「う、うーん・・・はっ」
俺は目を覚ました。
視界には赤が、飛び込んでくる。
「うおっ、なんじゃこりゃ・・・って、うわっ鳥になってる」
次に体の異変に気が付いた。
鳥になっているのである、体の動かし方はなんとなく分かる。
本能的な感じで、覚えているんだろうな。
あと視界にさっきから、映り込んでくる景色と同様に赤い。
「なんでなん」
翼で器用に頭を抱えて、うずくまった。
傍から見れば、毛づくろいしている美しい鳥である。
その状態で、最後の記憶を引っ張り出す。
休日で給料日だったので銀行に行きます。
↓
銀行強盗が登場しました。
↓
大変危険ですので言いなりなりました。
↓
数時間くらい後に警察到着
↓
後ろの子どもが泣き出して・・・パァン
↓
銃声が聞こえた。
↓
ゆっくりこちらに上から飛んでくる弾丸
↓
意識のブラックアウト
「あっ、死んだ・・・じゃない、マジかよ」
どうやら最後の記憶では、強盗が拳銃を撃って、その弾丸が跳躍して俺に当たったようだ。
運がない、最悪だ。
「あ゛ぁ゛、これからどうしよっか・・・」
思考が冷静になってきた、というよりは無理やり切り替えた。
こうなったら仕方がないので、考えない事にする。
考え込んでも埒があかないし、昔からこういう人間性なので無問題だな。
「・・・飛んでみるか」
俺は鳥なので空を飛んでみた。
飛び方は、体が覚えているようなので問題はない。
しかしどこまで行っても、真っ赤だな・・・うーん、なんだっけ?
「あー、アレだ。緋色の鳥だっけ?」
数時間くらい飛び続けて、ふとそう考えが過ぎって着陸した。
「えっと、そう、SCP財団って架空サイトの奴」
俺はSCP‐910‐JPやSCP‐2000‐JPは記憶に残っている。
他にも原典の『彫刻』とか、『クソトカゲ』『アベル』『キチクマ』などの有名所は知っている。
「緋色の鳥ってどんなSCPだっけ?」
そこまで考えようとすると、見知らぬ記憶が浮かび上がった。
その記憶は体の元の持ち主、つまり緋色の鳥の記憶なのだろう。
星の生命を喰らって成長し続けたが、ある日に新しく誕生した生命に封印された。
鳥という姿を付与されて弱体化したが、それまでに無かった知恵を考える力を持った。
今は休眠して、新たに生命を喰らえるようになるのを待っている。
そうして休眠中に落ちてきたものを喰らったら・・・そこで記憶は途切れている。
要約をすればそんな感じの記憶だった。
「・・・もしかして俺なにかやっちゃてる?」
また、翼で器用に頭を抱えるはめになった。
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第1話
「はぁ、どうしよう・・・」
推定、緋色の鳥となって、体感的に数日が過ぎた。
今は気分を上げるために空を飛び続けている。
正直この世界は目に毒だ。
全部が赤いし・・・しかも全然、景色が変わる気配がない。
どこまで飛び続けても、赤い原野に赤い空だ。
「うぅ、休憩するか。精神的に辛い」
そう言って、俺は地面に降り立った。
記憶から色々と現状に対して推測している。
例えば、俺が緋色の鳥と言う存在に吸収されたが、逆に吸収して成り代わってしまったのでは?という事だ。まぁ情報が少なくて、そこまで分らんのだが・・・
多分そうなんだろうと考えている。
緋色の鳥側の記憶の大半が、眠り続けていた弊害か、半分以上が抜け落ちている。
そんな状況で、深く考えることができないのだ。
正直、俺が緋色の鳥を逆に吸収できた事に対して、大きな疑問を抱いているが、分かる日は来るのだろうか?
それにしてもアレだな、腹が減ってきた。
これ以上動くのはやめておこう。
緋色の鳥が永い休眠を行っていて、俺の魂的な何かが、目の前に落ちてきたときにバクンッ、と速攻で喰らった理由が分かった気がするわ。飢餓状態で寝ぼけていて、目の前に久しぶりのご飯があれば、誰だって食らいつくだろう。例えそれには、毒が混入されていたとしてもだ。
「とりあえず、寝る・・・」
俺は飢えを誤魔化すために眠ることにした。
そして意識が完全にシャットダウンした時に、獲物の匂いを感知した。
「ギャァアァア」
雄叫びを上げる。歓喜を上げる。口から涎は出ないが、喉が鳴る。
そこに俺という理性はなく、体は緋色の鳥としての本能で動き始めた。
跳んで、飛ぶ。
速く、速く、速く、速く、もっと速く飛べ。
「ハハハ、成功だ。新たな発k・・・」
ブチッ
喰らったぞ、美味い・・・
腹が満たせる、もっと食べたいなぁ。
戻れ、戻れ、戻れ、戻れ、戻った。
緋色の世界の時が戻った。
もう一度、もう一度、もう一度、もう一度、もう一度。
繰り返せ、繰り返せ、繰り返せ、繰り返せ、繰り返せ。
「ハハハ、成功だ。新たな発k・・・」
「ハハハ、成功だ。新たな発k・・・」
「ハハハ、成功だ。新たな発k・・・」
「ハハハ、成功だ。新たな発k・・・」
「ハハ・・・ハ?、なんだ何かがおかしい」
「なんだ、なんだ、なんだ、なんだ、なんだ」
「なにが、なんだ。逃げないと、なぜ?なぜ?」
「やめろ、やめてくれ、嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ」
「死んだ?生きてる?どうして?」
「くそがぁ、化け物め。やめろ、やめてくれ」
「くぁwせdrftgyふじこlp・・・あっ、そうか」
また、巻き戻った。しかしそこに獲物はいなかった。
しかし鳥は歓喜していた。獲物が自らやってきてくれていると、本能は理解しているから・・・
近い未来のSCP-444-JPは、
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第2話
めざめ とびたて 緋色の鳥よ すべてをくわらぬ うえのみたまよ
どこからともなく、そんな祝詞が部屋中に響いた。
緋色の鳥、かの化け物は動きを停止した。
「やった・・・ぞ、後は・・頼みます。■■主任・・・」
祝詞を紡いだ男は、血だまりの中に倒れ伏せる。
その意識を消失させながら・・・
「ふぁ、んっ?えっ?はっ?」
俺は目覚めて、困惑を隠せなかった。
辺り一面が赤黒い、鉄錆の香りが漂い、地に大量の肉塊と肉片が不規則に落ちている。
いや、よく見ればまだ完全に形を残している肉塊もあるが・・・
まて、人の死体の事を肉塊と考えたのか?
なんだろうか、鳥と融合したからだろうか?
・・・うん、どうでもいいな。俺は俺だからな!
「さて、どうするか」
今この場から分かることは、この場所がおそらくSCP財団の施設だと言う事だ。
目の前にSCPと、プリントされている白衣を着た肉塊が、倒れ伏しているからね。
後は、ここから離れた場所に生存者が1人いるくらいだろう。
「一先ず、様子を見に行くか」
ふわっ、と飛び立ち、壁をすり抜けて生存者の所まで一直線に飛ぶ。
感覚的に実体が無いと思ったから、できると考えたので実行してみたらいけたわ。
数分もすれば、目的地の天井裏に辿り着いた。
大量の配線があるだけで、なんの面白みも無いけどな。
さて、頭だけこっそりと覗かせて、覗き見てみるか。
「奴の事を知っているのも、残りは私だけか・・・■■君、時間稼ぎありがとう。どうにか間にあったよ・・・後はこの場所を封鎖するだけだ」
白衣の男が、必死でパソコンに入力している。
遠目から見る限り、報告書の類いだと思われる。
「ふぅ、本当は残すべきではないんだろうが、もう遅いか・・・」
白衣の男は、ふぅっと椅子に深く座った。
体の伸ばす、パキパキと音が聞こえた音から、長時間座り続けて作業していたのだろう。
「っ!」
ドンドンドン、ドン
白衣の男は白衣の内に手を突っ込み、拳銃を取り出して俺の居る天井に撃ちこんだ。
突然の事で俺は驚いたが、拳銃の弾丸は身体をすり抜けていった。
そして俺は、天井からすり抜け現れる。
「くっ、ここまでか・・・」
拳銃を構えたまま、俺から離れるようにして扉へとジリジリゆっくり動いていった。
「・・・そいつはどうかな」
白衣の男の言葉に、俺はそう言った。
「なっ!・・・なんだと?」
白衣の男は驚いている。
驚愕の表情を浮かべて、しかし拳銃の銃口はこちらに向けたままだ。
「「・・・」」
静寂がこの空間を支配する。
さてノリで言った言葉が、こんな空気になって、どうきりだしたものか・・・
俺は決め顔(できているのか分からない)みたいな事をしながら、心の中で頭を抱えていた。
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第3話
静寂が空間を支配して数時間
白衣の男は俺を睨み続けて、俺はのんきにこの空気をどうしようと考えていた。
そしてそんな状況の終わりは、白衣の男の言葉から始まった。
「話せたのか、SCP-444-JP」
やはり俺はSCP-444-JPなのか、知りたくもあったけど、知りたくなかったな。
「さぁ、どうだろう」
ちょっとはぐらかしてみる。
ちなみに俺は日本語で話している。
「・・・なぜ、あんな事をする」
「あの惨状か?なら知らんな」
うん、知らない。おそらく、寝ぼけと空腹が引き起こした只の事故です。多分
こういうのって確か、夢遊病って言うんだったか?
「何故だ」
「寝てたもんで、今さっき起きた」
「・・・そうか」
「そうだ。こういうのを夢遊病とか、言うのでは?」
俺がそこまで言うと、白衣の男はパソコンの前へ移動し、椅子に座った。
カタカタカタカタ
そしてパソコンに、今の会話内容を入力している。
なお、この間の寸分違わず、俺の眉間ど真ん中に向けて銃口を向けているのだが、財団の博士は皆、狂ってるとか言われているが、こいつもかよ。
「続き行くぞ」
「いつでもどうぞ」
俺は肩羽を上に持ち上げ、肩羽を胸の前へ、お辞儀をした。
「なぜ寝ていたんだ」
「空腹が凄くてな、寝てないとしんどかったもんで、まぁ、熊の冬眠みたいなものさ。あぁそれと今、腹は膨れているから、当分は寝るつもりはない」
嘘は言っていない。間違ってもいないだろう、今は満腹なので当分は、眠らなくても大丈夫な筈だろう、寝ればまた夢遊病状態(仮定)になるだろうからね。
「そうか、それは一先ずの安心か?」
「さて、それはあんたらが決める事だ」
白衣の男は少し考えるようにして、パソコンへ入力をした。
「・・・ふぅ、さてこれからどうするか」
白衣の男は、頭が痛そうに眉間をおさている。
そんなこと呟かれても、何とも言えないのですがそれは・・・
「んん?ソレはなんだ」
白衣の男を観察していたら、その後ろに突然虚空から、出現してきたものが見えた。
「・・・何故、これがここに」
それはコーヒーの入ったカップだった。
しかも湯気が発生しているので、おそらく出来たてのホカホカコーヒーだ。
コーヒーはあまり飲んでいなかったので、詳しくは分からないが、出現したコーヒーは、高級な代物だと直感できる。
「良い匂いだな」
白衣の男は、出現したカップを持ちあげて匂いを嗅いでいた。
そして一口飲んだ。
「美味い、しかしなんだ?何かがおかしいな」
俺は理解した。あのコーヒーとカップは俺と同じで違うものなんだと言う事に・・・。
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第4話
「そのコーヒー・・・俺の能力だ」
俺と同一の代物だと分かって、ついそう口に出してしまった。
「なに?」
白衣の男は怪訝な顔をする。
こうなっては仕方が無いので、思い出した事を説明する事にする。
「俺の能力で出現したフィクションだ」
「なんだと、コレがか?」
白衣の男はコーヒーの無くなったコップを持ちあげて見せた。
「そうだ、そして同時にそいつはあんたが望んだものだ」
きっと白衣の男の脳内で、コーヒーを飲む自分をイメージしたに違いない。
だからコーヒーが、あの机の上に突然出現した。
まさか能力影響下の人間も、俺と同じ事が出来るようになっているとは思わなかった。
いや、そもそも忘れていたんだから、そんなこと思う事も出来ていなかったか・・・
「あぁ、確かにコーヒーがあればなと思ったが」
「そいつが原因さ、ただし現実に起きている事じゃない」
そう現実に起きている事では無い。
能力影響下にいない第三者が、さっきの状況を見れば、パントマイムをやっているようにしか、見えていないだろう。
しかし逆に言えば、それだけ本物に近い幻想を、認識していると言う事だ。
「あんたの飲んだコーヒーは幻想、俺の能力影響下から離れればコップは消えるし、飲んだ感触も無くなるだろうな」
「・・・・・・規格外だな」
「おいおい、そんな事を言うな。まだ良心的だろ」
他の奴らと比べれば、まだまだ良心的だと思うね。ほんとに
例えば、トカゲとか、シャイで(ナイス)ガイな奴とか・・・うん、この話題は止めておこう。
「そういや自己紹介していないな、あんた名前は何て言うんだ?おっと俺に名は無いぞ、もう既に捨てたからな。いや、意味が無くなったが正しいのか?」
「最後の言葉が気になるが、まぁそうだな。俺は[削除済]だ。この場所で、主任をやっていた。今ではお前のせいで、この有様だがな。ぜひ■■とでも呼んでくれ」
露骨に強調したな、こいつ・・・
「へぇへぇ、わるぅございました。んで■■、これからどうするんだ」
「こいつ・・・はぁ、まぁいい。そうだな、外に出て他の支部との連絡手段を探さす事だな。ここは、辺境中の辺境、[削除済]に存在しているからな」
俺の情報が出ていかない様に施設は完全停止、機動の為の発電施設は崩壊し、生き残って使える予備バッテリーはもう僅か。精々記録しかできないパソコンで、記録を残すだけらしい。
今いるのは、地下130m地点の部屋だとのこと。
「・・・ちょっと失礼」
「おい、どこに行くんだ」
「能力影響下入った人間?が、今しがたこの上に」
俺はこれ以上の返答は聞かずに、飛び上がった。
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第5話
大体60m程だろうか?
地面の中を飛ぶと、そこには人間が居た。
地面の中にだ。
「・・・暗いよぉ、怖いよぉ、皆さんどこに行ったんですかぁ」
どうしよ、多分目の前のコイツSCPだよなぁ。
「あぁ・・・」
えーっと、肉体の方は無理だな。
そもそも俺に実体ないし・・・よし、精神を肉体から切り離して連れていくか!
そうと決まれば、早速・・・
「えっ?・・・誰、何、なn、くぁwせdrftgyふじこlp」
よぉし、切り離し成功っと、後は掴んで急降下!
「みぎゃぁああああ」
ドサッ
「うぉっ、びっくりした」
SCPと思われる男を連れて戻ると、■■は追加でコーヒーを嗜んでいた。
部屋中に良い香りが漂っている。
「なんだ、こいつは」
「しらね、地中で1人寂しそうに蹲っていたから連れて来ただけだ。肉体の方は無理だから、精神だけを分離させてな。今からこいつは俺の世界の住民って訳だ」
ケタケタと俺は笑いながら、■■にそう言った。
「そうか、地中にいたか・・・なんだったか、聞いたSCIPにあったな」
SCIP?なんじゃそら、SCPオブジェクトの別称か何かかな?
そんなのあったのか、知らんかったわ。
「・・・多分、コレだなSCP-097-JP。ワンダーテインメント博士シリーズだな」
あっ本当だ。右腕にそう刺青が、彫られてる。
「あなたが神ですか」
うわっ、なんだこいつ、助けなきゃ良かった。
「とりあえず、消えとけ」
SCP-097-JP、ボッシュートです。
ガコン
そんな音と共に地面が、パカッと開いた。
「へっ?・・・うぉぁあああああああぁ・・・」
そしてそのままSCP-097-JPは、穴の底へと落っこちていった。
あの先には緋色の原野が広がっている。
「あっ、・・・大丈夫なのか、今のは・・」
「大丈夫なんじゃない?」
■■が目の前のコントを見て頭痛そうに眉間を指で押さえている。
俺はそんな博士の言葉に、適当に返答しておいた。
「あんな事より、これからの事を考えろよ」
「そうは言われてもだな・・・はぁ、頭痛い。戻った時、なんて言えばいいんだ」
■■は頭に加えて、胃が痛くなったのか、胸を抑え始めた。
そういや■■、いつのまにか拳銃手放しているな。良いのだろうか?
「とりあえず、脱出だな。お前は大丈夫だろうが、予備電源が切れると酸素が薄くなる」
机の上に手放し置いていた拳銃を手に取り、白衣の内側に装備した。
どうやらもう出発するようだ。
「何で上がっていくんだ?」
「階段だ、エレベーターは使えないからな」
SCP-097-JP『ミスターずぶずぶ』
http://scp-jp.wikidot.com/scp-097-jp
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第6話
「はぁはぁ、ここまで上がれば、予備電源切れても大丈夫だろ」
■■は長い階段を上がってお疲れの様だ。
ちなみに俺がついていけるように、白衣に少量の血を付着させて貰っている。
ここまでの間、どれだけのSCPじゃなくて、SCIPが確保、収容、保護されたのかを聞いた。
海外の方は詳しく知らないそうだが、日本では憶えているだけで、約1600件程のSCIPが、確認されているらしい。
どういう事かと言えば、最低でもSCP-1600-JPまでのSCIP-JPシリーズは、発見されている状況なのだろうと推測できる。
おん、■■が少し休むみたいだな。
「おう、そうみたいだな。ホレ、スポーツドリンクだ。飲め」
「は?」
ゴトッと1500mlサイズのスポーツドリンクを目の前に置いた。もちろんこいつは、俺の能力製なので、飲んでも美味しくてサッパリするだけで、なんの意味なんて無いんだがな。
ボフンとスポーツドリンクが消えた。
■■が消えろとでも考えたんだろう。
「遊ぶのは後にしてくれ、ふぅ行くぞ」
「へぇーへぇー、面白くないの」
「それで結構だ」
数分ほど階段を上り続けて、出口の扉が見える。出口前には死体があり、頭を拳銃で撃って自殺したんだろうと考えられる。電子ロック扉の危機を念入りに破壊してな。
「おぅおぅ、外に行く為の扉が壊れてるぜ」
「問題無い、これ位ならなんとかなる」
そう言うと、白衣の内からどこに入っていたんだよ、と思わず突っ込まずにはいられない工具箱が取りだされた。
「おい待て、どっから取りだしたソレ」
「フッ、私の白衣は特別製でな。ぜんまい仕掛け製なんだ、ちゃんと許可貰って使用したさ」
「おっおう・・・その工具もか?」
「あぁそうだ。持ちだすのに苦労したんだぜ」
カチャカチャっと音を鳴らしながら、パパパッと電子機器を修理している。
待って、その工具箱、材料も出てくんの?
それなんて言うチート?ドラえもんにそんな秘密道具あったなぁ・・・
「よし」
カシューァ
そんな感じの音を立てながら、扉が開いた。
扉の先には、人一人として居なかった。
「誰も居ないねぇ」
「今この場所は放棄されている状況だからな・・・この場所に収容されているSCIPの確認をしとかないとな」
「Dクラス職員の方は、いいのか?」
「どこに住居地があるのか、俺は知らん」
えぇ地図くらいあるんじゃねぇのか・・・
「まぁ見つかった時にどうにかすれば良いだろう、最優先はSCIPの方だ」
■■はそのまま、ズンズンと先へ進んでいった。
何かあっても俺はすぐに駆けつける事が出来るし、一旦緋色の原野の様子を見に行ってくるか。
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第7話
「・・・コレは酷い」
■■と別れて、一旦住処とも言える緋色の原野に戻ってきたが、そこでは死屍累々の有様が、広がっていた。
右見て、左見て、人の屍。
よくよく観察して見れば、その全ては皆一様に喰い荒らされている。
頭に始まり、胴体、右腕、左腕、下半身、上半身etc.
どの死体も、何かしらの部分が、喰い荒らされているのだ。
見える辺り一面のアレらは、俺がやった事なんだ、と言う事を見れば、否が応でも理解できる。いや、理解する。・・・が、こんなどうでも良い事は、そこらの隅にでも捨て置いて、この世界に落っことした「
しかしこんな状況を見て、俺がやった事なんだと分かっても、どうでもいいと思えてしまうのは、俺はすでに人では無いのだろう、もしくはサイコパスな一面があった。・・・って何を考えているんだろう、今の優先順位はSCP-097-JPだ。
「・・・うーん、感知できる範囲内には、動いている者は誰一人としていないな」
ここいら近辺に、落っことした筈なんだが、他者をこの世界に自力で入れたのは、SCP-097-JPが初だったから、落ちる地点がズレてしまったか?
「仕方が無い、飛ぶか」
俺は羽を広げて、身体全身を使うように、振り下ろす。
すると身体がフワッと浮かび、緋色の大空へと飛翔した。
考えうる限りでは、SCP-097-JPは気絶か、発狂をしていると思っている。
後は走って、死体の無い遠くまで行っている最中か・・・
そう言えば、この世界なら人は空を飛べた筈だ。とんで離れていっているのかもしれないな。
まぁ、どうにせよ。探し出すだけだ。
数時間程、円を描くように飛び、その範囲を少しずつ広げていくと、動く者の気配を感じ取った。
たぶんSCP-097-JPだろう。
ついでにSCP-097-JP以外に、小さな小動物の様な気配が2つする。
気配の元へと一直線に飛んでいくと、ありえないものを見た。
青い海だ。この景色を見た俺は、世界が浸食されていると感じとった。
そして同時に莫大な不快感を感じたが、その感情を一先ず抑える。
「何が起きているんだ」
海と原野の境目が見えた。
そこは言うなれば、緋色の砂浜や緋色の海岸だろうか?
そんな光景が横に広がっている。
そしてSCP-097-JPも見つけることが出来た。
誰かと何かを話している様子だ。
空から見える範囲では、SCP-097-JPの話し相手は・・・黒色の猫のようだ。
あの黒猫が、あの海の原因だろうか?
一先ずは話しを聞くとしよう、その為に俺は1人と1匹の近くへと舞い降りたのだった。
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第8話
「よっと」
「君が、この地の主人かな」
バサァ、と1人と1匹ではなく2匹の近くに降り立った。
すると、黒い猫に話しかけられた。
「そうだな、おそらく」
俺は曖昧に猫の問いに答える。
実際に俺は、今の俺がこの緋色の原野の主人かどうか、分かっていないからな。
「うむ、警戒するのは分かる。君のテリトリーにこうして侵入しているのだからな」
「警戒はしてないさ、好きに居れば良い」
目の前に居る猫と、海に浮かぶオウムガイ。2つで1つのSCPなんだろう。
それもおそらくは、俺と同じ精神世界に存在するタイプだ。
「・・・」
「・・・」
微妙な空気が流れる。
その間、『
SCP-097-JPは、何が何だか状況がイマイチできていないが、一先ず落ち着く為に飲んでいる。
オウムガイは、海の上を相変わらずプカプカと浮かんでいるようだ。
「・・自己紹介がまだだったな、私の名は『猫』だ。それ以上でも、それ以下でも無い」
「・・ご紹介感謝しよう。俺は、そうだな・・・『緋色』とでも呼ぶといい」
「我が名 呼び名は ノーチラス
彼を救えた オウムガイ」
「えっ?えっと、俺を作りやがったクソ親父には『ミスターずぶずぶ』って呼ばれてました。
猫さんには言いましたけど、こちらの緋色さまに助けてもらった?と思っています」
「「「「・・・・」」」」
猫から始まった自己紹介は、無事に終わったが、話しが続く事は無かった。
気まずい空気が、また流れ始めた。
この場に居る生きる?者は、皆が心の中で(こっからどうしよ)と完全一致していた。
そして、この微妙な合間を撃ち破ったのは俺だ。
「まぁ一先ずアレだ。仲良くしようぜ?」
「なぜ疑問形なのかな?」
俺の言葉に猫は反応する。
「海に浮かぶは ノーチラス 先に見えるは 赤き砂浜」
ノーチラスは相変わらずのようだ。
「えっとあのー・・・緋色さま文句を一言だけ言っていいですかね」
「なんだ」
そしてSCP-097-JP、いやミスターずぶずぶが、文句を言いたいと居てくる。
「確かに思い返せば、俺のあの行動はどうかと思いましたがね。その結果が落とし穴で、その先が死体の山って言うのは、えっとですね・・・その・・・」
「あぁ、うん。悪かったな、言いたい事はよく分かった」
ミスターずぶずぶの言葉に俺は全力で目を逸らして、脱兎の如く逃げる構えを取って・・・
「それでは失礼する」
全力で大空に向かって飛び去った。
目指すは、あの■■の所である。
「逃げたあああっ!」
そしてミスターずぶずぶの渾身の叫びが、聞こえたような気がするが気のせいである。
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第9話
「はっはっはっ」
「ふっふっふっ」
・・・何コレ?
いや、マジでなんだ。この状況は・・・
緋色の原野から、戻ってきたら、■■とオランウータン(首飾り着用)が酒を飲んでは、笑いあい語りあっていた。
うん、オランウータンは悪名高き『ブライト博士』に違いない(確定&決定)
異論は認めない。
さて、どうするべきか。
あの1人と1匹?は、まだこちらに気がついていない様子だ。ってそれは、まだ姿を見えるようにしていないので、それは当り前か・・・。
「それで、SCP-444-JPはどうだったんだい?」
姿オランウータンの癖に、流暢に日本語しゃべっていて笑えるんですけど。
「Euclid認定でもよさげですね。SCP-444-JP-02の方が、表に出ていた場合に限りって、話になりますがね」
どうやら俺の事を話しあっているらしい。
まぁ原作と言ってもいいのか分からないが、原作?的には、クラスなんて存在しないSCIPだった訳ですが・・・
「ふむ・・・本部への報告はどうするかね」
ブライト博士、その考える人のポーズするの辞めてもらえません。なんか面白いんで
「むっ、誰かに馬鹿にされた気がするぞ」
「・・・あ~、多分気のせいでしょう」目を逸らす
うわっ、ブライト博士鋭くない?
んでもって、これは俺が、戻ってきている事に■■は、気がついているな。
「はぁ、この地に居るSCIPの保護が面倒だな。まぁお陰で、好き放題できる訳なんだが」
「・・・はぁ、玄関を開くんじゃなかった」ボソッ
■■は頭が痛そうに眉間を抑えた。
どうやら■■が、ブライト博士を招き入れてしまったらしい。
ここがこれから、どれだけ悲惨な事になるのか・・・全くもって想像できないな。
いやだって、ブライトの記事ってそんなに読んでないからさ。それに実物に出会うのは、これが初めてな訳だしさ。あの短い会話だけでも、すでに何個かのSCIPが、ぶっ壊れていそうだな・・・
まぁまだ顔を見せていないので、そろそろブライトと対面するとしよう。
あー、なんかやだなぁ。したくないなぁー。はぁ
「よっと、戻ったぜ」
■■は俺が実体化すると、超人的な反応速度で、拳銃を引き抜き銃口を向けてくる。
そしてブライト博士は、何かの拳法の構えを取った・・・その瞬間、俺の生存本能とも言うべきモノが、俺に殺気を出して、構えろと警告を出した。
■■の方は見ても何の感情も湧く事は無かったが、ブライト博士の方はヤバイと感じている。
これは一体、何なんだ・・・?
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第10話
一言で言おう、地獄絵図である。
どうにか財団サイトへのダメージを最小限に抑えて、ブライト博士を緋色の原野に引き込んだが、地獄であった。
ヤバイ、マジでヤバイ(語彙力の消滅)
今、何回目の時間逆行だ?
強すぎるんですけど、何なんだ?まじで何なんだあの拳法は・・・。
っ!
あぶねぇ。避けるのでも精一杯だ。
特に『正拳突き』がヤバイ、宇宙が創造されてるってどんな威力だよ。
(Fate/の『ギルガメッシュ』の宝具の1つ『
「どうだね財団神拳の威力は!」
「素晴らしく、クソだよ。こっちくんな」
あっ、しまった。
俺以外にもSCIPが、この緋色の原野に居る事を忘れてた。
・・・スマン、強く生きてくれ。
俺は能力をフルで発揮する。
それは幻覚を感じさせる能力、幻視・幻聴・幻触・幻臭・体感幻覚・幻肢などのありとあらゆる幻覚を感じさせる事により、あたかも現実であると錯覚させることが可能だ。
例えば、トラックに轢かれる。なんて幻覚を見せるとすれば、主に扱う幻覚は『幻視』『幻聴』『幻触』『幻肢』の4種だろう。『幻視』でトラックを見せ、『幻聴』でクラクションなどの環境音を再現、『幻触』で周囲の空気やトラックにぶつかった際の触感、そして『幻肢』にて轢かれた際の痛みを感じさせる。この時点で死ぬ人は死ぬ。俺の能力影響下に存在していない人間にとっては、心臓麻痺で死亡とかそんな感じに思われるだろうな。『幻肢』で死ななかったら、『幻触』で血が流れ出る感覚を感じさせれば、嫌でも脳が勘違いを引き起こして死ぬ。
それだけの事を、今の俺は世界規模でやることが可能だ。
やるつもりは一切にないけどな。
さて、そんな危険な力をブライト博士相手に使用する訳だが・・・問題は無いな(無慈悲)
さぁ、パーティータイムだ(深夜テンション)
以下パーティータイム中
『流星群』…大量の隕石が降ってくる幻覚
ブライト対処法…連続チョップで粉々に切断する
『火災』…大地が真っ青に燃え盛る幻覚
ブライト対処法…『朝孔雀』に似た技で消し飛ばす
『竜巻』…文字通り竜巻の幻覚だが、時間が経つごとに風速が増加していく
ブライト対処法…自身を逆回転させて相殺させる
『落雷の雨』…大量の落雷が空から落ちてくる幻覚
ブライト対処法…どこからともなく棒を手に取り、雷を棒で防いでこっちに投げ飛ばしてきた(隻狼)
『恒星の衝突』…恒星同士を衝突させる幻覚、イメージがつかないので再現が辛い
ブライト対処法…息を吸い、思いっきり吐く(ふざけんな)
『
ブライト対処法…ゲッダンダンスで全回避(うっわw)
『ビックバン』…ソレっぽい爆発を感じさせる幻覚(イメージが辛い)
ブライト対処法…正拳突きで相殺
『質量攻撃』…とにかく重く硬くデカイ何かが突撃してくる幻覚
ブライト対処法…地面を掬い取って投擲で相殺
など
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ」
「けほっ、げほっ、こほっ、ごほっ」
一体どれほどの時間が経っただろうか?
現実時間では、おそらく1週間も経ってはいないだろう。しかし精神の世界では、既に数百年は経ったような気がする。それだけ長い年月を戦った気がする。
ガシッ
気がつけば俺とブライト博士との間に友情が芽生えていた。
「ひゃひゃひゃ、ヤバイ奴らが手を組んだぞ」
「海に潜るわ ノーチラス」
「・・・キャラ変わってないか?」
その様子を見ていたSCIPが1人と2匹居たとか、居ないとか・・・
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第11話
全てはイメージです。
はい、ブライト博士との友情を深めた所で、現実へと戻ってきました。
いやぁ~、強敵でしたね。ははっ(ドン引き)
「・・・終わったみたいだな」
現実世界に戻ると、そこには■■がコーヒーを哀愁を漂わせながら、華麗に飲んでいました。
・・・ごめん、存在すっかり忘れてた。
お詫びに腹の足しにならない、豪華な料理を奢ってやろう。
味は楽しめる筈だ。味はな・・・
「いらん」
あぁ!まだ何も言っていないのに・・・
うわっ、幻覚のガンナーが、弾丸を撃ち込んできやがった。
・・・あっぶねぇ、消すの遅れていたら、蜂の巣になってた。
「ちっ」
あっ、おい、今舌打ちしたな■■。
って言うか、俺より幻覚、使いこなしてないか?
「■■君、■■君何日くらい、行ってた?」
「ん?あぁ、だいたい1日だ」
「ほうほう」
「それでd・・・」
あ~ぁ、ブライト博士が、■■と情報交換を始めた。
こうなると、話しに入っていけなくなるんだよなぁ・・・
ちなみにブライト博士が、財団神拳?とやらが使える理由を、あの戦いの終わった後に、聞いてみたんだが、
『絶対にブライトには知られるなリスト』
(ありとあらゆるSCIPを利用した対ブライト博士閲覧防止&進入禁止&発見防止セキリュティ付き)
をどうにか突破した先で、偶然見つけたので、習得したらしい。
馬鹿じゃねぇの?
もう一度、言わせて貰うが、馬鹿じゃねぇの?
これ、本人の前で言ったら、またあの戦いを繰り返す事になるんだろうなぁ(白目)
と言うか何なんだよ。
ありとあらゆるSCIPを利用した対ブライト博士閲覧防止&進入禁止&発見防止セキリュティ
って、ありえないだろ。
なんでそんなセキリュティ作っちゃうのかな?馬鹿なの?死ぬの?
そして、発見防止のセキリュティが、付いてるのに、偶然で見つけて、進入禁止を突破し、閲覧防止を解除して、中身を見たブライト博士も大概だけどさぁ。
いや、普通にありえないよなぁ。だってSCIPをフルに使っていた、って話しだし・・・
う~ん、やっぱ財団に所属する博士って、頭がおかしい奴らばっかりだな(白目)
「それじゃ、行きましょうか。こいつ居ますし、Dクラス職員は残ってるんでしょ?」
「えぇ、そうですね。いざとなったら、無力化すれば良い。本部に連絡がついた時には、財団神拳を自己防衛の為に使ってしまった、とでも言い訳すれば良いですからね」
考え事をしていたら、話しが進んでどこかに行く事になってる。
まずはDクラス収納室に行くらしい。
まぁ、このメンツ(緋色の鳥、実質的に無限バンダナ装備している次元大介な■■、財団神拳の継承者ブライト博士)が居るから、犯罪者なんておそるるに足らず、な感じがめっちゃ漂っているんだよなぁ。
・・・そういや、このサイトに居るSCIPって、どれくらい収容されていて、どんなSCIPが居るのだろうか?
なんか、楽しみになってきな。
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番外1話「とあるSCP」
突然だが、自己紹介をしよう。
俺は『
何を言っているのか、理解できない?
知らん、理解しろ(命令)
んでまぁ、俺は転生した。
この『財団世界』にな。
財団世界って言うのは、俺がそう呼んでいるだけだ。
この世界は『SCP』と言う、化け物や現象があり、ソレらを『確保』『収容』『保護』を主目的とする団体がいる。
この事実に気がついたのは、5歳の前世の記憶が戻ってきた時だ。
まさか、くじ引きで転生先を決められるとは思わなかった。
んでもって、俺には『転生特典』と言う、神々の遊び心を貰っている。
その名も、『四次元マンション(俺の命名)』だ。
名前からピンときた奴が、居たと思うが名前の元ネタは『HUNTER×HUNTER』の奴だ。
まぁ、似ているだけで、念による能力じゃないんだけどな。
床や壁に手をかざしたら、出入り口『穴』を創れて、そこからマンション内へと、物資の搬入や生物の出入りが、できるわけだ。
穴が閉じていなければ、誰でも出入りできて、複数設置もできて、部屋ごとに上限が異なる。
穴に入ると、行き先の部屋の天井に穴の出口が開き、そこからマンションに入り、天井の入口は人や物が入ってきたと同時に閉じる。
部屋には扉があり、そこが出口でマンション内に入った時の場所に出る。
扉には鍵穴があって、マスターキーを使用すれば、その扉から好きな部屋に移動できるのだが、マスターキーを使用できるのは俺のみだ。
んで、1部屋につき、1つの出口を創れてる。
出口は魔法陣のようなデザインであるが、見えるのは俺のみで、出口を設定した部屋から、退室した場合は、入ってきた穴の場所に関係なく、必ず出口の場所に転送されることになるようだ。
マスターキーの使用は除いた者とするけどな。
後はまぁ、マンションの階層は5階建てで35部屋あり、穴を通過中に消せば切断にも使える。
そんで今は、この能力が財団に認識されてしまい、確保され収容され保護されている状態だ。
調べられるにあたって、部屋は一つだけと嘘をついた。
快適な場所だが、軟禁状態なもんだから、協力する気はさらさらない。
この世界を守ってるのは分かるけど、やり方が気に喰わないのが多々にある。
まぁ、だからと言って、現状を破壊する気は無い。死にたくは無いからな。
さて、ここまでは別に良いんだ。
最近、財団の奴らが来ない。なんでかは知らないが、来る気配が無い。
とりあえずマンション内に置いておいた、保存食で食いつないでいるんだが・・・
何かあったのか?施設外に出口はあるから、脱出は問題ない。
施設内にも幾つかあるから、問題は無い。
・・・どうするか?一旦、様子を見に行って見るか?だけど、ばれたら面倒なんだよなぁ・・・
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第12話
「・・・SCP-■■■-JPだね」
「あぁ、そうだが」
■■&ブライト博士と共に、サイト内を探索していたが、どうやら収容違反のSCIPを発見した。
まぁ、現在進行形で、いくつも起きているから、今更感が半端ないが・・・
(収容違反SCIP→【SCP-444-JP(主人公と融合している)】【SCP-097-JP】【SCP-083-JP】【SCP-963(ブライト博士)】これくらいか?)
しかし目の前のSCIPは不思議だな、オブジェクト番号を聞きとる事が出来ない。
これは一体、どう言う事なんだろうか?
「このサイトは放棄された、持ち出せる。連れだせるSCIPは、全て運ばれたと思ったんだが?」
「そういや、収容施設が一回大きく揺れたなぁ。アレだったのか?」
「あぁ、多分それだ。施設の放棄決行時は、収容施設ごと離れるからな」
聞くだけで分かる、財団の無駄な行動力。
その無駄な行動力があるせいで、ヤバイSCIPが覚醒するんだよなぁ・・・
なんだっけ?この世界にあるのか知らんけど、確か・・・そうっ‼、『塔』って奴だ。
・・・考えて、SCP-ノイズ-JP(オブジェクト番号が聞き取れなかったから)の顔、俺を見たときから明らかに真っ青だよな。
まるで、俺の本来の性質を知っているかのような顔だ。・・・まさかな?
いや、俺と言う事例がある。無いと思うのは、悪手になるだろう・・・
しかし、ド直球に聞くには、■■とブライトが邪魔だな。
隙を見て、あっちに招待して、聞いてみるか?
まぁ、頭の片隅にでも、置いておくか。
「そうだ、■■」
「なんだ、SCP-444-JP-2」
長ったるいな・・・
「・・・このサイトのSCIPはどれくらい残ってると思っているんだ?それとだな、長ったるいから『緋色の鳥』でいい」
「そうだな、確か憶えていただけでも24あって、内2つが無力化されていたかな?」
「まぁ無力化されたのは、実質的に1つだがね。ははは」
俺は■■に話しを聞いた筈なんだが、ひょっこりとブライト博士が、報告書を持ってきた。
その数、実に30枚くらいだな。
「このサイトのSCIPの報告書だ。壊れていないパソコンを見つけて、確認しコピーして来た、現在我々が確認できているのは『SCP-444-JP』『SCP-097-JP』『SCP-■■■-JP』でよろしいかな」
「そうだな、その位だな」
・・・見る限り『SCP-083-JP』も確認済み、と言えんな。
「この中から、コレとコレは確実に居ると思われるよ」
ブライト博士は、楽しそうにそう言った。
「何人かDクラスが衰弱してたぜ」
その後にSCP-■■■-JPが、現れてそう言った。
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第13話
・・・一人になったんですけど、どうすればいいと思いますかね。
■■もブライトもSCIPも皆、俺を置いて先に行ったから、つまり取り残されました。
とりあえずブラブラと、移動してみればいいか?とするなら、どこに行こうかな?
この壁に埋め込まれている地図を見る限り、ここから一番近いSCIP収容所は、『SCP-060-JP』のようだな。
よし、行くとして、まずは事前情報だな。
ここにまだ存在するだろうという、SCIPとしては挙げられていなかったが、このSCIPは残って居るのだろうか?
この報告書を見る限りは、透明人間ってやつだな。
もしかしたら、俺と同じ精神世界の住民で、俺が他者の感覚を改変するなら、さしずめこのSCIPは、自身の情報を改変するのだろう。
レベルをつけるなら、低すぎて自力で改変することができない。
だからこそ、報告書のようになっている。いや、もしかしたら、そんな事ができると、知らないだけなのかもしれないな。
んで、到着したわけだが、な~んにもないわ。
扉をすり抜けて見たが、ただ施設の外が、広がってるだけだ。
面白みのない、結果だな。
まぁ、ウダウダ言っても仕方がないので、とっとと次に行くとしよう。
えっと次に近いのが、『SCP-101-JP』だな。
このSCPは、ここに残っている確率が高いらしい。
報告書を読む限りは、木だもんな。確かに残っている確率は、高そうだ。
子ども?果実?の方は、移動させられてるんだろうけどな。
おっと、通り過ぎるところだった。
移動速度が速すぎるのは、考えものだな。
んで、さっきみたいにすり抜けると、存在しているな。
元気に収容部屋で、わっさわっさと揺れている。
・・・こいつには興味がないから、博士どもに任せるとしよう。
話し相手にはならないだろうからな、近づいても面白みがないって奴だ。
そんじゃ次だ。
次に近いのは、『SCP-515-JP』の収容場所だな。
徒歩でだいたい10分はかかる距離だが、俺なら1分とかからずに到着した。
到着できるではなく、もうすでに到着している。
さーて、すり抜けまして、おっどうやら移動させれていないみたいだ。
この報告書を読む限りは、こういう奴らこそ簡単に移動させられると思ったんだが、なんで移動させていないんだろうか?
ちなみに今さらになるが、さっきから俺の呼んでいる報告書は、実際には存在しない。
能力を応用して、生み出した俺専用の報告書だ。まぁ能力に暴露させれば、誰でも見て読むことはできるけどな。
んじゃま、さっそく接触するとしようか。
文字や血液といった媒介がなくても、俺の世界へと引き込めるようになった事に気が付くのは、いまから数十分後であり、その数十分間の間にどうやって接触すればいいのかと、考え続けていたのは内緒話だ。
http://scp-jp.wikidot.com/scp-060-jp
『SCP-060-JP 【不在の人】』
http://scp-jp.wikidot.com/scp-101-jp
『SCP-101-JP 【Peach tree(桃の木)】』
http://scp-jp.wikidot.com/scp-515-jp
『SCP-515-JP 【軍用犬の駒】』
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第14話
さて、『SCP-515-JP』と出会った訳なんだが、バリッバリに警戒されました。
いやー怖がらせるつもりは、一切ないんだけども、本能っていうのかな?そういうので、バリッバリに警戒されています。
話し合いになりそうにないなぁ・・・
目の前のグループのリーダーらしき犬獣人は、ゲロ吐き失禁コンボだもんね。
ちっ、面白みのない結果だ。
いや見る分には面白いんだけどな、想像していた結果からして大失敗だな。
はぁ、ここ以外のSCIPは、面白くなさそうなんだよなぁ。
とりあえず、博士達に合流しに行くとしようかな?
確かこっちに・・・おっ、あった、あった。案内掲示板・・・よし、向こうか。
この距離だと、飛んで30分だな。
いや、本気を出したら1分で行けるな。
ほい、とうちゃーーー・・・
やっべ、行き過ぎた。
施設の外に出ちゃったよ、やっぱり本気で飛んだらダメだな。コレは・・・
「真っ暗な世界だー」
・・・・・・いやっ、まって!!
宇宙じゃん、ここ宇宙じゃん!!!(大事なことだから2回言った)
ってか、地球どこだよ。帰れないじゃん、このままだと帰れないじゃん。
そしてうるさいんだよ、ピー、ピピー、ピーピー、ってさぁ。こういうのなんだっけ?モールス信号だったかな?とにかくだ、うるさいんだよ。喰らい尽くしてやる。
―緋色の鳥、お食事中―
けふ、ふぅ中々濃厚な味だった。
喰らっている時、めっちゃうるさかったけど、まぁいいか。もう全部食べちゃったからな。
んーで、これからどうすりゃいいんだ?
と言うか、地球どこだよ。
まいったなー、本気を出して飛んだだけで、宇宙まで飛び出すとは思わなかった。
地球のある方向が分かんなくなちまったから、戻ることができないぞ・・・
くそっ、もうちょっと他のSCIPを見ていたかった。
特に『SCP-682(クソトカゲ)』とか、『SCP-076(アベル)』とか・・・あぁ、後は報告書で見たこの『SCP-294(コーヒー自動販売機)』は使ってみたかった・・・
俺が一体何をしたって言うんだ・・・。うん、色々とやらかしてますわぁ(遠い目)
死んでしまって、緋色の鳥に成り代わって、でも知らん内に大量殺戮をやって・・・
数え始めたらキリはあるな。
これからやらかしていくんだろうと思う事柄を考えたら、なんか頭が痛くなってきた。
あー、真面目にどうすれば・・・あっ、そうだ。一先ず緋色の世界に行くか。
うん、これは良案だな。さて、思い立ったが吉日だ。さっそく行くとしよう・・・
http://scp-jp.wikidot.com/scp-515-jp
『SCP-515-JP 【軍用犬の駒】』
http://scp-jp.wikidot.com/deleted:scp-1548
『SCP-1548【記録用:The Hateful Star / きらいきらい星】』
http://scp-jp.wikidot.com/scp-682
『SCP-682【不死身の爬虫類】』
http://scp-jp.wikidot.com/scp-076
『SCP-076【〝アベル"】』
http://scp-jp.wikidot.com/scp-294
『SCP-294【コーヒー自動販売機】』
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