ルパン三世の敗走 (沖田十三郎)
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ルパン三世の敗走

傑作「ルパン三世 カリオストロの城」の前日譚を描いた作品になります。
詳しくはあとがきに寄せますが、一点だけ。

駆け出しの青二才に出し抜かれるような公爵は見たくないのでその様には描きませんでした。
その点のみご了承くださいますよう宜しくお願い致します。


000

高く天空に澄み渡るセルリアンブルーの下、風は乾き広大な緑の海を薙ぐ。

波はそよぎ、空を写す美しい湖は眠る。

草原は(すさ)び、緑の穂は風に歌う。

豊かな水と乱れなき風の祝福は穏やかに凪ぐ。

 

だが、光あるところに必ず陰はある。

光が強ければ強いほど、眩ければ眩いほど、その陰は濃く、暗く、そして重く射す。

そして、光の部分しか見えないのであれば隠されているのだ。巧妙に、強かに。

美しいだけの国などありえない。

であるならば、その美しい国の陰とはなんなのだろうか。

 

世界大戦を経て冷戦をいなし、美しさと穏やかさしか測れない国がある。

その国の名を、カリオストロ公国という。

 

001

東欧(東ヨーロッパ)じゃちょいとは名の知れた大カジノの底の底の更にそのまた奥底で、高い塔の頂上(てっぺん)に閉じ込められたお姫様のように、その大金庫は鎮座していた。

悪い魔法使いからお姫様を助け出すのは泥棒のお仕事だ。

かくして俺様は颯爽とお姫様方を助け出し、仕事終わりの甘美な勝利の美酒に酔い痴れ……るはずだったんだが、まぁさかあんな事になるとはねェ。

人生ってやつは本当、何があるか分からない。

 

勝利の美酒も酒は酒。

時折苦味走るのも酒の醍醐味と言えば醍醐味だ。

だから、舌を刺す苦味にも似たあの仕事の始まりとして、この酒の妙味はお似合いだったのかもしれない。

 

002

軽快なリズムがゆったりと流れている。

古いジャズの調べだ。

その豊かな音色がわずか八席しかない古く狭い趣きのある酒場(バー)を満たしている。

(ほの)かに絞られた灰茶色(セピア)の照明が淡く照らす優しい静寂に、時折針が盤を掻く音が深く時を重ねた店内に柔らかい。

そんな、どこか眩惑的な雰囲気の漂う風情の中、入り口から一番の奥の席に一枚の紙幣を弄ぶ男がいる。

黒いカッターシャツに黄色いタイを少し緩めた男だ。

手つかずのグラスには雫が浮き、魅惑的な琥珀の中で球氷(アイス)はクラリとよろけてくるりと舞う。まるで、自身にそそがれた酒の香に酔ったかのように。

そして、ぬらりと光る琥珀に写るその男の横顔に獰猛な笑みが浮いた。

面白(おっもしろ)いことしてくれるじゃないのよ」

低く唸るような呟きに陰る享楽的な響きが、怒りでもなく、また闘争心でもない炯々(けいけい)とした炎を見せるかのようだった。

男の名はルパン三世。

今は青く若き、未来の大怪盗である。

そんな彼の様子を、古馴染みであるバーのマスターは優しげに見つめていた。口元に、ルパンとは異なる円熟した深みのある笑みを乗せて口を開いた。

マスターの笑みの理由を、しかし馴染むほどに通っているルパンにも読めず、仕方なく方眉を浮かせて応じた。

今はまだ青い彼は、己を染める興奮の陶酔ただ中だった。

「――なぁ、ベイビィ。お前さんはどうするね?」

 

003

その日、遠慮もなく扉を押し開いて入ってきた若い男は随分と久方ぶりに見る顔だった。

黒いシャツに黄色のタイ、青翠(ヴィリジャン)のジャケットを合わせた小僧は最近じゃラヂオや新聞を随分(あれやこれや)と賑わせているから、きっと鼻っ柱も高くなっていることだろう――

「よぉう、親爺(おやっさん)。今日は豪遊しちゃうぜ」

…と思ったら予想通りだったようだ。まぁ、儂にも身に覚えがある。若い頃はみんなそんなものだ。だが、小僧が一丁前に手の内でヒラヒラさせている札には見覚えがある。苦く、それでいて楽しかったかつての記憶の中にあるそれと同じだ。

「……お前さん(ベイビィ)、豪遊はいいが、その金はどうしたね?」

「…まったく親爺までその呼び方すんのかよ。そんなのぁドルーネの親父だけで充分だぜ」

鼻白んだような台詞を、まるで歌劇役者のような軽妙さで返しつつ、小僧は少し自慢気に事の次第を諳(そらん)じた。

――そして、その答えはまるで昔の自分だった。

「小僧。残念だがな、そいつは偽札だ」

「ハァっ、こいつがか!?」

まったく。本当に昔の自分と同じような反応をする。

だからだろう、少し面白かった。

 

004

偽札のことを教えてからかれこれ半時ほど。黙りこくっていたルパンが口角を上げるのを見て、たっぷりと蓄えた白い髭を揺らしたマスターは優しげに微笑んだ。

「面白いことしてくれるじゃないのよ」

その呟きはマスターに聞かせようとしたわけでもないのだろうが、狭い店の中だ。対面するカウンターの中のマスターに聞こえないはずもなかった。

まったく本当に青い。

マスターはより一層笑みを深め

「はっはっはっ。お前さん、やっと顔を上げたな。」

日本中追いかけ回されたデカの声に少し似た、低い声音が優しい。嘲りの色は薄紙一枚分ほどもなく、昇り調子一辺倒だった息子にようやっと足下を見る機会が訪れたことを喜んでいるような、そんな調子だった。

「なぁ、親爺。本物みたいな偽札(コイツ)の事、ちゃんと教えてくれよ。」

若者らしい野性味に溢れた笑いも、かつての自分と重なって面映ゆいやらなんやら。

「おうよ。しかしお前さんもやっと掴まされたな。そいつはゴート札ってもんだ。今まで数えきれんくらいの馬鹿者を飲み込んできたウワバミさ。――っと、こいつを見てみな」

口髭を軽く上げ、懐かしそうに笑みながらカウンターの下から紙片を幾つかと地図を取り出した。

そして―――

「――なぁ、ベイビィ。お前さんはどうするね?」

実に楽しげに、BAR SCARLET(スカーレット)のマスター、ミスターKはルパンを(のぞ)いた。

目の奥で揺れる仄暗(ほのぐら)くも激しい炎がルパンの眼の奥の奥を照らし炯々と光らせる。

闇の世界の住人の炎がちりちりと胸の奥を焦がすようだ。

―――だから。

「ハッ、そんなの決まってるじゃないのよ。」

口の端をにんまりと歪め、不敵に笑う。

向こうが俺を呑みこむか、俺が向こうを呑みこむか。

勝負だ―――と。

 

005

『カリオストロ公国は自然豊かな中欧(中央ヨーロッパ)に属する小国だ。人口はわずかに3500人。国連加盟国としては世界最小である。その小ささは、かのバチカン市国を引き合いに出されるほど。

だがしかし、その小さな国土は芳醇な自然に恵まれている。土地は肥沃であり、三方を南アルプスに囲まれ、開けた一方は湖に面し、人のない地域は草原に覆われたその様相は中欧広しと言えど一見の価値がある。また、山渓から流れ込む風や雪解け水は仄かに豊かな香りを(たずさ)えて流れ込む、その様の流麗さは言葉の限界を私たちに教えてくれる。

――故に、是非とも読者諸兄には実際にその目で見て、体で感じてほしいと願うばかりである』

吹き(すさ)ぶ風に煽られて、パラパラと捲れていく旅行雑誌は、珍しい事に写真ではなく文芸で観光地の魅力を伝えんとしたものらしく誌面が文字で埋め尽くされていた。

仰げば遥かに広がる蒼穹に、ポツリポツリと孤島のように浮く細い雲がゆったりと流れていく。

カリオストロ公国の隣国、ポルカ共和国から続く国境への一本道だった。

公国へ続く道は共和国内における主道から大きく逸れた位置にある。中欧の奥、アルプス山脈を前に連なる山渓に沿って造られたそれ一つきりである。

変化に乏しい道すがらだが、湖に散在する孤島群や濃淡のある山々、青に映える白など目に楽しい景観が見る者を飽きさせない。

そんな一本道をひた走る影があった。

魅惑的な流線型が美しい車影だった。

 

006

「平和だねぇ~」

口に咥えた煙草も、この澄み渡った空の下ではより一層旨いものである。

煙草(ラッキー・ストライク)から揺蕩う頼りない紫煙はルパンの駆るスパイダー・ミストラルの表面をヒュルリと撫でては消えていく。

幌を外して開け放たれたミストラル(彼女)の艶姿は時期のせいか他の車の姿のない一本道を軽快に飛ばしていた。

そんな一本道をしばらく進めば、陸地は途切れ、ぽつぽつと湖に幾つかの離島が浮く光景が見えてくる。それらは離島の中でも比較的大きく、そのうちの一つ、一際大きい島にカリオストロ公国の国境になっている関所は存在する。

古いローマ式のアーチ橋を渡り、若い衛視の守る砦造りの門を(くぐ)る。するとその先にはアルプス山脈の織り成す大パノラマが広がっている。

視界をまっすぐに見据えれば、丘陵の果てまで続く青々とした草原が風にたなびき、視界を諸所に振れば所々に欠けた大地の(ほとり)に湖の一部が日の光を映して綺羅めく。

国境門付近からも窺えたこれらの光景は国境を越えてその美しさのキレが格を変える。

微かに湿り気を帯びた爽やかな風がその表皮をぬるりと撫でて、ルパンの口に咥えられた煙草の煙もまた風と共に揺蕩い消える。

幌も窓も全開にして、車は一路カリオストロの首都へ歩みを進める。

(そび)える連峰の息吹を感じつつ、数えられる程度の人工物を横目に軽快なエンジン音を楽しめば、山景の合間から姿を現すのは遠目にも賑々しい石造りの街並み。

――カリオストロ公国の首都・カリオストロである。

 

007

「へぇ~こいつぁどうにも」

首都(シティ・オブ・カリオストロ)はシチリアの朝の市場を思わせる活気のある街だった。祭の季節ではないので観光客の数も多くはなく、地図からは測れない街の営みがそこにはあった。だからこそ―――

「いいねェ、裏表のあるやつぁ大好きさ。なんせその方が面白い。……そぉ~れに」

可愛い子ちゃんのなんと多いことか!

ヘラリと相好を崩し、ハンドル片手にミストラルは緩々と進む。

パン屋に花屋にジェラート屋、飲み屋にピザ屋に喫茶店。……昼間っから赤ら顔をのぞかせるオヤジ共が陽気に歌う。その隣で紳士然とした男は珈琲片手に新聞を楽しんでいる。混沌としていて、それでいて自然体だ。

街の顔が見えるような光景だった。

「まぁったく。昼間っから酒浸りたぁ、いい気なもんだぜ。」

石造りの街並みの中、車を転がせば小脇へ小脇へと道が分けれてゆく。主道から少し道を外れた小道に入れば宿はすぐに見つかった。

アパルトマンにも似た石造りの建物で、安さが売りらしかったが「お客さん、カリオストロへようこそ。お城と自然以外見るものなんてないのに珍しいね!でも良い街よ。楽しんでいってね!

あ、そうそう。それはそうと、うちは素泊まり推奨!お夕飯は外で食べるのがオススメよ。 あ、でもそこの通りの角の喫茶店はやめた方がいいわ。…やたらタバスコがかかってるのよ、信じられないでしょ?」

舌のよく回る元気なおねぃさんの話術(トーク)に耳を遊ばせて、ルパンは陽気で爽やかな日差しの下で靴音を響かせた。

…それにしても、だ。あの()、安宿の受付なんかよりも観光ガイドを本業にした方が儲かるんじゃねぇかなぁ。そんなこんなで散策に出たわけだ。

ミストラルはおねぃさんのススメに従って宿でおねんねだ。歩いて見て回って初めて発見できることもある。特に初めて着いた場所ならなおのこと、ってのも彼女の受け売りだ。

いや、ホントその通りだわね。

 

008

一面に開けた湖の中心に聳えるその城は、見れば見るほどに荘厳だった。

町から伸びる連絡橋、城から伸びる水道橋と時計塔、そして城の奥で守られた静謐(せいひつ)に眠るかのような大公邸。

知識の上では親爺が渡してくれた地図や外観・雑感をまとめたメモはある。だが、自分の目で見て耳で聞き、初めて情報は知識に変わる。知識に変わり武器になるまで、情報はただの紙切れと変わらない。

たとえそれが信頼する親爺の手による情報であったとしてもだ。――紙切れに用はない。

「だっからまぁ、やっぱ自分の目で見ねぇとな」

言葉になる前の囁きに似た吐息をついて、彼――ルパンは双眼鏡に視線を投げた。覗く先は今回の大本命。

その巨影を湖に落とす、摂政カリオストロ候擁する主城――カリオストロ城だ。古風なオートジャイロの発着場に水道橋。その(たもと)には目立たぬように(こしら)えられた船着き場。湖の上にそびえる岩塊の上に建てられた巨城は、さながら天然の要塞だ。

「いいねぇいいねぇ。燃えるじゃないの。……ま、つってもやるのは夜だ。それまでは、せいぜい楽しませてもらうとしようじゃない」

キナ臭い噂なら幾らでも調べがついた。だが、城の中身についちゃ塵一つすら出てきやしない。

「ってぇ事は、だ。ちょっかい出して帰ってきたやつがいないってぇのはどうやら噂じゃなくて真実だったってこったな。くわばらくばら」

青い青いと同業のジジイ共から笑われることもあるが、さすがに親爺からの情報に頼り切だなんてのからは卒業して久しいわけだが、困ったことに成果がなかった。

「こいつぁ肩を(すく)めて出たとこ勝負にでるしか手はねぇわけだ。――(たぁの)しくなってきやがった」

こういうコトがあるからこの仕事はやめられない。スリルがなけりゃ生きる値打もなんざありはしねぇ。一寸先は真っ暗闇くらいがこの世界で生きていくにはお似合いなのさ。

 

聳える巨城に背を向けて、誰に聞かせるでもなく漏らしたその声色には、堪えようのない好奇心(猛毒)が満ちていた。

 

009

それじゃあまずは宿のおねぃさん(ジェイミーちゃん)が薦めてくれたナポリタンでもいただきに行くかな。

車を転がしているだけでは気付けない景色というものは少なくない。車窓からの景色と徒歩からの光景では同じ情景であっても同じ景観にはなりえないからだ。

だから、ミストラルを転がしていた時には気が付かなかった、その町に根付いた人波というもの歩いてみれば(こと)(ほか)よく分かる。

大工にご婦人、紳士に子供、果ては燕尾服を着こなした執事(バトラー)から家政婦(メイド)まで。太ったのやら針金みてぇのやら高いの小さいのより取り見取り、いやまったくどこの国に行っても人間ってぇやつぁ見ててこれほど飽きないもんもない。

そう、例えばこの街に入ってから感じる違和感(・・・)とか、な。

まぁ~ったく。調べても調べても出てくんのは不確かな噂ばっかでやんの。それも、有名な話に背びれ尾ひれ胸びれがついただけとかな。まったく勘弁してほしいぜ。

ただし、一個だけ確かなことがある。

「こいつぁ、相当に根が深そうだ」

 

010

――両の手をポケットに突っ込み、カツンカツンと石畳にリズムを刻む外国人というのは地味によく目立つものだが、その青緑のジャケットの男は存外に存在感がなかった。

するりするりと人波の合間を縫って歩き鼻歌交じりで散歩を楽しんでいる。

「へぇ。やぁ~っぱ歩いて見ねぇとわからないもんだね」

重ねて楽し気に口の端を歪め、男は笑う。

街に行き交う人々の合間を抜けて。

街には様々な人間がいる。

街には様々な店があり、物があり、顔がある。

どんな顔でもそいつの一面であることに変わりはない。

良くも悪くもそういうものだ。

「ほぉんと、いろんな人がいるんだから、楽しくなっちゃう」

すれ違った燕尾服姿の男は城への帰路へ、すれ違った外国人は雑踏の中へ。

それでも、燕尾服の男が持つ紙袋からのぞくバケットから香る香ばしい匂いも、雑踏の先にあるレストランから香る匂いも。その本質は変わらない。

旨いものを食いたいのだ。

 

011

街並みの足並みから外れることなく、それでいて新しさを感じさせるのは恐らく外観に対するケアが他よりも行き届いているからだろう。

店の構え自体はあまり大きくはなかったが、しかし同時に瀟洒な店構えは変わり映えしない石造りの建物が立ち並ぶ中で目を引いた。石の積み方や窓枠への彫刻など、細かい遊び心が目の端を捉えて離さなかった。

 

だが…色々全部後回しだ。

 

ナポリタンが大変旨かったからだ。

肉玉は噛むとじゅわりと肉汁が溢れてくる。油の甘さと肉それ自体のコクが舌の上で舞い踊る。そんな肉の旨味をキュッと引き締めてくれるのがトマトの程よい酸味だ。トマトのスライスとケチャップの濃淡が肉玉と麺とピーマンとひき肉をうまく調和して、一皿で完結した絶品としてまとめ上げている。

そんな、どちらかと言えば濃いナポリタンを〆るのが彼らの醸造した地酒であり、エールだった。

ポルカ共和国(お隣さん)ではラガーが主体だったから少し意外だった。加えてもう一つ意外なのはラインナップの中にスパークリングワインが並び、どうもそれがとても人気らしいってことだ。

そしてその理由も蓋を明けてみれば当然のことで

「こいつぁ……合うねぇ」

渋みの効いたワインや苦みの効いたビールよりも、炭酸の軽い舌触りがこのナポリタンにはよく合う。

……ジェイミーちゃん、ホント安宿の受付なんかより観光ガイドを本職にした方がいいんじゃねぇかな。

さぁてと。

ほんじゃあ腹ごしらえも終えたことだし。

気合い入れて一丁お仕事と洒落込むとしますか!

 

012                   

――AM2時。

日本では「草木も眠る丑三つ時」と呼ばれる深い深い夜のこと。

風は凪ぎ、月は笑い、波は眠っていた。

月光はなお冴え冴えと闇に影を落とし、幻影めいた闇はその断片を湖に映し、息を呑ませる絶景は辺りの時間を止めている。

細い月光の下に(さら)された極彩色のモノクロームの(とばり)に覆われて、湖上にそびえる尖塔を抱いた古城は静かに眼下を睥睨(へいげい)する。

そして、そんな絶景を臨む場所にルパンはいた。

古色蒼然とした趣を残す対岸の城造りとは設計思想を異にした豪奢な屋敷。向かい合った魚の尾を持つ二匹の山羊の紋章を掲げた頑強な門造りをはじめとした各所に示されていた。

カリオストロの裏を牛耳るのが伯爵家なら表の舵を取るのが大公家だ。城を臨む絶好の位置、水源地と水道橋を擁するカリオストロの真の王――大公家の屋敷の淵である。

「絶景かな絶景かな。そんじゃあ行くとしますかね」

古いと揶揄されることも少なくないが、ルパン()は祖父の流儀に(なら)って仕事の前に予告状を出していた。

闇に乗じて姿を現し、月光の陰に露と消える。

幻の如く流浪して、夢のように儚く消える。曰く、それこそが〝怪盗の美学〟。悠然と佇むカリオストロ城を前にして、その不敵さは夜の外套(マント)で隠し切れはしなかった。

 

013

――PM14時。

陽は天頂を折り返した頃。

されど、なお(うら)らかな日差しは病魔に伏した父に代わり君臨する若き『カリオストロ伯爵』――グラフ・ラザール・ド・カリオストロが政務(稼業)を取り仕切る古城の一室にも等しく降り注いでいた。

魍魎(もうりょう)とした影が床に揺らめき、(かす)かに歪んだ窓硝子で屈折した陽光(ひかり)は僅かに部屋の空気を彩り、斜陽にはまだ程遠いにも関わらず(ほの)かに幽然(ゆうぜん)とした室内の中央にこの城の主の姿があった。

 

014

「……よい。今回も十全の仕事だ」

それは、あまり抑揚のない声だった。

拡大鏡に落としていた視線が静かに持ち上がり、白紅茶(ミルクティー)色の豊かな髪が自然と揺れ、髪で出来ていた影はすっと顔から引いていった。

顔にかかった残りの髪をかき上げ、碧翠蒼色(ターコイズブルー)の瞳が音もなくジョドーを貫いた。声の平板さに劣らない感情の薄い、些か爬虫類じみた視線だった。

だが、伯爵家筆頭家老でありグラフの教育係でもあったジョドーには、そんなグラフの視線から口元を綻ばせるような機嫌の良さが読みとれた。――もう少し感情表現を学びなさいませ――喉元まで出かかった。かつての教育係としての言葉をどうにかこうにか飲み込んで、 ジョドーは嘆息を(ひそ)めるのに僅かな間を要しつつも「皆も喜びましょう」と返した。

これでも昔と比べれば分かりやすくなったのだ。少なくとも、外面の整え方は覚えて頂けたのだから。あとは時間が解決してくれるのを祈るばかりであった。

「して、殿下。先程城外より戻った部下の背にこのような物が貼り付けられておりまして、どこぞの鼠からの予告状でしょうが。いかがなさいますか?」

 懐から取り出したのはバースデーカード程度の紙片だった。――久しく現れることのなかった愚者からの挑戦状である。

「ほぉう。久しきことではないか――だが、そやつはお前の目から見て鼠なのか(・・・・)?」

「返答に窮しますな。おそらく駆け出しのコソ泥か名を売りたいだけの輩……有体言えば蠅程度のモノでしょうな」

「――そうか。ならば捨て置け。獅子はウサギを駆るのに全力を出すというが、蠅を相手に本気になるほど卑しくはないのだ。しかしそれよりもだジョドー。貴様いつになれば慣れるのだ。殿下はやめろと言っているだろう。」

 若き伯爵は興味を示すことはなかった。

そんな事よりも、ジョドーからの呼称の方が遥かに問題だった。童子染みていると自覚しながらも、グラフにとって教育係からの卒業は大変に意味の強いものだった。

「ははっ、これは失礼いたしました。

では閣下、この蠅めの処分はこのジョドーに一任願えませんか」

そんなグラフの心境も筒抜けだったのだろう。ジョドーもまた目を軽く細めて応じ、加えて求め訴えた。

「ほう?」

「近頃は潜り込もうとする不逞の輩自体がおりません。衛士隊への教材にはちょうど良い対象かと」

「そうか、構わん。好きにせよ」

「は。カゲを動かす必要は恐らくないでしょう。カリオストロの深部にまで手を伸ばせる輩でもありますまい。」

「――そうであろうよ。この件、貴様に一任する。下がってよいぞ」

「失礼いたします」

碧翠蒼色に朱い光を灯したカリオストロ伯爵の視線を背に受け、ジョドーは礼の形を崩さず部屋を出た。

ジョドーが歩き去ったあと、伯爵は視線を窓の外へ投げ、冷めきった表情でひとりごちた。

「ふん、調子に乗った蠅を叩いたところで面白くもない。」

つまらなさそうに鼻を鳴らし、そして今度こそ本当に興味も関心も失ったのだろう。机に向かい、稼業ではない外交の資料に目を落とし始めた。

 

カツンカツンと革靴の奏でるリズムが古城に木霊する。褪せてなお鮮やかな湖城は未だ静かに凪いでいた。

 

015

大公家の屋敷から城へと伸びる水道橋は二度の大戦を経て発展し続ける昨今の科学技術を前にすれば、およそ大時代的と言って過言ではないだろう。

記念碑としてではなく今なお現役とくれば、これはもう浪漫主義の(そし)りを免れることも難しい。城の聳えるより高い位置で堰止(せきと)められた大公家側の湖は、深い静謐を湛えている。時が止まったかのようなその様相は、見る人間に畏れを抱かせただろう。

―――もっとも、そんな畏れすら愉しむのが怪盗(アウトサイダー)の性というものであるが。

「うおっ!」

……そんな畏れすら愉しむのが泥棒稼業の性というものなのかもしれないが、暗く足元の見えない胸まで水に浸かった状態でいきなり足元に穴でもあろうものならば、さすがに驚きに声も上がるというものだった。

「あっぶねぇ…!」

ベルトで巻いたヘッドライトの灯りを頼りに全長およそ六〇〇mにわたる水道橋の内部をそろりそろりと進んでいく。

親爺の資料は外部まで。内部の資料はどこをひっくり返そうが探し回ろうがほんのひと摘まみ程度の情報も出来やしない。だもんで一切合切行き当たりばったりの出たとこ勝負。

あるいは恐ろしいという人間もいるかもしれないが、成功するならそれも楽しい。だがしかし、失費して追いかけられたとしても、そこから逃げ切れた瞬間というのはこれはこれでまた格別の味だ。

どちらであれ、今夜を楽しむ支度は整っていた。

口の端を歪め、ただ黙々と暗路を往く。

これが堪らないのだ。

 

016

ルパンが侵入に使った大公家側の入水口から水道橋を辿りカリオストロ城へ水を引入れる際、その端緒は水道橋から一段下がった位置になる。そのため、城内へ引入れるにあたっては水道橋の位置から瀑布(ばくふ)のような構造をとって城の下層へ水を落とすことによって成り立つことになる。

無論、それには一定の効果がある。引入量のコントロールと不純物の除去がそれである。そして、引入れた後は更に数多の歯車や滑車を活用し、あらゆる場所を経由して城内のいたる所で水の出口は枝葉を伸ばしていた。

一つは厨房であり、一つは噴水であり、一つは庭園への散水装置であり、その内の一つが使用量を越えた水を城外の湖へ逃がすための外郭水道橋である。

そして、そこに紛れ込んだ異物がどこに押し流されるのかは神のみぞ知ることである。

神ならぬ身にはいかんともしようがなく、彼の女神は今宵微笑まなかったのである。

 

017

三日月の嗤う夜に眠る庭園は静寂の海に沈んでいた。

水の回廊はその出口を一つに絞っていた。

だから――

 

「こいつぁ、やべぇな」

 放り出された視線の先を一瞥してルパンは笑う。

この仕事の醍醐味は失敗することもまた愉しいという事だ。スリルの為に全てを賭ける。

こういう夜を楽しめねぇんなら、そんな夜生きる値打ちもない。

――いい夜だぜ。

冷や汗を背に感じながら、唇を歪める。

堪らない、格別の快感だった。

 

018

手元のバースデーカード染みたそれには「今宵山羊の秘密を頂きに参上致します。 ルパン三世」

 

予告状の期日を読み、ジョドーは手抜かりなくグスタフへ教示した。このカリオストロへ挑戦するのだ。それ相応の矜持と覚悟、なにより実力を携えてくるに違いないと信じて。――だが。

 

――この鼠、教材にもなりませんでしたな。

 

ジョドーは嘆息し、次いで。

「やれ、逃すな」

教え子であるグスタフへ激励を投げた。

 

019

難攻不落のカリオストロ城(この城)への侵入それ自体は不可能ではない。事実、過去何人もの侵入者を許してきた歴史を持っている。

だがしかし。

 その真価は侵入させないことではない。

侵入者を逃がさないことと早期に見つけ出す事にこそ その真価はある。

そしてその真価は遺憾無く発揮されたのだ。

もっとも、今回は単に相手に運がなかった事が左右したこともまた事実であったが。

 

020

細かく枝分かれした支流の一つは散水園へ繋がっていた。広い庭園へ万遍なく散水するために引入れた水はまず噴水を模した結節園に出る。そこからさらに四方に伸びた路を辿って城郭を彩る庭園を巡ることになる。

 路は最終的に外郭水道橋を通り散水使用量を越えた水を逃がす。彼――ルパンは不運にも城内へ引入れる支線ではなく城郭へ回される支線へ出てしまったのである。

 

021

『カゲは動かさない』

城を守る衛士隊の教導作戦なのだから、これは規定事項だ。中世の頃より姿を変えないこの城は、ともすれば時代錯誤の誹りを受けることになるのかもしれない。

だがしかし、地上戦において他者を寄せ付けないという城塞としての機能において、この城はその権能を一片とたりとて返上してはいないのだ。少なくとも、侵入することは難しく、出来たとて即時見つけ逃がさない。この城こそはカリオストロという国そのものである。

先に起きた二度の大戦を経て科学技術は今迄に類を見ない速度で飛躍の一途を遂げている。この城にもつい先ごろ人感センサーなるものを取り付けた。今でこそ単なる実験扱いだが、恐らくこの先これらの技術がこの城を守る防壁の要になる事だろう。

それでも、最後の最後は人の力こそが全てだ。

だからこそ、衛士隊の教練はこの城の機能低下を防ぐ意味も含めて重要な課題だ。

カゲを司り、家令長を務め、世代交代をしたばかりの衛士隊の教導官をも兼任するジョドーの双肩には今カリオストロ城の防衛能力の全てが集約していた。

そして―――

 

022

先代から隊長職を引き継いで数ヶ月。未だジョドー氏に指揮をとって頂いている状況は忸怩たるものがある。

鼠一匹始末する、ほとんど演習じみた今回の作戦すら私は指揮をとらせて貰えなかった。

信用がないのではないだろう。

証拠に、ジョドー氏から「良いか、鼠発見までの指揮は私がとる。お前はそれをよく見て覚えろ。そして、見つけた後の後詰は貴様に任せる。安心しろ。責任はすべて私がとる。好きにやって見せろ」とのお言葉を頂いている。

「グスタフ隊長、鼠が現れたとの報告をジョドー指令より伝達! 〝やれ!〟 ――との事です」

「場所はどこか!」

「は、城内の庭園…外郭部、時計塔から見て右舷とのことです」

「各所に配置している小隊長へ伝令せよ。鼠狩りだ」

 

023

その光景はまるで暗幕に覆われた上映前の活動写真。

引き絞られた弓の如き三日月から漏れた月光が揺蕩う白雲を怪しく染める。

幽かに雲間から薄くのぞく月光は、はまさしく夜の光芒(こうぼう)と呼ぶに相応しい幻想的な情景を描いていた。

 

024

カリオストロ城の庭園は大公家の屋敷へと繋がる水道橋側に位置している。

ルパンが出たのはその中で最下部だった。

「居たぞ!逃すな!!」

そして、散水路へ至る前の散水園から庭園へ降りた瞬間、声が響いた。

「おわっと! なんでバレた!?」

何をする暇もなくサーチライトの閃光が闇を切り裂いて、壁から、庭園から、そして影をまとった彼の姿から夜のヴェールを剥ぎ取った。天頂を越えた三日月にかかった雲は、微かに吹き始めた風に酔い痴れ移動した。

空に怪しく黄金色(こがねいろ)の笑みが浮き、されど幽かたるその燐光は地上を照らさない。ただ、淡く宵の空に月の火の粉を滲ませるだけであり、滲みなど欠片もない光の導火線が錯綜する地上においてその儚さは火の粉の一振りすら振りかかりはしなかった。

それよりも、地上に描かれた閃光(ひかり)の導線の乱舞が今宵の華だった。

彼の行く先がまるで先読みされるかの如くことごとく一歩先を光が征く状況は、数々の修羅場をその場の機転とここ 一番の強運で潜り抜けてきた経験をして冷や汗ものだった。

「ッチキショー!なぁにどーぅなってんのよこれは!」

彼愛用の蔦の彫金の施された銀のワルサーが火を噴く間もない。

だが、闇を切り裂くライトだけならばともかく。庭園を抜け、外郭沿いの壁まで走ろうとしたタイミングで閃光の導線(サーチライト)に導かれてこの城に似合いの一層古風な兵装が火を噴き始めた。

(もり)だ。

音もなく無数の銛が飛来し、突き刺さっていく。

また、並行して銃弾がアクセントのように降る。

美しく刈られた芝生に、整然と積み上げられた石畳や城壁に、小気味良いタップ音を響かせる。

足運びは大胆にして精緻に、腕の振りは重心変化に合わせて変幻自在に。ルパンの逃走術が迫りくるそれらをいなすが――逃げの一足と攻めの一手の均衡は、しかしほどなくして崩れた。

射出された幾条かの銛がルパンの背に突き刺さったのだ。

外郭まであともう少しというタイミングだった。

あと一足二足。

それだけの距離が足りなかった。

指揮を執っていたグスタフはジョドーへの連絡を怠らなかった。

「どうしますか」

「湖へ落ちたのであれば放っておけ。とどめを刺す価値もない。それより、部下たちをよく労っておくように。

――あぁ、それと。今夜はご苦労だったな。素晴らしい指揮であったぞ、グスタフ」

短いながらの返答を受け、グスタフの口の端は笑みの形を浮かべていた。

「は! 今夜はご鞭撻のほどありがとうございました」

こうして、久々に稼働したカリオストロの城は再び眠りにつくのだった。

 この時の運用実績から人感センサーは本格採用され、さらに後年レーザー光線システムも導入されることになるのだが、それはまた別の物語である。

 

025

背に焼けた鉄杭でも刺されたのかと思う衝撃が走った。

それでもなんとか城壁から飛び降り、湖へ着水できたのはほとんど無意識だった。

目の前はかすみ、手足はかじかみ、何より急激な眠気が襲い掛かってきた。

どうにか岸に這い上がれたはいい。だが、もう身動きすら取れそうになかった。

(こいつぁ、やべぇ、なぁ……)

死力を尽くして銛を抜き、ウェットスーツを脱いだところでどうにもならず俺は意識を手放したらしい。

 

026

バウワウ!

「カール? どうしたのカール!」

おかしい。普段はとってもおとなしい優しい子なのに。

遠くでカールが強く呼んでる(吠えてる)

なんだろう?

心のおくが、なんだがざわざわした。

 

027

…ウ……ワウ

犬…か?

何かの吠える音でかすむ目を開くと、そこには黒い大型犬と桜色(ピンク)の服を着た女の子が不安げに俺のことを見ていた。

……どうやら、年貢の納め時が来やがったかな。

だが、その女の子は不安もあるだろう、怖くもあるだろうにパチクリと瞬きするとコップに水を入れて持ってきてくれた。

「お水…」

掠れた声で、震える手で。

水を飲ませてくれた少女に、俺は柄にもなく心からの感謝が口から漏れ出ていた。

「ありがとう」

飲ませてくれた手に、やけに大きな銀色のヤギの指輪があった。

なぜだか、それがとても目についた。

 

028

その後、どうにか体を引きずりつつ脱いだウェットスーツや侵入した際に持ち込んだバッグを回収し、這々(ほうほう)の体で街まで逃げ延びた。

そのまま宿まで戻ったが意外にも車も荷物もそのままだった。

「俺なんか手を下すまでもないってか」

ここまでくると完敗としか言いようがない。

いやはや参ったぜどうも。

だが、一番参ったのはチェックアウトして出ていくときに「あんまり無茶して舐めちゃだめですよ、ルパンさん(・・・・・)」とジェイミーちゃんから耳打ちされた事だった。

なぁにもかも掌の上ってか。

 

そんなわけで。

今回の事の顛末なんか書くまでもなく。

けちょんけちょんのこてんぱん。

舌を刺す苦味にも似た大変残念な仕事となったのだった。

 

029

さて。

そうは言ってもそれではいお仕舞というわけにもいかない。今回は親爺に世話になったからなぁ。

 

馴染みのバーの戸を開けるとドア・ベルが涼しい音を立てた。俺がいつも使う一番奥の席には、珍しいことに先客がいた。ハンチング帽を被った背の高い男だ。

雰囲気から同業者ってわけでもないらしい。

実に珍しいことだった。

 

「やあ、遅かったですね」

穏やかな中に芯のある人好きのする声色だった。

「へぇ、おっさん。俺の事を知ってンのかい?」

「ええ、昔からのファンなんですよ。いや、こちらを立つ前に会えて本当に良かった」

「そいつぁ良かった」

「ええ、本当に。 それじゃあ十三、縁があったらまた会おう」

「ああ、死ぬなよ。また会おう」

 

そう云って、そいつは片手をひらひらと振りながら出て行った。

「親爺、あのおっさん誰よ?」

「あいつか。あいつは俺の古い友人だ。」

「…って、親爺のか!?幾つだよあのおっさん!!」

「はっはっは。よく言われいるな。歳の割に若い男だからな」

 

「……まぁ、そのうち会えるだろうよ。そしたら聞いてみるといい。」

 

「じゃあ、いつかまた来ますね。それまでお互いお元気で」

「ああ、いつかまた会おう」

…親爺もあんな顔して笑うんだな。

「ああ、失礼」

狭い店内は大人二人すれ違うのもぎりぎりだ。お互いによけて、彼は出て行った。ドア・ベルの音が、心なしか寂し気な音色を奏でた。

「で? どうだったね、ベイビィ」

「そぉれがけちょんけちょん。尻尾巻いてよ、逃げっちった」

いやはやまったく。

酒でも飲まなけりゃやってられねぇよ。

「親爺グレンキース、あっか?」

「ああ、あるよ。……その様子じゃ、本気でけちょんけちょんだったみたいだな」

「よせやい。 まったく恥ずかしいったらないぜ」

 

勝利の美酒も酒は酒。

敗北の自棄酒も酒は酒。

時折苦味走るのも酒の醍醐味だ。

 

出来たら、次は勝利の美酒を舌の上で転がしたいもんだぜ。

 

 




あとがき

本作は2019年2月に発行されました「ルパン三世 カリオストロの城」公開40周年記念アンソロジー(ファン謹製)に寄稿させて頂いた作品の加筆修正バージョンになります。
往時、本文に反映しきれなかったり規定枚数に収めるために削ったりした部分を入れたりと、そこそこの改造具合となりました。

しかしながら、アンソロジーに掲載せて頂いたバージョンの方がスッキリとまとまっておりますし、何よりもページ捲りのタイミングもすべて考慮したうえで本文を制作してりますのでWeb掲載ではそのあたり諦めざるを得ないところがありますから、全文掌握という意味で言えばやはり冊子版に軍配が上がるのかな、とかなんとか。

そんな感じで、カリオストロの城の前日譚でした。
楽しんでいただけたら嬉しいなと思います。


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