転生航路 (ボートマン)
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プロローグ

昔はハマった無限航路というゲームを久しぶりにプレイして、勢いで描いた作品です。
どうか長い目で見てください。


「やっぱり無限航路は面白いな~」

 

自宅のソファで横になりながら、3DSでとあるゲームをする男はエンディング画面を見ていた。

 

「だけど、キャロとかサマラの所とかちょっと納得できないよな」

 

寝転がる男はそうぼやきながらエンディングを見終わると、3DSの電源を切る。

 

「まあ、こんなこと言ったてどうしようもないけどな」

 

男は立ち上がると、箪笥から服を取り出して着替え始める。

 

「さて、確か19時に待ち合わせだったから、そろそろ出るか」

 

着替え終わった男は、大学の友人たちとの飲み会の約束していていた。

 

遅刻すると何を言われるかわからないので、男は家を出て待ち合わせ場所に向かう。

 

「18時27分か、早く来すぎたかな」

 

早めに待ち合わせ場所に到着した男は腕時計を見て時間を確認する。

 

「しばらくここで待つか」

 

男は友人達が来るまで待つことにした。

 

「「「きゃぁぁぁ――――!!」」」

 

そこへ複数の悲鳴が聞こえ、視線を悲鳴の方向に向ける。

 

するとナイフを振り回す男がこちらに向かって走ってきた。

 

その後ろには3人の警官があとを追って走っている。

 

ナイフ男は片手にバックを持っており、どうやら強盗のようだ。

 

強盗の目は血走っており、明らかに正常とは思えない。

 

男は逃げようとしたが、こんな事態に動揺しているのか立ち尽くす女性がいた。

 

そして、ナイフの切っ先が立ち尽くす女性に迫ろうとしていた。

 

「危ない!」

 

しかし、女性は男に突き飛ばされたおかげで、ナイフが刺さることも切られることもなかった。

 

「あ…がぁ……!?」

 

そのかわり男の腹部にはナイフが深々と突き刺さっていた。

 

腹部からは血がどんどん流れ出ており、男のそばには突き飛ばされた女性がいた。

 

「ごめんなさい!ごめんなさい!私のせいで!」

 

自分のせいで男が刺されたことに責任を感じているのか、女性は涙を流していた。

 

「(ははっ……女性に泣いてもらえるなんて初めてだなぁ)」

 

この年で女性とあまり話したことのない男は、何故か新鮮に感じられた。

 

視線を周りに向けると、携帯で何処かに連絡する人や追いついた警官に強盗が取り押さえる姿が見えた。

 

「(他に怪我してる人はいないな…。ああ、飲み会約束してたのにこれじゃ行けないな…)」

 

薄れていく意識の中で男が考えるのは、飲み会を約束した友人たちのことであった。

 

「(何か…眠くなってきたな。ああ、惜しむならまだ色んなゲームしたかったな…)」

 

近くで聞き覚えのある声が聞こえるが、薄れていく意識の中ではそれが友人の声であることに気づかなかった。

 

「(もし……生まれ変われてたら…ゲームの世界のキャラクターなんて、なってみたいな…ありえ、なさそうだけ…ど……)」

 

そんな思いを最後に男の人生は終えるのであった。

 

 

 

 

 

「父上、目を覚ましましたぞ!」

 

「(え?何?どゆこと?)」

 

死んだと思っていた男は突然の事態に理解できなかった。

 

「おお!目を覚ましたかレオナルド!」

 

そこへ自分をレオナルドと呼ぶ男が近寄ってきて抱きついてきた。

 

「(え!?ええ!?)」

 

未だにこの状況に理解できない男は周りを見てあることに気づいた。

 

「(あれ?この人に見覚えがある…)」

 

「父上、レオナルドは目を覚ましたばかりですよ」

 

「す、すまないアデルファ、つい…」

 

アデルファという名前に男はあることに気づいた。

 

「(もしかして、え~と………あ!?アデルファ・エルルナーヤ!?)」

 

「親父ぃ!レオナルドが目を覚ましたって本当かぁ~!?」

 

扉を開けて入ってきた人物にも見覚えがあった。

 

「トリトロか、この通りレオナルドは目を覚ましてるぞ」

 

これまたトリトロという名前にも聞き覚えがあった。

 

「(トリトロだって!?やっぱりここっていうよりこの世界は)」

 

「無事にぃ目を覚ましてよかったぜぇ」

 

「(まさか……無限航路の世界!?)」

 

まさか死ぬ間際に思っていたことが現実になったことに、男もといシュバルツは驚愕するのであった。

 

 

 

 

 

 



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第1話

あれからレオナルドこと自分を心配するトリトロとアデルファ。

 

エンデミオン大公国の大公であり父親であるエルルナーヤ235世は部屋を去った。

 

とはいえ、警護の人間や世話係と思われる女性を残して。

 

「(それにしても気づいたら転生なんて話は漫画やアニメの世界だと笑ってみてたけど、現実で起きると笑えないな。ましてや自分が転生するとか)」

 

豪華なベッドで横になりながらシュバルツは冷静に状況を考えていた。

 

「(それにしてもふかふかだなぁ……)」

 

しかし、相当良い素材で作られたのか、ベッドの柔らかさに病み付きになっていた。

 

「(とりあえずは今は大人しくしてよう。そして、落ち着いたら今の年代を確認しよう)」

 

そうしてレオナルドは眠りにつくのであった。

 

 

 

 

Z月Z日

 

部屋に日記があったので、これから書いてみることにした。

 

このレオナルドこと俺はどうやらエンデミオンの第3皇子。

 

ちなみに年齢は5歳だそうだ。

 

そして、兄であるトリトロは9歳でアデルファは6歳だそうだ。

 

二人の年齢から原作開始からだいぶ前であることが分かった。

 

原作から時間がだいぶあるので色々と準備ができそうだ。

 

Z月Y日

 

俺の元に二人の使用人がつけられた。

 

1人はレイラ・コーネルという少女で年齢が7歳と俺と2歳変わらない少女だ。

 

もう1人はゼルマン・カラボスという大柄の男性だ。

 

それにしてもゼルマンの肉体は凄かった。

 

鍛えられた肉体が服の上からでもわかるほど鍛えられている。

 

この時俺はお目付け兼護衛だと思った。

 

しかし、凄い筋肉だな~。

 

俺もあれぐらいを目標に鍛えたほうがいいかな?

 

Z月X日

 

レイラとゼルマンが俺の使用人として配属されたから、俺は二人に勉強を教えてもらっていた。

 

何分この世界のことはゲームで知ってるとはいっても、プレイしたことだけしか知らないからな。

 

やっぱりこの世界の常識とか色々と勉強してないと怪しまれるからね。

 

とはいえ、前世でも勉強して転生してからも勉強は大変だよ。

 

それに教えてくれるレイラが結構スパルタなんだよな。

 

普段は大人しく淑女という言葉が似合うから驚いたよ。

 

逆にゼルマンは厳しそうでちょっと近寄りがたい雰囲気があるけど、話すと優しいおじさんのような感じだった。

 

そんな二人に勉強を教えられて疲れた……。

 

Z月W日

 

今日は兄であるトリトロとアデルファと3人で他愛ない雑談をした。

 

簡単に言えば将来何をしたいかということを話していた。

 

トリトロは王位には興味がないため、俺かアデルファに王位を譲って支えたいと言ったよ。

 

アデルファは国を豊かにして、国民の生活を良くしたいといった。

 

最後に俺の番になったので、俺もトリトロと同じで王位には興味ない。

 

0Gドッグになっていつか旅に出たいといった。

 

少しして、二人は俺のしたいことを反対せずにそれはいいなと笑って言ってくれた。

 

内心反対されるかと思ったが、反対どころか笑って賛成する言葉に俺は嬉しかった。

 

こうして俺は兄上たちとの雑談を楽しむのであった。

 

 

 

 




レイラのイメージはコードギアスのレイラで、ゼルマンのイメージはコードギアスのダールトンのような感じです。


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第2話

俺がレオナルドとなって3年が経った。

 

「あ~緊張してきた」

 

シュバルツこと俺は現在首都惑星ラヴェルナから惑星メッサーナに来ていた。

 

この惑星メッサーナにはエンデミオン随一の軍需産業である、オズロッゾ財団の本部がある。

 

その待合室でレオナルドは椅子に座ってレイラが入れる紅茶を飲んでいた。

 

何故レオナルドがここに来たのか。

 

それはある人物に会うためだ。

 

「お待たせしましたレオナルド殿下。こちらになります」

 

財団の人間の案内の下、ある場所に向かう。

 

「総帥、レオナルド殿下をお連れしました」

 

「入りなさい」

 

執務室と思われる室内に多くの書類を処理する老人がいた。

 

「急な訪問に申し訳ありませんザバス老」

 

「いえいえ、それで此度はどのような用事で?」

 

「こちらを見てもらいたくて、ゼルマン」

 

「はい」

 

ゼルマンが持っていた設計図を机の上に広げる。

 

「これは?」

 

「私が設計した新型駆逐艦ドレイク級と艦載機のメビウスです」

 

設計図にはレオナルドの前世の世界の有名アニメ、ガンダムSEEDで登場する戦艦と艦載機だった。

 

何故ザバスにこの設計図を見せたかというと、オズロッゾ財団で開発してほしいからである。

 

シュバルツの父親であるエルルナーヤ235世を中心に軍を軽視する風潮がある。

 

もし自分がこの設計図を見せても、危険だと言われて設計図を取り上げられてしまう。

 

それに子供の自分の設計図を見せても子供のお絵かきとでも思われてしまう。

 

だが、目の前の人物は違う。

 

技術に準じるザバスならこの設計図を子供のお絵かきの一言で済まさないはずだ。

 

他にも無限航路の世界なら奴らがいる。

 

“オーバーロード”

 

奴らにかなうかはわからないが、それでも出来ることはしなければならない。

 

「(でないとマジで死んじまうもん)」

 

「…………」

 

最初は子供のお絵かきと思っていたザバスの顔は一変して、真剣に設計図を見ている。

 

無論、レオナルドとて子供お絵かきで済まさないために、色々と手を打ってきたのだ。

 

まずドレイク級はエンジン部に外付けされてる推進剤タンクは撤去する。

 

これが原因で撃ち落されることが多いため、レオナルドはすぐに撤去した。

 

また、アンチビーム爆雷などはこの世界に存在しないため、これは撤去というかなかったことになる。

 

そして、艦載機を搭載するために艦下部に艦載機用のカタパルトを設計する。

 

とはいえ搭載できる数はそこまで多くはないが、艦載機を搭載するだけで戦況を有利にすることは出来る。

 

そのため、多くないと言って馬鹿にはできない。

 

武装は原作通り艦の両舷にミサイルランチャー。

 

他はイーゲルシュテルと言いたいけど、この世界には存在しないため対空パルスレーザーで代用する。

 

メビウスは原作同様に2基のメインスラスターユニットを持ち、フレキシブルに稼働するようにしてある。

 

メビウス・ゼロも考えたが、この世界にはガンバレルのような兵器が存在しない。

 

それに作ったとしても操るための空間認識能力を持つパイロットがいると思えない。

 

そのためレオナルドは仕方なくメビウス・ゼロは設計しなかった。

 

とはいえ設計図を描いただけでは、ザバスに見せても意味はない。

 

そのため、軍部に知り合いがいるゼルマンに設計図を持っていてもらい、意見などを取り入れて何度も書き直したもらった。

 

そうして今ここに設計図を持ってきたのだ。

 

それに駆逐艦で艦載機を搭載した艦艇はこの大マゼランには存在しないようだ。

 

探せばもしかしたらあるかもしれないが、今は見つかっていない。

 

レオナルドは艦載機を搭載する駆逐艦というこれまでにない艦艇の設計図を持ってきた。

 

この設計図にザバスがどんな反応するか。

 

好評ならとても嬉しいが、酷評だったらという思いが頭のなかにありドキドキしてる。

 

「……中々面白い設計図ですな」

 

「そう言っていただけると嬉しいですね」

 

「艦載機を搭載する駆逐艦ですか…。このザバス、少々驚きましたぞ」

 

「ええ、艦載機を搭載する艦艇は最低でも巡洋艦からですからね。とはいえ、子供の書いた設計図なのでまだ至らないところはありますけどね」

 

「ふむ……。それで、レオナルド殿下はこの設計図をどうしたいと?」

 

これまでの好感触から、レオナルドは落ち着いて本題に入る。

 

「この設計図を基に財団で開発することはできますか?」

 

「なぜ我々財団に?軍で開発しても問題はないでしょうに?」

 

ザバスの疑問は最もだが、その理由をレオナルドはこの老人は知ってるくせにと思った。

 

「ザバス老、貴方も知ってるでしょう。父上を中心に軍を軽視する風潮があることを」

 

「そうですが、開発は不可能ではありますまい」

 

確かにザバスの言う通り不可能ではないかもしれない。

 

「確かに不可能ではないかもしれません。しかし、この設計図を子供の私が見せてまともに付き合ってくれる人間がいますか?」

 

おそらく子供のお絵かきで終わってしまうだろう。

 

しかし、この老人は違う。

 

レオナルドの設計図を見て表情を一変させたのだ。

 

子供のお絵かきで切り捨てるとは思えない。

 

「なるほど、わかりました。この設計図を基に開発を進めてみましょう」

 

「ありがとうございます、ザバス老。一つお願いあるのですが?」

 

「何でしょうか?」

 

「そちらの財団の科学者を一人、派遣していただきたいのですが?」

 

「……わかりました、後程そちらに送りましょう」

 

「ありがとうございます。それでは私たちは失礼します」

 

良し!と内心で思いながらレオナルドはレイラとゼルマンを連れて退室する。

 

「ふぅ~緊張したぁ。二人もこんなことに付き合わせてしまってすまないね」

 

「いえ、私はレオナルド様に使用人です。どこまでも付き従います」

 

「私もです。それに先程の設計図は私も興味深かったです」

 

「……ありがとう、二人とも」

 

二人の言葉にレオナルドは感謝の言葉を述べる

 

レオナルドはこの二人が自分の使用人になってくれて本当に良かったと思った。

 

 

 



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第3話

Z月V日

 

ザバスに設計図を渡した翌日に一人の男が来た。

 

どうやらザバスが送ってきてくれた科学者だ。

 

名前はウェルン・ラクシャスという細々とした、白衣に眼鏡をかけた男だ。

 

つい痩せすぎでしょって口に出しちゃったよ。

 

聞こえたウェルンは知り合いによく言われてるんだろう。

 

研究に夢中であまり食事をとってないからこうなったと笑って言っていた。

 

うん、研究もほどほどに!

 

というわけで俺はウェルンには付き人基もとい監視員をつけた。

 

何かいつか倒れそうで怖いんだもん!

 

 

Z月U日

 

とりあえず次に設計する艦船は何にしようかな?

 

いくらオズロッゾ財団の助力を得てドレイク級を開発してもらってるといえど、ドレイク級の開発に成功するとは言えないし。

 

こればかりは悩むなあ~。

 

だけど次に設計するとしたら何がいいんだろ。

 

エンデミオンの戦力強化を考えるなら空母かな。

 

ゲームではエンデミオンの艦載機を搭載する艦船って、ヴィリオ・エンデミオン級とゾルジオネ級の2隻だけだったはず。

 

艦載機を開発したら空母は絶対いる。

 

だけど、個人的には色々と設計して作ってみたいだよなあ。

 

だって色んな戦艦もかっこよくて好きなんだもん!

 

どちらにすればいいか決まらず、俺は悶々と悩み決めることができなかった。

 

Z月T日

 

よし決めた!

 

空母は作りたいけど、今回は後回し!

 

というわけで俺は艦船の種類を巡洋艦に絞って開発することに決めた。

 

しかし、巡洋艦に決めたはいいが何を設計すべきか。

 

やはりガンダム系統の巡洋艦にすべきか。

 

それとも他の作品の巡洋艦にすべきか。

 

やべっまた迷い始めてる。

 

また迷うわけにはいかない。

 

良し!これからもガンダム系統で設計しよう!

 

もう迷わないぞ!………多分。

 

Z月S日

 

というわけで巡洋艦に決めた俺は設計図の作成に取り掛かった。

 

しかし巡洋艦に決めたはいいがどれにすべきか。

 

ムサイにザンジバルやチベの他にサラミスやムサカなどいっぱいあるから悩むな。

 

どれもこれも好きだから捨てがたいんだよなあ。

 

とはいえまた時間をかけるわけにはいかない。

 

というわけでこんな決め方はどうかと思うかもしれないが、クジで決めることにした。

 

紙に名前を書いて箱に入れて、箱に手を入れて紙を一枚掴む。

 

掴んだ紙に書かれているのは……ザンジバルだった。

 

こうして次に設計するのはザンジバルに決まり、設計図の作成に取り掛かるのであった。

 

 

 

ザバスにドレイク級の設計図を渡して数か月が経った。

 

ザンジバルの設計に勤しんでいたレオナルドの下に、ウェルンからメッサーナに来てほしいと言われた。

 

レオナルドはレイラとゼルマンを連れてメッサーナに向かった。

 

メッサーナに到着すると、オズロッゾ財団の迎えの車が来ていた。

 

「殿下、もしや?」

 

「そのもしやの可能性は高そうだね」

 

ゼルマンの言うもしやとはザバスに頼んだドレイク級駆逐艦と艦載機のメビウスのことだろう。

 

おそらくどちらかが完成したのだろう。

 

そうして財団に到着したレオナルド達は、そのままザバスの所に案内された。

 

しかし、案内されたのはこの前のような執務室ではなかった。

 

明らかに造船施設と思われる場所だった。

 

施設内の照明が点灯し、ある物が照らされる。

 

「おおお!!」

 

そこにはレオナルドが設計したドレイク級駆逐艦と艦載機のメビウスが出来ていた。

 

とはいえ全長は原作同様とはいかず、2つとも何倍だと思うくらいの大きさだ。

 

「どうですかな、殿下?」

 

「流石はオズロッゾ財団だな。もう完成させるとは」

 

数か月前に設計図を渡して2つとも完成させたオズロッゾ財団のこの技術力。

 

レオナルドは流石の一言に尽きなかった。

 

「とはいえ、まだ試運転などは行っておりませんのでまだまだ調整が必要ですがな」

 

「いやいや、数か月で2つとも完成させるとは驚きましたよ。私としてはどちらか片方かと思っていたので」

 

「喜んでいただけたなら何よりです」

 

「そういえばこの艦はまだ試運転をしてないと言っていたな?」

 

「そうですが、それが何か?」

 

ザバスの言葉にレオナルドはニヤリと笑う。

 

その笑みを見たレイラとゼルマンは嫌な予感がし、レオナルドを抑えようと動く。

 

「この艦の試運転に私も立ち会うぞ!」

 

しかし、抑える前にレオナルドは自身がドレイク級駆逐艦と艦載機のメビウスの試運転に立ち会うことを言ったのであった。

 

この言葉にレイラとゼルマンは頭を抱えるのであった。

 

 

 

 




次の艦船はザンジバル、君に決めた!

というわけでどうだったでしょうか?

ちなみにウェルンのモデルはシンフォギアのウェル博士です。


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第4話

「………」

 

「………」

 

「………」

 

現在試運転及び実戦試験のために発進したドレイク級駆逐艦の艦橋はある人物により、艦橋及び艦内はピリピリしていた。

 

「(やっぱり俺が原因だよな…)」

 

言わずもがな原因はレオナルドである。

 

レオナルドはエンデミオン大公国の第3皇子。

 

そんな大人物が新造艦の試運転に立ち会うのだ。

 

当然護衛艦も万全を期して15隻ほどだ。

 

何も知らない他国から見れば、15隻ほどの艦隊の移動を発見したら絶対警戒するだろう。

 

とはいえ理由を知れば呆れるだろう。

 

何せ新造艦の試運転に皇族が立ち会うなど聞いたことがないはずだ。

 

はたから見れば坊ちゃん王子の我儘と思われるだろう。

 

だが、レオナルドとしてはただ試運転に付き合うわけではない。

 

いずれ国を出て宇宙に出る予定だ。

 

だが、一度も戦闘を経験せずに宇宙に出るのは危険だ。

 

そのために皇子という身分を利用してこうして試運転に立ち会ったのだ。

 

そのせいで周りには多大な迷惑をかけているが。

 

「(こうでもしないと乗れないしな)」

 

レオナルドは艦長席に座る褐色肌の艦長を見る。

 

艦長の顔には汗が出ており、ハンカチで拭いてもまだ出ている。

 

「(当然と言えば当然だよなあ…)」

 

自分の後ろには第3皇子が座ってみている。

 

自分の指揮によってはレオナルドを危険に晒してしまうかもしれない、という思いが頭の中を占めているのだろう。

 

「航行は問題ないようですね、艦長?」

 

「はっ、はい!そうですね殿下!」

 

「私が言うのも何ですが、そう緊張しないでください」

 

「で、ですが……」

 

「確かに私の我儘で皆に迷惑をかけている。だが、私はいつか自らの艦を持つつもりだ」

 

艦橋にいる船員は黙ってレオナルドの話を聞く。

 

「いつか私も宇宙に出たときに戦わなければならない時が必ずある。そのとき、私は狼狽えないために諸君らの勇姿をこの目に心に刻みたいんだ。だから、諸君らの勇姿を私に見せてほしい!」

 

「「「……はっ!!!」」」

 

艦長を含む船員は立ち上がるとレオナルドに敬礼する。

 

そして、先程のピリピリした空気が変わり始めていた。

 

あそこまで言ったレオナルドに、船員たちは自分たちの情けない姿を見せるわけにはいかないという思いが出てきて始めていた。

 

そこへ艦内に警報は響き渡る。

 

丁度良いタイミングで敵を発見したようだ。

 

「どうやらこの近辺の海賊のようですね」

 

「ええ、殿下はそのまま席にお座りになってください。総員!対艦戦闘用意!」

 

艦長の声に艦橋は慌ただしくなる。

 

海賊の戦力は3隻だが、念のためか戦闘はこのドレイク級駆逐艦を含め5隻で行うようだ。

 

「(この場合は射程距離に入ったところを1隻ずつ沈めるべきかな?それとも艦載機部隊で足止めしてる間を狙って一気に沈めるって言う手もあるな)」

 

そう考えているうちに、ドレイク級駆逐艦からメビウスが次々と発進していく。

 

メビウスは敵艦隊に接近し、射程距離内に入ると一斉に対艦ミサイルを発射する。

 

ミサイルは敵艦に命中するが、なかには対空迎撃によって撃ち落されるものもある。

 

そのあと艦載機部隊は敵艦の周囲を飛び回り、敵艦に向けて対装甲リニアガンを撃っている。

 

そのせいで敵艦は動きを止めてしまった。

 

「敵艦の動きが停止しました!」

 

「各艦の射程距離内に入りました!」

 

オペレーター達の報告に艦長は敵艦を見据える。

 

「よし!各艦、一斉斉射!」

 

ドレイク級を含む艦が敵艦に向けて一斉に砲撃する。

 

「(航行と兵装に問題はないな。よし!)」

 

自身が設計した艦と艦載機が問題なく動作してることに、戦況を見守りながら確認して心の中で喜ぶ。

 

「敵艦隊のインフラントン反応消失!撃沈です!」

 

「どうでしたか、殿下?」

 

「ええ。貴方達の勇姿、見させてもらいました。流石ですね、感服しました」

 

その言葉に艦長含む船員たちは嬉しそうな表情をしていた。

 

「(これはザンジバルの設計を急ぐ必要があるな……それに、他の艦載機も考える必要もあるな)」

 

その後、無事に試運転を終えたレオナルド達はメッサーナに帰還した。

 

今回の戦闘を機にシュバルツはレオナルドの設計及び、新たな艦載機の設計を決意するのであった。

 

 

 

 

 



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