バトスピコネクト! Re:Dive (メンツコアラ)
しおりを挟む

プロローグ

書きたかったから書いた。
悔いはない。



 それは一方的な展開だった。 

 場所は暗雲立ち込めるバトルフィールドと化した荒野。そこで対峙するのは赤いラインが走った白銀のアーマーを纏った一人の少年と、強者の風格を漂わせ、その身を着物のような鎧を纏った、狐耳と尻尾を持つ白髪の女性。

 

「くッ……」

 

「あらあら……もう敗けだと分かっているのによく足掻くわね」

 

 プレイボードに手を着く少年に対して、女性は嘲笑うように挑発的な笑みを浮かべる。そんな彼女の背後に佇むのは紋章が刻まれた十二の宝玉を翼に携え、禍々しい程に輝く金色の鎧を纏った暗黒の魔神。

 圧倒的とも言えるその姿に屈したりしないと言いたいのか、少年の側に立つ紅蓮の鎧を纏った古の竜と金色の鎧を纏った紅の龍神が吠える。

 

「騎士くんッ……」

 

「ユイ……残念ですが、彼はもう……」

 

 彼らを後ろで見守るのは桃髪の少女。そして、彼女を支える一人の天使。そんな彼女の後ろには既に亡き者となった彼らの仲間が横たわっていた。

 

「いい加減、敗けを認めたらどうかしら? 手札も無い状態でたった一つのライフを守れるわけないじゃない」

 

「確かにそうだ……でも───諦める訳にはいかないッ!」

 

「……もはや哀れね。せめてもの情けに、すぐ終わらせてあげるわ。

 アタックステップ。ゾディアック・デスペリアでアタック。アタック時効果でその目障りなスピリットを焼き払いなさい」

 

「……ッ、ノヴァッ!」

 

 魔神の瞳から放たれた光線が竜を貫き、その身を破壊する。

 竜の死と共に爆発が起こり、濛々と煙が立ち込まる。そんな古の竜の仇を取らんとばかりに、煙から龍神が黄金の大剣を手に斬りかかった。だが、魔神は龍神の斬擊を軽々と避け、竜と同じ目に会わせようと再び光線を放つ。龍神は大剣を犠牲にして、何とか直撃は免れたものの、そこに魔神が宝玉の着いた十二枚の羽を飛ばし、追撃を仕掛ける。変幻自在、上から下へ、右から左へ飛んでくる羽の刃をギリギリで避け続けるが、最後には羽を切り裂かれ、地面に落ちたところを宝玉から放たれた六色十二本の光線が襲い、龍神は竜と同じ道を辿った。

 

「残念。貴方のアルティメットのBPは30000。デスペリアの31000には一歩届かなかったわね。

 ……さて。デスペリアは自身の効果で回復状態。貴方を守るスピリットは無く、ライフも一つ。これで終わりよ」

 

 女性がラストアタックを宣言し、魔神は十二の羽を束ね、最大の一撃を放とうとする。

 

(そんな……僕たちの願いは……叶わないのかッ……?)

 

「さあ、地獄に堕ちなさいッ!」

 

 魔神の咆哮と共にすべてを飲み込む闇の一撃が放たれる。

 少年はせめて、仲間だけはと残りの力のすべてを彼女たちの防御に回す。

 

「騎士くぅぅぅぅぅんッ!」

 

 少女の叫びを聞き、それを最後に少年は闇にのまれたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 瞼の上から差し込む光に目を開ける。

 気がつくと、彼はそこにいた。

 彼はボヤける頭で、どこか夢の中にいるような状態で自分の置かれた状況を確認する。

 何か、硬い物の上に寝転がっているのだろう。

 腹の上に暖かく、重いものが乗っているのが分かる。見れば、紅い鱗の小さなドラゴンが彼のお腹の上でスヤスヤと眠っていた。

 

 彼は自分の置かれた状況に疑問を持つ。

 

 ここはどこなのか。

 自分は何でここにいるのか。

 ()()は誰なのか。

 

「───……ごめん。起こしちゃった? まだ寝ててもいいわよ。作業に集中したいし」

 

 

 ───……?

 

「…… 『あんた誰?』 って顔してるわね。初対面みたいな反応されると、やっぱりちょっと凹んじゃうわ。

 私は、まあ……アメス とでも名乗っておくわ」

 

 先が淡い紫に染まったエメラルドの髪の少女……『アメス』は自分の頭の上にひび割れたリングと背に壊れた機械的な翼を顕現させる。

 

「私は自己修復が終わるまで現実には関われない。だから私の代理として、貴方にはガイド役を派遣しておいたわ」

 

 ───…………。

 

「もっとお喋りがしたかったけど、いつまでも夢は見てられないから───」

 

 次の瞬間、彼の体は光に包まれ、視界が回復したかと思えば、彼は空高き場所から落下していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空から落ちてくる一筋の光。その光を遥か遠方から眺める一人の少女がいた。

 

「綺麗なお星さま───じゃなくて、流れ星? こんな明るい時に見れるなんてヤバいですね☆」

 

 

 

 




次回予告


記憶を失った少年『ユウキ』はアメスからの信託を受けたエルフの少女『コッコロ』と出会う。
そこから彼らの絆の物語は始まる。

次回、バトスピコネクト!Re:Dive
『スタートステップ!龍皇ジークフリード!』

もう一度、君と繋がるための物語。
ゲートオープン、界放ッ!




感想、評価、お気に入り登録。
心からお待ちしております。




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

スタートステップ!龍皇ジークフリード!-前編-

「はじっめ、ちょろちょろ……♪ な~か、ぱっぱ……♪ あかっご泣いても、蓋とるな~……♪」

 

「ギャウギャウッ! クゥンッ!」

 

「ダメですよ。もう少しで出来ますので」

 

 周りの騒がしさに少年の意識が覚醒する。目を開けると、白い花の髪飾りを身につけた、幼い顔立ちと先が尖った耳が特徴的な少女が此方の顔を覗いていた。

 

「お目覚めになられましたか、主さま」

 

 主様とは自分の事なのだろうか、と疑問符を浮かべながらも体を起き上がらせ、周りを確認する。

 場所は木々に囲まれた小川の岸辺。太陽の光が乱射し、流れる水がキラキラと輝いている。

 彼らの近くにはお米を炊いているであろう竹飯ごうとそれに手を伸ばそうとする小さな赤いドラゴンがいた。

 

「ああ、ダメです。お腹が空いているのはわかりますが、もう暫しお待ちを」

 

 少女はドラゴンを優しく抱き寄せると、ドラゴンは少女の元から離れ、少年の頭の上に乗る。

 

「ガウッ!」

 

「どうやら主さまの方がよろしいみたいですね」

 

「あるじさま……?」

 

「えぇっと……不躾ではございますが、主さまとその子のお名前をお聞きかせ願えますか?」

 

「名前…………────」

 

 頭の中のほぼ真っ白に近いキャンパスから僅かにある記憶を頼りに、少年は自分とドラゴンの名前を思い出す。

 

「ユウキ、ジーク───僕の名前はユウキ。この子は、ジーク」

 

「ギャウッ!」

 

 少年……『ユウキ』の言葉に反応して、ドラゴン……『ジーク』は手を挙げる。それを見た少女はホッと胸を撫で下ろした。どうやら、彼らが彼女の探し人で間違いないようだ。

 

「改めて、自己紹介を……わたくしは偉大なるアメス様によって派遣されたガイド役。名をコッコロと申します。おはようからおやすみまで、揺り篭から棺まで、誠心誠意お世話するのがわたくしの役目でございます」

 

「ギャウ……?」

 

「コッコロ……」

 

「はい。アメス様からの託宣によると、主様は『ほとんどの記憶を失っている』ようなので……訳が解らない状態でしょうけど……わたくしがお導きしますので、どうか御安心を」

 

 そう言って、太陽のような暖かみのある笑みを見せる『コッコロ』。

 

 そんなときだった。

 くぅ……と腹の虫が鳴く音と共に『お腹空いたぁ……』と空腹を訴える声が聞こえてきた。

 

「はい、心得ております。ちょうど、お昼時ですしね。主様がお目覚めになられたら、召し上がっていただこうと……わたくし、ごはんを炊いておりましたから───」

 

 次の瞬間、

 

「うわぁい、ごは~んッ!」

 

「え、あの、えっと……」

 

 それはほぼ一瞬の出来事だった。

 茂みからユウキと同じくらいの背丈の夕焼け色の長髪が特徴的な、ティアラと武具を身につけた少女と、白い鎧を身につけた、少女より一回り小さな赤い竜が現れたかと思えば、彼女達が炊けたばかりのごはんを瞬く間に食べ尽くしたのだ。

 

「もぐもぐもぐっ♪ ンま~いッ! 生き返るぅ~ッ。ごはんは命のコアッ!」

 

「…………どちらさまでしょうか?」

 

「だれ……?」

 

「クゥ……?」

 

「もぐもぐもぐっ、ごっくんっ♪ ふぅ、食べた食べたッ! いやぁ、助かっちゃいましたッ! 見ず知らずのわたしたちにごはんを恵んでくれるなんて、いい人たちですねッ!」

 

「いや恵んだというか、気づけば食べられていたというか……あぁっ、主さまたちのために作ったご飯が一瞬で消え失せましたよ? な、何者なんですか、あなた方は?」

 

「わたしですか? わたしは……いや、それよりも。あの子、あなた達の知り合いですか?

 

「「あの子?」」

 

「ギャウ?」

 

 そう言って、少女が上流の方を指差す。見れば、可憐な華の杖を持った桃色の髪色の一人の女の子と彼女を追う大量のキノコ型魔物が此方に向かって走って来ていた。

 

「きゃああッ、助けて~ッ! 魔物が、大量の魔物が追ってくる~ッ!」

 

「おや……何だか、えらいことになっていますね。ど、どうでしょうか、主さま?」

 

「魔物の群れはこっちに向かってきますし、無視は出来ません。ちゃちゃっと片付けて来ますので、二人は安全な所に逃げてください」

 

 次の瞬間、少女はその細い足から想像もつかないほどの脚力で駆け出し、女の子の頭上を軽々飛び越え、魔物達の前に立ちはだかった。

 だが、見るからに数に差が有りすぎる。

 それを見たユウキは立ち上がり、少女の元に駆け出し、彼の意図が分かったコッコロも杖槍を手に彼の後を追いかけた。

 

「あなたたちは───」

 

「えっと……お腹ペコペコのペコリーヌさま、と仮に呼ばせてもらいますね。乗り掛かった船でございます。共に窮地を脱しましょう」

 

「おや? 『ペコリーヌ』ってわたしの事ですか。可愛いアダ名を付けられちゃいました。ヤバいですね☆ でも……───あなた達の気持ち、嬉しいですッ!」

 

 

 

『キノォォォォッ!!』

 

 キノコ型の魔物たちの内数体が少女……『ペコリーヌ』に向かって走り出し、攻撃を仕掛ける。

 ペコリーヌはそれらを軽々といなすと魔物達の頭上へ飛び上がり、群れの中心に剣を振り下ろす。するとその細腕では考えもつかないほどの衝撃波が起こり、あっという間に群れの約三分の一を倒して見せた。

 

「───光のご加護を」

 

 一方、その傍らではコッコロが自身の力を使い、ユウキを強化していた。

 

「主さまの素早さを上げました。いざ、参りましょうッ!」

 

「うん。……───はあああああッ!」

 

 剣を構え、魔物に切りかかるユウキ。

 だが───

 

「ナメコッ!」

 

「ふぎゅッ!?」

 

「んんッ!?」(°×° )!?

 

「ギャu「シメジッ!」───ギャピッ!?」

 

「あ、主さまッ! ジーk───」

 

 魔物の振り下ろした拳で吹き飛ばされてしまうユウキ。ジークが彼をも他の魔物に簡単に取り押さえられてしまった。

 ユウキを助けようと彼のもとへ向かおうとするが、横から襲いかかろうとする別の個体に気づかずにいた。。

 

「危ないッ!」

 

「───ッ!?」

 

 女の子の声で気づいた時には既に遅し。魔物が持っていた、錆び付いた剣が彼女に襲いかかった。

 

 

 

 

 

 吹き飛ばされたユウキは体を襲う痛みに顔をしかめながら起き上がると、ちょうどコッコロが魔物に襲われる瞬間を目にした。

 次の瞬間、彼の頭の中にある光景がフラッシュバックする。

 

 誰かも分からない。

 顔も分からない。

 だけど、大切な人を守れなかった、そんな光景を。

 

 ───嫌だッ!

 

 そう思った時、彼は自然と走り出していた。

 ギリギリのところでコッコロと魔物の間に入り込み、魔物の剣を自分の剣で受け止めた。

 

「主さまッ!?」

 

「…………る……───絶対に、守るッ!」

 

 ───次の瞬間、運命の歯車は動き始めたのだった。

 

 ユウキの左目に魔方陣が刻まれ、彼を中心に大きな魔方陣が展開される。その光は戦っていたペコリーヌたちに力を与えた。

 

「これは……すごいですッ! 力が溢れて来ますッ!」

 

「アメスさまの神託通り……なんと神々しい。これが主さまだけの力───プリンセスナイトの証ッ!」

 

 彼の光、プリンセスナイトの力は彼女たちにだけではなかった。

 

「グ、グルアアア───」

 

 取り押さえられていたジークの体が光に包まれ、その光はどんどん大きくなり、自身を取り押さえていた魔物を吹き飛ばす。やがて、ユウキたちの何倍も大きくなった光の球体から一頭の赤い竜が生まれた。

 

「ガルアアアアッ!!」

 

「こ、今度はなにッ!?」

 

「あの小さなドラゴンちゃん、大きくなっちゃいましたよッ!?」

 

「これがジークの本来の姿……古の竜『龍皇ジークフリード』なのですねッ!」

 

「いくぞ、ジークッ!」

 

「ガルアアアッ!」

 

 ジーク……いや。ジークフリードは雄叫びをあげると、その雄々しき翼をはためかせ、強風を巻き起こす。強風で魔物たちがまともに動けなくなった所に、ジークフリードは全力の火焔放射を放つ。

 魔物たちは避けることも叶わず、皆が美味しそうな焼きキノコとなって絶命したのだった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

スタートステップ!龍皇ジークフリード!-後編-

 魔物の群れを一掃したユウキたち。

 その後、彼らは助けた女の子から感謝されていた。

 

「ありがとうございますッ! 危うく食べられちゃうところでした……」

 

「いえいえ。ご無事で何よりでございました。ところであなたさまは何故魔物に追われていたのですか?」

 

「その子って言うより、わたしを狙っていたんだと思います。わたし、どうやら魔物を引き寄せやすい体質みたいで、ユイちゃんはそれに巻き込まれただけだと思います。ごめんなさい、迷惑をかけてしまって……」

 

「あ、頭をあげてよ。巻き込まれたのは偶然だし、助けてくれたじゃないですか……。あっ、自己紹介がまだだったよね? わたし、『ユイ』っていいます。本当に、助けてくれてありがとう……♪」

 

「あぁっ、はい。わたしはコッコロと申します。こちらはユウキさまとジークフリードさまです」

 

「よろしく」「ガウッ!」

 

「ユウキ……? ジークフリード……?」

 

「……? どうかされましたか?」

 

「えっと……わたしたち、どこかで会ったことがないかな?」

 

「どこで?」

 

「ガルゥ?」

 

「あの……それはどういう───」

 

 ユイの言葉の真意が分からず、思わず聞き返すコッコロだったが、

 

「───ッ! 伏せてッ!」

 

 ペコリーヌの叫びに、皆が何者かの接近に気づく。

 振り下ろされる剣をジークフリードが自身の強靭な翼で防ぎ、そのまま弾き返す。弾かれた敵はそのまま空中で体勢を整え、地面に着地するのだが、下手人の姿に皆が目を見開いた。何せ、その敵の姿がペコリーヌとほぼ同じだったのだから。唯一の違いは彼女の色。全体的に黒く澱んでおり、まるで影を思わせる。

 

「な、なんでわたしがもう一人ッ!?」

 

「これは、いったいッ……!?」

 

「瓜二つ、暗い色合い……もしかして……」

 

「ユイさま、あれが何か、御存じなのですか?」

 

「う、うん。噂程度なんだけど、多分、『シャドウ』だと思う」

 

「しゃどう、ですか?」

 

「最近、ランドソル周辺で確認されている魔物で、まるで影みたいに誰かと瓜二つって言われているの」

 

「なるほど……だから、(シャドウ)なのですね」

 

『……………………』

 

 黒いペコリーヌ……シャドウがユウキたちに向かって足を進める。

 それを見たユウキとジークフリードは皆を守るために、前に出る。コッコロたちもユウキに加勢しようとするが、シャドウは突然立ち止まると、腰に提げていた直方体の赤黒いケースを手に取り、ユウキにつき出した。ケースの表面には『B』と『S』を組み合わせたような、変わった紋章が刻まれていた。

 

「あれは……バトルスピリッツ? まさか、あの魔物もバトルスピリッツを?」

 

 『バトルスピリッツ』。通称『バトスピ』。

 それは、この世界において、知性有る者の闘い。遊戯として遊ばれるそれは、時に争いを納めるための手段となる。つまり、世界のルールの一部と言っても過言ではない。

 

 そのデッキケースをつき出したシャドウはユウキに向かってある言葉を言い放った。

 

『……ターゲット』

 

「? ……───あつッ!?」

 

 次の瞬間、彼は腰横に熱を感じとり、その熱源を取ってみるとシャドウが持つものと同じマークが書かれた灰色のデッキケースが握られていた。

 

「御待ちください、主さま。主さまはほとんどの記憶を失っている状態。その記憶の中にはバトルスピリッツも含まれます。負けてしまったらどうなるか分からない以上、ここはわたくしg「ガウ」───ジークフリードさま?」

 

「ガウッ! グルアアアッ!」

 

 ジークフリードが前に出ようとしたコッコロを止め、雄叫びを上げる。すると、彼の体が光に包まれ、掌サイズまで小さくなったかと思えば、一枚のカードとなってユウキの持つデッキケースの中に吸い込まれていく。

 どうやらジークフリードもヤル気満々のようだ。

 

「大丈夫ッ! ジークも一緒ッ!」

 

「……分かりました。ですが、先程も仰った通り、主さまは記憶の大半を失っております。なので、わたくしがある程度サポート致します。

 では、主さま。デッキケースをシャドウにかざし、こう叫んでください。ゲートオープン、界放ッ!」

 

「うんッ!」

 

 ユウキはコッコロに言われた通りにデッキをかざし、シャドウに向かって声高らかに叫ぶ。

 

「───ゲートオープン、界放ッ!!」

 

 次の瞬間、ユウキとシャドウの体は光に包まれ、別の次元『エクストリームゾーン』への転送が開始され、コッコロたちの前から姿を消すのだった

 

 

 

 

 

 

 

 突然の光に目を閉じていたユウキ。瞼越しにさえ確認できた光が収まったのを感じとり、目を開けてみれば、そこは先程までいた場所とは違い、見知らぬ荒野。自身はそこを浮遊する水晶のような足場『フライングボード』の上に立っており、目の前には台座と直結しているプレイスタンドがある。更に、よくよく見れば、変わったのは周りの風景だけではない。彼の姿も先程までの軽装備から胸部に赤いラインが走った白プロテクターを着けていた。赤いラインには5つの青い光が輝いている。

 視線を前に向けると遥か遠方には先程のシャドウがユウキと同様、荒野を浮遊するフライングボードの上に立っている。だが、ユウキのそれとは違い、フライングボードもプロテクターも滅びた王国を思わせていた。

 

《主さまッ!》

 

 ふと、自分を呼ぶコッコロの声が聞こえる。だが、辺りを見渡しても、目に写るのは殺風景な風景のみ。

 

「コッコロ、どこッ!?」

 

《落ち着いてください。通信魔法で話しかけております。わたくしたちの姿は主さまに見えませんが、精一杯サポートしますのでご安心を》

 

《ユウキくん。あのシャドウが何もかもわたしと瓜二つなら、多分デッキも瓜二つです。気を付けてください》

 

《ファ、ファイトだよッ!》

 

「わ、わかった。がんばるッ!」

 

《では……主さま。手にもったデッキをプレイスタンド右上にセットしてください》

 

「こう?」

 

 コッコロの指示通り、プレイスタンドの右上にあった長方形のスペースにデッキを置く。するとデッキが一瞬だけ淡く光を放ち、左下の二つのスペースに小さな青い宝石のようなものが八個、それらよりも一回り大きな赤い宝石のようなものが一個現れた。

 

「なにこれ?」

 

《青いものがコア、赤いものがS(ソウル)コアでございます。スピリットの召喚やレベルアップなどに必要な、とても大事なものでございます》

 

「コア、大事ッ!」

 

《はい。その通りです》

 

《本当に何も知らないんだ……》

 

《うーん……わたしのデッキ、素人に負けるほど甘くはない構築なんですけど……》

 

《次にデッキからカードを四枚引いてください。それで準備が完了します》

 

 デッキから四枚、カードを引き、シャドウを見据える。既にシャドウは準備万全の様で、こちらの準備が終わるのをじっと待っていたようだ。

 

 

 

 遂にゲームが始まる。

 先行はシャドウ。彼女?は何も感情が籠っていない淡々とした無機質な声でステップを宣言する。

 

〔第1ターン〕

 

『スタートステップ。

 ドローステップ(手札:4→5)

 メインステップ。

 [ライト・ブレイドラ]、[ブロンズ・ヴルム]を召喚(手札:5→3 リザーブ:3+S→0)

 

━━━━━━━━━━

ライト・ブレイドラ

コスト0/軽減:─

系統:星竜

Lv.1 <S>/BP 1000/赤

【強化】

━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━

ブロンズ・ヴルム

コスト3/軽減:赤2 

系統:星竜

Lv.1<1>/BP 3000/赤

【強化】

━━━━━━━━━━

 

 

 シャドウが宣言すると、荒野『バトルフィールド』に大きさの違う二つの赤のシンボルが現れ、砕け散ると共に中からから青い体毛に包まれた小さなドラゴンと銅の鎧を纏ったオレンジ色の鱗を持つ竜が姿を現した。

 

 これがエクストリームゾーンでのバトル。ここではスピリットはバトラーの攻撃、防御の手足として、マジックは力として、ネクサスは土壌として、カードの力が具現化するのだ。

 

『ターンエンド』

 

 

 

〔第2ターン〕

 

 シャドウがターンエンドを宣言したことでユウキにターンが回ってくる。ユウキはシャドウと同じように宣言し、デッキから一枚引こうとするのだが、そこでコッコロの待ったが入った。

 

《主さま、第2ターンからの流れは第1ターンとは異なります。なので、わたしの言う通りに復唱してください。

 スタートステップ》

 

「スタートステップ」

 

《コアステップ》

 

「……? それ、やってない」

 

《第2ターンからは必ず入ります。コアを一つずつ増やしていくのです》

 

「わかった。

 コアステップ(リザーブ:3+S→4+S)

 

《ドローステップ》

 

ドローステップ(手札:4→5)

 

《次にメインステップ。スピリットの召喚やマジックの使用などを行ってください》

 

「メインステップ……[ゴラドン]を召喚(リザーブ:4+S→4)ッ! よろしく、ゴラドンッ!」

 

━━━━━━━━━━

 

ゴラドン

コスト0 /軽減:─

系統:爬獣

Lv.1 <S>/BP 2000/赤

 

━━━━━━━━━━

 

 ユウキの召喚と共に、肩から雄々しき角が生えた黒い甲殻に身を包んだ爬虫類 [ゴラドン] が姿を現す。彼が挨拶するとそれに答えるかのように小さく鳴いて見せた。

 

《コアがある限り、召喚は可能です。次はコストの軽減。フィールドにあるシンボルの数だけ、上限まで軽減できます》

 

「なら……[ロクケラトプス]を召喚(リザーブ:4→3)

 

━━━━━━━━━━

ロクケラトプス

コスト1/軽減:赤

系統:地竜

Lv.1 <1>/BP 3000/赤

━━━━━━━━━━

 

 次に召喚したのは白い甲殻に全身を包み、猛々しい三本の角を持った四足歩行の竜 [ロクケラトプス]。

 

 まだリザーブにはコアがあったため、もう一枚召喚しようとした時、ユウキの目が手札にあったあるカードに止まった。

 

「ネク、サス?」

 

《ネクサスはスピリットのように攻撃することは出来ませんが、フィールドに居続けることで効果を発揮するカードでございます》

 

「わかった……けど───」

 

 ユウキはそのカードをまじまじと見つめる。分類はネクサスとされているが、そのカードから漂う気配は他のカードと違って見えた。

 

《主さま? どうかされましたか?》

 

「───よし。2コストでネクサス[(おさな)創界神(グランウォーカー)ロロ]を配置(リザーブ:3→1)

 

 

━━━━━━━━━━

幼き創界神ロロ

コスト:2/軽減:─

系統:創界神(グランウォーカー)・ウル

神託(コアチャージ)条件〔コスト3以上〕〔召喚/煌臨での神託はターンに一回〕

【神託:3】【神域】

━━━━━━━━━━

 

 

 ユウキの後方、彼を見守るかのように、バトルフィールドの外に8m近くあるであろう少年の姿が浮かび上がった。

 

《あれはッ……!?》

 

《ネ、ネクサス? スピリットじゃなくて?》

 

《あれは、創界神ネクサス。選ばれし者しか持てない、特別なネクサスカードでございます。主さま、神託(コアチャージ)を行ってください》

 

「神託、発揮。デッキの上から三枚をトラッシュにッ!」

 

 ユウキのデッキの上から[要塞龍ギガ(RV)]、[焔竜魔皇マ・グー]、[ドラグノ祈祷師(RV)]がトラッシュに送られる。

 

 ───神託(コアチャージ)

 それは創界神ネクサスのみが持つ能力の一つ。同名のカードがない状態で配置し、デッキの上から三枚をトラッシュに置いた時、もしくは召喚、煌臨を行ったとき、指定された条件のカードがあれば、ボイドからコアを置くことが出来る。

 

 ユウキが配置した[幼き創界神ロロ]の神託条件はコスト3以上。トラッシュに置かれたカードはどれもコスト3以上のスピリットだったため、ボイドからコアが3個置かれた。

 

《次にアタックステップ……ですが、ここは相手の様子を見るため、ターンエンドを》

 

「ターンエンド」

 

 

 

 

 

 

〔第3ターン〕

 

 

『スタートステップ。

 コアステップ(リザーブ:0→1)ドローステップ(手札:3→4)リフレッシュステップ(リザーブ:1→3)

 メインステップ。[ライト・ブレイドラ]を召喚(リザーブ:3→2)

 

━━━━━━━━━━

ライト・ブレイドラ

コスト0/軽減:─

系統:星竜

Lv.1 <1>/BP1000/赤

【強化】

━━━━━━━━━━

 

『[電岩竜ダイナモドラゴン]の【アクセル】を使用(2→1)。デッキから一枚ドロー(手札:3→4)。もう一枚使用(リザーブ:2→1 手札:4→5)

 

 [電岩竜ダイナモドラゴン]。その【アクセル】はデッキから一枚ドローし、オープンした状態で手元に置くと言う単純な効果だが、手元に置いている間、破壊上限を+1000してくれる、破壊を得意とする赤に相応しい効果を持っているカードだ。

 

『アタックステップ。[ブロンズ・ヴルム]でアタック』

 

 シャドウのアタック宣言に、ブロンズ・ヴルムがユウキに向かって突進してくる。

 

「来たッ……!」

 

《ライフで受けてください。とても辛い思いをされるかもしれませんが、砕かれたライフは通常のコアとして使えます》

 

ライフで受ける(ライフ:5→4 リザーブ:1→2)ッ!」

 

 次の授業、ユウキの周りに薄いバリアが張られ、ブロンズ・ヴルムが踏みつけてくる。幸い、バリアがユウキを守ったのだが、ライフを砕かれた衝撃が彼を襲った。同時に、胸部の5つの輝きの内の一つが光を失う。どうやら、ライフと連動しているようだ。

 

《主さまッ!?》

 

「い、痛い……」

 

『[ライト・ブレイドラ]でアタック』

 

 続けてくるアタック。

 さすがに自分の主が苦しむ姿を見たくないと、コッコロが[ロクケラトプス]でブロックしてくださいと指示を出すのだが、

 

ライフで受ける(ライフ:4→3 リザーブ:2→3)ッ!」

 

《なッ!?》

 

 ライト・ブレイドラの火のブレスがユウキのライフを砕く。

 

《主さま、何故ブロックされなかったのですかッ!? ブレイドラのBPは1000。ロクケラトプスでブロックすれば、ライフを削ることは無かったのにッ!》

 

《落ち着いてください、コッコロちゃん。多分、ユウキくんも考えあっての事でしょう》

 

《で、でも、彼、記憶のほとんどを失っているんだよね? そんな状態で戦況を考えるなんて……》

 

《確かにそうかもしれません。でも、今バトルフィールドに立っているのはユウキくんです。彼を信じましょう》

 

 

『ターンエンド』

 

 

〔第4ターン〕

 

「僕のターン。スタートステップ。

 コアステップ(リザーブ:3→4)。 ドローステップ(手札:2→3)リフレッシュステップ(3→5)

 メインステップ。[ゴラドン]のSコアをリザーブのコアと交換(リザーブ:5→4+S)

 そして、マジック[ダブルドロー(RV)](リザーブ:4+S→3)。デッキから二枚引く」

 

《これは……ドローマジックで有効なカードを引くつもりですかね? だから、召喚コストも考えて、ライフで───》

 

 その時だった。

 

「[ダブルドロー]の効果。このマジックの使用にSコアを使った時、このスピリットをコストを支払わずに召喚する」

 

 

「吼えろッ! 皇の名を持つ紅き龍ッ! [龍皇ジークフリード]ッ! 召喚(リザーブ:3→2)ッ!!」

 

 

 大地を砕き、地面の下から紅蓮の焔が火柱を上げる。その下から姿を現したのは一体の龍。猛々しい翼を広げ、焔の中から上空へ、上空からフィールドへ降り立つその姿は、まさしく『皇』の名に相応しい。

 

 

━━━━━━━━━━

[龍皇ジークフリード]

コスト:6/軽減:赤3

系統:古竜  【覚醒】

Lv.1 <1>/BP 4000/赤

━━━━━━━━━━

 

「ジークフリードの召喚により、ロロに神託(3→4)。さらに【神技(グランスキル)】を発揮(4→0)ッ! ロロのコアを4個ボイドに置くことで、ボイドからコアを一個リザーブ(2→3)に置く。

 そして、そのコアと[ゴラドン]のコアを使ってLv.3にアップ」

 

 

━━━━━━━━━━

[龍皇ジークフリード]

Lv.1 <1>BP4000→Lv.3 <5> BP10000

━━━━━━━━━━

 

「アタックステップッ! [ロクケラトプス]でアタックッ!」

 

 ロクケラトプスが雄叫びを上げ、シャドウに突撃していく。

 

ライフで受ける(ライフ:5→4 リザーブ:1→2)

 

 ライフを砕いた衝撃がシャドウを襲う。だが、シャドウは顔色一つ変えていない。痛覚が無いのか、それとも別の理由か、言葉には出来ない不気味さが奴にはあった。

 

「ターンエンド」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「次に備えてスピリットを残す。見事な判断です、主さま。しかし、あのようなマジックを持っていたとは。感服でございます」

 

「うーん……」

 

「……? どうしたの、ペコリーヌさん?」

 

「あのシャドウのデッキ、本当に私と構築が同じなら、まだ安心は出来ないんです。もし、あのカードを握られていたら……」

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

〔第5ターン〕

 

『スタートステップ。コアステップ(2→3)。ドローステップ。リフレッシュステップ(リザーブ:3→5)

メインステップ。召喚(リザーブ:5→0)、[光輝龍皇シャイニング・ドラゴン・アーク]、Lv.2。不足コストは[ライト・ブレイドラ]二体から確保』

 

 

━━━━━━━━━━

[光輝龍皇シャイニング・ドラゴン・アーク]

コスト7/軽減:赤4

系統:星竜 

<3>Lv.2 BP10000 赤

━━━━━━━━━━

 

 

 シャドウの足元から炎が舞い上がり、やがて、その炎は聖域へ繋がる一つの(ゲート)となり、開かれた扉から白銀の鎧を纏いし、一角の聖龍[光輝龍皇シャイニング・ドラゴン・アーク]が姿を現す。その瞬間、通信魔法越しにペコリーヌの慌てる声がユウキの耳に入った。

 

《ユウキくんッ! 気をつけて下さいッ! アークは自身の能力で【強化(チャージ)】を持つスピリットにシンボルを与えるんですッ! しかも───》

 

 ペコリーヌが何かを言うよりも先に、シャドウがアタック宣言を始める。

 

『[光輝龍皇シャイニング・ドラゴン・アーク]でアタック。Lv.2、3、アタック時効果でBP10000以下のスピリットを破壊。1強化(チャージ)追加、更に手元にある[電岩竜ダイナモドラゴン]でBP13000以下の[龍皇ジークフリード]を破壊』

 

《そんなッ……!?》

 

 シャイニング・ドラゴン・アークが放った猛火のブレスがジークフリードを呑み込み、爆発する。

 ユウキのライフは3。一方のシャドウのスピリットは二体だが、シャイニング・ドラゴン・アークの効果でブロンズ・ヴルムはダブルシンボル……つまり、ライフを2つ削れることになる。

 ライフが0になれば、敗北。まさに絶体絶命の状況に追い込まれていた。

 

《主さまぁぁぁッ……!》

 

 通信魔法越しにコッコロの叫び声が聞こえる。恐らく、敗けを確信してしまったのだろう。

 

 だがしかし───

 

「───まだだ……」

 

『───?』

 

「───まだ、終わっていないッ!!」

 

 その時だった。

 ユウキのプロテクターに新たな輝きが二つ生まれた。それはライフの輝き。確かに削られたはずのライフが回復したことに、見ていたコッコロは驚きを隠せないでいた。

 

「[龍皇ジークフリード]のLv.3破壊時効果ッ! 自分のライフが5以下の時、ボイドからライフに二個置くことで(ライフ:3→5)、ジークフリードは蘇るッ!」

 

 次の瞬間、爆発の名残でもうもうと立ち込めていた煙を払い除け、ジークフリードが雄叫びを上げ、姿を現した。

 

「そのアタックはライフで受ける(ライフ:5→4 リザーブ:0→1)ッ!」

 

『ターンエンド』

 

 

 

 

 

〔第6ターン〕

 

「スタートステップッ! コアステップ(リザーブ:1→2)ッ! ドローステップ(手札:4→5)ッ! リフレッシュステップ(リザーブ:2→3+S)ッ! 

メインステップッ! [ドラグノ祈祷師]を召喚(3+S→1)ッ!」

 

 

 

━━━━━━━━━━

[ドラグノ祈祷師]

コスト:4/軽減:赤2

系統:竜人

<1>Lv.1 BP2000 赤

━━━━━━━━━━

 

 

 フィールドに赤のシンボルが出現し、砕けると共に四本の腕を持つ竜人[ドラグノ祈祷師]が姿を現すと、その四本の腕を器用に動かし、合唱。すると、フィールドに焔の魔方陣が描かれる。

 

「[ドラグノ祈祷師]がSコアを使って召喚された時、トラッシュにいる古竜をコストを支払わずに召喚する(リザーブ:1→0)ッ! 来いッ! [焔竜魔皇(えんりゅうまおう)マ・グー(RV)]ッ!」

 

 

━━━━━━━━━━

[焔竜魔皇マ・グー(RV)]

コスト:7/軽減:赤3 神1

系統:天渡(あまと)・竜人・古竜

<1> BP5000 赤

━━━━━━━━━━

 

 

 魔方陣を通じて、墓場(トラッシュ)より目覚めし焔の魔皇……その四本の腕で鈍く輝く黒銀の二振りの両刃剣と禍々しい程に漆黒の大鎌を持った古の竜人[焔竜魔皇マ・グー]が姿を現した。

 

「アタックステップ開始時、[焔竜魔皇マ・グー]の効果を発動ッ!」

 

 [焔竜魔皇マ・グー]は自分のアタックステップ開始時、トラッシュのコアを全てマ・グー自身の上に置くことが出来る。これにより、マグーはLv.2へとパワーアップ。更にアタックステップの間は系統:古竜を持つスピリット全てをBP+3000。Lv.2になったとこで赤のシンボルを一つ追加することになる。

 よって、マ・グーとジークフリードは共にBP10000を越えたダブルシンボルとなったのだ。

 

 

━━━━━━━━━━

[焔竜魔皇マ・グー(RV)]

<1>Lv.2 BP5000

<2+S> Lv.2 BP8000+3000→BP11000

赤+赤

━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━

[龍皇ジークフリード]

Lv.3 BP10000+3000→BP13000

赤+赤

━━━━━━━━━━

 

 

「焔竜魔皇マ・グーでアタックッ!」

 

 マ・グーが己を武器を携えて迫る。

 今、ユウキのフィールドにはダブルシンボルのスピリットが二体。シャドウのフィールドには回復状態のブロンズ・ヴルムがいるため、マ・グーか、ジークフリードをブロックし、何かしらのマジックでロクケラトプス、またはドラグノ祈祷師を処理すれば次のターンへ持ち越すことが出来る。そうなれば、ユウキの勝ち目はない。

 

「フラッシュタイミングッ! マジック、[フレイムダンス]ッ! 不足コストは[ロクケラトプス](1→0 消滅)[ドラグノ祈祷師](1→0 消滅)から確保ッ! ブロンズ・ヴルムを破壊ッ!」

 

 ブロンズ・ヴルムの足元から焔が舞い上がる。突然の焔に焼かれるブロンズ・ヴルムの姿はまるで踊っているかのよう。十秒も経たない内にブロンズ・ヴルムは破壊された。

 

ライフで受ける(ライフ:4→2 リザーブ:1→3)』 

 

「ジークフリードッ! ラストアタックッ!」

 

ライフで受ける(ライフ:2→0)

 

 龍皇の鉤爪がシャドウの残ったライフを砕く。

 すると、シャドウは霞のように消え去り、ユウキの勝利が確定した。

 

 

「これが、僕たちのバトルだッ!!」

 

 

 彼の勝利宣言と共に、龍皇たちが雄叫びを上げるのだった。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。