寄稿文 『ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人』 E’s story (Lton)
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真・超サイヤ人の世界についての考察
ターレスは何故、惑星の意思に挑む面子に選ばれたのか?


第一話です。

これは初投稿から2020.07.31までに少し修正していたで、サルベージできた限りの文章です。

記憶を頼りに他に修正箇所が無いか見ていきます。
以下、当時の私の前書きになります。
―――――――――――――
ターレスが選ばれた理由の仮説を、ブゥがフリーザに説明する。 です。
まぁ、内容的に閑話みたいなものです。
どうぞ_φ(・_・


 ある日、フリーザが唐突に「なぜターレスさんだったんでしょうかね?」と言う。

 

「どういう意味だ」と問うセル。

 

(以下、ほぼ内容が会話である為、フリ:……で表現)

 

 

 

フリ:「いえ、ソンゴクウさん達の可能性から顕現させたのなら、あの時大した戦力にならず改心もしなかった彼より、惑星ベジータ限定ならナッパやラディッツの方がまだ良かったのではないかと。」

 

セル:「おいおい、それは流石に可哀想だろう。戦闘力に差がありすぎる。それに波動から技の重ねがけを得た奴は、孫悟空に10倍かめはめ波を引き出させる切欠を与えた。その位で十分だろう。」

 

フリ:「まぁエネルギーの取り扱いが上手いのは確かですが……、私にはソンゴクウさんならその内自力で出来たと思いますが?」

 

セル:「ふむ……(大した戦力にならない奴等に『惑星ベジータ』と頭を付けたという事は、『惑星サイヤ』の引き合いとして話す為か)。

 生者と死者の違いこそあれ、同族争いを200年も続けたのが惑星サイヤのサイヤ人だ。波動以外にも何かあったと考えれば、孫悟空はサイヤの人間と闘っていればその内できたはず。ベジットまで現れるからな。」

 

セル:「なぜわざわざ超サイヤ人にもなれない悪人のターレスを選んだのか、過去のサイヤの人間では駄目だったのか……。そう言いたい訳だな」

 

フリ:「話が早くて助かります。……ブゥさんなにか言いたいなら壁際ではなく近くでお願いしますよ。」

 

 

 ニヤニヤと笑っているブゥが、寄りかかっていた壁からフリーザ達の元に移動する。

 

ブゥ:「いやなに、また面白い話を始めた物だと思ってな。下手に神の知識を元に教えてもツマランだろう?」

 

フリ:「そばで小馬鹿にする方がいては、話も進められませんよ!簡潔にお願いします!」

 

ブゥ:「別に楽しんでいただけで馬鹿にはしていないのだが……、まぁいい。」

 

ブゥ:「まず、過去の惑星サイヤの人間を再現する事は出来ない。奴らは解けてサイヤの力となり、一部はリューベに滅殺されている。」

 

ブゥ:「直接リューベに殺された歴代のサイヤ王も同じだな。顕現の為に必要な情報、可能性を引き出すことができないのだ。」

 

ブゥ:「サイヤにはロックをかけられた上でリューベには抹消された魂だが、サイヤに回収されなかった思念達には、惑星サイヤに由来しない物の依り代になる力はあった。」

 

ブゥ:「200年かけてようやく、思念だけで3人の肉体を作りだす力が溜まったのだろう。その肉体に悟空達の可能性から引き出した魂を入れた。これが惑星ベジータの人間が選ばれた理由だ。」

 

 納得するセルと、続きを促すフリーザ。

 

ブゥ:「ではターレスを選んだ理由だが……、奴は元々惑星に強い、ただそれだけだろう。」

 

 怪訝そうなセルと、意味がわからないフリーザ。

 

ブゥ:「ターレスが戦闘力を上げる為に使った神精樹はな、既に禁止されたような物だが、星から命を吸い出すことで神の位階を上げる為の物だ。」

 

ブゥ:「使用目的の違いもあるが、人間では器が違いすぎて、吸い上げた命に対して戦闘力など上がらないのだよ。元気玉と比べれば一目瞭然だろう。」

 

 強さについては納得した顔のフリセル。

 

ブゥ:「純粋の魔人ブゥは地球人、ナメック星人、そして神の限界までの元気で倒された。この時界王神界の、惑星の元気は入っていなかったよ。」

 

ブゥ:「元気玉を受けたフリーザと、撃てるセルには言うまでもないが、惑星の元気は人間とは比べ物にならない。もし星の命を全て吸い上げる力を自ら持つ者がいるなら、そいつは間違いなく世界の敵だろう。」

 

(大界王神を取り込んでいるので、囚人編のモロを暗示しているが、フリーザ達に言う気はないブゥ。)

 

ブゥ:「さて、強さについてはターレスを馬鹿にしてしまったが、奴がしてきた『星喰い』という悪行が功を成した。」

 

ブゥ:「神精樹を使う事で、奴には『星の力を取り込む土壌』が出来ていたんだよ。」

 

セル:「!?つまりターレスは最後に弱った星の意思を連れださせる為に選ばれていたと言うのか!?」

 

驚くセルと、話が面白くなってきたと感じるフリーザ。

 

ブゥ:「それは最終的にそうなっただけだろう。

 思念達に選ばれた3人だが、再現時に惑星の意思に乗っ取られる危険性はあった。それを防ぐ為の空気の浄化に、まずターレスを再現して死者の都の気を取り込ませたんだ。」

 

ブゥ:「死者の都でターニッブに闘いを仕掛けた辺り、自覚はないが多少の影響はあったのだろうな。ターニッブが孫悟空の知り合いだとはいえ、都の説明をわざわざするお人好し相手には、ターレスならまず会話から付け入ろうとするだろう?」

 

ブゥ:「そこから戦闘では当然負けた訳だが……引き出した神精樹の実。そしてターニッブの『波動』によって、ターレス自身も都の浄化も終わったんだろう。あるいはそれすらも見越したうえで、ターニッブの近くで顕現させたのかもしれないな。だからブロリーとバーダックより先に蘇っていたのさ。」

 

ブゥ:「その後思念達が手を貸したのは、あっても勾玉発見だけだな。破壊神に天使に巫女までいる状況で、だれも勾玉を見つけられず、ターニッブとリューベの戦闘にも巻き込まれないようにしたんだ。」

 

ブゥ:「まぁ、リューベもターレスがどういう存在かを把握していたんじゃないか?だから悟空達と闘った後、奴を置いていったんだろう。」

 

フリ:「オーホホホホ!つまり!ターレスさんは死ぬに死に切れないサイヤのサイヤ人達とあの鬼に、野心を手助けされたから上手くいった! という訳ですか!」

 

 愉快愉快と笑うフリーザ。

 

セル:「そう言ってやるな、フリーザよ。奴の手に勾玉が渡らなければ、我らは復活出来なかった。」

 

 といいつつ、笑みをこぼすセル。

 

ブゥ:「一応これは私の仮説だという事を忘れるな。ターレスに手を貸したのは、善人が多い残留思念の、奴への詫びであり礼であったのかもしれん。」

 

ブゥ:「あるいは死者の都の意思でもあるサイヤと切り離された、原初の惑星サイヤの意思・オリジンサイヤが勾玉を外に出したかったからかもしれん。」

 

ブゥ:「いずれにせよ、ターレス一人の成功である可能性は、ほぼないだろうがな。」

 

 笑う3ボスから、盛大にくしゃみをするターレスで話が終わる。




こんな感じですね。
3ボスとターレスの関係好きが妄想する、惑星サイヤ編のターレス成功話でした。^^

―――――――――――――
当時の私のあとがきでした。

他の文章もこれから上げていく予定です。

よろしくお願いいたします。


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破壊神と天使は、その戦いをどう見たか。

今回は、ゴジータVSベジット後の破壊神組の様子で描いた考察です。

以前あった7割台詞や、他の本編の台詞についての話題ですので、これを読んで過去話を思い返していただけたらとても嬉しいです。 

それでは、どうぞ_φ(・_・


ーービルスの星にて

 

「それにしてもベジータの奴、良いタイミングで真に成れたもんだね。リューベと闘った後なら当然だろうけど。」

 

人間(ゴジータ)惑星(ベジット)の戦いを見届けたビルスの呟きに、ウィスが言葉を返した。

 

「あら、ビルス様気付いていらっしゃらなかったんですね。」

 

「ベジータさん、ここ(破壊神の星)で悟空さんと組手している時にはもう変身できていましたよ。」

 

「……はぁ!?」

 

言葉を理解するのに少し時間がかかってしまったビルスに、微笑んで説明する。

 

「恐らく悟空さんが界王星に瞬間移動する時を狙って変身していたんでしょう。

地球の皆さんにも気づかれないように、ほんの一瞬だけだったと思いますが。」

 

それを聞いたビルスは腕を静かに組み、少し睨みながら問い質す。

 

「……なんでお前は分かったの?」

 

ビルスは気づけなかった自分に腹を立てて不機嫌になっている、

その事を察し、ビルスの為に『分かって当然』のように明るく弾む声でウィスは答える。

 

「だって、お二人の変身していない時の気が、明らかに良くなってましたから。」

 

「一度途轍もない量を出したから通りが良くなった、とでも言いましょうか。」

 

「様子次第では修行内容を見直した方がいいかと思いまして。だからお二人に組手をしていただいたんです。」

 

「あぁ、ブルー同士での組手なんて随分珍しい事やるなとは思ったけど、そういう事だったの。」

 

浅く息を吐いた主を見て、静かな話し方に切り替えた。

 

「えぇ、おかげで悟空さんはブルーの変身負担も少し減っている事が分かりました。だから経緯を聞くつもりでしたが、その前にビルス様が聞いてくださいましたので。」

 

ありがとうございました、と軽く頭を下げるウィスを見て、鼻をならす。

 

「じゃあ、ベジータは自分の真を悟空が真になった時に見せようとしていたわけか。それで僕と組手する機会を無くしたから大人しかったんだ。」

 

いつもなら僕達の組手を見たらもっと悔しがるもんね、と少し意地悪そうに思い出し笑うビルスに、ウィスも続くが少し否定する。

 

「まぁ、悟空さんの言う通り『真をもったいぶっていた』のでしょうね。」

 

「ですがベジータさんには決して、悪い事ばかりではありませんよ。」

 

ビルスが口を結ぶ。

 

「ベジータさんは頭で考える方ですから、私の推察に悟空さんの2回目の真を見て、その運用方法を組み立てていたのでしょう。」

 

「ベジットに新しい技(ファイナルシャインアタック)を放った時のようなー」

ウィスに手を突きだし、言葉を止めさせる。

台詞を奪う形でビルスも話はじめた。

 

「真による一撃で決められる技での勝利。変身に慣れていないなら、ベジット相手に単独で勝てる手はそれしかない。」

 

「手を抜いて大体7割のブルーのベジット相手に悟空はできなかった。フルパワーを相手にベジータは一手撃てた。」

 

「真に力の差は関係なくなるとは言え、ベジットも二回目の対真・超サイヤ人だ。ベジータは真の使い方で悟空の上を取ったんだね。」

 

「ええ、その通りです。ベジータさんのお望み通り、感覚で先を行く悟空さんとの真による戦いも、この星で見てみたかったですねぇ。」

 

「そりゃ悪かったね。でも悟空も渋ってたし、そもそもやってもベジット戦ほどにはならないさ。第一そんなことしたら、お前が僕の星を直す手間が増えてただろう?」

 

「あら!私の心配をして下さるんですか!ビルス様にしては珍しい。」

 

―そこは『これは一本取られたました!』って言うと思ったのに―

苦虫を噛んだような顔になるビルス。

 

「違うわ!昼寝の時間までにお前がちゃんと直すか不安なだけだ!!」

 

その言葉を聞いても楽しそうに笑うウィスに、ビルスは不貞腐れずにはいられない。

 

このままだとまた寝所に行ってしまうので、ウィスは話題を戻すことにした。

 

「しかし、この星でベジータさんの真が悟空さんに確認されなかったのは、本当に良かったのかもしれません。」

 

ビルスも、不快な気持ちを押さえて話を聞く。

 

「ベジットはお二人が揃っていないと成立しない存在。片方しか知らない情報というのは、合体している以上あり得ない。」

 

「だから、あのベジットは真・超サイヤ人という変身を知らない存在にしかできなかった。逆説的に、悟空さんが真に成ったターニッブさんとの戦いの記録も、彼に反映される事は無かった。」

 

それを聞き、何かに気づいた顔をするビルス。

 

「そういえばブロリーには反応してたけど、ターニッブには特別なかったよね。惑星の意思ならあっても良さそうなのに。」

 

「惑星の意思にとっても、ターニッブさんは『ただのサイヤ人』だったんでしょうね。だから、知らないベジットにとってもそうでしかなかった。」

 

「……ふーん、まぁリューベなんて最高の奴がいるなら致し方ない所もあるけど。あのターニッブにまで?……自分の惑星の住人を認めないのは感心しないな。」

 

何かを見通したかのような眼をするビルスを、静かにウィスは見つめる。

 

「惑星の意思は完璧にベジットでしたからね。だからこそ、ベジータさんが真になった時に『驚いた』なんて言うべきではありませんでした。」

 

「悟空さんもとっくにベジータさんが真に変身できる事に気付いていたのにも関わらず漏れたあの言葉は、お二人に『このベジットは今現在の自分達の合体ではない』と悟らせるには十分すぎます。」

 

「惑星の意思は人間同士の『信頼』に負けた事に、果たして次までに気付けるのでしょうかね。」

 

「さぁね、次に惑星がなるやつ次第じゃない。…………ん?おいウィス。」

 

惑星の意思が自分で気付く可能性は無い――とほのめかして表した主人が、その格式高さを急に潜めた事に疑問符を浮かべる。

 

「はい?どうされました?」

 

プライドを刺激するような事は言っていないはず、と会話を思い出すウィスだが……。

 

「今お前悟空はベジータが真に変身できる事が分かってたって言ったけど、それって何時だ?」

 

「……この星で組手しているときには、恐らく。」

 

しまった、そこからまたこの話題に戻ってしまうのか。

これではまた不貞寝しに行ってしまうかもーと予想するウィスだが、ビルスは驚きも怒りもせず、普通に聞き返した。

 

「ふ~ん。……一応聞くけど根拠は?」

 

「……リューベが去った時、ベジータさんは『エネルギー切れから真で決める作戦』だったのにと悔しがっていましたが、悟空さんは発言に驚いていませんでした。」

 

「つまり真を作戦に組み込める状態であるような、私と同じ予測(隠れて変身)を既にしていたから、戦いをお譲りしたのかと思いまして。」

 

「ふ~ん。」

 

予想と全く違うビルスの反応に、無言になるウィス。

 

しばし場が静かになるが、腕を組んだビルスがポツリと呟いた。

 

「ベジータが知ったら悟空殺されそうだね。」

 

「あらー。」

 

悟空さん達の贔屓が良いほうに出てくれた、ウィスはそう思うことにするのであった。

 

 

 

……なお、破壊神と天使には知られないことだが、夢の世界にてこの事がばれてしまう。

その際の二人の様子は……

 

「カカロットーーー!!!」

 

「わーー!うぁーーーー!?!」

 

大体予想通りである。



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ベジータはなぜ超サイヤ人3にならないのか? 前編

幕間風―真考察の話なのですが、かなり長くなってしまったので、前後編に分けて送らせていただきます。

改稿するかもしれませんが、とりあえずできた前編になります。

この回はほぼギャグなので、気軽に笑っていただけたら幸いです。
尚この話では、超(アニメ・漫画)・GT・ヒーローズ・レジェンズのネタを入れております。

前編ではGTとヒーローズですね。

ザマス編でベジータが言っていた「死に物狂い」と、その修行の方向性が決まるのは後半からになります。

それではどうぞ_φ(・_・


 これは、とある日の地球―――ミスターサタンが娘夫婦に贈った豪邸に、サイヤ人の妻たちが子供を連れて集まっていた時の事である。

 

「ーぅわっ?!」

 

 茶会によく合うのどかな昼過ぎの陽気の中、軽く吹いた風にビーデルが小さく悲鳴を上げた。チチが心配して声をかけ、パンを見ていたブルマも顔を向けると、体を竦ませている彼女の姿が見える。

 

「っー、すいません大丈夫です。今すごい気を感じて驚いちゃって。」

 

「何よあいつら。今日は大したことしないって言ってたくせに、また戦ってんの?」

 

「んだなぁ。」

 

 呆れるブルマとチチに、慌ててビーデルが所見を述べた。

 

「えっと、たぶん違うと思います。これは……超サイヤ人に変身しているだけじゃないかと。」

 

「え?変身してるのに戦ってないの?」

 

「はい。さっきまでは、悟飯君が最近やってる変身の反復練習みたいに断続的に気が届いていたんです。だから、てっきり4人で変身の特訓をしているのかと思ってたんですけど……。」

 

「じゃあ何に驚いたべさ?」

 

 その問いに口を詰まらせたビーデルだったが、自分を見つめる2対の目には抗えず言い淀みながら答えを発した。

 

「その……静かになったと思ったら突然ベジータさんの大きな気が届いて……それもなんか怒っているみたいで……。」

 

 何かあったんでしょうか?と心配そうに言葉が続いたが、ブルマには心当たりがあったようだ。力を抜くように軽く答えた彼女の言葉には少しばかり呆れの感情が入っていた。

 

「あぁ、なら大丈夫よ。孫君かブロリーになんか言われちゃっただけだと思うわ。」

 

「悟空さならいつもの事だが、ブロリーさんもけ?」

 

「それがねー、ベジータったら今妙に上機嫌なのよ。元々あの2人が来てから嬉しそうだったんだけど、その後なんかあったみたい。」

 

「で、ブロリーがそれに納得してない感じだったの。まったく、せっかく地球に来てくれたんだから気持ち良く過ごして欲しいってのに、あの人ったらもう……。」

 

「どこも嬉しいのは(おんな)じだべ。うちも悟天ちゃんも悟空さも喜んでるだ。こないだ孫悟飯老(おじいさま)の家を掃除しに行った時もなぁ、お義父さまと色々話してたみてぇだ。」

 

「そうね。うちも毎日トランクスがはしゃいでるわ。……そっかー。孫君、悟飯おじいさんの事でも話したのかしら?」

 

 ブルマが占いババの試練を、チチは結婚式前の事件を、それぞれの思い出話を交えながら会話は続く。

 

 さて、この時3夫人は気づかなかったが、冒頭の文章を覚えている方は恐らくこう考えている事だろう。

 

 ―――修行中の4人の気を感じる中で、なぜトランクスと悟天の反応が無いのか?ビーデルが驚いたベジータの気を、あの2人はいったいどこで感じているのか?―――と。

 

 その答えは、今談笑する3夫人から離れた場所で、むしろ悟空達のいる場所の近くで木に引っかかっているゴテンクスがいると言えば大体分かるであろう。

 だが、ベジータに何があったのかを説明する為に時を巻き戻してみよう。

 

◇◇◇◇◇◇

 

―――少し前、悟空の畑近くの山にて

 

「はぁーーーーー!」

 

 超サイヤ人2の悟空が力をため込んでいる。筋肉が震え、顔に青筋を立てるその姿はかなり辛そうだ。

 

「ーーーーぐっ!……っく、うっ、だーもう無理だー!」

 

 悲鳴を上げると同時に気が爆発し、悟空が超サイヤ人3になる。息をついた彼のそばには、惑星サイヤで再会した父親のバーダックが同じく3状態で直立していた。

 

「っち、やっぱダメか。悔しいが今一番“基本の超サイヤ人の引き上げ”に近いのは王子か。」

 

 悔しそうに顔を横に向けると、そこには長い緑金髪の大男の前で高笑うベジータの姿があった。

 

「はーっはっはっは!どうしたブロリー!さしもの伝説様ではエネルギー制御もままならなかったか!」

 

「……」

 

 ―岩に叩きつけたい―と思っているのかは分からないが、ブロリーに反応は無い。

 

 事実、超サイヤ人3が金色(通常)ではなく緑金(伝説)になっている以上、彼はまだまだ制御面での課題が多い身なのだ。だから金髪で青白い電撃を纏っているベジータに返せる言葉が無いのである。

 

 “超サイヤ人2で超サイヤ人3の力を出している”ベジータには。

 

「……」

 

 だがその現状にバーダックは納得できない。何故か受け入れている自分の息子に、ベジータを睨みながら小声で話しかけた。

 

「……おいカカロット、お前本当にあれの成り方知らねぇのか?」

 

「父ちゃん……。あれ未来のオラも出来なかった位、すげぇ難しい変身だぞ。」

 

「超サイヤ人4になったカカロットもか?」

 

 驚くバーダックに悟空が頷いて答える。そこから紡がれたのは魔人ブゥとの闘いの後の、地獄にいたバーダックでは知りえない話であった。

 

「あっちのベジータが超サイヤ人3になったのは、パンとブラが生まれてからだ。3を慣らした後おらと勝負したけど、その時はおらが勝ったんだ。」

 

「その後しばらくしてからまた勝負したけど、その時にはもうベジータはあの変身になっててよ。おら全力で戦ったけど負けちまった。「俺は俺で力を得た」って、ベジータは宣言してたよ。」

 

「ほーぅ。」

 

 流石サイヤ人の王子だと感心する父を見て、気分がよくなった悟空は更に未来のライバルの事を語りだした。

 

「まぁそれもあって(ベビー)に狙われたアイツには苦労したけど、あの変身のおかげで4の制御も早かったんだろうな。」

 

「ベジータならすぐ超サイヤ人4になれるとは思ってたけど、まさか初めてなった超サイヤ人4のフルパワーを、慣れてたおらに負けねぇレベルで使いこなせちまうとはな。やっぱすげぇや、あいつ。」

 

「流石にそこは少し悔しがれ。」

 

 誇らしげに笑う息子にそんな言葉が届く訳がないと判断したバーダックは、先程の会話の中にあった事柄で一つ知らない事を尋ねた。

 

「ところでブラって誰だ?」

 

「あぁ、ベジータとブルマの娘だ。」

 

「は?」

 

「つってもおらも詳しく今は知らないんだけどな。」

 

「向こうのおらの記憶はあるはずなんだけど、『すぐにこっちでも起こるかもしれない未来は、この世界で起きてからじゃないと引き出せないのかも』って、プリカは言ってたからな。」

 

「未来の事ではっきり思い出せるのは、赤い神龍が弟子の修行を終えたおらを子供にしちまってからだな。」

 

「あーでもパンの顔は出てくんのに、弟子の名前も顔も出てこねぇんだよなー。戦ってる時の事は分かるのに!やっぱおらが弟子をとるってのがまだ分かんねぇからかなー?」

 

 未来が楽しみだなーと、強面(超サイヤ人3)ながら朗らかに笑う孫悟空は、バーダックが対照的に強面(超サイヤ人3)をさらに凶悪にしている事に気づかない。

 

 ベジータとブロリーの方へ歩き出すバーダック。

 悟空が声をかけるが背を向けたまま止まらず進み、すぐにベジータの――もう一度ブロリーに変身を見せようと力を込めている――後ろに着いた。

 

「ーーーなんだバーダック!集中の邪魔だぞ下がれ!」

「王子、あんた惑星サイヤじゃ超サイヤ人3になれなかったんだな。」

「 」

 

 ベジータの気が解けた。

 変身する力は抜けたが、そのままの体勢で固まっている。

 

 悟空もまた、自分がやらかした事に気が付き固まった。だが、悟空はバーダックがなぜ怒ったのかは理解できていなかった。

 

 バーダックは……『別の世界の自分の功績で傲るな』と、ベジータに対して言い様のない衝動に駆られてしまったのだ。

 

 仮にこの世界のベジータが悟空同様、元々超サイヤ人3に成れていたか、または夢の世界での超サイヤ人4と戦闘力を得る為の激しい闘いを聞いていたならば。もしくは……悟空があまりにも嬉しそうに“未来のベジータ”の事を話さなければ、このような行動は取らなかっただろう。

 それが息子の好敵手に対する親の感情なのか、サイヤ人の王族への敬仰であるのかはバーダック自身にも分からない。

 

 だからこそ衝動のまま、彼は口を開こうとした。

 すると予期せぬことが起きた。

 

「待てバーダック。気持ちは分かるが別段言うほどの事ではないぞ。」

 

 なんと、ブロリーが止めに入ったのである。

 

「!お前が一番文句あるんじゃねぇのか?」

 

「……まぁ無くもないが、3になる前に(ゴッド)を得たなら()()()()()必要ないだろう。」

 

「あ?ゴッド?」

 

「……カカロット~。」

 

 バーダックに説明していない事を名前を呼んで責めるブロリーに対して、硬直の解けた悟空は平素と変わらないように返事を返した。

 

「ぁ、あー……ブルーの前にも変身があるって位なら、おらも話したぞ?」

 

「……それしか話してないのか?」

 

「あぁ。父ちゃんがなるなら(ゴッド)より黄金の大猿だろ?なら今は(ゴッド)の事は考えず、大猿(そっち)に集中した方が良い。それにこれからの修行の為に大猿の事とか、オラが父ちゃんに聞きたい事とかも色々あったからな。」

 

 ブロリーは浅いため息を深い意味を込めてついた。

 

 だが大猿の修行を取った理由はバーダックに対しても、現状に対しても理屈が通っていた。

 そして恐らく無自覚に大猿と分けて話したのだろう。聞きたいと言った色々の中身を(家族の事情だと)察してしまったブロリーは、仕切り直して説明する事にした。

 

「簡単に言うぞ。超サイヤ人ゴッドは神の気を放つようになる変身だ。3より強化倍率が上、思考も冴える上に、体力の消耗が少ないそうだ。」

 

「ゴッドは名前に超サイヤ人とあるが、恐らく俺達サイヤ人にとっては大猿が近い。ノーマル状態を変更していると見ておけ。だからそれぞれにとっての超サイヤ人は、黄金大猿とブルーになる。」

 

「なるほど。3の上の神に、大猿の4と神のブルー……これが『変身のベクトルの違い』ってことか。」

 

ーーー(静かに頷く)。だから超サイヤ人の引き上げ修行もある今、平行してやるならベクトル変更を学ぶ(ゴッド)より、ノーマルは違うが同じ“超化”の黄金大猿一択しかないという事だ。」

 

 納得するバーダックを見て、悟空もその説明に続く。

 

「ついでに言うと、ターニッブは4の事を『黄金大猿2なんじゃねぇか?』って言ってたぞ。向こうのおら達は鍛えてたからすぐ4になっちまったけど、『理性があっても黄金大猿にしかなれない段階があるかも?』ってな。」

 

 平行世界の自分たちの修行を振り返りながら、軽く悟空が告げる。

 

「おら達も相当苦労してゴッドとブルーになったかんな。尻尾と理性があって超サイヤ人になれるだけで、すぐ『超サイヤ人4』になれるとは思えねぇ。」

 

「まぁ父ちゃんは真・超サイヤ人と統合した可能性があるから大丈夫だろ!」

 

「はっ!とっととなってやるから覚悟しとけ、ガキ共!」

 

 決意とともに怒りを込めているバーダックに、なぜまた怒るのかを悟空が聞く。

 

「決まってるだろ。今4になれねぇ事と、今までその話を知らなかった事だ。」

 

「ったく、サイヤでおめぇらがぐーすか寝てる間にターニッブの野郎と知識も確認し合ってたとはな。知らずに王子の3に怒った俺が馬鹿みてぇだ。」

 

「確認っつっても、ちょっと戦いの反省した時のついでだぞ……。あれ?そう言えばそん時別に3の話してねぇよな?なんでブロリー、ベジータが3になれねぇって知ってたんだ?」

 

「あぁ、ブルマとトランクスから聞いた。」

 

「 」

 

 ―さて、ここでもう一度場面を思い出してほしい。

 

 一連の会話は、バーダックがベジータに文句を言おうとした事から始まっている。

 ベジータの正面には、変身を見せる為にブロリーがいた。そしてそのベジータの背後にバーダックが立ち、そのバーダックの近くに悟空が来たのだ。

 

 つまりベジータは、会話に参加していないにも関わらず、ずっと中心で話を聞いていたのである。

 

 自分がなっていない超サイヤ人3状態の3人の話を、ずっと黙って。

 

「   …………――――――――――――ッ!!」

 

 我々にとっては当たり前だが――3人にとっては突如として気が爆発し、視界を砂埃と電撃が埋め尽くした。

 

 その爆風と轟音は、驚かせて飛び入ろうと画策し、此処にこっそり近づいていた誰かを吹き飛ばし、その悲鳴を掻き消した。

 

 しばしの静寂の後、そこには超サイヤ人3のベジータが立っていた。

 

 はてさて、妻への言葉に反して戦闘が始まってしまうのだろうか?

 そしてゴテンクスは見つけてもらえるのだろうか?

 

 中編へ続く。




いかがでしたか?
後半(中編に変わりました)ではきちんとベジータに対するフォローが入ります。

フォローというより、『ベジータが3にならないのは当たり前』というような感じですね。
ブロリーの台詞の傍点を回収します。

前回書かせていただいた夢の世界のお話にも触れておりますので、お楽しみに。^^

P.S
今回、傍点・ルビ振りを使って書いたのですが、メッセージでも反映されているのかな……?

反映されていないときは、お手数ですが小説投稿機能にコピー&ペーストでお願いいたします。m(_ _)m

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悟空が謝るシーンを訂正。理屈があってした事ならあまり慌てないし、冷静に返すだろう。だから知識のあるブロリーが悟空の言い分を補完する形で説明するようにした。


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ベジータはなぜ超サイヤ人3にならないのか? 中編

当時の前書きをそのまま載せているので、時系列がおかしい事をご了承ください。m(_ _)m

――――――――――――

皆様お久しぶりです。
前回のお話は楽しんでいただけたでしょうか?

長くなったので、まだ後編ではなく中編です。m(_ _)m

今更ですがちゃんと説明しますと、これは『惑星サイヤ編』直後の地球でのお話です。
ザマス編でベジータが言っていた「死に物狂い」に着目し、その超化修行の一幕として書いております。

超(アニメ・漫画)・GT・ヒーローズ・レジェンズのネタについては、原作と違和感ないよう考えた個人的解釈も入っておりますのでご注意ください。

それではどうぞ_φ(・_・


 惑星サイヤの戦いを終えた悟空達4人は、真・超サイヤ人に更に向かい合うべく修行を開始した。

 

 その第一歩として、ターニッブのように基本の超サイヤ人の力を高めようと各々が挑戦するが、ベジータ以外中々成果が出ない。

 

 そんな時、ベジータが超サイヤ人3になれなかったと、悟空によってバーダックにバレてしまう。

 

 呆然と黙っていたベジータだったが、ブロリーの発言に我に帰り、超サイヤ人3へと変身するのであった。

 

◇◇◇◇◇◇

 

 荒ぶる気の音が周囲を満たしている。しかし轟音は、その気を発した男の声によって切り裂かれた。

 

「――――――おい、これでいいか?バーダック。」

「……お、おぅ。」

 

「カカロット、後で戦え、3でだ。いいな?」

「えっ、いや……うん、わかった。」

 

「……ブロリー。言いたい文句を言え、無くもないんだろう?」

「お前……何に怒っているんだ?」

 

『!!?!』

 

 ロクな受け答えが出来なかった悟空とバーダックだったが、ブロリーの買い言葉には身の危険から即座に構えをとった。

しかし、2人の予想に反し ベジータは動かない。

 

 実の所、見かけほど今のベジータは怒っていなかったのだ。

 

 聞きづてならず つい超サイヤ人3に変身したが、変身で多少怒りを発散させた結果、冷静さを取り戻したようだ。

 

 状況を考えたベジータは、このまま勝負を仕掛け『3で3に勝つ』という 未来の自分が結果として放棄した事をやり遂げる事で、怒りを鎮めようとしていた。

 勿論怒りの原因(カカロット)とは戦えるよう、かつ妻の怒りの道連れにして。

 

 おかげで更に余裕ができたベジータは、仮にブロリーに勝負を買う気があるならと、かつての彼の台詞を追想しながら声を掛けていた。

 

 しかし……そんな期待は見事に空回りした。

 ブロリーの冷静な声はまるで『怒りを鎮めろ』と諭しているようで―――悟空と似て非なる話し方に聞こえ、ベジータは一瞬黙ってしまう。

 

「……いいから早く言え。」

 

「カカロットはお前を褒めていたら流れで話しただけだぞ。」

 

「…………」

 

……(浅いため息)俺の場合もトランクスとブルマの話を聞いて()()()()事だが?」

 

「……何?」

 

 完全に頭が冷えた。

 悟空達の話が聞こえていた事も驚き(流石泣き声で憎しみを抱いた男、耳がいい)だが、感心したとはどういう事だろうか?

 

 ベジータが気を収めると、ブロリーはそもそもの原因である 先程の悟空の説明に異議を唱えた。

 

「カカロット。さっきベジータが『2で3を出せるのは未来の奴のおかげ』だと言ったが、それはこの世界のベジータの力の間違いだろう?」

 

「「え?」」

 

 二人分の声が上がる。

 無理もない。そんな自覚も認識も、今まであったことが無いはずなのだから。

 予想外の返事に目を少し大きく開いたブロリーは、認識の差を埋める為にある出来事について語りだした。

 

「地球に来て4日目か。お前が出ている時に『また俺の超サイヤ人が見たい』とトランクスに頼まれてな。別に構わなかったが……歓迎の宴会ではバーダックと一緒に基本の超サイヤ人にしか変身しなかっただろぅ。だから、()()()()()()()()()()()()()()()()()()。強がってはいたが怯えられたなぁ。」

 

「おい」

 

「最後まで聞け。よく分からんが俺にはあれが必要だった。元の世界では色々あった所為か、あいつに期待されるとどこかがむず痒くて適わなかった。だがあれ以来そんなものは無い。答えなくていいが、お前なら分かるんじゃないかベジータ?」

 

「……」

 

「それからすぐ騒ぎを聞きつけたブルマが来て、不法侵入者として叱られた。変身を見ていないから無理もないなぁ。すぐ誤解は解けたが、俺を眺めて呟いたんだ。『なんか3より恐そうな変身だ(変身ね)だが(でも)お前(ベジータ)が3に変身できたら、その位迫力がありそうだ(でるのかしら)。』と。だから、俺はあそこでお前が変身できんと知った。」

 

「……」

 

「その時は確かに怒りも湧いたが、それもすぐトランクスがブルマに言った言葉で霧散した。」

 

「?」

 

「お前……、ビルスにブルマが叩かれた怒りで『超サイヤ人2で3のカカロット並みに強く』なったんだろう?トランクスは『お前(パパ)に3は必要ないから大丈夫』『お前(パパ)は2で十分な位、強くて格好いい親父だ(カッコいいんだ!)』と自慢していたぞ。ブルマも『愛を感じた』と惚気ていたな。」

 

「だからあの力はこの世界のお前の実力で、超サイヤ人3に()()()なる必要が無いだろう?……違うのか?」

 

 そのように、ブロリーはこの世界のベジータを認めていた事を明かしたのである。

 

 だが2人はそれぞれの理由で思わず呟いた。

 

「「…………違う(ちげぇ)。」」

 

『あん時のベジータは3の力を引き()()()んじゃねぇ。あれは……2の力を3並みに引き()()()んだ!なんてこった、ターニッブの超サイヤ人と同じなのは未来の方じゃねぇ!あん時の方だ!』

 

 先程まで“超サイヤ人2で超サイヤ人3の力を出していた”ベジータは、身体を2のままに 感じる気は3に変化させいた。

 が、地球でビルスと戦うベジータを見た時は、間違いなく超サイヤ人2のままだった。

 

 超サイヤ人のまま、出力を上げたターニッブと同じく。

 

 観察していた側として変身を思い出し、『違う』と判断する悟空。

 

『どういうことだ?あの時の変身した感覚なら覚えている……あれは確かに2だった!違うことがあるとしたら、精々怒りで全身が震えそうだった位だぞ?!しかもあの時点で戦えている!』

 

 確かにビルスが来た時には、自分の2は3を鍛えていたカカロットよりも練度が上回っただろう。基本戦闘力が同じ今ならば、2同士の戦いなら必ず勝つという自負もある。

 

 だがそれでも、なぜ3のカカロットができなかったという『ビルスに一撃を入れる事』が、2の自分にできたのか。その力を出せる時間も短く、カカロットは畑仕事で鈍っていた事もあるため、そこに注目していなかった。

 そして超サイヤ人ゴッドと変身した理由()に気を取られ、あの時の変身を完全に見落としていた。

 

 未来の自身の変身は、3の感覚を2の身体で出せるレベルに基礎を鍛え上げ、相応に戦う為には慣れも必要だった。

 

 体感した側として変身を思い出し、『違う』と判断するベジータ。

 

◇◇◇◇◇◇

 

 尚、二人は知らない事だが、『基本の超サイヤ人の身体で2の気を出していた』かもしれないサイヤ人は、他の世界では見た目上(髪型とスパーク)存在している。

 それはサイヤ人の身体を奪った神や、神具で誕生した女合体戦士であり……、

 

 また同じく、『超サイヤ人2の力を3並みに引き上げた』かもしれないサイヤ人として、ベジータの平行世界の息子も上げられるが……真相は定かではない。

 

◇◇◇◇◇◇

 

 一方、思考の海に潜ってしまった二人をそのままに、バーダックがブロリーに先程の事を訊ねた。

 

「おい。今の内に聞いておかねぇと忘れそうだから聞くが、結局何の文句があったんだ?」

 

「あぁ……『ターニッブを少し見習え』と思っただけだ。文句とも言えんな。」

 

 唐突に出た武闘家の名に訝しむバーダックに、続けてブロリーは驚くべきことを伝えた。

 

「夢の世界で奴は早々に自己申告したんだ。『基本の超サイヤ人になれない。時間も惜しいからコツを教えてほしい』とな。」

 

 絶句するバーダック姿に無理もないと思いながら、ターニッブらしい理由を教える。

 

「そもそも奴の変身は最初から真・超サイヤ人だ。基本の超サイヤ人には『なった事はあるが真の時間切れの影響』で、『安定形態だと分かっていたが回復するとなれなかった』らしい。

 だからカカロットに教えてもらうまで『基本形態だと考えた事も無かった』そうだ。……そもそも奴は真・超サイヤ人を『嫌っていた』と言えば分かるだろう?」

 

「……たしかに野郎は好きじゃねぇだろうな。惑星ベジータでも大猿は控えたい奴はいたし、侵略に行かねぇ作業員は大猿になった事がねぇのもいたが……だとしてもあいつの場合程があるだろうが、ったく。」

 

「ほぅ。大猿を醜いやら制御ができないやらで避けるサイヤ人がいたのは聞いていたが、未経験の者が居たとは初耳だ。エリート思考の親父からでは絶対に聞けんな。」

 

—――(鼻で笑う)。で?ターニッブはどのくらいかけて超サイヤ人になったんだ?」

 

「流石ターニッブだ、助言一つで直ぐにできたぞ。なんせカカロットがベジータから逃げてる間に、ずいぶん静かに変身した位だからな。」

 

「はぁ?」

 

 説明したい気もするブロリーだったが、悟空の親父に教えるのはベジータに良いと思えない。思い出し笑いながら話を濁す。

 

「あれはなぁ……、くっくっく、原因はベジータにもあるが、カカロットが悪い。あれは怒る。」

 

「しかし……、あの鬼ごっこに呆けてターニッブがいつ変身したのかも分からんとは……。俺の感知能力も未熟だな。」

 

 この言葉に、沈潜していた二人の思考が一気に浮上した。

 

「「ブロリー!!!」」

 

「へぁっ?!」

 

 突然大声を出した2人に驚くブロリー。気にも留めず、3のブロリーに詰め寄る3の二人だが……はっきり言って『酷い絵面』だ。

 話についていけないバーダックは、思わず変身を解いて少し離れてしまった。

 

「お前あん時ターニッブの隣にいたよな!なのに分からなかったのか?!」

 

「4のお前も一緒にいただろう!だが気づけなかったんだな!?」

 

「……おい、その通りだが言い方を考えろ。特にカカロット、喧嘩売ってるようにしか聞こえぬ……!」

 

「わ、わりぃ……。でも、コレが大事な事なんだよ!」

 

「ブロリー。ターニッブが変身する前か後、変身の感覚について何か言っていなかったか?あるなら何でも良い!思い出せ!」

 

「………………。」

 

◇◇◇◇◇◇

 

-夢の世界:ブロリーの回想

 

 ターニッブが変身できないと聞いた時、まだ奴との闘いを控えたかった俺とカカロットは指南役を辞退した。

 ならばとベジータが闘って教えようとしていたはずなのだが、なぜか口論が始まっていた。

 

『真剣勝負になるに決まってるから、これで闘う順番の約束は終わったな。』

 

『ふざけるな!これを数に入れてたまるか!』

 

そこから更にカカロットがベジータを怒らせたので、鬼ごっこが始まった。

 

『貴様よく俺に勿体ぶるだのなんだのと言えたな!!』

 

『ちゃんと気づいたのはサイヤに着いてからさ!おめぇなら絶対真に変身してるとは思ってたけどー!それに逆の立場だったらオラも勿体ぶったってー!』

 

 未来のカカロットは呆れ笑い、未来のベジータは過去の若さに恥じていたようだが、奴らは奴らを止めに行かなかった。それだけじゃない、その内それぞれ自分を応援し始めていた。

 

『あらぁ……。うん、この頃のオラこんな感じだったな。』

 

『ああ、この頃のお前は余計なことを言ってよく俺を怒らせていたな。……客観的にこんな姿を見させられる羽目になるとは……。』

 

『……んだよ、これでもオラ反省したから前より喋べるように頑張ってたんだぞ?セルん時の悟飯の事とか、ブゥの時のお前の事とかさ。』

 

『……ふん、要らない事ばかり話す上にタイミングが最悪だ馬鹿め。できたのは精々じじぃらしく惚ける事位だろう。』

 

『へへ、悪いな。』

 

『だが孫と俺に直接話に来ただけ、最後はましになった事にしてやる。』

 

……(軽い笑み)

 

――(軽い笑み)、おい何時まで掛ける気だ!とっととその能天気な面に一発かませ!!』

 

『あ!ずりぃぞ、ベジータ!』

 

 ……奴らは、俺に聞かれていたと思っていないだろう。

 

 だが俺は……、俺達には(未来の俺にも)コイツらが何をやっているのかが分からなかった。

 その俺に、ターニッブはこう言った。

 

『悟空もベジータも我慢強いな。俺は超サイヤ人は例外だが、得た強さを友に示す機会をもったいぶるなんて、とてもできないそうにない。』

 

 その言葉にも呆れたが、放置されているはずの奴はとても穏やかに笑っていた。

 

 あぁ……カカロットとベジータは友だから今闘うことになったのかと……何となく分かってしまった。

 これは仕方がない事で、ならば気が済むまで奴らが止まることは無いのだと理解させられた。だから俺は……した事がないから拙なかっただろうが、言葉で変身を教える事にした。

 

『背中?……闘いで背に強打でも受けたら解けたりしないのか?』

 

 なるほど、面白い考えだと思った。真にしか変身した事がない奴はそういう風に捉えるのかと。

 

 確かに変身にスイッチがあるとするなら、基本の超サイヤ人は背で、真・超サイヤ人は全身だと言える。超サイヤ人になれれば真にもなれると俺たちが思うのはそういう理由だ。全身で同じ感覚をすればいい。

 

 ……もっとも感覚だけでは絶対になれぬがな。変身できる者にとって、体だけならその程度なのだ。

 奴には俺なりの考えで原理を説明した。

 

『カカロット達のように気を抑えていればあるかもしれんが、闘っている最中なら無いな。』

 

『それに大猿も似た理屈だ。尻尾が無ければ成れんし、切れなければ解けぬ。超サイヤ人を解くための背への攻撃など、当たれば死ぬだけだぁ。』

 

『……そうか。』

 

 そう言うと、ターニッブは力を抜いて目を閉じた。

 そのまま見守るつもりだったが、かめはめ波とギャリック砲が放たれ そちらに目線を上げてしまった。

 

 拮抗状態は10秒程続き、互角だった技は消滅した。

 奴らが乱打戦に移るのを見張った俺が視線を戻すと……ターニッブは体勢をそのままに、既に超サイヤ人に変身していた。

 

 余りに静かな変身と巧みな制御に驚きながら声をかけると、奴は目をゆっくり開き……

 

『……どうやら力を入れ過ぎていたようだ。ありがとうブロリー。』

 

 そう答えて、カカロットとベジータを呼びに行くのだった。

 

◇◇◇◇◇◇

 

「―これぐらいしか心当たりは無いな。」

 

 実際のブロリーの説明は回想よりもっと少ない。だがベジータは何かを掴んだようだ。

 

「―――カカロット。ターニッブのやり方で超サイヤ人になれ。」

 

 ベジータが手短に命じるが、悟空も何かが分かったらしく 悔しそうに答えた。

 

「……わりぃ、おらにはまだなれる気がしねぇ。」

 

「なれなくてもいい、だが試せ!貴様が最も近いはずだ。俺はもう一度ビルスの時の変身をする。」

 

「……分かった。」

 

 ブロリーとバーダックが見守る中、黒髪に戻った二人がそれぞれ変身を試みる。程なくして、ベジータが『3並みに力を引き上げた』超サイヤ人2になった。

 

『……やはり維持は難しくないが、これ以上の引き上げもできそうにない。だがあの時より力も戦える時間も格段に上がっている。これは真の恩恵か。』

 

 ブロリーとバーダックも、ベジータの変身がさっきと今で気が異なる(3と2)事を静かに感じとる。

 

「…………、やっぱりダメだな。」

 

 だが悟空は上手くいかなかった。確かに背中以外にも変身の感覚が奔るが、一向に変身できる気配がない。

 すっぱりと変身を止めた悟空を、ベジータが睨みつける。

 

()()()()()()()()成れるかもしれねぇけど……先に父ちゃん達に説明しようぜ?」

 

 そう言う悟空に、ベジータは力を抜く事で無言のまま了承するのであった。

 

 後編へ続く。




お読みいただき、ありがとうございます。m(_ _)m

夢の世界についてのブロリーの回想が長くなったので、もう1話続きます。
必要な部分以外ごっそり削除して最後まで書く事も考えましたが、この話は結論話にするよりも「ブロリーの話」にする事にしました。
ゴテンクスの事は忘れていないので ご安心ください。^ ^

今は色々と大変な時期ですが、皆さんの安全を祈っています。

解釈の簡単な説明。
◆超サイヤ人のパワー引き上げ。
A:1で2の気を出す 漫画ゴクウブラック・アニメケフラ
B:2を3級に高める 漫画トランクス・超漫画アニメベジータ(神と神の修正版とみなす)

そしてGTベジータを、Aと同様の『2で3の気を出す』としております。

GTベジータにヒーローズで3がある事、ベビーに最強の肉体として狙われる事、後GTベジータに精神的余裕がかなりあるので、『自分のやり方』で既に力を得た事があり、悟空にもそれで勝った事があるようにしました。

Bでも良かったのですが、GT悟空が取得してない事と、超は『2や3には無駄が多い』と気づく世界で、後編で真とも絡めた内容にもしたいので、本筋では天使と会わないだろうGTはAとしました。

◆悟空のおしゃべり
超アニメの悟空の私なりのフォローでもありますが、『悟空は原作の心情のすれ違いを反省して以前より喋るようにしたが、良い話方がわからず結果惚けるような言い方を多くしているのではないか』、としました。

映画ブロリーにて言葉の意味をベジータに聞く場面は、敵に容赦のないベジータの殺伐とした雰囲気を散らそうとしているのでは?と映画館で考えたりしました。

アニメの描写ミスだとしても超から悟空とベジータは喋る機会が格段に増えてますので、原作の最終回とGTになるまでにベジータは悟空の『まぁいっか』に慣れる位に対話をしたと見てください。

ここから悟空がウーブと修行しに武闘会を棄権したり、GTベビー戦後の勝負が悟空の空腹で流れても、笑えるベジータへと繋がっていくのでしょう。

◆ブロリーの耳の良さ
真での精神面の成長具合を考えてそうしたオリジナルです。泣き声を屈辱と捉えた人なので、そこまで違和感は無かったと思います。

夢の世界で悟空達から『友人』『ライバル』を学ぶけど、直接習うのではなく自力で観察して、としたかった。

地球では『家族』や『武術』や『平和』等を学んでいて、『武術』がまだ途中だから、ターニッブがベジータと修行しに来た時は会わないように外出していたのかな?と、想像しています。

――――――――――――
本日:8月2日の掲載はここまでです。

元の寄稿文集を読んでいた方はお分かりだと思いますが、後編は今書き途中で、一旦執筆から離れていたのでリハビリがてら 考察も兼ねた別小説をカンナムさんの『寄せ書き集』で載せていただいておりました。

これからはここの後編と、あの文章の続きを載せていこうと思いますので、それまでお待ちください。
そしてご興味がおありの方には、ぜひ活動報告をお読みいただきたく思います。

それでは。m(_ _)m


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GT世界と真・超サイヤ人
二人の少女


日付が変わりましたので、カンナムさんの『寄せ書き集』で載せていただいていた最後の文を送ります。

これの続きは今書いています。
それでは当時の前書きです。

―――――――――――――

えーと、ただ今回温めすぎて自分なりに章というか、更新待ちでドキドキさせたいような展開がいくつかできてしまったので、①の話はいつもの寄稿文程ではないけど、ストーリー風に小出しにしていこうかと思います。<(_ _)>

勉強で執筆から離れていたから、書き方が鈍っていないといいのですが(汗)

それでは、どうぞ_φ(・_・


GTの世界側にて

 

エイジ790 悟空が去ってから少し経った地球

「真・超サイヤ人?」

 

そんな変身が本当にあるのか?と問う声に、紫肌の青年ーフューが明るく応える。

 

「疑り深いなぁ。今は信じないと君一人じゃどうにもならない状況なのは分かってるんでしょ?」

 

サイヤ人の王子様、と揶揄するフューに対して、ベジータは表情を変えない。

子供の台詞に怒る気は無い、という事なのか。

清潔だが寝所用ではないベッドから立ち上がり、ドアの方へ向かって行く。

 

「……いいだろう。それが嘘でも本当でもなってやるさ。4にも あの青いのにも勝てる姿にな!」

 

平和になったはずの地球は、邪悪龍が現れていた時のような不穏な空に覆われている。

 

町には人っ子1人見当たらない。

 

「……おじいちゃん。……どうしたらいいの。」

 

そんな世界の何処かの場所で、されていた会話である。

 

 

その数日後

 

遠くに小さな町が見える、どこかの野原に金色に光る円球が現れ、その中から少女が二人降り立った。

 

片や身軽な10歳位のストレートな黒髪の少女。

ミニ丈のワンピースにレギンスを履いている。

 

片やリュックを背負った、10代後半のボーイッシュな黒髪の少女。

半袖のセーラー服に、格闘用の防具を腕に付けた、アンバランスだが様になった格好だ。

 

「ふーん、此処が惑星サイヤが無いっていう別の世界の地球かー。なんか変な空ねー。」

 

「重力は変わらないみたいだけど、世界が違うとやっぱり星の造りとかも違うのかしら?ねー、ロッサムおねえちゃん!」

 

10歳位の背丈の少女の呼びかけに、ロッサムと呼ばれた少女は答えない。

困惑気味に空を見上げている。

 

「ちょっと!返事位してよ!」

 

「!あっ、ごめん!ブ」

 

ギロッ!

 

「あ……シャロット、ちゃん……」

 

シャロットと呼ばれた少女がニッコリ笑みを見せるのに対し、呼んだ方は軽くため息をつく。

 

「で、どうしたの?」

 

「あぁ……。なんか私たち、地球が危ない時に来ちゃったかもしれない。」

 

「えっ」

 

途端に慌てだすシャロット。

 

「ちょっとどういう事よ!?死者の都は使う人が行きたい場所に繋がるものだから、危ない目にはそうそう合わないんじゃなかったの?!」

 

「時と場合によるよ。……というか、冒険したいからって付いてきて、私が入ろうとした扉の隣に入りたいって言ったの、シャロットちゃんじゃない。」

 

「だって本当にこっちがいい気がしたんだもの!」

 

「じゃあ君が関わりたいと思うような何かが、此処で起きているのかもしれないね。」

 

「え?」

 

ロッサムはそう言うとシャロットに荷物を頼み、西の都に向かって走っていた。

 

「……返事も聞かずに か弱い乙女を置いていく~?……っていうか、急いでるんならせめて飛んでいきなさいよー!」

 

―西の都

そんな二人の様子が映し出された画面をベビーが見つめている。

 

「フューの想定より早すぎる来客(タイムパトローラー)かと思えば、これは想定外だったな。」

 

何かを考えるベビーに後ろから声がかかる。

 

「いかがなさいますかベビー様?相手は少女一人、俺だけで殺しに行くのも悪い手ではないと思いますが。」

 

物騒な言い分に、抗議の声が上がる。

 

「えー?どっちもかわいい女の子だし、捕まえるだけでいいじゃん!」

 

「口を慎め悟天。両方とも俺達ツフル人には憎きサイヤ人だぞ。」

 

「えっ!ハイスクール行ってる位の子は分かるけど、このパンちゃん位の子もそうなの?よく分かったね、トランクス!」

 

「……見れば分かるだろう、こいつは」

 

悟天に教えようと動いていたトランクスの口は、ベビーが机を叩きつける音に止められた。

 

「……。」

 

「……作戦は変わらない。孫悟空亡き後のお前たちの実力を見る為にも、大きい方を二人で殺しに行け。残りの一人は奴に任せる。相手が女だろうが、サイヤ人なら全力以上で殺せ。分かったな?」

 

「はい!」「……はーい。」

 

作戦を実行する為 外に出ていく二人を、忌々しそうに睨むベビー。

つぶれると思える程、拳と歯に力を入れる。

 

『ザマスめ……!俺の力を奪いやがって!』

 

『……だが奴も今となっては、憎きサイヤ人の一人。元よりサイヤ人を滅ぼすことに変わりはない。惑星サイヤ出身者を殺す理由が一つ増えただけだ。』

 

力をほどいたベビーは、モニターに映るロッサムを見つめて不敵に笑う。

 

「お手並み拝見といこうじゃないか、惑星サイヤのサイヤ人。その殺気に溢れた同族相手に、やれる物なら武闘家の闘いをやってみるがいい。」

 

モニターに映る、西の都―CC社に向かうサイヤ人の少女を、嘲り笑うベビーだった。




はい、まだ隠している事が多くて何が何やらですが、とりあえず今回はここまでです。

内容はもう決まっているので、たぶん続きはすぐ書けるでしょう。

今明かせる限りの情報をちょっと書きます。

―――――――――――――

・ロッサムの名前ついて(1)
名前でモロばれですが、彼女が私なりに考えたストリートファイターのさくらです。

彼女は、今は消えちゃったけど、前にキャラクター案出した人の物を読まなかったら、このようにはならなかったでしょう。

あの方の案読んで、もうちょっとなんとかならないのかと、色々考えたらこうなりました。(笑)

名前の由来はブロッサム:blossom なので、
野菜じゃない!となるでしょうか、実はちゃんと関係があるように考えてそうしました。

それはこの後の妄想のネタバレになるので、一旦置かせてください。

・シャロットについて
性別が違うのでお分かりだと思いますが、レジェンズの主人公の彼とは関係ありません。

そして正体を隠しているけど、原作キャラです。

ヒントはもうでてるので正体は分かるかもですが、この偽名は超のアニメネタから取りました。

容姿についても正体を明かす際に説明を入れるので、それまでお待ちください。

それでは。m(_ _)m


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惑星サイヤのサイヤ人

皆さんどうも。m(_ _)m

自分なりにサイヤ人化したさくらとGTの話を書いております、Ltonです。

実はこのお話、元々皆さんにお見せしてよいと考えていませんでした。
(だって自分で新しい登場人物を考えてしまった物だし……)
でも第一話を見たカンナムさんから『大丈夫』との言葉をいただいたので、腹括って続きを書く事に決めた!という経緯がありました。

だからこそ、第一話掲載から1週間後の 突然の退会に本当に混乱したのですが…今はこれを書ききるよう頑張ります!

(8/23 後書きに絵を追加しました。)

それでは、どうぞ_φ(・_・


―数日前、どこかの場所

 

「それじゃあ、惑星サイヤについて説明するね!」

 

肩で息をするベジータ相手に、フューが明るく声をかけている。

 

一時休憩だろうか?

重力室のような場で、サイヤの姫巫女が悟空とベジータに話した事を語る。

 

「待て。銀河パトロールすら知っていたその惑星サイヤの情報は、なぜフリーザ軍に流れてこなかった?」

 

フューを信用していない、という事の現れだろう。

鋭く質問するベジータだが、疑われているフューにとってそんな物はどこ吹く風だ。

 

「あぁ簡単だよ。惑星サイヤはサイヤ人達が外に出て、()()()()()()()()接触するまで誰にも見つけられなかったからだよ。」

 

「何?」

 

訳知り顔で応えるフュー。

 

「簡単に言うと、惑星サイヤは結界を張っていたんだよ。外からは何も無いように見せつつ、不幸にも結界に入ってしまった人間は外に出る事も通信も出来なくなる『監獄』をね。」

 

「君には『魔の海域』って言ったほうが分かりやすいかな?そこに入ると船が行方不明になるっていうアレ。地球にも確かー、なんとかトライアングルってあったよねー?」

 

地球暮らし故の知識を訊ねるフューに対し、やはりベジータは答えない。

 

やれやれと肩を竦めたフューは、タブレット型端末に目を向けながら続きを話す。

 

「『魔の海域化』を解除したのは孫悟空とベジータが会ったサイヤ王の先々代で、銀河王に接見したのは王子だった先代だよ。だけどまだ惑星に問題は山積みだし、もう滅んでたけど君達惑星ベジータによるサイヤ人の悪評も強かったからね。」

 

「惑星サイヤのサイヤ人を見定めたい銀河王と、外への接触は慎重にしたいサイヤ王の利害が噛み合って、公的な宣伝はしなかったみたいだ。」

 

「フリーザが倒されて軍の衰退が始まってからは、正体を明かして少しずつ交易とか銀河パトロールへの協力とかやってたみたいだけど、小規模な地方限定さ。」

 

「まぁジュード王の頃には親密な関係が築いてるんだから、次世代への繋ぎ方は上手かったんじゃないの?」

 

その言葉に―――ベジータの目つきが変わった。

 

だがそれは、フューがまたベジータに話しかけた時にはいつも通りの顔に戻っていた為、誰にも気づかれる事はなかった。

 

 

 

―現在、西の都

 

地球人には追いきれないスピードで西の都に到着した少女―ロッサムはかかとに踏ん張りを効かせ、大通りの真ん中で止まった。

 

「よっ!ーと。………………誰かいませんかー?」

 

周囲を見回して叫ぶが、当然返事はない。

 

声は何にも邪魔される事なく、通りを抜けていく。

ロッサムは寂しさと不安を感じながら、シャロットと分かれた事を後悔した。

 

『まずいなぁ……。巻き込まない為にあの子のこと置いてきたのに……私もしかして、悪の本拠地に来ちゃった?』

 

西の都で唯一感じるブルマの気から、説明を聞く事やZ戦士と合流できる事態で無い事を察するが、ここまで来たら進むしかない。

 

荒らされた様子の無い都の、普段なら通れる筈がない車道の真ん中を進む。

 

『街に誰もいないのにブルマさんの気だけ感じるなんておかしいし……、まさか人質にでもされて』

 

突然ロッサムが前方に跳躍した。

 

さっきまで足を着けていた車道が爆裂するが、それは彼女の脚力によってではない。

 

背後から足元に迫っていた気弾が地面に着弾したからだ。

巻き起こる爆風と煙の、避けなければ頭があった位置を薄紫色の気弾が貫く。

 

片足を回転させ着地したロッサムは、右足に力を入れて 左足を後ろに振り上げた。

 

「ーっ!」

 

振り下ろされた左足は狙い通り気弾に当たり、そのままサッカーのシュートのように蹴りあがる。

 

再び白煙を突っ切り、向こう側へと消える気弾。

 

ロッサムの耳に、誰かに当たって弾かれた気弾がビルを壊す音が届いた。

 

煙が晴れていく。

 

そこには地上に構えを緩めた笑顔の悟天と、空中に険しい顔で力を入れているトランクスがいた。

 

「トランクスさんに悟天さん!? でも今の気弾ピンク……えっ?!」

 

思わぬ人物の登場に一人慌てるロッサムに対し、悟天とトランクスも二人で会話を始める。

 

「すごい子だなぁ!トランクスー、大丈夫だったー?」

 

「自分の攻撃が効くものか。それより悟天、どうして頭を狙わなかった?その所為でタイミングがズレて反撃されたじゃないか。」

 

トランクスが空中にいる為そこそこの大声でされる会話は、困惑するロッサムの所までよく届いた。

 

「え~、だって……やっぱり女の子だしさぁ。」

 

「はぁ……そんなんだから姪になめられるんだぞ、()()()()

 

「!」

 

流石に怒る悟天と呆れるトランクスに、ロッサムは更に困惑をする。

 

『なんだろう……悟天さんもおかしいけど、トランクスさんはもっとおかしい気がする……。』

 

『さっきは初対面の私に凄い殺意を向けてたのに、悟天さんと話しているとそれを忘れている、みたいな?』

 

ロッサムがどんなに気を確かめても、それはトランクスと悟天だった。

 

なればこそ注意すべきは、物騒な会話の内容ではなく相手そのものだ。

 

「もー!そんなに言うんなら手本を見せてくれよ!手本を!可愛い女の子相手に戦うトコをさー!」

 

「……いいのか?それじゃあ遠慮なく、俺だけで殺してやるよ……!」

 

またトランクスに殺意が戻った。

肌をビリビリと刺してくる憎悪に、少女の身体が震える。

 

「……」

 

『怖がってる……。これじゃだめだ……すぐに終わる。』

 

着地し超サイヤ人に変身したトランクスが、無数の光弾を放った。

 

先程気づかせないために加減された弾より速度も威力もある。

 

動かない少女をそれでも確実に殺すための攻撃は、建物にもたれかかる悟天の視界から少女の姿を覆い隠した。

 

少女の殺す事になぜか(にが)みを感じる悟天は、顔をそらし目を閉じた。

 

「―――ぐぁっ!」

 

「!」

 

だが爆音の直後、その目は聞きなれた声によって開かれた。

 

トランクスを防御越しに吹き飛ばす少女の姿が映る。

 

「っ、くっ!」

 

地面を擦りながら着地したトランクスは、忌々しさよりも信じられないものを見る目で少女と相対する。

 

彼女がしたことは実に単純、ただ前に走り、その推進力を両の手掌から気とともに叩き込んだだけである。

 

『こいつ、何考えてるんだ?!被弾覚悟で突撃なんて素人でもやらないぞ!?』

 

と思ってしまった自身の考えを、トランクスは既に半分程否定していた。

 

確かにこんな序盤の、悟天もいる中で被弾しながら攻めるなど戦い方は素人だろう。

 

だが変身したトランクスの攻撃を受けても止まらなかった肉体の強さがある。

 

つまりこの少女の実力は―――

 

「萌芽掌」

 

「!」

 

少女が声を出した。

 

「本当は、いまさら始まった勝負にこういうのはどうかと思うんですけど、言わせてもらいます。」

 

「私はロッサム!よろしくお願いします!」

 

握った右手を左手に一度叩き入れ名乗りを上げた少女は、気合いを入れて一気に闘気を放つ。

 

全身に纏われる青白い炎のようなオーラこそ、サイヤが生みし波動の力。

 

「……すごい。超サイヤ人でもないのに、変身した僕たちより気がある……!」

 

「少しの差だ!さっきのダメージもある!戦い方次第で十分勝てる!」

 

純粋に見入る悟天と奮起するトランクスは、やっとロッサムを見て気が付いた。

 

相手は一人だ。―――それがどうした?

 

しかも少女である。―――それがどうした。

 

そしてサイヤ人である。―――それがどうした!

 

闘いに笑い相手を見据えるその姿は、よく知る誰かと似たモノだと。

 

「……」

 

笑顔でまっすぐな目を向け対峙するロッサムに、トランクスの殺意が薄れ冷静な闘志が宿る。

 

斜に構え、体の前後に両掌を出し前傾姿勢をとるトランクス。

 

対するロッサムは右拳を胸の前に、斜に構えて左拳を脇に添える。

 

「行きますよー!!」

 

そして、ロッサムの掛け声とともに二つの拳が互いの中央でぶつかり合う。

 

凄まじい衝撃波を放つ戦いが、今始まった。

 




はい、今回はここまでです。

ここから本格的な戦闘シーン……、手元に残ってるカンナムさんの文を見ながら頑張ります!

お盆中に続きだしたいなぁ。

―――――――――――――
出せなかったので代わりではないですが、ばんどうさんに倣って仮の物ですが、私もイメージ画を描いてみました。


【挿絵表示】


え?横になんか変なのがいる?
……今は気にしないでください。気の迷いで変えるかもしれないから。ヽ(゚ ゚_)♪

―――――――――――――

これからのお話のネタバレにならない解説。
・銀河パトロールが接触
本来の文脈なら『パトロールに接触』又は『パトロールと接触』なのですが、惑星サイヤであるが故に () としています。
このGTのお話では出さないと思いますが、ヒントは惑星サイヤには誰が居て、銀河パトロールには誰の子供がいるかです。

・薄紫色の気弾
ベビー自身の気や洗脳された人の気弾はゼノバース:紫、アニメ:ピンク、ヒーローズ:中間位?なので、地の文はカンナムさんに倣い紫にしましたが、ロッサムにはピンクに見えるとしています。


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