上条くんに知念くんか。2人とも学園を探索?」

 

上条「加賀美もか」

 

加賀美「あたし結構購買部気に入ったよ。寄ったら?」

 

絵馬「購買部最高よ!高めなペンまであるんだから!意外とここ悪くないかも」

 

散々悲鳴上げてた奴がよくいう。

 

知念「購買部だね、色々あるね。これはガチャガチャかな」

 

 モノクマメダルを入れて下さいというガチャガチャがあった。

 

上条「モノクマメダル!?モノクマの仕業かよ」

 

知念「上条くんもモノクマメダルを見つけたら試したら?」

 

上条「なんでモノクマのメダルなんか!」

 

知念「監原くんに会った時にモノクマメダルでガチャガチャしたら色んなアイテムが貰えたらしいんだ。監原くん気に入ってたし、悪いものでも無さそうだよ」

 

モノクマ「そうです!」

 

上条「うわっ!」

 

いきなりモノクマが現れて俺は背中をぶつけてしまった。

 

知念「大丈夫?」

 

モノクマ「なんだよ、ゴキブリ見つけたみたいな反応」

 

上条「お前はゴキブリ未満だ」

 

モノクマ「なんだよせっかく有益な情報を教えようと思ったのに」

 

上条「有益な情報?」

 

モノクマ「はい、学園や寄宿舎にはモノクマメダルが落ちています。モノクマメダルを使えばモノモノマシーンのガチャガチャでアイテムが手に入ります。これで好感度アップを狙ってくださいね」

 

上条「うるさい!誰がお前が用意したものなんか……」

 

知念「わー、景品にルービックキューブがある。僕欲しいな」

 

知念の奴!モノクマに乗せられてる。

 

モノクマ「僕は飴と鞭の使い分けがうまいんだ。オマエラをただ苦しめるだけじゃないんだよ」

 

上条「消えろ!」

 

そういうとモノクマが消えてしまった。

 

知念「上条くん……」

 

上条「ああもう仕方ない。別の場所行くぞ」

 

 

 

深沢「あー!上条くんに知念くんだ!」

 

上条「深沢1人で探索してるのか?」

 

深沢「うん。どうやら2階は封鎖されてるみたい。あとどこ行ってもガトリングガンと監視カメラとテレビばかりだよ。あと他に弓長さんと将口くんと式野くんとメイビーが調べてたよ」

 

上条「そうか……」

 

知念「みんなだいたい探索したみたいだね」

 

深沢「ワタシはまだまだ細かいところを探すからね。あ、そうそう、もう一度体育館に行ってみるのも良いよ」

 

上条「体育館?」

 

深沢「うん。広いし、まだまだ探索の余地はありそうだよ。まだワタシが調べてないし」

 

上条「わかった。知念、行ってみようぜ」

 

知念「うん」

 

 

 

 

 体育館に向かうと言い争う声が聞こえた。

 

 

上条「なんだ、揉め事か?」

 

籠森と蹴上が喧嘩しているらしい。岩田が横で止めている。

 

上条「どうしたんだよ、2人とも」

 

岩田「どっちが体育館を使うかで揉めてるんだ」

 

上条「は?」

 

体育館を使う?

 

籠森「サッカーなんざ、その辺の廊下で出来るだろ」

 

蹴上「廊下はサッカーするところじゃないんだけど」

 

岩田「こいつら、練習がしたくて喧嘩してるんだ。止めても話聞いてくれなくてな」

 

上条「こんな時にサッカーとバスケなんて……」

 

岩田「俺も分からなくもない。身体が鈍るし、感覚だって鈍るからな。陸上選手のお前ならわかるだろ?」

 

上条「……」

 

岩田「どうした?」

 

上条「いや、何でもない」

 

岩田「まー、お前らも面倒ごとは嫌だろ?この場はなんとかするから他の場所を探索頼むな」

 

上条「分かったよ」

 

 

俺と知念で一通り調査した後、食堂に集まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter1 (非)日常編2

加賀美「みんな集まったみたいだしじゃあ報告ね。報告がある人ー?」

 

監原「はい!俺はトラッシュルームを見たぜ。トラッシュルームの焼却炉は夜時間は稼働しないらしいな」

 

佐藤「私は……食堂を見た。モノクマには食べ物は切れないから安心して良いらしい。それと……夜時間は食堂が立ち入り禁止らしい」

 

加賀美「お腹が空いたり喉が乾いても我慢するか、ペットボトルの水を持っていくかしないとね」

 

香月「そのペットボトルも大きくて持っていくのも面倒だけれどね」

 

将口「赤い扉を見つけた。モノクマに聞いたがはぐらかされてしまった」

 

絵馬「はい!美術室があった。絵具もみんな高級品!あそこになら一緒いてもいい」

 

星野「はーい、窓一つありませんでした」

 

弓長「それくらい分かるんだけど」

 

星野「星が見られない」

 

弓長「は?こいつ……」

 

加賀美「はいはい、窓一つないってのも有益な情報よ。他は?」

 

知念「ああ、浴場の更衣室は自分の生徒手帳で同じ性別の人じゃないと入れないらしいよ。異性の更衣室に入ったらガトリングガンらしい」

 

監原「全く恐ろしいな」

 

 知念、やっぱり浴場の監視カメラのことを伏せたな。

 

加賀美「わかったわ。次は?」

 

岩田「体育館の倉庫の鍵は俺が預かったからな。使いたかったら俺に言え」

 

加賀美「体育館の倉庫?」

 

蹴上「色々あってね」

 

揉めてたけど本当に岩田が解決したのか。体育倉庫なんて使う人、あの3人くらいだろうな。

 

深沢「次はワタシだね。探偵の意地にかけて隅々まで調べたけど、手がかりは無かったよ」

 

加賀美「手がかりなしか……」

 

 ぐぅぅぅ

 

 

上条「はっ」.

 

監原「なんだ?上条、お腹すいたのか?」

 

将口「学園に来てから何も食べてないからな」

 

 俺は恥ずかしすぎて穴があったら入りたいくらいだった。お腹が鳴るなんて。

 

岩田「腹が減っては戦は出来ぬというしな」

 

加賀美「食べ物は野菜やらパンやらがあったけど、調理されてるのはほぼ無かったわ。みんなが一斉に料理すると大変だからあたしがやるわ」

 

佐藤「私も……やる」

 

加賀美「佐藤さん?」

 

佐藤「料理は出来るから」

 

そうか、佐藤は超高校級のパティシエール。スイーツ以外の料理にも応用出来るのか。

 

将口「私も手伝おう。こう見えて料理は得意なんだ」

 

加賀美「わかった。3人で作るからアレルギーある人はちゃんと言ってね」

 

蹴上「あ、あの……アレルギーじゃないけどピーマンが苦手で」

 

加賀美「ピーマン?」

 

籠森「ガキか」

 

香月「随分とお子様なのですね」

 

蹴上「うっ……お子様で良いからピーマンは入れないでくれ」

 

加賀美「仕方ないなぁ。蹴上くんには料理いれないであげる」

 

 

 

こうして加賀美と佐藤と将口の料理が運ばれてきた。チャーハンにサラダにオニオンスープだ。

 

 

上条「超うまい!なんだ?超高校級の料理人か?」

 

監原「店出してもいけるぜ!ロケ弁に欲しいくらいだ」

 

知念「本当に美味しいね」

 

香月「とりあえず食事の心配はないですね」

 

深沢「美味しいよぉ、加賀美ちゃん、佐藤ちゃん、将口くん!」

 

岩田「俺は感動している!」

 

メイビー「……うまい」

 

式野「ストレス対策は良い食事、しばらくは心配ないな」

 

蹴上「これだけ美味しいなら毎日食べたくなる」

 

絵馬「優子の料理は美味しいの、当然でしょ」

 

星野「もぐもぐもぐ」

 

籠森「……」

 

弓長「……」

 

籠森と弓長は相変わらずだな。

 

 

加賀美「好評で嬉しいよ。終わったらまた探索ね」

 

 

食事を終えた俺たちは再び探索に入った。しかし、なんの手がかりもないまま18時になってしまった。

 

 

加賀美「じゃあまた夕食作りね」

 

監原「ちょっと待ってくれ、お前たちにばっか作らせるの悪いから俺にもやらせてくれ。大したものは出来ないけどさ」

 

加賀美「良いの?」

 

上条「俺にもやらせてくれ。俺もそんな出来ないけど、監原の言う通りやらせてばっか悪いし」

 

知念「記憶がないから……僕は」

 

蹴上「僕は料理はからっきしなんだ……ごめん」

 

岩田「カップラーメンなら出来るぞ!」

 

香月「そんな低俗な食べ物食べないです」

 

岩田「低俗!?」

 

香月「あの料理よりにも上とは言い切れないけど、それなりに出来るわ」

 

式野「僕はいつもシェフが作っているから……力になれない」

 

星野「料理なんか興味ない」

 

深沢「ワタシ、料理はするんだけど不味いって言われるんだ。パスタに納豆とケチャップと生クリームとカスタードクリーム入れただけなのに」

 

 かなりの味覚音痴だ!

 

絵馬「あたしは絵しか描けないから!」

 

上条「自慢することじゃない」

 

メイビー「……」

 

籠森「……」

 

弓長「……」

 

 あの3人はダメか。

 

 

加賀美「じゃあ監原くんと上条くんと香月さんお願いね。あたしもサポートに入るわ」

 

 

 

ピンポンパンポーン

 

モノクマ「えー、校内放送です。午後10時になりました。ただいまより夜時間となります。食堂と体育館はロックされますので立ち入り禁止になります。ではでは良い夢をおやすみなさい」

 

 テレビからモノクマの放送が流れる。もうそんな時間か。

 

加賀美「こんな時間だしお開きにして明日探索しよう」

 なんだかわいわいしてるうちに夜時間になってしまった。食堂が使えないし、俺たちは解散することになった。

 

 

 

 

 殺風景な個室で俺はベッドで横になっていた。目が覚めたら全部夢なら良いのに。

 

 加賀美の提案で明日の7時にみんなで食堂に集まることになった。いつもは夜更かししてテレビやゲームをやってたけど、今日は疲れた。フルマラソンした時よりも。

 

 俺は自然と目を閉じた。

 

 

 

2日目

 

 

モノクマ「オマエラ、おはようございます!朝です、7時になりました。今日も張り切っていきましょーう!」

 

モノクマのバカでかい放送で目が覚め、夢ではなかったと早々に物語る。部屋にいても仕方ないから食堂に向かった。

 

 

 

 

 

監原「おはよう、上条」

 

岩田「おはよう上条ーー!」

 

 食堂には監原と知念と香月と岩田と蹴上と式野がいた。

 

上条「おはよう……」

 

岩田「元気ないな、上条!」

 

上条「朝から元気出ないよ」

 

監原「俺は嫌でも早朝に起きたりもするからな。3時とか。だから7時なんてどうってことない」

 

知念「加賀美さんと将口くんと佐藤さんは朝食作ってるよ」

 

上条「あの3人また作ってくれたのか」

 

監原「加賀美なんか朝時間に仕込みしてたらしいぜ」

 

上条「もうなんかすごいな、加賀美。お母さんって感じだ」

 

 

しばらくすると深沢は食堂に駆け込んできた。

 

深沢「遅れてごめん!朝が苦手で……」

 

上条「モノクマの放送聞こえなかったのか?」

 

深沢「そんな放送あったかな?」

 

 爆睡してたな。

 

岩田「それにしても他の連中は何やってんだ?」

 

来てないのは絵馬、星野、弓長、籠森、メイビーか。うーん、なんか来なさそうなメンバーだ。まだ絵馬は来てくれそうだけど。

 

加賀美「お待たせーって揃ってないね」

 

加賀美たちがトーストとサラダを持って来た。

 

上条「俺、呼んでくるよ」

 

加賀美「お願いね」

 

 

 

 俺はまず絵馬の個室に向かった。

 

 

 インターホンを鳴らすと目を擦りながら絵馬が出てきた。

 

絵馬「なによーもう少し寝かせてよ」

 

上条「いや、加賀美たちが朝食作ったんだ。だから呼びにきたんだ」

 

絵馬「優子なら仕方ない。いくわ!」

 

なんとか絵馬を呼ぶのは成功した。次は星野か。

 

 

 インターホンを鳴らしてもなかなか星野は出ない。

 

上条「星野ー?星野ってばぁ!」

 

  ガチャガチャと個室のドアノブをひねっても応答はない。

 

上条「モノクマ、星野、死んでたりしない?部屋に監視カメラがあるから分かるだろ!」

 

モノクマ「別に星野さんは死んでないよ。生体チェックしてるし」

 

上条「じゃあなんで……」

 

モノクマ「それはオマエラの問題だよ!じゃあね」

 

行ってしまった。使えないな。

 

 仕方ないからメイビーの部屋のインターホンを鳴らすとメイビーが出てきた。

 

メイビー「なに?」

 

上条「加賀美たちが朝食を作ってくれたんだよ」

 

メイビー「わかった、行く」

 

メイビーは物分かりが良いな。さて、問題の2人だ。

 

 まず籠森の部屋のインターホンを鳴らした。すぐに出てくれた。

 

籠森「なんだ」

 

 高圧的な態度。

 

上条「加賀美たちが朝食を作ってくれたんだ。一緒に食べよう」

 

籠森「なんでお前たちと一緒に?ごめんだな」

 

上条「なんで!」

 

籠森「俺は友情ごっこが嫌いだ。それに殺されるかもしれないのに行けるかよ」

 

 なんだこの言い草は……。

 バタンとドアを閉じられてしまった。

 誘った俺が間違いだった。

 

 弓長もダメそうだけど、ヤケ気味に俺はインターホンを押した。

 

弓長「なに?」

 

上条「加賀美たちが朝食作ってくれたんだ。一緒に食べないか?」

 

弓長「なんでいちいちそんなことしなきゃいけないの?脱出の目処でも立たない限りいちいち呼ばないで」

 

ドアを閉められてしまった。仕方ない。

 

 

 

 俺は食堂に戻って来た。

 

加賀美「あーやっぱり弓長さんと籠森くんはダメだったか。星野さんは?」

 

上条「星野は寝てるってモノクマが」

 

監原「よく寝れるのは悪いことじゃないな」

 

加賀美「まあ冷めちゃうし、食べようか」

 

上条「ああ」

 

 

こうして朝食を俺たちは食べた。

 

 

 

 

 

 

 

.



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter1 自由行動


ランダムで決まっております
自由行動のリクエストお待ちしております
その章の生存者なら可能です
自由行動出来なかった人物や最後までたどり着かなかったキャラは完結後に掲載します。



 うーん、探索って行ったもこれからどうしよう。

 

 

 

 

上条「おーい、深沢、何してるんだ?壁なんか叩いて」

 

深沢「えー?こうやって隅々まで叩いたら隠し扉があるんじゃないかと思ってね」

 

上条「いつまでかかるんだ、それ」

 

 俺は深沢と過ごすことにした。

 

  俺はモノモノマシーンで手に入れた、子猫のヘアピンをプレゼントしたを深沢にプレゼントした。

 

深沢「うわぁ可愛い!ありがとう、上条くん」

 

喜んでくれたみたいだ。

 

上条「深沢はやっぱり探偵だから事件を解決したりしてるの?」

 

深沢「よく勘違いされるけど事件を解決する探偵はフィクションの世界だけだよ」

 

深沢はぷぅと顔を膨らませた。

 

深沢「基本は浮気調査やペット探しだよ」

 

上条「大変そうだな。なんで探偵になったんだ?」

 

深沢「ワタシの家は代々探偵だからねー。小さい頃から手伝ってたから疑問にすら思ってないよ」

 

上条「そうか。嫌になったりしない?」

 

深沢「しないよ?感謝されるのは嬉しいし、人の役に立つのは楽しいよ」

 

 そうか深沢は探偵の才能に誇りを持っているんだな。

 

 深沢と仲良くなれたみたいだ。

 

 深沢と分かれた。あとはどうしよう。

 

 

 

 

 

加賀美「うーん」

 

上条「加賀美?何してるんだ」

 

加賀美「今日の献立を考えてるの。みんなが飽きないようなレシピをね」

 

 

 俺は加賀美と過ごすことにした。

 

 

 加賀美にインビトロローズをプレゼントした。

 

加賀美「わあ、ありがとう、上条くん。嬉しいよ」

 

 喜んでくれたみたいだ。

 

上条「加賀美はなんで超高校級の美化委員になったんだ?」

 

加賀美「うーん、あたしって5人兄弟の長女だから嫌でも掃除しなきゃいけなかったし。そうするともう癖で学校中掃除したり、町内清掃のボランティアしてたら超高校級の美化委員とか呼ばれるようになったの」

 

だから面倒見が良いのか。

 

上条「大変じゃないのか?」

 

加賀美「もうさ、掃除ってあたしの趣味でさ。ただの趣味が超高校級なんてびっくりなんだよね」

 

むしろ趣味でやれるから超高校級なんじゃ……。

 

 加賀美と仲良くなれたみたいだ。

 

 俺は加賀美と分かれた。

 

 

 

 

知念「うーん……」

 

 なんだ?知念何か悩んでいるみたいだ。

 

上条「どうしたんだよ?知念」

 

知念「仮にここから出ていけても記憶がないんじゃあどうしようもないなって」

 

上条「そんなことない!お前を探してる家族や関係者だっているはずだろ!お前だって超高校級なんだからさ!」

 

 

 俺は知念と過ごすことにした。

 

 俺は知念にブルベリの香水をプレゼントした

 

知念「ありがとう、上条くん」

 

少しは喜んでくれたみたいだ。

 

知念「うーん……」

 

上条「どうした?知念?」

 

知念「自分が何が好きだったか分からないから、加賀美さんに好物聞かれても分からなかったんだよね」

 

上条「でも色々食べれば思い出すかもしれないだろ?」

 

知念「それとアレルギー持ちだったら大変だよね」

 

上条「ほんとだ!」

 

知念「だから加賀美さんには特定アレルギー品は避けてもらってるんだ。申し訳ないよ」

 

上条「記憶、戻るといいな」

 

知念「うん……」

 

 知念の大変さを思いしった。

 

 

 知念と仲良くなれたみたいだ。

 

 

 こうして2日目が終わった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter1 (非)日常編3

3日目

 

 

 

 朝食会には弓長と籠森とメイビーの姿はなかった。弓長と籠森はともかく、メイビーも自分で作ると言って断ってしまった。

 

深沢「3日目も収穫無しかぁ。こんなにも成果がないのは生まれて初めてだよ」

 

監原「完全なる密室って奴か」

 

岩田「諦めてどうするんだ!必ず出る方法はあるはずだ!」

 

絵馬「あぁんもう!あたしもう3日もアニメを見ずに過ごしてるんだよ!もうやって行けない!」

 

式野「外にいる人たちが心配してるといいな……」

 

蹴上「早く広いグラウンドでサッカーがやりたいな」

 

星野「星がみたーーーい!」

 

将口「とにかく帰りたいな。将棋が出来ないのもストレスだが、家族が心配だ」

 

香月「何もかも制限されてなんも収穫無し。ストレスってレベルじゃないですね」

 

知念「僕の記憶どころじゃないみたいだ。どうすれば良いんだ……」

 

みんな……。

 

 

加賀美「落ち着いてみんな。そろそろ警察が来るわ。家族や関係者があたしたちを探すはずよ。なんたってあたしたちは超高校級で有名人がいっぱいいるんだから」

 

 

モノクマ「ケーサツ?そんなもの役に立たないで決まってるじゃん!」

 

 また出た!

 

 

加賀美「なに?なんのよう?」

 

モノクマ「ケーサツが主人公の作品以外はケーサツが役に立たないってのはお約束じゃん!なに期待してんの?」

 

上条「うるさい!」

 

モノクマ「それにしてもいつまで経っても殺人が起きないねぇ」

 

佐藤「私たちは殺人なんかしない」

 

モノクマ「そうか。動機が足りないんだね、ドーキ」

 

動機だと……。

 

モノクマ「ではでは皆さん、視聴覚室に集合してくださーい。15分以内に来ないとガトリングガンだからね。部屋にいる3人にも伝えておくから」

 

それだけ言ってモノクマは消えてしまった。

 

監原「とりあえずは行った方が良さそうだな。ガトリングガンされたくないし」

 

上条「でも、動機って……」

 

監原「俺の嫌な予感が当たらなければ良いな」

 

 

 

 

 俺たちは視聴覚室についた。弓長や籠森やメイビーもいた。

 

モノクマ「はいはいオマエラ揃いましたね。では上映を始めましょう!」

 

モノクマは有無言わせず視聴覚室のスクリーンに映像を映し出した。

 

 

上条「な、なんだよ、これ……」

 

 

 

 映像の中に『俺たち』がいた。

 

 

インタビュアー「入学の意気込みを教えてください」

 

監原「映画のような充実した学園生活が送れるように……。バトルロワイヤルみたいなのは勘弁だな」

 

香月「規則正しく充実した学園生活を送りたいです」

 

蹴上「魅才学園のサッカーチームを全国大会優勝まで導きたいです」

 

深沢「魅才学園で困ってる人をみーんな救いたいです!」

 

加賀美「こんな広い学園なら掃除しがいがあります」

 

絵馬「さらに売れるイラストレーターになる」

 

岩田「トレーニングすることに変わりはない!」

 

佐藤「……とにかく頑張ります」

 

将口「この学園に入っても日々精進を重ねます」

 

籠森「俺は俺のやり方でやる」

 

星野「ここってあまり建物ないから綺麗な星が見れそう」

 

式野「求められたことをやる。それまでです」

 

弓長「私は特に変わりありません。どの学園にいようとも」

 

メイビー「新しいゲームの参考になれば良いです」

 

上条「えっと……俺は……」

 

監原「上条!緊張してるのか?てきとーに言えば良いんだよ」

 

加賀美「ちょっと監原くん!あんた、適当に言ってたの。というかそれテレビの前で言う!?」

 

 笑いが巻き起こっていた。

 

 さらに映像が続く。

 

 

 

 

 

インタビュアー「やりましたね、蹴上選手」

 

蹴上「はい、魅才学園を優勝に導けて良かったです」

 

 

 

監原「世界最速で100億突破かぁ。ふふふ、軽いぜ」

 

監原父「調子に乗るな」

 

 

男「さすが鬼才の籠森だ。魅才学園なんてバスケ弱いっていうのに」

 

籠森「そんな先入観がお前たちを負けさせただけだ」

 

 

リポーター「制作はあのメイクビット・松原・テルとあの人気イラストレーター絵馬一帆の合作。売れるのは間違い無し」

 

メイビー「オタク方面に売り出すのは初めてだけど、間違いなく良い作品です」

 

絵馬「萌えて萌えて萌えてくださーい!」

 

女A「このパフェ最高ー!」

 

女B「これを食べないと生きていけない」

 

佐藤「ありがとうございます」

 

 

 

 

 

 

 

司会「岩田選手、表彰台へ」

 

岩田「金メダルはみんなが応援してくれたおかげだーーー!」

 

 

 

 

 

子供「わー、金メダルの人だー!」

 

上条「応援してくれてありがとう」

 

 

 

 他にもみんなの映像が流れる。

 でも俺の記憶に魅才学園で暮らしたり、こんな記録を残した記録を残したことはなかった。

 

 

 

モノクマ「感動して声も出ない?編集しがいがあったな。ドキュメンタリー映画は楽しいよね!」

 

監原「こんなの映画じゃねぇ!ドキュメンタリー映画だって段階的に撮って少しでもドラマのよう魅せるのが……」

 

そこ突っ込むとこじゃないだろ。

 

岩田「俺が金メダル!?知らないぞ、これ!」

 

蹴上「どうして知らない僕が写ってるんだ……!」

 

将口「聞いたことないタイトル戦だ」

 

弓長「これは一体何よ、モノクマ」

 

モノクマ「外の映像だよ?」

 

弓長「外の映像?私、あんなことした覚えないんだけど」

 

モノクマ「せっかく外の映像を見せてやったのに!」

 

加賀美「意味わかんない映像を見せられたらこうなるわ」

 

籠森「どうせ捏造だろ、騒ぐまでもない」

 

深沢「びっくりだけど、これくらいで殺人が起こるのかな」

 

加賀美「こんなもの信じないよ」

 

岩田「そうだ!こんな安っぽい映像に惑わされはしないぞ!」

 

モノクマ「オマエラっていっつもそうだよね。信じない信じないって。逃げてるだけ。逃げも隠れもするが嘘もつくんだね」

 

監原「うるさいな」

 

そう言ってモノクマは消えた。

 

 

 

知念「僕が……出なかった」

 

上条「知念……!?」

 

 知念が青ざめた顔をしていた。

 

知念「あの映像が本物であろうと偽物であろうと、僕の記憶の鍵があるはずなのに」

 

上条「むしろいなくて良かったんだよ。動揺しなくて済むし」

 

知念「……」

 

見渡すとみんなの顔色が悪かった。記憶がないなか、みんなが煮え切らない思いをしていた。

 俺と違ってみんなは……才能に誇りがあるんだ。そんな中で、知らない自分が活躍する映像なんて……。

 

岩田「おい、みんな、元気出せって!あんなん捏造だろうが!俺はオリンピックに出た記憶無いんだぞ!みんなもそうだろ!俺がオリンピックに出た記憶ないだろ!」

 

加賀美「今回はこれでお開きにして各自で過ごしましょ。無理に探索もしなくて良いわ。頭を冷やして明日またみんなで探索?」

 

 岩田と加賀美の明るさは俺たちにとって救いだった。

 

 

 

 

 とりあえず俺たちは解散した。俺は個室でぼんやりしていた。

 

 あの映像の記憶はないけど、生々しかった。映像の俺は才能に誇りが持てていないようで。別人には見えない。

 

 あの映像が本物はどうかはここから出ていけば確かめられる……ってそんなこと考えちゃダメだ!

 

 

上条「探索しよう」

 

探索すれば気が紛れる。俺は外へ出た。

 

 

岩田「イチニイチニ」

 

上条「岩田?なにしてるんだ?」

 

岩田「見てわかんないか?走り込みだ。陸上選手だろ?お前もやらないか?」

 

上条「いや、俺は探索するよ。でもなんで走り込みなんか」

 

岩田「不安な時こそトレーニングだ!トレーニングで嫌なことを忘れればいい」

 

岩田は殺人とは無縁だな。

 

 

 

 蹴上がお茶の入ったペットボトルを持ってあるいていた。食堂には2リットルサイズしかない。

 

上条「なにしてんだ、蹴上」

 

蹴上「部屋でトレーニングしようと思ってね。夜時間に喉が渇いたら飲めなくなるでしょ?迷惑だったかな?」

 

上条「いや、問題ないよ。1つだけだろ?」

 

蹴上「ありがとう」

 

そうかみんなトレーニングしてるのか。才能があるんだから当然だな。

 

 

 俺は食堂に行ってみた。すると

 

 

上条「佐藤、なにしてるんだ?」

 

佐藤「クッキー……」

 

上条「クッキー?」

 

佐藤「みんなに……元気……出して欲しくて」

 

上条「そっか、佐藤は優しいな」

 

 佐藤は少し笑顔になっていた。

 

 

 

 

 俺は食堂を出た。

 

 

深沢「あー、上条くん」

 

上条「深沢か?」

 

深沢「なんかみんな元気ないみたい。自分が自分じゃないみたいで気持ち悪いよね」

 

上条「お前は平気なのか?」

 

深沢「うん。真実はいつもひとつって言うもん。きっと仕掛けがあるんだよ」

 

上条「そうだな」

 

 

俺は体育館に向かった。あまり調べてないのは体育館だ。

 

 

籠森「……」

 

 

 籠森は華麗にダンクシュートを決めた。すごい。蹴上みたいに性格さえ良ければなぁ。

 

籠森「なにを見ている」

 

上条「いや、すごいなって」

 

籠森「フン。お前も足が速いんだろう?見せてみろ」

 

上条「いや、俺は探索しようと思って」

 

籠森「なんだ、俺に負けるのが怖いのか?」

 

上条「もういいよ!」

 

 

俺は全速力で体育館から去った。こんなに走るの久しぶりだな。

 

 

 

監原「よー、上条?どうしたんだ?」

 

上条「籠森の奴がムカつくんだ」

 

監原「今に始まったことじゃないだろ?俺と一緒に探索するか?お前だって探索するつもりだろ?」

 

上条「あ、ああ。うん」

 

 

 

 俺は監原と探索をした。しかし、やっぱりなんの収穫も無かった。

 

監原「もう夜かぁ。飯どうする?」

 

上条「加賀美たちに作って貰ってばっかだと悪いし、カップ麺で良いよね」

 

監原「だな。俺の部屋来て食うか?飯を1人でなんて寂しいだろ?」

 

上条「うん」

 

 俺たちは2人でカップ麺を食べた。加賀美たちの料理も良いけど食べ慣れたカップ麺も悪くない。

 

 ピンポーン。

 

 インターホンが鳴った。

 

監原「はいはーい」

 

佐藤「あの、差し入れ」

 

監原「佐藤?」

 

上条「佐藤?」

 

俺もドアに近づくと佐藤が少し驚いた表情をした。

 

監原「ああ。上条は俺と飯食ってたんだ。で、どうしたんだ?」

 

佐藤「クッキー……」

 

食堂で佐藤が作ってた奴か。

 

佐藤「それじゃあ。女子みんなで浴場のお風呂入るから。男子は近寄らないでね」

 

監原「おお」

 

それだけ言って佐藤は去った。

 

監原「俺たちはとっとと寝るか。今日のことは忘れた方が良いぜ」

 

上条「そうだな」

 

俺は個室に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日はモノクマのせいで衝撃的な映像を見たがどうせ捏造だ。あんなことで殺人は起きない。 

 そう思いながら目を閉じた。

 

 

 

4日目

 

 

 はっ、完全に遅刻だ。モノクマの放送が聞こえなくて7時30分を回っていた。

 

上条「おはよう、みんな!」

 

監原「おはよう、上条。遅刻だぞ」

 

知念「おはよう、上条くん。具合でも悪いの?」

 

上条「いや、その……」

 

知念「まああんな映像見たから仕方ないよね」

 

加賀美「朝食、作っておいたよ」

 

 みんな元気そうだ。

 

加賀美「いつもの3人はともかく、深沢さん遅いね、初日しか遅刻しなかったのに」

 

監原「もう少し待ってようぜ」

 

そして15分が過ぎた。

 

岩田「遅いな」

 

香月「寝過ごしてるじゃない?あの探偵」

 

上条「俺行ってみるよ」

 

 

 

俺は深沢を探しに個室に行った。

 

上条「深沢!」

 

インターホンを鳴らすが反応がない。

 

上条「深沢!」

 

ドアノブを捻るとドアが開いた。

 

上条「深沢!?」

 

 嫌な予感がして部屋に入りすみずみまで探したが深沢の姿は無かった。

 

上条「モノクマ!深沢はどこだよ!」

 

モノクマ「知りません。クラスメイトなんだからクラスメイトのことは自分で管理してよね」.

それだけ言ってモノクマは去った。

 

上条「くそ!」

 

俺は大慌てで食堂に向かった。

 

 

 

上条「おーい!みんな!深沢が、深沢がいない!」

 

監原「落ち着けって。いないって寝てるとかじゃなくて?」

 

上条「部屋に鍵がかかってなくて……」

 

監原「鍵がかかってない?それでいないのか?」

 

加賀美「なんだか嫌な予感するね。分かれて深沢さんを探そう」

 

俺と監原、加賀美と絵馬と星野、蹴上と岩田、知念と将口と式野、香月と佐藤で深沢の捜索を開始した。

 

 俺たちは学園側の捜索だ。

 

上条「まさか、殺人じゃないよな?そうだよな」

 

監原「……深沢が部屋に鍵もしないで出かけるか?仮に出かけても短時間で帰るつもりだったはずだ」

 

上条「でも!」

 

監原「何事も無ければ何も問題ないんだがな」

 

 

 15分くらいが経過した時

 

 

ピンポンパンポーン

 

 

 

 

モノクマ「死体が発見されました。一定の自由時間の後、学級裁判を開きまーす」

 

 

テレビモニターでモノクマがなにを言っているか理解出来なかった。理解しがたかった。

 

 

監原「クソ!本当に起きやがったか!」

 

上条「……」

 

監原「どこだ、どこで何が」

 

岩田「監原ー!上条!」

 

蹴上「2人とも!」

 

学園を捜索していた2人が来た。

 

岩田「今の放送は……」

 

監原「2人が発見したのか?」

 

岩田「いや違う。あ、でも死体なんて嘘だ、モノクマが脅かしてるんだ」

 

蹴上「殺人が起きるはずないよ」

 

 そうだ、殺人が起きるはずない。

 

 

 

知念「4人とも!」

 

 

 顔を真っ青にした知念が来た。

 

監原「知念……」

 

知念「浴場の、女子更衣室に来て。耐性のある人は……ね」

 

 

監原「…くっ」

 

岩田「は、はぁ?嘘だろ?」

 

蹴上「とにかく行ってみようよ」

 

 

俺たち4人は浴場に向かった。

 

加賀美「来たのね。男子でも捜査なら入れるってモノクマが言ってたわ。覚悟してね」

 

 いつも明るい加賀美の顔が青ざめている。

 

香月「嫌!嫌!嫌!もう嫌!」

 

絵馬「家に帰して!お母さんー!お父さーん!

 

 2人はパニックを起こしている。

 

将口「なんてことなんだ」

 

式野「こんな馬鹿な真似をする奴がこの学園にいたなんて」

 

星野「お星様も怒ってるよ」

 

佐藤「上条くん……無理、しないでね」

 

上条「あ?ああ」

 

 

 心配するな、殺人なんか起きるはずない。

 俺は女子更衣室を覗き込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 頭から血を流し代わり果てた姿で横たわる少女。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 超高校級の探偵、深沢由奈の姿だった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter1 非日常編

上条「ああああああぁぁぁぁぁ!!!」

 

 俺の叫び声は自分でも耳が痛くなる程だ。

 絶望が舞い降りていた。

 

監原「クソ。的中かよ」

 

蹴上「酷いよ、こんな……」

 

岩田「深沢!?嘘だろ!返事をしろ深沢!」

 

加賀美「現場を荒らさないで、岩田くん。気持ちは分かるけど、これからあたしたちは捜査をして学級裁判に望まないといけない」

 

そんな加賀美の声は震えていた。

 

上条「嘘だ嘘だ嘘だ!」

 

佐藤「辛いけど、これが現実なんだよ、上条くん」

 

 

弓長「うるさいわね、あなたたち」

 

弓長と籠森とメイビーが来ていた。

 

将口「うるさいなんて、人が死んでいるのになんて言い草だ」

 

弓長「友情ごっこの結果がコレなんて笑わせてくれるわね」

 

式野「お前らがやったんじゃないのか?」

 

弓長「フン、私は殺人なんて趣味じゃないから」

 

メイビー「誰が……死んだんだ?」

 

メイビーが震える声で言った。

 

知念「深沢さんだよ」

 

メイビー「そうか」

 

籠森「早く殺人ごっこなんて終わらせろ、迷惑だ」

 

メイビー「君も現実逃避なんてやめたらどう?」

 

モノクマ「あ、全員揃いましたね」

 

上条「モノクマ!これはお前がやったんだろ!」

 

俺は絶望をモノクマにぶつけるように叫んだ。

 

モノクマ「僕はそんなことしないよ。オマエラの中に深沢さんを殺した奴がいるんだよ」

 

上条「そんなはずないだろ!」

 

監原「その辺にしとけよ、上条。これが現実なんだよ」

 

モノクマ「というわけでモノクマファイル1をプレゼントするよ。事件について嘘偽りのない情報を記載してるからね。捜査頑張ってね。まったねー」

 

モノクマは『モノクマファイル1』を置いて消えた。

 

コトダマ モノクマファイル1

 

監原「……」

 

監原はモノクマファイルを開いた。

 

上条「なにやってんだよ」

 

監原「これはすごい。事件について色々書かれてる」

 

上条「そんなの嘘っぱちだよ」

 

監原「そうでもない。深沢の状態とモノクマファイルに書かれてることが一致してる」

 

加賀美「ともかく捜査しないと。誰か見張りをする人とか。あーあたしがやるか」

 

岩田「俺も見張りをする」

 

メイビー「そうだね。見張りは2人いた方がいい」

 

式野「いきなりでしゃばるんだな」

 

メイビー「裁判で負けたらみんな処刑されるんだ。協力するよ」

 

将口「今は協力してくれる人が多いと助かる。香月と絵馬は動けないしな」

 

監原「俺は上条は深沢の遺体を見るからモノクマファイルに目を通してくれ」

 

知念「僕はどうしたら良いだろう」

 

監原「じゃあ寄宿舎の捜査をしてくれ」

 

知念「わかった」

 

佐藤「私は食堂の捜査をするね……」

 

将口「私も食堂と寄宿舎を調査しよう。正直、死体の方を調査するのはキツい」

 

 

 

上条「……」

 

俺はモノクマファイルに手を伸ばした。

 

 

モノクマファイル1

被害者は超高校級の探偵、深沢由奈。

死亡時刻は0時10分頃。

 

死体発見場所は女子更衣室。

 

死因は鈍器による後頭部の撲殺で即死。

また腹部に外傷がある。

 

 

 

上条「なんだ……これ……」

 

 読んでいて気持ち悪くなる。深沢は本当に死んだのか。

 俺は女子更衣室に足を踏み入れた。

 既に監原が捜査をしている。

 

監原「あ、上条。モノクマファイルは見た?」

 

上条「うん。深沢は夜中に撲殺されたって」

 

監原「凶器はあの『ハンマー』だろうな」

 

コトダマ ハンマー

 

 落ちていたハンマーを見る。確かに、ハンマーに血がついてる。深沢はあれで殴られたのか。

 

上条「このハンマーってどこにあったんだ?」

 

監原「この木のハンマーは美術室しかないだろ?」

 

美術室。よく絵馬が使ってたな。まさか。

 でも絵馬に殺人が出来そうにないな。

 

上条「あれ、なんで『バスケットボール』があるんだ?」

 

 女子更衣室に転がるバスケットボール、しかも血がついている。

 

コトダマ バスケットボール

 

岩田「バスケットボールがなんでこんなところに。体育倉庫の鍵は俺が持ってるから体育倉庫は開かないのに」

 

犯人はバスケットボールをどこで?

 

コトダマ 体育倉庫の鍵

 

監原「それにしても血の量が少ないな」

 

上条「え?」

 

監原「深沢の身体についてる血の量の割に更衣室の血の量が少ない気がするんだ」

 

上条「犯人が拭いたとか?」

 

監原「拭いたとしてなんのメリットがあるんだ?」

 

上条「うーん」

 

 

コトダマ 監原の証言 

 

 俺はさらに調べると更衣室に変な血の跡あった。まるでタイヤの跡のような。

 

コトダマ タイヤ痕

 

 

加賀美「ちょっとなにしてんの監原!」

 

 加賀美の声に振り返ると監原が深沢の服をまくしあげていた。

 

上条「おい、監原!」

 

監原「モノクマファイルに書いてあっただろ?腹部に外傷って。ほんとかなーって」

 

加賀美「そういうのはあたしがやるから!あれ、でもおかしいわね。昨日、弓長さんを除いた女子全員でお風呂に入った時は深沢さんとお風呂に入った時は怪我なんてして無かったわよ?」

 

上条「犯人にやられたのかな?」

 

コトダマ 加賀美の証言

 

監原「深沢は後頭部を殴られて即死。多分、不意打ちで殺したから深沢は反撃の余地もないのに打撃する必要なんてないはずだぜ?」

 

 監原、やけに冷静だし、慣れてるよな。まるで探偵みたいだ。

 

上条「監原って殺人現場の捜査でもしたことあるの?」

 

監原「ミステリー映画を撮ったことあるし、ミステリー小説や漫画、映画を読むから真似事してるだけだよ。リアルな遺体を見たことなんて老衰で死んだ祖父と飼ってた犬くらいだよ」

 

 

 俺は女子更衣室から出て浴場を見た。

 

式野「浴場にあまり手掛かりはなさそうだ。浴場は夜時間と朝時間は立ち入り禁止だからな」

 

上条「そうか」

 

俺は男子更衣室を見た。蹴上と籠森が捜査をしていた。

 

籠森「男子更衣室は関係ないか。なんたって今回の事件は女が犯人だからな」

 

上条「なんでそう思うんだ?」

 

蹴上「だって深沢さんは女子更衣室で殺されたんだ。異性の更衣室には入れないし、女子にしか犯行は不可能だよ」

 

籠森「女同士の醜い争いというわけだ」

 

決めつけて良いのか?

 

コトダマ 更衣室の入室

 

 

 俺は美術室に向かった。

 

絵馬「ハンマーを殺人の道具に使うなんて……」

 絵馬がこんなところに。

 

上条「絵馬、お前ずっと美術室にいたよ……」

 

絵馬「あたしじゃない!優子にお風呂に誘われて出たらなくなってたの!あたしは悪くない」

 

そういうつもりじゃないのに。ってあれ、今重要なこと言わなかったか?

 

上条「絵馬、風呂から出たらハンマーがなくなってたのか?」

 

絵馬「そうよ。あと、ガムテープやロープもなくなってたのよ。」

 

上条「ガムテープやロープって返ってきてないのか?」

 

絵馬「そうよ」

 

コトダマ 絵馬の証言

 

 

 

 

俺はトラッシュルームに向かった。

 

知念「上条くん」

 

上条「知念、なんか収穫あったのか?」

 

知念「うん、このトラッシュルーム、今日使われたんだ。ログがあるよ」

 

 4時頃を示すログが残っていた。

 

知念「夜時間は稼働しないけど朝時間は稼働するから。犯人が証拠隠滅に使ったのかな」

 

コトダマ トラッシュルーム

 

 

 

 

 

 

 俺は食堂に向かった。

 

 

将口「上条か」

 

佐藤「上条くん……」

 

上条「将口と佐藤は何か見つけたのか?」

 

将口「見つけたというよりなくなったものだ。ペットボトルのお茶だ。3つしかない。昨日、夜、4つあったのに。朝には5つあったはずだが。」

 

上条「そのうちの1つなら蹴上が持っていったよ。トレーニングで夜時間に飲みたくなるかもしれないって」

 

将口「そうか」

 

佐藤「事件と関係ないかな」

 

上条「あとで誰が持っていったか聞いてみよう」

 

 

コトダマ なくなったペットボトル

 

 

 俺は岩田の言葉を思い出し、体育館に向かった。

 

上条「何か手掛かりは……」

 

メイビー「特に手掛かりはないよ。体育館には代車くらいしかないし」

 

上条「メイビーも体育館を調べてたのか」

 

メイビー「バスケットボールが向こうにあったしね。それと体育倉庫は開かない。鍵がないと開かないよ」

 

上条「うーん」

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

モノクマ「はい、捜査は終了でーす。学園の赤い扉に集まってくださーい」

 

 

上条「もう捜査終了!?」

 

メイビー「仕方ない僅かな手掛かりでやるしかない」

 

 

 

 俺たちは赤い扉に集まった。

 

 この中にいるんだな、深沢を殺した犯人が。

 

 赤い扉が開くとエレベーターがあった。

 15人が乗り込み、エレベーターはみんなが無言だった。

 

 

 

 裁判所は席が丸く円を描くように置かれていた。

 

モノクマ「自分の名前がある席に座ってくださーい「

 

 俺から時計順に星野、佐藤、岩田、弓長、絵馬、将口、メイビー、監原、式野、籠森、知念、加賀美、深沢、蹴上、香月だ。

 

 




犯人は誰でしょうか予想してみてください


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter1 学級裁判 前編

コトダマ モノクマファイル1

モノクマファイル1

被害者は超高校級の探偵、深沢由奈。

死亡時刻は0時10分頃。

 

死体発見場所は女子更衣室。

 

致命傷は鈍器による後頭部の殴打で即死。

また腹部に外傷がある。

 

 

コトダマ ハンマー

女子更衣室に落ちていた血のついたハンマー

恐らくこれが凶器だ

 

 

コトダマ バスケットボール

女子更衣室に落ちていた血のついたバスケットボール

なんでここに?

 

コトダマ 体育倉庫の鍵

体育倉庫の鍵は岩田が持っている。岩田しか体育倉庫を開けられない。

 

 

コトダマ 監原の証言

女子更衣室には血が少ないらしい。犯人が拭いたとしてもなんのメリットが?

 

コトダマ タイヤ痕

血のついたタイヤ痕がある。なぜここに?

 

コトダマ 加賀美の証言 

弓長以外の女子全員でお風呂に入ったらしい。

深沢は昨日の夜のお風呂には腹部の怪我は無かったらしい

 

 

 

コトダマ 更衣室の入室

異性の更衣室に入ろうとしたら蜂の巣らしい。

 

 

コトダマ 絵馬の証言

お風呂に入っている間にハンマーがなくなったらしい。犯人は絵馬の入浴を知っていたのか?

それとロープとガムテープもなくなったらしい。

 

コトダマ トラッシュルーム

朝4時に使われた形跡がある。証拠隠滅か?

 

コトダマ なくなったペットボトル

夜時間前は5つあったペットボトルが3つになっていた。

1つは蹴上がトレーニングのためにもっていった。

 

 

 

 

学級裁判 開廷

 

 

モノクマ「えー、まずは学級裁判の簡単な説明をしておきましょう」

 

モノクマ「学級裁判では『犯人は誰か』を議論し、その結果をオマエラの投票により決定されます」

 

モノクマ「正しいクロを指摘できればクロだけがおしおき、もし間違った人物をクロとした場合はクロ以外全員がおしおきされ生き残ったクロだけが卒業できます」

 

モノクマ「じゃんじゃん話し合ってくださーい!」

 

 

 

加賀美「あのさ、モノクマ。あれは一体なによ?」

 

 加賀美は深沢の写真に×がつけられてた席を指差す。

 

 

モノクマ「死んだからって仲間外れは可哀想でしょ?友情は生死を飛び越えるんだよ!」

 

絵馬「せいしを……飛び越え……」

 

加賀美「悪趣味ね」

 

監原「人の死を冒涜してんな」

 

上条「と、とにかく話し合わないと」

 

監原「まずはどうやって深沢が殺されたのかについてだ」

 

 

議論開始

 

 

コトダマ モノクマファイル1

コトダマ 監原の証言

コトダマ ハンマー

コトダマ 加賀美の証言

 

 

加賀美「深沢さんはなんで女子更衣室で死んでたのかな」

 

将口「常識的に考えると『呼び出された』んだろう」 

 

弓長「こんな時によくまあ素直に『行った』わね」

 

香月「あなたたちのような自己中とは違いますからね」

 

星野「呼び出された深沢ちゃんはいきなり『顔面』をやられたんだね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星野「呼び出された深沢ちゃんはいきなり『顔面』をやられたんだね」

 

コトダマ モノクマファイル1

 

 

 

 

論破

上条「それは違うぞ!」

 

 

星野「ほぇ?」

 

上条「深沢は後頭部をやられたんだ。モノクマファイルにそう書いてある」

 

籠森「モノクマファイルなんか信頼出来るか」

 

監原「でも深沢は頭から血が大量に出てた。間違いなく後頭部だ」

 

星野「でも顔に血がいっぱい」

 

監原「頭のから血が流れてきたんだよ」

 

絵馬「ひいぃぃ恐ろしい」

 

加賀美「では次は凶器について話し合いましょ」

 

 

 

議論開始

 

 

コトダマ ハンマー

コトダマ 加賀美の証言

コトダマ 絵馬の証言

コトダマ バスケットボール

コトダマ モノクマファイル1

 

 

式野「深沢は『撲殺』されたらしいな」

 

監原「モノクマファイルに書かれてないがそうなるな」

 

佐藤「酷い……」

 

知念「即死だったらしいね」

 

加賀美「いきなり襲われて、『抵抗する間もなく』殺されたみたいだね」

 

蹴上「体育倉庫にあった『バット』とか使われたのか」

 

岩田「よくも深沢をーーー!」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蹴上「体育倉庫にあった『バット』とか使われたのか」

 

コトダマ ハンマー

 

論破

上条「それは違うぞ!」

 

 

蹴上「え?」

 

上条「現場に血のついたハンマーが落ちてたんだ。あれが凶器だよ」

 

蹴上「そっか。死体がある方は捜査してなかったから……」

 

上条「仕方ないよ」

 

式野「だけどそのハンマーってどこにあったんだ」

 

上条「ああ。それは美術室だよ」

 

加賀美「美術室……!?」

 

 

 

 

議論開始

コトダマ 絵馬の証言

コトダマ モノクマファイル1

コトダマ ハンマー

コトダマ 加賀美の証言

コトダマ 体育倉庫の鍵

 

 

 

式野「犯人はそこの絵馬だ」

 

絵馬「なんでよ!あたしは殺してない!」

 

式野「絵馬、お前はずっと美術室にいたな?」

 

絵馬「だから何よ!」

 

弓長「それじゃあハンマーは『アンタの自由に持ち出せる。』」

 

籠森「そして女子更衣室で『深沢を殺した。』これが真実だろ?」

 

絵馬「違うわよ!あたしはそんなことしてない!そんな、殺人なんて恐ろしいこと……」

 

香月「あなたがいる以上、『誰も美術室には入れません。』」

 

絵馬「確かに誰も入ってきてないけど……」

 

蹴上「外に出たりした?」

 

絵馬「美術室に『出たことあるわよ!』当然でしょ!」

 

香月「言っておきますけど、夜時間前ですよ?」

 

絵馬「出たわよーーーー!」

 

弓長「そんな『証拠あるわけないでしょう。』」

 

絵馬「あたしが出たと言ったら出たのーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弓長「そんな『証拠あるわけないでしょう。』」

 

コトダマ 加賀美の証言

 

 

 

論破

上条「それは違うぞ!」

 

上条「待て、みんな。絵馬は美術室を抜ける時間があったんだ」

 

蹴上「そんな時間があったの?」

 

香月「あっ」

 

上条「そうだよな、加賀美」

 

加賀美「うん。女子みんなでお風呂に入ったの。その隙ならハンマーを奪えたかもね」

 

弓長「くだらないわね」

 

加賀美「そう言うと思ってアンタは誘わなかったの」

 

佐藤「クッキーを配った時に……弓長さんと籠森くん以外には言ったから……奪う隙があったはずだよ」

 

籠森「お前たちが共犯関係なら偽証できるだろ」

 

加賀美「はぁ?あたしたちが共犯なんて……」

 

 

監原「おいモノクマ。共犯したらどうなるんだ?」 

 

 

モノクマ「共犯は可能ですが、卒業出来るのは直接殺したクロだけだよ」

 

 

香月「共犯のメリットはほぼないのですね」

 

籠森「フン、だが決まってるだろ?犯人は女子だ」

 

弓長「は?どうしてそうなるのよ」

 

籠森「女子更衣室には女子しか入れないんだ」

 

岩田「なるほどな!なら絞られたな!」

 

上条「女子って決めつけて良いのかな」

 

監原「確かにおかしいな。女子更衣室で殺したら女子って限定されるしな。自ら犯人は女子です疑ってくださいと言ってるようなもんだ。それに殺害現場が女子更衣室というのすら怪しいんだ。よな、上条」

 

上条「ああ」

 

監原が言いたいのはこの証拠か

 

 

 

 

 

 

 

上条「これだ!」

コトダマ 監原の証言

 

 

上条「女子更衣室には犯行現場にしては血が少ないんだ。それに」

 

 

コトダマ タイヤ痕

 

 

上条「何を運んだようなタイヤ痕があったんだ。多分、犯行現場は女子更衣室じゃない。男子にも犯行が可能なんだ」

 

メイビー「体育館前に代車を見つけたよ。きっと代車を使ったんだ」

 

上条「そうだ。代車を使えば男子にも、いや女子に見せかけた男子の犯行なんだ」

 

 

 

 

反論

籠森「お前の推理は低レベルなんだよ!」

 

 

 

 

上条「籠森?」

 

籠森「犯行は女子にしか不可能だ。それを俺が教えてやる」

 

 

 

反論ショーダウン

 

コトノハ バスケットボール

コトノハ タイヤ跡

コトノハ 更衣室の入室

 

 

籠森「男子更衣室には男子の生徒手帳が、女子更衣室には女子の生徒手帳が必要だ。異性の更衣室に入ればガトリングガンだ」

 

上条「でも犯人は代車を使って深沢の遺体を女子更衣室に入れたんだ」

 

籠森「フン、バカめ。代車は関係ない。どの道女子更衣室に入るには女子の生徒手帳が必要。『貸すのは禁止』な上、『異性が生徒手帳を使えばガトリングガン』だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

籠森「『異性が使えばガトリングガン』だ」

 

 

コトダマ 更衣室の入室

 

論破

上条「その言葉、斬る!」

 

 

籠森「はぁ?」

 

上条「異性が更衣室に入ろうとするとガトリングガンだけど、生徒手帳を使うだけならガトリングガンされないんだよ」

 

監原「だよな、モノクマ」

 

モノクマ「異性の更衣室の入室は禁止。それだけです」

 

佐藤「つまり犯人は自分の生徒手帳で女子更衣室を開けることはできたんだんだね」

 

絵馬「覗き対策の意味ないじゃない!」

 

式野「だとしても、男子が女子更衣室に深沢を入れるのは不可能じゃないか。深沢は更衣室の奥にいたんだ。仮に代車で運んでも届く距離じゃない」

 

上条「うーん」

 

監原「なら、そこを議論する必要がありそうだな」

 

 

 

議論開始

 

 

コトダマ 絵馬の証言

コトダマ トラッシュルーム

コトダマ タイヤ跡

コトダマ ハンマー

コトダマ 更衣室の入室

 

 

籠森「普通に『女子が犯人だ。』女子が奴を入れたんだ」

 

監原「だとしてもあからさますぎるんだよ」

 

知念「奥まで届く方法か……」

 

将口「思い切り『代車を押せば』……」

 

加賀美「それだと現場に代車が残るわ」

 

籠森「女子なら問題ないがな」

 

弓長「どんだけ女子を推すのよ」

 

絵馬「わかったわ!『魔術』で動かしたのよ!」

 

星野「ガトリングガンされる前に『走って逃げたんだー。』」

 

メイビー「『ロープを使った』可能性は?」

 

香月「女子更衣室が『斜めってて代車が滑る』とか」

 

加賀美「それでも代車が現場に残るわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メイビー「『ロープを使った』可能性は?」

 

コトダマ 絵馬の証言

 

 

同意

上条「それに賛成する!」

 

 

メイビー「やっぱりロープか」

 

上条「ああ。絵馬、風呂に入ってる間にガムテープやロープもなくなってたんだよな」

 

絵馬「そうよ。最初は気のせいだと思ってたけど」

 

籠森「とか言って本当はお前が犯人なんじゃないのか?」

 

絵馬「違うわよ!あたしは殺人なんかしてない!」

 

弓長「いくら私や籠森以外がアンタが風呂に入る時間帯を知れたとして、アンタは迂闊すぎんのよ。物が3つもなくなったらおかしいと思うでしょ」

 

絵馬「でも、でも……まさか殺人なんて……」

 

監原「こんな念入りなことする犯人が美術室にいて犯人が凶器を持っていったなんて知りませんでしたーなんて通用するとは思ってないはずだ」

 

蹴上「でも、ロープやガムテープを使ったって確定してないよね?」

 

監原「今は仮定しておこう。それ以外の可能性は後で考えるのも悪くない」

 

知念「あの、疑問なんだけど、犯人はロープやガムテープをどう使ったんだんだろう?」

 

監原「俺の予想の範囲だけど……」

 

 

 

 

監原「犯人は代車にロープをくくりつけて、代車に深沢の死体を乗せる」

 

 

監原「そのあと、代車を押すなり蹴るなりして奥まで届かせる。そして深沢を落としてからロープで代車を引っ張って代車を現場に残さないようにするんだ」

 

 

佐藤「それだけだと深沢さんは落ちないような気がするよ」

 

蹴上「代車を使うこと自体が間違ってるじゃないのかい?」

 

監原「それはない、タイヤの跡があるし」

 

加賀美「あのバスケットボール。バスケットボールを深沢さんの下に置いて、勢いよく代車を引っ張れば、落ちたりしない?」

 

監原「それだと押したり蹴った時に深沢の死体が落ちるんじゃないか?」

 

弓長「たまたま落ちなかった。犯人は女子更衣室にあいつを入れれば十分なはずだからね」

 

式野「でもバスケットボールはどこから調達したんだ」

 

香月「体育館以外ありえませんね」

 

絵馬「でも体育館に行った時はボールなんか無かったじゃない」

 

監原「いや、だったら体育倉庫から調達すればいい。そうだな?」

 

体育倉庫つまり

 

 

コトダマ 体育倉庫の鍵

 

 

上条「体育倉庫の鍵は岩田が持ってたよな」

 

岩田「ああ。だ、だがぁ!俺は犯人じゃないぞ!」

 

知念「体育館は夜時間は立ち入り禁止だから持っていくことは不可能だよね」

 

弓長「夜時間前なら可能じゃない」

 

岩田「蹴上ーーー!俺たちはずっと一緒だったよな!な!」

 

蹴上「ずっと一緒だったわけじゃないけど……僕は岩田くんを信じるよ」

 

佐藤「あ、言い忘れたけど、クッキーは岩田くんには渡せなかったんだ。寝てたから」

 

香月「寝てた?出掛けてたとかじゃなく?」

 

佐藤「モノクマに確認したから……間違いないよ。それにお風呂の後も寝てたから美術室に侵入する隙なんてないよ」

 

上条「そうか。じゃああのバスケットボールはどこで……」

 

監原「ずっと持っていたとしたら?」

 

上条「え?」

 

監原「そいつはずっと持っていた。夜時間の前から……そんな奴をお前は目にしているはずだ」

 

ずっとバスケットボールを持っていた人間?それって……

 

 

 

 

怪しい人物を指名

 

 

 

上条翔太

 

星野リコ

 

佐藤雪香

 

岩田圭介

 

弓長詩織

 

絵馬一帆

 

将口歩夢

 

メイビー

 

監原誠也

 

式野龍馬

 

籠森健一 

 

知念悠馬

 

加賀美優子

 

深沢由奈 ×

 

蹴上秀

 

香月薫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

籠森健一 ◀︎

 

 

 

 

 

上条「籠森、お前じゃないのか、バスケットボールをずっと持っていたのは」

 

籠森「な、なに……!?」

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter1 学級裁判 後編 

香月「バスケ馬鹿が犯人なのですか?」

 

籠森「誰がバスケ馬鹿だ!」

 

上条「答えてくれ、バスケットボールをずっと持ってたんだろ?」

 

籠森「俺は超高校級のバスケ選手だぞ?使うのは当然だろ」

 

監原「そうじゃねぇよ。お前はずっと、体育館が封鎖されてもバスケットボールを持ってたんじゃねぇーかって話だよ」

 

籠森「な……」

 

監原「岩田、体育倉庫の鍵を籠森に渡したか?」

 

岩田「いや、そもそも、俺は昨日から会ってない。事件が発覚して籠森たちが来るまでは」

 

監原「他の誰かが体育倉庫を利用したか?」

 

岩田「俺と蹴上は利用したが、使ったものは戻したぞ」

 

籠森「だからなんだよ!」

 

監原「つまりお前はバスケットボールをしまう方法がなかった……つまり」

 

絵馬「籠森が犯人なのね!」

 

弓長「アンタ、ずっと女子を犯人にしたがってたわね」

 

式野「なんて卑劣な奴だ。女を殺し、女を犯人に仕立て上げる……」

 

加賀美「美術室の道具を使ったのも一帆ちゃんをスケープゴートにするためだったんだね」

.

蹴上「籠森くん、酷いよ」

 

籠森「違う!俺は犯人じゃない!ありえない!」

 

香月「なら証拠はあるのかしら?」

 

籠森「うるさい!」

 

星野「もう投票しよーよ」

 

監原「待てってまだおかしな点が」

 

上条「そうだ、まだ明かされてない謎があるよ」

 

佐藤「まだ投票は早すぎるよ」

 

知念「籠森くんには犯行は不可能だと思うよ」

 

岩田「俺は籠森を信じるぞ!」

 

将口「まだ私たちは犯人の策略にハマっている可能性がある」

 

メイビー「命がかかってるんだ、まだ決めつけられない」

 

 

モノクマ「おや、意見が真っ二つに割れましたね」

 

上条「なんだよ、モノクマ!邪魔すんなよ!」

 

モノクマ「いえいえ、むしろみんなを助けてますよ。2つのグループに分かれて話し合ってもらいましょう!」

 

 

意見対立!

 

 モノクマが鍵を差し込むと席が動き出した。

 

 

絵馬「なにこれー!」

 

 俺たちは2つのグループに分かれた。

 

 

 

 

 

議論スクラム 開始

 

籠森健一は犯人か?

 

犯人だ!

加賀美、絵馬、蹴上、式野、香月、星野、弓長

 

犯人じゃない!

上条、監原、知念、佐藤、将口、岩田、籠森、メイビー

 

 

 

 

蹴上「バスケットボールを籠森くんはずっと『持っていた』のは自白したじゃないか」

 

監原「バスケットボールを『持っていた』ってだけで犯人とは決めつけられないぜ」

 

絵馬「あたしが『お風呂』に入っている間に美術室に侵入したのね」

 

佐藤「『お風呂』に入っていた時間を籠森くんは知らないはずだよ」

 

弓長「隙を見て奪った『可能性』がある」

 

メイビー「無理に美術室に侵入したら絵馬に姿を見られる『可能性』の方が高いよ」

 

香月「バスケットボールを『利用』出来るのは超高校級の彼だけよね」

 

上条「まだバスケットボールの『利用』方法が分からない以上、まだ犯人と決めつけられない」

 

加賀美「でも籠森くんは『女子』を犯人に仕立て上げようとしたじゃない」

 

岩田「『女子』を犯人だと思っていたのは籠森だけじゃないだろ」

 

星野「『バスケットボール』を持っていけるのは籠森ちゃんだけだよね」

 

将口「『バスケットボール』を持っていく方法は他にもある」

 

式野「結局、深沢を『殺し』、運んだのは籠森だろ」

 

籠森「だから俺は深沢を『殺し』てなんかいない!」

 

加賀美「認めなよ、アンタが深沢を『呼び出し』て殺したんだ」

 

知念「深沢さんが単独行動していた籠森くんの『呼び出し』に1人で応じるとは思えないよ」

 

 

 

全論破

 

上条「これが俺たちの答えだ」監原「これが俺たちの答えだ」知念「これが僕たちの答えだ」佐藤「これが私たちの答えです」将口「これが私たちの答えだ」岩田「これが俺たちの答えだ!」籠森「これが俺たちの答えだ」メイビー「これが俺の答えだ」

 

 

 

上条「まだ、籠森が犯人だと断定するのは早いんだ」

 

監原「おい、籠森。懲りたら正直に言え、バスケットボールをどうしたんだ?」

 

籠森「っ……」

 

式野「なんだ?籠森は犯人ではないんじゃないのか?」

 

監原「負けたらみんな死ぬんだぞ!お前も!」

 

籠森「……。バスケットボールは体育館前に置いた」

 

加賀美「置いた……?」

 

弓長「は?なんで?」

 

籠森「仲間でもない岩田に鍵をもらうのが面倒だったからいつでも使えるように体育館前に置いたんだ!」

 

岩田「籠森……」

 

岩田に助けてもらったのにこの態度は……。

 

式野「たまたま置いたバスケットボールを犯人が利用した?出来過ぎじゃないか?」

 

監原「むしろ知ってたんじゃないか、犯人は籠森がバスケットボールを置いていくのを」

 

加賀美「そこまで犯人は計算してたって言うの?」

 

上条「まだ分からない謎があるんだ。バスケットボールの使い方だよ」

 

蹴上「バスケットボールを深沢さんの下にひいたんじゃないの?」

 

監原「それでバランスをとるのは難しいし、深沢の背中は血塗れだ。バスケットボールはもっと血がついてるはずだ」

 

香月「犯人が拭いたんじゃ?」

 

メイビー「それはないよ。女子更衣室に入らないことがキモのトリックに女子更衣室に入ってボールを回収をするのは」

 

岩田「犯人はどうバスケットボールを利用したんだ?」

 

 

 

議論開始

 

コトダマ 加賀美の証言

コトダマ モノクマファイル1

コトダマ トラッシュルーム

コトダマ 監原の証言

コトダマ バスケットボール

 

 

 

加賀美「犯人はバスケットボールをどうしたんだろう」

 

岩田「わかった!『投げたんだ』だ!」

 

監原「どこに?」

 

岩田「女子更衣室に投げて、籠森を犯人に『仕立て上げたんだ』。」

 

メイビー「女子を犯人に仕立て上げるのが犯人の目的なのに」

 

佐藤「犯人は深沢さんに向かって『ボールをぶつけたり』してないかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐藤「犯人は深沢さんに向かって『ボールをぶつけたり』してないかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コトダマ モノクマファイル1

 

 

同意

上条「それに賛成する」

 

 

上条「そうだ、犯人は深沢にボールをぶつけて深沢を落としたんだ」

 

弓長「なんでぶつけたってわかるの?」

 

上条「モノクマファイルに深沢の腹部に外傷があるって書いてあるんだ。きっとボールをぶつけてられた時のだよ」

 

加賀美「でもボールを女子更衣室に入れたらどの道回収出来ないじゃない」

 

上条「……」  

 

 

監原「わかったぞ。犯人はガムテープにロープをバスケットボールを貼り、深沢にぶつけて落としたんだ。ボールが戻ってくるように」

 

知念「でも投げたくらいで深沢さん落ちるかな」

 

監原「ああ。投げたくらいじゃあ、超高校級のバスケ選手でも無理だろうな。投げるんじゃあな」

 

上条「ボールを投げないでぶつけられる人……」

 

監原「コントロールも抜群だろうな」

 

そんなの、あの人しかいない。

 

 

 

 

怪しい人物を指名

 

 

上条翔太

 

星野リコ

 

佐藤雪香

 

岩田圭介

 

弓長詩織

 

絵馬一帆

 

将口歩夢

 

メイビー

 

監原誠也

 

式野龍馬

 

籠森健一 

 

知念悠馬

 

加賀美優子

 

深沢由奈 ×

 

蹴上秀 

 

香月薫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蹴上秀 ◀︎

 

上条「蹴上、お前がバスケットボールを蹴ったんじゃないのか?」

 

岩田「蹴上が犯人?そんなわけないだろ!」

 

蹴上「なんで僕が?僕が深沢さんを殺したって言うの?」

 

上条「ああ。佐藤、蹴上にクッキーを渡したか?」

 

佐藤「うん。お風呂の時間も言ったよ」

 

蹴上「それだけで僕を犯人にするつもりかい?ボールを蹴るだけなら、誰でも出来ると思うよ」

 

監原「正確なコントロールで人間を代車から落とせる威力のあるボールを蹴れるのはお前しかいない。深沢の怪我は一箇所しかないし、正確に、怪我させられる威力を素人に出せるか?」

 

蹴上「そうかなぁ?確かに僕に有利だけど、それだけで僕を犯人と決めつけないでくれよ」

 

 

議論開始

 

コトダマ モノクマファイル1

コトダマ 加賀美の証言

コトダマ タイヤ痕

コトダマ 絵馬の証言

コトダマ トラッシュルーム

 

岩田「蹴上がそんなことするはずない!『蹴上とはずっと一緒にいたんだ!』」

 

佐藤「岩田くんは寝てたよね」

 

岩田「だが……」

 

加賀美「いくらなんでも蹴上が犯人なんて……」

 

監原「お風呂の時に蹴上が『ハンマーを持っていくことは可能だ。』」

 

蹴上「そもそもロープやガムテープなんか使ったのかな?絵馬さんが嘘をついてるんじゃないかな?」

 

絵馬「嘘じゃないわよ!」

 

蹴上「だって現物がない以上、『ロープとガムテープを使った証拠はないよ。』」

 

将口「確かにロープやガムテープを使ったのは『単なる推測に過ぎない』しな……」

 

式野「誘導されていたのか!」

 

蹴上「君が蹴上くんを『犯人に仕立て上げるために』バスケットボールを使ったんじゃないの?」

 

絵馬「してないわよおおおおお!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蹴上「だって現物がない以上、『ロープとガムテープを使った証拠はないよ。』」

 

コトダマ トラッシュルーム

 

論破

上条「それは違うぞ!」

 

 

 

上条「トラッシュルームの使用ログ。朝時間すぐの4時に使ったログがあるよ。証拠隠滅のために焼却炉を使ったんだよね。だって代車のトリックは大本命だ。バレたくないから証拠を隠滅したんだ」

 

蹴上「そんな……トラッシュルームは誰かがたまたま使っただけだよ」

 

監原「朝4時にか?そんな時間に?みんなに見られても問題ないものなら朝起きてからでも良くないか?」

 

蹴上「そんなの僕は知らないよ!酷いよ、籠森くんはあんなに庇って僕は責めるの?」

 

加賀美「そうだよ、上条くん。蹴上くんは優しい人間だよ。蹴上くんが犯人だなんて」

 

監原「バスケットボールが置いたって一昨日もか、籠森?」

 

籠森「ああ」

 

監原「ならお前は次の日も籠森がバスケットボールを置くことを知ってたんだな」

 

蹴上「……」

 

メイビー「代車は体育館前にあった。体育館によくいく人なら気づくよね」

 

岩田「おいやめろ、蹴上は犯人じゃない」

 

弓長「私は蹴上が怪しく思えて来た。あいつの笑顔は嘘くさいんだよ」

 

籠森「よくも俺をハメたな!」

 

式野「現状、一番怪しいのは蹴上だ」

 

上条「蹴上……お前が犯人なのか?」

 

 あんな優しい蹴上が、犯人だなんて。深沢を殺したなんて思いたくなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

反論

蹴上「うんなわけねぇーだぁろぉ!下等生物がぁ!」

 

 

上条「蹴上!?」

 

豹変した?

 

蹴上「テメェの頭をどうにかしてんだよぉ!俺様の意見をよく聞きやがれ!」

 

反論ショーダウン

 

 

コトノハ 加賀美の証言

コトノハ 監原の証言

コトノハ なくなったペットボトル

コトノハ ハンマー

コトノハ トラッシュルーム

 

蹴上「俺様以外にも犯人候補はいるんだよ!」

 

蹴上「百歩譲って俺様が超高校級のサッカー選手で深沢を落としやすいのは認めよう!だがな!テメェらは大事なことを忘れてるんだよ!」

 

上条「大事なこと?」

 

蹴上「俺様や代車『血はついていない』。朝食にいなかったバスケ野郎や弓女やゲームオタクの方が怪しいんだよ!夜時間と朝時間にシャワールームが『使えない』以上、朝食まで『水で洗い流すのは不可能』なんだよぉ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蹴上「『水で洗い流すのは不可能』なんだよぉ!」

 

 

コトノハ なくなったペットボトル

 

 

論破

上条「その言葉、斬る!」

 

 

上条「ペットボトルを使えばそれは可能だ。あらかじめシャワールームの水を貯めておけば洗い流せる」

 

蹴上「はぁ?俺様はペットボトルなんか持っていってないぞ」

 

上条「持っていってただろ、昼に」

 

知念「え」

 

蹴上「1本くらいはトレーニング用だ」

 

知念「君は夜にペットボトルを持っていったじゃないか」

 

蹴上「はぁ?」

 

知念「僕、みたんだ、君がペットボトルを持っていくところを」

 

蹴上「見間違いだぁ!」

 

将口「いや、知念の言うことは正しい。4つあったペットボトルが1つ減ってたなら」

 

蹴上「黙れこのクソボケ正気だかなんだか分かんないオタクが!」

 

将口「!?」

 

加賀美「正気じゃないのは蹴上くんよ」

 

上条「あんな大きなペットボトルが2つも必要なんてトレーニングだけじゃあ考えられないよ」

 

監原「一気に2つ持っていったら怪しまれるから2回にわけて持っていった。むしろそれが仇になったな」

 

弓長「これじゃあまるで自分が犯人って言ってるようなもんね」

 

メイビー「それに俺は代車を見つけたとは言ったけど、血がついてないなんて言ってないよ」

 

蹴上「っ!?証拠隠滅したと思うだろぉがよぉ!」

 

監原「どうやって?」

 

蹴上「ペットボトルのお茶で洗い流したんだろぉ!」

 

上条「……」

 

監原「……」

 

知念「……」

 

佐藤「……」

 

メイビー「……」

 

蹴上「あ?なんだよ」

 

 

上条「俺はペットボトルのお茶を全部出して水を入れて返り血や事件現場の血を拭いたと思ったんだけど」

 

 

蹴上「っ!?」

 

弓長「お茶そのもので拭いたわけ?」

 

籠森「なんて奴だ」

 

岩田「嘘だろ、嘘だと言ってくれ、蹴上」

 

監原「語るに落ちたな」

 

 

蹴上「うるせーーーー!俺は犯人じゃねぇよ!!俺は、俺様はあああああはあ!!!」

 

 

上条「認められないなら事件を振り返ってみようか。そうすれば認めるしかないだろ」

 

 

 

 

クライマックス再現

 

上条「これが事件の全容だ」

 

ACT1

上条「まず最初に犯人は昼にペットボトルを用意した。シャワールームや食堂が使えないから返り血を洗い流すためにな。

それを俺は目撃したけどまさか殺人の準備をしているなんて思いもしなかった。」

 

ACT2

上条「そして夕方、佐藤はクッキーを配って女子全員がお風呂に入ること伝えた。寝ていた岩田、元から興味ないだろう、弓長と籠森以外はみんな知っていた。

絵馬がお風呂に入る時間を把握した犯人は美術室に忍び込み、ハンマーとガムテープとロープを奪った。

さらに用意周到な犯人は夜時間前にまたペットボトルを持っていった。一気に2つもペットボトルを持っていったら怪しまれるから時間をずらしたんだろうな。

その頃、籠森はバスケットボールを体育館前に放置していた。」

 

ACT3

 

上条「犯人は深沢を呼び出した。予め約束していたんだろう。穏やかに見えていた犯人は深沢を油断させるのに十分だった。

深沢が油断している隙に犯人は後ろからハンマーで深沢を殴り殺した。穏やかそうに見えた犯人の素性は卑劣な人間だったんだ。

そして犯人はペットボトルのお茶で返り血を流し、犯行現場の血を拭いた。犯行現場を誤認させるためにね。」

 

ACT4

上条「犯人は体育館前から持って来ていた代車で深沢を女子更衣室前まで運んだ。そして自分の電子生徒手帳をかざした。異性の更衣室に入るのは禁止だけど、開けるのは禁止じゃないんだ。

犯人はロープで代車をくくりつけた。犯人像を考えるに犯人は代車を蹴って、女子更衣室の奥まで代車を走らせた。」

 

ACT5

上条「犯人の計画はここで終わりじゃない。ここからが本番だったんだ。籠森が放置したバスケットボールの出番だ。

犯人はロープとバスケットボールをガムテープでくっつけて、そのボールを蹴って深沢に命中させた。超高校級のサッカー選手による正確なコントロールと威力は深沢を代車から下ろすには十分すぎる威力だった。

その時、犯人に想定外の自体が起きた。

ガムテープからボールが剥がれてしまった。威力が強すぎたんだろう。女子更衣室には入れないから犯人は諦めるしかなかった。

その後、ロープを引っ張り、代車を回収した。血のタイヤ跡があると知らずにな。」

 

ACT6

上条「犯人は代車や返り血をお茶で洗い流した後、朝時間すぐにロープやガムテープをトラッシュルームの焼却炉で証拠を隠滅した。

そして朝、犯人は何食わぬ顔で俺たちと合流したんだ。」

 

 

 

上条「そうだろ、超高校級のサッカー選手、蹴上秀!」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter1 おしおきタイム

モノクマ「はい、もう投票しても良いかな」

 

蹴上「よくねーよ全然よくねーよ!俺は犯人じゃない!」

 

香月「見苦しいですね」

 

星野「台風の時に星が見えないくらいね」

 

上条「どんな例えだ」

 

岩田「蹴上……」 

 

 蹴上と仲が良かった岩田には辛いのか、手が震えていた。

 

モノクマ「投票は全員やってね。投票しないとおしおきになりますよ」

 

モノクマ「投票の結果クロになるのは誰か。その答えが正解なのか不正解なのか。ワクワクのドッキドキだよね」

 

 

 

上条「……」

 

 俺も投票しないとダメなんだ。

 やりたくなかったが、俺は蹴上に投票した。

 

 

 

モノクマ「投票が終わったようだね。結果発表に行きましょう!」

 

 

 

 モニターに投票結果が映し出された。

 

蹴上秀 14票

上条翔太 1票

 

 

 

 

 

 そして『正解』と表示された。

 

 

 

 

 学級裁判 閉廷!

 

 

 

 

 

 

 

モノクマ「オマエラ大正解!超高校級の探偵、深沢由奈さんを殺したクロは超高校級のサッカー選手、蹴上秀クンなのでした!」

 

岩田「なぜだ!なぜ深沢を殺したんだ、蹴上!」

 

蹴上「……ここでテメェらみてぇなクズ共と暮らすのが嫌だったんだよ」

 

蹴上の悪い口調は直らなかった。これが蹴上の本性なんだ。

 

加賀美「まさかモノクマの言葉を信じたの?」

 

蹴上「俺はテメェらと一緒にいるのが苦痛で仕方なかった!モノクマの用意した映像も不快だったがな。あの映像はなんなんだよ、俺が魅才学園を栄光に導いてやるってのに!」

 

香月「まさか籠森と同類だったのね」

 

籠森「殺人鬼と一緒にするな!」

 

弓長「あんなもんを信じたの?」

 

蹴上「うるさい!俺はとにかく外に出たかったんだ!」

 

佐藤「どうして、深沢さんを選んだの?」

 

蹴上「深沢は超高校級の探偵だ。深沢を殺せば楽勝だと思ったのに!」

 

 

 

 

回想

 

 

 

 

蹴上「深沢さん」

 

蹴上は深沢の耳元で話した。

 

蹴上「脱出の糸口が見つかったかもしれない。モノクマに見つからないように深夜0時に浴場に来てくれないか?」

 

深沢「ほんと?分かった!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蹴上「馬鹿な探偵だな。なんも警戒せず、1人で来やがったよ」

 

上条「深沢……!」

 

蹴上「探偵を排除したのに!上条!テメェ、ただの陸上選手のくせに俺の邪魔ばかりしやがって!」

 

加賀美「そういえば上条くん、大活躍だったね」

 

上条「あ、俺は別に……ただみんなの証言をまとめただけで……」

 

モノクマ「時間が押してるからアレ行きますか、アレ」

 

知念「アレってまさか……」

 

上条「処刑!?」

 

蹴上「なっ……い、嫌だ!俺は死にたくない!」

 

蹴上は顔を真っ青にしながら逃げ回る。裁判所のエレベーターを叩くが微動だにしない。

 

蹴上「やだやだやたやだ!死にたくない!嫌だああああああ!!」

 

モノクマ「超高校級のサッカー選手、蹴上秀クンにはスペシャルなおしおきを用意しました!」

 

岩田「やめろ!確かに蹴上は深沢を殺したが、何もそこまで!」

 

モノクマ「では張り切って行きましょう!おしおきターイム!!」

 

蹴上「嫌だ死にたくない!!死にたくなああああああい!!」

 

 

 

 

 

 

 

ケアゲくんがクロにきまりました。おしおきをかいします。

 

 

 

 

 蹴上はチェーンで連れていかれ、巨大なサッカーグラウンドに追いやられた。

 

 

 

 

ペナルティキック 超高校級のサッカー選手 蹴上秀処刑執行

 

 

 

 モノクマがサッカーボールを蹴ってくる。蹴上は反射的に受け止めた。

 よく見るとサッカーボールに火がついていた。爆弾だ。

 蹴上は青ざめて爆弾から離れる。

 しかし何体ものモノクマがサッカーボールを蹴ってくる

 1つは爆弾、もう1つはサッカーボールに模した鉄球。

 避けるのが間に合わない蹴上はサッカーボールを蹴り返した。しかし、それは鉄球で、蹴ってしまった痛みでうづくまる。

 モノクマはボールを蹴るのをやめない。ひたすらボールを蹴り、蹴上は足を引きずりながら避けた。ついに腹、膝、顔面にも鉄球が命中、血が流れる。ついに蹴上は手でサッカーボールを弾く。

 するとモノクマが笛を鳴らし、大量の爆弾を蹴って来た。

 蹴上は逃げようとするが、逃れられる量ではない上、足も顔もやられた蹴上には逃げることすら敵わなかった。

 大きな爆発が起きる。

 煙が晴れた頃には大量の血と原型を留めていない蹴上のバラバラの身体しかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モノクマ「エクストリーーーーム!」

 

岩田「蹴上ーーーーーっ!!!」

 

加賀美「なんてことを……」

 

モノクマ「いやーこの快感は新しい生命の誕生のアレソレより気持ちいいよね!」

 

絵馬「もう嫌!家に帰して!」

 

知念「酷すぎるよ」

 

上条「許さない!許さないぞモノクマ!」

 

モノクマ「は?」

 

上条「お前は2人も殺したんだ!」

 

モノクマ「なに言ってんだよ、深沢さんを殺したのは蹴上クンでしょ?蹴上クンは秩序を乱したからおしおきしただけだよ」

 

上条「お前がこんなところに閉じ込めなければ、こんなことには!」

 

モノクマ「全く、最近の若者は責任転嫁するねぇ」

 

上条「クソ、お前、ふざけるな!」

 

俺が拳を振り上げた時、監原が肩を掴んだ。

 

監原「もうやめろ、上条。お前まで死ぬぞ」

 

上条「でも……!」

 

監原「ここは耐えろ。耐えるしかない」

 

佐藤「これ以上、誰も死んで欲しくない」

 

上条「佐藤……監原……」

 

モノクマ「女子更衣室の邪魔な『モノ』は片付けたから安心してね」

 

モノクマの物言いにみんな何も言う気がなかった。

 

弓長「ねぇ帰ってもいい?この茶番、飽きたんだけど」

 

加賀美「弓長さん!人が死んでるのにそんな言い方!」

 

絵馬「あんたは蹴上と同類よ!」

 

香月「俗に言う、サイコパスってところでしょうね」

 

モノクマ「あ、もう帰ってもいーよ」

 

モノクマがそう言うとみんなゾロゾロと帰り出した。

 

上条「クソ……」

 

岩田「……」

 

岩田は青ざめたまま、立ちすくしていた。

 

岩田「俺は蹴上のこと何も知らなかった。同じスポーツ仲間だと思っていた。俺は……!」

 

上条「岩田は悪くない。まだ俺らは1週間も経ってなかったんだ。それに岩田は籠森が犯人じゃないって証明に協力してくれたじゃないか」

 

岩田「……励ましてくれてありがとう。すまない」

 

 トボトボと岩田も帰っていった。

 

 

 

 

 俺も個室に戻った。何も食べる気がしない。昼食の時間はとっくにすぎていたが色々起こりすぎて疲れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 薄暗い一室でモノクマは呼びかけていた。

 

 

モノクマ「案外早くに殺人が始まったね。でもまた次起こるからわかんないよ。『君たち』にも活躍してもらわないといけなくなるかもしれないんだからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

生き残りメンバー 14人



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter2 敗北なんて、あるわけない
Chapter2 (非)日常編


5日目

 

 

 

 朝、食堂に向かうと籠森と弓長が相変わらずいないものの、メイビーも含め、『12人』か集まった。

 空気は重く沈んでいた。

 

 

岩田「よし!みんなでトレーニングと行くか!」

 

上条「なんだよいきなり……」

 

岩田「辛いことがあった時は何かに打ち込むのが一番だ!」

 

香月「トレーニングしすぎで脳味噌まで筋肉になってしまったのですね」

 

監原「そうだ、香月、アロマとかないのか?少しはリラックス出来るかもしれない」

 

香月「あるばすぐに使いますよ、あれば」

 

つまり無いってことか。

 

 

モノクマ「やあ」

 

 

 

加賀美「じゃあもう一度探索する?気が紛れるでしょ」

 

上条「そうだな、行こう」

 

モノクマ「無視するなーーー!せっかく良い情報を教えに行こうと思ったのに」

 

絵馬「どうせロクなことじゃないでしょ!」

 

モノクマ「ロックなことだよ」

 

式野「ロックなことだと?どう言うことだ?」

 

いきなり食いついたな、式野。

 

モノクマ「旧校舎に行けるようになりました。そして新しいルールが適用されまーす」

 

監原「旧校舎?」

 

モノクマ「はい。それと君たちを2つのグループに分けまーす!B班は旧校舎に泊まってもらいまーす」

 

上条「B班ってどういうことだよ!」

 

モノクマ「いつも通り寄宿舎に泊まる、A班は、監原クン、知念クン、絵馬さん、佐藤さん、岩田クン、式野クン、弓長さん。B班には上条クン、将口クン、星野さん、加賀美さん、香月さん、籠森クン、メイビークン」

 

岩田「俺たちをそんなグループに分けてどうするつもりだ!」

 

モノクマ「簡単です。夜時間はA班は旧校舎に、B班は本校舎に入ってはダメということだけだよ。校則に追加するね」

 

 

12. 夜時間はA班が旧校舎に、B班が本校舎に入ることを禁じます。

 

 

 

監原「なんでそんなことをするんだよ」

 

モノクマ「学級裁判を勝ち抜いたご褒美に行ける場所を増やしてあげたのに酷いなぁ」

 

加賀美「行ける場所を増やしたのはおいといて、なんでグループを分けるのかな?」

 

絵馬「優子と離れ離れじゃない!」

 

香月「何か意図を感じますね」

 

モノクマ「あと魅才学園の2階も開放したからね。僕ってシンセツなクマだなぁ。きっと僕のような優しいクマはどんな人でもリラックスさせられるね」

 

加賀美「もし夜時間にA班が旧校舎に、B班が本校舎に入ったらどうなるの?」

 

モノクマ「ブンブンな巣だよ」

 

メイビー「ようは蜂の巣か」

 

知念「従うしか……ないよね」

 

モノクマ「旧校舎にも寄宿舎があるから安心してね」

 

加賀美「わかったわ、行けばいいんでしょ。もうどっか行って!」

 

モノクマ「はーい」

 

式野「待て、ロックの話は!?」

 

監原「お前指揮者だろ、何食いついてんだ?」

 

式野「……」

 

加賀美「そうね、B班は旧校舎を探索してA班は2階を探索しようか。終わったら本校舎側の寄宿舎の食堂に集まろうか」

 

 

 監原や知念とは別か。いつも監原や知念と話してたしな。残るは将口とメイビーと籠森か。一番話しやすそうなのは将口くらいだな。

 

 

上条「将口!一緒に探索しないか?」

 

将口「構わない」

 

電子生徒手帳の地図で調べてみる。

 

将口「っ……!娯楽室!?娯楽室に行ってみないか!?」

 

上条「あ、ああ……」

 

 将口は駆け足で娯楽室に向かった。俺はその後を追う。間に合わないことはないが、俺が早歩きしなきゃいけないくらいのスピードだ。どうしたんだ、将口……。

 

俺たちは渡り廊下を通った。渡り廊下はガラス張りで外、青空が見える。

 

上条「すごい!外が見える!」

 

脱出出来るかもしれないという、俺の希望を粉々に打ち砕いた。

 

 

 壁、壁壁壁壁。

 

 

 

 

 とにかく高い壁が学園を覆うようにそびえたっていた。

 

 

上条「……」

 

監原「上条、空を眺めてるところ悪いけどさ」

 

上条「あ、ぁぁ……うん」

 

監原「渡り廊下の半分は本校舎で残り半分は旧校舎だから夜時間には気をつけた方が良いぜ?ガトリングガンされる」

 

相変わらず、ガトリングガンがあるのか……。

 

監原「将口は追わないのか?」

 

上条「そうだった!」

 

 

 

 

 

 

 娯楽室に向かうと既に将口の姿があった。

 

将口「やはりあった!将棋が!」

 

上条「将棋?ああ、それを探していたのか」

 

将口は超高校級の棋士だもんな。

 

将口「個室に持っていっても構わないか……?」

 

上条「いいんじゃない?」

 

やりたいの多分、将口ぐらいだし。

 

将口「上条もやらないか?将棋」

 

上条「い、いや。ルール分からないし……」

 

将口「教える。私が一流にしてあげよう」

 

将口めちゃくちゃ迫ってくる!お前そんなキャラか!?

 

上条「い、今は探索だろ!報告会もあるし!」

 

将口「そうか……」

 

そんなしょんぼりしなくても……。

 

上条「食堂があるみたいだ、行ってみようぜ」

 

将口「ああ……」

 

わかりやすくテンションが……。

 

 

 

 

加賀美「狭いけどここにも食堂があるんだね。たまには気分転換に利用するのも良いかも」

 

上条「加賀美はここを調べてるのか?」

 

加賀美「うん。でも食堂だってのにあまりにも埃っぽいよね。いくら旧校舎って言っても誰も手入れしてないのかな」

 

将口「確かに、娯楽室も埃っぽかったな」

 

加賀美「うん!掃除が捗るわ!モノクマはあたしへの挑戦してるのよ!ピカピカにするから待っててね!」

 

将口「探索はどうした!?」

 

お前もさっきそんな感じだったけどな。

 

上条「ここは加賀美が見るみたいだし、俺たちは別の場所を探索しようぜ」

 

将口「そうだな」

 

 

 

 保健室には包帯やベッドが置いてあった。その中に医療用キットがあった。

 

 

上条「風邪薬、胃薬、頭痛薬、睡眠薬……ビタミン剤も。しばらく病気には困りそうもないな」

 

将口「睡眠薬か。ここ5日最近眠れないから助かる」

 

 確かに寝れる環境じゃないしな。

 

上条「消毒薬に……」

 

上条「これ……」

 

将口「どうした?」

 

上条「輸血パックだって」

 

将口「輸血パック……。使うような事態にならないといいな」

 

上条「そうだな」

 

将口「それにしても、薬も薬剤師が必要だし、輸血パックで素人が輸血できるものだろうか」

 

上条「どういうことだ?」

 

将口「ここは魅才学園ではないんだろうな。学校なら薬や輸血パックは置いていないし」

 

上条「裁判所がある時点で魅才学園じゃないと思う」

 

将口「確かに」

 

上条「うわっ、棚にびっしり輸血パックがある」

 

将口「血液型に対応してるな」

 

上条「……使う事態にならないでくれ」

 

メイビー「君たちも保健室の調査してるんだ」

 

上条「メイビーもか?」

 

メイビー「今回は本校舎も二階を含めてかなり行ける範囲が広い。つまり誰かが殺人を実行した時、証拠が掴みづらくなる」

 

上条「殺人!?もう殺人なんか起きたりしない!」

 

メイビー「どうかな。君は深沢が殺されたのにまだそんなこと思うの?そんな甘い考えだから深沢は殺されたんじゃないの?」

 

上条「な、こいつ!」

 

俺がおもわず拳をふるいあげた。しかし将口に腕を掴まれる。

 

将口「やめろ上条。私たちが争っていてはなんの解決にならない」

 

上条「でも!」

 

メイビー「……忠告しただけだよ。殺人が起こらないのならばそれで良いんだから。でも君だって信頼出来ない人がいるはずでしょ?それで殺人は起きないという過信は……命取りになる」

 

メイビーはそれだけ言って去ってしまった。

 

 

上条「クソ……」

 

将口「メイビーの意見に賛成するわけではないが、なるべく2人以上で行動しないか?」

 

上条「将口……!?」

 

将口「なるべく一緒なら殺される心配もないだろう。仮に殺されたら1人が怪しまれる」

 

上条「将口!」

 

将口「私は色々な手を読んでいる。私の最善手が相手の最善手とは限らない。あらゆる可能性や手を考えた上で自分の手を打つ。これは私の主義だから同調して貰おうと思ってはいない」

 

上条「……」

 

将口「探索を続けようか」

 

 

 

 

 

 

 一方。本校舎2階

 

 

監原「2階、広いが教室ばっかだな」

 

知念「弓道場があるみたいだよ」

 

監原「行ってみるか」

 

 

弓道場には桜が舞っていた。

 

知念「すごい!桜だ!」

 

監原「ニセモンだけどな」

 

 

 

 

弓長「アンタらここに何かようでもあんの?」

 

監原「弓長か。やっぱり嬉しいだろ、ここ。超高校級の弓道家にとっては」

 

弓長「うるさいんだけど、消えてくれない?」

 

監原「ひぇー、分かりましたよ。全く」

 

 

知念「怒られちゃったね」

 

監原「仕方ないな。別の場所探索するか」

 

 

2人は化学室に来た。

 

知念「化学室だって」

 

監原「うわっ、毒とか色々あるじゃん。モノクマの奴、何がなんでも俺たちに殺人させる気だな」

 

知念「食事とかに混ぜられたらヤバイね」

 

監原「処分とかするか」

 

知念「そうだね」

 

監原「あっ、ストップ。ガスマスクとかしないと毒を吸い込むぞ。俺だって毒薬に完璧に詳しいわけじゃないんだからな」

 

知念「そうか。じゃあガスマスクを探すまで秘密にしようね」

 

監原「隠しておくか」

 

 2人は薬品をダンボールに詰めて、棚に置いた。

 

監原「熱心に調べる奴がいたらアウトだけどな」

 

知念「そうだね」

 

 

 

 

 

 2人は図書室に来た。

 

 

岩田「2人も図書室に来たか。小難しい本ばかりだぞ」

 

監原「別に難しい本なんかないけどな」

 

知念「なんだ?これ?誰かの日記みたいだけど」

 

知念は日記を広げた。

 

 

 3月3日

 我々の研究は遂に成功した

 近いうちに実質的な人類の不老不死が可能になる

 記憶をコントロール出来れば人類は死から解放される

 人類は新たなステージに上り詰めたのだ。

 

 

 

 

 

 

監原「なんだこれ?」

 

知念「不老不死?何を言っているんだ」

 

監原「ふろーふしなんて無理で決まってるし、俺は不老ならともかく不死は嫌だね」

 

知念「きっとモノクマのいたずらだよ気にしないでおこう」

 

モノクマ「いたずらじゃありませーん!」

 

知念「うわっ!いきなり出てくるな!」

 

モノクマ「その日記は本物だよ」

 

監原「うるさいな。仮に本物だとしてお前や俺らになんのメリットがあるんだ。帰れ」

 

モノクマ「帰るよカエルじゃないけど帰るよ」

 

知念「さっさと帰れ!」

 

パッとモノクマが消えた。

 

監原「とりあえず、本校舎の食堂に行くか」

 

 

 

加賀美「報告ある人ーー?」

 

上条「俺たち旧校舎組は娯楽室と食堂と保健室を調べた!」

 

加賀美「食堂はここより狭かったし掃除しなきゃいけないところがたくさんあったわ。何より旧校舎は掃除しなきゃいけないところがたくさんあったわ!」

 

将口「娯楽室には将棋があったな。将棋は私が持っていくが異論はないか?」

 

監原「あ、ああ……異論はない」

 

みんな引いてるよ……。

 

上条「あと、保健室には風邪薬や胃薬やら色々置いてあったから使いたい人は利用した方が良いかな」

 

監原「俺たち2階組は図書室や弓道場とか見つけたな」

 

知念「あとは化学室くらいかな」

 

式野「つまり、脱出の手がかりはないと」

 

式野のそう言うとみんなの顔が暗くなった。

 

星野「良いことはあるよ」

 

加賀美「どうしたの?星野さん」

 

 あまり喋らない星野が喋り出した。何か見つけたのか。

 

星野「外が見えた」

 

岩田「あの渡り廊下か?確かに外が見えたが……」

 

香月「外が見えるってだけで、出られないじゃないですか」

 

監原「強化ガラスだったし、ガラスを割ったところでまるで映画の世界みたいな壁に囲まれてたしな」

 

星野「違うよ?星が見えるよ?」

 

絵馬「へ?」

 

星野「これから綺麗なお星様がいっぱい見れるよ」

 

香月「能天気ですね」

 

式野「おい、僕らは必死に脱出の糸口を探してるんだ」

 

星野「お星様を見ればみんな元気になるよ」

 

香月「バカ言ってるの、この人?」

 

監原「お前は超高校級の天文部だから星が見れて嬉しいだろうが……」

 

加賀美「でも星野さんの言うことは一理あるよ?そんなに後ろ向きだったら深沢さんも報われないじゃない」

 

メイビー「また殺人が起きないようにするためにもあまりネガティブな考えはよくないよ」

 

上条「殺人なんて……!」

 

岩田「ま、脱出ももちろんだが、ここでの生活をより良くするのも悪くないんじゃないのか?」

 

式野「僕はさっさと脱出したいが……」

 

加賀美「今回はこんなところで解散する?各自で行動しようか?」

 

監原「そうだな。それぞれやりたいことは違うだろうしな」

 

その日は俺たちはA班B班が入れ替わりで探索したが、特に成果を得られずに終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter2 (非)日常編2

6日目

 

 

 

モノクマ「オマエラ、全員、体育館にお集まりください。15分以内に来なかったらクマの大好物の蜜の巣だよ」

 

 テレビモニターでモノクマが放送を流した。

 

上条「だから普通に蜂の巣って言えば良いだろ……」

 

 

モノクマに呼び出された以上は行くしかない。多分、籠森や弓長だって……。

 

 

 

 俺たちは体育館に集まった。籠森や弓長も来た。

 

 モノクマもピョンと飛び出した。初めて見た時みたいに。

 

モノクマ「いやぁ、みんな元気かい?」

 

香月「元気かどうかなんてどうせ監視してる癖に」

 

知念「あんなことがあって元気でいられる訳ないよ」

 

モノクマ「皆さんに見てもらいたいものがありまーす!」

 

モノクマがそう言うとスクリーンが降りてきた。

 

加賀美「またあたしたちに何を見せる気?」

 

モノクマ「そうだよ?みんな探索ばかりで飽きちゃうでしょ?」

 

岩田「クソ、次は何を見せる気だ……!」

 

 モノクマは映像を再生した。

 

 

 

 

インタビュアー「では超高校級の皆さんに集まって貰いました」

 

「はい、超高校級の陸上選手です」

「私のお墨付きですよ」

 

 超高校級の陸上選手?超高校級はそれぞれ1人しか存在出来ないんじゃないのか?

 それになんで父さんがいるんだ!

 

上条父「彼なら間違いなく、金メダルがとれますよ」

 

上条「なんでだよ!散々俺に期待しておいて今更!」

 

監原「落ち着けよ、上条。どうせ捏造だ」

 

 

正二「彼はすごいよ、私たちのライバルになれる」

「ライバルなんていいすぎですよ。あなたを前に超高校級の映画監督なんて荷が重いです」

 

 

監原「父さん……!?」

 

 

「私は間違いなく、至上最高超高校級の弓道家です」

「超高校級の探偵になりました。名に恥じぬよう頑張ります」

「超高校級のサッカー選手です。超高校級なんて……光栄です」

「私は超高校級のパティシエールとして、未来のお菓子作りを担います」

「超高校級の美化委員として世界中を綺麗にします」

「もう私を超えるイラストレーターなんて出てこないですよ」

「超高校級のロッククライマーとして、ボルタリング選手として、日々精進します」

「星、星、きれーだなー」

「超高校級のゲームクリエイター記念として、新作を開発中です」

「超高校級ではなく、超宇宙級の指揮者と呼んでくれ」

「超高校級のセラピストなんて大袈裟ですよ……」

「超高校級の棋士と呼ばれても、これからの僕が変わることはありません」

 

 

「こいつは間違いなく良いバスケ選手になる」

「ありがとうございます、師匠」

「期待しているぞ、超高校級のバスケ選手」

 

 

籠森「?な、なんで……師匠……俺……」

 

 

 

 さすがにみんなざわついていた。

 

加賀美「超高校級は原則1人しか存在出来ない。なのになんでもう1人いるの?」

 

将口「捏造だと思いたいが、将棋協会の人はしっかりいたな」

 

式野「何が超宇宙級だ、ふざけるな」

 

絵馬「何が私を超えるイラストレーターはいないよ!私が最高のイラストレーターなんだから!」

 

佐藤「お母さん、いた……」

 

香月「バカバカしい」

 

知念「また僕の才能の……記憶の手掛かりはなかった。クソ、僕は……」

 

 

籠森「師匠が俺を……俺を裏切るはずが……!おい、モノクマ!あれは一体なんなんだ!」

 

モノクマ「外の世界の映像だよ?」

 

籠森「そんなはずない!師匠が俺を裏切るわけないんだ!」

 

岩田「落ち着けよ籠森。あんなん捏造だ」

 

モノクマ「本物だよーーーー!」

 

籠森「俺が……」

 

岩田「?」

 

籠森「俺がプレゼントしたお守りを持ってた。あのお守りは俺が作ったんだ……」

 

岩田「だ、大丈夫だよ。あんなの捏造だから」

 

籠森「あれはメディアに出さなかったんだぞ!それを真似することなんて……」

 

岩田「で、でも超高校級はその分野で1人しかなれない。お前が超高校級である以上は捏造なんだ」

 

式野「だが、それって僕らが格下げされたとかだと本物になるかもな」

 

岩田「な、何!?」

 

弓長「私が格下げ?バカいわないで」

 

将口「自惚れるわけではないが、私以上に強い高校生棋士がいるとは思えないな。私の実績を考えると私が高校生でなくならないと私に追いつける棋士なんて……」

 

加賀美「あんまり深く考えないの!どうせ捏造なんだから」

 

モノクマ「外の世界が見れて嬉しい?嬉しいよねぇ?」

 

加賀美「ここで解散……」

 

モノクマ「無視するなあああああ!」

 

籠森「うわああああああ!」

籠森は叫び声を上げながら出て行った。

 

岩田「おい籠森!」

 

それを岩田が追いかける。

 

 

 

 

上条「クソ、なんなんだ、あの映像!ふざけんな!」

 

監原「マジになんなよ。あんなの捏造だろ?」

 

上条「俺に期待して持ち上げて!飽きたら他の超高校級かよ!ふざけんな!」

 

佐藤「上条くん」.

佐藤が真剣な面持ちで近寄ってきた。

 

佐藤「あれが本当でも捏造でも……変わらない。モノクマはああやって殺人を煽るつもりなんだよ」

 

上条「分かってる。あんなもんに乗せられたらモノクマの思う壺だって。でも……」

 

佐藤「苦しいのは分かるよ。だからみんなで分かち合おうよ」

 

上条「佐藤……」

 

佐藤「私だって超高校級というプレッシャーが強かったから……」

 

 俺が微笑みかけたその時

 

星野「でも良かったよね」

 

式野「何が良かったんだ?」

 

星野「私たちはつまらない才能から解放されたんだ。才能の囚われた私たちはもう見世物じゃなくなったんだよ」

 

加賀美「星野さん……」

 

式野「見世物?僕が見世物だって言うのか!」

 

加賀美「式野くん?」

 

式野「お前みたいなつまらない才能ではない!僕は世界を背負う指揮者だ!これは大きな問題だ!あんなチャラい奴が指揮者なんて認めない!」

 

星野「君は才能に囚われてるだけだよ」

 

式野「な、なんだと……!」

 

加賀美「ちょっと!喧嘩はやめなよ!」

 

監原「そんなんじゃモノクマの思う壺だぞ!」

 

加賀美「星野さん。あなたがどう思うかは勝手だけど、そう言うこと言っちゃダメだよ」

 

 雰囲気が悪くなってしまった。そんな時

 

 

岩田「大変だ!籠森が階段から転げ落ちた!!」

 

加賀美「ええっ!?」

 

上条「籠森が!?」

 

監原「どんな状況なんだ?」

 

岩田「意識がなくて、その……」

 

監原「直接行った方が良いな」

 

 

 

弓長以外の全員が1階の階段前に集まった。

 

 

監原「血は出てないな」

 

籠森「うぅ……」

 

知念「意識あるのかな?」

 

岩田「大丈夫か!籠森!」

 

籠森「し、師匠……」

 

監原「意識はあるみたいだが……」

 

加賀美「どのくらいの高さから落ちたの?」

 

岩田「5段くらいだ」

 

監原「アクション映画を撮る時に準備で怪我したスタッフがいたから分かるんだが、意識があってもしばらくは安静にさせなきゃダメだ。ここはちゃんとした医療が受けれないから尚更だ」

 

上条「旧校舎の保健室に連れていこう」

 

岩田「俺が背負うぞ!」

 

 

 保健室で籠森を寝かせた。

 

監原「後は1日2日安静にさせればいいんだが……」

 

加賀美「勝手に動きそうだよね」

 

岩田「俺が看病する」

 

知念「そういえば、岩田くんってA班だよね。夜時間は寄宿舎に戻らないと」

 

加賀美「ならあたしが看病する」

 

監原「任せたぜ」

 

 とりあえず、籠森のことは岩田と加賀美が面倒を見ることになった。

 

 

 

上条「あんな奴だけど心配だな」

 

将口「奴の不安は分からなくもない。あの映像に出ていた将棋協会の人間は本物に見えた」.

 

上条「あれは父さんだよ、見間違いなはずない」

 

将口「本物だとして私たちは殺人を犯すわけにはいかないんだ。私たちには心を整理する必要があるな」

 

そんなこと言ってたその日のうちに殺人が起きたんだけどな。いや、そんなこと考えてたらダメだ!殺人なんか起きないんだ。

 

将口「とりあえず、今日はどうする?」

 

上条「部屋で1人になりたい。なんか色々と疲れたよ」

 

将口「そうだな、今回は探索をやめにしよう」

 

俺と将口は別れ、俺は個室に向かった。

 

 

 

 

上条父「彼なら間違いなく、金メダルがとれますよ」

 

クソ、散々俺に期待した癖に……。

 

 

上条「ムカつく!」

 

 俺は一旦深呼吸をした。

 

上条「今日はもう寝よう。寝るんだ。」

 

 

 

 

 

 

籠森「チッ、俺は部屋に戻らせてもらうぞ!」

 

岩田「ダメだって安静にしてないと」

 

籠森「俺なんかどうなったってお前には関係ないだろ!」

 

岩田「関係無くない!俺はお前に死んで欲しくない」

 

籠森「なんでそんなに俺を!」

 

岩田「蹴上は……俺がしっかりしてなかったから死んだんだ。あいつの苦しみを分かってやれなかった」

 

籠森「なっ、あんな自己中のことを……!あれはあいつの自業自得だろうが!」

 

岩田「俺を心配してるのか?」

 

籠森「違う!うるさい!消えろ!」

 

岩田「なら、代わりに動かないで安静にしてくれ」

 

籠森「黙れ!動く!」

 

岩田「籠森……医者がいない今、死ぬかもしれないんだぞ?」

 

籠森「チッ、勝手にしろ!俺に触れるな!」

 

 2人のやりとりが続いている中、ガラッと何者かが保健室のドアを開けた。

 

岩田「弓長!どうしたんだ?」

 

弓長「なに?保健室を利用して悪いの?」

 

岩田「そんなわけではないが……」

 

弓長「弓道してて怪我しただけ」

 

岩田「そうか、気を付けろよ」

 

籠森「……」

 

 

 

 

 

 

加賀美「籠森くーん?夕食食べた?」

 

籠森「ウザいな」

 

加賀美「食べないと死ぬよ?持って来てあげたから」

 

籠森「だからウザいって!」

 

加賀美「ウザいなんて言われるの、慣れてるから平気よ。あんたほんと弟そっくり。素直じゃないとことか」

 

籠森「うるさい!」

 

加賀美「ほんとーは、あんた……」

 

籠森「黙れ黙れ黙れ!」

 

加賀美「……」

 

籠森「黙れるなら最初から黙ってろ!」

 

 

 

 

 

 

 

7日目

 

 

 朝、食堂には信じられない光景があった。

 

 

上条「嘘、だろ?籠森……?」

 

岩田「今日からは籠森もみんなと食事を取ることになったぞ」

 

籠森「勝手に決めるな!岩田と加賀美がしつこいから……」

 

加賀美「はいはい。分かった分かった」

 

上条「俺は全然分からないぞ!」

 

監原「簡単に言うと岩田と加賀美に懐いたんだよ」

 

籠森「そんなんじゃない!俺はただ2人に借りを返すつもりなだけだ!」

 

どう見ても懐いてる。

 

監原「でも、今日いっぱいは安静にしとけよ?」

 

籠森「……」

 

岩田「そんなわけで1人増えた朝食だ!」

 

加賀美「張り切って作ったからね!」

 

籠森「……」

 

加賀美「どう?美味しい?」

 

籠森「……美味しい」

 

加賀美「やった、ありがとう籠森くん」

 

籠森「……なんで」

 

加賀美「え?」

 

籠森「俺は食べてるだけなのになぜお礼を言う?」

 

加賀美「だって、美味しいって言われて嬉しいんだもん」

 

絵馬「美味しい、美味しいわ優子!」

 

監原「佐藤と将口の作った料理も美味しいぞ」

 

知念「えっと……舌が覚えてる限りだと一番美味しい!」

 

岩田「美味いぞ!加賀美!」

 

上条「最高だよ!」

 

加賀美「みんな、そんな褒めないでよ、恥ずかしい」

 

 なんだか少し結束が高まって来た気がする。籠森が朝食に来てくれたことこそが、何かの前進。そんな気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter2 自由行動

式野「……」

 

上条「式野?どうしたんだ?」

 

式野「最近、音楽が聴けないからストレスが溜まっているんだ」

 

 俺は式野と過ごすことにした。

 俺は式野に古びた楽譜をプレゼントした。

 

 

式野「こんなもの一体どこで!?……ありがとう」

 

こんなに喜んでくれるとこっちも嬉しくなるな。

 

式野「しかし、この学園には音楽が足らない。つまらないアナウンスをするくらいなら、音楽くらい流して欲しいな」

 

上条「確かに。テレビも見れないし、スマホもラジオも無いもんな」

 

式野「この窮屈さで僕らを追い込むとは、モノクマ、やりおる!」

 

上条「式野はどう耐えてるんだ?」

 

式野「いっそ、自分自身で生み出すのさ」

 

上条「生み出す?」

 

式野「ゴミを集めて楽器を作る」

 

上条「ゴミで!?」

 

式野「かつての人類は石などで音を奏でて見いた。僕らは試されているのさ!」

 

行ってしまった。

 よくわからないが、式野の仲良くなれたみたいだ。

 

 

 

 

 

岩田「上条!一緒に特訓しないか!」

 

上条「え?まあ……」

 

岩田とトレーニングして過ごした。 

 俺は岩田にスポーツタオルをプレゼントした。

 

岩田「こんなもの、貰って良いのか!?ありがとう!」

 

 こんなに喜んでくれるとこっちも嬉しくなるな。

 

岩田「上条、ここはトレーニングがしづらいな」

 

上条「まあ、室内だし」

 

岩田「筋トレは出来るが……ボルタリング出来る場所がないな!モノクマの奴め!」

 

そもそも魅才学園にボルタリング出来る場所があるかどうかすら怪しいけど。

 

岩田「だが!どんな困難な状況でもトレーニングすれば元気になれるぞ」

 

上条「元から元気そうだけど」

 

さらに岩田にトレーニングを付き合わされた。体育会系じゃないときついだろうな。

 

 岩田と仲良くなれたみたいだ。

 

 

 

 

 

 

将口「上条か?」

 

上条「何してるんだ?」

 

将口「外のことを考えていてな」

 

将口と過ごすことにした。

 俺は将口に墓石をプレゼントした。

 

将口「こんなものどこに!?ありがとう、とても嬉しいよ、上条」

 

こんなに喜んでくれるとこっちも嬉しくなるな。

 

将口「閉じ込められると外の世界がいつも以上に気になるな」

 

上条「確かに」

 

将口「母さんたちが心配しているだろうし、兄さんや姉さんや妹や弟も」

 

上条「将口って兄弟多いんだな?」

 

将口「あ、あれ、言ってなかったか?」

 

上条「いや」

 

将口「私は孤児院育ちだ」

 

上条「そうなの!?兄弟って……」

 

将口「同じ孤児院で育った者は家族だ」

 

上条「そういうことか」

 

将口「私の孤児院では多くのプロ棋士を輩出している」

 

そうなんだな……。

 

将口と仲良くなれたみたいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter2 (非)日常編3

8日目

 

 

 俺たちがこの学園に来て一週間が経過した。それなのに助けらしい助けは来ない。昨日とは打って変わって朝食会の雰囲気はどんよりしていた。

 

 

絵馬「嫌ぁ!もう耐えられない!」

 

加賀美「一帆ちゃん……」

 

絵馬「一週間もアニメ見れてないなんてもう嫌!お家に帰してよぉ!」

 

式野「うるさい!僕だって早く外に出たいんだ!」

 

式野のその言葉で周りがどよめく。

 

香月「あら、あなた、殺人でもするつもり?」

 

式野「そういう意味で言ったんじゃねぇよ!なんでそうなるんだ!」

 

加賀美「やめなよ、2人とも」

 

岩田「そうだぞ、喧嘩はよくない」

 

監原「おいおいどうしたぁ?ピリピリしてるな」

 

メイビー「もう8日目だもんね。それはピリピリするよ」

 

加賀美「はいはい、喧嘩はそれくらいにして。それより、コンソメスープの味はどう?」

 

知念「どうって?美味しいけど……?」

 

上条「うん」

 

監原「濃い目だから俺はこっちの方が好きかなぁ」

 

加賀美「良かったね、籠森くん」

 

籠森「っ、おい!それは言わない約束だろ!?」

 

朝食を作る係である加賀美と将口と佐藤以外の視線が一斉に籠森に向いた。

 

式野「どういうことだ!」

 

佐藤「籠森くんが朝食の準備手伝ってくれたんだ」

 

将口「彼はコンソメスープを作ってくれたんだ。今まで自炊してたみたいだし、料理の腕は悪くないようだ」

 

岩田「籠森……」

 

 籠森が俺たちに協力してくれたのか?

 

籠森「お前らのためじゃない!借りを返すだけだからな!」

 

岩田「籠森だって俺たちの仲間になったんだ!俺たちが喧嘩してる場合じゃない!」

 

籠森「だから仲間になった覚えなんて……」

 

星野「好きにすれば良いと思うよー」

 

上条「星野?」

 

星野「私は星さえ見れれば良かったから」

 

加賀美「星野さん!」

 

メイビー「俺も好きにさせてもらうよ」

 

式野「もういい、僕も好きにする」

 

知念「みんな……」

 

香月「自己中な方達ですね」

 

 星野、メイビー、式野行ってしまった。クソ、籠森が来て団結したと思ったのに!

 

モノクマ「友情は線香花火より儚いものですなぁ」

 

上条「うわっ!何しに来たんだ!」

 

モノクマ「クマー!オマエラ、なんで殺人しないの!動機を出して2日も経ってるんだよ!」

 

佐藤「私たちは殺人なんかしない」

 

監原「言いたいことはそれだけかよ、帰った帰った」

 

モノクマ「僕の存在って……」

 

 監原に言われた通り去っていった。

 

加賀美「とりあえず、今回も探索しようか。籠森くんも手伝うよね?」

 

籠森「探索なんて1人で出来るだろうが。俺はこれくらいにさせてもらう」

 

岩田「おい、籠森!」

 

籠森も行ってしまった。

 

香月「自己中な人ばかりですね」

 

監原「でも籠森の言う通り、探索自体は単独で出来るし、みんなそれぞれ探索すれば良いんじゃないか?」

 

加賀美「それもそうね。各自探索開始ね」

 

 

 

 

 

 

 そして今日もまた収穫はなかった。

 夕食には、式野も星野もメイビーも籠森もいなかった。

 

監原「おいおいこれだけかよ……」

 

知念「来ないね……」

 

岩田「籠森を誘ったんだが……」

 

絵馬「優子の料理が食べられないって言うの!」

 

香月「予想通りですね」

 

佐藤「……」

 

将口「料理が余ってしまうな」

 

上条「俺、みんなを呼んでこようか?」

 

加賀美「お願いね。足が速い人がいると助かるわ」

 

岩田「俺が待ってるって伝えてくれ」

 

加賀美「残りの人は盛り付け手伝って!」

 

 

 

 俺はそれぞれの部屋に向かった。

 

 旧校舎と本校舎を繋ぐ渡り廊下に星野がいた。

 

上条「星野!夕食だぞ!来いよ!」

 

星野「……あとで行く」

 

上条「あとでって……」

 

俺はメイビーの部屋に向かった。

 

上条「メイビー、夕食できたんだけど……」

 

メイビー「作ってくれたの?」

 

上条「うん」

 

メイビー「なら食べないのも悪いな。行くよ」

 

メイビー、悪い奴じゃないんだろうけど……。

 

 次は籠森か。岩田か加賀美が行った方が良いのに。

 

 

上条「籠森ー?」

 

籠森の部屋のインターホンを鳴らした。

 

籠森「なんだ」

 

上条「夕食出来たからさ、食べない?」

 

籠森「フン」

 

上条「岩田や加賀美も待ってるよ」

 

籠森「借りは返したはずだ」

 

上条「加賀美がせっかく作ったのに、また借し作ることになるぞ?」

 

籠森「……仕方ないな」

 

 籠森……!ダメもとだったけど来てくれるのか。

 

 あとは式野か。

 

 

 

式野「わざわざ作ってくれたのか。行かないわけにいかないな。僕が悪者になる」

 

上条「式野……!」

 

 

とりあえず、星野以外は集まってくれた。

 

 

 

加賀美「籠森くん、来てくれたんだ?嬉しいな」

 

籠森「勘違いするな。勝手に作ったから食べるだけだ」

 

あー、そういうのツンデレって言うんだよな。

 

監原「ずっと加賀美たちに作ってもらうの悪いし、明日から俺が作る」

 

上条「俺も」

 

香月「私も作らせてもらいますね」

 

加賀美「みんな……ありがとう」

 

こうして夕食は終わった。

 

 

 

 

 あっという間に夜中だった。

 

上条「うーん足らないな。ポテチとかあれば良いのに」

 

育ち盛りの高校生には辛い。うーん!空腹を紛らわすには……。

 

 

 

 ピンポーン

 

 インターホンを鳴らされた。

 

上条「誰だ、こんな時間に」

 

 今0時だぞ。

 

9日目

 

 

 

将口「起きてたか?」

 

上条「将口!どうして?」

 

将口「睡眠薬を飲んでも寝れなくてな。どうだ?将棋やるか?」

 

上条「でもルールが……」

 

将口「教えよう。私は弟子もいるし、妹や弟たちに教えてるからな」

 

上条「確か将口は孤児院で育ったんだよな?」

 

将口「人に教えるのは慣れている」

 

将口は将棋のルールを手取り足取り教えてくれた。

 

将口「飛車は成ると龍になるし、角行は成ると馬になるのさ」

 

上条「成るとか難しいなぁ」

 

将口「歩を成ると、と金になる。金と同等に動けながら、相手に奪われた時のリスクも低いから安定している。まあ私は安定より攻めを取るな。私なら強い駒で一気に持っていく。相手の先の先を読めば、強い駒を取られるリスクなんてないからな」

 

上条「わ、わかったからさ!実戦しない?」

 

将口「私と実戦?良いだろう。なら19枚落ちで行こうか」

 

上条「19枚落ち?」

 

将口「私は王だけで戦う」

 

上条「は?……はぁぁぁあああ!?俺がいくらルール覚えたての素人で、お前が超高校級の棋士だからって」

 

将口「正式なルールだぞ?実際の棋士の対局にも段差があれば本当に19枚落ちもある」

 

上条「クソ、負けないからな」

 

 

 

 

上条「負けました」

 

将口「覚えたての割にはやるじゃないか。学級裁判で活躍しただけある。頭良いんだな」

 

上条「こんなハンデ貰ってそんなこと言われても……」

 

将口「私が見てきた素人の中ではかなり強い部類に入るよ」

 

上条「少し休憩な」

 

将口「わかった」

 

俺は少し目を閉じた。少し休憩、少し休憩……。

 

 

 

 

上条「はっ、今何時!?」

 

時計を見ると5時だった。熟睡してた。

 

上条「将口起きろ!」

 

将口「うぅ……上条……?」

 

上条「2人して寝落ちしたな。もう戻れよ5時だぜ?」

 

将口「熟睡してしまったな。私は帰るとしよう。付き合わせて悪かった」

 

上条「いや、楽しかったぜ」

 

将口は将棋盤を持って部屋を出た。

 

 

 しかしすぐに戻って来た。

 

 

上条「将口?」

 

将口「……上条、一緒に外に出てくれないか?」

 

上条「ん?どうした?」

 

将口「廊下に血があるんだ」

 

上条「廊下に血!?」

 

将口「いや、まさかとは思うんだが……」

 

上条「血ったてそんな量は……誰かが怪我しただけだろ?」

 

将口「……とにかく来てくれ」

 

将口に言われて部屋に出ると血がポタポタと廊下に続いていた。

 

上条「これは……」

 

将口「渡り廊下に続いてるな」

 

 

俺たちはゆっくり血の跡を追った。

 まさかまさか起きるわけないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 起きる……わけ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺たちが渡り廊下前に見たもの、それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 背中に包丁を刺されて大量の血を流しながら横たわる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 超高校級の天文部、星野のリコの姿だった。

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter2 非日常編

上条「うわああああああぁぁぁぁぁ!!」

 

俺は叫んだ。大量の血が、全く動かないことがもはや星野が生存をしていないことを裏づけているかのように。

 

将口「こんな……あんまりだ……」

 

ピンポンパンポーン

 

 

モノクマ「死体が発見されました。一定の自由時間の後、学級裁判を開きまーす!」

 

 

上条「死体……した……い」

 

 モノクマの声が遠く感じる。

 

 

 

加賀美「なに!?死体!?な、なな、何!?血!?」

 

メイビー「なんだこれは……」

 

香月「なにこれ、血!?いやああああああああ!」

 

籠森「なんだよ、これ……」

 

 B班の皆は廊下の血に驚いているようだった。

 

加賀美「香月さんは無茶しないで。死体はどこに?」

 

 

 

 

上条「こんな、酷すぎる」

 

将口「目を背けたくなる程の血だ」

 

加賀美「上条くん、将口くんって……きゃあああああああああ!?」

 

加賀美も星野の死体に驚いた。

 

メイビー「酷いな。圧倒的な殺意を感じるよ」

 

加賀美「廊下の血って星野さんのものなの?」

 

メイビー「ともかく、A班の合流を待とう。捜査はそこからだ」

 

 

 

監原「何があった……星野ぉ!」

 

知念「うわああああああああああ!!」

 

 続いて監原と知念も来た。

 

岩田「なんだ、誰が……ってうわあああ!ほ、星野ぉ!」

 

 少し遅れて岩田も来た。

 

式野「……!?うわああああああ!」

 

その後から来た式野も悲鳴を上げた。

 

佐藤「っ、星野さん……」

 

弓長「こんな時間に殺人?いい加減にしてよね」

 

絵馬「無理無理無理!死体なんか見れない……」

 

 他3人も来た。

 

 

モノクマ「全員来たみたいですね」

 

上条「モノクマ!」

 

モノクマ「あ、分かってると思うけど、オマエラの中の誰かが星野さんを殺したんだからね。モノクマファイル2を置いとくね。それじゃーね」

 

コトダマ モノクマファイル2

 

上条「くっ、またこんなことやるのかよ」

 

監原「やらねぇと死ぬんだからやるしかない」

 

上条「星野……」

 

俺はモノクマファイルを見た。

 

モノクマファイル2

被害者は超高校級の天文部、星野リコ。

死亡時刻は2時頃。

 

死体発見場所は旧校舎側の渡り廊下前。

 

包丁で背中を刺されている他、腕、肩に傷がある。

また吐血もしている。

 

 

 

加賀美「死体の見張りはあたしと岩田くんでやるわ」

 

岩田「捜査は任せた」

 

上条「うん……」

 

見るのも辛いけど、やるしかない。

 

知念「ぼ、僕は念のために化学室を捜査するね」

 

監原「おう、頼んだぜ」

 

上条「化学室?」

 

監原「詳しいことは学級裁判の時に話す」

 

上条「俺を疑ってるの?」

 

監原「そうじゃない。でも、ここで変な気を起こさせたくないんだ」

 

変な気を起こさせたくない?監原と知念は何を知ってるんだ?

 

 

佐藤「……」

 

佐藤の横に血がついたバスタオルが落ちていた。

 

上条「うわっ」

 

佐藤「これも何かの証拠かもね」

 

上条「うん」

 

 

コトダマ 血のついたバスタオル

 

 

メイビー「上条」

 

上条「メイビー?」

 

メイビー「この廊下の血、星野の部屋からずっと続いてたよ」

 

上条「星野の部屋から?」

 

メイビー「星野は部屋に出入りする直前に刺されたんじゃないかな」

 

上条「ええっ!?でも死体は渡り廊下前にあるのに」

 

メイビー「犯人が運んだか、もしくは刺された後に星野が逃げて、逃げきれずに殺されたか」

 

上条「そんな」

 

 

コトダマ 廊下の血

 

 

監原「それにしても凄い血の量だ」

 

上条「犯人は星野に恨みでもあるのか?包丁が深く刺さってるし」

 

監原「……」

 

上条「どうしたんだ?」

 

監原「血、乾いてないな。星野が死んだのは2時だろ?今は5時回ってるのにあまりにも血が乾いてなさすぎないか?」

 

上条「それは量が多いからじゃないの?」

 

監原「それにしても乾いてない」

 

上条「な、なに、犯人は近い時間に刺したの?改めて?」

 

 

コトダマ 乾いてない血

 

 

監原「乾いてないのはきっと何かあるはずだ。それと犯人にとって乾いた状態で発見されたかったはずた。俺の推測だけどな」

 

上条「うーん……」

 

俺たちは星野の死体に目を向ける。あまりに酷い。白目剥いてるし、包丁は深く刺さってるし、腕なんて傷だらけだ。

 

監原「なんだろう、違和感がある。腕なんか刺しても致命傷になりにくいのに」

 

上条「星野が身体を庇ったんじゃない?」

 

監原「刺しに来てるんだから切りつけても意味ないだろ?庇ったんなら腕にも深い傷があるはずなのに切り傷だけだ」

 

 

コトダマ 星野の腕の切り傷

 

 

監原「ん?左肩にやたらと血が出てるけど、乾いてる」

 

上条「えっ、肩の傷だけ乾いてるの!?」

 

 

コトダマ 左肩だけ乾いた血

 

 

監原「モノクマファイルの吐血も気になるんだよな……」

 

上条「背中を刺されて吐血したんじゃないの?」

 

監原「吐血は病気とかでなるから……うーん、たくさんミステリを見てるけどやっぱ医者じゃねーからわかんね!」

 

 さっきまで頼り甲斐あったのに。

 

監原「そういや、死体を発見したのは誰だ?」

 

上条「俺と将口だけど……」

 

監原「2人だけ?3人じゃないのか?」

 

上条「アナウンスの後に加賀美が来たぞ」

 

監原「死体を3人以上が発見したらアナウンスがされるって前の事件の時にモノクマが言ってたんだ」

 

上条「でも2人だけだよね」

 

監原「犯人を含めれば3人になる」

 

上条「でも犯人が死体を発見したとは言わないんじゃないの?」

 

監原「……まあ良いや。覚えておくだけ覚えておけ」

 

 

コトダマ 死体発見アナウンス

 

 

上条「じゃあ俺は他のところ見に行くから」

 

加賀美「待って、上条くん」

 

上条「加賀美?」

 

加賀美「前の学級裁判の活躍を見込んで伝えたいことがあるのよね」

 

上条「俺に?」

 

加賀美「星野さん、あたしが見た限りだと11時頃も渡り廊下付近で座って天体観測してたわ。2時に殺されたんだろうけど、部屋には間違いなく、11時頃にはいないわ」

 

 

コトダマ 加賀美の証言

 

岩田「すまん、俺はA班だから……よく分からないんだ」

 

上条「それは仕方ないよ」

 

式野「しかし、犯人は決まっているな」

 

上条「え?」

 

式野「だって夜時間はA班は旧校舎に入れないんだ。星野は2時に殺されたんだ。犯人はB班だ」

 

女子更衣室の時もそうだったけど、決めつけて良いのか?

 

コトダマ 本校舎と旧校舎の出入り

 

 

 

将口「上条」

 

将口は渡り廊下を捜査してるのか?

 

将口「渡り廊下の真ん中付近に血が数滴落ちてるんだ」

 

上条「え?星野は渡り廊下前で殺されたのに」

 

将口「飛び散ったにしてはあまりにも遠い気がする」

 

上条「犯人が渡り廊下に行ったのか?」

 

将口「なんのために?」

 

上条「うーん……」

 

 

 

コトダマ 渡り廊下の血

 

 

 

将口「B班が圧倒的に怪しいが、私たちにはアリバイがあるな」

 

上条「え?ああ!そうか」

 

将口「私たちは将棋をしていたからアリバイは成立する。共犯のメリットが無い以上、アリバイは証明されるな」

 

 

コトダマ 上条と将口のアリバイ

 

 

 

 

 俺は旧校舎の食堂に向かった。

 

香月「やっぱり、旧校舎の包丁はありませんでした」

 

上条「じゃあ星野はB班の人間に襲われたのか」

 

香月「包丁を使って彼女を追い回して刺した……。気に食わなかったけれどあんな床に落ちている血……あんまりです」

 

上条「そうだな」

 

 

 

コトダマ 旧校舎の包丁

 

香月「後、ペットボトルは使われていないみたいね。犯人は返り血をどうしたのかしら」

 

上条「夜時間と朝時間は食堂やシャワールームや浴場が使えないから血を拭うのはペットボトルしかないのに」

 

犯人はどうやって返り血を拭いたんだ?

 

 

 

 

 

 

 

俺は次に保健室に向かった。

 

 

 

籠森「……」

 

上条「どうしたんだ?籠森?」

 

籠森「おいお前」

 

上条「俺?」

 

籠森「お前しかいないだろ?」

 

まあそうだけど、籠森から話しかけてくるなんて……。

 

籠森「医療用キットに触ったか?」

 

上条「いや?」

 

籠森「俺は昨日の夜の11時まで保健室にいた。だからものが移動してるのかが分かる。医療用キットが移動している。棚の真ん中にあった医療用キットが棚の端に移動してあった」

 

上条「そうか」

 

 つまり犯人は夜時間か朝時間に輸血パックを調達したのか。

 夜時間はA班が入れないから、B班の可能性が高くなるけど。

 

コトダマ 籠森の証言

 

 医療キットの輸血パックがなくなってないか?気のせいか?

 籠森が移動したって言ってるけど……輸血パックなんかなんで? 

 

 

 

 

 

 

 俺は本校舎に向かった。

 

絵馬「何よ、本校舎になんかようなの?」

 

上条「本校舎に手掛かりはないかなって」

 

絵馬「星野さんは旧校舎で夜時間に殺されたのよ!B班の優子以外の誰かが殺したのよ!」

 

加賀美は外すのか。こないだの学級裁判で疑われたのに逆でそれか。

 

 俺は食堂に向かった。

 

弓長「ペットボトルは持ち出されてないよ。ほらちゃんと3つある」

 

上条「ほんとだ」

 

 

 

コトダマ なくなっていないペットボトル

 

 

 

弓長「さっさと消えてくれない?」

 

なんでそんな厳しいんだよ。

 

 

 

 俺はトラッシュルームに向かったが、使用されたログはない。

 

上条「証拠隠滅はしてないのか」

 

キーンコーンカーンコーン

 

モノクマ「はい、捜査は終了でーす。学園の赤い扉に集まってくださーい」

 

上条「クソ、もう終わりか」

 

広くなったから捜査しきれてないのに!

 

 

 俺たちはまた集まった。学級裁判所に。

 

 

 二度と起きないと思われていた殺人に学級裁判。でもまた起きた。この中に星野を殺した犯人がいるんだ!

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter2 学級裁判 前編

コトダマ モノクマファイル2

被害者は超高校級の天文部、星野リコ。

死亡時刻は2時頃。

 

死体発見場所は旧校舎側の渡り廊下前。

 

包丁で背中を刺されている他、腕、肩に傷がある。

また吐血もしている。

 

 

 

コトダマ 血のついたバスタオル

廊下に落ちていた血のついたバスタオル。何かに使ったのか?

 

 

コトダマ 廊下の血

星野の部屋前から死体のところまで続いていた血。

星野は傷を追いながら犯人の襲撃から逃げていた?

 

 

 

コトダマ 乾いてない血

殺されて3時間以上が経過しているのに血が乾いてない。近い時間に刺されたのだろうか。

 

 

 

コトダマ 星野の腕の切り傷

監原曰く、致命傷にならないのに切りつけてあるらしい。別の目的があるのだろうか

 

 

コトダマ 左肩だけ乾いた血

何故か左肩の血だけ乾いている。別の時間帯の傷か?

 

コトダマ 死体発見アナウンス

3人以上が死体を発見した時に流れるアナウンス。上条と将口が死体を発見した時に流れた。

 

コトダマ 加賀美の証言

11時頃は座って渡り廊下で天体観測していたらしい。その頃には部屋にはいない。

 

 

コトダマ 本校舎と旧校舎の出入り

夜時間は本校舎にB班は、旧校舎にA班が入れない。夜時間に旧校舎で殺された星野はB班に殺されたのか?

 

 

コトダマ 渡り廊下の血

渡り廊下に数滴の血があった。飛び散ったにしては遠い。犯人の血だろうか?

 

コトダマ 上条と将口のアリバイ

0時から5時前まで将棋をやっていた。間違いなくアリバイになる。

 

 

コトダマ 旧校舎の包丁

旧校舎の食堂にあった包丁。やっぱり犯人はB班の人間なのか。

 

 

コトダマ 籠森の証言

医療用キットの位置が夜の11時から変わっていたらしい。

 

 

コトダマ なくなっていないペットボトル

ペットボトルが本校舎と旧校舎共になくなっていない。今回は使われていないようだ。

 

 

 

 

 

学級裁判 開廷

 

 

 

 

 

モノクマ「えー、まずは学級裁判の簡単な説明をしておきましょう」

 

モノクマ「学級裁判では『犯人は誰か』を議論し、その結果をオマエラの投票により決定されます」

 

モノクマ「正しいクロを指摘できればクロだけがおしおき、もし間違った人物をクロとした場合はクロ以外全員がおしおきされ生き残ったクロだけが卒業できます」

 

 

モノクマ「2回目だし分かるよね!頑張ってねー!」

 

 

 

 

監原「まずは遺体の状況を……」

 

絵馬「犯人はB班!B班に間違いない!」

 

上条「B班だったとしても、誰かはまだわからない」

 

監原「そこを議論しなきゃだな」

 

 

 

議論開始 

 

 

コトダマ モノクマファイル2

コトダマ 乾いてない血

コトダマ 加賀美の証言

コトダマ 上条と将口のアリバイ

コトダマ 死体発見アナウンス

 

 

 

 

 

絵馬「犯人はB班!優子以外の『B班に間違いないわ!』」 

 

岩田「星野が夜時間に『旧校舎で殺されてる』からな」 

 

弓長「『A班は夜時間に旧校舎に入れない』以上はB班が犯人でしょうね」 

 

知念「B班は確か上条くん、将口くん、メイビーくん、籠森くん、加賀美さん、香月さん、星野さんで良いんだよね?」

 

加賀美「そうなるわね」

 

籠森「俺は犯人じゃない!」

 

式野「だが、『B班の連中にはアリバイがない。』」

 

監原「でも、『6人いる』からその中から決めるのが大変だぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

式野「だが、『B班の連中にはアリバイがない。』」

 

コトダマ 上条と将口のアリバイ

 

論破

上条「それは違うぞ!」

 

 

式野「ん?どういうことだ」

 

上条「俺と将口は0時から死体発見まで一緒だったんだ。だから俺たちのアリバイはあるんだ」

 

将口「一緒に将棋をしていた」

 

上条「だから俺たちはシロだ」

 

 

 

反論

香月「そんなことは認めません!」

 

 

 

上条「な、なんだよ香月……」

 

香月「あなた達だけにアリバイがあるなんて違和感を覚えるんです。あなたも犯人候補から外れてはいないのでは?」

 

 

反論ショーダウン

 

コトノハ 上条と将口のアリバイ

コトノハ 廊下の血

コトノハ 乾いてない血

コトノハ 死体発見アナウンス

コトノハ 渡り廊下の血

 

 

香月「事件のあった日にたまたまお互いにアリバイがあるなんて怪しいですね。それに一緒に死体を発見した?」

 

香月「なんらかのアリバイ工作のためにしか思えませんね」

 

上条「そんなことない。たまたまだ!アリバイ工作ってどうしたんだよ!」

 

香月「それはまだ分かりませんが、共犯の可能性だってありますよね?」

 

上条「卒業出来るのは直接殺したクロだけだ。共犯のメリットは無いはずだ」

 

香月「ですがあまりにも『都合が良すぎるアリバイ』ですね」

 

香月「あなただって『騙されている』可能性がありますし、『騙している』可能性があります」

 

香月「『一緒にいたと言う証拠が無い』以上、あなた達の疑惑は晴れないのでは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

香月「『一緒にいたと言う証拠が無い』以上、あなた達の疑惑は晴れないのでは?」

 

 

コトノハ 死体発見アナウンス

 

論破

上条「その言葉、斬る!」

 

 

 

上条「いや、俺たちが星野の死体を見て死体発見アナウンスが流れたんだ」

 

香月「死体発見アナウンス?3人以上が死体発見すると流れるって言う……」

 

上条「俺たちは2人で見たのに死体発見アナウンスが流れたってことは、犯人が3人のうちに含まれてるからだ」

 

香月「死体発見よ?犯人が含まれるわけ……」

 

上条「だって第三者が死体を発見したら他の人間に伝えるだろ?俺たち2人が死体を発見したらアナウンスが流れるってことは俺たちは犯人じゃない」

 

監原「モノクマ、死体発見アナウンスに犯人も含めるのか?」

 

モノクマ「うん!基本的にはね!」

 

監原「基本的には?」

 

モノクマ「あのね、死体発見アナウンスは推理のためのものじゃないよ!あくまで公平に学級裁判を進めるためのもの、みんなに死体の発見を知らせるものなんだってば!」

 

監原「それで推理に使われるのが嫌なのか?今、明らかにシロかクロの分かれ目の話をしてるんだぞ」

 

モノクマ「明言していない以上はフレキシブルな対応をさせていただきます」

 

監原「で、今回は含めてるの?含めてないの?」

 

モノクマ「うるさいなぁ。今回は含めてるよ、はい終わり」

 

監原「ほら、犯人を含む3人だから将口と上条のシロは保証されたな」

 

式野「待て、それは2度見した時は含まれないのか?」

 

監原「しつこいなぁ。モノクマ、どうなの?」

 

モノクマ「死体発見アナウンスは最初に発見した時だけ流れまーす!」

 

監原「だよな」

 

 監原が俺たちの無実を完璧に証明してくれた。俺は頑張らないと!

 

上条「ありがとう、監原。みんなも俺と将口が完全に信頼出来るよね?俺と将口は犯人じゃない」

 

監原「議論を進めてくれ、上条」

 

上条「議論を進めるには、みんなの力が必要だ」

 

佐藤「次は、星野さんの死因についてだね」

 

 

 

 

議論開始 

 

コトダマ モノクマファイル2

コトダマ 廊下の血

コトダマ 血のついたバスタオル

 

 

岩田「星野の死因って……どう見ても『背中を刺されたこと』だろ」

 

加賀美「正確には『失血死』だよね」

 

弓長「廊下や『血が滴り落ちてて』、大量の血が出たことを物語ってる」

 

将口「素人でもあれだけの血を流せば死ぬのはわかる」

 

式野「星野は大量に血を流したことで死んだ……」

 

香月「謎は無いですね」

 

知念「本当にそうなのかな」

 

監原「『モノクマファイルに明記はされてない』以上、怪しいけどな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コトダマの記憶 モノクマファイルに明記はされていない

 

 

 

 

 

 

 

加賀美「正確には『失血死』だよね」  

 

 

 

論破

上条「それは違うぞ!」

 

 

上条「監原の言う通り、モノクマファイルには失血死なんて書かれてない」

 

加賀美「だけどモノクマファイルには包丁で刺されてるって書いてあるわ」

 

上条「だけど、直接的な死因は書かれてないよ」

 

監原「深沢の時は後頭部の殴打で即死って書いてあるのに星野の時は刺されたって書いてあるだけだ。直接的な死因は書かれてない」

 

式野「なんだ?つまり他に死因が他にあるのか?」

 

弓長「あれだけ血を流してたら普通に刺された死んだと思うんだけど」

 

監原「その血すら犯人の偽装工作ってことは考えられる」

 

加賀美「なんで偽装工作になるの?」

 

監原「上条。完全にシロのお前なら答えられるはずだ。みんなを信頼させられる」

 

上条「うん」

 

 

 擬装工作の可能性を秘めているのは……

 

 

 

コトダマ 乾いてない血

 

 

上条「みんな、星野の大量の血は乾いてないんだ」

 

絵馬「乾いてないのが何が問題なの!」

 

岩田「あれだけの血なら乾いてないのも仕方ないんじゃないか?」

 

上条「でも乾いてなさすぎるんだ。星野は2時に殺されたのに5時過ぎても乾いてないなんて」

 

加賀美「なに?星野さんが血を流したのは別の時間だって言うの?」

 

監原「その可能性が高い」

 

 

議論開始

 

コトダマ 左肩だけ乾いた血 

コトダマ 加賀美の証言

コトダマ 血のついたバスタオル

コトダマ 渡り廊下の血

コトダマ 本校舎と旧校舎の出入り

 

加賀美「別の時間に血を流したって、星野さんは『2時以外に血を流す方法』があるの?」

 

絵馬「『殺す時以外ありえない』じゃない!」

 

知念「2時に殺して……『朝時間にまた刺した』とかあるんじゃないかな」

 

岩田「何で2度刺すんだよ」

 

式野「殺しているか不安にでもなったのか?」

 

監原「刺さなきゃいけない理由があったんじゃないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知念「2時に殺して……『朝時間にまた刺した』」

 

コトダマ 左肩だけ乾いた血

 

 

同意

上条「それに賛成する!」

 

 

 

上条「星野は朝時間に刺されたんだ。左肩だけ血が乾いてたからな」

 

弓長「左肩だけ乾いていたぐらいで?たまたま左肩の乾きが早かったんじゃないの?」

 

監原「知念、そろそろ潮時だな」

 

知念「そうだね」

 

なんだ、この2人。顔を見合わせて。

 

 

知念「監原くん、やっぱり『アレ』は開けられたし、蓋も開いてたよ。きっと犯人は『アレ』を使ったんだ」

 

 アレ……?

 

式野「アレってなんだよ!」

 

監原「確かに、血の乾きは偶然にしか思えないだろうな。だが、俺たちは星野の死因が刺されたことじゃない前提で捜査してたんだ」

 

加賀美「死因が刺されたじゃない前提……?」

 

監原「廊下の血の量もはっきり言って異常すぎるんだよ。血を星野のもの以外で流せる方法だ」

 

上条「星野のもの以外……まさか」

 

 

 

閃きアナグラム

 

ゆ け つ ぱ っ く

 

 

コトダマ 輸血パック

 

 

 

上条「保健室にあった輸血パック!まさかあれを使ったのか」

 

 

議論開始

 

コトダマ 輸血パック

コトダマ 籠森の証言

コトダマ 廊下の血

コトダマ 血のついたバスタオル

 

 

加賀美「輸血パックを使ったって……」

 

弓長「そんな『証拠なんかない』し、それに普通に星野の血じゃないの?」

 

式野「どう見ても『星野自身の血』だ。血を増やす理由がどこにあるんだ」

 

岩田「いや、でも輸血パックな気がしてきたぞ。あの血の量は多すぎる気がする。俺だって大怪我した時だって『あんな血は出なかった』しな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弓長「そんな『証拠なんかない』し、それに普通に星野の血じゃないの?」

 

 

 

 

コトダマ 籠森の証言

 

論破

上条「それは違うぞ!」

 

 

上条「いや、医療キットが移動してたんだ。だよな?籠森」

 

籠森「ああ。ずっと保健室にいたから断言出来るぞ。医療キットが昨日の夕方は棚の真ん中に置いてあったのに捜査中には端にあったからな」

 

香月「医療キットくらいでなんになるの?」

 

上条「医療キットの中に輸血パックが入ってたんだ。医療キットを開けたら輸血パックがなくなってた。輸血以外でなんに使ったのか最初はわからなかったけど……」

 

監原「輸血パックは星野が死んだ後に廊下や星野を含めばら撒かれたのさ。だから血が乾いてなかったのさ。本当の死因を隠すためにな」

 

星野の本当の死因……!?

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter2 学級裁判 後編

監原「星野の本当に死因、それは毒殺だ」

 

式野「なんでいきなり毒殺なんかが出てくるんだ」

 

知念「これが僕と監原が一番に疑っていた死因なんだ」

 

岩田「俺にはついていけん!」

 

香月「毒殺!?一体どうやって!?」

 

弓長「突拍子なさすぎでしょ」

 

メイビー「なるほどね」

 

加賀美「良く分からないけど、可能性があるなら議論すべきなんじゃない」

 

籠森「いきなり飛躍しすぎだ!」

 

佐藤「上条くん……どうやって毒殺したのか、なぜ毒殺だと監原くんたちが思ったのかを良く考えれば、分かるはず」

 

上条「監原が、毒殺だと考えた理由……」

 

 

 

意見対立!

 

 

議論スクラム 開始

 

星野リコは毒殺されたのか?

 

 

毒殺じゃない

式野、香月、岩田、籠森、弓長、将口、絵馬

 

毒殺だ

上条、監原、知念、佐藤、メイビー、加賀美

 

 

 

籠森「明らかに『包丁』で刺されているだろ!」

 

監原「確かに『包丁』で刺されているが死因じゃないって話だ」

 

式野「『モノクマファイル』にも刺されたと書かれているんだぞ」

 

佐藤「『モノクマファイル』には吐血したとも書かれてるよ」

 

香月「それは『刺された』からじゃないの?」

 

知念「『刺された』ても体内に異常が起きないと吐血しないんだ」

 

岩田「なんで犯人は『毒殺』したんだよ?」

 

加賀美「『毒殺』だとバレると特定されるからじゃないの?」

 

弓長「『毒』なんてどこにあるの?」

 

メイビー「使われた以上は『毒』はどこかにあるんだよ」

 

将口「では一体『犯人』は誰なんだ」

 

上条「その『犯人』を探すんだ!」

 

 

 

上条「これが俺たちの答えだ」監原「これが俺たちの答えだ」知念「これが僕たちの答えだ」佐藤「これが私たちの答えだよ」メイビー「これが俺の答えだ」加賀美「これがあたしたちの答えだよ」

 

 

 

 

 

 

知念「みんな、聞いて欲しいんだ。化学室に毒薬があったんだよ」

 

加賀美「毒薬?」

 

監原「料理に盛られたら厄介だと思って、言わなかったんだ。捜査中に次の殺人のために調達されるのも厄介だから知念に見張りと使われるを確かめてもらったんだ」

 

知念「しかも毒は即効性で少量でも致死量になるって書いてあったよ」

 

 

 

コトダマ 毒の効果

即効性で少量でも致死量になる毒らしい

 

 

 

式野「待て少量でも致死量になるなら蓋を開けただけでも危険なはずだ。犯人はどうやってそんなものを調達したんだ?」

 

上条「きっと、それは」

 

 

閃きアナグラム

 

 

が す ま す く

 

 

 

 

 

上条「そうか!犯人はガスマスクを使ったんじゃないの?」

 

監原「いや、俺たちがどれだけ探してもガスマスクは見当たらなかったんだ」

 

籠森「ガスマスクならあったよな、岩田」

 

岩田「ああ。体育倉庫に」

 

知念「体育倉庫にガスマスクが!?」

 

加賀美「でも体育倉庫の鍵は岩田くんが持って無かった?」

 

岩田「それが……」

 

籠森「ずっと開けてあったぞ」

 

上条「え?」

 

岩田「籠森がいつでも出し入れ出来るように常に開けてたんだ、すまん」

 

式野「毒殺が正しいならお前が体育倉庫の鍵を閉めていればこんなことには!」

 

籠森「随分偉そうだな。岩田だけを責められるのか?化学室のものをよく知らないくせによぉ!」

 

式野「な、なんだと!」

 

加賀美「喧嘩しないの!それより犯人の特定をしないの?」

 

上条「今からそれをやるんだ!」

 

 

 

 

 

反論

式野「僕が指揮してみせよう!」

 

 

 

 

上条「式野!?」

 

式野「なんで毒に拘る?輸血パック如きでは犯人が毒殺したとは考えられない」

 

 

反論ショーダウン 開始

 

コトノハ モノクマファイル2

コトノハ 廊下の血

コトノハ 星野の腕の切り傷

コトノハ 加賀美の証言

コトノハ 渡り廊下の血

 

 

式野「どう見ても刺殺だ、それ以外にメリットはない」.

 

上条「考えうる可能性は全部考えないと。明らかに刺殺じゃ不自然なんだ」

 

式野「時間が足りなくなる!」

 

式野「輸血パックを使ったのは『恐怖を煽るため』だ。吐血だって『刺されたことが原因』だ。」

 

式野「それ以外に『不自然な点なんてない』だろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

式野「それ以外に『不自然な点なんてない』だろう」

 

 

コトノハ 星野の腕の切り傷

 

論破

上条「その言葉、斬る!」

 

 

 

上条「いや、不自然な点があるんだ。星野の腕の切り傷だよ。致命傷にならないのに切りつけてあるんだ」

 

式野「何がおかしい、ガードしたり抵抗したりでついたんだろう」

 

監原「いや、それならもっと深い傷になるし、何度も切りつけてあるのはおかしい。作為的だ」

 

加賀美「言われてみればそうかも」

 

メイビー「一つ一つは偶然に見えても、それが重なっていけば必然に見えてくる」

 

上条「みんな、どうかな?」

 

式野「そう言うことなら……」

 

岩田「毒殺っぽいな」

 

弓長「でもまだ納得出来ないよ」

 

絵馬「そうよ!」

 

上条「まだ、議論しなきゃいけないことが残ってる」

 

 

 

議論開始

コトダマ 廊下の血

コトダマ モノクマファイル2

コトダマ 毒の効果

コトダマ 加賀美の証言

コトダマ 籠森の証言

コトダマ 死体発見アナウンス

 

 

絵馬「毒を使って刺殺に見せかける『メリットなんかないじゃない!』」

 

式野「確かに、そこまでしても意味がないように見える」

 

知念「そこが一番の謎だよ」

 

岩田「わかったぞ!星野に『あらかじめ毒を飲ませて』……」

 

岩田「夜時間に殺すって寸法だ!」

 

絵馬「ああっ!確かに!」

 

加賀美「それだと『A班にも犯行が可能になるわ』」

 

岩田「なぬぅぅぅ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

岩田「星野に『あらかじめ毒を飲ませて』」

 

 

 

コトダマ 毒の効果

 

 

論破

上条「それは違うぞ!」

 

 

 

上条「いや、毒の効果は即効性なんだ。飲ませてもすぐに死んじゃうよ」

 

メイビー「だいたい、A班が犯人だとすると10時前に飲ませて2時に効く毒薬って……」

 

岩田「それもそうかすまん……」

 

加賀美「それもそうね……」

 

籠森「大した意見を言わないお前が偉そうに言うな!」

 

上条「……」.

 

籠森……?岩田と加賀美を庇ってるのか?

 

監原「いや、俺は加賀美と近い考えだ」

 

香月「A班が飲ませたとでも?」

 

監原「いや、飲ませたわけじゃない。加賀美のおかげで犯人を割り出せた」

 

上条「A班が犯人?」

 

監原「A班でありながら毒を使うことで星野を殺し、朝時間の4時に旧校舎に向かって輸血パックや包丁って刺殺に偽装工作をした。そうすればB班になすりつけられる。蹴上と同じやり方だ」

 

式野「だから!A班がどうやって毒を飲ませたんだ!」

 

監原「飲ませずに体内に入れる方法があるとしたら?」

 

加賀美「飲ませずに体内に?どうやって?」

 

上条「……」

 

 

分かったかもしれない。

 

 

 

怪しい人物を指名

 

 

上条翔太

 

星野リコ ×

 

佐藤雪香

 

岩田圭介

 

弓長詩織

 

絵馬一帆

 

将口歩夢

 

メイビー

 

監原誠也

 

式野龍馬

 

籠森健一 

 

知念悠馬

 

加賀美優子

 

深沢由奈 ×

 

蹴上秀 ×

 

香月薫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弓長詩織◀︎

 

 

 

 

 

 

 

 

上条「弓長、お前じゃないのか、星野を殺したのは」

 

弓長「は?なに言ってんの?殺人は趣味じゃないって言ってるでしょ、バカバカしい」

 

香月「あの下衆女が犯人なの?」

 

岩田「確かに性格に難はあるが、なぜ……」

 

上条「弓長しかありえないんだよ、旧校舎にいる星野を毒矢で殺せるのは」

 

加賀美「毒矢!?」

 

将口「なるほど、それならA班の弓長でも殺せるな」

 

上条「超高校級の弓道家のお前なら、確実に星野を狙えるだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

反論

弓長「呆れた」

 

 

 

 

上条「弓長……」

 

弓長「想像以上の低脳ね。アンタらはなんも気づいてないじゃないのよ」

 

 

反論ショーダウン 開始

 

コトノハ 廊下の血

コトノハ 毒の効果 

コトノハ 加賀美の証言

コトノハ モノクマファイル2

コトノハ 血のついたバスタオル

 

 

弓長「いくら私が超高校級の弓道家でもどうやって星野を狙うのよ?」

 

上条「お前が本校舎にいながら旧校舎にいる星野を狙ったんだ」

 

弓長「『たまたま星野が来た』ところを狙ったわけ?そんな偶然のために私があれだけの計画をしたの?」

 

弓長「そもそも私が弓を構えていたら、それに『星野も気付くでしょ。』ほら、私には殺せない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弓長「『星野も気付くでしょ。』」

 

コトノハ 加賀美の証言

 

 

 

 

論破

上条「その言葉、斬る!」

 

 

上条「加賀美、星野は座って天体観測してたんだよな、渡り廊下で」

 

加賀美「そうよ」

 

籠森「それなら俺も一昨日の夜も見たぞ」

 

上条「座って天体観測に夢中なら弓を構えても星野は気付かないよな。星野は興味あること以外は大雑把だし」

 

監原「座って天体観測してるなら、狙いやすいよな」

 

弓長「私以外にも出来るんじゃないの、弓道」

 

知念「僕、弓道場でやってみたけど無理だったよ!全く当たらない」

 

監原「的に当てるだけでもプロなのに、人体に当てるなんて素人には無理だぜ?」

 

岩田「俺もやってみたが無理だったな」

 

弓長「誰か実力を隠してたらどうするの?私を犯人になすりつけるために」

 

上条「なんのための偽装工作なんだ?毒矢でなすりつけるなら偽装工作する必要ないじゃないか」

 

弓長「待って、私は犯人じゃない、私が犯人なら、返り血は?人を刺したのは事実なんだから血に濡れるはずよ。食堂もシャワールームも浴場も使えない。ペットボトルだってなくなってない」

 

監原「返り血がないのもみんな一緒だし」

 

弓長「返り血がないんだから私は犯人じゃない!」

 

佐藤「上条くん、大詰めだね。……きっと犯人はアレで防いだんだよ」

 

上条「アレって……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コトダマ 血のついたバスタオル

 

 

上条「血のついたバスタオル、あれで返り血を防いだんだ!」

 

佐藤「焼却炉を使うと……ログが残るから疑われないように……旧校舎に置いてきたんだよ……」

 

 

 

 

弓長「いい加減にして!なんで私があんたらの茶番に付き合わされなきゃいけないの!」

 

 

 

 

 

理論武装 開始

 

弓長「そんなに私を犯人に仕立て上げたいの?」

弓長「私じゃない」

 

弓長「低脳低脳低脳!」

弓長「私は殺してない!」

 

弓長「そもそも毒殺が間違ってるのよ!」

弓長「おかしい!」

 

 

弓長「毒矢を使ったという証拠は何!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

コトダマ 渡り廊下の血 ◀︎トドメ

 

上条「これで終わりだ!」

 

 

 

上条「渡り廊下に血があったんだ。それは、毒矢を受けた時に星野が流した傷だ!肩の傷もそれだ!」

 

弓長「なっ……ありえない!私は負けてない!私が敗北なんてあるわけない!私は犯人じゃない!」

 

上条「あくまでも言い張るなら振り返ろうか。事件を」

 

 

 

 

 

クライマックス再現

 

上条「これが事件の全容だ」

 

ACT1

上条「犯人は超高校級の弓道家の才能を利用することを決めた。本校舎にいながら旧校舎の人間を殺すトリックを思いついたんだ。それに適していたのは夜通し渡り廊下で天体観測する星野だった。天体観測をする姿は籠森も目撃している。

犯人は体育倉庫からガスマスクを、化学室から毒薬を用意した。そして夜時間に犯行を決めたんだ」

 

 

ACT2

上条「その実行の日、加賀美が11時頃に座って天体観測をする星野を見かけていた。ずっとこの体勢なら犯人にとっては狙いやすすぎるくらいだ。

そして0時、将口が俺の部屋に来て、将棋をしたんだ。これが俺たちのアリバイと犯行の不自然さを証明出来ることになったんだ。」

 

ACT3

上条「2時、犯人は天体観測をする星野を矢に塗りつけた毒で射た。天体観測に夢中な星野は狙われていることに気づかなかったんだ。即効性の高い毒だから星野は訳のわからぬまま死んだんだろうな。この時、星野は吐血をした。毒のせいだろう。さらに矢に射抜かれた肩から血を渡り廊下に流したんだ。拭き取るにも水やペットボトルを使った形跡もないし、出来なかったのか、気づかなかったんだろう。」

 

ACT4

上条「犯人は朝時間である4時にすぐ旧校舎に入り、保健室で包丁と輸血パックを調達した。死んだ星野を移動させ、矢を抜き、背中を包丁で刺した。この時、犯人はバスタオルにくるまっていたから返り血がつかなかったんだ。犯人は輸血パックを使って廊下や星野にかけてあたかも犯人に襲われ、逃げきれず殺されたように演出した。」

 

 

ACT5

上条「そして5時、俺と将口が星野の死体を発見したんだけど、犯人は朝の7時頃に見つかるのが理想的だったんだろう。血が乾いていない違和感があったからな。犯人は死体発見アナウンスで仕方なく5時頃に合流したんだ」

 

 

 

 

 

 

上条「こんなこと出来るのはお前しかいない、そうだろ?超高校級の弓道家、弓長詩織!」

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter2 おしおきタイム

モノクマ「投票タイムに入って良いかな?」

 

式野「異論はない、納得できた」

 

香月「サッカーバカよりはやりかねない人の殺人だったものね」

 

加賀美「弓長さん……」

 

弓長「ふざけるな!まだ負けてない!良いのか!みんな!みんな死ぬんだぞ!」

 

香月「今まで散々勝手に行動しておいて、今更みんなとか言われてもね」

 

監原「モノクマ、投票タイムに移れ」

 

モノクマ「わかりました!」

 

弓長「やめろ!クソ!」

 

 

 

 

モノクマ「投票の結果クロになるのは誰か。その答えが正解なのか不正解なのかぁ!」

 

 

モノクマ「投票が終わったようだね。結果発表に行きましょう!」

 

 

 

投票結果

弓長詩織 12票

監原誠也 1票

 

 

 

 

監原「俺に入れてやがる……」

 

 『正解』とモニターに表示された。

 

学級裁判 閉廷!

 

 

 

 

 

 

 

 

モノクマ「オマエラ大正解!超高校級の天文部、星野リコさんを殺したクロは超高校級の弓道家、弓長詩織さんなのでした!」

 

岩田「なんで星野を殺したんだ!弓長!」

 

弓長「うるさい黙れ!こんなの不正だ!」

 

加賀美「まだ認めないんだね」

 

弓長「私が、私が負けるはずない!」

 

上条「これは勝ち負けなんかじゃない!命のやりとりだ!」

 

弓長「うるさい!くっ、なんで、なんでこうなるの……!超高校級の弓道家はこの世で私しか存在してはいけないのに!」

 

式野「何を言ってる?」

 

弓長「私が!私だけが認められているんだ!」

 

モノクマ「えー、弓長さんは外にいる超高校級の弓道家が許せなくて星野さんを殺したんだよね。熱心に僕に質問してトリックを考えてさ」

 

監原「まさかお前がガスマスクの場所を」

 

モノクマ「ついでに化学室に毒薬があることだけは言ったよ」

 

知念「ふざけるな!」

 

モノクマ「あれは僕が用意したモンだよ!どう使わせようとも僕の勝手でしょ!」

 

知念「くっそう……せっかく隠したのに」

 

監原「チッ、俺たちの小細工ぐらいじゃダメか」

 

上条「でも外にいる超高校級ってあの映像の!?」

 

岩田「あんな捏造を信じたのか?」

 

弓長「本物だろうが偽物だろうが関係無い!私は誇り高い弓長家の人間だ!あんな奴が超高校級であってたまるか。弓長家の次期当主である私こそ超高校級でならないと。それが弓長家に生まれた私の宿命なんだ」

 

式野「親族が代々の弓道家と聞いているが、狂ってるな」

 

上条「くっ、弓長……」

 

確かに弓長が卑劣な殺人犯かもしれない。けど、弓長も俺と同じで血筋に縛られてるんだ……。

 

弓長「私は、弓長家に相応しくないといけない。弓長家の次期当主がこんなところで立ち止まってるわけにいかなかったんだよ!!」

 

加賀美「どうしてそれをあたしたちに言ってくれなかったの?人を殺す以外に方法はあったはずだよ」

 

監原「人を殺すことが家の名を汚すって分からないのかよ!」

 

弓長「うるさい!お前らに私たちのことなど分かるわけない!」

モノクマ「ま、とっととおしおきに移りましょう」

 

弓長「!?ま、待て!私は犯人じゃない!私は犯人にハメられたんだ!私は!」

 

モノクマ「超高校級の弓道家の弓長さんにはスペシャルなおしおきを用意しました!」

 

弓長「待て!まだ、まだ私はこんなところで!弓長家の私がああああ!」

 

モノクマ「では張り切っていきましょう、おしおきターイム!!」

 

弓長「いやああああああ!死にたくないぃぃぃぃ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユミナガさんがクロにきまりました。おしおきをかいしします。

 

 

百発百中 超高校級の弓道家 弓長詩織処刑執行

 

 

 

 

 

 弓長は巨大な的にロープで大の字に磔にされた。モノクマは弓を引いた。すると矢が弓長の右手に命中し、弓長は苦悶の表情を浮かべる。さらに左手、右腕、右太腿、左腕、左太腿に命中し、弓長は血塗れになっていた。

 次にモノクマは弓長の首に命中させ、ほぼ弓長の意識はない。

 最後にモノクマは弓長の顔面に弓を引く。

 意識が薄れていた弓長が顔を蒼白させるが、既に遅く、矢は弓長の顔面を貫いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モノクマ「いやー快感快感」

 

 

上条「クソ!モノクマ!」

 

モノクマ「ん?悪いのは弓長さんだよね?」

 

監原「いや、モノクマ、今回はお前の悪質性高いだろ?毒薬とガスマスクの場所を教えたんだろ?」

 

モノクマ「それはオマエラが殺人しないからだろー!?」

 

知念「お前はどうして僕らに殺人をさせたいんだ!」

 

モノクマ「そーんなの、決まってるじゃん!オマエラを『絶望』させたいんだよ」

 

岩田「もうモノクマの話なんか聞くな」

 

モノクマ「それと、旧校舎と本校舎の出入りは自由になったから!」

 

監原「お前……弓長にわざとこんなことさせたんじゃないのか?」

 

加賀美「どういうこと?」

 

監原「旧校舎と本校舎の出入りって校則自体があまりにも弓長に都合が良すぎないか?」

 

モノクマ「うぷぷぷぷぷ」

 

モノクマは消えてしまった。

 

 

監原「チッ、無視かよ」

 

絵馬「でも、終わったわよね!?もう殺人なんか起きないよね!」

 

香月「疲れました、こんなこと」

 

そうだ、疲れた。

 

 

 もう疑いあったりなんかしたくない。

 

 

加賀美「帰ろうか。まだ朝食もまだだったよね?」

 

監原「そういや、朝食は俺と上条と香月が作るはずだったよな」

 

加賀美「無理しなくて良いよ?さっぱりしたもの、作ってあげようか?」

 

確かに、今は料理って気が起きない。

 

上条「悪いけど加賀美、頼む」

 

香月「私は料理出来るわ」

 

将口「手伝わせてもらう。学級裁判で大した役にも立てなかったからな」

 

佐藤「私も」

 

加賀美「ほんと?ありがとう」

 

 

 

なんとか2度目の学級裁判は終わったでも、俺たちの絶望はこれからだったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生き残りメンバー 12人



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter3 落ちた希望
Chapter3 (非)日常編


 朝食会が始まった。

 

 

監原「ん?なんか豪華だな」

 

加賀美「籠森くんが手伝ってくれたから、ね」

 

籠森「お前たちがモタモタしていたからな」

 

 なんか、籠森ってすっかり仲間になってないか?

 

知念「いくら輸血パックでもあの血を見た後にたくさん食べる気にはならないな」

 

岩田「そうか?俺はモリモリ食べれるぞ」

 

香月「ほんと、幸せな脳みそしてますね」

 

岩田「な、どういう意味だ!」

 

モノクマ「やあ」

 

加賀美「じゃ、みんな食べようか。無理にとは言わないけど、食べた方が元気出るよ」

 

上条「そうだな、いただきます」

 

モノクマ「無視するなぁーーー!」

 

監原「なんだようるさいな」

 

メイビー「どうせ新しい場所に行けるんでしょ」

 

モノクマ「そうです。学級裁判を乗り越えたご褒美に新しい場所を開放しました!なんと喜んでください!外に行けるようになったのですよ!」

 

上条「外?」

 

モノクマ「はい、そうです。その名もグレープハウスとアップルハウスです!」

 

加賀美「グレープハウスとアップルハウス?」

 

モノクマ「はい」

 

監原「外って言ったってどうせ壁で囲まれてるんだろ?」

 

モノクマ「グレープハウスとアップルハウスには色々な仕掛けがあるよ!オマエラが飽きないようにね!」

 

監原「無視かよ」

 

香月「どうせ、ロクなことじゃないでしょ」

 

モノクマ「というわけでオマエラ!グレープハウスとアップルハウスの部屋で寝泊りしてくださいね!夜時間は本校舎と旧校舎を立ち入り禁止するから」

 

 

12.夜時間の本校舎と旧校舎の立ち入りを禁止します。

 

 

 

監原「弓長みたいに殺人に利用させるつもりかよ!」

 

モノクマ「じゃーね!」

 

 そう言って、モノクマは消えてしまった。

 

 

知念「どうしよう」

 

加賀美「こうなったら仕方ないね、グレープハウスとアップルハウスに行ってみようか」

 

 

 

 

 

 朝食を終えた俺たちは、まず、グレープハウスに向かった。

 一面紫で落ち着かない。

 

 

監原「気色悪いな。モノクマは美術設定ってのがわからねぇのかよ」

 

絵馬「全くよ!背景も拘らないと!」

 

上条「そういう問題じゃないだろ」

 

 

加賀美「なに?それぞれ個室があるけど、なにこれ、グレープハウスとアップルハウスに合計、豪華な客室が4つ、普通の客室が5つ、粗末な客室が7つって」

 

上条「なんでそんなばらけさせるんだ……」

監原「これが豪華な客室か?うっひょ、豪華だなー。シャンデリアに、フカフカのベッドに広い風呂!ウォシュレット付きのトイレ!豪華だなぁ!」

 

2回くらい言ったな。

 

知念「普通の客室は……ベッドにトイレにシャワールーム、いつもの個室と変わらないね」

 

式野「粗末な客室….うわっ!畳にボロい布団!蜘蛛の巣まで!鍵もない!」

 

加賀美「でも困ったわね、あたしたちは12人だからどう頑張っても3人は粗末な客室に行かないといけないわ」

 

香月「粗末な客室なんて絶対嫌よ!」

 

絵馬「あたしもよ!」

 

籠森「あんなところで寝られるか!」

 

式野「僕も嫌だ!」

 

将口「好き好んであんな部屋に行きたい人間なんかいないだろうな……」

 

知念「僕、虫がダメみたいだ。蜘蛛の巣なんて……」

 

メイビー「なるべく衛生管理の良いところがベターなんだけど」

 

佐藤「私も……」

 

 そりゃみんな嫌だよな。俺だって嫌だし。

 

加賀美「うーん、じゃあ公平にジャンケンにする?恨みっこ無しだよ?」

 

 

 結果、豪華な客室は監原、香月、佐藤、メイビーで、普通の客室が加賀美、岩田、知念、将口、式野、そして粗末な客室になったのは……

 

 

 

 

籠森「ふざけるな!なんで俺があんなところに!」

 

絵馬「絶対に嫌!あんなところで寝れるわけないでしょ!」

 

俺と籠森と絵馬が粗末な客室ってことになってしまった。俺って不運だなー。

 

 

監原「そうは言ってもさ、ジャンケンで決まったんだし……」

 

絵馬「あんなところで寝るくらいなら廊下で寝るわ!」

 

籠森「だったら俺は寝ない!」

 

加賀美「ちょっとちょっと2人とも落ち着いて」

 

岩田「籠森、俺と変わらないか?」

 

籠森「はぁ?」

 

岩田「俺はロッククライミングで道を間違えて山で遭難して2週間救助を待ったことあるからこれくらい平気だ!」

 

 笑顔で言うことじゃないぞ!それ!

 

籠森「なんで、また俺に借りを作らせたいのか?」

 

岩田「んなんじゃねぇ。そんな借りとかそういうのやめようぜ?」

 

籠森「どういうことだ?」

 

岩田「俺とお前はダチなんだ。そういうの無し!」

 

籠森「勝手に決めるな!」

 

岩田「お前がどう思おうと俺にとってはダチだ」

 

籠森「チッ」

 

監原「で?結局どうすんの、部屋」

 

籠森「……借りは返しておく」

 

 つまり交換ってことか。

 

加賀美「一帆ちゃん、あたしも交換してあげようか。むしろあっちの部屋の方が掃除しがいあるし」

 

絵馬「良いの?ありがとう優子!一生の友達だわっ!」

 

 

上条「えーと、俺には誰か交換してくれる人はいないかなー?監原?」

 

監原「せっかく豪華な客室引き当てたんだから譲れるわけねぇだろ」

 

上条「知念!」

 

知念「ごめん……」

 

上条「将口!」

 

将口「悪いな……」

 

 仕方ない腹を括るしかない。

 

 

 部屋割りを決めた俺たちはそれぞれ探索を始めた。

 

 グレープハウス側の個室に決まった俺、監原、佐藤、知念、将口、式野でアップルハウス側の個室に決まった、香月、メイビー、籠森、絵馬、加賀美、岩田だ。

 

 

監原「しかし、グレープハウスは一面紫でアップルハウスは一面赤、センスねーなぁ」

 

上条「センス通り越して落ち着かない」

 

知念「でも、探索してみようか」

 

グレープハウスとアップルハウスは隣り合わせに立てられている。グレープハウス内にはエレベーターがあり、1階の粗末な客室、2階の普通の客室、3階には豪華な客室がある。廊下の3階の窓から見るにアップルハウスも同じ構造なはずだ。

 

 

 

知念「上条くん、何か見つけた?」

 

上条「いや、特に何も」

 

知念「全体的に監視カメラがあるし、監視カメラ無い場所はほぼないみたいだね」

 

上条「そうだな……」

 

知念「そろそろお昼だね」

 

上条「あ、朝食は俺と監原と香月が作るんだった」

 

知念「なら僕にも手伝わせてよ、僕もうまくなりたいし」

 

上条「ほんとか、よし」

 

 

 

 

 

 

俺と知念と監原と香月で朝食の準備が始まった。

 

監原「そういや、香月、アップルハウスには何かあったか?」

 

香月「なんにもありませんでしたよ。まだアップルハウスの探索をしていた人からの報告次第ですけど」

 

知念「似たような構造だし、変わりないだろうね」

 

上条「ん?」

 

 今、食堂に籠森が来なかったか?

 

監原「どうした、上条?」

 

上条「いや、なんでもない」

 

 

 

 

 

加賀美「報告ある人ー?」

 

監原「1階に豪華な客室が2つと2階に普通の客室3つと3階に粗末な客室が3つあったぜ」

 

加賀美「それだけ?」

 

監原「ああ……」

 

加賀美「あたしたちのところもそんな感じよ」

 

なんか、旧校舎や2階にいけるようになった時とは大違いだな。

 

 

メイビー「あとでグレープハウスのファイナルデッドルームを見させてもらうよ」

 

ん?ファイナルデッドルーム?

 

 

監原「なんだよ、ファイナルデッドルームって」

 

加賀美「グレープハウスにはファイナルデッドルームがないの?」

 

上条「初耳だよ」

 

加賀美「ファイナルデッドルームをクリアすると良いことがあるらしいってモノクマが」

 

監原「良いことってなんだよ!」

 

モノクマ「美味しい鮭や『みんなの秘密』を知れるかもね」

 

上条「うわっ!」

 

式野「食事中に汚物を見せるな!」

 

モノクマ「汚物だってひどいなー」

 

監原「……『みんなの秘密』ってなんだよ」

 

モノクマ「はいおわりー」

 

そう言ってモノクマはいやくなった。

 

加賀美「ファイナルデッドルームは脱出ゲームになってて、あたしプレイしてみたけど全く分かんなくてリタイヤしちゃった」

 

監原「みんなの秘密ってどういうことなんだ」

 

上条「監原、何もそんな深刻そうにしなくても」

 

監原「するだろーが。もし、その秘密を知られたら困るような秘密を抱えてる奴がいるかもしれねーぞ」

 

加賀美「そんな、そんなやましい人なんていないでしょ?みんな超高校級なんだよ?」

 

岩田「そうだ!外を探索しないか!?外なら脱出の糸口が掴めるかもしれないぞ」

 

 外、外ってかの壁に覆われた奴か……。

 探索できる場所も無さそうだし、外も探索するか。

 

 

 

 

 

 俺たちが外に出るのを歓迎しないように雨が降ってきた。

 

加賀美「雨!?」

 

式野「ちゃんと雨が降るんだな。テレビもネットもできないから天気がわからなかった」

 

岩田「とにかく、止むまでは探索できないな」

 

香月「傘の類は無いの?」

 

加賀美「みたことないな」

 

知念「購買部に行って探してみようか?」

 

 グレープハウスと本校舎を繋ぐ回路は部屋がある。俺たちは屋根を使って本校舎に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 俺と知念で購買部に向かった。

 

知念「購買部には傘がないみたいだ」

 外で雨が降ったら渡り廊下を使う以外は濡れるわけか。

 

 

 

 

 

 こうして今日の探索は終わった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter3 (非)日常編2

10日目

 

 

目が覚めると腰が痛い。布団で寝たからだろうか。

 

上条「朝食に行かないと……」

 

グレープハウスを出ると雨が止んでいて綺麗な青空だ。これなら外の探索が出来る。

 

 

 

 

加賀美「あ、みんな来たね。今日は晴れてるし、探索行こうか」

 

 朝食の後、みんなで外を探索しようとした時、

 

 ザアアア

 

 

加賀美「えっ!?」

 

 待ってましたと言わんばかりに土砂降りだった。

 

監原「…モノクマ」

 

モノクマ「はい、なんでしょ?」

 

 速攻で出てくるモノクマ。

 

監原「これ、お前のせいだろ?」

 

モノクマ「熊聞き悪いなぁ。自然現象だよ」

 

監原「おかしーだろ!俺たちが探索しようとすると雨降るなんて!」

 

モノクマ「自然現象だよーーーっ!オマエラが良い子じゃないから神様が怒ってるんだよ!」

 

香月「コロシアイをさせておいてよく言う……」

 

モノクマ「言いたいことはそれだけ?」

 

監原「あーもう良いよ、帰れ」

 

モノクマ「もっと僕に優しくしてよね!」

 

 そう言ってモノクマは消えてしまった。

 

 

監原「さすがのモノクマも天候は操れないか」

 

上条「撮影とかで雨を降らせたりしてたのと同じとか」

 

監原「あれは雨を降らせる機械で散水してるからこんな長時間、広範囲、大規模なんか無理だぜ?」

 

上条「監原は他に何か心当たりある?」

 

監原「うーん……」 

 

香月「そういえば、髪がハネます。雨が続くのは困ります」

 

加賀美「そうね、雨の湿気みたいだね。これは雨降機くらいじゃあこんなにならないよ」

 

監原「人工的じゃないとするとマジの奴か。ついてないなー」

 

メイビー「……」

 

 メイビーだけアップルハウスに向かった。

 

岩田「どうした、メイビー?」

 

メイビー「今日のところは部屋で眠らせてもらうよ」

 

絵馬「あたしも美術室にいるから!」

 

籠森「……」

 

岩田「あ、おい、籠森!どこに行くんだ!」

 

籠森「体育館だ、悪いか?」

 

岩田「あ、体育倉庫はまた閉めたからな。監原に頼まれて」

 

監原「おい、それは言わない約束だろ!」

 

岩田「あっ……」

 

監原「全く」

 

事件に使われたからまた閉めたのか。

 

 

岩田「他のみんなも、体育倉庫を使う時は言ってくれ!」

 

籠森「チッ」

 

スタスタと籠森が行ってしまう。

 

岩田「待てって、籠森!」

 

 

 

 

監原「さーて、俺らはどーする?」

 

将口「誰か私と将棋してくれないか?」

 

監原「いいぜ、やってやる」

 

佐藤「私はケーキ作るね」

 

加賀美「あたしはグレープハウスとアップルハウスの掃除しよーかな」

 

式野「僕も部屋に戻らせてもらう。収穫ないならずっと一緒にいる必要はないはずだ」

 

香月「私も髪をちゃんと解かさないと」

 

 

こうして残ったのが……

 

 

知念「上条くん、一緒に図書室に来て欲しいんだ」

 

上条「図書室?どうして?」

 

知念「僕の記憶についてだよ」

 

上条「図書室に記憶の手掛かりがあるのか?」

 

知念「うん、来て欲しいんだ」

 

 

 

知念と図書室に行った。探索の時に行ったことはあるけど、マジマジみるのは初めてだ。

 

 

知念「図書室に続くもう一つの部屋が開くようになったんだ」

 

 確か、前は入れなかった場所か。

 

知念「見て、この日記」

 

 

 

 

6月10日

我々は人間の記憶の操作を実現した。事故のショックで引きこもりになってしまった人が事故の記憶を改竄し、事故を無かったようにすることで外出するようになった。虐待されていた人間が幼少期の記憶を消し、人間不信から立ち直れるようになった。我々は多くの人間を救った。

 

 

 

 

上条「なんだよ、これ、こんなことがありえるのか!」

 

知念「ありえる……と思う」

 

そうか、知念は記憶喪失だもんな。

 

知念「僕は何らかにトラウマがあって記憶を消されたのかな」

 

上条「でも家族も友達も才能も出身も思い出せないんだろ!?そこまで記憶を消す必要なんて……」

 

知念「あくまでこの日記は善意の人みたいだし、黒幕に全ての記憶を消されたって可能性ないかなって。こんな技術が本当にあるなら悪用されかねないかなって」

 

正直、この日記正しいなんて思えないな。確かに知念は記憶喪失みたいだけど……。

 

 

知念「モノクマが勝手に書いて置いて僕らを困らせたいのかもしれないし、仮に本当でも僕の記憶を消して何がしたいのかは分からないけど……」

 

上条「知念……」

 

知念「僕、このままじゃ嫌なんだ。記憶がどんなに辛いものでも思い出したいんだよ。黒幕の罠でも騙されていたとしても」

 

 そうだよな、家族も友達も才能も分からないなんて、俺なら耐えられない。知念はそんな中ずっと……

 

 

 

 ドーーーン!

 

 

 

 

知念「な、何!?」

 

上条「すごい音がしたぞ」

 

知念「体育館の方だね、行ってみよう」

 

 

 

 

 

 

 

 2人で体育館に向かうと

 

 

 岩田が倒れていた。

 

 

上条「岩田!?」

 

隣でバスケットのゴールが倒れていた。

 

上条「籠森、これは一体……!?」

 

籠森「あのバカがダンクシュートを決めて、体重かけすぎたのが知らないが、ゴール共々倒れたんだよ」

 

知念「血が出てるよ!は、早くなんとかしないと……」

 

籠森「おい、上条!肩貸せ!岩田を保健室に連れて行くぞ!」

 

岩田「いてて……大丈夫だって」

 

上条「でも、血が……」

 

岩田「ロッククライムしていてこれくらいよくあるって……。ありがとな、籠森。心配してくれて」

 

籠森「ありがとなじゃない!!あれだけ忠告しただろうが!!ゴールが倒れて起きた死亡事故だってあるんだぞ!!あれだけ人の死を見てきて命が大事に出来ないのかよ!!」

 

籠森……?

 

 

岩田「す、すまん、籠森……」

 

 

加賀美「ちょっと、何があったの?って岩田くん!どうしたの!?怪我してるじゃない」

 

佐藤「何かあったの?」

 

絵馬「ま、まさか!また事件!?」

 

 

 

岩田「い、いや、俺がドジっただけだ」

 

籠森「加賀美からもなんか言ってやれ!俺の忠告を聞かないでこんなことになったんだ」.

 

加賀美「ほんとなの、岩田くん?」

 

 いつもより加賀美が怖い感じだ。

 

岩田「あ、ああ……うっかりしてた」

 

加賀美「息抜きは必要よ、でもあたしたちの本題はここからみんなで生きて出ることよ」

 

岩田「すまない……」

 

加賀美「籠森くん、岩田くんのことお願いね?これ以上、暴走しないように」

 

籠森「ああ、任された」

 

籠森、やっぱり加賀美と仲良くなってないか?

 

 

 

 

 

籠森「岩田は俺が監視する、次変なことしたら許さないからな」

 

岩田「ああ……」

 

籠森「とりあえず探索をする」

 

 

あれ、籠森も探索に加わるのか。

 

 

知念「あの、図書室の新しい部屋は調べたから他を調べたらどうかな?」

 

なんか雰囲気が暗く……

 

佐藤「みんな、カップケーキ焼いたんだ、みんなで食べよ?」

 

上条「カップケーキ?」

 

佐藤「うん、監原くんたち……グレープハウスやアップルハウスにいる人も呼べないかな?」

 

上条「わかった、呼んでくる」

 

 

 

 

 

 俺は監原、将口、メイビー、式野、香月を呼びに行った。

 

 

監原「なんだ?なんか辛気臭いな」

 

香月「まるで事件が起きたようね」

 

加賀美「それよりさ、早く佐藤さんのケーキ食べよ?」

 

加賀美……。

 

 

 

 こうしてこの日も進展がないまま次の日になった。

 

 

 

 

 

 

 

11日目

 

 

 

 

モノクマ「あー、校内放送、校内放送。至急、体育館にお集まりください」

 

 

 起きて早々にモノクマの放送が流れる。

 

上条「はいはい、行けば良いんでしょ?」

 

 

 

 体育館に行くとみんなが揃っていた。

 そしてモノクマがピョンと飛びし出した。

 

 

モノクマ「いやあ」

 

監原「なんのようだ、さっさと済ませろ」

 

モノクマ「せっかちだなぁ、もう」

 

モノクマ「ま、良いでしょう。君たちにある報告をしにきたんだからね」

 

加賀美「ある報告?」

 

モノクマ「そうです。ま、単なる刃の直に入るとですね」

 

上条「単刀直入って意味か!?」

 

籠森「既に単刀直入じゃないだろ!」

 

モノクマ「君たちの中に僕と繋がっている内通者がいるんですよ」

 

絵馬「なーんだそんなこと………っええええっ!?」

 

上条「な、内通者!?」

 

式野「どう言うことだ!」

 

監原「内通者って具体的にどう言う意味だ?内通者ってだけでも色々あるだろ?単に情報を売り渡してるのか、工作してるのかってな」

 

モノクマ「えーっとですねぇ。具体的には言えませんが……ま、殺人を企んでいる……とだけ言えますね」

 

モノクマの言葉で周りが凍りついた。あれだけの目に遭ってまでまだ殺人を企んでいる奴が?

 

監原「いつから内通者なんだ?」

 

モノクマ「おや、監原クン、やたらと質問しますね。内通者じゃないアピールしたい内通者かな?」

 

監原「んなわけねぇだろ、クソ……」

 

モノクマ「ま、少なくとも蹴上クンが犯行する前から内通者ですよ」

 

上条「なんだって!?」

 

知念「そんな……」

 

加賀美「内通者はそんな前から犯行を企んでいるの!?」

 

岩田「ありえない……」

 

香月「この中にそんな人が……」

 

モノクマ「それと、内通者は1人じゃなくて3人いるんだよねっ!」

 

さらに俺たちに衝撃が走った。1人でも大変なのに3人も……?

 

監原「くだらねぇ嘘で疑心暗鬼にさせるつもりだろ!」

 

モノクマ「本当だよ!僕は逃げも隠れもするけど、嘘を吐かないもん!」

 

監原「うるせえ!」

 

モノクマ「ま、これ以上はなーんも言うことないからね。じゃあね」

 

それだけ言って、モノクマは消えてしまった。

 

 この中に内通者がいるなんて……。しかも3人なんて……。

 いや、そんなはずない。モノクマの罠に決まってる!

 

 

 

加賀美「み、みんなどうしたのよ?あんなのモノクマの罠に決まってるでしょ」

 

みんな、初めて体育館でコロシアイを言い渡されたみたいに重たい雰囲気だ。

 

式野「モノクマの罠の可能性もあるが、真実の可能性もある。この12人の中の3人に殺人をしようとしている奴らが……」

 

加賀美「そんなわけないでしょ」

 

式野「なぜ言い切れる!内通者か!」

 

籠森「加賀美が内通者なわけないだろ!」

 

式野「なんだ?お前たち2人、内通者か?」

 

籠森「な、なんだと!?」

 

加賀美「喧嘩はよしなって!」

 

岩田「そうだぞ!このままだとモノクマの思う壺だ!」

 

絵馬「モノクマの口から直接言うことでむしろ内通者の存在に信憑性を無くすことが狙いかもしれないじゃない!」

 

上条「だからって俺たちが疑いあったってしょうがないだろ!」

 

佐藤「上条くんの言う通りだよ……私たちは協力し合わないと……」

 

香月「協力!?そんなこと言って、私たちを油断させて殺すつもりでしょう!」

 

佐藤「そんな……違う……」

 

メイビー「なんとも言えないね」

 

 みんな……疑心暗鬼になってる。

 

監原「あーもう!どうせモノクマの罠だろうが!」

 

加賀美「逆に考えてみてよ、こんなところにいてまでモノクマの味方じゃなきゃいけない理由を」

 

上条「モノクマの味方じゃなきゃいけない理由?」

 

加賀美「あたしね、こう思うの。仮に内通者がいてもそれは本意じゃないんだとね」

 

監原「不本意で内通者……?」

 

加賀美「うん。弱みとか握られて。だったらその弱みを曝け出せるくらいにみんな仲良くなろう」

 

式野「殺人を企てている奴と仲良くだと……!?」

 

加賀美「だから、殺人を企てないように仲良くなるんだよ。だから親睦を深めるためにパーティーをするのよ。いつもの朝食会じゃ、味気ないしね」

 

香月「無理よ!」

 

監原「俺は良いと思うぜ、一緒にいれば、殺人を企てる暇もないし、そもそも殺人も出来ないからな」

 

加賀美「どうかな?」

 

絵馬「いくら優子の意見でも……」

 

籠森「俺は加賀美の意見に賛成だな。1人だと殺人を企てるかもしれないからな」

 

岩田「籠森……!」

 

絵馬「内通者の件だってあんたが一番怪しいんだから!」

 

籠森「勝手に思ってろ。パーティーに参加しないってことは密かに殺人を企ててるってことで良いな?」

 

式野「なんだと!?」

 

加賀美「今までずっと食事の時は集まってきたんだし、今更じゃない?」

 

知念「そうだね……」

 

加賀美「じゃ、出し物とか考えよう。料理もさらに豪華にして」

 

佐藤「私も頑張る」

 

将口「私も俄然気合いが入る」

 

監原「出し物なら任せておけ!最高なものを用意してやるぜ」

 

加賀美「ということでパーティーは明後日ね。間に合わない場合はちゃんと言うんだよ」

 

 ということでパーティーが決まった。

 

 出し物班は監原、絵馬、メイビーのクリエイターたち。物の準備が俺と岩田と籠森の運動系。料理はいつも食事を作ってくれる、加賀美、佐藤、将口。そしてその他手伝いが香月と式野と知念になった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter3 (非)日常編3

監原「まずは、パーティー会場の飾り付けだよな。とは言ってもいつもの食堂だけど」

 

絵馬「やっぱり暖色系の飾り付けしたいわよね」

 

監原「ああ。暖色系は食欲を促進させるからな」.

 

メイビー「やっぱりガーランドが基本かな」

 

監原「うんうん。あと文字とかで」

 

知念「なんかこのメンバーで話すなんて珍しいね」

 

絵馬「あ、あたしはっ、優子がそう言うからそうしただけよ」

 

メイビー「あんまり話す機会が無かったしね」

 

監原「ま、これを機に疑心暗鬼が解かれるといいな」

 

知念「そうだね」

 

 

 

 

 

 

岩田「よーし、籠森、上条!机の反対側持ってくれ!」

 

上条「えっ」

 

籠森「お前に負担がでかすぎるだろ、真ん中持て」

 

岩田「自分の体重を腕だけで支えてんだぞ?これくらい平気だって」

 

籠森「平気平気で怪我した奴は誰だ?俺は加賀美にお前を任されたからな」

 

上条「そうだよ、岩田。確かにお前は俺たちのために頑張ってるけど、俺たちにも頑張らせてくれ」

 

岩田「2人とも……すまない、ありがとう」

 

 

 

 

 

加賀美「料理ねぇ、パーティーを企画したあたしが言うのもアレだけど、なかなか思いつかないねぇ」

 

将口「タコパはどうだろい?」

 

佐藤「デザートにチョコフォンデュとか」

 

加賀美「タコパにチョコフォンデュ……」

 

式野「まるでホームパーティーだな」

 

加賀美「そりゃあ本格的なパーティーなんか出たことないんだから」

 

式野「えっ」

 

加賀美「え?」

 

将口「た、確か、式野はオーケストラ団体でハリウッド女優とパーティーしたことあるんだった……はず」

 

加賀美「レベルが違いすぎる」

 

 

 

 

 

 

 

13日目

 

 

上条「これをここに置けば良いんだな?」

 

加賀美「うん、終わったら2時間休憩ね」

 

パーティーの準備も大詰めだ。

 

 

上条「少し休憩しようかな」

 

メイビー「いいかな?上条」

 

上条「メイビー?どうしたんだ?」

 

メイビーに手招きされて、食堂から離れた。

 

メイビー「君、アップルハウスのファイナルデッドルームをクリアした?」

 

上条「ファイナルデッドルーム?いや、そんなことしてないけど」

 

メイビー「なら良いんだけど、他に心当たりない?」

 

上条「心当たりなんて……。なんで急に」

 

メイビー「ファイナルデッドルームのログ、誰かがクリアしたログがあったんだ」

 

上条「ログがあるからってなんの問題が?」

 

メイビー「忘れたの?ファイナルデッドルームをクリアすると『みんなの秘密』が知れるんだよ?モノクマが生半可な秘密を置いたとは思えないんだ」

 

上条「ど、どういうことだ?」

 

メイビー「その反応を見る限り、やっぱり君はクリアしてないし、知られたくない秘密はないようだね」

 

上条「やっぱりって……」

 

メイビー「俺が言いたいのは、これが変なキッカケにならないか、注意してってこと」

 

上条「変なキッカケって……」

 

メイビー「俺が言いたいのはそれだけ」

 

 メイビーはそれだけ言って去ってしまった。

 何が言いたいんだ、変なキッカケって。まさか、殺人か?

 いや、俺たちはもう殺人なんかしないんだ。だから、パーティーの準備をしてるんじゃないか。

 

 メイビーのことは忘れよう。

 

 

将口「上条?何か飲まないか?」

 

上条「あ、うん」

 

将口からジュースを受け取った。

 

上条「パーティーの準備って学校の文化祭みたいでなんか楽しいよな」

 

将口「ああ。でも、ずっとこれが続けば良いな」

 

上条「良くないよ!とにかく殺人以外でここから出る方法を探さないと……」

 

それにしてもパーティーの準備ですごく疲れたな。眠い……。

 

将口「顔色悪いな、上条?」

 

上条「そう?なんかすごい眠い。部屋で寝てくる」

 

将口「わかった」

 

 

 

俺は倒れるように眠った。粗末な客室ということを忘れるくらいに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知念「上条くんっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 知念の叫びで俺は目が覚めた。すると目の前に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 包丁を持った将口がいた。

 

 

 

 

 

 

上条「え、あ?しょ、将口……?」

 

将口「くっ……」

 

知念「無駄だよ!将口くん!君が上条くんを殺しても僕が証言者になるだけだ!」

 

将口「う、わああああああああ!!」

 

将口はその場に崩れ落ちた。包丁を落とし、うづくまっていた。

 

上条「将口……!?お前、どうして!?」

 

将口「すまない、……私はっ……うっ、うぅぅう」

 

知念「将口くん、君はもしかして、内通者なの?」

 

上条「将口……!」

 

将口「……」

 

 将口は黙ったままだ。

 

 見かねた知念が俺に耳打ちをする。

 

知念「上条くん、将口くんと浴場に行こう」

 

上条「えっ」

 

知念「監視カメラがないあそこなら」

 

上条「あ、そっか、わかった」

 

上条「将口、来てくれ」

 

将口「みんなに晒し物にするのか?」

 

上条「違う、とにかく来てくれ」

 

 

 

 

 

俺と将口と知念は浴場に入った。

 

 

上条「ここなら監視カメラがない。存分に話せるよ」

 

将口「なんだ、2人とも。私を風呂に沈める気か?」

 

知念「そんなんじゃないよ」

 

上条「将口、お前が内通者なんだろ?」

 

将口「そうだ、私は内通者だ」

 

なんとなくわかっていたが、将口が内通者なんて信じられなかった。

 

上条「なんで!?いつから!?そんなっ……」

 

将口「学園に来て、1日目からだ」

 

そんな時から内通者だったなんて……。

 

上条「そんな時から内通者ならなんで推理の手助けなんかしてくれたんだよ!」

 

将口「内通者といえど、事件が起きれば普通の参加者だ。生き残るためにやったにすぎない」

 

上条「お前が、お前がどうしてこんなっ!」

 

知念「加賀美が予想した通り、もしかして不本意なの?」

 

将口「……言い訳臭いが、私は孤児院や弟子を人質に取られたんだ」

 

上条「えっ!?」

 

知念「人質!?」

 

将口「恐らく、他の内通者も、私と同じで人質に取られてるじゃないか?家族や大切な人を」

 

上条「将口……」

 

将口「相談したくても出来なかったよ、モノクマの機嫌を損ねたら殺されるかもしれないからな」

 

知念「それが本当だって確証あるの?」

 

将口「電話したからな。間違いなく、孤児院の子供たちと私の弟子だった」

 

上条「でもどうして急にそんな……」

 

将口「モノクマが急かして来たんだ。今は14時かな。あと2時間以内に殺人が発生しないと人質を殺すとね」

 

知念「それって他の内通者に当てはまるの?」

 

将口「そこまでは私も分からない」

 

知念「いや、休憩が終わったのに食堂に人が集まらないからみんなで探してて、上条くんの部屋に行ったら将口を見つけてそれで」

 

上条「えっ!?集まらないって……」

 

将口「あのモノクマの脅しが他の内通者にもさせられていたら……。あのモノクマの言い方、『殺人が発生しないと』だった。まるで私以外が殺人をする理由があるかのように」

 

上条「っ!?な、探さないと!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピンポーンパンポーン

 

 

 

 

モノクマ「死体が発見されました。一定の自由時間の後、学級裁判を開きまーす」

 

 

 

 

 

 そんな俺の言葉を否定するような残酷な音と共にモノクマが放送を流した。

 

 

 

上条「!?」

 

知念「死体が発見されたって……」

 

将口「やはり、私以外の内通者が手を出してしまったのか」

 

上条「そんな!殺人なんか起きるはずないのに!」

 

 

俺は浴場を出て行った。

 

 

上条「どこだ!?」

 

知念「監原くんなら知ってるかもしれない。アップルハウスに向かおう」

 

上条「ああ」

 

監原「いや、その必要はないぜ」

 

上条「監原!?」

 

監原「2階を見ろ」

 

上条「2階?本校舎の?」

 

監原「階段だ、気を付けろ」

 

 

 

 

 俺はゆっくり階段に近づいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこには

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 血塗れの

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 超高校級の美化委員、加賀美優子の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上条「うわあああああああああ!?」

 

 みんなをまとめてくれたあの加賀美が……死んでいた。今までより強い絶望感が襲ってくる。

 なんで加賀美が?恨まれるような奴じゃないのに。

 

知念「うわああああああ!か、加賀美さん!?」

 

将口「加賀美……!」

 

監原「あと気になることがあるんだ、死体発見アナウンスだが……」

 

 

 

 

 

 

ピンポーンパンポーン

 

 

 

 

モノクマ「死体が発見されました。一定の自由時間の後、学級裁判を開きまーす」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上条「えっ……」

 

 

頭が回らない中、また聞こえたアナウンスにさらに俺の頭の中は混乱した。

 

 

知念「またモノクマが流したの……?」

 

将口「まさか……」

 

監原「……知念、将口、ここで見張りを頼めるか?」

 

知念「良いよ」

 

将口「良いのか?内通者の私と2人きりで」

 

監原「将口が内通者!?」

 

知念「僕を殺せば疑いは君にかかるだけだよ。そんなメリットないはずだ」

 

監原「……上条、いくぞ、多分、アップルハウスかグレープハウスだ」

 

上条「え?」

 

監原「とりあえず呼びにいくつもりで」

 

上条「うん……」

 

 

 

アップルハウスの前に佐藤が立っていた。

 

 

佐藤「上条くん……」

 

上条「佐藤!加賀美が!」

 

佐藤「まさか、加賀美さん『も』殺されたの?」

 

上条「もって……」

 

監原「悪い予感が当たったか」

 

上条「そんなはずない!」

 

 

俺は現実逃避をするようにアップルハウスに走りながら入った。

 

 

 

 

岩田「上条!」

 

 

 みんなが部屋の周りに集まっていた。

 

絵馬「またよ、またこんなことになるなんて!」

 

メイビー「……」

 

式野「全く……」

 

上条「みんな……」

 

岩田「覚悟は良いか?」

 

上条「……」

 

 

 

 

 

岩田が扉を開けると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 首を吊った状態の

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 超高校級のセラピスト、香月薫の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter3 非日常編

上条「あああああぁぁぁ!香月!」

 

岩田「香月……」

 

 

そんな、香月が死んだなんて……。

 

 

式野「しかし、香月は残念だが、今回の学級裁判は楽そうだな」

 

上条「え?」

 

式野「香月は自殺したんだからな」

 

上条「違う!香月だけじゃないんだ!加賀美も血を流して死んでたんだ!」

 

岩田「なっ!?」

 

絵馬「な、何言ってんのよ!優子が死ぬはずないじゃない!」

 

式野「まさか2回のアナウンスは……」

 

絵馬「優子おおおお!」

 

絵馬は走って行ってしまった。

 

上条「絵馬!」

 

監原「やめとけ、上条。今は捜査が大事だ」

 

上条「……」

 

監原「おい、籠森は?籠森はいないのか?」

 

岩田「籠森?見てないが……」

 

監原「籠森はアップルハウス側の人間だから部屋にいても放送がわかるはずなのに」

 

 俺に、嫌な予感がよぎる。

 

監原「式野、佐藤、死体の見張りを頼む。俺は知念たちに状況を説明するから、上条と岩田は籠森を探してくれ」

 

岩田「わかった!」

 

上条「うん……」

 

 なんで、なんでこんなことに。

 

 

 アップルハウスはファイナルデッドルームを除けば、部屋しかない。俺は一部屋一部屋探して、粗末な客室の扉を開けた、その時

 

 

 

 縛られている籠森を見つけた。

 

 

 

上条「うわああああああ!」

 

岩田「見つかったか!?……安心しろ、上条。籠森は死んでない」

 

上条「えっ」

 

岩田「呼吸があるだろ?脈もある」

 

上条「な、なんで籠森が縛られてるんだ?」

 

 

コトダマ 縛られた籠森

 

 

岩田「ここは俺に任せて、上条は捜査に専念してくれ」

 

上条「え、あ……わかった」

 

 俺はとりあえず、香月の部屋に向かった。

 

 

 

 

 

モノクマ「じゃじゃーん!」

 

上条「うわっ、モノクマ!」

 

モノクマ「なかなかタイミングがなくて渡せなかったよ。はいモノクマファイル3」

 

 

コトダマ モノクマファイル3

 

 

上条「モノクマ、2人も立て続けに死んだけど裁判はどうなるんだ?」

 

モノクマ「さあね。僕は連続殺人についてはフレシキブルな対応をするからね。それに連続殺人かどうかも怪しいけどね」

 

上条「……」

 

それだけ言って、モノクマは消えてしまった。なんなんだ、これは一体。この事件は何がどうなってるのか検討もつかない。

 

 

 俺はモノクマファイルに目を通した。

 

 

モノクマファイル3

被害者は超高校級の美化委員、加賀美優子と超高校級のセラピスト、香月薫。

 

加賀美優子の死因は首の動脈を刺され、即死したと思われる。凶器は刃物だと思われる。

 

 

香月薫の死因は首を絞められことによる窒息死。首に引っ掻き傷がある。

 

 

 

 

 

 

上条「なんだよ、これ」

 

 

死亡時刻が書いてない。

 

佐藤「上条くん、私にもモノクマファイル見せて」

 

 佐藤にモノクマファイルを見せた。

 

 

佐藤「……香月さん、首に引っ掻き傷があるんだよね?」

 

上条「ん?」

 

佐藤「自殺する人が引っ掻き傷なんか残すかな」

 

上条「え?」

 

佐藤「首を絞められたことに驚いて、それを外そうとしたんじゃないかな?」

 

上条「殺されたってこと?」

 

 香月の死体を見る。確かに首を吊ってるけど、引っ掻き傷がある。

 

上条「自殺じゃない……」

 

式野「それはありえないぞ」

 

上条「え?」

 

式野「鍵がかかっていたからモノクマに部屋を開けてもらったんだ。つまり香月の部屋は密室だったんだよ。だから殺せないさ」

 

 密室……密室殺人か?

 

 

コトダマ 式野の証言

 

 

上条「密室……」

 

 

佐藤「窓が開いてるね」

 

上条「まさかここから飛び降りて……無理か。死ぬし、良くて骨折だもんな」

 

 

コトダマ 開いた窓

 

 

 

上条「ん?」

 

 

 窓の向こう、グレープハウスの方を見ると、グレープハウス側の窓にヒビが入っていた。横に一直線に。

 

 

上条「おかしいな、朝まではヒビなんか入ってないのに」

 

 

コトダマ グレープハウスの窓のヒビ

 

 

 

 

 ん?香月の電子生徒手帳か

 

香月の電子生徒手帳は起動したままだった。

 

上条「これって……」

 

 電子生徒手帳はメモモードになっていた。

 

私は取り返しのつかないことをしてしまった。加賀美さんを殺してしまった。おしおきされるぐらいなら自ら死にます。

 

 

 

 

佐藤「遺書……?」

 

 

コトダマ 香月の遺書

 

 

上条「そんな、香月が加賀美を!?」

 

佐藤「うーん、どうだろう」

 

 

 

 

上条「俺、加賀美の捜査をしてみるよ」

 

佐藤「お願いね」

 

 

 

 

メイビー「上条」

 

上条「メイビー……」

 

メイビー「ファイナルデッドルームの入室のログ。多分、事件に関与してるはずだ」

 

上条「ファイナルデッドルームが発端に……」

 

 

コトダマ ファイナルデッドルームの入室ログ

 

 俺は本校舎に向かった。

 相変わらず、外は土砂降りだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵馬「いやああああぁぁぁぁぁ!優子ぉ!」

 

監原「落ち着けって絵馬!」

 

 

上条「監原!」

 

監原「上条、ちょっと手伝ってくれ、絵馬が現場を荒らすんだ」

 

知念「やめてよ、絵馬さん!荒らさないで」

 

将口「気持ちは分かるが、やめてくれ」

 

絵馬「な、なんで優子が!優子、優子ぉぉおおお!」

 

上条「絵馬!」

 

 俺は絵馬の腕を掴んだ。

 

監原「上条、そのまま押さえてろ、気絶させる」

 

監原が絵馬の首を圧迫する。

 

知念「監原くん!それ以上は……」

 

監原「わかってる」

 

絵馬は意識を失った。

 

上条「……」

 

監原「これで捜査出来るな」

 

知念「あの、気づいたことがあるんだけど、加賀美さんはいきなり刺されたんじゃないかな」

 

監原「なんでだ?」

 

知念「首の後ろを刺されたみたいだから……」

 

監原「後ろからいきなりなら、悲鳴を上げる暇ないな」  

 

上条「監原、何かわかる?」

 

監原「うーん、血塗れのバスタオルが落ちてるってことと、血が乾いてないってくらいかな。モノクマファイルに何か重要な手掛かりがあれば」

 

上条「あの、監原!モノクマファイルには死亡時刻が書いて無かったんだ」

 

監原「何?」

 

監原「みんなのアリバイを確認しなきゃまずいな」

 

上条「俺、寝ちゃったから気付かなかったけど、加賀美と香月の姿が見れなくなったのはいつなの?」

 

監原「休憩の12時〜15時だな。15時に食堂に集まる予定だってのにさ」

 

知念「15時に食堂に来たのが僕、監原くん、メイビーくん、岩田くん、式野くん、絵馬さん、佐藤さんだけで心配になって上条くんを探したら……」

 

将口「私が上条に襲いかかっていたというわけだな」

 

監原「将口……お前、内通者なのか?」

 

将口「……そうだ。一応、上条のアリバイは私が保証する。私はずっと上条を殺すために部屋の前にいて、上条は外に出てない」

 

上条「将口……お前が……」

 

監原「しかし都合良く眠くなるんだな」

 

将口「当然、私が睡眠薬を盛ったからな」

 

知念「えっ!?上条くんに睡眠薬を!?」

 

監原「用意周到だな」

 

将口「それと、これは気になったことだが、13時15分頃に食堂に行った時に香月とすれ違ったんだ」

 

監原「つまり、香月は13時15分は生きていたのか」

 

 

コトダマ 将口の証言

 

 

監原「あと、気になることがあるんだ。俺が加賀美の死体を見つけた時、俺1人なのに死体発見アナウンスが流れたんだ」

 

上条「確か死体発見アナウンスの条件は犯人を含めた3人以上が死体を発見した時……だよな?」

 

知念「おかしいね、犯人以外が死体を見てるならみんなに言うはずだよね?」

 

上条「アップルハウスのみんな誰も加賀美のこと言わなかったのに」

 

監原「……」

 

 

コトダマ 監原の証言

 

 

 

監原「加賀美の電子生徒手帳だ。起動したままだ」

 

知念「電子生徒手帳は3時間は電源持つからね」

 

上条「……」

俺は何げなく、加賀美の電子生徒手帳に触れた。

 

上条「このメールって」

 

 

 

 13時40分に図書室で待っている    籠森より

 

 

上条「呼び出し……?籠森から?」

 

監原「……」

 

 

 

コトダマ 籠森からの呼び出しメール

 

 

 さらに他のメールもあった。

 

 

 わかってるよね?加賀美さん!人質の件!1時に来なかったら人質にスペシャルなおしおきをするからね! モノクマより

 

 

上条「な、なんだよ、これ!」

 

監原「人質……」

 

 

コトダマ モノクマのメール

 

 

 

上条「まさか、加賀美が内通者なんてこと……」

 

将口「私には分からないが同様のメールならもらった」

 

知念「じゃあ、加賀美さんも……」

 

監原「現時点じゃあ100%ありえるとは言い切れないが、犯人がこんな偽装工作するメリットも思い浮かばないからな……」

 

監原「俺は死体を調べてるから、みんなのアリバイを確認してくれ。学級裁判で話すのも良いが、学級裁判で変なアリバイ工作される可能性があるからなら」

 

知念「僕と監原くんはずっと一緒にグレープハウスで話してたよ」

 

将口「こんな形だが、私と君とはアリバイになる。私を信じられるなら」

 

監原「あと、多分、絵馬はいつも通りずっと美術室にいただろうな。集合前に美術室から出る絵馬を見た」

 

上条「わかった」

 

 

 

 

 

 

あとはアップルハウス側の人たちだ。

 

 

 

籠森「上条!」

 

上条「籠森!?大丈夫なのか!?」

 

籠森「加賀美が……加賀美が殺されたって本当か?」

 

上条「あ、……うん……」

 

籠森「……この目で見ない限りは信じないからな!」

 

上条「あのっ、籠森アリバイは!?」

 

行ってしまった……。

 

岩田「上条……」

 

上条「岩田……」

 

岩田「籠森、俺の言葉を信じてくれなかったよ」

 

上条「俺だってショックだよ、あの加賀美が……。あっ、アリバイ聞かなきゃ!岩田!アリバイは!?」

 

岩田「俺のアリバイか?休憩以降は俺は1人でトレーニングしてたからアリバイを立証する人間はいない。ただ俺は14時半頃に汗を流すためにシャワーを浴びたんだ。まだ濡れてるだろ?」

 

上条「そっか、ありがとう。あ、いや、籠森と一緒じゃなかったのか?籠森はお前を見張ってたはずなのに」

 

岩田「それなんだ、なぜか籠森は急にいなくなったんだ」

 

上条「籠森に何かあったのか?」

 

岩田「それに目を覚ました籠森が言っていたが、籠森は図書室に行った途端に気を失ったらしい」

 

 

コトダマ 岩田の証言

 

 

 

 

 

 

上条「佐藤、式野!」

 

佐藤「上条くん……」

 

式野「やはり香月は自殺だろう?」

 

上条「その結論は学級裁判で!休憩から死体発見までの2人のアリバイは?」

 

佐藤「私は12時から13時までホットケーキ作ってたよ。1人でそれ以降は部屋にいたよ」

 

上条「式野は?」

 

式野「ずっと部屋にいた。アリバイなんて関係ない、香月は遺書にある通り加賀美を殺して自殺したんだ」

 

上条「……」

 

 こんな白昼堂々と殺人するなんて。それにアリバイが成立してない人が多い。

 

上条「あれ?メイビーは?」

 

佐藤「メイビーくんは見てないよ?」

 

上条「メイビーを探してくる」

 

 捜査時間だってそんなにないはずなのに。

 

 

 

 

メイビー「上条」

 

上条「メイビー!何してたんだ!」

 

メイビー「なんでも良いでしょ?」

 

上条「よくない!事件の時のアリバイは?」

 

メイビー「ずっと部屋にいたよ」

 

メイビー「ファイナルデッドルームをクリアしたんだ」

 

上条「ファイナルデッドルームを!?」

 

メイビー「おかげで面白い事実に行き着いたんだ」

 

上条「面白い事実?」

 

メイビー「加賀美は……」

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

 

モノクマ「十分捜査したでしょ?扉の前に集まってくださーい」

 

上条「そんな!もう終わり!?」

 

メイビー「……詳しいことは学級裁判で話すよ」

 

 

 

 

 

 こうしてまた集まってしまった。

 

 学級裁判所の前に。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter3 学級裁判 前編

コトダマ モノクマファイル3

 

被害者は超高校級の美化委員、加賀美優子と超高校級のセラピスト、香月薫。

 

加賀美優子の死因は首の動脈を刺され、即死したと思われる。凶器は刃物だと思われる。

 

 

香月薫の死因は首を絞められことによる窒息死。首に引っ掻き傷がある。

 

 

コトダマ 縛られた籠森

ロープで縛られ、気絶した状態で発見された。全身縛られている。なぜこんなことを?

 

 

 

コトダマ 式野の証言

鍵が掛かっていて密室になっていた。モノクマが開けたらしい。

 

 

コトダマ 開いた窓

香月の部屋の窓が開いていた。飛び降りるのは不可能。

 

 

コトダマ グレープハウスの窓のヒビ

グレープハウスの窓にヒビが入っていた。横一直線にヒビが入っている。

 

 

コトダマ 香月の遺書

加賀美を殺したという記述の遺書。

 

 

コトダマ ファイナルデッドルームの入室ログ

誰かが昨日、ファイナルデッドルームに入室している。

 

 

コトダマ 将口の証言

13時15分頃に食堂で香月を見たらしい。

 

 

 

コトダマ 監原の証言

1人で加賀美を発見したのに死体発見アナウンスが流れた。

 

 

コトダマ 籠森からの呼び出しメール

加賀美の電子生徒手帳に籠森からの呼び出しメールがあった。13時40分が予定らしい。

 

 

コトダマ モノクマからのメール

モノクマから人質をとったようなメールが加賀美の電子生徒手帳にあった。

 

 

コトダマ 岩田の証言

籠森が唐突にいなくなったらしい。岩田自身は14時半にシャワーを浴びたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モノクマ「えー、まずは学級裁判の簡単な説明をしておきましょう」

 

モノクマ「学級裁判では『犯人は誰か』を議論し、その結果をオマエラの投票により決定されます」

 

モノクマ「正しいクロを指摘できればクロだけがおしおき、もし間違った人物をクロとした場合はクロ以外全員がおしおきされ生き残ったクロだけが卒業できます」

 

 

モノクマ「さっ、2人も被害者いるけど、頑張って推理してくださーい!」

 

 

式野「決まっている、香月が加賀美を殺し、そして香月は自殺した。これで終わりだ」

 

監原「おいおい、まだ不自然な点は残ってるぜ?」

 

知念「ともかく、一旦、事件を整理しよう。よく分かってない人もいるだろうし」

 

上条「ああ。ただ俺、色々あって寝てたんだ」

 

式野「寝てただと!?」

 

将口「……」

 

監原「じゃあ俺が事件をまとめるとまず、パーティーの準備の休憩になって俺と知念で行動していた。みんなもそれで各自、休憩したと思う。それで集合時間になっても、上条、将口、加賀美、香月、籠森が来ないからみんなで探すことになった」

 

知念「それで僕は上条くんと将口くんと合流したんだけど」

 

監原「俺が加賀美の死体を見つけてアナウンスがされてすぐにまたアナウンスがされたんだ」

 

メイビー「つまり、監原が加賀美を発見した後に俺と式野と佐藤が香月を発見してアナウンスされ、岩田と絵馬と合流した。それでいいんだよね?」

 

佐藤「そうだね」

 

岩田「間違いない」

 

 

議論開始

 

コトダマ モノクマファイル3

コトダマ 開いた窓

コトダマ 監原の証言

コトダマ 岩田の証言

コトダマ 香月の遺書

 

 

 

式野「しかしいくら説明したところで……話し合う必要はない」

 

佐藤「どうして?」

 

式野「香月は『首吊り自殺』をしたんだ!」

 

監原「本当にそう思うのか?」

 

式野「部屋は鍵がかかって『密室』だったんだぞ?それに遺書もあるんだからな!」

 

佐藤「『窓は開いて』たよね?」

 

式野「窓がどうした?飛び降りたら死ぬし良くて骨折だろうが!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

式野「香月は『首吊り自殺』をしたんだ!」

 

 

 

 

コトダマ モノクマファイル3

 

 

 

 

論破

上条「それは違うぞ!」

 

 

 

 

式野「なんだ?」

 

上条「モノクマファイルに書いてあったんだ、首に引っ掻き傷があるってな」

 

監原「ん?」

 

佐藤「きっと…首を絞められてそれを外そうとしたんだ……それで引っ掻き傷になったんだよ」

 

監原「ああ、つまり吉川線って奴か」

 

知念「吉川線?」

 

監原「自殺か他殺かを見極める判断基準になる吉川線……。上条と佐藤の言う通り、抵抗した時に引っ掻き傷ができるのを吉川線って言うんだ」

 

メイビー「ミステリーものならよく出てくるね」

 

式野「しかし、部屋は密室だったんだぞ。首吊りしようとした時に死ぬ間際で怖くなって外そうとしたんじゃないか?」

 

佐藤「そうとも考えられるけど……色々不思議だよ」

 

知念「香月さんはもちろんだけど加賀美さんについても議論しないと」

 

絵馬「優子……!?」

 

籠森「っ……!」

 

 

 

議論開始

 

コトダマ モノクマファイル3

コトダマ 将口の証言

コトダマ 式野の証言 

コトダマ 監原の証言

コトダマ 開いた窓

 

岩田「『香月が加賀美を殺した』んじゃないのか?」

 

式野「『遺書』にもそう書いてある」

 

佐藤「自殺かどうかが怪しくなった以上…本当に香月さんが殺したのかも怪しいよ」

 

絵馬「許さない許さない!香月なんか絶対に許さないんだから!!」

 

岩田「だが、今の時点だと香月が加賀美を殺した以外に『不審な点はない』だろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

岩田「だが、今の時点だと香月が加賀美を殺した以外に『不審な点はない』だろ?」

 

 

コトダマ 監原の証言

 

 

 

 

論破

上条「それは違うぞ!」

 

 

 

上条「いや、香月がただ加賀美を殺したって点については不自然なんだ」

 

岩田「なんでだ?」

 

上条「死体発見アナウンスだ。監原が1人で死体を見た時に流れたらしいんだ」

 

佐藤「死体発見アナウンスは……犯人を3人が死体を発見した時に流れるはず……」

 

監原「これが単に香月が加賀美を殺したっていうわけじゃないってことになる。もう1人、俺以外が目撃したことになる」

 

式野「まさか、そいつが香月を殺したのか?」

 

岩田「一体なんのために……」

 

上条「それは……」

 

 

閃きアナグラム

 

 

 

く ち ふ う じ

 

 

口封じ

 

 

上条「そうだ、犯人は犯行を見られて口封じに香月を殺したんじゃないか?」

 

監原「そうなるとかなり辻褄が合うな」

 

絵馬「こ、この中に優子を殺した奴がいるって言うの!?」

 

将口「いや、待ってくれ、私はそうは思わない」

 

上条「将口……!?」

 

将口「君には話したはずだ」

 

上条「あれか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コトダマ 将口の証言

 

 

 

 

 

上条「みんな聞いてくれ、将口が13時15分頃、食堂で香月を見たらしい」

 

将口「その時、包丁がなくなっていたんだ」

 

監原「な!?」

 

知念「香月さんが包丁を持ち出したならやっぱり香月さんが加賀美さんを?」

 

式野「だとしたら死体発見アナウンスはどうなるんだ。1人でアナウンスが流れたというのは」

 

メイビー「じゃあなぜ見たもう1人が加賀美が死んだことを言わなかったのかという観点で考えればいい」

 

上条「見たもう1人が加賀美の死体を言わなかった理由……」

 

 

 

 

1.めんどくさかった

2.偽装工作のため

3.共犯

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.偽装工作のため◀︎

 

 

 

 

 

上条「犯人は香月が加賀美を殺して自殺したという偽装工作のために言わなかったんだ」

 

メイビー「死体発見が遅れれば遅れれるほど、死亡推定時刻は悟られなくなるし、偽装工作自体にかける時間も増えるからね」

 

式野「その理論だと誰かが香月を殺したことになるが、あの密室はどうなるんだ?」

 

上条「……」

 

佐藤「また密室の話に戻ったね」

 

監原「俺も密室の捜査すれば良かったな」

 

佐藤「それに……まだ不思議な点があるよ……籠森くんは縛られて発見されたんだよね?」

 

岩田「そうだな……」

 

佐藤「籠森くん、何かあったの?」

 

 

議論開始

 

コトダマ 監原の証言

コトダマ 香月の遺書

コトダマ ファイナルデッドルームのログ

コトダマ 籠森からの呼び出しメール

 

 

籠森「『図書室に行った』だけだ」

 

式野「なんで図書室なんかに行ったんだよ!」

 

籠森「悪いか!『加賀美に呼び出された』んだからな!」

 

籠森「そしたら『気を失って』、何故かアップルハウスってわけだ」

 

佐藤「気を失う前はどうしたの?」

 

籠森「知らない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

籠森「悪いか!『加賀美に呼び出された』んだからな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コトダマ 籠森から呼び出しメール

 

 

論破

上条「それは違うぞ!」

 

 

 

上条「いや、加賀美の電子生徒手帳の記録には籠森からの呼び出しメールがあったんだ」

 

籠森「俺は嘘をついてないぞ!」

 

上条「でも加賀美の電子生徒手帳に書いてある」

 

監原「証拠を見せてやるよ」

 

監原は加賀美の電子生徒手帳を見せて起動した。

 

監原「確かに呼び出されてるだろ?」

 

籠森「うるさい!証拠は俺の電子生徒手帳にもある!」

 

籠森も電子生徒手帳を開き、起動させた。

 

 

 

籠森くんへ 秘密の話があるから誰にも言わずに13時30分に図書室に来てね 加賀美より

 

 

 

監原「ならお前は送信してないんだな?」

 

籠森「なに?」

 

監原は籠森に近づき、電子生徒手帳を手にした。

 

籠森「な、何すんだ!」

 

 確かに籠森の電子生徒手帳には送信歴があった。

 

 

籠森「な、こんなの知らない!」

 

式野「なるほどつまりお前が犯人なんだな」

 

絵馬「そうやってみんなを欺いたのね」

 

 

 

 

議論開始

 

コトダマ 岩田の証言

コトダマ 縛られた籠森

コトダマ 将口の証言

コトダマ 香月の遺書

 

 

式野「加賀美を呼び出して殺して『香月に濡れ衣』を着せる……完璧な計画だな」

 

絵馬「それが狙いだったのね!」

 

岩田「籠森がそんなことするはずないだろ?」

 

籠森「そうだ!俺は殺してない!『殺せるわけない』んだ!」

 

式野「犯人ならなんとでも言えるな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

籠森「そうだ!俺は殺してない!『殺せるわけない』んだ!」

 

 

コトダマ 縛られた籠森

 

 

 

同意

上条「それに賛成する!」

 

 

 

上条「いや、籠森が犯人なのはおかしい」

 

式野「なんだと?言い出しっぺはお前らだろ?」

 

監原「だーかーら、あくまでも事実確認さ」

 

知念「でも、なんで籠森くんが犯人じゃないって断言できるの?」

 

上条「籠森は縛られてたんだ。全身をぐるぐる巻きにされて。自分でそんなこと出来るはずない」

 

監原「恐らく籠森の呼び出しメールが偽物なんだろう。恐らく香月が気絶した籠森の電子生徒手帳を操って籠森を犯人に仕立て上げようとしたんだ」

 

籠森「くっ……」

 

知念「縛ったりしたんだろう。そんなことしたら犯人候補が減っちゃうんだよ?」

 

監原「そこが問題なんだよなぁ」

 

佐藤「密室の謎も解けてないし……」

 

メイビー「なら、犯人を絞れば良いんだよ」

 

上条「犯人を絞る……?」

 

知念「それが出来たら苦労しないよ」

 

メイビー「いやあるよ。君たち、内通者の存在、忘れてない?」

 

式野「だからその内通者が分からないんだ!」

 

メイビー「わかるよ。ファイナルデッドルームに行った俺ならな」

 

監原「ファイナルデッドルームをクリアしたのか」

 

メイビー「うん。そこの特典として内通者3人の名前、そして期間内に殺人が発生しないと人質を殺すって言う動機の提示と共にね」

 

上条「それって……」

 

将口が言ってたのと同じじゃないか。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter3 学級裁判 後編

籠森「その内通者って誰だ!」

 

メイビー「はっきり言わせてもらうよ、1人目は将口だよ」

 

将口「……っ!!」

 

やっぱり、将口が内通者なのか……。

 

式野「なっ!?」

 

籠森「本当なのか!?」

 

岩田「将口、お前が……」

 

将口「……そうだ、私が内通者だ」

 

籠森「あっさり認めたな」

 

将口「上条と知念にはバレているし、監原にも話した。ただ、これだけは言える。私は犯人ではない」

 

式野「犯人じゃないだと!?バカを言うな」

 

メイビー「他に内通者はいるんだよ?彼が犯人じゃない可能性もある。俺はあくまで犯人を絞るという話をしているんだ」

 

監原「タイムリミットがある中で内通者が殺人……確かに3人の中にいそうだしな。他には?」

 

メイビー「覚悟して聞いて欲しい。もう1人は加賀美だ」

 

上条「えっ!?」

 

監原「……」

 

籠森「加賀美が内通者なはずないだろ!」

 

絵馬「そうよ!適当なこと言わないでよ!」

 

メイビー「嘘じゃないんだけどなぁ。だって現に加賀美が殺されるじゃないか」

 

絵馬「優子が殺されたことと内通者ってことがなんなのよ!逆でしょ、普通!」

 

 

 

議論開始

 

コトダマ 監原の証言

コトダマ 岩田の証言

コトダマ ファイナルデッドルームのログ

コトダマ モノクマからのメール

 

絵馬「そんなこと言って『議論をねじ曲げてる』のよ」

 

監原「今は信じるしかないだろ」

 

籠森「あいつを信じてなんになる!死んだ人間の名誉を傷つけてるだけだろ!」

 

メイビー「『本当』なんだけどな」

 

絵馬「あんたがファイナルデッドルームに行ったなんて、『嘘に決まってるわ!』」

 

メイビー「信じられないならそれで良いけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵馬「あんたがファイナルデッドルームに行ったなんて、『嘘に決まってるわ!』」

 

 

コトダマ ファイナルデッドルームのログ

 

 

 

 

論破

上条「それは違うぞ!」

 

上条「いや、ファイナルデッドルームの入室ログがあるはずだ、それで証明できる」

 

式野「しかし、どう証明するんだ?」

 

モノクマ「はーい、これがファイナルデッドルームのログでーす」

 

 

13日 14時30分 入室

14日 16時20分 入室

 

 

 

 

知念「確かに捜査時間に入室歴があるね」

 

監原「けどこの前日の入室は……まさか」

 

上条「この中で前日にファイナルデッドルームに入室した人って」

 

 

 

怪しい人物を指名

 

上条翔太

 

星野リコ ×

 

佐藤雪香

 

岩田圭介

 

弓長詩織 ×

 

絵馬一帆

 

将口歩夢

 

メイビー

 

監原誠也

 

式野龍馬

 

籠森健一 

 

知念悠馬

 

加賀美優子 ×

 

深沢由奈 ×

 

蹴上秀 ×

 

香月薫 ×

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

香月薫 × ◀︎

 

 

 

 

メイビー「そう、それは香月だ」

 

式野「なんで香月ってわかるんだ?」

 

メイビー「だってクリア特典は内通者の情報だよ?香月は内通者が殺人をタイムリミットまでにすると思って、内通者である加賀美を狙ったんだよ」

 

上条「そうしたら繋がってくる……」

 

 

 

 

 

 

反論

絵馬「そんなのありえないわ!」

 

 

 

上条「絵馬!?」

 

絵馬「優子が内通者なんて信じないわよ!」

 

 

反論ショーダウン 開始

 

コトノハ 縛られた籠森

コトノハ モノクマからのメール

コトノハ 岩田の証言

コトノハ ファイナルデッドルームのログ

 

絵馬「優子は内通者なんてそんな人じゃないわ」

 

上条「別に内通者だからって殺人をしたわけじゃない」

 

絵馬「内通者ってモノクマの仲間なんでしょ!?優子がモノクマの仲間になるわけないじゃない」

 

上条「だから、加賀美は別に好きで内通者をしてるわけじゃない」

 

絵馬「どうせゲーム男の『でっちあげ』でしょ!」

 

絵馬「『優子は内通者なんかじゃないんだから』!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵馬「どうせゲーム男の『でっちあげ』でしょ!」

 

コトノハ モノクマからのメール

 

 

上条「その言葉、斬る!」

 

 

 

 

 

 

上条「いや、加賀美の電子生徒手帳にモノクマからメールがある」

 

絵馬「そんなっ、でも香月がやったんじゃ……」

 

監原「そんなメリットないだろ?」

 

モノクマ「確かに僕が送りましたよ!僕の素敵なメールをオマエラと同じにするなあ!」

 

監原「だってさ」

 

絵馬「ぐぅ、ぅぅぅ……」

 

知念「それより人質を取られてたって方が大変だよ」

 

将口「彼女も私と同じように人質を取られていたのか」

 

式野「だが、将口!お前の疑惑は晴れてない」

 

将口「言い訳のように聞こえると思うが、私はグレープハウスで……その、上条を殺す機会を伺っていた」

 

式野「なに!?」

 

籠森「殺すだと!?」

 

絵馬「ひぃっ!」

 

岩田「なっ……!?」

 

佐藤「将口くん……」

 

知念「将口くんが、上条を狙ったのを僕も見たよ」

 

上条「確かに狙われた」

 

監原「既に他の奴を殺した奴がまた殺人なんて証拠が増えるだけだからな」

 

上条「教えてくれ、メイビー。もう1人の内通者って誰なんだ?」

 

メイビー「これは生きている人だからある程度バレてた将口より言うのを憚れるけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メイビー「内通者は岩田だよ」

 

上条「い、岩田が!?」

 

籠森「なっ……」

 

岩田「ちょっと待ってくれ、俺は内通者じゃない」

 

監原「この流れでそれを否定するのは無理があるだろ?」

 

知念「だけど現段階だと加賀美さんと将口くん以外の内通者=犯人って流れだよね?」

 

上条「そんな……」

 

メイビー「あくまでタイムリミット以内に殺人をする理由がある人ってだけの現状証拠だけどね」

 

監原「ならあの密室の謎に戻ればいい」

 

式野「あの話に詰まったから犯人を直接探すって話になったんだろ!?」

 

監原「いや?岩田が犯人ってことを念頭に入れたら見えてくるものがあるかもな」

 

籠森「岩田は犯人じゃない!」

 

岩田「俺が犯人なんてなんの冗談だ」

 

監原「なら、話し合えばいい」

 

 

議論開始

 

 

コトダマ 開いた窓

コトダマ グレープハウスの窓のヒビ

コトダマ 式野の証言

コトダマ 岩田の証言

 

 

式野「どうやってあの密室を作ったんだ?」

 

絵馬「わかったわ!『ドアを壊したのよ!』それしかない」

 

佐藤「『窓から飛び降りたのかな』。」

 

知念「いくらなんでもあの高さは……」

 

式野「しかし、窓以外に『不自然な点はないが……』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

式野「しかし、窓以外に『不自然な点はないが……』」

 

 

 

コトダマ グレープハウスの窓のヒビ

 

 

論破

上条「それは違うぞ!」

 

 

 

 

上条「いや、気になった点があるんだ。グレープハウスの窓にヒビがあったんだ。横一直線のヒビだ。ちょうど香月の部屋の真正面に。朝はヒビなんてなかったのに」

 

監原「……グレープハウスの横一直線の窓のヒビ……。窓は開いてたんだろ?」

 

上条「うん」

 

監原「考えられる可能性は……」

 

 

 

 

議論開始

コトダマ モノクマファイル3

コトダマ 監原の証言

コトダマ 岩田の証言

 

 

 

知念「どうして一直線のヒビがあったのかな?」

 

式野「『劣化』して割れたんだろ?」

 

佐藤「でも私が見た時は『不自然なくらい』一直線だった」

 

監原「つまり『何かに利用した』んだ」

 

絵馬「そんなの何に!?」

 

知念「一直線のヒビ……」

 

式野「『包丁でヒビをいれた?』」

 

佐藤「『何かで巻きつけた?』」

 

知念「『何かをぶつけた?』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

コトダマの記憶 『何かに利用した』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐藤「『何かで巻きつけた?』」

 

 

コトダマ 『何かに利用した』

 

 

 

 

 

同意

上条「それかもしれない!」

 

 

 

 

 

上条「確かにあの一直線、もしかしたら何かを巻きつけた後なのかもしれない」

 

監原「何かってロープだな」

 

式野「なぜ言い切れる」

 

籠森「ロープなんか使ってなんになる!?」

 

監原「そりゃあ、よじ登るためだよ」

 

籠森「よじ登る……!?」

 

監原「そこからなら密室を脱出出来るはずだからな」

 

上条「よじ登る……」

 

監原「この中にロープを使って壁をよじ登るなんて簡単にできる奴がいるだろ?」

 

上条「……そんなことが出来るのは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

怪しい人物を指名

 

 

 

上条翔太

 

星野リコ ×

 

佐藤雪香

 

岩田圭介

 

弓長詩織 ×

 

絵馬一帆

 

将口歩夢

 

メイビー

 

監原誠也

 

式野龍馬

 

籠森健一 

 

知念悠馬

 

加賀美優子 ×

 

深沢由奈 ×

 

蹴上秀 ×

 

香月薫 ×

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

岩田圭介◀︎

 

 

 

 

 

 信じられない、信じたくない。

 

 何かの間違いだ……。

 

 

 

上条「岩田……」

 

監原「お前なら出来るな?グレープハウスは凸凹もあるから余裕だろ?」

 

岩田「待て、確かに俺はロッククラミングやボルタリングは得意だが建物の壁なんか登ったことないぞ!」

 

メイビー「へぇ?ほぼ平らな崖を最年少でクリアしたってニュースは嘘だったのかな?君が超高校級と呼ばれる所以だったんじゃないの?」

 

岩田「できたとしても俺は殺人なんかしてない!」

 

監原「もう少しまともな反論してくれ」

 

メイビー「内通者ってだけで怪しいのにこれが重なると、ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

反論

籠森「そんなことありえるか!」

 

 

上条「籠森!?」

 

籠森「貴様ら、岩田を犯人と決めつけやがって。大事なことを忘れてるぞ」

 

 

反論ショーダウン

 

コトノハ 岩田の証言

コトノハ 式野の証言

コトノハ グレープハウスの窓のヒビ

コトノハ 開いた窓

 

 

 

 

籠森「外は土砂降りなんだぞ!?手が滑るだろうが!」

 

上条「でも、岩田はそれを可能にする超高校級なんだ!」

 

籠森「風も吹いていてロープだって揺れまくるはず!視界も最悪だ!悪天候の中やったてのか!?」

 

上条「それが可能なのが岩田しかいないんだ!」

 

籠森「それだけじゃない、あんな土砂降りに『濡れる』、なのに岩田は今は『濡れてない』!あんな濡れたらバレるだろうが!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

籠森「なのに岩田は今は『濡れてない』!」

 

 

 

 

 

 

コトノハ 岩田の証言

 

 

論破

上条「その言葉、斬る!」

 

 

 

 

 

上条「いや、岩田は間違いなく濡れていた。それをシャワーを浴びたって言い訳したんだ」

 

佐藤「確かに岩田くん、濡れてたね」

 

 

籠森「だが!そこまでしたら見つかるだろうが!その推理だとグレープハウスとアップルハウスを何度も行き来したんだろ?」

 

監原「運良く見つからなかったんだよ」

 

上条「確かにみんなのアリバイだと……俺や将口は部屋または部屋の近くにいて、監原と知念は部屋に他はアップルハウスの部屋や食堂にいたんだよな?」

 

メイビー「あ、言い忘れたけど俺は部屋にいたから」

 

絵馬「あ、あたしもよ!」

 

知念「確かにこれだと見つからない……」

 

監原「仮に見つけても香月の死体を運び終えた後なら問題ないしな。突発的にしてはよくやったよ」

 

上条「どういうこと?」

 

監原「今までの推理を整理するとまず、香月が加賀美を襲った。そして犯人はそれを目撃したんだろうな」

 

知念「そっか、それで香月さんに襲われて……」

 

監原「人質を取られてただでさえ焦っていた犯人は思わず香月を殺したんだ」

 

上条「待ってよ、それにしても……」

 

 何か違和感がある。

 

佐藤「上条くん……これが現実だよ」

 

上条「岩田が殺人なんて……」

 

籠森「岩田が殺人なんかするわけないだろうが!」

 

岩田「上条……籠森……」

 

 

 

 

 

意見対立!

 

 

岩田圭介に投票するか?

 

すぐ投票する!

監原、佐藤、知念、メイビー、式野、将口、絵馬

 

まだ投票しない!

上条、籠森、岩田

 

 

 

議論スクラム開始

 

 

『内通者』

『犯人』

『そんなこと』

『密室殺人』

『籠森』

 

 

監原「あの密室殺人は岩田にしか出来ないぜ?」

 

上条「他に『密室殺人』の方法があるかもしれない」

 

佐藤「内通者の岩田くんなら殺す動機があるよ」

 

籠森「『内通者』ってだけで犯人とは限らないだろうが!」

 

メイビー「岩田が『犯人』なら違和感ないよ」

 

上条「ならなんで籠森を縛って『犯人』候補を減らしたんだ?」

 

式野「籠森を縛ったのは彼をスケープゴートにするためじゃないか?」

 

上条「『籠森』は自力じゃ抜け出せないぞ!意味がない!」

 

知念「じゃあなんでそんなことしたんだ……?」

 

上条「きっと犯人が『そんなこと』した理由があるはすだ!」

 

 

全論破

上条「これが俺たちの答えだ!」籠森「これが俺たちの答えだ」

 

 

 

 

上条「岩田を犯人って決めるのは待ってくれ。籠森の件がある以上は……」

 

岩田「もういい!上条!籠森!」

 

上条「岩田……!?」

 

岩田「そうだ、俺が犯人だ。お前らの推理通り、香月が加賀美を殺したのを見た。ただ、それだけならみんなを呼ぼうと思ったんだ」

 

監原「それ以外に何か起きたのか?」

 

岩田「香月が……籠森を殺そうとしてたんだ」

 

籠森「なっ!?」

 

岩田「気を失っていた籠森を殺そうしてたから、止めに入ったら香月、俺を殺そうとしたんだ。逃げられないわけじゃなかったが、逃げたら籠森が殺されると思って…」

 

監原「殺して密室を作った……と」

 

籠森「岩田……まさか」

 

上条「籠森を守るために……?」

 

将口「私や加賀美と同じように人質の件もあったかもしれない。タイムリミットは僅かしかなかったからな」

 

岩田「ロッククライムの用具は本校舎の個室にあったから用意はできた」

 

上条「なんで籠森を縛ったりしたんだよ!犯人候補が減るだけだろ?」

 

岩田「俺は血迷ってた。籠森を、モノクマに人質を取られたことを言い訳にして人を殺したということ、みんなを騙して自分だけ生き残るという恐怖が。籠森を守りたかったはず、家族を守りたかったはずなのになんでこんなことになっちまったんだろうな」

 

上条「岩田……」

 

岩田は岩田なんだ。みんなのためを思って……。

 

籠森「嘘だ!俺は信じない!信じないぞ!」

 

上条「籠森!?」

 

 

 

 

 

理論武装 開始

 

籠森「ありえない!」

籠森「証拠を出せ!」

 

 

籠森「何故俺を犯人候補から外した!?」

籠森「犯人は他にいる!」

 

 

籠森「岩田がそんなことするはずない!」

 

 

籠森「だいたい窓から飛び降りたら怪我するだろうが!」

 

 

 

 

   ○自分に

△巻きつけた  ◻︎ロープ

   ×を

 

 

 

 

 

 

 

○◻︎×△

 

 

上条「これで終わりだ!」

 

自分にロープを巻きつけた◀︎トドメ

 

 

 

 

籠森「岩田っ!」

 

岩田「すまない、お前を裏切るようなことをした」

 

籠森「何故だ何故だ何故だ何故だ!お前まで俺を裏切るのか!?」

 

 

籠森「認めない!そんなこと!」

 

上条「振り返ってみよう……こんなこと二度と起こさないためにも!」

 

 

 

 

 

 

クライマックス推理

 

ACT1

上条「まず、事件の発端は香月がファイナルデッドルームをクリアして内通者の情報を手に入れてしまったことから始まる。内通者のタイムリミットを知った香月は、内通者が殺人する前に殺そうと考えてしまったんだ」

 

 

ACT2

上条「まず、加賀美が籠森に呼び出しメールを送り、籠森はそれに答えて図書室で待っていた。しかし、加賀美は図書室に行く前に香月に包丁で殺されてしまった。一部始終は今回の事件の真犯人目撃されていた」

 

ACT3

上条「メールの内容を見た香月は籠森をスケープゴートにするために籠森を気絶させ、運んだ。そして籠森の電子生徒手帳に加賀美への呼び出しメールを送らせて混乱させるようにした。それを犯人は見ていた」

 

ACT4

上条「そして犯人は籠森を殺そうとした香月を止めにかかった。しかし香月は犯人を殺そうとした。ただでさえ殺したかった内通者だからな。だけど犯人は籠森を残して人を呼ぶリスクや人質の件を思い出し、思わず香月を絞め殺してしまった」

 

 

ACT5

上条「犯人は慌てて偽装工作に入った。犯人は香月をアップルハウスに運んだ。運良く見られることはなかった。アップルハウスの人間は部屋にいた人ばかりだし、食堂や美術室にいた人だけだから見られることなかったんだろうな」

 

ACT6

上条「犯人はロープで香月を吊り、さらに遺書を書いた。そしてロッククライミングの用具を持って来て、まずグレープハウス側の窓にロープをくくりつけた。そしてまたアップルハウスの香月の部屋に戻り、鍵を閉め、密室を作った。そして、窓から飛び降り、グレープハウス側にたどり着くとグレープハウスの壁をよじ登り、窓から上がった。その重さでグレープハウスの窓に一直線のヒビが入ってしまった」

 

ACT7

上条「ロッククライミングのロープを回収した犯人だけど、犯人の良心が痛み、本校舎で倒れていた籠森をロープで縛り付けて犯人候補から外した」

 

ACT8

上条「みんなと合流し、濡れていることを誤魔化すために犯人はシャワーを浴びたと言ったんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

上条「なんで、なんでこんなことになったんだよ、超高校級のロッククライマー、岩田圭介!」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter3 おしおきタイム

モノクマ「さっ、投票タイムに移りましょ!」

 

籠森「待て!香月の自殺の可能性だって……」

 

岩田「やめるんだ、籠森」

 

籠森「俺は信じない!信じないからな!」

 

モノクマ「あっ、分かってると思うけど、投票は香月さんを殺したクロだけに限定しますよ。間違って加賀美さんを殺したクロ入れないでくださいね」

 

 

モノクマ「投票の結果クロになるのは誰か。その答えが正解なのか不正解なのかぁ!」

 

 

モノクマ「投票が終わったようだね。結果発表に行きましょう!」

 

 

 

 

投票結果

岩田圭介 9票

香月薫  1票

 

 

 

 

 『正解』とモニターに表示された。

 

学級裁判 閉廷!

 

 

 

 

 

 

 

 

モノクマ「オマエラ大正解!超高校級の美化委員、加賀美優子さんを殺したのは超高校級のセラピスト、香月薫さん、その香月さんを殺したクロは超高校級のロッククライマー、岩田圭介クンなのでした!」

 

 

 

絵馬「やっぱり優子を殺したのは香月だったのね!」

 

 

岩田「みんな、すまない。俺は内通者であり、クロなんだ」

 

将口「……」

 

上条「お前……どうして……いや、仕方なかったんだよな、籠森や人質を取られたから」

 

岩田「いや、籠森や家族を人質に取られたなんて詭弁だ。いくら加賀美を殺したとはいえど、俺は人の命を奪ったんだ」

 

籠森「岩田!」

 

岩田「籠森、すまない。本当にすまない」

 

籠森「なんでっ……なんでなんでなんでこんなっ……」

 

岩田「最期にお前に言いたいことがある」

 

籠森「っ……」

 

岩田「みんなと協力してくれ。そうすれば切り開ける道があるはずだ」

 

籠森「みんなと……協力……?」

 

岩田「諦めずに立ち向かって欲しい」

 

籠森「……」

 

静かだった。岩田はこれから死ぬというのにあまりにも静かだった。

 

 

将口「モノクマ、人質はどうなったんだ?私や岩田や加賀美の人質は……?」

 

モノクマ「大丈夫だよ、死んではないから」

 

将口「くっ、これからどうするつもりなんだ!」

 

モノクマ「さぁね、僕の気分次第かなぁ」

 

上条「人質を解放しろよ!」

 

モノクマ「そうだね、加賀美さんと岩田クンの人質なんていてもしょうがないね」

 

岩田「なっ……!本当か!?」

 

モノクマ「だってこれから死ぬ人間の人質なんて意味ないもんね」

 

上条「!!や、やめろ!モノクマ!」

 

佐藤「またそんなことを……」

 

絵馬「見ない!見ないんだから!」

 

知念「いい加減にしろ!モノクマ!」

 

モノクマ「超高校級のロッククライマー、岩田圭介クンにはスペシャルなおしおきを用意しました!」

 

籠森「岩田!」

 

岩田「……」

 

籠森「ふざけるな!なんでどうして!」

 

岩田「みんな、籠森と上条のことを頼む」

 

監原「……任されたよ」

 

籠森「うるさい!なんでっ、なんでっ……こんなっ……」

 

上条「岩田っ!」

 

岩田「みんな!希望を忘れるな!生きるだ!明日を、未来を!!」

 

 

モノクマ「では張り切っていきましょう、おしおきターイム!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イワタクンがクロにきまりました。おしおきをかいしします。

 

 

 

 

 

崖の上のクライマー 超高校級のロッククライマー 岩田圭介処刑執行

 

 

 

 

 崖の上からロープで吊られる岩田。下はマグマで落ちたら死ぬのは明白だ。

 下のマグマの熱気で岩田は大量に汗をかく。

 岩田は崖の上を登り始めた。

 

 しかし、上から落石が発生する。岩田は急いでかわした。しかし、目にも止まらぬ速さで小さな石が岩田に命中し、腕を傷つける。

 次は大量の水が降ってくる。岩田は一度止まり、水圧に耐える。しかしその中には小石、わかめ、魚も混ざっていた。

 次は氷雨が降ってくる。岩田はそれに耐え抜いたが、次第に手がかじかむ。

 やっと登り終えた矢先、モノクマがピンクのドレスに茶色のカツラをかぶって待ち伏せていた。

 モノクマは目にも止まらぬ速さで突撃し、岩田を崖から突き落とした。

 

 マグマに落ちる……と思ったが寸でで止まり、安堵する。

 

 

 

 

 

 

 しかし、首に違和感を感じた頃には遅く、首を吊られていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モノクマ「うん、終わったネ!」

 

上条「岩田あああああああ!」

 

籠森「……」

 

知念「こ、こんなことって……」

 

式野「相変わらず悪趣味だな。よくこんなことを思いつく」

 

監原「前の事件より悪質だな、モノクマ。人質をとってまで殺人させたいなんて」

 

モノクマ「だってー、さっさと殺人してくれないとみんな飽きちゃうじゃん?」

 

監原「何?」

 

モノクマ「いや、なんでもないや、どっか行った行った!」

 

メイビー「まるで誰かが見てるみたいな話だね」

 

監原「『みんな』ってなんなんだ!?」

 

モノクマ「うるさいなあどっか行けって」

 

知念「お前がどっか行けばいいだろ!」

 

モノクマ「あ、それもそうだね」

 

 それだけ言ってモノクマは消えてしまった。

 

 

上条「……」

 

佐藤「上条くん、大丈夫?……なわけないよね」

 

 なんで岩田が……岩田が死ななければならないんだ。

 

上条「……」

 

なんのために生きてるんだ、俺たちは……。

 

佐藤「とりあえず、みんな戻ろうよ」

 

絵馬「そうね!これは悪い夢なのよ!優子がきっと待ってるわ!」

 

知念「絵馬さん……」

 

絵馬「うふふふ、今日の夕食はどうなるのかしらー?」

 

知念「……」

 

監原「今はそっとしといてやれ。今回の事件はあまりにも失ったものが大きすぎる」

 

知念「加賀美さんと岩田くんは僕らのリーダー的存在だった」

 

監原「今後のことを含め、明日、色々考えよう」

 

知念「うん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生き残りメンバー 9人



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter4 北風が吹く頃に
Chapter4 (非)日常編


 どうやって帰ったのかわからない。モノクマからは前にいた個室で寝て良いって言われたから前の個室にいた。

 

 何も考えられない、希望さえ感じられない。ずっとこんな、こと続けなきゃいけないんだろうか。

 

 

 

 インターホンが鳴る。俺はしぶしぶ出た。

 

監原「よっ」

 

上条「……」

 

監原「夕飯、食べないのか?」

 

上条「……」

 

監原「食べろよ、身体に触るぜ?」

 

上条「……もう、どうでも良いじゃないか」

 

監原「上条……」

 

上条「何やっても殺人は起きるし、もう俺たちに希望なんかないんだ、もう諦めろよ。はは……なんでこんなことになったんだろうなあ。前世でよっぽど悪いことしたのかな」

 

監原「上条……お前……」

 

上条「もう…!これ以上希望を持ってもしょうがないんだ!」

 

監原「……お前が何を思っても良い。仕方ないと思う。けど、俺はお前に生きていて欲しいんだ」

 

上条「……」

 

監原「生きていて欲しい、それは岩田の最期の願いのはずだ」

 

上条「……」

 

 そう、だよな。岩田は……

 

 

回想

 

岩田「みんな!希望を忘れるな!生きるだ!明日を、未来を!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上条「岩田……」

 

俺が諦めるわけにはいかないんだ。

 

 

 

 

14日目

 

 

 朝、食堂にはパーティーの準備がされたままだった。

 

佐藤「上条くん!」

 

監原「上条!」

 

知念「上条くん!」

 

式野「……」

 

メイビー「……来たんだね」

 

上条「あれ、これだけ?」

 

監原「ああ。籠森も絵馬も将口も説得したがダメだった」

 

上条「籠森や絵馬なら分かるけど、どうして将口が……」

 

メイビー「ま、内通者バレしていつも通り過ごせるわけないよね」

 

上条「……俺、将口のところに行ってくる!」

 

 

 

 

 

 

 将口も個室に戻って来たらしい。

 俺はインターホンを鳴らした。

 

 

将口「か、上条……?」

 

上条「少しはさ、なんか食べろよ。俺、昨日は学級裁判の後から何も食べなかったけど、今日は食べたからさ」

 

将口「っ……なぜ、なぜだ!私のことなんか!私は君を殺そうとした!なのに!」

 

上条「でも、お前は岩田とは違って俺を殺さなかっただろ?」

 

将口「私は岩田より最低だ!眠っていて抵抗出来ない相手を襲ったんだ!」

 

上条「大事なのは、これからどうするかだと思う。それが岩田の願いだと思うから」

 

将口「……」

 

上条「人質をとられていたお前を強く責めることは出来ないよ」

 

将口「……」

 

上条「籠森や絵馬も呼ばなきゃいけないから。顔だけでも見せに行ってやれよ」

 

 

 

 

 

 次は籠森か。

 

 

 

 籠森も個室に戻ってるみたいで、インターホンを鳴らした。

 出てこない。

 

 

上条「モノクマ」

 

モノクマ「なんでしょー?」

 

上条「籠森は生きてるよな?」

 

モノクマ「死んでたら開けてあげるよ」

 

上条「……籠森!」

 

俺はガチャガチャとドアノブを捻った。

 

籠森「……」

 

上条「あ、あのさ、籠森……」

 

籠森「……岩田のことは悪かったな」

 

え?い、今、籠森が謝ったのか?

 

籠森「謝っても許さないだろうな。見張りを任されていながら、岩田を1人にしたんだからな」

 

上条「でも、加賀美から呼び出されて……」

 

籠森「やめろ!それでも俺は…!」

 

上条「違う籠森!お前が責任を感じることじゃないはずだ!」

 

籠森「もうやめてくれ!俺はもう……死にたい」

 

上条「!?籠森っ!?な、何言ってんだ!岩田の言葉を忘れたのか!?」

 

籠森「誰かを信じてまた苦しむくらいならいっそ……」

 

上条「籠森!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

将口「だ、誰か来てくれ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 将口の悲鳴にも近い叫びに背筋が凍った。

 

 

上条「将口……!?」

 

まさか、また。

 

上条「籠森!一緒に来てくれ」

 

籠森「……」

 

上条「早く!」

 

俺は籠森を引っ張って外に出るとカッターを振り回す絵馬の姿だった。

 

 

絵馬「近寄らないで!死にたくない!殺さないで!」

 

将口「お、落ち着け絵馬……」

 

上条「将口!?な、何があったんだ!」

 

将口「絵馬が美術室から飛び出して来て急にカッターを振り回したんだ」

 

絵馬「いやああああああ!助けて優子おおおお!」

 

上条「絵馬!」

 

籠森「っ……」

 

 

 

監原「なんの騒ぎだって……絵馬!?」

 

佐藤「絵馬さん……」

 

知念「えっ!?どうなってるの!?」

 

 

 

絵馬「死ぬのは嫌!!」

 

 

上条「落ち着けやめろって!」

 

絵馬「もう嫌!嫌なの!こんなの!」

 

上条「みんな!止めるの手伝ってくれ!」

 

監原「クソ、いくら絵馬でも刃物を振り回されちゃ迂闊に近づけないぜ」

 

籠森「…!」

 

籠森が飛び出すと目にも止まらぬ速さで絵馬からカッターを奪い取った。

 

絵馬「あっ……」

 

籠森「……」

 

上条「籠森!大丈夫なのか!?」

 

籠森「俺は超高校級のバスケ選手だぞ?相手から手に持った物を奪うなんて朝飯前だ」

 

佐藤「絵馬さん!」

 

絵馬「こ、来ないでよ!殺さないで!」

 

上条「落ち着け絵馬!誰もお前を殺したりしない!」

 

絵馬「なら優子を出してよ、殺さないって証拠を見せてよ」

 

上条「加賀美は……。絵馬、俺たちはお前を殺さない」

 

絵馬「なら優子を出してって言ってるでしょ!!」

 

知念「か、監原くんどうしよう……」

 

監原「確か保健室には睡眠薬あったよな?精神安定剤の効果もあったはずだ」

 

メイビー「僕が取りに行くよ」

 

メイビーが旧校舎の保健室に向かった。

 

絵馬「嫌!もう来ないで!」

 

籠森「喚いたって、加賀美は帰って来ない!」

 

絵馬「な、何よ!」

 

籠森「……加賀美は、こんなこと、望んでないはず……だ」

 

上条「籠森……」

 

絵馬「あんたが優子を知ったような口聞かないでよ!」

 

籠森「知りたかったさ!加賀美のこともっと!!」

 

絵馬「っ!?」

 

籠森「だからお前に教えてもらいたいもっと、加賀美のこと」

 

絵馬「……っ」

 

 

 

 

 

メイビー「持ってきたよって……なんだこの雰囲気」

 

佐藤「籠森くんが丸く収めてくれたの」

 

絵馬「……」

 

 

上条「籠森、お前……」

 

籠森「ここでまた誰かが死んだら加賀美の死も、岩田の自白も意味も意味がなくなるんだ」

 

監原「……でどーすんだよ、将口、籠森、絵馬。みんなと集まることは強要しないが、飯くらい食べとけよ」

 

 

籠森「参加する」

 

絵馬「……あ、あたしもっ……」

 

 

将口「……」

 

 

上条「将口!お前も!」

 

将口「わ、私は内通者だ。私がみんなと行動するなんて許されるのか?」

 

監原「お前が内通者かどうかなんて関係ないんだ。お前が俺たちとどう関係を築いていきたいかなんだ」

 

佐藤「将口くん、将口くんはどうしたいの?」

 

知念「僕は将口くんを信じたい」

 

籠森「俺は人のこと言えない」

 

絵馬「あたしも、今さっきのこと……だし……」

 

メイビー「ま、自分で決めるんだね」

 

式野「他害をしないというのなら、僕は構わない」

 

 

上条「将口!お前の気持ちが知りたい!」

 

将口「わ、私は………っ………み、みんなと……一緒に……っ!」

 

 

 

監原「よし、さっさと朝飯しよーぜ」

 

 

 

 

 

モノクマ「ちょーっと待ったぁ!」

 

上条「うわっ!なんだよ!」

 

モノクマ「僕は安いお涙頂戴な話嫌いなんだよねー。さっさと終わってくれて良かったよ」

 

監原「んで、また新しい場所にいけると?分かった分かった消えてくれ」

 

モノクマ「しょぼーん、せっかく言おうと思ったのに」

 

監原「そんなこと知ってるんだよ」

 

モノクマ「せっかくだから言うケドさ!3階を解放したからぜひ行ってみてね」

 

 

3階の解放か……。

 

 

監原「とりあえず、飯の後に探索してみようぜ」

 

 

 

 

 朝食が終わり、3階の探索が始まった。

 

 

 

式野「音楽室!音楽室だ!いやっほおおおお!」

 

式野が飛び上がるように走った。

 

上条「式野……」

 

知念「さすが超高校級の指揮者……」

 

 

 

 

監原「な、なんだこれ!」

 VRゲームと書かれた場所。

 

 

上条「VRゲーム?」

 

モノクマ「そうです」

 

上条「うわっ!びっくりした!」

 

モノクマ「ここではオマエラが楽しい楽しいVRゲームができます」

 

メイビー「どんなことができるの?」

 

モノクマ「んう?ミリオカートとか、アヴァとナンタムとかに乗ったりとかだね」

 

監原「なんでそんなシステムがあるんだ、全く」

 

モノクマ「そうそう、剣と魔法の世界も擬似体験できるVRゲームもあるよ」

 

監原「そうかそうか帰った帰った」

 

モノクマ「僕の存在って……」

 

素直にモノクマは消えた。

 

上条「監原……」

 

監原「まあ、気が向いたらやればいいな。上条、こういうの好きだろ?」

 

上条「え?まあ」

 

こんな状況じゃなかったら存分にはしゃいで楽しんでただろうな……。

 

メイビー「ふーん、結構最新の設備だな」

 

メイビーはイキイキとVRゲームを調べてるな。式野と同じく超高校級のゲームクリエイターだからか。

 

上条「……」

 

とりあえず探索を続けるか。

 

 

 

 

 

 

 3階の調理室に来た。

 

佐藤「すごい」

 

上条「佐藤?」

 

佐藤「なんでも揃ってる」

 

佐藤がかなり興奮してる。俺にはよく分からないが見たことないものがたくさんある。巨大な冷凍庫もあるし。

 

佐藤「バリエーションが増える」

 

 なんか結構みんな喜んでるな。

 

佐藤「飲み物もたくさんあるよ、コロンビアにダージリンにバタフライピー」

 

監原「生活が豊かになるな」

 

そうだな。ただ、何か胸騒ぎがし続けていた。

 

 

 

 

将口「……」

 

上条「将口?どうかしたのか?」

 

将口「この職員室って場所にこんなものが」

 

将口が見せた日記があった。

 

 

 

 

4月6日

 

 研究は難航を極めている。

 人間というにはあまりにも空っぽすぎるそれ。

 身体は大人ながらその精神は生まれたての赤子に過ぎない。

 我々は『記憶』の技術を使い、彼らにその記憶を植え付けることで年相応の人間になるのではと考えた。

 

 

 

 

 

 

 

将口「どう思う?」

 

上条「どうって……記憶がどうたらって……」

 

将口「すまない、私も少し戸惑っていた」

 

上条「いや、良いよそんなこと。別に俺たちには関係ないよ。それよりもっと探索してみよう」

 

将口「そうだな」

 

 

こうして1日が終わった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter4(非)日常編2

15日目

 

 

 朝俺たちが朝食をとっていると……

 

 

 

モノクマ「オマエラ、至急体育館にお集まりください」

 

 というアナウンスをされた。

 

 

 

監原「はぁ、やっぱりなんか仕掛けてくるか」

 

上条「従わなきゃいけないんだよね?」

 

監原「ああ」

 

 

 

 

 俺たちは体育館に集まった。

 例によってモノクマが飛び出してきた。

 

 

 

モノクマ「やあオマエラ元気?」

 

監原「さっさと用件を言え」

 

モノクマ「まあまあ、焦らない焦らない。焦らないって大事だよ」

 

モノクマ「ま、今回、オマエラにはあることをやってもらうよ」

 

上条「あ、あること……?」

 

モノクマ「そう、オマエラにはVRゲームを13時から16時の間、やってもらうよ」

 

上条「え?」

 

モノクマ「だからこれから毎日13時から17時の間、VRゲームをやってもらうんだって」

 

上条「えええっ!?」

 

籠森「なんでそんなことしなきゃいけないんだ!」

 

モノクマ「今の時代、新しい技術に対応しなきゃいけないんだよ!」

 

監原「それだけか?」

 

モノクマ「んう?」

 

知念「そ、それだけって、大変なことじゃないか」

 

監原「今までモノクマが俺たちを呼び出す時は不信感を煽ったり、不安を煽ったりして殺人を起こさせようとしたのに今回はゲームだけなんて随分優しいんだな」

 

モノクマ「ま、飴と鞭だよねぇ」

 

監原「本当にそれだけなんだな?」

 

モノクマ「そうだよ、オマエラは毎日、13時から17時まで、VRゲーム、『剣と魔法の大冒険』をやればいいだけ」

 

そのまんまだな。

 

モノクマ「それじゃあね」

 

そう言ってモノクマは消えた。

 

 

籠森「全く、めんどくさい」

 

知念「監原くんの言う通り、あまり殺人を煽るような感じじゃなくて良かったね」

 

監原「これだけで終わるとは思えないがな」

 

 

 

 そして13時、モノクマに言われた通り、VRゲーム、『剣と魔法の大冒険』をプレイを始めた。

 

 よくあるRPG風の世界でチャットで会話した。

 

 

 

上条「職業も戦士に魔法使いにって普通の典型的なRPGだな」

 

監原「そりゃあ剣と魔法の大冒険なんて安直な名前だからな」

 

 

佐藤「私、こういうの……分からない」

 

知念「記憶に……ない。全くない」

 

籠森「小学生の頃はゲームはよくしていたが、高学年あたりからバスケにつきっきりでな、最近のゲームはよく分からない」

 

将口「孤児院で子供たちとプレイをしていたが、のめり込んでたわけではないから……」

 

メイビー「問題ないよ。VRってこと以外は古典的なRPGだ。すぐに覚えられるよ」

 

 

絵馬「きゃー!素敵!リアル!」

 

上条「すっかりのめり込んでるな」

 

監原「あれ?式野は?」

 

知念「確かに式野くん見当たらないね」

 

監原「おいおいまさか」

 

上条「もしかして」

 

俺と監原は一度ログアウトした。

 

 

 

式野「……」

 

監原「おい式野!」

 

式野「あ、監原に上条か……」

 

上条「式野、まさかとは思うけどさ」

 

式野「い、一体どうやれば良いのだ!?」

 

監原「このゴーグルつけてこの一番大きなボタンを押せば良いだけだよ」

 

式野「ほ、ほお……」

 

監原「俺の真似してよくみてみろ。上条は式野がちゃんと出来るか確認な」

 

 

監原は再びログインした。

 

 

 

式野「えーっと、このボタンか?」

 

上条「違う違う、それは終了ボタン、開始はこっち」

 

式野「難しいな」

 

ゲーム慣れしてない佐藤でも出来るのに。

 

上条「このボタン、それが終わったら、剣と魔法の大冒険を選択するんだ」

 

 

 

 

 

式野「?」

 

 

 

 

 

知念「式野くん、まだログインしてないね」

 

佐藤「上条くんと監原くんがつきっきりみたい」

 

将口「私たちは先にギルドの申請をしておこう」

 

籠森「なんでこんなことやらなきゃいけないんだ」

 

絵馬「良いじゃない、楽しいんだから!」

 

籠森「こいつ……」

 

メイビー「何もしないってのも退屈だし、俺たちは先にクエストでもクリアしておこうか」

 

絵馬「その前に職業を決めなきゃ!やっぱりあたしは魔法使いよ!」

 

籠森「よくわからん」

 

メイビー「初心者は戦士が良いじゃないかな?バスケ選手なら動き回るのは得意でしょ?」

 

籠森「うーん?」

 

メイビー「佐藤はヒーラーが良いんじゃないかな。戦闘は稀だし」

 

佐藤「わかった」

 

知念「僕は……?」

 

メイビー「うーん、君はタンカーとか?」

 

知念「タンカー?」

 

メイビー「盾役。魔法使いやヒーラーを守るのが役目だね」

 

将口「私は……」

 

メイビー「うーん……君もタンクかな。多分、上条や監原も戦士か魔法使いだろうから。守りは固めた方が良い」

 

籠森「そう言うお前は?」

 

メイビー「魔法戦士。両方戦えるポジションだよ」

 

 

 

絵馬「クエストをもらったわよ!」

 

メイビー「うんっていきなり上級者向けじゃないか!初心者が多いんだから初心者向けクエストをしないと!」

 

絵馬「えー?」

 

 

 

 

メイビー「逃げて籠森!」

 

 ドラゴンが炎を吐いた。盾役の将口も知念も間に合わず、籠森とメイビーと絵馬は焼かれる。

 

 

絵馬「もー!しっかり戦ってよ!」

 

メイビー「佐藤、ヒールを」

 

佐藤「あれ?あれ?使えないよ?」

 

メイビー「MP切れか……」

 

ドラゴンが迫ってくる。

 

メイビー「おーい、籠森?」

 

チャットすらしないようだ。

 

メイビー「やばい、まさかの初心者向けで全滅か?」

 

 

 

 

上条「食らえ!」

 

 剣でドラゴンの目を抉った。

 

監原「トドメだ!」

 

 電撃の魔法でドラゴンを倒した。

 

 

メイビー「さすが、ゲーム慣れしてる2人」

 

上条「そんな、ゲームは親に取り上げられたからそんなしてないのに」

 

監原「素人同然の奴らばっかじゃ、そうなるな」

 

メイビー「式野は?」

 

式野「bokuhakoko」

 

籠森「はははは!まともにチャットも出来ないのか!」

 

監原「ローマ字になってるぜ、変換しろ、変換」

 

式野「こらのなくち」

 

籠森「あはははははっ!なんじゃそりゃあ!」

 

監原「あーあ、平仮名になってる」

 

メイビー「ゲームどころじゃないな」

 

上条「スタンプ!スタンプならどうだ?」

 

 ブォンと音を立てて式野は消えてしまった。

 

監原「式野!?」

 

メイビー「先が思いやられる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

16日目

 

 

式野「夜通しメイビーに教えてもらった、今日からは大丈夫だ」

 

籠森「ほんとかぁ?」

 

知念「9人いないとクリアできないクエストがあったからちょうど良いね」

 

 

式野「僕についてこい!」

 

上条「チャット打ててる」

 

籠森「昨日、まともにチャット出来ずに強制終了した奴とは思えんな」

 

式野「さあこい魔物ども!」

 

監原「ま、これでひと段落って感じだな」

 

メイビー「……」

 

 

俺たちは順調にクエストをこなしていた。

 

 

 

モノクマ「やあ、元気?」

 

上条「モノクマ!?」

 

知念「なんでこんなところに!?」

 

絵馬「雰囲気が壊れるじゃない!」

 

モノクマ「だってここは僕が作ったんだもん!」

 

監原「で?用件は?」

 

モノクマ「いや、君たちはちゃんと協力して頑張ってるかなーって」

 

監原「お前としちゃ、俺たちが協力して頑張ってのはつまんないだろ?」

 

モノクマ「そんなことないよ、希望と呼ばれる君たちが協力してクエストをこなす姿に感動の涙が止まらないよ」

 

上条「そんなことを言いに来たのか!」

 

モノクマ「うん、で、君たち、お腹空かない?」

 

上条「あ、あれ?確かに小腹すいたかも」

 

監原「いつも佐藤がおやつを作ってくれるからなぁ」

 

メイビー「というかVRなのにお腹は空くんだな」

 

モノクマ「同然です。よって君たちはトイレ休憩や食べ物を作ったり食べたりするのは許可しましょう」

 

絵馬「ほんと?」

 

佐藤「作ってくるね」

 

さっそく佐藤がログアウトした。

 

 

監原「モノクマめ……何を企んでるんだ」

 

上条「でも良いんじゃない?楽しいしさ」

 

監原「モノクマはこれくらいで終わらせてくれるとは思えないんだ」

 

上条「悲観しすぎだよ、もう殺人は起きないよ」

 

監原「……」

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter4 (非)日常編3

17日目

 

 

上条「よし、今日もクエストクリアしてやるぜ!」

 

監原「上条、なんか目的変わってないか?」

 

上条「だって楽しいんだよ」

 

籠森「こんなゲームのどこが楽しいんだか」

 

上条「もっとクエストクリアして有名な冒険家になるんだよ」

 

知念「有名な冒険家になると良いことあるの?」

 

上条「たくさん報酬がもらえるし、強い敵とも戦える」

 

籠森「報酬は現実世界にもっていけないんだぞ」

 

上条「でも!この世界で培った経験は成長の糧になるんだ!」

 

監原「ま、この辺りはゲーム好きじゃないと分からないかな」

 

 

 

モノクマ?「ガオー!」

 

 

 

上条「モノクマ!?」

 

モノクマ?「くらえー!」

 

上条「ぐはっ、HPが減った?敵なのか!?」

 

絵馬「雰囲気が壊れるじゃない!モノクマってなんも分かってない」

 

監原「んなこと言ってる場合か!知念!将口!前に出てみんなを守ってくれ!」

 

知念「うん!」

 

将口「わかった」

 

式野「くらえー!サンダー!」

 

監原「式野!前に出るなって」

 

式野が大ダメージを負ってしまった。

 

監原「やべぇ、佐藤!回復!って佐藤?」

 

上条「佐藤!?どこに行ったんだ!?」

 

メイビー「籠森もいないよ」

 

監原「な、籠森ならまだしも佐藤は……」

 

モノクマドラゴン「くらえー!」

 

上条「うわあああああ!」

 

やられてしまった。

 

 

 

 

佐藤「みんな、ログアウトしたんだ」

 

監原「佐藤!やっぱりログアウトしたのか」

 

 籠森は佐藤が作ったであろうケーキを食べていた。

 

上条「佐藤、何も言わずにログアウトしないでくれ。大変だったんだ」

 

佐藤「えっ、あ、ごめんなさい」

 

 2人ともゲームに慣れてないからやめ時がわからないんだな。

 

 

監原「先が思いやられるぜ」

 

 

 

 

 

 

18日目

 

 

上条「今日こそ、クエストをクリアするぞ!」

 

 9人揃った。ちゃんと話し合って勝てるようにしたんだ。いける!

 

監原「って今日はみんなでダンジョン探索なのは分かってるよな?」

 

上条「あ、ああ!」

 

そうだ。強化素材集めのためのダンジョン探索だ。

 

 

籠森「現実でもVRでも探索かよ」

 

知念「とりあえず、頑張ろうね」

 

式野「僕が一番成果を上げてくれよう!」

 

佐藤「探索って何すれば良いかな」

 

監原「素材……まあ落ちてるのは自動的にバックに入るからドンドン拾っていけ」

 

佐藤「わかった」

 

メイビー「俺と籠森は南、絵馬と監原は西、上条と佐藤と将口は東、知念と式野が北を探索しよう」

 

籠森「メイビーと探索?まあ、ゲームに詳しい奴がいて損はないな」

 

メイビー「始めようか」

 

 

探索が始まった。スライムや他のモンスターを集めながら強化素材の収集だ。

 

 

式野「なんか喉が渇いたな」

 

式野がチャットを送ってくる。

 

監原「リアルな方で?」

 

式野「ああ」

 

佐藤「じゃあ私がバタフライピーを持ってくるね」

 

式野「ありがとう」

 

上条「俺も喉が渇いた!」

 

絵馬「あたしも!」

 

佐藤「じゃあみんなの分、用意するね」

 

 

 

 

 

上条「よし、佐藤がいない分!頑張ろうぜ将口」

 

将口「わかった」

 

 

 

 

籠森「あー!こんなのが何が面白いんだ!クソ!」

 

メイビー「RPGの素材集めは作業ゲーになりやすいからね」

 

 

 

知念「監原くん、どれくらい集めれば良いの?」

 

監原「100」

 

知念「え?う、嘘?」

 

監原「100」

 

知念「ええええ!?」

 

籠森「やってられるか!」

 

 

 

 

 

 

上条「おーい、籠森?籠森ー?」

 

チャットしても反応がない辺り、ログアウトしたのか。

 

絵馬「相変わらず自分勝手ね!」

 

知念「前よりは改善したと思うんだけど」

 

式野「あの性格が簡単に変わるとは思えない」

 

上条「ただいちいちログアウトするとか言うのも面倒だよなぁ」

 

監原「どうせ素材集めで全員必要ってわけでもないしログアウト自由で良いんじゃないか?」

 

 

 

佐藤「みんな、バタフライピーとケーキ持って来たよ」

 

上条「じゃあ俺は休憩!」

 

 

 

ログアウトとすると籠森がログアウトしていたのか、ケーキを既に口につけていた。

 

上条「うん、やっぱり佐藤のケーキは最高だな」

 

 

 

 再び俺はログインした。

 

 

 

 

 それから何時間が経過しただろう、前にログアウトしたのが13時半頃だった。3時間は経過しただろうか。

 

 

上条「一度ログアウトするか」

 

冷め切ったバタフライピーに口をつけ、VRルームの時計を見るとまだ15時だった。

 

上条「あと2時間か」

 

 

俺は再びログインした。

 

 

 

上条「スライムだ!」

 

敵として出て来たスライムを倒すためにMPを使って必殺技を使おうしたした…が

 

上条「MP切れ!?まだ2時間しか経ってないのにもう切れたのか?」

 

仕方なく地道にスライムを倒した。

 

 

 

式野「素材集めも楽じゃない、飽きた」

 

メイビー「ならスライムでも倒して資金稼ぎは?少しはマシだと思うよ」

 

式野「モノクマは何考えてる!」

 

メイビー「あのさ……」

 

式野「みんなもこんなの辛いだろうな」

 

メイビー「1人で話してるよ」

 

 

監原「絵馬!近くにいるなら援護してくれ!」

 

しかし絵馬からの反応はなかった。

 

監原「絵馬!?全く」

 

上条「俺が行く!」

 

監原「間に合わねぇよ」

 

監原はそのままドラゴンにやられてしまった。

 

籠森「絵馬は一体何をしてるんだ!」

 

式野「ログアウトしたんじゃないか?」

 

籠森「自分勝手な奴だな」

 

 

 

 

 

上条「うわあああ、こっちもドラゴンだ!佐藤!将口!助けて!」

 

佐藤「わかった」

 

将口「了解」

 

将口が目にも止まらぬ速さで駆け抜けて、ドラゴンの急所を突いた。

 

 

上条「すごい!すごいよ将口!」

 

佐藤「将口くんすごい……」

 

 ドラゴンはまだ倒し切れていない。

 

 

上条「これでトドメだ!」

 

ドラゴンにトドメを刺した。

 

上条「サンキューな、将口」

振り替えると将口は既に素材集めに徹していた。

 

上条「すっかり手慣れなゲーマーだな」

 

 それからまだ数十分、いや1時間くらいが経過したと思う。

 

監原「さすがになんか疲れてこない?ログアウトしてるぜ」

 

 でも確かに監原の言う通りいつもより疲れが激しい気がする。

 

 

 俺もログアウトした。

 

 

 

監原「……将口いなくないか?」

 

上条「ほんとだ。トイレかな」

 

監原「……時間、まだ16時だ」

 

上条「ほんとだ!おかしいな」

 

監原「……」

 

5分くらいするとみんなログアウトしてきた。

 

 

籠森「まだ16時か!」

 

知念「いつもより時間経過が遅い気がするよ」

 

 それから15分が経過しても将口は戻ってこない。

 

上条「将口……そんなにお腹痛いのかな。俺、見てくる」

 

監原「上条!」

 

上条「ん?」

 

監原「いや、なんでもない」

 

上条「行ってくる」

 

 

 

3階のトイレに向かったが、将口の姿はなかった。

 

上条「下か?」

 

 

 2階、1階とトイレを探索したが将口はいなかった。

 まさか、そんなはずない。そんなはずないんだ。

 

 

 

上条「みんな!将口がどこのトイレにもいない!」

 

俺がそう告げるとみんなに緊張が走った気がした。

 

 

佐藤「みんなで探そう」

 

籠森「そうだな」

 

絵馬「え!?嫌よ!将口はどっかで遊んでるだけよ!そうに違いない!」

 

知念「絵馬さん、そんなに必死にならないでよ」

 

式野「嫌な予感がするだろ、やめろ」

 

監原「でも探さないことには始まらないよな」

 

メイビー「モノクマ、緊急事態だから別にVRゲームしなくて良いよな」

 

モノクマ「良いよ?」

 

突然現れたモノクマはそれだけ言って消えた。

 

 

上条「緊急事態ってそんなはずは!」

 

俺は校内を駆け巡った。

 

 

 旧校舎もグレープハウスもアップルハウスも。

 

 でも将口は見つからず、1時間、2時間と経過した。

 

 

 そして3時間になった時。

 

 

 

 

 

 ピンポンパンポーン

 

 

モノクマ「死体が発見されました。一定の自由時間の後、学級裁判を開きまーす」

 

 

 

 

上条「……っ!!」

 

 

嘘だ、そんなはずない。

 

 

 俺は混乱しながら走り回った。

 

 

 

 

籠森「ここにいたか、上条」

 

上条「か、籠森……?」

 

籠森「3階の調理室だ」

 

 3階の調理室なんてとっくに見たのに。

 

 

 

 俺は3階の調理室前にに向かうと……

 

 

式野「……はぁ、またこんなことに」

 

絵馬「いやあああああ!なんで!なんでまたこんなことになるのっ!お家に返してよお!」

 

メイビー「上条……」

 

上条「……っ、う、嘘だよな」

 

知念「調理室に入るには心の準備をした方が良い。監原くんと佐藤さんが見張りしてはるけど」

 

 

今、既に6人いて監原と佐藤が見張り?

 そんなはずないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなはず……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう思っていても飛び込む絶望。

 

 

 

 

 

 

 

 

 調理室に足を踏み入れると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 佐藤と監原が悲しげな表情をしながら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 開かれた巨大冷凍庫の中に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 下着姿で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目を閉じたまま動かない超高校級の棋士、将口歩夢の姿があった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter4 非日常編

上条「将口!」

 

 

 

 血が大量に出てるわけでも首を吊られているわけでもない将口は、死んでいるとは思えなかった。

 下着姿が妙なだけで眠ってるとさえ思える。

 将口が死んだ事実を受け入れられなかった。

 

 

上条「しっかりしろ、将口!」

 

 

監原「荒らすな。脈を測ったがもうなかったし、死体発見アナウンスもあった」

 

上条「嘘だ!嘘だ!そんな!なんで、なんで将口が!」

 

監原「また起きたんだよ、殺人が」

 

上条「なんで将口が死んだんだよ!」

 

 

 

モノクマ「はいはーい。また起きましたね、殺人が」

 

上条「くっ、なんで……なんでこんなことに」

 

モノクマ「やっぱりオマエラは殺人を愛して止まないんだろうねぇ。そんなわけではい、プレゼント、モノクマファイル4!有効活用してね」

 

 

 

 

監原「モノクマファイルを見せてくれ、上条。今回の事件はかなり手強い」

 

上条「うん……」

 

 俺は弱々しく監原にモノクマファイルを渡した。やらないとみんな死ぬ。それに、将口の仇を取らないと。

 

モノクマファイル4

被害者は超高校級の棋士、将口歩夢。

 

死体発見場所は3階調理室の冷凍庫。

 

死因は凍死。

左手の甲に火傷がある。

 

 

 

 

上条「凍死!?」

 

監原「冷凍庫に閉じ込められて凍死したんだろうな」

 

 

コトダマ モノクマファイル4

 

佐藤「将口くんを冷凍庫から出してあげようよ」

 

上条「うん」

 

将口を冷凍庫から出すと服が散らばっていた。

 

上条「なんで服が散らばってるんだ?こんな寒いんだから脱ぐわけないのに……」

 

 

監原「犯人のなんらかの工作、または矛盾脱衣かもな」

 

上条「矛盾脱衣?」

 

監原「ミステリを見た時に書いてあったんだ、体温が下がりすぎると逆に身体が体温を上げようとして身体が暑くなって服を脱ぐってな」

 

 

コトダマ 散らばった衣服

 

 服を回収していると

 

 

 

上条「これ、駒?」

 

監原「なんだ?」

 

 角行と飛車の駒が冷凍庫に置いてあった。しかも裏返してある。

 

上条「将口だから持っててもおかしくないけど……」

 

監原「あっ、将口の服からこんなものが」

 

袋があってその中にたくさん将棋の駒と将棋盤を模した紙が折りたたんであった。

 

上条「いつも持ち歩いてたのか……」

 

監原「これ、逆に言えばわざわざ取り出したってことだよな」

 

上条「え?」

 

監原「何か俺たちに伝えようとしたのかもな」

 

 

コトダマ 落ちていた将棋の駒

 

コトダマ 駒の入った袋

 

 

上条「やっぱり、入ると自力で出られないのかな」

 

監原「やってみるか?」

 

上条「え」

 

監原「もし出られたら大問題だろ?実験台になってくれ」

 

上条「えええっ!?」

 

監原「陸上選手なんだから体力あるだろ?」

 

佐藤「上条くん、お願い」

 

佐藤にまで頼まれると……。

 

 俺は恐る恐る冷凍庫に入った。

 寒くなかった。

 

 

上条「あれ?」

 

監原「冷凍機能は消したから。どうだ?出られるか?」

 

上条「んー!どんだけやっても出られない!」

 

蹴っても全く効果なかった。

 

 

上条「開けてくれー!」

 

監原「どうやら、出られないのは確定だな」

 

 

コトダマ 冷凍庫の構造

 

 

上条「そう言えば死体発見の状況はどうだったんだ?」

 

監原「全然見つからないからモノクマに死体の場所のヒントを貰って、まさかと思って冷凍庫を開けたんだ。そしたら……」

 

上条「監原1人で?」

 

監原「そのあと、知念、その次にメイビーで死体発見アナウンスが流れたんだ」

 

上条「あれ?でもおかしくないか?死体発見アナウンスは3人以上の人間が発見すると流れるもので、犯人も含まれるんじゃないのか?」

 

監原「犯人が将口を閉じ込めたなら、犯人は死体を見ていないから問題ない」

 

上条「うーん……」

 

 

コトダマ 死体発見アナウンス

 

監原「それに問題なのは死亡時刻だ。モノクマファイルに死亡時刻が書いてないからアリバイから絞るのが難しい」

 

上条「少なくともVRゲーム中には連れて行かれたんだろうけど……」

 

監原「佐藤、冷凍庫の温度は何度だ?」

 

佐藤「−30℃だよ」

 

 将口……そんな寒さの中死んだのか。

 

監原「−30℃なら3時間で死ぬって言われてるが……」

 

上条「もしかしてみんなで探してる間に死んだのか!?」

 

監原「……」

 

 

コトダマ 凍死の時間

 

 

佐藤「そう言えば絵馬さん、VRゲームのプレイ中にいなくなったよね」

 

監原「ログアウトは自由だったからな」

 

佐藤「でも何度か絵馬さんにチャットしたけど、最後は殆ど返って来なかったよ」

 

上条「……」

 

 

コトダマ 佐藤の証言

 

 

 

 

 

 

 

 

 

監原「俺はもう少し死体を調べるから他の捜査を頼むな」

 

上条「わかった」

 

俺が調理室を出ようとすると

 

 なんだ、これ、ヘアピンか?

 

 

上条「監原!佐藤!こんなもの見つけたんだけど……」

 

監原「そのヘアピン……」

 

佐藤「私のじゃない……」

 

じゃあ、絵馬のものか?

 

 

コトダマ ヘアピン

 

 

 

 

 

 調理室から出ると…

 

籠森「……」

 

上条「籠森……」

 

籠森「また起きたな、殺人が」

 

上条「もう起きないって思ったのに」

 

籠森「気になることがある」

 

上条「え?」

 

籠森「さっき部屋に戻ったんだが、部屋の時計は10時になってたぞ」

 

上条「ええっ!?調理室の時計やVRルームの時計や他の時計はまだ8時なのに!」

 

 俺は急いで部屋を確認すると

 

上条「なんで!?なんでズレてるんだ!?」

 

コトダマ ズレた時計

 

 

 

式野「上条、どうした?」

 

上条「式野!時計がズレてたんだ」

 

式野「時計が?」

 

上条「部屋と他の時計、みんなズレてたんだ!」

 

式野「犯人のトリックか?」

 

上条「わけわかんなくなる!どっちが本当なんだ!」

 

式野「それはあとで考えるとして、代車があったぞ。最初の事件で使われた代車が、3階に」

 

上条「代車……」

 

 

コトダマ 代車

 

 

 

 俺はVRルームに向かった。

 

 

上条「メイビー……!時計が!」

 

メイビー「ズレてるんでしょ?」

 

上条「知ってたの?」

 

メイビー「現実と同じ時間を使うゲームとズレてたからね」

 

上条「メイビーはここの捜査をしてたのか?」

 

メイビー「ゲームクリエイターだからね。ただ時間を使ったトリックなら犯人はアリバイ工作をしてるはずなんだ」

 

上条「みんな別々に行動してたらアリバイ立証は難しいよな」

 

メイビー「でもチャットがあるからね、チャットをあまりしなかった人間が必然的に疑われるよ。言って俺もあまりやってないからアリバイは薄いかな」

 

上条「そんな」

 

メイビー「代わりに、こんなことがわかった。このゲームはオートプレイが可能だ」

 

上条「オートプレイ?」

 

メイビー「VRゲームでありながら、本人を模したアバターをAIが操作できるみたい」

 

上条「え?え?つまりどういうことなんだ?」

 

メイビー「さらに予めチャットも操れる。つまりそばにいた人間やチャットをした人間も全てオートプレイの可能性があるってこと」

 

上条「ええええっ!?じゃあみんなアリバイが崩れるのか!?」

 

メイビー「……断言は出来ない、あくまで参考だよ」

 

かなり重要じゃないか。

 

 

コトダマ オートプレイ機能

 

 

メイビー「それと、籠森の席にスタンガンが落ちてたよ」

 

上条「スタンガン!?」

 

メイビー「使った可能性、高いよ」

 

上条「まさか……」

 

メイビー「断言は出来ないけど」

 

 

コトダマ スタンガン

 

 

メイビー「そういや、将口の飲んでる奴、変色してる」

 

上条「え?」

 

 なんかバタフライピーとは違う、青色だ。

 

 

メイビー「睡眠薬って青色なんだよ」

 

上条「え?」

 

メイビー「睡眠薬を入れたのかも」

 

上条「じゃあ保健室で確認してくる!」

 

 

コトダマ メイビーの証言

 

 

 

 

 

 

 

 保健室に向かおうと旧校舎への渡り廊下に知念がいた。

 

 

知念「上条くん!大変だ!」

 

上条「どうした?」

 

知念「保健室にあった睡眠薬と下剤がなくなってたんだ」

 

上条「なっ」

 

知念「最近よく睡眠薬を使うし、それに万が一、万が一の時のために憶えてたから……」

 

上条「そっか……」

 

 

コトダマ なくなった睡眠薬と下剤

 

 

上条「あとはどうしよう。どこを調べれば……」

 

知念「アリバイ確認でもする?」

 

上条「うん……でも死亡時刻がロクに絞れてないし。あとメイビーが言ってたんだけど、VRゲームにはオートプレイ機能があるらしくてもしかしたらチャットや動き回ってる姿も信用ならないかもしれないんだ」

 

知念「そんな!」

 

上条「もう一回監原に聞いてなんか参考にならないか聞いてくる」

 

 

 

俺は調理室に戻った。

 

 

 

上条「監原!何かわかったか!?」

 

監原「上条……いや、特には」

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

モノクマ「飽きたので捜査は終了でーす!」

 

 

 

上条「そんな!犯人全く絞り込めてないのに」

 

監原「仕方ない、行くぜ」

 

 

 

 

 

 

 俺たちがエレベーター前まで集まっていた。しかし、絵馬は来ない。

 

籠森「絵馬の奴!何をしている!」

 

 さらに数分後、ようやく絵馬がやってきた。

 

 

知念「絵馬さん何してたの?明らかに遅いよ」

 

絵馬「なんでも良いじゃない!」

 

式野「なんだその言い草は!なんだ?証拠隠滅でもしてたのか?」

 

絵馬「違うわよ!」

 

監原「ここで争っても仕方ないだろ、それは学級裁判でやるんだ」

 

そうだ……。また起きてしまった学級裁判を……乗り越えるんだ。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter4 学級裁判 前半

コトダマ モノクマファイル4

被害者は超高校級の棋士、将口歩夢。

 

死体発見場所は3階調理室の冷凍庫。

 

死因は凍死。

左手の甲に火傷がある。

 

 

コトダマ 散らばった衣服

将口の服が冷凍庫に散らばっていた。監原によると寒さから逆に暑くなり脱いだ矛盾脱衣の可能性があるという。

 

コトダマ 落ちていた将棋の駒

冷凍庫に裏返してある角行と飛車の駒が落ちていた。

 

 

コトダマ 駒の入った袋

袋に将棋の駒を入れて持ち歩いていたため、わざわざ取り出したようだ。

 

 

 

コトダマ 冷凍庫の構造

中からは出られない構造になっている。

温度は−30℃に設定されている。

 

 

コトダマ 死体発見アナウンス

監原、その次に知念、その次のメイビーでアナウンスされたらしい。

 

 

 

コトダマ 凍死の時間

−30℃なら凍死にかかる時間は3時間くらいらしい。

 

 

コトダマ 佐藤の証言

絵馬にチャットをしたがほとんど返って来なくなったらしい。

 

 

 

コトダマ ヘアピン

調理室に落ちていたヘアピン。絵馬のもの?

 

 

コトダマ ズレた時計

個室やVRゲームの設定の時計とVRルームや調理室の時計の時間が2時間もズレていた。

 

 

コトダマ 代車

最初の事件に使われた代車が3階にあった。

 

 

コトダマ オートプレイ機能

VRゲームにはオートプレイ機能があり、チャットも予備投稿可能。

 

 

コトダマ スタンガン

籠森の席にスタンガンが置いてあったらしい

 

 

コトダマ メイビーの証言

将口の飲んだものが変色していたらしい。睡眠薬で変色した可能性があるらしい。

 

 

 

 

コトダマ なくなった睡眠薬と下剤

睡眠薬と下剤がなくなったらしい。

 

 

 

 

学級裁判 開廷!

 

 

モノクマ「えー、まずは学級裁判の簡単な説明をしておきましょう」

 

モノクマ「学級裁判では『犯人は誰か』を議論し、その結果をオマエラの投票により決定されます」

 

モノクマ「正しいクロを指摘できればクロだけがおしおき、もし間違った人物をクロとした場合はクロ以外全員がおしおきされ生き残ったクロだけが卒業できます」

 

 

モノクマ「ま、いつもどおりやってください」

 

 

 

 

知念「今回はかなり難解だよね」

 

監原「みんなのアリバイが定まらないからな」

 

式野「犯人は決まってるだろ?」

 

籠森「絵馬だ!」

 

絵馬「あ、あたしはやってないわよ!」

 

上条「と、とにかくちゃんと議論しないと」

 

 

議論開始

 

コトダマ モノクマファイル4

コトダマ 散らばった衣服 

コトダマ ヘアピン

コトダマ 冷凍庫の構造

コトダマ メイビーの証言

 

 

 

籠森「捜査中、姿が見えなかったな、絵馬」

 

知念「確かにそれはおかしいね」

 

式野「集合にも遅れたという事実が、『証拠を隠滅』していたんじゃないのか?」

 

絵馬「してないわよ!」

 

式野「じゃあなんで遅れたんだ?」

 

絵馬「なんでも良いでしょ!」

 

籠森「良くない!将口を殺してないなら『後ろめたい理由』なんかないだろ!」

 

絵馬「そもそもあたしが死体なんか見れるはずないでしょ!『調理室には一歩も入ってない』んだから!」

 

式野「死体がダメなフリの演技をしたんだろ?」

 

絵馬「本当に死体は無理なのよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵馬「『調理室には一歩も入ってない』んだから!」

 

 

 

 

 

コトダマ ヘアピン

 

 

論破

上条「それは違うぞ!」

 

 

 

絵馬「え?」

 

上条「絵馬、本当に調理室には行ってないのか?」

 

監原「調理室にお前のヘアピンが落ちてたぞ」

 

絵馬「え?嘘」

 

絵馬が頭に触れてヘアピンを確認する。

 

 

絵馬「あ、あたしのヘアピンがない……!?」

 

籠森「フン、どうやら決まったな。お前はうっかり犯行後に落としたんだな」

 

絵馬「し、知らない、知らないわよぉ!だっていつの間にかなくなってたんだもん、知らない」

 

 

 

議論開始

コトダマ モノクマファイル4

コトダマ 散らばった衣服

コトダマ 佐藤の証言

コトダマ ズレた時計

コトダマ スタンガン

 

 

 

式野「いい加減認めろ」

 

絵馬「『知らない』知らない知らない知らない!」

 

監原「絵馬が犯人って決めつけるのは早いぜ?」

 

知念「今のところは『絵馬さんが一番怪しい』けど」

 

佐藤「証拠が、あるもんね」

 

絵馬「なんでよ、あたしに『怪しいところなんてない』わ!」

 

籠森「怪しいとこしかないだろ!」

 

絵馬「ヘアピンは犯人のせいよ!犯人があたしから奪ったのよ!『それ以外に証拠はないでしょ』!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵馬「『それ以外に証拠はないでしょ』」

 

 

 

コトダマ 佐藤の証言

 

 

論破

上条「それは違うぞ!」

 

 

 

 

 

上条「絵馬、佐藤が言ってたんだけど、お前、ほとんどチャットを返さなかったな?」

 

絵馬「あっ……」

 

籠森「ほら見ろ怪しいな」

 

監原「その間、何してたんだ?」

 

絵馬「あ、あぅ……」

 

上条「みんなの命が懸ってるんだ!本当に違うなら反論してくれ!」

 

式野「無駄だ、絵馬が犯人なのは揺るぎない」

 

 

 

議論開始

コトダマ 凍死の時間

コトダマ メイビーの証言

コトダマ ズレた時計

コトダマ なくなった睡眠薬と下剤

コトダマ スタンガン

 

 

 

絵馬「あ、あたしは『やってない』!」

 

式野「この後に及んでまだ否定するのか!」

 

絵馬「だってお腹痛くなったのよ!」

 

籠森「はぁ?」  

 

絵馬「本当に『トイレに行ってた』のよ!」

 

籠森「今更そんな『言い訳』通用するかあ!」

 

式野「都合が良すぎるな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵馬「本当に『トイレに行ってた』のよ!」

 

 

 

 

コトダマ なくなった睡眠薬と下剤

 

 

同意

上条「そうかもしれない!」

 

 

 

上条「絵馬が言ってるのは多分、真実だ」

 

籠森「は?殺人犯の肩を持つのか?」

 

絵馬「やってないわよ!」

 

上条「知念、保健室から下剤と睡眠薬がなくなったんだよな?」

 

知念「そうだよ、下剤と睡眠薬がなくなったんだ」

 

監原「下剤を使ってトイレに行かせてアリバイを崩させたんだろうな」

 

メイビー「捜査中にいなかったのも、遅れてきたのもトイレ?」

 

絵馬「ああ!そうよ!悪かったわね!超高校級のイラストレーター様がトイレなんて!そ、そうよ、あたしはう…、トイレ…してたのよ!」

 

なんか、可哀想になってきたな。

 

 

知念「こ、この話はやめにして、誰が犯人か考えないと」

 

籠森「じゃあ他に誰がいるんだ!?」

 

 

議論開始

コトダマ モノクマファイル4

コトダマ 凍死の時間

コトダマ メイビーの証言

コトダマ オートプレイ機能

コトダマ スタンガン

 

 

 

監原「じゃあどうやって将口を殺したのか、考えてみるぞ」

 

知念「『凍死』……だよね?」

 

籠森「あの冷凍庫に入れられて」

 

式野「『あっという間に』死んだんだろうな」

 

籠森「恐ろしいことこの上ないな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

式野「『あっという間に』死んだんだろうな」

 

 

コトダマ 凍死の時間

 

 

論破

上条「それは違うぞ!」

 

 

式野「ん?」

 

上条「凍死には3時間くらいかかるんだよな、監原?」

 

監原「ああ。それよりもかかるかもしれないが」

 

知念「将口くんはそんな長い時間閉じ込められてたんだ」

 

上条「ああ、将口を発見するまで最低でも3時間前には閉じ込められたはずだ」

 

 

 

 

 

 

反論

絵馬「あんたの推理は間違ってるのよ!」

 

 

 

 

上条「絵馬?」

 

絵馬「あんたはまるで将口を冷凍庫に入れただけみたいに言うわね」

 

上条「それが間違ってるのか?」

 

絵馬「そうよ!」

 

 

 

反論ショーダウン 開始

 

コトノハ モノクマファイル4

コトノハ 凍死の時間

コトノハ 散らばった衣服

コトノハ スタンガン

コトノハ 代車

 

 

絵馬「将口を入れただけで凍死?そんなわけないわ」

 

上条「モノクマファイルにも凍死って書いてあるぞ」

 

絵馬「冷凍庫に入れただけが犯人の犯行じゃないわ。将口は『下着姿』だったのよ!『犯人の異常嗜好』のせいで、『将口は脱がされた』のよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵馬「『将口は脱がされた』のよ!」

 

 

 

 

 

コトノハ 散らばった衣服

 

論破

上条「その言葉、斬る!」

 

 

 

上条「いや将口は脱がされたりなんかしてない。冷凍庫で自分で脱いだはずだ」

 

籠森「あんな寒い冷凍庫で脱ぐわけないだろ!」

 

監原「いや、矛盾脱衣した可能性がある」

 

知念「矛盾脱衣?」

 

メイビー「凍死寸前になると服を脱いじゃう現象だね。まだ解明はされてない行為だけれど、寒いのに脱いでしまうことから矛盾脱衣って呼ばれてるんだ」

 

佐藤「将口くんが下着だったのは矛盾脱衣のせいなんだ……」

 

監原「そもそも将口を脱がすメリットがないからな」

 

絵馬「い、異常嗜好だったのよ」

 

監原「ないない」

 

上条「と、とりあえず納得してくれ、絵馬」

 

絵馬「う……わかったわよ」

 

知念「でもどうしよう、他に話し合わなきゃいけないことは……」

 

監原「将口が死んだ時間、それをある程度突き止めよう」

 

知念「将口くんが死んだ時間……」

 

上条「モノクマファイルに明記されてない一番の謎……」

 

 

 

 

 

議論開始

 

コトダマ 凍死の時間

コトダマ 代車

コトダマ ズレた時計

コトダマ オートプレイ機能

コトダマ なくなった睡眠薬と下剤

 

 

 

 

 

知念「僕らが『ログアウトしたのは16時』頃……」

 

絵馬「そして20時に将口は『見つかった』から……」

 

佐藤「『16時前後から20時までに死んだ』って考える方が良いのかな」

 

籠森「16時だとは限らないぞ」

 

式野「何故だ?」

 

籠森「16時じゃない可能性があるんだよ!」

 

式野「いや、間違いないだろ、『VRルームも食堂も調理室の時計もそうだったんだ』からな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知念「僕らが『ログアウトしたのは16時』頃……」

 

 

 

 

 

コトダマ ズレた時計

 

論破

上条「それは違うぞ!」

 

知念「え?」

 

上条「VRルームや調理室の時計と個室の時計が2時間もズレてたんだ。もしかして犯人が2時間遅くしたかもしれない」

 

 

メイビー「VRゲームの現実の時間に沿った時間とも2時間ズレていたから間違いないよ」

 

監原「おかしいと思ったんだ。やたらとゲームの時間が長く感じたからな」

 

佐藤「どうして犯人は時間を遅くしたりしたんだろう」

 

 

上条「犯人が時間を遅くした理由……」

 

 

 

閃きアナグラム 開始

 

 

じ か ん か せ ぎ

 

 

 

時間稼ぎ

 

 

上条「わかったぞ!」

 

 

 

 

上条「犯人は時間稼ぎのために時間をズラしたんだ」

 

監原「途中で姿を見られたり、冷凍庫から救出されたりしたら台無しだからな」

 

上条「VRゲーム中に犯人は将口を冷凍庫に入れたんだ」

 

籠森「時間稼ぎだとして絵馬以外の誰がいる?VRゲーム中はほぼみんな一緒だったはずだ」

 

上条「いやそのアリバイを崩せる証拠がある」

 

 

 

 

 

 

 

コトダマ オートプレイ機能

 

 

上条「これだ!」

 

 

上条「あのVRゲームにはオートプレイ機能があるんだ」

 

籠森「なっ……!?」

 

監原「まじかよそれ……」

 

メイビー「本当だよ。俺が確かめた。オートプレイでまるでリアルにいるように出来るし、チャットも予め入力してタイミングを測って投稿可能だ」

 

知念「それだとみんなのアリバイが成立しなくなるんじゃあ……」

 

監原「クソ、どうやって絞れば……」

 

上条「くっ……何か、何かヒントは無いのか……」

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter4 学級裁判 後編

籠森「そう言えば犯人はどうやって……将口を呼び出した?チャットのやりとりは全員見てるし」

 

監原「そこはまだ議論してなかったな」

 

 

議論開始

 

コトダマ モノクマファイル4

コトダマ なくなった睡眠薬と下剤

コトダマ 凍死の時間

コトダマ 散らばった衣服

コトダマ 代車

 

 

 

絵馬「『チャットを使って』呼び出したのよ!」

 

監原「チャットはみんなに伝わるんだ、バレるだろ」

 

絵馬「なら、『暗号』を使ったのよ!」

 

監原「……」

 

絵馬「あたしの完璧な推理にひざまづきなさい!」

 

籠森「アホか、うんなわねーだろ!」

 

絵馬「なんですって!」

 

メイビー「シンプルに『運んだ』んだろうね」

 

絵馬「そんなわけないでしょ!男子高校生を運べるわけないじゃない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メイビー「シンプルに『運んだ』んだろうね」

 

 

 

コトダマ 代車

 

同意

上条「それに賛成する!」

 

 

上条「運んだのは間違いないよ。代車が3階にあったんだ」

 

監原「なるほどな」

 

式野「なら、力ない女子でも運べるな」

 

絵馬「な、何よ!だ、だいたい!将口が素直に運ばれると思うの!?」

 

上条「まだ根拠がある」

 

 

 

 

コトダマ なくなった睡眠薬と下剤

 

 

 

上条「睡眠薬で眠らされた将口なら運べるはずだ」

 

式野「女子にも問題なく可能だな」

 

絵馬「な、な、な……」

 

籠森「犯人を絞り込むどころか犯人候補が増えたな」

 

知念「他に手掛かりは!?」

 

メイビー「モノクマファイルをよく見てみようか」

 

 

 

議論開始

コトダマ モノクマファイル4

コトダマ 凍死の時間

コトダマ 死体発見アナウンス

コトダマ スタンガン

 

 

メイビー「モノクマファイルによると『将口は火傷をしている』。」

 

メイビー「この火傷ってなんなんだろうね?」

 

絵馬「調理室なんだから『火でも使った』のかしら」

 

籠森「冷凍庫に入れて殺すのになんで火を使うんだよ」

 

式野「『火を使って脅した』とか」

 

監原「冷凍庫に入れるだけなのにどんなやり方だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵馬「調理室なんだから『火でも使った』のかしら」

 

 

 

コトダマ スタンガン

 

 

論破

上条「それは違うぞ!」

 

 

 

 

上条「いや、将口の火傷はスタンガンだと思う」

 

絵馬「え?」

 

監原「やっぱな」

 

知念「でもどうしてスタンガンだと思うの?」

 

メイビー「籠森の席にスタンガンが置いてあったからね」

 

籠森「なっ……!?」

 

絵馬「籠森の席に!?」

 

式野「じゃあお前が将口を……!」

 

籠森「俺はスタンガンなんか使ってない!」

 

式野「そう言えばお前、チャットを返さなかっただろ」

 

籠森「なっ!?」

 

絵馬「何よ、人のこと責めておいてアンタもなの!?じゃあアンタが犯人に決まりね」

 

籠森「違う!」

 

監原「命掛かってるんだからもっと考えろって」

 

上条「籠森、違うって言う根拠はあるのか?」

 

籠森「お、俺は……寝てたんだよ!」

 

知念「寝てた?」

 

籠森「強い睡魔に襲われて…それで」

 

式野「都合が良いな」

 

監原「いや、オートプレイ機能が使えるのにわざわざプレイしないなんてありえない。犯人の罠だ」

 

式野「犯人がオートプレイ機能を使ったとは限らないだろ」

 

上条「可能性がある以上は」

 

知念「でもオートプレイ機能に気付くなんてメイビーくん以外にいるのかな?」

 

監原「言っておくが、申告してきたメイビーが犯人の可能性は限りなく低い」

 

メイビー「俺もオートプレイ機能を確実に使ったなんて保証はないけどね。あくまでも参考程度という話だよ」

 

式野「オートプレイ機能を使ったわけじゃないだろ?」

 

監原「可能性を消すのは間違いだぜ?式野」

 

 

 

 

意見対立!

 

 

オートプレイ機能は使われたのか?

 

 

使われていない!

知念、佐藤、式野、絵馬

 

 

使われた!

上条、監原、メイビー、籠森

 

 

議論スクラム 開始

 

 

『アリバイ』

『オートプレイ機能』

『メリット』

『嘘』

『チャット』

 

 

 

知念「オートプレイ機能に気付くなんてメイビーくんくらいしかいないよ」

 

監原「犯行のために色々調べて『オートプレイ機能』を知ったんじゃないか?」

 

絵馬「そんなことしてどんなメリットがあるのよ」

 

上条「『メリット』それは、アリバイ工作だ」

 

佐藤「そんな都合よくアリバイが作れるの?」

 

メイビー「完璧な『アリバイ』とは限らないよ」

 

式野「そんな難しいことをするよりチャットに応じなかった籠森が怪しいよ」

 

籠森「俺が『チャット』をしなかったのは寝てたんだ!」

 

式野「よくそんな嘘がつけるな」

 

上条「いや、籠森は『嘘』はついてないはずだ」

 

 

 

全論破

上条「これが俺たちの答えだ!」監原「これが俺たちの答えだ!」メイビー「これが俺たちの答えだ」籠森「これが俺たちの答えだ!」

 

 

 

 

 

上条「犯人はオートプレイ機能を使用したって言う前提で話してみよう。間違ってたらその時考えれば良いし」

 

知念「わかった」

 

式野「ではそうだとしてどうする?籠森の席にスタンガンがあったというのなら怪しいのに変わりない」

 

上条「いや、籠森が眠くなった原因は」

 

 

1.虚弱体質

2.下剤

3.睡眠薬

 

 

 

 

 

3.睡眠薬◀︎

 

 

 

 

上条「睡眠薬だと思う」

 

籠森「なに!?」

 

メイビー「睡眠薬は溶かすと青色になるからね。慣れない人はバタフライピーと区別がつかないだろうね」

 

上条「そうだよ、バタフライピーの色は青なんだ。多分、それに気づかず飲んでそれで……」

 

籠森「くそ、あんな得体の知れないものを飲むんじゃなかったな」

 

 あれ、だとするとバタフライピーを持って来た人が怪しくなる……。

 

 

 

 

怪しい人物を指名

 

 

 

上条翔太

 

星野リコ ×

 

佐藤雪香

 

岩田圭介 ×

 

弓長詩織 ×

 

絵馬一帆

 

将口歩夢 ×

 

メイビー

 

監原誠也

 

式野龍馬

 

籠森健一 

 

知念悠馬

 

加賀美優子 ×

 

深沢由奈 ×

 

蹴上秀 ×

 

香月薫 ×

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐藤雪香◀︎

 

 

 

 

 

上条「バタフライピーを持ってきたのって佐藤だよな?」

 

 まさか……そんな。

 

佐藤「えっ、そうだけど……」

 

監原「なんでわざわざ青色のバタフライピーなんかにしたんだ?」

 

佐藤「あ、だって調理室に目立つように置かれていたからそれで……」

 

式野「それだけで言い訳になると思うのか?」

 

佐藤「珍しかったし……みんなに……飲んでもらおうと思って」

 

監原「確かに調理室にはバタフライピーがコーヒーや紅茶より前に陳列されてたな」

 

上条「え?」

 

監原「朝、コーヒーを飲もうと思って探してたらバタフライピーが目の前にあったんだ」

 

式野「だからそれが何になる」

 

知念「あれ、それはおかしいよ。昨日の夜に紅茶を飲もうと思って調理室に向かったけどバタフライピーなんかなかったよ」

 

監原「もしかしたら犯人が誘導したのかもな」

 

籠森「はぁ!?都合良すぎだろ!どう見ても怪しいのは佐藤だろ!」

 

絵馬「下剤や睡眠薬を盛ったのよ!」

 

式野「入れるタイミングは渡した時しかないからな」

 

上条「本当にそうなのか……?」

 

 佐藤が犯人なのか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メイビー「それは違うな!」

 

 

 

上条「メイビー?」

 

メイビー「籠森、眠くなったのはいつ?というか、バタフライピーを飲んだ後に眠くなったりした?」

 

籠森「俺はバタフライピーを2回に分けて飲んだ……あっ、確かに2回目飲んだ後にすぐ眠くなった気が……」

 

メイビー「だろうね。君がチャットに答えなかった時間はバタフライピーが配られてから随分後だし」

 

上条「じゃあ佐藤が配った瞬間ってわけじゃないなら佐藤は…」

 

式野「待て、それだけで佐藤の疑惑が晴れたとは言えない」

 

監原「でも限りなく犯人じゃない。犯人ならバタフライピーを渡した時点で仕込んでるだろうし、下手にプレイ中に仕込む真似したら見られる可能性があるし。バタフライピーの陳列の件を見て合わせると余計に怪しくなくなるな」

 

式野「そうやって活躍するフリをして犯人らしくないそぶりを見せてるんじゃないか、監原?」

 

監原「俺が怪しいってか?」

 

式野「君の頭脳ならば、オートプレイ機能を利用し、あらゆる工作もたやすいだろう」

 

監原「無理があるな。俺が犯人なら絵馬や籠森や佐藤に疑惑を向けられた時点でうまく誘導するだろ。犯人という線をなくすためにやったとしても1人の疑惑を晴らすだけでやめるはずだ」

 

式野「そういうところが!」

 

メイビー「大した根拠もなく疑うのはナンセンスだ」

 

式野「では他に誰がいるというんだ」

 

知念「それを話し合うしかないね」

 

 

 

議論開始

 

コトダマ モノクマファイル4

コトダマ 散らばった衣服

コトダマ 落ちていた将棋の駒

コトダマ 死体発見アナウンス

コトダマ 凍死の時間

 

 

 

メイビー「他に手掛かりない?」

 

籠森「あったらとっくに言うだろうが!」

 

佐藤「ここまで『完璧な犯人』なら証拠を残したりしないかも」

 

式野「もう『手掛かりなんかないじゃないか?』」

 

知念「『ダイイングメッセージ』とかあれば良いんだけどね」

 

絵馬「そんな、『血も流してない』人間がどうやってそんなことできるのよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知念「『ダイイングメッセージ』とかあれば良いんだけどね」

 

 

コトダマ 落ちていた将棋の駒

 

 

同意

上条「それに賛成する!」

 

 

上条「そういえば将口の死体の側、冷凍庫に将棋の駒が落ちてたんだ。2つ、角行と飛車が落ちてたんだ」

 

式野「それで?それがなんになる?」

 

知念「角行と飛車の駒がダイイングメッセージなんて思えないけど……」

 

籠森「将棋の駒の何がダイイングメッセージなんだ!」

 

監原「角行に飛車か……わざわざそんな駒を選んだ理由……。超高校級の棋士らしく、なんらかの将棋に関して意味があるかもな」

 

 

上条「意味……」

 

 

 

 

 

閃きアナグラム

 

な り ご ま

 

 

 

 

上条「わかったぞ!あの将棋の駒は成駒を表してるんだ!」

 

監原「裏っ返してあったもんな」

 

籠森「成駒……?」

 

監原「将棋のルールで駒が敵地に行くと裏返して成ることができる。それが成駒」

 

式野「急に何を言っている!?」

 

監原「歩は『と』、香車は『成香』、桂馬は『成桂』、銀は『成銀』、そして、角行は『馬』、飛車は『龍』という風に成ることができる」

 

まさか。

 

監原「ここまで言えばわかるよな、上条?」

 

 将口が伝えたダイイングメッセージ、その人物って……。

 

 

 

 

 

 

 

怪しい人物を指名

 

 

 

上条翔太

 

星野リコ ×

 

佐藤雪香

 

岩田圭介 ×

 

弓長詩織 ×

 

絵馬一帆

 

将口歩夢 ×

 

メイビー

 

監原誠也

 

式野龍馬

 

籠森健一 

 

知念悠馬

 

加賀美優子 ×

 

深沢由奈 ×

 

蹴上秀 ×

 

香月薫 ×

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

式野龍馬◀︎

 

 

 

上条「将口のダイイングメッセージ、式野を表してるんじゃないか?」

 

式野「は?」

 

上条「飛車と角行を成ると龍と馬になるんだよ。それを示しているのは龍馬……式野、お前じゃないのか?」

 

監原「スタンガンを食らった痕跡がある以上、将口は犯人の顔を見ているからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

反論

式野「耳障りな推理だ!」

 

 

 

上条「式野……」

 

式野「将棋の駒如きがなぜダイイングメッセージになる?全く、これで犯人扱いされたらたまったもんじゃない」

 

 

反論ショーダウン 開始

 

コトノハ モノクマファイル4

コトノハ 落ちていた将棋の駒

コトノハ 駒の入った袋

コトノハ 死体発見アナウンス

コトノハ 散らばった衣服

 

 

 

式野「将棋の駒がダイイングメッセージ?笑わせる、そんなの偶然だろう」

 

式野「あいつは超高校級の棋士、将棋の駒を持っていてもおかしくないだろう」

 

上条「だから、いつも将棋の駒を持っていたからダイイングメッセージを残せたんだ」

 

式野「犯人が将口を入れる時に『たまたま落とした』んだ」

 

式野「『いつも持ち歩いている』ならポケットやなんやから落としてもおかしくはない」

 

式野「将口は『下着姿だった』んだからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

式野「犯人が将口を入れる時に『たまたま落とした』んだ」

 

 

コトノハ 駒の入った袋

 

論破

上条「その言葉、斬る!」

 

 

 

 

 

上条「いや、たまたま落としてなんかない。だって将棋の駒は袋に入ってたんだ。それをたまたま落とすなんてありえない。意図的にやったとしか考えられない」

 

監原「ちゃんと封はされてたからな。将口が自分でやったんだ」

 

式野「くっ、たとえそうでも将棋の駒だけで僕が怪しいなんて無理があるだろ!他にメッセージが込められていたらどうするんだ!」

 

佐藤「そう言えば飲み物が欲しいって言い出したのは式野くんだった」

 

メイビー「間違いない、俺も覚えてる」

 

式野「の、飲み物がなんだ!たまたまだろ!?」

 

監原「喉が渇いたって言ってコーヒーやお茶と限定しなかったのもバタフライピーを持ってこさせるためじゃないか?それに犯行時間を操るためにも自分がタイミングを図るしかなかったんじゃないか?」

 

式野「そんなの憶測にすぎない!」

 

知念「でも式野くんのチャット、違和感あったような気がする。定型文みたいな…」

 

メイビー「オートプレイだからありがとうやお決まりな文しか設定出来なかったんだろうね。辛うじて会話文になるようなそんな」

 

式野「しかし僕は機械が苦手だ!やり方なんか知らない」

 

監原「モノクマに教えてもらったんじゃないのか?」

 

メイビー「モノクマ、どうなんだ?」

 

 

 

モノクマ「あのねぇ。僕は学級裁判を公平にしたいから明言も介入もしないの!僕の証言で犯人が決まったら面白くないでしょ!」

 

 

 

 

 

監原「2回目の学級裁判でははっきりと死体発見アナウンスで上条と将口が犯人じゃないと言ったモノクマがボカすなんて……」

 

式野「決まってない、決まってなどいない!まだ、まだだああああああ!」

 

 

 

 

 

理論武装 開始

 

式野「まだ終わってない!」

 

式野「僕は犯人なんかじゃない!」

 

式野「僕が犯人なんてありえないんだよ!」

 

式野「僕に投票したらみんな処刑だ!」

 

 

 

 

 

 

式野「将棋の駒は犯人の偽装工作だ!」

 

   △

   死体発見

発見× アナウンスは◻︎

   3人の

   ○

 

 

 

 

 

 

△◻︎○×

 

 

上条「これで終わりだ!」

死体発見アナウンスは3人の発見◀︎トドメ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上条「それはありえない。死体発見アナウンスは3人の死体発見、3人が死体を発見した時にアナウンスされたんだよな?」

 

監原「俺、知念、メイビーで死体発見アナウンスがされたこれは揺るがない。つまり、他の時間に将棋の駒を置くのは不可能だ」

 

メイビー「他の人間が偽装工作したら知念が見た時点でアナウンスされるはずだ」

 

式野「間違っている!」

 

佐藤「終わらせよう、上条くん」

 

上条「ああ、全てを振り返って終わらせてやる」

 

 

 

 

 

 

クライマックス推理

 

ACT1

 

上条「まず初めに犯人は朝、調理室の飲み物の陳列を入れ替えたんだ。バタフライピーを一番前に置いて、自然と佐藤が手に取るように仕向けた」

 

 

ACT2

 

上条「そうして犯人はいつも通りVRゲームをプレイするんだけど……犯人はオートプレイ機能を使って抜け出していた。抜け出した犯人がしたこと、それは時計の操作だ。あらゆる時計をズラして俺たちに時間を誤認させることで確実に将口を殺せるようにしたんだ」

 

 

ACT3

 

上条「そして犯人は佐藤に飲み物を持ってくるよう誘導した。佐藤は犯人の思惑通りにバタフライピーを持ってきた。そして犯人はオートプレイ機能でアリバイを確保しつつ、絵馬のバタフライピーには下剤、籠森と将口のバタフライピーに睡眠薬を入れた。睡眠薬は青色だけどバタフライピーも青だから気づかずに2人は飲んでしまった」

 

 

ACT4

 

上条「そして犯人は犯行を開始する。プレイ中の絵馬からヘアピンを奪い、睡眠薬で眠った将口を代車で運び、自分と将口をオートプレイ機能でアリバイを持たせ、冷凍庫前まで運んだんだ。冷凍庫に入れようとした時、将口は暴れたんだろうな。それも想定していた犯人は将口にスタンガンを浴びせ怯ませて冷凍庫に押し込んだんだ」

 

 

ACT5

 

上条「犯行を終えた犯人は調理室に絵馬のヘアピンを落とし、籠森の席にスタンガンを置いて何食わぬ顔でゲームに戻った」

 

 

ACT6

 

上条「そして将口はじわじわ体力がなくなっていくなか、出られないと判断してダイイングメッセージを残した。将棋が入った袋の中から将棋の駒を裏返し……成ることで犯人を示したんだ。これがなかったら犯人にたどり着くことなんて出来なかった。将口は矛盾脱衣するほど錯乱していたけど、俺たちに希望を遺してくれたんだ」

 

 

 

 

 

 

 

上条「こんな卑劣な犯行を行った人物、それは超高校級の指揮者、式野龍馬。お前だ!」

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter4 おしおきタイム

モノクマ「ま、いつ通り投票しまうま」

 

 

式野「くっ……お前ら、僕を殺すのか?」

 

上条「え?」

 

式野「そうやってまた他者を犠牲にして生き残るのか?」

 

籠森「将口を殺したお前が言うか!」

 

式野「そうやって投票するのは殺人と同じだろ」

 

知念「え、えっと」

 

監原「聞くな。そうやって惑わしてるんだ」

 

 そうだ、犯人に惑わされちゃダメだ。

 

 

 

モノクマ「投票の結果クロになるのは誰か。その答えが正解なのか不正解なのかぁ!」

 

 

 

 

 

投票結果

 

上条翔太 1票

式野龍馬 7票

 

 

 

 『正解』とモニターに表示された。

 

学級裁判 閉廷!

 

 

 

 

 

 

モノクマ「オマエラ大正解!超高校級の棋士、将口歩夢クンを殺したクロは超高校級の指揮者、式野龍馬クンなのでした!」

 

 

上条「式野!なんで将口を殺したんだ」

 

式野「それはお前たちと同じだ」

 

籠森「人殺しと一緒にするな!」

 

式野「お前たちは投票という名の殺人をしている。僕らクロと変わりはない」

 

知念「全然違うよ!投票はモノクマに強制されたんだ。コロシアイは別に強制なんかされてない!」

 

式野「同じだ。僕も将口が怖かったからな」

 

上条「将口が……怖かった?」

 

式野「将口は内通者だろ?いつ殺人をされるかわからない」

 

上条「将口は言ってた!殺人はしないって!」

 

式野「どうだか。将口は人質を取られている以上、またその気になってもおかしくない」

 

上条「将口はそんなことしない!」

 

式野「では、お前は岩田が殺人をする奴だと思っていたのか?」

 

上条「なっ……!?」

 

式野「正直、僕もかなりショックだったよ。あの岩田が、殺人から縁の遠そうな奴が、殺人をした事実が」

 

籠森「お前と岩田は違う!」

 

式野「そうさ、違う」

 

籠森「何!?」

 

式野「結局、岩田は殺人をするような人間なんだ。人質を取られて、命を狙われたら殺人をしてしまう人間なんだ」

 

籠森「岩田は悪くないだろ!」

 

式野「良い悪いの問題ではない。結局、人間は信頼出来ないと分かったんだ。そうやって殺人を重ねるんだ」

 

上条「殺人は……お前で最後だ!」

 

式野「どうかな?まだ殺人計画を練っている奴がいるかもしれない。殺人は起きない。そういう断言はただの現実逃避じゃないか?」

 

監原「見苦しいな、お前の言い訳は」

 

メイビー「ようは殺される前に殺したってだけでしょ。長々と語れば同情してもらえると思ったの?」

 

式野「同情?そんなものはいらない」

 

 

式野「お前たちは分かっていない。本当にこの先も殺人が起きないと言い切れるのか?」

 

絵馬「うるさいわねこの殺人鬼!」

 

籠森「言い訳するな!」

 

式野「フン……ありがたく思え。僕は不穏分子を排除したんだからな。それに僕の犠牲でみんな助かるんだ」

 

上条「何がだ!将口を殺しておいて!」

 

式野「将口を殺したことで、みんなあいつに殺されるリスクを無くしてやったんだよ!」

 

 

上条「ふざけるな!」

 

籠森「うるせぇ!黙れクズ野郎!モノクマ!こんな奴とっとと処刑しろ!」

 

絵馬「不快だわ!」

 

メイビー「そうやって殺人を正当化しないでくれる?」

 

知念「……式野くん……どうして、こんな」

 

佐藤「……」

 

監原「はぁあ、全く」

 

 

 

 

モノクマ「いつものアレ、いきますか?」

 

式野「早く始めろ、モノクマ。最期くらい綺麗に終わろう」

 

モノクマ「超高校級の指揮者、式野龍馬クンにはスペシャルなおしおきを用意したした」

 

 

式野「フフ……」

 

 

 

その時の式野の笑いは一生忘れられないだろう。

 

 

 本当に面白くて笑っているのか、死の恐怖でおかしくなったのか。俺たちに知る術なんかなかった。

 

 

モノクマ「では張り切っていきましょう!おしおきターイム!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

式野「ふはははははははははははははっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シキノクンがクロにきまりました。おしおきをかいしします。

 

 

 

 

幻想交響曲 超高校級の指揮者 式野龍馬処刑執行

 

 

 

式野は音楽ホールの中で、モノクマたちのオーケストラの指揮をしていた。しかし、そのオーケストラの音楽は聴くに耐えない。

そこへ女の子を模したモノクマは近寄る。モノクマは鋭い爪をたてながら迫る。

式野は舞台から降りてモノクマから逃げる。

次々と襲い掛かるモノクマ。式野の右腕、左腕、左太腿、右膝にクローを受け、大量の血を流しながら倒れる。

式野は力を振り絞り、目にした銃を手にとり、次々と撃ち殺す。

 

助かったと笑う式野の前にギロチンが現れる。

唖然としたまま式野の首はギロチンされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モノクマ「アイスクリーーーーム!!」

 

 また、仲間が死んでしまった。

 

上条「……」

 

 

 

 

監原「で、モノクマ。お前式野にオートプレイ機能を教えただろ?」

 

モノクマ「ドキッ!」

 

メイビー「電源も入れられなかった素人があんなトリックできるわけないからね」

 

モノクマ「言っておくけど、僕は聞かれたから教えただけだからね!」

 

監原「それに今回の強制VRゲームもそうだ」

 

モノクマ「ん?僕は強制なんかしてないよ?」

 

監原「それだ。そうやってアリバイトリックをやらせたんだろ?お前の思惑通りに犯人は動いてないか?」

 

モノクマ「聖徳太子は未来人らしいよ」

 

監原「誤魔化しにきたか。モノクマ、お前の目的はなんだ?こんなに殺人をさせる意味。絶望させたいだけなら他に方法はいくらでもあるはすだ」

 

モノクマ「絶望、ディスピア、デゼスポワール、フェアツヴァイフルング」

 

メイビー「外国語の絶望だね」

 

監原「答える気無しって奴か」

 

上条「……お前ら、平気なのかよ」

 

監原「上条?」

 

上条「仲間がこんなに死んで!平気なのかよ!」

 

監原「いや、平気ってわけじゃ……」

 

佐藤「上条くん?」

 

上条「将口……!俺、俺……なんで!!まだお前と将棋やりたかったのに!!」

 

監原「……」

 

佐藤「上条くん……」

 

知念「……」

 

メイビー「……」

 

籠森「……」

 

絵馬「……」

 

上条「うわあああああああああ!!」

 

佐藤「大丈夫、大丈夫だよ、上条くん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生き残りメンバー 7人



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter5 終わりなき絶望
Chapter5 (非)日常編


19日目

 

 

 

 インターホンが聞こえる。

 

 俺はドアを開けた。

 

 

佐藤「上条くん……」

 

上条「あ、ありがとう、佐藤。心配してきてくれたんだ。俺、もう大丈夫だ」

 

佐藤「寝られてないよね……」

 

上条「確かにあんま寝られてないけど、平気だよ。もう慣れちゃったよ」

 

 そんなの嘘だ。佐藤にとっくにバレてるだろうな。

 

佐藤「あ、あの…朝ごはん……」

 

上条「そっか。行くよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

食堂に向かうとみんな揃っていた。寝起きがよくない絵馬までいるのに俺だけが行かないのは悪いな。

 

知念「か、上条くん……大丈夫なの?」

 

上条「ああ、平気さ」

 

監原「食べ終わったら4階を探索しないか?」

 

籠森「4階が開かれたのか。もう魅才学園の全てが開かれてるな」

 

知念「もしかしたら黒幕の部屋も開かれるかも!」

 

監原「それは流石に無さそうだが、黒幕のヒントになるものがあるかもな」

 

佐藤「決まりだね」

 

 

 

 

 

 

 

朝食の後、俺たちは4階に向かった。

 

 

 

 まず俺が入ったのは植物室だった。

 

上条「植物室かぁ」

 

大きな植物がたくさんあり、綺麗な緑だ。

 

 他に物置がある。

 物置にはワイヤーロープ、スコップ、ツルハシ、ビニールシート、植木鉢。

 

上条「モノクマに襲われたらこれで戦うとか……」

 

スコップとツルハシじゃ無理か。

 

 

 他の場所、そこは事務室だった。

 資料が色々あって、中には英語、他にもよく分からない言語もたくさんある。

 

 

監原「うーん……」

 

上条「どうしたんだ、監原?」 

 

監原「訳の分からないものを見つけたんだ」

 

 

その日記のようなものにはこう記されていた。

 

 

5月12日

人は知識を得て成人並に活躍するには時間がかかる。よってありとあらゆるものをすぐに会得する人工知能をクローンに植え付けた。

 

 

 

 

 

上条「な、なんだよこれクローンとか人工知能とか……」

 

監原「大方、モノクマが俺らを動揺させるために用意したんだ。だから気にすんなって!」

 

上条「監原が難しそうな顔するから……」

 

 

 

モノクマ「本物だよー!嘘偽りない内容だよー!」

 

 

監原「さて、他の場所を探索するか」

 

上条「ああ」

 

 

モノクマ「おーい!無視するとおしおきだよ」

 

監原「はぁ。なぁに用件は」

 

モノクマ「学園長室があるけど鍵壊したらおしおきターイム!だからね!生徒手帳にも記録するからね!」

 

上条「学園長室に何かあるの?」

 

モノクマ「なんもないよ」

 

監原「なんもないなら立ち入り禁止なんかすんなよ……」

 

モノクマ「うるさーい!立ち入り禁止ってたら立ち入り禁止なの!」

 

それだけ言ってモノクマはどっか行ってしまった。

 

 

監原「他を探索するか」

 

上条「うん」

 

 

 

 

知念「あっ、監原くんに上条くん」

 

監原「どうした?知念」

 

知念「あ、あの……生物室に来て欲しいんだ」

 

上条「生物室?」

 

知念「うん……」

 

 

 

生物室に来ると中はとても寒かった。

 

上条「なんだここ冷凍庫か!?」

 

知念「あの……壁の装置を見て欲しいんだ」

 

上条「なんだ、あの装置……」

 

ランプが9個点灯してるけど……。

 

監原「まさか」

 

知念「こんな説明書があるんだ」

 

知念から渡された説明書のタイトルは…

 

上条「し、死体安置冷凍庫!?」

 

監原「だからこんな寒いのか」

 

知念「あの……確かめるなんてするつもりはないけど……ランプが9個あるし」

 

死んだみんなが……あそこに安置されてるのか?

 

知念「ここから出れるようになった時に……本物なら持っていってあげたいなって。家族とか友人や知り合いのためにも」

 

上条「知念……」

 

監原「確認すれば良いんだな!」

 

上条「か、監原!?マジか!」

 

監原「ああ。死体が偽物なら困るしな」

 

上条「本当に見るのか!」

 

 

 有無を言わさず監原は死体安置冷凍庫の一番左を開いた。

 そこには深沢の死体がある。

 

上条「深沢……」

 

超高校級の探偵、深沢由奈。彼女が一番最初の犠牲者だ。蹴上に殺されてしまった。

 体の血は服以外は拭き取られていた。

 

上条「なんで……こんなことに」

 

 次に監原が隣の冷凍庫を開くと足と手ともつかない身体の一部が置かれていた。

 

上条「なっ!?なんだこれ!」

 

知念「うぅ…ま、まさか蹴上くん!?」

 

監原「蹴上はおしおきでバラバラになったからこんな状況に……」

 

上条「くっ……モノクマめ……」

 

 次に監原が開けて出てきたのは星野だった。

 

上条「星野……」

 

超高校級の天文部、星野リコ。掴み所ない性格だった……だとしても。

 

 さらに監原が冷凍庫を開けると、弓長の死体だ。身体にはいくつもの傷と穴だらけで、顔に至っては見るも堪えない。おしおきの壮絶さを物語っている。

 

上条「うう……」

 

知念「ひいぃぃ」

 

監原「捜査じゃないし、無理に見る必要ないぜ?」

 

上条「けど、モノクマのしたことを目に焼き付けたいんだ」

 

監原「そうか」

 

次は加賀美の死体だ。首に大きな傷がある。

 

上条「加賀美……」

 

みんなの頼れるお姉さんでこんな状況でも明るく振る舞ってた加賀美が……。

 

 さらに監原が冷凍庫を開けると香月が出てきた。首には傷と絞められた跡がある。加賀美を殺した犯人……。

 

上条「ってことは次は……」

 

監原「大丈夫か?」

 

上条「大丈夫だ、開けて」

 

 開けると予想通り、岩田が出てきた。

 

 身体中傷だらけで、首にはワイヤーで絞められた跡がある。

 

上条「岩田…っ!」

 

モノクマに脅されて、殺されかけて混乱して殺人に及んでしまった。岩田……岩田は悪くない……よな。

 

監原「次もきついと思うが、大丈夫か?」

 

上条「うん」

 

さらに冷凍庫を開けると将口が出てきた。身体は一番綺麗で、将口はただ眠っているようにさえ見える。凍死させられたのに死んでもなおこんな寒い場所に置かれてるなんて。

 

上条「将口……寒くないか?大丈夫か?」

 

知念「上条くん……」

 

監原「次、大丈夫か?」

 

上条「ああ」

 

最後に出てきたのは式野だ。

 

知念「うわあ!ひぃぃぃ」

 

ギロチンされたから頭と胴体が離れている。原型がほぼない蹴上や顔がぐちゃぐちゃな弓長とどっちがマシかなんて言えない。

 

監原「みんなここに安置されてるんだな」

 

上条「わかっただけでも良い収穫だよ」

 

知念「そろそろここから出ない?僕らまで凍死しちゃうよ」

 

監原「そうだな。食堂で報告会だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter5 (非)日常編2

 食堂で報告会が始まった。

 

 

籠森「教室を見て回ったがおかしなところはなかった」

 

上条「植物室があった、特に変わったものはなかったけど」

 

知念「生物室に……みんなの遺体があったよ」

 

籠森「なっ……!?」

 

絵馬「みんなって優子も!?」

 

佐藤「えっ…」

 

監原「安置所になってるみたいなんだ」

 

メイビー「なんのために?」

 

監原「さあ?」

 

メイビー「……」

 

籠森「事件があんまり連続するんで忘れてたが、俺たちの目的ってここから脱出することだよな?」

 

監原「今、この状況でそれが達成出来るのは難しいがな」

 

籠森「なら探索なんて無意味じゃないか?一応、外には出られるんだし」

 

知念「でも、きっと黒幕に繋がる手掛かりとかあるはずだよ」

 

籠森「黒幕の手掛かり?」

 

知念「モノクマを操ってる人が分かるかもしれない」

 

籠森「それが分かったところでどうするんだよ!」

 

絵馬「相手が大人数なら勝ち目ないじゃない!」

 

メイビー「ならずっとこの学園で暮らすの?」

 

籠森「なっ……、そんなわけないだろ!」

 

メイビー「じゃあ誰かを殺して外に出るの?」

 

籠森「やらない!」

 

佐藤「や、やめなよ」

 

メイビー「俺は勝つよ、黒幕に。こんなコロシアイを仕組んだ奴に俺は負けない」

 

そう行ってメイビーはどこかに行ってしまった。

 

上条「メイビーってなんか朝からおかしくないか?」

 

籠森「殺人の見過ぎで狂ったんじゃないか?」

 

佐藤「今は…そっとしておこう」

 

監原「出来ることもないしな。で、どーするよ?この後?自由に過ごすか?」

 

上条「うん……」

 

知念「じゃあ僕は図書室に行くね」

 

佐藤「クッキー作るよ」

 

上条「俺はもう少し4階を調べるよ」

 

監原「俺も」

 

籠森「俺は部屋にいる」

 

絵馬「あ、あたし美術室にいるから」

 

 

 

 

 

 

 4階を調べると行って来たのは学園長室だ。

 モノクマには入るなって言われたけど……。

 

上条「入るなって言われたってことは重要な手掛かりがあるはずだ」

 

メイビー「へえ、君もそう思うんだ」

 

上条「メイビー!?」

 

メイビー「ここに手掛かりがありそうだけど、入れなくてね」

 

上条「そう……か……」

 

なんだろう、なんか視界がぼやける……。

 

メイビー「上条!?大丈夫か!」

 

上条「ぅ……」

 

俺の意識はそのまま遠のいてっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 個室の天井。いつの間に。

 

 

佐藤「大丈夫?上条くん?」

 

上条「さ、佐藤……?」

 

佐藤「良かった……無事で。上条くん……急に倒れて丸一日……寝込んでたんだよ?」

 

上条「丸一日!?」

 

20日目

 

 

上条「そっか、そんな寝てたんだ」

 

佐藤「色々あって疲れてたんだよ」

 

そうか……そうかもな。

 

上条「でももう平気さ」

 

佐藤「上条くん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

モノクマ「あー、上条クンも起きたようなので体育館に集まってくださーい!」

 

 

 

上条「また呼び出しか……」

 

佐藤「いける?上条くん」

 

上条「うん」

 

 

 

 

俺と佐藤が体育館に向かうとみんな揃っていた。

 

監原「大丈夫か、上条?」

 

上条「平気平気」

 

知念「急に倒れたって言うからビックリしたよ」

 

メイビー「大事に至らなくて良かったよ」

 

籠森「まだ顔色悪そうだな」

 

絵馬「ビックリしたじゃない。てっきり殺人かと……」

 

上条「みんな……心配かけてごめん」

 

監原「あんまり無理すんなよ」

 

上条「うん」

 

モノクマ「そろそろ良いかなー?」

 

 

モノクマが飛び出してきた。

 

監原「今度はなんだ?」

 

モノクマ「うん、君たちにある重要なことを言おうと思ってね」

 

上条「重要なこと…?」

 

モノクマ「そうです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モノクマ「オマエラの中に黒幕がいることを教えに来たんだよ」

 

上条「えっ……」

 

知念「ど、どういうこと?」

 

モノクマ「そのまんまの意味だよ、オマエラの中にこのコロシアイを計画した黒幕がいるんだ」

 

監原「そんなことあるわけないだろ!」

 

モノクマ「ボクが嘘言ったことある?内通者だって事実だったじゃん!」

 

籠森「じゃあまさか本当に黒幕が……!?」

 

モノクマ「黒幕はね、4回目の学級裁判の時までは自分が黒幕なことを忘れていたんだよ」

 

絵馬「忘れてたってどうしてそんなこと忘れられんのよ!」

 

モノクマ「そして4回目の学級裁判が終わった後に思い出したんだよ」

 

メイビー「それで?」

 

モノクマ「それでって?」

 

メイビー「黒幕だけ?他にいないの?」

 

モノクマ「そうですよ。というか黒幕の正体をそれだけって言えるなんて君すごいね」

 

メイビー「俺が言いたいのはそういうことじゃない、黒幕は何をしたいんだ?何をするんだ?内通者たちは殺す動機があったけど」

 

モノクマ「さあね?殺すかもしれないし、誰かが殺すのを楽しみに待ってるかも」

 

籠森「モノクマを操ってるのが黒幕じゃないのか!?」

 

モノクマ「もう!このコロシアイが1人で仕組めるわけないでしょ!この企画はたくさんの人が集まってたくさんの人が見てるんだから!」

 

 

上条「たくさんの人が見てるって……」

 

モノクマ「それじゃあおしまい」

 

それだけ言ってモノクマはどこかに行ってしまった。

 

 

 

 

絵馬「あたしたちの中にコロシアイを仕組んだ黒幕がいるって……」

 

籠森「クソ、誰なんだ……」

 

知念「みんな落ち着いてよきっとモノクマの嘘だよ」

 

籠森「モノクマが嘘言ったことあるか!?モノクマの言うことは事実だったろ!?」

 

知念「そ、そうだけど……」

 

上条「待てよ!そうやって疑い合ったら内通者の話と変わらないじゃないか!まさか香月や式野みたいに疑って殺すのか!?」

 

絵馬「じゃあどうするの!?相手は内通者じゃなくて黒幕なのよ!」

 

佐藤「きっとそうやって混乱させるのが黒幕の狙い……」

 

監原「なら今日から3時間ごとに食堂に集まらないか?」

 

籠森「集まる……?」

 

監原「なるべく時間ごとに集まるだけ、なるべく複数人の行動も良いな。そうすれば誰かが殺す時間なんかないはずだし、複数人で行動すれば殺せなくなるだろ?」

 

絵馬「そ、そんな息の詰まる生活……」

 

メイビー「ただみんなが寝てる夜は無理そうだけどね」

 

監原「夜時間は外に出なきゃ良い話だ」

 

上条「それは良い考えかも」

 

絵馬「あ、あたしは美術室から出ないから」

 

籠森「そんなことしてる間に殺されんなよ」

 

絵馬「鍵をかけるわ!」

 

佐藤「私も料理したいし……」

 

監原「なら時間を決めたり逐次報告してくれ」

 

佐藤「わかった」

 

メイビー「……俺も1人で行動させてもらうよ」

 

籠森「なんでだ?」

 

メイビー「1人が好きだからさ」

 

籠森「なら俺も1人だ。なぁに俺は簡単に殺されたりしない」

 

知念「ちょっ、ちょっと」

 

監原「ま、無理にみんなで行動しろなんて言わないけどさ、3時間経ったら食堂に来いよ?」

 

 

 

 

こうして、しばらくの行動が決まった。でもきっと今回は大丈夫だと思う。もう、殺人なんか起きたりしない。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter5 (非)日常編3

監原「3時間経ったのに絵馬とメイビーが来ないな」

 

上条「探してこようか?」

 

知念「絵馬さんは美術室だろうけど、メイビーくんはどこなんだろう」

 

籠森「手分けして探した方が良いんじゃないか?」

 

 別にまた殺人が起きるとは思ってないけど、不安になる。

 

 

 

 

 

 

上条「絵馬ー?時間だぞー?」

 

美術室に入ろうとするが開かない。

 

上条「絵馬ー!?」

 

ガンガンと扉を叩くと「ひゃあ!」という声が聞こえた。

 

絵馬「なななな、何!?」

 

上条「いや、時間…」

 

絵馬「た、確かに!絵に集中してると忘れるのよね」

 

 

 

 

 

 

 

 

知念「メイビーくん…どこに行ったんだ?」

 

監原「メイビーは見つかったか?」

 

知念「部屋にいなかったし、本校舎を探してるけど……旧校舎やグレープハウスとかも見る必要あるかも」

 

 

 

籠森「いやその必要はない」

 

知念「籠森くん?」

 

籠森「メイビーの奴、遅れて来やがった。食堂に集まってる」

 

知念「良かった、みんな無事みたいだね」

 

監原「はぁ、手間がかかる奴だ」

 

 

 

 

 

 

籠森「お前、何をしていた!?」

 

メイビー「5階を調べてた。悪い?」

 

知念「みんなの集まる時に集まらないのは悪いよ」

 

メイビー「ちゃんと来たよね?」

 

籠森「遅れたってことは何か企んでるじゃないか!?」

 

メイビー「そうやって因縁つけて、自分が黒幕じゃないアピールかい?」

 

籠森「なっ、なんだと!?俺は黒幕じゃない!」

 

監原「ムキにならなくても籠森は黒幕じゃない。記憶がなかったとしても動きが黒幕じゃないだろ」

 

上条「もうやめよう!こんな話!こんな疑いあって香月や式野から何を学んだだよ!?」

 

佐藤「上条くんの言う通りだよ」

 

籠森「でも遅れて来たメイビーが悪い」

 

絵馬「あ、あたしは……」

 

籠森「お前が黒幕ならとっくに破綻してる」

 

絵馬「な、何ですって!?」

 

監原「とにかく、みんな無事だしまた3時間後な」

 

 

 

こうしてまた3時間後に集まり、夜時間を迎えた。

 

 

 

監原「良いな、夜時間は出歩かないこと」

 

絵馬「美術室……」

 

監原「自己責任な?」

 

絵馬「ひぃ!」

 

知念「美術室から必要な道具を個室に持っていけば良いじゃないか?」

 

絵馬「部屋が汚れるじゃない!」

 

監原「なら夜時間に何があっても知らないぞ?夜時間は寝たいって奴らがいるだろうし」

 

上条「監原、夜時間の10時からじゃなく11時からでよくないか?俺、寝れないし」

 

監原「出歩いて何かやることあるのか?」

 

上条「図書室とか」

 

監原「最初から本を持ってけば良いだろ?」

 

上条「でも、やっぱり図書室で読みたくなる本もあると思うし」

 

監原「仕方ないな11時までな」

 

 

こうしてルールがまた決まった。

 

 

 

 

 しかしこのルールが意味を為さないということに気付いたのはその翌日のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

21日目

 

 

少し遅めに食堂に集まった。

 

籠森「上条も遅刻か、全く」

 

上条「俺もって?」

 

知念「監原くんとメイビーくんが来てないんだよ。特に監原くんは初めに来るのに」

 

上条「……俺、見てくる」

 

 

嫌な予感がして監原の部屋に向かった。しかし鍵が開いてない。

 

上条「監原!……モノクマ、監原は?」

 

モノクマ「ここにはいませんね」

 

上条「じゃあメイビーは?」

 

モノクマ「個室にはいないよ」

 

上条「じゃあどこにいるだ!」

 

モノクマ「僕にばっか頼ると立派な大人になれないよ!自分で探して!」

 

そう言ってモノクマは消えてしまった。モノクマが介入しないってことは……そんなまさか。

 

 

 

 

 

上条「みんな!監原もメイビーも部屋にいない!」

 

佐藤「えっ…」

 

籠森「マジかよ……」

 

知念「と、とにかく探してみようよ」

 

絵馬「うぅ…もう嫌なんだからね、学級裁判なんか」

 

籠森「言うな!」

 

上条「とりあえず、籠森が旧校舎、絵馬が1階、佐藤が2階、知念が3階で俺は4階を探す」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は嫌な予感が当たらないよう、祈るしかなかった。

 

 

 

 

上条「植物室……」

 

 ゆっくりとドアを開ける。

 

 

「うわあああああっ!」

「うわーーーっ!!」

 

 

 突然、火の手が上がった。

 

 

上条「この悲鳴、まさか!」

 

 

 

植物室の中心は激しく燃え、近寄れない。

 

 

上条「みんなああああ!!火事だあああああ!!」

 

俺は大慌てで下に向かって叫んだ。ここからなら旧校舎の籠森にも届いているはずだ。

 

 

 

 

俺は植物室に戻りどうにか消化出来ないか周りを見渡した。

 

 

上条「ホースとか……ん?消火弾?」

 

消火弾と書かれた赤いケースが何個も置いてある。

 

 

上条「これを使えば!」

 

消火弾を火に向かって投げた。

 

 しかし炎は消えるどころか増すばかりだった。

 

 

 

「うわあああああ!!」

「うわーーーーっ!!」

 

 酷いくらいに聞こえる監原とメイビーの悲鳴。

 

 

上条「メイビー!」

 

 

 

知念「上条くん!」

 

籠森「なんだこれは」

 

佐藤「何が起きたの?」

 

絵馬「もう、なんなのよぉ!」

 

上条「とにかく今は消火弾を投げて!」

 

 

俺たちは次々に消火弾を投げた。

 

 

 しかしさっきよりはマシになったくらいで、勢いは止まらない。

 いつしか監原とメイビーの悲鳴すら聞こえてこなくなった。

 

上条「消火弾使い切ったよ、どうすれば!」

 

知念「あっ、もしかして!」

 

 知念が小屋に駆け寄ると突然、雨が降って来た。

 

絵馬「雨!?なんで室内に雨が!」

 

籠森「スプリンクラーだっ!」

 

 俺たちはそのまま火の勢いが止まるまで待った。

 

 

上条「……」

 

籠森「上条、悪いが見てきてくれないか?」

 

上条「えっ……」

 

籠森「…わからないのか?見てきてくれって」

 

上条「そんなの!お安い御用だ!何かあるわけないし!」

 

知念「僕も行くよ」

 

佐藤「私も」

 

 

 俺はもう嫌だった。人が死ぬなんて。

 もう、起きるはずないんだ。

 

 

 

 

 

 そう思いながら植物室の中心足を踏み入れた。

 散乱する野球ボールを蹴飛ばしながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこには

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真っ黒焦げの

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2人の死体があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter5 非日常編

 ピンポンパンポーン

 

モノクマ「死体が発見されました。一定の自由時間の後、学級裁判を開きまーす」

 

 

 

 

 

 

 

 流れる死体発見アナウンス。

 死体は丸焦げで誰かなんて判別できない。

 

 

 

籠森「アナウンスが鳴ったということは、ここにいないあの2人は……」

 

絵馬「またなの!?もう嫌ぁ!」

 

 

 

 

 

上条「嘘だ……そんな」

 

知念「監原くん、メイビーくん……嘘だよね?」

 

佐藤「また殺人が……」

 

 

上条「嘘だ!嘘だ!嘘だ!なんで監原が!メイビーが!」

 

襲ってくる絶望感。嫌というほど味わった絶望感が、身体を支配する。

 

 

 

 

モノクマ「また起きましたね殺人!」

 

上条「モノクマ!これは殺人なのか?」

 

モノクマ「当然です。ここでは病死以外はみんな殺人なの!」

 

上条「くっ……こんなことって」

 

モノクマ「てなわけでじゃじゃーん!モノクマファイル5!頑張ってねー!」

 

モノクマはモノクマファイルを置いて消えてしまった。

 

知念「監原くんもメイビーくんも死んでしまった以上、僕らだけで捜査しないといけないね……」

 

上条「あっ」

 

そうだ特に捜査は監原に任せてたし……これどうなるんだ。俺たちだけで犯人が突き止められるのか?

 

知念「見張りは僕と佐藤さんでやる」

 

上条「……わかった」

 

とりあえずモノクマファイルを見ないと、生き残らないと!監原とメイビーの仇を取らないと!

 

 

 

モノクマファイル5

被害者は2体の遺体と共に焼け焦げていて判別不可能。超高校級の映画監督、監原誠也と超高校級のゲームクリエイター、メイクビット・松原・テルのものと思われる。

 

死体発見場所となったのは4階植物室。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上条「これだけ……?」

 

 

コトダマ モノクマファイル5

 

 死体の判別すらないし、死亡時刻も死因も!?

 書かれてることなんて見てわかることじゃないか!

 

上条「こんなんじゃ何もわからないじゃないか!」

 

籠森「騒いでも仕方ないだろ」

 

上条「そうだけど……」

 

籠森「モノクマファイルは基本、あんま役に立たないだろ?それより現場に残ったもので考えるんだ」

 

そう言いながら籠森は散乱する野球ボールを見た。

 

籠森「なんで野球ボールが散乱してんだ?」

 

上条「植物室に来た時からこうなってたよ」

 

 

コトダマ 散乱した野球ボール

 

 

籠森「てか、灯油臭いな。原因は灯油か?」

 

上条「ほんとだ。でも最初に燃えてた時は灯油臭くなかったよ」

 

籠森「本当かよ。こんな鼻をつんざくぐらい臭いのに」

 

 

コトダマ 後からした灯油の臭い

 

 

 

佐藤「2人の遺体、白い布みたいのが被せてあったよ。今は焼けてるけど…」

 

上条「なんでだ…?」

 

 

コトダマ 白い布

 

知念「ねぇ、上条くん。この2人の遺体、ワイヤーロープが巻かれてるよ」

 

上条「ワイヤーロープ…」

 

知念「なんで巻かれたんだろう?」

 

上条「それは、逃げないようにするためじゃないか?」

 

 

 

コトダマ 死体に巻かれたワイヤーロープ

 

 

 

知念「2人も殺す必要あったのかな」

 

上条「うーん…」

 

知念「それになんか遺体の側に機械があるよ」

 

上条「なんの機械だ?」

 

知念「焼け焦げすぎて分からない」

 

 

 

コトダマ 焼け焦げた機械

 

 

 

 

佐藤「上条くん、遺体の中心にぐるっとロープが囲ってあるよ。……黒焦げだけど」

 

上条「あれ、なんでだ?」

 

 

 

コトダマ 中心を囲うロープ

 

 

 俺はロープの周りを調べて見た。

 

 すると横に倒れたロウソクがあった。

 

上条「なんでロウソクが…これが原因か?」

 

 

コトダマ ロウソク

 

 

 

籠森「というかなんで消火弾なんか置いてあったんだ?」

 

上条「そう言えば」

 

籠森「スプリンクラーがあるなら消火弾いらないだろ」

 

上条「犯人はスプリンクラーを知らなかったのか?」

 

 

コトダマ 消火弾

 

 

籠森「この消火弾……まさか体育倉庫にあったものか?」

 

上条「体育倉庫の鍵ってどうなったんだ?」

 

籠森「岩田が持ってたままなはずだが……」

 

 

 

コトダマ 籠森の証言

 

 

絵馬「上条、聞いて。メイビー、昨日なんか見たのよ」

 

上条「え?」

 

絵馬「0時頃かしら」

 

上条「というか、0時って部屋にいないといけない時間じゃないか」

 

絵馬「し、仕方ないでしょ!絵に夢中だったんだから!」

 

 

 

コトダマ 絵馬の証言

 

 

 

上条「これは換気扇か。これがあるから俺たちは煙を吸わなかったのか」

 

 

コトダマ 換気扇

 

 

 

 

 

知念「上条くん、2人の服から電子生徒手帳が見つかったんだ」

 

黒くなっていたが問題なく起動した。

 

 監原誠也と名前が表示された。

 

知念「電子生徒手帳は頑丈みたいだね」

 

もう1つはメイクビット・松原・テルと表示された。

 

知念「右はメイビーくんので、左は監原くんみたい」

 

 

コトダマ 監原とメイビーの電子生徒手帳

 

 

 

上条「加賀美の時みたいに電子生徒手帳に手掛かりがあるかもしれない」

 

2人の電子生徒手帳のメールのログを見た。するとメイビーの送信履歴が

 

 

監原へ

0時半に植物室に来て欲しい

 

 

 

 

上条「これって」

 

 

コトダマ メイビーの送信履歴

 

 

 

 

 

籠森「上条、体育倉庫に行かないか?あそこに手掛かりがあるかもしれない」

 

上条「わかった」

 

 

俺と籠森で体育倉庫に向かった。

 

 

籠森「鍵が掛かって入れない」

 

上条「モノクマ!」

 

モノクマ「なんでしょ?」

 

上条「体育倉庫の鍵はどうなったんだ?」

 

モノクマ「さあね?岩田クンが持ってるんじゃないの?」

 

籠森「お前が殺したんだろ!」

 

上条「モノクマも鍵の所在がわからないのか?」

 

モノクマ「さあね」

 

籠森「監視カメラでみてるからそんなわけない。とにかく体育倉庫を開けろ。捜査なら開けられるはずだ」

 

モノクマ「わかりました!」

 

モノクマが鍵を開けて去っていった。

 

 

 

籠森「あっ、これって」

 

上条「灯油に消火弾と野球ボール…」

 

籠森「ここのを使ったな……」

 

上条「じゃあ誰かが体育倉庫の鍵を持っていることになる……」

 

 

コトダマ 体育倉庫

 

 

 

 

 

 

 

キンコンカンコーン

 

 

 

モノクマ「はい、終わりでーす」

 

上条「もう!?」

 

籠森「チッ、やるしかねぇ!」

 

 

いつものようにエレベーター前にみんなが集まった。

 

 

絵馬「あれ、これだけだったかしらもっといたはずよね?」

 

籠森「うるせぇ!これで全員だ!」

 

佐藤「こんなに少なくなったんだ……」

 

知念「いるんだね、僕らの中に犯人が」

 

この中の誰かが……犯人……信じたくないけど、事実。俺たちはまたこの学級裁判を乗り越えなきゃいけないんだ。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter5 学級裁判 前編

コトダマ モノクマファイル5

被害者は2体の遺体と共に焼け焦げていて判別不可能。超高校級の映画監督、監原誠也と超高校級のゲームクリエイター、メイクビット・松原・テルのものと思われる。

 

死体発見場所となったのは4階植物室。

 

 

 

 

 

 

コトダマ 散乱した野球ボール

植物室に野球ボールが散乱していた。

 

 

コトダマ 灯油の臭い

最初に植物室に来たときにはなかった灯油の臭いが消火後にするようになった。

 

 

コトダマ 白い布

2人には白い布が被せてあった。何のために?

 

 

コトダマ 死体に巻かれたワイヤーロープ

2人の死体にワイヤーロープが巻かれていた。

 

 

 

コトダマ 焼け焦げた機械

死体の側になんらかの機械があった。どのようなものかは焼け焦げすぎてわからない。

 

 

 

コトダマ 中心を囲うロープ

死体と野球ボールを中心にを囲うようにロープが置かれていた。

 

 

 

コトダマ ロウソク

倒れたロウソクが溶けていた。出火原因か?

 

 

コトダマ 消火弾

植物室にはスプリンクラーがあるのに何故か消火弾が置かれていた。

 

 

コトダマ 籠森の証言

体育倉庫の鍵は岩田が持っていたらしい。その後の所在は不明。

 

 

 

コトダマ 絵馬の証言

0時頃にメイビーを見たらしい。

 

 

コトダマ 換気扇

これで換気でき、上条たちは煙を吸わなかった。

 

 

 

コトダマ 監原とメイビーの電子生徒手帳

2人が所持していた電子生徒手帳。問題なく起動する。右がメイビーで左が監原らしい。

 

 

コトダマ メイビーの送信履歴

メイビーが監原を呼び出すメールを送っていた。

 

 

 

コトダマ 体育倉庫

体育倉庫に消火弾と灯油と野球ボールがあった。

 

 

 

 

 

学級裁判 開廷!

 

 

 

モノクマ「えー、まずは学級裁判の簡単な説明をしておきましょう」

 

モノクマ「学級裁判では『犯人は誰か』を議論し、その結果をオマエラの投票により決定されます」

 

モノクマ「正しいクロを指摘できればクロだけがおしおき、もし間違った人物をクロとした場合はクロ以外全員がおしおきされ生き残ったクロだけが卒業できます」

 

 

モノクマ「殺人が大好きなオマエラの5回目の学級裁判でーす!」

 

モノクマ「ポイントゲッターの監原クンとメイビークンが死んだ今、この学級裁判がどうなるのか!見ものですなぁ」

 

 

 

絵馬「あ、あたしたちもう5回も学級裁判してるのね」

 

籠森「無駄話をしてる場合か!犯人を突き止めるんだよ!」

 

絵馬「な、何よ!」

 

知念「喧嘩してる場合じゃないって」

 

佐藤「まず、2人の死因を突き止めよう」

 

上条「うん」

 

 

 

議論開始

 

コトダマ モノクマファイル5

コトダマ 消火弾

コトダマ 灯油の臭い

コトダマ ロウソク

コトダマ 絵馬の証言

 

 

 

 

籠森「死因なんか分かりきってるだろ!『焼死』だ!2人は焼かれて死んだんだ!」

 

知念「『悲鳴』も聞こえてたから間違いないね」

 

籠森「途中から悲鳴すら上がらなくなった以上、決まりだ」

 

絵馬「『生きたまま』焼かれて殺されるなんて恐ろしいわ」

 

籠森「死因からじゃ犯人は特定出来ないはずだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

籠森「『焼死』だ!2人は焼かれて死んだんだ!」

 

 

 

コトダマ モノクマファイル5

 

 

論破

上条「それは違うぞ!」

 

 

上条「いや、モノクマファイルには焼死なんて書かれてなかったぞ」

 

籠森「それはモノクマがめんどくさがったんだろ?誰が見ても明らかだったんだし」

 

上条「でもモノクマが死因を書かなかったから焼死だとは限らないはずだ。星野の時だってそうだった。むしろ根底を覆す重要なものだったはずだ」

 

籠森「じゃあ他に死因がわかるのか?そもそも炎が上がってる間にずっと悲鳴が飛びかっていた以上、死因は焼死だろ!」

 

 

 

議論開始

 

コトダマ モノクマファイル5

コトダマ ロウソク

コトダマ 換気扇

コトダマ 灯油の臭い

コトダマ 籠森の証言

 

 

 

 

籠森「じゃあなんだ?焼死じゃないなら『一酸化炭素中毒』か?」

 

知念「星野さんみたいに『刺した』のを隠すために燃やしたとか?」

 

佐藤「現場に『刃物なんかなかったよ』」

 

籠森「食堂や調理室を確認すれば良かったな」

 

絵馬「洗って戻せば意味ないけどね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

籠森「じゃあなんだ?焼死じゃないなら『一酸化炭素中毒』か?」

 

 

 

 

 

 

コトダマ 換気扇

 

 

論破

上条「それは違うぞ!」

 

 

 

 

 

上条「一酸化炭素中毒とは考えられない。植物室には換気扇があるんだ。現に俺たちは無事だったし」

 

佐藤「……!上条くん、換気扇っていつからついてたの?」

 

上条「えっ、捜査中に気づいただけど……もしかしたら燃えた時から回ってたのか?」

 

知念「確実に焼死させるために!?」

 

籠森「なんてこと考えるんだ、今回の犯人は!」

 

絵馬「じゃあ何?死因は焼死?それとも失血死?」

 

上条「うーん……」

 

知念「あの遺体の状況じゃあよく分からないよ」

 

佐藤「ならもう出火原因から考えよう」

 

上条「出火原因か……」

 

 

 

 

 

 

コトダマ ロウソク

 

 

上条「これだ!」

 

 

上条「ロウソクのせいかな」

 

籠森「ロウソクで火を着けた……ってそのロウソクの火はどこから?」

 

佐藤「食堂にガスライターはあるし」

 

絵馬「美術室にライターがあったわね」

 

籠森「まさかお前…」

 

絵馬「自分から申告したんだから犯人じゃないわよ!」

 

籠森「そうやって犯人に見せないようにしてるんじゃないのか!?」

 

知念「君たち、疑い合うのが好きだね……」

 

佐藤「そんな風に疑ってたらキリがないよ」

 

上条「そうだ」

 

佐藤「ならアリバイから絞っていこうよ」

 

籠森「佐藤、お前……よく喋るようになったな」

 

佐藤「えっ……」

 

籠森「何というか、頼りがいがあるって感じだ。まるで加賀美みたいだ」

 

佐藤「そうかな。私には籠森くんも変わったように見える」

 

籠森「え」

 

佐藤「優しくて思いやりがある。そんな人になったと思う」

 

上条「そうだ、みんな変わったんだ。この学級裁判を乗り越えたことで」

 

 でも、俺は変わったのか?この学級裁判で、ここでの生活で。俺は未だに自分の才能を誇れないのに。

 

絵馬「それより、早くアリバイを絞ればいいんじゃ……?」

 

知念「ちょっと待って!」

 

上条「知念?」

 

知念「この中に……犯人なんかいないんじゃないかな」

 

上条「な、何言ってるんだ?」

 

知念「この中に犯人はいない。上条くん、君ならその証拠を出せるはずだよ」

 

 知念が言いたいのはこれか。

 

 

 

 

コトダマ メイビーの送信履歴

 

 

 

上条「メイビーの電子生徒手帳に監原宛に呼び出すメールがあったんだ。監原はメイビーに呼び出されたんじゃないのか?」

 

籠森「で?呼び出したからってなんなんだよ」

 

上条「もしかしたらどっちかがどっちかを殺したのかもしれない。わさわざ夜中に呼び出したのはメイビーが監原を殺す目的でしかありえない。知念はそう言いたいんだな」

 

知念「そうだよ。だから僕らが疑い合う必要ないんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

反論

佐藤「その推理は甘いよ」

 

 

 

上条「佐藤?」

 

佐藤「その推理は甘すぎるよ。甘すぎると命取りになる、スイーツも、学級裁判も!」

 

 

反論ショーダウン 開始

 

コトノハ 籠森の証言

コトノハ 絵馬の証言

コトノハ 散乱した野球ボール

コトノハ 消火弾

 

 

佐藤「どうして2人が犯人だって言い切れるの?」

 

佐藤「2人は縛られてたんだよ?2人が殺せるはずがない」

 

上条「でも、メイビーが送ったメールがなんらかの手掛かりになるはずだ」

 

佐藤「そのメールはきっと『犯人の偽装工作』なんだよ」

 

佐藤「だって2人は『縛られて動けなかった』んだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐藤「そのメールはきっと『犯人の偽装工作』なんだよ」

 

 

コトノハ 絵馬の証言

 

 

論破

上条「その言葉、斬る!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上条「ならそれが偽装工作でないって証人がいるとしたら?」

 

佐藤「え?」

 

上条「そうだよな、絵馬。お前は0時頃にメイビーを見たんだろ?」

 

絵馬「そ、そうよ」

 

籠森「0時ってルールはどうした!」

 

絵馬「仕方ないじゃない!絵に夢中だったんだから!」

 

籠森「はぁ!?それでルール破りが許されるかよ!」

 

絵馬「でもあたしが証人よ!間違いなくメイビーを見たわ!」

 

佐藤「……絵馬さんが犯人なら別だけどね」

 

絵馬「えっ」

 

佐藤「絵馬さんが犯人ならこれが偽装工作だってありえるよ」

 

上条「絵馬が…?」

 

籠森「ほれみろ!やっぱり絵馬が犯人なんだ!」

 

絵馬「違うわよ!上条もなんか言ってよ!」

 

上条「……絵馬が仮に犯人だとしてどうやって2人を殺したんだ?」

 

佐藤「え?」

 

上条「俺は別のこの中に犯人がいないなんて言いたいんじゃない。問題は犯人がどうやってメイビーと監原のメールを見たか…なんだよ。偽装工作にしてもどうやって2人を縛って火をつけるトリックなんか」

 

佐藤「それを考えるんだよ」

 

上条「女である絵馬に2人を縛ってどうにかするなんて難しいはずだ。もちろん、佐藤も」

 

佐藤「上条くんはどう思う?」

 

上条「俺や籠森みたいな体育会系でも監原やメイビーをそんな簡単に捕まえることなんて……」

 

籠森「なら問題はどうやって2人をおびきだして、その上で縛ったか……だな」

 

知念「こ、この中に犯人がいるって言いたいの上条くん!また僕らは疑い合うの!?」

 

上条「俺だって嫌だよ!疑い合うなんて!でも……逃げても犯人は見つけられないんだ!」

 

知念「僕には思えないんだ!もちろん、今までの犯人が殺人をするような人間だと思ってたわけじゃない、けど。今回だけはこの中の5人が殺人をしたなんて思えないんだ!」

 

どうしたんだ、知念。なんか、おかしくないか、この学級裁判から。

 

 

籠森「でもメイビーだって昨日から様子がおかしかっただろ?」

 

上条「あっ」

 

籠森「メイビーにもなんらかの裏があったんじゃないか?」

 

上条「……」

 

佐藤「もう一度、状況を洗いがしてみよう。そうすれば、犯人が見えて来る……はず」

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter5 学級裁判 後編

佐藤「まずは、上条くんが火事を発見したんだよね?」

 

上条「ああ。植物室を開けてすぐに燃えてたよ」

 

籠森「どうやって燃やしたんだ?」

 

佐藤「現場にあったもので何か火を放つことは出来ないかな」

 

 

上条「現場にあったものか…」

 

 

 

 

1.野球ボール

2.換気扇

3.消火弾

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1.野球ボール◀︎

 

 

 

 

上条「野球ボールを使った……とか」

 

籠森「野球ボールでどうやって火をつけるんだよ!」

 

 

議論開始

 

コトダマ 消火弾

コトダマ モノクマファイル5

コトダマ 籠森の証言

コトダマ 中心を囲うロープ

コトダマ ロウソク

 

籠森「野球ボールで火は点かないぞ!」

 

絵馬「わかった!『摩擦』よ!」

 

籠森「うんなわけねーだろ!どんな威力だ!」

 

知念「ライターの『スイッチを入れた』とか」

 

佐藤「『ロウソクを倒した』のかも」

 

籠森「それだけで燃え広がるかよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐藤「『ロウソクを倒した』のかも」

 

 

 

 

コトダマ ロウソク

 

 

同意

上条「それに賛成する!」

 

 

 

 

上条「ロウソクが倒れた状態で見つかったんだ。だからロウソクを倒したんだと思う」

 

絵馬「ロウソクを倒したって……どうやって?」

 

上条「野球ボールを転がして倒したんだ」

 

籠森「でもそもそも誰が野球ボールを転がしたんだよ」

 

上条「え?」

 

籠森「だから野球ボールを転がしたのが犯人なんだろ?その野球ボールを転がしたのは誰だ」

 

上条「野球ボールを転がした……」

 

籠森「多分、犯人なんだろうが、どうやって野球ボールを転がしたんだ?誰にも気づかれずに」

 

上条「その方法は……」

 

 

 

 

閃きアナグラム

 

 

 

ひ ら き ど

 

 

 

上条「開き戸……。ドアを押した時にボールが転がったんだ」

 

知念「…!」

 

絵馬「じゃあ、最初に扉を開けた奴が犯人ね」

 

上条「最初に扉を開けた人間……」

 

 

 

 

 

 

 

怪しい人物を指名

 

 

上条翔太

 

星野リコ ×

 

佐藤雪香

 

岩田圭介 ×

 

弓長詩織 ×

 

絵馬一帆

 

将口歩夢 ×

 

メイビー ×

 

監原誠也 ×

 

式野龍馬 ×

 

籠森健一 

 

知念悠馬

 

加賀美優子 ×

 

深沢由奈 ×

 

蹴上秀 ×

 

香月薫 ×

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上条翔太◀︎

 

 

 

 

上条「最初にドアを開けたのは俺だ」

 

絵馬「なに!?上条が犯人なの!」

 

籠森「んなわけあるか!だいたいロウソクの火なんか大したことないだろ。それだけで燃え広がるわけないだろ!」

 

 

 

 

 

 

 

議論開始 

 

コトダマ モノクマファイル5

コトダマ ロウソク

コトダマ 中心を囲うロープ

コトダマ 灯油

コトダマ 消火弾

 

 

籠森「『ロウソクの火』だけであんなには燃えないぞ!」

 

知念「灯油で威力が上がったのかな」

 

籠森「俺は燃え広がりの話をしているんだ!」

 

絵馬「でも上条が犯人ってことよね!」

 

籠森「上条が犯人と決まったわけじゃない。ロウソクの火だけじゃ2人を殺せる火力と範囲にならないだろ!」

 

絵馬「『死体の側に』ロウソクを置いて燃やしたのよ!」

 

佐藤「それだけだと範囲の問題は解決しないよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵馬「『死体の側に』ロウソクを置いて燃やしたのよ!」

 

 

 

コトダマ 中心を囲うロープ

 

 

論破

上条「それは違うぞ!」

 

 

 

上条「いや、死体を直接を燃やしたわけじゃない。少し離して植物室をの中心を囲うようにロープが置かれていたんだ」

 

佐藤「それであたかも大火事が起きているように演出したんだね」

 

籠森「じゃあロープを燃やしただけじゃ2人を殺せないのか」

 

上条「庇ってくれてありがとう、籠森」

 

籠森「フン、岩田に続いてお前が犯人なんて絶対許さないからな」

 

絵馬「じゃあなんであんな火力で燃えたの?」

 

知念「それは多分灯油だろうね」

 

佐藤「これで火力と範囲の問題は終わったけど」

 

知念「野球ボールや灯油や消火弾をどこから調達したかが問題だね」

 

上条「それなら」

 

 

 

 

 

コトダマ 体育倉庫

 

 

上条「体育倉庫に野球ボールや灯油や消火弾があったんだ」

 

籠森「ああ、俺も確認した」

 

知念「そっかなら解決だね」

 

上条「いや、まだ問題があるんだ」

 

 

 

 

 

 

コトダマ 籠森の証言

 

 

 

 

 

上条「籠森の話によると体育倉庫は岩田が持ったままで、籠森やモノクマはその後の所在が分からないらしいんだ」

 

絵馬「モノクマが鍵の所在が分からないわけないでしょ!」

 

上条「けどモノクマがボカすってことは重要な意味が隠されているはずだ」

 

絵馬「体育倉庫の鍵……わかったわ!犯人は籠森よ!岩田と仲良かったから鍵を貰ったのよ!」

 

籠森「はぁあ!?鍵なんか渡されてない!だいたい貴様は!0時に出歩いておいてよく言う!」

 

知念「やめなよ2人とも」

 

上条「……」

 

こいつら、仲良しなんじゃないか。

 

佐藤「……」

 

上条「どうした、佐藤?険しい顔して」

 

佐藤「……火が出て、上条くんの呼びかけでみんな集まった時、みんな、いたよね?」

 

上条「え?」

 

佐藤「……火が出てすぐはメイビーくんも監原くんも生きていた。つまりみんな揃っている間に殺人が行われたということだよね?」

 

上条「あっ……」

 

そう言えばそうだ!

 

 

籠森「なんだ、犯人は堂々と殺人をしたってのか」

 

佐藤「それで死因を思い出して欲しいの。2人の死因はなんだったかな?」

 

 

 

 

1.一酸化炭素中毒

2.失血死

3.窒息死

4.焼死

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4.焼死◀︎

 

 

 

 

上条「焼死だよな?」

 

絵馬「それは散々話し合ったじゃない!」

 

佐藤「さっき、私たちは火力が足りないって話になったよね?」

 

上条「2人を殺せる火力のことだな」

 

籠森「それは灯油じゃないのか?」

 

佐藤「間違いなく灯油だと思うけど、犯人はどうやって灯油を持ち込んだんだろうって」

 

上条「ポリタンクとかじゃないのか?」

 

佐藤「でも現場にそんな痕跡なかったよね?」

 

知念「何が言いたいの?」

 

佐藤「……犯人はなにで灯油を持ち込んだのかな」

 

籠森「なにで持ち込んだか……みんなで集まった時は誰かが何か手にしてたってわけじゃないしな」

 

絵馬「結局分からないじゃない!」

 

佐藤「私、怖いの。この先を……考えるのが。ごめん……上条くん。私はここまでだよ」

 

上条「十分だよ、ありがとう、佐藤。あとは俺が」

 

 

 

 

閃きアナグラム

 

 

し ょ う か だ ん

 

 

 

 

 

 

上条「わかったぞ!犯人は消火弾の中に灯油を入れたんじゃないか?」

 

知念「消火弾に灯油!?」

 

籠森「なるほどな、それなら怪しまれずに灯油を投げれるな」

 

絵馬「灯油が入った消火弾を投げた人間が犯人ね!」

 

知念「スプリンクラーがあるのに消火弾を置いてあったのは灯油で殺すためだったのか……」

 

佐藤「それなんだけど上条くん。置いてあった消火弾に印とかあった?」

 

上条「咄嗟だったし、気づかなかった」

 

佐藤「それなんだよ。いきなり火事が起きたらどの消火弾を使うかなんてわからない。犯人が殺すにはリスクが高いよ。だって他の人が殺してしまう可能性があるから」

 

上条「な、何が言いたいんだ、佐藤……」

 

佐藤「……あの消火弾を用意したのはメイビーくんか監原くんかもしれない」

 

絵馬「な、なんで殺された2人が消火弾を用意するの!?」

 

佐藤「思い出して、私たちがなぜ0時から一切出歩かないルールにしたのか3時間後に集まるようになったのか」

 

籠森「黒幕だろ?誰かが黒幕で殺人を起こそうとするから…………ま、まさか!」

 

佐藤「そう、2人のうちどちらかがこの殺人を企てたんだよ」

 

知念「なんで!?どうして!?そもそも監原くんとメイビーくんが黒幕なんて……」

 

上条「どちらかが殺人をしたってことか?」

 

佐藤「違う、2人を『他殺させた』んだよ」

 

籠森「なな、な、なんだよ!他殺させたって!」

 

佐藤「黒幕の目的は私たちに殺人をさせること。黒幕は自ら犠牲者になることで殺人を起こさせたんだよ」

 

絵馬「意味わかないわ!そんな死んでまでこんなこと……」

 

籠森「だいたい本当に黒幕が死んだならこの学級裁判自体が開かれないはずだ!」

 

 

 

モノクマ「そんなことありませんよ。黒幕は最初の犠牲者って可能性もあったんだよ。黒幕が1人死んだくらいで……このコロシアイ学園生活は終わりませーん!」

 

 

 

 

籠森「なんだよそれぇ!」

 

佐藤「でもモノクマは認めたね。黒幕が死んでも学級裁判することを」

 

知念「そんな!じゃあ、犯人は誰なんだ!?誰が灯油の入った消火弾を投げたんだ」

 

佐藤「……」

 

知念「分からないの!?」

 

籠森「な、なんだよ、なんなんだよ!それは!誰か分からないってまさか、適当に投票するしかないってのか!」

 

絵馬「外したらおしおき!?いやよそんなの!」

 

上条「俺、わかったかもしれない。灯油を投げた人間を」

 

絵馬「えっ」

 

佐藤「誰なの?」

 

上条「間違いなく、投げた後で火の威力を上がったんだ」

 

 その人物は

 

 

 

怪しい人物を指名

 

 

上条翔太

 

星野リコ ×

 

佐藤雪香

 

岩田圭介 ×

 

弓長詩織 ×

 

絵馬一帆

 

将口歩夢 ×

 

メイビー ×

 

監原誠也 ×

 

式野龍馬 ×

 

籠森健一 

 

知念悠馬

 

加賀美優子 ×

 

深沢由奈 ×

 

蹴上秀 ×

 

香月薫 ×

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上条翔太◀︎

 

 

 

 

上条「俺だ。俺が消火弾を投げた時、一気に炎が燃え広がったんだ」

 

絵馬「えっ、な何?上条が犯人なの!?」

 

籠森「燃え広がったとか言うが、それだけで殺せるのか!?」

 

佐藤「そ、そんな……上条くん……」

 

上条「今まで話し合った通り、灯油が火力を上げたのは間違いない。灯油が入った消火弾を投げたのは俺なんだ。つまり俺が犯人ってことになる」

 

 

 

 

 

 

 

 

反論

知念「それは違うよ!」

 

 

 

 

上条「知念!?」

 

知念「君が犯人だなんて思うのは早いよ」

 

 

 

反論ショーダウン 開始

 

コトノハ 消火弾

コトノハ 灯油の臭い

コトノハ 換気扇

コトノハ 籠森の証言

 

 

 

 

知念「君は自分が犯人なんて言うけど、本当にそうかな」

 

知念「火にいきなり水をかけたりすると余計に火が激しくなるって話を聞かない?」

 

上条「それは油の時だ!」

 

知念「こうは考えられない?『予め撒かれていた』とか『他の人も灯油を投げた』とか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知念「『予め撒かれていた』」

 

 

 

 

コトノハ 灯油の臭い

 

 

 

 

論破

上条「その言葉、斬る!」

 

 

 

 

 

 

 

上条「いや俺が植物室に来た時は灯油の臭いなんてしなかったのに消火弾を投げた途端に臭いがしたんだ。捜査中はあまり気にしてなかったけど、あの強烈な臭いに気づかないはずない」

 

知念「で、でも!」

 

籠森「でもお前は殺すつもりなんてなかったんだろ?まだ犯人の罠の中なんじゃないのか?」

 

絵馬「じゃあこれ以上何を話し合うのよ!」

 

 

 

 

 

 

意見対立!

 

 

 

上条翔太に投票するのか?

 

まだ投票しない!

佐藤、知念、籠森

 

 

すぐに投票する!

上条、絵馬

 

 

『可能性』

『犯人』

『黒幕』

『自殺』

『殺意』

 

 

議論スクラム 開始

 

知念「上条くん、君に殺意なんかないんでしょ!」

 

上条「これは『殺意』がどうかの話じゃない!」

 

籠森「上条!お前は自殺がしたいのか!」

 

上条「違う『自殺』したいんじゃない!みんなを守りたいんだ!」

 

佐藤「まだ、他の可能性があるんじゃないかな」

 

絵馬「これ以上何もない『可能性』の方が高いわよ!」

 

知念「犯人は他にいるはずだ!」

 

上条「他でもない『犯人』は俺なんだ!」

 

籠森「黒幕の罠なんじゃないか?」

 

上条「『黒幕』の罠だからこそ、俺たちは勝たなきゃいけないんだ!」

 

 

 

 

上条「これが俺たちの答えだ!」絵馬「これがあたしたちの答えよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

上条「納得してくれ、みんな」

 

知念「嫌だ……無理だよ、僕には上条くんを殺せない!」

 

上条「それで、今まで投票したクロはどうなるんだよ!岩田だって言ってだろ!生きるんだ!って……だから……」

 

籠森「なんで……なんで岩田のことを持ち出すんだよチクショウ!俺は岩田に投票出来なかった臆病者だぞ!そんな……俺には……」

 

佐藤「上条くん……」

 

上条「岩田に投票したみんなならできるはずだ」

 

籠森「お前は怖くないのか!死ぬのが!自分を犠牲にしてみんなを助けるなんて俺にはできない!相手が岩田でも加賀美でも師匠でも!」

 

上条「……怖いよ」

 

知念「か、上条くん……」

 

上条「怖いけど、黒幕の思う壺になるくらいなら……。たった1人で生き延びて、その後、生きていく自信なんかない。それこそ自殺しそうだよ。だから頼む。俺を自殺させないために、投票してくれ」

 

絵馬「上条……どうして……」

 

籠森「く、くそぉ!ちくしょおおおおお!!」

 

上条「知念、お前が全てを振り返って終わらせてくれ」

 

知念「え?」

 

上条「あとはお前に託すよ」

 

知念「そ、そんな」

 

上条「頼む……お前にしか頼めない」

 

知念「か、上条くん……」

 

 

 

 

 

クライマックス推理

 

 

ACT1

知念「事件の始まりは、モノクマの『黒幕がこの中にいる』という発表だった。そして僕らは0時以降は出歩き禁止のルールを決めたんだけど、これこそが、黒幕の罠だった」

 

ACT2

知念「絵馬が0時頃に監原くんとメイビーくんが話しているのを見たらしいけど、これは黒幕によって犯人はどちらかであるという誤認をさせるためのものだったんだ」

 

 

ACT3

知念「監原くんとメイビーくんが来ないことに気づいた僕らは捜索を開始した。そして、今回の事件の犯人とも言える人物は植物室に向かった。扉を開けると扉で散乱していたボールがぶつかり転がって行ったボールはロウソクを倒し、ロープに火をつけ、あたかも大きな火事が起きたかのように演出された」

 

 

ACT4

知念「驚いた犯人は置いてあった消火弾を投げてしまったんだ。これに灯油が、入っていて、火の火力を上げて犯人が知らずに犯人に仕立て上げる、黒幕の罠だということを知らずに」

 

 

ACT5

知念「犯人は僕らを呼びみんなで消火弾を投げて、最後は僕が使ったスプリンクラーで鎮火したんだけど、その頃には2人はもう死んでいたんだ。黒幕の目的は、灯油入りの消火弾を投げさせることで殺人事件を発生させること、仕組まれたものだったんだ」

 

 

 

 

 

 

 

知念「僕は、こんな結末信じられない。君も同じだろ、超高校級の陸上選手、上条翔太くん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter5 おしおきタイム

モノクマ「結論が出たみたいだし、投票タイムと行きますか」

 

 

 

上条「みんな、ちゃんと俺に投票するんだ!」

 

知念「……」

 

佐藤「う、うぅ……」

 

籠森「これで良いのか。本当に」

 

絵馬「い、今更、上条が犯人じゃなかったらどうなるの!?」

 

知念「か、上条……くん」

 

上条「頼む、俺に入れてくれ」

 

僕は

 

 

 

 上条くんには入れられなかった。

 

 

 

 

投票結果

 

 

上条翔太 3票

メイビー 2票

 

 

 

『正解』とモニターに表示された。

 

学級裁判 閉廷!

 

 

 

 

 

モノクマ「オマエラ大正解!超高校級の映画監督、監原誠也クンと超高校級のゲームクリエイター、メイクビット・松原・テルクンを殺したクロは超高校級の陸上選手、上条翔太クンなのでした!」

 

籠森「上条は殺したわけじゃないだろうが!おしおきを無効にしろ!」

 

モノクマ「ええ?でもオマエラ、投票したよね?自分たちが助かりたいからって上条クンに投票したんだろ?」

 

籠森「なっ……っ!そ、それはっ……」

 

上条「違う!俺が頼んだんだ!」

 

モノクマ「うぷぷ、うぷぷ」

 

籠森「ふざけるなクソ!」

 

籠森くんはモノクマに向かって行った。

 

上条「や、やめろ籠森!」

 

籠森「離せ上条!お前は死にたいのかよ!」

 

上条「俺はお前に死んで欲しくない!」

 

籠森「か、上条……」

 

 

 

上条「俺、自分に全く自信が持てなかったんだ」

 

知念「え?」

 

佐藤「陸上の才能があるのに?」

 

上条「俺は陸上が好きじゃなかったんだ。何というか、親の決められたレールの上をひたすら走っているだけで充実感も無かった。それ以上に陸上が嫌いになった理由があったんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

回想

 

 

 

選手A「お前のせいで負けたんだぞ」

 

上条「でも俺は大会新記録だったぞ!」

 

選手B「お前がそれ以上走れば良かったんだ!」

 

上条「無茶言うなよ!」

 

選手A「お前のせいだ」

 

選手B「お前のせいだ」

 

選手C「お前のせいだ」  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上条「……」

 

籠森「その気持ち、俺にも分かる。俺もそうだった。俺もチームメイトに裏切られた。強すぎるって、目立ちたいだけだろうって」

 

上条「……籠森……。でも俺には自信がなかった。陸上をとったら俺に何が残るんだろうって。陸上は嫌いだけど陸上がない俺なんかが……」

 

佐藤「それは違うよ!」

 

上条「佐藤?」

 

佐藤「上条くんが、走り回って捜査して推理してくれたから私たちはここにいるんだよ」

 

上条「でも推理はほとんど監原がしてくれた。俺はただみんなの発言を是正しただけだ」

 

知念「でも、僕は上条くんのおかげだと思ってるよ、君のその足で走り回って捜査してくれたからだよ」

 

籠森「その通りだ。監原の意見だけじゃ信用しなかっただろうな」

 

絵馬「自分を卑下にしすぎよ!あんなにすごいのに、絵しか取り柄がないあたしを馬鹿にしてるの!?」

 

上条「み、みんな……」

 

 

 

 

 

 

モノクマ「お涙頂戴はこれくらいにして、そろそろアレ、いっちゃいますか」

 

佐藤「や、やめて!!」

 

籠森「やめろモノクマ!」

 

知念「上条くん!!」

 

絵馬「上条!」

 

 

 

上条「いいんだ……これは、俺が決めたことだから」

 

モノクマ「超高校級の陸上選手の上条翔太クンにはスペシャルなおしおきを用意しました!」

 

上条「……」

 

知念「やめろーーーーーっ!!」

 

モノクマ「では張り切っていきましょう」

 

上条「いやだ……」

 

モノクマ「ん?」

 

上条「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!ま、まだ!死にたくない!死にたくない!!!」

 

今まで怯えもなかった上条くんが子供のように駄々を捏ねて泣き叫んだ。

 

知念「か、上条くんっ!」

 

籠森「上条……!!やめろモノクマ!」

 

絵馬「上条………嫌よこんなのっ……」

 

佐藤「あ、ぁぁお願いしますモノクマ!何でもしますから上条くんを助けてください!」

 

モノクマ「今更に何言っても遅いよ。そんなわけでおしおきターイム!!」

 

上条「嫌だあああああああああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カミジョウクンがクロにきまりました。おしおきをかいしします。

 

 

 

 上条と佐藤は互いに手を伸ばすが上条はチェーンで連れて行かれた。

 

 

 

 

 

走れ!陸上選手! 超高校級の陸上選手上条翔太処刑執行

 

 

 

 

 

 

 

 

 陸上競技場のような場所に放り出された。上条の後ろから闘牛が迫ってくる。

 

 上条は慌てて走り出した。

 目の前に氾濫した川があった。闘牛に追われる上条は氾濫した川に飛び込み必死で泳ぎ、渡った。

 今度はモノクマの集団がバットを持って襲ってくる。上条は持ち前の足で巻いた……と思いきや、その内の一体がバットで殴りつけた。

 ヨロヨロになった上条はその場で倒れた。

 その間に闘牛が迫ってくる。

 上条は必死で体力を回復させようと近くの川の水を飲んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかしその川にはモノクマが毒を仕込んでいた。

 

 

 上条は完全の息絶えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モノクマ「エクストリーーーーム!!」

 

佐藤「い、嫌っ……嘘……っ!」

 

籠森「ちくしょう!!」

 

絵馬「もう嫌よ!いつまでこんなこと続けるの!」

 

知念「か、かみ……じょ……くん……」

 

 

 

知念「うわああああああああああ!!!」

 

 自分でも喉痛くなるくらいの声が上がった。

 もはや絶望なんて生優しいもので片付くものではなかった。

 

 

 

 

 

モノクマ「そうそう、オマエラはもうコロシアイはしなくて良いからね。殺しても外には出られないよ」

 

絵馬「え?どういうこと?まさか外に出られるの!?」

 

モノクマ「うぷぷ……それは後のお楽しみ」

 

籠森「無理矢理コロシアイを起こさせておいてよく言う。何か裏があるだろ」

 

モノクマ「まー、それは卒業試験なんですけどね。ではまた」

 

絵馬「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ!!」

 

籠森「逃げやがったな」

 

絵馬「………でもモノクマは卒業とか言ってたわね!あたしたち、出られるの!?」

 

籠森「まああんまり希望を持つなよ」

 

絵馬「なに!?じゃあアンタはずっとここでコロシアイをしてろって言いたいの!?」

 

籠森「違う!そうじゃない!けど、モノクマが素直に卒業させてはくれないだろ。下手に希望を持ったら……」

 

絵馬「うるさいうるさい!あたしは何がなんでもここから出るの!そんなこと言ったら優子や上条たちの犠牲はどうなるのよ!」

 

籠森「……っ」

 

 

 

 

 

 僕には、モノクマの言葉なんか聞こえなかった。

 僕は、完全に絶望に囚われていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生き残りメンバー 4人



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter6 希望と絶望の輪舞曲
Chapter6 非日常編1


22日目

 

 

 

 ……。

 僕は目を閉じ続けた。

 モノクマが朝のアナウンスをしても起きなかった。

 全て、夢なら良い。そう祈るように目を閉じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

絵馬「な、何!?食堂に人がいないわけぇ!?」

 

籠森「俺がいるだろうが!」

 

絵馬「アンタはいるうちに入らないわ!」

 

籠森「なんだとテメェ……」

 

絵馬「だいたい!いつも早い知念と佐藤は何してるの!?」

 

籠森「昨日の今日だろうが!まだ……無理だ。刃物持って騒いだテメェとは違うよ」

 

絵馬「なな何よ!」

 

籠森「飯は自分で作れよ、俺は自分の分と佐藤と知念の分を作るからな」

 

絵馬「どうしてあたしのは作ってくれないのよ!?」

 

籠森「なんで元気な奴に作らなきゃいけないんだよ!」

 

 

モノクマ「元気ですかーーー!」

 

籠森「うわっ!びっくりした!なんだいきなり!」

 

モノクマ「元気があれば殺人もできる!」

 

籠森「殺人しなくてもいいんじゃないのか?」

 

モノクマ「まあそうなんですけどね。しょーじき、僕は今悩んでるんです。どうやったら面白くなるか」

 

籠森「うるさい。早く俺たちをここから出せ」

 

絵馬「そうよ、あたしたち卒業できるんじゃないの?」

 

モノクマ「その卒業の方法を悩んでるの!最後なんだからとびっきり面白い方法を考えてるの!」

 

籠森「それは簡単だ」

 

モノクマ「ん?」

 

籠森「無条件で俺たちをここから出すことだ」

 

モノクマ「それはそれで面白いかも……」

 

籠森「だろう?というわけで、外に出せ」

 

モノクマ「ダメでーす!視聴者が納得しないでしょ!斬新で面白いけどやっぱり学級裁判は6回やらないとね」

 

籠森「は?学級裁判を6回?」

 

絵馬「ま、また学級裁判するの……?」

 

モノクマ「これ以上は言えないや」

 

籠森「あ、待て逃げるな!……全く、何がしたいんだ」

 

 

 

 

 

 

 

知念「籠森くん、絵馬さん」

 

籠森「お、来たか、知念。なんか作るか?」

 

知念「大丈夫だよ、自分でやるよ」

 

籠森「そうか?思ったより元気そうだな」

 

知念「上条くんは何食べる?」

 

籠森「!?」

 

知念「監原くんも……。あっ、トーストか」

 

籠森「お、おい知念……?」

 

絵馬「知念…?」

 

知念「上条くんはジャムか。わかった」

 

籠森「おい知念!」

 

絵馬「幽霊だわ!知念にしか見えない幽霊よ!」

 

籠森「んなわけあるかぁ!しっかりしろ!知念!」

 

知念「籠森くん、上条くんと監原くんのも作ってあげようよ」

 

籠森「目を覚ませ知念!上条も監原も死んだんだ」

 

知念「何言ってるんだ、籠森くん。上条くんと監原くんならそこにいるじゃないか」

 

籠森「知念!もしかしたらここから出られるかもしれない!上条が託した分まで俺たちも頑張るんだよ!」

 

知念「だから籠森くん、上条くんはそこに……そこに…!」

 

籠森「知念……」

 

知念「う、うぅ……うわああああああ!!」

 

籠森「……スープ作るから……食べ物もまだ喉を通らないだろ?」

 

 

 

 

 

絵馬「あの、さ、佐藤はどうなの?大丈夫なの?」

 

籠森「絵馬…お前……加賀美以外の人間を思いやる気持ちがあったのか!」

 

絵馬「ななななな、なんですって!あたしにだってあるわよ!自己中単独行動なあんたと一緒にしないで!」

 

知念「僕が行くよ」

 

籠森「大丈夫なのか?」

 

知念「う、うん。少し目が覚めたたよ。ただ、僕……上条くんが犯人だってことに納得してないだけなんだ」

 

籠森「な、何言ってるんだ?モノクマが正解だって……みんなが推理しただろ?上条が消火弾を投げたって」

 

知念「分かってはいるけど、納得してないんだ。佐藤さんを呼んだらまた調べようかなって」

 

籠森「……分かったよ。納得するまで調べればいい」

 

知念「うん」

 

 

 

 

僕は佐藤さんの部屋にインターホンを押した。

 

 

 

 

 

 

知念「佐藤さーん?大丈夫?」

 

 分かってはいたけれど、返事はなかった。

 

知念「……佐藤さん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

モノクマ「えまーじぇんしー、えまーじぇんしー。オマエラ、至急、体育館までお集まり下さい」

 

 

 モノクマがモニターで放送をする。

 

 

 

知念「こんな時に!さ、佐藤さん!」

 

するとガチャリとドアが開いた。

 

佐藤「知念くん……」

 

知念「放送、あったよね。行かないと」

 

佐藤「うん。みんなに迷惑をかけるわけにはいかないし」

 

 佐藤さんは力なく言っていた。そうだよね、モノクマに逆らうと殺されるんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体育館

 

 

籠森「お前たちも来たか」

 

知念「来ないとダメだからね」

 

佐藤「……」

 

絵馬「な、何されるの……」

 

 

 そう思っているとモノクマが現れた。

 

モノクマ「やあ!ここまで生き残ったオマエラに重大発表だよ!」

 

籠森「卒業だろ?」

 

モノクマ「うん。オマエラには卒業試験を受けてもらうよ!」

 

絵馬「そ、卒業試験!?な、何するの…?」

 

モノクマ「簡単です。それはこのコロシアイ学園生活の黒幕を指名することです」

 

知念「黒幕を指名!?黒幕って死んだ監原くんかメイビーくんじゃないのか!?」

 

モノクマ「黒幕は生きてるんだよ」

 

籠森「なっ……!じゃあなんだ黒幕は外で俺たちのコロシアイを操ってるのか!?」

 

モノクマ「確かに外にも協力者はいるよ。でもこのコロシアイ学園生活のルールやシナリオを作った大元はオマエラ『16人の中』にいるよ」

 

籠森「なっ、それじゃあ俺たち4人の中の誰かが黒幕……!?」

 

絵馬「う、嘘でしょ!?そんな……」

 

佐藤「……っ……」

 

知念「…僕らの中に…黒幕が……」

 

モノクマ「ただ当てずっぽうにやるのは難しいだろうから学園中にヒントを置いたんだ。学園長室にも入れるよ。僕って太っ腹だなぁ。オマエラはそのヒントを集めて黒幕を指名するんだ」

 

知念「もし間違ったら?」

 

モノクマ「普通の学級裁判のようにおしおきだよ」

 

絵馬「いやああああ!」

 

籠森「クソ、なんだよ、また疑い合うのかよ。うんざりだよそんなの……」

 

知念「……」

 

僕らの中に黒幕が……。

 

 

コトダマ モノクマの証言

 

 

モノクマ「では頑張ってくださーい」

 

 

 

 

 

 

 

籠森「マジかよこんなの!」

 

絵馬「黒幕は籠森なんじゃないの!?」

 

籠森「はぁ!?絵馬、お前だろ!」

 

絵馬「違うわよ!」

 

知念「今は争ってる場合じゃない。手掛かりを探さないと」

 

佐藤「どうするの?4人バラバラで探す?」

 

籠森「そうだな。人数も足りないし4人中3人は味方だろ?」

 

絵馬「そうね、黒幕と一緒にはいたくないもの」

 

知念「わかったバラバラに探そう」

 

佐藤「とりあえず、担当を決めようか」

 

佐藤さん急に元気になったな。

 

佐藤「籠森くん1階、絵馬さんが2階私が3階で、知念くんは4階。グレープハウスやアップルハウス、旧校舎は後にしよう。1階は広いけど、よろしくね、籠森くん」

 

籠森「ああ、任せろ」

 

4階……ちょうど調べたかったところだ。

 

知念「そもそもあの事件はおかしいんだ、もう一度、モノクマファイルに目を通しておかないと」

 

 

コトダマ モノクマファイル5

被害者は2体の遺体と共に焼け焦げていて判別不可能。超高校級の映画監督、監原誠也と超高校級のゲームクリエイター、メイクビット・松原・テルのものと思われる。

 

死体発見場所となったのは4階植物室。

 

 

知念「……」

 

 

 あれ、この記述って…。

 僕は植物室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter6 非日常編2

 植物室。ここで監原くんとメイビーくんは……。

 

 

知念「結局、ここで見つけた焼け焦げた機械はなんだったんだ」

 

 

コトダマ 焼け焦げた機械

 

 

知念「それに遺体にかかっていた白い布も結局……」

 

 

コトダマ 白い布

 

 

知念「体育倉庫の鍵もそうだ。結局、モノクマが持ってるのか?」

 

 

 僕は植物室を出た。すると

 

 

 

知念「あれ?籠森くん?」

 

籠森「知念か」

 

知念「君は1階担当じゃなかったっけ?」

 

籠森「そうなんだが、体育館を調べてて気がついたんだ。結局、体育倉庫の鍵はどうなったのか。安置所ってどこだ?」

 

知念「安置所!?な、なんで……」

 

籠森「岩田の死体があるんだろ?なら、何かしら手掛かりになってもおかしくない」

 

知念「……」

 

籠森「それに2人の死体も手掛かりになるかもな。俺もあの事件は腑に落ちないんだよ」

 

知念「わかった」

 

 

 

 

 僕たちは生物室に向かった。

 

 

知念「あれ?」

 

籠森「どうした?」

 

知念「い、いや……前についてたランプで点灯してない」

 

籠森「?」

 

 僕は点灯していない場所を開けた。

 

知念「弓長さんの遺体がない……」

 

籠森「弓長の死体がそこにあったのか?」

 

知念「うん…」

 

籠森「そこは?」

 

知念「確か将口くんが……!」

 

そこに将口の遺体はなかった。

 

知念「どうして将口くんの遺体はないんだ」

 

 

コトダマ 弓長と将口の遺体

 

 

 

籠森「まっ黒焦げだな。どっちかの死体」

 

籠森くんが開けていた。

 

知念「メイビーくんか監原くんの遺体?」

 

籠森「うーん……なんか、よく焼けたよな。もう人じゃないレベルで。もはや怖くない。よくまああんな短時間で」

 

知念「え?」

 

籠森「だって上条の話だと数分だろ?灯油があるとはいえ、こんな短時間によく焼けるなぁって。まあ、焼けてるんだから当然だ」

 

 

知念「……」

 

 

コトダマ 監原とメイビーの死体の状況

 

 

知念「僕は他を当たるよ」

 

籠森「わかった」

 

 

 

僕は4階の廊下を歩いていていたら学園長室が目に入った。確か、ここも入れるんだっけ?

 

 

 

 学園長室に入るといかにもって感じで普通だった。

 

知念「奥にも扉があるけど……」

 

ガチャガチャとドアノブを回しても開かなかった。

 

知念「まさか……」

 

ここに黒幕たちがいたりして。

 

 

 ふと手間の棚に目がいった。

 

知念「これ、色々あるけど、全部ボイスレコーダー?」

 

 

コトダマ ボイスレコーダー

 

 

 さらにテーブルにはこれみよがしに日記が置いてあった。

 

 

 

 

3月3日

我々の研究は遂に成功した

近いうちに実質的な人類の不老不死が可能になる

記憶をコントロール出来れば人類は死から解放される

人類は新たなステージに上り詰めたのだ。

 

 

 

 

 

6月10日

我々は人間の記憶の操作を実現した。事故のショックで引きこもりになってしまった人が事故の記憶を改竄し、事故を無かったようにすることで外出するようになった。虐待されていた人間が幼少期の記憶を消し、人間不信から立ち直れるようになった。我々は多くの人間を救った。

 

 

 

 

4月6日

 

研究は難航を極めている。

人間というにはあまりにも空っぽすぎるそれ。

身体は大人ながらその精神は生まれたての赤子に過ぎない。

我々は『記憶』の技術を使い、彼らにその記憶を植え付けることで年相応の人間になるのではと考えた。

 

 

 

 

5月12日

人は知識を得て成人並に活躍するには時間がかかる。よってありとあらゆるものをすぐに会得する人工知能をクローンに植え付けた。

 

 

 

 

 

 

 

知念「なんなんだ、この日記は……」

 

 

コトダマ 日記

 

 

 僕は念のため日記を回収した。

 

 

知念「これが黒幕のヒントなのか?」

 

 さらに日記の横に鍵が置いてある。札に体育倉庫と書かれていた。

 

知念「これって体育倉庫の鍵……やっぱり、黒幕が……」

 

 

コトダマ 体育倉庫の鍵

 

 

 

 

 

3時間後、食堂で報告会が始まった。

 

 

籠森「俺は視聴覚室でこれみよがしに置かれてたDVDを見たぜ」

 

絵馬「今の時代はBlu-rayよ!」

 

籠森「どうでもいい!」

 

佐藤「どんな内容だったの?」

 

籠森「前に見た俺たちが魅才学園に入学した時の映像、ついでに学園生活を楽しむ手の込んだ内容だった。あんなの……捏造だ」

 

知念「前に見たあの動画?」

 

僕がいなくて、籠森くんがパニックになった映像のはず。

 

コトダマ 入学後の映像

 

絵馬「大した手掛かりじゃないじゃない」

 

籠森「じゃあお前は何か見つけたのかよ」

 

絵馬「フン!裏切り者のあんたたちに見せるものはないわ!」

 

籠森「ななんだと!?」

 

絵馬「味方なのは知念だけよ!知念には写真見せてあげる」

 

知念「え?僕だけ?」

 

佐藤「……」

 

籠森「俺と佐藤はダメなのかよ!」

 

絵馬さんが見せてくれた写真には僕と絵馬さん以外の14人が楽しそうに文化祭を満喫している姿だった。

 

知念「なんだ…これ…」

 

絵馬「み、みんなあたしに黙って…いやあたしたちを騙してたのよ?

酷いわ!優子まで!」

 

知念「……捏造なんじゃないの?」

 

絵馬「ありえないわ!だって、あたしがプレゼントしたペンダントを優子がつけてるわ!あれはあたしがデザインしたオリジナルでモノクマが知らないはずよ!」

 

 

コトダマ 絵馬と知念以外が写る集合写真

 

籠森「チ、捏造に騙されやがって」

 

絵馬「捏造じゃないわ!」

 

この流れ、2回目の学級裁判前にもあった気が。

 

 

佐藤「私は……みんなVRゲーム室に来て。見せたいものがあるの」

 

 

 

 

佐藤さんに言われた通りVRゲーム室に向かった。

 

 

籠森「ここに何があるんだよ」

 

佐藤「見てて」

 

 

 佐藤さんがテレビをつけるとテレビを覗き込む僕らが映し出されていた。

 

籠森「は?」

 

絵馬「な、何よこれ」

 

知念「どういうこと?」

 

佐藤「他のチャンネルは普通。それにこの番組をよく見て」

 

僕らが映し出されている映像の上に『史上初!デスゲーム生中継』とテロップがあった。

 

知念「え?え?」

 

籠森「捏造だ」

 

 籠森くんはテレビを消した。

 

 

コトダマ テレビ生中継

 

 

佐藤「……」

 

 

籠森「だいたい、俺らの目的は黒幕を突き止めることだ。こんなんでどう黒幕がわかるって?」

 

知念「もっと調べる必要がありそうだね」

 

籠森「次は旧校舎を探すか?」

 

佐藤「じゃあ私と絵馬さんが旧校舎、グレープハウスは籠森くん、アップルハウスは知念くんがお願い」

 

 

 

 

 

 

 アップルハウスか……ここも良い思い出がないな……。

 

 再びアップルハウスにはこれみよがしに写真が置いてあった。

 

 

知念「これは……」

 

僕と上条くん以外が写る写真だ。さっきの写真とは違って絵馬さんもいる。

 

 

コトダマ 上条と知念以外が写る写真

 

 

 さらにアップルハウスの最上階にはポツンとファイルが置かれていた。

 

知念「これは?」

 

開いてみると

 

 

上条 翔太

超高校級の陸上選手

身長 175cm

体重 69kg

誕生日 3月21日

頑張りたいです、よろしくお願いします。

   

 

 15人分のプロフィールだった。一言は手書きなのかそれぞれ筆跡が違う。

 

 

知念「僕のが……ない」

 

 

 

コトダマ 15人分のプロフィール

 

 

 

知念「……」

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

モノクマ「はーい、捜査は終わりだよ!うぷぷぷ…これからオマエラと僕の最終決戦が始まるんだねうぷぷぷ。あ、いつものように裁判所に集合してくださーい!」

 

 

 

始まるんだ、僕らの……最後の学級裁判が!

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter6 学級裁判 前編

コトダマ モノクマの証言

黒幕は生きていて、16人の生徒の中にいるらしい。

 

コトダマ モノクマファイル5

 

被害者は2体の遺体と共に焼け焦げていて判別不可能。超高校級の映画監督、監原誠也と超高校級のゲームクリエイター、メイクビット・松原・テルのものと思われる。

 

死体発見場所となったのは4階植物室。

 

コトダマ 白い布

遺体に被せられていた布。

 

 

コトダマ 焼け焦げた機械

前回の学級裁判でもわからなかった、機械の正体。

 

 

コトダマ 弓長と将口の遺体 

以前はあった弓長と将口の遺体がなかった

 

 

コトダマ 監原とメイビーの死体の状況

短時間で全く身元がわからないほど焼けていた。籠森曰く、不自然らしい。

 

 

 

コトダマ ボイスレコーダー

学園長室で見つかった

 

 

 

コトダマ 日記

記憶やクローン技術に関しての内容が記述された日記

 

 

コトダマ 体育倉庫の鍵

学園長室にあった

 

 

 

コトダマ 入学後の映像 

学園に入学した後の映像。知念はおらず、こんな入学はみんなも記憶にない。

 

 

 

 

コトダマ 絵馬と知念以外が写る集合写真

絵馬がプレゼントしたオリジナルのペンダントを加賀美がつけているらしい。

 

 

 

 

コトダマ テレビ生中継

テレビで生中継で自分たちが映し出されていた。

 

 

 

コトダマ 15人分のプロフィール

知念を除く15人のプロフィールがあり、全員直筆らしく、筆跡が違う。

 

 

 

 

 

 

学級裁判 開廷!

 

 

モノクマ「はい、今回は最後の学級裁判として特別ルールを設けて、『黒幕は誰か』を議論し、その結果はオマエラの投票により決定されます」

 

モノクマ「黒幕を指摘出来れば黒幕だけがおしおきですが、間違った人物を黒幕と指摘した場合は黒幕以外の全員がおしおきされます。ま、そこはいつもと同じです!」

 

モノクマ「そして、見事、黒幕を指摘したオマエラは卒業することが出来ます。また、卒業を拒否することも可能です」

 

 

籠森「卒業するで決まってる!じゃあさっそく話し合おうぜ」

 

知念「ちょ、ちょっと待って」

 

 

 

議論開始

 

コトダマ モノクマファイル5

コトダマ モノクマの証言

コトダマ 15人分のプロフィール

コトダマ 入学後の映像

 

 

 

 

絵馬「黒幕は『あたしと知念以外の全員』よ!ほら!証拠よ!」

 

籠森「どーせ、『モノクマの捏造』だろ…」

 

モノクマ「『捏造じゃないよ!』れっきとした本物の写真です!」

 

籠森「どうしてお前が議論に入るんだよ!」

 

モノクマ「僕だって参加者でーす!」

 

佐藤「……絵馬さんの『写真が本物』な証拠は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵馬「黒幕は『あたしと知念以外の全員』よ!」

 

 

 

コトダマ 15人分のプロフィール

 

 

 

論破

知念「それは違うよ!」

 

 

 

 

 

絵馬「え?ち、知念、あんただって騙されて……」

 

知念「これを見て欲しいんだ」

 

籠森「これはプロフィールか?」

 

知念「そう、僕以外のプロフィールが全部載っていたんだ」

 

佐藤「私のプロフィールもある」

 

籠森「この字……」

 

知念「そうだよ、みんな筆跡が違うんだ」

 

絵馬「筆跡が違うからってなんなのよ!」

 

知念「これは絵馬さんが書いたんじゃないのかな」

 

絵馬「なんでそうなるのよ!モノクマの捏造でしょ!」

 

籠森「なんで写真は捏造じゃなくてこれは捏造だと思うんだよ全く」

 

知念「これを15人分書き分けるなんてかなりの労力だと思うし、こんな完璧にはできないと思うんだ」

 

籠森「確かにこれは俺の筆跡だが、こんなもの書いた記憶はない」

 

佐藤「私も……」

 

知念「そうだけど……」

 

籠森「何が言いたいんだ」

 

知念「僕が言いたいのは……」

 

 

 

 

 

閃きアナグラム

 

 

き お く そ う し つ

 

 

記憶喪失

 

 

 

 

 

知念「僕らはみんな記憶喪失なんじゃないかって」

 

籠森「はぁ!?記憶喪失なのはお前だけだろ!」

 

佐藤「私は入学前の記憶はちゃんとあるよ」

 

絵馬「そうよ!あたしだって入学前日までイラストのオファーが来たもの!」

 

 

 

 

議論開始

 

コトダマ モノクマの証言

コトダマ 日記

コトダマ 入学後の映像

コトダマ 15人分のプロフィール

コトダマ 絵馬と知念以外が写る集合写真

 

 

 

籠森「記憶喪失なわけないだろ!そんな『都合よく記憶が奪えるか』!」

 

絵馬「ありえないわ!ちゃんと覚えてるもの!」

 

佐藤「そんな『記憶操作技術なんてありえないよ』。」

 

絵馬「全部『モノクマの捏造』よ!」

 

籠森「あんな大胆なおしおきを実現できるモノクマなら……筆跡や映像や写真の捏造なんて朝飯前のはずだ」

 

絵馬「そうよ!」

 

モノクマ「『捏造じゃないやーい』!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐藤「そんな『記憶操作技術なんてありえないよ』。」

 

 

 

 

コトダマ 日記

 

 

 

 

 

論破

知念「それは違うよ!」

 

 

 

知念「記憶操作をする技術があったら捏造とは言えないよ」

 

籠森「だからそんなものあるわけないだろ!」

 

知念「僕、こんな日記を見つけたんだ」

 

 

 

6月10日

我々は人間の記憶の操作を実現した。事故のショックで引きこもりになってしまった人が事故の記憶を改竄し、事故を無かったようにすることで外出するようになった。虐待されていた人間が幼少期の記憶を消し、人間不信から立ち直れるようになった。我々は多くの人間を救った。

 

 

 

 

 

籠森「はぁ!?こんなの嘘だ!モノクマの捏造だろ!」

 

モノクマ「さっきから僕の捏造扱いして失礼だなぁ」

 

籠森「ともかく、今は黒幕探しだ!俺は怪しいと思ってる奴がいるぜ!」

 

絵馬「誰誰?」

 

籠森「佐藤、お前だ」

 

佐藤「っ、わ、私?」

 

知念「どうして?」

 

籠森「佐藤は急に元気になっただろ。それに佐藤は俺たちに捜索場所の指示まで出した。怪しいとは思わないか?」

 

知念「それは怪しいとは言えないよ」

 

絵馬「どうかしら?だいたい、将口の時だって、バタフライピーを持って来て殺人を誘導したんじゃないの?」

 

籠森「上条の時の学級裁判だってやたらと冴えてたしな、上条を犯人にするために一連の事件を仕立てたんじゃないのか?」

 

佐藤「そんな……」

 

知念「ちょっと待ってよ!佐藤さんがそんな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐藤「私だって!!!」

 

 

 突然の佐藤さんの大声に僕らはびっくりした。

 

 

 

 

佐藤「こんなっ…!こんなの嫌だった!!!上条くんが死ぬくらいなら私が死にたかった!!!それなのに!!!あんたたちは!!!」

 

籠森「さ、佐藤……」

 

佐藤「上条くんに投票したんだ!!!自分の命惜しさで!!!」

 

籠森「……」

 

絵馬「そ、そりゃそうよ!命は惜しいわよ!」

 

籠森「お前も言いた方ってものが…」

 

佐藤「あんたたちなんか助けるくらいなら救わなきゃ良かった!!!あんたたちが上条くんを殺したんだよ!!!」

 

知念「さ、佐藤さん……」

 

 

 

モノクマ「うぷぷぷ…面白いねぇ。面白い展開だよ」

 

 

 

 

佐藤「返してよお!上条くんを返してよおおお!」

 

籠森「す、すまん、悪かった、佐藤……」

 

絵馬「……あ、あたしは……。あたしも、………ごめんなさい」

 

 暫く沈黙していた。僕にこの沈黙を破る勇気はなかった。

 

佐藤「………あっ……っ、あ、あ、わ、わたし……あっ、ご、ごめんなさい……っ!」

 

知念「佐藤さん、もしかしたら上条くんが犯人じゃなかったかもしれないんだ」

 

佐藤「え……」

 

モノクマ「ん?」

 

知念「犯人は上条くんじゃなかったはずだ」

 

モノクマ「何言ってんのさ!」

 

絵馬「それはあたしたちが話し合って決めたじゃない!」

 

知念「いや、あの事件にはまだ不自然な点があるんだ。その証拠だってある」

 

 

 

 

 

議論開始

 

コトダマ モノクマの証言

コトダマ モノクマファイル5

コトダマ 白い布

コトダマ 焼け焦げた機械

コトダマ 監原とメイビーの死体の状況

 

 

 

モノクマ「『不自然な点なんかないやーい!』」

 

籠森「不自然な点ってあの『消火弾』か?」

 

絵馬「わかったわ!『植物室』ね!」

 

籠森「他には『ロープ』か?それとも『体育倉庫の鍵』か?」

 

モノクマ「知らないよー?」

 

籠森「それにしてもあの事件は不自然な点が多すぎる」

 

佐藤「もしかして……『死因』かな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐藤「もしかして……『死因』かな?」

 

 

 

 

コトダマ モノクマファイル5

 

 

 

同意

知念「それに賛成するよ!」

 

 

 

知念「佐藤さんの言う通り、おかしいんだよ。だってモノクマファイルには死因なんか書かれてなかったんだ」

 

籠森「それは一目瞭然だからじゃないのか?」

 

知念「上条くんが学級裁判の時に言ってたけど、モノクマファイルに記述されていないことは重要なことにになるんだ。一目瞭然でも本当の死因は焼死じゃないかもしれない」

 

佐藤「それに2人の死体の説明も『思われる』って曖昧な記述だね」

 

籠森「はぁ!?焼死だろ!?そう結論だしただろ!だったらなんで監原とメイビーの悲鳴が聞こえたんだよ」

 

佐藤「まさか…」

 

知念「多分、これかもしれない」

 

 

 

 

 

 

 

 

コトダマ ボイスレコーダー

 

 

 

 

 

知念「ボイスレコーダーで予め録音しておいたんだよ」

 

絵馬「えぇ!?じゃあなに、あの死体は監原とメイビーじゃないって言うの!?」

 

 

 

 

反論

モノクマ「それは違うよぉ!」

 

 

 

 

知念「なんだよ!モノクマ!」

 

モノクマ「あの死体は監原とメイビーくんだよ!」

 

 

 

 

反論ショーダウン 開始

 

コトノハ 白い布

コトノハ 弓長と将口の遺体

コトノハ 監原とメイビーの死体の状況

コトノハ 日記

 

 

 

モノクマ「あれは間違いなく監原クンとメイビークンの死体だよぉ」

 

知念「何言ってたんだ!2人なのはありえない!」

 

モノクマ「だってあの悲鳴は本物だもん!」

 

知念「2人の遺体じゃないって証拠はボイスレコーダーだけじゃない!」

 

モノクマ「なにさ、オマエラだって見ただろう!『2人が焼かれていく』のを!あれは間違いなく『監原クンとメイビークンだよ!』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モノクマ「『2人が焼かれていく』のを!」

 

 

 

 

 

コトノハ 監原とメイビーの死体の状況

 

 

論破

知念「その言葉は斬る!!」

 

 

 

 

知念「籠森くん、あの2人の焼け方は不自然、君はそう言ったよね?」

 

籠森「あ?ああ。あんな短時間に身元の判別が不可能なほど焼けるのは不自然だなって。いくら灯油を撒かれてもすぐにスプリンクラーで消火されたのに」

 

知念「そうだよ。あのは元から焼かれたんじゃないのか?」

 

モノクマ「えー……」

 

絵馬「じゃあ監原とメイビーは他の奴に殺されたの?」

 

知念「いや、それも違う。あの遺体は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

コトダマ 弓長と将口の遺体

 

 

 

 

知念「これだ!」

 

 

知念「弓長さんと将口くんの遺体じゃないかな」

 

佐藤「どうしてそう思うの?」

 

知念「籠森くんも見たよね。生物室に弓長さんと将口くんの遺体がなかったの」

 

籠森「あ、ああ」

 

知念「それは2人の遺体を利用したからあの2人の遺体は安置されてなかったんだよ」

 

モノクマ「ちょっと待ってよ!」

 

 

議論開始

 

コトダマ モノクマファイル5

コトダマ モノクマの証言

コトダマ 監原とメイビーの死体の状況

コトダマ 白い布

 

 

 

 

モノクマ「『死体が別の人間なものなわけない』じゃん」

 

籠森「だけどそうすれば納得がいくな」

 

佐藤「あれは弓長さんと将口くんのもの。『事前に焼いておける』……」

 

絵馬「でも待ってよ、事前に焼いたら、『焼かれた死体に気づく』でしょ」

 

モノクマ「そうだいー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵馬「『焼かれた死体に気づく』でしょ」

 

 

 

 

 

 

コトダマ 白い布

 

 

 

 

論破

知念「それは違うよ!」

 

 

 

知念「上条くんが言ってたはずだ。白い布に被されてたって」

 

佐藤「確かに燃えかすみたいなのはあった」

 

知念「事前に2人を燃やして黒焦げにした後、白い布を被せてカモフラージュしたんだよ」

 

絵馬「じゃあ2人は本当に監原とメイビーじゃないのね」

 

籠森「じゃあ監原とメイビーはどうしたんだよ」

 

知念「まだわからないの?」

 

籠森「え?あ?ま、まさか」

 

佐藤「……っ」

 

絵馬「どういうこと?」

 

籠森「バカお前!この学級裁判がどんな学級裁判か忘れたのか?」

 

絵馬「卒業するための……」

 

籠森「それもあるけど、これは黒幕を探すための学級裁判だろうが!」

 

絵馬「え?ええっ!?」

 

 

モノクマ「なに勝手に盛り上がってんのさ!」

 

知念「モノクマ…!」

 

モノクマ「僕はまだ認めませーん!」

 

 

 

 

理論武装 開始

 

モノクマ「証拠はあるの?」

 

モノクマ「証拠証拠証拠!」

 

モノクマ「僕は可愛いモノクマだよー!」

 

 

 

モノクマ「ボイスレコーダーが現場にあった証拠はどこなんだよ!」

 

 

 

  焦げた◻︎

機械○   焼け△

  現場の×

 

 

 

×△◻︎○

 

現場の焼け焦げた機械

 

 

 

知念「これで終わりだ!」

 

 

 

 

知念「現場に落ちていた焼け焦げた機械は、ボイスレコーダーだったんだ」

 

佐藤「なるほどね」

 

籠森「前回の学級裁判のおかしなところが繋がったな」

 

 

知念「振り返るよ、一連の事件を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライマックス推理 

 

ACT1

知念「まず、この事件の黒幕の行動から振り返ろう。黒幕、いや黒幕たちはまず夜時間に出歩きを禁じた。でも話し合いはしたかったのか絵馬さんに0時頃に黒幕たちは目撃されていた」

 

 

ACT2

知念「生物室から弓長さんと将口くんの遺体を利用した。弓長さんは傷はあっても焼けたら気づかないレベルの傷だし体格も2人に近かったし、将口くんは怪我すらほぼないから利用できたんだ。黒幕たちは2人を判別が不可能なくらいになるまで燃やしたんだ」

 

ACT3

知念「さらに黒幕たちはボイスレコーダーに自分たちの悲鳴を録音し、焼いた2人の遺体をロープで巻き、逃げられないよう細工されたように見せかけ共に植物室に置いたんだ。それに一緒に消火弾や野球ボール、火をつけたロウソクを置いた。岩田くんから没収した体育倉庫の鍵を使って、調達したんだ」

 

 

ACT4

知念「あとは前回の推理通り、上条くんがドアを開けたことで野球ボールが転がりロープ周りに火がつき、大規模の火事が起きたように演出して、上条くんに灯油入り消火弾を投げさせたんだ」

 

ACT5

 

知念「上条くんが投げた灯油入り消火弾で広く強く燃え上がりあたかも2人を殺したように見せかけたんだ。本当は上条くんは犯人じゃないのに」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知念「この事件の黒幕……いや、こんな捏造を許されるのはこのコロシアイを仕組んだ黒幕だけ。そうだよね、超高校級の映画監督、監原誠也くん、超高校級のゲームクリエイター、メイクビット・松原・テルくん!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter6 学級裁判 中編

籠森「でもやっぱり信じられねぇな。監原とメイビーが黒幕だって?」

 

絵馬「特に監原は今までの学級裁判で活躍したのに」

 

佐藤「……」

 

知念「確かにね。でもちゃんと根拠はある」

 

 

 

 

 

 

 

 

コトダマ モノクマの証言

 

 

 

知念「モノクマ、お前は黒幕はこの16人の中にいて1人だけなんて明言はしてないはずだ」

 

モノクマ「……」

 

佐藤「どうなの?」

 

モノクマ「……」

 

籠森「答えろよ!」

 

 突然、裁判所は暗転し、何も見えなくなった。

 

絵馬「何何停電!?」

 

籠森「どうなってるんだ!」

 

知念「監原くん、メイビーくん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやはやご名答ご名答」

「ふーん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

明るくなった時には監原くんとメイビーくんが立っていた。

 

 

監原「いやー、バレちゃったな」

 

メイビー「よく言うよ。バレるように仕向けた癖に」

 

監原「こーいうのはそう言うどんでん返しが最高なの!」

 

楽しそうに会話している2人を見てるといつもの日常を思い出すけど、これは学級裁判なんだ。

 

 

監原「オマエラ大正解!このコロシアイ学園生活を仕組んだ黒幕は俺とメイビーだったんだ!」

 

メイビー「色々考えた甲斐があったよ」

 

知念「そんな…」

 

籠森「テメェらが…黒幕だったなんて…」

 

絵馬「人間不信極まるわ!」

 

佐藤「監原くん…メイビーくん…」

 

 

 

 

知念「なんで……!なんで君たちが!」

 

監原「ま、その前に黒幕を当てられたご褒美のオマエラの秘密をぜーーーんぶ話してやるよ。『視聴者』も納得するようにな」

 

 

籠森「視聴者だと……!」

 

 

メイビー「問題だ。視聴者って誰のことを指すと思う?」

 

知念「えっ」

 

 

 

 

1.監原誠也

2.メイビー

3.このコロシアイを見ている人

4.魅才学園の人間

 

 

 

 

 

 

 

3.このコロシアイを見ている人◀︎

 

 

 

知念「まさか、このコロシアイをリアルタイムで見ている人たち?」

 

 

監原「せいかーい」

 

籠森「どういうことだ!」

 

佐藤「もしかして、VRルームのテレビで見た私たちの映像……?」

 

籠森「はぁ!?」

 

メイビー「そうだよ、このコロシアイは俺が作ったゲームだよ」

 

知念「メイビーくんが作った?」

 

メイビー「なんたって俺は『超高校級のゲームクリエイター』だからね」

 

監原「メイビーが作ったコロシアイのゲームを俺が『ノンフィクション』として『映画化』して『魅せる』のが、真相だよ」

 

メイビー「みんなに需要があるからね、このコロシアイは。もう大人気さ」

 

 

 

コトダマ 黒幕の目的

黒幕の目的はこのコロシアイを映画化させるためだった。

 

 

 

 

 

 

 

知念「ゲーム……?意味が分からない!な、なんでこんな!こんなことするんだよ監原くん!メイビーくん!コロシアイなんて……殺人なんて!!!」

 

籠森「コロシアイを外の連中が見てるならなぜ警察が来ない!?家族や友人やチームメイトだって探すだろ!俺だって……師匠が…」

 

監原「はぁー……知念、そんなこともわかんねぇのかよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……超高校級の『人工知能』の癖に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知念「超高校級の……人工知能?」

 

 まさか、それが僕の才能?

 

佐藤「どういうこと?」

 

メイビー「この話を掘り下げるには別の話が必要になるね。さっき、籠森が言ったようになぜコロシアイをしても警察や家族が来ないのか……だったよね。理由は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……だって『クローンに人権はないからね』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

籠森「は?」

 

メイビー「さっき日記を見たでしょ、そこにあるよ」

 

知念「日記……」

 

 

 僕は日記を見た。

 

知念「あっ……」

 

 

 

5月12日

人は知識を得て成人並に活躍するには時間がかかる。よってありとあらゆるものをすぐに会得する人工知能をクローンに植え付けた。

 

 

 

 

 

知念「クローン?人工知能?ほんとにこんなことが……」

 

佐藤「クローンなんて……」

 

籠森「ありえねーよ!漫画じゃあるまいし!」

 

絵馬「そうよ!」

 

 

 

 

 

監原「オマエラ、というか俺らはクローンなんだよ。だから俺らが魅才学園に通う映像や写真があるんだよ。あれは本物の、俺らなのさ」

 

籠森「わっけわかんねーよ!?俺のクローンだとぉ!俺は間違いなく人間だ!だって、小さい頃…今までの記憶はあるぞ!」

 

メイビー「だから君たち、さっき記憶操作の話をしたじゃないか。君らのクローンを作り、さらに君らの記憶を植え付けた。『学園入学前』までのね」

 

佐藤「じゃあ、私たちの家族はどうなるの?」

 

監原「あー、いたりいなかったり?加賀美とか岩田とか将口の家族や弟子とかはクローンいたりして、人質を演じてもらったんだよ」

 

籠森「信じるか!!俺は人間だ!帰って師匠に会うんだ!!!」

 

監原「あー、師匠ねぇ。そいつもう死んでるよ」

 

籠森「……あ?」

 

監原「本物のお前がワールドカップで活躍したのを見て息を引き取ったよ。持病を抱えてたらしいよ」

 

籠森「あ、あぁぁ……う、嘘だ!そんな!!!信じない!!俺は!!!」

 

監原「信じられないってんならこれを見せてやるよ」

 

 

 

 モニターであるものが流れた。

 籠森くんがバスケをしている姿だ。僕以外の14人も応援していた。

 

 

籠森「あれは師匠……は、当然、捏造だ、ははは。なんでお守りが…あれは誰にも見せてない。だってまだ師匠に渡してないのに!!!」

 

籠森「師匠が…死んだなんてそんなっ……うぅ…」

 

 

 籠森くんが泣き崩れてしまった。

 

知念「籠森くん!」

 

 

 

 

 

 

監原「あれは本物のオマエラだ。オマエラはただのクローン。だから関係ないんだよ、クローンであるオマエラにあの映像は」

 

絵馬「信じない!信じないわよ!」

 

佐藤「クローンだとしてなんでこんなことが許されるの!?コロシアイなんて」

 

メイビー「君たちは虫けらを殺すことに躊躇いある?」

 

知念「え?」

 

メイビー「魚を喰う、肉も喰う。それと同じだ。クローンという人権も尊厳もない虫けらが、人間という人格を植え付けられ、コロシアイというゲームをさせられその『絶望』を喰うんだよ。このコロシアイを見ている人間がさ」

 

 意味が、わからない。 理解出来ない。

 何がなんだか、分からなくて、僕は唖然としてるだけだった。

 

 

佐藤「私たちは人間だよ!」

 

監原「はぁあ。じゃ、まずはなぜクローンが虫けらなのか話さないといけないな」

 

メイビー「だってさ、君たちが、クローンを信じないのはもう1人の自分がいるのが嫌だからでしょ?それは本物と同じだよ」

 

佐藤「あっ……」

 

知念「そうか、だから本物の尊厳を守るために……」

 

監原「超高校級の探偵や美化委員ならいくらいても困んないだろうが超高校級のサッカー選手やバスケ選手がたくさんいたら無双しすぎてつまんないだろ?」

 

絵馬「だいたいクローンなんてどうやって作るの!?そんな技術がどうして!?」

 

監原「だってクローンを作ることは『魅才学園が考えた』んだからな」

 

 

知念「えっ……」

 

監原「なんたって『才能を魅せる学園』だからな」

 

メイビー「遺伝子データやその人間の筋肉やら骨格を完璧に再現するには生身の人間が必要だ。だからそーいうのを健康診断って偽ってコピーしたわけ。ついでに記憶もね」

 

知念「そんなこと許されるのか!?」

 

監原「クローンは人間が作った『モノ』だからな。問題ない」

 

メイビー「ただ、やっぱり気味悪いよね。クローンって。だから一部のたくさんいても構わないような才能はともかく、ゲームクリエイターや映画監督のクローンなんて周りに人は集まらなかったよ。最初は、ね」

 

監原「で、俺らは考えた。どうやったら本物を超えられるかってな」

 

知念「本物を……超える?」

 

監原「それにしても、知念は良いよなー」

 

メイビー「君はオリジナルなんだから」

 

 

 

 

 

 

知念「え?」

 

 

 

 

監原「だからお前は『超高校級の人工知能』って言われてるんだよ。

 

知念「僕はオリジナル?」

 

監原「そっ。お前はクローン技術で生み出された、オリジナルのクローンなんだよ。だが、ただのクローンゆえに、お前の身体は高校生でも、精神や知能は生まれたての赤ちゃんも同然だった」

 

メイビー「日記にも書いてあるでしょ?」

 

知念「人工知能って……」

 

監原「だからお前はただの人工知能さ。予め、義務教育終了程度の知識を入れただけの、家族も、友人も、人生のなんの記憶もない、ただ、覚えるしかないただの『人工知能』なんだよ」

 

知念「っ……!!そんな!!そんなのっ!!」

 

監原「だからお前は記憶喪失なんじゃなくてただの人工知能なんだよ。お前はオリジナルでも家族も友人もいない」

 

メイビー「まあ、君に才能がないのも同然だよね。君には義務教育終了程度の知識しかないんだから」

 

知念「嘘だ!僕はそんなんじゃない!」

 

監原「……なら外に出て確かめるか?」

 

 

その時の監原の顔は見たことないくらい、邪悪だった。本当に監原くんなのか、思えないほどに。

 

 

 

絵馬「外に出られるの!?」

 

監原「外ではクローンは迫害されている。オマエラに家族なんていない。友人も。知念に至ってはオリジナルだから記憶にすらいない。さあ?それでも外に出るか?」

 

知念「っ……!!」

 

佐藤「う、嘘……」

 

メイビー「出ても良いことないよ?迫害されるだけ、ここの方が安心だよ」

 

監原「生き残った記念に、一生ここで暮らせばいい」

 

絵馬「こんなアニメも漫画もネットもないところで!?嫌よ!」

 

メイビー「迫害されるよりずっといいよ。そうだ、俺らのゲーム・映画制作に協力してくれるなら漫画やアニメを見せてあげようか?」

 

絵馬「そ、それなら……」

 

籠森「バカお前!一生イラストを誰にも見てもらえなくて良いのかよ!」

 

絵馬「えっ……」

 

籠森「あいつらが言ってるのが嘘でも真実でも俺はこの目で確かめるまで信じない!それにクローンが迫害される世の中でも俺は生きてやる!加賀美たちの分まで!」

 

絵馬「か、籠森……」

 

監原「だから死んだ加賀美はクローンなんだよ!」

 

籠森「どうでもいい!クローンでも加賀美は加賀美なんだろ!?絵馬、お前ならわかるはずだ!」

 

絵馬「……」

 

メイビー「いっそ、投票タイムにする?こうしようか、6人で投票タイムになる。もし、君たちが出て行くなら卒業のボタン、ここに残るなら留年のボタンを押すんだ。過半数が卒業を選べば卒業できるけど選ばなかったら卒業できない」

 

絵馬「分かったわ!卒業してやる!こんなところであたしの人生を終えるもんですか!」

 

籠森「ああ、卒業……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知念「卒業なんかしてどうするんだよ!」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Chapter6 学校裁判 後編

籠森「ち、知念……?」

 

 

佐藤「卒業しても外には『絶望』しかないんでしょ?お父さんもお母さんも……」

 

監原「そうそう、『絶望』だよ、『絶望』!俺たちクローンは『絶望』しかないんだよ!」

 

籠森「何言ってんだよ!クローンでも父さんや母さんがお前を見捨てるのかよ」

 

メイビー「クローンは家族じゃないしねぇ……」

 

籠森「お前は黙ってろ!!」

 

絵馬「何言ってるの、卒業よ、卒業」

 

知念「嫌だよ、卒業なんて……」

 

籠森「奴らの言ってることを間に受けるな!」

 

 

 

監原「あーらら、意見対立しちゃって」

 

メイビー「いつもの奴、行こうか」

 

 

 

 

 

 

意見対立!

 

 

 

 

 

卒業するのか?

 

 

 

卒業しない

知念、佐藤、監原、メイビー

 

卒業する

籠森、絵馬

 

 

『地獄』

『死んだ』

『希望』

『意味』

『本当』

 

 

議論スクラム 開始

 

 

知念「外に出たって意味ないよ」

 

籠森「その『意味』を見つけるために出るんだよ!」

 

メイビー「外は地獄だよ」

 

籠森「例え『地獄』でも生きてやる!」

 

監原「クローンは迫害されている。ここでの生活の方が良いぜ?」

 

絵馬「あたしはイラストを色んな人に見てもらう『生活』がしたいのよ!」

 

佐藤「この話が本当なら私たちは外で生きられない」

 

籠森「『本当』かどうかなんて外に出ないとわからないだろうが!」

 

知念「死んだ人間のためにも外に出ない方が良いよ」

 

絵馬「あたしたちがここで諦めたたら『死んだ』優子たちはどうなるのよ!」

 

知念「もう希望なんかない!」

 

籠森「『希望』は見つけるもんなんだよ!」

 

 

 

 

 

籠森「これが俺たちの答えだ!」絵馬「これがあたしたちの答えよ!」

 

 

 

 

 

籠森「良いのかよ!こんなところにいて!今まで死んだ奴らに顔向け出来ないだろ!」

 

絵馬「そうよ!まだあたしは外でやりたいことがある!あいつらだって嘘ついてるかもしれないじゃない」

 

佐藤「で、でも……」

 

籠森「家族が待ってるかもしれねぇ!それに!本物の俺たちだって俺たちのコロシアイを納得して見てるはずがない」

 

佐藤「……」

 

籠森「諦めるなよ、まだ。放送を見られてるなら、きっと助けてくれる人がいるはずだ!」

 

 

 

 

 

 

知念「君たちは!!!」

 

籠森「ち、知念……?」

 

知念「君たちには家族や友人もいるかもしれないけど、僕には何もない!何もないじゃないか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

籠森「それは違うぞ!」

絵馬「それは違うわ!」

 

 

 

 

 

 

籠森「死んだ上条たちはどうなるんだよ。友達じゃないのか?殺された奴らの死を背負うんだよ!なんで岩田や上条が自分を犠牲したんだよ!!無駄に……するなよ……」

 

籠森くん……。

 

絵馬「あたしは、生きたい。こんなところじゃない広いところで。ここで嫌というほど地獄を味わったんだからもうへっちゃらよ」

 

絵馬さん……。

 

 

佐藤「知念くん……」

 

知念「……そうだね。籠森くんと絵馬さんの言う通りだよ」

 

監原「は?」

 

知念「僕は諦めない。外に出る!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メイビー「ふふふ、はははははははは!」

 

 

メイビーくんらしくない邪悪な笑い方。

 

籠森「何がおかしい」

 

メイビー「君たち、ここがどこだかわかる?」

 

知念「魅才学園じゃないのか?」

 

監原「本物の魅才学園を舞台にするわけねーだろ。ここは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇宙コロニーだからな」

 

 

 

 

 

 

知念「は?」

 

籠森「SFかよ!!」

 

メイビー「メディアには報道されないだけで世界は発展しているのさ。というか君たちの入学からもう10年経ってるけど」

 

籠森「10年だと…」

 

佐藤「そんな」

 

 

 

メイビー「まだ実験段階だけど、宇宙コロニーが開発されていてね、まずは魅才学園が再現されたってわけ」

 

監原「外に出ると雨が降ったのも自由に探索させないようにって運営がわざと降らしたんだぜ」

 

絵馬「じゃあ外は宇宙!?帰れないじゃない!」

 

監原「いや、ちゃんと軌道エレベーターで地球に帰しててやるよ?ただ、お前が思う以上に世界は様変わりしてるはずだぜ?」

 

絵馬「軌道エレベーターなんて……アニメの世界……」

 

籠森「嘘だ、全部こいつらの嘘だ」

 

監原「はははっ!おもしれーな、10年ぶりにシャバに出る犯罪者の気持ちだなオマエラ」

 

メイビー「それでも君たちは『希望』を求めるの?希望を信じてそれが裏切られた時の絶望はより深いよ」

 

知念「ここで居残って絶望のまま生きるくらいなら!外に出る希望を求めてみせる!」

 

 

 

 

 

 

議論開始

 

コトダマ モノクマの証言

コトダマ 黒幕の目的

コトダマ 日記

コトダマ テレビ生中継

 

 

 

監原「外には『絶望』しかない。クローンには『人権なんかない』。」

 

メイビー「みんなクローンを『迫害』して、クローンに『興味なんかない』。」

 

監原「そんなクローンのお前たちを助けてくれる人なんかいねーよ!!」

 

メイビー「諦めなよ、もう『絶望しかないんだよ』!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メイビー「クローンに『興味なんかない』。」

 

 

 

 

コトダマ 黒幕の目的

 

 

 

知念「それは違うよ!」

 

 

知念「いや君たちは僕らのコロシアイを映画化するのが目的なはず。ならクローンに興味がないなんて嘘だ。それにこんな大掛かりなことを君たちだけで出来るはずない。クローン以外にも協力者がいるんじゃないの?」

 

監原「はぁ……すごいな、オマエは」

 

メイビー「そうだね。なんの才能もない人間たちには俺らみたいな才能があるクローンは欲しいのさ。だからコロシアイや映画化に協力してくれたのさ」

 

 

監原「なあ、オマエラ、俺らの仲間にならないか?」

 

籠森「はあ!?なんで貴様らみたいな殺人鬼と!!」

 

絵馬「嫌で決まってるでしょ!」

 

監原「コロシアイ生中継は大人気だ。この映画も大ヒット間違いなし。この関係者になれたらクローンもそれなりの扱い、いや『本物を超えられる』。」

 

佐藤「えっ……」

 

監原「俺の本当の目的は本物の監原誠也を超えること!!!そして俺が本物になる!!!」

 

知念「本物を超えるために僕らはコロシアイをさせられたって言うのか!!」

 

監原「そうだ!!俺がどれだけ素晴らしいアイデアを出しても本物がチヤホヤされるだけ!なら本物にできないことをしよう!そうして考えたのが!『ノンフィクション』のコロシアイ!!クローンを使った臨場感溢れるコロシアイ!!本物には出来ない、背徳的やり方!!!」

 

 監原くんの顔は狂気に満ち溢れていて、別人に近かった。高めだった声も別人のように低くて……。

 

知念「監原くん……君は、そんな奴だったのか!?嘘だったのか!?今まで一緒に頑張ってくれたことも推理で助けてくれたことも!」

 

監原「違うさ!!」

 

知念「っ……!!」

 

監原「俺をこんなにしたのは世界だ。クローンだからって迫害し、俺から映画を奪った!!俺はこの世界が憎い!!そうだ!ふははははははははははっ!!」

 

 

狂ったように監原くんは笑い始めた。

 

 

メイビー「仕方ないよ、監原。だから俺らはこんなことをしている。本物にはできない、禁忌に手を出した」

 

監原「そうだ!その通りだ!!コロシアイということは真っ当な奴にはできない。どうせ虫けらのクローンだ!こんなことを平気でやってのけた!!」

 

 

 

知念「監原くんの方が絶望してるじゃないか」

 

監原「ふ、そうだな。ある意味、オマエラより俺たちの方が絶望しているのかもしれない」

 

メイビー「自ら悪役になったからね。俺らは自傷行為をしているようなもの。俺らの『絶望を伝染』させているのかもね。このコロシアイを使って」

 

 

知念「なら…一緒に希望を見つけだそうよ」

 

籠森「な、何言ってんだ、知念」

 

 

監原「はぁ?」

 

知念「一緒にやりなおして生きて行こうよ。希望を見つけに」

 

メイビー「バカバカしいこと言うな!!俺らは絶望の化身、言うなれば『超高校級の絶望』だ」

 

監原「そう言えば、オマエラって俺たちが黒幕だって指摘できたよな」

 

メイビー「そうだね。この学級裁判のルールだと黒幕を指摘されたら黒幕がおしおきだった」

 

知念「まさか……!待ってよ!僕は君たちに死んで欲しいなんて思ってない!」

 

監原「世界が求めるのは希望の物語。そう、オマエラが希望を持ち、俺たちの絶望を撃ち抜き論破する。映画『ダンガンロンパ 』はそういうのが求められているんだ」

 

メイビー「希望が絶望を倒す物語……。ゲームじゃないマルチエンディングもない、1つの物語……」

 

監原「それに俺たちは上条を殺したからな。そのおしおきを受けるのさ」

 

籠森「貴様ら…!死に逃げかよ!」

 

佐藤「待って……そんな」

 

絵馬「あたしたちの卒業はどうなるの?」

 

監原「オマエラが卒業ボタンを押せば解放してるよ」

 

メイビー「さあ、始めよう。いや終わらせよう」

 

 

 

 

 

監原・メイビー「さあ、張り切って行きましょう、おしおきターイム!!」

 

 

 

 

 

 

 

監原クンとメイビークンがクロにきまりました。おしおきをかいしします。

 

 

 

 

 

映画の監督の神隠し 超高校級の映画監督・超高校級の絶望 監原誠也処刑執行

 

 

 

 監原は放り出されたのは湯屋。そこで監原は笑顔で歩き出す。大きな豚が現れ、監原を踏み付けていった。身体は傷だらけながらも笑顔で歩く。そこへ老婆を模したモノクマが現れ、切り裂いた。身体中が血塗れながらも歩くと泥とヘドロが流れ出し、監原を襲い、ヘドロ塗れになった。そして黒い巨大モノクマが現れ、ガブリを食べられてしまった。モノクマの口は大量の血が溢れていた。

 モノクマはその映像を映画館のような場所で眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

ガチャ当たるかな? 超高校級のゲームクリエイター・超高校級の絶望メイクビット・松原・テル処刑執行

 

 

 

 

 

縛られてた状態のメイビー。しかしその顔は無表情。モノクマがガチャガチャをすると、タライが落ちて来た。その威力は強く、メイビーは流血した。

さらにガチャガチャをすると水が噴射し、さらにガチャガチャをすると電撃を食らった。さらにガチャガチャを回すと火が吹き手を火傷した。さらにガチャガチャをすると雪が降って来て凍傷する。

またさらにモノクマがガチャガチャをすると巨大な釘がメイビーの身体を貫いた。辺りは大量の血で染まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知念「監原くん、メイビーくん!」

 

籠森「奴らが望んだこと、ルールとはいえど!」

 

佐藤「……」

 

絵馬「黒幕もいなくなったことだし早く卒業しましょう」

 

籠森「お前、人間じゃないのか?」

 

絵馬「人間よ!」

 

知念「はは……でも、とにかく僕らは早くここから出よう。みんなの犠牲を無駄にしないためにも」

 

佐藤「そうだよね。私たちはここで立ち止まれない」

 

籠森「外の世界がどうなってようと」

 

絵馬「あたしたちは生きる」

 

 

 

 僕ら卒業ボタンを押した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まだ完結ではありません。エピローグがあります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

エピローグ さよなら魅才学園
エピローグ 


 学園の外の巨大な壁で囲まれた場所に扉が開いた。

 本物は遺体を回収したかったけど、3人に止められた。保存する方法がないから仕方ないけど。

 

 僕ら少し進むとそこには衣食住ができる設備がある舟のようなものがある。

 しかしそれは舟ではなく、ただ下に伸びるエレベーターだった。

 

 

籠森「軌道エレベーターってマジかよ」

 

絵馬「素敵、乗ってみたかったのよね!」

 

籠森「どんだけプラス思考だ」

 

佐藤「でも私たちに必要なのはプラス思考だよね」

 

知念「そうだね」

 

籠森「うわっ、到着時刻、1週間って書いてあるぞ」

 

知念「随分遠いんだね」

 

佐藤「キッチンあるし何か作ってあげようか?」

 

絵馬「お願いね」

 

知念「……」

 

 

 まるで普通の日常に戻ったみたいだった。

 このコロシアイで受けた僕らの苦しみや悲しみは消えたりしないけど、それでも前に進みたい。

 世界がどれだけ残酷でも生きていたい。

 

 

 外からは星々……宇宙が見えた。

 

 

 軌道エレベーターが動いて魅才学園……監原くんたちによれば偽物だけど。

 

知念「さよなら、魅才学園」

 

 

 

 

 

 

 

卒業メンバー

 

超高校級の人工知能 知念悠馬 

 

超高校級のパティシエール 佐藤雪香

 

超高校級のバスケ選手 籠森健一

 

超高校級のイラストレーター 絵馬一帆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良かったよ、彼らが、ちゃんと選んでくれて」

 

1人の青年はテレビの映像を見つめていた。さらにその隣には

 

「良かったよ、じゃねーよ。あんなん名誉毀損だー!というかあんなのを映画にするのかよ、映画監督の風上にも置ない」

 

「だいたい俺の才能はプレイをするゲームではなくてプログラム的な意味でなんだけど」

 

 サッカーボールでリフティングしながら、隣の青年も

 

「全くだよね。本当に名誉毀損だよ、僕が殺人なんかするわけないじゃないか。僕は優しい人間だからね」

 

「あなたみたいな腹黒男に言われても説得力ないですね」

 

それを聞いていたバスケットボールをクルクルと回す青年は

 

「それお前が言えるのか」

 

 バシュンと弓矢でモニターが破壊された。

 

 

「ちょっとちょっと!何してくれんのよ!アニメが見れないじゃない!」

 

「不快だっただけ」

 

「だからって壊すのはどうかと思うよ」

 

 

「さて、私たちはこれからどうする?保護する?」 

 

「探すで決まってるだろ!4人を!」

 

「どうやって探すんだ?僕らが探すのか?」

 

「探しものなら任せてよーー」  

 

「ついでに星も見よー」

 

 

 

 

「行こう、上条くん」

 

 1人の女性が声をかける。

 

 

 

 

上条「うん」

 

 

 上条と呼ばれた青年は14人と一緒に歩き出した。

 

 

 

 

 

元超高校級の才能たち 15人



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

解説
人物解説


   

 

 

 

上条翔太

この物語の主人公。1章で死ぬ主人公と5章で死ぬヒロインがいるなら5章で主人公死なせようということで5章のクロになってしまった男。

身体能力は当然高く、勉強は平均的で推理となると平均よりも高いという設定。

超高校級の才能を持ちつつ、一般人をイメージ。最期に死の恐怖に怯えるのも一般人ゆえ。

名前の由来は陸上の上とりくじょうのじょうから。

翔太も翔るから。

 

 

 

 

監原誠也

霧切ポジ兼黒幕。最初はメイビーと迷ったがどうせならと2人が黒幕に。霧切ポジが黒幕なんで斬新という理由。あと才能と黒幕ポジがとても噛み合った。

1章から4章までは記憶を失って行動していたため4章までが本来の性格。5章以降は超高校級の絶望として立ちはだかる。死ぬことすら恐れず、それこそ記憶喪失でもしない限りは超高校級の絶望のまま。

身体能力はロケや撮影で体力を使うため平均より高く、頭の回転も早く、まあ頼りになる。

名前の由来は映画監督の監から。

 

 

 

知念悠馬

5章終盤以降の主人公になってしまった人。イメージ声優が女性なのもそのため。特段に推理はできるわけでもないのに黒幕が暴けたのは上条を思う力あってこそ。黒幕たちは彼をあくまで一般人として作り上げたので才能もなしで身体能力も頭脳もそこそこ。メンタルも高くはない。そんな感じ。

名前の由来は人工知能の知から。

 

 

 

 

佐藤雪香

ヒロイン。主人公と引き裂かれる。バタフライピーの睡眠薬トリックのスケープゴートのためにパティシエールの才能があったといっても過言ではない。

身体能力は低めで、頭脳はかなり良い方。

名前の由来は砂糖から。

 

 

深沢由奈

舞園ポジ。ヒロインで探偵と霧切を思わせながらも1章被害者に。実は舞園ポジでした。???が1章被害者がいるなら探偵が1章被害者もありという理由。

名前の由来は深と探偵の探が似ているから。

 

 

メイビー

実は狛枝ポジ兼黒幕。トリックスター的行動こそしてないものの不穏分子として活躍。1章から4章まで記憶喪失。思いやりや配慮がないわけではない。77期生と同じく超高校級の絶望ゆえにあんなことをしただけ。

名前の由来はメイクビット→メイク→作る→クリエイターから。

 

 

 

 

 

 

加賀美優子

3章被害者。

完全なる被害者。まとめ役をやりながらも無残にも殺害される。死ぬ前に籠森を呼び出しのも籠森には自分が内通者だと知らせるため。殺人をする予定なんかなかった。

名前の由来は加賀美の美が美化委員から。

 

 

 

絵馬一帆

頭が悪いのですぐクロのスケープゴートにされる葉隠ポジ。仲良しな人と死別するのは朝日奈ポジでもある。スケープゴート候補になりやすいゆえか、殺されることもなく生き残るという運が良いんだか悪いんだか。

名前の由来はイラスト、絵から。

 

 

 

 

籠森健一

裏切られた経験から最初は仲間の輪から外れつつも、2章以降は共に行動するようになり、以降はツッコミ役になる。性格が良くないのをクロに利用されてスケープゴートになりやすい。

生き残るか被害者になるか最後まで考えていなかったが最終的には九頭龍ポジで収まった。

名前の由来は籠球(バスケ)から。

 

 

岩田圭介

罪木、ゴン太と並ぶ意外性のあるクロ枠。

また偽装工作こそしているが、犯人が分からず、投票タイムに入った場合は自白するつもりだった。

残念ながら筋肉枠は生きられない。

名前の由来は岩=ロックから。

 

 

 

 

 

蹴上秀

さわやか系クズ。4日目というの3日目の夜に殺人をする短気っぷり。普通の日常では殺人はするまでクズではないものの、殺人の口火を切り、無駄に殺人のハードルを下げてしまった罪は大きい。

裏設定としてあまりに周りが自らを頼りきりなせいで本心では人を見下すようになっている。

名前の由来は「ボールを蹴り上げる」から。

 

 

弓長詩織

自己中。籠森のように他人の輪に入らずに殺人を決行。彼女が殺人をするのは時間の問題で、アリバイ工作が可能な機会を伺っていて、蹴上の事件を踏み台に実行した。

名前の由来は弓道から。

 

 

 

香月薫

殺人犯であり被害者でもある。他の人間と仲良くなることがあまりなかったのが凶行に走らせた一因。

毒舌家なものの、根は優しいが、その優しさは親しくなってからのもの。

誰かと仲良くなれていれば生き残りメンバーになりえた人物。

名前の由来はアロマが香る、薫から。

 

 

 

 

星野リコ

不穏分子メンバー。病的なマイペースさで周りの不信感を煽ってしまった。2章以降にも被害者になりうる動機があったため生き残るのはどの道厳しかった。

超高校級の天文学者でなく超高校級の天文部な理由はマイペースなあまり学術的な発表ができないから。

名前の由来は天体観測の星から。

 

 

 

 

将口歩夢

内通者。内通者ではあるものの、彼が殺人を実行する勇気があったかと言われると無し。

被害者はほぼ即死が多いの対してじわじわ殺されてしまった人。

冷凍庫に閉じ込められた際は必死に出ようとしたが、死に際に無理だと悟り、ダイイングメッセージを作る。これがなかったら裁判勝てなかったので、殺人どころか最期に上条たちの命を救っている。

名前の由来は将棋の将から。下の名前の歩夢も将棋の駒の歩から。

 

 

 

 

 

 

 

式野龍馬

クロだが、蹴上や弓長とは違い、連続する殺人に精神がおかしくなっでしまった。殺人を考えたのは4章に入ってからで悪人というわけではない。が、じわじわ被害者を殺すことになるのが分かっていながら、返り血を浴びないように冷凍庫閉じ込めを決行している。

おかしくなっているため死すら恐れず、最期まで正気ではなかったのは悲劇。

名前の由来は指揮、しき、式から。

ダイイングメッセージのために下の名前が龍馬になった。原作の1173と同じ。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外編
人狼 プロローグ


 俺、超高校級の陸上選手、上条翔太は困惑していた。 

 超高校級と呼ばれる才能を集めた魅才学園に来たは良いものの、体育館に来たらとんでもない光景が繰り広げられていた。

 

 

ウサミ「はいはーい、みなさーん。魅才学園にご入学おめでとうございまちゅ」

 

 

上条「開幕からなんなんだ!」 

 

籠森「なんだこのぬいぐるみ!?」

 

メイビー「どう言う原理で動いてんだ?」

 

深沢「ワタシが調べてみるね!」

 

ウサミ「ぬいぐるみじゃありまちぇん!ウサミでちゅ!この学園の教師でちゅ!」

 

弓長「教師?バカなこと言わないで」

 

絵馬「アニメじゃあるまいし」

 

加賀美「茶番はいいから早く入学式をやらないの?」

 

ウサミ「茶番とはなんでちゅか!あちしは立派な先生でちゅ」

 

香月「不格好なぬいぐるみのどこが立派なのかしら」

 

ウサミ「ぬいぐるみじゃないでちゅー!それに不格好とはなんでちゅか!」

 

監原「あーもうわかったから用件を言え。俺たち16人を集めている以上、何かをさせたいんだろ?」

 

ウサミ「そうでちゅ!さすが映画監督、察しが良いでちゅ!」

 

知念「これでそんなこと察せないよ」

 

 

 突然、目の前からもくもくと煙が上がる。

 

加賀美「なに?火事!?」

 

 

 

モノクマ「ジャンジャーン!これからオマエラには人狼ゲームをしてもらうよ!」

 

 白と黒のぬいぐるみが現れた。

 

蹴上「また変なぬいぐるみが!」

 

式野「本格的に気色悪いのが来たな」

 

モノクマ「コラー!先生に向かって気色悪いとはなんだ!」

 

将口「あのぬいぐるみも先生なのか?」

 

モノクマ「ぬいぐるみじゃないよ、モノクマだよ」

 

岩田「人狼ゲームってなんだ?追いかけっ子か?」

 

星野「追いかけっ子きらーい!」

 

佐藤「追いかけっ子だと、上条くんがかなり有利になる」

 

監原「人狼ゲームはそういうゲームじゃないって」

 

メイビー「いわゆるテーブルトークゲームだよ。それぞれの役職になりきるんだ」

 

モノクマ「詳しいルール説明しまーす」

 

 

 

 

 

 

 

モノクマ「というわけで、村人が7人、人狼は3人、狂人が1人、占い師が1人、霊媒師が1人、騎士が1人、共有者2人だよ。頑張ってね」

 

 

籠森「なんでそんなことしなきゃいけねぇんだよ!」

 

モノクマ「ああ、負けるとおしおきだよー!」

 

監原「そのおしおきってなんだ?」

 

絵馬「月に代わるの?」

 

モノクマ「秘密でーす」

 

……怖すぎる。まさか命をとったりしないか?

 

ウサミ「なんて残酷なルールでちゅか!」

 

モノクマ「役職は電子生徒手帳があるからちゃんと見てね。ルールを守らない奴もおしおきだからね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして始まってしまった人狼ゲーム。俺たちの運命はどうなってしまうんだろうか。

 

 

 

 

 

 

生き残りメンバー  16人

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

人狼 1日目&2日目

遅れましたが、よろしくお願いします


 俺は村人か。他のみんなはどうなんだろう。

 というか他のみんなのことよく知らないのになんでこんなことに。

 

 

 

モノクマ「じゃあオマエラは学級裁判に来てね。遅れたら夕食抜きだよ!」

 

ウサミ「ひどいでちゅ!でもミナサンは人狼ゲームをたのしんでくださいでちゅ!」

 

 こんな時に楽しめるかよ。

 

 

モノクマ「というわけでまたねー!」

 

 

 

岩田「消えやがった……」

 

監原「なるほど。あのぬいぐるみの真意は不明だが、従った方が良さそうだな」

 

メイビー「まるでデスゲームだね」

 

加賀美「やめてよそんな怖いこと」

 

絵馬「えぇ!?あ、あたしたち死ぬの!?」

 

監原「いや、もしかしたら新手のレクリエーションかもしれない。学園の知名度を高めるための。なんらかの撮影」

 

知念「撮影?」

 

監原「ほら、あちこちに監視カメラがあるだろ?あれで俺たちの動向を確認してんのさ」

 

 すごいなそんなことに気づくなんて。

 

弓長「バカバカしいわね。そんなことに参加してらんないわ」

 

籠森「俺は魅才学園にスカウトされて入学したんだ。あんなレベルの低い奴らと一緒にいたくなくてな。それなのに俺たちはそんな低レベルなことをやらせるのか」

 

監原「そうは言っても、本当にデスゲームだったりしてな」

 

上条「そんな…」

 

監原「とりあえず従おうぜ。俺は先に行く。……そうそう、俺は監原誠也、超高校級の映画監督だ」

 

 

どっかでみたことあると思ったらあの監原!?すごい、本物だ。

 

 

佐藤「上条くん、私のこと、覚えてる?」

 

上条「えっと……確か」

 

 

 

 

ウサミ「お二人ともー!早く来てくだちゃーーーい!」

 

ウサギのぬいぐるみが読んでいる。クマのぬいぐるみが弓長と籠森を引っ張っていた。

 

 

佐藤「わ、私たちもいかないとあんなことになる」

 

上条「あ、ああ。行こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺たちは席が円を描くように並べられた場所に立った。

 本当にゲームみたいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

昼の会議 開廷!

 

 

 

 

 

モノクマ「まずは人狼ゲームの簡単な説明から始めましょう。この中にいる3人の人狼を指摘し、処刑できれば村人チームの勝利ですが、村人チームと人狼の数が同じとなった時点で人狼チームが勝利します。負けたチームはおしおきだから覚悟してよね」

 

 

 

 

 

 

 

加賀美「話し合うと言ってもまずはどうすべきか」

 

監原「まずは改めて役職の確認だな。村人が7人、共有者が2人、占い師、騎士、霊媒師、狂人がそれぞれ1人で人狼が3人」

 

岩田「なんか村人チームが多いな、ずるくないか?」

 

メイビー「モノクマの説明聞いてた?人狼と村人チームが同じ人数になったら負けるんだよ?」

 

佐藤「処刑と襲撃を合わせたら1日で2人死んじゃうしね」

 

監原「人狼だって騎士が守りそうなところにはいかないしな」

 

上条「占い師はカミングアウトだ!」

 

加賀美「はいはーい、あたしが占い師よ」

 

弓長「待って、私なんだけど」

 

絵馬「優子よ!優子が占い師に決まってるわ!」

 

監原「まー、とりあえず、それぞれの結果を聞こうじゃないの」

 

加賀美「監原、あなたは『シロ』よ」

 

上条「なんで監原を占ったんだ?」

 

加賀美「明らかに仕切りそうだったから」

 

監原「そうか。シロ報告ありがとさん」

 

弓長「私は深沢を占った」

 

深沢「ワタシ?やったー!」

 

弓長「深沢も『シロ』だったわ」

 

上条「深沢を占った理由は?」

 

弓長「超高校級の探偵でしょ?人を模索するのに長けてそうだし早めにシロかどうか調べたかったの」

 

監原「じゃあ今回は弓長と加賀美と深沢と俺は吊りは無しってことで。他は誰吊る?」

 

メイビー「岩田」

 

岩田「ななな、なんでだ!?」

 

蹴上「なんで岩田が?」

 

メイビー「だってさっき君村人チームが多いってことについてずるいって言った。それは人狼側からの目線だ。だから君を吊る」

 

岩田「な、な、な……」

 

監原「あーりゃりゃ、痛いとこつかれたな」

 

上条「そんなこと言ってたのか……」

 

岩田「俺はそんなこと言ってない!」

 

将口「いや、岩田は言ってたはずだ。私は記憶力には自信がある。間違いなく言った」

 

岩田「うっ……わかった、俺は人狼だ!」

 

監原「おいおい」

 

岩田「男だからな!素直に認める」

 

蹴上「そういうゲームじゃないんだけど……」

 

籠森「馬鹿か」

 

香月「人狼チームに嫌われますね」

 

星野「岩田くんに入れれば良いんだねー」

 

監原「ま、そういうわけだ」

 

式野「人狼のルール、よく分かってないみたいだな」

 

佐藤「……」

 

 人狼に慣れてない人もいるし、岩田みたいな真っ直ぐな人間には向いてないな。一体、俺らに何をさせたいんだ。

 

モノクマ「はい、昼時間終わり!投票してくださーい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

岩田圭介 16票

 

 

 

 

 

 

処刑 岩田

 

 

 

モノクマ「はーい、岩田クンは退出してください」

 

ウサミ「こっちでちゅ!」

 

モノクマ「夜時間になります、人狼チームはチャットで話し合って誰を襲撃するか選んでくださーい!」

 

 

 

 

 どうなるんだ?狂人がいるかもしれない占い師を狙う可能性は低いし、狙っても騎士が守るだろうし。

 

 

 

 

 

2日目

 

 

占い師CO 加賀美 弓長

加賀美 占い結果 監原 シロ

弓長  占い結果 深沢 シロ

 

 

 

 

 

 

モノクマ「朝になりましたー!メイビークンが襲撃されました」

 

 

上条「あ、メイビー!」

 

監原「あー、人狼当てたしな。人狼からしたら始末したいだろうな」

 

上条「どうするんだ、この後」

 

弓長「占い結果だけど、将口はシロだったから」

 

加賀美「あたしは上条を占ったけどシロだったわ」

 

上条「そっかありがとう」

 

監原「さてと、霊媒師も出てこい」

 

絵馬「っ!?あ、あたしよ!」

 

上条「他にいないのか?」

 

いないみたいだ。まあ霊媒師のカミングアウトなんてあまり得をしないからね。

 

加賀美「大丈夫?一帆ちゃん」

 

絵馬「任せなさい!あたしにかかれば人狼は見つけられるわ!」

 

監原「はいはい、それで?岩田は人狼なのか?」

 

絵馬「確か……そうね、岩田は人狼!」

 

監原「まずは1人っと。終盤まで人狼を吊れなかったら占い師を順に吊るとして次はどうする」

 

星野「ねむーい!もうやめよー!」

 

監原「なっ!?おいおい」

 

星野「こんなつまらないことより星みたーい!」

 

籠森「クソ!こっちだってやってられるか!」

 

加賀美「ちょっと!星野さん!籠森!」

 

 

 

モノクマ「放棄したらおしおきですよーーー!」

 

監原「おい、モノクマ。そのおしおきってなんだ?」

 

モノクマ「負けてからのお楽しみです」

 

ウサミ「勝手に決めるなでちゅ!」

 

 

 

加賀美「文句言っても仕方ないでしょ。続けましょ」

 

式野「佐藤は全然喋ってないな、怪しいんじゃないか?」

 

佐藤「えっ……」

 

式野「シロが出た奴は疑わないとするとあとは喋ってない奴を吊るのが鉄則だ。役職持ちは論外だ」

 

佐藤「あ……」

 

佐藤が疑われてる!なんとかしないと……!なんか佐藤だけは人狼じゃない気がする。

 

上条「それだけで佐藤を疑うなんてお前も怪しいんじゃないか?」

 

式野「な、なんだと……」

 

監原「いーね、この感じ!いかにも人狼って感じだ!」

 

加賀美「ちょっと監原……」

 

監原「別に俺は進行ってわけじゃないし、占い師2人は進行無理だろ?」

 

加賀美「そうだけど……」

 

弓長「本来なら、霊媒師が進行なんだけどね。あれじゃあ無理みたいね」

 

絵馬「あれとは何よ!」

 

監原「そうだ!共有者はどうした?乗っ取られる前にカミングアウトしろ」

 

籠森「……っ」

 

式野「僕こそが共有者だ!なあ籠森!」

 

籠森「バカ言うな!俺は共有者じゃない!」

 

監原「あーもう共有者だろ?人狼に優先して狙われるだろうが納得しろ」

 

籠森「クソ……」

 

蹴上「で?どうするの?吊るのは」

 

監原「現段階だと……」

 

式野「僕は共有者だ。確実なシロ。佐藤を吊った方が良い」

 

上条「なんで決めつけるんだよ!」

 

式野「なんだ?問題でも?最悪、村人でも問題ないだろ?」

 

上条「でもっ……。佐藤!お前からは反論ないのか!?」

 

佐藤「私……私は人狼じゃないし、狂人でもない」

 

 

 

 

 

 

モノクマ「タイムアップです!みなさん、投票してくださーい」

 

 

 

クソ、佐藤はダメなのか……。

 

 

 

 

 

 

 

佐藤雪香 12票

蹴上秀   1票

式野龍馬  1票

 

 

 

 

蹴上「は?誰だよ1票いれたや……」

 

 

モノクマ「はいはい昼が終わったら喋らない!佐藤さんは退場してくださーい。

 

 

 

 

 

2日目 終了



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

人狼 3日目&4日目

モノクマ「3日目でーす!犠牲者は……式野クンでした!では話し合ってくださーい!」

 

 

占い師CO 加賀美 弓長

加賀美 占い結果 監原 シロ 上条 シロ

弓長  占い結果 深沢 シロ 将口 シロ

 

霊媒師CO

絵馬 霊媒結果 岩田 クロ

 

共有者 式野 籠森

 

 

 

上条「共有者が……」

 

籠森「間違いなく次は俺になりそうだ、くそ」

 

絵馬「佐藤はシロだったわ」

 

上条「ほら!」

 

監原「仕方ない。口数少ないやつから吊られるんだからな」

 

加賀美「あの、ちょっと良いかな」

 

監原「そうそう、占い結果」

 

加賀美「蹴上くん、クロだったわ」

 

蹴上「はぁああああ!?俺は人狼じゃねぇ!!なんで俺が!!」

 

香月「そんなムキになると余計怪しいですよ」

 

蹴上……どうしたんだ?キャラ違くないか?

 

弓長「ちょっと待って、偽物の占い師を信じないで。言っておくけど、知念はシロだったから」

 

知念「あ、ありがとう」

 

蹴上「俺は人狼じゃねぇっての!」

 

絵馬「優子が本当の占い師よ!」

 

監原「あー、めんどくさいなぁ、もう」

 

星野「めんどくさいし、多数決で」

 

監原「人狼は最初から多数決だろうが!」

 

上条「とりあえず!もう少し話し合おう。蹴上、反論はないか?」

 

蹴上「俺は人狼じゃない。それだけは言える」

 

籠森「それしか言えないのかよ。余計怪しいな」

 

深沢「なら加賀美さんにシロってされた人の言動を振り返れば良いんだよ」

 

監原「俺の他に上条か……さすがにいちいち覚えてないな。将口、なんかないか?」

 

将口「改めて言われるとな……シロと言われたのは監原と上条の発言でおかしなことはないと思うが……。それに私は弓長からシロをもらっている」

 

監原「だーかーらー、シロは適当言ってる可能性が高いんだって」

 

知念「じゃあは今日は蹴上くんを吊る?」

 

監原「当然。騎士は絵馬を守っとけよ。そうすれば加賀美の信頼度が上がるな」

 

弓長「適当に言ってるだけの可能性あるわ」

 

監原「なら明日だ。もし絵馬がやられていればシロだ。結果を知られたくないってことだし」

 

上条「でも監原大丈夫なのか?仕切りすぎな気もする」

 

監原「そん時はそん時だ」

 

蹴上「待て待て待て!俺は人狼じゃない!」

 

香月「だから余計に怪しいですよー」

 

 

 

 

 

モノクマ「はーい投票してくださーい!」

 

 

 

 

蹴上秀 11票

加賀美優子 1票

 

 

 

処刑 蹴上秀 

 

 

 

 

 

 

占い師CO 加賀美 弓長

加賀美 占い結果 監原 シロ 上条 シロ 蹴上 クロ

弓長  占い結果 深沢 シロ 将口 シロ 知念 シロ

 

霊媒師CO

絵馬 霊媒結果 岩田 クロ 佐藤 シロ

       

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モノクマ「4日目でーす!起きてくださーい!犠牲者は……」

 

上条「溜めるな!」

 

モノクマ「絵馬さんでーす!」

 

監原「決まりだな!加賀美!お前は人狼だ!」

 

加賀美「なんでそう思うの?」

 

監原「蹴上のクロの真偽を確かめさせたくないから、だろ?」

 

加賀美「へぇ、そう思うんだ。人狼はそれを狙ってわざと一帆を襲撃したとは考えられない?」

 

上条「それは一理あるかも」

 

弓長「加賀美を吊りなさい。加賀美はクロだったから」

 

加賀美「フーン……」

 

監原「仮に加賀美でも確かめようがないな。まあ良いや、加賀美な」

 

籠森「待てよ映画監督、その判断は甘いんだよ!」

 

監原「なんでそう思う?」

 

籠森「加賀美の方が良い奴そうだからだ」

 

 

 

 

知念「それは一理あるかも……」

 

監原「あのなー、これは人狼だぞ?」

 

弓長「なに!?なんなのあんたら!」

 

籠森「こんな馬鹿馬鹿しいゲーム、やってられないんだよ。こんなこと真面目にやらなくても死にやしないし」

 

弓長「確かに……。死にやしないし、私が信頼されなくても問題ないかもね」

 

監原「そのテンションでやるのかよ!」

 

深沢「……ワタシは監原くんを吊った方が良いと思う」

 

上条「深沢?」

 

監原「なんでだ?」

 

深沢「なんか、嘘を吐いてる目?そんな感じがする」

 

監原「そんなんで吊られたらたまったもんじゃない」

 

深沢「ワタシの超高校級の探偵としての才能がそう言ってる」

 

監原「そういや、そんな才能だったな」

 

 

 

 

モノクマ「はーーい!タイムアップです、投票してください!」

 

 

監原「加賀美に投票だ!」

 

深沢「監原くんに投票して!」

 

知念「あ、え……」

 

香月「いきなり喋って怪しいのは深沢さんだと思います」

 

籠森「そうだ!」

 

上条「え?あ?どどど、どうすれば!?」

 

 

モノクマ「あーもう喋らないでください!!」

 

 

 

 

 

 

 

投票結果

 

加賀美優子 3人

監原誠也  2人

深沢由奈  5人

 

 

 

 

処刑 深沢由奈

 

 

 

 

4日目 終了

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新作の創作論破が始まります!

新作の創作論破、リライブダンガンロンパ 絶望の南国修学旅行です!

 

 

→ https://syosetu.org/novel/247592/

 

本作を見た後に読めばより楽しめる作品となっています。

 

あらすじ

 

.

.

.

...............

.

.

.

. .

...............

.

. .

...............

.

.

.

.

 

.

...............

.

 

 超高校級の才能と呼ばれる特定の分野で一流の特技を持つ生徒だけを集めた学園、魅才学園。

 この学園に入学する柏祐一は気を失い、目を覚ました時、突然、南国の島にいた。さらに記憶も失い、才能も家族も思い出せずにいた。

 

 同じく超高校級の才能を持つ16人が集まった時、モノクマが現れ、コロシアイを強要する。

 この島から出たければ、誰かを殺さなければならない。

 

 超高校級の才能を持つ16人の生徒たちによる絶望の修学旅行が幕を開ける。

 

.

.

. .

...................

 

.

.................

 

.....

 

登場人物

 

超高校級の???

柏祐一

 

.

.

...................

 

.

.

 

超高校級のショコラティエ

佐藤雪也

 

.

.

.

...................

 

.

 

超高校級の霊能者

霊山拓人

 

.

.

.

. .

...................

 

 

超高校級のアンドロイド

安藤露井戸

 

.

.

.

. .

...................

 

 

超高校級の作曲家

曲原瑛二

 

.

.

.

. .

...................

 

 

超高校級のエンジニア

別技康介

 

.

.

.

. .

...................

 

 

 

超高校級のラグビー選手

闘山信弘

 

.

.

. .

...................

 

.

 

超高校級の釣り師

釣谷涼太

 

.

.

.

. .

...................

 

 

超高校級の囲碁棋士

囲井歩美

 

.

.

. .

...................

 

.

 

超高校級の歌手

歌浦ココネ

 

 

.

.

. .

...................

 

.

 

超高校級の巫女

神道幸

 

 

.

.

.

. .

...................

 

 

 

超高校級の令嬢

飛龍院鏡花

 

.

.

. .

...................

 

.

 

超高校級の女優

演川玲子

 

.

.

. .

...................

 

.

 

超高校級の華道家

一華撫子

 

.

.

.

. .

...................

 

.

 

 

超高校級のダンサー

踊場ジュリア

 

.

.

. .

...................

 

.

 

クロ、被害者などの生死予想もお待ちしております。

 

.

 

 

.

...................

 

 

 

.

 

 

 

人狼編はリライブダンガンロンパ 終了後、合わせてやりたいので、リライブダンガンロンパ を楽しんでいただけたら幸いです。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。