アーロニーロ君、今日も胃が痛い (Finally )
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第1話 キョウモイガイタイ

千年血戦アニメ化決定…という事で書いてみました。
アーロニーロは私が大好きなキャラです。



「次の会議は頼むよ。アーロニーロ 」

「ワカリマシタ。藍染サマ」

 

 目が痛くなる程に真っ白な謁見の間。こういった比較的明るい場所は苦手だ。だが全ての力において上位的存在である藍染からの招集を掛けられたからには、我慢しなければならない。

 

「では下がるといい」

 

 柔和な笑みとは裏腹に強力な霊圧を発している男。その態度からして無意識に垂れ流しているものと錯覚してしまうが、彼の性質からして完全に嫌がらせにきてる。

 

「…ッ…失礼しました」

 

 だがこの程度など藍染から課せられた任務と比べれば生温いものだ。ある周期に任せられるこの任務は、いつでも腹ぺこな俺の胃をキリキリ痛めつける程にストレスがヤバイ。

 

 それ程までに俺を苦しませている任務とはーー

 

 会議招集と代理司会である。

 

 藍染惣右介。この男は(ホロウ)と相反する死神の一人でありながら虚夜宮(ラスノーチェス)を創設し、破面達(アランカル)を束ねている王でもある。故にその力は十刃(エスパーダ)よりも遥かに超えており、荒くれ者ばかりの破面達にとっては恐れられる存在である。

 

 そのため、協力性が皆無である十刃達は藍染の命令ならば否が応でも従う道しか無い。

 周期的に行われる十刃達との会議もそうだ。藍染が招集しているからこそ、彼等は集まる。

 

 そんな藍染が一旦尸魂界(ソウル・ソサエティ)へと戻り、虚夜宮に不在であるならばどうだろうか?勿論、直属である東仙や市丸も一緒に向かう。

 無論、支配者のいない会議に誰も出るはずがない。ましてや位の低い第9十刃(ヌベーノ・エスパーダ)の呼び掛けに応じる筈がないのだ。

 

 最初は招集に来ない十刃をどうにかしてもらおうと藍染に訴えたが、彼は何と薄ら笑いをして「そうか」の一言のみ。それは君の努力不足ではないか?と言っているような目は、どこか愉悦を帯びていた。

 

 俺という下級存在が必死になって縦横無尽にしている姿を彼は楽しんでいるのだ。あのドSヨン様は。

 

 この詰んだ現状、どうにかして打破しなければならない。最近は”藍染様のパシリ”と呼んでいる奴もいるらしく、完全に十刃の中で1番に舐められている。(陰口を叩いている奴は全員喰った)

 

「どうするか」

「ドウシヨウカナ?」

 

…もう一人のボール頭と会話しながら、打つ手を考えてみる。だけど上も役に立たない状況をどうする事もできない。

 

 …今回も胃痛薬を飲む羽目になるのだろうなぁ。因みに前世で社会人だった俺にとって、それは常備薬でもあり生命を繋いでました。

 

 

———-

 

 

 真っ暗闇に包まれた、日光を一寸も差すことのない俺の自宮。これこそ俺のオアシス。この静寂な空間はストレスに押し潰されそうになっている俺の心を浄化してくれる。

 

 本来 虚圏(ウェコムンド)は日光なんて存在してなかったが、あのパワハラヨン様は何を目的にしたのか、現世の日光を真似た天蓋を作り出し、俺は肩身の狭い思いをしている。俺の能力も相まってまさしく嫌がらせの極致。何で彼に従っているのかも疑問を抱いてしまう。

 

ーー私に着いてくれば、あらゆる苦痛から解放してあげるよ。

 

 なーんて言ってるけど、解放されるどころか苦痛が増えてしまってるじゃないかい!…とはいえ崩玉で俺の力を伸ばしてくれたのは感謝している。この感謝の気持ちだけでこんなに働いているなんて、俺はもしかしたら十刃で1番の忠誠心があるのかも。

 

 などと馬鹿げた発想をしながら、今回の招集と会議の司会進行の段取りを考えてみる。

 会議とは言っても、藍染がいない間の十刃の状況報告が主だ。流石に裏切る無謀者はいないだろうが、やはり念には念を押すのだろう。後は藍染から送られる尸魂界の情報を全員に伝えることぐらいか。まぁ会議自体の時間は長くないので十刃同士の軋轢をどうにかすれば…と思っている。

 

 

 だとすれば、まずは呼び掛けに回る順番だ。俺は今までの藍染不在時の招集において、あるランキングを付けている。

 会話が通じる、常識があるランキングだ。

 

 まずは高い方からご紹介する。

 

第3十刃(トレス・エスパーダ) ティア・ハリベル

 

 この方は十刃で唯一の女性破面。派手な露出を最初に見た時はまた常識外れの奴が来たなと思ったが、彼女はまさかの常識人であった。彼女は十刃に入ってからは一度たりとも会議に欠席した事は無く、俺の呼びかけにもちゃんと応じてくれるのだ。

 取り巻きが猿みたいに煩いのがネックではあるが、話が通じる相手。あと可愛い。

 

 

第4十刃(クアトロ・エスパーダ) ウルキオラ ・シファー

 

 無口。奴の司る死の形の通りまさしく虚無そのものであり、俺が招集あるから来てと言ったら、わかったと言って終わり。彼自体は虚夜宮でのルールに従順であるので、ハリベルと同じく欠席はしない。少し怖いが。

 

第7十刃(セプティマ・エスパーダ) ゾマリ・ルルー

 

 俺と同じく従属官(フラシオン)を持たない、黒人の十刃。何となくその立場からして、俺も親近感を湧いていた…が、彼とは全くの反対の属性。招集の話を無視して、愛について延々と話を続ける。愛の話になると早口になるゾマリさんは正直言ってキモ怖い。

でもまぁ、上記のお二人と同じく出席してくれてるのでOK。

 

第1十刃(プリメーラ・エスパーダ) コヨーテ・スターク

 

 やる気のない男。毎回寝ているところを従属官のリリネットにボコされている光景を見せさせられている。招集自体は応じてくれているのだが、この野郎会議中にも居眠りを決めやがり、ナマケモノを飼っている気分にさせられる。

 

 この上記の4名は常識人であり、話の通じるまともな者だ。だがこれから下は問題児ばかりであり、殺されかけた過去もあるほどに頭がイカれた奴ばかりだ。

 

 

第10十刃(ディエス・エスパーダ) ヤミー・リヤルゴ

 

 こいつの場合は少し特殊だ。本来ならば寝て食べて、暴れる程に低知能な大男。俺の言うことなんて全く理解してもいないし、理解しようともしていない。だが、この男とウルキオラは何故か相性が良く、2人組で行動する事が多い。相反するものが中和して丁度いい塩梅になっているのだろうか。大概はウルキオラも一緒に同行してもらってヤミーを連れて行く。

 

 

第6十刃(セスタ・エスパーダ) グリムジョー・ジャガージャック

 

 問題児その1。藍染の言うことは従順な割に、不在となれば暴れ回る不良破面。特にウルキオラ に対しては喧嘩を仕掛け、彼には足蹴にされている事が日常茶飯事だ。俺に対しては特にそんな噛み付くような事はしないものの、俺の数時間に渡る説得+従属官の説得によって、やっと来てくれる。正直言ってグリムジョーは我儘な子供で、それを囲む従属官は保護者みたいな認識だ。

 

 

第5十刃(クイント・エスパーダ) ノイトラ・ジルガ

 

 問題児その2。何にでも噛み付く男。戦闘狂。こいつはグリムジョーと同じく、従属官の協力が無ければならない。偶に従属官がノイトラの地雷を踏んでぶん殴られる事もあり、この従順官に同じ仲間を感じる事がある。そしてこいつの最もな欠点は会議での全方位に対しての挑発。これによって毎回、会議室の霊圧が猛烈に溢れるもんだから堪ったものではない。あと笑い声が煩い。

 

第8十刃(オクターバ・エスパーダ) ザエルアポロ・グランツ

 

 問題児その3。マッドサイエンティスト。変態科学者。胡散臭い十刃No.1。こいつは何もかもやりたい放題。俺の食料(虚)を勝手に漁って解剖した挙句、毒入りの状態で俺に返してくる嫌がらせは勿論、俺のカプセルの中にある液体に興味があるらしく、事あるごとに俺の頭をもぎ取ろうとする危険極まりない男。招集には偶に来るものの、こいつは私怨を含めて嫌いである。

 

第2十刃(セグンダ・エスパーダ) バラガン・ルイゼルバーン

 

 その私怨を含めたザエルアポロにすら下回るほどに問題児なご老人。この老人は藍染不在の会議に全く出た事の無く、そもそも藍染に対する忠誠心は欠片程も感じられない。過去にバラガンとは大虚時代に遭遇した事があり、その時は部下にされた事もある。故にその縁で俺のお願いも聞いてくれるかと思いきや、逆に「ガキが儂に命令するか?舐めるな」とブチ切れてしまう始末。従属官達もバラガンに心酔しており、バラガンの意思に反するならばと十刃である俺に対しても歯向かってくる。全く持って困ったお爺さん。頼むから来てくれ。

 

 

 

 以上が俺による常識人ランキングだ。因みに俺はランキング的には当然上位だ。ギリアンなのに上位である時点で、十刃の将来が思いやられる。

 

 取り敢えず、今回も同じようにランキングが高い方から向かうとしよう。

 




主人公には原作知識は無いです。
因みにアーロニーロがバラガンの部下だった設定はこちらのオリ設定です。
(アーロニーロが死んだ時にバラガンが「ガキがつまらん死に方しおって」とか言ってたので、もしかしたらと妄想を膨らませた次第です)


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