魔法少女リリカルなのは 平穏に暮らしたい… (aizaki)
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プロローグ前篇

なんとなくイメージしたオリジナルの主人公でなんとなく書き始めました。
いろいろと読みにくいかもしれませんが、平にご容赦を


目が覚めたら、何もかも靄がかかった世界にいた。

声を出そうにもあ~あ~としか出せない。

誰かに抱き上げられる感覚とその声から、どうやら私は生まれ変わって女の子になった事を悟った。

元男としては少々複雑ではあるが、女性になってみたいという願望は少なからずあったので、折角の

機会だ自分なりに素敵な女性を目指してみようと新たな人生を楽しむ事に決めたのですが…

 

よもや自分がこんなにトラブル体質だとは夢にも思わず、流石にコレでは平穏な人生は送れそうにもありません。

 

どうも、初めまして野宮彩華です。

五歳になりました。

私の家、昔の貴族の出で結構名家らしく、結構裕福です。

そんな環境の下、早くから、立って歩き両親と会話をしたので、今では神童ではないかと思われてる節があります。

大丈夫ですよ、お父様、お母様、「五つ神童、十で天才、二十歳過ぎればただの人」です。

私は前世の記憶というアドバンテージがあるので、効率的に成長しているだけなので、決して才能があるわけではないのです。

期待しすぎるのは少々心苦しいのですが…

ただ、この身体かなりのハイスペックです。

一度覚えた事はまず忘れませんし、大半の事は少し練習すればできるようになります。

最近は前世で覚えた知識の整理とそれを高める為に色んな事を学んでいます。

スポーツとかもやった方がいいかしら?

本気で走ると100m12秒ジャストで走れるのですよね…

 

そんなある日、変質者に誘拐され監禁されました。

いくら身体能力が高くても、一人で居たところに不意を打たれたら何もできません。

 

一週間もかからず助けられましたが、その間は変質者に好き放題されました。

ベッドに拘束され、抵抗も全くできません。

私の身体は相当良かったらしく、中で何度も果てられ、助けられた時は凄い状態だったのです。

お赤飯はまだなので流石に大丈夫だとは思いますが、五歳七か月で出産した人もいるので、安心はできません。

 

変質者さんの話では、私はかなり可愛い上、そういった衝動を強く掻き立てるみたいで、我慢できなかったみたいです。

その上で私の行動を調べ、実行に至ったそうです。

全く、ノータッチを守れないようなロリコンは世の中の為にさっさと死ねなのです。

 

なんでそんなに淡々と語れるのかって?

某書にある通り「起こった不幸をを気にしていたら、それを思い出す度に被害に遭っているのと同じ」だからさっさと割り切ってしまうのが自分の為に一番なんです。

とはいえ、そうなるまで結構かかりました。

元男というのもそれの助けになってるのがありますけど…

助けられた後は安心感と悔しさ、色んな想いから泣きはらしましたし…

 

こんな事件があって、ここにいるのは忍びないという事で、両親が引っ越しする事に決め、引っ越しをする事になりました。

引っ越し先は某県の海鳴市、私の前世で知りうる地名にそのような市はありません。

そうです。私は「とらいあんぐるハート」の世界に生まれ変わったのです。

 

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とそれを理解した時、とある光景がフラッシュバックしました。

 

前世の私が期せず悪魔との契約を行ってしまい、魂を代償とした契約を結んでしまったようですですが、

悪魔の真名を知り使役する事によりその契約を破棄するようにしたところ、

この契約を破棄、やり直す為には一度死に生まれ変わらなければいけないという話で、私の死後に新たな生を受け入れる事と

なったのですが…

 

求めた能力は以下の5つ

1.史上最高の身体

2.一万倍の習得(成長)効率

3.他者に対し好意的情動の喚起、影響下に居る者の精神操作無効

4.蘇生も可能な修復・回復・再構成能力(自分以外)

5.裕福な家庭

 

1はハイスペックな身体の事だと思う外見的な美しさや精神力もこれに伴っているのかも?

 

2は何か学んだときの吸収力がとんでもないという事でしょう

 

3はフェロモンでしょうか?私が傍にいると、ノルアドレナリンやドーパミン、βーエンドルフィンやフェニルエチルアミン等

の分泌が増加されるようなのです。

性欲の増進ストレスの減少、ドキドキハラハラ感に加え恋愛ホルモンが出る為、離れて分泌量が減ると辛く感じる禁断症状が起こる。

正直大した事無いだろうと思ってた自分に蹴りを入れたいけど、自業自得なのよね…

 

4は何故とったのかわかりません。この世界に転生する以上必要な事だという話なのですが、何故でしょう?

 

5は自身を伸ばせるだけの環境が欲しいとおもったので望んだ事。

 

それを決めた後、原作知識というものを奪い取られる形として転生する形になりました。

亡くしたのは「リリカルなのは」の知識だけで関連する情報は残っているようです。

 

そんなこんなで、この日以来、特殊能力が使えるようになりました。

 

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とりあえず書いてみたのですが、そのうち書き直すかもしれません。


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プロローグ後篇

プロローグなので、今まであった事をいろいろと述べてる話です。
見る人いるのかなぁ?


はい、そこまで!

試験官の合図とともに試験の終了が告げられる。

ここは、私立聖祥大学付属小学校の試験会場、両親は私立に入学させたかったみたいで、私も反対する事なくこうやって試験を受けています。

私が聖祥大学付属を受験すると知ったなのはちゃんも行きたいといい、同じ部屋で受験を受けています。

私としては、別に公立でも良かったのですけど、親がどうしてもというので…

二人とも無事に合格し、春から新一年生です。

 

なのはちゃんとは海鳴市に引っ越してきた後すぐ、公園で知り合って仲良くなりました。

引っ越してきたばかりで友達が居ない私と、公園でひとりぼっちで寂しそうにしていた彼女はすぐに打ち解けて、一緒に遊ぶようになりました。

別れ際に寂しそうにする彼女が少し気になりましたが、私が知識として知っている「高町なのは」はお父さんが既に他界しており、翠屋を軌道に乗せるまでの大変な時期なのかな?とは思っていました。

暫くしたある日、なのはが家に帰りたくないと言い出したので理由を聞く事にしました。

理由を聞くと予想していた事と違い、お父さんが事故で大けがをして、生死の境をさ迷ってる、家族全員はてんやわんやでなのはは独りぼっちで、家に居てもさびしいだけな上、迷惑をかけないようにいい子にしていないといけないと思っているようです。

私と遊んでいた事により、ある程度の気が紛れていたようですが、誰も居ない家に独りぼっちで居るのもそろそろ限界だったようで、その日は翠屋に居る桃子さんに電話をしてウチに泊まりました。

後日、泊めてあげたお礼として桃子さんに翠屋に招待されましたので、桃子さんとお兄さんとお姉さんいい機会だと思いなのはちゃんの想いをぶつけるようにしたところ、わだかまりが解けたようです。

 

また士郎さんのお見舞いにもなのはちゃんと一緒に行きました。その際、特殊能力で身体の中をこっそり修復をしておきました。

能力を使用した際、ごっそりと何かが抜け落ちる感覚がしましたが、数日したら復活したので大丈夫なようです。

きっとこの為にこの能力が必要だったんですね。

 

その甲斐もあってか、士郎さんはその後に目を覚まし今では翠屋で桃子さんと一緒に働いています。

 

あと、外見に気をつけるようになりました。

黒縁伊達眼鏡をかけ、三つ編みお下げを2つにして、前髪を伸ばして目立たないようにしています。

恐らくフェロモンの効果が強いと思ったので、汗とかには特に気をつけて生活するようになりました。

自宅に招待した時なのはちゃんが「綺麗…」と褒めてくれて嬉しかったけど、正直言ってこの姿はメリットがないのです。

 

もうひとつ、この街に引っ越してから武道を学ぼうと思いました。

流石にこの先を考えると、護身術が全く無いというのは危険極まりないです。

個人的には槍術とか学びたいと思っていたのですが、教えてくれる人が居ません。

 

現存する宝蔵院流槍術は奈良・大阪・愛知・ドイツですし、尾張貫流は愛知と神奈川、佐分利流は広島、風伝流は福井・石川・富山、天真正伝香取神道流は神奈川、遠すぎます。

本を参考にして嗜む程度にやってみましょう。

学ぶのは弓道が部活にあればやって、本筋は合気道を学ぶのが良いと思い道場に通い始めました。

高町さんの家の剣術も魅力的ではあるのですが、流石に教えてはくれないと思うので、たまに見学をして見取り稽古です。

 

 

 

私立聖祥大学付属小学校に入学して私は目立たないように自分からは他人とかかわろうとはせず、本を読んで過ごしましたが、中には私に話かけてくる子も居たのでそういう子とはある程度仲良くなりました。

男子に本を盗られたりして悪戯される事が多かったです。気になる子に悪戯して気を引きたいのはわかりますが、ダメですよそんなんじゃ女の子の気は引けません。

そんなこんなで、暫くしたある日、なのはちゃんが二人の女の子を紹介してきました。

一人はアリサ=バニングス、そしてもう一人は月村すずか、すずかさんとはある程度交流があったのとアリサさんもこちらを気にしているのはわかっていましたので、友達になりました。

以来ほとんど4人一緒の事が多くなりました。

しかし、アリサ=バニングスさんですか…アリサ=ローウェルさんではないので変な事にはならないと思いますが、ちょっと気をつけた方がいいかもしれませんね。

私のような目に遭う人は少ない方がいいですから…




他にオリ主出した方がいいでしょうか?
ちょっと迷ってます。

出すとしたら男二人。これだけ女性ばかりの場所にこれ以上女子はいいでしょう。

出すと話がかなり変わりそうな気がするのですが…


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原作開始前
第一話


本編開始まで続くのでしょうか?



野宮彩華です。

二年生になりました。

なぜか、クラス委員長に任命されてしまい。

先生のお手伝いをしています。

 

アリサさんやすずかさんは習い事や塾通い、私は合気道と自宅で修練、勉強に関しては自宅学習で充分なので特別に塾は行ってません。

テストに関しては、アリサさんがトップ、私が2番、すずかさん、なのはちゃんの順番です。

確かに全問正解も可能なのですが、トップを取ると目立つので、常に2問程度間違えるようにしています。

 

ただ、毎回アリサさんと答案の見せ合いをするのですが、最近どうもアリサさんの眼が険しいものになる事が多いです。

 

すずかさんの家もアリサさんの家も凄い豪邸でした。

なのはちゃんは家に道場があるくらいの広いおうちですし、みなさん凄いですよね。

私はごく一般の家庭ですので、豪邸なんて滅多に見れるものではありません。

 

すずかさんの家には、お姉さんの忍さん、メイドのノエルさんがいました。

ファリンさんは知らなかったのですが、K・エーアリヒカイトということは彼女も自動人形なのでしょうか?

凄い技術力ですよね

 

両親とお兄様と一緒に海外旅行に行きました。

行先はイギリスのロンドン、大英博物館やグロースター聖堂、ウェストミンスター宮殿。

ウェストミンスター宮殿の鐘はウェストミンスターの鐘と呼ばれる学校の「キンコンカンコーン」で有名な鐘の音です。

 

そんなイギリス旅行の最終日にポートベローのアンティーク・マーケットへ向かった時の事でした。

ポートベローは数あるロンドンの骨董市の中でも最大級で、観光的にも最もメジャーな場所なのです。

茶色いポットのような看板が目印の場所で、ポートベロー通りに沿って延々と店が並んでいるのですが、実はアンティーク関係は半分もなかったりします。

部分的に食料品だったり、日用品(主に安物衣料)を扱っていたり、いろんなものが置いてあるのです。

 

お土産にビンテージ・ジュエリー屋さんで買い物をしてる時、微かに誰かを呼ぶような声が聞こえてきました。

お父様もお母様もお兄様もそんな声は聞こえないとの話でしたが、呼びかける声はその店の石から聞こえてきました。

色は碧、形は菱形で八面体を象った平たい形の宝石がついたペンダント、とても気になったのでお父様へ買って欲しいとお願いして買ってもらいました。

 

その石は古ぼけて傷だらけだったので、能力を使ってみたところ、修復できてとても綺麗になりました。

どうやら私の能力は無機物にも有効みたいです。

 

その夜、夢を見ました。

大きな建物の中に私は立っていました。

中を見まわしていると奥から一人の男が歩いて来ました。

その男は私に向かって

「ようこそお嬢さん、私は貴方のような資質を持つ人を長年待ち続けていた」

「資質?一体何の資質なのですか?」

「魔法を扱う事のできる資質だ」

魔法という言葉を聞いた瞬間、我が耳を疑う。

「魔法?」

「そうだ、魔法だ!貴方はその中でも類稀なる資質がある。」

HGSという超能力があるので、魔法があってもおかしくは無いと思いますが、お父様・お母様、私はどうやら魔法使いになれるそうです。

とってもお断りな話ですけど!

「貴方は何者ですか?」

「私はアルストゥール・レイリス・アルハザード、四天の魔導書の作者にて今は滅びし世界の者」

「貴方の望みは?」

「四天の魔導書を継承し、魔導書を完成させ汝が最高の魔導師となる事を望む」

「お断りします!」

私の人生です。勝手に決めないでください。魔法が飛び交う危ない世界なんて平穏とは程遠いじゃないですか!そんな世界でトップを目指したくありません。

「何故だ?私の呼びかけに汝は応えた、魔法を扱う資質の無き者に我が声は聞こえぬ、さらに壊れ朽ちかけていた我を汝は直したではないか!そのような者が何故断る!?」

………という事はあの碧の宝石のついたペンダントがこの人なんですね…

「如何にも、正確には我は汝が直したデバイス[アルストゥール]レイリス・アルハザードが作りし四天の魔導書を管理し、継承する者を見つける命を受けたもの」

どうやら考えている内容も相手に伝わるようです。

確かに魔法が使えるようになってみたいという願望が無いわけではないのですが、それに人生を賭ける気は全くありません。

「ならば話は早い、素質の覚醒を行おう」

そう男が言い、私に手を伸ばして来ました。

人の話を聞きなさい。余計なお世話です、私には必要無いのです!

私はその男の手を払いのける為に男の手を取り、組み伏せようとしましたが、男の手は掴めずにすり抜けてしまいました。

男はそのまま私の心臓の位置に手を差し込み何やらつぶやきます。

その瞬間、私の全身に激痛が走ります。

全身の血管に無理やり異物を流し込まれ、全身の毛穴から何かが噴き出す

「ああああああ~~~~~」

絶叫を上げ、痛みに耐え、なんとか意識を保っていると、一瞬痛みが引いたかと思うと

今度はは逆に全身から心臓目がけ何かを抜き取られる感覚が襲ってきます。

「------------------------」

私は声にならない絶叫をあげ、自分の胸から光の玉らしきものが取りだされるのを見た直後、気を失いました。

 

 

素晴らしい!

この少女の素質はここまでとは!

誰よりも大きな魔力に加え、五大元素変換資質まで持っている。

吸い上げた彼女の魔力は四天の魔導書に供給し、使い手として充分すぎる存在だ。

これで私の念願が叶う!

これだけの資質の者はもはや見つからないだろう。

逃げられないように強制の魔法で縛っておいた方が良いだろう。

4つに分けた魔導書はもはや喪われてしまったが、後世に偉大な魔法を伝える為にこの書を完成させる。

少女よ力を貸してもらうぞ

 

 

翌朝、ホテルで目覚めると凄まじい倦怠感があり、身体への力が入らず少々ふらついてしまいました。

修復・回復の力を使った時でさえ、ここまでになる事は無かったです。

お母様は「はしゃいで疲れちゃったのね、後は帰るだけだから」とか言っていましたが、これは絶対に違う!

そして、昨晩の夢の事を話そうとしたのですが、なぜか声が出せません。

それ以外の事は普通に喋れるのですが、昨晩の夢の事を意識すると何故か声が出なくなるのです。

ペンダントを壊そうと何かに叩きつけようとしても手からペンダントが離れなかったり、軽く投げる動作になったり

錐とかで壊そうとしても、硬いシールドが展開されて攻撃を阻むのです。

おのれ、アルストゥール!

 




この時期から魔導師としての修行も始めます。


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第二話

キャラクターを掘り下げると原作開始する前に書く事が多いです。



野宮彩華です。

旅行から帰ってきました。

 

アリサには火のイメージの赤のスピネル

すずかには水と月のイメージでブルームーンストーン

なのはには太陽のイメージで黄色の琥珀

のストラップをあげました。

私はターコイズです。

 

旅行先で手にしたアルストゥールは何故か捨てようとしたり外したまま遠くに行こうとしたりする事ができません。

害が無ければ問題ないのですが、今も尚凄い勢いで私の魔力を吸収し続けているので、正直堪りません。

吸いつくすと吸収を止めるのですが、吸いつくされた時の倦怠感がとても酷いです。

体力が無くなる訳ではないので行動するのに問題ないのですが、気力が無くなるといった感じなのでしょうか?

とにかく好き放題吸われ続けないように魔力制御を特訓した結果、吸われる量を少なくできるようになりました。

そしたら今度こやつ、魔力のギブスをしかけて来やがった。

しかも吸収は続けたままで…

 

「あやかちゃん?」

なのはの声で現実に戻る

「大丈夫?ぼーっとしてたけど?」

「大丈夫だよなのは、ちょっと考え事してただけだから」

「旅行から帰ってきてから、考え事が多くなってるけど何か悩む事でもあるの?」

「確かにそうだよね、前は全然そんなこと無かったけど、最近ほんとに多いもん」

アリサとすずかも心配そうに聞いてくる。

ホントはコイツのせいなんだ!と叫びたいところなのだが、声に出す事ができない。

今の私は魔力吸収に対する制御、魔力ギブスに対する魔力量の配分、そして会話に意識を割いている状態。

はっきり言ってキツイ

「え・・・うん・・・あー」

どう言えば奴の禁則事項に引っかからないのだろう?

「うん、悩み事はあるよ」

悩み事がある事は言える

「やっぱりあったんだ、話してみなさいよ」

アリサが急かしてくる

「旅行の時に…」

そのあとが続けれられない、声が出せない。

「旅行の時に何かあったのかな?」

すずかが聞いてくるが、声が出せないし、首を縦に振ることもできない。

悔しくて、涙が出てきた…

「あやかちゃん?」

なのはが心配そうに見つめる。

「ご…ごめん、言いたいんだけど、言えない…本当にごめん…」

「そう、ならしょうがないわ、ただこれだけは教えて、あやかの抱えてる悩みは私達で解決できる事?」

アリサの言葉に私は首を振る。

「そっか…それじゃぁ、言えるようになったら教えなさいよ」

「うん、ありがとうみんな」

 

「それで話の続きだけど、もうすぐあやかの誕生日だけど、誕生日会もちろんやるんでしょ?」

「あやかちゃんの誕生日って再来週の水曜日だよね?」

そうなのです。私の誕生日は12月15日、再来週の水曜日なのです。

「ん~、ケーキは桃子さんにお願いしているので、あとは場所とかですよね、お母様は特に何も言って無いみたいなので、たぶん自宅でやる事になると思うのですが…」

「あやかちゃんのお誕生日会は翠屋でやるっておかーさんが言ってたよ?」

なのはが場所について教えてくれる。

去年も一昨年も私の誕生日はなのはの家族も一緒に私の家でお祝いをしたので、てっきり今年も自宅だと思っていたのですが、確かにそこにアリサとすずかが参加する事になるとかなり狭い。

確かに翠屋でやれるならそれがいいのだろうけど…

「了解、それじゃぁその方向で考えておいて、正式にはお母様に確認してからみんなに連絡しますから」

私の知らない話だけど、なのはと桃子さんがそう言っているなら恐らく事実なのだろう。

「了解、それじゃまたね~」

「またね~」

 

家に帰り、夕飯時にお母様へ確認したところ

「あら、なのはちゃんから聞いちゃったのね、あやかを驚かせようと思ってたのに残念」

どうやら、本当に私の誕生日会は翠屋でやるみたいなので、その晩みんなにお誕生日会の招待メールを送信しました。




次は誕生日会前日の話です。


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第三話

誕生日前夜の出来事。


野宮彩華です。

明日は私の誕生日会です。

夜、私はまたあの夢を見ました。

 

気が付くといつぞやの夢の時と同じ、大きな建物の中に私は立っていました。

そしてまた、アルストゥールとの再会です。

 

「久しいな彩華よ」

「貴方に名前を呼ばれる程、親しくなった覚えはありません、そんな事より私にかけた呪縛を解きなさい」

「それは出来ぬ相談だ、そもそも我に命令できるのは我が主のみ、我が主レイリスより受けた命は四天の魔導書の継承者を探す事、四天の魔導書を完成させる事、新たな主が最高の魔導師となる為に手助けする事だ」

要するに、私は継承者ではあるが継承してないので主ではないという事ですね、四天の魔導書とやらを継承するのであれば新たな主として私のいう事を聞くということでしょうか?

「だったら、私の生活の邪魔をするな!私は魔導師になるつもりはないから、そんな嫌がらせをしてもその気にはならないぞ」

「嫌がらせ?何の事だ?」

不思議そうにアルストゥールが尋ねる。

「とぼけるな!私の魔力を根こそぎ奪ったり、魔力を使わなければ指先ひとつ動かせなくなるようにする事だ!」

あれが嫌がらせでなければ、なんだというのだ!

下手をすればまともに生活すらできなくなるというのに…

「ああ、魔導師としての鍛錬の事か」

こいつは、今なんといった?

「た…鍛錬?」

「その通り、魔力吸収に対する対応は魔力の制御技術の向上に、魔力ギブスに対する対応は魔力の運用技術の向上に繋がる。いやはや、やり方を教えてくれと頭を下げてくると思っていたが、自分の力で何とかしてしまうあたり、彩華には天賦の才がある、腐らせるには実に惜しい。」

だめだ…こいつは恐らくプログラム通りに遂行しているに過ぎないから、人の心など解らないのだろう。

資質を持つ者見つけたら鍛え、本人の意思とは関係なく相応しい能力の持ち主として育て上げる。

魔法を使いたいと思う人間にとってはこの上なく便利な存在だが、そうでない私のような人に対してはこの上なく邪魔な存在。

だけど、こいつをどうにかするには魔法をつえるようになるしかない。

魔導師に…なるしかないようですね…

私は覚悟を決めた。

「アルストゥール、聞きたい事がある」

「何なりと答えよう」

「私は魔導師になってもいいと思っているが、最高の魔導師を目指し鍛錬するつもりはない」

「問題ない、彩華の考える最高の魔導師と我の定義する最高の魔導師は異なる。我の定義は彩華が一人前の魔導師となり四天の魔導書を完成させる事」

「四天の魔導書の完成とは?」

「魔導書の999頁を揃える事だ」

「その方法とは?」

「リンカーコアより魔力を蒐集し書に魔力を満たせば、頁は埋まる」

「魔力を蒐集された者はどうなる?」

「吸いつくされた者は死に絶える、吸い尽くさねば死ぬことは無いが、蒐集量に関係なく一人につき一度しかできない」

「それ以外に方法はあるか?」

「ある、それは他者の使った魔法を記録する事」

「前者と後者の違いは?」

「前者は優れた魔導師であれば一度に十数頁埋まる事もあるが、後者は一人につき一頁しか埋まらない事、一人の魔導師に対してどちらかしか選択できない」

な…なるほど…約1000人の魔導師と戦わなければならないという事ですね…

「一人前の魔導師となるには?」

「我の示す鍛錬を行い、全てを修了する事」

「私は人生を魔導師になる為に費やす心算はないけど?」

「そこは…善処しよう。鍛錬の内容とその目的を説明する、彩華はその鍛錬を行う時間を決める」

選択肢は…無いわね、同じやるならまだ自由のある方にした方がいい。

「わかったアルストゥール、四天の魔導書の主になるわ」

「感謝する。彩華」

そう、アルストゥールが答えると、私の目の前に四天の魔導書が現れた。

四天の魔導書に掌を触れると足元に大きな魔法陣が現れる。

色は虹色、上下左右と中心に円があり謎の図形が描かれている。

更には隣り合った円を結ぶように帯が繋がって、向かい合った円同志を繋ぐ帯は中心の円を避けるように2本ずつ、菱形を象った形で繋がっている。

中心の円の中には六芒星が描かれており、各頂点から中心の小さな円に向かって帯が繋がっている。

帯にはよくわからない文字が描かれており、小さな円の中には剣十字が描かれていた。

 

「契約の祝詞だ声に出して告げよ」

アルストゥールがそう告げると、私の頭の中に言葉が浮かぶ

「我は四天の織り為す王、契約のもとその力を解き放て

夜天に広がる無限の空へ

陽天の標となりし黄道より至りて

月天の標となりし白道より戻らん

星天の如く煌く魔導を集わせよ

四天の魔導書、起動」

 

言い終わると共に魔法陣が一層輝きを増して、視界が塗りつぶされる。

光が収まった時には、魔導書は目の前から消えていた。

「四天の魔導書はどこに?」

「汝が願えば汝が元に現れるし、魔導師としての装束を纏う時にも同様に現れる」

魔導書を取りだそうとすると手元に現れ、仕舞おうとすると手元から消えた。

「なるほど、便利ね」

「これにて契約は完了した我が主よ、我は魔法支援機(デバイス)のアルストゥール、四天の魔導書が完成するまでよろしく頼む」

「よろしくアルストゥール、これからはアルスと呼ぶわ」

「了解した、我が主」

「さてアルス、主としての命令です。私にかけた呪縛を解きなさい」

「残念ながらその命令は承服出来かねる、我が主よ」

こ…これって詐欺の手口ですよね?言う事を聞かせるだけ聞かせて、こっちの要求は突っぱねるって…

「誤解しないでもらいたい。我としてもできれば解除したいが、何より主と書を護る為には今はまだ解除するべきではない」

「どうして?」

「それには、まず昔話をしなければなるまい。

今はもう無き古代ベルカと呼ばれる世界に於いて四天の魔導書を元に、四冊の写本が作られた、

書の名前は夜天の書、陽天の書、月天の書、星天の書

夜天の力を持つ書は魔法の蒐集と行使に優れ

陽天の力を持つ書は魔法の解析と魔法式の復元に優れ

月天の力を持つ書は魔法の複写と魔法式の構成解除に優れ

星天の力を持つ書は魔法式の改良と対抗魔法の生成に優れた

書はその作られた目的通り、魔導の発展に大きな力を発揮しした。

しかし、四冊全て力を求める者、悪意ある者により、奪われ・改変され、破壊されて全ての書は喪われてしまった。

ましてや、四天の書はその四つの原書だ、護る術を持たない者が持ち主だと知られた時、持ち主の危険は計り知れない。

その存在を知られる訳にはいかぬ故、今はまだ我が主にかけた制約を解く事はできぬのだ」

「そう、わかったわ。自由になりたいのなら早く一人前になれって事ね」

「それでは、我が主よ、戻るとしよう」

そう、アルスが告げると、私はベッドから目が覚めました。

朝起きて試してみると、魔導書はちゃんと手元に現れますし、アルスは呼びかけに答えます。

 

お父様、お母様、お兄様、彩華は本当に魔法使いになってしまったようです。

 




設定とか呪文とか
みんなよく思いつきますよね、すごいです。


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第四話

書きたい事が増えてるので、分割して話を書くことに


第四話

 

誕生日当日

 

今日も学校です。

 

朝早く目覚めましたので、今日はなのはちゃんの家で、恭也さんと美由希さんの稽古を見学しようと思います。

槍を使い始めてから知った事なのですが、槍を扱う者は、実は剣にも長けてなくてはならないのです。

ただ、槍術は基礎となる棒術や杖術の型をやっている最中で、まだまだ戦えるレベルには程遠いので、そんなに急ぐ必要は無いと思ってます。

それに合気道にも剣術はあるので、まずはそれをきっちり身につけてからですね

 

制服に着替え、髪を編み、眼鏡をかけて鏡を見て確認

そうしてから階段を下りリビングへ向かいます。

リビングには既に起きてご飯を作っているお母様が迎えてくれます。

「おはようございます。お母様」

「早いわね、今日はなのはちゃんのところで練習?」

「はい、今日は軽くですけど」

「すぐにご飯の準備ができるから食べていきなさい」

そういって、お母様はテーブルに朝食を並べ始めました

「いただきます」

 

 

 

 

 

入り口で礼をして道場に入ります。

「おはようございます」

「「「おはよう、彩華ちゃん」」」

既に道場にいる士郎さんたちに挨拶をしてから、自分の身長くらいの棒を使って型の練習を始めます。

しばらく練習していると、恭也さんと美由希さんが組み手を行いますのでそれを見学するというのが基本的な流れです。

御神の剣は古流剣術であり、とらいあんぐるハートの世界でもかなりのもので、神速なんてとてもじゃないですが、人間の技とは思えません。

それを除いても、古流剣術を知るのは大きな力になります。

《柔を極めるには古流を学べ》というは柔道の話ですが、かの嘉納治五郎先生も《行き詰まったら古流に学べ》といっています。

これは武術全般にいえる話だと思うのです。

そもそも稽古とは古を稽(かんがえる)という意味ですし…

アルスに撮影をお願いし、私は同じ動きを自分が動いてるように想像します。

あとで実際に身体を動かしながらやってみましょう。

 

私の予想では、美由希さんを相手に耐えるだけならそこそこ持たせられるかもしれませんが、フェイントを見極められずに負けるのではないかと思います。

合気の先生に型は完璧だとお墨付きをいただいておりますが、実戦経験が全くないので現時点では相手に合わせることしかできないので、虚実が入り混じってた攻撃に対応できるでしょうか?

ただ、魔力ギブスを外した身体強化全力で挑めば初回だけならいい線行けるでしょうが、それでは身体能力に甘える事になり、私の目指す処には辿り着けません

そう考えていたら、組み手が終わったようです。

 

「美由希さん、ちょっとよろしいでしょうか?」

「何かしら彩華ちゃん?」

「お手合わせをお願いしたいのです」

私のお願いに美由希さんは驚いた顔をして

「大丈夫なの?彩華ちゃん」

「眼鏡を外さなければ、大丈夫だと思います。」

私は眼鏡を外して、外を歩く事ができません。

この眼鏡は伊達なので、視力的には何の問題も無いのですが、眼鏡をかけずに外に出ると、身体が震え足が前に出なくなります。

それでも前に出ようとすると、今度は強烈な吐き気に襲われて動けないのです。

ただ、家の中は大丈夫なのと、なのはちゃんの家でも大丈夫になったのですが、道場ではダメでした。

外して暫くすると身体が震えだし、士郎さんと向かい合ったら、膝がガグついて構えるどころではありませんでした。

お医者様は心理的なものとおっしゃっていましたが、どうすればいいのか全く解りません。

原因として思い当たるのはあの事しかないのですが、他人に話せるくらい割り切ってますし…

 

「武器は?棒を使う?」

「いえ、自分がどれだけできるか知りたいので、無手でやります。」

そう話し合いながら、道場の中央にお互い行きます。

そしてお互いに礼をして構えます。

一重身の構えを取り、右手を鼻先の位置へ、美由希さんを中心にその周りをといった形で全体的に捉えます。

合図は無し、礼をして構えたら既に戦いは始まっているのです。

 

張り詰めた空気と静寂が道場を包みます。

美由希さん相手に自分の身を護る事ができるでしょうか?

間合いを見切り損なえば、そこから押し切られます。

美由希さんの攻撃をなんとか回避し続けます。

暫くは大丈夫でしたが、徐々に追い詰められていきます。

そうして、詰んだなと思った次の一瞬に、気が付くと美由希さんを一教で抑え込んでいました。

「だ…大丈夫ですか?」

慌てて美由希さんから離れる。

「お見事だよ、彩華ちゃん」

「ありがとうございます。立てますか?」

「大丈夫だよ」

そういって美由希さんは起き上がります。

 

 

 

これは驚いた、入りから技に至るまでの流れに無駄がなく、自然な流れで決まっている。

技もさることながら、もっとも目を見張ったのは最後の瞬間だ、入身のスピードが速く、消えるように美由希の死角に移動し、腕を取りそのまま技に入っている。

「父さん、今のは…?」

恭也も気になったらしく、聞いてくるが本人に聞いてみない事には、なんとも言えない状態だ

「彩華ちゃん、お見事。今のは凄かったね、どうやったんだい?」

「私もよくわからないんです、気が付いたら抑え込んでいましたので…私何かしたんですか?」」

「瞬間移動したような速度で動いたように見えたから、どうやったのか興味があってね」

その事を聞き、彩華ちゃんは驚いた顔をして

「えっ…?そうなんですか?そんなに速かったのですか?」

聞き返してくるくらいだから本当に解らないのだろう。

「そうか…そろそろ時間だから、準備して行きなさい。気をつけてね」

「はい!ありがとうございました。」

 




戦いの描写は経験者でないと難しいので、あまり詳細には書けませんね…


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第五話

美由希さんは右利きのはずなので、左構えで相対したら合気道じゃなかったですね…右相対に変更しました。


なのはと一緒にバス停に向かい、アリサとすずかとはバスで一緒になります。

 

バスの中で

「そういえば、私たちの中で彩華ちゃんの誕生日が一番最後だよね」

そうなのです。去年の誕生日会はお互い招待する機会が無く、同じ人達でやっていました。

今年に入って、最初になのはの誕生日を皆で祝いました。それが四人揃っての最初の誕生日会です。

その後、アリサちゃんとすずかの誕生日会を行い、私が最後となります。

「私としては、クリスマスも近いので一緒にしてもらってもいいのですけど…」

「なに言ってるのよアンタ、自分の誕生日を祝わなくていいなんていうもんじゃないわ」

「そうだよ、あやかちゃん」

私の声をアリサが遮り、すずかも同意する。

「そんな事は言っていません。一緒でいいといったのです」

「それは祝わなくていいと言っているのと同じよ、私達が祝いたいと言っているのだから、あやかは素直に祝われてればいいの!」

アリサのその言葉にすずかもなのはも肯いて同意する。

「ありがとう、みんな…楽しみにしてるね」

 

学校に付き、教室に入ります。

学校の授業に関しては、覚えている事の再確認と、今後に関してアルスと話し合いが主です。

今日は念話のやり方について教えてもらっています。

基本的に念話は魔力保持者相手にしかできません。

やり方は大きく分けて二通りの方法があります。

ひとつは個人を特定した方法、もうひとつは不特定多数を対象にした方法の二通りです。

前者のやり方は特定の相手に魔力の線を伸ばすといった感じで、

後者のやり方は魔力を放射してといった感じで行うみたいです。

表現としては、糸電話とメガホンといった感じでしょうか?

 

不特定多数を対象にした念話の練習はできないので、アルスと念話ができるように練習します。

問題無く念話ができる事を確認した後、今後の予定の打ち合わせです。

まず最初にやることは、自分の使用する武器の選定と戦装束を決める事

武器はなんでもいいようなので、基本形態は杖、変形で槍と弓になるように設定。

戦装束は水干を基本とした緋袴、烏帽子は無く、長袴は短めに、三つ編みを解き眼鏡を外し髪をまとめた形にします。

あれ?書はどこにしましょう?腰の後ろにに横向きにする形でいいでしょうか?

 

修行の件に関しては、魔力ギブスは変動が行われると、弱かったのが強くなるときは動けないだけなのでいいのですが、逆の場合、余剰の力でモノを破壊してしまう時があります。

身体強化の基礎にもなるので、これは常にやっておいた方がいいので、今の設定は最大圧力に対しての少量の魔力で対応できるように効率化ですね

魔力吸収に関しては現時点の制御技術で問題無いとの事なので、中止しました。

その代わりに戦闘のイメージトレーニングを始めました。

アルスが得た情報を基に仮想的を作成して、戦うといった形です。

色んな事を同時にする事は疲れるのですが、魔導師は分割思考が必須となるらしいので、慣れていく度に増やす必要があるそうです。

今晩、空の飛び方を教えてくれるそうなので、ちょっと楽しみだったりします。

 

『ところでアルス、今朝の手合わせ際、どうして入身が出来たのか解る?』

『普段の主であれば最後の攻撃に対して何もできず、終わっていたはずですが、あの時に限って主は尋常ではない速度で入身を行っていました。』

『だから、消えたように見えたという訳ね、アルスが何かしたの?』

『私は何もしておりません。主の隠し玉みたいなものではないのですか?』

『高速移動魔法みないたものを使えば出来ると思うけど、魔法はまだ何も手をつけてないから、魔法でやった訳ではないし』

と、思考を割いていたら先生に当てられてしまったので、回答しに行きます。

大丈夫です。授業もちゃんと聞いていますので問題はありません。

『手加減してくれていて、全く手が出ない状態でしたし、まだまだ修行がたりないですね…』

『とはいえ、主のレベルは一般人では相手になりません。護身術のとしてはもう充分なレベルだと思いますが?』

アルスと念話をしながら、先生の出題に対して黒板に回答を書きます。

『確かにその通りなんだけど、私の目指すところは武の心得のある人と戦えるところを目標にしてるから、まだまだなのです』

回答を書き終え、挨拶をして席に戻ります。

 

 

お昼になりましたので、みんなと一緒に屋上でご飯です。

 

「そういえば、あやかは塾とか行ってないの?」

 

アリサが前々から疑問に思ってた事を訊いてきます。

「私は習い事は合気道だけです。勉強は自宅ですね」

「家庭教師とにお願いはしているのかな?」

すずかがもう一つの可能性を指摘してくる。

「残念ながら家庭教師も頼んでいません。自分なりの勉強でなんとかなってますけど、どうして?」

私の言葉に二人は心底信じられないと顔をする。

「それになのはと一緒に勉強する事もあるし」

「そうそう、あやかちゃんはすっごく教えるのが上手なんだよ!」

私も出来の悪い生徒だったから、理解できない人の事はよくわかるのです。

とはいえ、今の時期に習う事って丸暗記が基本なので暗記力勝負なんですけどね

だから勉強は寝る前に集中してやるのがいいよ~

という話をしたら、実際なのはがやってみたら効率が良かったとか…

あとは最近気になった事や、新しく始めてみた事とか楽しく話していたらお昼休みが終わってしまいました。

 

午後の授業も終わり、みんな一度家に帰った後、翠屋に集合です。

参加者は私の家族となのはの家族、すずか、忍さん、アリサの12人です。

みんなで一緒に美味しい食事を食べて、楽しいひとときを過ごしました。

お父様とお母様はなのはの両親と一緒、恭也さんと忍さんが一緒でしたので、お兄様と美由希さんがお話をして結構仲良くなったようです。

その後、アリサ・すずか・なのはにお兄様を紹介しました。

お兄様の名前は将成といいます。サッカーが好きなのですが、こっちに来てからはやっていませんでした。

その話を聞いた士郎さんがチームに誘ってくれたので、ちょうどいい機会だし翠屋FCに入る事にしたようです。

勿論、応援にいきますよ、お兄様がサッカーをやってる姿は私も好きですから

 

その夜、アルスが空の飛び方を教てくれるとの話だったので、家族が寝静まった後に戦装束を纏い外に出ます。

空を飛ぶというより、水の中に浮くという感覚を元に空中で静止してから、最初は泳ぐ感じで慣れてきたら徐々に感覚だけで動くようにするといった形です。

ゆっくりと飛びまわり、夜の街を遊覧できました。

そうそう、戦装束は凄いですね相当な高さから落ちても怪我一つありません。

拳銃の玉程度なら無傷で防ぐというのですから驚きです。

 

夢のような魔導師の時間でしたが、戦う為の技術である事をちゃんと認識しておかないといけません。




やっと原作開始に入れます。


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無印編
第一話「それは不思議な出会いなの?」


原作はアニメ基準ですが、正直おぼろげに覚えてるだけですので、食い違ってるかも


野宮彩華です。

これからは三年生です。

 

日々の生活はアルスと話し合いながら魔導師としての修練と、武術の修練が主軸にやっています。

魔導師の修練は着実で、やっと半人前といったところでしょうか?、今は魔力制限をしている状態です。

やっと槍を扱えるようになりました。美由希さんとたまに打ち合ったりします。

日々充実してて楽しくはあるのですが、この生活って普通の女の子からどんどんかけ離れていっているのですよね…

 

 

昨晩、大きな魔力を持った青い菱形の石が落ちてきたので、回収しました。

大きな魔力を持っていたので、四天の魔導書に蒐集させてみたところ、30ページ近くになったのが驚きです。

蒐集の後、魔導書のページに魔法式が記載されましたが、情報が足りな過ぎて何の魔法が解らない上に復元もできません。

石自体は魔力をほぼ吸い尽くしたので安全だろうとは思いますが、念の為封印処理を行いアルスが保管しています。

海鳴市にいくつか落ちてきてるみたいなので、回収した方がいいかもしれません。

 

なのはと一緒にバスに乗り込むと、一番後ろの席でアリサとすずかが手を振っていますので、一緒に座ります。

 

バスの中でしばらくすると、欠伸がでてしまいました。

「あやかちゃん、寝不足なの?」

それを見た、なのはが心配そうに訊いて来ます。

「はい、昨日探し物をしていて夜遅くまで起きていたので寝不足なのです。なのはは良く寝れましたか?」

「私は早く寝たし、良く寝られたから大丈夫~ただ、昨日は不思議な夢をみたの」

「不思議な夢?どんな夢だったの」

すずかが後を促します。

「それが覚えてないの、不思議だったな~という感じだけ覚えてるだけなの」

「何かのお告げかもしれないですね」

不思議な夢というのは何かしらのお告げである場合が多かったりします。

意外に大きな事件が起こるかもしれません。

「なんだろう?いい事があるといいなぁ」

 

午前の授業が終わり、屋上で昼食をとります。

午前中の授業で出た将来の夢についてなのはがなにやら悩んでるようです。

「将来かぁ~アリサちゃんやすずかちゃんは決まっているんだよね」

「私はお父さんも、お母さんも会社を経営だし、いっぱい勉強してしっかり跡を継がなきゃぐらいだけど」

アリサの言葉にすずかも続きます。

「私は機械系が好きだから、工学系で何か職をという感じかなぁ」

「二人ともすごいよねぇ、あやかちゃんはどうなの?」

「私はまだ、特に決まってないです。自分が何が好きで何が得意なのか今は探してる段階ですよ、なのはは喫茶翠屋の二代目じゃないの?」

「うん…それも将来のビジョンの一つではあるんだけど、やりたい事は何かあるような気がするんだけど、それがなんなのかはっきりしないんだ、私…特技も取り柄も特にないし…」

「ばっかちん!自分からそういう事いうんじゃないの!」

アリサはなのはにお弁当のレモンの輪切りを投げつけます。

「そうだよ、なのはちゃんにしか出来ないことってきっとあるよ」

すずかもアリサに同意します。

アリサはなのはを指差し

「だいたいアンタ、理数系の成績はこの私よりいいじゃないの!それで取り柄が無いと言うのはどの口がいう!」

アリサはなのはに乗りかかりなのはの口をひっぱります。

なのはが愚痴いろいろ口を言いますが、アリサは聞く耳を持ちません

すずかがおろおろしはじめます。

「どうどう、アリサ」

私は、アリサを掴みなのはから離します。

「私は馬か!」

アリサが今度は私に食ってかかります。

「アリサ、なのはのネガティブ思考に腹が立つのは解りますが、ちょっとやりすぎですよ。なのはもまだまだいろんな可能性がありますし、そんなに急ぐ必要は無いのでは?」

アリサを窘めながらなのはに向かって続けます。

「私も見つかっていませんし、今は考えていればいいと思います。そのうちこれだ!というものが見つかるはずです」

その言葉になのははちょっと気が晴れたような顔をしてくれたのでよかったです。

 

 

帰り道、公園を歩いていると、アリサが近道を教えてくれます。

「こっち、こっち!ここを通ると塾への近道なの」

私もなのはと一緒に三年生から塾に通うことになりましたので、一緒です。

「そうなの?」

「うん、ちょっと道は悪いけどね」

しばらく歩いていると、急になのはが立ち止まります。

「どうしたの?」

「なのは?」

「あ、ううん…なんでもない、ごめんごめん」

「大丈夫?」

「それじゃいこう!」

私の心配に大丈夫だと同意が得られたので、アリサが

森の中の近道を歩いていると、念話が聞こえてきます。

(助けて…)

その声はなのはにも聞こえたみたいで立ち止まります

「今、何か聞こえなかった?」

「何か?」

すずかが訊ねます。

「何か声みたいな…」

「別に」

「聞こえなかった」

アリサもすずかも聞こえない。

広域型の念話で、恐らく資質のある者しか聞こえないのだと思います。

「私もそんな声は聞こえませんが、何と聞こえるのですか?」

私も聞こえないフリをして、アリサやすずかと同じく返します。

(助けて…)

もう一度、念話の声が聞こえるとなのはは走り始めます。

「なのは!」

「なのはちゃん?」

「なのは待って!」

この手の呼びかけに応じると碌な事が起きませんので、私はなのはを止ようとしますが、私の静止の声も聞こえないのか、立ち止まる気配がありませんので、私達も追いかけます。

なのはは暫く走ると、何かを見つけたらしく地面にしゃがみ込みます。

「どうしたのなのは」

「急に走り出して」

私達はなのはに追いつき声をかけます。

「見て!」

なのはが抱きかかえている、一匹の傷ついたフェレットを見せます。

「怪我してる」

「どうしよう…」

「とりあえず、病院に連れて行きましょう。」

アリサの声に私も我に返ります。

「そうですね。ここからだと槙原動物病院が近いのでそこに連れて行きましょう」

なのはがフェレットを抱きかかえ、病院へ急ぎました。

 

「怪我はそんなにひどくないけど、随分衰弱しているみたいね、ずっと一人ぼっちだったんじゃないかな?」

「院長先生、ありがとうございます」

「いいえ、どういたしまして」

これで一安心です。

 

「先生、これってフェレットですよね?」

動物を見てアリサが先生に尋ねます

「フェレットなのかな?変わった種類だけど…」

「それに、この首輪についているのは…宝石なのかな?

そういって院長先生がフェレットに手を伸ばすと、フェレットが起き上がります。

「ああ!起きた!」

フェレットは私達を見ると、なのはを見つめます。

「なのは見られてる」

アリサがそういうと、なのははおどおどし始めます。そしてゆっくり手を伸ばすとフェレットはその指を舐め、またテーブルに倒れこみます。

「暫く安静にしたほうがよさそうだから、明日まで預かっておくね」

「はい、ありがとうございます。」

時間がかかってしまったので、塾の時間ぎりぎりです

「塾に遅れます!急ぎましょう」

 

塾でフェレットを誰が飼うか相談します。

アリサは犬がいるのでダメ

すずかは猫がいるのでダメ

なのはは商売で食品を扱ってるのでダメ

私の家は特に問題ないのですが、できる事なら引き取りたくないんです。

 

フェレットには赤い宝石のついた紐がかけられていました。

赤い宝石は恐らく魔法支援機(デバイス)です。

となると、魔法関係で何かがあったのだと想像できます。

相当な厄介事です。できればかかわりたくありません。

 

とりあえず、飼っても大丈夫かどうか親に確認するとして、明日話し合う事にしました。

 

昨日拾ったあの石もきっと無関係ではないでしょう。

あの石は実は災厄の種だったりしないですよね?

そうだとしたら、私がなんとかしないといけないんでしょうね、はぁ…




小学校3年生で分数の掛け算とかちょっと先に進みすぎやしてませんか?


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第二話「魔法を使った初めての闘い」

少々グロい表現があるので、注意してください。


野宮彩華です。

 

夜になのはからメールがありました。

どうも、なのはの家でフェレットを飼う許しがでたので、なのはが飼う事にしたそうです。

 

私の家で飼う事もできたのですが、最終手段だと思っていたので、なのはの家が大丈夫ならそれがいいのでしょう。

状況を考えると私が飼う事にするのが良さそうではあるのですが…

 

(聞こえますか…僕の声が…聞こえますか?)

念話が聞こえてきます。恐らくあのフェレットが出しているのでしょう。

行きたいのはやまやまなのですが、お父様もお母様も起きているので、ちょっと抜け出す事はできません。

 

(聞いてください、僕の声が聞こえる貴方…お願いです、僕に少しだけ力を貸してください……僕の元へお願い…危険がもう…)

もう一度念話が聞こえた後、なにやら大きな魔力の反応を2つ認識しました。

今出ると、色々と問題があると思うのですが、そうもいかなくなりました。

アルスに呼びかけ、戦装束を纏い窓から飛び出します。

そのまま、フェレットの居る場所から遠い方の反応へ全速力で飛びます。

現地に到着する少し前に女性の悲鳴が聞こえてきますので、急がないと!

現地に到着すると黒く大きな犬が女性に喰らいついていました。

女の人の胸から下の胴体は犬の口の中にあり、大きな犬は女性を銜えたまま上を向きます。

『間に合え!!』

犬が口を空けた瞬間、私はその女性を掴み、上に上昇しました。

女性はとても軽く、少し離れた位置に横たえようとした時、その女性は胸から下が無い事に気が付きます。

生々しい内臓とおびただしい血の量に私は吐いてしまいます。

その間に犬は女性の身体を咀嚼し飲み込むと、私の方に向き威嚇してきました。

 

犬に向かい合いアルスを槍に変え構えますが、足が震えます。

目の前の死を目の当たりにし、自分にも降りかかる事を考えてしまうと身体の震えが止まらなくなるのです。

(主、結界を!)

アルスの言葉に意識を取り戻すと慌てて結界魔法を起動させます。

辺りが暗く塗りつぶされ、その場には私と女性と大きな犬だけとなります。

襲いかかってくる犬の攻撃を槍でいなし、払い受け、咬みつきを避けていると、徐々に落ち着いてきます。

身体の震えがおさまり、しっかりと大地を踏みしめるようになった時、確認するようにアルスに尋ねます。

(アルス…私はコイツに勝てる?)

(お戯れを…この程度の敵、主が負ける気でもない限り負けようがありません)

その質問にアルスは何を馬鹿な事を言っているんだと返します。

その言葉を聞いて私は意を決すると、犬めがけて突きを放ちます。

槍を突けば犬の身体が吹き飛び、槍を払えば何の抵抗もなく犬の身体を切り裂きます。

犬が動かなくなった場所には黒いいくつかの塊と青い菱形の石が浮いていました。

『やっぱりこれが原因でしたか…これはあのフェレットに聞かないといけませんね』

私は四天の書を開き、石から蒐集を開始します。

ギリギリまで吸い尽くし、残った石に封印処理を施します。

すると、残った残骸が消え去り気絶した一匹の野良犬が現れました。

魔導書のページは30程たまりましたが、魔法はまだ解りません。

 

犬を放置し、女性の下に急ぎます。

それと同時に空の変換資質を起動させ、視界を霊魂が見える状態に変更します。

その状態で女性の身体を確認すると魂の繋がりはまだ離れてはいませんでした。

良かった…これなら私の魔力だけで蘇生ができます。

急いで女性に触れ能力を発動します。

私の足元に魔法陣が現れ、女性の元あった身体の輪郭が浮かび上がり身体が復元されていきます。

身体が完全に再生した後、来ていたワンピースのスカートも一緒に復元し、心臓に魔力で軽くショックを与えると、女性は息を吹き返しました。

私は結界を解除し、戦装束も解除した後、軽く女性を揺すりながら話しかけます。

「お姉ちゃん大丈夫?こんなところで寝ていたら風邪ひいちゃうよ…」

女性はゆっくりと目を開けるとはっと気が付いた後、慌てて辺りを見回します。

「大きな…犬は…どこにいったの?」

「犬?私はそこに寝ている犬しか見てないけど…」

女性は私の指さす方向に居る犬を見て安堵のため息を漏らします

それを見た私は大丈夫だろうと思い、この場を離れる事にします。

「お姉ちゃん大丈夫みたいだから私いくね」

「うん、ありがとお嬢ちゃん夜遅いから気をつけてね」

「うん、お姉ちゃんもね、バイバイ!」

そう言って手を振って走り去ろうとすると、遠くで光るものが目に入ります。

気になりますが、少し走って女性との距離をある程度離してから戦装束を身に纏い、空を翔けます。

空に浮くと遠くからパトカーのサイレンが聞こえてきます。

向こうは大丈夫でしょうか?傷ついてるとはいえ、心得のある者なら大丈夫だとは思いますが…

 

 

 

槙原動物病院のそばに行くと酷い状態です。

建物の入り口は車が突っ込んだかのように壊れ、その先の道路もあちこちに穴が穿たれ、電信柱が折れて倒れていたりします。

流石に下に降りるわけにはいかず、空から見ているとパトカーが集まって来ます。

ゆっくりと移動し、最後に光ったと思われる場所に辿り着きましたが、誰も居ませんでした。

困りました、あのフェレットはどこに行ったのでしょう?

肉体の復元は思ったより魔力を消費するようです。

消耗が激しいので、相手次第では自分の身の危険が高くなります。

それに夜中に小動物を見つける事は難しいので、明日にしましょう。

家に戻り、こっそりと窓から部屋に戻り、ベッドに潜りこみます。

 

 

翌朝、こっそりと帰って寝ましたのでバレてないと思いましたが、お母様に昨晩黙って出かけた事を叱られました。

出かけた事ではなく、黙って行った事を相当怒っています。

出かけるなとは言わないから、心配なので今度からは声をかけて玄関からちゃんと出かけなさいと注意されてしまいました。

私が居なくなったのを知った後、なのはの家に電話をして確認したら、なのはも居なくなってる事を知ったそうです。

その後二人ともすぐに帰ってきたので事無きを得ましたが、相当心配させたみたいです。

 

しかし、なのはも昨晩に外出していたのですか?

なのはの魔導師としての資質はかなり高く魔力量も相当高い、アルスも絶賛するほどです。

恐らく念話はなのはにも聞こえていたから、声に導かれて行った可能性が高いのです。

あのフェレット、まさかなのはを巻き込んだんじゃないでしょうね…

締め上げて、事と次第によっては天誅を下さなければなりません。

 




なんでフェイトとかち会わないのかと疑問に思った人もいると思いますが、フェイトはまだ海鳴に来ていません。
この時期から捜索していたのであれば、彼女の才能とアルフのサポートがあってなのはと初めて出会うまでにジュエルシードの回収が1個しかないというのはおかしいです。
なのはとユーノでその期間に4つ見つけていますから、そんなに少なくはないだろうとの考えです。

まぁ、土地勘や事前知識という差があっての結果かもしれませんけど


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第三話「魔導師として護るものとして」

気がついたら倍の文字数でした。


お母様のお叱りから解放されましたので、なのはの家に迎えに行きます。

「おはよう!あやかちゃん」

家から出てきたなのはは、今までと違い魔法に目覚めた者の魔力の纏い方をしています。

「おはよう…なのは…」

どうやら、なのはは巻き込まれたようですね、これは忌々しき問題です。

「なにか険しい顔をしてるけど、どうしたの?」

家から出てきたなのはが私の顔を見て、訊ねてきます。

どうも顔に出てしまっていたようですが、このまま続けましょう。

「ええ、ちょっとした事件に巻き込まれてしまった友人の事を考えていました」

「その子、大丈夫だったの?」

「ええ、幸い怪我もなくて安心したのですが、事件の方はまだ解決していない上に厄介な事なので、悩んでいるところです」

「誰だろう?アリサちゃんやすずかちゃんの事じゃないよね?」

「ええ、違いますよ」

なのは…貴方の事なのですが、解っていませんね…

 

「おはよ~」

「なのは、昨夜の話聞いた?」

学校に着くと、アリサが昨日の事件に関して話しかけてきます。

「へっ?昨夜って…?」

なのはは良くわからないといった返事をします。

アリサ、それでは何の話かわかりませんよ

アリサの説明不足をすずかが説明します。

「昨日行った病院で車の事故かなんかがあったらしくって…壁が壊れちゃったんだって」

「フェレットが無事かどうか心配で…」

「あっ…えーとね…その件はその…」

なのはが困っているので、助け舟を出します。

「なのはが昨晩外出したという話を聞きましたが、そんな事件があった中、大丈夫だったのですか?」

「うん、大丈夫だったよ、その時あの子と道でばったり会ったから連れて帰ったの、だから今は家にいるよ」

「そっか…無事でなのはの家にいるんだ」

「でも、凄い偶然だったよね、たまたま逃げ出してたあの子と道でばったり会うなんて」

「「ねぇ」」

なのは、顔が引き攣っているのがわかりますよ

「ああ、それでねどうやらあの子飼いフェレットじゃないみたいで、暫くの間、家で預かる事になったよ」

「そうなんだ…」

「名前つけてあげなきゃ」

「もう決めてる?」

「うん、ユーノくんって名前」

「ユーノくん?」

「そう、ユーノくん!」

アリサがどうも腑に落ちない顔をしているので、私がなのはをからかいます。

「という事は、そのフェレットを呼ぶとき、ユーノくん君とかユーノくんちゃんとか、なんとも微妙な呼び方になりますね」

「にゃぁ、違うよ!名前はユーノで男の子だからユーノくん!」

 

 

 

授業が終わり、四人でで一緒に帰ります。

最初にすずかの家に着き、次にアリサが車に乗って帰ります。

いつもは私となのはは一緒になのはの家まで帰って別れるのですが、今日はなのはとあのフェレットに用事があります。

アリサと別れたあとの帰り道で、なのはに話をします。

「なのは、ちょっと話をしたい事があるから、この後なのはの家に行っていいかな?」

「ん~」

少しなのはは考えた後

「大丈夫だよあやかちゃん。それだったら一緒におやつを食べながらお話しよっか!」

「ありがとなのは!」

その直後、昨晩と同じ感覚が私を襲います。

なのはも感じたらしく、表情が強張ります。

数は一つ、場所は神社の方角です。

「ごめん、なのは…さっきああ言っておいてなのですが、今日は他の用事があるのを忘れてました、ちょっと急がないといけないので、今日はここで失礼しますね」

「えっ…うん、用事があるならしょうがないよね」

「ごめんね、なのは話はまた今度しましょう」

「うん、バイバイ」

そう手を振って来た道を戻ります。

昼間は目立つので、空を飛んでいくわけにはいかないのがもどかしいです。

ですが、昨日みたいに犠牲者を出すわけにはいきません。急がないと!!

 

 

 

神社の階段を全速力で駆けあがる間に戦装束を身に纏います。

神社に辿りつくと、女性が地面に倒れこみ、その傍に大きな黒い犬がいました。

私は急いで女性と犬の間に割り込み槍を構えます。

犬と暫く睨みあいますが膠着状態です。

この女性をなんとかしない限り私はこの場から動く訳にはいきません。

この犬が昨晩と同じくらいであるならば、女性の事は気にせず一気に片をつけてしまうのがいいのですが、リスクを考えるとできればその手は選びたくありません。

なんとか自由に戦える状況にできないものでしょうか…

 

そう考えていると、階段から誰か上って来るようです。

しまった!また結界を張る事に意識が向いていませんでした。

それを感じた犬は階段の方に向かって走り出します。

それを追いかけるように私も走り出しますが、このままでは出会い頭の最初の一撃だけは阻止することができません。

階段の下から話し声が聞こえてきます。この声は恐らくなのはとフェレットの声です。

私が階段の途中に居るなのはを見た瞬間に犬となのはがかち合いましたが、彼女は桃色の魔法の盾を出して犬の攻撃を防ぎます。

犬はジャンプして鳥居の上に乗ります。

「なのは、何しに来たの!早く逃げてください!」

私の姿を見たなのはは、一瞬誰?といった顔をした後

「あやかちゃんなの?どうしてここに…それにその格好…」

「君はなのはの友達の…」

二人は私が居る事に驚いていました。

「そんな話は後です!来ますよ!」

犬は鳥居の上からなのは目がけて飛びかかりますが、私が槍でそれを邪魔します。

その間になのはは戦装束を身に纏い杖を構えます。

そうですか、あの赤い宝石の魔法支援機(デバイス)を譲り受けて、魔導師になったという事ですね…

「なのは、私が前に出ますから、出来るようなら援護をお願いします」

「うん、任せてあやかちゃん」

私が槍で犬を追い詰め、なのはが魔力の布で犬を拘束してから仕留めます。

「リリカル!マジカル!ジュエルシードシリアルXVI 封印!」

『あの石の名前はジュエルシードというのですか…』

なのはの封印魔法により石が封印された後、小型犬が地面に横たわっていました。

私は封印されたジュエルシードを取り、アルスに収納します。

それを見たフェレットが私に向かって

「返してください!それは危ない物なんです!」

「知っているわ、だからこうして回収しているのです、これのせいで昨晩一人死んだのだから…」

その言葉になのはとフェレットは驚き

「昨日のもう一つのジュエルシードを封印してくれたのは貴方だったのですね、死んだというのは?」

「言葉通りの意味です。その石を手にした野良犬が一人の女性を食い殺したのです。私は間に合いませんでした」

「そんな…僕のせいだ…」

私の言葉を聞き、フェレットは項垂れ、なのはは目を伏せます。

私はフェレットに向かって

「それと貴方はさっき、私に向かって返せと言いましたね、という事はこの石の持ち主は貴方という事でいいのでしょうか?」

「そうです…僕の…物です…」

「そう…それじゃぁ素直に答えてくれるとは思えませんが、この石をこの街にばら撒いた貴方の目的は何なのでしょう?」

「待ってあやかちゃん!ユーノ君は悪くないの!事故なんだって!」

なのはが私達の間に割って入りますが、なのはの聞いた事が真実とは限りません。

「私はそこのフェレットに聞いてるのです!なのはは今は黙っててください!!」

「あやかちゃん…」

なのはは目尻に涙を浮かべ今にも泣きそうになります。

「事故だったんだ…僕が見つけたジュエルシードを運んでいる船が事故に遭って…」

「それでこの街にばら撒かれたと…」

「はい…」

「それを証明する術はなにかあるのですか?」

「それは…ありま…せん…」

「貴方がこの街に来た理由は?」

「危険なジュエルシードを早く回収した方がいいと思ったからです。」

「あの場所に倒れていたのは何故?」

「ジュエルシードを一つ回収できたのですが、僕の力が足りずに力尽きてしまったから…」

「それでこの地に居る魔導の資質のある者に助けを求めたという事ですか?」

「そうです…僕の力が回復するまでの間だけ助けてくれれば、あとは自分でなんとかするつもりでした」

話自体におかしな点はありませんが、それを信じるだけの背景に穴がありすぎますが…

「確かに言ってる事におかしな点はないですね」

二人は私の言葉に喜びを表しますが、話は最後まで聞いてください。

「ですが、私はその話を信じられません、それに私はこういう可能性も考えました」

「ジュエルシードがどのくらいの性能を発揮するのか実験する場所としてこの街が選ばれたというものです」

「具体的にはジュエルシードをバラ撒き、資質のある者にしか解らない方法で危険を知らせ資質のある者を集めます。集まった資質のある者に魔導の力を与え対処に協力させるという名目で同行しジュエルシードが起こす現象とどのレベルでなら対処可能かのデータ収集が目的の実験ではないかと」

「ひどいよあやかちゃん、ユーノ君は嘘を言って居ないよ!」

「何故それがわかるのです?なのは」

「なんとなくそんな気がするの」

「私はそんな不確定な要素で相手に命は預けられません。それにその考えに至った理由についてもちゃんと説明できます。」

「どんな理由からそう考えたのですか?」

フェレットが質問してきましたので、答えましょう。

「第一にどんなに資質があっても訓練した人間には敵いません、訓練した人間の手に余る事を才能があるだけの人間に当たらせるという事自体、徒に被害を増やすだけです。しかもそれは命に関わる事件です。正気なら関わらせようとはしません」

「第二に一人で現れて危機に対応するというのも不自然です。本来危機に対する対応は二人以上で対する事が基本です。それが不可能で一人で対応しなければならない事もあるでしょう。ですが、自分ひとりでは手に負えないと解った時点でやる事は情報を公開し避難させ、関わる人を減らし被害を最小限りにする事です」

「第三に封印したジュエルシードを返せという処です。被害を防ぐ事が目的であるならば、回収に関わった誰が持っても問題ではありません。自分が持たなければならない正統性はありません」

「でもそれは、僕がジュエルシードを見つけて一番よく知っているから、僕が持つのが一番安全だと思って…」

「そうであるならば、それをまず最初に相手に説明してから言う話です。」

私の言葉にフェレットは俯いているので、話を続けます。

「最後に私の知る魔導師という輩は魔法を知らない人間を軽んじている傾向があります。それこそモルモットとしか思っていないような輩です」

その私の言葉を聞いてフェレットは顔を上げて

「ち…ちょっと待ってください。貴方も魔導師なんですよね?」

「そうですが、私は自分から望んで魔導師になった訳ではありません。強制的にならざるを得ない状態にされて魔導師になりました」

 

「あやかちゃん、私からもお願い。ユーノ君に協力してあげて…」

「私からもなのはにお願いがあります。今すぐ魔法との関わりを止めて今までの生活に戻ってください。魔法に関わるのは命の危険が高すぎます」

「それは出来ないよあやかちゃん、あやかちゃんやユーノ君が命を賭けていて、私はそれを手助けする力があるのに、黙っているなんて事はできない」

私はなのはの言葉とその強い眼差しを見て説得は無理だと感じました。

「……わかりました。私の負けです。なのはが一度決めたら考えを改めさせるの無理ですから、私の出す条件が飲めるのであれば協力しましょう。」

「条件とはなんですか?」

「一つ、ジュエルシードについて知りうる情報の提供、二つ、所持しているジュエルシードの管理は私がする。三つ、ジュエルシードの捜索は別行動で行う。こんなとこかしら」

「確認させてください。二つ目のジュエルシードの管理に関しては、僕の疑いが晴れたらジュエルシードを渡していただけますか?」

「ええ、貴方が言う事を信じる事が出来たらジュエルシードはお渡しします。」

「三つ目の探索は別行動ですが、見つけた後の回収は協力してもらえるのですよね?」

「別々に対処の必要がある場合を除いて、基本的には協力して回収するつもりです」

「…わかりました。協力していただけますか?」

「ええ、これからよろしくねユーノ、あなたも質問があれば何でも聞いて、答えられる範囲でなら答えるから」

私のその言葉になのはは笑顔で

「ありがとう!あやかちゃん」

 

その後、なのはの家でジュエルシードについて聞き、今後の方針を決めた後、私の力でユーノの怪我と魔力を回復させると、矢継ぎ早にユーノから質問され、誤魔化すのが大変でした。

 

私の使う魔法が主流であるミッドチルダ式でもベルカ式でもない事から、ユーノの魔法についての解説があったり、私の魔力がとても少ないのにそんな芸当ができるのが何故か疑問にもったユーノへ説明とか、聞いてもいいと言わなければ良かったかもしれません。

 

実は私はユーノの事をそんなに疑ってはいません。あんな事を言ったのは今後に活かして欲しいと思ったからです。

ジュエルシードは暫くしてから全て渡してあげればいいでしょう。




次はフェイトと初めて出会うところです。


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第四話「街は危険がいっぱい」

フェイトとの出会いが先かと思ったら、こっちの方が先でした…


野宮彩華です。

あれから一週間が経ちました。

なのはの所持している分のジュエルシードを受け取り、蒐集を行ってから再封印をしました。

プールにあったジュエルシードと学校にあったジュエルシードの2個を封印して、現在7つのジュエルシードを持っています。

海鳴に落ちたジュエルシードは全部で21個だそうなので、今やっと1/3です。

一週間でこの数というのはいいペースだと思います。

 

七つめのジュエルシードから蒐集を行い、四天の魔導書のページは現在210ページ。

不明だった魔法式の復元が始まったようです。

恐らく、21個全てのジュエルシードにこの魔法式が分割して入っているのではないのでしょうか?

どんな魔法式かは復元してみないと解らないのですが…

 

それと同時にユーノへ7つのジュエルシードを渡しました。

中身はすべて吸い出してしまったので、もはや本来の機能は無く、外装だけなのでただの宝石みたいなモノですけどね。

まぁ、本来の機能が必要になった時に修復して機能を取り戻させるかどうか決めましょう。

 

そして翠屋FCの試合を、みんなで応援に行きます。

なのはやアリサ、すずかの応援でみなさんやる気いっぱいでその成果もあり試合に勝ちました。

私はお兄様へタオルを持っていき、お兄様の健闘を称えるのと、みなさん一人一人に試合中によいと思ったところを褒めて労います。

 

勝ったお祝いとして、士郎さんが翠屋にメンバーと私達を招いて食事をごちそうしてくれます。

私達も一緒に外の席で食事をします。

ユーノも同席していましたので、アリサとすずかがユーノを見て

「それにしても、改めて見るとなんかこの子フェレットとはちょっと違わない?」

「そういえばそうかな?動物病院の院長先生も変わった子だって言ってたし」

確かにそうでしょう、フェレットではないのですから

「もしかすると、フェレットではなく他の動物かもしれませんね」

「えっ、そうなの?」

「まぁ、えーと、ちょっと変わったフェレットという事で、ほらユーノ君お手!」

「キュ!」

なのはが話題を遮り、なんとか誤魔化そうと努力するのにユーノが応えて、なのはにお手をします。

「うわぁ可愛い~」

「賢い、賢い~」

アリサもすずかがユーノをなで始めます。

「えらいなぁ~」

二人ともユーノの事が気に入っていて触りますので、暫くするとユーノは揉みくちゃにされ始めます。

 

食事が終わり、士郎さんがメンバーを元気づけて士気を上げます。

「じゃ、みんな解散!!気をつけて帰るんだぞ」

「はい!」

挨拶をして解散した後、なのはははっとした顔をしてゴールキーパーをしていた彼を見ます。

「どうしたの?なのは」

「えっ…ううん、なんでもないよ」

張り詰め過ぎです、ちょっと茶化した方がいいですね

「そうですか、彼は素敵なのでなのはが気になるのは解りますが、横恋慕はあまり感心しませんよ」

「む~、そんなんじゃないの!」

「ごめんごめん」

なのはが何か気になったのようなので、サーチャーを付けて追跡します。

後で確認しましょう。

「はぁ、おもしろかった」

「はい、なのは」

アリサとすずかに揉みくちゃにされてへばっているユーノがなのはの元に帰ります。

「さて、じゃあ私達も解散!!」

「うん、そうだね」

そういえば、アリサとすずかは午後から用事があるのでした。

「そうですね、時間もいい感じですし、私もお兄様と帰ります」

「お、みんなも解散か?」

士郎さんがそのままこちらに来ましたので挨拶をします。

「「「今日はお誘いいただきましてありがとうございました。」」」

「試合、かっこよかったです。」

「みんなも応援に来てくれてありがとうな、帰るなら送って行こうか?」

「いえ、迎えに来てもらいますので大丈夫です!」

「同じく~!」

「私も大丈夫です」

「なのははどうする」

士郎さんの言葉になのはは少し考え、私に念話で相談します。

(あやかちゃん、今日もジュエルシードの探索するんだよね)

(ええ、探索は今日も行いますが、なのはは今日、ゆっくりお休んでください)

(大丈夫、私まだ元気だよ)

(疲れているのが目に見えていますし、私が休む時に動けなくなるのは困ります。今日は休んでください。何かあったら呼びますので)

(うん…わかった…)

「今日は家に帰ってのんびりする!」

「それじゃぁお父さんと一緒に帰るか!」

「うん!」

なのははここ連日のジュエルシード探索で疲れています。今日は休ませた方がいいでしょう。

「「「じゃあね~」」」

 

 

みんなと別れ、お兄様と家に一度帰った後、即座に追跡を始めます。

 

私が彼を見つけたちょうどその時、彼の掌の上にあるジュエルシードをマネージャの彼女が触れ、辺りが光に包まれます。

そのまま光は二人を包みこみ、大きな木となってそびえたちます。

その後、地震が起きたかと思うと、辺り一面のアスファルトが剥がれ、木の根らしきものが地上に現れ、街にのあちこちへ伸びて行きます。

(なのは!ユーノ!)

(あやかちゃん!ジュエルシードだよね?)

(そうです。なのはの気にしてた彼が持っていて、今発動したところです)

(近くに居るのですが、封印できる距離まで近づくのは難しいかもしれません)

 

大きな木の中央に二人はとらわれています。

私はその場所へに向かって進もうとするのですが、蔦に阻まれ近づけません。

蔦を切り払い進もうとしても、すぐに次の蔦が邪魔をします。

その上、私を捕えようとする蔦も迎撃しないといけません。

遠距離からの攻撃と封印なら恐らく問題なく封印できると思うのですが、今の制限下では遠距離砲撃を撃つほどの魔力量を確保する事ができません。

それに、射撃に関しては全く修行をしていないので、命中率にも不安があります。

ですが状況が状況です。制限を解除して遠距離攻撃での解決を試みなければなりません。

(あやかちゃん!大丈夫!私に任せて!)

ビルの上に到達したなのははレイジングハートを長距離砲撃モードに変形させ、攻撃準備に入ります。

私はビルの屋上に居るなのはと木の射線上に蔦が邪魔をしないように移動します。

 

なのはが砲撃をし封印を行うと、光は樹木の中央に吸い込まれ、一際輝くと街に張り巡らされた木の根ごと無くなっていました。

幹の中央に居たふたりはゆっくりと地面に降りて行き地面に横たわりました。

 

私は封印されたジュエルシードを回収し、なのはの許へ向かいます。

なのはの許へ着いた時、なのははすごく悲しそうな顔をしていました。

「色んな人にめいわくかけちゃったね」

「なのは、貴方は何も悪くないのですから、自分を責めてはいけません。」

「私、気が付いていたんだ…あの子が持っているのを…でも、気になったのに何もしなかった」

「それは気が付いていないのと同じなのです。私達は万能ではないですし、魔法の力でも出来ない事はあります。」

「もともとは僕が原因で…なのははそれを手伝ってくれているんだ、なのははちゃんとやってくれている」

「そうです。ですから私達は起きた事を悔やむのではく、反省して次に活かすようにがんばりましょう。」

ジュエルシードをなのはに渡し、家に帰ります。

 

家に帰る途中、壊れた家や盛り上がったアスファルトが目につきます。

これは大震災クラスの被害です。

ジュエルシードはとんでもなく災厄を振りまく石ですね、はやく全部回収しないと

 




参考までにですが
女性の嘘の見分け方というのは表情や身体の動き、目線・身体の動きとかで判断して、話の辻褄はあまり判断に入れていません。
男性の嘘の見分け方というのは話の筋道が通っているか、おかしな処は無いかとか、話の内容で虚実を見分けます。

俗に言われる女のカンというのは、女性の嘘を見分ける方法による蓄積や過去の経験に基づく事が多かったりします。

嘘をつくときの典型ではあるのですが、男性は話の内容を考える。
女性は内容をそうだと信じ込んで、態度に出ないように注意して話をする。

それが故に実は同性より異性の方が嘘は見抜きやすかったりします。


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第五話「もう一人の魔導師?」

野宮彩華です。

あれから一週間経ちました。

日本の技術はすごいですね、あれほどの被害があったにもかかわらず、殆ど修復が終わっています。

 

今日はすずかの家でお茶会をするとの話です。

なのはの家に向かい、一緒に行くのですが、今日は恭也さんも一緒に行きます。

恭也さんと忍さんは恋人同士ということですので、このまま結婚したらいつか雫さんが生まれるのですね、楽しみです。

 

恭也さんとなのはと一緒にバスでですずかの家に向かいます。

ノエルさんと忍さんに案内され、すずかの待つ部屋に行くとそこにはアリサとすずかがテーブルに座って待っていました。

周りにはたくさんの猫がいてとても癒されます。

 

私自身は犬派なのですが、猫も大好きです。

恭也さんと忍さんの仲睦まじい姿を見て、みんなで話をします。

実際、恭也さんは丸くなった感じがしますし、忍さんは独りぼっちな処に受け入れてくれるひとができたので、かなり安定したのではないでしょうか?

夜の一族は大変ですからね。

恭也さんと忍さんはノエルさんを伴い他の部屋に行きます。

 

ファリンさんがお茶の準備をするとの事なので暫く部屋から外したので、アリサとすずかと話をします。

「「今日は誘ってくれてありがとう」」

「最近あんたもなのはも元気が無いから、元気づけてあげたいと思っていたのよ」

「何か悩んでいる事があるなら、お話してくれないかな?」

「ありさちゃん…すずかちゃん…」

なのははとてもうれしかったようです。

「そうですね、アリサとすずかにはお話しておいた方がいいですね」

「あやかちゃん!?」

なのはがちょっと驚いた顔をしますが、私は大丈夫となのはを嗜めます

「先週、街で大きな事故があったのは知っていますよね?」

「うん」

「知ってるわ」

「その事故で私もなのはもいろんな人に迷惑をかけてしまったのです。その事が気になっていたので、アリサやすずかにはそう見えたのではないかと」

「そうなの、

「そうだったんだ…」

「アリサ、すずか…聞いてくれてありがとう。少し楽になりました。」

 

ファリンさんがお茶のセットを持ってきますが、ユーノと猫が足元を通った為、よろめきます。

私は倒れそうになるファリンさんからお茶のセットを受け取り、なのはとすずかがファリンさんを倒れないように支えます。

 

暫く部屋で話をしていましたが、天気がいいので外に出てお茶会を続ける事にしました。

外に出て暫くすると、ジュエルシードの反応が感じられました。

(あやかちゃん、ユーノ君!)

(なのは私も感じました、あちらの林の中にありそうですね、こちらは何とかするのでユーノとなのはで回収をお願いできますか?)

(うん!任せて!)

(ユーノ、先導を頼みます)

私の言葉にユーノは気が付いたらしく、ユーノはテーブルから飛び降り、林に走って行く。

「あっ!ユーノ君!ちょっと追いかけて捕まえてくる」

「どうしたんだろう?」

「何かみつけたのかも!ちょっと行ってくるね」

その後をなのはがユーノを追いかけます。

「一緒に行こうか?」

すずかの言葉になのはは

「ううん大丈夫、それじゃ行ってくる」

「なのは、気をつけて」

私もサーチャーを生成し、なのはに付けます。

 

猫を探しに森に入って暫くするとユーノが辺りに結界を張ります。

その先さらに奥に進んだところに巨大化した子猫がいました。

(猫だ…)

(大きな猫ですね)

大きな猫は可愛いのですが、ちょっと不気味です。

なのはがとりあえず封印しようとすると、猫にが魔法による攻撃を受けました。

サーチャーの視界を攻撃の方角に向けると、誰かが電柱の上に居ます。

攻撃からして、恐らく魔導師だと思います。

金髪の長い髪の毛をツインテールにし、黒を基調とした戦装束(バリアジャケット)を身に纏った私達と同じ歳くらいの女の子。

金色の魔力光を纏いなのはにも劣らない魔力量を持っているようです。

 

 

「なのは…遅いですね…ちょっと様子を見てきます」

「大丈夫なのあやか、私も…」

アリサが心配そうに聞きますがそれを遮ります。

「大丈夫ですよアリサ。私が一番心得があるので何かあった時でも大丈夫です。それにすずかの家のセキュリティでは人が入ってくる事はまずありませんので、何かいるとしても動物だと思います。」

「気をつけてね、あやかちゃん」

「はい、全くなのはは…あとでお説教ですね、では行ってきます」

その私の言葉に二人は乾いた笑いを浮かべて私を見送ります。

急がねば…なのははジュエルシードに対応する事はできるようになりましたが、熟練の魔導師と戦うにはまだ足りなさすぎます。

正直相手になりません。

私はどうかというと、近接戦の魔導師ならそれなりに戦えると思いますが、砲戦魔導師に対しては耐える戦いしかできなさそうです。

そろそろ魔力制限を弱めて遠距離攻撃を覚える修行を始める予定ではありますが、そもそも空中での近接戦は地上で行うものと全く違います。

全方位360度から対応しますし、どの位置から攻撃するかというのもありますので近接戦だけでもやる事がたくさんありすぎて正直手が回りません。

空中で戦うのを前提にして純粋に強くなるのであれば、射撃・砲撃をメインにして制圧する形の方が強くなるのは早いです。

ただし、それは潜在魔力量が高い場合で、魔力量が少ない場合、飛び道具に頼って戦うとあっという間に魔力が枯渇てしまうので、そうもいきません。

 

ユーノの作った結界の仲に踏み込むと同時にバリアジャケットを身に纏います。

なのはは巨大猫を護りながら戦いましたが、彼女に敗れ地面で気絶しています。

 

彼女は巨大猫が持っているジュエルシードを封印するために儀式魔法を使おうとしています。

私が辿り着いたちょうどその時、空から巨大猫に向かって攻撃が降り注ぎます。

彼女はそのまま封印へ移行して、ジュエルシードを封印します。

 

私はなのはの許に急ぎます。

なのはの状態を確認すると、軽いショックで気を失ってるだけのようなので、安心しました。

ジュエルシードを封印した彼女は、そのまま私達を見てから去っていきました。

彼女が立ち去った後、私はなのはの治療をしてから、背負って皆さんのところに戻りました。

 

彼女はどこから来たのでしょうか?どんな目的でジュエルシードを集めているのでしょうか?

あと、彼女に憑いている彼女そっくりの少女は一体誰なんでしょう?

ジュエルシードを追えばまた出会う事もあります。

その時なんとか話はできないものでしょうか…

 




そろそろ原作から外れていきそうな気配です。


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第六話「海鳴温泉(前)」

今日から連休です。

なのはの家が温泉旅行に行くとの話で、アリサとすずかと私が誘われたので一緒に行きます。

メンバーは高町さん一家と忍さん、すずか、ノエルさん、ファリンさん、アリサと私です。

 

ここ連日、なのはは無茶をしすぎているので、ゆっくりと休んでくれると良いのですが…

 

宿に着いたら、皆で温泉を見に行き、さっそく温泉に浸かります。

脱衣所で着替える際、ユーノが必死に男湯へ行くと言っていますのが、なのはは一緒に入りたい様子。

ユーノの百面相は見てて面白いのですが、不憫になったので助け舟を出します。

(ユーノ大丈夫ですよ、皆がいいというのですから、どうしてもというのであれば、なのはに元の姿を見せればいいのです)

(えっ?なのはと初めて出会ったときに人間の姿だったから、なのはは知ってるはずだけど?)

(そうなのですか?それでしたら尚の事一緒でいいと思いますよ)

(う…うん…わかった…あやかは平気なの?)

なのは、やりますね…ユーノの事が気に入ってアタックしている訳ですか…これは友として応援してあげましょう。

ただ、いきなり身体を見せて誘惑するというのはちょっと軽すぎなのでは?

(皆の中に私も入ってますよユーノ、女性として気にしてくれるのは嬉しいのですし、多少恥じらいもありますが気にはなりません。

性的な魅力に乏しい身体なので、そういう趣味の相手でも無い限り、ましてや同い年なら気になりません。)

(あやかは…なんか達観しているよね)

 

温泉に入り、なのはとすずかが流しあう事にしたみたいなので、私はアリサが流しあう事にしました。

ユーノはアリサが捕まえようとしましたが、なのはに渡します。

 

私が先にアリサの背中を洗ってあげます。

アリサの背中を洗う時、スポンジは使わず両手の四本の指を使い、指の腹で円を描きながら撫でるようにうなじから肩にかけて、

背骨の中心から脇に向かって広げるようにゆっくりと繰り返し、少しずつ下に下げていきます。

背中全体が終わったら、最後に掌で背中全体を撫でるようにして終わりです。

 

この洗い方は綺麗になるのですが、かなり大変なのです。

洗い終わった後、アリサの顔が上気していましたので、ちょっと時間をかけすぎたようです。

 

アリサが私の背中を洗ってくれています。

「そういえばあんた、温泉に入るのにも眼鏡かけなきゃいけないほど目が悪いの?」

「私は裸眼で充分見えますのでそんなことはありませんよ、この眼鏡は伊達なのです」

「だったらなんで眼鏡なんてしてるのよ…」

「この眼鏡は…」

アリサの質問に答えようと振り向いた時、アリサが私の眼鏡をひょいと奪い取ります。

「ほら、あんたこっちの方が可愛いじゃない!」

眼鏡を外した私を見て、アリサは満足そうにうなずきます。

アリサ、ダメです…私はそれが無いと…

「だめ…あ…りさ…返して……」

アリサから眼鏡を取り返そうとして手を伸ばした時にアリサを押してしまい、アリサが椅子から落ちてしりもちを打ちます。

「「アリサちゃん!」」

なのはとすずかが声をあげます。

「あいたたた…」

腰を打ったありさがゆっくりと起き上がります。

「アリサ…大丈夫?」

私は震える自分の身体を抱き込み、アリサに声をかけます。

その声にハッとしたアリサは、私に眼鏡を差しだしました。

「あやか…ごめんなさい」

差し出された眼鏡を受け取って、身に付けてしばらくすると落ち着いてきました。

「こちらこそすみません、アリサ洗い流して湯船に浸かりましょう」

 

 

みんなで湯船に浸かってるとすずかが話てきます。

「私もアリサちゃんと同じだよ、あやかちゃんはどうして眼鏡をしてるの?」

「そうなのよね、それに野暮ったい眼鏡だし…」

「私もそう思うの、あやかちゃん美人なのに勿体ないよ」

「そうですね…ここでお話しするのも難ですから、後でお話します」

 

温泉から上がって、皆で話しながら歩いていると

「はぁい、おちびちゃん達~」

赤髪の女性が歩いてきて話しかけてきます。

「君かね?うちの子をアレしちゃってくれてるのは…あんま賢そうにも強そうでもないし、ただのがきんちょに見えるんだけどね…」

その女性はなのはの目の前に立ち、呟きます。

アリサはその言動にカチンと来たらしく、彼女となのはの間に立ち

「なのはお知り合い?」

「ううん」

この子、貴方を知らないようですが、どちら様ですか?」

しばらく睨み合い、緊張した空気になりますが、彼女の笑い声で空気が変わります。

「あーはっはっは、ごめんごめん、人違いだったかな、知ってる子に似てたからかな」

「そうだったんですか…」

「可愛いフェレットだねぇーよしよし」

その女性がそう言った後、私達に念話が届きます。

(今日のところは挨拶だけね、忠告しておくよ、子供はいい子にしておうちで遊んでなさいね、おいたが過ぎるとガブっといくわよ!)

その言葉に私は思わず

「さーて、もうひと風呂いってこよっと~」

そういって彼女は立ち去ります。

なるほど、こないだの子は彼女の協力者といったとこでしょう。

もしかすると、お姉さんかもしれませんね…にしては、似てませんけど。

彼女が立ち去った後、アリサが爆発します。

みんなでアリサを宥めて、私たちは遊びに行きました。

 

夜になったら、こちらに引っ越してくる前にあった事をみんなに話します。

その関係で暫く外に出られなくて、今の格好をしたらなんとか出られたので、それが続いて今になっている

前は自分の家でしかダメだったけど、他の場所でも外しても大丈夫になってきたりして、徐々に良くなっている事

そして、自分自身が持っている特性を抑制する目的があるという事

否定してくれるのは嬉しいのですが、実際体験してみたら解ります。

私は眼鏡を外して、髪を解きアリサを見つめます。

眼鏡を外して目を合わせた瞬間、アリサの瞳が濁ります。

そのまま私はアリサを抱きしめると、アリサの目がとろんとした状態になり私を押し倒してきます。

私はアリサの為すがままに任せると、アリサは私に顔を近づけキスしてきました。

すずかは何かを押さえつけるように自分の身体を抱きしめてます。

なのはが一番影響が少ないのか、顔を赤らめて私とアリサの姿を見ています。

私は念話で

(なのは、見てないで助けてください)

(あやかちゃん、身体がぽかぽか暖かくて気持がいいの)

なのはもダメなようです。

私は私にキスしているアリサの後頭部から鎮静と精神強化の魔法を送り込み、アリサを正気に戻します。

正気に戻ったアリサはびっくりして私から離れますが、私の視線を受けるとまた瞳が濁ります。

それを頭を振って正気に戻ろうと繰り返します。

私は眼鏡をかけてすずかのもとに行き、すずかの身体をを揺すります。

そのまま、鎮静と精神強化の魔法を送り、正気にもどそうとしますが、すずかは自分の身体を抱きしめたまま動こうとしません。

 

すずかにはちょっと酷でした。恐らく吸血衝動と戦っているのでしょう。こればかりはすずか次第なのでどうしようもありません。

その後、なのはを両頬を軽く叩いて正気に戻します。

 

正気に戻った後、三人とも信じられないという顔をしていましたが、どうやら納得はしてくれたようなので良かったです。

だいたい、あの事件があってから、この力は日増しに強くなっていくので、とても困ってます。

 

そんなこんなで、話が終わり夜も更けて来ましたので、ファリンさんに本を読んでもらい、みんな床につきました。

 

みんなが寝静まった後、なのはとユーノといっしょに話をします。

ユーノは自分ひとりでやろうとするけど、なのはが止めます。

私もそれには反対で、ユーノが一人で探そうと別れても私達は辞めないのでどうせなら、一緒に探したほうがいいよと説得しました。

ユーノも納得して、これからも一緒にやろうと決めた後、ひとまず寝ようとした時、外でジュエルシードの反応を感知したのです。

 



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第七話「海鳴温泉(後)」

ジュエルシードの反応を追って、なのはとユーノと共に林を走ります。

私もなのはも既にバリアジャケットを纏います。

 

林を抜けると池と橋のある広場に出ます。

辺りを見回すと、橋上に二人の女性がいました。

 

しばらく走っていると、先の方で光ったかと思うと、光の柱が立ちました。

 

なのはと一緒にそこを目指して林を抜けると池と橋のある広場に出ます。

 

辺りを見回すと、橋上に二人の女性がいました

犬耳お姉様がとても可愛いです。

という事はお姉さんかと思っていましたが、使い魔のようですね。

犬好きの私としては、使い魔が欲しくなりそうなくらい可愛いです。

 

「あらあらあら…子供はいい子でっていわなかった?」

「それを、ジュエルシードをどうするつもりだ!」

ユーノの質問に赤髪の女性は

「さあね、答える理由がみあたらないねよ、それに私はいったはずだよ、いい子にしてないとガブっといくよと」

そして、狼の姿に変身します。

 

 

「やっぱり、使い魔!」

ユーノの確信の言葉に彼女は返事を返します。

「そうさ、私はこの子の使い魔、魔力をもらって生きる代わりに永遠に主人を護る存在」

そうして狼となった彼女が飛び掛ってきます。

「させるか!」

私達と彼女の間にユーノが飛び込みます。

ユーノは彼女の攻撃を防ぎながら、私達に話しかけます。

「なのは、あやか、あの子の事をお願い!」

「そうはさせると思って?」

「させて見せるさ!」

ユーノと狼は一緒に消えて行きました。

「結界への強制転送、いい使い魔を持っている」

「ユーノ君は使い魔なんかじゃない!大事なお友達!」

なのはが反論しますが、彼女には聞き流されます。

「それで…どうする?」

「話し合いで解決できないかな?」

「私はジュエルシードを集めてなければならない、そして貴方の目的も同じだったら私達はお互い争う敵同士という事になる。」

「だから、そういうことを簡単に決め付けないためにも、話し合いって重要なんだと思う」

「話し合うだけじゃ、言葉だけじゃきっと何も変わらない!伝わらない!」

彼女がなの背後に回り込み、なのは目がけて斬りかかりますが、私が槍で受け止めます。

「なのは、この手の相手に今は何を言っても無駄です。まずは話を聞けるようにするところからです。」

 

「戦おう、お互いにジュエルシードを一つ賭けて」

「解りました。応じましょう。なのはは下がっていてください。」

私が槍を構え、彼女と相対します。

「あやかちゃん私がやるよ!」

なのはが戦いたそうですが、ここは私がやります。

「なのはは私が負けた時にお願いしますから、今回の彼女との戦いは私に譲ってください。レイジングハート、私のジュエルシードを」

そう言って、レイジングハートからジュエルシードを受け取り、なのはから離れ彼女の方に歩いていきます。

「私の名前は野宮彩華といいます。良ければ名前を教えてもらえますか」

「フェイト=テスタロッサ」

フェイト?私の知る名前には無い名前です。

そもそもこの世界に散らばったのは、イデアシードではなくジュエルシードですし、探しに来たのはクロノ=ハーヴェイではなくユーノ=スクライアです。

かなり違ったパラレルワールドなのでしょうか?

「フェイト…こちらの言葉では運命という意味がある言葉です。素敵な名前ですね…」

「!…ありがとう…」

フェイトはちょっと驚いた後、テレた感じで返事をします。純粋ないい子なんでしょう。そんな子が何故?

「それではフェイト始めましょう」

あらためて私は槍を構えなおします。

「それでは、行きます!」

そう言ってフェイトは視界から消え、一瞬で私の背後に現れ、武器を振るいます。

私はその攻撃を石突で払い、そのまま回転を利用し反転しフェイトに払いからの突きを放ちます。

彼女が陸戦での近接戦闘に応じてくれるのであれば、そう簡単にやらせはしません。

とりあえず高速機動の相手にはスピードに慣れるまでは防御に徹するのが一番です。

それにしても、彼女は使いにくい大鎌を使って死神スタイルとは味なマネを…

 

大鎌の利点は防御されにくい事、盾や剣、槍で受け止めると受けた場所を迂回してバッサリやられます。

ですから、こちらとしては相手の攻撃は払い受けや受け流します。

それを繰り返すうちに、彼女の高速移動術式を何度か見させてもらいます。

高速移動術式を解析し追跡術式の構成します。

 

何度か彼女の攻撃を受け続けていると、彼女の速度に慣れて来ましたので反撃開始です。

私が攻撃に移り始めると、形勢は徐々に逆転していき、だんだんフェイトが防御する割合が増えて行きます。

後はタイミングが重要です。

彼女が距離を開けるために空中に逃げる瞬間に決めないとこちらに勝ち目が無くなります。

魔力のモノを言わせて弾幕張られると、それを掻い潜って近づくのは、今の私には厳しすぎます。

 

私が最後の決め手の攻撃に移る時フェイトの姿が消えました。

それと同時に高速移動追跡術式を発動、フェイトの背後に高速移動します。

フェイトが空中に移動し、私の姿を見失った一瞬の隙に背後から薙ぎ払いを当ててよろめかせ、打ち下ろしで地面に叩きつけた後、そのまま地面に落ちるフェイトを追いかけるように突きを放ちます。

 

地面に倒れているフェイトの喉元に私は槍先を当てて確認をします。

「私の勝ち…でよろしいでしょうか?」

悔しそうな表情をするフェイトと彼女に寄りそうように居るフェイトそっくりの少女、少女の目は私を咎めるような目つきです。

最後の攻撃は容赦しませんでしたので、仕方がありません。

その少女へ変換属性を使って念話を送ります。

(初めまして、フェイトの傍にいる貴方。できればお話がしたいので、私に憑く事はできますか?)

そう言って、彼女の目の前までラインを伸ばします。

私の声にその少女は驚いた顔をして、私の伸ばしたラインを掴むかどうか迷っていますし、彼女が何かを言っているのですが解りません。

私は幽霊を見る事も言葉を伝える事もできるのですが、相手の声を聞くには取り憑いてもらわないとできないのです。

そうしている間に、フェイトのデバイスからジュエルシードが一つ差し出されます。

私はアルスの中にジュエルシードを収納した後、私は槍を引いてフェイトに手を差し伸べます。

フェイトは私の手を取って立ち上がり悔しそうにいいます。

「今回は負けたけど、次は負けない。」

「ですね、紙一重でした。私への挑戦は受けますが、次はなのはのリベンジに付き合ってください」

そう言って使い魔と一緒に立ち去ろうとするフェイトに

「フェイト、忘れ物ですよ」

私が賭けに提示したジュエルシードをフェイト目がけて放ります。

慌てて受け取るフェイトが不思議そうな顔をしますが、私は続けます。

「次はできれば話し合いがしたいのです。私達はジュエルシードを集めるという行動が一緒なだけで、目的は大きく異なると思います。だからきっと協力ができると思っています」

「それをフェイトに渡すという意味も踏まえて、よく考えてください。」

併せて彼女に念話を送ります。

(不安があるのでしたら今回は辞めておきましょう。またの機会までに考えておいてください)

私達は使い魔と一緒に立ち去ろうとするフェイトを見送ります。

フェイトが転移する瞬間、彼女は意を決したかと思うと私の伸ばしたラインを掴みました。

 

私の伸ばしたラインに彼女が触れると、彼女と繋がります。

霊と繋がった時、意識が朦朧としてよろめきます。

倒れそうになる私をなのはが支えてくれました。

「大丈夫、あやかちゃん…」

「大丈夫ですよ、なのは。ギリギリの戦いでしたが、なんとか勝てました」

「でも、大丈夫なのかい?ジュエルシードを渡してしまったけど…」

ユーノが不安そうにしていますので、説明します。

「大丈夫ですよユーノ、私達が持ってるジュエルシードは封印の前に特殊な方法を使っているので、封印を解いても私でなけれ再び使えるようにはならないのです」

意識を保つのが難しくなってきました。彼女と話をして今の状態を安定させないといけません。

「ごめん、なのは…あとはよろしく…」

そういって私は意識を手放しました。

 

「大丈夫なのかな?」

彼女の声が聞こえてきます。

「しばらくはこの状態ですが大丈夫です。呼びかけに応じてくださりありがとうございます。名前を聞かせてもらってもいいですか?」

私の声は聞こえていたので、自己紹介は省きます。

「あやかさんで、いいのかな?私の名前はアリシア=テスタロッサ、フェイトのお姉さんだよ」

「フェイトの年齢と姿を考えると、アリシアがその姿という事が不自然です。何かあったという事ですよね、詳しく教えてもらえますか?」

「話すよ…だからお願い。フェイトを…なによりお母さんを止めて」



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第八話「相手を思うが故に」

この辺から原作から外れていくと思います。


野宮彩華です。

温泉旅行から帰ってきました。

 

あの日の夜、アリシアさんに憑依してもらった後、なのはに部屋に運んでもらったかと思っていたのですが

なのはにもたれかかってしばらくしたら自分で立ち上がり、普通に自分の足で帰ったそうです。

声をかけても生返事だったし、目が虚ろだったそうなので、結構怖かったそうです。

 

その事をアルスに確認したら、四天の書には各々に所有者を護るシステムがあるそうです。

その中の月天の能力は所有者が有事の際、システム側から所有者を動かし迎撃するというのがあるそうなので、恐らくそれではないでしょうか?

ジュエルシードに格納されていた魔法式に関しては、今回のジュエルシードを蒐集した後、完成しました。

中に入っているのは魔力収束と儀式祈祷魔法のようです。

ジュエルシードは外にある魔力を蓄積していき、願った者対して蓄積した魔力を使い願いを叶えるというのが目的のようです。

ただ、儀式祈祷魔法は全部揃わないと完全な魔法式とはならないのと、石そのものには言葉を解釈する能力が無いので、全部揃えてもちゃんと願いは叶わないみたいです。

その為、イメージを読みとりそれに近い形で実現するように叶えるようです。

自分の思い通りの願いを叶えたいのなら、石と繋げる機械を用意して翻訳しないとダメみたいですね。

 

フェイトの事情はアリシアから詳しく話を聞きました。

なんでも、26年前に事故でアリシアが死んでしまってから、母親であるプレシアが蘇生させる為に頑張ったそうです。

色々と手を試したがどれもうまくいかず、もはやアルハザードに行くしかないとの事で、ジュエルシードを集めているそうです。

アリシアを生き返られせる方法の一つ、記憶転写型クローン技術のプロジェクトF.A.T.E.で作り出したアリシアのクローンであるフェイトに収集を命じているみたいです。

アルスが言っていたのもありますが、アルハザードは既に滅んでいるので行きようがありません。

26年もそれに没頭するなんて、もはや妄執です。まともな精神状況ではありません。

 

アリシアとしては、何より母親とフェイトが仲良くして欲しいと思っているようで、フェイトが蔑にされている姿が見るに堪えないそうです。

それに、プレシアは病を患っているらしく先は長く無いので、アリシアに囚われず自分の人生を生きて欲しいと思ってるみたいです。

まぁ、死んだ者を生き返らせる事はできませんからね、私の治癒・蘇生に関しても厳密に言うと生き返られたり直したりしてるわけではありませんし。

私の能力でアリシアの蘇生は…出来ない訳ではありませんが、ほぼ不可能です。

なんにせよ、フェイトとプレシアとは一度しっかりと話をしないといけませんね。

 

 

『あやか?』

私にとり憑いてくれたアリシアが話しかけてきます。

『ごめんなさい、ちょっと考え事をしていました』

『私達の事?』

『はい、それと今後の方針について』

『フェイトがこっちで住んでいる場所とかわかるよ?』

『それは助かりますが、まだ行かない方がいいでしょう』

『どうして?』

『家というのは身を護る砦です。その場に敵対者と思ってる人間が訪れた時の対応は友好的にはなりません、まだジュエルシードが集まってないので、集めていればこれからも会う事はあるでしょう』

 

そうやって、アリシアと話をしていると、すずかが話しかけてきます。

「あやかちゃん、ちょっといいかな?」

「なんでしょうすずか」

「最近、なのはちゃんもあやかちゃんも元気がなくて、思いつめたような顔をしているから心配なの、何かあったのかな?」

「すずか…ありがとうございます。今とても難しい問題に直面していて、私となのはには余裕が無いのです。できればすずかやアリサに相談したいのですが、大切な人だからこそ相談できない事なのです」

「なのはちゃんもあやかちゃんと同じ問題なのかな?」

「全く同じではありませんが、関係はしていると思います。なのはの"なんでもない"はすずかやアリサに心配をかけたくない為に言ってるという事を理解してほしいのです」

「うん、それが解ってるからこそもどかしいんだよ」

とすずかと話していると、パァンという部屋に音が鳴り響きます。

音の方に視線を向けると、アリサがなのはの頬を叩いていました。

 

アリサ…気持は解りますが、心配する方が余裕を失くしては逆効果なのです。

そう思い、アリサの元へ行こうとすると、すずかが私を止めます。

「あやかちゃんはなのはちゃんをお願い、私はアリサちゃんのところに行ってくる」

私もちょっと焦っていたようです。今はその方がいいですね。

「そうですね、わかりました」

すずかにそう伝えると、私はなのはのところで急ぎます。

「なのは、大丈夫ですか?」

「アリサちゃん、怒らせちゃった…」

「そのようですね、私も同じ立場だったらなのはに対して怒っていたかもしれません」

「私…どうすればよかったのかな?」

「今のでいいのですよ、今回に関してはアリサが一方的に悪いのです」

「そんなことないよ、私がちゃんとアリサちゃんの事を気にしていれば…」

「なのはのその友達に対する心遣いは良いところでもあり、悪いところでもあります」

なのははえっ?とした顔になり私の話に耳を傾けます。

「いいですかなのは、友達・親友・恋人というのはあくまでも自分と他人の関係を他者に説明する為の表現です。お互いが共通の認識を持つからこそ、私達は友達(親友・恋人)だよねという事が成り立ちます。気が合う、大切、好きな人に対する接し方をするからこそ友達であり、親友であり、恋人たりえるのです。友達・親友・恋人だからそのように接するのではありません。ですから"友達なんだから話して欲しい"というのは、友達という関係を盾に相手に行動を強要する甘えなのですよ」

「それでも、アリサちゃんに心配させて、その心配を蔑にして怒らせちゃったのは良くないよ…」

「その通りです。ですからなのはにもうちょっと余裕があるのでしたら、取るべき行動が変わっていたと思います。去年の11月頃、私がどんな状況だったか覚えていますか?」

「うん、覚えてる」

なのはは思い出してハッとした顔になります。

「それでしたら、答えは出てると思います」

「そうだね、私…アリサちゃんのところに行ってくる!」

そう言ってなのはは駆けて行きました。

 

『なんというか、あやかって年相応に見えないどころか、哲学みたいな考え方するよね』

アリシアが感心したように話しかけてきます。

『それはそうです今回の人生は2回目で、前世は男で30年くらいは生きてますから』

『そうなの!?』

アリシアがびっくりしたような言葉が返ってきました。

おや?秘密だったのですが、アリシアに対して言葉として送ってしまったようです。

『アリシア、この件に関しては私とあなたの秘密にしてください。このような事はあまり表に出したくないのです』

『そうだね、私とあやかの秘密だね♪』

アリシア、なんでそんなにうれしそうなんでしょう?

 




フェイトは一度報告に行きました。
プレシアの期待にこたえられていないので、フェイトは原作より責めを納得して受け入れてます。
プレシアの怒りも凄いので、罰も酷いものになっているます。


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第九話「わかりあうために」

原作を見直しましたが、かなり記憶と違っていました。
フェイトが報告に行くのは次元震発生後みたいですね。
ストーリーに引きずられてキャラクター視点での行動ではなかったので、ちょっと反省です。

フェイトの性格からすると、リベンジするまでたぶん報告に行かないんじゃないかなと思ってます。
という事で、報告には行ってない形での話になります。


第九話

 

野宮彩華です。

なのははアリサとすずかに出来る限り話をして、なんとか仲直りできたようです。

私自身もアリサに話をして、詳しい話はできないと説明したところアリサも渋々納得してくれたようです。

アリサの気持ちは解るのです。ですから大切な人だからこそ話せない事もある事を理解して欲しいのです。

とはいえ、なのはが誰にも頼らないで自分で何とかしようというのはあまりよろしくないのですけどね。

 

その日の夜、ジュエルシードの反応が出ました。

私達はいち早くジュエルシードを発見して、なのはが遠距離から封印処理を行います。

しかしながら、ジュエルシードのある現地に到着した時には、フェイトとその使い魔がその場にはいました。

襲いかかる使い魔の攻撃を受け止め、私は言います。

ユーノは結界とその維持、周囲に被害がでないように、なのははフェイトの事をお願いします!

二人とも納得してくれたようで、肯きを返してくれます。

 

ジュエルシードの傍で戦闘を開始します。

なのはは戦う気がなく、フェイトと話し合いをしたいようです。

自分がジュエルシードを集めてる理由説明して、フェイトからも理由を聞き出そうとしています。

 

私はフェイトの使い魔と対峙し、彼女から話を聞くとします。

「私の名前は野宮彩華です。名前…教えていただけますか」

「アルフだよ」

素っ気なく彼女は答えます。

「貴方ともフェイトともできれば争いたくありません。ですから単刀直入に聞きます。貴方達はフェイトの母親の命令でジュエルシードを集めているのですよね?」

私の言葉を聞いて、アルフは驚愕します。

「な…なんでそれを?」

「とある筋からの情報です。私はフェイトの母親が何故ジュエルシードを集めているのかも知っています。ですから残念ですが貴方達がジュエルシードを集めてもフェイトの母親が目的を達成できない事が解るのです。」

「だから、ジュエルシードを集めるのは諦めろというのかい?」

アルフは警戒しながら質問してきます。

「そうではありません。私としてはジュエルシードをこの世界からさっさと回収して欲しいので、集めるのを諦められるのは困ります。」

「だったら、なんだい?」

「私はその目的を達成するのに最も確実な方法を知っていると言ったら?」

「それを信じろというのかい?」

「信じる信じないは私がどうこう言う事ではないので、そちらの判断に任せます」

アルフはそれを聞いて決めかねているようです。

私はその間になのはとフェイトの様子を見ます。

フェイトはなのはに、ジュエルシードを必要としているのは母親で、母親の為に集めなければならない。

だから何としても集めると言ってジュエルシードの確保をしようとジュエルシードに向かいます。

それを阻止しようとなのはもジュエルシードへ向かいます。

二人ともジュエルシード回収しようと、ジュエルシードめがけデバイスを振るった時、なのはとフェイトのデバイスがジュエルシードを挟む形で衝突します。

すると、ジュエルシードが発動し巨大な光とエネルギーを発しました。

その現象にアルスが警告します。

(主、これはかなり危険だ、このエネルギーは次元震クラス、下手をするとこの世界が吹き飛びかねん)

次元震が何だかはわかりませんが、放っておくと世界が無くなる程の危険だという事は解ります。

エネルギーの奔流が凄く、近づくのはかなり危険ですがそうも言ってられません。

仕方がありません。今回はジュエルシードを消滅させるしか手はないようです。

私は意を決して、ジュエルシードへ近づきます。

「止まれ…止まれ…」

いち早くフェイトがジュエルシードを両手で握りしめ、必死に念じます。

フェイト、それはリスクが高すぎます。

私は躊躇する事無く、フェイトの傍まで走り寄り四天の書を開き蒐集を開始します。

書が蒐集進めるにつれ、辺りの光は徐々に治まって行きます。

ジュエルシードを蒐集し尽くす頃には、光は無くなっており、辺りは穏やかになります。

そして、完全に蒐集されたジュエルシードは、粒子となって霧散しました。

「ジュエルシードが…消滅した?」

ユーノが信じられないという顔でつぶやきます。

皆が驚きの表情を浮かべて、混乱しています。

 

そうしている中、倒れこむフェイトを抱きとめ、彼女の両手を見ます。

手に付けていたグローブは破れ、掌が露になっています。

その手は皮膚が焼けただれ、骨が見える部分もありました。

それを見た私は顔を顰め即座に能力での治療を行います。

「全く…貴方も無茶をしますね」

話しかけながら能力を開放し、フェイトの手の復元を開始します。

すると、フェイトの傷はみるみるうちにふさがっていき、元通りの綺麗な手になります。

アルフが駆け寄りその姿を驚きながら見ています。

「あんた…それは一体…?」

聞こうとするアルフに黙っていてくれと目配せをし、治療を終えたフェイトをアルフに渡します。

「あ…ありがとう」

お礼をいうアルフに気にしないでくださいと答えた後、アルスにジュエルシードを出すように依頼します。

アルスから取り出したジュエルシードは、先日フェイトから受け取り、蒐集を終わらせたものです。

それをアルフに握らせます。

「今回は已む無くジュエルシードを破壊しましたが、勝負はフェイトの勝ちです。代わりにこれを受けとってください」

そう、アルフに話しかけた後、念話で更に言葉を繋ぎます。

(それを必要としているフェイトのお母様に、私がお話をしたい事お伝えいただけますか?)

(わ…わかったよ…話してみる)

は一瞬逡巡しましたが、小さくうなずき了解の旨を伝えてきます。

アルフとの話がおわり、彼女はフェイトを抱えてこの場から離れます。

それを確認した私は、急いでなのはの許へ戻ります。

「なのは、大丈夫?」

「私は大丈夫なの…だけどレイジングハートが…」

なのはがレイジングハートを見せてくれました。

全体に罅が入り、少しの衝撃で壊れそうな状態です。

「レイジングハート、修復できそうですか?」

ダメなら私が直そうと思いましたが、レイジングハートから問題ないと返事がありました。

でしたら、任せるとします。

本当にマズイ状態になったら私が直しますし。

「とすると、レイジングハートが治るまでは暫く休んだ方がいいですね。フェイト達の目的も解った事ですし、もしかしたら協力できるかもしれません」

「あやかは、それを狙ってジュエルシードを渡してるの?」

ユーノが釈然としない感じで私に聞いて来ます。

「それもありますが、私の目的はこの世界からいち早くジュエルシードを回収する事です。ですから、誰が回収しても問題は無いのです。」

「あやかはそうかもしれないけど、ジュエルシードは危険な物なんだ。使い方を誤るととんでもない事になる。」

「そうですね。実際、私は今回のように破壊してしまうのが一番だと思います。」

「だったらどうして?」

「私達の持っているジュエルシードはどう頑張っても使う事は出来ない状態にしてあります。それを渡す事で他の集めている者の目的を知る事が出来るなら、そうした方がいいですし、相手の目的次第でどうするか決めればいいのです。目的が一緒だからといって敵対するというのはあまり賢い選択ではないと私は思うのです。」

「私もそう思うの」

なのはが私に同意していますが、なのははただのお人好しなんだと思いますよ。




次は別視点の話にしようと思ってます。


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閑話「時の庭園へ」(改)

という事で、フェイトがプレシアに報告しに行きます。



遠見市にある、高層マンションの一室…

 

フェイトです。

部屋で目覚めたら、アルフが心配そうな顔で覗き込んでいました。

「ありがとう、アルフ」

私は心配をかけまいと、笑顔でアルフにお礼をいいます。

「いいんだよフェイト、それより大丈夫かい?」

ベッドから身を起こし、自分の身体を確認したけど、痛みとか全くないし前より調子がいいくらい。

「大丈夫だよアルフ、私、怪我をしたはずだけど治ってる。アルフが治してくれた訳じゃないよね?」

アルフは回復/治療の魔法を覚えていない。私の手の怪我は手の甲までの酷いものだ。

普通の回復魔法でも短期間でここまで早く治る事はない。

「あの子…あやかといったかな?その子が治してくれたんだよ」

あやか…あの槍を使う魔導師…魔力は低いのに凄く強い。クロスレンジで戦ったら今のままでは勝てる気がしない。

けど、勝たないと…勝って彼女からジュエルシードを奪い取らないと母さんの目的が達成できない…

だけど、私とは敵のはずなのに、なんで治療をしてくれたんだろう?

「フェイト…」

心配そうに、そして何か言いたそうに話しかけてくるアルフに笑顔で

「大丈夫だよアルフ」

とりあえず、何があったのか知らないと…

「それで、あの子がジュエルシードを消滅させた後、何があったか教えてくれる?」

私の問いかけに答えようとする前に、アルフからジュエルシードが差し出されました。

「とりあえず、これを受け取っておくれ」

どうしてジュエルシードがあるのだろう?

「ジュエルシード?確か消滅したはずじゃ…」

「このジュエルシードはさっきのあかやという子が"勝負はフェイトの勝ちだから代わりに持っていけと"渡してくれたものなんだよ」

あの子が…?彼女もこれを集めているのに、なぜ私に差し出すのだろう?

彼女は一体何者?白い子と一緒に居る以上、彼女の協力者のはずだしジュエルシードがあのフェレット持ち物だと言っていた、それにしてはジュエルシードの頓着しない。

彼女はなんの為にジュエルシードを集めてるのだろう?

知りたい事が多すぎて、考えがまとまらない。

「アルフは彼女と何か話をしたのかな?」

「ああ、フェイトがあの白い子と戦ってる時に話をしたよ」

「どんな事を話したの?」

「彼女は私達と協力できないかと思っている事を聞いたよ。それに私達がジュエルシードを集めてる理由を知っていて、フェイトの母親がジュエルシードを何に使うつもりか知っているようだったよ。」

アルフがびっくりするような事を言う。彼女は本当に何者なのだろう?

「そうなんだ…」

あの子は何が目的なんだろう?解らない…

「フェイト?…それで彼女はフェイトの母親と話をしたいと言ってたんだけどどうするかい?」

「母さんに話せるようなら話してみるけど、私達の目的はジュエルシードを集める事だよアルフ」

「フェイトがそう言うならそれでいいと思うけど、なんかひっかかるんだよね」

「とにかく一度、母さんに報告しよう。」

その前に、折角帰るんだから母さんにお土産を買っていこう!

現地のおいしいお菓子なんかがいいかなぁ

 

 

夕方、マンションの屋上で私は次元転送の魔法を使って、母さんが居る時の庭園にもどります。

アルフが代ろうかといってくれたけど、すごく調子がいいので私が魔法を使いました。

 

時の庭園に着いたら、アルフと一緒に母さんのいる広場へと向かいます。

母さんは私が帰って来たのを確認すると

「おかえりなさいフェイト、ジュエルシードは集まったのかしら?」

「全部は集まっていないけど、いくつか回収できたので持ってきました。あと…これ…お土産です。」

「そう…それで、いくつ集めたのかしら?」

母さんの顔が不機嫌そうになります。

「3つ…です…」

「たった3個?これだけの期間をかけて、フェイトはたったそれだけしか集められなかったの?」

母さんの顔が怒りに変わっていきます。

「ごめんなさい……」

色んな事があったけど、全部は私の力不足。母さんの期待に応えられないのは、私が悪いんだ。

「それで?どんな問題があったのかしら?」

「現地でジュエルシードを回収しているグループが居て、その子達と競争になっています。」

私の説明に母さんはけだるそうに答えます。

「律儀に相手のやり方に合わせて回収していたから、たった3個しか集められなかったという事ね」

「ごめんなさい…」

「これはあまりにもひどい、出来の悪い娘には躾が必要ね、アルフ貴方は外で待っていなさい。」

 

 

そう言って、母さんは私を他の部屋に連れて行きます。

部屋に着くと私は両手を拘束され宙吊りにされました。

その後、母さんは鞭を取りだし私に向かって振るいます。

叩かれた場所から凄まじい痛みが走りますが、歯を食いしばって我慢します。

「貴方の目的はジュエルシードを集める事、その為に手段をえらぶ必要はないわ」

「ごめんなさい…ごめんなさい…」

「他に集めている者が居るのならば、そいつらを叩きつぶしなさい」

母さんは怒りの形相で鞭を振るいます。

「フェイト、貴方は大魔導師プレシア=テスタロッサの娘なの、母さんを失望させるような事はしないでちょうだい」

 

暫くすると、アルフが部屋に踏み込んできます。

「やめな!」

「何かしら?役立たずの使い魔風情が…」

アルフが母さんを止めようと話をしています。

「あんたにいい事を教えてあげるよ、とある人からの言伝なんだけど、その人が言うには"ジュエルシードを集めてもあんたの目的は達成できない。私なら最も確実な方法を知っている"だってさ」

母さんはその言葉を聞きくと鞭の手が止まりました。

母さんはゆっくりとアルフの方へ振り返り、アルフへ言います。

「私の目的を知らないような奴の言う事を信じろというのかしら?」

「さぁね、ただそいつは私達が言ってもいないのに、ジュエルシードを必要としているのはアンタだという事を知っていたし、あんたの目的も知っているようだったよ」

「一体何者なのそいつは?」

「知らないね、ただアンタと話がしたいと言っていた。信じる信じないは好きにしろとも」

「それで、あなたなら連絡する方法があるというのかしら?」

「勿論知っている。ただそいつも準備が必要だと言っていたからすぐに連れてくる事は難しいよ」

アルフの言葉に母さんは少し考えるとアルフに命令します。

「そう…それじゃぁなるべく早く連れて来なさい、嘘だった場合は…解っているわね?」

「もちろんさ、そいつは何としてでも連れてくる。ただ、そいつがあんたの期待通りかは保証できないけどね」

「構わないわ、どんな事を知っているのか楽しみじゃない。だからさっさと連れてくるのよ」

「はいよ、それじゃぁ行ってくるよ、フェイトを連れて行ってもいいかい?」

「…そうね…さっさと連れて行くといいわ」

そう言うと母さんは私の方に向かって歩いて行き

「フェイト…今の話は聞いていたわね?」

朦朧とする意識の中、私はなんとか返事をします。

「はい…母さん…」

「あなたには期待しているのよ、ジュエルシードを集めるのも重要だけど母さんの願いの為に、今話していた人をなるべく早く私の前に連れて来なさい」

「はい…解りました」

私がそう答えると、拘束が解かれ軽く浮き上がる感覚がした後、私が地面に落ちる前に誰かに受け止められました。

なんとか自分の足で立とうと思ったのですが、意識が遠のいて気を失いました。

 

今度こそ、母さんを喜ばせられるように頑張らないと…

 

 

その後、私はマンションベッドで目を覚ましました。

心配そうにするアルフを嗜め、痛む身体を動かしジュエルシードの探索に出ます。

その日の夕方、また新たなジュエルシードが反応しました。

 




なんかおかしいと思ったら脚本的な書き方で視点統一できてませんでした。
フェイトを主軸に書きましたので、時の庭園での話はこんなかんじです。


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第十話「彩華の能力」

久しぶりに書けました。
もうちょっと吟味した方が良かったかなぁ


野宮彩華です。

フェイトとアルフが帰って行ったので私も自宅に戻りアリシアとお話です。

なのはのデバイスであるレイジングハートは修復に丸一日以上かかる様子、暫くジュエルシードの捜索は休止です。

 

アルフに話はしましたが、ちゃんと伝えてくれているのでしょうか…

『大丈夫じゃないかな?問題はお母さんがあやかと会ってくれるかどうかだね』

ですよね、こればっかりは相手の心持次第なのでどうしようも無いのです。

 

とはいえ、ジュエルシードを使おうとするなら必ず壁にぶち当たるので、その時まで待つのでも問題ありません。

 

『そういえば、あやかは私を生き返らせるのにより確実な方法があると言っていたけど、どんな方法なの?』

そういえば、アリシアには話していませんでしたね。

『私の能力…そちらに解りやすくレアスキルとでもしておきましょうか。それには復元/回復/再構成といった事ができますのでそれを使います。』

『???』

アリシアはいまいち解ってないようです。詳しく説明しましょう。

『解りにくかったですね、簡単に言うと場合によっては他人の蘇生も可能な治癒能力にも使える力といったところです』

『それって凄い能力だよ』

『確かにそうなのですが、制限のせいで使いどころが難しいのです。』

『制限?』

『です。自分に使えないこと。使用中は周りが知覚できなくなること、更には全く動けない状態になることですね。』

『そうかなぁ、そんなに使いどころが難しくなるほどじゃないと思うけど』

『確かに話す限りではそうではないと思いますけど、能力の効果が使いどころを難しくしているのですよ』

『使って解った事なのですが、私の能力は対象の時間を巻き戻すといった形で行われています。時間の経過が経てば経つほど、対象物が大きければ大きいほど魔力の消費量が増大します。』

『復元/回復に関しては、対象物を起点として行うので、肉片一つあれば完全に肉体の復元が可能ですが、私の全魔力では成人男性一人を復元できるかどうかくらいです』

『復元すれば蘇生するのならいいのですが、残念な事に人間の生には魂という概念がありまして、肉体と魂が一つになって初めて生きている状態になるのです。』

『死後直後であればまだ魂と肉体の繋がりが残っていますので、繋ぎとめて蘇生させる事が可能なのですが、繋がりが切れてしまっていると私個人の力では結びつける事ができません。』

『魂と肉体の繋がりってどのくらい経ったら切れてしまうのかな?』

アリシアが不安そうに訊ねてきますが、私にも解りません。

『人や状況によりけりなので一概には言えません。ただ直後であれば確実に大丈夫ですが、時間が経てば経つほど可能性が高くなります』

『繋がりが切れてしまった人を生き返らせる事はできないの?』

『再構成の力を使えば可能ですが、その場合はその人に最も近い縁者の魂が必要になります。』

『縁者?』

『アリシアに一番解りやすく言うと、両親であったり兄弟であったりですね』

『ということは、私の場合はお母さんとフェイトの事かな?』

『そうですが、今回の場合で言うとフェイトは除外されてしまいます』

『どうして?』

『フェイトの魂はアリシアの縁者ではなく分霊なので、フェイトの魂を使うとアリシアがフェイトに吸収される形になってしまうのです』

『そうなんだ…』

アリシアが残念そうに言います

『寧ろ喜ぶべき事ですよ、縁者は代償として必要なので、貴方を蘇生させる代わりに死ぬ事になりますから』

私の知る限りの情報を整理すると、恐らくフェイトはアリシアの代わりとして生み出されているのでしょう、アリシア蘇生の贄となるのでしたら、プレシアは是非とも実行すると思います。

『えっ…』

意外な事にアリシアが驚いています。

『当然の話です。私の方法は生きている者が死者を呼び寄せるのではないので、切り換える事しかできないのです』

『私を生き返らせる代わりに死んじゃうの?それはダメだよ!』

アリシアが必死に訴えてきます

ああ、魂を使うという事が死ぬとは同じなのが伝わってなかったのですね。

『ですが、そうしてでも為したい想いというものを持つ人は居るものです』

『だけど…』

わかりますよ、アリシア。自分の為に誰かが犠牲になるというのは許容できないという気持ちは…ですから、アリシアの蘇生させるのにフェイトの魂を使う事ができない方がいいのです。

『方法としてはありますが、私もこの方法で誰かを蘇生させる事は、やりたくありませんので却下です』

『という事は、他にも方法があるの?』

『はい、私が考え得る限り一番確実な方法なのですが、これは厳密に言うと蘇生というより転生と言った方がよいのかもしれません、後はそれをアリシアとプレシアが受け入れられるかどうかです。』

『どういう方法なのかな?』

 

『発想の逆転です。肉体側からの繋ぐアプローチが不可能なら、魂側からアプローチして創ればいいのです。アリシアという存在を生み出すと言った感じでしょうか?詳細に関してはアリシアやプレシアと話をしないと決められないので、まずはプレシアと会うところからですね』

 




次はいよいよ対面ですね


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第十一話「皆で協力して?」

久しぶりの更新です。
大まかには決まっているのですが、キャラの性格考えるとちょっと無茶な展開とかがあるかもしれません。


野宮彩華です。

レイジングハートの自己修復が終わり、今日からまたなのはがジュエルシードの捜索に加わります。

 

私自身も探してはいたのですが、見つかりません。

残りのジュエルシード、可能性としては海にある可能性が高いですね。

川に落ちて流れついたとかが濃厚です。

 

あと、修行についてはそろそろ遠距離攻撃系を習得する事になります。

とはいえ、直射限定ですので攻撃というより、牽制に使うものですね。

誘導弾の制御は当面は魔力スフィアを身体周辺に待機させ、相手の飛び道具を迎撃をするのが目的です。

最終的には収束砲も身につける予定ですが、今の段階では負担が大きすぎるので使わない方がいいみたいです。

使えるようになるには、結構かかるかもしれません。

 

あと、一つ切り札となる魔法を考えていますが、正直完成するかどうか解りません。

実物と同様の効果は不可能にしても、月天の書の力を以てすれば擬似的なのはできそうです。

完成すれば対魔導師に対する最高の切り札となるのですが…

 

そんな事を考えていると、夕方頃に公園からジュエルシードの反応がありました。

なのはと一緒に急行し、

今回はジュエルシードを取り込んだ樹が相手です。

そろそろ連携をした戦いを身につけておきたいので、なのはとユーノにはサッカーを例えに説明します。

私は近接戦闘メインなので切り込みとしてFW

なのはは砲撃メインなので、MF

ユーノは支援補助がメインなのでDF

 

しばらくすると、フェイトとアルフが現れましたので、協力してもらいます。

フォーメーションとしては、アルフと私がFW、なのはとフェイトがMF、ユーノがDFです。

私とアルフが相手の防御を抜き、フェイトが相手の攻撃を封じ、なのはが仕留めて封印。

ユーノは要所要所でのサポートといった形です。

 

初めてにしては、危なげなく相手を制圧してあっさりとジュエルシードを封印できました。

みんな能力が高いですね。

 

なのはが封印したジュエルシードは私が確保した後、なのはとフェイトがお互い武器を構え戦いを始めます。

勝った方がジュエルシードを自分のモノとする約束なので、フェイトが勝てば問題なく手渡します。

私とアルフは観戦しながら会話を始めます。

 

『アルフさん、こないだは大丈夫でしたか』

アルフさんに念話で話を振ります。

そしてその間、こっそりとジュエルシードを四天の書に蒐集させます。

『ああ、あんたの事プレシアに話したよ』

それは何よりです。さて、食いついてくれましたでしょうか?

『それで、彼女はなんと』

『あんたに会いたいってさ、だから一緒にプレシアの処へ来てくれないか?』

やはりそうきましたか、彼女がどう言う心算か次第でこの先が大変です。

『わかりました。後ほどそちらにお伺いします。』

『場所は解るのかい?』

『これを持っていてください』

私は生成したサーチャーをアルフ渡し、アルフはそれを懐に入れます。

 

戦いは

「なのは!凄い…彼女と互角に渡り合ってる!」

ユーノがなのはとフェイトの戦いを見て歓心しています。

フェイトとなのはの戦いは互角に見えますが、恐らくこの戦いはフェイトの勝ちですね。

ですが、なのはにもまだチャンスはあります。

それにしても、なのは…強くなりましたね最初の頃とはうって変わって、素晴らしい対処です。

フェイトの動きにもついていけるようになり、自分の有利な点を活かして渡り合えています。

「それでも勝つのはフェイトだよ」

アルフがユーノに反論しましたので、私もそれに続けます。

「確かに、このままいけばフェイトの勝ちでしょうけど、なのはにも勝機はあります。それに気が付けるかどうかなので、まだ解りませんよ」

私がそれを言い終わった時、なのはとフェイトが正面きって激突しようとします。

すると、突如彼女達の間に黒髪で黒衣の少年が現れなのはとフェイトの間に割り込み両者のデバイスを受け止めます。

「ストップだ!ここでの戦闘は危険すぎる」

あの姿は…もしかして、クロノ!?

そして黒衣の少年は名乗ります。

「僕は時空管理局執務官クロノ=ハラオウン、詳しい事情を聞かせてもらおうか」

クロノ=ハラオウン!? ハーヴェイではなく?という事は、事故が起きて無いのでしょう。

そうするとリンディ=ハラオウンも間違いなく居ますね。

それに、時空管理局って?何の組織なのでしょう?解らない事だらけです。

ただ、後からしゃしゃり出てきてなんでそんなに偉そうなんでしょうか?




時空管理局ってなんでそんなに偉そうなんですかねぇ…


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第十二話「時空管理局」

彩華です。

リリカルなのはの世界に微妙に似てるせいで結構混乱します。

恐らく基軸となるモノは一緒で、歴史が違うパラレルワールドなんだと思うのですが…

 

とはいえ、また新しい人が出てきましたね。

人というより組織なんですが、地球には支部みたいなのがあるのでしょうか?

時空管理局という名前から判断するのに、幾つかの時空間に存在する世界を管理する組織なのではないかと予想は出来るのです。

実際はどうなんでしょう?話を聞かない事には…

 

『アリシア、時空管理局というのはどういう組織なのか知っていますか?』

『私が知る限りでは、彩華の予想でだいたいはあってると思う』

なるほど、異なる時空に色んな世界があり、人間のような知的生命体が居るという訳ですね。

素晴らしい発見なのですが、この世界ではないのがちょっと残念です。

宇宙を探せば他の星に知的生命体は居るのでしょうか?

まぁ、私が気にする事ではないのですが…

 

フェイトとなのは、クロノがゆっくりと地上に降りてきます。

 

「まずいね」

アルフが焦っています。何か問題があるのでしょうか?

恐らく時空管理局とやらに目をつけられるとまずい行動をしているのでしょうか?

人を生き返らせようとしてるのですから、あり得なくはありません。

でしたらちょっと協力しましょう。

私は降りて来る三人に向かって歩き出します。

 

私がその場に辿り着くのと同じくらいに三人は地上に立ちます。

フェイトが何かを迷っていると、アルフがフェイトに声をかけます。

「退くよフェイト!」

アルフの声にフェイトが撤退を決意します。

「逃がすと思っているのか!」

クロノがフェイトへ杖を構えた間に私が覗き込むように割り込み、クロノに話しかけます。

「私はここ地球の魔導師で、名を野宮彩華といいます。クロノさんでよろしいですか?」

私が彼の邪魔をしているのが解っているのでしょう。クロノが非難するような目で私に問いかけます。

「邪魔をしないでくれ」

「それよりも私の質問に答えてください。あの二人は私の許可の下、この場で戦闘を行っていましたが、何故止めたのですか?」

「あのまま戦い続けていたら、危険な状態になっていたからだ」

「今までの状況を鑑みた上で、私は安全だと判断したので戦闘の許可をしていますが?」

「君に何の権限があるというんだ?」

「この地にて魔法を学び、行使する者としてこの地を護る権利と義務があります」

「嘘をつくな!この世界に魔法文明は存在しない。君がこの世界の人間から魔法を学べる訳が無い」

「貴方が何と言おうと私はこの地で学んだのが事実です。逆に訊ねますが貴方に何の権限があって禁止するのですか?」

「管理世界外での魔法の使用は時空管理局の法で禁止されている、その法を護る執務官としてだ!」

「なるほど、ではその時空管理局の法とやらをこの世界でどのようにすれば確認できるか教えていただけますか?」

「それは…」

クロノが言い淀みます。

それはそうでしょう。魔法文明が無いと断言している処に管理外世界と言っています。そんな場所に法を確認する手段を用意しておくはずがありません。

「おかしいですね、魔法を行使する上でルールというのものが存在しているなら、教える者はまずルールの存在と概要、確認手段を教えるはずです。それがこの地に無いという事は、そもそもそのルールは存在しないか、この地でのルールではなくこの地とは全く関係無い場所でのルールという事になりますがどうなのですか?」

「確かにこの地でのルールではない。だが魔法を使う者全てが守らなければいけないルールだ!」

魔法を使う者は全て時空管理局の法を護らなければならないとかいう論拠でしょうか?そんな人間が出てきて…その組織は大丈夫なんでしょうか?

「となれば、そのルールに属する者は登録されて然るべきです。時空管理局に帰属する代わりに魔法の力を得る事ができるといった形ですね。その程度の事もできないで、ただ魔法を使うと言うだけで、さも正当のように振りかざすとは管理局とは聞いて呆れる」

「…君は本当に管理局を知らないのか?」

クロノは苦虫を噛み潰したような顔になっていますが、少々冷静になったようですね。フェイト達もちゃんと離脱できたようですがもう少し時間を稼ぎましょう。

「そのような名前は今、初めて聞きました。以上の事から貴方達のルールに従う理由はありません。貴方達が出来るのは精々任意同行くらいです。それでも強行するというのでしたら相応の覚悟を持ってください」

足が震えるのを抑え込んでなんとか絞り出し強気に出ます。

そもそも、組織に対して個人で闘うのは話になりませんので、私にもバックが居るように見せるハッタリです。

ただ、相手が真っ当な組織ならこれで強行するとは思えませんが、そうでなかった場合は私如きでは簡単に捻り潰されるでしょう。

それに、こうしておけばフェイト達の逃亡に何か問題がある場合でもそれを問う事はできないはずです。

 

「そのくらいでご容赦願えないかしら?」

中空に魔法陣が浮かび上がりそれがモニターとなって女性の顔が浮かびます。

リンディ=ハラオウンですね、一緒に来ていたのですか…

「まだ、言いたい事はあるのですが?」

このまま有耶無耶にして撤退するのがいいでしょう。お呼ばれしてる事ですし…

「貴方の目的はほぼ達成したと思いますので、続きはこちらの船でお伺いしたいのですがよろしいですか?」

あら、私の目論見も見抜かれた上での対応です…少々厄介ですがそう言われると応じるしかありません。

「解りました。そちらに参りましょう。」

あと、私が言いたい事は貴方達はお呼びでないという事くらいなので、それは今後の展開次第でいいですね。

 

恐らくリンディさんには見抜かれてるのでしょうが、これを張り続けるしかないのです。

こちらに明確なルールが無いとなると、時空管理局ルールをゴリ押しされてそれに準じて裁かれる可能性が高いのです。

クロノの言い分を見るとそればかりか、こちらにルールがあってもそんなの関係無いという感じさえします。

私個人だけではなく、なのはを護る為にも、最悪の場合は事を構える覚悟をしなければなりませんね。



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第十三話「アースラへ」

時間がなくて更新できませんでした。

ちょっとした場所でしたので端折れば大丈夫だったのですが…


あちら側からの転送魔法を受け入れ、船の中に来ました。

次元航行艦アースラという船らしく、内部を見たところ魔法というより科学ですね。

 

[高度に発達した科学は魔法と見分けがつかない]というように、逆もまた真なり。

そもそも、この世界の魔法は[魔力]というエネルギーを使った科学の力みたいなものですし

 

私達が落ち着いたら、クロノがバリアジャケットを解除して元の姿に戻る事を提案します。

私となのはがバリアジャケットを解除した後、クロノはユーノにも元の姿に戻るように言います。

ユーノはそれに同意して元の姿に戻ったのをなのはが見て、呆然とします。

ユーノも同じくらいの歳でしたか…結構いい男なのです。

「なのはにはこの姿を見せるのは久しぶりだね」

「ええ~!ええええ~~~!!」

そういうユーノになのはは驚いて声を上げます。

あれ?確かユーノは過去に元の姿を見せてるとの話でしたが、聞いてみましょう。

「なのはは知らなかったの?」

「私、初めてだよ」

なるほど、そうでないのなら今までのなのはの行動が納得いきます。

「最初に会った時この姿だったよね?」

「違うよ、最初からフェレットの姿だったよ!」

「倒れていたのが初めてでしたら、確かに最初からフェレットの姿でしたよ」

私が援護射撃をすると、ユーノは考え込んで…思い出すと謝ってきました。

「あやかちゃんはあまり驚いて無いけど、知っていたの?」

「ええ、私は知っていましたよ。温泉の時にその話をしましたし」

そこまで話をすると、クロノがその話に割り込んで来ます。

「君たちの間に見解の違いあって、立て込み中の処悪いのだが、艦長を待たせて居るから、とにかく来てくれ…」

その通りです。この話は後でもできますし、今はリンディさんとの会話が重要です。

私達はクロノに艦長室(と思われる場所)に案内されました。

扉を開き、中を見ると…凄く和風の部屋です。

 

緑髪を長くのばした若い女性が正座して待っていました。

リンディ=ハラオウンですね、小さい姿しか見ていませんが間違いないでしょう。

 

座るとお茶と羊羹が出てきました。ホントに和風なんですが異世界にも日本みたいなところがあるのでしょうか?

ユーノがこの地に来た理由を説明し、責任感からジュエルシードの回収をしていた事を説明するとリンディさんは

「あのロストロギアは貴方が発掘したものなの…それで責任を感じて回収していたのね」

「はい、それでも色んな人にたくさん迷惑をかけてしまいました」

ユーノの勇気ある行動に感心しているようです。

「偉いわ」

「だが無謀でもある」

クロノの言うとおりです。ユーノの正義感は素晴らしいものですが状況判断が甘すぎます。

用心深い人なら間違いなくここまで踏み込んで動いたりせず、援軍を待ちます。

 

話を聞いていると、なのはがロストロギアついての質問しましたので、丁寧に教えてくれます。

lost(遺失)logia(術)という名称から推察するに遺失文明のテクノロジーで作られた物体といった処ですね。

ロストは英語でロギアはギリシャ語だ!なんて某氏が言いそうな言葉なのは置いておきましょう。

 

その後、お互いの自己紹介を済ませ、現時点の状況について話をします。

情報交換が終わり、話を締めようとした時

「後は私達に任せて君たちはこの件から手を引くといい」

クロノから聞き捨てならない言葉を聞きました。

「残念ですが、それは許容できません」

クロノの言葉に私は反論します。

 

「何故かしら?」

リンディさんが疑問を持っているようですので、説明の必要がありますね。

「一つ、私がこの地の魔導師でこの地の平穏を護る義務があるからです。貴方達が行動するというのはそれを乱す行為に他なりません。

 二つ、この地はそちらの時空管理局としては管理外世界ですので、我々としてはそちらはこの地を荒らしに来た侵略者となります。

 三つ、ジュエルシードはそこに居るユーノ=スクライアの落し物として私の監視下で捜索する事は許可していますが、そちらがこの世界で行動する事を許可していません。

以上の事から、貴方達が全権を持って行動する事を強行するのであれば、私は貴方達をこの地に対する侵略行為として断固とした対応を取らざるを得なくなります。」

 

「我々はそんな事はしない!言いがかりだ!そもそもあれは単独でも小規模な次元震を引き起こせる危険なモノだ!もし暴走した時どうやて止めるつもりだ?」

クロノが突っかかって来ますが突っぱねます。

「次元震?ああ、こないだの暴走の事ですね。心配はありません。私はアレを単独で止める事ができますし、あの状態のジュエルシードを破壊する手段も所持しています」

「な…なんだって!君が?どうやって…」

クロノが驚いています。まぁ、私のリミッターガチガチの状態からは想像もつかないのでしょう。

なのはもユーノも状況についていけていませんが、このまま続けます。

「貴方達にそれが可能ですか?それにクロノさん貴方は口をはさまないで下さい。私はリンディさんとお話をしていますので」

「確かにその通りね、だったら貴方の上司とお話させてもらえないかしら?」

リンディさんがそう切り出すのも予想の範囲内です。

「私に上司は居ませんので、この地での決定権は私にあります」

すでに設定があるところから流用するのが一番綻びがありません。管理方法はあの世界の方式としておきましょう。

「という事はこの世界のトップは貴方ということですか?」

「それは違います。ただ、私はこの海鳴とその周辺をオーナーとして全権を持っているので、他の地で行動するならその地のオーナーの許可を取ってください」

「他の地のオーナーと会う事はできるかしら?」

「魔法関係で何か問題が起きない限りオーナーが動く事は無いので恐らく無理だと思います」

「どう言う事かしら?」

「オーナー次第なのですが、ほとんどは基本的に問題が起きない限り干渉しません。そちらが問題を起こすのであればその限りではないのですが、やるつもりですか?」

「そのつもりはありませんが、彩華さん個人の伝手とかは無いのかしら?」

「あるにはありますが、会わせる気はありません」

嘘ですよ、そんな人居ませんから会わせられないのです。

「どうしてかしら?」

「逆に訊ねます。会ってどうするんですか?この地で問題を起こさなければ関わる事がないのですよ?」

組織ごと取り込もうという魂胆なのでしょうか?

「何かあった時のの情報提供や捜査の協力をお願いする為です。例えば今回のように危険なものがある時や犯罪者が逃げ込んだリした時とか」

「その理由でしたら、紹介する必要がありません」

きっぱりと断ります

「何故だ?危険なんだぞ!」

クロノが口を挟みますが前提がおかしいのです。

「いいですか、今回の件で言わせてもらえばそちらが現れるのが遅すぎますし、貴方達の協力が無くても解決する目処が立っていました」

「それは申し訳なく思っているわ、だから後は我々が責任を持って回収するので、手を引いて欲しいのよ」

「そもそも、手を引けというのがおかしいのですよリンディさん。この状況で貴方達のする事は回収の協力と回収が終わった後にジュエルシードを引き取りたいという交渉です。その上でこちらが無理と判断したなら諦めてもらうしかありません」

「貴方が渡せないと判断した場合は、ジュエルシードは貴方が所持する事になるのかしら?」

「そうなりますね」

「ロストロギアの不正所持は犯罪だ!個人で持ってていいモノではない!」」

クロノの言葉に私はため息を吐いて答えます。

「ロストロギアの不正所持が犯罪なのはそちらのルールです。私は時空管理局に所属しているわけではありませんので、守るべき法ではありません」

私の言葉でリンディさんの顔色が変わりクロノを制します。リンディさんは解っていたのでしょうね

「どう言う事だ?」

クロノは憮然と質問してきますので、答えるとします。全く…こんな事も知らない人間を外に出しちゃいけませんよ。

「いいですか?そもそも法というのは、集団で生活する上でのルールです。その集団に所属してルール守る事により恩恵を受ける。時空管理局に所属すれば時空管理局の法の下その庇護を受ける。だから時空管理局の定めた法を守るといった感じです。時空管理局に所属していない場所ではそこのルールがあり、そのルールを守る事による恩恵を受けています。恩恵のないルールは邪魔以外のなにものでもありせん」

「我々は色々な世界の事を考えて、その方が君たちの為にもなる事だ」

「それは貴方達の勝手な思い込みで要らぬお節介です。それでもなお、自らのルールを押しつけて守る事を強要するのであればそれは侵略行為に他なりません」

そちらの立場で具体例を示して説明した方がよろしいのでしょうか?と私が口を開こうとした時リンディさんが遮ります。

「いえ、充分です。彩華さんの言う事は解りました。私達としては残りのジュエルシードの回収と彩華さん達が回収したジュエルシードを引き取りたいのですが、条件はありますか?」

さて、ここからが正念場です。なるべく相手の要望に沿った形で条件を提示して呑まざるを得ない状態にするのがポイントです。

「現在の状態はユーノ=スクライアにジュエルシードの捜索する上で行動を許可した上で私となのはが手伝いしているという形になっています」

「そうすると私達もそれに協力するという形であれば許可していただけるのかしら?」

「話が早くて助かります。調査と監視等の状況把握と指揮はそちらで、私達は現場で封印する実動隊をします。

あとは、ジュエルシードが複数発動する等で私達の手が回せない場合に動いてもらうというといった形での協力を考えています」

「その条件での協力は歓迎しますが、回収したジュエルシードはどうするのかしら?」

「全ての回収が終わるまでは私の管理下に置く予定です」

「全てのジュエルシードが回収された後はどうするのかしら?」

「現時点ではユーノ=スクライアへ譲渡する方向で考えています」

「そう…」

リンディさんが考え込んでいるので、ちょっと水を投げてみましょう。

「こちらはその方向で考えていますが、そちらの要望は何かありますか?」

「特には…戦っていた相手の子はどうするのかしら?」

ああ、フェイト達の事ですね。この後会いますので大丈夫です。

「特に問題を起こしているわけではないので、別段何かするつもりはありません、そちらが何かする場合も干渉するつもりはありません」

「そう…条件はそれでいいわ、よろしくお願いしますね彩華さん」

「ありがとうございますリンディさん。それではよろしくお願いします」

私とリンディさんが握手した時、なのはもユーノもほっとしたようですね。

話が終わった後にお茶と茶菓子を堪能しているとリンディさんが私に

「彩華さん、ちょっとお願いがあるのですがいいかしら?」

「なんでしょうか?」

「できればクロノ執務官と手合わせをお願いしたいのですが、大丈夫かしら?」

あ~確かに私の魔導師としての情報が皆無ですから、データが欲しいのでしょう。

私としても四天の書の為に魔導師と闘う事は吝かではないので、受ける事にします。

「大丈夫…です、いつやりますか?」

「できれば今からなんだけど、後日改めた方がいいかしら?」

「今から…ですか?時間もありますので、大丈夫だと思います。」

さて、色々と実験したい事がありましたので、それを試してみましょう。

 




次はクロノとの模擬戦闘です。


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第十四話「実力の程は!?」

いろいろ忙しくてちょくちょく書いてたのですが、やっとできた





彩華です。

クロノさんとの模擬戦はタイミングを見計らってお願いしたかった処だったので渡りに船です。

アースラ内に模擬戦のシステムがありますので、その中でやる事になりました。

 

相手の情報が無いので、出し惜しみして負けるようでしたらお話になりません。

クロノさんはなのはのように膨大な魔力は無いのですが、それでもかなりの魔力量です。

防御に関してもかなりの硬さになると思うので、攻撃を徹すのは難しいと思います。

 

バリアジャケットやシールドは優秀なので、大きな魔力を持っている人であればあるほど硬く、打ち抜くのにエネルギーが必要になります。

ですが、実は相手が人もしくはそれに類する存在であれば、魔力を持って居ない人でも制圧する事はできます。

膨大な魔力なんて必要ありませんし、バリアジャケットを抜く必要もありません。

ただ、この方式は陸戦の方が適しているので、空戦で使用するとなるとかなりの技術が必要です。

今の私にできるでしょうか?

クロノさんの実力次第ですね。

 

部屋に入るとステージが設定されます。

設定は都市で私は地上に立ちます。

それに併せてかクロノさんも地上に立ちます。

 

「初めまして、オペレーターのエイミィ・リミエッタです。今回の模擬戦闘のサポートをさせていただきますのでよろしくお願いします」

明るい声が聞こえます。

「エイミィさん、よろしくお願いします」

「お二人とも準備はいいですか?」

「問題ない」

クロノさんが答えに私もアルスを槍形態にして四天の魔導書をロードします。

「私も問題ありません」

「それでは初めてください!」

エイミィさんの開始の合図と共に私はクロノさんに向かって一直線に駆けます。

 

「スナイプショット!」

私の突撃に対応したクロノさんから魔法弾が射出されます。

それを見た私は急停止して大きく飛びのき、やり過ごします。

 

誘導性は無い直射型の魔法のようです。デバイスの形状と戦い方から推察するに典型的な魔法使い型の魔導師

タイプとしてはなのはに近い形です。とすると私が肉薄できるかどうかがカギですね。

 

誘導性が無いと解ったからにはギリギリで避けて接近を試みますが、うまく近づけません。

クロノさんは技巧派ですね、とてもバインドの設置位置やそこに誘導しようとする動きがとても巧いです。

四天の書の能力で、バインドの位置を見抜けていなければ早々に捕まって終わってます

 

とはいえいつまでもこんな膠着状態状態を続けてる訳にはいきませんので、少々無茶をしましょう。

 

高速移動で頭上へ飛び攻撃をします。

クロノさんは辛うじて反応して回避して距離を取ろうとしますが、逃がす訳にはいきません。

空に逃げるのでそのまま追いかけます。

「その魔力量で飛べるとは思わなかったよ」

私が飛べる事を知ったクロノさんは私の攻撃をシールドで防ぎながら、驚いた表情で言います。

凄いですね、近接戦闘もかなりやります。

私の魔力量と攻撃力ではシールドを破れないので、守りに入られると手がありません。

相手が攻撃をしてくれればカウンターを狙えるのですが、私も相手の攻撃の間に割り込む形を得意としているので、攻めるには向きません。

動きも空中では地上程は動けませんから、空ではかなり不利ですね

「最近やっと形になったばかりですので、いっぱいいっぱいですけどね」

「それでも、君の歳でここまでできると言うのは、称賛に値する事だよ」

流石に一人で仲裁に入るだけの事はあります。

飛び道具を使う魔法使いというので、近接戦闘はさほどではないと正直侮っていました。まだまだ修行が足りません。

総合力ではクロノさんの方が上、飛べる事を見せてしまった以上、唯一勝てる地上戦はもうしてくれそうには無いので、今の私に勝ち目がありません。

試したかった事は出来そうにありませんし、勝つ為に残された手は博打なのですが、負けそうな流れの時に打つ博打ほど成功しないものは無いのですけど…

やるしかありませんね。

 

魔力が切れたフリをして、追撃を止め地上に降り立ちます。

 

私が飛べる事が解ってるクロノさんは地上には降りて来ません、空中からやりたい放題です。

クロノさんの攻撃を避けていると、クロノさんが設置していたバインドに捕まりました。

「しまった!」

ここまでで見てるクロノさんの魔法は、誘導弾のスティンガースナイプ、直射のスティンガーレイ、砲撃のブレイズキャノン

四天の魔導書に登録したので対抗魔法や構成解除が使えるのですが、どれが来るか解らない状態では対抗魔法は使えませんし、構成解除はあまり見せたくないです。

この状態の私に対して使うのはブレイズキャノンにヤマを張り準備します。

「ブレイズキャノン」

ヤマを張った通り、クロノさんは決めにブレイズキャノンを使ってきました。

私の身体に当たらないギリギリの範囲で防御し、砲撃に包まれた状態とならないといけません。

その間にバインドを解除し、魔法消去の障壁を前面に展開します。

これで砲撃を無効化して、障壁の後ろから長距離束縛術式を展開、クロノさんを束縛し、収束砲で決めます。

長距離束縛術式を展開し、クロノさんを束縛すると

「くそっ、しまった…」

クロノさんの驚愕の声が聞こえます。

それを確認した私は即座にアルスを弓形態へ移行し、そのまま収束砲の準備に入ります。

クロノさんが束縛された事により、砲撃が晴れ弓を構えた私の姿があらわになります。

弓を構えた私へ、まわりにある魔力が流れるように集中していきます。

「収束砲だって!」

私の収束砲は魔力の収束に関しては問題ないのですが、砲撃が収束がまだまだですが、威力は充分なのでこれで決めます!

 

 メテオブレイカー

 

私の弓から放たれた光条はクロノさんを飲み込み、空を貫いていった…

 




クロノ相手に魔法戦闘すると、勝ち筋が見えないのもあって
実際に書いてみると当初予定してた形とまったく違う形になりました




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第十五話「決着」

久しぶりの投稿ですが、半年近く空いてますね


全ての魔力を放出し、私は地面にへたりこみます。

クロノさんはボロボロのようですが、無事でした。

どうやら耐えきられたようですね。

 

「もう戦えませんので、降参です」

クロノさんが動こうとしたので、私は負けを宣言しました。

 

残念ですが仕方ありません。

砲撃の収束が甘かったのと、自前で使える魔力量が少なすぎでした。

 

 

 

 

クロノとの模擬戦が終わった後、みんなのところへ戻るとなのはが駆け寄ってきました。

「すごいよ!あやかちゃん」

少し興奮した感じで私の事

「でも、負けてしまいました。まだまだです。」

私はそんなにすごくはないよと否定しましたけど

「あれだけの差があって、ここまで戦える人はそうは居ないよ、そこは誇っていいと思うな」

「そうかなぁ…」

ユーノの励ましもいただきましたが、本来の魔導資質からすればこれくらい戦えないとお話にならないと思います

「私もあんなふうになれるかなぁ」

なのはが聞いてきましたので

「できなくは無いですけど、私となのはは違うのですから、なのははなのはらしくが一番ですよ」

「あやかちゃん、最後のアレ私も使えるかな?」

「なのはなら大丈夫だと思いますが、なのはに合うように変更した方がいいと思う。レイジングハートに魔法式送っておくね」

「ありがと!あやかちゃん」

この時、術式を渡して無ければ闇の書の事件の際にあんなに苦労しなかったと後悔するハメになりますが、それはまた後の話

あれを見たとき、感覚で魔法を組む人間に理論で組む人間は勝てないと思ったものです。

「そうよ、クロノにも見習わせたい処があるくらいだわ」

ちょうど部屋に現れたリンディさんも私の事を褒めてくれますが、素直に喜べません。

「あの収束魔法は僕にも教えて欲しいくらいだよ」

一緒に来たクロノさんもそういってくれたので、魔法式をあげる約束をしました。

 

「ところで、彩華さんの使う魔法は私達の使うミッドチルダ式とは違うようね。この地で魔法を学んだとの話だけど、先生は居るのかしら?」

リンディさんが私に訊ねてきます。

「はい、師匠とはイギリスで出会って紆余曲折があって魔法を学ぶ事になりました」

イギリスという話をしたら、リンディさんとクロノさんの表情が変わります。

「誰だか教えてくれるかしら?」

アルスに確認をしますが問題ないとの事ですが、ちょっと気になる事があります。

「?別にかまいませんが、イギリスだと何かあるのですか?」

「知り合いの魔導師が地球のイギリス出身なので、その人の関係者かなと思ったのよ」

「お名前を聞いてもいいですか?」

さすがに、これでNOとは言わないと思いますが…

「ギル=グレアムという名前なのですが、聞いたことはあるかしら?」

グレアムさん?私が知りうる名前には無いですけど覚えておきましょう。

「残念ながら、その名前は聞いたことはありません。私の師はレイリス=アルハザードといいます」

「アルハザードだって!?」

クロノは何を驚いているのでしょう?

魔導書ネクロノミコンの作成者であるアブドゥル=アルハザードの関係者だと思われているのでしょうか?

仮にも魔導書の製作者でアルハザードという名前が一緒なのが気になりますが、あれは架空の話ですし仮に実在したとするとこの世界に魔法文明は無い!という言葉が嘘になります。

そもそもレイリスの故郷は滅んだと言っているのでネクロノミコンとは関係ないと思いますが…そこに関係するのでしょうか?

みなさんが使うミッドチルダ式と言われる魔法の源流は私が使うモノであるという事は解っていますから、遥かに発達した魔法文明を持った処だったでしょう。

 

*****************************************

アルハザードの技術は専らベルカとミッドチルダに流れています。

このアルハザード式の魔法陣は汎用性に富んでは居るのですが、処理が重すぎます。

それでも人の脳とは凄いもので、馴染ませていくと適応して徐々に現れて行きます。

まぁ、術式が脊髄に魔法を覚えこませる為、染みついてしまえばとんでもないスピードになります。

ですから、アルハザードに於いてデバイスはそれを教える為の道具であり、その下地が完成するまでの補助といった存在なのです。

しかしながら、そうなる為にはかなりの魔導資質がある者でなくてはならず、資質の無い者には重い枷にしかなりません。

元々、アルハザードの魔導師は自身の身体を魔法を作る回路とし魔法を使う一個の魔導器とする事にあるのですから…

 

ただ、優秀な者を遺すのと、進化の過程で遺伝子の調整で資質の向上等が平然と行われていたアルハザードの技術においては、殆どの者が魔導資質が高いためそれが最適とされていました。

 

アルハザードが滅び、ミッドチルダやベルカにその技術が流れる際、高い資質を持っていなくてもある程度使えるよう柔軟性を上げる為に各々独自の変更がされました。

これが古代ベルカ、古代ミッドチルダ式です。

ベルカは滅んでしまったので、今では殆ど喪われた方式ですが、ミッドチルダは古代から現代にかけて改良が続けられ今の形になっています。

ベルカは体内での魔力循環、物体への付与、変換等に優れています。

ミッドチルダは対外への放出、魔力の定形化、

もともとあった、汎用性を無くし目的別に特化しました。

ベルカは近接戦の補助的な使い方で騎士として、ミッドチルダは所謂、魔導師といった形に進化しています。

できる事を特化して誰にも負けない唯一の一を得る方法ですね

 

なのはの扱うミッドチルダ式というのは、予め作成した魔法をデバイスに登録し、そこに所有者の魔力を流し込み発現するといった形式です。

両者の最大の違いは何かというと、魔法の使い方が魔力を押し出すか吸い上げるかの違いで、自身の限界を超えられるかどうかです。

 

魔力量を押し出して使うのがアルハザード、それが故に自身の限界を超えた魔力を捻り出す事はまずできません。

逆にデバイスを使うミッドチルダはデバイスが無理やり吸い上げるという方法を採れば、自身の限界を超えた魔力行使が可能になります。

しかしながら、使った後のリスクが高すぎて割にあわないので、どうしてもという時以外は使わないくらいでないと話になりません。

 

そういった特性から、どこからどう見ても魔導資質がFランクにしか見えない私のリミッターも身体干渉から行うアルハザード特製のおかげなのです。

 

*****************************************

 

「という事は、彩華さんの使う魔法は…」

「はい、師からアルハザードの魔法と聞いていますが、正式名称は知りません」

「先生に会う事はできるのかしら?」

リンディさんの言葉に

「すみません。師は既に故人なので、会う事はできなんです」

「そうなの…」

リンディさんが落胆していますけど、どうしようもありません。

まぁ、レイリスは私が初めて会った時から故人でしたけどね

 

 

 

あとはちょっとした他愛もない話をした後、私はアースラから引き上げる事にしました。

この後はプレシア=テスタロッサとのお話です。

一度、家に帰ってから、フェイトさんとアルフさんのお家にお伺いするとしましょう。

 




魔法理論や設定に関しては独自なので、突っ込んではいけません


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第十六話「アリシアの蘇生?について」

ちょこちょこ書いて、間違って全部消えたり色々とたいへんでした。


アースラから自宅へ帰る際にアリシアとお話しです。

 

「そういえば、あやかは私を生き返らせる方法があるって言ってたけど、具体的にはどうするの?」

 

そろそろその話をしておいた方がいいですね

私が考えた中で一番確実だと思う方法は、たぶんコレじゃないかと思います。

 

まず、ジュエルシードの情報を基にアリシアが憑依するコアを作り出します。

そのコアと肉体のリンカーコアを結合させ、魔力を介して霊子的に馴染ませて行く方法です。

この方法だと最悪の事態で肉体が死滅するようなことがあってもコアさえ無事なら他のクローン体を使って生き返る事ができます。

同化の程度によってはロストする魂の量が変わるので、その喪失量が大きかったり、コアが破壊されてしまうとそれこそ本当に消えてしまうことになりますが…

 

どこぞの[僕と契約して魔法少女になってよ!]な生物が魔法少女にするのと似ていますね

まぁ、魔女になったりはしませんけど

 

デメリットは

・身体が粗悪だと長く生きられない事

・身体となるものが魔導資質を備えていないといけない事

・非殺傷の魔力攻撃でコアが破壊される可能性がある事

 

メリットは

・身体次第でかなり保有魔力の高い魔導師になれる事

・コアがリンカーコアと融合すると普通の人と遜色なくなる事

・憑依した肉体が死滅しても蘇生させられる可能性がある事

 

懸念事項はアリシアのクローン体に魔導資質が顕現している事が条件となりますが、フェイトを見てる限り大丈夫だと思います。

とはいえ、こんな方法で蘇生を可能にするなんて、アルハザードに居た人達って頭がおかしい人たちばかりです。

 

まぁ、その技術を流用して実現可能なモノを考えあげ、それを実行しようとしている私は人間として終わっていますけどね

 

基本的に産まれたばかりの魂は真っ白なので、意識を覚醒させない状態で憑依させて時間をかければ染めていくことができます。

ただ、アリシアの肉体ではダメなんですよね、あの身体にはすでに魂が無く、結合が切れているので繋ぐ為には誰かの魂を代償にしないといけません。

クローン体であればいいというわけでもなく、意識が芽生えていろんな情報を取得し始めたり、記憶の転写等を行ったりしてるのは無理です。

当人に自我があると、その自我が浸食に対して頑強に抵抗して逆に浸食側を取り込んでしてしまうのです。

 

 

他の手段として、一つは本当に転生させる方法

新しく生まれる子には申し訳ないのですが、生き返らせるというより確実だったりします。

ただ、この場合ほぼ生前の記憶は残りませんし、育つ環境次第ではかなり違って来ることもあります。

まぁ、プレシアさんはそれを受け入れないでしょうね、彼女は【アリシアが死んだこと】を【無かった事】にしたいのではないかと思ってます。

転生という意味ではフェイトさんが近いのですから、生まれ変わる事を容認できているのであれば、彼女を自分の娘として受け入れているはずです。

まぁ、転生させるにしてもプレシアさんの子であった方がいいですから、がんばってもらわないといけないのですけど、旦那さんはどこにいらっしゃるのかしら?

 

そもそも、魂とは世界に影響を与える強さの比重、基本死者は生者と同等となれる事すら稀です。

死してもなお強き魂は、基本的に英霊として祭られていたりします。

 

その為、比重で負けている者は乗り移ろうとしても追い出されるか吸収されてしまいます。

代われるのは生きる事を放棄して比重をなくしている人か、契約を結ぶ等をした場合くらいです。

ですから、現状考え得る一番アリシアに適したのが、魂の強さが弱く生者であり、分霊で魂の力が弱いクローンを使うのが現実的なんですよね

 

二つ目はアリシアを四天の魔導書の管制者にする方法

これはあまりやりたくは無いのです。

元々生前の人間で魔導の知識が無い人を基本にすると、性格や人間性に歪みが出て別人になる可能性が高いのが理由ですね。

とはいえ、そろそろ管制人格と守護者システムを起動させて、適格な人格を創らないといけないのですけど…

っと話が逸れました。

 

三つ目は四天の魔導書の守護騎士にする方法

この方法はアリシアに魔導資質があるのであれば一番丸く収まる方法では無いかと思ったりします。

ただ、守護騎士である以上主の命令に従わなければいけないという強制力があるのと、私の死後どうなるかが解らないというデメリットはあります。

 

そもそも、管制人格も守護騎士にもプレシアさんがアリシアが人として生きる事以外は認められないというなら無理なんですけどね

それに、アリシアには魔導資質が無かったみたいですから、魔導資質のある人間前提のこの方法は無理です。

 

 

ですから、考え得る手段はこれだけあるのですが、条件等を考えると必然的に最初の方法しか選択肢がなくなってしまうのです。

 

「もし、お母さんがあやかの提案を拒否したらどうするのかな?」

 

私の提示した案をプレシアさんが受け入れられないというのでしたら、後は自分の考えた手段で頑張ってもらうしかありません。

とはいえ、アリシアは私に憑いているので、どのみち蘇生は不可能、アルハザードはもう存在しないので辿り着けない、よしんば技術を得たとしても方法は私が提示した方法となるので空の魔力特性持ちを探さないといけないですし、コアを作るのにも時間がかかるという遠回りになるだけです。

他の蘇生技術がアルハザード以外にあるかもしれませんが、アルハザードを目指している以上、これしか無いと断言はできませんが、恐らくこの手段しかないのです。

 

「その後、真実を知ったお母さんがあやかに協力してくれと言われたらあやかはどうするの?」

 

思い直して協力してくれと依頼されたら協力してあげたいところですが、プレシアさんに断られた時点でアリシアを助けるにはアルストゥールと同じにするしか方法は無いのです。

だって、私はクローンなんて作る事ができませんから、現時点でがんばって憑依先を用意できるのはインテリジェントデバイスくらいしかないのです。

コアを生物以外に憑依させると同化はほぼ一瞬なので、アリシアはデバイスとして生きてもらう事になりますね。

後々ユニゾンデバイスが作れるようになればそっちに変更する事はできますけど…

 

「うーん、このままの状態でいる事はできないのかなぁ」

 

確かにこのままの状態でいるのが一番だと思うのですが、何よりそれが無理だというのはアリシアが一番解っているはずなんですけど…

 

憑依していると、憑依者と被憑依者の魂が徐々に混ざり合っていきます。

それを一番わかりやすく知るのは、お互いの記憶が垣間え見る事です。

 

特に睡眠時が精神的にも無防備になるので、夢を見ているような形で相手の過去を追体験してるのです。

これって実は魂の融合が起こっている(正確に言えば私がアリシアを取り込んでいる)証拠で、時間が経てば経つほどアリシアの魂は比重が少なくなっていきます。

普通の人でしたら起きていても徐々に融合していくのですが、私はそれを食い止める術を知っているので、寝ている時以外は融合が起こりません。

 

ほぼ消えそうな状態だったアリシアは、彼女の存在を認識した私に憑依し直した事で魂の比重が増したからこそ今の状態があるのであって、あのままフェイトと一緒に居たらいつ消えてもおかしくない状態だったのです。

そこから私と繋がって安定したのはいいのですが、私と繋がりが強すぎて私から離れて他の人に憑依する時は魂の比重を大きく失う事となります。

 

このままいっしょに居て、私の娘として生まれ変わる(当然記憶はなくなるけど)という方法もありますけど

アリシアとして残るのは精々感性や考え方が似てる程度にしかならないのです。

私は日本人ですから外見とか全く違ってくるでしょうし…

 

といった事もありますが、根本的な問題は、私が結婚して子供を産む可能性が限りなく低い事です。

私の事を誰よりも知るアリシアならそれが解ると思います。

 

「うん…そうだね、あやかに期待するのは酷な話だと私も思う」

 

と失礼な事を言ってますが、アリシアも私の意見に大賛成のようです。

 

さて、家につきました。

部屋に戻って偽装が完了しましたら、フェイト達のところへ転移しましょう。

 




閑話挟んで時の庭園なのですが、閑話を書くのは後にする予定


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閑話「アースラにて」

書きかけで放置してたのもありますが、長く書いてないとちょっとダメだなぁ
話書くより楽しい事はじめてしまったのでしょうがない、たぶんこの先も未更新期間が長くなると思います。
とりあえず仮ですが~


「まさか、ここの地に魔導文明があったとは…管理局に登録を仮申請をして詳細を調査しないと、エイミィお願いできるか?」

「了解、少し時間がかかるけど大丈夫だよ」

クロノとエイミィが話をしているところにリンディが口を挟みます。

「クロノ、それについてはもうちょっと待ってくれないかしら」

「どうしてですか?」

「確証は無いのだけれど、あれはすべて彩華さんが考えたモノで実際にはそういった組織なんて無いと思うの」

「だったら、どうしてあそこで引き下がったのですか?」

「あの時は断言はできなかったからよ、あり得ない話ではなかったし、実際にそうやって秘匿し続けていたのかもしれないわ」

「でも、今は作り話だと思っているんですよね?」

 

あくまでも憶測だけどとリンディは言う。

「そうね、彼女の話はあり得なくは無かったけど、どうも腑に落ちない。だけど調べる必要がある事ではあったわ。強気の割には話を早く決めたいという焦りを感じたし、こちらの事情もある程度踏まえた上で条件を提示してきたのも、応じやすくする為かしら?」

「とはいえ、そんな状況で我々との戦いも辞さないという態度だと、仮に戦う事になったら困るのは彼女ではないですか」

「そこは彼女が時空管理局というものを良く知らないか、一人でも戦えると過信してしまうほどの何かを手にしたかもしれないわね」

もしかすると、そんな事にはならないと見切って大見得を切ったという可能性もあるけどとリンディが付け加える。

「ただ、彼女の話が架空だと決定づけたのは彼女の使う魔法がアルハザードの魔法という事と正式名称が無い事よ」

「そうか、確かに本当に組織があったら自分達の使う魔法に正式名称が無いのはあり得ない…だとすると…」

クロノの答えにリンディが話を続ける。

「ええ、ほぼ間違いなく彼女はアルハザード製のロストロギアを所持していて、そこから魔法を学んで使いこなすまでに至ったという事よ」

「アルハザードのロストロギアを使う相手となるとどれほどの被害が出るか計り知れないか…」

「そこも悩ましい処よ。ただ彼女の魔導師として資質がそんなに高くない事がある意味幸いね」

その言葉にエイミィが

「その事なんですが館長、模擬戦のデータからするとそこも偽装している可能性があります」

「どういう事なんだエイミィ」

「魔導資質AAやAならあのくらいの魔力があっても納得できるのですが、資質Eの人間としては保有魔力が多すぎるんです」

「そうね、そもそも資質Eの魔力量で飛ぶ事なんて考えないわね。そんな事したらあっという間に魔力が尽きてしまうから」

「その上、収束砲を発動させる技術まで持ってるとすると、資質Eなんて事はないんじゃないかなぁ」

「しかも、それを発動させて、しかも平然と意識を保ってられるという事は演技である可能性が高い…か…エイミィの見立てではどのくらいだ?」

「少なくともAAかAAA、なのはちゃんや金髪の子より高かったとしても驚かないよ」

「アルハザードのロストロギアに選ばれて、その魔法を使う資質の可能性も考えると、下手をするとグレアム提督より上かもしれないって事か…」

三人の間に暗澹たる空気が出てくるが、それを払拭するようにリンディが話をまとめる。

「幸い、彼女は私達と敵対するつもりはないみたいだし、しばらくは情報収集した方がいいわね、恐らく監視しても察知されるでしょう監視も行いません」

「了解しました艦長」

 



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