俺の彼女が何人もいるのだが。 (月島柊)
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第1話 写真

「はぁ・・・」

大学を卒業した当日。何でため息をついてるかって?それは・・・

「柊くんっ♪」

「帰ろ。今日はどの家いく」

「わっ、私の家でもいいのよ!」

「柊!僕の家じゃないのか!」

最後の奴だけ特徴的なのはおいといて、全員女子。正確には、俺の彼女、だ。

「別に誰の家だっていいだろ・・・」

俺の名前は月島柊。傍から見ればハーレム状態だが、俺からしたら悩み事だ。おっと、こいつらの紹介がまだだった。

最初に言ったのは西宮紗由理。

つぎに言ったのは姫宮結菜、

さらに言ったのは白水百合花、

最後に言ったのは西条咲希。

合計4人。それぞれ順番にデレデレ、おっとり、ツンデレ、僕っ子。実際西条に言うと「子供じゃない!」って言われるが。

呼び方は紗由理、結菜、百合花、西条。名前で呼んだり苗字で呼ぶ奴もいる。

さて、「誰の家にいく」のところだが、大学の時から4人の誰かの家に泊まっていた。週4で誰かの家に、週3で自分の家。自分の家の方が少なかったのはともかく、今日は土曜日。前までなら自分の家にいたが、今は1人で暮らしのため土曜日でも誰かの家に泊まることになっている。

「それで、誰の家にするの」

百合花だ。まずそこから始まる。百合花の家は結構マシだ。そんなに気まずくないし、1人暮らしだから。心配ってのもあるし。

「百合花のとこかな。明日は西条の家でも行くか」

「そっかー。じゃ、明日な」

西条はそんなにショックを受けない。以外と天然だし。

 

百合花の家に着いた俺はいつもの百合花の部屋へ案内される。

「ん?」

いつも棚です見ないのだが、見てみると百合花と誰かが写った写真が飾られていた。ちゃんとフレームに収めてある。

「これって・・・」

「っ!」

百合花が慌てて隠す。すると棚に百合花の足が当たってその写真が落ちてくる。

「百合花!危ない!」

俺が写真が落ちないように持つと、ちょうど表になって持っていた。

それは百合花と俺で行った遊園地の写真だった。俺たちが高校2年の時に行った遊園地だった。もう5年前なのにきれいに飾っていた。このときは、まだ・・・

 

【白水百合花視点】

私が写真を取り返そうとすると、柊くんが写真を見たまま目から水を流していた。それは目薬でもなく、涙だった。

「・・・柊くん?泣いてるの?」

「えっ、」

気付いてなかったのか柊くんは目に手を当てる。

「・・・本当だ・・・なんで、俺、泣いてんだ」

「・・・・・・」

私は何で泣いてるのか分かった。4年前、高校3年の時、私と柊くんはある人に引き剥がされた。高校も別にされ、全く縁がなくなってしまった。それのちょうど1年前・・・

「百合花・・・」

「柊くん!」

私は抱きしめた。

「大丈夫。今はちゃんといるから。安心して」

「百合花っ!」

こうしたのは8年ぶりだろうか。最後に抱き合ったのは。これも、全部あの女のせい・・・

 

 

 

 

 

 

 

 




新しく始めたシリーズです。完全オリジナルで、二次創作ではないです。


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第2話 西条

百合花の家に泊まっている最中俺は、百合花とトークを楽しんでいた。まだあの事は忘れてないが。

「お前って、妹いないのか」

「いるけど、もう別居してる。私の方が引っ越したんだけどね。そう言う柊くんは妹とかいないの」

「弟がいるけど、高校3年だし、妹は行方不明だし」

行方不明になったのは2年前。俺が大学から帰ってきたとき、同居してる筈なのに家にいなかった。それから実家にも連絡したが、来ていないと言っていた。それから妹と俺は一切会っていない。たしか2年前は高校3年だったから、今は大学2年か。どんな顔してるのかな。

「可哀想だよね。名前なんだっけ?」

「あぁ、咲良(さくら)だよ。どんな顔してるんだろうな」

 

 夜になり、俺が床に寝ようとすると、百合花が手招きをする。

「こっ、こっち来てもいいよ?」

「狭くならないか」

「柊くんとなら・・・うぅん、どうってことない」

最初の「柊くんとなら」ってのが気になったが、俺は百合花がいるベットの上に上がる。

「くっついてると暖かいな」

3月とはいえ結構寒い。夜なのもあるかもしれないが、多分17度くらいだろう。

「寒くはない・・・」

「ならいい。」

どっちが暖かいのか分からないが、明らかに百合花が熱い。

「百合花、熱くなってないか」

「熱くなってない!もうっ、おやすみ!」

照れ隠しなのか早く強く言った。俺は明日行く西条に電話する。

《なんだ?柊》

「明日どこで待ち合わせる?」

《そうだな、駅前でどう》

「そっちがいいんだったらいいけど」

《じゃ、明日の7時半に駅前広場な》

「分かった。それじゃ」

電話を切った矢先、欠伸をする。もう寝るか。

 

翌日、俺は百合花と別れ、昨日話した駅前の広場へと向かう。通勤時間帯だからか、サラリーマンが駅に流れていく。

その中で1人、手を振っている少女がいた。

「おーい、柊!ここだ!」

「西条!?」

俺は走って向かい、西条の口を塞ぐ。

「何叫んでるんだ、目立ってるから」

「どうして?分かるようにしたんじゃん」

相変わらずなのか?いつもこういう性格だからもう慣れた。

「はいはい。ほら、行くぞ」

何回か行ったことがあるから場所は分かる。バスに乗って15分くらい。

「あそこのバスだね。」

バスはまだ来ていなかった。しかし、結構な列は出来ていた。俺と西条は後ろに並んだ。

「どうしてここを待ち合わせ場所にしたんだ」

「どっちも近いから。僕は百合花の家まで行っても良かったんだけどね」

「さすが運動少女だな」

西条は昔から運動が好きで、陸上大会でもベスト5に入ってくるような成績だった。

暫くして、バスがやって来た。前から順に乗っていくが、席は全部埋まってしまった。それからも俺の順番まで立ち客が増えていく。

ようやく乗れたのはドア付近まで客が来てから。どうにか乗れたが、後ろからも乗る人がいるから奥の方へ詰める。

「西条、キツくないか」

「大丈夫。もっと詰めたら?」

俺は壁に西条を押し付けるようにしてとどまった。

「近いね・・・」

別人のように態度がいつもと違う。

「・・・うわっ」

可愛いから見とれていると、後ろから押されて手が柔らかいものにいってしまう。柔らかいものって、まさか!

「んひゃっ」

「ごっ、ごめん!すぐどけるから――」

どけようとする俺の手を西条が押さえる。

「後ろキツイから大丈夫。僕も平気だから」

「そうか・・・」

結構胸が大きいのには触れなかったが、今思い知らされた。Hカップはあるか?

「私すごいドキドキしちゃってる・・・」

「私って、僕じゃなかったのか」

「うん。高校生の時なんだけど、可愛くないって言われて、一人称変えたの」

「なんだ、元から可愛いのに」

「かっ、かか可愛い!?」

咲希がすごい動揺してる。自信がなかったら当たり前か。

「可愛いよ。咲希」

「むーっ、だったら・・・」

少し間を開けて咲希が言った。

「んっ、キス、できるでしょ」

緩くとがらせた唇を上に向けてキスを迫る。

「キスって・・・」

「出来ないんだったら可愛くないでしょ?」

しなきゃいけない気もするけどしないといけない気もする。可愛くないって思われてしまうと困るし・・・俺は少し考えて決断した。俺は・・・

「ちゅっ」

キスすることにした。咲希は驚いた顔をしていたが、すぐに目を瞑った。

「ん、んんっ」

キスしていると、降りるバス停のアナウンスが聞こえてきた。もう終わりだ。

「咲希、降りないと」

「この手はどかす?」

当たり前だ。人の胸を揉んだまま外に出れるか。

「そりゃあどかす。」

「わかった。降りよ」

バスから降りると、すぐ目の前に咲希の家はある。あれ?そういえば俺のバイクどこ置いたっけ?

「ああああっ!」

「ど、どうしたの!柊くん!」

俺は百合花の家にバイクを置きっぱなしにしてしまっていた。キーもかけっぱだし、すぐ帰れないな。

「バイクを百合花の家に置いてきた・・・」

「あらら。ま、今は楽しも?」

「あぁ。そうだな」

 

家に入り、かけてあったテレビを見ると、誘拐された人の映像が流れていた。そこには俺の映像が流れていた。俺が誘拐されてないんだから、まさか・・・

「月島咲良さんは今も誘拐犯に誘拐されています」

俺の妹、咲良だった。誘拐されてるって、知れただけいいけど、どうすればいいんだ。そう考えていると、百合花から電話がかかってきた。

《柊くん!咲良のニュース、見てる?》

「あぁ。見てるよ。」

《助けに行かないの、行くべきなんじゃないの》

「柊くん!結菜ちゃんから電話!」

咲希がスマホを渡してきた。

《柊くん、今は柊くんの思ってることを押し通して。私たちのことはいいから、自分の思ってることを。》

「分かってる。」

《だったら今は何してるの。なにもしてないんだったらそれが思ってることなの。》

「思ってること・・・」

《私たちのことは考えないで。》

「・・・分かった。ありがとう、結菜」

《大丈夫》

俺はスマホを咲希に返すと、百合花の電話に出る。

「俺、咲良を救いにいく。」

《そう。行ってあげれば》

「じゃ、切るからな」

そう言って切り、咲希に言う。

「行ってくる――」

「行ってらっしゃい。気を付けてね」

「・・・あぁ!」




2436文字。最高記録ですね。
さて、次回は募集していた名前の妹を公開します!なんの名前になったか、楽しみにしててね!
それでは!


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第3話 妹

名前決定しました。小説の中に数回出てきますので楽しみに!


咲希の家を出た俺は、咲良を救うため一旦駅前へバスで向かう。百合花の家にバイクを取りに行かないといけないからだ。

 

駅に着いた俺は百合花の家まで歩こうとする。バス停から少し歩くと、後ろから俺を呼ぶ声がした。

「柊くん!」

百合花だ。ふりかえると、俺のバイクにまたがって乗っていた。

「百合花、バイク乗れるのか」

「免許はあるし。キー掛けっぱなしだったからね。それより、早く行ったら。妹救いに」

「あぁ。行ってくる」

ヘルメットを被り、駅を出ていく。バックミラーに手を振る百合花が見えた。絶対、救ってちゃんと紹介する。そう俺は決めた。

 

自分の家に着くと、弟の暁依(あきより)を呼ぶ。

「暁依!行くぞ」

「柊、何で行くんだ」

「バイクでいいだろ。2人乗り用だし」

場所は車で15分。バイクでも15分だろう。

場所は数年前に閉院した病院だった。辺りからは苔も生えていて、今にも崩れそうだった。

「ここにいるんだな」

「姉ちゃんを救う、そうだろ」

暁依が自信を持った声で言った。

「よし、行くぞ」

1歩中に踏み入れると、湿った空気が出迎えた。どこかに水があるんだろう。

「2階行ってみようか」

1階はほとんど壊されている。階段もないため周りの岩などから2階に昇る。

「咲良・・・どこにいるんだ」

「柊!あれ!」

暁依が指を指す。指した先を見てみると男1人と咲良の姿があった。

「ん?なんだあれ」

何か細長いレバーのついた物体があった。近づいてみてみると、それは・・・

「爆弾か!?」

「自分も犠牲に吹っ飛ぶ気か!」

レバーはゆっくり開いている。完全に開き切ったら爆発だ。

「咲良の縄をほどこう」

「分かった。暁依は爆発解除を狙ってくれ」

俺は咲良のところへ走る。

「咲良、もう大丈夫だからな」

「どうして、助けるの。ずっと会ってないのに」

何言ってるんだ。妹は俺のものだ。

「会ってないとか関係ないだろ。妹は妹だ。俺だけの」

「・・・妹・・・」

「そうだ。2年、5年会ってなくても妹だ」

話ながら縄を切ろうとしているが、中々切れずにいた。このままじゃ間に合わない。

「柊!この爆弾解除出来ない!」

「だったらこっち来い!切るの手伝え!」

2人がかりで縄を切る。ほんの少しずつ削れていってるが全く切れそうにない。

「暁依、避けて」

俺は内側にナイフを当て、力ずくで縄を切る。

「切れた!」

カチッ

爆弾のレバーが開き切ってしまった音がした。

「暁依!先逃げろ!」

「柊は」

「咲良を守る!早く逃げろ!」

暁依が逃げると俺は咲良を抱き寄せる。

「このまま逃げるぞ」

「うっ、うん」

ゆっくり逃げていると、ついに・・・

ドンッ!

爆発した。もろに浴びることはなかったが、爆風で飛ばされる。俺は咲良を内側にして、床に咲良を打ち付けないようにする。

「ぐっ」

俺が代わりに打ち付けられた。

「お兄ちゃん!」

「咲良、大丈夫だったか」

「私は平気。お兄ちゃんは」

「俺も少し痛いだけだ。ほら、外出るぞ」

暁依が外にいるはずだ。俺は手を繋ぎ、2人で外に向かう。

「柊、遅いぞ」

「すまん。バイクは誰が乗ってく」

「柊と姉ちゃんで乗ってけばいいだろ。」

「けどそれだと暁依が歩いて帰る羽目になるぞ」

家まで歩いて1時間はかかる。

「大丈夫。姉ちゃんと帰っとけって」

「お兄ちゃん、嫌?」

「嫌じゃない。じゃあ帰ろうか」

俺はバイクから1つのヘルメットを出す。

「そのヘルメット・・・」

「あぁ。お前のだよ。咲良」

咲良はヘルメットを持って俺を見つめている。

「なんだよ、咲良」

「なんでもないっ」

そう言ってヘルメットを被る。俺はバイクにまたがり、後ろに咲良を乗せる。

「しっかり掴まってろよ」

「うん」

俺はバイクを走らせる。家へ向かって60キロで走っていく。

 

家についた俺たちはテーブルを囲んで2人で話していた。

「大学は俺が通ってたところだったらいいってよ」

「うん。ありがとう、お兄ちゃん」

大学までは電車で20分。そこまで遠くはないが、結構疲れる。

「明日からだったはずだから、頑張れよ」

「はーい」

 

もうそろそろ出るか。

俺はバイクを走らせる。今日はちょっと遠出だ。どこに行くかって?それは咲良の大学だ。一応俺も卒業生ではあるけど。

大学に着くと正門の柱で咲良を待つ。1人の女子大生が一瞬俺を見て、すぐに仲へ戻っていく。何が起きたんだ?まぁいいか。

 

【月島咲良視点】

 

私の友達がもう一回戻ってきて私に言った。

「咲良ちゃん、あそこに男の人いるんだけど、もしかして・・・」

「?」

男の人?私特に知らないんだけどな。お兄ちゃんが来るはずないし。って、

「えぇっ!?」

「よ、咲良。迎えに来た」

後ろで女子たちがキャーキャー言ってるけどなんか期待を裏切りそう。

「咲良ちゃん咲良ちゃん、この人誰?」

ワクワクした声で言ってくる。裏切りそうだけどしょうがないよね。

「あぁ、彼氏とかじゃなくて、お兄ちゃん・・・」

「お兄さん!?って、よく見たら・・・」

「な、何ですか」

お兄ちゃんが戸惑った感じでいる。

「ちょっと、やめてよ――」

「月島柊さんですか!」

何で知ってるの?と思いながら私は聞いていた。

「はい。そうですけど」

「校内にポスター貼ってありますよ!4人の女子に狙われてるって」

「あぁ、確かにそうだな。君の名前は」

「葉月彩芽です。」

自己紹介まで済ませてもう仲良くなったの?早くない?

「あとでまた会おうな。咲良、乗れ」

「あっ、う、うん!」

「それじゃあ、月島さん、また」

 

 

 

 




軽く登場人物紹介
月島柊
月島咲良
月島暁依
西宮紗由理
姫宮結菜
白水百合花
西条有希
葉月彩芽
以上8人でした。


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第4話 出会い

今回の登場人物
月島柊
月島咲良
月島暁依
西宮紗由理
姫宮結菜
白水百合花
西条有希
以上7名


家に帰った俺たち2人は自分の部屋に向かっていた。もちろん誰も来ない前提で。そう思っていると呼び鈴が鳴った。

「はーい」

「柊くん!遊びに来たよ!」

「柊くん、入れて」

「ハイハイ」

ドアを開けて4人を中にいれる。平日に遊びに来るってどういう神経してるんだこいつらは。

「おっじゃましまーす」

「はしゃぐな」

「柊くんを中に部屋どこ。私行く」

結菜が俺の部屋を聞いてきた。まだ早い気がするんだが。

「お兄ちゃん、お茶でも出しとくね」

「あぁ、よろしく」

「妹?」

紗由理が聞いてきた。

「あぁ。義理なんだけどな。かわいいからいいんだが」

「じゃあ私たちとどっちがかわいい?」

来たよ恋愛争奪戦。5人のうち誰が1番かわいいかってことだろ。そりゃあ咲良・・・って言っちゃダメなんだろうな。

「みんなかわいいんだけど」

「1番は!」

「私」

結菜が言う。結菜もかわいいんだけどなぁ

「咲良かな・・・」

「やっぱり妹かぁ。」

「ふにゃっ!」

咲良が変な声を出す。

「動揺しちゃってるの」

百合花が咲良に言った。

「そりゃあ1番って・・・」

「柊くん、妹動揺させちゃってるよ」

いや知らん。しかも選べって言ったの紗由理だし。

「かわいい・・・お兄ちゃん・・・」

「あぁぁぁ悪かったな動揺させて」

「かわいい・・・!」

「咲良さん?」

1人でかわいいと呟いている。

「はい!どうしたのお兄ちゃん」

「なにかわいい呟いてるんだ」

「だって私がかわいいって言われたから」

「かわいいのはダメなのか」

少し決め台詞のように言った。

「むにゅうぅ・・・くちゅん!」

(くしゃみ)か?

(くしゃみ)したのか」

「聞かないでー!」

こうだからかわいいんだよなー

「俺は部屋で寝てるから。5人でトークでもしてな」

「はーい」

 

【月島咲良視点】

 

お兄ちゃんが2階に上がる、私たちはお兄ちゃんをめぐって話し合っていた。

「咲良ちゃんは柊くんと結婚したい?」

「できるんだったら」

「けど血繋がってないんでしょ?」

「調べてみるね」

3人が協力して調べてくれている。出来るのかな。

「親の再婚で義理の兄妹となった場合は結婚できるってさ」

「ホントに!」

「ってことは私たちのライバル」

ライバル?どうううこと?

「私たちも柊くんと結婚したいんだよね」

「だからね・・・」

私もみんなに負けないようにお兄ちゃんの気を引かなくちゃダメってことだよね。次の休日デート誘おうかな。それで一気に上がるはず・・・!

「咲良ちゃんの誕生日っていつなの?」

紗由理ちゃんが聞いてきた。

「誕生日?12月17日だけど」

「私の誕生日に近い!私12月23日なの」

偶然!こういう偶然は反応してしまう。

「誕生日パーティーも5日違いでできるね!」

「そうだね!やろやろ!」

すっかり意気投合した私と紗由理ちゃん。いつも馴染めない私ももう仲良くなった。

「私たちも参加するの」

「したかったらでいいんじゃない?」

百合花が言った。無理にとは言わないから強制ではない。

「私は行く。」

結菜はやっぱり行くそうだ。

「じゃ、じゃあ私も!」

こうなったら参加せざるを得ない。ここで断ったら空気が重くなるだろうし。

「5人は参加ね。柊くんは」

「私が誘っとこうか」

私は妹だし誘っとくことにした。

「私、12月3日なんだけど」

「じゃあ有希ちゃんも!楽しそうじゃん」

みんなでワイワイしていると、時間はあっという間に過ぎていた。(時間見てみて)17時に始めたはずが今はもう18時。そろそろお兄ちゃんも起きてくる時間だ。

そんなことを思っているとキッチンからいい臭いが漂ってきた。

「誰が夕食作ってるの」

「弟の暁依が作ってるの。おいしいのよ」

私は暁依を紹介した。

「食べてく?」

「いいの?」

「もちろん!」

「じゃあ、食べてこうかな」

4人は家で食べてくことにした。

私は暁依のところへ向かう。

「暁依、4人分できる?」

「オッケー、姉ちゃん」

 

【月島柊視点】

 

18時になって起きると、1階からいい臭いがしてきた。多分暁依だろう。暁依は料理が好きで朝食、昼食、夕食共に作ってくれる。所謂「イクメン」ってやつだろうか。

1階に降りるとやっぱり暁依がキッチンで夕食を作っていた。

「おっ、暁依、もう作ってるのか」

「4人ぶん追加されたけどね」

「ごめんね?」

咲良が手を合わせて謝っていた。

「何で追加したんだ」

「4人が食べてくんだって。」

あいつらも食ってくのかよ。

「まぁいいか。それじゃあ俺は先戻ってるからな」




下3桁がラッキーセブンで終わらせました。結構短いですけどね。
さて、次回はスペシャル編です。バイクで帰ってる途中の様子ですね。
それでは次回もお楽しみに!


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スペシャル編 バイク

スペシャル編です。
今回の登場人物
月島柊
月島咲良
以上です。
一応会話に結菜は出てきますけどね。


 

大学からの帰り、バイクで後ろに咲良を乗せて俺は走らせた。50分くらいかかるから結構遠い。

「電車の方が速いのにどうしてバイクで来たの?」

「会いたかったから」

咲良になるべく多く会っておきたかったからバイクを選んだ。

「そんなに会いたかったの」

「会えないのは悲しい。それだけ」

喋り方が結菜に似てきたな。悪い影響か?

「あとは?理由まだあるでしょ」

「・・・」

俺はコンビニにバイクを止めた。

「なんでそんなに聞くんだ」

「だって私に好意抱いてない?」

好意・・・バレてたのかよ。告白するんだったらするけど義理だけど妹だから結婚はな・・・

「お兄ちゃん、好きなんだったら言ってよ」

「そんなんじゃない。ただ前みたいになってほしくないだけだ」

「そう・・・」

俺はまたバイクを走らせる。まだ40分近くある。

咲良は今まで椅子に捕まっていたが、コンビニを出てから俺に抱きつくように捕まっている。

「咲良、む、胸が・・・」

「だって離れたくないんでしょ」

少し大声になって言った。走っているのだから小声だと聞こえない。

「そういう意味じゃないよ!」

「運転に支障がないようにするから」

「はぁ」

そういう問題じゃないんだけどな。

そのまま20分走っていた。一般道だからか結構遅い。車だったら高速乗っていけるから速いんだけど。

「遠い!」

「車で来ればよかったのに」

「駐車場停めるの面倒くさいじゃないか」

速いけど面倒くさい。そういうのが俺は嫌いなんだ。

「面倒くさがりやさんっ」

「うるさいな!いいんだよ!」

相変わらず大声になる。声が勝手に小さくなるせいだ。

 

家まであと5分のところにあるコンビニに寄り、飲み物を買う。

「何がいい。咲良」

「うーん、これ!」

指したのは炭酸だった。

「あのなぁ、腹膨れるぞ」

「お腹空いてるんだもん」

何でもそう言えばいいんじゃないんだけど。

「俺はお茶でいいや。ほら、帰るぞ」

セルフレジで買い、外に出る。

「かえるかえるー!」

かわいいしなんか抱きつきたい。抱きついたら怒られるけどね。こんなところだし。

「ぎゅーっ」

そっちから抱きつくなよ。こっちが我慢してたんだから

「いいのか抱きついて」

「何となくだったら大丈夫!」

大丈夫じゃないから言ってるんだ。けどなんか肌が柔らかい。ずっと抱きついてたい。

「柔らかいな」

「ピチピチって言って!」

「はいはい。ピチピチだな」

「にゅーっ!」

子供みたいにはしゃぐ。そこがかわいいんだけど。30秒は抱きついたままだった。




1000ジャスト!
スペシャル編でしたがどうでしたか?次回は普通にやります。それでは!


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第5話 仮想世界

映画みたいな感じで9000から15000文字の内容を考えています。
今回の登場人物
月島柊
月島暁依
月島咲良
西宮紗由理
姫宮結菜
西条有希
白水百合花
新メンバー2人
以上9人


俺は配膳を手伝い、4人のもとに行く。回鍋肉とか結構難しい料理料理を作っていた。

「ほら、できたぞ」

「美味しそう!」

「それは、ありがとうございます」

暁依もちゃんとお礼を言う。俺は咲良の隣に座り、回鍋肉を頬張る。

「お兄ちゃん、ああん」

咲良が持っていた箸を俺の口に向ける。俺だって自分で食ってるんだが、なにか理由が・・・あっ、もしかして好きなのバレてるから?

俺は口を開けて箸を待つ。暫くすると肉が俺の口に入ってくる。

「ん?」

味に異変があった。まぁ気のせいだろう。

「お兄ちゃん、美味しい?」

美味しくはないが。

「美味しいよ」

「この回鍋肉美味しい!」

ってことは俺だけか。何で俺だけ?すると意識が急に遠くなる。

「柊くん!」

 

俺が起きた時には咲良の寝室に寝かされていた。暁依もいるかと思ったが咲良しかいなかった。

「咲良?みんなは」

「4人は帰ったよ。暁依は夕飯の片付け」

みんな俺のことは?と思っていた。

「みんな俺の心配はしないのか」

「私は心配したよ。お兄ちゃん」

そりゃあそうだろ。犯人なんだから。

「なんか入れたんだろ」

「ううん、入れてないけど」

「え?じゃあ何で」

「それより元気になったんならお兄ちゃんの部屋戻れば?」

鋭い言葉のナイフ。ついに咲良も言い出したか。俺はすぐ立ち上がり、自分の部屋に向かう。

自分の部屋に来た理由は久しぶりに仮想世界に行ってみようと思い、早速魔法をかけた。

 

仮想世界に降り立った俺は首都の真ん中に転移した。俺が泊まっていたホテルも変わり、町も明るくなっていた。俺はある路地裏に向かう。俺がよく行っていた武具店だ。

「いらっしゃい。って、柊か!」

相変わらず野太い声が響く。

「久しぶりだな、ギジル」

「2年くらい来てなかったろ。成人式の時以来だろ」

いかにも。成人式をここでした以来来ていなかった。

「そういえば、ホテルも契約新しくなってたぞ。見に行くといい」

「あぁ。じゃあな、ギジル」

俺は手を降って武具店を出る。

また町の真ん中に戻ると、女の子がぶつかってきた。気の悪い人だったら「なにやってるんだ!」とかぶちギレそうだが俺はそうじゃない。

「ごっ、ごめんにゃさい!」

「いやいや、大丈夫だよ。急いでるのかい」

見た目初心者だ。ケットシーかな?猫耳がついてるし。あと、胸がすこしデカイ・・・って、何見てんだ!

「はい。ホテルに行きたいんですが、分からなくて」

だったら俺も丁度行くところだ。今ホテルに行くのは俺みたいに契約更新されているか新しく来たかだろう。

「だったら俺も行こう。丁度行くところだったし」

「はい。お願いします」

2人で歩き出す。ホテルは中心から北東だ。

 

ホテルについた女の子は部屋に向かって歩く。俺はロビーに契約更新を聞きに行った。

「204号室です。2人相部屋なのでかなり広いですよ」

相部屋?いない間に随分変わったな。2年前は相部屋なんてなかったのに。

階段をあがり2階の奥に204号室はある。2人部屋は奥に固まっている。俺はノックして部屋にはいる。

「失礼します。あれ?」

そこにいたのはさっきいたケットシーの女の子だった。

「あっ、あなたが柊さんですか」

俺の名前を知ってるそうだ。

「はい。どうして知ってるんだ」

「強い人とレベリングしたいって言ったら柊さんがいいって言われて」

なるほどそういうことね。確かにこの仮想世界で2番目だけど。

「じゃあレベリング行くか?」

「いいの!?いくいく!」

元気よく言う。レベリングくらい余裕だからどうってことない。ただ、武器はあんまり持たない。魔法でほとんど解決してしまうから。

フィールドについてから女の子の武器を確認する。片手剣1本だった。

「お前、片手剣1本で大丈夫か。予備くらい持ってくればよかったのに」

「うん。だって新品だから。あと、お前って呼ぶのやめて?」

呼ぶなも何も、名前知らないから呼べるはずない。

「名前なんなんだ」

「ミサ。そう呼んでもらっていい。柊さん」

「だったら俺も呼び捨てでいいんだが」

「うぅん、柊。なんか呼びづらい。柊くんでいい?」

周りからもそう呼ばれてるし違和感はないか。

「いいよ。ほら、敵だ」

ミサ片手剣をレイピアのように持つ。そのまま突っ込むが弾かれて終わる。

「ミサ、下がれ」

俺はそういって上位の火炎魔法を使う。炎は火柱になって敵を囲む。炎が消えたときには敵は消えていた。

「すごい・・・魔法は転移魔法くらいしか普通覚えないって聞いたのに」

確かに魔法は普通来るための転移魔法しか覚えないのが普通。けどいろいろ覚えてるとやりやすいし。だから覚えている。

「まぁな。無理して覚える必要はない。あと」

俺はミサの片手剣を持つ。

「持ち方がレイピアみたいになってたな。」

「普段からそうしてるけど」

「普通に下に持っていいんだよ」

俺は手をまわして持ち方を教える。

「慣れなかったら右手を上にして両手で持ってみて」

「こうかな?」

「そうそう。そのままそこのスライム斬ってみようか」

俺はそこら辺にいたスライムを指差す。

「そのくらいだったら倒せるよ」

「倒すのが目的じゃないからな。持ち方の練習だぞ」

「分かってる!」

ミサは正しい持ち方でスライムを斬る。レベル1だからすぐ倒せる。

「その持ち方で練習してみようか」

「はーい!」

耳がピクッと動く。猫耳だからやっぱりよく聞こえるのかな。

「あっち、でっかいモンスターくる!」

「でかい?」

俺は魔法をためて待っていると、そこから来たのは誰も倒したことのないモンスターだった。俺も何回か戦おうとしたが、全て負けている。しかも逃げられない。

「はぁっ!」

上位火炎魔法を使うが全く倒れない。俺は風魔法も使う。しかし弾き返しこっちに攻撃がくる。俺は結界魔法をつかってミサを守る。

「うっ」

「柊くん!」

結界越しに叫んでいる。

「はあぁっ!」

水魔法を使う。全く倒れない。するとミサが結界を破り外に出て、剣で急所を突く。

「ミサ!あぶな――」

しかし余裕で倒してしまう。

「ミサ、強いじゃんか!」




特になし。期末テスト終わったから更新頻度あがるよ!


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第6話 猫化

今回の登場人物
ミサ
男3人
月島柊
月島咲良
月島暁依
以上7人


「はぁっ」

ミサもたくさんの敵を倒し、気づいたらレベル50まで上がっていた。俺のレベルは1790だけど。けど1790に少し近づいた。これで結構強い敵も倒せる。

時間を見ると20時50分。もう夜だった。

「次で最後にしよう。」

「うん!」

最後の敵を倒すとミサが俺の手を掴み、一緒に転移する。転移したあともミサは手を離さない。

「ミサ、どうかしたか」

「あっ、あの!り、リアルで会いたいんだけど、いい?」

「リアルで?いいけど、明日でいいかな」

「うん!えっと、7時半駅前でいい?込入の」

込入って俺の家から歩いて5分くらいのところか。ってことは家も近いのかな。

「あぁ。俺の家から近いし」

「そうなんだ!じゃ、また明日リアルでね!」

リアルか。この世界も今は結構な人数がいる。2年前は数千人だったのが今は数千万人にまでなっている。

家に戻った俺は歯を磨き、風呂に入る。

(明日か。どんな人だろうな)

そう思っているとドアが開き、風呂に誰かが入ってくる。

「へ?」

「にゅっ!」

咲良だった。さすがに思春期なのだからビンタとかされるだろうな。

「なぁんだ、お兄ちゃんか」

「なんだその言い方。暁依は嫌なのか」

「好きな人との方がいいでしょ?」

少し安心。ビンタされなかっただけいい。けど両方裸だから全てが見えている。特に咲良。俺は風呂に入ってるからいいけど咲良は立ってる。

「なぁに、どーこ見てんの」

「・・・・・・」

俺は何も発っさなかった。以外といつも一緒に風呂入らないから気づかなかったが咲良の胸に少し血がついている。

「咲良、胸の血ってなんだ」

「っ!」

見られちゃマズかったのか驚いた顔をしていた。

「これ、お兄ちゃんが仮想世界行ってる時に誘拐されてたときの仲間が来て注射器刺されたの」

「体に痛みはあるか」

「毒が入ってるらしくて、でも何も変わったことないの」

毒が入ってるって、結構大惨事だ。どうにかして毒を抜きたいがどうやって抜くか。吸い出す、でもどうやって。注射器で吸い出すのは痛いだろうし俺もそこまで知識はないし、最悪血まで抜いてしまうかもしれない。そうすると貧血になってしまう。

「お兄ちゃん、なんかめまいがする・・・」

「咲良、どうやって吸い出したらいい」

「何でもいいから、とにかく抜いてっ」

何でもいいって・・・

「っ!」

俺は今いる場所を思い出した。風呂なんだから俺が毒を吸っても吐き出せる。

「咲良、毒を俺が刷ってもいいか?」

「胸を吸うの?別にいいけど」

「わかった。いくぞ」

「うん。」

俺は咲良の胸に顔を近づけて乳首の横にあった傷跡を吸う。確かに血の味もするがたまに変な味もする。これが毒か。

吸って吐き出すを繰り返し、やがて味がしないところまできた。俺は念のためもう1回吸う。なにか出っ張っているものを吸う。腫れたのか。

「あんっ」

俺は咲良の喘ぎ声に疑問を持った。

「お兄ちゃん、乳首はらめぇ」

「っ!」

乳首を吸っていることに今気づいた。

「ごめん!」

「赤ちゃんみたいだった」

毒を抜いたら性格は戻るのな。なんか残念だった。

俺は咲良を風呂に入れ、ゆっくりあがり、自分の部屋で休んだ。明日にミサと会うから。

「柊、ちょっといいか!」

暁依が部屋に入ってきた。

「どうした、暁依」

「姉ちゃんの体調が!」

姉ちゃんの体調って、さっき毒は抜いたはずなのに、何で体調に問題があるんだ。

俺は咲良の部屋に行くと寝込んでいる咲良の様子を見た。とてもうなされていて顔色も悪い。

「咲良、大丈夫か」

「おにい、ちゃん・・・」

話すことも難しいのだろう。途中で区切ってしまう。

「咲良、無理するなよ。」

俺が撫でると頭に獣のような柔らかい毛皮みたいな感触があった。

「なんか猫みたいな感触しないか」

「どれ。」

暁依も咲良を優しく撫でる。

「確かにするな。」

「うぅぅぅっ・・・」

苦しそうだ。しかし人間にはない感触。普段はしないのに。

ぼんっと音がして咲良の周りに煙が立ち込める。

「咲良!」

俺が叫んだときに煙が段々と消えていく。消えてから見ると咲良の頭に猫の耳のようなものが、いや、猫の耳があった。

「咲良?」

「その耳・・・」

「え?どうかした?」

俺は鏡を渡し、咲良自信を見せる。しばらく見ていた咲良は鏡を落として叫んだ。

「えぇぇっ!」

 

状況が整理できた時にはもう20時半を過ぎていた。

「要するにあの注射器で射たれた薬がまだ残ってて、それが猫耳ができてしまう薬だった。と」

「たぶんそうだと思う。」

かわいいけどちょっと問題だ。残っていると外に出るときどうするか悩んでくる。

「まぁ、何もなくてよかったよ。俺は自分の部屋にいるから、何かあったら呼んでくれ」

「分かった。ありがとう、お兄ちゃん」

俺は部屋に戻るとすぐに眠ってしまった。今日は異常に疲れたし、眠い。

 

翌日朝7時、俺は家からバイクを走らせて込入駅に向かう。7時半集合だから30分前なはずだ。さすがにいないだろうと思いながらバイクを走らせる。

2分くらいで着くが、これから多分遠出するからバイクで来た。駅のロータリーに入るとミサに似ている女性1人を周りの男3人が責めていた。「どうせ男もいないだろ」とか聞こえて、俺は怒りを持った。

俺はバイクを男と女性の間に止まるようにしてバイクを止める。

「あぁ?何だ貴様――」

俺は聞く気もなく一言いった。

「俺の彼女になにやってるんだ?」

彼女のつもりもないが俺はこの場を逃げ出すために言った。

「ちぇっ、男いたのかよ・・・」

と言って男3人は歩いていった。

「ミサだよね?間違ってたらごめん」

「あれ、柊くん?」

どうやら合っていたらしい。

「そう。遅かったかな」

「ううん。それより彼女って?」

「あっ、いや、咄嗟に出たから」

「ありがと。」

ミサが可愛く小声で言った。




2305文字いきましたね。


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第7話 彼女

次回は映画って言ってた話になります。ただの長編ですが。
9000文字以上を目指します。それにより、今回は短くなります。
今回の登場人物
ミサ
月島柊
月島咲良
以上3人
にプラスして
鳥1匹


「ありがと。」

ミサが小さく言った。

「柊くん、仮想世界とは違うの?」

仮想世界は名前の通り仮想空間。こっちはリアル。現実だ。

「急にどうした、ミサ」

「仮想世界では柊くん、私に興味無いのかなって」

確かに俺は仮想世界では1からやり方などを教えていた。一方リアルでは特に何も教えることはない。だから興味がないと思っていたのだろう。

「そんなことないよ。現実は現実で教えるさ」

「そっか。じゃあ、どこ行く?」

「どこか行きたい所でいいよ」

「えーっと、キャンプとか?」

別にいいが用意はしてきていない。ミサはしてきてるかもしれないが俺はしていない。

「用意してるのか――」

「うん!」

即答だった。やっぱりやりたいって言うのなら準備はしてるか。

「じゃあちょっと用意してくるけど、ミサ、来てくれ」

「ん?なんで?」

「さっきみたいにナンパいたら嫌だからな」

ここら辺はナンパは確かに少ないが、さっきのことがあるから念のためだ。

 

家でキャンプの準備をして、家から2時間バイクで走ったところにある郊外に向かう。山が近くにあり、川がきれいに流れている。川岸は砂利ではなく、砂浜のようになっていて、森が川を囲んでいる。

「ここに来たかったのか」

「うん。落ち着いたところに行ってみたくて」

都会とはかけ離れた場所で、鳥のさえずりと川の音しか聞こえない。

「じゃあテント貼ろうか。えっと、焚き火はどうする」

「折角だし拾ってこよ!」

役割分担は各自で行われた。俺がテント、ミサが焚き火の薪拾いだ。

俺がテントを貼っていると、たてていた枝の上に鳥が1匹乗ってきて、俺に「ピー」と鳴いてみせた。歌っているようで心が癒される。鳴き声を聞きながらやっていると、すぐに終わった気がした。俺は枝の上に乗っている鳥に指を差し出し、指にのせる。そしてテントの中へ。

「かわいいな。」

「ピーピー!」

すっかり安心しているようで乗っている人差し指とは別の親指に顔をすり付ける。

「名前は・・・ピヨ!」

相変わらずのセンス。あとでミサに聞くか。

「柊くん!薪拾ってきたよ!」

「お疲れ様。横になったらどうだ」

「うん。あれ、この鳥は?」

「さっき懐いた。名前つけてくれ」

ミサはしばらく考えたあと、「ピヨ!」と言った。やっぱり俺と同じネーミングセンス。

「やっぱりか。」

「なんか期待してなかった?」

「いや!俺と同じだったから」

「ピー!」

ピヨも鳴く。なんか意気投合してる。

枝で鳥かごを作り、俺とミサはテントに横になる。

「そういえばさ、仮想世界のアプデ知ってるか」

「あぁ、今いる場所と同じところにできるやつね」

「そう。だから――」

そのとき、電話がなり、すぐに俺は出る。咲良だった。

「もしもし、咲良。どうした」

《周りの空が赤いんだけど》

俺は空を見上げる。真上は真っ青だが、少し家の方を見るとそこだけ赤くなっていた。

「なんか他には」

《周りは誰もいない。》

「わかった。家の中転移するから待ってて」

俺は電話を切り、ミサを呼ぶ。

「ミサ、今から家に戻る」

「どうして?」

「家の空が赤いらしい。」

「わかった。」

『転移!HOME!』




1252文字で結構短め。次回が長いのでね。それでは、長編もお楽しみに!


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第一長編作品 第8話 最終話 赤い空

お待たせしました!長編です!
ですが最終話となります。短かったけど楽しんで頂けたら幸いです。
今回の登場人物
西宮紗由理
姫宮結菜
西条有希
白水百合花
ギジル
月島咲良
月島柊
月島暁依
以上8人


俺たちが転移したときは咲良、暁依(あきより)共にリビング、自室(じしつ)にはいなかった。となると、寝室しかないと思い、俺は寝室のある2階への階段を上り始める。ミサもあとに続いてやってくる。

2階の通路が見えた途端、左から右へ向かう人影があった。顔までは確認できなかったが、身長から見ておそらく暁依だろう。

俺は2階に足を踏み入れる。そのとき、横からドンと俺にぶつかったなにかがあった。物ではなく、暖かみのあるなにかだ。

「ごめん!暁依!って、お兄ちゃん!?」

ぶつかったのは咲良だった。怪我はしていなさそうだが、なにか焦っている。

「どうしたんだ」

下を見ると銃のようなものを持っていた。その銃はかなり細長く、狙撃用っぽかった。

「咲良、銃なんか持ってどうした」

「あそこに私たちを狙ってる人たちがいるの!」

窓の外を見ると確かにこちらに銃口を向けている人が2人ほどいた。

「あいつら、なにしてんだ」

「なんか調べたら殺人グループの一員とかいってるよ」

殺人グループの一員か。

俺は1人心当たりがあった。今から8年前の女。自分から殺し屋だとか言っていて怪しかった。8年前は15歳でまだ中学3年だった。だからかあまり興味はなかったが、その女に百合花と俺の関係を切られた。「貸せ」とたった2文字の言葉を言い、咲良から銃を奪う。

「お兄ちゃん、なにするの」

咲良から聞かれるが今の俺には関係ないことだ。

「死ね」

俺は2人のうち1人に銃弾を当てようとする。引き金を引き、弾が飛んでいく。しかし俺の弾は相手の目の前で消える。

「なんで・・・」

よく見るとそこには薄い防御魔法(シールド魔法)があった。例え色が薄くても、威力はかなり強い方。余裕で銃弾くらい消せる。

すると相手は爆発火炎魔法を使う。俺は覚えているなかの最大防御魔法を使う。

「ぐっ!」

思いっきり弾き飛ばされてしまう。弾き飛ばされた俺は階段の端にある小さな壁に強くぶつかる。

「柊くん!」

「お兄ちゃん!」

それぞれ同時に言う。俺は立てないまま倒れ込んでいた。背中が痛く、苦しい気もする。そこに、ミサが

「私がやる」

と言い出した。俺が吹き飛ばされたから危険だとは思ったが、仮想世界のことを思い出した。ボスを1撃で殺したんだ。

「任せたぞっ」

俺は苦しいからか咳き込む。やっぱりミサに任せるしかなかったんだ。

ミサは銃を持ち、30秒で狙いを定めたあと、引き金を引く。倒れ込んでるから殺したかは分からない。ちゃんと殺せただろうか。

しかしそんな心配はいらなかった。

「殺したよ」

俺の安心する声がした。その返事を待ってたよ。

「ありがと、ミサ」

しかし前1人を殺しただけ。まだ1人残っている。そこに暁依が来て「もう1人殺したさ」と言った。これで周りは安全だから外に出てもいいんだが、まだ俺の体がダメだった。

「一回下降りようか」

俺は必死で立ち、1階に向かう。窓からは真っ赤な空が写っていた。部屋も赤く染まっている。

「回復魔法かけるな」

暁依が回復してくれる。

「魔法使えたのか、暁依」

前までは使えないかと思っていた暁依が使えたのだ。

「まぁな。少しは使える」

「すごいな。もう俺もたてるよ」

俺は銃を念のため持って外に出る。外では銃声や爆発音がそこらじゅうから聞こえてくる。いつの間にか戦場と化していたのだ。

「一回駅に向かおう。仲間がいるはずだ」

俺たちは走って駅に向かう。

向かっている最中も銃を持った住民がたくさんいた。やはりあの殺し屋はこのまちにいるんだ。

駅に着くと人が何人もいた。避難している人や銃を持った人もいる。その中に百合花たち4人もいた。

「柊くん、来てたんだ」

「ついさっきな。」

そのとき、大きな声がして防御線が引かれた。戦闘力のある人が40人ほど列を作り、通れないようにしているのだ。

「こっちも線路から狙撃して協力しよう」

『はい!』

俺を含めた7人はホームに向かう階段を上がる。ホームに着くと線路に下り、銃を構える。

「あそこにいるの敵だよね?」

「あぁ。撃て」

6人一斉に撃つ。俺は下にいる人に向かってグッジョブのサインをする。

「なるべく防衛線より前で殺せ。」

「柊くんはどうするの」

「反対側だ。」

俺は反対側に防衛線が無いためそっちを重点的に守る。あの女はまだいないらしい。

「柊くん、なんか集団来たよ!」

そう言ったのは紗由理だった。こっちにも集団が来ていた。

「そっちはそっちでやってくれ。」

俺は反対側の集団を撃退する。50人は軽くいる。下手したら100人いるだろう。

「柊くん!無理だよ!」

「諦めるな!少しでも倒せ!」

俺はグレネードを投げ、下で爆発させる。

「こっちは大丈夫だ。そっちはまだか」

百合花たちの方向はグレネードを投げられない。防衛線の人を爆発させてしまう。

「少しは減ったけど、まだ全然いるよ」

俺は下を見るが俺がいた方の倍はいる。結構多い。

「少しでも減らそう。」

俺はひたすら撃つ。味方に当たらないようにして慎重かつ大胆に撃つ。

「よし、あと半分!」

 

15分くらいの激闘の結果、全滅できた。赤い空はなおらないが、来る敵の数は減った。

「よし、下に降りよう。家に帰るぞ」

俺たちは家に帰る。一回安全になった今がチャンスだ。

家に着くとひとまずご飯を食べる。

「百合花、まだあの女が」

「わかってる。多分、ここにいればいずれか来る。」

あの女がこの町を支配してるに違いない。俺はここで待つことにした。

 

そしてそのときが来た。

ピンポーン

と呼び鈴の音。最初はただの来客だと思い、何も持たずにドアを開けた。

「久しぶりね。月島柊くん」

あの女だった。俺は口を開けたまま話を聞いていた。息をする間もない。そしてそのまま首を掴まれ、首を絞められる。

「ぐはっ」

俺は血を吐くかのように咳をする。それを聞いてミサと咲良、百合花が来てしまう。

『柊くん!』

俺は来るのを止めるために言う。

「来るな!死ぬぞ!」

「っ!」

百合花も気づいたそうで部屋に向かう。俺には近づかない方がいいんだ。

「さーて、もう死ぬ時間ね。最後の言葉は」

「もう少し生きたかったな」

そういうと女はナイフを首に近づける。俺は初めて命の危機を感じた。もう死ぬんだ。最後くらい、誰かと結婚していたかったな。

そう思っていると、ナイフが急に俺の首から離れた。それと同時に俺は床に落ちる。横を見ると拳銃を持った百合花がいた。

「百合花!」

「柊くん、私がいないと何もやれないんだから!」

「ごめん、百合花」

俺は自分の未熟さに謝った。

「別に、私がついていくから」

百合花がニコッと笑っていった。俺は百合花が投げた拳銃を持ち、女に銃口を向ける。

「今度はこっちのターンだ」

俺は早速引き金を引く。そりゃあ最初は避けられる。俺はすぐに魔法を使う。火炎魔法だ。この魔法は、咲良、咲希、有希、紗由理などの思いを込めた魔法だ。そう簡単には消えない、1番強い魔法だ。

「俺たちの関係を切りやがって」

俺はそう言いながら火炎魔法を使い続ける。

「私に逆らうな!お前1人にくらい、勝てるに決まってる!」

誰も1人で勝つなんて言っていない。俺には1番大事な、大切な仲間がいる。

「百合花!」

仲間全員で勝つんだ。

「たあぁっ!」

俺に仲間がいてよかった。俺は改めてそう思った。仲間がいなければ、ここまでこれていなかったから。

 

1週間たったとき、俺たちは転移前に来ていた川岸に来ていた。

「柊くんこんなところ来てたんだぁ」

紗由理が言った。やっぱり羨ましかったか。

「そうだよ。いまは思う存分楽しもうな」

「あぁっ、それ私が食べたかったやつ!」

咲良が言った。焚き火にあったマシュマロを食べたかったのだろう。

「だったら私が食べる」

咲希だ。やっぱり落ち着いている。

「ずるいよー」

「柊くん、行こ?」

百合花がいった。暑くもなく寒くもない、穏やかな天気でキャンプ日和だった。

「私もいく!」

ミサもピヨをつれてついてきた。

「だったらみんなで写真撮ろうぜ!」

暁依が提案した。

「いいな!撮ろうぜ」

ギジルもここにはいた。俺たちは川を背景にして集合写真を撮る。

「じゃあ撮るぞー」

俺はカメラを覗く。

「柊くんも早く来てね!」

「分かった。いくぞー、はい、チーズ」

俺は走って真ん中にいく。

カシャッ

シャッターがなる。多分よく撮れただろう。

空は青くなり、暖かくなった。あのときとは真逆だ。結婚はまだしていなくて、またデートからだ。

けどある程度候補はある。それは・・・

 

YU・・・

 

 




どうでしたか。3ぶんの1で終わっちゃいましたが。
最後のYU。誰かの名前を指しています。さて、誰だか感想を書く欄やリプで教えてくださいね!
それでは最後までありがとうございました!
2020年7月16日21時09分50秒


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