(あべこべな)ドルフロ世界の配信者 (ほろほろぼんぼん)
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長い前日談のプロローグ
第1話 (あべこべな)ドルフロ世界の配信者


この作品を書くにあたって、ハーメルンやpixiv、なろうなど様々なサイトのドルフロやあべこべ小説の先駆者を見習わせていただいたため、極力避けていくつもりですが何処かで見た展開があったら申し訳ありません。

コロナショックのせいでドルフロにハマったので(人生)初投稿です。
自らの作品を発表するのは初めてなので、お手柔らかにお願いしますわ(お嬢様)。
主人公が配信者となって人形ちゃん達とイチャイチャするまでは巻きで行きます。


「よし、機材のセットも大丈夫なはず。」

 

使い古された。しかし清潔感のある部屋でパソコンとマイク・その他機材を弄る男が1人。

どうも、俺です。いやー、作業中にはついつい独り言が出ちゃうね。

 

この色々とおかしな世界に来てから2週間。変わった環境にも慣れてきて、やっとここまで辿り着いた。

 

放送開始まであと1分。初めてだから、いや、何度やってもこの時間には慣れないという【記憶】がある。兎にも角にも、今にもチキンな心臓が爆発しそうだ。

 

けど、やるしかない。これしか生きる方法を知らない。自分にはそれが出来るだけ知識と、こなしていたという【記憶】くらいしかないのだから。

 

「あ、え、い、う、お…よし、今日の声は悪くないな。」

調子は上場、細工は流々、あとは仕上げを御覧じろってね。

 

さて、パソコンに向き直る。鏡で身支度の最終確認。帽子よし、髪型よし、見た目よし!

 

身よりもなく記憶もなく金もない、ナイナイづくしのこんな自分にこれだけの物を与えてくれた人に恩を返すために。手に職をつけるために。

そして何よりも、自分が生きてきた【記憶】が本物だと証明するために。

 

「さあ、始めようか。俺の初配信を。」

 

 

 

 

 

 

気がついたら、そこは廃墟だった。

 

「は?何処だここ?」

 

いつの間にか廃墟にいた、としか言いようがない。

目に映るのは、朽ち果てたコンクリート、ボロボロになったビル。 ここでかつて戦争がありましたと言われたら、はいそうですかと返しそうになるような土地に立っていた。

もちろんのこと、見覚えはない。

 

「夢か……?」

 

頬をつねるが、痛みはあるし、なにより現状は変わらない。

 

「もしかして、誘拐とか?いやいや、俺を攫うことになんかメリットとかある?」

 

思い返すが、思い当たることは何もない。そう、何も【思い返せない】

自分の家族も、恋人も、友人も、職も、年齢も、育ちも、生まれも、学校も、母国も、その全てが空っぽだ。

 

「もしかして俺って、記憶喪失……?」

 

取り乱してた、めちゃくちゃ取り乱した。ここまで冷静じゃなくなったのはいつ以来(記憶はないが)かと言うくらい取り乱した。もし記憶があったら、幼稚園以来とかそういうレベルで。

落ち着くまで取り乱して、現状が変わらないことが分かってまた取り乱した。

疲れて、どうしようもなくなって、寝転ぶと、意識が、視界が、暗くなっていった。

 

(はは……こんな時でも体は正直なんだなあ……)

これが、こちらの世界で初めての睡眠だった。

 

目が覚めると、体の節々が痛かった。

コンクリートの上で直に寝たらそうなるか。1日寝て冷静になったから、とりあえず【記憶】にあったラジオ体操を行うことにする。

体が資本だからな。記憶がない今だと特に!

 

「いっちにー、さんしー、ごーろくしちはち」

 

相変わらず自分の生活や身の回りの事は思い出せないが、知識はちゃんとあるようだ。おそらく。知識はもし欠けていたとしても分からないため、そういう事にしておく。

 

体を隅々まで伸ばしながら、自分の記憶を精査する。残っているもの、残っていないもの。使えそうなもの、使えそうにないもの。

 

寝ても醒めても、ボロボロのコンクリートジャングルが変わらないなら、最悪……1人で生きて行かなくてはいけないかもしれないのだ。

少なくとも、周りがこんな状況では、人の生活圏に近づくまでの日を越すための知恵が要るだろう。

 

「にしても、なんでこんなにボロボロなんだろう。戦争が起こった後に放置されてるとか?そうだとしてもスラムか何かになっててもおかしくないだろうし、物盗りの1人も居ないのはさすがになあ。」

 

「核の炎で焼き払われた後か?或いはトーキョージャングル?人類補完成功しちゃった?」

 

「どっかの放射性降下物とかロシアの地下鉄とか汚物は消毒モヒカンヒャッハーな世界でも良いから、人が居て欲しいな……」

 

思わず、ぽつぽつ口から言葉が漏れる。心細いのだ。やっぱり。

いや、それにしてもネットスラングばっか出てくるなこの口。不良品かな(すっとぼけ)

 

「ふう……あ、荷物を確認しないと。」

体も伸ばし終わり、【記憶】の確認も終わった。

次は荷物を漁る(自分のだろうが)べきだろう。

 

「なんでこんなにプロテインバーを持ってんだこいつ、というか俺。」

中を確認したところ、プロテインバーが10本に未開封の水の500ミリペットボトル、あとは教科書にノート、筆記用具、財布、スマホにモバイルバッテリーと一般的に持ち歩いてそうなものばかりだ。

あと、【俺】はズボラなところがあったのか、空の500ミリペットボトルがリュックのサイドポケットに入っている。それと……何か変なノートがひとつ。

 

「まあ、少しの食料があるのは嬉しいな……ん?」

リュックの全てのポケットをひっくり返しながら探していると、定期入れが出てきた。

 

この中になら、【俺】の手がかりがあるかもしれない!!急いで開くと、大学の生徒証と定期が入っている。

 

「祠堂 透悟、それが俺の名前なのか」

そこには黒髪黒目の男性の写真が貼られていた。これが恐らく、【俺】の顔なのだろう。

 

名前を口にすると、やたらとしっくりくる。うん、多分、そうだ。

他にも大学名と誕生日、住所が分かったが、今が何年か分からないため自分の歳は分からない。

 

「それでも一歩前進だな。透悟。」

 

あれ、定期入れに何か入ってるな……写真?自分(仮)と恋人らしき黒髪の女性のツーショットが入っているが……

「恋人(暫定)さんには悪いが、思い出せないな」

 

ちょっとしんみりした。次行こ

「次はノートかな。」

ノートを開く。

【俺】はノートに名前こそ書くものの、何のノートかは表紙に書いていなかったようだ。やっぱりズボラだなあ。

 

社会学や倫理学について纏められたノートがずらり入っている。が、不真面目だったのか、落書きや記述の欠落、ミミズがタップダンスを踊っているような文字が各所に見られる。また、最初の二、三ページしか書かれていないものもある。これらは当てにならなそうだ。最悪、マキの代わりにしよう。

 

「いよいよ、本命だな。」

変なノートに手を伸ばす。この変なノートは、表紙にネタ帳!マル秘と大きくマジックで書かれていて、更に二・三冊のノートがガムテープでひとつなぎにされているのである。

 

「見るからに怪しいよな……もし読んでも発狂とかしない?」もしかしたらプライズとかアーティファクトかもしれない。ラブでクラフトな御大の世界だったら、ウィルマウンスな財団とかアーカムのマンモス大に逃げ込むしかねえ!助けて、邪神ハンター(´・ω・`)

 

 

開いて文字を読んだ瞬間、ガツンと大きな衝撃が走る。頭を殴られた?いいや、それだけのショックがあったのだ、【記憶】が戻った。

それは家族でも友人でも恋人でもなく、

「俺は、配信者をしていたんだ……」

そう、俺は、配信者をしていたのだ。

人からしたら、バカバカしいことかもしれないけれど、これが【俺】にとって1番大事だったんだろう。唯一、俺に関することで思い出せた。数分、そのショックの余韻に浸っていた。

 

中には俺が配信者になるため毎日欠かさず行った発声練習、少しずつ集めたネタ、話し方のコツが、大学ノート3冊に渡って綿密に記されていた。

 

「これは、大事にしないとな。【俺】の証みたいなものだし。」

このノートを持つと、名前と同じくらいしっくりと来た。やはり、これは【俺】の存在の核なのだろう。

 

「さて、スマホも見ないとな」

ショックも抜けたため、スマホへ目を移す。

当たり前のように圏外だ。が、それは想定内。大事なのはそこではない。

 

スマホは有難いことに指紋認証のようで、パスワードを忘れている自分にも開けることが出来た。

写真を見ると、友達と撮ったらしい写真や男子の秘密のアレやコレがズラっと並んでいる。

が、「ダメか……」

 

やはり、何も思い出せない。

 

入っているアプリは、実況界隈で話題の「pybg」や「mecraft」、動画編集アプリ、生放送など配信関係のものが殆どである。

しかし、趣味のアプリがひとつだけ。見つけた、というか、思い出した。

 

「ドールズフロントライン」、銃と女の子、ハードなストーリーとポストアポカリプスな世界観のごった煮という俺得な内容のアプリである。

ただし、内容は思い出せない。キャラクターはだいたい思い出せるため、【俺】はストーリーよりもキャラに思い入れがあったのだろう。

 

「とはいえ、ログインできないかー。そりゃそうだろうな。ここ圏外だし。」

荷物を整え、いざ鎌倉。

とりあえず高いところを探そう。上から見れば人の町が見つかるかもしれないし。

リュックを背負い、1晩の寝床を後にする。

 

そのまま街を彷徨うこと1時間弱。やっと屋上に出られるビルを見つけたはいいものの……

 

「さてはここ。何もないな?」

そうなのだ、何も無いのだ。見渡す限りの廃墟、廃墟、廃墟!!

 

(やばいわよ!!想像してたとはいえ、全人類滅亡ルートかここはもう人類生存区外とかそういう感じだな。マジで死んだかもしれない。)

 

「いや、まだ諦めるには早いだろ。人類がそう簡単に滅びるもんか。意外とこっそり生き残りがいるもんな。こういうののお約束として。」

 

誰が約束しているのかは知らないが、希望を持たないよりは持ってる方が良いだろう。

とりあえず缶詰とか回収しよう。このビルでもちょっと避難物資が見つかったし。

そこから丸1日かけて、街を探索した。

 

その中で、運よく荷台付きのマウンテンバイクとテントセットが見つかったため、有難く頂戴していく。寝袋や非常食、救急医療キットが見つかったのも嬉しい。

 

だが、最も重要なのは「地図」である。

この地図が書かれたのは2035年らしい。今が何年かは分からないが、パッと見て地図と今の地形にズレがないということは、何百年と経っていることは無いだろう。

どうやら、この街はロシアの西部に位置しているようだ。

 

字が読めないため名前は分からないが、大体の位置は分かった。ここから10キロほどの間隔で小さい町が並んでおり、125キロほど先にはかなりでかい町があると書かれている。

目指すなら、この街だろう。幸い、肉食獣の類は見かけていないし、森を避ければグリズリーなどにも出くわさない……と思う。

 

この街に何が起こったかは分からないが、地図で見るに規模の大きな街なので、ここらなら1番生き残りがいる可能性が高いだろう。

 

「この街を、明日出よう。」

 

そう決意して埃臭い寝袋に包まれて寝た。

(フートンに包まれてあれ!)

 

次の日も相変らず体は痛かったが、寝袋のおかげか昨日よりはよく眠れたと思う。




如何だったでしょうか?
彼がこれから生き残れる可能性はありますし、そう出ないとも言えます。
人形ちゃん達は次回から出していきますので、今回はお目こぼしを〜〜!!(悪代官様)

もしも、万が一、恐縮なことではありますが、この作品の連載中に感想を1つでも頂けたり、この作品で誰かを楽しませることが出来たら嬉しいです。それが目標でもありますので。
よろしければ、次回以降もお付き合いいただければ幸いです。


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第2話 ねぼすけ危機一髪

今回は、みんな大好きあの人が登場!
(しないんですけどね、初見さん。)


風を切って走るのはなかなかに気分がいい。

道の横に朽ち果てた家が立ち並んでいなければ、もっと良かったのだろうが。

 

自転車で走ること2時間ほど、3つめの町を過ぎ、今は4つめの町に向かっていたのだが本当に人の気配がない。もしかして、俺はこの世界にひとりぼっちなのか?

 

いや、まだでかい街にたどり着いていない。諦めるには早すぎる。

街に近づいているのだろう。廃墟は道を進むと共にその密度をましていき、畑と家が半々といった具合だ。

 

そんな時、ふと直立二足歩行をする裸の猿のような生き物が目に付いた。気がした。

「人か……?」

 

それはおそらく我らがホモ・サピエンス。いや、二足歩行で歩いているし、遠くてよく見えないが服を身につけている。

安堵した、安心した!世界には居るのは俺だけではなかったのだ!

 

「すいませーん!!」

走りながら声をかけるも、無反応。聞こえてないのだろうか。しぶしぶ、近づいていく。

 

近くに行ってわかった、間違いなく人だ!

もう一度、声をかける。

 

「すいません!!」

 

その人は、いや、それはぎこちない動きで振り返ってきた。

それの腹には大きな穴が空いていて、向こう側の景色が透けて見えた。

それは窓のようで、いやしかし、その窓を縁取るのは腐り果てて久しいように見える、黒黒しい肉で作られた枠だった。

一瞬思考が止まったが、危機意識というのは優秀なようで、既に自転車ごと回れ右をして走り出していた。

 

それは、ああ、なんと言えばいいか。見たのは初めてだが、それについてはよく知っていた。歩く死体。死してなお彷徨うもの。

多分、こういうのだろう、【ゾンビ】と。

 

後ろから追ってくる足音が聞こえる。

 

速い、前世は陸上選手だったのか、よく見てなかったが実は頭が赤かったのか。

 

しかし、自転車に追いつけるほどではなかったようで、無我夢中で駆け抜けて意識を取り戻した時には既に後ろにいなかった。

 

「ハアッ、ハアッ、危なかった…ここって歩く死とか生物災害的な世界かよ。大穴で凍京とかあるのか?」

とりあえず、近くの民家に隠れることにした。

 

ゾンビが居たとしても外にいるよりはマシだろうから。1度、体を休めないと。

家の中を探し回った結果、鮮血の結末の跡みたいなのはチラチラしていたが、ゾンビや怪しいものはなかった。

 

今、目の前には落ちている【モノ】以外には。

 

それは、布団にくるまれた人くらいの大きさの何かであった。そして、呼吸でもしているかのように規則的にその塊は上下していたのだ。

 

「間違いなく、人、だよなあ?」

 

改めて第1村人発見なわけだが、寝てるわけだし起こすのも申し訳ない。ということで、様子を見出して早1時間が経過した。

 

さすがに起こしてもいいだろう。記憶喪失だと説明すればこっちの事情もわかってくれるだろうしな(希望的観測)

 

「あのー、すみませnッ!!」

手を伸ばしたその刹那、俺の体は地面にたたきつけられ、腕を締めあげられていた。

 

恐ろしく早い関節技、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね

「この地域には、もう、誰も住んでない、はず。君は?何者?」

 

ボサボサとした、けれどふんわりともしている銀髪がサラサラと顔にかかる。

そんなことが気にならないくらい、今の俺は絶体絶命だった。

いやだって、身のこなしからするに絶対その道の人だろうし。

 

「俺は祠堂透悟っていいます!名前以外は記憶にないので分かりません!!」

 

とりあえず正直に話してみたが、どうだろうか。というか、なんでロシアなのに日本語を話してきたんだろう。いや、今はそれはどうでもいいか。

 

「ん、んー…?記憶喪失?それに、声からして男?めんどくさそうだなぁ、無視しちゃダメかな〜、でも45に怒られそう…416もうるさそうだし…」

 

通じた、やはり日本語が通じているようだ!

とはいえ何を言っているかはよく聞こえない(難聴系主人公)。

抵抗をする気もないので、無害なアピールをしてみるか。

 

「あの、申し訳ないんですけど最寄りの街って何処ですか?出来れば送ってくれたりしないかなー、なんて。お礼に俺の出来ることなら何でもするんで、お願いします!」

 

「ん?今何でもって(ピロピロ)

あ、416から連絡だ。そろそろ定時連絡の時間だったかぁ…めんどくさ〜。ちょっと仲間に連絡してみるから、ここで待っててね。」

 

そう言い残して彼女は部屋から出ていった。

ひとまずは助かった、のか?

俺に敵意がないことが伝わったのだろうか……?

いや、どちらかというと、俺が弱すぎて警戒するに値しないと思われた感じだろうか。

 

嘘っ!私の力、弱すぎ?

あんな小さな女の子に一方的に負ける…負け…大人はメスガキなんかに負けないが!??はぁ、はぁ、敗北者?

 

ま、実際負けたし女の子に組み付かれてたんだよなあ、初見さん。じゃあ背中に当たった柔らかいものはもしかしなくても、おっぱ「戻ったよ〜」

 

うおっと!危ない危ない。思考が変な方向に行ってた。ま、俺は大人だから小さい女の子になんか興奮するはずがないんだよね。大人だから。

 

「仲間と話したんだけど、君を街へ運んであげるって。それに伴って、任務は中止〜。また何日も張り込み続けなきゃいけないとこだったから、早く帰れて助かるよ〜。」

 

「な、なるほど。ありがとうございます。それじゃあ街までお願いしますね……下世話なことですけど、救助費とかどれくらい掛かりますか?」

 

「ん、ん〜。どうなんだろ。まあ払えなくても、男の子だしそうは酷い事にならないと思うよ。

それじゃあ私は仲間が来るまで寝てるから……おやすみぃ〜。」

 

「え、ああ。おやすみなさい。」

寝ちゃったよ。

うーん、暇になったな。というか、俺への警戒とかはないのかな?弱すぎましたか、そうですか。

 

……さっきから、一つ気になっていたことがあるんだけどさ。この子ってもしかして【G11】じゃない?

 

性格といい、見た目といい、そっくりなんだけど。いや、今までに何個もの有り得ない現象(トリップ・記憶喪失・ゾンビとの邂逅etc)に会ってきたからそこまで動揺はしてないが……

 

【G11】というのはアサルトライフルの名前でもあるが、同時にドルフロに出てくる【戦術人形】の名前でもある。

 

ドルフロには戦術人形と呼ばれる女の子型の戦闘用アンドロイドが出てくるんだが、彼女達には持っている銃と同じ名前が付けられているんだな。

だから【G11】を持っている戦術人形の名前も【G11】ってわけだ。

 

性格はものぐさで面倒くさがりで暇があったら寝ているが、いざ戦闘となれば他の追随を許さない圧倒的な手数を誇り、非常に頼れる面を持つ昼行灯。

ストーリーでは、存在しないはずの小隊である【404】小隊に属している優秀な人形のひとりだ。

 

もしここを、有り得ないことだが、ドルフロの世界と仮定すると、さっきのゾンビについても説明ができる。

あれはおそらくE.L.I.Dだろう。

 

E.L.I.Dとは、コーラップス、またの名を崩壊液と呼ばれる汚染物質によってゾンビ化した人間や生き物の総称だ。

ドルフロ世界最大の人類の敵であり、主人公たちの何倍もの勢力を誇る正規軍が相手をしなければ、いつ人類が滅んでもおかしくないとされる脅威。

 

つまり、俺はドルフロ世界に転移していた?

は?まじか。よりにもよってドルフロだと?

 

つまり、あれか、もしかしたら生45姉を見れるかもしれない?

ヨシ!!(確認猫)

 

え、危機的な世界なのにいいのかって?

元から他の人間に会うことを人生を目標にしようって感じだったし、危機にあるとはいえ、明確な秩序を持った人間の集合体が明確に存在するならありよりのあり(トゲアリトゲナシトゲトゲ)

 

俺はミーハーとして可愛い戦術人形ちゃん達をこの目に収めて生きていく!

好きなように生きて、理不尽に死ぬ。

そんな転移者に僕はなりたい。

 

しかも、いま救助してくれているのは(おそらく)404小隊!

G11が居るなら割と高確率でそうだろう!となると、404小隊の隊長でもあり、俺がアプリで指輪を送った2人のうちの1人、45姉に会えるかもしれないのだ!

 

45姉の魅力については君の目で確かめて欲しいので(ファミ通の回し者)、ドルフロを始めるなりpixivを漁ればいいんじゃないかな。

 

少し話すなら、ump45という銃を持った人形の45姉は特殊部隊の隊長に相応しい冷血な人物なのだ。

単に冷血という訳ではなく、生き残るための最善を何処までも尽くすがゆえに囮とかも使うだけなので……

まあ、その割にはスキル使用時のセリフが「虫けらが!」「自惚れないで!」「立ったまま死ね!」などハイテンションなところもちゅき❤(PPTP)

 

そんな冷血な隊長であり若干トリガーハッピーめいている彼女は、俺が指輪を送った相手の1人である。なので、一目でいいから見てみたいと思うのがやはり人情と言ったものだろう。

 

はあ、空が青いな……。まだ見ぬ45姉に思いを馳せながら、窓の向こうを漂う雲をぼーっと見ることしばらく。

階段を登ってくる足音が聞こえてきた。G11(仮)もこれを聞きつけたのか目を覚まし……たりはしてないな。

 

敵だったらおそらく起きてくるだろうし、大丈夫なんだろう。

扉が開かれた向こう側に立って居たのは、青みがかった銀髪パッツンストレートの髪を青い十字で留めていて、黒いベレー帽を被り紫の戦闘服に上半身を包みながらも、下半身はニーソで絶対領域を見せつけてくる女の子だった。

この上半身に比べて下半身が貧弱すぎるファッションの子は、404小隊の1人、完璧主義者の【HK416】だ。やっぱりドルフロの世界に来ちまったらしいな。来ちゃったことはもうどうにもならないし、ここからどうしていくかだよなぁ……

 

「あなたが救助対象?男がこんな所に1人で居るなんて、何を考えてるのかしら?」

 

こちらも、言葉が通じた。やはり戦術人形には多種多様な言語がインプットされているんだろうか?

 

「いやー、お恥ずかしながら覚えてないんですよね……あ、自分は祠堂透悟って言います。」

 

「ふーん。記憶喪失、ね。どこまで本当か分からないけど。私はHK416よ。もう会わないだろうし、覚えなくていいわ。」

 

「そんな冷たいこと言っちゃダメだよ〜、416。あ、私はUMP9ね、よろしくぅ!」

 

ぴょこりとと、416の後ろから姿を表した明るい茶髪の女の子。

その明るい髪の色は彼女の気質を表しているかのようで、気安い挨拶と共にこの部屋へ入ってきた。このいつもニコニコあなたの隣に這い寄るサブマシンガンが404小隊のムードメーカー、9である。

いつもニコニコと言うだけあって、戦闘時どころか敵を拷問している時すら笑顔を絶やさないとか。怖っ、近寄らんとこ…

 

「あ(陽キャを前にした時の陰キャ特有の鳴き声)、どうも、初めましてUMP9さん。俺は祠堂透悟っていいます。」

 

「うんうん、よろしくね〜。私のことは9でいいよ!」

 

和やかな挨拶を交わしていた俺たちだが、そんなのんびりした空気は、彼女によって切り裂かれた。

 

「G11!いつまで寝てるの!」

「あと5分〜〜。」

「早く起きなさい!」

 

何か重いものが蹴られるような音が後ろからする。

思わず振り返ると、そこではオカンと娘が睡眠を巡った攻防を繰り広げていた。

 

「痛いっ、いたた……やめてよ416。暴力反対〜。」

「いつまでも寝てるのが悪いんでしょ。」

「ううぅ……あれ、45は?どうしたの?」

「我らが隊長様はもうヘリポートで回収を待ってるわ。対象の回収は私たちにやれとのお達しよ。」

 

45!やはり45も居るのか!!最初は死の覚悟もしなきゃいけないくらいだったし、テンションのジェットコースターや〜!!早く会いたいもんだ。

 

「トーゴくん、ちょっと失礼するね?」

 

9から声をかけられた。振り返る間もなく後ろから抱きつかれる。ふわりと甘い匂いが広がり、一瞬思考が停止。チクッ

え、なにこれめちゃくちゃ柔らかいし暖かいしいい匂いするしここが天国……?(理性0)

9ちゃん、家族になろうよ(家族提案おじさん(お前も家族だ(ファミパン)))

 

というか、なんかいま、チクッてしたような気がする。

 

「ごめんね〜、見られるとまずいものもあるから眠って貰うよ!大丈夫、害はないから!」

 

害がないなら、いい、かな……。

 

 

「あと、抱きついてごめんね〜。後でセクハラとかで訴えるのもやめてね。どうしても必要なことだったから……」

 

 

 

 

むしろ、ありがとうございます!どっちかっていうと役得だったし、セクハラで訴えられるのは俺の方では?

 

 

 

 

そう伝えようとするも、口が上手く動かない。意識もだんだんと遠のいてきた。視界が黒く染まる中で心に残った思いはただ1つ。ああ……45姉を一目でいいから見てみたかっ、た…………。




如何だったでしょうか(お約束)
404小隊、というか45姉を目当てにドルフロ始めたくらい大好きなので登場させてみました。
早く配信までたどり着かないとタイトル詐欺になっちゃう〜〜!!(ERZBET)


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第3話 襲撃者

オリキャラしか出ないPart3、はぁじまぁるよ〜!

うん、またなんだ、すまない。
早く戦術人形ちゃんを出したいので、配信に入るまでの前書きはあと二話くらいでとっととやれ太郎になります。
ストック的にも第5話から配信が始まるので許してください!なんでもSM-1!(ログインボーナス)


目が覚めたら、知らない天井だった(シンジくん)

というか、知らない世界だったんですけどねーー!!結局45姉には会えずじまいだしよぉ〜、あんまりだァ〜!!

 

なんかよく分からないけど、色んなチューブがたくさん繋がれている(小並感)

俺はここまで衰弱してたのか?あるいは気づかないうちに病気にかかってたり……

そういや、E.L.I.Dっぽいのが居たし、あそこってコーラップス汚染地域かな?

 

あっ、ふーん(察し)

おいおいおい、死んだわ俺。崩壊液被爆とかしちゃったのかな……

スタート地点からして詰んでるとか無理だろ。俺はやるだけやったよな。もう疲れたよ45ラッシュ……

 

いや待てよ。普通に感染者だったら即ぶっころされてないか?

部屋の様子を見るに実験体への扱いにも見えないし。どっちかって言うと、丁重に扱われてる感じだよな。

もしここが実験室のデフォルトならもう分からないけど、ドルフロ世界はかなり資源カツカツだった筈だし……

 

治療されているってことで、いいのだろうか?

とりあえず、ナースコールを押して意識が戻ったことを伝えないとな。

 

ボタンを押して少し待つと、ナースさんが入ってきた。グレーの髪を三つ編みにした、大人しそうな女性だ。

その胸は豊満であった!ワッショイ!!

名札には【医療介護用人形「ケイオン」】と書かれている。

 

「い、意識を取り戻したんですか!?」

 

めちゃくちゃ焦ってんじゃん、大丈夫?頭冷えてるか〜?

 

「はい。どうも、目が覚めました。ここは……?」

「えっと、あ、こ、ここはS09地域の治療区間になります。」

「なるほど、ありがとうございます。」

 

やっべ、よりにもよってS09地区!?ストーリーのほんへが展開されるやべーところじゃん!!!

 

「チューブを外させていただきますね。失礼します。」

「ああ、お願いしますね。ケイオンさん」

 

「……はゃ、ひゃい!任せてくださいぃ……」

なんか変な空気だ。また俺何かやっちゃいました?(最強テンプレチート主人公)

 

聞かないといけないこともあるし、切り替えてもらわないと。

 

「あー、そういえばですね。こんなことをいきなりお伝えして申し訳ないのですが、実は自分、記憶がないようでして……」

 

「その事については、既に説明されております。

お目覚めになられたようですので、とりあえず保護責任者の方へ連絡させていただきますね。」

 

「へ、保護責任者……?」

 

「はい、記憶を失くしてからアリナさんの保護の元で暮らしていたんですよね?もしかして、それについても記憶がありませんか?」

 

「え、ええ。ちょっと混乱しているようでして。」

 

「入院されていた時は目立った外傷はなかったものの、だいぶ無理をされていたようですからね。仕方ありませんよ。私は連絡を入れてきますので、それでは。」

 

「ありがとうございます。連絡のほどよろしくお願いしますね、ケイオンさん。」

 

「は、ひゃ、ひゃいっ!失礼しましゅっ!」

 

めちゃくちゃ舌を噛んだ後に、彼女は部屋を出ていった。名前を呼ばれる度にあんなに噛んで大丈夫?口内炎とか。

いや、人形にはそういった病気は多分無いだろう。

 

まあ、話した感じコーラップスの汚染とかは大丈夫そうな感じかな。

最後の晩餐よろしく、せめて死ぬ前は心安らかに。

とかじゃなければ、だけど。

 

待たされること最近多いな〜。

というか、保護責任者とは?アリナさんとは?謎は深まるばかりである。

 

そのまま待っても特に何も無く、うとうとと眠気が襲ってきた。

いや、なんか保護責任者の人と話さなきゃいけないだろうし、せめてケイオンさんが帰ってくるのを待つべきだろ……JK(not女子高生、Yes柏崎やらない夫)

 

眠くなるとめちゃくちゃ体が暑くなる体質なので、とりあえず入院着のボタンを開ける。

入院着の下には特に何も着ていなかったため、ボタンを全て開けると風通しが良くなり、少しずつ意識が鮮明になってき……こないな。

 

いや、ダメだ。やっぱ眠ぃわ……

言えたじゃ、ねえか…止まるんじゃねえぞ……

 

 

ギシッ!!

暗く微睡む意識の中で、ベッドが軋む音を捉えた。

同時に何かが体に覆いかぶさってくる。重さと人肌ほどの温かさが、じっとりと絡みついてきた。

たまらず、目を開ける。

すると、目の前には

「ケイオン、さん?どうしました……?」

 

そう、グレーで三つ編みのおっぱい医療人形、ケイオンさんがのしかかっていたのだ!

 

すわアンブッシュか!?と思ったが、様子がおかしい。

彼女のビーストめいた目つきは、哀れな犠牲者の首元や心臓ではなく、いいや、心臓というのはある程度当たっているのだが、そう、彼の平坦な胸に向いているのだ!

 

「ケ、ケイ、オンさん……?」

ハアッ、ハアッという荒い息遣いのみが帰ってくる。やばい、何かよく分からないが、とにかくやばい!!

 

「ちょ、ちょっと、何してるんっ!?」

 

舐められた、女に胸を、舐められた。(575)

 

「あなたが、あなたが悪いんですよ!あんな無防備な格好して寝てるから!!」

 

ヤバイッスヨ、ヤッバーイ!!ちょっと〜、煩いわねRD〜。

事実、それくらいやばい。記憶をなくしてそうそう貞操の危機である。

 

「ちょっ、ケイオンさん、何してるんすか!まずいですよ!落ち着いて、ほらほらほらほら」

 

「暴れんなよ……暴れんなよ……」

 

やっぱりホモじゃないか(諦観)

 

本格的にまずい。ケイオンさんは美人だし、おっきくて柔らかいし(何処とは言わないが)、何日も溜まってたのもあり、このままじゃ俺のホースが暴れ馬になってしまう!!

 

そうだ、ナースコール!!

あれを押すことさえ出来れば、異常に気づいたナースさんがやってきてくれるはずだ!

 

とりあえず気を逸らさなくては……会話しかないな!唸れ、俺の言いくるめ!靴を舐める!セージ技能!!プロデューサーを舐めるなぁ!!!

 

「ケイオンさん、なんで貴方みたいな美人がこんな乱暴なことをするんですか?貴方ほどの美人なら、男なんて引く手数多じゃないですかね?」

 

「美人?今、私のこと美人って言ったの?」

 

「ええ、まあ。」

 

「そう、それなら、問題ないですよね!和かんですよ、和かん!やっぱり私のことが好きだったんですね!」

 

BAD COMMUNICATION!!

破滅の未来が見える見える……

これは大失敗ですね、たまげたなぁ……

和かんってなんだろ、わっかんないな〜(クソうまギャグ)

 

ガシリと腕を掴まれてしまった。

やばい、力がめちゃくちゃ強い!人形ならそうだろうが、まさかここまでの力が出るとは!

 

痛かったりや骨が折れそうな気配は不思議とないが、かといって拘束から逃げられそうもない。

 

ナースコールは押せそうにもない=魔法使い中退という式が成り立つ。

嫌では全然ないが、やっぱり告白からが良かったな。

それで付き合って、手を繋いじゃったりして、デートをして、イルミネーションの前でキスしちゃったりして、1歩ずつステップアップして行った先のクリスマスに……

 

ポロリと涙がでる。

だって男の子だもん。

 

 

 

ダァン!!

 

 

突如、叫音が響きわたった。

 

ドラマでしか知らないが、発砲音にも似ている気がする。

思わず目をつぶってしまい、恐る恐る目を開けると、ケイオンさんがぐったりとした様子でもたれかかってきていた。

 

さっきとは別の意味で様子がおかしい。

 

「あ、あのー、大丈夫ですか?」

 

「危ないところでしたね〜。もう大丈夫ですよ〜。安心してください〜。」

 

やたらとぽやぽやした声が掛けられる。

どうやら、この人が助けてくれたようだ。

 

「た、助かりました。ありがとうございます。この人形、えっと、ケイオンさんはいったい?」

 

「暴走していたみたいなので、強制停止をさせていただきました〜。ボディに傷はついてないので、そちらも大丈夫ですよ〜。」

 

「そう、ですか。本当にありがとうございました。あのままでは、危機的な状況になっていたと思うので。」

 

「いえいえ、書類上とはいえ貴方の保護責任者なんですから。お気になさらず〜。」

 

保護責任者?ということは、この人がアリナさんって人か?

俺が実は2回も記憶を失ってる可能性も考えて……

 

「初めまして。俺は祠堂透悟っていいます。記憶喪失なんですけど、以前の俺について知っていたりしますか?」

 

「ええ、初めまして〜。シドーくん。私はアリナ、アリナ・ズロービナです。リナって呼んでね〜。貴方のことはよく知らないけど、記憶喪失の事はあの子たちから聞いてるから大丈夫よ〜。」

 

そう挨拶をしてくれたのは、黒髪のセミロングのなんというか、若妻!!みたいな雰囲気のおっとりとした女性だった。

 

「よろしくお願いします、リナさん。その、あの子たちというのは?」

 

「シドーくんを保護してくれた子達よ〜。あの子たちから聞いたんだけど、記憶がないんですって?」

 

となると、404小隊の人達か?

あの人達を子って呼ぶなんてどれくらいの人物なんだ、知らないで言ってるだけか?知ってて言ってたらかなりやばい人だしな。

 

「はい、残念ながらそのようで……」

「う〜ん、困ったわね〜」

「困ったと言うと?」

 

「言いづらいことなんだけど、あなたという人間、祠堂透悟っていう人物は存在しないのよ。

戸籍がない、さらに男性となれば、やっぱり犯罪か何かに巻き込まれてたんじゃないかって。

もし貴方が何か覚えていれば、それをヒントに元の居場所へ返してあげることもできたかもしれないんだけど……ごめんなさい。

貴方の痕跡は、あのD6汚染地域以外では見つからなかったの。」

 

ほんわかさが消えて急に圧が増したな。びっくりした。真剣に言ってくれてるのは分かるのだが、緩急が出来すぎないか?

 

それに、俺はこちらの世界に存在しないようだ。

となると、憑依ではなくトリップしてきたことになるな。

 

「いえいえ、気にしないでください。

むしろ、そこまで調べて下さっていて有難いと言う他ないです。ありがとう、ございます。」

 

頭を下げる。

 

「ちょっと!そんなに頭を下げないでいいのよ!

頭を上げてよぉ〜。男性に頭を下げさせるなんて、そんな、ねぇ〜」

 

妙だ。男に頭を下げさせたから何だと言うんだろうか。

さっきのケイオンさんの様子、気絶する前の9の反応も含めて妙なものを感じる。が、今はそれを探るべき時ではないな。

 

「ええっと、恥ずかしながら、僕には今頼れる人がですね。

保護責任者になってくださったリナさんしかいらっしゃらないので、初対面なのに申し訳ないんですが、相談したい事があるのです。」

 

「ええ、なんでも聞いてちょうだい〜。」

優しい。

 

「ここの入院費や僕の救助費ってどうなりますか?結構な額になったと思ってるんですけど……」

 

「そうねえ、入院費はとりあえず男性保証金の方で支払われてるから払わなくて大丈夫よ〜。救助費の方は、流石に少し負担して貰うことになるけどね〜。」

 

男性保証金?なんだその頭の悪そうな単語は。

とはいえ、払わないで済むならそれに越したことはないな。

 

救助費は少し負担する必要があるのか。

それもそうか。ヘリポートとか言ってたし、相応の金額が掛かったんだろう。にしても、お金か……

 

「先ほどの調査結果からすると、僕の戸籍もおそらくないんですよね?そうすると、働き先と住む場所についてはどうしたらいいと思われますか?」

 

「戸籍と住む場所はもう用意してあるわよ〜。

と言っても、私が持ってるアパートなんだけどね〜。とりあえず救助費の方を払ってもらって、余裕ができてから家賃を返してもらえれば大丈夫よ〜。」

 

は?思考が停止した。待遇が余りにも良すぎる。

美味い話にも程がある。疑ってかかるには十分な内容だ。

 

「あ、代わりにひとつね。頼みたいことがあるのよ〜。

もちろん、強制じゃないんだけどね〜。」

 

それもそうだろう。むしろここまでの待遇が、身分のない人間に用意されて、可哀想だったから!で済まされる方が怪しい。

どんな無茶ぶりが来るかな?

 

「シドーくんにはね、戦術人形の慰安をお願いしたいの!」

 

「え、い、慰安ですか?」

どういうことだ?てっきり健康な臓器が云々とか言われるのかと思ったが……

 

「そう、慰安よ〜。あ、もちろん変な意味はないからね、安心して!」

 

「あっハイ。具体的にはどういうことをするんでしょうか?」

 

「戦術人形の子達と一緒にご飯を食べたり、テレビを見たり、ゲームをしたり、あの子達が楽しめることならなんでもいいのよ〜。」

 

「はあ、なるほど。それが僕が戸籍と家を得るための条件でしょうか?」

 

「条件と言うと申し訳ないけど、そうなるわね〜。」

 

「分かりました。その話、受けましょう。慰安は週に何回、1回何時間くらいすればいいんですか?」

 

「月に2回、1回につき6時間かしら〜」

 

あれ、思ったよりも少ないか。

けれど、これが住む条件ってことは、これに加えて仕事にも就かなきゃいけないんだもんな。なかなか忙しくなりそうだ。

 

「分かりました、ありがとうございます。戸籍と住所の方はよろしくお願いしますね。」

 

「ええ、勿論よ〜。

あの、ごめんなさいね。脅迫みたいな形になっちゃって……

代わりと言ってはなんだけど、住むところに不自由させるつもりは無いし、他のことも出来るだけ気を使うつもりでいるから。

本当にごめんなさい……」

 

「いえいえ、こちらとしてもお世話になる訳ですし、ギブアンドテイクでいきましょうよ。

といいますか、こちらのほうが助けられてるくらいです。ありがとうございます!

それに、戦術人形っていうのは僕を助けてくれた人達と同じような人達なんですよね?なら、全然大丈夫ですよ!」

 

って言うか、人形を運営する側って事は404小隊のことを知った上であの子達呼びしていた可能性が?こう見えて、かーなーりやばい人では??

 

「そう言ってくれると、助かるわ〜。

私はそうは思わないんだけど、戦術人形の子たちって怖がられやすいじゃない?

本当は、優しくていい子ばっかりなのに、やっぱり怖がられたら傷ついてしまうものね〜。」

 

「あなたがそういう人じゃなくて、私は嬉しいわ。」

 

頭を上げて笑いかけたリナさんの表情はそれはそれは綺麗で、直前に抱いていた警戒心もなんのその、思わずドキリとしてしまった。




如何だったでしょうか?
ドルフロだし、人間なんかどうでもいいんだよ!!とお思いのそこの貴方。

僕はね、原作キャラだけで二次創作をしたかったんだ。
でも、原作キャラの再現度は限定的なんだ。性格への解釈と構成力が足りないと原作キャラだけで話を作るのが難しくなる。

これも葦名(作品)の為。
そう思って明るく笑ってやってください。

笑って済ませられない人は……デュエルで……笑顔を……
(すみませんでした、出来るだけ早く人形ちゃん達を出します!)


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第4話 たいづ気とっやは彼、にべこべあ

評価を2件も頂けて、私、大感激です!本当にありがとうございます!!

タイトルが読めないよ!って人は、鏡に映してみてくださいね★

今回はドルフロ世界のホノりんとも呼ばれたあの人形ちゃんが、満を持して登場です!配信回は次回から始まるので、お慈悲〜〜!(狩人狩り)

満を持すってちょっとエッチじゃない?えっ、そうでも無い……?そっかぁ


労働条件の話を詳細まで詰め、そんなこんなで戸籍と住処を得た俺は、退院して早速だが新しい住居へと足を運んでいた。

 

元から若干の衰弱と過度な疲労のために入院させられていただけであり、怪我はなかったため直ぐに退院出来たのだ。

 

あ、その体と記憶の検査の過程で衝撃的な事実が分かったんだよね。

 

【速報】俺氏、日本語を話してなかった

 

これ知った時は本当にびっくりした。何故かどんな言語で話しかけても自然に脳が日本語に変換してるし、話す時はその逆らしい。

 

なんだそのチート。謎すぎるだろ。便利で有難いけど、なんというか俗物的すぎる……すごい助かってはいるんだけどさ。

 

アパートの位置はリナさんに渡されたスマホ的なタブレット端末の中に住所が登録されているらしく、ここから歩いて30分もすれば着くという。

今はマップを頼りに歩いているところだ。

 

アパート「ヒポグリフ」

それが彼女が持っているアパートの名前らしい。グリフィンにヒポグリフ。あっ、ふーん(略)

 

で、ここS09地域の中でもメインストリートというか、中心地に何故かアパートが立っているらしい。

中心地だけあって大きめのショッピングモールや、色々なお店、カフェやレストランの並んだ都会な風景が広がっている。

 

1度だけ行った外国の街並みを彷彿とさせる、レンガやコンクリート造りの街並みだ。

所々に噴水も見かけられる。

 

戸籍を用意できたり、中心地にアパートを持ってたり、頼み事の内容が戦術人形の慰安だったりと、リナさんはやっぱり【グリフィン】やそれに連なる組織、例えば【I.O.P】のお偉いさんなのだろうか。

 

グリフィン、正しくはG&K(グリフィン&クルーガー)社とは、我らが主人公も所属している民間軍事会社である。

 

幾つもある民間軍事会社の中でもかなりの大手。その規模といえば、人類の危機のひとつである鉄血工造の対処を軍から委託されていたり、街の治安維持や実質的な運営を託されているほどである。

 

また、I.O.Pはドルフロの目玉の一つでもある戦術人形達(女の子)の生産元で、グリフィンはI.O.Pと戦術人形に関する契約を結んだことでのし上がってきた企業と言っても過言ではない。

ここの重役だったとしても、かなりの力を持つことだろう。

 

ということで、ここまでの権力を振るえるとなると、リナさんの所属は軍かグリフィン、あるいはI.O.Pなどしか考えられない。

 

軍の戦術人形は、大手とはいえ所詮は民間軍事会社に過ぎないグリフィンのものとは規格も性能も大きく違う。

 

そして、ゲームに出てくるのは民間用の人形が殆どなのである。

リナさんに見せてもらった人形達の写真には見覚えのある民間用人形達も写っていたりしたので、彼女はおそらくグリフィンやI.O.Pの人間だと考えられるわけだな。

 

さて、これから住む街に慣れるためにも、店を幾つか冷やかしながら歩いていた訳だが、ひとつ思ったことがある。

 

それは

 

 

ハーレム野郎しかいねえな!!クソわよ!!〇ネっ!!!お排泄物ですわ〜〜〜!!!!

下品な種馬野郎なんて棒をレバー代わりにガチャガチャレバガチャされた挙句、故障してしまえばいいんですわよ〜〜ーー!!!(ゲーミングお嬢様)

 

 

まあ、そういうことである。男を全然見かけない上に見かけるのはハーレム野郎ばかりなのだ。それも、人形のではなく美人な人間のハーレムである。

 

意味がわからん。

俺がメロスだったら刺し殺してたわ。

 

というか、道行く女性・道行く女性がみんな美少女、美人ばかりなのだ。これもかなりの謎である。男は……そうでも無いのだが。

明言は避けるが、偏差値で言うならあっちの40がこっちの50みたいな……?まま、ええわ(思考放棄)

 

さて、ドルフロ世界は一夫多妻制だったか?

でもそれだったら、ヘリアントスさんが合コンの度に敗北者にならないはずだし……

 

困ったら、ベンチに座ってG〇〇gleで検索。

誰でも知ってるよね。

 

「ハーレム 許せない 」検索っとな。

は?またもや思考が停止した。この世界に来てから3度目か4度目の出来事であった。

 

何故なら、ハーレムに入れないことや、ハーレムに入っている女性を妬む内容の記事や如何だったでしょうかまとめばかりがヒットしたのだ。

 

根本的に、思い違いをしている?

「 何故 ハーレム 作る」

検索ワードを変えて調べてみる。

 

すると生物学的な記事やwikiがヒットしてきた。

ふむふむ、なるほど、ほほーん。

 

ざっくりまとめると、この世界の【ヒト】はホモ・サピエンスでは無いらしい。

ホモ・サピエンスは生存競争に負けて消えていった存在なのか、wikiに載ってすら居なかった。

 

では、今生きている人類は何なのか。

彼らと、私ことホモ・サピエンスでは大きく違う点が1つある。

 

 

 

 

 

それは、男女比だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

具体的には、この人類種の男女比は1:4である。

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、俺の頭が悪くなった訳ではなく、本当にそういう生き物らしい。

 

男女比が1:4であり、昔からハーレムを構築して暮らしてきた生き物らしいのだ。

妊娠期間があるメスは多数必要だが、種をまくオスは1匹いれば群れが形成できるという進化を経てきたらしい。

 

女性は何人も必要とはいえ、より厳しく選ばれる立場にあるために美人や美少女が多く残ったのだろう。

 

その代わり、オスの遺伝子は発現しにくくなっているらしく、オスの生まれる確率も、近親婚により遺伝子性の障害を起こす確率も低いのだとか。それによって美男も少ないとかなんとなか。

 

はえ^〜

 

せいめいの しんぴって すげー!!!

 

 

つまり、時折見かけるハーレム野郎が自然なのか。

 

ん?じゃあ俺はなんでこちらの【人間】とは違うのに病院の検査とかで引っかからなかったんだ……そんなこと、一言も言われなかったよな……?

 

戸籍はないのに、体だけはこっちの人間と同じとか有り得るのか?

元の世界の体のままこちらへトリップしてきてしまったという方が、些か現実的だろう。

 

これについては色々調べる必要がありそうだ。

加えて、法律とか、考え方の変化についても。

 

ここまで違う生き物で、男女比も違うことを念頭に置くと、9とかケイオンさんの発言の意味も分かってくる。

 

恐らく、女から男へのセクハラの方が普通なのだろう。同様に、メンズ・ファーストみたいな考え方も浸透しているんだろうな。

 

よし、ちょっとスッキリした。

出そうで出なかったくしゃみが出た時に近い快感を感じ、思わず笑みを浮かべてしまう。

 

その時、「すみません。お隣、失礼しますね。」

と、シロップにはちみつを掛けたようなと言えばいいのか。

可愛らしく甘い声の後、隣に1人の女の子、いや、人形が座ってきた。

その胸は豊満であった。

 

こちらをニコニコとした顔で見つめてくるこの人形は、【M1911】

 

主人公のことを運命の人やダーリンと言ってはばからず、何故か初対面でも再会を喜び、積極的なアプローチをかけてくる子である。

 

この子を最初にドロップで仲間にした指揮官も多いのではないだろうか?

パズドラで言うとホノりんみたいなポジションの子である。

 

先端の方が丸まった金髪のショートカットに青い目、アメリカの国旗を模したネクタイを巻いたセーラー服にかなりのナイスバディを詰め込んだアメリカンJKのような見た目をしている。

 

そんな彼女は自然な流れ(?)で俺の隣へと座ってきたのだった。

 

「初めまして、ダーリン!私はm1911って言います!」

 

めっちゃグイグイくるじゃん……というか、そんなにこっちに身を寄せられると、腕に豊かな山がですね。気にしてなさそうだなこれ。

やばいぞこれは、鎮まりたまへ!鎮まりたまへ!

 

「初めまして。俺は祠堂透悟です。」

 

「へー。ダーリンは透悟さんってお名前なんですか。カッコイイお名前ですね!

あの、中心地とはいえ、男性が1人で居たら危ないですよ?」

 

やたらと積極的だと思ったら心配してくれてたのか……疑って申し訳ないな。

 

「ああ〜、実はつい最近こちらへ越してきたばかりでして、恥ずかしながら頼れそうな人が居ないんですよ。」

 

そう言うと、彼女は

「そうなんですか。……そっ、それなら、私が案内しましょうか!?これも運命ですよ、運命的な出会いです!私もこの街に配属されて長いのでこの街には詳しいですし、道に迷ったりはしないと思います!」

と食いついてきた。

 

ふむ。彼女は心配してくるだけあって優しい人形なんだろうし、ゲームで考えても素直な子だ。

これもおそらく善意から来てるから、頼んでみてもいいかな。

俺も、人形達と仲良くしたいし。

それに、彼女の印象的なセリフである「運命の出会い」が生で聴けて少し感動したこともある。

 

「ありがとうございます。せっかくですし、お頼みしても大丈夫でしょうか?」

 

「えっ、いいの……?あ、も、もちろん任せてください!それと、敬語じゃなくていいですよ?」

 

「そっかそっか、ありがとうね。」

 

「いえいえ、とんでもないです!えっと、何処に向かってるんでしょうか?」

 

「アパート【ヒポグリフ】ってところだね。知ってる?ここら辺みたいなんだけど……」

 

スマホに地図を表示しそのまま彼女に見せる。お互いの距離が近づき、肩が触れ合うような距離だ。

 

これくらいは役得の範囲だろう。m1911は顔を真っ赤にして虫の鳴くような声で

「し、知らにゃいで、す……だいちゃいの場所は、わ、分かるんですけ、ど……」と返してくれた。

 

楽しいな、これ。(人間のクズ)

 

今、口が彼女の耳元近くにあるわけだし、できるだけ囁く感じで

「ありがとうね。」

と声をかけると、ぴぇっ!と謎の声を上げて動かなくなってしまった。

 

何やらブツブツと呟いていたので、耳を近づけてみると……

「メンタルモデルに過大な負荷がかかったため、一時的にスリープモードに移行しタスクを処理します」

と機械的なことを言っている。

 

ごめん、ここまで効果覿面だとは思っていなかった。

なので、お詫びとして膝枕することにした(人間のクズ)。

 

10分ほど待つと、意識を取り戻したようで

「ん、あれ。私は……」

と声をあげた。

 

だからこそ、俺は素知らぬ顔で

「大丈夫?m1911。急に動かなくなったから、心配したんだよ?」

と続けていく。

 

「えっ、うん。大丈夫ですよ、ダーリン。ありがとうございます。

というか、この距離はいったい?なんかやたらと近くないですか?」

 

「膝枕だよ。」

「えっ」

「膝枕」

「ダーリンの、愛を、感じます……」

 

再起動した瞬間にまた過負荷によりスリープモードに入ってしまった。

 

一つだけ言わせてくれ、『僕は悪くない』と。

この後めちゃくちゃ足が痺れた。

 

そして食料を買うのにもめちゃくちゃ付き合ってもらった後、近くまで送ってもらった。

 

あ、連絡先も交換しました。とりとり。

 

 

 

 

そんなこんなでアパート【ヒポグリフ】に無事到着。

二階建てのアパートで、年季を感じるものの手入れがキチンとされており、清潔感のある外見だ。

これは内側にも期待できそうだな。

 

とりあえず、大家さんの部屋のチャイムを鳴らす。

1階の階段の最寄り、そこがリナさんの住んでいる部屋らしい。

 

「はーい、今行きます。」

 

ん?リナさんじゃないな、この声。まあいいか。

扉の先にいたのは、黒髪ショートカットの女の子。

パッと見、14・15くらいだろうか?

リナさんの面影があるが、クールな顔立ちをしている。

細く、華奢な手足。果たして、その胸は平坦であった。

 

「今日からこちらでお世話になります、祠堂透悟と申します。つまらない物ですが、どうぞ。」

 

「あ、え、あ、ど、どうも……これはご丁寧に、ありがとう、ございます……」

 

「リナさんの娘さんでしょうか?」

 

「あっ、はい。ここの大家の娘の、エリザ・ズロービナです。」

 

えええ!ドルフロ世界でエリザ?なんか意味深な名前してますねぇ!道理でねえ!!(支離滅裂)

まあロシアだと一般的な名前らしいしな、エリザ。そこそこには居るのだろう。実際、いま目の前にいるんだし。

 

「エリザちゃんか、よろしくね。」

 

「は、はい。よろしくお願いします。えっと、母さんは今出かけてますので、私がお部屋の方に案内させていただこうかと。」

 

「ありがとう。よろしく頼むよ。」

 

案内されるままについて行くと、2階の真ん中に位置する部屋へ通された。

この203号室が、俺の住処になるわけだな。

 

「それじゃあ、私はこれで。」

「案内ありがとうね。エリザちゃん。ばいばーい」

「はい、ではまた。何かあったらお呼びくださいね。」

 

鍵を回し、扉を開ける。突撃、隣の(世界の)初住居!

 

うん、悪くない。むしろ想定の5倍はいい。

 

その部屋は、外観と同じく使われてきた年季こそ感じさせるものの、それが良さとして感じられるような、掃除の行き届いた部屋だった。

 

一通りの家具は既に搬送されている。

リナさんの言っていた配慮に、家具達が含まれると思うと、やっぱりギブに比べてテイクがデカすぎるように感じる。

 

リナさんへの挨拶は……もう遅いし、明日の朝に行けばいいか。

 

とりあえずm1911と一緒に買った材料で夕食を作ることにした。

 

工場野菜のサラダと合成肉と合成卵と合成油と……

合成物ばかりだが、味はそんなに「悪くない、かな。」

むしろ、結構美味しいまである。

コンビニよりワンランク下程度だろうか?

 

食料の目利きとか出来ないから、m1911に、この店で1番いいのを頼む、したからというのも理由にあるかもしれないな。

 

前世(前の世界的な意味)で食ったディストピア飯の方が100倍やべー食事だと思いながら食べきった。

 

今度はm1911の料理とか頼めないかな……?食材の目利きができるなら、料理自体の腕もそれなりにあるとおもうのだが。

 

 

 

懸命な読者の皆様は既にお気づきだろうが、彼の買い物に用いられたお金は、もちろんのことリナさんから予め渡されていたものである!!!

一文どころか記憶も戸籍もない彼が、金を持っている筈もない!!

リナさんから渡されていた通帳には、1年分くらいの生活費が既に入れられており、まるで恩の宝石箱やあ!!と彼はコメントしていた、

 

 

 

 

「マジでギブよりテイクの方がデカイな。この恩は一生かけてでも返しきらないと…」

寝る前に、ぽつりと溢れた。

 

「おやすみなさい。」




m1911ちゃん好き。

髪型が好き。声が好き。ポーズが好き。ふとましい体型が好き。太ももも好きだけど何よりもお腹のラインが好き。脱ぐと凄い腰周りが好き(重症絵なので健全)。スカートのヒラヒラ感が好き。セリフが好き。

あんなにエッチで可愛い子が最初のステージからポロポロ落ちるドルフロとかいう謎のアプリ。

m1911ちゃん他のアプリなら最高レアかその次のレアリティは固い。
あのフワドロ(ふわふわでドロドロに甘い)声でダーリン呼びしてくれるの好き。なので登場してもらいました。
ギュッてしたら柔らかいし温かいし絶対いい匂いがする。

でも誓約はしてない(手のひらドリル)。


あ、活動報告の方に出す機会のなかった裏設定をあげていくので、宜しかったら読んでいただけると作品への理解が深まることと思います。


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章間小話 お気に入り100件感謝特番RTA
清楚系ビッチ小悪魔チャートM4√特殊エンドRTA前編【お気に入り100件越え感謝特番】


皆さんのおかげで、な、なんと!お気に入り100件を超えました。本当にありがたいことです。

なので、感謝の気持ちも含めて
み〜な〜さ〜ま〜の〜た〜め〜に〜、こんな動画(小説)を用意しました。
RTAは初めてなので、初投稿です。
淫夢要素はないので、苦手な人は注意してください。


はーい、よーいスタート。

 

恋は銃よりも強し!

んっん〜名言だなァこれはなRTA、はぁ↑じ↓まぁ↑るよぉ→!

 

今回はちょっと趣旨を変えまして、ドルフロの女の子と色んな意味でイチャコラぁ!

出来る不朽の恋愛……恋愛?ADV「ドールズ・フロム・ラブ-人形恋線-」のあるヒロインの特殊エンドのRTAをしていこうと思います。

 

ドルフロRTA流行らせコラ!!

 

ドルフロ関連のソフトは現2062年で色々と出ていますが、これは恋愛メインです、誰がなんと言おうと恋愛メインです

第3勢力になってG&Kと鉄血の両方を滅ぼすこともできますが、恋愛メインです(天地無双)

 

ちなみに世界最速だけを狙うならヘリアントスさんへ即告白√が最速のはずです。

恋の駆け引きとか(要ら)ないです。

 

スタート地点をS09地区にし所属をG&Kの指揮官に設定、原作追体験モードにして初対面で告白。

それを怒るため会議室に呼ばれ、入室した瞬間にもっかい告白でチェックメイトです。

これにてザ・エンドってね。

 

今から走るのは、M4ちゃんの特殊ルートです。

 

ちなみに、原作のような硝煙くさい染み付いてむせる世界では有りません。

 

DLCの世界のひとつ、【おいでよあべこべグリフィン学園】に設定します。

で、この時にキャラクターの同学年設定をONにします。これを忘れないようにしましょう(n敗)

この設定によって、ある程度歳の近いキャラならみんな同学年に変更されます。このチャートのキーですね。

 

この学園モードは進撃!巨人中学校みたいなものです。(すっとぼけ)

 

簡単に言うなら、男性が獲物で女性が獣な世界でIS学園……というか工学部?に入学してしまったホモ君の物語です。

 

多分淫夢と調べるとお姉様方の絡みが見れるんやろなぁ。

ああ^〜心がピョンピョンするじゃあ^〜

ま、ホモくんはノンケなんですけど、初見さん。

 

何故原作バージョンを走らないのかって?この方が早いからです。RTAですからね。タァイムに心臓を捧げよ!!

 

 

早速ですが、キャラクリから。

名前は入力速達を考慮して g ……としたいところですが、このゲームはAIがそれなりに常識人なこともあって、変な名前だとドン引きされたり、好感度が上がりづらかったりします。

 

そうしないと入れない√もあるのですが、今回は関係ないのでNG。

 

 

 

 

名前は入力速度を考慮してホモ……になるように 誉 椛(ほまれ もみじ)にします。

 

で、ですね。

実はこのゲーム、ちょこちょこビルドと言ったようにステータスがあります。

 

体力

気力

筋肉

頭脳

魅力

 

の6つです。

ここにレベルアップなどて貰えるポイントを割り振って育成するんですが、初期ステがRTAでは大事になることは言うまでもないでしょう。

 

この清楚系ビッチ小悪魔ビルドでは、気力と魅力のみにポインツ!が振られるパターンを狙います。

というか当てます。

 

長らく初期ステはランダムだと思われていたのですが、学会の解析の結果、名前によって能力の乱数テーブルが決められている事が分かったそうです。

 

どんな能力値にも最低で1ポイント振られ、合計ステータスポイントは30になります。

初期作成でひとつのステータスの限界は15です。

 

なので、ここでは

体力 1

気力 11

筋肉 1

頭脳 1

魅力 15

運 1

のステにします(114514敗)

 

ま、ポケモンRTAライコウチャートとかサガRTAよりはマシな押しってそれ一番言われてるから。

 

それじゃ、名前を決定するを押しまして、

『名前はこれでいいですか?』

ここから乱数がゲームの中でグルグルし始めます……

 

狙い撃つぜ!(ロックオン・ストラトス)

まんじりともせずビルドしろっ!!

 

ヨシ!!

無事、狙い通りの気力と魅力以外はくそざこほも君誕生です。祝え!!

 

幾つかのキャラには√突入の条件にステを求めてくるのですが、M4ちゃんは大天使なので誰も拒むことを知らないガバ○○です!

外見1でも大丈夫!これは原作主人公の鏡。

 

あと、416ちゃんとかは低ステータスだと特殊エンドを見れますよ。頑張るタイプのダメンズ好きそうだしね〜、彼女(偏見)

 

それじゃあ、始めて行きましょう。

どのルートかは最後までお楽しみに!

ラストのCGが出てきた瞬間にタイマーストップです。

 

 

 

僕は【誉 椛】、明日から高校生だ。

だが、布団で寝て目が覚めたら、見覚えのない白い部屋の机に座っていた。(目が覚めたら白い部屋シナリオ並の導入)

 

ふぉっふぉっふぉっふぉっ。

突如、これまた聞き覚えのない声が聞こえる。

瞬きをひとつ挟むと、いつの間にやらいたのか、白いふくよかな髭を持つ、所謂【神様】みたいなお爺さんが目の前のイスへ座っていた。

 

 

 

はい。神の登場です。

この神ぃ!の質問への回答次第で隣の席の女の子が決まります。ポケモン不思議のダンジョンみたいなものですね。

 

あとセーブとかロードとかコンティニューも神がしてくれます。有難いですね。

 

隣りの席の子とは色々な好感度アップイベントが起きるので、変に疑わず好きな子を選びましょう。

 

スキップ上上上上上上スキップ

はい、これで隣のM4ちゃんとイチャイチャ学園生活が送れるようになりました。

主人公なので全部上で固定されてるのもM4チャートの特権。

 

席替えの度に丸と会話スキップを連打しなくてはいけないのが、注意点です(3敗)

 

えっ、なんか話早くない?ワシの出番……

 

 

 

 

変な夢だった……。

 

ふと時計を見ると、遅刻ギリギリだ。入学式から遅刻はまずい!!

急いで僕は高校の入学式へと向かっていた。

 

主人公力が高すぎるプロローグでいつも見てて笑っちゃうんですよね。

ハイクオリティなオープニングは、残念ながらスキップだ。

 

……入学式を終え、席に着く。入る前から分かっていたが、圧倒的な女子率だ。

数少ない男子だけあって、注目されているのが分かる。

 

席は1番廊下側の列、隣の人はまだ来ていないようだ。前後の人は来ているな。

 

ここは……

・前の人と話す

・後ろの人と話す

・隣の人を待つ

・前後の人両方と話す

 

実は『隣の人を待つ』を選ぶと、この教室で1番【魅力】のステが高い子が話しかけてきます。

 

モブもいるこのゲームですが、当たり前の権利のように原作キャラや人形の方がモブより高いステを誇るので、原作のガチャの気分を味わいたい人は話しかけて来るのを待つのもありです。

 

さて、今回の特殊ルートに行くには、多くのキャラからの【好感度】が必要になります。

√に入るには様々な条件が絡むのですが、√に入らなくとも好感度は普通に稼げます。

 

で、所詮人間は顔のため外見が高いほど稼ぎやすくなります。

だから魅力に極振りする必要があったんですね。

 

ということで、『前後の人両方と話す』を選択。

前は……ヨシ!!モブだ!

 

好感度が一定まで上がると色々な物が貰えるのもこのゲームの特徴なのですが、モブは大したものをくれません。

 

代わりに好感度を稼ぎやすいので、このルートでは積極的に仲良くしていきましょう。M4ちゃんのためにね(人間のクズ)

 

名前はエリザちゃんか。はえ〜……何度も出てきそうな名前してんねえ!恥ずかしくないのか?(厚顔無恥)

 

後ろの子もモブ!!B子ちゃんですか。スタッフの雑仕事で生み出されて可哀想……

 

B子ちゃんはそのあまりに雑な名前と、デートCGの背景に居そうな普遍さから逆にカルト的人気を誇る有名モブです。私はドルフロのキャラが好きなのでよく分かりませんが。

 

 

 

(どうやら、隣の人がやってきたようだ。

彼女はパッと見内気そうな少女に見える。艶やかな黒髪をそのまま流し、前髪も眉にかかるくらいで、胸を張っていれば美しい少女なのだろう。

 

けれど、実際の彼女は俯き気味であり、その内向的な雰囲気に相反する緑のメッシュが独特の風貌を形作っていた。)

 

 

はい、原作キャラを見た時特有のポエムですね。

これからは時間節約の為に全て飛ばしますが、M4ちゃんのドアップをジロジロ見れるためここでは飛ばしません。

これを専門用語でガバと言います。

 

どうしようか……

選択肢が出たらすぐに〇!

 

・挨拶をする

・挨拶をしない

 

「あの、俺は誉 椛って言います。1年間、よろしくね。」

「あ……わ、私はM4A1です……よろしく、お願いします。」

 

 

ああ、M4ちゃんの音ぉ〜!!これだけで3日くらい戦えます。

労基違反は……やめようね!

 

 

相手の紹介後に、また速攻で○!

このゲームには、一定時間だけしか表示されない会話コマンドもあります。

 

この初対面会話にもそれが存在し、むっつりM4ちゃんなら好感度が結構上がるのでうま味です。

 

下がる場合もあり、キャラとステによりけりなので気をつけましょう。

 

あなたは手を差し出した。

目の前の彼女はしばらく躊躇ったあと、おずおずと手を伸ばしてくる。

 

握手をして、相手の目を見つめながらあなたは答えた。

「うん、よろしくね。」

 

 

PerfectCommunication!!

パーフェクトのPはプロデューサーのPだからね、仕方ないね(シャニP並の感想)

 

 

これは魅力が一定以上ないと大体のキャラには効果ありません。むしろ、魅力が一定以下だとBADになるので注意を!

 

しかし、M4ちゃんは顔で人間を区別しない天使のため、人類最底辺ブサイクモンスターな1以外なら上昇、1でも現状維持です。

 

さすがM4ちゃん……

でも、M4ちゃんは外見で人を見ない分、内面で人を見るので選択肢により好感度が上下しやすいです。

押し間違いには気をつけましょう(7敗)

 

 

……HRが終わった。誰と帰ろうか。

 

 

帰宅はもちろん、M4ちゃんとです。

この辺にぃ〜、美味いラーメン屋あるんだけど……

 

「え、わ……私と、ですか?あなたがいいなら……良いです、けど……」

 

 

他のキャラならステータス次第では断られる事もあるんですが、M4ちゃんは天使なので以下略

ま、誘いはだいたい魅力が基準なので、この清楚系ビッチ小悪魔ホモくんは悉くを滅ぼすんですけどね。(歴戦王先輩)

 

 

あっ、そうだ。委員長は416ちゃんに決まりました。

だいたい彼女かスオミのような真面目系キャラが委員長になりますね。

後々利用しますが、416が委員長なのはうま味です。やったぜぇ!

 

 

これからやるべき事は、ありとあらゆる選択肢でM4ちゃんの好感度を上げていくだけです。

具体的には、【M4ちゃんのイベントを二学期までで全て終わらせます。】

 

やることは今のとこ大して変わらないので、加速!!

 

部活や勉強する時間も惜しんで、スタミナの限り外見上げとM4ちゃんとの好感度上げに費やします。

 

 

行動や1部選択肢を選ぶには、気力が基準に算出される【スタミナ】を消費します。

だから気力を高くする必要があったんですね(みんなが愛したメガトン構文)

 

 

 

テスト期間になりました。このホモくんの頭脳はひで以下なので、このままだとテストで死にます。

留年確定は避けたい、避けたくない?

 

このゲームのテストの成績は、実は頭脳に依存しません。

正確には、頭脳に依存する【勉強の理解度】によって算出されます。もちろん頭脳が高い方が勉強の理解度は高まりやすいです。

 

とはいえ、頭脳がクソザコナメクジでもちゃんと勉強すれば、うん。OC!!な成績を取る事ができるんですね。

 

 

なので、またもやM4ちゃん……

ではなく、悪態をつきながらでもなんだかんだと色々教えてくれる系の優等生、HK416ちゃんに教えを請います。

 

 

HK416は史実的にはM4カービンの改良品、つまり娘にあたる訳ですが、な〜ぜ〜かM4系列を嫌っていることは、指揮官の皆さんならご存知でしょう。

ネタバレですが、反抗期です。お年頃ですからね416ちゃん。

 

で、416ちゃんはM4ちゃんを嫌っているため、M4ちゃんも416ちゃんが苦手です。

キャラ同士の相関もあるんですね〜。このゲーム、深いっ!!(沈みゆくボーちゃん)

 

 

で、M4ちゃんと【仲が悪いので】、416ちゃんに教えてもらいます。

 

 

416ちゃんは好感度が上がり始めるまでに時間がかかる……というか、2つの条件を満たさないと上がりません。

 

なので、ここからその準備を始めます。

 

その条件とは

・一定以上の期間、何らかの接触を続ける。

・ステータス平均が一定以上、或いは一定以下である。

のふたつです。

 

 

上の条件がなかなかの曲者なので、今からゆっくりコトコト煮込みます。

 

下の条件?外見と気力しかないホモくんの平均ステが高いわけないだろ、いい加減にしろ!!

このゲームは低いステほど成長しやすいからね、殆どのステが1とか有り得ないから仕方ないね。

 

 

 

416ちゃんはテスト期間になると、学校の外の図書館で勉強していることが多いです。

彼女は白鳥タイプ(水面でめちゃくちゃバタ足してる系完璧主義者)なので、同級生に見つかりやすい学校やフードコートなどでは勉強しません。

 

 

 

ということで、市立図書館へ、イクゾ-!!でっでっでででで、でっでっでででで、

えうでっで、あっどぅーわどぅわどぅわ!!(UNDER PANTS)

 

 

「げっ、アンタは……」

図書館へ勉強しに行ったら、委員長の416さんを見つけた。

 

 

このリアクションはM4ちゃんと仲良くしている事を知ってるからですね。

 

ここで速攻で○を押すと、最初の416ちゃんのリアクションをスルーして話しかけてしまう(好感度ダウン)ので、追走者は気をつけて(N敗)

 

 

「や、こんにちは。委員長も勉強中?」

「ええ、そうよ。見て分からない?」

 

 

委員長は成績がかなり良かったはずだ。自分はこのままでは成績が危ういため、教えて貰えないだろうか?

 

とはいえ、何故かは分からないが(ラブコメ主人公)僕のことが苦手なようだ。

どうしよう?

 

・恥を忍んで教えてもらう

・迷惑にならないよう自分で頑張る

 

はい、当然正位置ィ!!

 

 

「ごめんなさい。厚かましいとは思うんだけど、勉強教えてくれないかな……?」

 

「え、なに?勉強を教えて欲しい?

私も自分の勉強してるんだけど……

それに、あんたは授業マジメに聞いてるでしょ。私に聞く必要あるの?」

 

 

やっぱり416ちゃんは色んな人の事ちゃんと見てるのよね〜。

 

授業を起きていられるかは気力依存だが、理解できるかは頭脳なんだよなぁ〜!

全然分かりません!オナシャス!!

 

 

「実は、ノートはちゃんと取ってるんだけど意味があんまり分からないんだ。委員長が僕のこと苦手なのも知ってるんだけど、今頼れるのは委員長しか居なくて……」

 

 

何がお前しかいないじゃ!お前にはM4ちゃんがいるやろがい!!コミュ力も魅力のうちなので、このホモくんは人のことを誑かすのが上手いです。

 

 

「私しか……そっ、そうね!私も自分の勉強があるから教えることはそんなに出来ないけど、一緒に勉強するくらいならいいわよ!」

 

 

はい勝ち〜(鼻ほじ)

416ちゃんは一緒に勉強と言いつつ、主人公のペンが止まる度にアドバイスをしてくれます。聖母かな?これをテストまで毎日繰り返します。

 

 

 

テストの当日、最後の復習に励んでいた。

隣の席のM4と問題を出し合い、知識を確認する。

立板に水をかけるがごとく……とは言い過ぎだが、つっかえながらもなんとか答えることが出来た。勉強の成果は確実に出ているようだ。

 

ヨシ!!

このテキストが出る時点で、テストなんかには絶対に負けません。

 

 

そんな時、416が此方へと近づいてくる。

 

「勉強中に悪いわね、M4A1?ちょっとこいつ借りるわよ。」

 

416の方へ振り返る。

 

「ね。誉。ひとつ言いたいことがあるんだけど。」

なんだろうか?

「私があれだけ教えたんだから、赤点取ったら許さないわ!!」

 

なんとも彼女らしい激励だ。素直に感謝を示す。

 

「ふん。……ま、ノートのまとめ方は良かったわよ。」

 

彼女が褒めるなんて珍しいな。これは頑張らないと。

去っていく彼女に、【416さん】もテスト頑張ってね。と声をかけた。

 

手をヒラヒラと振り返す姿を見るに、その背中に言葉は届いたようだ。

 

 

M4に詫びを入れ、再び問題を出し合う。

が、M4の調子は悪そうだ。どうしたんだろうか……

 

 

どうしたんだろうかじゃねー!!ホモくんは頭脳が低いため、人の心を理論で察するのは苦手です。つまり鈍感系主人公です。

その割には魅力=コミュ力が高いため、名前呼びをサラッとします。

そのための清楚系ビッチ小悪魔チャート!!

 

 

こんなものでは終わりません。特殊√に行くためには、M4ちゃんにはもっと曇って貰う必要があるんですね。(暗黒微笑)

 

 

同じような日々を夏休みまで過ごすので、倍速!!

期末試験前にはまた416ちゃんとシコシコ勉強に励みましょう。

 

(勉強の成果)ドバーッと、出たぜ。

 

 

ということで夏休みです。

今回は416ちゃんに寄生して得た偽りの成績があるため、夏休み補習は回避出来ました。

 

 

なので、M4ちゃんの予定を聞き出して、週2〜3回の頻度になるように、遊びの予定をガン積みします。

この際、好感度を稼ぎやすい河川敷の花火イベントや神社の祭りイベント、そして何より8月にある季節外れの七夕イベントは絶対に入れるようにしてください。

 

和服ばっか?いいだろお前成人の日だぞ

(成人の日に和服を着るのは当たり前)

M4ちゃんは育ちがいい箱入り娘なので、祭り系イベントには必ず和服で来ます。

 

 

補習や部活√なら学生服で祭りデートが出来るから、君の目で確かめてくれ!!(ファミ通)

 

 

 

空いている日全てにぶち込むと、常識人なこのゲームのAIがドンドンビキッ❤ビキッ❤してしまうため、やめましょう(無敗)

 

そしてその後、2週間に1回のペースで416ちゃんの予定をつめ、残った夏休みの日全てにモブとの予定を全部詰めします。

しかし、あまり詰めすぎるとホモくんが「これ以上予定を入れるのは辞めよう……」などと言い出してしまいます。

なので、音を上げるまで予定を詰めます。

 

入れられる予定の数も気力に依存するため、高気力ホモくんはかなりの数を詰められるんですね。

気力も育成しきるチャートなら毎日友達と遊ぶぼくのなつやすみが出来ますが、非効率なのでやりません。

 

また、416ちゃんは一定期間関わり続けないと好感度が上がらないので、こまめにケアする必要があります。

 

そして夏休みイベントは、倍速!!

 

可愛らしいM4ちゃん和服差分CGや、涼しげお嬢様ファッションな416ちゃんとのアイス食べさせ合いっこ間接キッスは勿論スキップだ。悲しいけど、これってRTAなのよね……(ショッギョムッジョ)

 

 

 

余った日にちを何に使うかと言うと、人体実験です。対象はホモくん。

 

これをする為に、I.O.P研究所壁抜け走法というみんながご存知のあれを使います。

知らない人へ説明しますと、本来は手順を踏まないと入れないI.O.P研究所へ壁抜けをして強引に入り込む裏技です。

 

 

I.O.P研究所は、本来は終盤(3年二学期)に解禁される施設の為、1日消費で任意のステータス1あげると言う無法がまかり通っています。

 

ステータスが上がるかは確率で、高いステータスほど上がる確率は低いのですが、3年二学期が前提のため、今程度のステータスなら確実に上げることが出来ます。

 

あげるのは勿論、魅力です。

 

この方法なら入場料を踏み倒すことも出来るため、この施設が解禁されたあとでも使う人がいっぱい居ます。このゲームなら鉄板の方法ですね。

 

ドラクエの錬金釜稼ぎとか、マイクラのアイテム増殖バグみたいなものです。

 

やり方としては、座るのアクションをさせてからメニュー開くだけ!

これで少しだけ動きます。

この動きはあらゆる判定を無視できるため、I.O.P研究所に近づき、上記の方法を行うだけで壁抜けできます。

 

「こいつが今度の実験体か?」

俺が、俺たちが、レイブンだ!!

 

 

 

はい。それじゃあ二学期も、張り切っていきましょー!

 

一学期と同じ手順なので、加速!!体育祭?学園祭?ロスなので当然スキップします。

M4ちゃんの必要な好感度はもう足りてるはずなので。

 

な ん で と う そ く に も ど す ひ つ よ う が あ る ん で す か ?

 

学園祭を楽しみ、片付けに勤しむあなたの元へ、M4A1がやってきた。

「あ、あの…椛、くん…」

 

「どうしたの?」

 

「じ、実は、明日、から…海外へ留学に…行くことになりまして……」

 

「へえ!凄いじゃん!いつまで行ってくるの?」

 

「来年の、春までです。」

 

「そっか。……寂しくなるな。」

 

「え…………そう思って、くれるんですか?」

 

「もちろん!だって、友達でしょ?僕たち」

 

と、とも……だち?この距離間で?いい加減にしてくれよ……(絶望)

 

「あの、それで……聞いて欲しいことがあるんです。」

 

 

そう言って、彼女は何かを決意するように、オリーブの目を一旦、閉じた。

そして。

 

 

「あなたのことが好きです。付き合って、ください……!!」

 

 

 

そ、そうだったのか……!!その気持ちはもちろん嬉しいが、自分は彼女のことが……

 

・好きだ

・好きじゃない

 

こんなん聞くまでもないですよね。そうだったのかじゃねえだろこいつっ!こいつっ!

ここでの押し間違いはやめろォ!やめろ!!(2敗)

 

「ごめんね……」

 

「あ、で、ですよね……」

 

「君に、先に言わせちゃって……

僕も、M4A1のことが、好きです。」

 

「え、そ、それって!」

 

泣きそうな彼女を、強く抱擁する。

言い方が悪く勘違いさせてしまったようだが、僕も、彼女が好きなのだ。

この思いが伝わるよう、強く、強く抱きしめる。

暖かい。嬉しい。

彼女も、僕のことをそう思ってくれたら、いや、そう思ってくれるように力を込めた。

 

「い、いたい……です。」

 

「ごめん!つい、嬉しくなっちゃって。」

 

「私も、嬉しい、です……。あっちに行っても、出来るだけ連絡しますから……」

 

もう一度抱擁を交わして、僕らは別れた。

 

ああ^〜いいCGなんじゃ^ 〜

はい、タイマーストップ!

記録は……と、言えれば良かったのですが、御生憎様!

これは清楚系ビッチ小悪魔チャート。本番はここからです。

 

これからのホモくんには、女の子相手に好感度を稼いで稼いで稼ぎまくって貰います。(ノンケのクズ)

 

今回はここまでです。ご視聴、ありがとうございました。

 




よりにもよって本編が進まない別視点話の前に、記念の話を投下して本当にすまない……
けど、本編のストックは1日1話投稿だからこれがあってもなくても投下速度は変わらないんだ。本当にすまない……


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清楚系ビッチ小悪魔チャートM4‪√‬特殊エンドRTA後編

かいてて おかおが まっかになっちゃった(幼稚園児投稿者)


ここからホモくんには、色々な女の子相手に好感度を稼いで稼いで稼ぎまくって貰います。

 

なんでかって?それがより良い未来のためだからです。

 

具体的には、恋人になれる好感度までのキャラを量産する勢いで稼ぎます。

 

 

この時に狙うのは、M4ちゃんとなんらかの相関を持つキャラです。

例えば、M4ちゃんがめちゃくちゃ嫌いな416ちゃんとか、姉妹であるAR小隊の子達ですね。

 

 

ですが、それだけではありません。

例えモブキャラであろうと、学校生活を送っているうちにM4ちゃんの交友は少しずつですが広がっていきます。

 

これがIDWとか9ちゃんみたいなコミュ強だったらめちゃくちゃ広い相関図を描くのですが、M4ちゃんは内向的なのでそんなこともありません。

というわけで、チャチャッとメニューを開いて、M4の欄から周りの交友関係をチェック!

 

 

今メモしてるんで一旦止めますね。

ここ短縮ポイントです。

 

 

さて、まずはスターちゃん(コルトAR-15)を落としにいきます。

理由?彼女を落とすのは時間がかかるからです。

 

M16は姉妹の恋人には積極的に関わってこよう(友情的な意味で)としますし、SOPちゃんはこっちから仲良くしに行けば仲良くなれます。

 

 

ですが、スターちゃんは姉妹の恋人だという点を変に意識してしまい、√分岐は全然狙っていないのにも関わらずチラチラ見てただろ……など因縁をつけ、仲良くするのに時間がかかってしまいます。

 

また、時間を掛けすぎるとスターちゃん√にもなりかねず、チャートが崩壊してしまうため、スターちゃんの相手が1番このチャートで難所になります。

 

 

というわけで、気合いを入れて、イクゾー!!

 

 

スターちゃんにアプローチをするため、都市に向かいます。

スターちゃんは原作でCMのモデルをしていたように、このゲームでも読モをしているナウなヤングにバカウケ美少女です。

 

実際可愛いからね、仕方ないね。

 

ま、このスーパー無敵ホモくんの魅力の方が上なんですが。(王者の風格)

 

 

というわけで、ここら辺で1番栄えている街までやって来ました。

 

ホモくんは、これからあてのない旅路に旅立って貰いましょう。

 

 

1日目……疲れた。今日はもう帰ろう。

うーん、まあ運と魅力依存だからね。仕方ないね。

2日目……疲れた。今日はもう帰ろう。

ま、仕方ないね。ボンバイエ

3日目……疲れた。今日はもう帰ろう。

あああ〜?

・・・6日目……疲れた。今日はもう帰ろう。

あああああああもうやだああああああ!!!!

ここまでのクズ運もなかなか無いんですけどねえ!いつもは2日目、遅くても3日じゃないの……

まあ、本走で破壊神に不意を打たれた神よりはマシか(ラグナロク)

 

 

7日目

……都市をブラブラ歩いていると、なんと、モデルにスカウトされた!

・受ける

・受けない

 

ヨシ!!手こずらせやがって……

はい。スターちゃんと仲良くなる簡単な方法ですが。

それは……俺自身がモデルになることだ。

そういうことです。

 

同じ職場なら話くらいするよな〜。するする。

はい、ということで……一緒に働いて、アドバイス貰って、お礼として食べに行って、水着姿でドキッとさせて(世界観的にホモくんの方がドキッとさせる方)、撮影後に海でキャッキャウフフしながらスター先輩!と呼んであげればノックアウト。

はい勝ち〜。

 

最強の敵はもう倒したので、あとは消化試合です。

 

 

SOPちゃんと同じ部活に入って、試合して、真剣勝負→おもしれー男(ナイスゲーム的な意味で)認定されて、一緒に部活用品を買いに行って、動物園の触れ合いコーナーで遊んだ後、SOPちゃんのほっぺに着いた牧場のアイスクリームを指で取ってから美味しくいただき、フィニッシュ!!

 

 

じゃあ最後はM16姉さんを落としましょうね〜。

M4のことを知りたいって言えば会話の切っ掛けになるのでそこからM4トークをしましょう。

 

帰ってくるM4のためのプレゼントを一緒に買いに行きます。

ついでにM16へのプレゼントもこっそり買って、イルミネーションを見ながらプレゼント!!

 

はい俺の勝ち〜。どうして負けたのか、明日までに考えといてくださいよ。

 

 

前から仲良くしていたため、416ちゃんは一緒に遊んだりまた勉強を教えてもらったりすれば大丈夫です。

 

 

そうして原作キャラを落としたら、数少ないM4ちゃんの友達(モブ)も、M4ちゃんの様子を教え合うって名目で接点を持てば、好感度が原作キャラより緩いモブのことなので、即落ち二コマです。

 

実際、ここまで魅力を磨いていれば半日で落とすことが可能です。お試しあれ。

 

日にちが少し余るので、落とした人数が15人を越えないようにモブを落とします。

それでも余るので、落ちない程度にモブにちょっかいを出します。この人数は何人でも大丈夫です。稼げれば稼げるだけ安定します。

どうせ2年が始まるまでは加速要素はないので、安定を取りましょう。

 

 

 

 

春休みが終わり、始業式の日。

また、いつも席替えの前に見る夢を見た。

 

どうも〜神です。どうせまた上連打なんでしょ?知ってるよ?

 

同じキーを一定期間(1年)以上入力すると、神様は学習して入力の提案をしてくれます。

が、断腸の思いでここは『いいえ』を選択!

スキップ上下下上下スキップ!!

 

この期間が3ヶ月とかなら今回のRTAでも活用出来たのに……

 

 

 

さて、M4ちゃんと再開です。

M4ちゃんは始業式の日、最速のムーブ(朝4時起き)しても、校門の前で待っています。

なんて献身的なんだぁ(すっとぼけ)

 

学校にも関わらず、お互い幸せそうな顔で泣きながら思わず抱きしめちゃった系CGいいぞ〜、コレ!

今からこの幸せそうな女の子の顔が悲しみに染まるんやなって。楽しみ〜(サイコパス)

 

 

そして、ドッキドッキで、ワックワック(MNKM)のクラス発表!!

実はクラス30人のうち、15人は好感度が高いキャラからランダム。残り14人は完全ランダムです。

 

この1年で好感度を沢山稼いだキャラは15人に満たないため、AR小隊+416ちゃん+M4と仲のいいモブを、同クラにかき集めることができるんですね。

 

なんか見覚えがあるやつばっかり〜

 

 

(……友達とは、みんな同じクラスになれたようだ。あまり交友が広い方ではないといえ、運が良い。

 

何よりも、彼女であるM4が居るのが1番嬉しいことなのだが。

隣にいる彼女の方へ目を向けると、その視線に気づいたのか微笑みを送ってくれた。可愛い。

その左手には、M16と選んだプレゼントの時計が光っている。)

 

わかる。可愛い。だが、お前の幸せは今日までだ!!

 

(席順を見ると、僕の席はまたM4の隣……ではなかった。)

 

調整、ヨシ!!

 

(去年はずっと隣だったが、あれは運が良かったのだろう。同じクラスなだけ運が良かったと思うしかない。)

 

違うクラスなら良かったのにな〜!同じクラスなのが裏目に出るんじゃぁい!

 

(今回の席は、中央の窓よりといったところか。

前後左右の席は、全て空いている。

おや、どうやら前の席にはスター先輩が着くようだ。)

 

「あ、スター先輩!どうも!」

「学校でその呼び方はやめて!」

 

(怒られてしまった。顔が赤い。かなり怒ってるのだろうか……。)

 

地獄の釜が開かれた。このルートの醍醐味はここからだァ(恍惚)。

主人公の頭脳が高いと何かを察してしまったり、恋人へ細かく気を使うことがあり、チャートが崩壊してしまいます。

だからホモくんは頭脳1である必要があるんですね。

 

 

と、右の席にはM16が着いた。

「おいおい、見た顔ばっかが揃ってるじゃないか!新学年なのに新しさがないな!」

 

肩を叩かれる。

 

「はは……おはよう、M16。

そういえば、M4へのプレゼント喜んでくれたよ。一緒に買いに行ってくれてありがとう。」

 

恋人に聞こえる距離で恋人へのプレゼントを恋人の姉妹と買いに行ったことを公言する人間のクズの鑑。

ホモくんは悪い子じゃないの!ただ、何も考えてないだけで……(頭脳1)

 

 

後ろの席に誰か着いたようだ。

確認しようと振り返ったら、ほっぺに指が刺さった。地味に痛い。

「そ、そっふもっど??」

「えっへへ〜、久しぶりだね。椛!春休みは遊べなかった分、部活ではいっぱい相手をして貰うからね〜!!」

 

 

はー、痛いですよこれは痛い。このイチャイチャは灰色の青春を過ごしたうp主にはとても痛かったぞぉおおお!!(フリーザ様)

が、近くで恋人と姉妹がこんなんしてるのを見せつけられてしまったM4ちゃんほどではないでしょう。

 

私のみならずM4ちゃんまで傷つけるなんて、

絶対許さねえ、ドンサウザンド!!

 

さて、最後の左の席には……はい来たー!!

 

 

「げっ、何よ。この地獄みたいな席は……」

 

嫌々やってきたのは416ちゃん。

 

そう、今日の席替えコマンドは、好感度の高いキャラがインペリアル・クロスを形成してくれるものです。

真ん中には私が立つ!!

 

そして八方には、それには及ばないが好感度の高いキャラが置かれます。

 

 

 

「げっ、とはなんだ。げっ、とは。そんなに私の近くは嫌か〜?」

 

「当たり前じゃない、M16……

 

前の席が貴方なら多少はまし、か。(ボソッ)

 

そういえば、前に行ったクレープ屋だけど、新しい味を期間限定で出したらしいわよ。今度の週末に行かない?」

 

 

火に油を注ぐ416。このやり取りが全部恋人に聞こえる距離で行われてるってマジ?

416は好感度的に狙ってやってるかもですが、ホモくんはマジで分かっていません(頭脳1)

 

 

八方には特に好感度を上げたモブたち、好感度MAXが複数いたら落とした順に配置されます。つまり、M4ちゃんのお友達のモブですね。

 

 

……さて、この配置。実はからくりがあって、友人は好感度で、恋人には愛情度で仲良しかどうか判定しています。

 

M4ちゃんとは恋人ではあるものの、ずっと遠くにいたために愛情度は恋人の初期値である50です。

しかし、周りにいる子達は好感度がMAXの100!!

つまり、あのコマンドを入力することでM4ちゃんから遠ざかりつつ修羅場の火種を引き寄せることが出来るんですよね。

 

 

 

(HRが終わった……今日は誰と帰ろうか?)

 

ここはもちろん恋人のM4ちゃん!

 

ではなく、みんなで帰るを選択します。メンバーはインペリアルクロス+M4ちゃんです。

 

帰り道の会話では、出来るだけM4ちゃんから遠ざかるような会話を選びましょう。

今回は416と積極的に話す感じですね。

 

 

 

はい、家に帰ってきました。

家でのコマンドは・部屋でゴロゴロする。です。

部屋でゴロゴロする。

は、本来気力回復のコマンドなのですが、一日の間で決まった時にしか受け取れない連絡を受け取れるようになる効果(仕様かバグかは不明)があることが、有識者により突き止められています。

 

 

……部屋でゴロゴロしていると、M4から電話が掛かってきた。

「もしもし?どうしたの?」

「ねえ、今から会えませんか?」

「んー、何処で?」

「研究所跡地でもいいですか?」

「研究所跡地か。」

いくら彼女からの呼び出しとはいえ、どこか様子がおかしい気がする。

どうする……?

 

・向かう

・向かわない

 

〇を連打、連打、連打!!最速を狙います。

 

研究所跡地とは、スキップした夏休みに発生するM4のイベントのひとつです。

ここで彼女の出生の秘密と、彼女の夢について語られる感動シーンが繰り広げられる彼女にとって思い出の土地なのですが……

RTAなのでスキップしました。もし再走の投稿をする時があれば、右枠で流そうと思います。

 

(彼女のことが心配だ。今すぐ向かおう!)

 

研究所の跡地に着いた。M4は居ない……

ピロリン!連絡が入った。

『研究所の中に来て』

中で待っているのだろうか。春とはいえ、まだ肌寒い季節だ。外よりは暖かいだろう中で待っていてもおかしくはない。

 

 

いや、おかしいだろ。頭脳1のテキスト、面白くて好きなんですよね。

さ〜て、そろそろクライマックスなので、私はもう黙りますね。

 

 

何処と無く、不気味な雰囲気のする研究所跡地を見上げる。

暗い夜の帳に覆われ、入口はまるでぽっかりと開いた化け物の口のようだ。

だが、行こう。この中で、彼女は1人待っているのだろうから。

 

 

 

カツン…カツン…歩く度に足音がコンクリートに反響する。

少し肌寒い廊下を進み、かつて彼女と話し合った場所。すなわち、幼い頃彼女が過ごしていたという部屋に入る。

 

 

扉を押すと、部屋の中には1人の女性。

あの長く、美しい黒髪を見間違えるはずもない。

僕の彼女である【M4A1】だ。

 

ボロボロの天井から投げかけられた月明かりに照らされる彼女は、こんなにも美しい。

 

 

 

「M4。どうしたの?こんな時間に呼び出して。」

 

「ねえ、私の事、好きですか?」

 

「当たり前じゃないか。君ことが、その、好きだから、付き合ってるんだし……」

 

 

「そうですか。なら、私が居ない間は楽しかったですか?」

 

「ん〜……寂しかったよ。でも、M4と連絡は出来ていたし、友達も出来てたから。

あんまり言いたくはないけど、楽しかった、かな。」

 

 

 

 

 

「そうですか……。私は、ずっと苦しかった、です。

最初の頃は、寂しかったですけど…あなたと連絡ができて、声が聞けて、それだけでよかった。

でも、次第に、友達も、姉妹も、みんなみんなみんなみんな!あなたの話をするようになって!!あなたの彼女は私だけなのに!私が、あなたの、恋人なのに!!」

 

「落ち着いて、M4。僕が君以外を思ったことは1度もないよ。」

 

「知ってるんですよ、私。コルトAR-15と海で遊んだことも、M16とイルミネーションを見にいったことも、SOPMODと動物園に行ったことも!!!全部!全部!!知ってるんです!!!

今日もそうです!!みんなと話してばかりで、私の方を見てもくれなくて、ずっと416と話してて……

ねえ、なんで、こんなに酷いことをするんですか!?なんで私じゃダメなんですか!!」

 

 

泣きながらこちらへ怒りをぶつける彼女は、それでも女神のように美しかった。

 

「ダメなんかじゃないよ。君が、君だから……いや、君だけがいいんだ。M4A1。心配させて、ごめんね。」

 

最初の時のように、彼女を強く抱きしめる。

 

「ごめんね。僕はバカだからさ、君の気持ちが分かってなかったんだ。不安にさせてごめんね。心配させてごめんね。そこまで言わせて、本当にごめんね。」

 

抱きしめる。強く。強く。

落ち着かせるように、彼女の背中を擦りながら、それでもなお強く、抱きしめる。

 

「僕はバカだから、君の不安をどうやったら取り除けるか分からないんだ。

でも、ずっと君の隣にいたいから、居させて欲しいから。どうしたら不安にならないか、教えてもらえないかな?」

 

「な、なんで……そんな優しい、こと、言うんですか…私は、あなたが人と仲良くしてるだけで、疑って、妬んで、怒って……なのに、なんで、そんな……」

 

「君のことが好きだ。M4A1。だから、君の隣に居たいんだ。

理由なんて、それだけだよ。」

 

「私……なんかで、いいん…ですか?」

 

「君じゃなきゃダメなんだ。M4A1。」

 

「また、同じような…こと、すると…思いますよ……」

 

「そこも含めての君だから、大丈夫だよ。」

 

「本当に、私で、いいんですか?」

 

「何度でも言うよ。僕は君じゃなきゃダメなんだ。M4A1。愛してるよ。ずっと傍にいて欲しい。」

 

「は、は…いっ!

……こ、これで…捨てるなんて、したら、絶対嫌、です…からね。」

 

「そんなことはしないよ。そうだ!こうしたら、その不安は無くなるんじゃないかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗転

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日のよく当たる教会。そこでは、今日も1組の夫婦が愛を誓い、祝福を受けようとしていた。

 

誉 椛さん。あなたは今、M4A1さんを妻とし、神の導きによって夫婦になろうとしています。

汝、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも

これを愛し、敬い、慰め遣え、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?

 

はい、誓います。

 

 

しかし、一風変わった点が1つ。それは、この結婚式に並んでいる参列者の服装である。礼服やスーツで参加するのが当然のマナーなのだが、1番多く見られるのは【学生服】なのだ。

 

 

しかし、神父は気にした様子もなく誓いの言葉を続けていく。

 

 

M4A1さん。あなたは今、誉 椛さんを夫とし、神の導きによって夫婦になろうとしています。

汝、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも

これを愛し、敬い、慰め遣え、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?

 

はい、誓います。

 

 

それでは、誓いの接吻を。

 

新郎が新婦に近づいていき、顔にかかった布地を捲る。

「これで、不安じゃなくなるかな?」

「す、すみません…まだ、ちょっと、怖くて……」

「そっか。じゃあ、この誓いが本当だってこと、これからずっと証明しないとね。」

 

2人の距離がゼロになった瞬間、2人を祝福するようにバラの花びらと拍手の雨が降り注いだ……

 

 

 

 

ウェディングドレスで満面の笑みのM4ちゃんのCGカワイイヤッター!!

 

 

 

はい、ここでタイマーストップ!!

記録は……多分だいたい1万5000文字でした。正確に測ってないので、参考記録とさせていただきますぅ……

が、私以外に走者が居ないため、実質私が世界一位です(手のひら返し)

 

これがM4ちゃん√学生結婚エンド、清楚系ビッチ小悪魔チャートです。

 

 

本来このゲームで結婚エンドを迎えるには、AIがやたらと常識的なので卒業を迎えたり、あるいは就職まで見据えなくてはならないのです。

 

が、M4ちゃんのAIはそこら辺緩いので、恋人になったあとストレスをかけまくればなし崩しに結婚できます。

 

これがM4ちゃんの特殊エンドのひとつ、学生結婚エンドですね。

 

 

 

完走した感想ですが、やっぱりM4ちゃんは可愛いですね!

はやくMODなM4ちゃんがヒロインのゲーム出ないかなあ……

 

ま、もし出ても走者の財布事情的に走れないんですけどね!(未だに筆者がストーリーを進めていないため。)

 

 

 

清楚系ビッチと化したのは、M4ちゃんにめちゃくちゃなストレスをかけるためです。

よりにもよってM4ちゃんの姉妹だったり、友達だったり、苦手な相手の好感度を稼ぐのは、この√に入るのに必要な好感度を少なく出来るためですね。

普通に考えて、恋人が姉妹や友達や自分の苦手なやつとイチャコラ始めたらおいゴラァ!ってなると思うんですよね。(名推理)

 

 

可哀想なのは抜けないが、可愛い子が泣いてるのは好きです(走者特有の性癖暴露)

 

後書きはここまでにして。ほんじゃ、まったの〜〜う!!

やっ!!(ウルトラマン)

 




RTAを走る(書く)のは初めてでしたが、とても楽しかったです!
また機会があれば、416ヒモ√ST-AR15ヤンデレ√などを走れればなあ。と思います。
ご視聴、ありがとうございました(定型句)

あ、この√の条件は
・M4A1と恋人になる
・他人との好感度を一定以上稼ぐ。M4A1と相関のある人物ならばこのカウントに補正が入る
・M4A1の前で好感度イベントを起こす。又は好感度イベントに由来する会話をする
・M4A1以外に恋人が居ない
の4点です


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配信者【410】の始動
第5話 おはよう(ネット)世界!!グッモーニンワールd……


配信回と言ったら怒られそうな配信回ですが、初の配信回なので初投稿です。

先に言っておきますが、僕はヘリアントスさんが好きです。
繰り返します、僕はヘリアントスさんが大好きです。(原作でもディスられてるからアンチ・ヘイトにはならない……ですよね?)


こちらの世界にやってきて、早2週間。

段々と生活にも慣れ、とうとう欲しかったものを揃えることが出来たのだ(リナさん資金により)。

 

リナさん様々ではあるが、こちらの事情(戸籍なし、記憶なし)を省みて、今月分の労働は免除されたのであった。

 

本当にリナさんには頭が上がらないな……

というわけで、せめて家賃だけは早く収めたいと、収入を得るために動き出すことにしたのだ。

 

 

その方法は俺のことを知っている人ならば言わずとも分かるだろう。

そう、配信である。

 

俺には友人どころか家族や恋人の記憶すらない。けれど、配信者だったことだけは脳の記憶の奥底にこびり付いているような人間なのだ。

 

こちらの世界にも動画配信サービスとそこに広告収入が結びつくシステム、ライブに投げ銭などはあるようで安心した。

 

というわけで、配信者になるべく様々な物を買い漁ったのである。

リナさんには本当に感謝しかないですね……

 

そしてとうとう、パソコン・マイク・カメラといった実況三種の神器のほか、ヘッドホン・顔を明るく見せるためのライト・化粧のコスメなどを揃えることが出来たのだ。

 

 

最後に、トレードマークとして自作した【帽子】を被った。

この紺色のキャップには、白い布地で大きく【410】と書かれている。

 

これが俺の配信者としての名前。

祠堂だからシドー=410というのもあるが、実は、404小隊にあやかっているのである。

 

こんなことを聞かれたら、45姉に「自惚れないで!」とか「虫けらが!」とか言って頂けそうだが、恥ずかしながらそうなのだ。

 

404小隊の404という数字は、ネットのエラーコードに由来している。

昔のサイトを検索とかリンクから開こうとした時に、

404 NOT FOUNDと出たことは無いだろうか?

 

あれがエラーコードであり、404はそのページが見つからなかったことを示しているのだ。

故に、404小隊は見つからない小隊。存在はしていても、見つからない。そんな幽霊のような存在なのである。

 

 

では、410が何か?

410 のエラーコードの意味は、GONE。

 

即ち、そのページは既に存在していないという事を示している。

これは、前の世界にもう存在しない【俺】と、記憶が存在していない俺にピッタリではないだろうか?

 

404は存在しているが見つからないことを示し、410は存在すらしていないことを意味する。

 

ということで、祠堂透悟改め、配信者【410(シドー)】の誕生だ。祝え!!

 

 

 

準備は一通り整った。初配信までまだ1時間ほどあるし、ちょっと休憩するとしよう。根を詰めすぎて良いことはない。

ミヤモトマサシも似たようなことを古事記で言っている(多分)。

 

 

 

 

休憩していると、様々なことに思いを巡らしてしまう。

今が初の配信前ということもあってか、前世へ思いを馳せていた。

 

前の世界の俺がどれくらいの立ち位置の配信者だったのかは分からない。

 

やはり、前世の俺の方が経験が多い分、純粋に上手い配信が出来るのだろう。

 

けれど、この世界はあちらと違う。

 

まず、あちらでのネット上の希少価値は美しい女性だったが、こちらではカッコイイ男性になっているのだ。

 

次にその比率も、男女比の狂った人類種が覇権を握ったこちらの世界では大きく違う。

男女比1:1の人類の間であれだけ女性に囲いが出来ていたのだ。男女比1:4のこちらの世界ならどうなってしまうのか、私にもわからん(無能博士)。

 

最後に、男性のネット配信は人間以外にも需要があるということである。何故なら、こちらの世界には人形という下手な人間よりも感情豊かなアンドロイド達がいるのだ。

 

つまり、今の状況から考えるに、前世よりも再生回数は稼ぎやすいのが現状である。

ならば、前世よりも再生回数を伸ばせるはずである。

 

前よりもいい環境にいたにも関わらず、前世を越えられなければ、俺は【俺】以下になってしまう。

だからこそ、俺は環境に甘えず、俺のできる精一杯を込めて配信をしていかなくてはならない。

 

なんだろうか、俺は有利だから配信をするのではない。

【俺】は配信で食っていけと、それが出来なければ【俺】ではないと、掠れた記憶のどこかで訴えかけてくるのだ。

 

だから俺は配信者となる。

 

それでしか食っていく方法を知らないのが【俺】なのだ。

 

俺は、俺の脳の中にしかいない微かな【俺】のためにも、配信で稼いでみせるのだ。

 

家族を、恋人、友人を、他の全てを忘れてしまっても、自分が配信者であった記憶だけはかろうじて忘れなかったのが、記憶喪失系プレインズウォーカーである【祠堂透悟】なのだ。

 

もしこの世界の男女比が、工学系大学も真っ青な比率だったとしても、俺は何らかの配信者となり食っていこうとしただろう。

それだけ【俺】は配信者という世界が好きだったのだろう。

魅了されていたのだろう。

 

記憶を失ってなお、俺の方向性を決めるくらいには。

 

ま、唯一残った記憶で1番詳しい分野だから、他の分野よりは食っていき易いだろうっていうのは勿論あるだけどね。

 

 

 

 

 

こんな重たい覚悟を抱えたままで初配信へ臨む訳にはいかないな。

気分をリフレッシュするためにも、リナさんから貰った人形達の写真を眺めるか。

 

リナさんから貰った写真ということは、つまるところ任務の対象となる人形達なのである。

 

ここに写っている子達、つまり、外見美少女メンタル美少女と遊ぶだけで戸籍と住居が安泰になるのだ。こんなに美味しい話もない。

前の世界なら美人局を疑うところだ。

 

そこには見覚えのある人形から、見た覚えのない人形まで、色々な人形達が様々な表情・シチュエーションで写りこんでいた。

 

写真をペラペラとめくっていき、ある写真が目に止まった瞬間。再び、思考が停止しそうになった。

さすがに脳が停止に慣れたのか、停止はしなかったが。

 

そこに写っていたのは、「へ、ヘリアントスさん?ナンデ?ヘリアントスサンナンデ?」HRS!!(ヘリアントス・リアリティ・ショック!!)

 

(男女の集いにおいて)半神的存在ともされ、恐れられているヘリアントスサンをみた哀れな一般配信者はしめやかに失禁!!

 

とまではいかなかったものの、その余りある恐怖はSANチェック・或いは恐怖判定を齎した!!

え、人形のメンタルケアって話じゃなかったのか?こちらの世界ではヘリアントスさんは人形なのか?

それとも……男に飢えるあまり職権を……いや、考えないでおこう。それは上の人がやるべき事だ。

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなである意味気分はさっぱり切り替わり、頭と口とメンタルを休めていると、時間はギリギリ。

機材のセットは大丈夫なのか気になってきた。

 

「よし、機材のセットも大丈夫なはず。」

 

機材の最終確認を終える。何度も最終確認を行ってるし、何度目の最終確認かは忘れてしまった。

 

放送開始まであと1分だ。

 

初めてだから、いや、何度やってもこの時間には慣れないという【記憶】がある。兎にも角にも、今にもチキンなこの心臓が爆発しそうだ。

 

けど、やるしかない。これしか生きる方法を知らない。

自分にはそれが出来るだけ知識と、こなしていたという【記憶】くらいしかないのだから。

それ以外の全ては、忘れてしまった。

 

「あ、え、い、う、お…よし、今日の声は悪くないな。」

調子は上場、細工は流々、あとは仕上げを御覧じろってね。

 

さて、パソコンに向き直る。鏡で身支度の最終確認。【帽子】よし、髪型よし、見た目よし!

 

身よりもなく記憶もなく金もない、ナイナイづくしのこんな自分に、これだけの物を与えてくれたリナさんに恩を返すために。手に職をつけるために。

 

 

そして何よりも、【俺】が生きてきた【記憶】が本物だったと証明するために。

 

「さあ、始めようか。 俺 の初配信を。」

 




次回から放送が始まります。

1話の文章をなぞる展開は、小説ならではですが、王道で熱いですよね!!(自画自賛侍)
ハガレンの立てよ三下。がスコスコスコーピオンなんじゃああ^〜!!
堪らねえぜ。

評価してくださった皆さん、ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです!
ですが、嬉しいあまりストックを訳の分からんペースで投稿してしまったため、ストック分は1日1回更新に戻します。この小説に末永くお付き合い頂ければ、幸いです。


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第6話 はじめてのはいしん

とうとう、タイトル回収の配信回までやってきた〜!!
人形ちゃんは5人出てますので、良かったら探してみてください。隠れミッキーくらいの難易度だと思います。


『皆さん初めまして!410(シドー)チャンネルの初配信を見に来てくれて、ありがとうございます!』

 

予めしていた宣伝が効いたのか、配信が始まったばかりにも関わらず30人近くもの閲覧者がいる。

 

 

リィザ:初めまして。

a:初めまして!

b:初めまして〜!

スコp:はっじめまして!

秘密兵器彼女:はじめまして

 

画面の端をコメントが流れていく。

その中に、幾つか目に止まるものがあった。

 

 

n:写真の通りめちゃくちゃカッコイイですね!

M:ナイスイケメン!!

猫丸:バーチャルでもないのにイケメンが動いてるにゃ!

 

 

なんか人形っぽい人が……

いや、今は1視聴者だ。とりあえず置いておこう。

やっぱり人形もこういうの見るんだな。想定内だ。(メガネクイッ)

 

宣伝の時から分かっていたことだが、俺の顔はこちらでは整っている分類に入るようだな。

とはいえ、お世辞の類もあるかもしれない。

実際にはどれくらいに見えるのか、探る必要があるかな。

 

 

『皆さんありがとうございます。

はい、初めましてー!

挨拶をすると、気持ちがいい!ということでね。

しっかり返させていただきますよ。』

 

『これから、この410チャンネルではですね。

ゲームの実況はもちろんの事、様々な面白いことを提供していこうと思います!

 

何かと暗いこの時代ですし、僕の放送で少しの時間でも明るく過ごせる人が増やせたらいいな。というのが目標ですね〜。』

 

『なんて、ちょっと大袈裟なこと言っちゃったかな?

とりあえず、そういう方針で頑張っていくつもりです!』

 

意識的に、ゆっくりと話す。緊張から無意識に早く話してしまうため、それでちょうど良くなるのだ。

 

 

b:頑張ってください!応援します〜!

M:性格めちゃくちゃ良さそうで草

k:こんな男が実在すんの?結婚しない?

モロカク:良い目標だと思いますよ。頑張ってください。

秘密兵器彼女:応援してます

 

概ね、好意的なコメントだな。

ネットの民度が前世よりも高いのか、男女比と顔が影響してるのか。

はてさて、どちらかな?ここら辺でさっくり聞いてみるか。

 

 

『応援、ありがとうございます。頑張りますね!

結婚はお互いのことを知らないので遠慮させていただきます。

申し訳ないですが。

 

あと、先ほどイケメンと言ってくださって嬉しいです!初めて言われましたよ。感動しちゃいました!』

 

 

間を取る。

 

 

b:そうなんですか?めちゃくちゃカッコイイですよ!!

リィザ:素敵だと思いますよ。

猫丸:絶対言われ慣れてるにゃ〜!

k:すごいかっこいいから、結婚して❤

スコp:みんなも言ってるけど、本当に言われたことないの〜?

モロカク:顔だけじゃなくて、声もカッコイイですよ!

今度なにか歌ってみるのはいかがでしょうか?

 

 

画面越しにかけられた幾つもの声が、俺イケメン説が本当の事だと教えてくれた。

ヨシ!!(指差し確認)

 

 

『ははは、そんなに言われると照れてしまいますね。

あ、モロカクさん、ありがとうございます。

声を褒められたのも初めてですね!

歌う企画ですか〜。

じゃあ今度、歌ってみたとかあげちゃおうかな。

もし上げたらみんな聞いてくれる?』

 

 

猫丸:もちろんだにゃ!

秘密兵器彼女:もちろん。私は聞くよ。

モロカク:絶対に聞きます!!

M:このイケメンが歌うってま?

a:聞きたいです!

n:売り物以外で男性の歌とか聞いたことないしね〜

s:ほんそれ

スコp:だよね!男性の歌ってプロのしか聞いたことないよね!

 

なるほどね。男性とカラオケに行ったことのある人が少ないから、必然的にプロ以外の歌を聞いたことがある女性は少ないのか。

しかし、幾ら男性が少なくても、プロは存在するんだ。

 

それもそうか。こっちの人類も創作とか芸術は好きみたいだし、自己表現したがる男性はむしろバックアップされやすいのかもな。

 

 

ふむ、それにしても、だ。

観光地ではタクシーを使え。みたいな?

現地の人しか分からない感覚は、話さないと分からない。

配信を始めて、今世の感覚という思わぬ副産物を得た。

 

 

『皆さん、ありがとうございます!

じゃあ、今度歌ってみた上げてみますね。

……あの、恥ずかしながら流行には疎くて、今どんな歌が流行ってるか知らないんですよ。

折角ですし、発案者のモロカクさんに何を歌うのか決めていただきたいなと。』

 

 

モロカク:え、私でいいんですか?

 

 

『ええ、歌ってみたはモロカクさんの発案なので。

何か聞いてみたい曲とかありますか?』

 

 

モロカク:えっと、じゃあ

 

 

『はいはい。』

 

 

モロカク:ARC ENEMYさんの、イェスタデイって曲をお願いしたいんですけど。

 

 

『ARC ENEMYさんのイェスタデイ、ですか。

聞いたことがないので……今聞いてみます!』

 

 

秘密兵器彼女:あっ……

猫丸:私も聞いたことないにゃ

スコp:えー、えー……私が思ってるのと一緒なら、歌うの難しい曲だと思うよ〜。

リィザ:初めて聞きました。

M:何かを察してるヤツいて草

 

 

『あれ、あんまり知られてない曲なんでしょうか?

とはいえ、真っ先に名前が出るのは知られざる名曲みたいな感じで、それはそれでカッコイイですねぇ!』

 

 

モロカク:あ、ありがとうございます。私って、あんまり音楽の趣味が一般的ではないようで……私はいい曲だと思うんですけどね……

 

 

『そうなんですか?曲の趣味なんて人それぞれじゃないですか。

自分が好きならそれがいい曲なんですよ。

もちろん、人にも聞いて貰えたら嬉しいですけど、理解されないからダメって訳じゃないと思いますよ。』

 

 

モロカク:ありがとう、ございます。

M:めちゃくちゃカッコイイ語り始めて草

スコp:いいこと言うね!

猫丸:人生相談窓口はこちらかにゃ〜?

k:初配信にもかかわらず、人の悩みを真剣に聞くとか心までイケメンじゃん。結婚しない?(提案)

 

『自分の好き嫌いは誰にも否定できませんよ。

っと、見つかりましたね。

他国語に結構自信ありなので、もし知ってる言語だったら歌いますね〜』

 

 

よし、再生っと。

 

 

度肝をぶち抜かれた。というか、俺の度肝をぶち殺された。

 

 

不意打ち。そう、死角からの不意打ちと表現するのが正しいだろう。

有り得ないものを日常の中で見てしまったら、こんな感情を味わうのだろうか?

 

 

 

 

ふと後ろを振り返ったら、すぐ後ろに日本人形が立っていたり、シャワーを終えてふと目を開けたら、ニヤニヤと笑う男が顔を覗き込んできていたり。

 

 

 

 

 

痛みというのは、来ると分かっていれば我慢出来る。

堪えることができる。

しかし、いや、しかし!

配信中という、気が抜けているとは言えないが、周囲を警戒していなかった状態での【これ】は、あまりにも無防備だった俺の心へ直撃した。

 

それ即ち、

 

 

 

 

 

 

デスメタルである。

それも、耳元のヘッドホンからの大音量で。

 

 

 

 

『おゔっ!?』

 

びっくりした、めちゃくちゃびっくりした。

普段じゃ有り得ないような太い声が出た。

具体的には椅子ごとひっくり返った。

クッションがあったため怪我はしなかったものの、コントのようにひっくり返ってしまった。

初配信でこれはまずい。

やべぇ、めちゃくちゃ起き上がりたくない。

コメントが凄いことになってそうだ。

 

 

けど……もしもモロカクさんが【あの人形】だったとしたら、気にしてしまいそうだ。

 

確か、あの人形は趣味の音楽がみんなからのウケはあまり良くないことを知ってるはず。

もしも、それを知っててなお俺に教えてくれてたんだとしたら、今の心境は、察するにあまりある!

 

人を笑わせるためのエンターテイメントなんだから、落ち込ませてしまったら意味が無いんだ。

さっさと起き上がろう。

 

 

『い、いや〜。ははは。音量の設定ミスしててびっくりしちゃいました。皆さん、驚かせてすみません。』

 

コメントは、今までにない速度で流れていっている。

 

 

a:コントみたいな転げ方してて草

g:人間ってあんな転がり方するもんなんですねえ

d:実は仕込みだったりしない?

k:結婚してくれたら許すよ。

スコp:大丈夫だった?怪我してない?

r:転ぶ時のへそチラ……いい……

猫丸:ひっくり返った時頭うってない?

秘密兵器彼女:転ぶ時の声ちょっと色っぽかった。

M:はえ^〜、コメントから人間性の差が見える見える

モロカク:だ、だいじょうbでしたかわ

 

 

案の定というかなんというか、気にしてしまったらしい。

人形なのにキーボードも怪しくなってるぞ。そんな気にしないでいいんだけど、どうしようか。

 

 

リカバーが・走者の腕の・見せ所。(我らがbiim神に捧ぐ575)

 

 

『皆さん、心配してくれてありがとうございます。モロカクさんも、大丈夫ですよー。

いい曲を教えてくれて、ありがとうございます!この曲の歌ってみたを今度投稿しますね!』

 

 

モロカク:え、大丈夫なんですか?あの曲のせいで今転んでしまったんじゃ……

 

 

『いやいや、僕が音量調節ミスっちゃっただけなので!心配させてごめんなさいね〜』

 

そう笑って、手を合わせる。

 

『モロカクさんがあんまり気にしちゃうと、音量ミスしてすっ転んだ自分の間抜けさが際立っちゃうんで……気にしないでください〜〜!お願いします!!』

 

 

モロカク:は、はい。歌ってみた、楽しみにしてますね。

 

 

まあ、これで大丈夫かな。

 

 

『はい、ありがとうございます!

じゃあ、ちょっとしたハプニングもありましたがそろそろ時間的に締めさせて頂こうと思います。』

 

『これからも、410チャンネルをよろしくお願いします!それでは!!』

 

そう言って放送を終了した俺は、哀れなことに、こちらに来てから最大のミスを犯してしまっていたことに気がつかなかったのだ。

 

もし転ばなかったら、あるいは、モロカクさんに気を取られずにコメント欄をちゃんと見ていれば。

そんなもしもを考えても意味は無い。

事実、俺はあのコメントを見逃してしまったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

M:転んだ瞬間に乳首見えたったwww思わず保存しちゃったわww

 

 

 




このあべこべ世界で乳首を保存されてしまった弊害が、主人公を襲う!
頑張って、主人公!ここを耐え切れば、有名配信者になれるんだから〜〜!!
次回、アナザーサイド・お母さんは見た!!
次回もサービスサービスゥ!

(追記:話のTMPを重視して、次回はアナザーサイド・一方その頃に変更します。許してくれ、許してくれ……(かりんちゅ))


これは全く本編に関係ないんですけど、ドルフロの影響でデスメタル聞くようになりました。
ARCHE ENEMYさん(スウェーデンのバンド)のyesterday、聞こう!!


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第7話 メタル大好きガールの驚愕

配信を見に来た人形ちゃんの正体について、2人ご開帳しますわ(告知お嬢様)
なぜこの2人ですかって?愚問ね。私の趣味に決まってるじゃない!
風呂に入りながら聞くデスメタルの味は格別ですわ〜〜〜!!!
堪んねぇ〜〜!!


・とあるおしりのおっきな女の子(人形)サイド

 

はぁ……昨日の出撃は大変でした。まさか、朝までかかってしまうなんて……。

 

朝まで働いた事から、幸い今日の出撃は夜戦だけなのは幸いですけど……。

 

 

寝て起きたら昼近くになってしまいましたが、それでも時間はたっぷりあります。

 

出撃まで何しようかな?

と頭を悩ませ始めたころ、部屋の呼び鈴がなる。

 

 

「はーい、あれ。IDWさん。どうしましたか?」

 

「にゃにゃっ!スオミにちょっとお願いがあるんだにゃ」

 

「そうですか……出撃まで時間はありますし、大丈夫ですよ。何のご用でしょうか?」

 

「そんなに時間を取るつもりは無いにゃ。ヘッドホンをまた借りれないかにゃ?」

 

「ああ、そういう事ですか、いいですよ。」

 

「また借りちゃって申し訳ないにゃ〜。ありがとうにゃ。スオミのヘッドホンが1番ちゃんとしてるのにゃ〜。」

 

 

彼女は時々、私からヘッドホンを借りているのだ。私はその音楽の【趣味】から、ヘッドホンには拘りがあり、遮蔽効果の高く質の良いものを選んでいる。

彼女は次の給料で買う予定らしいのだが、1回分の給料で私の持っているレベルのヘッドホンを買うのは難しいだろう。

 

「そういえば、今日は何に使われるんですか?」

 

部屋に来た人形、IDWさんは多趣味だ。

日向ぼっこや散歩に始まり、映画鑑賞や猫カフェ巡り、また、ゲームセンターや屋内運動施設などにもよく足を運んでいるらしい。

 

よくもまあそんなに時間を作れるものだ。

空き時間を有効に使っているというか、オンオフの切り替えが上手いというか。

私には、そういった柔軟な動きは、多分無理なことだから。

 

 

「ん、今日はちょっと実況でも見ようかと思ってにゃ〜」

 

「じっきょう、ですか?」

 

「そうにゃ!スオミはあんまり、見たことないのかにゃ?」

 

「なんの実況を見るんでしょうか?IDWさんは色々してらっしゃるイメージなので、正直予想できないです。」

 

「にゃにゃ。ゲーム実況だにゃ!」

「げ、げーむ?の実況?」

 

「あ、あ〜。ゲーム実況っていうのはにゃ、ゲームをプレイしながらコメントしてる人を見る動画なんだにゃ。」

 

「はあ……なる、ほど?

……わかりました。ありがとうございます」

 

「絶対分かってないにゃ!そうにゃ、せっかくならスオミも一緒に見るかにゃ?百聞は……。えっと、その、習うより慣れろ!にゃ!!!」

 

「そうですね。時間は大丈夫ですし、一緒に見ましょうか、実況。」

 

 

そこからはIDWさんに教わった通りにタブレットを操作する。

 

最大手の動画サービスのアプリは音楽を聞くために入れていたため、そこからゲーム実況というタブを押せばいいようだ。

 

今までは1度もおした事がなかったそのタブを押すと、

ズラーッと動画のサムネイルが並ぶ。

これが今、全部ゲーム実況なのだという。

 

 

IDWからオススメされた動画を自分の端末で流す。

私は、人が近いのはちょっと苦手だから……お互いの端末で、それぞれに操作をしている。

 

よく見る紅白の三角マークを押すと、動画が始まった。

なるほど、これがゲーム実況か。

 

自分の好きなゲームをプレイしながら、その時の感情をみんなへ話す。

そのプレイや、コメントや、ツッコミや、熱量が、こちらを楽しませようとしてるのが伝わってくる。

 

 

「すごいなあ。」

 

 

私は、好きなことを人に伝えようとするタイプだ。

好きな音楽を、色んな人に伝えようとしてるけど……あんまり聞いて貰えないことも多いし、正直ちょっと辛い。

 

だけど、ネットでそれを広げてみようと思ったことは無かった。

ここに居る人達は、自分の好きを伝えようとしてこれだけの物を作り上げているのだ。

 

 

そのまま、幾つかのゲーム動画をIDWさんと一緒に見ていた。

 

 

すると、突然、

 

「あっ!やばい、忘れてたにゃ!今の時間は……ギリギリだにゃ!

今回は当たりの確率が高いと思うから、見逃せないにゃ〜〜!!」

 

IDWさんが、奇声を発した。

どうしたんだろう?

 

 

「どうかされましたか?」

 

「実は、どうしても見たい生配信が今の時間にやるのを忘れてたんだにゃ!

スオミは気にしないで実況の続きを見てるといいにゃよ〜。よし、セーフだにゃ!」

 

「へー、生配信ですか。それは生放送と同じようなものなんでしょうか?」

 

「そうにゃ。画面の向こうでリアルタイムで配信者が話すのが生放送だにゃ!」

 

「なるほど。……そういえば、先程仰っていた当たりとか確率ってなんのことですか?」

 

「あー…その、にゃ。実は、ネットにならいるかもしれないと思ってにゃ。イケメン生配信者を探してるんだにゃ。」

 

「なるほど、そういう事ですか。あの、見つかる気配はありそうですか?」

 

「今のところはないんだけど、諦めるつもりは無いにゃ!人形に生まれたとしても、イケメンを探し続けるんだにゃー!!」

 

 

それは、難しい話だろう。

私達人形は、前提として人工物でしかない。

 

それに私たちのような労働用の人形は、見た目での効果も考えてやや厳つい作りになっている。

 

そして最後に立ち塞がるのは、社会的な地位の低さだ。

 

 

ボディガードの人形や、モデルの人形のような男性との接触が多かったり、観賞用につくられたりした人形なら、男性のラブロマンスは時折聞くしニュースにもなる。

が、私たちがそうなれる確率は、まず有り得ないと言っていいほどには低い。

 

嘆きたくもなるが、それが現実だ。

その中でも食いつくIDWさんは、やはり私には無いものを持っている人形なんだろう。

 

 

「ええっ!ちょっ、スオミ!!スオミ!!見てにゃ!!」

 

嫌な思索にふけっていた頭が、IDWさんの声によって引き戻される。

 

「どうしましたか?」

「こ、これ、動いてるよにゃ……?喋ってるよにゃ……?」

「え、ええ……?こっ、これはっ!?」

 

 

そこに映っていたのは、見目麗しい男性だった。

男性と言うだけで貴重なこの時代の、イケメン。

それはつまり、同じ重量の金に匹敵、いや上回るだけの存在である。

そんな彼が動いて喋っているのだから、その衝撃たるや、凄まじいものがある。

 

 

処理の止まったメンタルに反して、演算部は過剰な動きを見せた。

IDWへ貸したイヤホンからこぼれる音を、全神経を持って拾い、言語として処理する。

 

『これから…410チャンネルで…で』

 

指はいつの間にか、検索ボックスへ410チャンネルと滑らかな動きで入力を終えていた。

生配信がひとつ引っかかり、開くと

 

動くイケメンが、1人。

 

 

……やばい、やばい、やばい、やばい。思考が一瞬止まっていました。気がついたら、放送を開いてます。

 

しかも、コメントを使えば、お話まで出来てしまうらしいです。なんでしょうかそれは。いったい、どれくらいのお金を払えばいいんでしょうか?

 

 

自分でも訳が分からなくなってしまい、思わずコメント。

配信をしている410さんという方は自分の目標について語っていたので、在り来りかもしれないが、それについてコメントすることにしました。

 

モロカク:良い目標だと思いますよ。頑張ってください。

 

 

他にも、彼を応援するコメントが流れていく。

それもそうだろうな。男性で、見た目が良く、性格も(配信で見た感じしか分からないが)良さそうなんだし。

 

『応援、ありがとうございます。頑張りますね!』

 

 

 

……体が痺れたような衝撃に襲われました。私のコメントは、何人も送った中のひとつに過ぎなかったのでしょう。

それでも、【彼】が私へ反応を返してくれた!

嬉しくなって、頬が緩んでしまう。

 

 

「スオミも楽しんでるようにゃね〜!安心したにゃ!」

 

「え、な、何言ってるんですか!」

 

「いや、このモロカクってスオミのことにゃよね?コメントに反応してもらえて嬉しかったんじゃないかにゃ〜と思ったんだにゃ。」

 

「そ、それは、そう、です。」

 

「分かるにゃ。生配信を見てるだけでも楽しいけど、コメントを拾ってもらえると嬉しいよにゃ〜!」

 

「ううう……」

ちょっと恥ずかしい。顔が赤くなってしまったのが分かります。

 

 

でも、もっと、自分のコメントを拾って欲しいな。と思ってしまったのは事実で。

 

みんなが同じようなコメントをしていたから、ちょっと違う角度で切り込んで見ることにしました。

 

 

モロカク:顔だけじゃなくて、声もカッコイイですよ!

今度なにか歌ってみるのはいかがでしょうか?

 

『あ、モロカクさん、ありがとうございます!』

 

 

名前を呼ばれた。そう気づいた時に、体が銃に打たれたような衝撃に襲われました。

 

嬉しい。すごい嬉しいです……けど、

そうなると分かっていたら、こんな野蛮人めいた名前は付けなかったのに!

 

 

そこから少しして、彼は更にとんでもないことを言い出したのです。

 

『じゃあ、今度歌ってみた上げてみますね。

……あの、恥ずかしながら流行には疎くて、今どんな歌が流行ってるか知らないんですよ。

折角ですし、発案者のモロカクさんに何を歌うのか決めていただきたいなと。』

 

 

「え?」

体が雷に打たれたような衝撃に襲われました。演算部分が今までにないほど高速で動いているのが分かります。

彼が、何を、歌うのか、決める?

いきなり背負わされた重要任務に、今にも思考は止まりそうでした。

 

焦ってしまって、思わず

 

 

モロカク:ARC ENEMYさんの、イェスタデイって曲をお願いしたいんですけど。

 

 

やってしまった。

いつも聞いてるから、つい、言ってしまったのだ。

もしも初対面の人に、何を歌えばいい?と聞かれてヘビメタの曲を返す人がいたら、私はちょっと神経を疑ってしまいます。

流すだけでも、あんなに言われてしまうのに……

 

 

案の定、410さんも知らないようですし、知ってる人はコメントにもあまり居ないみたいでした。

流行りの曲を聞かれていたのに、どうしよう…どうしよう…

 

 

でも、いえ、まだ聞いていないから、でしょうか。

彼は好意的な反応を返してくれます。

 

『あれ、あんまり知られてない曲なんでしょうか?

とはいえ、真っ先に名前が出るのは知られざる名曲みたいな感じで、それはそれでカッコイイですねぇ!』

 

 

けれど、パニックになっていた私はそれどころではなく、更に卑下するような内容を送ってしまったのです。

 

 

モロカク:あ、ありがとうございます。私って、あんまり音楽の趣味が一般的ではないようで……私はいい曲だと思うんですけどね……

 

『そうなんですか?曲の趣味なんて人それぞれじゃないですか。

自分が好きならそれがいい曲なんですよ。

もちろん、人にも聞いて貰えたら嬉しいですけど、理解されないからダメって訳じゃないと思いますよ。』

 

 

この発言は、410さんからしたら大したことではなかったんでしょう。これだけ、サラッと口から出たことなんですから、そう思います。

 

けれど、音楽を流そうとする度に、周りから止められる私にはどうしようもなく突き刺さって。

受け入れられたように感じられて、嬉しくなりました。実は、ちょっと泣きそうになりました。

 

 

だからこそ。この後に起きたことで、私の心は冷水をあびせられたどころか、凍結地獄に落とされたようなショックを受けることになったのですが……。

 

 

『自分の好き嫌いは誰にも否定できませんよ。

っと、見つかりましたね。

他国語に結構自信ありなので、もし知ってる言語だったら歌いますね〜』

と言って、彼が曲を再生した直後。

 

 

 

『おゔっ!?』

 

「えっ!?」

「にゃっ!?」

 

 

彼は椅子ごとひっくり返ってしまったのです。それも、頭から。

 

 

コメント欄は今までにないスピードで流れ始め、心配する声がいくつも見られました。

 

 

彼は、すぐさま起き上がると、

『い、いや〜。ははは。音量の設定ミスしててびっくりしちゃいました。皆さん、驚かせてすみません。』

と、謝罪をしました。

 

 

ですが、私はそうは思えません。

私の音楽の趣味が、その、あまり一般的ではないのを私はちゃんとしっていますし、それがあまり好まれていないこともしっています。

 

 

だから、聞いてビックリしたから転んでしまったのではないかと。

変わった音楽の趣味を受け入れられてもらったように感じていた分の嬉しさは、そのまま、マイナスに転換されて。

彼が気にしないで大丈夫と言ってくれたにもかかわらず、指先から言葉として吐き出されていました。

 

 

モロカク:え、大丈夫なんですか?あの曲のせいで今転んでしまったんじゃ……

 

 

それでも、彼は。

 

『いやいや、僕が音量調節ミスっちゃっただけなので!心配させてごめんなさいね〜』

 

そう笑って、手を合わせてきて。

 

『モロカクさんがあんまり気にしちゃうと、音量ミスしてすっ転んだ自分の間抜けさが際立っちゃうんで……気にしないでください〜〜!お願いします!!』

 

私の感じている申し訳なさは間違いなんだと、自分の放送を見て暗くならないで欲しいと、そう訴えかけてくるようで、そこまで言われてしまったら。

 

 

 

 

モロカク:は、はい。歌ってみた、楽しみにしてますね。

 

 

 

こう言うしか、ないじゃないですか……!

 

 

この後、すぐに放送は終わり、私はメンタルモデルに溜まった感情負荷の処理を行い、IDWはそんな私を抱きしめて慰めてくれました。

 

 

気がつくと出撃の時間を超えてしまっていて、反省書を書かされることになってしまったんですけどね。

 

IDWさんも何やら任務があったらしく、反省書を一緒に書くことになっちゃいました……申し訳ないです……。

 

 

「スオミはー、今回のこと気にしてるにゃ?」

 

「えっ、は、はい……付き合わせてしまって、ごめんなさい。」

 

「いやいや、いいにゃいいにゃ。こういうのを書かされるのは、いつもの事だしにゃー。」

 

「それでも、IDWさんを巻き込んでしまったのには変わりありませんし!」

 

「うーん、そんなに気にしないでいいんだけどにゃあ。あ、そうだにゃ!

そういえば、さっきの410さんにゃ?

スオミがあの曲を選んでくれたからこそ、彼に関わる衝撃的な事実が判明したんだにゃ。」

 

「そ、そうだったんですか?」

 

「それはにゃ……実は、彼は」

 

「は、はい。」

 

 

 

思わず息を飲んでしまう。

私がヘビメタを勧めたから分かった秘密?何なのだろう、それは。

 

「ブラを、つけてないのにゃ」

「ひゃ、ひゃいっ!?!?」

 

 

「さっきSNS開いたんだけどにゃ?どこもかしこもその話題で持ち切りだったにゃ〜。」

 

 

そう言って、IDWさんはタブレットを見せてくる。

そこには、トレンドランキングと書かれていて

 

トレンドランキング

1位 乳首

2位 ポロリ

3位 410

 

とあった。

 

 

「え?」理解が追いつかない。IDWさんはそんな私に合わせてくれる気はないようで、

「これを見るにゃ!」

 

 

渡されたタブレットには、動画が流れていた。

 

それは、410さんが転倒したい際の動画をスローにしたもののようで。

転んだ際に捲れ上がった服、その振り上げられた腕と、跳ね上がった足の隙間を縫うように、乳首が、バッチリ映っていた。

乳首が、映っていた!!??

 

 

 

 

私が覚えているのはここまでです。指揮官。

IDWさんは、何も悪気を持って私を気絶させたんじゃありません。

 

方法に問題はあったと思うんですけど……

その、励まそうと、してくれただけなので……

だから、IDWさんの始末書を3倍にするのは勘弁してあげられないでしょうか?

 

IDWを許す代わりに、その配信動画を見せろ?

はい、了解です!

 

あっ、もう問題のシーンは修正されてしまったようですけど、リンクを送りますね!

 

それじゃ意味が無い?そうですか……わかりました。そうなると、IDWさんは……?

 

え、無罪放免ですか!ありがとうございます、指揮官!




私も若い頃は、生主にコメントを拾ってもらえるかどうかで一喜一憂してましたわね……(懐古お嬢様)


というわけで、結果発表〜!!
猫丸:IDW
モロカク:スオミKP-31
です。

難しかったかな〜〜?
そんなんじゃ、私の部下になれないよ〜?(C-MSガキ)


これで残りは3人なんですが……こういった形でスポットを当てると手間が嵩んでヤッバーイ!!(RD)ので、別の回で普通に登場させるかすると思います。

次回、(あべこべな)ドルフロ世界の配信者。
第8話【環境×ト×反響】

ハンターハンターは、いつ完結するんですの……?


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第8話 環境×ト×反響

チラチラ見てただろ(イチャモン)な第7話、はっじまるよ〜!
聖闘士に同じ技は2度通用しないため、存在自体がイチャモンみたいもんですね(PKMN)

あと、410の初の配信は12:00〜13:00。
昼休みに合わせた感じです。

とうとう出したかった人形ちゃんを出せたけど、好きなキャラだからかめちゃくちゃ違和感が拭えねぇ〜〜!俺は推すのを我慢したほうがいいんじゃないのか……?


いいや、限界だッ!推すねッ!!



第1回の配信が終わった。手応えは充分。

ハプニングもあったが、あれも生配信の味の範疇だろう。うん、OC!!

 

が、体には未だに高揚感が熱として残っており、汗も相まって非常に鬱陶しい。

 

 

シャワーを浴びて、軽く頭冷やそうか。(魔王降臨の儀)

 

 

蛇口を捻るとシャワーを浴びることが出来る。実はこれ、無制限なのだ。普通は時間制限があるらしい。

 

 

S09地区のメインストリート近くに立っていて、カラオケしても大丈夫な防音があり、この時代にシャワーを浴び放題というのを考えれば、どれだけこのアパートのランクが高いのか分かるだろう。

 

1番分からないのは、身分のない俺のような存在が何故ここに住めているか、に尽きる。

 

 

シャワーを浴び終わり、パンツ一丁でガリガリ君っぽいアイスバーを齧る。当たりはもう入っていないらしい。ちょっと悲しくなった。

 

 

 

呼び鈴がなる。お客さんでも通販でもないだろうし、エリザちゃんかリナさんだろうか?

 

「はーい!ちょっと待ってくださーい!」

 

 

先に返事をしてから、この格好は流石に無礼だろうと、上は黒い下着をぱぱっと着て、下にはパジャマとして使っている半ズボンへ足を通す。

 

 

 

「はい、お待たせしました!エリザちゃんか、待たせてごめんね?なんの用かな。」

 

 

そこに居たのは、果たしてエリザちゃんであった。今日も天使の輪が浮かぶ黒いショートカットが愛らしい。その手には紙束のようなものを持っている。

 

 

「どうも。シドーさん。ちょっとお話したいことがあるんですけど……

お部屋にお邪魔しても、大丈夫でしょうか?」

 

「ああ、大丈夫だよ。いらっしゃい。」

 

 

中学生を連れ込む成人男性(恐らく)の図。

この世界じゃなきゃ事案ですね!

あっちの世界で言うと、男子中学生を部屋に連れ込む一人暮らしの女子大生か……エッチじゃん。

 

 

「お邪魔します。」

 

 

 

丸机まで案内して、キンッキンッに冷えた麦茶を出す。

 

 

「それで、どうしたのかな?」

 

「実はですね、健康診断のお話でして。母の職場の伝手で、かなり本格的な診断が無料で受けられるそうなんですよ。

アパートに住んでる人が対象なので、シドーさんもどうかな?と思いまして。」

 

「へー、健康診断か。」

 

「はい。せっかくなら一緒に……行きたいな、って。」

 

 

もじもじする女の子は可愛い。照れ顔なら尚更だ。

かわE超えてかわZだわ。

Z技、特にゴーストタイプの動きってpartyのダンスに似てる。似てない?似てると思うかどうかは俺が決めることにするよ(自己完結)

 

 

「うんうん。手に持ってるのはそのパンフレットかな?」

 

「あ、はい。そうです。」

 

「貰ってもいい?」

 

「どうぞっ!?!」

 

 

パンフを貰おうと身を乗り出した際に、彼女の顔が真っ赤に染まる。

むむむ……また俺何かやっちゃいました?(何がむむむだ。)

 

 

ん?ああ、そういう事か!

カン☆コーン!!

 

今ここに、あべこべの方程式は整った!

風呂あがり+上は下着のみ+上体を倒す=際どい所が見えてしまう

 

我は影、真なる我…思春期の心の海より現出せよ、ラッキースケベ!

ラッキースケベの効果により、純情JCエリザちゃんは攻撃表示(意味深)に強制変更される!

 

 

ふーん。そっかそっか。やっぱり変態じゃねえかてめぇ!!可愛いね❤(TNTN亭)

 

 

暖かく見守ってあげるとしよう。

 

 

気にしないでパンフをよむ。

エリザちゃんはチラチラと目線を送ってくるが……

まさかの脇フェチか。

 

パンフのページを捲る時の脇にめちゃくちゃ視線が来てる気が、というか確実にそうだな。俺はお前が俺を見たのを見たぞ?

 

はえ^〜、いい趣味してますねぇ!道理でねぇ!

 

熱の篭った視線を受け止めつつ読み終わったパンフは、一見すると問題がなかった。

 

つまり、ちゃんと読むと問題があったのだ。

主に健康診断の場所がやばい。

エリザちゃんに聞きたいこともあったが、それよりもやってみたいことがある。

 

 

 

それは……

敢えて、ここで伸びをする。ということだ。

 

 

パンフ自体は読みやすいものの、ちょっと量が多かったのでそんなに不自然な動きでもないだろう。

 

見えちゃってる?見せつけてるのよ。つまりはそういうことである。

 

「んん〜!長かった〜!」

 

 

おお、視線って本当に感じるものなんだなあ。ちょっと感心してしまうレベルで視線を感じる。

 

「ねえ、エリザちゃん」

 

「は、ひ、ふゎいっ!?どどどど、どうしましたか?」

 

 

こちらを爛々とした目付きで眺めていた彼女だが、話しかけられたら流石に正気に戻ったのか、顔を真っ赤にして噛みまくりながらの返答をくれた。

 

 

そんなに慌てると逆に怪しいぞ〜?

あんまり弄って気まずくなったりしても困るので、からかうのはここまで。聞きたかったことを質問しよう。

 

 

 

「ははは、落ち着いて落ち着いて。健康診断の場所なんだけどさ、I.O.Pって人形作ってるところじゃなかった?人間の検査も出来るの?」

 

「え、んー……出来るからこういったパンフを作っているのではないでしょうか?」

 

「それもそうか、ありがとうね。

そうそう、この施設までの行き方は分かる?」

 

「マップを見ながら行けば大丈夫だと思います。」

 

「なるほど。あれ、じゃあ今まで行ったことはないの?」

 

「この検査自体が今年から始まったみたいで、今までこのパンフレットを見たことはないですね。」

 

 

明らかに怪しくて草。

今年から始まったの下りとか、特に。

 

俺がここまでの待遇を得ていることに関して感謝しているし、恩を返す気では勿論いるが。

 

俺に対してこれだけの手間や資金を割くってことは、それ相応の何かが俺にはあるんだろう。

I.O.Pでの検査っていうのは、健康だけじゃなくて別の意味も含んでいるはずだ。

 

 

 

 

だがしかし、虎穴に入らずんば虎子を得ず、なんだよな(ケモナー)

 

とらのあな(18禁)に突うずるっ込んでやると、ああ^〜、堪らねえぜ。

俺が自分で気づくならそれでもよし、気づかないなら敢えて俺に教えるつもりはないんだろう。

 

 

それに、現段階では実力行使に出る気もないはず。

ここまで遠回しな手段を選んでくるくらいだし。

 

なら行っても大丈夫か。

世話になってる相手の機嫌を無理に損ねることもないしな。

(この間わずか2秒の早業!!)

 

 

「うん、いいよ。行こっか。」

「はいっ!ありがとうございます!!」

「いやいや、こちらこそ教えてくれてありがとうね。日付は〜〜……」

 

 

エリザちゃんが帰ってからふと思った。

これって、デートじゃね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いいや、配信者は狼狽えないっ!!

愛とか恋とか痴情のもつれとか惚れた腫れたはファンが減るからNG。先に事務所通してくださ〜い!

 

 

まあ、(おそらく)成人してる俺が、中学生なんかを好きになるはずがないんだよね。大人だから。

 

夕食を挟み、風呂に入り、放送からほぼ半日が経ってしまったが、さっきの放送についてエゴサをかけよう。

SNSの配信垢を開く。

 

 

通知が多すぎて振動が止まらなくなった。

嘘、だろ……?

 

なんかフォロワー数が爆上げされてる。フォロワーの数だけなら、中堅配信者といえる程度にまで増えている。

 

 

 

やばい、ここまで爆発的に増えるものなのか?

嬉しいは嬉しいが、あまりにも急激に増えすぎるとそれはそれで恐ろしい。

 

これがもし、俺が【男】だからというだけが理由だったら、あまり嬉しくはないな。

十中八九そうだろうが。

 

 

俺としては、男は飽くまで付属価値に過ぎず、メインは配信者でありたい。

 

性別やスタイル、顔も勿論魅力の一つだろうし、それを使ってもいいと思うのだが、メインは配信者でありたいのだ。

 

そっちがメインならモデルとかの美を売る仕事を目指した方が良いんだろうし。

 

 

 

現実逃避気味に、SNSサーフィンにくり出す。

トレンドから見るかな〜。

 

SNSのトレンドランキング

1位は、乳首。

2位は、ポロリ

3位は、410

 

 

 

 

 

 

??? 思考が、停止しそうになった……ものの

俺の 思考は 食いしばった !

やっぱり食いしばりは神スキルなんやなって

 

 

嫌な予感がする。いや、嫌な予感しかしない。

恐る恐る、1位のタグである乳首を調べる。

 

 

すると……俺のすっ転んだシーンのスーパースロー再生が出てきた。

 

元の配信用のカメラの画質ゆえか、ハッキリとは写っていないものの、そのせいでまるでモザイクのようになった乳首がそこには映し出されていた。

 

 

もう一度言うと、俺の乳首が、そこに映されていた、のだ。

 

 

 

 

性別とか魅力がどうこう言ってた配信者おるかー?冷えてるかー???(XXハンターYUK)

 

 

10万いいねってほんとうにあるんだあ

 

 

まずい。うん、これは、まずいな。非常にまずい。

何がって、収益化に関して性のイメージが着くのは(前世では)非常にまずい。

 

 

こちらでもそうは変わらないだろう。とりあえずG〇〇gleで規約を調べる。

 

収益化からの解除条件にやっぱり書かれていた。

・性的コンテツの禁止

 

……また俺何かやっちゃいました?(お気に入り)

 

 

意図的ではないとはいえ、時間が経ってしまったし、早く対処しないとまずいな。

 

とりあえず、アーカイブから今日の生配信を削除。SNSで謝罪文を掲載する。

 

 

《410です。この度は、自分の注意不足によって不適切な動画を投稿してしまったことを、ここに謝罪させていただきます。》

 

とりあえず、短く。要件だけでいいのだ。

火消しは速いうちにしなくては収集がつかなくなってしまう!

 

俺の乳首がワールドワイドになろうと、別に良い(良くはない)。

問題は、顔出しで配信して初回から運営に目をつけられてしまうことだ!

 

 

続いて、

 

《問題の動画はアーカイブから削除し、問題箇所を削除してから投稿させていただきます。

お騒がせいたしましたことを、深く謝罪申し上げます。》

 

と、反省とその行動を呟き。

 

 

謝罪をする。反省をする。

両方やらなくっちゃあならないってのが、配信者の辛いところだな。

 

 

やるだけやったし、もう打てる手はない。

DMもリプも全て無視だ。

乳首見せてって内容が多かった気がするのは気のせい、だよな?そういうことにしよう。

 

 

疲れた。もう歌ってみたの練習をして、寝る。

 

布団に入ってから思った。

男であること+乳首が見えた事でもあのフォロワー数なら、この世界でも配信者の中で上位になるには実力が大事なんだな、と。

 

 

登る山は高い方がいい。

目標は思ったより遠そうで、少しワクワクした。

それじゃあ、おやすみなさい。

 

 

 

 

 

さて、次の日。

シャワーを浴びて、歯を磨き、服を着替える。

「ゴミ出さないとなぁ……」

 

ゴミを出しに行くと、ゴミ捨て場には先客がいた。

白いパーカーに、ホットパンツというラフな格好だ。

 

 

 

「あら。おはようございます、良い朝ね。」

 

そう、鈴の転がるような声で、挨拶を、してきた、この人は……

 

「あっ……これはどうも。おはようございます。」

 

「初めて見た顔だけど、新しく越してきた人?」

 

グレーブラウンのうねった髪を伸ばし、左でサイドテールにしている彼女は……

 

「ええ、2週間ほど前からこちらでお世話になっております。」

 

「アハハっ、そんなに固くならないで大丈夫よ〜。私たち、多分そんなに年が離れてないでしょ?」

 

見間違えるはずもない、猫を思わせる金色の瞳。

その、左目の上に走る傷跡。俺が、どうしても会いたかった人形。

 

「そっかそっか。ありがとう。なら、タメでいかせてもらうよ。俺は祠堂透吾。君は?」

 

「私はーーー」

 

彼女はーーー

 

「ウェデリアよ。よろしくね。」

 

(UMP45だ)

 

 

 

んっ???

「…………ウェデリアか、よろしく。」

 




なぁんであべこべあるある鉄板ネタ、ラッキースケベの対象を人形じゃなくてよく分からないオリキャラ相手にしたかって?
……話の都合上です(血涙)

しかし、逆セクハラシーンはあべこべ物やるなら必須だと思っていたので、僕は後悔していません。

次回、【第8話 体は45姉を求める】。
デモンエクスマキナじゃなくてアーマード・コアの新作も出せ(過激派)



……は、次次回で
次回は
『アナザーサイド グリフィン何でも実況板【非実在性】美男美少年を探すスレpart9【イケメンどこさ】』
をお送りします。

筆者は傭兵メインでしたね〜。え、ミリオンレア?うっ、頭が


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Part9 グリフィン何でも実況板【非実在性】美男美少年を探すスレ【イケメンどこさ】

3つほど、お伝えしたいことがあります。

ひとつ、素晴らしく使い易い2ch風ジェネレーターを作ってくださった「神崎かへり」様に、この場を借りて感謝申し上げます。


ひとつ、1年ズレたことに全部書いてから気がついたので、脳内で1962年だと思い込んでください。


ひとつ、今回は差別的だったり、人の体型・特徴を揶揄したりするネットスラングが度々登場します。
私はそういう偏見を持ってはおりませんが、実際の掲示板の雰囲気に寄せようとした結果、そういったスラングもを取り入れた次第です。
具体的には、ホモネタがレズネタになっていたりします。

なので、苦手な人にはスルーをお願いいたします。
次回の前書きに今回の内容のあらすじを載せますので、其方をご覧下さい。



さて、長い注意書きでした。

やっぱりネットものなら掲示板ネタ欲しいでしょ?
僕は欲しいです。
つまり、色々あったが私欲のためですね。




それでは、ご覧下さい


1:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 14:00:00 ID:9u7nI5cn6L

前スレはこちら!【URL://】

 

テンプレ

実在のイケメンに迷惑をかけるのはやめましょう

ここはネットです、人間も人形も節度を守って楽しく決闘(レスバ)!!

 

4:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 14:15:15 ID:jt9zS3kWA2

は〜。どっかにイケメン落ちてないかしら。

 

5:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 14:18:23 ID:n8kBi2JAsQ

落っこちてるわけないじゃん。夢見すぎか

 

6:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 14:23:05 ID:SHUR5GbxfL

ほんそれ、夢を見る暇があったらイケメンと付き合う方法考えろ

 

7:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 14:26:08 ID:GLg94psMWD

私の彼、空から落っこちてきたよ?

 

8:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 14:32:07 ID:48frOoAcIt

親方!?!?

 

9:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 14:36:15 ID:zc7RcfPkAp

(誘拐は)まずいですよ!!

 

10:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 14:42:11 ID:GTjESWMJGA

バルス!!

 

11:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 14:45:43 ID:ZJwZZIxnkc

今更ラピュタとかふっる!!

バルスが許されるのは、昭和までだよね〜

 

12:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 14:50:00 ID:O4uJ9PkcX9

それこそ古い定期

 

13:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 14:55:26 ID:6GcU4unK42

おい、ラピュタってYo!FDO(注:Final Dragon ONLINEの略)のネタじゃんか!あっあっあっ

 

14:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 14:59:48 ID:fDSSW9Cg

新章神ってたンゴねぇ!

 

15:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 15:03:27 ID:jHALWF2wKM

イケメンがイケメンだったしな。

 

16:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 15:07:44 ID:QeFNQBjFwh

あー、わかる。イケメンがイケメンしてた……

 

17:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 15:13:08 ID:Gm7lGPe2g4

私も月の女神様くらい愛されたいもんですわ。

 

18:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 15:18:25 ID:IvTcCup6bL

お姉様、私の胸は空いてましてよ〜〜!?

 

19:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 15:22:52 ID:SG3JaFUXW8

おっ、百合かな?

 

20:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 15:27:21 ID:BEK9C1PVto

申し訳ですが、レズ以外は帰って貰いますわ!

 

21:【17】 2063/6/1 15:32:53 ID:Gm7lGPe2g4

ご好意はありがたいですが、親の遺言でバストサイズが120以下の人とは付き合えませんの。ごめんあそばせ?

 

22:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 15:37:30 ID:vnC7bbFgI1

120は盛りすぎww

 

23:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 15:43:08 ID:xFi2zrRu8K

もっと断り方あるだろwww

 

24:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 15:48:07 ID:cAxZmfhRCA

120とか逆にスタイル悪いだろ。むしろ見てみたいわw

 

25:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 15:53:33 ID:cSQGlXUMXW

さっきまで生でしてたイケメンあげう

【URL://】

 

26:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 15:59:16 ID:zbGdpiKxio

そういや、S09地区でとんでもないイケメンを見たぞ

 

27:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 16:02:46 ID:IFNhX8eHfV

嘘松さん!?

 

28:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 16:06:14 ID:e992VsRC0S

S09地区ならワンチャン居るかもな〜、人も多いし。

 

29:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 16:11:34 ID:NWEE5ZKzz4

治安はいいし

 

30:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 16:15:23 ID:oziQlGvFey

私いじけちゃうし

 

31:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 16:20:04 ID:XkenAqNK0h

オイオイオイ、死んだわ俺

 

32:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 16:23:20 ID:h4MK2UZXvq

僕も!

 

33:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 16:27:01 ID:Y1bmkJiav3

私も!

 

34:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 16:30:44 ID:f00vYqxVdM

レベル4が三体、来るぞ遊馬!!プトレノヴァインフィティ

 

35:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 16:35:10 ID:qw6J4x9x9H

リンク。やばぼい

 

36:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 16:39:44 ID:d0LTvylolc

リンクの動画は開くな、呪われるぞ。

 

37:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 16:44:33 ID:6SpOWb46OU

????

 

38:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 16:49:27 ID:VmgmsqsaPY

リンク、あれはやばい。催眠術とか超スピード!?とかちゃちなもんじゃあ断じてねぇ!

 

39:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 16:52:45 ID:htMuqznNeg

夏だな〜。

ここはネット黎明期からブラクラを踏まされまくったお姉さんにまかせとき。

 

40:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 16:57:24 ID:lU4BB0Do18

見えてる地雷に突っ込むのか…(ドン引き)

 

41:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 17:02:26 ID:cXM0I5BovP

人は彼女を黎明卿と

 

42:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 17:08:16 ID:YN7ZbjN7ux

呼びません

 

43:【39】 2063/6/1 17:13:26 ID:P4ZlqiD31Y

動画、やばい。イケメンが、動いてた。

 

44:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 17:17:48 ID:WHw2oUiFFU

は?それだけ?

 

45:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 17:23:22 ID:zBL3JcIiQz

黎明卿名乗る資格ないよ

 

46:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 17:29:04 ID:cQSdpzTjFY

これだから目立ちたがりのソイデブ(ステハゲ的な意味、ソイプロテインデブの略)はさぁ……

 

47:【39】2063/6/1 17:33:23 ID:onTFmyHat4

それでは聞いてください。リンクは生配信のアーカイブ

 

48:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 17:38:15 ID:pnwm6qWm3l

!?!?!?!?

 

49:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 17:43:33 ID:fmlP0pJE1P

イケメン配信主?絶滅したはずじゃ……

 

50:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 17:47:28 ID:qkkTx7SMJO

ま?見てくるわ

 

51:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 17:50:41 ID:1WQ2CRWj3D

ちょっと田んぼ見てくる

 

 

30分後

 

 

52:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:24:31 ID:RtL4CGXnFQ

みんな見に行ってて草。マジでイケメンが動いてたわwww

 

53:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:28:40 ID:YVPnQu1NKl

やばいしか言えない、やばい(限界オタク)

 

54:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:29:30 ID:9nE2H1wOlF

語彙が崩壊した。

 

55:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:30:56 ID:RYaMpUT9KA

え、あれこそ非実在イケメンじゃないの?

 

56:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:31:57 ID:T8QcIBdJp5

メンヘラコメントへの対応が優しスギィ!自分、ガチ恋いいっすか?

 

57:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:33:17 ID:fRoCaegheZ

ぱぱぁ…ぱぱぁ…

 

58:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:34:36 ID:E2TTxg2Pcq

急にオギャるんじゃあないっ!

 

59:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:35:52 ID:rbJBLW8ZQr

やはり父子プレイか、私も同行しよう。

 

60:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:36:38 ID:1etqd9Mx7R

おせっせ院!

 

61:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:37:24 ID:cobmBMdPYr

名作を汚すな

 

62:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:38:53 ID:p5Ye48Yz98

書き込みが急に増えて草

 

63:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:40:23 ID:p2wSeYapdJ

あんなのみたらねえ……

 

64:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:41:37 ID:uicxctcrUs

あんなイケメンが野生なの?

 

65:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:43:02 ID:qrVchQ8aCH

私は兄がいるからわかる。女の気配がしない。

 

66:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:44:06 ID:vwJiIxO6nH

ていうか、あんなイケメンがなんで顔出せてるの?

小学校卒業の時のさ、イケメンが居なくなるあれがあるじゃん。あれに引っかかるでしょ。

 

67:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:44:53 ID:lAjhAUNVh0

あー、ダンホかあ。

うちの地区はたった1人しかいない希望の星が連れてかれたわ。

 

68:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:45:51 ID:PlfU4CcOIc

ダンホさ、たまに食べると美味いよなw

 

69:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:47:03 ID:wFn1GABVjh

いつものコピペが欲しい

 

70:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:47:55 ID:nYHlwlKcsx

階級制男性保護制度。

通称【ダンホ】

階級制度という言葉で誤魔化している実質的な優生主義の化身。

中学校の入学前に小学校の際の成績に基づいて採点を行い、高得点を得た(イケメンorインテリorスポーツマン)男性は特別区への移住が許可(半ば強制)される名高い悪法。特別区の内外で連絡を取ることは通常不可能とされ、出てきた男も居ないという。

 

これにより優れた男性は保護され、管理されることによって精子バンクの特級の質は保護されることになるものの、実はそのミルクは上流階級のババアに出されたあとのゴムから集められていると専らの噂。

 

 

私も日替わりで美少年のミルクごくごくしたいなりぃ……

生抜き1本、やっぱり仕事の後はこれに限るわね〜w

ジュルルルル!!!!!!!!!!グッポグッポ!!!!ズブブブブ!!!!!!ジュル!!!!!ジュル!!!!!ジュポ!!!!ジュルルルルルル!!

 

71:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:49:23 ID:LJWzImEGRL

これを見に来た

 

72:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:50:28 ID:JqgklWUCpw

ああ^〜いいですわぞ〜!

 

73:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:51:23 ID:zh0ZJACKJU

有能

 

74:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:52:20 ID:pcAG5Bqvah

何度見ても前後の落差に狂気を感じる

 

75:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:53:19 ID:xcwKuX792z

ダンホは遺伝子確保を名目にしてるから、イケメンで保護されていない理由として考えられることとしては……

 

76:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:54:38 ID:x3xDESjSAO

ネットでも言葉を控えるたぁ、聖人の鑑か?

 

77:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:55:28 ID:PTZAot9C4M

えっ、じゃあ生飲み放題?

 

78:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:56:35 ID:PRuqr4vPUE

それは無いわー

 

79:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:57:40 ID:srAygqhbZ0

幾らネットでもリテラシー低い、低くない?

 

80:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 18:59:08 ID:On33s16OTv

うるさいですね……

 

81:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:00:14 ID:ssDd4olurZ

ち、チノくん!そんなにゴシゴシしたらダメなりよ!

 

82:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:01:32 ID:t5oas2r28n

あっ、妹殺しだ

 

83:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:02:42 ID:ZpBekImBJr

インターネットに詳しい弁護士さんおっすおっす

 

84:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:03:43 ID:YnJoWBLcLU

生きるため、仕方がなかった

ピーピーピーボボボボボ(KRSW)

 

85:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:04:44 ID:bDL5K9mBSW

妹レイプ!レイブンと化した弁護士!

 

86:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:05:49 ID:H064osuoUz

イケメン配信者410まとめ

・イケメン

・心もイケメン

・カッコイイ

・物腰柔らか

・丁寧な対応

・流行に疎い

・結婚するにはお互いのことをよく知ってから

・(おそらく)自作のクソデカ410ロゴキャップ

・イケメンと言われたのは初めて

・イケボと言われたのも初めて

 

 

87:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:06:53 ID:zHUO3LHqdD

イケボといやぁ、歌ってみたもあげるなんて楽しみ〜

 

88:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:08:06 ID:aC5qnSZY3T

下手でも許せる

 

89:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:09:11 ID:ZTbvm5SX91

むしろ下手な方がいい

 

90:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:10:31 ID:aG4YJQqI4x

勧められてた曲調べたらめちゃめちゃメタルだったわ。モロカクヤベー奴過ぎるだろ。

 

91:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:11:59 ID:6O29WFxojW

すっ転んだのそのせいでは?

 

92:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:13:28 ID:tX9A25a8h3

(そりゃ)そうだよ

 

93:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:14:42 ID:GzpLtO9htH

いきなりメタルを聞いたらびっくりするし、ちかたないね

 

94:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:15:53 ID:yVZgY67xWO

はえ〜……イケメンだからかみんな優しい、優しくない?

 

95:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:16:42 ID:uVyfjQ6rzf

当たり前だろ、イケメン相手だぞ!

 

96:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:17:54 ID:XJm7qyXri2

心までイケメンっぽいよなぁ

 

97:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:19:21 ID:Ml9mrtot6h

こんなんもう410パパじゃん、パパみでオギャれ!!

 

98:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:20:23 ID:vez3dNGYc3

あんまりパパキャラ推されると東京在住のヤベー奴を思い出すためNG

 

99:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:21:42 ID:gfHs6rcIwp

赤ちゃんガチ勢からの一転攻勢闇堕ち逆レ宣言だもんな。

伝説すぎるし何度見ても面白いわ。

 

100: 2063/6/1 19:22:43 ID:ZrQqEwk9HJ

3週くらいしてコメント欄を見る余裕が出来てきたんだけど、転んだ時に乳首が見えたってまじ?

 

101:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:23:32 ID:IuMNp5zXYU

は?

 

102:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:24:45 ID:Hq1Lg4Pq7t

コメントとか見てなかったわ

 

103:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:25:42 ID:y4YvFoXgGQ

そんなコメントあったか?

 

104:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:26:57 ID:NTuX0RyZ8x

それが本当なら、勲章ものですよ……

 

105:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:28:07 ID:WrmHBK688C

うわ、まじでそのコメントあったわ。すっ転んでコメが加速しまくった時に言われてる。

 

106:【M】 2063/6/1 19:28:56 ID:prrUBAi7Jj

保存してたからあげる

 

107:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:30:21 ID:foGjnwcME2

くぁwせdrftgyふじこlp

 

108:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:31:38 ID:yynHY6ezuA

スローカメラで保存してるとかMがイレギュラーすぎる……

 

109:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:33:04 ID:Ef4PzWPmf8

これが、人の可能性?

 

110:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:33:52 ID:m1NdEgRgu3

どうしてイレギュラーは発生するんだろう?

 

111:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:34:51 ID:YYG3LPFWA5

スローだからギリ見えるけどまじ乳首じゃん。

リアルタイムで確認できたMやばくね?

 

112:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:36:07 ID:UpWKJmykuk

はっきり見えないけど、乳首だね。

Mはやばいと言うか妬ましい。一生ネタに使えるだろ。

 

113:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:37:32 ID:NWwFNqukV2

(゚∀゚)o彡゜おっぱいおっぱい

 

114:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:38:42 ID:zlRS0zDfeX

怒りそうになったらこのおっぱいのこと考えよう。

 

115:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:40:06 ID:Yf5D1aF9MF

この見た目でブラつけないとか誘ってんじゃんアゼルバイジャン

 

116:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:41:09 ID:pzd05Edqvu

Mはなぜいきなり投下したし

 

117:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:42:18 ID:wwkJuoVneK

よく見えないけど、ピンクか?

 

118:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:43:08 ID:Z7ElvcmmxY

イケメンならピンクに決まっていましてよ〜

 

119:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:44:09 ID:9oRUoenODQ

おっ、そうだな

 

120:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:45:09 ID:RyZIhN4VcA

は?イケメンは黒光りと相場が決まっているが?

お子ちゃまは家に帰ってママにでも甘えてなww

 

121:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:45:57 ID:54eX7UzR9t

は?

 

122:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:47:02 ID:xkER4m8e7a

〇すぞボケナス

 

123:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:48:24 ID:rwgvhFj8XT

きのこたけのこ並に終わらない論争はやめちくび〜?

 

124:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:49:26 ID:DJXDAZ1RKQ

論争はこっちのスレへ【http://】

 

125:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:50:26 ID:N2j652nrb6

SNSでも話題になりだしたわ

 

126:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:51:36 ID:eGvZXEglff

うわ、タグの使用率えっぐい

 

127:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:52:48 ID:vTSADqr4A5

どこを見ても謎のノーブライケメン配信者の乳首カットシーンに溢れてる……

 

128:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:53:36 ID:dXcGNDA30t

スローで撮るのは気合い入れすぎだろwww

 

129:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:54:48 ID:BgJ0jALBtK

30分くらいで元ツイが1万RT超えた

 

130:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:55:56 ID:6YghhZnpdW

トレンド3位、乳首。

だってお!!AA略

 

131:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 19:57:21 ID:1AMgCnjrzL

そりゃ謎のイケメンが生放送で乳首晒したとあっては仕方ないね

主人公、謝罪中

 

406:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:23:51 ID:mqYRw7Rzw7

乳首晒しノーブライケメン配信主【410】、謝罪する

 

407:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:24:45 ID:uMQRpUueBC

不適切な動画草

 

408:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:25:18 ID:lI5XHjES7D

こんな世の中なら最適解だろ

 

409:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:25:42 ID:Ai825OH561

イケメンの乳首は不適切だと?

イケメン差別か?

 

410:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:26:10 ID:IyKGh5yNJ9

はいヘイトスピーチ

 

411:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:26:21 ID:v37HOMdz3p

これだから劣等民族は……

 

412:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:26:40 ID:6WxE2VNant

テコンダーいいっすねぇ〜

 

413:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:27:12 ID:0FPYPD8tYU

アーカイブから消しちゃうのか……

 

414:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:27:58 ID:WA1OHUOfAT

消えないで…

 

415:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:28:42 ID:H0H8KXalKH

お前、消えるのか?

 

416:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:29:19 ID:JoPPtm40wU

ま、大事な切り抜きシーンはみんな保存しただろうし、もうどうにもならないんですけどね。初見さん。

 

417:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:30:02 ID:VCL2mTYmt6

初配信のイケメンをネットの洗礼が襲う!

 

418:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:30:42 ID:OiMjcBPgsx

半端な覚悟で入ってくるなよ、ネットの世界によぉ!

 

419:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:31:00 ID:72w3HtX2FT

謝罪はすれどもそれだけって不思議じゃない?

 

420:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:31:21 ID:vWTAQV4XAw

せやろか?

 

421:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:32:05 ID:ham2WGk9ta

そうだよ(便乗)

 

422:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:32:59 ID:HNL22htKLw

(そら)そうよ(大便乗)

 

423:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:33:40 ID:g8wJM29MTN

あーわかるわかる。あの子不思議だよね。

 

424:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:34:08 ID:VrV6zPLxHT

心までイケメンなノーブラ生配信者なんて不思議の塊だろ。

 

425:【419】 2063/6/1 22:34:47 

ID:72w3HtX2FT

男が乳首見せちゃったら恥ずかしくてもっと別の対応とるでしょ、jk

 

426:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:35:26 ID:RBcMAycomR

別の対応?

 

427:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:35:36 ID:t7YFSc0Eug

これ以上なにかしてくれるのか?TNTN見せて欲しい

 

428:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:35:52 ID:f07UGuDYEJ

ああ〜。そりゃ普通、乳首動画の拡散を止めて欲しいって言ったりするよな。

 

429:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:36:35 ID:mWF1jsuWSJ

それもそうだわ

 

430:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:37:09 ID:MQdtUDZVfF

はえ〜、とっても慧眼。当たり前のことに気づけるのはすごい

 

431:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:37:49 ID:Z2PXyk2dad

コロンブスの卵かな?

 

432:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:38:27 ID:xm4RZCbWTA

はっはー!相棒!!

諦めなければ夢は叶うぜ!(イケメン乳首生配信ポロリ)

 

433:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:39:07 ID:ztbmDJm4mV

それか、恥ずかしくなって垢消し逃亡しちゃうとか

 

434:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:39:27 ID:sIuZlQKmpl

ちょっと様子見たけど、本当に謝罪しかあげてないな……

 

435:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:39:54 ID:aTdcRBNrg4

私が送ったDMに乳首返してくれよなぁ〜、頼むよ〜

 

436:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:40:18 ID:6DJylgxnkr

こわっ、近寄らんとこ…

 

437:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:41:11 ID:a2w5hsIY0h

私も送りました。

 

438:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:42:05 ID:zEojuiVOsO

わたくしもですわ

 

439:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:42:38 ID:5j5dxe7JPw

こマ?乳首要求姉貴多すぎるだろ

 

440:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:43:22 ID:9SoF8oJD1y

謝る気があるなら乳首送って❤って言っただけだぞ

 

441:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:43:58 ID:7wHnrPH1rO

卑劣で草

 

442:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:44:21 ID:pfkFGqONgv

これは卑の意志

 

443:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:44:49 ID:W8x0OeGhSZ

ド畜生忍者

 

444:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:45:21 ID:VccxNuFxpa

名軍師だろ。悪のカリスマかなにか?

 

445:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:45:51 ID:VxJFOCSUBR

忍者殺すべし、慈悲はない

 

446:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:46:03 ID:iyK8J0m0T3

410くんみたいなカブキロボ(NJSLYR)欲しい、欲しくない?

 

447:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:46:39 ID:9ZY3DOOjI8

てか、本人が気づくの遅すぎだろ。

トレンド総ナメしてから1時間以上経ってるぞ

 

448:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:47:08 ID:74Ik5gw4tY

410くんは汚いワクワク呟き動物園なんてみないから

 

449:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:47:18 ID:07oIc5aaoU

綺麗だからこそ汚れるべきなんだよなあ、お前どう?

 

450:イケメン好きな名無しさん 2063/6/1 22:47:56 ID:fTEgdSejQs

やだ怖い……メタルウーマン!!

この後、朝までめちゃくちゃ語り合った

 




イケメンイケメン言われている彼ですが、前の世界でいうと、読モ相手に大差ではないもののまあ負けるくらいを想定しています。
阿部寛さんをブルーアイズだとしたら、甲鱗のワーム位の戦力ですかね(氷河期のSIYK)


次回、【第8話 体は45姉を求める】
僕はシルエット、アンサング、Nが好きです。AkvaVit-man(ネイティブ)?程々に好きっすね……

(追記・投稿する時にややこしいため、話数を見直しました)


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第10話 体は45姉を求める

前話を飛ばした人向けの、3行でわかる前回のあらすじ
410君の乳首がワールドワイド!
SNSでも掲示板でも話題になったよ
スローにしないと見れない乳首を生放送で見抜いたMはやばい


独自設定のタグが火を吹いたり吹かなかったりする第8話です。

ネタバレにならないようにボカして説明させていただきますと、1部のキャラクターの設定を、変えております
気軽にキャッキャウフフさせるためだけに誰かの人生を歪める作者は神。ワタクシがGOでしたの……?


……原作ストーリーを読んだことがある人は、私に石を投げることを許そう。


「そっかそっか。ありがとう。なら、タメでいかせてもらうよ。俺は祠堂透吾。君は?」

 

「私はーーー」

 

彼女はーーー

 

「ウェデリアよ。よろしくね。」

 

(UMP45だ)

 

 

 

んっ???

「…………ウェデリアか、よろしく。」

 

 

「よろしくね〜、トーゴ。」

 

名前を呼ばれた。推しに、名前を呼ばれた!!

アプリだと指揮官としか呼んでくれない(当たり前)彼女から、である。

天にも昇りそうな俺だったが、そう浮かれている訳にはいかなかった。

 

 

目の前の【彼女】は特殊部隊の隊長であるUMP45か?

それとも、ただ同じ見た目をしただけの同型の人形に過ぎないのか?

 

その疑念が胸を渦巻いているからだ。

 

もしも彼女が俺の知っている【UMP45】でないのなら何も問題はない。問題はそうであった場合だ。

 

ということで、問題があった場合を前提にしよう。彼女が45姉と同型の人形だっただけなら、疑ってかかった俺の心が痛むだけである。

 

 

「それにしても、今凄い溜めなかった?」

 

いきなり突っ込んできた…いや、それとも純粋な疑問か?

 

 

・・・彼女を45姉だったとして、その任務は(おそらく)お偉いさんであるリナさんの護衛、或いは不審者である俺の監視・排除だろう。

 

 

とりあえずここをサラッと流さないと。

45姉に殺されるのは理想の死に方ランキングの中でトップに入りそうな勢いだが、まだ死にたくないからな。

 

ここで考え込むのは、彼女がどっちだったとしても、不審に思われるだろう。

 

 

「ああ。引っ越してきた時に挨拶をして回ったはずだし、ここで暮らし始めて2週間くらい経ってるのに、ウェデリアに会ったのは初めてだからさ。

そんなに生活リズムが合わないこともあるのかなって。」

 

「なるほどね〜。私は時々、泊まり込みの仕事になることがあるから…会わないのも仕方ないわね。」

 

「へー、長期で泊まり込みの仕事かあ。どういうことをしてるんだ?」

 

「スクラップ漁りよ。放置された地区とか、軽度の汚染地区から使えそうな物資を回収するの。この前なんて、宝石屋の跡地から宝石を見つけることが出来たの!ラッキーだったわ。」

 

そう語る彼女は、裏の顔さえ考えなければ、嘘をついてるなんて少しも思えないような笑顔だった。

 

 

けれど。

ここにいるのは、なんの後ろ盾もない特殊小隊なんかの長をやっている人形、UMP45かもしれないのだ。

 

 

45姉の仕事が俺の監視だったとすると、あの時に出会わなかった彼女が俺の近くにいるのは、俺が【UMP45が404小隊の所属・隊長をしていることを知らない】前提であると考えられる。

 

……しかし、こちらは観測世界での知識なんていう訳の分からないもので個人情報も真っ青なプライバシーをぶち抜いているのである。

 

この世界がその通りだとは限らないが、404小隊との接触の時を思い返すに、【あんまり】外れてはいないはず。

 

 

つまり、あちらの想定とは違い、俺は【45姉が404小隊だと想定して行動できる。】

これは、明確な情報アドバンテージだろう。

 

 

 

そういえば、45姉の公式グッズとしてまな板が売られてたが。実物は……

 

 

 

チラリと目を向けると「どうかした?」とニコリ、笑い返してきた。

写真で見れば、可愛いのだろうが。

非常な圧を感じた。

笑顔とは、本来威嚇のための行動なのだという。

と、何処かで聞きかじった雑学を彷彿とさせるような、そんな笑顔だった。

 

 

 

「ああ。ちょっと前、ウェデリアに似た子に会ったことがあるのを思い出してさ。親戚だったりしない?」

 

「私には親戚なんて居ないよ。天涯孤独ってやつ。

それにしても、へぇー。女の子と話してる時に別の子のことを考えてたんだ〜。良くないよ、そういうの。」

 

9のことを引き合いに出してみたものの、サラッと誤魔化された。偽名を使ってくるくらいだし、それもそうなのだろう。

 

 

 

「そうだな。……答えにくいことを聞いてしまったり、色々とごめん。」

 

「別に大丈夫よ〜。気にしない、気にしない。今の世の中じゃ、ありふれた話だしさ。」

 

「ありふれた話だとしても、配慮に欠けたことに代わりはないからさ。悪いな。」

 

「トーゴって、変に真面目だね〜。そんなに畏まられてもこっちが困っちゃうわよ。」

 

 

緊張のあまり、ガッチガチに固くなってんぜ?

それもそうだろう、目の前に憧れの人(人形)がいるのだ。

 

 

さて、こういう時に謝罪を撤回するのもそれはそれで相手に悪い気がするので、軽いお詫びをして手打ちにしよう。ガバへの対処が走者の腕、はっきりわかんだね。

 

「そうか……あ、そうだ。ウェデリアは今時間はあるか?それと、もう朝食は取った?」

 

「時間は大丈夫よ〜。今日は休みだしね。

朝ごはん?まだだけど、それが?」

 

「なんだけど、朝食を作らせてはくれないか?

それでまあ、色々と手打ちにしてくれると助かるんだが。」

 

「え?」

 

 

さて、どう来るか。

 

 

彼女が45姉だとして、俺の身元を探るなどの指令を渡されているとしたら。

対象と話せる機会を逃したりはしないはず。

 

なんで俺にお薬だしたり(意味深)、肉体に聞きにかかったり(直球)しないのかは謎だが。

 

それはまあ、健康診断と同じ類の【穏便な調査】の一環なのだろう。

この2週間のうちに幾らでも仕掛けるタイミングはあっただろしな。

 

 

なら、こちらから情報を積極的に開示した方がいい。

 

古来より、尾を振る犬は叩かれず、ともいう。

 

相手方が俺なんかのどこにそんな興味を示しているか分からない現状、とりあえず全部おっぴろげて神妙に待とう。

 

 

 

 

 

……っていうか。45姉とご飯を食べたい。うだうだ言ったがぶっちゃけそれがメインである。

 

「それじゃ、お願いしてもいいかしら?」

 

「もちろん、こっちから誘ったんだからさ。」

 

 

 

ヨシ!!(チェックシート確認猫)

45姉とご飯だぁぁぁあああ!!!

 

 

 

…………

さて、俺の思惑通りに事が進んだ訳だが。

大事なことはただ1つ。

 

 

 

45姉(少なくとも、その同型機)が、俺の部屋に居る!!

 

 

 

ただそれだけである。

 

正直、生配信の時よりも緊張しているのが分かる。

俺の心臓の鼓動の音がうるさ過ぎて聞こえていないだろうか?

 

やばいよやばいよ〜!(出川)

 

こうなることが前もって分かってたら、もっと部屋を掃除しとくとか、いい感じのインテリアを買いに行っていただろう。

 

いま部屋にあるのは、扇風機・コタツ・机・やたらと充実したパソコン関連……しか、ない。

キッチンに行けば冷蔵庫もあるぞ!

こうなるなら、ペットロボットの1つでも買っておくべきだったろうか?

 

……とてもじゃないが、推しを招けるような状況ではない。

 

 

 

「今から料理作るからさ、そのクッションしかないけど、のんびりしててくれ。」

 

「ええ、どうも。」

 

 

ご飯に誘ったはいいものの、そんなに手先が器用な訳では無い。

男料理という名の雑味がうま味みたいな物しか作れないのである。

 

とりあえずスクランブルエッグかなと思い、殻がなく白身と黄身だけが個別包装で入っている人工卵を冷蔵庫から取り出す。

 

「そうだ、アレルギーとかはある?」

 

「ええ、ありがとう。私は人形だから、そういうのは大丈夫よ。」

 

「そっかそっか、了解。アレルギーがないなら、花粉症とかにもかからないのか?」

 

「人形のアレルギー?そんな話は聞いたことがないわね。」

 

「へ〜、便利なもんだな。」

 

 

雑談の合間に調理を進めていく。

と、その最中。

 

「トーゴって、ファミリーネームはシドーだったよね?」

 

「まあ……そうだね。」

 

 

 

「トーゴって引っ越してきたばかりだし、部屋にあんまり物がないのに、パソコン周りだけはヤケに充実しているのね?」

 

「趣味だからね、オンラインのとかよくするんだよ。」

 

 

 

 

「もうひとつ質問いいかしら?昨日、【話題】になった配信者の410。 知ってる?」

 

(カンのいいガキは嫌いだよ……)

 

 

「へえ…知らないな。俺の名字にそっくりな名前だ。」

 

「そうね、そっくりだわ。

 

 

……あら?このロゴの着いた帽子は、」

 

「それはっ……ー!!」

 

 

 

 

料理から気がそれ、彼女の方へ目を向けたその刹那。

ーーー俺は、敗北を悟った。

 

嵌められた。そう、彼女は帽子なんて持っちゃいない。

 

 

さっきのは、タダのカマかけだった。料理中というのもあったのだが、あっさりと引っかかってしまった……!!

 

 

これが、特殊部隊の小隊長の実力だと言うのかっ!?

勝てねぇ、勝てねえよ……

今の気分は、高校生に負けた特殊部隊の隊長と同じものだった。僕はヒロイン達の中だとおじさんが好きです(鉄の意志)

 

「それは〜?何かしら?帽子自体は持ってるのね〜。【シドー】さん?」

 

 

こちらをニヤニヤと嘲ってくる彼女。

猫じみた金の瞳を三日月のように湾曲させ、こちらを小馬鹿にしてくる彼女。

不思議なことに、敗北感の中で少し特別な感情を抱いてしまっていた。悔しい、でも感じちゃっ(略

 

とりあえず料理を作り終わったため持っていったのだが、散々からかわれた。

 

 

 

 

さて、食べ終わって直ぐに追い返すというのも申し訳ない(もっと45姉(仮)と一緒にいたい)ので、お茶を出すことにした。

 

とりあえず、紅茶を入れる。

女の子には紅茶を出すと相場が決まってるですわぞ〜!(お嬢様部)

 

 

俺は猫舌なのでアイスティーといきたいところだが、この時代になって合成になったとしても、ティーパックはやっぱり熱湯らしい。

 

いや、ただの紅茶じゃ気が引けるな……

合成ミルクに合成紅茶を入れた天然物一切不使用の人工ミルクティーにして……

それだけじゃありきたりだからもう一味変化が欲しい。

 

ネタ帳にあったアレを作ろう。

ミルクティーにこれまた人工ココアパウダーを振ったミルクティー・ショコラ。

ココアはバンホーテンのものを使用しているのかな?(自問痴呆)

 

 

「粗茶です。紅茶しかなかったけど、いいかな?」

 

「お気遣いどーも。あら、随分とオシャレなものを作ってくれたのね?……うん、味も良いわよ。」

 

「お褒めの言葉、恐悦至極です。お嬢様」

 

 

会話を交わしながら、俺は感動の海に溺れそうだった。この喜びを叫びとして体の外へ吐き出してしまいたいが、それは余りにも不審がすぎる。

立場的には不審者だとしても、実際に不審者にはなりたくないのである。俺は。

 

 

いや、だってさ。

推しが、俺の入れた紅茶を、飲んでいる。

好きな人の体内へ俺が作ったものが入っていき、その活動や体の元となるのだ。

何故かいつも弁当を作ってきてくれる系ツンデレ幼なじみの感情が理解出来た。え、ちょっと怖い?……怖くない、怖くないよ(NUSK)

 

 

朝ごはんの時はそんなこと考える余裕がなかったからな。今更、その感動に浸っているという訳だ。

 

 

 

 

「……?……お、おじようさ、ま!?わ、私が?え、え?きゃ、あつっ!?」ゴホッ、ゲホッ

 

 

 

 

???なんか目の前の特殊部隊長様(暫定)がパニクってらっしゃるぞ。人形もむせるのか……

 

今までの傾向からして、お嬢様ってのが効いたんだろうなあ

何でこんなに効いてるのかは分からないが。

ま、趣味は人それぞれだし、多少はね?

 

 

多分、これは偽物……というか、同型の別の人形だろうなあ。

あの45姉が、初対面の人間を相手にこんな感情を表に出すだろうか?いいや、出すまい(反語)

 

さっきのカマかけは、かなり手の込んだものだったが、これはこの型の人形のメンタルモデルに特有のものなのだろう。

 

そう考えると、気がだいぶ緩んだ。

や、いくら推しでもスパイ(ガチ)相手にしてたら怖いでしょ。

モンハンならティガレックス好きな俺だけど、もちろん現実じゃ会いたくないし。

 

この子は45ちゃんだな。ちゃんだちゃん。

45姉の筈がない。

 

 

そう。

分かったならば、やるべきことはただ1つ。

自分が元々そういう資質があったのか。

はたまたこの異常な環境が目覚めさせたのか。

俺は最近、ちょっとしたやばい趣味が出来てしまったのだ。

 

 

それは……

 

 

 

女の子をドキドキさせることである(精一杯のオブラート)

 

前世じゃ滅多な事じゃ見ないような美少女が、俺なんぞを相手に焦ったりテンパったりする場面をこちらに来てから何度も拝んだのだ。

ちょっとくらい趣味が歪んでも仕方ないね(ノンケの屑)

 

 

と、いうわけでだ。

むせている彼女の背後に回って、背中を優しく摩ってあげることにした。

 

 

 

後ろに回った際、髪の隙間から見えた白く艶めかしい首筋にドキリとする。

背中の美しいカーブに手をかけて、そのまま下ろす。同じように、ゆっくりと手をあげていく。

手触りが良すぎる……めちゃくちゃサラサラやんけ……それに、手から伝わる体温がちょっと高めで完璧だ。抱き枕にしたら凄い安眠出来そう

 

「どうされました?お嬢様。」

 

「そ、その……お、おじょう、さまって、何?」

 

「言葉通りの意味ですが?」

 

めちゃくちゃテンパっている上に、ただでさえ可愛らしいお顔を真っ赤にしている姿は大変可愛らしいものがある。

 

 

「なんで、急にそんなことを……それに、口調も、またかしこまってるし……」

 

「紅茶を飲むウェデリアが様になっているように見えてな。そんなにびっくりするとは思わなかった。ごめんな?」

 

「様になってるって、何よ〜……。それ……」

 

 

からかいは関係なく、事実としてラフな格好だとしても、紅茶を飲む45ちゃんは深窓の令嬢といった佇まいだったのだから。

部屋と食器が役不足(誤用)な感じが否めないが。

 

 

顔を近づける。背を撫でていたから、かなりの至近距離には元からいたのだが。

上半身を傾けて彼女の方へよっていく。

 

「な、何よ?」

 

 

もっと、もう少し近づく。彼女からフワリと広がる甘い香りが強くなる。

 

「ねえ、なんなの?ちょっと、何か言ってよ……」

 

 

互いの距離は、既にお互いの息がかかるような距離だ。

 

「あの、ね、ねえ?どうしたの?」

 

 

一旦、止まる。彼女の顔を見つめる。人工物だからだろうか。シミひとつ、荒れひとつない美しい顔が視界いっぱいに広がっている。語彙がないため言葉には出来ないものの、人間離れした美しさだ。

 

先程はイタズラに歪んでいた瞳も、今では気恥しさからか挙動不審に揺れ動いている。

 

 

「う。あの、ちょっと。ね、ねえ。」

 

 

 

 

「ウェデリアは美人だしさ。姿勢もいいから、紅茶を飲んでるとお嬢様みたいだなって。」

 

 

 

ドタンッ!!ガシャン!!パリン!!「ひうっ!!」

 

なんの音か、お分かりだろうか。

45ちゃんが、俺からダッシュで逃げ出して道中にあった机とコップをなぎ倒して行った音である。

彼女はまるで猫のように俺の対角まで逃げてしまい、こちらの様子を伺っていた。

 

……効果は バツグンだ !!

 

顔マッカォな45ちゃんマジかわいいな。

 

 

「こ、こんな厳つい私が?び、美人?さ、流石にその冗談は笑えないんだけど……」

 

「いや、本心だが?」

 

「え、その、でも……私、見てわかると思うけど、労働用の人形だから、ゴツく作られてるし……お嬢様なんて、そんな……」

 

労働用だからゴツく作られている?

 

 

……あー、確かに肉体労働を任せる人形はゴリゴリに作るよな。

ターミネーターとか筋肉モリモリマッチョマンの変態だし。

 

とはいえ、俺からしたら本当に45ちゃん……というか、ウェデリアちゃんは可愛い。それこそ文字通り、【人形】にしか見えない。

 

 

そういえば、人類種が違うんだった。そこら辺の美的感覚は違うのかもしれない。

俺、イケメンすぎるゴリラ以外もだいたいイケメンに見える。

いや、フクロウの美醜とかは分からなくても、全部可愛く見えることの方が感覚としては近いのか?

 

ふむ。この世界の感覚からしたら道行く人は美人ばかりじゃないのかもしれないのか。またひとつ賢くなってしまった。

 

 

が、そんなことはどうでもいい。

 

「背筋を伸ばしながら紅茶を飲む仕草、俺にとっては1番可愛らしく見えるよ。」

 

だって、俺にとっては可愛い人形にしか見えないのだから。

 

 

 

「お、お、お……」

 

 

 

お?

 

「おじゃましまひたっ!!」

 

 

ドアまで爆速で逃げられた。

 

後に残されたのは俺と、机が吹き飛びコップの倒れ、嵐の過ぎ去ったあとのような部屋だけだった。

 

最初はああ思ったものの、物が少なくて良かったか……

 

 

どこかの薄暗い路地裏にて。壊れた通信機が最後に送信した音声データ。

 

・もしもし。こちら【リンクス】、聞こえてる?

【任務】の方は順調よ。【対象】と接触したわ。

こちらに不信感も持っていないみたい。まったく、呑気なものね。

 

・こちら【ジェロニモ】。随分と可愛い悲鳴だったじゃない?隊長様。いえ、お嬢様の方がいいかしら?……なんで私のコードネームはこんなのなのよ…(ボソッ)

 

・こちら、【レーヴェ】!リンクス姉はやっぱり可愛いねぇ〜!

 

ミシミシ

 

・ ……ん?なにぃ〜?あ、【カッツェ】だ。

おはようぅ……ここに居るのは珍しいね……。

どうしたの?え……そんなこと言ったら怒られちゃうよ〜。大丈夫?保証する?責任持ってくれる?

え、ラズベリーアイスもくれるの?……わかった、伝えるね……。 (ゴニョゴニョ)

 

 

こちら【ベルーガ】、お嬢様にお伝えしたいことがあります。

「……お嬢様が大変立派に育ってくださり、私としては歓喜の涙を偲ぶのに精一杯で御座います。これからも尚いっそう、お嬢様が淑女として活躍なさることを、私は心のそこからお祈り申し上げていますよ。」

バキッ!!

 

・あっはっはっ!ありがとう、ベルーガ。

こちらカッツェ。まさか、あの泣き虫の4グシャッ!!

……が……お嬢……

……………




最後に通信していた5人組は、いったいどこの誰なんだー!!??
コードネームは趣味が6割、ちゃんとした意味も4割くらいありをりはべり。

次回【実況者410、暁に死す】デュエルスタンバイ!!
久々の放送回です(タイトル回収)

UAがなんかいきなり3倍の1万くらいになっていて、オッパげた!!まさかそんなに読んでいただけたとは……感謝の極みです!!
本当にありがとうございます!


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幕間小話 UA1万回感謝短編
原案という名の学パロ「目が覚めたら知り合いが美少女に置き換わっていた件について」


ユニークアクセス1万回記念(既に2万超えた模様。ありがとうございます!)の方が先に書けたので、投下させていただきます。
最初はこういった学パロめいた感じでやるつもりでした。

舞台は高校なので、410くんのテンションはちょっと高いし口調が気安いです。

それでは、ご覧下さい。


「『ふわぁ〜、昨日の配信はドン勝に拘りすぎた……今日は【活動】もあるのに調子に乗り過ぎたわ。

まだバチバチに眠いわ…………こんなんじゃ授業中に寝ちゃう。ぴえん爆笑』っと。」

 

 

陰の者から絶大な支持を誇る我らがSNS、【呟いったー】にそう呟きながら通学路を1人歩いている俺。イケメンなカリスマ超絶人気高校生の実況者、祠堂透吾だ。

 

 

はい嘘ー!!!

(Photoshopで【あくうせつだん】すると)イケメンなカリスマ超絶人気(配信者な歳の近い叔父の動画に偶に出演する)高校生の実況者(になりたい)祠堂透吾です。

大学生になったらバイトして機材買って俺も配信者になってやる。目指せ配信マスター!!

 

昨日はみんな大好きバトロイもののアプリで、【ビクロイするまで眠れま10】とかいう叔父の企画に出演したのだ。

親戚とはいえ、プロの仕事をタダで見るどころか出演・指導まで受けることの出来る貴重な機会であり、出ることになった。

 

将来の夢のためにも。

 

 

とはいえ、ビクロイの道は果てしない。特に、ゲームが特に上手いとはいえない叔父との協力となると、だ。

 

二重争(デュオ)イベントという、コンビで挑む特殊な大会に参加していたのだが……叔父の腕故に非常に苦戦を強いられた。

 

朝の4時までそれは続き、いい加減に寝たい俺が叔父を延々と囮にして片っ端から撃ち殺してゲームセットに持ち込んだ。

あの時の俺は、某バトロワの神をも悪魔をも上回る力を得ていたに違いない。スプラしてたら15キルとかしてるレベル。

 

 

さて、その反動で動けない体を無理やり引きずり学校に向かっているわけだが、さっきからほとほと違和感を感じている。

 

 

 

 

それは…いや〜……なんかさ、うちの学校はこんなに女子、というか美少女多かったっけ?というものである。

 

我らが母校、【私立鷲獅子学園】は指定のワイシャツさえ着ていれば、ブレザーだろうがセーラーだろうがネクタイだろうが、挙句の果てにはパーカーだろうが自由というとんでもない規則の学校なのだが、女子生徒の数は少なかったはずなのだ。

 

しかし、通学路を歩いていると、我が校のワイシャツを着た女子、女子、女子、女子!!

しかし、その誰にも、見覚えがない。

そしてこれが一番大事なのだが、何故かみんな美少女!やったぜ。

 

 

まさか、大量に転入生が来たとか?現実、それくらいしか思いつかん。寝不足なら尚更だ。

もしこのレベルの転校生が大量に来てたら、みんな涙を流して喜ぶだろう。特に運命の出会いを求めてるガバの奴とかな。

 

重くダルい頭を何とか背骨で支えながら、体を前へと進めていく。

これで放課後に【活動】するのはきついっすね……やばいっすよ!やっばーい!!(RD)

 

 

 

「トーゴ、おっはよー!」

ファッ!?ビックリした。見知らぬ誰かの声と共に背中を叩かれる。

頭がガンガンと揺さぶられた。振り向く。

 

「……」

「な、何よ。そんなにジーッと見て…照れるからやめてって言ったでしょ…」

 

そこには、緑がかった銀髪ツインテールの美少女がいた。しかも、その胸はあまりにも規格外すぎた!

おお、読者よ見よ!!ゴウランガ!ワッショイ!!カラダニキヲツケテネ!!!興奮した地の文の口から、思わずヘッズめいた乱癡気なコトダマが飛び出す!!

 

一目見ただけでフジサンと見紛う、或いは威圧感すら伴う大きく膨らんだ美少女の夢に触れたら、それだけで実際キンボシ・オオキイだ!

 

今ツンデレみたいな発言してなかった?いや、これだけの容姿なら許されることではあるが。

 

だがしかし

 

「誰?」

「えっ、私のことを忘れちゃったの?まさかの記憶喪失?そういう悪戯?」

「えっ?俺の記憶にあんたみたいな美少女は居ないが」

「えっ……い、いま、なんて?」

「俺の記憶にあんたみたいな奴は居ないけど。」

「いや、それも気になるんだけど。私の事、なんて言ったの?」

「美少女」

 

「えっ」

「えっ」

 

これだけの美貌なら言われ慣れてると思ったが、慣れてないのだろうか。固まってしまった。

本当に誰だこいつ…?

 

同学年どころか、学校全体、いや地元で知られててもおかしくない容姿とお胸である。

 

 

「トーゴとウージーが仲良いのは知ってたけど、通学路で朝からイチャつくことある〜?」

「いいいい、いちゃついてなんかないわよ!イクイク!!」

 

 

後ろから、再び可愛らしい女の子の声が掛けられる。ちょっと期待を持ちつつ振り返ると、やはり美少女。

金髪のロングヘアーを流した、小柄で赤い目の少女が立っていた。…………って、まじ?

思わず、銀髪ツインテールの女の子の方へ質問する。

 

 

「え、お前って牛居なの?お前いつから美少女になった?」

「びっ、美少女!?って、何よその褒めてるのか貶してるのかよく分からない言い方!前からこの顔よ!!」

 

 

俺の記憶の中の牛居は美少女でもないどころか、まず女の子ですらなかった。牛居は……あれ、どんなやつだったっけ?

あだ名がウージーだったことは覚えてるんだけど、それ以外は思い出すことが出来ない。

 

その発言から考えると、まさかこの金髪ロングの美少女は…?

「もしかして、イッキュー?」

 

「ボクはイクミだけど……どうしたの?」

 

 

ボクっ娘!?!?!?馬鹿な、絶滅したはずじゃ……何故かウージーに続き美少女化したイッキューは、男だった時と同様に属性が山盛りのようだ。

 

名前は確か……郁海(イクミ)・ブローニング・育江(イクエ)、特技は茶華道で好きな番組は徹子の部屋なハーフだったはず。その名前からイクイクやイッキューとか呼ばれていた。アプリの名前はだいたい1919M。ちょっと卑猥だよね。

 

 

まさか、俺の友人がみんな美少女になってしまった……?

いやいや、まさかそんなことあるわけないだろ。寝不足で頭がバグってるだけだ。

授業中にちゃんと寝れば治ってるかな!

 

 

 

 

「祠堂、授業中に眠るな!!」

 

 

ダメでした!!二重の意味で。アッー!!とんでもない激痛が走る。

強かに足を打ち付けられた痛みで目を覚ました。

 

顔を上げると目の前には、黒いロングヘアーをバラつかせ、ピッチリとしたスーツを着こなし、杖を握っている女性の姿が。特徴的な前髪には、青いメッシュが入れられている。

 

 

今の時間は英語である。ってことは……「返事は?」

「はっ、はい!寝ていてごめんなさい!!」

 

 

いや、性別が変わっていても、この厳しさが変わることは無い。1発でわかった。くっっっっそ!厳しい!!!我らが誇る英語教員、「ジェリコ先生」である。

 

お、ジェリコ先生も名前まで覚えてるな。

ジェリコ先生は最初の授業の自己紹介の際に、シンジ・エリコミとやたらとネイティブに発音をしたことから「ジェリコ先生」となったはず。

 

相変わらず、それくらいしか思い出せないが概ねの性格は変わってないのだろう。変わっていないということは、だ。

 

 

「授業中にも関わらず、キチンと休憩を取ったことだ。祠堂、やる気十分あるな?」

「は、はい。」

「よろしい。それでは、p45の全英文の音読を頼む。」

「分かりました。」

 

 

これだ、ジェリコ先生は非常に厳しい。信賞必罰の具現であり、生徒に対して公正明大・至公至平なお方ではあるのだが、そこに甘さは全くない。

 

とはいえ、非常に生徒思いであり、相談にはキチンと乗ってくれるのだが……こと、授業となると話は別。途端に鬼教官と化すのだ。やんなるね。

 

かつて音読を拒否した勇者が1人居たが、とんでもない量の課題でメンタルをバキバキにやられていた…。うーん、この。

 

 

「……はい、よく出来ました。席についてください。次は気をつけるように。」

「はーい。」

 

 

 

そんなこんなで、生徒どころではなく先生も入れ替わっていることに気づいた午前の授業は終わり。

昼休みとなった。

 

 

「ってわけで、目が覚めたら周りが美少女揃いになってたんだけど俺の頭がおかくなっちゃったかな?わーちゃん。」

 

「あんたの頭がおかしいのは前々からでしょ。」

 

俺はベストフレンドフォーエバー(永遠かは知らん)のわーちゃんとだべりながら弁当をつついていた。

 

わーちゃんとは入学してきた時に隣の席であって、自己紹介が終わった後に話しかけたら「名前で呼ばないでくれ!」とファーストコンタクトでキレてきた強者である。

だからあだ名を付けた。本名は忘れた。そんな友達。

 

 

「はー、流石わーちゃん。安定感抜群っすね。美少女になってもいつも通りのままで安心するわほんと。」

 

「何よそれ、バカにしてんの?」

 

「いや、褒めてる。さすがは俺のベストマイフレンド。やっぱり話してて1番楽だね。」

 

「は!?……俺のとマイで被ってるじゃないの。そんなんだからジェリコ先生に絞られたんじゃない?」

 

 

わーちゃんはツンデレである。ウージーも結構なツンデレキャラだが、あいつはデレ要素が強い。その点、わーちゃんはツン要素も中々にあるので刺激的だ。

 

「それもそうだな。それはそれとして顔が赤くないかわーちゃん?」

 

「こっ……これは、その……太陽光の散乱と屈折よ!」

 

「それさっきの化学でやったやつじゃん。夕日が赤い理由。ま、覚えたての言葉使うの楽しいよな、分かるぜ。」

 

「…………!!」

 

「相変わらずのツンデレっぷりで安心したわ。わーちゃんといると安心できるぜ。美少女になっても親友でいような。」

 

「…………!!」

 

「さっきと違う理由で顔が赤くなってるのは分かるぞ。じゃ、俺購買でシーソルトアイス買ってくるから。」

 

 

わーちゃんが照れ屋でツンデレなのも変わっていない、と。なるほど。大元の性格は変わらないと言う俺の理論は間違っていないようだ。ちなみに、こっちのわーちゃんはお胸の大きな赤髪ロングだった。

ちょっとロングヘアー多くない…?

 

そうなると問題は放課後だな……今日は、【活動日】だし。

さて、一日が終わり、恐怖の……というか、いつもなら天国な時間がやってきた。

 

 

それは……俺のメインな趣味である【サバゲー活動】だ!!

俺は趣味でサバゲーをしており、今日はそのマッチの日だった。

 

学生オンリーという、需要があるんだかないんだかよく分からんイベントなのだが、割と根強い人気を誇っているのが不思議だ。

 

俺は特定のチームには属さず、その場の流れとノリと雰囲気と人数差を見てやっている。

 

 

その中で、俺が特に仲の良いチームが2つ。

 

名前の通り、AR-15系列の銃で統一された四人兄弟のグループ【AR小隊】。血はみんな繋がってるとか一部繋がって無いとか前にふわっと聞いた。複雑な家庭なのね。

 

と、

 

オカンいいんちょ・ねぼすけ・要領のいい猫かぶり・猫かぶりの弟で天真爛漫陽キャイケメンモテモテ彼女はいないいつもニコニコ性格天使コミュ強モンスターの謎メングループ【404】だ。綾野剛と星野源主演のドラマみたいな名前してんなおまえら。

 

 

学生オンリーなのを考慮してプライバシー保護の観点から、皆サバゲーハウスではあだ名で呼ぶようにしている。

2チーム…というか、そこでは大体の人は愛用している銃で呼ばれている。俺?俺は配信者(見習いの)410として自己紹介したから、シドーと呼ばれている。

 

 

そう。この人たちが女の子になっていたら非常に困る。なんでかって?(女の子を銃で撃ちたくは)ないです。

 

心の中の男女平等パンツァーが男女等しく撃ち殺せ!!と叫んでいるが、それは俺には難しい。少なくとも、咄嗟の判断に遅れが出るだろう。

 

それは、相手に失礼に当たる行為であるし、俺自身、せっかく参加したいなら長く生き残りたいし多くの敵を倒したい。

だから、今はあまり参加したくないが、この気を逃すとテストやらなんやらで2月は無理そうなのだ!

 

 

そんなことを考えていると、あっという間にサバゲーハウス【グリフィン&クルーガー】についてしまった。

ええい、ままよ!入らなければどうにもならない!!のは分かって居るが、決心がつかずに扉に手をかけたまま悩むこと数分。

 

深呼吸を何度も挟み、扉をいざ開けん!としたその時。

 

「おいおい、なんでそんなとこでボーッと突っ立ってんだ?大丈夫かい?」

ガーンだな、出鼻をくじかれた。

 

そう、横から声をかけられる。ニヤニヤしながら言ってきたのは、片目を眼帯で覆った少女。長い黒髪を後ろで編み込んでいる、金のメッシュのこいつは誰だ?

 

いや、今までの傾向から考えろ。雰囲気は微かに残っているはず。…………ヨシ!!!

 

「その距離感がかなり近くやたらと人を弟分扱いしおちょくってこようとするが、根底にある優しさから結局のところ悪戯一辺倒になりきれずそれとなくカバーしてしまう性格!さてはそこな美少女、貴様はM16だな!?」

「ひょえっ!」

 

会ってわかった。見てくれこそ美少女になったものの、根本的な人格はあまり変わっていないように感じるし、気安く接することが出来る。

なら、話は簡単だ。俺はいつも通りにやれる。

 

「気が楽になったわ。ありがとなM16。じゃ、先入ってるぞ。」

そう、一声かけてから中に入る。

「」

彼女は固まってしまったようで、返事はない。沈黙は肯定、はっきりわかんだね。

 

 

 

扉を開け、店に入る。壁一面にズラっと並べられた銃、銃、銃。これを見るといつもの場所に来たって感じがする。テーマパークに来たみたいだ。テンション上がるな〜〜!!!

 

さて、プレイスペースの方へ向かうとしよう。

プレイスペースの準備室に繋がる扉を開ける。

中に入るなり、大声で争っている声が聞こえてきた。

 

 

「そ、そんなことないわ!シドーさんはこっちのチームに入ってくれます!!」

「へ〜?随分と自信があるのね、隊長さん?でも、今日は私たちしかいないのよ?彼がどっちに入るかなんて分からないじゃない?」

「シドーは私たちと一緒に戦ってくれるもん!」

「えー、シドーと私たちは家族だよ?こっちに入ってくれるって!」

 

黒髪ロングヘアー&銀髪ロングヘアー(どっちもメッシュ入りペア)VSブラウングレーのロングヘアー&茶髪のロングヘアー(胸囲の格差社会ペア)が何やら言い争っているのと、それを傍目にのんびりとしているグループだ。

え、何だこの連中。やっぱりロングヘアー率めちゃくちゃ高くない……?

 

 

「……正直どっちでもいい。ねえ416、寝てもいい?」

「始まるまでは寝ててもいいわ。」

「ありがとぉ…、416。……あ、枕になってくれない?」

「嫌に決まってるでしょ。アンタには地べたがお似合いよ。」

 

「あなた達はいつも仲良さそうね。416にG11」

 

「え、そう?だってよ416。だから枕になって。」

「何度頼まれてもお断りよ。AR-15も煽るのはやめて!」

 

 

お互い名前を呼びあってるから誰が誰かは分かった。確かに、面影というか原型というか……そう、雰囲気(アトモスフィア)に似通ったところがある。

 

俺は、思わず、呟いた。

「目が覚めたら知り合いが美少女に置き換わっていた件」




という感じを想定していました。
が、学校パートで銃っぽいあだ名をつけるのを考えるのが1話でもかなり難しかったのと、元々男だったのを知っているとちょっと微妙……微妙な感じしない?という作者の偏見でポシャリました。

でも高校生410くんのテンションの方が書きやすいのはままある。
ほんへ410くんは環境故に疑心暗鬼だから仕方ないね?

明日もアクセス数1万回記念の短編
【IF もしもシドーくんがあの場所で目覚めたら】です。
それはそれとして、2日連続外伝で本当に申し訳ない(無能)

これには理由がありまして、最新話の所に最新話を配置する都合上、外伝は纏まってる方が読みやすいかな。と考えた次第であります。

許してください!!
なんでもしてくれそうな人形ちゃん……思いつかないけど、多分その子が何でもしますから!!


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If もしもシドーくんがあの場所で目覚めたら

アクセス数1万越え感謝記念Part2!!本当にありがとうございます!!
ほんへのシドーくんにもまつわる、ある秘密が大公開!
とはいえ、本編でその設定が背景以外に使われることはありません!



泡が浮かんでいく音だけが俺の頭を木霊している。

 

「バイタル、安定しています。」

「ふむ、プロトコルをεからβへ変更。濃度はそのままで。」

 

 

……なんだ?周りから声が聞こえる。

オレは……いったい……

 

 

「演算処理機能に変化が見られます。思考活動を開始したようです。」

「よし、このままプロトコルβを続行。培養液は保全濃度から活性濃度にまで上昇させて。」

「了解しました」

 

 

なんだ?演算?処理?培養液?

そういえば、なんだか体が重い様な気がする……

 

うっすらと目を開け……られない。まぶたを糊づけでもされてしまったかのように、瞳を開くことが出来ない。

 

 

「対象、更に演算処理機能部が活性化!機能回復の目処が立ちました!!」

「うんうん。いい傾向だ。それじゃあ、ここからは濃度を少しずつ上げて様子を見よう。」

「了解です!」

「言われずとも分かってると思うけど、酸素濃度はそのままでね?」

「あっ」

「えっ」

 

 

えっ……

 

ごぼっ!!あれ?息が…息が出来ない!

 

やばいやばいやばいやばいやばい!!体を動かそうとする、少し重い気がするが、そんなことに構ってられない。

全力で走り出そうとして、俺は…目の前のガラスへと激突した。

正面からぶつかったため、鼻に強い衝撃が走った。

 

目がチカチカする……うう…なんでこんな、ことに……

待てよ、目が?目を開ける。目の前の風景全てがボヤけている。が、俺の目が悪いのではない。

 

なんと、俺は謎の緑がかった液体の中に漂っていたのだ!如何にも悪のマッドサイエンティストの本拠地でキメラとか浮いていそうなシリンジの中に、俺は居た。

 

 

その目線の先には、2人の女性の姿が。

矢も盾もたまらずガラスの壁を叩きまくる!ヘルプミー!!ヘルプミー!!

1人の女の人が、叩き壊さん勢いで手元の機械のボタンを押す。

すると、ガラスが徐々に解放されていき……!!

 

 

 

 

空気だ!助かった!!荒い呼吸を沈めにかかる。

ヒッヒッフーヒッヒッフー…3分吸ってー、3分吐いてー

ヨシ!!

 

 

何とか落ち着きながら顔をあげると、「けもみみ?」

なんか、ケモ耳をつけた、マッドサイエンティストみたいな人が、目の前にいた。え、ケモ耳?

 

訝しがっている俺へ何かを言おうとしたのだろう、そのケモ耳サイエンティストが口を開いたその時……「なっ、何してるのペルシカ!?」

 

プシューという煙を吐くような、おそらくこの近未来施設の扉が開かれたのであろう音と誰かの驚く声。そして飛んできた、何か。

よほど射手の腕が良いのだろう。それは2人の女性の脳天を、的確に穿った!

 

 

「おー。やっぱりM4も隊長だな!やる時はやるもんだ。」

「今の早撃ち凄かったね〜!あはは、ペルシカのされちゃってるよ。助手さんも。」

 

「3人とも、そんなことよりもこの男性に話を聞くべきじゃない?」

 

「そーだね!ね、貴方の名前は?」

 

銀髪のとんでもない美少女がこちらの顔を覗き込んできた。

銀髪に赤いメッシュを入れた、おそらく人生で1度も話したことがないであろうレベルの美少女からの問いへ、どぎまぎしながら返事をしようとする。

 

 

しかし……思い出せない?俺の、名前は?なんだっけ?家族は居たか?友人は居たか?恋人は居たか?

どうやって育った?どこで育った?全て、分からない。

 

だが今の俺にとってそれよりも大事なことがあった。

 

「あの、服とかありませんかね?」

 

俺が全裸だということだ。女性の前で全裸、これはお互いにとって非常に宜しくない。

とりあえず、何か着たい。

 

 

「えっ!あ、す…すすす、すみません!」

「うーん……研究室だし、替えの白衣とかないのかな?」

「あったわ!替えの白衣よ!!」

「AR-15、でかした!!とりあえず、これを着てくれ。」

 

「ありがとう、ございます。」

 

 

頭の中で疑問が答えを求めてグルグルしている。

まず、ここはどこか?俺の記憶はどうした?何だこのちょっと見覚えのある武装美少女連中は?研究者の目的は?etcetc……

 

とはいえ、俺から口を開くにはちょっと状況が不明すぎる。このどことなく見覚えのある武装美少女たちは俺の存在自体を知らなかったっぽいし、彼女たちから時折、チラチラと視線を感じるため居心地が悪い。

 

 

緑の子はこちらをチラチラと気にしており、青い子はあまり気にしていないのかズッシリと構えている。赤い子は興味深そうにこちらをガン見しているものの、この妙な空気を感じているのか話しかけようとはしてこない。

黄色い子は……この空間をツマミに酒を飲んでいる。何だこの空間。やばいよやばいよ〜〜!!

 

 

今倒れている研究者たちが起き上がるまで待つしかないか……

 

 

 

 

(10分後)

「はぁ、酷い目にあったよ。」

そう語り出すのはこれまた見覚えのあるケモ耳の研究者。

 

「まさかいきなり撃たれるとはね。私が男性用プログラムにでも引っかかったかな、M4?」

「だ、だって裸の男の人が倒れてて……そこでペルシカがいたから…その、危ないって……警告が…」

「ふふ。まあ、構わないよ。さて、君。なんて呼べばいいかな?」

「すみません。実は、記憶が無いので、なんと言ったらいいか……」

「記憶が無い、か。ちょっと待っててね。」

 

 

部屋から研究者っぽい人が出ていってしまった。また、あの気まずい空間に逆戻りか?

 

「あーっと、そういえばさ。」

緑メッシュの彼女に話しかける。

 

「は、はい……」

 

「方法が方法とはいえ、俺を助けようとしてくれたんだろ?ありがとうね。」

 

「いえ……気にしないで、ください。」

 

「え、えっと…そ、そっか。」

 

気まずっ!!これを切っ掛けに話そうと思ってたのに、まさかここまで物静かな子だったとは。

さっきのやり取りを見るに、知り合いとか内心はテンション高そうなものだが……

 

「あの、服を持ってきてくれて、ありがとうございます。」

 

諦めるな!とりあえず青いメッシュのピンク髪の少女にも話しかけてみよう。

 

「お礼はいいわ、当然のことをしただけだもの。」

 

「アッハイ。」

 

 

が、ダメっ!!

 

どーすっべどーすっべ、早く帰ってきてくれ!ケモ耳研究者!!

 

 

プシューという気の抜けた音と共に扉が開き、ケモ耳研究者さんが帰ってきた!ナイスタイミング!!

 

「さて、記憶喪失者くん。これは多分君の持ち物だと思うんだけど、記憶にあるかな?」

 

そう言って差し出されたのは、使い込まれたあとのあるリュック。

 

「あけてみても?」

「ええ、どうぞ。」

 

中を確認してみると、プロテインバーが9本に未開封の水の500ミリペットボトル、あとは教科書にノート、筆記用具、財布、身分証など、一般的に持ち歩いてそうなものばかりだ。

 

それと……何か変なノートがひとつ。

 

ん?身分証!?とりあえず、身分証を確認する。

「祠堂 透吾、それが俺の名前か。」

 

しっくり来た。うん、これが俺の名前なんだろう。

それ以外では、変なノートを確認した際に配信者だったことを思い出せただけであり、特にわかることはなかった。

 

 

「うーん……多分、これは僕の持ち物だと思います。名前もしっくりきますし、自分のかと。あと、配信ノートも自分のものですね。」

 

「ふーん。なるほど。……ねえ、君。そのノートに書かれていた配信者っていうのは、ネットを用いた個人で行う宣伝者ってことでいいのよね?」

 

「ええ、そうですね。」

それはそうだが、どうしたと言うんだろうか。

 

「君は今、記憶もない、仕事もない。そして何より、身分もないんだ。そこでひとつ。美味い話を紹介してあげようと思ってね。」

 

「え!なんでしょう?とりあえず、話だけでも聞かせていただけませんか?」

 

美味い話?この状況からどんな話が出てくるんだ?

自分に何も無いなんて言われずともわかっているし、そんな人間が美味い話にありつけるほど世の中は優しくない。実験体になる代わりに、とかか?

 

 

 

「君にはね、私たちI.O.Pの宣伝を行って欲しいの。公式配信者としてね。」

 

「はい?」

 

「もちろん、開始前にテストは行わせてもらうよ。けど、それに合格したら君は晴れて仕事と身分を手に入れられる。戸籍に関しても、此方で用意する準備があるわ。」

 

「こっ、こここここ!こうしき!?企業の?公式?これは夢?それに戸籍まで!?」

 

「君には幸いなことに、夢でも幻でもないよ。さて、受けてくれるかな?」

 

 

……ええい、こうなっては仕方がない!他に生きていくための方法も分からないし、ここは取り敢えず話を受けよう。更に言うなら、もしも本当に公式配信者になれたら……!!

 

「勿論です。よろしくお願いします。あの、本当にありがとうございます!」

「お願いしてるのはこちらだよ。受けてくれてありがとうね。」

 

 

話がひと段落したところで、一人の女性が入ってくる。

「あの、博士〜。お話中にすみません。タブレットの解析が終わったらしく、念の為に持ってきました。」

 

「そっか。ありがとう助手君。

とりあえず君、これも君のものだと思うんだけど、どうかな?」

 

「ありがとうございます。見てみますね」

 

指紋認証は無事クリアーされた。これが無理だったら、パスワードを忘れている俺には開けられなくなるところだった。

やっぱり俺の物のようだ。

中を見直してみる。写真や連絡先を見ても記憶が戻ることは無い。

しかし、ひとつのアプリに目が止まった。

 

「あ、ドルフロじゃん。」

 

 

 

思いっ出した!綴る!!(WorldBreak)

ドールズフロントライン。俺の好きなアプリであり、内容は思い出せないが、キャラは思い出した。

あれ?もしかして今の状況って……?

いやいやいや、有り得ないだろう。

 

頭に浮かんだ疑問を否定するために、周りを見渡してみる。

 

 

黒髪ロングに緑のひと房。2人いる俺の誓約相手の一人。主人公であるM4A1。

ピンクがかった銀髪に青いライン。何故か社名を偽るコルト(社名)という名のST(社名)-AR15。

銀髪に鮮血の一筋。明日な方舟にそっくりさん(元デザ)が居るM4 sopmod2。

眼帯に編まれた黒髪。ひとつ光る黄色い筋が特徴の超有名銃M16。

ケモ耳研究者ことペルシカリア。

 

あっ、ふーん。(察し)そういうことか、完全に理解した(してない)

 

衝撃の真実を見抜いてしまい、正気度判定或いはショックをぶちかまされた俺の意識は、再び遠ざかって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこはパソコンの明かりしか光のない、真っ暗に染まった研究室。1人の研究者が、自らの好奇心を満たすための計画を練っていた。

 

 

まさかこの施設で如何なる手段を用いても、解析できないタブレット機器を持ってるとは。本当に君はなんなんだい?

興味深いよ。

「【人形くん】、君はいったい何を見せてくれるのかな?」

何故、ここまで人に似せられている?

何故、ここまで精巧な中身であるにも関わらず…………

ああ、本当に興味深い。

 

 

そういってその研究者は、泥水のごときコーヒーを飲み込み。再びキーボードとアルファベットの群れへと意識を傾けた。







シドーくんの設定は外伝・ほんへ共に変えるつもりはありません。

高校生の時のシドーくんにはウージーやイクイク・わーちゃんなどの友人(美少女ではない)が居ましたし、叔父さんはイケメンカリスマ配信者です。
そして、ほんへでもこちらでも「人形くん」です。

えっ、言葉の意味?読んで字のごとくっすかね。
とはいえ、本編にはそういった要素は関係しませんし、回収するつもりはありません。

このお話は人形ちゃんと気楽にイチャつくのが目的で、シリアスとか難しい話とか立ち塞がる困難とかはある誰か(個人)がご都合主義、或いはデウス・エクス・マキナ的に回収・解決していきます。

オリキャラを出来るだけ出したくないため、ほぼ全ての負担をそいつや出来そうな原作キャラに全て投げ渡します。シドーくんは配信だけ、しよう!!

ただし、世界観的にはシドーくんに都合よく住居や金や戸籍が用意された理由がちゃんとあります。ほんへでもシドーくんは「人形くん」なので、家とか金とか戸籍とか全部用意されました。


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配信2回目【死にゲー実況編】
第11話 実況者410、暁に死す


(戦闘描写書くのは人生で)初めてだから、(批評は)優しく…してね?
410君の実況2回目になります。

新しい人形ちゃんを2人出しますが、今日も今日とて趣味全開の選出です。
着いてこれるやつだけ着いてこい!!

丸太は持ったな?
扱いづらいパーツって話だが、丸太が負けるわけねえだろ!
行くぞおおぉぉおおお!!!


ズブリ。

薄らと血に濡れ、幾度となく煌めいた白刃が、とうとう自らの前で踊り、逃げ回る獲物へと食いついた。

 

哀れな獲物は、思わず顔を自分の腹へと目を向ける。彼には、焼きごてのように紅く、赫く熱された槍が突き刺さり、周辺の肉を焼いているのが目に映っただろう。

 

肉が焼いた時のような、どこか香ばしい臭いがしないのは不幸中の幸いと言えるかもしれない。

が、しかし。

 

それに動揺してしまったのは疑いようがない。

この死闘の最中に、集中が切れてしまったのは……文字通りの致命傷と化した。

 

 

 

 

ーーー腹へと突き刺された槍が引き抜かれるのを、辛うじて感じた。

そこから来る吐き気を抑えこみ、無理やり目の前の相手を睨みつける。

走馬灯の1種、とでもいうのだろうか。高速でこちらへと迫ってくる槍の先端が、ゆっくりと大きくなっていくのが目に映り…………

 

 

 

 

 

 

 

俺の頭部を、穿いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー!!またやられてしまいました!!

【無辜の守り手 バースティト】強すぎない?何度死んだの俺?第2形態にすら辿り着いてないよ?これが最初のボスとか会社テストプレイしてないだろ!!」

 

 

そう。俺は今、実況中である。

実況しているソフトは【The DREAM Quest】

名前の通り、ファンタジー世界を舞台としたアクションRPGだ。いわゆる死にゲー。

剣と魔法だけでなく、弓や銃や大砲などもあるらしい。

 

未来の世界だけあって、SAOやアクセルワールドのようなVRゲームがあったのだ。

そういえば、ストーリーとか訓練でもちょこちょこ言われてたな。

 

 

 

……こうなったのには、もちろん経緯がある。

食料が貰えたら嬉しいなと思い、栄養ブロックや水を、大型通販サイト「Tamazon」の欲しいものリストにぶち込んでおいたのだ。

 

ネタとしてVR機本体(10万程)を入れておいたら、何故かほしい物リストのVR本体と、プレゼントとしてVR実況用の機材とこのソフトが贈られてきた。

 

 

荷物を受け取った俺が思わず宇宙猫になってしまったのも、仕方がないね。

 

 

ちなみにメッセージカードには、「いつも見ています:⑨」とだけ書かれていました。

ありがとうございます!!

 

 

 

俺がこの世界での価値観を見誤って居たのだろう。

前世だと、超人気な人は何万ものスパチャ連投されてたとはいえ、それは1部のトップ層の人達のみだ。

 

こんなものが配信を一回しかしていない奴に送られてくるのは完全に想定外だった。

しかし、貰ったものは貰ったもの。

 

本来なら雑談か無料ゲームの実況にしようと思っていた所を変更。

せっかくだしプレイすることになったとさ。

 

 

 

時間としては、午後の3〜4時。

何故そんなに過疎ってる時間帯にするのかと言うと、あまり人の多い時間帯だと人が入りすぎてしまうと思ったからである。

 

人に見てもらえること自体は有難いことこの上ないが、乳首事件の衝撃しかない俺を見に来る人は事件が風化すると共に減っていくと思う。

 

なので、スパチャもなく広告も付けていない今の視聴者を増やすよりも、細かくコメントを拾っていき将来的な視聴者を増やしていったほうが良い。と、判断したのだ。

 

それと、この時間帯に動画を見ているのは時間に比較的余裕のある学生が多く、学生のファン層は時間がある分だけ動画を多く見てくれる。ということもある。

 

そういうことで現在配信中なのだ。

 

 

……うん。やっぱり、というか、案の定、俺が死んでいる間に大幅に視聴者が増えている。

有難いことに、前回から続けてきてくれている人もいる。こういう人を逃してはならない(戒め)

 

 

 

e:弱すぎるけど可愛いねww

モロカク:頑張ってください!

a:さっきよりは耐えれてましたね

k:結婚してくれたら楽な倒し方教えるよ。

M:下手くそナメクジ……笑

カッツェ:初見です、ライオンモードまで惜しかったね!

猫丸:いい戦いしてたにゃ!

スコp:躱す時、少し大ぶりじゃない?もうちょい動き少なくても躱せると思うよ。

 

 

『はい、皆さんコメントありがとうございます!初見の人も、見に来てくれてありがとうございますね!

 

モロカクさん、久しぶりです!

歌は練習してるので、現在録音中です〜。もうちょい待ってくださいね。

 

猫丸さん…ですかね……今まででは1番体力を削れましたし、いい勝負したと思うのですが……

 

スコpさんもアドバイスありがとうございます。次は意識してみますね。

 

 

……Mさん。あなたを訴えます!!理由はもちろん、お分かりですね?あなたが僕の、その、動画をSNSに挙げたからです!

覚悟の準備をしておいて下さい!!刑務所にぶち込まれる楽しみにしておいてください!!』

 

 

秘密兵器彼女:今、動画のところで言葉に詰まったね。

d:なんの動画あげたの?

f:なんの動画なんやろなあ

M:覚悟?私がどんな動画あげたって言うの?言われないとわからないな〜

e:サラッとデスメタル練習してる宣言ですこ

モロカク:ありがとうございます!

 

 

『それは、僕の…その、ち……ち……』

何が悲しくて、自分の乳首の希少価値を論じなければならないのだろうか。

『僕に関するセンシティブな動画です!!』

 

M:若干ゃ草。

秘密兵器彼女:センシティブって言い方良いね。

 

ypa91:贈ったゲーム、早速楽しんでくれてるみたいで嬉しいです。

 

 

『あ、あなたが⑨さんですか!

わ…わいぴーえー?91さん。本当にありがとうございます!マジでありがとうございます!!

初めてこういったゲームをしたので、めちゃくちゃ楽しいです!!

 

こういってしまってはなんですが、正直VR機械を入れてたのはネタとしてだったので……まさか周辺機材とソフトまで頂けるとは……本当、ありがとうございます。』

 

 

s:おっ、貢ぎ人様やん

z:貴方様のおかげでパニくる410くんが見れました!ありがとうございます!

w:人にVR贈るとかどんな富豪だよ。俺にも送ってくれよな〜、頼むよ〜。

t:節子それワイピーエーちゃう。ウラーや。

 

『あー、ウラーですか。ロシアの掛け声?でしたっけ?すみません91さん。あんまり物を知らないもんで……』

 

ypa91:もちろん大丈夫ですよぉ。

 

 

『はは、ありがとうございます!うわっ、また死んだ!ちくしょうっ!!』

j:くちわるぅ!

k:口悪くて興奮しました

w:もっと見下した感じかつ低テンションで畜生って言ってくれない?

天才ゲーマーR:初めてのゲームにしてはかなり上手いね!センスあるよ!

 

e:こマ?R来てんじゃん

t:マジか、早くコンビチャンネル更新して❤

l:KとRのドンカツお代わり動画すこ

n:Kの方はどぶ森で1日でローン返済をしてからやること分からなくなったってまじ?

a:Rさん色々な配信見てるっぽいもんな

g:いや、本物なのか?

 

『Rさん、ありがとうございます!

まあ、VRは初めてなんですけど、ゲーム自体は初めてじゃないんですよね〜』

(ふむ、有名人が見に来てくれたのか。芸能人?あるいは動画投稿者の人か?後で検索しないと。)

 

s:VRじゃないゲーム?

b:それスマホアプリじゃね

g:わんちゃんレトロゲーしかしたことない説

y:それは草

天才ゲーマーR:なるほどね〜。あ、バースティトの速い動きが苦手なら魔法で遠距離した方が良いかも?バースティトは魔法に弱いしね。

 

『おお、ありがとうございます!次はそれで行ってみますね。』

 

 

 

 

この小部屋(復活地点)を見ること、何度目だろうか。ピラミッドの内部のような、大きな石によって作られた遺跡の中を走り抜けていく。

 

この遺跡の名前は【第1のとらぺぞへどろん・ウルタール】

記憶喪失の主人公が目を覚ました謎の遺跡であり、ミイラや獣頭の兵士などエジプト風の敵が出現する。

内部構造もピラミッドよろしく大きな石が綿密に組み合わされており、周囲に残る砂がどことなく乾いた空気を感じさせる。

 

第1の、というようにこの世界では各地に神話時代の遺物【とらぺぞへどろん】が存在する。主人公は記憶ために21個あるとらぺぞへどろんを冒険するのだ。(公式サイト・ストーリー紹介より)

 

 

 

 

飛びかかってくる罠・襲いかかってくるザコ敵を避けてボス部屋へと滑り込む。

1度、アドバイス通りに魔法を主軸にしてみようか。

 

 

ピラミッドの1番奥の部屋。

一般的なピラミッドにおいては王の間と言われる部屋に、彼女はいた。

 

『すみません。集中するので、黙りますね。』

 

彼女は棺の前で彫像のように祈りを捧げていたのだが、部屋に入ってきた主人公に気づくと、何処からともなく槍を取りだし襲いかかってくるのである。

 

 

 

彼女がこちらへ走り寄ってくる。

ボスである【無辜の守り手 バースティト】は、猫の耳を持ち、赤熱した槍を持つ、エジプト風の踊り子のような衣装に身を包んだ女性だ。

その胸は豊満であった。ヤッタ!!

 

彼女が槍を引き、刃先を水平に構える。

そして、それが見えた瞬間に回避を行う。

あまりにも高速で槍を突き出してくるため、俺の目では捉えきれない。予兆に合わせて、前へとステップする。

 

 

天才ゲーマーR:ナイス回避!

秘密兵器彼女:回避行動慣れてるね

n:回避上手いぞ(空気)

 

 

色々なゲームと同様に、このゲームも回避行動であるステップには無敵時間が存在する。

槍を突き出してくる攻撃は、最速であると同時に当たり判定も最速で無くなるのだ。ほぼ一瞬と言っても過言ではない。速度も判定も。

 

そして、そのままの勢いに乗せて手に持った武器、【トートの小剣】を振るう。

これは初期武器の1つで、性能は低いものの、魔法を発動するための杖としても用いることが出来るのが特徴の武器である。

 

 

2度切りつけるとバースティトは攻撃後の硬直が解けたようで、詰められた距離を再び広げようと、槍を薙ごうとしてくる。

 

 

その直前に、【野獣の咆哮】ッ!!

 

一定範囲に吹き飛ばしを付与する初期魔法の一つである。

自分を中心に円形の判定が発生するのだが、加えて、至近距離でカウンター判定を取れればスタンを引き起こすので使い勝手がよい。

 

囲んで棒で叩かれるとゲームでも現実でも人間は死ぬので、その危険が回避出来る円形の吹き飛ばし魔法はハチャメチャに強いのだ。

 

タイミングよくスタンが入ったようで、頭の頂点に着いた猫のような耳をこちらへ向け、その頭を項垂れさせていた。

 

 

モロカク:タイミングバッチリですね!

猫丸:いいカウンターだにゃ!

k:タイミング読むの上手いね。結婚のタイミングはどうしようか?

 

 

この期を逃すのは有り得ない!

続けて、攻撃用の魔法【顔無きスフィンクスの爪剣】を発動する。

 

手から武器が消え、代わりに爪が伸びる。

少しの溜め時間の後、ウルヴァリンのような凶器と化した爪を、行動不能なバースティトへと叩きつける!

 

 

相手のHPゲージが10%弱も減ったのが分かった。

タメが長いことと、特攻が合わさり、当てられればかなりのダメージとなる。

 

これは、エジプトに属する相手へ特攻ダメージを与える魔法である。このステージで拾える、ボス戦の救済要素の一つだ。RTAでも大活躍らしい。

 

 

 

攻撃を与えたことで、相手のスタンは解除された。

槍の射程内だったため、水が流れるような横から縦へのよどみない2連薙を繰り出してくる。

 

それに対して、真横にステップ。

 

一撃目の横薙ぎ払いを無敵時間で回避、二撃目の縦薙ぎ払いは位置をずらしたことで空振りとなる。

と言っても、かなり軸合わせしてくるから耳元でブゥン!!って音がしてめちゃくちゃ怖いのだが。

 

この技は回避しにくい分隙も大きいため、溜め攻撃を攻撃後の無防備な横腹へと突き立てる。

 

 

【顔なきスフィンクスの爪剣】によりダメージを大幅に稼げたこともあり、バースティトのHPは第2形態への目安である40%へと近づいていった。

 

 

ここで、ボスのデータをおさらいしておく。

バースティトはHPを60%削ると形態変化をし、顔はライオンへ、槍は双曲剣へと変化するのだ。

 

この状態を、激昴せしブバスティスの女神というらしい。

長いので通称:ライオンモード。

 

ライオンモードになると、唯一の遠距離攻撃であるビームを撃たなくなる。

つまり、この状態では遠距離攻撃は存在しない。

 

そこまで行けば、(遠距離攻撃なら)ずっと俺のターン!!

 

 

じっくりと死にゲーのボスを攻略するのも好きなのだが、これは実況だからね。

あんまり手間どると視聴者さんもイライラしてくるし、仕方ないね。

 

 

というわけで何とかMPを温存して40%以下まで持っていきたい。

 

HPが、初めて40%を切った。

バースティトが恐ろしい唸り声をあげたかと思うと、身の毛もよだつ音を立てながら顔はライオンへ、肉体は筋骨隆々で獣じみた体躯へ変形する。

 

初めて見たが、めちゃくちゃ怖い……!!

 

 

 

この隙に、武器を【ネフレンカの錫杖】へと持ち替える。

これは完全な魔法専用アイテムである。

トートの小剣より物理攻撃力は低いが、魔法攻撃力は高い。

 

 

また、魔法専用アイテムにはそれぞれ専用の魔法が1つセットされている。これは装備の1種である魔法と区別するため、魔術と呼ばれる。

【ネフレンカの錫杖】の魔術は【異浸伝神】

エジプト属性と神属性、そして善属性への特攻を持つ対バースティト用の初心者救済装備その2である。

 

ネフレンカの錫杖を天へかざすと、MPが消費されたと同時に幾つもの星々が無から生まれる。

それらは7色の光の尾を引きながらバースティトへと襲いかかった。

 

星々はこちらへ先程よりも高速で近づいてきた彼女へと直撃し、そのHPを削っていく。やばい、めちゃくちゃ削れた。

 

やっぱり札束で殴れば勝てるんだなあ(ザコ敵マラソンしつつ)

 

 

近づいてきた分だけ距離を取り、ネフレンカの錫杖による魔術攻撃でちまちまと削る。

 

「これめちゃくちゃいい感じじゃない!?いけるいける!ありがとうRさん!!」

 

n:急にイキリ出して草

モロカク:頑張ってください!

w:真面目にやれよチキン

y:なんで近接戦をしないんですか?

カッツェ:リスクを避けるのは大事だね!

 

 

「チキンじゃないが?チキンじゃないが!?最終的に勝てばいいんだよォー!!」

 

まだMPは残っているため、近寄ってくる事にさえ気をつければ大丈夫そうだ!勝ったなガハハ、風呂入ってくる。

 

とはいえ、だ。

こんな感じで初ボスを倒しても、とてもじゃないが撮れ高にならないと心配になる人もいる事だろう。

それについては、キチンと考えてあるのだ。

 

 

刹那、背後から衝撃が走る。

振り返ると、こちらへと2本の曲剣を突き立てた獅子女神様の姿が。

 

「うえっ、あぁぁあ!

ワープは、反則…だろ……!!

…でも、あと一歩まで、削ったからな。

美人だからって許さねえ、あと何回かで絶対に頃してやる。」

 

GAME OVER

 

そう、あまりにも一方的に遠距離攻撃でボコると、何とワープを使い出すのがバースティトの行動ルーチン。

イキったところで叩き潰されるムーブは必須だよなぁ(三下)!?

 

g:死んだ時の声すこ。それはそれとして美人?

スコP:もしかして、結構地の口調は悪い?

M:散々イキリ倒して負けるんか?恥ずかしくないんか?というか、美人とは?

m:お前はいつもそうだ。で、美人って誰の話?

e:めちゃくちゃ執念深そう。誰に向かって美人って言ったんだ……?

ypa91:хорошо(ハラショゥ)!!素晴らしい戦いでしたよ、410さん。

カッツェ:やられちゃったね〜。美人ってボスのこと?結構変わった趣味ね!

やっぱり俺の美的価値観は、ちょっと違うようだ。

 

なぜか、それから全然削れなくなってしまった。

ので、作戦変更。

試行錯誤の結果、前半の猫耳女神形態は気合いで近接戦をすることになった。

 

 

【食屍鬼の懐刀】という、現段階で最高の攻撃力を誇る武器でもって、出会い頭から延々とインファイトを仕掛ける。

 

あちらは槍で、こちらは剣。内側に入り込めば、こちらの方が有利である!!

 

 

彼女は俺を突き放そうと槍を振るうが、その殆どは無敵時間で躱せるようになってきた。

ははは、何度市んだと思ってやがる。

 

薄皮1枚切って、風を巻き込んで唸りつつ真横を通り過ぎていく槍の刃先へ意識のみを向けながら、刃を突き立てる。

 

このゲームでは、直撃しなければ大したダメージとならないため、カス当たりの回復よりも攻撃を優先する。

 

 

スコPさんやモルカクさん、カッツェさん等のやたらと的確な回避アドバイスにより、苦手な攻撃以外はもう躱せるようになった。

 

 

そして、HPが半分を切った。

唸り声をあげる直前に、ネフレンカの錫杖による魔術攻撃を行う。そして変身中にも撃てるだけ打つ。

 

 

変身後!

ここからが問題だ。

先程と同じように、彼女から遠ざかりつつ遠距離攻撃を何度か当てると、彼女の姿が視界から消えた。

 

 

 

勝負は、ここだ。

思い出せ、ワープから攻撃に移るまでのタイミングを

 

……まだ、まだ…まだ!……いま、ここ!!

【野獣の咆哮】!!!

 

 

背後から、何かが吹き飛ばされたような音が聞こえる。

俺の放出した不可視の力場は、果たして彼女の転移→バックスタブのコンボを中断することに成功したようだ。

 

 

y:やりますねえ!

天才ゲーマーR:おおお!上手いね!!

カッツェ:よく見えないのにタイミング合わせられたね〜。凄い!

t:おやりになりますわね

秘密兵器彼女:中々やるね

 

 

振り向くと、カウンターによりスタンしたバースティトの姿がある。

よく頭を狙って、【顔なきスフィンクスの爪剣】を発動。HPが一気に削れ、もう一撃を当てれば勝てそうだ。

 

それじゃ最後に【異浸伝神】でトドメを……!?

やばい、ミスって【顔なきスフィンクスの爪剣】を発動してしまった。

 

 

……溜めているうちに、彼女は起き上がる。

 

うぉぉー!!こっちに走ってきた!

早くしろ、間に合わなくなっても知らんぞー!!

 

 

…………溜めは続く。

 

 

動け動け動け!今動かないと死んじゃうんだ!!動いてよ!!

 

 

・・・まだ、溜めている。

 

 

 

段々と近づく、殺意剥き出しの血走ったライオン顔の恐ろしい女性は、とうとうその憤怒が込められた刃を此方へ振り上げていた。

 

 

 

 

 

 

これは……死じゃな?

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー溜めが、終わった。

そのまま、右手を正拳突きのように最速で前へ突き出す。

 

 

 

 

その刃は、走り込んできた勢いのままに彼女への体へと突き刺さり……HPバーが0へ。

このカウンターにより、彼女はポリゴン片となって霧散した。

 

 

 

ボスに勝ったことを祝福するメッセージ

【You REMEMBER Force!!】が表示され、アイテムを入手する。

また、マルチプレイが解禁された。

 

【獅子女神の激憤】、一定時間防御力を下げ、代わりに攻撃力を上げる補助魔法のようだ。

 

ギリッギリだった……!

が、蓋を開けてみれば、かなりドラマチックにトドメをさせた。

 

 

これはかなり見応えさんがあったのでは???

 

 

「Good_Game…………

いやー、楽勝でしたね。最後はかっこよく決めさせてもらいました。」

 

 

猫丸:おめでとうにゃ!

d:88888

a:おめでとう、良いフィニッシュムーブしてんねぇ!通りでねえ!

天才ゲーマーR:おめでとう!決め方がいいね!

モロカク:おめでとうございます!最後かっこよかったです!

h:おめっとさん

M:クエックエ、クエクエ!!

散々イキってボコられてまたイキリ出すのすこ

カッツェ:最後の一撃、凄いかっこよかったよ!!

ypa91:おめでとうございます!410さん!

 

 

『皆さん、ありがとうございます!そういえば、マルチプレイが解禁されましたね……ちょっと見てみます。』

 

マルチプレイは3つのモードに分けられている。

ストーリーモード、エンジョイモード、対戦モードである。

ストーリーと対戦は名前の通りだと思うが、エンジョイモードとはなんなんだろう。

 

エンジョイモード:最大4人による協力プレイモード。武器、魔法はランダムに決められ、ランダムで生成されたダンジョンへ挑むことができます。

 

 

『せっかくなので、マルチプレイのエンジョイモードをやってみて今回はお別れとさせていただきます!

こんなことでお礼になるかは分かりませんが、ypa91さんがもし参加出来るならして頂きたいなと思うんですがどうでしょう……?』

 

 

ypa91:いいんですか?ありがとうございます!よろしくお願いします!!もちろん、参加させていただきたいです!

 

 

『はい、ありがとうございます!よろしくお願いしますね〜。ypa91さんとはフレンド登録の方から……はい!ネームはマロースですね。よろしくお願いします!

えっと、他の人は募集からお願いします。部屋は410、パスワードは334です。配信されて大丈夫な方は、よろしくお願いします!』

 

メンバーが揃ったら〇を押してください

・410

・Мороз(マロース)

・カッツェ

・R@XX




僕の考えた理想のソウルライクゲー。
ホラー要素、防御よりも回避優先のバランス、遠近攻撃揃っている、ルート分岐がちゃんとしている=Bloodborne

人形ちゃん達があんまり出てきてなくてすまない……
次はガッツリ絡ませるんじゃ^〜!!

次回、【第12話 意外な協力者】
次もサービスサービスぅ!

久しぶりにエヴァを見たらシンジくんが本当に可哀想で可哀想で……うう……仮設5号機めちゃくちゃ好き。やっぱり軽量4脚を…、最高やな!
(パスワードはトウジたちが避難していたシェルターの番号であり、特に含意は)ないです。


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12話 意外な協力者(前編)

長くなったので分割しました+昨日の分を含める=本日は2話投稿します

人生で初めて作品のデータを消し飛ばしましたが僕は元気です。
それと、そろそろストックが無くなるので更新ペースは落ちます。
これからもこの作品を読んでいただけると嬉しいです。

それと、コメントを増やしたため、アルファベットによる名前表現は無くします。主要なキャラや、名前も含めてネタとして通じるもののみ名前を書くことにしました。先駆者様を見習った結果です。


それじゃ、始まるザマスよ!
(以下略)
(以下略)
(以下略)


『えっと、他の人は募集からお願いします。部屋は410、パスワードは334です。配信されて大丈夫な方は、よろしくお願いします!』

 

 

メンバーが揃ったら〇を押してください

・410

・Мороз(マロース)

・カッツェ

・R@XX

 

 

 

:速攻で埋まった!!

k:入れなかっ……たぁ!

b:行きますよ〜、いくい…いけない?

s:ぶち込んでやる……やれない!?

:上の3人は汚いジェットストリームアタックか何か?

:さすがRさん、サラッと滑り込んでやがる

:これマジ?実質コラボ実況じゃん

:乳首流出配信主と貢ぐちゃんと有名配信者に挟まれた人が1人居ますね……

:一般人枠羨ましいけど、メンバーが地獄すぎてなあ

秘密兵器彼女:ヘルトークめいてて草

:毒舌もCEOもすここここっ!!

:Rさんより反応が速いとか入力がくそ早くね?

:逸般人かもしれん

:まあ、現世は地獄みたいなもんだし、多少はね?(グノーシス先輩)

:ヤベー奴来てんじゃん

 

 

 

武器と魔法がランダムとはいえ、傾向は決めることが出来るようだ。

なら、多分そんなに酷いバランスにはならないかな。

ちなみに、全員の装備や魔法の差は無いように選出されるらしい。レベルは一定になるように補正されると。

つまり、プレイヤーの腕次第ということか。初心者には無理ぞ?

 

俺の傾向は……バランスでいいかな。

 

 

 

参加者【傾向】装備

 

410【バランス】

武器:

月明かりの大剣

狂えるアラブ人の手稿

魔法:

【C】の苛立ち(ビッグ・シーの苛立ち)

大いなる力の癒し

 

 

マーロス【攻撃】

武器:

ハングリー・アンガー

神モ滅スル無垢ナル剣

魔法:

破極滅塵殲・天(はきょくめつじんせん・てん)

SuperNOVA

 

 

R@XX【攻撃】

武器:

M44A4 パルスライフル

Va_valla'イージーギア

二丁拳銃(ツーハンド) UGN&FH

魔法:

The 【X】from Outer Space

 

 

カッツェ【ランダム】

武器:

一意奮闘・やり直しの槍

魔法:

無軌道無秩序無理解兵器・パンジャンドラム

SHARK・tornado

陰霧出・生一太刀

 

 

:410の装備、ベーシック過ぎて言うことないな

スコp:回復があるのは運いいね!

:Rさん銃ばっかで草ァ!

:FPSガチ勢だからね、仕方ないね。

:一般人枠カッツェさん、ネタ武器とネタ魔法しか集まらないww

秘密兵器彼女:さすがに可哀想

:周りのメンバーのキャラも濃いのに、装備もめちゃくちゃ濃い味してる

 

 

 

名前を見ても、何が何だかさっぱりわからないよ(QB)

何となく元ネタが予想出来るものもあるけれど。

前世と今世にも、共通のネタみたいなのはあるらしいな。

 

ステージもランダムに生成されるのか……傾向はランダムにしよう。

 

【絶景の祭壇】

説明:何人もの生贄が捧げられた高台の祭壇。

生贄達の最後の記憶が、せめて美しくあって欲しいと祭壇の眼下には様々な彫刻が並べられている。

果たして生贄達はそれを見て、美しいと思ったのだろうか?

 

 

このレベルのステージと説明文が自動生成されるのか……。凄いな近未来。

 

とりあえず、準備開始を押す。

 

 

さて、他にも全員が準備完了したのを確認。ゲームスタートだ!

 

 

ローディングに入る。どうやら、ローディング中はランダムに選ばれた装備の練習が行えるようだ。

 

月明かりの大剣は、名前の通り、刀身が月明かりを返すようにぼんやりと光る大剣だった。特に、クセのようなものは無い。

 

狂えるアラブ人の手稿は、魔法専用装備だった。

その【魔術】は【魔物の嘶き】。

目の前へ咆哮というか、音のビームを撃てる。アカムのアレっぽい感じだな。こちらもクセがない。

 

大いなる力の癒しは、範囲回復。

 

Cの苛立ちは……触手がいっぱい生えてきて、周囲を薙ぎ払っていった。

 

癖のない近接・遠距離武器。範囲攻撃に範囲回復と、だいぶ使いやすい物が揃っている。

流石はバランスでの選出だな。コメント通り無難オブ無難だ。

 

確かめていると、ローディングも終わる。

さてさて、初マルチプレイ。どうなるものか。

 

『皆さん、よろしくお願いします!

ノーコンティニューでクリアーしてやるぜ!』

 

 

カウントダウンの後に視界が白くなりーーーー

景色が戻ると、そこは木々の生い茂るジャングル。遠くの山の中腹に、蔦が絡まりついた遺跡が見える。あれが、今回の舞台だろう。

 

コメントに目を移す。

 

:早速Rに媚びを売る

:Rの名言を真似していくスタイル

:やーらしかっ!

:こマ?410はいやしい男ばい……

スコP:あんなこと言ってたけど、実はRのファン?

:410がやらしいのなんて第1回から分かってんだよなあ

 

 

(そういえば、頭文字Rな天才ゲーマー人形も居たな。それとも、元ネタがこっちにもあるのか?まあ、とりあえずは……)

 

『あー……すみません。実はRさんのネタだって知りませんでした。

友達で連呼してる人が居まして、移ってしまったみたいです。

Rさんのセリフだったんですね。

かっこよくて好きですよ!(……とりあえず、褒める!!)』

 

 

:またまた媚びを売る

:自分を売る

:ここまであざといとか、キンキラ世界の住人だろ。

秘密兵器彼女:こんなにいやらしい魔族も中々居ないよ。

:は?シャドウマスターを惨次元と比較したな?法廷で会おう!!

:エッチだし乳首出したからレビュアーズ世界線なんだよなあ

 

 

『乳首は出したわけじゃないです!!』

:初乳首発言

:乳首とか言いましたよ!やっぱり好きなんすね〜

:乳首頂きました〜〜!!!

:はいちくび〜?

M:よろちくびーー!!

 

もう、無視していいか。元凶がなんか言ってるよ。

 

『えー……すみません、皆さん。時間を取りました。

とりあえず、始めていきましょう!皆さん、よろしくお願いします。』

 

 

振り返ると、3人のキャラクターが居る。

 

「よろしく〜。シドーはVR初心者みたいだけど、練習は大丈夫そう?」

 

急に話しかけられて、びっくりした。

話しかけてきたのはカッツェさんだ。

 

『ありがとうございます。たぶん大丈夫そう……ですね!

大剣と魔法用装備、範囲回復に範囲爆発と便利そうなのが一通り揃いました。』

 

『……えーっと、カッツェさんはいい声してますけど、声出して大丈夫なんです?ほら、プライバシーとか。』

 

「あはは、心配してくれたのと、褒めてくれてありがとうね。

あたいはアバターに地声を登録してるわけじゃないから大丈夫だよ。VRはさ、声も合成してくれるってわけ!

っていうか、うっかり喋っちゃったんだけど大丈夫?ほら、生配信だし。」

 

 

(……あたい、ねえ。これはどうなんだ。一人称だけで決めつけるのは早計だよなあ。声もかなり似てる気がするし……うーん…)

 

『なるほど!へ〜、全然知りませんでした。

コメントを見るのが難しいので、VC(ボイスチャット、ゲーム内通話のこと)をお願い出来るならその方がありがたいですね。

むしろ、カッツェさんこそ、声が違うとはいえ放送に流れて大丈夫ですか?』

 

「そっかそっか。あたいはあんまり気にしてないから大丈夫だよ。」

 

 

『そうですか。あの、もしもお2人とも大丈夫そうならVCだとありがたいです。』

 

 

「そうですか。それなら私もONにしますねぇ。」

 

『ypaさん、ありがとうございます。ゲームも本体も、なんか色々合わせて頭が上がりません。本当にありがとうございます!』

 

「そんなに気にしないでいいですよ。私が410さんに送りたくて送ったんですからぁ。」

 

 

めちゃくちゃ聞き覚えがある上に甘ったるい声が聞こえてくる。

このちょっとヤンデレ入ってそうな声は……!?

ロシアで、この甘ったるい声、望みを叶えてくれる。ふむ!

ちょっと頭をよぎる人形が1人居ますね。

 

 

『本当にありがとうございます。ypaさんの登録している声も可愛らしいですね!』

 

「え、あ……ありがとう、ございます。初めて言われちゃいました。えへへ……私、可愛いですか?」

 

『改めて聞き返されると恥ずかしいですね、可愛いらしくて僕は好きですよ。』

 

「やった……!なら、ちゃんと聞いていてくださいね…?」

 

 

:は?

:生配信なんだこれミステリー

:俺たちは何を見せられているんだ?

:イザナミだ

:ATMの整備かな?腹黒くて草

:また幻術かけられてるよ〜

:貢ぐちゃんのメンテを欠かさない男

:サイフ(の女の子)に優しい男、410

:こうやって寄生するんすねえ、勉強になります!

:私も貢げば可愛がって貰える?

:またメンヘラみたいなやつが湧いてる……

:410はメンヘラホイホイの腹黒だった?

 

 

 

「はろ〜!ね、話し中に悪いんだけど、そろそろ出発しない?敵と早く戦いたいしさ!」

 

『そうですね!出発しましょう!

Rさんの登録してる声も、やっぱり先輩実況者だけあっていい声ですね!!聞いてて元気が出ます!』

 

「うぇえええ!?」

 

:元気が出る?

:Rって地声じゃなかった?

:また媚び売り魔族してる……

:惨次元とキンキラ世界を同一視した異端者はここ……?

:Rの素っ頓狂な声に草

:どっかの放送で地声登録したとか言ってたし、生配信の声も変わらないからそのはず

:今の驚いた声、目覚ましに使えそうだよな

:元気になる……?元気になる……?あっ(察し)

:どこが元気出ちゃったのか、お姉さんに教えてくれないかな?

秘密兵器彼女:Rの声は確かにいい声だね。ペルシャ3世のバーサーカーとして君臨してそう。

:まーた媚びってて草

:媚び媚び410君……?

:分かる。ロシア皇帝の下の象の声真似とか上手そう。

 

 

(なるほど、声の感覚も違うのかな?)

『えー……近接武器があったので、自分は前衛に行きますよ。』

 

「おおっ、ありがとうね!あたいは魔法多いし、後ろかな。」

 

「私は近接が多いので、410さんと一緒にいますよ。ちゃんと、見ていてくださいね。」

 

「じゃあ私は後衛いこうかな〜。武器が銃ばっかだったしね!ヘドショは得意だから、任せてよ!」

 

 

:Rのヘドショえぐいよな

スコp:一時期チート疑われてたくらいだしね〜

:Rは声といい戦闘力といい、ゴリラ並みに頼れそうな感じあるしな

:Rに媚びとけば生き残れるやろなあ…

 

『頼りにさせてもらいますね、Rさん!』

 

道中の戦闘は安定していた。

回復魔法も未だに1度しか使われておらず、回復アイテムを使用したのは不意打ちをモロに食らった俺だけ。

 

なおその敵は、直後に3人により頭を穿たれ、首を跳ねられ、サメに食いちぎられた。情けなくて涙が出るね……

 

 

 

それもこれも、

 

『ypaさんの剣さばき凄いですね。的確に弱点に当てていきますし。』

 

「見ててくれたんですね!嬉しいです。相手のことをちゃんと見ていれば、あんまり難しくないですよ」

 

『ありがとうございます。Rさんもヘッドショットの精度が半端ないですね。』

 

「おっ、ありがと!ゲームは色々やってるからね〜。先輩として、これくらいはして見せないとさ!」

 

 

そう、この2人がべらぼうに強い。

敵がポップした瞬間に頭をぶち抜くRさんと、ヌルリと近づき弱点を1刀の元に切り捨てるypaさん。この双璧が余りにも壁として高すぎた。

 

 

「2人とも上手いね〜。あたいもそれなりにやってるつもりだけど、自信なくしそうだなぁ。」

 

『お2人の上手さは大会とかでも通用しそうですよね。けど、だからってカッツェさんも弱いわけじゃないと思いますよ。』

 

「そう?あたい、そんなに役に立ってないと思うけど。」

 

『いやいや、カッツェさんは一見すると意味不明な武器と魔法を的確に扱えていて凄いですよ。

一意専心って付いてるくせに2本の槍とか、サメの嵐とか、制御出来ない紅茶兵器とか、普通は扱えませんって!

見てわかりやすい成果じゃないですけど、それでも出来ることを的確にこなしてて凄いですよ!!』

 

 

:また人を褒めてる

:軽率に人を褒める。

:そんなに人のいい所を見てるのか?実は腹黒だろこいつ

:410くん黒幕説。実はというかやっぱり腹黒いな?

:実は女を心の底からバカにしてるってマジ?

:人を煽りやがって…ガキが、舐めてると女の恐ろしさを教えてやるからな〜?

:こいつ偶にパパ味を出すな……

:ううう、パパー。僕も褒めてぇ……

M:二極化してて草ァ!通りでねぇ!

 

この流れで、切り抜き所さんを作れそうだな。

我ながら気持ちが悪いが……気持ちが悪いが……視聴者のためのエンターテインメントには代えられない。腹をくくれ、俺は、やってやる。俺は、配信主であり、エンターテイナーだ!!

 

『ははは、よしよし。いい子ですね。

皆さん頑張っていますよ。毎日お疲れ様です。』

 

(ヴォエっ!!)

 

 

:おぎゃっ!!!

:ばぶばぶ〜(貨幣を咥えつつ)

:岸ちゃん!?プリコネ(プリンス・コネクト)に帰ろう!

:ごめん、ユウ!

:草乃さんがそっちいったぞ

:おぎゃリティ高い

:ふーん、オギャルじゃん。

:おぎゃぎゃぎゃっ!

:あげゃげゃげゃげゃ!!

:ちょっとガンダムマイスター沸いてんよ〜

 

丘の麓にたどり着いた。見上げると、チラリとステージの由来でもある祭壇が目に映る。

 

遺跡の入口は蔓に覆われており、インディジョーンズに出てきそうな装いだ。

 

『ここから中盤戦って感じですかね?遺跡の入口まで来ましたし。』

 

「だね。スーパーピーチシスターズで言うなら旗の所まで来た感じかな〜。ユルゲーはつまらないし、中はもうちょっと難しいと嬉しいんだけど。」

 

「もうひと頑張りですね。遺跡の中だと、私から絶対に離れないでくださいね?危ないんですから…。」

 

「ここまで来たら、誰も欠けずにクリアーしたいよね。あたいも頑張るよ。」

 

 

 

それじゃ、遺跡の中へ……イクゾー!!




実はアクセス数1万感謝記念の作品を書いているのですが、そうこうしてるうちにアクセス数2万とお気に入り500件が現実味を帯びてきました…皆さん、本当にありがとうございます!

モロカクちゃん?野蛮な匂いを感じ取って帰っちゃったよ。猫丸は付き添い。


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第13話 意外な協力者(後編)

武器と魔法選択に趣味を出しすぎかなー、やっぱり。
あ、武器や魔法の元ネタは活動報告にて解説していますので、興味がある人はぜひ一読のほどを!

原作がドルフロである以上、その他のネタは刺身のつま位に思っていて、どうしても趣味に走りがちなんですがどうなんでしょうね。
コメントが一番書きやすいですね(筆者特有の問題発言)

一日二話投稿の2話目です、よろしくお願いします。


それじゃ、遺跡の中へ……イクゾー!!

 

 

遺跡の中へ突入していく。

遺跡の中の通路はなかなかに狭く、3人で横並びになるのは不可能だ。

前衛と後衛、2人で2列となって進んでいく。

 

と、いきなり足元が沈み込み。

カチリ、と音がした。

 

『えっ』

:はい戦犯

:不注意で草ァ!

:死にゲーで罠を起動させる男

:呆然としてる暇ある?可愛いね❤

:何してんだよ団長ぉ!!

秘密兵器彼女:イヤな予感がする

:そりゃそうでしょうよ

:てーてれってーてーててーてーてれってーてててーてーてー(INDY)

 

 

 

ゴロゴロゴロゴロと、後ろからやたらと重量のある音が聞こえてくる。

 

こ、これは……思わず振り返ると、黒い鉄球がこちらへ転がってくるのが見えた。

 

 

「何ぼさっとしてるの!走って!!」

 

真っ先に反応したのは、やはりというかなんというか。ゲーマーであるRさんであった。

 

「急がないと不味そうだね〜。ゲームとはいえ、潰されたくないしさ。」

 

「行きましょう!道は開きますからね。」

 

『皆さんごめんなさい!!前の敵は責任を持って吹き飛ばします!』

 

 

【魔物の嘶き】を発動。通路が直線だったこともあり、敵全員に直撃。怯んだすきにypaさんが急所を切り刻んでいく。

その姿は、実に辻斬りめいていた!コワイ!!

 

そのまま通路を走り抜ける。

吹き矢トラップや炎の矢が飛んできたものの、一撃死するようなダメージでは無いためライフで受けつつ進んでいく。

 

 

……扉が見えた!開けつつ、中へ飛び込む!!

 

 

 

 

 

 

ーーーーモンスターハウスだった!!

 

『うわ、やべっ!!?』

 

やばい。

と思ったが、転がり込んできた鉄球が敵をある程度巻き込んでくれた。これ敵にも当たるのか……

 

さて、敵がある程度減ったとはいえ、まだまだ残っている。

範囲攻撃を持っているのは、俺・ypaさん・カッツェ

さんだが、カッツェさんの魔法はクセというか、アクが強い。

 

 

というわけで、俺の持つ範囲攻撃【Cの苛立ち】を詠唱する。

そう。このゲーム、範囲へ影響を与える魔法にはちょっとした詠唱時間があるのだ。

 

詠唱やそのためのポーズ(変な踊りや臨兵闘者皆陣列在前みたいなの)自体はゲームが勝手にやってくれるものの、口と体が詠唱を紡ぐのが恥ずかしい……

 

左手が人差し指と小指のみを上げ、それ以外の指を閉じる形を作る。

そして、口は30秒ほどかかる詠唱を吐き出していく。

めちゃくちゃ恥ずかしい!!

 

 

:やっぱり初心者は詠唱恥ずかしいんすね〜

:顔マッカォで可愛い

スコp:詠唱してるの、カッコイイね!

秘密兵器彼女:若干涙目で好き

:恥ずかしいってことは、感じてるってことだから

:恥ずかしさに耐性つける為に恥ずかしいことしよ!

M:乳首出したんだから、今更恥ずかしいことはないよね

:410くん!露出プレイ、しよう!!

 

 

コメントから目を背け、横を見るとypaさんも呪文を唱えている。

あちらが先に唱え終えたようで、縦横7m程の部屋の中を爆炎が包み込む。

直後に、部屋へ現れた触手の塊がかろうじて生き残った敵を薙ぎ払った。

 

 

……前衛をしてくれていた、2人ごと。

『あああー!!すみません!!これ仲間も巻き込むんですね!!』

 

 

スコp:めちゃくちゃ焦ってるね……

:罠起動といい、FF(フレンドリー・ファイアー、仲間に攻撃を当てること)といい、大戦犯だなww

:許されないだろこれは……許して欲しければ乳首見せて❤

M:ん?今許されるためなら何でもするって

:言ってません

:言うわけないよなぁ?

 

 

「大丈夫だよ!」

「あたいもへーき!」

『良かったです…すみませんでした。』

 

 

協力者の人達から口々に慰められる

が、姫プなどしとうない!!姫プなどしtonight!!!

 

「あ、見てください。次でボス部屋ですよ。」

流石はypaさんだ!このまま、空気を変えさせてもらおう。

 

『ありがとうございます!それじゃあ、ボス部屋に入りましょうか。』

 

 

とうとう、ボス戦か。余りにも膨大なボスの数ゆえに、発売されてから1年経ったにもかかわらず、偶に新ボスが見つかるらしい。

ホント凄いな未来のゲーム。さて、どのボスが出てくるか……?

 

 

扉を開けると、そこは。

下から見えていた丘の祭壇のようで、祭壇の後ろには体から煙を吹き出す、3メートルほどの大型のジャガーが立ち塞がっていた。

 

 

 

ボスの名前が表示される

【偽り吐く鏡・テスカトリポカ】

 

 

 

奴は一声吼えたと思うと、こちらへと飛びかかってきた。

 

『皆さんは見た事ありますか?』

「あんまり見た覚えないな〜。レアボスかな?ドロップに期待っ!」

「私も……見たこと、ないです。」

「うーん…あたいは見たことはあるけど、どんなんだったかは覚えてないね〜。」

 

見え見えの予備動作だからか、俺を含めて全員が軽口を叩きながらでも回避を行えた。

 

 

最初のうちは、問題がなかった。

4人も居ることと相手の予備動作が非常に分かりやすいことが重なり、誰かが落ちそうになると誰かがヘイトを取ったり、俺が範囲回復魔法を使ったりなどする事で安定した戦いが出来ていた。

 

 

しかし、HPが残り50%ほどになった時、それは起こった。

このボスも第2形態があるようで、50%を下回ると体から吹き出す煙の量が増えたのだ。

 

さらに、虚像のようなジャガーが何体もその体に重なって見える。

様子を見る間もなく、こちらへテスカトリポカが飛びかかってくる。

攻撃へ飛び込むように回避をした。

 

 

無事に。躱した。いや、一撃目のみは躱す事が出来たのだ。

テスカトリポカの攻撃が終わった次の瞬間、その攻撃をなぞるように、一体の虚像のジャガーが攻撃してきたのだから。

 

『なっ!?』

回避行動の硬直に刺し込まれた一撃が、俺の体を深く抉った。直撃した、まずい。

吹き飛ばされる。HPは今ので4割ほども削れていた。

 

それにしても、なんだ今の動きは?

『いったぁ!!躱したぞ今の、絶対躱してたぞ今の!!』

 

横に誰かが吹き飛ばされてきた。Rさんのようだ。

Rさんも同じようにHPが減っており、ボスは今ypaさんを狙っていたため【大いなる力の癒し】で回復を行う。

 

 

「ありがとっ!やっぱりヒーラーがいると助かるね〜」

 

『いえいえ、Rさんも大丈夫ですか?』

 

「大丈夫大丈夫!多分だけど、範囲から逃げるように躱さないとダメかな。当たり判定が2回出てるね!」

 

 

ーーこのゲームに限らず、アクションゲームの回避は敵の攻撃に突っ込むことの方が有利だ。

普通に考えたら頭のおかしいことに聞こえるが、アクションゲームの回避には無敵時間がある。

 

目の前から矢が飛んできたとして、敢えて前に突っ込めば、矢に当たる速度は自分の速度+矢の速度となり、当たる判定はごく一瞬ですむ。

後ろに回避すると、矢の速度は矢の速度-自分の速度となるため、当たる判定は長くなってしまう。

 

と言ったように、アクションゲームの回避は基本的に敢えて攻撃に向けて飛び込むものなのだ。

 

 

しかし、このボスはそうでは無い。無敵時間での回避が行えないため、攻撃の範囲から抜け出す必要がある。

つまり、普段とは逆の方向へ回避しなくてはならないのだ!

 

咄嗟の判断が必要な回避で逆に操作する必要があるとは……恐ろしい子っ!!

 

 

意外とこの判定が曲者であり、全員、回避のミスが徐々に増え、回復アイテムも減りつつあった。

見え見えの予備動作が、逆にこちらの回避するタイミングをズラしてくる。

 

 

『あぁああ!!!躱しただろこれ、躱しただろぉぉおお!!このネコ!このネコー!!!』

 

 

:ガチギレしだして草

スコp:やっぱり口が結構悪いんだね〜

 

 

「落ち着きなって。そんなんじゃ倒せる相手も倒せなくなるよ?」

 

『カッツェさん!お言葉ですが、僕は落ち着いていられません!!あの憎ったらしい猫畜生を、肥溜めにぶち込んでやるその時までは!!!』

 

「あはははは。すっごい怒ってるね〜。ま、頑張って?」

 

 

:落ち着いてられない410

:はえ〜、すっごい激情型

:410は獣、ハッキリ分かんだね。

:肥溜めとかお前、変態糞ガテンみたいなこと言うな

:はよう糞まみれになろうぜ

:カッツェさん優しい、優しくない?

 

『うぇあっ!?このねこぉ!ふざけるなぁ!!誰を攻撃してる!!!お前を三味線にしてやろうか!!』

:ガチギレじゃん。

:こっちが怒り状態入ってて若干ゃ草

:ちょっ!?先輩?(実況でその言葉遣いは)まずいですよ!

:キレながらでも煩いと感じない音量調節技術は凄い。そこは誇って欲しい。

 

 

全員傷が増えつつも、カバーし合い、戦いは進む。

ボスのHPが残り15%ほどとなり、終わりが見えてきた頃。

 

突如として祭壇全体が煙に包まれた。

 

 

「煙玉かな?何も見えないね!はははっ。」

「何も見えませんね?」

『エンマク・ジツ!?』

「何が出るかなー、第3形態。名前的には足がキャタピラになってミサイルを撃ってくるとか、悪魔合体して狂神になるか……あ、テオナナ夫婦とかも?」

 

 

体制を整えつつ、軽く話しながら待つ。

10秒ほど時間が経つと、煙が晴れた。その先にいたのは……二匹のジャガーである。

 

 

 

 

二匹はそれぞれ、違うタイミングで飛びかかってくる。

 

体からは出る煙はさっきと比べて減ってもいない。

更に、虚像のようなジャガーはどちらにも重なって見えるため、多分回避の無意味さは変わらないのだろう。

 

 

「テオナナ夫婦惜しかった〜!」

『2頭同時は避けたいです!!』

「あははは!このゲーム、こやし玉ないから頑張ろうね!」

「大丈夫ですよ、もう一息ですから。」

 

 

もう少しとはいえ、2体のボスを同時に相手をしている現状。こちらが徐々に追い詰められつつあった。そんな時、ypaさんが突破口を見出した。

 

「よく見るとこの子達、あんまり離れませんね。……それに、二匹でHPを共有してるみたいです。」

「えっ!じゃあ範囲攻撃なら2倍のダメージじゃん!」

『まじですか?』

「なら、あたいは範囲魔法使うね〜」

「私も魔法使いますね、前衛をお願いします。」

『了解です!』

「おっけおっけ〜」

 

 

Rさんと2人で、それぞれジャガーのヘイトを集める。

ypaさんの言った通り、2体のボスはお互いからあまり離れられないらしい。1人だけの負担にならないよう、Rさんと肩を並べて前衛を続ける。

ある程度の被弾は無視して、張り付きながら出の早い攻撃を重ねていく。

 

が、気が気でない!

短時間とはいえ、初心者が初見ボスの相手をずっと1人でしているのだ。

 

4人居るから初見でもある程度食いつけていたものの、全然モーションが読み切れていないため、いつ死んでもおかしくない気がする。

 

 

『やられはせん、やられはせんよぉ!!

……うおっ、ちょっとカスった!』

「もうちょっとで発動すると思うよ。回避盾、一緒に頑張ろうね!」

 

 

 

 

「お待たせしました!」

「待たせてごめんね!」

 

 

 

後ろから声が聞こえたその時、後ろから現れたドラゴンが相手へ襲いかかっていった。

 

頭に大きな角を生やし、棘を全身から生やしたドラゴンは、飛び上がった自らの体を重力と質量の破壊力でもって相手へと叩きつけた。

攻撃をした後、ドラゴンは消えていく。

 

これが【破極滅塵殲・天】(はきょくめつじんせん・てん)。

別世界では、数多の実況者に「なんとかかんとか・天!!」と呼ばれ、恐れられた古龍の一撃だった。

 

 

……その次に現れたのは、そう。

 

 

 

 

それは 兵器というには あまりにも紅茶すぎた

大きく 分厚く 丸く そして 大雑把すぎた

それは 正に パンジャンドラムだった

 

 

 

 

 

英国面が転がり出す。

相手へ向かって転がり出した「それ」は、直進しか出来ない。

 

いや、その兵器の性質から考えたら、転がるだけ成功なのかもしれない。

 

しかし、前にしか進まない攻撃に当たるボスではなく、横に避けようとする。

 

が、

 

「さすがに逃がせないな〜。ボス戦からは、逃げられない!」

 

 

Rさんの魔法【The X from Outer Space】は、今まで1度も使われていなかったため、どんな魔法かは分かっていなかった。

しかし、使われると一目で分かった。

 

地面に肌色をした有機物の沼のようなものが発生し、そこから伸びた触手がテスカトリポカを拘束する。

 

名前からは【遊星からの物体】なのか【宇宙からの色】なのか判別出来なかったが、これは遊星からの物体っぽいな!

どちらにせよ、見た目が非常にエグい。粘液質なネチネチとした音も聞こえてきてなおキモイ。

 

 

足を絡め取られたジャガーは一体だけだが、二匹はあまり離れられないようで両方とも拘束できたようだ。

 

その哀れな犠牲者へと、グレートブリテンが誇る、現地の言葉で【偉大な者】という意味を持つ自走地雷が突撃し…………大爆発!!!!

爆発オチなんて、さいてーっ!!(きーみーと、ハイっ!)

 

 

 

【You REMEMBER force 】

 

 

 

こうして、こちらの回避の邪魔をしてきたボスは、自らの回避を止められることにより、見事倒される事となった。

 

 

『皆さん、ありがとうございました!お疲れ様です!!』

 

「みんなお疲れ様!あたいも楽しかったよ。」

 

「お疲れ様!たまには協力プレイもいいね〜。普段は対戦ばっかだしさ!」

 

「お疲れ様でした。一緒に遊べて、良かったです。」

 

:おおお!

:やりますねえ!

:おやりになりますわね

:最後のジェットストリームアタックすこ

:最後の最後でのRさんの的確な足止め、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね

:88888888

:ぶち56ですわぞ^〜〜!

:ypaさんの観察力もパなかったな

:カッツェさんもキレキャラの相手お疲れ様でした

:乳首流出キレキャラ系配信主見てるかー?

:冷えてるかー?

:パパの皮を被ろうとしたキレキャラ

:媚びを売り切れなかった男

:本性見えてますよ笑

:キレ芸を磨いていくのはどう?

:礼儀正しくキレるセンスだけはすこ

:サイフ(の女の子)に優しくボスに厳しい配信者の屑(鑑)

 

 

『えー……、今回はここまで!以上、閉廷、閉廷っ!!

視聴者の方々も、協力してくださったRさん、ypa91さん、カッツェさんも、皆さんありがとうございました!!』

 




次回、【14話 星5レアの人形は配信者見習いに夢を見るか?】
基本的に出演するキャラは持ってる人形ちゃん達からチョイスしてるんですけど、この子はどうしても当たりませんねぇ!!!!

でも、好きだから出します(鉄の意志)
持ってないキャラも出せるの?→出そうと思えば(王者の風格)→書けば出る(因果逆転)

そういう事です。


新作、【愛の炎に、恋焦がれる】始めました。
清姫ちゃんをヒロインにした FGO×【ダブルクロス 3rd Edition(TRPG)】のクロスオーバーものです。
原作をどちらかしか知らない人でも楽しめるように気をつけますので、興味がある人は是非そちらもお願いします!


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第14話 星5レアの人形は配信者見習いに夢を見るか?

タイトルは、皆さんご存知有名なアンドロイドの小説が元……ではなく、ダンガンロンパぁ…!(ティーティリティッティッティー!!)の方ですね

ううう…なんでこの人形ちゃんは俺の元に来てくれないんだ……
持ってない人形ちゃんだから解釈違いがあったら介錯されても構わない(HHEMの村)
追記ー人形ちゃんの名前を間違えるとかいう神をも恐れるミスを犯したためセルフで介錯します、サヨナラ!!


ある実況者様(3人)の実況を聞きながら書いていたため、多分に影響を受けております。偉大なる実況者様へ感謝の気持ちでいっぱいです。
それでは、どうぞ。


ハロ〜!私はRFBだよ!

ここ最近、長期の任務を任されちゃってて、疲れちゃった〜〜……。

 

ちょっと休んだところで、早速、いつもの動画サイトにログインする。

私はここで、コンビの配信者K&Rとして活動してるんだ!

Kは誰かって?気になる人は私の動画を見てね!

 

さてさて、他の人の動画をチェックしないと〜。

 

 

お気に入りの人や、仲良しの人が投稿した動画を眺めつつ、ニュースアプリを開く。もちろん、ゲーム関連のもの。やっぱり流行っていうのはあるからね!

 

ふむふむ……えっ!あの2020年の伝説のクソゲー『ラストソード』がVRとしてリメイクされる!?

へぇ〜。出たらやってみても良いかも!

 

もしかしたら、リメイクに伴って面白くなってるかもしれないし?

 

動画に使えそうなものや純粋に興味を惹かれた記事を保存していく。

そうやって眺めていくと、変な記事をひとつ見つけた。

 

なになに、イケメン配信者の乳首流出……?そんなエロゲーみたいなことが、現実に!?

その記事を開くと、その元となった動画が載せられた記事が出てきた。

 

投稿者の名前は【410】

名前の通り、410と大きくロゴのかかれた帽子を被っているイケメンの姿が出てきた。

 

「へ〜。有難いけど、ちょっと可哀想かな。

それにしても、なんかラノベヒロインの設定みたいな感じだね。イケメン配信者で隙だらけって。」

 

他意はない。

ないんだけど、とりあえずネタにはなるかもしれないと思い、彼のページをブックマークしておこうかな。

 

 

配信者のページにまでたどり着くと、彼は現在生放送中だという。

 

え、え!?タイミング良すぎない?もしかして確定イベントだったのかな?

初回の放送で事故を起こしたのに、放送を続けるなんて、結構メンタルが強いね

 

いやいや、それはいっか。

とりあえず見てみようっと!何事もチャレンジだよね、ゲームも現実も!

 

 

 

開くと、そこには記事にも載っていたイケメンがリアルに動き、話をしていた。

どうやら偽物ではなく、加工などもしていないようだ。

 

本物のイケメンが配信している。

けれど、それへの感情が来る前に、彼の口から驚くべき言葉が飛び出してきたので、私の思考は止まってしまった。

 

『それは、僕の…その、ち……ち……』

『僕に関するセンシティブな動画です!!』

 

おおっと!何やら衝撃的な発言が飛び込んできたね……彼が流出動画の人っていうのは間違いないみたい。

さらに、驚く事は続いていく。

 

 

 

ypa91:贈ったゲーム、早速楽しんでくれてるみたいで嬉しいです。

 

 

『あ、あなたが⑨さんですか!

わ…わいぴーえー?91さん。本当にありがとうございます!マジでありがとうございます!!

初めてこういったゲームをしたので、めちゃくちゃ楽しいです!!

 

こういってしまってはなんですが、正直VR機械を入れてたのはネタとしてだったので……まさか周辺機材とソフトまで頂けるとは……本当、ありがとうございます。』

 

 

へ〜。今やってるPL10VR、貰い物だったんだ。

あれを貰うなんて凄いなぁ。周辺機材も含めて、なんてね!……送り主の名前にちょっと見覚えがあるけど、まさかあの子じゃないよね……?そんな子だったかなあ。静かで、本が好きなイメージだったし。

ま、いっか!

 

 

ふーん。ゲームは初めてなんだ……そっか、本当?

 

彼のプレイを見てると、どうしても違和感が拭えない。

 

ゲームは、その内容によって、ある程度お約束が存在している。

これはゲーム内だと当たり前だが、ゲームを知らない人は驚くような内容のことも、勿論ある。

 

それは、【回避の無敵時間は敵の攻撃に突っ込んだ方が良い。】ということだったり、

【死にゲーのザコ敵は無視して走り抜けても良い。相手をするにしても、集団から離してから一人一人倒す。】ということだったりする。

 

 

彼の動きはぎこちない。VRゲームを遊ぶのは本当なのだろう。けれど、おそらく、彼はそういった【お約束】を知っている。

 

【レベルを上げた際、どのような能力を強化すると何が変わるか。】や、【どんな通路に宝箱が配置されてそうか。】などは分かっているのだ。

ここら辺は攻略サイトを見れば分かることだろうけど、彼はプレイしながら攻略サイトを見ている余裕や時間は彼にはなさそうだ。

 

 

そこが不思議だった。VR初心者なのに、ゲーム自体は中級者から、ものによっては上級者かもしれない。そんなチグハグさ。

もしかしたら、レトロゲーしかやった事がない、とか?

 

 

けれど、そんな事は有り得ない。自分の変な想像を切り捨てる。

VRではないゲームなんて、数十年前に生産が終わっているし、その数十年の間に、人類は今まで対面した事がないような未曾有の危機に何度も直面してきた。

 

だから、大戦前や北蘭島事件前の遺物のゲームなんて、それこそおいそれと手が出せないコレクター向けのものでしかないし、それよりも今のゲームの方が技術は進んでいるし、没入感も強い。

 

そういう理由で、今更昔のゲームをやるのはその手のマニアしかいない。

そこまでのゲームマニアが、幾ら最新機種とはいえ最大手の据え置き機を持っていないのも考えにくい。

 

 

彼は…………面白い!

 

 

私の中で、彼は【警戒心の緩いイケメン】から、【興味深い新人配信者】へと変わっていった。

 

 

というわけで、コメントをしてみる。

私の事は知ってるかな?知らないかな?

 

ワクワクしてきた、送信ボタンに指をかけると、知らず、口角が吊り上がる。

 

新しいゲームを始める前のようだ。

ビニールを破り、本体に差し込む前のドキドキ感というのだろうか。

彼の秘密、というかどんな背景があるのか気になる!

 

 

イケメンで警戒心が緩く、配信者と言うだけで不可思議の塊なのに、そこにVRゲーム初心者なのにゲーム初心者ではないという事までもが加わり、摩訶不思議の闇鍋とかしているのだ。

 

気分は推理ゲームの証拠探し。誰かの秘密を暴くとか明かすとか、そんな気分!

彼がどんなゲームをしてきたのか、気になるしね!

 

 

 

天才ゲーマーR:初めてのゲームにしてはかなり上手いね!センスあるよ!

 

e:こマ?R来てんじゃん

t:マジか、早くコンビチャンネル更新して❤

l:KとRのドンカツお代わり動画すこ

n:Kの方はどぶ森で1日でローン返済をしてからやること分からなくなったってまじ?

a:Rさん色々な配信見てるっぽいもんな

g:いや、本物なのか?

 

 

私のコメント、気づいてくれるかな?

嬉しいことに、ファンの人達もいるみたいだし!

人の配信であんまりコメントを取るのもマナー違反になっちゃうし、ワガママだけどあんまり反応されるのは、遠慮したいんだけどね……

 

 

『Rさん、ありがとうございます!

まあ、VRは初めてなんですけど、ゲーム自体は初めてじゃないんですよね〜』

 

 

コメントに気づいてくれた!あれだけ他のコメントも反応してくれたら、そうだよね。

 

……っと!いきなり確信を突いてきた。

概ね、私の予想通りだ。

さて、彼の言う【ゲーム】って何を指してるのかな?

 

 

s:VRじゃないゲーム?

b:それスマホアプリじゃね

g:わんちゃんレトロゲーしかしたことない説

y:それは草

 

 

同じような考え方に行き着いた人もいるみたいだ。けど、それは本当に非現実的なこと。

 

もし居たとしたら、合成豚肉を食べたことはないけど猪肉は食べたことがある人みたいに稀有な存在だ。

 

彼の言ったことは本当だろうけど、それだけでは無いのだろう。

まだあまり深入りはしない。

とりあえず、アドバイスでも打っておこうかな。

 

 

天才ゲーマーR:なるほどね〜。あ、バースティトの速い動きが苦手なら魔法で遠距離した方が良いかも?バースティトは魔法に弱いしね。

 

 

『おお、ありがとうございます!次はそれで行ってみますね。』

 

 

 

彼の動きは、初心者にしては中々上手いものがあった。人からのアドバイスを聞き入れ、一つ一つ試していく。負けてもやられても反省を生かし、先程より長く戦えるようにする。

 

それらは死にゲーで特に大事な事だけど、他のゲームでも大事な事だ。

やっぱり彼は、【ゲームが分かっている】んだろう。

 

 

『この距離なら槍は振れないな!』

 

懐に潜り込んで、小剣を振るう彼はそう叫んだ。

直後、ボスはバックステップしながら槍を薙いできた。彼は、その一撃を前に踏み込んで、生み出された距離を殺しつつ回避する。

 

『神回避!今の回避見たみんな!?初見の攻撃を神回避しちゃったぞぉ!』

 

【ここも】だ。

咄嗟の回避で前に飛べるのは、アクションゲームに慣れてるか、よっぽど器用な人だ。彼は、プレイからはあまり……器用には見えない。それに、反射的に口から【神回避】とすぐ出てくる辺り、ゲーム好きな人種だろう。

 

 

「やっぱり、面白いな〜」

ついつい、ニヤニヤしてしまう。

 

 

 

それからも彼は

 

『術の硬直が長すぎるっ!!』

『あー、やっぱりね!!こういう所には隠し通路と宝箱があるよなぁ〜。』

『躱しただろ今の!疑わしい判定だなおい!』

『軸合わせスギィ!ターンテーブルが足元に生えてんのか?』

『敵の硬直時間に刺しこんでいくぅ!!気持ちいいねえ!』

『(溜め攻撃しつつ)顔がついてるから取ってあげる』

『何そのビーム!ワンサイドゲームがお望みか?ビームばっか撃つな?無理はしなくていいんだよ?楽になっちゃいな?楽になっちゃお?』

『おいおいおいおい!こっちを嵌めて1人だけ気持ちよくなってんじゃねーぞ!!俺にも気持ちよくやらせろ!』

『は?そこで薙ぎ払いのループするん?IQ2億だろこいつ!』

『起きハメはやめろ!繰り返す!起きハメはやめろ!』

『ピヨったあ!やめろ、死にたくなーい!!』

 

 

など、ある程度ゲームに精通していないと出ないだろう言葉を繰り返していた。

時々、独特な言い回しが混ざっていたけど、ゲーム中につい出ちゃう言葉って結構地域差が有るしね。

 

けど……あんまり、男の人が気持ちよくっていうのは良くないと思うかな……それに、それってゲームで使う言葉?

 

 

 

 

何度目かの挑戦の後。

彼は、バースティトの前半戦を完全に凌げるようになっていた。

【屍喰鬼の懐刀】はリーチが短い代わりに手数が多く、攻撃後の隙も小さいのが取り柄だ。

 

彼は、槍の攻撃を見抜く代わりに予兆を見て回避を重ねている。リズム感いいね!音ゲーとかもできそうかな?

 

 

 

そこで、彼は私を再び驚かせた……というか、私の興味を、とても惹いた。

 

HPを半分まで減らし、第2形態。彼は一方的に遠距離から攻撃を撃ち込んでいた。

しかし、彼はいつもこの後のワープからのバックスタブにより殺されている。

 

これを繰り返していたら、また同じ目に合うだけだ。彼は、どう対処するつもりなんだろう?

 

案の定、バースティトはワープを繰り出した。

彼はその場で棒立ちになった。この動きは、さっきからもう何度か見ている。先程まではそのまま死んで行ってたけど……

 

数瞬の後、バースティトがワープを行って、攻撃を繰り出してくるであろうその瞬間。

彼は、【野獣の咆哮】を用いてカウンターを取った。

 

 

これを、これを狙っていたんだ!!見てて凄いかっこいいし、楽しくなれる良いプレイ。

彼は、見せ場を作ることを、というか、視聴者さんを楽しませることを意識しているのかな?

 

ゲームの中でとはいえ、勝ちよりも楽しませることを念頭に置いているのは、同じ動画投稿者として好感が持てるね!

 

 

 

だけど、彼はそれだけじゃなかった。

 

倒れたバースティトへ【顔無きスフィンクスの爪剣】を当てる。

そして、起き上がったバースティトはもう瀕死の状態。

 

なんでもいいから当てさえすれば勝てる状況で、彼は……

遠距離攻撃の【異浸伝神】ではなく、溜めが必要な近距離攻撃である【顔無きスフィンクスの爪剣】をわざわざチョイスしたんだ!

 

 

彼は、どこまで人を楽しませることを優先しているんだろう。

 

 

もし、もしも、これが決まったら……それは相当に【気持ちいい】んだろうな。

 

 

果たして、結果は彼の狙い通り。カウンター判定で威力の増した溜め攻撃が、バースティトの体に突き刺さった。

勿論それは、オーバーキル!バースティトは倒れていった。

 

 

 

ああ、彼の言っていた言葉の意味がようやく分かった。

これは本当に、【気持ちがいい】なあ。

 

ゲームをしているワクワクとか、上手く決まった時のドキドキとか、全部ひっくるめて気持ちよくなれる。

それがゲームの良さとか楽しさだと思うし、彼の言い方はそれを端的に言い表していた。

 

最初にちょっとだけ持っていた、顔だけの配信者かなとか、男だから人気がでたのかなとか、そういう嫌な気持ちはプレイを見てるうちに吹き飛んでしまった。

 

彼のことは全然よく分からないけど、伝わってくることがある。

彼は、ちょっと怪しいところがあるだろう、ゲームが好きなんだろう。

でも、それ以上に、本当に人を楽しませたくて、配信者をしているんだ!

 

 

やばいね。ちょっと胸がドキドキがしてる……さっきの興奮が体を熱くしている。この人ともし遊べたら、どんなに楽しいんだろう!!

 

コラボ実況とか、出来ないかなあ?

私は、どうやら、この配信者、【410】の、ファンになってしまったようだ。

 

 

そう思っていたら、どうやらマルチプレイの募集をするらしい。好都合かな。

このマルチプレイは、彼がイケメンで人気があるだろうし人がいっぱい集まるだろうね。

 

久々に、本気で入力しよう。

彼とゲームがしたいし!ここは、負けられないからね!

 




すいません、お客さん。それ勘違いなんすよ!
とはいえ、410くんが出来るだけ視聴者を楽しませようとしていることと、ゲームが好きなのは本当です。

自分で書いておいてなんですが、VRゲームしたことないくせにレトロゲーやったことあるやつを、合成豚肉食ったことないのに猪肉食ったことあるやつと例えたのは秀逸だなって(自画自賛)


えー…事務連絡になるのですが、ストックの霊圧が……次回で消えます。
更新ペースはもちろん落ちますが、エタるつもりはないです。

ある程度進めたところからは、短編集のような形を想定していまして、とりあえずそこにたどり着くまでの構想はあるので、安心してください!



次回【第15話 人形(ニンギョウ)Aの献身/人形(ヒトガタ)の道化師】
僕はWもガリレオも好きです(お気持ち表明)


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第15話 人形(ニンギョウ)Aの献身/人形(ヒトガタ)の道化師

趣味で始めた処女作のこの作品ですが、いつの間にか2万アクセス、お気に入り500、そして……なんと…ランキング入り(!?!?!?!!)にまでたどり着くことが出来ました。
皆さんのおかげです。読んでくださり、本当にありがとうございます!!


さて、今回の話は生配信の残りの参加者2人からの視点の話になります。
相も変わらず趣味100%の小説ですが……地獄の底(小説のラスト)まで独自設定と相乗りしてくれ!
実に面白い。そういうタイトルミーニングです。
ま、どっちも探偵ものだし、多少はね?


人形Aの献身

 

 

 

なぜこの手続きをしたいのか、理由を知りたい。ですか?

 

分かりました。指揮官にはお話しますね。

あの、前に指揮官の部屋に飛び込んだ時、私はちょっと…いえ、かなり驚く出来事があったんです。

 

え、驚いたのは私の方だった?いえ、私の方が、多分驚いたと…思います。

最初から、話しましょう。

 

 

その日、私は運命に会いました。

 

……その日は、友達のAS_Valちゃんの部屋で過ごしていました。

 

彼女、シャフトちゃんはあんまり、煩いのは好きじゃないから。

私は、私を、あまり気にかけて欲しくないから。

 

 

それぞれ、彼女はパソコンで何かを見ていて、私は本のページを捲ってました。それが自然な距離感で、これが私たちの付き合い方でした。

 

私は、元々特殊部隊向けに作られた、本来は日の目を浴びない種の銃です……まあ、それは、シャフトちゃんも一緒ですけど。

 

私は、だからこそ注目を浴びたかった。活躍を褒めて欲しかった。誰かに、見つけて欲しかった。

シャフトちゃんは、人の目をあまり惹きたくないみたいだけど、私はその感情が分からなかった。

 

 

けど、私がどれだけ望んでも【私】が見られることはなかったんです。

私は、自己主張をあまり出来る性格ではありません。

 

それは、メンタルモデルがそういう傾向だったというのも勿論あるでしょうが、何よりも消音性を重視した弾丸を用いたアサルトライフルだということも関係していると思います。

 

だから、自分からは話しかけられないけど、誰かに認めて欲しい矛盾に苦しめられていました。

 

私は、その消音性から夜戦に出番が多い人形なので、帰ってきてもみんな寝てしまっていて。

褒めてくれる人も、見てくれる人も、同じような環境のシャフトちゃんしかいなかったんです。

 

 

他の誰も、私と話してくれないようで、同じ環境の友達しか私を知ってくれなくて、私を認めてくれなくて、だからこそ、私を見てくれる人を探すのは辞めていました。

 

私を気にしないで欲しかった。

期待を持ってしまいたくはないから。

劇的な何かがあった訳では無いけど、毎日の諦観が募って出来た感情は、私にはどうしようもなかったですし、どうしたらいいか分からないものでした。

 

そうやっていつも通り、諦めながらのんびりと過ごしていたら、シャフトちゃんが急な呼び出しを基地内放送で受け、司令室へと向かって行ったんです。

 

 

随分と急いでいた事もあって、彼女はパソコンの電源を切り忘れてました。

このことに気がついたのは、本を読み終わってページから顔をあげた時だったんですけど……

 

パソコンの画面が点いているのに気がつくと、私はパソコンへ向かっていった。

最初は、パソコンの電源を切ってあげようとしたんです。けれど、シャフトちゃんが何を見ていたのかが気になって……勿論、履歴とかブックマークまでは見る気はなかったです。

でも、画面に今何が表示されてるかくらいは見たくなってしまって。

 

 

そこには運命の人が映っていました。

 

 

その画面の中では、1人の男の人が話をしていました。

とはいえ、別に一目惚れしたとかではありません。最初に見た時は、顔が整っているかなってくらいでした。

 

でも、何を話しているのか気になって、パソコンに繋がったイヤホンを耳へ入れ、話の内容を聞くと、衝撃が走りました。

 

 

『あれ、あんまり知られてない曲なんでしょうか?

とはいえ、真っ先に名前が出るのは知られざる名曲みたいな感じで、それはそれでカッコイイですねぇ!』

 

 

頭を、撃ち抜かれたような感覚を覚えました。

撃ち抜かれたのは、心なんですけどね?

 

コホン、兎にも角にも、その言葉は私の少しづつ固まった心を覆う諦めを、あまりにも暴力的に壊していきました。

 

知られていなくても良い。知られざる、知られていないからこそ、カッコイイ。

カッコイイ?認められた?みんなに知られていなくとも、認めてくれていた?

みんなに認められていなくても、誰かからは認められていた?

 

 

 

そんなことが、有り得るの?

 

 

その後、彼が何をしていたか。話していたかは知りません。

 

その衝撃のあまり、私は、反射的に、指揮官の元へと走っていました。

今思い出しても恥ずかしいんですけど、あの時、部屋に入るなり「私を、認めてくれていますか!」って泣きながら叫んでしまったのはそういう、理由だったんです。

 

話してもないのに、勝手に諦めて、馬鹿みたいでしたよね、私。

でも、そのおかげで、私は、指揮官と話すことが出来て、気持ちが分かったんです。

 

彼はその……恩人なんです。私の、心の。

切っ掛けだったんです。人に見てもらっていたと、知ることの。

 

なので、私の給与から差し引いてPL10VRとソフト、周辺の配信機材を彼に送る手続きをお願いします。

 

 

え?恋?貢ぐちゃん?いえいえ。ほんの、恩返しですよ、指揮官。

 

でも、それで彼が、私を見てくれたら嬉しいですね。

あ、私がここまでするのはイケメンだからでも、男の人だからでもないですよ?

 

もしも、あの人が女性だったとしても、同じことをしました。それだけは間違いないです。

 

 

 

それじゃあ手続き、お願いしますね。指揮官?

 

え?手続きする代わりに、もしもフレンドになれたら一緒にやらせて?

もし、なれたらなら構いませんよ。勿論、彼の了承もいりますけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

人形の道化師

 

 

 

あたいは、【カッツェ】……と言っても、仮名なんだけどね。

あたいの名前が知られると、ちょっと困ったことが起きるかもしれないから。

 

この名前も、結構気に入ってるしね。

カッツェ。ドイツ語で猫。

つまり、ドイツでは、古代ケルトから遥々伝わるお祭りの【生贄】

うん、なんともあたいらしいや。

 

 

幸い、【あの人】のおかげで、【あの事件】でも死ぬことはギリギリなかったけど、容量ギリギリなのに致命的な負荷が掛かっちゃったせいであたいのメンタルモデルはもう戦えない。

咄嗟の平衡感覚とか、手の安定に異常が出ちゃうらしい。

 

だから、今ではもっぱら、部隊の裏方。データ集めとか、情報処理とか、裏取りとかのね。

とはいえ、あたい達の部隊は連絡が出来ないような場所の任務に回されることもある。

 

そんな時、着いていけないあたいは、待つしかない。

だから、ゲームとか本が好きになっちゃった。

何もしないで待ってると、ストレスがやばいからね。

 

 

それで、最近ハマったのは生配信。

もし同じゲームだとしても、色んな実況者さんがやると、バリエーションが出るというか、それぞれの味が出て面白いんだ〜。

 

さて、そうやって見ていると……あれ、この人。

数日前に、イケメン配信者が初回の放送で乳首が流出したとかで話題になっていた人。

 

 

いや、あたい達にとって、それだけでは無い。前に任務中に遭遇したことがある存在で、かつ、現在の任務の【対象】となっている存在だ。【リンクス】が接触を行っている。

 

リナさんのアパートに今は住んでいる、何故かグリフィンで保護されていない記憶・身元不明者。しかも配信者名がなんか…うん、ちょっと思うところがある。

 

 

 

初配信での流出動画を【ベルーガ】に見せたら、すっごい爆笑した後に【ジェロニモ】に見せて【レーヴェ】共々殴られていた。

まあ、顔が真っ赤になったジェロニモを散々からかったベルーガとレーヴェにも問題はあるよね〜。

こういう時、真っ先にジェロニモを揶揄うだろうリンクスが黙っていたのは謎だけど……

 

さて、そんな我が部隊でもホットな話題である彼が今配信をしているらしい。見てみようっと。

 

 

 

 

…………なんか、流れで一緒にプレイしちゃった。

うぇぇえ…さっきまでは楽しかっただけだけど、今になって緊張が……うう……

 

というか、最初のほうで……

 

 

『……えーっと、カッツェさんはいい声してますけど、声出して大丈夫なんです?ほら、プライバシーとか。』

 

『カッツェさんはいい声してますけど、声出して大丈夫なんです?』

 

『カッツェさんはいい声してます』

 

『いい声してます』

 

 

ああ言った手前だけど、実は面倒くさくて自分の声をアバターに登録していたのだ。

 

あ、あたいの声が、褒められ…!

いやいやいやいや、流石にお世辞だろう。

いや、それでも……いや……うーん…

 

考えても仕方ないし、食べ物を買いにでも行こっかな。

褒められたと思っておこう。その方が嬉しいし。

 

 

 

そう思って今の仮住まいを出た時に、階段から降りてきた人と遭遇した。…今は、1番会いたくなかったんだけどね。

 

 

「あ、どうも」

「あれ?よ…………ウェデリアさん?じゃないか、初めまして。」

「あはは〜。【私】はセターリア。ウェデリアのお姉さんだよ。よろしくね。」

「僕は祠堂透吾です。よろしくお願いしますね。セターリアさん。」

 

 

そう、先程まで一緒にプレイしていた彼……実況者410こと、対象【祠堂 透吾】に、出会ってしまったのだ。

 

幸い、声で気づかれてはいないようだが……

 

 

「へえ!ウェデリアさんにお姉さんがいたんですね。セターリアさんも、ここに住んでらっしゃるんでしょうか?」

 

「あ、ううん!私は時々、ウェデリアの様子を見に来てるだけだよ。ほら、あの子の仕事的に心配だしさ。」

 

「なるほど、優しいんですね。」

 

「いやいや、そうでもないよ。」

 

 

焦りはしたものの、接触してしまった際の受け答えの情報は覚えきっている。

今のあたいは、【スクラップ拾い】ウェデリアの姉である【研究員】セターリアである。

 

よし!うん、大丈夫そうだね。

彼も、不審がった様子はない。

 

 

「セターリアさんはこれから何処へ?」

「んー、ちょっと食べ物を買いに、かな。」

「へえ!あ、僕もこれから買いに行くんですけど、良かったら一緒に行きませんか?」

「え、え?」

 

 

何を、言ってるんだこの人は。

初対面というか、会ってすぐの女の人と買い物に?

ウェデリアの姉と言うだけで大丈夫だと思われるほど、彼女が既に信頼を勝ち得ているのか、それともこの人が何も考えてないだけか。

 

ここは冷静に、対象との過度な接触は控えるべきだから断って……

『カッツェさんはいい声してますね』

……ちょっとくらいなら、大丈夫かな。【任務】からしても、その方が良いだろうし。うんうん。そうしよう。

一緒に買い物に行くくらいじゃ、何のリスクにもなりえない。冷静な面もそう言っている。

 

 

「じゃあ、折角ならご一緒させてもらおうかな。どこに買いにいく?」

「そうですね〜。じゃあ、近くのスーパーでいいですかね?」

「大丈夫!おっけおっけー。」

 

 

 

これは、対象の情報を集めるのがメインだ。うんうん。

何を作る予定なの?へ〜、カレーかあ!良いねぇ!

好きな食べ物は?ゆき鍋とずんだ餅……?そ、そっかぁ。

 

 

スーパーでの買い物を終え、帰り道。

 

「ねえ。そういえば数日前にウェデリアをお嬢様って呼んだって本当?」

「あー……はい、そうです。」

「あの子はあれでかなり純粋な所あるから、あんまりからかうのは止めてあげてね?」

「本当に、申し訳ない。」

「まあまあ、そんな気にしないでいいよ。」

 

そんな風に話していると、アパートまでもうちょっとの所まできた。楽しかったけど、そろそろ、お別れかな?

 

「あ、そうだ。セターリアさんに1つ言いたいことがあったんですけど、」

「ん?なーに?」

「さっきはありがとうございました。【カッツェ】さん。」

「えっ、え!?な、なになになになに?」

 

 

バレ、てた?何時からだ?なんでバレた?どうして?

話す時には注意していたはず。最初に声でバレてた?

 

 

「あれ、違いました?さっき一緒にゲームしましたよね?」

「え、ええ……いやいや、何の、ことやら?」

「さっき、あたいって言ってましたし、特徴的な一人称だったので。」

「え、言ってた!?いつ?」

 

 

「ふふふっ。カマ掛けですよ。貴方の妹にされたんでね。やり返してやろうかと。」

 

 

やられた。

発端になったのはウェデリアなのに……

 

 

「ええ〜!なにそれ!やり返すならウェデリアにしてよ!それにしても、いつから分かってたの?」

 

「ははは!!まあ、最初からですね。セターリアさんの声、好きだったんで覚えてたんですよ。」

 

「えっ、あれ……本当のことだったの?」

「本当って?」

「いい声とか、その……そういうの。」

 

「本当です。セターリアさんの声、俺は好きですよ。」

 

顔が熱い。彼の方を見れそうにない。

なんでこの男はそんなにポンポンと好きだのいい声だの言えるんだ!こちらの気持ちも知らないで……いや、知らないからこそ言いやすいのかな?

 

 

「セターリア!おつかれさ……ま?……あれ〜?隣にトーゴが居るように見えるんだけど、幻覚かしら?」

 

アパートの前には、私を待っていたのだろう。ウェデリアが立っていた。あっちゃ〜!ちょっとやばいかな……

一見すると普通に見えるものの、今の彼女の中には様々な感情が渦巻いているのだろう。

 

金の目が爛々と輝いているのが見える。

さて、どう言いくるめようか…と考えていると、彼が驚くべき一言を発してきた。

 

「あ、ウェデリアさん。こんばんは。

折角なら、またうちで夕飯食べませんか?」

 

 

 

何を言っているんだ、この人は。




1番、ストック。歌を、唄います。
オラは死んじまっただ〜、オラは死んじまっただ〜、オラは死んじまっただ〜、天国に行っただ〜!
ストック?どうしたんだ、応答しろ!ストック〜〜〜!!!
ということで、ね。次回以降から毎日更新は出来ません。気長に待っていただけると有難いです。

次回【16話 ドキドキ!姉妹と秘密の夕食!?(秘密ポロリも)ないです。】

の予定ですが、恐らく1万ユニークアクセス記念の方が先に書き上がります。もう2万アクセス……?どういうことなの?

ー追記ー
最新話を分かりやすくなるよう、章を入れ替えました。
もしも読みづらくなっていたりしましたら、お手数ではありますがご感想にて書いて頂ければ対応出来るよう、最善を尽くします。
今後も弊作品と長い目でお付き合い頂けると幸いです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


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16話 ドキドキ!姉妹と秘密の夕食!?(秘密ポロリは)ないです。

(テスト期間を迎えたら更新が更に遅延しそうなので)初投稿です。
あと、またまた章を入れ替えました。書きたいものから書くからこうなる…お前はいつもそうだ…誰もお前を愛さない…


名前が分かりづらいと思うので、念の為に振り返りをしておこうな!
ドルフロの命名則に従い、どちらも植物の学名から付いてます。

ウェデリア・自称スクラップ拾いの少女。見た目と声が45姉だが隙がチラチラある。この世界的には見た目がごついらしい。
彼女とシドーくんが話した後に通信していた謎の人物、【リンクス】との関係とは……?

セターリア・見た目があたいちゃん。ゲームの名前はカッツェで、ゲーム中の一人称はあたい。
コードネーム【カッツェ】と同一人物で、彼女視点の一人称はあたい。


俺はスーパーで夕飯を考えつつ食材を買いながら、チラリと横に目を向ける。

楽しそうに買い物をしているライトグレーの髪をした少女。

 

セターリアさんとばったり会った時は焦った。

配信で出演したカッツェさんの声にそっくりで、かつ配信中から疑ってたどっかの人形にそっくりな見た目をしていたからだ。

 

 

そう。ストーリーに於いては壮絶な最後を遂げることになる人形であり、45姉の価値観形成に深く関わっている彼女。UMP40。

 

404小隊に出会ったということは、恐らく45姉と関係のあった彼女は死亡していると思って間違いないだろう。

 

 

しかし、このアパート・ヒポグリフには、ウェデリアこと45ちゃんが住んでいる。

そして、セターリアさん本人曰くウェデリアの姉だと。

これは……どう見たらいい?

 

UMP40とUMP45という人形自体の相性が良いのか。

それとも、この世界だとUMP40が生き残っていて、その結果が45姉改めて45ちゃんという状態に繋がっているのだろうか。そうなるとウェデリア=45姉疑惑が再浮上するが、果たして……?

 

このアパートの家主たるリナさんは、恐らくグリフィン系列に関係を持っているはずで。

 

 

 

……ま、どちらにせよ、だ。(少なくとも声と見た目は)UMP40と歩いている事に一切の変わりはない。

 

 

アプリ内で45姉と誓約していたことから考えれば、義姉さんと買い物に行ってるも同然のシチュなのでは?

今は難しいことは考えずに、可愛い女の子とスーパーで食べ物を買うという至福に浸かっていよう。

 

 

 

会計を済ませ、スーパーを出る。横を見ると、隣には40ちゃんが居る。その手には、食材の入ったレジの袋。その中には、ジャガイモやニンジンなどが入っている。

 

そう、特売コーナーに合成ではない見慣れた野菜の姿(工場産)があったため、つい奮発してしまった。

 

ああ〜!なんかこう。なんかこう!若妻感というか、同棲カップル感が半端ない!!生きていて良かった!!

 

 

 

公園に通りがかったため、ある物を袋から取り出す。

 

「あ、そうそう。セターリアさん。」

「ん?どうしたの?」

「これ、食べます?」

 

そう言って取り出したのは、みんな大好き2人で食べるアイス。

俺はこれが大好きなのだが、一人で食べると虚無感とお腹が……辛いねんな。

というわけで、せっかくの機会なので買っておいたのである。

 

 

「お!いいね〜!貰っちゃおうかな。」

「よしきた!それじゃ、そこの椅子に座りましょっか。」

 

公園のベンチに移動した。公演と言っても、緑は少なく、運動のできるスペースの多いような公園だ。

電灯の明かりが、広場を照らし出している。

夜の静寂が心地よく、少し涼しい気候で過ごしやすい。

 

「はーい。じゃあこっちのコーヒーミルクを貰おうかな。」

「じゃ、俺はソーダ味ですかね。」

 

なんと、この世界の2人で食べるアイスはひと袋に別の味が入っているのだ!

 

「いやー、やっぱりこのアイス、チープ感が最高に美味しいよねぇ!貰っておいて悪いんだけどさ。」

「分かります分かります!この、いかにも安いぜ!って味が堪らなく美味しいですよね!」

「うんうん。シドーくんは分かってるねえ。」

 

2人でベンチについて、アイスを食べること、しばらく。

俺の頭に電流が走った。天啓が降りてきた、と言ってもいいかもしれない。

 

しかし、こんなことをしても許されるのだろうか?逡巡すること、少し。

 

 

しよう!! ドン!!!

 

 

エンジョイしなきゃ勿体ない!だって人生は1回だからね。

ここで辞めたら俺たちの平成が醜くなってしまう!(現・平成32年)

ので、やることにした。

 

「ねえ、セターリアさん。」

「ん?どーかした?」

「コーヒーミルク味、1口貰いますね。いいですか?」

「いいよ?」

「ありがとうございます!」

 

彼女はよく分からないままに許可を出したようだ。

何を聞かれたのかさっぱり分からないよ。とでも言いたげなきょとんとした顔がなんとも可愛らしい。

柔らかく握りこまれた手も丸くて小さくて可愛らしい。

そんな手に持たれたコーヒーミルク味のアイスへ、そのまま口をつけた。

 

 

 

間接キッスが合法ってマジ?こんな状況ならやりますねぇ!やりますやります。(ノンケの屑)

なんか、絶対気の所為に決まっているのだが、ふんわりと甘い味がした気がする。

 

「ひぇっ?」

「ははは!どうしたんですか、セターリアさん。変な声出して。」

「え、え、え。いまその……あ、わたしの、食べかけだよ、それ?」

「やだなあセターリアさん、そんなことは見れば分かりますよ。あ、僕の分もいりますか?」

 

 

うおお!!反応もマジで可愛いな……

賢明な読者の方々はもちろんご存知だと思うが、ハイテンションだった子が急にしおらしくなった時の温度差は半端ない。

驚いた時の声は、姉妹と言うだけあってウェデリアさんにそっくりだった。

 

 

「えっ!でもそれ、シドーくんが口をつけたやつだよね?」

「そうですけど?あ、誰が口にしたとか結構気にするタイプですか、セターリアさん。」

「いや、あんまり気にしないけど……」

「じゃあどうぞ。あーん。」

「ううう……」

 

 

顔を真っ赤にして俯いてしまった。ねえ、今どんな気持ち?今どんな気持ち?

お顔真っ赤で可愛いね❤

食えよ、オラッ!間接キッス!!!キーッス!キーッス!

 

 

「どうしました?セターリアさん。」

「うぐぐぐぐ……やってやる!女は度胸だしね!!!」

そう気合を入れて、1口。

「美味しかったですか?」

「」

「あれ?あっ、フリーズしてる。」

「……代理処理機能部に過負荷がかかったため、メンタルモデルを一時停止しタスクの処理を行います。」

「久しぶりにこの反応を見たわ。確か、前はM1911がこうなっちゃったんだよな。」

 

 

待つしかないなあ。

この後、再起動したセターリアさんを見て笑ったらめちゃくちゃ怒られた。

 

 

 

怒り方も可愛らしいもので、

「いい?男性がああいうことを気楽にするのはダメなんだよ!」

とか

「あれは恋人以外とやらないようにね!」

と、腰に手を当てながらプンプンしてきて可愛いだけだった。

 

 

 

 

さて、(一方的に)楽しかった帰り道も終わりかけ、そろそろアパートに着きそうな頃。

 

 

ひとつ……最初から聞いてみたいことがあったんだよな。勿論、この子がストーリーと関係しているUMP40なのか、ということではない。

好き好んで薮をつつく趣味はない。厄ネタすぎて死ぬ予感しかしないぞ……

 

そんなやばいことではなく、先程一緒にプレイした【カッツェ】さんと同一人物なのか?ということだ。

違っても、アパートに近いことを口実にサラッと別れれば大丈夫だろう。

 

 

あっ、そうだ(思いつき)。この前45ちゃんにやられたことを、ついでにやり返してみるか。

 

 

「そうそう。セターリアさんに1つ言いたいことがあったんですけど、」

「ん?なーに?」

「さっきはありがとうございました。【カッツェ】さん。」

「えっ、え!?な、なになになになに?」

 

おやおや?この反応は?やっぱりそうなのか?

 

「あれ、違いました?さっき一緒にゲームしましたよね?」

「え、ええ……いやいや、何の、ことやら?」

「さっき、あたいって言ってましたし、特徴的な一人称だったので。」

「え、言ってた!?いつ?」

 

 

 引っかかった!!

 

 

「ふふふっ。カマ掛けですよ。貴方の妹にされたんでね。やり返してやろうかと。」

 

「ええ〜!なにそれ!やり返すならウェデリアにしてよ!それにしても、いつから分かってたの?」

 

「ははは!!まあ、最初からですね。セターリアさんの声、好きだったんで覚えてたんですよ。」

 

「えっ、あれ……本当のことだったの?」

「本当って?」

「いい声とか、その……そういうの。」

 

「本当です。セターリアさんの声、俺は好きですよ。」

 

 

そう伝えると、彼女は顔を赤くして黙り込んでしまった。40ちゃん……がわ゛い゛い゛な゛ぁ゛!!!

あれ?アパートの前に誰かたっている。誰だろう?

 

 

 

……背丈といい、雰囲気といい、何故か嫌な予感がする。背筋を冷や汗が伝った。

 

「セターリア!おつかれさ……ま?……あれ〜?隣にトーゴが居るように見えるんだけど、幻覚かしら?」

 

そう言って微笑んだ彼女は、そう。噂の45ちゃんことウェデリアさんであった。

笑顔です。と言ってあげたくなるような笑顔だが、それを見て感じたのは、純然たる恐怖。

 

 

こいつぁ、不味いですよ!

何がやばいかは具体的には分からないが、翌朝に目を覚ませなくなれそうな危機を感じる!!

目がキランキランに光り輝いてらっしゃるしな!!

 

一説によると、走馬灯とは死を目前にした脳が起死回生の一手を探すことで起こるという。

きっと、俺の脳へさしかけられた一筋の光も、同様のものだったのだろう。考える前に口が開いていた。

 

 

「あ、ウェデリアさん。こんばんは。

折角なら、またうちで夕飯食べませんか?」

 

「あら、お誘いありがとう。トーゴ。それはそれとして、セターリアは何でそんな所にいるのかしら?今日は貴方が来るって聞いたから、早めに帰ってきたんだけど?買い物は楽しかったかしら〜?」

 

「はは〜…いや、その……ちょっとした縁でシドーくんとゲームしててね?それで、終わった流れで夕ご飯の材料を買いに行くことになってさ。あは、ははははは。」

 

「へぇ〜…まあいいけど。で、何?トーゴ。またご飯のお誘いかしら?」

 

 

 

矛先がこちらへ向いた。ここからが正念場である。まず、彼女がここまで怒っている原因は俺には分からない。

 

 

以前会った際も、動揺するまでの彼女は45姉のような、人をくった態度を崩すことはなかった。

ということで、この型の人形……というか、ウェデリアさんは少なくとも45姉めいたメンタルを持ってることに変わりはないはずだ。

 

45姉を基準に考えると、彼女が激情を表す瞬間はスキルや重症時などの戦闘中であり、気分が高まってるであろう場合のみである。

そんな彼女が、家で姉を一人で待つことになった程度のことでこんなブチ切れるのだろうか?

 

俺という部外者の前だからそれを表に出してはいないが、その瞳に込められた激情は見るだけで何かを覚悟してしまいそうなくらいの怒気を放っている。

 

 

つまり、なんでこんな怒ってるか、私には分からん(無能博士)。

 

 

こういった時、俺が持つ打開策はひとつしかない。

これ下手にやると怒りを煽るだけだから、やりたくないんだよな。

しかし、彼女は怒りを隠す…と言うよりも、本心そのものを隠そうとするタイプのため、そこまで分が悪い賭けとは思わない。

 

 

 

 

「そうそう。理由は分からないけどさ、なんか嫌な思いをしたっぽいじゃん?お腹も空いてるだろうし、食べながら話聞こうかなって。」

 

「…………。」

 

 

必殺!!敢えて素直に、怒りを指摘する!

やる相手の見極めを間違えるとめちゃくちゃやべーことになる一手だが、どうだ……?

無言が1番怖いっす……!

 

 

「そうね。お気遣いありがとう、そういうことならご一緒させておうかしら。」

 

 

そう言ってため息をついた彼女の目に……怒りの色は見えなかった。ヨシ!!(指差し確認)

ひとまず何とかなったな!!

 

帰ったあとセターリアさんがどうなるか?

知りません、自己責任でお願いします。

 

 

 

さて、そんなこんなで……2人を招いたわけだが……よくよく考えると、見た目的にはUMPのおふたりがお家にいらっしゃるということで……

どうすっかなー、俺もなー!!

緊張が凄まじい。

 

 

とりあえず、以前のようにクッションに2人を座らせる。

客が来たようにクッションをふたつに増やしておいてよかった……

 

「じゃあ、僕は料理してますね。」

「あ、私もやるよ!」

「それじゃ、私も…「ウェデリアは慣れてないんだし、座ってて!」……はーい。」

 

45ちゃん料理出来ないのか……それはそれでアリだな。

 

 

ここのアパートはその防音や各種設備の充実度合いに見合った広さのキッチンのため、頑張れば3人くらいで料理できそうな広さがある。

やっぱり何かヤバいだろここ。

 

2人してキッチンに立つ。

3日分くらいのカレーをまとめて作るつもりだったので、材料に余裕があるのが幸いである。

 

料理を続ける傍ら、セターリアさんが話しかけてきた。

 

「さっきは助けてくれて、ありがとうね。」

「助けたって?」

「ああ!ほら、アパートの前でさ。ウェデリアを落ち着かせてくれたでしょ?」

「いえ、あれはウェデリアがその場での感情を鎮めてくれただけですよ。何について怒ってるかは知りませんが、帰ったらセターリアさんは多分めちゃくちゃキレられます。」

「うぇっ!?」

 

 

驚いた事で、スルスルと流れるようにじゃがいもの皮を剥いていた手つきが一瞬だけ止まる。

 

 

「いたっ。たはは、うっかりしちゃった。」

「大丈夫ですか?」

 

見ると、彼女の柔らかな指先から血が垂れている。

刃先が薄皮よりも少しだけ深く入ってしまったようだ。

 

「あー、大丈夫、大丈夫!私はこれでも人形だしね。ほっとけば直ぐ出血も止まるよ。」

「いやいや、一応処置はしときましょうよ。」

 

 

パクッとした。いいや、してしまった。怪我を見ると、反射的にパクッとしてしまうタイプの人間なのだ、俺は。寧ろ感染症のリスクが上がるらしいっすね。

 

でも、しかし、だからといって、他人の、それも女の子の指先まで咥えるような人間ではない……筈だ。記憶はないし、やっちまったけどな!!

 

 

 

「え、え、え」

 

 

 

彼女も現実が処理できていないようで、呆然とした顔をこちらへ向けている。

このままだとまずい。

 

何か目覚めてはならないものが目覚めようとしている。怪我人相手にそういうのは非常に良くない。

直ぐに口を離し、ハンカチを渡す。

 

 

「これで抑えててください。バンソーコー取ってきます。」

「うぇあ?あ、うん。ありがと。」

 

 

未だに現実が見えていないらしい。これ幸いとキッチンを離れ、リビングの救急箱を漁る。

 

 

「あれ、どーしたの?トーゴ。」

「セターリアさんがちょっとトチって怪我した。大丈夫、かすり傷だから。」

「そう。料理を始めた頃ならまだしも、今?貴方がまた何かしたんじゃないの?」

「またってなんだ、またって。俺が何かしたことあったか?」

 

 

思い当たることは思いきりあったが、すっとぼける。また俺何かやっちゃいました??

姉…ではないかもしれないが、知り合いが怪我をした状況で、些細に突っ込んでくるような人形ではないだろう。彼女がどちらだったとしても。

 

 

「……。ま、いいわ。早く絆創膏持ってってあげなよ〜?」

彼女は顔を赤くしながらも、そう言った。

 

 

キッチンに戻ると……あちゃー。先程の指先を咥えられた衝撃があまりにも大きかったのだろう。彼女はまたフリーズしており、再起動の為の処理に追われていた。

 

 

 

そんな騒動を挟みつつも、無事にカレーを作り終えた。

 

「で、ウェデリアは何かあったの?」

 

「ええ、ちょっと仕事中でね……。前に言った宝石を売ろうと思ってたら見つからないの。

で、必死になって探してたら、仕事仲間が付けて歩いてたらしくて……やになっちゃうわ、全く。」

 

「そ、そうだったんだ。大変だったね……。」

 

 

注意深く見ていた俺には分かる。一瞬セターリアさんへと目を向けていたことが。

そして、目線を向けられた彼女がビクついたことが。

 

恐ろしく早いアイコンタクト、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。

 

 

「へー、そんなことがあったのか。お疲れ様。

確かに、失くしたものを探すのって大変だし、ストレスだもんな。徒労だと分かったら嫌にもなるよ。」

 

「ま、そういうことよ。今度の仕事の前に、徹底的に絞ってやらないと……」

 

「はは、ははははは。」

 

 

セターリアさん、終始苦笑い。やはり、二人の間には何かしらの協力関係があると思って間違いない。

【宝石】とやらは何らかの隠語だろう。

が、それを持って買い物か……ちょっと、というかかなり抜けてるのでは?

 

 

「勿論、やっていいとは思わないけどさ、仲間にも何かの事情があったんじゃないか?」

 

ちょっとばかし、セターリアさんもフォローしておく。

 

「事情、ねえ。」

 

 

ちらりと目線を飛ばすと、此方へ縋り付くような目を向けてくるセターリアさんの姿が。

だが、すまない。

 

 

「まあ、だからといってやっていいとは思わないけどね。せめて、事前に連絡くらいはするべきだしな。」

 

 

とりあえずここはウェデリアのフォローだ。ここのバランスを間違えると、セターリアさんへの折檻は寧ろ強まるだろう。

 

気落ちして項垂れる彼女は、それはそれで可愛らしいものがある。あなたの為だから(善意の押し売り)

そんな彼女を見ていると、胸に湧いてくる不思議な感情。これって……もしかして、愉悦?

 

 

 

 

 

「さて、姉妹共々お邪魔して悪かったわ。」

「手当までしてもらって申し訳ないね!」

 

夕飯も食べ終わり、2人が帰る事となった。

じゃ……最後のフォローをしておこうかな。

 

 

「いやいや、こっちから誘ったんだから大丈夫だよ。あ、ウェデリアに渡しとく物があったんだ。ちょっと待ってて?」

「私に?」

「じゃ、私は先に帰ってるねー。」

 

 

キッチンに戻り、カレーをタッパーに詰める。

 

「はい、これ。」

「さっきのカレー?どうしたの?」

「ほら、ウェデリアって一人暮らしだし、料理もしないっぽいからさ。カレーなら冷凍しとけば長持ちするし、置いといて損はしないと思って。」

「なるほどね、ありがとう。有難くいただくわ。」

「おう。じゃあな〜。」

「はいはい、またね。」

 

外へ出たタイミングで、1度閉められた扉をこちらから開ける。

 

「あ、最後に。また何時でも来てくれていいから。紅茶くらいしか出せないけどな。」

「そ、それって……」

「またな、【お嬢様】?」

 

 

扉を閉める。向こう側から、声にならない叫び声のようなものが聞こえた気がした。

これでヨシ!!前の反応を見るに、だいぶ感情がしっちゃかめっちゃかとなったことだろう。これで少しでも、怒りの感情が薄れないかな〜。

後はセターリアさんの命運を祈るばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

何処かのアパートの一室、

及び通信を通して行われた会話

 

 

「ねえ、【カッツェ】。【対象】に接触する時はちゃんと事前報告をしてって言わなかったかしら?」

「はい、仰る通りです……や、でもね?接触は本当に偶然で、ばったり会っちゃってね?」

 

「へえ。じゃあ、それはいいわ。対象の性格面の調査もお仕事の内だしね。」

「でしょ、でしょ!!」

 

「……ねえ、じゃあさ。なんでコードネームをそのままゲームで使ってるの?貴方の辞書には危機管理って言葉はないの?」

「はい、仰る通りです……」

 

「で、それが元で対象にコードネームがバレたんだっけ?」

「はい……」

 

「じゃあ変えるわ。今から貴方は【エーゼル】ね。」

 

 

・ブフっ!!それは……酷い…ぷッ…!!

・ロバだロバ〜!

・ま、馬鹿って事よね。対象にバレるとか有り得ないでしょ。

 

「みんなにも異議が無さそうだし、これで決定ね。」

「はーい……深く反省します……」

 

・あ、そうだ!【リンクス】姉、こっち来る時にカレー持ってきてくれない?対象の料理をちょっと食べてみたいな〜、なんて。

 

「いいわよ、【レーヴェ】。私たちはもう食べたしね、残り全部あげるわ」

「ええっ!そんな〜!!」

「貴方は今、何も言える立場じゃないの。分かる?」

 

「はい……」




カッツェちゃん改めてエーゼルちゃんは、機密とか守るべきことはきっちり守るけど、それはそれとして漏らしても大丈夫そうなことはウッカリ出しちゃうような理知的感情面もあるかなって……
僕はそう思います。
ま、正体を明かしていないので視聴者の皆さんには
誰のことか分からないでしょうけどね!!

解釈違いだったら介錯されても構いません(HHEM)
死ぬほど痛いぞ!!


次回 【初めてのお仕事orえっ、本職の人とFPSですか!?】
2つの話があるので、どっちを先にすればいいのかちょっと考えさせてクレメンス……


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配信3回目【邂逅編】
第17話 えっ!本職の人とTPSですか!?


長らくお待たせしましたぁ!
テストが終わったので初投稿です……

誤字報告、ありがとうございました!そこまでしっかり私の作品を読んでくださった方がいると思うと、感無量です……!!

あ、チャットはあくまでもシドーくんが見えたものだけなので、実際の量は文章の5〜10倍をくらいを想定してます。


何度目かの生配信をこなしたり、死にゲー実況をしたりとなんやかんや充実していた今日この頃。俺が配信を始めてから凡そ2週間の時が経とうとしていた。

 

そんな折に、俺は、念願叶った歓喜に打ち震えていた。

そう、祝・収益化!!!スパチャ解禁!!!

金、金、金!金は命より重い!!

やはり金。金は全てを解決する!!

 

 

 

収益化とは、文字通り動画に収益が発生するようになることである。具体的には、動画にCMが付き、その再生回数に応じて広告料が発生するようになるのだ。

 

 

スーパーチャット、所謂スパチャとは、別名【投げ銭】とも呼ばれ、配信中に視聴者の方が配信者に任意の金額を贈ることで活動を応援できるというものである。

こちらでは、配信者の規模によって上限が変わるようで、俺の場合は9万9999円が1度に投げられる限度であった。同じ人は一日に3回まで、額に関わらず贈ることができるらしい。前世とはちょっとシステムが違うみたいだ。

 

さて、収益化というのは実況者にとって非常に大きな壁である。

実況を趣味だけではなく、そこで食べていこうと夢見る者にとっての登竜門であると同時に、最低限満たさなくてはならない篩。それが収益化だ。

 

 

前世において……といっても、記憶が無いためノートに書かれていることでは、チャンネル登録者1000人の壁を越えられるかどうかが肝になるという。

 

前世の俺はこれを越えるのに4ヶ月ほどかかったようだ。そのページには、壁を越えることが出来た喜びと、その反面、このペースでは配信だけで食べていくことは難しいと嘆いている記述が確認できた。

 

 

最大手であるゲーム実況や商品レビューでその壁を越えることは更に難しく、前世の俺はより専門的な分野、例えば子供向けの釣り道具紹介やアウトドアグッズ、大人向けにクライミングギアの比較動画やサバゲー関連の動画で数を稼いでいたらしい。

 

また、スパチャに関してはつけてはいたものの、余り受け取ることは出来なかったとある。

 

 

やはり……これがこの世界での俺という存在の商品価値なのだろうか。ゲーム実況のみで、かつ、超スピードでこれを越えてしまった事は俺の中に嬉しいやら悩ましいやら、複雑な感情を生み出していた。

 

実は、条件そのものは開始から3日もしないうちに達成出来ていたのだ。

 

忌々しい乳首ポロリ事件の後もう一度配信をしたことで、あの事件による失踪はしないと思われたのか、チャンネル登録者は激増した。今では、何万単位の登録者が存在するのである。

 

 

しかし、事故とはいえ社会的ブームを巻き起こしてしまった露出事件の犯人なわけで……審査に時間が取られちゃったというわけだ。ま、仕方ないね……。

 

が、これでいよいよ収入を得られるようになったのだ。口座は貰った(決闘者並の感想)。

 

 

 

現在時刻は夜の9時。

統計的に、最もアクセス数の多くなる時間帯である。この時間帯で、様々な動画を流し見ている層からファンを掴めないかという試みだ。

 

息を吸い込み、気付け代わりにめちゃくちゃ濃いめに入れた紅茶を1口飲む。

 

 

 

俺も、こちらの世界での時間をただ配信と宣伝に費やしてきた訳では無い。この世界で好まれるだろう立ち振る舞いを、鏡相手に延々と練習していたのだ!

 

 

この動作練習を傍から眺める前世の人が居たら、自意識過剰すぎちゃう?と疑問を呈されたかもしれない程には完成された動作になっているはずだ。

 

少なくとも、1時間〜2時間の配信程度なら俺はそれを維持出来るくらいには練習をした。

 

人は話の内容よりも、話し方が印象の9割を決めるという。それは勿論、配信だとしても例外ではない。だからこそ、話そのものよりも話し方に気をつける必要がある。

 

 

 

そして、事前待機の人数を見て……目を疑った。そこに書かれていた数字は、上位の配信者レベルの人数だったからである……!!

 

それだけ、俺の知名度というか、話題性は高いのだろう。

いや、しかし。俺にあるのは、あくまでも話題性に過ぎない。この話題が過ぎ去るまでに何人の固定層を掴めるかが勝負だぞ、俺!!

 

 

 

もう一度紅茶を口に含み、濃すぎてもはや苦味とすら感じる特濃合成紅茶を舌の上で遊ばせてから飲み込んだ。

機材へ目を向ける。VR本体に、まあ、我ながら情けないことだが、【新しく買ってもらった】ゲームのカセット。

うん、大丈夫そうだ。

 

 

 

さあ、今日も俺の戦争(配信)を始めようか。

 

 

 

『はい、どうもー。こんばんは!410チャンネルへようこそ!配信前から待機してくださった方々はありがとうございます!!まさか、こんなにもいらっしゃるとは……びっくりし過ぎて腰を抜かすかと思いました』

 

 

:初めまして!

:初めまして〜

:初見です

:本物だ!すごっ!!

:本当にイケメンなんだ

M:よろちくび!¥46792

:初めましてー

:7で「ち」とは、さては麻雀好きだなオメー?

:わけがわからないよ

:初スパチャおめでとナス!¥10000

:初スパチャがこれなのか……?

:とんでも挨拶じゃん

:セクハラで通報しました

秘密兵器彼女:よろちくび、いいね¥46792

:これマジ?フロンティアスピリッツに満ちすぎだろ

:またまた通報(やら)せていただきましたぁ〜!!

:もう2人もやられたのか……

:リアニが無ければ即死だった……(Living End/死せる生)

:おっ、生きてんじゃ〜ん!!追放したろ!(Path to Exile / 流刑への道)

:関係ない動画でいきなりカードゲームの話とかカードしばきオタク怖いな〜、戸締りスト4〜

:おっ、スト4民おっすおっす!シャカパチ足りてるか〜?昇竜拳してみろよwww

:神に向けられし禁じ手見せたろか?

:強い方の【しょうりゅうけん】で草

:シャカパチしたらハンデスしていいゾ(バチオ先生)

み4:初めまして、よろしくお願いします¥5000

 

 

(コメントが速い、余りにも速すぎる。とてもでは無いが目で追えないな。初スパチャはかろうじて見えたが……これが俺の初スパチャなのか……遺憾の意を表明したくなる。流出の件といい、あのMってやつ絶対ロクデナシだろ。)

 

 

『スパチャありがとうございます!!えっと、そうですね。……よろしくお願いします。あんまりBANされそうな発言は控えてくださいね。もしもあなたが動画を見れなくなったら……僕も悲しいです。』

 

 

:はえ〜、セクハラにもとっても優しい

:慈父マリオかな?

:ウラー姉貴といい、やっぱり金蔓には優しいんすね〜

:ほんそれ、410は卑しい男ズイ……

:わかるマーン!!

モロカク:歌ってみた投稿、ありがとうございます!非常に素晴らしくて、私感動しました!!!これは、そのお礼です!¥15000

:あっ、乳首流出の元凶だ

:デスメタル姉貴オッスオッス!¥5000

:あなたのお陰で乳首見えました!ありがとうございます!!¥3000

:感謝の割に乳首挨拶より額が少ない。やり直し。

 

 

(流石モロカクさんだ。そうそう、こういうのでいいんだよ。こういうので。)

『モロカクさん、ありがとうございます。リクエストにお答え出来てよかったです!あと…えー、流出はあなたの責任では無いので、気にしないでください…ね?』

 

 

モロカク:……はい。

:ちょっと〜!モロカクちゃん泣いちゃったじゃない!

:詫び乳首はよ

:はよはよ

:ばよえ〜ん!

:人の動画で連鎖すんなや

X嵐:410くん、初見です。¥99999

X嵐:これからも頑張ってね!¥99999

X嵐:これはお姉さんからの些細な応援です。¥99999

:HA?

:parottoやめろ

:巷で話題のゲーミングインコじゃん

:こわっ……

:ええ……

:やだ怖い…助けてメタルウーマン!!

:本当に、申し訳ない

:打つのが早すぎる上にスパチャの額が酷すぎる……まともなのは僕だけか!?¥1000

:ひえっ

:ひえっひえで草

:(空気が)キンッキンに冷えてやがるっ!!

:バッチェ冷えてますよ〜

:上限をいきなり投げつけるの怖い、怖くない?

:些細な応援…?些細?

 

 

『じゅ、10万を3回連続で!?…えっ、ああ、えー、あのー、え、X嵐さん、初めまして。そんなに払って大丈夫なんですか!?』

(この世界の俺の人気からして考えていなくもなかったが、正気かこの人!?いきなり最高額を投げつけるとか、よっぽどの富豪か熱心なファンか……)

 

 

X嵐:心配ありがとう。大丈夫よ、今の410君の配信ペースなら来月いっぱいまでは贈れるから。ちゃんと貯蓄しといて良かったわ〜

:どうしてこうなった

:困り顔410くん可愛E¥20000

:キョドり410くん可愛い食べちゃいたい…ねえラスト、食べていい?

:410くんは食べていい人類だぞ

:食べるの意味すり変わってんじゃ〜ん!

:すり替えておいたのさ!

:心配してるのそういうことじゃなくね?

:普通に話聞いてたらそうはならんやろ……

:なっとるやろがい!!¥7000

:(そんな心配はして)ないです

:ガチ恋勢一本釣りゲームで草

:まま、ゲーム本体送り付けたウラー姉貴よりはまだマシだから……(震え声)

:いや、普通にゲーム機超えるだろ。

:貯蓄してた財産をスパチャに溶かすのか…

:戸惑ってる410くん可愛いね❤結婚しよ?¥99999

:ま、人生は1回だしエンジョイしなきゃ勿体ないってそれ1番言われてるから

:おまへい!!

:ここの視聴者って醜くないか?

:ブーメラン定期

:オマエモナー

:お、おばあちゃん!!2chならもう閉まったでしょ!!

:モナーは2chだった…?

:ネット老人会やめちくり〜…

:未だにエルシャダイとかでキャッキャしてそう笑¥10000

:なんだぁ、テメェ…

:ロジハラやめろ

:自分が目立ちたいが為のクソスパチャやめーや

 

 

(貯蓄がどうこうっていうのがもし本当だとしたら、熱心すぎるファンということだろうか……?

それにしても、あまり身を削られても困るかな。

俺は長期的なファンが欲しいし、普通に相手の生活が心配だし。…軽く諌めつつ、今日の企画の話に流すか。ダメだったらその時はその時ってことで。)

 

 

『はい、皆さん応援ありがとうございます!

X嵐さんは、スパチャのご利用は計画的に。もしもそれで生活に困ったりしたら…僕も責任を感じてしまいますので!

あくまで、自分の実況は娯楽として楽しめる範囲で収めて欲しいです。』

 

 

X嵐:そ、そうかしら?410くんを心配させるのは申し訳ないわね…ごめんなさい、気をつけるわ【本機能は既に1日の上限に達しているため、使用できません。】

:また投げようとしてて草バエル

:さてはこいつ、話を聞いていないな?

:バエルの元に集え!¥30000

:バエルというか410くんだよなぁ

:まあ、(財布的な意味で)殺戮の天使みたいなもんだよね

:おっ、ちょい待てい。小悪魔でもあるからどっちかと言うとガムダムフレームぞ

:バカばっか。

:おっ!メインヒーローのルイくんオッスオッス!

:は?メインヒーローは幼馴染の艦長だが???

:艦長さぁ、幼馴染とか負けフラグ背負って恥ずかしくないの?

:久々にキレちまったよ……

 

 

(そろそろ今日の企画に移っても大丈夫かな。

まさか、こっちの世界にもこれが有るなんてなぁ。前の世界のとはちょっと違うみたいだけど…)

 

『とりあえず今日はですね。………………VRで話題のTPS【スプラッシューン】をやっていこうと思います!!』

 

 

:タコくんかよ

:溜めた割にはしょぼい

:古くて草

:そろそろ3周年フェスがあるから…… ¥4000

:今更プラシュとか爆笑

:410くんはゲーム初心者だし、多少はね?

:前回のプレイから見るに、そこまで筋は悪くなさそうではあるが……大丈夫か?

:TPSとかFPSはまじでやり込みが地力の差で出るからな、難しいんじゃなイカ?

:どうせまた王子プレイされるからへーきへーき¥5000

:スパチャ投げつつディスるとか、こいつとんでもないツンデレだぜ?

 

 

『えー、ということで!今回も視聴者さんの方から、一緒にやってくれる方を募集しようと思います。

とりあえず、ちょっと1人で遊んでみたので操作感自体はバッチリですよ!前回のように、介護させることにはならないと思います。

じゃ、今から部屋のコードを公開するので、参加してくださる人はよろしくお願いします。』

 

 

:またくそ高倍率のくそ高速入力クソゲーかあ、たまげたなあ

:勝手にたまげてろ

:前の時とか格ゲー並みの入力速度を要求されてたんだよな

:有志の調査曰く、前回はフレームレベルで申し込みが終わってたらしいっすね

:これマジ?人間に比べて人形の入力速過ぎるだろ……

:格ゲー大会の世界王者は人間ぞ?

:人形の入力速度に勝てるの、1部の人間だけだろ

:やる前から無理ゲー臭漂ってんな

 

 

(なるほど。人形の方が入力が速い分、先行順だと人間不利になっちゃうのか。良くないなぁ…そういうのは。)

『あ、すみません。次回からこういった企画をする時は、入力速度で差が出ないような方法をちゃんと考えておきます!

でも、今回はとりあえず先行順ということでお願いします。』

 

 

:修正早い、早くない?

:改善策が出口を求めてグルグルしている

:これマジ?流石すぎるだろ……

:要望を速攻で聞き入れ改善する運営の鏡+1919810点¥45000

:セクシーバンプ放置してたメンコ運営も気をつけてくれよなぁ〜

:勝率60%、使用率70%のデッキの話はやめろォ!

:ナイスゥ!では全然なかったな……

:ギガになると通常攻撃が2回攻撃で追加効果が2回判定してくるお母さんほんと嫌い。

:お母さんよりクッサいユリガキ嫌い。子供のくせに火力高すぎる

:テフェリーなんで死んでまったん?

:1番大事な時に時を解せなかったね……ぴえん

:雪の原っぱ叩いてみれば、糞運営の音がする

:おっ、フリャーくん嫉妬か?トンボの嫉妬は醜いぞ?

:カブごときがフリャー様に勝てると思うな

:FDOくんいつガチャに天井つけるの?お空行っちゃうよ?

:アーサー王キャスター欲しかったな〜〜!!300回回したからお空なら買えたのになぁ〜!!

:アーサー王を、呼符で呼んですまない……¥15000

:クソスパチャやめろ

:お前のガチャ結果なんかどうでもいいんだよォ!

:(人のガチャに興味なんて)ないです

:は?なんだそれ、詫び心臓捧げて?

:色んな運営への呪詛が煮詰まってんな

 

 

『はい。では、部屋を公開しますね……参加してくださる方は、下記のコードを入力してください!』

 

 

 

はやっ!!もう部屋が埋まってしまった。具体的には「下記の」 の辺りでもう部屋が埋まったぞ……

これは確かに、人間には無理だな。次までに何とかしよう。

 

 

……あれ、待てよ。人形の方ばっかり来てるなら、もしかして銃のエキスパートとも言える【戦術人形】も来てたりするのか……!?

いや、もし来てても、本人に最適化されてる銃じゃなければ、そこまでやばい力は発揮しないはず。

いやいや、普通に考えて戦場で戦ってるやつに勝てるはずないだろ!!3対1でも負けるわ!

 

 

ええい、ままよ!そんなことを気にしても仕方ない、来てない可能性もあるしな。

とりあえずメンバーを見てからだ。そこから考えよう。

 

 

あなた.【410】

 

参加者.【8っ8(はっぱ)】【犬猫狐】【†超進化†ツリー】【み4】【なーおばちゃん】【X嵐】【いよかん】

 

 

 

なんだろう、とても嫌な予感がする。




【ヒント】タイトルがネタバレ
嫌な予感とは言いますが、いやー、一体誰が参加してるんでしょうね。筆者にはさっぱり分かりません。

次回【第18話 一生このまま負けたままで!生きたくないっっ!!お前に勝つっ!!!】
ダブルクロスハンターくんは、CAPCOM買収がおおよそ常人の発想ではないので好きです。

……8人も同時に動かせるかわっかんねえな〜


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第18話 一生このまま負けたままで!生きたくないっっ!!お前に勝つっ!!!(導入編)

フェスが終わったので初投稿ですわ(久々のお嬢様)

自分は卵チームで参戦しましたが、皆さんはいかがだったでしょうか?
久しぶりのフェス、楽しかったですね!

水着インフェルノ欲しかったけど外しました、よろしくお願いします

本編では多分過去最高文字数です、よろしくお願いします


今回行う試合の形式は、4人対4人に分けられて行うチーム戦である。

目が覚めたら居そうな謎の白い部屋にて、まずはチーム割りが行われる。

 

そこから、チーム別に部屋が仕切られて、作戦時間を兼ねてまずは準備時間が与えられるのだ。そこから試合開始となる流れだ。

 

ランダムマッチでは準備時間はなく、チーム分けからいきなり戦闘開始となる。

 

 

 

さて。チーム分けが始まる前に、ちょっと参加者さんの名前をもう一度見てみよう。俺にはちょっとばかし気になることがあったんだ。

 

X嵐さんが居ること?まあ、全然大丈夫というか、あれだけ貰ってしまったし直接感謝を伝えたいから良いんだ。

 

戦術人形がいるかもしれない?

うん、そうだね。特に【なーおばちゃん】さんは、あの年寄りを自称するハンドガンの人形の可能性が高そうだ。

 

 

……しかし、そんなことは気にもならない。

 

じゃあ何が問題かって?

いやさぁ、明らかに戦術人形、それも、エリート部隊とされてる人っぽいのが居らっしゃると思わしきことが問題かなと。

 

 

 

そう、【†超進化†ツリー】さんである。

 

 

このお名前、誰かのセリフを思い出さない?

いやほら、ドルフロでさ、みんな持ってるであろうメインアタッカーのアサルトライフル。

『M4A1カービン』へ、作戦によって付け替えることの出来る各種装備を容易に装着出来るようにした、アメリカ特殊軍御用達の名銃。

 

強化する度に超進化〜と楽しげに口にする彼女。

ストーリーで仲間になる、アタッチメント2つという火力特化の特別な装備構成を持っている彼女を……

 

 

 

「あっ、どうも〜!初めまして!」

(やっぱりかぁぁああ!!)

 

部屋に入るなり、いの一番に話しかけてきた彼女の声は元永遠の17歳さんのそれであり……

うん、そうだね!M4sopmodⅡだね。sopⅡとTPSかぁ、死んだなこれ(諦め)

 

彼女に現実で逢えたことや、今話している事に感動している面は勿論ある。

 

 

とはいえ、だ。戦術人形どころか、エリート部隊の中でアタッカーを務める子が参加してきちゃったか。もうダメだ。おしまいだァ……。

 

sopちゃんが味方側になるのを祈るだけの運ゲーが始まりましたね。でも俺ってくじ運が凄い低いんだよな。

 

 

というか、君ゲームやってるんだ。

確かにゲームとか好きそうな性格してるけど……

絶対マリカしてる時に体ごと揺らすタイプだよね。

 

sopは可愛いですね。(現実逃避)

 

 

 

「どうも、初めまして。ツリーさんと呼んでも?」

 

「もちろん!今日はよろしくね〜!!」

 

「はい、よろしくね。あの、可愛らしくて良い声してますけど、良かったら登録してる音声元のサイトとかお聞きしても?」

 

「んー?声……?あ!声はねー、地声ですよ!お姉ちゃん達も大丈夫だって言うし、よく分からなかったから自分のを使ってるの!」

 

「へえ、地声なんですか。良い声ですね!」

 

「えへへ、ありがと!」

 

 

 

ワンチャン別人では…?という一縷の希望すら打ち捨てられた。

無理っすよ、無理無理無理無理!!心の中のRDもそう言っている。彼女がこちらのチームになればこの上なく心強いが……

 

 

ピンクチーム

【410】←あなた

【犬猫狐】

【X嵐】

【み4】

 

グリーンチーム

【8っ8(はっぱ)】

【なーおばちゃん】

【いよかん】

【†超進化†ツリー】

 

俺氏終了のお知らせ。

 

 

案の定、敵チームですか、そうですか。おつっかれした〜。ggで〜〜す!!もぅマヂ無理、放送切ろ……

とりあえず、死んだ時のリアクションを予め考えとこうか。下手すると1ゲームで15回は死ぬかもしれないし。

 

 

この試合で勝ちは投げだな。

相手が悪かった。しゃーない、切り替えていけ。

あんまり大きなリアクションを取るのもそれはそれで飽きられそうだし、4,5回目からは……

 

 

「あ、敵チームになっちゃったね〜。まあいっか!()()()()()()にしようね!」

 

 

 

そう、()()()()()()()()()()()彼女は、こちらへ手を差し出してきた。

 

 

 

……今の考えは、ないよなぁ。

 

 

彼女は、あくまでも視聴者として見に来たんだ。

戦術人形だったり、エリート部隊に所属してるのなんて関係ない。俺が楽しませるべき人なんだ。

ただ、視聴者が原作主要キャラで戦闘部隊のエリートってだけ。

 

 

sopちゃんもまた、視聴者のひとりに過ぎない。

だから、この試合では彼女も含めて楽しんでもらえるように、頑張るしかないな。

勝てる可能性は限りなく0に近いだろうが、全力で挑まないとな。

 

は〜……自分の未熟が身に染みるね、こりゃ。

見てくれるどころか、こうして俺の企画に参加までしてくれてる人が居るんだからさ。

その人たちがどういう人でも、俺は楽しませるべきなんだ。

 

 

「こちらこそよろしく。楽しいゲームにしましょうね。」

 

その手を、強く握り返した。

 

「ま、試合が始まったら手加減しませんよ?」

 

そう言って、不敵に見えるだろう笑みを浮かべる。

 

 

これでいい。俺が、企画者なのだから。

この試合は、俺が主体で、俺がみんなを楽しませる為のものだ。

 

視界の隅を負けフラグだとか、今の笑顔が良いとか、やっぱり腹黒っぽいとか、なんやかんやなコメントが流れていく。

よし、視聴者さんの反応も悪くない。配信者たるもの、初心を忘れるべからず、だな。

 

デュエルで笑顔を…うっ、頭が

 

 

「アハハハ、私も勿論手加減なんてしないよ!お互い頑張ろうね!」

 

彼女の姿はポリゴン片となって消えていく。部屋が別れたようだ。

 

 

:は?410くんと握手しただと?

:410くんのお手手とか絶対いい匂いするし柔らかいんやろうなあ¥8282

:VR空間でとはいえ、握手とか絶許

:子々孫々まで祝ってやる¥20000

:ころころころころころ

:神 聖 六 文 字

:ガチ犯罪は…やめようね!

:絶対に許さん。

:特定しますた

:絶対に許さねえドンサウザント!!

: ゆ゙る゙ざん゙!!

:マジかよレジライ最低だな

:なんでそんな事言うんだァ?相棒ー!!

:ハッハァー!キャンプの特攻の対象になっちまったぜ。嬉しいなぁ、オイ!

:やっぱ顔面土砂崩れさん人気っすね〜

:シャイニングパロは予想外やった

:シャイニングのエッチな全裸のお兄さんすこ¥5000

:お兄さん…?おじいさんでは?

:は?シャイニング見てないの?義務教育で見なかった?

:あれはどう見てもおじいさんでしょ……

:なんだぁ、てめぇ

 

 

ああ〜、この世界で握手したらそういう反応になるのか。またひとつ、嫌な事実を認識してしまった。

 

 

 

 

さて、チーム分けもされたところで、作戦会議の時間だ。

 

ここは企画者である俺から話し始めた方がいいだろう。

 

「初めまして。時間が無いので手短にですが、挨拶を。今回は参加してくれてありがとうございます。

今回の主催者の410です。使う武器はアサルトですね。よろしくお願いします!」

 

 

このゲームの武器は何種類もあるが、呼び名が違うだけで概ね前世のイカゲーのそれだと思っていただければ問題ない。

例えば、自分の使うアサルトは、最も基本的な武器である、撃つやつだと思っていただきたい。

 

 

 

「X嵐さん、初めまして。先程の高額なチャットありがとうございます。とはいえ、あまり無理はしないでくださいね?」

 

「は〜い。こちらこそ初めまして、410くん。貯金には気をつけてるわよ。家計簿もちゃんとつけてますし、今までお金を使う事もあまり無かったからね。」

 

 

あれ、この声ってもしかして……もしかするともしかしちゃう?

節約が好き、貯金が趣味、そんな星5ハンドガンが居たな。名前は確か……Px4ストーム。4種の弾を扱える、ベレッタ社のハンドガン。

 

あっ(察し)

 

 

「そうですか。それなら安心ですね。あーっと、すみませんが、時間もあまり無いので武器の方を……」

 

「あら、そうね。私はスナイパーよ。後ろは任せてくれていいわ。」

 

 

スナイパーは名前で察する通りの遠距離武器である。

チャージすることで一撃必殺の射撃を繰り出すことも出来るが、俺は正直言って苦手だ。AIM力が足りないんだよな。

 

 

「スナイパーですか!僕は使いこなせてないので、尊敬しちゃいます。頼もしいですね!」

 

「ふふ、ありがとう。」

 

 

 

「それじゃあ、お次は…」

「あっ、あの、私!私はツインズ使います!!」

 

ツインズか、読んで字のごとく二丁拳銃みたいなものだ。前世のイカゲーの以下略。

 

「なるほど、犬猫狐さんはツインズですか。前衛はお願いしますね!あ、そういえば、なんと呼べばいいでしょうか?」

 

「呼びづらいですか……?じゃあ、G()4()1()()()()()()()()()()()

 

「へ?」

 

「G41です!!」

「え、G41って、()()G()4()1()?」

 

 

:あ ほ く さ¥66666

:あかねくん!?どうしてここに…まさか自力で脱出を…?

:コンプラ違反

:名前変えてる意味無くて草

:銃の名前…あっ、ふーん(察し)

:G41ってなんだ?

:何かのコードネームとか?

:おいおいおい、こいつのセキュリティガバガバじゃねぇか!

:(ガバガバじゃ)いかんのか?

:いかんでしょ

:え、普通に大丈夫なの?これ。

:G41は高価とはいえ一体しかいないわけじゃないからどの個体なのかは特定はできないし、大丈夫なんとちゃう?

:I.O.Pはわざわざ戦闘用の人形に感情載っけるような企業だし、そこら辺は自由なんじゃねーの?

:まあだろうな。自由にさせたくないなら感情なんて載せなければいいだけだし……

:それもそうか

:どういうことだ……?

:説明しろ苗樹!!

:わけがわからないよ

:ミリオタくんコメント速いっすね。普通G41なんて知らんでしょ

:一般人の疑問がコメント欄で答えを求めてグルグルしている¥5000

:G41は80年くらい昔にドイツって国で作られた銃の名前。銃の名前を名乗るってことはつまり……まあ、そういう事でしょ。

: H&K G41は、1980年代にドイツのH&K社によって開発された5.56mm口径のアサルトライフルである。値段が非常に高額(アメリカで1,700ドル)であることで知られ、本国のドイツ連邦軍からも採用されなかった経緯がある(当のドイツ連邦軍はH&K G36を採用し〜〜¥10000

:限界文字数までwiki張り付けたうえに強調するのやめろ。通報すっぞ

:はえ〜、410くんのリアクション明らかに戦術人形って分かってるリアクションで草

:410くんミリオタなん!?

:一般男性はG41って言われて、【あの】なんて言わないでしょ

:ってことは、TPSに戦闘のプロが来たってことか?

:勝ったな風呂入ってくる

:俺と一緒に入らん?

:ウホッ!!いい女…

:すみませんが、レズ以外は帰ってくれませんか?

 

 

俺もコメント欄も混乱していたが、声と話し方からして、彼女が優秀な星5ARであるG41なのを疑う余地はない。まさか自分から名乗るなんて……。

 

まあ、となると、だ。

こっちのチームもなかなか強そうである。

実際にあの白スク水装備なんだろうか。あれちょっとエッチすぎるから見てみた……いやいや、今はとりあえず話を進めないと。

 

 

「あー、その名前はちょっとまずくないですか?大丈夫です?」

 

「?まずい?何がですか?」

 

「その、名前を出しちゃうと危なくないですか?特定とかされるかもしれませんし、企業の規定にひっかかっちゃったりとかするんじゃ?」

 

「う、うーん…………大丈夫ですよ!私がどのG41か分からないですし!だから、名前で呼んでください!」

 

 

:人形なら身バレせずに名前を言って貰えるのか(驚愕)

:410くんに名前を呼んでもらえるなんて卑怯だぞ!!

:ズルいぞガラクタ。人間の仕事を返せ。

:おっ、人権保護団体くんじゃん。最近見ないけど元気してた〜?

:申し訳ないがコメントで論争はNG

:人形自体に思うところはないけど410くんに本名呼ばれるのは妬ましい……¥3000

:分かりみの化身、ギシャス

:ぱるぱるぱるぱる

:バルス!!

:好きな人のためなら死にまくっても諦めないバルスちゃんすこ、もっと曇って❤

:目が、目が〜〜!!

:酷いジェネギャを見た…

 

 

「ええ、まあ……大丈夫と言うなら、そう呼ばせてもらいますね。よろしく、G41。」

 

「はい、頑張りますね!ご主人様!!」

 

「ご、ご主人様?どうしてそんな呼び方を?」

(うおっ!?まじでその呼び方してるんだ。いきなりされるとビックリするな。)

 

「あ、ごめんなさい、シドーさん。つい、呼んじゃいました……」

 

彼女は、そういうと目に見えて落ち込んでしまった。心做しか、しょぼくれた頭にあの特徴的なケモ耳がついてるような気がする。

 

「いやいや、うっかりなら仕方ないですよ。そう落ち込まないでくださいね。」

 

 

()()()、俺は、つい、手を、彼女の下がった頭に伸ばしてしまった。

 

 

「?」

 

 

見上げてきた彼女と目線があった時、自分が何をしたかを理解してしまった。いきなり初対面の人の頭を撫でるのはやばい。

 

してから言うのもなんだが、俺はこんな人間だったろうか?

記憶が無くとも、自分への違和感を感じる。

そこまで、距離感が分からない人間じゃないだろうに!

 

 

「本当にごめんなさい。いきなり初対面の男に触られたら嫌ですよね。」

 

「いえいえ!むしろ、ありがとうございます!!」

 

「え、えっと?そうですか?G41が嫌じゃないならいいんだけど……」

 

「むしろ、もっとお願いします!ご主人様!」

 

「え、あー、はい。じゃ、じゃあ失礼して……」

 

 

そういう流れで、撫で続けることになった。VR空間で延々と(リアルでは)白スク金髪幼女を撫で続ける不審者の図である。

彼女はアバター越しでも分かるほど幸せそうで、頭をこちらの手へと押し付けてきたのだが……

 

 

:私たちは何を見せつけられているんだ??

:何万払えばあのポジションにつける?

:教えてくれ、G○○gle!

:私も反人形活動しようかな

:私怨たっぷりで草

:殺意の波動を巻き散らかしそうになったわ¥5000

:彼氏はキリトに似ている

:気がついたら人形がガラクタになって散乱してそう

:辺り一面に人形だったものが転がる……

:アマゾンッ!!

:人形とか私がガチになれば一撃だわ、今度壊しに行くからな〜?

:犯罪予告やんけ!通報したろ!(110ポチー)

 

 

 

まあ、コメントは荒れますよね。それはそうだ。

……とりあえず、話を進めよう。

やめ時が分からないので手は動かしたまま、咳払いを1つ入れる。

 

 

「それじゃ、最後は【み4】さん。お願いしますね。」

 

「はい……。えっと、みよって呼んでください。使う武器はアサルトです。よろしくお願い、します……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………。」

 

 

「あ、あの?大丈夫ですか?」

 

 

 

 

「…………。」

 

 

「え、えっ?その、どうか…しました?」

 

 

 

 

 

「………………。」

 

 

 

 

 

 

:410くんどうした

:微動だにしなくなったの、不覚にも草

うちはM:手だけは撫で続けてるの面白www¥500

:そのポジション代われG41

:放送事故か?

:410くん大丈夫?

:何かあった?

:まさか倒れたとか…

:薬でも盛られた?

:サーっ(例の効果音)

:そんなこと言ってる場合じゃないだろ、TPO弁えろ

:本人の意識が無くなったりしたらアバターごと消えるはずだから、通信障害とかか?

:手が動いてるからそれもないだろ

:マジで手以外動いてねえ笑

 

 

 

 

みよさんの声が予想外過ぎて、思考が久々に停止してしまった。

 

有り得るのか、こんなことが?

 

何故、俺の配信を見てるんだ?

 

配信とか見るタイプなのか?

 

まさか、いま、彼女と実際に話してるのか?

 

頭の中を疑念が埋めつくしていた。

 

 

 

そう、この声。

何度も何度も、アプリで聞いた声。

聞き間違えるはずも無い。

 

だって、2()()()()()()()()()()()()()()()()()()。ドルフロを始めたきっかけ自体は45姉だが、続けるモチベーションとなったのは、彼女。

その声を聞き間違える事はないだろう。

 

 

それはーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドルフロの主人公である、M4A1

 

 

 

 

 

その声だったからだ。

 

 

 

 

 

……sopちゃんが居たもんな。確かに姉妹であるM4が居るのもおかしくはないだろうが、だろうが!

こんな所で会うというか、会えることをまず想定していなかった。

 

主人公だけあってあんな特殊な背景を背負ったM4と、しがない一般記憶喪失異世界人の俺が接点を持つはずがないと思っていからだ。

 

だが、ここでまさか会ってしまうとは……やっぱり、声だけでもめちゃくちゃ可愛いな。

45姉もそうだが、やっぱり誓約するほどの推しキャラに会った時の衝撃はかなりのものがある。

 

 

45姉の方は…本人か怪しいところはあるものの、M4A1という人形は彼女1人しか居ないため、絶対に主人公であるM4その人のはずだ。

 

まさか実況で出会ってしまうなんて……。せっかくの機会だし、親睦を深めたいと思うのはいけないことだろうか?

配信を見に来てくれてるってことは、俺にネガティブなイメージを持ってるわけでもないだろうし。

 

 

ま、とりあえずはこの空気感をどうにかしないと。

M4ちゃんが泣きそうになってるからな!

どうやって雰囲気を変えるかだが…………ま、あの事を言うのが1番手っ取り早いか。それっぽい理屈でもあるし。

 

 

 

 

「あの…何か、気に、触ること…とか……」

「ごめん、ちょっと考え事してました。あの、もしかして俺達って会ったことありませんか!?」

 

「えっ?」

「みよさんの声に、なんか聞き覚えがあって。それが凄いひっかかっちゃったんですよね。」

 

「は、はい……?」

 

「やー、実はここだけの話。俺って一時期の記憶がないんですよ。」

 

「えっ?」

 

「だから、もしかしたら知り合いだったりしないかなー。なんて?」

 

 

:!??!?!!?

:唐突な逆ナンが始まったと思ったらイケメン生主が記憶喪失だと言い始めた。何を言ってるか分からねえと思うが、私も何を言ってるか分からねえ……

:きおくそうしつt

:記憶喪失?

:記憶喪失イケメン生主???

:その時期に出会えれば……¥12000

:記憶喪失のイケメンに恋人刷り込みする漫画すここここっ!!

:ちょっとデコりすぎちゃう?

:キャラの荷重搭載だろ

:思いっ、出した!

:綴る!!!

:キャラ付けとかじゃなくマジで?

:なんだその設定…

:さすがに嘘だろ笑笑

:記憶喪失とか、ラノベじゃないんですから¥30000

:上条さんか何か?

:記憶喪失といやぁ、ダイ大ゲーム化おめでとう

:410くんの一人称に俺が出る時ってだいたい素が出ててテンション高い時だし、多分ほんとでしょ¥99999

:専門家の意見は流石だな

:サラッとMAX投じてて草生える

:410くん考察スレがそろそろPart30超えるって聞いたわ

:謎多きイケメンだから、仕方ないね

:いくら謎が多くても記憶喪失は積みすぎだろ

:まだ舞える

:剣舞積み積みみっきゅ

:ダイジェット絶許勢

:積みつつ殴るのほんとやめろ

:考察勢に新たな火種が投じられてしまったのか…

 

 

「え、あの……すみません。男の人とは…初対面、です。」

 

「なるほど、ありがとうございます。ま、そういう事なので、みよさんが何かしたとかじゃないですよ。勘違いさせてごめんね?」

 

「い、いえ……」

 

「むしろ、ありがとうございます。」

 

「え?」

 

「ほら、最初にスパチャ投げてくれましたよね?それだけ応援してくれて、こうして企画に参加もしてくれて、ありがたい限りです。」

 

「はい…こちらこそ、いつも楽しく動画を見せてもらってます。ありがとうございます。」

 

 

「いやいや、こちらこそ……ってやると、キリがなさそうですね。

あー、時間を取ってすみません。あまり相手さんを待たせるのも良くないですし、始めましょうか。」

 

「そうね〜。そろそろ始めましょう。お姉さん、張り切っちゃうわよ!」

 

「頑張りましょうね!シドーさん!」

 

「あ、えっと。よろしく、お願いします…。」

 

 

 

 

 

 

そんなこんなでゲーム開始となった訳だが、開始のブザーから僅か10秒後。

 

 

ーーーー俺の頭に、風穴が空いた。




とうとう主人公出しちゃっ……たァ!!M4ちゃんほんと好き。新スキンが最の高で弾道上がるかと思った(KONAMI感)
410くんが情緒不安定なのはビックリしまくったからです。だらしねえなぁ?

次回が410くんがなぜ死んだのかの出題編、その次が解決編を想定しています。キャラが多いから話も長くなっちゃうの……
許してくれ、許してくれ……(死体溜りの人)


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