バカとクズと召喚獣 (スピリタス3世)
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オリキャラ設定

 最初のうちは主人公だけを覚えておけば大丈夫です。主人公以外のキャラは逐次投入されて勝手に目立つと思うので。

 ちなみにリメイク前を知ってる人にとっては登場人物がだいぶ変わっていることが分かります。そのためリメイクとは言ってもかなり物語が変わります。またリメイク前を知らない人は知らなくても大丈夫です。


8/18追記

 もはやここまで変えるのならいっそ主人公の名前まで変えた方が紛らわしくない、と思って変えました。それに伴い兄2人も変わってます。


雲雀丘昂哉(ひばりがおかたかや) CV.石田彰

 

 本作の主人公。身長182cm、体重70kg。茶髪。文月学園2年Fクラスに通う男子生徒。文月学園を代表するクズ。4月2日生まれの20歳だが老け顔のせいでそれ以上の年齢だと勘違いされる事が多い。しかも雰囲気が胡散臭い。かなりの酒好きでいつも水筒になんらかの酒を入れて学校に持ってきている。また時々麻雀やパチスロを打つために学校を休む。

 

 5つ上に兄の力哉、3つ上に兄の克哉がいる。両親は海外勤務で基本家に居ない。また3つ下で同級生の幼馴染みに木下姉弟がいる。

 

 文月学園には3浪の末入学した。3浪といっても中学卒業後は親には内緒で高校受験をせず、自身の老け顔を活かして兄である力哉や克哉の名義で居酒屋、雀荘、風俗、パチスロ店に通ったりとほとんどを遊んで過ごしていた。だがある日優子経由で親に高校に行ってないのがバレて怒られ、仕方なく文月学園に通うことにした。

 

 かなり破天荒で自由な性格で、友達を男子だろうが女子だろうが関係なく雑に扱う。また時々アウトローな手段を取ろうとする。そのため問題行動が多く、未成年飲酒などの理由から何度か停学にはなってるものの、成績だけは優秀なため観察処分者にならずにすんでいる。基本的にクズな言動が多く、勧悪懲悪をモットーにしているが、コミュ力がまあまああるためそれなりに友達はいる。ただ、「色んな女と遊びたい!」という願望から恋人は自ら作らない主義である。

 

 勉強が得意な反面、元々運動神経は悪かったが、20歳になってから更に悪くなりつつある。たまに優子から逃げるときに火事場の馬鹿力を発揮する事がある。また本人は否定しているが、少しビールっ腹である。

 

 

《主要メンバーとの関係》

 

明久 バカとクズのコンビ

雄二 外道コンビ

土屋 風俗情報提供⇔盗撮写真提供

秀吉 幼馴染み。昂哉にとっての天使。

島田 ほぼ面識なし→友達

姫路 一年の頃からクラスが同じ&友達

優子 幼馴染み。昂哉にとっての悪魔。

 

 

 

赤田敏夫(あかだとしお) CV.大塚芳忠

 

 2年Aクラスに所属する生徒。身長161cm、体重49kg。75歳。白髪混じりのハゲ。女子高生と合法的にお付き合いしたい、という理由で文月学園に入学してきたジジイ。浮気性が激しく、過去に3回結婚して3回とも離婚している。そのため、「浮気はバレないようにやれ。」といつも言っている。また、保健体育の実技において経験人数1000人超えという快挙(怪挙)を成し遂げている。あと、年寄りなだけあって金はめちゃくちゃ持っている。

 

 

家角亜成(けつのあなる) CV.中村悠一

 

 物理の教師。身長173cm、体重71kg。2年Fクラス副担任。28歳。黒髪、低音のイケボ、真面目そうな雰囲気と良い先生っぽく見えるが文月学園随一の糞教師。お気に入りの生徒には優しく接して採点を甘くするが、そうでない生徒に対してはキツく当たり採点を厳しくする。また常に自身の評価の事ばかり考えている。生徒からのあだ名はケツ。姫路はお気に入りだが、昂哉・明久・雄二の事は嫌っている。

 

 

雲雀丘力哉(ひばりがおかりきや) CV.安元洋貴

 

 昂哉と克哉の兄。身長180cm、体重70kg。昂哉の5つ上、明久達の8つ上である。黒髪。かなりの酒好きで酔っ払ってはすぐにパンイチや全裸になる癖がある。また昂哉に酒、雀荘、風俗、パチスロを教えた張本人の1人である。実はバイセクシャルであり、風俗は通常のものだけでなくウリ専(ゲイ用)のものにも通い詰めている。夏川(常夏コンビの坊主の方)が好き。また明久が好き。

 

 

雲雀丘克哉(ひばりがおかかつや) CV.小西克幸

 

 昂哉の兄で力哉の弟。身長183cm、体重74kg。昂哉の3つ上、明久達の6つ上である。金髪。かなりの酒好きで酔っ払ってはすぐにパンイチや全裸になる癖がある。また昂哉に酒、雀荘、風俗、パチスロを教えた張本人の1人である。実はバイセクシャルであり、風俗は通常のものだけでなくウリ専(ゲイ用)のものにも通い詰めている。常村(常夏コンビのモヒカンの方)が好き。また明久が好き。

 

 

蕨千華(わらびちか)  CV.東山奈央

 

 3年Aクラス所属。身長162cm、体重48kg。5月2日生まれで初登場の時点で20歳になっている。タバコが好きでどこでも吸っている。見た目はかなり良いが性格がかなり悪い。というのも、イケメン以外眼中にない上、思った事をズバズバ言う上にその大半が毒舌や悪口だからである。ちなみに今の一推しは久保利光。昂哉からは名前をもじって『ビッ千華』と呼ばれる事がある。後に明久や雄二からも呼ばれるようになる。

 

 実は昂哉の中学の頃の同級生である。ファンクラブがあった程人気だった昂哉の中学時代だが、彼女はアンチ昂哉だった。また現役で入った高校を2年生のときに度重なる校則違反により退学させられており、その後文月学園に入学した。文月は試験校で罰が緩いとの事から気に入ってる。

  

 

高天原大門(たかまがはらだいもん) CV.関智一

 

 昂哉の中学の頃の後輩。身長170cm、体重61kg。銀髪。文月学園3年Aクラス所属で3年の学年首席(高城雅春は次席)。かなりのイケメンだが声に威圧感がある。物語開始時点では交換留学中のため日本にいない。

 

 

・雲雀丘友哉《ひばりがおかともや》 CV.藤原啓治

 

 昂哉たちの父親。52歳。ぶりっ子。

 

 

・雲雀丘恵《ひばりがおかめぐみ》 CV.茅野愛衣

 

 昂哉たちの母親。52歳。頭のネジがどっか飛んでる。




 ざっと登場人物はこんな感じですね。ちなみに各CV.の選定理由は次の通りです。

・昂哉(石田)→雰囲気が胡散臭い。チャラい。自由人っぽい。
・赤田(大塚芳忠)→爺さん声。
・家角(中村)→低音イケボで真面目な雰囲気から。
・兄2人(安元&小西)→ぐらんぶるの先輩2人。
・蕨千華(なおぼう)→咲-Saki-の新子憧と見た目や口調が近い。チャラい感じのイメージの声(東山さんすいません)。
・高天原(関智一)→低くて威圧感のある声(PSYCHO-PASSの狡噛や鬼滅の不死川実弥みたいな)。
・昂哉父(藤原啓治)→お父さんボイスが似合うから。
・昂哉母(茅野愛衣)→お母さんボイスが似合うから。


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第一章  第一次試召戦争
第一問   初登校


 主人公は勉強だけは出来るという設定なのでバカテストが作れませんでした。なので代わりにバカテスと同じ作者が書いた、ぐらんぶるのアニメ版注意書きを改造したものを載せておきます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 俺がこの文月学園に3浪の末入学してから二度目の春が訪れた。まあ3浪といっても中学卒業後は兄の名義で雀荘、パチンコ屋、居酒屋、風俗巡りをしてただけなんだけどね。そうしてたら優子経由で親にバラされて脅されたから仕方なく通ってるのさ!全くあの女め、俺から自由を奪いやがって!許さねえかんな‼︎

 

 そしてなんといっても、春休み中に20歳になったおかげでいよいよ学校で合法的に酒が飲めるぜ‼︎今までは陰でコソコソと飲むしかなかったからね!バレて期限付きの停学になったことも何度かあったけど、そんなのはもう過去の話だ‼︎‼︎いやっふぉぉぉぉ〜‼︎

 

 水筒にビールを入れた俺はスキップをしながら校門をくぐると、俺はある男に声をかけられた。

 

鉄人「おい雲雀丘。」

 

 コイツの名前は西村先生こと鉄人。190cm並みの高身長にムキムキの身体。そしておまけに堅物。まさに鉄のような男だ。だから俺はこう呼んでるんだよね。

 

昂哉「ああ鉄人か!おはようございます!」

鉄人「鉄人じゃなくて西村先生と呼べ。それより学校は今日からじゃなくて昨日からのはずだが……。一体お前は昨日何をやってたんだ?」

 

 あ〜。一応新学期は昨日からだったんだよね〜。

 

昂哉「とても大切な用事があって休まざるを得なかったんです!」

鉄人「なんだそれは?」

昂哉「昨日は7日ですよね?」

鉄人「まあそうだが。」

昂哉「7日は駅前のパチンコ屋が熱いんです‼︎」

 

 そんな熱い日に稼ぎに行かない手はないよね!学校もどうせ始業式だけだからいても意味ないし!

 

鉄人「貴様には学校から全店舗出禁にしてもらうよう連絡する必要があるな。」

昂哉「そんな〜、酷いですよ‼︎人の趣味を潰そうだなんて!」

鉄人「学校よりも趣味を優先する奴がいてたまるか。まあ俺も優しいからな。反省文程度で済ませてやろう。」

昂哉「ありがとうございます!」

 

 やった!文章書くだけでこれからもパチンコを打てるんだから書かない手はないよね!それに俺は勉強は得意だからそれくらいの文章なんてすぐに書けちゃうんだよね〜。

 

鉄人「まあいい、そんなお前にプレゼントだ。受け取れ。」

昂哉「Wow!さてさて、どんなものでしょうね〜?」

 

 賄賂だったりして〜。そう思って封筒を開けると、中には一切れの紙が入っていた。

 

 

 

雲雀丘昂哉  Fクラス

 

 

 

 でしょうね。クラス決めの振り分け試験休んだんだし。

 

鉄人「一応言っておくが一番上がAクラスで一番下がFクラスだぞ。」

昂哉「分かってますよ〜!俺は体調不良で休みだったんで‼︎」

鉄人「一応聞いておくがどんな体調不良だ?お前はAクラスに行けるレベルだったはずだぞ。」

 

 いけるどころか学年一桁に入るくらいなんだけどね。

 

昂哉「なんか頭が痛くて〜、嘔吐が止まらなくて〜、胃が変な感じでした‼︎」

 

 試験は酷い二日酔いで休みました!試験前日に兄貴たちと飲んでたからね‼︎仕方ないよね‼︎お酒がこの世に存在してるのが悪い‼︎

 

鉄人「雲雀丘、今だから言うがな、俺はお前を去年一年見て、もしかするとお前はクズなんじゃないかと疑っていたんだ。」

昂哉「それは大きな間違いですね‼︎今に鉄人から節穴ってあだ名にされますよ♪」

鉄人「あぁ。試験や昨日の欠席理由を聞いて先生は自分の間違いに気が付いたよ。」

昂哉「そう言ってもらえると嬉しいです♪」

 

 良かった〜。あの堅物もやっと自分の間違いに気づいたんだね‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄人「喜べ雲雀丘、お前への疑いはなくなった。お前はただのクズだ。」

昂哉「そんな〜‼︎」

 

 人をクズ呼ばわりだなんて、本当に最低だよ!俺はただ好きな事に全力なだけなのにさ!

 

 

 

 

 さて、今年から設備がクラスごとに変わるんだよね〜。俺が二日酔いじゃなければ入る予定だったAクラスでも確認しておくか〜。

 

 ってめちゃくちゃ広くね⁉︎パッと見た感じ普通の教室6個分あるよ‼︎更にはバカでかいディスプレイに個人用ノートパソコンとリクライニングシートもあるのかよ!それにちらっと冷蔵庫も見えるし…。おまけに高級ホテルのロビーみたいな内装…。ずるすぎるよ‼︎

 

 

 

 

 さて、自分のクラスにでも行くか〜。最底辺はどんな設備なのかな〜。そう思って扉を開けると、そこには地獄が広がっていた。

 

 腐った畳にボロいちゃぶ台と綿が入ってるのか分からないような座布団。窓ガラスもボロボロでカーテンもない。そしておまけに教室の端っこの方には蜘蛛の巣まである。こんな汚い場所見たことがないぞ。居酒屋や安い雀荘の方がもっと綺麗だったね‼︎これじゃあせっかく持ってきたビールが台無しじゃん‼︎やっぱり二日酔いにならなければ良かったよ!

 

 

 そんな事を思っていると、後ろから声をかけられた。

 

雄二「あれ、昂哉じゃねえか?なんでここにいるんだ?」

明久「Aクラスの人が何しに来たの?」

 

 コイツらは文月一の問題児コンビ、外道の雄二とバカの明久だね。1年の頃から俺たち3人でよく問題行動を起こしては生徒指導室で指導を受けてたから仲良いんだよね。

 

昂哉「いや〜、俺実はFクラスなんだよね〜。」

明久「えっ⁉︎」

雄二「じゃあなんで昨日は学校にいなかったんだ?」

昂哉「昨日は7日。7日と言ったら駅前のパチ屋でしょ!」

雄二「相変わらずクズだな。それとお前がFクラスの理由はなんだ?」

昂哉「振り分け試験を体調不良で休みました‼︎」

明久「えっ⁉︎それは可哀想に………」

雄二「ちなみに体調不良ってのは二日酔いか?」

昂哉「正解!」

明久「心配して損した……。マジでクズじゃん……」

昂哉「よく言われるよ。それにど〜せ始業式の日なんてなんもないんだから休んだって大丈夫でしょ?」

明久「それが思いっきり何かあったんだよね〜!」

 

 えっ?まさか出なきゃいけなかった的なヤツがあったのかな?

 

昂哉「マジで?」

明久「マジで!」

雄二「早くもDクラスと試召戦争を起こして勝ってきたんだ。」

昂哉「おお!」

 

 試召戦争ね〜。確かクラス同士で召喚獣を使ってバトルするやつだっけ。それで勝ったら他のクラスと設備を入れ替えるってやつだよね。でも…………

 

昂哉「でもなんで設備は入れ替えてないの?」

雄二「俺達の目標はAクラスだからな。その準備としてDクラスを倒したんだ。」

昂哉「もしや手駒にでもするつもり?」

雄二「そういうことだ。流石は文月一のクズ、汚い事はすぐに思いつくな。」

昂哉「雄二にだけは言われたくないな〜。」

 

 汚い事をやらせたら文月一みたいな男だからね。

 

昂哉「それにしても、なんでAクラスを狙うの?確かにあの設備は欲しいけどさ〜。」

雄二「明久が大好きな姫路を入れてあげたいんだとさ。」

昂哉「なるほどね〜。」

 

 明久が好きな子のために頑張ったわけか!いいね〜、それ!

 

明久「ちょっと雄二‼︎あまり広めないでよ!」

雄二「コイツには知られてるんだから別にいいだろ。」

明久「ま、まあ………」

昂哉「とにかく明久の想いが届くといいね〜。」

 

 俺自身はいろんな女と遊びたいから彼女は作らないけど、人の恋路は応援してあげるよ!なんか見てると面白いからね!

 

雄二「そういえば明久、昨日の後始末は済んだのか?」

 

 何その物騒な言葉。人でも殺すのかな?

 

明久「あ、忘れてた!それを今から………」

島田「するところよ‼︎」 ドゴォ‼︎

明久「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 わお!明久の後ろから島田が現れていきなり蹴り飛ばしたぞ⁉︎後始末って明久がされる側だったんかい!

 

明久「島田さん、急に何するのさ!」

島田「昨日ウチが消化器をばら撒いた事になってたんだけど、どういう事なのかな〜?教えて欲しいな〜?」

明久「あっ…………すいませんでした!」

島田「まあアンタには既に天罰が下ってるからこれくらいで許してあげる♪」

明久「えっ?どういうこと?」

島田「一時間目の数学の先生、船越先生だって♪」

明久「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 船越先生って確か45歳独身の女教師だよね?生き遅れた結果生徒に対して単位を盾に交際を迫るようになったんだっけ?なかなかにヤバい奴だよね。

 

昂哉「何があったの?」

雄二「アイツが船越先生に気があるという嘘情報を俺が流したんだ。戦争に勝つために。」

昂哉「畜生じゃねえか。」

 

 どうやらコイツは人の事を駒としか思ってないみたい。

 

島田「えっと、挨拶が遅れてごめん。ウチは島田美波。アンタは?」

 

 そういえば島田とはほぼ面識がなかったよね。まあ正確に言うと、俺は1年の頃からある事情で一方的に知ってたんだけどさ。

 

昂哉「俺は雲雀丘昂哉!4月2日から晴れて20歳になりました!好きなものは酒・麻雀・パチンコ・風俗!これからよろしくね!」

島田「す、凄い人ね……。まあとにかくこれからよろしく〜!」

 

 さてと、席に着き…………

 

ムッツリーニ「………何故お前がFクラス(ここ)に?」

姫路「おはようご……雲雀丘君⁉︎このクラスで何してるんです⁉︎」

 

 たいと思ったら姫路とムッツリーニに一気に話しかけられた。

 

昂哉「二日酔いで振り分け試験を休んじまった♪」

姫路「昨日はどうしたんです?」

昂哉「パチンコ♪」

姫路「相変わらずですね……」

雄二「なんだお前、ムッツリーニや姫路と面識があるのか?」

明久「確かに。絡みなさそうなイメージがあったけど。」

昂哉「ムッツリーニは商売仲間、姫路は去年クラスが一緒だったんだよね〜。というか姫路こそ何故?」

姫路「体調不良で試験を途中退席してしまいました……」

昂哉「なるほどね〜。俺と似たようなもんか!」

明久「いや、違うでしょ……」

 

 ムッツリーニには俺と兄貴2人が風俗のレビューを無償で提供する代わりに盗撮した画像や盗聴した音声などを無償で貰ってるんだよね〜。だから商売仲間なのさ!

 

 あとぶっちゃけ姫路とは去年のクラスで男子を差し置いて一番仲が良かった人なんだよね〜。しかもその理由は好きな明久にどうやったら近づけるか、っていう恋愛相談さ!だから去年明久と同じクラスで仲が良かった島田の事は姫路のライバルとして一方的に認識してたんだよね〜。

 

 あとは俺と姫路は成績が去年のクラスでそれぞれ2位と1位だったからね。割と一緒に勉強もしてたよ。だから学校内では俺と姫路が付き合ってると勘違いする人もいたんだよね〜。

 

明久「なるほどね〜。」

島田「瑞希とも仲良かったんだね。」

姫路「はい!」

雄二「お前って謎の人脈があるよな〜。」

昂哉「これが歳上の力さ!」

雄二「普段は役に立ってないけどな。」

明久「確かに!」

昂哉「うるせえ‼︎」

 

 ちょっとは歳上を尊敬してよ‼︎全くもう!そんな事を思いながら適当な席に座ろうとすると……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秀吉「た、昂哉⁉︎お主はここで何しとるのじゃ⁉︎」

 

 俺に天使が舞い降りた。

 

昂哉「秀吉〜!あぁ^〜心がぴょんぴょんするんじゃあぁ^〜♪」

秀吉「な、何故じゃ!」

昂哉「大好きなお前と同じクラスになれて嬉しいのさ‼︎」

秀吉「そ、そう言われると照れるのぅ……///」

 

 あぁ^〜、マジで可愛い!彼女は基本作らない主義なんだけど、秀吉だけは彼女にしていいと思ってるよ!戸籍上は男だけどね。

 

明久「昂哉、秀吉とはどんな関係なの⁉︎」

ムッツリーニ「………場合によっては殺さざるを得ない。」

昂哉「みんな怖いな〜!ただの3歳年下の幼馴染みだよ!何故か同じクラスになっちゃったけどね♪」

 

 可愛い年下の幼馴染みと同じクラスだぜ?最高だよ!全く、顔だけは瓜二つの双子の姉とは大違いだ………

 

明久「聞いたかクラスの皆!この年寄りは秀吉と幼馴染みらしいぞ‼︎殺してしまえ‼︎」

Fクラス男子「「「「「はっ!」」」」」

秀吉「な、何故じゃ⁉︎」

 

 よ⁉︎えっ⁉︎ちょっと待ってよ!なんか俺殺されそうなんだけど⁉︎コイツら頭沸いてんだろ‼︎とりあえず逃げなきゃ!なんとかして自由を勝ち取るんだ‼︎そう思ったそのとき……

 

船越「吉井君をはじめとするFクラスの皆さん、数学の授業を始めます。」

Fクラス男子「「「「「はい……」」」」」

明久「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 船越先生によって俺の命は救われた。代わりに明久が死んだけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 午前の授業が終わると、秀吉、明久、雄二、姫路、ムッツリーニ、島田の6人と屋上に行く事になった。どうやら姫路の手作り弁当を皆で食べるらしい。

 

島田「それじゃあウチは皆の分のジュースを買ってくるわ!」

 

 島田とは唯一ほぼ喋った事ないし、これを機に仲良くなっとくか〜。

 

昂哉「1人じゃ大変だろうから俺も行くよ!」

島田「あ、ありがとう!」

秀吉「よろしく頼むのぅ!」

 

 こうして俺と島田は一緒にジュースを買いに行く事になった。

 

島田「雲雀丘って確か瑞希と仲良いいんだっけ?」

昂哉「クラスで一番くらいにはね。でも恋人同士とかではないよ。」

島田「そうなんだ〜。」

昂哉「それより島田ってさ…………」

島田「何?」

昂哉「明久のことが好きなの?」

 

 1年のとき姫路とこっそりマークしてたからそんな風に見えたんだよね。

 

島田「う、うん……///」

昂哉「やっぱりね。」

 

 それじゃあ俺と姫路の予想は当たってたってわけだ!それと………、

 

昂哉「そうなると島田も大変だよね〜。」

島田「何が?」

昂哉「気が効く恋敵がいるとさ!」

島田「そ、そうね……」

昂哉「でも島田の明久との距離の近さは割と武器になると思うからさ。コミュ力も島田の方があるし。だからさ、是非ともそれを活かして頑張ってね!」

島田「わ、分かった‼︎応援ありがとね!」

昂哉「いえいえ〜。」

 

 まああまり深く首を突っ込み過ぎると大変なことになりそうだから程々にしとくけどね。それとこの2人のヒロインレースの賭博をさせたら面白そうだね!結構いい勝負だと思うんだ!まあ流石にやらないけどね〜。

 

 

 

 

 

 

 島田とジュースを買い終わって俺たちは屋上に戻った。

 

昂哉・島田「「ただいま〜!」」

 

 そうして辺り一面を見渡すと…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明久(死体)「……………」

雄二(死体)「……………」

ムッツリーニ(死体)「……………」

秀吉(死体)「……………」

 

 そこには4人の死体があった。

 

島田「ちよ、ちょっと!どういうこと⁉︎」

昂哉「全くわからん!」

 

 そこに姫路が駆け込んできた。

 

姫路「あ、2人とも戻って来てたんですね!」

昂哉「姫路、これは一体何があったの⁉︎」

姫路「私にも分かりません………。お昼を食べさせてたら皆が突然倒れたので………。それで私はさっきまで先生を呼びに行ってました………」

島田「そうだったんだ……」

 

 まさに殺人事件じゃん!でも一体誰が?この4人を殺せる人は………!姫路の発言的に姫路本人しかいない!となると武器は?死んだ4人には外傷が見られないことから………まさか食中毒とか?姫路の弁当を食べて当たったのかな?そう思ってると………

 

鉄人「うわ〜、こりゃ酷えな。」

布施「とりあえず保健室に運びましょう!」

長谷川「そうですね!」

田中「分かりました。」

姫路「先生方、よろしくお願いします!」

 

 ちょうど良く先生方が駆けつけてくれたので死体を運搬する事が出来た。

 

姫路「だ、大丈夫なんでしょうか……」

島田「心配ね………」

昂哉「あのさ姫路。」

姫路「なんでしょう、雲雀丘君?」

昂哉「料理に何を入れたの?」

姫路「えっと………隠し味なので秘密です!」

 

 嘘でしょ⁉︎そんな斬新な黙秘権の使い方ある⁉︎まあいい、ここは質問を変えるか!

 

昂哉「なるほど………。それで、味見はしたの?」

姫路「吉井君に一番に食べてもらいたくて………」

 

 そういうことかい!通りで自分の作ったものが一口で高校生を昏倒させるような毒物だと知らないわけだね。ここは一応俺だけが知ってるってことにしてうやむやにさせとくか!何かに使えそうだしね!

 

昂哉「なるほどね!分かった、ありがとう!それじゃあ教室に戻るか!」

姫路「はい!」

島田「う、うん……」

 

 こうして俺たちは教室に戻った。幸い俺だけは姫路の弁当がある事を知らなかったのでMy弁当の一部を2人に食べさせたよ。まあ作ったのは兄貴たちだけどね。

 

 

 

 

 

 そしてその日の放課後、生還した雄二が話しかけてきた。

 

雄二「昂哉、島田、姫路、ちょっと来てくれないか?次のBクラス戦について話がしたい。」

 

 ということで、俺たちは教室に残ってBクラス戦に向けて話をする事になった。




 ということで「バカとクズと召喚獣」が始まりました!そしてなんといきなり姫路の弁当騒動回でした。昂哉が初日サボった影響で全員揃っての自己紹介やDクラス戦が見事すっ飛ばされましたね。

 そして次回からBクラス戦が始まります。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお待ちしております。


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第二問   Bクラス戦 前編

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 俺たちは放課後教室でBクラス戦の作戦会議をしていた。

 

明久「雄二、なんで次はBクラスなの?」

島田「目標はAクラスだったわよね?」

雄二「正直に言おう。『クラス単位』でAクラスに勝つのは不可能だ。だから代表同士の一騎打ちに持ち込む。」

昂哉「今更だけど、雄二がクラス代表だったんだ〜。」

雄二「そうだな。」

 

 初日サボったから知らないんだよね。

 

明久「バカの雄二が学年主席の霧島さんに勝てるの〜?」

雄二「明久、お前確か爪要らないって言ってたよな?」

明久「すいませんでした!」

 

 明久はバカすぎるし雄二は怖すぎるでしょ!

 

 それにしても……、

  

昂哉「もしかしてAクラスに一騎打ちをさせるための脅迫材料としてBクラスを攻めるつもり?」

雄二「正解だ。」

 

 やっぱりね。積極的に脅迫して勝つのが雄二らしいよね〜。

 

明久「流石外道コンビだね!」

昂哉・雄二「「マジで爪を剥がすよ(ぞ)?」」

明久「すいませんでした‼︎」

 

 このバカはちゃんと学習しようね!俺たちに喧嘩を売るとろくな目に遭わないよ?

 

島田「でもそれだとBクラスの人たちにデメリットがあるんじゃ……」

雄二「BクラスはAクラスに負けてもCクラスレベルの設備に落とされるだけだ。俺たちのちゃぶ台と交換されるよりは全然マシだろう。それにやるのはBクラスはAクラスに対して試召戦争の準備が出来ている、と伝えるだけだ。これならほぼBクラスにデメリットは無い。」

島田「なるほど、それなら大丈夫ね‼︎」

 

 まあ確かに、その脅迫ならむしろ喜んで受けそうだよね。だけど………、

 

昂哉「それでAクラス戦の一騎打ちに持ち込めたとして、雄二が霧島に勝てる見込みでもあんの?」

雄二「それについては策がある。まずはそれよりもBクラス戦だ。」

昂哉「へ〜い。」

 

 あると言うなら信じますか〜。こうして俺たちはBクラス戦の作戦会議を行った。

 

 

 

 

 

 作戦会議終了後、

 

雄二「それじゃあ明久、明日の朝Bクラスに宣戦布告に行ってこい。」

明久「断る!昂哉が行けばいいじゃないか‼︎」

 

 なんか俺にめんどくさい役を押し付けられた。それにしても明久の断り方が激しいから嫌な予感がするんだよな〜。だから………

 

昂哉「それならジャンケンで決めようよ〜。心理戦ありのね!」

 

 こうすることにしたよ‼︎ただのジャンケンじゃつまらないからね‼︎

 

明久「じゃあ分かった!僕はグーを出すよ!」

 

 そして雄二と目が合った。なるほど、そういうことね!

 

雄二「じゃあ俺と昂哉は……」

昂哉「明久がグーを出さなかったら……」

昂哉・雄二「「ブチ殺す。」」

 

 心理戦ありとはこう言うことさ!

 

明久「ちょっと待……」

昂哉「ジャンケンポン‼︎」

 

 

 

雄二、昂哉→パー

 

明久→グー

 

 

 

 はい簡単♪これで明久を騙す事が出来たよ!

 

雄二「安心しろ明久。なんせBクラスは美少年好きが多いからな!」

明久「それなら安心だね!」

雄二「でもお前ブサイクだしな。」

明久「失礼な!365°どこから見ても美少年じゃないか!」

ムッツリーニ「………5°多い。」

秀吉「実質5°じゃの。」

明久「皆嫌いだ〜‼︎」

 

 秀吉の事が嫌いだと?

 

昂哉「おい明久、俺の秀吉の事が嫌いだって?」

明久「えっ、ちょっと⁉︎なんでキレてるの⁉︎」

昂哉「自分の彼女をバカにされたらキレるに決まってるだろうが‼︎」

明久「それは逆に僕がキレたいんだけどな〜?」

ムッツリーニ「………頼むから死んでくれ。」

 

 ヤベ……、コイツらそういえばリア充に対して当たりキツいんだった……。

 

秀吉「いやいや、ワシは男じゃし昂哉の恋人ではないぞい。」

昂哉「そこをなんとか!」

明久「させるか!」

秀吉「姉上ならワシと見た目がそっくりで性別が女なんじゃからいいと思うのじゃが♪」

 

 いや、それだけはダメだ!

 

昂哉「秀吉、お前正気で言ってんのか?アイツがどれだけ凶暴な奴かはお前が一番知ってるでしょ?」

秀吉「まあそうじゃの……」

明久「秀吉のお姉さんってそんなに怖い人なの?」

昂哉「ああ。俺たちがちょっとでもサボったり宿題を放置してたりするとすぐにキレて暴力を振るってくるんだ。」

秀吉「しかも姉上は力が強くての……。ワシと昂哉の2人でも勝てないのじゃ……」

明久「そ、そうだったんだ……」

秀吉「そうじゃの。」

雄二「いや、サボるお前らが悪いだろ。」

島田「確かに……」

 

 え〜。秀吉はともかく俺は成績いいんだから宿題やらなくてもいいじゃん♪それに優子は俺が学校をサボった時にもブチギレに来るからな〜。マジで勘弁して欲しいよ!

 

雄二「まあそれはともかく、明日の午後からBクラス戦だ。皆、気合入れていくぞ‼︎」

他全員「「「「「オー‼︎」」」」」

 

 ということでその日は解散した。

 

 

 

 

 次の日の朝、Bクラスの教室から明久がボコボコになって帰ってきた。

 

明久「で?何か言うことは?」

雄二「予想通りだ。」

昂哉「今日もビールが旨い‼︎」

明久「クソが!ぶっ殺してやる‼︎」

雄二「落ち着け。」 ドゴォ!

明久「グファ……」 バタン

 

 明久は災難だね〜。ここは少し慰めてあげよっか♪

 

昂哉「明久、昨日みんなはああ言ってたけど、俺は明久の事を美少年だと思ってるよ!」

明久「本当⁉︎ありがとう!」

昂哉「現に明久の事が好きな人がいるし!」

明久「え?マジで⁉︎誰?」

 

 何を隠そう、それは………………

 

昂哉「久保利光とか!」

 

 学年次席だ。

 

明久「男じゃないか‼︎ふざけんなよ!」

昂哉「ちなみに俺の兄貴2人も明久の事めっちゃ可愛い〜、って言ってたよ!」

明久「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 ちなみにこれも本当だよ。なんせ兄貴2人はどっちも両刀(バイ)だからね!

 

 

 

 

 

 

 そして迎えた午後、酒もたっぷり飲んで英気を養ったところで、遂にBクラス戦の開幕だ!

 

昂哉「俺はBクラスのそこの女子2人に数学勝負を申し込みます!」

明久「僕も加勢します!」

昂哉・明久・岩下・菊入「「「「試獣召喚(サモン)‼︎」」」」

 

 

数学

 

Fクラス 雲雀丘昂哉  415点

Fクラス  吉井明久  2点

      VS

Bクラス  岩下律子  206点

Bクラス 菊入真由美  217点

 

 

 おい明久。

 

昂哉「明久!2点ってなんだよ!ほぼ役に立たないじゃんか‼︎」

明久「ごめんちゃい♪」

岩下「見てよ真由美、あの人たちが文月を代表するバカとクズのコンビじゃない?」

菊入「そうみたいね……。クズの方は武器が酒瓶だし雰囲気がもうクズのそれだよね‼︎」

岩下「バカの方は点数が凄いことになってるしね♪」

 

 コイツらも酷い言いようだね〜。そんな事言ってると殺っちゃうぞ♪

 

菊入「まあクズの方は点数が逆に凄いことになってるけどね……」

岩下「腕輪も持ってるみたいだし……」

明久「腕輪?」

昂哉「400点超えの人が使える必殺技みたいなもんさ!とりあえず明久は下がってて!俺の武器が当たるとマジで危ないから!」

明久「フィードバックがキツいもんね……」

 

 そう。しかも物理的なフィードバックならいいけど、俺の召喚獣の攻撃は………

 

昂哉「それじゃあ行くぞ‼︎」

岩下「真由美、いくわよ!」

菊入「ええ!」

昂哉「オラァ‼︎」グイッ!ドバドバドバドバ……

岩下・菊入「「えっ?」」

 

 

 

Fクラス 雲雀丘昂哉  415点

Fクラス  吉井明久  2点

      VS

Bクラス  岩下律子  172点

Bクラス 菊入真由美  175点

 

 

岩下「なんか召喚獣が上手く動かないんだけど!」

菊入「フラフラしてる!」

 

 酒瓶に入った酒を相手の召喚獣に飲ませる攻撃だ‼︎アルコール度数は点数の1/10に一致するから今俺が2人の召喚獣にぶち込んだのは41°の酒。つまりはウイスキーのストレート並だ‼︎

 

昂哉「猫には木天蓼、人にはお酒!俺の酒で酩酊するがいい‼︎」

明久・岩下・菊入「「「そういうこと⁉︎」」」

昂哉「だからフィードバックのある明久は未成年飲酒になるから絶対に近寄らないでね!」

明久「う、うん!」

昂哉「そんじゃあ腕輪の力で一気に決めてやる‼︎」

岩下・菊入「「そうはさせない!」」

 

 何を隠そう、俺の腕輪の力は……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「《スピリタス》‼︎」

 

 

 

 

 

 

 度数96°。世界最強のお酒だ‼︎

 

岩下・菊入「「きゃあ!」」

 

 

Fクラス 雲雀丘昂哉  415点

Fクラス  吉井明久  2点

      VS

Bクラス  岩下律子  0点

Bクラス 菊入真由美  0点

 

 

 これで完全勝利だぜ‼︎

 

明久「化け物かよ………」

昂哉「これで俺のこと見直した?」

明久「少しはね………」

 

 まあ酒による酩酊効果が強い分、召喚獣の口に直接ぶち込まないとダメージにならないっていうデメリットもあるけどね。あと点数が削られてくると、腕輪の力は使えるものの、通常攻撃のアルコールの度数が下がっていくというデメリットもあるんだよね〜。

 

昂哉「さてと、暴れまくりますか!」

姫路「私も加勢します!」

昂哉「よし、それじゃあ見せてやろうじゃんか、俺たちFクラスのエリートの力を!」

姫路「はい!」

明久「2人ともファイト!」

 

 こうして俺は姫路と一緒に前線で暴れ回った。

 

 

 

 

 

 

 しばらく時間が経つと、俺はある異変に気がついた。

 

昂哉「気持ち悪い………」

 

 試召戦争が始まるまで酒を飲んでたせいで吐きそうなのだ………。

 

明久「だ、大丈夫?」

姫路「吉井君、雲雀丘君のこれはただ酒を飲み過ぎて気持ち悪くなっただけなので安心して下さい!」

明久「おい、このクズが‼︎」

昂哉「うるせえ………」

 

 姫路に全部暴露されちまった………

 

昂哉「とにかくトイレ行ってくるよ………」

姫路「全く、何してるんですか……」

明久「戻ってきたらぶっ飛ばすからね!」

 

 ということで急いで俺はトイレに駆け込んだ………。

 

 

 

 

 全て吐き終えた後、トイレから出ると笑顔で待っていた姫路と雄二がいた。

 

雄二「姫路、飲み過ぎて試召戦争中に吐いたクズはコイツか?」

姫路「はい、そうです!」

昂哉「ちょっと待……」

雄二「とりあえず歯を食いしばれ。」ドゴォ!

昂哉「痛ったぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 全く!そこまで殴ることないじゃん!それに雄二は元不良なんだからちょっとは手加減してよね!

 

雄二「さてと………教室に……ん?」

 

 雄二は何を見たんだろう?

 

昂哉「どれどれ………」

 

 そうして俺が教室を見渡すと、中にあったちゃぶ台やシャーペン、鉛筆が壊されていた。

 

昂哉「酷いもんだね……」

姫路「誰ですか、こんな事をしたのは‼︎」

雄二「おそらくBクラス代表の根本の指示だろう。補給試験の妨害だな。」

 

 俺や雄二と同じく外道で有名なアイツか。でもなんかやる事がみみっちいね。それにしても………

 

昂哉「雄二は教室に居ないで何してたの?」

雄二「Bクラスと協定を結んでた。午後4時までに決着がつかなかったら明日の午前9時に持ち越し。その間は試召戦争に関わる一切の行為を禁止するってな。」

昂哉「それを承諾したんだね。」

雄二「ああ。エースの姫路が体力が劣る以上、俺たちにとっては時間を開けて休んだ方が有利だからな。」

姫路「なんかすいません………」

昂哉「なるほどね〜。まあそんなことを言ってるうちにもう4時だけどね。」

雄二「確かにな。」

 

 ということで休戦の時間となってしまった。それにしても………

 

昂哉「何か裏があるよね?」

雄二「確かにな。どこかしかでBクラスに有利になるような工作が行われているはずだ。」

昂哉「だよね!とりあえず今日の隠密行動担当であるムッツリーニに聞いてみるか!」 ガラガラ

 

 そうして教室のドアが開かれた。ムッツリーニが帰ってきたのかな?

 

明久「助けて〜!島田さんに殺される〜!」

島田「吉井、待ちなさい‼︎」

明久「ひぃぃぃぃ〜‼︎」

 

 ただのバカだったから無視しよう。

 

明久「ってこれは何?」

姫路「実はかくかくしかじかで……」

ムッツリーニ「………俺の話を聞いてくれ。」

 

 姫路が明久に事情を説明しているときにムッツリーニが帰ってきた。

 

雄二「何があった?」

ムッツリーニ「………Cクラスに試召戦争を始める動きが出ている。」

 

 なるほど、そうきたか!

 

昂哉「漁夫の利狙いね!」

雄二「正解だ。よし、今から休戦協定でも結びに行くか。」

昂哉「でもそうなるとBクラスとの協定を破ることになるから何か策が必要になるよね?」

雄二「そうだな。まずはBクラスにバレないようにするか。もしバレたらそのときの策は俺とお前で練ろう。」

昂哉「だね。」

雄二「ということで今から皆でCクラスに行くぞ。」

全員「「「「「ほ〜い!」」」」」

 

 ということでCクラスに………ん?………アレは?あ、あの野郎‼︎なんて外道な事をしやがるんだ‼︎

 

姫路「あ、あれ………、アレは……?」

 

 それと姫路も何かを無くしたみたい。姫路の分も合わせて絶対にブチ殺してやる‼︎

 

 

 

  side 明久

 

 僕たちがCクラスにつくと、そこは大勢の人で賑わっていた。やっぱり試召戦争の準備をしてるみたい。あと昂哉がさっきからキレてるけど一体何があったんだろう?

 

雄二「すまん。Cクラス代表はいるか?」

 

 すると奥から1人の女の子が出てきた。

 

小山「私だけど、何か用?」

雄二「Fクラス代表の坂本だ。不可侵条約を結びに来た。」

小山「交渉ねぇ……」

 

 何を悩んでるんだろう?

 

小山「どうしようかしらね、根本クン?」

 

 は⁉︎Bクラスの根本君がなんでCクラスにいるの⁉︎おかしいじゃん‼︎

 

根本「当然却下。だって必要ないだろう?酷いじゃないか、Fクラスの皆さん、協定を破るなんて。試召戦争に関する一切の行為を禁止したよな?」

明久「なんで君が………」

昂哉「おい根本‼︎」

 

 昂哉が今までに聞いたこともないような大声でキレた。普段クズで外道のコイツにとっても許さない事があったんだろう。おそらく原因は根本君。アイツは一体何をしたんだ⁉︎

 

昂哉「お前は人としてやってはいけないことをやった‼︎俺はお前を絶対に許さない‼︎」

根本「先に協定を破ったのはそっちだろう?これはお互い様だよな‼︎」

昂哉「俺が言いたいのはそういうことじゃない‼︎この件の前に………」

 

 何が言いたいんだろう?確かにちゃぶ台やシャーペンを壊して妨害工作をしたのは許せないけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「お前は俺の保冷バッグから俺のビールを取り出して外に置いた‼︎これは重大な犯罪だ‼︎せっかくキンキンに冷やしていたビールを外に出して温めただと⁉︎ふざけるのも大概にしろ‼︎そんなことしたら味が不味くなるだろうが‼︎」

 

 

 いやそれかよ。こんなクソしょーもないことでキレてたんだね。期待して損したよ…。

 

根本「それくらいで怒ることか?」

昂哉「当たり前だ‼︎お前はキンキンに冷えたビールの旨さとぬるくなったビールの不味さを知らないからそんな卑劣で汚いことが出来るんだ‼︎もう怒ったぞ‼︎それならこっちにも策がある‼︎」

根本「何をする気だ!」

昂哉「今から俺は試召戦争関係なくただ個人的にお前に怒りをぶつける‼︎目には目を、外道には外道を、だ!食らえ、俺のパチンコ玉攻撃‼︎」

 

 いやしょーもな。お前それでも20歳なの?本当に僕よりも3年長く生きてるのかな〜?

 

根本「ちょっと待て!ふざけるな!先生、なんとかしてください!」

長谷川「試召戦争の件はともかく、人のビールを勝手に温めるはダメだよ思うよ、根本君。」

根本「ふざけるなぁぁぁぁ‼︎」

 

 下らないのはともかく教師を味方につけるって凄いね!これが20歳の力か!見直したよ昂哉!さあ、この隙に退散だ!

 

根本「ぎゃぁぁぁぁぁ‼︎なんで全部股間に命中するんだよぉぉぉぉ‼︎」

 

 なんか根本君が面白いことになってるしね♪

 

 

  side 昂哉

 

 全く!人のビールを勝手に温めるという大罪を犯しやがって‼︎絶対に許さねえ‼︎そうして俺は自衛用に持ってたゴムパチンコで根本の股間にパチンコ玉をぶつけまくった。

 

 ただしばらくすると残弾が無くなったので……

 

昂哉「俺は撤退する!姫路も主力だから撤退した方がいいかも!すまん、明久に島田、後を頼む!」

姫路「わ、分かりました!」

明久・島田「「りょ〜かい!」」

 

 こうして俺と姫路は命からがら生き延びた。ちなみに雄二はFクラスの代表だから戦死すると俺たちの負けになるので先に逃げてもらった。そしてBクラス戦の1日目は終わった。

 

 

 

 帰るとき………、

 

優子「高橋先生、今日の学級日誌です。よろしくお願いします。」

 

 俺は優子の姿をチラ見した。全く、家ではズボラなくせに学校でだけはいい顔しやがって!昔は優等生でもなんでもなかったくせによ‼︎俺のサボりにもブチ切れたりするしさ!いつか復讐…………そうだ!いい事考えたぞ‼︎とりあえずグループLINEで発言しておこう。

 

昂哉『こうなった以上はCクラスも敵だからね。それについての作戦を今思いついたよ♪だから俺に任せて!』

 

 この後俺は明日の朝の作戦を述べた。さあ、やってやろうじゃないか、Cクラスへの対処と優子への復讐を、な‼︎




 ということでBクラス戦の初日が終わりました。優子が本格的に登場するまでは序章みたいなものなので、かなりハイペースで進んでいくつもりです。原作では多かった明久と美波の絡みもあんまり昂哉に関係ないのでバッサリカットしています。

 さて、次回はBクラス戦の続きです。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第三問   Bクラス戦 後編

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 次の朝、俺は皆に作戦を説明した。

 

昂哉「秀吉、この女子の制服に着替えて優子のフリをしてくれ!」

秀吉「分かったのじゃ!」

 

 そうして教室の前で秀吉の生着替えが始まっ………終わった。

 

昂哉「早すぎるよ秀吉‼︎」

ムッツリーニ「………クソ‼︎」

明久「僕たちの劣情をもてあそびやがって‼︎」

秀吉「女子からではなく男子からそう言われるのが疑問じゃが、ワシは演劇部で早着替えは慣れておるからのぅ。」

 

 そういうことかよ‼︎今度じっくり俺だけに見せてよね♪

 

昂哉「秀吉の着替えが早過ぎたのはさておき、作戦はこうだ!秀吉が双子の姉、優子のフリをしてCクラスを挑発する!そしてCクラスvsAクラスの戦争を引き起こす‼︎」

雄二「なるほどな。確かにそれはいい作戦だ。すぐにでも実行してくれ‼︎」

昂哉「了解!行くぞ秀吉!」

秀吉「分かったのじゃ!」

ムッツリーニ「………俺も行く。」

明久「僕も行く!」

島田「アキは行く必要あるの?」

明久「あるよ美波!だから大人しくここで待っててね!」

島田「は〜い。」

 

 どうやら俺が知らない間に明久と島田の間の呼び方が変わったらしい。更に仲良くなった証拠だね!

 

 さてと、それじゃあCクラスと優子をまとめて潰しに行きますか!

 

 

 

 

 

  side 明久

 

 とりあえず女子の制服の秀吉があまりにも可愛いのでついていくことにしたよ!

 

昂哉「秀吉、日頃の恨みを晴らすんだ!」

秀吉「分かったのじゃ!」

 

 そうして秀吉がCクラスに入ると……

 

 

 

 

優子(CV.秀吉)「静かにしなさい!この薄汚い豚ども!……ってここ臭いわ!」

 

 うわぁ、ひでぇ。木下さんごめんね。すかさず代表の小山さんが言葉を返す。

 

小山「何よあんた!」

優子(CV.秀吉)「私はAクラスの木下優子よ!アンタたち臭い豚どもを調教しにきたのよ……ってくっさ‼︎」

小山「アンタ、点数がいいからって調子に乗ったんじゃないわよ!」

優子(CV.秀吉)「私はねえ、こんな臭くて醜い教室と生徒たちが同じ校舎にいることが気に食わないの……ってくっさ!アンタたちなんで豚小屋、いや、牢獄で十分よ!」

小山「なっ!言うに事欠いて、私達にはFクラスがお似合いですって⁉︎」

 

 別にFクラスとは言ってないでしょ!あとどんだけ臭いって言うんだよ………。

 

優子(CV.秀吉)「手が汚れるのが物凄く嫌だけど、近いうちに薄汚いアンタたちを相応しい教室に送ってあげるわ。覚悟してなさい‼︎あとめっちゃ臭いから清掃業者でも呼んでおきなさい‼︎」

 

 これ後で秀吉は木下さんに怒られるんだろうな〜。

 

小山「Fクラスなんて相手にしてられないわ‼︎Aクラス戦の準備を始めるよ!」

Cクラス生徒「「「「オー‼︎」」」」

 

 作戦成功!Cクラスの敵意をAクラスに向けることが出来たよ‼︎

 

秀吉「これで良かったかのう?」

昂哉「バッチリだよ!これでBクラス戦に集中できるな!それに優子にも復讐出来たしな!今頃アイツの評判はガタ落ちだぜ!」

 

 よし、後は教室に戻ってBクラス戦の準備ね!それにしても…………

 

明久「なんで昂哉と秀吉はそんなに木下さんを目の敵にしてるの?一応昨日理由は聞いたけどさ。」

ムッツリーニ「………昂哉に秀吉、お前らは度が過ぎる気がする。」

 

 いくらなんでも怒りすぎだと思うんだよね〜。

 

秀吉「明久よ、姉上はワシが宿題をしてなかったりするとすぐ怒って折檻しようとするのじゃ。この間は授業中の居眠りが多いことがバレて関節を外そうとしてきたぞい!そんなおっかない姉がいたら嫌じゃろ?」

 

 確かに。僕も姉さんがいるから分かるけどね。でも木下さんは姉さんとは違って常識があるからそんなに悪くないと思うんだよね〜。

 

昂哉「俺はそれに加えて学校よりもパチンコや麻雀を優先させるとめちゃくちゃキレて折檻してくるんだよね。まだ未成年だった頃は酒飲んでただけですぐ先生にチクった上に拷問フルコースだったし!」

明久「それは昂哉が悪いね!」

昂哉「なんでさ!成績は良いんだからそれくらいやってもいいでしょ⁉︎」

 

 流石クズだね。どう考えても木下さんは悪くないでしょ!ただの逆恨みじゃん‼︎

 

昂哉「とにかく、奴には気をつけろよ!俺の天使の秀吉と顔は似ているけど中身は正反対だからね!」

明久「分かった、一応気をつけるよ………。」

秀吉「お主のものではないのじゃが………」

 

 ということで僕らは教室に戻ってBクラス戦の準備をすることにした。

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 そしていよいよ戦争再開の時間だ!作戦は次の通り!Bクラスの教室にある2つのドアを、片方は俺の部隊、もう片方は姫路の部隊で塞ぐ予定なんだけど………

 

姫路「あ………」

 

 姫路がおかしい。もう片方の部隊はアイツがリーダーなのに、全く喋らずに戦争に加わろうともしない。明久もそれに気づいていて、かなり困っている。

 

昂哉「姫路!援護を頼むよ!」

姫路「あ…そ…その!」

 

 なんかおかしいぞ。ってか姫路側のドアが破られる!承認は古典の竹中先生か……。なら近づいて小声で………

 

昂哉「……先生、ヅラずれてますよ?……」

竹中「しょ、少々席を外します‼︎」

 

 こう言うのさ!竹中先生はヅラを気にしてどっか行ったよ!

 

昂哉「今のうちに姫路側は態勢を立て直して‼︎そして姫路も指示出して!」

姫路「あ、は、はい!その……、なんでもないです!」

明久「姫路さん大丈夫?」

姫路「だ、大丈夫です!」

 

 やっぱりおかしい……。もしや昨日の無くしたものを気にしてるのかな?だったら‼︎

 

昂哉「姫路!体調悪いなら教室で休んでて‼︎」

姫路「で、でも……。」

昂哉「俺だって昨日酔って吐くために途中休んだんだからさ、そのくらいは気にしないで‼︎それと、代わりに秀吉と明久が指揮を取って‼︎」

姫路「は、はい!ありがとうございます……」

明久・秀吉「「了解‼︎」」

 

 さて、姫路無しでもやってやろうじゃない‼︎20歳の力を見せてやる‼︎

 

 

 

 

 

 

 しばらくすると………、

 

明久「ごめん、ちょっと行ってくる!」

 

 明久が教室に戻って行った。目がめちゃくちゃキレてる。もしかしたら姫路絡みのことかな?そうなると俺のビールが勝手に温められたタイミングで姫路の大切な物を根本に奪われたことになるね。

 

 しばらくすると、明久が教室から姫路以外の全員を連れて戻ってきた。なんで?

 

昂哉「明久、何してたの?」

明久「昂哉はここを頼むよ。僕はDクラスでやることがあるから。」

 

 確か一昨日、Dクラスとはベランダに置いてあるBクラスの室外機の破壊をすることで設備の交換を免除した、って言ってたような?

 

昂哉「もしかして室外機破壊?」

明久「それは雄二がやった。僕がやるのはもっと大切なことだよ。」

 

 コイツの目は真剣だ。こう言う目をしてる時の明久は本当に何をしでかすか分からない。もちろんいい意味でね!

 

昂哉「頑張って‼︎俺はここをなんとかするから‼︎」

明久「ありがとう、昂哉‼︎」

 

 アイツが何をするつもりなのか知らない……って根本の制服にあるあの手紙はなんだ?まさかあれは………姫路のラブレターか⁉︎なるほどね‼︎そりゃあ明久がこんなことをするわけだし姫路もあんな感じになるよね‼︎分かったよ‼︎俺はお前のためにも、自分の役割を全うさせてもらう‼︎

 

昂哉「あ!昨日チンコにパチンコ玉食らってた可哀想な人じゃん♪おひさ〜♪」

根本「それはお前の仕業だろ‼︎あと負け組代表はそっちの坂本だと思うがな!頼みの姫路さんも調子が悪そうだしな〜。」

昂哉「お前ら相手じゃ俺だけで十分だぜ!」

 

 更には教室からやってきた雄二も参加する。

 

雄二「その通り。姫路はお前ら相手じゃ役不足だから休ませておいたぞ。」

根本「けっ!口だけは達者だな!負け組代表さんよ!」

雄二「負け組?それがFクラスのことなら、もうすぐお前が負け組代表だな。」

昂哉「そのと〜り♪」 ドンドン‼︎‼︎

 

 うえ⁉︎なんかめっちゃでかい音がするんだけど⁉︎何これ⁉︎地震でも起きてるの⁉︎でもまあいい!とりあえずは明久に任せて俺は根本を煽りながら、当初の予定通り入り口にBクラスの奴らを引きつける‼︎

 

昂哉「だっしゃぁぁぁぁぁぁい‼︎これで10人斬りじゃい‼︎ほらほら、どんどんかかってこないと俺たちに突破されちゃうよ〜?」

根本「クソ‼︎おいお前ら、雲雀丘の方にもっと人を集めろ‼︎」

Bクラス生徒たち「「「「「は〜い。」」」」」ドンドンドン‼︎‼︎

 

 ちょっと待ってよ⁉︎なんかヤバイ音がデカくなってない⁉︎まさか明久(アイツ)、壁でも壊そうとしてんのか⁉︎

 

根本「というかさっきからドンドンとうるせえなぁ。それにこの暑さはなんだ?エアコンきいてんのか?おいお前ら!暑いから窓を全部開けろ‼︎」

Bクラス生徒1「お、おう。」ドンドンドンドン‼︎‼︎

 

 デカイ音はともかく、窓を開けさせることには成功した。だから………

 

昂哉「雄二!」

雄二「分かってる!態勢を立て直すから一旦下がれ!」

根本「なんだよ!散々からかっておきながら逃げるのかよ!全員で一気に畳み掛けろ!誰一人生きて帰すな!」

 

 こうしてBクラスの人を引きつけたところで………

 

昂哉「あとは任せ………」

雄二「あとは任せたぞ、明久‼︎」

 

 えっ⁉︎ここで来るんか、明久が‼︎

 

 

 

明久「うおりゃぁぁぁぁ‼︎」 ドガァァァン‼︎

 

 

 

 おい‼︎マジで壁を破壊しちゃったよ‼︎しかもBクラスとDクラスの間の壁を!全く、自分へのフィードバックも考えずにやるとか、大した野郎だぜ!

 

根本「な⁉︎壁ぶっ壊すとかどういう神経してんだ⁉︎」

島田「遠藤先生!Fクラス島田が……」

山本「Bクラス山本が受けます!」

須川「Fクラス須川が……」

吉河「Bクラス吉河が受ける!」

 

 わお!近衛部隊に止められちゃった♪確かに当初の作戦通りだとここで失敗になってたね。でも明久の手によってこうなった今、俺たちの秘密兵器が使えるぜ‼︎

 

根本「驚かせやがって!残念だったな‼︎お前らの奇襲は失敗だ!」

 

 残念なのはお前だ、根本‼︎近衛部隊を剥がされて丸裸になってしまったからね!

 

 

 さてここで教科の特性について振り返ってみよう。テストにおいては各教科の担当の先生によって結果に特徴が現れるんだよね〜。例えば数学の木内先生は採点が早い。世界史の田中先生は点数のつけ方が甘い。今いる英語の遠藤先生は多少のことは寛容で見逃してくれる。物理の家角(けつの)先生、通称ケツ先生はお気に入りの生徒には採点が甘く嫌いな生徒には採点が厳しい。では保健体育はどうだろうか?

 

 保健体育は採点が早いわけでも甘いわけでもなく、召喚可能範囲が広いわけでもなければ御しやすい先生というわけでもない。では保健体育の特性は何か。それは教科担当が体育の教師であるが故の………

 

 

 

 

 

 並外れた身体能力

 

 

 

 

根本「な⁉︎窓から教師ごと入ってきただと⁉︎ここは3階だぞ‼︎というかキサマは………」

ムッツリーニ「………Fクラス土屋康太。………Bクラス代表根本恭二に保健体育勝負を申し込む。」

根本「寡黙なる性識者(ムッツリーニ)‼︎」

ムッツリーニ・根本「「試獣召喚(サモン)」」

 

 

 

保健体育

 

Fクラス 土屋康太 521点

      VS

Bクラス 根本恭二 268点

 

 

 終わりだな、根本‼︎

 

 

Fクラス 土屋康太 301点

      VS

Bクラス 根本恭二 0点

 

 

 

 さて、あそこでフィードバックでくたばってる明久に声をかけてあげるか!

 

昂哉「いよぅ明久!なんともお前らしい作戦だったね‼︎」

明久「でしょ………もっと褒めて………」

昂哉「後先考えず自分を追い詰める男気あふれる素晴らしい作戦だったね!」

明久「それ………遠回しに………馬鹿って………言ってない?」

ムッツリーニ「………それが明久の強み!」

島田「流石アキね!」

明久「馬鹿が強み………なんて不名誉な………。」

昂哉「まあとりあえずそこで休んどいて〜!」

明久「ありがとう………」

 

 さてと、戦後対談と行きますか!といっても俺じゃなくて雄二が担当なんだけどね!

 

 

雄二「さて、それじゃあ嬉し恥ずかしの戦後対談といくか、負け組代表さんよ。」

根本「クソが‼︎」

雄二「本来なら設備を明け渡してもらい、お前らに素敵なちゃぶ台をプレゼントするところだが、特別に免除してやらんでもない。」

根本「条件はなんだ?」

雄二「Aクラスに試召戦争の準備が出来てると宣言してこい。ただし宣戦布告ではなく戦争の意志と準備があるとだけ言え。そうすれば今回は見逃してやる。」

根本「それだけでいいのか?」

雄二「ああ。ただし………」

 

 まあそれだけじゃつまらないからね‼︎ここは追加の一撃として………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄二「お前がこの女子の制服を着て今言った通りにしてくれたらな。」

 

 

 

 根本を女装させる!こうすれば仕返し兼姫路のラブレター奪還ができるからね!

 

根本「ば、馬鹿なことを言うな!この俺がそんなふざけたことを!」

Bクラス生徒2「Bクラス全員で必ず実行させよう!」

Bクラス生徒3「任せて!必ずやるから!」

Bクラス生徒4「それだけで教室を守れるならやらない手はないね!」

 

 草。コイツ今までどんなことをやってきたんだよ。クラス全員の反感買ってるじゃね〜か。

 

雄二「それじゃあ決定だな。やれ、秀吉、ムッツリーニ、昂哉!」

昂哉・秀吉・ムッツリーニ「「「はっ!」」」

 

 そして秀吉とムッツリーニで根本を固定して………

 

根本「おいお前ら、離せ!邪魔だ!」

ムッツリーニ「………離さない!」

秀吉「とりあえずお主は大人しくしてるのじゃ♪」

根本「やめろぉぉぉぉ‼︎」

 

 そして俺が………

 

昂哉「根本様、こちらは新鮮なパチンコ玉になります。どうぞ股間でお召し上がり下さい♪」

根本「待て!まさかあれをする気か!やめろぉぉぉぉ‼︎」

ムッツリーニ「………ちゃんと男なら足を開け‼︎」

秀吉「食べ残しがないようにせんとのぅ!」

根本「ぎゃぁぁぁぁぁぁ‼︎」 ガクッ……

昂哉「お味は如何だったでしょうか♪」

根本「……………」

秀吉「10発も食らって気絶しとるのぅ。」

 

 ゴムパチンコを使って根本を気絶させたぜ‼︎

 

昂哉「それじゃあBクラス女子!着付けは頼んだよ‼︎どうせなら可愛くしてあげてね♪」

Bクラス生徒5「それは無理♪土台が腐ってるから♪」

 

 草。酷い言いようだね。まあそれはさておき、明久を起こすとするか!  

 

昂哉「明久、起きて〜!やることあるんでしょ!」

明久「はっ、そうだった……ってなんで昂哉が知ってるの?」

昂哉「俺も見たから!」

明久「なるほどね〜。」

昂哉「じゃああとよろしく!」

明久「ほ〜い!」

 

 そう言って俺は教室を後にした。

 

明久「根本君の制服はゴミ箱に捨てちゃおう‼︎」

 

 途中明久が鬼畜なことやってるのが聞こえたけど気にしないでおこう。さてと、Bクラス戦も無事終わったことだし、教室に帰って今日持ってきたウイスキーでも飲むとするか!




 ということでBクラス戦が早くも終了です。そして次回はもうAクラス戦です。ここまですっ飛ばしまくると、なんかRTAをやってる感覚になりますね。

 そしてオリキャラ、家角亜成先生の伏線がちょっと出て来ました。バカテスにはいなかったクソ教師です。どう活躍するのかはこれからのお楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第四問   Aクラス戦 前編

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 Bクラス戦の次の週、十分な点数補給を終えた後、俺たちはクラス全員でAクラス戦の作戦会議をしていた。

 

雄二「不可能だと言われていたにもかかわらず、ここまで来れたのは他でもない皆の協力があってのことだ。感謝している。」

明久「どうしたの雄二、らしくないよ?」

雄二「明久の言う通り、自分でもそう思う。だがこれは偽らざる俺の気持ちだ。だからここまで来た以上、絶対Aクラスにも勝ちたい‼︎勝って生き残るには勉強だけが全てじゃない現実を教師どもに突きつけるんだ‼︎

Fクラス全員「「「「「おおー‼︎」」」」」

 

 クラス全体が盛り上がる!まあいよいよラスボス戦だからね〜。

 

雄二「皆ありがとう。そして残るAクラス戦だが、これは代表同士の一騎打ちで決着をつけようと思う。」

 

 前に言ってたことだね。でも普通に考えたら勝てないよね。

 

昂哉「雄二、何か策あるんでしょ〜。それを俺たちに教えてくれよ!」

雄二「分かった。では作戦を説明する。やることは召喚獣勝負じゃなくて純粋なテストの点数勝負だ。科目は日本史とする。」

 

 まあ確かに召喚獣勝負ってテストの代わりみたいなもんだからさ、これもありだけど!雄二が日本史得意って話も聞いたことがないし、そもそもそれで学年首席に勝てんのかな?

 

雄二「ただし内容は限定する。レベルは小学生程度、方式は百点満点の上限ありだ。」

 

 なるほどね。確かに雄二は小学生の時神童って呼ばれてたからね。でもそれって満点前提のミスしたら負けな注意力勝負じゃない?

 

昂哉「ねえ雄二、それだったら延長戦のあげくブランクのある雄二が負けるよね?」

雄二「おいおい昂哉、あまり俺を舐めないでくれ。いくらなんでもそこまで運に頼り切ったやり方を作戦と言うものか。」

昂哉「じゃあどうするのさ?」

雄二「俺がこのやり方をとった理由は一つ。ある問題が出れば翔子は確実に間違えるからだ。その問題は『大化の改新』。しかもそれの年号を問う問題だ。」

 

 なるほどね〜。それにしても意外なところに学年首席である霧島の弱点があるもんだね〜。それと………、

 

昂哉「なるほどね!それと全く関係ないんだけどさ、雄二は霧島の事を下の名前で呼ぶんだね?」

雄二「それがどうした?お前だって木下にはそうだろ。」

昂哉「アレは秀吉と紛らわしいからそうしてるだけだよ。でも霧島は違うよね?まさか特別な関係だったりするの?」

Fクラス男子「「「「「あぁ⁉︎」」」」」

雄二「変な事を言うな昂哉。翔子とはただの幼馴染みだ。」

明久「殺れ‼︎」

Fクラス男子「「「「「はっ‼︎」」」」」

雄二「はぁ⁉︎なんでこうなるんだ⁉︎」

 

 コイツバカなのかな〜?俺がこの間秀吉の幼馴染みだって言って殺されかけたのを見てなかったのかな〜?まあ面白いから俺も混ざろっと♪

 

明久「待つんだ須川君‼︎靴下は死刑判決の時に口に押し込む用だ!」

須川「はっ!」

昂哉「面白いから殺すね!」

雄二「テメェだって秀吉と幼馴染みだろうがぁ⁉︎」

 

 おい。それを今言うなよ!

 

明久「ついでに昂哉も殺せ‼︎」

Fクラス男子「「「「「はっ‼︎」」」」」

昂哉「しまったぁぁぁぁぁぁ‼︎」

姫路「吉井君は霧島さんが好みなんですか?」

明久「そりゃまぁ美人だし…って姫路さん⁉︎何で僕に向かって攻撃態勢なの⁉︎それと美波はちゃぶ台を投げようとしないで‼︎」

 

 なんか明久も殺されてるのでよしとするか!

 

秀吉「待つのじゃお主ら。」

 

 お!俺の天使、秀吉が皆を止めてくれたぞ!

 

秀吉「霧島は男には興味が無いことで有名ではなかったはずじゃ‼︎だから興味があるとすれば………」

 

 そうして皆は姫路の方を見た。

 

姫路「は、はい?私なんかやっちゃいました?」

秀吉「いや、何もしておらんぞ。」

 

 あ〜。確か超美人なのに男からの何回もの告白を全て断ってるらしいからね〜。だからレズ疑惑があるんだよね。特に最近は姫路の事を見る頻度が増えてるらしいからね。

 

秀吉「それにワシは男じゃし恋愛対象は女じゃ!じゃから男であるお主らが羨むような事はあり得ないのじゃ!」

昂哉「そんなぁぁぁぁぁぁ‼︎」

明久「ざまあ♪」

 

 秀吉にフラれた………。ショックだよ………。

 

 そんな事を思ってると、雄二が話をまとめた。

 

雄二「まあとにかく、俺と翔子は幼馴染みで、小さい頃に間違って嘘を教えたんだ。アイツは一度覚えた事は忘れない。だから学年首席の座にいる。」

 

 なんだよそれ。チートじゃねえか!元後輩かつ現先輩で3年生の学年首席である高天原大門には及ばないかも知れないけど、それでもなかなかだよ!

 

雄二「俺はそれを利用してアイツに勝つ。皆、ここは俺に任せてくれ‼︎そうしたら皆にシステムデスクとリクライニングシートをプレゼントしてやろう‼︎」

Fクラス全員「「「「「オー‼︎」」」」」

 

 ということでチート相手に勝負を挑むべく、俺たちはAクラスの教室に向かったのだが…………

 

昂哉「秀吉、あのクラスには優子がいる。」

秀吉「そうじゃの。」

昂哉「アイツは悪魔だからね。俺たちはアイツに殺されるかも知れない。」

秀吉「特に先週の事がバレてたらまずいのぅ。」

昂哉「だから俺たちはFクラスの教室(ここ)で待機してようぜ!」

秀吉「そうじゃの!」

雄二「来ないとブチ殺すぞ。」

昂哉・秀吉「「はい………」」

 

 ということで俺と秀吉は渋々人生の墓場へと向かった。

 

 

 

 

  side 明久

 

 僕たちがAクラスの教室に着くと、一人の女の子が出迎えてくれた。

 

優子「いらっしゃい、Fクラスの皆さん。何か用かしら?」

 

 この子は優等生で有名な木下優子さん!秀吉の双子の姉なだけあって結構可愛い‼︎でも…………、

 

昂哉「……明久、後ろに隠れさせてくれる?……」

秀吉「……ワシもじゃの!……」

明久「……い、いいけど……」

 

 前から言ってた通り2人の天敵みたいだね。

 

 それはさておき雄二が言葉を返した。

 

雄二「俺たちFクラスは試召戦争としてAクラス代表に一騎打ちを申し込みに来た。」

優子「う〜んなるほどね〜。それで、何が狙いなの?」

雄二「狙いはもちろんこの教室だ。」

優子「なるほどね。でもいくら面倒な試召戦争を手短に終わらせられるとはいっても、わざわざリスクを犯す必要はないかな。だから却下しとくわ。」

雄二「賢明だな。ところで、Bクラスとやり合う気はあるか?」

優子「Bクラスって昨日来たあの女装趣味の……」

雄二「あぁ、アレが代表をやってるクラスだ。幸い宣戦布告はまだのようだがさてどうなることやら…。」

優子「でもBクラスはFクラスと戦争したから三ヶ月経たないと試召戦争出来ないはずだよね〜?」

 

 まあ確かにね。普通だったらそうだね。でも……

 

雄二「実情はどうあれ対外的にあの戦争は『和平交渉にて終結』ってなってるんだ。規約的には何の問題もない。BクラスだけじゃなくてDクラスもな。」

 

 こういうことになってるんだよね〜。

 

優子「要するに脅迫ね。」

雄二「人聞きが悪いな。ただのお願いだよ。」

 

 いや、雄二のやってることは脅迫でしょ‼︎僕だって何回も被害に遭ってるんだからね!

 

優子「分かったわよ。ただしこっちからも提案があるわ。一騎打ちを一回じゃなくて五回やって三回勝った方が勝ちってことにしない?」

雄二「なるほど、こっちから姫路や昂哉………雲雀丘が出てくる可能性を警戒してるのか。それについては安心して欲しい、なんせ俺が出る予定だからな。」

 

 なるほどね!姫路さんでも昂哉でもなくて雄二って言うことで安心させるわけだね!流石だね、雄二!

 

優子「それなら余計安心できないわね。だって坂本は代表の幼馴染みなんでしょ?何か代表の弱点でも知ってないとこんな無謀なことは申し込まないわよね?だから一騎打ち一回は却下ね。」

 

 す、凄いね………。そこまでお見通しなんだ………。まあ霧島さんと話してたりしてそうだから知っててもおかしくはないのか………。流石は優等生だね………。

 

雄二「そうか、それならその条件をのんでもいい。」

優子「ホント?嬉しいな♪」

雄二「ただし勝負の内容はこちらで決めさせてもらう。そのくらいのハンデはあってもいいはずだ。」

優子「う〜ん、どうしようか………」

霧島「…受けてもいい。」

 

 わお!びっくりした!Aクラス代表、学年首席の霧島さんが急に出てきたよ!噂通りの美人さんだね!

 

優子「あれ?代表いいの?」

霧島「…うん。…その代わり条件がある。」

雄二「それはなんだ。」

霧島「…負けたら何でも一つ言うことを聞く。」

 

 マズい!これは姫路さんの貞操と人生観の危機だよ‼︎ど、ど、ど、どうしよう!これは!

 

昂哉「ムッツリーニ、撮影の準備を!」

ムッツリーニ「………もうやってる!」

明久「ちょっと昂哉、ムッツリーニ⁉︎二人とも負ける気満々じゃないか!」

昂哉「明久、俺は人生初の本物の百合をこの目で見てみたいのさ!20年生きてても見ることができなかったその景色を、ね!」

明久「なんかカッコよく言ってるけどそれただの変態だからね!」

 

 全く、コイツに歳上としてのカッコ良さは無いのかよ‼︎

 

優子「アンタたちが何を想像しているのかはさておき、ちょっと提案があるわ。」

雄二「何だ?」

優子「勝負内容五回のうち二回はうちで決めさせて。三回はそっちにあげるから。それとさっきの代表のお願いを各選手ごとに実行するのもお願いしたいわ。例えば先鋒戦で瑞希とアタシが戦ってアタシが勝ったら、瑞希がアタシの言う事を何でも聞く。大将戦で代表と坂本が戦って坂本が勝ったら代表が坂本の言う事を何でも聞く、とかね!お願い事はそれぞれ個人で決めていいわ!」

 

 なるほどね。ここは姫路さんにそうだ……

 

雄二「いいだろう。交渉成立だ。」

 

 ってちょっと雄二⁉︎

 

明久「雄二!まだ姫路さんが了承してないのにそんな勝手な‼︎」

雄二「心配すんな。絶対に姫路には迷惑をかけない。」

明久「雄二………」

 

 ここまで言うのなら信じてみるか……。

 

姫路「私も優子ちゃんの提案に乗っていいと思います!」

明久「姫路さんが言うなら信じるよ!」

 

 あと、姫路さんと木下さんって面識ある感じなのかな?じゃないと下の名前で呼び合わないからね。意外な繋がりだね〜。

 

昂哉「そういえば姫路って優子と面識あったの?」

姫路「はい!」

 

 昂哉が思ってた事をそのまま聞いてくれた。どうやらそうみたいだね。

 

優子「じゃあそれでOKね。それじゃあ始まる前に、秀吉はちょっと外に来てくれるかな?Cクラスの件で話があるの。」

 

 あっ…………。あの事がバレたんだね!ならここは親切に木下さんに真実を伝えないとね!

 

秀吉「なななな、なんじゃ姉上?」

優子「ちょっとお話が………」

昂哉「ダメだ秀吉!その話に乗ったら殺されるよ‼︎」

明久「木下さん、それは昂哉の指示だよ!」

昂哉「ちょっと明久⁉︎出鱈目な事を………」

優子「へぇ〜。じゃあ昂哉が代わりに来てくれるかしら?」

昂哉「断る‼︎」

優子「それじゃあ無理矢理………」

高橋「あの〜、そろそろ始めてもらえませんか?」

優子「はい、すいません。」

昂哉「や〜い!怒られてやんの〜♪」

高橋「貴方もですよ、雲雀丘君。」

昂哉「はい、すいません。」

高橋「それでは只今より、AクラスとFクラスの試召戦争を始めます。」

 

 ということで高橋主任の合図によりAクラスとの対決が始まった。

 

 

 

 

ーーーーー先鋒戦ーーーーー

 

高橋「では先鋒の人、前へ。」

昂哉「ほ〜い♪それじゃあ行ってきま〜す!」

優子「それじゃあAクラスからはアタシが出るわ!」

昂哉「それなら科目は数学で!」

高橋「分かりました。」

 

 ということでいきなりの幼馴染み兼天敵対決だ!昂哉はこの前数学で腕輪の力を使ってたから期待してるよ!

 

 

昂哉「いいかお前ら、よく聞け‼︎」

 

 

 うわ!いきなり昂哉が大声を出したんだけど!びっくりした!

 

 

昂哉「奴は俺たちの天使、木下秀吉と姿形が似ているだけの悪魔だ‼︎奴は俺や秀吉に対して日常的に怒鳴り散らすだけでは飽き足らず、折檻までしてくる大変危険な存在である‼︎」

優子「ちょ、ちょっと昂哉⁉︎」

 

 

 わお!いきなりの挑発だね‼︎

 

昂哉「俺は今まで何度も奴に虐げられてきた………。何度も折檻されてきた………。その度に身も心も折れそうになってきたんだ………」

優子「いや、アンタが色々と問題を起こ………」

昂哉「だがな、秀吉までもが何度も虐められているのを見て俺は決心したんだ。奴を倒さねばならないと。俺たちの天使を穢そうとする悪魔を滅さなければならないと‼︎

 

 

 なんて演説力なんだろう!木下さんとは話した事のない僕まで心が惹きつけられてるよ‼︎それとさらっと木下さんが正論を言おうとしたのを潰したね。

 

 

昂哉「そこでお前らには応援を頼みたい‼︎あの悪魔相手には俺1人の力では不充分だ。だがしかしお前らの声援があれば俺は更に強くなれる‼︎あの悪魔を打ち滅ぼす事が出来る‼︎だから皆、力を貸してくれ‼︎」

 

 更にクラスの皆も巻き込んでいく!

 

須川「木下姉ってそういう奴だったんだな!」

福村「あのクズはともかく、俺たちの秀吉を傷つけるなんて許せない‼︎」

横溝「なんかこの前Cクラスにも罵声を浴びせてたらしいからな。」

近藤「やっぱり奴は悪魔じゃないか!」

秀吉「よし、皆の衆よ、昂哉に力を貸してやるのじゃ‼︎」

Fクラス男子「「「「「おう‼︎」」」」」

昂哉「皆………、ありがとう‼︎」

 

 凄い………!場の雰囲気を一瞬にして自分のものにしたよ………。これが20歳の力か!今までバカにしてごめんね!

 

 

 

昂哉「優子よ、自分が頂点の世界はもう飽きただろう⁉︎ならばこの俺がここで貴様をぶちのめし、頂点(そこ)から地獄に叩き落としてやる‼︎そして我らが天使、秀吉を貴様から守り抜いて見せようぞ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数学

 

 

Fクラス 雲雀丘昂哉 407点

      VS

Aクラス 木下優子 1026点

 

 

 

優子「何か言い残す事はあるかしら?」

昂哉「すいませんでした。」

 

 

 

数学

 

 

Fクラス 雲雀丘昂哉 0点

      VS

Aクラス 木下優子 613点

 

 

 

 あれだけ煽っておいてボロ負けなのかよ‼︎まあ木下さんが強すぎたってのもあるけどね。

 

姫路「優子ちゃんは数学・物理・化学なら学年一位ですからね………。仕方ないですね………」

島田「そんな相手によく数学で喧嘩を売れたわね。」

秀吉「というか昂哉よ、お主なら姉上が理系科目が得意で文系科目が苦手なのは知っておったはずでは?」

昂哉「昔は俺の方が断然頭良かったからね。だからあえて得意科目でぶつけて格の違いを見せつけてやろうと思ったのさ‼︎」

明久「見せつけられたのはお前だけどね。」

ムッツリーニ「………雄二が呆れて何も言えなくなってる。」

昂哉「多少の点差なら酔わせて余裕でひっくり返せたんだけどね〜。まさかあそこまでだったとは………」

 

 全く、このバカのせいでいきなりの黒星発進じゃないか!

 

優子「お願い事は最後にとっておくわ。それじゃあ次鋒戦を始めてちょうだい。」

昂哉「はい………」

 

 ということで気を取り直して次鋒戦が始まった。

 

 

 

ーーーーー次鋒戦ーーーーー

 

高橋「それでは次鋒の人、前へ。」

姫路「Fクラスからは私が出ます!」

久保「Aクラスからは僕が出るね。科目は総合科目で。」

高橋「分かりました。」

 

 いよいよ姫路さんの出番だね。

 

雄二「学年次席の久保利光が相手か。ここが勝負どころだな。」

昂哉「2人の総合科目の点数は同じくらいだからね。」

 

 どうでもいいけど、総合科目って………

 

 

 

・文系

 

現代文、古典、社会2科目、英語(点数2倍)、理科1科目、数学(点数2倍)による9科目の合計点

 

・理系

 

現代文、古典、社会1科目、英語(点数2倍)、理科2科目、数学(点数2倍)による9科目の合計点

 

 

 

 だったよね。

 

雄二「さっき誰かさんが負けたせいで、ここで勝てないと厳しいんだよな。」

明久「そうなんだ!」

昂哉「マジすいません。」

 

 ということなので、頼んだよ、姫路さん‼︎

 

姫路・久保「「試獣召喚(サモン)」」

 

 

 

総合科目

 

Fクラス 姫路瑞希 5378点

      VS

Aクラス 久保利光 4615点

 

 

 

 うお!姫路さんの点数の方が上みたい!

 

雄二「嘘だろ⁉︎あの点数だと翔子にも匹敵するぞ⁉︎」

昂哉「俺が3600点くらいで姫路が4500点くらいだったのに!」

明久「流石だね、姫路さん!」

美波「ナイスよ、瑞希!」

 

 しかも伸びたんだね!今日この日のために頑張ったんだろう………。

 

久保「姫路さん⁉︎いつの間にそんな点数を……?」

姫路「私、このクラスが好きなんです!」

久保「このクラスってFクラスが?」

姫路「はい!誰かのために頑張れる、このクラスが!」

久保「なるほど………。そういうことか!」

 

 姫路さん、本当に優しいんだね!僕たちのために頑張ってくれてありがとう!

 

 

 

総合科目

 

Fクラス 姫路瑞希 523点

      VS

Aクラス 久保利光 0点

 

 

 結果はもちろん姫路さんの勝ちだ!

 

久保「それで姫路さん、僕に何をお願いするんだい?」

姫路「えっと……、Fクラスのことを認めて欲しいです……!凄いクラスなんだって……!」

久保「それだけ?」

姫路「はい!」

久保「ならそうするよ!」

姫路「お願いします!」

 

 お願い事も姫路さんらしいね!優しくていいと思うよ!

 

雄二「ところで気になったんだが………」

昂哉・明久「「何?」」

雄二「木下の総合科目の点数って何点くらいだ?」

昂哉「えっと………」

姫路「4300点くらいですね!」

雄二「だよな。それと俺の計算が正しければ数学×2と物理、化学だけで4000点近くいくと思うんだが………」

姫路「そうなりますね。」

昂哉「物理と化学はどっちも800点くらいだから合わせると3500点くらいだね。」

 

 凄いねそれ。理数系だけでその点数なんだね。

 

雄二「そうなるとアイツの文系科目ってめちゃくちゃ点数が低いんじゃないのか?」

昂哉「げっ………」

秀吉「姉上の文系科目はCクラス並じゃった気がするぞい。」

雄二「ということなんだが、昂哉?」

昂哉「は、はい!」

雄二「お前なら文系科目で確実に勝てたよな?」

昂哉「滅相もございません。」

雄二「お前負けたら戦犯な。」

昂哉「はい…………」

 

 マジかよ!それじゃあガチ戦犯じゃん‼︎何してんだよ、コイツ‼︎

 

昂哉「ま、まあ気を取り直して次行こうよ!」

 

 お前がいうセリフじゃないけど、次は中堅戦だね!




 ということでAクラス戦が始まりました。優子が理数系得意な設定はオリジナルです。あと先出ししておきますがムッツリーニと愛子も原作とは異なり、この時点で面識がある設定になってます。

 あと、3年の学年首席が高城からオリキャラ・高天原大門に変わっています。ちなみに高城の強さは原作そのままなのでとんでもない強キャラになります。

 さて、次回は中堅戦から大将戦です。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第五問   Aクラス戦 後編

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 明久

 

 次鋒戦も終わったので、次は中堅戦だ!

 

ーーーーー中堅戦ーーーーー

 

高橋「それでは中堅の人、前へ。」

島田「Fクラスからはウチが出ま〜す!」

工藤「Aクラスからはボクが出るね。」

 

 次は美波の番か!もしかしたら数学で勝つつもりなのかな?

 

島田「じゃあ科目はそっちが選んで!」

 

 えっ⁉︎

 

明久「美波が選ばなくていいの?」

島田「大丈夫よ!」

雄二「作戦通りだ。」

昂哉「まあ見てなって!」

明久「わ、分かったよ……」

 

 もしや美波は既に古典とかも得意になったのかな?

 

工藤「えっと………、それじゃあ生物で!」

ムッツリーニ「………何だと?」

 

 ん?なんでムッツリーニが反応したんだろう?

 

工藤「ど、どうかしたの、ムッツリーニ君?」

ムッツリーニ「………お前の得意科目は保健体育だったはずでは?………しかも実技で。」

昂哉・明久「「実技⁉︎」」

 

 な、なんていうかその………下品なんですが………フフ………(後略)

 

昂哉「よぉ〜し、そこの君!」

工藤「な、何かな?」

昂哉「俺の通ってる風俗店で働いてみないかい?保体の実技が得意ならおすすめの場所だよ!金も稼げるし♪」

 

 コイツは何を言ってるのかな?初対面の相手を風俗で働かせようとするなんて只者じゃないね。

 

優子「アレはアタシが始末しておくから無視していいわよ、愛子。」

工藤「わ、わかった!」

昂哉「ちょっと優子、邪魔をしないでよ‼︎」

優子「はい、アンタはこっちに来る‼︎」グイ〜ッ

昂哉「ちょっと待てぇぇぇぇ‼︎」

 

 こうして昂哉は木下さんに引っ張られてどこかへ行ってしまった。

 

ムッツリーニ「………それで、何故お前は保健体育で勝負しないんだ?」

工藤「え、えっと………、生物も似てるし得意だからいいかな〜、って思って。それに保体の実技ならもっと得意な人がいるしさ!」

ムッツリーニ「………アイツの事か。」

工藤「ムッツリーニ君の予想が合ってればね!それにボクはムッツリーニ君よりも点数が低いから得意っていうのはちょっと違うかな〜、って思って。」

ムッツリーニ「………なるほどな。」

 

 アイツ?ムッツリーニじゃないなら一体誰がいるんだろう?まさかそんな凄い人がこの学園にいるなんて…………

 

工藤「ま、まあとりあえず始めよっか!」

島田「そうね!」

島田・工藤「「試獣召喚(サモン)」」

 

 

 

生物

 

Fクラス 島田美波 113点→0点

      VS

Aクラス 工藤愛子 378点→257点

 

 

 

 まあ流石に美波じゃ勝てなかった。

 

明久「雄二、やっぱり美波に選ばせた方が良かったんじゃない?数学ならなんとかなったかもよ?」

雄二「明久、島田の数学は確かにFクラスにしては凄いがそれでもBクラス並だ。Aクラス相手には分が悪い。」

秀吉「それに全試合勝つのは無理じゃからのぅ。」

島田「だからウチは捨て駒よ!」

明久「そ、そうだったんだ………」

 

 でもさ…………

 

明久「それじゃあ美波が1人で罰を受けることになるよね‼︎それは流石に酷いと思うよ!」

姫路「そうですよ!美波ちゃんだけ可哀想です!」

島田「ウチは承知の上よ。」

ムッツリーニ「………安心しろ。」

明久「どういうこと?」

ムッツリーニ「………工藤はそんな酷い事は言わない。」

雄二「という理由で工藤の相手をさせた。」

明久「な、なるほど……」

 

 とりあえず工藤さんのお願い事を聞いてみるか!

 

工藤「えっと、お願い事をいいかな?」

島田「いいよ!」

工藤「それじゃあ、ボクと友達になってくれる?」

 

 なるほど、確かにこんな感じの子なら安心だね!

 

島田「もちろん!これからよろしくね!」

工藤「うん、よろしく〜♪」

 

 ということで美波が無事だったのでよしとするか〜!

 

優子「コレをここに置いとくわね。」

昂哉「うぅぅぅぅぅ………」

 

 木下さんがボロボロになった昂哉を置いたところで、次は副将戦だ!もう後がないけど、後続の人たちならやってくれるはず!

 

 

 

ーーーーー副将戦ーーーーー

 

高橋「それでは副将の人、前へ。」

ムッツリーニ「………Fクラスからは俺が出る。」

優子「赤田、出番だから起きて!」

赤田爺「う〜む、よっこらしょっと……」

 

 えっ⁉︎なんか所々に白髪が生えてるハゲた爺さんが昼寝から目覚めて出てきたんだけど⁉︎明らかに10代じゃないよね⁉︎

 

明久「ねえ、あの人誰⁉︎本当に生徒なの⁉︎」

昂哉「えっと………、アレは赤田のじっちゃんか!」

 

 気絶から目覚めた昂哉が解説してくれたけど、じっちゃんって何だよ‼︎明らかに高校生に対するセリフじゃないよね、それ⁉︎

 

秀吉「彼奴はいくつなのじゃ?」

昂哉「確か75歳だね〜。」

雄二「随分と年寄りな高校生だな。その年齢だと既に働いてただろ?」

昂哉「そうだね。既に会社を定年退職してるはず。」

秀吉「斬新なセカンドライフじゃの。」

明久「だね………」

 

 その歳で高校に通うって凄いよね〜。

 

高橋「科目は?」

ムッツリーニ「………保健体育。」

赤田爺「だろうな。じゃが儂が負けるとでも?」

ムッツリーニ「………逆に勝てるとでも?」

 

 なんだって⁉︎それじゃあ…………

 

明久「さっき工藤さんが言ってた保健体育が凄い人ってもしかしたらこの人?」

昂哉「そうだね!」

雄二「もしや保健体育の真の実技派ってあの人か?」

昂哉「いかにも。赤田のじっちゃんのことだね。」

秀吉「経験豊富という意味かのぅ?」

昂哉「そうだね!それもそのはず、15歳の初体験から60年間で抱いた女は実に1,000人を超えるってこの前言ってたよ!」

明久・雄二・秀吉「「「1,000人⁉︎」」」

 

 とんだエロジジイじゃん‼︎あとムッツリーニが爺さんに対して凄いバチバチだね。

 

雄二「でもそれだと結婚とかはしてないのか?この人数だと1年に17人の新しい女を60年間欠かさず抱き続けた事になるぞ。」

昂哉「それなんだけど……、お〜いじっちゃん!クラスの皆に保体の実技について何かアドバイスしてくれる?」

赤田爺「む、昂哉か……。そうじゃの……。若い衆よ、今年75になる儂からのアドバイスじゃ………」

 

 ん?この爺さんは何を言うつもりなんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤田爺「浮気はバレないようにやれ‼︎」

 

 

 

 

 

 とんだクソジジイじゃん!

 

 

Fクラス男子「「「「「はい……………」」」」」

昂哉「ということ♪ちなみにこの爺さんは3回結婚して全て不倫が原因で離婚してるよ!だから経験人数が1,000くらいになるんだよね〜。」

雄二「だから保健体育の真の実技派なわけか。」

明久「工藤さんもそりゃあ自信無くすよね。」

秀吉「その自信は必要ないと思うのじゃが。」

明久「確かに………」

雄二「ちなみに昂哉はあの爺さんが入学してきたのはどういう目的か知ってるのか?」

昂哉「女子高生と合法的に付き合うためだね。」

雄二「やっぱりな………」

 

 とんだクソエロジジイじゃん!女性関係では昂哉を超えるクズじゃないか!なんでこんなジジイがいる事を僕は知らなかったんだろうね。

 

赤田爺「それじゃあ始めるか。経験の差というものを、御主に見せてやる‼︎」

ムッツリーニ「………上等‼︎………なら俺は知識の差と言うものを見せてやる‼︎」

ムッツリーニ・赤田爺「「試獣召喚(サモン)」」

 

 

 

 

 

保健体育

 

Fクラス 土屋康太 784点

      VS

Aクラス 赤田敏夫 615点

 

 

 

赤田爺「ぬぁんじゃと⁉︎」

ムッツリーニ「………《加速》」

赤田爺「ぬぁっ⁉︎」

ムッツリーニ「………《加速終了》」

 

 

 

保健体育

 

Fクラス 土屋康太 378点

      VS

Aクラス 赤田敏夫 0点

 

 

 

 やった!ムッツリーニが勝ったぞ!

 

 

Fクラス男子「「「「うぉ〜〜〜‼︎」」」」

島田「凄いわ、土屋!」

昂哉「やるぅ‼︎」

姫路「あっという間でしたね♪」

秀吉「流石じゃの!」

雄二「これで2-2に持ち越せたな。」

明久「だね!」

 

 やっぱりムッツリーニの保健体育は凄いんだね!

 

赤田爺「糞‼︎儂とした事が………」

ムッツリーニ「………いよう爺さん。」

赤田爺「ムッツリーニよ、儂に何を言うつもりじゃ⁉︎経験ならいっぱい語ってやるぞ‼︎」

ムッツリーニ「………船越先生と付き合え。」

赤田爺「な、なんじゃと⁉︎」

 

 ヤバ⁉︎えげつない事言いやがったぞ、コイツ!というかさっきからバチバチしすぎでしょ‼︎

 

赤田爺「儂は女子高生と合法的にお付き合いするためにここ文月に入学したのじゃ‼︎そんな行き遅れなどと付き合いとうない‼︎」

ムッツリーニ「………お前に60歳歳下は早すぎる。………だから半分の30歳歳下でまずは頑張れ。」

赤田爺「ぬぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 随分酷い半分だね。確かに僕らが16・17で爺さんが75、船越先生が45だから大体そうなんだけどね。

 

 そうしてムッツリーニが凱旋してきた。

 

昂哉・明久「「流石だね、ムッツリーニ!」」

雄二「というかなんであんなにバチバチしてたんだ?」

昂哉「ムッツリーニの師匠とかなんじゃないの、じっちゃんは?」

ムッツリーニ「………奴は去年工藤にセクハラをしまくって彼女の自信を喪失させた。………だから懲らしめてやろうと思った。」

昂哉・明久・雄二「「「なるほど。」」」

秀吉「そうだったんじゃの……」

島田「だからさっき愛子は保健体育じゃなくて生物にしたのね。」

ムッツリーニ「………そういうこと。」

 

 ムッツリーニは工藤さんのために頑張ったというわけか!まあ工藤さん自体は敵だけど、コイツなりに譲れないものがあったんだね!

 

雄二「さて、それじゃあ行ってくるか!」

昂哉・明久「「任せたよ‼︎」」

 

 さて、次はいよいよ大将戦だ‼︎

 

 

ーーーーー大将戦ーーーーー

 

高橋「では大将の人、前に出てきて下さい。」

雄二「Fクラス代表、坂本雄二だ。」

霧島「…Aクラス代表、霧島翔子です。」

高橋「教科はどうしますか?」

雄二「教科は日本史。内容と方式は小学生レベルで百点満点の上限有りだ。」

 

 前に作戦会議で言ってた内容だね。当然初めて聞くAクラスの人たちは動揺している。

 

Aクラス生徒1「上限ありだって?」

Aクラス生徒2「しかも小学生レベルって満点確実じゃないか。」

Aクラス生徒3「注意力と集中力の勝負になるぞ。」

 

 それがそうはならないんだよね!

 

高橋「分かりました。そうなると問題を用意しなくてはいけませんね。筆記試験ですので視聴覚室で行うことにしましょう。」

 

 という訳で雄二と霧島さんが視聴覚室に向かおうとしていた。ここは声をかけてあげよう!

 

明久「雄二、あとは任せた!」

雄二「ありがとう、明久‼︎」

昂哉「俺からも頼んだよ!」

雄二「ああ昂哉、頼まれた!」

ムッツリーニ「………ファイト‼︎」

雄二「お前には随分と助けられたぞ、ムッツリーニ‼︎」

島田「坂本、期待してるわ!」

雄二「島田、ありがとな!」

秀吉「雄二、ファイトじゃ‼︎」

雄二「秀吉、一発かましてやるぜ‼︎」

姫路「坂本君、あのことを教えてくれてありがとうございました。」

雄二「あああのことか、気にするな。あとは頑張れよ!」

姫路「はいっ!」

 

 あのことって何だろう?それはともかく、期待してるよ、雄二‼︎あとはあの問題が出るのを祈るだけだね。

 

 

高橋『試験、始め。』

 

問1 次の()に正しい年号を入れなさい

 

()年   平城京に遷都する

()年   平安京に遷都する

     :

:

 

 

 

 

 

 

()年   大化の改新

 

 

 

Fクラス全員「「「「「「よっしゃー!」」」」」」

 

 

 ついに手に入れたんだ!システムデスクにリクライニングシート、冷蔵庫に個人用エアコン、そして、この広くて豪華な部屋を‼︎やったね‼︎これで最高の学校生活が送れるよ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本史

 

Aクラス 霧島翔子 97点

      VS

Fクラス 坂本雄二 53点

 

 

 

高橋「3対2でAクラスの勝利です。」

 

 システムデスクじゃなくてみかん箱デスクが手に入った。

 

 

 

 

 雄二が帰ってきたので早速虐めることにした。最初はもう1人の戦犯が口を開いた。

 

昂哉「おい雄二‼︎なんだよあのザマは‼︎俺なんかよりもよっぽど戦犯じゃね〜か‼︎」

雄二「まさか思わぬ伏兵がいたとはな。」

昂哉「自分が伏兵になってどうすんだよ‼︎」

雄二「お前も充分伏兵だろうが‼︎」

 

 ここは僕からも言ってやるか!

 

明久「だいたい53点ってなんだよ!0点なら名前の書き忘れとかを疑うけど、この点数だと何もないじゃないか!」

雄二「明久の言う通り、いかにも俺の実力だ。」

ムッツリーニ「………お前が油断してどうする?」

雄二「言い訳はしねえ。」

 

 自分で立てた作戦の戦犯に自分がなってどうするのさ!全く……ってそうだ!霧島さんのお願い事を聞かなきゃいけないんだった!

 

昂哉・明久「「ムッツリーニ、写真‼︎」」

ムッツリーニ「………準備OK!」

 

 そして霧島さんは姫路さんに近づいて…………って通り過ぎて………?

 

霧島「…雄二、約束、私と付き合って。」

 

 はい?どういうこと?

 

雄二「やっぱりな…。お前まだ諦めてなかったのか。」

霧島「…私は諦めない。…ずっと雄二のことが好き。」

雄二「その話は何度も断っただろ?他の男と付き合う気はないのか?」

霧島「…私には雄二しかいない。…他の人なんて興味ない。」

 

 ってことは姫路さんを見てたのは、雄二の近くにいる異性が気になってたからだったんだね。

 

雄二「拒否権は?」

霧島「…ない。…約束だから、今からデートに行く。」

雄二「ぐあっ‼︎離せ‼︎やっぱりこの約束はなかったことに…」

 

 ということで雄二が霧島さんに引きずられてどこかに行ってしまった。でもあの雄二が付き合ってるというより奴隷にされてるみたいでちょっと面白いよね〜。

 

昂哉・明久「「ざまあみやがれ、雄二‼︎」」

 

 思わず昂哉と声が合っちゃったよ!

 

 

 

 

 

 さてと、帰りますか!

 

鉄人「Fクラスの皆、お遊びの時間は終わりだ。」

家角「まずは崇高な俺達の話を聞け。」

 

 え?なんか鉄人とケツ(家角のあだ名)が来たんだけど⁉︎何で?

 

昂哉「鉄人先生、ケツ先生、俺たちになんか用ですか〜?」

鉄人「ああ、今から『我らが』Fクラスの補習について説明をしようと思ってな。」

昂哉「『我らが』ってもしかして……」

鉄人「そうだ、俺が今日から担任だ。戦争に負けたから福原先生と交代することになってな。」

家角「そしてその補佐としてこの俺が、愚かな貴様らのクラスの副担任にわざわざなってあげたのだ。」

Fクラス全員「「「「「なにぃ⁉︎」」」」」

 

 ちょっと待ってよ‼︎鉄人が担任でケツが副担任になるのかよ⁉︎ふざけんなよ‼︎厳しくて力が強すぎる鉄人と、自分が気に入ってるかどうかだけで採点基準を決めて常に自分の事しか考えてないケツのコンビネーションは最悪だよ‼︎

 

鉄人「確かにお前らはよくやったがいくら学力が全てだからといって人生を渡っていく上で強力な武器の一つなのに蔑ろにしてはいけない。」

昂哉「じゃあ成績のいい俺は関係ないですね〜。Aクラスに編入しま〜す♪」

家角「残念だな。吉井、坂本、雲雀丘は特に念入りにFクラスで監視することになってる。なにせ開校以来初の観察処分者とA級戦犯の2人だからな。この俺がわざわざ自分の時間を割いてまで面倒を見てあげるんだ、感謝したまえ。」

 

 ケツのこの言い方めちゃくちゃムカつくんだよね〜。どんだけ自分のことが大好きなんだよ!

 

昂哉「そうはいきませんよ!な、明久‼︎」

明久「昂哉の言う通り!なんとしても監視の目をかいくぐって今まで通りの楽しい学園生活を送ってみせますよ‼︎」

鉄人・家角「「お前たち(貴様ら)には悔い改めるという発想はないのか?」」

昂哉・明久「「ないですね‼︎」」

鉄人「とりあえず明日から補習の時間を二時間設けてやろう‼︎」

家角「それはいいですね!」

昂哉・明久「「なっ⁉︎」」

 

 クソ!でも今以上に勉強を頑張って試召戦争を起こし、鉄人とケツから逃げてやるからね‼︎

 

 

 

 

 さてと、試召戦争も終わったし本当に帰るとするか………。

 

昂哉「さて、帰るか〜。」

優子「待ちなさい。先鋒戦のお願い事がまだのはずよ。」

 

 そういえばそうだったね。

 

昂哉「え?お願い事ならもうしたけど?」

優子「してないわよ!」

昂哉「え?優子が忘れてるだけじゃ……」

優子「なわけないでしょ‼︎」

 

 このクズ、自分が命令されるのがよっぽど嫌なんだろうね。

 

優子「ちなみに次鋒戦から大将戦までの感じできちんと願い事を叶えるまでがセットだからね?お願い事を聞くだけで叶えない、というのは無しね。」

昂哉「クソ‼︎まさかお前、そのために保留したの⁉︎」

優子「そうだよ♪」

昂哉「あぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 ここは僕からも言ってあげるか!

 

明久「昂哉、往生際が悪いよ!」

ムッツリーニ「………歳上らしくない。」

島田「そうね。」

姫路「諦めて優子ちゃんの言う事を聞いたらどうです?」

昂哉「嫌だね!だって俺の恐怖が分かるでしょ?絶対にあの悪魔に殺されるじゃん‼︎ねえ秀吉!お前なら分かってくれるよねぇ⁉︎」

秀吉「いや、多分酷い事にはならんから安心せい♪」

昂哉「秀吉ぃぃぃぃぃぃ⁉︎」

 

 秀吉にも裏切られてや〜んの♪

 

優子「それじゃあお願い事を言うわよ?」

昂哉「あっ……あっ……あっ……」

 

 さて、昂哉はどうなるのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「アタシの恋人になって♪」

 

 

 

 嘘でしょ⁉︎

 

昂哉「はい?」

明久・島田・ムッツリーニ「「「えっ?」」」

優子「聞こえなかった?」

昂哉「いや聞こえてるよ?だからこの話は断るね!」

優子「いや、断る権利はないから。だって何でも言う事を聞くんでしょ?」

昂哉「そんなぁぁぁぁぁ‼︎俺があえて彼女を作らなかったのは、不特定多数の女の子と遊ぶためだったのにぃぃぃぃぃぃ‼︎」

 

 なんか昂哉も残念な事になってて面白いね♪まさか自分が悪魔だと思ってた相手と付き合う事になるなんて♪

 

昂哉「ちなみに秀吉は知ってたの、これ⁉︎」

秀吉「当たり前じゃ♪姉上は割と前からお主のことを好いておったぞい!」

姫路「ちなみに私も知ってましたよ!雲雀丘君とはいつも一緒にいたので声をかけられたんですよね♪そこから優子ちゃんと協力関係になったんです!」

優子「そういうこと!」

昂哉「だから面識があったのかぁぁぁぁぁ‼︎」

優子「それじゃあこれからもよろしくね♪」

昂哉「くぅぅぅぅぅぅ‼︎」

 

 こうして僕たちのAクラス戦はみかん箱と2組のカップルを手に入れて幕を閉じた。




 ということで早いですがAクラス戦が終了しました。そして遂に昂哉×優子の誕生です!これでやっと物語がスタートという感じですね!

 さて、次回からは清涼祭編がスタートします。9/1の18:00〜1話ずつ投稿となります。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第二章  清涼祭
第六問   清涼祭の準備


この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 今日から清涼祭の準備期間か〜。この学祭って酒が持ち込めない上に出店で出来そうな雀荘や居酒屋が出来ないって言われたからイマイチやる気が起きないんだよね〜。だから俺は今日サボって雀荘に向かってるよ。学校には休むって連絡を入れてあるし大丈夫でしょ♪

 

 おっと!そういえばこの雀荘は隣にパチ屋(パチンコ屋)があるんだった!ヤバい、どっちに入ろうか迷っちゃう!今日は何の気分だ?何を打ったら勝てる?麻雀?パチンコ?スロット?自分の経験を信じろ!今の気分で一番勝てそうな気がするのは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「麻雀だ‼︎」

優子「何が麻雀だって、昂哉?

 

 え?幻聴かな?優子は今学校にいるはずだよね?最近怒られ過ぎて耳でもおかしくなったんかな?これを直すには打牌音を聞くしかない!だから雀荘に……………

 

優子「どこに行こうとしてるのかなぁ?」グギギギ

 

 行こうとしたら優子に腕を掴まれて潰された。

 

昂哉「いぃぃぃぃぃいったいもう‼︎何すんのさ!」

優子「アンタを学校に連れ戻しに来たのよ!」

昂哉「余計なお世話だね!それに優子だって今こうしてサボってるわけじゃん!」

優子「アタシは清涼祭の出し物の買い出しに来たの!ついでに学校サボって呑気に雀荘向かってるバカを連れ戻しにも来たけど!」

昂哉「そういう気遣いは要らないと思うな〜?」

優子「じゃあアタシはアンタの腕が要らないと思うな〜?」

昂哉「すいませんでした。」

優子「よろしい♪」

 

 コイツ力強いからマジで腕ぶっ壊す事が出来るんだよね〜。本当にやめて欲しいよ!

 

昂哉「それで、買い出しはどうしてるの?」

優子「今からするところ!」

昂哉「1人で?」

優子「いや、クラスメイト2人が先に店にいるよ。アタシたちも今からそこに向かうの!」

昂哉「アタシ()()?」

優子「アンタは放置するとどうせ雀荘に入っちゃうからね。だからアタシとアンタの2人ってわけ♪」

 

 クソ!なんて隙のない女なんだ!

 

優子「ということで早速行くわよ!」

昂哉「はい………」

 

 ということで俺は学校に強制送還させられる羽目になった。

 

 

 

 

 

 送還させられてる途中、

 

優子「愛子、美穂、ちょっと先に行っててくれる?」

工藤・美穂「「は〜い!」」

 

 残り2人を先に行かせたところで優子からある話を聞いた。

 

優子「ねえ昂哉、瑞希の話は何か聞いてる?」

 

 姫路か………。最近だと明久がトイレにいる写真をムッツリーニにねだってたことくらいしか知らないな………。

 

昂哉「いや、何も。」

優子「そう。実はあの子、転校するかもしれないの。」

 

 うわ〜、友達がいなくなんのはキツいな〜。

 

昂哉「え?マジ?」

優子「マジ。」

昂哉「なんで?」

優子「Fクラスの環境が本人に悪いって事で親に色々言われたらしい。それで転校してよりより環境に身を置かせたいんだって。」

 

 う〜ん。確かに否定しようがないね〜。親が心配するのも分かるよ〜。まあうちの親は俺が高校にちゃんと通ってるだけでも喜んでくれるけどね!なんていい親なんだ‼︎そんな事を思ってると………、

 

姫路「優子ちゃん、ありがとうございます!」

 

 ご本人のお出ましだ!

 

優子「ど〜も!ついでに昂哉に事情を話してたから丁度よかったわ!」

姫路「その件についてもありがとうございます!」

昂哉「どういたしまして〜♪」

優子「いや、アンタに向けて言ったんじゃないから。」

昂哉「まあまあ!んでどうするよ、この問題?」

姫路「それなんですけど、雲雀丘君、私と一緒に召喚大会に出てくれませんか?」

 

 召喚大会?確か2vs2で召喚獣バトルのトーナメント戦をやる大会だっけ?

 

昂哉「う〜ん、何故に俺?」

姫路「召喚大会で私とFクラスの誰かが組んで優勝すればFクラスの素晴らしさを両親にアピール出来ると思ったので!」

昂哉「それで成績的に俺に白羽の矢が立ったわけだ!」

姫路「そういうことです!」

 

 俺と姫路のタッグなら優勝出来そうな気はするけどね。

 

昂哉「なるほどね〜。でも優子はいいのかな?俺が他の女とペアを組む事になるけど。」

優子「別にいいわよ。友達が減るのは嫌だし。でも召喚大会の優勝だけでは不充分だと思うな、アタシは。」

昂哉・姫路「「という(いいます)と?」」

優子「えっと、今ざっと考えたのはこんな感じね。」

 

 こうして優子は色んな問題点とその解決策を挙げてくれた。

 

 

 

 

 

1.学習環境に相応しくない貧相な設備→クラスの出し物の成功で得たお金で解決可能

 

2.老朽化した教室→金額が莫大なため学校側の協力が不可欠

 

3.レベルの低いクラスメイト→昂哉と姫路ペアの召喚大会優勝で解決

 

 

 

 

 

昂哉・姫路「「なるほど〜。」」

 

 それにしてもよくこんなすぐに思いつくよな〜。昔はこんな優等生じゃなかったはずなんだけどね。いつからこうなったんだろう?

 

 まあそれはともかく、

 

昂哉「となると、まずは俺がクラスを説得しに行くか!どうせアイツらはやる気がないだろうし!」

姫路「確かに吉井君たちは今校庭で野球をしてましたね………」

優子「バカなんじゃないの……」

 

 予想通りやんけ!流石Fクラスって感じだね。

 

姫路「でも、私個人の頼み事でクラスを動かしちゃっていいんでしょうか?」

昂哉「別にいいでしょ。そうでもしないとアイツらはやる気が起きないんだからさ〜。」

姫路「あ、ありがとうございます!」

 

 まあこれでクラスのやる気が上がるなら一石二鳥だよね〜。

 

優子「それじゃあアタシは学園長を説得………と言いたいところだけど今はクラスの準備で忙しいんだよね……」

昂哉「別に優子1人抜けても大丈夫でしょ!」

優子「それがアタシは店長だからそういうわけにもいかないんだよね………」

 

 まあ自分から店長をやるあたり学校でのコイツらしいね〜。でも………

 

昂哉「店長が買い出しってどういう事?」

姫路「それは私が、雲雀丘君が休みだって優子ちゃんに言ったら、」

優子「クラスの皆についでに連れ戻しに行ってこいって言われたわ!」

昂哉「クソが‼︎」

優子「サボるアンタが悪いんでしょ⁉︎」

 

 どうやらこの学園には俺の自由を侵害する奴らしか居ないようだ。

 

昂哉「まあとにかく、姫路は俺と一緒にクラスに戻って説得しようね〜。」

姫路「は、はい!」

昂哉「優子は俺を虐めた罰として俺に1万円を払ってね〜。」

優子「じゃあ腕一本と交換でいいかしら?」

昂哉「俺の腕は随分安いんだな⁉︎」

優子「とにかくふざけた事言ってないで戻りなさい!」

昂哉「は〜い。」

 

 ということで姫路と一緒にクラスに戻ると…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

① 写真館     『秘密の覗き部屋』

② ウェディング喫茶『人生の墓場』

③ 中華喫茶    『ヨーロピアン』

 

 

 

 

 黒板に意味不明な事が書いてあった。

 

昂哉・姫路「「何(ですか、)これ?」」

島田「あっ、瑞希に雲雀丘じゃん……って雲雀丘は私服?何してたの?」

昂哉「雀荘行こうとしたら優子に見つかって連れ戻された。」

島田「アンタは本当にバカね……」

秀吉「お主は相変わらずじゃのぅ……」

明久「僕よりもバカな奴がいるもんだね!」

 

 ちなみに明久がチョークを持っていた。俺はこの瞬間、全てを理解した。

 

昂哉「その黒板の文字を書いたお前の方がバカでしょ‼︎」

明久「うるさい!サボってる奴が仕事をしてる奴に文句を言うな!」

昂哉「何だと⁉︎」

家角「ふざけるな、貴様ら‼︎」

 

 うわ!びっくりした!急に現れないでよ、ケツ先生!

 

島田「ど、どうかしましたか……?」

家角「その黒板を見てみろ‼︎学際の出し物がそんな馬鹿で下らないものだったらな……………」

 

 だったら………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家角「俺の評価が下がってしまうだろうが‼︎」

 

 

 

 

 いや、言うことそれかよ。本当にコイツゴミだね。見た目と声以外良いところ無いし。

 

家角「とにかく、貴様らにはこの崇高な俺の足を引っ張らないで欲しい。」

昂哉「島田、コイツのことは気にしないでさっさと決めるよ〜。」

島田「は〜い。」

家角「おい貴様ら‼︎この俺を無視すると……」

島田「では多数決を取るね〜。①の人〜。それじゃあ②の人〜。最後に③の人〜。は〜い、それじゃあ③で!」

 

 どうやら出し物は中華喫茶『ヨーロピアン』に決まったらしい。中華なのかヨーロッパなのかはっきりして欲しいよね〜。

 

昂哉「ちなみに優子に聞いた話なんだけど、クラスの設備を売り上げで改良することはOKらしいから、頑張ってね〜。」

島田「なんかサボってたくせに偉そうね………。でもそれなら皆も頑張って!」

Fクラス男子「「「「「は〜い‼︎」」」」」

家角「この俺を無視するなぁぁぁぁぁ!」

 

 ということで皆が割と団結してくれたのでよしとするか!

 

 

 

 放課後、俺は島田、秀吉、明久を呼びつけて姫路と一緒に事情を話した。ムッツリーニも呼ぼうと思ったんだけど用事があるとか言って帰っちゃったのが残念だね。あと雄二は俺みたいにサボってるらしい。

 

昂哉「かくかくしかじかというわけで、姫路がヤバイので皆で協力してね!」

姫路「よ、よろしくお願いします‼︎」

島田「それは頑張るしかないわね!」

秀吉「ワシも頑張るぞい♪」

 

 あぁ^〜。今日も秀吉が可愛い♪さっきまで優子を相手にしてたから余計にそう感じるよ!

 

明久「秀吉…、モヒカンになった僕でも好きでいてくれるかい?」

 

 コイツの頭の中マジでどうなってるんだろう?一度でいいから解剖してみたいよね。

 

姫路「ど、どういうことですか………?」

島田「もう、アキったら!不測の事態に弱いんだから!」

秀吉「ワシはどう返事をすれば良いのじゃ?」

昂哉「無視すれば良いと思うよ!」

明久「はっ!えっと、姫路さんが転校⁉︎なんとか止めないと!」

 

 やっと頭の回線が繋がったみたいだ。

 

昂哉「そうだね。それで、それの解決策についてさっき優子から提案があったんだけど、かくかくしかじかで〜。」

島田「ならまず坂本を呼び出さないとクラスの出し物は成功しにくいわね……」

秀吉「彼奴がいるといないとじゃ大違いだからのぅ。」

昂哉「雄二はバカだけど統率力はあるからね〜。」

 

 まあアイツも俺と同じでやる気なさそうだからサボる気持ちは分かるけどね。

 

明久「とにかく、雄二に電話してみるよ!」

昂哉「よろしく〜。」

 

 電話に出てくれるといいんだけど………

 

明久(電話)『もしもし雄二?ちょっと話が…』

雄二(電話)『げっ翔子⁉︎』

明久(電話)『え、雄二何してんの?』

雄二(電話)『くそっ!見つかっちまった‼︎とりあえず鞄を頼む‼︎』 プツッ

明久(電話)『ちょ、雄二‼︎』

 

 アイツは今何してるんだ?

 

昂哉「んでどうだった?」

明久「え〜っと、見つかっちまった、とか、鞄を頼む、とか?」

島田「なにそれ…」

姫路「何かに追われているみたいですね……」

秀吉「おおかた霧島翔子から逃げ回ってあるのじゃろう。アレはああ見えて異性には滅法弱いからのぅ。」

 

 逃げ回れるだけ凄いね。俺は優子に見つかって逃げ切れたことなんて一度もなかったからね。

 

島田「じゃあ坂本と連絡取るのは難しいわね…」

明久「いやこれはチャンスだ‼︎」

昂哉「何言ってんの明久?」

明久「雄二を喫茶店に引っ張り出すにはちょうど良い状況なんだよ!ちょっと4人とも協力してくれる?」

姫路「それはいいですけど、坂本君の場所は分かるんですか?」

明久「大丈夫、僕はあいつの考えが読めるからね!4人は…………をお願い!」

 

 雄二の隠れそうなとこ………。なるほど!分かったぞ‼︎

 

昂哉「明久、俺も隠れ場所が分かったよ‼︎」

明久「なら昂哉は僕と一緒についてきて!それじゃあ3人はお願い‼︎」

秀吉・島田・姫路「「「は〜い!」」」

 

 そう、あいつが隠れそうなところといえば……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉・明久「「やあ奇遇だね。」」

 

 女子更衣室だ。

 

 

 

  side 明久

 

 僕は今昂哉と雄二と3人で女子更衣室にいるよ。

 

雄二「どういう偶然があったら女子更衣室で鉢合わせるのか教えてくれ。」

明久「やだな〜、偶然だよ。」

昂哉「そうそう、たまたま校内を歩いてただけだよ!」

雄二「嘘をつけ。こんな場所で偶然会うわけがない。」

 

 まあ霧島さんなら男子更衣室だろうが普通に入ってきそうだからね〜。だから雄二が絶対に隠れないであろう女子更衣室に入ったわけだね〜。

 

雄二「んで何の用だ?」

明久「それはね雄二………」  ガチャ

 

 

 何故か開いたドアの方を向くと…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「あれ、昂哉に吉井に坂本?ここ女子更衣室だよね?」

 

 木下さんが入ってきた。

 

明久「木下さん、奇遇だね〜。」

雄二「秀吉の姉さんか、奇遇だな。」

優子「あ、うん。奇遇だね。」

明久・雄二「「はっはっはっ‼︎」」

 

 誤魔化せたかな?

 

優子「西村先生‼︎問題児トリオが覗きをしてます!変態です!」

鉄人「またあいつらか‼︎」

 

 クソ!ダメだったか‼︎しかも鉄人を呼んだし!

 

雄二「明久‼︎窓から逃げるぞ‼︎」

明久「うん!というか昂哉は⁉︎」

雄二「きっと木下の姿を見た瞬間命の危険を察して逃げたのだろう‼︎」

明久「嘘でしょ⁉︎」

雄二「でもいつの間にか居なくなってるじゃないか!」

明久「確かに!」

 

 アイツ運動神経は悪いはずなんだけどね〜。火事場の馬鹿力でも発揮したのかな?そう思いながら僕と雄二は逃げた。

 

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 危ね〜♪優子の姿を見た瞬間に逃げて正解だったぜ!そして俺はなんとか秀吉たちのところまで戻った。

 

昂哉「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

姫路「お疲れ様です……」

島田「何があったの?」

昂哉「ちょっと死にかけてね……はぁっ…」

秀吉「おおかた姉上から逃げ回っておったのじゃろう。」

昂哉「正解………はぁっ……だから匿って……」

優子「それは無理ね。」

 

 えっ………?なんで………?

 

優子「逃げずに事情を話したら軽く痛めつけるだけで許してあげるわ。」

昂哉「それ……はぁっ……はぁっ……」

姫路「相当息が上がってますね。」

島田「とにかく雲雀丘は一旦放っておいてその間にこっちの件を済ませちゃおうか!」

秀吉「そうじゃの!」

優子「こっちの件?」

姫路「優子ちゃんはとりあえず見てるだけでお願いします!」

優子「わ、分かったわ!」

 

 電話の件だね………

 

島田(電話)『もしもし、坂本?』

雄二(電話)『ん?何だ、島田か?』

島田(電話)『ちょっと替わって欲しい人がいるから替わるね〜。』

雄二(電話)『替わる?誰と?』

霧島(CV.秀吉)(電話)『…雄二、今どこ?』

雄二(電話)『人違いです。』プツッ、ツー、ツー

 

 判断が早い!まあ優子の姿を見てすぐに逃げた俺が言えることじゃないけどさ〜。

 

優子「え?どういうこと?」

秀吉「まあこれはちょっとした芝居じゃ。」

姫路「一応私のためのやつです……」

優子「Fクラスの考える事はよく分かんないわね……」

昂哉「まあお前の考えとは正反対の連中ばっかいるからね……はぁっ……」

優子「まあそれはそうね。それで、これからどうするの?」

昂哉「雄二と明久が戻ってきたら作戦会議さ!」

優子「なるほどね。」

 

 そうして…………

 

明久・雄二「「ただい………まぁ⁉︎」」

 

 戻ってきた2人が優子の事を見てびっくりしていた。

 

優子「女子更衣室の件は後で聞くとして、瑞希の件についてどうなったか話を聞かせて。」

 

 そして俺たちは姫路の転校阻止の件について話し合った。

 

優子「そうなると、やっぱり学園長に訴える必要があるわね。あのときはアタシは忙しいからで断ったけど、今なら手が空いてるから大丈夫だよ!」

昂哉「よし、それじゃあ俺と雄二と明久で行こうか!あんまり大人数で行くとあれだしさ!」

姫路「なんでその3人なんです?私は行かなくていいんですか?」

昂哉「こういうのは本人は行かない方がいいの!んでこういう話し合いに向いてそうなメンバーを選んだわけ!」

明久「僕より木下さんの方が向いてそうな気がするけど……」

昂哉「これはFクラスの問題でもあるからね。クラスが違う優子は除外した方がいいかな、って思って。」

優子「確かにね。」

 

 あとは明久が姫路を好きだからその想いで熱演してくれるんじゃないか……って期待も込めてね!姫路本人がいるから話せないけど。あとはもう一個理由があるけどね。

 

明久「それで、本音は?」

昂哉「言わせんなよ、恥ずかしい♪」

雄二「お前は何をする気だったんだ?」

明久「どうせ木下さんから逃げたいとかでしょ?」

優子「へぇ?」

昂哉「おい明久!余計な事を言わないでよ!」

 

 俺の企みがバレちゃったじゃん!

 

雄二「まあ昂哉が最初に言った理由は納得だな。ということで俺達3人で学園長室に行くぞ。木下は昂哉をいじめるのはその後にしてくれ。」

明久・優子「「は〜い!」」

昂哉「後でやんなくていいから!とりあえず秀吉が優子を連れて帰っといて!」

秀吉「一応分かったのじゃ!」

 

 一応ってなんだよ‼︎ふざけんなよ!

 

島田「それじゃあよろしくね。」

姫路「お願いします‼︎」

優子・秀吉「「頼んだわよ(ぞい)。」」

昂哉・明久・雄二「「「ほ〜い。」」」

 

 ということで俺たち3人は学園長室に向かった。




 ということで清涼祭編、開幕です!原作やリメイク前とは違って召喚大会の姫路のペアが昂哉になります。まあ成績的には美波よりも優秀ということでこうなりました。

 さて、次回はババアと対談をします。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第七問   学園長(ババア)

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 学園長室に着いたとき、中で何やら話し声が聞こえてきた。

 

教頭「……賞品の……として隠し……」

ババア「……こそ……勝手に……如月グランドパークに……」

 

 ここは少し………

 

雄二「これはチャンスだな。中に学園長がいるなら話は早い。入るぞ。」

昂哉・明久「「マジかよ⁉︎」」

雄二「失礼しま〜す!」

 

 待たないんかい‼︎ということで雄二の強引な行動のもと、俺たち3人は中に入った。

 

ババア「本当に失礼なガキどもだねえ。普通は入る前に返事を待つもんだよ。まあ1人はガキじゃないけれど。」

 

 そして、かなりのゴミみたいな態度で接してきたのは学園長ことババア。ちなみに俺の実のばあちゃんとかいう訳じゃないよ!

 

教頭「やれやれ、とんだ来客ですね。これでは話は続けられません。まさか学園長、貴女の差し金ですか?」

ババア「馬鹿を言わないでおくれ。どうしてこのアタシが負い目があるわけでもないのにそんなセコい手を使わなきゃいけないのさ。」

教頭「それはどうだか。学園長は隠し事がお得意のようですから。」

ババア「さっきから言ってるように隠し事なんてないね。アンタの見当違いだよ。」

教頭「そうですか。それではこの場ではそういう事にしておきましょう。では失礼させて頂きます。」

 

 そう言って失礼したのは教頭。こっちはジジイって呼ぶ程老けてないから呼び方に困るんだよね〜。ジジババコンビって名付けたいのに!まあそれはババアと赤田のじっちゃんのコンビか!

 

 それはともかく、俺たちはババアと話をしに来たんだった!

 

昂哉「やぁやぁばあさん、久しぶりですね!酒の話でもしましょうか?それとも麻雀ですか?パチンコですか?スロットですか?」

ババア「雲雀丘かい。アンタはまた懲りずに酒を持ってきてるそうだね。」

昂哉「当たり前ですよ!しかも俺はもう20歳なんで1年のときみたいに停学には出来ないですよ〜。」

ババア「そりゃ困ったもんさね。アタシが校則を変えてやろうか。」

昂哉「それは酷いですよ!俺はただ飲み物を学校に持ってきてるだけなのに!それにちゃんと未成年には飲ませてませんから安心して下さい!」

ババア「飲むのをやめる気はないんさね。」

昂哉「当たり前じゃないですか!これは成人の特権ですからね!」

 

 実は1年の時にまだ19歳なのにもかかわらず何回かお酒を飲んでたのがバレてその度に期限つき停学処分をくらってるんだよね〜。その度にババアとは何度か会ってるからこうして顔見知りになったのさ。

 

雄二「昂哉、学園長と知り合いだったのか。」

昂哉「まあね〜。みんなも何度か停学になれば嫌でも顔を覚えるよ!」

明久「停学ってそう何度もなるものじゃないけどね……」

 

 逆になんでこの2人は停学になってないんだろう?俺は別に学校の物品を破壊するとかしてないのにね〜。ちょっと飲み物を間違っただけでアウトとか、全く酷い世の中だぜ!

 

ババア「んでガキども。アンタらは何の用だい?」

雄二「今日は学園長にお話があってきました。」

ババア「アタシは今それどころじゃないんでね。学校の経営に関する事なら教頭の竹原に言いな。それとそっちの2人は面識もないんだしまずは名前を名乗るのが社会の礼儀ってモンだ。覚えておきな。」

 

 いやお前も大概だけどね〜。まあ俺は当てはまってないみたいだしいっか〜。

 

雄二「失礼しました。俺はこのクズと同じ2年Fクラス代表の坂本雄二、そしてこっちが同じクラスの2年を代表するバカです。」

昂哉「おい雄二!俺はクズじゃないよ!」

明久「あと僕の名前もちゃんと言ってよ!」

ババア「ほう、そうかい。アンタ達がFクラスの坂本と吉井かい。」

明久「ちょっと待って下さいよ、学園長!僕はまだ名前を言ってませんよ!」

 

 バカで明久だと通じてるのが面白いよね〜w。さて、ババアはどうでるかな?

 

ババア「気が変わったよ。話を聞いてやろうじゃないか。」

 

 どこをどう気が変わったら話を聞く気になったんだ?

 

雄二「ありがとうございます。」

ババア「礼なんか言う暇があったらさっさと話しな、このウスノロ。」

雄二「分かりました。本日はFクラスの設備について改善を要求しにきました。」

ババア「そうかい。それは暇そうで羨ましいことだね。」

 

 ババアの乱暴な言葉遣いは相変わらずだね〜。それにしても雄二がキレないって珍しいね〜。いつもだったらすぐにタメ口になってそうなのに。

 

雄二「今のFクラスの教室はまるで学園長の脳味噌のように穴だらけで、隙間風が吹き込んでくるような酷い状態です。学園長のように戦国時代から生きながらえてる老いぼれならともかく、今の普通の高校生は健康に害を及ぼす可能性が高いと思われます。要するにボロい教室のせいで体を壊す生徒が出る前にさっさと直せクソババア、というわけです。」

 

 前言撤回。いつもの雄二じゃないか!さてと、ババアの反応は……

 

ババア「……ちょうどいいタイミングさね……」

 

 どういうこと?タイミングとはなんぞや?

 

ババア「よしよし、お前達の言いたいことはよく分かった。」

明久「え?それじゃあ直してもらえるんですね!」

昂哉「ばあさん、やっさし〜♪」

ババア「却下だね。」

 

 ブチ殺すぞ。でも俺は大人だからキレないぜ!

 

明久「雄二、このババアをコンクリに詰めて捨てて来よう。」

雄二「明久、もう少し態度には気を遣え。」

昂哉「そうだよ〜!ちゃんと礼儀を弁えなきゃ!」

雄二「全くこのバカが失礼しました。どうか理由をお聞かせ願えますかババア。」

明久「全くですね、教えて下さい、ババア!」

昂哉「ダメだね〜2人とも!ここは俺が大人の対応を見せてやるよ!」

明久・雄二「「昂哉‼︎」」

 

 さて、俺は手元にあった水筒を取り出して……

 

昂哉「ばあさん、この2人がご迷惑をおかけしました!お詫びと言ってはなんですがこの水を飲みませんか?」

ババア「感謝するよ、雲雀丘。」

 

 そう言ってババアはおもむろにポケットからライターを取り出して俺が渡した水に火をつけた。

 

ババア「ところで、なんでこの水に火がついたんだい?」

昂哉「可燃性の水です!」

ババア「水と称して酒を渡してくる奴のクラスの設備を改善するとでも?」

昂哉「黙れババア。」

雄二「結局お前も一緒じゃないか。」

明久「さすが昂哉だね!」

 

 クソ!ババアを酔わせて判断力を奪い、教室改修の言質を取る作戦が台無しになったじゃないか‼︎

 

ババア「まあとにかく設備に差をつけるのはこの学園の教育方針だからね。ガタガタ抜かすんじゃないよ、なまっちょろいガキども。」

明久「それは困ります‼︎僕らはともかく身体の弱い子が……」

ババア「といつもなら言ってるんだけどね。可愛い生徒の頼みだ。こちらの頼みも聞くなら相談に乗ってやろうじゃないか。」

 

 なんかなんとかなりそう!それと頼みってなんだろう?

 

昂哉「ばあさん、俺たちは何をすればいいんですか?」

ババア「清涼祭で行われる召喚大会は知ってるかい?」

昂哉「ええ、まあ。というか俺はそもそも出ますしね。」

ババア「そうなのかい。じゃあその優勝商品は知ってるかい?」

昂哉「白金の腕輪と如月グランドパークのプレオープンプレミアムペアチケット×2組、ですよね?」

ババア「その通りだね。」

昂哉「それに何か問題でも?」

ババア「このペアチケットの方に問題があってね。出来れば回収したいのさ。」

 

 腕輪じゃなくてペアチケットの方なんだね。開発した腕輪にバグがあったからとかなら分かるけどペアチケットにバグって意味分からないしね。それに……

 

昂哉「回収?それなら賞品に出さなければいいんじゃないっすか?」

明久「昂哉の言う通りですよね?わざわざ面倒なことをしなくてもいいと思いますが………」

ババア「けどね、教頭が進めた話とはいえ、如月グループとかわした正式な契約を今更覆すわけにはいかないんだよ。アタシが白金の腕輪の開発に手一杯だった上に最近になって悪い噂が出てきたのさ。」

 

 悪い噂?ペアチケットでやってきた人を捕獲して他国に奴隷として密売するとか?そんなんじゃない限り大したことにはならないと思うんだけど……。まあいいか、聞いてみよう。

 

明久「それで、その悪い噂ってのは何ですか?」

ババア「如月グループは如月グランドパークに一つのジンクスを作ろうとしてるのさ。ここを訪れたカップルは幸せになるってね!」

明久「それのどこが悪い噂なんですか?良い話じゃないですか?」

 

 明久の言う通り、むしろ企業としては普通の話だよね〜。

 

ババア「話は最後まで聞きな。それで如月グループはそのジンクスを作るためにプレミアムチケットを使ってやってきたカップルを結婚までコーディネートするつもりらしい。企業として多少強引な手を用いてもね。」

 

 な〜んだ、それくらい普通じゃ……

 

雄二「な、なんだと〜⁉︎」

昂哉・明久「「どうしたの、雄二⁉︎」」

 

 急に雄二が発狂した………ってもしや!雄二は霧島を嫌がってたし、こういうことかもしれん‼︎

 

昂哉「あ、なるほど!霧島雄二的には都合の悪い話だもんね〜w」

雄二「ぶっ殺すぞ木下昂哉!」

昂哉「誰が木下昂哉だ‼︎」

雄二「お前だよ‼︎」

 

 木下昂哉だと⁉︎そうなると、日本の法律的に戸籍上男ではある秀吉とは結婚出来ないから優子と結婚していることになるじゃないか‼︎そしたら鬼嫁に尻に敷かれるルートにまっしぐらじゃん‼︎

 

昂哉「ごめん雄二、俺お前の気持ちが全て分かったわ。」

雄二「分かってくれたようで何よりだ。とにかくこれは大変なことなんだ‼︎どういうわけかうちの学園は美人揃いだし、試験召喚システムという話題性もたっぷりだからな!」

昂哉「それに加えて学生から結婚までいけば申し分ないし如月グループが目をつけるのも当然だよね‼︎」

ババア「流石は2人とも神童と呼ばれていただけはあるね。頭の回転はまずまずじゃないか。」

 

 畜生!今はお前の気持ちが全部手に取るように分かるよ‼︎まあ優子が店長業務のせいでこの大会に参加しないのが唯一の救いだね!

 

明久「2人とも彼女を大切にしなよ〜w」

昂哉・雄二「「ブチ殺すぞ‼︎」」

 

 このバカはとっとと最近凶暴化しつつある姫路と元々凶暴な島田の尻に敷かれて欲しいな〜。

 

ババア「ま、そんなわけで本人の意思を無視して、うちの可愛い生徒の将来を決定しようって計画が気に入らないのさ。」

昂哉「なるほど、じゃあ俺たちが優勝してそれを手に入れるか、優勝者から譲ってもらうかすればいいんですね!」

ババア「自力優勝だけ許可するよ。」

昂哉「え〜!」

 

 明らかに譲ってもらった方が楽なんだけどね〜。曲がりなりにも教育機関だから正攻法を好むのかな?そんなことを思ってたら俺よりも長い時間バグっていた雄二が正気に戻って口を開いた。

 

雄二「分かりました、その話を引き受けましょう、と言いたいが既に昂哉と姫路のペアが出る予定だ。だからその2人に任せるのはどうだ?」

ババア「アタシは一組だと不安だから坂本と吉井にもペアを組んで出て欲しいね。それが条件だ。」

 

 保険というわけね。まあこの2人の成績じゃああんまりアテにならないと思うけど。

 

雄二「なるほどな。それならこちらからも提案がある。対戦表が決まったらその科目の指定を俺にやらせてもらいたい。」

ババア「ふん、点数の水増しとか言ったら一蹴しようと思ったけど、それくらいなら協力してやるよ。」

雄二「ありがとうございます。」

 

 どうやら雄二の提案は受け入れられたみたい。

 

ババア「さて、ここまで協力するんだ。絶対に優勝するんだろうね。」

昂哉「もちろん!」

雄二「昂哉姫路ペアには勝てないかもしれないが、俺達も善戦してみせるぜ‼︎」

明久「バカの意地を見せてやる‼︎」

ババア「それじゃ、ボウズども、任せたよ。」

昂哉・明久・雄二「「「はい‼︎それじゃあ失礼しました‼︎」」

ババア「あいよ。」

 

 そして俺たちは一緒に意気揚々とババア室を出ると………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「それで昂哉、さっきの件について話してくれない?」

島田「アキ、女子更衣室に居たってどういうこと?」

姫路「吉井君、そこは入っちゃいけない場所ですよね?」

霧島「…雄二、ちゃんと話して。」

 

 そこには悪魔が沢山いた。

 

 

 

 

 

 ババアと対談して優子たちの折檻を受けてから数日後、遂に清涼祭初日がやってきたぜ‼︎




 ということでババアとの対談でした。そして遂に可燃性の水が登場しましたね!ちなみに中身はスピリタスです。

 さて、次回から清涼祭がスタートします!お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第八問   朝目が覚めたら11時

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 さぁ〜って、いよいよ今日から清涼祭が開幕だ‼︎それにしても今日は随分と暑いね〜。朝なのに汗をかきそうだよ。朝なのに随分と明るいし。朝なのに随分と日が高いし………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時計 → 11:00

 

 

昂哉「遅刻だぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 

 クソ!昨日夜遅くまで麻雀をしてたらこのザマだぜ!早く学校につかないと、召喚大会が失格になってしまう‼︎しかもこんな日だからいつもは起こしてくれそうな優子も店長業務で朝から学校に行ってるから待ってくれなかったし‼︎ぬぉぉぉぉぉ‼︎間に合えぇぇぇぇぇぇぇ‼︎時間もやばいから無理矢理召喚大会の会場に行ってやるぅぅぅぅぅぅぅ‼︎

 

 

 

 

 

 そして遂に会場に着いたぜ!

 

昂哉「セーフ!はぁっ……はぁっ……」

姫路「全く、心配しましたよ‼︎あと3分で失格だったんですから‼︎」

昂哉「ごめん………はぁっ……なさい……」

姫路「ちなみに優子ちゃんには既に報告してありますからね?」

昂哉「それで………はぁっ……いいです………」

 

 えっと………、対戦相手は………

 

岩下「Fクラスが相手って聞いてたけど、まさかこの2人だとは………」

菊入「厳しいよ〜。」

 

 この………2人か………

 

布施「全く、時間管理はしっかりして下さいね。」

昂哉「はい………はぁっ………」

布施「それでは1回戦第12試合を初めて下さい。」

昂哉・姫路・岩下・菊入「「「「試獣召喚(サモン)」」」」

 

 

 

化学

 

2年Fクラス 雲雀丘昂哉 401点

2年Fクラス  姫路瑞希 537点

        VS

2年Bクラス  岩下律子 234点

2年Bクラス 菊入真由美 217点

 

 

 

 姫路は数学だけじゃなくて化学も得意なんだよね………。そのせいであの殺人料理が生まれたんだけどね………。はぁっ……。

 

岩下「まずは弱ってるクズの方から倒しましょう!」

菊入「そうだね!」

昂哉「かかって………こいや‼︎」

 

 正直近づいてくれるのはありがたいんだよね!

 

昂哉「《スピリタス》」

姫路「《熱線》」

岩下・菊入「「きゃぁ‼︎」」

昂哉「えっ?」

姫路「えい♪」

昂哉・岩下・菊入「「「きゃぁぁぁ!」」」

 

 なんか姫路の腕輪の力に巻き込まれたんだけど⁉︎しかもまとめて追加攻撃してきたし‼︎嘘でしょ⁉︎

 

 

 

化学

 

2年Fクラス 雲雀丘昂哉 0点

2年Fクラス  姫路瑞希 537点

        VS

2年Bクラス  岩下律子 0点

2年Bクラス 菊入真由美 0点

 

 

 

布施「勝者、姫路さん。」

 

 俺は勝ちじゃないんかい!

 

昂哉「なんで俺まで巻き込んだの⁉︎」

姫路「優子ちゃんがこうしろと………。それに遅れた罰だと思ってもらえれば!」

昂哉「そ、そうだね……」

 

 そういうことね。

 

姫路「とりあえず早くクラスに行きましょう!」

 

 ということで教室に戻りました!

 

 

 

 

 

 教室は雄二の統率力もあってか凄い綺麗な中華喫茶になってたよ!

 

雄二「おはよう。とりあえずこの飲茶を食え。」

明久「寝坊したから何も食べてないんでしょ?美味しいから食べな?」

 

 コイツらが会って早々こんな事を言うとは普通じゃないね。そうなると、きっとあの飲茶は姫路作に違いない‼︎

 

昂哉「ごめん、お腹空いてないからいいや!」

雄二「拒否権はねえ‼︎」 ドゴォ

昂哉「グファ………‼︎」

 

 あれ、意識が……………

 

 

 

 

 

 

 

 目を覚ますと、そこは厨房だった。

 

ムッツリーニ「………起きたようだな。………ならさっさと働け。」

昂哉「ほ〜い。」

 

 ということで軽く作り方を教わった後、俺は飲茶を作り続ける作業を続けた。

 

昂哉「ところで、なんで俺は厨房なの?」

ムッツリーニ「………老け顔をホールに出すとアレだから。」

昂哉「嘘でしょ⁉︎」

 

 15〜18歳のときは老け顔を活かして兄の名義で雀荘・パチ屋・風俗に行きまくってたから、あまりこの顔を悪いと思ったことがなかったんだよね〜。それがここに来て悪影響を及ぼすとは………。

 

 そんな事を思ってると………

 

明久「オラ雄二!さっきの2回戦の決着をつけるぞ‼︎」

雄二「上等だよ‼︎」

 

 何故か喧嘩しながらあの2人が帰って来た。

 

昂哉「何してんの〜?」

明久「コイツが召喚大会で僕を囮にしようとしたんだ!僕は点数が無いのに‼︎」

雄二「お前だって俺を囮にしようとしただろ‼︎俺は代表だから召喚獣を殆ど使った事が無かったのに‼︎」

 

 確かペア数の関係で雄二たちは2回戦からのスタートなんだよね。正直羨ましい。だからここは煽っとくか〜!

 

昂哉「2人とも、小学生みたいな喧嘩をするなよ〜w」

島田「そうね!とりあえず2人とも早く手伝って!」

秀吉「結構お客さんも来ていて忙しいぞい‼︎」

明久・雄二「「は〜い。」」

 

 それにしても、秀吉と周りの声を聞く感じお客さんがかなりいっぱいいるね〜。厨房からは直接見れないけど。正直旧校舎は汚いからここまで人が来るとは思わなかったよ!そんな事を思ってると………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

船越「すいません!肉付きのいい高校生を1人!」

 

 行き遅れたおばさんがやって来た。

 

雄二「よし明久、お前の出番だな。」

明久「雄二こそ肉付きがいいでしょ!」

雄二「それ言うならビールっ腹の昂哉の方が肉付きが良さそうじゃねえか?」

明久・雄二「「それだ‼︎」」

 

 おいおい!俺をおばさんに突き出すんじゃないよ!あと俺はまだ20だ!そんなにビールっ腹じゃねえ!

 

雄二「ということでご指名が入ったからさっさと行け。」

昂哉「指名してないでしょ⁉︎」

明久「遅刻したんだからそれぐらいはしてよ!」

 

 クソ!それを言われると何も言い返せねえ!

 

昂哉「わ、分かったよ!」

 

 ということで仕方なく俺は船越先生のところへ向かった。

 

昂哉「お待たせしました〜。それで、ご注文は何にします?」

船越「学祭デートで!」

昂哉「貴方には赤田のじっちゃんが居ませんでしたっけ?」

船越「それがあの人、7股が発覚したのよ〜。それでムカついたから別れてやったの!」

 

 あのジジイはマジでヤバいね。普通75歳で7股なんてするか?随分と刺激的なセカンドライフだね!

 

昂哉「そうなんですね〜。ちなみに当店では注文できるのは飲茶と烏龍茶のみとなっております。」

船越「あら残念。それじゃあ烏龍茶を1杯いただこうかしら。」

昂哉「分かりました。それではお待ち下さ〜い‼︎」

 

 ということで俺は元々厨房班なのもあって自分で烏龍茶を入れて持って来た。

 

昂哉「お待たせしました!それではごゆっくり〜!」

船越「この後私とごゆっくりする予定は?」

昂哉「ありませ〜ん!」

姫路「雲雀丘君、そろそろ2回戦の時間です!」

昂哉「おっといけねえ!それじゃあまた!」

船越「はい………」

 

 いや、ガッカリしないで!流石に25歳も歳上なのは俺の守備範囲外なの‼︎ごめんなさいね!

 

 

 

 

 2回戦に向かう道中、俺は姫路に声をかけられた。

 

姫路「大丈夫でしたか?」

昂哉「危うくお持ち帰りされるところだったよ……」

姫路「それは大変でしたね………」

昂哉「とりあえず助けてくれてありがとな!」

姫路「いえいえ〜!」

 

 マジで身の危険を感じたからね。というかアイツは一応教師なんだからさ、自分の学校内だけでもしっかりして欲しいよ!

 

 さてと、2回戦の相手は……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久保「清水さん、日本の法律を変えるにはどうすればいいかね?」

清水「とりあえず国会を乗っ取るのが良いと美春は思います‼︎」

久保「それだ‼︎」

 

 なんかやべえ話をしている同性愛コンビだった。

 

田中「それじゃあ2回戦第13試合を始めて下さい。」

昂哉・姫路・久保・清水「「「「試獣召喚(サモン)」」」」

 

 

 

世界史

 

2年Fクラス 雲雀丘昂哉 386点

2年Fクラス  姫路瑞希 425点

        VS

2年Dクラス  清水美春 104点

2年Aクラス  久保利光 615点

 

 

 

 久保は学年次席な上に文系だからかなり強敵なんだよね。でもここは格上にこそ有利に立ち回れる酒の力で立ち向かうか!そんな事を思ってると………、

 

清水「美春はそこの豚野郎にお話があります‼︎」

 

 いきなり罵倒されたので…………、

 

昂哉「なんだい、クソレズ縦ロールさん?」

 

 罵倒し返した。

 

清水「なっ⁉︎いきなりなんて事を言うのです⁉︎美春も一応乙女ですよ⁉︎」

昂哉「そんな事言ったら俺だってか弱い少年さ!」

清水「男はどうでもいいんです‼︎」

昂哉「それなら女もどうでもいいんです‼︎」

清水「女の子は良くないです‼︎」

 

 このままいくと話が進まないから本題に戻すか〜。

 

昂哉「まあまあ!んで、俺に何の用だい?」

清水「美春は貴方の秘密を握ってるんです‼︎もしバラされたくないのでしたら大人しくここで降参して下さい‼︎」

 

 俺の秘密?優子に付き合わされてる事は既に多くの人が知ってるし、学校をサボって雀荘やパチ屋に行ってる事も良く知られている。大の風俗好きなのも今更恥じるような事じゃないし、未成年飲酒で5回停学になったのも今更隠すような事じゃない。なら一体何だろう?

 

昂哉「う〜ん、俺は別にお前に握られるような秘密はないと思うけどな〜。」

 

 ん?清水が近づいて小声で話しかけて来たぞ?

 

清水「……美春は貴方が男の娘のお店に通い詰めている事を知っていますよ?……」

 

 何だと⁉︎

 

昂哉「……清水も男の娘に興味があるのかい?……」

清水「……はぁ⁉︎何を言ってるのですか⁉︎違いますよ‼︎……」

 

 どうやら違ったみたいだ。

 

清水「……美春はただ匿名の情報提供を受けただけです!……」

 

 それ絶対匿名じゃなくて知り合いでしょ。でもお前のやりたい事は分かったよ‼︎だが俺はここで負けるわけにはいかないからね‼︎だからこうしてやる‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「俺は木下秀吉の影響で男の娘にハマりました‼︎だからその手の店にも結構通ってます‼︎」

 

 

 

 

姫路・久保「「えっ⁉︎」」

清水「えっ⁉︎ちょっと、そんな大声で言っていいのですか⁉︎しかも人前ですよ⁉︎」

 

 その程度が脅迫だと思ったら大間違いだぜ!なんせ世は性癖大公開時代だからね‼︎

 

昂哉「どうやら脅迫のネタは尽きたみたいだね!」

清水「こんな事あります⁉︎」

昂哉「それじゃあとっとと片付けるよ、姫路‼︎」

姫路「は、はい………」

久保「清水さん、僕が何とかします!」

清水「み、美春も頑張りますわ!」

昂哉「んじゃあ清水はとりあえず姫路が相手して!俺は久保を酔わせるから‼︎」

姫路「はい!」

 

 さてと、酒の力を見せてやるぜ!

 

昂哉「ほい!テキーラ!」ガッ!

 

 今の点数だと召喚獣のアルコール度数は38.6度だからね。テキーラ相当なのさ!微妙に点数が足りなくて腕輪の力(スピリタス)を使えないのが残念だね!

 

久保「なっ⁉︎召喚獣が酔っているだと⁉︎」

昂哉「ほらほら、動きが鈍ってるよ〜♪」

姫路「清水さんを倒しましたよ!」

昂哉「そんじゃあお願い!」

姫路「はい!《熱線》!」

久保「なっ⁉︎《A・K・H・S》!」

 

 何だよその腕輪の力の名前は‼︎あ・き・ひ・さ、ってか!というか………

 

昂哉・姫路「「吸い込まれる(ます)〜。」」

姫路「でも負けませんから‼︎」

 

 風がえぐい!全ての風が久保に集まるように吹いている‼︎そして久保がその中心で鎌を振り回して獲物を待ち構えている姿はまるでアリ地獄みたいだ!でも姫路の熱線だって負けていないぞ〜!

 

昂哉「うぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」

久保「あぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 

世界史

 

2年Fクラス 雲雀丘昂哉 0点

2年Fクラス  姫路瑞希 83点

        VS

2年Dクラス  清水美春 0点

2年Aクラス  久保利光 0点

 

 

田中「勝者、姫路さん。」

 

 どうやら俺はまた勝てなかったみたいだ。まあ今回は久保のアリ地獄のせいでコントロールが効かなくて姫路の腕輪の力(熱線)を食らっただけだからね。仕方がなかったってやつさ!

 

昂哉・姫路「「ありがとうございました‼︎」」

久保・清水「「ありがとうございました……」」

姫路「なんかまた当てちゃってすいません……」

昂哉「あれは久保の攻撃で身動きが取れなかっただけだからね。気にしないで!」

姫路「は、はい………」

昂哉「よぉ〜し、それじゃあ店に戻りますか!」

姫路「はい!」

 

 そうして俺と姫路が店に戻ると………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏川「おいおい!ここの店は食べ物の中に虫を入れるのかよ‼︎」

常村「全く最低な店だぜ‼︎」

 

 悪質なクレーマーがそこにはいた。




 ということで清涼祭が始まりました!昂哉は間に合ってよかったですね!まあ間に合わないと洒落になんないのですが………。ちなみに2回戦で明久と雄二が対戦したのはEクラスの中林&三上コンビです。

 さて、次回はついにアイツらがやってきます。お楽しみに‼︎

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第九問   災厄の襲来

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 明久

 

 しばらく喫茶店の仕事をしていると、悪質なクレーマーが出現した。

 

夏川「おいおい!ここの店は食べ物の中に虫を入れるのかよ‼︎」

常村「全く最低な店だぜ‼︎」

 

 そんな〜。朝きちんと確認したはずなのに……。

 

明久「雄二、どうする?」

雄二「とりあえず消毒及び清掃作業をしなければいけないな。」

明久「だよね………」

 

 更には2回戦に行ってた昂哉と姫路さんも戻ってきて困惑しはじめた。

 

姫路「と、どういうことですか……?」

昂哉「ありゃりゃ〜、こりゃあ面倒な事になったね〜。」

 

 まあ朝きちんと清掃・消毒しても虫が入ることなんて普通か……。そんなことを思ってると、立ち上がったクレーマーの2人のポケットから袋詰めにされた虫が出てきた!

 

明久「アイツらめ、わざとやってたんだ!雄二、昂哉!なんとかしないと!」

雄二「分かった。俺に任せておけ。あと明久と昂哉はあのクレーマーの顔を覚えておけ。」

明久「分かった!」

昂哉「ほ〜い!」

 

 う〜んと、クレーマーは坊主が1人とモヒカンが1人ね。しかもなんか喚いてるし………

 

夏川「全く、責任者はいないのかよ!」

常村「いるならとっとと出てこいや‼︎」

 

 そして雄二が近づくと………

 

夏川「なんだ、お前がァ………」ドゴォ!バタン

 

 クレーマーを殴り飛ばした!いいぞ雄二!

 

雄二「私が代表の坂本です。何かが不満な点でもございましたか?自分達で勝手に虫を入れておいて不満とか、私には見当もつきませんが。」

常村「うるせえ‼︎それに不満も何も今連れが殴り飛ばされたんだが!」

雄二「それは私のモットー、『パンチから始まる交渉術』に対する冒涜ですか?」

 

 怖!なんだよその交渉術!

 

夏川「ふ、ふざけんなよこの野郎!何が交渉じゅふぎゃぁぁぁぁ」 ドゴォ!

雄二「そして『キックでつなぐ交渉術』です。最後には『プロレス技で締める交渉術』が待っていますので。」

常村「わ、分かった!こちらはこの夏川を交渉に出そう‼︎俺は何もしないから交渉は不要だぞ‼︎」

夏川「ちょ、ちょっと待てや常村!お前は俺を売ろうというのか⁉︎」

雄二「それで常夏コンビとやら、まだ交渉を続けるのか?」

 

 名前をもじって常夏コンビ。なんか面白いね!

 

常村「い、いや。もうじゅ………」

昂哉「雄二、まずいぞ‼︎」

 

 え⁉︎急にどうしたの昂哉⁉︎木下さんにヤバい隠し事でもバレたの⁉︎

 

雄二「どうした昂哉。お前も俺の交渉術に文句があるのか?」

昂哉「そうじゃないよ雄二‼︎最悪な災厄がやってくるんだ‼︎」

雄二「災厄なら今俺の目の前にいるだろ。」

昂哉「そんな常夏コンビなんて屁でもねえ‼︎もっとヤベェ奴らがくるんだ‼︎」

雄二「なんだそれは………」

昂哉「しかも普段着で来るんだ‼︎なんとかしないと‼︎とりあえず店を閉めた方がいい‼︎俺が廊下でアイツらを追い返すから‼︎」

雄二「普段着なら別にいいだろ………」

 

 昂哉は何を言ってるんだろう?そんなにやばい奴がいるのかな?そう思ってドアの方を見ると………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

力哉・克哉「「昂哉‼︎俺たちにお前の服をくれないか‼︎」」

 

 

 

 パンイチの男が2人入ってきた。しかも昂哉に顔がそっくりだった。

 

昂哉「人違いです。それととっととお帰りください。さもなければ俺のパチンコ玉を貴方たちにぶつけます。」

力哉「ちょっと待てよ昂哉!実の兄に対してそれは酷いだろ!」

克哉「もしかして兄貴の態度がいけなかったんじゃないのか?」

力哉「そういう克哉だって昂哉に引かれてるだろ。」

昂哉「すいませ〜ん‼︎半裸の変態2人が高校生に着ているものを寄越せと迫って来てるんですが‼︎誰か助けれくれませんか〜?」

 

 この2人が昂哉のお兄さんなのか…。なんていうか僕の姉さんより酷いかもしれない……。

 

昂哉「雄二!とりあえずコイツらをどうにかしないと!」

雄二「う〜ん、そうだな……そうだ!おらよ!」グイッ‼︎

夏川・常村「「な、何をする気だぁぁぁ‼︎」」

 

 そうして雄二は常夏コンビを2人まとめて引きずって……

 

雄二「お客様、こちらの親切な2人が服を貸して下さるそうです。人目につくといけないので是非つきあたりにある男子更衣室をご利用下さい。」

克哉「おお、感謝するぞ!さあ兄貴、早く行こうぜ‼︎」

力哉「おかげでやっと警備員に追いかけられなくて済むな‼︎ほれほれそこのお二人さん、早速俺たちと着替えを楽しもうじゃないか‼︎」

夏川・常村「「いやぁぁぁぁぁ‼︎」」

 

 そう言って昂哉の兄貴たちは常夏コンビを引きずって男子更衣室に消えてしまった。ざまあみやがれ!僕たちの邪魔をした罰だ!

 

雄二「お客様、ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。只今より臨時の清掃作業に入りますので申し訳ないですが少々お待ち下さい。」

 

 という雄二の指示の元、臨時の清掃作業が始まった。その時、教頭先生が席を立ち上がった。てかいたんだね。あの人ってあんまりこういう催し物好きそうなイメージないからね〜。まあ意外な一面っていうことで覚えておこう!

 

 

 

 そして清掃作業中、僕は気になったので強烈なあの2人のことを昂哉に聞いてみた。

 

明久「昂哉、さっきの2人が昂哉のお兄さんなの?」

昂哉「人違いさ!」

明久「いや、顔に体型とか結構似てるとこあったよね?」

昂哉「人違い………」

秀吉「昂哉の兄上の力哉と克哉じゃの。」

昂哉「秀吉⁉︎」

 

 何だろう………。僕も姉さんの事で困ってるけど、昂哉も同じだったんだね………。

 

明久「なんていうか、大変だね………。僕も頭のおかしい姉さんがいるからよく分かるよ………」

雄二「安心しろ。なんせ俺のお袋も頭のネジが外れているからな。」

秀吉「ワシには恐ろしい姉上がいるからのぅ!」

昂哉「皆身内に爆弾を抱えて生きてたんだね………」

 

 雄二のお母さんの話は初耳だけどね。それにしても、インパクトがありすぎるあの2人の事を聞いてみるか!

 

明久「昂哉のお兄さんってどんな感じなの?」

昂哉「あんな感じだね。」

明久「もっと詳しく!」

昂哉「えっと………、まずあの2人の普段着はパンイチだね。たまに服を着るけど。しかも酒を飲むと全裸にアップグレードするんだ‼︎」

明久「それはアップグレードとは言わないよね?」

雄二「本当にアレが普段着だったのか………」

 

 だから普段着である事を警戒してたんだね。

 

秀吉「ワシの予想じゃと彼奴らは今日の清涼祭に寝坊しないために夜のうちに校庭に忍び込んで飲んでおったのじゃ。それでいて朝起きたら酔い潰れていて服が行方不明となり、辛うじて残ったパンツだけを履いて今に至る、という感じじゃと思うのじゃが……」

昂哉「何一つ間違ってないね。俺はアイツらとは違って夜遅くまで麻雀を打ってたから寝坊したけど。」

明久「うわぁ………」

 

 まさか姉さんよりヤバい人がいるとは思わなかったよ………

 

雄二「そうか、秀吉は昂哉と幼馴染みなんだから知ってるのか。」

秀吉「そうじゃの!まあ歳が離れすぎて昂哉ほどは仲良くないがのぅ。」

昂哉「金髪(克哉)が俺の3つ上で今年23、黒髪(力哉)が俺の5つ上で今年25だからね。」

雄二「いい年した大人があんな感じなのか……」

 

 じゃあ金髪のお兄さんの方は姉さんと同い年なのか………。もしかしたら知ってるかもね。

 

秀吉「しかも彼奴らは昂哉に酒、パチンコ、スロット、麻雀、風俗を教えた張本人じゃ!」

 

 じゃあ昂哉のサボり場所を教えたのはお兄さんたちなんだね。

 

昂哉「俺がクズになったのはアイツらのせいだね。」

秀吉「いや、それはお主の性格そのものじゃ。」

雄二「人のせいにしたらダメだぞ?」

明久「幼馴染みが言うんだから間違いないね!」

昂哉「うるせえ‼︎………それと、アイツらにはまだ凄い特徴があるのさ!」

 

 凄い特徴?今までのでも充分凄いと思うけど………

 

昂哉「なんせアイツらどっちもイケるからな〜。」

 

 どっちも?何がどっちもなんだろう?

 

秀吉「確かバイセクシャルじゃったな。」

 

 嘘でしょ⁉︎そういうどっちもなの⁉︎

 

昂哉「普通の風俗だけじゃなくてウリ専、いわゆるゲイ専用風俗にも通い詰めてる奴らだからね〜。」

明久「それはなかなかに凄い人達だね……」

雄二「金を払うほど好きなのか。」

昂哉「ちなみに前言ってた明久の事が可愛いって言うのも紛れもない本心だよ!」

秀吉「しかも2人ともタイプって言ってたのぅ。」

 

 嘘でしょ⁉︎あの2人に狙われるの、僕⁉︎

 

明久「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

雄二「良かったな明久。念願の恋人だぞ。」

秀吉「しかも2人も出来るとはのぅ‼︎」

島田「ちょっとアキ、それどう言う事⁉︎」

姫路「吉井君、詳しく聞かせて下さい‼︎」

ムッツリーニ「………俺にも!」

昂哉「安心して、皆!明久の恋人になるのはさっき来た半裸の変態2人さ!」

明久「昂哉、ふざけないでよ‼︎」

ムッツリーニ「………草。」

島田「そんな…………。アキはやっぱり女よりも男に興味があるんだね………」

姫路「分かってはいましたけど……。こうはっきりと言われると残念です………」

明久「ちょっと2人とも⁉︎既知の事実みたいに言わないでよ‼︎違うからね‼︎」

 

 こうして僕は変態の汚名を着せられてしまったのであった………

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 まさか皆にも頭のおかしい身内がいたとはね。ちょっと安心したよ!そんな事を思いながら俺は厨房に戻った後飲茶を作っていると…………、

 

葉月「あ、綺麗なお姉ちゃんですっ‼︎」

姫路「あ、葉月ちゃん、お久しぶり!あの子は可愛がってあげてる?」

葉月「はいですぅ‼︎毎日一緒に寝てますぅ‼︎」

 

 どこかで聞いたことのあるような声が聞こえて来た。かなり特徴的な喋り方だから耳に残ってたんだよね〜。姫路が珍しくタメ口なことから多分相手は小学生。はてさて、一体誰だったっけ?

 

島田「あ、葉月!来てたんだ!」

葉月「あ、お姉ちゃんですっ!来ちゃいました!」

姫路「葉月ちゃんって美波ちゃんの妹だったんですね!」

葉月「お姉ちゃんと綺麗なお姉ちゃんってお友達だったんですね♪」

島田「そうね!」

 

 なるほど、島田の妹か……って知らんわ!とりあえずホールに出てみよっと♪さてさて、どんな子………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葉月「あ!公園のおじさんですぅ‼︎」

 

 

 

 あ、この子か…………ってどんな呼び方だよ‼︎これじゃあ俺が女子小学生に手を出そうとしているホームレスの成人男性みたいじゃん‼︎

 

島田「ねえ葉月、なんで雲雀丘のことを知ってるの?」

葉月「葉月が公園にいた時にこのおじさんがお酒を飲みながら話しかけてきたんですぅ‼︎」

 

 言い方!

 

昂哉「ちょっと待ってよ葉月ちゃん!俺はおじさんじゃなく……」

姫路「雲雀丘君?成人男性が小学生に手を出すってどういうことなんですか?これは優子ちゃんに報告しなきゃいけませんね!」

島田「ウチの妹に手を出してんじゃないわよ!」

昂哉「いやいや、誤解だから‼︎」

島田「そうなの?」

姫路「そうなんですか?」

葉月「はいっ!」

 

 良かった!葉月ちゃんが助けてくれた!

 

葉月「おじさんは葉月に優しく話しかけてくれた人なんですぅ!」

 

 だから言い方!それだともっと酷い事になっちゃうじゃん‼︎

 

姫路「誤解じゃないみたいですね!」

島田「いい葉月、怪しいおじさんっていうのはね、優しい言葉をかけて誘拐する生き物なのよ。」

葉月「そうなのですかっ?」

昂哉「だ・か・ら‼︎俺は違うからね!そんなに疑うんだったらさ、優子にチクるでもなんでもすればいいよ!」

姫路「優子ちゃんに報告されてもいいって事は、」

島田「嘘はついてないってことね……」

 

 いや、どういう判別の仕方だよ。確かに後ろめたい事はアイツに報告したくないけどさ。

 

 

 

 

 そんなことを思ってると、葉月ちゃんが話題を変えた。

 

葉月「そういえば、バカなお兄ちゃんを知りませんか?」

 

 どうやら人を探していたみたい。

 

昂哉「バカなお兄ちゃん?この教室にいっぱいいるから分かんないな〜。他に特徴は?」

葉月「え〜っと、すっごくバカなお兄ちゃんですぅ!」

昂哉「明久だね!」

秀吉「明久じゃのぅ。」

島田「アキね。」

姫路「吉井君ですね!」

 

 凄い団結力!流石は明久だね!そんなことを思ってると………、

 

明久「ただいま〜!3回戦も勝ったよ〜!ついでに根本君と小山さんを女装写真集を使って別れさせてきたよ〜!」

 

 当の本人が帰ってきた。コイツと雄二がやった事はこの際気にしないでおこう。

 

葉月「あっ!バカなお兄ちゃんですぅ!」

明久「え⁉︎ちょっとどういうこと?ていうか君は誰だい?」

 

 いや、覚えてないんかい!

 

葉月「え……ちょっと酷いですぅ!結婚の約束までしたのにぃ‼︎」

 

 わお!最近の小学生は、だ・い・た・ん♪

 

島田「瑞希、殺るわよ‼︎」

姫路「はいっ!」

明久「ちょっと待ってよ2人とも⁉︎何をするゴブァッ……」 バタン

島田「瑞希は首を捻って!ウチは足を捻るから‼︎」

姫路「分かりました‼︎」

明久「ちょちょちょ、ちょっと待ってよ!僕は結婚の約束なんて……」

葉月「酷いですぅ!ファーストキスもあげたのに〜‼︎」

島田「瑞希は口を広げて!そこでつっ立ってる坂本と雲雀丘は包丁を合わせて5本持ってきてくれる⁉︎」

雄二「ええ……」

昂哉「い〜よ♪」

 

 凄い!明久相手になると一気に過激になったね、この2人‼︎死にかけてる明久を見るのがサイコ〜♪

 

明久「お願いひまふぅ!はなひを聞いてくらはいっ!」

島田「仕方ない、2本にするわ!」

明久「ねえ美波、包丁って一本でも刺さったら致命傷なんだよ?」

 

 あ〜面白いね〜w

 

葉月「あ、あの!ぬいぐるみで思い出してくれますかっ⁉︎」

明久「あ〜、あの時のぬいぐるみの子か‼︎」

 

 そうだよね、その時だよね!明久が葉月ちゃんのためにぬいぐるみを買おうと奮闘してたんだっけ。俺と姫路はこっそり一部始終を見てたから分かるんだよね〜。それで公園で待ってる葉月ちゃんに俺が明久のことについて話そうと思って話しかけたんだっけ。しかも葉月ちゃんが島田の妹だったのも凄い偶然だね!ちなみにこのときに姫路がもう一個ぬいぐるみを作って渡してたけど、あれを手伝ったりもしたな〜。

 

葉月「ぬいぐるみの子じゃないですぅ!葉月ですぅ‼︎」

明久「ああ葉月ちゃんか、久しぶりだね、元気だった?」

島田「そういえばさ、葉月とアキも知り合いだったの?」

明久「うん。去年ちょっとね。」

雄二「それより、『も』って言うことは他にも知り合いがいるのか?」

昂哉「俺と姫路も葉月ちゃんと面識があるんだよね〜。」

明久「え⁉︎それ本当⁉︎葉月ちゃん大丈夫だった?このおじさんになんか変なことされなかった?」

 

 お前もおじさん呼ばわりするなや!

 

葉月「話しかけられただけですぅ!」

明久「アウトだね‼︎」

昂哉「セーフだからね⁉︎優子にチクってもいいし‼︎」

明久「ならセーフだね!」

 

 マジで優子が俺の監視役兼しつけ役みたいな扱いをやめて欲しいよね。一応アイツの方が3歳年下だよ?何が楽しくて年下の尻に敷かれなきゃいけないのさ‼︎

 

 

 

 そんな事を思っていると、雄二が話題を変えた。

 

雄二「そういえば、この客の少なさはどういうことだ?」

 

 確かに。最初のうちは混んでたのに、今はすっからかんとしてるよね。

 

葉月「そういえば葉月がここに来る途中色んなお話を聞いたんですぅ。」

雄二「ん?どんな話だ?」

葉月「えっと、中華喫茶は汚いから行かない方がいい、って。」

全員「「「「「なんだって⁉︎」」」」」

 

 どうせまたあの常夏コンビでしょ‼︎兄貴から解放されて調子に乗りやがって!

 

昂哉「雄二、常夏コンビが流布してるに違いない!見つけ次第シバき倒そう!」

雄二「昂哉の言う通りである可能性が高い。とりあえず噂の発生源を見に行かないとな。」

秀吉「ちょうど良いお昼時じゃし、召喚大会メンバーと島田姉妹で行って来るとよいぞ!」

雄二「よし、それじゃあさっきの話をどの辺で聞いたか教えてくれないか?」

葉月「えっとですね…、短いスカートの綺麗なメイドさんがいっぱいいたよ!」

昂哉・明久・雄二「「「なんだって〜⁉︎」」」

 

 メイド喫茶ね!俺も好きだぜ!

 

明久「雄二、昂哉!それは直ぐに向かわないと!」

雄二「そうだな明久!我がFクラスの成功のためにも、…低いアングルから…綿密に調査しないとな!」

昂哉「雄二の言う通りさ!指名とかお持ち帰りとかの充実したサービスを俺たちのクラスの参考にしないとね‼︎」

雄二「そうと決まれば行くぞ‼︎」

昂哉・明久「「おう‼︎」」

 

 ということで俺たちは楽園へと向かったのだが、店についた途端……………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄二「頼む‼︎ここだけは勘弁してくれ‼︎」

 

 雄二が入店拒否をし始めた。




 ということで全裸系兄貴が登場しました!モデルはバカテスと同じ作者であるぐらんぶるの先輩3人です(髪の色と声は時田と寿から、バイの要素は梓から)。それを混ぜた上でさらに酷くしたのがあの2人ですね。

 さて、次回はメイド喫茶に行きます。優子がいるにも関わらず昂哉が入店拒否をしていないのには理由があります。それは次回のお楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第十問   メイド喫茶

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 俺たちは目的のメイド喫茶にやってきたわけなんだけど………

 

雄二「頼む‼︎ここだけは勘弁してくれ‼︎」

 

 雄二が入店拒否をし始めた。まあここは2年Aクラスだからね。気持ちは分かるけど。

 

葉月「おっきいお兄ちゃん、どうしたんですかっ?」

雄二「行き先が地獄だと知って帰ろうとしてるんだ。」

明久「どうしたの、霧島雄二?さっきまでとは言ってる事が違うよ?」

雄二「うるせえ明久‼︎あと俺の苗字を勝手に変えるな‼︎」

島田「坂本、アンタは店長なんだから早く入らないと!視察なんでしょ?」

雄二「刺殺されるかもしれないから拒否してんだよ‼︎」

姫路「坂本君、女の子から逃げちゃダメですよ?」

雄二「お前らには実害がないから分からんと思うがな、俺はいつも命を脅かされてるんだぞ?」

昂哉「逃げ切れるだけまだマシじゃん!」

雄二「悲しい事を言うなよ………」

 

 まあ俺が拒否してないのにはちゃんとした理由があるんですけどね〜。

 

明久「そういえば木下昂哉はやけに落ち着いてるよね?なんで?」

昂哉「優子は店長をやってるんだよね〜。俺らのクラスならともかく、こういう大きい店になると、店長が表に出てくる事はまずないんだよ。」

雄二「だからお前は平気なのか……」

昂哉「そうだね!」

姫路「じゃあ呼んであげましょうか?」

島田「それがいいね!」

昂哉「忙しいと思うしやめてあげな〜。」

明久「で、本音は?」

昂哉「まだ死にたくない。」

雄二「だよな。」

 

 しょうがないじゃん!だって奴は俺より力が強いんだもん‼︎

 

 

 

 

 

 それはともかく、入りますか!

 

昂哉「すいませ〜ん!」

 

 そうして中に入ると、そこには絶景が広がっていた。辺り一面に咲き乱れる綺麗なメイドさんたちだ!最高だぜ‼︎あと女性客用に男子は執事のコスプレをしているみたい。流石だね!そして………、

 

工藤「あっ、美波たちか!いらっしゃいませ〜!」

 

 受け付けで工藤が出迎えてくれた。

 

島田「愛子じゃん!似合ってるよ!」

工藤「ありがと〜う!それじゃあまずはこっちで受け付けをしてね。」

島田「は〜い!」

 

 ん?あそこにいるのは…………?

 

ムッツリーニ「……………」パシャパシャ

メイド1・2「「きゃあ‼︎」」

 

 ムッツリーニじゃん!店番なのになんでいるんだよ!しかも写真撮ってるし。ここは俺が優しく注意してあげるか!

 

昂哉「ムッツリーニ!」

ムッツリーニ「………人違いです。」

昂哉「勝手に写真を撮っちゃダメだよ(後でその写真を俺に頂戴)!」

ムッツリーニ「………写真なんて一枚も撮ってない(新しい風俗のレビュー書と交換で)!」

雄二「本音がダダ漏れじゃねえか。」

 

 よし!これで完璧だ!

 

工藤「ムッツリーニ君、せっかくだからお客さんとして入って欲しいな〜。」

ムッツリーニ「………工藤、俺は当番があるから帰る。」

工藤「そ、そうなんだ………。じゃあね………」

 

 そう言ってムッツリーニはすぐに帰っていった。それとあの反応は?

 

島田「残念だね〜、愛子!」

工藤「え⁉︎な、なんのことカナ〜?」

島田「まあまあ!空いた時間に土屋を連れてきてあげるからさ!」

工藤「い、いや〜、大丈夫だよ〜!」

 

 やっぱり!工藤はムッツリーニの事が好きなんだね!

 

工藤「ま、まあとにかくさ!受け付けを済ませてね〜!」

島田「は〜い♪」

 

 ということで受け付けをすることにした。

 

昂哉「えっと、代表者の名前だけを書けばいいのかな?」

赤田爺「それはのぅ……」

 

 うわ!びっくりした‼︎じっちゃんが突然現れたんだけど!しかもめちゃくちゃ老執事のコスプレが似合ってるし!

 

赤田爺「代表として女性の名前と連絡先だけを書いて欲しいのじゃ。」

昂哉「後で店から宣伝の連絡でもするの?」

赤田爺「後で儂から個人的な連絡をするためじゃ。」

 

 デートに使うためのやつじゃねえか!流石じっちゃんだな!

 

昂哉「分かったよ!それじゃあとりあえず姫路が書いとくからじっちゃんは他の女性客の対応をしてて!」

姫路「えっ⁉︎」

赤田爺「ほ〜い。」

 

 ということで俺は赤田爺を遠ざけた後、

 

昂哉「……姫路、連絡先にはこれとこれを書いといて!……」

姫路「……これって誰のですか?……」

昂哉「……俺の兄貴たちの!……」

姫路「……なるほど!わかりました!……」

 

 姫路に自分の名前と俺の兄貴の連絡先を書かせた。

 

工藤「よし、それじゃあ6名様が御来店です!担当メイドは………こちら!」

 

 さて、誰かな?

 

霧島「…お帰りなさいませ、ご主人様、お嬢様。」

昂哉・明久・島田・姫路「「「「おお〜!」」」」

葉月「お姉ちゃん、綺麗ですぅ〜!」

 

 霧島だった。わお!めちゃくちゃ似合っている!皆が喜んでる中で、一人だけ浮かない顔をしている奴がいた。

 

雄二「すまん工藤、担当を変えてもらっていいか?」

工藤「申し訳ございませんが、当店では担当メイドのチェンジはお承りしておりません♪」

雄二「クソ‼︎」

霧島「…お帰りなさいませ。…今夜は帰らせません、ダーリン///」

雄二「ああ………」

 

 下手な風俗よりヤバいぞこれ!いいね〜♪

 

姫路「霧島さん、大胆です!」

島田「ウチも見習わないとね…。」

葉月「あのお姉ちゃん、寝ないで一緒に遊ぶのかな?」

 

 この2人がああなったら明久もタジタジだろうね〜。あと葉月ちゃんはまだ知らなくていいからね〜。

 

 

 

 

 霧島に案内されて席に着きしばらくした後、俺たちは注文をする事になった。

 

島田「ウチはふわふわシフォンケーキで!」

葉月「葉月もー!」

姫路「あっ私もそれがいいです!」

明久「僕は水で!付け合わせに塩があると嬉しいな〜。」

 

 明久、せっかくこういうところに来たんだからもっといいものを食べなよ〜。勿体無いよ〜?

 

霧島「…お客様は?」

 

 もちろん、俺は頼むものは決まってるよ‼︎

 

昂哉「当店人気No.1のメイドさんを下さい‼︎」

明久・雄二・島田「「「えっ⁉︎」」」

姫路「優子ちゃんがいるのに何してるんですか⁉︎」

昂哉「いやいや〜、俺たちが来た目的は敵情視察でしょ〜?だったらさ、その店のサービスを満喫してから自分たちの店にフィードバックするのがいいと思わない?」

明久・島田・姫路「「「なるほど………」」」

雄二「表向きの理由を作るのが上手いな、お前は。」

昂哉「表向きも何もここに来た目的をちゃんと遂行してるわけですからね〜♪偉いでしょ〜♪」

葉月「おじさん、頭いいんですねっ♪」

昂哉「でっしょ〜♪」

霧島「…かしこまりました。」

 

 せっかくこういうお店に来たんだからね!

 

雄二「俺は………」

霧島「…では注文を繰り返します。」

 

 あれ?雄二はまだ何も言ってないよ?

 

雄二「おい!俺はまだ………

霧島「…『ふわふわシフォンケーキ』を3つ、『水』を1つ、トッピングで『塩』が1つ、『当店人気No.1のメイド』が1人、それと、『メイドとの婚姻届』が1つ、以上でよろしいでしょうか?」

 

 そういうことね‼︎

 

雄二「よろしくねえよ‼︎」

霧島「…ではメイドとの新婚生活を想像しながらお待ち下さい。」

昂哉・明久「「お待ち下さ〜い♪」」

雄二「ぶっ飛ばすぞ、テメェら‼︎」

昂哉・明久「「ソーリー♪」」

雄二「………ちっ!」

 

 ということで雄二だけが可哀想な目に遭ったよ!やったね!

 

 

 

 しばらくすると…………、

 

久保「吉井君お待たせ、こちらが『僕の』水と塩だよ。サービスで『僕の』砂糖もどうぞ。」

 

 何故か霧島じゃなくて久保が来た。

 

明久「ありがとう、久保君!」

 

 というか『僕の』って何かな?一応聞いてみるか。

 

昂哉「……ねえ久保、『僕の』水と塩と砂糖ってどういうこと?……」

久保「……僕の水筒に入っている水と家にある塩と砂糖だよ!……吉井君のために持ってきたんだ!……」

昂哉「……なるほどね!……それじゃあ頑張って!……」

久保「……ありがとう、雲雀丘君!……」

 

 明久が鈍感じゃなかったら今ので気付いていただろうね〜。あと姫路と島田さ〜ん、霧島じゃなくて久保が持ってきたから一安心してるけどさ、そいつは恋敵だからね。気を付けてね。まあどっちも知らないみたいだから俺の口からは言わないけどね〜。

 

 そんなことを思ってたらついに料理が運ばれてきたぞ〜‼︎さぁって、当店人気No.1メイドは誰なのかな〜?

 

 ん、誰も連れてきてないけどまさか霧島か⁉︎なら雄二には悪いけど堪能するとしますか‼︎まあまだ準備できてないだけかもしれないけどね〜。

 

霧島「…お待たせしました。こちらシフォンケーキになります。」

島田・姫路・葉月「「「ありがとうございます!」」」

 

 おお!なんとも美味しそうなケーキだね!俺も食べたくなってきちゃったよ!

 

霧島「…こちらメイドとの婚姻届と坂本家の実印になります。」

雄二「おい!これ本物じゃねえか⁉︎どうやって手に入れたんだよ‼︎」

霧島「…メイドとの新婚生活を想像しながらお楽しみ下さい///」

 

 草。これで晴れて霧島雄二の誕生だね!

 

霧島「…それと、当店人気No.1のメイドですが、現在お客様の後ろに立っております。…是非お楽しみ下さい!」

 

 成る程、振り向いたら超絶可愛いメイドさんがいるパターンね!いいサービスじゃないか!さてと、誰かな………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「ご指名いただき誠にありがとうございます‼︎当店人気No.1メイドの木下優子です‼︎よろしくお願いします‼︎」

 

 

 

 悪魔メイドじゃねえか。

 

 マズい、このままだと折檻コースになってしまう!でもね、ここでそう簡単に負けるほど俺は雑魚じゃない‼︎大人の対応力というものを見せてやんよ‼︎

 

昂哉「ねえ霧島‼︎本当にコイツが人気No.1なの⁉︎何かの間違いじゃない⁉︎だって店長ならあまり表に出てこないはずでしょ⁉︎そんな人が人気になるわけないよねぇ⁉︎」

霧島「…私の独断と偏見により決めさせていただきました。」

昂哉「ふざけんなよ‼︎それならチェンジで‼︎俺の好みじゃないから‼︎」

霧島「…当店では指名変更は承っておりません。」

昂哉「マジかよ⁉︎じゃあ帰るか‼︎」

明久「ダメだよ昂哉、さっき自分で言ったじゃん!」

昂哉「何を?」

雄二「その店のサービスを満喫してから自分たちの店にフィードバックするってな‼︎」

島田・姫路「「そう(です)ね‼︎」」

昂哉「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

霧島「…それではお楽しみ下さい。」

 

 ダメだったので地獄の時間が始まりました……………

 

優子「それではまず今朝の遅刻の件について、その理由を聞かせて下さりますか?」

昂哉「お断りします。」

優子「では首を絞め落としますがよろしいでしょうか?」

昂哉「よろしくないです………」

優子「では理由をお聞かせ下さい。」

昂哉「勉強を夜遅くまでしていたからです………」

優子「何の教科を勉強しましたか?」

昂哉「数学です…………」

優子「では数学のどの分野を勉強されていたのですか?」

昂哉「確率です…………」

優子「どのように勉強されたのですか?」

昂哉「実践(実戦)問題をやりました………」

優子「何人で勉強されたのですか?」

昂哉「4人です……………」

優子「ちなみに場所はどこですか?」

昂哉「雀荘、リーチ麻雀『振点(フリテン)』です……」

優子「成る程、よく分かりました。それでは只今より、大切な用事があるにも関わらず麻雀を打ってたせいで寝坊して遅刻した罰として、関節曲げの刑を行います。」

 

 はぁ⁉︎

 

昂哉「おい!それだけはやめてくれないと関節が変な方向にぃぃぃぃぃ‼︎」グギギギ

優子「如何だったでしょうか?」

明久・雄二「「とても素晴らしかったです!」」

昂哉「素晴らしくないでしょ‼︎」

優子「それでは元に戻します。」

昂哉「うぅぅぅぅいぃぃぃぃ‼︎」グギギギ

明久・雄二「「おお〜‼︎」」

優子「これにて刑は終了です。ご静聴ありがとうございました!」

明久・雄二「「ありがとうございました!」」

昂哉「これで勝ったと思うなよ‼︎」

 

 全く!あのバカ共も調子に乗りやがって!

 

優子「ところでさ、アンタたちは別の用があって来たんじゃないの?」

昂哉「別の用………そうだね!ってなんで優子が知ってるの?」

優子「いや、アレをアンタたちが嗅ぎつけたのかと思って………」

 

 優子からちょっぴりいい匂いがする………のは置いといて、優子の指差した方向を見ると……………

 

 

 

 

夏川「それにしてもこの喫茶店は綺麗でいいよな‼︎」

常村「そうだな!さっき行った2-Fの中華喫茶は酷かったからね‼︎」

夏川・常村「「なんせ食べ物の店なのに虫が沸いてたもんな‼︎」」

 

 

 常夏コンビが喚いていた。アイツらまだ懲りてなかったのか!

 

明久「皆、僕が……」

 

 まあ明久はすぐに行こうとするよね。

 

雄二「待て明久。」

昂哉「落ち着いて!」

明久「雄二、昂哉!早くあの連中を止めないと‼︎」

雄二「落ち着け。こんな場所でただ殴り倒せば悪評が広まるだけだ。」

昂哉「だからもっと頭の良い方法で解決するのさ!」

 

 正当防衛とかね!

 

昂哉「優子たちももしかしてあの連中に迷惑していた感じ?」

優子「当たり前よ‼︎うるさいから注意したんだけど、それでも懲りずに何回も出入りしてるわ‼︎」

昂哉「成る程ね〜。」

 

 よっぽど頭が悪いのか、それとも誰かに指示されてやってるかのどっちかだね。

 

雄二「とりあえず俺に策がある。おい翔子!」

霧島「…なに?」

雄二「うわ!後ろにいたんか‼︎えっと、よし。とりあえずメイド服を貸してくれ!」

 

 この男は突然何を言ってるんだろうか?

 

霧島「…分かった。」 ぬぎっ

 

 この女は突然何で脱ぎ始めた………ってチャンスだ!

 

昂哉「霧島、3万円で………」

優子「そのお金は何かな?

昂哉「なんでもありません。」

 

 怒られたのでダメでした。

 

優子「とにかく代表は脱ぐのをやめなさい!」

姫路「そうです、霧島さん!」

島田「獣どもが見てるでしょ!」

葉月「お姉ちゃん、お胸おっきいですぅ〜!」

霧島「…雄二が欲しいって言ったから。」

 

 女子3人が止めたみたい。てかこの人、雄二の頼みならなんでも聞いちゃいそう。

 

雄二「お、俺がいたお前のメイド服を欲しいと言った⁉︎予備のやつがあれば貸してくれ、って意味だ‼︎」

霧島「…今持ってくる。」

 

 まあ雄二がこんな感じだし大丈夫でしょう!

 

 

 

 

 そういえばどんな作戦なんだろう?

 

明久「雄二、メイド服をどうするの?」

雄二「明久、お前が着ろ。」

 

 あっ、成る程ね!アキちゃんの出番ってわけか‼︎

 

明久「雄二、僕は男………」

昂哉「明久以外誰が着るのさ?」

明久「ちょっと昂哉まで⁉︎なんで僕なんだよ‼︎」

島田「似合うからじゃない?」

姫路「私もそう思います‼︎」

葉月「葉月も見てみたいですぅ!」

明久「ちょっと3人とも⁉︎」

 

雄二「昂哉、秀吉に連絡だ。メイクをやらせる。翔子、島田、姫路はメイク道具持ってこい。Fクラスの秘密兵器、アキちゃんの出番だ‼︎」

 

昂哉・島田・姫路・霧島「「「「了解‼︎」」」」

優子「す、凄いわね………」

 

 さて、秀吉に連絡だ!

 

昂哉(電話)『Hey, my honey! Please help me!』

秀吉(電話)『お主のマイハニーは姉上だと思うのじゃが………。それで、ワシに何の用じゃ?』

昂哉(電話)『アキちゃんのメイクを頼みたい!今から姫路たちが男子トイレ前にメイク道具を持ってくるから、そこで待機してて!』

秀吉(電話)『了解じゃ!』 プツッ

 

 常夏コンビよ、覚悟しておけ!

 

 

 

  side 雄二

 

 明久もといアキちゃんがメイクから帰ってきた。作戦はこう。アキちゃんがメイドのフリをして常夏コンビに近づき、掃除のフリをしてそのままプロレス技で倒す。そしてアキちゃんが悲鳴を上げ、アイツらを痴漢扱いすることによって、俺が痴漢退治の大義名分の元アイツらをボコる、というわけだ。

 

 お、早速アキちゃんが常夏コンビに近付いたぞ。

 

アキちゃん(CV.明久)「お客様、失礼します!掃除をさせていただきます!」

夏川「お、こんな娘もいたのか!結構可愛いじゃん!」

常村「だな!」

アキちゃん(CV.明久)「それじゃあ………」

夏川「お?なんで俺に抱きつくんだ?まさか俺に気が……」

アキちゃん(CV.明久)「くたばりやがれ‼︎」 ドゴォ

夏川「あぁぁぁぁ‼︎」

常村「大丈夫か、夏川⁉︎」

 

 アキちゃんのプロレス技が炸裂‼︎カツラがズレたけど気にしない‼︎あとは………

 

昂哉「雄二、お前のやりたい事はよく分かった!だけど俺にはもっと良い案があるのさ!」

 

 ん?昂哉は何を考えてるんだ?

 

雄二「それは本当に上手くいくのか?」

昂哉「むしろズラがズレたからこそいける!俺に任せとけ!」

雄二「分かった。んじゃあお前に任せる。」

 

 なんかよく分かんないけど昂哉に任せるとするか。さて、明久は………

 

夏川「き、キサマは‼︎Fクラスの吉井!」

常村「まさか女装趣味が⁉︎」

アキちゃん(CV.明久)「こ、この人、今私の胸を触りました‼︎」

常村「はぁ⁉︎おかしいだろ‼︎」

夏川「押し付けてきたのはお前だし大体お前は男だと……」

昂哉「おおっと!先輩方2人は『男』に痴漢をしたんですか〜?」

 

 ん?昂哉は何をするつもりだ?アキちゃんを男だとバラしていいのか?

 

夏川「は⁉︎お前は何を言ってるんだ‼︎だいだい……」

昂哉「年下の先輩方よ、年上の後輩であるこの俺が痴漢について一つ重要なことを教えてあげましょう!」

常村「なんか偉そうだな。」

夏川「それに俺たちは痴漢なんて……」

 

 

 

昂哉「いいですか!世の中で痴漢をしていい奴は、自分が痴漢を『される』覚悟のある奴だけなんです‼︎いけ、兄貴たち‼︎あの2人は『男』に痴漢しました‼︎つまりあの2人は『男』に性的興味があるということです‼︎ですので心ゆくまで相手をしてやって下さい‼︎」

 

 

 

 とんでもない名言、いや迷言だな。そしてそれと同時に昂哉の兄2人がメイド喫茶の中に入ってきた。

 

克哉「しゃあ‼︎さあ君たち、俺達と心ゆくまで遊ぼうじゃないか‼︎」

力哉「俺達がキモチイイ事を教えてやるぞ‼︎」

夏川・常村「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」」

力哉・克哉「「待て〜‼︎‼︎」」

 

 俺が考えてた作戦が生温かったことを思い知ったぜ………。流石昂哉、伊達に3年長く生きていないし、伊達に文月一のクズと呼ばれているだけあるな………

 

明久「ねえ昂哉、これじゃあ僕が女装趣味のある変態だと思われるんだけど。」

 

 そういえばコイツいたんだっけ。まあどうでもいいか。

 

昂哉・雄二「「それくらい誤差の範囲内でしょ(だろ)。」」

明久「ちょっと!2人とも酷いよ!とにかく着替えてくる‼︎」

昂哉「もしかして恥ずかしいの?」

明久「当たり前だよ!」

雄二「安心しろ。なんせお前は元から恥ずかしい奴だからな。」

明久「うるさいわ‼︎」

 

 こうして明久は逃げてしまった。

 

玉野「アキちゃ〜ん!こっちに来て遊びましょ〜♪」

明久「玉野さん⁉︎こっちに来ないで〜!」

 

 どうやら玉野に捕まったみたいだけど気にしないでおこう。さて、俺もしれっと店番に戻りつつ翔子から逃げるとするか!

 

雄二「昂哉、会計は任せた!」

昂哉「へ〜い!」

 

 ということで俺は昂哉に任せてメイド喫茶を後にした。




 ということでメイド喫茶回でした。人気No.1メイドを指名したら優子が出てきて説教されたり、常夏コンビを痴漢で倒したりと中々に濃い回でしたね。

 さて、次回はチャイナドレス解禁です。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお待ちしております。


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第十一問  チャイナドレスと審判買収合戦

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 どさくさに紛れて雄二が霧島から逃亡した後、俺は女性陣が食べ終わるのを優子と待っていた。

 

優子「力哉と克哉は相変わらずだったわね……」

昂哉「そうだね〜。最近高校生にハマってるって言ってたし……」

優子「いつ捕まえるか心配だわ。」

昂哉「だね!」

 

 そんな感じのたわいもない世間話をしていると、召喚大会の運営からLINEがきた。

 

運営『雲雀丘君と姫路さん。3回戦の対戦相手が食中毒で棄権したため、貴方達の不戦勝とします。』

 

 これ絶対姫路のせいでしょ。

 

昂哉「姫路〜!」

姫路「あっ、はい!」

昂哉「俺たち3回戦は不戦勝だってさ〜。」

姫路「それは良かったですね!」

優子「運が良かったわね!」

昂哉「そうだね!それと全く関係ない話なんだけど、今日厨房入って飲茶作ったりした?」

姫路「は、はい!ちょっと人手が足りてなかったので手伝いました!」

 

 やっぱり…………

 

昂哉「姫路!」

姫路「はい?」

昂哉「その心遣いはありがたいんだけど、女子ウェイトレスによる集客効果の方が大きいからそっちの方を優先させてくれるかな〜?」

姫路「わ、分かりました!」

 

 これ以上死人を増やすわけにはいかないからね!そんな事を思ってると、

 

島田「さてと、食べ終わったところだし………」

 

 女性陣が食べ終わったみたい!さてと、戻る準備を…………

 

島田「瑞希と葉月は一緒に戻ろっか!」

姫路・葉月「「はい!」」

 

 えっ⁉︎

 

昂哉「島田、俺のこと忘れてるよ?」

島田「雲雀丘は木下さんと……」

優子「優子でいいわ。」

島田「じゃあウチも美波でいいわ!それで、雲雀丘は優子といるべきじゃない?」

姫路「そうですね!」

 

 嘘でしょ⁉︎

 

昂哉「ちょっと2人とも、俺を見捨てる気⁉︎」

島田「せっかくウチらの恋路も応援してくれるんだからさ、そのお返しがしたいと思って!」

姫路「応援されてばっかりじゃ申し訳ないですからね!」

昂哉「余計なお世話だ‼︎」

葉月「おじさん、メイドのお姉ちゃんと結婚を前提にお付き合いしてるんじゃないんですかっ?」

昂哉「違うからね!」

葉月「でもお姉ちゃんがそうだと………」

昂哉「おい島田!余計な事は言わないの!」

島田「は〜い♪」

 

 全く、どいつもこいつも人の人生を軽く扱いすぎなんだよ!

 

昂哉「とにかく、俺も一緒に帰るから!店の仕事もあるし!」

島田・姫路「「ウチら(私たち)が頑張るからさ(ので)!」」

昂哉「お前らが頑張っても厨房の負担が減るわけではないからね!ということで優子………じゃなくて一応霧島か!お会計よろしく!」

霧島「…はい。…それじゃあメイドのサービスはここまでで。」

優子「ありがとうございました!またのご利用をお待ちしております!」

昂哉「2度と使いません!」

 

 俺が死んじゃうからね。

 

昂哉「それじゃあ会計は?」

霧島「…野口英世を二枚か、坂本雄二と雲雀丘昂哉をそれぞれ一名ずつで。」

島田「坂本雄二と雲雀丘もががが‼︎」

昂哉「雲雀丘昂哉の支払は困難なので、代わりに坂本雄二を無期限のレンタルということでよろしいですか?」

霧島「…分かりました!」

姫路「あっ、雲雀丘昂哉君もががが‼︎」

昂哉「それじゃあ帰ろうぜ!」

葉月「は〜い♪」

 

 危うく俺が売られそうになっていたので、島田と姫路の口を塞いで雄二を売っておいたよ!これで俺の命が守れるなら安いもんだね!

 

教頭「………」スッ

 

 ん?あそこで立ち上がったのは…………教頭先生か!こんな所に居たんだ〜!お堅いイメージなのに、メイドが好きとは意外な趣味だね〜。今度会った時はからかってやろう!

 

 

 

 そんな事を思いながら教室に戻ると……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明久・Fクラス男子他「「「「「うほほ、うほほ、うほほいほ〜い!チャイナドレスぅ〜♪」」」」」

 

 

 

 

 明久たちが奇妙な民族舞踊を踊りながら俺たちの方に迫ったきた。これはもしや…………?

 

昂哉「何?もしかして俺に着せようってんの?」

明久・雄二・Fクラス男子他「「「「「公園のおじさんは黙ってろ!」」」」」

昂哉「ちょっと⁉︎何も全員で否定する事なくない⁉︎」

 

 ちょっとしたジョークのつもりだったのにさ!

 

雄二「とにかく、これは姫路、島田、秀吉の3人に着てもらう。」

姫路・島田「「えっ⁉︎」」

秀吉「何故ワシもなのじゃ……」

明久「これでお客さんを増やすのさ!」

 

 成る程ね!そしたらやる事はただ一つだ!

 

昂哉「よし!それじゃあチャイナドレスに理解のあるこの俺が、3人の着付けを担当しよう‼︎」

姫路「優子ちゃんに言っておきますね!」

 

 何がダメだったんだ?もしかして………

 

昂哉「払う金が足りなかった?」

雄二「常識が足りないんだよ。」

 

 そっちかよ!

 

姫路「そんな貴方に嬉しい報せがあります!」

昂哉「嬉しい報せ?」

姫路「とりあえず自分のLINEを見てみて下さい!」

 

 俺のLINE?風俗のスペシャルクーポンとかかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子(LINE)『雲雀丘昂哉様。この度は私を再度ご指名下さり、誠にありがとうございます!つきましてはサービス(セクハラの罰)として石抱き、鞭打ち、火炙り、海老責め、釣責め、磔、四肢切断、串刺し、天井吊るしなどに代表される拷問フルコースを、お客様の所へ直接お伺いして行いたいと思います!是非後悔の念を胸に抱きながらお待ち下さい!』

 

 

 

 とんでもなく嫌な報せだった。

 

昂哉「3人とも、誠に申し訳ございませんでした。」

姫路・島田「「よろしい(です)!」」

秀吉「ワシは別に男じゃし構わないのじゃが……」

明久「秀吉、あの2人の弟なら男でもセクハラするんじゃない?」

昂哉「おい明久!俺と兄貴を一緒にしないで……」

秀吉「やっぱりワシは一人で着替えるのじゃ。」

昂哉「秀吉ぃぃぃぃぃぃぃ‼︎」

 

 俺はどこで何を間違えたのだろう?俺の天使が最近ちょっと冷たい………。

 

葉月「あのっ!」

 

 ん?葉月ちゃんはどうしたんだろう?

 

葉月「葉月も手伝いたいですぅ!」

 

 おお!やる気があるのはいい事だね!でも………

 

雄二「う〜ん。気持ちは嬉しいんだが服の数が足りないんだよな。」

 

 流石にこれは想定してなかったみたい。そりゃあそうだよね。小学生を無理矢理働かせる訳にはいかないし〜。一応アテはあるけど………

 

昂哉「俺が通ってるチャイナドレス風俗から借りる事は出来るんだけど、流石に葉月ちゃんに合うサイズは置いてないと思うしな〜。」

雄二「あったら大問題だろ。」

昂哉「とにかく、葉月ちゃんのお気持ちだけ………」

ムッツリーニ「………チャイナドレス、完成!」

 

 嘘でしょ⁉︎この一瞬で葉月ちゃん用のチャイナドレスを作ったの⁉︎

 

昂哉・明久「「流石ムッツリーニ!」」

ムッツリーニ「………俺の嗅覚を舐めるな!」

葉月「お兄ちゃん、ありがとうございますぅ!」

ムッツリーニ「………礼には及ばん!」

葉月「それでは早速ここで着替え……」

島田「るのはダメだからお姉ちゃんと一緒に更衣室で着替えようね〜。」

葉月「は〜い♪」

 

 ということでチャイナドレスっ娘が4人になりました!やったね!

 

 

 

 

 ウェイトレスがチャイナドレスを着た効果と、明久と雄二の準々決勝で姫路たちも連れて宣伝した効果もあって、お客さんがめちゃくちゃ増えたみたい。準々決勝からは一般客にも公開しているからね!とにかくお客さんが増えて大満足だぜ‼︎そんな事を思ってると………、

 

明久「昂哉〜、教頭先生が呼んでるよ〜。」

 

 メイド好きの教頭に呼ばれた。というかここに来てるんだ!確か午前中も来てたけど、また来てくれたんだね!もしかしたらチャイナドレスに変わったから来たのかな?意外と話が合いそうだね、この人!

 

昂哉「は〜い!」

 

 そして明久と一緒にメイド&チャイナ先生の座っている席に向かった。

 

明久「えっと、さっきも言った通り僕が吉井明久で、」

昂哉「俺が雲雀丘昂哉です!」

教頭「ああ、君達が吉井君(笑)と雲雀丘君(笑)か。」

明久「先生、人の名前に(笑)はおかしいと思います。」

教頭「すまんな。教え子である君達の前では吉井君(馬)とか雲雀丘君(屑)とは呼べなくてね。」

昂哉「俺たちは職員室で一体どんな呼ばれ方をしているんですか⁉︎」

 

 調子に乗ってる教頭には一度お仕置きが必要だね!

 

昂哉「それでさっきまでメイド喫茶に通っていた教頭先生、俺たちに何の用ですか?」

明久「えっ⁉︎」

教頭「いや、特に用は無いんでね。」

 

 無いんかい!じゃあただ単に俺たちをバカにしに来ただけじゃん!もう怒ったかんな!許さないかんな!

 

昂哉「それならば先生、俺たちと一緒にメイドやチャイナドレスについて熱く語りましょう‼︎」

教頭「いや、私は別にそれが好きではないんだが……」

昂哉「そんな〜、恥ずかしがらないで下さいよ〜♪もしかして奥様にバレるのがマズいとかですか?」

教頭「ここここ、これは仕事の一環だ………。ばばば、バレても問題ない………っ!」

 

 嘘つけ。めっちゃ声震えてるやんけ。この人やっぱり意外と面白いね〜。そんな事を思ってると………、

 

秀吉「昂哉、明久よ。ムッツリーニが茶葉が切れたと言うておるから取りに行ってくれんかのぅ?」

 

 と秀吉に言われたので俺と明久は隣の空き教室に向かった。

 

 

 

 

 

 空き教室に着くと、早速俺たちは茶葉を探した。

 

明久「ええと、茶葉はどこだっけ?」

昂哉「確かこの棚じゃない?」

明久「あ、あった!」

昂哉「よし!それじゃあ持ってくか!」

 

 そして教室に戻ろうとしたとき………、

 

不良1「おい。」

 

 不良が3人入ってきた。こ、怖い!けど何しに来たんだろう?というか一応ちゃんと追い出さないと!

 

昂哉「あの、ここは部外者立ち入り禁止なんです!だから出て行ってもらえますか?」

不良2「そうはいかん。吉井明久と雲雀丘昂哉に用があるんでな。」

明久「へ?僕たちに何か用ですか?」

昂哉「俺は男に興味はないんで失礼しますね〜。」

不良3「お前に恨みはないけどとっととくたばりやがれ!」

 

 え⁉︎嘘でしょ⁉︎いきなりキレられたんだけど⁉︎

 

明久「昂哉、どうすればいいの⁉︎」

昂哉「分かんない!とりあえず逃げるよ!」

明久「うん!」

不良1・2・3「「「待ちやがれ〜‼︎」」」ガラガラ

 

 マズい!空き教室のドアを誰かが開けてしまった!この状況を見られるのは………

 

雄二「2人とも、さっきからうるさいけどどうしたんだ?」

 

 コイツならいいか。

 

明久「雄二、ちょうど良かった!」

昂哉「この3人が雄二をご指名だって!」

不良1・2・3「「「はぁ?」」」

雄二「成る程な。それじゃあ俺の交渉術の出番ってわけか!」

 

 そうさて俺たちは雄二に不良の始末を任せて教室に戻った。どうやら教頭先生は奥さんにバレるとマズいと思ったのか居なくなったみたい。

 

姫路「さて、そろそろ準々決勝に行きますか!」

昂哉「そうだね!」

明久・島田「「ファイト〜!」」

雄二・ムッツリーニ「「行ってら。」」

秀吉「健闘を祈るのじゃ!」

昂哉・姫路「「は〜い!」」

 

 ということで準々決勝です!3回戦が不戦勝だったこともあって、久々の召喚大会だよ〜!初めての観客の前での戦いだし、姫路のためにもここはきちんと勝たないと‼︎そのためにも楽な相手だったら良かったんだけど、肝心の対戦相手は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家角「貴様ら、せいぜいこの俺を楽しませたまえ。」

 

 ケツ先生なんだよね。俺はこいつに気に入られてないから理不尽な審判で負けるかも知れない。だから最大の敵なのさ!

 

昂哉「あちゃ〜、ケツ先生が相手か〜。」

姫路「いや、先生は承認担当ですから……」

工藤「ボクたちが相手だよ〜。」

美穂「よろしくお願いします!」

 

 うわ〜。絶対にこの2人は気に入られてそうじゃん。厳しいな〜。

 

昂哉・姫路・工藤・美穂「「「「試獣召喚(サモン)」」」」

 

 

 

物理

 

2年Fクラス 雲雀丘昂哉 254点

2年Fクラス  姫路瑞希 478点

        VS

2年Aクラス  工藤愛子 325点

2年Aクラス  佐藤美穂 503点

 

 

 工藤は普通のAクラス並なんだけど、佐藤がかなり強いね。物理なら優子と霧島に次ぐ3位とかじゃないかな、この感じだと。

 

家角「始めたまえ。」

 

 ちなみに俺と姫路は物理の実力そのものは校外模試を受けた結果だと同じくらいだよ。なんなら姫路は物理が苦手だから俺より下といっても過言ではないね。でも姫路は家角(コイツ)に気に入られているから実力以上に点数が取れてるんだよね〜。

 

 そういえばこの間のテストは酷かったな〜。

 

 

 

 

(1)

姫路の答え

『 T=L/v_0 』

 

家角のコメント

正解。字が綺麗なのでおまけで+1点。

 

昂哉の答え

『 T=L/v_0 』

 

家角のコメント

正解だが、字が汚くて読みにくいので-3点。

 

 

 

 まだこれは分かる。厳しすぎると思うけどね〜。

 

 

 

(2)

姫路の答え

『 v_1=(m-M)v_0/(m+M) 』

 

家角のコメント

正解。顔が綺麗なのでおまけで+3点。

 

昂哉の答え

『 v_1=(m-M)v_0/(m+M) 』

 

家角のコメント

正解だが、顔が汚くて(みにく)いので-5点。

 

 

 

 これはいくらなんでも酷すぎるでしょ⁉︎なんでテストで老け顔の事をバカにされなきゃいけないのさ!

 

 

 

(3)

姫路の答え

『 v'_1=(m-eM)v_0/(m+M) 』

 

家角のコメント

正解。日頃の授業態度も良いので+30点。

 

昂哉の答え

『 v'_1=(m-eM)v_0/(m+M) 』

 

家角のコメント

答えの書き方が悪いので不正解。

 

 

 

 書き方が悪いってなんだよ!俺と姫路の解答は全く同じなのに!それに、どう悪いのか説明を求めても………、

 

家角「この俺の時間をそんな下らない事で使わせるな。貴様の頭で考えろ。」

 

 とか言って教えてくれなかったし。

 

 

 

(4)

姫路の答え

『 v'_n=n(m-M)(m+M)v_0 また、v'_∞= 』

 

家角のコメント

不正解だが、この難問を頑張って解こうとした痕跡が見えるので+100点。

 

昂哉の答え

『 v'_n=(m-Me^n)v_0/(m+M) また、n→∞のとき0<e<1よりe^n→0となるので、v'_∞=mv_0/(m+M) 』

 

家角のコメント

貴様ごときがこの俺が作ったこの難問を正解するなんて甚だ図々しい。身の程を弁えろ。不正解とした上で更に-100点。

 

 

 

 頼むから死んでくれ。お前のようなものは生まれてさえ来ないでくれ。お前が存在しているとこの世の理が狂うのだ。

 

 

 

 

 

 まあとにかく、コイツが審判だと色々といちゃもんをつけられる可能性が高いんだよね〜。

 

工藤「行くよ、美穂!」

美穂「そうですね、愛子さん!」

姫路「私が盾になるので、雲雀丘君はなんとか相手にお酒を飲ませて下さい!」

昂哉「了解!」

家角「雲雀丘。女を盾にするなど男としてあり得ない。男として間違ってるので不戦敗と………」

 

 ほらやっぱり!突っかかってくると思ったよ!だから………

 

昂哉「家角大先生!ここで貴方様のクラスである俺たちが負けてしまったら大先生の評価は下がってしまいますよ‼︎」

 

 審判である先生を説得(買収)する!

 

家角「なんだと⁉︎貴様ら、絶対に負けるなよ‼︎」

昂哉「なんならここで勝ちにしてくれてもいいんですけどね〜。」

家角「なるほど、その手があったか‼︎」

美穂「先生⁉︎流石にそれはダメだと思います‼︎」

家角「なんだ貴様。この俺に口答えをするのか?罰として貴様らは不戦敗に………」

工藤「家角大先生!そんな事を大勢の人の前で言うと先生の評価が下がってしまいますよ?」

家角「何だと⁉︎雲雀丘、貴様はこの俺を騙そうとしたな⁉︎罰として……」

姫路「僭越ながら申し上げます。私が思いますに、家角大先生は普通に審判をされるのが、自身の評価を上げると言う意味では最もよろしいかと。」

家角「姫路の言う通りだな‼︎流石だ‼︎ではそうするとしよう‼︎」

 

 まあ大勢の観客の前でこんなやりとりをしてる時点で評価はダダ下がりだけどね〜。コイツはバカだから気付かないと思うけどさ。

 

 とにかく、ケツ先生の説得には成功した。だから今は目の前の勝負に集中するだけさ!

 

姫路「2人ともまとめてかかってきて下さい!」

工藤「それじゃあ遠慮なく!」

美穂「私も!」

昂哉「そんじゃあ俺は焼酎で!」

 

 度数的にはそれくらいだからね。ただ攻撃を受けると度数が下がっちゃうから、なるべく無茶はしない!

 

工藤「なっ⁉︎ボクの召喚獣がフラフラしてる!」

姫路「私まで飲まないようにしないと………」

美穂「私は大丈夫みたいです!」

昂哉「嘘でしょ⁉︎」

 

 マジで⁉︎確かに召喚獣の酔い具合は本人の酒の強さに依存するけどさ〜。焼酎並の度数のお酒をストレートで飲んで平気な人っているの⁉︎佐藤の3年後が楽しみだよ〜。

 

 ちなみに姫路は前召喚獣の練習かなんかで召喚獣に飲ませたら、酔ってフラフラになった後すぐ動かなくなったからめちゃくちゃ弱いって知ってるんだよね。だから絶対に彼女の召喚獣の口にお酒が入ってはいけないのさ!

 

姫路「なるほど!それじゃあ私は佐藤さんを相手にします!」

昂哉「OK!」

美穂「愛子さんの召喚獣の酔いを覚ます方法は……」

工藤「逆転の発想だよ、美穂!ボクの召喚獣を覚ますのではなく………」

美穂「姫路さんのも酔わせればいい!」

工藤「正解!」

 

 わお!それに気づかれたのはマズい!だから………、

 

昂哉「姫路、一気に殺っちまおう!」

姫路「はい!《熱線》‼︎」

工藤・美穂「「きゃあ!」」

昂哉「オラァ!まだまだ飲め飲め!」

工藤「アルハラだよ〜!」

美穂「ならこっちも!《燎原(りょうげん)の炎》‼︎」

 

 ん?激しい炎が全体に燃え広がって……………ってマズい!

 

 

昂哉「酒が燃えるぅぅぅ‼︎」

 

 

 佐藤の召喚獣は俺の召喚獣と相性最悪じゃん!アルコール度数が上がれば上がるほど炎も強くなるんでしょ⁉︎ヤバイよこれ!眼鏡っ子で大人しそうな雰囲気をしてるのに、攻撃は激しいとかギャップが凄すぎるでしょ!ただでさえ酒が強いのに、こんな力まであったら最悪だよ〜。

 

昂哉「こうなりゃ一気に決着をつけてやる!」

工藤「望むところ!」

姫路「行きますよ!」

美穂「はい!」

 

 頼む!なんとか勝ってくれ!お願いだから‼︎姫路のためにも‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

物理

 

2年Fクラス 雲雀丘昂哉 0点

2年Fクラス  姫路瑞希 1点

        VS

2年Aクラス  工藤愛子 0点

2年Aクラス  佐藤美穂 0点

 

 

 

 ふぅ………。凄いギリギリだったぜ……。

 

観客1「凄い熱戦だったな!」

観客2「めちゃくちゃ面白かったよ!」

観客3「最初の審判買収合戦が嘘みたいだぜ!」

観客4「後でこの2クラスの出し物に行ってみようかな?」

 

 観客も随分盛り上がってくれたみたい。これで宣伝効果もバッチリだ!

 

姫路「危なかったです………」

昂哉「佐藤が姫路の熱線をモロに食らってなかったらボロ負けだったね………」

美穂「愛子さん、ごめんなさい………」

工藤「ボクこそ点数が少なめでごめんね〜。」

昂哉「2人も凄かったよ!特に佐藤!全然酔わないし酒は燃えるしで相性最悪だったよ〜。」

工藤「お酒に炎は相性抜群だからね!」

姫路「雲雀丘君がもし腕輪の力を使えていたら大変な事になってましたね………」

美穂「雲雀丘君の腕輪の力って何なのですか?」

昂哉「度数96度のお酒!その名もスピリタス!」

美穂「それはそれは私の炎でよく燃えそうな攻撃ですね………」

 

 多分一瞬で燃え広がって俺の召喚獣が死んでたね。というか明久とか居たら巻き込まれてフィードバックでヤバいことになりそう。

 

工藤「それじゃあ2人とも、準決勝頑張って!」

昂哉「もちろんそのつもりさ!」

美穂「期待してます!」

姫路「はい!」

観客5・6・7「「「俺たちからもな〜‼︎」」」

昂哉・姫路「「は〜い!」」

 

 皆からも応援されてる!最高の感覚だね‼︎

 

 ちなみにケツは………、

 

家角「如何です、この崇高な俺が作り出した勝負は⁉︎」

観客5「おい、クソ野郎‼︎」

観客6「テメェは審判なんてやめちまえ!」

観客7「ついでに教師もやめちまえ‼︎」

家角「何だと⁉︎貴様ら、この崇高で尊大なる俺の事を馬鹿にするというのか⁉︎許さないからな‼︎」

 

 皆からも罵倒されてる!最高の感覚だね‼︎

 

 

 

 さて、準決勝まではまだまだ時間があるから喫茶店を頑張りますか〜!そんな事を思いながら教室に戻ると、そこには……………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

島田「ご注文は何にします?」

力哉・克哉「「お嬢ちゃんで‼︎」」

 

 一家の恥がいた。




 ということでチャイナドレスからの準々決勝でした。美穂の召喚獣についてですが、武器そのものは漫画と同じ鎖付き鉄球ですが、腕輪の力は激しく燃え広がる炎にしました。ちなみに通常攻撃については炎によって鉄球が熱くなって更に攻撃力が上がる設定です。

 物理のテストの部分は数研出版さんの物理重要問題集2014から一部抜粋しました。

 さて、次回は兄貴とのやり取りです。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第十二問  全裸系男子と7股系男子

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 準々決勝から戻ると、そこには

 

島田「ご注文は何にします?」

力哉・克哉「「お嬢ちゃんで‼︎」」

 

 一家の恥がいた。

 

島田「当店で注文出来るのは飲茶とウーロン茶だけとなっております。」

力哉「じゃあ2人でウーロン茶2杯と飲茶8個で!」

島田「かしこまりました!それでは少々お待ち下さい!」

 

 どうやら島田は対処できたみたいだ。じゃあ俺は厨房に…………

 

克哉「いよぅ、我が弟よ!」

力哉「俺たちと少し話をしようじゃないか!」

 

 戻れなかった。じゃあ兄貴が好きそうな他の人に押し付けるか〜。

 

昂哉「姫路〜!島田〜!秀吉〜!明久〜!」

姫路「お客様、今伺います!」

島田「えっと、ウーロン茶2杯と飲茶8杯をお願い!」

秀吉「かしこまりました!」

明久「ご注文は何でしょうか?」

 

 4人とも忙しいみたい。しょうがないから行くか〜。

 

昂哉「どうしたの、兄貴?」

力哉「いや〜、さっきの子たちについて話したくてね〜。」

克哉「紹介してくれてありがとな!」

昂哉「え?あ、うん!」

 

 何のことだろう?

 

力哉「それにしてもあの坊主の方はめっちゃ可愛いかったな。上手く逃げらたのが残念だ。せめて名前だけでも教えてくれたら良かったのに。」

克哉「兄貴、俺はモヒカンの方がタイプだぜ‼︎なんせああいうタイプは可愛い性格をしてるってのが鉄板だからな‼︎それより我が弟よ、売り上げはどんな感じだい⁉︎」

 

 常夏コンビの件ね。どうやら兄貴たちは気に入ってくれたみたい。

 

昂哉「えっと〜、途中厳しい時間があったけど、なんとか回復したよ。多分それなりに行くんじゃないかな?」

力哉「おお〜‼︎それじゃあ俺たちのおかげだな‼︎」

克哉「可愛い弟のために一肌脱いだ甲斐があったぜ‼︎」

昂哉「一肌どころかパンツ以外全部脱いだせいで酷い営業妨害だったけどね。」

力哉「心外だな〜。今日は克哉も俺もこんなに大人しいのに。」

克哉「全くだな‼︎」

 

 どこがだよ。学園中で噂になってたよ?半裸で酒臭いホモが2人いるって。

 

秀吉「おお、力哉に克哉か。よく来てくれたのぅ。」

克哉「お、秀吉じゃないか!相変わらず可愛いな〜!」

力哉「チャイナドレス似合ってるぞ!」

秀吉「ありがとなのじゃ!」

昂哉「んんんんんんん!可愛い♪」

 

 チャイナ秀吉はこの全裸系男子2人ですら打ち消すほどの可愛さ!最高だよ!流石は俺の天使だね♪

 

力哉「相変わらずお前は秀吉の事が好きなんだな。」

昂哉「当たり前さ!」

克哉「秀吉は男に好かれて嫌じゃないのか?」

秀吉「友達として好いてくれる分には嬉しいのじゃ♪」

昂哉「ありがとう………!」ウルウル

秀吉「が、ガチ泣きじゃと⁉︎その歳で⁉︎」

力哉「まあまあ、昂哉はまだ若いからな。」

 

 周りが16・17だから忘れそうになるけど、20歳なんてまだまだ青春真っ盛りな歳だからね!

 

克哉「なんせ赤田のじっちゃんの半分にも満たない年齢だからな‼︎」

昂哉「それ言ったらここにいる人ほぼ全員当てはまんない?」

 

 言ってる事が極端すぎるんだよ。

 

秀吉「というかお主ら、じっちゃんを知っておるのか?」

力哉・克哉「「もちろん!」」

昂哉「俺たち3人合わせて4人でセット………麻雀を打つ事が多いからね。出会ったのも雀荘だし。」

秀吉「そうじゃったか!」

 

 なんせ去年の4月に雀荘入ったらいきなり文月の制服着た爺さんがいたんだからね。夢でも見てるんかと思ったよ。そんな事を思ってると………、

 

島田「お待たせしました。ウーロン茶と飲茶です!」

 

 ご注文の品が到着しました!

 

力哉「おお、ありがとう!」

克哉「旨そうだな!」

秀吉「中華に詳しい友から聞いて作った本格派じゃ!」

昂哉「舌がとろける事間違いなしだよ〜!」

力哉「それじゃあ早速、」

力哉・克哉「「いただきます‼︎」」

 

 さて、兄貴からの評価は………?

 

力哉「この飲茶美味いじゃねえか!」

克哉「来て良かったぜ!」

昂哉・秀吉「「ありがとう(なのじゃ)!」」

島田「ありがとうございます!」

 

 飲茶は認められたみたいだ!

 

力哉「じゃあウーロン茶は………ん?」

克哉「何か味が変だな?」

秀吉「あれ、そんなはずはないのじゃが……」

島田「本格的なヤツだから普通のとちょっと味が違うかもしれません。」

力哉「う〜んと、そうじゃなくて………」

 

 そうして力哉兄貴はおもむろにポケットからライターを取り出し、

 

力哉「………」カチッ、カチッ、カチッ

 

 ウーロン茶に火をつけようとしていた。そういうことね!

 

島田「ちょっと!何してるんですか⁉︎」

秀吉「お主ら、危ないぞい!」

力哉「いや、ちょっと火がつくかどうか確かめててな。」

秀吉「ウーロン茶は普通火がつかないと思うぞい‼︎」

克哉「何言ってんだ秀吉?ウーロン茶は普通火がつくもんだろ。」

秀吉「ワシがおかしいのか⁉︎」

島田「いや、ウチも木下と同じ意見よ!」

秀吉「昂哉、これはどういうことじゃ⁉︎」

昂哉「雲雀丘家のウーロン茶は可燃性なんだよ。」

 

 ちなみに水もね。

 

秀吉・島田「「どんなウーロン茶なの(じゃ)⁉︎」」

昂哉「ウォッカ9:ウイスキー1で混ぜると出来るよ!」

秀吉「それはウーロン茶じゃなくてお酒ではないのかのぅ……」

昂哉「色はウーロン茶なんだからいいの!」

島田「色で普通飲み物を区別しないでしょ⁉︎」

昂哉「俺の家が普通だと思う?」

秀吉・島田「「確かに………」」

 

 一家揃ってアル中しかいないからね。親父もお袋もビールが好きだからドイツで働く事にしたって言ってたし。

 

力哉「それにしても、非可燃性のウーロン茶は久しぶりに見たな。」

克哉「もしかしたら世の中ではこれがメジャーなのかな?」

秀吉「もしかしなくてもそうじゃ!」

力哉・克哉「「じゃあ水も?」」

秀吉「そうじゃ!」

力哉・克哉「「そうなのか………」」

島田「燃える水って大体がアルコールなんじゃ……」

昂哉「そうだね。」

島田「本当に凄い一家だね………」

昂哉「俺もそう思うよ。」

 

 クラスでの常識と家での常識がかなり乖離してるからね〜。頭がおかしくなりそうだよ!

 

力哉・克哉「「ごちそうさん!」」

島田「えっと………」

昂哉「お粗末様でした!」

島田「それね!」

力哉・克哉「「じゃあな!」」

島田「ありがとうございました〜!」

秀吉「じゃあの‼︎」

 

 そうだ!兄貴たちに耳寄りな情報を教えないと!

 

昂哉「兄貴、ちょっと二つだけ伝えたい事があるんだ!」

力哉・克哉「「なんだい、我が弟よ?」」

昂哉「まず一つ目!さっき相手してくれてた子なんだけど、坊主の方が夏川でモヒカンの方が常村っていう名前ね!」

力哉「おお!めちゃくちゃ耳寄りな情報じゃねえか!」

克哉「感謝するぜ!」

昂哉「次に二つ目!この前兄貴たちが可愛いって言ってた子はあの子ね!」

 

 そう言って俺は明久の方を指差した。

 

力哉「うお!めちゃくちゃ可愛いじゃん‼︎」

克哉「しかもさっきメイド服が似合ってた子だな‼︎」

力哉「これはお持ち帰りしないとな。」

昂哉「お〜い明久、ちょっとこっちに来て〜!」

明久「あ、うん!」

 

 そうして俺は明久を呼んで…………、

 

昂哉「兄貴、それじゃあこの子をあげるね!好きにしていいよ!」

明久「えっ⁉︎」

力哉「ありがとう、昂哉!」

克哉「やっと俺たちの天使に会えたぜ!」

昂哉「ということでよろしくね、明久♪」

明久「嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

力哉「それじゃあ俺達と、」

克哉「デートに、」

力哉・克哉「「レッツゴー‼︎」」

明久「やめてくれぇぇぇぇ‼︎」

 

 兄貴に売り飛ばしておいたよ。さっきはメイド喫茶で雄二を売り飛ばしたんだから、明久も売り飛ばさないと不平等だからね!こうして俺は平穏を手に入れる事が出来た。やったね!

 

 

 

 

 

 明久を売ってからしばらくすると、おばあちゃんとおばさんが合わせて3人やってきた。

 

おばちゃん1「いや〜、いい喫茶店だね〜。」

おばあちゃん「おや、アレは昂哉じゃないかい?」

おばちゃん2「そうだね!お〜い昂哉〜!」

昂哉「は〜い!」

 

 何を隠そう、この3人は……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「いらっしゃいませ、じっちゃん被害者の会の皆さん!」

 

 赤田のじっちゃんの元嫁たちだ。

 

赤田爺元嫁1「出迎えありがとう!」

赤田爺元嫁2「あのクソジジイは元気にしている?」

昂哉「はい!めっちゃ元気です!」

赤田爺元嫁3「ちなみに今は何股してるの?」

昂哉「確か7ですね!」

赤田爺元嫁1「先週聞いたときより2人増えとる……」

赤田爺元嫁2・3「「流石だね〜。」」

 

 この人たちとの出会いは確か去年の8月頃に居酒屋だった気がするな〜。俺が赤田のじっちゃんの話をしてたら割り込んできたのは未だに覚えてるよ。そして話したら元嫁の3人だと。ちなみに今は3人とも別々の家庭を持って幸せに暮らしてるらしい。

 

昂哉「それで、今日は復讐しに来たんですよね?」

赤田爺元嫁1「そうさね。」

赤田爺元嫁2「安心して!他の皆には絶対に悪い事しないから!」

赤田爺元嫁3「それだけは誓うよ!」

昂哉「お願いしますね!」

 

 先週居酒屋で会った時に仕返しに協力して欲しいと頼まれたんだよね。

 

昂哉「それじゃあ、俺についてきて下さい‼︎」

赤田爺元嫁1・2・3「「「は〜い!」」」

 

 そして元嫁3人衆がウーロン茶を飲み終わった後、俺は目的地……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「再度ご指名して下さり誠にありがとうございま〜す‼︎」

 

 に連れてこうとしたら悪魔が出現した。

 

赤田爺元嫁1・2・3「「「えっ?」」」

昂哉「すいません、一旦その人をその場にとどめておいて………」ガッ‼︎

優子「アタシから逃げられると思った?

昂哉「ままま待ってくれ‼︎俺は今から用事があるんだ!」

優子「何の用事?」

昂哉「実はかくかくしかじかで〜。」

優子「あ、なるほど………」

 

 良かった!優子は怖いけど常識あるから助かるぜ!これでそのまま再指名の事を忘れてくれたらいいな〜。それと流石にメイド服じゃ動きにくいのか制服に着替えている。

 

優子「じゃあそれが終わってからにしようね♪」

昂哉「あっ……………」

 

 どうやらただの延命措置にしかならなかったようだ………。こうして俺たちは目的地へと向かった。

 

 

 

 

  side 明久

 

 昂哉に勝手に売られたのが腹立ったから木下さんを昂哉のところに連れていってあげたよ!あの後昂哉の兄2人から逃げ切るの大変だったんだからね!マジで怖かったよ!

 

 さて、召喚大会もいよいよ準決勝だ!僕と雄二もババアに頼まれてるし、姫路さんを助ける以上なんとかして勝ちたい。だからここも勝たなきゃいけない。だけど対戦相手が……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霧島「…雄二、邪魔しないで。」

赤田爺「たとえFクラスだろうが全力で捻り潰してやるぞい‼︎」

 

 学年トップクラスのこの2人なんだよね。

 

雄二「そうはいかない。なんせ俺にはまだやりたい事があるんだからな。」

 

 雄二も満更ではないくせに〜。素直じゃないな〜。昂哉は素直に嫌がってるけど、僕からしたらちょっと怖いとはいえいつも親切に気にかけてくれる木下さんは素敵だと思うんだけどな〜。

 

霧島「…雄二、私と行くのがそんなに嫌?」

 

 おっ!これは必殺上目遣い!霧島さんみたいな普段クールな女の子がやると、ギャップもあって威力は無限大だ!ここで酷い事を言える奴は人間じゃないね!

 

雄二「ああ、嫌だ。」

 

 どうやらコイツは人間じゃないみたいだ。

 

赤田爺「御主らよ、儂にプレミアムチケットを譲るのがそんなに嫌か?」

 

 ん?これは必殺上目遣い?赤田のじっちゃんみたいな普段ボケッとしている爺さんがやると、ギャップなんかなくて威力は0に等しいね。ここで酷い事を言っても何の問題もないだろう。

 

明久・雄二「「当たり前だ(ね)。」」

 

 僕たちは真人間だ。

 

霧島「…やっぱり、一緒に暮らして分かり合う必要がある。」

赤田爺「人生経験の差を、御主らに見せてやる‼︎」

雄二「はっ!そんな寝言は俺達に勝ってから言うもんだな‼︎」

霧島「…分かった、そうする。」

 

 そろそろ戦いが始まりそうだ。しかしこの2人に真っ向勝負を挑んで勝てると思う程僕たちはバカじゃない。ここは一つバカなりの勝ち方をお見せしよう!

 

明久「始まる前に聞きたいんだけど、赤田のじっちゃんは何でこの大会にエントリーしたの?」

赤田爺「儂は大会で優勝したら、プレミアムチケットを使って離婚した妻と復縁したい‼︎愛してるぞい‼︎」

雄二「ちなみに元嫁が3人いるらしいが、誰と復縁するつもりなんだ?」

赤田爺「儂にはそれが決めきれん‼︎3人とも素敵な人じゃった‼︎じゃから予め3人に連絡しておいて、一番最初に返信が来た人と復縁すると決めたのじゃ‼︎じゃから邪魔するな‼︎」

 

 やっぱり。10代のキラキラした夢を70代の汚い目的に使うんじゃないよ!でもいい、ここからがこの作戦のメインだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄二「だそうですよ、観客席にいる元嫁の皆さん‼︎」

 

 

赤田爺「何じゃと⁉︎」

 

 そう!実は元嫁さんが3人とも昂哉の知り合いだったからここに呼んできたんだよね〜。今は昂哉や木下さんと一緒に観客席にいるよ。さて、これを聞いた嫁さんたちはどう反応するかな?

 

赤田爺元嫁1「何が復縁するだい‼︎誰が相手かも決めないで‼︎」

赤田爺元嫁2「どうせ独り身のまま死ぬのが嫌だからでしょ‼︎」

赤田爺元嫁3「それに今現在7股している人なんかと誰が復縁するもんですか‼︎」

 

 よし、作戦通りだ!女遊びし過ぎたバチが当たったね!

 

雄二「どうだいじっちゃんよ。これでもうプレミアムチケットを使う相手は居なくなっただろう?だから大人しく棄権した方がいいんじゃないか?」

赤田爺「やられたわい‼︎じゃが儂にはまだ彼女が7人おる‼︎それに全員と別れたとしてもまた新しい人を作ればいいだけのこと‼︎じゃからプレミアムチケットは儂のもんじゃ‼︎」

 

 嘘でしょ⁉︎想像を超えてきたんだけど、この人⁉︎

 

雄二「……マズいぞ明久……」

明久「……思ったよりもじっちゃんがクズだったね……」

雄二「……そうだな。なんとかしないと……」

 

 じっちゃんを棄権させることに失敗し、霧島さんは説得に応じない。雄二の策も尽きたと言うことで、最大のピンチを迎えてしまった。このままでは昂哉&姫路さんペアが準決勝の常夏コンビを倒した上で決勝のじっちゃん&霧島さんペアを倒さなければいけなくなる。それが出来ないと、姫路さんが居なくなって僕は寂しい学校生活を送る事になってしまう。ついでに雄二の苗字も変わってしまう。

 

 ここはいよいよ僕の出番だ。

 

明久「雄二、ここは僕に任せてくれない?作戦があるんだ!」

雄二「マジか!それなら今回はお前に任せよう。」

明久「それじゃあ雄二は僕の言った事を大声で言ってね。もちろん棒読みにならないようにね。」

雄二「ああ、分かった。」

 

 さて、これが僕のやり方だ!

 

明久「……翔子、俺の話を聞いてくれ……」

雄二「翔子、俺の話を聞いてくれ‼︎」

霧島「…なっ何?」

明久「……お前の気持ちは嬉しいんだが、俺には考えがあるんだ……」

雄二「お前の気持ちは嬉しいんだが、俺には考えがあるんだ‼︎」

霧島「…雄二の考え?」

明久「……俺は大会で優勝したら、お前にプロポーズするんだ!……愛してる、翔子〜!……」

雄二「俺は大会で優勝したら、お前にプロポーズ………っておい‼︎誰がいうかそんなこと‼︎」

霧島「…雄二///」

 

 言うこと聞かない反抗期のゴリラには手刀をお見舞いだ!

 

明久「てい!」バシン!

雄二「グファ………」 ガクッ

 

 雄二が気絶したところで……

 

明久(電話)『秀吉、頼む!』

秀吉(電話)『分かったのじゃ!』

 

 ここで秀吉の出番だ!雄二に内緒でこっそり入り口のそばで待機させてたんだよね。

 

 

雄二(CV.秀吉)「俺は大会で優勝したら、お前にプロポーズするんだ‼︎愛してる、翔子〜‼︎」

 

霧島「……雄二。…私も愛してる。……不戦敗で///」

赤田爺「霧島⁉︎何を言っとるのじゃ!」

明久「しゃあ‼︎僕たちの勝利だ‼︎」

 

 

総合科目

 

2年Fクラス 坂本雄二&吉井明久 不戦勝

         VS

2年Aクラス 霧島翔子&赤田敏夫 不戦敗

 

 

 

  side 昂哉

 

 よし、これで明久と雄二は決勝進出だ!

 

昂哉・赤田爺元嫁1・2・3「「「「イエ〜イ‼︎」」」」

優子「何これ………」

赤田爺元嫁1「これで復讐が出来たさね。」

赤田爺元嫁2「スッキリしたわ!」

赤田爺元嫁3「ありがとね、昂哉!」

昂哉「いえいえ〜!俺も友達に勝って欲しかっただけなんで!」

赤田爺元嫁1「なるほどねえ。」

赤田爺元嫁2「それじゃあバイバイ!」

昂哉「さようなら〜!」

優子「またお会いしましょう!」

赤田爺元嫁3「優子ちゃんを幸せにするんだよ!」

昂哉「ちょっと⁉︎何で俺がコイツなんかと………」

優子「ありがとうございま〜す♪」

 

 こうしてじっちゃんの元嫁たちは帰っていった。後は俺と姫路が常夏コンビをぶっ倒して決勝にさえいければ、ババアとの約束は果たせたようなもんだ!

 

 さてと、時間に余裕があるし、優子と適当に話しながらどっか行くか〜。

 

昂哉「よし、それじゃあ準決勝第二試合………まではまだ時間があるし、それまでどっかで暇潰そうぜ!」

優子「それなら拷問フルコースだね!」

昂哉「これから準決勝なんだからやめて!」

優子「じょ〜だん♪」

 

 全く、びっくりしたじゃんか!でもいいや!この準決勝をやれば今日は終わり。そして明日の決勝まではやめてと言えばそこまで延命できる。その後になったら流石に優子も忘れるでしょう!

 

優子「決勝が終わってからにしてあげる!」

 

 どうやら忘れる気は無いみたいだ。

 

昂哉「そんな〜!」

優子「アンタがセクハラすんのが悪いんでしょ!」

昂哉「クソ!」

優子「もしかして反省してない?」

昂哉「してます…………」

 

 クソ!いつもこんな感じで尻に敷かれてしまう!何とか優子の弱点を探って逆に敷いてやる!

 

 でもコイツって昔に比べてだいぶ変わったよな〜。昔は成績も大して良くなかったし、家でのズボラさ、適当さを学校でもやってたんだよね〜。性格も割とやんちゃな感じだったし。だから全然優等生なんかじゃなかったんだよな〜。俺の方が優等生で、いつも3つ上である俺の背中を追ってきてるような感じだったのに〜。今じゃあそんな面影はちっとも見られないよ!

 

 そうなると昔の弱点はもう無いのか………。一応ちょっと聞いてみようかな?

 

昂哉「そういえば優子、全然関係ない話なんだけど………」

優子「何、昂哉?」

昂哉「自分の部屋はいつもちゃんと片付けてる?」

優子「げっ⁉︎」

 

 あっ。してないっぽい♪やっぱり家だと割と昔の性格のまんまみたいだね。

 

昂哉「おやおや〜、そこは小さい頃から変わってないんだね〜w」

優子「う、うるさい!それに、アタシはちゃんと成長したんだからね‼︎」

昂哉「成長?どんな感じで?」

優子「この前やっと自分の部屋に足の踏み場が出来たわ!」ドヤァ!

昂哉「そのレベルでドヤ顔ってw。これは昂哉お兄ちゃんの出番でちゅかね〜w」

優子「ちょっと⁉︎む、昔みたいに呼ばないでよ///」

昂哉「だってぇ〜、昔の頃と変わってないんだも〜ん♪」

優子「う、うるさい!とにかく部屋の片付けは頑張るから!」

昂哉「きちんと昂哉お兄ちゃんが監視しに行くね!いつもの優子みたいに!もちろん罰として片付けが出来てなかったらBLの本を売り払っちゃうよ!」

優子「うっ……。わ、分かったわよ!」

 

 顔赤くして恥ずかしがってるの可愛いね〜!昔と今で変わっちゃったけど、変わってないところもあるみたい。ちょっと安心したよ!

 

優子「そ、そんなこんな言ってるうちに、凄いところに着いたわね〜。」

昂哉「わお!リアル野球盤だって〜!」

優子「室内で出来るんだね!」

昂哉「それじゃあやってみっか〜!」

優子「昂哉、運動音痴なのに出来るの?」

昂哉「俺を舐めんなよ!俺だって昔と比べて成長したんだからね〜!」

 

 嘘である!この男、むしろ20歳になってから徐々に体力が落ちてるのである‼︎

 

優子「それじゃあ、その成長したところをアタシに見せてよ!」

昂哉「上等!やってや………」ピロン

 

 ん?LINE?一体誰から………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄二(LINE)『昂哉、大変だ‼︎ウェイトレスである姫路、島田姉妹、秀吉の4人が拐われた‼︎」

 

 雄二から地獄の報せが飛び込んできた。

 

昂哉「マズいよ!これじゃあ準決勝に間に合わなくなるかも!」

優子「そっちを心配するの⁉︎事情が事情だから運営に言えば大丈夫でしょ‼︎」

昂哉「それがダメなのさ‼︎大会規定には如何なる理由があっても遅刻したら失格になるの‼︎」

優子「そうなんだ………。それじゃあやる事は一つね‼︎」

昂哉「ああ‼︎」

優子「瑞希たちを救出して、」

昂哉「準決勝に間に合わせる‼︎」

 

 残り時間は20分、絶対に間に合わせてやる‼︎




 ということで全裸兄貴再来襲からのじっちゃん回でした。如月グランドパークとしても、10代の高校生カップルの為じゃなくて75歳の爺さんの復縁のためにプレミアムチケットを使われるのは嫌だったでしょうね。

 また、優子の自室が汚い設定はオリジナルです………がズボラで家では下着かジャージ姿の様子から結構簡単に想像できちゃうんですよね。

 さて、次回は人質救出大作戦です。原作と異なり姫路が召喚大会で勝ち残ってる以上救出して大会に間に合わせないと失格になってしまいます。果たしてどうなるでしょうか?それは次回のお楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第十三問  準決勝に間に合わせろ‼︎

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 やる事はただ一つ!姫路たちを救出して準決勝に間に合わせる!そしてタイムリミットは20分だ‼︎

 

優子「アンタは体力無いからとりあえずここで待機してて!アタシと坂本たちで行ってくる!」

昂哉「実は今日遅刻しそうだったから家の車で登校したんだ!だからそれを使う‼︎」

優子「なるほど、それならスピードは問題ないね‼︎それで、場所は⁉︎」

昂哉「今から聞く!多分ムッツリーニがこういうのに詳しいはず‼︎」

 

 とりあえず雄二たちと連絡を取ろう!

 

昂哉(LINE)『駐車場でナンバーが96の赤い車のところに来て!それが俺の家の車だから!」

雄二(LINE)『マジか⁉︎めちゃくちゃ助かる!こっちは3人だから4人で丁度いいな‼︎』

昂哉(LINE)『優子も連れてく!コイツは雄二の次くらいには強いよ!』

雄二(LINE)『なるほど!それじゃあ無理矢理5人乗るぞ‼︎』

 

 という事で雄二たちとは連絡が取れたよ。

 

 

 そしてすぐに駐車場に到着したよ。残り時間は18分だ!

 

明久「えっ⁉︎木下さんは大丈夫なの⁉︎」

優子「弟が拉致られてんのに黙ってられないわ!それに日頃から折檻してるアタシが弱いはずないでしょ!」

明久「それは………」

雄二「自分で申し出たんだ。認めるしか無いだろ。」

昂哉「とにかく数は多い方がいいから!それでムッツリーニ、場所はどこ⁉︎」

ムッツリーニ「………この前俺たちが行ったカラオケ店。」

昂哉「OK!それじゃあ吹っ飛ばすよ!」

 

 正直自由にお酒飲めなくなるから免許は持ちたく無かったんだけど、いざという時に役に立ったよ!親父、お袋!俺に無理矢理免許を取らせてくれてありがとう!そして俺の友達を傷つける奴は、それ相応の罰を受けてもらおう‼︎

 

 

 

 

 

 だいぶかっ飛ばしたおかげで、目的地にはすぐに着いたよ。

 

雄二「よし、それじゃあ昂哉はここで待機だ。運転手兼召喚大会に出場する奴は傷ついちゃあいけない。」

昂哉「了解!絶対に助け出してね!」

優子・明久・雄二・ムッツリーニ「「「「もちろん!」」」」

 

 頼んだよ、お前ら!残り時間は13分だ‼︎

 

 

 

 

 

 

  side 明久

 

 ようやく姫路さんたちが拉致された場所に着いた。作戦はこんな感じだ。

 

 

①ムッツリーニが店員のフリをして、灰皿を持って中に侵入する。

②木下さんが店員のフリをして入り、不良たちのエサになる。

③木下さんに不良が見惚れているタイミングで僕と雄二が入り、人質である姫路さんたちを救出する。

④不良たちと喧嘩祭り。

 

 

 

 木下さんを色仕掛けに使うのが申し訳ないけど、本人がいいって言ったからこうなったよ。

 

不良1(無線から)『さぁ〜って、最初はどの娘から頂こうかな〜。』

 

 無線から不良たちの忌まわしい声が聞こえる。どうやらムッツリーニは潜入に成功したみたいだ。

 

不良2(無線から)『こっちの乳でけぇ奴にしようぜ‼︎』

不良3(無線から)『じゃあ俺は小学生で!』

姫路・葉月(無線から)『うぅ………』

島田(無線から)『やめなさい、アンタ達!』

秀吉(無線から)『女子に手を出すのは御法度じゃ‼︎』

不良4(無線から)『なんだテメェ‼︎』ドゴォ

秀吉(無線から)『痛っ……』

不良5(無線から)『次はお前か?』

島田(無線から)『な、何よ‼︎』

 

 あの野郎共‼︎秀吉に手を上げるどころか美波にも手を上げようとしやがって!

 

明久「……助けに行か……」

雄二「……待て明久、まずは人質の救出が優先だ……とりあえず木下が入って不良を見惚れさせるのを待とう……」

明久「……わ、分かったよ……」

 

 そしていよいよ木下さんが入…………

 

 

 

優子「アンタたち!アタシの弟によくも手を上げてくれたわね!ぶっ飛ばしてやる‼︎」

 

 

 ったぁぁぁぁぁぁ⁉︎まさか木下さんが喧嘩を売るとは思わなかったよ‼︎でも丁度いい、これに乗ってやる‼︎

 

不良5「おお!この娘のお姉ちゃんか!ちょうど……」

優子「死ねぇぇぇぇ‼︎」ドゴォ‼︎

 

 木下さんのパンチ強………って思ってる場合じゃない!

 

不良5「あぁぁぁぁぁぁ‼︎いてぇぇぇぇ‼︎」

不良4「このクソアマ‼︎」

 

 相手の目線が木下さんに行ってるタイミングで………

 

明久「お邪魔しま〜す♪」キーン!

不良4「のぉぉぉぉぉぉ‼︎」

 

 股間にキック!男相手ならやっぱりこれだね!

 

不良2・3「「テメェら、よくも‼︎」」

優子「吉井は一旦金髪の方を相手にして!アタシは……って危ない!」

不良2「クソ、よけやがって!」

明久「くらぇぇぇぇ‼︎」 

不良3「邪魔だ‼︎」 バゴン‼︎

明久「ぎゃぁぁぁぁ‼︎」

 

 クソ‼︎パンチを食らっちゃった‼︎痛い………けど秀吉たちか受けた痛みに比べれば………

 

不良2・3「「テメェもとっととくたばれぇ‼︎」」バゴン!

優子「アンタたちも……」

雄二「おいおい、お前らもう少し頭を使え………よっ‼︎」バゴン‼︎

不良2・3「「あがっ!」」 バタン

 

 雄二のパンチで一気に不良が気絶した!流石!

 

優子「坂本、それじゃあ人質を………」

不良1「おい待て、この子がどうなってもいいのか?」

葉月「うぅ………」

島田「ちょっと‼︎葉月に何してくれてんのよ⁉︎」

 

 葉月ちゃんを人質に取るなんて、ふざけた野郎だ‼︎でも………

 

不良1「いいか?大人しくしてろよ?さもないと酷え傷を……」

ムッツリーニ「………負うのはお前。」ガン!

不良1「グファ………」バタン

 

 後ろにいたムッツリーニが灰皿でぶん殴って気絶させた。有言実行とは見上げた根性だね。

 

雄二「それじゃあ明久とムッツリーニは人質、特に召喚大会がある姫路を昂哉の車まで案内しろ‼︎俺と木下でゴミ掃除をやるぞ‼︎」

明久・ムッツリーニ・優子「「「了解!」」」

 

 さて、まずは姫路さんの縄を解かなきゃ!

 

明久「姫路さん、もう大丈夫だよ!」

姫路「ありがとうございます!」

明久「入り口に昂哉の赤い車があるから先に行って!」

姫路「はいっ!」

ムッツリーニ「………解いたぞ。」

葉月「ありがとうございますっ!」

島田「ウチはここに残るわ。」

明久「美波も行って!」

姫路「私と雲雀丘君は大会があって葉月ちゃんの面倒を見れないので!」

島田「それなら分かったわ!」

ムッツリーニ「………3人とも、俺についてこい‼︎」

島田・姫路・葉月「「「はい!」」」

 

 さてと、僕はゴミ掃除でもやりますか!

 

秀吉「姉上、済まないのじゃ………」

優子「無事で何よりだわ!」

秀吉「それより男のワシが捕まって女の姉上が助けるなんて、本当に申し訳ないのじゃ……」

優子「アタシを誰だと思ってんの⁉︎伊達にアンタと昂哉に折檻してないわよ!それに、弟に手を出されて黙ってる姉がいると思う?」

秀吉「姉上………」

優子「とりあえず泣くのはここを出てからにしなさい。まだ危ないから。」

秀吉「分かったのじゃ…………」

 

 いいなぁ〜。僕もあんな姉が欲しかったな〜。それとこんな素晴らしい人を彼女にしている昂哉は羨ましいよ!

 

雄二「さぁって、丁度いいサンドバッグが出来ちまったなぁ⁉︎」

優子「せいぜいアタシたちを楽しませてよね‼︎」

 

 それにしても、霧島さんの事でストレスが溜まっている雄二と、昂哉の事でストレスが溜まっている上弟に手を出されて更にキレてる木下さんを相手にするなんて、この人たちも不幸だな〜。まあそれなりの罰は受けてもらわないといけないんだけどね。

 

 それと、後は頼んだよ、昂哉!必ず姫路さんと一緒に召喚大会に間に合ってね!

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 集合時間まであと6分のところで姫路たちがやってきた。どうやら作戦は成功だ!

 

昂哉「みんなお疲れ‼︎全員乗って……って言いたいけどあと3・4人までしか乗れないから姫路と島田と秀吉が乗って!」

姫路・葉月「はいっ!」

島田「了解!」

秀吉「わ、ワシはやっぱりムッツリーニたちを手伝うのじゃ!男としてこのまま黙って帰るのは恥ずかしくてのぅ‼︎」

昂哉「なるほど、それなら出発するね!」

ムッツリーニ「………任せた‼︎」

秀吉「必ず間に合わせるのじゃ‼︎」

 

 勿論だとも‼︎絶対に間に合ってやる‼︎

 

昂哉「それじゃあ飛ばすよ‼︎」

姫路・葉月「「はいっ!」」

島田「頼んだわ!」

 

 アクセル全開!最短距離を進んでかっ飛ばす‼︎絶対に間に合わせる‼︎絶対に間に合わせて常夏コンビをぶちのめすんだ‼︎絶対に‼︎

 

 

 

 

 

 かっ飛ばした甲斐もあって、かなり速く学校に着いた。あと2分‼︎

 

昂哉「それじゃあ姫路、全力疾走だ‼︎」

姫路「はいっ!」

島田「頼んだわ!」

葉月「お姉ちゃんとおじさん、頑張って下さいっ!」

 

 俺と姫路は決して足が速くない。すぐにバテてしまうかもしれない。でも今はそんな事どうだっていい‼︎間に合いさえすればどうにでもなる‼︎だから間に合え‼︎そのために全力で走れ‼︎間に合え………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竹中「2年Fクラスの雲雀丘&姫路ペアが集合時間になっても現れなかったため、3年Aクラスの常村&夏川ペアの不戦勝となります。」

 

 間に合わなかった…………、あと1分早く着いてたら………、俺がもっと足が速かったら………、失格にならずに済んだのに………

 

姫路「はぁっ……ごめん……はぁっ……なさい……」

昂哉「こっちこそ……はぁっ……ごめん………」

姫路「私が………はぁっ……捕まったり……はぁっ……しなければ……」

昂哉「俺が……はぁっ……営業妨害を……はぁっ……予想できて……はぁっ……いたなら……はぁっ……」

 

 自分の能力不足をここまで悔やんだのは初めてだ。こうなった時のために、もっと運動をしておくんだったな………

 

 

 

 

 

 

 

 しばらくすると、雄二たちが戻ってきた。

 

雄二「間に合わなかったんだな。すまん。」

明久「僕たちがもっとしっかりしていたら……」

優子「アタシがもっと早く瑞希を助けてたら……」

秀吉「そもそもワシが捕まらなかったら……」

ムッツリーニ「………無念。」

雄二「いや、それに関してはある程度予想できてたんだ。まさかここまでするとは思わなかったが。」

 

 予想出来た?

 

昂哉「どういうこと?」

雄二「妨害工作の一種だ。俺たちやり合っても勝ち目がないと考えたんだろう。その結果拉致るとは思わなかったけどな。」

 

 なるほどね。にしてもやり過ぎだよ。

 

明久「どういうことだよ、雄二⁉︎」

雄二「落ち着け明久。とりあえず俺の話を聞いてくれ。」

明久「分かった………」

雄二「奴らはもう一度俺たちに直接攻撃してくるか喫茶店にちょっかいを出してくるか。そのどちらかで妨害工作を仕掛けてくるのは予想できたからな。」

 

 一連の妨害工作……………2回戦での清水への匿名の情報提供………常夏コンビによる何回もの妨害………不良たちによる直接攻撃………まさか!

 

昂哉「雄二、常夏コンビと明久を襲ったりウェイトレスを拉致ったりした不良達が繋がってるってこと?」

雄二「俺の予想が正しければな。いくつか引っかかる点もあるしな。」

 

 引っかかる点……、何度も起きた妨害工作……、ん?何度も?そういえば不自然なくらいに何度も会った人がいたような……?

 

昂哉「ねえ雄二、それに教頭も入ってる?」

雄二「そうだな。妨害工作が起きた現場には毎回居合わせていたからな。」

 

 どうやら俺の予想は当たったみたいだ。

 

昂哉「やっぱりね。アイツがこんなイベントを好むはずがないもん。しかも1日にそう何度も同じ人を見ることなんてなかなかないしね。」

雄二「全くだな。今回の件も姫路を拉致して昂哉&姫路ペアを失格にさせるつもりだったんだろう。」

優子「はぁ⁉︎あの人は何考えてんの⁉︎」

姫路「全くですね………」

 

 となると、ババア&俺&姫路&雄二&明久vs教頭&常夏コンビ&不良っていうわけね。

 

雄二「幸いな事に、奴らは昂哉&姫路ペアに注意を向けすぎるあまり、俺と明久のペアへの妨害工作は怠ってたみたいだな。それでも途中からはそれなりにあったが。」

明久「僕も襲われたりしたしね。」

 

 確かに。普通警戒するのは俺たちの方だよね。

 

雄二「とにかく、こうなった以上は依頼主であるババアと話をする必要がある。聞いておきたい事もあるしな。だから明久と昂哉は俺と一緒に教室で待機だ。」

 

 確かに。ババアと話をつけないとね。

 

昂哉・明久「「は〜い。」」

雄二「他のメンバーはムッツリーニ、秀吉で女子を守りながら帰ってくれ。」

優子「アタシも女だけどヤワじゃないから守りながら帰れるわ。」

ムッツリーニ・秀吉「「了解‼︎」」

姫路「お願いします………」

昂哉「島田姉妹にも連絡しといて〜。」

優子「分かったわ。」

昂哉「それじゃあ明日、無事で会えることを祈るよ!」

姫路「はい!」

ムッツリーニ「………ああ。」

秀吉「そうじゃの!」

優子「勿論!」

 

 ということで俺たちは他のメンバーと別れた後、ババアと教室で話をすることになった。




 ということで昂哉と姫路は失格になってしまいました。そのため決勝は原作通りのメンツでやる事になります。

 ただ、昂哉が寝坊して急いでいた上、清涼祭が酒持ち込み禁止なこともあってたまたま車で登校できてたのは不幸中の幸いでしたね。いつも通りだったらもっと時間がかかってたでしょう。

 それと、優子は伊達に折檻してないですね。普通に強いです。流石に雄二ほどじゃないですけど。

 さて、次回はババアとの会談です。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第十四問  ババアのひ・み・つ♪

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 ということで俺たちは他のメンバーと別れた後、ババアと教室で話をすることになった。

 

昂哉「とりあえずはババアと改めて作戦会議ってわけ?」

雄二「ちょっと違うな。ババアの事情を説明してもらうんだ。妨害の原因はババアにあるはずだからな。教頭につけ込まれるなりの理由があるはずだ。」

 

 そういうことね。それならババアが俺たちと取引をする動機になるよね。

 

昂哉「なるほどね〜。あと明久、黒幕はババアじゃなくて教頭だからね。そこを勘違いしないで。」

明久「分かってる………」

 

 明久は人一倍仲間が傷つくのを嫌がる奴だからね。イライラするのも無理はない。

 

 

 

 

 

 そんなことを思ってると遂にババアがやってきた。

 

ババア「待たせてすまんね。」 

昂哉「いよぅばあさん、話を聞かせてもらえませんかねぇ!」

雄二「俺たちに隠し事をしている件について、だな。」

ババア「やれやれ、賢しいヤツらだとは思っていたけど、まさかアタシの考えに気がつくとは思わなかったよ。」

雄二「初めからおかしいとは思っていたんだ。あの話だったら何も俺と明久にも頼む必要はない。成績優秀な昂哉と姫路のペアだけで充分なはずだ。」

 

 確かに。それかなり謎だったよね。

 

ババア「話を引き受けた教頭の手前おおっぴらにできないとは考えなかったのかい?」

雄二「それなら教室の補修を渋ったりはしないはずだ。教育方針なんてものの前に生徒の健康状態が重要なはずだからな。教育者側、ましてや学園の長が反対するなんてあり得ない。」

明久「つまりは僕と雄二を大会に出場させるためにわざと渋ったってこと?」

雄二「そういうことになるな。ところでババア、俺が一つ大会に関してある提案をしたのを覚えているか?」

ババア「科目を決めさせるってやつかい?なるほど、アレで試したってワケね。」

 

 あれってちゃんとした理由があったんだ‼︎凄いね〜。

 

雄二「ああ。めぼしい参加者全員に同じような提案をしている可能性を考えたからな。もしそうならば俺たちだけに有利になるような提案は乗ってこない。だがババアは提案を呑んだ。」

 

 どうしてもこの2人じゃないといけなかったんだね。

 

雄二「他にも学園祭の喫茶店ごときで酷い営業妨害が出るとは思わなかったからな。何よりウェイトレスを連れ出したのが決定的だった。ただの嫌がらせならここまではしない。」

 

 だよね〜。いくらなんでもやり過ぎだもんね。というか犯罪だし。

 

ババア「そうか、向こうはそこまで手段を選ばなかったか……。すまなかったね。特に雲雀丘と姫路のペアを警戒しての事だったんだろうね。」

 

 ババアが頭下げるなんて珍しいね。意外とちゃんと学園長っぽいとこはあるんだね。そんなことを思ってると雄二が言葉を返した。

 

雄二「さて、今度はそっちの番だ。」

ババア「はぁ、アタシの無能を晒すような話だから出来れば伏せておきたかったんだけどね………」

 

 ババアの無能……。やっぱりそういうことか!

 

昂哉「ばあさんの目的はペアチケットの方じゃなくて白金の腕輪の方ですよね?」

ババア「おやおや、気付いてたんかい。」

 

 やっぱりね。回収して欲しいのは普通そっちだよね。

 

昂哉「だってたかが遊園地のイベントごときにわざわざ横槍を入れる必要あります?無いですよね?だから本当の目的は腕輪の方の回収だと思ったんですよ。なに、自分で作ったからバグったとかですか?」

ババア「そうさね。」

明久「でもなんで僕らが勝ち取る必要があったの?」

雄二「あのな明久、回収だったら俺たちに依頼する必要はないだろ?そもそも回収なんて極力避けたいしな。」

明久「それってどういうこと?」

 

 まあ明久はすぐには理解できないよね。ちょっと説明してあげるか!

 

昂哉「明久、例えば発売予定だった新作ゲームが発売日直前に発売中止になったらどう思う?」

明久「クソッ、と思う!」

昂哉「よし、それじゃあ同じゲーム会社が立て続けに同じことを起こしたらどう思う?」

明久「そのゲーム会社は作るのがヘタクソなんだと思う!」

昂哉「そう思うでしょ?それを今回の件に当てはめてごらん!腕輪を使ってもいないのに回収したら……」

明久「ババアが作るのがヘタクソだと思う!」

昂哉「その通〜り‼︎」

ババア「なんかムカつくけど事実だから仕方ないさね。」

 

 明久が納得したところで腕輪のバグの話だ!

 

昂哉「それでばあさん、そのバグはこの2人になら問題ないんですか?」

ババア「そうさ。アンタ達が使うなら暴走せずに済む。不具合は入出力が一定水準を超えた時だからね。だから吉井と坂本のペアを出してもらったのさ。アンタらは点数は低いが優勝する力は持ってたからね。」

昂哉「なるほど!点数が高い人が使うと暴走しちゃうんじゃ意味ないですよね!だからこのバカ2人に頼んだんですね!良かったね、バカでも役に立てて♪」

雄二「昂哉は後で始末するとして、そういうことがあると推測したから教頭達がババアの失脚を狙って潰しにきたのか。」

明久「ほぇ?」

 

 また明久に説明しなきゃいけないのか。まあ分かってもらわなきゃ仕方ないししょうがないか〜。

 

昂哉「明久、ババアの次に学園長になれるのは誰だと思う?」

明久「教頭?」

昂哉「そのと〜り♪それで、学園長のポジションを今すぐにでも手に入れたい。そうしたらどうすればいい?」

明久「ババアを倒す!」

昂哉「そのと〜り♪でも本当にババアをぶっ殺すと犯罪者になっちゃうでしょ?自分が悪者になったら意味ないよね?」

明久「確かに……」

昂哉「だからババアを悪者にして追放するのさ!そうすれば次の学園長は?」

明久「教頭、君に決めた!」

昂哉「正解!」

 

 まあ分かってもらえたようでなによりだ!

 

ババア「まあ雲雀丘と坂本の言う通りさね。というわけでアンタ達には優勝してもらいたんだ。」

明久「それじゃあ決勝の相手………には頼めないよね。」

雄二「なんせ常夏コンビだからな。」

昂哉「アイツらは教頭側の人間だからね〜。だからなんとしてでも2人は勝ってよ!」

雄二「ああ。」

明久「そうだね!」 

雄二「じゃあ話は以上だ。明日は朝早いからこの辺で失礼する。」

ババア「分かったよ。それじゃあ明日は頼んだよ。」

昂哉・明久・雄二「「「おぅ!」」」

 

 ということで俺たち3人は教室を後にして一緒に帰った。

 

 

 

 

 

 帰り道、雄二が愚痴をこぼした。

 

雄二「とはいったものの、なかなかキツいよな。一応俺と明久が本命だと思って対策は立ててたんだが……」

明久「えっ?あの2人バカっぽいし今の雄二の点数なら余裕なんじゃないの?」

 

 雄二って点数伸びてたんだ。知らなかったよ。まあ昔は俺みたく神童と呼ばれてたらしいからね!才能はあるんでしょう!

 

雄二「それなんだがな、常夏コンビは3年Aクラスなんだ。」

明久「えっ⁉︎」

昂哉「意外でしょ?」

明久「うん………」

 

 俺も対戦表を見たときびっくりしたんだよね。だって超バカっぽく見えたんだもん。特に坊主の方。

 

明久「でもアイツらが例えAクラスだろうと絶対勝たなきゃいけないよね。姫路さんを拉致して不戦敗にしたんだし。弱音なんて吐いてられないよ!」

雄二「そうだったな明久、すまん。」

 

 拉致して不戦敗…………そうだ!

 

昂哉「2人とも、こういう考えはどう?」

雄二「なんだ?」

昂哉「俺と姫路が不戦敗になったのだから、常夏コンビも不戦敗にしてしまえばいいと‼︎2人の努力が無駄になっちゃうけど……」

 

 悪事でやられたなら悪事でやり返す‼︎これこそが俺のモットーさ‼︎

 

明久「マジで⁉︎」

雄二「それはいい考えだな。でもどうやるんだ?」

昂哉「姫路の飲茶!」

明久「なるほどね!」

 

 手っ取り早く気絶させる方法だね。これで常夏コンビを適当なところに捨てて集合時間に間に合わせなくするのさ!

 

雄二「確かにいい案だが、奴らが俺達の出した物を食うと思うか?」

昂哉「それについては暗殺だね!ムッツリーニとか得意そうじゃない?」

雄二「確かにな。だが相手は2人。上手く暗殺が出来ると思うか?それにバレたときのリスクがデカいしな。清涼祭は外部からの客がかなり来るから隠蔽し切れない可能性が高い。それに、傷害事件の加害者がいる学園なんて知られたらヤバイだろ。」

 

 確かに………。教頭の拉致の件もおおっぴらにして脅したいけど、それも無理だしね〜。だとすると兄貴に追いかけてもらうとか常夏コンビが大会会場に向かうのを力尽くで阻止するとかになっちゃうよね。そうなるとやっぱり暗殺が一番良い気がするけど………

 

昂哉「そうだね………」ピロン

 

 ん?LINEが来たぞ?何だろう?

 

風俗公式(LINE)『限定割引!通常なら90分2万円のところをなんと………』

 

 ただの風俗の割引の事だった。タイミング悪いな!

 

雄二「どうした?」

昂哉「いや、ただの風俗公式LINEからの宣伝だったよ。」

明久「そんなのあるんだ……」

雄二「まあそれはともかく、常夏コンビの妨害方法を考えようぜ。」

昂哉「そうだね〜。」

 

 妨害方法ね〜。一体何が……………そうだ!いい事を思いついた!それに、さっきのはいいタイミングだったのかもしれない‼︎

 

昂哉「俺にいい案がある‼︎」

雄二「どうした?」

明久「気になる!」

昂哉「かくかくしかじかで〜。」

明久・雄二「「はぁ⁉︎」」

雄二「正気か、お前⁉︎」

明久「僕でも無理だと分かるよ!」

昂哉「それなんだけど、まず金は麻雀とパチスロで400万貯めてたのがあるからそれを使う‼︎後は俺の経験と人脈を活かす‼︎大人の力ってヤツを見してやんよ‼︎」

 

 最近ギャンブル系の調子が良くて助かったよ!

 

赤田爺「昂哉……、御主が大人の力を見せるだって?笑わせるな‼︎」

 

 うわ、びっくりした!

 

昂哉「じっちゃん⁉︎いつの間に⁉︎」

赤田爺「最初からじゃ。」

 

 マジかよ‼︎全部聞かれてたんかい!じっちゃんだから良かったものの、常夏コンビだったらアウトだったね。ちゃんと警戒しとかないとな〜。

 

雄二「んで、何の用だ?まさか俺達への復讐か?」

明久「出来れば後にして欲しいな〜。」

赤田爺「そうではない。」

昂哉「じゃあ何なのさ?」

赤田爺「御主がまだ20歳のくせに一丁前に金を出して大人ぶってるのを叱りに来たのじゃ。その金は自分の為に使いなさい。」

 

 そういう事⁉︎でもここは反論させてもらうよ!

 

昂哉「じっちゃん!これはとても大切な事なんだ‼︎それに、俺の意思で使うんだから問題ないでしょ⁉︎」

赤田爺「いいか若い衆、よく聞け。」

 

 まさか説教?それとも浮気の事?それとも………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤田爺「年寄りの金は若い衆の為に使うものじゃ‼︎」

 

 

 じっちゃん………。協力してくれるのか………!

 

昂哉・雄二・明久「「「ありがとう!」」」

赤田爺「なぁに、儂の長年の人生経験からこの手の話には慣れとるのじゃ。それに儂としてもこの学園が大きく変わる事によってここの超可愛い女子高生達が傷つくのが嫌なのじゃ‼︎」

明久「そうだね!」

雄二「だとしたらやるしかないよな‼︎」

昂哉「金もあるんだし、俺とじっちゃんの経験と人脈からアテもある‼︎だから絶対に、この作戦を成功させるよ‼︎」

明久・雄二・赤田爺「「「オー‼︎」」」

 

 こうして、俺たちは来たる明日の常夏コンビ妨害作戦に向けて準備を始めた。

 

 

 

 

  side 明久

 

 僕と雄二の役割は召喚大会の決勝に絶対に遅刻しないこと!だから………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明久「ふわぁぁぁ。おはよう、雄二。」

雄二「おはよう明久。たまには学校で寝るのもいいもんだな。」

明久「だね。」

 

 絶対に遅刻しない方法(集合場所で寝ること)を実行したよ!

 

雄二「よし、これで俺達は遅刻せずに済んだな。」

明久「だね。後は昂哉たちの活躍に期待するだけだ!」

雄二「ああ‼︎」

 

 そして起きてからしばらく時間が経つと、いよいよ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉『それでは只今より、「文月・初夏のローション祭り」を開催します‼︎』

 

 

 

 屋上で拡声器を使っている昂哉の合図によって常夏コンビへの妨害作戦が始まった!




 ということでババアとの会談Part2でした。話は常夏コンビを妨害して集合時間に遅刻させる方にシフトしましたね。まあ姫路も拐われて遅刻させられたんだから文句は言えないですよね。そして今まで良いところが無かったじっちゃんの活躍です!若者の為に自分の金を使う彼のカッコいい一面を見れたのではないでしょうか?

 さて、次回はいよいよ清涼祭クライマックス、文月・初夏のローション祭りです。何をするのかは次回のお楽しみに‼︎

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第十五問  文月・初夏のローション祭り

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 清涼祭2日目の朝、常夏コンビの妨害工作である文月・初夏のローション祭りが始まろうとしているよ。ちなみに今俺は屋上で秀吉やムッツリーニと一緒に指示出しをする係をやってるよ。

 

秀吉「それにしても、よくこれだけのブルーシートとローションを集められたのぅ。」

ムッツリーニ「………しかも一夜で。」

昂哉「じっちゃんの金と俺の風俗のツテだね。ローションを色んな店から分けてもらったのさ!ちなみに乾きにくいように細工も施してあるし予備だっていっぱいある‼︎」

秀吉「大人って凄いのぅ。」

ムッツリーニ「………やる事が違う。」

 

 ちなみに今は校庭全体にブルーシートが敷いてあって、その上にローションがぶちまけられてるよ!つまりは校庭全体がローションエリアなのさ!これを昨夜だけで準備したから正直寝てないんだよね。そして………、

 

昂哉「んじゃ、そろそろ始めるか!」

秀吉「頼んだぞい!」

 

 いよいよ祭りの始まりだ!

 

 

 

 

 

 

昂哉(拡声器)『それでは只今より、「文月・初夏のローション祭り」を開催します‼︎天才物理学教師である家角亜成大先生がプロデュースする、摩擦が無い世界を是非お楽しみ下さい‼︎』

 

 

 

 

 

 

 ちなみに夜間学校を開けてくれたのはケツ先生だよ。貴方の素晴らしさを宣伝するんで、って言ったら快く引き受けてくれたのさ!全く、チョロくて助かったぜ!

 

 そして校庭からは常夏コンビの妨害に協力してくれるFクラス男子たちの声が聞こえるよ!

 

 

近藤「うぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎JKとローションで触れ合えるぜぇぇぇぇぇ‼︎」

横溝「ぬるぬるぅぅぅぅぅぅ‼︎」

福村「いやっふぉぉぉぉ〜‼︎」

原田「僕と相撲をしようぜぇぇぇぇ‼︎」

武藤「これがFクラスの出し物だぁぁぁぁ‼︎」

須川「昨日女子と一緒に清涼祭を楽しんでた連中を全員でぶちのめしてやるぞぉぉぉぉ‼︎」

 

 めっちゃ盛り上がってるね!いい事だ!ただのその中で一際目立つ声がさっきからしてるんだよね〜。

 

 

赤田爺「じっちゃんの身体にかけてぇぇぇぇぇぇ‼︎」

 

 

 10代男子に混ざってはしゃぐ70代男子。なんて素敵な光景なんだろう!それと、さらっとどっかで聞いた事のあるセリフをとんでもない改変して言ってるし。

 

 さて、ローション祭り最初の参加者は………

 

鉄人「貴様ら!何をやって……うぉ!」ヌルッ、バタン

 

 鉄人だ!まあ最初にやってくるのは出勤する先生方だよね!

 

昂哉(拡声器)『お前ら!鉄人がやってきたぞ‼︎ローションの凄さを教えてやれ‼︎』

Fクラス男子「「「「「はっ‼︎」」」」」

鉄人「雲雀丘、貴様の仕業か………うぉ!」ヌルッ

武藤「先生、相手はこの俺だ!」ヌルッ、バタン

福村「俺もだ……うぉ!」ヌルッ

 

 しばらくすると、他の先生方もやってきたよ!ちなみに駐車場からは校庭を通らないと校舎内に入れないようになってるから全員がローション祭りの参加者になるね!

 

高橋「なんです……きゃぁ!」ヌルッ、バタン

布施「いつの間にローションが……」

長谷川「これでは校舎に……って痛た……」ヌルッ、バタン

大島「くそっ!体育教師の俺でもなかなか進めねえ‼︎」

 

 そして一際ヤバいやつが遂に現れた。

 

 

船越「男子高校生のみんな〜‼︎私と一緒にローションで遊びましょぉぉぉぉぉ‼︎」ヌルッ、バタン

 

 

 そう!これがあるから俺は祭りの現場に下りなかったのさ!

 

須川「ヤバい!船越女史だ!」

横溝「逃げろ!」

昂哉(拡声器)『お前ら、この後には沢山の女子高生がやって来るんだよ⁉︎ここで逃げてもいいのかい⁉︎』

Fクラス男子「「「「「良くねえ‼︎」」」」」

 

 よく言った!それでこそFクラス男子だ!

 

 

 

 しばらくすると、いよいよ生徒たちが登校し始めた。まずは………

 

優子「はぁ⁉︎一体何が起きてんの⁉︎」ヌルッ

島田「というかなんか滑るんだけど⁉︎」ヌルッ

姫路「きゃあ!」ヌルッ、バタン

霧島「…雄二、どこ行ったの?」ヌルッ

葉月「わあっ!なんかぬるぬるしてますぅ!」ヌルッ

工藤「凄い量のローションだね〜。」ヌルッ

美穂「転んで眼鏡を割ってしまいそうです……」ヌルッ

清水「美波お姉様〜‼︎」ヌルッ、バタン!

島田「ちょ、美春⁉︎」バタン!

 

 知り合いの女の子たちの登場だ!これはいいチャンス……だと思ったけど俺がアナウンスすると優子にバレたときにヤバいから………、

 

昂哉「ムッツリーニ、お願い!」

秀吉「ワシも姉上に殺されてしまうから頼むぞい!」

ムッツリーニ「………ああ!」

 

 ムッツリーニに依頼したよ!これで俺と秀吉が死ぬことはないね!

 

ムッツリーニ(拡声器)『………女子の登場だ‼︎………お前ら、更に祭りを盛り上げるぞ‼︎』

Fクラス男子「「「「「オー‼︎」」」」」

工藤「む、ムッツリーニ君⁉︎」

美穂「なんか怖いんですけど……」

優子「多分昂哉の仕業ね。後でこらしめておくわ。」

姫路「優子ちゃん、お願いします。」

 

 なんか嫌な声がしたんだけど。気のせいだと信じたい。

 

 

 

 

 そしてしばらくすると、いよいよお目当ての常夏コンビがやって来た!

 

夏川「うわ!なんだよこれ‼︎」ヌルッ、バタン

常村「ローションまみれじゃねえか!」ヌルッ

 

 さて、ショータイムといこうじゃないか!

 

秀吉(拡声器)『力哉、克哉よ、お主らが大好きな夏川先輩と常村先輩がやって来たぞい‼︎思う存分ローションで相手してやるのじゃ‼︎』

力哉・克哉「「しゃあ‼︎」」

夏川・常村「「嫌ぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」」

 

 そう、この時のために兄貴たちを待機させてたんだよね!さあ、ローションの経験の差というものを見せてやれ‼︎ちなみにこの合図でFクラス男子も常夏コンビの方に行くようになってるから、いくら兄貴たちをかわしたとしても無駄だよ♪さあ、日が沈むまで踊り続けろ‼︎

 

 

 

 そして、しばらくすると………、

 

教頭「な、なんだこれは⁉︎」ヌルッ、バタン

教頭妻「何故にローション⁉︎」ヌルッ、バタン

 

 重役出勤の教頭がやってきたよ!しかもご丁寧に奥さんまで連れている。これは大大大チャンスだ!

 

 

昂哉(拡声器)『教頭先生、昨日は何度もメイド喫茶にいましたね!それと、チャイナドレス見たさにうちのクラスにやって来てくれてありがとうございます‼︎実はこの俺もメイドやチャイナドレスを着た女の子が好きなので今度一緒に語り合いませんか⁉︎』

教頭「えっ⁉︎」

教頭妻「どういうこと?」

教頭「いや、こ、これは違うんだ‼︎何かのごか……」

教頭妻「へぇ〜」ドゴォ‼︎

教頭「グファ……」バタン

 

 しゃあ!これで教頭に仕返しができたぜ‼︎やったね♪それにしても教頭の奥さん強いな〜。一発殴っただけで気絶させたし………。アレが未来の俺と優子にならないようにしたいね!

 

 さあさあ、あとやる事はどさくさに紛れて常夏コンビを遅刻させる事‼︎そのためにも、ローション祭りを盛り上げてやる‼︎

 

 

昂哉(拡声器)『まだまだ祭りはこんなもんじゃないよ‼︎追加のローション投入だ‼︎新鮮なぬるぬるをとくと味わうがよい‼︎そして参加者の皆さんよ、ぬるってぬるってぬるぬるしまくれぇぇぇぇぇ‼︎』

秀吉・ムッツリーニ「「ローション投入‼︎」」ザバァァァ

 

 

 

 乾きにくい細工を施したといっても限度がある!だから今はありったけのローションを注いで、決勝戦の集合時間まで耐えるんだ‼︎いけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼︎

 

 そして遂に、召喚大会の運営からLINEが飛んで来た。

 

運営(LINE)『召喚大会の決勝戦は3年Aクラスの常村&夏川ペアが集合時間になっても現れなかったため、2年Fクラスの吉井&坂本ペアの不戦勝となります。』

 

 

昂哉・秀吉・ムッツリーニ「「「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」」」

 

 遂に俺たちの勝ちだ‼︎やったね♪これでなんとか努力が報われた…………ぜ!

 

昂哉「あぁぁ……はぁっ……」ガクッ

 

 達成感で力が抜けて思わず膝が落ちてしまった………

 

秀吉「昂哉⁉︎大丈夫かのぅ⁉︎」

昂哉「徹夜だったから………」

ムッツリーニ「………疲れてるんだろ。………よく頑張った。………休んどけ。」

昂哉「それじゃあ………秀吉の膝枕がいいな……」

秀吉「頑張った友のためじゃ!幾らでもワシの膝を貸してやろうぞ‼︎」

 

 ありがとう!こうして俺は屋上から校舎の中に入ってすぐのところで秀吉の膝を借りて寝ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 どれくらい時間が経ったのだろうか。目を覚ますとかなり日が高かった。恐らくもう昼過ぎだろう。随分寝ちゃったな。秀吉の膝も死にかけ…………ん?なんだこの違和感は?何かが違う。空気というか、オーラというか………、一体何だろう?その答えはすぐに分かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「おはよ♪」

 

 秀吉(天使)優子(悪魔)に入れ替わっていたのだ。

 

昂哉「あれ?幻覚かな………?」

優子「違うわよ!関節曲げて確かめる?」

昂哉「遠慮します………。それで、なんで優子が膝枕してんの?」

優子「アタシの姿を見たら秀吉が替わってくれたわ。」

昂哉「脅迫して?」

優子「いや、違うからね!」

昂哉「後で秀吉に聞いてみて脅迫されてたらBL本売却ね。」

優子「本当に違うから!」

昂哉「そう……ならいいよ……。それなら………」

 

 優子がこう言うのなら間違い無いだろう。だとしたら………

 

昂哉「お墓は派手なヤツがいいな……」

 

 死を覚悟しないとね!

 

優子「別にそこまで酷いことはしないわよ。」

昂哉「よく言うぜ!どうせ折檻はするくせに‼︎」

優子「まあするけど……」

昂哉「この悪魔め!」

優子「学校内で勝手にローションばらまくのが悪いんでしょ!」

昂哉「大丈夫、ケツ先生の許可は取ってあるから!」

優子「あの人の許可ってアテになるの?」

昂哉「さあ?」

 

 ぶっちゃけならないと思うけどね。まあ俺たちに来るはずの罰は全部あの人に行くでしょう!

 

昂哉「それにしても、さっさと俺を殺さないの?」

優子「いや、殺しはしないって。それより、なんでこんな事をやったの?」

昂哉「俺と姫路が拉致されて不戦敗になったから、常夏コンビをローションで足止めして無理矢理不戦敗にしようと思って。」

優子「アンタらしいわね………」

昂哉「でしょ?だから褒めて〜♪」

優子「褒められる事では無いでしょ!」

昂哉「ごめんちゃい♪」

優子「ぶっ飛ばすわよ?」

昂哉「すいませんでした。」

優子「よろしい。」

 

 クソ!これじゃあ教頭ルートまっしぐらじゃん!なんとかしてこの悪魔を逆に尻に敷いてやる!

 

昂哉「それで、いつもの折檻はしないの?」

優子「う〜ん、それなんだけど、アンタは今疲れてるからやめとこうと思って。」

 

 嘘でしょ⁉︎あの優子が優しいだと⁉︎

 

昂哉「優子。」

優子「何?」

昂哉「バグった?」

優子「やっぱり折檻しようかな?」

昂哉「すいませんでした。」

優子「ほ〜い。それで、今回の件は今折檻するんじゃなくて貸しにしようかと思って。」

 

 そういうことね!

 

昂哉「なるほどね!いいよ!」

優子「良かった〜!それじゃあそういうことで!」

昂哉「ほ〜い!」

 

 そんなやりとりをしていると、雄二からLINEが入った。

 

雄二(LINE)『ようやくローションとブルーシートの片付けが終わって、喫茶店が再開するところだ。木下とイチャイチャしてるとこ申し訳ないんだが教室に来てくれるか?』

 

 別に申し訳なく思わなくていいんだけどな〜。雄二も気持ちは分かるはずなのに!

 

 まあそんなことより、呼ばれたなら行かないとね!

 

昂哉「ということで、俺はクラスに戻るよ!」

優子「は〜い。」

昂哉「じゃあね〜♪」

優子「ばいば〜い!」

 

 あっ、あれ言い忘れてた!

 

昂哉「それと、膝枕ありがとね!おかげでよく眠れたよ!本当に助かった!」

優子「ど、どういたしまして///」

 

 そう言って俺は教室へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 そして清涼祭2日目が終わると、俺と明久は雄二に声をかけられた。

 

雄二「昂哉、明久!ババアの部屋に行くぞ。取り引きの精算だ。」

昂哉「ほ〜い!」

 

 そういえばそのメインイベントを忘れてたね。危ね〜!あと、明久は何をしてるんだろう?

 

明久「秀吉!頼むから着替えないでくれ!」

ムッツリーニ「………写真を撮りたい‼︎」

秀吉「お主ら、何をしておるのじゃ‼︎」

 

 ムッツリーニと一緒に秀吉にしがみついている。どんだけ秀吉のチャイナドレスが好きなんだよ!まあ俺も好きだけどさ!だから………

 

昂哉「ムッツリーニ、俺の分も……」

雄二「まあ丁度いいからムッツリーニと秀吉も来い。明久を説得するのも面倒だしな。」

 

 おい!遮るなよ!せっかくの大天使秀吉のチャイナドレス姿なんだからさ!

 

秀吉「分かったのじゃ……」

昂哉・明久「「やった〜‼︎」」

ムッツリーニ「………ありがとう!」

 

 ということで5人でババア室に向かった。

 

 

 

 

 俺たちはババア室に着くと、いつも通り無礼な挨拶で中に入った。

 

明久「失礼しま〜す。」

雄二「邪魔するぞ。」

昂哉「ばあさん、お久しぶりです!」

秀吉「お主ら、全く敬意を払っておらん気がするのじゃが……」

昂哉「このばあさんにはこれでいいのさ、秀吉!」

ババア「よくないねぇ。それに校庭にローションをぶちまけたのはどこのどいつだい?」

昂哉「アタシだよ‼︎」

ババア「アンタはもう一回停学にする必要があるさね。」

昂哉「そんな〜!せっかく学園祭を盛り上げてやったのに!」

 

 おかげでかなりネットで話題になったらしいからね!良くも悪くも!

 

 まあそんな事より優勝報告だ!

 

昂哉「ところでばあさん、俺たちは明久と雄二が優勝したんでそれを報告に来ました!不戦勝ですけどね!」

ババア「言われなくても分かってるよ。アンタ達に賞状を渡したのは誰だと思ってるんだい?」

 

 それでも一応報告はしないとね!

 

ババア「それにしても随分と仲間を引き連れてきたもんだねぇ。」

雄二「まあコイツらにも知る権利くらいはあるだろ。」

ババア「なるほどね。それじゃあ話すよ。こうなったのはアタシの責任だしね。」

 

 ということでババアが説明を始めようとしたんだが………

 

ムッツリーニ「………盗聴の気配!」

その他全員「「「「「なんだって⁉︎」」」」」

 

 ムッツリーニが盗聴の気配を察知した。センキュー!

 

 という事はここで取り引きの話をするのはまずいね。それと、俺たちがババアと組んでるのを教頭側が知ってたのってコレのおかげだったんだね!だったらここはこうしますか!俺はババアや雄二とアイコンタクトを取ってこう言った。

 

昂哉「え〜っと、せっかくだしいい天気なので屋上で一つ話でもしませんか?」

ババア「そうするさね。」

昂哉「それじゃあ俺についてきて下さ〜い!」

ババア「ほ〜い。」

 

 という事で俺たちは話し場所へと向かった。

 

 

 

 

  side 夏川

 

 あの野郎、全くバカな奴だぜ!盗聴器があるの知ってるのに堂々と自分たちがどこに行くかをバラしてくれるとはな!感謝するぜ!これで俺と常村が学園長とアイツらの取り引き内容を録音して放送してしまえば、晴れて受験勉強とはおさらばだ!

 

夏川「いよいよこの階段を上った先だな!」

常村「ああ!」

 

 待ってろよ!受験勉強から解放された自由な生活よ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

力哉・克哉「「ウェェ〜ルカァァ〜ム‼︎」」

夏川・常村「「謀ったな、貴様ぁぁぁ‼︎」」

 

 こうして俺と常村は受験勉強から解放される事もなく、ホモ2人から解放されるために必死で逃げ回る事になった…………

 

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 もちろんあのまま屋上に行くバカはいないよね♪常夏コンビをハメるためにあえてああ言ったのさ!もちろん兄貴は予め待機させておいたよ。

 

 ババアとの会談の後、俺は明久と2人で話をしていた。ちなみに後夜祭というものがあったらしいがローションを校庭にぶちまけたせいで無くなったんだよね。

 

昂哉「明久、良かったね!姫路が転校するのを防げて!」

明久「う、うん!そうだね///」

昂哉「でも明久の頑張りを見せられなくてごめんね〜。」

 

 実は明久と雄二は決勝のために日本史を集中して勉強していたんだよね。ローションの方が確実に勝てると思ってその成果を披露する場を潰しちゃったんだけどさ。

 

明久「いやいや〜!アレで確実に勝てるんだし面白かったんだからいいんだよ!」

昂哉「そう言ってくれると嬉しい〜♪」

 

 明久ってなんていうか基本的にお人好しだよね。そういうところがあの2人、いや、葉月ちゃんや久保も入れて4人に好かれるんだろうね〜。そういえば、俺はなんで優子に好かれてるんだろう?よく分かんないな〜?もし単に昔の俺に憧れてるだけなのだとしたら、それはやめて欲しいな〜。

 

 まあそれはともかく、あの話をしなきゃいけないんだった!

 

昂哉「ところで、そのプレミアムチケットを2組とも頂戴!」

 

 プレミアムチケットの話だね!

 

明久「えっ?何故に?」

昂哉「渡したい人がいるから!」

明久「う〜ん、あっ!1人は分かったよ!」

昂哉「本当⁉︎それならその人のところに一緒に行くか!」

明久「うん!」

 

 こうして俺と明久はもちろん………、

 

霧島「…話って何?」

 

 霧島のところに向かった。

 

昂哉「Present for you!」

霧島「…ありがとう!」

明久「霧島さん、雄二と大切に使ってね!」

霧島「…うん!…吉井と雲雀丘はいい人!」

昂哉「そんじゃあまた!」

明久「じゃあね〜!」

霧島「…ばいばい!」

 

 やっぱりこの2人には幸せになってもらわないとね!雄二の余生がヤバいって?そんなのどうでもいい事じゃないか!

 

 さてと、2人目はもう決まってるんだよね!

 

昂哉「ということで明久、じゃあね〜。」

明久「あっ!もう1人は昂哉か!」

昂哉「なわけないでしょ!俺よりももっと結婚について真剣に考えてる人に渡すよ!」

明久「そ、そうなんだ〜。」

昂哉「それじゃあまたね〜!」

明久「ばいば〜い!」

 

 そう、俺がプレミアムチケットを渡す相手といえば……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姫路「雲雀丘君、話ってなんですか?」

 

 召喚大会の相方だ!

 

昂哉「姫路にプレゼントがあるから渡そうと思って!召喚大会の相方としてのお礼で!」

姫路「そんな!私が頼んだんですしいいですよ!」

昂哉「人の好意ってもんは素直に受け取っとくもんなの!」

姫路「そ、そうですか………。それで、何を渡すんです?」

昂哉「じゃじゃ〜ん!プレミアムチケット〜!」

姫路「えっ⁉︎雲雀丘君が使うんじゃないんですか⁉︎」

昂哉「優子と結婚したいわけじゃないんだし使うわけないでしょ!それよりさ、これを使って明久と行ってきなよ〜。」

姫路「で、でも………」

昂哉「早くしないと島田に取られちゃうかもよ?」

姫路「わ、分かりました……。そこまで言うのなら受け取っておきます。」

昂哉「それでOK!」

 

 これで俺と優子の結婚は回避できたよ!やったね!あとはあの事を言わないとね!

 

昂哉「実はもう一つ言うことがあって〜。」

姫路「何です?」

昂哉「明久って今日の決勝のために勉強してたんだよね〜。ここ1週間。まあ俺がその機会を潰しちゃったけど。」

姫路「そうなんですか⁉︎」

昂哉「そうだね!それも誰かさんのために!」

姫路「そ、そんな///」

 

 明久は伝える気ないだろうから代わりに伝えておいたよ!

 

昂哉「ま、そういうことだからそのプレミアムチケットを使ってみなよ‼︎」

姫路「は、はい!ありがとうございます‼︎」

昂哉「そんじゃあまたね〜♪」

姫路「さ、さようなら!」

 

 こうして俺の2度目の清涼祭は幕を閉じた。




 ということで清涼祭編、完結です!多分校庭にローションをばらまいて常夏コンビを足止めし不戦敗にさせたのは本作だけではないでしょうか?

 そして、次回からは如月グランドパーク編になります。9/16の12:00〜投稿予定です。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第三章  如月グランドパーク
第十六問  地獄の遊園地


この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 爽やかな朝日と、窓から入ってくる心地よい風。1日の始まりを告げるかのような鳥の可愛らしいさえずりを聞いて始まる、そんな…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「おはよう♪」

 

 最低な朝。

 

昂哉「ん?夢か………」

優子「現実だよ?折檻して確かめる?」

昂哉「遠慮しておきます。」

 

 そういう優子の方を見ると、いつものズボラさを象徴するようなラフな格好ではなく、随分と気合の入った服を着ていた。いつもとは違う雰囲気に少しドキドキする。

 

 でも改めて思うと、なんで優子が俺の部屋にいるんだろう。今日は特に予定はないはず。だとすると………

 

昂哉「ねえ優子、俺の携帯とってくんない?」

優子「電話でもするの?」

昂哉「うん、そうだよ〜。」

 

 コイツがここにいること。その理由は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉(携帯)『もしもし、警察ですか?』

 

 不法侵入だ。

 

優子「昂哉、いたずら電話はかけないの!」

昂哉「だったらなんでお前がここにいるのさ!」

優子「力哉と克哉に入れてもらったの‼︎」

 

 あのバカ兄貴のせいかよ‼︎

 

優子「とにかく警察にはちゃんと話しておいて。」

昂哉「はい………」

 

 そうして俺は警察の誤解?を解かされた後、元凶をぶん殴りに1階に降りた。

 

 

 

昂哉「あ〜に〜き〜‼︎ふざけんじゃねえよ‼︎何やってんだ⁉︎」ガチャ

 

 そうして俺がリビングのドアを開けると…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

力哉「難しいな、この国の民族舞踊は。」

克哉「かなりセンスが無いと踊れないぞ。」

 

 兄貴たちは全裸で謎のダンスを踊っていた。

 

 

 

昂哉「本当に何やってんだぁぁぁぁぁ⁉︎」

力哉「昂哉か、起きたんだな。」

克哉「どうだった、優子との保健体育の実習は?」

昂哉「してねえよそんなの‼︎」

力哉「そうか、昂哉は無料の実習はまだだったからな。」

克哉「恥ずかしがるのも無理はない。」

昂哉「確かに有料のしか経験はないけどさ!そういう問題じゃないでしょ‼︎まずなんで優子を俺の部屋に入れたのさ⁉︎」

力哉「良かれと思って。」

昂哉「どこをどう良かれと思ったのさ⁉︎」

克哉「2人の恋を進展させたかったからな。」

昂哉「その必要は無い‼︎」

力哉「まあまあ、落ち着けよ。」

克哉「とりあえず水でも飲んだらどうだ?」

昂哉「朝っぱらからスピリタスは飲みたくない‼︎」

 

 全く、こいつらをまともに相手してたら日が暮れちゃうよ!

 

力哉「とりあえず、優子とデートに行ってきたらどうだ?」

克哉「早くしないと混み始めるぞ?」

昂哉「へ?」

 

 デート?どういう事?俺知らないんだけど?まさか酒で記憶飛ばしてるときに約束したのかな?

 

優子「昂哉には言ってなくてごめん。実は昨日、親切な人から如月グランドパークのプレミアムチケットをもらってね。」

力哉「ということだ。」

克哉「さっさと行ってこい。」

 

 姫路、テメェだろ。恩を仇で返しやがって。絶対に殺す。

 

昂哉「ちょっと待って〜♪どこぞの風俗嬢みたいな娘に用が出来たんだよね〜。」

 

 こうして俺は家の固定電話から姫路のスマホに電話をかけた。

 

姫路(スマホ)『もしもし、どちら様ですか?』

昂哉(家電)『………アシタマデニ一千万円ヲヨウイシロ………デキナケレバオマエヲコロス………』

姫路(スマホ)『へっ⁉︎あ、あの!ちょっと!ど、どういうことですか⁉︎』 プツッ

 

 これでよし!

 

昂哉「それじゃあ俺は予定があるから優子は兄貴か友達と行ってきな〜。」

優子「ふ〜ん。ところで、アンタとアタシの間には貸しがなかったっけ?」

 

 あ〜、清涼祭のときのやつか!

 

昂哉「確か優子が借りてる側だよね♪」

優子「身体のどの部位を殴ってほしい?」

昂哉「ごめんなさい。俺が借りてる側でした。」

優子「だよね〜。」

 

 クソ!誤魔化せなかった………

 

優子「ということで、その貸しを使って今から行くわよ〜♪」

昂哉「は〜い………」

力哉・克哉「「いってら〜!」」

 

 ということで俺は地獄へと旅立った。

 

 

 

 

 途中、乗る電車をあえて間違えようとしたり、トイレに行くフリして逃げようとしたりしたけど、全て優子に阻止され俺は仕方なく如月グランドパークに辿り着いた。また、途中雄二からの報復と思われる電話がかかってきたけど無視してやった。

 

 目的地に着くと、俺は早速雄二に絡まれた。

 

雄二「テメェ、なんて事しやがるんだ‼︎ふざけんじゃねえ‼︎」

昂哉「素直になれない雄二のためにやったんだからいいじゃん‼︎それより素直なはずの俺がこのザマだよ⁉︎酷いと思わない⁉︎姫路に『明久と行ってこいよ!』って言って渡したのにさ‼︎」

雄二「自業自得って言葉、知ってるか?」

昂哉「ブチ殺すよ?」

雄二「それはこっちのセリフだ。」

 

 雄二をハメてスッキリしてたのに、自分までハメられちゃったよ…………

 

優子「代表、いいダブルデートじゃない♪4人で楽しもう♪」

霧島「…そうだね、優子♪」

 

 女子2人はなんか意気投合してるし…。まあ優子は幸せそうだからあまり悪い気はしないんだけどさ………。でも俺だってもっと自由に生きたいんだ‼︎不特定多数の女の子と遊びたいんだ‼︎だったら雄二と協力するしかないね‼︎あの2人に聞こえないように小声で………

 

昂哉「……雄二、一緒にここから逃げよう!……」

雄二「……そうだな昂哉、ここはお互い様だ。協力しよう………」

 

 そうして俺は雄二とタイミングを合わせて………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子・霧島「「どこへ行くのかな?」」グギギギ

昂哉・雄二「「あぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」」

 

 俺は優子に、雄二は霧島に関節技をキメられながら中に入った………

 

 

 

 

 

 俺たちが遊園地の中に入ると、めちゃくちゃ可愛いスタッフが出迎えてくれた。

 

スタッフ1「いらっしゃいませ♪本日は如月グランドパークのプレオープンにお越し下さり、誠にありがとうございます♪早速ですが、チケットはお持ちでしょうか?」

昂哉「ど〜も〜♪優子、チケット〜!」

優子「は〜い!すいません、これお願いします。」

スタッフ1「ありがとうございます♪では拝見させていただきますね〜♪」

 

 ちなみに隣では…………

 

霧島「…雄二は見ちゃダメ。」デュクシ

雄二「あぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 あまりのスタッフの可愛さに霧島が嫉妬して雄二に目潰しをキメていた。ウケる〜w

 

スタッフ1「ふむ………」

優子「あの、どうかされましたか?」

 

 それにしても、スタッフのチケットを見る時間が長いよね。どうしたんだろう?

 

スタッフ(CV.秀吉)(無線)『皆の衆よく聞くのじゃ。例の連中が来おった。ウェディングシフトの用意を始めてほしい。確実に仕留めるのじゃ‼︎』

 

 お前かよ‼︎でもいい!これはいいチャンスだ!

 

昂哉「秀吉、俺と一緒にそのプレミアムチケットを使おうとしたら腕が捻れるぅぅぅぅぅ‼︎」グギギギ

優子「すいません、この人は放っておいて案内してもらえますか?」

スタッフ(CV.秀吉)「かしこまりました♪」

 

 優子め、俺の腕を捻りやがって!だがまだ策はある!

 

昂哉「かしこまりました、ってことは俺とデートしてくれるの⁉︎」

優子「腕折っていい?」

昂哉「すいませんでした。」

スタッフ(CV.秀吉)「では案内いたします♪」

優子・霧島「「よろしくお願いします!」」

昂哉・雄二「「お願いします………」」

 

 クソ!策が尽きたせいでせっかくの秀吉とのデートチャンスが台無しだよ‼︎あと…………

 

昂哉「………優子、あれが秀吉だって分かってないの?………」

 

 優子が気づかないって珍しいよね〜。割と秀吉の変装はすぐに見破れるのに。

 

優子「………分かってるわよ。ただ気づいてないフリをした方がこの場ではいいかって思って………」

昂哉「………なるほどね………」

 

 な〜んだ。そういうことだったのね!流石!

 

 

 

 

 それよりも、これはかなりの異常事態だ。秀吉がいるってことは他の奴らもいるに違いない。人の不幸を笑いに来やがって‼︎それに、如月グループとしても知り合いにスタッフをやらせる方が結婚させるのに効率が良いと判断したのだろう。だとしたら、やる事は一つ!

 

昂哉「……雄二、絶対にここから脱出しようね!……」

雄二「……勿論だ。これは俺達の残りの人生を賭けた戦いだからな!……」

 

 雄二と協力して脱出だ!なんとしてでも結婚を回避し、優子に囚われない生活を手に入れるぞ!

 

 

 

 

 そんな事を思っていると、スタッフ(CV.秀吉)から声をかけられた。

 

スタッフ(CV.秀吉)「ではここでお2人は記念写真を撮りましょう♪」

 

 記念撮影ね〜。

 

昂哉「ほ〜い!それじゃあ2人で縦一列に並ぶよ!」

優子「あ、それいいね!」

昂哉「それじゃあ………」

 

 

 

 

 

前 →昂哉(身長182cm)

後ろ→優子(身長158cm)

 

 

 

 

 

昂哉「これで写真よろしく、秀吉!」

優子「いいわけないでしょ‼︎これじゃあアタシが写らないじゃない!」

スタッフ(CV.秀吉)「そうですね♪ですので旦那様と奥様の立ち位置を逆にして下さい♪」

昂哉「誰が旦那様だ‼︎」

スタッフ(CV.秀吉)「雲雀丘昂哉様です♪」

昂哉「なわけ…………」

 

 待てよ?これは…………

 

昂哉「つまり秀吉が俺の奥様ってことかい?」

スタッフ(CV.秀吉)「貴方の奥様は木下優子様です♪」

昂哉「苗字は合ってるけど名前が違うね〜。」

スタッフ(CV.秀吉)「いいえ、これで合ってます♪」

昂哉「クソ!」

 

 秀吉が俺のお嫁さんになってくれると思ったのに!

 

優子「は〜い、とりあえずアタシが前でアンタが後ろね〜。」

昂哉「なら普通に横一列でよくね?」

優子「確かに。」

 

 そうして俺と優子は横一列に並んだ。

 

スタッフ(CV.秀吉)「は〜い、位置はOKで〜す♪」

昂哉「ほ〜い!それじゃあよろしくお願いしま〜す♪」

優子「お願いします!」

スタッフ(CV.秀吉)「えっ〜と、旦那様、奥様の頭の上に指二本立てて鬼っぽくするのやめてもらえません?」

 

 ちっ!バレたか!

 

優子「小学生みたいなことしてないでさっさと撮るよ〜。」

昂哉「は〜い。」

スタッフ(CV.秀吉)「それじゃあいきますよ〜。はい、チーズ♪」パシャ

昂哉・優子「「ありがとうございま〜す!」」

 

 こうして俺は普通に優子とツーショット写真を撮った。変顔とかしたかったんだけど、優子にぶん殴られる気がしたんでやめておいたよ!

 

スタッフ(CV.秀吉)「それでは少々お待ち下さ〜い♪」

昂哉・優子「は〜い。」

 

 そう言って秀吉はどこかに行ってしまった。

 

雄二「染み付いた習性は隠せないようだな、ムッツリーニ‼︎」

スタッフ(CV.ムッツリーニ)「………人違いです。」

霧島「…雄二、人前でスカートをめくるなんて、エッチ///」

雄二「ば、バカ言え!俺はお前の下着なんかに微塵も興味は無い‼︎」

霧島「…それはそれで困る///」グギギギ

スタッフ(CV.ムッツリーニ)「………ハイ、チーズ。」パシャ

 

 向こうではどうやら雄二がバカな事をやってたらしく、霧島に顔面を鷲掴みにされながらムッツリーニに写真を撮られていた。ウケる〜w

 

 そんな事を思ってると秀吉が帰ってきた。

 

スタッフ(CV.秀吉)「お待たせしました♪こちらサービス加工された写真になります♪」

 

 そうして秀吉から渡された優子との写真には、なんか上手い具合にデコられていた。

 

昂哉「ありがとうございま〜す!」

優子「あ、ありがとうございます///」

 

 優子が頬を赤らめている。珍しいね〜。よっぽど俺とのツーショット写真が嬉しかったのかな?そこまで嬉しそうにしてくれるとこっちまで嬉しくなっちゃうよ!

 

昂哉「良かったね!」

優子「あ、ありがとう。一緒に撮ってくれて///」

昂哉「ど〜も♪これで満足した?」

優子「う、うん///」

昂哉「それじゃあ帰ろっか♪」

優子「いや、それはダメ。」

 

 さらっと帰らせようとしたが失敗した………

 

スタッフ(CV.秀吉)「ちなみにこの写真がもう一部あるんですけど、そっちをパークの記念館に飾っていいですか♪」

 

 何だと⁉︎これじゃあパークに来た色んな人に俺と優子が付き合ってると認識されるじゃないか!クソ!そうなってしまうとなかなか別れられなくなってしまう!だからここは丁重にお断りしよう!

 

昂哉「ごめんなさい、事務所が厳しくてそういうのはちょっと……」

優子「アンタ、麻雀のイベントの写真とかによく写ってるでしょ。」

昂哉「チッ、バレたか……」

スタッフ(CV.秀吉)「それじゃあ飾っときますね〜♪」

優子「よろしくお願いします!」

昂哉「します………」

 

 どうやら俺の足掻きは無駄だったようだ…………

 

スタッフ(CV.ムッツリーニ)「………ちなみにこの写真がもう一部あるんですけど、そちらをパークの記念館に飾っていいですか?」

雄二「お前はバカか‼︎こんなもん飾ったらテーマパークのイメージが駄々下がりだろうが‼︎」

霧島「…雄二、もしかして照れてるの?」

雄二「この写真に照れる要素があったら教えてほしいな。」

 

 あっちはあっちでバカなやりとりをしてるみたい。そんな事を思ってると……………

 

ヤンキー女「ああっ、写真撮影してもらってる♪アタシらも撮ってもらおうよ!」

ヤンキー男「オレたちの結婚記念にか?おいスタッフ、俺たちも撮れよ‼︎」

 

 ヤンキーカップルが………

 

スタッフ(CV.秀吉)「すみません。こちらは特別企画なんです………」

 

 秀吉に絡んでた。クソ、アイツらめ‼︎俺の秀吉に手を出したらただじゃおかないからな‼︎

 

ヤンキー男「あぁ⁉︎いいじゃねえか‼︎俺たちお客様だぞゴルァ‼︎」

ヤンキー女「きゃー、リュータカッコいい‼︎」

 

 いやカッコ悪いでしょ。恥ずかしくねえのか?

 

ヤンキー男「だいたいあんなだっせぇ砂利どもとオッサンより、オレたちを写した方がココの評判にもよくねぇ?」

ヤンキー女「そうよ、そんな頭の悪そうなオトコよりも、リュータの方が百倍かっこいいんだから♪」

 

 いや、俺多分お前らと同い年か年下だよ⁉︎そんなにおっさんじゃないよ⁉︎あと俺頭いいからね!雄二と一緒にしないで‼︎

 

 そんなことを思ってたら………、

 

優子「アイツらめ‼︎」

霧島「…許さない‼︎」

 

 優子と霧島が怒りながら不良達の元に向かおうとしていた。ここは止めないと!

 

昂哉「優子、ストーップ!」

雄二「翔子も待て。」

優子「だってアイツら昂哉の悪口言ったし…」

霧島「…雄二の悪口も言った。」

昂哉「みんな落ち着いて、あんなのに構ってる暇あったら遊ぶのに集中したほうが幸せだよ。」

雄二「昂哉の言う通りだ。さっさと行くぞ。」

優子・霧島「「昂哉(雄二)がいいなら…。」」

 

 そう言って俺たちは不良を無視して遊園地の中を歩いていった。それと、秀吉は無事だったようで何よりだ!危うく急性アル中の患者が2人出るところだったからね!

 

 

 

 

 歩いているとき、俺は雄二と再び作戦会議をした。

 

昂哉「………もしかしなくてもまだまだ仕掛けはありそうだよね………」

雄二「………だな。次の仕掛けが来る前にここから脱出した方がいいだろう………」

昂哉「………だね!………」

 

 さて、脱獄作戦の始まりだ!




 ということで如月グランドパーク編が始まりました。明久×姫路かと思いきや、姫路にハメられて昂哉×優子になりましたね。

 さて、次回は昂哉と雄二による脱出劇です。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第十七問  余生を賭けた大脱走

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 さあ、脱獄の始まりだ!

 

雄二「……俺にいい案がある……」

昂哉「……任せた!……」

 

 頼んだよ、雄二!Fクラス一の智将の実力を見せてやれ‼︎

 

雄二「お前らに提案がある。」

優子「何?」

雄二「これから自由行動にしないか?」

 

 なるほど、そうきたか!なら俺も手伝うよ!

 

霧島「…自由行動?」

優子「なんで?」

雄二「簡単に言うと4人全員が満足するのは無理だからだ。」

昂哉「人の好みってそれぞれだからね〜。」

雄二「だからそれぞれがやりたいように行動するのが一番だと思ったんだ。」

優子「なるほどね〜。」

霧島「…分かった。」

優子「アタシもそれでいいわ。」

 

 よっしゃ!言質が取れたぞ!これで俺たちは自由になれる!

 

雄二「よし、それじゃあ解散!」

昂哉・優子・霧島「「「は〜い。」」」

 

 さてと、俺は帰………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子・霧島「「待ちなさい(待って)。」」ガシッ!

 

 ろうと思ったらなんか優子に肩を掴まれたんだけど⁉︎雄二も霧島に掴まれてるし⁉︎どういうこと⁉︎

 

昂哉「ちょっと優子〜、これじゃあ俺が自由に行動できないじゃん!」

雄二「しょ、翔子もだぞ………。どうしてそんなに強く掴むんだ……?」

優子「だってアタシたちの自由行動は……」

優子・霧島「「昂哉(雄二)が逃げるのを防ぐ事‼︎」」

 

 嘘でしょ⁉︎

 

昂哉「ちょっと待ってよ⁉︎俺たちの自由は⁉︎」

雄二「人の妨害とはタチが悪いぞ……?」

優子「別に何してもいいんでしょ?」

霧島「…他者の自由を侵害しちゃダメなんて一言も言ってない。」

昂哉・雄二「「くそぉぉぉぉぉ‼︎」」

 

 そういうことかよ!大失敗じゃんか‼︎

 

昂哉「……雄二、何してくれてんだよ⁉︎……」

雄二「……こうなるとは、思ってなかった……」

昂哉「……全くもう!……」

 

 こうなったら俺のやり方でやらせてもらう!

 

昂哉「……次は俺の作戦でやるから!雄二は協力して!……」

雄二「……分かった。今回はお前に任せる……」

 

 さて、作戦実行だ!

 

昂哉「わ、分かったよ!とりあえずみんなで行動しよ!ね!」

霧島「…分かった。」

優子「それで、どこ行くの?」

昂哉「あのジェットコースターで!」

雄二「お!それは面白そうだな!」

優子「アタシもさんせ〜い♪」

霧島「…じゃあそこで!」

 

 この作戦の真髄はジェットコースターではない!そう…………

 

雄二「……その前にある人混みに紛れて消えるのか!……」

昂哉「……その通り!……」

 

 はぐれたことにしてそのまま逃げる‼︎

 

優子「うわ〜、凄い人混みだね〜。」

霧島「…はぐれちゃいそう。」

優子「心配だから手を繋ぐね。」ガッ!

霧島「…私も。」ガッ!

 

 えっ?なんか失敗したんだけど………

 

雄二「……おい‼︎これじゃあ逃げられないだろ‼︎……」

昂哉「……すぐに手を繋がれるとは、思わなかった……」

雄二「……クソ!こうなったらあの方法しかない‼︎……」

昂哉「……何か作戦でも?……」

雄二「……ああ!……」

昂哉「……そんじゃあ任せた!……」

 

 どんな作戦かな?

 

雄二「お、お前ら……、ジェットコースターは混んでるから他のにするか……?」

昂哉・優子・霧島「「「他の?」」」

霧島「…何かあるの?」

雄二「う〜んとな、それがまだよく分からないから、俺と昂哉で見てくるんだ。」

 

 なるほど!無理矢理2人を引き剥がすのか!

 

優子「それならスタッフに聞けばいいんじゃない?」

雄二「アトラクションの混み具合なんて時々刻々と変わるだろ。だから調べに行くんだ。見つかったら連絡するから。」

昂哉「それに、なんか面白そうなのがあるかもしれないから、ついでに見てくるね〜。」

霧島「…なら全員で見れば?」

昂哉「2人はか弱い女の子なんだから、歩くと疲れちゃうでしょ♪」

雄二「そうだな。」

優子・霧島「「か弱い女の子///」」

雄二「ということで、行ってくるぞ。」

昂哉「見つかったら連絡するからね〜!」

優子・霧島「「うん///」」

 

 よし!これで離れられたぜ‼︎

 

 そして俺たちは出口の方に……………

 

雄二「……昂哉、そっちじゃなくてこっちだ……」

 

 行かないの⁉︎

 

昂哉「……雄二、方向!……」

雄二「……このまま出口に行っても怪しまれんだろ。だから遠回りするんだ。時間をかければ本当に探してるかのようにも思わせられるしな……」

昂哉「……なるほどね!……」

 

 それなら確実だね!流石雄二‼︎

 

 

 

 

 

 

 しばらく歩いていると………、

 

雄二「昂哉、遂に遊園地の出口まで来たぞ‼︎」

昂哉「そうだね‼︎」

 

 とにかく、これで俺は優子から解放される!優子と結婚しなくて済む!木下昂哉にならなくて済むぜ‼︎

 

雄二「さあ、あの先に自由が待っているぞ‼︎」

昂哉「俺たちで掴み取ろう‼︎薔薇色のフリーダムライフを‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「そう上手くいくかしら?」

霧島「…雄二の考えてることくらい、お見通し。」

 

 あれ?なんで?なんでこの2人がここにいるの?

 

雄二「お、お前ら、ちゃんと待ってなきゃダメだぞ……」

昂哉「そ、そうだよ〜!ゆ、雄二の言う通りさ……」

優子「ちゃんと探そうともせずに帰ろうとする人たちが言えることなの?」

昂哉・雄二「「い、いや……」」

霧島「…とにかく雄二は私に、雲雀丘は優子についてくること。」

昂哉・雄二「「はい………」」

 

 ということで作戦は失敗してしまった………

 

昂哉「……雄二、お前の作戦が霧島に読まれたら意味ないでしょ‼︎……」

雄二「……それを言われると何も言い返せねえ……」

昂哉「……クソ‼︎やはり俺たち2人の力では無理なのか……」

雄二「……おい昂哉‼︎ここで諦めたら俺達の余生はどうするんだ‼︎……」

昂哉「……仕方ないよ。俺たち2人じゃ……」

 

 ん?待てよ?

 

昂哉「……俺たち2人()()無理だね……」

雄二「……おい昂哉、ここで諦めるのか!……」

昂哉「……俺たち2人()()無理ってこと……」

雄二「……つまり……他に協力者を作ると言うことか!……」

昂哉「……その通り!……」

 

 2人で無理なら更に大人数で、ってやつだね!

 

雄二「……だが協力者なんてそう簡単に作れるか?スタッフの中には敵である明久達がいるんだぞ?まさか他のお客さんを利用するのか?……」

昂哉「……いいや、スタッフだね!……」

雄二「……マジで?それじゃあ明久達以外のスタッフを探さなきゃいけないな……」

昂哉「……いや、その必要はない!……」

雄二「……どういうことだ?……」

昂哉「……自然とスタッフが来るように仕向ければいいのさ!……」

雄二「……自然と来るように?そんなのどうやるんだ?……」

昂哉「……それはね……」

 

 こうして俺は雄二に作戦を伝えた。

 

 そして、いざ実行の時だ‼︎

 

昂哉「Sorry, Yuko! I want to go to the toilet!」

雄二「翔子、俺もだ。」

優子「昂哉、急に英語でトイレ行きたいだなんて、どうしたの……?」

霧島「…怪しい。」

雄二「いや、俺達はただトイレに行きたいだけなんだ。」

昂哉「そして身体の中に溜まっているものを外に発散したいのさ!」

優子「わ、分かったわ……。とにかくいってらっしゃい。アタシたちはここで待ってるから。」

昂哉「よろしく〜!」

霧島「…いってらっしゃい、ダーリン♡」

雄二「勝手に結婚したことにするな。まあ行ってくるぞ。」

 

 ということで俺たちは作戦を実行するためトイレ………のそばの広場まで来た。

 

昂哉「雄二、それじゃあやるよ!」

雄二「ああ‼︎」

 

 俺たちがやる事といえば………それは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉・雄二「「Vamos!!!!!」」

 

 野球拳だ。

 

昂哉・雄二「「(Vamosの歌詞)」」

 

 作戦はこう。まずはトイレに行くフリをして優子と霧島から離れる。次に俺と雄二で野球拳を行い他の客の前で脱いで大騒ぎする。そして最後に駆けつけた係員の命令で出禁になって、この遊園地から出ざるを得ない状況を作るのだ!こうして係員の手を借りる事によって、2人だけでは不可能だった遊園地からの脱獄を可能にするのさ‼︎更には身体の中に溜まっていたストレスも外に発散出来るから一石二鳥だね!

 

昂哉・雄二「「じゃん、けん、ぽん‼︎」」

 

 

 

昂哉→グー

雄二→パー

 

 

 

 俺が負けたから脱ぐのは俺だね!さあ、係員を呼びつけて出禁になってやろうじゃないか‼︎

 

昂哉「だっしゃぁぁぁい‼︎どうだい俺の素晴らしい肉体はぁ⁉︎」

雄二「おいおい、そんなウイスキーの樽みてぇな腹でよく自慢できたなぁ⁉︎」

昂哉「何を言うか‼︎ちゃんと20年間熟成して育てた身体じゃい‼︎それに、俺の身体の強みはこれじゃあない‼︎」

雄二「じゃあなんだって言うんだ⁉︎まさか足と足の間にあるまち針のことじゃあねえよなぁ⁉︎」

昂哉「まち針だとぉ⁉︎俺が散々風俗で鍛えまくったご立派様に対して舐めた発言をしやがって‼︎よぉ〜し、そうなったらいち早く負けて脱いでやるぜ‼︎」

雄二「上等じゃねえか‼︎俺が身ぐるみ全部剥がしてやる‼︎」

昂哉「ああ‼︎じゃあ次行くよ‼︎Vam……」ガシッ

 

 ん?誰かに肩を掴まれたぞ?まさか係員か!よし!これなら合法的に……いや正確には違法だけど、なんとか出禁になる事が出来るぜ‼︎さらばだ、監獄遊園地よ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「服を着ろ。さもなくば死ね。」

 

 一番見つかっちゃいけない人に一番最初に見つかってしまった………

 

昂哉「あっ、はい。わ、わかりました……」

優子「アンタ本当に何考えてんの?」

昂哉「いや、その、なんでもありません……」

優子「とにかく服を着たら行くよ〜。」

昂哉「はい………」

 

 ということで万策が尽きてしまった………。ちなみに雄二は……

 

霧島「…雄二、脱ぐなら私にだけ見せて♪」

雄二「しょ、翔子⁉︎そ、それは無理だ‼︎」

霧島「…へえ?それは他に女でもいるってことなの?

雄二「いや、そう言う事じゃないから‼︎とにかく俺は服を着る‼︎これでいいな⁉︎」

霧島「…う、うん……」

 

 霧島にガッカリされてた。

 

 

 

 

 万策が尽きたためしばらく4人で歩いていると、

 

フィー(CV.??)「お兄さん達、フィーが面白いアトラクションを紹介してあげるよ♪」

 

 どっかで聞いた事のある声をした遊園地のマスコットキャラクターが現れた。




 ということで昂哉と雄二の2人で如月グランドパークからの脱出を試みましたが失敗しました。やはり2人の考えを読める優子と翔子が上手でしたね。

 さて、次回はお化け屋敷に入ります。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第十八問  お化けと一緒にお化け屋敷

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 万策が尽きたためしばらく4人で歩いていると、

 

フィー(CV.??)「お兄さん達、フィーが面白いアトラクションを紹介してあげるよ♪」

 

 どっかで聞いた事のある声をした遊園地のマスコットキャラクターが現れた。これ絶対俺をハメたあのピンク頭でしょ。

 

昂哉「……なあ雄二、あれ姫路じゃない?……」

雄二「……そうだな、確かめてみるか……」

 

 そう言って俺と雄二は適当な会話を始めた。

 

雄二「なあ昂哉、明久のやつバイト先の女子大生に映画館誘われたらしいぜ。」

昂哉「雄二、それまじで⁉︎ついに明久にも春が来たんだね!」

フィー(CV.姫路)「ええっ、明久君が⁉︎それはどこで見たんですかっ⁉︎」

 

 やっぱり姫路じゃないか。マジでみんな来てるんだな。全く、迷惑な奴らだぜ‼︎それと何気に雄二が自分をハメた明久に仕返ししてるのがウケるよね。

 

雄二「おい姫路、アルバイトか?」

フィー(CV.姫路)「あっ………!ちっ、違います‼︎私………じゃなくて、フィーは姫路なんて人じゃないよ?見ての通りキツネの女の子だよ♪」

 

 さっきの秀吉に比べると演技下手だね。それと、雄二が明久に仕返しをしたなら、俺だってお前に仕返ししてやろうじゃないか‼︎

 

昂哉「……そこの係員さん♪……」

フィー(CV.姫路)「……な、なんでしょうか?……」

昂哉「……全く関係ない話なんだけど、詐欺の電話ってきちんとお金振り込んで対処した方がいいらしいよ……」

フィー(CV.姫路)「……えっ⁉︎そ、そうなんですか⁉︎それならちゃんと1,000万円を用意しておかないと……」

昂哉「……ちなみに……」

フィー(CV.姫路)「……な、なんです?……」

昂哉「……今朝俺は姫路って人に詐欺の電話をかけたんだよね〜……」

フィー(CV.姫路)「ちょ、ちょっとふざけないで下さいよ、雲雀丘君⁉︎何してるんですか⁉︎」

昂哉「あれ〜?君は姫路って人とは無関係なんじゃないの〜w」

フィー(CV.姫路)「うるさいです‼︎」

 

 あぁ^〜スッキリした!でも聞いておきたいことがあるから聞いておこう。

 

昂哉「というか、なんで優子にチケット渡したの?」

フィー(CV.姫路)「美波ちゃんに黙ってこのまま明久君とここに来るのは悪いと思って………」

昂哉「それで島田と相談でもしたの?」

フィー(CV.姫路)「はい!その結果優子ちゃんに渡す事になったんですけどね。」

昂哉「な、なるほどね……」

 

 それなら納得だね。まあ優子に渡すのは俺的にはどうかと思うけど。そんな事を思ってたら雄二に話しかけられた。

 

雄二「……この感じだと特定のアトラクションに罠が仕込まれてるかもしれない。おすすめを聞いて避けるんだ……」

昂哉「……りょーかい!……」

 

 なるほどね!確かにそういうのありそう。そして俺はフィー(CV.姫路)に尋ねた。

 

昂哉「ところで姫路……じゃなくてフィーちゃん、俺たちにおすすめのアトラクション教えてくれない?」

フィー(CV.姫路)「あ、う、うん!フィーのおすすめのアトラクションはねっ、向こうに見えるお化け屋敷だよっ!」

昂哉「そっか、ありがとね〜。」

姫路「いえいえ、楽しんできてねっ。」

 

 そして俺たちはおすすめの場所を聞くと………

 

昂哉「よしみんな、お化け屋敷『以外』のアトラクションに行くぞ‼︎」

雄二「ああ‼︎」

優子・霧島「「えっ?」」

 

 その場所を避けるように言った。

 

フィー(CV.姫路)「ままま、ちょっと待って下さい‼︎どうしておすすめ以外のところに行くんですか⁉︎」

雄二「どうしてもクソもあるか。お前の口ぶりから察するにお化け屋敷に余計な仕掛けが施されているのは明白だろう。わざわざそんなところに行く気はない。」

昂哉「雄二の言う通り〜!」

フィー(CV.姫路)「そ、そんなの困ります‼︎お願いですからお化け屋敷に行ってください‼︎」

 

 いや、そんなお願いのために俺の残りの人生賭けたくないからね‼︎ましてや人の事ハメた奴のお願いなんて聞けません‼︎

 

 そんな事を思ってると、後ろから変な奴が現れた。

 

ノイン(CV.??)「そこまでだ雄二、昂哉‼︎………じゃなくて、そこのゴリラとクズ‼︎」

 

 これ絶対あのバカだな。よし、ここはからかってやるか!

 

昂哉「いよぅ明久‼︎随分と頭悪そうな格好してるね〜?もしかして前よりもバカになったんじゃないの〜?」

雄二「俺もそう思うぞ、昂哉。」

ノイン(CV.明久)「失礼な‼︎僕……じゃなくてノインのどこが頭悪いと言うのだ‼︎」

 

 ここは事実を突きつけてやろう‼︎

 

昂哉「頭を前後逆につけてる奴をバカって言って何が悪いのさ!」

雄二「子供も泣いてるぞ?」

霧島「…雄二、雲雀丘、ノインちゃんはうっかりさんなだけだよ。」

優子「そ、そうだね!」

雄二「いや翔子に木下、うっかりで頭が前後逆になる生物がいたら俺に教えて欲しいな。」

優子「昂哉とか?」

雄二「確かにな。」

昂哉「それは優子の折檻によるものだと思います。」

優子「それはアンタがやらかすからだと思います。」

昂哉「うるさい!正義という名の下になんでもやっていいと思ったら大間違いだぞ‼︎」

優子「さっき公然猥褻をしたバカは誰かしら?」

昂哉「すいませんでした。」

 

 逆らえないのが悔しい……

 

フィー(CV.姫路)「あ、明久君、頭が逆です‼︎早く直さないと雲雀丘君と坂本君にバレてしまいます‼︎」

ノイン(CV.明久)「うわしまった‼︎通りで前が見えないと思った‼︎」

 

 なんでこの2人今だに誤魔化せると思ってるのかな〜。つくづくお似合いなカップルだね〜。それと、いつの間にか姫路が明久のことを下の名前で呼ぶようになったね。そんな事を思ってると………

 

スタッフ(CV.島田)「へい、そこの皆‼︎今日は特別にウチがいい情報を教えてあげるわ‼︎」

 

 変装する気ゼロの島田がやってきた。

 

雄二「これは調べるまでもないな。」

昂哉「だね。島田、アルバイト?」

スタッフ(CV.島田)「そうね。」

 

 隠す気もゼロらしい。

 

雄二「んで、クラスメイトが総出で俺達に何の用だ?」

スタッフ(CV.島田)「瑞希やアキから聞いてると思うけど、ウチらとしては是非ともお化け屋敷に入って欲しいの。」

 

 でしょうね。そう来ると思ったよ。

 

昂哉・雄二「「嫌だ(ね)。」」

優子「せっかく作ってもらったんだし、入ったらどうなの?」

昂哉「絶対に嫌‼︎」

雄二「ああ。」

優子「もしかして2人ともお化けが苦手なの?坂本はともかく昂哉が苦手なんて聞いたことないけど。」

雄二「別にそういうわけではないんだが。」

昂哉「俺からすれば優子の方がお化けよりもよっぽど怖いけどね!」

 

 だってお化けは拷問してこないしね。

 

スタッフ(CV.島田)「そういうことなら入った方がいいんじゃない?」

雄二「いや、そういう意味じゃない。」

昂哉「島田たちが何らかの仕掛けをしてるからね。それが嫌なの!」

スタッフ(CV.島田)「なるほど〜。ちなみに………」

 

 ん?島田は何を言おうとしてるんだろう?

 

スタッフ(CV.島田)「お化け屋敷はお互いに抱きつき放題だよ♪」

 

 おい!そんな事を言うんじゃないよ‼︎そんな事を言うとな………

 

霧島「…雄二、お化け屋敷に行きたい!」

優子「アタシも‼︎」

 

 コイツらが乗り気になっちゃうじゃん‼︎

 

雄二「おい島田!翔子と木下を買収するなんて卑怯だぞ‼︎」

昂哉「そ〜だそ〜だ‼︎俺が優子よりも非力なのを利用するとは、なんて女だ‼︎」

スタッフ(CV.島田)「なんとでも言って♪それじゃあアキ、瑞希!誓約書を持って来て!」

マスコットキャラ(CV.明久&姫路)「「了解‼︎」」

 

 えっ?

 

雄二「誓約書ってどう言う事だ?」

昂哉「俺も気になる!」

スタッフ(CV.島田)「このお化け屋敷に入る際に書く紙よ。」

 

 なるほどね〜。

 

雄二「誓約書が必要な程スリルがあるって事か。面白そうだな。」

昂哉「高レートマンション麻雀みたいだね‼︎」

優子「まさかやった事はないでしょうね?」

昂哉「ま、まさか〜!」

 

 もちろんあるよ♪優子には言わないけど!

 

 ちなみにそれは1,000点1,000円でオカが2万点、ウマが20-50、祝儀が1,000円の麻雀だね。誰かが負けて警察にチクらないようにするために誓約書を書いたんだっけ。点棒やチップの代わりにそのまま現金を用いたり、1日で70万円くらい動く事もあったりとめちゃくちゃスリルがあって楽しかったよ!リーチするときにリー棒の代わりに1,000円札を出すときの高揚感は今でも忘れられないね!またこれのおかげで現在400万円の貯金があるのさ!

 

 そうして昔を振り返っていると、

 

ノイン(CV.明久)「はい、こちらが雄二……じゃなくてゴリラ様の誓約書で、」

フィー(CV.姫路)「こちらが雲雀丘様の誓約書になります!」

 

 ついに誓約書がやってきた。さてさて、どんな内容かな………

 

 

 

 

 

 

    〜〜〜〜〜誓約書〜〜〜〜〜

 

1.私、雲雀丘昂哉は木下優子を妻として生涯愛し、苦楽を共にすることを誓います。

 

2.婚礼の式場には如月グランドパークを利用することを誓います。

 

3.どのような事態になろうとも、離縁しないことを誓います。

 

 以上について承諾し、誓約・署名いたします。

 

       署名:__________________

 

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 地獄みたいな事が書かれていた。

 

昂哉「おい!ふざけんなよ‼︎何この誓約書‼︎」

フィー(CV.姫路)「こちらが朱肉になります!」

優子「えっと、もしかして今って持って来てって言われてたこの雲雀丘家の実印を使うとき?」

昂哉「いや、なんで持って来てるのさ‼︎」

優子「だってそう言われたから……」

昂哉「アホなの⁉︎腐女子だからって頭まで腐っちゃったの⁉︎」

優子「ご、ごめん……」

 

 ぐっ!素直に謝られるとこれ以上言いにくいし、なんか申し訳ない‼︎

 

昂哉「あ、あの、そこまで落ち込まないで!俺が言い過ぎたから!ごめんね!」

優子「あ、ありがとう……」

フィー(CV.姫路)「ちなみにこれは冗談です♪」

昂哉「ブチ殺すぞ。」

 

 写しまで用意しておきながら冗談とは無理がある………待てよ?この状況、ある事に活かせるのではないか⁉︎

 

昂哉「優子!」

優子「な、何?」

昂哉「実印があるって事は、訂正印も持ってたりしない?」

優子「一応あるけど……」

昂哉「よし、じゃあそれを使うね!」

 

 こうして俺は優子から貰った訂正印とボールペンを使って………

 

 

 

 

 

    〜〜〜〜〜誓約書〜〜〜〜〜

 

1.私、雲雀丘昂哉は木下優子(秀吉)を妻として生涯愛し、苦楽を共にすることを誓います。

 

2.婚礼の式場には如月グランドパークを利用することを誓います。

 

3.どのような事態になろうとも、離縁しないことを誓います。

 

 以上について承諾し、誓約・署名いたします。

 

       署名:雲雀丘昂哉

 

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 誓約書を書き換えた。

 

昂哉「これで秀吉と結婚できるぜ〜‼︎いやっふぉぉぉぉ‼︎」

フィー(CV.姫路)「誓約書の書き換えは認められません。」

優子「それに、男同士の結婚は日本の法律だとダメだね。」

昂哉「腐女子なんだからそこはなんとかして!」

優子「無理。それに秀吉の恋愛対象は女子だけだし。」

昂哉「ノンケを男に目覚めさせるのは熱いと思わない?」

優子「思うけど、秀吉が嫌がるから無理ね。」

昂哉「そんなぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 ということで秀吉と結婚は出来ませんでした………

 

フィー(CV.姫路)「それじゃあ、いってらっしゃいませ‼︎」

優子「は〜い!」

昂哉「へ〜い……」

ノイン(CV.明久)「いってら〜‼︎」

霧島「…楽しみ♪」

雄二「クソ‼︎」

 

 そして、いよいよお化け屋敷に入るときが来たぜ………。一体どんな仕掛けが待ってるのだろうか………

 

スタッフ(CV.島田)「そういえばアキ、女子大生をナンパしてたって本当?ちょっとウチとお化け屋敷裏に来てくれないかな〜?」

ノイン(CV.明久)「ちょっと美波!僕はそんな………」

フィー(CV.姫路)「今からお仕置きをしなきゃいけませんね!美波ちゃん、明久君を連れて行きますよ!」

スタッフ(CV.島田)「了解!」

スタッフ(CV.明久)「やめてぇぇぇぇぇぇ‼︎」

 

 後ろの喧騒を無視して、俺たちは中に入った。

 

 

 

 

 中に入ると、思ったよりも本格的な仕掛けだった。廃病院を改築したこともあってかかなり薄暗くて不気味である。本物のお化けが出てもおかしくなさそうだね。

 

霧島「…ちょっと怖い。」

雄二「お前がビビるなんて珍しいな。」

 

 あまり怖いものを知らなそうな霧島でさえビビってる。ちなみに優子は………

 

優子「困ったわ〜。アタシこういうの苦手なんだよね〜。」

 

 と口では言ってるものの全くビビってる様子が無かった。

 

昂哉「とかいいつつ平気そうじゃん!」

優子「そう?」

昂哉「そうだね。」

 

 ただ今のところ明久たちが仕掛けたお化け屋敷って言うよりは、普通のテーマパークとかにありそうなお化け屋敷みたいな感じだった。そしてしばらくすると……

 

??『………のほう………もおお……』

??『……もだ…………たん…………』

 

 お化け屋敷でよくありそうな演出が見られた。

 

雄二「怨嗟の声か。」

昂哉「あるあるだね。」

優子「でもなんか昂哉と坂本の声がしない?」

霧島「…私もそう思う。」

 

 秀吉の声真似かな?確かに自分の声が聞こえるのはちょっと怖いけど、それでも奴らにしては普通の演出のような………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄二(CV.秀吉)『姫路の方が翔子よりも好みだな。胸も大きいし。お前はどうなんだ、昂哉?』

昂哉(CV.秀吉)『俺もだよ、雄二!なんせ姫路は騙されやすいから簡単にヤれそうだしね!』

 

 お化けよりももっと恐ろしい事が聞こえてきた。というか俺流石にそんな事は思ってないんだけど⁉︎

 

霧島「…雄二、覚悟は出来てる?

優子「昂哉、これはどういう事?

雄二「怖え‼︎確かにこれはスリル満点の演出だな‼︎」

昂哉「まさか一緒にいる女の子がお化けになるとは思わなかったよね‼︎」ガタン

 

 ん?背後から大きな音がしたぞ?でもナイス演出だ!

 

雄二「しょ、翔子!何か出てきたみたいだぞ?」

昂哉「優子も後ろ向いてごらん?」

 

 そうして全員で音がした方を見ると…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拷問用の金属バッドが2本落ちてきた。

 

優子・霧島「「気が利いてる!」」

昂哉「ざけんな!処刑道具まで用意してあんのかよ‼︎」

雄二「全く趣旨は違うが最強に恐ろしいお化け屋敷だな‼︎」

昂哉「とにかく逃げよう、雄二‼︎」

雄二「ああ‼︎」

 

 こうしてお化け屋敷が思ったより入りくねってたのもあって、俺たちはなんとかお化け2人から逃げ切る事が出来た。

 

 

 

 

 

 お化け屋敷の外に出ると、そこでは元凶どもが笑いながら出迎えてくれた。

 

ノイン(CV.明久)「いかがでしたか、お化け屋敷は?」

スタッフ(CV.ムッツリーニ)「………結婚したくなりましたか?」

昂哉「んなわけないでしょ!」

雄二「絆どころか溝が深まった気分だ。」

スタッフ(CV.秀吉)「おかしいですね……。私の見立てだと危機的状況に陥った男女は結ばれるはずなんですけど……」

雄二「襲い来る危機が結ばれるべき相手自身でなければそうかもな。」

昂哉「だね!」

 

 待てよ……。今は優子と霧島がお化け屋敷の中にいるんだから……

 

昂哉「あ、俺ちょっとトイレ行ってくるわ。」

 

 逃げるチャンスだ‼︎

 

スタッフ(CV.秀吉)「あ、行ってらっしゃい♪」

昂哉「ほ〜い!」

 

 バカめ‼︎スタッフ共は気付いていないみたいだね!あと、ここで雄二を連れて行くとバレちゃうから、今回は生贄になってもらおう‼︎

 

 

 

 

 さてと、そろそろ出口が見えてきたぞ〜。今回は最短経路で向かったから優子が追いつけるはずあるまい!それに、あの場にいなかった姫路も今は着ぐるみを着ていて動きが遅い。島田が来たとしても逃げ切れる自信がある。だから、今の俺を止められる奴は誰もいない‼︎さらばだ、この地獄みたいな遊園地よ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

力哉「おや〜、昂哉じゃないか〜?」

克哉「これから結婚式だってのに、どこへ行くんだい?」

 

 えっ?何故クソ兄貴共がここに?

 

昂哉「ひ、人違い………」

力哉「よし克哉‼︎昂哉を運ぶぞ‼︎」

克哉「分かったぜ兄貴‼︎」

昂哉「いや、ちょっと待……」

力哉・克哉「「わっしょい‼︎わっしょい‼︎わっしょい‼︎」」

昂哉「やめろぉぉぉぉ‼︎」

 

 こうして俺は突如現れた兄貴に胴上げされながら連れ戻されたのであった………




 ということでお化け屋敷からの兄貴登場でした。もちろん明久たちの策略です。やはりそう簡単には脱獄させてもらえないようですね。

 さて、次回はクイズ大会をやります。お楽しみに‼︎

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第十九問  お試し結婚式

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 兄貴によって強引に連れ戻された俺は、昼食会場で………

 

優子「あっ、昂哉!ここに座って!」

 

 何故か大勢のお客さんの前に座る事になった。

 

昂哉「えっ、何これ?」

優子「ウェディングプレゼントクイズだって♪今から出される問題に5問連続で正解したら如月グループが提供する最高級のお試し結婚式ができるらしい♪」

昂哉「えっ?」

 

 お試し結婚式だと⁉︎ふざけんなよ‼︎そんなのしたら俺が優子と別れられなくなるじゃん‼︎よし、こうなったら何がなんでも間違えてやる‼︎雄二も同じ意見っぽくアイコンタクトで俺と協力することを誓った。

 

スタッフ(CV.秀吉)「それでは雲雀丘昂哉様がお戻りになったということで早速始めたいと思います♪まず第一問!坂本雄二さんと翔子さんにお聞きします♪」

 

 どうやら最初は俺じゃないみたい。じゃあここは雄二に任せるか!

 

スタッフ(CV.秀吉)「お2人の結婚記念日はいつでしょうか?」

 

 おかしい。問題の意味が分からない。

 

霧島「…毎日が記念日///」

雄二「は?」

スタッフ(CV.秀吉)「正解で〜す♪」

雄二「やめてくれ!恥ずかしさのあまり死んでしまうから‼︎」

 

 嘘つけ‼︎なんだよその答えは⁉︎クイズとして間違ってるでしょ⁉︎

 

 

 

 

スタッフ(CV.秀吉)「次は第二問!雲雀丘昂哉さんと優子さんにお聞きします♪」

力哉・克哉「「頑張れ〜、昂哉〜、優子〜‼︎」」

 

 次は俺の番か……。それと優子の苗字をサラッと変えるんじゃないよ‼︎それに兄貴たちは声デカすぎ!ちょっとは場の雰囲気を考えてよ!まあ服を着ているだけマシだけどさ‼︎

 

スタッフ(CV.秀吉)「関数tをラプラス変換するとどうなるでしょうか?」

 

 おかしくはない。だが純粋に問題の意味が分からない。

 

優子「はいっ‼︎sの-2乗‼︎」

スタッフ(CV.秀吉)「正解です‼︎優子さんは高校生でありながら大学2年生レベルの数学が分かるんですね。流石です!」

力哉・克哉「「流石だぜ‼︎」」

優子「ありがとうございます‼︎」

 

 これに関しては何も言えることないか。あと妹が他人行儀で姉を褒めてるのがウケるよね。

 

昂哉「優子、あれよく分かったね。流石だよ♪」

優子「あ、ありがとう///」

雄二「………」ギロッ!

昂哉「………」テヘッ♪

 

 雄二から睨まれてるけど、こればかりはしょうがないでしょ!流石に大学2年生レベルの数学は俺でも分かんないし!雄二の睨みに笑って返したところで、次は第三問だ!

 

 

 

 

スタッフ(CV.秀吉)「それでは第三問!坂本雄二さんと翔子さんにお聞きします。」

 

 交互に聞いていく感じなのね!それじゃあ頼んだよ、雄二!

 

スタッフ(CV.秀吉)「お二人の出会いの場所はどこでしょうか?」

 

 雄二、これならいけるぞ……って

 

雄二「ぐわぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 霧島に目潰しされてる‼︎

 

霧島「…小学校。」

スタッフ(CV.秀吉)「正解です!お二人はその頃からの付き合いで、今日の結婚に至るなんとも仲睦まじい幼馴染みなのです!」

 

 いやどこが仲睦まじいのさ。さっき思いっきり目潰ししてたでしょ。

 

 

 

 さてと、次は俺の番か!こういうときは問題が言われる前に解答してしまえば確実に間違えられると聞いた事がある。だから今、それを実践してやるぜ‼︎

 

スタッフ(CV.秀吉)「それでは第四問!ひ……」

昂哉「国士……」

スタッフ(CV.秀吉)「正解です♪」

 

 ちょ待てや!俺まだ答え終わってないでしょ‼︎これじゃあ完全に出来レースじゃん!ふざけんなよ‼︎

 

スタッフ(CV.秀吉)「………」ニコッ♪

 

 んんんんんん!秀吉の笑顔が可愛いから許す‼︎それと頼むから優子と交代してくれ!

 

スタッフ(CV.秀吉)「それでは最終…」

 

 秀吉が最後の問題を言いかけた瞬間、

 

ヤンキー女「ちょっとおかしくな〜い?」

 

 記念撮影の時に揉めてたヤンキーたちが邪魔してきた。

 

ヤンキー女「アタシらも結婚する予定なのに、どうしてそんなコーコーセーとオッサンがトクベツ扱いなワケ〜?」

スタッフ(CV.秀吉)「あの、お客様〜。イベントの最中ですので〜」

ヤンキー男「あ?グダグダうるせ〜んだよ‼︎俺たちはお客様だぞゴルァ‼︎」

ヤンキー女「アタシらもウェディング体験ってヤツ、やってみたいんだけど〜」

スタッフ(CV.秀吉)「で、ですが……」

 

 こいつらなんでそんなに偉そうなんだろうね〜。別にお客様は神様ではないのにな〜。

 

ヤンキー男「オレたちもクイズに参加してやるって言ってんだろボケ!」

ヤンキー女「じゃこうしよ〜よ!アタシらがあの四人に問題出すから答えられたらあの二人の勝ち!間違えたらアタシらの勝ちってことで!」

スタッフ(CV.秀吉)「そ、そんな……」

 

 待てよ?これチャンスじゃね?雄二と作戦会議だ!

 

昂哉「……雄二、これはチャンスだね!絶対にものにしよう!……」

雄二「……ああ。俺たち4人の中で誰かが間違えればいいんだよな……」

昂哉「……そうだね。そのためにも、女子側の手を封じるんだ!……」

 

 そして俺は自分の手を優子の手の上に置く!これで…

 

優子「た、昂哉///」

昂哉「俺に任せろ‼︎」

優子「う、うん///」

ヤンキー男「じゃあ問題だ………」

 

 さあ、なんでもかかってこい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤンキー男「ヨーロッパの首都はどこだか答えろ‼︎」

 

 え?ヨーロッパって国じゃなくね?流石に明久でもわかるぞ、これ。アイツ、頭大丈夫かな?

 

スタッフ(CV.秀吉)「………坂本雄二さんと翔子さん、それに雲雀丘昂哉さんと優子さんに『ウェディング体験』をプレゼントいたします。」

ヤンキー男「ちょ待てよ!こいつら答えてねえじゃねえか!」

 

 まあ答えられないのが正解だしね〜。今回はしょうがないか。

 

 

 

 

 出来レースクイズを終えて外に出るとスタッフ(CV.ムッツリーニ)とスタッフ(CV.明久)が待っていた。どうやら明久は着ぐるみを脱いだみたい。

 

スタッフ(CV.明久)「おめでとうございます‼︎ウェディング体験が当たって良かったですね‼︎」

スタッフ(CV.ムッツリーニ)「………それでは今後のことについて連絡します。」

 

 さて、次はどうするんだろう?

 

スタッフ(CV.ムッツリーニ)「………女の子はこちらのドレスコーディネーターについて行って下さい。」

コーディネーター1「私が翔子様を、」

コーディネーター2「私が優子様を担当させていただきます。」

コーディネーター1・2「「よろしくお願いします。」」

霧島「…はい//」

優子「ほ、本格的ね……」

 

 なるほどね。思った以上に本格的だね……。さて、俺たちは何をするんだ?

 

スタッフ(CV.ムッツリーニ)「………男の子はこのスタンガンで気絶して下さい。」

昂哉・雄二「「はい?」」

 

 なんだそれ…………… バタン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目を覚ますと、俺たちはどうやらウェディング体験の会場にいた。しかもいつの間にか結婚式用のタキシードに着替えてるし。全く、強引な着替えさせ方だな‼︎

 

 そんなことを思ってると、ついにウェディング体験が始まった。

 

スタッフ(CV.島田)「それではいよいよ本日のメインイベント、ウェディング体験です‼︎皆様、まずは新郎2人の入場を拍手でお出迎え下さい‼︎坂本雄二さんと雲雀丘昂哉さん、よろしくお願いします‼︎」

 

 最初は単なる悪ふざけだと思ってたけど、よく考えるとこれ結構ヤバいよね〜。だってこれいろんな人に見られてるんだよ?メディアにも拡散するらしいし。世間公認のカップルにされたらそれこそ自由に女の子と遊べなくなっちゃうよ〜。だとするとやることは一つ!

 

昂哉「……雄二、どさくさに紛れて逃げるよ!……」

雄二「……俺もそのつもりだ、昂哉……」

 

 逃亡だ‼︎ここまで何度か失敗してきたけど、最後こそは成功させてやる‼︎

 

スタッフ(CV.島田)「それでは新郎2人のプロフィールの紹介を…………」

 

 あとこれ結構本格的な会場だね〜。やはり本物の結婚式みたい………。プロフィールも紹介する辺り………

 

スタッフ(CV.島田)「省略します。」

 

 ブチ殺すぞ。そこまでやったんならちゃんとやれや‼︎そんなことを思ってたら、

 

ヤンキー男「まあ、紹介なんていらね〜よな。ここが俺たちの結婚式に使えるかどうかが問題だし‼︎」

 

 またあのヤンキーカップルがいちゃもんをつけてきた。

 

ヤンキー女「だよね〜。コイツらのことなんて知りたくもないし♪」

スタッフ(CV.島田)「他のお客様のご迷惑になりますので大声での私語はご遠慮頂けますようお願いいたします。」

ヤンキー女「コレ、アタシらのこと言ってんの〜?」

ヤンキー男「違ぇだろ。俺らはなんだってお客様だぜ‼︎」

ヤンキー女「だよね〜。」

 

 コイツら、『他の』って単語が聞き取れなかったのかな〜?日本語のリスニングの勉強をちゃんとした方がいいと思うよ。もしかしたら日本に来て1年しか経ってない島田よりも酷いんじゃね?

 

ヤンキー男「要は俺たちの気分がいいか悪いかってのが問題だろ?な、コレ重要じゃね?」

ヤンキー女「うんうん!リュータいいこと言うね!」

 

 でも主催者もあんまり強く出れないよね〜。悪評を流されたらたまったもんじゃないし。

 

 それはそうと、そろそろ新婦の入場かな?

 

スタッフ(CV.島田)「それでは、いよいよ新婦2人の入場です‼︎まずは霧島翔子さん、よろしくお願いします‼︎」

 

 お、まずは雄二と霧島の番か……。どれどれ、特等席で見届けさせてもらおうじゃないか!そう思ってると………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霧島「…ゆ、雄二……どうかな///」

 

 純白のドレスに身を包んだ、とても綺麗な霧島が現れた。

 

客1「わぁ……!」

客2「綺麗……!」

力哉「まるで雪の妖精みたいだな。」

克哉「こんな綺麗な女の子をもらえるなんて、羨ましいぜ‼︎」

 

 観客や兄貴たちからの評価もだいぶ良いみたい!

 

昂哉「ほら雄二、ちゃんと感想を言ってあげないと!」

雄二「あ、ああ………。しょ、翔子か?」

霧島「…う、うん。…私、お嫁さんに見えるかな……?」

雄二「……ああ、大丈夫だ……。少なくとも婿には見えない……///」

 

 いや、もっと褒めてあげなよ‼︎

 

霧島「…雄二///」

雄二「お、おい、翔子?」

霧島「嬉しい///」

 

 そう言うって霧島は泣き始めた。これは嬉し泣きだね!

 

雄二「お、おい、どうした?」

霧島「…ずっと夢だったから……///」

 

 夢?まさか?

 

昂哉「雄二のお嫁さんになることが?」

霧島「…そう………小さい頃からずっと夢だった……///」

 

 やっぱりね!だからこんなに雄二にべったりなんだね!

 

霧島「……私と雄二の2人で結婚式を挙げること……私1人だけじゃ絶対に叶わない、小さい頃からの私の夢………だから本当に嬉しい………他の誰とでもなく、雄二と一緒にこうしていられる事が……///」

 

 ひゅ〜‼︎霧島にここまで言わせるなんて、雄二は大した野郎だぜ‼︎

 

スタッフ(CV.島田)「どうやら嬉し泣きのようですね。花嫁は相当一途な方のようです。さて、花婿はこの告白にどう答えるのでしょうか?」

昂哉「ほら雄二、霧島がここまで言ってるんだからさ、ちゃんと答えてやれよ♪」

雄二「しょ、翔子……俺は……」

 

 さて、雄二の答え…………

 

ヤンキー女「あーあ、マジつまんなーいこのイベントぉ〜。人のノロケじゃなくて早く演出とか見せてくれな〜い?」

 

 を聞く前にヤンキー共が邪魔してきた。

 

ヤンキー男「だよな〜、お前らのことなんでどうでもいいっての。ってかさ何この茶番?キャラ作り?台本でもあんの?ぶっちゃけキモいんだよ‼︎

ヤンキー女「純愛ごっこでもやってんの?そんなん観たって時間の無駄ってカンジぃ〜。」

ヤンキー男「あの女マジでアタマおかしいんじゃない?ギャグにしか思えないんだけど。何が一途だよ、バカなんじゃね?」

ヤンキー女「ってかこれコントでしょ。本物だったらマジキモくね?っていうか、そんな人いないよね〜。」

ヤンキー男「どうせもう1人の女も大したことねえだろ。さっさと終わらせろや、この茶番をよォ⁉︎」

 

 なるほど……

 

明久「んだとテメェら‼︎もっぺん言ってみやがれ‼︎」

姫路「あ、明久君、落ち着いて下さい‼︎ステージが台無しになっちゃいます‼︎」

優子「アンタたち、何も知らないくせに人の夢をバカにして、タダで済むとでも思ってんの⁉︎」

秀吉「あ、姉上も落ち着くのじゃ‼︎」

 

 わお!まあ袖で待機しているこの2人はすぐに怒るよね〜。優子はともかく、明久たちみたいなスタッフがここでどうこうするのは如月グランドパーク的にはあまり良くない。花嫁の優子にはウェディングドレス姿でキレ散らかして欲しくない。だとすると、ここで動くべきは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「おやおやお2人さん、随分な言い様ですね〜♪」

 

 俺だ。




 ということで出来レースクイズ大会からのお試し結婚式でした。観客席にあの兄貴たちがいるのがなかなかな光景ですよね。似合わねえ………

 さて、次回で如月グランドパーク編は終了です。果たしてどうなるのでしょうか?それは次回のお楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第二十問  小さな頃からの夢

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 霧島の夢を侮辱したヤンキー共。それに対して今反論すべきなのは………

 

昂哉「おやおやお2人さん、随分な言い様ですね〜♪」

 

 俺だ。

 

ヤンキー男「あぁ⁉︎なんだよオッサン⁉︎文句あんのかぁ⁉︎」

昂哉「俺はオッサンじゃあありません‼︎ピチピチの20歳です‼︎しかも高校生です‼︎」

ヤンキー男「嘘だろ……」

ヤンキー女「アレでアタシらより歳下なの……」

ヤンキー男「しかも20歳高校生って……」

 

 そうだよ‼︎老け顔で悪かったな‼︎

 

昂哉「まあそれはさておき、さっきからお2人さんは色々と言ってくれちゃってますけど、そういうお2人の夢はなんです?」

ヤンキー女「夢?」

ヤンキー男「んなもんねぇに決まってんだろぉ⁉︎ガキじゃあるまいし!」

 

 なるほどね〜。ならこう返そう!

 

昂哉「ですよね〜。俺だって夢なんてもんは持ってないっすよ。ただ自由に生きたい、遊びたい以外特に思う事はありません。」

ヤンキー男「ただのクズじゃねえか。」

ヤンキー女「だね!」

昂哉「だからこそ凄いと思いません?夢を持ってる人って。」

ヤンキー男「あぁ⁉︎んな事ねえだろぉ‼︎」

ヤンキー女「ただのガキ丸出しじゃない‼︎」

ヤンキー男「高校生らしくねえよなぁ⁉︎」

ヤンキー女「大人じゃあり得ないよね〜w」

 

 うんうん。大人だったらまず優子や霧島みたいな一途な人はいないね。でも………

 

昂哉「ガキ丸出しで何が悪いんです?子供っぽくて何が悪いんです?むしろ素晴らしい事だと思いません?」

 

 こう言う事が出来るよね?

 

ヤンキー男「あぁ⁉︎どこがだよ⁉︎」

昂哉「皆誰でも子供の頃には夢を持ってたじゃないですか〜。プロ野球選手になりたいだの、お笑い芸人になりたいだの。」

 

 ちなみに俺は法の番人、裁判官でした!今では全くそんな事は思わないけどね〜。

 

昂哉「でもそれらってだいたい大人になるにつれて興味が変わったり、自分の能力を知ったりして諦めるか夢そのものが変わっていったりするもんですよね?」

ヤンキー女「そりゃそうよ!」

ヤンキー男「だからあの女はおかしいんだろぉ⁉︎」

昂哉「人は自分が理解できないものに対して時に拒絶をする事があります。今がまさにそうですね。でも逆に考えてみてくださいよ。彼女らは自分が理解できないほど凄い人物なんだって!」

ヤンキー男「はぁ⁉︎意味わかんねえ⁉︎」

ヤンキー女「どういうこと⁉︎」

昂哉「だって普通の人だったら諦めるはずの小さい頃からの夢をずっと諦めてないんですよ?これって凄くないですか?」

ヤンキー男「バカなだけだろ⁉︎」

昂哉「もちろん彼女らだって楽な人生を送ってきたわけではないです。途中で様々な困難にぶつかって、その度に自分の限界とかを知ってきました。そこで俺や貴方達みたいな普通の人だったら、そこで諦めるか気が変わったりします。でも彼女らは変わらなかった。変わらずにここまで生きてきた。そしてこれからも生きようとしている。ガキの頃と同じような夢を持ち続け、どんな困難があっても突破する。これって凄いことだと思いません?」

 

 俺が優子を好いてたり、雄二が霧島を好いてたりするかどうかはともかく、優子や霧島のこの気持ちがブレてない事は凄いことだと思うけどね。

 

昂哉「彼女らはどんな困難があってもガキのままでい続けられてるんです。そんな人たちを拒絶するのではなく、認めてみるのはどうでしょうか?」

ヤンキー男「いや、う〜ん。」

昂哉「別に彼女らを認めたところで貴方達の人生に損があるわけではないでしょう?むしろ寛大な心を持つ大人としてより素晴らしい人になれると思うんですけどね。そしてお互いが更に素晴らしい人になれれば、自分の恋人は素晴らしい人なんだって、思えるようになりません?」

力哉「素晴らしい‼︎」

克哉「それでこそ我が弟だ‼︎」

ヤンキー男「な、なるほどな……」

ヤンキー女「く、悔しいけどアンタの言う通りかも……」

昂哉「そう言ってもらえて感謝します!出来ればその気持ちを彼女に………」

 

 そう言って俺は後ろを振り向いたのだが………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霧島と雄二は居なかった。まあヤンキーたちが言った言葉を聞いたらショックを受けて逃げちゃうよね。俺の演説に周りも気を取られてたのか、雄二くらいしか気付いて無かったみたい。

 

昂哉「言って欲しかったのですが、居なくなってしまったので代わりに俺が伝えときますね〜。」

ヤンキー男「お、おう……」

ヤンキー女「よ、よろしく……」

昂哉「それじゃあこんな感じですし……とりあえず俺は降壇しますね〜。」

 

 と言って俺はそのまま舞台裏に下がった。

 

 

 

 

 

 舞台裏に下がると、よく見知ったスタッフたちがいた。

 

姫路「雲雀丘君、凄いですね……」

ムッツリーニ「………ああ持ってくとは……」

昂哉「センキュー!それで、雄二と霧島は?」

姫路「霧島さんはショックで既に着替えて逃げたそうです。」

ムッツリーニ「………今は雄二、明久、木下姉妹が探しに行ってる。」

昂哉「なるほどね〜、って優子まで探しに行ったのか。」

姫路「はい………。着替えて行ってしまいました……」

 

 自分の事よりも友達の事を優先させて行っちゃうあたり、アイツらしいな〜。

 

昂哉「じゃあこの感じだとお試し結婚式は出来なそうだね。」

姫路「はい……残念ですが……」

ムッツリーニ「………あとでお前の分はちゃんとやってやる!」

昂哉「それは遠慮します。」

 

 優子が俺の事を好きなのはともかく、俺は優子の事を好きなわけじゃないからね!優子には悪いけど。

 

姫路「えっと、それじゃあ預かってた荷物です。」

ムッツリーニ「………木下のもあるぞ。」

姫路「こぼれるとマズいので横にしないで下さいね。」

昂哉「は〜い!それじゃあまたね〜!」

姫路・ムッツリーニ「「優子ちゃん(木下)と末長くお幸せに!」」

昂哉「それは遠慮する‼︎」

 

 ということで、俺は外に出ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 外に出てしばらく歩いていると、元の私服姿の優子が帰ってきた。ここだけの話、優子のウェディングドレス姿はちょっと見てみたかったら残念だ。

 

優子「ご、ごめん!代表を探しに抜け出しちゃった!」

昂哉「い〜よ〜!とりあえず、お前の作ってきた弁当を食おうぜ‼︎俺まだ昼食ってないし。」

優子「えっ?何でそれを………」

昂哉「こぼれちゃいけない物ってさっきスタッフに言われたからね。それって弁当くらいしかないでしょ?」

優子「そ、そういうことね///」

 

 という事で、ようやくランチタイムです‼︎他の奴らがクイズ大会の会場で飯食ってる間、俺は兄貴たちに胴上げされながら戻されてたから食ってないんだよね。

 

 そして食ってみたんだけど………

 

昂哉「お前、こんなに料理上手かったっけ?めちゃくちゃ美味しいんだけど!持ってきたビールにも合うし‼︎」

 

 バリ美味え‼︎

 

優子「昂哉はお酒が好きだから……よく飲んでるビールに合う味を追求してみたの………アタシは飲めないけど……///」

昂哉「お前すげ〜な!俺のためにここまでやってくれるとは……ありがとう‼︎」

優子「ど、どういたしまして……///」

 

 ここで自分がさっきヤンキーたちに言ったセリフを思い返す。コイツもずっと俺の事が好きで、俺に好かれるためにずっと努力してきたんだよな………。いつも怒りまくってるのはともかく、こうして色々と俺のために努力してくれたのは素直に嬉しいよ!もしかしたら昔と違って学校で優等生やってるのだって……?いや、考えすぎかな?

 

 それにしても、コイツはいつから俺の事が好きになったんだろう……?聞いてみよう。

 

昂哉「優子!」

優子「何?」

昂哉「いつから俺の事好きなの?」

優子「えっと……、小さい頃から気になってはいたんだけど……好意を意識し始めたのは昂哉が中1でアタシが小4のときかな?」

 

 そんな前なんだ!でも……

 

昂哉「なんでその時なの?」

 

 そうなった理由はなんだろう?

 

優子「それは………」

 

 そうして優子はきっかけを話してくれた。

 

 

 

  

 

  side 優子

 

 アタシが小4の頃、昂哉が中学に行ってしまって寂しかったのか、よく昂哉の中学の前まで行っては昂哉が出てくるのを待ってた。

 

優子「昂哉お兄ちゃ〜ん‼︎」

昂哉「あれ、優子じゃん!また来たの?」

優子「うん、来ちゃった♪」

友達1「あれ、もしかして昂哉の彼女?それとも妹?」

友達2「いいな〜!」

昂哉「どっちも違うよ‼︎ただの幼馴染みさ!」

 

 まあよくよく考えるとこの頃から好きだっのかもしれないけど、当時のアタシはまだそれに気付いていなかった。

 

 当時の昂哉は今とは違って成績だけでなく人間関係や学校生活での態度など、全てにおいて優等生だった。そのため沢山の人から人気があって、ファンクラブなども存在した。だから幼馴染みでいつも迎えに行ってたアタシのことは良くも悪くも昂哉の学校中に知れ渡ってたそうだ。

 

 

 

 そしてとうとうある日、アタシは…………

 

昂哉ファン1「おい、そこのアンタ‼︎」

 

 ファンクラブの女子たちに目をつけられてしまった。まあ当然だろう。

 

優子「な、何?」

昂哉ファン2「昂哉の事を誑かすんじゃないよ‼︎」

昂哉ファン3「幼馴染みだからって調子に乗ってんでしょ‼︎」

昂哉ファン1「これ以上近づくとぶっ飛ばすわよ‼︎」

優子「な、なんで?アタシはただ昂哉お兄ちゃんに会いたいだけなのに………」

 

 小さい頃のアタシはただ本音を喋っただけなのだが、後々考えると、このセリフでファンの女子の地雷を踏んだ事は容易に分かった。

 

昂哉ファン2「どうする、このメスガキ?」

昂哉ファン1「とりあえず喋らなくなるまで殴る?」

昂哉ファン2「それいいね♪」

昂哉ファン3「お姉さんたちがきちんと教えてあげないとね〜。」

優子「い、嫌‼︎」

昂哉ファン1「覚悟しなさい‼︎」

 

 もうダメかと思ったそのとき………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「ねえねえ、女子中学生3人が女子小学生1人を相手に何しようとしてんの〜?」

 

 昂哉が助けに来てくれた。

 

昂哉ファン1「えっ?いや、これは……その……」

昂哉ファン2「お姉さんたちが優しく色々と教えてあげようと思って……」

昂哉「思いっ切り手を上げようとしてたよね〜。全く、酷い事をするもんだな〜。」

昂哉ファン3「でも、これは昂哉のために……」

昂哉「なってないね〜。その子幼馴染みだから傷つけられると俺はショックなの‼︎だからその子から離れて!あとは一生手を出さない事!いい?」

昂哉ファン1・2・3「「「はい……」」」

 

 こうしてファンクラブの人たちをどけてもらえた……

 

優子「あ、ありがとう、昂哉お兄ちゃん///」

昂哉「ど〜も♪怪我は無かった?」

優子「う、うん///」

昂哉「それじゃあしばらくは俺が小学校まで行くことにするよ!優子がああいう子たちに絡まれると危ないし!」

優子「え?いいの?」

昂哉「もちろん!」

優子「うん!ありがとう///」

 

 アタシのためにここまでしてくれるなんて………。あの子たちは友達だろうから友達を少し失いかねないのに………。この時に初めて、アタシは自分の恋心を自覚した。

 

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 なるほどね〜。確かにそんな事もあったな〜。

 

昂哉「それ以来俺の事が好きなんだね。」

優子「うん///」

昂哉「そっか。」

 

 という事はまだ世間を知らずに正義感に溢れていた昔の俺を好きになったわけか………。だったら言うことは一つだ。

 

昂哉「じゃあ別れた方が良くない?」

優子「えっ、何で⁉︎」

昂哉「だってそれは昔の俺を好きになったってことでしょ?クズになった今の俺とは全然違うよね?今の俺を好いてくれるんなら何も言わないけど、昔の俺がきっかけならやめた方がいいと思って。」

優子「な〜んだ、そんなことか!」

 

 え?なんでそんなに軽く言うの?

 

昂哉「そんな事って、お前……」

優子「昂哉は確かに昔に比べて不真面目にはなったと思うけど、変わってないところも結構あると思う‼︎」

 

 変わってないところ?そんなのなくね?

 

優子「なんだかんだ優しいところとか!さっきの代表を庇った時の演説みたいに。あとは本気で人が傷つく事はしない事とか!」

昂哉「そうでもないと思うけど……」

優子「そうでもあるの!それに、人の根本的な性格ってそう簡単には変わらないと思うよ?昂哉は変わってしまった自分を卑下している節があるけれど、アタシから見たらその必要は無いと思う‼︎」

 

 そうかな?

 

昂哉「別に卑下してるわけじゃないよ……。ただ自分の本質を知っただけで……」

優子「そう言うあたり、やっぱり卑下してるよね。どこか人生を諦めてるような節も感じる。でもね、その必要はないの‼︎だから昂哉にはもっと自信を持って欲しい‼︎アタシが保証するから‼︎そしてもっと幸せな人生を歩んで欲しい‼︎」

 

 そうか………

 

昂哉「なら怒るのをやめて欲しい‼︎」

優子「それとこれとは話が別。」

昂哉「そんな〜‼︎」

 

 まあとにかく、意外と変わってなく見える部分もあったんだね。

 

昂哉「まあとにかく、ありがとね、優子‼︎ちょっと元気が出たよ‼︎」

優子「それはよかった!」

昂哉「それと、弁当美味かったよ‼︎作ってくれてありがとね!」

優子「ど、どういたしまして///」

昂哉「それじゃあ帰るか‼︎」

優子「うん!」

 

 最初は行くのが嫌だったけど、終わってみればいい事も結構あった遊園地デートでした。連れてきてくれてありがとね、優子‼︎

 

優子「ちなみに………」

昂哉「何?」

優子「勝手に人前で野球拳をやって公然猥褻をした事について、まだ色々と聞いてなかったよね?」

昂哉「あっ………」

優子「帰ったらアタシとお話(拷問)しましょ?」

昂哉「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 でも悪い事も結構あった遊園地デートでした………




 ということで如月グランドパーク編、終了です!優子が昂哉への恋心を自覚したきっかけが分かりましたね。

 さて、次回からは女子大に行きます!9/26の12:00〜です。お楽しみに‼︎

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第四章  女子大へ行こう!
第二十一問 チケット争奪戦


この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。
ーーーーーーーーーーーーーーー
とりたいアンケートがあったので、
ついでに前倒しして公開します。


  side 昂哉

 

 如月グランドパークでの騒動から数日経ったある日、俺はいつも通り教室で秀吉と昼飯を食っていた。あの日以来、俺の弁当は毎日優子が作ってくれている。

 

秀吉「どうじゃ昂哉、最近の姉上の手作り弁当は?」

昂哉「う〜ん、超うまい!正直そこらのシェフよりも!」

秀吉「それは良かったのじゃ♪」

 

 正直俺の胃袋は既に優子の物になってる感じがする。アイツの作った物じゃないと満足出来なくなりつつある自分に悔しささえ感じる。まあでも毎日作ってくれてる嬉しさの方が勝ってるよ!

 

昂哉「そういえば、秀吉は今週末暇?良かったら遊びたいんだけど……」

秀吉「う〜んと、今週末は………これがあるのじゃ!」

 

 そう言って秀吉はバッグから1枚のチケットを取り出した。

 

昂哉「う〜んと、これは何?」

秀吉「皐月女子大の学祭に行ける入場チケットじゃ!」

 

 なるほどね〜。女子大だから変な人を入れないための………

 

Fクラス男子「「「「「その話、詳しく聞かせろ‼︎」」」」」

 

 うわ、びっくりした⁉︎急に大声出すんじゃないよ⁉︎

 

秀吉「うわ、どうしたのじゃ⁉︎」

昂哉「どんだけ女の子と出会いたいのさ〜⁉︎」

須川「だって女子大のチケットだぞ⁉︎」

横溝「行くしかないだろ、そんなん‼︎」

昂哉「そうかな?」

明久「そして校内で可愛い女子大生のお姉さんと出会って………」

福村「誰よりも早く卒業するんだ‼︎」

昂哉「俺は風俗で卒業したけどね〜。」

ムッツリーニ「………女子に興味は無いが大学受験の参考に……」

昂哉「男子が女子大に行けるわけないでしょ。」

須川「木下とデートでもいいな♪」

秀吉「ワシは男じゃぞ………」

横溝「とにかく俺によこせ!」

福村「いや、俺だ!」

近藤「俺だ‼︎」

須川「俺だ〜‼︎」

 

 わ〜お!凄い盛り上がりだね〜。

 

昂哉「でも秀吉が行くんだから他の人は無理じゃない?チケット1枚しかないんでしょ?」

秀吉「それが、このチケットは1枚で4人入れるようになっとるのじゃ。」

Fクラス男子「「「「「何だと⁉︎」」」」」

 

 わお!そりゃあ揉めるね!こりゃあ殺し合いが起こりそう!

 

 

 

 

 それにしても、皐月女子大ってどっかで聞いたことあんだよな〜。う〜ん、過去の会話を思い返してみるか〜。

 

力哉「そういえば、近所にある皐月女子大に醸造部があるんだよな。」

克哉「あ〜。確かお酒を醸造する部活だよな?」

昂哉「変わってるよね〜。」

 

 醸造部ね〜。変わった部活だよね〜。ちょっとHPでも見てみるか!

 

 

 

 

 

  〜〜〜皐月女子大学醸造部〜〜〜

 

 

 この度、今年度の日本酒コンテストで全国優勝しました!そのお酒を学祭で公開しちゃいたいと思います♪時間は午後2時からです♪

 

 

  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 この文字を見た瞬間、俺のすべきことが分かった。

 

昂哉「はいはい皆〜!流石に人数が多すぎるから抽選である程度絞るよ〜!」

須川「おい、あのクズが急に仕切り出したぞ。」

横溝「だがいい提案だな。」

ムッツリーニ「………時間と場所は?」

昂哉「放課後にFクラスの教室で!」

赤田爺「分かったのじゃ。」

黒崎「だとよCクラスの皆。」

平賀「Dクラスの皆も聞いたか?」

 

 なんか他のクラスの連中までいつの間にか来てたんだが………。まあいっか!ここは俺が抽選道具を作ってやろう!なんせ俺は他の人から見れば彼女がいるから女子大の学祭には行かない、って思われるからな!その立場を活かして、あたかも中立になったように見せかけて強制的に当選するのさ!何も俺が参加しないとは一言も言ってないからね!

 

秀吉「ちなみに抽選で絞った後はどうするのじゃ?」

昂哉「そうだね〜。それは後で決めよっか!」

秀吉「分かったのじゃ!」

 

 ということで俺は午後の授業の時間を使って抽選道具を作った。

 

 

 

 

 

 そして放課後、抽選会が終わり………、

 

ムッツリーニ「………よし!」

赤田爺「絶対勝つぞい‼︎」

須川「いいや、俺が勝つぞ。」

横溝「俺が勝ってみせる!」

 

 このメンツが残った。ちなみに明久も抽選しようとしたんだけど、島田と姫路に拷問されたため出来なかった。

 

昂哉「さてそれでは同行者選抜面接を始めます!面接される4人はここに並んで下さい!」

面接対象者「「「「はい!」」」」

昂哉「それでは、只今より面接を行います!」

秀吉「ワシと昂哉が面接官でいいのか?」

昂哉「い〜の!」

 

 さて、この中から残り2人を選ぶだけだ!

 

ムッツリーニ「………ちょい待てや。」

昂哉「何?」

ムッツリーニ「………チケットの持ち主である秀吉はともかく、昂哉は何様のつもりで面接官(そっち)側にいるんだ?」

 

 うげ………そこ突っ込むんだ………。でもそれに対する反論ならある‼︎

 

昂哉「幼馴染み兼恋人だから!」

秀吉「前半しか合ってないのぅ。」

ムッツリーニ「………須川会長、奴を殺しましょうか?

須川「頼んだ。」

昂哉「嘘でしょぉぉぉぉぉ⁉︎」

 

 なんで俺が死ななきゃいけないんだよ‼︎クソが‼︎でも極上の日本酒だけは逃せない‼︎だから………!

 

昂哉「皆、俺は面接する側からされる側になるから許して!」

赤田爺・横溝「「う〜ん……」」

ムッツリーニ「………如何いたします、会長?」

須川「特別に許そう。」

昂哉「センキュー!」

 

 こうして俺はなんとか許された。やったね♪

 

 そして秀吉による同行者選抜面接が始まった。

 

 

 

 

 

ーーー1番手:赤田敏夫(75)ーーー

 

赤田爺「まずはワシから行かせてもらおう。」

 

 一番手は赤田のじっちゃんか。

 

昂哉「どう攻める気なんだろう?」

ムッツリーニ「………気になるな。」

赤田爺「女心をくすぐる軽いトークでその気にさせるつもりじゃ。」

須川「なるほどな。」

横溝「お手並み拝見といこうか。」

秀吉「ワシは男なのじゃが……」

 

 ということでじっちゃん、経験人数1,000人超えの実力を見せてもらおうじゃないか!

 

赤田爺「秀吉ちゃんよ、甘い物とかは好きかのぅ?」

秀吉「まあそうじゃ!」

赤田爺「それは良かったのぅ。実は儂の友達が皐月女子大にいてクレープ屋というものをやっとるらしい。他にも鯛焼きとかお汁粉も出すから、良かったら案内をさせて欲しいのじゃ。」

 

 うっ………。流石は百戦錬磨の爺さん………。この手のトークは小慣れてるな………。

 

秀吉「あの、それなら………」

赤田爺「ん?なんじゃ?」

 

 ん?秀吉は何を提案するつもりなんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秀吉「その友達にチケットを貰えばいいのではないかのぅ?」

 

 なるほど!確かにそうだね!じゃあ赤田爺はこれに参加する必要が………

 

赤田爺「…………えっと……」

 

 コイツ………さては……

 

秀吉「おかしいかのぅ?」

赤田爺「い、いや、それはその通りなんじゃが………清涼祭以来その子とは連絡が取れなくてのぅ………」

 

 やっぱり!その子にバツ3で7股なのがバレたんだね!

 

須川「黙ってろクソジジイ‼︎」

ムッツリーニ「………この7股野郎が‼︎」

赤田爺「今は4じゃ……」

横溝「アテがあるからそっちに頼め‼︎」

昂哉「秀吉、コイツは選ばなくていいよ‼︎」

秀吉「わ、分かったのじゃ……」

 

 ということでじっちゃんは保留と言う名の落選になりました‼︎ざまあみやがれ‼︎

 

 

 

 

 

ーーー2番手:須川亮(異端審問会会長)ーーー

 

須川「次は俺が行く。」

 

 異端審問会会長、須川の出番だね!

 

ムッツリーニ「……む?」

横溝「なんだその自信ありげな顔は?」

昂哉「なんか策でもあんの?」

須川「俺の熱い想いをぶつけて理解してもらう‼︎」

昂哉「直球勝負ね〜。」

ムッツリーニ「………小細工無しは好感度高いかもな。」

 

 それじゃあ須川、お前の熱い想いを見届けさせてもらうよ!

 

須川「木下。」

秀吉「な、なんじゃ?」

須川「俺……賭けてるんだ、この女子大祭に……きっと彼女が出来るって。」

秀吉「そ、そうなのか〜!」

昂哉「いや無理でしょ。」

ムッツリーニ「………不可能だな。」

須川「でもどうしてもダメだと言うなら諦める。」

昂哉・秀吉・ムッツリーニ・横溝「「「「えっ?」」」」

須川「けれどもその代わりに‼︎」

 

 その代わりに?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

須川「俺の彼女になって下さい。」

昂哉「渡すな、秀吉‼︎」

 

 ふざけんなよ‼︎なんて事を言うんだ‼︎

 

ムッツリーニ「………その2択は卑怯だぞ、須川‼︎」

横溝「それ熱意じゃなくて脅迫だろうが⁉︎」

須川「こっちはなりふり構ってられないんだよ‼︎」

秀吉「お主ら、なんか勘違いしとるようじゃが、ワシは男じゃぞ?」

昂哉「嘘つけ!さて、次だ‼︎」

 

 もちろん須川も保留と言う名の落選となった。

 

 

 

 

 

ーーー3番手:土屋康太(ムッツリーニ)ーーー

 

ムッツリーニ「………次は俺だ。」

 

 ムッツリーニか……。この中だと俺の次くらいに可能性がある強敵だよね。

 

横溝「おう。」

昂哉「作戦は?」

ムッツリーニ「………俺は口下手で不器用だ。………多くは語らない。」

昂哉「ほほう!」

横溝「ならばどうする?」

ムッツリーニ「………男の背中ってやつで語ってみせるさ!」

昂哉「なんだと⁉︎」

横溝「ハードボイルド路線とは……!」

 

 クソ!これはやられたな‼︎

 

ムッツリーニ「………」ザッ

秀吉「なんじゃ、ムッツリーニよ?」

ムッツリーニ「………」バッ

 

 そしてムッツリーニは秀吉に背中を向けて立ち、制服を脱いで………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムッツリーニ(貼り紙)『………あと2枚まで出せます。』

 

 背中に貼ってあった、文章が書いてあって福沢諭吉が付いている紙を秀吉に見せた。

 

横溝「どこが男の背中だ‼︎」

昂哉「男らしさの欠片も見当たらねえじゃん‼︎」

ムッツリーニ「………うるさい!………綺麗事で女子大に行けるか‼︎」

赤田爺「儂なら1000枚まで出せるがな。」

ムッツリーニ「………なっ⁉︎」

秀吉「お金とかはちょっと……」

昂哉「よく言った、秀吉!」

ムッツリーニ・赤田爺「「なぁぁぁぁぁ⁉︎」」

 

 やっぱり秀吉はこういうのは好まないよね!

 

ムッツリーニ「………なら命だ!………この命を捧げる!」

赤田爺「儂は最近飽きた彼女のうち1人を捧げるぞい‼︎」

横溝「往生際が悪いぞ、クズ共‼︎」

須川「失せろ、クズ野郎共‼︎」

 

 ということでムッツリーニと、ついでに2回目の赤田爺が保留という名の落選になりました!

 

昂哉「じゃあ後はもう自動当選でいいよね?」

須川「やれ。さもなくば殺る。」

昂哉「分かったよ〜、しょ〜がないな〜。」

 

 さて、次は俺の出番だ!

 

 

 

ーーー4番手:雲雀丘昂哉(20:クズ)ーーー

 

昂哉「それにしても、お前らってホントバカだよね〜。」

他4人「「「「なんだ(じゃ)と⁉︎」」」」

昂哉「相手は女の子だよ?必要なのは金や甘い物より、甘い言葉でしょ?」

他4人「「「「ぐぬぬ………」」」」

秀吉「ワシは男なのじゃが……」

昂哉「それに、俺は秀吉の幼馴染み。格の違いってモンを見してやんよ‼︎」

 

 マイハニーに愛の告白を兼ねてやってやるぜ!

 

昂哉「やぁ秀吉!今日も綺麗、だね!俺がここまで必死なのは、So!そんなにも可憐な貴女の傍に、あの醜いクズどもを立たせたくないからさ!君は可憐な眠り姫‼︎俺が王子ならいつでも君を……」ヴーン、ヴーン

秀吉「あっ、ちょっとすまないのじゃ。」

 

 おい!誰だよ今のタイミングで秀吉に連絡を送った奴は⁉︎ふざけんなよ⁉︎変に中断して超恥ずかしいんだけど⁉︎

 

秀吉「え、えっと、続きをお願い出来るかの……」

昂哉「もう……いいよ……///」

他4人「「「「ゲハハハハ‼︎」」」」

須川「最高の手本だったな、雲雀丘‼︎」

横溝「まるでコントだぜ‼︎」

赤田爺「俺が王子なら……なんじゃったかw」

昂哉「うるさい!さっきの着信がなければ……」

ムッツリーニ「………」カタカタ

 

 ん?ムッツリーニが携帯を弄ってんだけど⁉︎まさか………

 

昂哉「貴様かぁぁぁぁぁ⁉︎」

ムッツリーニ「………違うw」

赤田爺「見苦しいのじゃ、昂哉‼︎」

須川「土屋に当たってんじゃねえ‼︎」

横溝「携帯に負ける程度の口説きだったって事だろうが‼︎」

昂哉「んなわけあるか!あのままいけば……」

ムッツリーニ「………これを見ろw」

 

 そうしてムッツリーニが見せてくれた画面には………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秀吉(LINE)『すまん。正直助かったのじゃ。』

 

 地獄みたいな文章が書かれていた。

 

昂哉「秀吉ぃぃぃぃぃ⁉︎」

秀吉「す、すまんのぅ、昂哉……」

赤田爺「いや、普通そうじゃろ。」

須川「聞いてて相当キツかったもんな。」

横溝「そもそも普段から木下に引かれている事を自覚しろよ。」

ムッツリーニ「………そ〜だそ〜だ!」

 

 うっ………泣きたくなるよ………

 

秀吉「い、いや!ワシは決してそんなドン引きしてるわけじゃないぞい‼︎」

昂哉「ひ、秀吉……!」

秀吉「ワシはその好意を是非姉上に向けて欲しいと思っとるだけじゃ♪」

昂哉「それだけは遠慮させて頂きます。」

 

 これ以上好かれたらマジでヤバいからね!俺の自由が本当に無くなっちゃうよ‼︎

 

 

 

 

 そんな事を思ってると、雄二がやってきた。

 

雄二「ん?お前ら、何やってんだ?」

昂哉「女子大祭チケット争奪戦。」

雄二「相変わらずバカだな。」

須川「坂本は彼女いるんだからいいだろ⁉︎」

横溝「自分はいるからって調子乗りやがって‼︎」

ムッツリーニ「………婚約者とでも仲良くしてろ。」

秀吉「ムッツリーニの言う通りじゃ♪」

雄二「勝手に翔子を婚約者にするな‼︎それに、そっちにも彼女持ちが2人いるだろ⁉︎」

昂哉「俺は酒のためだね。」

赤田爺「儂は女のためじゃ。」

雄二「昂哉はともかくじっちゃんはそれでいいのか?」

赤田爺「もちろんじゃ。」

 

 良くないと思うけどね〜。

 

須川「ったく、坂本も参加すればいいのに……」

雄二「あのなぁ、お前らも同じ学園内から死人殺人犯を出したくないだろう?」

 

 なるほどね〜。だから雄二は参加しなかったんだね。

 

須川「なんだそれは………」

昂哉「死人が雄二で………」

秀吉「殺人犯が霧島という意味じゃの。」

雄二「まあその通りだ。」

須川「お前と霧島の関係はどうなってんだ……」

 

 奴隷と飼い主みたいな関係だね。ちなみに俺と優子もそんな感じだよ。

 

秀吉「まあそれはともかく、面接の続きをするとするかの。」

昂哉「あれ、誰か残ってたっけ?」

ムッツリーニ「………確かに。」

横溝「俺の出番だ。」

須川「そういえばいたな、お前。」

 

 という事で、最後はすっかり忘れてた横溝の出番だ。

 

 

 

 

 

ーーー最後:横溝浩二(特に無し)ーーー

 

 でも横溝は秀吉との接点も薄いし特に特徴が無い。須川も似たようなもんだが、奴は異端審問会の会長ということでちょっとだけ目立ってる分、横溝の方が不利だ。だからコイツは特に何も無く不合格だろう。

 

横溝「木下。」

秀吉「なんじゃ?」

 

 まあ一応何を言うか聞いておくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

横溝「普通に友達として行かないか?」

秀吉「おっ♪それは嬉しいのじゃ♪」

 

 何だと⁉︎そうか、秀吉が求めていること…………それは恋人としてではなく、友達として行くと言うことだったのか⁉︎クソ、奴が一番の策士か………。

 

ムッツリーニ「………クソ‼︎」

赤田爺「やられたわい……」

須川「まさか横溝に負けるなんて……」

 

 コイツらはただの女目当て。無理なら無理で諦めれば良いだけの事………。だが俺は日本一の日本酒に会いに行きたい!そう簡単には諦められない‼︎目指してるモンが違えんだよ‼︎

 

昂哉「おおっと足が滑ってエルボーがっ‼︎」

 

 くたばれ、横溝!背後からのエルボー攻撃だ‼︎

 

横溝「………」ガッ!

 

 何⁉︎俺のエルボーを見もせずに片手で防いだだと⁉︎嘘でしょ⁉︎

 

昂哉「き、貴様⁉︎」

横溝「やはりな……。お前のやりそうな事は、お見通しだ‼︎」ゴッ!

 

 マズい‼︎カウンターのパンチが来る‼︎よけないと‼︎

 

赤田爺「………」ガッ

横溝「じ、ジジイ……」バタン

赤田爺「悪いのう。」

 

 な、何だ⁉︎じっちゃんは何をした⁉︎何をしたらそう簡単に横溝を気絶させられるんだ⁉︎

 

赤田爺「手が滑って薬品を染み込ませたハンカチを押し当ててしまったわい。」

 

 なるほど!

 

昂哉「ああ、それは仕方ないね!」

須川「こ、コイツら……」

ムッツリーニ「………一体どこまで必死なんだ……」

須川「だがこれで分かりやすくなったな‼︎」

昂哉「要は全員ぶっ殺せばいいって事でしょ⁉︎」

ムッツリーニ「………最初からこうすれば良かった。」

赤田爺「上等じゃ‼︎儂はこの戦いに残り少ない命をかけるわい‼︎」

 

 さて、大乱闘の始まり………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秀吉「お主ら、やめるのじゃ‼︎」

 

 うお!秀吉の大声………。あまりの突然な出来事に皆も驚いてる………。

 

昂哉「どうしたの、秀吉?」

秀吉「分からんのか‼︎仲の良い友達同士がこんな事で争う醜さを‼︎」

 

 なっ⁉︎た、確かに…………

 

秀吉「ワシ、ここの皆は友達同士で争うような人じゃないと信じておったのに……」ウルッ

 

 うっ………秀吉に泣かれるとキツイ!

 

昂哉「秀吉………」

ムッツリーニ「………秀吉……」

赤田爺「秀吉ちゃん………」

須川「木下………」

昂哉「確かに、友達っていうのはそういうモンだよね!」

ムッツリーニ「………見苦しいところを見せてしまった……」

須川「全くだ。」

赤田爺「お主の一言で目が覚めてわい……!」

秀吉「わ、分かってくれたようでなによりじゃ♪」

昂哉「ああ!それじゃあお前ら…………」

 

 俺はこの秀吉の想いに応えるべく…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「今から友達やめるぞ。

ムッツリーニ・赤田爺・須川「「「おう。」」」

 

 絶交した。

 

須川「これで心置きなく殺り合える!」

赤田爺「短い付き合いじゃったな、クソガキ共。」

秀吉「いや、あの、そうじゃなくてのぅ………」

雄二「バカだな、コイツら。」

 

 さあ、酒を賭けての戦いだ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 しばらく喧嘩を続けると、赤田爺の携帯が鳴った。

 

赤田爺「おっと。」

昂哉「どしたの、じっちゃん?」

赤田爺「いや、皐月女子大の彼女から連絡があっての……」

秀吉「なんじゃ?」

赤田爺「もう一枚チケットをくれるらしい。」

昂哉・ムッツリーニ・須川・横溝「「「「マジか⁉︎」」」」

秀吉「今までのアレはなんだったのじゃ……」

雄二「だな……」

 

 これならこっちで4人入れるから大丈夫だね!やった〜♪こうして俺は日本一の日本酒を飲む機会を手に入れたぜ!




 ということで女子大編がスタートです!昂哉、ムッツリーニ、赤田爺、須川、横溝という謎メンツが中心になります。ちなみに元ネタはぐらんぶるの青女祭の話です。これをバカテス用にアレンジしたいと思います。

 さて、次回は遂に女子大に入ります。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第二十二問 シスターカフェ

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side ムッツリーニ

 

 待ちに待った女子大祭の日、俺は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玉野「シスター香美、シスター秀吉、注文をお願いします。」

秀吉「かしこまりました。」

ムッツリーニ「………かしこまりました///」

 

 シスターのコスプレをして接客をしていた。

 

 

 

 

 遡ること1時間前………

 

工藤「うわ〜、すごいお客さんだね〜。」

優子「チケットで入場制限したのにこれか〜。」

秀吉「本当に凄いのぅ‼︎」

ムッツリーニ「………だな!」

 

 俺は工藤や木下姉妹と一緒に皐月女子大祭に来ていた。昂哉やじっちゃん、須川、横溝とは午後1時から合流する予定だ。ちなみにこの時は午前9時。合流するまではこの4人で行動することになっていた。

 

工藤「それにしても優子。」

優子「何よ愛子?」

工藤「雲雀丘君と一緒じゃなくて良かったの?」

秀吉「ブーッ‼︎」

優子「ちょっと秀吉⁉︎吹いてんじゃないわよ‼︎」

秀吉「ゴホ……ゴホ……。す、すまんのぅ。姉上がこの間昂哉と一緒に行けないと分かって、とてもがっかりしてたのを思い出してつい………」

優子「アンタぶっ飛ばされたいの?」

秀吉「滅相もないのじゃ。」

工藤「なるほどね〜。」

 

 まあ理由はあるんだがな。

 

ムッツリーニ「………ナンパの手伝いをやらせてすまん。」

 

 須川、横溝、赤田爺の、な。チケット争奪戦において抽選会をズルしてすっ飛ばしたからこうなっている。

 

工藤「そういうことなの⁉︎」

秀吉「そういうことじゃ。」

優子「それに、昂哉はアタシたち未成年が行っても意味ない醸造部にも行く予定だからね〜。だから今日は別行動にしたの。」

ムッツリーニ「………そういえばそういう理由もあったな。」

工藤「彼は本当にお酒が好きだね〜。」

ムッツリーニ「………それな。」

 

 俺もあと3年後はああなるんだろうか?出来ればなりたくないが。

 

優子「まあ、たまには自由にしてあげてもいいかな、って思って。」

秀吉「とか言いながら昨日はずっとしょぼくれてたり……」

優子「うるっさいわね‼︎」

秀吉「逆に如月グランドパークでのデートの前日はソワソワしすぎててずっと落ち着かなかったり………」

優子「ひ〜で〜よ〜し〜?」

秀吉「なんじゃ姉上?ワシはただ姉上の可愛さを伝えようと………」

優子「余計なお世話よ‼︎」

工藤「確かに。一番伝えたい相手がいないからね〜。」

秀吉「そうじゃったな‼︎」

ムッツリーニ「………連れ出してすまなかった。」

優子「アンタらまとめてぶっ飛ばすわよ?」

ムッツリーニ・工藤・秀吉「「「まあまあ!」」」

優子「ったくもう!」

 

 こんなに木下が好いてくれてるんだから、昂哉ももっと木下の事を思ってやればいいのに。そんな事を思ってると…………

 

玉野「あ、優子ちゃんじゃん!丁度よかった!」

 

 Dクラスのアキちゃん大好き女、玉野美紀が現れた。

 

優子「あれ、美紀じゃん!何故ここに?」

玉野「お姉ちゃんのクラスの出し物を手伝っててね。」

優子「なるほどね〜。」

玉野「それの件で優子ちゃんたちに頼み事が………」

優子「出し物を手伝えって事かしら?」

玉野「うん!お願い………出来るかな?」

優子「ちなみにどんな出し物?」

玉野「シスターカフェよ!ウェイトレスが教会にいるシスターのコスプレをするの!」

 

 シスターだと⁉︎厳かな雰囲気でありながらどこかエロさを感じる修道服は最高じゃないか‼︎

 

ムッツリーニ「………ぜひ俺に店のカメラマンを担当させて欲しい。」

工藤「ムッツリーニ君、反応早いね〜。」

秀吉「じゃあワシもカメラ………」

玉野「実は秀吉ちゃんにもシスターのコスプレをして欲しくて………」

秀吉「な、何故じゃ⁉︎」

優子「美紀、コイツ男よ?」

玉野「いや、女よ‼︎」

秀吉「男じゃ‼︎」

ムッツリーニ「………女だ。」

 

 欲を言えば修道服を着た秀吉が見てみたい。めちゃくちゃ見てみたい。あと色んな人、特に昂哉に高額で売れそう。

 

工藤「ま、まあ!今は猫の手も借りたい状況なんじゃないの?」

玉野「うん………」

秀吉「そ、それなら仕方ないの………」

工藤「安心して。ボクも着るから!」

優子「じゃあアタシと愛子と秀吉がシスターのコスプレをして、土屋がカメラマンなりなんかの手伝いをすればいいのかしら?」

玉野「それで…………いや待って………」

 

 ん?何故コイツは否定した?人手に困ってるんじゃないのか?

 

玉野「土屋君、だっけ?」

ムッツリーニ「………ああ。」

玉野「貴方には女装の才能がある‼︎」

ムッツリーニ「………は?」

 

 えっ?マジで?俺がシスターのコスプレをしろと?

 

ムッツリーニ「………冗談はやめてほし……」

工藤「それいいね‼︎」

優子・秀吉「「確かに‼︎」」

ムッツリーニ「………工藤に木下姉妹まで⁉︎」

 

 何故みんな俺の女装に肯定的なんだ⁉︎

 

工藤「ムッツリーニ君は男子にしては小柄だし、」

優子「口数が少ない上、声も可愛い感じだから似合うんじゃない?」

ムッツリーニ「………似合わない‼︎………絶対に似合わない‼︎」

秀吉「いつもワシだけが女装をするのは恥ずかしいからのぅ〜。たまにはやってみんか?」

ムッツリーニ「………絶対に嫌だ‼︎」

玉野「どうしても人が足りない状況なの‼︎だからお願い、香美ちゃん‼︎」

ムッツリーニ「………勝手に女装後の名前をつけるな‼︎」

 

 そういうのはアキちゃんだけで充分だ‼︎でも………

 

ムッツリーニ「………でも、人が足りないなら仕方ない………」

 

 ここで助けるのを拒否するのは流石に悪い気がする………

 

玉野「ありがとう‼︎それじゃあよろしくね、香美ちゃん♪」

工藤・優子・秀吉「「「香美ちゃん♪」」」

ムッツリーニ「………うるせえ………」

 

 ということで現在に至る…………

 

 

 

 

 

 とにかく、この格好はめちゃくちゃ恥ずかしい………。しかも工藤や木下姉妹、それに玉野にめちゃくちゃ写真を撮られたし………。正直言って今すぐにでも帰りたいが、昂哉達との約束もある。まあ他の知り合いに会ってないのが幸いか…………。こんな姿を見られたら最悪…………

 

明久「すいませ〜ん!」

姫路「4人でお願いします!」

葉月「わあっ!綺麗なお姉ちゃんがいっぱいいますぅ!」

島田「そうね!」

 

 だなぁぁぁぁぁ⁉︎マジかよ⁉︎よりによってこの4人に会うとは………。というかチケットはどうやって手に入れたんだ?明久はあの抽選会に参加出来なかったはずでは?まあいい、ここは気づかれないように…………

 

島田「あれ、この子土屋じゃない?」

明久「あ、ホントだ!ムッツリーニじゃん!」

姫路「そうですね!とても似合ってますよ!」

葉月「エッチなお兄ちゃん、可愛いですぅ!」

 

 するのは無理だった…………なら誤魔化すか

 

ムッツリーニ「………人違い……」

工藤「ムッツリーニ君で合ってるよ♪」

 

 おい。バラすなや。

 

明久たち「「「「やっぱり!」」」」

ムッツリーニ「………おい工藤!………余計なことを言うな!」

工藤「だって可愛いからみんなに紹介してあげたいと思って♪」

島田「自分の彼氏として?」

工藤「ちちちち違うよ‼︎なな、何言ってんの、美波⁉︎」

 

 工藤が彼女?俺はいいけど奴にとっては良くないだろう………

 

工藤「とにかく、ここには可愛いムッツリーニ君だけでなく、可愛い木下姉弟もいるよ!」

明久「マジで⁉︎秀吉もいるの⁉︎」

姫路「優子ちゃんもいるんですね!」

ムッツリーニ「………秀吉ならあそこに。」

 

 そして俺が指差した先には………

 

秀吉「食ハ命ノ息吹。飲物ハ命ノ解放。飯ハ飯トシテ、其ノ命ヨ、永遠ノ(ネムリ)()セ。ラートム。」

客1・2・3「「「ラートム。」」」

 

 この店オリジナルである、『食前の祈り』を捧げる秀吉とお客さんがいた。

 

島田「なんか修道院っぽいわね。」

工藤「そりゃシスターカフェだからね。」

葉月「ドイツにもあった気がしますぅ!」

姫路「確かに、ありそうですよね!」

ムッツリーニ「………まあそれはともかく、とりあえずこちらの席へ。」

明久たち「「「「は〜い!」」」」

 

 ということで、明久たちを席につかせた。

 

ムッツリーニ「………ではご注文をお伺いします。」

島田「う〜んと、ウチは『聖なる小麦(パン)』と『新緑の恵み(野菜ジュース)』で!」

姫路「私もそれでお願いします。」

葉月「葉月もそれでっ!」

 

 ちなみにこの店ではパンと飲み物がメインであるが、野菜や魚系の軽食も頼むことが出来る。あと、現実のシスターにちなんで肉は無い。

 

 さて、明久は何を頼むのだろう?

 

明久「僕は『聖水』と、付け合わせに『聖なる塩』で!」

 

 その単語の組み合わせ、エロ過ぎる‼︎は、鼻血が……っ!

 

姫路「あ、明久君⁉︎な、何言ってるんですか⁉︎」

明久「どうしたの姫路さん?僕はただ単に水と塩を頼んだだけなんだけど?」

ムッツリーニ「………」ダラー

島田「土屋、鼻血‼︎」

葉月「だ、大丈夫ですかっ?」

ムッツリーニ「………へ、平気だ。………止血は慣れている。」

明久「あ、確かに僕の略し方だとムッツリーニが反応しちゃうように聞こえるね!」

ムッツリーニ「………俺はエロに興味は無い。」

明久「というか姫路さんは知ってたんだ。」

姫路「いいいいいや‼︎ここここれはたまたまクラスの男の子が話しているのを聞いて意味を調べちゃっただけで‼︎///」

 

 嘘つけ。お前が割とスケベなのは日々の注文内容から既に把握してるからな。明久がトイレで用を足してる写真とか。

 

姫路「ととととにかく、注文は以上です!」

ムッツリーニ「………それでは注文を確認します。」

 

 ということで俺はしばらく明久たちの相手をした。

 

 

 

 

 明久たちが料理を食べて席を立とうとした時、俺はある事を思い出した。

 

ムッツリーニ「………少々お待ち下さい。」

明久「どうしたの、ムッツリーニ?」

 

 そうして俺は………

 

ムッツリーニ「………玉野、あそこに明久がいるが、どうする?」

玉野「ホント⁉︎それじゃあ行く‼︎」

 

 玉野を明久のところに呼んだ。

 

玉野「アキちゃん!」

明久「えっと、玉野さん?」

姫路「明久君に何の用でしょう、玉野さん?」

玉野「えっと、アキちゃんにはシスターのコスプレをして欲しいの‼︎」

 

 もちろん狙いはこれだ‼︎

 

明久「へっ?いや、ちょっとそういうのは………」

島田「賛成!ウチも協力するわ!」

姫路「私もいいと思います!」

玉野「絶対似合うと思うよ!」

ムッツリーニ「………俺が女装してるんだからお前もしろ。」

 

 俺1人だけだと恥ずかしいからな‼︎

 

明久「嫌だぁぁぁぁぁぁ⁉︎」

葉月「あのっ、葉月も着たいです!」

ムッツリーニ「………任せろ!………ついでに島田姉と姫路もな!」

島田・姫路「「えっ?」」

明久「2人が着るならやってもいいかな〜w」

玉野「私からもお願い!」

島田「しょ、しょうがないわね〜。」

姫路「そ、そういう事なら私も着ましょうか!」

玉野「ありがとう!」

 

 ということで俺は急いで島田妹の分の修道服を作った。

 

 

 

 

 服を作ってる途中、俺は工藤と木下姉妹に話しかけられた。

 

工藤「ムッツリーニ君、それ美波の妹の分?」

ムッツリーニ「………もちろん!」

優子「なんか随分シスターが増えたわね………」

秀吉「これで楽できるんだからいいじゃろ。」

優子「確かにね。」

 

 まあ学祭の出し物なので人件費はこの際気にしないでおこう。きっと気前のいい大学生のお姉さんたちが出してくれるはず!

 

 

 

 

 

 島田妹の分の服を作り終わってちょっとだけ暇になったので、俺は廊下を眺めていた。すると………

 

霧島「…雄二、次はどこ行きたい?」

雄二「早く自由になりたい。」

 

 霧島と、霧島に手枷をはめられた雄二が一緒に歩いていた。頼むからこの店には入って来ませんように…………。一応ベール(シスターが被る帽子)はさっきよりも深く被ったからばれにくくはなってると思うけど…………。というかなんでコイツらもチケット持ってんだ?お前らも抽選会に参加してなかっただろ。

 

霧島「…じゃあこの映像研って部活が作った、『地獄の黙示録・完全版』を観る。」

雄二「それよく見たら3時間23分あるじゃねえか‼︎」

霧島「…2回観る。」

雄二「おい待て、それ1日の授業より長いじゃねえか‼︎」

霧島「…授業で雄二に会えない分の、う・め・あ・わ・せ♡」

 

 お・も・て・な・し、みたいに言うな‼︎

 

雄二「やっぱ帰る‼︎」

霧島「…今日は帰さない。」

雄二「な、なんだ翔子、それはぁぁぁぁ⁉︎」 バタン

霧島「…これでよし!」

 

 霧島が雄二のことスタンガンで気絶させて映像研の部屋に行ってくれたおかげで、俺は事なきを得た。それと凄い物を作るな、ここの映像研は。恐らく中にも変人が多そうだから、手を出さないようにしとこ…………

 

 

 しばらくした後、午前11時半になった。もう少ししたらお昼休憩か…………。頼むから変な客だけは来ないで…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「すいませ〜ん!4人で!」

須川「しっかし、今日は暑いな〜。」

赤田爺「喉が渇いちまったわい。」

横溝「だな。」

 

 欲しかったな…………。というか何故奴らが今ここに⁉︎約束の時間は午後1時のはずでは⁉︎




 ということでムッツリーニが玉野に女装させられました。ムッツリーニのシスター姿は絶対に似合いますよね♪

 ちなみに『食前のお祈り』の元ネタは炎炎ノ消防隊です。シスターカフェにしたのも炎炎が理由です。

 さて、次回はいよいよ昂哉たちが登場です。9/26の12:00〜です。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第二十三問 地獄を見せてやる!

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side ムッツリーニ

 

 変なお客さんは来ないで欲しいと思ってたところに………

 

昂哉「すいませ〜ん!4人で!」

須川「しっかし、今日は暑いな〜。」

赤田爺「喉が渇いちまったわい。」

横溝「だな。」

 

 昂哉達が来た。というか何故奴らが今ここに⁉︎約束の時間は午後1時のはずでは⁉︎

 

昂哉「店員さん?」

横溝「どうかしましたか?」

赤田爺「気分が悪いなら儂が背中をさすろうか?」

須川「おいおい、早速ナンパかよ。この節操なしめ‼︎」

横溝「お前はさすられる側だろ?」

昂哉「店員さん、この人の事は無視して下さいね!」

 

 ん?

 

須川「そういやさっき女子に見られたんだが、俺の顔に何かついてるか?」

昂哉「いや、特に何も。」

横溝「いつも通り普通に不細工だが。」

赤田爺「お嬢ちゃん、見るならそんな不細工のより儂の方を!」

須川「というか俺が不細工とか冗談キツいぜ!」

横溝「いや、混じりっ気なしの本音だぞ?」

昂哉「トイレで鏡見てきたら?」

赤田爺「ついでに現実もな。」

 

 まさかコイツら、俺の正体に気付いてないのか?

 

ムッツリーニ(裏声)「……お席に案内します。」

昂哉「ありがとう!」

須川「それにしてもこの子めっちゃ可愛いな!」

横溝「俺のタイプだぜ!」

赤田爺「まあ御主らじゃ無理じゃろうな。」

須川・横溝「「何だと⁉︎」」

昂哉「まあまあ!」

 

 気付いてないみたい。良かった………。だが何故この時間にコイツらがいるんだ?今は午前11時半、約束の時間まではまだ1時間半もあるぞ?

 

須川「いや〜、それにしてもじっちゃん、ナイスな提案だったな。」

横溝「年取っても脳は衰えないんだな。」

赤田爺「まあな。」

昂哉「まさかムッツリーニに黙って先乗りするとはね〜。」

 

 何だと⁉︎

 

赤田爺「だってチケットは4人用じゃろ?」

昂哉「だったら相手も4人組が多いってのは道理だよね〜。」

須川「こっちが5人で行ったら一人あぶれちまう。」

横溝「争いを避けるためにもアイツは切り捨てなくちゃな。」

昂哉「別に俺はあぶれてもいいんだけどね〜。」

須川「そうは言うがな、雲雀丘。お前と土屋どっちを連れて行くって言ったら、まずお前だろ。」

赤田爺「なんせ御主と彼奴じゃと、御主の方がコミュ力が高いからのぅ。」

昂哉「まあそれはそうだね〜。」

横溝「それにアイツは日頃の行動がな〜。」

須川「いつもすぐに女子のスカートの中を盗撮しようとするからな〜。」

昂哉「確かに、そんな変態がいたらナンパの成功率は下がりそうだよね〜。」

赤田爺「切り捨てて正解じゃな。」

 

 なるほど、そういう事か…………。正体がバレないよう穏便に済ませる気だったが、仕方ない…………

 

 

 

地獄を見せてやる‼︎

 

 

 

昂哉「さて、何食べる〜?」

赤田爺「冷たい飲み物か食べ物がいいのぅ。」

須川「外暑いからな。」

横溝「すみません、注文いいですか?」

ムッツリーニ(裏声)「……はい、お伺いします。」

 

 まずはこれでいくか。

 

ムッツリーニ(裏声)「……お客様は?」

昂哉「俺は『新緑の恵み』で!」

ムッツリーニ(裏声)「……そちらのお客様は?」

赤田爺「儂も同じので。」

ムッツリーニ(裏声)「……かしこまりました。」

須川「えっと………」

ムッツリーニ(裏声)「……そちらの童貞のお客様は?」

須川「何か俺だけ聞き方おかしくない⁉︎」

 

 別に合ってんだからいいだろ。

 

須川「俺は童貞じゃないぞ!」

ムッツリーニ(裏声)「……きゃっ♪」

昂哉「座ってろ、童貞‼︎」

横溝「お姉さんに絡むな、童貞‼︎」

赤田爺「そう見える御主が悪いんじゃよ、童貞‼︎」

ムッツリーニ(裏声)「……失礼しました。……そうとしか見えなかったもので……」

須川「謝ってるようで失礼の上乗せだな、これ。」

横溝「事実なんだから仕方ないだろ。」

赤田爺「儂にもそうとしか見えんからのぅ。」

ムッツリーニ(裏声)「……それでは改めまして、」

 

 まあ須川のためにも言い直してあげるか!

 

ムッツリーニ(裏声)「……そちらの一生童貞のお客様は?」

須川「未来は分かんないだろ⁉︎」

横溝「座ってろ、永世名誉童貞‼︎」

赤田爺「事実じゃから仕方ないじゃろ。」

昂哉「来世に期待したら〜?」

赤田爺「とにかくさっさと注文するのじゃ。」

横溝「時間が勿体ないだろ。」

須川「………じゃあ俺も同じやつで。」

ムッツリーニ(裏声)「……かしこまりました。」

 

 さて、次のやつをやるか。

 

ムッツリーニ(裏声)「……それではご注文を繰り返します。」

横溝「あれ、俺………」

ムッツリーニ(裏声)「……チェリーパイを3つで。」

昂哉・赤田爺「「それは須川(コイツ)だけだ(じゃ)‼︎」」

須川「俺も頼んでねえよ‼︎」

 

 まあここはちょっと謝っておくか。

 

ムッツリーニ(裏声)「……ごめんなさい、軽い冗談です。」

横溝「軽い?」

須川「心の底まで傷ついたんだが……」

昂哉「なんだ、軽い冗談ですか!」

赤田爺「お茶目じゃのぅ。」

ムッツリーニ(裏声)「……本当にすいません。」

 

 さて、お詫びという程で次の作戦に移るか!

 

ムッツリーニ(裏声)「……よろしければコーヒー牛乳は如何でしょうか?」

昂哉「あ、それいいですね!」

須川「涼しそうだしな!」

赤田爺「悪くないのじゃ。」

横溝「じゃあナンパの景気付けに飲んどこうぜ!」

須川「そうすっか!」

赤田爺「儂もそれで!」

昂哉「俺も合わせるわ〜!」

ムッツリーニ(裏声)「……ありがとうございます。……それでは少々お待ち下さい。」

 

 そう言って俺は厨房へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 厨房で必要な物を取り揃えた後、俺は奴らの元に戻った。

 

ムッツリーニ(裏声)「……お待たせしました。」

須川「お、きたきた。」

赤田爺「美味そうじゃの。」

昂哉「じゃあいただきますか!」

横溝「俺の分が無いんだけど?」

ムッツリーニ(裏声)「……皆さん、召し上がる前に、メニュー表に書いてある『食前の祈り』を、このコーヒー牛乳に捧げたいと思います。」

昂哉「OK!」

赤田爺「よろしくな。」

横溝「俺の分……」

ムッツリーニ(裏声)「…… 食ハ命ノ息吹。飲物ハ命ノ解放。飯ハ飯トシテ、其ノ命ヨ、永遠ノ眠ニ帰セ。……ラートム。」

昂哉・赤田爺・須川「「「ラートム。」」」

横溝「俺の分………」

 

 そして3人は俺特製のコーヒー牛乳を飲んだ。そして………

 

昂哉・赤田爺・須川「「「ブフォ‼︎」」」

 

 吹いた。

 

赤田爺「お嬢ちゃん、一体何を仕込んだのじゃ⁉︎」

ムッツリーニ(裏声)「……コーヒーをベースに墨汁で色付けをしてみました。」

須川「どうしてそんな物を混ぜた⁉︎」

昂哉「コーヒーは元々色ついてますよね⁉︎」

赤田爺「普通は牛乳じゃろ‼︎」

ムッツリーニ(裏声)「……牧場風味ならぬ墨汁風味です。」

須川「そんな風味があってたまるか‼︎」

横溝「良かった、俺飲まなくて………」

 

 さて、ここからが本番だ。真の地獄を見せてやる。

 

ムッツリーニ(裏声)「……本当に申し訳ありません。」

須川「本当にな。」

ムッツリーニ(裏声)「……お詫びに私の連絡先でもお教えしましょうか?」

赤田爺・須川・横溝「「「きた‼︎」」」

昂哉「おお〜!皆おめでとう!」

ムッツリーニ(裏声)「……今スマホが無いのでお借りしてもよろしいでしょうか?……連絡先を打ち込みますので。」

赤田爺「いいぞい‼︎ほれ、儂のじゃ‼︎」

横溝「抜け駆けしたら殺すぞ。

須川「後で俺たちにも教えろよ。

 

 さて、作戦開始だ。

 

ムッツリーニ(裏声)「……あっ……」

横溝「ん?」

須川「どうかしましたか?」

ムッツリーニ(裏声)「……操作を間違えてしまいました……」

昂哉「あるあるですね〜。」

赤田爺「儂も歳じゃからよくあるわい。」

須川「人の携帯だもんね。」

横溝「仕方ないよな。」

赤田爺「IDでも打ち間違えたのかい?」

ムッツリーニ(裏声)「……いえ、手が滑って……」

赤田爺「手が滑って?」

 

 そして俺はじっちゃんに携帯の画面を見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーータイムラインーーーーー

 

赤田爺

 

 シスターカフェでナンパ中♪

 この娘超可愛いのじゃ!

 

 (シスター香美と赤田爺のツーショット写真付き)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ムッツリーニ(裏声)「……タイムラインにこのような文章を投稿してしまいました♪」

赤田爺「おい‼︎手の滑り方おかしいじゃろ‼︎」

ムッツリーニ(裏声)「……すいません、私機械に疎くって……」

須川「それは仕方ないですね!」

昂哉「なぁに、気にする事ではありません!」

横溝「女がいるのにナンパするあのジジイが悪いのです!」

赤田爺「女がいるとかバラすなや、御主ら‼︎」ポンポン

 

 そしてじっちゃんの肩を叩いたのは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤田爺彼女1・2・3・4「「「「ねえ、これどういうこと?」」」」

赤田爺「あっ………」

 

 赤田爺の彼女達であった。何人かいるのを知ってたからタイムラインに投稿したのさ!

 

赤田爺彼女1・2・3・4「「「「死ね。」」」」ドゴォ‼︎

赤田爺「グファ………」バタン

ムッツリーニ(裏声)「……ラートム。」

昂哉・須川・横溝「「「ラートム。」」」

 

 4人の彼女に一斉にパンチを放たれてくたばったじっちゃんに対して、俺はシスターとして祈りを捧げた。

 

 

 

 

 

 しかしまだこれで終わりではない。次の作戦を実行するか。

 

ムッツリーニ(裏声)「……そういえばお客様。」

昂哉「はい、なんです?」

須川「すいません、コイツも彼女いますよ!」

横溝「話すのをやめてとっとと突き出しましょう‼︎」

昂哉「いや、俺別にナンパする気ないし。」

 

 そこは木下のためにしっかりしてるんだ。感心。まあそれはそれとして、俺を変態呼ばわりした罰は受けてもらおう。

 

ムッツリーニ(裏声)「……お客様って麻雀されますよね?」

昂哉「おっ!よくご存知で!もしや雀荘で会ったこととかあります?」

ムッツリーニ(裏声)「……う〜んと、少し見かけたくらいです。……でもその時ものすごく勝ってて話題になってたので、もしかしたら強い方なのかと思ったのですが……」

昂哉「いやいや、そんな事はないよ‼︎ただの運さ!」

ムッツリーニ(裏声)「……そうなのですか?……ちなみにこの間の火曜日の昼って、『振点(フリテン)(雀荘の名前)』に居ませんでした?」

昂哉「あっ!いましたよ!しかもその日めっちゃ勝ちました‼︎」

ムッツリーニ(裏声)「……なるほど!」

 

 さあ、ショータイムの始まりだ‼︎その内容とは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムッツリーニ(裏声)「……だそうですよ、シスター優子!」

優子「貴重なお話を聞かせてくださり、誠にありがとうございます。」

昂哉「えっ⁉︎」

 

 木下にシメてもらう!

 

優子「さて、不良生徒には教えを説かなければいけません。」

横溝「そうですね!」

須川「平日の昼間に学校サボって雀荘行く奴が悪いんです!」

ムッツリーニ(裏声)「……ですね!」

昂哉「いやいやいやいや、そ〜ゆ〜の困るんですけど⁉︎」

優子「それでは皆さん、『祈り』を。」

昂哉「ちょっと‼︎なんか短縮されてない⁉︎」

優子「炎ハ○ノ息吹。黒煙ハ○ノ解放。」

昂哉「ちょっとちょっと‼︎本家丸コピはマズイって‼︎」

優子「灰ハ灰ト○テ、其ノ○ヨ、永遠ノ炎○帰セ。」ドゴォ‼︎

昂哉「グファ………」バタン

 

 木下のパンチが見事昂哉のみぞおちにクリーンヒットした。もちろん昂哉は倒れたよ。

 

優子「ラートム。」

ムッツリーニ(裏声)・須川・横溝「「「ラートム。」」」

 

 ということで、昂哉を見事討伐する事が出来た。

 

 

 

 

 でもまだだ。

 

ムッツリーニ(裏声)「……すいません///」ぎゅっ

須川「えっ……///」

横溝「はぁ?」

 

 俺は須川の手を握り、こう言った。

 

ムッツリーニ(裏声)「……あの、ご迷惑でなければ///」

須川「ど、どうしたんですか///」

ムッツリーニ(裏声)「……会って欲しい人がいるんです///」

須川「えっ///」

横溝「なっ⁉︎」

ムッツリーニ(裏声)「……ダメ……ですか?///」

須川「ご両親ですか……気が早いとは思いますが、貴女の為に、会いましょう‼︎」

横溝「クソォォォォォォォ‼︎」

 

 そうして俺は須川の手を握って…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムッツリーニ(裏声)「……こちらの方です。」

警備員1・2「「通報、ありがとうございます。」」

須川「えっ?」

 

 警備員に突き出した。

 

ムッツリーニ(裏声)「……あの男が、『お前を放さない‼︎』と体を触ってきて……」

警備員1「なるほど‼︎」

警備員2「さあ、こっちに来い‼︎」

須川「放せ!これは誤解だ‼︎」

横溝「いえ、確かに見ました。」

赤田爺「間違いなく痴漢じゃ………」

昂哉「だね………」

須川「俺が痴漢ならあのジジイとあのオッサンも痴漢だ‼︎」

昂哉・赤田爺「「何(じゃと)⁉︎」」

ムッツリーニ(裏声)「……ついでにあの人も連れてって下さい。」

横溝「ついで⁉︎」

警備員1「お前ら、こっちに来い‼︎」

 

 ふぅ………。これで悪は滅びた………。さて、そろそろお昼時だし、休憩でも………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 って俺のベールが落ちてる?

 

昂哉「警備員さん。」

警備員2「何かね?」

昂哉「コイツは女装してシスターに紛れ込んでた変態です。連れて行くべきでしょう。」

 

 俺のベールを落とした犯人は昂哉だった。

 

ムッツリーニ「………は?」

警備員2「分かった、そうしよう。」

 

 こうして俺は昂哉達と一緒に女子大のキャンパスの外に追放された。




 ということで、ムッツリーニvs昂哉・赤田爺・須川・横溝でした。そして全員まとめて追放されましたね。彼らはこの後どうするのでしょうか?それは次回のお楽しみに!

 あと、本編にはあまり関係ありませんが、昂哉のCV.を宮野真守→石田彰に変更しました。こっちの方が合うかな、って思ったので。

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第二十四問 強行突破

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 俺たちはムッツリーニにハメられ、キャンパスの外に追放された………ハメたムッツリーニを巻き添えにして。

 

赤田爺「あれは御主じゃったのか⁉︎」

須川「よくも俺の純情を‼︎」

横溝「責任取りやがれ‼︎」

昂哉「俺を勝手に優子に売りやがって‼︎」

ムッツリーニ「………うるせえ、裏切り者どもが‼︎………というかいつから昂哉は気付いてた⁉︎」

昂哉「優子を呼びつけた辺りで。」

ムッツリーニ「………なるほど。」

 

 だってあれできるの俺と優子の関係を知ってる人だけだからね。そこからチラッと見えた青髪と、元から見えてた顔を見てムッツリーニだと判断したのさ‼︎

 

ムッツリーニ「………それにしても、再入場は禁止か……」

須川「チケットもう無いし。」

赤田爺「仕方ないのじゃ………」

横溝「だな。」

昂哉「悔しいけど、俺たちに出来ることなんて………」

 

 そうして俺たちは……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全員「「「「「靴を舐めます‼︎」」」」」

 

 警備員に土下座をした。

 

警備員1「いや、ホント困るから。」

 

 ちょっと断れたくらいで引いてたまるか‼︎こっちは日本一の日本酒がかかってるんだ‼︎

 

横溝「絶対に迷惑かけませんから‼︎」

須川「肩揉みますよ‼︎」

ムッツリーニ「………メシおごりますよ‼︎」

昂哉「なんならお金だってあげちゃいます‼︎」

赤田爺「上手くいったら儂の友達を紹介するのじゃ‼︎」

警備員2「だからそういう問題じゃなくてね……」

赤田爺「じゃああれじゃ‼︎」

ムッツリーニ「………全員で脱ぎます‼︎」

横溝「そして踊ります‼︎」

須川「蝶のように舞います‼︎」

昂哉「そして蜂のように刺します‼︎」

警備員1「いや、だからね……」

昂哉「よ〜し、やるぞお前ら‼︎」

他4人「「「「おう‼︎」」」」

 

 ということで全員で全裸になって踊った結果……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

警備員1・2「「出禁です。」」

 

 追い出された。

 

昂哉「邪険に追い出されたね。」

須川「すっげえキレてたぞ、あの人。」

ムッツリーニ「………俺達の熱意が伝わらなかったか……」

横溝「口惜しい。」

赤田爺「でも、やれる事はやったんじゃけどなぁ……」

須川「俺ら、必死に頼んだもんな〜。」

ムッツリーニ「………アレで通してくれないなら、諦めもつく。」

横溝「ああ、そうだな。通してもらうのは諦めて……」

 

 通してもらうのが無理なら………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「強行突破だ。」

他4人「「「「おう。」」」」

 

 これしかないよね!ということで強行突破作戦が始まりました‼︎

 

 

 

 

 まずはキャンパスの外壁を皆で超えます‼︎

 

全員「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」」」」」ダダダダダダ!

 

 全員で外壁に向かってダッシュする。そして………

 

須川「っしゃあ‼︎」ビタッ!

横溝「来い‼︎」ビタッ!

 

 須川と横溝が壁に背中を向けてくっつき、腕を組んで………

 

昂哉・ムッツリーニ「「おう!」」ダッ!

 

 俺とムッツリーニがそれぞれ須川と横溝の組まれた手の上に勢いよく足で乗っかった。そしてそれを、

 

須川・横溝「「オラァ‼︎」」 ブーン

 

 須川と横溝が手で思いっきり上に押し上げ、俺とムッツリーニを外壁の上に乗せた!

 

 そして次は…………

 

赤田爺「儂の番じゃ‼︎オラァ‼︎」 ピョン!

須川・横溝「「おらよ!」」ブーン

昂哉・ムッツリーニ「「掴まれ‼︎」」ガッ!

赤田爺「ああ!」ガシッ!

 

 赤田爺が同じことをして跳躍した後、俺とムッツリーニの手を掴んで外壁を登った。そして最後に………、

 

須川・横溝「「頼んだ‼︎」」

昂哉・ムッツリーニ「「ああ‼︎」」

昂哉「ファイトー‼︎」ガッ

ムッツリーニ「………いっぱ〜つ‼︎」ガッ

 

 俺とムッツリーニが下に残ってた須川と横溝を手で引っ張って引き上げて外壁を上らせ、

 

全員「「「「「ヤリた〜い‼︎」」」」」

ムッツリーニ「………やっぱ俺はエロに興味は無い。」

 

 全員でキャンパスの中に入ることが出来た‼︎これで作戦成功だぜ‼︎

 

赤田爺「いや、一発と言わずのぅ!」

須川「できれば二発三発と!」

横溝「だよな〜!」

昂哉「俺は優子に悪いから遠慮しとくわ〜。」

警備員1「ああ、うん、分かったから。」

警備員2「とりあえず出て行きなさい。」

 

 ということで警備員にバレたので最初の作戦は失敗した。

 

赤田爺「さて、どうしたものかのぅ……」

須川「壁を上るのはダメだな。目立ちすぎるし……」

昂哉「じゃあ正面突破?」

須川「それは無理だろ。力で勝てる相手じゃなさそうだし。」

 

 雄二でもいれば違ったんだけどね〜。俺たちだけじゃあ正直厳しいよ〜。

 

赤田爺「それでは壁の壊れている場所を探すとかはどうかの?」

須川「それとも地面を掘るとか……?」

昂哉「いっそ空を飛んじゃう?」

横溝「いや待て。」

ムッツリーニ「………その必要は無い‼︎」

 

 なんで?もしかして諦めたとか?

 

昂哉・須川・赤田爺「「「ん?」」」

横溝・ムッツリーニ「「俺たちに策がある‼︎」」

昂哉・須川・赤田爺「「ほほう……」」

 

 そうして俺たちは作戦会議をした。

 

 作戦はこんな感じだ‼︎まず前提としてこの作戦は二段構え。そしてその一段目は………、堂々と胸を張って通ること‼︎どうやって通るかは、次の通りだ‼︎

 

 

 

横溝 →ヘッドフォンで聞こえないフリ

赤田爺→チケットを間違えたフリ

須川 →青女生のフリ

ムッツリーニ →小学生のフリ

昂哉 →ホームレスのフリ

 

 

 

 

 もちろんそれを実行して俺たちは警備員に捕まった。

 

警備員1「色々言いたい事はあるがねぇ。君らは私たちをバカにしているのか?」

須川「滅相もない。」

ムッツリーニ「………混じりっけなしの本気です。」

警備員1「なんて事だ……」

警備員2「日本の教育はここまで……」

警備員1「というか大の大人が2人もいながらこれとは……」

警備員2「とにかく何度来ても無駄だよ。大人しく帰りなさい。」

 

 さて、ここからが二段構えの二段目だ‼︎

 

横溝「分かりました。」

ムッツリーニ「………では大人しく帰りますので………」

横溝・昂哉「「駅までの道を教えてくれませんか?」」

警備員2「ん?」

 

 そうして俺がスマホを警備員に見せて注意を引きつけてるうちに……、

 

赤田爺・須川「「今だ(じゃ)‼︎」」ダッ!

 

 残りの2人が逃げる‼︎詰め所は青女の敷地内だから、突破まで後一歩だね‼︎

 

警備員1・2「「待ちなさい‼︎」」ガッ!

赤田爺・須川「「くっ……」」バタン

警備員1「危なかった。」

警備員2「油断も隙もない。」

 

 クソ!あの2人が警備員に捕まってしまった‼︎思ったより反応が速かったみたい。だけどね、ここからが本番だ‼︎

 

横溝「フッ、バカめ!」

ムッツリーニ「………かかったな。」

横溝・ムッツリーニ「「ソイツらは囮だ‼︎」」

警備員1・2・須川・赤田爺「「「「何だ(じゃ)と⁉︎」」」」

 

 正直この2人はこんな事を考えそうだと思ったからね!だから横溝やムッツリーニと同じように道案内側に回ったのさ!

 

警備員1・2「「おい、待て‼︎」」

赤田爺・須川「「させるかぁ‼︎」」

須川「馬鹿な行動って罵られても構わない‼︎」

赤田爺「儂らの友情の名の下に……」

赤田爺・須川「「お前ら(御主ら)だけで行かせはしねえ‼︎」」

横溝・ムッツリーニ「「邪魔をするなぁぁぁぁ‼︎」」

警備員1・2「「………」」

 

 そしてこうなる事も想定済みだ‼︎だから俺は全員の視線がドアに向いている隙に別の窓を開けて……………

 

昂哉「さらば!」ガッ!

 

 窓からキャンパス内に侵入だ‼︎

 

横溝「クソ‼︎」

ムッツリーニ「………全ては奴の掌の上だったというわけか……」

須川「やられた‼︎」

赤田爺「友としてきちんと止めてやるべきじゃったのに……」

 

 ざまあみやがれ‼︎これで強行突破は成功…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「あれ?思ったより窓が高くて届かないぞ?」ピョン!

警備員1「運動音痴過ぎないか……」

警備員2「まあ助かったのだが……」

ムッツリーニ・須川・横溝「「「「ざっこ。」」」」

赤田爺「歳じゃの。」

 

 しなかった。そのせいで俺たちはまとめて追い出された。

 

ムッツリーニ「………普通アレくらいよじ登れないか?」

昂哉「俺には………無理だった……」

赤田爺「75の儂とあまり運動神経が変わらない気がするのじゃが……」

昂哉「そんな事はない………はず‼︎」

 

 流石に75歳の人に負けたら俺のプライドがズタボロだよ………

 

須川「とにかく、どうすんだよこれから⁉︎」

横溝「お前らが俺らの足を掴むのが悪いんだろ⁉︎」

ムッツリーニ「………仲間の邪魔してどうする‼︎」

赤田爺「うるせえ、この裏切りモン共が‼︎」

須川「俺らが囮だなんて聞いてねえ‼︎」

警備員1「私らが言うのもアレだが……」

警備員2「君たち協力する気はないのかね?」

 

 コイツらには無さそう。

 

ムッツリーニ「………クソ、あと一歩のところで‼︎」

横溝「爪が甘かったか……」

須川「あれであと一歩なのか……」

赤田爺「御主らの歩幅はどんだけあるのじゃ……」

昂哉「俺もあと一歩だったのに………」

ムッツリーニ「………お前は典型的な運動音痴だろ。」

須川「しかし悠長にしている時間はないな。」

赤田爺「ここの女子大の競争率は高そうじゃしの。」

 

 そういえば今の時間は…………12時半か………。日本酒解禁の14時まではまだまだ時間があるけど、このままここでウジウジしてても飲めるはずもなし。ならなんとかしてキャンパスの中に入らなければ‼︎

 

昂哉「こうなりゃチケットの偽造を‼︎」

赤田爺「いや、儂が教授に変装して‼︎」

須川「怪我人のフリで‼︎」

ムッツリーニ「………空からパラシュートで‼︎」

横溝「じっちゃんと雲雀丘の金で警備員を買収して‼︎」

力哉「昂哉にじっちゃんとその仲間たちじゃないか?」

克哉「ここで何してるんだ?」

 

 うわ、びっくりした‼︎

 

昂哉「えっ⁉︎兄貴たちじゃん‼︎」

赤田爺「どうしてここにおるのじゃ?」

力哉「実はこの春からここの女子大に通っててな。」

克哉「今はこの学祭の裏方として働いてるのさ‼︎」

昂哉「なるほどね〜。それで今ここにいるのか〜。」

力哉・克哉「「だな。」」

赤田爺「それで御主らよ、中に入れてもらえるかの?」

力哉「まあ俺たちが警備員にかけあってみるか。」

克哉「任せとけ‼︎」

昂哉「サンキュー!」

赤田爺「助かったのじゃ‼︎」

ムッツリーニ・須川・横溝「「「ありがとうございます‼︎」」」

 

 よし、なんとか兄貴のおかげで入れそうだぜ‼︎あと一箇所明らかにおかしい部分があったけど気にしないでおこう‼︎

 

 

 

 

 

 しばらくすると、兄貴たちが戻ってきた。

 

力哉「警備員か俺たちの同行でなら入っていいそうだ。」

昂哉「よっしゃ‼︎」

赤田爺「助かったのじゃ‼︎」

ムッツリーニ「………それなら昂哉のお兄さんたちを同行、ということでお願いします。」

須川・横溝「「お願いします。」」

克哉「分かった!ではそう伝えとくぞ‼︎」

 

 ということで、中に無事入れる事が決まったぜ‼︎やっほぉぉぉぉ‼︎

 

昂哉「んじゃ、俺は酒を求めに行くから、他の皆はナンパ頑張ってね!」

須川「お前が手伝うはずなのでは?」

克哉「なんだ、そういう目的だったのか!」

力哉「それなら俺たちも今日しよう!」

昂哉「っていうこと‼︎」

須川・横溝「「なるほどな‼︎」」

赤田爺「それなら納得じゃ‼︎」

 

 ということで、他の皆はナンパに向かったのだが…………

 

ムッツリーニ「………俺は行くところがある。」

 

 ムッツリーニだけはついて行かなかった。

 

昂哉「あれ?ムッツリーニは行かないの?」

ムッツリーニ「………俺は女に興味はない。」

昂哉「えっ、マジで⁉︎それじゃあもしかして兄貴と付き合っちゃう系⁉︎」

ムッツリーニ「………俺はホモじゃない‼︎」

昂哉「え〜、じゃあなんなのさ?」

ムッツリーニ「………シスターの手伝いを途中で投げ出しちゃったから、最後までやり遂げようと思って。」

昂哉「何、もしかして女装に目覚めたの?」

ムッツリーニ「………それは違う。」

 

 コイツも謎に真面目だね〜。そんなにシスターが好きなのかな………いや、もしかしてあの理由かもしれない。

 

昂哉「工藤と一緒に居たいの?」

ムッツリーニ「………ち、違う///」

 

 この恥ずかしがりっぷり、間違いない!

 

昂哉「ムッツリーニって工藤の事が好きなんだ〜!」

ムッツリーニ「………ち、違うと言っている///」

 

 両片想い、熱いね〜!だからAクラス戦のとき工藤のために戦ったんだね!

 

昂哉「素直になりなよ〜!」

ムッツリーニ「………それならお前だって木下優子に対して素直になれ‼︎」

昂哉「いや、俺は素直だよ?それに、俺が好きなのは優子じゃなくて秀吉だから。」

ムッツリーニ「………嘘つけw」

昂哉「工藤に好きなことバラしていい?」

ムッツリーニ「………それだけはやめろ。」

 

 まあ素直に告っちゃえば付き合えるんだけどね〜。自分で告って欲しいので俺からは言わないよ。

 

昂哉「とにかく、シスターカフェに戻りたいんだね。」

ムッツリーニ「………ああ。」

昂哉「まあ俺も日本酒解禁まで時間があるし、一旦ムッツリーニについてくか!」

ムッツリーニ「………分かった。」

 

 ちなみに俺とムッツリーニは兄貴たちとは別行動になってる。警備員との話だとそれじゃあダメなのだが、兄貴たちが誤魔化してくれるとのことらしい。いつもはアレな兄貴たちだけど、今日はめちゃくちゃ助かってるぜ‼︎ありがとう‼︎

 

 

 

 

 さてと、そろそろシスターカフェに戻れるのか〜。優子がいるって事はおそらく秀吉もいるって事だよね〜。ということは秀吉のシスター姿が見られるのか!やったぜ‼︎これはムッツリーニに感謝だな‼︎

 

昂哉「ようやく戻れたね。」

ムッツリーニ「………ここまで長かったな。」

昂哉「ああ!」

 

 そして俺は意気揚々とカフェのドアを開けると……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「ねえ昂哉。さっき外で不法侵入をしようとしたって話を聞いたんだけど?

 

 悪魔シスターが出迎えてくれた………




 ということで警備員との戦いでした!最後は兄貴たちがなんとか助けてくれましたね。

 そしてムッツリーニと愛子は両片想いです!今までにもそれっぽい描写はいくつかありましたが、ここでムッツリーニの想いもハッキリさせておきました。

 さて、次回は女子大編の最終回です。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第二十五問 日本一の日本酒

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 俺は意気揚々とカフェのドアを開けると……………

 

優子「ねえ昂哉。さっき外で不法侵入をしようとしたって話を聞いたんだけど?

 

 悪魔シスターが出迎えてくれた………

 

昂哉「や、やだな〜優子!俺はそんな事なんかしないよ〜!」

優子「力哉と克哉から全部聞いたんだけど。無理矢理再入場しようとした話。」

昂哉「あっ………」

優子「とりあえず、厨房でラートムするわよ。」

昂哉「はい………」

 

 ということで、いつものように拷問を受けたのであった…………

 

 

 

 拷問後、俺の天使と悪魔が話しかけてきた。

 

昂哉「相変わらず身に染みる痛さだな………」

優子「アタシとしては説教が身に染みて欲しいんだけどね。」

昂哉「秀吉、どう思う………?」

秀吉「姉上がまたツンデレを発動したのかと思ったのじゃ!」

昂哉「お前は何を言ってるんだ?」

優子「ぶっ飛ばすわよ?」

秀吉「す、すまないのじゃ……」

 

 ツンデレは優子より島田の方でしょ。優子は好意は割と素直に示すからね。

 

秀吉「んで、姉上に何か言うことはないかのぅ?」

昂哉「すいませんでした。」

優子「よろしい。」

秀吉「いえ、そうじゃなくてのぅ………」

 

 そうじゃない?だとしたら…………

 

昂哉「優子、この修道服がめちゃくちゃ似合ってる秀吉を俺の嫁にくれ‼︎」

優子「却下。」

昂哉「そんなぁぁぁぁぁ⁉︎」

秀吉「そうじゃなくて、()()に言うことはないのかのぅ。」

 

 優子にね〜。

 

昂哉「もう俺の事を怒るのはやめてくれない?」

優子「無理。」

昂哉「そんなぁぁぁぁぁ⁉︎」

秀吉「う〜む。お主ならすぐに答えを言えると思ったのじゃが………」

優子「答えって何よ。」

秀吉「姉上が言って欲しい言葉なんじゃがな〜♪」

優子「ひ〜で〜よ〜し〜?またアタシのことをからかうようだったら………」

秀吉「ままま、待って欲しいのじゃ!」

 

 まあ言うことと言ったらアレだよね〜。

 

昂哉「優子。」

優子「な、何、昂哉?」

昂哉「秀吉をいじめるのはダメだぞ♪」

秀吉「お主はバカじゃったか………」

昂哉「な⁉︎そんなに呆れなくてもいいじゃん‼︎今までのは冗談だからさ!」

秀吉「だったら早く言ってやるべきじゃぞ?」

優子「な、何を?」

昂哉「分かった。優子、その修道服似合ってるよ♪可愛いと思う!」

秀吉「正解じゃ♪」

優子「ちょ⁉︎勝手に正解を設定しないでよ‼︎あああ、あと、ありがとう///」

昂哉「どういたしまして♪」パシャ、パシャ

 

 そう言って俺は優子と秀吉の写真をそれぞれ撮った。

 

優子「ちょ!今撮ったでしょ⁉︎」

昂哉「可愛いんだからい〜でしょ〜♪」

優子「あぅ………///」

 

 まあ別の目的があるんだけどね!

 

昂哉「それに脅迫とか何かに使えそうだしね!」

ムッツリーニ「………保健体育の自主練とか?」

 

 うぉい!ムッツリーニめ、急に現れんなや‼︎というかそんな事のために使わないよ‼︎

 

昂哉「ブチ殺すぞ。」

秀吉「姉上がいるのに自主練する必要があるのかのぅ?」

ムッツリーニ「………確かに。………実技が出来る!」ブッー、バタン

昂哉「勝手に変なこと言って勝手に鼻血噴いて倒れんなや。というか秀吉まで下ネタ言わないの!女の子なんだから!」

秀吉「ワシは男じゃぞ?」

昂哉「安心して。俺が立派な女にしてあげるから!」

秀吉「日本語がおかしいと思うのじゃが………」

 

 優子とそういうことを想像させないで!なんか恥ずかしいから!

 

優子「ととと、とにかく、お昼ご飯を食べないとね///」

昂哉「そうだね。俺は誰かさんに墨汁風味のコーヒー牛乳を飲まされただけだからね。」

優子・秀吉「「何(じゃ)、それ。」」

ムッツリーニ「………よろしければおかわりもありますが?」

昂哉「いらねえよ!とにかく、ここで注文してもいいかな?」

優子「か、かしこまりました!」

昂哉「んじゃあ、『聖なる小麦』1つ、『緑の恵み』1つ、『河からの使者(焼き鮭)』1つで!」

秀吉「ほら、姉上!」

優子「かしこまりました!」

昂哉「んじゃ、俺は空いてる席に座ってるね〜。」

優子「よろしく!」

 

 ということで、俺は空いてる席に向かって座った。

 

 

 

 

 

 料理が運ばれるまで周りを見渡してると、

 

明久「お客様、おタバコはご遠慮下さい。」

千華「あぁん?ここって禁煙って書いてないよね?なら良くない?」

明久「えっと………」

 

 クソ迷惑な客がいた。アイツは確か中学の時の同級生だった蕨千華(わらびちか)だよな〜。明久も困ってるし、ちょっと行ってくるか。

 

 

 

 そして俺は明久のところに着いて、蕨に声をかけた。

 

昂哉「いよぅビッ千華!久しぶりじゃん!」

千華「誰がビッチよ‼︎」

昂哉「えっ?俺は名前を呼んだだけなんだけど……」

千華「アタシの名前は千華‼︎というか恋人でもないくせに気安く名前で呼ぶんじゃないわよ!」

昂哉「苗字も一文字だけ入れてあげてんだけどな〜。じゃあ全部入れるか!」

千華「そうして。」

昂哉「じゃあ改めて!笑、ビッチか!久しぶり!」

千華「アンタぶっ殺すわよ‼︎このブサイクが‼︎」

明久「昂哉、ブサイクって言われたんならカッコつけた方がいいんじゃない?」

昂哉「確かに!じゃあ………(笑)、ビッチか!」

明久「おお!流石昂哉!」

昂哉「でしょ?」

 

 人前で吸うな言われたのに吸う奴にはこんくらい言わないとね!

 

千華「よし決めた。アタシは今からアンタら2人に死ぬほど副流煙を浴びさせるから。」

昂哉「それホントに死んじゃうよね⁉︎」

明久「お客様、どうか落ち着いて下さい!」

千華「誰のせいだと思ってんの⁉︎」

昂哉「キャンパス内全面禁煙なのにタバコ吸ってる奴のせいじゃね?」

明久「あ、そうだったんだ!」

 

 まあ明久は未成年だから知らなくてもしょうがないよね。

 

千華「アタシはタバコ吸わないと死んじゃうの!それに、酒がOKなのにタバコがダメっておかしくな〜い?」

昂哉「タバコは目に見えて副流煙っていう害があるからね。酒は飲んでも暴れない奴の方が多数だけど。」

千華「じゃあ電子タバコに変えますぅ〜!それでいいでしょ?」

昂哉「まあそれならいいんじゃね?明久、どう思う?」

明久「いいと思う………ってここで名前バラすなや‼︎」

 

 あっ♪

 

昂哉「うっかりしちゃった♪」テヘッ♪

明久「キサマヲコロス。

昂哉「こっわ〜い♪」

千華「コイツ男だったの?」

昂哉「そ〜だよ〜!」

千華「キモッ。」

明久「あぁぁぁぁぁぁ‼︎ふざけんなよ昂哉‼︎マジで殺すぞ‼︎」

昂哉「シスターがそんな乱暴な言葉使っちゃいけないでしょ?」

明久「なら………ラートムしますわよ。」

 

 そうくるとは思わなかったよ。

 

千華「コイツバカなの?」

昂哉「そうだね。吉井明久、2年を代表するバカって言ったら伝わる?」

千華「ああ、アイツね。」

明久「ちょっと⁉︎なんで知ってるんですか⁉︎」

千華「アンタはアタシら3年にも有名だからね。」

明久「3年………?」

 

 まあ知らないだろうし、明久にコイツの事を紹介してやるか!

 

昂哉「コイツは文月学園3年Aクラスで俺の中学の頃の同級生、蕨千華(20)だよ。」

明久「えっ⁉︎文月なんですか⁉︎しかも3年Aクラス⁉︎」

千華「悪い?」

昂哉「まあコイツはバカっぽく見えるからね〜。勘違いするのも無理はない。」

千華「殺すわよ。」

明久「というかなんで今年20歳なのに3年なんです?」

千華「最初の高校を2年のときに退学になったの。んで、その後文月に入学したってわけ。この高校は前の高校と違って罰則が緩いから気に入ってるわよ〜。」

明久「ええ………」

 

 あと明久にはコレを言っとかないと!

 

昂哉「明久、それとコイツには敬語使わなくていいからね?」

明久「なんで?僕は昂哉みたいに中学の頃の同級生じゃないんだけど………」

昂哉「なんせ敬語ってのは敬うべき相手に対して使う言葉だからね!」

明久「なるほど‼︎じゃあ要らないか‼︎」

千華「調子乗ってんじゃないわよ、ブサイク共‼︎」

昂哉・明久「「あぁん⁉︎」」

千華「いい?この世はまず顔面偏差値が重要なの。」

 

 でた、ビッ千華の顔面偏差値理論。ただ自分がイケメンが好きなだけなのに、さもこの世の真理みたいに言うから腹立つんだよね〜。

 

千華「それが低い男たちが高い男たちよりも偉そうにしてると痛い目見るわよ?」

昂哉「それただのテメェの主観でしょ!」

明久「で、でも蕨先輩は顔()いいから言い返せない……」

昂哉「確かに………顔()いいからね〜。」

千華「他も褒めなさいよ。」

昂哉「スタイルがいいね!」

明久「見た目がいいね!」

千華「中身は⁉︎」

昂哉・明久「「……………」」

 

 言わずもがなだね。

 

千華「まあ性格悪いのは自分でも分かってるわ。」

昂哉「流石ビッ千華!ちゃんと自分の事は分かってるんだね。」

千華「直す気は無いけど。」

明久「昂哉並のクズじゃん………」

昂哉「心外な‼︎俺はクズじゃないよ‼︎」

 

 クズはビッ千華だけだ‼︎

 

千華「それに、アンタもすっかり堕ちたもんね、雲雀丘。」

明久「堕ちた?」

昂哉「堕ちたっていうより本性が現れただけだよ。」

千華「なるほどね〜。まあ、昔の『the優等生』みたいなアンタよりは今の方が好きだわ。」

明久「えっ⁉︎嘘でしょ⁉︎」

昂哉「そりゃど〜も。」ポンポン

 

 ん?誰かに肩を叩かれたぞ?

 

優子「あの、料理を持ってきたんだけど……」

 

 あっ、優子ね。

 

昂哉「センキュー、優子!」

優子「ど、どうも………///」

千華「へぇ〜。アンタにも名前で呼ぶ間柄の女の子がいるんだね〜。」

昂哉「いや、コイツが双子で、かつもう片方とも知り合いだからこうしてるだけさ。」

明久「そこはちゃんと自分の彼女って言ってあげなよ。」

千華「えっ⁉︎彼女⁉︎アンタ作らない主義じゃなかったの⁉︎」

昂哉「無理矢理付き合わされてんの。」

千華「それってどうなの?」

昂哉「試召戦争で負けた罰みたいなもんよ。」

千華「へぇ〜。」

 

 う〜ん。こういう時って意外と優子は何も言い返さないから、かえって困るんだよね〜。優子を悪者にするのもアレだから、ここはちょっと言っておくか。

 

昂哉「まあ飯とか毎日作ってくれるから、一概に悪いとは言い切れないかも!しかもめっちゃ飯旨いし!説教が多いのはアレだけど。」

優子「えっ………///」

明久「おお!やっと素直になった!」

昂哉「いや、最初から素直だよ?」

 

 なんか皆俺と雄二を一緒みたいなもんだと思ってるよね。俺は雄二と違って割と正直に生きてるのにな〜。

 

千華「ちゃんと無理矢理付き合わせたなりの事はしてるのね。」

優子「は、はい…///」

千華「あとアタシはコイツを奪う気無いから、安心しなさい。」

昂哉「なんせブサイクには興味ないもんね〜。」

千華「その通り!」

優子「よ、喜んでいいのやら……///」

昂哉「まあいいんじゃない?」

明久「なんせライバルが減ったんだもんね!」

 

 まあ俺があの時科目選択を間違えなかったらこうなってないんだけどね。

 

昂哉「んじゃ、俺は席に戻って……」

千華「待ちなさい。」

昂哉「えっ?なんか話でもあんの?」

千華「アタシが狙ってる男の話よ。」

 

 コイツは本当に欲望に正直だね〜。

 

昂哉「んで、誰なの?」

明久「僕たちの知ってる人ですか?」

千華「文月の2年だから、もしかしたら知ってるんじゃないかな?」

昂哉「んで、誰なのさ?」

千華「久保利光。」

昂哉・明久「「えっ⁉︎」」

 

 ま、マジか…………。確かにイケメンだけど………

 

千華「何、文句でもあんの?」

昂哉「いや、心の貧富格差が凄いな〜、って思ってて。」

明久「確かに!」

千華「あぁん⁉︎」

昂哉「それに、奴はお前如きじゃ相手にならないよ?」

千華「何よそれ‼︎もしかして理想がめちゃくちゃ高いとか⁉︎」

昂哉「高いっていうか…………()(がた)ね。」

明久「度し難い⁉︎」

千華「何よ、その表現………」

優子「久保とは同じクラスですけど、それで合ってますね。」

明久「そうなの⁉︎」

千華「合ってるんだ………」

 

 だってソイツの好きな人明久なんだもん。しょうがないじゃん。

 

昂哉「ってなわけで、大変だけど頑張ってね〜。」

千華「なんかあったらアンタらか彼女さんの誰かに聞くから。」

優子「えっと、一応連絡先です。」

明久「僕も。」

千華「センキュー。」

 

 ということで俺は自分の席に戻って料理を食べる事にした。

 

 

 

 

 

 

 料理を食べ終わってしばらくした後、ついにお酒が解禁される時間になったので…………

 

昂哉「優子、俺はお酒飲みに行くね。」

優子「は〜い。それじゃあまたね。」

昂哉「バ〜イ!」

 

 シスターカフェに別れを告げて醸造部の場所まで向かった。

 

 

 

 そしていざそこに辿り着くと、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

醸造部員1「あれ、雲雀丘コーチに顔そっくりじゃない、この人?」

醸造部員2「ホントだ〜!すいませんお客様、雲雀丘力哉さんと克哉さんって知ってます?」

 

 まさかの展開になった。というかアイツらがコーチ⁉︎どういう事⁉︎

 

昂哉「えっと、一応弟です。兄がいつもお世話になっております?」

醸造部員1・2「「やっぱり〜♪」」

昂哉「兄は何者なんですか?」

醸造部員1「この春からうちの部活のコーチをしていてね。」

醸造部員2「お兄さんたちのおかげで日本一になったんですよ!」

 

 そういうことね。だから春から通い始めた女子大って言ってたのか。

 

昂哉「なるほど!それなら意外と貢献してるんですね!」

醸造部員1「意外と、って………」

醸造部員2「素直じゃないね〜。」

昂哉「いや、俺はいつだって素直ですよ?」

醸造部員1・2「「まあまあ!」」

醸造部員1「それはともかく、私たちが造った日本一の日本酒を堪能してってね〜。」

醸造部員2「飲み方はどうする?」

昂哉「冷やで!」

醸造部員2「おつまみは?」

昂哉「う〜んと、それじゃあ刺身セットで!」

醸造部員2「は〜い!」

醸造部員1「それじゃあお席まで案内します!」

昂哉「よろしくお願いします!」

 

 ということで席につき……、

 

醸造部員1「お待たせしました!こちらが私たちが日本一を取った『皐月乙女』と、おつまみのお刺身になります!」

昂哉「ありがとうございます!」

 

 料理が運ばれてきたので、いよいよ日本酒タイムの始まりだ!

 

 

 

 

 さてと、まずは香りを楽しむとしますか!日本酒を少し鼻に近づけて………っと!なるほど、香りは控えめな感じだね。となると味はおそらく……………

 

昂哉「………」ゴクッ

 

 やはり!醸造部というからには本醸造酒らしい、淡麗でさっぱりしていて、少し辛口の味か!冷やで飲んでるのも相まって、喉をお酒がすっと通り抜けていく爽快感がとても素晴らしい!これは夏に飲むのにはぴったりだ!流石は日本一、飲んでも飲んでも飲み足りない!

 

 そして出された刺身は………鯛やスズキなど、見事に白身魚ばかり!一般的に淡麗でさっぱりしている味の物には白身魚が合うとされている。またマグロなどの赤身魚はそれ自体の味がかなり強いため、同じく味の強い日本酒が合うとされている。そして今回の『皐月乙女』はかなりさっぱりとした味だ。つまり刺身もお酒に合う物をチョイスしてるというわけか!流石すぎる、この醸造部は……!兄貴たちも凄いもんだね!

 

 そこから先は、日本酒と刺身を味わう極上の時間が続いた。人生でもこれから先そう味わう事がないくらい、極上の時間だった。本当に来てよかった!本当に兄貴に中に入れてもらえてよかった!そう思えた日だった。




 ということで女子大編、終了です!昂哉は無事日本一の日本酒を飲む事が出来ましたね。おめでとう!

 そしてこの前アンケートを取ったオリキャラ、蕨千華(笑、ビッチか)が登場です!タバコが大好きな性悪女です!ちなみにCV.は東山奈央です。咲-Saki-の新子憧を性悪にした感じですね。

 さて、次回からはプールの話になります。明日の同じ時間からです。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第五章  プール
第二十六問 反省文


この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 明久

 

 僕はある日雄二と2人で、僕の家で遊んでいた。昂哉も誘ったんだけど、今日はパチンコ打つから来れないって言われたよ。

 

明久「あれ?雄二、何か買ってきたの?」

雄二「食い物だ。お前の家にはろくな物がないからな。」

 

 そう言って雄二はコーラ、コーヒー、カップラーメン、カップ焼きそばをテーブルの上に出した。

 

明久「へぇ〜。差し入れなんて、随分気が利くね。珍しく。」

雄二「殺すぞ。」

明久「まあまあ。それより、雄二はどっちにするの?」

雄二「俺か?俺は………コーラとコーヒーとラーメンと焼きそばだ。」

 

 ふざけんなよ⁉︎

 

明久「雄二キサマ‼︎僕には割り箸しか食べさせない気だな!」

雄二「待て‼︎割り箸だけでも食おうとするお前の思考に一瞬引いたぞ⁉︎というか割り箸がないと素手で食う羽目になるだろうが。」

 

 それでいいじゃん‼︎

 

雄二「まあ割り箸はやらんがお前の分もちゃんと買ってある。」

明久「なんだ。やっぱり僕の分もあるんじゃないか。」

 

 それなら安心したよ!

 

雄二「まぁ、遊園地では俺と昂哉が世話になったからな。感謝の気持ちだ。」

明久「うんうん。そう言ってもらえると、僕も苦労した甲斐があるよ。」

 

 さてと、中身は何が入ってるかな〜。えっと、こんにゃくゼリーと、ダイエットコーラと、ところてんか……………って!

 

明久「僕の貴重な栄養源がぁぁぁぁ⁉︎」

雄二「気にするな。俺の感謝の気持ちだ。」

明久「クソ!全然感謝してないじゃんか⁉︎全く、あの計画のためにどれだけ苦労したと思ってるんだ!」

雄二「うるせえ‼︎お前こそ俺があれ以来どれだけ苦労してるか知ってるのか⁉︎この間なんて女子大で7時間も映画を見せられてたんだぞ⁉︎」

 

 ヒートアップした僕たちは、気がついたら片手にコーラを持っていた。

 

明久「………やる気かい、雄二?」

雄二「ああ、お前や昂哉とはちゃんと決着をつけようと思っていたところだ。」

明久「上等!早撃ちで僕に挑んだことを後悔するがいいさ‼︎」

雄二「ケッ!口だけは達者だな‼︎」

 

 さあ、やってやろうじゃないの‼︎タイミングを上手く見計らって…………

 

 

 

ピ〜ンポ〜ン♪

 

 

 

 って家のチャイムが鳴って…………ってタイミング悪‼︎

 

雄二「誰か来たみたいだな。」

明久「とりあえず一時休戦にする?」

雄二「そうだな。」

 

 ということで突如鳴ったチャイムにより僕たちは手に持ってたコーラをテーブルの上に置いた。

 

 

 

 そして僕は玄関まで行き、

 

明久「は〜い!」ガチャ

 

 そう言ってドアを開けると、そこには………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「頼む明久‼︎俺を匿ってくれ‼︎」

 

 全裸の昂哉がいた。

 

明久「人違いです。」ガッ!

昂哉「ちょっと待ってよ‼︎勝手にドアを閉めないで‼︎」

明久「閉めるに決まってるじゃん‼︎全裸の酒臭いおじさんがドアの前にいたらさ‼︎」

昂哉「待ってくれ明久‼︎これには理由があるんだ‼︎」

明久「ならその理由を留置場で話すことだね!」

昂哉「待った!話はもういい‼︎その代わり…………」

 

 昂哉は何を言うつもりなんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「着ている物を脱いでくれ。」

 

 それを聞いた瞬間、気がついたら僕は手が出ていた。

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 明久め、俺の事を殴り飛ばした挙げ句、ドアを閉めて鍵をかけた上に優子まで呼びやがるとは………。とはいえ服をなんとかしないと…………

 

 そもそも俺がこうなったのには理由がある。

 

 

 

 

 

 昨日、俺は兄貴たちと一緒に公園で飲んでいた。

 

昂哉「この間の女子大の日本酒は美味しかったよ〜!」

力哉「だろ?」

克哉「アイツらも中々やるよな。」

昂哉「流石兄貴たちの教え子だね!」

克哉「ああ‼︎本当に、学生たちが日本一を取れて本当に良かったぜ!」ぬぎっ

力哉「だな‼︎助言した甲斐があったもんだ‼︎」ぬぎっ

 

 うんうん。めちゃくちゃいい事言ってるのは分かるんだけどさ………

 

昂哉「なんですぐ服を脱ぐの?ここ公園だよ?」

 

 脱衣癖はどうにかしようよ。

 

力哉「何言ってんだお前?」

克哉「もしかして優子と付き合い始めてからシャイボーイにでもなったんか?」

昂哉「んなわけないでしょ‼︎今の自分の格好分かってる?」

力哉「そんな事はどうでもいいだろ。」

昂哉「良くないでしょ‼︎公園で脱いだら公然猥褻になるよね⁉︎」

克哉「おいおい昂哉、お前は誤解してるぞ。」

昂哉「何をさ⁉︎」

 

 まさか公然猥褻の内容を誤解してたとか?

 

克哉「俺たちは決して服を脱ぐつもりは無かったんだ。」

 

 そうなんだ。兄貴たちも意外とまともだったんだね。

 

力哉「ただ自然と脱げていただけだ。」

昂哉「それがおかしいんだよ‼︎」

 

 前言撤回。全く、真面目な方に考えて損したぜ!

 

力哉「というか昂哉、お前は食わず嫌いが多くなったんじゃないか?」

昂哉「突然どうしたのさ?俺はそんな事ないと思うけど。」

克哉「そんな事あるだろ?やった事がないのに文句を言ってるんだから。」

力哉「その通りだ。やった事もないのに全裸で公園で酒盛りするのは良くないなどと………」

昂哉「それは俺が正しくない⁉︎」

力哉「とりあえずいつものようにスピリタスを飲んで、野球拳から始めてみるべきでは?」

克哉「お前も好きだろ、野球拳。」

昂哉「まあ………」

克哉「なら丁度いいじゃないか。」

昂哉「丁度良くない‼︎とにかく、俺は絶対に兄貴みたいに脱がないからね‼︎」

 

 そう言ったのを最後に俺の記憶は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 そして翌朝……………

 

優子(LINE)『ねえ昂哉、今全裸で公園にいるんでしょ?』

 

 悪魔からのLINEで目を覚ますと…………そこは昨日飲んでいた公園だった。しかも全裸。マズい‼︎早く服を着ないと優子に怒られる‼︎そう思って服を探してみたものの…………見当たらなかった。しかも兄貴たちは、

 

力哉(LINE)『醸造部の仕事に行くわ。』

克哉(LINE)『俺も。だから家の鍵は優子に渡しておいたぞ。』

 

 とだけ残して居なくなっていた。マジで最悪だ………。これじゃあ家に帰るためには一回死ななきゃいけなくなる。だったら優子が来る前にここから逃げて誰かの家に行かないと‼︎そしてそこで服を貸してもらうんだ‼︎

 

 

 

 

 そう思って明久の家に行ったが失敗し、現在に至る…………

 

優子「た〜か〜や〜?出ておいで〜?」

 

 悪魔の声が聞こえる。今は俺には気づいてないみたいだ。それにしても、ここからどう逃げようか………。今は明久の家のベランダ側にまわって草むらに隠れているが、それは単なる一時的なしのぎにしかならない。少しでも外に向かえば確実に死ぬ。しかしここに居続けても確実に死ぬ。万事休すか……………いや、まだ策はある。明久の家は2階だが、やってみる他ない。キツイのは承知だが、ここで死んでたまるか!

 

 命の危機に瀕した生き物は、爆発的な力を発揮する。ハードルより高い物を飛び越えた事が無いような運動音痴でも、他人の力を借りずに窓から逃げる事が出来ると知っている。身体が赫く染まるのを回避するのは、死の淵に己が追い詰められてこそ発揮される…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

万力の握力

 

 

 

明久「ちょっと雄二⁉︎ベランダに昂哉がいるんたけど⁉︎」

雄二「マジかよコイツ⁉︎まさか排水管をよじ登ってきたのか⁉︎」

昂哉「ああ…………」

明久「嘘でしょ⁉︎運動音痴じゃなかったの⁉︎」

昂哉「これが………俺の本気だ……」

 

 こうして俺は無事排水管をよじ登って、明久の家のベランダに入る事が出来た。

 

昂哉「んで、とりあえず優子を追い払ってから、明久の服を貸してくれない?」

明久「わ、分かったよ………。サイズ合わないと思うけど。」

昂哉「気にしないよ。それと、なんで2人ともびしょびしょなの?」

雄二「コーラぶっかけバトルをしてたらヒートアップしてこうなった。」

昂哉「2人とも本当にバカだね。」

明久・雄二「「お前にだけは言われたくないね(な)。」」

昂哉「うるさい‼︎かくかくしかじかだったから俺はこうなったんだよ‼︎」

明久「馬鹿じゃないの?」

雄二「毎度毎度年上として、俺達の反面教師になってくれてありがとな。」

昂哉「ブチ殺すぞ。」

 

 俺だってなりたくてなってるわけじゃないんだよ‼︎

 

雄二「まあとにかく、俺はシャワー浴びるぞ〜。」

昂哉・明久「「は〜い。」」

 

 そう言って雄二は風呂へと入っていった。

 

明久「それと昂哉はこの服を着て。」

昂哉「センキュー‼︎あぁ^〜、やっぱり服は人類の叡智だぁ^〜♪」

明久「ええ………」

 

 明久も脱げば分かると思うよ?最もお前の場合は警察以外の誰にも怒られない上、姫路にお持ち帰りされそうだけどね。

 

明久「あ、そういえば雄二、言い忘れてたけど………」

雄二「なんだ明久?」

明久「ガス止められてるから水しか出ないよ?」

雄二「ほわぁぁぁ⁉︎」

 

 草。生活費をゲーム代に使ったせいだね。

 

雄二「先に言えやコラ。」

明久「ごめんごめん。えっとね、心臓に近い位置にいきなり冷水を当てると身体に悪いから、まずは手や足の先にかけてから徐々に………」

雄二「誰が冷水シャワーの浴び方を説明しろと言った⁉︎」

 

 なるほどね!じゃあ俺も雄二に教えてあげるか!

 

昂哉「雄二、冷水シャワーってのはサウナとセットで使うもんだよ!」

雄二「冷水シャワーを使うタイミングを求めてるわけじゃない‼︎それに、サウナなんてこの家にないだろ⁉︎」

昂哉「夏のベランダや玄関の外って露天サウナだと思わない?」

雄二「ただの屋外だろうが、それ‼︎」

昂哉「何熱くなってるのさ、雄二?」

明久「そうだ!冷たいシャワーでも浴びて頭を冷やしたら?」

雄二「たった今浴びたから熱くなってるんだボケ!」

 

 なるほどね〜。

 

昂哉「じゃあ涼しい話でもしてやろうか?」

雄二「そう言う問題じゃないだろ⁉︎」

昂哉「雄二が女子高生をナンパしている合成写真を作って、それを霧島に送ってやろうか?」

雄二「怖い話をして涼ませるな‼︎」

 

 あ〜面白いね〜w

 

雄二「クソ!とにかくこのままだと風邪をひいちまう………」

昂哉「俺も長いこと服着てなかったから風邪ひいちゃうかも〜。」

明久「う〜ん。そう言われても、今からじゃどうにもならないしな〜。」

雄二「やれやれ………仕方ない2人とも、外に出るか。」

 

 なるほど、どこかの施設にあるシャワーを浴びるのね。

 

明久「外?あ、そっか、雄二か昂哉の家に行くのか。」

昂哉「俺の家の鍵は今持ってないから入れないよ。」

明久「マジか………。それじゃあ雄二の家だね。」

雄二「それでもいいけどな。どうせならシャワーだけじゃなくてプールもある所に行こうぜ。」

 

 なるほどね〜。ちょっと遠くにあるスーパーリゾートの事か………。でも最大の問題があるんだよね。

 

昂哉「俺今車の鍵持ってないんだよね〜。」

明久「それじゃあスーパーリゾートには行けないか……」

雄二「あのな。シャワーもプールもあって、ここから近くて、尚且つ金もかからないところがあるだろうが。」

 

 なるほど、そっちね‼︎

 

昂哉・明久「「OK!」」

明久「すぐに用意するよ。それより2人は水着どうするの?」

雄二「俺はボクサーパンツで泳ぐさ。水着と大して変わらないだろ。」

昂哉「俺は貸してくれると助かる!」

明久「りょ〜かい!」

 

 ということで俺たちはプールに向かい…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄人「で、何か言い訳はあるか?」

 

 鉄人に見つかって怒られた。使ったのは学校のプールさ!

 

昂哉・明久・雄二「「「コイツらが悪いんです‼︎」」」

明久「って悪いのは明らかに雄二と昂哉じゃないか‼︎雄二はまともな差し入れくらいしてよ!」

雄二「それは違うだろ明久!ガス代ぐらいちゃんと払えよ!」

明久「何を言うのさ!水が出るだけマシじゃないか!」

雄二「お前の家は水すら出ないこともあるのか⁉︎」

昂哉「ということで、この2人のせいです!」

明久・雄二「「お前が公園で酔って脱いで服を無くしたせいでもあるでしょ(だろ)‼︎」」

昂哉「俺は決して服を脱ぐ気は無かったの‼︎ただ自然と脱げていただけなの‼︎」

鉄人「もういい。よく分かった。」

 

 納得してくれたようでなによりだ。

 

昂哉「分かってもらえたようで良かったです!」

雄二「んじゃそろそろ帰るか。時間もいい加減遅いしな。」

明久「そうだね。それじゃあ西村先生、失礼しま……」グイッ!

 

 うわ!鉄人にお思いっきり引っ張られたんだけど⁉︎

 

昂哉・明久・雄二「「「ぐえっ⁉︎」」」

鉄人「そう急ぐな3人とも。帰るのは恒例のヤツをやってからでも遅くはないよな?」

 

 ま、マジかよ⁉︎

 

明久「そ、そうですね……。是非そうさせてもらいます……」

雄二「俺もそうさせてもらう……」

昂哉「俺も………」

 

 ということで恒例の反省文タイムとなった。

 

鉄人「よし。じゃあ今から言う日本語を英訳しろ。」

昂哉・明久・雄二「「「ほ〜い。」」」

鉄人「『私は使用者の許可なくプールを使った事を反省しています。』」

昂哉「♪♪♪♪(鼻歌)」

鉄人「どうした雲雀丘。お前ならすぐ書けるだろ。」

昂哉「ワイは関西弁以外は日本語として認めんで。」

鉄人「標準語も認めろ‼︎」ドゴォ‼︎

昂哉「痛えぇぇぇぇ‼︎」

 

 マジでコイツのゲンコツ痛いんだよ‼︎流石にガチムチの男なだけあって優子よりも力強いし‼︎

 

明久「先生、出来ました!」

鉄人「どれどれ………はぁっ………」

明久「えっ?なんで溜息をつくんですか?」

鉄人「坂本と雲雀丘、読んでみろ。」

昂哉・雄二「「ほ〜い。」」

 

 明久の書いた文は………なるほどね〜。

 

昂哉・雄二「「I reflect on having used the poor without owner's permission.」」

鉄人「じゃあ訳してみろ。」

昂哉・雄二「「私は所有者の許可なく貧民層の人々を使った事を反省しています。」」

鉄人「貴様は奴隷商人か。」

明久「あれ、どうしてこんな文章に?」

 

 ここは俺が教えてあげるか!

 

昂哉「明久、poorじゃなくてpoolだね!」

鉄人「その通りだ!というかこれは中学校で習うような単語だぞ‼︎」

明久「しまった!唯一自分で考えた部分だったのに!」

 

 やっぱコイツは真性のバカだね。

 

鉄人「さて次行くぞ。『私は反省しているので、来週末プールの掃除を行います。』」

明久「そうですか。それは大変そうですね。頑張って下さい。」ボゴッ‼︎

鉄人「英訳しろ。」

明久「痛ったぁ‼︎」

雄二「クソ!鉄人に見つかったのが運の尽きだったか‼︎」ボゴッ‼︎

鉄人「西村先生と呼べ。」

雄二「痛え……………」

昂哉「I think that that Japanese is wrong because there is no causal relationship between cleaning a pool and reflecting on using a pool.(私はその日本語は間違っていると思います。なぜならプール掃除をする事と、プールを使った事を反省する事との間には何の因果関係も無いからです。)」ドゴォ‼︎

 

 痛ったぁ‼︎英作文までしてやったのになんで殴られたの⁉︎

 

鉄人「英作文能力は認めるが、言われた事をしっかりと英訳しろ。」

 

 この理不尽教師が…………

 

 こうして俺は大人しく反省文を書いてその日は帰った………。ちなみに兄貴が無事家にいてくれたおかげでなんとか優子を回避する事が出来たよ。やったね!

 

 

 

 ちなみに週休明けは優子に会うのが怖かったので学校を1週間丸々サボる事にした。その間に家に来られても困ると思ったので、急遽ぶらり東北一周旅をしたよ!

 

 福島はいわきのハワイアンズに会津若松城、宮城は仙台城の伊達政宗像に松島にニッカウヰスキー工場、山形は高畠ワイナリーに銀山温泉、岩手はわんこそばに平泉、秋田は乳頭温泉にきりたんぽ鍋、青森は弘前城に八戸の海鮮丼、そしてほぼ東北みたいな函館は五稜郭に100万ドルの夜景と、めちゃくちゃ楽しかったぜ!

 

 いつかは友達を連れて行きたいな!欲を言えば我が天使、秀吉と2人きりでも行きたいな!そう思った旅行だった。

 

 

 

 

 そしていよいよ週末、準備を整えて意気揚々とプールに向かうために家を出た俺を……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「た〜かや♪アタシと一緒にプール掃除に行こうよ!」

 

 悪魔が出迎えてくれた。




 ということで勝手にプールを使って怒られる話でした。昂哉が服を脱いで記憶を飛ばしたり、明久の家に全裸でやってきたり、優子から逃げるために排水管をよじ登ったりと、オリジナル要素が多めな話でした。

 さて、次回からプールに入ります。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第二十七問 プールといったらカクテルっしょ!

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 いよいよ週末、準備を整えて意気揚々とプールに向かうために家を出た俺を、

 

優子「た〜かや♪アタシと一緒にプール掃除に行こうよ!」

 

 悪魔が出迎えてくれた。

 

昂哉「人違いです。」

優子「嘘ついたら腕一本折〜る♪指も切る♪」

昂哉「針千本飲ます、指切った、みたいに言うな‼︎」

優子「はいはい。それで、公園で全裸になって酔い潰れてたこと、学校のプールを勝手に使ったこと、1週間学校をサボったことの3つについて聞かせて欲しいんだけど?」

昂哉「俺は今から学校のプール掃除があるからまたね!」

優子「いや、アタシもそれ参加するから。」

昂哉「えっ?」

 

 マジで?優子と今日一日一緒に居なきゃいけないの?

 

昂哉「な、何故に?」

優子「秀吉が誘ってくれたの。プールを掃除する代わりに自由に遊べるって坂本が言ってたらしいから。」

昂哉「それで秀吉や姫路たちも巻き込んで遊ぶ事になった、と?」

優子「そう。」

 

 なるほどね〜。

 

昂哉「んじゃあ、人は足りてるみたいだから俺はこの辺で……」ガッ

優子「アタシから逃げられると思った?」

昂哉「すいませんでした。」

 

 うぅ………。距離が近すぎると火事場の馬鹿力も発揮できないよ…………

 

昂哉「んで、いつもの通り拷問するわけね。」

優子「それは掃除終わってからね。今痛めちゃうと出来ないから。」

昂哉「無駄に親切な設計だね………」

優子「それはど〜も。」

 

 出来ることなら拷問しないで欲しいんだけどな〜。

 

 

 

 

 歩きながら今までの事情を話していると、遂に学校に着いた。

 

昂哉「おひさ〜!」

秀吉「本当に久しぶりじゃな。」

明久「学校サボって何してたの?」

昂哉「東北旅行!」

明久「うお!楽しそう!」

秀吉「ワシも行ってみたいのじゃ!」

昂哉「平日がおすすめだよ!安いし空いてるから!」

 

 学生の特権だね!

 

優子「アンタマジでぶっ飛ばすわよ?」

昂哉「ごめんなさい……」

姫路「雲雀丘君は相変わらずですね……」

島田「少しは反省しないの?」

昂哉「俺の辞書にそんな文字は無い‼︎」

優子「なら書き足して。」

昂哉「はい…………」

葉月「メイドのお姉ちゃんはおじさんより偉いんですかっ?」

昂哉「いや違………」

明久・島田「「そうだよ(ね)!」」

昂哉「本当に違うからね⁉︎」

 

 一応は対等な関係だからね⁉︎それにしても葉月ちゃんまでいるんだ。きっと家を出る島田を見つけて駄々をこねたんでしょう!

 

 それにしても、若干名足りないような………

 

昂哉「皆、ムッツリーニと霧島夫妻は?」

姫路「霧島夫妻は今プールの鍵を取りに行ってます。」

明久「ムッツリーニはあそこにいるよ!」

 

 そうして明久が指差した方向を見ると………

 

ムッツリーニ「………カメラ、ヨシ!」

工藤「ムッツリーニ君、それ意味ないんじゃない?」

ムッツリーニ「………何故だ、工藤?」

工藤「だって水着なんか見たら鼻血出して倒れちゃうでしょ?」

ムッツリーニ「………俺を甘く見てもらっちゃ困る。」

工藤「どゆこと?」

ムッツリーニ「………この通り、輸血の準備は万全!」

工藤「鼻血の予防は諦めたんだね。」

 

 カップルがイチャイチャしていた。というか工藤も来てるんだね。

 

昂哉「確かにあのカップルには近づきにくいよね〜。」

明久「そっとしといてあげるか!」

優子・島田「「だね!」」

工藤「ちょ、ちょっと⁉︎変な話が聞こえてきたんだけど⁉︎」

優子「愛子、こっちの事は気にしないで〜!」

工藤「気にするよ!」

ムッツリーニ「………そそそ、そんな事より秀吉の水着が知りたい!」

 

 ムッツリーニめ、恥ずかしいからって話題変えやがったな!でも確かにそれは気になる!

 

昂哉「何、新しいのでも買ったの⁉︎」

秀吉「その通りじゃ!」

 

 マジか⁉︎今日来て良かったぜ!

 

昂哉・明久・ムッツリーニ「「「楽しみ〜!」」」

秀吉「ちなみに買ってきた水着じゃが………」

昂哉「どんな感じのやつ?」

秀吉「トランクスタイプじゃ‼︎」えっへん!

昂哉・明久・ムッツリーニ「「「そんなぁぁぁぁぁ‼︎」」」

 

 どうして神は僕らにこんな試練を与えるんだ!そんな男物なんかじゃ全てが台無しじゃないか‼︎

 

秀吉「最近お主らは、というか昂哉に至っては前からワシを女として見ておるようじゃからな。ここらで一度ワシが男じゃということを再認識させようと………3人とも聞いておるか?」

明久「酷いよ秀吉!君は僕らのことが嫌いなの⁉︎」

ムッツリーニ「………見損なった!」

昂哉「俺たちの友情と劣情を返してくれ‼︎」

秀吉「な、なんじゃ⁉︎なぜワシは責められておるのじゃ⁉︎」

 

 何故分からないんだ⁉︎この可愛い子ちゃんめ!

 

姫路「き、気にしなくていいと思いますよ、木下君。」

優子「………実の弟がBL的展開に巻き込まれるのはありかも……………でも本人は女の子にしか興味はないし………」

明久「木下さん?」

優子「い、いや!なんでもないよ‼︎」

秀吉「姉上は自分の趣味にワシを巻き込まないで欲しいのじゃ。」

優子「秀吉?

秀吉「な、なんでもないのじゃ………」

 

 そういえば優子が腐女子なのって学校では俺と秀吉と玉野くらいしか知らないんだっけ?別に隠すようなことじゃないと思うんだけどな〜。

 

 そんな事を思ってると………、

 

雄二「おう、きちんと遅れずに来たようだな。特に昂哉。」

霧島「…おはよう。」

 

 霧島夫妻がやってきた。

 

昂哉「あったりまえさ〜!俺を誰だと思ってるの?」

雄二「清涼祭当日に超寝坊したクズ。」

昂哉「うるせえ‼︎」

優子「アンタに言い返す権利はないと思うけど?」

昂哉「すいませんでした。」

雄二「相変わらず木下の尻に敷かれてるんだな。」

昂哉「うるせえ‼︎そっちこそ夫婦2人で何の共同作業をしてたの⁉︎」

霧島「…夫婦で共同作業///」

雄二「俺は夫婦じゃねえ‼︎ただ職員室にプールの鍵を取りに行ってただけだ‼︎」

昂哉「ホントにそれだけ?」

霧島「…先生の目が厳しくて他の事が出来なかった///」

昂哉「な〜んだ、なら残念♪」

雄二「お前は俺に何しようとしたんだ⁉︎」

 

 ぶっちゃけ2人で歩いてると夫婦にしか見えないけどね〜w。俺&優子と違って。

 

雄二「よし、みんなも居るようだし、早速着替えるとするか。」

昂哉・明久「「ほ〜い。」」

雄二「女子更衣室の鍵は翔子に預けてあるからついて行ってくれ。着替えたらプールサイドに集合だ。」

全員「「「「「は〜い!」」」」」

 

 ということで、

 

 

 

男子更衣室→昂哉、雄二、明久、ムッツリーニ、秀吉、葉月

女子更衣室→優子、姫路、島田、工藤、霧島

 

 

 

 このメンツになった……って!女の子が男側に2人混じってるじゃないか!

 

明久「こらこら。葉月ちゃんと秀吉は女子更衣室でしょ?」

昂哉「ちゃんと自分の性別を守らないとダメだよ?」

葉月「えへへ、冗談ですっ!」

秀吉「ワシは冗談ではないのじゃが……?」

島田「ほら遊んでないで行くわよ、葉月に木下。」

秀吉「し、島田⁉︎ついにお主までそんな目でワシを見るように⁉︎」

優子「美波、秀吉はあの見た目でも男なんだから、ちゃんと男扱いしてあげなさい。」

島田「は〜い!」

秀吉「姉上がそう言ってくれると助かるのじゃ………とにかくワシは男子更衣室に………いや女子更衣室にこのまま行けば着替えが見れるのでは?……」

優子「ぶっ飛ばすわよ、秀吉?」

秀吉「じょ、冗談じゃ。」

 

 待てよ?この状況、うまく利用出来るのでは?

 

昂哉「それじゃあ秀吉が男子更衣室に行く代わりに、俺が女子更衣室に行くのはどう?」

優子「却下。」

 

 どうやらダメみたいだ………

 

工藤「優子と2人きりだったら良かったんだけどね〜。なんせ他の子もいるからね!」

優子「ちょ、ちょっと愛子⁉︎何言ってんの⁉︎」

工藤「いや、別に〜w」

優子「そういう愛子こそ、2人きりで着替えたい人がいるんじゃないの〜?」

工藤「そ、そんな事はないよ⁉︎ボクは誰に覗かれても平気さ///」

優子「いざ覗かれたら恥ずかしがるくせに〜w」

工藤「じゃあ優子と雲雀丘君は後から2()()()着替えてね!」

ムッツリーニ「………」ブー、バタン

優子「ちょ、ちょっと⁉︎そういうのはまだ早いような……///」

昂哉「俺もそういうのはちょっと……///」

工藤「そうかな〜w」

昂哉・優子「「そうだよ(なの)‼︎」」

 

 だから優子と保健体育の実習絡みの話をしないでくんない⁉︎なんか恥ずかしいから‼︎あとさらっとムッツリーニが鼻血を噴いて死んだね。

 

雄二「驚いた。」

明久「そうだね!」

昂哉「何を?」

雄二「だって昂哉は風俗大好きだったよな?」

明久「その手の話は慣れてると思ったのに、意外と恥ずかしがるんだね。」

昂哉「うるさい‼︎」

秀吉「やはり昂哉も姉上の事を少なからず意識しておるようじゃな‼︎」

明久・雄二「「それだ‼︎」」

昂哉「違えよ‼︎」

 

 折檻悪魔を好きになるのはドMだけだ‼︎

 

優子「まあ秀吉の着替えがアレなら、秀吉だけ別の場所で着替えればいいんじゃない?」

秀吉「ぬ、ぬぅ……。得心いかぬがこの際我慢じゃ……」

 

 なるほどね〜。

 

昂哉「なら一人で着替えるのも寂しいだろうし、俺が付き添って……」

明久・ムッツリーニ「「却下。」」

昂哉「なんでさ⁉︎別にいいでしょ⁉︎」

秀吉「昂哉の言う通りじゃ。」

明久「秀吉、昂哉のお兄さんってバイじゃん?」

ムッツリーニ「………だから弟の昂哉も男だろうが関係なく襲ってくるかもしれない‼︎」

昂哉「俺と兄貴を一緒にしないで‼︎というかバイやホモってだけで無差別に人を襲うと思ったら大間違いだ‼︎」

秀吉「昂哉の言ってる事はすごい良い事じゃな。」

明久・ムッツリーニ「「確かに………」」

昂哉「ホント⁉︎それなら俺と一緒に………」

秀吉「やっぱりワシは一人で着替えるのじゃ。」

昂哉「秀吉ぃぃぃぃぃぃ⁉︎」

明久・ムッツリーニ「「草。」」

 

 こうして俺と秀吉のお着替えタイムの夢は断念した………

 

 

 

 

 

  side 明久

 

 僕たちが着替えを終えてプールに出ると、そこには………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「プールサイドで飲むカクテルは最高。

 

 一足先に着替えを終え、ビーチパラソルの下でビーチチェアに寝そべり、サングラスをかけてカクテルを飲む昂哉がいた。しかもその隣にはいつも持ってきているクーラーボックスが置いてあり、中にはいっぱい酒が入っていた。

 

明久「何してんの、昂哉?」

昂哉「お前らに大人のプールの楽しみ方を教えてやろうと思ってさ。

ムッツリーニ「………痛い。」

明久「だね。」

昂哉「うるせえ‼︎それに、プールといったらカクテルっしょ!」

雄二「飲み過ぎて掃除のときに役に立たなかったら殺すからな。」

昂哉「まさか〜!そんな事はしないから〜!」

雄二「Bクラス戦のときに酔い潰れて戦線離脱したバカはどこのどいつだ?」

昂哉「アタシだよ‼︎」

雄二「殺すぞ。」

昂哉「待って‼︎酒と命だけは勘弁して‼︎」

雄二「酔い潰れなかったらな。」

昂哉「は〜い♪」

 

 いや、絶対潰れるでしょ、コイツ。

 

昂哉「なんかみんな心配してるけどさ、俺はこんなので死なないから。それにこの酒は自分で作ってるからちゃんと調整できるし。」

 

 自分で作ってる?

 

明久「どういうこと?」

昂哉「このクーラーボックスの中にはカクテルの元になる酒がいっぱい入ってるのさ。そして俺がこの場で混ぜて作ってるわけ。」

雄二「バーテンとかがやるやつか?」

昂哉「その通り!」

 

 うお!なんかそれカッコいいね!昂哉って上辺のコミュ力はあるからバーテンとか向いてそう!

 

ムッツリーニ「………なんか難しそう。………色んな酒もいっぱいあるし。」

昂哉「簡単なやつなら覚えやすいよ!ジンライムジンライムとか!」

 

 なるほど!

 

明久「確かにそれなら簡単だね!」

ムッツリーニ「………だな!」

雄二「意外と他のヤツも分かったりしてな!」

昂哉「ほほう!じゃあスクリュードライバーは?」

 

 スクリューって確か船とかについてるアレだから………

 

明久「プラスドライバーだ‼︎」

雄二「何言ってんだ明久?そこはマイナスドライバーだろ。」

ムッツリーニ「………2人とも違う。………答えは精密ドライバーだ。」

昂哉「なわけないでしょ。ウォッカ+オレンジジュースだよ。」

明久・雄二・ムッツリーニ「「「惜しい‼︎」」」

昂哉「どこが⁉︎」

 

 未成年にしては健闘した方だね!

 

昂哉「んじゃ次!モスコミュール!」

 

 モスコミュール?全然分かんない………

 

明久・ムッツリーニ「「う〜ん……」」

雄二「バカだな2人とも。英語で習わなかったか?」

昂哉・明久・ムッツリーニ「「「えっ?」」」

 

 授業聞いてないから分かんないや。

 

雄二「答えはマリモだ。」

昂哉・明久・ムッツリーニ「「「雄二は何の話してんの⁉︎」」」

 

 どうやら雄二は霧島さんに脳を破壊されたらしい。

 

昂哉「まあ未成年が分かるわけないよね〜。」

雄二「冷静に考えたらそうだよな。」

 

 分かったら未成年飲酒を疑うよね。

 

昂哉「ちなみにカクテルには面白い名前のヤツもあるよ!」

明久「例えばどんなの?」

昂哉「今飲んでるマイアミ・ビーチとか!」

雄二「地名をそのまま使ってるんだな。」

明久「プールサイドで飲むのにちょうど良さそう!」

ムッツリーニ「………だな!」

 

 確かに、なんか大人っぽくてオシャレだね!

 

昂哉「他にも、テキーラ・サンライズとか!」

雄二「朝焼けがイメージ出来そうなカクテルだな。」

昂哉「セックス・オン・ザ・ビーチとか!」

ムッツリーニ「………ぬっ!」ブー、バタン!

明久・雄二「「ムッツリーニ‼︎」」

 

 なんて事を言うんだ‼︎ムッツリーニが鼻血を出して倒れちゃったじゃないか‼︎

 

昂哉「あとはチェリー・ブロッサムとか!」

雄二「薔薇に囲まれた童貞(明久)か。気持ち悪いな。」

明久「いや、それを言うなら、薔薇に囲まれた童貞(雄二)でしょ。」

昂哉「草。」

雄二「あぁん⁉︎明久の方が似合うだろ‼︎」

明久「失敬な‼︎雄二の方が似合うでしょ‼︎」

雄二「はぁん?まさかこの俺がチェリーだとでも言いたいのか?」

明久「違うの⁉︎」

雄二「残念だな。俺だってそのくらい経験あるぜ!」

昂哉「なるほどね〜。」

明久「雄二はチェリーじゃないのか〜。」

昂哉・明久「「どう思う、霧島(さん)?」」

雄二「えっ?」

霧島「…雄二、

 

 さっきから霧島さんが雄二の後ろにいたのにな〜。なんで気がつかなかったんだろう?それにしても、霧島さんの白い水着を着た姿が結構綺麗だね。

 

霧島「…既に他の女と保健体育の実習をしたって事?

雄二「ちちちち違うぞ翔子!あれはただ見栄を張ったぎゃぁぁぁぁ‼︎」メキメキメキメキ

霧島「…そう、それならいいけど///」

雄二「し、死ぬかと思った………」

 

 霧島さんに顔面鷲掴みにされる雄二。やっぱり見栄を張るとろくな事がないね!

 

昂哉「それより、雄二は霧島に何か言う事があるんじゃないの?」

明久「そうだよ!きちんと言ってあげないと!」

雄二「翔子。」

霧島「…何、雄二?///」

 

 彼氏ならちゃんと言わないとね!

 

雄二「顔が痛いんだが、痛み止めを持ってたりしないか?」

 

 コイツはどうやら彼氏じゃないらしい。

 

明久「このバカ雄二‼︎」

昂哉「もっと他に言うことがあるでしょ‼︎」

雄二「顔が痛いんだから仕方ないだろ‼︎」

明久「そんなの我慢しろ‼︎」

昂哉「そ〜だそ〜だ!」

雄二「うるせぇ‼︎それと、昂哉も何か言うことがあるんじゃないのか⁉︎」

明久「確かに!左を見てごらん?」

昂哉「えっ?」

優子「た、昂哉………///」

 

 実は雄二が霧島さんに殺されかけてる途中から、昂哉の左側に木下さんが居たんだよね。昂哉はバカだから気づいてなかったみたいだけど。

 

昂哉「うぉ!いつから居たの⁉︎」

優子「い、いや、ついさっき……///」

昂哉「なるほどね〜。」

明久「ほら昂哉、言う事は?」

雄二「あるはずだよな〜?」

昂哉「優子。」

優子「な、何///」

 

 それにしても、木下さんの黄色い水着は霧島さんとは違って幼くて可愛らしい感じだね!昂哉はこの水着姿を見たら、彼氏としてあのセリフを言えるはずでしょう!

 

昂哉「掃除の時は酔い潰れずに働くから安心して!」

 

 コイツもどうやら彼氏じゃないらしい。

 

優子「絶対にそうしてね。」

昂哉「任せて!」

優子「ちなみに潰れたらタダじゃおかないから。」

昂哉「はい………」

明久「おい昂哉!他に言うことあるでしょ⁉︎」

雄二「人には偉そうに言っておいて自分は言えないのか⁉︎」

昂哉「ふん!俺はお前らとは違うところを見せてやる!」

優子「昂哉………///」

 

 おお!やっぱり昂哉は一味違うね!あと雄二はまだ霧島さんに言ってないんだから偉そうに言わないで。

 

昂哉「もしかして優子に化けた秀吉だったりする?」

 

 前言撤回。雄二よりも酷かった。

 

優子「なわけないでしょ。」

昂哉「そっか………///」

明久「このバカ昂哉!違うよ!」

昂哉「なら………忘れ物をしたので更衣室に戻ります‼︎」

明久・雄二「「チッ!」」

昂哉「じ、事実だから仕方ないじゃん‼︎とりあえず戻るね!」

優子「昂哉………」

 

 そう言って昂哉は慌ただしく更衣室に戻ってしまった………。でも心なしかちょっと顔が赤かったような?もしかして意識してしてたりする?気のせいかな?

 

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 ヤベェ、ドキドキし過ぎて逃げちまった!というかあれマジで優子なの⁉︎あの水着姿、なんか超可愛いんだけど⁉︎嘘でしょ⁉︎本当に秀吉が変装してたわけじゃないんだ⁉︎というか何故俺が優子に対してこういう感情を抱いてる⁉︎奴は見た目こそ秀吉とは似て可愛いが、中身は悪魔だぞ⁉︎落ち着け‼︎落ち着け‼︎

 

 そうだ、これは酒のせいだ‼︎酒で興奮していた上に判断力が低下していたからなんだ‼︎だから優子を秀吉と重ねちまったんだ‼︎しょうがない‼︎そういうことにしよう‼︎

 

 自分なりの結論が得られたところで、俺は心を落ち着かせてプールサイドに戻った。

 

 

 

 

 

 

 そしていざ戻ると、

 

昂哉「優子、その水着可愛いね!似合ってるよ!」

 

 普段なら素直に、そしてすぐに言える言葉をようやく口にすることが出来た。

 

優子「昂哉、ありがとう……。昂哉もさっきの姿カッコよかったよ……///」

昂哉「ど、どうも……///」

 

 いや、あの、その水着姿で言われると照れくさいんだけど⁉︎優子のくせに、意識しちゃうよ!やっぱり酒のせいでテンション上がって判断力が低下しているな!

 

雄二「あんだけ嫌がってたのにな。」

明久「すっかり虜になってるね。」

ムッツリーニ「………これで2人はバカップルになりましたとさ。」

霧島「…雄二も雲雀丘みたいに……」

雄二「なるかぁ‼︎」

明久・ムッツリーニ「「え〜!」」

昂哉「みんな、これは酒のせいだから!ほろ酔い程度だとこうなるの!覚えといて!」

明久・雄二・ムッツリーニ「「「は〜いw」」」

 

 奴らは3年後に酒で潰すことにしよう。俺意外と根に持つからな‼︎

 

 

 

 

 

 優子の水着を褒めてからしばらくすると、

 

葉月「お兄ちゃんたち、お待たせですぅ‼︎」

 

 葉月ちゃんがやってきた。




 ということでまさかのプールサイドでカクテルを飲む話でした。そしてお酒の影響もあって、心なしか昂哉が優子の事を意識してますね。まあ怖いところが嫌っていうのは変わってませんが。

 あと、女子大祭の最終話でもそうでしたが、本作の秀吉はちょっぴり下ネタを言います。秀吉は見た目こそ可愛いけれど、中身は普通の男の子だと思ってるので。

 さて、次回は残った葉月ちゃん、美波、姫路、愛子、秀吉の水着お披露目会です。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第二十八問 水着お披露目会

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 優子の水着を褒めてからしばらくすると、

 

葉月「お兄ちゃんたち、お待たせですぅ‼︎」

 

 葉月ちゃんがやってきた。さてさて、彼女の水着は、小学生らしく大人しめ………じゃない‼︎めちゃくちゃ巨乳じゃないか‼︎普段はそうは見えなかったのに‼︎皆も動揺している‼︎

 

昂哉「わ〜お、すっご〜い♪」

明久「どどどどどうしよう3人とも!スクール水着だよ⁉︎そんなもの着た小学生と遊んだら逮捕されないかな⁉︎特に昂哉が‼︎」

ムッツリーニ「………弁護士を呼んでほしい。………特に昂哉に対して。」

雄二「成人男性が女子小学生に手を出したら犯罪だからな。」

明久「昂哉の懲役は2年程度で済みそうだね!」

ムッツリーニ「………アイツの実刑はやむを得ない。」

雄二「犯罪者の同級生になるのは嫌だな。」

昂哉「お前らぶっ殺してやろうか?」

 

 コイツらの始末は後でやるとして、先に葉月ちゃんの謎を解明するか‼︎

 

昂哉「葉月ちゃん!」

葉月「何ですか、公園のおじさん?」

昂哉「髪型変えた?それとも胸型変えた?」

葉月「そんなことないですぅ‼︎」

島田「こ、こら葉月‼︎お姉ちゃんのソレ勝手に持ってったらダメでしょ‼︎返しなさい‼︎」

葉月「あぅ……、ずれちゃいました………」

 

 真相解明!そういうことね!

 

明久「胸パッドか!」

 

 本人の前で直接言うとは………。やはりコイツ、バカだな。

 

島田「この一撃にウチの全てをかけるわ‼︎」

明久「だ、ダメだよ美波!その一撃は僕の記憶どころか存在まで消し去りかねないから‼︎」

昂哉「記憶を消し去りたいならお酒がおすすめだよ!」

明久「んなモン飲めるか‼︎」

優子「未成年に酒を勧めるんじゃないわよ。」

昂哉「はい。」

 

 やっぱ怖いところは優子のままなんだね。安心したよ。

 

霧島「…雄二、他の子を見ないように。」ズブッ!

雄二「ぐわぁぁぁぁ‼︎目が‼︎目が‼︎」

 

 霧島はお得意の目潰しを雄二に炸裂していた。ウケる〜w

 

 それにしても、さっきからちょっと明久が照れてるように見える。

 

島田「な、何よアキ!やっぱりこの格好、どこか変なの?」

明久「いや、そんな事ないよ!その、すごく似合ってると思う!」

島田「アキ、それ本当?」

 

 やっぱり意識してるみたい!

 

明久「手も足も胸もバストもほっそりとしていて、凄く綺麗だと足の親指が踏み抜かれたように………痛い‼︎」

島田「今ウチの胸が小さいって2回言わなかった?」

 

 でもバカは治らないみたい。それはともかく、俺からも一言言ってやるか。

 

昂哉「島田、そう怒んないでよ〜。明久は口ではあんな感じだけど、明らかにお前の水着姿を意識してると思うよ?」

優子「そうね。動揺して変な事を言っただけかもよ?」

明久「た、昂哉に木下さん⁉︎何言ってるのさ!僕は別に動揺してなんか……!」

島田「あ、そ、そうなの……?もうアキってば、素直に言えば良いのに……バカ///」

明久「じゃ、じゃあ素直に言うよ///」

島田「うん///」

 

 ちょっと島田の方にアシストし過ぎた気がするけど、姫路は1年のときから協力してたわけだし、まあいいかな?

 

明久「美波の胸小さいね。」

島田「アンタの目を潰すわ。左右均等に丁寧に。」

 

 いや、素直すぎるでしょ。やっぱりコイツのバカは不治の病だね。

 

優子「た、昂哉はアタシの………いや何でもない……」

 

 あ、優子も確かに胸小さいからね〜。気になるのも仕方がない。一応言っとくか。

 

昂哉「俺は胸の大きさはあんまり気にしない派かな〜。」

優子「そ、そうなんだ……///」

島田「アキもそうよね?」

明久「いや、別に。」

島田「殺すわ‼︎」

明久「やめて美波!僕のライフはもう0よ!」

島田「じゃあマイナスにしてあげるわ!」

明久「意味分かんないから、それ‼︎」

 

 明久と島田がイチャついてると、

 

ムッツリーニ「………先に逝く。」バタン

昂哉・明久「「ムッツリーニ⁉︎」」

優子「えっ?」

 

 ムッツリーニが死んだ。なんで?気になって奴の視線の先を見てみると、そこには……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姫路「す、すいません!」

 

 生物兵器がいた。

 

姫路「ちょっと水着の紐を結ぶのに時間がかかっちゃって………」

 

 それは乳房というにはあまりにも大きすぎた。大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把すぎた。それは正に肉塊だった。

 

明久「此方も抜かねば……、無作法というもの……」 バタン

姫路「明久君、土屋君⁉︎ど、どうしたんですか⁉︎」

優子「や、やっぱり胸があった方が……」

島田「Worauf …」

姫路「ゆ、優子ちゃん、落ち込まないで下さい!それと、美波ちゃんは何でドイツ語なんですか⁉︎」

霧島「…雄二、見ちゃダメ。」ズブッ

雄二「ぐぁぁぁぁ‼︎また目が‼︎」

 

 そして場が混沌とし始めた。そのカオスさはもはや乱世、それも戦国時代の様だ。この場で秩序を保つことの出来る人間は…………、

 

葉月「ふゎぁ、お姉さんのお胸、凄いですぅ……」

 

 女子小学生と、

 

昂哉「明久が意識してくれて良かったね!」

 

 成人男性だけだ。

 

姫路「あ、そ、そうなんですか!それは良かったです!ここ1週間ご飯を控え目にした甲斐がありました!」

昂哉「それはお疲れ様!あと、去年から言ってるけど、過度なダイエットだけはやめた方がいいよ。気をつけてね!」

姫路「はいっ!」

葉月「葉月も気をつけますぅ!」

 

 雀荘のメンバー(店員)とか金欠で飯が食えなすぎて身体壊す人多いからね。

 

島田「瑞希、アンタはやっぱりウチの敵ね……覚えてなさいよ!」

姫路「ど、どう言う事でしょう、美波ちゃん?」

昂哉「姫路が島田に対して太りにくくて羨ましい、って言ってるようなもんじゃない?」

姫路「そ、そういうことなんですか!それはすいません!」

島田「あ、あの、そういうことなんだ……。ウチこそなんかごめん……」

優子「まあ隣の芝は青いってヤツよね。」

昂哉「そんな感じ!」

 

 まあ俺は自分の好きなように生きてるからあんまり気にした事ないんだけどね。強いていえば、お金持ちの家に生まれて一生ニートでいたかった、って羨む事ぐらいだね。

 

 

 

 

 そしてムッツリーニが復活しないうちに………

 

工藤「皆お待たせ〜!いつもは競泳水着だったから慣れてなくてさ〜!」

 

 工藤がやってきた。確か水泳部だから競泳水着の方を着慣れてるんだよね。今回は可愛らしい水着だ。

 

優子「ごめん愛子。」

島田「土屋は今死んでるの。」

姫路「良かったら私が起こしてきましょうか?」

昂哉「女子がやったら逆効果だから、俺が起こしてくるね〜。」

工藤「い、いや別に………」

ムッツリーニ「………ふ、ふっか………つぅ⁉︎」バタン

工藤「ムッツリーニ君⁉︎」

 

 どうやらムッツリーニは自力で起き上がったみたいだけど、また死んだみたいだ。まあ好きな女の子の水着姿だからね!仕方ないね!

 

 

 

 

 しばらくすると、雄二が口を開いた。

 

雄二「うぅ……。俺は未だに目が見えないんだが……、全員揃ったのか?」

明久「いや、まだ秀吉が来てないかな。」

 

 そうなんだよね。愛しのマイエンジェル、秀吉がまだ着替えてるんだよね〜。

 

昂哉「他は全員揃ってるよ。」

ムッツリーニ「………ひ、秀吉は……トランクスタイプ……」

 

 うぅ………。ムッツリーニの無念は俺や明久にもよく分かるよ………

 

葉月「バカなお兄ちゃんに公園のおじさん、どうしてそんな顔をしてるの?」

昂哉「心配かけてごめんね〜。」

明久「ちょっと寂しくなっちゃって……気にしないで……」

島田「そうよ葉月。雲雀丘はともかく、アキなんか心配するだけでバカらしい………」

秀吉「待たせてすまぬ。いかんせん校舎から遠くての。」

島田「し⁉︎」

 

 島田が驚いた⁉︎秀吉の水着姿に⁉︎どう言う事だ⁉︎ここはひとまず事実確認を………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

って女の子用のトランクスタイプを着てるぅぅぅぅぅ⁉︎

 

 

しかもちゃんと上もあって可愛らしい感じだ‼︎全く、秀吉は最高だぜ‼︎

 

明久「☆♪$°→%:=^¥♪4〒<3=3(ううん、そんなに待ってないよ秀吉)

昂哉「いやっほぉぉぉぉぉ‼︎」

ムッツリーニ「………流石秀吉‼︎………俺達は信じていたぞ‼︎」

 

 本当に、生きてて良かった!

 

秀吉「な、なんじゃその反応は⁉︎男物に対してどういう反応をしとるのじゃ⁉︎」

葉月「わぁっ、お姉ちゃんとっても可愛いですっ!」

秀吉「んむ?『可愛い』じゃと?それに『お姉さん』?ワシは見ての通り男じゃぞ?」

葉月「でもその水着、女の子用だと思うです。」

工藤「その通りだね!これは立派な女物だよ♪」

秀吉「な、何じゃと⁉︎」

優子「上があるのにおかしいと思わなかったの、秀吉?」

秀吉「た、確かにおかしいとは思ったのじゃが………」

霧島「…雄二。」

雄二「見ていない。俺は何も見ていない。」

霧島「それなら良かった。」

 

 秀吉のこうちょっとアホっぽいとこ、マジで好き♪アホ天使、ってね!

 

島田「き、木下!どこまでウチらの邪魔したら気が済むの⁉︎」

姫路「木下君は卑怯です‼︎私たちを油断させておいて最後の最後に裏切るなんて……!」

秀吉「お、お主らは何を言っておるのじゃ⁉︎」

優子「瑞希に美波、秀吉の恋愛対象は女の子だけだから。」

島田・姫路「「ほ、ホント(ですか)?」」

秀吉「その通りじゃ!」

昂哉「俺だけ例外………」

秀吉「ではないのじゃ。」

昂哉「うぅ…………女になるしかないか……」

秀吉「お主は何を言っとるのじゃ⁉︎」

 

 俺が落としたかったのは天使の方なのに、どうして悪魔の方が落ちてしまったのか………。それは永遠の謎である。

 

 

 

 

 

 

 しばらくすると、何人かでバラけて行動する事になったので、俺はビーチチェアに座ってマイアミ・ビーチを飲む事にした。そばには優子が座っている。

 

優子「それにしても、すごい量のお酒ね。」

昂哉「でしょ〜!」

 

 なんせカクテルを作るには色んな種類のお酒やソフドリが必要だからね!

 

優子「まさかこれを全部飲むつもりじゃ……」

昂哉「いや、流石にそこまではしないよ。」

優子「良かった〜。危うくアンタの腕が死ぬところだったからね♪」

昂哉「笑顔で爆弾発言をするな。」

 

 全く、恐ろしい女だぜ!

 

 それと、一個元々気になってた事があるから、この際聞くとするか。

 

昂哉「なんで学校では自分の趣味と家での生活を隠してるの?」

 

 皆で集合したとき、秀吉がバラそうとしたら怒ってたからね。

 

優子「ちょ、ちょっと‼︎」

昂哉「他の人は聞こえてないから大丈夫でしょ。」

優子「そ、そうかな…………」

昂哉「んで、何で隠してるの?」

優子「だって優等生じゃなくなるから‼︎」

 

 なるほどね〜。コイツが優等生のフリしてる理由はさておき、ちょっと言っておくか。

 

昂哉「別に腐女子の優等生くらい普通にいるでしょ。それに、家ではいくらだらしなくたって、学校で頑張りさえすればいいじゃん。メリハリが出来る子なんだって思ってくれるんじゃない?」

優子「そ、そうは言っても………」

 

 納得しないか…………ならこの理由もあるかも知れない。

 

昂哉「もしかして恥ずかいの?」

優子「そそそ、そんなこと⁉︎」

昂哉「そんなこと?」

優子「ある………///」

 

 でしょうね。

 

昂哉「まあ確かに人に言いにくいって感情は分かるよ。でも腐女子なのは別に犯罪とかじゃないし、恥ずかしい趣味じゃないと思うけどな〜。」

優子「た、昂哉はそう思うかもしれないけど、他の人は違うはずよ‼︎」

昂哉「俺は人の趣味を恥ずかしいって言うやつの方がよっぽど恥ずかしいと思うけどな〜。それに、もしそう言われたのなら、相手の趣味も笑ってやればいいんだよ!」

優子「そ、それは………」

昂哉「だってあっちが先に言ってきたんだからね〜。何か悪いことを言う奴は、それを言われる覚悟が無いといけないからさ!」

優子「そ、そうなんだ………」

昂哉「ま、なんか言われたら俺に言いなよ!いくらでも言った奴に言い返してやるから!」

優子「あ、ありがとう………///」

昂哉「だから堂々と自分の趣味を語りなよ!その方が絶対楽しいって!」

優子「う、うん!そうする!」

 

 まあ優子が納得してくれたようで何よりだ。全く、優子の腐女子が恥ずかしいなら、俺の風俗巡りとか、高レート賭け麻雀とか、パチンコとか、スロットとかが全部恥ずかしい趣味になっちゃうからね!これは俺のためでもあるのさ!なに、風俗やパチスロや賭け麻雀が犯罪だって?それは違うね!

 

 まず風俗に関しては、店で知り合った嬢と()()()()その場で恋に落ちちゃって保健体育の実習をしてるだけなんだ!だから売春にはならないんだよね!次にパチスロに関してはあくまで()()()をして、それで得た()()()()()()換金してくれる親切な換金所が店のそばにあるだけの話さ!賭け麻雀に関しては、()()()()()()()を賭けてるだけさ!それが()()()()換金出来るだけで!あと例の高レートマンション麻雀については、麻雀をやってたら()()()()財布の中身が増えたり減ったりしてるだけの話だからね!誓約書にもきちんとそう書いてあるよ!こうして無理矢理現金賭博ではなくしてるのさ!

 

 

 

 

 そんな事を思ってると、優子がある話題を出した。

 

優子「あとさ、1つ言いたい事があるんだけど……」

昂哉「どうしたの、優子?」

優子「蕨先輩ってどんな感じの人なの?」

 

 ビッ千華の事かよ!確かにコイツがちょっと嫉妬するのは分かるけどさ!まあとりあえず、端的に言ってやるか!

 

昂哉「ヤニカス性悪女。」

優子「その言い方はどうなの?」

昂哉「いや、事実だからね。向こうも酒カス糞オジサンとか言ってくるし、お互い様だよ。」

優子「そ、そうなんだ………」

昂哉「んで、奴のどこが気になるの?」

優子「性格とか、今までどんな感じで生きてきたか、とか……」

昂哉「う〜ん。」

 

 性格はともかく、アイツの過去か〜。

 

昂哉「性格は言った通りクズっていうか基本自己中って感じ。ただ本音で話し合うのが好きな人は合うかも。良くも悪くも思ったこと全部言うタイプの人だから。」

優子「な、なるほど………」

昂哉「それと、過去ね〜。中学の頃は俺のアンチだったね、奴は。事あるごとに突っかかってきたよ。」

優子「あの時の昂哉にしては珍しくいたんだね、そういう人。」

昂哉「全員に好かれるのは無理だからいてもおかしくないと思うけど?」

優子「た、確かに………」

 

 俺にはファンクラブがあったにもかかわらず平気で突っかかってきたからね。そんな事したらファンクラブの人が黙っちゃいないと思うのに。それでも、恐れずに自分の考えを貫いてたのは正直尊敬してる。

 

昂哉「それと、最初の高校は確か校則違反しまくって2年で退学になってたはず。」

優子「何やらかしたの?」

昂哉「さあ?日頃の行いが積み重なったんじゃない?」

優子「なるほどね〜。それで、その後はそのまま文月を再受験したの?」

昂哉「そのと〜り♪そして今では校内をタバコ吸いながら堂々と歩く、立派なヤニカスになったのさ!」

優子「なんかすごい人ね………」

昂哉「本当にね………」

 

 ぶっちゃけ狙ってる久保とは性格合わなそうだけどね。

 

昂哉「まあ正直俺も全部知ってるわけではないから、なんか気になる事があったら奴に聞くといいよ。」

優子「う、うん!分かった!」

 

 そ、それにしてもコイツの水着姿はマジでドキドキするな………。今日つけてる香水も相まって鼓動が高鳴る………。さ、酒のせいだと信じたいけど………。まさか俺はコイツに惚れたのか?いや、ないないない………

 

 

 

 

 

 そんな事を思っていると、

 

葉月「お、おじさんたちっ!葉月と『水中鬼』で遊んでくれませんかっ?」

 

 葉月ちゃんに声をかけられた。




 ということで残り5人の水着がお披露目されました!愛子の水着はアニメ2期の1話で着てたやつだと思って下さい。他の人についても、僕自身が水着に詳しくなくて形容の仕方が分からなかったんです………

 さて、次回はプール編最終章です!水中鬼、ビーチバレー対決、死刑争奪水泳大会と一気にやります。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。



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第二十九問 死刑争奪水泳大会

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 優子の事を考えていると、

 

葉月「お、おじさんたちっ!葉月と『水中鬼』で遊んでくれませんかっ?」

 

 葉月ちゃんに声をかけられた。 

 

優子「それって水中でやる鬼ごっこのこと?」

葉月「違うです!鬼ごっこじゃなくて水中鬼です!」

 

 ん?何が違うんだろう?

 

昂哉「葉月ちゃん、ルール説明を頼む‼︎」

葉月「水中鬼は鬼の人がそうでない人を追いかけるんです!」

 

 普通の鬼ごっこじゃねえか!

 

葉月「それで、鬼が他の人を水の中に引きずり込んで溺れさせたら勝ちですぅ‼︎」

昂哉「鬼だ!それは確かに鬼だ‼︎」

優子「危ないからやめなさい。」

葉月「えっ、でも………」

 

 まあここは実際にその危険性を味わってもらうのがいいか〜。

 

昂哉「じゃあ今からそれがどれだけ危険なのかを教えてあげるね〜。」

葉月「は、はいっ!」

優子「どうやって?」

昂哉「任せて!お〜い、霧島〜‼︎」

霧島「…何?」

 

 そして近づいてきた霧島に対して俺はこう言った。

 

昂哉「水中鬼って遊びをやって見せて欲しいんだけど!」

霧島「…何、それ?」

昂哉「ルールは雄二を水中に引きずりこんで溺れさせた後、人工呼吸すれば霧島の勝ち。いいね?」

優子「いや、それは………」

霧島「…分かった、行ってくる!」

 

 そう言って霧島は雄二の元に行き………

 

雄二「お、なんだ………っておわぁっ⁉︎だ、誰だ⁉︎誰が俺を沈めようと⁉︎」ザブン!

霧島「…雄二、早く溺れて///」

雄二「しょ、翔子⁉︎何をトチ狂って……⁉︎」

 

 有言実行した。

 

昂哉「ね?危ないでしょ?」

葉月「はいです……。水中鬼は諦めるです……」

 

 分かってくれて良かった!こうして命の尊さを学んでもらえるなら、雄二の一人や二人くらい安いもんだ!

 

雄二「昂哉ッ‼︎テメェの差し金だな⁉︎」

 

 やっべ………、ここは誤魔化すか!

 

昂哉「明久のしわざ………」

優子「昂哉のしわざだから、アタシが代わりに命の尊さを教えとくわ。」

昂哉「えっ?」

雄二「任せた………って翔子、マジでやめろ⁉︎

霧島「…に、逃げないで、雄二!」

 

 もっとヤベェ奴を相手しなければいけなくなった………

 

優子「昂哉、ちょっとこっち来て。」

昂哉「はい………」

 

 こうして俺は物陰で優子の折檻を受けたのであった。

 

 

 

 

 

 優子の折檻後、

 

雄二「ざまあみやがれ、昂哉‼︎」

明久「何してたの、2人とも?」

昂哉「雄二を使って命の尊さを葉月ちゃんに学ばせようとしたら、俺が優子に学ばされた。」

明久「バカなの?」

雄二「仕方ないだろ明久。コイツは木下に何度怒られてもやらかし続けてんだから。」

明久「そうだったね!」

昂哉「うるせえ‼︎」

 

 俺は明久や雄二と話していた。ちなみに今はムッツリーニと工藤がイチャイチャしていて、秀吉が優子と何かを話しているよ。そして島田と姫路は…………

 

姫路「美波ちゃん!絶対に譲りませんからね‼︎」

島田「瑞希!スポーツでウチに勝とうだなんで思わないことね!」

 

 水中バレー対決を始めていた。しかも、めちゃくちゃ険悪な雰囲気だった。

 

雄二「おい明久。」

明久「ん?何、雄二?」

雄二「この前お前にやったペアチケットはどうした?」

 

 確か雄二が如月グランドパークの復讐のつもりで明久にあげたやつだよね。

 

明久「美波と姫路さんが随分と観たがってたから、それなら二人で観てきたらってあげちゃったよ。」

 

 原因は明久でした。

 

昂哉・雄二「「間違い無い。それが原因だ。」」

明久「ちょっとどうしたの2人とも?」

 

 いやお前がどうしたのだよ。どんだけ鈍感なんだ、お前は。

 

 

 

 

 まあそれはともかく、ビーチバレ対決の行方を見守りますか〜。ちなみに審判は霧島がやってるよ。

 

明久「2人とも意外だよね〜。姫路さんの方が優勢っていうね。なんでかな?」

雄二「もし姫路と島田が一対一だったら島田が勝つだろうな。」

昂哉「だけど相方を見てごらん?」

明久「成る程、姫路さんの相方には久保君がいるんだね!」

 

 何故かね。一体いつここに現れたんだろう?

 

雄二「いくら島田が運動神経がいいとはいえ男子が相手じゃ部が悪いからな。」

昂哉「それに島田の相方は………」

 

 そうしてコートの方を見ると………

 

清水「あぁっ♪お姉様、ミスっちゃいましたわ♪」

 

 Dクラスの島田大好き女、清水美春が意図的に手を抜いていた。コイツも一体いつここに現れたんだろう?

 

島田「美春、アンタ絶対手を抜いてるでしょ!」

清水「そんなことありません、お姉様!美春はお姉様のために全力で手を抜いてます‼︎」

島田「この勝負絶対に負けられないんだから本気でやりなさい‼︎」

清水「はいっ!美春もお姉様のために本気で手を抜いてます!あんなのとデートなんてお姉様のためになりませんから!」

島田「アンタ、さてはウチを負けさせるためにこっちに来たわね!」

清水「ほらお姉様、ボールが来ましたよ♪」

島田「あっ⁉︎もう早く言いなさいよ!」

霧島「…0対1。」

 

 敢えて味方になって内部から崩す。いい作戦だね、清水!まあ島田からしてみればたまったもんじゃないけどね。

 

雄二「パートナーがアレじゃ島田の勝利はないな。」

明久「いくら島田でも一人じゃ勝ち目ないよね。」

昂哉「まあね。さて、島田はこの状況をどう巻き返すのかな〜?」

 

 お手並み拝見といくか!

 

島田「美春、もう一度言うけど次のサーブからは本気を出しなさい。」

清水「ひっ酷いですお姉様!美春は一生懸命頑張ってるのにそれを疑うなんて!」

島田「下手な演技はいらないわ。これが最後の警告よ。」

清水「お姉様、信じて下さい‼︎美春は嘘なんてつきません!」

島田「いい?これだけ言って本気を出さないのなら……」

清水「ですから美春は本気を出してますと何度も……」

島田「ウチは明日から美春のことを『清水さん』って呼ぶわ。」

 

 えげつな‼︎これなら清水も本気を………

 

清水「おりゃぁぁぁ‼︎」ズバン‼︎ 

姫路・久保「「えっ⁉︎」」

 

 って本気出しすぎやろ‼︎人殺せそうなサーブだったぞ⁉︎流石の久保でもアレは取れないようだ。

 

清水「お姉様、ごめんなさい‼︎美春は嘘をついていました!」

島田「いいのよ美春!これからも友達でいましょうね!」

 

 こうなると一気に形勢逆転…………というほどじゃないけど久保&姫路チームは苦戦するだろうね〜。そんなことを思っていると………

 

 

 パンッ‼︎

 

 

 ビーチボールが割れた。威力強すぎでしょ!

 

清水「あ………!ごめんなさい!美春ちょっと力を入れすぎてしまいました……。代わりを探してくるのでお姉様達は休憩してて下さい……」

島田「ありがとう、美春!」

久保「それじゃあお言葉に甘えて僕達は休むか。」

姫路「はい!」

 

 そういえば、なんで久保がいるんだろう?聞いてみよう。

 

昂哉「お前何しに来たの?」

久保「学校で勉強をしようと思って来たら、吉井君達が楽しそうにしているのを見かけてしまってね。」

昂哉「それで自分も混ざりたくなったと。」

久保「その通り!」

昂哉「ちなみに水中バレーはなんで参加してたの?」

久保「姫路さんが困っているのを見つけてね。事情を説明してもらった後、なんでも一つ言う事を聞くって条件のもと協力したのさ。」

昂哉「ちなみにお願い事は何にするつもりだったの?」

久保「言わせないでおくれよ!人が、見てるじゃないか……」

 

 あ〜アレだね〜。完全にペアチケット目当てだね。姫路を騙すつもりだったんだね。いい作戦だ‼︎清水といい、この学園には俺といい酒が飲めそうな奴がいっぱいいるね!あとこれならビッ千華と性格合いそう。

 

 あと姫路は、まさか久保が明久に好意を抱いている、とは思ってないだろうね。騙されるのも仕方ない。

 

姫路「久保君、休憩後も頑張りましょう!」

久保「そうだね!」

 

 まあ姫路もちょっと可哀想だし、後で別のイベントのペアチケットを買ってプレゼントしてあげよう!優子と使えって言われるかもしれないけど、流石にこれじゃあいたたまれないしね。

 

赤田爺「それにしても、皆良き身体しとるのぅ〜。全員儂の彼女にしたいわい!」

昂哉・明久・雄二「「「うわっ!びっくりした!」」」

 

 毎度毎度神出鬼没な爺さんだな、コイツは!

 

昂哉「いつからいたの?というか何故今ここに?」

赤田爺「利光の後をつけて来たのじゃ。」

昂哉「そういうことね。」

赤田爺「後は水着女子の匂いじゃな。」

昂哉・明久・雄二「「「ええ………」」」

 

 じっちゃんは本当に自分の欲望に正直だよね。そのせいで彼女や妻を何度も失ってるけど。

 

 

 

 

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

優子「昂哉、ご飯どうする?」

秀吉「掃除の時間も決めなければならないからのぅ。」

 

 天使と悪魔が話しかけてきた。そういえばそろそろお昼時か〜。優子の弁当、楽しみだな〜。

 

姫路「あっ!ご飯といえば、私、作ってきたんです!」

 

 ⁉︎

 

姫路「ちょっと失敗しちゃって……、4人分しか……」

 

 

 

明久「Fクラス男子による!!!」

雄二「第一回!!!」

昂哉「死刑争奪!!!」

ムッツリーニ「………最速王者決定戦!」

秀吉「ガチンコ水泳対決!!!」

Fクラス男子「「「「「イエ〜イ‼︎」」」」」

優子・島田・姫路・霧島・清水「「「「「えっ?」」」」」

久保「実況は僕、久保が、」

赤田爺「解説はこの儂、赤田敏夫が担当するのじゃ。」

 

 ということで文字通り死刑、その名も姫路手料理の刑を賭けた戦いが始まりました‼︎なんか実況と解説もついてるのがウケる〜w

 

工藤「面白そうだから、ボクが審判をやるね〜。」

葉月「葉月も手伝いますっ!」

 

 ということで、この2人が審判になりました!

 

雄二「それじゃあ昂哉、ルール説明だ!」

昂哉「オッケー雄二!ルールはとっても簡単!プールを往復して最初にゴールした人が勝ちという、誰にでもわかる普通の勝負です!」

久保「以上がルールになります。それでは解説の赤田さん、本日の見所をお伝えしてもらってもよろしいでしょうか?」

赤田爺「やはり本日の目玉選手といえば坂本選手と吉井選手じゃのう。なんせ彼奴らは運動神経に長けているからじゃ。」

 

 若手男子の実況と年寄りの解説って、マジで本格的な試合っぽいね。

 

久保「それでは選手の準備が整ったようですね。では審判の工藤さんと島田葉月さん、よろしくお願いします!」

工藤「はい、行くよ〜!」

葉月「位置について、よ〜い、ドン‼︎」

 

 よし、いくぞ!やることはただ一つだ!

 

明久・雄二「「くたば………」」

昂哉以外「「「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁ‼︎」」」」」

 

 こうして俺以外の悲鳴と共に、死刑争奪水泳大会は幕を開けた。

 

久保「おおっと、開幕早々雲雀丘選手のゴムパチンコが炸裂しました‼︎他の選手全員の股間に全弾命中です‼︎そしてその間に雲雀丘選手が泳ぎ始めました‼︎赤田さん、これはどういう作戦なんでしょうか?」

赤田爺「雲雀丘選手は対戦相手が全員である事を利用したのじゃろぅ。男の弱点は股間なわけじゃから、そこを的確に潰して自身の勝利に繋げと思われる。とても彼奴らしい戦法じゃな。」

久保「ありがとうございます!そして、股間を攻撃された4選手がようやく動き始めました!今度は吉井選手と坂本選手の取っ組み合いです!赤田さん、これはどういう作戦なのでしょうか?」

赤田爺「この2人は優勝候補じゃからな。互いを潰し合う事でより自分が優勝に近づけるようにと考えたのじゃろ。」

久保「なるほどなるほど。しかしそうしているうちに雲雀丘選手が折り返しました。続いて土屋選手、木下選手と続いていきます!どうやら吉井選手と坂本選手は出遅れたみたいですね!」

赤田爺「取っ組み合い作戦のデメリットを他の3選手が利用した形になるの。」

久保「なるほど!しかし吉井選手と坂本選手が遂に行動に出たようです!吉井選手は雲雀丘選手を、坂本選手は土屋選手を掴んで引き止めました‼︎そして残った木下選手は吉井選手と雲雀丘選手に捕まりました‼︎赤田さん、この狙いは何なのでしょうか?」

赤田爺「これはK・O狙いじゃな。」

久保「なるほどなるほど、死刑争奪という、タイトルを意識した作戦ですね‼︎素晴らしいです‼︎果たして誰が一番最初にK・Oするので………おおっと‼︎ここでハプニング発生だ‼︎なんと木下選手の水着の上が脱げました‼︎そして現在木下選手は上裸です‼︎吉井選手、見て欲しくないから早く元に戻して………じゃなかった、これについてはどうお考えでしょうか、赤田爺さん!」

赤田爺「お金を払うから、儂の部屋でもっと詳しく見せてくれないかの?」

久保「赤田さんの堂々とした変態発言は流石でしょう。経験の違いを物語ってくれますね。そしてなんと、現在土屋選手が大変なことになっております‼︎大量の鼻血を出してK・Oしました‼︎そして赤い悪魔が攻めます!プールをガンガン攻めていきます‼︎もう真っ赤です‼︎これについてはどうお考えでしょうか、赤田さん!」

赤田爺「良き哉………」

久保「赤田さんの今夜のおかずが決まったところでしばしハーフタイムといきましょう‼︎皆さん、その間に水分補給と血液補給を済ませておいて下さい‼︎」

 

 

 ということでプールが血塗れになったことにより、Fクラス男子による、第一回死刑争奪最速王者決定戦「ガチンコ水泳対決」は長い長いハーフタイムを迎えることとなった。




 ということで、プール編終了です!オリジナル要素が多く、他の作品よりもだいぶ長いプール編となったのではないでしょうか?

 さて、次回からは学力強化合宿になります。僕がバカテスで一番好きな章です。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第六章  学力強化合宿
第三十問  脅迫状


この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 俺は明日から始まる学力強化合宿に向けて準備を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「ムッツリーニ、これがこの間兄貴がすすきの*1に行った時の風俗レビュー書さ。」

ムッツリーニ「………提供、感謝する。………俺からはこの秀吉の生着替え動画を提供しよう。」

昂哉「提供、感謝する!」

 

 してなかった。今は屋上でムッツリーニと取引をしている。

 

ムッツリーニ「………ところで、最近お前はレビューに現れないんだな。」

昂哉「まあね。」

 

 その代わりじっちゃんとか兄貴の知り合いとかで穴埋めしてるけどね。

 

ムッツリーニ「………流石に浮気になるからか。」

昂哉「その通り!」

 

 優子なら浮気で幻滅するんじゃなくて、折檻をした上で拘束を厳しくしそうだからね。自分の命のためにそうしてるよ!あと仮にも毎日弁当作って来てくれる子を裏切るのは申し訳ないよね〜。

 

ムッツリーニ「………お前も嫌じゃなくなったんだなw」

昂哉「うるせえ‼︎ただ俺は奴に胃袋と生殺与奪の権を掴まれてるだけだ‼︎」

ムッツリーニ「………じゃあこの間のプールは?………お前結構ドキドキしてただろw」

昂哉「アレは酒のせいで秀吉の姿を重ねちゃっただけだから‼︎それよりムッツリーニは早く告白しないの〜?」

ムッツリーニ「………お前に告白する。………木下と付き合って下さい。」

昂哉「そうじゃねえよ‼︎ムッツリーニ()()が告白するって話‼︎」

ムッツリーニ「………そ、そんな相手はいない///」

昂哉「いるくせに〜w。俺が代わりに言ってやろうか、工藤に!」

ムッツリーニ「………マジでやめて欲しい///」

 

 早く付き合って欲しいと思いつつ、両片想いのままでいて欲しいとも思ってるんだよね〜。見ててなんか面白いし!そんな事を思ってると…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明久・雄二「「聞いてくれ、ムッツリーニ‼︎」」

雄二「俺の苗字が変わりそうなんだ!」

明久「僕のメイド服パンチラ写真が拡散されそうなんだ!」

 

 バカ2人がやって来た。

 

昂哉「何言ってるかさっぱり分からん!」

ムッツリーニ「………とりあえず順番に話してくれ。」

雄二「じゃあ俺からだな。実は俺の結婚が近いらしいんだ。」

明久「雄二と霧島さんの結婚?そんな既に決まってる事より、校内で僕が女装趣味の変態として認識されそうって方が重要だよ‼︎」

雄二「なんだと⁉︎お前が変態だなんて、それこそ今更だろうが‼︎」

明久「黙れ、この妻帯者‼︎人生の墓場へ還れ‼︎」

雄二「うるさい、この変態‼︎とっととメイド喫茶へ出勤しろ‼︎」

明久・雄二「「……………」」

 

 傷つくならお互い黙ってればいいのに。

 

ムッツリーニ「………2人とも、安心して欲しい。」

明久「ムッツリーニ?」

雄二「まさか俺達に協力してくれるのか⁉︎」

ムッツリーニ「………妻帯者変態の両方を兼ね備えた奴ならここにいる‼︎」

 

 そう言ってムッツリーニは俺を指差した。

 

昂哉「誰が妻帯者で変態だ‼︎お前だって女装癖と盗撮癖という二重苦の変態だろうが‼︎工藤にチクるぞ⁉︎」

ムッツリーニ「………マジでやめろ‼︎」

明久・雄二「「そんなレベルの低い慰めは要らない‼︎」」

昂哉「うるせえバカ共‼︎俺がお前らの悩みを深刻にしてやるからな‼︎」

明久・雄二「「頼むからやめてくれ‼︎」」

ムッツリーニ「………とりあえず落ち着くか。」

昂哉・明久・雄二「「「だね(な)。」」」

 

 ということで、

 

昂哉「んじゃあ、まずは一応雄二の話から聞くか!」

雄二「一応ってのが癪に触るがまあいいだろう。実は今朝翔子が………」

 

 俺とムッツリーニは雄二と明久の話を順番に聞くことにした。まずは雄二の番だ。

 

 

 

 

 

ーーーーー今朝のことーーーーー

 

 

雄二「翔子。」

霧島「…隠し事なんてしてない。」

雄二「まだ何も言ってないぞ。」

霧島「…誘導尋問なんて卑怯。」

雄二「誘導尋問の意味を辞書で調べてこい。学年首席がそんなんでどうする?」

霧島「…ごめん。」

雄二「んで今背中に隠した物はなんだ。」

霧島「…別に何も。」

雄二「翔子、手を繋ごう。」

霧島「…うん///」 バシッ‼︎

雄二「よっと、手に隠してたのはMP3プレイヤーか。」

霧島「…雄二、酷い…」

雄二「機械音痴のお前がどうしてこんな物を………。一体中に何が入ってるんだ?」

霧島「…普通の音楽。」

雄二「どれどれ?」ポチッ

 

雄二(CV.秀吉)『俺は大会で優勝したら、お前にプロポーズするんだ‼︎愛してる、翔子〜‼︎』

 

霧島「…普通の音楽。」

雄二「これは削除して明日返すからな。」

霧島「…お父さんにまだ聞かせてないのに酷い…………。…手も繋いでくれないし。」

雄二「お父さんって貴様、これをネタに俺を脅迫する気か?」

霧島「…そうじゃない。…お父さんに結婚の話を進めてもらうだけ。」

雄二「翔子、病院に行こう!今なら2・3発シバいて貰えば治るかもしれない!」

霧島「…まだ子供は出来てないと思う///」

雄二「行くのは精神科だ‼︎それと、そのポケットのはなんだ?」

霧島「…これは別にたいした物じゃない。」

雄二「え〜、なになに?」

 

 〜〜私と雄二の子供リスト〜〜

 

雄二「ちょっと待てやコラ‼︎」

霧島「…お勧めは最後に書いてある私たちの名前を組み合わせたやつ。」

雄二「う〜んと、ってオイ!『しょうゆ』ってなんだよ‼︎なんでこの組み合わせなんだよ‼︎」

霧島「…きっと味のある子に育つと思う。」

雄二「俺には捻くれ者に育つ未来しか見えないんだが。」

霧島「…ちなみに男の子だったら『こしょう』がいい。」

雄二「『しょうゆ』って女の子の名前だったのか………」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 なんか思ったよりもヤバかった。マジで優子がこんなんじゃなくて良かった〜♪

 

雄二「ということで、翔子がこのMP3プレイヤーを隠し持ってたんだ。」

昂哉「なるほどね〜。」

明久「でもそれくらい別にいいんじゃない?」

雄二「いや、アイツは結構機械音痴だからな。そんな物を持ってくるのは不自然なんだ。そこで没収して聞いてみたら、何故か捏造された俺のプロポーズが録音されてたんだ。」

 

 確か清涼祭の時のやつだよね。明久が秀吉に演技させてやらせたんだっけ。

 

明久「き、霧島さんは可愛いね!そんなセリフを記念にとっておきたいなんて!」

 

 お前がやったんだろ。

 

雄二「いや、婚約の証拠だと父親に聞かせるつもりらしい。」

昂哉・ムッツリーニ「「草。」」

 

 本気過ぎてウケるね。足掻かなくても雄二の結婚は近いんじゃないかな?

 

雄二「没収はしたが中身はおそらくコピーだろうし、オリジナルを消さない事には無駄だからな。そんなわけでムッツリーニには盗聴犯を突き止めてもらいたい。機械音痴の翔子がこんな事出来るはずないからな。きっと盗聴に長けた実行犯がいるはずだ。」

 

 なるほどね〜。ならその子を逆に脅迫して奴隷………じゃなくて手駒に出来そうだね!

 

ムッツリーニ「………承知した。………んで、明久は?」

明久「実は僕のメイド服パンチラ写真全世界にWeb配信されそうなんだ。」

 

 コイツは何を言ってるんだ?

 

昂哉・ムッツリーニ「「はい?」」

明久「ごめん、端折りすぎた。実は僕、清涼祭のときに誰かさんにメイド服を着せられたじゃない?」

昂哉・雄二「「誰、そんな事した人?」」

明久「お前らだよ‼︎」

 

 記憶にございませ〜ん♪

 

明久「んで、僕が恥ずかしくて店から逃げたら、玉野さんに見つかったんだ。」

ムッツリーニ「………ああ、奴か。」

昂哉「ムッツリーニも女子大祭のとき女装させられてたもんね〜。」

雄二「マジかよ。」

昂哉「ちなみにその時の写真ね。」

ムッツリーニ「………見せるな‼︎」

雄二「うお、めちゃくちゃ似合ってるじゃねえか!」

ムッツリーニ「………うぅ///」

明久「あの、僕の話を聞いてくんない?」

 

 そう言えばそうだったね。

 

昂哉「ほ〜い。んで、玉野がどうしたの?」

明久「僕で遊ぼうとしてたから、走って逃げたんだよ。」

雄二「んで、その時のパンチラ写真ってわけか。」

明久「その通り!」

昂哉・ムッツリーニ「「なるほどね(な)。」」

明久「もちろん撮影された覚えなんてないから、盗撮犯の仕業だと思う!」

 

 なるほど、つまり………

 

昂哉「明久と雄二は似たような境遇なんだね。」

 

 こう言う事だね。

 

雄二「そうだな。」

ムッツリーニ「………脅迫の被害者同士。」

明久「こんな事で仲間ができてもな〜。」

昂哉「可哀想に〜!」

雄二「そう言う昂哉やムッツリーニは何か脅迫されてないのか?」

 

 う〜ん。特に無いな〜。

 

ムッツリーニ「………俺は何も。」

昂哉「俺はそもそも脅迫されるようなネタがないしね〜。」

明久「いや、いっぱいあるでしょ。」

昂哉「自分の性癖やよく行ってた風俗とかは全部オープンにしてるし、未成年飲酒で5回停学になったのも、今更隠すような事じゃ無いしね〜。学校サボって雀荘やパチ屋に通ってる事だって多くの人に知られてるし。」

雄二「メンタル強すぎんだろ。」

ムッツリーニ「………これが無敵の人か……」

 

 まあ強いて言えば高レートマンション麻雀かな、バレるとヤバいのは。でもアレについては、素人の高校生や先生が簡単に盗撮できるようなセキュリティではないからね〜。もしバレてたとしたら、一緒に打ってる指が少ない人に調べて脅してもらえばいいし。

 

昂哉「ま、とりあえずもうそろそろHRだから教室戻ろうぜ〜!」

明久・雄二「「ほ〜い。」」

ムッツリーニ「………とにかく調べておく。」

雄二「すまん、報酬に今度お前好みの本を持ってくる。」

明久「僕も最近仕入れた、秘蔵コレクションその2を持ってくるよ。」

ムッツリーニ「………必ず調べておく‼︎」キリッ!

 

 ということで俺たちは教室に戻った。

 

 

 

 

 

 教室では鉄人が教壇に立っていた。まあ大切な連絡はケツ先生なんかに任せられないよね。

 

鉄人「さて、明日から始まる『学力強化合宿』だが、大体のことは今配ったしおりに書いてあるので確認しておけ。まあ旅行ではないので勉強道具と着替えさえあれば特に問題ないはずだが。」

 

 随分と手抜きな説明だね。まあダラダラと話されるよりはいいか。

 

鉄人「それと、集合時間と場所だけはくれぐれも間違えないように。特にクラスごとで集合時間と場所がそれぞれ違うからな。いいか、我々Fクラスは………」

 

 優子たちAクラスはリムジンバスか黒塗りの高級車とかで向かうんでしょ?んで俺たちは4列の小さいバスとかだったりして。下手したら担任が引率するだけかもしれないし………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄人「現地集合だ。」

 

 案内すら無いのかよ‼︎全く、とんだ手抜きっぷりだぜ‼︎

 

 

 

 

 

 HRが終わると、俺は雄二たちに声をかけられた。

 

雄二「現地集合なら、昂哉の車で行くのはどうか?」

明久「それいいね!」

島田「ウチも混ぜて!」

秀吉「ワシもじゃ!」

ムッツリーニ「………俺も。」

姫路「私も……お願いできますか?」

 

 合宿所のある卯月高原までは車で4・5時間か〜。だったら………

 

昂哉「流石に長時間でキツイから、ガソリン代込みで1,000円払ってくれるならいいよ!」

 

 お金をもらっちゃおう!これでも電車とバスを乗り継ぐよりはかなり安いはず!

 

雄二「電車で行くよりはかなり安いな。」

ムッツリーニ「………だな。」

明久・島田「「なら僕(ウチ)もいいよ!」」

秀吉「ワシもじゃ!」

姫路「あの、人数って大丈夫なのですか………?」

 

 確か…………

 

昂哉「Maxで5人までしか乗れないね〜。」

 

 全員は無理だったはず。

 

明久「だったら雄二と昂哉がトランク(後ろにある荷物入れ)に乗ればイイんじゃない?」

 

 コイツ殺していいか?

 

雄二「俺と昂哉だとデカくて(2人とも180cmオーバー)入らねえだろ。」

昂哉「それに俺が後ろ乗ったら誰が運転するのさ!」

全員「「「「「「確かに………」」」」」」

秀吉「それならワシが後ろに………」

昂哉「秀吉は助手席ね。これは運転手命令だから!」

秀吉「そう言われては仕方ないのじゃ。」

ムッツリーニ「………クソ!」

明久「今回ばかりは昂哉に逆らえない……っ!」

 

 ドライブするなら秀吉が助手席に乗るのは当たり前じゃん!だって俺の彼女に相応しいんだからね!

 

雄二「じゃあ小柄なムッツリーニと明久がトランクか?」

明久「え〜。それだったら後列に4人乗って雄二を後ろにした方がいいよ〜!」

ムッツリーニ「………確かに!」

姫路「それって外から見られるとマズいのではないでしょうか?」

昂哉「トランクは隠せるからともかく、後部座席に人がいっぱいいちゃ流石に外から見えるからね〜。」

 

 流石に5時間も運転してたらどっかで見つかりそうだしね!

 

島田「小柄なら、ウチと瑞希の方が良くない?」

昂哉・明久「「確かに!」」

明久「美波は胸が小柄だしね〜。」

島田「殴るわよ‼︎」ドゴォ‼︎

明久「す、既に殴ってるんだけど………」

 

 まあ女子の方が身長小さいからね〜。でも……

 

昂哉「……姫路って縦はともかく横に意外とあるような……」

姫路「雲雀丘君?優子ちゃんに知らせ……

 

 やっべ、声に出てたし聞こえてしまった……。てか怒った姫路めっちゃ怖え‼︎

 

昂哉「気のせいでした!」

姫路「それなら大丈夫です♪」

明久「どうしたの、姫路さん?」

姫路「なんでもないです♪」

 

 とりあえず誤魔化す事が出来た…………

 

雄二「というか、トランクに2人も乗るか?」

島田「流石に無理な気がするわ。」

姫路「法律的にもアウトですしね。」

ムッツリーニ「………窒息するかもしれん。」

秀吉「じゃな。」

昂哉「まあそうだね〜。」

明久「それじゃあメンツを選ぶの?」

昂哉「だね。まず俺と秀吉は確定として………」

 

 あとは…………

 

昂哉「ムッツリーニは頼み事があるから、休めるよう車で!」

ムッツリーニ「………マジか、ありがとう。」

 

 電車やバスよりはこっちの方がいいよね。あっちは座れない可能性があるから。

 

 それと、残りは最大2人だから、明久・島田・姫路を全員乗せることは出来ない。この3人がバラけるのはアレだから、残った雄二を乗せる事になるのか〜。

 

昂哉「う〜んと、あとは………」

雄二「明久と島田と姫路は電車でいいんじゃないか?」

 

 お前も同じ事思ってたんかい‼︎

 

明久「雄二、ずるいぞ‼︎自分だけ車に乗ろうとは‼︎」

島田「ウチはそれでいいわ!」

姫路「私もです!」

明久「ちょっと2人とも⁉︎」

雄二「だってその3人はなんか3人でセットみたいなもんだろ。」

明久「どう言う事だよ‼︎だったら雄二もセットだ‼︎巻き込んでやる‼︎」

雄二「何だと⁉︎」

 

 待てよ、ムッツリーニはおそらく調べ物であまり寝れないだろうから、車の中ではずっと寝ている事になる。だとすると、雄二さえ乗せなければ………俺と秀吉のドライブデートになるじゃないか‼︎

 

昂哉「雄二。」

雄二「何だ昂哉?もしかして俺を乗せてくれるのか?」

昂哉「お前は明久たちと一緒で。これは運転手命令だから。」

雄二「なっ⁉︎何故だ⁉︎」

明久「やった〜♪」

昂哉「あと1人分は荷物スペースにしたいから。5人目の席は狭いからあってないようなもんだし。」

雄二「クソ‼︎それを言われると言い返せねえ………」

秀吉「じゃあワシと昂哉とムッツリーニが車で、残りが電車とバスって事になるかの。」

雄二以外「「「「「「意義無〜し!」」」」」」

雄二「クソ‼︎」

 

 ということで、俺と秀吉のドライブデートが決定しました。やったね!

 

 

 

 

 

 そしてその日の下校時間、俺は意気揚々と帰宅しようとしていた。

 

昂哉「楽しみ〜♪秀吉とのドライブデート♪」

ムッツリーニ「………お前、それが狙いだったのか。………どうせ俺は寝るからと。」

昂哉「あったりまえじゃん!」

雄二「そう言うことかよ‼︎ふざけんな‼︎」

秀吉「まあ運転してくれるのじゃから感謝せんとのぅ。」

明久「それに、みんなの大きい荷物を乗せてくれるんだからね。」

姫路「そうですね!」

島田「もし嫌なら翔子と2人で行けば?」

雄二「それだけは勘弁してくれ。」

 

 そして俺は意気揚々と自分の下駄箱を開けると、手紙が入っていた。これはもしや………⁉︎

 

昂哉「ちょ、ちょっとトイレ行ってくるね〜。」

雄二「おう。」

 

 そして俺はトイレに行き、封筒を開けて中身を確認すると、そこには、

 

ーー貴方の秘密を握っています。貴方の傍にいる異性にこれ以上近づかないで下さい。この忠告を聞き入れなければ同封された写真をばら撒きます。ーー

 

 脅迫状が入っていた。やっぱり!明久や雄二にあって俺に無いのはなんか変だからね!でも一体何の写真をネタに脅すのだろう?俺に対して脅すネタなんて無いような…………そう思いながら中を見ると、そこには……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が酔い潰れて兄貴たちに抱えられ、ウリ専(ゲイ専用風俗)に入って行く写真が入っていた!

 

 

 ヤバっ⁉︎よりにもよってこの写真かよ⁉︎確かあの時は兄貴たちから聞いた話だと、アイツらに潰されて無理矢理入店させられたんだっけ。しかも俺にはその時間の記憶が無いし、店で何があったかを兄貴たちは一切教えてくれないんだよね。だから俺の中では『シュレディンガーの処女』とかいうとんでもない問題が発生してるのさ。どうしよう、こんなことがバレたら俺の学園内での立場が最悪だよ‼︎全くあの糞兄貴共め‼︎許さねえからな‼︎

 

 

 

 俺はムッツリーニの元に戻り、

 

昂哉「ムッツリーニ、助けてくれ。」

ムッツリーニ「………どうした、昂哉?」

昂哉「俺におけるシュレディンガーの処女問題についての論文が執筆されそうなんだ。だから雄二や明久と同じように頼む。報酬はすすきのの風俗レビュー書Part2で。」

ムッツリーニ「………よく分からんが必ず調べておく!」

 

 仕事を依頼した。頼んだよ、ムッツリーニ‼︎

*1
札幌にある繁華街




 ということで強化合宿編、スタートです!昂哉は何も無いと思いきや、最後にとんでもないのがきましたね。酔って記憶を飛ばしてる間に処女を失ってるかもしれないとか、最悪ですね………

 さて、次回から合宿が始まります。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第三十一問 秀吉とドライブデート♡

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 とうとう待ちに待った強化合宿がやってきました!そして………

 

昂哉・秀吉「「俺たち(ワシら)は自由だ(じゃ)ぁぁぁぁ‼︎」」

 

 今俺は秀吉と喜びを噛み締め合ってます!

 

ムッツリーニ「………お前ら、なんでそんなにテンションが高いんだ?」

昂哉「なんせ優子が風邪で休みだからね‼︎」

秀吉「しばらくの間折檻されずに済むのじゃ‼︎」

昂哉「姫路と島田も買収したし!」

秀吉「密告される心配もないのじゃ!」

ムッツリーニ「………なるほどな。」

 

 ちなみにあの2人は明久の寝顔を撮ってあげる、って言ったら簡単に釣れたよ。チョロくて助かったぜ!

 

秀吉「まあ昂哉は大好きな姉上が居なくて寂しいじゃろうに……」

昂哉「秀吉こそ大好きなお姉ちゃんが居なくて寂しそうにしてたくせに!」

秀吉「そんなわけないのじゃ♪」

ムッツリーニ「………一番寂しそうにしてるのは木下だと思うがな。」

昂哉・秀吉「「確かに。」」

秀吉「口には出さないけども、結構落ち込んでおったからのぅ。」

 

 感情の起伏は激しいけど、自分の事はあまり言わないタイプの人だからね。

 

ムッツリーニ「………昂哉も合宿サボって行ってやればよかったのでは?」

秀吉「それじゃ!」

昂哉「そんな事したら優子に怒られちゃうよ〜。」

ムッツリーニ「………で、本音は?」

昂哉「せっかく自由になれたんだから、それを謳歌したい。」

ムッツリーニ「………やっぱり。」

秀吉「お主は相変わらずじゃのぅ………」

 

 優子が怒らなければこんな事は思わないからね!怒るアイツが悪い‼︎

 

昂哉「んじゃ、雄二たちの荷物も積んだし、そろそろ出発しますか〜!」

ムッツリーニ「………うい。」

秀吉「分かったのじゃ!」

 

 ということで、秀吉とのドライブデートの開始です!もちろん運転手が俺、助手席に秀吉、後部座席にムッツリーニと全員の荷物、って配置だよ!

 

 

 

 

 

 始まって割とすぐにムッツリーニは寝たので、俺は秀吉とおしゃべりする事にした。

 

昂哉「あぁ^〜、こうして秀吉とドライブデート出来て幸せだよ〜♪」

秀吉「デートの部分は余計じゃが、ワシもお主とドライブ出来て嬉しいのじゃ!」

昂哉「そう言ってくれると嬉しい♪」

秀吉「まあここに座っとるのが姉上じゃなくてすまんのぅ。」

昂哉「いや、それは勘弁だわ。すぐ怒られそうだし。」

秀吉「でも満更でもないのじゃろぅ?水着姿の姉上には照れておったらしいし♪」

昂哉「いや、あれは酔って秀吉の姿を重ねちゃっただけだから。」

秀吉「お主がワシと姉上を間違うなんて、今まで無かったはずじゃが?」

昂哉「お酒ってそういうもんなの!」

秀吉「そうなのか………」

 

 ちなみに合宿のために色んなお酒を持ってきたよ。飲むのが楽しみ〜♪

 

秀吉「ところで、今日はどこか寄り道するのかのぅ?」

昂哉「たりめえよ!まずは………だ!」

秀吉「なるほど!それはいいのぅ!」

 

 そして俺はしばらく車を走らせた。

 

 

 

 

 

 都内から1時間、遂に、

 

昂哉「やってきたぜ!」

秀吉「フラワーパークじゃ!」

 

 フラワーパークにたどり着いた!ちなみにムッツリーニは寝てるので起こしません!秀吉とのデートも楽しみたいので、ね!

 

秀吉「それにしても、ホントに色とりどりの花があるのぅ!」

 

 まあフラワーパークだからね。ローズガーデンやツツジがいっぱい咲いてるエリアなど、色んな花が沢山あるんだよ!

 

昂哉「まるで演劇で色んな役をやる秀吉みたいだね♪綺麗だし!」

秀吉「そう言ってもらえると照れるのぅ///」

 

 あぁ^〜、マジで可愛い!人間国宝………じゃ物足りないね!なんせ彼女は天使だから!天使国宝、とでも言うべきか!

 

昂哉「そして、なんと言ってもここの目玉は………」

秀吉「な、なんじゃ?」

昂哉「藤の花‼︎」

 

 紫をはじめとし、白や黄色など、さまざまな藤の花が沢山咲いてるよ‼︎花でトンネルが作ってあるので、頭から爪先まで、全て藤の花に包まれた空間は最高だね!見た目だけでなくちょっとした匂いまでが心を揺さぶるぜ!

 

秀吉「ほ、ホントに綺麗じゃのぅ……!」

昂哉「うんうん!この花の中に包まれた秀吉がホントに最高♪」

秀吉「そ、そうかのぅ……///」

昂哉「出来る事なら、いっそ2人でずっとここに居たいね!」

秀吉「それは嬉しいのじゃが、どちらかと言うとワシじゃなくて姉上に言うべきじゃと思うのじゃが……」

昂哉「何故⁉︎というかなんで秀吉はそんなに優子を推してくんの⁉︎」

秀吉「ワシは姉上と昂哉の恋路を弟として、そして友として応援したいだけなのじゃ♪」

昂哉「それ、優子はともかく俺については応援じゃないから‼︎」

 

 だって俺にとっては地獄だからね!

 

秀吉「それにこの周りを池に囲まれた黄色い藤の花のトンネル………この間の姉上の水着を思い出さぬか?」

 

 ぬぉっ!今それ言うなよ!確かにあの時ドキッとした奴の水着は黄色だったけどさ!更に周りの池がプールを連想させるけどさ!

 

昂哉「あ、アレはあくまでお前と重ねてドキッとしただけだから‼︎あとは酒のせい‼︎」

秀吉「そんなお主に質問なのじゃが………ワシが姉上の水着を着てたらどうするのじゃ?」

 

 この間の優子の水着を着た秀吉を思い浮かべる。う〜ん、これは…………

 

昂哉「サイコー、チョ〜可愛い、って言う!」

秀吉「間髪入れずにか?」

昂哉「もちのロン!」

秀吉「お酒が入ってたとしたら……?」

昂哉「ちょ〜テンション上げてすぐ言うね!」

秀吉「なるほどのぅ。」

 

 だって自分の想いは素直に伝えないとね!

 

秀吉「では何故姉上の時は照れて隠れたのじゃ?ワシと重ねたのならすぐに褒めると思うのじゃが………」

 

 あっ………。た、確かに……………

 

秀吉「お主、本当はワシより姉上の方が好きなんじゃなかろうか?自分で気づいてないだけで。」

 

 い、いや、そ、そんな事はないはず…………

 

昂哉「て、テンションの上がり方は人それぞれだからね!それに、あん時は初めて見たから動揺しただけだよ〜!」

秀吉「ほほう、それがお主の照れ隠しなのか♪」

昂哉「違う‼︎」

 

 と信じたい!というかなんか恥ずかしくなってきたから、これ以上優子の話をしないで欲しい!だから………

 

昂哉「そんな事より秀吉、ここで写真撮ろうよ!池と花をバックにさ!」

 

 他の話題に変えた。

 

秀吉「照れて誤魔化したか………まあ分かったのじゃ♪」

昂哉「照れてない!まあとりあえず、ここに立って!」

秀吉「はいよ!」

 

 そして俺は、

 

昂哉「すいません!ちょっと写真撮ってもらっていいですか?」

他の客「はいよ!」

昂哉「ありがとうございます!」

 

 他のお客さんに写真を依頼した。

 

他の客「んじゃ、笑って〜!」

昂哉「は〜い!」

秀吉「了解じゃ!」

他の客「いくよ〜、はい、チーズ!」パシャ

昂哉「ありがとうございました!」

秀吉「ありがとなのじゃ!」

他の客「いえいえ〜!」

 

 さてと、写真は………………

 

昂哉「うお〜、めっちゃ綺麗!」

秀吉「花と水がワシらの周りを取り囲んでおるな!」

昂哉「ここはまさに天国だよ!んで秀吉は本物の天使みたい!」

秀吉「お主も花に周りを囲まれて輝いておるぞい!」

昂哉「ありがと〜う!」

 

 めちゃくちゃ出来が良かった。やったね♪

 

昂哉「んじゃ、早速LINEのトプ画にするか〜!」

秀吉「そ、それやると姉上にバレてしまうが………」

昂哉「現地集合だから寄り道してもOKでしょ!だから大丈夫!」

秀吉「そうか!それなら遠慮なくトプ画にするぞい!」

昂哉「センキュー!んじゃ、俺もするね〜。」

 

 こうして俺は前のトプ画だった日本一の日本酒、『皐月乙女』から秀吉とのツーショット写真に変えた。

 

昂哉「んじゃ、次行くか!」

秀吉「そうじゃな!」

 

 こうして俺たちはフラワーパークを後にした。ちなみにムッツリーニはまだ寝ていたよ。本当に昨日はお疲れ様!後で成果を聞かせてね。

 

 

 

 

 

 

 そして車を走らせる事30分、俺たちは2つ目の目的地…………

 

昂哉・秀吉「「餃子街、到着‼︎」」

ムッツリーニ「………お、おはよう………」

昂哉「おはよう、ムッツリーニ‼︎」

秀吉「もう昼じゃがな。」

 

 餃子専門店が立ち並ぶストリートにやって来ました!ちなみにここで昼飯を食べるので、ムッツリーニを起こしてあげたよ!

 

ムッツリーニ「………おい昂哉。

昂哉「何、ムッツリーニ?」

ムッツリーニ「………この写真は何だ?

 

 そう言えばムッツリーニは寝てたから知らないんだよね。ならここは親切に教えてあげるか!

 

昂哉「秀吉とのフラワーパークデート♪」

ムッツリーニ「………殺したい程妬ましい。

秀吉「デートではないのじゃが。というかムッツリーニはワシよりも工藤の方が良いのでは?」

昂哉「それな!」

ムッツリーニ「………ち、違う///」

昂哉・秀吉「「またまた〜♪」」

ムッツリーニ「………本当に違う///」

 

 照れるムッツリーニと共に、俺たちは餃子街の中でも有名な餃子専門店、『あんあん』にやってきた。

 

昂哉「ここが噂の店か〜。」

秀吉「すごい客じゃの。」

ムッツリーニ「………み、店の名前が///」ダラダラ

秀吉「また鼻血を出しおって。工藤の声でも想像したのかのぅ?」

ムッツリーニ「………お、俺はエロに興味はない///」

昂哉「秀吉の下ネタはともかく、すいませ〜ん、3人で!」

店員「あ、あの〜、15分くらいお待ちいただけますか?」

昂哉「は〜い!」

 

 ということで俺たちは待つ事になった。

 

 

 

 

 そして待つ事15分、遂に

 

店員「お待たせしました!お席に案内します!」

昂哉「お願いしま〜す!」

 

 店の中に入れる時が来たぜ!

 

 そして席に着き、俺たちはメニューに目を通した。

 

秀吉「それにしても、色んな餃子があるのぅ。」

ムッツリーニ「………焼き餃子と水餃子の2種類だけだと思ってたが………それぞれ3種類ずつあるとは。」

昂哉「これはビールが飲みたくなるね!」

秀吉「運転させてしまってすまないのぅ……」

ムッツリーニ「………すまん。」

昂哉「いえいえ〜!どうせ宿舎着いたら死ぬほど飲むんだから、今くらいはセーブしておかないとね!」

 

 泊まりと聞いたら飲まずにはいられない!酒飲みの血が騒ぐぜ‼︎

 

昂哉「んで、皆は何頼む?」

秀吉「おすすめとかってないかのぅ?」

昂哉「おすすめは焼き餃子の中にある、肉餃子だね!」

秀吉「おお!旨そうじゃな!」

ムッツリーニ「………じゃあ俺はそれで!」

秀吉「ワシも!」

昂哉「よし、メインディッシュは決まりや!んで!ご飯はどうする?」

秀吉「もちろん頼むのじゃ!」

ムッツリーニ「………俺も!」

昂哉「よし、決まりや!すいませ〜ん!」

店員「はいよ!」

昂哉「肉餃子2皿(1皿3つ)と、ご飯3つで!」

店員「は〜い!以上でよろしいでしょうか?」

昂哉「大丈夫で〜す!」

店員「それではごゆっくり!」

 

 ということで、俺たちは注文が来るまでの間待つ事にした。ついでに最近気になってる事でも聞いておくか。

 

昂哉「そういえば、最近秀吉は下ネタちょっと多くない?」

秀吉「そうかの?」

ムッツリーニ「………女の子なんだから控えめにした方がいい。」

秀吉「工藤はずっと言っておるが、それについてはどう思うのじゃ?」

ムッツリーニ「………奴は例外。」

昂哉「まあムッツリーニにとって工藤は『特別な人』だからね〜。」

秀吉「確かに!」

ムッツリーニ「………そういう問題じゃない‼︎」

昂哉「それはともかく、秀吉はなんで喋るようになってきたのかな?」

 

 まあ昔から秀吉も年相応の男の子らしく、普通に性欲も持ち合わせていたよ。でもオープンになってきたのは割と最近かも。それまではちょっと恥ずかしがってたからさ。

 

秀吉「下ネタを話せば、お主らもワシを男じゃと認めてくれると思って!」ドヤァ!

 

 そういう理由かい‼︎随分安直だね!

 

昂哉「いつまで自分を男だと勘違いしてるのさ!」

ムッツリーニ「………そろそろ認めた方がいいぞ。」

秀吉「ぬぅぅぅ‼︎いっつもお主らはぁぁぁ‼︎」

 

 ちょっと怒ってる秀吉も可愛いね♪

 

秀吉「じゃったらワシが好きな女の子のタイプを話してやるぞい‼︎」

昂哉・ムッツリーニ「「マジで⁉︎」」

 

 遂に秀吉の恋バナが聞けるのか!

 

昂哉「じゃあ聞くけど、秀吉は異性に何を求めるの?」

秀吉「言い難いが身体じゃ。

ムッツリーニ「………言い難いなら一瞬でも言葉に詰まれ。」

昂哉「無理しなくて良いんだよ?」

秀吉「無理はしてないのじゃ。」

 

 いや、ここまで下ネタ直球の子だったっけ?違う意味で男の子を出そうとしても、それじゃあただの工藤になっちゃうよ?

 

昂哉「んじゃ、性欲以外には何を重視するの?」

秀吉「う〜む………乳房じゃろうか?」

ムッツリーニ「………表現変えても性欲だからな、それ。」

秀吉「まあ冗談は置いといて、ワシはやっぱり『居心地の良さ』じゃな〜。」

昂哉・ムッツリーニ「「ほう?」」

秀吉「あとは『好きなものがある』とか、」

昂哉「ふむふむ。」

秀吉「『新しい世界を教えてくれる』とかじゃの。」

ムッツリーニ「………なるほど。」

昂哉「要は、『四六時中一緒にいて』、『自分の趣味があって』、『新世界を見せてくれるヤツ、だね。」

秀吉「そんな感じじゃ。」

 

 う〜ん。そんな感じの人って………………おっ、もしかして!

 

昂哉・ムッツリーニ「「俺か?」」

秀吉「異性の話って言ったじゃろ。」

 

 どうやら違ったみたいだ。

 

 

 

 

 

 そんな事を思ってると………、

 

店員「お待たせしました〜!肉餃子とご飯です!」

 

 遂に料理が到着しました!

 

昂哉・秀吉・ムッツリーニ「「「おお〜‼︎」」」

秀吉「旨そうじゃな!」

ムッツリーニ「………見るからにいい焼き加減だ!」

昂哉「それじゃあ、」

昂哉・秀吉・ムッツリーニ「「「いただきま〜す‼︎」」」

 

 さてと、お味は………………

 

昂哉・秀吉・ムッツリーニ「「「ん^〜♪」」」

 

 めちゃくちゃ旨い‼︎皮のパリッとした食感を少し抜けると、その先からは決壊したように大量の肉汁が溢れ出てくる‼︎口の中をじゅわ〜っと染み込んでくる感覚が堪らないぜ!そして中の具もこれまた旨い!これはご飯が進むぜ!欲を言えばビールも欲しかったが、それは電車で来た時にしよう!丁度新幹線のある駅から近いからね!

 

ムッツリーニ「………ここに来て正解だったな!」

秀吉「昂哉、ありがとなのじゃ!」

昂哉「ど〜もど〜も♪」

 

 勉強とか人間関係とかを全て無視して、ただ目の前の餃子とご飯だけに集中できる。マジで最高の店だぜ!

 

 

 

 

 

 その後餃子とご飯をたらふく食べたあと、俺たちは目的地へと向かった。ムッツリーニは飯を食って眠くなったからか、すぐ寝たみたい。

 

 そしてその道中…………

 

秀吉「なんじゃあれは?」

 

 ジャージを着て歩く、何百人もの男子高校生の姿を見た。

 

昂哉「うわ、俺も分かんねえ。」

秀吉「なんかの学校行事か何かかのぅ?」

昂哉「多分ね………でも歩くだけの学校行事なんてあるのかな〜?」

秀吉「短い距離ならあるんじゃなかろうか?それならピクニックみたいで楽しいじゃろうし。」

昂哉「だね!」

 

 後で調べてみて分かったのだが、この行事は24時間かけて85kmを歩く学校行事だそう………常軌を逸してるよ………

 

 

 

 

 そしていよいよ山を越え谷を越え、遂に合宿所まで辿り着きました!

 

昂哉「到着〜!」

秀吉「お疲れ様じゃ!」

ムッツリーニ「………運転、ありがとう!」

昂哉「ど〜も♪」

 

 久々に長距離運転したけど、隣に秀吉がいると余裕だね!いつまでも運転出来る気がするよ!これが優子だったら、多分3分で限界を迎えてただろうね。やっぱり助手席に誰が乗るかは超重要だ!

 

近藤「お疲れ!」

須川「長距離をよく運転して来たな。」

横溝「そういうところは流石20歳だな。」

福村「全くだぜ!」

昂哉「センキュー!」

須川「それはそれとして、」

 

 Fクラス男子も玄関で出迎えてくれたぜ!全く、このクラスは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

須川「只今より、被告人雲雀丘昂哉の異端審問会を実施する。被告人の罪状を読み上げろ。」

 

 最低だな……………

 

横溝「はっ、須川会長。え〜、被告人雲雀丘昂哉は木下秀吉とドライブデートを満喫し、我らが教理に反した疑いがある。フラワーパークでツーショット写真を撮った他、餃子街で餃子を一緒に食べたり、助手席に乗せて猥談を楽しんだりなどと………」

須川「御託はいい。結論だけ述べたまえ。」

横溝「ドライブデートをしていて羨ましいであります!」

ムッツリーニ「………俺が寝ていたのにも関わらず、な。」

須川「うむ。実に分かりやすい報告だ。では被告人、最後に言い残すことはあるか?」

 

 クソ!俺だけが死ぬのは納得いかねえ‼︎だから………、

 

昂哉「悔しいなら免許取りやがれ‼︎まあテメェらの年齢じゃ無理だけどね‼︎あとムッツリーニも秀吉と猥談したから同罪だ‼︎」

ムッツリーニ「………なっ⁉︎」

 

 ムッツリーニも巻き込んでやる‼︎

 

須川「では判決を言い渡す。土屋康太含め、拷問してから、死刑‼︎」

FFF団他「「「「「はっ‼︎」」」」」

昂哉・ムッツリーニ「「いやぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」」

秀吉「お主らは何をしておるのじゃ………」

 

 こうして俺とムッツリーニは強化合宿早々死ぬ事になったとさ………




 ということで強化合宿1日目が幕を開けました!卯月高原を磐梯高原に設定したため、途中で通る栃木県のあしかがフラワーパークと宇都宮の餃子専門店『みんみん』、それと、栃木県立大田原高等学校の85km強歩をモデルにしました。

 そして、まさかの優子が風邪を引きました!お大事に………

 さて、次は初日の夜になります。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第三十二問 女子風呂を覗こう!1日目

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 異端審問会からなんとか生き延び、部屋に着いて荷物を取り出していると…………

 

昂哉「あれ…………」

 

 とんでもない忘れ物をした事に気がついた。

 

秀吉「どうしたのじゃ、昂哉?」

雄二「忘れ物か?酒ならそこにいっぱいあるだろ。」

明久「それとも木下さんを忘れたの?」

 

 ちなみに俺の部屋は他に秀吉、明久、雄二、ムッツリーニがいる。明久はどうやら昼に姫路の弁当を食って気絶したらしく、さっき復活したばかりなので頭が回ってないようだ。ちなみにムッツリーニは一人部屋の隅で調査を続けている。

 

昂哉「んなわけないでしょ。」

秀吉「じゃあ何じゃ?」

昂哉「俺が忘れたのは…………」

 

 何を隠そう、合宿に欠かせないものと言えば………

 

昂哉「麻雀牌さ!」

 

 やっぱこれだね!

 

明久・雄二「「いや、別にそんなの………」」

秀吉・ムッツリーニ「「何じゃ(だ)と⁉︎」」

 

 人間には2種類いる。麻雀を打つ人と、これから麻雀を打てるようになる人、だ。ちなみに秀吉とムッツリーニが打てる側の人間で、明久と雄二がこれから打てるようになる側の人間だよ。

 

昂哉「だから俺、今から郡山にある店*1行って買ってくる!」

秀吉「ワシも行くのじゃ!」

ムッツリーニ「………頼んだ、2人とも!」

昂哉・秀吉「「おう!」」

明久・雄二「「ええ………」」

 

 ということで秀吉とのドライブデート、再来です!ちなみにわざと忘れたわけじゃないからね!

 

 

 

 

 

作者(天の声)『しばらく麻雀の話題になります。知らない人は天の声が復活するまで流し読みしても読み飛ばしても大丈夫です。』

 

 

 運転中、俺と秀吉はルールの確認をしていた。

 

秀吉「やっぱり昂哉・ムッツリーニとじゃと3人麻雀かのぅ?」

昂哉「じっちゃん入れて4人でもいいけど、なんせ年寄りは早寝だからな〜。」

秀吉「じっちゃんって夜強そうなイメージがあるのじゃが……」

昂哉「女が絡まないと弱い………って秀吉がいるから大丈夫か!」

秀吉「何故ワシなら大丈夫なのじゃろうか……やはりもっと下ネタを……」

昂哉「まあ言いたいなら言えばいいんじゃね?それはともかく、とりあえずどうする?」

秀吉「う〜む、やはりまずはFクラスの3人でやるかのぅ。」

昂哉「だね!じゃあルール確認だ!」

 

 麻雀は細かいルールが場所によって結構違うからね。それもまた醍醐味ではあるんだけど。ちなみにいつもやるのは俺-兄貴-兄貴-じっちゃんの4人か、俺-兄貴-兄貴-秀吉-優子-ムッツリーニの6人の中から4人か、フリーで4人って感じだから、3人麻雀はあまりやった事ないんだよね〜。関西の雀荘だと多いらしいけど。

 

秀吉「まあ3人なら半荘じゃろうな。北はどうするかの?」

昂哉「俺は抜かない方が好みだけど、秀吉は?」

秀吉「ワシはどちらでも。」

昂哉「なら3人の共通役牌ということで!次は赤の枚数!」

秀吉「入れるところは5は両方とも全赤だったりするのじゃが、昂哉は好きじゃないんじゃろ?」

昂哉「まあね〜。ちなみに秀吉は?」

秀吉「ワシは両方に1枚ずつぐらいが丁度いいと思っておるぞい。」

昂哉「じゃあそれで!次は原点!」

秀吉「確か三麻は飛びやすいから35,000持ち40,000返しが基本らしいが……」

昂哉「じゃあそれで!次は順位ウマだね!」

 

 ノーレートではあるんだけど、統計は取ってるんだよね〜。これをやる事によって誰が強いかとかが分かるから結構面白いよ!ちなみに現在は1位俺、2位じっちゃん、3位克哉兄貴、4位力哉兄貴、5位優子、6位秀吉、7位ムッツリーニだよ。

 

秀吉「20、0、-20が計算しやすいのでは?」

昂哉「確かに、じゃあそれで!あとの細かいのは4人の時用と合わせるか!」

秀吉「そうじゃの!」

 

 ということで、ルールが決まりました。やったね!

 

 

 

作者(天の声)『ここで麻雀の話題は終了です。お付き合いして下さり、誠にありがとうございました。』

 

 

 

 

 

 麻雀牌を無事購入した後、ムッツリーニからLINEが飛んできた。今は運転している俺の代わりに秀吉が返信しているよ。

 

ムッツリーニ(LINE)『………購入助かる。………ちなみに犯人だが………』

秀吉(LINE)『分かったのかのぅ?』

ムッツリーニ(LINE)『………犯人は女子生徒でお尻に火傷の痕がある、という事しか分からなかった。』

 

 奴は一体何を調べたんだ?

 

ムッツリーニ(LINE)『………タイムリミットは強化合宿中だ。………それが終わると雄二の苗字が変わる。』

 

 ついでに明久が女装癖のある変態として拡散されて、俺が非処女かどうかが拡散させる事になるね。最悪だ‼︎

 

ムッツリーニ(LINE)『………だから秀吉にお風呂を覗いてきてもらうよう頼もうとしたのだが……』

秀吉(LINE)『何故かワシだけ個室風呂なのじゃよな。』

 

 何それ。第三の性別的なアレ?

 

昂哉「ちなみに欲を言うと秀吉は女子風呂を覗きたかったの?」

秀吉「欲を言えばそうなのじゃが、流石に犯罪じゃからのぅ。」

昂哉「だよね〜。じゃあ俺と一緒に風呂入ろっか♪」

秀吉「別にかま………ワシを襲う気じゃなかろうな?」

昂哉「もちろん襲うよ!」

秀吉「じゃあ却下じゃ。」

昂哉「冗談だよ、秀吉!流石に強姦で捕まるから!」

秀吉「お主はてっきり法律とか気にしないタチなのかと思ったったのじゃが………」

昂哉「たまには気にするよ!」

秀吉「できればいつも気にして欲しいのじゃが………」

 

 一応俺なりのポリシーはあるからいいよね♪

 

秀吉(LINE)『まあとにかく、調査ご苦労じゃった。』

ムッツリーニ(LINE)『………ど〜も………ってヤバ‼︎』

 

 ん?何かあったのかな?

 

秀吉(LINE)『どうしたのじゃ、ムッツリーニ?』

ムッツリーニ(LINE)『………こや』

 

 中途半端なそのメッセージを最後に、ムッツリーニからの返信は途絶えた。

 

昂哉「何?殺人事件でも起きたの?」

秀吉「流石にそれはアレじゃが何かはあったのぅ。」

 

 まずはちょっとした手掛かりから探るか……

 

昂哉「ダイイングメッセージの『こや』ってなんだと思う?」

秀吉「小屋、かのぅ?」

昂哉「う〜ん、それだとますます意味が分からないな〜。『こや』の後に続くとしたら………」

秀吉「小山かのぅ?Cクラス代表の。」

昂哉「あの女ね〜。」

 

 個人的にビッ千華っぽいって思ってる子ね。

 

昂哉「しかし奴が何故ムッツリーニたちに………ってもしかして根本の件か?」

秀吉「確かに、あの場には明久や雄二もおるからのぅ。根本をいじめた復讐にでも来たのじゃろうか?」

昂哉「あの女ってそう言うことをするかな?」

秀吉「確かに、彼奴はしなそうじゃな。それに、小山vsムッツリーニ&雄二&明久じゃ、流石にムッツリーニたちが混乱する程でもなかろう。」

 

 だよね。力じゃ当然勝てないし、雄二の方が口喧嘩も上手そうだし。

 

昂哉「とりあえず電話してみる?ムッツリーニじゃなくて明久とかに。」

秀吉「じゃな。」

 

 こうして運転してる俺の代わりに秀吉が電話をかけたが、

 

秀吉(電話)『…………』ツー

 

 なかなか繋がらなかった。

 

秀吉「これは確実に何かあったのぅ。」

昂哉「だね。」

秀吉「でも雄二さえいれば割とどうにでもなるのじゃが……」

昂哉「その雄二がダメって事は………」

昂哉・雄二「「霧島がいるね(のぅ)。」」

 

 奴は霧島には滅法弱いからね。

 

秀吉「それにしても、一体何が起きてるのじゃか……」

昂哉「怖いね〜。」

 

 そんな事を言ってるうちに宿舎に着いた。

 

 

 そして俺たちが部屋に戻ると…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明久・雄二・ムッツリーニ「「「うぅぅぅぅ………」」」

 

 何故か悶えてる3人が居た。

 

昂哉・秀吉「「ただい……まぁ⁉︎」」

明久「お、遅いよ2人とも!特に昂哉!」

ムッツリーニ「………牌を買ってきてくれた事は感謝するが、拷問を受けなかった事はいただけないぞ、昂哉!」

秀吉「どう言う事じゃ?」

昂哉「それに何故俺だけ恨んでるの?」

 

 まあ秀吉よりは俺の方がやらかしそう、っていう気持ちは分かるけどさ。

 

雄二「何故だか知らんが女子風呂に小型カメラがあってな。」

ムッツリーニ「………それを見つけた女子たちに覗き犯の汚名を着せられたんだ。………Cクラスの小山を始めとして。」

 

 なるほど、あのダイイングメッセージはやっぱり『小山』だったのね。

 

明久「美波に姫路さんに霧島さんがいじめてきて、超大変だったよ〜。」

 

 なるほどね〜。だから雄二も死んでたのか。

 

昂哉「なら買い出し行って正解だったね!」

雄二「ぶっ飛ばすぞ。」

明久「運のいい奴め!」

昂哉「そうじゃないと麻雀で稼げないからね〜。」

明久「クズか、コイツは……」

 

 運も実力のうちさ!

 

雄二「んで、昂哉がやったんだろ?」

 

 俺を疑うのかい‼︎

 

秀吉「ワシも昂哉もそんな事はせんぞ。」

昂哉「それに、俺だったらお金を払ってその先までいくね。今は一応優子が居るからアレだけど。」

 

 保健体育の実習のことね。じっちゃんならとりあえず彼女にしてからそこまで到達しそう。

 

ムッツリーニ「………ぬぁっ!」ブー、バタン

雄二「お前のその発言はどう考えてもアウトだろ。」

明久「でもまあ、僕ら5人の中には犯人がいないって事だね。」

昂哉「だろうね。んで、もしかしてその犯人って明久たちを脅している犯人と繋がってたりする?」

 

 自分の罪を他人に押し付ける事はよくある事だからね〜。

 

雄二「まあそうだろうが……」

ムッツリーニ「………機材は全部同じ。」

 

 なるほどね〜。やっぱり今までの事件は全部繋がってたのか!

 

昂哉「なら俺たちの敵はただ1人だ!」

雄二「盗撮犯、それを見つけるまでよ!」

 

 そして逆に利用し返してやる!

 

秀吉「でもどうやるのじゃ?」

雄二「実際に俺達が女子風呂を覗いて確かめようと思う。」

 

 はい?

 

昂哉「お風呂じゃなくて頭が沸いちゃったのかな?」

雄二「ブチ殺すぞ。というか昂哉なら分かってくれると思ったんだが………」

昂哉「犯罪者の思考なんて分かりたくないね〜。」

秀吉「さっき法律はたまにしか守らない、って言っておったはずじゃが?」

昂哉「都合の悪い事は黙るものなの、秀吉!」

雄二「相変わらずクズだな。」

明久「だね。」

 

 現在進行形で女子風呂を覗こうとしてる奴に言われたくないな〜。

 

雄二「まあとにかく、俺達の持論はこうだ。女子が無理矢理冤罪を押し付けようもんなら、実際にやってしまえばいいと。」

明久「もうお仕置きも受けたわけだしね〜。」

 

 なるほどね〜。ならやる事は一つだ!

 

昂哉「なら俺も協力するよ!」

秀吉「ワシも友の汚名を返上せねばいかんからのぅ!」

雄二「そう来ると思った!じゃあ行くぞ‼︎」

昂哉「待って。俺の考えを教えるから!」

 

 そう言って俺は他の皆と作戦会議をした。

 

 

 

 

 

 

 そしていざ覗きのとき‼︎俺たちが女子風呂へ向かおうとすると、その手前にある廊下で、

 

布施「待ちなさい、君たち。」

 

 予想通り先生の待ち伏せを受けた。だけどここからが本番だ!俺の力を見せてやる!

 

昂哉「何ですか、先生?」

布施「君たちは覗きをしに来たのでしょう?」

昂哉「えっ?違いますよ?」

布施「じゃあ何をしに………?」

昂哉「俺たちはただ風呂に入りに来たんです‼︎」

 

 ちなみに皆にも風呂に入る格好で来てもらったよ。

 

布施「ここは女子風呂ですよ?」

昂哉「男子風呂でも女子風呂でも別に良くないっすか?」

布施「よくありません‼︎」

昂哉「先生なら知ってますよね?」

布施「何をです?」

昂哉「大学1年生の数学で習ったはずです。2次以上の微小項は無視できる、と。」

 

 0.1に0.2を掛けたら0.02となって、掛ける前の数である0.1よりも0.2よりも小さくなる。それを活かして凄く小さい数である0.0000……1と0.0000…1を掛けると、更に小さい数になる。それはもはやほぼ0とみなしていい、つまりその存在を無視しても大差ない、って理論だね。俺はこれを活かして説得してみせる!

 

昂哉「まず物理的な理由です。一般的な壁の厚さは約20cmであるため、男子風呂と女子風呂の間の距離はそれに一致すると考える事ができます。これは高度20,000kmにあるGPS用の人工衛星からすれば、その高度に比べ、わずか0.000001%の距離でしかありません。つまりGPS的には男子風呂と女子風呂の差はほとんどありません。」

布施「なるほど。」

昂哉「そして化学的な理由です。男子風呂と女子風呂を構成する成分はほぼ同じであり、誤差程度の違いしかありません。」

布施「ほう。」

昂哉「そしてこれら2つの微小項が掛けられたとき、男子風呂と女子風呂の違いは………」

布施「無視する事が出来る………?」

昂哉「その通りです‼︎」

 

 よっしゃ‼︎大成功だぜ‼︎

 

布施「大変素晴らしい考えですが、これには一つ致命的な欠点があります。」

昂哉「といいますと?」

布施「法律的な理由です。」

昂哉「そんなものは微小なので無視出来ます‼︎」

布施「出来ません‼︎試獣召喚(サモン)!」

 

 どうやら説得は失敗したみたいだ………。全く、俺の周りには律儀に法律を守る奴が多すぎるんだよ‼︎

 

昂哉「試獣召喚(サモン)!」

秀吉「教師相手に1人は辛かろう!試獣召喚(サモン)!」

雄二「ここは任せた!」

ムッツリーニ「………俺達は先に行く!」

明久「だから頑張って!」

昂哉「ほ〜い!」

秀吉「任せるのじゃ!」

 

 ということで秀吉との共同作業♡だよ♪さあ布施先生、愛の力の前に倒れなさい‼︎

 

 

 

化学

 

男子 

   雲雀丘昂哉 437点

    木下秀吉 27点

     VS

教師

    布施文博 751点

 

 

 流石は教師………点数で言ったら圧倒的に上だ………だが俺は奴らの最大の弱点を知っている‼︎

 

昂哉「先生!教師の召喚獣って物理干渉が出来るんですよね?」

布施「まあそうですね。観察処分者が出来る前までは自分たちと高城君が雑用をやってましたから。それに物に触れられる方が何かと都合が良いのですよ。」

昂哉「やっぱりそうですよね!」

 

 3年の学年次席の名前が出てきたのはさておき、俺の力を見せてやるとするか!

 

昂哉「秀吉、俺を援護しつつ先生の隙を作って!出来る?」

秀吉「了解じゃ!」

布施「大人しくしていて下さい!」

秀吉「そうはいかないのぅ‼︎」

 

 秀吉が俺を守りながら隙を作ったところで、

 

 

昂哉「《スピリタス》‼︎」

 

 

 腕輪の力の投入だ‼︎

 

布施「ぐぅ………」

 

 

 

化学

 

男子 

   雲雀丘昂哉 437点

    木下秀吉 27点

     VS

教師

    布施文博 497点

 

 

 さてさて、ここからが宴の始まりだ!

 

布施「な、なんですかこれは………っ!」フラフラ

昂哉「教師の召喚獣は物理干渉が出来るってさっき言いませんでしたっけ〜?」

布施「そ、そうですが………」フラフラ

昂哉「それは同時にフィードバックを伴う、という事ですよね?」

布施「ま、まさか………っ!」フラフラ

昂哉「そう!先生は今俺の召喚獣の酒攻撃で酔ったんですよ!普通のお酒を飲んだ時と同じようにね‼︎」

布施「し、しまった………っ!」ガクッ

 

 そう!教師のようなフィードバックがある人は、召喚獣だけでなく、その本人までも酔ってしまうのさ!これにより召喚獣が更に操作しづらくなる。だから俺の召喚獣は教師相手に相性抜群だぜ‼︎特に酒に弱い奴には、な‼︎布施先生は早速膝をついたようだぜ!

 

昂哉「先生!宴はまだまだこれからですよ〜?潰れないで下さいね〜!」

布施「ひ、雲雀丘君………な、なんて事を………っ!」

昂哉「ほらほら〜、教師の癖に生徒の酒が飲めないんですか〜?」

秀吉「どっちが敵じゃか分からんのぅ…………」

布施「うぅ………」

 

 今の布施先生の召喚獣は酒でフラフラになってる上に、操作する本人も酒でフラフラだからほぼ相手にならないぜ!点数があるだけのカカシさ‼︎

 

昂哉「やっほ〜い♪酒だ酒だ〜♪」

秀吉「ワシがおる必要はあったかのぅ?」

布施「うぅ…………」

昂哉「マジで死にそうならやめてもいいんですよ?」

布施「こ、これ以上は………」バタン

 

 

 

化学

 

男子 

   雲雀丘昂哉 287点

    木下秀吉 2点

     VS

教師

    布施文博 K・O

 

 

 

 ということで、俺たちの勝利です!

 

秀吉「お主、やるのぅ!」

昂哉「まあね!」

家角「………試獣召喚(サモン)………」

昂哉「じゃあ次……って!」

秀吉「しまった‼︎」

 

 クソ‼︎ケツ先生が不意打ちをかけてきやがった‼︎

 

 

 

化学

 

男子 

   雲雀丘昂哉 127点

    木下秀吉 0点

     VS

教師

    布施文博 K・O

    家角亜成 471点

 

 

 

秀吉「すまぬ、昂哉……」

昂哉「いいんだよ、秀吉!というかケツ先生、卑怯ですよね⁉︎どうせ自分の評価を上げたいがために途中まで隠れてたんでしょう⁉︎」

家角「覗きをする生徒に卑怯もクソもないだろう?」

昂哉「うっ……………」

 

 何も言い返せねえ………

 

家角「それに俺は物理教師なのに化学のフィールドで戦ってあげてるんだ。感謝したまえ。」

 

 そのせいでこっちは腕輪の力を使えないけどな。マジで卑怯な野郎だぜ‼︎

 

昂哉「うぅ……なら酒で潰すまで‼︎」

家角「生憎俺も酒の強さには自信があるんだ。残念だったな。」

 

 なんだと⁉︎

 

昂哉「雲雀丘家の人間が酒で負けてたまるか‼︎とっとと片付けて………」

 

 

 

家角「《シャルピー衝撃試験》」

 

 

 

 しまった!奴の腕輪の力か‼︎というか化学でも使えんのかよ‼︎

 

昂哉(召喚獣)「うぅ………」

 

 しかも俺の召喚獣の股間に当たって悶絶してるし!ヤベェ技だな、これ‼︎明久とかフィードバックがあるから死ぬんじゃねえの、これ。

 

 

 

化学

 

男子 

   雲雀丘昂哉 0点

    木下秀吉 0点

     VS

教師

    布施文博 K・O

    家角亜成 471点

 

 

 

 ということで俺と秀吉は敗北した。

 

家角「生憎他3人もやられたみたいだな。」

 

 マジかよ⁉︎

 

ムッツリーニ「………保体の大島先生に勝てなかった……」

雄二「俺は数学の長谷川先生だ……」

明久「僕は鉄人に素手で召喚獣を破壊されたよ……」

 

 いや、明久の話ヤバすぎるでしょ。鉄人ってマジで人間なの?

 

鉄人「さあ、まずは英語で反省文でも書いてもらおうか。文法や単語を間違えたら何度でもやり直しだ!終わった者からシャワーを浴びて寝てもよし!」

バカ5人「「「「「は〜い……」」」」」

家角「では俺は寝るとしよう。」

鉄人「長谷川先生、大島先生、家角先生は布施先生の介抱をお願いします。」

長谷川・大島「「はい。」」

家角「すいません、俺は用事があるので先に部屋に戻ります。」

 

 ということでめんどくさくて介抱をサボったケツ先生を横目に、俺たちは反省文を書くハメになった………

*1
合宿所のある卯月高原を磐梯高原が舞台だとしたため




 ということで強化合宿の初日でした。昂哉が拷問神回避を発動したり、布施先生を酒でK・Oしたりと大活躍でしたね。まあケツ先生の不意打ちに負けましたが………

 さて、次回は録音機の件です。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第三十三問 音声合成合戦

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 強化合宿2日目、俺たちFクラスはAクラスと合同で自習しているよ。

 

霧島「…雄二、一緒に勉強出来て嬉しい///」

雄二「待て翔子!当然のように俺の膝に座ろうとするな!」

霧島「…なんで?」

雄二「クラスの連中が俺を狙ってるからな。」

須川「これより、異端審問会を………」

雄二「始めるな。廊下で鉄人がこっちを見てるぞ。」

須川「では後で。」

雄二「結局やるんだな⁉︎」

 

 というか優子が居たら一緒に勉強する事になってたのか〜。アイツが風邪を引いてくれて助かったぜ!そんな事を思ってると………

 

美穂「あの、ここで勉強してもいいですか?」

 

 めちゃくちゃ意外な人に声を掛けたれた。

 

昂哉「あっ、うん!別にいいよ〜。」

美穂「それでは失礼します。」

 

 ということで、まさかの人と一緒に勉強する事になった。ちなみにテーブル割りは………

 

 

 

テーブルA→霧島夫妻、昂哉、佐藤美穂

テーブルB→島田、姫路、久保、赤田爺

テーブルC→明久、秀吉、ムッツリーニ、工藤

風邪で休み→優子

 

 

 

 こんな感じだよ。とりあえずまずは自己紹介しとくか〜。

 

昂哉「えっと、改めて!2年Fクラスの雲雀丘昂哉、20歳!趣味は酒と麻雀とパチンコとスロットだよ!風俗にも昔通ってたけど、今は彼女が居るから遠慮してるんだ!」

雄二「お前は最初の自己紹介で凄えこと言うんだな。」

昂哉「別に自分の事をオープンにしてるだけだし良くない?」

雄二「お前がいいなら………」

昂哉「んじゃ、次お願い!」

美穂「えっと、2年Aクラスの佐藤美穂、17歳です。趣味は演劇鑑賞です。よろしくお願いします。」

 

 おお、見た目通りなんか大人しい感じの子だね!

 

昂哉「よろしくね〜。そういえば俺の酒を燃やした子だよね?」

美穂「はい、そうです!」

雄二「お前らはどういう関係なんだよ……」

霧島「…美穂がそんな子だったとは……」

美穂「代表さん、これは召喚獣での話です。」

霧島「…あ、そういうことか。」

 

 どうでもいいけど、代表さんってなんか可愛い呼び方だね。

 

昂哉「もしや火が好きとか?」

美穂「はい!私将来エンジンを作る仕事をしたくて………」

 

 本人の夢が召喚獣に反映されてたのか!

 

昂哉「凄いじゃん!いい夢だね!」

美穂「ありがとうございます!ちなみに優子さんとも同じリケジョ同士仲良いですよ!」

昂哉「そ〜なんだ!じゃあ奴の凶暴さは知ってるわけね!」

美穂「可愛さなら知ってます!あの子雲雀丘君とのツーショット写真を携帯のホーム画面にして、いつも眺めてるんですよ?」

 

 ま、マジか………!人にそこまで好かれるとなんか照れる………///

 

昂哉「そ、そうなんだ!ちなみにアイツは怒ると手を上げるから気をつけてね!」

美穂「手を上げるのは雲雀丘君と秀吉君にだけだと思いますよ?」

昂哉「うぅ〜、これでは奴の凶暴さが伝わらないな………」

 

 それにしても、なんでコイツは急に話しかけてきたんだろう?よく分かんない。

 

美穂「ところで私、聞きたい事があるんですけど……」

 

 どうやら本人からそれを言ってくれるらしい。

 

昂哉「何?」

美穂「ひで………」

明久「キミが僕にお尻を見せてくれると嬉しい‼︎

 

 おい。

 

昂哉「明久!邪魔すんなよ!」

明久「うるさい昂哉!それより僕は今ヤバいんだ!」

昂哉「元からでしょ‼︎」

工藤「折角だから録音させてもらったよ〜!」ポチッ

明久(録音)『キミが僕にお尻を見せてくれると嬉しい‼︎

 

 草。録音されてんのかい!

 

明久「あぁぁぁぁぁ‼︎合成じゃない分大ダメージだよ⁉︎お願い工藤さん、今のは消して!」

工藤「吉井君ってからかいやすくて面白いな〜!つい虐めたくなっちゃうよ♪それにこの間はボクの事をからかったから、その仕返しさ!」

明久(録音)『お願い工藤さん僕にお尻を見せて

明久「あぁぁぁぁぁ⁉︎どんどん僕が変態になっていくよ!」

昂哉「元からでしょ。」

明久「うるさい、昂哉‼︎」

島田「今の何かしらね、瑞希?

姫路「なんでしょうね、美波ちゃん?

 

 あっ………。バーサーカーがやって来たのウケる〜♪しかも昨日使ったと思われる拷問道具まで持って来てるしw

 

島田「まさかただでさえ問題クラスって注意されてるのに、これ以上問題を起こすような発言をしたバカがいるのかしら?

姫路「困りましたね。そんな人には厳しいお仕置きが必要ですよね?

明久「2人ともこれは誤解なんだ‼︎僕はそんな気はなくて、ただ純粋に」

明久(録音)『ヤバいお尻が好き

明久「って違ぁぁぁう‼︎待って美波!今は音を重ねられただけなんだ‼︎お願いだから縛」

昂哉「ってくれないか‼︎」

明久「って昂哉‼︎ふざけんなよ‼︎」

 

 マジでおもしれ〜男♪

 

明久「あと他の皆も笑ってないで助けてよ‼︎特に雄二‼︎」

ムッツリーニ「………工藤愛子、おふざけが過ぎる。」

 

 おっ!

 

昂哉・明久「「彼氏、参上!」」

ムッツリーニ・工藤「「違う‼︎」」

ムッツリーニ「………気が変わった。………やるぞ工藤‼︎

工藤「うん!

昂哉「るならホテルでよろしく〜。」

ムッツリーニ・工藤「「うるさい!」」

 

 照れるくらいならさっさと付き合えばいいのに〜w

 

明久「とにかくこのバカップルの事はおいといて、姫路さんと美波、よく聞いて。」

島田・姫路「「何?」」

明久「さっきのは誤解で、僕は」

明久(録音)『雄二と昂哉のヤバいお尻が好き

明久「って言いたいわけじゃなぁぁぁぁい‼︎」

昂哉(録音)『明久ヤらないかホテルで。』

昂哉「クソがぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 俺×明久とかやめろよ‼︎ただでさえ自分が処女かどうかが拡散されるかの危機に陥ってるのにさ!それに、優子が勘違いして興奮したらどうすんだよ‼︎

 

霧島「…吉井、雲雀丘。…雄二は渡さない!」

昂哉・明久「「いや、要らないから。」」

 

 更に俺×雄二とか生み出すんじゃない‼︎

 

島田「アキ……そんなに坂本や雲雀丘のお尻がいいの?ウチじゃダメなの?」

姫路「前から分かってたことでですけど、そうはっきり言われるとショックです………」

明久「どうしてすぐに僕を同性愛者扱いするの⁉︎僕にそんな趣味は………」

久保「吉井君、同性愛者を馬鹿にするのは良くないよ。」

清水「その通りですわぁぁぁぁ‼︎」バン!

 

 うわ………、なんかとっ散らかってきたし………

 

島田「み、美春⁉︎なんでここに⁉︎」

清水「お姉様!美春はお姉様に逢いたくて、Dクラスをこっそり抜け出してきちゃいました!」

島田「雲雀丘バリア!」だきっ!

 

 おっ、清水が俺に抱きついてきたぞ?

 

清水「け、汚らわしいですわ!」

昂哉「 65点。

清水「ちょ、ちょっと⁉︎勝手に点数をつけないで下さい‼︎」

 

 まあ俺の事を罵倒したからね。そのくらいの覚悟は無いと!

 

昂哉「経験人数1,000人超えのじっちゃんのレビューの方が良かった?」

赤田爺「なら儂の出番じゃな。」

清水「要らないです‼︎」

赤田爺「安心せい。儂が男の味をたっぷりと……」

鉄人「静かにしろ、貴様ら‼︎」

 

 ということで、録音機騒動は鉄人の大声によって収まった。

 

 

 

 

 俺は自分の席に座る前に、あの保体コンビに言い返しに言った。

 

昂哉「よくもやってくれたな、バカップル!」

ムッツリーニ「………お前がからかうのが悪い!」

工藤「まあまあムッツリーニ君。雲雀丘君も優子が居なくて寂しいんだよ、きっと。」

ムッツリーニ「………なるほど!………それなら仕方ない。」

昂哉「違うからね!むしろ優子が居なくて嬉しいくらいだよ!」

ムッツリーニ・工藤「「ホントかな〜w」」

昂哉「ホントだよ!だから………」ポチッ

ムッツリーニ(録音)『やるぞ工藤‼︎

工藤(録音)『うん!

昂哉「2人で仲良くね!」

ムッツリーニ・工藤「「なっ///」」

 

 実は俺もスマホでこっそり録音してたからね!とっとと付き合えバカップル‼︎

 

 

 そんな事を思いながら俺は自分の席に戻った。

 

昂哉「待たせてごめんね。」

美穂「いえいえ、大丈夫です!」

昂哉「ところで、質問ってなんなの?」

美穂「あっ!覚えてて下さったのですね!」

昂哉「まあね〜。」

 

 流石に忘れると悪いからね。

 

美穂「それなら質問します!」

昂哉「はい、なんでしょう?」

美穂「秀吉君ってどうやったら落とせますか?」

 

 わお!まさかの恋バナだったよ!おじさんびっくり!しかも相手は秀吉だって!

 

昂哉「マジか〜!秀吉は俺の彼女なんだけ……」

美穂「いや、違いますよね?」

 

 うぉい!随分食い気味に言い返してきたね!

 

昂哉「あっ、うん。」

美穂「良かったです!それで、どうすればいいでしょうか?」

 

 ちょうど良かった!昨日秀吉と恋バナした甲斐があったぜ!

 

昂哉「確か秀吉のタイプは、『四六時中一緒にいて』、『自分の趣味があって』、『新世界を見せてくれるヤツだったかな?」

美穂「な、なるほど!ありがとうございます!」

昂哉「いえいえ〜。」

美穂「それじゃあ、早速実践した方がいいですよね!」

昂哉「そうだね!んじゃ、行ってらっしゃ〜い!」

美穂「行ってきます!」

 

 ということで、佐藤を秀吉の元へ送り出した。この際だからこっそり会話でも聞いてみるか!

 

美穂「ひ、秀吉君!」

秀吉「な、なんじゃ?」

美穂「は、初めまして!私はAクラスの佐藤美穂と申します!趣味は演劇鑑賞です!」

秀吉「なんと!お主も演劇が好きなのか!」

美穂「はい!」

秀吉「えっとな、ワシは演劇部で………」

 

 順調そうでなによりだ!というかもしかして趣味から秀吉を知った感じなのかな?それなら尚更仲の良いカップルになりそうだね!あと、『四六時中一緒にいて』と、『新世界を見せてくれる』はちょっと難しそうだけど、『自分の趣味があって』はいけそうだからね!

 

 

 

 

 

 さてと、俺は自分の勉強に勤しみますか…………って優子からLINEが来てる?

 

優子(LINE)『た、昂哉がいいならいいよ///』

 

 ん?どういう意味だろう?

 

昂哉(LINE)『どういうこと?』

優子(LINE)『えっ?アレ昂哉が言ったんじゃないの?』

昂哉(LINE)『ごめん、アレって何?』

優子(LINE)『こ、これ………』

 

 そうして優子が送ってきたのは……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉(録音)『優子ヤらないか?』

 

 とんでもない合成音声だった。

 

昂哉「ムッツリーニ‼︎工藤‼︎ふざけんじゃねぇぇぇ‼︎」

 

 こうして俺は優子の誤解を解のに労力を使ってしまったとさ………




 ということで、録音機のお話でした。中々にカオスな展開でしたね。

 あと、久しぶりに佐藤美穂が登場です!そしてまさかの秀吉狙いです!意外な組み合わせかも知れませんが、よろしくお願いします。

 さて、次回は女子風呂覗き、第2回戦です。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第三十四問 女子風呂を覗こう!2日目

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 2日目の夜、俺たちは部屋で作戦会議をしようとしていたのだが…………

 

美穂「秀吉君!次は源氏物語について語りましょう!」

秀吉「佐藤、あの……」

 

 さっきから佐藤がずっと秀吉と一緒にいるから出来ないんだよね。いや、確かに『四六時中一緒にいる人』が好みって言っちゃったけどさ〜。流石に一緒に居過ぎだと思う!

 

昂哉「佐藤、悪いけど席を外してくれるかな〜?」

美穂「何かの話ですか?なら私も聞きますよ!」

昂哉「いや、これは俺たちだけの話でね!」

美穂「なら私も混ぜて下さい!」

 

 う〜ん。なら無理矢理追い出すか〜。

 

昂哉「佐藤、聞いてくれ。」

美穂「何です?」

昂哉「俺たちは今から『男の話』をしなきゃいけないんだ。これは女子であるお前が聞いたら死んじゃうんだよ!」

美穂「なるほど………なら分かりました!失礼します!」

昂哉「すまんね〜!」

秀吉「また話そうぞ!」

美穂「はい!」

 

 分かってくれたようでなによりだ。

 

雄二「さて、作戦会議をするか。今のところ犯人の手がかりは工藤の録音機ぐらいしか無いが………」

ムッツリーニ「………奴はそんな事しない!」

雄二「と、彼氏の弁明によりその線は消えている。」

昂哉・明久「「だね〜。」」

ムッツリーニ「………お、俺は彼氏じゃない///」

雄二「だから引き続き女子風呂を覗く他あるまい。」

 

 やっぱそうなるんだね〜。

 

明久「けどどうしようか?何か作戦を練らないと、あの警備を突破するのは厳しいよ?」

秀吉「作戦とは言うが、女子風呂までの道は一本道じゃからのぅ。」

ムッツリーニ「………正面突破しかない。」

 

 普通のお風呂だったら外から入る方法があるんだけどね。ここの風呂は地下なのでそれも通用しない。

 

昂哉「だとすると正面突破をやりやすくしなきゃいけないね。」

雄二「だな。」

明久・秀吉・ムッツリーニ「「「と言いますと?」」」

雄二「簡単に言えば戦力の増強だ。」

昂哉「覗き仲間を増やすって事だね。」

明久・秀吉・ムッツリーニ「「「なるほど!」」」

 

 まあそれしかないよね。

 

明久「でもそろそろお風呂の時間じゃない?」

雄二「安心しろ、夕飯時に声をかけてある。そろそろ来るはずだ。」スー

 

 そうして襖が開く音がしたかと思えば、

 

須川「坂本、俺達に話って何だ?」

横溝「手短に済ませてくれよ。」

福村「早く部屋に戻ってダラダラしてえな〜。」

Fクラス男子他「「「「「だな。」」」」」

 

 まさかのFクラス男子全員がやってきた。

 

坂本「皆、女子風呂の覗きに興味は無いか?」

Fクラス男子「「「「「詳しく聞かせろ‼︎」」」」」

 

 俺はこのクラスが大好きだぜ‼︎

 

雄二「昨夜俺達は女子風呂の覗きに向かったんだが、そこで卑劣にも待ち伏せしていた教師陣に妨害を受けたんだ。」

Fクラス男子「「「「「ふむ、それで?」」」」」

 

 雄二のセリフに誰もツッコまないことにツッコミを入れたい。

 

雄二「そこで女子風呂警備隊の排除に協力してもらいたい。報酬はその後に得られる理想郷(アガルタ)の光景だ。どうだ?」

Fクラス男子「「「「「乗った‼︎」」」」」

 

 乗るの早いね!流石だぜ‼︎

 

昂哉「ムッツリーニ、今の時間は?」

ムッツリーニ「…………今は20時10分。」

雄二「今から隊を4つに分ける‼︎A班は俺、B班は明久、C班は秀吉とムッツリーニ、D班は昂哉にそれぞれ従ってくれ‼︎」

Fクラス男子「「「「「了解‼︎」」」」」

雄二「いいか、俺たちの目的はただ一つ‼︎理想郷(アガルタ)への到達だ‼︎途中何があろうとも、己が神気を四肢に込め、目的地まで突き進め‼︎神魔必滅・見敵必殺‼︎ここが我らが行く末の分水嶺になると思え‼︎Fクラス気合を入れろ、出陣だ‼︎」

Fクラス男子「「「「「オー‼︎」」」」」

 

 ということで女子風呂覗き2日目、開始………ん?優子からLINEが来てるぞ?何だろう…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子(LINE)『美穂から聞いたんだけど、昂哉×秀吉×土屋×坂本×吉井って本当?みんなでデキてたの⁉︎』

 

 『男の話』ってそう言う事じゃね〜よ‼︎あのメガネ女、絶対に潰してやる‼︎というか優子が趣味オープンになったせいで、俺が酷い目に遭うとは思わなかったよ‼︎

 

 

 

 

 

  side 布施

 

 ああ………昨日は本当に気持ち悪かったなぁ………。夜になってようやく二日酔いが抜けてきたよ………まあ今日こそは無いと思うが………

 

布施「西村先生、流石に今日は彼らも現れないのでは?昨日あれほど指導した事ですし。」

鉄人「布施先生、彼らを侮ってはいけません。彼らは生粋のバカです。あの程度で懲りるようであれば、今頃は模範的な生徒になっているはずですから。」

布施「そうなんでしょうか?いくらなんでもそこまでバカでは……」ドドドド

 

 ん?何やら物凄い足音がするのだが…………

 

須川「おおおおお!障害は排除だ‼︎」

横溝「邪魔する奴は誰であろうとブチ殺せ‼︎」

Fクラス男子「「「「「サーチ&デェース‼︎」」」」」

 

 嘘だろ⁉︎

 

布施「た、大変です!変態が編隊を組んでやってきました!」

鉄人「まさか懲りるどころか、数を増やしてくるとは………」

布施「流石ですね………」

鉄人「とにかく、布施先生!警備部隊全員に連絡を!私は定位置につきます!」

布施「は、はい!」

 

 あぁ、また長い夜になりそうだな………こうなったら、雲雀丘君だけは来ないで…………

 

昂哉「布施先生、今夜も楽しく飲みましょう!」

 

 欲しかったな…………

 

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 俺はもちろん、酒が弱い先生の相手だぜ!

 

昂哉「先生、降参するならしてもいいんですよ⁉︎流石に肝臓に悪いですからね!」

布施「私は教師………教育者ですからね。それが降参する理由にはなりません!」

昂哉「なるほど!じゃあ今日もくたばって下さい!皆、俺に協力してくれ!」

Fクラス男子「「「「「おう!」」」」」

美穂「ま、間に合いました!」

 

 嘘でしょ⁉︎Aクラス女子は今入浴時間のはずじゃ⁉︎

 

昂哉・布施・美穂・Fクラス男子「「「「「試獣召喚(サモン)‼︎」」」」」

 

 

化学

 

男子

    雲雀丘昂哉 401点

     福村幸平 48点

      :

      :

女子・教師

     布施文博 398点

     佐藤美穂 467点

 

 

 

 布施先生は二日酔いで回復テストを受けてないっぽいのはありがたいが…………

 

昂哉「皆、佐藤の方を叩いてくれ!」

福村「わ、分かった………」

美穂「させませんよ?」

布施「助かります、佐藤さん!」

 

 クソ!奴が徹底的に俺をマークしてくる‼︎このままだとものすごく戦いにくい‼︎

 

美穂「雲雀丘君、『男の話』ってこう言う事だったのですね!」

昂哉「そうだよ!あの5人でデキてるわけじゃないからね⁉︎」

美穂「そうなんですか……」

 

 とにかく、佐藤の召喚獣をかわしつつ、布施先生にスピリタスをぶち当てなきゃいけない。佐藤の炎の技は腕輪の力だから1度しか使えないから、俺のスピリタスとタイミングを合わせてくるのは明白。ならここは…………

 

昂哉「布施先生!二日酔いには迎え酒ですよ‼︎」ドバドバ

 

 通常攻撃だ‼︎

 

布施「うっ………キツいです………」フラフラ

美穂「布施先生は他の生徒を相手して下さい!私が彼を止めます!」

昂哉「させるか!文月・夏の酒祭りだ‼︎」

布施「うぅ………」フラフラ

 

 そして、ケツ先生の不意打ちを警戒しなければいけない。奴がどこに配属されてるかはよく分からんが、また俺のとこに来る可能性も充分考えられる!

 

家角「《シャルピー衝撃試験》」

 

 来た!

 

昂哉「皆、避け………」

Fクラス男子・布施「「「「「ぎゃぁぁぁぁ‼︎」」」」」

 

 

 

物理

 

男子

    雲雀丘昂哉 218点

     福村幸平 0点

      :

      :

女子・教師

     布施文博 0点

     佐藤美穂 542点

     家角亜成 834点

 

 

 

 なっ⁉︎教科が物理に変わっているだと⁉︎

 

昂哉「先生、何をしたんです⁉︎」

家角「布施先生が倒れたから俺のフィールドに変わっただけだが?」

美穂「まあ綺麗に敵だけを倒すのは難しいですからね……」

家角「佐藤の言う通りだ。」

 

 嘘つけ‼︎思いっきり布施先生も狙ってたでしょ‼︎全く、自分の評価が欲しいからって卑劣な事をしやがって‼︎

 

 ちなみに狙われた本人は、

 

布施「こ、股間が……………」バタン

 

 酔ってる上にフィードバックで股間をやられたため気絶した。この人マジで大丈夫かな?いや、俺が半分くらい悪いんだけどさ。

 

家角「さあ雲雀丘、大人しく俺の為に死ね………と言いたいところだが、俺は学園長………教育者だ。だから特別に貴様にサービスをしてやろう。俺の評価を上げるためにもな。」

 

 どさくさに紛れて出世を偽るな。お前は永遠の平教員でしょ。

 

美穂「サービス?何をするのです?」

家角「いくら教師が手加減してたとしても、生徒は教師に勝てない、という事を教えてやるんだよ。もちろん………この酒で‼︎」ドン‼︎

 

 そう言ってケツ先生は度数35%くらいのお酒、リキュールを出した。なるほどね。

 

昂哉「酒に強けりゃ偉いとは微塵も思いませんが、俺は一応雲雀丘家の人間ですからね〜。舐めた口聞いた奴を叩きのめしてやりますよ‼︎」

家角「そうかそうか。なら一家の恥になるがいい‼︎」

美穂「何ですか、これ………」

 

 ここで負けたら親と兄貴に申し訳ねえからな‼︎

 

昂哉「よし、それじゃあ先生、俺からも提案です‼︎」

家角「何だ?」

昂哉「酒だけじゃなく、チェイサー*1も飲む勝負にしませんか?」

家角「ふっ、恥ずかしげもなく水も飲みたいとは………。どうやら親に勘当されたいようだな。まあそれでいいか!どうせこの俺が勝つんだし!」

昂哉「よし!じゃあ今から飲み物を持ってきますね!」

 

 と言って俺は部屋に戻って飲み物を持ち出し、

 

昂哉「お待たせしました。では始めましょう!」

家角「だな。」

 

 バトルを始めた。

 

美穂「では、2人ともお願いします………」

昂哉・家角「「乾杯‼︎」」

 

 さてと、最初はケツ先生が出したリキュールか…………って!

 

昂哉「ぐっ………」

 

 これめちゃくちゃキツいな‼︎

 

家角「もうギブアップか?まあ一杯飲めただけでも褒めてやろう。さてと、遠慮なくチェイサーでもいただくか。」

昂哉「ですね………」

 

 そして俺とケツ先生は俺が持って来た飲み物を飲み………

 

家角「グファ………」バタン

昂哉「よいしょっと‼︎」ゴクッ!

 

 俺は飲み干し、ケツ先生は倒れた。

 

家角「な、なんだこれ………これ水じゃないだろ………これのどこがチェイサーなんだよ………ふざけるな………」

昂哉「あれ、先生は何を騒いでるんです?もしかして勘違いでもしたんですか?俺が先生の酒を飲めなかったのはその味が原因で度数じゃないんですよね〜。それに、」

家角「な、なんだと………?」

昂哉「俺の家(雲雀丘家)ではスピリタス(こっち)が酒でリキュール(そっち)がチェイサーなんですよ‼︎」

 

 俺の家を舐めるんじゃねえ‼︎

 

家角「うぅ………」バタン

昂哉「しゃあ‼︎」

美穂「しょ、勝者、雲雀丘君………」

昂哉「さてと、ではさっさと女子風呂を覗きますか!」

鉄人「それはどうかな?」

 

 クソ!まさか鉄人がやって来るとは………

 

美穂「先生、雲雀丘君に数学勝負を挑みます!」

鉄人「まあ佐藤に任せるか。相性も悪いようだし。」

昂哉「く、クソ‼︎」

昂哉・美穂「「試獣召喚(サモン)」」

 

 

 

数学

 

男子   雲雀丘昂哉 546点

       VS

女子・教師 佐藤美穂 501点

 

 

 

 くっ、点数は互角だが…………

 

美穂「どうやら私にお酒は効かないみたいですね!」

 

 清涼祭でもやった通り、コイツはあり得ないくらい酒が強い………なら!

 

昂哉「あっ!あそこに秀吉が‼︎」

美穂「えっ、どこですかっ⁉︎」

 

 隙を作ってスピリタスをぶち込む‼︎これなら多少は効果があるはず‼︎

 

昂哉「《スピリタス》‼︎」

美穂「《燎原の炎》‼︎」ドゴォォォォン‼︎

 

 ぬぁっ‼︎しまった‼︎というかスピリタスのせいで大爆発が起きたし‼︎

 

昂哉「酒が燃えるぅぅぅぅぅ‼︎」

 

 

 

数学

 

男子   雲雀丘昂哉 0点

       VS

女子・教師 佐藤美穂 354点

 

 

 

 流石に完敗でした………

 

昂哉「騙せると思ったのに………」

美穂「残念でしたね。それにしても、私の召喚獣は雲雀丘君のと本当に相性が良いですね。」

鉄人「雲雀丘の召喚獣は本当に特殊だからな。教師や観察処分者にとっては天敵なのに。」

昂哉「ですね。それじゃあ俺は帰って………って気持ち悪くなってきた………」

 

 流石に俺も兄貴や両親ほどは強くないからね………

 

鉄人「どうした雲雀丘?まさか酒の飲み過ぎか?」

昂哉「いや、違……」

美穂「ですね。さっき家角先生と飲み比べしてましたし。」

昂哉「こ、これはあっちが申し出て来たんです!」

鉄人「本当か、佐藤?」

美穂「はい。」

鉄人「ならば雲雀丘は大人しく反省文タイム、家角先生は減給だな。」

昂哉「誤魔化せなかった………」

家角「な、なんだと………」

 

 ということで、昨日と同様に夜は反省文タイムとなりましたとさ………

 

 

 ちなみにその後秀吉やムッツリーニと麻雀したらめちゃくちゃ負けました。やっぱり酔いながら麻雀はやるもんじゃないね………。ということで強化合宿2日目は幕を閉じた………

*1
度数の強い酒をストレートで飲む際、口直しに飲む水や軽い酒のこと




 ということで女子風呂覗きの2日目でした。布施先生がなんか大変な事になってますね。死ななければいいのですが………

 そしてケツ先生との酒バトルは昂哉の勝ちでした。ちなみに彼は雲雀丘家では最弱です。普通に気持ち悪くなったりするので。

 さて、次回は強化合宿の3日目に突入します。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第三十五問 朝目が覚めたら男の顔

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 明久

 

 強化合宿3日目の朝、僕は目覚めると………

 

秀吉「ん……」

明久「んなっ⁉︎」

 

 そこにはとても綺麗な秀吉の寝顔があった♡

 

 僕と秀吉との顔の距離はほんの数センチ、キスまで後一歩の状態だ!どどどどどうする⁉︎これはまたとないチャンスだ!今なら事故を装ってイケる‼︎でもこういうのは相手の同意がないとマズい気もする………。

 

悪魔明久「やっちゃえよ!お前はいざっていう時に出来る男だろう?」

 

 ハッ⁉︎貴様は僕の中の悪魔!また僕を悪の道に引きずり込もうとしているな⁉︎

 

明久「やっぱりダメだ!僕にはそんな卑怯な真似は出来ない!」

悪魔明久「よく考えろよ。同じ布団で寝てるんだぞ?これはもう何もしない方が失礼だと思わないか?」

 

 う……、それはそうだけど………

 

天使明久「悪魔の言葉に耳を貸しちゃダメだよ!秀吉は明久が『ホモ野郎』だと信じて布団に入ってきてるんだからね!」

 

 僕の中の天使、君はもう永遠に出てくるな。

 

悪魔明久「さ、一気にいっちゃえよ!秀吉も待ってるんだぜ?」

明久「そ、そうだね。あまり待たせても悪いし……」

 

 そうきて僕は秀吉とキスをしようとすると………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後一歩のところで夢から覚めた。ってかあれは夢だったんかい‼︎そうして目を開けた先には………

 

昂哉「zzzzzzzz」

明久「くさっ⁉︎」

 

 かなり老けている昂哉の寝顔があった。しかも寝息がめちゃくちゃ酒臭い。二人の距離はほんの数センチ、大惨事まで後一歩の状態だ。

 

悪魔明久「やっちゃえよ!お前はいざって時に出来る男だろう?」

明久「やめて‼︎まるでこれが本番かのように夢と同じセリフを使わないで‼︎」

天使明久「分かった。僕はもう止めないから思いっきりやっちょいなよ……」

明久「天使!貴様は夢と同じセリフを言え‼︎」

 

 コイツ絶対堕天使だろ。役に立たなすぎるよ。

 

明久「とにかく昂哉、起きろコラァ‼︎」ドゴォ‼︎

昂哉「グファ‼︎」

 

 ムカついたので僕は昂哉を蹴り飛ばした。

 

秀吉「ん、なんじゃ?昂哉がてっきり()()ワシの布団に夜這いしてきたのかと……」

 

 また?まさかコイツ、昨日秀吉に夜這いしたのか⁉︎クソ‼︎殺してやる‼︎

 

明久「死ねぇぇぇぇ‼︎」

秀吉「や、やめるのじゃ明久‼︎」

明久「殴る‼︎コイツの耳からドス黒い血が出るまで殴り続ける‼︎」

鉄人「おいお前ら、起床時間だ………ぞ?」

明久「死ね昂哉‼︎死んで詫びろ‼︎あるいは法廷に出頭するんだ‼︎」

昂哉「んぁ?き、気持ち悪い…………」

雄二「な、なんだ⁉︎起きたら朝っぱらから明久がキまってるぞ⁉︎持病か⁉︎」

秀吉「ええい、落ち着くのじゃ‼︎西村先生、済まぬが此奴を取り押さえるのを手伝って頂きたい‼︎」

ムッツリーニ「………お願いします!」

鉄人「…………お前らは朝から何をやってるんだ?」

 

 こうして僕はクズへの執行を鉄人の手によって無理矢理止められてしまった………

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 二日酔いで気持ち悪いわ、起きたら何故か明久に殺されかけるわ、最悪の目覚めだよ…………。秀吉への夜這いくらい別にいいじゃん………

 

秀吉「んでお主ら、昨日はどうだったのじゃ?ワシらはEクラスの中林たちに行手を阻まれたのじゃが………」

 

 そして俺は今朝食を食べながら作戦会議をしているよ。昨日は疲れて明久と雄二がすぐに寝ちゃったからね。残り3人は麻雀してたし。

 

 あと二日酔いにはやっぱり味噌汁が最高だね!ムカムカした胃が治ってくのを感じるよ〜♪

 

明久「美波と姫路さんに殺されかけた………」

雄二「俺は何故か入浴中のはずの翔子に殺されかけたぜ………」

昂哉「俺は布施先生を酒で潰した後、ケツ先生が布施先生や福村たちの股間を潰したのを目撃し、そのケツ先生を酒の飲み比べで潰したんだけど、最終的には鉄人に見つかった挙句佐藤に酒を大爆発させられたよ………」

雄二「お前は1人で何してたんだ?」

 

 大人の対決だね。

 

ムッツリーニ「………俺は工藤からある情報を得た。」

雄二「ある情報?なんだそれは?」

ムッツリーニ「………脱衣所にまだ見つかってないカメラが一台残ってるって。」

昂哉・雄二「「何だと?」」

 

 なるほど………。そういう事ね。

 

雄二「ということは最初のはダミーで、今残ってるのが本命だと言うことか。」

昂哉「他の人に責任をなすりつけつつ、自分はちゃっかりと本来の目的を果たす。いい犯罪のやり方だね。」

 

 やられた側はマジでたまったもんじゃないけどね。

 

雄二「だったらそのカメラを確認するまでだが………」

秀吉「脱衣所は入浴時間以外は施錠されとるからのぅ。」

雄二「いつも通り覗くしかないのか。」

ムッツリーニ「………隠し場所なら5秒で見つける自信がある!」

 

 流石ムッツリーニ!変態は変態を知るってヤツだね!

 

昂哉「まあ一番手っ取り早いのは工藤に回収を依頼する事だね〜。アイツを信じられれば、の話だけど。」

ムッツリーニ「………もし犯人だったら俺が責任を取る。」

明久「まあムッツリーニがそこまで言うんだったら信じていいんじゃない?」

雄二「だな。」

 

 まあ俺の見立てでも工藤はこういうことやらなそうだしね。

 

昂哉「だったら工藤に回収を依頼しつつ、万が一に備えて覗くとするか!」

秀吉「万が一とは?」

 

 そう、このパターンを考えなきゃいけないんだよね。

 

昂哉「犯人が工藤とムッツリーニの会話を聞いていたら……?」

雄二「隠し場所を変えるな。」

昂哉「そういうこと!」

明久「それは確かに困るね〜。」

昂哉「だけどこれで犯人が多少絞れるね。俺たちのそばに今他クラスの女子は居ない。自クラスの3人がやるとは考えにくい。だとするともし工藤が回収に失敗した場合、昨日のムッツリーニと工藤の会話を聞ける距離にいた女子が怪しい事になるね!」

雄二「だな。」

明久「それじゃあムッツリーニ、頼める?」

ムッツリーニ「………ああ!」

 

 ということで、ムッツリーニは朝飯を食べ終えた後、ガールフレンドのところに向かった。

 

雄二「んで、肝心の覗きの方だが………」

昂哉「皆の話を聞く限り、敵がめっちゃ増えてたよね。」

雄二「だな。翔子、佐藤、工藤などのAクラス女子を始め敵が大幅に増大されて事だな。」

明久「敵が増えちゃあ厳しいよ〜。」

雄二「そこでこちらも更に戦力を増強させようと思う。Fクラスだけでなく、他のクラスも味方につけるんだ。」

 

 まあこれしかないよね〜。

 

明久「う〜ん、なんかこの作戦がいつものやり方と違う感じがしてなんだか……ただ戦力を増やすってのがイマイチ僕たちらしくないというか……」

雄二「ほう、明久も少しは頭が回るようになってきたな。その通り、正面突破だけが目的じゃない。」

明久「んで、他の目的って?」

雄二「俺達の保身だ。」

昂哉「だよね〜!」

 

 そう!人数増員のメリットだね!

 

明久「僕らの身を守る?誰から?」

昂哉「いい明久、覗きは一応犯罪なんだよ?」

雄二「今はまだ未遂だがな。」

昂哉「もし真犯人が分からないまま女子風呂に突入したら、俺たちは処分を受ける事になる!」

明久「確かに………」

 

 まあ俺は未成年飲酒で既に5回停学になってるから、今更怖くはないんだけどね〜。

 

昂哉「そこでメンバー増員!誰がやったのかを分かりにくくさせつつ、真犯人特定の成功率を上げる!」

明久「でも僕らは面が割れてるよね?それなら無意味なんじゃないの?」

雄二「それなんだが、文月学園は世界中から注目を集めてる試験校だからな。不祥事があった場合にはひた隠しにするか、きっちり処分するかの2択しか選べない。」

昂哉「ちなみにそれを理由に俺やビッ千華は入学してきました〜♪罰が緩いってこういう事です!」

明久「クズじゃん………」

雄二「ということで、中途半端に一部の生徒だけを罰すれば、ただでさえ世間から叩かれる『クラス間の格差』にマイナス要因を増やすだけだからな。」

 

 そう!俺たちがFクラスである事を利用するのさ!全クラスの男子がもし協力した時、俺たちだけ罰せられたら、『出来の悪いFクラスだけが処分を受けて、他の優秀なクラスは手心を加えられている』ってね!そしたら叩かれるのは当たり前さ!

 

明久「流石は雄二!汚い事を考えさせたら右に出る人は昂哉くらいしかいないね!」

雄二「だな。」

昂哉「ブチ殺すぞ。」

 

 明久が納得してくれたのは嬉しいが、俺を汚いと言うのは認めないぞ!

 

秀吉「ふむ、ならば今日は協力者の確保を主軸に行動するわけじゃな?」

昂哉「だね。」

 

 ということで、味方作りの始まりだ!

 

雄二「幸い合同授業で殆ど自習みたいなもんだからな。動きは取りやすいはずだ。」

明久「じゃあ、まずはどこから行く?」

雄二「当然Aクラスからだ。」

昂哉「同じ手間なら能力が高い方が上だからね〜。」

秀吉「Aクラスならば昨日の合同授業で交流もあるしのぅ。話もしやすいじゃろうて。」

雄二「決まりだな。合同授業の間にAクラスと話をするぞ。」

 

 ということで、俺たちは朝食を食べ終えて自習室に向かった。

 

 

 

 

 自習室では、作戦会議の続きを話した。ちなみに今日はAクラスとは別の部屋でやっている。

 

ムッツリーニ「………工藤に協力を依頼出来た。………ついでにお尻に火傷の痕がある生徒を探してもらえるよう頼めた。」

昂哉「センキュー!」

雄二「じゃあ、Aクラスで誰を説得するかなんだが……まあ間違いなく久保かじっちゃんだろうな。」

 

 まああの2人が成績もトップだし、クラスの中心でもあるからね。

 

昂哉「となると明久だね〜。」

秀吉「じゃな!」

ムッツリーニ「………頼んだ。」

明久「あ、うん、別にいいけど………でもどうして僕なの?」

他4人「「「「……………」」」」

 

 ごめん明久、その質問には答えられないんだ。

 

明久「あ、あのさ、なんだか凄く嫌な感じがするんだけど………本当に大丈夫だよね?」

秀吉「そ、そうじゃな。一応あの2人、特に久保はお主に悪意を抱いてはおらんと断言できる。」

ムッツリーニ「………彼に悪気は無い。」

明久「なんで2人とも、そんな奥歯に物が挟まったような言い方するの?」

 

 しょうがないだろ。お前のためでもあるんだし。

 

昂哉「ま、大丈夫じゃね?」

雄二「明久、早く行ってこい。」

昂哉「この中だとあの2人に好かれてるのは明久だからね。」

明久「昂哉じゃないの?」

雄二「いや、明久だ。だから自信を持て。」

明久「あ、うん………」

雄二「ただいざという時はこれを使え。」

 

 そう言って雄二はスタンガンを渡した。

 

明久「そ、それじゃあ行ってくるね。」

 

 という事で、俺たちは明久の無事を祈る事にした。

 

雄二「襲われないといいのだが………」

昂哉「まあじっちゃんもいるし大丈夫でしょ!」

ムッツリーニ「………確かに。」

秀吉「なら大丈夫じゃな!」

 

 

 

 

 

 

 

 しばらくすると、明久が帰ってきた。

 

明久「ごめん、ダメだった。」

雄二「そうか。まあ無事で何よりだ。」

明久「いや、そんな危ない事はしてないんだけど。というかじっちゃんの方はいなかったんだよね〜。」

昂哉・雄二「「マジか。」」

 

 よく無事だったね。

 

雄二「しかしそうなると、他のクラスとの交渉を迅速に進める必要があるな。」

明久「でも今は一応授業中だよ?」

雄二「それは分かっている。だが全クラスに声をかけるとなると、休み時間程度では全然足りないからな。」

昂哉「役割分担すればいいんじゃね?」

雄二「確かに。」

島田「こらっ、アンタ達。また何か悪巧みしてるでしょ。」

 

 ぬおっ!島田に見つかっただと⁉︎

 

鉄人「………」チラッ

 

 鉄人がこっちをマークしている。

 

家角「………」ジー

 

 ケツ先生に至ってはいつでも自分の手柄に出来る様にこっちを見つめている。えげつねえマークだな。

 

明久「美波、別に僕たちは悪い事なんて考えてないよ?」

 

 正攻法で覗きを成功させようとしているだけだからね!

 

島田「はぁ……今更アンタ達に何を言っても無駄だろうけど……少しは覗かれる側の気持ちを考えてみたら?」

 

 確かに。

 

島田「よりによってお風呂の覗きなんて………周りからは比較されるし、隠すものはないし、パッドは入れられないし、寄せてあげることも………」

明久「それって特定の箇所を見られるのが嫌なだけだよね。」

 

 まあ気にする気持ちは分からなくもないけどね。優子も気にしてる節はあったし。

 

鉄人・家角「「…………」」ジー

 

 さっきの会話で先生2人のマークが強くなってる。というかケツ先生に至っては近づいてきてるし…………ここは何か役に立つものは…………

 

赤田爺「お嬢ちゃん、儂と勉強せんかの?」

姫路「へっ?あっ、いいですよ!」

 

 あそこにナンパしてるじっちゃんぐらいか………というか、明久が久保の所に行った時に居なかったのはこのためか。まあ丁度いい!

 

昂哉「先生、あそこでAクラスのじっちゃんが姫路をナンパしてます!」

鉄人「確かに。」

家角「ではこの俺が行こう。」

鉄人「頼みましたよ。」

 

 ということで、ケツ先生は剥がすことが出来…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家角「姫路さん、この俺が物理を教えてあげようか?」

赤田爺「いいや、儂が教えよう。」

家角「貴様は物理の成績が悪いだろ。」

赤田爺「それは御主の採点が理不尽じゃからな⁉︎」

家角「何だと⁉︎この崇高な俺の採点に文句があるのか、このクソジジイ‼︎」

赤田爺「なんじゃと⁉︎大企業元専務の儂の金で御主の首を飛ばしてやろうか⁉︎」

姫路「え、ええと…………」

 

 たんだけど、なんか大の大人が2人も揃って喧嘩し始めた。というかじっちゃんって現役時代めちゃくちゃ凄かったのか………

 

昂哉「西村先生、あれどうするんです?」

鉄人「しょうがない、俺が行くか………」

 

 ということで、まさかの鉄人も剥がすことが出来た。あとは島田なんだけど………

 

島田「ウチだって結構モテるんだからね!」

 

 島田もどっか行っちゃった。

 

昂哉「子供の喧嘩見てたら島田の事忘れてたんだけど、何があったの?」

明久「あっちにいる須川君が大事な話があるって事にした。」

昂哉「ええ………」

雄二「んじゃ、今のうちに脱出するぞ。」

他4人「「「「了解!」」」」

 

 ということで、俺たちは無事脱出する事が出来た。

 

島田「アキ、よくもウチを騙したわね‼︎」

 

 島田が戻ってくる前に何とか他クラスに行かないとね!

 

雄二「んじゃ、誰が行くか………」

昂哉「Cクラスの黒崎トオルは俺がLINE持ってるから俺がやるわ。」

雄二「よし、頼んだ。あとは………古今東西・英単語ゲームで決めるか!」

 

 なんか面白そうなゲームをやろうとしてたが、俺はそれを無視して、使命を全うするためトイレに向かった。

 

 

 

 

 トイレで俺はトオルにLINEを飛ばした。彼は1年の時のクラスメイトだ。

 

昂哉(LINE)『トオル、ちょっとトイレに来てくんない?』

黒崎(LINE)『なんだ昂哉?俺はホモじゃないぞ。』

昂哉(LINE)『俺もちげ〜よ‼︎とにかく来て。』

黒崎(LINE)『うい。』

 

 ということで俺はトオルをトイレに呼び出した。

 

黒崎「んで、話って何?姫路との恋愛相談か?」

昂哉「俺姫路じゃなくてAクラスの木下優子が彼女だから。まあそれも無理矢理付き合わされただけだけど。」

黒崎「マジで⁉︎てっきり姫路だと思ってたんだが………」

昂哉「まあ1年の時を見てるとそう見えるよね。でもあれは俺が姫路の恋愛相談に乗ってただけだから。」

黒崎「マジかよ。」

昂哉「あとたまたま一番仲良かったのがアイツだっただけさ!今はそこまで一緒に居るわけじゃないよ?」

黒崎「そうなのか〜。知らんかったわ。」

 

 コイツにも勘違いされてたのか〜。まあしょうがないか!

 

黒崎「んで、本題は?」

昂哉「女子風呂の覗きに協力して欲しい。」

黒崎「お前って頭いいのにバカだよな。」

昂哉「失敬な!これは真面目な話なんだ!」

黒崎「はいはい。んで、俺たちCクラスが協力できると思うか?」

昂哉「Why?」

黒崎「うちの代表がヤバいの知ってるだろ。」

 

 あぁ〜、小山ね。奴は短気だからな〜。

 

昂哉「ま、まあ。」

黒崎「アレに逆らえると思うか?」

昂哉「なるほどね〜。」

 

 確かに。普通に考えたら逆らいにくい。だからこそ、それを協力のネタにしてやる!

 

昂哉「でも、せっかくならこれを機にぶちのめしてみたいと思わない?」

黒崎「えっ?い、いや、それは………」

昂哉「だって今がチャンスだと思わない?正々堂々と小山を叩く事が出来るんだよ?」

黒崎「叩かれるのは俺らな気がするけど………」

昂哉「んなもん俺に騙された事にでもしとけばい〜の!」

黒崎「それでお前はいいのか?」

昂哉「うん!だから協力して♪」

黒崎「まあ、クラスの奴らにでも言ってみるよ。」

昂哉「よろしく〜!結果が分かったらLINEで教えてね!それと、もしOKなら19:50に………集合で!」

黒崎「ああ。」

昂哉「んじゃ、またね〜。」

黒崎「ほ〜い。」

 

 ということで、Cクラスへの説明は終了した。あと成功するかどうかはトオル次第だ!




 ということで、強化合宿3日目、開幕です。目が覚めたら酒臭い人の寝息が目の前から飛んでくるのって最悪ですね。

 さて、次回は女子風呂に突撃します。お楽しみに! 
 
 最後に、評価・感想をお願いします。


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第三十六問 女子風呂を覗こう!3日目

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 トオルに説明したその日の夜、

 

黒崎(LINE)『Cクラス男子、OKだ!』

 

 朗報が入った!今は俺たちの部屋で作戦会議をしているよ。

 

昂哉「Cクラス、OKです!」

雄二「マジか!てっきり小山がいるからダメだと思ったんだが……」

昂哉「逆に小山への逆襲って事にしたらいけたよ!」

雄二「なるほどな。」

昂哉「ちなみに他クラスは?」

明久「EクラスとDクラスがOKだったよ!」

秀吉「Bクラスは代表が代表だから無理じゃった。」

 

 まあ根本がトップじゃ纏まりなさそうだしね。

 

雄二「まあこれで昨日よりもずっと良くなったな。教師を抑えればなんとかなるだろ。」

明久「でもここまで騒ぎが大きくなると、女子の入浴自体が中止にならない?」

 

 確かに。

 

明久「それに、なんで教師達は待ち伏せしてるだけなのかな〜。やろうと思えば僕たちを拘束できるのに。」

雄二「それは憶測だが、教師側はこの事態を好ましく思っている可能性もある。」

明久「え、どういうこと?」

 

 覗きを推奨する教師って、普通いるのかな?

 

雄二「あくまでこの合宿は『生徒の学習意欲の向上』が目的だからな。理由はなんであれ召喚獣で戦う以上勉強せざるを得ない。女子側も同様だ。」

昂哉・明久「「なるほど!」」

 

 じゃあ俺たちは学習意欲向上のために女子風呂を覗いてるのか‼︎それなら仕方ない‼︎

 

雄二「ということでムッツリーニ、D・Eクラスには作戦を伝えてあるか?」

ムッツリーニ「………問題ない。」

 

 確か時刻は20:10。前半組が脱衣を終えたタイミングで総攻撃を仕掛ける予定だね。

 

雄二「じゃあ昂哉もCクラスにムッツリーニの作戦を伝えてくれるか?」

昂哉「いいや。俺はCクラスを違うやり方で動かす!」

 

 完全に別行動をさせる予定です!

 

雄二「何故だ?」

昂哉「これはあくまで()()()作戦だからね。基本的には凄いんだけど、一つ重大な欠点があると思わない?」

雄二「何だそれは?」

明久「………霧島さんに読まれるとか?」

昂哉「正解‼︎」

雄二「なるほどな。」

 

 向こうに霧島がいる以上、雄二の作戦を100%にしていたら完全に読まれるからね。だから俺が考えた部分も入れておくのさ!

 

秀吉「まあ昂哉の考えは姉上さえいなけりゃ読まれにくいからの。」

ムッツリーニ「………木下が休みの今なら丁度いい!」

明久・雄二「「確かに!」」

昂哉「ということで、俺はCクラスめがけて行ってくるわ!」

秀吉「まだ時間は19:40なのじゃが?」

昂哉「集合は19:50だからね〜。ちょっくら行ってくるわ〜!」

他4人「「「「いってら〜!」」」」

 

 ということで、俺は宿舎の外へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 宿舎の外では、トオルたちを始めCクラス男子が全員待機していた。

 

昂哉「お待たせ〜♪」

黒崎「時間丁度だな。んで、俺たちは何をすればいい?」

昂哉「しばらく待機で!」

黒崎「ああ。」

 

 ということで、しばらく待つ事にしました。すると………

 

明久(LINE)『ヤバいよ昂哉!大食堂で敵が待ち伏せしてたんだ!今は戦力が分断されて各階に散り散りになってる!』

昂哉(LINE)『OK!安心して!明久たちは雄二の作戦に従うこと!』

明久(LINE)『わ、分かった………』

 

 予想通りのLINEが入った。

 

黒崎「出発か?」

昂哉「いや、まだだね。」

黒崎「そうか。」

 

 そして更にしばらくすると………

 

明久(LINE)『ヤバいよ昂哉!霧島さんにハメられた!姫路さんに美波に工藤さん、それに学年主任の高橋女史や保体の大島先生まで!』

秀吉(LINE)『3階で早くも敵主力と総当たりじゃ………』

 

 予想通りのLINEが入った。まさかここまでハマるとはね!霧島にハメられる雄二。それを全て読んでいたのさ!雄二たちを捨て駒にしてね!

 

昂哉「よし、今だ!敵の主力は一箇所にまとめられている!」

黒崎「分かった!Cクラスの皆、突撃だ〜!

Cクラス男子「「「「「オー‼︎」」」」」

 

 さてと、裏をかいてやりますか!

 

 

 

 

 そして案の定、敵はガラガラだった。というかほとんどいない。

 

黒崎「この調子なら余裕だな!」

昂哉「だね!」

 

 外から1階へ、そして地下に入ったけどほぼいない。女子風呂の手前には鉄人たちが数人いるだろうが、体罰教師にはアルハラで挑むつもりでいる。準備OK!調子OK!スピリタスOK!さあ、今宵が最後の戦いだ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美穂「残念でした、雲雀丘君♪」

岩下「Bクラス女子も、」

菊入「参上‼︎」

鉄人「なかなかの作戦だったが、ちょいと失敗したようだな。」

昂哉・Cクラス男子「「「「「マジか⁉︎」」」」」

 

 クソ‼︎なんでだ⁉︎まさか霧島に俺の作戦まで読まれたのか⁉︎いや、俺と雄二の作戦は似て非なるもの。だとすると鉄人か?まあいい!ここは無理矢理倒すまで!

 

昂哉「Cクラス男子、これはチャンスだ‼︎」

黒崎「どういうことだ?」

昂哉「Bクラス女子やAクラスの佐藤を倒せれば、自然と小山も倒せるだろう?」

黒崎「だが相手は格上だぞ?」

昂哉「そこで………俺の酒を使う!これでじゃんじゃん酔わせて倒すのだ‼︎」

黒崎「なるほどな!」

昂哉「ちなみに佐藤は酒が強い上に燃やしてくるから、俺以外が相手して欲しい!」

Cクラス男子「「「「「分かった!」」」」」

昂哉「それじゃあトオル、鼓舞を!」

黒崎「分かった!」

 

 ここで諦めてたまるか‼︎

 

黒崎「Cクラスの皆、今が下克上のチャンスだ‼︎上クラスの人や西村先生に、俺たちの馬鹿力を見せてやれ‼︎」

Cクラス「「「「「オー‼︎」」」」」

 

 さてと、指揮も上がったことだし、俺もいっちょやったりますか!

 

昂哉「さてさて女子共、宴の時間だ‼︎飲みたい奴はかかって来い‼︎」

優子「は〜い♪じゃあアタシから〜♪」

 

 ん?ちょっと待て?何今の声?秀吉の物真似?それとも録音された声?どっちにしてもたちが悪い悪戯だな〜。ま、そんな作戦は俺に通用…………

 

優子「昂哉、アタシに飲ませてくれないの?」

 

 しないんだけどな……………。Bクラス女子の後ろから天使のような笑みを浮かべた悪魔がやってきた。

 

昂哉「ゆ、優子?な、なんでここにいるの………?」

優子「風邪が治ったから来ちゃった♪」

昂哉「そ、そうか………。ちゃ、ちゃんと寝てないとダメだよ………」

優子「もう元気になったからへ〜き♪それより、アタシと数学勝負しない?」

鉄人「承認する。」

昂哉「あっ………」

昂哉・優子「「試獣召喚(サモン)」」

 

 

 

数学

 

男子   雲雀丘昂哉 517点

       VS

女子・教師 木下優子 1168点

 

 

 

 クソ!でも無理矢理足掻いてやる‼︎

 

昂哉「《スピリタス》」

優子「《悪魔の槍》」

昂哉「ぐわぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 

 

数学

 

男子   雲雀丘昂哉 0点

       VS

女子・教師 木下優子 620点

 

 

 

 

 俺の人生、終わった……………

 

優子「で、今までやったことを代表や先生からぜ〜んぶ聞いたんだけど♪」

昂哉「あっ、はい………」

優子「何か言い残す事は♪」

昂哉「本当にすいませんでした………」

優子「は〜い♪」

 

 ということで、俺は優子から今までに無いくらいの折檻を受けた…………

 

 

 

 

  side 秀吉

 

 明久に雄二は相変わらず拷問を受けておったな。可哀想に………。まあ当然じゃがな。ワシが無罪放免なのはよく分からぬが………

 

 それにしても、昂哉は上手くいったのじゃろうか?作戦は何も聞いておらぬが、おそらくワシらを囮にして敵主力を固め、その隙を突いたのじゃろう。昂哉らしい作戦じゃな。これを読めるのは姉上しかおらんからのぅ。女子側も残念じゃったな。

 

優子「秀吉?」

 

 女子側………も?

 

優子「ひ〜で〜よ〜し〜?」

 

 あれ、おかしいのう?この場にはいるはずのない姉上の声が聞こえるのじゃが………?きっとワシは疲れておるのじゃ。そういう事に…………

 

優子「秀吉、無視すんじゃないわよ‼︎」

 

 できないようじゃな…………

 

秀吉「あ、姉上?どうしてここに………?」

 

 そう言って振り向くと、そこには返り血を浴びた姉上と、ボロ雑巾のようにぐしゃぐしゃになった昂哉がおった。

 

優子「風邪が治ったからアンタを始末しに来たのよ。昂哉と一緒にね。」

秀吉「あっ…………」

 

 こうしてワシは昂哉みたいに折檻を受けたのじゃった………

 

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 俺は拷問の後、他のみんなと一緒に反省会兼作戦会議をしていた。

 

ムッツリーニ「………まずは工藤の報告。………女子風呂のカメラは位置が変えられてた。………あと犯人はA〜Cクラスの中には居ない。………以上だ。」

 

 だいぶデカイ手がかりだね〜。

 

昂哉「センキュー!」

雄二「かなりデカイ情報だが、昨日ムッツリーニの側にいたD・Eクラスの女子が多過ぎてな。」

昂哉「判別が出来ないね〜。」

ムッツリーニ「………だな。」

昂哉「まあこれはかなりデカイ情報っしょ!それより、今日の反省会をしようぜ!」

 

 ということで、今日の事について話す事にした。

 

雄二「まさか高橋女史まで参加してくるとはな。」

明久「あの人、もう反則なまでの強さだったよ〜。」

昂哉「こっちは風邪で休んでるはずの優子まで居たんだよ?」

秀吉「おかげでワシまでボロ雑巾にされたわい。」

雄二・ムッツリーニ「「マジか。」」

明久「じゃあ昂哉の作戦も失敗したわけね。」

昂哉「うん。」

 

 奴が居なけりゃ勝てたんだけどな〜。全く、大人しく休んでいればいいのに!

 

秀吉「じゃがどうする?このままではお主らは脅迫犯の影に怯え、且つ覗き犯という不名誉な称号を掲げられてしまうぞい。」

昂哉「それな!」

雄二「勿論諦める気は毛頭ない。残るチャンスは明日だけだが、逆に言えばまだ明日が残ってるんだからな。」

明久「そうだね!圧倒的な戦力差だけど、こんな逆境を覆す力こそが僕らの真骨頂だよね!」

ムッツリーニ「………このまま引き下がれない。」

秀吉「こんな事はもうなれっこじゃ。今更慌てるまでもない。」

昂哉「俺は既に失うものなどほとんどないから、緊張するまでもなくいつも通りに出来る!」

 

 緊張しないって結構大切だよね!

 

雄二「そうか、お前らが諦めてないのならまだ手は残っている。」

明久「流石は雄二!何か考えがあるんだね!」

雄二「当然だ。俺を誰だと思っている?」

 

 雄二は余裕そうな顔をしている。なら大丈夫だね!

 

明久「それで、今度はどんな作戦を考えてるの?」

昂哉「教えて〜♪」

雄二「正面突破だ。」

 

 前言撤回。全然ダメじゃん!

 

雄二「そんな顔をせず最後まで話を聞け。正面突破のスタンスは変えないが、その分事前の準備で考えがある。」

 

 なるほどね〜。だとしたらアレしかない!

 

昂哉「なに、人数でも増やす気?」

雄二「その通りだ。」

 

 やっぱりね!

 

雄二「もう向こうの戦力は頭打ちだからな。口惜しい事に今日は負けたが、おかげで相手の戦力が分かったのは大きいぞ。」

ムッツリーニ「………他クラスでの目撃情報も集めた。」

雄二「向こうの布陣は教師を中心とした防御主体の形だが、色々と弱みがある。それがなんだか分かるか?」

 

 だよね。召喚許可を出す教師が必要だからね。だとすると弱点はアレだ!

 

明久「微塵も分からないね!」

昂哉「明久の事は無視するけど、教師が居ないと成り立たないよね、その布陣。」

雄二「まあそうだな。その布陣は教師が鍵となる。そして召喚獣を呼び出すフィールドには干渉ってのがある。」

昂哉「あれ、そっち?」

雄二「ん?お前は何の話をしてたんだ?」

昂哉「いや、てっきり教師を潰して召喚獣同士の戦いを引き起こせなくするもんだとばかり………」

雄二「う〜ん。なんか話が違いそうだから俺の話をしていいか?」

昂哉「い〜よ。」

 

 ということで、俺は雄二の話を聞く事にした。

 

雄二「んで、干渉について説明する。これは一定範囲内でそれぞれ別の教師がフィールドを展開すると、科目同士が打ち消し合って召喚獣が消えてしまうという仕組みだ。」

秀吉「要するに教師同士はあまり近寄れないという話じゃろ?」

明久「あ、なるほど!」

雄二「その通りだ。その現象とムッツリーニの情報を総合して判断すると、明日の敵布陣が予想出来る。」

明久「どんな風に?」

雄二「女子風呂のある地下へと続く階段。ここに高橋女史を配置する。」

 

 なるほどね。

 

昂哉「絶対に通る場所に主力を置くわけね。」

秀吉「じゃとすると、女子風呂に辿り着くまでには高橋女史、大島先生、西村先生の3人を突破せねばならぬな。」

雄二「その通りだ。そして俺達の勝利のためにはあるヤツを極力無傷で鉄人の前まで連れて行く必要がある。」

明久「あるヤツ?」

雄二「お前だ、明久。」

 

 だよね。まあ俺が酒で潰すのもありだけど、鉄人が酒に弱い保証がないからね〜。というかあの人はかなり強いはず。だから多分俺の方が負けるね。

 

明久「それってやっぱり僕が観察処分者だから?」

雄二「そうだ。鉄人は最後の砦として女子風呂の前に陣を敷いているだろう。だがヤツを生身の人間が突破するのは不可能だ。猛獣と人間は武器を持って初めて対等の敵たり得る。その武器を持ってるのは明久、お前しかいない。」

 

 一応鉄人も人間なんだけどね。あと、俺鉄人より強い人知ってるし。

 

秀吉「じゃがそうなると高橋女史の場所を無傷で通過する必要があるじゃろう?」

雄二「ああ、大島はムッツリーニに任せるとしても、高橋女史と戦う為の戦力が足りない。本人は何とかなったとしても、そこまで辿り着くのにC〜Fクラスだけではキツイだろう。」

明久「本人が何とかなる?あの人めちゃくちゃ強くない?そんな人に勝てる人なんているの?」

 

 一応点数でも勝てる人はいるんだけどね。今この場にはいないけど。

 

雄二「昂哉だ。」

明久「昂哉………ってもしかしてお酒?」

昂哉「正解!あの人の最大の欠点はお酒さ!確か布施先生よりも弱かったはず!」

雄二「やっぱりそうなのか。」

昂哉「1年の時の召喚獣練習で判明したからね!だから攻撃さえ当てられれば、あとは点数を持ってるだけのカカシさ!」

明久「おお!それなら何とかなりそう!」

雄二「ただそこまで辿り着くのが大変だ。」

昂哉「俺が相性最悪の佐藤にマークされたらおしまいだからね。」

雄二「だからA・Bクラスの協力を依頼する、という話だ。」

 

 だよね〜。じっちゃん辺りは協力してくれそうだけど、他の人はどうかな?まあその辺は何かしら手を打つんでしょう!

 

雄二「んで、昂哉は何を考えてたんだ?」

 

 おっ!次は俺の番だね!

 

昂哉「えっとね、この布陣自体は教師が居ないと成り立たないよね。召喚獣同士のバトルも。」

雄二「確かにな。」

昂哉「そしてもう一つ。自分の戦力を増やす方法以外に相手との戦力差を変える方法は?」

明久「えっ、そんなのって………」

雄二「まさか………相手を減らすのか?」

昂哉「その通り‼︎」

他4人「「「「マジで⁉︎」」」」

 

 そうすればこっちが相対的に増えた事になるからね!

 

雄二「でも誰をどう減らすんだ?」

昂哉「まず減らすのは教師だね。教師の数が少なくなれば、承認が出来ないため、女子の配置もかなり限られたものになってくる。最悪教師を全滅させる事が出来れば………」

雄二「召喚獣同士のバトルが発生しないだと⁉︎」

昂哉「その通り!」

秀吉「つまり教師を全滅させれば、後は力技で押し切れるのじゃな!」

昂哉「そうだね!ちょっとアウトローな方法だけど、これなら攻略も楽になる!」

 

 今までやってきた事が根底から覆るね!

 

雄二「でもどうやって教師を潰すんだ?」

昂哉「それなんだけど、夕食の時間ってクラス毎に分かれてるよね?」

明久「まあそうだけど、それがどうしたの?」

昂哉「実は俺たちFクラスよりも後に、教師が食事を摂る時間があるんだよね。」

雄二「ま、まさか……っ!」

昂哉「お察しの通り、教師の水を可燃性のものに変えるのさ‼︎」

他4人「「「「何だ(じゃ)と⁉︎」」」」

 

 これで綺麗に教師だけを潰せるね!

 

雄二「それは確かにとんでもないな………」

明久「教師を減らす事を考えるとか………流石昂哉だ!」

ムッツリーニ「………汚すぎる!」

秀吉「でもお主らしいのぅ!」

昂哉「まあね〜。ただ勝率を上げるためにも、雄二の策はやっといた方がいいかな。」

雄二「木下に読まれちゃ意味ないもんな。」

 

 それな。

 

雄二「という事で、俺からはA・Bクラスを焚き付ける方法を提案する。」

昂哉「といいますと?」

雄二「この浴衣を着て写真を撮り、A・Bクラスの野郎共の劣情を煽る‼︎」

 

 えっ?

 

昂哉「雄二が男の劣情を煽るの?もしかして兄貴と同じタイプの人?」

雄二「このバカは一旦ほっとくとして、着るのは俺じゃない。」

 

 それなら良かった〜。んで、誰なんだろう?

 

雄二「秀吉だ。」

秀吉「なんじゃと⁉︎」

昂哉「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 秀吉の浴衣姿が見れるぜぇ‼︎やったね!




 ということで強化合宿3日目、なんとここで優子が登場です‼︎予期せぬヒロインの登場に絶望する主人公たち………。果たしてどうなるのでしょうか?

 さて、次回は浴衣姿の撮影会と夜這いの話です。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第三十七問 今夜の彼女たちは、ちょっと大胆♡

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 A・Bクラス男子の劣情を煽るという名目の元、秀吉の浴衣姿を見る事が出来るぜ‼︎

 

昂哉「よっしゃぁぁぁぁぁぁ‼︎」

秀吉「ま、またワシが着るのかのぅ………?」

雄二「安心しろ、秀吉だけじゃない。姫路と島田にも着てもらう。」

秀吉「いや、ワシ1人で着るのが不満とかそういうワケではないのじゃが………」

昂哉「まあまあ!俺が可愛くしてあげるから♪」

秀吉「これ以上可愛くなったらますます女扱いされてしまうぞい………」

 

 それでいいじゃん‼︎でもまあ、俺が不安を解消させる言葉を言ってあげるか!

 

昂哉「安心して、秀吉!俺がお嫁さんとして貰ってあげるから♪」

秀吉「姉上を貰ってくれるのか‼︎」

昂哉「いや、優子じゃなくて秀吉だよ。」

秀吉「それなら婿の間違いじゃろ。」

雄二「どっちも間違いだろ。まあそれはともかく、ムッツリーニは撮影の準備を、明久は2人に連絡をしてくれ。」

明久・ムッツリーニ「「了解!」」

昂哉「じゃあ俺は秀吉の着付けを………」

秀吉「ワシが1人で………いや、昂哉は姉上の着付けをして欲しいのじゃ!」

昂哉「お断りします。」

 

 この2人は似て非なるもの!あとみんな区別がつかないって言うけど、幼馴染みの俺からすれば意外とつくぜ!まず殺気が全然違うからね〜。いくら秀吉が優子の真似をしようが殺気は真似出来ないし、逆に優子が秀吉の真似をしようが殺気は消せないからね!

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

明久「あぁぁぁぁぁ⁉︎」

 

 明久が発狂した。全く、コイツは急にどうしたんだ⁉︎

 

雄二「どうした明久、そんなに騒いで?」

昂哉「またバグったの?」

明久「昂哉はうるさい‼︎あと2人とも、色々と大変な状況になっちゃったんだよ‼︎」

 

 明久がイラついてつい携帯を投げ………

 

雄二「大変なこと?それは……」 ポ〜ン

 

 投げた携帯が寄ってきた雄二に当たって、そのまま窓から飛んでった。なんというピタゴラスイッチ!そしてここは3階‼︎今ので絶対携帯壊れたよね。

 

雄二「明久、大変なこととはなんだ?」

明久「たった今貴様が作った状況だ。」

昂哉「確かに、今のは雄二のせいだね。」

雄二「どういうことだ?」

明久「とにかく雄二の携帯貸して‼︎」

雄二「ああ、別にかまわんが。」

 

 そうして明久は雄二の携帯を借りたのだが………

 

明久「雄二、美波の連絡先は⁉︎」

雄二「む?あ〜。翔子のやつ機械音痴のくせにまた勝手に携帯いじりやがって………。また家からアドレスを入れ直さないといけないじゃないか。」

明久「あぁ…………」

 

 どうやら目的の事は出来なかったらしい。

 

雄二「明久、そんなに深刻そうな顔をしてどうしたんだ?まるで間違えて島田に告白みたいなメールを送ってしまって、弁明しようとしたら俺に携帯を窓から吹っ飛ばされて八方塞がり、って顔をしているぞ?」

昂哉「随分と具体的な顔だね。」

明久「あははははは!何を言ってるのさ!そ、そんな事あるわけないじゃないか‼︎」

 

 この動揺っぷり、ビンゴなんかい!

 

雄二「もしそうだとしたら流石に携帯吹っ飛ばした俺が極悪人みたいだもんな。」

明久「まったくだよ、あはははははっ!」

昂哉「そうだね!」

雄二「明久、俺の携帯で何を送信し…………ゴフッ‼︎」

 

 ん?明久は何をしたんだろう?そう思って携帯を覗くと…………

 

雄二(LINE)『翔子、もう一度きちんとプロポーズをしたい。今夜浴衣を着て俺の部屋まで来てくれ。』

 

 とんでもない事が書いてあった。

 

昂哉「ウケる〜w」

雄二「うけんな‼︎そして明久はマジでふざけんなよ‼︎」

明久「黙れ雄二‼︎貴様も僕と同じように色々なものを失え‼︎」

 

 そう言って明久は雄二の携帯を窓から捨てた。

 

雄二「おい‼︎これじゃ弁明も出来ないだろ、クズ野郎‼︎」

明久「そう!その気持ち!それが今僕が雄二に抱いてる気持ちだよ‼︎」

昂哉「お前ら本当にバカだね〜w。いつ見てもネタに尽きないよw」

雄二「うるさい昂哉‼︎」

明久「そ〜だそ〜だ‼︎」

雄二「とにかく誤解を解きに行くぞ!」

明久「ああ!」

 

 そう言って2人が襖を開けると、

 

鉄人「部屋を出るな。」

明久・雄二「「はい。」」

 

 鉄人に見つかった。ウケる〜w

 

雄二「おいお前ら、携帯貸してくれ‼︎」

秀吉「ワシは充電切れじゃ。」

昂哉「同じく!」

ムッツリーニ「………いざと言う時鳴り出すと困る。」

 

 若干一名理由がおかしいけど気にしないどこう。後俺は嘘ついたよ!これで優子に変なLINEでも送られたらたまったもんじゃないからね!

 

明久「雄二、昂哉の携帯普通に充電残ってるよ。」

 

 なっ⁉︎明久の野郎、俺の荷物を勝手に開けて調べただと⁉︎

 

雄二「それはいけないな。今から俺達が使ってやるか!」

昂哉「返せ……って放せ雄二‼︎」

 

 雄二の奴、俺のことを拘束しやがって!

 

明久「昂哉、暗証番号教えて。」

昂哉「んなもん教えるか!」

雄二「どうせ指紋認証もあるだろ。俺が拘束してるから明久は昂哉の指を使って開けろ。」

明久「了解‼︎」

昂哉「ざけんなぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 クソ!雄二の力が強すぎて振り解けない‼︎

 

明久「よっと、右手の親指で………開いた!」

雄二「よし。」

昂哉「よし、じゃねえ‼︎」

明久「さてと、木下さんとのLINEは…………って僕たち5人がデキてるってどう言うこと⁉︎」

 

 あ〜。そう言えばそんなやりとりもしてたっけ。

 

雄二・ムッツリーニ「「はっ?」」

昂哉「それは誤解だ‼︎」

秀吉「佐藤の勘違いじゃな。彼奴はそれを姉上に伝えてのぅ。」

雄二「なんだ、そう言うことか。」

明久「それと………」ポチ

昂哉(録音)『優子ヤらないか?』

 

 それを流すなぁぁぁぁぁぁぁ‼︎

 

昂哉「あぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

明久・雄二・秀吉「「「おお!」」」

昂哉「それはムッツリーニの合成音声‼︎」

ムッツリーニ「………違うw」

昂哉「嘘ついたら工藤に……」

ムッツリーニ「………違わない。」

雄二「お前それは卑怯だろ。」

昂哉「現在進行形で人の携帯で悪戯しようとしてる奴らが言えることじゃないよね?」

雄二「そんな奴いるか?」

昂哉「ブチ殺すぞ。」

明久「えっと、ほい♪」

 

 クソ!コイツはどんな文章を送ったんだ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉(LINE)『優子、あの時は照れて誤魔化しちゃったけど、この録音は俺の本心なんだ!だから今夜浴衣を着て俺の部屋に来てくれ‼︎』

 

 って!

 

昂哉「ふざけんじゃねぇぇぇぇぇぇ‼︎」

明久「そしてこれを………ポイ♪」

昂哉「窓の外に捨てるなぁぁぁぁ‼︎」

雄二「うわ!暴れんなよお前!」

昂哉「知るか‼︎こうなったら酒でぶっ殺してやる‼︎未成年だろうが関係ねえ‼︎」ドゴォ

 

 そう言ったのを最後に俺の記憶は途絶えた。

 

 

 

 

 目が覚めると、絶賛撮影会中だった。

 

昂哉「おい雄二、お前は俺に何をした?」

雄二「殴って気絶させただけだが?」

昂哉「ふざけんじゃねえよ‼︎自分のした事分かってる⁉︎」

雄二「未成年飲酒をさせようとする友達を諫めただけだが?」

昂哉「その前がおかしいんだよ!」

雄二「人の不幸を笑う奴にはそれ相応のものを味わってもらわないとな。」

昂哉「テメェ‼︎」

 

 コイツらいつか絶対に潰してやる‼︎マジで‼︎

 

ムッツリーニ「………昂哉、撮影の邪魔。………静かにして。」ダラー

 

 そういやそうだった………って!

 

昂哉「秀吉の浴衣姿だぁ^〜♪」

 

 眼福眼福〜♪生きてて良かったよ〜♪あとムッツリーニは鼻血の出し過ぎで死にそうになりながらもなんとか耐えてるね。

 

秀吉「昂哉、起きたようじゃな。」

姫路「あっ、雲雀丘君!いたんですね!気付きませんでした………すいません……」

明久「別にいいよ姫路さん、コイツの事を気にするだけ無駄さ!」

昂哉「元はと言えばお前のせいでしょ‼︎まったくもう‼︎」

 

 明久と雄二にはどれだけ怒りが溜まっている事か………

 

明久「うるさい!とにかく撮影会の続きをするよ!」

ムッツリーニ「………うい。」ダラー

昂哉「ムッツリーニ、終わったら秀吉とのツーショット写真を撮って!」

ムッツリーニ「………一枚1,000円。」

昂哉「兄貴たちのすすきのレビュー書Part3と交換で!」

ムッツリーニ「………承知した。」ダラー

 

 ということで秀吉とのツーショット写真を依頼出来ました!今日は散々だったけど、これだけはかなりの収穫だね!

 

 

 

 

 そしていよいよ秀吉とのツーショット撮影会になった。

 

秀吉「た、昂哉、近いのじゃ………」

昂哉「暑苦しい?」

秀吉「そうじゃの……」

昂哉「分かった!じゃあちょっとだけ離れるね!」

秀吉「そうしてくれると助かる。」

明久「おい昂哉!秀吉とのツーショットなんて………」

昂哉「俺は対価を払ってるからいいの!」

ムッツリーニ「………羨ましいが仕事は引き受ける!」

明久「そんな………」

ムッツリーニ「………それじゃあいくぞ。………はい、チーズ。」パシャ!

昂哉「センキュー!」

秀吉「ありがとなのじゃ!」

 

 よし、これでまた俺の秀吉コレクションが増えたぜ‼︎いやっほぉぉぉぉぉ‼︎

 

昂哉「秀吉、これを今度のトプ画にしようね!」

秀吉「別に構わんが………姉上とのツーショットの方が良くないかの?」

昂哉「秀吉と優子のツーショット?」

秀吉「いや、お主と姉上の。」

昂哉「絶対に嫌。」

秀吉「ぬぅ…………」

 

 そんな事したらますます好かれて自由が無くなるからね!そんな事を思いながら浴衣撮影会は終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその日の夜、たまたま目が覚めると…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「た、昂哉?起きてる?」

 

 何故か俺の布団の中から優子の声がした。これはどういう状況だ⁉︎布団の中に優子がいるのか‼︎でも何故⁉︎まさかあの悪戯メールのせいか⁉︎クソ‼︎最悪だ‼︎というか思ったより優子が近くてドキドキする‼︎色んな意味で‼︎

 

優子「もしかして寝ちゃった?」

 

 幸い咄嗟の判断で寝たふりをした事で、なんとか最悪の事態を避けている。何か周りに頼りになりそうなものは…………

 

 

 

ムッツリーニ「………」パシャ、パシャ

 

 撮影に熱心なムッツリーニ、

 

 

 

明久「せめて苦しまないように頼むよ……」

島田「アンタってどういう思考回路してるのよ?」

 

 明久に跨る島田、

 

 

 

清水「お姉様、無事ですか⁉︎」

島田「み、美春⁉︎」

明久「ええ…………」

 

 何故か乱入してきた清水、

 

 

 

霧島「…雄二///」

雄二「なっ、翔子⁉︎何してんだお前⁉︎」

 

 浴衣を脱いで雄二の布団に入ろうとする霧島、

 

 

 

美穂「秀吉君、女の子の足の付け根と付け根の間には新世界が広がってるのですよ?見ますか?」

秀吉「えっ、えっとその………///」

 

 浴衣を脱いで秀吉に新世界を見せようとする佐藤…………

 

 

 俺は考えるのをやめ、再び眠る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝起きると、どうやら昨夜の騒ぎは無事収まった事が分かった。ムッツリーニは鼻血を出し過ぎで気絶し、他の3人は泥のように眠っている。まるで風邪をひいた時に見るような夢だったなぁ。もしかして本当に夢なんじゃね?そう思って布団をめくり、起きると…………

 

優子「zzzzzzz」

 

 昨日のアレが正夢だと判明した。

 

 とりあえず俺は急いで布団を戻し、その中で隠れるように…………

 

昂哉「……優子、起きて!起きて!……」

 

 優子を起こした。

 

優子「……う〜ん……って寝落ちしちゃった!」

昂哉「……しっ!声が大きい!……」

優子「……ご、ごめん……」

昂哉「……とにかく部屋の外に出るよ……」

優子「……うん……」

 

 ということで俺は部屋を出て、ついでに合宿所の外に出た。

 

優子「なんで外なの?」

昂哉「昨日悪戯で明久と雄二に携帯を窓から投げ捨てられからね‼︎それの回収‼︎」

優子「アンタらは何やってんのよ………」

昂哉「ちなみに昨日のアレもアイツらの悪戯だからね!」

優子「だ、だよね…………」

 

 よし、とりあえず優子の誤解は解けた!やったね!

 

昂哉「付き合わせちゃってごめんね!」

優子「い、いいよ………アタシだって勝手に昂哉の布団に入り込んだんだし……そしてそのまま寝落ちしたし……」

昂哉「別に誤解してたんでしょ?ならいいよ!優子は何も悪くないって♪」

優子「あ、ありがとう///」

昂哉「それより、そろそろAクラスは朝飯の時間じゃない?」

優子「そ、そうだね!それじゃあ行ってくる!」

昂哉「ほ〜い!」

 

 そう言って優子は宿舎の中へと戻っ………

 

優子「あと、女子風呂覗いたらただじゃおかないからね?」

昂哉「はい………」

 

 た…………




 ということで、浴衣撮影会からの乱痴気騒ぎでした。昂哉はまさかの全てを諦めて寝てしまいましたね。まあ起きたらまだ優子が居たのですが。

 さて、次回は撮った写真のお披露目会と最終決戦前をやります。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第三十八問 最終決戦へ備えよ

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 優子が宿舎に戻った後、俺は俺の携帯が落ちていた付近を見渡していた。すると、あの2人の携帯が落ちていた。これは丁度いい!あの2人に復讐してやるか‼︎

 

 そして俺は合宿所の中に戻り、ケツ先生の元へと向かった。

 

昂哉「おはようございます、家角亜成大先生!」

家角「貴様、朝っぱらからこの俺に何の用だ?下らない事だったら物理の点数を0点にするからな。」

昂哉「下らなくなんかないですよ!とにかく大先生、これを貰ってくれませんか?」

 

 そう言って俺は明久と雄二のスマホをケツ先生に渡した。

 

家角「なんだこれは?」

昂哉「これは吉井明久と坂本雄二のスマホです!これを使ってアイツらをこき使うのはどうでしょうか?」

家角「成る程、それはいい考えだな。感謝する‼︎」

昂哉「どういたしまして!それでは失礼します!」

 

 ということで、明久と雄二への復讐も達成出来たぜ‼︎やったね!そして俺は朝飯の時間まで適当に廊下を散歩して時間を潰した後、時間になったら朝飯を食べに向かった。

 

 

 

 

 そして朝飯のとき………

 

明久・雄二「「ふわぁぁぁ………」」

 

 明久と雄二がやたら眠そうだった。

 

秀吉「弱ったのぅ。お主らがそんな様子では今夜はとても……」

昂哉「何してたの2人とも?まさか保健体育の実習?」

明久「あ、そっか。昂哉は昨日寝てたから知らないんだね。」

雄二「俺達の部屋が凄い事になってたのを。」

 

 ごめん、知ってる。けど寝たフリしてたのバレたくないから誤魔化そ〜♪

 

昂哉「本当に何があったの?」

秀吉「色んな人が乱入してきおったのじゃ。」

雄二「んでそれが鉄人にバレてな。」

明久「僕と雄二でなんとか誤魔化したんだけど、代わりに僕らが鉄人に捕まったんだよ。」

 

 なるほどね〜。

 

昂哉「それで鉄人にキレられてたらこうなったのね。」

明久「そうだね〜。」

秀吉「姉上も来れば良かったのにのぅ………」

明久・雄二「「だね(な)。」」

 

 ん?もしや優子があの場にいた事をコイツらは知らないのか。確かにアイツはずっと布団に隠れてたけども。なら都合が良い!このまま黙っとくか!

 

昂哉「優子が俺たちの部屋に来るのは御免だね。俺が殺されかねないし。あとお2人さんよ、なんとか夜までに回復しといてね。」

明久「ほ〜い。」

雄二「分かっ………ふぉぉぉぉぉ⁉︎

 

 びっくりした⁉︎急に発狂しないでよ‼︎

 

昂哉・明久「「どうしたの、雄二⁉︎」」

ムッツリーニ「………効果は抜群!」

明久「あ、ムッツリーニ、おはよう!」

 

 効果?何のことだろう?ムッツリーニは雄二に何を見せたんだ?

 

秀吉「今のは何じゃ?えらく雄二が興奮しておるように見えるのじゃが?」

ムッツリーニ「………魔法の写真!」

 

 魔法の写真?もしや………?

 

昂哉「昨日の写真か!」

ムッツリーニ「………正解!」

 

 やっぱり!

 

昂哉・明久「「どれどれ〜?」」

秀吉「わ、ワシも気になるぞい………」

 

 さてと、魔法の写真は…………

 

昂哉・明久「「ふぉぉぉぉぉぉぉぉ⁉︎」」

秀吉「こ、これは凄いのじゃ!」

 

 マジでやばいんだけど‼︎姫路のはだけて胸が少し見えてる写真、霧島や島田の色気のある写真!凄すぎる‼︎それになんと言っても秀吉‼︎流石は俺の嫁‼︎子供の可愛さと大人のエロさが良い塩梅に混ざってて、とても最高だ‼︎これは、此方も抜かねば、無作法というもの‼︎

 

秀吉「こ、この写真は広めないで欲しいのじゃ………///」

ムッツリーニ「………いうてセーフ!」

 

 こ、これは………⁉︎秀吉と佐藤が昨日新世界を見せ合おうとしていた写真じゃないか⁉︎というか佐藤って最初のイメージとは真逆でかなり肉食系なんだね!昨日も思ったけどさ!秀吉の好きな『新世界を見せてくれる人』をそう解釈するとはね!

 

昂哉「秀吉、卒業おめでとう‼︎」

秀吉「あ、あれは未遂に終わったのじゃ……///」

明久「まさか秀吉が女の子との恋愛に興味があったなんて……」

秀吉「ワシは男じゃから普通じゃろう⁉︎それに、佐藤は彼女ではないぞい‼︎」

 

 だよね。というか、話し始めて2日目でそこまでいく人は初めて会ったよ。そんな事を思ってると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムッツリーニ「………実は木下の写真もある。………昂哉の部分は消したけど。」

 

 ムッツリーニから衝撃的な事を聞いた。

 

昂哉・明久・雄二・秀吉「「「「マジで⁉︎」」」」

 

 そう言ってムッツリーニが見せた写真には、優子が寝ている写真があった。

 

昂哉「えっ?これどうやって撮ったの?」

ムッツリーニ「………昂哉の布団が不自然に膨らんでたから開けてみた。」

昂哉「おい‼︎勝手に開けんなし‼︎」

雄二「お前まさか木下が居たのにずっと寝てたのか?」

明久「流石に酷いね。」

秀吉「お主はどこまでバカなのじゃ⁉︎」

昂哉「正直言って疲れてたの‼︎だからしょうがないじゃん‼︎」

 

 疲れてる時に乱痴気騒ぎを起こす方が悪い‼︎

 

雄二「ん?その口ぶり………もしや木下が居るのを()()知ってる発言だな。」

明久「確かに………。あの時寝てたんなら知らないはずだよね?」

 

 ヤベ………。寝たフリしたのがバレるのはマズい‼︎だからここは誤魔化してやる‼︎

 

昂哉「朝起きたら隣に居たの‼︎はい、この話はおしまい‼︎」

雄二「マジか………」

秀吉「実は朝までヤっとっ……」

昂哉「疲れてた寝てたって言ったでしょ⁉︎」

秀吉「すまないのじゃ。」

 

 全く、このスケベ天使め‼︎あと、鉄人が来た時には既に優子は寝落ちしてたんだね。だから他の皆と一緒に戻らなかったのか。

 

 それと、言う事があるから言わないと‼︎

 

昂哉「あとムッツリーニ、優子のは取り下げで‼︎金は払うから‼︎あとそれで仲間が増やせなくて失敗したら俺が責任を取るから‼︎」

ムッツリーニ「………彼氏に言われちゃ仕方ない!」

雄二「だな。」

明久「そこはしっかりしてるんだね!」

秀吉「良いことじゃ♪」

 

 流石に布団を無理矢理めくられたのは可哀想だからね‼︎しかも優子に悪気は無いし!

 

ムッツリーニ「………ちなみにアキちゃんもある!」

 

 マジかよ⁉︎

 

 そしてムッツリーニが見せてくれた写真には、セーラー服を着た明久の姿があった。正直言って可愛い!兄貴たちが惚れるのも分かる気がする。

 

昂哉「ナイス!」

明久「放して秀吉‼︎このバカの頭をカチ割ってやるんだ‼︎」

秀吉「お、落ち着くのじゃ明久!よく撮れておるではないか!」

昂哉「そうだよアキちゃん♪」

ムッツリーニ「………ちなみにパンチラバージョンもある!」

 

 そう言ってムッツリーニはもう一枚の写真も見せてくれた。確かにこれはパンチラだ。玉野に売れそう。

 

昂哉「おお!いいじゃん♪」

明久「良くない‼︎あと秀吉は放して!アイツの脳髄を引きずり出さなきゃいけないから‼︎」

秀吉「見ておらん!ワシは何も見ておらんから落ち着くのじゃ!」

昂哉「俺は見たけどね〜w」

明久「うるさい‼︎」

 

 関係ないんだけど、秀吉って意外と力強いよね。明久を羽交い締めにして動けなくしてるから。もしや俺より強いとか………いや、ないない‼︎*1

 

雄二「まあとにかく、コイツをばら撒くか!」

昂哉「パクられたりしないの?」

雄二「パクった奴には坂本雄二による私刑執行と、雲雀丘昂哉とその兄2人による保健体育の実習の刑執行、って書いといたから大丈夫だろ。」

明久「確かに、それは大丈夫そう!」

昂哉「俺にとっては全然大丈夫じゃないんだが………」

 

 俺と兄貴を一緒にしないで!俺は女にしか興味無いから!

 

雄二「ということで、俺はこれを須川たちに回してくるから、お前らは回復テストでも受けとけ。あと昂哉は自分の作戦をよろしくな。」

他4人「「「「ほ〜い。」」」」

 

 ということで、写真の件は雄二に任せて、俺は回復試験に勤しんだ。

 

 

 

 

 

 そして迎えた夕食時、俺は先生たち用の水を可燃性の物に入れ替えて、

 

昂哉「先生、水飲んで良いっすか?」

鉄人「ああ、構わんが。」

昂哉「ありがとうございます。」ゴクッ

 

 俺自身が飲むことによって先生方をハメやすくした。そしてその後は時間もなかったので、先生方が潰れたかどうかの確認もせず、すぐに自分の部屋に戻った。

 

 

 

 

 そしていよいよ、俺たちの部屋で最後の作戦会議が行われた。

 

昂哉「昨日と一緒で、C〜Fクラスは全員参加のようだね。」

ムッツリーニ「………ちなみに教師の様子は?」

昂哉「Cクラスの黒崎トオル曰く、酒が混じってたとの事で大騒ぎだと。潰れてる人も何人かいるみたい。」

 

 要するに大成功だね!

 

雄二「となると、E・Fクラスが泊まっている3階と、C・Dクラスが泊まっている2階は大丈夫だとして、A・Bクラスが泊まっている1階以降が問題だな。」

明久「でも、ここまできたらやるしかないよ。」

雄二「勿論そのつもりだが、2階を突破するとそこには敵主力が待っている。」

昂哉「酒で潰れたかもしれない高橋女史はともかく、優子、霧島、姫路、工藤、佐藤といった大量の主力がいるからね。」

 

 超えなきゃいけない最大の難所だ。

 

雄二「明久とムッツリーニを通す隙は俺達が作る。だがこの主力陣をそのまま足止めするのは不可能だと思ってくれ。」

秀吉「じゃが足止めできねば………」

昂哉「明久たちは前後を挟まれて終わりだね。」

雄二「作戦は失敗。俺は翔子に残りの人生を奪われ、明久は変態として生きていく事になる。」

 

 ついでに俺におけるシュレディンガーの処女問題についての論文が発表されるね。ムッツリーニ以外には言ってないけど。

 

秀吉「失敗しても現状と大して変わらん気がするのじゃが……」

 

 なんて事を言うんだ。

 

雄二「とにかく、高橋女史は酒で潰れているか、昂哉がなんとかするかの2択しかない。」

昂哉「まあ任せて〜♪あっ、秀吉と雄二が協力してくれると助かるかも!もし居たとして、酒をぶち込むまでがちょっと大変だから。」

雄二「そこはいくらでも協力しよう。そしてその後はお前らの仕事だ。分かってるな?」

ムッツリーニ「………大島先生を倒す。」

明久「そして僕は鉄人だね?」

 

 明久が不安そうな顔になる。まああの鉄人が相手だから無理もない。そんな明久を、

 

ムッツリーニ「………大丈夫、きっとうまくいく!」

 

 ムッツリーニが励ました。まあ今落ち込んでても仕方がないからね!

 

明久「うん!」

雄二「当然だな。」

秀吉「じゃな。」

昂哉「だね!」

 

 そしていよいよ最終決戦の時が来た!

 

雄二「よし、てめぇら気合は入ってるか!」

他4人「「「「おう‼︎」」」」

雄二「女子も教師もAクラスもFクラスも関係ねえ‼︎男の底力、とくと見せてやろうじゃねえか‼︎」

他4人「「「「おう‼︎」」」」

雄二「これがラストチャンスだ‼︎俺達4人から始まったこの騒ぎ、勝利で幕を閉じる以外の結果はあり得ねえ‼︎」

他4人「「「「当然だ‼︎」」」」

雄二「強化合宿第四夜、最終決戦、出陣()るぞ!」

他4人「「「「おう!」」」」

 

 こうして俺たちの最終決戦が幕を開けた。

*1
実を言うと昂哉は秀吉より力が弱いが、昂哉はその事実から必死に目を背けている




 ということで、最終決戦の前の部分をやりました。夜の乱痴気騒ぎに居た人数が多かったため、ムッツリーニの写真もかなり増えております。これならきっと大丈夫でしょう‼︎

 さて、次回はいよいよ最終決戦です。お楽しみに‼︎

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第三十九問 女子風呂を覗こう!最終日

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 今日は昨日みたいに裏から回り込んだりはしない‼︎優子にバレるからね‼︎だから数で押し切る‼︎

 

昂哉・明久・雄二・ムッツリーニ・秀吉「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」」」」」

中林「いたわっ!主犯格の5人組よ!」

三上「えっと……って、先生が酒で潰れてて足りない‼︎」

中林「美子、誰か生きてる先生を呼んできて!」

三上「分かった!」

 

 どうやら各地で深刻な教師不足が起きてる模様‼︎俺の作戦は効果があったみたいだね‼︎

 

須川「あそこに木内先生がいるぞ‼︎囲め!」

E・Fクラス男子「「「「「はっ!」」」」」

 

 生き残った先生も次々と殲滅させられてるね。いい事だ‼︎

 

明久「頼んだよ、須川君!」

須川「ああ‼︎それよりも、きちんと吉井は鉄人を倒せよ‼︎」

明久「分かってる!また女子風呂(ヴァルハラ)で会おう‼︎」

 

 一歩も退かない、皆の熱意が伝わってくる‼︎俺の気持ちも昂ってきたぜ‼︎昂哉だけに‼︎

 

福村「翔子たん!翔子たん!はぁ、はぁ、はぁ、はぁぁぁ‼︎」

近藤「島田のぺったんこぉぉぉ‼︎」

武藤「姫路さん、結婚しましょぉぉぉ‼︎」

横溝「優子ママ〜‼︎俺を叱って〜♪」

原田「工藤〜‼︎俺に保健体育の実技を教えてくれ〜‼︎」

須川「秀吉と佐藤美穂の百合を遠くから眺めていたい……っ!」

 

 前言撤回。全員やられてしまえ………。あと優子を母ちゃん呼ばわりした横溝、そんな甘えもんじゃねえぞ?最低でも残機を70用意しとけ。

 

秀吉「凄い士気じゃな。これなら3階の制圧は問題なさそうじゃ。」

昂哉「皆の気持ちが一つになってるからね!」

雄二「よし、次は2階だ‼︎」

 

 そして俺たちが2階に降りると…………

 

平賀「俺達の覗きの邪魔はさせない‼︎Dクラス男子、やるぞ‼︎」

黒崎「CクラスもDクラスに続け‼︎ついでに小山をシメ倒すんだ‼︎」

小山「な、何よアンタたち‼︎ふざけんじゃないわよ‼︎」

 

 C・Dクラスが戦っていた‼︎

 

昂哉「サンキュー、トオルたち‼︎感謝するぜ‼︎」

黒崎「ああ‼︎昂哉こそ、ちゃんと役目を果たせよ‼︎」

昂哉「もちろん‼︎」

 

 これなら2階も余裕そうだ!

 

明久「この調子ならA・Bクラスも来てくれるかな?」

雄二「それはどうかな?」

ムッツリーニ「………Bクラスはともかく、久保にあの写真は効かない!」

明久「マジで⁉︎久保君はやっぱり度し難いのか……」

他4人「「「「だね(な)(じゃな)…………」」」」

 

 でもきてくれる事を祈る!そんな事を思ってると………、

 

男子1「………護してくれ……」

男子2「……メだ!……的過ぎ……」

 

 1階から男子の声が聞こえてきた‼︎

 

明久「これは援軍か!」

昂哉「だとするとBクラスは来てくれたのかな?」

明久「これなら1階の制圧もうまく……」

雄二「いや違う、様子がおかしいぞ‼︎」

 

 確かに、嫌な予感がする………そんな事を思いながら1階に降りると…………

 

 

 

 

 

 

 

総合科目

 

男子

   根本恭二 2471点

   野中長男 2120点

   鈴木二郎 2017点

     :

     :

     :

     VS

女子・教師

   高橋洋子 8106点

   霧島翔子 5678点

   姫路瑞希 5210点

   木下優子 4551点

   佐藤美穂 4318点

     :

     :

 

 

優子「昂哉、やっと来たね。アタシが分からせてあげるわ。

霧島「…雄二、悪戯はそこまで。

姫路「明久君、ここは通しませんよ?

美穂「秀吉君、これに負けたら昨日のアレの続きをしましょう♪」

 

 主力陣がBクラス男子を圧倒していた。

 

根本「遅いぞ坂本‼︎こっちはもう持たん‼︎」

Bクラス男子1「高橋先生に女子の4トップが相手なんて勝てるわけねえ‼︎」

Bクラス男子2「それに他のAクラス女子やBクラス女子だっているんだ………」

雄二「すまん!」

 

 こうなったら………

 

昂哉「秀吉!手の空いてるC〜Fクラスの連中を全て連れてくるんだ‼︎」

秀吉「分かったのじゃ!」

 

 増援を頼むほかあるまい‼︎

 

Bクラス男子2「これ以上は無理だ………」

Bクラス男子1「だいたい姫路と霧島が入ってない風呂なんて覗く価値がないんじゃないか?」

明久「諦めちゃダメだ‼︎誰かしか女子は入ってるはず‼︎この世に除く価値の無い女子風呂なんてない‼︎」

赤田爺「その通りじゃ‼︎」

 

 うお!赤田爺じゃん!援軍に来てくれたのか‼︎

 

昂哉「Aクラスも来てくれたのか!」

赤田爺「いや、儂だけじゃ。」

雄二「マジか………」

 

 赤田爺も学年トップクラスの成績を持つ。とはいえ………

 

昂哉「赤田爺1人であの人数を相手に大丈夫なの?」

 

 流石に無理がある…………

 

赤田爺「そんなの気にしてられんわい。」

昂哉「えっ?」

雄二「まあそうかもしれんが、相手は強敵揃いだぞ?」

赤田爺「あのな若い衆よ、社会には無理難題に立ち向かわなければならない時がいくらでもあるのじゃ。」

 

 そ、そうなのか………

 

赤田爺「泣きたくなる時もある。逃げ出したくなる時もある。誤魔化したくなる時もある。でもそれを無理矢理壊して、乗り越えて、突き進んでいかねばならんのだ。そして辿り着くのじゃ。困難を乗り越えたからと言って最後に笑えるとは限らんが、最後に笑っとるモンは必ずどこかしかで困難を乗り越えておる‼︎そして大切なのは、己の信念を貫くことじゃ‼︎」

 

 普段がチャラ男だから忘れがちだが、この人は75年も生きてきて、大企業の専務にまで上り詰めた人生の大先輩だ。そんな人からの言葉は、俺たち若者の心によく響いた。

 

赤田爺「じゃから今から儂がそれを見せるわい‼︎試獣召喚(サモン)‼︎」

 

 

 

総合科目

 

男子

   赤田敏夫 4717点

   根本恭二 357点

   野中長男 0点

   鈴木二郎 0点

     :

     :

     :

     VS

女子・教師

   高橋洋子 8106点

   霧島翔子 5614点

   姫路瑞希 5106点

   木下優子 4515点

   佐藤美穂 4246点

     :

     :

 

 

赤田爺「儂の人生七十五年、幾多の人と出会い別れてきおったが、最期にお主らに会えて良かったぞい‼︎」

 

 じっちゃんはそう言って戦場へ向かい、暴れ始めた。

 

岩下「真由美、ヤバいよこの爺さん!」

菊入「もう10人もやられた!」

Aクラス女子「ヤバいって、代表!」

霧島「…赤田、なんでこんなに……?」

美穂「お、大人しくしてて下さい!」

赤田爺「人生経験ってやつじゃの‼︎」

 

 じっちゃんが頑張ってるんだ‼︎これに続くしかない‼︎

 

昂哉「お前ら‼︎年寄りをもう少し労ってやれ‼︎出陣だ‼︎」

Bクラス男子1「確かにそうだよな‼︎」

Bクラス男子2「体力ある若者なのに、ここで黙っててたまるか!」

雄二「そうだな‼︎やるぞ‼︎」

男子「「「「「オー‼︎」」」」」

 

 男子のやる気も復活‼︎いい兆候だ‼︎

 

明久「そうか………大切な事は、自分の信念を貫くこと、つまりは自分の気持ち通りに動く事なのか!」

赤田爺「その通りじゃ、明久‼︎」

 

 そ、そうだったのか………っ!というか俺はいつだって、自分の欲望に素直に生きて来たじゃないか‼︎

 

明久「僕は初めて気がついたんだ‼︎たとえ許されない行為であろうとも、自分の気持ちは偽れない‼︎正直に言おう!今僕は、純粋に、欲望のために、女子風呂を覗きたい‼︎」

昂哉「俺もだ、明久‼︎」

明久「分かってくれるか、昂哉!」

昂哉「ああ!」

優子「昂哉、本当に死にたいようね‼︎」

姫路「それに明久君は、私じゃなくて美波ちゃんのお風呂を覗きたいんですね!」

 

 いや姫路、それは違うと思う。

 

姫路「もう許しません‼︎覗きは犯罪なんですからねっ‼︎」

優子「アンタが捕まる前に、まずアタシがその身に法律を叩き込んでやるわ‼︎」

明久・昂哉「「世間のルールなんて関係無い‼︎」」

明久「誰にどう思われようと、」

昂哉「俺は‼︎」

明久「僕は‼︎」

昂哉・明久「「自分の気持ちに、正直に生きるんだぁぁぁぁあ‼︎」」

久保「よく言った、吉井君達‼︎」

 

 おっ!なんと………‼︎

 

昂哉・明久「「久保(君)‼︎」」

明久「来てくれたんだね!」

久保「待たせたね、吉井君達。」

赤田爺「遅すぎるわい。利光。」

 

 最強の男子、到着だ‼︎

 

久保「到着が遅れてすまない。踏ん切りがつかず、準備をしながらもずっと迷っていたんだが………さっきの君たちの言葉を聞いて決心がついたよ。」

昂哉・明久「「それじゃあ……!」」

久保「ああ!赤田君だけでなく、Aクラス男子総勢二十四名、今から君の覗きに力を貸そう‼︎」

他クラス男子「「「「「お〜‼︎」」」」」

赤田爺「そう来なくちゃのぅ‼︎」

 

 最強の戦力、ついに到着だ‼︎

 

昂哉「センキュー!」

明久「ありがとう久保君!君たちの勇気に心から感謝するよ!」

久保「いや、感謝するのは僕の方だよ。君が言った通り、自分の気持ちに嘘はつけない。世間に許されない想いであろうとも、好きなものは好きなんだ‼︎

 

 よくぞ言い切った、久保‼︎

 

姫路「久保君、お仕置きの邪魔をしないで下さい!」

優子「うぅ………ぐすっ……愛だわ……」

 

 優子は本物の男同士の愛を目の当たりにして感動しているようだ。一応敵だよね、君?

 

姫路「優子ちゃんはどうしたんです?」

優子「い、いや、なんでもないわ‼︎それよりアタシだってアンタらを止める責務がある‼︎同じクラスの者として‼︎」

久保「そうはいかないよ、2人とも。僕らは彼らの覗きに協力すると決めたんだ。西村先生や高橋先生を打倒する唯一の力を、ここで失うわけにはいかない‼︎」

 

 なんにせよ、これはチャンスだ‼︎

 

雄二「明久、ムッツリーニ!今のうちに階段へ向かって走れ‼︎」

明久・ムッツリーニ「「ああ!」」

昂哉「Aクラス男子は特に佐藤を抑えて!」

赤田爺「儂がやっておる!」

美穂「くっ!私が雲雀丘君のところに行かないと……!」

赤田爺「させんわい‼︎」

昂哉「ありがとう、じっちゃん‼︎」

 

 さて、今のうちに突入だ‼︎

 

高橋「まさかAクラスの男子まで参戦するとは思いませんでしたが、問題ありません。ここは誰であろうと通しませんから!」

雄二「残念だな、高橋女史!悪いがここは通させてもらう!行くぞ!起動(アウェイクン)‼︎」

 

 忘れていた人も多いであろう、白金の腕輪の出番だ!清涼祭のときに優勝賞品で貰ったやつだね。バグったままだったからそのまま明久と雄二が貰ったのさ!そしてこれが起きると………

 

高橋「か、干渉⁉︎」

 

 高橋女史と雄二のフィールドが干渉して消えたぜ!これで脇を通り抜けるのも楽勝だ!

 

昂哉「いけ明久、ムッツリーニ‼︎」

雄二「鉄人と大島を倒し、俺達を理想郷(アガルタ)に導いてくれ‼︎」

高橋「くっ、2人は通しましたが、他の人は通しません‼︎ 試獣召喚(サモン)‼︎」

 

 判断が早い‼︎すぐさま雄二のフィールドで召喚したね!だったら………

 

昂哉「んじゃ、俺の出番ってワケか!」

雄二「俺も手伝………」

家角「そうはさせない‼︎」

 

 家角………亜成⁉︎

 

家角「この俺が貴様らをぶちのめしてやる。そして、俺の昇進の礎となれ‼︎ 試獣召喚(サモン)

 

 くっ!思わぬ妨害が…………でも俺じゃなきゃ高橋女史は倒せない………どうすれは………

 

雄二「家角亜成は俺が足止めする。試獣召喚(サモン)

秀吉「ワシもじゃ‼︎ 試獣召喚(サモン)

家角「なんだと⁉︎」

 

 雄二………!秀吉………!

 

家角「クソ!だったら召喚許可を取り消せば……」

雄二「学年主任の前でそんな事するのか?ますます減給されそうだな。」

家角「なんだと⁉︎」

高橋「家角先生、雲雀丘君は私が相手します!だから……坂本君と木下君を頼みます‼︎」

家角「わ、分かりましたよ…………」

昂哉「よぉし、んじゃあ任せた!」

雄二・秀吉「「任された(のじゃ)!」」

 

 ということで、秀吉&雄二vs家角亜成の開幕だ!そして…………

 

昂哉「高橋女史、勝負です。試獣召喚(サモン)

高橋「ですね。」

 

 学年主任との一騎打ちが、幕を開けた。本来の予定とは違うけど、やるしかない‼︎

 

 

 

 

 

 

総合科目

 

男子   雲雀丘昂哉 4817点

       VS

女子・教師 高橋洋子 8074点

 

 

 俺が攻撃のタイミングを見計らってると、高橋女史から話しかけられた。

 

高橋「雲雀丘君、貴方は何回問題行動を起こせば気が済むのですか?覗き犯が全員特定出来たら、これで6度目の停学になるんですよ?」

昂哉「それがどうしたんです?今更5も6も変わりません!」

高橋「そういう問題ではありません!あと、流石に数が増えすぎると退学にしますが?」

昂哉「ならそれでいいじゃないですか♪俺は元々高校になんか通う気はなかったんです!むしろ退学になってしまえば、仕方なくニートになる事が出来ます!俺的にはそっちの方がニートになる理由も出来て本望ですけどね♪」

高橋「そのお金はどこから出てると思ってるのですか⁉︎」

昂哉「俺の金です!」

高橋「ええ………。貴方、その様子でどうやって働けてるのですか?」

昂哉「ギャンブルっすよ!コツと運さえありゃ余裕です!」

 

 高レートマンション麻雀とパチスロさえあれば余裕だ!

 

高橋「そんな生き方で大丈夫なのですか?」

昂哉「これは俺がやりたくてやってるだけなので!」

高橋「そんな………」

昂哉「先生、人の生き方と言うものは、本来多種多様なものなんですよ。ある人は大学に進学し、ある人は高校を出てから働き、またある人は高校にすら行かない。働くも働かないも個人の自由ですし、長生きしようがすぐ死のうがどちらでもいい。結局は本人の人生なんです。本人がやりたいようにやらせりゃいいじゃないですか?」

高橋「それが他人に迷惑をかけるときもありますよね?まさに今がそうです。」

昂哉「それならそれ相応の罰を受ければいいだけです!罰金なら罰金、死刑なら死刑、恨まれるなら恨まれる、復讐されるなら復讐される、と。そんな事よりも、俺は自分の気持ちに正直に生きたいんです!俺はクズなんで!」

高橋「はぁ………。貴方には更に指導が必要なようですね………」

昂哉「やれるもんならやってみて下さい!」

 

 さてと、なんとかこの高速ムチ攻撃をかわして酒を飲ませなきゃいけない…………

 

高橋「どうしたのです?攻撃しないとやられますよ?」

 

 俺はハッキリ言って戦闘センスがこれっぽっちもない。口喧嘩は得意だが物理的な喧嘩は大の苦手だ。考えるだけ無駄かもしれない!なら、やるべき事は…………!

 

高橋「あ、貴方⁉︎今酒を飲むんですか⁉︎」

昂哉「そうですね!」

 

 そして高橋女史の召喚獣にスピリタスをぶち込む!この事だけを考え、攻撃を避けるとか、それ以外の事は一切考えず不規則な動きをする!酔って何するか分かんないように思わせる!

 

高橋「う、動きが読めません!だがムチで押し切ればいいだけの事!点数は私が上!だから………」

 

 今だ‼︎

 

昂哉「《スピリタス》‼︎」

高橋「なっ⁉︎」

 

 

 

 

総合科目

 

男子   雲雀丘昂哉 1246点

       VS

女子・教師 高橋洋子 5427点

 

 

 さて、俺の予想が正しければ……………

 

高橋「う、うぅ………」フラフラ

 

 酔い始めた!しかもかなり効いてる!これなら畳みかけられる!通常攻撃の度数は日本酒並まで落ちたが、まだいける!

 

昂哉「オラオラオラ‼︎生徒の酒ですよ!飲めないんですか⁉︎」

高橋「くっ!」バタン

 

 よし、倒れた!

 

昂哉「先生、無理なら降参してもいいんですよ?」

高橋「あぁぁぁぁぁぁぁ‼︎わはひはこうはんひなへん(私は降参しません)‼︎」

 

 クソ‼︎酔って適当にムチぶん回されると、めちゃくちゃ困るんだよ!

 

昂哉「あぁぁぁぁぁぁぁ‼︎早く潰れろぉぉぉぉ‼︎」

高橋「潰れま………へん(せん)‼︎」

昂哉「頼むからぁぁぁぁぁ‼︎」

高橋「潰…………zzzzzzzz」

 

 

 

総合科目

 

男子   雲雀丘昂哉 372点

       VS

女子・教師 高橋洋子 K・O

 

 

 

 しゃあ‼︎俺の勝ちだ‼︎

 

昂哉「Winner is me‼︎」

雄二「よし、こっちもケツを倒したぞ‼︎」

秀吉「やったのじゃ‼︎」

男子「「「「「俺たちも終わったぞ〜‼︎」」」」」

雄二「じゃあ行くか!」

他男子全員「「「「「おう!」」」」」

 

 ということで地下に向かうと…………

 

工藤・大島「「そんな………」」

ムッツリーニ「………信念は、不可能を可能にする!」

鉄人(気絶)「…………」

明久「やったぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 2人とも役目を終えてたみたいだ‼︎これで女子風呂へ行けるね!

 

雄二「よし、女子風呂へ………」

清水「させません‼︎」

 

 なっ⁉︎お前がまだいたのか⁉︎

 

昂哉「どうしたの、清水?」

清水「お姉様の操は美春が渡しません‼︎もしあなた方が止まってくれないのなら、この写真を見せます!」

 

 そう言って清水は俺に脅迫された時と同じ写真と、明久のメイド服姿の写真を見せてくれた。

 

昂哉「あぁ〜、そういうことね。お前、ケツに火傷の痕があるでしょ?」

清水「な、なんでそれを知ってるのですか⁉︎さては盗撮や覗きをやっていますね⁉︎」

 

 ビンゴ‼︎犯人は清水でした‼︎まあコイツは島田の事が好きだからやりかねないよね〜。さてさて、ここからがお待ちかね、脅迫タイムだ‼︎

 

昂哉「ブーメランって、知ってる?」

清水「えっ?な、なんの事です?」

昂哉「盗撮や盗聴に使った機材、調べれば誰のものだか一発で分かると思うけどな〜。」

清水「なっ⁉︎そこまで知ったからには生かしておけません!」

昂哉「自分の事を?」

清水「えっ?いや………」

昂哉「自分では盗撮や盗聴をやっておきながら、その罪を俺たちに押し付けておいて、タダで済むと思ってんの?」

清水「いや、その…………」

 

 やられた方はマジでたまったもんじゃないからね。

 

昂哉「本当だったらここでぜ〜んぶ洗いざらい先生や警察に話して、明日から自分の住処を刑務所に変えるべきだよね〜。だって自分が罪を犯している上に、他人に冤罪をふっかけたんだからね。」

清水「うぅ………」

昂哉「まあ俺は優しいから、清水がそんな目に遭うのは嫌だと思ってるよ!そこで俺から清水に提案があるんだけど、聞いてくれるかな?」

清水「な、なんです………?」

昂哉「俺、明久、雄二絡みの全てのデータを消す事!いいね!じゃないとお前の悪事を全てバラす!」

清水「わ、分かりました…………」

 

 まあ必要以上に虐めても意味ないしね〜。この辺にしておくか!あと決して()()()提案、とは言ってないからね!今後何度もちゃ〜んと使ってあげるよ♪お前が後悔した頃には、既に遅い!

 

昂哉「あと、召喚獣勝負でもする?男子100人弱相手に1人で勝てると思えないけど。」

清水「え、遠慮しておきます………」

 

 よし、清水も降参してくれたぜ!

 

昂哉「んじゃ皆、女子風呂に入ろうぜ〜‼︎」

雄二「これだけの人数がいれば人物の特定も出来ないし、邪魔も排除出来る‼︎停学や退学の処分もないから思う存分楽しんでくれ‼︎ここが俺達の理想郷(アガルタ)だ‼︎」

他男子「「「「「オー‼︎」」」」」

  

 

 そして女子風呂の中に入ると………、

 

 そこには張りのある肌、しなやかな肢体、腰まで伸びる長い髪。見知った顔の普段ではみることができなかった姿があった。それは、今を逃せば二度と目にする事もないと言えるそんな…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………学園長(ババア)の艶姿だった。

 

男子全員「「「「「「割に合わねーーーー‼︎」」」」」」

 

 こうして俺たち文月学園第2学年全男子生徒総勢149名は、一週間の停学処分を食らうことになった。




 ということで、無事に昂哉は覗きに成功しました!おめでとうございます‼︎あと、脅迫犯だった清水美春を昂哉が逆に脅しましたね。昂哉がCV.石田彰なのもあって、どっちが悪役なのか分かりにくいという……

 そして今回で強化合宿編は終了…………しません‼︎あと1話だけ続きます!何の話をやるかは明日のお楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第四十問  優子とドライブデート…

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 波乱の強化合宿も無事終了し、いよいよ帰宅の時となった。

 

鉄人「そんじゃあお前ら、気をつけて帰れよ。あと男子は来週から停学だからな。家で大人しくしてろよ。」

Fクラス全員「「「「「は〜い。」」」」」

 

 これから運転しなければいけないのがちょっとダルいが、助手席に秀吉が居るので問題ないでしょう…………ってそうだ!

 

昂哉「ムッツリーニ、帰りは電車で!これは運転手命令だから!」

 

 こうすれば、秀吉とのドライブデートが出来るね♪ムッツリーニ、行きは調べ物で疲れてたけど、帰りはそうじゃないからね!ごめんね!

 

ムッツリーニ「………分かった。」

 

 思ったよりあっさり引き下がってくれた!やったね♪

 

昂哉「さあ秀吉!一緒に帰ろ♪」

秀吉「う〜ん、その件なんじゃが………」

昂哉「ん?どしたの?」

秀吉「帰りは姉上が助手席で、ワシは電車になったのじゃ♪」

 

 はい?

 

昂哉「いや、言ってる意味が分かんないんだけど………」

優子「アンタはアタシと帰るって事。んで秀吉は土屋や坂本たちと一緒に帰るって事。」

秀吉「そういうことじゃ。」

 

 いやいやいやいや‼︎

 

昂哉「おい‼︎それ困るんだけど⁉︎というか優子はリムジンバスかなんかがあるでしょ⁉︎」

優子「高橋先生に言ったら快く引き受けてくれたよ?」

昂哉「あの女めぇぇぇぇぇぇぇ‼︎」

 

 早速罰を受けるとは思わなかったよ‼︎でもいい‼︎今のうちに逃げて車を走らせてしまえば………

 

優子「ちなみに逃げるのはナシね♪」ガッ

 

 優子に肩を掴まれたため、それは出来なかった…………

 

 

 

 

 ということで、優子との地獄のドライブデートが始まった。しかも他の人はおらず、荷物も一切無い。帰りまで2人きりなのが最悪だ……………

 

 でも流石に早く帰りたいという理由で飛ばそうとは思えない。一応優子の命を預かってるわけだし。だからここは………

 

昂哉「優子、今日は真っ直ぐ帰るからね〜。」

 

 休憩するSA以外では止まらない事にしよう!

 

優子「わ、分かった…………」

 

 ん?いつものように脅迫とかしないの?というかそんなに落ち込むなよ‼︎なんか罪悪感がヤバいんだけど⁉︎

 

昂哉「ってのは冗談で、ちょっとだけ遊ぼっか!」

優子「ほ、ホント⁉︎昂哉、ありがとう‼︎やった〜♪」

 

 ということで、優子と普通にデートをする羽目になった。

 

 

 

 

 

 本日の目的地は、福島と栃木の県境を越えた辺りだ。

 

昂哉「とうちゃ〜く!」

優子「こ、ここは?」

昂哉「動物園さ!」

優子「動物園⁉︎やった〜♪」

昂哉「んじゃ、入るよ〜。」

優子「は〜い!」

 

 栃木でも有名な動物園に到着しました!

 

優子「随分広い動物園だね………」

昂哉「だね!それじゃあまずは………どっか行きたいとこある?」

優子「う〜んと、じゃあ、最初にこの遠いエリアの方行かない?」

昂哉「そうだね!」

 

 この動物園は2つのエリアに分かれている。入り口に近いエリアと遠いエリアで、その間はバスやゴンドラによって結ばれているんだよね。

 

 

 

 

 ということで、俺たちはまず遠い方のエリアに向かった。そしてバスに乗り、たどり着いた先には……………

 

優子「うわ〜!大量の羊だ‼︎」

 

 羊がいっぱいいた。なんていうかアルプスみたいだ!

 

優子「見て見て昂哉!餌があげられるみたい!」

昂哉「確かに!んじゃ………」

 

 そう言って俺は優子を持ち上げて………

 

昂哉「羊さ〜ん!美味しい人間ですよ〜♪」

 

 羊にあげようとした。

 

優子「ちょっと⁉︎アタシをエサにしないで‼︎それに、羊は草食でしょ⁉︎」

昂哉「確かに!んじゃ優子、頭出して!」

優子「アタシの髪の毛をエサにでもする気?」

昂哉「ハゲた優子が見てみたいから………って優子‼︎俺を持ち上げないで‼︎羊の中に入れないでぇぇぇぇ‼︎」

優子「全く、アンタったら………」

昂哉「すいませんでした。」

優子「よろしい。」

 

 危ねえ………危うく竹中先生のヅラ仲間になるところだった…………

 

優子「それにしても、馬にロバにラクダと、草食系の動物がいっぱいいるね〜。もしかしたらこっちは草食系のエリアなのかな?」

昂哉「かもね。じゃあ近い方のエリアが肉食系だね!」

優子「そうみたい。」

 

 ん?待てよ………?肉食系といえば………?

 

昂哉「それじゃあ、佐藤はこっちには居なそうだね。」

優子「佐藤って美穂の事?」

昂哉「もちろん!」

優子「あぁ………確かにあの子は肉食系だね………」

昂哉「普通初めて喋った次の日に襲いに行くかね?付き合ってもないのに………」

優子「まぁ………美穂だから………見た目は大人しいのに………」

昂哉「それな‼︎」

 

 ぶっちゃけ強化合宿で驚いた事ランキング第2位だよ!第1位は優子の来襲だけど。

 

優子「もしかしたら美穂が妹になる日も近いかもね〜。」

昂哉「なんなら優子と秀吉の両方と付き合ったりして!どっちも百合だし!」

優子「いや、美穂の恋愛対象は男だから。」

昂哉「じゃあなんで秀吉?」

優子「秀吉は男でしょ!」

昂哉「それって戸籍上の話でしょ?」

優子「いや、生物学的にも心理学的にも全て男よ。ただ見た目が可愛いだけ。」

昂哉「性格も可愛いでしょ♪誰かさんと違って♪」

優子「はいはい。ど〜せアタシは可愛くないですよ〜だ‼︎」

昂哉「ごめんごめん!グレないで!」

優子「ふん!」

 

 そう思うのなら怒るのをやめてくれればいいのにな〜。そんな事を思いながら歩いていると…………

 

 

 

 

 

 

優子「それより昂哉、馬やラクダに乗れるんだって!」

 

 すごい場所に着いた。柵の中のスペースで馬やラクダに乗れるという場所だ。

 

昂哉「これって誰でも乗れるのかな?」

優子「えっと、85kg以下ならOKだって!」

昂哉「よし、それなら乗るか!1人ずつしか無理だけど!」

優子「うん!」

昂哉「すいませ〜ん!乗馬体験お願いしま〜す!」

スタッフ「はいよ!」

 

 ということで、馬に乗る事にした。最初は俺の番だ!

 

 

 

 

 いざ馬に乗ってみると…………

 

昂哉「乗り心地もいいし、景色も最高ですね!」

スタッフ「でしょう?」

 

 めちゃくちゃ良かった!ふかふかでありながらしっかりした乗り心地と、いつもよりも高いところから見渡す景色は最高だった!あと、戦国大名になった気分だね!

 

昂哉「お〜い優子〜!」

優子「は〜い!」

昂哉「余は令和大名、雲雀丘昂哉(なり)*1!女子風呂を覗かんとて攻める也*2‼︎」

 

 まあ優子は文系科目が苦手だから分かんないでしょう!

 

優子「それじゃあ(わらわ)*3はお主をぶっ飛ばす也〜!」

 

 どうやら分かっているみたいだ………

 

 

 

 

 それはともかく、俺の番が終わったので、

 

昂哉「ありがとうございました!」

スタッフ「こちらこそ、来てくださりありがとうございました!」

昂哉「じゃあ次は優子の番だね!」

優子「うん!すいません、お願いします!」

スタッフ「はいよ!」

 

 優子の番になった。

 

優子「わぁ^〜!楽しいです!」

スタッフ「ありがとうございます!」

 

 こうして優子が馬に乗ってる様を見ると、なんていうか…………

 

昂哉「アレが噂の尾張*4のおおうつけ*5、織田信長か………。悪魔を超えて、もはや魔王の貫禄ぞ………」

 

 怖さが相まってこう見えるんだよね。

 

優子「アレが噂の武蔵*6のおおうつけ、雲雀丘昂哉か………。5回を超えて、6回に及ぶ停学は流石の貫禄ぞ………」

 

 まさか上手く返されるとは思わなかった。

 

昂哉「あぁん⁉︎」

優子「悪いのは誰かしら?」

昂哉「俺です。」

優子「よろしい。」

 

 こうして見るとマジで戦国大名の当主と家来の関係だよな………。アイツが織田信長なら俺は明智光秀か?だとすると俺は奴を暗殺する事になるのか…………。そしてもちろん豊臣秀吉は木下秀吉だな………。秀吉に殺されるなら…………本望だ!イエ〜イ♪

 

 

 

 

 そして優子も乗馬体験を終えて、俺のところに戻ってきた。

 

優子「ただいま!めっちゃ良かったよ!」

昂哉「おかえりなさいませ、信長様。只今よりこの私、明智光秀が貴方様を暗殺致します。」

優子「本人に直接言ったら意味ないでしょ。それに、なんでアンタが明智光秀でアタシが織田信長なのよ?」

昂哉「女子風呂を覗いた本能の変態ですので。」

優子「本能寺の変みたいに言わないで!」

昂哉「まあまあ!」

 

 いいツッコミっぷりだ!

 

昂哉「んで、次はどこ行く?」

優子「こっちは一通り見たし、次は入り口側のエリアに戻ろうと思うんだけど………」

昂哉「ならそれで!」

 

 ということで、俺たちはバスで最初いた『近い方のエリア』へと戻った。

 

 

 

 

 戻るや否や、

 

昂哉「そういや、ちょうど昼飯時だね〜。」

 

 お昼になった。

 

優子「何食べる?」

昂哉「ビール!」

優子「誰が運転すんのよ………」

昂哉「ごめんごめん!それは冗談で、バーベキューとかどう?」

 

 ここの目玉だね!一定金額出せば肉を食いまくれるから最高だ‼︎

 

優子「アタシはそんなにお金が無いから厳しいかも。ごめん………」

 

 まあ優子は気にするよね。でもせっかく来たんだから、楽しまなきゃ!

 

昂哉「そんなの奢るよ!俺はまあまあ金あるんだしさ!」

優子「えっ?いや、これ1人2,500円するって………」

昂哉「えっ?優子は幼児枠の500円じゃないの?」

優子「ぶっ飛ばすわよ?」

昂哉「ごめんごめん!それと、優子はバイキング嫌い?臭くなるのが嫌?」

優子「いや、好きだけど………」

 

 なら食うしかないよね!

 

昂哉「じゃあ行こう‼︎」

優子「えっ?」

昂哉「すいませ〜ん!大人2人で!」

スタッフ「は〜い。それじゃあ先にお会計をお願いします。合計5,000円で。」

昂哉「ほ〜い。」

スタッフ「ちょうどですね。それではお先に案内致します。」

昂哉「お願いしま〜す!」

 

 ということで、俺たちは会計を済ませて席に着いた。

 

優子「えっ、えっと!これからアタシがバイトして………」

昂哉「いや俺が奢るって言ったじゃん?話聞いてなかった?」

優子「いや、聞いてたけど………」

昂哉「ならここは素直に奢られとくもんなの!それが礼儀さ‼︎」

 

 コイツ、普段怒るくせに意外とこういうところあるからね。だからこれくらい言っておかないと!

 

優子「わ、分かった………!じゃあご馳走様です!」

昂哉「あれ、もう食べ終わったの?早いね!」

優子「いや、そういう意味じゃないから‼︎」

昂哉「あははは!ウケる〜w」

優子「もう………///」

 

 優子とたわいもない雑談をしていると、

 

スタッフ「お待たせしました。こちらが食材になります。なお当店はお肉だけでなく、野菜、焼きそば、ライス、味噌汁など全て食べ放題ですので、よろしくお願いします。」

昂哉・優子「「ありがとうございま〜す!」」

 

 食材、到着だぜ‼︎

 

昂哉「よし!それじゃあ焼くか!」

優子「あ、せっかくお金払ってもらったんだし、ここはアタシが焼くよ!」

昂哉「おっ!それなら鍋奉行ならぬ焼き奉行の実力を見せてもらおうじゃないか!」

優子「任せて!」

 

 ということて、優子に焼いてもらう事にした。

 

 

 

 しばらくすると、

 

優子「お肉焼けたよ〜!豚も牛も!」

 

 お肉が焼けました!

 

昂哉「ありがとう!さてと、食うか!」

優子「だね!」

昂哉「それじゃあ、」

昂哉・優子「「いただきま〜す!」」

 

 さてと、お味は…………

 

昂哉・優子「「ん^〜♪」」

 

 めちゃくちゃ旨い!肉の柔らかさと旨味が口の中を満たしていくぅ〜!これはご飯が進むね!それに………

 

昂哉「焼き加減もバッチリじゃん!ありがとう!」

優子「ど、どういたしまして///」

 

 いつも俺の弁当を作っている優子が焼いた事もあって、めちゃくちゃ旨いぜ〜♪

 

優子「や、野菜もあるよ!」

昂哉「どれどれ〜?ふむふむ………おほぉ^〜!旨い!」

優子「だね‼︎」

昂哉「よし、もっと焼くか‼︎」

優子「うん!アタシに任せて!」

昂哉「頼んだ!」

 

 ということで、じゃんじゃん肉を食べました‼︎これを食べ放題なんでしょ⁉︎2,500円はむしろ安いのでは⁉︎全く、バーベキューは最高だぜ‼︎そんな事を思ってたんだが………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくすると、ある問題が発生した。

 

昂哉・優子「「く、食い過ぎた…………」」

 

 あまりの美味しさについつい沢山食べてしまったのだ。その結果、今は2人とも動けなくなっている。

 

優子「ご、ごめん………アタシが……焼き過ぎたから……」

昂哉「いや……優子は悪くない………ここの飯が………旨すぎるのが………悪い………」

 

 幸い今日は平日であり、席の時間制限が無かったため、しばらく俺たちは座ってる事にした。

 

 

 

 

 しばらくすると、胃が回復してきたので…………

 

昂哉「そろそろ動くか!」

優子「だね!」

 

 店を出る事にした。そして、

 

昂哉「どこ行く?」

優子「う〜ん、あっ!カピバラパークに行こうよ!」

昂哉「おっ!それいいね!」

 

 次なる目的地は、カピバラパークだ!

 

 

 

 

 目的地は思ったより近かった。カピバラに囲まれたエリアがあって、外からでも見れるようになっていた。

 

昂哉「うお〜!カピバラめっちゃおるやん!」

優子「めちゃくちゃ可愛いね!」

昂哉「まるで秀吉みたい‼︎」

優子「秀吉ってあんなのっそのっそしてたっけ?」

昂哉「爺言葉とかがカピバラに合いそうじゃない?」

優子「確かに!お〜い、秀吉?」

カピバラ秀吉(CV.昂哉)「な、なんじゃ姉上?こ、怖いから近づかないで欲しいのじゃ‼︎そうじゃ!姉上から逃げるために温泉に入ろうぞ!男湯なら姉上も入って来れまい!」

優子「行動が想像できるのがムカつくわね………」

 

 伊達に秀吉を長年見てきてないからね!

 

優子「ところで、これ中に入って触れるみたいだよ?」

昂哉「確かに!じゃあ行くか!」

 

 ということで、中に入ってカピバラを触ってみたんだけど…………

 

昂哉「な、なんていうか………」

優子「思ったより毛が固いわね……」

カピバラ「……………」

 

 もふもふでふわふわなものを想像してたら、思ってたよりゴワゴワしてて固かった。なんか残念……………。そんな事を思ってると…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワカナ「あ〜!このカピバラ可愛い〜!」

リュータ「そうだな………ってあん時のオッサン⁉︎」

 

 意外な人物に遭遇した。

 

昂哉「って如月グランドパークの時のヤンキーカップルですよね‼︎」

リュータ「だよな‼︎久しぶり‼︎」

昂哉「久しぶりです‼︎あと俺20って言いましたよね⁉︎」

ワカナ「いや、20に見えんし。」

リュータ「お前、ホントは40なんじゃね〜の⁉︎」

昂哉「そんな………まさか⁉︎」

ワカナ「ちなみにアンタってコーコーセイよね?」

優子「あっ、はい!16です。」

昂哉「俺も高校生ですけどね!」

リュータ「20のコーコーセイってレア過ぎんだろ‼︎」

ワカナ「だね!」

カピバラ「…………」

 

 それにしても、コイツらとここで再会するとは思わなかったな〜。

 

昂哉「それにしても、相変わらず仲良いんですね!」

リュータ「たりめえよ‼︎」

ワカナ「なんたってリュータは世界一のオトコだからね!」

昂哉「流石!」

カピバラ「…………」

 

 別れてなくて良かったよ!

 

リュータ「そういうお前らだって仲良いじゃねえか!」

昂哉「いや、貴方たちが想像している関係とは違うんで。」

ワカナ「えっ?じゃあもしかして親子?」

昂哉「だってさ優子。お前かーちゃんみたいだって。」

優子「えっ?」

カピバラ「…………」

 

 横溝も言ってたしな。

 

ワカナ「いや、アンタの方やろ、親なの。」

リュータ「確かにな!」

昂哉「ちょっと‼︎俺はそんなに老けてません‼︎それに、3歳差の親子ってどういう事です⁉︎」

リュータ「じゃあジジイと孫娘か‼︎」

昂哉「もっとあり得ないでしょ⁉︎」

カピバラ「…………」

 

 3歳のときには既に孫いるのヤバいでしょ。

 

リュータ「んで、どんな関係だ?」

昂哉「織田信長と明智光秀の関係です。」

リュータ・ワカナ・カピバラ「「「はっ?」」」

優子「えっと、一応恋人です……」

昂哉「無理矢理付き合わされただけなんですけどね〜。」

ワカナ「マジ?」

優子「はい………」

ワカナ「へぇ〜。」

カピバラ「…………」

 

 まあ嘘を言ってもしょうがないからね!

 

リュータ「んで、どう思ってんの?ソイツのこと?」

昂哉「まあ最初は嫌でしたけど、最近は満更でもない感じですね。毎日飯とか作ってくれるし!」

優子「えっ………///」

ワカナ「おお!」

リュータ「いいじゃねーか‼︎」

昂哉「ただコイツ超怖いんすよ!一昨日なんて俺が女子風呂覗こうとしたらめちゃくちゃキレたんですからね‼︎」

優子・リュータ・ワカナ・カピバラ「「「「それはアンタ(お前)が悪い。」」」」

昂哉「え〜!」

 

 世間のルールなんて関係ないのに!

 

リュータ「まあ、そんなお前らにはふさわしい場所がある!」

昂哉・優子「「相応しい場所?」」

カピバラ「…………」

 

 ラブホとか言わないでよね。

 

ワカナ「ここに書いてる、恋人の聖地よ!」

昂哉「なるほど〜。」

カピバラ「…………」

 

 動物園内にある場所ね。思ったより普通で良かった!

 

昂哉「そこ行く、優子?」

優子「た、昂哉が良ければ、だけど………」

 

 どう見ても行きたそうだよね。まあ覗きの罰という事で、行ってやるか!

 

昂哉「よし、それじゃあ行こっか!」

優子「ほ、ホント⁉︎ありがとう……っ!」

リュータ「おお!」

ワカナ「なら行ってきな!」

カピバラ「…………」

昂哉・優子「「はい!」」

昂哉「んじゃ、お元気で!」

優子「お元気で!」

リュータ・ワカナ・カピバラ「「「じゃあな(ね〜)!」」」

 

 という事でヤンキーカップルと、何故か時々見た目に合わない声で喋ってたカピバラ*7に別れを告げ、

 

 

 

 

 

 

優子「昂哉、良かったの?」

昂哉「まあこれも覗きの罰みたいなもんだし、いいよ!」

 

 俺たちは恋人の聖地に来た。ここは見晴らしの良い展望台みたいな場所で、真ん中に2匹のフクロウ夫婦のオブジェがあった。

 

優子「それにしても、すごいいい景色だね!」

昂哉「そうだね!辺り一面に広がる山と原っぱ!」

優子「大自然、って感じだね!」

 

 そう!ここはなんといってもめちゃくちゃ景色がいい!そして身体の中に入ってくる空気もめちゃくちゃ旨いぜ!

 

昂哉「こんなところで秀吉に告白されたら、キュンキュンしちゃう♪」

優子「安心して。その機会は一生来ないから。」

昂哉「そんなぁ‼︎ねえ優子、秀吉を俺に目覚めさせてよ‼︎」

優子「む・り!それに、秀吉は美穂の事意外と満更でもないっぽいよ?」

昂哉「マジか〜⁉︎」

 

 話し始めて3日しか経ってないのに随分進展したんだね。まあ一昨日の夜がヤバかったけど。それじゃあこの恋は諦めるしかないか………

 

優子「そ、それより………ここで写真を撮らない?///」

 

 確かにここってそういう場所だからね。覗きの罰ということで、甘んじて受け入れましょう!

 

昂哉「いいよ!」

優子「やった〜!」

昂哉「ポーズはどうする?」

優子「えっと………このフクロウ、どっちがオスかな?」

昂哉「ごめん分かんない。」

優子「じゃあアタシが左で昂哉が右ね!ポーズは………ま、真ん中で……///」

昂哉「真ん中で?」

優子「2人で………ハートマークを作る///」

 

 マジで⁉︎なんかドキドキするんだけど、それ‼︎でもここで断るのも悪いし………!

 

昂哉「い、いいよ……///」

優子「あ、ありがとう///」

昂哉「そ、それじゃあ撮ろっか!す、すいません!写真お願いできますか?」

モブ1・2「「いいよ〜!」」

昂哉・優子「「ありがとうございます!」」

 

 こうして俺と優子はフクロウ像で決められたポーズをし、

 

モブ1「はい、チーズ!」パシャ

昂哉・優子「「ありがとうございます///」」

 

 その場にいた別のカップルに写真を撮って貰った。

 

優子「あ、ありがとう///」

昂哉「ど、ど〜も……///」

 

 優子とこんな写真を撮ってるのがめちゃくちゃ照れ臭い………俺と優子はこんなんじゃないのに!

 

昂哉「そ、それじゃあ時間もアレだし、帰ろっか!」

優子「そ、そうだね///」

 

 という事で、俺たちは動物園を後にした。最初は優子と2人きりって聞いて絶望したけど、思ったより楽しかったよ!だから今度は秀吉と来て、もっといっぱい楽しもう‼︎そう思った日だった。

 

 

 

 帰りのSAで軽く仮眠を取った後、LINEを見ると………優子がさっきの恋人の聖地での写真をトプ画にしていた。

 

 ここで普通のカップルだったらお揃いのトプ画にするんだけど、コイツそういう事はあんまり強要して来ないんだよな………。本当はやって欲しいはずなのに………せめてもの優しさなのかな?だとしたら…………

 

 

 

 そして俺はLINEのトプ画を、フラワーパークでの秀吉とのツーショット写真から、動物園での優子とのツーショット写真に変えた。

*1
俺は令和大名、雲雀丘昂哉だ、の意味

*2
女子風呂を覗きたいと思ったから攻めるぜ、の意味

*3
私、の意味

*4
愛知県西部

*5
大馬鹿者、の意味

*6
埼玉、東京、川崎、横浜北部

*7
CV.森久保祥太郎




 ということで、強化合宿編、終了です!秀吉とのデートに始まり、優子とのデートに終わりましたね。間に壮大な女子風呂覗きが挟まりましたが。ちなみに今回の舞台である動物園のモデルは那須どうぶつ王国です。

 さて、次回からは原作4巻の話…………の裏側を含めた短編集を6話やります。お楽しみに!ちなみ原作4巻の話そのものはやりません。

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第七章  短編集
第四十一問 第二次試召戦争裏


この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ほぼ麻雀やパチスロなどの
ギャンブルの話になります。
いつもとは雰囲気がかなり異なります。
ご了承下さい。
あと、予定変更して投稿します。


  side 昂哉

 

 停学期間。それは合法的に与えられた休暇とも言えよう。わざわざめんどくさい学校に行く必要がなく、1日の全てを好きに使ってよい。当然教師にも仕事がある事から、こっそり外出したってバレやしない。だから俺は………

 

昂哉「相変わらずリ○ロの通常時は暇だな〜。」

 

 スロットを打っていた。停学期間でいっちょ儲けてやろう、という考えだ。そして俺は今日おそらく設定6*1を引いた。これは長い戦いになりそうだな〜。でも当たるんだから仕方ない。閉店時間の22:00まであと14時間、座り続けるか〜。そんな事を思っていたのだが…………

 

昂哉「ん?おかしくね?」

 

 勝てるはずの台で勝てないのだ。おかしい。何故か引けない。まさか俺が設定を読み間違えたか?いやいや、そんなはずは無い。

 

 設定6だったにもかかわらずその日は負けた。そしてここから、俺の歯車が狂い始めた。

 

 

 

 

 まずいくら探してもいい設定*2の台が見つからず、探すための投資金だけが無駄になっていった。たまに高設定を引くも負ける。それが嫌になって、今度はパチンコに逃げた。だがここでも金が吸われた。

 

 気がついたら停学期間中のパチスロでの収支が-30万円になっていた。たった1週間でこれか………。ギャンブルの負けはギャンブルで取り返すと決めている俺にとって、この事実は学校を休むのに充分な理由となった。明日から停学期間が明けるが、そんなの関係ない!優子に怒られようが知ったこっちゃない!

 

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

片桐(LINE)『急遽明日の朝なんだが、麻雀を打てたりしないか?』

 

 高レートマンション麻雀の誘いが入ってきた。この麻雀は1日で70万円くらい動くこともある麻雀。ルールやレートは前に*3説明した通りだ。ギャンブルで負けてる今にとっては、これが最大のチャンスだ!

 

昂哉(LINE)『打てますよ。』

 

 こうして俺は、自分の財産を賭けた戦いに挑む事になった。

 

 

 

 そして約束の日、俺はリュックに札束だけを詰め込み、目的のマンションへと向かった。このマンション麻雀では原則札束以外は持ち込めない事になっている。もちろん携帯とかも駄目だ。全てセキュリティのためである。仕方あるまい。

 

 マンションの中に入った俺は、エントランスでインターフォンを鳴らした。

 

片桐(LINE)『はい、どちら様ですか?』

昂哉(LINE)『石田です。』

片桐(LINE)『石田さんですね。ではど〜ぞ!』

 

 この界隈では『石田』という偽名を使って麻雀を打っている。もちろん身バレを防ぐためだ。開催主の片桐さんももちろん偽名である。皆誰も本名は知らず、偽名だけで全てやり取りをしている。

 

 

 

 そんな事を思いながら歩いていると、遂に目的の部屋に到着した。

 

昂哉「すいませ〜ん。石田です。」

片桐「は〜い。」

 

 マンション麻雀というのは、至って普通のマンションの中で行われる。部屋の中に雀卓が置いてあり、その光景はまさに友達の家で麻雀をやるのと似たようなものだ。

 

片桐「今日はお集まりいただき誠にありがとうございます。」

昂哉「いえいえ〜。」

 

 そして開催主でありながら今日の対戦相手でもあるこの片桐という男、ハッキリと言ってしまえばカタギの人間ではない。普通の笑顔に時々混ざる鋭い眼光がそれを物語っている。そして何より指が少ない事がその証だ。まあ平日の朝に打てる時点で只者ではないが。歳は恐らく40代といったところか。きっと暴力団とかの中堅クラスだろう。

 

滑川「すいません、お待たせしました。」

吉田「よろしくお願いします!」

 

 後から若そうな2人が同時に入ってきた。この2人も恐らく只者ではないだろう。ヤクザの鉄砲玉、といったところか。ちなみに俺は片桐さんとは何度も打ってるが、この2人は初めてだ。

 

片桐「では誓約書を。」

昂哉・滑川・吉田「「「はい。」」」

 

 そして毎度お馴染みの誓約書タイムだ。負けても絶対に警察にチクらない。破ったら暴力団関係者に追跡されて大変なことになる、という内容だ。

 

片桐「ではよろしくお願いします。」

昂哉・滑川・吉田「「「お願いします。」」」

 

 こうして麻雀が始まった。

 

 

 

 

 この麻雀において大切なのは平常心を保つ事。実は俺がやってる高レートマンション麻雀は、この手の高レート麻雀にしては珍しく普通の麻雀とほぼルールが変わらない。ただ単純にレートが高いだけだ。だからいつも通り打つこと、それが何よりも大切なのだ。

 

片桐「リーチ。」

 

 東一局、親の先制リーチが入った。こっちは一向聴だが形も悪いし打点もない。こういう場面では普通におりる。普通の事を普通にやる。調子に乗って変な事をしない。これが大切なのだ。

 

 

 

 

 しばらくすると、

 

滑川「くっ………」

吉田「……………」

 

 新参者2人の負けが込んできた。きっと場の空気に飲まれたのだろう。今は滑川さんが-37万円、吉田さんが-25万円、俺が+18万円、片桐さんが+44万円だ。こんな時に負けて焦った人が言う言葉は…………

 

吉田「れ、レートを倍にしよう!」

 

 レートの吊り上げだ。

 

片桐「私は構いませんが。」

昂哉「俺もです。」

滑川「お、俺も!」

 

 もちろんレートを上げたからって簡単に勝てるわけではない。むしろこれが破滅への始まりだ。そして…………

 

吉田「これ以上は、金がありません………」

 

 吉田さんの負け額が-100万円に達したところで、ギブアップの声がかかった。ちなみに今は吉田さんが-105万円、滑川さんが-26万円、俺が+48万円、片桐さんが+83万円だ。これで停学期間中の負け額はチャラになったぜ!

 

吉田「では俺はこれで…………」

 

 吉田さんが帰ろうとした時…………

 

傀(インターフォン)『傀です。打てますか?』

 

 インターフォンが鳴った。おそらく追加の打ち手なのだろう。

 

片桐(インターフォン)『初めての方は私がエントランスに行って対応するので、そのままお待ち下さい。』

 

 セキュリティの都合上、こういう態度をとっている。そもそもこの麻雀を知ってるなんて、只者ではない。待てよ、この名前…………どこかで聞いた事が‼︎

 

 

 

 そうだ。前に噂になってた人だ!にんべんに鬼と書いて(かい)と読む人。黒服に身を包み、麻雀のあるところにふと現れ、根こそぎ稼いで帰るヤバい人。コイツの対応策………それはそう、いつも通り平常心で麻雀を打つことだ。コイツは人の心の弱さや動揺に漬け込んで、そこから人のペースを崩させ、破滅へと追い込む。だから奴に勝つ………とまではいかなくても、大負けしない方法は、それ以外にない!

 

 

 しばらくすると、片桐さんに連れられて傀という男はやって来た。

 

傀「傀、と呼ばれています。」

滑川「俺は滑川です……」

昂哉「石田です。」

片桐「では、打ちましょう。」

昂哉・傀・滑川「「「はい。」」」

 

 全身黒服を着たこの男。間違いない。歳は20代くらいに見えるが、実の所40・50年生きててもおかしくないようなミステリアスな雰囲気を持っている。本当にこの男は人間なのだろうか?麻雀の神様か何かなのではないだろうか?そう思わされる。もっとも神と言っても死神だが。

 

 

 

 

 打ち始めてしばらくすると、収支はこのようになった。傀が-75万円、滑川さんが+12万円、俺が+13万円、そして片桐さんが+50万円だ。やはり本物だ。傀は必ず最初負ける事で有名だ。そして調子に乗った他の客を、後半から一気に逆転して地獄へと叩き落とす。決まり文句は、

 

傀「レートを倍にしませんか?」

 

 レートの吊り上げだ。さっきの新参者2人とは同じだけれども全く違う、強者の余裕から来る言葉だ。今から獲物を狩るぞ、という確固たる意志を感じる。彼を知らない人は、さっきの吉田さんや滑川さんみたいな弱者のレート吊り上げだと勘違いしてしまう。ただ片桐さんはどうだろうか?まあとりあえず今回は場の雰囲気に合わせるか。

 

片桐「私は構いませんが。」

 

 まあ片桐さんが言うなら俺も合わせよう。

 

昂哉「俺も。」

滑川「お、俺も………」

 

 ということで、レートが上がり、傀の逆襲が始まった。

 

片桐「ぐぬぬ………」

 

 そして標的はまさかの片桐さんだった。確かに最近勝ちすぎてて自信をつけていたところではあるのだろう。みるみるうちに自分のペースを壊され、脱落していった。現在の収支は、片桐さん-127万円、滑川さん-64万円、俺が+28万円、そして傀がなんと+163万円だ。

 

 ここで大切な事は自分が巻き込まれる前に帰る事。次の標的になる前に、な!

 

昂哉「すいません、この後用事があるのでラス半でいいですか?」

片桐「か、構わないですよ………」

滑川「お、俺も………」

傀「では俺も。」

 

 実の所ここで帰らないと優子の下校時間と被ってしまい、未成年が外出出来なくなる深夜帯まで待たなければいけないからだ。俺からすれば人間の皮を被った鬼より、人間の皮を被った悪魔の方が怖いからな!

 

 

 

 

 ということで、俺はなんとか傀が来る前の48万円と、傀が来てからの28万円の合わせて76万円を持ち帰る事ができた。

 

傀「石田さん、また打ちましょう。」

昂哉「あ、はい!いずれ!」

 

 帰り際、俺は傀に声をかけられたが、正直に言って打つ気はない。これはマークされた合図みたいなもの。今度こそ確実に負けるからだ。だから返事を適当にはぐらかし、俺は家へと帰った。

 

 

 

 

 そしてこの高レートマンション麻雀は正直言ってかなり疲れる。だから俺は家に帰った後、そのまま眠ってしまった。そして次の日起きたのは朝9時。遅刻が確定しており、疲れもまだ完全に取れきってなかったため、休む事にした。

 

 そういえばLINEを丸2日放置してたような。とりあえず見てみるか!

 

秀吉(LINE)『昂哉、至急学校に来てくれないかのぅ⁉︎Dクラスが攻めて来そうでヤバいのじゃ!』

秀吉(LINE)『昂哉、Dクラス戦は回避したがBクラス戦が起こりそうなのじゃ!じゃからなんとかこれを回避させたい。頼むから来て欲しいのじゃ!』

秀吉(LINE)『今までの件じゃが、雄二が清水を脅して解決したぞい。』

 

 なんか凄い事になってた。まあ俺も大変だったんだし、いっか♪

 

昂哉(LINE)『ごめん!俺も大変だったんだよ!だから秀吉、今度お詫びに色んなとこ連れてってあげる!』

 

 さてと、ここで優子からのLINEは………あえて開かないでおこう。きっと凄いことになってるから。

 

 

 

 

 翌日、強化合宿+停学期間+麻雀期間のため2週間くらい行ってなかった学校に久々に行った。

 

昂哉「おっす〜!」

雄二「昂哉、試召戦争より大切な用事ってなんだったんだ?」

明久「秀吉からのLINEですらしばらく返信なかったから心配したよ〜!」

昂哉「ごめんごめん!実は停学期間中にパチスロで大負けしちゃってさ〜。それを取り戻すのに必死だったの!」

雄二「ほほう。それは大変だったな。」

明久「確かにそれは大変だね〜。だからさ、」

明久・雄二「「木下(さん)、昂哉を労ってあげな!」」

 

 はい?優子が居る?もしや………?そう思って後ろを向くと、そこには、

 

優子「昂哉、それはそれはお疲れ様〜♪」

 

 にんべんに悪魔と書いて優子と読む女が居た。

 

昂哉「あ、ありがとう………」

優子「で、何があったかぜ〜んぶアタシに教えて頂戴!」

昂哉「はい………」

 

 やっぱり傀よりも優子の方が怖いや………。そう思った日だった。

*1
スロットで最も当たる確率の高い台

*2
勝てる確率の高い

*3
第十八問参照




 ということで原作4巻の裏側、昂哉がパチスロで負けた金を高レートマンション麻雀で取り戻す話でした。牌譜も書くか迷ったのですが、麻雀よりギャンブルの方をメインで書きたかったのと、かなり長くなりそうだったという2つの理由があったため省略しました。ちなみに昂哉の偽名はCV.が石田彰さんだからです。

 ちなみに試召戦争の方は、清水が雄二に脅されてBクラスvsDクラスの戦争を引き起こした、という結果になってます。これならBクラスにもDクラスにも対応できてOKでしょう。

 さて、次回は何の話をやるのでしょうか?お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第四十二問 団結

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 俺は須川、明久、ムッツリーニと一緒にファーストフード店で、異端審問会の幹部会なるものを開いていた。

 

須川「集まってくれてありがとな。」

明久「いえいえ、これも学園内の風紀維持の為であります、会長!」

ムッツリーニ「………リア充は死すべし!」

昂哉「まあ組織の円滑な運営には適度な会議が必要だしね〜。」

 

 俺は優子のせいで審問される側に回る事が多いけど、やられてばっかじゃつまんないから審問する側にも積極的になってるよ。あとムッツリーニと明久、お前ら告白する気ねえんかい‼︎

 

 

 

 しばらくすると、会長がある話題に触れた。

 

須川「たまにふと思うんだが……」

昂哉「ん?」

明久「どうしたの?」

須川「何故俺には彼女ができな………」

昂哉「顔が悪い。」

明久「性格が悪い。」

ムッツリーニ「………生き様が悪い。」

昂哉「もう諦めたら?」

須川「驚くほど辛辣だな、お前ら!」

 

 まあ審問会を自分で立ち上げてるくらいだからね〜。

 

ムッツリーニ「………まあ気にすんな、須川。」

明久「うちのクラスで彼女いる奴なんて殆どいないんだからさ!」

須川「ははは。まあな。」

 

 まあ確かに、男女比が47:3だからね〜。

 

須川「そうだよなぁ、雲雀丘⁉︎

 

 やっぱ来ると思ったよ!でもそれについては考えてある!

 

昂哉「お前ら、優子はそんなんじゃない‼︎」

明久「はぁ?」

ムッツリーニ「………お前、何言ってんだ?」

須川「酔ってんのか?」

昂哉「いいかお前ら‼︎優子は母ちゃんみたいなモンだ‼︎」

 

 母ちゃんが増えて羨むような人はいないでしょ?

 

明久・ムッツリーニ・須川「「「はい?」」」

昂哉「あんだけガミガミ怒る女、母親以外にいると思う?」

明久「姉さんとか?」

須川「でも木下のが歳下だろ。」

昂哉「いいかお前ら……… 歳下のママはいる。

明久・ムッツリーニ・須川「「「お前は何を言ってるんだ?」」」

 

 お前らも優子の彼氏になれば分かると思うよ?

 

 

 

 

 そんなことを思ってると………

 

美穂「あれ、雲雀丘君ですよね?お久しぶりです。」

 

 まさかの佐藤に話しかけられた。

 

昂哉「あ、佐藤じゃん!お久〜!」

須川「誰だこの女?浮気か?

昂哉「違うよ!ただの友達さ!」

ムッツリーニ「………2年Aクラス、佐藤美穂。」

明久「あっ!お酒を燃やす人ね!」

昂哉「正解!」

須川「はっ?」

美穂「私ってそういう認識のされ方してるんですね………」

昂哉「そうだね!」

 

 だって仕方ないじゃん!そういう人なんだもん!

 

美穂「それでは私は隣の1人席に居ますね。」

昂哉「ほ〜い。」

 

 ということで、佐藤はそのまま隣にあるぼっち席へと向かった。恐らく1人で勉強でもするのかな?

 

須川「もしかしてあの子、俺に気が……?」

昂哉「ないない!強化合宿の写真を見なかった?」

須川「アレってマジなのか?」

昂哉「だね。」

明久「そうなんだ………」

ムッツリーニ「………崇高な百合だな。」

昂哉「こりゃあ男が邪魔出来ないよね。」

明久・須川「「だね(な)‼︎」」

 

 まあ本人は秀吉を男として好きなんだけどね。そんな事を思ってると、

 

明久「そういや話変わるけど、横溝君って居ないの?」

 

 明久が話題を変えた。

 

ムッツリーニ「………確かアイツは須川に次ぐポジションだったはず。」

昂哉「居ないのは変だよね〜。」

須川「それなんだが、アイツ最近付き合い悪いんだよな。今日も誘おうとしたんだが、いつの間にか居なくなってたし。」

 

 あっ、そうなんだ。

 

昂哉「マジか。忙しいのかな?」

明久「バイトとかしてるの?」

須川「確かにアイツは一人暮らししてるが、バイトまでは分からんな。」

昂哉「あっ、そうなんだ!」

明久「それじゃあ僕と同じだね!」

ムッツリーニ「………金欠なら仕方ない。」

 

 横溝も大変なんだね〜。

 

ムッツリーニ「………でももしかして彼女が居たとしたら?」

 

 あっ!そういうパターンもあるのか!

 

須川「そんなまさか!」

明久「異端審問会に積極的な彼が?」

昂哉「有り得なくは無いかもよ?」

ムッツリーニ「………もし万が一彼女が居たらどうする?」

須川「有り得ねえよ。なんせ俺はアイツを信じてるんだからな。」

 

 おっ!これは須川×横溝か⁉︎

 

須川「まだクラスに馴染めていない時、1番に声をかけてくれたのが横溝だったんだ。おかげで異端審問会も立ち上げられたし、こうして皆と話せるようになったしな。」

 

 おお!それは熱いね!

 

ムッツリーニ「………そうだよな!」

明久「やっぱり横溝君も呼ぼうよ!」

昂哉「じゃあ俺が電話でもしてみるね!」

須川「頼んだ!」

 

 こうして俺は横溝に電話をかけた。

 

横溝(電話)『も、もしもし?』

昂哉(電話)『お、横溝か?今文月近くのファミレスで須川たちとダベってるんだけど、ヒマなら…………』

横溝(電話)『わ、悪い!15……いや30分後に連絡するから!』

昂哉(電話)『ん?』

秀吉(電話)『……どうしたのじゃ、横溝?……』

横溝(電話)『……な、なんでもないから!……』

 

 ふむ、なるほど………30分後か………

 

昂哉(電話)『キサマ、秀吉とヤってるな?』ブチッ、ツー、ツー

明久・ムッツリーニ・須川・美穂「「「「ん?」」」」

 

 俺が確信に触れた瞬間、横溝は電話を切った。そして、それを聞いた他の3人と、隣の席に居た佐藤が反応した。

 

昂哉「だとさ〜。」

ムッツリーニ「………なるほどな。」

明久「道理で付き合いが悪いわけだね。」

須川「それならそうと言えば良いものを。」

美穂「全くですね。」

昂哉「さ〜てそれじゃあ…………」

 

 やる事は決まっている‼︎

 

昂哉「焼き討ちに行くぞ‼︎」

ムッツリーニ「………奴の家を知る者は?」

須川「お任せ下さい。」

明久「よくやった!」

美穂「貴方には後で褒美をあげましょう。」

昂哉「いいか!絶対に奴に本懐を遂げさせるな‼︎」

 

 こうして俺たちの横溝妨害作戦が幕を開けた。

 

 

 

 

 

  side 横溝

 

 俺は今自分の家に秀吉を呼んでいる。いよいよ念願のお家デートだぜ‼︎ただ雲雀丘からの余計な電話が気がかりだが………

 

秀吉「どうしたのじゃ?」

横溝「いや、なんでもないから!それより………今から楽しい事する?」

秀吉「楽しい事とはなんじゃ?」

横溝「それはこれからの………」ピ〜ンポ〜ン

 

 インターホンが鳴った⁉︎このタイミングで⁉︎まさか奴らか⁉︎いや、来るにしても早すぎる…………

 

??「郵便で〜す。横溝さ〜ん、いらっしゃいませんか〜?」

 

 良かった、郵便か…………

 

秀吉「出なくて良いのかのぅ?」

横溝「良いんだよ。今はそれより………」

??「横溝さ〜ん、郵便ですよ〜!」

秀吉「まだ呼んどるけど………」

??「横溝さ〜ん!」

横溝「そのうち帰るだろ。」

??「ご注文のAV200本詰め合わせセット、お待ちしましたよ〜!」

 

 なっ⁉︎

 

秀吉「AV200本じゃと⁉︎凄いのぅ‼︎」

横溝「あ、アニマルビデオな!最近動物に目覚めてさ!」

秀吉「そ、そうなのかのぅ……?」 ゴトッ、ゴトッ、

 

 ん?郵便受けから音が…………って!AVが落ちて来てるんだが⁉︎

 

??「すみませ〜ん。ここからだと全部入らないので開けて下さ〜い!」

秀吉「アニマルビデオとは……?」

横溝「あ、あれぇ?おかしいなぁ……?」

 

 この手口………間違いなく須川達(奴ら)だ‼︎

 

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 今俺たちは横溝の家の前にいる。ちなみに配達員の真似をしてたのは声を変えた須川だよ。

 

昂哉「いいの、須川?」

明久「秘蔵DVDコレクションなんでしょ?」

須川「構わないさ!俺の不幸で奴の幸福を潰せるのなら‼︎」

美穂「いっそ清々しいですね……」

ムッツリーニ「………なんて気持ちの良いゲス野郎なんだ‼︎」パッ

 

 ん?マジか⁉︎

 

明久「電気が消えたよ‼︎」

美穂「まさかあの人、強行突破する気なんでしょうか⁉︎」

ムッツリーニ「………どうする、昂哉?」

昂哉「任せておけ!」

 

 そうして俺は横溝をハメる準備をした。

 

 

 

 

  side 横溝

 

 さっきは奴らの作戦にハメられたが、なんとか誤魔化せたぜ!

 

横溝「これでもう他の事は気にならないからな!」

秀吉「他の事……って、どういう事じゃ?」

昂哉「シルエットクイ〜ズ。」

 

 ん?窓の外に雲雀丘の影があるんだが………

 

秀吉「昂哉かのぅ?」

横溝「気のせいだろ。」

昂哉「これは何でしょう?」

 

 ⁉︎意図は分からんし、Fクラスだから何かも分からん。ただ暴れ回ってる事だけしか分からん‼︎

 

秀吉「アレは………なんじゃったかな?」

横溝「俺も分からん。」

昂哉「答え『減給された家角亜成』」

秀吉・横溝「「ブッ!」」

 

 そういう事かよ!思わず笑っちまったじゃねえか!

 

秀吉「はははは!昂哉は面白いのぅ!」

 

 でも木下の意識が雲雀丘にいっちまった!

 

横溝「あ、あれは人違いなんじゃないか?」

秀吉「でも家角先生を知っておる人はそうそう居ないぞい。」

横溝「前任校の変態なんじゃね?」

秀吉「あぁ……かも知れんのぅ。」

 

 よし、なんとか誤魔化せた!

 

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 俺は役目を終えると、皆のいる玄関側に戻った。

 

昂哉「どうだった?」

ムッツリーニ「………効いてるようだが……」

明久「まだ一押し足りないね。」

昂哉「じゃあこっちもやっとくか!」

須川「何してるんだ?」

昂哉「LINEの表示名を『藤堂カヲル』にしている。』

美穂「学園長の名前を使って何をするつもりです?」

 

 それはな、エグい事だよ‼︎

 

 

 

 

 

  side 横溝

 

 よし。とりあえず木下の意識を雲雀丘から変えることが出来たぜ。

 

横溝「さて、楽しむか!」

秀吉「それは分かったのじゃが、何をじゃ?」ブー、ブー

 

 ん?俺にLINEが届いてるだと⁉︎どういう事だ⁉︎そう思って見てみると………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ババア(LINE)『ねぇ、今日も浩二君に会いたいな♪』

 

 とんでもない事が書いてあった。

 

横溝「す、スパムメッセージだな!」

秀吉「ん?どんな感じじゃ?」

ババア(LINE)『この前入ったラブホテル面白かったね〜!』

ババア(LINE)『今度は違うところでもエッチしようね♡」

ババア(LINE)『あと、浮気しちゃダメだぞ☆』

 

 マジでふざけんなよ‼︎というかこれ絶対雲雀丘が名前を変えただけだろ‼︎

 

秀吉「お、お主⁉︎まさか学園長とデキておったとは⁉︎しかも彼女の口調がいつもと違うし………」

横溝「これは雲雀丘が名前を変えて悪戯してるだけなんだ‼︎」

秀吉「ホントかのぅ?」

横溝「ホントホント‼︎俺学園長とは集会と覗き以外であった事ないんだけど‼︎しかもこれは雲雀丘のLINEだ‼︎信じらんないなら後でコイツのメッセージ履歴見せるから‼︎」

秀吉「わ、分かったのじゃ……」

 

 これで何とか誤魔化せたかな?

 

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 クソ!横溝に誤魔化された‼︎

 

昂哉「野郎‼︎1回しか停学してないのを良い事に‼︎」

美穂「普通停学って1回でも多い方なのでは……」

明久「とにかく、どうにかならないの⁉︎」

ムッツリーニ「………AV女優の音声を繋ぎ合わせるとか⁉︎」

須川「そんな時間がどこにあるんだ⁉︎」

 

 マズい!万策尽きた………か?

 

 

 

 

  side 美穂

 

 マズいです!このままでは秀吉君は掘られてしまいます!彼の貞操は………私が守って見せます‼︎まあ私が奪うつもりですけど‼︎

 

美穂「私に任せて下さい!」

明久「マジか⁉︎」

須川「でもどんな策が⁉︎」

昂哉「佐藤は横溝の事を知らないよね⁉︎」

ムッツリーニ「………まさか、お前は奴の弱点を知っているのか⁉︎」

美穂「いいえ。」

昂哉「じゃあどうやって⁉︎」

美穂「逆転の発想です。横溝君の弱点ではなく、秀吉君の弱点を利用します!」

昂哉「秀吉の弱点⁉︎」

明久「一体どんなものなんだ、それは⁉︎」

美穂「とりあえず、私に任せて下さい!」

昂哉「分かんないけど、分かった!」

 

 さあ、作戦開始です!

 

 

 

 

 

  side 横溝

 

 よし、携帯の電源も切った。もうこれで奴らからの邪魔は入るまい!

 

横溝「よし、これでOKだな。」

秀吉「な、何がOKなのじゃ?」

横溝「俺は今からお前と………」ピンポ〜ン!

 

 ちっ!またインターホンかよ!でも強行突破を…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美穂「お待たせしました♪デリバリー保健体育サービスです♪」

 

 なっ⁉︎デリヘルだと⁉︎俺はこんな物を呼んだ覚えはないぞ⁉︎

 

秀吉「お、お主⁉︎もしかしてデリヘルを呼んだのかのぅ⁉︎」

横溝「い、いや!俺は呼んでない‼︎」

秀吉「ならばデリヘルの人に言わねばならんのぅ!ワシが行ってくるぞい!」

横溝「いや、待て!俺が行く!」

秀吉「じゃあ2人で行こうぞ!」

横溝「待て木下………って意外力と強いな!」

秀吉「さぁ、演劇の練習じゃ〜‼︎」ガチャ

 

 そう言って木下がドアを開けると、そこには…………

 

美穂「お客様、ご指名ありがとうございます!」

 

 どこかで見た事のあるような女の子が立っていた………って!

 

秀吉「あれ?お主、佐藤かのぅ?」

美穂「そうですよ、秀吉君♪」

 

 強化合宿の時の写真に映ってたAクラスの女の子じゃないか‼︎

 

横溝「ならば丁度いい‼︎佐藤さんも俺の家に!」

美穂「それなんですけど、実は私以外にオプションが付いておりまして………」

横溝「オプション?」

秀吉「なんじゃそれは?」

美穂「横溝様は他の4人全員と遊ぶ事が出来るんです!」

秀吉「なんじゃと⁉︎」

 

 4人とだと⁉︎これはいい‼︎

 

横溝「では是非ともお願いします!」

美穂「分かりました!では家の中でお待ち下さい!」

横溝「は〜い!」

秀吉「わ、ワシは?」

美穂「秀吉君は私と一緒に来て下さい!」

秀吉「えっ?」

 

 くっ!木下を逃してしまうのが勿体無いが、4人の女の子と遊べるのは丁度いい‼︎さあ、どんな子が来るのかな⁉︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明久「どうもお客さん!」

ムッツリーニ「………お待たせしました‼︎」

昂哉「俺たちがサービスの4人になります‼︎」

須川「さぁ横溝浩二様‼︎俺達と心ゆくまで遊びましょう‼︎」

 

 最悪の4人組だった……………

 

横溝「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」

 

 こうして俺はしばらく異端審問を受けましたとさ…………




 ということで、世にも珍しい横溝が主役の回でした!原作の双子入れ替えの回で秀吉と優子に告白したのが、この話を書く事になったきっかけです(あとはぐらんぶる)。大好きな秀吉と色々やろうとしたところ、見事に須川たちに殺られましたね。

 さて、次回は何の話をやるのでしょうか?お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第四十三問 王様ゲーム

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 ある日の放課後、俺たちはFクラスのいつものメンバーに加え、霧島、工藤、優子、佐藤の計11人で集まっていた。そして何をするのかというと…………

 

雄二「王様ゲーム‼︎」

他全員「「「「「イエ〜イ‼︎」」」」」

 

 王様ゲームだ‼︎

 

雄二「昂哉、ルール説明を頼む!」

昂哉「OK雄二!ルールは簡単‼︎1から10の番号札が書かれた紙と、王様って書かれたカードがあります。これをこの箱の中に入れて、みんなで1枚ずつ取ります!そして王様のカードを引いたひとは番号を指定して、その人になんでも1つ命令することが出来ます‼︎全部でこれを7回行います‼︎そして王様の命令は…………」

全員「「「「「絶対‼︎」」」」」

 

 かくして、王様ゲームは始まった!

 

 

 

 

ーーーーー1st Roundーーーーー

 

雄二「第1ラウンド、行くぞ‼︎せ〜の‼︎」

全員「「「「「王様だ〜れだ⁉︎」」」」」

 

 さてと、俺は……………8番か。

 

雄二「俺が王だ‼︎」

 

 雄二が王様か〜。絶対嫌な命令しかしなそう。頼むから8番だけはやめてくれよ‼︎

 

雄二「それじゃあ、3番と、7番が………」

明久「うげっ⁉︎僕かよ‼︎」

ムッツリーニ「………俺もだ………」

 

 この2人か!ならいいや!

 

雄二「鉄人に、『好きです、付き合って下さい‼︎』と告ってこい‼︎」

 

 草。最初から飛ばすじゃね〜か!

 

明久・ムッツリーニ「「嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」」

島田「ダメだよアキ。さっき雲雀丘が言ったじゃない?王様の命令は………?」

明久・ムッツリーニ「「絶対…………」」

工藤「行ってらっしゃ〜い!」

 

 ということで、あの2人は死にに行った。

 

優子「教師と生徒の禁断の愛………いいわ♡」

美穂「確かに、優子さんが好きそうなお題ですね。」

工藤「そうだね〜。」

昂哉「上手くいくといいね〜。」

 

 なんか優子は満足してるし。まあでも……………

 

明久・ムッツリーニ「「うぅ、めちゃくちゃ怒られた………」」

 

 失敗するよね〜。あの2人がボコボコになって帰ってきたところで、第2ラウンドだ!

 

 

 

 

ーーーーー2nd Roundーーーーー

 

雄二「第2ラウンド、行くぞ‼︎せ〜の‼︎」

全員「「「「「王様だ〜れだ⁉︎」」」」」

 

 さてと、俺は……………10番か。

 

工藤「王様はボクだね〜。」

 

 おっ!工藤の命令か!ならちょっとエッチなヤツが来るはず!こい!俺×秀吉‼︎

 

工藤「じゃあ………2番の人が、9番の人の、ほっぺにチューで♪」

明久「えっ?」

 

 くぅ…………命令が命令なだけに残念!

 

姫路「ほ、ホントですかぁぁぁぁ⁉︎私が2番です‼︎」

 

 おお!姫路が明久にキスするのか!いいね!

 

姫路「明久君‼︎それではいきますね‼︎」

明久「姫路さん………えっとこれ、多分6番だよね?」

 

 なるほど!明久は6と9を逆さに見てたわけね!

 

秀吉「残念だがそうじゃの。」

姫路「じゃあ、誰が9番を………」

島田「ん!」

 

 草。島田なんかい!

 

島田「いらっしゃい、瑞希。

昂哉「おお!百合の花園!」

ムッツリーニ「…………」ブー、バタン

 

 これはこれでアリだぜ‼︎全く、百合は最高だな!あとムッツリーニは当然倒れたね!

 

姫路「分かりました!そういうちょっとエッチなのもありなんですね!それならもう容赦はしません‼︎」

秀吉「女の子は普通いやらしい罰ゲームを嫌がるものなのじゃが………」

 

 姫路のヤる気が入ったところで、第3ラウンドだ‼︎

 

 

 

 

ーーーーー3rd Roundーーーーー

 

雄二「第3ラウンド、行くぞ‼︎せ〜の‼︎」

全員「「「「「王様だ〜れだ⁉︎」」」」」

 

 さてと、俺は…………

 

昂哉「王様だぜ〜‼︎」

 

 命令権を手に入れたぜ‼︎

 

昂哉「じゃあ1番と8番と10番は、今度雲雀丘家で開催される飲み会に俺の代わりとして参加すること‼︎」

 

 コイツらに、俺の兄貴たちの恐怖を味わってもらうのさ!

 

優子「飲み会?未成年はお酒飲めなくない?」

昂哉「いや、飲み会は別にソフドリでもいいから!それより、兄貴との飲み会に、俺の代わりに参加して欲しいだけさ!ちなみに該当者は?」

雄二「俺が1だ。」

明久「僕が8だね。」

ムッツリーニ「………俺が10だ。」

昂哉「なるほどね〜。ちなみに服を脱がされるから気をつけてね〜。」

優子「なるほど、そういうことね♪」

昂哉「ちなみに王様の命令は絶対だから!」

明久・雄二・ムッツリーニ「「「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」」」

霧島「…雄二………」

 

 ということで、明久・雄二・ムッツリーニが後日地獄を味わう事になりましたとさ!さてと、第4ラウンド行きますか!

 

 

 

 

ーーーーー4th Roundーーーーー

 

昂哉「第4ラウンド、行くよ‼︎せ〜の‼︎」

全員「「「「「王様だ〜れだ⁉︎」」」」」

 

 やる気を無くした雄二の代わりに俺が音頭を取ったよ!ちなみに俺は…………4番だね。

 

美穂「私が王様みたいです!」

 

 佐藤か〜。この状況だと秀吉だけを狙うのは無理だから、まともな命令が来そうだな〜。

 

美穂「じゃあ8番の人は、私と2人きりでお話をしましょう!」

 

 なんだと⁉︎

 

 ここに来てその命令を使うのか、佐藤⁉︎それって本命じゃない相手を引き当てた場合は、少しだけ話すだけで命令が達成出来るし、本命の相手とは色んなことが出来ちゃう‼︎時間に関するワードを入れてないのがミソだ‼︎さてはコイツ、王様ゲームの強者だな………?

 

秀吉「は、8番はワシじゃ!」

 

 そして本命を引き当てるとは‼︎流石‼︎

 

美穂「では秀吉君はこっちに来てください!」

秀吉「分かったのじゃ!」

美穂「あと、しばらく帰って来ないので、私たち抜きで続けてて大丈夫です!」

雄二「お、おう。」

 

 やはりそれが狙いか!クソ!秀吉の卒業式は見てみたいが、百合の邪魔は出来ん‼︎ここは大人しくするか…………

 

 ということで、第5ラウンドが始まった。

 

 

 

 

ーーーーー5th Roundーーーーー

 

雄二「第5ラウンド、行くぞ‼︎せ〜の‼︎」

全員「「「「「王様だ〜れだ⁉︎」」」」」

 

 俺は………6番ね〜。

 

ムッツリーニ「………俺が王様!」

工藤「おお!」

 

 ムッツリーニの命令か………。なんか嫌な予感がするんだよな………

 

ムッツリーニ「………それでは、」ブー、バタン

工藤「ムッツリーニ君⁉︎」

 

 おい!命令言う前に倒れんなや‼︎どんだけエロいことさせようとしてんねん‼︎

 

ムッツリーニ「………6番の人が、」ブー、バタン

工藤「し、しっかり‼︎」

昂哉「俺かよ‼︎」

 

 マジか…………。相手は誰だ?

 

ムッツリーニ「………1番の人の耳に息を吹きかける!」ブー、バタン

工藤「よく言い切ったね、ムッツリーニ君‼︎」

 

 いや、そのくらいの事で鼻血垂らしてたんかい!さてと、1番は誰かな?

 

明久・雄二「「良かった、僕(俺)じゃない!」」

 

 奴らじゃないのなら当たりだね‼︎工藤はあの反応的に1じゃなさそうだから、姫路、島田、霧島のどれかだ………って優子もいるのか。さてと、誰だ?頼むから優子だけは恥ずかしいから…………

 

優子「………い、1番です///」

昂哉・優子以外「「「「「「おお!」」」」」」

 

 やめて欲しかったな………………

 

姫路「ほら雲雀丘君、ちゃんと優子ちゃんにやってあげるんですよ!」

島田「そうね。ほら、早く行きなさい!」

 

 しかしここで俺はある事に気づいた。ムッツリーニの命令は耳に息を吹きかける、だったはず…………。そして俺はこれ以上優子に好かれるとマズい!自由が無くなり、折檻が酷くなる‼︎あと息を吹きかけるのがちょっとドキドキする!だったらここは………

 

昂哉「優子、」

優子「ひゃい///」

昂哉「俺の事を折檻するのは禁止な。」

優子「却下。」

 

 優子の耳に近づいて、叶わない願い事を言う‼︎これでバッチリだ!

 

 そして俺は元の席に戻った。

 

昂哉「よし、じゃあ次行くか!」

ムッツリーニ「………おい。………まだ息を吹きかけてないぞ?」

昂哉「いや、喋れば息吹きかけてることにならない?」

ムッツリーニ「………王様との解釈違い。………やり直し!」

昂哉「はぁ⁉︎」

 

 嘘でしょ⁉︎それアリかよ‼︎そう言うのマジ困るんだけど‼︎

 

姫路「ほらほら、早くやってあげましょうよ!王様の命令は絶対なんですから!」

島田「そうだよ雲雀丘!早く!」

昂哉「くぅ〜///」

雄二「アイツ、普通に照れてんな。」

明久「やっぱり満更じゃない!」

昂哉「うるさいお前ら‼︎この俺に限ってそんな事は無い‼︎ほら優子‼︎早く耳出して!」

優子「う、うん……///」

昂哉「ふ、フー………これでいい?///」

優子「うん///」

他全員「「「「「「しゃあ‼︎」」」」」」

昂哉「しゃあ、じゃない‼︎とにかく次行くぞ‼︎」

 

 クッソ恥ずかしい思いをさせられたところで、次だ‼︎

 

 

 

ーーーーー6th Roundーーーーー

 

雄二「第6ラウンド、行くぞ‼︎せ〜の‼︎」

全員「「「「「王様だ〜れだ⁉︎」」」」」

 

 俺は………10番ね〜。頼むから優子が絡むのだけはやめて欲しい!

 

霧島「…王様は、私。」

雄二「ヤバイヤバイヤバイヤバイ‼︎」

 

 草。

 

雄二「すまんちょっと急用が‼︎」

昂哉・明久・ムッツリーニ「「「逃すか雄二‼︎」」」

明久「さあ王様、ご命令を‼︎」

 

 雄二、いくら霧島の命令だからって逃げちゃダメだよ?

  

霧島「…じゃあ私は雄二に何かする。」

雄二「何かってなんだよ‼︎」

霧島「…そんなの、恥ずかしくて言えない///」

 

 さっきからスケベ展開多いな‼︎でも待てよ?

 

昂哉「ねえ霧島、ちゃんと番号で呼ばなきゃダメだよ?」

 

 霧島が嬉しさのあまりルールを無視してたんだよね〜。だからちゃんと言ってあげたよ!

 

雄二「そうだぞ翔子。ルール違反はダメだぞ。」

霧島「…じゃあ、4番。」

 

 雄二の番号を見ると、4番だった。凄え‼︎

 

雄二「すまんがきゅう……」

昂哉・明久・雄二「「「逃すか‼︎」」」

 

 そうして雄二は霧島に連れてかれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 数分後、まるで拷問を受けたかのような雄二が帰ってきた。というか秀吉と佐藤はまだ帰って来ないんかい‼︎

 

昂哉「何その姿〜!ウケる〜w」

明久「だよね〜w」

雄二「コロス。」

 

 雄二が無様になったところで、

 

美穂「お待たせしました♪」

秀吉「お、遅れてすまないのじゃ……///」

 

 この2人がやっと帰ってきた。アレは多分一線越えたな。

 

昂哉「秀吉、卒業おめでとう!」

秀吉「な、なんのことじゃか……///」

美穂「それでは続きいきましょう!」

秀吉「そ、そうじゃの……///」

 

 さて、全員揃ったところで、最終ラウンドだ‼︎

 

 

 

ーーーーーFinal Roundーーーーー

 

昂哉「最終ラウンド、行くよ‼︎せ〜の‼︎」

全員「「「「「王様だ〜れだ⁉︎」」」」」

 

 口枷をはめられてる雄二の代わりに俺が音頭を取ったよ!ちなみに俺は…………4番だね。

 

明久「僕が王様だぜ‼︎」

 

 明久の命令か〜。なんか大したことなさそう!最後が楽で良かった〜♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明久「じゃあ1から10番の皆は、持っている僕の写真を全て燃やして、持ってた枚数分だけ昂哉のお兄さんたちの写真に入れ替える‼︎」

 

 なんて事を言うんだ、貴様⁉︎せっかく可愛いから保存用と兄貴に売りつける用2枚と脅迫用との4枚持っていたのに‼︎ふざけんなよ‼︎

 

昂哉・ムッツリーニ・島田・姫路「「「「あぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」」」」

秀吉「意外と持ってる人が多かったのじゃな。」

美穂「ですね………」

工藤「ムッツリーニ君、残念だね〜。」

霧島「…雄二は持ってなくて良かった♪」

雄二「要らねえよ、あんなの。」

優子「昂哉は力哉と克哉用に持ってのね。」

昂哉「ごめん………保存用と脅迫用もある………」

優子「保存用はともかく脅迫用って………アンタねえ?」

昂哉「怒んないで………」

明久「ざまあみろ、昂哉‼︎」

 

 こうして王様ゲームは阿鼻叫喚で幕を閉じた…………




 ということで、王様ゲームでした!昂哉については怒られるんじゃなくて、照れる命令もありかな、って思ってこうしました。代わりに過激な命令が秀吉×美穂になったんですけどね。

 さてと、次回は何の話をやるのでしょうか?お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第四十四問 ダブルス

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 今は物理の授業が始まったところだ。ケツ先生が謎のアナウンスをする。

 

家角「授業の前に言う事がある。貴様ら、今週の土曜日は俺の誕生日だ。だからこの俺のために誕生会を企画しろ。その出来によって今度の物理の点数を決める。」

 

 コイツは相変わらずゴミだね。自己中の極みじゃん。

 

昂哉「嫌で〜す!」

雄二「何故せっかくの休日に煩わしい事をしなきゃいけねえんだ。」

明久「ホントですよ〜。自分1人でやればいいじゃないですか〜。」

家角「物理の点数がどうなってもいいんだな?」

昂哉「そしたら学園長に訴えます!」

家角「俺の授業方針は最初に示した通り、態度を最も重視する。この方針は学校側にもきちんと説明してあるから、訴えても無駄だ。」

昂哉・明久・雄二「「「クソ‼︎」」」

 

 ブラック企業とかにありがちな社員バーベキューみたいなのをやるなよ‼︎このクソ野郎が‼︎

 

家角「ちなみに吉井と坂本についてはこの俺がスマホを預かってるが………誕生会に来なかったらどうなるかわかってるだろうな?」

明久・雄二「「はい⁉︎」」

 

 強化合宿の時に俺が復讐がてらケツ先生に渡したの*1、まだ持ってたんだ。

 

明久「なんで持ってるんですか⁉︎」

家角「雲雀丘が渡してくれたんだ。」

明久・雄二「「おい、このクズ‼︎」」

昂哉「テヘッ♪」

 

 誤魔化すために話題を変えるか〜!

 

昂哉「そういや先生、今日の実験は何するんです?」

雄二「昂哉が誤魔化したのは納得いかないが、確かに気になるな。」

明久「言われて通り動きやすい服を持ってきましたけど……」

家角「そうだな。今日は…………」

 

 なんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家角「テニスでダブルスの試合を行う!

Fクラス男子「「「「「ちょい待てや。」」」」」

 

 それじ物理じゃなくて体育じゃん‼︎

 

明久「何故にテニスなんです⁉︎」

家角「これは放物運動の実戦演習だ。」

昂哉「実戦が戦いの意味になることってあります⁉︎」

 

 大学入試の実戦演習なら分かるけどさ!

 

雄二「それはともかく、俺達Fクラスのメンバーでテニスをやればいいのか?」

家角「いや。」

 

 ん?じゃあ誰とやるんだろう?

 

家角「今回は3年Aクラスから申し出があってな。お前らと勝負したいんだと。特に雲雀丘と坂本と吉井。」

昂哉・明久・雄二「「「それ絶対常夏コンビじゃん‼︎」」」

 

 アイツらめ‼︎絶対清涼祭の時の復讐でしょ!

 

家角「という事で、その3人は強制出場な。」

昂哉「いや、俺運動音痴なんですけど⁉︎」

家角「知るか。なんせ俺には関係ないからな。」

昂哉「ざけんな‼︎」

 

 コイツいつかクビにしてやる!

 

家角「んで、後のメンツは勝手に決めろ。」

昂哉・明久・雄二「「「ほ〜い。」」」

 

 ということで、俺たちはテニスの試合を行うことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして俺たちはテニスコートに着いた。

 

秀吉「何故ワシがラウンドガールなのじゃ?」

昂哉「似合うから!」

ムッツリーニ「………服もポジションも、な!」

秀吉「ワシは男じゃと言っておろうに。」

常村「か、可愛いぞ………///」

秀吉「せ、先輩もどうしたのじゃ⁉︎」

 

 ちなみに今はムッツリーニが作ったテニスウェア(女子用)を秀吉と………

 

島田「恥ずかしいんだけど……///」

姫路「足が太いのバレちゃいます……///」

 

 島田と姫路が着てるよ。

 

昂哉「おお!2人とも似合ってるよ!ちなみに明久はどう思う?」

明久「僕には………刺激が強すぎる!」

昂哉「だそうで。」

島田「あっそ///」

姫路「よ、喜んでいいんでしょうか?///」

昂哉「まあいいんじゃね?」

姫路「それなら良かったです///」

 

 欲を言えば………いや、なんでもない。

 

 

 

 

 

 そしていよいよ開戦の時だ‼︎

 

夏川「じゃあ今回は、約束通りダブルスのワンセットマッチを3試合で。」

雄二「おう。」

昂哉「よく分かりませんがそれでいいですよ。」

夏川「それと、()()()女装してないんだな、吉井‼︎」

明久「お前もな‼︎」

夏川「俺は元々してねえよ‼︎」

 

 明久が夏川先輩に上手い返しをしたところで………

 

秀吉「それでは第一試合を始めるのじゃ!」

 

 最初の試合の幕開けだ!

 

 

 

 

ーーーーー第一試合ーーーーー

 

昂哉「雄二‼︎ムッツリーニ‼︎ぶちのめせ‼︎」

島田「いっけ〜!」

ムッツリーニ「………おう!」

雄二「頑張るぞ〜。」

 

 まあこの2人ならいけるでしょう!さてと、対戦相手は………

 

金田一「困ったな〜。うちのクラステニス部いないんだよな〜。俺野球部だし。」

高城「幸いあちらもテニス部では無さそうですし、なんとかなるでしょう!」

 

 学年次席と………野球部か。2人とも意外と強かったりして。

 

雄二「んじゃサーブ行くぞ〜。せ〜の………」

 

 サーブは雄二か。頼んだよ!

 

雄二「オラァ‼︎」ドッ‼︎

高城・金田一「「えっ………?」」

秀吉「15-0。」

ムッツリーニ「………ナイス‼︎」

 

 いや、強すぎでしょ‼︎野球部の方のラケット飛んでったぞ⁉︎流石元ヤンだね‼︎

 

金田一「なんだ今の………」

高城「まああんな力任せのサーブ、もう易々とは入らないでしょう‼︎」

金田一「勝手に自滅してくれるはずだな‼︎」

雄二「んじゃ行くぞ………オラァ‼︎ドッ

 

 うお!また入れたし!

 

金田一「させるか……ってしまった!」ガッ

 

 おっ!野球部の人が返したけど打ち上げたみたい!

 

雄二「行ったぞムッツリーニ!」

ムッツリーニ「………任せろ!」

金田一「なに、もう片方は小柄だから……」

ムッツリーニ「………らぁぁぁぁ‼︎」ドゴッ‼︎

高城・金田一「「はっ?」」

秀吉「30-0。」

 

 そう!ムッツリーニはその見た目に反して運動神経抜群なんです!

 

雄二「ナイス!」

ムッツリーニ「………雄二こそ!」

金田一「くっ……なら俺たちだって負けてられねえ!」

高城「ですね。」

雄二「んじゃ行くぞ…… オラァ‼︎ドッ

 

 相変わらず強………

 

高城「そい!」バゴン‼︎

雄二・ムッツリーニ「「なっ⁉︎」」

秀吉「30-15。」

金田一「しゃあ!」

 

 いや、学年次席もアホみたいに力強いな‼︎なんだよこのグループ‼︎近づいたら死人が出るぞ‼︎

 

島田「まさか相手も強いとはね……」

明久「いきなりエース対決か………」

昂哉「俺あそこに居なくて良かった……」

姫路「私や雲雀丘君が居たら球に当たって大怪我してましたね………」

昂哉「それな!」

 

 マジで虎同士の殴り合いみたいなもんだよ。恐ろし………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムッツリーニ「………ぬっ!」ダラー

 

 ん⁉︎ムッツリーニが鼻血を垂らしてるんだけど⁉︎一体何があったんだ⁉︎

 

昂哉「大丈夫、ムッツリーニ⁉︎」

ムッツリーニ「………問題ない!」ダラー

昂哉「いや、問題あるでしょ‼︎」

 

 なんせ出血により弱体化するからね‼︎でもなんでこんな目に………

 

明久「誰だ⁉︎ムッツリーニをこんな目に遭わせたのは⁉︎」

雄二「恐らくアレだ。」

 

 そう言って雄二が指差した方向を見ると………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小暮「私、新体操部に所属しておりますの〜♪」

 

 新体操のユニフォームを着たドスケベな先輩が居た。

 

明久「あぁ‼︎アレは仕方ない‼︎だから僕がムッツリーニの代わりに止めに行くよ!」

昂哉「これは仕方ないな‼︎俺も行くか‼︎」

須川「いや、俺が行く‼︎」

横溝「俺が‼︎」

福村「俺がぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 そして俺はムッツリーニを助けるため、先輩のところに………

 

島田「アキと雲雀丘はここに居なさい。

姫路「 2人は選手ですよね?

島田「アキを虐める準備と、雲雀丘について優子にチクる準備は出来てるわ。

昂哉・明久「「はい。」」

 

 行かなかった。いや、正確には行けなかった。

 

明久「でもさ、ムッツリーニの鼻血を止める方法は無いの?」

昂哉「う〜ん。そうだ、こうしよう!」

 

 そう言って俺と明久はそれぞれテニスコートの両脇に立ち、先輩方に向かって…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金田一「なっ⁉︎エロいな、あれ………」

高城「な、なかなか凄い写真ですね……」

 

 強化合宿の時の写真が見えるようにポールに貼り付けた。こうして先輩方が視線を逸らしまくった結果…………

 

秀吉「ウォン・バイ、2年Fクラスじゃ!」

 

 雄二とムッツリーニが勝った。

 

島田「何をやったの?」

明久「逆転の発想さ!」

昂哉「こちらの鼻血を止めるんじゃなく、向こうを誘惑すれば良い!」

姫路「す、スポーツマンシップはどうしたのでしょうか………」

 

 だってあっちがやって来たんだもん!これはしょうがないよね!さて、次だ!

 

 

 

 

 

ーーーーー第二試合ーーーーー

 

島田「んじゃ瑞希、行くわよ!」

姫路「はい、美波ちゃん!」

千華「葵、アンタ新体操の服のままやんの?」

小暮「はい。この方が動きやすいので。」

 

 第二試合はFクラス女子vsビッ千華&エロい先輩の女子対決か!面白そう!

 

秀吉「ゲームプレイ!」

島田「えい!」パンッ!

千華「なっ!」パンッ!

姫路「んん!」パコッ!

小暮「はい!」バン‼︎

島田「チャンス‼︎」バシン‼︎

千華「しまった!」

小暮「次頑張りましょう。」

秀吉「15-0。」

姫路「ありがとうございます!」

島田「ウチにかかれば楽勝よ!」

 

 おお!まずは先制‼︎

 

明久「流石美波!運動神経は抜群だね!」

昂哉「姫路も結構戦えてるしね!」

 

 さて、次は……………

 

島田「おりゃあ!」バン‼︎

小暮「ほい。」バシン!

姫路「あっ………」

 

 まずい!姫路が向かった方とは逆サイドに球が飛んでいった!

 

島田「なんの‼︎」バシン‼︎

小暮・千華「「なっ⁉︎」」

秀吉「30-0。」

姫路「ありがとうございます、美波ちゃん!」

島田「瑞希も前衛に居てくれてありがとね!」

 

 おお!すげえ!島田がそれに反応して返した‼︎

 

明久「凄いよ美波‼︎」

昂哉「いい反応だったね!」

雄二「見事なカバーだったな。」

ムッツリーニ「………2人とも良いバディ関係だ。」

明久「じゃあ声出すか!」

雄二「それはいいな。」

昂哉「じゃあ明久に合わせるか!」

ムッツリーニ「………だな。」

明久「よし、じゃあ僕に続いて!」

 

 さて、島田と姫路に俺たちの声援を届けてやろうじゃないか‼︎

 

明久「美波、ナイスバディ〜‼︎」

雄二「ナイスバディ、島田‼︎」

ムッツリーニ「………ナイスバディだ、島田‼︎」

昂哉「島田、凄いナイスバディ〜‼︎」

観客1*2「おいおい、すっごいスタイルの子が試合してるっぽいぞ。」

観客2「マジかよ、どの子だ?」

Fクラス男子「「「「「島田、島田、島田、ナイスバディ〜‼︎」」」」」

島田「なっ⁉︎///」

姫路「あ、あの!やめてあげて下さい!」

 

 何故か声援は逆効果だったようだ。

 

 

 

 

 

  side 千華

 

 マズいわ…………貧乳の方が思ったより強いわね……

 

千華「葵、作戦変更で。まずあの鈍臭い方を潰すわ。」

小暮「分かりました。」

 

 これならなんとかなるはず‼︎

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 さっきから………

 

千華「オラァ!」バゴン!

姫路「わっ!」 ガッ、ポトッ

秀吉「15-0。」

島田「くっ!」バシン!

千華「はあっ!」バシン!

姫路「きやっ!」ガッ、ポトッ

秀吉「30-0。」

千華「しゃあ‼︎」

小暮「順調そうですわね。」

島田「瑞希、大丈夫?」

姫路「は、はい………」

 

 ビッ千華やエロ先輩が姫路の身体めがけて打ちまくってんだよね。

 

明久「おいおい!危ないだろコラァ‼︎」

昂哉「ブチ殺すぞ‼︎」

千華「え〜、何が〜w」

雄二「いや2人とも、アレはボディ狙いという立派な戦術だ。」

昂哉・明久「「ボディ狙い?」」

ムッツリーニ「………直接相手の身体めがけて打っていく戦術だ。」

昂哉・明久「「なるほど………」」

 

 随分アレな戦術だね。

 

雄二「それにしてもアイツ、あの見た目といい、性格の悪さといい………ビッチか?」

 

 雄二がどうやら真理に到達したみたい。

 

明久「正解‼︎」

昂哉「奴の名前はビッ千華、だよ‼︎」

雄二「やっぱりか。」

千華「おいそこのブサイク達、聞こえてるわよ‼︎」

昂哉・明久・雄二「「「えっ?俺(僕)はイケメンだけど(が)……」」」

千華「はぁ⁉︎アンタら脳みそ腐ってんじゃないの⁉︎」

小暮「千華さん、落ち着いて下さい。とりあえず試合に集中を。」

千華「チッ!分かったわよ。」

 

 2個下に(なだ)められてんのホントウケる〜w。えっ?俺が3個下の尻に敷かれてるって?それは気のせい………なはず………

 

 そんな事を思ってると…………

 

島田「お返しよ‼︎」バゴン

千華「なっ⁉︎」 ガッ、ポトッ

秀吉「30-15。」

 

 島田がやり返した!

 

ムッツリーニ「………流石島田!」

昂哉「アレもボディ狙いだね!」

雄二「いい狙いだったな。」

明久「なるほど、それじゃあ………」

 

 島田に声援を送るとしますか!

 

明久「美波、ナイスボディ‼︎」

雄二「ナイスボディ、島田‼︎」

昂哉「島田、最高のナイスボディ〜‼︎」

観客1・2「「おいおい、どの子だ、どの子だ⁉︎」」

島田「………///」

姫路「ほ、ホントにもうやめてあげて下さい!」

 

 またもや逆効果だったようだ………なんでなのかな?

 

 

 

 

 そしてそのまま………

 

秀吉「ウォン・バイ、3年Aクラスじゃ。」

 

 負けてしまった。

 

島田「…………ねえアキ。」

明久「どうしたの、美波?途中からウェアの裾ばかり押さえて………」

 

 明久が何かされたところで、いよいよ最終試合だ‼︎

 

 

 

 

 

ーーーーー第三試合ーーーーー

 

秀吉「え〜、第三試合を始めたいと思うのじゃが………明久は何故女装なのじゃ?」

明久「美波に追い剥ぎされた…………」

ムッツリーニ「………自信作!」

美波「アキ、すっごいナイスバディよ!」

姫路「明久君、ナイスバディです!」

昂哉「ウケる〜w」

 

 まさかのアキちゃんと俺のペアです!ちなみに対戦相手は………

 

夏川「お前、結局また女装すんのかよ‼︎」

常村「女の子が相手じゃ手加減しないとなぁ‼︎」

明久「うるせえ‼︎」

 

 常夏コンビです!

 

秀吉「えっと、それではゲームプレイじゃ‼︎」

 

 さあ明久、頼んだよ‼︎

 

明久「オラァ‼︎」ドッ‼︎

常村・夏川「「えっ?」」

秀吉「15-0。」

明久「次行きますよ………オラァ‼︎ドッ

夏川「くっ!」バゴッ!

明久「あぁぁぁぁぁ‼︎」ゴッ

夏川・常村「「なっ⁉︎」」

秀吉「30-0。」

昂哉「ナイス明久‼︎」

明久「イェイ‼︎」

 

 おお!流石明久!コイツ、意外と運動神経いいんだよね!対する相手は3年Aクラス、お勉強ばかりで運動が苦手な奴らだ!まあ俺もだけど。

 

 

 

 

  side 明久

 

 これならいけそう‼︎

 

明久「おっしゃあ‼︎」バゴン‼︎

夏川「この!」バシィ!

明久「甘いです‼︎」ドッ‼︎

常村「ぐっ!」ガッ

 

 あっ!ボールが昂哉の方に行っちゃった!でも任せた!かなり甘いボールだし、流石に返せるでしょ!

 

明久「昂哉!」

昂哉「おう!」

明久「任せた!」

昂哉「おらぁぁぁぁ‼︎」ペチン、ポトッ

秀吉「30-15。」

 

 えっ?当たったはいいんだけど、昂哉の力が弱すぎて相手コートまで届かなかったよ………。君前衛だよね?

 

昂哉「明久、アイツらも結構やるぞ‼︎」

明久「昂哉がやらな過ぎるだけだよ。」

 

 ま、まあ!次行くか!

 

明久「ぬあっ!」ドッ!

夏川「くっ!」ゴッ!

昂哉「はぁ‼︎」ペチン、ポトッ

秀吉「30-30。」

明久「オラァ‼︎」バゴン‼︎

常村「くっ!」ゴッ!

昂哉「らあっ‼︎」スカッ、ポトッ

秀吉「30-40。」

 

 思ったより役に立たなすぎる…………

 

昂哉「まずいよ明久!俺たちの力が通じていない‼︎」

明久「通じてないのは昂哉だけだけど、確かにこれはマズいね!」

夏川「あっ、そうそう。言い忘れていたけれど、俺たちのクラスは今卒業記念ビデオを撮ってるんだよな〜。」

 

 そう言って坊主先輩は観客席の方にあるビデオカメラを指差した。

 

昂哉・明久「「なんだって⁉︎」」

 

 ふざけやがって‼︎

 

明久「さては先輩方、昂哉のザコっぷりを晒して笑うつもりですね⁉︎」

昂哉「いいや、明久の女装姿を晒して笑うつもりなんですよね⁉︎」

常村・夏川「「どっちもだよ。」」

 

 クソ!万策は…………まだ尽きてない‼︎

 

明久「昂哉、こうなったらもう……」

昂哉「分かってるさ明久。もう俺たちに残された手は……」

昂哉・明久「「K・Oしかない‼︎」」

 

 これでアイツらをぶちのめしてやるぜ‼︎

 

夏川「おいお前ら!テニスにK・Oなんてないだろ⁉︎」

常村「まさか何かの作戦の暗号か?」

夏川「確かに、それはそうかもな!」

明久「死ねぇぇぇぇ‼︎」ドッ‼︎

夏川・常村「「えっ?」」バゴン‼︎

 

 クソ、外した‼︎ただフェンスにぶつかった音から、威力的には大丈夫なはず‼︎

 

昂哉「ナイスサーブ、明久!」

明久「ありがとう、昂哉!あとは微調整だね!」

常村「どこがナイスサーブだ⁉︎」

夏川「ノーバンでフェンスに当たってただろ⁉︎」

 

 よし、次は必ず当ててやる‼︎

 

明久「おらぁぁぁぁぁ‼︎」ドッ‼︎

常村「あっぶねえ‼︎」ヒョイ

秀吉「0-15。」

 

 クソ!避けられた‼︎

 

昂哉・明久「「避けるな、卑怯者‼︎」」

夏川「卑怯なのはどっちだ‼︎」

常村「殺す気か‼︎」

 

 もちろん‼︎

 

夏川「気をつけろよ常村。避けさえすればこっちの得点になるんだ。」

常村「お、おう。分かってる。」

 

 さてと、次の狙いは…………

 

明久「はぁ‼︎」バゴン!

 

 離れたところにあるビデオカメラだ‼︎

 

金田一「うわ!」

高城「マジですか⁉︎」

夏川「セーフ‼︎」ガッ!

 

 クソ、返された‼︎これは想定外だ‼︎

 

昂哉「おい明久‼︎」

 

 は?お前が文句言うつもりなのかよ!

 

昂哉「奴かカメラかのどっちかぐらい当ててみせろよ‼︎」

明久「なんだと⁉︎誰のせいで苦労してると思ってんの⁉︎」

昂哉「俺は歳とってんだからしょ〜がないでしょ‼︎それにあっちからの指名が無かったら参加してないから‼︎」

 

 ったくもう!木下さんに殺されちゃえよ………殺され………って!

 

明久「ま、まあ!僕はたった今いい作戦を思いついたし!」

昂哉「はぁん⁉︎それじゃあ明久の作戦とやらをやってみせて!」

明久「分かったよ!」

昂哉「ちなみに狙いは?」

明久「K・Oだね。」

昂哉「よし!それでこそ明久だ!」

 

 さてと、秘密の作戦をやりますか!その作戦とは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明久「はあっ‼︎」バシン‼︎

昂哉「…………」ゴッ!

 

 昂哉の頭にボールをぶち当てる‼︎そして………

 

昂哉(気絶)「…………」バタン

常村・夏川「「はっ?」」

明久「命中。

 

 昂哉をK・Oさせるのだ‼︎

 

明久「いや〜、不慮の事故で欠員が出てしまったので、メンバー交代でいいですよね〜?」

夏川・常村「「えっ?ま、まあ……」」

明久「よし、それじゃあ………」

 

 許可は得た。後はアイツらを出すだけだ‼︎

 

明久「雄二とムッツリーニ、よろしく‼︎」

雄二「おっと出番か?」

ムッツリーニ「………俺もいけるが?」

夏川・常村「「なっ⁉︎」」

 

 そうしてダブルスの対決は2年Fクラスの勝利で幕を閉じましたとさ!めでたしめでたし!ちなみに気絶した昂哉は木下さんのところに置いておいたよ!この授業の後は放課後だったからちょうど良かったし!

*1
第三十八問参照

*2
3年Aクラス




 ということでテニスでダブルスの試合を行いました。ちなみに第一試合にいた金田一は原作7巻で3年Aクラスの4番を担当してた子です。そこから勝手に野球部にしました。また高城は生身で召喚獣を跳ね返せるので当然強いですね。

 さて、次回は何をやるのでしょうか?お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第四十五問 議論

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 ある日の放課後、俺はいつものFクラスのメンバーに加えて優子と一緒に集まっていた。ちなみに集めたのは俺だ。

 

昂哉「それじゃあ本日は………」

他7人「「「「「「「………」」」」」」」ゴクリ

 

 今日は皆とある議論をするために集まってもらった。その議題とは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「『吉井明久の恋人問題』について議論する‼︎」

 

 

 身近にある未解決問題だ。

 

雄二「これはかなりの難問だな。」

ムッツリーニ「………果たして俺達で解決できるか……」

島田「難しいわね………」

明久「皆僕のことバカにしてない⁉︎」

 

 まあここは一つ、明久を励ましてやるか!

 

昂哉「だけどね明久、もしこの議論で解決策が見つかったら?」

明久「はっ………!」

姫路「明久君に………?」

島田「恋人が出来る………?」

明久「んんんんんんよっしゃあぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 喜んでくれたようで何よりだ‼︎

 

昂哉「テーマは決まったね。」

優子「それじゃあ解決法について論じるわね。」

秀吉「明久が恋人を作る方法かのぅ。」

 

 そしてしばらく考えた結果、次の2つが思い浮かんだ。

 

 

 

1、金銭を用いる

2、力ずくで強引に

 

 

 

昂哉「この2つが妥当だね。」

雄二・ムッツリーニ「「そうだな。」」

明久「『告白する』って選択肢は⁉︎」

昂哉「それじゃあ………」

 

 

 

1、金銭を用いる

2、力ずくで強引に

3、相手を洗脳した後告白する

 

 

 

昂哉「これでいいかな?」

明久「3に余計な言葉がついてない?」

 

 気のせいじゃないかな?そんな事を思ってると、

 

姫路「あの、雲雀丘君………」

 

 姫路が発言した。

 

昂哉「何、姫路?」

姫路「犯罪行為を手段にするのは如何なものでしょう……?」

昂哉「確かに!」

秀吉「モラルに反するのぅ。」

明久「無いものに反するもクソもないでしょ。」

 

 道を踏み外すのは確かにちょっと良くないね。そんな事を思ってると………

 

雄二「ならこの問題は、解決不可能という結論で。」

 

 雄二が結論を出した。

 

ムッツリーニ「………やむを得ない。」

島田「解決手段が無いんだからね!」

明久「皆酷くない⁉︎」

 

 まあ流石に結論を出すのは早すぎるよね〜。だから………

 

昂哉「それじゃあ議論のやり方を変えてみよっか!」

明久「変える?どうやって?」

昂哉「身近な人を取り敢えず挙げていって、その人との可能性を考えるんだよ!」

 

 この方式に変える事にするね!

 

明久「なるほど!」

秀吉「確かにそれはいいのぅ。」

姫路「い、一理ありますね!」

島田「そ、そうね!」

雄二「だが昂哉、身近な人をとりあえず挙げる、って言ってもキリがなくないか?」

 

 おっ!雄二がこの方法の欠点に気づいたみたい。でもそれを回避する方法ならある!

 

明久「確かにそうだね。」

優子「吉井の知り合いってだけでもかなりの人数がいるからね。」

昂哉「議題が多すぎる議論は混沌を生む。そこで俺は縛りを設けたいと思う!」

 

 議題を限定するんだね!

 

ムッツリーニ「………なるほど!」

雄二「議題に挙げる人を絞るのか。」

昂哉「もちろん!」

 

 恋人の候補を予め絞るのさ!

 

明久「確かに、それならかかる時間を減らせるね〜。」

秀吉「ところで、お主はどのような縛りをするつもりじゃ?」

昂哉「それはね………」

明久「…………」ゴクリ

 

 もちろん……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「議題に挙げるのは男性のみとする!」

 

 性別縛りだ。

 

明久「ちょっと⁉︎僕はホモじゃないんだけど⁉︎」

雄二「ほう。この縛りはいいな。」

ムッツリーニ「………賛成!」

島田「アキってやっぱりそうだよね………」

姫路「男の子にしか興味無いですよね……」

明久「違うから‼︎それと、木下さんも昂哉になんか言ってあげてよ‼︎」

優子「素晴らしい議題ね。アタシの知識が役に立つわ。」

昂哉「優子は男性同士の恋愛における知識人だからね。」

秀吉「じゃな。」

明久「木下さぁぁぁぁん⁉︎」

 

 優子が常識人だと思ったら大間違いだぞ!

 

明久「とにかくこの縛りは嫌だよ‼︎」

昂哉「じゃあ縛りをゆるくしてあげるね!」

明久「本当⁉︎」

昂哉「ではこれから議題に挙げるのは男性に加えて……」

 

 まあ、ちょっとだけ優しくしてやるか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「人間以外の女性も対象とする!」

 

 これならいいでしょ!

 

明久「ちょっと⁉︎なんで人間だけ抜くのさ!」

雄二「安心しろ明久。人間以外の生き物でも、例えばゴリラなんかは人間に近いと言われてるからな。これでいいだろ。」

明久「ゴリラと付き合えと⁉︎」

昂哉「ではこれから議論を始めたいと思う!」

明久「始めるな!」

 

 さて、明久に相応しい人を決めようじゃないか‼︎

 

 

 

 

 

ーーーーー1人目ーーーーー

 

昂哉「ではまず基本で王道の、坂本雄二からいこうと思う。」

 

 最初は簡単なヤツからだよね!

 

ムッツリーニ「………意義なし!」

島田「アキってやっぱり坂本の事が………」

姫路「やっぱりそうなんですね………」

雄二「おい!誰が基本で王道だ⁉︎どう考えても邪道だろ‼︎」

明久「そうだよ!僕は雄二なんかと付き合いたくない!」

昂哉「ではまず専門家の意見を伺うか。優子、よろしく!」

優子「はい!」

秀吉「姉上が生き生きしておる………」

 

 さて優子、お前の力を見せてやれ!

 

優子「この2人は1年の時からクラスが一緒であり、共にライバル同士として有名だよね。」

雄二「ライバルというより敵だがな。」

明久「だね。」

優子「だがお互いを憎いと思っていた存在が、片方が居なくなった時にふと気付かされるの!アイツのいない人生なんてつまらないな、と!」

雄二「んなわけねえだろ‼︎」

明久「むしろ清々するよ‼︎」

優子「そして互いの存在の重要性に気づき、お互いの事を好きだと気付く!嫌よ嫌よも好きのうち!そして2人はケンカをしながらもくっつき合うという、王道なケンカップルになっていくの!ね、凄いカップルでしょ⁉︎」

昂哉・ムッツリーニ「「その通り‼︎」」

 

 流石優子。この手の話題になると口が止まらない!

 

雄二「ならねえよ!」

明久「昂哉、自分の彼女でしょ⁉︎なんとかして!」

昂哉「嫌。」

 

 これが優子だからね。

 

昂哉「それで優子、攻めと受けについてはどう考えてるの?」

優子「このカップルの凄いところは状況に応じて攻めと受けが逆転するところ!どちらかの役割に固執する事なく両方になれる、王道でありながら完璧であるカップルなのよ‼︎」

 

 攻守についても素晴らしい意見をお持ちなようで!

 

昂哉・ムッツリーニ「「おお!」」

明久・雄二「「アホか‼︎」」

秀吉「息もぴったりじゃしのぅ……」

姫路「やっぱり王道には勝てませんね………」

島田「完璧すぎるわ………」

明久・雄二「「どこが⁉︎」」

昂哉「それでは、ひとまず雄二は置いといて、次の人物に移ろうか!」

 

 さてと、次行くぞ!

 

 

 

 

ーーーーー2人目ーーーーー

 

昂哉「では次はちょっとした変化球、土屋康太ことムッツリーニについていこうと思う!」

 

 まあ超変化球よりは少しずつ変えてくのがいいよね!

 

雄二「おお、それはいいな。」

ムッツリーニ「………ちょっとどころか超変化球だろ‼︎」

明久「僕からすれば全部変化球だよ‼︎」

島田「確かに、強力な候補ね……」

姫路「土屋君も侮れません………」

昂哉「では優子、意見を!」

優子「はい!」

秀吉「さて、姉上は何を言うのか……」

 

 楽しみだね!

 

優子「この2人はさっきの坂本と比べて仲の良い友達ということになるわ。」

明久「たまに喧嘩するけどね。」

ムッツリーニ「………だな。」

優子「だから程よい距離感のカップルに思われるよね。」

昂哉・雄二「「確かに………」」

島田・姫路「「なるほど………」」

明久・ムッツリーニ「「いや、違う!」」

 

 雄二の時との相違点を述べたのね。いい議論の仕方だ。

 

優子「でもこの2人は、ある秘密の趣味で繋がってるのよ!」

明久「秘密の趣味?エロ写真のやり取りとか?」

ムッツリーニ「………俺はエロに興味は無い。」

優子「いいや違う。それは…………女装よ‼︎」

 

 なんと!それは考えてなかった‼︎流石優子‼︎

 

昂哉「おお!」

雄二「素晴らしい発見だ‼︎」

姫路「確かにそうですね………」

島田「シスターカフェの時とかまさにそうね。」

明久・ムッツリーニ「「違えよ‼︎」」

優子「女装は中々人に話せない趣味………しかしお互いが秘密の趣味を持つ者と知ったとき………その心の縮まり具合はハンパないわ‼︎秘密を知る者、そして同志同士親密になっていくのよ‼︎」

昂哉・雄二「「おお‼︎」」

島田・姫路「「確かに………」」

明久・ムッツリーニ「「ならねえよ‼︎」」

 

 理由も含めて天才だと思うよ、コイツ。

 

優子「ちなみに吉井が攻めで土屋の方が受けだと思うわ。なんせ土屋はムッツリだから。土屋は興味無いと否定するけれども、それを吉井が攻め立てる!口は嫌がってるけど、身体は正直なんでしょ、ってね!」

雄二「素晴らしい。」

明久「ねえ昂哉、木下さんをなんとかしてくんない?」

ムッツリーニ「………キャラの壊れ方が尋常じゃない。」

昂哉「いや、腐女子も込みで優子だから。」

秀吉「そうじゃの。」

明久・ムッツリーニ「「ええ………」」

昂哉「んじゃ、次行くよ!」

 

 さてと、3人目は誰かな?

 

 

 

 

ーーーーー3人目ーーーーー

 

秀吉「雄二にムッツリーニときたら、次はワシかのぅ?」

 

 秀吉だと⁉︎それは違う事を説明してやる!

 

昂哉「いや、秀吉はそもそも議論の対象ではない!」

秀吉「何故じゃ⁉︎ワシは男じゃぞ⁉︎」

明久「いいや、女の子じゃない?」

昂哉「いや、そのどちらでもない。最近秀吉専用の風呂やトイレを見てみると分かる通り、秀吉は第三の性別、『秀吉』だ!」

秀吉「なんじゃそれは⁉︎」

 

 合宿所だけでなく、学校のそこら中に出来てるよ!

 

雄二「確かに、男性でないのなら対象外だな。」

ムッツリーニ「………昂哉の意見はもっともだ。」

明久「僕も納得したよ!」

島田・姫路「「確かにそう(です)ね。」」

昂哉「ということで、次行くよ〜。」

優子「ええ…………」

 

 秀吉をうまく対象外に出来たところで、次だ‼︎

 

 

 

 

ーーーーー4人目ーーーーー

 

昂哉「んじゃ次は、俺かな?」

 

 まあ自分も入れておかないとね。

 

雄二「あれ、素直に入れるんだな。」

ムッツリーニ「………意外。」

昂哉「まあまともな議論にならないと思うけどね〜。」

明久「それって最初からじゃ………」

島田「いや、雲雀丘は坂本に次ぐ候補なんじゃない?」

姫路「坂本君の時みたいなケンカップルでしょうか?」

昂哉・明久「「違えよ‼︎」」

 

 雄二と俺は別物でしょ!

 

昂哉「まあ、とりあえずここは専門家の意見を聞くか〜。優子、何かある?」

優子「えっと、昂哉と吉井………」

姫路「優子ちゃん、自分の気持ちを正直に言っていいんですよ?」

 

 なんだと⁉︎姫路は優子に何を言わせるつもりなんだ⁉︎

 

優子「正直って………」

島田「優子ったら、照れてもいいからちゃんと言うのよ!」

姫路「議論なんか無視しちゃいましょう!」

秀吉「そうじゃ姉上!自分の気持ちを正直に言うのじゃ!」

 

 何この流れ⁉︎意味不明なんだけど⁉︎いったい優子に何を言わせようとしてるんだ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「た、昂哉は吉井とじゃなくてアタシとがいい……///」

 

 おい‼︎そう言うことかよ‼︎

 

秀吉・島田・姫路「「「おお‼︎」」」

昂哉「優子!ちゃんと意見を……」

明久「よく言った木下さん‼︎安心して!僕は昂哉なんて要らないから!」

雄二「確かに、木下は昂哉の彼女だもんな。」

ムッツリーニ「………議題に挙げてすまなかった!」

昂哉「何この流れ⁉︎おかしくない⁉︎」

雄二「では次に行こう。」

 

 なんか俺だけ優子が照れたせいで議論が無くなったんだが⁉︎

 

 

 

ーーーーー5人目ーーーーー

 

昂哉「え、えっと、次は俺の兄2人、雲雀丘力哉と克哉だね。」

 

 兄貴たちは明久の事を気に入ってるからね!

 

明久「いや、その2人を挙げるの⁉︎」

雄二「清涼祭で明久の事を気に入ってたからな。」

島田「確か恋人って言ってたっけ?」

昂哉「うん!」

明久「違うから‼︎あっちはそうでも僕にとってはマジで違うから‼︎」

昂哉「んじゃ優子、お願い!」

優子「任せて!」

 

 優子はあの2人とも幼馴染みだからね。さて、何を言うのか………

 

優子「この2人は吉井のお兄さん的なアプローチが考えられるわね。まだ男同士の味を知らない吉井に優しく手ほどきしてあげる、という意味でね。」

昂哉「よかったね明久!俺の兄貴に色々と教えてもらえるんだよ!」

雄二「年上に教えてもらえんのか。」

明久「嫌だよ‼︎僕は教えられたくないよ‼︎」

 

 なるほど!同級生では出来ないようなアプローチに着目したわけね!

 

優子「ただ吉井も次第に色々と覚えていって、やがて自分から攻めるようになってくる。吉井の成長が見られる、という意味では面白いカップルね。」

島田「アキが今より成長しちゃうの………?」

姫路「明久君………」

明久「いやしないからね‼︎絶対‼︎」

 

 俺は見てみたいな〜。明久が成長した姿を。

 

優子「ただ一つ欠点があるの。それを昂哉、教えてあげて頂戴。」

昂哉「了解!」

明久「いや、一つどころの話じゃないんだけど………」

 

 確かに。やっぱりあの点がちょっと問題だよね!

 

昂哉「奴らは歌舞伎町の守護神と呼ばれているのさ!」

ムッツリーニ「………守護神?」

雄二「守り神ならむしろ良くないか?」

明久「確かに。頼りになりそう。」

秀吉「守護神って言うのは『守備範囲がとてつもなく広い』という意味じゃ。」

雄二「それ言ってる事……ってまさか⁉︎」

昂哉「そう、そのまさか。奴らの守備範囲は老若男女、この世の全ての性癖に渡っていると言われている。」

明久・雄二・ムッツリーニ「「「はぁ⁉︎」」」

 

 還暦過ぎた爺さんに欲情する男は多分あの2人くらいじゃないかな?

 

優子「だからお気に入りの子も結構多いのよね。」

昂哉「常夏コンビとかがいい例だね。」

優子「それ故に、吉井は彼らにとっての1番になりにくい。ある程度以上は関係が進みにくい、というのが欠点だね。」

明久「むしろ利点なんだけど………」

昂哉「ということで、兄貴たちは問題の残る形だけど、次に行こうと思う!」

 

 まあこれ以上議論してもアレだからね。

 

 

 

 

 

ーーーーー6人目ーーーーー

 

姫路「明久君の周りにいる男子ですと、他には久保君ぐらいでしょうか………?」

島田「そうね。」

雄二「姫路に島田、それだけはまずい。」

昂哉「パンドラの箱は開けない方がいいからね。」

ムッツリーニ「………奴は禁忌の存在。」

優子「触らぬ神に祟りなし、ね。」

秀吉「とりあえず次に行くのじゃ。」

明久・島田・姫路「「「えぇ………」」」

 

 セーフ‼︎危うく全てがバレるところだった………

 

 

 

 

 

ーーーーー7人目ーーーーー

 

昂哉「では次はどうしようか?」

雄二「もうあらかた出尽くしたか。」

ムッツリーニ「………あとは………」

 

 もうネタが無いんだよね。そんな事を思ってると……

 

優子「ちょっと視野を広げてみるとか?例えば………」

 

 視野ね〜。確かに広げた方が良さそう。例えばだと、次はじっちゃんとかかな?それとも他の人かな?そんな事を思ってると………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「担任の西村先生とか?」

明久「いやいやいやいや‼︎それは……」

昂哉・雄二・ムッツリーニ「「「それだ‼︎」」」

 

 優子が凄い事を言った。やはり奴は腐女子界の天才なのでは⁉︎

 

雄二「鉄人は厳しいが話の分かる人間だ。それになんと言っても面倒見がいい。」

ムッツリーニ「………そして、強いから明久を守れる!」

昂哉「更に、勉強も出来るから全教科教えられるしね!」

秀吉「とても頼もしいのぅ。」

明久「確かにそうだけどさ‼︎」

姫路「スタイルもいいですし………」

明久「それはバランスよく筋肉をつけてるだけでしょ‼︎」

島田「胸も大きいし………」

明久「それはただの胸筋‼︎」

 

 どう考えてもメリットだらけじゃないか‼︎

 

優子「これは決まりね。」

昂哉「ということで、吉井明久の恋人は西村先生に決定したいと思います‼︎」

明久「おい!ちょっと‼︎」

昂哉・明久以外「「「「「「意義なし‼︎」」」」」」

明久「そんなぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 ということで、明久×鉄人がベストカップリングだという結論が得られました!これにて議論は終了です!ご静聴いただき、誠にありがとうございました!




 という事で吉井明久の恋人に関するグループディスカッションでした。優子が珍しくボケまくる話が書きたくてこうなりました。趣味オープンになった優子による熱い腐女子トークは如何だったでしょうか?

 さて、次回は何の話をやるのでしょうか?お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第四十六問 入れ替わってる〜⁉︎

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 ある朝、俺は登校してくると、

 

秀吉「な、なんじゃ昂哉、明久?」

 

 ある違和感を覚えた。

 

明久「なんかいつもと違うような……?」

 

 明久も意外と気づくんだね。普段は鈍感なくせに。

 

秀吉「き、気のせいじゃろ?」

明久「いつもはもうちょっと可愛いような……」

昂哉「それな‼︎」

秀吉「えへへへへ!」

 

 ただ明久は確信には至ってないようだ。だが俺は分かる。この違和感の正体が‼︎

 

昂哉「秀吉、ちょっと屋上に来てくれない?2人きりで話がしたいんだ!」

秀吉「い、良いぞい!」

明久「昂哉、僕も混ぜろ……」

昂哉「ダメ!これは優子絡みの話だから!」

明久「そうか!それなら僕は教室で待ってるね!」

昂哉「よろしく〜。んじゃ秀吉、行くよ!」

秀吉「わ、分かったのじゃ!」

 

 こうして俺は明久の説得に成功し、屋上に行った後、秀吉…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「んで、どういうつもりなの、優子?」

 

 のフリをした優子に話しかけた。

 

優子「やっぱり昂哉は気づくよね………」

昂哉「なんたって殺気とか可愛らしさとか、そういうのが全然違うからね!」

優子「あっそう。そりゃど〜も。」

 

 前にも言った通り、拗ねるなら怒らないようにすれば良いのに‼︎まあそれは置いといて、本題に入るとするか〜。

 

昂哉「んで、なんでこんなことしてんの?」

優子「えっと……」

久保(盗聴)『クラスメイトに同志がいると分かっただけでも心強いよ。』

 

 ん?

 

昂哉「ねえ、今の何?」

優子「秀吉に付けた盗聴器。今アイツとアタシは入れ替わってるの。」

 

 優子と、秀吉が、入れ替わってるぅぅぅぅ⁉︎

 

昂哉「前前前世から僕は♪」

優子「その歌はさて置き、この盗聴器はアイツが変な事しでかさないように付けたのよ。」

昂哉「ちなみに本人の許可は?」

優子「とってあるわ。」

昂哉「ならいっか。」

 

 まあ秀吉は可愛いけどおバカちゃんだからね。失言はしそう………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久保(盗聴)『まさか木下さんも、同性の恋愛に興味があったとはね。』

優子「昂哉、秀吉のとこ行くわよ‼︎」

 

 ん?優子は今の言葉の何に反応したんだ?よく分からんけどとりあえず合わせとくか。

 

昂哉「ほ〜い!」

 

 ということで、俺たちはAクラスの教室に走って行った。

 

 

 

 

 

 そして早速教室に着くと………

 

昂哉「Hello, Yuko!」

秀吉(CV.優子)「あ、姉上‼︎ちょっとよろしいかのぅ‼︎」

優子(CV.秀吉)「秀吉に昂哉?どうしたのかしら?」

秀吉(CV.優子)「いいから早う‼︎」

久保「?」

 

 優子のフリをした秀吉を屋上に連れ出した。

 

 

 

 

 屋上に着くと、早速優子は秀吉に詰問し始めた。

 

優子「秀吉。なんの話をしていたのか、教えてもらおうかしら?

秀吉「たわいのない雑談じゃが……」

優子「何の話をしてたらアタシが同性の恋愛に興味があるって事になるのよ‼︎」

昂哉「BLの話じゃないの?」

秀吉「その通りじゃが………」

優子「それとこれとは別よ‼︎あれじゃあアタシの恋愛対象が女の子みたいじゃないの‼︎」

 

 あっ、そう言うことね!

 

昂哉「そうか、優子は百合だったのか!なら邪魔してすまない‼︎俺は別れてあげるとするよ♪」

優子「違うって言ってんでしょ‼︎」

秀吉「ま、まあとにかく、次は頑張るのじゃ‼︎」

優子「頼んだわよ。」

 

 ということで、俺たちは秀吉を送り返した。

 

優子「上手く行くかしら?」

昂哉「どうだろうね?」

 

 しばらくすると、

 

霧島(盗聴)『…優子、スカートめくれてる。』

 

 早速やらかした。

 

優子「あのバカ‼︎何してんのよ‼︎」

昂哉「まあまあ、うっかりってこともあるじゃない?」

優子「そ、そうしとくわ。」

 

 まあ、コレでいいでしょう!

 

優子(CV.秀吉)(盗聴)『でも、大丈夫なの!』

 

 え?大丈夫?どう言う事?

 

霧島(盗聴)『…いや、でも………』

優子(CV.秀吉)(盗聴)『だって………』

 

 だって…………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子(CV.秀吉)(盗聴)『今日はきちんと下着を穿いてるもの♪』

 

 えっ?

 

昂哉「ゆ、優子って普段ノーパンなの……?」

優子「なわけないでしょ‼︎」

 

 だ、だよね〜。

 

優子「とにかく、秀吉を連れてくるわよ‼︎」

昂哉「ほ〜い。」

 

 ということで俺たちはAクラスの教室に再び行って秀吉を連れ戻し…………

 

優子「何か言い訳は?

 

 詰問した。

 

秀吉「じゃからアレはスパッツを穿いてるという意味で……」

優子「だ〜か〜ら〜‼︎」

昂哉「あれじゃあ普段優子がノーパンで過ごしてる事になるよね〜。」

秀吉「なんと⁉︎昂哉は姉上がノーパンで過ごす事をご所望なのか‼︎」

 

 はい⁉︎

 

昂哉「なわけないでしょ‼︎」

優子「殺すわよ、秀吉?

秀吉「す、すまないのじゃ!」

優子「とにかく、スカートに気をつけて過ごしなさいね‼︎」

秀吉「じゃ、じゃが姉上のスカートはやたらとウエストが緩くて……」

 

 でしょうね。

 

優子「あのねえ………」

昂哉「いや、当たり前でしょ。秀吉は生物学的には男だからね。むしろ体格が同じ双子なら、男の方がウエストが細くて当然なはず。女の子は出産とかがあるから、ウエストはある程度必要だからね〜。」

優子「そ、そうなのね………」

 

 ごめん、若干怪しいかも………。でも確かコレで合ってるはず。

 

秀吉「と、とにかく気をつけるのじゃ‼︎」

優子「そうしてね。」

昂哉「俺的にはもっと優子が変態扱いされていいと思うんだけど〜w」

 

 ここぞとばかりの仕返しだ‼︎

 

優子「アタシは嫌よ‼︎」

秀吉「なんと⁉︎昂哉は姉上が変態の方が好みなのか‼︎ならワシも………」

優子「ひ〜で〜よ〜し〜?」

秀吉「じょ、冗談じゃ!とにかく頑張るぞい!」

昂哉「ファイトー!」

 

 秀吉の頑張るぞいポーズが可愛かったのはさておき、アイツの今後の活躍に期待しましょう!

 

 

 

 

 そしてしばらくすると………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

横溝(盗聴)『よ、横溝浩二です!木下さん、す、好きです!ひ、雲雀丘なんかじゃなく、こ、この俺と付き合って下さい‼︎』

 

 なんかとんでもない事になった。というか奴め、秀吉にフラれたからって優子に告りやがったな‼︎でもちょうどいい‼︎これはチャンスだ‼︎

 

優子「えっ、えっと………」

昂哉「秀吉、頼む‼︎その告白を引き受けてくれ‼︎そして俺を自由にして欲しいんだ‼︎」

優子(CV.秀吉)(盗聴)『ごめんなさい。気持ちは嬉しいんだけど……』

昂哉「秀吉ぃぃぃぃぃぃ⁉︎」

 

 ああ………目前にまで迫った俺の自由が無くなった……………

 

横溝(盗聴)『じゃあ、好みのタイプを教えて下さい‼︎』

優子(CV.秀吉)(盗聴)『ごめんなさい。アタシ………』

 

 もしや俺にしか興味は無いって言うのか………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子(CV.秀吉)(盗聴)『酒臭いおじさんにしか興味は無いから♪』

 

 気がついた時には、俺たちは秀吉を連れ出していた。

 

秀吉「何かおかしいのかのぅ?」

優子「秀吉‼︎アタシは昂哉が好きなだけであって、酒臭いおじさん自体が好きなわけじゃないわよ‼︎」

昂哉「それに、俺は酒臭いおじさんじゃない‼︎」

秀吉「姉上の言い分はともかく、正直昂哉の言い分は否定出来んぞい。」

 

 えっ?嘘でしょ⁉︎言い返してやる‼︎

 

昂哉「はぁ⁉︎たった3つ上でしょ⁉︎それに、そこまでお酒は飲んでないからね‼︎だから勘違いしないで♪」

秀吉「そうは見えんからのぅ。それに、ワシらから見たら浴びるように飲んどるがな。いつも臭くて臭くてたまらないぞい。」

 

 クソ、コイツめ‼︎

 

昂哉「秀吉、やけに今日は喧嘩腰だね?

秀吉「前々からお主には言いたい事が山ほどあったからのぅ。

昂哉「ほう、それは?

 

 ちゃんと聞いてやろうじゃないか‼︎

 

秀吉「いい加減ワシを男として認めるのじゃ‼︎あとセクハラをやめて欲しいのじゃ‼︎」

 

 なるほど、そんな事だろうと思ったよ!

 

昂哉「やだね♪」

秀吉「それならワシは今後一切お主と話さんぞい‼︎」

 

 えっ?

 

昂哉「ちょっと秀吉⁉︎そんな酷い事を言わないでよ⁉︎」

秀吉「…………」

昂哉「秀吉、返事して‼︎」

秀吉「…………」

 

 うっ………無言が1番困る…………

 

昂哉「わ、分かった‼︎分かったから‼︎お前は立派な1人の男です‼︎見た目が可愛いだけの男です‼︎この間卒業した立派な男の子です‼︎そして俺は女の子が恋愛対象です‼︎だから今後一切セクハラをしません‼︎これでいい⁉︎」

秀吉「良いのじゃ♪」

昂哉「やったぁぁぁぁ‼︎」

 

 よし!これで秀吉と仲直りが出来たぜ‼︎

 

優子「あの、今はアタシの話じゃなかったっけ?」

 

 そう言えばそうだってね。

 

昂哉「すまんすまん。で、女の子好きでノーパンでアル中のおじさんがタイプな優子はどうしたの?」

優子「アンタマジでぶっ飛ばすわよ?」

昂哉「ごめんなさい。」

秀吉「はてさて、姉上は何故そんな誤解をされておるのじゃ?」

優子「全部アンタのせいよ‼︎」

秀吉「す、すまないのじゃ。」

優子「とにかく、今後一切変な事は言わないでよね‼︎」

秀吉「わ、分かったのじゃ……」

 

 そう言って秀吉は教室に戻って行った。

 

 

 

 

 

 それにしても、優子がここまでこだわるとは………。何か隠したい事でもあるのかな?だとするとチャンスだ‼︎普段はほとんど無い優子への復讐の機会、逃してたまるか!

 

昂哉「んで、なんでこんな事してるの?」

優子「昂哉の監視♪」

昂哉「それ俺に気づかれちゃあ意味ないよね?」

優子「あっ………えっと………」

 

 俺が気づくのは優子も知ってるはずだからね。

 

優子「た、たまには一緒に過ごしたくて………」

昂哉「勉強真面目になったお前が授業をサボってまでする事なのかな?」

優子「あっ………」

昂哉「正直に言って欲しいな〜。じゃないと俺全員にバラしちゃうよ〜♪」

優子「そ、それはやめて!分かった!ちゃんと話すから!」

昂哉「初めからそうすれば良かったのに〜w」

 

 よしよしよし!その事情とやらを聞いてやろうじゃないか‼︎それにしても、復讐って気持ちいいね〜♪

 

昂哉「んじゃ、説明よろしく〜。」

優子「実は高橋先生から学園のプロモーションの撮影を頼まれててさ………それでアタシが校歌を歌う事になったの……」

昂哉「んで自分は音痴だから秀吉に入れ替わるよう頼んだわけ?」

優子「うん………」

 

 なるほどね〜。

 

昂哉「あはははははは‼︎やっぱり優子はバカだね〜w」

優子「ちょっと昂哉⁉︎ぶっ飛ばすわよ‼︎」

昂哉「音痴なんだから素直に断れば良いのに〜w」

優子「だ、だって!アタシは学校ではなんでも出来る優等生を演じてきたじゃない⁉︎だからここで引くわけにはいかないの‼︎」

昂哉「見栄っ張りなんかしてもろくな事ないのに〜w。後でバレたらどうすんの〜w」

優子「うるさい‼︎そんなのバレなきゃいいの‼︎」

 

 チャンスチャンスチャンスチャンス‼︎日頃の仕返しだ‼︎

 

昂哉「別になんでも出来る人なんて居るわけ無いのにな〜w」

優子「で、でも………」

昂哉「隠し続けたボロは後になればなるほど、バレたときのデメリットが大きいと思うよ?」

優子「そ、そんなのバレなきゃいいじゃない‼︎」

昂哉「そんなのは理想論。いつかはバレるさ。それに、実際なんでも完璧な人が居たら妬まれるのは当然だし、妬んだ人によってバラされるリスクがかなりあるよね〜。」

優子「そ、それは………」

昂哉「だから苦手な事は素直に言うの!人は誰しも向き不向きがあるから!それに、自分をよく見せようと嘘で塗り固めてる人は俺は嫌いだな〜。」

優子「わ、分かったわよ………。先生に全部話すから………」

昂哉「それでよし‼︎ま、俺もそん時はついて行くから安心して!もしそれで何か先生が言うようなら言い返してやるから!」

優子「ありがとう……///」

 

 理解してくれたようで何よりだ‼︎

 

昂哉「ふぅ、日頃の仕返しになったぜ!」

 

 ヤベ、本音と建前が入れ替わってるぅぅぅぅ⁉︎

 

昂哉「前前前世……」

優子「アンタねえ⁉︎」

昂哉「ごめんごめん!あと、嘘は言ってないから!」

 

 コレはホントだよ。

 

優子「まあ、それくらいは分かってるわ。んで、今から先生のとこ行く?」

昂哉「そうした方がいいね〜。」

優子「分かったわ。」

 

 ということで、俺たちは高橋女史のところに向かう前に………

 

昂哉「ねえ優子、入れ替わり解除した方が良くね?」

優子「確かに………」

 

 秀吉を屋上に呼びつけた。

 

秀吉「今度はなんじゃ、お主ら?」

昂哉「簡単に言うと、入れ替わりはもうやめていい、って話。」

秀吉「えっ⁉︎まさか姉上が歌うのかのぅ⁉︎」

昂哉「いや、高橋先生に頼んで秀吉に普通に歌わせる事にした。」

優子「それで、今からその交渉に行くの。」

秀吉「どういう心変わりがあったのかは知らぬが、まあいいじゃろう。」

優子「秀吉、アタシの迷惑に付き合ってくれてありがとね。」

秀吉「素直にお礼を言われると照れるのぅ……///」

 

 あぁ^〜、秀吉ったら、可愛いんだから♪

 

昂哉「結婚してくれ、秀吉。」

 

 ヤベ、つい本音が………

 

秀吉「お主、言う相手を間違えとるぞい。」

昂哉「ごめんごめん!それはさておき、早く着替えて先生のところへ行こうぜ!」

優子「秀吉もついてきてくれるかしら?」

秀吉「もちろんじゃ!」

 

 ということで、俺は2人の着替えを待った後、高橋女史のところに向かった。

 

 

 

 

 

 職員室にある先生の机のそばに着くと、早速俺たちは先生に話しかけた。

 

昂哉「先生、お忙しいところ失礼しま〜す。」

優子「失礼します。」

秀吉「失礼するのじゃ。」

高橋「なんでしょう、雲雀丘君たち?もしかしてこの間のドライブデートの感想でしょうか?」

昂哉「あん時はよくもやってくれましたねぇ‼︎お陰でめちゃくちゃ疲れましたよ‼︎」

秀吉「LINEのトプ画を2人のツーショット写真にするほど楽しんだ、という意味じゃな。」

昂哉「秀吉、余計な事は言わないの‼︎」

高橋「それはそれは楽しんで頂けたようで。教師としても生徒の恋愛を応援できた事を誇りに思います。」

 

 コイツもっぺん酒で潰してやろうかな?

 

 それはともかく、本題を話さないと!

 

昂哉「まあそれはさて置いて、プロモーションビデオの事で木下姉弟から話があるそうです。」

優子「は、はい!」

高橋「プロモーションビデオの件ですか。木下さん、そんなに緊張しなくて大丈夫ですよ。貴方なら大丈夫です。」

優子「いや、その………実はアタシ歌が苦手で………。あの時は見栄を張って受けちゃったんですけど………その………今更なのですが降りさせていただきたいと思ってまして………」

 

 すごく言い難そうに優子が言ってる。まあ気持ちは分かるけどね。

 

高橋「そうは言われても………困りましたね………」

秀吉「そこで代わりにワシが歌おうかと思ってのぅ。」

高橋「まあ確かに。貴方はオペラをこなすほどの実力がありますからね。」

 

 えっ?

 

昂哉「あの、それ知っててなんで秀吉に頼まなかったんです?」

 

 普通それなら秀吉に頼むはずだからね。

 

高橋「彼は歌唱力は抜群ですが、成績や授業態度があまりよろしくありませんからね。」

秀吉「うっ…………」

昂哉「なるほど〜。」

高橋「それで、学校の顔にするには少しどうかと思ったので、代わりに成績が優秀で社交性にも富んだ木下さんに頼んだわけです。双子なら同じく歌唱力もあると思ったのですが、どうやら私の早合点だったようですね。」

 

 あ、そう言うことね!納得しました!

 

優子「すいません………」

昂哉「なるほど、知らなかったんですね!それなら仕方ないです!」

高橋「こちらこそすいません。ではプロモーションビデオは弟の秀吉君に頼む事にしましょう。出来ますか?」

秀吉「もちろんなのじゃ!」

高橋「分かりました。では木下君はプロモーションビデオの撮影をお願いします。」

優子「お願いね、秀吉。」

昂哉「よろしく〜。」

秀吉「分かったのじゃ!」

 

 ということで、万事解決です!やったね!

 

高橋「それと、残り2人は幸せな家庭の構築をお願いします。」

 

 はぁ?

 

昂哉「先生‼︎さらっとヤバいこと言わないで下さいよ‼︎」

高橋「えっ?別に普通の事だと思うのですが……」

昂哉「全然普通じゃない‼︎」

秀吉「ワシからもお願いするのじゃ!」

昂哉「断る‼︎それじゃあ失礼しま〜す‼︎」

優子「し、失礼します………///」

秀吉「失礼するのじゃ。」

高橋「は〜い。」

 

 この女については、今度先生方の飲み会に俺が乗り込んでボコボコに潰してやろう。そう思った日だった。

 

 

 

 

 

 その日の放課後、俺と優子は………

 

秀吉「♪♪♪♪♪」

 

 プロモーションビデオの撮影で校歌を歌う秀吉を離れたところから見ていた。

 

優子「相変わらず上手いわね〜。」

昂哉「だね〜。流石秀吉!」

優子「だよね。なんでアイツに出来てアタシは出来ないんだろう……」

 

 優子のその発言はダメだからしっかり言ってあげないと。

 

昂哉「優子、それは酷いと思うよ。」

優子「えっ?な、なんで?」

昂哉「だって、秀吉が出来ることは自分にも出来るって言う前提がおかしくない?」

 

 それって秀吉の事を見下してる事になるよね。

 

優子「そ、それは………双子だから………頑張ればアタシも出来るようになると思って………」

昂哉「双子だからと言って得意不得意はあるでしょ。優子に出来ないことが秀吉に出来るのはあって当然だし、逆もまた当然だよ。」

優子「そ、そうだね………ごめん、秀吉………」

昂哉「分かればいいのさ!」

 

 素直に反応してくれて何よりだ!そんな事を思ってると………

 

 

ドサッ

 

 

 何かが落ちた音がした。

 

昂哉「う〜んと、コレは……?」

優子「アタシの財布ね。拾ってくれてありがとう。」

昂哉「ど〜も……ってめっちゃレシート入ってるじゃん!」

優子「あっ………す、捨て忘れた………」

 

 相変わらず片付けるのが苦手…………ってこのレシートは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カラオケのレシート?しかも1人で?これも、これも、これもそうだ。何枚も入っている。優子は自分なりに歌えるように努力してたのか………。それでもダメだったから急遽秀吉に入れ替わるよう言ったわけか…………

 

昂哉「優子。」

優子「な、何⁉︎こ、今度こそちゃんと片付けるから!」

昂哉「まあそれはさて置いて、優子も優子なりに頑張ってたんだね!」

優子「えっ?い、いや、その………」

昂哉「さっきは頭ごなしに否定してごめんね!優子が自分なりに努力してるの知らなくてさ………」

優子「で、でもダメだった事に変わりはないし……」

昂哉「それはそうかもだけど、人知れず努力を重ねてたのは凄いと思うよ!しかもそれを言い訳にしないどころか一切言わないでさ!本当に凄いよ!」

優子「い、いや……でも……」

昂哉「そういうとこ、好きになったよ!」

優子「あ、ありがとう……///」

 

 いつも側にある人の凄さを知れたと同時に、偉そうに説教垂れてた自分が恥ずかしくなった、そんな日だった。




 ということで、双子入れ替わりの話でした!最後は原作と大きく変えてみましたが、如何だったでしょうか?

 さて、次回から期末テスト編になります。10/25の12:00〜です。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第八章  期末テスト
第四十七問 来訪者


この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 週末のある日、俺は明久の家で格闘ゲームをしていた。

 

昂哉「クソ!明久はやっぱりゲームが強いね‼︎」

明久「はっは〜ん!お金の全てをゲームに費やしてる僕をナメるんじゃない‼︎」

 

 そう言う明久の腕前は確かなものだ。この間雄二&ムッツリーニ&秀吉&俺の連合軍で明久1人をボコろうとしたが、全員返り討ちに遭ったのは鮮明に覚えている。

 

昂哉「あ〜もう!また負けた!」

明久「昂哉ったら、少しはギャンブルに使う金を減らしてゲームに費やしたら〜?」

昂哉「俺は将来ギャンブルで稼ぐと決めたのさ!だからそこへの投資は妥協しない!」

明久「さ、流石………」

 

 ちなみに大学に行く気も就職する気もございません!ニートがやっぱり最強だからね!なんせ俺は自由が好きだから!

 

 そんな事を思ってると…………

 

 

 

ピンポ〜ン

 

 

 

 インターフォンが鳴った。

 

昂哉「明久、宅配でも頼んだの?」

明久「いや、そんなはずは無いんだけど………」

昂哉「なら全裸の人が助けを求めて来たんじゃね?」

明久「それは昂哉でしょ。」

昂哉「懐かしいなぁ。」

 

 あの時は明久に殴られた挙句、締め出されて優子を呼ばれたんだっけ。酷い話だよね。

 

明久「まあとにかく、出てくるよ。」

昂哉「ほ〜い。」

 

 そう言って明久はドアへと向かった。

 

 

 

 

 そして明久がドアに近づき、

 

明久「は〜い。」ガチャ

 

 ドアを開けると…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千華「隣に住んでるんだけど、アンタらうっさい………って雲雀丘と吉井⁉︎」

 

 タバコを吸ってるビッ千華が居たので、俺もドアまで走ってきた。

 

明久「うわっ、ビッ千華先輩⁉︎」

昂哉「マジだ‼︎ビッ千華じゃん……ってタバコキツいな‼︎」

千華「アンタらにも吸わせてあげようか?」

昂哉「俺はともかく明久は犯罪だからね。」

千華「別にコイツが捕まろうと知ったこっちゃ無いわ。」

明久「うわぁ、クズだ‼︎紛れもないクズだ‼︎」

昂哉「あとビッ千華、お前も捕まるからな。」

千華「それは御免ね。」

 

 俺たちを目の前にしてもタバコを吸うのをやめず、堂々とクズ発言をする。それでいて自分の危機だけにはしっかり対応する。流石としか言いようがない。

 

明久「というか、先輩隣に住んでたんですね。」

千華「悪い?」

昂哉・明久「「悪い。」」

千華「はぁ⁉︎何よそれ‼︎」

 

 だってこんな性悪女が隣に住んでたら嫌じゃん。

 

昂哉「というか俺たちの声って気づかなかったの?もう何回も来てるけど………」

明久「普通は気付きますよね?」

千華「今まではバイトが忙しくてあまり家に居なかったのよ。」

昂哉「嘘でしょ⁉︎お前働けるの⁉︎」

 

 コイツのことだからバイトの面接すら落ちるのかと思ったよ。

 

千華「バイトすらする気のないクズに言われたくないわ。」

昂哉「だって働くのってコスパ悪いじゃん。やっぱり世の中ギャンブルっしょ!」

明久「ごめん昂哉。正直ビッ千華先輩のがまともだと思う。」

昂哉「あぁん⁉︎」

千華「呼び方は気に食わないけど、その通りね、吉井。」

 

 俺からすれば働く人の神経が理解出来ないよ‼︎

 

 まあそんな事より………

 

明久「それで、先輩が何の用ですか?」

昂哉「確かに。俺も気になる。」

 

 来た目的を確認しないとな。

 

千華「アンタらが隣でギャーギャーうっさいから来たのよ。こっちは受験生なんだから。」

 

 そう言うことね。

 

明久「それはなんかすいません。」

昂哉「というかお前、大学受けるんだね。」

千華「はぁ⁉︎当たり前でしょ⁉︎」

昂哉「てっきりイケメンのヒモになるのかと思ったよ。」

 

 まさか普通に大学出て稼ごうとするとはね。コイツも意外とまともなんだな。

 

千華「ヒモになる相手を選ぶためにいい大学行くのよ。一般的に高学歴の方が収入も上がる傾向があるからね。あとイケメンは絶対条件ね。」

昂哉「理由を聞いて納得したわ。」

明久「なんていうか、流石ですね。」

千華「でしょ?」

 

 前言撤回。流石ビッ千華だ!

 

 あとはどこ行くか聞くとするか。

 

昂哉「ちなみに大学はどこ目指してるの?」

千華「東大。」

昂哉・明久「「えっ?」」

 

 コイツそんなに頭良かったのか………。中学の頃は俺の方が成績良かったのに。

 

千華「もう一回言う?」

昂哉「いや、言わんでええ。」

明久「あっ、でも先輩ってAクラスか!なら当然ですね!」

昂哉「いや、全然当然じゃないから。姫路ですら厳しいとこだよ。」

明久「はぁ⁉︎マジで⁉︎そんなに難しいんだ……」

 

 まあ明久にとって姫路は異次元の成績だからね。そう思うのも仕方ない。それと、姫路はAクラスに入れたとしても2位か3位の成績だからね。当然並のAクラスの人じゃあ東大なんか無理だ。

 

千華「まあ目指すだけなら誰でも出来るから。」

明久「と言っても………」

千華「それに、うちの学年にはアタシより上に化け物2人がいるから。アイツらレベルにならないと正直キツイのよ。」

 

 確か高城先輩と高天原大門だよね。

 

昂哉「アイツらっつっても、高天原は無理じゃない?高城先輩レベルならまだ分かるけど。」

千華「まだ分かるってだけで、実際は高城もヤバいわよ。」

明久「僕には全員がヤバく感じるよ。」

 

 明久には分かりやすく説明してあげるか。

 

昂哉「明久に分かりやすく説明すると、高城先輩は恐らく霧島以上だね。」

明久「えっ⁉︎霧島さんより上なの⁉︎」

千華「確かアンタらの学年首席だっけ?」

昂哉「そうだよ。ソイツもソイツでかなり点数は高いけどね。」

千華「まあ恐らくアタシよりは上だろうね。」

 

 正直霧島も凄いけどね。ただそれ以上にヤバい化け物が居るんだよ。

 

明久「えっ、じゃあもう片方の人って……」

昂哉「高天原大門ね。アイツは高橋女史以上、これは確実に言えるね。」

明久「はい⁉︎」

千華「正直文月の教師でアイツより点数取れる人は居ないわ。」

明久「えええええ⁉︎そんな高校生が居るとは………」

 

 明久の気持ちはマジで分かる。正直奴だけは異次元だ。

 

千華「ちなみに高天原は西村先生をレスリングで秒殺する程運動神経も抜群なの。」

明久「はぁ⁉︎なんですかそれ⁉︎あの鉄人よりも強いって……」

 

 信じられないでしょ?事実なんだよ、その話。

 

千華「まあそんな感じで、アタシはソイツらに追いつかなきゃいけないの。だから邪魔しないで。」

 

 正直コレを言われると返す言葉が無い………

 

昂哉「分かった。じゃあ俺の家で遊ぶよ。」

明久「なんかすいません………」

千華「協力ありがとね。その代わり、勉強を教えるとかならいつでも頼って。」

 

 あれ?ビッ千華から意外な発言が…………

 

昂哉「珍しいね。お前が人助けをするだなんて。」

千華「人に勉強教えればアタシのためにもなるでしょ?だからよ。」

昂哉「なるほど………」

 

 自分につながる事だったらやるのね。そこは流石だ。

 

明久「まあ、僕は勉強する気が無いんで大丈夫です!」

玲「アキくん、それはどういうことですか?」

 

 ん?誰だ今の?そう思って声がした方を見ると…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バスローブ姿のめちゃくちゃ妖艶な女性が居た。歳は俺と同じくらいだろうか。

 

昂哉「明久、デリヘルでも呼んだの?」

明久「なわけないでしょ‼︎これは僕の姉さん………ってなんて格好してるの、姉さん⁉︎」

 

 なるほど、前に明久が言ってた頭のおかしい姉ね。でも頭がおかしいって言うならせめて全裸にならないとダメだよね。これじゃあ兄貴たちには勝てないよ?

 

千華「バスローブって………」

玲「そんな事はどうてもいいんです、アキくん。」

明久「良くないよ‼︎」

昂哉「明久、安心して。俺の兄貴たちは全裸だから。」

明久「レベルが低過ぎるよ‼︎全く、なんで僕の周りには変態しか居ないの〜⁉︎」

 

 類は友を呼ぶ………って明久に言っても伝わらなそうだからやめとこ。

 

千華「んじゃアタシは勉強があるから………」

玲「それとアキくん、この女性は誰ですか?」

 

 どうやらお姉さんもビッ千華の事知らないんだ。ちゃんと挨拶とかしてなさそう、2人とも。まあバイトが忙しくて知らなかっただけかもしれんけど。

 

明久「隣に住んでる人‼︎」

昂哉「ビッチです。」

千華「違うわよ‼︎」

玲「不純異性交遊の現行犯ですね。ですので………」

千華「アタシはアンタの弟とそんな事する気は全くありません‼︎それではさようなら‼︎」バタン

 

 そう言ってビッ千華は自分の部屋に戻ってしまったので………

 

昂哉「あの………とりあえず中に入りますか?」

玲「そうしましょう。」

明久「なぁぁぁぁ⁉︎」

昂哉「ビッ千華に怒られるから早く入るよ〜。」

 

 俺は明久の姉さんを家の中に引き入れた。

 

 

 

 

 家の中に戻ると、俺は早速自己紹介をした。

 

昂哉「初めまして!俺の名前は雲雀丘昂哉、20歳の高校2年生です!明久の友達ですね!趣味はお酒に麻雀、パチスロです!あと、昔は風俗巡りもしてました!よろしくお願いします!」

玲「私の名前は吉井玲、23歳です。吉井明久の姉です。趣味はアキくんとお医者さんごっこをする事です。」

 

 おお!実の弟とお医者さんごっことは………。おもしれ〜女だね!

 

昂哉「それはそれは素晴らしいご趣味をお持ちのようで!」

玲「はい♪」

明久「ちょっと姉さん⁉︎昂哉に変な事を言わないで⁉︎僕たちはそんな事してないじゃ〜ん‼︎」

玲「あら、アキくん、忘れたのですか?」

明久「やってないと言う事を忘れてるのは姉さんの方だ‼︎」

 

 明久が振り回されてんの、ウケる〜w

 

明久「それと姉さん、なんでバスローブ姿で来たのさ!おかしいでしょ!」

昂哉「安心して明久。俺はここにどんな格好で着たか、覚えてる?」

明久「全裸よりはマシだけどさ!そういう問題じゃなくない⁉︎」

玲「アキくん、姉さんは身だしなみに気を遣った結果、こうなったのです。」

明久「気を遣った結果がそれ⁉︎」

昂哉「きっと汗かいてたからバスローブにした、とかじゃない?今日暑いし。」

明久「なわけないでしょ⁉︎」

玲「正解です♪」

明久「嘘でしょぉぉぉぉぉぉ⁉︎」

 

 伊達に変人の兄貴2人と暮らしてないからね!玲さんを奴らに重ねて行動を予想するなど、簡単なものさ!

 

 そんなことを思ってると、俺は玲さんからあることを聞かれた。

 

玲「ところで雲雀丘君。」

昂哉「はい、なんでしょう?」

玲「もしかして雲雀丘力哉さんと克哉君の弟だったりします?」

昂哉「はい、そうですが………」

玲「私、実は克哉君の同級生なんです。あと力哉さんは2個上の先輩でした。」

昂哉「マジですか⁉︎」

明久「もしかして昂哉のお兄さんのこと?」

昂哉「そう!金髪の方!」

明久「マジか⁉︎」

 

 世界って狭いね!それなら兄貴がどんなだったか聞いてみるか〜。

 

昂哉「あの、克哉兄貴はどうでした?同級生の目から見て。」

玲「えっと………あまり服に囚われない人でしたね。力哉さんもですけど。」

昂哉・明久「「えぇ………」」

 

 学校でも服脱いでたんだ。そして、それを『あまり服に囚われない』だけで片付ける玲さんは流石としか言いようがない。

 

 そんな事を思ってると、

 

玲「では、今度から雲雀丘君……だとお兄さんと紛らわしいので、昂哉君に私が聞きたい事があります。」

 

 今度は俺が質問される番になった。

 

昂哉「はい、なんでしょう?」

玲「アキくんはゲームを………しているようですね。」

 

 ん?ゲームが何かまずいのかな?

 

明久「あはははははは‼︎姉さんは疲れて幻覚でも見てるんじゃないかな〜?」

 

 明久の壊れっぷり………理由は知らないけどかなりマズいみたい。だったらここは助け舟を出すか!

 

昂哉「玲さん、もしかして明久がやるゲームの時間を制限してたとか、ですか?」

玲「はい、そうです。一人暮らしの条件として、ゲームは1日30分までとしております。」

明久「あぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 わぉ!どっかの県の条例よりキツイね、それ!

 

昂哉「なるほど、それは知りませんでした。ではこれについては、その事を知らずに俺が明久をゲームに付き合わせたということで、どうか許してもらえますか?」

明久「昂哉……っ!」

玲「なるほど、それなら分かりました。ではアキくん、今後気をつけて下さいね。」

明久「は〜い!」

 

 分かってもらえたようで何よりだ!それと、今ので明久に大きな恩を売れたぜ!やったね!

 

玲「それと、もう一つ質問があります。」

昂哉「はい、なんでしょう?」

玲「アキくんは不純異性交遊をしていますか?先程の方とか怪しいのですが………」

明久「なっ⁉︎さっきの人は本当に関係ないから‼︎」

 

 不純異性交遊ね〜。

 

昂哉(裏声)「実は私、なんです‼︎」

明久「はぁ⁉︎」

玲「なるほど、それでは不純異性交遊の現行犯として-200点減点します。」

明久「姉さん姉さん‼︎コイツ男だから‼︎騙されないで‼︎

玲「そうなのですか?」

明久「そうなの‼︎あと昂哉は変な事言うと木下さんに日頃の悪事をチクるよ?」

昂哉「男です。」

玲「なるほど、それなら良かったです。」

 

 明久、それは卑怯だぞ。それ言われると従うしかないじゃないか‼︎

 

 あと、一個気になった事があるんだよね〜。

 

昂哉「それと他人の家庭の事情に首突っ込むようですいません。さっきの点数は何ですか?」

玲「これはアキくんの生活態度や勉学の結果から評価を下し、点数化するものです。最終的にその点数が一定値に満たなかった場合は、アキくんに一人暮らしは不敵であるという結論を母さんに報告します。」

明久「嘘でしょ⁉︎」

 

 なるほどね〜。なかなかいい指標だね!

 

昂哉「なるほど!ちなみにそれが何点以下になるとアウトなんです?」

玲「期末テストの点数が明確になった時点での総計が0点以下であった場合です。」

昂哉「なるほど、それは分かりやすくていいですね!」

明久「ああ………」

 

 あと、明久が勉強する羽目になったね。可哀想!

 

昂哉「それと明久、隣のビッチに勉強を教えてもらえば?」

明久「それじゃあ不純異性交遊に………はならないか……」

玲「参考までに言いますと、異性と手を繋いだ場合が100点減点ですね。」

 

 随分と基準が厳しいな、オイ‼︎俺の点数なら余裕だけど、明久だと3・4教科分の点数に相当するね。

 

明久「それ完全にアウトじゃん‼︎じゃあ昂哉、教えてよ〜。」

昂哉「テスト前に教科書軽く見直す!これだけでだいぶ違うと思うよ?」

 

 ちなみに俺はこれだけで学年10位ぐらいでした!今は優子からの解放のためにもっと勉強してるけどね。

 

明久「それだけで僕がこの減点ラッシュに耐えられると思う⁉︎」

昂哉「まあ、厳しいか………」

玲「確かに、アキくんには難しいですね………」

 

 まあ人には向き不向きがあるしね〜。

 

昂哉「じゃ、とりあえずしばらく真面目に勉強してみたら?俺で良かったら力になるし。」

明久「うん、そうするよ!」

玲「昂哉君、ありがとうございます。」

昂哉「いえいえ、困った時はお互い様なんで〜!」

 

 ちなみにこの言葉の意味は、俺が困ったら明久を何の躊躇いなく利用する、という意味です!

 

 さてと、用も済んだし…………

 

昂哉「んじゃ、俺はそろそろ用事があるんで帰りますね〜。」

明久「用事?」

昂哉「ちょっとね。んじゃ、さようなら〜。」

明久「バイバイ!」

玲「さようなら。」

 

 帰りますか!まあ姉弟水入らずの時間も過ごして欲しいしね。

 

 

 

 

 そして週明け、俺は登校すると、教室に……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄二「明久の奴、絶対許さねえ………」

 

 裸ワイシャツにパンツという格好をした雄二が居た。




 ということで、期末テスト編、開幕です!平気でパンイチや全裸になる兄貴たちのせいで、バスローブの玲が霞んでしまいましたね。あと、さらっとビッ千華が明久の隣に住んでる事が判明しましたね。

 次回は昂哉が明久の事情を知ってる影響で、原作をかなりカットします。昂哉が事情を言えば一発なので。どのくらいカットするかはお楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第四十八問 天然の美魔女

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 朝俺は登校してくると、教室に、

 

雄二「明久の奴、絶対許さねえ………」

 

 裸ワイシャツにパンツという格好をした雄二が居た。

 

昂哉「どうしたの、雄二?俺の兄貴たちの真似をしたいのならもっと脱がないと。」

雄二「なわけないだろ‼︎明久のせいで酷い目に遭ったんだよ‼︎」

昂哉「明久のせい?」

 

 一体奴は何をしたんだろう?

 

雄二「これが明久からのLINEだ。」

 

 そして明久からのLINEを見ると………

 

明久(LINE)『雄二の家に泊めてもらえないかな。今夜はちょっと帰りたくないんだ。』

 

 なんか凄い事が書いてあった。

 

昂哉「やっぱり明久×雄二だったか………。ならこの間の議論は失敗だね。」

雄二「なわけないだろ‼︎」

昂哉「もしかしてテンション上がって脱いだ感じ?」

雄二「違えよ‼︎翔子に脱がされたんだ‼︎」

 

 なんだと⁉︎

 

昂哉「Fクラスの諸君‼︎坂本雄二は霧島翔子に服を脱がされたそうだ‼︎」

Fクラス男子「「「「「なんだって〜⁉︎」」」」」

須川「これより、異端審問会を始める‼︎まずは罪人、坂本雄二を捕らえろ‼︎」

Fクラス男子「「「「「はっ‼︎」」」」」

雄二「テメェ、ふざけんじゃねえ‼︎」

 

 面白かったので売っておいたぜ‼︎

 

 

 

 雄二が皆にボコられた後、俺は改めて雄二の話を聞いた。

 

昂哉「んで、何があったの?俺は優しいからちゃんと話を聞いてあげるよ。」

雄二「人の事をクラスの連中に売る奴のどこが優しいかはさておき、翔子はあのLINEを俺の浮気と捉えたんだ。」

昂哉「なるほどなるほど。で、なんで脱がされたの?」

雄二「最初は『…浮気の証拠は携帯に残ってる。』とか言って俺の携帯をズボンから取るためにズボンを脱がすはずだったのだがな。」

昂哉「翔子だけに?」

雄二「うるせえ。んで、俺が素直に携帯を渡したらこのLINEを見られた。」

昂哉「で、浮気の罰的な?」

雄二「その通りだ。」

 

 彼女はどうやら自分の欲望を罰という形を利用して叶えたわけだね。可哀想に。

 

昂哉「それはお疲れ‼︎ 」

雄二「ああ。」

 

 俺が雄二を労ってると、

 

明久「おはよう、2人とも………って変態が2人居る⁉︎」

 

 当の本人がやって来た。

 

雄二「明久‼︎コレはテメェのせいだぞ‼︎」

昂哉「それに俺はいつも通りでしょ⁉︎」

明久「雄二は意味分かんないし、昂哉はいつも通り変態だね‼︎」

 

 このバカが‼︎そんな奴には…………

 

昂哉「Fクラスの諸君、よく聞け‼︎」

明久「急にどうしたの?」

雄二「また変な事をやるつもりじゃないだろうな?」

 

 お仕置きだ‼︎

 

昂哉「明久はエッチなお姉さんに脅されているんだ‼︎今度の期末テストの成績が悪かったら一人暮らしをやめて同棲するって‼︎」

Fクラス男子「「「「「なんだって〜⁉︎」」」」」

明久「ちょっと昂哉‼︎変な風に言わないでよ‼︎」

 

 別に合ってるんだからいいでしょ。さて、更に追撃だ‼︎

 

昂哉「しかも明久の家の隣には勉強を教えてくれるビッチな先輩が住んでるんだ‼︎」

Fクラス男子「「「「「なんだって〜⁉︎」」」」」

明久「だから言い方‼︎」

須川「これより、異端審問会を始める‼︎まずは罪人、吉井明久を捕らえろ‼︎」

Fクラス男子「「「「「はっ‼︎」」」」」

明久「やめてぇぇぇぇぇぇ‼︎」

 

 更にはバーサーカー2人までやって来た。

 

島田「アキ、今のどういう事?

姫路「そんな危険なお姉さんたちと関係を持ってはいけませんよ?

明久「皆、これは誤解なんだって‼︎」

昂哉「ちなみに俺もその場に居てちゃ〜んと目に焼き付けてるからね‼︎これは紛れもない事実さ‼︎」

雄二「証人が居るのか。ならこれは揺るぎない事実だな。」

明久「昂哉、テメェ〜‼︎」

 

 別に何も嘘は言ってないんだけどな〜。

 

 

 

 

 

 明久が拷問された後、俺はいつものメンバーに事情を説明した。

 

昂哉「という事で明久はさっきの通りなので、皆協力してくれるかな?」

明久「昂哉の言い方が悪すぎるんだよ………。まずビッチって言うのはテニスの時居たタバコ吸ってた人。」

姫路「ああ、あの人ですか………」

島田「めちゃくちゃ感じ悪いじゃない。」

昂哉「でも自分のためになるから勉強だけは教えてくれるんだって。」

秀吉「意外と優しいのじゃな。」

雄二「理由はかなり利己的だが。」

 

 それな。まあ自己犠牲なんて言葉はアイツには似合わないからね。

 

昂哉「あと、エッチなお姉さんってのは明久の実の姉で、めちゃくちゃナイスバディーなんだ。」

島田「その単語聞くとめちゃくちゃムカつくんだけど‼︎」

明久「美波、何で?」

島田「アキがテニスの時にウチにその掛け声をしたからじゃない⁉︎」ドゴォ‼︎

明久「痛ったぁぁぁぁ⁉︎」

 

 テニスの件で明久が蹴り飛ばされた。ウケる〜w

 

昂哉「んで、後半も全部本当ね。だから明久は今お姉さんから一人暮らしの自由を奪われないために頑張ってるのさ。」

ムッツリーニ「………なるほどな。」

姫路「そうだったのですね………」

雄二「だからといって俺の家に泊めてくれはおかしいだろ。」

明久「姉さんは前に言った通りちょっと変わってるんだよ〜。だからあんまり一緒に居たくなくて………」

 

 その気持ちめちゃくちゃ分かる。俺も兄貴たちの側に居たくないしね。

 

雄二「そういうことか。なら俺の家で勉強会でもするか。」

明久「助かるよ〜、雄二‼︎」

 

 ということで、雄二の家で勉強会をする事になりました‼︎

 

雄二「んで、誰が来るんだ?」

昂哉「はい‼︎」

ムッツリーニ「………行くか。」

秀吉「ワシも1人じゃ勉強出来んからのぅ。」

島田「う、ウチも行くわ‼︎」

姫路「私も行きます‼︎」

久保「僕も行くよ。」

雄二「んじゃ、このメンツで決まりだな。よし、それじゃあまた放課後よろしくな。」

雄二以外「「「「「は〜い!」」」」」

 

 若干一名何故ここにいるか分からない人が居たけど気にしないでおこう。きっと明久の顔でも見に来たのだろう。

 

久保「……土屋君、例の枕カバーを……」

ムッツリーニ「………承知した……」

 

 今ので目的が分かったよ。きっと明久の枕カバーでも頼んだんでしょう。なんかムッツリーニは謎に大荷物持ってるし。俺も秀吉のグッズを作って欲しいという思いはあるが、バレてこの間みたいに喧嘩するのが嫌だからやめているよ。

 

 

 

 

 

 そしていよいよ放課後、俺たちはいつものメンバー+久保で雄二の家に辿り着いた。ちなみに雄二はなんとか霧島にズボンを返してもらえたらしい。あと久保が居るとの事なのでビッ千華を呼んだはいいんだが………

 

久保「急に用事を思い出してね。僕はこれで失礼するよ。」

 

 まさかの久保が帰ってしまった。

 

昂哉「ざ〜んねん!」

千華「まあ別にいいわ。急な用事くらいいくらでもあるもの。」

明久「意外と動揺しないんですね。」

千華「まあね。」

姫路「え、えっと………」

島田「あ、あの…………」

 

 あと、俺と明久以外はテニスの時以来会ってなかったから印象は悪いままだったわ。完全に忘れてた。

 

千華「ん?別にテニスの時の事なんて何も思ってないわよ。あん時はお互いに勝つために最善を尽くしただけでしょ。いじめるつもりなんてないから安心しなさい。」

姫路・島田「「は、はい………」」

 

 まあ見た目は割と怖いし先輩だから女子2人は警戒するよね〜。というかダブルスで当たってるし。ここは俺が雰囲気を和ませてあげるか‼︎

 

昂哉「それに、こんなビッチの事を怖がるなんて無駄無駄‼︎」

千華「アンタはいちいちうっさいわね‼︎」

 

 何故かキレられた。

 

明久「昂哉と一緒みたいなもんだよ‼︎」

雄二「そうだな。」

昂哉・千華「「殺すぞ。」」

明久・雄二「「ひぃ〜w」」

 

 ごめん、キレた理由が分かった。

 

 

 それはさておき、いよいよ雄二の家に突入だ‼︎

 

雄二「んじゃ入ってくれ。」

雄二以外「「「「「お邪魔しま〜す‼︎」」」」」

 

 そう全員で言ったものの、返事は無かった。

 

明久「ねえ雄二、家には誰も居ないの?」

雄二「ああ。親父は仕事でおふくろは高校の同級生達と温泉旅行らしい。だから何も気兼ねせずゆっくりしてくれ。」

 

 マジかよ。それでいいんだ。

 

明久「そういえば前に来た時も雄二の家族は留守だったよね。」

 

 そうなんだ。俺はここ来るの初めてだから知らなかったよ〜。

 

雄二「ああ、その方が都合がいいからな。色々と……」ガチャ

 

 そう言いながら雄二はリビングと思われる部屋のドアを開けると……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪乃「…………」プチプチプチプチ

 

 部屋を埋め尽くさんばかりのプチプチを潰している女の人が居た。

 

雄二「………」バタン

 

 それと、思わず雄二もドアを閉めたようだ。

 

明久「雄二、今の人って?」

雄二「赤の他人だ。」

島田「さ、坂本の母親なの?なんだか凄い量を潰してたわよ……」

秀吉「あれほどの量、費やした時間はおそらく一時間や二時間ではきくまい。」

ムッツリーニ「………凄い集中力。」

姫路「坂本君のお母さんはそういうお仕事をされているのでしょうか?」

昂哉「変わった仕事だね〜。」

雄二「恐らく精神に疾患のある患者が何らかの手段でここに侵入したに違いない‼︎なにせ俺のおふくろは温泉旅行に行ってるはずだからな‼︎」

千華「なわけないでしょ。」

 

 コイツが珍しく下手な嘘をつくとは。確かお母さんがヤバい人って前軽く言ってたけど、もしかしたらあの人なのかな?

 

雪乃「あら、もうこんな時間。さっき雄二を送り出したというのに。」

 

 どうやら八時間近くやってたらしい。あと雄二のヤバいお母さんってこの人の事らしい。

 

雪乃「続きはお昼を食べてからにしましょう!」

 

 しかもまだ続けるつもりらしい。

 

雄二「おふくろ、何やってんだ⁉︎」バン‼︎

 

 そして耐えかねた雄二がドアを開けて雄二のお母さんにそう言い放った。

 

雪乃「あら雄二、お帰りなさい。」

 

 そう言って振り向いた雄二のお母さんは、かなり綺麗………というより可愛らしかった。下手したら兄貴たちと同い年くらいでもおかしくないくらいに。優子と付き合う前だったら間違ってナンパしそうなくらいだ。

 

雄二「お帰りじゃねぇ‼︎なんで家にいるんだよ‼︎今日は泊まりで温泉旅行じゃなかったのか⁉︎」

雪乃「それがね、お母さん日付を間違えちゃったみたいなの。7月と10月ってパッと見ると数字が似てるから困るわね〜。」

 

 なんか兄貴たちや玲さんとは別の意味でヤバい人だね。度の過ぎた天然じゃん。

 

雄二「どこが似てるんだよ‼︎数字の桁どころか文字数も合ってないだろ‼︎」

雪乃「こら雄二、またそうやってお母さんを天然ボケ女子扱いして♪」

雄二「サラッと図々しい事をぬかすな‼︎あんたの黄金期は十年以上前に終わってるんだよ‼︎」

 

 正直終わってないと思う。童顔がタイプの俺がちょっと引っかかるくらいだから。

 

雪乃「あら、お友達かしら?」

雄二「人の話を聞けー‼︎」

雪乃「皆さんいらっしゃい。うちの雄二がいつもお世話になっております。私はこの子の母親の雪乃と言います。」

 

 それにしても、雄二が雪乃さんに振り回されてるのめちゃくちゃ面白いね〜。玲さんに振り回される明久といい、どんどんネタにしてやるとするか‼︎

 

島田「さ、坂本の母親って若過ぎない⁉︎」

秀吉「とても子を産んでおるとは思えん……」

ムッツリーニ「………美人。」

姫路「まるでお姉さんみたいですね。」

昂哉「彼女が居なかったらナンパしてたかもしれないっす!」

明久「昂哉よりも若いんじゃないかな?」

千華「それな。」

昂哉「シバくぞ。」

 

 流石に俺の方が老けて見えたら最悪だよ‼︎

 

 そんな事を思ってると、

 

雄二「み、皆。とりあえずおふくろは見なかったことにして俺の部屋に来てくれ………」

明久「う、うん。それじゃあお邪魔しま〜す!」

雄二・明久以外「「「「「お邪魔しま〜す!」」」」」

雪乃「皆さん、後でお茶持っていきますね〜。」

 

 雄二が雪乃さんとの会話をシャットアウトしたため、俺たちは雄二の部屋に向かった。

 

 

 

 

 雄二の部屋に着くと、そこは思ったよりシンプルな部屋だった。

 

雄二「ここが俺の部屋だ。入ってくれ。」

昂哉「うお〜、綺麗だ〜‼︎」

 

 片付け出来ないどっかの誰かさん*1の部屋とは違うね。

 

明久「そういや雄二の部屋に久しぶりに来たよ。」

秀吉「ワシもじゃ。」

ムッツリーニ「………同じく。」

島田「え?アンタたちはよく来てるんじゃないの?」

明久「大抵は僕の家に集まってたからね。雄二の家だけじゃなくて、ムッツリーニや秀吉の家でもあまり遊んだ事は無いんだよ。昂哉の家に至ってはまだ行ったことないし。」

 

 ちなみに俺は雄二の家は今日が初で、ムッツリーニの家はまだ行った事ないよ。秀吉の家は幼馴染みだからめちゃくちゃ行ってるけど。

 

雄二「場所といい広さといい、明久の家は都合がいいからな。」

姫路「家庭用マンションで一人暮らしですもんね。贅沢です。」

千華「アタシなんて同じ部屋で4人暮らしよ。ホント贅沢者ね。」

明久「食生活を除けばですけどね。」

 

 自分で自分の首絞めてるだけでしょ、それ。あとビッ千華は家族居るんかい‼︎もしや4人とも隣人である明久の事を知らないのかな?

 

 

 

 

 そんな事を思ってると、島田がある話題に触れた。

 

島田「というか雲雀丘は何で初なの?てっきりアキたちとずっと一緒にいるもんだと思ってたけど………」

 

 そういや島田は仲良くなったのが一番最後だからね。知らないのも無理はない。

 

昂哉「元々俺1年の時はクラスが別じゃん?」

島田「確かに。」

 

 秀吉、明久、雄二、ムッツリーニ、島田が同じクラスで、姫路と俺が同じクラスだからね。

 

昂哉「んで、実はこの5人とはそれぞれ別のところで知り合ってるんだよね。秀吉は幼馴染み、姫路はクラスメイト、ムッツリーニは商売仲間、明久と雄二は生徒指導室仲間ってね。」

島田「生徒指導室仲間って……」

雄二「よく問題起こしてたから度々生徒指導室で会ってたんだ。」

島田「流石ね………」

 

 ホントにしょっちゅう問題を起こしてたからね。

 

昂哉「それと、1年の時ってこの中だと秀吉と姫路くらいしかよく一緒に遊んでないんだよね〜。明久の家も2・3回くらいしか行ってなかったし。」

姫路「1年生の時は私と雲雀丘君がずっと一緒に居ましたからね。付き合ってるなんて勘違いされる事もよくありましたよ。」

千華「そりゃされるわよ、ずっと一緒に居たら。」

島田「ですね………」

秀吉「昂哉は謎に人脈があるからのぅ。」

 

 まあ色んな人と関わってるからね。

 

 

 

 

 そんな事を思ってると、雄二が話題を変えた。

 

雄二「それはそうと、やっぱりこの人数で俺の部屋は狭過ぎるか……」

 

 確かに。6畳の部屋に8人ははっきり言って多いよね。

 

明久「居間じゃダメかな?」

雄二「ダメじゃないがおふくろがいるからな。勉強にならない可能性が高い。」

姫路「もうっ、ダメですよ、坂本君!お母さんを邪魔者にして!」

雄二「そうは言うがな、お前はあのおふくろと一緒に暮らしていないからそんな事が言えるんだ。四六時中一緒にいるとツッコミどころが多過ぎて………」プルルル

 

 ん?誰の電話が鳴ったんだろう?

 

島田「あ、ウチの携帯ね。ちょっとごめん。」

 

 島田か。

 

島田「もしもし?あ、Mut……お母さん、どうしたの?………うん?……うん……そう、分かった。」

 

 ん?島田は何の話をしてたんだろう?

 

明久「美波、何かあったの?」

島田「うん………今週は仕事が休みだからって母親が家にいるはずだったんだけと、急に仕事が入って家にいられなくなったみたい。」

 

 わお!仕事って大変だね‼︎やっぱり働くもんじゃないな‼︎

 

明久「あ、そうなの?それじゃあ葉月ちゃんが家に1人ってこと?」

島田「そうね。だから悪いけどウチは帰るわ。勉強会はまた今度ね。」

 

 ありゃりゃ、そりゃ残念………って待てよ⁉︎ならこうするか!

 

昂哉「それなら島田の家と雄二の家の2グループに分けるのはどうかな?」

雄二「確かに、それはいいな。」

 

 これならちょっと分かれちゃうけど、うまく勉強会は出来るよね!

 

島田「え?ウチの家?」

秀吉「それは良いのぅ。島田の妹とは先輩以外全員顔見知りじゃし、丁度雄二の部屋は手狭だったところじゃしな。」

姫路「葉月ちゃんとも会えますしね。」

ムッツリーニ「………なんなら夕飯を作る。」

明久「美波さえ良かったらどうかな?」

島田「う………そうね………」

 

 まあ流石に急に言われちゃあ困るか………

 

島田「じゃ、じゃあウチの家もOKね!」

 

 でも賛成はするんだ‼︎良かった‼︎

 

島田「ただし!絶対ウチの部屋に入っちゃダメだからね‼︎」

 

 何その制約条件。もしかして島田の部屋って優子よりも汚いのかな?

 

 それはともかく、許可が降りたらやる事は一つだ‼︎

 

昂哉「よし、じゃあ今から隊を2つに分ける‼︎島田隊は島田、明久、姫路、ムッツリーニ‼︎そして雄二隊は雄二、秀吉、俺、ビッ千華で‼︎」

雄二「おいおい、随分強引に決めたな。」

島田「でもそれがいい感じじゃない?」

ムッツリーニ「………確かに。」

千華「アタシは美波の妹を知らないしね。」

明久「じゃあそれで‼︎」

 

 ということで、見事2つに分かれました‼︎やったね‼︎

 

 

 

 

 

 明久たちを見送った後、俺たちはいよいよ勉強会を始めた。

 

雄二「さて、ビッ千華のお手並み拝見といくか。」

昂哉「だね!」

千華「アンタらマジでぶっ飛ばすわよ?」

昂哉・雄二「「おお怖い。」」

秀吉「お主ら、先輩に対する態度じゃなかろぅ……」

千華「その通りよ‼︎」

昂哉・雄二「「えっ?」」

千華「もう一度ちゃ〜んと言わないと分からないのかしら?」

 

 やっぱりビッ千華っていちいち反応してくれるから面白いよね〜w

 

千華「それはともかく、アタシのお手並み拝見と行く前に、ちょっとトイレ行ってくるわ。」

昂哉「ほ〜い。」

雄二「部屋を出て突き当たりだ。」

千華「ありがと。」

 

 そう言ってビッ千華はトイレに行った。

 

 

 

 

 数分後、

 

千華「ただいま。」

 

 ビッ千華はトイレから戻ってきた…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「急に押しかけてごめん、坂本。お邪魔します。」

 

 悪魔を携えて。

*1
優子




 ということで、雄二の裸ワイシャツの件から雄二の家の件までイッキに飛びました。昂哉が事情を普通に話したせいで明久が皆から怪しまれる事が無くなったため、全員で玲さんと話す件が丸々省略されております。

 また、昂哉がそのまま雄二の家に残ったことにより、原作とは展開がかなり変わります。島田家はカットで、霧島家+αをやる展開です。どうなるかは次回からのお楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第四十九問 ビッチの力

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 ビッ千華はトイレから…………

 

千華「ただいま。」

優子「急に押しかけてごめん、坂本。お邪魔します。」

 

 悪魔を携えて戻って来た。

 

昂哉「あの〜、これはどういう状況で?」

秀吉「わ、ワシは姉上の事を呼んだ覚えはないのじゃ……」

雄二「俺もだな。」

千華「アタシが呼んだのよ。」

 

 こいつのせいかよ‼︎

 

昂哉「ざけんな‼︎勝手に呼ぶなし‼︎」

千華「だってアタシを呼んで彼女である優子を呼ばないっておかしくな〜い?」

昂哉「別におかしくないでしょ⁉︎コイツめっちゃ怖いの‼︎分かる⁉︎」

千華「優子はアタシには逆らわないから怖くないわよ?」

昂哉「そりゃお前はな‼︎そうだ秀吉、お前からも何か言ってあげなよ‼︎」

秀吉「姉上、呼ばなくてすまんのぅ。」

優子「別にいいわよ。」

昂哉「だったら家主から‼︎」

雄二「木下、このテーブルは見ての通り正方形で1人分スペースが足りないから、昂哉の隣に入れてもらえ。」

優子「わ、分かった……///」

昂哉「ざけんなぁぁぁぁぁ⁉︎」

 

 こうして束の間の自由さえも無くなった…………

 

 

 

 

ーーーーーーー座り方ーーーーーーー

 

      ビッ千華

 

 雄二  テーブル(正方形)  秀吉

 

      昂哉 優子

 

 

 

 

 しかもよりによってこの座り方かよ…………。優子が近いからドキドキするし‼︎ももももちろん、いつ殺されるか分からないという意味でな‼︎

 

雄二「んじゃ、始めるか。」

千華・秀吉「「ほ〜い。」」

昂哉「おい‼︎ざけんな‼︎」

優子「ご、ごめん昂哉……///」

 

 ったく!そういう素直に謝るのやめて‼︎文句が言えなくなっちゃうじゃん‼︎

 

昂哉「分かった分かった!誘わなくてごめんね!それじゃあとりあえず始めるよ!」

優子「うん………///」

雄二「狭いなら昂哉の膝の上に乗るのもありじゃないか、木下?」

秀吉「確かに、それはいいのぅ!」

昂哉「それ俺が勉強出来なくなるから無し。」

 

 スペース的にね。優子と俺の勉強道具を置く場所が被っちゃうしね。

 

千華「アンタってど〜せ勉強しないんだからいいでしょ。」

昂哉「俺は優子から解放されるために必死に勉強しなきゃいけないの‼︎」

雄二「よし木下、昂哉に嘘を教えてやれ。」

昂哉「それやると霧島がもれなくついてくるけどいい?」

雄二「すまん、俺が悪かった。」

 

 雄二だって俺とやってる事変わらないくせにな〜。そんな事を思いながら、俺たちの勉強会は始まった。

 

 

 

 

 しばらくすると、ある事実が判明した。

 

千華「え〜と、ここの部分はこう分けてから訳すと分かりやすいわよ。」

雄二「なるほど、確かにそうだな。」

優子「先輩、この部分が中々覚えられないのですが………」

千華「日本史や世界史に使える技なんだけど、一つの国で起こった出来事を時系列順にまとめると覚えやすいわよ。」

優子「ありがとうございます!」

秀吉「ぬぅ〜、勉強飽きたのじゃ〜!」

千華「ところでアンタって何が好きなの?」

秀吉「演劇じゃ‼︎」

千華「だったら語学系の科目は台本だと思えばやる気が出るんじゃない?」

秀吉「確かに、そうじゃのぅ‼︎」

 

 ビッ千華がめちゃくちゃ教えるのが上手いのだ。正直コイツの事だから教えるの下手だと思ってたよ…………

 

昂哉「ほ〜、お前教えるの上手かったんだ‼︎」

千華「そう?」

雄二「そうだな。正直めちゃくちゃ助かってる。」

秀吉「ワシもなのじゃ。」

千華「それなら良かったわ。」

 

 皆からも好評みたい。

 

優子「本当にいつもありがとうございます。」

千華「アタシは理系科目が苦手だからお互い様よ。」

 

 いつも?

 

昂哉「どういう事、優子?」

優子「アタシは結構先輩に文系科目を教わってるのよ。」

千華「代わりに理系科目はアタシが教わってるわ。」

昂哉「なるほどね〜。」

 

 あの連絡先交換が意外と役に立ってたんだね。

 

雄二「ん?木下は3年の内容分かるのか?」

優子「数学なら大学の工学部2・3年レベルまで分かるわ。物理と化学も大学1年レベルまでいけるし。」

千華「だから高3程度は余裕なんだって。」

昂哉「というか雄二は如月グランドパークでその力を見てたでしょ。」

雄二「確かにそうだったな………」

 

 優子の理系科目に関してはぶっちゃけ教師超えだね。まあ物理は、

 

昂哉「先生、優子ってケツ先生より物理出来ると思うんですけど。普段の点数はやっぱりおかしいんじゃないでしょうか?」

家角「俺が木下に負ける事なんて万が一にも有り得ないはずだからな。」

昂哉「そうなんです?」

家角「ああ。もし俺より点数が高くなりそうな時があったら、その時は必ず不正をしているはずだ。そんな奴を減点するのは当然の事だろう?むしろ減点程度で済ませている俺は寛大な人間と言えよう。」

 

 ケツ先生に不当に減点されてるんだけどね。そのせいで優子はケツ先生にどう頑張っても点数で勝てないという。正直可哀想。

 

 

 

 

 そんな事を思ってると、雄二が話題を変えた。

 

雄二「そういや、皆って勉強する時に音楽を聴いたりするのか?」

 

 おお。これは結構意見が分かれる話だね〜。

 

昂哉「俺は聴く派だね〜。」

千華「アタシも〜。」

秀吉「ワシもじゃ。」

優子「アタシは………聴いたり聴かなかったり……」

雄二「なるほどな。せっかくだから気分転換に皆の音楽でも聴きながらやるか。」

 

 確かにそれ良さそう!それに、人の趣味も分かるしね!

 

昂哉・優子・千華「「「賛成‼︎」」」

秀吉「ワシもいいと思うぞい!」

雄二「よし、じゃあ最初は………まともそうな秀吉とかどうだ?」

 

 ナイス、雄二‼︎

 

昂哉「大賛成‼︎秀吉のスマホに入ってる曲が気になるしね‼︎」

秀吉「ワシのスマホにはオペラが入ってるぞい。」

 

 わお!秀吉らしいね!

 

雄二「よし、じゃあそれにするか。」

優子「秀吉、なんか好きなやつかけて〜。」

昂哉「わぁ^〜、秀吉の曲か〜♪」

秀吉「では『セビリアの理髪師』に………」

千華「待って。」

 

 ビッ千華が急に横槍入れて来たんだけど………

 

昂哉「何だよビッ千華⁉︎秀吉の曲の邪魔をするんじゃない‼︎」

千華「一つ木下………だと優子と紛らわしいから秀吉に聞きたいことがあったから止めたのよ。」

秀吉「ワシにか?」

千華「そうよ。」

 

 なるほど、あのことか!

 

昂哉「秀吉の性別を気にしてるのかな?」

千華「なわけないでしょ。」

 

 どうやら違ったみたいだ。

 

千華「アタシが聞きたいのはアンタがかけようとしている曲の長さよ。」

 

 その事かい‼︎

 

昂哉「俺は曲の長さなんて気にしない‼︎むしろ長い方が秀吉の好みを充分に味わえるからね‼︎」

雄二「ちょっと長いくらい問題ないだろ。」

千華「アンタらは別にどうでもいいの。で、オペラとかって割と演奏時間が長い気がするんだけど、その曲はどのくらいかかるの?」

 

 別に俺は10分くらいかかろうが気にしないんだけどな〜。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秀吉「2時間半じゃが。」

 

 えっ?思ったよりめちゃくちゃ長いんだが………

 

千華「やっぱりオペラならそんくらいはかかるわよね。」

秀吉「そうじゃの!」

雄二「秀吉、流石に長過ぎるぞ。」

昂哉「うん………」

優子「もっと短いのはないの?」

秀吉「これでも少し短い方じゃぞ。長いのだと4時間かかるのもあるぞい。」

 

 マジかよ。それ短い方なんだ………

 

雄二「すまん秀吉、お前のはパスでいいか?」

昂哉「せっかく話振ったのにごめんね。」

秀吉「まあいいぞい。」

 

 ということで、秀吉の音楽はパスになりました。

 

 

 

 

 それじゃあ他の人に振るか〜。

 

昂哉「んじゃあ、次は雄二で。」

雄二「ほ〜い。」

秀吉「ちなみに雄二はどんな曲なのじゃ?」

雄二「俺は普通のロックだ。」

昂哉「ロックね〜。」

千華「それなら時間的にも丁度いいわね。」

優子「んじゃ、お願い。」

 

 さてと、雄二は普通のロックか〜。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霧島『わ〜たしの雄二は〜♪わ〜たしのもの〜♪』

 

 ゆったりとしたテンポの、霧島のアカペラ*1が聞こえてきた。

 

昂哉・優子「「普通のロック?」」

千華「どう考えても異常でしょ。」

秀吉「そもそもロックじゃないぞい。」

雄二「クソ‼︎翔子のヤツ、機械音痴のくせにまた勝手に携帯をいじりやがったな‼︎全く、俺のロックはどこ行ったんだ⁉︎」

 

 もしや俺が知らないだけで、これがロックなのかもしれないね。

 

 

 

 

 それはともかく、雄二はダメそうだから他の人に変えるか〜。

 

昂哉「んじゃ雄二はパスして、次は優子ね〜。」

優子「わかったわ。」

秀吉「姉上の音楽はどんなのか想像しやすいんじゃが……」

千華「奇遇ね。アタシも予想がつくわ。」

昂哉「俺もだね。」

 

 そして優子は、

 

男キャラ×6『DOKIDOKIで壊れそう1000%Love、HEY‼︎』

 

 予想通りの曲を流した。

 

秀吉「姉上らしいのぅ。」

昂哉「だね!」

雄二「確かに腐女子が好きそうな曲だな。」

優子「あぁ^〜♪」

 

 優子はいかにも幸せそうな顔で少し上を向いていた。この様子だと、曲以外の事何も考えて無さそうだね。

 

千華「ねえ、アタシら4人はいいけど、優子は勉強に集中出来るの?」

昂哉「こりゃ無理だね。」

優子「い、いや、はい!出来ます‼︎」

 

 急に現実に戻って来たかのような応答をしても説得力無いよ?

 

雄二「無理だな。」

秀吉「無理じゃの。」

昂哉「よぉ〜し、それじゃあ優子が集中するために、この曲は止めるね〜。」 ポチッ

優子「そんなぁぁぁぁ⁉︎」

 

 こうして、俺は優子の曲を止めた。

 

 

 

 

 さてと、残ったのは俺とビッ千華か〜。

 

雄二「んじゃ、次は昂哉の曲だな。」

昂哉「ほ〜い♪」ポチッ

 

 そして、俺は自分のスマホにある曲を、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男キャラ『さあ、皆一緒に〜♪』

男キャラ×2&ふたなりキャラ『スケベが大好き〜♪』 ポチッ

 

 流した瞬間に優子に切られた。

 

昂哉「ちょっと優子‼︎勝手に曲を止めないでよ‼︎」

優子「アンタこの曲じゃ絶対集中出来ないじゃん‼︎」

昂哉「出来ますぅ〜♪」

千華「アタシは無理ね。」

秀吉「ワシもじゃ。」

雄二「俺もだな。」

優子「だそうよ。」

 

 なるほどね〜。

 

昂哉「っていうことは、皆やっぱりスケベが大好きなんだね♪流石妻帯者と腐女子とビッチと秀吉♪」

秀吉「ま、まあ、否定はせん……///」

千華「優子、コイツをシバいてくんない?」

雄二「俺からも頼む。」

優子「分かりました。」

昂哉「ちょっと優子、流石にそれは酷くない⁉︎いくら自分の音楽が止められたからってさ!」

優子「そ、それは根に持ってないわ‼︎」

 

 嘘つけ。絶対根に持ってるでしょ。

 

秀吉「昂哉の理論が適応されるなら、姉上と昂哉でスケベを……」

優子「えっ………?///」

昂哉「嫌だね‼︎」

 

 秀吉、何故君は俺と優子の事を真っ先にエロ方面に走らせるのかな?最近それが気になって気になって仕方ない。

 

 

 

 

 まあとにかく、俺の音楽が止められたのなら他の人に変えるしかないか〜。

 

昂哉「んじゃ、最後はビッ千華だね。」

雄二「メンヘラみたいな曲を流すんじゃねえのか?」

昂哉「多分そうでしょ。それかパリピみたいな曲かな?」

千華「ぶっ殺すわよ?」

秀吉「タバコの曲とかかのぅ?」

千華「いや、違うわ。アタシが流すのはこれよ。」ポチッ

 

 そうしてビッ千華は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女性アーティスト『愛し合う2人〜幸せの空〜♪隣同士あなたとあたしさくらんぼ〜♪』

 

 意外な事に、めちゃくちゃ可愛らしいラブソングをかけた。

 

昂哉・雄二「「えっ⁉︎似合わな⁉︎」」

千華「あぁん⁉︎別にいいでしょ。」

秀吉「可愛らしい曲じゃのぅ。」

優子「もしかして誰かに向けて歌いたい、とかですか?」

千華「アンタ知ってて言ってるでしょ。」

優子「そうですね♪」

 

 意外と優子もビッ千華をイジるんだね。

 

 そんな事を思ってると、ビッ千華が電子タバコを吸いながら変な事を言った。

 

千華「まあアンタが想像している人以外にも、この曲が似合う人たちが居るんだけどね〜w」

 

 う〜ん、もしや!

 

昂哉「さくらんぼ………童貞(チェリー)………雄二か‼︎」

千華「そうなの?まあらしいけど♪」

雄二「ブチ殺すぞ。」

昂哉「霧島と愛し合ってるのも事実だし♪」

秀吉「おお!そうじゃの!」

優子「確かにそうね。」

雄二「おい‼︎それは違えぞ‼︎」

千華「へぇ〜。さっきの歌の子とはまだなんだ〜♪」

雄二「まだじゃなくてこれからもする気はねえ‼︎むしろとっとと別れたい気分だ‼︎」

昂哉・優子・秀吉・千華「「「「へぇ〜w」」」」

 

 あぁ^〜♪人をからかうのってサイコー♪そんなに恥ずかしがるんなら、とっとと霧島の事を認めちゃえばいいのに!

 

千華「まあアタシは違う人に向けて言ったんだけどね〜。」

 

 そう言うビッ千華は俺の方をニヤけながら見ていた。なるほど、そう言うことかよ‼︎

 

昂哉「ふざけんなよビッ千華‼︎俺はチェリーじゃないぞ‼︎俺が昔歌舞伎町レビュアーズとして兄貴たちと一緒に大量の風俗に行き、その度に書いたレビューで名を馳せた事を知らねえのか⁉︎」

千華「いや、知らんし。というかそういう意味で言ったんじゃないし。」

 

 そういう意味じゃない?

 

千華「愛し合う2人幸せの空隣同士あなたとあたしさくらんぼ、っていう歌詞聴いて何も思わないの?」

 

 クソ、コイツめ………‼︎

 

昂哉「俺と雄二はデキてねえぞ‼︎」

雄二「はぁ⁉︎なんだよそれ⁉︎」

優子「えっ?そ、そうなの……?」

千華「アンタバカなの?なんで隣でそっちが出てくんのよ。」

秀吉「そうじゃの。」

昂哉「普通はそうでしょ‼︎」

雄二「なわけねえだろ‼︎どう考えても昂哉と木下の事言ってんだろうが⁉︎」

優子「うっ……///」

 

 マジか………‼︎

 

昂哉「つまり俺は秀吉とデキてるのか〜♪やったね秀吉♪」

雄二「お前バカだろ。」

千華「そうね。」

秀吉「それに、お主の隣はワシじゃなくて姉上じゃろ。」

昂哉「優子は微小なので無視する事が出来る‼︎」

優子「誰のどこが微小だって?

 

 ヤベ、変な勘違いされちゃった‼︎

 

昂哉「ゆゆゆ、優子の存在感が微小って意味だよ‼︎」

優子「どこの?

昂哉「全体的な‼︎頭の先からつま先まで‼︎」

優子「そ、そう………」

 

 これで誤魔化せたかな?

 

昂哉「それはともかく、他の人からそう見られたのなら仕方ないよね、秀吉♪」

雄二「バカを言え。俺は昂哉と木下()()の事を言ったんだ。違うかビッ千華?」

千華「その通りよ。」

秀吉「じゃろうな。」

優子「………///」

 

 全く、コイツらったら‼︎

 

昂哉「それは違うでしょ‼︎確かに現状隣同士だけど、愛し合ってはいないでしょ‼︎」

千華「そう?アンタは自覚してないだけで、満更でもないように見えるけど?」

秀吉「強化合宿から1ヶ月経つのにトプ画を姉上とのツーショットから変えてないしのぅ。」

雄二「これはどう考えても愛し合ってるな。」

千華「それに2人とも顔がさくらんぼみたいに真っ赤になっちゃって♪」

優子「うぅ………///」

昂哉「それは今飲んでる酒のせいだ‼︎」

秀吉「思ったより2人にピッタリな歌詞じゃったな。流石先輩じゃ!」

雄二「だな。」

千華「でしょ♪」

 

 クソ‼︎コイツら、後でぶっ飛ばしてやるからな‼︎そんな事を思いながら雄二の家での勉強会は続いた。

*1
伴奏なし、歌だけの音楽のこと




 ということで、雄二の家での勉強会でした。そしてビッ千華は勉強を教えるのが上手いというね。意外なギャップだったのではないでしょうか?

 それと、作中で登場した曲は、

秀吉→ロッシーニ作曲『セビリアの理髪師』
雄二→『バカテスSPINOUT!』より、優子が秀吉と入れ替わってカラオケに行く回のラストで翔子が歌ってた曲
優子→『うたのプリンスさまっ♪』より『マジLOVE1000%』
昂哉→『異種族レビュアーズ』より『イこうぜ☆パラダイス』
千華→大塚愛の『さくらんぼ』

 です。

 さて、次回からは霧島家の前に、別の人の家に行きます。誰の家に行くかはお楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第五十問  お・か・た・づ・け、出来るかな?

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 翌日俺は学校に着くと、明久に奇妙な事を言われた。

 

明久「昂哉、美波って猿に恋してるんだって。」

 

 その日本語合ってるのかな?もう一回聞いてみよう。

 

昂哉「ごめん、もう一回言って。」

明久「美波って猿に恋してるんだって。」

 

 どうやらそれで合ってるらしい。

 

昂哉「そうだったのか〜。そうなると、島田は俺の兄貴たちよりも守備範囲が広い事になるね。」

明久「だよね〜。まさか人外が好きだったとは………」

 

 いや待てよ?これはもしかしてこういう事かもしれん‼︎

 

昂哉「明久………それって直接は言えないから何かを例えて言ったんじゃないかな?」

明久「例えて?美波の部屋には猿のポスターがあったからそう思ったんだけど………」

 

 何それ。凄い変な趣味だね。でもまあ、それも照れ隠しと捉えればこれが言えるね‼︎

 

昂哉「なるほど〜。でもその猿自体が誰かの代わりだと思わない?」

明久「猿か〜。誰だろう?」

昂哉「ほら、ここに居るじゃん‼︎猿と知能レベルが近い人間が‼︎」

 

 明久の事だね。

 

明久「殺すよ?

 

 どうやら自覚はあったみたいだ。

 

昂哉「自覚あるなら猿から人に進化しないとね!という事で今日も勉強会だ〜!」

明久「まあそうだね。ところで今日はどうする?」

昂哉「う〜んと………」

 

 2人で話していると、そこに姫路と島田が来た。

 

姫路「おはようございます、明久君に雲雀丘君。」

昂哉「はろ〜♪」

島田「おはよ……ってアキ⁉︎昨日のは勘違いだからね‼︎」

明久「そうだったの?」

島田「当たり前でしょ‼︎」

 

 とうやら島田は猿好きでは無いらしい。

 

 まあそれはさておき、本題に入るか!

 

昂哉「んで2人とも、今日も明久と一緒に勉強会やらない?」

姫路「誘って下さるのは嬉しいのですが………」

明久「ん?」

昂哉「何かあるの?」

島田「今日は既に優子の家で女子会兼勉強会をやるのが決まっててね〜。」

 

 なるほど………優子の家で女子会か………これはチャンスだ‼︎

 

昂哉「よし‼︎じゃあ男子は秀吉の部屋で勉強会やるか‼︎」

姫路・島田「「えっ⁉︎」」

明久「あ、それいいね!」

昂哉「お〜い、秀吉〜‼︎」

 

 そして俺は秀吉を呼んで、

 

秀吉「なんじゃ、昂哉?」

昂哉「今日秀吉の部屋で勉強会しても大丈夫?」

秀吉「おお!それはいいぞい‼︎」

昂哉・明久「「やった〜‼︎」」

 

 許可を得た‼︎

 

昂哉「よし、それじゃあ決まりだね‼︎あとはムッツリーニと雄二でも呼ぶか‼︎」

明久「ムッツリーニ‼︎」

昂哉「雄二〜‼︎」

ムッツリーニ「………何だ?」

明久「秀吉の家で勉強会しない?」

ムッツリーニ「………馳せ参じよう。」

 

 ムッツリーニは承諾したみたいだが………雄二がどうやら居ないみたいだ。アイツ今日はサボりなのかな?そう思ってスマホを見ると…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄二(LINE)『たすてけ』

 

 ダイイングメッセージが書いてあった。多分助けて、と打つつもりだったのだろう。

 

昂哉「雄二は無理っぽいから、俺、ムッツリーニ、秀吉、猿のメンツで‼︎」

ムッツリーニ・秀吉「「了解‼︎」」

明久「おい‼︎誰が猿だ‼︎」

姫路「木下君の家にこんな人数で押しかけて大丈夫なんでしょうか?」

島田「女子会も同時開催だけど……」

秀吉「大丈夫じゃ、問題ないぞい。」

 

 ということで、今日の放課後は秀吉&優子家で勉強会になりました‼︎

 

 

 

 

 そして放課後、俺は男子2人と秀吉と一緒に木下家に向かって歩いていた。

 

明久「それにしても、昂哉が素直に木下さんの家に行くとはね!」

ムッツリーニ「………ようやく認めたか!」

昂哉「いや、俺は好きだから行くわけじゃないんだよね〜。」

明久・ムッツリーニ「「えっ?」」

明久「じゃあ秀吉の部屋に行きたいとか?」

昂哉「まあそれもあるね〜。」

ムッツリーニ「………でも他に目的がある、と。」

昂哉「正解!」

秀吉「お主…………もしや姉上への復讐を考えておるな?」

 

 わお!秀吉にはやっぱり見抜かれちゃったね!

 

昂哉「正解‼︎」

秀吉「じゃろうな。」

明久・ムッツリーニ「「はい?」」

昂哉「まあまあ、じきに分かるさ!」

 

 そんな事を言ってるといよいよ秀吉の家、そして俺の家の近くまでやって来た。ちなみに俺と秀吉や優子は家が隣同士だから幼馴染みなんだよね。さてと、優子への復讐の準備を…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

力哉*1・克哉*2「「ゆりゆららららゆるゆり、ゆりゆららららゆるゆり、ゆりゆららららゆるゆり大事件〜♪」」

 

 考えてたら兄貴たちの低音ボイスによる可愛らしい歌が聞こえてきた。

 

明久「ねえ、何あれ?」

ムッツリーニ「………昂哉の兄貴達だよな?」

秀吉「そうじゃの。」

昂哉「明久は襲われるかもしれないから屈んだ方がいいよ〜。」

明久「怖い事言わないで‼︎」

ムッツリーニ「………というか秀吉と家近かったんだな。」

明久「というか隣じゃん。」

 

 そういえば秀吉と優子と姫路以外は俺の家知らないんだっけ。ムッツリーニと麻雀打つ時はいつも秀吉の家だから俺の家の事はスルーしてるし。なら普通に教えてあげるか。

 

昂哉「そうだよ。まあ幼馴染みだからね〜♪」

ムッツリーニ「………殺したい程羨ましい。というか何度も秀吉の家で一緒に麻雀打ってたのに何故教えてくれなかったんだ?」

昂哉「麻雀やるときは他の事考えられないからね〜。」

ムッツリーニ「………そんな理由かよ!」

明久「クソが‼︎」

秀吉「明久よ、そんな大声出すと昂哉の兄たちがやって来るぞい?」

明久「怖‼︎」

昂哉「んじゃ、明久が卒業する前に秀吉の家行くよ〜!」

 

 ということで俺たちは無事兄貴たちに見つかる事なく秀吉の家にたどり着く事が出来た。

 

 

 

 

 そして俺たちは秀吉の部屋に入った。中にある本棚には歴代の台本、引き出しには沢山の演劇に関するDVDと、大好きな演劇のためにあるような部屋だ。有名人のサインなんかも綺麗に飾ってあるところから、本気で好きだという事が感じ取れる。正直こういう趣味全開の、整理整頓された部屋は俺は大好きだよ。

 

明久「お〜、久しぶりに秀吉の部屋来たよ〜。」

昂哉「実は久しぶりなのって明久だけじゃね?」

秀吉「そうじゃの。」

明久「えっ⁉︎ムッツリーニは⁉︎」

ムッツリーニ「………秀吉の部屋でよく麻雀打つからな。」

明久「この裏切り者がぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 発狂している明久はさておき、俺は復讐へと向かいますか!

 

昂哉「んじゃ、俺はちょいと用事を済ませてくるね〜。」

ムッツリーニ「………用事⁉︎」ブー

明久「ムッツリーニ、鼻血‼︎」

昂哉「いや、そういう用事じゃないから。」

秀吉「姫路たちが来るまで姉上と、『保健体育の実習・タイムアタック』でも……」

昂哉「そういう用事じゃないって言わなかったっけ⁉︎」

秀吉「すまないのじゃ♪」

 

 最近普通に秀吉にもからかわれるから、今度からまた女扱いしてやろう。そう思った日だった。

 

 

 

 

 それはさておき、俺は秀吉の部屋の向かいにある優子の部屋のドアをノックした。もちろん日頃の復讐のためだ。

 

昂哉「優子〜!」

優子「た、昂哉⁉︎なんで今ここに⁉︎」

昂哉「秀吉の部屋で男子会やるからね〜。それはともかく、今日は女子会なんでしょ?」

優子「そ、そうだけど‼︎それがどうしたのよ⁉︎」

昂哉「ならちゃんと、お・か・た・づ・けしたの?」

優子「もちろんしたわよ‼︎」

 

 ふ〜ん。なるほどね〜。

 

昂哉「なら入っていい?」

優子「いいよ〜。」

 

 そして俺が部屋の中に入ると…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋中に薄い本や男性キャラのフィギュアが散らかっていた。特に床には大量に薄い本が散乱していた。

 

昂哉「お前は何を片付けたんだよ⁉︎」デュクシ!

優子「痛っ⁉︎」

 

 いや、待てよ………?ある事を怪しんだ俺は押し入れを開けると………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには大量の薄い本やグッズが無造作に詰め込まれていた。

 

昂哉「まさかこれでも本当に片付けた後だとは………」

優子「言ったでしょ!アタシはちゃんと片付けたって‼︎見てよ、だいぶ綺麗だと思わない?」

昂哉「全然汚いわ‼︎昨日の雄二の部屋とか、秀吉の部屋とか、俺の部屋を知ってるならダメな事くらい分かるでしょ⁉︎」

優子「流石に除菌とか消毒とかはする暇がなくて………」

昂哉「そういう問題じゃない‼︎」

 

 コイツマジで整理整頓ダメだよな。なんでそういう発想になるのさ?

 

昂哉「というか前に片付けが出来てなかったら薄い本を燃やすって言わなかったっけ?

優子「やめて‼︎それだけはやめて‼︎確かに言ったけど‼︎」

昂哉「というかこんなに雑に置かれている物が大切なわけないじゃ〜ん?」

優子「あ、アタシなりの規則があって置いてたのよ……」

昂哉「ならその規則をちょいと見直して、本棚に入れるとかすればいいのに〜。」

優子「だってめんどくさくって………」

昂哉「普段人に偉そうに説教垂れてるくせに、自分の事は棚に上げるんだね?

優子「ご、ごめん‼︎本当にごめん‼︎い、今からちゃんと片付けるから‼︎」

昂哉「とりあえず今日のところは応急処置で済ませるとして、期末テスト終わったら大掃除をやろうね〜。もちろん俺と一緒に‼︎」

優子「うぅ…………」

 

 あぁ^〜♪日頃の復讐は楽しいね〜♪

 

昂哉「さて、さっさと応急処置をやるよ!」

優子「う、うん‼︎」

 

 こうして俺と優子は急いで片付けを………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姫路・島田・工藤・美穂・千華「「「「「お邪魔し………失礼しました。」」」」」

 

 している時に女子会のメンバーが来た。

 

昂哉「ごめんごめん!もう少しで終わるから!」

工藤「別に30分……いや2時間くらいしててもい〜よ♪」

昂哉「それは何の時間だ⁉︎」

工藤「さあ?」

千華「ゴム……」

昂哉「それ以上言うな。さもなければ貴様のタバコを全て売り払う。」

千華「チッ‼︎」

優子「と、とにかくすぐ終わらせます‼︎」

 

 という事で、誤解を生まないためにも俺と優子は大慌てで片付けをする事になった。

 

 

 

 

 片付けが終わると、早速俺と優子は女子たちを呼びに行った。

 

優子「愛子たち〜、どこ〜?」

工藤「ここ〜!」

 

 どうやら奴らは秀吉の部屋に居るようだ。そう思って秀吉の部屋のドアを開けると、本当にいたのだが………

 

工藤「聞いたよ雲雀丘君!優子と雲雀丘君はそれぞれ自分の部屋の窓を開けるとお互いの部屋が目の前に見えるんだって?」

 

 知られるとめんどくさい事を知られていたようだ。

 

優子「そうだよ……///」

工藤「やっぱり!」

昂哉「ちょっと秀吉⁉︎勝手に教えないでよ‼︎」

秀吉「良かれと思って。」

昂哉「どこをどう良かれと思ったのさ⁉︎」

千華「というかお互いの家が示し合わせて部屋の配置を決めたんだよね〜♪」

 

 何それ?初耳なんだが…………

 

昂哉「秀吉、それどういう事⁉︎」

秀吉「姉上がお主の事を昔から好いておったから、父上や母上に頼んで部屋割りを決めたのじゃ。もちろんおじ上とおば上*3にも頼んであるぞい。」

昂哉「マジかよ⁉︎」

優子「そ、そうなんだ………///」

 

 窓を開けると優子の部屋が目の前に見えるのは偶然じゃなかったのか‼︎

 

昂哉「クソ‼︎だったら今から兄貴たちに頼んで部屋を変えてもらうか‼︎」

明久「そんな事より早く勉強会しようよ〜。」

ムッツリーニ「………そうだな。」

美穂「ですね!」

千華「さんせ〜い♪」

島田「さあ、始まるざますよ♪」

姫路「行っくでがんす。」

工藤「ふんが〜♪」

優子・秀吉「「まともに始めなさいよ(始めるのじゃ)‼︎」」

昂哉「おいコラ‼︎無視すんなや‼︎」

 

 20年間全く知らなかった事実を目の当たりにし、俺は自分の両親や優子の両親に恨みを覚えた。そんな日だった。

*1
CV.安元洋貴

*2
CV.小西克幸

*3
昂哉の父親と母親




 ということで、霧島家の前に優子&秀吉の家で勉強会をしました。優子が片付け苦手な設定をようやく活かせましたね。あと、昂哉の家と優子の家が隣同士で、かつお互いの部屋が窓を開けると目の前に見える事が分かりましたね。

 それと、翔子は雄二を誘拐していたため居ません。

 さて、次回からようやく原作に合流します。霧島家です。よろしくお願いします。

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第五十一問 レッツゴー霧島家

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 秀吉&優子家での勉強会から数日後、今度は、

 

明久「ねえ昂哉、今週末霧島さんの家でお泊まり勉強会があるんだけど、来ない?」

 

 霧島家で勉強会をやる事になった。わお、楽しそう‼︎じゃあ俺も参加しよ〜っと!

 

昂哉「いいよ〜‼︎」

 

 という事で、俺もお泊まり会に参加する事になった。

 

明久「霧島さん、そういえば雄二は?」

霧島「…大丈夫。」

明久「あ、そうなの?」

霧島「…その頃には、きっと退院してる。」

明久「そうか、それは良かった!」

 

 後ろの会話はこの際気にしないでおこう。それと霧島はここFクラスの教室に居たんだね。気づかなかったよ。

 

 

 

 

 そしていよいよ霧島家での勉強会を迎えた。俺は相変わらず優子と一緒に行く羽目になっている。本当は秀吉と一緒に行きたいのに、

 

秀吉「わわわ、ワシはちょいと用事があるから遅れるのぅ〜。」

 

 というどう考えても要らん気遣いのせいでこうなっている。まあ佐藤と一緒に行きたかっただけかも知れんが。

 

 

 

 霧島家に向かう途中、俺は優子にある話をされた。

 

優子「そういえば今日は千華先輩来れないんだって。東大模試で。」

昂哉「マジか。」

昂哉「アイツも大変だな〜。」

優子「だよね〜。」

 

 正直アイツの教え方はめちゃくちゃ上手いので頼りにしていたところなので、これは残念だ。

 

 そんな事を思ってると、俺は優子からふとある事を聞かれた。

 

優子「ところで昂哉はどこの大学目指してるの?」

 

 進路か。そういえばまだ優子には話してなかったっけ。

 

昂哉「いや、どこも目指してないよ。」

優子「えっ、そうなの⁉︎てっきり昂哉の成績なら大学に行くもんだと思ってたわ………。もしかして短大や専門学校とか?」

昂哉「いや。」

優子「それなら就職?」

昂哉「いや。」

優子「ん?もしかしてフリーランスや自営業とか?」

昂哉「いや。」

優子「じゃあ何になるつもりなのよ?」

昂哉「何にもならないつもりだよ。」

優子「それって所謂ニートだよね?」

昂哉「そうとも言う。」

優子「アンタさあ………」

 

 優子には呆れられたようだ。でも俺はいつだって自由でいたいんだ‼︎だからこの考えを変えるつもりは無い‼︎

 

優子「それならどうやって今後生きてくのよ………」

昂哉「スロット‼︎パチンコ‼︎麻雀‼︎後は競馬とかも考えてるよ‼︎」

優子「それ上手くいくの?」

昂哉「まあ上手くいかなかったらそれまでだね〜。」

優子「それってつまり死ぬって事じゃない⁉︎」

昂哉「別に構わないさ。早く死のうが遅く死のうが知ったこっちゃない。俺は俺の自由を貫く。それだけさ‼︎」

優子「あのさ、アンタには前言ったけど……」

昂哉「おっと、ここが霧島家だね………ってデカ⁉︎」

 

 優子の話を遮るように巨大な霧島家が視界に入ってきた。流石はお嬢様だ‼︎下手したら学校の敷地より広いんじゃないかな?

 

優子「ほ、ホントに大きいわね……」

昂哉「んじゃ、入るか!」ピンポ〜ン

 

 インターフォンを鳴らしてしばらく待ってると、私服姿の霧島が出迎えてくれた。

 

霧島「…雲雀丘夫妻、いらっしゃい。」

優子「夫妻……///」

昂哉「誰が夫妻だ⁉︎どこをどう見ても違うでしょ⁉︎」

霧島「…ごめん、そうとしか見えなかったから。」

 

 コイツの目ん玉大丈夫かな?

 

霧島「…とにかく、案内するね。」

昂哉・優子「「よろしく〜。」」

 

 という事で、俺と優子は霧島に案内されたのだが…………

 

 

 

 霧島家は外だけでなく中も豪華絢爛(ごうかけんらん)、アホみたいに広く、アホみたいに部屋があり、アホみたいに高そうな装飾品があちこちにあった。正直ここを売却して俺のニート生活の足しにしたいくらいだ。控えめに言ってずるい‼︎羨ましい‼︎

 

優子「代表、こんだけ部屋あって何に使うの?」

霧島「…用途別。」

 

 なるほど、だからこんなに部屋あんのか。流石だな。

 

昂哉「んじゃ、あの本が並べられてる部屋は?」

霧島「…書斎。」

優子「あっちのスクリーンがある部屋は?」

霧島「…シアタールーム。」

昂哉「あの鉄格子のはまってる部屋は?」

霧島「…雄二の部屋。」

優子「えっ?」

霧島「…そしてここが、勉強部屋。」

 

 一部屋だけおかしい部屋があったけど気にしないでおこう。そんな事を思っていると、とうとう目的の部屋にやって来たようだ。霧島がドアを開けると、中には誰も居なかった。

 

昂哉「もしや俺らが一番最初?」

霧島「…そう。」

優子「なるほどね〜。」

霧島「…先に2人で始めててもいいよ。…数学でも物理でも化学でも保健体育の実習でも。」

 

 最後の科目は聞かなかった事にしよう。

 

昂哉「じゃあ数学を教えて、優子!」

優子「分かったわ。」

霧島「…それじゃあ、私他の人を案内してくるから。」

昂哉・優子「「よろしく〜。」」

 

 ということで、俺と優子の勉強会が始まった。

 

 

 

 優子は理数系に関しては教えるのが上手い。まあ自分が得意だからというのもあるが。

 

昂哉「この回転体の体積求めるやつキツいね……」

優子「う〜んと、まずはグラフの式から求めてみよっか。」

昂哉「えっと……ここをこうして………って計算エグっ⁉︎しかも値がかなり中途半端だし‼︎これマジで合ってんの⁉︎」

優子「合ってるわよ。」

昂哉「クソ‼︎流石は入試本番の問題………ってしかも東北大*1かよ‼︎」

優子「まあまあ、難しい問題も順番に答えを探していけば大抵は解けるわ。今何の値が分かってないのかを正確に把握して、それを求めるためにはどこの値を使うのか、を順を追って考えてくだけよ。」

昂哉「それで大抵の大学は行けんの?」

優子「まあね。」

 

 高2なのに難関大の入試問題が既に解けるとか、正直コイツの理数系は常軌を逸してるよな………。昔も確かに得意だったとはいえ、ここまでじゃなかったのに………

 

優子「ということで、実際の入試問題を今のうちから解いておく事によって、その先で待ってる大学入試を意識することが出来るのよ‼︎」ドヤァ!

 

 コイツめ、俺を大学に行かせる事が狙いだったか……。だかその手にはかかるか‼︎なんとしてでも俺はニート生活を守り抜くんだ‼︎

 

昂哉「いや、大学行かんし。」

優子「いや〜、大学生活って楽しいらしいよ〜!サークルとか!」

昂哉「それなら大学の外でも良くね?」

優子「いやいや、同年代の仲間と一緒に過ごせるのは楽しいって‼︎きっと‼︎」

昂哉「雀荘にも結構学生とか来るからいいかな〜。」

優子「将来更にお金が稼げるようになるかも!そしたら今よりもいっぱい遊べるかもよ‼︎」

昂哉「働いたら遊べなくなっちゃうよね。それに、ギャンブラーに学歴は不問だし。」

優子「ニートじゃ味わえない幸せな生活が送れるはずよ‼︎それに、昔みたいにチヤホヤされる可能性だってあるし‼︎」

昂哉「ニートで結構。」

優子「うぅ………」

 

 よし、これで勝ったか?

 

優子「というか、ホントにギャンブルが上手くいかなかったら死ぬつもりなの⁉︎」

 

 うわ、そこまで話戻るんだ。

 

昂哉「死ぬっていうか、家を出て生活保護を貰い、その金でまたギャンブルをやる感じだね。それでも金が尽きたら終わりだけど。」

優子「死ぬのが怖くないの⁉︎」

昂哉「全然。」

優子「アタシは怖いわよ‼︎」

 

 はい?

 

昂哉「なんで急に優子の話になるわけ?」

優子「だってアタシは昂哉が死んだら嫌だもん‼︎」

昂哉「んな事言われても、人間遅かれ早かれ死ぬんだからさ〜。その時期が違うだけでしょ。」

優子「だからって全て投げ捨ててギャンブルで死ななくてもいいじゃん‼︎」

昂哉「むしろ俺の本望なんだけどな〜。」

優子「ホントなの⁉︎」

昂哉「うん。」

 

 何故コイツはここまで怒るのだろう?確かに好きな人が死ぬのは嫌かもしれないけどさ。俺だって自分の人生くらい好きに生きたいよ。

 

優子「どこか昔みたいに真っ当な人間に戻って幸せになる気は無いの⁉︎」

昂哉「微塵も。というかそれで幸せになれる確証がどこにあるの?」

優子「逆にギャンブル漬けで朽ち果てる生活が幸せになれるとでも⁉︎」

昂哉「俺がそう感じてるんだから別にいいじゃん。」

優子「そう……。でも真っ当な人間になって幸せになれる保証だってあるわ!」

昂哉「まさか昔の俺がそうだったからと言いたいの?」

優子「もちろんだし、昂哉の本質は昔から変わってないからね!」

 

 なるほど〜。コイツは俺がお利口さんで優等生だった頃に戻ることを願ってるわけね。

 

昂哉「ふ〜ん。そんなの優子が勝手に推測しただけだと思うけどな〜。」

優子「それは………そうかもしれないけど……」

昂哉「そんな安直な考えに自分の人生を委ねる訳にはいきませ〜ん♪」

優子「そう………」

 

 よし、これで諦めてくれたかな?さてと、俺はニート生活を………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「ならアタシはアンタが真っ当な人間に戻ったら別れてあげるわ‼︎」

 

 送りたいと思ってたのだが、とんでもない提案をされた。

 

昂哉「う〜ん………」

 

 確かにこれはかなり魅力的な提案だ。それだけで優子からの束縛から逃れられるのなら使わない手は無い。だが真っ当な人間に戻って真っ当な生活を送るのは大変過ぎる。一生自由に遊びたい俺にとってはかなりの無理難題だ。だったらここはとりあえず提案に乗るのはどうだろうか?そして大学受験で優子から離れた大学を受けてそこに旅立ち、そこでギャンブル漬けの生活を送る‼︎これで完璧‼︎しばらくは少し大変な日々が続くかもしれないけど、それも高校卒業までだ‼︎だが一個気がかりなのは………

 

昂哉「優子はそれでいいの?」

 

 優子の事だ。コイツからしてみれば自己犠牲もいいところ。自分の好きな人を手放すと言ってるんだからね。正気とは思えない。

 

優子「アタシは別に構わないわ。アンタが真っ当な人間に戻れる方が嬉しいからね。」

昂哉「ホントに?」

優子「うん!」

 

 そういえばコイツがあまり恋人らしい事を強要してこなかったのはこのためだろうか………?だとするとコイツが俺の事を好いているのも全部嘘なのか?いやいや、そんなはずは無い。コイツはずっと嘘を貫き通せるほど器用な人間じゃないからな。じゃあなんだ?何が狙いなんだ?それが全く読めない…………

 

 でもここはこの提案を受け入れた方がいいだろう。そしてから、今後コイツがどういう動向をするのかを観察する事にするか。そして万が一俺にとってかなりマズい事が判明したら、それを追求するまでだ!

 

昂哉「よし、分かった!その提案を受け入れるよ‼︎」

優子「ホント⁉︎それなら嬉しいな〜♪」

 

 ということで、俺は優子と約束を交わしたのだった。他のメンバーも続々と来ていたらしいのだが、優子との会話に集中していて全く分からなかった。あと雄二の生きている姿を見れたので、少しだけ安心した。

 

 

 

 しばらくすると、

 

霧島「…そろそろ夕飯だから、別の部屋に来て。」

 

 あっという間に6時になっていた。もうそんな時間か〜。

 

昂哉「うっし、それじゃあ行くか!」

雄二「あれ、昂哉と木下も居たんだな。久しぶり。」

優子「久しぶりね。」

昂哉「それにしても、最初から居たのに気づかないとはね〜。」

雄二「完全に忘れてたわ。」

昂哉「んで、雄二は何してたの?」

雄二「いつものように気を失って、目が覚めたらここに居ただけだ。」

昂哉・優子「「何それ。」」

 

 それがいつもなのヤバすぎるでしょ。だからたまに週末に連絡がつかないんだ〜。

 

 まあそれはともかく、飯に行きますか〜‼︎

 

 

 

 

 そして霧島に案内されてダイニングルームに着くと、信じられぬものを見た。一般家庭の5倍はあるだろうダイニングテーブルにずらりと並べられた大量の料理がそこにはあった。北京ダックやフカヒレ、チンジャオロースにホイコーローなど、とても豪華な中華三昧だ。正直金を払えると思う。

 

美穂「うわぁ、凄いです!」

秀吉「流石はお金持ちじゃな……」

姫路「羨ましいです……」

島田「アキがこんなの食べたら、慣れない味でお腹壊しちゃいそうね。」

明久「あはは、本当だよ!」

 

 確かに。大好物は水塩砂糖の明久にとっては豪華もいいところだ。恐らく奴の半年分くらいの食費に相当するだろう。

 

ムッツリーニ「………これで体力回復だ!」

工藤「ムッツリーニ君、どうせすぐ死ぬんだから意味ないと思うよ?」

ムッツリーニ「………自惚れるな、工藤愛子‼︎」

 

 奴らは一体何をしてたんだ?優子とずっと話してたから他の人が何を話してたのかを俺は知らない。

 

 それはさておき、一個気になった事があるんだよね〜。

 

昂哉「霧島家って雄二以外に人居ないの?」

雄二「勝手に俺を混ぜるな。」

 

 俺が優子との勉強に集中してたせいもあるのか、霧島翔子と雄二以外の霧島家の人間を見てないんだよね〜。というか飯の場にも現れないし。

 

霧島「…私の家はそれぞれが自由に暮らしてるから。…だから気兼ねしないで好きに過ごして欲しい。」

 

 マジかよ⁉︎霧島家の財力と自由さがあれば、俺の求めていた生活が手に入るじゃないか‼︎だったらやる事は一つだ‼︎

 

昂哉「霧島。」

霧島「…何、雲雀丘?」

昂哉「正室*2は雄二でいいから、側室*3として俺を迎え入れて欲しい。」

雄二「おい!俺を勝手に結婚させるな‼︎」

霧島「…優子込みならOK。」

昂哉「そんなぁぁぁぁぁぁ⁉︎」

 

 それじゃあ全く意味ないじゃんか‼︎俺は絶望に暮れたのであった。

*1
仙台にある難関大学。よく熊がキャンパス内に出現する。

*2
一夫多妻制における本妻の事。今回は性別を逆転させて使っている。

*3
正室以外の配偶者の事。




 ということで、霧島家での話がスタートしました。僕もお金持ちの家に憧れます!ずるい!

 そして、昂哉と優子の今後の方針が決まりましたね。果たして優子の狙いは何なのでしょうか?それは判明するまでのお楽しみに!

 さて、次回は翔子の部屋へ侵入する話となります。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第五十二問 ハナビラ音頭

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 皆で夕食を食べている時、霧島夫妻が痴話喧嘩を始めた。

 

霧島「…雄二。」

雄二「なんだ翔子?」

霧島「…勉強の進み具合はどう?」

雄二「まったくもって順調だ。心配はいらねえ。」

霧島「…本当に?」

雄二「ああ。次のテストではお前に勝っちまうかもしれないぞ。」

霧島「…そう。」

雄二「そしたら俺は晴れて自由の身だな。」

 

 楽しげに笑う雄二を見て、霧島の目がスッと細くなった。これは挑発する気だな?

 

霧島「…そこまで言うのなら、」

雄二「ん?」

霧島「…勝負、する?」

 

 やっぱり♪明らかに霧島の目は雄二を挑発しているね。

 

雄二「勝負だと?」

霧島「…うん。…雄二がどの程度出来るようになったのか、見てあげる。」

雄二「ほほう。随分と上から目線で言ってくれるじゃねえか?」

霧島「…実際に、私の方が上だから。」

雄二「くっ、上等だ‼︎勝負でもなんでもやってやろうじゃねえか‼︎本当の実力の違いってヤツを見せてやらぁ‼︎」

霧島「…分かった。…それなら、この後に出題範囲の簡単な復習テストで勝負。」

雄二「おうよ‼︎今までの俺と思うなよ‼︎」

 

 そして雄二は随分簡単にその挑発に乗った。流石霧島!雄二の扱いが上手いね!

 

霧島「…それで、私が勝ったら、雄二は今夜私と寝る。」

雄二「は?」

 

 ほら。ちゃんと最後まで話を聞かないから。やっぱコイツはバカだね〜。

 

明久「霧島さん、杏仁豆腐を食べたいからナイフを貸してもらえるかな?」

ムッツリーニ「………一番切れ味のいいヤツを頼む。」

 

 そしてついでといわんばかりに明久とムッツリーニの怒りも買った。

 

霧島「…今持ってくる。」

雄二「待て翔子!今のコイツらに刃物を渡すな‼︎俺の命に関わるから‼︎」

明久・ムッツリーニ「「チッ‼︎」」

 

 相変わらず生存本能だけは凄いヤツだ。まあ悪意と殺気に満ち溢れたFクラスで過ごしてたら当然か。

 

霧島「…代わりに、雄二が勝ったら吉井と一緒に寝るのを許してあげる。」

雄二「驚くほど俺のメリットがねぇぞ⁉︎」

明久「何をバカな事を言ってるんだ、雄二‼︎僕だったら全力で0点を取りに行くぞ‼︎」

ムッツリーニ「………俺だったらそもそも記名すらしない………いや、その話に興味は無い。」

 

 ムッツリーニ、否定するの下手くそか?いや、否定したわけじゃないかも。もしやこういうことか?

 

昂哉「ムッツリーニは他の人と寝たいから途中で否定したの?」

工藤「へぇ〜。そうなんだ〜♪」

ムッツリーニ「………ち、違う‼︎」

美穂「例えば『く』で始まる人とかですかね?」

優子「『こ』で終わる人とかかしら?」

工藤「ふ、2人とも⁉︎そ、その例はおかしいんじゃないカナ⁉︎」

ムッツリーニ「………だから昂哉の言ったことには違うと言っている‼︎………それに工藤に迷惑をかけるな。………変な勘違いをされたら可哀想だろ。」

優子・美穂「「は〜い。」」

工藤「えっ?あっ、うん。ありがとう……」

 

 ムッツリーニ、変な勘違いをしているのは君だよ。それとも自分に自信が無いだけかな?

 

 まあいいや!ここは俺が話を面白くしてやろう‼︎例えば全員を巻き込んで皆の部屋割りを決めるとかね‼︎それなら………

 

優子「昂哉、どうかしたの?」

 

 マズいな。コイツに負けたら大変な事になるんだった。

 

昂哉「いや、なんでもないよ〜♪」

美穂「ではそのテストを皆で受けて、今日の部屋割りを決めるのはどうでしょうか?」

 

 おい貴様。せっかく俺が言うのをやめた事を言うんじゃないよ‼︎

 

優子「そ、それはいいわね!」

島田「う、ウチも賛成‼︎」

姫路「私もです!」

秀吉「わ、ワシも乗らせてもらうぞい……///」

 

 どうやら女性陣はノリノリみたいだ‼︎

 

明久「ちょっと待ってよ⁉︎これじゃあ僕が鉄人と一緒に寝させられる羽目になるじゃないか⁉︎」

ムッツリーニ「………俺は明久と一緒とか……?………それとも外で野宿か?」

 

 どうやら男性陣はバカみたいだ。負ける事を前提に地獄みたいな事を言い始めた。まあ確かに学力的に勝てる勝負じゃないけどね〜。だからといって最初から負けた後の事を考えるんじゃない‼︎ここは俺があの2人に説教してやるか‼︎

 

昂哉「明久、ムッツリーニ‼︎」

明久・ムッツリーニ「「何、昂哉?」」

昂哉「生殺与奪の権を他人に握らせるな‼︎」

明久・ムッツリーニ「「………はい?」」

 

 しまった。コイツらがバカなの忘れてたわ。これじゃあ伝わらないじゃん。ここは言い方を変えるか。

 

昂哉「なんで最初から自分が負ける前提で勝負を受けるつもりでいるの?」

明久「だって………」

ムッツリーニ「………保健体育以外で俺たちに勝ち目はないからな。」

昂哉「バカだよね〜2人とも。負けると分かってるならその勝負を受けなきゃいいじゃん。」

明久・ムッツリーニ「「そ、そうか‼︎」」

 

 麻雀でも無理だと思ったら勝負を降りるし、パチスロでも低設定の台*1だと分かったらすぐに打つのをやめる。無理な勝負を挑まないことは、俺がギャンブルで覚えた大切な事だ。それに、優子の事を舐めてかかったらボロ負けしたAクラス戦の事もあるからね。昔は総合科目では勝てたんだけど、今ではどうなってるか怪しいしね。

 

姫路「雲雀丘君‼︎ちゃんと勝負をしましょうよ‼︎」

島田「そうよ雲雀丘‼︎逃げるなんて男らしくないわ‼︎」

明久「確かに、逃げるのって男らしくないか……」

ムッツリーニ「………そうだよな……」

昂哉「俺は勝てない勝負を挑むほどバカじゃないんでね。これは相手の実力に敬意を払った証でもあるのさ。優子も分かるでしょ?麻雀で降りる事の大切さを。」

優子「それは………そうね。」

 

 優子にも伝わったようで何よりだ‼︎

 

昂哉「ということで、俺は試験監督をやりま〜す‼︎皆で頑張ってね‼︎」

雄二「よし、それなら俺も勝負を降りて試験監督を……」

霧島「…それは無理。…さっき雄二は勝負するって言った。…反対意見は認めない。」

雄二「クソがあぁぁぁぁぁ⁉︎」

 

 ということで、雄二だけ無様に巻き込まれる羽目になりましたとさ!めでたしめでたし……って雄二がジュースの入ったコップを霧島に見えないような角度で傾けようとしてるぞ?

 

雄二「おっとすまん翔子!服にかからなかったか?」

霧島「…大丈夫。」

雄二「いや、大丈夫じゃない。お前には見えづらいかもしれないが、服の裾のその辺にかかったみたいだ。」

 

 ぱっと見、霧島の服にジュースがかかった様子はない。だというのに、雄二は霧島の腰の後ろの辺りを指差した。コイツは何を企んでるんだ?

 

霧島「…それは困るかも。」

雄二「悪い。俺の不注意で。」

霧島「…あの薬は繊維を溶かすから。」

雄二「待て。お前は俺の飲み物に何を入れたんだ?」

 

 何そのエロ本にありそうな薬。服溶かすつもりだったでしょ。

 

霧島「…とりあえず、着替えてくる。」

雄二「そうした方がいいだろうが………それなら、ちょっと早いが先に風呂にしないか?腹ごしらえも兼ねてな。」

 

 なるほど、コイツのやりそうな事が分かった気がする‼︎

 

霧島「…分かった。…それなら先にお風呂にする。」

雄二「んじゃ、模擬試験はその後だな。」

霧島「…うん。」

 

 霧島の同意を得て、僕らは着替えの用意の為に男女別の部屋に分かれた。

 

 

 

 そして部屋で待つこと数分。雄二が立ち上がった。

 

雄二「さて、行くか。」

昂哉「カンニングしに?」

雄二「流石だな、昂哉。お前なら話が通じると思ったよ。」

秀吉「どういうことじゃ?」

雄二「模擬試験の問題を翔子の部屋からパクってくるんだよ。」

 

 やっぱりね。そんな事だろうと思ったよ。

 

雄二「それに、これなら明久・ムッツリーニ・秀吉にも勝ち目が出てくるしな。」

明久・ムッツリーニ「「確かに‼︎」」

秀吉「全く、お主らは………」

雄二「んで、昂哉と秀吉はどうするんだ?」

秀吉「ワシは1人で居るのも寂しいし協力はするが……あまり期待はせんでくれ。」

 

 カンニングねえ〜。

 

昂哉「せっかく問題を盗むんならさ、それごと燃やしちゃえば良くない?」

雄二・明久・ムッツリーニ・秀吉「「「「なんだと(じゃと)⁉︎」」」」

 

 盗むだけ盗んで問題を覚え律儀に返すよりも、試験そのものを中止にするこっちの方がいいよね。

 

雄二「流石はクズの極みだ。」

ムッツリーニ「………試験自体を中止にするとはな。」

明久「僕らが思いつかない事を平然とやってのける‼︎」

秀吉「そこに痺れも憧れもせんがのぅ。」

昂哉「そこは憧れて欲しかったな〜。」

雄二「まあとにかく、これでメンツは揃ったわけだ。あとは作戦会議といこうか。」

 

 作戦ね〜。ならここはこうするか!

 

昂哉「皆、俺が悪事のやり方を教えてやる‼︎」

明久・ムッツリーニ「「流石昂哉‼︎」」

雄二「んで、どんな作戦だ?」

昂哉「作戦っていうとちょっと違うかもしれないけど、悪事を誤魔化す方法を伝授するよ。」

秀吉「悪事を誤魔化す方法かのぅ?」

昂哉「そう。それは悪事を××とすると、…………○○している最中に()()()()××をしてしまった、という事にするのさ‼︎」

 

 よくパチンコを合法化する際に使われる手法だね。パチンコのメダルで得た景品をたまたま換金出来る店が近くにある的なヤツさ。

 

雄二「どういう事だ?」

昂哉「今回の事例に当てはめて考えると、○○をしている最中にたまたま霧島の部屋に侵入して模擬試験の問題を燃やしてしまった、とかね。」

ムッツリーニ「………なるほどな。」

雄二「悪意は無いと言うのか。」

昂哉「その通り‼︎」

秀吉「でもどうするのじゃ?」

昂哉「それをこれから話すよ‼︎」

 

 そして俺は皆に作戦を伝えた。

 

 

 

 そしていざ作戦決行の時だ。俺たちはこれからある事をしている最中に、たまたま霧島の部屋に入って、たまたま模擬試験の問題を破棄してしまう予定である。そして、そのやる事と言えば…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「それでは聴いてください。『ハナビラ音頭』」

 

 音頭を踊る事だ。

 

音源『♪♪♪♪♪』

 

 雄二が音源を流し始める。前奏の始まりだ。音頭らしい、ゆったりとしたテンポの和風のメロディーに合わせてムッツリーニが霧島の部屋をピッキングして開ける。そしてその鍵が開いたところで、いよいよ歌の始まりだ。

 

昂哉「ひ〜とつ人肌恋しいな〜♪」

明久「ふ〜たつ双子の山越えて〜♪」

昂哉・明久・秀吉「「「む〜らむ〜らもん、もん、もん♪」」」

ムッツリーニ(裏声)「あらおっきい♡」

 

 俺、明久、秀吉の3人が歌い、それにムッツリーニが裏声で合いの手を入れる。その合いの手は彼自身がシスターカフェで身につけた技術により、まるで本物の女の子の声のように可愛らしく、そして色っぽくなっている。それが曲に合っているのが、また素晴らしいところだ。

 

秀吉「み〜っつ淫らなその身体〜♪」

昂哉「よ〜っつしっとりスケベなお豆〜♪」

雄二(裏声)「あの客30分で3回戦だって〜♡」

ムッツリーニ(裏声)「え〜絶倫〜♡」

 

 今度は雄二とムッツリーニの合いの手が入る。雄二の裏声は正直気持ち悪いが、パートが余ってしまったので仕方がなかったってヤツだ。ちなみに秀吉は元ネタであるふたなりキャラのパートを歌っているため外せない。

 

昂哉・明久・秀吉「「「まだイケるさ〜♪」」」

 

 この後から急に曲調が変化し、音頭からユーロビート*2になる。ここの緩急は、聴いている人に強烈なインパクトを与えるだろう。

 

昂哉「エロい事が好きな奴、気持ちいい事が好きな奴、全員まとめて〜」

昂哉・明久・秀吉「「「出てこいや‼︎」」」

 

 ここでムッツリーニが工藤のと思われる下着を見つけたらしく、鼻血を噴いて倒れた。だが彼に構ってる暇などない。俺たちは音頭を踊らなければならないのだから。

 

明久「さあさあさあ人間エルフに妖精獣人、魔族に妖怪天使に悪魔♪」

秀吉「ぐんぐんヤる気がもっこりなお客様方ご来店、ありがとうございま〜す♪」

 

 明久と秀吉の早口パート。2人とも噛まないのが凄いな。

 

 そしてここからがサビに向けて盛り上がるところだ。

 

昂哉・明久・秀吉「「「スケベは好きですか〜♪」」」

雄二・ムッツリーニ「「好きだ〜‼︎」」

昂哉・明久・秀吉「「「お子さんお元気ですか〜♪」」」

雄二・ムッツリーニ「「元気だ〜‼︎」」

昂哉・明久・秀吉「「「よっしゃあ、盛り上がっていくぞ〜♪」」」

 

 そして速いテンポを保ったまま音頭に戻る。速いテンポの音頭は祭りのどんちゃん騒ぎを彷彿とさせる。あと雄二が霧島との婚姻届を発見したようだが、そんな事はどうでもいい。今は音頭を踊る事を最優先だ。

 

昂哉・明久・秀吉「「「さあこすってこすって磨きましょ〜♪さあ男を磨きましょ〜♪」」」

雄二・ムッツリーニ「「ゴッシゴッシ〜♪」」

昂哉・明久・秀吉「「「もいっちょこすってこすって磨きましょ〜♪さあ男を磨きましょ〜♪」」」

雄二・ムッツリーニ「「ゴッシゴッシ〜♪」」

 

 ちなみにここの振り付けは、両手を組んで足の付け根と付け根の間に置き、一拍ごとに手を前に出す、引っ込める、出す、引っ込める、を繰り返している。曲に合わせた素晴らしい振り付けだと、俺は思っているよ。

 

昂哉・明久・秀吉「「「今宵も絶景だ〜♪」」」

雄二・ムッツリーニ「「あヨイショ!」」

昂哉・明久・秀吉「「「ピンクの街並みだ〜♪」」」

雄二・ムッツリーニ「「あソ〜レ!」」

昂哉・明久・秀吉「「「仲良く遊びましょ♪」」」

昂哉・明久・秀吉・雄二・ムッツリーニ「「「「「ハナビラ音頭〜♪」」」」」

 

 これで一番が終了だ。次は二番になる。ここで一旦曲のテンポが最初と同じくらいゆっくりに戻るのが特徴だ。賢者タイムと言ったところか。さてと、二番を歌…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

工藤「忘れちゃった下着を取りに戻って来たら、凄い事になってたね〜。」

優子「一体女の子の部屋に男5人が勝手に入って何をしようとしてるのかしら?教えてくれない、昂哉?

美穂「秀吉君、この前から付き合い始めたというのに、もう浮気ですか?

霧島「… 雄二、婚姻届を盗もうだなんて、許せない。

島田「ねえ瑞希、アキが水の無いプールに飛び込む姿とか、見てみたくない?

姫路「奇遇ですね、美波ちゃん。実は私も、急に明久君が酸素ボンベ無しでスキューバダイビングをする姿を見てみたくなっちゃったんです。

 

 おうとしたら、殺戮部隊の急襲を受けた。しかしここで俺たちは諦めるわけにはいかない。あくまで音頭を踊っているという事を貫かなければいけないからだ‼︎

 

明久「い〜つついつもの……」

島田・姫路「「お仕置きよ〜♪」」ドゴォ‼︎

秀吉「む〜っつ剥かずに……」

美穂「(ほむら)攻め〜♪」ボッ‼︎

工藤「む〜らむ〜らもん、もん、もん♪」チラッ(スカートを自分でめくった)

ムッツリーニ「………ぐはぁっ‼︎」ブー、バタン

昂哉「な〜なつ習った………」

優子「鞭打ちで〜♪」ビシッ‼︎

霧島「…や〜っつ果てへ連れて行きま〜しょ〜う〜♪」ドゴォ‼︎

雄二「グブァ‼︎」バタン

 

 こうして俺たちの音頭は殺戮部隊の奇襲によって中断されたのであった………

*1
当たりにくい台

*2
電子音を使用した、テンポの速い楽曲。代表的なものとして、『頭文字D』の『night of fire』などが挙げられる。




 ということで、翔子の部屋に侵入する話でした。この話、本当は強化合宿の時にやりたかったのですが、うまくやるタイミングがなかったのでここになりました。あとさらっと秀吉と美穂が付き合い始めたと判明しましたね。

 ちなみに元ネタとなったのは『異種族レビュアーズ』のED『ハナビラ音頭』です。キャラ割りの理由は次の通りです。

・昂哉→スタンク 3人の中では老け顔で高身長だから。あとは風俗巡りが好きだから。
・明久→ゼル 3人の中では中身長だから。あとは髪の色が同じ茶髪だから。
・秀吉→クリム ふたなりキャラと秀吉の第3の性別キャラが被ってるから。後は昂哉が秀吉の事を天使扱いしてるから。
・雄二・ムッツリーニ 余ったので風俗嬢の合いの手担当で。


 さて、次回は原作には無かった、テストの勝負の話になります。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第五十三問 受け入れ難い感情

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 拷問、そして気絶から回復して風呂に入った後、俺たちはテスト勝負を受けた。俺とかは勝負から降りていたはずなのに、部屋侵入の罰として受けさせられた。その結果、点数が高い順に次の通りとなった。

 

 

1位  霧島翔子  573点

2位  姫路瑞希  514点

3位  雲雀丘昂哉 512点

4位  木下優子  468点

5位  佐藤美穂  462点

6位  坂本雄二  397点

7位  工藤愛子  385点

8位  島田美波  157点

9位  土屋康太  102点

10位 木下秀吉   75点

11位 吉井明久   68点

 

 

 

雄二「あぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」

昂哉「くぅ〜、姫路にはあと一歩だったんだけどな〜。優子に勝てたのでよしとするか!」

姫路「危ないです……、危うく雲雀丘君に負けるところでした……」

優子「アタシも文系科目が出来ていたら……」

昂哉「残念でした〜♪」

 

 ちなみに今回の勝負は順位が上の人から一緒に部屋に入る2人、ないし1回だけ3人(明久・姫路・島田用)を決める事になっている。例えば、

 

霧島「…それじゃあ、私と雄二が一緒の部屋で///」

雄二「あぁぁぁぁぁぁ⁉︎」

 

 こんな感じで、ね。これだから優子より点数が低かった場合、マズイことが起きるのだ。だがしかし俺は勝った‼︎勝つ事が出来た‼︎これで俺は自由の身だ〜‼︎あわよくば佐藤から秀吉をパクることさえ出来るのだからな‼︎

 

 さてと、次は姫路の番か〜。

 

姫路「では優子ちゃんと雲雀丘君が一緒の部屋で!」

 

 は?どういう事?

 

昂哉「姫路〜、自分の部屋をちゃんと決めないとダメだよ………」

霧島「…別に自分と誰かを選べなんて一言も言ってない。」

姫路「だから他の人同士を選ぶのはありなんですよ♪」

昂哉「なぁぁぁぁぁぁ⁉︎」

 

 クソ‼︎そういう事かよ‼︎騙された‼︎

 

優子「で、でもアタシは昂哉に負けたし………」

美穂「私が姫路さんに頼んだんですよ。彼は私の秀吉君を奪いかねないので。」

姫路「そういうことです!」

島田「まあ雲雀丘には素直になって欲しいからね〜♪」

工藤「ボクたちからの気遣いと思ってもらえればいいよ〜!」

優子「あ、ありがとう……///」

 

 テメェの仕業か、佐藤‼︎許さないかんな‼︎あとは協力した姫路&霧島と、事情を知ってたのに黙ってた島田&工藤にはお仕置きをしてやろう‼︎

 

昂哉「なるほどなるほど〜、君たちは俺の邪魔をするってわけか〜。なら俺もそうさせてもらおう‼︎秀吉と明久とムッツリーニが同じ部屋で‼︎」

姫路・島田・美穂「「「そ、そんな⁉︎」」」

工藤「ま、まあ男同士が一番だよね………」

明久・ムッツリーニ「「やった〜♪秀吉と一緒だ〜♪」」

秀吉「美穂の方が良かったのじゃが……まあお主らとでも楽しいかのぅ‼︎」

昂哉「はははははは‼︎他人(ひと)の不幸は蜜の味‼︎最高〜‼︎」

 

 こうして俺は他の人たちには仕返しが出来たぜ‼︎後は霧島の番だ‼︎

 

 

 

 

 そして俺は勉強会が終わった後、

 

雄二「クソ‼︎なんでテメェなんかと一緒に寝なきゃいけねえんだ‼︎」

霧島「…雄二、負けた罰だから///」

 

 そう言いながら部屋に入っていく霧島夫妻の元に…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤田爺「では3人で仲良く寝ようぞ‼︎」

雄二・霧島「「えっ?」」

 

 刺客を送り込んだ。じっちゃんは女のためならどこへでも駆けつける男だからね!だから俺が呼んだのさ‼︎もちろん、霧島への復讐のために、ね‼︎

 

 こうして俺は全員への復讐を果たした後、俺は優子と一緒に寝るために、部屋(戦場)へと向かったのであった。

 

 

 

 

 そして俺と優子は寝るための部屋に着くと、そこには

 

昂哉・優子「「ダブルベッドか……」」

 

 まあ予想通りの物が一つ置いてあった。これじゃあ俺がいつ殺されるか分からないじゃないか‼︎そんな事を思ってると、

 

優子「た、昂哉が布団を使っていいよ!」

 

 優子に変な事を言われた。

 

昂哉「どういう事?そしたら優子はどこで寝るの?」

優子「へ、部屋の隅とかに適当に横になって寝るから!」

 

 コイツの謎に控え目なとこ、やめて欲しい。それ通りにするの申し訳なくなるからさ‼︎それともこれは優子が昼言ってたことの表れか?俺を優等生に直す事が目的だから、本当に恋人っぽい事はしない、いや、したくないとか?でもコイツが俺の事好きなのは事実だし………

 

 疑心暗鬼になっても仕方ないので、とりあえず

 

昂哉「いや、そんな寝方したら風邪引くか身体を痛めるかのどっちかしか無いから、あの布団で一緒に寝ようよ。」

優子「ほ、ホント?いいの……?///」

昂哉「うん!」

優子「ありがとう///」

 

 一緒の布団で寝る事にした。コイツの喜んでる様子だと、俺の事を本気で好きだとしか思えないけどな。

 

 

 

 

 お互い寝間着に着替えるところを見られるのが恥ずかしかったので、部屋で1人ずつ着替えた後、俺たちは一緒の布団で寝た。優子の可愛らしい黄色い寝間着姿は、昔はよく見ていたものの、最近ではすっかり見なくなってしまった。昔から身体が成長したのもあって、久々に見るその姿に凄いドキドキしてしまった。

 

昂哉「に、似合ってるよ、そのパジャマ……///」

優子「た、昂哉こそ……///」

昂哉「ありがとう///」

 

 小さい頃はよく平気で一緒に寝ていたはずなのに、今はなかなか寝付けない。確かに間に秀吉が居たり、たまに兄貴たちが居たりなどの違いこそあれど、ここまでドキドキするとは正直思ってなかった。優子も緊張してるのか、いつもの悪魔っぷりは身を潜め、すっかり大人しくなっている。正直このままでは厳しい!だからここは…………

 

昂哉「またあの音頭、踊ろうかな〜♪」

優子「ダメに決まってるでしょ‼︎」

 

 雰囲気をぶち壊した。

 

昂哉「ちょ⁉︎俺を殺そうとしないで‼︎」

優子「アンタが反省したらね。」

昂哉「は〜い………」

 

 少し身の危険を感じたものの、これでなんとか寝やすい雰囲気になったはずだ。これでよし‼︎そう思ったのだが………

 

昂哉・優子「「………///」」

 

 思ったよりこのベッド、サイズが小さいのだ‼︎そのせいで優子と手が当たってしまう。距離が近すぎて更にドキドキしてしまう。強化合宿の時は疲れてたからなんとか眠れたが、今日はそういう訳にもいかない。

 

 というか、風俗巡りで女性に慣れてるはずの俺が何故ここまで優子如きにドキドキしてしまうんだろう?コイツはあの悪魔だぞ?また疲れによる判断力の低下で秀吉と見間違ってるのか?いや、あれは酒を飲んでいたからのはず。そして今日は飲んでからしばらく時間が経っている。それなのに何故?

 

 

 

 

 考えても仕方なかったので、俺は安眠する方法を考えた。それは………

 

昂哉「………」ゴクゴクゴク

 

 酒を飲む事だ。こうすれば酔ってそのまま寝る事が出来る。流石俺‼︎さて、充分酔いも回って来たし、寝るか!これなら優子が隣にいても大丈夫………

 

昂哉「………っ!///」

優子「昂哉、どうしたの?」

昂哉「い、いや、なんでもない!」

 

 ミスった。酔ったせいで優子に変な気を起こしてしまいそうになってるのだ。流石に手を出したら引けなくなる。というかなんで優子にこんな気を起こしたんだ⁉︎い、いや、それは考えるな‼︎ここはなんとか堪える事を考えないと‼︎

 

優子「あ、アタシ、トイレに行ってくるね。」

昂哉「わ、分かった!」

 

 よし、丁度いいタイミングだった。これならすぐに寝れる………はず………

 

 

 

 

  side 優子

 

 やっぱり昂哉はアタシが隣に居ると眠れないよね。だからしばらくアタシが部屋の外に行くか………

 

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 

 次に目を覚ました時には、外は既に明るかった。優子は普通に隣で寝ている。いや、まさかとは思うが………そう思って服を確認したが、普通に着ていた。良かった!記憶を飛ばしてる間に手を出してなくて!

 

優子「………んっ……」

昂哉「おはよう、優子。」

優子「お、おはよう、昂哉///」

昂哉「とりあえず朝飯食いに行こうか!」

優子「うん……///」

 

 いや、正直寝起きの姿も何故かドキドキするんだな〜。まさか昨日の酒が抜け切ってないのか?まあいい。ここは見た目が似ている秀吉と姿を重ねちゃったと言うことにしよう!

 

 

 

 そして部屋を出ると、

 

明久・ムッツリーニ「「オマエヲコロス。」」

雄二「やめろ‼︎俺の部屋にはじっちゃんも居たんだ‼︎許してくれ‼︎」

赤田爺「雄二ヨ、コノ恨ミ、ハラサデオクベキカ。

雄二「恨みって何だよじっちゃん⁉︎まさか俺が、じっちゃんが翔子に手を出すのを止めた事を怒ってるのか⁉︎」

赤田爺「アタリマエダ。

雄二「なるほどな‼︎でも流石にお前が翔子に手を出すのはまずいだろ‼︎」

 

 殺し合いが起きていた。なのでここは静かに通り過ぎようとしたが………

 

明久・ムッツリーニ「「オマエモコロス。」」

 

 見つかってしまった。

 

昂哉「どうしたの2人とも?秀吉と一緒に寝たんだから良かったじゃん!」

明久「一緒に寝れなかったんだよ‼︎」

昂哉「なんで?」

ムッツリーニ「………秀吉はトイレに行ったきり帰ってこなかったんだ。」

昂哉「何それ?」

 

 流石に秀吉がトイレで寝落ちした訳じゃあるまいし………

 

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

秀吉「お、おはようなのじゃ……///」

美穂「おはようございます、皆さん♪」

 

 当の本人が佐藤を連れてやって来た。

 

明久「秀吉!どこ行ってたの⁉︎心配したよ‼︎」

ムッツリーニ「………どうしたんだ⁉︎」

秀吉「ちょ、ちょっと野暮用でのぅ……///」

美穂「それより皆さん、早く朝ご飯を食べましょう♪」

昂哉・優子「「……あの2人隠れてヤってやがったな……」」

 

 どうやら俺と優子の意見は一致したようだ。

 

霧島「…残念だったね、3人とも。」

島田「うん………」

姫路「はい………」

工藤「さ、3人?あ、後1人は誰カナ〜?」

霧島「…愛子、少しは正直になったら?」

姫路「照れてばっかりだとダメですよ!」

島田「う、ウチも人の事言えない……」

工藤「ぼ、ボクは全く関係ないから‼︎」

 

 それと、霧島が他3人を宥めていた。まあ俺をハメた罰だからしょうがないよね〜。

 

 

 その後その日は赤田のじっちゃんを交えて、勉強会はしばらく続いた。教えの上手いビッ千華がその日も東大模試で来れなかったのが残念だったが、かなり身になる勉強会になったと思う。そう思えた日だった。

 

 

 

 

 霧島家での勉強会から家に帰ると、俺は兄貴から、

 

力哉「昂哉、お帰り!」

克哉「親父とお袋から電話だぞ〜。」

昂哉「は〜い!」

 

 ドイツで勤めている両親の電話を取れと言われたので、素直に取った。

 

昂哉(電話)『もしもし〜?昂哉だよ〜?』

友哉(父)(電話)『おお、昂哉か。久しぶりだな。』

恵(母)(電話)『最近学校にはちゃんと行ってる〜?』

昂哉『もちろんさ‼︎』

 

 前に比べると、ね!

 

友哉(電話)『それは良かった。それで、父さんたちは今度から日本に戻れる事になったんだ。』

恵(電話)『これで久しぶりに一緒に過ごせるね!』

 

 それはマズい………。ただでさえ優子の監視が厳しくなりつつあるのに、そこに親父とお袋まで加わったら最悪じゃないか‼︎

 

昂哉(電話)『そ、それは良かった〜!で、なんで日本に戻る事にしたの?』

友哉(電話)『俺たちはやっぱりビールより日本酒の方が好きだって事に気付いてな。』

恵(電話)『それで日本に戻る事にしたの。』

昂哉(電話)『そんな事だろうと思ったよ……』

 

 相変わらず酒好きな両親だこと。飲みたい酒で勤務地を決める人ってこの人たちぐらいじゃないかな?

 

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

友哉(電話)『それで昂哉、優子ちゃんとは仲良くしてるか?』

 

 親父が触れてほしくない話題に触れた。今朝一緒に寝て来たなんて言ったら、ますますこの2人や兄貴たちはくっつけようとしてくるからな。俺の部屋を決めた理由が優子の部屋が目の前に見えるから、だし。だからここは仲が悪い事を伝えよう‼︎

 

昂哉(電話)『相変わらず仲悪くしてるよ〜。』

恵(電話)『でも昨日一緒に寝たのよねぇ?』

 

 は?何故お袋が知ってる?

 

友哉(電話)『秀吉君が教えてくれたぞ。』

 

 あのクソ天使のせいかよ‼︎最近奴は俺たちの事をからかい過ぎだ‼︎

 

昂哉(電話)『ゲームの罰ゲームで、ね‼︎でも何も手を出してないしする気もないから‼︎』

恵(電話)『そこは手を出しなさい、昂哉。子供くらい出来てもお母さんたちは怒らないわ。』

昂哉(電話)『だから嫌だって言ってんだろぉぉぉぉ⁉︎』

友哉(電話)『昂哉、ツンデレは良くないゾ☆』

昂哉(電話)『兄貴に電話代わるね。』

 

 全く、兄が兄なら親も親だ。身内がこんなんばっかりだと頭がおかしくなっちゃうよ〜。

 

 

 

 

 

 こうして俺は兄貴たちに無理矢理電話をなすりつけた後、

 

昂哉「秀吉〜‼︎出てこいや‼︎」

 

 隣にある秀吉の家に殴り込みに行った。

 

秀吉「なんじゃ昂哉?姉上なら今風呂じゃから一緒に入ると良いぞ。」

昂哉「入るかボケェ‼︎俺はお前に用があって来たの‼︎」

秀吉「ワシにか?まさか手を出す気じゃあるまいな?」

 

 なるほどね〜。そうくるのか〜。ならここはこうしよう‼︎

 

昂哉「秀吉が今後とも俺の事をからかうのだったら手を出すよ‼︎」

 

 これならからかうことはやめてくれるはず!

 

秀吉「別にワシは2人の恋路を応援してるだけなのじゃが……」

 

 このやりとり、前にもしたような?

 

昂哉「それ、優子はともかく俺にとっては応援じゃないから‼︎」

秀吉「む?お主は姉上の事が好きじゃないのか?」

昂哉「嫌いってずっと言ってなかったっけ⁉︎確かに満更でもないとは言ったけど、それでも嫌いの方が上だよ‼︎」

 

 なんで秀吉はずっとこんな勘違いを抱いているのだろうか?

 

秀吉「その割にはツーショットのトプ画から変えなかったり、水着や寝間着姿を見て照れたりしておるのじゃが……」

昂哉「トプ画は他に変えるものが無いから変えてないだけだし、水着は無意識に秀吉と重ねちゃっただけだから‼︎」

秀吉「その割にはワシ相手には喜びはするが照れんじゃろう。」

 

 クッ‼︎確かにそれは事実だ‼︎だがここは俺の考えを言ってやろう‼︎

 

昂哉「優子が秀吉と似ているから紛らわしいだけなの‼︎あのね、本来は秀吉に抱くべき正の感情を、間違えて負の感情を抱くべき優子に抱いてしまうから、頭が混乱して照れてるように見えるだけなの‼︎」

秀吉「違うのぅ。お主はただ風俗以外の恋愛をした事が無かったから、自分が姉上に抱いている感情を理解出来ないだけなのじゃ。」

 

 確かに風俗以外の恋愛はした事がない。けど優子に対して俺がそのような感情を抱くなんて、絶対にあり得ない‼︎

 

昂哉「秀吉は何か勘違いしてるけど、優子相手にそんな気は絶対起きませ〜ん♪」

秀吉「でも姉上が隣にいて中々眠れなかったのじゃろう?姉上から聞いたぞい。」

 

 なんだと………?

 

昂哉「ははっ!まさか優子にまで、俺が優子の事が好きだと勘違いされるとはね〜。」

秀吉「いや違うぞい。姉上は昂哉が自分の事を怖がってるから眠れないと勘違いしただけじゃ。」

 

 良かった。優子にはちゃんと理解されてるようで!

 

昂哉「それなら優子の方が合ってるね!」

秀吉「嘘じゃな。お主の様子を姉上から聞いた感じ、お主が明らかに異性として姉上を意識しておるのは間違いないぞい。」

昂哉「だから違うって言ってるでしょ⁉︎さっきも言った通りだよ‼︎」

秀吉「うむ………」

昂哉「とにかくこの話はこれでおしまい‼︎今後もし秀吉が俺と優子の事をからかうようだったら、俺は前みたいにお前の事を女扱いするからね‼︎」

秀吉「分かったのじゃ……」

昂哉「それじゃあまたね‼︎」

 

 そう言って俺はすぐさま自宅に戻った。これで秀吉のからかいが止むといいんだけど…………

 

 

 

 

  side 秀吉

 

 ふむ………。素直になれない友を素直にするにはどうすれば良いかのぅ?昂哉のあの言動は、明らかに自分が嫌いだった姉上を好きな異性として意識し始めた事に混乱してる、としか思えないのじゃが……




 ということで、テストからの優子とのベッドシーン、そして両親登場からの秀吉との口論と色々ありましたね。昂哉は優子の事を今後どう想っていくのでしょうか?それは今後のお楽しみに!

 あと、両親のCV.は父・雲雀丘友哉(ともや)が藤原啓治(亡くなられましたが)、母・雲雀丘恵(めぐみ)が茅野愛衣です。

 さて、次回は期末テスト編最終回です。お楽しみに!


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第五十四問 バカとテストとカンニング

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 そして迎えたテスト当日。

 

島田「おはよ、アキ。」

明久「ああ、美波。おはよう……」

島田「ちょ、ちょっと、フラフラしてるけど大丈夫なの?まだ1日目だっていうのに……」

明久「大丈夫、大丈夫……。ただ、あまり話しかけないでもらえるかな?昨夜必死で詰め込んだものが出て行っちゃうから……」

島田「そ、そう………。アキがそう言うならいいけど……」

 

 明久が珍しくめちゃくちゃピリピリしていた。それもそのはず、今日からのテストで一人暮らし出来るか否かがかかってるんだからね。あまり声をかけないようにしよう。

 

 

 

 そんな事を思ってると、須川に話しかけられた。

 

須川「おはよう雲雀丘。」

昂哉「おはよう須川。どうしたの?」

須川「頼む。俺の傍に居てくれないか?」

 

 どう言う事だ?全く意味がわからん。

 

昂哉「はい?」

須川「何かをして欲しいだなんで言わない‼︎ただ隣にいてくれるだけで充分なんだ‼︎」

 

 う〜ん。俺の隣は秀吉がいいから断るか〜。

 

昂哉「う〜ん。お断りするね!」

須川「そんな……」ガクッ

 

 そして須川は膝を落として………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

須川「隣で解答を見せてくれるだけでいいんだぁぁぁぁ‼︎」

 

 目的を話してくれた。

 

昂哉「そういうことね。なら尚更お断りだね。カンニングって見せた側も罰せられるから。」

 

 俺がそう言うと、須川は、

 

須川「すまん、カンニング交渉に失敗した。」

横溝「そうか。でもこのままだとマズいぞ。」

福村「親に怒られかねん。」

 

 他のメンバーに事情を説明した。

 

須川「仕方ない。自力でなんとかしよう。」

横溝「まさか今から勉強するのか?」

福村「試験まで時間が無いぞ?」

須川「ノートの縮小コピーの限界に挑戦する。

横溝・福村「「だろうな。」」

 

 自力のカンニングってわけね。凄い事を思いつくな〜。そんな事を思ってると、

 

近藤「須川、カンニングか?」

武藤「俺も混ぜてくれ。」

朝倉「俺も俺も。」

 

 仲間が増えた。

 

須川「何故俺の周りにはこんなクズばかりが集まるんだ?」

横溝「類友ってヤツだろ。」

 

 まさにその通りだね。まあ俺も人の事言えないけど。

 

 

 

 

 しばらくした後、須川たちは縮小コピーを終えて戻って来た。

 

須川「これが字の読める限界サイズだな。」

横溝「だいぶ小さくなったが……」

須川「んで、これをどう持ち込む?」

近藤「例えば……」

 

 確かに。それが問題だよね。さて、どこに隠すのかな?

 

近藤「筆箱の中。」

朝倉「飲み物のラベル。」

福村「タオルの内側。」

武藤「服の中。」

 

 割とありきたりな場所だね。

 

須川「横溝はどうする?」

横溝「俺はワンナイで行く。」

 

 ワンナイ?One night(ワンナイト)、つまり一夜漬けの略か?でもテスト当日なのにそれは出来なくね?

 

須川「どういうことだ?」

横溝「腕内、腕の内側だ。肘に挟むといえば分かるだろうか?」

須川「なるほどな。」

 

 コイツ天才かよ‼︎それは思いつかなかったぜ‼︎

 

須川「お前ら、期末テストが重要なのは知ってるな?」

他5人「「「「「ああ。」」」」」

須川「絶対に最後まで諦めず、皆でいい点数を取るぞ〜‼︎」

他5人「「「「「オー‼︎」」」」」

 

 ということで、須川たちのカンニング大作戦が始まった。

 

 

 

 

  side 須川

 

 いよいよテストが始まった。最初は英語だ。ちなみに俺は団扇の裏側に隠したぜ‼︎

 

遠藤「はいそれでは………」

 

 頼むから団扇をしまえとか言わないでくれよ!

 

遠藤「まず、筆箱はしまって下さい。」

近藤「えっ……?」

 

 近藤が死んだ。

 

朝倉「くくく……、馬鹿め、予想できたことだろうに!」

近藤「おい、助けてくれ!」

朝倉「う〜ん、どうしよっかな〜?」

遠藤「それと、飲食は禁止です。飲み物もしまって下さい。」

朝倉「えっ……?」

 

 朝倉も死んだ。

 

朝倉「ぴえん。」

須川「そんな目でこっちを見るな。」

横溝「てめーでなんとかしろ。」

 

 まあこの辺は予想出来たことだ。だから俺は団扇にしたのさ。どうだ、凄いだろう?

 

 

 

 

 そしていざ試験が始まったのだが………

 

横溝「汗で滲んで文字が読めねえ……」

 

 横溝が死んだ。この暑さで腕内に頼るからだぞ。反省しろ!

 

 

 

 

 テストが始まってしばらくしたのだが………

 

須川「カンペを見ても殆ど解けん……」

 

 あまりにも難しすぎて解けないのだ。そんなことを思ってると福村が素晴らしい意見を言ってくれた。

 

福村「ここは皆で協力するのはどうだ?」

 

 確かに。それはいいかも!

 

朝倉「チームプレイか。」

近藤「これならなんとかなるかも!」

武藤「任せておけ!」

 

 そう言って武藤は服からカンペを飛ばした。そして遠藤先生もそれに気付いてカンペを取った。

 

遠藤「これは……、何ですか?」

他全員「「「「「武藤のやつです。」」」」」

武藤「皆で協力は⁉︎」

遠藤「武藤君は0点で。」

 

 皆で協力して武藤を犠牲にすることで、俺達のカンペに気づきにくくする作戦だ。どうだ、素晴らしいだろう?

 

 

 

 そんな事を思ってると、遠藤先生がとんでもない事を言った。

 

遠藤「それにしても、皆さん出来があまりよろしくありませんね。」

 

 いや、問題が難しすぎるんだよ!

 

遠藤「仕方ないですね。ここはサービス問題を出しましょう。」

 

 おお!この先生いい奴じゃん!さて、サービス問題は何なのかな〜?

 

遠藤「授業中の話から出題します。今から言う単語を英語に訳して裏面に答えを書きなさい。」

 

 なるほどな!これなら多分出来そうだ!さて、問題は何だろう?

 

遠藤「第一問、心臓リウマチ。」

 

 んなもん分かるか!サービス問題の意味を誰か教えてやれ‼︎

 

遠藤「第二問、女子小学生に話しかける成人男性。」

 

 何だよそれ!英語の授業中に一体何の話をしてたんだよ‼︎

 

昂哉「先生、もしかして俺の事ですか?」

遠藤「はい。」

 

 雲雀丘かよぉぉぉぉぉ⁉︎

 

英語「それでは最後の一問………」

 

 せめてこれだけでも解かないと!だからなるべく簡単な問題を………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠藤「聖徳太子。」

 

 ふざけんなや‼︎

 

須川「人名じゃねえか⁉︎」

福村「しかも明らかに和名ですよね⁉︎」

横溝「やってられっかぁぁぁぁ⁉︎」

 

 こうして俺達のカンニング大作戦は失敗に終わった。

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 俺は期末テストを終え、結果が全て返って来た。ちなみに須川たちはカンニングの疑いがあったので、後で再試になりましたとさ。めでたしめでたし!

 

 そして、結果が返って来たなったらやる事は一つだ‼︎

 

昂哉「姫路、総合科目の点数を言おうぜ‼︎」

姫路「いいでしょう!せ〜の!」

昂哉・姫路「「5417点‼︎」」

 

 まさかの同点でした。

 

姫路「よし、やっと姫路に追いついたぜ‼︎」

姫路「うう、同点ですか………」

雄二「お前ら、相変わらず凄いな。」

秀吉「もはやお主らより上は霧島しか居なかろう。」

昂哉「だね!もちろんぶっ倒す気満々だけど‼︎」

 

 こうして優等生になる事によって、優子が俺を自由にしてくれるんだからね‼︎やらない手は無い‼︎そんな事を思っていると………

 

明久「あぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」

 

 明久が発狂した。

 

昂哉「どうしたの、明久?何かやらかしたの?」

明久「うん、これ見て………」

 

 そして俺の目線の先には………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラス 334

名前 アレクサンドロス大王

 

 

 最初の解答を氏名のところに書いたせいで、後ろが全部ズレて0点になった明久の答案があった。

 

昂哉「草。」

明久「ちくしょぉぉぉぉぉぉぉ‼︎僕の一人暮らしがぁぁぁぁぁ‼︎」

昂哉「まあとりあえず玲さんに見せなきゃね‼︎」

明久「嫌だぁぁぁぁぁ‼︎」

昂哉「観念しろ♪」

明久「そんなぁぁぁぁぁ⁉︎せっかく頑張ったのにぃぃぃ⁉︎」

昂哉「努力をしても結果が出なけりゃ意味ないよ♪」

明久「どうして姉さんみたいな事を言うのさ⁉︎」

 

 なるほど、明久がピリピリしていた理由がなんとなく分かった気がする。恐らく玲さんと揉めたんだな。まあここは俺の意見を言っとくか。この間似たような事を優子から学んだしね。

 

昂哉「だって事実だし〜。」

明久「クソ‼︎」

昂哉「明久が頑張った事は認めるよ。でも世の中って明久が想像している以上に優しくないんだよ?」

明久「ぐっ………」

 

 実際そうだしね。ギャンブルなんて結果以外は語るものが無い世界だし。ただこのまま明久の気分が沈んだままだと良くないから、ここは俺が励ましておくか!

 

昂哉「まあまあ、しばらくまた頑張ってさ、玲さんを追い出せるくらいの点数を取ればいいんだよ!」

明久「そ、そうなの?」

昂哉「ああ!」

明久「そ、それならそうするか!」

昂哉「それでヨシ!」

 

 良かった、明久のモチベが出来て!まあ実際この方が玲さん的にもいいだろうしね。いい点取ったところで追い出せるかは微妙だけど♪

 

 

 

 

 そんな事を思っていると、

 

明久「じゃあ僕からも昂哉にアドバイスするね!」

 

 明久が俺に何かを言おうとしてきた。

 

昂哉「アドバイス?何を言う気?」

明久「素直に木下さんに好きだと伝えよう‼︎」

 

 コイツは何を言ってるんだ?まるでこの間の秀吉みたいじゃないか。

 

昂哉「テストの結果が残念過ぎて頭がバグったの?」

明久「なわけないでしょ‼︎これは僕が正直に思ってる事さ‼︎」

昂哉「俺が優子の事を好きだとでも?」

明久「違うの?」

昂哉「違うね。」

明久「ふ〜ん、昂哉はこの間満更でもないって言ってたのにな〜w」

昂哉「アレは良いところがあるって意味で、悪いところの方が上だから!」

明久「へぇ〜w」

 

 どいつもこいつも勝手に勘違いをしやがって!もう怒ったかんな‼︎許さないかんな‼︎

 

明久「じゃあ()()そう言う事にしといてあげるね〜w」

昂哉「()()()()()そう言う事にしといてね〜。」

明久「はいはいw」

昂哉「んじゃ、俺は帰るぜ〜!」

明久「バイバ〜イw」

 

 ムカつく明久の対応を横目に、俺は家へと帰った。

 

 

 

 

 俺が1人で帰っていると、優子が途中から合流して来た。

 

優子「た、昂哉……、一緒に帰ってもいいかな?」

昂哉「いいよ、別に。」

優子「ありがとう‼︎」

 

 おもちゃを与えられた子犬みたいに嬉しそうにしやがって………。俺はホントにコイツの事が好きなのか?

 

 そんな事を思っていると、優子にテストの話を触れられた。

 

優子「それで、期末テストの結果はどうだったの?」

昂哉「姫路と同点だったよ。学年2位‼︎」

優子「凄いじゃん、昂哉‼︎」

 

 こうして素直に褒めてくれるのは正直嬉しい。だが嫌いって感情の方が優ってるのは変わらない。

 

昂哉「でっしょ〜♪これで俺の事を解放してくれる?」

優子「まだダ〜メ♪」

昂哉「じゃあ解放してくれる具体的な基準を教えて!」

 

 これで優子の考えが少しは分かるはずだ。

 

優子「う〜んと、高天原先輩に勝ったら‼︎」

 

 なるほとな。この取引の落とし穴はそこだったのか‼︎

 

昂哉「そんなの無理‼︎だってアイツが高橋女史より点数取れるの知ってるでしょ?」

優子「うん♪」

昂哉「テメェ、さてはハナから俺をハメる気だったな?」

優子「ち、違うよ‼︎本当に昂哉なら出来ると思ってたから………」

昂哉「無理に決まってるでしょ‼︎とにかく高天原じゃなくて高城先輩レベルにして!」

優子「それは無理♪」

昂哉「クソがぁぁぁぁぁ⁉︎」

 

 やっぱりコイツに好意なんて抱いていない。そんな事を思いながら俺は家へと帰った。

 

 

 

 

 家に帰ると、早速俺はビッ千華に連絡した。テスト期間でお世話になったからね!

 

昂哉(電話)『Hey,ビッ千華‼︎』

千華(電話)『電話切っていい?』

昂哉(電話)『ごめんごめん!』

千華(電話)『で、なんでアタシに電話かけてきたの?』

昂哉(電話)『お前にお礼が言いたくてさ!』

千華(電話)『なるほどね。』

昂哉(電話)『勉強会で色々と教えてくれてありがとな!』

千華(電話)『そりゃど〜も。別に、アタシが教えたくて教えただけなんだけどね。』

昂哉(電話)『だろうね。とにかくありがと‼︎そんじゃ‼︎』

千華(電話)『あ、待って。』

 

 ん?コイツは何を言うつもりなんだろう?

 

千華(電話)『この間優子とどこまでいったの⁉︎確か一緒に寝たんでしょ⁉︎』

 

 その話かよ‼︎どいつもこいつも優子優子うるさいなぁ‼︎

 

昂哉(電話)『同じ布団に入って睡眠しただけさ。』

千華(電話)『はぁ?アンタそれでも彼氏なの?』

昂哉(電話)『だって俺は別にアイツのこと好きじゃないし。』

千華(電話)『それはどうだか♪』

 

 なんかビッ千華の対応がムカついたので、

 

昂哉(電話)『とりあえず、なんかあったらまたよろしくね〜。それじゃあおやすみ〜。』プツッ

 

 電話を無理矢理切った。そして優子の事を忘れるようにと、すぐに寝てしまったのであった。

 

 

 

 

  side ??1

 

 期末テスト後、今ある人物と通話する事になった。そして今は実際に通話している。

 

??2(電話)『今回お前に電話したのは、雲雀丘昂哉を学園内から追放する計画についてだ。』

??1(電話)『はい、なんでしょう?』

??2(電話)『今度近いうちに召喚獣が特殊仕様になる。それを活かして奴を追放しろ。』

??1(電話)『はい。分かりました。』

 

 さてと、今度の夏季補習期間でやるとするか………




 ということで、期末テスト編、終了です!須川たちがカンニングに奮闘する話はいかがだったでしょうか?

 そして、次回から肝試し編が始まります。一体何が起こるのでしょうか?それは次回からのお楽しみに‼︎ちなみに11/7の12:00〜です。

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第九章  肝試し対決
第五十五問 補習?んなもん行くかよ‼︎


この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 明久

 

 期末試験も終わって七月も残すところあと数日。真夏の風物詩が僕らの周りを彩っていた。僕はこの季節が一年を通して一番好きだ。夏というものは他の季節に比べて何か特別な気がする。うだるような暑さも、耳をつんざく虫の自己主張も、校庭から聞こえてくる野球部の喧騒も、全てがこの特別な季節を楽しむためのスパイスだ。そう、今は夏という心躍る特別な季節。だから………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明久「……逃げよう、雄二。この魂の牢獄から……」

雄二「……いい事言うじゃねえか、明久。この鉄拳補習フルコースには俺も飽き飽きしていたところだ……」

 

 僕らは鉄人の補習からの脱走を決意した。

 

雄二「……だいたい夏休みなのに授業があるってのが間違いなんだよな。しかも教室には男がほとんどで、勉強どころか息をするのもキツイじゃねえか……」

明久「……オマケに授業をやってるのが鉄人だもんね。冬でも暑苦しいのに、この環境であのビジュアルは拷問に等しいよ……」

 

 試召戦争で潰れた授業分の補習とはいえ本当にキツい……

 

雄二「……よくこんな状況で姫路は真面目にノートを取れるよな。アイツは化け物か?……」

明久「……流石は実力Aクラスの優等生、と言いたいところだけど、身体が弱いのに大丈夫かな?最近は調子が良さそうだけど、やっぱり心配だよ……」

 

 一応風通しの良い柱の陰というベストポジションだから、こまめに水分補給さえすれば問題無いと思うけど……

 

雄二「……その辺は鉄人も気を遣ってるから大丈夫だろ。見てくれはあんなんでも、相手に応じた気配りをするからな……」

明久「……うん。確かに相手をよく見てるよね……」

 

 だから僕らは風通し最悪で日当たり良好、というポジションなんだろう。そしてこのポジションは僕と雄二以外にもう1人いるはずなのだが………

 

雄二「……そういえば昂哉はどうした?……」

明久「……さあ?またサボってんじゃない?……」

雄二「……後で木下にチクろうぜ……」

明久「……だね……」

 

 その人は相変わらず学校を休んでいる。全く、本当に卑怯な男だ。腹いせに木下さんにチクったところで、僕たちは脱走計画を立て始めた。

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 夏季補習期間中、俺は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「リーチ‼︎」

 

 麻雀をしていた。クーラーの効いた雀荘で。

 

 それにしても、皆よく補習なんて行くよね〜。エアコンのない部屋で鉄人の補習とか、ただの拷問じゃん‼︎それに、補習は出席日数にカウントされないんだから休み放題なんだよ?授業のレベルも自分に合ってないし、環境も合ってない。そんなの行くわけないよね〜。優等生になれば優子と別れられるという件もあるけど、やっぱりずっと頑張るのは性に合わないからさ〜。だからこうして遊んでるよ!

 

 さてと、一発で持ってきたのは………和了牌(アガリはい)だ‼︎

 

昂哉「ツモ‼︎裏は……乗った‼︎3000,6000の3枚‼︎」

客1・2「「マジかよ!」」

客3「跳満親被りか〜‼︎」

 

 そして麻雀の調子は絶好だ‼︎期末テストが終わってからの合計収支は+3万円‼︎バカ勝ちナウだぜ‼︎

 

 そんな事を思ってると………、

 

傀「フリー、打てますか?」

 

 にんべんに鬼と書く、あの男がやってきた。一瞬俺をチラリと見たことから、きっと俺を狩りに来たのだろう。だったらやる事は………

 

昂哉「すいません、次ラス半*1で!」

 

 撤退だ。前も言った通り勝てない相手には勝負を挑まない。これが俺の主義だからね!

 

 

 

 

 

 そしてその日は無事傀の魔の手から逃れる事が出来た。しかし油断は出来ない。今度はにんべんに悪魔と書いて優子と読む女がやってくるかも知れないからだ。だから俺は変装を覚えた。

 

 まずはサングラスにマスク。これで完全に顔を隠す。そして次に帽子。これで髪を隠す。そして最後にコート。これで身体を隠す。正直めちゃくちゃ暑いが、これで折檻から逃れられるのなら本望だろう。

 

 そんな事を思いながら雀荘を出て街中を歩いていると、

 

男1「ねえそこのキミ、ちょっと俺と遊んでかない?」

女1「結構です。」

 

 男が女をナンパしているのを見かけた。まあ街中ならあるあるだろうね。

 

男2「そこの君、ちょっとうちまで来てくんない?」

女2「嫌です。」

 

 あそこでもナンパか。こっちはちょっと強引だね。

 

 そんな事を思ってると、

 

警察官「そこの君、ちょっと(うち)まで御同行願えますか(来てくんない)?」

 

 俺もナンパされた。

 

昂哉「嫌です。」

警察官「そう言われても私は警察ですからね。貴方の格好が変でしたから、ちょっと話を聞くだけですよ。」

 

 随分強引なナンパだな。しかも自分の職業を自慢するだなんて。それに、俺の服装がこの人には刺さったようだ。

 

昂哉「すいません。用事があるので。」

警察官「それはどんな用事ですか?」

昂哉「行かなければならないところがあるんです。」

 

 自宅だね。

 

警察官「この人物を確保するぞ‼︎」

昂哉「はい⁉︎」

 

 嘘だろ⁉︎強引にうちまで連れ込むナンパは初めてだぜ‼︎

 

 

 

 俺はなんとか警察の誤解を解いて帰宅すると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友哉「お帰り、昂ちゃん☆」

力哉・克哉「「待ってたぜ‼︎」」

恵「それで、孫は出来たのかしら⁉︎」

 

 全裸の兄貴たちと、ぶりっ子の親父と、頭のネジが外れているお袋が全員スピリタスを片手に待ち受けていた。

 

昂哉「うわぁ!親父とお袋、いつの間に帰ってきたのさ⁉︎」

友哉「さっきだな。」

恵「サプライズで驚かそうと思ってね。」

 

 そういう事か。それと、自分の気持ちをちゃんと伝えないと‼︎

 

昂哉「なるほどね〜。あっ、ちなみにお酒は今日はいいや。」

恵「何バカな事言ってんの⁉︎アンタをそんな子に育てた覚えは無いわ‼︎」

昂哉「俺疲れてんのに〜。」

 

 これからコイツらと飲むとか地獄だよ〜。お酒は確かに好きだけど、家族での飲み会はやりたくないよね〜。そんな俺を、

 

友哉「なるほど、昂哉は疲れてるのか♪ならとっておきのゲストを用意した‼︎」

 

 親父が気遣ってくれた。ゲスト?誰のことだろう?

 

友哉「ちなみに昂哉が大好きな人だゾ☆」

昂哉「うぉ、マジで⁉︎」

 

 となると秀吉か‼︎やった〜♪それなら飲み会に出る意味があるね♪

 

友哉「入っていいぞ〜!」ガチャ

 

 さあ来い、秀吉‼︎

 

優子「お、お邪魔します‼︎」

 

 だろうと思ったよ。

 

昂哉「おやすみ〜。」

 

 だから俺は一目散に自分の部屋に向かった。

 

力哉「おやすみ、か………」

克哉「なら優子もついてったらどうだ?」

友哉「昂哉の部屋、分かるよな?」

恵「別にゴムはしなくて大丈夫よ〜。」

優子「え、えっと、その……」

 

 お袋は早く孫の顔でも見たいんだろうか?だからといって言動がヤバすぎるけど………

 

 

 

 

 まあ今回の場合、優子はただ呼ばれただけなので、とりあえず部屋に入れた。すぐに追い返すつもりだけどね!そんな事を思っていたが、

 

優子「で、今日は補習をサボってどこに行ってたの?」

 

 部屋に入るや否や、その選択を後悔した。

 

昂哉「出席しなくていいと思ったので、雀荘に行ってました。」

優子「この世に出席しなくていい授業なんて無いわよね?」

昂哉「……………」

優子「とりあえず折檻……って思ったけど、貸しにしといてあげる♪」

昂哉「貸し?」

 

 前清涼祭の時にやったけど、今度は何を企んでるんだ?

 

昂哉「で、何する気なの?」

優子「実は明日、学年対抗肝試しをやる事になってね。」

 

 ほ〜。何それ面白そう!

 

昂哉「おお!んで、どんな感じのイベントなの?」

優子「3年生が驚かす側、2年生が驚かされる側になって戦うの!召喚獣も夏限定お化け仕様になったりして、めっちゃ凄いのよ‼︎」

昂哉「ほぇ〜。」

 

 随分本格的だな。あのばあさんが文月の宣伝のつもりでやったのだろう。まあ楽しそうだからいいけどね〜。

 

昂哉「で、優子は何を頼みたいの?」

優子「えっと、2年生側は2人1組で一緒になって行動するの。」

 

 そう言うことね。

 

昂哉「で、俺とペアになれと?」

優子「うん………///」

 

 まあそのくらいはいいか………いや待てよ?きちんとルールを把握しなければいけないな。もしこのペアで何か他の事もしなければいけない、とかだったら大変だからね。

 

昂哉「で、ルールはどんな感じなの?」

優子「えっとね、こんな感じかな。」

 

 そして優子は学年対抗肝試し大会のルールを教えてくれた。

 

 

 

ーーールールーーー

 

・A・B・C・Dクラスに計4つのチェックポイントを設置する。

 

・二人一組での行動が必須。

一人だけになった場合のチェックポイント通過は認めない。ただし一人になっても失格ではない。

 

・チェックポイントでは各ポイントを守る代表者二名と召喚獣で勝負。

撃破でチェックポイント通過となる。

 

・一組でもチェックポイントを全て通過できれば驚かされる側、通過者を一組も出さなければ驚かす側の勝利とする。

 

・驚かす側の一般生徒は召喚獣でのバトルは認めない。あくまでも驚かすだけとする。

 

・召喚時に必要となる教師は各クラスに一名ずつ配置する。

 

・通過の確認用として驚かされる側はカメラを携帯する。

 

・二人のうちどちらかが悲鳴をあげてしまったら両者ともに失格。

携帯されたカメラからの音声が一定音量を超えたとき、悲鳴とみなす。

 

・学園への設備の手出しを禁止する。

 

・チェックポイントの科目はお互いに2つずつ指定する。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 なるほど、つまり優子と屋敷の中に入ったらすぐに叫べば、俺たちはそのまま失格になって解放されるわけね。それなら全然いいじゃないか‼︎

 

昂哉「分かった。引き受けるよ!」

優子「ホント⁉︎あ、ありがとう///」

昂哉「ど〜も。」

優子「ちなみにわざと叫ぶのは無しね。」

昂哉「はい………」

 

 どうやら俺の作戦は見抜かれていたようだった………

 

優子「ということで、明日はよろしくね。」

昂哉「ほ〜い。」

優子「それじゃあまたね!」

昂哉「窓から自分の部屋に戻んないの?」

優子「部屋の窓開けてないから無理よ。」

昂哉「なるほどね〜。んじゃ、また!」

優子「は〜い!」

 

 ということで、優子はそのまま帰った。そして入れ違いに、

 

恵「昂哉、優子ちゃんに手を出せって言ったでしょ⁉︎」

 

 キチガイお袋が入って来た。

 

昂哉「嫌なものは嫌なの。」

恵「だったら飲み会に参加しなさい。」

昂哉「少しは俺の人権が欲しいよ‼︎」

恵「親に黙ってニートしてた人に人権があるとでも?」

 

 うぐっ……。それを言われるとキツい………

 

昂哉「分かった、分かったから。だから飲み会に参加するよ。」

恵「そうしてくれると助かるわ。」

 

 そして俺はそのまま飲み会に(おもむ)き、記憶を無くした。

*1
最後のゲーム




 ということで肝試し編、スタートです!本来だったら昂哉のオカルト召喚獣が判明するところでしたが、どう考えても彼は補習に行かない人間だと思ったのでこういう展開になりました。ちなみに昂哉の召喚獣は肝試し中に出てきます。

 さて、次回は肝試し大会当日な訳ですが………昂哉が記憶を飛ばしてます。彼は大丈夫なのでしょうか?それは次回判明します。

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第五十六問 途絶えた記憶とヤニカス女

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
モニター越しのセリフは
『』でくくりました。
「」は待機場所、あるいは
視点になってる人のそばのセリフです。


  side 昂哉

 

 飲み会の翌朝、俺は目覚めると…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白い天井、かなり広い部屋、巨大なスクリーン、そして大量の人間、と見知らぬ世界が広がっていた。ここはどこだ?人間は………文月の制服を着ている事から、ここは学校の中だと言うことが分かった。だがこの部屋は何だ?俺は夢でも見ているのか?思い出せ、思い出せ、思い出せ………

 

 昨日は確か家で優子と話して、それから家族で飲み会をしたはず。それなのに何故俺は今学校に居る?どういうことだ?やはりこれは夢か?そんな事を思ってると、

 

 

 

 スクリーンにゴスロリ衣装を来た常夏コンビの坊主の方、夏川先輩の画像が映し出された。その瞬間、

 

2年生「「「「「きゃぁぁぁぁぁぁ⁉︎」」」」」

 

 生徒たちが悲鳴を上げた。ハッキリ言ってめちゃくちゃ気持ち悪い。とにかく吐きそうだ。吐きそう?ん?

 

 

 

 

 俺が真実に辿り着きそうになったところで………

 

優子「昂哉、大丈夫?起きたの?」

 

 優子が声をかけてくれた。手には何本もの水が入ったペットボトルを持っている。

 

昂哉「あ、あぁ………」

優子「良かった〜!」

 

 俺の無事を確認した途端、優子が嬉しそうに笑った。そして、

 

優子「とりあえずこの水を飲んで!」

 

 手元にある水を飲ませてくれた。だが今は水が飲めるほど気分が良くない。

 

昂哉「水は………今はキツイかな……」

優子「安心して、昂哉!これは非可燃性の水だから!」

 

 そうか………世の中には燃えない水も、あるのだったな。

 

昂哉「ありがとう……」ゴクゴク

優子「大丈夫?」

昂哉「正直まだ気持ち悪いけど………俺は一体何をしているんだ?」

優子「昨日言った通り学年対抗肝試し対決よ!覚えている?」

 

 そうか……そういえば、優子とそんな話もしていたような………

 

昂哉「少しは………でも学校から家までの記憶が無いんだけど……」

優子「家族全員とアタシと秀吉で、アンタのことをここまで運んだのよ。」

 

 そういうことか。全て繋がったよ。俺は昨日家で飲み会をやった結果潰れて記憶を無くし、優子や親父たちによって学校に運ばれたわけね。潰した両親と兄貴たちには後で復讐するとしよう。

 

昂哉「ありがとう………事情がなんとなく分かってきたよ……」

優子「それは良かった!それで、体調はどう?」

昂哉「う〜ん、ちょっとトイレ行ってくるね。」

優子「わ、分かった!」

 

 そして優子はトイレの前までついてきてくれた。普段は怖いのに、こういう時は優しいんだね。

 

 

 

 

 トイレで2・3回吐いた後、俺は優子に連れられて目を覚ました部屋まで戻った。そこではFクラスの連中と一部のAクラスの連中が出迎えてくれた。

 

雄二「おお昂哉、起きたんだな。」

霧島「…おはよう。」

明久「昨日は学校サボるし、今日は酒で潰れて途中まで死んでるし、ホントに何やってたの?」

昂哉「うるせえ………」

美穂「お酒って怖いですね。」

昂哉「結構簡単に記憶無くなるからね……」

秀吉「お主は記憶無くしてるかもしれんが、姉上は全部覚えてるぞい。昨夜お主が姉上にした事も。」

 

 え?俺潰れてる時に優子になんかやったの?マジで?

 

昂哉「ねえ優子。俺なんかやっちゃった?」

優子「えっと………その……///」

 

 マジ⁉︎何この反応⁉︎俺優子と一線越えちゃったの⁉︎ヤバいヤバいヤバいヤバい‼︎

 

昂哉「えっ⁉︎あ、あの⁉︎ほ、ホントに覚えてないんだけど⁉︎あ、あの、その、ご、ごめんなさい‼︎」

優子「えっと、だ、大丈夫だから……///」

昂哉「あの、だからさ、昨日俺が何したか教えてくんない?」

雄二「木下、教えなくていいぞ。」

明久「自分で気づくことが大切だからね!」

秀吉「むしろ忘れてるというのは失礼な気がするのじゃが……」

昂哉「お前らには聞いてない‼︎」

 

 酒の苦しみを知らん奴らは偉そうに言うな‼︎

 

昂哉「ごめん優子、俺本当に思い出せないんだ……」

優子「いや、ホント大したことじゃないから‼︎」

昂哉「ホント?」

優子「よ、」

昂哉「よ?」

優子「酔ってる時にアタシに抱きついてきただけ……///」

 

 めちゃくちゃヤベェじゃねえか⁉︎よりによってなんで優子に抱きついてるんだよ⁉︎というか優子は部屋で話した後家に帰ったんじゃなかったの⁉︎あのクソ野郎共が飲み会に誘ったのか⁉︎マジでふざけんなよ‼︎

 

昂哉「あの、その、マジでごめん‼︎」

優子「ホントに大丈夫だから……///」

明久「やっぱり昂哉って……」

昂哉「多分秀吉と見間違ったんだよ‼︎ホントにごめんね!」

 

 というか絶対そうだ。俺が秀吉に抱きつく事はあっても優子に抱きつく事はないはずだからね。

 

優子「そ、そうなんだ………」

秀吉「お主は最低じゃな。」

美穂「その一言が無ければ良かったのに……」

雄二「だな。」

霧島「…優子が可哀想……」

優子「アタシは大丈夫だから!」

昂哉「というか、俺的にはこれが無いとダメなの‼︎」

 

 とにかくこの話題はマズい‼︎何か他の話題に変えなければ‼︎

 

昂哉「そういえば、他の人たちは?」

雄二「姫路と島田はあそこでずっと怯えてるな。」

 

 そして雄二が指差した方向には、

 

 

 

 

島田「う、ウチは怖いものなんてないわ!」

姫路「怖いです怖いです怖いです……」

 

 怯えてる2人と………

 

 

 

清水「怖がってるお姉様も可愛いです♪」

赤田爺「お嬢ちゃんたち、儂がいるから大丈夫じゃ‼︎」

 

 喜んでる2人と……

 

 

 

久保「……さて、どうやって島田さんと吉井君を引き剥がすべきか……」

玉野「……とりあえずアキちゃんは私の方で何とかします……」

 

 よからぬことを考えてる2人が居た。

 

 

 

昂哉「あの2人、お化け苦手だったんだね。」

明久「姫路さんはともかく、美波は意外だよね〜。」

島田「う、ウチは怖くなんてないから‼︎」

 

 強がってるのが島田らしいね。素直に怖いと言って明久に抱きついちゃえばいいのに。

 

 それと、後2人足りないね。

 

昂哉「雄二、保健体育のバカップルは?」

雄二「それについてなんだが、常夏コンビの坊主がゴスロリ衣装を着て現れたのは知ってるか?」

 

 あれって夢じゃなくて現実だったんだ。

 

昂哉「うん。」

雄二「そいつらは、それの対策で向かわせた。」

昂哉「なるほどね〜。」

秀吉「もうじきモニターに現れる頃じゃの。」

雄二「そうだな。」

 

 そして俺が巨大スクリーンに映し出された、お化け屋敷の内部と思われる映像を見ると、

 

工藤『目的地は〜、ここカナ?』

夏川『おらぁぁぁぁ‼︎』

 

 工藤とムッツリーニが夏川先輩のところに到達していた。でもあのめちゃくちゃ気持ち悪いのをどうやって倒すんだ?そんな事を思ってると………、

 

ムッツリーニ・工藤『『………』』ドン

 

 その2人が夏川先輩の前に鏡を置いた。奴らは一体何を……?

 

夏川『なっ⁉︎なんだこれはぁぁぁぁ⁉︎』

 

 なるほど、そういう事か‼︎己の醜さを鏡で示させたんだね‼︎やる事がえげつねぇや‼︎更に………

 

工藤『はいは〜い♪写真撮影で〜す♪』

ムッツリーニ『………』パシャ、パシャ

夏川『撮るなぁぁぁぁ⁉︎この俺を撮るなぁぁ⁉︎』

ムッツリーニ『………この写真をSNSで拡散する‼︎』

 

 撮影会を始めやがった。その結果、

 

夏川『お、覚えていやがれぇぇぇぇ‼︎』

 

 先輩の心はバキバキに折れ、そのままどこかへ行ってしまった。

 

雄二「これで無事ゴスロリ坊主を討伐出来たな。」

明久「後はあの2人が全部やってくれそう!」

秀吉「このDクラスのチェックポイントの科目は保健体育じゃしのぅ。」

 

 あの2人なら怖がる事は無いだろうし、保健体育の点数も高いだろうし、いけるでしょう!

 

昂哉「それならなんとかなりそうだね!ちなみに今ってどんくらい進んでるの?」

雄二「お前は気絶してたから知らないだろうが、4つクラスがあるうちの2番目だ。」

昂哉「なるほどね〜。」

 

 思ったよりは進んでないんだね。

 

 

 

 

 そんな事を思っていると、

 

工藤『チェックポイント、到着!』

 

 どうやらあの2人がチェックポイントにたどり着いたみたいだ。

 

名波『ここは通さないぜ‼︎』

ムッツリーニ・工藤・名波・市原『『『『試獣召喚(サモン)』』』』

 

 

 

保健体育

 

2年生

   土屋康太  1078→784点

   工藤愛子  924→693点

    VS

3年生

   市原両次郎 307→0点

   名波健一  284→0点

 

 

 

 まあ科目が科目なので、結果は圧勝だった。というかアイツらの点数おかしいでしょ。ムッツリーニに至っては4桁超えてるし。

 

 それと、あれが噂の特殊仕様の召喚獣か〜。ムッツリーニはヴァンパイヤだし、工藤はのっぺらぼう、先輩はフランケンシュタインとミイラだね。いつもとは違うこの感じ、最高だね!

 

明久「凄いや2人とも!でも何があったんだろう?」

雄二「ハッキリと見えたわけじゃないが、のっぺらぼうの方は一瞬で全裸になって相手をボコってまた服を着てた。」

 

 脱ぐ必要あるか、それ?

 

雄二「ムッツリーニはその一瞬で、出血、止血、輸血を終わらせていた。」

 

 絶対にそのサイクルは要らないと思うんだが。あと工藤は脱ぎたがりって事にして今度からからかってやろう。

 

明久「流石ムッツリーニ‼︎この調子なら、全部いけそうだね!」

昂哉「そう上手くいくかな?他の科目が全部保健体育ならともかく……」

雄二「それに、向こうも手を打ってくるだろうしな。」

 

 確かに。さて、どんな手を打ってくるだろうか…………

 

 

 

 

 3つ目のクラスであるCクラスに入って早々、そのトラップは発生した。

 

小暮『ようこそいらっしゃいました。私、3年Aクラスで茶道部の小暮葵と申します。』

千華『久しぶりね、愛子に土屋。』

工藤『久しぶりです!』

 

 ビッ千華はともかく、エロ先輩の色仕掛けか?エロ先輩の方は茶道部らしく浴衣を着ていて、ビッ千華の方は普通に制服を着ている。ただエロ先輩は少し浴衣をはだけさせており、ビッ千華はスカートを軽くめくっている。

 

ムッツリーニ『………くっ‼︎』ダラー

工藤『ムッツリーニ君⁉︎』

小暮『可愛いですねぇ♪』

千華『この程度のコトで反応するだなんて、流石は童貞ね♪』

ムッツリーニ『………なんの、これしき!』ダラー

 

 当然のようにムッツリーニは反応しているが、なんとか耐えている。頑張れ、ムッツリーニ‼︎

 

小暮『でも私、もう一着ユニフォームを着ているんです。』

千華『奇遇ね。アタシもよ。』

工藤『もう一着?』

 

 もう一着………二段構えと言うわけか………ってもしや⁉︎

 

小暮『実は私、新体操部に所属しておりますの‼︎』

ムッツリーニ『………ぬぁっ⁉︎』ブハッ!

 

 だよな‼︎ダブルスの時にやってたもんね‼︎さて、ビッ千華は?

 

千華『で、アタシは………?』

 

 アタシは…………

 

千華『ただの私服よ♪』

 

 私服か…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ってあれは⁉︎肩出しヘソだし超ミニスカートと、ムッツリーニが反応するものが全て揃ってるじゃないか⁉︎流石ビッチなだけあって、そのチャラ目なお洋服がお似合いですこと‼︎

 

ムッツリーニ『………ぬぁぁぁぁぁ⁉︎』ブハッ‼︎

工藤『ムッツリーニ君⁉︎』

 

 

ブー 工藤&ムッツリーニ OUT

 

 

 

 更にはそのエロさに目を奪われた野郎どもが………

 

男達「「「「「新体操、新体操、新体操‼︎」」」」」

男達「「「「「ビッチ、ビッチ、ビッチ‼︎」」」」」

赤田爺「ぬぉぉぉぉぉぁ‼︎あれが儂の桃源郷じゃ‼︎」

 

 次々とアウトになっていった。というか学年トップクラスのじっちゃんまで自滅すんなや‼︎

 

明久「よし、これは僕も行かないと……」

姫路「明久君?

島田「アキ、どこ行くの?

雄二「目がぁぁぁぁぁ⁉︎」

霧島「…雄二には刺激が強すぎる。」

秀吉「よし、ワシらの出番かのぅ?」

美穂「違うと思いますよ?

秀吉「そ、そうじゃな……」

優子「昂哉、目的を見失わないでね。」

昂哉「あ、ああ‼︎」

 

 周りは刑が執行されてたりされてなかったりしている。はてさて、ここで次誰を出すべきか………そうだ!

 

昂哉「雄二、あの2人の対策には秀吉&佐藤ペアか俺&優子ペアが妥当じゃない?」

優子・美穂「「えっ⁉︎」」

 

 この2ペアぐらいしかまともに相手出来ないと思ったので、こうしたよ!

 

雄二「前者はともかく後者はダメだろ。」

美穂「前者もダメです。」

昂哉「でも要は、いくら興奮してもいいから騒がなければいいだけでしょ?」

 

 失格の条件が声の大きさだけだからね。まあチェックポイントの召喚獣勝負で負ける事もあるけど。

 

秀吉「確かにのぅ!」

昂哉「それに、秀吉はあまり大声を出さないタイプだし、俺は風俗巡りのおかげでその先を知ってるから、あの程度の仕掛けでは大声を出さないタイプだからね。」

優子「まあ2人ともらしいわね……」

美穂「ですね………」

明久「ならどっちを出す?」

雄二「そうだな………ここは秀吉&佐藤ペアとしよう。」

秀吉「分かったのじゃ!」

美穂「分かりました。では行って参ります。」

昂哉「いってら〜。」

 

 ということで、あの2人を送り込んだのだが……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄二「秀吉たちのカメラの映像が消えた?」

明久「マイクからの音声も消えたみたい……」

 

 しばらくすると、怪奇現象が発生した。

 

優子「どういう事?」

霧島「…機材トラブルかな?」

明久「それとも本物のお化けが紛れ込んでたとか?」

島田・姫路「「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」」

雄二「まさか、そんなはずは無いだろう………」

 

 一体何が起きてるんだか…………

 

 

 

 

 そして数分後、

 

美穂『では行きましょうか♪』

秀吉『そ、そうじゃの……///』

 

 カメラの映像とマイクの音声が無事に戻った。

 

明久「何があったんだろう?」

雄二「さあな。」

昂哉・優子「「……あの2人、また隠れてヤってやがったな……」」

 

 また優子と見解は一致したみたいだ。本当にお盛んな2人だこと。

 

 

 

 

 ただ直前に本番を行った事もあってか、

 

小暮『あれ、女の子同士のペアですか……』

千華『いや、片方は男よ。ね、秀吉?』

秀吉『わ、ワシはさっき荒治療を受けたから大丈夫じゃ。』

千華『美穂、アンタまさか………?』

美穂『ふふふふふ♪』

 

 秀吉はほとんど動揺しなかった。こういう作戦だったのね‼︎流石は佐藤‼︎あとビッ千華がちょっと引いてるのウケる〜w

 

美穂『とにかく、私たちに色仕掛けは効きませんよ?』

秀吉『じゃからここを突破させてもらうぞい。』

 

 よし、とにかくこれで色仕掛けは突破だ‼︎やったね♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千華・小暮『『試獣召喚(サモン)』』

 

 なっ⁉︎なんだと⁉︎

 

秀吉・佐藤『『なっ⁉︎』』

千華『まっ、アタシらがこの教室のチェックポイントの2人だからさ〜。倒せなきゃここ通れないんだよね〜♪』

 

 クソ‼︎色仕掛けと召喚獣勝負の両方を突破しなきゃいけないのか‼︎これはかなりキツイな‼︎

 

秀吉・佐藤『『くっ……さ、試獣召喚(サモン)』』

 

 

 

総合科目

 

2年生

    木下秀吉 362点

    佐藤美穂 4212点 

     VS

3年生

    小暮葵  3418点

    蕨千華  5513点

 

 

 

 そしてビッ千華がめちゃくちゃ強いし‼︎流石は学年3位と言ったところか………

 

美穂『秀吉君は小暮先輩を相手して下さい!私は蕨先輩を相手にします!』

秀吉『分かったのじゃ!』

小暮『では、勝負致しましょう。』

千華『上等‼︎』

 

 さて、正直秀吉vsエロ先輩は勝負にならないから、佐藤vsビッ千華の方を見るか………

 

 

 

 

 佐藤の召喚獣は狐火か。空に飛ぶ火の玉みたいなヤツだな。対してビッ千華はタバコを持った………………ハゲたおっさん⁉︎アイツ、おっさんが好きなの⁉︎

 

昂哉「ねえねえ、ビッ千華の召喚獣ヤバくない⁉︎」

優子「タバコは普通だけど、おじさんなんだ……」

霧島「…キムナイヌ。…アイヌに伝わる、タバコが好きな妖怪の事。」

昂哉・優子「「そういうことか(ね)……」」

 

 タバコ好きの本質が現れたのね。凄い召喚獣だな。

 

 それはともかく、2人の戦いの様子を見てみるか…………

 

 

 

 

 佐藤は炎が鉄球を持って振り回しているね。普通逆じゃね、って思うくらい中々にシュールな光景だ。対してビッ千華はタバコを吸ってるだけ………って!

 

佐藤(召喚獣)『コホ……コホ……!』

 

 副流煙で攻撃してんのか‼︎煙が佐藤の召喚獣の口に入って身動きが取れなくなった。そして、その隙を逃すまいとばかりに、

 

千華(召喚獣)『オラァ‼︎』ヒューン

 

 ビッ千華の召喚獣がタバコを投げた。これで火傷させるつもりなんだろう。ただ佐藤の召喚獣が炎そのもののおかげで、

 

佐藤『その攻撃は効かないようですね。』

千華『くっ‼︎』

 

 無効なようだ。恐らく他の召喚獣なら効いてただろうね。

 

 さて、佐藤が鉄球を振り回しながら距離を詰めたぞ。対するビッ千華は………距離を詰めて来た?副流煙しか攻撃手段が無いのなら、距離を取った方がいいのでは?そんな事を思ってると、

 

佐藤(召喚獣)『コホ……コホ……うっ……』

 

 近づいた事により副流煙の浴びる量が増え、余計身動きが取れなくなった佐藤の召喚獣があった。そういう事か‼︎最悪相手の召喚獣の口にタバコの先端を入れてしまえば、かなりのダメージになるからな!

 

千華『へへん!アンタじゃアタシには勝てないのよ〜♪』

佐藤『なっ⁉︎だったら……』

 

 ん?もしや佐藤はアレを仕掛けるつもりか⁉︎

 

佐藤『《燎原(りょうげん)の炎》‼︎』

 

 出た‼︎佐藤の腕輪の力‼︎炎が一瞬で広がって、全てを激しく燃やし尽くす技だ‼︎これならビッ千華にも効くだろ…………う?

 

千華『フッ……w』

 

 ビッ千華が笑った?奴は一体何をする気なんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千華『《百本煙草(ひゃっぽんたばこ)》‼︎』

 

 そして次の瞬間、フィールド全体に大量のタバコが出現した………ってまさか⁉︎

 

佐藤『なっ⁉︎大量の副流煙ですって⁉︎』

千華『アンタがバカデカい火を出してくれたおかげで、アタシの腕輪の力の効果が跳ね上がったよ‼︎センキュー♪』

 

 そういう事か‼︎佐藤の腕輪の力で出た火を使って自身の腕輪の力である大量のタバコに着火させたんだ‼︎そして一気に巻き起こる副流煙‼︎これは勝負あったか………?

 

 

 

 

総合科目

 

2年生

    木下秀吉 0点

    佐藤美穂 0点 

     VS

3年生

    小暮葵  3371点

    蕨千華  2715点

 

 

 

 本当に勝負あったようだ。

 

秀吉『すまぬ、美穂………。ワシは全然ダメじゃった……』

美穂『私もですよ、秀吉君……』

千華『さぁて、色仕掛けと点数勝負の両方を突破できる人はいるのかな〜w』

 

 ビッ千華が挑発してくる。これはやるしかないな‼︎

 

昂哉「行くよ、優子‼︎」

優子「そうね。これは敵討ちよ‼︎」

雄二「頼んだ‼︎」

明久「お願いね!」

 

 こうして俺たちの敵討ちが始まった。




 ということで、昂哉が酔い潰れてた事により一気に前半が省略されましたね。目を覚ました時には既にゴスロリエリアでした。

 そして原作とは異なり、色仕掛け組がそのままチェックポイントの担当になりました。色仕掛けと召喚獣勝負の両方をこなさなきゃいけないのはかなり大変ですね………

 さて、次回は早くも昂哉の出番です。お楽しみに‼︎

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第五十七問 昂哉の力・小暮の力

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 俺は優子と一緒にチェックポイントまでやってくると、

 

昂哉「んじゃ優子はビッ千華をよろしく〜。」

優子「分かったわ。」

 

 優子にビッ千華の相手を任せて、俺はエロ先輩こと小暮先輩の相手をした。

 

 

 

  side 小暮

 

 雲雀丘…………さん?どうして今、ここに?彼は最終チェックポイントで常村君と夏川君の相手をするはずでは?

 

 そんな事を思ってると、

 

昂哉「Hey、ビッ千華!あそこにイケメンがいるよ!」

千華「えっ⁉︎マジ⁉︎」

優子「隙あり‼︎」

千華「なっ⁉︎アンタ、騙したわね‼︎」

昂哉「騙される方が悪いんです〜wそれより、ここから遠ざからないと、俺の酒が当たるかもよ〜。」

千華「分かったわよ‼︎」

優子「待ってください‼︎」

 

 雲雀丘さんが千華さんの妨害をしたみたいです。卑怯な方ですね。そして、常に胡散臭いうすら笑いを浮かべているのが不気味です。

 

 そして、その彼がついに私に話しかけてきました。

 

昂哉*1「いい身体ですね。」

小暮「何故千華さんの妨害をしたのです?理解出来ません。」

昂哉「話の邪魔になるかと思いまして。俺と貴方の。」

小暮「私と貴方が何の話をするのです?初めて会話をしましたが、私は既に貴方の事があまり好きではありません。」

昂哉「そうですか。俺もビッチが嫌いです。ビッチを見ると虫唾が走ります。」

小暮「私と貴方では物事の価値基準が異なるようですね。」

昂哉「そうですか。では素晴らしい提案をしましょう。」

 

 この人、この妙に会話が続かない感じ、意図してやってるのでしょうか?新手の挑発ですかね?そして提案?一体どんな提案をなさるのでしょうか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「貴方も風俗嬢になりませんか?」

 

 はい⁉︎初めて喋った人にいきなり風俗嬢を勧めるのですか、この人は⁉︎とても正気とは思えません‼︎

 

小暮「なりません。」

昂哉「見れば分かります、貴方のエロさ。経験者ですね?その身体練り上げられています。()()()()()()()()ですね。」

 

 身体を褒めて下さるとは………いささか直接的過ぎる気はしますが、悪くはありませんね。

 

小暮「ありがとうございます。」

昂哉「でも貴方は()()()()()に踏み入れられません。その理由を教えてあげましょう。」

 

 ところで、さっきからこの人は何の話をしてるのでしょうか?至高の領域とは?何故私はそこに行けないのでしょうか?

 

昂哉「素人だからです。経験不足だからです。」

 

 なるほど、風俗嬢になって得られる経験が大切だというわけですね。

 

昂哉「風俗嬢になりましょう、小暮先輩。そうすれば、10年でも20年でも鍛錬し続けられます。エロくなれます。」

 

 でもこれには私なりの反論があります。

 

小暮「愛のある行為だけが出来ることが、素人という儚い生き物の美しさだと、私は思うのです。商売でやる以上は、愛無き行為も多々存在します。しかし私は行為に愛を求めたい。」

 

 私は愛の無い行為は嫌いなのです。

 

小暮「何度でも言いましょう。貴方と私では価値基準が違います。私は如何なる理由があろうとも、風俗嬢にはなりません。」

昂哉「そうですか。」

 

 これで納得してくれたでしょうか?

 

昂哉「試獣召喚(サモン)

 

 そうして雲雀丘さんは足元に禍々(まがまが)しい化け猫模様の魔法陣を展開し、召喚獣を喚び出しました。そして喚び出された召喚獣は、一見するとその魔法陣に似合わない金髪の天使でした。しかしその目は死んでおり、手には酒瓶が持たれています。更には頭の上の輪が欠けていますね。堕天使と言ったところでしょうか。

 

昂哉「風俗嬢にならないなら、その召喚獣を殺します。」

 

 これは全面戦争ですね。

 

小暮「試獣召喚(サモン)

 

 

 

総合科目

 

2年生 雲雀丘昂哉 5417点

     VS

3年生  小暮葵  3371点

 

 

 

 点数はあちらの方が圧倒的に上ですが………私だって負けるわけにはいきません!

 

昂哉「スピリタス・瓶式‼︎」

 

 雲雀丘さんが距離を詰めてきました。彼の武器はあの酒。恐らくアレを私の召喚獣に飲ませる気でしょう。対して私の武器は新体操のリボン。ここはリボンで迎え撃ちましょう‼︎

 

昂哉「オラよ‼︎」

小暮「くっ!」

 

 少しダメージを受けましたが、相手も少し食らったようです。

 

昂哉「今まで勧誘してきた女性の中に、俺の誘いに頷く者は居ませんでした‼︎何故でしょうね⁉︎同じ性の道を極める者として理解しかねます‼︎選ばれた者しか風俗嬢にはなれないというのに‼︎素晴らしき才能を持った者が幾多の経験をすることなく、醜く衰えてゆくんですよ。そんなの、俺は辛いです、耐えられません‼︎」

 

 そして彼は私に更に近づくと、

 

昂哉「死んで下さい、小暮先輩。若く、美しいまま。」

 

 そう言って更に攻撃してきました。彼、動き自体はそこまで激しくないのですが、酒による酔いがかなりキツいですね。召喚獣が思うように操作できません‼︎

  

 

 

総合科目

 

2年生 雲雀丘昂哉 4218点

     VS

3年生  小暮葵  2176点

 

 

 そんな事を思ってると、彼の召喚獣が天高く飛び上がりました。一体何をするつもりなんでしょうか?

 

昂哉「スピリタス・銃式‼︎」

 

 なるほど。水鉄砲のように放たれた酒が、あの高い場所からこちらまで来ます。一瞬にも満たない速度。このまま距離を取って戦われると、私のリボンが届く事は困難になりますね。

 

ならば近づくまで‼︎

 

昂哉「おお!素晴らしい反応速度、そして身体です‼︎この素晴らしい身体も、持て余しているうちに失われてゆくのですよ、小暮先輩‼︎悲しくは無いんですか⁉︎」

小暮「誰もがそうです‼︎素人ならば当然の事です‼︎」

 

 そう言い合ってるうちに、

 

千華「葵‼︎交代しようか⁉︎」

 

 千華さんが心配して下さりました。自分の相手もいると言うのに………。ここは安心させてあげなければいけませんね。

 

小暮「大丈夫です、千華さん‼︎」

千華「りょ〜かい‼︎」

昂哉「ビッチに構わないで下さい、小暮先輩‼︎全力を出して下さい‼︎俺に集中して下さい‼︎」

小暮「ならばお望み通り、集中してあげますよ‼︎」

昂哉「それでいいんです‼︎スピリタス・乱式‼︎」

 

 あちこちにばら撒かれる酒。これを全部リボンで(さば)かなければ‼︎しかし相手は液体。捌き切るのは難しく、武器であるリボンも濡れて動かしにくくなってる状況………かなりマズいですわ………

 

 

 

総合科目

 

2年生 雲雀丘昂哉 3015点

     VS

3年生  小暮葵  1318点

 

 

 

小暮「はぁっ………はぁっ………」

昂哉「小暮先輩、やはり貴方は風俗嬢になるべきです。今はまだ肉体の全盛期では無いかもしれない。だが風俗嬢になって経験を積むうちに、1年後、2年後とかには更に素晴らしい身体になってる事でしょう。そして何と言っても技術が身につく。相手を更なる快楽に導くことの出来る、素晴らしい技を極める事が出来るのですよ‼︎」

小暮「でも、やはり愛は必要です‼︎愛のないものは、私は求めておりません‼︎」

昂哉「愛のないものを知ることによって、更に愛のあるものの素晴らしさを知ることが出来る。そう思いません?それに、素人では圧倒的に経験が足りない。貴女が好きな相手に味わわせたいと思ってる快楽も、技が無ければ不可能です。」

小暮「くっ………」

昂哉「結論を言いましょう。素人ではプロに勝てません。」

 

 話に呑まれているうちに、召喚獣の点数もかなりマズい事になってしまいました………でも………!

 

小暮「私は………それでも愛の無い行為はしたくありません‼︎」

昂哉「なるほどなるほど。貴方は俺の話に乗らないわけですね。ではとっとと負けを認めて下さい。他の人を勧誘したいので。」

小暮「私は、私の責務を全うします‼︎ここに居る者は、誰も通しません‼︎」

 

 一瞬で相手を魅了し、かつ多くの攻撃を与える技。女子新体操、床の最高難易度Iの技。後方伸身2回宙返りと2回ひねりを合わせた技………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小暮「《モールズ》‼︎」

 

 倒すのです、この技で‼︎

 

昂哉「おお……素晴らしい身体です……‼︎それ程乱れて息が荒くなっておりながら、その気迫、美しさ、そして一部の醜さも無いその身体‼︎やはり貴方は風俗嬢になるべきです‼︎そして彼女と別れた後の俺と永遠に戦い続けましょう‼︎」

 

 雲雀丘さんも腕輪の力を使いそうな気迫です。

 

昂哉「《スピリタス・記憶滅式》‼︎」

 

 2人の腕輪の力がぶつかり合う。相手は巨大化した瓶に入っている大量の酒を一気に浴びせる攻撃。だが私だって負けてられない‼︎さあ、これで倒れて下さい‼︎

 

 

 

  side 千華

 

 アタシは優子に負けてしまった………。さて、葵はどうなったかな?

 

小暮「《モールズ》‼︎」

昂哉「《スピリタス・記憶滅式》‼︎」

 

 腕輪の力同士のぶつかり合い‼︎行けるぞ、葵‼︎行け、葵‼︎押せ‼︎押せぇぇぇぇぇ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総合科目

 

2年生 雲雀丘昂哉 2418点

     VS

3年生  小暮葵  17点

 

 

 

 そ、そんな…………。葵の攻撃はほとんど命中せず、雲雀丘の酒瓶が葵の召喚獣の口に命中しているだなんて………

 

千華「あぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」

昂哉「死んでしまう‼︎死んでしまいますよ、小暮先輩‼︎風俗嬢になれ‼︎風俗嬢になると、言って下さい‼︎」

 

 

 

 

  side 小暮

 

 隣で千華さんが私のために叫んで下さってます。

 

 そういえば、私が初めて千華さんと会ったのは、1年の入学式の日だったでしょうか。たまたま隣の席に座ってらっしゃりましたよね。最初の貴女は見た目がとても怖く、かなり近寄り難い雰囲気でした。正直言ってあまり関わりたく無いと思ってました。

 

 でも入学式のHRのとき、千華さんが保険証を落としました。流石に拾わないのはマズイと思い、

 

小暮「すいません、落とし………」

 

 恐る恐る拾おうとしたタイミングでチラりと見えてしまったのです。千華さんの生まれた年が私よりも2年早い事を………

 

千華「あぁん?どうしたのよ?」

小暮「い、いえ、何でもありません。」

 

 私は怖くて誤魔化そうとしたのですが、

 

千華「まさかアタシが2個上である事、気にしてんの?」

 

 すぐにバレてしまいました。ただでさえ目つきが悪いのに、歳が2つ上の人。普段あまり怖がらない私でも、恐怖で身が震えていたのを覚えております。

 

小暮「え、えっと、その………」

千華「別に気にしなくていいわよ、年齢なんて。普通の同級生だと思って接しない。それに、保険証拾ってくれてありがとね。」

小暮「えっ?」

 

 そんな怖がる私に、千華さんはぶっきらぼうながらも優しく言葉を返してくれました。それを聞いた時、この人はきっと怖い人では無く、根は優しい人なのだな、と思いました。

 

小暮「あっ、はい!よろしくお願いしますわ‼︎」

千華「いや、普通の同級生だと思ってって言ったじゃん!何で敬語なの?」

小暮「あの、私は誰にでも敬語ですので……」

千華「あっ、そうなんだ。それならいいわ。んで、アンタ名前は何て言うの?」

小暮「小暮葵と申します。」

千華「ほ〜。アタシはその保険証にある通り、蕨千華。これからもよろしくね、葵!」

小暮「よろしくお願いします、千華さん!」

 

 その時以来、私にとって千華さんは一番の友達になりました。自分で思った事ややりたい事、やりたく無い事は全部素直に言って下さる貴女は、私にとって何も気を遣わなくて済む大切な友人なのです。そんな貴女の友人になれて、私は幸せです‼︎

 

小暮「私の攻撃、食らって下さいまし‼︎」ガシン‼︎

 

 

 

  side 昂哉

 

 なっ⁉︎小暮先輩が俺の召喚獣の首にリボンを当ててきただと⁉︎この人、この点数でまだ俺に攻撃するつもりなのか⁉︎だったらここは、もう片方の手にある酒鉄砲で攻撃してやる‼︎

 

昂哉「オラァ‼︎」

小暮「させません‼︎」ガッ‼︎

 

 止めた⁉︎信じられない力だ‼︎口の中に俺の酒瓶がぶち込まれているのだぞ⁉︎

 

千華「ところで優子、雲雀丘が葵に風俗嬢の勧誘をしてたけど、どう思う?」

優子「それはいけませんね。アタシがキツく言っておきましょう。

 

 なっ⁉︎優子が来るだと⁉︎逃げなければ‼︎逃げなければ‼︎

 

昂哉「おぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」

小暮「絶対に離しません‼︎貴方を倒すまでは‼︎」

 

 クソ‼︎更に力が強くなっている‼︎もう点数は無いはずなのに⁉︎早く倒して逃げなければ‼︎

 

昂哉「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」

小暮「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

昂哉「退()けぇぇぇぇぇぇぇぇ‼︎」

小暮「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 マズイ、優子がこっちに来る‼︎早く酒瓶と酒鉄砲から手を離して逃げなければ‼︎逃げなければ‼︎

  

 

 

総合科目

 

2年生 雲雀丘昂哉 1875点

     VS

3年生  小暮葵  0点

 

 

 

 ふぅ、なんとか手を離せた。そしてチェックポイントも突破完了‼︎だから早く逃げないと‼︎

 

千華「逃げるんじゃないわよ、卑怯者‼︎逃げるなぁぁぁ‼︎」

 

 は?何を言ってるんだ、あのビッチは?脳味噌が頭に詰まってないのか?俺はお前らから逃げてるんじゃないぞ、優子から逃げてるんだ。それに勝負はもうついてるだろうが‼︎小暮先輩(あの人)の点数はもう0点だろうが⁉︎

 

 とにかく早く優子から…………

 

優子「逃げられると思った?

 

 逃げられなかった…………

 

 

 

ブー 昂哉&優子、アウト

 

 

 

 えっ?どう言う事?

 

優子「アンタ、小暮先輩と盛り上がってくれたのはいいけれど、最後の大声で失格になったのよ。」

昂哉「マジかよ。すまん………って待てよ?もしや、これはあの2人の演技………」

 

 そう思って2人の方を見ると、

 

小暮「千華さん、ごめんなさい………。流石にあの点数差はひっくり返せませんでしたわ………」

千華「いいのよ。アンタは死ぬ気で戦ったんだから、それを誇りに思いなさい。」

小暮「ありがとうございます……」

 

 どうやら演技じゃなさそうだと言う事が分かった。あの2人にも固い友情があったんだね。

 

昂哉「じゃないね。あっちも本気だったね。」

優子「そうね。」

昂哉「さて、それじゃあ帰りますか!」

優子「その前にお仕置きしてからね♪」

 

 それ忘れて無いのかよ………

 

昂哉「あっ、あの、アレは挑発で……」

優子「にしてもやり過ぎよ。流石にセクハラだからね、アレ。それに、前に愛子にやった時から反省してないような気がするんだけど?」

昂哉「なんていうか、すいませんでした……」

 

 こうして俺は皆のところに戻る前に、たっぷりとお仕置きされたのでした。

*1
CV.石田彰




 ということで、昂哉vs小暮でした。2人の激闘や小暮とビッ千華の友情は如何だったでしょうか?

 ちなみに元ネタとなったのは、現在大ヒット公開中の映画、『鬼滅の刃・無限列車編』のワンシーンです。このシーンで出てくる敵キャラのCV.が丁度昂哉と同じ石田彰だったのでつい書いてしまいました。

 さて、次回は最後のAクラスに入ります。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第五十八問 秘密兵器

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 俺は優子の折檻を終え、無事皆の元へと戻った。

 

昂哉「ビッチとエロをぶっ倒してきたぜ!」

工藤「お疲れ〜♪」

霧島「…お疲れ。」

美穂「お疲れ様です。」

秀吉「お主は全く凄い事をするのぅ……」

ムッツリーニ「………とても濃い会話だった。」

 

 ホントにね。まさか小暮先輩が素人至上主義者だとは思わなかったよ。

 

昂哉「いや〜、それほどでも〜♪」

雄二「褒めてないんだがな。」

優子「アンタ、まさか反省してないの?」

昂哉「してますしてます。本当にすいません。」

優子「ならいいけど。」

 

 危ない………。危うく死ぬところだった…………

 

 

 

 ところで、若干名足りないような?

 

昂哉「あれ、明久とかは?」

雄二「俺達はまず明久と島田を送り込んだ。そしてその次に、秘密兵器を投入した、というわけだ。」

昂哉「秘密兵器?」

雄二「それについてだが、モニターを見てみろ。」

 

 そして俺がモニターを見るために顔を上げると、そこには………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

清水『逃しませんわよ、お姉様?今日こそお姉様と豚野郎を引き剥がしてみせます!あははは!

久保『清水さん。今の君はどの妖怪よりも妖怪じみてるよ。』

 

 化け物がいた。

 

昂哉「なるほど、こっちもお化けで対抗するわけね。」

雄二「その通りだ。これで並大抵の仕掛けは強引に突っ切る事が出来るだろう。」

 

 実際、仕掛けているはずの3年生側もその恐ろしさを目の当たりにしたのか、ほとんど動いて来なかった。

 

 

 

 

 そんな事を思ってると、モニターの画面に、

 

島田『これで大丈夫かな……、アキ?』

 

 島田と、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明久『大丈夫じゃない、美波?』

 

 何故か可愛らしい女の子のお化けのコスプレをした明久がいた。確かアレはチラッと見えた秀吉のオカルト召喚獣である、猫又のコスプレだったような?いや、それとも優子のオカルト召喚獣か?いや、アレはただの化け猫だったから違うか………

 

昂哉「ねえ、アレどういうこと?」

優子「アタシも気になる。」

雄二「島田ってどう見てもお化けが苦手だろ?」

昂哉「まあそうだけど。」

雄二「だから好きな人をお化けにしてみたんだ。」

昂哉「だからってあんな可愛かったら意味なくない?」

玉野「私が育てたのよ‼︎」ドヤァ

 

 玉野、お前の仕業だったのか。

 

ムッツリーニ「………ちなみに衣装制作協力は俺。」

 

 ムッツリーニ、お前もか。

 

昂哉・優子「「なるほど………」」

雄二「まあ島田が他のお化けにビビってちゃあ意味ないんだけどな。」

優子「あれじゃあ単に吉井が女装しただけね。」

 

 それな。

 

昂哉「でも似合ってるからいいんじゃない?」

玉野「そのと〜り♪」

秀吉「そうじゃな。」

美穂「女の私でも嫉妬しちゃいます……」

霧島「…分かる。」

 

 女でも嫉妬するなら、尚更アキちゃんは可愛いって事だね!そしてアキちゃんといえば、

 

工藤「あとはムッツリーニ君がすれば完璧だね!」

昂哉・雄二・優子・秀吉「「「「それな!」」」」

ムッツリーニ「………それは違う‼︎」

玉野「はい、これ香美ちゃんの分♪」

ムッツリーニ「………要らん‼︎」

 

 香美ちゃんも居るよね‼︎後で写真撮って兄貴に送っとくぐらいには可愛いからね‼︎ちなみにアキちゃんの写真はとっくに撮ってあるよ。後でこっそり兄貴たちだけじゃなくて玲さんにも送っとこう。

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

明久「ただいま〜。」

島田(気絶)「……………」

 

 まさかの明久が気絶した島田を連れて帰ってきた。

 

全員「「「「「どういうこと(です)?」」」」」

明久「美波があまりの怖さに気絶しちゃってさ〜。」

 

 そう言うことね。

 

全員「「「「「なるほど〜。」」」」」

明久「とりあえず、僕は美波を保健室に寝かせてくるよ〜。」

昂哉「よろしく〜。」

 

 そう言って明久は島田を連れて保健室に行った。

 

姫路「み、美波ちゃん…………」

 

 そう言えばコイツ居たな。さっきからずっと怖がって口を閉じてたから気づかなかったわ。

 

昂哉「どうしたの、姫路?」

島田「い、いや、なんでもないです……」

雄二「島田に嫉妬してんのか?」

姫路「えっ?」

 

 図星みたいな顔しやがって。恐らくさっきまでいちゃついてたのが羨ましいんだろう。

 

姫路「い、いや………そ、そうなんですけど………でも………」

昂哉「でも?」

優子「何が言いたいの?」

姫路「美波ちゃんだって自分の苦手な事に頑張って向き合ってたので、私も向き合わなきゃいけないと思い………」

 

 なるほど〜。凄い事に気がついたんだね。その調子なら多分大丈夫そうだな‼︎

 

昂哉「その通りだね!」

雄二「幸い、島田はただの気絶だから、明久は失格になってないはずだ。」

優子「だから一緒に行くといいわね!」

霧島「…瑞希、ファイト‼︎」

美穂「です!」

姫路「はいっ‼︎」

 

 ただ、俺はある事に気がついた。

 

昂哉「まあ久保と清水が最後のチェックポイントの人をぶっ倒しちゃったら、意味ないんですけどね〜。」

 

 俺たち2年が勝っちゃうからね。そんな事を思ってたのだが、

 

雄二「いや、それは無いだろう。」

 

 雄二に否定された。

 

昂哉「どういうこと?」

ムッツリーニ「………最後のチェックポイントの科目は物理。」

秀吉「そして相手はあの常夏コンビじゃな。」

 

 え?その2人なの?

 

昂哉「あれ?高天原は留学中で来れないから分かるとして、高城先輩は?最後にラスボスを持ってくるのが普通なんじゃないの?」

雄二「それがな、お前が学校サボった日に俺&明久と常夏コンビで揉めてな。最後のチェックポイントでお前含めて個人的な勝負をする事になってたんだ。まあお前は失格になったがな。」

昂哉「マジかよ。」

 

 そんなん知らんかったわ。すまんな常夏コンビ、勝手に失格になって。

 

雄二「まあこの勝負を持ちかけてきたのは高城なんだがな。奴は最初のチェックポイントに居たぞ。」

昂哉「いきなりラスボス戦だったわけね。」

雄二「まあそうだな。」

 

 俺が気絶してる間に凄い事になってたんだね。というか高城先輩がなんでこんな勝負をふっかけてきたんだろう?よく分かんないや。

 

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

優子「皆、あの2人がチェックポイントに到着したみたいよ。」

 

 久保と清水が常夏コンビのところに辿り着いた。

 

久保『すいません。ここに吉井君と島田さんは来ませんでしたか?』

夏川『あぁ?来てねえよ。』

久保『そうですか。では始めましょう。』

清水『うふふふ。

久保・清水・常村・夏川『『『『試獣召喚(サモン)』』』』

 

 さて、点数はどんな感じなのかな?

 

 

 

物理

 

2年生

    清水美春 24点

    久保利光 348点

     VS

3年生

    常村勇作 684点

    夏川俊平 705点

 

 

 

 なんだよ、あの点数⁉︎

 

昂哉「アイツらの点数、絶対におかしいでしょ⁉︎」

秀吉「あの2人は物理が得意なのじゃろう。」

雄二「いいやそれだけじゃない。恐らく物理学教師である家角亜成(けつのあなる)に相当媚を売ったのだろう。」

美穂「じゃないとあの点数は無理ですね。」

 

 あの人には媚を売れば売るほど点数が上がるからね。あと清水の点数がFクラス並なのは、きっと清水自身の男嫌いのせいだろう。そのせいでケツ先生からの評価は最低ランクっぽいね。

 

霧島「…優子が居ればどうにかなったけど……」

昂哉「マジでごめん。」

優子「昂哉は気にしなくていいのよ。」

昂哉「ありがとう……」

 

 熱戦になってテンションをぶち上げるんじゃなかった………。普段は厳しい優子の優しい慰めが心に染みる…………

 

 

 

 その後は、もちろんあの2人じゃ常夏コンビに勝てるはずもなく、

 

 

 

物理

 

2年生

    清水美春 0点

    久保利光 0点

     VS

3年生

    常村勇作 478点

    夏川俊平 482点

 

 

 

 そのまま戦死した。

 

雄二「となると、いよいよ明久と姫路ペアの出番だな。」

姫路「そうですね!怖がってなんかいられません‼︎」

 

 姫路が自分を鼓舞している。頑張れ、姫路‼︎頑張れ‼︎

 

明久「ありがとう、姫路さん‼︎あとは、雄二と霧島さんも行くんじゃないの?」

美穂「確かに、もうその2ペアしか残ってませんからね。」

 

 マジか………

 

雄二「いいや、真打ちは本当の最後に登場するべきだ。」

 

 コイツ、霧島と一緒に行きたくないだけでしょ。ならここは俺が後押ししてやるか‼︎

 

昂哉「はいはいはいは〜い‼︎雄二と霧島のちょっと良いとこ見てみた〜い‼︎」

雄二「そんなものは無い‼︎」

霧島「…そう言われたら行くしかない。…雄二、行くよ‼︎」

雄二「おい、ちょっと待て翔子‼︎俺を引っ張るなぁぁぁぁ⁉︎」

明久「僕たちも行こうか、姫路さん!」

姫路「はいっ!」

 

 ということで、俺はラストバッター4人組の送り出しに成功した。

 

 

 

 

 ただ送り出してからしばらくすると、

 

ムッツリーニ・工藤「「モニターが暗転した⁉︎」」

 

 謎の事態が再び発生した。

 

秀吉「一体何が起きたのじゃ?」

美穂「見当もつきませんね。」

昂哉・優子「「お前(アンタ)らが言うな。」」

 

 まさか2組とも同じタイミングで実力行使を?いやいやいや、そんなまさか…………

 

 

 

 

 しばらくすると、モニターが再び明るくなったのだが、

 

明久『だいじょう………ブサイク⁉︎』

雄二『殺すぞ。というかなんで明久がここに?』

明久『さあ?』

 

 まさかの事態が発生した。気になったのでもう1ペアを確認すると、

 

姫路『うぅ………うぅ………』

霧島『…大丈夫、怖くない、怖くない。』

 

 なんとなく事態が掴めてきた。

 

優子「要するに瑞希吉井ペアと代表坂本ペアが暗転した時に入れ替えられたわけね。」

昂哉「そうだね。」

美穂「でもなんでそんな事をしたのでしょうか?瑞希さんと代表さんのペアって結構強力な気がしますが………」

秀吉「確か常夏コンビと明久&雄二がもめてたからのぅ。確か常夏コンビは昂哉&明久&雄二と個人的な勝負をしたかった気がするのじゃが。」

昂哉「それでわざわざご丁寧に分かれさせたわけね。」

 

 どっちにしろ明久と雄二を倒したところで姫路と霧島に倒されるのがオチなんですけどね。

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

雄二『あのなぁ明久。俺は翔子と2人でお化け屋敷を歩いていると、何故か金属バットで襲われた記憶が蘇るんだが、何故だろうな?』

明久『さあ?知〜らな〜い♪』

雄二『お前も金属バットで殴られないか?』

明久『怖いよ雄二‼︎お化けより‼︎』

 

 雄二が如月グランドパークでの出来事を思い出させる発言をした。

 

昂哉「おかしいな〜。俺も何故かお化け屋敷の中で金属バットで襲われた気がするんだけど?」

ムッツリーニ「………気のせい。」

昂哉「お前も金属バットで殴られないか?」

ムッツリーニ「………助けて、木下!」

優子「昂哉、友達を殴っちゃダメだよ♪」

昂哉「恋人をいつもボコボコに殴ってるお前が言える事か?」

優子「恋人はいいの♪」

昂哉「頼むから死んでくれ。」

優子「やだ♪」

 

 正直最近の優子がよく分かんない。優しいんだか怖いんだか。期末テストの時に言った事も、正直俺の中で飲み込めてないし。コイツは本当に俺が高天原大門に勝てると思ってるように見えたのだが………、もし仮にそうだとしたら、奴の真の目的は何だ?

 

 

 

 

 そんな事を考えてると、

 

姫路「あの………」

霧島「…到着。」

夏川「あっ……ってなんだ、お前らか!失格になったんじゃなかったのかよ‼︎」

常村「飛んだ邪魔が入ったな〜。まずはクズどもを叩きのめすつもりだったのによ〜。」

 

 どうやら姫路と霧島ペアが到着したようだ。なるほど、姫路がお化け苦手なのを知ってたから、こうやって霧島諸共失格にしようとしたのね。中々に良い作戦だったようだけど、失敗だったね。姫路はお前らが思っているよりも強い女なのさ‼︎

 

 そんな事を思ってると、

 

夏川「やっぱり逃げたんじゃねえのか?」

常村「所詮はクズだな‼︎」

霧島「…雄二達はクズじゃない。…クズじゃない‼︎」

夏川「あいつらがクズじゃないだと〜⁉︎面白えな‼︎」

常村「すぐに問題は起こすわ、成績は悪いわ、アイツらをクズって呼ばずになんで呼ぶんだ⁉︎あっ、雲雀丘は成績だけは良いのか〜w。まあ奴は調子乗って失格になったけどな‼︎」

 

 なんか常夏コンビと霧島の喧嘩が始まった。まあ確かに調子乗って失格になったのは否めないし、クズなのも否めない。

 

夏川「こんなのはどうだ!クズ改め、社会のゴミ!」

常村「いや、それはゴミに失礼だよね〜。ゴミはゴミらしくゴミだめに埋まってろや‼︎」

夏川「全くだぜ!アイツらみたいなクズでバカでどうしようもねえゴミ野郎が……」

姫路「どうしてそんな酷いことを言うんですか⁉︎」

 

 姫路が大声でキレた。流石に明久や雄二の事を言われて耐えられなかったのだろう。

 

姫路「確かに明久君や坂本君はそんなに成績は良くないし、雲雀丘君も含めて問題行動を起こしてるのは認めます‼︎」

 

 わお、俺も入ってんのかい‼︎あと雄二は意外と成績良いんだよ?知ってた?まあ俺らほどじゃないけどね!

 

姫路「でも、どうしてそれだけでそんな酷いことを言えるんですか⁉︎知らないくせに⁉︎明久君たちがどれだけ優しいのかも知らないくせに‼︎」

夏川「は?お前アイツらがどれだけ頭悪いのか知らねえんじゃねえのか?まあ雲雀丘は成績だけは良いが、それ以外が問題だがなぁ‼︎」

常村「だよな。中学の頃強姦事件を起こしたような奴なんか、いくら学年トップクラスの成績を持とうが問題ありまくりだろぉ‼︎」

 

 そりゃそうだよね〜。過去にそんな事件を起こしちゃ、いくら成績が良くてもクズ呼ばわりがふさわしいよね〜。




 ということでAクラスに突入しました。明久×美波、同性愛コンビ、そして明久×姫路に雄二×霧島と、一気に進みましたね。この辺はアキちゃんがコスプレしてる以外原作と変わらなかったので、視点を観客席からに変えた上でサクサク進めました。

 さて、次回はいよいよ昂哉の過去が判明します。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第五十九問 堕ちた天使

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 俺は小学生から中学生の頃ずっと、運動以外の全てにおいて模範的な優等生だった。

 

友達1「すげ〜、また昂哉が学年1位か!」

昂哉「まあね〜♪」

友達2「真面目だし、人柄もいいし、全てにおいて完璧だな、お前は!」

昂哉「いや、そんな事ないって〜。運動とかダメダメだし〜。」

 

 勉強はもちろん、授業態度や行事に臨む態度、そして人間関係まで。顔も中学生にしては大人びていたからか、かなりモテていた記憶がある。ファンクラブがあったくらいだからね。更には、

 

ファン1・2・3・4「「「「おはよう、昂哉♪」」」」

昂哉「おはよう、皆!」

 

 あまりにもモテすぎて、朝登校するとお出迎えがよくあったくらいだ。バレンタインなんかには大量にチョコをもらったりもした。俺はそれが嬉しくて嬉しくて仕方がなかったので、より模範的で、誰にでも優しい生徒になろうとした。もちろん苦手な運動だって頑張った。まあこれについては、

 

友達3「お前、運動だけはダメだよな〜。」

昂哉「まあね。」

 

 才能が無かったこともあり、あまり上手くはいかなかったけど。

 

 

 

 そんな俺だからか、

 

優子「昂哉お兄ちゃん、今日も一緒に帰ろ♪」

昂哉「いいよ〜、優子!」

優子「そうだ!今度の土曜日さ、アタシの家でゲームしない⁉︎」

昂哉「おっ、面白そうじゃん‼︎いいよいいよ‼︎」

 

 優子が懐いたのも自然な事だったのかもしれない。

 

 

 

 

 ただ運動以外がなんでも出来て、色んな人に人気がある優等生。そんな俺を面白く思わない連中もいた。例えば、

 

千華「アンタってなんかキモいんだけど。」

 

 ビッ千華とか。ただ俺はそんな人にも優しく接した。自分は優等生なのだから、アンチにも優しく対等に接しなければならない、と。そうしていくうちにアンチを減らす事に成功したものの、ビッ千華など一部の人間はそのまま俺を嫌い続けた。でも9割の人間には好かれていた自信があったので、1割の人間に嫌われていても別に何も感じなかった。

 

 

 

 そうして中学3年まで勉強、部活、学校行事などに真面目に取り組んで、良い人間関係を築いてはモテ、それが嬉しくてまた真面目に取り組んで良い人間関係を築く、というサイクルを繰り返してきた。中3の時には2つ下に高天原大門というめちゃくちゃすごい奴が入学したとの事で話題になったものの、俺はその事を気にせず普段通りの生活を続け、普段通りモテていた。ただこの時の俺は何人かから1人の女の子を選べなくて、あえて彼女を作っていなかった。だから、

 

ファン1「昂哉、明日私と一緒に遊んでよ!」

ファン2「え〜、あたしとがいい‼︎」

ファン3「いやいや私と‼︎」

昂哉「まあまあ、皆仲良く遊んであげるから‼︎」

 

 こんな感じで、女の子にも平等に接していた。今思うと、あの時が俺の黄金期だったのかもしれない。そしてその黄金期は、ある事件をきっかけに崩れ去った。

 

 

 

 

 中学3年のある日、

 

金山「雲雀丘、ちょっと職員室に来なさい。」

昂哉「はい、分かりました。」

 

 俺は突然真剣な雰囲気の、少し怒った感じの先生に呼ばれた。教師からも評判の良かった俺は、こんな事態は初めてだった。何か嫌な予感がしていた。だが全く心当たりが無い。

 

 

 

 何かやらかしてしまったのか、と考えをよぎらせながら職員室に着くと、俺は信じられない言葉を先生から聞いた。

 

金山「お前、女の子をレ○プしただろ?」

 

 全く意味が分からなかった。この時俺は付き合ってる女の子などおらず、そういった経験も一切無かった。俺の事を妬んだ誰かが嘘でも言ったのだろう。だから俺は、

 

昂哉「いや、やってません。」

 

 否定した。だが先生はその答えに対して、

 

金山「証拠ならあるんだぞ?」

 

 また意味の分からない事を言い始めた。当然、

 

昂哉「いや、やってませんって!俺はそんな事を一切していません‼︎その証拠もデタラメでしょう‼︎」

 

 俺は反論したが、

 

金山「デタラメじゃないからこうして呼び出されてるんだろうが‼︎」

 

 突っぱねられてしまった。だが冤罪をふっかけられて黙っているわけにはいかない。俺は更に精一杯の反論をした。

 

昂哉「いやいや、デタラメですって‼︎じゃあその証拠を持って来たのは誰なんです⁉︎」

金山「言えるか‼︎目撃者であるソイツに復讐する気なんだろう⁉︎」

昂哉「なんでそうなるんですか⁉︎俺はその人に話が聞きたいだけですよ‼︎証拠を捏造した事について‼︎」

金山「やはり復讐じゃないか‼︎」

昂哉「ちょ、ちょっと待って下さいよ‼︎というか俺がすると思います⁉︎」

金山「先生はしないだろうと思ってたんだがな。でも証拠があるならやったとしか言えないだろ‼︎」

昂哉「だからその証拠は捏造で、俺は強姦なんか……」

金山「もういい。お前はしばらくの間自宅謹慎とする。」

昂哉「そんな………」

 

 ただその反論も虚しく、俺の訴えは通じなかった。今思えば、ここでその証拠を見せて下さい、とでも言えば良かったんだがな。焦ってて頭が回らなかったのが良くなかった。いや、例えそう言ったとしても、俺がやったと見えてしまう完璧な証拠を出されて詰んでたのかもしれないが。

 

 そしてその結果、俺が今まで築き上げてきたものが全て崩れ去った。だがしかし、これだけでは終わらなかった。

 

 

 

 

 自宅謹慎中のある日、俺の家に先生がやって来た。その時両親は仕事で、兄貴たちはそれぞれ高校と大学に通っていたから、家には俺しか居なかった。なので、俺が1人で応答した。

 

昂哉「は〜い。」

金山「おい雲雀丘‼︎」

昂哉「なんです?」

金山「お前、何をした⁉︎」

昂哉「はい?」

 

 意味の分からない質問だった。ただ、ここはありのままを伝えようと思ったので、

 

昂哉「大人しく自宅にこもっていました。」

 

 そう言った。だが、

 

金山「嘘つけ‼︎お前の強姦事件の目撃者がここ数日行方不明なんだぞ⁉︎お前が復讐したんじゃないのか⁉︎」

 

 信じられない答えが返ってきた。

 

昂哉「はぁ⁉︎そんな事しませんよ‼︎というか俺はそもそも目撃者が誰だか知りませんし‼︎」

金山「しらばっくれるのもいい加減にしろ‼︎」

昂哉「しらばっくれてません‼︎というか俺の親なり兄なりに確認すればいいじゃないですか‼︎俺がずっと家にいる事を‼︎」

金山「その確認する人たちが今家にいないから怪しいんだろうが‼︎」

 

 それを言われると正直何も言い返せない。でも俺は何もしていない自分を庇いたくて、必死に弁明した。そのおかげか、目撃者に危害は加えてない事は先生に認められた。

 

 ただこの時思った事があった。俺はその目撃者を知った場合、絶対に復讐する、と。今もこうして必死に自分を庇っている、と。人間は追い詰められた時にこそ本性が出る。結局俺は皆に優しく出来るような性格は持っておらず、すぐに自分のことばかり考えるような、自己中心的な性格である、と。結局俺の本質は優等生なんかじゃなく、ただのクズだった、と。そんな本質が知らぬ間に溢れ出ていたのか、周りの人から俺が強姦をするような人だと陰で思われいたのかもしれない。

 

 そう思った時から、俺は全ての事にやる気がなくなった。自宅謹慎明けも中学に通うフリをして適当に外で遊びながら卒業。その後両親がドイツ勤務になったタイミングで高校に入学したフリをし、3年間ニートのまま過ごしてきた。そうして紛う事なきクズが出来上がった。まあニート中に出会ったギャンブルにだけはハマったけどね。

 

 

 

 

 もちろん文月に入ってからは、人間関係のためにこの過去は隠していた。だがバレるのは時間の問題だとも思ってた。そしてその時が今来た。そして今こうして、

 

モブ1「おいおい、雲雀丘の話、マジかよ……」

モブ2「信じられねえぜ……」

モブ3「だからクズ呼ばわりされてたのか……」

 

 他の生徒たちも皆動揺し始めている。だから、

 

昂哉「うわ〜お、知られちゃった〜♪皆、こんなヤツが学校に居て欲しく無いよね〜♪だから俺、退学します♪」

 

 そう言ってその場を去ることにした。これで合法的にニートになれるのだから良いだろう。そしたら明日からハッピーギャンブルライフだ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「やめて昂哉‼︎そんな事言わないで‼︎自分がやったわけでもないのに‼︎」

 

 そんな事を思ってたのに、優子に止められた。

 

昂哉「確かにそうだけどさ〜、それを言える証拠が無くない?」

優子「それは………」

昂哉「それに、俺ってそう思われても仕方ないような性格をしてるじゃん?」

優子「だからそんな事は無いって‼︎皆も騙されないで‼︎アイツらはただ間違った情報を信じてるだけなの‼︎」

 

 優子はなんでここまで俺を庇うのだろう?この事件の事は優子だってあまり知らないはず。そもそも俺がやってないなんて、優子にも言い切れないはずなのだから。

 

昂哉「優子、そう言い切れるだけの根拠が………」

優子「皆、昂哉がそんな事をするような人に思える⁉︎思えないよねえ⁉︎確かに昂哉は問題行動が多いかもしれない。でも人が本当に傷つくような事はしない‼︎皆もそんな姿を見てきたでしょ⁉︎」

 

 いや、そんな事なくね?俺結構好き勝手に生きてきたから、傷ついてる人も結構いるかもよ?そして今のこれは、その時の報いを受けてるだけだと思うのだけど………

 

昂哉「それは嘘……」

優子「嘘じゃない‼︎とにかく昂哉はそんな事はしないから‼︎お願い皆、あの人たちに騙されないで‼︎」

 

 涙ながらに訴えてくれる優子。なんでそこまでしてくれるんだろう………。疑問に思うと同時に、ここまでしてくれる優子に嬉しさのあまり泣けてくる………

 

 そして、優子の演説を聞いたのか、

 

秀吉「ワシも昂哉の幼馴染みで、彼奴らよりもよう昂哉の事を知っておるが、3年生が言っているアレは嘘じゃ‼︎」

美穂「そうです‼︎雲雀丘君は強姦なんてしません‼︎」

トオル「そうだそうだ‼︎」

 

 他の人たちも俺の事を庇ってくれた。

 

ムッツリーニ「………奴は素人童貞‼︎」

 

 いや、そうだけどさ。その言い方はどうなん?

 

工藤「自分の彼女の一挙手一投足に照れて顔真っ赤にしてるような人が、そんな事出来ると思う?」

秀吉「大大大好きな彼女に近づくだけで照れるような男じゃぞ?」

 

 おい。それは違うぞ。2人ともどさくさに紛れて何を言ってるんだ?

 

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

姫路『するはずがないでしょうが、そんな事を、雲雀丘君が‼︎私の友達を侮辱しないで下さい‼︎』

霧島『…そうです‼︎…自分の彼女にすら手を出せない彼が、そんな事出来ません‼︎』

 

 常夏コンビに対して姫路と霧島が俺の事を庇ってキレてくれた。ありがとう、2人とも……………。でも霧島の庇い方は少しアレだけどな。

 

 

 

 そして、そんな友達と優子のおかげで、

 

モブ1「やっぱり違うよな……」

モブ2「まあ流石に強姦はないよね〜。」

モブ3「というか風俗以外の経験が無かったんだ。」

モブ4「意外と可愛いところあるじゃない♪」

 

 他の生徒たちの様子が変わった。マジか………。こんな風に事態が好転するなんて…………。正直想像出来なかった。俺はクズらしくクズみたいな生活を送るものだと思ってたから………

 

優子「ね♪アンタはそう思われるような人じゃなかったって事よ!」

昂哉「そ、そうだったんだ………。ありがとう、皆‼︎」

秀吉「お礼は特に姉上に言うべきじゃな。」

美穂「そうですね。」

昂哉「だね!ありがとう、優子‼︎」

優子「ど、どういたしまして……///」

 

 今日ばかりは、本当に優子が彼女でよかったと心から思えた。そう思えた日だった。

 

優子「それじゃあ、これで優等生に戻る気になれたね♪」

昂哉「いや、それとこれとは………」

優子「拷問フルコース、どうかしら?」

昂哉「遠慮します………」

 

 前言撤回。やっぱり拷問・暴力・折檻の類いはやめて欲しい。そう思えた日だった。




 ということで昂哉の過去が判明しました。彼が優等生から今の性格になった理由が分かったでしょうか?ちなみに金山先生のCV.は竹内良太さんです。

 また、強化合宿の清水の行動なんかは、昂哉にとってのかなり地雷でしたね。恐らく原作通り昂哉が小山たちの襲撃を受けてたら大変な事になってたでしょう。だからああして清水を半奴隷化しました。それでも必要以上にいじめない辺りが昂哉らしいですけどね。

 さて、次回で肝試し対決は終了です。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第六十問  馬鹿の底力

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 俺の事を優子が庇った後、お化け屋敷の中では、姫路と霧島が俺の事を庇ってくれたのはよかったんだが………、

 

夏川『ギャンギャン喚くな‼︎あんなカスどものことなんて知ったことかよ。』

姫路『明久君たちは、クズでもゴミでもありません‼︎』

常村『全くうるせえなぁ‼︎失格者はさっさと出てけ‼︎』

翔子『…言われるまでもない。…行こう瑞希。』

 

 

 

ブーーー  翔子&姫路ペア  OUT

 

 

 

 その時の大声で失格になってしまった。でも正直に言って今失格になろうが、庇ってくれた事が嬉しかった。

 

明久『だってさ〜、雄二。僕らって優しいらしいよ?』

雄二『初耳だな〜。』

 

 そういえばコイツらが陰で聞いてたんだっけ。あと、生き残りはもうこの2人しか居ない。

 

雄二『明久や雲雀丘・素人童貞・昂哉ほどじゃないにしろ、自分は立派なクズだと思ってたんだが。』

明久『そうだね〜。』

 

 おい雄二、勝手に変なミドルネームをつけるなや‼︎普通に呼べっつ〜の‼︎

 

雄二『よし、それじゃあやってやろうじゃないか。』

明久『ああ!』

 

 こうして2人はどこかに行ってしまった。ただその表情は自信に満ち溢れている。この時のこの2人はめちゃくちゃ信頼出来る。頼んだよ、2人とも‼︎

 

 

 

 

  side 明久

 

 僕と雄二は常夏コンビ討伐の準備をして、遂にアイツらの前に立った。

 

雄二「よう先輩方。」

夏川「やっと来たか!遅かったじゃねえか‼︎」

明久「お待たせしました〜!」

常村「よし、それじゃあ早速勝負といこうぜ…サ…」

雄二「その前にだ。ここは一つ俺たちだけの罰ゲームを決めようぜ。」

 

 先輩が勝負を始めようとするのを、雄二が遮った。

 

夏川「罰ゲームだと⁉︎」

常村「お前ら、何か企んでんじゃないだろうな?」

雄二「そう警戒するなよ。お前らは俺たちと個人的な勝負がしたいんじゃないのか?」

 

 それを理由に勝負を持ちかけてきたんだよね。まあ高城先輩が中心ではあったけれども。

 

常村「まあそうだな。」

雄二「だったら勝負するからには何か罰ゲームがないと面白くないよな?」

 

 そりらそうだね。負けても痛い目見ないんじゃ意味ないしね。アイツらが言葉を返す。

 

夏川「そりゃそうだな。んで何にするんだ⁉︎」

雄二「勝った方が負けた方の言うことをなんでも一つ聞く。これでどうだ。」

夏川「面白えじゃねえか‼︎やってやるよ‼︎」

常村「今言った言葉を取り消させてやるぜ‼︎」

明久・雄二・夏川・常村「「「「試獣召喚(サモン)」」」」

 

 

 

物理

 

2年生  

    吉井明久  17点

    坂本雄二  153点

     VS

3年生

    常村勇作  478点

    夏川俊平  482点

 

 

夏川「なんだその点数は〜w。」

常村「俺たちの足元にも及ばねえじゃねえかw」

 

 常夏コンビがバカにしてくる。まあどっちも腕輪持ち。清水さんと久保君が削ったとはいえこの点数。普通にやったら勝てると思うだろう。ってか勝てる。けどね!

 

雄二「ほざいてろ。行くぞ明久‼︎」

明久「おう!逃げるよ‼︎」

常村「ちょ、待ちやがれ‼︎行くぞ夏川!」

夏川「おう!」

 

 天下の逃亡大作戦‼︎勉強ばかりのAクラスの運動神経じゃ追いつけないですよね〜?

 

夏川「は?アイツらどこ行きやがった⁉︎」

常村「行き止まり⁉︎ならこっちか‼︎」

 

 ハズレ〜!

 

夏川「ってこっちにも居ない⁉︎」

常村「アイツらどこに⁉︎」

明久「お〜い!鬼さんこ〜ちら〜♪」

 

 逃げながらとりあえず煽っといた!でもまだまだ‼︎

 

夏川「は⁉︎こっちにも居ねぇんだが‼︎」

常村「何やってやがる⁉︎」

明久「先輩方意外と足遅いんですね〜。」

雄二「おい失礼だろ明久。あれが本気なわけないだろう。」

夏川・常村「「なんだと⁉︎」」

 

 僕たちのやる事は、とにかく逃げ回って撹乱する!そして………、

 

明久『アイツら本当遅いよね〜。僕たち疲れちゃった♪』

雄二『そろそろ飽きたな。まだ見つけられねぇのかよ‼︎』

常村「ふん、お前らのすることなんてな、お見通しなんだよ‼︎」

夏川「覚悟しやがれ‼︎」

 

 アイツらを目的の場所までおびきよせた‼︎これで、

 

 

パリ〜ン  物理フィールド破壊

 

夏川・常村「「な⁉︎物理のフィールドが消えた⁉︎」」

 

 作戦成功だね‼︎最後のセリフはお墓につけたカメラからのもの‼︎もちろんCVは秀吉‼︎それに引っかかった先輩は『干渉』を受けて物理のフィールドが消滅したよ‼︎

 

夏川「何しやが…ってカメラ⁉︎」

常村「なんだと⁉︎」

 

 そして動揺している先輩方に、

 

秀吉『残念じゃったのう先輩方♪』

ムッツリーニ『………お見通しなのはこっち。』

昂哉『先輩方、失礼ですけど考えが足りないんじゃないですか?』

久保『僕たちの策略にまんまとハマりましたね。』

赤田爺『若気の至りじゃのう。』

 

 秀吉、ムッツリーニ、昂哉、久保君、じっちゃんが煽っていく‼︎そして僕たちが後ろから……

  

明久「竹中先生‼︎召喚許可をお願いします‼︎」

竹中「わかりました。」

明久・雄二「「試獣召喚(サモン)」」

 

 召喚獣を喚び出した‼︎

 

雄二「ここはもう古典のフィールドだ‼︎アンタらの得意な物理では戦えないぜ‼︎」

夏川・常村「「汚えぞテメェら‼︎」」

 

 汚いのはお互い様だよね〜。でもね、ちゃんとルールを見なかったアイツらが悪い‼︎

 

明久「チェックポイントの教科を変えてはいけないなんてルールはありませんよ!」

雄二「それとも物理以外じゃ怖くて戦えないんですか、先輩!」

明久・雄二「「バカを言え‼︎オレたちAクラスがテメェらFクラスのさらに底辺に負けるわけねえだろ‼︎試獣召喚(サモン)」」

 

 さあ、この作戦の恐ろしさを見やがれ‼︎

 

 

 

古典

 

2年生  

    吉井明久  47点

    坂本雄二  216点

     VS

3年生

    常村勇作  27点

    夏川俊平  36点

 

 

 

夏川「あ‼︎あのメガネと縦ロールにやられた時のまんまだ‼︎」

常村「テメェら、それを見越して‼︎」

 

 当たり前だよ‼︎久保君と清水さん、ありがとね‼︎さあ雄二も煽れ‼︎

 

雄二「今更足掻いても遅いんだよ‼︎」

夏川・常村「「何〜⁉︎」」

雄二「バカっていうのは面白いよな、先輩‼︎一つのことになるととんでもない集中力を発揮する。いろんな○○バカって言葉があるけど、それは物事に集中する奴っていう褒め言葉だ!」

夏川・常村「「ごちゃごちゃうるせぇ‼︎くたばれ‼︎」」

 

 くたばるのはお前らだ‼︎雄二が僕の頭を蹴っ飛ばす‼︎この痛み、姫路さんや霧島さん、そして昂哉が受けた痛みに比べてればへっちゃらよ‼︎

 

夏川・常村「「な、頭が⁉︎」」

雄二「要するに、このバカのスイッチが入ったってことだ‼︎」

 

 

古典

 

2年生

    吉井明久  13点

    坂本雄二  198点

     VS

3年生

    常村勇作  0点

    夏川俊平  0点

 

 

 

夏川・常村「「なんで、俺たちがこんなバカどもに……」」

 

 ざまあみやがれ‼︎あとはあのことを話すだけだ!

 

明久「僕たちの勝ちです。約束、覚えてますよね?」

常村「俺たちに何をやらせるつもりなんだ?」

明久「そんなの、決まってる。」

 

 僕はそのあとさっき決めたお願いを言った。

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 よし‼︎これで俺たち2年の勝利だ‼︎

 

昂哉・優子・工藤「「「やった〜‼︎」」」

秀吉「すごいのぅ、あの2人は。」

美穂「あの相手に勝っちゃいましたね!」

赤田爺「というか昨日の騒動が伏線だったとはのぅ……」

 

 そういや俺昨日のこと知らねえや。

 

昂哉「昨日ってなんかあったの?」

清水「あの豚野郎共が調子に乗ってたから美春と久保君でぶっ潰したんです。」

久保「あの時は途中で学園長と高城先輩に止められてしまったんだけどね。」

赤田爺「それで、彼奴らの点数はその時のままだったというわけじゃ。」

昂哉「なるほどね〜。」

 

 それを利用するとか、流石だね、2人とも‼︎あと常夏コンビはきっと清水の事を縦ロールとか呼んだのだろう。そりゃ清水が怒るわけだ。

 

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

島田「ウチが保健室で寝てた間に凄い事になってたわね。」

 

 気絶してた島田と、

 

霧島「…雄二たちのおかげで勝てた。」

姫路「明久君は本当に素敵です!」

 

 俺の事を庇ってくれた2人が戻ってきた。

 

昂哉「2人とも、マジでありがとう‼︎」

姫路「だって雲雀丘君が強姦なんて出来るわけないじゃないですか‼︎」

霧島「…私の家での勉強会の時、優子と2人で寝たのに何もしなかったから。」

昂哉「何もしなかったんじゃなく、する気がなかったの‼︎」

姫路「照れて出来なかったんですよね。分かります!」

昂哉「分かってない‼︎」

 

 全くコイツらは………。でもそんなコイツらに俺は救われたんだった‼︎だから、

 

昂哉「まあとにかく皆、ありがとね‼︎」

 

 万年の笑みで皆にそう言った。多分人生で初めてこんな笑顔になれたんじゃないかな?そんな事を思ってると、

 

須川「ところで雲雀丘、」

昂哉「何、須川?」

 

 須川に話しかけられた。一体何の用だろ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

須川「これより、異端審問会を始める。罪人雲雀丘昂哉は、木下優子と2人きりで寝た。この事実に相違ないか?」

FFF団員「「「「「相違ありません。」」」」」

 

 う⁉︎ちょっと待てよ⁉︎めちゃくちゃやべえじゃねえか⁉︎最悪なタイミングで聞かれちまったな、それを‼︎

 

須川「では何か言い残す事はあるか?」

昂哉「優子に手を出してないしする気も無かった‼︎以上‼︎」

須川「では、拷問してから、死刑。」

FFF団員「「「「「はっ!」」」」」

昂哉「やめろぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」

 

 こうして俺は喜びを味わったと共に苦しみも味わった。

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

明久「ただいま〜♪」

雄二「戻ったぞ。」

 

 主役2人が戻ってきた。

 

昂哉「お疲れ〜、2人とも‼︎」

雄二「うっす。」

昂哉「それと、マジでありがとね‼︎」

明久「なら僕になんか奢って♪」

雄二「俺にもだな。」

 

 クソ、コイツらめ………。だがこれがこの2人らしいか‼︎だったら俺も俺らしく言葉を返すまで‼︎

 

昂哉「分かった!それじゃあお酒を奢るね!」

優子「未成年飲酒させんじゃないわよ‼︎」ドゴォ‼︎

昂哉「グファ……」バタン

明久・雄二「「ラートムw」」

 

 ただ、優子に優子らしく蹴られたので意味無かった………

 

 

 

 

 そして肝試し対決の帰り際、俺が優子と一緒に帰ろうとすると、

 

夏川・常村「「おい雲雀丘。」」

 

 常夏コンビに話しかけられた。一体何の用だろう?

 

昂哉「何です、先輩方……」

優子「先輩方‼︎昂哉に対して謝って下さい‼︎」

 

 それを聞く前に優子がキレた。

 

夏川「いやいや、元よりそのつもりだから。」

常村「吉井にもそう言われたし。」

昂哉「マジっすか。」

 

 明久がそう言ってくれたのか。アイツにも後で感謝しないとな。そして、

 

夏川・常村「「すまん。」」

 

 常夏コンビは普通に頭を下げてくれた。

 

昂哉「いえいえ、分かってもらえればいいんですよ。」

夏川「な?これでいいだろ?」

昂哉「ええ。」

 

 そして普通に和解したのだが、

 

優子「いや、待って下さい‼︎」

 

 優子がその雰囲気を壊した。

 

昂哉「どしたの、優子?」

優子「先輩方はその話を誰から聞いたんです?」

 

 確かに。この2人が同じ中学だった記憶が無い。まあ2個下だから俺が知らなかっただけかもしれないけど。

 

 そんな事を思ってると、2人は口を揃えて、

 

夏川・常村「「高城。」」

 

 ある意外な人物の名前を挙げた。

 

昂哉・優子「「えっ?」」

夏川「んじゃ、俺たちは帰るからよ。」

常村「じゃあな。」

昂哉・優子「「さようなら………」」

 

 そうして常夏コンビは帰ってしまった。

 

 

 

 

 疑問が残ったので、俺と優子で一緒に帰りながら考えてみる事にした。

 

昂哉「ねえ優子。高城先輩って中学一緒だっけ?」

優子「いや、違うはずよ。」

昂哉「だよね。」

 

 正直違う中学の、それも2個下だった人がこの事件を知ってるとは思えないからね。

 

昂哉「じゃあ高城先輩はどうやってこの事を知ったんだろう?」

優子「考えうるのは、蕨先輩か高天原先輩じゃないかな?」

昂哉「確かに。その2人は同じ中学だからね。特にビッ千華は同じ学年だし。」

優子「でもよく分かんないのが、高城先輩がさっきの常村先輩、夏川先輩と一緒になってこの肝試し対決を仕掛けてきたことなんだよね。しかも高城先輩が中心で。」

昂哉「ちなみにそのメンツにビッ千華は居た?」

優子「居なかったわ。」

昂哉「なるほど………」

 

 となると、高城先輩が何か企んでそうな気がするな〜。でもあの人の目的は一体?動機は何?それともビッ千華や高天原大門や金山先生が一枚噛んでるのか?

 

 

 

 

  side 高城

 

 肝試し対決の時に雲雀丘君の過去を話し、学校に居にくくする。あわよくば常村君と夏川君が勝って、そのまま雲雀丘君の退学を命令する。この作戦は失敗してしまった………。報告するのが鬱になる………

 

高城(電話)『申し訳ございません、作戦は失敗です……』

??(電話)『ふざけんな貴様‼︎使えない奴だな‼︎』

高城(電話)『申し訳ございません……』

??(電話)『とにかく、次だ。2年対3年の試召戦争を仕掛けろ。そしてそれに勝ち、雲雀丘昂哉を追放しろ。分かったな?』

高城(電話)『はい………』

 

 次だ。なんとかしないと………

 

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 

 高城先輩の事について色々悩んだが、まだ色々とよく分からなかったので、その日は優子と別れてそのまま帰宅した。すると、

 

力哉・克哉「「おかえり、昂哉‼︎」」

 

 何故かウキウキの兄貴たちが出迎えてくれた。

 

昂哉「ただいま〜、ってどうしたの?」

力哉「昂哉、7月の最終週は全部暇か?」

昂哉「まあ、暇だけど………」

克哉「なら、」

 

 なら……………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

力哉・克哉「「沖縄行くぞ‼︎」」

 

 マジで⁉︎夏休み入って早々、超楽しい旅行がやってきた〜‼︎




 ということで、肝試し対決編が終了しました。オリジナル展開が多めでしたがいかがでしたか?ちなみ期末テスト編の最後で出てきた名前不明の人物2人のうち、??1の方は高城です。

 さて、次回からは沖縄編になります。メンツは雲雀丘家+木下家+吉井家の子供たち(昂哉・力哉・克哉・優子・秀吉・明久・玲)が中心になります。11/17の12:00〜です。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第十章  沖縄旅行
第六十一問 沖縄到着‼︎


この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 優子

 

 おお、遂に………っ‼︎沖縄到着‼︎

 

優子「あっつ〜い‼︎いかにも南国って感じ〜♪」

 

 お、あそこにあるのは⁉︎

 

優子「あっ、ヤシの木だ〜♪すっご〜い♪」

 

 ん?あっちにあるのは⁉︎

 

優子「ゴーヤじゃん!思ったよりゴツゴツしてる!」

 

 そしてあっちにあるのは⁉︎

 

優子「シークワーサーだぁ!ホンモノじゃん‼︎ひゅ〜♪」ポンポン

 

 ん?誰かに肩を叩かれたんだけど?気になったので叩かれた方向を見ると、

 

秀吉「姉上………」

 

 秀吉がいた。

 

優子「どうしたの、秀吉?」

秀吉「注目されとるぞい……」

優子「あっ、ご、ごめん……」

 

 しまった!ついテンションが上がってはしゃいじゃった………。でも……

 

優子「でも多分………」

 

 そう言ってアタシが振り向いた先では…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

力哉「無事到着と地元ビールとの出会いを祝って‼︎」

昂哉・力哉・克哉・明久*1「「「「かんぱ〜い‼︎」」」」

 

 雲雀丘家と吉井弟が目立ってた。というか力哉と克哉に至っては服を脱いでるし………

 

優子「あっちよりはマシじゃないかな?」

秀吉「まあそうじゃのぅ………」

玲「凄いですね………」

 

 ちなみに旅行のメンバーは木下家、雲雀丘家、吉井家の子供たち7人です!あとおじさんおばさん*2とは宮古島で合流することになってるよ。それと、吉井弟の貞操が心配されてたけど、昂哉が吉井弟×西村先生って事にして力哉と克哉を牽制したらしい。

 

優子「それで、これからどうするんです?」

秀吉「早速遊ぶのかのぅ?」

玲「いいえ、今日はとりあえず宿で一泊します。私*3の知り合いが離れた場所の貸別荘を紹介してくれましてね。そこにレンタカーで向かいます。」

優子・秀吉「「なるほど〜。」」

 

 レンタカーを運転出来る人ってなると…………

 

 

 

優子→免許取れる年齢じゃない

昂哉→ビールを既に飲んでる

秀吉→免許取れる年齢じゃない

力哉→ビールを既に飲んでる

克哉→ビールを既に飲んでる

明久→免許取れる年齢じゃない

 

 

 

優子「玲さん、お願いします………」

秀吉「ワシからもお願いするのぅ……」

玲「分かりました。」

 

 ということで、玲さんが頑張る事になりました。

 

明久「え〜、姉さんの運転、不安だな〜。」

玲「アキくん、()き殺されたいですか?」

明久「ごめんなさい姉さん‼︎いや〜、僕姉さんの運転が楽しみだな〜♪」

昂哉「でもちょっと不安もあるような……」

優子「勝手に酒飲んだ奴に言う資格は無いと思うけど?

昂哉「吉井玲さん、本日はどうぞよろしくお願いします。」

 

 昂哉、アンタは偉そうな事言える立場じゃないんだからね?そんな事を思ってると、

 

克哉「玲、そういえば今日はどんな車なんだ?」

 

 車種の話になった。確かに、どんな車かはアタシも気になるかも〜。

 

玲「確か7人乗りの車だったはずです。」

力哉「確か空港には来ないから、レンタカー店に直接行かないといけないんだっけ?」

玲「ですね。」

昂哉「それじゃあ早速行きましょ〜う‼︎」

 

 ということで、アタシたちはレンタカー店に向かいました!さて、7人乗りの車とは、どんな車なんだろうね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

店員「じゃ、コイツ使ってくれや。」

 

 

運転手→玲

助手席→明久

後部座席(1列)→力哉・克哉・優子・秀吉

車の上→昂哉

 

 

全員「「「「「「「これどう考えてもおかしくないですか?」」」」」」」

 

 普通の4人乗りの車ですよね⁉︎

 

店員「どうした、兄ちゃんたち?」

明久「どうしたもこうしたも……」

秀吉「ごれにどうやって全員乗るのじゃ?」

昂哉「玲さん、もしかして予約間違えました?」

玲「いや、この通り7人乗りを1台で予約してあるのですが……」

 

 そう言って玲さんが見せてくれた紙には、確かにそう書かれていた。

 

店員「あちゃ〜、4人と7人を間違えちまったか〜。」

全員「「「「「「「「普通そこ間違えます⁉︎」」」」」」」

 

 流石にそれを間違える人は中々いないと思う………。そんな事を思ってると、

 

店員「悪い悪い。今別の車用意するから。」

克哉「別の車?」

店員「間違えた詫びだ。後ろが広いオープンカーを無料(タダ)で貸してやる。」

 

 店員さんがサービスをしてくれたよ‼︎この店員さん、やっさし〜い♪

 

昂哉「マジで⁉︎」

優子「オープンカーですか⁉︎」

明久「楽しみ〜!」

 

 さてさて、どんな車が来るのかな…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

軽トラだった。

 

店員「どうだった?」

昂哉「確かに広いですね………」

優子「開放感もこの上ないですね……」

明久「これがオープンカーか………」

 

 確かにオープンカーではあるんだけど……

 

店員「問題なし、っと。」

昂哉「いやいやいや‼︎」

明久「問題大ありですよね⁉︎」

優子「普通に7人乗りを持ってきてくれませんか⁉︎」

店員「そんな大きな車ウチにはねえぞ?」

昂哉・優子・明久「「「なんなんですか、この店は⁉︎」」」

 

 なんで予約の段階で教えてくれなかったんですか⁉︎

 

店員「それじゃあ良い旅を〜。」

昂哉・優子・明久「「「あっ‼︎」」」

 

 そんなこんなしてるうちに、店員さんが店の中に戻ってしまった………

 

秀吉「どうするのじゃ、これ……」

昂哉「この軽トラ、MT(マニュアル)車だよ?」

力哉・克哉「「俺たちは歩いて行くぜ‼︎」」

昂哉・明久「「マジで⁉︎」」

優子「確か7kmあるよね⁉︎」

力哉・克哉「「余裕だぜ‼︎」」

秀吉「凄いのぅ……」

 

 あの2人って昂哉と違って運動も出来るからね。それにしても凄いけど。代わりに勉強面については昂哉が圧倒的に上だけどね。

 

 まあそれより、唯一の運転手に聞かないと………

 

優子「玲さん、運転出来ます?」

玲「大丈夫です。私はMT車もいけます!」

優子「そうですか!それは良かったです!」

秀吉「助かるのぅ。」

 

 これで大丈夫ね!

 

 

 

 

運転手→玲

助手席→優子

荷台→昂哉、明久、秀吉

 

 

 

  side 昂哉

 

 玲さんが軽トラを運転するって………⁉︎でもこれしか方法は無いんだ‼︎ならここは大人しく軽トラの荷台に乗って………‼︎

 

昂哉「短い人生だったね……」

明久「空があんなにも青い………」

 

 遺言を述べた。

 

優子「アンタらホントに失礼ね‼︎」

玲「アキくん、車から突き落としますよ。」

優子「昂哉も。」

明久「ごめんなさい、姉さん‼︎」

昂哉「命だけは助けてくれ……」

秀吉「意外と乗り心地が良いのにのぅ。」

 

 そんなたわいもない会話をしていると、

 

店員「おい兄ちゃんたちいい忘れてたけど、」

 

 店員が俺たちを呼び止めた。

 

昂哉「なんです?」

店員「ここから先走る道路は全部()()()*4だからな?

優子「堂々と凄い事言ってるわね、この人……」

昂哉「そこまで言うなら7人乗りどこからか調達してこいや‼︎」

 

 そんだけ土地と金あるなら余裕でしょ‼︎そんな事を思ってると、

 

玲「それじゃあ行きますよ〜。」

 

 遂に旅立ちの時を迎えた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「玲さん、めちゃくちゃ運転上手いっすね!」

 

 はずだったのだが、まさかの玲さんの運転がめちゃくちゃ上手かったおかげで、一命を取り留めた。

 

玲「ありがとうございます。」

明久「姉さん、一体何があったの⁉︎」

玲「アメリカは車社会ですからね。運転する機会も多いのですよ。」

 

 なるほど、そう言うことね!

 

昂哉「それなら安心ですね!」

秀吉「じゃが、日本とアメリカでは免許が違うのではないかのぅ?」

玲「それについてはご安心を。私は国際免許を持っておりますので。」

 

 マジかよ‼︎この人すげえな‼︎

 

昂哉「凄いですね!」

明久「なにそれ?」

昂哉「簡単に言うと、アメリカと日本の両方で運転出来るってこと!」

明久「わお!凄いじゃん、姉さん!」

玲「ありがとうございます。お礼にアキくんのチューが欲しいですね。」

明久「それは嫌だ‼︎」

 

 国際免許持ってるのは凄いけど、人間的には別の意味で凄いよね、この人。

 

秀吉「では代わりに昂哉が姉上にキスするのはどうかのぅ?」

優子「えっ……///」

明久「おっ、それいいね!」

昂哉「お断りします。」

 

 コイツは何を言ってるんだろう?何の代わりにもなってないと思うよ。

 

 

 

 

 しばらく車に乗って分かったんだが………

 

昂哉「案外荷台に乗るのもいいですね!」

秀吉「そうじゃの!」

明久「姉さんの運転も全く問題ないしね!」

 

 マジでこれがいいんだよね!沖縄の青い空と白い雲の下で、燦々(さんさん)と輝く日差しを身体全身で浴びながら、南国の爽やかな風を肌で感じる。最高だね!

 

昂哉「しかしこうなるとビールが飲みたくなるね!」

明久・秀吉「「そうなの?」」

優子「運転してる玲さんに失礼だからやめなよ。」

玲「私は別に構いませんが……」

昂哉「まあこぼれそうなんで、宿に着いたらにします!」

 

 俺も正直気持ちが分かるからね。運転してる時に後ろで酒を飲まれたら、俺も飲みたくなっちゃうもん!

 

 

 

 そんな事を思いながら悠々自適な軽トラ旅を送っていたのだが、ここである問題が発生した。

 

昂哉「対向車が来るぞ‼︎」

 

 いくら私道とはいえ、流石に荷台に人が居るのは見られるとちょっとまずいからね。通報されるかもしれないし。

 

明久「やばい、隠れないと‼︎」

秀吉「そうじゃの‼︎」

昂哉「………ってシートが小さいかも!」

明久「でも隠れればなんとかなるはず!」

 

 そうして俺たちは荷台に寝っ転がり、置いてあったビニールシートを被ってカモフラージュした。俺は背が高いから足が少しはみ出てるが、まあ問題無いでしょう‼︎

 

対向車運転手「ひぃ⁉︎」

 

 そしてなんとか対向車をやり過ごす事が出来た。

 

秀吉「よし、問題無いのぅ。」

明久「確かに今のなら、人が乗ってるようには見えないよね!」

昂哉「死体を運搬している普通の軽トラにしか見えないからな!」

昂哉・明久・秀吉「「「あはははは‼︎」」」

優子「何やってんの⁉︎」

 

 まあ普段から俺と秀吉は優子に、明久は姫路と島田に折檻されて死体みたいになってるからね。実質死体の運搬といっても過言では無い。ただ………、

 

昂哉「死体で思い出したんだけどさ、そういえば秀吉は最近優子の折檻をあまり受けてなくない?」

 

 秀吉だけがいい思いをしてるんだよね。佐藤も基本的には秀吉に手を上げないし。

 

秀吉「そりゃあワシはお主らと違って、問題行動をあまり起こさんからのぅ。」

昂哉「でも授業……もごもご……」

 

 ん?秀吉に口を押さえられたぞ?

 

秀吉「……姉上の前では、ワシは授業態度を改善した事になっておるのじゃ。じゃから言わないで欲しい……」

 

 なるほど、そう言うことね。

 

昂哉「……え〜、どうしようかな〜?……」

秀吉「……もしお主が告発するのなら、ワシはお主の、まだ姉上に知られていないサボりを姉上に伝えるぞい……」

 

 クソ!普通に秀吉に脅迫された‼︎だったらここは………

 

昂哉「……分かった分かった。ここはお互いの無事のために黙っておこう……」

秀吉「……それで良いのじゃ……」

 

 和平交渉だ‼︎これならお互いの命も守れて幸せでしょう‼︎

 

明久「木下さん、いつも秀吉は授業中寝てるし、昂哉はそもそも授業に来ないよ。」

優子「へえ?それは面白い話ね。

 

 なんだと……?このクズ、平然と俺たちを売りやがったぞ⁉︎ならここは‼︎

 

昂哉「玲さん玲さん!明久はしょっちゅうクラスメイトの女の子2人を連れて遊んでます!」

秀吉「学習態度もよろしくないのぅ。」

明久「ちょ、ちょっと2人とも⁉︎」

玲「アキくん、それはどういうことですか?

明久「姉さん!これはあの2人の……」

昂哉「冗談ではありませんよ?」

 

 明久も売り飛ばす‼︎

 

明久「なんてことしてくれるんだ、2人とも!」

昂哉「それはこっちのセリフだ‼︎」

秀吉「ワシだってああ言われては黙っておれんしのぅ!」

明久「クソ!僕はただ正直に言っただけなのに………」

昂哉「俺と秀吉だって正直に言っただけだもんね〜。」

秀吉「観念するのじゃ、明久よ。」

 

 やられたらやり返す。倍返しだ‼︎

 

明久「ならここは………勝負だ‼︎」

秀吉「ほう……」

 

 明久のヤツ、俺たちに喧嘩を売るとはいい度胸じゃねえか‼︎そして、肝心の中身は…………

 

昂哉「んで、その内容とは?」

明久「最後までトラックの荷台に残ってた方の勝ち‼︎」

 

 なるほど、突き飛ばし合戦か‼︎いい勝負だなぁ‼︎

 

秀吉「なるほどのぅ。」

昂哉「いくら俺が運動音痴だからって、2人相手に1人で勝とうとはいい度胸じゃねえか‼︎」

明久「お前らなら余裕だ‼︎さあ、かかってこい‼︎」

 

 さて、これは明久からふっかけられたバトル‼︎男として、乗らない手は…………

 

優子「何バカなことしようとしてんのよ?

玲「アキくん?

 

 あるな…………

 

昂哉「明久、ここは休戦だ。」

秀吉「お互い来たる処刑に向けて、体力を温存するのはどうかの?」

明久「いい提案だね。そうしよう。」

 

 ということで、俺たちの喧嘩は悪魔たちの手によって無理矢理休戦となった。

 

 

 

 

 しばらく快適な軽トラ荷台旅を終え、優子からの折檻を終えた後、遂に…………

 

昂哉・優子・明久「「「宿、とうちゃ〜く‼︎」」」

 

 宿泊予定の貸別荘に到着しました‼︎

*1
ソフドリ飲んでる

*2
昂哉の両親

*3
玲が明久以外に一人称を言う場面が見当たらなかったので、暫定的にこの一人称にしました。

*4
警察の許可無く公道で人が荷台に乗るのは道交法違反です。




 ということでアンケートで決まった沖縄旅行編がスタートです‼︎本章では期末テスト編でほぼ出番が無かった玲も含め、雲雀丘家、木下家、吉井家の子供世代7人でお送りします。子供といっても過半数が20歳を超えてますが。あと、秀吉&優子は何気に玲と初対面ですが、行きの飛行機の中で仲良くなりました。

 さて、次回は宿の中を見てからビーチに出ます。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第六十二問 青春のアルバム

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 俺たちはとうとう、宿に到着したぜ‼︎しかもまさかの貸し別荘‼︎沖縄らしい平屋の建物に、20畳くらいあるLDK*1、更には少し大きめの風呂に個室が2つと、めちゃくちゃ綺麗な上に広いぜ‼︎おまけに超綺麗な海がすぐそこに‼︎なんて最高のロケーションなんだろう‼︎

 

昂哉・明久・優子「「「すご〜い‼︎」」」

秀吉「まるで金持ちの別荘じゃな。」

力哉「風呂トイレも別だしな。」

克哉「玲、ありがとな。」

玲「いえいえ。」

 

 ただひとつだけ問題があって……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秀吉「昂哉、この部屋に5人入るのかのぅ?」

昂哉「絶対に無理だね。」

 

 4人部屋に男4人+秀吉で寝なければいけない事だ。俺や兄貴たちがまあまあ背が高いせいで、絶妙にスペースが足りないのだ。

 

 俺たちが悩んでると、

 

克哉「なら俺が女子部屋で寝ようか?そうすれば4人になって少しはマシになるだろ。」

力哉「克哉よりは俺の方が女子部屋に行くべきだろ。」

昂哉「どっちもダメでしょ。」

 

 兄貴たちが解決策を出してくれたが、ろくなものじゃなかったので却下した。さて、どうするべきか?あれこれと策を考えてると、

 

明久「なら、秀吉が女子部屋で寝るべきじゃない?」

 

 明久が名案を言ってくれた。

 

昂哉・力哉・克哉「「「それだ‼︎」」」

秀吉「いや、ワシも男なのじゃが………」

明久「いや、秀吉でしょ。」

力哉「性別・秀吉か。」

克哉「なら妥当だな。」

秀吉「妥当じゃないのじゃ‼︎ワシは普通に男なのじゃ‼︎」

 

 秀吉は相変わらずごねてる。何故そこまでして自分の性別を認めたくないのだろうか?理解しかねる。でもとりあえず、ここは秀吉のやる気を出させるか!

 

昂哉「ねえ秀吉、あのナイスバディな玲さんと同じ部屋で寝られるんだよ?興奮しない?」

秀吉「ししし、しないのじゃ‼︎」

 

 嘘つけ。目が泳いでるじゃん。このレズビアンめ!そんな事を思ってると、

 

秀吉「それに、そんな事をしたらワシが美穂に殺されるのじゃ。」

 

 秀吉が変な事を言った。

 

昂哉・明久・力哉・克哉「「「「どういうこと?」」」」

昂哉「バレなきゃ殺されなくない?」

秀吉「それが、このイヤリングは盗聴器になっていてのぅ。」

昂哉・明久・力哉・克哉「「「「えっ?」」」」

 

 マジで?秀吉の耳についてる炎色の可愛らしいイヤリングって、盗聴器だったの?佐藤が沖縄旅行に行けないから、てっきりお守りでつけたものだと思ったんだけど…………

 

秀吉「ワシの言動が全てコレによって美穂に筒抜けなのじゃ。そしてワシが他の女にうつつを抜かした場合、この盗聴器から電流が流れるようになっとるのぅ。」

昂哉・明久「「怖⁉︎」」

力哉「なかなかに物騒な代物だな。」

克哉「それだけ彼女からの愛が重いってことか。」

秀吉「そうじゃの!」

 

 重すぎるでしょ、佐藤⁉︎完全に恋人殺す気じゃん‼︎霧島でもしないでしょ、そんなこと‼︎

 

明久「というか、秀吉はいいの、それで?」

昂哉「かなりヤバいよね⁉︎」

秀吉「安心せい。ワシも美穂に同じのをつけておる。」

昂哉・明久「「嘘でしょ⁉︎」」

 

 コイツらバカなの⁉︎重すぎて地面突き抜けちゃってるよ‼︎束縛しすぎて、互いの首に縄巻いて引っ張り合ってる状態だよね⁉︎それで死んでも、俺は責任を取んないよ?

 

秀吉「しかもこれ、いつでも美穂と話せるから便利なのじゃ。」

力哉「意外とメリットが大きいのか。」

克哉「それならアリだな。」

昂哉・明久「「ナシだよ‼︎」」

 

 デメリットがデカすぎるでしょ‼︎何お洒落な小型携帯みたいな事言ってるのさ⁉︎

 

 

 

 まあそれはともかく、

 

昂哉「となると、秀吉は死ぬから女子部屋行きは無理か〜。」

 

 秀吉が女子部屋無理なら、アイツしか行けるやつが居ないぞ‼︎

 

昂哉・明久「「なら明久(昂哉)しか居ないよね‼︎」」

 

 ってコイツも同じ事考えてやがったか‼︎誰が優子と一緒に寝るもんか‼︎

 

明久「おい昂哉‼︎僕が姉さんと一緒に寝ろって言うのか⁉︎そんな事出来るわけないでしょ‼︎それよりも昂哉が大人しく木下さんと一緒に寝ればいいじゃん‼︎」

昂哉「嫌に決まっとろうに‼︎秀吉と一緒ならまだしも、優子と一緒なんていつ殺されるか分からないじゃん‼︎それに、明久も久しぶりにお姉さんと一緒に寝なよ‼︎」

明久「絶対に嫌だ‼︎」

昂哉「俺だって‼︎」

昂哉・明久「「ぐぬぬぬぬぬぬ‼︎」」

 

 気づいた時には、俺たちは既にジャンケンの構えに入っていた。さて、これで勝負を……………

 

力哉「お前ら、とりあえず海に行かないか?」

 

 つけようと思ってたら、力哉兄貴に水をさされた。

 

昂哉「ま、まあそうだね………」

明久「ですね………」

克哉「せっかく海まで来たんだしな。」

秀吉「なら楽しまないといけないのぅ!」

 

 確かにね。海は昼しか楽しめないから、勝負はその後でいいか………

 

昂哉「よし明久、一時休戦だ!」

明久「だね!」

 

 ということで、俺たちは休戦協定を結んだ後、水着に着替えた。

 

 

 

 

 

 それにしても、友達と海って、最高だね!しかもマイエンジェル秀吉までいるんだよ‼︎

 

明久「昂哉、楽しそうだね!」

昂哉「そういう明久こそ!」

明久「だって友達と南の島の海に来てるんだよ!」

昂哉「しかもこんな綺麗な別荘で!」

昂哉・明久「「全く、夏休みは最高だぜ‼︎」」

 

 この感覚を味わえただけでも、高校に入ってよかったと考えるべきだね!

 

 

 

 

 そしていよいよ海にやってきました!ちなみに他の人たちは、兄貴たちが先に海に入っていて、女性陣は着替え中、明久はトイレ中、秀吉は佐藤と何かお話し中だよ。

 

昂哉「お待たせ〜‼︎」

克哉「お〜!」

力哉「早く来いよ〜‼︎」

昂哉「ほ〜い‼︎」

 

 ああ、幸せだ‼︎これが俺の青春の1ページ‼︎心のアルバムを飾る大切な思い出‼︎なんて最高な日なんだ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兄貴たちが全裸である事を除けば。

 

昂哉「俺のアルバムモザイクだらけぇぇぇぇ‼︎」

 

 こんなのゴミ過ぎて人には見せられないよ………

 

力哉「いや〜、貸切状態は気兼ねしなくていいな。」

克哉「全くだな。」

昂哉「移動するよ、兄貴。」

力哉「何故だ?」

克哉「ここなら人がいなくて自由な格好でいられるだろ。」

昂哉「移動するでしょ?」

力哉「お、おう………」

克哉「よく分からんが了解だ。」

 

 そうして俺は言葉の圧で無理矢理兄貴たちを、トイレから戻ってきた明久と一緒に、人のいるビーチに連れて行った。

 

昂哉「ここならいいね〜。」

力哉「普通のビーチだな。」

克哉「お前がいいと言うならここでもいいが。」

明久「これはこれで楽しそうだね!」

力哉「ちなみに女性陣は飲み物を調達しているらしい。」

克哉「そろそろ来る頃じゃないか?」

 

 そうは言ったものの、しばらく待っても来なかった。

 

昂哉「どうしたのかな?」

力哉「何かトラブルでもあったのか?」

明久「何もないといいけど………」

 

 そしてさらに待つこと5分……………

 

玲「お待たせしました。」

優子「遅くなってごめん!」

 

 ようやく女性陣が現れた…………って‼︎玲さんの水着、スケベすぎる‼︎姫路よりも、な‼︎流石は20代だ‼︎

 

昂哉「此方も抜かねば、無作法というもの……」

優子「昂哉は何を言ってるのかしら?」

昂哉「優子、気にしないで……って‼︎」

 

 お前はこの間の黄色い水着を着てきたんかい‼︎それめちゃくちゃ似合ってて可愛いし、目を合わせづらいから嫌なんだよ‼︎とりあえずここは他の話題で!

 

昂哉「の、飲み物持ってきてくれてありがとね………///」

優子「どういたしまして!」

明久「ほら昂哉、他に言うことがあるでしょ?」

昂哉「またその水着なんだね……///」

優子「へ、変かな……///」

昂哉「いや、似合ってるよ……///」

優子「ありがとう……///」

 

 クソ!なんとかしてこの緊張を破らないと………ってそうだ‼︎

 

昂哉「ところで2人は何があったんですか?」

 

 これでいいでしょう!

 

明久「確かに気になる……」

昂哉「混んでたの?」

玲「いえ、それが………」

優子「並んでる途中にナンパされちゃって……」

玲「ホント、ああいうのって困りますよね。」

優子「上手くかわせなくて時間を取っちゃった。ごめん………」

 

 なるほど、そういうことね。

 

昂哉「優子、ナンパした人殺してない?大丈夫?警察行く?」

優子「アタシは見ず知らずの人には暴力を振るわないから。」

昂哉「よく知ってる奴にも振るうな。」

優子「嫌♪」

 

 ホント、コイツの見た目だけで騙された、ナンパした人が可哀想だよ。南無阿弥陀仏………。そんな事を思ってると、

 

明久「それにしても、ナンパって適当にあしらっとけば良かったのに〜。」

 

 明久がちょっとアレな発言をした。

 

玲「アキくん、それはダメですよ?女心が分かってませんね。」

力哉・克哉「「確かにな。」」

昂哉「モテないよ〜。」

明久「何を失敬な!それに、この2人にモテなくたっていいもん!」

力哉・克哉「「確かに………」」

 

 なんだと⁉︎それは違うという事を、教えてやる‼︎

 

昂哉「明久、実は今優子半額をキャンペーンやってるからさ!どう、欲しくない?今ならセットで秀吉もついてくるよ‼︎」

明久「要らない。木下さんは昂哉に永久就職してるから。」

優子「いや、その……///」

昂哉「じゃあ玲さんだ!」

明久「何でそこで姉さんが出てくるのさ⁉︎僕は実の姉をそんな目で見ないよ‼︎」

玲「アキくん、姉さんは悲しいです。こんなにもアキくんの事を1人の異性として見てあげてるのに………」

明久「それが嫌なんだよ‼︎」

 

 ここに姫路と島田と葉月ちゃんと久保も連れてくれば良かったな〜。そうすれば明久の本来の反応が見れたかもしれないのに。

 

 まあとにかく、これだけは言っておくか!

 

昂哉「明久はナンパされた事ないから、2人の気持ちが分からないんだろうな〜。」

 

 要するに嫉妬してほしいんだよね。まあ俺はしないけど♪そんな事を思ってると、

 

明久「そういう昂哉はナンパされた事あるの⁉︎」

 

 明久が反論してきた。

 

昂哉「あるよ、もちろん!」

明久「なっ⁉︎」

優子「もしかして中学生のとき?」

 

 優子も食いついてきた。

 

昂哉「いや、つい最近。先週の補習期間の事さ!」

明久・優子「「えっ、そうなの⁉︎」」

 

 そうです!つい最近のことなんです!

 

 

 

 

  side 明久

 

 こんな老け顔の昂哉がナンパされただって⁉︎嘘でしょ⁉︎僕はコイツに負けたの⁉︎最悪だよ‼︎

 

 更に昂哉はナンパの詳細を自慢し始めた。

 

昂哉「しかもかなり強引なナンパだったんだよ‼︎最初にいきなり、『うちまで来てくんない?』って言われたし!その後は自分の職業を自慢してきたし!挙げ句の果てには強引にうちに連れ込もうとしたんだよ‼︎酷くない⁉︎」

優子「やっぱり昂哉って人気あるよね………」

明久「嘘だ‼︎絶対嘘だ‼︎」

昂哉「ホントだよ〜。」

 

 そんな肉食系女子に捕まるなんて‼︎彼女というものがありながら‼︎死ね‼︎死んで詫びやがれ‼︎

 

玲「ちなみにどんな職業の方だったのですか?」

昂哉「警察官ですね〜。」

明久「………クソ‼︎羨ましい‼︎」

 

 婦警さんに逆ナンされたのかよ‼︎そんな事を思ってると、

 

優子「それって職質されただけじゃない?」

 

 木下さんが凄い事を言った。

 

昂哉「いや、その………」

優子「あの、正直に言って欲しいかな……」

昂哉「その通りです。」

 

 そういう事だったんだね!それなら納得だよ!確かにその顔なら怪しまれてもおかしくないよね!

 

明久「やっぱり昂哉は昂哉だね!」

昂哉「うるさい明久!職質だって立派なナンパだ!」

 

 それは絶対に違うと思う。

 

優子「ちなみにアンタ、何したの?」

昂哉「ホントに何もしてないから!」

優子「じゃあ何で職質されたの?」

昂哉「俺の服装が警官に刺さったらしい。」

優子「ちなみにどんな服装?」

昂哉「サングラスにマスクに帽子にコート。」

優子「それって先週の話だよね?」

昂哉「うん。」

優子「アンタアホなの?」

昂哉「いいや違うね。」

 

 真夏にそんな服装をしてたら怪しまれるに決まってるじゃん‼︎やっぱりコイツは頭いいけどバカだよね〜。

 

優子「じゃあ何でそんな服装をしてたの?」

明久「僕も気になる!」

昂哉「優子にバレたくなかったから。」

優子「学校サボってるのを?」

昂哉「うん………って言っちまった‼︎」

明久「しょ〜もな!」

昂哉「うるさい‼︎」

 

 理由が理由過ぎて話にならないよね!しかも隠してるつもりだったんだ‼︎それなら木下さんに自白できて良かったね!

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 話しちまった………全部………優子に………

 

優子「アンタにも秀吉と美穂みたくイヤリングつけようかしら?」

昂哉「マジでやめて。」

優子「冗談よ。でも今度サボったらタダじゃおかないから。」

昂哉「はい………」

 

 とか返事しておきながら、合法的にサボる理由を考えている俺であった。優等生になれた事を証明しつつ、きちんとサボる方法………。そんな方法を考えてると、

 

明久「嫁さん、ちゃんと旦那さんを管理しといてね!」

 

 明久がゴミみたいな事を言った。

 

優子「もちろんそのつもりよ。」

昂哉「誰が嫁さんで誰が旦那さんだ⁉︎」

明久「言わないと分かんない?」

昂哉「分かるから嫌なんだよ‼︎もう‼︎そうだ、お前は玲さんと結婚しろ‼︎それなら俺も優子と結婚してやる‼︎」

玲「アキくんが姉さんと結婚……?いいですね!」

明久「バカじゃないの⁉︎実の姉なんかと結婚できるわけないじゃん‼︎」

 

 そうやって皆とごちゃごちゃ揉めてる時…………、

 

秀吉「皆、お待たせなのじゃ〜‼︎」

 

 秀吉が遂にやって来た……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上裸で。

 

昂哉「俺のアルバムモザイクだらけぇぇぇぇ‼︎」

 

 こんなのプレミア過ぎて人には見せられないよ‼︎俺だけのアルバムにしておこう‼︎

 

秀吉「昂哉⁉︎急にどうしたのじゃ⁉︎」

女係員「そこの貴女、止まりなさい‼︎」

秀吉「どうしたのじゃ?」

女係員「ちゃんと水着を着ないとダメでしょう⁉︎」

秀吉「じゃからちゃんと男物の水着を着ておるぞ。」

女係員「女の子が男物の水着を着ちゃダメでしょう⁉︎」

秀吉「いや、ワシは男……」

女係員「とにかく、こっちに来なさい‼︎」

 

 まあ当然のように係員に呼び止められたんだけどね。こればかりはしょうがない。

 

 

 

 

 しばらくすると、上着を着た秀吉が納得いかなそうな顔をしてやってきた。

 

秀吉「何故じゃ………何故ワシが男じゃと理解してもらえないのじゃ……」

昂哉・明久・力哉・克哉「「「「えっ?男だったの?」」」」

秀吉「全くお主らは‼︎もう‼︎」

 

 怒ってる秀吉も可愛い♪もっと怒らせたい‼︎まあホントに怒ると口きいてくれなくなるからこの辺にしとこ。

 

秀吉「というかどうやったら男に見えるのかのぅ?」

玲「男の子っぽくマッチョになるとかはどうでしょう?」

秀吉「それはアリじゃな。」

 

 マッチョな秀吉だと⁉︎

 

昂哉「どうかそのままのお前でいてくれ………」

秀吉「いたくないから悩んでおろうに。」

 

 秀吉は秀吉だからいいんだよ!まあとりあえず、他の案を考えてあげるか〜。俺としては女の子っぽい方がいいんだけどね。

 

明久「なら、俺は男だ、って言い続けるとか?」

秀吉「それはさっき失敗したのじゃ………」

優子「それじゃあ、保険証とかを持ち歩くとかは?」

昂哉「無くしたらヤバくない?」

優子「確かに………」

秀吉「おでこに貼るとかはどうかの?」

昂哉「ただのバカな人でしょ。」

 

 俺たちがあれこれと悩んでいる時に、

 

克哉「要するに、男って事を誰が見ても分かるようにすればいいんだろ?」

力哉「ならもう方法は決まってるじゃないか。」

 

 兄貴たちがどうやらいい策を思いついたみたいだ。さて、それは何だろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

力哉・克哉「「チ○コ丸出しで歩けば良いんだよ‼︎」」

昂哉「ダメに決まってんでしょ‼︎」

 

 コイツらに期待した俺がバカだった。

*1
リビング&ダイニング&キッチン




 ということでアルバムがモザイクだらけになる話でした。秀吉が上裸になったり、兄貴たちが全裸になったりと大変でしたね。ムッツリーニの写真に匹敵する量のモザイクが必要になるでしょう。

 さて、次回はバナナボートと魚市場の話です!お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第六十三問 打倒明久

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 全員が集合した後、ビーチでしばらくくつろいでると、

 

克哉「アレは何だ?」

 

 克哉兄さんが海の方を指差した。いったい何を見たんだろう?気になったのでそっちを見ると、

 

玲「バナナボートですね。」

 

 楽しそうな乗り物があった。高速で海上を動き回るのか。

 

昂哉「お〜、面白そうだね!」

優子「アタシやってみたい!」

秀吉「定員は3人かのぅ。」

力哉「せっかくだから誰か行ってきたらどうだ?」

 

 う〜ん、ホントは今すぐに乗りたいけど、優子と同じタイミングで乗るのは嫌だから、一旦遠慮しとくか〜。

 

 そんな事を思ってると、

 

明久「ねえ昂哉。せっかくだから一緒に乗ろうよ!」

 

 明久に誘われた。

 

昂哉「いや、最初は若い衆で行くといいんじゃないかな?優子と秀吉も乗りたがってるぽいし。」

明久「で、」

 

 で?

 

明久「そいつで今夜の寝床を決めるのはどうかな?ちなみに先に振り落とされた方の負けで‼︎」

 

 なるほど、そういう事か!この勝負なら運動神経が悪くても勝てる‼︎だからここは、

 

昂哉「上等‼︎その勝負乗ってやる‼︎」

明久「よし!それでこそ昂哉だ‼︎」

 

 明久の話に乗るぜ‼︎もちろん作戦もあるから大丈夫でしょう‼︎

 

 

 

 

 そしていよいよ俺と明久は勝負の時を迎えた。まず俺と明久がそれぞれバナナボートの端っこに乗り、その間に秀吉が乗ることになった。明久が秀吉じゃなくて優子を乗せようとしてたが、

 

秀吉「昂哉は姉上が居ると緊張しちゃって勝負になるまい。じゃから公平を保つためにワシが乗ろう。」

 

 という秀吉の気遣いのおかげでこうなっている。

 

昂哉・明久・秀吉「「「よろしくお願いします‼︎(するのぅ。)」」」

運転手「よろしくね。それじゃあその取手にしっかり掴まって下さいね。」

昂哉・明久・秀吉「「「はい!」」」

 

 そして戦いは………もう始まっている‼︎実は明久の取手にこっそりサンオイルを塗っておいたんだよね〜。これで俺の勝ちだ!とっとと海に落ちやがれ、明久‼︎

 

 さて、俺も座ろう…………

 

 

 

ぬるっ

 

 

 

 と思ったら、何故か俺のところにもサンオイルが塗ってあった。

 

昂哉・明久「「テメェェェェェェ⁉︎」」

昂哉「なんで卑劣な奴なんだ、お前は‼︎」

明久「昂哉こそよくこんなゲスな事を思いつくよね!」

秀吉「2人とも同じじゃろ。」

運転手「それじゃあ行きま〜す!」ドンッ‼︎

昂哉・明久・秀吉「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」」」

 

 ボートがいよいよ発進し、俺と明久のバトルが加速した。

 

昂哉「ど、どうした明久……っ!顔が……引きつってる……よ‼︎」

明久「昂哉こそ……っ!怖くてチビってるんじゃ……ないの⁉︎」

秀吉「………」

 

 俺が次に明久を煽ろうとした時、

 

明久「なんなら片手で勝負する⁉︎」

 

 明久から面白い提案を受けた。いいね!乗ってやろう‼︎

 

昂哉「上等‼︎」

運転手「加速しますよ〜!」ブォーン‼︎

昂哉・明久「「ふぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」」

秀吉「なんか凄い事になっとるのぅ。」

 

 ゆうて片手でもいける!脚で踏ん張ればなんとか……‼︎だけどそれは明久だって同じこと……。だったらアイツの注意を逸らしてその隙に………あの脚にオイルを塗る‼︎

 

昂哉「向こうで玲さんの水着がはだけているよ‼︎」

明久「向こうに木下さんが‼︎」

昂哉・明久「「そんなものに興奮するかぁ‼︎」」

 

 クソ‼︎アイツも同じ考えだったか‼︎万策は………まだ尽きてない‼︎秀吉が真ん中にいると言うことは………これだ!

 

昂哉・明久「「向こうで佐藤(さん)の水着が脱げているよ‼︎」」ドバドバドバ

秀吉「ぬぁっ‼︎どこじゃ⁉︎美穂の乳はどこで見られるのじゃ⁉︎」バッ!

 

 秀吉が興奮する事でバランスを崩させ、更にサンオイルを投入…………ってアイツも同じことを考えてたか……ここはなんとしてでも踏ん張る……………って?

 

秀吉「お主ら‼︎ワシを騙しおって‼︎許さんぞい‼︎」バシーン!

 

 秀吉に突き飛ばされただと?ヤバい、バランスが保てない‼︎

 

昂哉「うわぁぁぁぁぁぁ‼︎」バシャーン‼︎

明久「あぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」バシャーン‼︎

 

 幸い明久も同じように突き飛ばされてたので、ほぼ同時に落水する事になった。これは審判の判定に頼ろう!

 

 

 

 

 そして俺たちは陸に上がると、早速兄貴たちのところに向かった。

 

昂哉「で、どっちが勝ってた⁉︎」

明久「僕ですよね⁉︎僕ですよね⁉︎」

 

 さあ、どっちだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

克哉「波の差で明久の勝ちだな。」

明久「よっしゃぁぁぁぁ‼︎」

昂哉「そんなバカな‼︎」

 

 クソ!仮にも麻雀で500万円勝ってる男が、運の差で負けるなんて‼︎ギャンブラーとして不甲斐なし‼︎穴があったら、入れたい………じゃなくて入りたい‼︎

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

優子「あ、あの………」

 

 何かを言いたげな優子に話しかけられた。

 

昂哉「どしたの、優子?」

優子「もう一回バナナボートに乗る気はあるかしら?」

 

 なるほど、そういう事か!

 

昂哉「再戦なら引き受けよう‼︎勝負だ、明久‼︎」

明久「はぁ⁉︎何のこと⁉︎」

昂哉「運の差で負けたのなら、最低何回かやるべきだと思ったんでしょ?明久は男らしいから。だからその話に乗ってやろうと思ったわけ!」

明久「いや、勝負もう終わったでしょ。それに、僕がそこまで考えられるほど頭いいと思う?」

昂哉「確かに…………」

 

 なるほど、明久からの話じゃないのか………。だとすると、

 

昂哉「秀吉〜♪俺と一緒に乗りたいのならそう言ってくれれば良いのに〜♪」

 

 秀吉からのお誘いだね!

 

秀吉「騙されたから嫌じゃ。」プイッ

昂哉「それはツンデレと捉えてよろしいか?」

秀吉「よろしくないのじゃ。」

 

 って違うんかい‼︎クソ‼︎だったら………って?

 

昂哉「あれ、兄貴と玲さんは?」

 

 他に頼みそうな年上3人組がいない?

 

優子「その3人ならバナナボートに乗りに行ったよ。ほら、アレを見てごらん?」

 

 そう言って優子が指差した方向を見ると、

 

力哉「アイツらはあんなに暴れてたけど、思ったよりも安定感があるな、これ。」

克哉「サンオイルとか塗らない限り振り落とされないと思うんだが。」

玲「アキくんと昂哉君の事でしょう。きっとそうしたのではないでしょうか?」

克哉「だろうな。」

 

 年上組がバナナボートに乗っていた。なんていうかものすごい安定していて、さっきまでの戦場とは思えないほどだった。

 

 それはともかく、優子の目的が分かった気がする。

 

昂哉「明久〜、秀吉〜!優子が一緒にバナナボート乗って欲しいんだとさ!」

明久「いや、僕らじゃないでしょ。」

 

 クソ!否定されてしまった‼︎だとすると………、

 

秀吉「どう考えてもお主と乗りたいだけじゃ。そうじゃろ、姉上?」

優子「うん………///」

 

 遂に恐れていた事態が現実のものとなってしまった。だがこの事態を少し緩和する方法ならある。それは………

 

昂哉「じゃあ秀吉も一緒に乗るなら、俺も優子と乗ろうかな♪アレ確か3人乗りでしょ?だから1人分余らせるのは勿体無いかと思って。」

 

 緩衝材の調達だ。俺と優子の間に秀吉を置く。これだけでだいぶ違うはず‼︎

 

秀吉「それなんじゃが、2人用のボートもあるって書いてあるぞい。」

 

 どうやら物事は最悪の方向へと舵を切ったようだ。

 

優子「い、嫌なら別に良いよ‼︎あ、アタシはそんなに乗りたいわけじゃないし!た、ただもう一回乗りたい人がいるかな〜、って思っただけだし!」

 

 優子の気遣いが余計に刺さる。お前さっき乗りたいって言ってたじゃん!

 

昂哉「わ、分かった!優子と俺で行くか〜!」

優子「ホント?いいの?」

昂哉「う、うん!」

優子「やった〜‼︎」

 

 ということで、俺は優子と一緒に、再びバナナボートに乗ることになった。クソ、嬉しそうにしやがって!ホントは乗りたかったんじゃん!

 

 

 

 

 そして再び乗ってみて思ったのだが…………

 

昂哉「確かに安定感が凄いね。」

優子「アンタらが勝負に熱中してたからね。」

 

 兄貴たちの言った通りだった。やっぱりオイルとかが無いと明久を振り落とせなかったのか………

 

優子「うわっ!」ギュッ

 

 って⁉︎油断してた優子が曲がった時にバランスを崩して俺に抱きついてきたんだけど⁉︎

 

昂哉「だ、大丈夫?///」

優子「う、うん……ってゴメン………///」

昂哉「い、いや、謝らなくていいよ///」

優子「そ、そう………///」

 

 ドキッとした〜!こここ、殺されたかと思ったよ‼︎というか最近優子にドキッとする回数が増えてる気がするんだけど、気のせいかな?歳のせいで判断力が落ちて、また秀吉と勘違いしちゃってるのかな?

 

 

 

  side 運転手

 

 随分と初々しいカップルだなぁ。

 

 

 

  side 昂哉

 

 その後はなんとか必死に優子に触れないようバランスを保ち、バナナボートの時間を終えて砂浜へと戻ってきた。そして開幕早々、

 

秀吉「昂哉、お主はもっとバランスを崩さんかい!」

 

 何故か俺は秀吉からダメ出しを受けていた。

 

昂哉「なんで?」

秀吉「そしたらもっと姉上に抱きつけたじゃろ!」

 

 そういう事かよ‼︎コイツめ、相変わらず俺をからかいよって‼︎許さないからな‼︎

 

 そして俺は秀吉の耳元に口を近づけ、

 

秀吉「お主、ワシに何をするつもりじゃ⁉︎そういうのは姉上に……」

昂哉「佐藤、さっき秀吉がエッチなお姉さんの胸を凝視してたよ。」

美穂(盗聴器越し)『秀吉君?

秀吉「ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」ビリビリビリビリ

 

 耳についてる盗聴器からの電流を利用して秀吉を撃退した。思ったより威力あるんだね。

 

 

 

 それはともかく、なんとしてでも俺は優子とのベッドタイムを避けなければいけない。そうなると明久を代わりにあの部屋に放り込むのがいいだろう。しかし俺は明久より筋力も体力も無い。となると潰すのも拘束するのも無理………。気絶は………ちょっと大変………。待てよ、この後は夕食だから………

 

昂哉「毒殺したらいいのか!」

優子「良い笑顔で何言ってるの?」

 

 ヤバい!優子に聞かれた‼︎ここは誤魔化さないと!

 

昂哉「ゆ、優子⁉︎盗み聞きとは趣味が悪いぞ⁉︎」

優子「毒殺ほどじゃないと思うけど。それで、今度は何企んでるの?きちんとアタシに話しなさい?」

昂哉「なんでもない。別に何も隠してない。」

優子「分かったから、とりあえず隠している事全部話して。じゃないとアンタの腕が無くなるわよ?」

昂哉「隠してないと言ってるのに⁉︎」

 

 マズい!なんとか優子の目を欺かないと‼︎そんな事を思ってると、

 

力哉「お〜い、お前ら‼︎」

克哉「夕食の買い出しに行くぞ〜!」

玲「場所はすぐそこの魚市場ですよ。」

 

 年上3人が助けてくれた‼︎

 

昂哉「ほ、ほら優子!とっとと魚市場に行くよ‼︎」

優子「怪しいわね………」

 

 ということで俺は何とか優子を振り切ることが出来た。さて、毒殺作戦の開始だ‼︎

 

 

 

 

  side 優子

 

 昂哉は一体何を企んでるんだろう?とりあえず一緒についてく………ってもう居ない⁉︎全く、逃げ足が早いわね…………

 

 

 

 

 そんな事を思いながら魚市場に着くと、

 

力哉「それじゃあ各自食いたい食材を適当に選んで、」

克哉「帰ったら皆で一品ずつ作ろうじゃないか!」

秀吉「おっ、それはいいのぅ!」

優子「だね!」

玲「私は何を作ろうかな………」

明久「姉さんは台所に立たないでね。」

玲「嫌です、アキくん。」

力哉「では健闘を祈る‼︎」

他全員「「「「「オー‼︎」」」」」

 

 各自で食材を調達する事になった。ちなみに昂哉は連絡したけれど、すぐ戻る、とか言って全然戻ってこなかった。ちょっと心配だけど、とりあえず今は買いたいものを買うか〜!

 

 

 

 そしてアタシは未成年組で行動する事になった。

 

優子「うわ〜、珍しいものがいっぱいだね〜。」

秀吉「そうじゃの。」

明久「これは食材選びのセンスが試されるね!」

秀吉「力哉たちは何にするのじゃろ?」

 

 確かに。同じの買ってたら困るからね。

 

優子「じゃあアタシが聞いてくるよ!」

明久・秀吉「「よろしく(頼むぞい)!」」

 

 ということで、アタシは早速玲さんや力哉と克哉を探す事になった。

 

 

 

 

 最初に居たのは、

 

玲「すいません。」

 

 玲さんだ!

 

店員1(おじさん)「へいらっしゃい!何にしやす?」

玲「えっと私は………」

 

 さて、何を頼むのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玲「オジサンが食べたいです。」

 

 えっ⁉︎あの人は何を頼もうとしてるの⁉︎とりあえず皆に報告しないと‼︎

 

明久「どうしたの、木下さん?」

秀吉「何かあったかのぅ?」

優子「……あ……玲さんが……魚屋のおじさんを食べようとしてた……」

秀吉「魚屋のおじさん?」

明久「木下さんは何を見てきたの⁉︎」

 

 そ、そういう反応になるよね!となると、

 

優子「ううん!きっと今のは何かの聞き間違いよ!」

秀吉「そ、そうかの……」

明久「それなら良かった〜!」

 

 アタシの早とちりね!

 

優子「と、とにかく次は他2人のとこ行ってくる!」

秀吉「すまんが、頼むのぅ。」

明久「行ってらっしゃい!」

 

 ということでアタシは他の人のところに向かった。

 

 

 

 

 そして次は、

 

力哉「あ〜、そうなのか。なら俺は………」

 

 力哉のところに来た。さて、何を買うつもりなのかな………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

力哉「浜崎の奥さんが欲しい。」

 

 な、なんだとぉぉぉぉぉぉ⁉︎

 

 そしてアタシは他2人のところへ戻ると、

 

秀吉「姉上?」

優子「……力哉が………」

明久「あの人がどうしたの?」

優子「人妻に………手を出そうと……」

 

 事実を告げた。

 

明久「ちょっと待って。」

秀吉「姉上はさっきから何を言っておるのじゃ?」

明久「なんかの聞き間違いじゃないかな?」

優子「でもこの耳でハッキリと聞いたわよ‼︎」

秀吉「だとしたら幻聴じゃの。」

 

 くぅぅぅぅ‼︎何で皆はアタシの言う事を信じてくれないの⁉︎

 

優子「じゃあ皆で行って確認するわよ‼︎」

明久「別にいいけど………」

秀吉「むぅ………」

 

 ということで、

 

克哉「う〜む。」

店員2「らっしゃい!何をお探しで?」

 

 皆で克哉の買い物を見る事になった。

 

秀吉「普通の買い物じゃの。」

明久「何もおかしいところは無いね。」

優子「そ、そうかな?」

秀吉「やはり姉上の勘違いじゃろ。」

明久「そもそもこんな場所で妙な真似をするとは思えないしなぁ。」

優子「うぅ……確かに………」

 

 2人の言う事は合ってる。じゃあアタシの勘違いだったのかな?とにかく買い物の続きを見るか〜。

 

店員2「ウチは何でも揃ってるよ‼︎遠慮なく言ってくれ‼︎」

克哉「それじゃあ………」

 

 果たして、何を買うのか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

克哉「肉付きの良い高校生を。」

 

 アウトーーーーー‼︎

 

 やっぱりアタシの勘違いじゃなかったわね!

 

明久「こんなところで何を買おうとしてるの⁉︎」

優子「だから言ったでしょ‼︎」

明久「ここは通報するべきかな………?」

優子「その前に一応事情を聞いた方が……」

秀吉「待つのじゃ2人とも。多分それ勘違いじゃぞ。」

優子・明久「「へっ?」」

 

 勘違い?どう言う事?

 

秀吉「多分それ全部魚の名前じゃから。」

 

 そう言って秀吉は魚の名前が書かれた本を見せてくれた。

 

優子・明久「「確かに…………」」

優子「オジサンに浜崎の奥さんにコウコウセイって………」

明久「凄いネーミングセンスだね……」

優子「じゃあさっきの玲さんも力哉も……」

明久「魚を買おうとしてたのかな?」

秀吉「そうじゃの。」

 

 なるほどね!それなら納得がいったよ!安心した〜‼︎

 

優子「冷静に考えたらそんなの買うわけないわよね〜!」

明久「だよね〜!」

秀吉「やはり姉上の早とちりじゃったか……」

優子「ごめん………」

明久「気にしないで………ってアレは昂哉?」

 

 そう言って吉井が指差した方向を見ると、

 

昂哉「すいません!」

店員3「あいよ!いらっしゃい!」

 

 昂哉が居た。ここに居たんだ‼︎良かった〜‼︎さてと、合流を…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「一口で高校生が昏倒するような毒魚を一匹。」

店員3「ねえよンなモン。」

 

 しようとしたら、昂哉がとんでもないものを買おうとしてた。

 

昂哉「分かりました………ってお前ら⁉︎人の買い物を覗き見とは趣味が悪いぞ‼︎」

明久「毒魚を買おうとした奴が何を言うか‼︎」

秀吉「絶対また何か変な事を企んどるじゃろ。」

 

 ここはアタシがちゃんとしないと!

 

優子「昂哉、ちょっとこっちに来なさい。

昂哉「えっ?あっ………はい………」

 

 こうしてアタシは昂哉にお仕置きをしたのであった。




 ということでバナナボートからの魚市場の件でした。昂哉は明久を倒すために勝負したり毒魚を買おうとしたりしましたが、優子にバレて全てが台無しになりましたね。

 さて、次回で沖縄本土での話は終わりです。お楽しみに!あと、この章は本土の次に無人島に行きます。また、最終的には宮古島に到達するので、もう少し続きます。

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第六十四問 夫婦団欒のひととき・無人島へGo‼︎

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 ん?ここはどこだ?川のほとりか?俺は確か沖縄の海辺に居たはずじゃ………

 

 そして川の向こう岸には赤く綺麗な彼岸花が咲いている。いい景色だな〜。俺もあっちに行こうかな?さてと、川を渡って………

 

桂「すいませんでした、雲雀丘先輩‼︎」

 

 って向こう岸にいるアレは誰だ?後輩?でも知らない子だな〜。

 

昂哉「えっと………君は誰?」

桂「僕は先輩と同じ中学の………って何でこの川を渡ろうとしてるのですか⁉︎」

 

 自己紹介が聞きたかったのに急に遮られてしまった。この川を渡っちゃダメだったのかな?浅いし流れも遅いから俺でもいけると思ったんだけど………

 

昂哉「いや、彼岸花が綺麗だったし………。それに、この川そんなに危なくないよ?」

桂「渡りきっちゃうと危ないんです!」

昂哉「なんで?」

桂「この川は三途の川ですよ!」

 

 三途の川⁉︎それ渡りきったら死ぬじゃねえか‼︎何故俺がこんなところに⁉︎思い出せ、思い出せ…………って優子の仕業じゃないか‼︎あの悪魔め、起きたらきちんと俺が祓ってやるからな‼︎

 

昂哉「すまん、ありがとう‼︎それじゃあ俺行くね‼︎」

桂「あ、あの!……気をつけて下さい……には………」

 

 そうして俺は必死に此岸(しがん)に戻り………

 

 

 

 

昂哉「優子ぉぉぉぉ‼︎テメェ、ブチ殺すぞ‼︎」

 

 貸別荘の中で目を覚ました。すると、

 

優子「どうしたの、昂哉?」

 

 隣には、俺を殺そうとした犯人が座っていた。なので、

 

昂哉「どうしたもこうしたもねえよ‼︎テメェのせいで俺は三途の川を渡りかけたんだよ‼︎」

 

 俺は今までの怒りを思いっきりぶつけた。

 

優子「そういう冗談はいいから。というかアンタだって毒殺しようとしてたでしょ。」

昂哉「冗談じゃないからキレてんの‼︎」

 

 コイツめ、俺がふざけてると思いやがって‼︎そんな事を思ってると、

 

優子「それは………本当にごめんなさい………」

 

 まさかの素直に謝られた。まあ俺は命の危機を感じたわけだし普通なのか。それでもコイツは折檻だけは嬉々としてやってから、普通に謝るのは意外だな〜。

 

昂哉「ほいほい。んじゃ、今後は折檻をやめるように。」

優子「それは無理。まあ死なない程度に手加減してあげるから♪」

昂哉「じゃあ今度は俺がお前を毒殺してやろうか?」

優子「やれるもんならやってみなよ♪」

 

 クソ‼︎この余裕、毒程度じゃ死なない強者のそれだ………。果たして俺はこの悪魔を倒す事が出来るのだろうか………

 

 

 

 

 まあそれはともかく、今の状況を聞かないと。周りを見渡しても優子しかいないし、外はいつの間にか暗くなってるし。

 

昂哉「ところで、今は皆何してるの?」

優子「夕食食べ終わって部屋に戻って遊んでるはずよ。」

昂哉「なるほど………」

 

 優子以外に人が5人もいながら、誰一人気絶している俺を気にかけなかったわけか………。いつか全員まとめて毒殺してやる!

 

優子「ちなみに、アンタの分は今からアタシが作るから待っててね。」

 

 なんだと⁉︎

 

昂哉「まさか、俺を毒殺する気?」

優子「そんな事はしないから………」

 

 どうやら違ったみたいだ。

 

昂哉「なら良かった!」

優子「それじゃあ、そこら辺で適当に待ってて〜。」

昂哉「ほ〜い!」

 

 ということで、俺は料理を作っている優子を待っている間…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「どうもコンバンワ。警察の方から来ました。

 

 野郎+秀吉部屋に復讐しに来た。そこで俺は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秀吉「ワシのそんなに大きいかのぅ?」

明久「僕の倍はあるんじゃないかな……///」

克哉「デカさが全てじゃないけどな。」

力哉「やっぱり男はハートだろ!」

 

 信じられぬものを見た。全裸で()()について真剣に語り合う、男3人と秀吉の姿があった。秀吉以外気味が悪かった。

 

 俺は秀吉の裸体を撮った後、他のは見なかったフリをしてすぐに退散した。後明久についてはきちんと島田と姫路に、秀吉の裸を見たと報告しておいた。奴らと再会した明久がどんな目に遭うか、今から楽しみである。

 

 

 

 

 そんな事を思いながらリビングに戻ると、

 

優子「昂哉、ご飯できたよ〜。」

 

 黄色いエプロンを着た優子がいい報せをしてくれた。その姿はさながら自分の奥さんみたいだ。これで優子じゃなかったら、特に秀吉だったらどれだけ良かったのだろうか。

 

昂哉「ありがとう!それに、エプロン似合ってるね!」

優子「あ、ありがとう……///」

昂哉「それじゃあ食べようか!」

昂哉・優子「「いただきま〜す‼︎」」

 

 そしてそのまま優子と一緒に同じテーブルで飯を食べた。今日のメニューは変わった名前の魚たちの刺身、あさりの味噌汁、サラダ、ご飯である。すごい家庭的な雰囲気が、より優子の新妻感を醸し出している。

 

昂哉「美味し〜♪」

優子「ど、どうも……///」

 

 相変わらず優子の作る飯はめちゃくちゃ旨い‼︎とてもさっきまで拷問して俺を殺そうとしていた人物とは思えないくらいに。これもある意味胃袋を掴まれるという拷問かもしれないが、これだけはずっと受け続けたい拷問である。

 

 それと、優子が俺と一緒に料理を食べてるということは、

 

昂哉「俺が起きるまで飯を待っててくれたんだね!ありがとう!」

 

 これが言える。

 

優子「いや、アンタが悪いとはいえ、アタシは折檻した側だし……」

昂哉「それなら折檻をしなければいいんじゃないかな?」

優子「それは無理♪」

 

 正直なところ、暴力癖さえやめてくれたら理想の奥さんなのかもしれない。飯は旨いし優しいところがかなりあるし。暴力癖がヤバすぎるけどね。長所全てを打ち消して尚余るくらいに。

 

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

優子「そういえば、昂哉は男子部屋を追い出されて、アタシらの部屋で寝るんだっけ?」

 

 優子に寝床の話をされた。正直めちゃくちゃ困ってる話だ。

 

昂哉「まあそうだけど、流石に玲さんに悪いからね〜。適当にこの辺のソファーで寝るよ。」

優子「それだと昂哉が風邪ひいちゃうじゃん!」

昂哉「じゃあどこで寝るの?男子部屋はもうスペースが無いよ?」

優子「アタシの布団に入れてあげる!それに玲さんにも既に話は通してあるわよ!」

 

 はい?

 

昂哉「ちょい待てや。何故俺が優子の布団に入るの?」

優子「実は女子部屋もそんなに広くなくてね。それに、アタシの布団に入れば、アンタの監視も出来るでしょ?」

昂哉「はぁ⁉︎そんなの御免だね‼︎」

 

 とんでもねえ女だぜ‼︎旨い夕食を作って油断させておいて、完全に俺の息の根を止めるつもりじゃないか‼︎やはりコイツは新妻なんかじゃない‼︎悪魔だ‼︎祓わねば‼︎祓わねば‼︎

 

優子「安心して♪アンタを殺しはしないから♪」

昂哉「もっとタチ悪いわ、この特級悪魔め‼︎絶対に俺が祓ってやるからな‼︎」

優子「やれるもんならやってみな♪」

 

 ただ現状、力で(まさ)る優子に勝てる手段はない。だから今は弱点を探るところから始めないとな………

 

昂哉「まあ、今は休戦といこうじゃないか……」

優子「それでいいのよ♪」

 

 そんなやり取りをしているうちに、

 

昂哉・優子「「ごちそうさまでした‼︎」」

 

 2人とも食べ終わった。

 

優子「それじゃあ昂哉はお風呂入ってきな〜。」

昂哉「ほ〜い。」

 

 ということで、俺は風呂に………

 

昂哉「いや、俺が食器を片付けるよ。」

優子「いや、大丈夫だって!アタシがやっとくから!」

昂哉「う〜ん。なら一緒にやろ!」

優子「へっ?」

昂哉「嫌?」

優子「嫌じゃないけど………///」

昂哉「ならヨシ!」

 

 入ろうと思ったけど、流石に飯を作ってもらって片付けをしないのは悪いので、一緒に食器を洗う事にした。そもそもコイツは片付けが下手くそだしね。

 

 

 

 

 しばらくして片付けが終わり、俺が優子と一緒に荷物を置きに部屋に入ろうとすると…………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玲「アキくんが着た水着、とてもいい匂いがします♪」

 

 玲さんが明久の使用済み水着を抱えて幸せそうに寝っ転がっていた。なので、

 

昂哉「すいません、お邪魔します。」

玲「昂哉君、ごめんなさいね。せっかくの夫婦での営みの時間を邪魔してしまって………」

昂哉「いや、そんな事する気はないんで。んじゃ、俺風呂に行ってきま〜す。」

玲「優子さんは一緒に行かなくていいのですか?」

優子「いや、アタシは既に入ったので……」

玲「あら、そうですか。」

 

 俺は変態に挨拶を済ませ、すぐに風呂へと向かおうとした。しかし、そのタイミングで

 

 

 

ヒュポッ

 

 

 

 誰かからLINEが飛んできた。そういえばしばらく携帯をいじってなかったから、結構通知溜まってるな………。一応軽く見てから風呂に入るか……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秀吉(LINE)『この写真(昂哉と優子が2人で食卓を囲んで飯を食ってる写真、優子はエプロン付き)が昂哉と姉上の新婚生活の様子じゃ!』

明久(LINE)『2人とも、本当にお似合いだよね!』

美穂(LINE)『ですね!優子さんのエプロンも似合ってます!』

工藤(LINE)『いつの間に結婚したの、この2人?』

ムッツリーニ(LINE)『………結婚式に招待してくれたら良かったのに……』

霧島(LINE)『…雄二、私たちもこれやりたい!』

雄二(LINE)『断る。』

霧島(LINE)『…なら無理矢理やらせる。』

雄二(LINE)『ちょっと待て翔子!それだけはやめてくれ!』

島田(LINE)『そういえばアキが木下の裸を見たって聞いたんだけど?』

姫路(LINE)『どういうことか説明してもらえますか、明久君?』

秀吉(LINE)『男同士じゃからそれくらい普通じゃろ……』

明久(LINE)『待って2人とも!それは誤解なんだ‼︎』

 

 ヤバいLINEがめちゃくちゃ来てた。なので、

 

昂哉(LINE)『明久のは真実だし、俺と優子は結婚してないからね。』

 

 訂正LINEを送っておいた。

 

 

 

 

 

 そして風呂を済ませて寝ようとした時、またしても問題が発生した。この間の霧島家での出来事と同じ、優子が隣にいるとドキドキしてなかなか寝付けないのだ。しかも今日は同じ部屋に玲さんまでいる。だから下手に喋って雰囲気をぶち壊す事が出来ない。

 

昂哉・優子「「………///」」

 

 優子も優子で照れて寝れないようだ。これなら一緒に寝たのは不正解では?とりあえず酒を飲んで無理矢理寝ようとしたけど、この前みたく優子に変な気を起こしたくなかったので、それはやめておいた。

 

 はてさて、どうするべきか………。それを考えていると、

 

優子「……アタシ、トイレに行ってくる……」

昂哉「……分かった……」

 

 優子がトイレに行った。これはナイスタイミングだ!今のうちに寝るんだ‼︎寝るんだ‼︎

 

 

 

 そう思っ20分経ったのだが、なかなか眠れなかった。優子が戻ってくる前に寝なきゃ、という焦燥感が、かえって身体を目覚めさせてしまったようだ。とりあえずは何も考えないようにしよう。そう思った。

 

 だが一つだけ気になる事があった。優子がなかなかトイレから戻って来ないのだ。流石に20分は長すぎる。気になったので俺もトイレに向かうと……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「zzzzzz」

 

 リビングのソファーで寝てる優子の姿を発見した。コイツ、俺がここで寝るのは風邪が引くからやめろと言ったくせに、自分は寝るのか………。もしや俺がドキドキして眠れないのを気遣ったのか?というか多分そうだろう。自分が隣に居なければ眠れるだろうと思って。だからトイレに行くと嘘をついたのか………。そういやこの間の霧島家の時もそうだったのか………

 

昂哉「ほら、そんなところで寝てると風邪引くよ〜?」

優子「zzzzzz」

昂哉「しょうがないな〜。」

 

 優子の優しさに泣きそうになりながら、俺は寝ている彼女を抱えて布団まで連れて行き、そのまま寝かせた。そして後を追うようになんとか俺も眠りについた。

 

 

 

 

 翌朝起きると、優子も偶然同じタイミングで目を覚ました。

 

昂哉「おはよう〜。」

優子「……おはよ……ってえぇぇ⁉︎」

昂哉「どうしたの?」

優子「あの、いや……」

昂哉「俺のこと気遣ってくれてありがとね!」

優子「えっと……ど、どうも……///」

 

 昨日は優子の厳しさと優しさを同時に味わった日だった。そして今日は…………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「それじゃあ無人島旅に向けて、準備するか!」

優子「うん!」

 

 自然の厳しさと優しさを味わう日だ!

 

 

 

 

 そして俺たちは全員で集まった後、無人島へ船で向かい、そして到着した。

 

力哉・克哉・優子「「「無人島に到着‼︎」」」

 

 目の前に広がる大自然!それでいて人の気配が全くしないこの感じ‼︎まるでゲームやアニメの中の世界に来たみたいだ‼︎無人島サバイバル、ってね!

 

昂哉「これが無人島か〜!なんかワクワクしてきたな〜!」

明久「確かに!」

秀吉「この場所は最高じゃのぅ!」

玲「では早速火を起こしてバーベキューをしますか!」

 

 そうして皆ではしゃいでいると、

 

管理人「すみません、お客さん。最初にテントの設営を。」

力哉「だそうだ。」

昂哉「おっとそうでした。」

優子「船の荷物も運ばないといけませんね〜。」

管理人「では今からテントの建て方について教えますね〜。」

 

 この無人島を管理している人からテントの設営方法を聞いた。

 

 

 

 

 そして説明が終わり、

 

管理人「………という感じで建てて下さい。何かあれば携帯にお願いします。」

全員「「「「「「「は〜い!」」」」」」」

力哉「じゃあ組み立てるか。」

玲「そうですね!」

 

 実際にテント設営に移った。ちなみに今回はちゃんとテントを3つ用意しており、女子用、俺&明久&秀吉用、兄貴たち用に分かれているよ。昨日みたく俺が優子と一緒に寝ることは絶対にないから安心だぜ‼︎

 

 

 

 

 そしてテントの設営を終えると、

 

力哉・克哉「「んじゃ、着替えるか。」」ぽ〜い

秀吉「そうじゃの。」ぽ〜い

明久「ですね///」ぽ〜い

 

 男性陣+秀吉が外で普通に着替え始めた。

 

昂哉「ちょい待てや‼︎」

力哉「どうした、昂哉?」

克哉「お前も早く着替えたらどうなんだ?」

昂哉「外じゃなくてテントの中で着替えろや‼︎ここじゃあ丸見えじゃん‼︎」

 

 秀吉の裸は見たいけど、他3人は要らん‼︎

 

力哉・克哉「「それがどうした?何かおかしいのか?」」

昂哉「全部だよ‼︎全部がおかしいんだよ‼︎というか明久と秀吉もなんで人前で脱いでるの⁉︎」

明久「昨日力哉さんと克哉さんに教わったんだ。服は所詮ただの布だって。

昂哉「肌の露出を防ぐ大切な布だよ‼︎バカかお前は⁉︎」

秀吉「ワシは最近よく裸になるからのぅ。主に美穂……」

昂哉「それ以上言うな。」

 

 兄貴たちのせいでこの2人の倫理観までバグっちゃったよ‼︎これはいけない‼︎ちゃんと報告しとかないと‼︎

 

 そして俺は女子が着替えているテントに向かって、

 

昂哉「ねえお二人さん。明久と秀吉が外で着替えてるんだけど、どう思います?」

 

 チクった。

 

明久・秀吉「「なっ⁉︎」」

秀吉「お主はなんてことをするのじゃ⁉︎」

明久「卑怯だぞ、昂哉‼︎」

優子「秀吉?アンタも三途の川を見たいのかしら?

秀吉「見たくないのじゃ、見たくないのじゃ‼︎」

玲「アキくん。そういうのは姉さんと2人きりの時だけにしてと言ったでしょう?

明久「言ってないから‼︎それにそれだけは絶対嫌だ‼︎」

 

 兄貴たちにも仕返ししたいんだけど、奴らは恥を知らないからな〜。それに、俺にとっての優子や秀吉にとっての佐藤と優子みたいに危険な相手がいない。それに俺よりも酒が強い。だから攻撃手段が無いんだよね。

 

 

 

 

 そんな事を思いながらしばらく経つと、女性陣の着替えも終わったみたいなので、ビーチに向かった。

 

玲「それにしても、克哉君と力哉さんはちゃんと水着なんですね。」

克哉「最初くらいはな。」

昂哉「出来れば最後まで頼むよ。」

 

 それにしても、良い眺めだよね〜。海をバックに見るキュートな秀吉の水着姿*1。それにかなり妖艶な玲さんの水着姿。あと、可愛いらしい優子の水着姿………///。俺の脳内メモリに鍵付きで保管しておかないと…………

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

力哉「克哉、水着が脱げてるぞ〜。」

克哉「兄貴こそ脱げてるじゃないか。」

 

 脳内メモリにウイルスが‼︎兄貴の全裸姿なんて覚えたくないわ‼︎

 

 

 

 脳内メモリの書き換えに時間を割いてると、

 

明久「昂哉、そういえば秀吉はどこにいるの?」

 

 明久がかなり重大な問題を教えてくれた。

 

昂哉「秀吉を見失うだなんて、俺とした事が⁉︎」

明久「昂哉も分かんないのか〜。」

昂哉「一体どこに行ったのやら……」

明久「気になるよね。」

 

 2人で秀吉の行方を考えていると、

 

優子「2人とも、秀吉なら砂浜を歩きたいって言ってあっちに行ったよ。」

昂哉・明久「「ありがとう!」」

 

 優子が居場所を教えてくれた。そういう事ね!そして優子の指差した方向を見ると、

 

??「……おお……」

秀吉「……そうじゃの……」

 

 秀吉が誰かに声をかけられてた。

 

明久「アレは誰かな?」

昂哉「さあ?他のグループの人じゃない?」

優子「まさか逆ナンだったり……」

昂哉・明久「「ナンパだと?」」

優子「落ち着いて、2人とも……」

 

 気がついた時には、俺と明久は…………

 

昂哉・明久「「そこの貴方、俺たちの秀吉に手を出さないで下さい‼︎」」

 

 秀吉を守っていた。そして秀吉をナンパした主の顔を見ると…………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

常村「………って!」

昂哉・明久・常村「「「お前(ら)かよぉぉぉぉぉ⁉︎」」」

 

 まさかの人物が立っていた。

 

明久「どうして変態先輩が⁉︎」

常村「それはこっちのセリフだ‼︎」

 

 クソ!せっかくの秀吉との旅行をこいつ如きに邪魔されてたまるか!だからここは、

 

昂哉「よし、ここはこうしましょう‼︎俺たちはそっちに干渉しない‼︎だからそっちはそっちで家族なり知らない連中と楽しく……」

 

 不干渉条約の締結を……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏川・小暮・千華「「「えっ⁉︎」」」

昂哉・明久「「知ってる人ぉぉぉぉぉぉ⁉︎」」

 

 しようとしたら、更に会いたくなかった知り合いたちに遭遇した。

*1
今回も男物を着ようとしたが、管理人に注意されて上着を着ている。




 ということで、沖縄本島はこれで終了です。全体的にほっこりとした話でしたね。時々ちょっと刺激的な部分がありましたが。ちなみに最初に出てきた桂のCV.は梶原岳人さんのイメージです。

 そして舞台は無人島へ。更には3-Aの連中が登場です!これから先無人島でどんな物語が繰り広げられるのか。それは次回からのお楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。そして遂にバーに色が点灯しました!ありがとうございます‼︎これからも本作をよろしくお願いします‼︎


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第六十五問 ロシアンマリーゲーム

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 俺たちは無人島で、まさかの3-Aの奴らに遭遇した。

 

千華「で、なんでアンタらがここにいるわけ?」

小暮「奇遇という言葉で片付けて良いのやら……」

昂哉・明久「「それはこっちのセリフです。」」

 

 風俗嬢に勧誘したい小暮先輩ならともかく、性格の悪い常夏ビッチのトリオが沖縄の無人島にいるとはね………

 

 そんな事を思ってると、

 

千華「ここはお互いのためにも、別行動にしない?」

 

 ビッ千華からある提案をした。

 

昂哉「別行動なぁ………」

 

 確かに魅力的な提案だけど、受け入れられない事情があるんだよね〜。

 

千華「何か問題でもあんの?」

昂哉「連れがあの状態で納得すると思う?」

 

 そして俺が指差した先では、

 

力哉「おお、夏川じゃないか!俺とあっちの物陰で遊ばないか⁉︎」

夏川「嫌です‼︎絶対に嫌です‼︎」

克哉「常村‼︎俺だ‼︎結婚してくれ‼︎」

常村「嫌だぁぁぁぁ⁉︎誰か助けてくれぇぇぇぇ‼︎」

 

 兄貴たちが常夏コンビに手を出していた。

 

千華「アンタの連れ肉食過ぎない⁉︎」

昂哉「お前にだけは言われたくないと思うけど。」

明久「確かに。」

千華「失敬な。アタシはこう見えても草食よ。」

明久「嘘ですよね⁉︎」

昂哉「今一度草食という言葉の意味を辞書で調べてこい。」

 

 お前が草食だったら世界中の人が草食になると思うよ。

 

 そんな事を思ってると、

 

小暮「雲雀丘君、千華さんはああ見えてかなり草食系なのですよ。」

 

 まさかの友人からフォローが飛んできた。

 

昂哉「マジっすか⁉︎」

明久「それ本気で言ってます⁉︎」

小暮「本気です。だってねぇ……」

千華「葵がニヤついてんのがムカつくけど、アタシは意外と奥手なのよ。」

昂哉・明久「「えぇ………」」

 

 正直意外だ。見た目も言動も性格もビッチのそれなのに………

 

小暮「この前だって………」

千華「葵、高城に今から電話してやろうか?」

小暮「や、やめてくださいまし!」

 

 それと、小暮先輩も小暮先輩で高城先輩が気になってるようだ。そういえば高城先輩はなんで俺の事を知ってたのかな?まあ今考える事じゃないか!

 

 

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

力哉「お前ら、俺たちに提案があるんだが?」

克哉「聞き入れてはくれないか?」

夏川・常村「「はぁっ………はぁっ………」」

昂哉「何をする気なの?」

小暮「気になるのですが……」

 

 常夏コンビを追いかけ回していた兄貴たちが帰ってきた。奴らは一体何をする気だ?

 

克哉「ここは一つ、一緒に遊ぶかどうかをバシッと勝負で決めないか。」

夏川・常村・小暮・千華「「「「なるほど………」」」」

 

 あっ………。俺兄貴たちの目的が分かった気がする。

 

夏川「それは丁度いいな‼︎」

常村「もちろん俺たちが勝ったら、一緒には遊ばないって事で‼︎」

力哉「おお。いい意気込みだ‼︎」

 

 そして俺たちは、スイカ割り、ビーチフラッグ、砂山崩し、ビーチバレー、ぐるぐるバッドと、いろんな勝負をした。

 

夏川・常村「「ってコレもう一緒に遊んでるじゃねえか‼︎」」

力哉「しまった。」

克哉「気付かれたか………」

 

 だよね。それが狙いだよね。

 

夏川「さっさと自分のところに帰って下さい!」

力哉「まだ決着ついてないだろうが。」

常村「もう十分遊んでやったでしょう⁉︎」

克哉「いいや足りないな。」

 

 相変わらず兄貴たちは常夏コンビに夢中のようだ。ちなみに明久については鉄人とデキてる事にしたから大丈夫だよ。

 

 そんな事を思ってると、

 

夏川「だったらこっちからも勝負を提案します!」

常村「ロシアンマリーゲームをやりましょう!」

 

 常夏コンビからある提案をされた。ロシアンマリーゲーム?聞いたことないゲームだな………

 

昂哉「なんですか、それ?」

夏川「ルールは簡単‼︎」

常村「まず、普通のトマトジュースと、基本的に一つだけタバスコ入り激辛トマトジュースを用意します!」

夏川「次に、罰ゲームを書いた紙を1枚引いて罰ゲームを決めます!」

常村「そして皆で一斉に飲んで、誰がハズレを引いたかを当てます!」

夏川「そして当てられた人は罰ゲームをやります!」

常村「という遊びです!」

小暮「最近私たちのクラスで流行っておりますのよ。」

千華「結構楽しいわよ?」

 

 少し物足りないけど、なかなかにいい遊びだね。3-Aで流行ってるとは思わなかったけど。また、それを聞いた人たちが、

 

優子「結構面白そうですね!」

秀吉「盛り上がりそうじゃの!」

明久「やりましょう!是非‼︎」

玲「私も参加します。」

夏川「お〜!ノリいいじゃん!」

 

 ノリノリになった。だが俺はこのゲームについて、

 

常村「雲雀丘兄弟もこういうの好きでしょう?」

昂哉「う〜んと………」

克哉「足りんな。」

力哉「だよな。」

 

 さっきも思ったけど物足りなさを感じている。やっぱり、

 

昂哉・力哉・克哉「「「やるならウオッカだろ‼︎」」」

夏川・常村「「お前ら脳みそ酒浸しか⁉︎」」

 

 こうでなくっちゃね!

 

夏川「そもそも大半の人が飲めないでしょうが‼︎」

力哉「何を言ってるんだ夏川。ウオッカも広義の意味では水だぞ。」

克哉「水と水なら未成年でも大丈夫だな!」

常村「良くないですよ‼︎」

昂哉「大丈夫です!ここに警察はいませんから!」

夏川・常村「「そういう問題じゃねえ‼︎」」

 

 犯罪ってバレなきゃ犯罪じゃないんだけどな〜。この2人も俺と同類だと思ってたけど、意外とまともなんだね。

 

優子「昂哉、警察ならここにいるわよ?

 

 やべっ、コイツいたんだった。

 

昂哉「じょ、冗談だよ優子〜。」

優子「そう?ならそれでいいけど。」

 

 なんとか自分の命を守る事が出来た。危なかった………

 

 それはともかく、

 

夏川「んじゃ、飲み物とタバスコを取ってくるか!」

常村「他に何か要りますか?」

昂哉・力哉・克哉「「「スピリタス‼︎」」」

夏川・常村「「んなもん持ってきてねえよ‼︎」」

小暮「それでは準備致しましょう。」

優子「会場は………あそこのバーベキュー場でいいですか?」

千華「そうね!」

秀吉「せっかくジュースを飲むなら飯も欲しいのぅ。」

玲「それならアキくんと私で魚を取ってきますよ。」

明久「昂哉も来てくれない?」

昂哉「ほ〜い。」

 

 こうして皆の協力の元、ロシアンマリーゲーム兼宴の準備が行われた。

 

 

 

 

 

 魚を取り終え、料理を作った後、遂に、

 

全員「「「「「「ロシアンマリーゲーム、スタート‼︎」」」」」」

 

 ゲームの始まりだ‼︎ちなみに未成年でも出来る様に常夏コンビが説明したトマトジュースとタバスコ入りトマトジュースでやってるよ。

 

 

 

ーーーーー1st Roundーーーーー

 

力哉「それじゃあ一回戦、いくぞ‼︎」

他全員「「「「「YEAHHHH!」」」」」

力哉「最初の罰ゲームは………右隣の人に愛の告白をする、だ。もちろん全力で気持ちを込めて頼むぞ。」

 

 なるほどね〜。さてと、俺の右隣は………

 

優子「えっ……///」

 

 優子なんだよな………。万が一辛いのを引き当てた時は、死ぬ気で普通のものを飲んだ、と演じ切らなきゃいけない。で、俺に告白する人は……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

克哉「昂哉が引き当てないかな〜。」

 

 気持ち悪い事で有名な実の兄だった。

 

力哉「ロシアンマリーゲーム‼︎」

昂哉「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」

他全員「「「「「YEAHHHH!」」」」」

 

 そして俺はトマトジュースを一気に飲み干した。味は普通だった。良かった〜、ハズレを引かなくて‼︎さてと、他の人で怪しい反応をしている人は…………

 

全員「「「「「……………」」」」」

 

 いない⁉︎そんな事あるか⁉︎まさか当たりを引いた人がバカ舌だったのか?いや、そんなはずはない。かなりの量を入れたのだから。じゃあハズレを引いた人は相当ポーカーフェイスが上手いという事か?そんな人って…………

 

秀吉「………」ふき、ふき

 

 いたわ。今汗を何食わぬ顔で拭き取ってるヤツが。汗以外で一切感情を出してないとは、流石役者だ。

 

力哉「せ〜のっ!」

他全員「「「「「ハズレはだ〜れだ⁉︎」」」」」

 

 

 

 

秀吉、明久、力哉、克哉、千華→昂哉

優子、昂哉、玲、夏川、常村、小暮→秀吉

 

 

 

 

 半分くらいが俺に入ってるのが納得いかなかったけど、なんとかうまく当てられたみたいだ。

 

秀吉「何故ワシなのじゃ?どう考えても昂哉じゃろう?」

優子「アンタ、顔には出ないけど汗には出てたわよ。不自然なくらい。」

昂哉「演技力は凄かったけど、他の人の反応から秀吉かもって分かっちゃったよね〜。」

力哉「で、どうだったんだ、秀吉?嘘はナシだからな。」

秀吉「……………ワシがハズレじゃ………」

 

 やっぱりね!他の人が違うってことは、秀吉が演技している可能性しか無いからね!

 

力哉「んじゃ、罰ゲームを頼むぞ。」

明久「秀吉、こんな罰ゲームを書いてごめんね。昂哉狙いのつもりだったのに………」

 

 コイツの仕業だったのか。そんな一点張りが上手くいくはずなかろう‼︎

 

昂哉「やったね♪」

秀吉「いいのじゃ明久………美穂、今からやるのはあくまでゲームの罰ゲームじゃからな。気にするでない。気にするでないぞ……では………」

 

 佐藤に必死に確認取ってんのウケる〜w。まあアレやらないと感電するからね。さてと、秀吉は誰に対して告白するのかな?

 

常村「き、木下……///」

 

 常村先輩、アンタも秀吉Love勢だったのか………。顔がめちゃくちゃ赤いぞ?果たして、秀吉はどんな告白をするのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

克哉(CV.秀吉)「実は俺、前からお前の事が好きだったんだ。付き合ってくれないか?

常村「なんでその声なのぉぉぉぉぉ⁉︎」

克哉「秀吉、ありがとな。」

秀吉「これがワシの本気じゃ‼︎」

 

 草。確かに秀吉の場合は声を変えても本気を出せるけど、まさかそれをやるとはね。

 

 さてと、次は2回戦だ!

 

 

ーーーーー2nd Roundーーーーー

 

力哉「それじゃあ二回戦、いくぞ‼︎」

他全員「「「「「YEAHHHH!」」」」」

力哉「2回目の罰ゲームは………タバスコ入りをもう一回飲む、だ。」

 

 ふざけんなよ⁉︎マジで地獄じゃねえか‼︎頼む‼︎俺のところに来ないでくれ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「………」ゴクッ

 

 良かった、俺じゃなくて。さて、ハズレを引いたのは…………

 

玲「んんんん私ではありませんよぉぉぉ‼︎」じたばた

明久「どう考えても姉さんでしょ。」

 

 めちゃくちゃ分かりやすかった。というか普段クールな玲さんがあそこまで悶えてるとこ初めて見たわ。

 

力哉「せ〜のっ!」

他全員「「「「「ハズレはだ〜れだ⁉︎」」」」」

 

 

 

 

玲→明久

玲以外→玲

 

 

 

 

 というか秀吉ってマジで凄かったんだな。汗以外微動だにしなかったから。普通の人が飲むとあんな風になるのに………

 

玲「はひ………私れふ………」

力哉「それじゃあ罰ゲームでもう一杯だな。」

克哉「頑張れ、玲‼︎」

玲「はひ…………」

千華「ちなみにそれはアタシが書いたヤツです。頑張って下さい♪」

 

 ビッ千華の仕業かい‼︎確かにコイツらしい性悪な命令だけど‼︎さて、玲さんがもう一度死ぬところを見るか…………

 

玲「ふぅ………ふぅ………ん!」ゴクゴク

明久「姉さん、大丈夫?」

克哉「おお、イッキに飲んだな。」

玲「んんんんんん‼︎アキくん、姉さんに水を口移ひひてくだはひ‼︎」じたばた

明久「口移しは嫌!とりあえずこの水を飲んで‼︎」

玲「んんんん‼︎」ゴクゴク

克哉「まさか発狂する玲が見れるとはな。今日まで生きてて良かったぜ‼︎」

玲「ふぅ………ふぅ………死ぬかと思いました………」

 

 玲さんが珍しく暴れ回ったところで、次だ‼︎

 

 

 

 

ーーーーー3rd Roundーーーーー

 

力哉「それじゃあ三回戦、いくぞ‼︎」

他全員「「「「「YEAHHHH!」」」」」

力哉「3回目の罰ゲームは………成人はスピリタスをイッキ飲み、未成年はタバスコ入りトマトジュースをイッキ飲み、だ。」

克哉「俺が書いたやつか。」

 

 さっきと似たような命令じゃねえか‼︎しかも力哉兄貴が司会と仕込みをやってる都合上、これ書くのは克哉兄貴くらいしかいないよね〜。さてと、ハズレを引くなよ…………

 

 

 

ゴクゴク

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉・千華「「あぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」」

 

 クソ辛いんだけど⁉︎ヤバい‼︎口が焼ける‼︎爆弾を放り込まれたみたいだ‼︎玲さんがジタバタする気持ちも分かるよ‼︎逆になんで秀吉はこれ飲んで平然としてたんだ⁉︎天使ってすげえんだな‼︎

 

 だが、何故かビッ千華も同じ反応をしてくれたから助かった。これで俺だけが指されることはないだろう‼︎

 

力哉「ちなみにハズレを今回は2つ入れてみた。だから1人でハズレの2人を指してくれ。」

 

 ざけんなよ‼︎勝手に増やすな、このクソ兄貴‼︎今ので全部バレたじゃねえか‼︎

 

 

力哉「せ〜のっ!」

他全員「「「「「ハズレはだ〜れだ⁉︎」」」」」

 

 

 

 

昂哉→千華、優子

千華→昂哉、小暮

他全員→昂哉、千華

 

 

 

 やっぱり他の人にはバレバレでした………

 

力哉「んで、お前らがハズレだろ?」

千華「はい………」

昂哉「そうだよ!」

力哉「じゃあ、昂哉はスピリタスで、君はタバスコだな。」

千華「アタシも成人してます………」

昂哉「コイツ、俺の中学の時の同級生だよ。」

力哉「じゃあ2人とも、このお水をイッキな。」ドン‼︎

昂哉・千華「「は〜い。」」

 

 ということで、スピリタスを

 

昂哉・千華「「………」」ゴクゴク

昂哉「ぷはぁ!」

 

 イッキ飲みした。

 

千華「………ブー‼︎」

 

 ビッ千華はスピリタス慣れしてないのか、途中で噴き出したようだ。

 

千華「何よこれ⁉︎強過ぎでしょ⁉︎ストレートで飲むもんじゃなくない⁉︎」

昂哉「スピリタス。度数96のウオッカだよ。」

千華「バカじゃないの⁉︎そんなもんストレートでイッキ出来るわけないじゃん‼︎」

 

 これが普通の成人組の反応だよね。じっちゃんもスピリタス飲んだら死ぬって言ってたし。やっぱりこれを水って言い張る俺の家がおかしいんだよ!

 

力哉「いや、これくらい普通だろ。」

克哉「たった一杯しか飲んでないのに、この様子ではアレだな。」

千華「なにこれ⁉︎アタシがおかしいんですか⁉︎」

昂哉「ビッ千華、俺の家のノリに合わせるな。お前が普通だ。」

玲「だと思います…………」

千華「だよね………」

力哉・克哉「「いいや違う‼︎」」

昂哉「コイツらはほっといて、次いくよ〜。」

千華「未成年組は成人してもこれだけは絶対に飲まないでね。」

未成年組「「「「「「はい…………」」」」」」

 

 未成年組に俺の家のヤバさが知れ渡ったところで、次だ‼︎

 

 

 

ーーーーー4th Roundーーーーー

 

力哉「それじゃあ四回戦、いくぞ‼︎」

他全員「「「「「YEAHHHH!」」」」」

力哉「4回目の罰ゲームは………雲雀丘昂哉が指定した歌をきちんと歌う、だ。」

優子「げっ⁉︎」

昂哉「皆、よろしくね〜‼︎」

 

 おっと、ここで俺の書いた罰ゲームか。さてと、超絶音痴の優子が引っかかってくれると嬉しいな〜‼︎

 

昂哉「………」ゴクゴク

 

 よし!俺はなんともなかったぜ‼︎さて、引っかかったのは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「んんんんんんんんんんん‼︎」じたばた

昂哉「しゃあ‼︎」

 

 当たり、引き当てたぜ‼︎

 

明久「昂哉は木下さんの歌声がよっぽど聴きたかったようだね。」

千華「やっぱり相思相愛じゃん♪」

昂哉「違うんだよね〜。俺はただ優子を見世物にしたかったのさ!」

千華「何?もしかして彼女自慢?」

明久「流石昂哉‼︎」

秀吉「いや、そうじゃなくてのぅ………」

明久・千華「「どういうこと?」」

 

 それはな、こういう事だよ‼︎

 

優子「………大きな声でピリカピリララ……///」

昂哉「声が小さい、優子‼︎そんなんじゃダメ‼︎」

優子「はしゃいーで騒いで歌っちゃえー‼︎///」

千華「優子って音痴だったんだ………」

明久「だから昂哉があんなに嬉しそうにしてたんだね。」

昂哉「そのと〜り‼︎」

 

 いつもは偉そうな優子も、苦手な事になると縮こまってるぜ‼︎

 

 俺はその後歌い終わった優子から、

 

優子「アンタ最悪‼︎超恥ずかしかったんだけど‼︎」

昂哉「日頃の仕返し♪」

優子「ったくもう‼︎」

 

 罵倒されたけど、仕返しが出来たのでむしろ心は晴れ渡っていた。

 

 

 

 

 

 そしてロシアンマリーゲームはしばらく続いた後、解散になった。俺はまだ酒が飲みたかったので、テントに余ってるお酒を取りに行くと………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小暮「なんと……」

千華「……………」

 

 全く別のテントに入ってしまい、2人の生着替えを見てしまった。

 

昂哉「なんかすいません、間違えました。」

小暮「いえいえ、間違えたのなら大丈夫ですよ。」

千華(電話)『………』プルルル

 

 ん?ビッ千華は誰に連絡してるんだ?

 

千華(電話)『あっ、優子?今雲雀丘がアタシらのテントを覗いてるんだけど?』

 

 ちょ⁉︎悪魔を召喚すんなや‼︎というか適当な事を言うな‼︎

 

昂哉「おいビッ千華‼︎嘘をつくなよ‼︎」

千華「優子が今からここに来るって♪」

 

 それだけはマズい‼︎また三途の川を渡る羽目になる‼︎だから………

 

千華「おい‼︎逃げんな‼︎」

 

 逃亡だ‼︎逃げなければ‼︎逃げなければ‼︎

 

優子「昂哉?」ドドドドド

 

 ってアイツもう来たの⁉︎しかも足がめちゃくちゃ速いし‼︎ここは火事場の馬鹿力だ!なんとか逃げ切らないと‼︎そうだ、暗い林道に入れば()けるはず‼︎アイツも更には追ってこないはず‼︎

 

 でも少し怖かったので、後ろを振り返ると……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰も居なかった。優子の影すら見当たらなかった。妙だな?優子にしては諦めが良すぎるような………。疲れて諦めたのか?いやいや、そんなはずは…………

 

 そう思ってしばらく歩くと…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

崖と、片方の靴があった。マジか⁉︎気になったので下を覗き込むと…………倒れている人がいる‼︎クソ、俺が林道に逃げ込んだばかりに、優子が大変な目に遭ってしまった‼︎ここは躊躇ってる暇などない‼︎優子を助けるんだ‼︎

 

昂哉「優子ぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」

 

 そして俺は一気に崖を下り、

 

昂哉「んがぁっ‼︎」 ザザッ

 

 なんとか崖下まで到達した。身体は痛いが気にしてられない‼︎

 

昂哉「大丈夫か、優子‼︎」

 

 そして俺が倒れている優子に声をかけると……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏川「うぅ…………」

 

 そこには優子ではなく夏川先輩が居た。




 ということで無人島に到着してロシアンマリーゲームをやりました!世にも珍しい、吉井玲がジタバタ暴れ回るシーンは如何だったでしょうか?流石の玲もタバスコ入りトマトジュースには勝てなかったようです。

 さて、次回は崖の下の夏川です。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第六十六問 崖の下の夏川

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 俺が優子を助けるために崖を無理矢理降りると、そこには優子ではなく夏川先輩が居た。

 

昂哉・夏川「「…………」」

昂哉「………怪我はしてませんか?」

夏川「お、おう。大きな怪我は無いと思う。」

昂哉「そうですか……」

夏川「………お前は?」

昂哉「大丈夫です……」

昂哉・夏川「「…………」」

 

 なんだこの状況…………。夏の無人島、夏川先輩と2人きりで崖の下デートとか意味が分からないよ。

 

昂哉「こりゃ登れそうにないですね。」

夏川「だな。」

昂哉「ちなみに携帯は?」

夏川「俺はぶっ壊れた。お前は?」

昂哉「テントの中に置き忘れました。」

夏川「やれやれ………」

昂哉「誰かが来るのを待つしかないですね。」

夏川「そうなるな………」

 

 助けを呼ぼうにも呼べない。自力での帰還は困難………。どうするんだ、これ?

 

夏川「というかお前さぁ、」

昂哉「何すか?」

夏川「飛び降りてくる前に皆に連絡とかを考えろよ。」

 

 いや、確かにそうではあるんだが。

 

昂哉「………冷静になれない事情があったんですよ。」

夏川「ほぉ〜。もしや俺を彼女と見間違えたのか?」

昂哉「なんでそう思うんですか?」

夏川「そりゃこの急な崖を飛び降りてきたんだ。よっぽど大事な相手じゃないと、そんな事しないだろ?」

 

 う〜ん。それは違うかも。

 

昂哉「いや、俺はただ殺しにくる彼女に追われてただけですよ。」

夏川「いや、お前は一体何をしたんだ?」

昂哉「それはビッ千華のせいですね。それはともかく、追ってきた彼女を撒くために森に逃げたら、彼女も急に姿を消したんです。それで、崖の上に靴が落ちてたし、こうやって寝そべってるのを見たら、俺が森に誘導したせいで彼女が落ちたと勘違いするじゃないですか。」

夏川「罪悪感からか。」

昂哉「はい。そもそも俺は彼女の事そんなに好きじゃないですし、大切な人ではありません‼︎」

 

 流石に自分が原因で死なれたりもしたら、例えその人が自分にとって嫌いな相手でも心配になるよね…………

 

 

 

 

  side 優子

 

 昂哉は一体どこに逃げたのかしら…………ってこれは靴?この先は崖だし……ってまさか⁉︎この下に落ちてたり………する‼︎昂哉があそこで倒れてるじゃん‼︎早く崖を下って助けないと‼︎

 

優子「昂哉ぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 ちょ待てよ⁉︎優子が崖から降りてきたんだが⁉︎

 

昂哉「優子‼︎何してんの⁉︎」

優子「アンタを助けにきたのよ‼︎」ドドドド

 

 とりあえずアイツが着地しそうなところに行かないと‼︎

 

昂哉「ほら、こっち来い‼︎」

優子「昂哉ぁ⁉︎」 ドン!

 

 そして俺は優子を抱き抱えるように受け止めた。その時の反動で尻もちをついたが、それほど痛くは無かった。

 

優子「ごめん…………」

昂哉「怪我が無いならなによりだよ。」

優子「降りないで助けを呼べば良かったかも………」

昂哉「探しにきてくれただけでありがたいよ。」

優子「ど、どうも………///」

夏川「…………気まず。」

 

 夏川先輩が俺と優子が仲の良いカップルだと勘違いしている‼︎これはちゃんと誤解を解かないと‼︎

 

昂哉「先輩、気にしなくていいですよ!俺と優子はそんなに仲良くないんで!さっきも言った通り殺されるくらいには‼︎」

夏川「そうか?そうは見えないが………」

昂哉「そうなんです!」

優子「そういえば昂哉、千華先輩から聞いたんだけどさ?

 

 ってヤバい‼︎そういえば俺はコイツに殺されかけてるんだった‼︎

 

昂哉「アレは俺がテントを間違って入っただけ‼︎それをビッ千華がいたずらで通報したの‼︎」

夏川「通報?」

優子「はぁっ………そういう事ね。」

昂哉「納得してくれたようで何よりだよ。」

 

 とりあえず命の危機は去った………。いや、正確には救助待ちだから去ってないけど。

 

 そんな事を思ってると、

 

夏川「お前、やっぱり彼女の事大切に思ってるだろ?」

 

 夏川先輩が変な事を言い始めた。

 

優子「えっ………///」

昂哉「いや、違いますよ?さっきも言った通り、俺を殺そうとしてくる女ですよ?それに、もともと俺は色んな女と遊びたいから彼女を作らなかったのに、急にコイツが試召戦争の罰ゲームで無理矢理付き合わせただけの話です!」

優子「その通りです……///」

夏川「それって嫌よ嫌よも好きのうち的なヤツだろ?」

昂哉「違いますからね?確かに好きな面もありますけど、嫌いな面の方が大きいですからね!」

 

 なんでこうも俺の周りには俺が優子を好きだと勘違いする連中が多いんだろう?俺が好きなのは優子じゃなくて秀吉の方なのに…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

常村「木下ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 はい⁉︎なんかもう一人余計な奴が落ちてきたんだけど⁉︎

 

夏川「お前、何しにきたんだよ?」

昂哉「ホントですよ。」

常村「崖の下にいる木下を見たらつい………。まあ秀吉じゃない方だったわけだが………」

 

 そういえばこの人も秀吉Loveなんだっけ。ある程度優子と秀吉の見分けがつくことから、俺と一緒なんだね。

 

昂哉「ハズレの方ですいません!」

夏川「それお前が言うな。」

昂哉「いやいや、俺こそ言って然るべきなんです!」

 

 秀吉が天使で優子が悪魔だって、散々言ってるからね。最近天使が小悪魔化しつつあるけど。

 

 そんな事を思ってると、

 

常村「ちなみに俺は同担拒否だ。」

昂哉「知りませんよ、そんなの⁉︎」

 

 常村先輩が変な事を言った。秀吉は皆のものだぞ⁉︎

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

優子「あの、すいません………。アタシの携帯実は充電が切れてて……」

常村「奇遇だな。俺もだ。」

 

 衝撃の事実が判明した。

 

夏川「結局救助待ちに変化無しか………」

優子「すみません………」

常村「この崖登れる奴いるのか?」

昂哉「優子が無理なら無理ですね。」

優子「無理です………」

 

 こうなったらやる事は一つだ!

 

昂哉「なら仕方ないから、火でも起こすか〜。」

優子・夏川・常村「「「えっ?」」」

 

 そうして俺は持っていたライターで火をつけた。

 

夏川「なんでライターなんか持ってたんだ?」

常村「蕨みたいにヤニカスなのか?」

昂哉「いや、水の判別に使いません?」

夏川・常村「「普通は使わねえよ‼︎」」

優子「すいません、この人の家は普通じゃないんで………」

 

 それはそう。俺の家の飲み会に一般人を投入したら、2日で肝臓が壊れる気がするよ。布施先生とか高橋女史とか即死するんじゃね?ある程度肝臓に自信があるケツ先生でも5日持てばいい方だと思う。

 

昂哉「それはともかく、なんか面白いもんないか探してきますね〜。」

優子「あ、アタシも探してきます!」

夏川・常村「「おう。」」

 

 ということで、俺は優子と一緒に色々と探した。その結果、

 

昂哉「見て下さい、これが野生のむかご*1です!」

優子「あとは野生の椎茸(しいたけ)*2と、」

昂哉「野生のウイスキー*3です!」

 

 これらのものが見つかった。

 

昂哉「家で色々調べておいて正解だったぜ!」

夏川「いやいやいや。」

常村「野生のウイスキーはおかしいだろ!」

優子「多分前に来た誰かが落とした物かと思われます……」

 

 ということで、俺たちは椎茸を焼き、むかごをなんとか石焼きにして食べる事にした。

 

夏川「よくこんな状況下でも楽しめるな、お前。」

常村「とても正気とは思えねえぜ。」

昂哉「日頃から命の危機を味わっていると、これくらいへっちゃらになりますよ!」

 

 Fクラスや優子と一緒に過ごしていると、自然とこういう事が多いからね。後は高レートマンション麻雀で本物のギャンブルを味わってるのもあるけど。

 

 そんな事を思ってると、

 

優子「昂哉も成長したんだね!」

 

 加害者本人が言うべきでないセリフを優子がさらっと言いやがった。

 

昂哉「誰のせいだと思ってんの?」

優子「ごめんごめん♪」

昂哉「コイツのこういうところが俺は嫌いです。」

夏川・常村「「なるほどな。」」

 

 どうやら先輩方にも分かっていただけたようだ。優子の恐ろしさが。

 

夏川「つまりお前はツンデレか。」

常村「奇遇だな夏川、俺も同じ事を思ったぞ。」

昂哉「だから違えよ。」

 

 前言撤回。やっぱり分かっていただけなかったようだ。

 

 

 

 

 それはともかく、

 

昂哉「さてと、実食といきますか!」

 

 待ちに待った飯タイムだ‼︎

 

優子「それでは、先輩方から椎茸を食べますか?」

夏川「いや、お前らから先に食え。」

常村「毒味だ毒味‼︎」

昂哉「きちんと調べてきたんですが……」

夏川「お前はなんか信用出来ないんだよ。」

常村「声といい見た目といい………」

昂哉「ならそっちのむかごでも食ってればいいんじゃないですか?俺らで椎茸は食うんで。」

常村「そうするか。」

夏川「だな。」

 

 せっかく椎茸を譲ってあげたんだけどな〜。バカだよね〜。なんせ夏のむかごは…………

 

昂哉・優子「「椎茸美味しい♪」」

夏川・常村「「クソマズい……」」

 

 中身が青く硬く苦いんだからね!

 

昂哉「言ったじゃないっすか、面白い物って!」

夏川・常村「「テメェ………」」

昂哉「何か飲みます?ウイスキーしか無いですけど。」

夏川・常村「「飲めるか‼︎」」

昂哉「じゃあ、俺が飲みますね〜。」ゴクゴク

 

 ということで、先輩方は気分を悪くしながら飯を食った。

 

 

 

 

 

 実食が終わると、俺は聞きたかった事を聞いた。

 

昂哉「そういえば先輩方って、なんでここに来たんです?」

夏川「卒業旅行的なヤツだよ。」

 

 なるほど、そういうことね。まさかこの2人とビッ千華&小暮先輩が仲良いとは思わなかったけど。意外な繋がりだよね〜。

 

優子「それはいいですね!」

常村「お前ら2年にはまだ早いがな‼︎」

昂哉「当たり前でしょ。」

 

 もしやるとしたら、それは卒業旅行じゃなくて退学旅行になるね。それと、一個気になった事があるから聞いてみよう。

 

昂哉「それにしても、7月に卒業旅行ってだいぶ早くないですか?」

 

 普通3月だからね。さて、どんな答えが返ってくるんだろう?

 

夏川「俺たちはもうすぐ受験シーズンだしな。」

常村「ホントは今だって遊んでいい時期じゃねえんだが、卒業までで遊べる期間も残り少ないしな。」

夏川「集まれるうちに集まっときたかったんだよ。」

常村「大学だと県外に出ることも多いしな。」

昂哉「なるほど、もう別れとかを意識し始める時期なんですね。」

 

 別れと新たな出会いね〜。3年生だとそんな事を自然と考えるようになるのか〜。

 

優子「アタシらはまだあんまり想像出来ないですね……」

夏川「まあお前らはまだ高校生活折り返してないしな。」

常村「それに、今が楽しいから考えられないんじゃないのか?」

 

 今が………楽しい?確かにクラスメイトとは騙し合いをし、優子には尻に敷かれている今が?いや、でも楽しいっちゃ楽しいか。色んな奴らとわちゃわちゃやって。時にはこの2人とみたいに喧嘩をして………

 

昂哉「確かに、そうかもしれませんね〜。思ってたより高校生活楽しいです!」

夏川「お前は確かにいつも楽しんでそうだしな。」

常村「というか木下姉が泣いてるぞ?」

優子「ぐすっ…………あっ、えっ、えっと、なんでもないよ、昂哉!」

 

 そういえばコイツが俺の親にニートなのチクったから高校通わされる事になったんだっけ。あの時はせっかくのニート期間を台無しにしやがって、と思ったけど、今となってはそれで良かったのかもしれないね。

 

昂哉「ありがとね、優子!」

優子「えっと、ど、どうも………///」

常村「お前ら2人に何があったか知らないけどさ……」

夏川「やっぱりベストカップルだと思うな‼︎」

昂哉「いいや、それは違う‼︎」

 

 まあ、最近はコイツと付き合い続けても………いやいやいや、ないな、やっぱり。

 

 

 

 

  side 優子

 

 痴漢冤罪のせいで堕ちてしまった昂哉に幸せになってもらうために、嫌われるのを承知で高校に通わせたけど…………そうして本当に良かった!感謝されるとは思ってなかったけど…………

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 しばらく4人で話していると、

 

力哉・克哉「「お〜い!」」

力哉「こんな所にいたのか。」

克哉「捜したぞ〜!」

 

 崖の上から兄貴たちが助けに来てくれた。

 

夏川・常村「「うおぉぉぉぉぉぉ‼︎」」

昂哉・優子「「助かったぁぁぁぁ‼︎」」

 

 こうして俺たち4人は無事に救出された。そしてテントに帰還する事が出来た。

 

 

 

 

 テントの中に入ると、俺は明久と秀吉に今日あったことを話した。

 

昂哉「かくかくしかじかというわけでした。」

明久・秀吉「「ほぉ^〜。」」

秀吉「やっぱりお主って姉上の事好きじゃろ?」

明久「だよね!そうとしか思えないよね!」

昂哉「お前ら頭常夏か?」

明久「何その悪口。」

秀吉「明久のそれも悪口だと思うのじゃが………」

 

 正直、常夏コンビにもああいう面があったんだなぁ、って驚いたよ。ババアが3年版明久&雄二って言ってたけど、それもあながち間違いじゃないかもね。いい意味でも悪い意味でも。ちなみに3年版雲雀丘昂哉はビッ千華の事らしい。まあ年齢然り性格然り成績然り似ているところが多いからね。

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

明久「それで、椎茸余ってたりしない?」

 

 明久に飯をねだられた。

 

昂哉「ウイスキーと、この『むかご』ってヤツなら余ってるけどどっちがいい?」

秀吉「ウイスキーは無理じゃろ。」

明久「じゃあこっちで!」

 

 ということで、明久は予想通りむかごを手に取った。

 

昂哉「外で食べると美味しいよ〜。」

明久「分かった!じゃあ行ってくるね!」

昂哉・秀吉「「ほ〜い。」」

 

 そして明久は外に行き、

 

明久「何これクソマズ⁉︎吐きそう………」

昂哉「吐くなら外でお願いね〜。」

明久「うん………」

 

 常夏コンビと同じ反応をしてくれた。

 

秀吉「アレは毒物かのぅ?」

昂哉「いや。ただ純粋に味がマズいだけだよ。」

秀吉「なるほど………」

 

 しばらくすると、明久が帰ってきた。

 

明久「昂哉め、よくも僕の事を騙したな‼︎」

昂哉「別に美味しいなんて一言も言ってなくない?」

明久「このクズが‼︎」

昂哉「バカな明久が悪いんですぅ〜w」

 

 話をちゃんと聞かなかった方が悪い‼︎

 

明久「秀吉、コイツを木下さんのところに連れてって!」

秀吉「了解じゃ!」

 

 なんだと⁉︎

 

昂哉「それだけはやめろ‼︎マジでやめろ‼︎第一明久が同じテントの玲さんに襲われたらどうするんだ⁉︎」

明久「秀吉、やっぱさっきのは無しで。」

秀吉「実の姉に襲われるとかどういう状況なのじゃ?」

明久「姉さん見れば分かるでしょ!危険な人なんだって!」

秀吉「そ、そうかのぅ………」

 

 とりあえず、なんとか一命を取り留める事が出来た。

 

昂哉「それじゃあ電気消すよ〜。」

明久・秀吉「「ほ〜い。」」

 

 そして、俺たちは仲良く眠りましたとさ。

 

 

 

 

 

 翌朝は起きて朝食を食べた後、すぐに片付けをして船に向かった。そして沖縄本島に到着次第すぐに空港へと向かい、飛行機に乗った。何故ここまで急いでいるのか。それは次の目的地……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

力哉「行くぞ、宮古島‼︎」

他全員「「「「「「「おう!」」」」」」」

 

 宮古島に行くためだ‼︎いよいよこの旅行のメインイベント、ダイビング体験が待ってるぜぇぇぇぇ‼︎

*1
ジネンジョ・ナガイモなどのつるに生える肉芽の事。塩茹でやバター炒めご飯と一緒に炊いたりすると美味しい。

*2
ハラタケ目キシメジ科のきのこ。食用だが毒性を持つツキヨタケと似ているので注意。

*3
蒸留酒の一種。一般に麦芽の酵素で穀物のデンプンを糖に変化させ、それを発酵・蒸留して作られる。




 ということで崖の下で常夏コンビと昂哉と優子が喋るシーンでした。なんだかんだ昂哉は優子の事を大切に想っていますね。本人は認める気が無いけど。

 そして次回からはいよいよ沖縄旅行編は大詰め、宮古島へと舞台を移します。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第六十七問 ダイビング体験

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 俺たちはとうとう、

 

優子「ん〜、到着っと!」

玲「ここが宮古島ですか……」

明久「結構遠かったね!」

秀吉「同じ県内で飛行機に乗るなんて新鮮じゃのぅ。」

力哉「沖縄本島より台湾の方が近いらしいな。」

克哉「そりゃ遠いわけだ。」

 

 宮古島に到着しました‼︎沖縄本島とはまた違った景色、最高だね!まるで別の県に来たみたいだ‼︎さてと、到着記念にビールを…………

 

優子「昂哉?確かダイビング前ってお酒ダメなんじゃなかったっけ?

昂哉「ごめん、つい無意識で…………」

 

 飲めなかった。俺たちは今から体験ダイビングをするからね。ちなみに今回はライセンス無しでダイビングが出来る貴重な機会です‼︎

 

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

友哉「お〜いお前ら、無事着いたみたいだな!」

恵「長旅ご苦労様!」

 

 俺の両親が現れた。元気そうで何よりだ。

 

昂哉「親父とお袋こそお疲れ!」

優子・玲「「お疲れ様です。」」

明久「あの人たちが昂哉のお父さんとお母さん?」

秀吉「そうじゃの。」

明久「なるほど………」

 

 ちなみに親父とお袋は俺たちが本島と無人島で遊んでる間、夫婦2人で旅行をしてたよ。そしてこの宮古島から合流するというね。

 

力哉「それにしても、車で迎えに来てくれたのか。」

克哉「ありがとな。」

友哉・恵「「ほ〜い。」」

 

 ということで、体験ダイビング会場まで車で移動する事になりました!

 

 

1号車→昂哉、優子、友哉(運転手)、恵

2号車→力哉、克哉(運転手)、玲、明久、秀吉

 

 

 

優子「わざわざ来てもらってすみません……」

友哉「いいって事よ♡」

恵「私らは先に着いてたからね〜。」

昂哉「いつ頃こっちに着いたの?」

友哉「昨晩♡」

 

 前日入りしてたのか〜。あと親父はぶりっ子になるのをやめて欲しい。マジで気持ち悪いから。

 

優子「随分早いですね。」

恵「今日は午前中からダイビングをするからね〜、」

友哉「前日入りしないと間に合わないと思って♡」

優子「なるほど………」

昂哉「てっきりオトーリが楽しみで前乗りしたんかと思ったよ〜。」

友哉「宮古島式のイッキか〜。」

恵「楽しみだけど、どんなものかは知らないわね〜。」

 

 ぶっちゃけ今回の旅行のメインイベントだからね。親父とお袋なら下見とか言ってやっててもおかしくなかったよ。まさかダイビングのための前乗りだったとは…………

 

 

 

 

 そんな事を思っているうちに目的地に着いた。

 

優子「運転ありがとうございます。」

友哉「いえいえ〜!」

恵「将来義理の娘になるんだから、私らに気を遣わなくていいのよ〜。」

優子「え、えっと………」

昂哉「勝手に俺と優子を結婚させるな。」

 

 力哉や克哉が優子とくっついてくれるなら話は別だけど、アイツらは俺と同じで不特定多数の女と遊びたがるタイプだからね〜。歳をとるまで結婚しなそう。

 

 そんな事を思っていると、俺は優子にある話題を振られた。

 

優子「昂哉、話変わるけど、オトーリって大丈夫なヤツなの?なんか凄すぎて『宮古人出禁』の看板が出るくらいらしいけど………」

昂哉「うん、俺も正直心配だよ。なんせ俺の家は酒飲みしかいないからね。その話が嘘だったらいいけど………」

 

 それに対して、

 

友哉「流石にそれは都市伝説っしょ♪」

恵「そんな酷い飲み方をする人たちなんていないわ!」

昂哉・優子「「ですよね〜。」」

 

 親父とお袋が訂正してくれた。やっぱりアレはただの噂だったのか〜。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

居酒屋(看板)『雲雀丘友哉様、恵様、お断り‼︎』

 

 そんな事は無かった。

 

昂哉「アンタら昨日何やったの⁉︎」

友哉「さあね〜♪」

恵「そんなどうでもいいことより、ダイビングの話をしようよ!」

優子「そ、そうですね………」

昂哉「全然どうでも良くないと思うんだけど………」

 

 やっぱり心配になってきたよ………。最悪の場合、店の酒の在庫を全部枯らすかもしれないからね…………

 

 

 

 

 全員が揃ったところで、俺たちは体験ダイビングをするための中型船に乗り込んだ。船そのものは無人島に行くのに乗ったから少し慣れているんだが………

 

優子「凄い!これが本物のダイビング用のタンクか!」

明久「おお!ドラマとかで見るウェットスーツだ!」

秀吉「この丸っこいの*1を口に咥えるのかのぅ⁉︎」

昂哉「ゴーグルもあるね‼︎」

玲「これはなんでしょうか?」

克哉「確かタンクの残圧を測るヤツだっけ?」

力哉「ダイビングコンピュータとか言うらしいな。」

 

 ダイビング用品はリアルで初めてんだよね‼︎普段ドラマとかでしか見ないから、リアルで見るのは新鮮だ‼︎正直、

 

伊織「なんだ⁉︎」

ケバ子「顔近いからっ!///」

耕平「初心者がはしゃぎやがってw」

伊織「あぁん⁉︎テメェだってまだ2回目だろうが⁉︎」

耕平「なんなら初心者君に船上のマナーでも教えてやろうか?」

ケバ子「……別に嫌ってわけじゃないんだけど、そんな急にビックリするでしょ……///」

 

 あそこにいる、いかにも運動出来そうなリア充集団がやるものだと思ってたから。だから運動音痴の俺には縁のないものだと思ってたが、世の中は分からんなぁ。あと、正直上手く泳げる自信はないけど、他の人と一緒に潜れるので恐怖は緩和されているよ。

 

 そんな事を思ってると、

 

イントラ「体験ダイビングの方、集まって下さ〜い!」

 

 インストラクターの方から呼び出しがあったので、俺たちはその人のもとに集まり、色々と説明を聞いた。

 

 

 

 

 説明が完了すると、俺たちは早速ウェットスーツに着替える事に………

 

力哉・克哉「「着替えるか。」」ぬぎっ

昂哉「ここじゃなくて更衣室で着替えろや‼︎」

 

 なった………。人前だろうが容赦をせず着替えるって、コイツら頭おかしいんか?明久と秀吉は無人島の件で反省したからいいんだけど………

 

伊織「……まさかPaB(ぱぶ)の人以外で脱衣癖のある人間に会うとはな……」

 

 ちょい待てやそこの大学生‼︎兄貴以外に人前で服を脱ぐ人が居るんかい‼︎しかもPaBってなんだよ⁉︎風俗の名前か⁉︎陽キャ大学生って怖いなぁ⁉︎

 

 

 

 

 そんな事を考えながら着替え、遂に潜るときになった。

 

イントラ「では潜りますね〜!」

 

 さて、海の中の世界はどうなってるのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこには、今までに見た事がなかった世界が広がっていた。頭のてっぺんから爪先まで、辺り一面を水が覆っている世界。それはとても神秘的で幻想的だった。そして上から差し込む日の光が更に別世界感を醸し出していた。これが水の中の世界…………。俺が今まで知らなかった世界…………。更には宮古島という南国独特の魚たちが、その世界の中で縦横無尽に動き回っている。まるでその世界を当たり前のものだと思っているかのように。きっとダイビングをしなければ一生出会う事がなかっただろう…………

 

 そしてなんといっても楽しいのが皆で潜るということ。この新世界を一緒に旅する者として感動を共有出来るということ。未知なる世界を一緒に旅して開拓していくということ。そんな仲間、あるいは可愛らしい俺の天使、秀吉に出会えた事を、心より嬉しく思えた。

 

優子「………」にこっ

 

 あっ、こっちは優子か。ゴーグル付けてると少し分からなくなるわ。まあでも、優子にも感謝だな。コイツが俺の事を見つけて親父とお袋にチクらなかったら、今頃はまだニートのままだったし。それに、笑った顔が可愛い…………って優子に見惚(みと)れてどうする⁉︎秀吉に見惚れるならともかく‼︎と、とにかく秀吉の事を見ないと‼︎

 

秀吉「………」ヒョイ、ヒョイ

 

 ん?秀吉が指差してる………どういう意味だろう?指を差した方向には優子がいるけど…………。さっきからずっと実の姉を指を差してる秀吉が意味不明だったので、俺はアイツのジェスチャーから何を言いたいのか読み取る事にした。

 

秀吉「………」ヒョイ、ヒョイ

 

 えっと、優子の…………

 

秀吉「………」ツン、ツン

 

 左手を…………

 

秀吉「………」ギュッ

 

 握れ…………って‼︎

 

昂哉「………」バッテン

 

 嫌に決まってんだろ‼︎さりげなく変な事を要求するなや‼︎俺は両手を前に出して交差させ、秀吉にその要求を呑まない事を示した。

 

秀吉「………」はぁ?

 

 ってなんだよそのジェスチャーは⁉︎両手の手のひらを上に向けて、何言ってんのこの人みたいな態度をとりやがって‼︎

 

明久「………」はぁ?

 

 明久もかよ‼︎このバカどもめ‼︎後で覚えてろよ‼︎

 

 

 

 

 

 そして俺は船に上がるや否や、早速明久と秀吉にキレた。

 

昂哉「おい2人とも‼︎俺に変な事を要求するなよ‼︎」

明久「ねえ秀吉、昂哉がなんか怒ってるんだけど?」

秀吉「よく分からんのぅ。」

昂哉「もしかして俺が秀吉の手を握った方が良かった?」

秀吉「何故そうなるのじゃ?」

明久「ちゃんと秀吉が指差してたでしょ?」

昂哉「やっぱり意図的じゃないか………」

 

 元々好感度の低い明久はともかく、このままだとマイエンジェル秀吉ちゃんも好感度が下がっちゃうよ?正直優子と入れ替わりつつあるし…………

 

優子「昂哉、海の中ってすっごい綺麗だったね‼︎」

昂哉「うわっ!」

 

 って優子!お前のことを考えてるときに話しかけないでくれるか⁉︎びっくりしちゃったじゃん‼︎

 

優子「あっ、急に声かけてごめん……」

 

 そして素直に謝らないでくれる⁉︎そうなるとこっちも責めにくいの!

 

昂哉「いやいや、大丈夫だよ!」

優子「そ、そう………」

昂哉「で、魚とか差し込む日の光とか、すっごい良かったよね〜‼︎」

優子「うん、そうだね!また潜りたい‼︎」

昂哉「確かに………って2回目あったね!」

 

 そう。今日は2回潜る事になっているのさ!

 

優子「そうだね!2回目も楽しみ!」

昂哉「うん!」

イントラ「体験ダイビングの方、そろそろ集まって下さ〜い!」

昂哉・優子「「は〜い!」」

 

 ということで、2回目のダイビングになった。

 

 

 

 

 

 水の中に入ると、そこは相変わらず綺麗で、そして別世界感があった。本当に同じ日本の中かと疑うくらいに。

 

優子「………」にこっ

 

 そして、隣にいる優子も楽しそうで何よりだ。そんな事を思ってると、

 

奈々華「………」くいっ

千紗「…………」ぱぁぁぁっ

 

 俺たちよりも更に下を潜っている人たちを見かけた。確かアレはダイビングサークルの人たちだっけ?あのイントラっぽい人が指を差した後、あそこにいる女の子が上を見上げて何やら感動している様子だった。恐らくここよりも深いところから見る景色はまた違ったものなのだろう。確かあの深さだとライセンスが必要だったはず。ライセンスを取るレベルの人が感動する世界か〜。興味深いな!

 

 今まで運動が苦手でスポーツ系の事は何一つしてこなかった俺。そんな俺がダイビングに興味を持つなど、夢にも思わなかった。水の中の新世界と、運動会の遊びという新世界。この2種類の新世界を味わえただけでも、今回の旅行は素晴らしかったと言えよう。連れてきてくれた兄貴たちには感謝しかない。だが俺が味わう新世界はこれだけではなかった。そう、3つ目の新世界とは……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オトーリという、酒が織りなす世界だ。

*1
マスク




 ということで、いよいよ昂哉たちがダイビングをしました!体験ダイビングで浅いところを泳いだとはいえ、昂哉にとってはかなり新鮮で素敵な世界だったようです。

 さて、次回はいよいよ沖縄旅行編の大詰め、オトーリです!お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第六十八問 オトーリ

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 体験ダイビングの日の夜、俺は遂に戦いの時を迎えた。オトーリの時間だ。

 

力哉・克哉「「皆聞いてくれ。」」

 

 兄貴たちが前に出て司会をする。

 

力哉「皆も知っての通り、宮古島、ひいては沖縄に来た理由の8割を占めるオトーリ体験だが、」

克哉「予定していた店が何故か臨時休業になったため、断念する事になった。」

友哉・恵「「そんなぁぁぁぁぁ⁉︎」」

 

 自業自得って言葉、知ってるか?でもこれでまあ、

 

優子「オトーリってエンドレスイッキ飲みの事だよね?」

昂哉「ああ!」

玲「終わりの無い世界線から逃げられましたね。」

明久「姉さん、ものすごくホッとしてるね。」

秀吉「まあ雲雀丘家の飲み会から解放されるんじゃからのぅ。安心して当然じゃ。」

 

 俺と玲さんの安全は担保できたわけだ‼︎やったね!

 

昂哉「いや〜、これで平和な宮古島の夜が……」

力哉「だが折角宮古島まで来たんだ。」

克哉「せめて俺たちなりのオトーリをやってみようじゃないか‼︎」

友哉・恵「「うぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」」

 

 死刑が宣告された瞬間、俺と玲さんは恐ろしい速さで目を合わせ、息を合わせて脱出した。人間の本能が感じる死に対する恐怖。それを悟った2人は戦場からの離脱を試みようと…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友哉「秘技・サンオイル攻撃‼︎」

昂哉・玲「「しまった……っ⁉︎」」ぬるっ、バタン

友哉「何人(なんぴと)たりとも、ここは通さないわ♡」ガシッ!

恵「20歳を過ぎた者がお酒から逃げるだなんて、恥ずかしくないの?」ガシッ!

 

 したが、親父がばら撒いたサンオイルで足を滑らせて転倒し、俺は親父に、玲さんはお袋に捕まってしまった。

 

克哉「おいおい、そうはしゃぐなよ2人とも。

力哉「さあ、始めようか。

 

 こうして巨大な瓶の側にたたずむ兄貴たちによって、開戦の火蓋が切られた。だが内容を知らずして戦には望めまい。ここは聞くとするか。

 

昂哉「俺たちなりのオトーリってなんだよ⁉︎」

力哉「まあそう焦るな。」

克哉「今から説明してやる。」

 

 果たして、どんな内容なんだろうか?

 

力哉「今回は皆で同じ(かめ)の酒を飲もうと思う。」

克哉「せっかくの旅行だからな。」

玲「ふむふむ………」

昂哉「同じ釜の飯みたいなもんか。」

 

 要するに闇鍋ならぬ闇酒だね。ちなみに未成年と貼り紙がしてある瓶は恐らく優子・秀吉・明久用だろう。

 

力哉「ところが、だ。」

克哉「全員の好みが一致する酒ってのは意外と難しい。」

昂哉「ああ。」

玲「それはそうですね。」

 

 酒の好みというものは人によって大きく異なる。ジャンル・銘柄・炭酸の有無に飲み方、etc.…………。例えば身近な人だと、俺はビールが好きだし、じっちゃんは日本酒が好きだ。玲さんは甘めのカクテルが好きだし、ケツ先生はリキュールが好きだ。そして、ビッ千華みたいにそもそもあまり酒が好きじゃない人もいる。俺の家の連中みたいに、酒なら基本なんでも好きな人なんてのはこの世の中にほとんど存在しない。そのため、全員の好みが一致する公平な酒を選ぶのは確かに難しい。

 

力哉「だがここで皆の感想が異なるのは寂しいだろう?」

昂哉「それはそうかもしれないね〜。」

玲「旅行の思い出の酒ですし………」

克哉「だから俺たちは考えたんだ。」

 

 ある人にとっては美味しくても、ある人にとっては不味かったら、味の感想を言うときに気まずくなるしね。さて、兄貴たちはどんな解決策を考えたのだろうか……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

力哉・克哉「「ならば公平になるよう全員がキツい酒にしたらいい、と‼︎」」

昂哉・玲「「公平の取り方おかしくない(ですか)⁉︎」」

 

 全員が辛くなってどうすんだよ⁉︎痛み分けってか⁉︎そんなの御免だね‼︎

 

 そんな俺と玲さんの悲痛な思いなど気にも留めずに、兄貴たちが話を続ける。

 

力哉「で、今からこの瓶を回して好きな酒を注いでもらうわけだが、」

克哉「その時、何でもいいから一言『口上』を述べてくれ。」

 

 確かオトーリって何か一言述べてやるものらしいね。それを口上って言うんだって。島と海の美しさに捧げます、とかね。

 

力哉「まずは俺たちが、」

克哉「少し真面目に話をさせてもらう。」

 

 ということで、最初は兄貴たちが口上を述べる事になった。果たして奴らは何を話すんだろう?兄貴たちの真面目な話なんて想像出来ないが………

 

力哉「家がバラバラの俺たちがこうして同じ時に同じ場所に集い、」

克哉「同じ船に乗り、同じ瓶の酒を飲める事を嬉しく思う。」

力哉「この場にいる全員が同郷の友であり、仲間だ。」

克哉「いずれそれぞれの道は分かれようとも、共に過ごした時間は無くならない。」

力哉「どうか皆の人生における青春の思い出として、」

克哉「今日という日を忘れないで欲しい‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言って力哉兄貴と克哉兄貴は2人とも度数96%のスピリタスを注いだ。

 

昂哉・玲「「アホ(です)かぁぁぁぁぁぁ⁉︎」」

玲「何が青春の思い出ですか⁉︎」

昂哉「思い出以前に記憶すら残す気ねえだろ⁉︎」

友哉・恵「「アタシ(私)、皆と旅をした今日という日を絶対忘れないからね‼︎」」

 

 そして親父とお袋も兄貴たちと同様に、度数96%のスピリタスを注いだ。

 

昂哉「なら何故それを注ぐ⁉︎」

玲「本当に覚えておく気があるのですか⁉︎」

 

 玲さんの言う通りだ。思い出せない思い出とか、どこに需要があるのだろうか?

 

 そしていつもと違って自分の命の危機に慌てふためく玲さんを見て、

 

明久「あはははははは‼︎姉さんったら追い詰められてや〜んの!超ウケる〜w」

 

 明久が爆笑していた。

 

玲「アキくん、姉さんは今必死なんですよ⁉︎からかわないで下さい‼︎」

秀吉「文字通り必死の危機じゃのぅ……」

明久「いつも僕をからかうからだ‼︎や〜い‼︎」

玲「もう怒りました‼︎アキくんにも飲ませますからね!」

明久「僕は未成年なんで飲めませ〜ん♪」

玲「警察がいなければ………」

優子「玲さん、やめた方が………」

玲「分かりました………」

明久「うししししししw。昂哉もざまぁw」

昂哉「頼むから死んでくれ。」

 

 3年後、お前の肝臓はどうなってるかな?きっと見るも無惨な姿になってると思うよ。

 

 それはともかく、この状況をなんとかしないと………そんな事を思ってると、

 

玲「昂哉君、私に任せて下さい!」

 

 玲さんが策を思いついたようだ。

 

昂哉「ホントですか⁉︎」

玲「はい!」

昂哉「それじゃあ頼みます!」

明久「ろくな事にならない気がする………」

 

 ということで、俺は玲さんに任せる事にした。あと明久、変なフラグを立てないでくれ。

 

克哉「んじゃ玲、口上を述べてからお前の酒を入れてくれ。」

玲「……………」

克哉「どうした、玲?」

 

 大丈夫か、あの人?もしやアレも作戦か?

 

玲「いや、言葉が上手く出てこなくて………。私はずっとアメリカに居て勉強ばかりをやってきたものですから、こういう時気の利いた事が出来なくて………。だからせめて私のできる事を、やりたいと思います!」

 

 そうして玲さんは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

消毒用のエチルアルコールを入れようとした。

 

昂哉「入れるなぁぁぁぁぁぁ⁉︎」

 

 流石にそれはダメでしょ‼︎マズいと思ったのか、

 

克哉「冗談だろ、玲?」

玲「えっと…………」

 

 克哉兄貴も止めたみたいだ。これで良かった〜!

 

克哉「そんなもの入れたら度数が下がっちまうじゃないか。」

玲「えっ…………?」

 

 前言撤回。止めた理由が酷すぎるでしょ!それ一応度数80%くらいあるんだからね!

 

明久「姉さんが今までに見たことがないくらい絶望している………」

玲「アキくん、両親に伝えておいて下さい。元気で生きて欲しい………と。」

明久「姉さん⁉︎」

 

 マズい‼︎玲さんが戦意喪失しながらスピリタスを注いでいる‼︎ここは俺がなんとかしないと‼︎

 

昂哉「……玲さん、ここは俺に任せて下さい‼︎……」

玲「……あ、ありがとうございます……」

 

 ということで、俺は自分の策を実行する事にした。

 

恵「ほら昂哉も入れて〜。」

昂哉「ほ〜い♪」

 

 そして俺は酒の入った瓶に近づき……………って⁉︎

 

昂哉「目がぁぁぁぁぁ⁉︎目がぁぁぁぁ⁉︎」

優子「昂哉、大丈夫⁉︎」

 

 揮発したアルコールで目がやられた‼︎前が見えない‼︎

 

昂哉「目がぁぁぁぁぁ⁉︎」ゴキイッ

友哉「ぐふっ⁉︎」バタン

 

 しかも親父に肘打ちしちゃった‼︎マズい‼︎親父とお袋の機嫌を損ねてしまう前に謝らないと‼︎

 

昂哉「親父、大丈夫⁉︎」

友哉「あ、ああ……大丈夫だ………」

恵「ちょっと〜、何してんの〜?」

昂哉「ごめん………」

友哉「なに、気にするな。」

玲「怒らないんですか?」

恵「これくらいでキレるような人は雲雀丘家には居ないからね〜。」

玲「そ、そうですか!」

昂哉「じゃあ俺のも入れるね‼︎」

 

 マジか!2人とも今日は機嫌がいいぞ‼︎いつも学校をサボると怒るくせに!これはありがたい‼︎玲さんの顔に希望の色が灯ったところで、俺の『やわらか天然水』を入れるとするか‼︎何食わぬ顔で水でも入れて、度数を安全圏まで下げる作戦だよ‼︎

 

 

    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友哉「おいコラ昂哉。

恵「ふざけた真似してんじゃないわよ!

昂哉「あっ、はい………」

玲「それは怒るんですね…………」

 

 肘打ちはOKなのに⁉︎キレるポイントおかしいだろ⁉︎こうして俺は仕方なくスピリタスを入れるハメになった。というか最初から他の酒が無いあたり、悪意しか感じねえ…………

 

 俺が渋々スピリタスを入れようとした時、

 

力哉「昂哉、せっかくだから優子と口上を述べたらどうだ?」

 

 力哉兄貴から変な提案をされた。

 

昂哉「優子と?でも入れる瓶が違うから意味ないと思うけど………」

克哉「まあ幸い瓶は隣に置いてあるし、一緒に並んで入れるのもアリじゃないか?」

昂哉「う〜ん、だったら秀吉と一緒がいいな〜。」

明久「秀吉は僕と一緒に入れるからダメだよ〜。」

秀吉「う〜む………いや、ワシと昂哉で入れていいかの?」

 

 マジで⁉︎秀吉が遂に俺の事を認めてくれたぜ‼︎

 

昂哉「やったぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

明久「嘘でしょ、秀吉⁉︎」

優子「アタシは別にいいけど………」

昂哉「よし、それじゃあ俺と秀吉による、愛の共同作業をしま〜す‼︎」

秀吉「よろしく頼むのぅ。」

 

 ということで、俺と秀吉で同時に口上を述べながら飲み物を入れる事になりました!瓶は違えど心は同じだね‼︎さてと、それじゃあ口上を述べるとしますか‼︎

 

昂哉「俺はこの旅行のおかげであまり興味が無かった、」

昂哉(CV.秀吉)「木下優子‼︎」

昂哉「の魅力に気付きました。こうして友達と楽しく旅行出来たのも、優子が無理矢理、」

昂哉(CV.秀吉)「優子の部屋‼︎」

昂哉「に通わせてくれたおかげだと思っています。これからは一層努力して自分から、」

昂哉(CV.秀吉)「優子、俺と結婚してくれ‼︎」

昂哉「と言えるよう頑張りたいと…………」

 

 ふぅ………………

 

昂哉「ふざけんなゴラァ‼︎」ドゴォ‼︎

秀吉「痛っ‼︎何するのじゃ、お主⁉︎」

昂哉「それはこっちのセリフだ‼︎」

力哉「なかなか良いスピーチだったな。」

克哉「まさか二人の距離が縮んでいく経緯を語るとは。」

明久「いいね!このまま結婚しちゃおう‼︎」

玲「そうですね!」

優子「…………///」

 

 どこがいいスピーチだよ、このバカ天使め‼︎生まれて初めて秀吉の事を殴ったわ‼︎

 

 

 

 

 

 俺は秀吉としばらく喧嘩した後、並々とスピリタスが注がれたコップを受け取った。

 

昂哉「ここまでたっぷり注がんでも………」

玲「表面張力全開ですね………。せめて量を少しでも減らさなければ………」

昂哉「命に関わりますね。」

玲「こうなったらイチかバチかですね……」

昂哉「策があるんですか、玲さん⁉︎」

玲「はい。多少強引ですが、酔ったフリをして中身をこぼすのはどうでしょうか?」

 

 天才………っ‼︎流石はハーバード大卒だ‼︎

 

昂哉「よし、それでいきましょう!」

玲「はい!」

 

 さてと、有言実行!さらっとこぼしてやるぜ‼︎

 

昂哉「おっとっと……」フラフラ

友哉「おいおい!」バシッ!

玲「酔ってしまいましたね〜。」フラフラ

恵「気をつけてね。」バシッ!

 

 えっ…………?ただの一滴もこぼれてないだと⁉︎そんな事があるのか⁉︎

 

友哉「まだ飲んでないのになぁ。」

恵「雰囲気で酔ったのかな?」

 

 絶対アイツらのせいだ‼︎アイツらが無駄に俺たちの杯を乾かさないように行動したんだ‼︎きっとそうに違いない‼︎とにかく、別の案を考えないと‼︎何かいい方法は………ある‼︎

 

玲「どうしましょう………」

昂哉「俺に任せて下さい!」

玲「何かあるのですか?」

 

 それを今から説明しよう‼︎

 

昂哉「まず、グラスをもう一つ用意します!」

玲「なるほど。それで?」

昂哉「そして、それに水を少し入れます!」

玲「ふむ…………」

昂哉「あとは酒を口に含み、水を飲むフリをして水入りのグラスの方に酒を出すだけです!」

玲「なるほど、それはいいですね!」

昂哉「でしょう⁉︎」

 

 飲んでるフリをして、実は全く飲んでないんだぜ⁉︎凄いだろう⁉︎

 

玲「それでは早速やりましょう!」

昂哉「はい!」

 

 ということで、俺たちは満タンのグラスの隣に

 

昂哉・玲「「………」」コトッ

 

 空いたグラスを置いた。さて、そこに水を……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

克哉「おっ、空いてんじゃ〜ん!」ドバドバ

 

 入れる前に、克哉兄貴に酒を入れられた。

 

昂哉「マジですんません………」

玲「昂哉君……………」

 

 玲さんの顔にも落胆の色が隠せなくなってきている。ここはなんとかしないと‼︎そんな事を思っていると、

 

力哉「それじゃあ急いで飲むぞ。」

克哉「中身が減っちまうからな。」

 

 兄貴たちが()かし始めた。何を言ってるだ、あの人たちは?その減らすのに俺たちは苦労してるのに…………ってもしやあの事か‼︎

 

玲「昂哉君、酒が蒸発してるのですが⁉︎」

昂哉「アルコールは揮発性が高い物質ですからね!それが96%も入ってるとなると………」

玲「短時間で蒸発による体積減少が目に見えるほどに………っ‼︎」

優子「そんなにキツいんですね………」

明久・秀吉「「?」」

 

 こんな事を忘れていようとは‼︎だから兄貴たちは急かしたわけね!あと話を理解できてない明久と秀吉はもうちょっと勉強した方がいいと思うよ。

 

 そんな事を思ってると、

 

玲「昂哉君、正しいオトーリの作法がここに載ってますよ!」

昂哉「なんですと⁉︎」

 

 玲さんが正しいオトーリの作法が書かれているホームページを見せてくれた。って事はこれを見せれば、この地獄のような飲み方から解放されるということか‼︎

 

昂哉「兄貴たち、ちょっとこれ見て‼︎」

力哉「ん?どうした昂哉?」

玲「正しいオトーリの作法が載ってますよ。」

克哉「なるほど、どれどれ…………」

 

 さあ兄貴たちよ、これを見て考えを改めなさい‼︎

 

力哉「宮古島特有、オトーリとは⁉︎」

克哉「親になった人が口上を述べてイッキ飲み、」

力哉「その後全員がイッキ飲み、」

克哉「最後に親が再びイッキ飲み、」

力哉「親が後口上を述べて次の親に交代。」

克哉「これを人数分繰り返す。」

 

 なるほどね〜。という事は……………

 

克哉「最低9回は乾杯する必要があるな。」

友哉「そうなると酒が足りないわね♡」

恵「この辺のも全部入れましょう!」

力哉「この辺のもだな。」

 

 もっと酷い事になるじゃないか‼︎

 

昂哉「玲さぁぁぁぁぁぁぁぁん⁉︎」

玲「こうなるとは………予想外でした………」

明久「ぎゃはははははは‼︎2人ともバカだね〜‼︎」

秀吉「未成年で良かったのぅ………」

優子「享年が20になりそうだわ……」

 

 万策、ここに尽きる……………っ‼︎こうなったら耐える他あるまい‼︎

 

昂哉「まあいい、強い酒は飲み慣れている‼︎」

玲「それよりも私たちに今大事なのは‼︎」

昂哉・玲「「酒を飲んでも飲まれない、という強い精神力‼︎」」

 

 こうして俺たちの沖縄旅行の記憶が途絶えたのであった……………




 ということで沖縄旅行編は記憶を飛ばして完結です!普段明久や他の人たちを振りまわしまくってる玲さんが振り回される姿は新鮮ではないでしょうか?

 さて、次回からは原作7巻………は僕が野球をほぼ知らないので飛ばして、原作8・9巻のvsCクラス戦に移ります。明久と姫路絡みの部分は飛ばす都合上、原作よりは短くなるかも知れませんが、よろしくお願いします。

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第十一章 函館旅行&第三次試召戦争
第六十九問 闇鍋会を回避せよ‼︎


この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 赤紙という物をご存知だろうか。太平洋戦争の時に日本軍は一般人を徴兵する際に赤い紙を用いた。その事から転じて、何かの戦いや困難の場に集まる命令の書かれた紙を受け取る事を、赤紙を受け取る、と言うようになった。そして時代は進み、今は手紙などではなくメール、あるいはLINEでやりとりをする事が多くなった。だが言葉として赤紙は残っている。そして今日俺は……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姫路(LINE)『皆さん、来週の土曜日は空いてますか?一緒に闇鍋会をやりたいのですが………』

 

 赤紙を受け取った。

 

 

 

 

 闇鍋………それは皆が持ち寄った具材を何も考えずに一つの鍋に入れて楽しむ料理である。ニンジンやしいたけなどの一般的な鍋の具材だけでなく、ショートケーキやチョコレートなどの一般的に鍋に入れるような具材では無いものも持ち寄る事が多い。一般的な闇鍋ならば、良くて美味しい、大概はクソマズいだけで済むのだが…………今回はそうでは無い。何故ならこのLINEを送ったのが姫路瑞希だからである。言いかえるならば、姫路瑞希が参加する闇鍋だからである。

 

 姫路瑞希は笑顔で人間を胃袋から殺す暗殺者である。その威力は並大抵のゲテモノでは到底叶わず、あの鉄人ですら即座に気絶して無力となってしまう。恐らく塩酸や濃硫酸並の危険な物質を用いているのだろう。そして今回は闇鍋。つまり塩酸やら硝酸やらの危険物質が()()()()()入っている。これは新たなる毒兵器の誕生に繋がりかねない。日本が核を持たない理由の一つがコレだと言われても謙遜無いくらいの毒兵器が。

 

 だから俺はこのイベントを絶対に回避しなければならない。普通だったらただ単に断ればいいのだが、そうはいかない。何故なら俺には敵が存在しているからだ。そして姫路が居るLINEグループとは別の、俺と敵だけで構成されたLINEグループに、敵からのメッセージが投下された。

 

雄二(LINE)『お前ら、逝く準備は出来てるか?』

明久(LINE)『ばっちりだよ!』

ムッツリーニ(LINE)『………既に遺書を作成済み。』

秀吉(LINE)『ワシもきちんと首を洗って待っておるぞ。』

 

 そう、コイツらが俺の()だ。このLINEグループは俺、秀吉、ムッツリーニ、明久、雄二の5人で構成されている。コイツらを出し抜かなければ、闇鍋会を回避する事は出来ず、俺の享年は20となるだろう。

 

 

 

 

 さてと、ではまず断る理由を考えなければならない。一番手っ取り早いのは、

 

昂哉(LINE・送信前)『ごめん、その日は予定があるから無理……』

 

 だ。もちろん予定なんて無い。だから戦地に赴く()たちを見守りながら、家でぬくぬくと過ごすのだ。しかしこの作戦には致命的な欠点がある。それは()の1人、堕天使(秀吉)が俺の隣の家に住んでいる事だ。奴は基本的にはまともだが、姫路飯絡みとなると己の命を最優先させてくる。この間の球技大会では、優子や俺にパシられ慣れている一級パシられ士を名乗り始めて姫路作の料理を回避した。故に奴は俺が嘘をついたのを見切って家に侵入し、無理矢理俺を連れて行くだろう。1人が無理なら仲間を呼ぶはず。それに、今から俺の部屋にやってきて、

 

秀吉「お主、闇鍋会の日に予定は入れてはならんぞい。」

 

 と忠告しに来るかもしれない。だからこの作戦はダメだ。

 

 

 

 

 次は当日になって逃げる方法だ。基本的に逃亡は家が奴らに割れてる以上、不可能である。だがここで俺はあるものを利用する。それは………青少年健全育成条例だ。これは未成年の深夜外出を禁ずるものだ。そして奴らは未成年で俺は成人。つまり深夜のうちに家から出てしまえば、仮に待ち伏せしていた奴らに捕まったとしても法に訴える事が出来るのだ。

 

 しかし家から脱出できても逃げきれなければ意味が無い。俺は体力面ではかなり劣るため、追いかけっこになったらまず勝てないだろう。そこで日中を含めた逃亡先を予め決めなければならない。普通の隠れ場所ではムッツリーニの盗撮カメラでバレて追いかけられるだろう。だとすると隠れ場所は……………雀荘パチンコ屋しか無い。これらの場所は法律で18歳未満の入店が禁じられている。そして奴らは16・17歳で俺は20歳。つまり法律の壁を利用して隠れ場所を作り出す事が出来るのだ。風俗もあるにはあるが昼は絶対営業していない。またパチンコ屋は一般的な開店時間の8:00代まで奴らと追いかけっこをしなければならない。だからこっそり24時間開けることのできる雀荘がベストだろう。

 

 ただ雀荘も無理矢理場を繋がないと厳しい。何故ならば卓が立たないとその時点で閉店してしまい、立て篭れなくなるからだ。メンバー*1にお願いするか?いや、流石にそれはマズいだろう。私利私欲のために店を開けさせるのは、最悪出禁に繋がりかねない。そんな事を思っていると、

 

秀吉(LINE)『あれ、昂哉はまだLINEを見とらんのかのぅ?』

雄二(LINE)『だろうな。いくらなんでも反応が遅すぎる。』

 

 奴らからのLINEが飛んできた。悪いな。通知で見てるんだよ!既読を絶対につけないためにな‼︎そうする事で時間が稼げるのだ。ただこの時間稼ぎも長くは持たない。早く断る理由を考えねば………

 

 

 

 

 すると、俺はある考えが浮かんだ。たとえそれが後出しだったとしても、()()()()()()()()()()()予定を入れてしまえばいいんだ‼︎そういった予定として挙げられるのは……………冠婚葬祭などならば、友達とも闇鍋会よりも優先させるべきだろう。だが冠婚葬祭なんてものはそう簡単に実施出来ないし、嘘をついたとしても誤魔化し切れない。だからそれに代わるものは…………

 

 校外模試はどうだろうか?それなら優先させていい理由になる………いや待てよ?それだと俺が参加して姫路が参加しない理由が分からないか。姫路はそういうのの動向には詳しい。そして俺と姫路の学力はかなり近い。つまり俺が受ける模試は姫路のものとほぼ一致するはず。そうなると、俺が受けて姫路が受けない模試を作り出す事は不可能に近いだろう。

 

 だったら麻雀プロ試験とか麻雀の大会はどうだろうか?いや、それらは1週間前に予約してひょっこりと参加出来る代物じゃない。他の大会系や試験系も無理だろう。なら一体何を理由にすれば…………

 

秀吉「姉上、昂哉が今何してるか知らんかのぅ?」

優子「部屋にいるくらいしか知らないわ。」

秀吉「なるほど。なら話が早いのじゃ‼︎」

 

 マズい‼︎タイムリミットが近づいている‼︎窓越しに見える優子の部屋から地獄みたいな言葉が聞こえてきた‼︎うかうかしてられない‼︎早く、早く理由を思いつかないと‼︎もしかしたら優子の部屋から秀吉が飛び越えて……………ん、待てよ?優子…………?優子……………

 

 

 

 ってそうだ、これしかない‼︎誰に殺されるかが変わるが、姫路飯で殺されるよりはマシだ‼︎それに、この理由ならば奴らを納得させられる‼︎闇鍋会に行かない充分な理由になる‼︎さあ俺よ、口から言葉を発したまえ‼︎自分の命のために‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「優子〜、来週の三連休*22()()()どこか行かな〜い⁉︎」

 

 そう、優子とのデート作戦だ。何故だか知らんが奴らは俺と優子をくっつけたがっている。だからこれを言ってしまえば、奴らは俺に手出し出来まい‼︎そう思い、俺は窓を開けて向かいの部屋に住む優子に叫んだ。

 

優子「えっ⁉︎///」

秀吉「昂哉よ、そうかそうか。」

優子「えっと、アタシとでいいの?///」

昂哉「もちろん!日頃のお礼もしたいしね!」

 

 ちなみにこれは本音である。最近弁当を毎日作ってくれたり、俺の名誉を挽回させようと頑張ってくれたりするのは正直嬉しいからだ。昔は散々悪魔悪魔って呼んでたけど、今は小悪魔くらいになっている。

 

優子「わ、分かった///」

秀吉「う〜む、それならば仕方ないのぅ。」

優子「えっ、何が?」

秀吉「いや、なんでもないのじゃ。」

 

 優子はどうやら闇鍋会をまだ知らなかったようだ。ならば都合がいい‼︎先に俺との約束が入ってしまったのなら、姫路の誘いも断りやすいだろう‼︎

 

昂哉「んじゃ、後で行きたいとこ教えてね〜‼︎」

優子「う、うん///」

 

 ということで、俺はなんとか命の危機を回避する事が出来た。後はLINEで連絡しなければ‼︎まずは島田や姫路が居る方のグループLINEに………

 

昂哉(LINE)『ごめん姫路!その日俺と優子は2人でどっか行くから行けないわ‼︎』

姫路(LINE)『なるほど、それなら仕方ないですね!』

島田(LINE)『ようやく素直になれたのね!』

雄二(LINE)『お前が言うな。』

島田(LINE)『はぁ⁉︎坂本は何を言ってんの⁉︎』

 

 連絡を入れた。あと雄二の言う通り、島田がそれ言うなよ。

 

 

 

 さて、次は敵だらけのLINEグループだが、

 

秀吉(LINE)『昂哉はその日姉上とデートするから来れないそうじゃ。』

明久(LINE)『マジか〜!殺したいほど羨ましいけど、しょうがないね〜。』

ムッツリーニ(LINE)『………殺したいほど羨ましいけど、それなら仕方ない。』

雄二(LINE)『後でおすそ分けしといてやるか。』

 

 既に秀吉が報告してた上に、奴らは姫路たちとのグループLINEにも居るため、改めて連絡する必要は無くなった。というか雄二、あんなゲテモノを貯めておいて俺におすそ分けすんな。まあ一応返信しとくか〜。

 

昂哉(LINE)『三連休全部居ないから、おすそ分けは意味ないよ〜♪』

雄二(LINE)『翔子の家にある最新の保存設備があってだな……』

昂哉(LINE)『そんなに霧島の家に住みたいの?』

明久・ムッツリーニ(LINE)『『草。』』

雄二(LINE)『はぁ⁉︎なわけないだろ⁉︎』

秀吉(LINE)『お主も人のこと言えんと思うのじゃが……』

 

 秀吉の言う通りだよね。雄二だって霧島の事満更でもないのに。いっそ俺みたいに2人きりのデートでもやれば良いのに、しないのは何故だろう?もしかしてバカなのかな?

 

 

 

 それはともかく、優子とのデート………というか2泊3日の旅行が決まったわけだ。命の危機の回避とはいえ、やるからにはしっかり楽しませないとな‼︎まずは行きたいところでも聞くか〜。

 

昂哉「んで優子、どっか行きたいとこある?」

優子「えっとぉ〜、函館♪」

 

 向かいに見える優子の顔は、どう考えても冗談を言って楽しませようとしてる顔だ。ならここは俺もこう返すか!

 

昂哉「よし分かった‼︎んじゃ宿と新幹線とっとくわ〜。」

優子「い、いや、ちょっと待って⁉︎冗談だから、冗談‼︎そもそもアタシそこまでお金持ってないし!」

昂哉「んなもん俺が奢るよ〜♪」

優子「いやいやいやいや‼︎流石に金額がとんでもない事になるよ‼︎」

昂哉「俺の弁当を半年間ずっと作ってきたんでしょ?食費もそっち持ちで!ならこれくらい余裕よ‼︎」

優子「えっと…………」

昂哉「あれ、もしかして函館は嫌?なら違うところにするけど……」

 

 ちなみに優子はこの間函館山の夜景の写真を嬉しそうに見せてきた。どう考えても嫌なはずはあるまい‼︎

 

優子「いや、そういうわけじゃないよ‼︎」

 

 だろうな‼︎

 

昂哉「なら決まり‼︎行くぜ函館‼︎」

優子「お、オー‼︎」

 

 ということで赤紙による徴兵を回避するために、優子と函館旅行をする事になりました‼︎これで姫路の魔の手から逃れられ、生きて再来週を迎えられます‼︎やったね‼︎

*1
雀荘従業員

*2
土日月祝




 ということで、第十一章の幕開けです‼︎最初は闇鍋………を避ける話でした。8・9巻の内容じゃなくない⁉︎と思う方もいるとは思いますが、闇鍋の話をやらないと明久と姫路が同棲する流れに持っていけないので入れました。

 さて、次回は8巻に………入らず函館旅行に行きます。8・9巻の明久と姫路絡みの話をカットする代わりに入れました。函館のどこに行くかは次回のお楽しみに‼︎

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第七十問  津軽海峡秋景色

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 遂に優子との函館旅行当日、俺は服選びに時間を取られていた。

 

昂哉「東京の気温はこれくらいだけど、函館は………?」

 

 俺は見た目というよりは気温で服を選ぶタイプだ。オシャレはしないの、とよく聞かれる事があるが、個人的には暑かったり寒かったりしなければなんでもいい、といったところだ。ただ旅行となると、その気温に悩まされる。遠くに行けば行くほど、寒かったらどうしよう?逆に着込み過ぎて暑かったら?という悩みが頭の中をよぎる。10月頭の函館の気温は…………

 

 そんな俺に兄貴たちが声をかけてきた。

 

力哉「おう昂哉。」

克哉「服で迷ってるのか。」

昂哉「まあね。」

力哉「なら俺たちがアドバイスをしてやる。」

 

 兄貴たちは多少の差ではあるが、俺よりは服に詳しい。ここは素直に意見を聞いておくか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

力哉・克哉「「迷うくらいなら、いっそのこと何も着なければいい‼︎」」

昂哉「ダメに決まってるでしょ。」

 

 聞いた俺がバカだったよ。

 

 

 

 

 俺は兄貴たちを無視して少し暖かめの服*1を着て、家の外に出た。するとそこには、少しおしゃれをした優子が居た。

 

昂哉「すまん、待った?」

優子「いや、全然……///」

昂哉「そっか、ならよかった!それと、服めっちゃ可愛いやんけ!」

優子「あ、ありがとう……///昂哉も………カッコいいよ……///」

昂哉「ど〜も♪」

 

 正直優子の服にドキドキしている自分がいる。たまにふと優子と秀吉が入れ替わってるんじゃないかと思うことがあるが、2人はああ見えて意外と違う。優子がオシャレを覚えた影響で、動かされるはずのなかった俺の心が少しずつ変わっていくのを感じる。まあそんなときは、コイツは暴力悪魔だ、と心に言い聞かせて平静を保っているけど。

 

昂哉「んじゃ、しゅっぱ〜つ‼︎」

優子「お、オー‼︎」

 

 ということで、2人きりの函館旅行が始まりました………ってそうだ‼︎アイツらを煽っておくか‼︎

 

昂哉(LINE)『逝ってらっしゃい、皆さんw』

明久(LINE)『頼むから死んでくれ。』

ムッツリーニ(LINE)『………お前のようなものは生まれてさえこないでくれ。』

雄二(LINE)『お前が存在していると、この世の理が狂うのだ。』

秀吉(LINE)『お主ら、散々な言いようじゃのぅ………』

昂哉(LINE)『それな♪』

 

 戦場に向かう奴らを哀れみながら、俺は東京駅へと向かった。

 

 

 

 

 俺たちが到着すると、東京駅は相変わらず人でごった返していた。

 

優子「えっと………新幹線への入り口は………なんか2つあるんだけど⁉︎」

昂哉「俺たちが行くのは緑の方だよ。」

優子「なるほど………ちなみに青は?」

昂哉「東海道・山陽新幹線だね。」

優子「福岡に行く方ね………」

 

 東京駅は紛らわしい事に、東海道・山陽新幹線とその他で新幹線の改札口が違うのである。まあ管理している会社が違うから仕方ないのだが、紛らわしいので統一して欲しいというのが俺の意見である。

 

 

 

 新幹線改札を抜けると、そこには沢山の新幹線が止まっていた。

 

優子「えっと………アタシらが行くのは……23番線か!」

昂哉「行き先がめちゃくちゃあって紛らわしいね〜!」

優子「ホントそれ‼︎札幌*2だけじゃなくて、秋田に山形に新潟に新大阪って………ホームを分ければいいのに……」

昂哉「間違えると全然違うとこいくからヤバいよね〜。」

優子「うんうん!これだ、って思って乗ったら大阪に着いたらヤバいし!」

昂哉「それな!」

 

 そんなたわいもない会話をしてると、奇妙なアナウンスが鳴り響いた。

 

アナウンス「まもなく、22番線に『8:47発 はやぶさ315号 新八雲行き』が参ります。」

 

 なんでそんな中途半端なところが終着駅なんだよ。確かあそこ周りに何もない秘境駅だったような………。在来線との乗り換えも出来ないらしいし。

 

アナウンス「途中停車駅は、白石蔵王、くりこま高原、いわて沼宮内、七戸十和田、奥津軽いまべつ、です。」

 

 しかも途中停車駅が全部秘境駅‼︎なんで大宮と仙台は飛ばしてそこに止まるんだよ‼︎こんな電車に乗る奴なんていないだろ‼︎

 

優子「昂哉〜、あっちの新幹線、めっちゃ人乗ってるよ!」

昂哉「嘘でしょ⁉︎」

 

 そうしてその新幹線の方を見ると、何故か俺たちが乗るはやぶさ札幌行きよりも沢山の人が並んでいた。あんなネタ新幹線に乗るとか、コイツら正気か⁉︎鉄ヲタって凄えんだな‼︎

 

優子「昂哉、アタシらもアレにする?」

昂哉「函館止まらないからナシ。」

優子「それなら意味ないね。」

昂哉「というか指定席だから今更変更できないし。」

優子「そういえばそうだったね。」

昂哉「んじゃ、とりあえず俺たちが乗るやつに乗りますか〜。」

 

 ということで、俺たちは新幹線に乗りました!ちなみに普通席の2人掛けの方です!正直列車の先頭と最後尾に分けて取ろうと思ったけど、それだと優子が可哀想だからやめておいたよ‼︎

 

 

 

 

 東京を出発して1時間半くらい経つと、

 

アナウンス『まもなく、仙台、仙台です。』

 

 仙台まで来た。

 

昂哉「もう仙台か〜。」

優子「早いね〜。」

 

 流石は新幹線、といったところだ。車で行くと6時間くらいかかるのに。

 

 そんな事を思ってると、

 

優子「ところで仙台といえば………東北大とかどう?」

 

 優子がある話題を振ってきた。

 

昂哉「俺の大学的な意味で?」

優子「うん!仙台は住みやすいらしいし!」

 

 確かに優子から逃げるために東北大も考えた。だが新幹線で来てみて分かるように、意外と東京から近い。それに、俺が東北大に行くとなったら、きっと優子もついて来るだろう。それでは意味がない‼︎それに…………

 

昂哉「この大学、熊がしょっちゅう出るから嫌だな〜。」

 

 こんな危険な大学には行きたくないからだ。

 

優子「えっ、そうなの⁉︎」

昂哉「うん。そうだよ。」

優子「ならやめといた方がいいわね………」

 

 ちなみに俺は優子から逃げる術を既に考えている。それは、東京に本部がある大学………………の僻地のキャンパスに行く事だ。これなら東京に行くと見せかけて、かなり遠くに逃げる事が出来る。ちなみに私大だとそういったことが往々にしてある。日本大学工学部が郡山にあるみたいに。

 

 ちなみに3つの大学が候補に上がった事がある。まず1つ目は東京理科大学・長万部キャンパス。北海道の函館と札幌の真ん中くらいにあるキャンパスだ。ただしここは2年に上がるときに東京に戻ってきてしまうから意味が無い。

 

 次に2つ目は東京農業大学・北海道オホーツクキャンパス。これは北海道の北東部、網走市にあるキャンパスだ。ただしここは優子から逃げたとしても、現地での生活が大変だ。旭川まで電車で3時間、札幌だと5時間もかかってしまう。更に市内には雀荘がほぼ無い。故に遊びの選択肢がかなり狭まってしまう、という欠点がある。これは長万部でも同じだ。

 

 そこで俺は第3の選択肢に辿り着いた。それは東海大学・札幌キャンパスである。ここならば東京に行くと見せかけて札幌に行くことが出来、なおかつ札幌市内なので遊び場所にも困らない。まあちょっとだけ車を走らせる必要があるけど、網走や長万部に比べたら天と地の差だ。だから俺はこの大学を志望している。

 

優子「ちなみに昂哉はどこの大学行きたいとかある?」

昂哉「いや、特に。近場ならどこでもいいかな〜って感じ。」

優子「なるほどね!」

 

 もちろん、札幌キャンパスに行くなんて知らなかった、というフリをするつもりである‼︎これなら優子も追ってこれまい‼︎まあ今となっては別に優子と一緒でも………いや、そんな事はない‼︎

 

 

 

 優子としばらくたわいのない会話をしていると、

 

アナウンス『まもなく、青函トンネルです。』

 

 いよいよ津軽海峡を越える時がやってきた。

 

優子「青函トンネル!アタシ初めて!」

昂哉「俺も!」

優子「どんくらい長いんだろうね?」

昂哉「20分くらいらしい。」

優子「わお!めっちゃ長いじゃん!」

昂哉「だね!流石は津軽海峡だ………」

 

 正直20分もトンネルだと退屈になる気がする。あとアナウンスで青函トンネルの話をしている。新幹線のアナウンスでそれ話すんだね〜。

 

優子「津軽海峡といえば……っ!」

昂哉「津軽海峡・冬景色‼︎」

優子「有名な歌ね。」

昂哉「上野発の夜行列車降りた時から〜♪」

優子「東京発の昼行列車だけどね。」

昂哉「青森〜駅は雪〜の中〜♪」

優子「めっちゃ晴れてるけどね。」

昂哉「北へ帰る人の群れは誰も無口で〜♪」

優子「全然無口じゃないよね。」

昂哉「海鳴り〜だけを聞い〜ている〜♪」

優子「アタシが聞いてるのはアンタの歌だけどね。」

昂哉「私は1人〜♪」

優子「2人だけどね。」

昂哉「連絡〜船〜に乗り〜♪」

優子「乗ってるのは北海道新幹線だけどね。」

昂哉「凍えそうなカモメ見つめ泣いていました♪」

優子「10月なのに凍えてたらこれからが心配だわ。」

昂哉「ああ〜〜〜、津軽海峡、冬景色〜♪」

優子「今は秋だけどね。」

乗務員「お客様、静かにして下さい。」

昂哉・優子「「すいません………」」

 

 暇だから歌ってたら、怒られてしまった………

 

 

 

 しばらくして青函トンネルを抜け、新函館北斗ではこだてライナーに乗り換えてしばらくすると、

 

昂哉「遂に………っ‼︎」

昂哉・優子「「函館・到着‼︎」」

 

 函館に着きました‼︎

 

優子「ちょうど紅葉の時期なんだね〜。」

昂哉「そうだよ!だから来たのさ!」

優子「ホント、連れてきてくれてありがとう‼︎」

昂哉「ど〜も〜♪」

 

 東京だと11月末から12月頭の紅葉も、函館だと10月頭になるんです!それが見たくて来ました!

 

優子「まずはどこ行くんだっけ?」

昂哉「今はちょうどお昼時だから…………ここだ‼︎」

 

 そして俺は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「はこだてビール⁉︎」

 

 優子を美味しいビールが飲めるところに連れて行った。

 

昂哉「Yes! Hakodate Beer!」

優子「アタシお酒飲めないんだけど⁉︎」

昂哉「ご安心を。なんせここは飯も旨いんで!」

優子「なるほど!それならいいね!」

 

 ちなみに俺はいきなり飲む予定である。旅先に着いてすぐに酒を飲む事の気持ちよさ、20歳以上の人なら分かるだろう?

 

 そして俺たちは早速、店の中へと入り、メニューを見た。

 

優子「ビールの飲み比べって………昂哉の目的絶対これじゃん!」

昂哉「もちろん!ちなみに優子は何を頼むの?」

優子「えっと………牛タン焼きにステーキにしゃぶしゃぶにユッケにイカの刺身に野菜に………ってめっちゃあるじゃん、食べ物!」

昂哉「そう、だからここに来たんだよ!」

優子「なるほどね‼︎ありがとう、昂哉♪」

昂哉「いえいえ〜!」

 

 メニューにある沢山の料理の写真を見てウキウキになる優子。なんていうか子供っぽくて可愛いらしい………って歳下だから当然か。最近怒られてばっかだからそんな気がしなくなってきたんだよな〜。コイツのこういう顔を見れただけでもよしとするか………

 

 そんな事を思ってると、

 

雄二(LINE)『昂哉、これが俺たちの昼飯だ。』

ムッツリーニ(LINE)『………喜びを噛み締めろ。』

 

 奴らから闇鍋の写真が送られてきた。その料理は一部が紫色をしていて、かなり毒々しい色をしていた。とても人が食うもんじゃないだろう。恐らくはあの部分が姫路ゾーンか。あの絶対領域に口を運ぼうものなら最後、命は無くなるだろう。

 

昂哉(LINE)『ちなみに俺はこんな感じのメニューねw』

 

 奴らをからかった後、俺たちは注文をした。

 

 

 

 

 注文してからしばらくすると、

 

店員「お待たせしました!ビールの飲み比べセットです!」

昂哉「ありがとうございます‼︎」

 

 お目当てのブツがやってきました‼︎

 

優子「へえ〜、黄色にオレンジに茶色……って、結構違うんだね。」

昂哉「優子が知らないだけで、ビールには結構な種類があるからね‼︎」

優子「ちなみに他のお酒もそうなの?」

昂哉「もちろん!多分毎日死ぬまで酒を飲んでも、この世の全ての種類は味わえないだろうね〜。」

優子「それやると死ぬのが早くなりそう………」

 

 さてと、お味は…………

 

昂哉「ん^〜♪」

 

 控えめに言って最高だ‼︎今回飲み比べるのは4種類。そのどれもが違う味をしている‼︎一つは甘めで飲みやすい感じ、一つはちょっと苦めで渋い感じ、一つは更に苦めで大人の味って感じ、そして最後の一つはかなり独特な味でフルーティー。これだけでも、函館に来た甲斐があったぜ‼︎

 

 そしてしばらくすると、

 

店員「お待たせしました。こちらが鴨ステーキとライスと味噌汁になります。」

昂哉・優子「「ありがとうございます‼︎」」

 

 俺と優子が頼んでた料理がやってきました‼︎鴨肉の独特な艶が、食欲をそそる‼︎

 

優子「では、」

昂哉・優子「「いただきま〜す!」」

 

 ということで、早速ビールと一緒に食べてみると…………

 

昂哉・優子「「ん^〜♪」」

 

 これが旨いったらありゃしない‼︎鴨肉独特の柔らかさと味がビールと混ざり合って、オリジナルなハーモニーを奏でている‼︎これはご飯が進む‼︎そしてビールも進む‼︎函館旅行一発目から、身も心も満タンだ〜♪

 

 ちなみに海鮮系にしなかったのには理由がある。それは明日朝市に行くからだ。更にはホテルの朝バイキングには刺身があるとの話だ。この後いくらでも食べられるので、わざわざこの店では食べなくていい、という判断をした。

 

優子「おいひ^〜♪」

 

 それにしても、コイツは旨そうに飯を食うな〜。心の底から幸せそう。面白いから写真に撮っておくか!

 

昂哉「………」パシャ

優子「ちょっと昂哉⁉︎なんで写真撮ったの⁉︎」

昂哉「面白い顔してたから♪」

優子「今すぐ消して〜‼︎」

昂哉「い・や・だ♪」

優子「も〜‼︎」 パシャ

 

 えっ?

 

昂哉「ちょっと優子⁉︎今俺のことも撮らなかった⁉︎」

優子「し・か・え・し♪」

昂哉「この野郎〜‼︎」

優子「アタシは野郎じゃないですぅ〜♪」

昂哉「秀吉よりは男っぽいでしょ。」

優子「それは比較対象が悪い。」

昂哉「確かに。」

 

 正直秀吉のせいで性癖を歪められた人って何人いるんだろう?多分文月の男子の殆どが該当しそう。俺もその1人だ。*3

 

 

 

 

  side 秀吉

 

 ワシらは明久の家で闇鍋をしておった。

 

秀吉「……くしゅん!」

佐藤「大丈夫ですか、秀吉君?」

島田「風邪?」

秀吉「いや、大丈夫じゃ。」

 

 恐らく昂哉と姉上あたりが噂しておるのだろう。

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 俺たちは昼食を終えて店を出た後、路面電車を待っていた。

 

優子「昂哉、すっごく美味しかったよ♪」

昂哉「作ったのは俺じゃないけどね。」

優子「でも、紹介してくれてありがとう!」

昂哉「どういたしまして〜♪」

 

 そんなたわいのない会話をしていると、路面電車がやってきた。この瞬間、俺はある事を思いついた。

 

昂哉「そういえば優子、路面電車の別名って知ってる?」

優子「路面電車の別名………?う〜ん、分かんないな〜。」

昂哉「実はね………TIN-TIN-電車って言うんだ!」

優子「なるほど、ちんちん電車ね………って‼︎///」

 

 どうやら優子は俺の狙いに気づいたようだ。恥ずかしがってる顔が面白いな〜w

 

昂哉「優子ったら、人前でそんな事言うだなんてふしだらだな〜w」

優子「ちょっと⁉︎昂哉が言わせたんでしょ⁉︎」

 

 更にはそばにいた男子小学生まで、

 

ショタ1「あのお姉さん、ちんちんだって〜w」

ショタ2「ちんちんw」

 

 ノリ始めた。普段いじめられてる分の仕返しさ‼︎そばに男子小学生がいたのも丁度良かったね‼︎

 

優子「あの、君たち、これはそういう意味じゃないから‼︎」

昂哉「ひゃははははは‼︎ウケる〜w」

優子「元はといえばアンタのせいでしょ‼︎というか小学生と一緒に笑うな‼︎」

昂哉「知ってるか優子?三種の神器を。」

優子「三種の神器?」

昂哉「《b》ちんちん、《b》うんこ、《b》おっぱい。男はこれさえあれば、何歳であろうと笑顔になれるんだ。」

優子「確かにそういうところはあるかもだけどさ‼︎」

ショタ1・2「「おぉ〜‼︎すごいよ、おじさん‼︎」」

昂哉「でっしょ〜?」

優子「偉そうに言うな‼︎」

昂哉「優子が好きな同人誌のキャラだって、三種の神器で笑うんだよ。」

優子「アタシの綺麗なイメージを台無しにしないで‼︎」

 

 ちなみにこの三種の神器はじっちゃんから教わったよ。ありがとう、じっちゃん‼︎またこれで人を笑顔に出来たぜ‼︎

 

 

 

 

 

 路面電車と徒歩を使っていると、目的地に着く前に、

 

昂哉・優子「「ロン・キホーテ?」」

 

 変わった名前の雀荘があった。*4

 

昂哉「凄い名前………」

優子「入る?」

昂哉「優子は年齢的にダメでしょ。」

優子「昂哉だけでも………」

昂哉「まあまあ、優子が行ける歳になったら来ようか!」

 

 旅先で1人だけ放置するのは可哀想だからね。そんな事を思っていると、

 

優子「えっと………///」

 

 優子が照れ始めた。どうしたんだろう?なんか変な事でも言ったかな?

 

昂哉「どしたの?」

優子「だってアタシが雀荘にいけるようになるのは高校卒業してからだし……///」

昂哉「そうだね。」

優子「それはその…………そこまで付き合ってくれるって言うことで………///」

 

 あっ‼︎そういうことか‼︎なんでヤバい事を言ってしまったんだ、俺は‼︎あと最低でも1年半優子と付き合う事になるじゃないか‼︎

 

昂哉「あっ、えっと………///」

優子「と、とりあえず行こうか‼︎///」

昂哉「う、うん‼︎///」

 

 優子にお茶を濁されるようにして、俺たちは目的地へと向かった…………

 

 

 

 

 そして俺たちはいよいよ、

 

昂哉・優子「「五稜郭、到着‼︎」」

 

 目的地に着きました‼︎

*1
作者は20数年生きてきて自分で服を買った事が一度も無いので、服について全く知りません。なので何の服を着ているかは個人の想像にお任せします。

*2
この世界では既に北海道新幹線は札幌延伸しています。ちなみに北陸も新大阪まで延伸しています。

*3
作者もその1人です。

*4
実在します。店の人がめちゃくちゃいい人でした。函館に来たら是非‼︎




 ということで、闇鍋裏の函館旅行が始まりました!もうだいぶ仲良くなってる2人のイチャイチャをお楽しみ下さい‼︎ちなみに思ったより長くなりそうです。後2話は続く予定です。vsCクラスが早く読みたいという方はもう少しお待ち下さい。

 次回は五稜郭からスタートします。お楽しみに‼︎

 最後に、評価・感想をお願いします。



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第七十一問 海と戦の街・函館

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 俺たちは路面電車と徒歩により、

 

昂哉・優子「「五稜郭、到着‼︎」」

 

 目的地に到着した。

 

優子「確か『やるなら今しかねぇ、ZURA‼︎』の人と関係があるんだっけ?だっけ?」

昂哉*1「『攘夷がJOY、JOYが攘夷‼︎』の桂太郎はもう少し前の時代だから違うよ。」

優子「じゃあ、なんとかぜよ〜、の人?」

昂哉「坂本龍馬は五稜郭の戦争前に死んだから違うね。」

優子「じゃあ、『俺は大会で優勝したら、お前にプロポーズするんだ。愛してる、翔子〜!』の人は?」

昂哉「坂本雄二は闇鍋戦争で死んだから違うね。それとそのセリフはアンタの弟が雄二の声で言ったセリフだよ。」

優子「じゃあ誰なの?」

昂哉「土方歳三だよ、ここと縁が深いのは。」

優子「マヨネーズの人か!確か子分の沖田さんとケンカップルだった気がする!」

昂哉「それはアニメの話ね。鬼の副長しか合ってないけど。」

 

 ちなみに後半は優子が持ってる同人誌の話だからアニメすら合ってないけどね。

 

優子「えっ、そうなの⁉︎」

昂哉「そうだよ。史実とアニメをごっちゃにしないでね。」

優子「は〜い!」

 

 まあ優子の成績が上がると俺が試召戦争で勝てなくなって困るのだが、これくらいは知ってて欲しいからね。あと総合科目ならもう負ける気はしないし。そんな事を思いながら、俺と優子は中に入った。

 

 

 

 

 中に入って思ったのだが…………

 

優子「えっと、周りを囲っているもの………」

昂哉「城壁。」

優子「そう、それ!ここはそれが無いんだね!」

 

 周囲を壁のような城壁が覆っていないのだ。普通お城といったら周りを取り囲むように城壁があって、その外に堀とかがある。だがここは無い。まあ建てられたのが幕末だから、歴史の教科書で見る姫路城とかとは違う風になるのは当然なんだけどね。

 

昂哉「落ちないように優子は内側ね〜。」

優子「えっと………アタシの方が昂哉よりも強いから………外側を歩くよ///」

昂哉「じゃあ優子は万が一外側の俺が落ちたら、その強い力で引っ張ってね〜。」

優子「わ、分かった……///」

 

 正直ここで事故とかに遭ったら成人である俺が責任を負う羽目になるからね‼︎決して優子の事を大切に思ってるとか、そんなんじゃないんだからね‼︎

 

優子「それにしても、ここって戦争するために作られたんだっけ?」

昂哉「違うよ。確か奉行所だったはず。」

優子「お主を成敗する〜、的な?」

昂哉「そんな感じ。なんか秀吉みたいだね。」

優子「あの子、確か時代劇が好きであの口調を始めたんだよね。」

昂哉「懐かしいな〜。」

 

 あれは確か10年前。俺が休日の朝遊びに行ったら、いきなり秀吉が、

 

昂哉「おはよう、秀吉♪」

秀吉「昂哉兄、お主を成敗するぞい!」

昂哉「えっ⁉︎」

 

 いきなり昨日観た時代劇の口調を真似始めたんだよね。思えばアイツはその時から演劇が好きだったんだよな〜。幼い頃から変わらない夢を持ち続けるって、なんかカッコいいよね!

 

 

 

 そんな事を考えながら、俺たちはしばらく五稜郭内を巡った。中は奉行所跡以外は歴史的建造物が無かったため、思ったよりも早く見終わった。そして、

 

昂哉「そろそろ宿に向かうか!」

優子「そうだね!」

 

 日が落ち始めたので、俺たちは徒歩と路面電車を駆使して、宿へと向かった。

 

 

 

 

 宿に向かう途中、

 

ショタ1「あ、ちんちんお姉ちゃんだ!」

ショタ2「ホントだ!ちんちんお姉ちゃ〜ん!」

 

 五稜郭に来る前に会った男子小学生たちに再会した。

 

優子「ちょっと⁉︎誰がち………お姉ちゃんよ⁉︎」

昂哉「ちんちんお姉ちゃんって、それもうお兄ちゃんだよね。」

ショタ1・2「「確かに!」」

優子「誰が男だって?

昂哉「わぁ!ごめんごめん、ちんちんお姉ちゃん‼︎」

優子「だ・か・ら‼︎その……ちんちんを……取って‼︎」

昂哉「マジで?お前は俺に女になれと申すか?」

ショタ1「わぁ!おじさんがおばさんになっちゃう!」

ショタ2「酒おばさん‼︎」

優子「そういう意味じゃな〜い‼︎」

 

 ちびっ子たち、俺の事は出来ればお兄ちゃんと呼んで欲しかったな………。そんなに俺と優子って歳離れて見えるのかな?

 

優子「と・に・か・く‼︎このネタはやめること‼︎分かった⁉︎」

昂哉・ショタ1・ショタ2「「「は〜い♪」」」

優子「全く、1人は立派な大人なのに………」

昂哉「立派な大人になったのなら、もう別れていい?」

優子「何アンタ、殺されたいのかしら?

昂哉「誠に申し訳ございませんでした。」

優子「よろしい。」

 

 脅すのは卑怯だって…………マジで…………

 

優子「君たちも、こんな大人になっちゃダメだよ!」

ショタ1・2「「は〜い!」」

昂哉「優子、そういえばそろそろ宿だよ。」

優子「確かに。それじゃあまたね〜!」

昂哉・ショタ1・2「「「バイバ〜イ!」」」

 

 ということで、俺は反面教師になった後、ちびっ子たちに別れを告げて、宿の中へと入った。

 

 

 

 

 

 宿の中に入ると、そこには

 

優子「凄い、めっちゃ豪華‼︎」

 

 豪華絢爛な内装と、

 

ホテルマン「こちら、ウェルカムドリンクのスパークリングワインになります。」

 

 来た成人済みのお客さんにワインを渡すホテルマンと、

 

おっちゃん「そんな部屋、ウチにはねえぞ?」

伊織「おっちゃぁぁぁぁん⁉︎」

千紗「何故ここに………」

 

 沖縄のレンタカー屋で見たことあるおっちゃんが居た。というかなんでここに居るんだ?予約した俺すら存在を知らなかったんだが………

 

優子「あの人、沖縄のレンタカー屋の人だよね?」

昂哉「多分そのはず………」

優子「なんで函館に居るの?」

昂哉「さあ?双子なんじゃない?」

優子「かもね………」

 

 あのおっちゃんの双子とか、ロクな人じゃなさそう………って待てよ?嫌な予感がする…………。あのおっちゃんの双子だからきっと何かの管理がずさんで………さて、何がマズいのか…………

 

 

 

 

 その答えは、部屋に着くとすぐに分かった。

 

優子「ダブルベッドの部屋を予約したんだね……///」

昂哉「えっと………///」

 

 2つ別々の部屋、いわゆるツインベッドの部屋を予約したはずなのに、出てきたのは2人が1つの布団で寝るためのダブルベッドの部屋だった。これを見た瞬間、俺はすぐさまフロントに電話を入れた。

 

昂哉(電話)『すいません、ツインベッドの部屋を予約したんですげども………』

おっちゃん(電話)『ツインベッド?そんな部屋、ウチにはねえぞ?』

 

 予想通りの答えが返ってきた。マジか…………。でも俺たちは一応恋人………ダブルベッドでもおかしくないか………

 

昂哉(電話)『分かりました。ご対応ありがとうございます。』

おっちゃん(電話)『ほ〜い。』

 

 俺は電話を切ると、優子に気を遣わせるのも悪いので、すぐに話題を変えた。

 

優子「昂哉、なんかごめん………」

昂哉「そういや優子、カーテンを開けてごらん?」

優子「カーテン?分かった………」

 

 ということで、優子がカーテンを開けると…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには一面に津軽海峡が広がっていた。浜辺に押し寄せる荒々しい波が、津軽海峡らしい魅力といえよう。時々聞こえる波の音が、これまた心地良い。何を隠そう、俺がこのホテルを選んだのは、この景色が見たかったからさ!

 

優子「すっご〜い‼︎めっちゃ海じゃん‼︎」

昂哉「優子、語彙力がFクラス並みになってるぞ〜。」

優子「だってホントに凄いんだもん‼︎ありがと、昂哉♪」

昂哉「ど、どうも………///」

 

 さっきの部屋間違いによる気まずさを気にもとめずににっこりと笑う優子。そう笑ってくれるとありがたいと同時に、ちょっと照れくさい………

 

昂哉「よ、よし、それじゃあ隣にある函館ラーメンでも食べに行くか〜!」

優子「う、うん!」

 

 照れくさいのを隠すように、俺は話題を変えた。今回の旅行では朝食はとってるものの、夕食はとってなかったので、こうしてホテルとは別のところで食べる事になってるのだ。

 

 

 

 夕食に向かう途中、死にかけの奴らからLINEが飛んできた。

 

雄二(LINE)『三途の川って、思ったより綺麗なんだな。』

秀吉(LINE)『川の水は美味しかったのぅ。』

 

 なので、俺は、

 

昂哉「優子、こっち向いて〜。」

優子「ん、何?」

昂哉「はい、チーズ♪」パシャ

優子「へっ?///」

 

 優子とのツーショット自撮り(津軽海峡バック)を撮って、

 

昂哉(LINE)『津軽海峡は綺麗やな〜♪』

 

 奴らに送った。

 

明久(LINE)『クソ、このリア充が‼︎』

 

 へへ〜んだ‼︎日頃から尻に敷かれてる分のご褒美だぜ〜♪さあ、俺を羨め………

 

ムッツリーニ(LINE)『………クラスLINEに転送しておいた。』

 

 へっ?マジで?クラスLINEを見ると、そこには確かに、

 

ムッツリーニ(LINE)『………須川会長、こちらの写真について、週明けに議論致しましょう。』

須川(LINE)『報告感謝する、土屋会員。』

横溝(LINE)『どうやって殺そうか?』

福村(LINE)『それはもう残酷に殺してやろうぞ。』

朝倉(LINE)『力がみなぎる‼︎』

 

 さっき送ったツーショット写真が貼ってあった。

 

昂哉「こりゃしばらく学校は行けなそうだな〜。」

優子「はぁ?アンタ10月の函館の海に入りたいの?」

昂哉「冗談でございます、優子様。」

優子「よろしい。」

 

 学校を休めば優子に殺され、登校すればクラスの連中に殺される。前門の虎、後門の狼とはこの事か…………

 

 

 

 

 津軽海峡をバックに、あっさりとした塩ラーメンを食べた後、俺たちはホテルに戻って温泉に入る事にした。ここのホテルの温泉は露天風呂を含めて全て津軽海峡を前面に望みながら楽しむことが出来るのだ。浜辺に押し寄せる波の音を聞きながら露天風呂に浸かっていると、俺はある人物に話しかけられた…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リンネ「ねえ、そこのオジサン!」

 

 いや、誰やねん。俺は外国人のショタと仲良くなった覚えは無い‼︎

 

昂哉「誰?Who are you?」

リンネ「Vock O Butte(ヴォルク・オー・ビュッテ)、ダヨ‼︎」

昂哉「なるほど、ゔぉくおぶって……って痛ぁ⁉︎」バシン‼︎

 

 なんかこのガキにいきなり殴られたんだけど⁉︎何こいつ⁉︎

 

昂哉「テメェ、何すんだ⁉︎」

リンネ「テメェ、じゃ誰だか分かんないヨ‼︎」

昂哉「おい、ゔぉくおぶって!お前の……って痛ぁ⁉︎」バシン‼︎

リンネ「HaHaHa‼︎」

 

 こいつしばいたろか?ゔぉくおぶってだかなんだか知らねえが………って、ゔぉくをぶって………僕をぶって…………なるほどね、そういう事か‼︎コイツの名前だか偽名だか知らんが、コイツの名前を言うたびに、僕をぶって、って俺が言ってる事になるのか!それならこっちにも策がある‼︎

 

昂哉「Hey, you‼︎」

リンネ「Hi?」

昂哉「My name is 陳苔(ちんこけ) 手管塞(てください)

リンネ「ちんこけ……ってください?」

 

 そしてガキが言うや否や、俺は津軽海峡の前でガキの股間を思いっきり蹴り上げた。

 

昂哉「オラァ‼︎」 キーン

リンネ「あぁぁぁぁぁぁ⁉︎痛っあ⁉︎ナニするノ⁉︎」

昂哉「お前がやったのと同じ事だよ!」

リンネ「くっ……‼︎」

昂哉「さあ、この俺に何の用かな?Why did you talk to me?」

リンネ「見たことある……顔シテたカラ……」

 

 見たことある顔?

 

昂哉「俺、君と話したことあったっけ?Have I talked to you?」

リンネ「タカシロから聞いタ‼︎」

 

 高城先輩か………ってなんで⁉︎まさか交換留学関係⁉︎でもそれは高城先輩じゃなくて高天原大門じゃね?それに、俺は交換留学とか行く気無いし………

 

昂哉「なるほど!俺の名前は昂哉、よろしくね!」

リンネ「ボク、リンネ‼︎ヨロシク‼︎」

 

 まあとにかく、交換留学に来た子と出会えたのはいい機会だったかも!俺はしばらく温泉でリンネとおしゃべりをした。

 

 

 

 温泉を出てリンネと別れると、俺は自分の部屋へと戻った。そういえば何故リンネは俺が函館に居る事を知ってたんだ?偶然同じタイミングで同じ宿に旅行に来てたのか?それにしても旅先であの態度は俺だと確信してないと出来ないはず………。じゃあ明久たちから高城先輩か高天原かリンネが聞いたのか?でもなんでその人らは俺たちの居場所を知っていた?優子が漏らすとは思えないし…………。それに、リンネとは初対面だぞ?

 

 まあ、そんな難しい事を考えてもダメか!とにかく出会いに感謝‼︎ヤンキーみたいだけど‼︎そして優子と旅行を楽しもう‼︎

 

 

 

 部屋に戻ると、俺は優子にリンネの事を話した。

 

優子「えっ⁉︎凄い偶然だね⁉︎というか昂哉の事知ってたんだ‼︎」

昂哉「それな!いや〜、俺も有名人になっちゃったよ〜‼︎」

優子「なんか昔みたいだね!」

昂哉「それな!」

 

 小中学生の頃だね。あの時は運動以外何でも出来る奴って事で他の学年にも知られてたな〜。

 

 そんな事を思ってると、優子が話題を変えた。

 

優子「そういえば、明日はどこに行くの?」

昂哉「朝飯を食った後、朝市とか駅周辺を散策だね〜。そこで昼飯まで過ごす予定だよ!」

優子「その後は?」

昂哉「有名な坂に行った後、いよいよメインスポットさ!」

優子「メインスポット⁉︎楽しみ〜♪」

 

 コイツの喜ぶ顔を見れただけでも、ここに来た甲斐があったな………って!俺の目的はあくまで姫路飯を回避する事でしょ‼︎コイツのことは5の次くらいのはず‼︎それなのに、なんで………っ⁉︎

 

 考えても仕方がなかったので、俺は考えるのをやめて、

 

昂哉「まあ明日も早いし、寝るか!」

優子「そ、そうね!」

昂哉「それじゃあおやすみ〜!」

優子「おやすみ〜!」

 

 眠気に身を任せる事にした。優子と同じ布団だからドキドキこそするけれども、前に比べると慣れた………気がする…………

 

 

 

 

 目を覚ますと、外はまだ暗かった。早く起きすぎたのかな?そんな事を思ってると、

 

優子「………たかや………ごめん………なさい………」

 

 優子が寝言かなんかでぶつぶつ呟いていた。悪い夢でも見てるのかな?大丈夫かな?心配なので、俺は優子の手を握って、

 

昂哉「大丈夫だよ〜。怖くないよ〜。」

 

 安心させようと………

 

優子「えっ⁉︎昂哉、起きてたの⁉︎」

 

 はい?

 

昂哉「優子も起きてたの?」

優子「えっ、えっ、えっと………今起きたの!」

昂哉「そっか。それじゃあまだ時間もあるし、二度寝するか〜。」

優子「そ、そうね。お、おやすみ〜!」

昂哉「おやすみ〜。」

 

 優子のアレは寝言だったのか?それとも俺に聞こえてないと思って言ったのか?俺に謝るなんて、そんな事をするなら素直に暴力を止めればいいのに〜。そんな事を思いながら、俺は再び眠気に身を任せた。

 

 

 

 

 目を覚ました後、俺たちは朝食のバイキングに向かった。

 

優子「凄い!刺身‼︎刺身があるよ‼︎バイキングに‼︎」

昂哉「また語彙力が300、500くらい*2になってるよ〜。」

優子「でも凄いじゃん‼︎普通ないよねぇ‼︎バイキングに刺身‼︎」

 

 まあ優子がはしゃぐのも分かる。ここのホテルはなんといっても朝のバイキングで何種類もの刺身が出る事で有名だ。マグロにサーモンに明太子など………。バイキングの定番である肉やサラダの横に普通に刺身が置いてある光景が、新鮮だった。

 

 そしてなんと…………

 

昂哉・優子「「ん^〜♪」」

 

 これがめちゃくちゃ美味しいのである‼︎バイキングで作るプチ海鮮丼は、まさに味の玉手箱や〜‼︎これは朝市で昼食べる海鮮丼にも、期待がかかりますね〜♪

 

優子「これが明日も食べられるんでしょ⁉︎」

昂哉「もちのロン!」

優子「アタシ、2日で全部食べ切れるかな〜?」

昂哉「絶対無理だから選んで食べな〜。」

優子「は〜い!」

 

 正直刺身以外も美味しそうなので、5泊くらいして全部食べたいくらいである。というか文月の学食をここにしよう‼︎そしたら全員が幸せになれると思うよ‼︎

 

 

 

 しばらくすると、

 

昂哉・優子「「ごちそうさまでした〜♪」」

 

 俺たちは朝食を食べ終わったので、

 

昂哉「んじゃ、行きますか〜。」

優子「うん!」

 

 俺たちは次なる目的地へと、路面電車に乗って向かった。そして向かった先は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「青函連絡船記念館・摩周丸⁉︎」

 

 船の中だ‼︎

*1
CV.石田彰

*2
麻雀の最低打点が300、500である事から、語彙力がめちゃくちゃ低くなってる、の意味で使われ始めた慣用句




 ということで、五稜郭とホテルでの話でした。沖縄にいたレンタカー屋のおっちゃんの双子が出てきたり、リンネが出てきたりと色々ありましたね。

 ちなみにホテルのモデルは湯の川プリンスホテル渚亭です。作中で出た内容以外にも部屋に露天風呂があったり石釜グリルやひこま豚、寿司などが出るビュッフェなどとにかく凄いホテルです。函館に来た際は是非立ち寄ってみて下さい‼︎

 さて、次回は函館西部を回ります。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第七十二問 船とお昼と八幡坂

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 俺たちは、

 

優子「青函連絡船記念館・摩周丸⁉︎」

 

 函館駅の近くにある、青函連絡船記念館にやってきた。それは記念館というか、まんま海に浮かぶ船だった。一応ちやんと陸から入れるようにはなってるけど。

 

昂哉「昔青函連絡船として活躍してたんだって〜。今はこうして記念館というか博物館としてあるっぽい。」

優子「博物館というか博物船ね、これじゃあ………」

昂哉「確かに!」

 

 それにしても、前に使ってた船を丸々展示用に使うって大胆な発想だよね〜。函館市か青森市の職員かは分からないけど、考えた人はすごいと思うよ!

 

 

 

 早速俺たちは船の中に入ると、予想通りの反応が聞こえてきた。

 

優子「すごい、ここが操舵室か〜‼︎色んな機械がいっぱいあるよ………ってあっちは通信室になってる‼︎モールス信号の表があるわ‼︎これにもフーリエ変換とかが生かされてたりして………」

 

 何を隠そう、コイツはリケジョ*1なのである。特に工学部の機械や電気系に興味があるらしく、船や飛行機などの中を見ると子供の時みたくはしゃぐのである。もちろんコミケとかで同人誌買い漁ってる時も同じような反応をしているが。

 

昂哉「こっちには座席があるみたいだね。」

優子「ホントだ〜!この座席にも理系の知識がたっぷりあるんだよね〜。例えば人間工学かな?摩擦や弾力などを数値化して………」じゅるり

 

 そして、優子は好きなものを目の前にすると、こうしてたまによだれも出すのである。子供か。

 

昂哉「優子、よだれ出てるよ♪」

優子「へっ………?///」

昂哉「ほら、ハンカチあげるから拭きな〜。」

優子「あ、ありがとう………///」

 

 まあちょっとは大人になったからこうやって恥ずかしがっちゃうんですけどね。こういう時は、普段の仕返しをするのが面白い‼︎

 

昂哉「………」パシャ

優子「ちょ、ちょっと昂哉⁉︎なんでアタシを撮ったの⁉︎」

昂哉「だって高校生にもなってよだれ垂らしてる奴がいたら、広めたくなるじゃん!」

優子「恥ずかしいから消して!」

昂哉「や〜だ〜♪」

優子「甲板から突き落としていい?」

昂哉「消した、消したから許して!」

優子「許そう。」

 

 ホント、おっかねえ女だ。でも最近はそのおっかなさも陰を潜めている。俺がちゃんと真面目に(当初比)過ごしてるからね!まあ嵐の前の静けさかもしれないけど。

 

 

 

 

 俺たちは船内を見終わった後、甲板に向かう事にした。その途中、

 

優子「操縦室で男が2人、何も起きないはずがなく………」

昂哉「何も起きなかったら職務怠慢だよね。船を動かさないといけないんだから。」

優子「そういうことじゃな〜い‼︎」

 

 優子が持ち前の腐女子妄想力を発揮してたのが面白かった。コイツ、どんなとこでも妄想してるよね。この前は新幹線で偶然隣に座った男同士が親睦を深めていく様子をあれこれと妄想してたし。なんというか、流石だ!

 

 

 

 甲板に出ると、海から見える函館の街並みという、変わった景色が見られた。

 

優子「なんか新鮮よね。普通は街から海を望むのに。」

昂哉「漁師になった気分だよね。」

優子「いっそこのままこれを動かして青森まで行っちゃう?」

昂哉「それなら優子は操縦士と機関士と通信士とシェフをお願い!」

優子「アンタは何すんの?」

昂哉「甲板で漁火(いさりび)*2ぶん回して遊んでるわ〜。」

優子「そしたらマグロが集まってきて転覆させにくるかもよ?有名な大間は津軽海峡の対岸にあるし。」

昂哉「怖………。だったら大人しく寝ようっと!」

優子「何も手伝わないんかい!」

 

 まあいずれ優子や秀吉たちと自分たちだけで船を借りて旅をしてみたいよね〜。自分たちだけの楽しい海の空間。なんかオシャレだと思いません?

 

 

 

 

 こうして博物館ならぬ博物船での楽しい時間は幕を閉じた。そしてそのまま俺たちはすぐそこにある、

 

優子「函館朝市だ!」

昂哉「今は昼だけどね。」

優子「風情を乱すことを言うな!」

 

 函館朝市へとやってきた。

 

優子「それにしても、本当にお店がいっぱいあるね〜。」

昂哉「どれがいいか迷っちゃうよ〜。」

優子「ならいっそ全部食べちゃうとか!」

昂哉「那須の動物園でバイキング食べ過ぎて動けなくなったのだ〜れだ?」

優子「昂哉!」

昂哉「自分のことを棚に上げるな。」

優子「へへっ、ごめん♪」

昂哉「許そう。」

 

 沢山の魚屋さんを目の前にテンションが上がりまくる優子。さっきの船といい、コイツのこういう姿を見れただけで函館まで来た甲斐があるよね。どっかの誰かさん達が姫路産闇鍋の後遺症で死んでる中、港町の新鮮な魚をたらふく食べる。控えめに言って最高だぜ!

 

 

 

 

  side 明久

 

 昨日の姫路さんが作った闇鍋がまだ胃の中で(うごめ)いている………他3人も似たような事を言ってるな………。こんな中自分は一切のダメージを負わずに木下さんとイチャラブ函館旅行に行ってるあのクズには、何か制裁を与えないと気が済まない………

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 あまりにも朝市には沢山の店があったので、俺たちはどこで昼を食べるか迷っていた。

 

優子「それにしても、どこのお店でお昼食べる?」

昂哉「そうだな〜。それじゃあ適当にルーレットで決めるか!」

優子「ルーレット?そんなの持ってるの?」

昂哉「スマホのアプリさ!」

優子「なるほど!」

 

 ということで、俺はスマホに入っているルーレットアプリを起動させた。ちなみにこれは学校サボって遊びに行く時によく使ってるよ。1が出たら駅前の雀荘、2は川の近くの雀荘、3は駅前のパチンコ屋、4は昼に開いてる居酒屋、5は高尾山や横浜などの近郊旅行、みたいにね。

 

優子「ちなみに昂哉はこれを何に使ってるの?」

昂哉「学校の帰りにどこ寄るか迷った時とか。」

優子「なるほどね〜。」

 

 マジで危ねえ………危うく死にかけた…………というか心読むなし。全く、可愛いんだか怖いんだか分かんないよ!

 

 

 

 ルーレットの結果、俺たちは海鮮丼専門店山奥屋*3に入った。海鮮丼専門店のくせに名前が山奥とかいうのが謎だったが、どうやら店長の苗字が山奥だそうだ。それなら仕方あるまい。

 

 そんな事を考えてると、俺は優子に話しかけられた。

 

優子「昂哉、何食べる?」

昂哉「う〜んそうだな〜、この『全部のせ』ってヤツかな〜?」

 

 この店で提供している全種類の魚を全部シャリの上に乗っけたものだ。

 

優子「おお………結構量多そうだけど、食べ切れるの?これ普通の海鮮丼の2人前はあるって書いてあるけど………」

昂哉「なら優子と分担して食べるとか?」

優子「ぶ、分担………⁉︎えっと、それは………その………///」

昂哉「俺が魚を食べるから、優子はご飯をお願い!」

優子「はるばる函館に来てご飯だけを食べさせる気?」

昂哉「まさかお前………ご飯を冒涜(ぼうとく)するというのか⁉︎」

優子「えっ⁉︎い、いや、そういうわけじゃないけど………」

昂哉「ならば食らいつけ‼︎日本が誇る銀世界に‼︎」

優子「すいませ〜ん、『日替わり海鮮丼』を2つお願いしま〜す!」

山奥(店員)「はいよ!」

昂哉「勝手に頼むな!」

 

 どうやら俺にメニューを決める権利は無いらしい………

 

 

 

 ただ『日替わり海鮮丼』というメニューは迷える観光客にとって、かなりの画期的なものだった。これを食べればある程度の種類の魚を食べることが出来る。しかも『全部のせ』に比べると量も良心的。

 

優子「何が来るのかな⁉︎」ワクワク♪

昂哉「楽しみだね〜♪」

山奥「へい、お待ち‼︎」

 

 さてと、今日の海鮮丼はなんでしょう⁉︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉→いくら、マグロ、サーモン、ネギトロ

優子→ほたて、うに、タイ、しらす

 

 

 『日替わり海鮮丼』のくせに、何故か2人とも違った。

 

昂哉・優子「「なんで⁉︎」」

山奥「お客様が注文してる時に日付が変わりましたので。」

昂哉「いやいや、今は真っ昼間ですよ⁉︎どこに日付が変わる要素があるんです⁉︎」

山奥「当店は世界を意識するため、日本の反対側にあるブラジルの標準時間*4に合わせております。」

昂哉・優子「「意識の仕方がおかしくないですか⁉︎」」

 

 もっと店の中の言語を増やすとか、他にやることがあるでしょう⁉︎よりにもよって何故時間をいじった⁉︎どう考えても不便だろ‼︎

 

 

 

 

 そんな不便な時差とは裏腹に…………

 

昂哉・優子「「うんめぇ^〜♪」」

山奥「でしょう⁉︎」

 

 海鮮丼はめちゃくちゃ美味しかった!口の中で沢山の魚を味わうその様は、まるで水族館に来て色んな魚を見ているかのようだった。口内水族館、と言った方が分かりやすいか。そしてその彩りをより際立たせるのが日本が誇る銀世界、ご飯だ。海鮮丼は当然魚に合うように酢を用いて味付けされ、それはシャリと呼ばれている。そのちょうどいい酸っぱさが、より口の中で泳ぐ魚たちの群れにスパイスを与えている。

 

優子「ん^〜♪」

 

 それと、優子が作った海鮮丼を一度食べてみたくなった。俺は正直に言って優子が作る飯が好きだ。だからこそ、色んなところで食べたご飯が優子テイストになったらどうなるのだろう、とつい想像してしまう。今日の海鮮丼も、きっと更に俺好みの味になるんだろうな〜

 

 そんな妄想が頭の中をぐるぐると駆け回っていると、あっという間に食べ終わってしまった。楽しいことをしていると時が過ぎるのが早いのと同様に、美味しいものを食べている時もどうやら早く過ぎるようだ。まあ普段の優子弁当の時もそうだが。

 

優子「ふぅ〜、お腹いっぱい♪」

昂哉「なのにあっという間に食べ終わった!」

優子「不思議だよね〜。これが美味しさの証って事かな?」

昂哉「まあ、俺はいつもそうだけど♪」

優子「えっ………?///」

昂哉「それじゃあ会計お願いしま〜す♪」

山奥「はいよ!」

 

 照れる優子を横目に、俺は会計をまとめて済ませて店を後にした。

 

優子「あの、その、いつもって………///」

昂哉「言った通りだよ。いつも作ってくれてありがとね!」

優子「ど、どういたしまして………///」

昂哉「さてと、それじゃあ次の場所に行くぞ〜!」

優子「う、うん!///」

 

 今でもたまに、ほんのたまに思うことがある。もし俺が模範的な生徒に戻って優子と別れたのなら、その時は優子飯が食えなくなるだろう。それが結構だから、正直模範的な生徒になどならなくていいからこのまま優子との関係を続けてもいい、とほんのちょっと、それこそ顕微鏡でも見えないくらいに思ってしまう自分がいる。まあそういう時は、

 

優子「まあ褒めてもいじめるのはやめません♪」

昂哉「クソが‼︎」

 

 こんな感じでだいたい優子が台無しにするというね。本当に勿体無いと思う。そんな事を思いながら俺は優子と一緒にちんちん電車、もとい路面電車を使って次の場所へと向かった。

 

 

 

 

 路面電車を降りてからしばらく歩くと、俺たちは次なる目的地へと着いた。今は目的地である坂の下にいる。

 

優子「えっと………何この坂?」

昂哉「登ってみれば分かるよ!」

優子「わ、分かった!」

 

 ということで、俺たちは坂を登る事にした………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のだが、深刻なアクシデントが発生した。

 

昂哉「ぜえ………ぜえ………」

優子「だ、大丈夫?」

 

 俺の体力が持たないのだ。俺は生粋の運動音痴な上、20歳を過ぎてから段々と身体が動かなくなってきている。最近では体力測定をやった日から3日間ずっと筋肉痛が抜けなかったりなど、老化がかなり深刻だ。それもそのはず、日頃学校で酒を飲むために歩いて登下校している以外は運動をしていないからである。だから俺は、

 

昂哉「だい………じょう………ぶ………」

 

 一歩一歩がとてつもなく重く感じるのだ。これが老いか………

 

優子「絶対大丈夫じゃないわよね?」

昂哉「あと………ちょっと………だから………」

優子「まだ半分以上あるけど………」

昂哉「えっ…………?」

 

 せっかく優子に紹介したい場所があるのに、これじゃあ台無しだ。一体なんのためにここに連れてきたんだか………

 

 そんな事を思っていると、

 

優子「ほら、アタシの上に乗りなさい。」

昂哉「はい?」

 

 優子がしゃがんでおんぶさせる体勢になった。いや、でもまさか俺のことをおんぶしようなんて…………

 

優子「アタシがおんぶしてあげる♪」

 

 ないよなぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎

 

昂哉「えっと………その………それは………」

優子「ここでアンタにへばられたら困るから………っね!」グイッ

昂哉「なっ⁉︎」

 

 って無理矢理おんぶさせられたぁぁぁぁぁぁ⁉︎改めて思うけど、コイツめちゃくちゃ力強いな……………

 

昂哉「優子は………はぁっ………大丈夫………なの?」

優子「このくらい平気よ!」

 

 ということで、身長182cmの成人男性は身長158cmの17歳女子高生におんぶされながら坂を登りました。はっず。

 

 

 

 

 そして俺はおんぶされたまま坂を登りきった。

 

優子「着いたよ〜。」

昂哉「凄いね………優子は………はぁっ……」

優子「介護されたくなったら呼んでね。」

昂哉「まだそんな歳じゃないと………信じたい……」

 

 正直ここまで酷くなるのは、それこそ還暦を過ぎた辺りからだと思ってた。でも現実は違った。運動不足なだけでここまで歳取ると思わなかったよ〜。*5

 

 そんな事を思ってると、

 

優子「それにしても、なんでこんな坂を登ったの?」

 

 優子にここにきた目的を尋ねられたので、俺はそれに答える事にした。

 

昂哉「それは………後ろを見てごらん?」

優子「後ろ?」

 

 ということで、俺たちは後ろ、もとい今まで登ってきた道を振り返ると………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこにはドラマとかで見たことがあるような、函館の街並みと海に通じる真っ直ぐな道があった。沿道には紅葉で紅く染まった木が植えられている。道の先には函館の海とさっき乗った博物船があり、そしてさらにその先にはまた函館の街並みが見えるという独特な景色である。そしてその坂があまりにも真っ直ぐに海や街へと向かってるので、まるで一つの滑走路のように見えてしまう。ここから更に北へと旅立つための滑走路みたいに。

 

優子「綺麗…………‼︎というかなんか見たことあるような気がする‼︎」

昂哉「ここは八幡坂と言ってね、アニメやドラマのロケ地なんかに結構使われてるんだよ!」

優子「通りで‼︎」

 

 まあこんな幻想的な場所があったら使いたくなるよね。そして、この坂の登った先には意外なものがある。

 

優子「というか、こんなところに高校があるんだ………」

 

 高校だ。ちなみに名前は函館西高校。なんともまあ、凄いところに高校を建てたもんだ。

 

昂哉「毎日絶景を眺められて羨ましいよね!」

優子「それ!アタシここに編入しよっかな〜♪」

昂哉「いっそのこと文月を卒業した後入学したら?」

優子「そしたら20代高校生が爆誕………って知り合いに2人もいたわね。」

昂哉「なんなら70代高校生もいるしな。」

優子「うちの高校ってホント凄い人ばっかりね。」

昂哉「それな!」

 

 立地面の魅力なら圧倒的にここの高校に負けるけど、中の人の魅力というか個性的具合ならどこにも負けない気がする。ホント、高校、というか文月に入って大正解だったよ!

 

 

 

 俺たちは坂の下の街並みをバックに記念写真を撮った後、八幡坂を後にした。そしてこれから向かうのは、いよいよ今回の函館旅行で一番行きたかった場所だ!

*1
ご存知の通りオリジナル設定、僕が理系だから好きな優子も理系にしちゃいました!

*2
夜間に漁をするときに魚をおびきよせるために焚く火のこと

*3
これだけは実在しません。

*4
日本の12時間遅れ

*5
酒の飲み過ぎです。




 ということで、青函連絡船記念館摩周丸→函館朝市海鮮丼専門店山奥→八幡坂でした。前の話を書いた段階ではこの話で函館旅行を終わらせるつもりだったのですが、思ったより長くなったので次に続きます。最後は一体どこに行くのか………それは次回のお楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第七十三問 百万ドルの夜景

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 八幡坂を後にすると、俺たちはいよいよ函館最後の目的地にしてメインスポットへとやってきた。

 

優子「このロープウェイって、まさか⁉︎」

昂哉「優子の予想通り、函館山へ登るためのヤツさ!」

優子「もしや百万ドルの夜景って言われてるのって……」

昂哉「そう、これです!」

優子「おお!」

 

 やっぱり函館といったらコレだよね!普段SNSとかで見る景色をこの目で直に焼き付けられる。そのために函館に来たまであるよ!

 

優子「それにしても、ロープウェイを待ってるだけなのに凄い長蛇の列ね……」

昂哉「特にカップルが多いね。まあ場所が場所だし当然だけど。」

優子「アタシたちもその中の1組か……///」

昂哉「嬉しい?」

優子「う、うん………///」

昂哉「それなら良かった♪」

 

 嬉しそうに、そして照れくさそうにちょっとうつむく優子。可愛い。

 

 

 

 

 そんな事を思ってると、いよいよロープウェイに乗る番がやってきた。

 

スタッフ「足元に気をつけてお乗りくださ〜い!」

昂哉・優子「「は〜い!」」

 

 ロープウェイの中は人でいっぱいだったが、なんとか窓側の景色が見えやすい位置を確保する事が出来た。恐らくこの位置からだと函館の市街地、北側が見えるはず‼︎

 

 

 

 

 そしてロープウェイが徐々に登っていくと、

 

昂哉・優子「「凄〜い!」」

 

 俺たちは圧巻の景色を見ることが出来た。紅と黄色に染まった山の上を一気に駆け上がるロープウェイ。ちょうど下も鏡張りになっていることから、まるで紅い絨毯の上を歩いているようだった。更には所々の紅葉により紅く染まった街並みが徐々に小さくなってゆく。それに伴い、段々と見える世界が開けていくのが、どんどん上に登っているのを感じさせる。

 

優子「まだ山頂じゃないのにこの景色………凄い♪」

昂哉「昼間だからちょうどこの紅葉が綺麗に見えるよね。」

優子「函館山って夜景だけじゃなくて昼の景色も凄かったんだね!」

昂哉「それな!」

 

 あまりの凄さに正直語彙力がFクラス並みになっている。マジで凄い!パナい!ハンパない!ヤベエ‼︎

 

 

 

 そんな事を思っていると、ロープウェイは山頂に到着した。ただ到着したのは建物の一階であり、山頂の展望台は2階と3階にある。ちなみにこの2つの展望台は外で階段によって繋がっているため、どっちの階に行っても絶景は見られるので問題ない。

 

昂哉「んじゃ、早速展望台に行きますか〜!」

優子「うん!アタシ楽しみ!」

昂哉「俺も俺も!」

 

 さて、一番上からはどんな景色が広がってるのか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それはマジでヤバかった。観光サイトやSNSとかで見る函館半島とその両側にある海の景色が、目の前に広がっていた。ビルが織りなす白と、山の紅、そして海と空の青が織りなす絶景は、まさに100万ドルの価値があるように思えた。夜景が売りの場所なのだが、昼の景色もとても素晴らしい!正直言ってこれだけでも数万円かけて函館に来た価値があると思う。

 

 ただそれだけ素晴らしい場所なので、当然観光客も多かった。そのため、

 

優子「えっと………その………」

 

 女子の平均身長くらいしかない優子は前の人たちの影響でかなり景色が見にくいのだ。182cmある俺なら前の人がいようがいまいがあまり関係ないのだが、158cmにはかなり厳しいだろう。よし、ここはあの時のお返しといくか!

 

昂哉「ほら優子、乗って!」

優子「へっ………?///」

 

 おんぶ大作戦だ!

 

優子「いや、その、昂哉は大丈夫なの?」

昂哉「多分!」

優子「ここは坂と違って結構人いるからやめた方が………」

昂哉「なら抱っこにする?」

優子「えっと………///」

 

 優子が照れて戸惑ってたので………

 

昂哉「ごちゃごちゃ言わずに景色を楽しむべし‼︎」ヒョイッ!

優子「ひゃあ⁉︎///」

 

 俺は無理矢理優子を持ち上げた。

 

昂哉「どう優子、見える?」

優子「あばばばばばば///」

昂哉「急に宇宙人になるな。」

優子「う、うん!!!!!///」

 

 どうやら無事に景色を見れたようだ。これが見れないんじゃここに来た意味がないからね!

 

昂哉「そろそろ下ろすよ〜。」

優子「ありがとう……///というか昂哉は大丈夫だった?アタシ重くなかった?」

昂哉「いや〜、100kgぐらいあるかと思ったわ〜w」

優子「じゃあ今度はアタシが持ち上げてあげようか?

昂哉「ごめんごめん!謝るから!だから無理矢理俺を持ち上げて展望台から落とそうとしないでぇ〜‼︎」

優子「はいはい。でもまあ、ホントにありがとね!」

昂哉「どういたしまして!」

 

 まあ正直に言うと俺がキツかったのは優子が重いんじゃなくて俺が非力なだけだからね。普通の成人男性ならなんとも思わなかっただろう。

 

 

 

 

 しばらく展望台で絶景を眺めたり写真を撮ったりした後、俺たちは夜になるまで待つために、展望台の中にある売店でお土産を買う事にした。

 

優子「えっと………何がいいかしら?」

昂哉「う〜んと………白い恋人はクラスの連中用に買うか〜。」

優子「それ大丈夫?殺されたりしない?」

昂哉「大丈夫大丈夫!これを彼女だと思って大切にしてくれ、って言えば納得すると思う!だってアイツらバカだし!」

優子「クッキーは一回食べたら無くなるけどね。」

 

 それがいいんじゃないか!クッキーを食っただけで絶望に歪むクラスメイトたち!そんな姿を見ちゃあ、ゲラゲラ笑っちまうよなぁ⁉︎

 

昂哉「それより優子はクラスに何買うの?」

優子「そもそも持ち物検査で没収されると思うんだけど……」

昂哉「じゃあ友達に家で渡すしかないか〜。」

優子「そうね!」

 

 ぶっちゃけFクラスの連中は女子含めて平気で校則違反の物を持ってきてるけどね。この前の2学期の2日目のときとかなんて俺以外全員エロ本やら抱き枕カバーやら没収されてたらしいし。ちなみに俺は何も没収されなかったよ!何故なら学校サボってパチンコ打ってたからね!まあその日シン○ォギアの4パチで10万円パチンコに没収されたから対して変わらないけど。

 

 そんな事を思ってると、

 

優子「決めた!アタシはこれにする!」

 

 優子がどうやらお土産を決めたみたいなので見てみると、そのパッケージには百万ドルクッキーと書いてあった。

 

昂哉「優子、まさか百万ドル(1億円)払うの⁉︎」

優子「いやいや、そういう名前なだけだから!それに、これの値段は二千円くらいだし!」

昂哉「ならそれは百万ドルクッキーじゃなくて二十ドルクッキーだよね。」

優子「急にショボくなったわね………」

昂哉「なんならロープウェイが往復三千円だから、今から見るのは三十ドルの夜景になるね。」

優子「景色までショボくしないで!」

 

 そんなこんなで楽しく優子と会話してると…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リュータ・ワカナ「「あっ‼︎」」

 

 如月グランドパークや那須の動物園の時に会ったヤンキーカップルと再会した。

 

昂哉・優子「「お久しぶりです!」」

リュータ「久しぶりだな‼︎」

 

 本当に久しぶりだよ!そんな事を思っていると、

 

ワカナ「相変わらず仲良しね!」

 

 まあ予想通りのことを言ってきたので、

 

昂哉「はいっ!」

優子「えっ……///」

 

 俺が思いっきり肯定したら、優子が照れてしまった。

 

ワカナ「あれ、違った?」

優子「えっと………その………前に言った通り、アタシが無理矢理こうさせただけなので………」

リュータ「あ〜、確かにそうだったな!」

ワカナ「でもオジサン今思いっきり言ったわよ?」

優子「だからそれが意外で………///」

 

 ってまあそりゃそうか。ずっと嫌い嫌い言ってたんだし。無理矢理付き合わされたとはいえ、よくよく考えたら我ながら最低な彼氏だよな〜。

 

リュータ「なんかあったのか?」

昂哉「まあ単純に俺が………その………///」

リュータ・ワカナ「「その?」」

 

 まあここまで言ったら正直に言うか!もう素直に認めるしかあるまい‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「好きになりつつあるって感じです‼︎」

優子「えっ⁉︎///」

リュータ・ワカナ「「おお〜‼︎」」

 

 正直夏休み前に秀吉に散々からかわれた事が、今では少しわかるようになった気がする。今までの俺だったら絶対に優子とのデートよりも姫路飯を優先させてたからね。それが死を避けるための言い訳とはいえ、函館デートの方を優先させるまでになったんだ。今まではなんとか誤魔化してたけど、もう誤魔化しきれまい。まあ不満が無いと言えば嘘になるけど。

 

昂哉「ちなみにここに連れてきたのは俺です!」

リュータ「おお!オマエもいいオトコになったな!」

昂哉「それほどでも〜♪そちらこそ、また更にかっこよくなったんじゃないっすか〜?」

リュータ「まあな!」

ワカナ「そうね!それよりアンタ、良かったじゃない!」

優子「は、はい………///」

 

 その後も俺たちはヤンキーカップルと近況を語り合った。ちなみにあの2人は来月に如月グランドパークで本当に結婚式を挙げるらしい。そしてまさかの招待状まで貰っちゃった。正直嬉しい。人の晴れ舞台を見るのは普通に楽しいからね!

 

 

 

 

 そして俺たちはしばらく話した後、

 

リュータ「んじゃ、またな〜。」

ワカナ「ばいば〜い!」

昂哉・優子「「さようなら〜♪」」

 

 ヤンキーカップルと別れて、

 

昂哉「いよいよ夜だね。」

優子「うん!」

 

 百万ドルの夜景を見に展望台へと再び戻った。そしてそこで俺たちが目にしたものとは………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絶景という言葉では言い表せないほどの景色だった。先ほどまで見ていた白と紅と青の世界とはうって変わり、空や海や森がつくりだす漆黒と、ビルのライトがつくりだす煌びやかな黄色が、目の前全てにずっと広がっていた。また空と海と森の漆黒はそれぞれが微妙に個性を出しているおかげで、函館半島独特の両側から海に挟まれている構図が夜でもハッキリと分かる。さっきまでは三十ドルとバカにしていたが、これは間違いない。正直に言って百万ドル払ってもいいくらい、素敵な夜景だった。

 

 そして昼みたく優子が身長のせいで見にくいので、持ち上げてあげた。側から見るとちょっとシュールな光景かもしれないけど、それでも優子には是非ともこの景色を見て欲しかった。そしてやはり夜の方が本番なので、昼よりも長い時間持ち上げた。

 

昂哉「凄いね〜。」

優子「う、うん………///」

 

 そう答える優子の声は涙ぐんでた。よほど嬉しいのだろう。この様子を見ると、はるばる東京から連れてきた甲斐があったと思える。

 

優子「本当に………ぐすっ………連れてきてくれて………ぐすっ………ありがとね………っ!」

昂哉「どういたしまして〜♪」

優子「それと………ぐすっ………そろそろ下さなくて大丈夫?」

昂哉「もう充分楽しんだ?」

優子「うん……っ‼︎」

昂哉「よしっ、それなら下ろすね〜。」

 

 そして俺は優子を下ろした後、

 

昂哉「どうせなら、記念写真撮る場所があるから、そこに行こうよ!」

優子「えっ、いいの⁉︎」

昂哉「もちろん!」

 

 記念撮影スポットへと向かった。そこは夜景をバックに撮れる場所で、カップルや家族連れなどが御用達の場所だった。しかもお金を払えばプロのカメラマンがちゃんと撮ってくれる。記念になる事間違いなし‼︎

 

 ということで俺たちは、

 

カメラマン「1+1は〜?」

優子「えっと、どの代数空間で……」

昂哉「にいっ〜‼︎」パシャ

 

 写真を撮ってもらった。

 

カメラマン「もうちょっと笑った顔がいいかな?特に彼女さん。」

昂哉「優子〜、変なこと考えるからだよ〜w」

優子「へっ⁉︎あっ、はい、すみません!」

カメラマン「それじゃあもう一回〜!はい、チーズ!」パシャ

 

 そして撮り直した。

 

昂哉・優子「「ありがとうございま〜す!」」

カメラマン「は〜い!」

 

 撮影が終わった後、俺たちは撮影スポットから退くと、そのまま展望台の中にある夜景が見えるレストランへと入った。メニューはシーフードピザやジンギスカン、イカ飯や海鮮しゅうまいなどがあるみたい。

 

優子「昂哉はどれにする〜?」

昂哉「う〜ん、じゃあ俺はイカ飯で〜!」

優子「じゃあアタシもそれで!」

昂哉「すいません、注文いいですか?」

店員「は〜い!」

昂哉「えっと、イカ飯を2つで!」

店員「分かりました!」

 

 それにしても、この景色を見ながら食べる飯ってとても美味しいんだろうな〜。想像しただけでお腹が空いてくるよ〜‼︎そんな事を思ってると、

 

優子「昂哉、あのさ……」

 

 俺は優子に話しかけられた。

 

昂哉「どしたの、優子?」

優子「あの、アタシを函館に連れてきてくれてありがとね!」

昂哉「どういたしまして!優子の喜んでる顔が見れただけで、ここに連れてきた甲斐があったよ〜。」

優子「ホントにありがと………///」

 

 正直今まで飯作ってくれたり、高校に行くよう言ってくれたり、過去がバレて嫌われそうになった俺のことを庇ってくれたりとかしてくれたからね。これはその感謝の気持ちでもあるのさ。

 

 そんな事を思ってると、

 

優子「あのね昂哉、アタシはアンタに言っておきたい事があるの。」

 

 優子からよく分からない事を言われた。

 

昂哉「言っておきたい事?」

 

 一体なんだろう?もしやプロポーズとか?いや、流石にそれは段階が飛びすぎだろう。なら何を……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「昂哉のアタシに対する気持ちは、多分『好き』じゃないと思うな〜。」

 

 正直言ってる意味が分からなかった。

 

昂哉「何、どういうこと?」

優子「昂哉って優しいから、アタシに色々されて感謝の気持ちとか、申し訳なさとかを思ったんじゃないの?」

昂哉「えっと………」

 

 いや、確かにそれもある。それに、嫌いなところもちゃんとある。ただ好きなところがあるのは間違いないと思うんだけど………

 

 優子は話を続ける。

 

優子「旅行に誘う時に言ってたよね?日頃弁当を作ってもらってる分のお礼だって。」

昂哉「まあ、それはそうだけど………」

優子「それって○○してもらってるから、そのお返しに、ってことでしかないよね?」

昂哉「う〜ん………」

 

 まあ姫路飯の回避がメインだったからね。そう言われるとそうなのかもしれない。

 

優子「それに、昂哉は今まで誰かを本当に好きになった事がないでしょ?秀吉だって可愛いからマスコット的な意味で好きって言ってただけだし。」

 

 それは…………確かにそうかも………。自分が楽しけりゃいい、のスタンスで生きてきたから、あんまり恋愛に興味を示してなかったのは事実だ。

 

昂哉「うん。」

優子「だから昂哉のアタシに対する気持ちは今まで通りに感謝とか、申し訳なさとかが足された感じなんだよ。だって昂哉は優しいもん!」

昂哉「それは………そうなのかな?」

優子「そういうものなの!」ニコッ

 

 そう言ってニコッと笑う優子。どうやら本当にそうなのだろう。

 

優子「それに、本当に好きな人が出来たら、きっと自分でも分かると思うよ?」

昂哉「本当?」

優子「うん!だって、アタシがそうだから!」

 

 なるほど、優子の俺に対する感情は、俺の優子に対する感情とは比べ物にならないくらい凄いって事か。ならなんとなく納得がいくかも。

 

昂哉「なんとなく分かった気がする!」

優子「そう?それなら良かった♪」ニコッ

 

 そう言ってまた笑う優子。その笑顔がなんとも可愛らしい。

 

 

 

 ただ一つ気になる事がある。優子からしてみたら、俺が優子の事を好きだと勘違いさせたままの方が、明らかに優子にとって得だからだ。だって好きな人と両思いになる事が出来るのだから。それなのに何故わざわざ自分が不利になる事を言ったのだろう?確かに優子は自分の損得を多少無視してでも、相手の気持ちを()み取ってくれる事が多い。けどいくらなんでもこれは自分にとって明らかな損になるのは明白なこと。なのに何故それを言ってくれたのか。その理由が全く分からなかった。そんな疑問が頭に残ってしまったせいで、夕食の味とその後のことはあまり頭に入らないまま、俺と優子の函館旅行は終わってしまった。




 ということで、微妙に長かった函館編も終了です!今はなかなか旅行がしにくいご時世ですが、これを機に函館に行く人が増えてくれると嬉しく思います!ちなみに函館山は平日でも人が多くて、身長170cmの僕ですら背伸びしないと上手く見えなかったです。

 そして次回から原作の8巻真ん中に合流します。明久が放課後に雄二の策略でFクラスの連中に殺されそうになる日からです。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第七十四問 風邪引きの酒豪

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 函館旅行から帰ってきた翌日、俺は……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「ぐほっ………ごほっ………」

 

 風邪を引いた。どう考えても函館と東京の温度差のせいだ。これじゃあセロ弾きのゴーシュならぬ風邪引きの酒豪(しゅごう)じゃないか。

 

優子「大丈夫、昂哉?」

昂哉「ま、まあ………だから優子は………学校行きな………」

優子「大丈夫。今日は昂哉を看病するから♪」

昂哉「優等生………演じるんでしょ?学校では………」

優子「アタシがアンタの看病をしたいから休んだの。だから大丈夫♪」

昂哉「でも……兄貴たちだっているし………ごほっ……」

優子「あの2人なら朝からパチンコ行ったわよ。」

昂哉「マジかよ。」

 

 後でぶっ殺してやる。学校ある優子じゃなくてフリーターのお前らが看病すればいいだろうが。親父もお袋も仕事なんだからさ。

 

昂哉「悪いな………」

優子「アタシがやりたいから休んでるだけって言ったでしょ‼︎」

昂哉「わ、分かった………」

優子「とりあえず、病人は大人しく寝てなさい。」

昂哉「うん………」

 

 こんな俺にここまでかまってくれるなんて………正直めちゃくちゃありがたい…………

 

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

雄二(LINE)『よお昂哉、仮病の調子はどうだ?』

明久(LINE)『今日はどこで遊んでるの?』

 

 クズどもからLINEが来た。コイツらに病人を労わるという考えは無いらしい。

 

昂哉(LINE)『大人しく家で寝てるよ。ほら、俺の部屋の写真。』

明久(LINE)『いや、僕昂哉の家行った事ないし。』

雄二(LINE)『それがお前の部屋だという証明は?』

秀吉(LINE)『いや、昂哉の部屋で合ってるのぅ。なんなら姉上が学校休んで看病してるはずじゃ。』

明久・ムッツリーニ(LINE)『『はぁ?』』

昂哉(LINE)『優子にLINEすれば分かるよ〜。』

雄二(LINE)『そこまで言うとは………本当なんだな。』

昂哉(LINE)『最初から言ってるじゃん。』

 

 秀吉が言わなかったらマジで疑ってたのか。全く、困った奴らだぜ‼︎あと優子を証人にするな。

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

雄二(LINE)『そういや小山がお前を狙ってるぞ。』

 

 雄二に変な事を言われた。

 

昂哉(LINE)『なんで?』

雄二(LINE)『奴は卑怯って意味で頭がいい奴が好きなんだとさ。』

 

 なるほどね〜。

 

昂哉(LINE)『雄二は一度鏡を見た方がいいんじゃない?』

雄二(LINE)『鏡なら何度も見てるぞ。今朝だって見てきた。』

昂哉(LINE)『なら自己分析が足りてないね〜。もっと己を知った方がいいんじゃない?』

雄二(LINE)『それはお前にも言えてるんじゃないか?』

昂哉(LINE)『いやいや、俺はお前よりも3年長く生きてるから、その辺は充分さ!俺は誠実で真っ向勝負が大好きな人間だよ!』

雄二(LINE)『20年生きててそのザマとか、木下が可哀想だな。』

昂哉(LINE)『雄二こそ大事な婚約者に似合う男になりなよ!』

ムッツリーニ(LINE)『………どっちもどっち。』

明久(LINE)『ちなみに小山さんは2人とも気になってるんだって♪だから雄二は今殺すとして、昂哉は風邪が治ったら覚悟しといてね♪』

昂哉(LINE)『断る。』

 

 マジかよ…………

 

昂哉「なら一生学校行かなくていいか〜。」

優子「はぁ?

昂哉「じょ、冗談だよ優子!」

優子「そう。なら良かったわ。危うく風邪以外の理由で病院に連れてくところだったから♪」

昂哉「お前に人の心は………って悪魔にそれを求めても無駄か………」

優子「Yes♪」

 

 それにしても、なんで急に小山の話が出てきたんだろう?もの凄く嫌な予感がする。一応念を押しとくか。

 

昂哉(LINE)『雄二………は死んでるから見てないと思うけど、とりあえず小山が怪しい事だけは覚えといて。最悪Cクラスとの試召戦争になりかねない。』

秀吉(LINE)『分かったぞい。』

 

 一応点数が無いわけじゃないけど、割と準備は不完全だからね〜。俺としても、一応手を打っとくか。まあ平和に終わったなら終わったでネタにすればいいし。そんな事を思いながら、俺は風邪の治療に専念した。

 

 

 

 翌日、俺はばっちり風邪が治ったので、登校する事にした………

 

昂哉「優子、車乗ってく?」

優子「えっ、いいの⁉︎」

昂哉「うん!それと、秀吉っているかな〜?」

優子「秀吉なら朝練でもう登校してるわよ。」

昂哉「りょ〜かい!」

 

 車で。

 

優子「それにしても、車で良かったの?学校でお酒飲めなくなるよ?」

昂哉「大丈夫!それに、流石に病み上がりに酒はアレかな〜って思って。」

優子「運転も大変だと思うけど……」

昂哉「大丈夫大丈夫!」

 

 もちろん車で登校するのには訳がある。万が一の備えだ。

 

優子「それと気になってたんだけどさ………」

昂哉「どうしたの、優子?」

優子「アンタなんで防弾チョッキ着てるのよ……」

昂哉「ああ、これね!最近流行ってるんだ〜。カーディガンみたいでいいでしょ?」

優子「最近流行ってたっけ………?」

昂哉「ちなみに最近だとヘルメットを帽子の代わりに被るのがアツいらしいよ〜。」

優子「それ流行ってるの工事現場の人だけでしょ。」

 

 優子とたわいのない会話をしていると、丁度明久&ビッ千華が住むマンションの前を通った。そういやビッ千華は最近元気にしてるかな〜?二学期になってからはあっちの受験とかで俺たちとはほぼ会ってないんだよね。

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

明久・姫路「「いってきま〜す!」」

玲「行ってらっしゃい。」

 

 明久の家から出てくる明久と姫路を見た。

 

昂哉「っていやいやいや‼︎なんで姫路が明久の家から出てきたの⁉︎」

優子「アタシも知らないわ‼︎まさか瑞希が吉井と同棲してたなんて……」

昂哉「島田は承知の上なのか?」

優子「分かんない………なんせ美波とも旅行行ってからは会ってないし……」

 

 少なくとも先週はそんな話を聞いてない。となると闇鍋の後に何かあったのか?とにかくこれは異常事態だ。早く知らせないと…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「おはようございま〜す、Fクラスの皆さん‼︎ところでちょっとお時間いいかな?明久と姫路が同じ屋根の下から出てきた事について議論したいんだけど!」

 

 Fクラスの連中に‼︎俺はクラスに着くなりすぐに大声で皆の前で話した。

 

須川「いや、知ってるが。」

横溝「俺も。」

ムッツリーニ「………承知の上。」

島田「ウチも。」

 

 流石Fクラスの連中。他人の幸せには人一倍の注意を払っていやがる。というか一番バレちゃいけない奴にバレてるじゃん。島田のあの静かに怒りを込み上げてる感じ、間違いなく他のみんなと同じタイミングで知ったヤツだ。

 

雄二「俺が教えた。」

 

 どうやら悪魔はここにいたようだ。そして何故か顔も悪魔みたいに歪んでいる。

 

昂哉「わ〜お、怖!というかなんで雄二はそんな顔してんの?」

雄二「これはちょっと、寝不足で階段から落ちちまってな。」

昂哉「寝不足って、遅くまでゲームでもやってたの?」

雄二「ああ。………凄いリアルなホラーゲームを、な。捕まると鍵付きの檻のような部屋に監禁されるんだ。」

昂哉「へ〜、知らないゲームだな〜。」

 

 負けると100万円が財布から無くなる恐怖の高レートマンション麻雀より怖いホラーゲームがあるとか、この世には色々あるんだね。

 

昂哉「でも雄二が寝不足になるくらいハマるなんて、よっぽど面白いゲームだったんだね。」

雄二「いや、面白いとかいう次元じゃない。なんていうか、やめるにやめられないサバイバルゲームだったんだ。」

昂哉「何それ?セーブポイントが少ないとか?」

雄二「セーブポイントなんて甘いものはない。」

 

 なんだよそれ。

 

昂哉「とんだクソゲーじゃんか。俺は遠慮しとくわ〜。雄二だけで楽しんでね〜。」

雄二「いや、昂哉はギャンブル好きだし、意外とハマると思うぞ?試しに今日の放課後にでもやらせてやるよ。」

昂哉「ギャンブルとホラゲーは別だと思うけど………まあ雄二がそこまで言うのなら。」

雄二「よし、それでいい。」

 

 それにしても、ここまで雄二がプッシュしてくるとはな〜。俺がやると言った時の喜びったらありゃしないし。どんだけ面白いゲームなんだろうか。でもセーブポイント無しは控えめに言ってクソゲーだと思うけど。

 

 そんな事を思ってると、一番ブチギレてるであろう島田が口を開いた。

 

島田「ところで、アンタのその恰好は何?」

昂哉「これは最近流行りの防弾チョッキとヘルメットだよ。」

島田「なんで………」

昂哉「流行に理由なんてないでしょ?」

 

 ちなみに俺は今ヘルメットを被って防弾チョッキを着ている。もちろん自衛のためだ。

 

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

明久「おはよ〜、多分昂哉!木下さんとの旅行は楽しかった?」

 

 渦中の人がやってきた。可哀想に………今から君は死ぬんだよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラス全員「「「「…………」」」」シーン

 

 あれ?何も起こらない?おかしいな〜?そういえば俺も優子とイチャイチャ旅行してたのに何もなかったし。あとヘルメット被ってて分からないはずなのに、なんで俺を一番に見抜いたんだ?

 

 

 

 

  side 明久

 

 あのヘルメットと防弾チョッキ………あんな頭のおかしい格好をするのは、昂哉しかいないでしょ!そう思ったら、当たった‼︎

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 とにかくクラスの連中が大人し過ぎたので、俺は煽る事にした。

 

昂哉「あれ、皆どうしたの?姫路と同棲している明久がやって来たんだよ?殺さないの?」

明久「は、はぁ⁉︎た、昂哉は何を言ってるのさ⁉︎そそそ、そんな事なんてあるわけないじゃないか‼︎」

 

 ちなみに明久はめちゃくちゃ動揺している。皆に知られているとは思ってなかったらしい。となると死刑執行の前だったのか?なら何故執行しない?もしやタイミングを図りかねてるのか?

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

秀吉「なんじゃ?今朝は昨日と打って変わってえらく静かじゃな。あとその変な恰好は………昂哉じゃな?」

 

 秀吉がやってきた。昨日は知らないけど、今日がやけに静かなのは事実だ。

 

明久「あ。秀吉、おはよ〜。」

雄二「おす、秀吉。」

昂哉「Good morning‼︎」

秀吉「おはようなのじゃ、3人とも。」

明久「いつもあんな事ばっかりだったら疲れちゃうよ。ね、雄二?」

雄二「ああ、全くだな。」

昂哉「昨日何があったかは知らないけど、確かにいつもよりは静かだね。」

秀吉「むぅ………」

 

 何か妙な予感でもしているのか、秀吉がどこか怪訝そうな顔をする。

 

秀吉「嵐の前の静けさ、というものじゃろうか………」

 

 なるほど、そう言うことか〜。さてはコイツら、俺を殺すタイミングを見計らってるな?となると、一応手は打っとくか〜。

 

昂哉「そういえば皆さん、函館旅行のお土産があります‼︎」

秀吉「おお!一体何を買ってきたのかのぅ?」

島田「確かに気になるわね。」

昂哉「じゃじゃ〜ん‼︎北海道名物、白い恋人です!」

秀吉「おお!」

雄二「名産品じゃないか。」

島田「美味しそう!」

明久「僕にも頂戴!」

昂哉「先生にバレないようにね!それと、恋人がいない皆はこれを恋人だと思って大切にして欲しい‼︎」

Fクラス非リア「「「「「……………」」」」」

 

 あれ、反応が薄いなぁ?ちょっとしたジョークのつもりだったのに。

 

秀吉「それじゃあワシと雄二は浮気になってしまうではないか。」

昂哉「まあいる2人はただのクッキーってことで。後雄二は浮気じゃなくて不倫だね。」

雄二「勝手に人を結婚させるな。」

昂哉「てへっ♪」

ムッツリーニ「………おじさんがやっても可愛くない。」

昂哉「うるせえ!」

 

 まあとにかく、これで下降気味だったクラスでの好感度もちょっとは戻ったかな?

 

 

 

 

 

 朝のHRの後、俺は鉄人に呼び出された。

 

鉄人「雲雀丘、風邪は大丈夫か………の前に、ヘルメットと防弾チョッキを取れ。」

昂哉「風邪については他の人に移すのがちょっと心配だったので、マスクの代わりにこれをつけてきました。防弾チョッキはカーディガンの一種です。」

鉄人「その気遣いは嬉しいが、だったらマスクを付けてこいって話だ。」

昂哉「家になかったんです。」

鉄人「それならヘルメットを取れ。*1もし移すのが心配なら早退していいぞ。」

昂哉「なるほど、分かりました!」

 

 まあ鉄人にここまで言われると外すしかないか。ただ大きな言質を取れた。これはデカイぞ!

 

 

 

 そんな事を思っていると、鉄人は話題を変えた。

 

鉄人「それとお前には伝えておきたい事がある。」

昂哉「なんです?」

鉄人「召喚獣の仕様について変更があったんだ。」

昂哉「なるほど〜。」

 

 あのばあさん、マジで何度も色々変えてくるね〜。学校の経営者よりエンジニアの方が向いてるんじゃないかな?

 

 それにしても、小山の怪しい動きといい、もうすぐ試召戦争が起こる可能性がなくはない。だから一応確認しておくか。

 

昂哉「ならちょっと召喚していいですか?明日から始まるかもしれない試召戦争前に色々と知っておきたいので。」

鉄人「まあ、それならいいだろう。」

昂哉「ありがとうございます。試獣召喚(サモン)。」

 

 さてと、俺の新しい召喚獣は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スーツをバッチリ着こなして、右手に酒瓶を持った胡散臭い営業マンが出てきた。

 

昂哉「なんか水素水とか銀イオンとか売ってそうなヤツが出てきたんですが⁉︎」

鉄人「まあそういう仕様なんだろう。」

昂哉「なんで俺こんな怪しいヤツなんです⁉︎」

鉄人「教師の俺が言うのもなんだが………お前は顔が大人び過ぎてる上に胡散臭いからな………それに声*2も怪し過ぎる。更には頭もいいからこうなったのだろう。」

昂哉「俺は爽やか高校生です‼︎おっさんじゃありません‼︎」

鉄人「爽やか………を名乗りたいなら禁酒する事だな。」

昂哉「先生は俺を殺す気ですか?」

鉄人「そこまで言ってないだろ。」

昂哉「俺から酒を手放す事と赤ちゃんから乳を手放す事は等しいのです。」

鉄人「俺はお前の肝臓が心配だよ………」

昂哉「まあ、なんとかなりますよ!」

 

 正直肝臓については考えないようにしている。ぶっちゃけいつ肝硬変や糖尿病になってもおかしくはない。まあその時はその時ってことで、ギャンブルで稼いだ金で治療するけど。

 

鉄人「お前がそれでいいならいいが………まあそれより、召喚獣の試運転はこれでいいか?」

昂哉「えっと、少しだけ動作を確かめさせて下さい。」

鉄人「分かった。」

 

 そして俺は召喚獣を試しに動かした。どうやら通常攻撃は今までと変わらず、他人の口に酒をぶち込んで潰すもののようだ。じゃあ腕輪の力は……………っとこれは凄いな。使うと自分の点数が減るという代償付きだが、これは中々のものだ。

 

 

 

 

 その後は召喚獣の試運転をし、

 

昂哉「では以上です。」

鉄人「分かった。」

昂哉「それじゃあまた授業で会いましょう!」

鉄人「ああ。」

 

 鉄人と別れた。

 

 

 

 

 その後は普通に授業に参加した。だが俺はある違和感を抱えていた。あんなにマジマジと函館旅行デートの写真を見せつけられたクラスの連中が、白い恋人程度でめちゃくちゃ大人しくなっているのだ。更には明久と姫路の同棲バレ。島田ですら平静を保ってる。更には突然謎のゲームにハマり出す雄二。嫌がってでも俺にやらせようというのは、正直意味が分からない。確か放課後だったか……………

 

 待てよ、放課後?放課後は先生の監視の目が無くなる。そしてその隙に俺や明久を襲うことも容易いだろう。念のために車で登校し、いざという時に逃げられるようにはしたが、車までたどり着けては元も子もない。となると俺がすべき行動は……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「先生、保健室に行っていいですか?」

高橋「構いません。なんなら今は自習なので私がついていきましょう。」

 

 病み上がりを利用した保健室からの早退ムーブだ。鉄人からちゃんと言質を取っておいて良かった〜‼︎

 

昂哉「ありがとうございます。」

秀吉「昂哉、まだ万全では無かったのかのぅ。」

島田「まあ病み上がりだし、しょうがないんじゃない?」

姫路「あまり無理しないで下さいね。」

Fクラス他「「「「「……………」」」」」ギロッ

昂哉「皆、ありがとう!なに、ちょっと休むだけさ!」

 

 嘘である。この男、仮病でそのまま帰るつもりである。あと女子3人以外が何も言わずに睨みつけてきた。こいつら、やはり俺を殺したかったんじゃねえか‼︎ざまあみやがれ‼︎

 

 

 

 

 ということで、俺は無事保健室に逃げる事が出来た。

 

昂哉「今日はいけると思ったんですけどね〜。ちょっと早退します。」

高橋「無理は禁物ですよ。」

 

 ホントは無理してないんだけどね。ホント、仮病はこの世で一番最強な病気だと思う。そんな事を思ってると、

 

高橋「なんせ、また木下さんが心配してしまいますからね。」

 

 高橋主任にとんでもない事を言われた。そうだ、優子だったら間違いなく俺を心配して飛び出してくる。また昨日みたいに手を煩わせちゃう。しかも昨日と違って俺は仮病なのに。これ以上アイツにだけは迷惑をかけたくない。

 

昂哉「先生、一つだけお願いなんですが………」

高橋「なんです?」

 

 だから俺は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「優子にだけは黙っておいて下さい。」

 

 こう言った。

 

高橋「何故です?」

昂哉「これ以上アイツに迷惑をかけたくなくて………」

高橋「恋人である木下さんは、きっとそんな事を気にしないと思いますよ?」

昂哉「でも、アイツの前だけはなんかカッコつけたくて………」

高橋「それはカッコつけてるとは言わないのでは?」

昂哉「それでも…………どうかお願いします。」

 

 正直全然理論的じゃない。普段の俺らしくもない、感情だけに任せた説得だ。

 

高橋「はぁっ………そこまで貴方が言うのなら、そうしてあげますよ。」

 

 でもなんとか通じた。正直今は主任に感謝している。自分の単なるわがままを聞いてくれて。それと、本当に優子に迷惑をかけたくないのなら、仮病なんか使わず、大人しくクラスの連中に殺された方が良かったはずだ。それでも自分の身を優先させるあたり、俺は根っからのクズなのだろう。

 

昂哉「ありがとうございます。」

高橋「それじゃあ、迎えをお呼びしますね。」

昂哉「一応車で来たので、なんとかそれで帰れると思います。」

高橋「大丈夫ですか?なんなら私が運転しますよ?」

 

 俺は知っている。高橋主任が先生方の中で一番運転が下手だと言う事を。前に先生方でバーベキューに行った際、主任が運転する車に乗った人たちは本人を除いて全員吐いたらしい。だから俺は、

 

昂哉「いえ、結構です。本当に大丈夫です。」

 

 断った。

 

高橋「でも………」

 

 困る主任の元に、

 

鉄人「話は聞きました。代わりに俺が運転しますよ。」

 

 鉄人が現れた。救世主(メシア)の登場だ。

 

高橋「いいのです?」

昂哉「はい、よろしくお願いします。」

鉄人「それじゃあ行くぞ、雲雀丘。」

昂哉「はい。」

 

 ということで、俺は鉄人に自宅の車を運転させて、そのまま帰宅した。後秀吉たちには決して優子にチクらないよう、念を押した。

*1
ちなみにこの世界ではコロナは流行ってません。感染症対策についてはちょっとザルかも。

*2
CV.石田彰




 ということで、昂哉が仮病を利用してクラスの皆から逃げる話でした。ちなみに高橋女史はなんか抜けてるイメージから、運転が下手という設定を勝手に加えてみました。

 さて、次回からは原作通り、いよいよCクラス戦(とFクラス戦)が始まります。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第七十五問 リア充・秋の断罪祭り

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
試召戦争に関して
もしかしたら原作の設定と違う点が
あるかもしれません。
多分ルール上は問題ないはずですが………


  side 昂哉

 

 早退した翌日、俺は学校に着くと、薄気味悪い笑顔を貼り付けた明久と雄二に話しかけられた。

 

雄二「よう昂哉、昨日は仮病がぶり返して大変だったらしいな。」

明久「治ってくれたようでなによりだよ!」

昂哉「ありがとう!」

 

 コイツらに労わる気持ちが無いことはずっと前から分かってから、ここは気にしないでおこう。そんな事を思ってると、明久が話題を変えた。

 

明久「ところでその格好は?」

昂哉「ハロウィンも近いってことで、コスプレをしたのさ!トリック・オア・トリート‼︎お金をくれなきゃいたずらしちゃうぞ、ってね♪」

雄二「借金取りみたいなこと言うな。」

 

 ちなみに俺は今厚手の白い布を全身に被ってお化けみたいな格好をしている。そして他のクラスメイトはというと、

 

Fクラス男子「「「「「吉井、坂本、雲雀丘、殺す………っ!」」」」」

 

 当然のようにめちゃくちゃ殺気立ってた。

 

昂哉「俺と明久は分かるけど、なんで雄二まで?」

雄二「明久のせいで翔子と無理矢理同棲させられる事になったんだよ。」

昂哉「マジかよ。」

 

 最近は同棲が流行ってるんだね。あと明久のせいってどういう事だろう?

 

明久「知るかんなもん‼︎」

 

 いや、知らないんかい‼︎

 

雄二「全く、これだから明久は………」

昂哉「まあとにかく、今奴らは俺たちの断罪に夢中ってわけね。」

明久「そういうこと。」

 

 そんな話をしていると、鉄人がHRにやってきた。

 

鉄人「おはよう………ってまた意味分かんないコスプレをしてんのは雲雀丘か?」

昂哉「違います。」

明久・雄二「「違いません。」」

昂哉「違います。」

鉄人「違わないだろ。声と身長で分かるぞ。」

昂哉「まあまあ、これは上着という事で♪それより早くHR始めましょ♪」

鉄人「じゃあHRが終わったら俺のところに来い。」

昂哉「は〜い………」

 

 ということで、鉄人のHRが始まった。奴が何かの連絡事項を告げてる間にも、俺たちはクラスメイトの殺意と怨嗟の声に晒され続けた。またクラスメイトは俺たちと同様いつでも飛び出せるように準備をしている。もちろん鉄人が居なくなった瞬間に狩るつもりなのだろう。まあ俺は先に鉄人に狩られるが………

 

鉄人「連絡事項は以上だ。今日もしっかり勉学に励むように。」

 

 そして毎度お馴染み締めの定例句。これで鉄人はいなくなり、俺たちの断罪が幕を開ける予定なのだが、恐らくそうはいかないだろう。多分この辺で来るはずだ………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小山「失礼します。」コンコン

 

 ほら、やっぱり。Cクラスの小山が教室のドアをノックした後入ってきた。まあ代表本人がやって来るとは思わなかったが。

 

小山「すいません、西村先生。Fクラスの皆に連絡事項がありまして。」

昂哉「やあやあ、Cクラスの代表さん。もしかして俺たちの中から新たな根本(かれし)を見つけに来たのかな?」

小山「アイツの事は放っておいて‼︎それより何よその格好は………」

昂哉「これはただのコスプレさ!そんな事より、要件は?」

小山「えっと、我々Cクラスは、本日9:30より、Fクラスに対して試召戦争を申し込みます!」

Fクラス男子他「「「「「なにぃぃぃっ⁉︎」」」」」

雄二「だろうな。」

 

 やはりそうきたか!雄二の狙いとしては万全の体制を作ってから挑むつもりだったのだろう。そしてAクラス戦のときに利用しようと思っていたはずだ。

 

 そしてクラスの状況だが………俺が予め警戒するように言っておいたとはいえ、昨日恐らくあったであろう断罪騒ぎのせいで、万全の準備が出来ているかと言われたらそうではない。

 

鉄人「良いのか小山。下位クラスに対して戦争を行っても、得られるものは何も無いが?」

小山「いえ、西村先生、そんな事はありません。得られるものはきちんとあります。」

昂哉「奴隷として使うには、頭が悪い連中しかいないけど?」

小山「別に奴隷にする気はないわ。ただ経験と3ヶ月間の平和を得たかっただけよ。」

昂哉「そういうことね………」

 

 思ったより平和で良かったよ。ただ3ヶ月間このボロ小屋が確定するのは地味に辛い。だからここで勝たなければならないが………

 

昂哉「くそっ‼︎それにしても、来るの早すぎなんだよ‼︎」

 

 そして思ったよりも早すぎる‼︎今が8:45だから、試召戦争まであと一時間もないじゃないか‼︎準備なんて出来るわけ………いや、待てよ?

 

小山「あら、アタシの動きは予想外だったかしら?頭のいい雲雀丘君や坂本君ならもっと対策を練ってくると思ったけど………」

昂哉「ずる賢い雄二ならともかく、卑怯な手を嫌い正々堂々と勝負をするのが好きなこの俺が、そんな事など思いつくはずがないじゃないか‼︎」

雄二「お前こそ自己分析が出来てないじゃないか。」

小山「そんな事を言いながらスマホを必死にいじってるあたり、何か策を考えてるのが見え見えよ。」

昂哉「うるさい‼︎俺は今必死に調べてるんだ‼︎お前らに勝つ方法を‼︎」

小山「ヤホー知恵袋にでも書いてあると思ったの?」

昂哉「今書いてるんだ………って返信が来た‼︎なになに、開戦を9:00に早めるだって?よし、それでいこう!」

小山「アンタ思ったよりバカね…………。まあ早まる分には別にいいけど………」

鉄人「本当にいいのか?そんなの信用して……」

昂哉「だだだだ、大丈夫です‼︎」

 

 こうして開戦の時間が9:30だったのが9:00に早まった。

 

昂哉「さて、こうなった以上は早く他の作戦を考えないと………」

 

 そして俺は雄二の方をチラ見する。

 

雄二「……………」

 

 雄二は何も言わずに俺を見つめ返してきた。

 

小山「坂本君もダメみたいね。」

昂哉「くそっ‼︎」

小山「ちなみにボツになった作戦はどんなだったの?」

昂哉「それは影武者大作戦だ!最初は俺がこの中に入り動き回る。そして途中で着替えて、この中に俺の声を演技した秀吉が入る。身長も超厚底の靴を履いて誤魔化してな。そして俺は別の衣装に変装し、お前にこっそり近づいて奇襲をかける予定だった………」

 

 もちろんそのために変装用の衣装だって持ってきた。付け髭にスーツ、そして伊達メガネだ。そして髪型もいつもとは異なり、オールバックにしている。ちなみに秀吉用のお化け布*1だって別で持ってきている。俺のこの服が鉄人に取られちゃ意味ないからね。

 

小山「それはそれはたいそうな作戦ね。実際にやられたら厄介だったわ。」

昂哉「でもお前のせいで、準備する時間がなくなってしまった………」

小山「今からトイレに行ってやってくれば?まあ無駄だと思うけど。というかさっき自分で開戦時間を早めちゃったじゃない。」

昂哉「あっ…………」

小山「なに、もしかして気づいてなかったわけw?」

昂哉「くそっ‼︎これを書いたヤツは誰だ⁉︎まさかCクラスの連中とかか⁉︎」

小山「さあ?ネットリテラシーには気をつけることね。」

鉄人「その通りだな。後そのスマホは没収な。」

昂哉「くそっ‼︎くそっ‼︎」バタバタ

小山「地団駄を踏んだところで無駄よ。」

 

 小山がいい気になっている。それと同時に俺に少し落胆しているのが見て取れる。恐らくは俺が自分のタイプである頭のいい男ではないと分かったからなのであろう。

 

小山「まあ、せいぜい足掻いてみなさい。」

昂哉「うぅ………分かったよ。」

小山「それじゃあまた会いましょう。」

 

 そう言って小山は踵を返して自分の教室へと戻……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小山「って何これ⁉︎帰れないんだけど⁉︎」

 

 ろうとしたのだが、その周りをFクラスの人ががっちり囲んでいた。そう、俺がスマホをいじってたのは知恵袋に投稿している()()をしただけなのさ!後は雄二に目線で合図を送り、俺の意図を察してくれるようにした。ここは部の悪い賭けだったけど、雄二を信じて良かった!

 

 ちなみに雄二は、

 

雄二(紙)『お前ら、ここは一旦休戦だ。小山にずる賢い男である事をアピールするぞ!』

 

 紙を使ってクラスメイトを無理矢理説得している。

 

昂哉「何これ、って酷い言い方だな〜、小山さんよぉ。仮にも同じ高校の同級生だぜ?」

小山「アタシが言いたい事はそういう事じゃないわよ‼︎なんでこんなにワラワラと廊下に人がいるわけ⁉︎」

昂哉「別に廊下に人がいるのは普通の事でしょ。なんでそこに突っかかるのさ?」

小山「アタシは9:00までに教室に戻らないといけないの!」

昂哉「なんで?」

小山「そりゃあ試召戦争だからでしょ⁉︎」

昂哉「試召戦争の開始地点が、自教室じゃなきゃいけない決まりでもあるわけ?」

小山「なっ⁉︎」

 

 普段は特に役に立たないルールの穴。仮にこれで敵クラスの教室に潜伏していたとしても、クラスにいる敵に殲滅させられてしまうからだ。仮にクラス全員が敵クラスの中に開始時点でいたとしても、開始時に敵全員と大乱闘スマッシュブラザーズをやる事になり、格下の我がFクラスにとってはかなり不利になる。

 

 だが敵クラスの使者が代表本人だった場合、話は別になる。この穴は最高のものとなる。流石に縄で縛ったり身体を押さえつけたりするのはアウトだが、周りを囲むだけなら別に問題はない。開戦時刻まで敵代表を孤立させ、開戦と共に全員で叩く。敵代表さえ倒せばいい試召戦争において、この穴は下克上のチャンスをくれる、最高の代物なのさ!だから俺は急遽作戦を変えた。小山が短絡的でかなり思い上がりやすい性格をしているのも含めて、こっちの方が上手くいくと賭けたからね‼︎

 

鉄人「まあルール違反ではないな。ただスマホについてだが………」

昂哉「この通り、きちんと電源を切ってあります!」

鉄人「なら問題無いな。」

小山「くそっ!」

 

 もちろんスマホは使ってません!うちの高校は持ち込めるけど使えないが校則だからね!

 

昂哉「カジノにいる凄腕のディーラーは最初にわざと失敗したフリをして客の傲慢を買うのだという。相手の予想外の動きに動揺して見せたり、ネットの知恵袋に藁にもすがる思いで投稿してるように見せかけたり、挙げ句の果てに当てにならないネットの意見にすぐに従って開戦時間を早めたり…………、それだから君は俺たちが万策尽きたと勘違いしてしまった。」

小山「それじゃあ今までのおしゃべりは、私を油断させるための作戦だったってわけ………っ⁉︎」

昂哉「もちろん♪コスプレして誤魔化す程度の策で、格上のクラスに勝てるはずもあるまい?」

小山「くっ…………‼︎」ガクッ

 

 小山が膝を落として絶望する。勝った気になって舞い上がってた事を、後悔するがいい‼︎

 

昂哉「おっと、そんな事をしてたら開戦時間になったね。それじゃあ始めようか。Fクラス全員は、只今よりCクラス代表小山友香に英語勝負を挑みます。」

鉄人「………承認する。」

 

 こうして俺たちの試召戦争は1分で幕を閉じた。

 

 

 

 

 小山を倒し終わった後、他の皆から俺は労いの言葉をかけられた。

 

雄二「昂哉、正直今回はマジで助かった。」

昂哉「俺も同じだよ!雄二が察してくれなかったら厳しかった‼︎」

姫路「2人とも、まさかそんな短時間であの作戦を思いついた上に意思共有まで出来るだなんて、凄いですっ!」

明久「ほんと、びっくりしたよ!」

昂哉「いや〜、それほどでも〜♪」

島田「どこが正々堂々としてるんだか……まあ助かったけど♪」

ムッツリーニ「………同感。」

昂哉「一応ルールの範囲内!それに物理的な拘束はしてないから問題なし!」

秀吉「まあ、お主らしいのぅ。」

須川「流石だな、雲雀丘。」

昂哉「いや〜、それほどでも〜♪」

 

 クラスメイトに称賛されるのは悪くない。むしろいい!こんな感覚は久しぶりだ。それこそ中学以来5年ぶりかな。ああ、こんな感覚を味わえるなんて、全く、高校は最高だぜ‼︎

 

須川「まあそれはそれとして…………」

 

 優子よ、高校に無理矢理通わせてくれてありがとう‼︎放課後一緒に帰る時にお礼言お〜っと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

須川「只今より、リア充・秋の断罪祭りを始める。罪人・雲雀丘、坂本、吉井をこの手で裁くのだ。」

 

 やっべ…………それ忘れてたわ。

 

他Fクラス「「「「「了解‼︎」」」」」

昂哉・明久・雄二「「「クソがぁぁぁぁぁ‼︎」」」

鉄人「それよりまずは服装の件で指導だな。」

昂哉「あっ…………」

 

 こうして俺たちは鉄人に指導された後、一日中授業そっちのけで、再び鉄人にシメられるまで鬼ごっこを続けましたとさ…………

 

 

 

 

 

 放課後、俺は優子と久しぶりに一緒に帰る事にした。

 

優子「アンタ、その傷どうしたのよ?」

昂哉「えっと、これはクラスメイトと鬼ごっこで遊んだらちょっと怪我しちゃって………」

優子「大丈夫?保健室行く?」

昂哉「一応行ったから心配しないで。」

優子「分かった。それとアンタももう若くないんだから、あまり無理するんじゃないわよ。」

昂哉「俺まだ20だけど⁉︎」

 

 17歳にとっては20歳って歳とって見えるかもしれないけどさ‼︎大人から見たらまだ全然だよ‼︎

 

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

久保「吉井君、今日は僕と帰らないかい?」

明久「ごめんね久保君、今日は用事があって………」

久保「そうか………」

 

 前の方で明久に話しかけてる久保を見た。

 

優子「久保は片想いで辛いわね。」

昂哉「ビッ千華もだけどな。」

千華「誰がビッチよ。」

昂哉・優子「「うわっ⁉︎」」

 

 嘘だろ⁉︎コイツいつの間にいたんだ⁉︎全然気づかなかった………

 

昂哉「タバコのにおいがしないビッ千華なんて………」

千華「アンタはあたしをなんだと思ってるのよ。」

昂哉「ヤニカス。」

千華「黙れアル中、パチンカス、雀ゴロ。」

 

 全く、酷い言いようだぜ‼︎そんな事を思ってると、優子が予想通りの話題をビッ千華振った。

 

優子「それより先輩はアプローチしないんですか?今ならいけますよ!」

千華「いやいや、そういうのいいから。」

昂哉「奥手キャラなんてやめとけ〜。」

千華「キャラじゃないわよ‼︎」

昂哉「普段は自分優先の図々しい人間なのに、どうして久保相手には奥手なの?」

千華「アイツだけは特別なのよ………だって好きだから///」

 

 そういうものなのか?それじゃあ最近俺が優子に抱いている、大切にしたい、見栄を張りたいといった感情はもしかして………?でもこの前それを優子本人に否定されたから、俺の場合は違うんだろうな〜。まあ人によって色々と違うし、コイツの場合はそういうもんなんだな〜。

 

 そんな事を思ってると、

 

優子「それでも踏み出す勇気って大切ですよっ!」

千華「そ、そうかな………///」

 

 優子がビッ千華を励ました。まあここは俺も励ますか!

 

昂哉「ヤらないで後悔するより、ヤってから後悔した方がいいよ♪」

千華「死ね。」

 

 何故だ?何故俺は拒絶されたんだ?

 

優子「まあとにかく、応援してますよ!」

昂哉「無理せず自分のペースで頑張ってね〜。」

千華「ありがとう、2人とも。それじゃあ行ってくるわ。」

 

 まあとにかく、ビッ千華がちょっとだけ積極的になってくれたようでなによりだ!

 

 そしてビッ千華は久保の元へと歩いていった。多分ちょっと話しかけるだけだろうけど、ビッ千華はガチガチに緊張している。そのせいか俺と優子まで緊張してきちゃった。頼むから久保よ、上手くいかせてくれ…………っ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千華「久しぶりね、吉井。」

 

 ってそっちかよぉぉぉぉぉぉ⁉︎

 

明久「あっ、お久しぶりです、ビッ千華先輩♪」

千華「ねえ知ってる?燃えかけのタバコって肌に当たると火傷するらしいわよ?」

明久「怖⁉︎何をする気なんですか⁉︎」

久保「すまない吉井君、少し用事を思い出してね。僕はこれで失礼するよ。」

明久「あっ、久保君、バイバ〜イ!」

 

 しかも久保帰っちゃったし‼︎ってか用事あったんかい‼︎

 

明久「えっと………まあ次の機会がありますって!」

千華「ありがとう、吉井。」

 

 あとやっぱりビッ千華の好きな人は明久じゃなくて久保なんだな。それじゃあまずは話しかけやすい明久の方に話しかけたってわけか。それなら納得だ。

 

 俺たちはビッ千華に近づいて励ました。

 

優子「気を取り直して次ですよ!」

昂哉「というかアイツも暇ならいけるって!」

千華「アンタらもありがとね。」

明久「2人ともいたんだ〜。」

昂哉「まあ明久が気づかないくらい後ろにいたからね。」

明久「なるほどね〜。」

 

 その後俺と優子はしばらく4人で談笑した後、明久やビッ千華と別れ、再び2人で下校した。

 

 

 

 

 俺は優子に今日の試召戦争のことを話す事にした。

 

昂哉「そういや今日Cクラス戦があったんだけどさ、わずか開始後1分で終わったんだよね〜。」

優子「早くない⁉︎一体何があったの⁉︎」

昂哉「クラス代表が直々に使者としてうちのクラスにやってきたからさ〜、皆で開戦時刻まで取り囲んで殲滅したんだよ。」

優子「それってアリなの?」

昂哉「物理的な拘束はしてないから大丈夫!」

 

 さてと、優子にあの事のお礼を言わないとな。普段からの感謝も込めて…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高天原「木下、話があるから俺のところに来い。」

 

 そう思っていたのに、まさかの3年学年首席に優子が呼び出された。

 

優子「あっ、はい、分かりました‼︎ 昂哉、ごめんね!アタシのことは気にしなくていいから先帰ってて!」

 

 3年の学年首席、高天原大門。高橋主任を超える学力と鉄人を超える身体能力を持つ、銀髪のイケメン。同じ中学の頃から2歳年下であったにもかかわらず、異次元の天才っぷりからとても有名だった。

 

高天原「早く行くぞ、木下。」

優子「は、はいっ!」

高天原「………」ジー

 

 ただイケメンではあるのものの、声と顔にかなりの威圧感がある。そして天才ということもあってか、割と近寄り難い雰囲気なんだよね〜。今の俺を見る目もなんか怖いし。それだからあまり友達がいた話を聞かない。悪いやつじゃないと思うんだけどね。なんていうか、色々と損してるタイプ。ホント可哀想!今度会ったら話しかけてみようかな!そう思った日だった。

*1
今昂哉が被ってるやつ




 ということで、まさかの急展開で第十一章が終了です(新作のために無理矢理巻いたわけじゃないので悪しからず)!そしていよいよ最強キャラが満を辞して登場です‼︎高城を超えるスペックを持つ彼の今後にご期待を‼︎

 ストーリーを考えてる時に試召戦争のバグを見つけてしまったのがこうなったきっかけでした。確かアニメ1期12話のAクラス戦でも校庭からスタートしてましたよね(アニメと原作に多少の齟齬はありますが)。そして小山が直々に使者としてやってくる。その結果こうなりました。もし設定の解釈が間違っていたらごめんなさい。

 ちなみに当初の予定では昂哉が喋ってくれた作戦を使うつもりでした。その中身なのですが、敢えて昂哉のフリをした秀吉がBクラスに勝負を挑み失格になることで小山を油断させ、その隙に教育委員会に変装した昂哉が何かと寛容な遠藤先生を連れて小山を襲う予定でした。ただそれだと服装面で校則違反にかかりかねないので、この作戦は中止にしました。

 さて、次回からは短編集をお届けします。まあ既にしてますが。それと、恋活の後に1話だけやる予定の最後の話はまだ決めていません。そして、それに関するアンケートを実施します。期限は2/6の23:59までとします。

 最後に評価・感想をお願いします。


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第十二章 短編集その2
第七十六問 特殊召喚獣の試運転


この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。
ーーーーーーーーーーーーーーー
先に12章を一部投稿しています


  side 昂哉

 

 俺はある日の放課後、Fクラスのいつものメンバーと、優子、霧島、佐藤、工藤で集まっていた。Fクラスの教室に。

 

ババア「今日は集まってくれてありがとさね。」

 

 ばあさんの指示で。

 

雄二「全くだよ。」

明久「せっかく遊ぼうと思ったのに〜。」

昂哉「せめて給料を下さい‼︎給料を‼︎」

ババア「アンタらは西村先生に頼んで、宿題を増やしてもらおうかね。」

昂哉・明久・雄二「「「絶対に嫌だ‼︎」」」

 

 こんな独裁に支配されてたまるか‼︎そんな事を思ってたのだが、

 

ババア「まあタダでやらせるのもなんだし、学食の食券カードか、図書カードくらいはやろうじゃないか。」

昂哉以外「「「「「おお〜‼︎」」」」」

 

 他の人たちがちゃっちい物で釣られてしまった。

 

雄二「ならいいだろう。」

明久「賛成‼︎」

島田「ウチ、買いたい本があったんだ〜!」

姫路「私もです!」

秀吉「ワシもじゃのう。」

優子「アタシも!」

霧島「…雄二と学食デート……///」

雄二「なっ⁉︎」

美穂「秀吉君もやりましょう!」

秀吉「そうじゃの!」

工藤「ムッツリーニ君は買いたいエロ本でもあるのカナ?」

ムッツリーニ「………な、ない‼︎」

 

 だが俺はこんな物で釣られるほどヤワな男じゃない。格の違いを見せつけてやる‼︎

 

昂哉「そんなしょぼい物に俺は釣られないんで。」

ババア「なに、これじゃあ満足しないんかい。」

昂哉「はい。少なくとも駅前のパチ屋のメダル1000枚とかじゃないと。俺を釣りたいなら最低でも万単位の金額じゃないとな〜。」

明久「ええ………」

雄二「相変わらずクズいな。」

優子「昂哉、あんまりそういう事すると………」

ババア「なら皐月乙女*1を1瓶やるよ。」

昂哉「参加致しましょう。」

優子「いいんですね、学園長……」

明久・雄二・ムッツリーニ「「「流石はアル中………」」」

 

 あの日本酒をくれるならOKだね!さすがばあさん、優しい〜♪

 

 

 

 

 それはさておき、いよいよ俺たちは本題に入ることにした。

 

昂哉「で、今日は何をするんです?」

ババア「新しい召喚獣の試運転さね。」

全員「「「「「試運転〜⁉︎」」」」」

 

 随分と凄いものを頼むんだね。そんな事を思ってると、

 

島田「でもなんでそれをウチらに頼むんです?」

 

 島田が依頼理由を聞いた。

 

ババア「前にあった白金の腕輪みたいに、点数の高い人が使うと暴走する可能性があるからね。」

明久「なるほど〜。」

島田「そういう事なんですね。」

 

 それならコイツらが選ばれるのも納得だ。でも何故俺やAクラスのメンツが居るのだろう?

 

ババア「ということで、Aクラスと姫路には試運転召喚獣について報告書を書いてもらいたい。」

 

 なるほど、そういう事ね!それなら納得だよ………、一部分を除いて。

 

優子・工藤「「わっかりました〜!」」

美穂「実験レポートだと思って頑張ります!」

姫路「文章を書くのは任せて下さい!」

霧島「…私も頑張る!」

昂哉「ねえばあさん、なんで俺の名前が載ってないんです?」

雄二「俺もソイツらほどじゃないにしろ、結構点数が取れてるんだが?」

 

 優子や工藤や佐藤が選ばれるくらいなら、そいつらより圧倒的に点数が高い俺だって選ばれるはずだ。それなのに、姫路だけを選んで俺を選ばないのはおかしい。雄二は選ばれなくても不思議ではないけど。そうやってあれこれ考えていると、

 

ババア「アンタらには何が起きても構わないからね。」

 

 めちゃくちゃゴミみたいな理由だという事が分かった。

 

昂哉・雄二「「おい‼︎」」

ババア「それじゃ、召喚フィールドはこの教室に張っておくからね〜。それじゃあまた。」

昂哉・雄二「「帰んな、クソババア‼︎」」

 

 ばあさん、もといババアはすぐに消えてしまった。旨い日本酒をくれると思ったらこのザマかよ!

 

優子「それじゃあ、始めよっか。」

昂哉「はい……………」

 

 ということで、仕方なく召喚獣の試運転を始める事になった。嫌な事が起きないといいけど…………

 

 

 

 

 まあ安全性も考慮して、最初は点数の低い人から召喚する事になった。

 

秀吉「それじゃあ召喚するぞい。試獣召喚(サモン)

 

 まずは秀吉からだ。果たして、どのような仕様なのだろうか………

 

明久「これは……?」

雄二「等身大の召喚獣………?」

 

 そうして喚び出された召喚獣は、秀吉とそっくりな召喚獣だった……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

秀吉「何故ワシが巨乳化しておるのじゃぁぁぁぁぁ⁉︎」

 

を除いて。

 

ムッツリーニ「………これが秀吉………でかい///」

秀吉「違うのじゃ!」

明久「よかったね秀吉!」

秀吉「良くないのじゃ‼︎」

昂哉「これで悩みの貧乳も解決出来たね♪」

秀吉「それが悩みなのはワシじゃなくて姉上じゃ‼︎」

優子「秀吉、何か言い残すことは?

秀吉「すまないのじゃ………」

明久「いいや、それは美波だ‼︎」

島田「アキ、そこを動かないで。今からあの世に連れてってあげるから。

明久「ごめんなさい………」

 

 それにしても、召喚システムにまで女の子扱いされるとは………流石は秀吉だね‼︎そんな事を思ってると、

 

美穂「あの、秀吉君が女体化してるとは考えられないのでしょうか?」

 

 佐藤が変な意見を言った。

 

明久「女体化?いや、秀吉は女の子でしょ。」

姫路「それはそうですね………」

昂哉「いや、秀吉は秀吉だよ。」

秀吉「ワシは男じゃ。」

昂哉・明久・ムッツリーニ「「「はぁ?」」」

秀吉「おぉぉぬぅぅしぃぃらぁぁはぁぁ‼︎」

 

 最近、怒ってる秀吉が可愛いというよりは、俺と優子の関係をめちゃくちゃからかってくるから仕返しをしてやろう、と思えるようになった。これは成長なのだろうか?そんな事を思ってると、

 

優子「とりあえず、他の人も召喚してみたら?」

 

 優子にごもっともな事を言われた。

 

昂哉「そうだね。」

島田「それじゃあ次はウチがいくわ。試獣召喚(サモン)

 

 さてと、島田の召喚獣は……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

身長170弱の、赤髪短髪なスポーツ少年みたいな召喚獣が出てきた。顔は島田を男にしたみたいな感じだ。

 

明久「美波はやっぱり男だったんだ………」

島田「なわけないでしょ‼︎」ドゴォ

明久「痛ったぁ⁉︎」

 

 明久が島田に蹴られているのはさておき、今度は、

 

ムッツリーニ「……… 試獣召喚(サモン)

 

 ムッツリーニが召喚した。すると、身長140後半くらいの可愛らしい青髪の女の子が召喚された。この瞬間、俺たちはある結論に至った。

 

全員「「「「「性転換召喚獣か…………」」」」」

 

 男は女に、女は男になってるからね。全く、ばあさんも変な召喚獣を開発したもんだ。

 

昂哉「TSって………」

雄二「何を考えてるんだか……」

秀吉「ワシは女になると胸が大きくなるのか……」

明久「秀吉は元から女でしょ?」

秀吉「違うのじゃ!」

秀美「その通りじゃ‼︎」

 

 ⁉︎

 

昂哉「今のって…………」

全員「「「「「召喚獣が喋ってるぅぅぅぅぅ⁉︎」」」」」

 

 そんな召喚獣なんて初めて見たぞ⁉︎性転換した上に喋るとか、あのばあさんはマジで何を考えたんだよ⁉︎

 

秀美*2「そもそもお主らは誰じゃ?ちなみにワシは木下秀美(ひでみ)じゃ。」

美斗*3「俺は島田美斗(よしと)だ。よろしくな‼︎」

香美*4「………土屋香美(こうみ)。」

 

 凄い、召喚獣同士で勝手に喋り始めた‼︎これは面白いぞ‼︎秀吉のはは本人とほぼ変わらない声だけど、島田のが少し高めの少年声になってたり、ムッツリーニのが大人しめのロリ声になっていたりと、声までちゃんと性転換してるのか‼︎

 

昂哉「俺らもやるか‼︎」

雄二「だな‼︎」

昂哉・雄二・明久「「「試獣召喚(サモン)‼︎」」」

 

 さてと、俺たちの性転換召喚獣は…………?

 

明子*5「私は吉井明子(あきこ)です!アキちゃんって呼んでね!」

 

 明久の召喚獣は秀吉と同じくらいの身長で、茶髪でバカっぽそうな女の子だね。声もバカっぽい。これはまさに小さくしたアキちゃんだ!ちなみに胸も小さい。それこそ優子よりも。

 

*6「アタシは坂本(ゆう)。なんでも好きに呼んで。」

 

 雄二のは身長170弱で赤髪ショートヘアーのスケバンか。胸や尻などのスタイルが結構いいね‼︎声はちょっとぶっきらぼうな感じ。さて、俺は………

 

昂奈*7「アタシは雲雀丘昂奈(あきな)。好きなものは酒、麻雀、パチンコ、風俗。皆よろしくね〜♪」

 

 茶髪のロングヘアー、身長160後半、大人びた顔と声。そして両手に酒瓶。自己紹介からしても、ダメな大人の女感満載だ。スタイルはめちゃくちゃいいけど。あと俺の自己紹介丸パクリするとは思わなかったよ。

 

明久「うお〜!」

優子「なんか凄い光景ね。」

 

 本当にカオスな光景だ。性転換をさせた皆がそこにいて、そして各々喋ってるんだから。

 

霧島「…侑ちゃんも可愛い///」

侑「えっと……///」

雄二「良かったな翔子。あの子がお前の新しい恋人だ。」

霧島「…それは違う。」

優子「昂奈さん、可愛いというよりカッコいいって感じだね。」

昂哉「確かに………」

 

 ここで俺はある名案が思いついた。

 

昂哉「いっその事全員召喚しちゃおうぜ‼︎それで俺たちは黙って、召喚獣たちに会話をさせるんだ‼︎」

 

 TS・Worldの構築だね!

 

霧島「…それいいかも。」

優子「今のところ点数による悪影響も無さそうだし!」

姫路「人格面でどのような影響が及ぶか確かめたいですしね。」

工藤「そうだね〜!」

昂哉「ならやるか‼︎」

優子・霧島・美穂・工藤・姫路・清水・久保・赤田爺「「「「「「「「試獣召喚(サモン)」」」」」」」」

 

 そうして皆は召喚し始めた。あとなんか余計な人が増えてない?気のせい?

 

 

 

 それはともかく、他の人たちの召喚獣を見るか。

 

翔太*8「…霧島翔太だ。…よろしく。」

 

 霧島のは身長175cmくらい。紫髪で男にしては少し髪が長め。声はちょっと(こも)り気味で、いかにも勉強出来そうな感じが満載だ。

 

*9「は〜い!ボクは工藤(ちか)だよ〜!よろしくね〜♪」

 

 工藤のは身長170弱。黄緑髪の短髪で、いかにも陽キャ感満載の声と顔だ。

 

美樹*10「僕は佐藤美樹(よしき)です。よろしくお願いします。」

 

 佐藤のは身長175cmくらい。ハッキリ言って久保とそっくりだ。メガネといい髪型といい。ちなみに声は大人しめの少年声だね。

 

瑞希*11「私は姫路瑞希(みずき)と申します。よろしくお願いします。」

 

 姫路は身長165cmくらい。見た目は青髪ロングヘアーで大人しめの男の子だ。ズボン越しにも分かるくらい股間が全然大人しくないが。髪は肩にかかるくらいと長め。また名前と一人称が変わってないせいで、セリフそのものはあまり違いがない。声は少しねっとりしてるな………

 

春彦*12「清水春彦(はるひこ)です!あ、あれはお兄様………っ⁉︎」

美斗「はぁ⁉︎」

 

 何故か乱入してきた清水のは背が160弱と低めだが声まで低め。髪は普通の長さくらい。そしてTSしたからホモ野郎になった。

 

赤田婆*13「あたしゃ赤田トネ。若い男を漁りにきたわい。」

 

 じっちゃんはばっちゃんになった。白髪で背が150cmくらいのばあさん。腰が曲がってる。ばあさんが若い男を漁るのって、漁られる側からしたら最悪だな。

 

*14「私は久保(ひかり)です。」

 

 久保のは佐藤とそっくりだ。メガネをかけたインテリ系美少女。髪の毛は黒髪ロング。大人しめの声。スタイルも似てる。そしておそらく女の子好きというところも。

 

 さあ、最後は優子の番だ‼︎さてさて、どんなのが出てくるかな………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優太*15「俺は木下優太(ゆうた)‼︎あと俺は男だからな‼︎勘違いすんなよ‼︎」

 

 秀吉や秀美ちゃんにそっくりの女の子が出てきた。これで男は正直無理があると思う。声も女の子みたいだし。

 

昂哉「優子が男の娘枠か〜。」

優子「アタシもそんな気がした。」

秀吉「ワシもじゃのぅ。」

 

 秀吉のポジションが優子になった感じだね。

 

昂哉「とりあえず、召喚獣の会話を観察するか〜。」

人間全員「「「「「「「うん。」」」」」」」

 

 ということで、俺は性転換した召喚獣たちの会話を観察する事にした。

 

 

 

 

 まずは分かりやすく雄二と霧島のから。

 

翔太「…侑、今度遊園地にデートに行こう!」

侑「はぁ⁉︎嫌に決まってんだろ‼︎そもそもアタシは……」

翔太「…言う事聞かなかったら即結婚。」

侑「分かったよ翔太!行くから!」

 

 根暗なエリート男子がヤンキー女子を拘束する光景。普通イジメられるのって逆じゃない、と思った。

 

 

 

 

 次は明久たちだ。

 

瑞希「あの、明子さん!今度一緒に遊園地行きませんか?」

明子「いいよ〜!他の皆はどうする?」

瑞希「えっと………美斗君も行きます?」

美斗「あっ、あっ、ちょ、ちょうどその日空いてるから‼︎だ、だから俺も暇潰しに行ってやる‼︎」

春彦「ダメですお兄様‼︎お兄様はそんなビッチとではなく、春彦と一緒にデートをする運命なのですから‼︎」

明子「ビッチ⁉︎」

美斗「嫌だぜ、そんな運命‼︎というか春彦はついてくんな‼︎」

春彦「酷いです、お兄様‼︎」

光「あの、吉井さん。私もご一緒していいですか?」

明子「久保さんも?いいよ!」

赤田婆「春彦よ、あたしとデートする気は?」

春彦「はぁ?失せろババア。

 

 色々あるな………。まず男姫路はねっとりしててちょっとキモい。姫路には悪いけど。それから男島田が示してくれたけど、男のツンデレって意外と可愛いんだな。あと清水と久保は性別が変わっただけでだいたい一緒だな。あとアキちゃん、君は完全に無自覚系オタサーの姫だ。しかもアホの子。正直彼女にしたいわ。ばっちゃんには触れないでおこう。

 

 

 

 

 さてと、次は…………

 

愛「ムッツリーニちゃん、ボクのパンツに興味があるのかな?なら見せてあげようか?」

香美「………エロに興味は無い///」ブー(鼻血)

 

 保体コンビだね。性別が変わるだけでこんなにも事案感が増すとはな………。あと香美ちゃんがマジでやばい!小柄で無口で声が可愛いムッツリ少女。割とタイプだ‼︎お持ち帰りしたい‼︎アキちゃんよりも彼女にしたい‼︎あと男工藤はこれで実は恥ずかしがり屋なんだよな。意外なギャップだ。

 

 

 

 

 さて、最後は俺たちだ。

 

美樹「優太君は抱きつかないのですか?雲雀丘さんに。」

優太「あっ、えっと……///」

昂奈「やだわよコイツなんか‼︎アタシは秀美ちゃんと一緒がいいの〜♪」

秀美「ワシは美樹の方がいいのじゃ。ほら昂奈よ、素直に兄上に抱きついてみてはどうかの?」

昂奈「嫌ったら嫌‼︎」

優太「そういえば昂奈はこの間学校をサボってたよなぁ?お仕置きしてやろうか?

昂奈「分かった、分かったから!罰は取り消し!その代わり抱きついていいわよ!」

優太「ありがとう………///」

 

 まず男佐藤が普通に秀美ちゃんに抱きついてるんだね。凄い光景だ。けしからん‼︎あとは俺と優子が、歳下男の娘の尻に敷かれる歳上ダメ女というよく分かんない構図になってる。性別が変わるだけで、こんなにも景色は違うのだな。

 

 

 

 

 

 さてと、いろいろと分かってきたな。

 

昂哉「どうやら性転換しても、あまり中身は変わらないみたいだね。」

優子「見た目もアタシと秀吉以外は身長が比例していたりするわね。」

秀吉「その他は……あまり特徴が無さそうじゃが……」

優子「それにしても、なんでアンタは巨乳なのよ………アタシはこんななのに………」

秀吉「ワシも知らんのじゃ。」

美穂「よく分かりませんね………」

 

 待てよ?秀吉が巨乳?一体性転換はどんな法則に基づきなされているのだろうか?そういえば明久は貧乳だったな。ムッツリーニも小さめ、雄二と俺はデカめ。一体何を起点にしてるんだ………?男女の染色体からホルモンの違いを考慮して………姫路が謎に巨根………男の女の最大の特徴から察するに…………色んな関数に当てはめると…………ってこの関係は、まさか………っ⁉︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「おちんちん相対性理論⁉︎」

他の人「「「「「えっ⁉︎」」」」」

 

 そうだ。これしかない‼︎おちんちん相対性理論はかの有名な天才物理学者、ゲラルト・ゼーマンが提唱した理論だ。性転換する際の男性の()()の大きさ、いわゆるOT値と女性の胸の大きさは比例するという法則‼︎これに当てはまれば男姫路の巨根も女性化した召喚獣の胸のサイズも全て説明出来る‼︎

 

昂哉「論文を書こう、論文を‼︎そしてこれをばあさんに出すんだ‼︎」

優子「ええ…………」

 

 こうして俺たちは、『性転換召喚獣におけるおちんちん相対性理論の妥当性』という題目でばあさんに論文を提出し、見事怒られたのであった。

*1
近所の女子大醸造部が造ってる日本酒。詳しくは第四章を参照。

*2
CV.加藤英美里

*3
CV.梶裕貴

*4
CV.日高里菜

*5
CV.佐倉綾音

*6
CV.田野アサミ

*7
CV.日笠陽子

*8
CV.内山昂輝

*9
CV.宮野真守

*10
CV.河西健吾

*11
CV.柿原徹也

*12
CV.杉田智和

*13
CV.夏木マリ

*14
CV.茅原実里

*15
CV.加藤英美里




 ということで本音を喋る召喚獣ではなく、オリジナルで性転換召喚獣の話でした。ちなみに最後の部分の元ネタは『Agravity boys』です。

 それと、各TS召喚獣の設定です。


・雲雀丘昂奈(あきな) CV.日笠陽子
身長:167cm、Dカップ
茶髪のロングヘアーで大人びた顔をしている
好きなものは酒、麻雀、パチンコ、風俗

・木下優太(ゆうた) CV.加藤英美里
身長:158cm、ブツは小
秀吉や優子と見た目はあまり変わらない
めっちゃ女の子っぽいが男。

・木下秀美(ひでみ) CV.加藤英美里
身長:158cm、Hカップ
秀吉や優子と見た目はあまり変わらない
爆乳で可愛い爺言葉の女の子

・吉井明子(あきこ) CV.佐倉綾音
身長:157cm、Aカップ
茶髪のロングヘアー(昂奈よりは短め)
相変わらずおバカ

・坂本侑(ゆう) CV.田野アサミ
身長:173cm、Eカップ
赤髪のショートヘアー
泣く子も黙る女ヤンキー

・姫路瑞希(みずき) CV.柿原徹也
身長:165cm、ブツは巨大
青髪ロングヘアーで大人しめの子
でもアキちゃん大好き殺人料理人

・島田美斗(よしと) CV.梶裕貴
身長:170cm、ブツは極小
赤髪短髪で活発な男の子
でもアキちゃん大好きツンデレ

・土屋香美(こうみ) CV.日高里菜
身長:147cm、Bカップ
青髪ロングで童顔、無口、ロリ声
でもめっちゃムッツリ

・霧島翔太(しょうた) CV.内山昂輝
身長:176cm、ブツは中
紫髪ロングヘアーの優等生
でも侑ちゃん大好きヤンデレ

・工藤愛(ちか) CV.宮野真守
身長:171cm、ブツは小
黄緑髪短髪のスポーツマン
セクハラするのが好きだがされるのは苦手

・佐藤美樹(よしき) CV.河西健吾
身長:175cm、ブツは大
メガネをかけた優等生
というか久保そっくり

・久保光(ひかり) CV.茅原実里
身長:162cm、Cカップ
メガネをかけた優等生
というか美穂そっくり

・赤田トネ CV.夏木マリ
身長:151cm、元Cカップ
白髪のばあちゃん、腰が曲がってる
若い男との恋愛願望がかなりある

・清水春彦(はるひこ) CV.杉田智和
身長:161cm、ブツは中
オレンジ髪で普通の長さ
美斗をお兄様と呼び慕っている



 ちなみに僕のタイプは女ムッツリーニこと香美ちゃんです。

 また第十一章ですが、もう少しお待ち下さい。

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第七十七問 個人型シャルピー衝撃試験

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 明久

 

 ある日の物理の授業で物理室に行くと、そこには大量の大きな振り子のようなものがあった。アレは何に使うんだろう?疑問に思っていると、先に着いていたケツ先生が口を開いた。

 

家角「Fクラスの皆、今日は物理の実験をするぞ。」

 

 実験か〜。確かにちょっと面白そうだね〜。

 

家角「その名も、シャルピー衝撃試験だ‼︎」

 

 うわ〜。名前的にいかにも難しそう。そんな実験を僕たちが出来るのかな………

 

家角「それではTAの2人、プリントを配ってくれ!」

姫路・島田「「はい。」」

 

 ということで姫路さんと美波が配ったプリントには班分けと実験の概要が書かれていた。班のメンバーは僕、雄二、昂哉、秀吉の4人だ。ムッツリーニは別の班みたい。あと女子2人の役職はよく分からないけど、どうやら実験のアシスタントみたい。

 

 僕たちが実験機材のある場所まで行くと、ケツ先生が実験の説明を始めた。

 

家角「この実験は、位置エネルギーの差から物体の破壊に用いたエネルギーを求めるものだ。具体的な手順は次の通りとする。

 

 

①試験片を下に置く

②ハンマーがついた振り子を所定の高さから落とす

③下に置いてある試験片に衝突させる

④ハンマーが振り上がる高さを測定する

⑤ ②と④で計測した高さ(角度)から試験片の破壊に用いたエネルギーを計算する

 

 

さて、何か質問はあるかね?」

 

 う〜ん!よく分からん‼︎

 

雄二「名前の割に単純な実験だな。」

昂哉「余裕余裕‼︎」

秀吉「ワシでもやれる気がするぞい!」

 

 マジで?

 

明久「えっ⁉︎なんでみんな分かるの⁉︎」

雄二「なんで逆に分からないんだよ。ハンマーを下ろして試験片をぶっ壊すだけだろ。」

明久「そ、そういう事だったんだ……僕のバカがバレちゃったね……」

昂哉「明久、冗談で言ってるなら病院行った方がいいよ。」

雄二「駅前のとこがおすすめだぞ。」

 

 コイツらには後で姫路さんの料理を食べさせてあげよう。

 

雄二「まあFクラスにはこのくらいの単純な実験がお似合いだろう。」

昂哉「バカ向きの実験だね!」

秀吉「そうじゃの。」

 

 さらには他の班の人まで………

 

須川「なんか思ったよりつまらんな。」

横溝・福村「「だな。」」

ムッツリーニ「………俺でも出来そう。」

 

 実験をナメるような発言をした。そしてこれを聞いたケツ先生が何故か突然笑顔になった。

 

家角「ほほう、皆はこの実験がつまらないと。」

全員「「「「ああ。」」」」

家角「そうかそうか。それではちょっと面白くしてやろう!吉井、この座布団を使ってくれ。」

 

 そう言ってケツ先生は僕に座布団を渡してきた。

 

明久「え?僕が?座りながら実験をするの?」

家角「いや違う。ちょっと失礼。」

明久「えっ……」 バタン

 

 

 

 

 

 

 

 目を覚ますと、僕は試験機に固定されていた。しかもハンマーで試験片が吹っ飛ぶ場所に………。股間に座布団を巻いてあるのがせめてもの温情だろう………。

 

家角「それでは皆、実験の課題として股間を痛打しない高さを計算するように。これならスリルがあって面白いだろ?」

 

 コイツ、なんて恐ろしい事を考えるんだよ‼︎

 

雄二「これもう罰ゲームじゃないか‼︎」

明久「拷問じゃん‼︎」

秀吉「芸人でももう少し優しい機材でやるぞい‼︎」

昂哉「お前はそれでも人間か⁉︎」

ムッツリーニ・須川・横溝・福村「「「「許さない‼︎」」」」

家角「別にいいだろ?だって………」

 

 どこがだよ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家角「全員股間(ソレ)を使う機会があるわけでもないんだしさ〜‼︎」

昂哉・秀吉以外「「「「喧嘩売ってんのかコラ⁉︎」」」」

 

 調子に乗るなよ‼︎あと美波と姫路さんがアシスタントやってるのは股間をやられてもダメージが無いからかよ‼︎ふざけんなよ‼︎

 

昂哉「ちなみに俺と秀吉は使ったことあるけどね〜w」

秀吉「いや、その………そうじゃの///」

 

 秀吉はともかく、昂哉はプロ相手しか無いでしょ。何自慢してんの。

 

家角「試験回数は四回。一度でも試験片を破壊できなかったらその班の人全員の股間を俺がハンマーで直接叩く‼︎そして留年な。」

 

 ちょっと!サドンデスかよ!失敗したらもっと痛いじゃん‼︎絶対に気絶しちゃうよ‼︎それに留年までさせる必要無くない⁉︎

 

昂哉「あの糞野郎め‼︎」

秀吉「しかし四回もやるとはのぅ……」

雄二「最後まで明久の股間がもてば良いが……」

昂哉「そうなんだよな〜。」

 

 えっ?なんか凄い事言われたんだけど………

 

明久「ちょっと⁉︎皆でだよね⁉︎皆で一回ずつだよね⁉︎」

秀吉「しかしどうするのじゃ?」

明久「一回でも失敗したらアウトとなると……」

昂哉「ひよった高さでは挑戦出来ないね。」

雄二「となると…………

 

 

 

・一回目 データがないので念のために間違いなく破壊できる高さで試す

 

・二回目 一回目のデータを元に測定誤差を考慮し、若干下げた高さで試す

 

・三回目 測定誤差のデータも考慮した高さで試す

 

・四回目 三度のデータを用いてギリギリの高さで試す

 

 

という感じだな。」

 

明久「なるほどね〜。つまり………」

明久・雄二・昂哉・秀吉「「「「一回目は確実に死ぬ‼︎」」」」

 

 バカな僕でも分かるよ‼︎最初だけは引いちゃいけないって‼︎

 

雄二「じゃあ準備が出来てる明久からだな。」

昂哉「そうだな。」

秀吉「そうじゃの。」

 

 はい?なんかヤバい流れになってるんだけど………

 

明久「ままままま、ちょっと待ってよ皆‼︎」

 

 そうだ。これを避けるためには………!

 

 

 

明久「秀吉は女の子なんだからダメージがないでしょ!」

 

 

 

 秀吉に投げる!最初はやっぱりダメージを受けない人の方がいいよね!

 

雄二「なるほどな。」

昂哉「一理あり!こんな可愛い女の子におちんちんがついてるわけないよね‼︎」

秀吉「一理ないのじゃ‼︎ワシは男じゃ‼︎というかいつもは男扱いしてくれる雄二までどうしたのじゃ⁉︎」

 

 秀吉は何故かうろたえている。よく分からないな〜。

 

明久「秀吉、観念しなよ〜!」

秀吉「やめるのじゃ、お主ら‼︎」

雄二「誰がやめるか。」

昂哉「俺たちのために、死んで下さい♪」

明久「そうだね♪」

秀吉「くっ……かくなるうえは………」

 

 秀吉が昂哉の方をチラッと見た。何をする気だろう?

 

秀吉「皆よ、昂哉からやるべきじゃとワシは思うぞい‼︎」

 

 なるほどね。他の人に押し付けるのか!

 

明久「ほう。」

雄二「その理由は?」

秀吉「それはじゃの……」

昂哉「嫌な予感がする………」

 

 さて、その理由………

 

 

秀吉「いずれ昂哉兄は姉上に手を出ぎゃぁぁぁぁ」バタン

 

 

 を言う前に昂哉が秀吉の股間を思いっきり蹴り上げた。その衝撃のあまり、秀吉は気絶してしまった。

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 最近秀吉は俺のこと結構からかってくるからね!だからこれはそのし返しでもあるのさ‼︎

 

 

 

  side 明久

 

 昂哉は気絶した秀吉を無理矢理試験機の方に運んだ。

 

昂哉「さて、秀吉も同意した事だし実験を始めるか〜。」

雄二「何という鬼畜クソ野郎だ。」

明久「幼馴染みに対する態度じゃないよね。」

 

 そして秀吉が試験機にセットされた。

 

秀吉「は、離すのじゃお主ら‼︎」

雄二「チッ!」

明久「これでセット完了だね!」

昂哉「お前ら、秀吉が逃げる前に実験の準備を急ぐぞ‼︎」

明久・雄二「「了解‼︎」」

秀吉「ワシの話を聞くのじゃ‼︎実は昂哉は……」

明久「機材準備できました‼︎」

昂哉「測定準備、OK‼︎」

雄二「よし、実験開始‼︎」

秀吉「やめるのじゃぁぁぁぁぁ‼︎」

雄二「一同、英霊に敬礼‼︎」

明久・昂哉「「はっ‼︎」」

秀吉「あぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 こうして試験片は秀吉の股間にヒットした。

 

 

昂哉「150°は高すぎたみたい。」

雄二「次はもう少し比較してみるか。」

明久「いいデータが取れて何よりだね。」

雄二「それじゃあ次は……」

昂哉「断る。」

明久「嫌だね。」

 

 やるんだったらやっぱり四回目がいいよね。そんな事を思っていると秀吉が呻き始めた。

 

秀吉「う、うう……」

雄二「お?」

明久「どうしたの、秀吉?」

秀吉「次の……、被験者は……、ワシに………、選ばせて……、欲しいのじゃ………」

明久「ふ〜ん。」

雄二「お前が選ぶのか。」

昂哉「げっ………」

 

 そして僕と雄二は秀吉の視線が昂哉に向いている事に気がついた。だから………

 

明久・雄二「「任せた。」」

昂哉「嫌だぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 秀吉に一任した。

 

昂哉「俺は今から優子の教室に行ってくる‼︎だから明久か雄二がやれ‼︎」

秀吉「授業中に抜け出すのはよろしくないのぅ♪」

雄二「往生際が悪いな、昂哉。」

明久「それでも歳上なの?」

昂哉「歳は関係ないでしょぉぉぉぉぉ‼︎ねえ秀吉、俺とお前は恋人同士、2人でプ○キュアの関係だよねぇ⁉︎」

秀吉「ちなみにワシは………」

 

 ん?何を言うつもりなんだろう?そして秀吉は携帯をいじって………

 

秀吉「姉上(物理の天才)からさっき答えを聞いたのじゃ‼︎」

明久・昂哉・雄二「「「おお!」」」

 

 なるほどね!木下さんは数学と物理なら学年一位だからね!

 

秀吉「じゃからワシの言う通りに従えば大丈夫じゃ‼︎」

昂哉「分かった!それなら秀吉を信じるよ‼︎」

秀吉「明久は試験片を、雄二は昂哉をセットして欲しいのじゃ‼︎」

明久・雄二「「了解‼︎」」

 

 そして実験の準備が完了した。

 

雄二「じゃあ秀吉、頼んだぞ。」

明久「お願いね!」

昂哉「頼む皆‼︎俺を救って‼︎」

秀吉「分かったのじゃ!」

昂哉「ありがとぉぉぉ‼︎」

 

 昂哉が救われたような顔をしている。そんな昂哉に秀吉が話しかけた。

 

秀吉「ちなみに昂哉………」

昂哉「どうしたの、秀吉?」

秀吉「姉上に角度を聞いた結果じゃ!」

 

 そうして秀吉は自分の携帯を見せると、そこには…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子(LINE)『実験器具の重さとかが分からないから、角度の出しようがないわ。』

 

 

 

 

 地獄みたいな文字が書いてあった。

 

昂哉「謀ったな貴様ぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 こうして昂哉の股間が破壊された。

 

雄二「確かに計算のしようがないな。」

秀吉「その通りじゃ!」

明久「ちゃんと木下さんには聞いてるから親切だよね。」

昂哉「ど……こ……が……だ……よ………」

 

 さてと、次の標的を決めないと‼︎

 

明久「それより、次は雄二だよね?」

雄二「何を言うか、明久だろ?」

明久「雄二が霧島さんに手を出す前にその股間を潰しておかないとね‼︎」

雄二「明久は使う機会がないんだからいいだろ⁉︎」

明久「あぁ⁉︎」

昂哉「2人とも、冷静になりなよ。式から計算して導けば、わざわざこんな危ないことをしなくて済むとは思わない?」

明久・雄二・秀吉「「「確かに。」」」

 

 最初からそうしてればよかったんじゃ………

 

昂哉「ということで、次は計算が出来ない明久だね‼︎」

秀吉「雄二はこの中では昂哉の次に成績が良いからのぅ。」

 

 あっ…………

 

明久「ちょっとやめてよぉぉぉぉぉ‼︎」

雄二「安心しろ明久。」

明久「何、雄二?」

雄二「過去に神童と呼ばれた俺の力を見せてやる‼︎」

昂哉「この前霧島にあと一歩まで迫った俺もいるよ‼︎」

 

 そこまで雄二と昂哉が言うのなら………

 

明久「よし、任せたよ!」

雄二「ああ、任された!」

 

 ということで僕は試験機にセットされた。

 

 

 

  side 秀吉

 

 ワシはハンマーの高さをセットする係となった。そして昂哉と雄二が今計算を終えた。

 

昂哉「俺の計算が正しければ、134°で大丈夫なはず‼︎」

雄二「俺もその値になったぞ。」

秀吉「じゃあワシはそれに合わせるぞい。」

明久「ねえ、2人とも本当?」

雄二「安心しろ明久。1人ならともかく2人の計算結果が合ってるんだぞ?」

昂哉「しかもAクラス並みの2人だよ。心配することなんてないさ!」

明久「わ、分かったよ!」

 

 まあこの2人の結果が合うのじゃから大丈夫じゃろ。そうしてワシがセットした後に2人のプリントを見ると………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄二→101°

昂哉→101°

 

 

 2人とも平然と嘘をついておった。

 

昂哉「硬いよ、明久♪」

雄二「力抜けよ、明久。」

明久「い、嫌だぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 こうして明久の股間が破壊されおった。

 

 

 

 さて、残すところは雄二のみとなったわけだが………

 

雄二「ほ〜い、早くセットしろ〜。計算結果は既に出てんだろ〜。」

 

 そう言われて素直にセットするような連中ではないのじゃ。雄二と試験片だけをセットした後、こう言った。

 

明久「あ、僕気づいちゃった♪」

昂哉「奇遇だね、俺もだよ!」

秀吉「ワシもじゃの!」

雄二「お前ら、どうしたんだ?」

明久「この計算結果にはね……」

昂哉「係数Nをかける必要があるのさ‼︎」

雄二「係数Nだと?」

秀吉「そうじゃの!」

明久・昂哉・秀吉「「「憎しみ係数Nってやつをな‼︎」」」

 

 こうして雄二の股間は破壊されおった。

 

 

 

 雄二が帰ってきた後、ワシらは最後の締めを行うことにしたのじゃ。

 

雄二「お前ら、分かってるな。」

明久・秀吉・昂哉「「「ああ。」」」

 

 そしてワシらはケツ先生に近づいて………

 

昂哉「家角亜成(けつのあなる)大先生‼︎」

家角「どうした、貴様ら?」

明久「僕たちが間違っていました‼︎」

秀吉「実験を舐めてしまってすまないのじゃ‼︎」

雄二「俺達に物理を教えて下さい‼︎」

家角「ほほう、いかに自分達が愚かで頭が足りないかをを理解したようだな。」

明久・雄二・昂哉・秀吉「「「「はい‼︎」」」」

秀吉「じゃから家角亜成大先生よ!」

明久「未熟な僕たちを導いて下さい‼︎」

昂哉「お願いします‼︎」

雄二「俺からもお願いします‼︎」

家角「そうかそうか、いいだろう!ならば特別にこの俺が教えてやろう‼︎」

 

 とケツ先生が言いおったので、試験機にセットしてやったのじゃ。

 

家角「えっ?」

秀吉「では手本を頼むぞい。」

明久「足をもっと開いてくれますか〜?」

雄二「下っ腹に力入れてないと死ぬぞ?」

 

 ケツ先生は動揺しておる。じゃがそんな中で、何かを閃いたようにこう言いおった。

 

家角「ふっ……!貴様らはやはり愚かだな。天才物理教師ののこの俺がこんな簡単な計算を間違うはあるまい‼︎」

明久・雄二・昂哉・秀吉「「「「確かに!」」」」

 

 彼奴の言っておることは間違いではなかろう。

 

家角「それじゃあ貴様ら、ハンマーの角度を101°に設定しろ‼︎」

明久・昂哉・雄二「「「はい!」」」

秀吉「分かったのじゃ!」

 

 そして準備が完了しおった。

 

昂哉「ではいきますよ‼︎」

家角「ああ!」

雄二「本当に大丈夫か?」

家角「大丈夫だ。なんせ俺の計算だと股間の手前1mmで止まることになっているかなら!俺の頭脳の素晴らしさを、貴様らに見せてやる‼︎」

 

 そうして実験がスタートしおった。もちろん角度は合ってるのじゃが………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家角「お、重りだとぉぉぉぉぉぉ⁉︎」

 

 ハンマーに重りをつけておいたのじゃ‼︎それが意味することを、股間が死んだ後のケツ先生が解説してくれたのじゃ。

 

家角「つ、つまり……、ハンマーに追加した重りの持つ位置エネルギーは………、そのまま試験片に加算されるというわけで………。それは300gの重りを高さ73cmから落とした衝撃を………、直接股間で受けたのと同じという計算に………」

 

 ということじゃ!

 

昂哉「なるほどなるほど〜。」

秀吉「身をもって学んだのじゃ!」

雄二「まさに実験だったな。」

明久「僕でも忘れない計算式になりそうだね。」

 

 こうしてシャルピー衝撃試験は終わったのじゃ!

 

ムッツリーニ「………ケツ先生、次は俺たちの班に来て下さい。」

家角「断る!」

ムッツリーニ「………それなら……」

ムッツリーニ・須川・横溝・福村「「「「無理矢理連れて行く‼︎」」」」

家角「嫌だあぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 ちなみにケツ先生はこの日班の数である12回実験台にされたそうじゃ。

 

 

 

  side 優子

 

 シャルピー衝撃試験は誤差が大きい試験のため、昂哉たちがやった行為をやる際は特殊な訓練を受けてからにしてね!アタシとの約束だよ‼︎




 最近なかなか更新出来ずにすいません!頑張って暇を見つけて更新します!それと、十二章の話は思いつくのに十一章の話は思いつかない現象が発生しています。なのでこれからは同時進行になるかも!

 そしてここからはシャルピー衝撃試験を三連発します‼︎まずは基本の、個人型シャルピー衝撃試験でした!次はウソ発見器型シャルピー衝撃試験をやるつもりです。

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第七十八問 ウソ発見器型シャルピー衝撃試験

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

横溝「俺は高一の夏に、童貞を捨てた。

 

 と物理の授業前の休み時間で横溝がそう言ってきたので…………

 

昂哉「俺は18の夏に、童貞を捨てた。

 

 と言い返したら………

 

昂哉以外「「「「「素人童貞だけどなw」」」」」

 

 何故か鼻で笑われた。

 

昂哉「なんで笑うんだよ⁉︎俺はお前らより一段上の男だというのに⁉︎」

須川「所詮金払っただけだろ?」

横溝「歳を取ればそんなの誰だって出来るじゃないか。」

福村「それなのに、その程度のことで自慢されてもな。」

武藤「それな!」

朝倉「器が知れるぜ。」

昂哉「お前ら、風俗は意外と高いんだからな⁉︎」

 

 万単位払わないといい嬢に巡り会えないからね‼︎それに、万単位のお金って普通に稼ぐのは大変なんだよ?まあ俺はギャンブルでしか稼いでないけど。

 

 そんな事を思ってると、

 

雄二「木下がいるのにまだなのか………」

 

 雄二が意味不明な事を言い始めたので、

 

昂哉「雄二だって霧島がいるのに、何してんの?」

 

 言い返したら、

 

昂哉・雄二以外「「「「「君たち、死にたまえ。」」」」」

 

 俺と雄二はまとめて殺された。

 

 

 

 

 

  side 雄二

 

 俺は気絶から目を覚ますと、クラスでは何やら横溝がわめいていた。ちなみに昂哉はまだ気絶している。*1

 

横溝「何故雲雀丘と坂本だけ殺した⁉︎俺は⁉︎非童貞であることが羨ましく無いのか⁉︎」

須川「いや、だってなあ……」

 

 そりゃあ………

 

雄二「他人の昨夜見た夢の話なんてどうでもいいからな。」

 

 明らかに嘘だって分かるからな。昂哉は木下の存在がその証明になっているし、この扱いの差は妥当だろう。俺が殺されたのには納得いかないが。

 

横溝「誰が夢の話をしてると言った⁉︎」

朝倉「お前だろ。」

横溝「うるせえ‼︎とにかく、これはマジ話で、家庭教師に来ていた女子大生のエレナさんと……」

武藤「AVの世界かよ……」

福村「それともエロゲーか?」

横溝「いやいや、マジだって‼︎」

須川「嘘つけ。」

横溝「まあ、エレナさんがいれば真実だと証明して貰えるんだがな。」

雄二「は〜ん。」

朝倉「それは残念だなぁ。」

 

 他の奴らも心底どうでも良さそうに聞いている。まあ当然の反応だろう。そんな事を思ってると、

 

武藤「ちなみにそういう話なら俺だってあるぞ。」

 

 武藤が意味不明な事を話し始めた。

 

須川「あん?」

福村「何だ武藤、言ってみろ。」

武藤「俺は中学時代、モテ過ぎてファンクラブがあったんだ。」

武藤以外「「「「「嘘つけ。」」」」」

 

 横溝と言ってる事が大して変わらないじゃねえか。

 

横溝「武藤、お前話盛ってんじゃね〜ぞ。」

朝倉「お前がそれ言うのか?」

武藤「まあ、同中の奴らがいたら証明できるんだがなぁw」

福村「けっ!」

須川「言うだけなら誰でもできらぁ‼︎」

 

 確かに須川の言う通りだ。そんなことを思ってると………、

 

武藤「何、お前らはそういう武勇伝ないわけ⁉︎」

横溝「おいおい、哀しい人生だなあ‼︎」

 

 あの2人がとんでもないことを言った。当然、他の連中はそれを聞いた瞬間、

 

朝倉「バカを言うな‼︎」

須川「あるに決まってんだろ‼︎」

福村「ああ‼︎」

 

 怒り狂い始めた。

 

須川「俺は小学校の頃神童と呼ばれるほど優秀で……」

 

 それは俺だ。

 

朝倉「俺は地元でも有名なワルで‼︎」

 

 それも俺だ。

 

福村「俺には幼馴染みの許嫁がいて‼︎」

 

 それは………俺じゃないな。

 

横溝「なんか嘘くせえ設定だな〜w」

雄二「確かに。」

須川・朝倉「「んだとコラァ⁉︎」」

 

 そうやって俺たちが騒いでいると、

 

家角「やかましいぞ、貴様ら‼︎」バンッ!

 

 ケツ先生がドアを開けバク転をキメながら教室に入ってきた後

 

家角「神聖な俺の授業は、準備時間も厳かに過ごしたまえ。」

 

 そう言い放った。それに対して、

 

須川「ですがケツ先生!」

朝倉「この2人が明らかなウソを‼︎」

福村「親友として、友を嘘つきにするわけにはいかない‼︎」

横溝「だからウソじゃねえって。」

武藤「嫉妬は見苦しいぞ。」

 

 須川たちがケツ先生にすがったが、

 

家角「ウソ?お前たちはそんなものも見抜けないのか?」

 

 奴はそれを軽くあしらった。それに対して、

 

雄二「いや、見抜いてはいるんだが……」

福村「コイツらが非を認めないんです。」

朝倉「大人しく諦めればいいのに。」

須川「哀れだなぁ。」

横溝「だって事実だし……」

武藤「非を認めようがないよなあ……」

 

 俺たちが反論し、横溝と武藤が駄々をこねると、

 

家角「ならば、理系らしく証明してみせろ‼︎」

 

 ケツ先生は謎のセリフを言いながら、

 

家角「このウソ発見器を使ってな。

 

 明らかにおもちゃっぽいやつを机の上に置いた。

 

朝倉「これに信憑性があるとは思えませんがぁ……」

家角「これだから学のないバカ共は……」

昂哉・雄二以外「「「「「あぁん?」」」」」

家角「これのメカニズムは知っているか?」

 

 確か対象の血圧・心拍数を測定して、ウソをつく際の心理的重圧からくるそれらの変化を読み取ることでウソを発見する、って仕組みだっけ?でも………

 

雄二「コイツら相手に通用するのか、それは?だって息をするより自然にウソをつく生き物だぞ?血圧や心拍数に変化は出るはず無いだろう?」

昂哉・雄二以外「「「「「あぁん⁉︎」」」」」

 

 嘘つきの集団Fクラスならそれは通用しないはずだ。果たして、ケツ先生はどう出るか………

 

家角「そんなことは承知の上だ。そこで物理の知恵を用いる。」

 

 そしてケツ先生は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家角「これがシャルピー衝撃試験式ウソ発見器だ‼︎」

 

 俺たちの股間を破壊した代物とウソ発見器をドッキングさせたものを用意した。

 

家角「こうすることでウソに対する精神的負荷を増大させるわけだ!」

横溝・武藤「「えっ?」」

須川「流石は俺たちの家角亜成大先生だ‼︎」

福村「これなら簡単にウソはつけませんね‼︎」

朝倉「だなぁ‼︎」

 

 男はとりわけ自分の股間を大切に扱う。何故ならばそこは急所だからだ。それを活かしたと言うわけか。流石だな。

 

家角「念のため作動実験をしておくか。」

 

 まあそれは必要だな。動かなかったら意味ないわけだし………

 

福村「よし坂本、何か適当なウソを………」

 

 ってそれはマズい‼︎誰かに責任を押し付けないと‼︎そういえばさっきから黙ってる奴がいるような………そうだ、そいつになすりつけよう。

 

雄二「いや、俺以外に適任がいるだろ。」

 

 そうして俺は…………

 

昂哉「………ん……?」

 

 気絶から目覚めた昂哉の方を指差した。

 

昂哉以外「「「「「なるほど‼︎」」」」」

昂哉「えっ?どういうこと?」

 

 ということで俺たちはシャルピー衝撃試験に昂哉をセットした。

 

 

 

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 なんか目覚めたらシャルピー衝撃試験されそうなんだけど⁉︎どういうこと⁉︎

 

雄二「昂哉、それじゃあその黄色い機械に手を通して!」

 

 どういうこと………ってこれはウソ発見器か………ってこれはマズい!この仕組み的に動揺したままだと確実に俺の股間は死ぬ!絶対にウソ発見器とシャルピーが連動しているはずだ‼︎だから、

 

昂哉「は〜い!」

 

 俺は俺自身を落ち着かせて事なきを得た。

 

雄二「さて、昂哉に質問だ。」

昂哉「何?」

雄二「お前、昨日はなんで学校を休んだんだ?」

 

 ここで嘘をつくと俺の股間が死ぬ。ならば本当のことを言うべきだろう。それに、この場に優子はいないから本音を言っても大丈夫でしょ!

 

昂哉「7日は駅前のパチ屋がアツいからね!」

 

 もちろん本音を告げたので俺の股間は無事だった。やったね!こうして俺は無事にシャルピー衝撃試験をクリアした。そんな俺に、

 

雄二「ちなみに昂哉……」

 

 雄二が声をかけてきた。ねぎらいの言葉かな?

 

昂哉「何、雄二?」

雄二「これを見てくれ。」

 

 そう言って雄二が見せてくれた携帯の画面には…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木下優子 通話中 2分30秒

 

 

 

 地獄みたいな文字が書かれていた。

 

昂哉(電話)『ゆ、優子⁉︎あの、こ、これは………』

優子(電話)『覚えてなさい。』プツッ

 

 どうやら俺は最初から死ぬことが決まってたみたいだ。

 

家角「では終わった頃に呼びたまえ‼︎」

須川「これでいいのか⁉︎」

朝倉「安全管理はぁ⁉︎」

 

 諸悪の根源その1と思われるケツ先生はどこかに消えた。だったら………

 

昂哉「お前ら‼︎雄二をセットして‼︎」

雄二「はぁ⁉︎」

昂哉・雄二以外「「「「「イエッサー‼︎」」」」」

雄二「お前らぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 ということで、俺にとっての諸悪の根源その2を退治することにした。

 

雄二「んで、お前らは俺に何の質問をするつもりだ?」

昂哉「簡単な話だよ。」

 

 そう言い始めた雄二に俺は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「霧島以外の女の子に興味はある?」

 

 浮気チェックをした。

 

雄二「はぁ?あるはずないだろ?」 シーン

 

 もちろん雄二は嘘を吐くのが得意だ。だからこのくらいのことも想定していた。だが本番はこれからだ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄二「なっ⁉︎」 キーン

 

そして強化合宿のときの姫路のはだけた浴衣写真を見せた。もちろん雄二は興奮して死んだ。もちろんこのままで俺は終わらない。

 

昂哉(電話)『もしもし〜!』

霧島(電話)『…どうしたの、雲雀丘?…優子とかけ間違えてない?』

昂哉(電話)『間違えてないよ!それよりおたくの雄二さんが他の女の子の浴衣姿に興奮してた事を報告したくて。』

霧島(電話)『…報告、ありがとう。

昂哉(電話)『ど〜も〜♪』

 

 きちんと霧島を使って雄二を追撃しておいた。しかもこれは事実だから、雄二は絶対に逃れようがない。ざまあみやがれ‼︎

 

福村「雲雀丘、その写真をくれ。いくらでも出す。」

須川「俺にもくれ。」

朝倉「俺もだ。」

横溝・武藤「「俺も俺も。」」

昂哉「ほ〜い!」

 

 ついでにお金も稼げたぜ‼︎やったね!

 

須川「んじゃあ次は武藤の番だな。」

朝倉「中学時代ファンクラブがあったって?」

 

 俺が死んでる間にそんな話をしてたんだね〜。というか、俺以外にもそういう奴がいたのか〜。

 

福村「ならそれが真実だと証明してみせろ‼︎」

朝倉「まさに命を懸けてなぁ‼︎」

昂哉「俺も知りたいな〜!」

武藤「………いいだろう。」

 

 ということで俺たちは武藤をセットした。

 

朝倉「では質問だ。」

武藤「おう。」

朝倉「お前は中学時代、本当にモテたのかぁ?」

武藤「はい‼︎」シーン

 

 お、無反応ということは、本当のことみたいだね!

 

須川「クソ!真実か!」

福村「ならもっと詳しく聞いてみろ‼︎」

朝倉「分かった‼︎では、告白は何度もされたのか⁉︎」

武藤「はい。」シーン

昂哉「次!」

朝倉「本当にあなたのファンクラブはあったのか⁉︎」

武藤「はい。」シーン

 

 どうやら全部本当みたい。

 

福村「バカなっ⁉︎」

須川「真実だったのか⁉︎」

昂哉「すごいね〜。」

朝倉「許せねぇぇぇぇぇ‼︎」

武藤「ったく、もういいだろw」

須川・朝倉・福村「「「………っ!」」」

 

 待てよ………この話には重大な見落としがあるような…………

 

武藤「俺がこんな事でウソなんか………」

昂哉「武藤に質問です!」

武藤「どうしたんだ、雲雀丘?」

 

 そう、その見落としとは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「モテた相手は人間の女性でしたか⁉︎」

 

 誰にモテたか、だ。

 

武藤「………はい‼︎」 カキーン‼︎

 

 こうして武藤は死んだ。

 

須川「おい、武藤‼︎」

朝倉「どんな相手にモテてたんだ⁉︎」

福村「聞かせてくれよ‼︎」

 

 本当にね。更に気になってきちゃったよ‼︎

 

須川「さてそれじゃぁ、そろそろ真打ち登場でいいよなぁ⁉︎」

横溝「………くっ!」

 

 なるほど!最初の横溝が童貞か否かの話に繋がるわけね!そのために俺が殺されたのには納得いかないが………

 

 

 

 しばらくして、横溝は試験機にセットされた。

 

 

 

 

 

  side 横溝

 

 少し整理しよう。このウソ発見器はウソを発見する機械………()()()()。坂本曰く、あくまで血圧と心拍数を測定するだけのものだ。ウソを真実と言い張るときのプレッシャー以外にも反応する。これは実際に坂本が証明して見せた。これがつまり何を表すか、それは………

 

 

 

真実を告げていようとも、ウソと偽ることは可能‼︎

 

 

 

 普段の俺なら土下座で許しを請い、生き延びる為に全力で媚を売る事を厭わない。だが………

 

須川「どうせ高一の夏に童貞を捨てたなんてウソだろ。」

昂哉「こんなつまらないことで時間をとっちゃってさ〜。」

武藤「それな‼︎」

福村「全く、惨めな虚勢だな。」

朝倉「だよな。」

雄二「横溝は所詮その程度の男ってわけだ。」

 

 お前らは、俺のプライドに泥を塗った‼︎だから………

 

福村「早くしろ、横溝。」

須川「『俺は童貞を捨てました』と言え。」

朝倉「そしてウソを認めろ‼︎」

武藤「潔く、な‼︎」

昂哉・雄二「「どっちでもいいからひとまず死んでくれ‼︎」」

横溝「ああ。実は俺………、高一の夏………、童貞を捨てて………」

他全員「「「「「捨てて……?」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

横溝「()()()()()‼︎」カキーン‼︎

 

 こう言って俺は死んだ。

 

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 横溝は命を懸けて頑張ったみたいだけど…………

 

雄二「そこまで童貞を認めないとはな。」

福村「真実を告げたくせに股間を……‼︎」

武藤「なんて野郎だ‼︎」

須川「大先生、これ欠陥品ですね。」

朝倉「息止めた脈拍にも反応しちゃってて……」

昂哉「本当のこともウソって言い張れちゃいます。」

家角「覚えておこう。」

 

 無駄だったみたいだよ‼︎残念だね♪さぁって、午前の授業も終わったし、昼ごはんを食べますか〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「うふふふふふふ♪昂哉は昨日学校サボって何してたのかしら?

霧島「…雄二、浮気は許さない。

雄二「へっ?」

昂哉「あっ…………」

 

 こうして俺は昼休みに優子に殺されたのだった…………ついでに雄二も霧島に殺されてたからよしとするか…………

 

 

 

 

 

  side 家角

 

 ウソ発見器型シャルピー衝撃試験は不発だったか………なら今度は()()をやるか………。互いの不幸に対して全力な奴らなら、きっと己の身を犠牲にしてまでやってくれるはずだろう。そうすれば、奴らは俺の素晴らしさに恐れ(おのの)くはずだ。自身の股間をもって味わうが良い、俺の偉大さを‼︎

*1
体力・防御力的に雄二が強くて昂哉が弱いため、気絶時間に差が生じている




 ということで、シャルピー衝撃試験三部作第二弾、ウソ発見器型シャルピー衝撃試験でした。嘘をついたら股間が死ぬ仕様はかなり地獄ですね………

 さて、次回はシャルピー衝撃試験三部作の最後の話です。どういう風にやるのかは、次回のお楽しみに!ちなみにバカテスにもぐらんぶるにも元ネタが無い、完全オリジナルとなります。

 それと、評価・感想をお願いします。



 最後に、宣伝です。本作の合間に勧める予定の新作があります。鬼滅の刃をご存知の方向けですが、もし気が向いたら読んでみてください。

https://syosetu.org/novel/246424/


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第七十九問 対戦型シャルピー衝撃試験

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 明久

 

 物理の授業ってめんどくさいんだよね〜。教科書は何書いてあるか分からないし、授業は全部先生の武勇伝。しかもその武勇伝の途中で何故か指される。この前も、

 

家角「では、この前説明した、俺のM1*1のときの学会発表の題目を答えろ。それじゃあ雲雀丘。」

昂哉「えっと…………トランスジェンダー薬を服用したときにみられるおちんちん相対性理論の数値解析、ですかね?」

家角「貴様、きちんと話を聞いていなかっただろう?先週あれほどこの私が時間を割いて説明してあげたというのに。罰として雲雀丘昂哉に-10点。」

昂哉「へ〜い。」

家角「では坂本雄二、答えてみろ。」

雄二「吉井明久と雲雀丘昂哉の脳に見られる重要な問題についての知見。」

昂哉・明久「「貴様は俺(僕)の脳に問題があると言うのか⁉︎」」

家角「事実だが下らん。坂本雄二と吉井明久と雲雀丘昂哉にそれぞれ-10点。」

昂哉・明久・雄二「「「ふざけるな‼︎」」」

家角「黙れ。では島田美波、答えてみろ。」

島田「えっと………」

清水「ドイツと日本が生み出した奇跡の美少女、島田美波のぺったんこに関する理論研究、ですわ‼︎」

島田「ちょっと美春、何でここに居るの⁉︎」

清水「お姉様に会いたくて、来てしまいました‼︎」

家角「清水、私はそんな下らない事を研究した覚えはない。罰として-20点。」

清水「はぁ⁉︎貴方は何を言ってるのですか⁉︎お姉様の魅力が分からない貴方みたいな豚野郎こそ、減点ですわ‼︎」

家角「なんだと⁉︎貴様は俺に指図するというのか⁉︎清水美春に更に-100点だ‼︎」

島田「そもそも美春がここにいることの方を注意して欲しかったのですが………」

 

 とかいう下らない話を聞いていたかを答えさせてたし。おかげで普段文句を言わない姫路さんも、

 

姫路「あまり言いにくいのですが、家角先生にはもう少しきちんと授業をしてもらいたいですね………」

島田「いや、ハッキリ言っていいのよ。」

昂哉「ついでにクビにしちゃえ!」

 

 文句を言ってたくらいだし。

 

 

 

 

 そんなケツ先生が今日はこの間持ってきた実験器具と、この間にはなかった追加の器具を持って現れた。

 

昂哉「え〜、またシャルピー衝撃試験ですか〜?」

家角「その通りだ。だが今回は今までとは違う。」

 

 今までとは違う?いったいどういうことだろう?

 

家角「今回の実験ではこのシャルピー衝撃試験機の両側にそれぞれ1人ずつ人を固定させて行う。まずこれが固定装置だ。試しに吉井と坂本が使え。」

 

 なんだろう、すごく嫌な予感がする………また股間を痛めたくないし………

 

明久・雄二「「遠慮します。」」

家角「では留年だな。」

明久・雄二「「なっ⁉︎」」

 

 クソ、このゴミ教師め‼︎船越先生みたいな脅しを使うんじゃないよ‼︎

 

明久・雄二「「是非ともやらせていただきます………」」

 

 ということで、僕と雄二は固定装置にセットされる事になった。

 

 

 

 

 

 僕たちは固定装置にセットされると、

 

固定装置「ウィ〜ン。」

 

 それはしばらく動いた後、止まった。ちなみに僕と雄二の間には試験機がセットされている。

 

明久「先生、これはどういうことですか?」

雄二「位置を自動で調整したようにみえるが……」

家角「それについては後で話す。まずはこの試験機に新たに取り付けられた(ひも)について説明しよう。」

 

 ということで、僕たちは金属メインで出来た試験機に似合わない、取ってつけたような紐についての説明を受けた。

 

家角「俺は今回この試験機の振り子部分の両端に2本の紐を取り付けた。実験対象者の2人には振り子部分が真上の状態で、それぞれこの紐を持ってもらう。」

 

 ということで、僕と雄二は振り子に付いている別々の紐を持った。ちなみに振り子は真上、時計の針で言うところの12時の向きにセットされている。

 

家角「次に試験機の真下に鉄球を設置する。」

 

 そう言ってケツ先生は鉄球を時計の針で言うところの6時の部分、試験機の一番下のところにセットした。

 

 ケツ先生は続けて説明する。

 

家角「そして今から2人には、俺の合図があった後にこの紐を引っ張ってもらう。」

 

 振り子についてる紐を引っ張るのか〜。でも両側から引っ張ったら、振り子は動かないと思うけどな〜。

 

家角「ちなみにこの紐は意外と弱い。だからある程度力で引っ張ると、それは切れてしまうだろう。」

昂哉・雄二「「なんだと⁉︎」」

 

 紐の弱さを先生が説明した時、頭だけがいいクズ2人が反応した。いったい何がヤバいんだろう?

 

家角「2人は分かったようだな。では雲雀丘、簡単に説明してやれ。」

昂哉「分かりました!皆に順序を………」

雄二「やめろ昂哉!まだ言うな‼︎」

 

 言うな?雄二はなんで焦ってるんだろう?

 

昂哉「言わないと明久が不公平になるから先に説明するね。」

雄二「クソっ‼︎」

明久「おい、このクズめ‼︎」

雄二「うるせえ‼︎」

 

 雄二は僕をはなからハメようとしてたんだな‼︎許せない‼︎

 

昂哉「んじゃ、順を追って説明すると、

 

 

 

1、振り子の両端についてる紐を2人で引っ張り合う!

2、力が強い人の方に振り子は引っ張られる!

3、力が弱い人の方の紐は引っ張られて切れる!

4、支えを失った振り子は力が強い人の方に倒れる!

5、振り子が一番下にある鉄球に、強い人側からぶつかる!

6、ぶつかった鉄球は逆側である弱い人側に飛んでいく!

 

 

以上‼︎」

家角「ちなみに固定装置によって、鉄球の当たる位置が股間になるように自動調整されている。」

昂哉「マジっすか⁉︎」

雄二「クソ!さっきの固定装置の動きはそういうことだったのか………」

 

 どういうことだろう?僕バカだから何言ってるか分かんないや………

 

昂哉「要するに、負けるとちんこに鉄球がぶち当たる綱引きだよ‼︎」

 

 そういうことかよ‼︎このクソ教師め、なんてものを考えるんだ‼︎

 

Fクラス男子全員「「「「「はぁ⁉︎」」」」」

家角「ということで、島田と姫路にはいつも通りTA*2を頼む。」

姫路・島田「「はい………」」

秀吉「わ、ワシはその、お、女の子………じゃから………実験補助員に………」

家角「貴様は男だろう?」

昂哉「普段男ってしつこく言ってるくせに、こういう時だけ女って言って逃げるのはどうなのかな〜、秀吉?」

秀吉「うう………し、仕方ないのぅ………」

家角「では吉井vs坂本の開始だ。」

 

 ということで、僕と雄二の男の尊厳を賭けた戦いが幕を開けた。

 

 

 

 

 さてと、このゴリラをどう攻略しようか…………

 

雄二「明久、残念だな。まさか使う間も無く股間が死んでしまうとは………」

明久「雄二こそ残念だね。何故なら既に君の息子は僕の人質だからさ!」

雄二「よく言うよ。喧嘩じゃ俺には勝てないくせに!」

明久「それは雄二が本当の僕の強さを知らないからだね!」

雄二「じゃあ見せてみろよ‼︎テメェの息子を犠牲にして、な‼︎」

明久「上等‼︎」

 

 見せてやるよ、僕の本気を‼︎そう意気込んで僕は思いっきり振り子についてる紐を引っ張った。

 

明久「うぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」

雄二「おぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」

明久「死ねぇぇぇぇぇぇぇ‼︎」

雄二「お前こそぉぉぉぉぉ‼︎」

 

 クソ!流石は野生のゴリラ、力が強すぎる‼︎しかも今は授業中だから、()()弱点は使えない‼︎クソ、どうすれば………ってアレは⁉︎どうしてあそこに………ってめちゃくちゃ都合いいじゃん‼︎これは利用するしか無いよね‼︎

 

明久「分かったよ雄二!僕は負けていい!」

雄二「ようやく諦めてくれたか。ならさっさと……」

明久「その代わり、」

雄二「その代わり?」

明久「週末はずっと霧島さんと過ごすこと‼︎」

雄二「バカを言え。この場に居ない翔子にどうやってそれを伝える?俺がお前の口を潰した時はどうするんだ?」

 

 さらっと酷いことを言う雄二。昂哉と合わせて危険人物として指名手配されればいいのに。全く、そんな事を言われたらどうしようもないじゃないか……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

普通なら、ね‼︎

 

明久「雄二、廊下を見てごらん?」

雄二「廊下………って⁉︎」

 

 そう、なにせ廊下には、

 

霧島「…雄二とデート///」

雄二「しょ、翔子⁉︎」

 

 トイレのついでに雄二の勇姿を見に来た霧島さんが居たからね‼︎そして雄二が霧島さんに気を取られた隙に…………

 

明久「今だ‼︎」 グイッ‼︎

雄二「しまった‼︎」

 

 一気に紐を引っ張る‼︎

 

雄二「クソ、負けてたまるか‼︎」グイッ

明久「死ねぇぇぇぇぇ‼︎」

雄二「お前こそぉぉぉ‼︎」

明久「オラァ‼︎」ブチッ‼︎

雄二「なっ⁉︎」

 

 よし、雄二側の紐が切れた‼︎後は振り子が落ちて僕の方から鉄球に当たる‼︎そして雄二の雄二めがけて鉄球が飛んでいき、

 

雄二「ぬわぁぁぁぁぁぁ‼︎」キーン

 

 クリティカルヒット‼︎

 

明久「イェーイ♪僕の勝ちだ〜♪」

 

 こうして僕の股間は守られましたとさ。めでたしめでたし!

 

雄二「………………」

 

 そして雄二は悶えている。ざまあみろ!日頃から僕を虐めてる罰だ…………って‼︎

 

雄二「………………」ヒュン!

 

 あの野郎、固定装置を解除した後、僕に向かって鉄球を投げやがった‼︎僕はまだ固定装置で固定されているのに!早くしないと!

 

明久「クソ‼︎外れろ‼︎」ガチャ、ガチャ

 

 しかもこのままだとちょうど股間に当たる!なんて正確なコントロールなんだ‼︎外れろ、外れろ‼︎外れ…………

 

明久「グブァ…………」キーン

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 雄二が仕返しとばかりに明久のちんこめがけて鉄球を投げ、見事ストライクからのバッターアウトを成功させた。デッドボールだけど。

 

 さてと、この恐ろしい実験もといちんこマシーン付き綱引きをどう攻略しようか……………

 

 

 

 

 俺が対策を考えているうちに、

 

秀吉「えっと、次はワシと………」

横溝「俺の番か………」

 

 小悪魔天使ちゃんとそのファン3号*3の番になった。とりあえずはこの2人の様子を見るか………

 

秀吉「横溝…………は、話があるのじゃ………」

横溝「ど、どうした木下………?///」

秀吉「ワ、ワシはなんでもするのじゃ!だからこの勝負に負けてくれんかのぅ⁉︎」

横溝「な、なんだと⁉︎」

 

 やはり、ここで秀吉が命乞いに出たか……………。秀吉にしては意外な発言だと思う人もいると思うが、アイツは結構生存本能が強い。姫路飯を人一倍早く回避したり、殺してくる優子のことを上手く避けたり、佐藤に浮気と捉えられそうな事を先回りして考えたりなど…………。だから今回も命乞いを選ぶことは、結構簡単に予想出来た。さて、前秀吉にフラれた横溝はどうするのかな?

 

横溝「それなら…………俺と付き合ってくれ‼︎俺はお前と付き合えるのなら、ちんこなんでどうだっていい‼︎」

Fクラス男子「「「「「なんだと⁉︎」」」」」

 

 やっぱりそうなるか‼︎まだ諦めてなかったんだね!さて秀吉は佐藤と横溝、正確に言えば自分のちんこと横溝のどっちを取るのかな…………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秀吉「すまぬ、なんでもとは言ったのじゃが、それだけは出来ん………。ワシにはもう既に心に決めた人がいるのじゃ………」

 

 おお!やっぱり秀吉は佐藤一筋か!カッコいいね!

 

Fクラス男子「「「「「ナイス‼︎」」」」」

横溝「クソっ!やはり俺ではダメか…………」

秀吉「そうじゃの。」

横溝「くっ……………」

 

 それに対して横溝が落ち込む。まあ二度もフラれたのなら当然か………。ここは俺なりに励ますか…………

 

昂哉「横溝。」

横溝「どうした、雲雀丘?俺はお前と付き合う気はないぞ。」

昂哉「俺もね〜よ。お前に言いたいことはそんな事じゃないんだ。」

横溝「じゃあ何だよ?」

昂哉「それはね………」

 

 もちろん、俺が言うことは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「秀吉は女の子だから、股間に鉄球がぶつかっても大丈夫だよ!」

 

 秀吉の性別だ!

 

秀吉「昂哉、全くお主はぁぁぁ‼︎」

横溝「ありがとう雲雀丘!俺紐を引く勇気が出たよ!」

秀吉「出ないで欲しかったのじゃ………」

昂哉「それなら良かった!それじゃあいっちょやっちゃいな!」

秀吉「何も良くないのじゃ‼︎」

横溝「おう!やってやんよ‼︎」グイッ

秀吉「やらないで欲しいのじゃぁぁぁぁ‼︎」キーン

 

 こうして俺はクラスメイトの背中を押す事が出来た。やったね!ちなみに結果は横溝が意外と力が強かったこともあり、秀吉の敗北で終わった。

 

 

 

 対戦を終えた秀吉が、鉄球を持って俺を睨んできた。

 

秀吉「お主…………これでも………食らうのじゃ………」

昂哉「俺はフラれたクラスメイトを慰めただけなのにな〜♪それに、俺はまだこれから出番があるんだから許してよ〜。」

 

 結果として秀吉の股間が死んじゃっただけだからね!しょうがないよね!

 

 そんな事を思ってると、秀吉が、

 

秀吉「まあどうせ………お主は………誰にも………勝てんじゃろうから………大丈夫じゃが………」 

昂哉「くっ…………」

 

 痛いところを突いてきた。確かに俺はこのクラスの男子の中で一番力が弱い。女子も秀吉が意外と力があり、島田もあの通りなので、俺は姫路の次に弱い。姫路が参加しない以上、俺の股間が助かる事はほぼ無いだろう。だが歴代の偉人たちはどんな状況でも、0から1を作り出してきた。そうして社会は変わっていった。だから俺もその人たちに倣うべきだろう‼︎そして俺は……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「…………」テクテク

 

トイレへの立て篭もり作戦を開始した。これなら授業が終わった後出てくれば、無事にこの実験を回避出来るだろう。

 

秀吉「どこに行くのじゃ?トイレならワシがついて行ってあげるぞい。」

 

 そしてすぐに失敗した。

 

昂哉「いや、うんこかと思ったら屁だったわ〜。」

秀吉「それはそれで臭いからやめて欲しいのぅ。」

昂哉「顔の前でこいてあげる?」

秀吉「お主はワシに浣腸されたいのかのぅ?」

昂哉「お前の浣腸結構痛いから、遠慮しておきます………」

 

 クソ、このままでは俺の息子が死んでしまう‼︎父親としてきちんと守らなきゃいけない‼︎そして俺は奴と対戦する事になっている‼︎なんとか奴の弱点を考えないと……………

 

 

 

 

 

 そして何人かが対戦し終わり、いよいよ俺の番になった。何を隠そう、俺の対戦相手とは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムッツリーニ「………相手が昂哉で良かった‼︎」

 

 保健体育の王だ。

 

昂哉「よりによって結構力が強い*4ムッツリーニか〜。」

ムッツリーニ「………大人しく諦めたらどうだ?」

昂哉「生憎そうは問屋がおろさないんでね。なんとしてでも勝たせてもらうよ。」

ムッツリーニ「………いい心意気だ。………だがお前の力が俺に通用するかな?」

 

 もちろん通用などするはずがない。だから明久が雄二にやってみせたように、何らかの策を用いる必要がある。とりあえず簡単に思いついたものからいくか。

 

昂哉「ムッツリーニ、悪いけど負けてくれない?そうすれば風俗のレビュー書をいくつかあげるからさ〜。」

ムッツリーニ「………息子無しでは保健体育の自主練は出来ない!」

 

 やはりもっともな事を言われてしまったか。それなら次はこれだ‼︎

 

昂哉「では素晴らしい提案をしよう。お前は女にならないか?」

ムッツリーニ「…………ならない。」

 

 断られるのは百も承知!本番はここからだ‼︎

 

昂哉「俺が負けたら玉野に女装したがってた、ってチクるよ?」

ムッツリーニ「………好きにしろ。………なんせ俺が奴から逃げればいいだけだからな。」

昂哉「女装すれば簡単に女子更衣室に入れるよ?」

ムッツリーニ「………データは既にある。」

昂哉「女の子の生々しい事情が聞けるかもよ?」

ムッツリーニ「………工藤が勝手に言ってくるからいい。」

昂哉「性転換召喚獣の時に改めて思ったんだけど、女体化ムッツリーニが俺のタイプなんだ‼︎」

ムッツリーニ「………知るか、気持ち悪い‼︎」

昂哉「俺は土屋香美と工藤愛子の百合が見たい‼︎」

須川「それは………俺も見たいな。」

福村「俺も俺も‼︎」

ムッツリーニ「………断る‼︎」

 

 くっ、中々意思がブレない奴だな‼︎クソ、一体どうすれば………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムッツリーニ「………というか工藤に迷惑をかけるな‼︎………俺とくっつくなんて、奴も嫌だろ‼︎」

昂哉「いや、そんな事は………」

ムッツリーニ「………ある‼︎」

 

 ムッツリーニが声を荒げて否定する。さっきまでのおちゃらけた雰囲気はどこかに行ってしまった。彼的には相当ダメみたいだ。

 

昂哉「ん〜、なんでそう思うの?」

ムッツリーニ「………俺は奴に相応しくない‼︎………奴はもっと良い人と………」

 

 そう言うことか。だとすると………

 

昂哉「もしかして自分に自信が無いの?」

ムッツリーニ「………………」コクッ

 

 ムッツリーニが無言で首を縦に振る。やはりそうだったか………。なら俺が言えることは、これくらいかな?

 

昂哉「でも工藤に無理矢理良い人と付き合うっていう理想を勝手に押し付けるのも、傲慢なんじゃないかな〜。」

ムッツリーニ「………そんなはずは………」

昂哉「もし工藤がムッツリーニを好きだった場合、どうなると思う?」

ムッツリーニ「………そんな事はないはず。」

昂哉「そう言い切れるの?あんなに構ってくれる子なのに?しかもムッツリーニばっかりに。」

ムッツリーニ「……………………」

 

 どうやらムッツリーニもようやく気づいたみたいだ。

 

昂哉「工藤があそこまで構ってくる男は他に居ないと思うけどな〜。」

ムッツリーニ「………でも………」

 

 だが彼はまだその事を整理出来てないというか、認めきれていないようだ。だったらもう一声か…………

 

昂哉「俺が知らないだけで、お前は過去に色々あったのかもしれない。それこそ色んな酷いことを言われたのかもしれない。迷惑だとか言われたのかもしれない。でも人間どうせ生きてれば何かしかの迷惑はかける。それこそムッツリーニの工藤への気遣いが、逆に工藤にとっては迷惑になるかもしれない。」

ムッツリーニ「………だったらどうすれば………」

昂哉「自分のやりたいようにやりなよ!それで成功すればよし、迷惑だったのなら反省して今後やらなければよし!何事もやる前からあれこれ考えてやらないのは勿体無いよ?」

ムッツリーニ「……………」

昂哉「まあこれも俺の自論の受け売りだけどね〜。とにかく、自分のやりたいようにやりなよ!この話を受け入れるもよし!受け流して今まで通りにするもよし!全てはムッツリーニに任せるよ!」

ムッツリーニ「……………」コクッ

 

 ムッツリーニが無言で頷く。先程までの怒りと不安に満ちた目は、既に自信とやる気に変わっていた。彼の心が変わったようで何よりだよ!

 

ムッツリーニ「………ありがとう、昂哉。」

昂哉「どういたしまして!」

ムッツリーニ「………それじゃあ、早速実践させてもらう。」

昂哉「おお!早速自分のやりたいようにやるのか!」

ムッツリーニ「………ああ!」

 

 もしや工藤に電話でもするのか?楽しみだな〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムッツリーニ「………俺は俺の息子を守る!」グイッ

 

 えっ?話が違うんだけど?

 

昂哉「ちょっと待ってよムッツリーニ‼︎俺が言いたい事はそういうことじゃなくて………」グイッ

ムッツリーニ「………昂哉の息子を犠牲に自分の息子を守ることは、昂哉にとっては迷惑かと思ったけど、よくよく考えてみたらそんなの分からないからな。………やらぬ後悔よりやる後悔‼︎」グイィィッ

昂哉「いや、俺のちんこが死ぬのはめちゃくちゃ迷惑だからね⁉︎」グイィィッ

ムッツリーニ「………いや、失ってわかるものもある‼︎」グイッ

昂哉「ねえよそんなの‼︎」ブチッ

 

 あっ…………俺の紐が切れて、試験機の振り子がムッツリーニ側に………そして鉄球がムッツリーニ側から俺に飛んできて………まずい、死ぬ……………

 

 

 

 

 

  side ムッツリーニ

 

 昂哉が自分の息子を犠牲に色々と言ってくれた。おかげで少し自分に自信が持てた………というよりは、もう少し積極的に行動してみようと思えた。ありがとう、昂哉。これで愛子*5とも、もっと仲良くなれるのかな…………

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 俺はちんこに食らった痛みから回復すると、ある事を実行した。

 

昂哉「それじゃあ最後に、皆で先生にお礼を言いましょう‼︎」

家角「おお、それはいい心がけだな。では頼む。」

昂哉「よし、それじゃあ皆でやるぞ!」

Fクラス男子「「「「「オー‼︎」」」」」

 

 ということで、俺たちは………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家角「おい貴様ら‼︎ふざけるな‼︎」 ガシャン

 

 ケツ先生を固定装置にセットした。

 

雄二「それじゃあこれから家角亜成大先生に、生徒一人一人からお礼を述べたいと思うのだが………」

昂哉「一人一人言うと長いから、代わりに試験機に思いを乗せてもらう事にするね。」

家角「なんだと⁉︎」

雄二「ということで、お礼参り、開始‼︎」

Fクラス男子「「「「「オー‼︎」」」」」

 

 ということで、Fクラス男子+秀吉の48人は1グループ24人の2グループに分かれ、片方は先生と対戦する側となった。

 

明久「では先生、よろしくお願いします‼︎」

家角「ちょっと待て‼︎何故吉井の後ろに23人いるのだ⁉︎」

昂哉「これは先生と生徒の学力差を考慮してのものとなります。物理の成績において家角亜成大先生は私たちFクラスの生徒24人分に相当すると考えたので、こちらの対戦型シャルピー衝撃試験でも先生1人vs生徒24人の構図にさせていただきました。ただし先頭の生徒しか紐を掴めないため、先頭の生徒を変えて24回行いたいと思います。」

家角「クソ‼︎こうなったら無理矢理にでも逃げて………」

 

 もちろん、それについても策がある。

 

雄二「ちなみに後の24人は先生の拘束用だ。」

家角「なっ⁉︎」

昂哉「もちろん、そっちの24人分もやってもらいますからね〜♪」

家角「ふざけるな貴様らぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 ということで、ケツ先生のちんこには合計48回鉄球が打ち込まれましたとさ。めでたしめでたし‼︎

*1
大学院修士1年

*2
実験補助員

*3
1号は昂哉(自称)、2号は佐藤美穂

*4
運動神経が抜群なので、力も結構あるだろう、という設定。少なくとも非力の昂哉が勝てる相手ではない。

*5
ムッツリーニは本当は工藤愛子の事を下の名前で呼びたいが、出来ていない。




 ということで、シャルピー衝撃試験三部作の最終作は対戦型でした。男たちによる、己の息子を賭けた戦いは如何だったでしょうか?

 さて、次は恋愛絡みの話をやります。第一話の最初以外で全くスポットを浴びてなかった美波と昂哉の絡みをやります(昂哉が浮気するわけじゃないよ!)。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第八十問  恋活 前編

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 今年の文月学園美男美女美秀吉コンテストは大波乱となった。美秀吉コンテストは強力なショタ、リンネ・クラインの出現により一時秀吉の優勝が危ぶまれるか、という事態に追い込まれた。また美男コンテスト、通称男コンは秀吉やリンネをはじめ、交換留学から復帰した大天才・高天原大門や、イケメンでお馴染み高城雅春などの強力なカードが争うこととなった。ただ秀吉が持ち前の安定感を発揮し、美秀吉コンテストと男コンを無事2連覇する事が出来た。

 

 そして最大の波乱は美女コンテスト、通称ミスコンで起こった。なんと昨年の優勝者であった秀吉が佐藤美穂(じむしょ)NGにより不参加に。それにより学園内の女子生徒たちがこぞって応募し、美女戦国時代が幕を開けてしまったのだ。

 

 もちろん俺の知り合いも例外ではない。まずは2年Aクラス男子の推薦により霧島翔子が出陣。次は自分のプロポーションに自信を持つ蕨千華、小暮葵、小山友香が参戦。更には高城雅春の謎の推薦により姫路が参戦する。また玉野の推薦でアキちゃんが、工藤の推薦で香美ちゃんが、清水の推薦で島田が、霧島の推薦で坂本雄二が参戦した。ちなみに優子については俺と秀吉が悪ふざけでこっそり出陣させておいたが、優子にバレて怒られた上奴が勝手に辞退しやがった。理由を聞いたら恥ずかしいんだとさ。可愛いんだから出れば良かったのに。

 

 そんな状態で始まったミスコンはまさに地獄だった。自由奔放に演説をし始める蕨千華、好感度を下げようとして逆に爆上げしてしまったアキちゃんと香美ちゃん、雄二のために審判を買収しようとした霧島などなど…………。そしてそんな中で圧倒的女子票と一部の男子票を集め、優勝した女がいた。その名は、島田美波である。

 

 こうして島田は秀吉の2度目の3冠王を阻止する事が出来た。のだが…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

島田「どうしよう………こんなに沢山の人から告白されるなんて………」

 

 当の彼女は女だけでなく大量の男からも告白されて困っていた。

 

姫路「流石です、美波ちゃん!」

優子「ひゅ〜、モテモテじゃない!」

島田「いや、誰を選ぶかすっごい困るんだけど。肝心のアキは告白してこないし。」

昂哉「贅沢な悩みですなぁ。」

優子「そうね!」

島田「そう言うなら優子もミスコン出れば良かったのに。」

優子「アタシは別にモテる必要ないも〜ん♪」

島田「瑞希、優子に可愛い服を着せて皆の前で晒してあげようよ!」

姫路「それはいいですね!ミスコン第二弾の幕開けです!」

優子「ちょっと、アタシは良くないわよ!」

昂哉「彼氏が特別に許可を出そう。」

島田・姫路「「よし!」」

優子「勝手に出すな!」

 

 最近Fクラスの雰囲気に染まったのか、島田や姫路もリア充をイジるようになった。流石に異端審問は明久以外にはしないけど。

 

 まあそんな事より、今は島田の悩みを解決しないと!丁度いい案も思いついたとこだし!

 

島田「とにかく、ウチはどうすればいいの?」

姫路「確かに、誰を選ぶか困りますよね。」

優子「アタシは恋愛経験もあまりないしな〜。」

昂哉「では中学時代にファンクラブのあったこの俺が、素晴らしい提案をしよう。」

優子・島田・姫路「「「それは………?」」」

昂哉「告ってきた人を就活みたく一人一人選考する!その名も恋活‼︎」

 

 兄貴曰く就活は恋愛に通じるところがあるからね*1。だからこの方法を用いるのさ!社会勉強の意味も兼ねて、ね!

 

 ただ3人の反応は、

 

島田「就活みたく、ってもウチら就活知らないわよ。」

姫路「一体どうすればいいのでしょうか?」

優子「アタシにもさっぱりだわ。」

 

 思いの外微妙だった。まあ知らないんだししょうがないか。

 

昂哉「まあそこら辺は俺が色々教えるよ!」

優子「それはありがたいんだけど、なんでアンタが知ってるのよ?」

島田「こういうとアレだけど意外よね。」

姫路「雲雀丘君も働く気になったのでしょうか?」

 

 それは違うね。それを今から説明してやる!

 

昂哉「世の中の制度をきちんと知らないと、その抜け穴を抜けられないでしょ?」

優子「抜けたら殺すわよ。

昂哉「あっ、はい。」

 

 怖っ…………やはりコイツはいくら優しくても悪魔なのだった………

 

昂哉「ま、まあともかく、俺が色々と教えるからさ、皆はそれに従えばいいよ!」

優子・島田「「は〜い!」」

姫路「わ、分かりました!」

 

 ということで、俺たちは島田美波の恋人選考に関する準備を始めた。

 

 

 

  

 

  side 須川

 

 今日は島田に関する説明会があるらしい。別に行っても行かなくてもいいらしいのだが、一応俺は参加する事にした。あと入り口で名前を書かされたが、アレは何だったのだろう?

 

 見慣れたFクラスの教室に着くと、そこには沢山のイカした格好をした男女が沢山いた。コイツらは俺にとってのライバル。是非とも今日の説明会を有意義なものにして、圧倒的成長を遂げるんだ‼︎

 

 

 

 そんな事を思ってると、主催者の1人である姫路が口を開いた。

 

姫路「本日は島田美波の説明会にご来場いただき、誠にありがとうございます。それでは只今より、説明会を開催したいと思います。」

 

 いよいよ始まるのか〜。さあ、まずは何を話すのか?

 

姫路「まずは代表より挨拶があります。」

 

 代表?島田のことか?それとも誰か別の人か?そんな事を思っていると、1人の人物が入ってきた……………

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「皆さん、本日はご来場いただき、誠にありがとうございます。」

 

 それはスーツをばっちりキメた雲雀丘だった。なんでお前なんだよ⁉︎

 

昂哉「私は島田美波の友人代表兼取締役の雲雀丘昂哉と申します。」

 

 嘘つけ‼︎お前は取り締まられる側だろ‼︎

 

 

 

 

 雲雀丘はしばらく適当に喋った後、ある事を口にした。

 

昂哉「本日の説明会は特に選考に関係ないので、皆さん気楽に聞いてくださいね〜。」

 

 なんだ、関係ないのか。なら来る意味なかったかもな。

 

昂哉「それじゃあ私の話はこれまでにして、次にうつりましょうか。」

姫路「それでは次に、友人の木下より島田美波について説明させていただきます。」

 

 ということで、次は木下が話す番になった。

 

優子「それでは、友人である私木下優子が説明させていただきます‼︎」

 

 いや、木下ってそっちかよ!てっきり木下秀吉の方だと思ったが、どうやら違かったようだ。

 

優子「まず、島田美波の魅力はなんといっても性格の明るさ、気前の良さだと思います!彼女の誰とでも仲良くなれるその話しかけやすさに、多くの人が心を奪われたのではないでしょうか⁉︎」

清水「その通りですわ‼︎」

 

 まあそうだな。うちのクラスは姫路と木下秀吉のせいであまり目立ってなかったが、島田も隠れファンが沢山いた。やはり他2人に比べてコミュ力が高いからだろう。あと清水、大声で返事するな。

 

優子「そして次は面倒見がとてもいい事です!家では小学5年生の妹の面倒を見ています。そのお姉ちゃんっぷりから、妹からはかなり慕われております!」

清水「お姉様、妹がおりましたの………どうして美春に言ってくれなかったのですか……?」

 

 そういえば妹は清涼祭に来てたな。可愛かったなぁ。島田と付き合えばあの妹とも仲良くなれるとか、最高か?あと清水、お前は妹のこと知らなかったんだな。

 

優子「そして更にはスタイルの良さです‼︎ビーチバレーの選手のようにすらっとした身体には、多くの人が目を奪われたことでしょう!」

清水「その通りですわ!なんせお姉様のペッタンコは最高ですもの!」

 

 確かに、島田はスタイルがいい。胸はないが、清水にとっては逆にそれがいいらしい。ただ木下の顔がめちゃくちゃ歪んでるんだが、気のせいか?心なしか身体も震えているように見えるぞ?

 

優子「じょじょじょ、女性において胸が小さい事は悪いことではありません‼︎むむむむ、むしろこのように、た、沢山の需要があるのです‼︎」

清水「その通りですわ‼︎」

 

 なんか目から血の涙を流すみたいに木下が震えながら喋ってるんだが。大丈夫か、コイツ?

 

 

 

 

  side 優子

 

 ペッタンコ言うな‼︎美波以外にも傷つく人がいるのよ‼︎

 

 

 

 

  side 須川

 

 震えながら木下が退場した後、

 

姫路「それでは応募条件及び福利厚生について、雲雀丘から説明させていただきます。」

 

 また雲雀丘が話す事になった。

 

昂哉「それではまず福利厚生について説明させていただきます。まず食事についてですが、こちら昼が食事付きとなっております。」

 

 つまり島田の手作り弁当ということか。これはいいぞ‼︎

 

昂哉「次に賞与についてです。誕生日や付き合ってからの記念日に希望した品物が賞与として与えられます。」

 

 つまりプレゼントを買ってくれるということか‼︎更にいいぞ‼︎

 

昂哉「ちなみにデートなどにおける交通費の支給はございません。」

 

 まあ流石にそれは出ないよな。

 

昂哉「ちなみに同棲につきましては、島田本人や物件管理会社との相談の上行ってください。また、その際の家賃補助はございません。」

 

 同棲…………は流石に高校生には無理だろう。

 

昂哉「以上で福利厚生について………」

赤田爺「すまん、ちょいと質問いいかのぅ?」

 

 福利厚生について話し終えようとしたタイミングでじっちゃんが質問をした。奴は一体何を聞く気なのか…………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤田爺「副業は可能かのぅ?」

昂哉「不可能です。」

 

 ダメに決まってるだろ。堂々と浮気を宣言するな。

 

昂哉「それでは具体的な選考方法について説明させていただきます。」

 

 さあ、ここからが重要だ。果たしてどんな選考になるのかな?

 

昂哉「まず募集条件です。募集するのは15歳以上の男性とします。」

 

 なるほど…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

清水「それはおかしいですわ‼︎」

 

 ってびっくりした⁉︎どうした清水、そんなに大きい声を出して⁉︎

 

昂哉「どうかされましたか?」

清水「何故女性はダメなのですか⁉︎」

 

 そういうことか。確かに清水は対象外だからな。怒るのも無理はない。

 

清水「この現代においては男女共同参画社会が当たり前、それは恋愛についても同じ事が言えると思います‼︎その人の恋人に雇用される機会は男女平等に存在すべき、とかの有名な久保利光もおっしゃっておりますの‼︎」

昂哉「確かにそうですね。同性愛も異性愛と同様に認めるべきだという主張、それは大いに分かりますし、私も賛成です。」

清水「でしたら………っ‼︎」

昂哉「ですがこれは島田美波()()()希望です。彼女は恋愛対象に男性を望んでいるのです。ですから女性の皆さんは残念ですが、今回はご縁に恵まれなかったという事で。」

清水「そんな………っ‼︎」

他女子「「「「「ああ……………」」」」」

 

 なにはともあれ、雲雀丘の説得により女子全員が退出し、ライバルが半分以下になった。これはいい事だ‼︎

 

 

 

 

 さてと、他の条件を聞くとするか。

 

昂哉「では次に雇用期間についてです。契約期間は無期限契約となります。ただし解雇がございますので、そこはお気をつけ下さい。」

 

 別れる事もあるのか………それはキツイな。

 

昂哉「また、デート時間に特に縛りはございません。それは恋人に内定した後で、島田美波本人と決めて下さい。また給料はございません。」

 

 まあそれはその通りだろう。

 

昂哉「では次に募集形態についてお話しします。募集形態は2つに分かれており、童貞を既に卒業された方は既卒採用、これから卒業見込みの方は新卒採用となります。」

 

 となると俺は新卒採用か…………

 

昂哉「次に選考プロセスについてです。まず皆さんにはエントリーシート、通称ESを書いてもらいます。内容は自分の履歴、自分の顔写真、島田美波の志望理由、自己PR、特技・資格等です。ちなみにフォーマット及び提出先はこちらのサイトにあります。」

 

 ラブレターみたいなものか…………。これは文才が試されているな………

 

昂哉「次にESを書き終わった方から順にSMD試験を受けてもらいます。これは島田美波に関する簡単なテストです。なお皆さんにはESとSMDを両方とも10/31の23:59までにやってもらいたいと思っております。」

 

 テストか………そうなると勉強する必要があるな。そして締め切りは10月中か…………

 

昂哉「そしてESとSMDを用いて第一選考を行います。それに合格した方は面接(お見合い)に参加する事になります。日時は後ほど合格者にのみ連絡させていただきます。」

 

 お見合いか…………。これはかなり気合を入れないといけないな。

 

昂哉「そして面接を合格した方が、晴れて島田美波の恋人に内定となります。皆さん、内定を目指して、是非とも頑張って下さい‼︎」

 

 なるほど、ES・SMD・お見合いをクリアすれば島田の彼氏になれるんだな‼︎よし、やってやろうじゃないか‼︎

 

 こうして俺の気持ちが固まり、島田美波に関する説明会は終了した。

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 11月1日、俺は優子、島田、姫路と一緒にESとSMDの結果を照らし合わせて第一選考を行なっていた。

 

島田「まず最低限説明会に来た人から選びたいわ。」

昂哉「だろうね。」

姫路「だから名前を書かせたんですね。」

昂哉「そのと〜り‼︎」

 

 意味のない説明会をするほど俺たちも暇じゃないんでね!選考に関係ない、というのは真っ赤な嘘さ‼︎

 

優子「えっと、次は学歴フィルターだけど………どうする、美波?」

島田「必要ないわ。」

姫路「まあそれやると明久君が落ちちゃいますからね。」

昂哉「そもそも応募してないけどな。」

島田「ホント何やってんのよ、あのバカは‼︎」

 

 まあ明久は恋愛に関しては奥手だし鈍感だからね。正直僕が応募すると島田が嫌がる、としか思ってないだろう。

 

昂哉「まあまあ!んで、他はどんな感じで選考する?」

姫路「結構募集した人が多くて大変ですけど………」

島田「そうね。まずSMD試験の点数で足切りしようかしら。それが一番楽だし。」

昂哉「でしょうね。」

島田「次は…………文章がぱっと見明らかに短い人も除外ね。」

優子「美波的には誠意が足りない、って感じ?」

島田「まあそうね。」

姫路「他はどうしましょうか?」

島田「う〜ん、今言ったのでとりあえず絞ってみて、数が多かったらまた考えるわ。」

昂哉・優子・姫路「「「りょ〜かい!」」」

 

 ということで、一次選考は島田を中心にして行われた。ちなみにさっき島田が言った足切り方法で半分以上が削れたので、後はESの中身を元に色々と決めていった。

 

 それにしても、明久は残念な奴だな。これに応募すれば、あっという間に念願のリア充になれたのに。採用担当はあくまで島田の裁量なのだから、ESすら見ずに形だけの面接をしてすぐ内定、とかも出来たのに。まあこの間のムッツリーニみたく自分に自信が無いと言うなら別だが。

 

 

 

 かくして島田美波の恋人について一次選考が行われ、新卒6名、既卒4名の計10名の恋活生が面接へと駒を進めた。

*1
諸説あります




 ということで、恋愛と就活をかけた「恋活」の話が始まりました。就活をやった人にはSMD(しまだ)試験の元ネタがSPIだったり、選考に関係ないといいながら思いっきり関係あったりなど、分かる話が多かったのではないでしょうか?ちなみにまだの人はこれを参考にすると良いでしょう(良くない)。

 あと思ったより長くなったので前後編に分けています。後編は面接(お見合い)についてです。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第八十一問 恋活 後編

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 いよいよ面接(おみあい)の時間がやってきた。場所はFクラスの教室を特別に借りてやっている。流れは最初に既卒の4人をやった後、新卒の6人をやる。正直、10人がどんな風にやってくるのかが楽しみだ。ちなみに島田は質問をするのがめんどくさいらしく、優子や姫路と同様同席こそするものの、俺がほぼ全てをやる事になってる。まあ俺が自分で提案したんだししょうがないか。

 

 

 

 それはともかく、最初の人物のお出ましだ‼︎

 

昂哉「入って、どうぞ。」

赤田爺「失礼するぞい。」

 

 最初は75歳現役高校生ことじっちゃんの登場だ。今日はスーツをバシッとキメて入ってきた。変に若者みたいなファッションをせず、大人らしさを活かしたということか。

 

昂哉「それでは名前と簡単な自己紹介をお願いします。」

赤田爺「はい。儂の名は赤田敏夫、1945年8月15日生まれの75歳。1968年3月に東京大学法学部を卒業後、同年4月から鉄道省に入省。その後1987年に所属する事業部門が民営化したため、その時に設立された○○○○○鉄道に入社。そしてその会社で専務にまで上り詰めた後、2006年3月に定年退職。」

 

 相変わらずえげつない経歴。還暦を過ぎてボケが進むはずなのにも関わらず学年トップクラスの成績を維持し、仕事もそつなくこなす有能っぷりには多くの生徒をはじめ先生までもが尊敬している。正直仕事面においては結構尊敬している。

 

赤田爺「その後は2007年4月に北海道立函館西高等学校に入学し、2010年3月に卒業。同4月からは宮城県立宮城第一高等学校に入学し、2013年3月に卒業。同4月からは作新学院高等学校英進部に入学し、2016年3月に卒業。同4月からは北海道立函館西高等学校に入学し、2019年3月に卒業。同4月から文月学園に入学し、現在に至る。」

 

 いやいや待て待て待て。その後どんだけ高校入ってんねん。しかも入ったら出るを繰り返してるし。後この間優子と目の前の八幡坂まで行った函館西高校に在学してたのかよ。しかも2回も。これは質問案件だな。

 

昂哉「ありがとうございます。それでは早速お聞きしたいのですが、何故定年退職後に高校に何度も在学しているのですか?」

赤田爺「若さを忘れたくはなかったからじゃのぅ。」

 

 嘘つけ。

 

昂哉「なるほど、それは素晴らしい事ですね。その他には何か理由はありますか?」

赤田爺「青春を再び味わいたかったからじゃのぅ。」

昂哉「なるほど、それは素晴らしい事ですね。その他には何か理由はありますか?」

赤田爺「ボケ防止じゃのぅ。」

昂哉「なるほど、それは素晴らしい事ですね。その他には何か理由はありますか?」

赤田爺「………………女子高生と合法的にイチャイチャしたかったからじゃ。」

昂哉「なるほど、そうですか。」

 

 やっぱりそういう事かよ‼︎全くこの人はブレないな‼︎そのために何度も高校に入り直してるとか、逆にすごすぎでしょ‼︎

 

 

 

 まあそれはともかく、定番の質問に移りますか。

 

昂哉「それでは、まず島田美波を志望した理由について教えて下さい。」

赤田爺「はい。儂は彼女が持つ抜群の可愛らしさとプロポーションに惹かれてここにやって来たのじゃ。凛々しいつり目とゆらゆらと揺れるポニーテール、そしてその綺麗に引き締まった身体は、まさに彼女が持つ元気さの象徴といっても過言ではなかろう。」

島田「あ、ありがとうございます。」

赤田爺「そしてこう言われて素直にお礼を述べられる性格の良さ。これも儂が志望した理由と言えよう。」

島田「あ、ありがとうございます。」

 

 島田がストレートに褒められて若干照れてる。この褒め言葉こそが、1000人の女で味わってきた経験なのかもしれないな。

 

昂哉「ありがとうございます。それでは次に、自己PRをお願いします。」

赤田爺「はい。儂はなんといっても財力があるのじゃ。大企業で専務にまで上り詰め、定年まで働いた分じゃのぅ。そして今後は隔月に1度年金が振り込まれおる。それにより、普通の男なら難しいデートも、儂ならいとも簡単に可能にすることが出来るのじゃ‼︎例えばここ東京から大阪にあるUSJに行くことも出来る。アメリカで本場のTDLを楽しむことも出来る。もちろん高級な服だって買ってあげることが出来る。御主が望むものならなんでも、儂が叶えてあげるぞい‼︎」

島田「な、なるほど…………」

 

 自分しか出来ないことを述べる事により、自分の強みをアピールする。そして女性が意外と心を動かされやすいワード、それはだ。誰しも他人の金で焼肉が食えるというのなら、喜んで参加するだろう。女性を一気に虜にする多額の金を、今まで働いてきた分とこれから入ってくる年金の分を合わせる事により可能にする。この男、やはりすごい‼︎

 

昂哉「ありがとうございます。島田、何か質問ある?」

島田「いえ、特に無いわ。」

昂哉「ほ〜い。」

 

 だがこの男が島田と付き合うのなら、触れなきゃいけないことがある。

 

昂哉「それでは僕から再び質問させていただきます。赤田さんは3回ほど離婚をされてるとのことですが、それについてはどうお考えでしょうか?」

 

 そう、それはバツ3である事だ。恋愛において3度も離婚している人など、普通に考えたら付き合いたくないに決まっている。果たしてこれに対するじっちゃんの弁明はあるのだろうか?

 

赤田爺「はい。儂は3度失敗した経験から、お互いの認識と価値観を合わせる事が大切だと判断したのじゃ。そのためには何度もデートを重ね、身体も重ねる事により、お互いを知る事がまず大切だと思ったのじゃ。この通り、儂はきちんと失敗を次に活かせるように考えておる。じゃから儂の離婚歴については、心配するでないぞ。」

 

 そういうことね……………

 

昂哉「なるほど、ありがとうございます。気になったので一つ質問があるのですが……………」

赤田爺「うむ。」

昂哉「()の選考状況は、どうなっているのでしょうか?」

赤田爺「なっ⁉︎」

昂哉「正直にお答え下さい。」

赤田爺「う〜む…………」

 

 さあ、その答えは……………っ⁉︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤田爺「既に8()から内定をいただいているのじゃ。」

昂哉・島田「「本日の面接は以上です。ありがとうございました。」」

 

 もちろんすぐさま島田はじっちゃんを無理矢理返した後、本人にお祈りメールを送信した。既に8股してる奴なんかとは付き合えないよね‼︎

 

島田「赤田のヤツ、何も反省してないじゃない!」

昂哉「それな!」

姫路「経歴だけを見るとかなり優秀なんですけどね……」

優子「いくら頭が良くても、浮気性が治らない人っているものね。」

昂哉「そうだね。」

島田「それで、次は誰だっけ?」

昂哉「えっと、確か………」コンコン

 

 おっと、そうこうしているうちに次の人の番だ。

 

昂哉「入って、どうぞ。」

横溝「失礼します。

 

 今度は何故か既卒採用の枠にいる横溝の番だ。服装は白い帽子に艶のあるカツラっぽいロングヘアー。そしてお洒落なズボンと服を着ており、大学生がしてそうなネックレスまでつけている*1。思いっきりどっかの雑誌で見たことあるような、というかまんまパクリな気がする。そして何故か哀愁漂う眼をしている。

 

昂哉「横溝さん、表情がお暗いようですが、何かあったのですか?」

横溝「………あの子と過ごした、もう戻らない夏………」

 

 なんだよこいつ。古い映画のキャッチコピーかよ。

 

優子「………恐らく、『旅先で出会った行きずりの元恋人との体験』という設定かな?………」

 

 お前はなんで分かるんだよ。というかアイツいつ旅したんだよ。確かずっと家でゲームしてるって言ってなかったっけ?

 

 そして優子は俺の代わりに質問し始めた。

 

優子「横溝さん、辛い恋を経験したようですね。」

横溝「分かりますか、木下さん。」

優子「はい。思い出すのもキツイでしょうね………」

横溝「それはそうですが、そう思いたくないんです………元恋人との思い出が色褪せてしまうから。」

 

 おい、お前一度横溝をフってるだろ。秀吉が演技してたとはいえ。それなのによくそんな事言えるな。さてはこいつ、悪魔か?それと横溝、お前彼女居た事ないだろ。

 

優子「()いてもいいですか?」

横溝「元恋人との思い出を、ですか?」

優子「いや、……………」

 

 そんな横溝に優子は更に尋ねる。思い出じゃないとしたら、一体何を聞くつもりなのだろう…………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「昔の彼氏の名前を。」

横溝「…………………えっ?」

 

 おいお前‼︎ただ単に自分の趣味ぶちまけただけじゃねえか‼︎横溝も戸惑ってるだろ⁉︎

 

横溝「い、いや、俺がいたのは彼女の方でして…………」

優子「本日の面接は以上です。ありがとうございました。」

横溝「えっ⁉︎あっ、はい…………」

 

 おい‼︎相手が女だったら関心無くすのかよ‼︎横溝も困惑したまま帰っちゃったじゃん‼︎バカじゃねえの、コイツ‼︎

 

昂哉「優子、何してんだよ⁉︎」

優子「いや、元カノの件を言い始めた瞬間に美波がお祈りメールを打ち始めたからさ、ちょっと遊んだだけ。」

昂哉「島田も判断早くない⁉︎」

島田「元カノの事をうじうじ思い出してる男なんて嫌よ。」

昂哉「それは………まあそうか。」

 

 なんだ、思ったより普通だったわ。そりゃ彼女側としては元恋人なんかじゃなく、今の自分を見て欲しいからね。こうして嘘ついて既卒で応募したり、経験豊富な風を匂わせて見栄を張ったりした横溝だったが、それがかえってあだとなり、お祈りメールを食らう事になった。

 

姫路「横溝君って卒業してたんですね………」

昂哉「いや、多分嘘だと思うよ。」

島田「瑞希、騙されないように。」

姫路「なるほど、そうだったのですか………」コンコン

優子「皆、次の人が来るみたいよ。」

昂哉「確かに。入って、どうぞ。」

 

 あれ、待てよ……………残り既卒の2人って確か……………

 

力哉・克哉「「失礼します‼︎」」

 

 お前らだよな‼︎そして兄貴たちは2人まとめて入ってきた……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全裸+ネクタイで。

 

昂哉「本日の面接は以上です。ありがとうございました。」

力哉「何故だ?まだ始まってないだろう?」

克哉「食わず嫌いは良くないぞ〜、昂哉。」

昂哉「面接に全裸で来る奴があるかぁ‼︎」

力哉「全裸だと?失敬な。」

克哉「ちゃんとネクタイをしているだろう?」

昂哉「なんでネクタイだけなんだよ‼︎」

力哉「クールビズって知ってるか、昂哉?」

昂哉「クール過ぎるだろ‼︎流石にもっと着込めや‼︎」

克哉「そんなに声を荒げてどうしたんだ、昂哉?性格をまずクールにしないと、クールビズの真髄は理解出来ないぞ?」

昂哉「したくねえわんなもん‼︎とにかく帰れ‼︎」

力哉「人の内面を見ないで見た目だけで判断するのはどうなんだ?」

克哉「情報量が足りないはずだが。」

昂哉「その格好してる時点で充分だ‼︎とにかく帰れ‼︎お祈りメールが届いただろ‼︎」

力哉「うむ………確かにな………」

克哉「何故だか分からんが、とりあえず帰ってパチンコ行くか〜。」

力哉「だな。」

 

 ということで島田が速攻でお祈りメールを送ったこともあり、俺は無理矢理兄貴たちを部屋から追い出した。

 

島田「雲雀丘とは違って、ウチにアレはまだ早かったわ。」

昂哉「俺にとっても早いわ‼︎」

優子「2人とも、その言い方だといずれあの2人のようになるって言ってるようなもんだよ。」

昂哉・島田「「それは嫌‼︎」」

姫路「………明久君のクールビズ………///」

昂哉「姫路、妄想してないで次の人に備えるよ。」

姫路「あっ、はい‼︎」コンコン

 

 そしてドアがノックされ、

 

昂哉「入って、どうぞ。」

須川「し、失礼します‼︎」

 

 ガチガチに緊張して逆に何故か大声になってる須川が入ってきた。ここからは新卒採用の番だ‼︎

 

昂哉「ではまず、自己紹介をお願いします。」

須川「はい‼︎俺の名前は須川亮、2003年10月12日生まれの17歳‼︎2019年4月に文月学園に入学‼︎そして2020年11月23日に童貞を卒業見込みです‼︎」

 

 途中まではいい。ただ最後のは何だ?

 

昂哉「須川さんに一つお聞きしたいのですが、童貞を卒業見込みとはどのような意味でしょうか?」

須川「そのままの意味です‼︎」

昂哉「11月23日って確か内定式の日だったと思うのですが………」

須川「内定式の日に卒業します‼︎」

昂哉「なるほど…………」

 

 付き合って初日にいきなり保健体育の実習とか、すっ飛ばし過ぎじゃないか?まあ秀吉とかいう特異点はいるにはいるが、普通はそれやったら身体目的だと思われてまず嫌われると思うんだが………

 

昂哉「それでは次に自己PRをお願いします。」

須川「はい‼︎俺はムッツリーニと色々勉強をして、保健体育に関するさまざまな知識を身につけました‼︎」

昂哉「ESとは言ってる事が違いますが………」

須川「それに追加で言いたくて‼︎」

 

 ESはまともだったのに、どうしてこうなったんだ、須川?まあ緊張してると思うんだけど、にしても言うこと全てが身体目的に聞こえるぞ?それとも横溝みたいにESはまともだったのに変なキャラ付けをしてきちゃったパターンか?いや、アイツはやけに堂々としてたから違うか…………

 

 

 

 結局須川の面接は保健体育の事で10割を占めたまま終了した。須川は謎の達成感を顔に出しながら面接会場を後にした。もちろん島田はお祈りメールを打っていた。

 

昂哉「須川は緊張しておかしくなったのかな?」

島田「かもしれないけど、ああなるもんなの?」

優子「いや、多分日頃考えてる事が出ちゃったんだと思う。」

姫路「ですよね…………」

 

 その後も何人か面接を行ったが、島田にとってしっくりくる人は現れなかった。まあお目当ての明久がいないんだし仕方ないか………

 

 

 

 

 そしていよいよ最後の人となった。

 

昂哉「入って、どうぞ。」

??「失礼します‼︎」

 

 そう言ってかなり背が低めで、声が高めの男は入ってきた。まさかのショタ枠か?

 

昂哉「えっと、それではまず簡単な自己紹介をお願いします。」

??「はい。僕は清水川春太郎です。2004年1月15日生まれの16歳です。今は文月学園に通っています。」

 

 ショタかと思ったら同級生じゃねえか⁉︎まあ俺目線ではショタだけど、島田目線だと同い年だよな、コイツ?というか同級生にこんな奴居たか?まあ留年か浪人をして1年生ってパターンはなくはないが、そんなの俺とビッ千華以外には居ないはず…………

 

昂哉「ありがとうございます。それではまず島田美波の志望理由を教えて下さい。」

清水川「はい‼︎僕がお姉様を志望した理由は………」

 

 待てよ?コイツまさか…………?

 

清水「そのペッタンコにあります‼︎地平線のような美しさに、美春………じゃなかった、僕は惚れました‼︎そしてお姉様の気前の良さと繊細さ‼︎この2つの面をみは………じゃなくて僕を後押しする理由になりました‼︎」

 

 やっぱり清水じゃねえか‼︎コイツ、男装してまでやってきやがったな‼︎

 

島田「美春、アンタなんでここにいんのよ⁉︎」

清水「お姉様、私は清水美春という人物とは縁もゆかりもありませんわ‼︎」

昂哉「おかしいな、誰も苗字は言ってないと思うけど………」

清水「黙りなさい、この老け豚‼︎」

優子「はぁ?」

昂哉「本日の面接は以上です。ありがとうございました。」

清水「ちょっとちょっと‼︎美春の面接はまだ終わっていません‼︎」

姫路「もう名前言ってるじゃないですか………」

島田「美春、とにかくウチは女には興味ないの‼︎だから帰って‼︎」

清水「嫌ですわお姉様‼︎美春はお姉様の内定を貰うためにここに来たのに‼︎」

島田「アンタに内定はあげないから‼︎」

 

 コイツあんまり人の話を聞かないんだよな。だからすぐに話がとっ散らかっちゃう。だからここは、

 

昂哉「面接官が多くて恋活生が上手く話せないようなので、俺は帰りますね‼︎」

 

 皆に任せよう‼︎

 

島田「帰ったらいくらアンタでも優子が側に居ようとも許さないからね。

 

 無理だった。

 

昂哉「マジかい…………」

優子「一体どうすれば………」

姫路「困りましたね………」

清水「お姉様、内定くれるまで一生離しませんよ♡」

島田「美春、は〜な〜れ〜て〜‼︎」

 

 ああ、一体この状況はどうすれば………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄人「おいお前ら、そろそろ戸締りの時間だぞ。早く帰れ。」

 

 神、降臨‼︎

 

昂哉・優子・姫路「「「分かりました‼︎」」」

島田「ちょっ⁉︎」

清水「お姉様、今夜は寝かせませんよ♪美春と一緒の布団で寝ましょう♡」

鉄人「清水、未成年の深夜外泊は禁止だぞ。」

清水「え〜っ‼︎」

 

 こうして俺たちは鉄人の力によりなんとか家に帰還する事が出来た。やったね‼︎ちなみに清水にもちゃんと後でお祈りメールを送っておいたよ。後今回の面接で内定者は居ませんでした!

 

 それと、清水が一瞬俺を罵倒したのは何故だろう?アイツには強化合宿の件でかなり強力な脅しをかけたはず。それ以来奴は俺に突っかって来る事がなかった。それはそうだ。後ろめたい事がある奴からしてみたら、俺に逆らうのはそれこそかなりの恐怖が伴うはずだ。それなのに、何故?まあ一時の感情に身を任せて言っただけかもしれないから、あんまり深く考えるのは無駄か〜。とりあえず家に帰ろっと♪

*1
ぐらんぶる15巻冒頭の野島の服装と同じ。




 ということで恋活の話は終了です。島田美波を巡る男たち(+清水美春)の熱いアピールは如何だったでしょうか?

 さて、次回は短編集ラスト、何かをやります。現在進行形でアンケートをとっているので、皆さん回答して下さい!締め切りは1日延ばして2/6の23:59までとします!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第八十二問 ロリとおじさんとぬいぐるみ

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
昂哉が高校1年生の時の話です。


  side 昂哉

 

 俺の新しい布団…………とても柔らかな綿と枕をしていますねぇ………白くて美しい生地だ…………。二度寝………してもいいですか?二度寝すると、とても落ち着くんです♪

 

 俺が再び目覚めた時、ニ○リの時計ってありますよねえ?あれ、顔を上げて見たときですねえ…………。あれ、起きてから初めて見たとき………なんていうか………その………馬鹿なんですが………フフッ………絶起………しちゃいましてねえ………。学校には間に合わないと分かったので………パチンコを打つ事にしたんですよ……………。力哉兄貴や知り合いの吉田さんと一緒に…………。そしたらどうなったと思います?それはそれはたいそう負けまして……………財布の中身が尽きちゃったのですよ………。それを見た兄貴たちは俺はやめようと言ったのですが、ここで引き下がるわけにはいかなくてですねぇ………。一度はごねて口座の金を持ち再び座ったのですよ…………そしたらどうなったと思います………?また全額溶けたのですよ………っ‼︎全部で10万負け…………っ‼︎流石の俺でも萎えて、この日は帰ることにしました………

 

 

 

 そうして俺は途方に暮れながら、兄貴たちと別れて街中を歩いていると、

 

姫路「あれは、明久君?」

 

 ぬいぐるみ屋の前で意中の人を見つけたクラスメイトと、

 

葉月「どうしてもこのノインちゃんが欲しいんですぅ‼︎お願いしますぅ‼︎」

 

 ぬいぐるみ屋で必死にねだる女子小学生と、

 

店員「うう、弱ったなぁ……」

 

 困る店員さんと、

 

明久「ねえキミ、どうしてそんなにそのぬいぐるみが欲しいの?」

 

 女子小学生に優しく話しかけてるバカがいたので、

 

昂哉「よっ、姫路!吉井明久のストーカーでもしてんの?」

姫路「ひ、雲雀丘君⁉︎これは違いますよ‼︎ホントにたまたま偶然なんです‼︎」

昂哉「へえ〜w」

 

 俺は店の外で姫路と一緒に、店の中にいる3人のやりとりを見る事にした。

 

葉月「さ、最近元気がないお姉ちゃんに前から欲しがってたこのぬいぐるみで、元気になってもらおうと思ったんです………」

明久「元気がないって?」

葉月「きっとドイツから引っ越してきて日本語が上手く出来ないから元気がないんですぅ。お掃除とかお洗濯とかして、葉月と遊んでくれたりもして………それなのにお姉ちゃんはいつも居ないパパやママの代わりに……」

明久「わわっ‼︎なっ、泣かないで!お兄ちゃんがなんとかしてあげるから‼︎」

葉月「………本当?」

明久「うん、本当!」

葉月「……お兄ちゃん、ありがとう!」

 

 とりあえずなんとなく事情は分かった。優しいお姉ちゃんのために何かをしたい優しい妹と、それを見て何かをしてあげたい生徒指導室でよく見る優しいバカ。*1

 

姫路「明久君、素敵です………///」

昂哉「なんとなくお前が惚れた理由が分かったよ。」

姫路「でしょう⁉︎」

 

 あのバカはただの問題児じゃなかったんだな。さて、吉井明久はどう出るか?

 

明久「それで、このぬいぐるみはいくらなんです?」

店員「税込で24,800円になります。」

明久「ごめん!お兄ちゃん頑張ったけど無理だったよ……」

葉月「ええ………」

 

 まあ普通の高校生にはお高めだね。ただそのくらいの額ならパチンコやスロットで半日あれば稼げるけどな。麻雀だと新宿歌舞伎町にあるピン東なら1東風(一試合15分程度)で手に入るし、俺が参加してる高レートマンション麻雀ならその倍は同じ時間で手に入る。

 

明久「ちなみに葉月ちゃんはいくら持ってるの?」

葉月「一万円しか持ってないの……」

明久「なら僕と合わせて11,699円かぁ………この値段で売る事は……」

店員「無理だねえ。」

 

 おい、お前1,699円しかないのかよ‼︎女子小学生の1/5以下じゃねえか‼︎絶対買えねえじゃねいかよ‼︎

 

明久「ところで、11,699円だと約半額ですよね?」

店員「まあだいたいそうだね。」

明久「葉月ちゃんはぬいぐふみが欲しくて、おっちゃんは売ってあげたいけど半額じゃ売れない。そこで僕からの提案です。」

 

 ん?コイツは一体何を提案するつもりだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明久「ぬいぐるみを半分に裂いて右半身だけを売って下さい‼︎」

 

 コイツはバカか⁉︎高校生の知能じゃないだろ‼︎

 

昂哉「お前の惚れた相手、頭大丈夫?」

姫路「大丈夫じゃないかもしれません…………」

 

 恐らく小学生でももう少しまともな思考をするだろう。アイツの脳みそは実は平均の半分しかないんじゃないか?そう思ってしまった。

 

 

 

 しばらくすると女子小学生と吉井明久が2人で店から出て公園へ向かい、そこにあったベンチに座ったので、俺と姫路は陰から聞くことにした。

 

明久「葉月ちゃん、お父さんとお母さんにお願い出来ないの?」

葉月「2人ともあまり家にいないの………お金が必要な時はお姉ちゃんに言わないといけないし………」

明久「そっか、う〜ん…………」

 

 葉月ちゃんの家系も両親が忙しい感じか………うちの両親もどっちも海外勤務だから似たような感じだな。まあ奴らはビール飲みながら仕事したいとかいう不純な動機でドイツに転勤しやがったが。普通に考えたら毒親だけど、俺は逆にコイツらのおかげでニート生活を満喫出来てたし今だって学校サボってパチンコや麻雀が出来てるから、正直両親には感謝している。ただし俺をニートから無理矢理引き摺り出して両親にチクり、学校に通わせた優子には怒りが溜まってるがな‼︎

 

 そんな事を思ってると、

 

葉月「そうだ!葉月のマンガを本屋さんに買って貰えばお金になるよね?」

 

 葉月ちゃんが尤もな事を言った。確かにそれならぬいぐるみを買うお金が稼げる。

 

 それにしても、ホントこの子はいい子だな〜。誰かのために自分の好きな物を売り払うとか、俺には絶対無理だよ〜。

 

 そしてそれを聞いた吉井明久が、

 

明久「ん?そうか………その手があったか!」

 

 どうやら何かをひらめいたようだ。

 

葉月「……どうしたの、お兄ちゃん?」

明久「どうせ戻ってこないと思ってた物だし、上手くいけばそのくらいの金額には………よしっ、葉月ちゃん!また明日この公園に来られるかな?」

葉月「うっ、うん!大丈夫ですけど………」

明久「じゃあまた明日ね!それと、今日はもう遅いからお家に帰ろうね!」

葉月「あっ、お兄ちゃん!」

 

 そして奴はそのままどこかに行ってしまった。それにしても、アイツは何を企んでるんだ?

 

昂哉「ねえ姫路、明久はどこからお金を得ようとしてるの?」

姫路「う〜ん、分からないです………あっ、でも戻ってこない物なら心当たりがあります!」

昂哉「戻ってこないもの?」

姫路「今日持ち物検査があったのですよ!それで多分色々没収されたのではないでしょうか?」

 

 なるほど、持ち物検査か!それなら納得だ!

 

姫路「私も土屋君からもらったばっかりの明久君の写真を盗られてしまいました…………あれ結構エッチで好きだったのに*2………」

昂哉「俺も親からもらったばっかりの10万円をパチンコに盗られたなぁ〜。あれ持ってると結構リッチになれて好きだったのに………」

姫路「学校行かずに何してたんですか………」

昂哉「そっちこそ学校行って何してるのさ?」

姫路「私に土屋君を斡旋したのは誰でしたっけ?」

昂哉「は〜い!」

 

 まあ姫路以外にもムッツリーニの写真を盗られた人は多そうだよね。

 

 

 

 それはともかく、本題に入らないと。

 

昂哉「まあそれより、明久の狙いについてなんだけど………」

姫路「彼は一体何をするつもりなのでしょうか?」

昂哉「恐らく没収品を強奪するつもりなんじゃないかな〜?」

姫路「確かに、明久君らしいですね………」

 

 まあ奴の場合は同じ問題児である坂本雄二と手を組んで何かやりそうだけどね。アイツもどうせ何か変な物持ってきて没収されてそうだし。

 

姫路「でも没収品の強奪に参加するのは生徒としてどうなのでしょうか?」

昂哉「まああまり良くないね。そもそも成功する確率だってそんなに高いもんじゃない。」

姫路「ですよね…………」

 

 失敗したらそれこそ吉井明久の願いも葉月ちゃんの願いも叶えられなくなる。それを避けるためには、俺たちも手を打つ必要がありそうだ。例えばアレはどうかな?

 

昂哉「そこで、俺たちで保険をかけるのはどうかな?」

姫路「保険ですか?まさかあのぬいぐるみを予め買うとか?」

昂哉「それは無理だね。なんせあの店にはあのぬいぐるみは1つしかなかった。だから俺らが買ってしまったら、奴の努力は無駄になるだろう?」

姫路「確かにそうですね………」

昂哉「そこで提案!俺たちでもぬいぐるみを作ってしまうのさ!」

姫路「な、なるほど‼︎それはいいですね!」

 

 そう!こうすれば万が一明久たちが失敗しても、葉月ちゃんの想いが無駄になる事はないだろう!

 

姫路「でももし明久君たちが成功したらどうするのです?ぬいぐるみは2つになってしまいますが………」

昂哉「それなら片方姉にあげて、片方を葉月ちゃんにあげれば大丈夫でしょ!」

 

 葉月ちゃんの善性にも、個人的に何かあげたいと思うからね!

 

姫路「なるほど!それなら2人とも喜べますね!」

昂哉「よしっ!そうと決まれば作戦決行だ!」

姫路「はい‼︎」

 

 ということで、俺の家で姫路と一緒にぬいぐるみを作ることにした。お互いそんなに裁縫は得意じゃなかったが、それでもなんとか完成させることが出来た。さて、葉月ちゃん姉妹は喜んでくれるかな?

 

 

 

 翌日、裁縫による疲れからか、目を覚ますと昼過ぎだった。まあ新品の布団が気持ち良すぎたのもあるけど。それと、こんな時間から学校行くのもだるいので、パチンコに行ってから例の公園に行くことにした。ちなみに姫路とはこの公園で放課後会う約束を取りつけている。そしてぬいぐるみも姫路が持っている。

 

 

 

 

 そして公園のベンチでパック酒の日本酒を飲みながら待ってると、

 

葉月「えっと、お兄ちゃんは………来てないみたいですぅ………」

 

 お目当ての葉月ちゃんがやってきた。ちなみに姫路はまだ来てない。ここは俺が一旦間を取り持つか…………

 

昂哉「こんにちは、お嬢ちゃん♪」

葉月「な、なんですか、おじさんっ⁉︎ぼ、防犯ブザーを鳴らさないとっ!」

 

 おいおいマジかよ‼︎俺そんなに怪しく見えるか⁉︎

 

昂哉「違うよお嬢ちゃん‼︎俺は怪しいおじさんなんかじゃない‼︎」

葉月「そ、そうなのですか………っ?」

昂哉「昨日のバカな高校生と同じ高校に通う高校生だ‼︎信じてくれ!」

葉月「高校生?なんでお酒を飲んでるんですかっ?」

昂哉「世の中には20代の高校生*3だっているものなのさ!」

葉月「そうなのですか………」

 

 若干不安そうな顔をしているが、どうやら防犯ブザーを鳴らさないでくれるようだ。安心したよ。さてと、ちょっと暇つぶしに思った事を言っとくか…………

 

昂哉「それにしても、お嬢ちゃんはいい子だね!昨日ちょっと会話を聞いてたんだけどさ、お姉ちゃんのためにあそこまで頑張れる子ってなかなかいないよ!」

葉月「いや、いい子なのはお姉ちゃんのほうですぅ!」

 

 そこで自分じゃなくて姉を挙げるあたり、本当に姉想いのいい子なのだろう。

 

昂哉「そうかい。それはいいお姉ちゃんを持ったね!でも葉月ちゃんもいい子だよ!」

葉月「そ、それは…………」

昂哉「お兄さんが保証するから!」

葉月「そうなのですかっ!ありがとうございます、おじさんっ!」

 

 おじさんじゃなくてお兄さんなんだけどな…………

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

姫路(LINE)『そろそろ着きます!』

 

 姫路からLINEが来たので、

 

昂哉「どういたしまして!それじゃあおじさんはこれで失礼するけど、ピンク髪のお姉さんが素敵な物をプレゼントを持ってきてくれると思うよ!」

葉月「本当ですかっ?」

昂哉「もちろん!それじゃあまたね〜!」

葉月「バイバイ、おじさんっ!」

 

 俺はベンチを離れ、姫路に役割を譲ることにした。

 

 

 

 そして姫路は葉月ちゃんに近づき、

 

姫路「お嬢ちゃん、こんにちは!」

葉月「こ、こんにちはっ!」

 

 声をかけた。それを俺は木陰で見守っている。

 

姫路「えっと、昨日茶髪のお兄ちゃんと話してたよね?」

葉月「はい、そうですがっ………」

姫路「それなんだけど、もしあのお兄ちゃんがだめだったら……」

 

 そして姫路はかばんからぬいぐるみを取り出し、

 

姫路「このぬいぐるみをお姉ちゃんにあげて!」

 

 葉月ちゃんにぬいぐるみを差し出した。

 

葉月「ほ、本当ですか………っ⁉︎」

姫路「それで、あのお兄ちゃんがぬいぐるみを持ってきてくれたら、これはあなたにあげる!」

葉月「ほ、本当ですか⁉︎わぁ〜、お姉ちゃん、ありがとですぅ〜‼︎」

姫路「どういたしまして!それじゃあまたね!」

葉月「ばいば〜い!」

 

 どうやら俺たちの作戦は上手くいったようだ‼︎

 

 

 

 

 そして姫路が俺のところに来て、代わりに吉井明久が葉月ちゃんのところに現れた。

 

昂哉「センキュー、姫路!」

姫路「こちらこそ、手伝ってくれてありがとうございました‼︎」

昂哉「ど〜も〜♪」

姫路「それじゃあ帰りますか………」

 

 その後、姫路はそのまま帰ろうとしたので、

 

昂哉「いや、ちょいと待ちたまえ。」

 

 俺は姫路を呼び止めた。

 

姫路「な、何故です?」

昂哉「葉月ちゃんと話終わったあと、吉井明久に声をかけるチャンスだとは思わない?」

姫路「た、確かに‼︎」

 

 そしてそうこうしているうちに、

 

葉月「ばいば〜い!」

明久「ちょ、ちょっと⁉︎…………帰るか………」

 

 奴と葉月ちゃんが別れたので、

 

昂哉「ほれ、いってらっしゃい!」

姫路「あっ、はい‼︎」

 

 俺は姫路を送り出して、そのまま帰ることにした。

 

 

 

 

  side 葉月

 

 お姉ちゃんにおじさん、本当に優しかったですぅ!葉月のためにぬいぐるみを作ってくれたり、葉月の事をいい子って言ってくれたり………

 

 そしてバカなお兄ちゃん…………好きですぅ!絶対葉月がお兄ちゃんのお嫁さんになるですぅ!

 

 そんな事を思いながら歩いていると、何かを見かけました。ん、あれは…………?

 

優子「やあ、昂哉。4日ぶりね。」

昂哉「ゆ、優子……………?」

 

 公園のおじさんが可愛いお姉ちゃんに絡まれてるですぅ?どういうことでしょう?

 

優子「とりあえず座りなよ。」

昂哉「あ、ああ……………」

 

 あの2人がベンチに座って何かを話すようですぅ。ちょっと聞いてみよっかな?

 

昂哉「優子、何しにここに来に………」

優子「アンタをしばきに来たのよ。寝坊した挙句学校をサボったアンタをね。」

 

 なるほど、あのおじさんは学校をサボってたのですかっ。

 

 そんな事を思ってると、

 

昂哉「違う‼︎違うんだ優子‼︎」

 

 おじさんが泣きながら跪きました。もしかして何かあったのかな?

 

昂哉「あの日、俺の諭吉がパチンコに食われて………兄貴と吉田さんは作戦を中止して引き返そうとしたのに………っ‼︎俺は2人を無理矢理説得して、作戦を続行させたんだ‼︎」

 

 ん?このおじさんは何を言ってるのかな?

 

昂哉「俺は金持ちになりたかった‼︎誰かに尊敬されたかった…………。俺じゃなくて、時代や環境が悪いんだよ‼︎俺が学校に行けなかったのは、パチンコのせいだ‼︎もう、店が嫌なんだ…………金を返してくれ…………」

 

 おじさん、優しいけど悪い大人だったんですね………

 

優子「多分、アタシは昔からこうなんだ。」

昂哉「えっ…………?」

優子「アタシは全力でアンタをしつける。アンタが反省するまで。

昂哉「や、やめろ‼︎この木下の悪魔め‼︎」

 

 こうしておじさんはお姉ちゃんにボコボコにされてしまいました。

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 くそっ、優子のヤツめ‼︎絶対に復讐してやるからな‼︎いまにみとけよ‼︎

*1
この頃の昂哉は明久や雄二とはお互い生徒指導室でよく見る程度の認識で、名前は知ってるものの関わりはほぼない。美波と昂哉は面識無し。ムッツリーニは商売仲間で表では面識が無いが裏ではある。クラスメイトの姫路と幼馴染みの秀吉はガッツリ面識がある。

*2
昂哉が姫路に好きな人にやましい感情を抱くのは普通だ、恥ずかしがるような事じゃない、って言ったら姫路はこうなりました

*3
ちなみにこの時昂哉は19歳。飲酒についてはガッツリ法律違反であるが、老け顔のため他の人からはセーフだと思われている。




 ということで、短編集のラストは葉月とぬいぐるみの話でした。昂哉が高1の頃仲良かったのが姫路だったため、姫路サイドの話になりました。如何だったでしょうか?

 それと、昂哉の優子に対する気持ちが随分と変わってきましたね。そのため、優子を悪魔だと罵ってた頃の昂哉を久しぶりに見たのではないでしょうか?

 さて、次回からはいよいよ最終章に突入します。昂哉たちの物語の結末は如何に⁉︎

 最後に、評価・感想をお願いします。


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最終章  試召戦争最終決戦
第八十三問 宣戦布告


この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 今、俺たちのクラスでは、

 

雄二「………次、新田佑。聖典(エロ本)一冊を与える。次吉井明久、美術品(エロDVD)を与える。」

明久・新田「「ありがたき幸せ‼︎」」

雄二「次、須川亮。聖灰(エロ本の燃えカス)を与える。」

須川「……………」

 

 雄二の手からエロ本が贈呈されていた。何故こうなったのか?それは単純に言うと、俺たちはEクラスの教室を使っているからだ。先日、たった1分で終わったCクラス戦の後、俺たちはCクラスの教室を手に入れた。しかしその後、俺たちはEクラスと試召戦争をし、Eクラスの教室を手に入れてそこへと移った。普通に考えたら損な行為であるが、これにはもちろん理由がある。それはAクラスとの再戦のためだ。その作戦の都合上、このように俺たちはEクラスの教室を使っている。

 

 ただしそれだと不平不満も多いだろう。そこで考案されたのがこのエログッズ贈呈会だ。不平不満を褒美を与えることにより揉み消す作戦だ。エロにおいて潤沢な知識を持つムッツリーニが提供する極上のエログッズは、男子高校生の舌と股間を唸らせるには充分だった。

 

 もちろん男子だけではない。

 

雄二「次、島田美波と姫路瑞希。馬鹿者の壁画(明久タペストリー)を与える。尚2人だけの秘密の品のため、厳重な梱包の元贈呈する………って姫路は居ないのか。」

昂哉「うん。」

島田「ありがとう!………それはそうとウチのアレはどこに………」

ムッツリーニ「………職人ならば当然のことをしたまでよ。」

雄二「次、木下秀吉。機械力学の叡智(バ○ブ)*1を与える。尚教師にバレると最も大変なため、厳重な梱包の元贈呈する。」

秀吉「おお、美穂と使いたかったやつじゃ!」

 

 女子や秀吉にも褒美は存在する。若干一名明らかに高校生らしからぬ生々しいものがあるが、気にしないでおこう。

 

 そしていよいよ次は俺の番だ‼︎

 

雄二「そしてCクラス戦において我がクラスの危機を救った英雄、雲雀丘昂哉にはこれを授ける。」

 

 そうして雄二は俺に…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子の写真集をくれた。

 

昂哉「ちょい待てや‼︎もっと何かあったでしょ‼︎スロットのメダルとかさ‼︎」

雄二「これはムッツリーニが持って来てくれた。」

ムッツリーニ「………昂哉に合うかと思って。………工藤の協力の元作った。」

昂哉「いや、その、嬉しくないわけじゃないんだけどさ‼︎なんかこう、もっと凄いのが来るかと思ったよ‼︎」

 

 それこそ歌舞伎町全店舗無料券とか。まあ俺が風俗行かない現状を考慮したのかな?というか、よりによってなんで優子の写真集なんだよ‼︎しかもどう見ても盗撮じゃないか‼︎工藤の協力ってそういうことかよ‼︎

 

明久「あっ、嬉しいんだ♪」

秀吉「やっと素直になったのぅ!」

島田「これでめでたく優子と結ばれたってわけね!」

昂哉「おいこらそこ!揚げ足を取るな‼︎」

雄二「別に揚げ足は取ってないと思うが………まあいいか。次は作戦会議に移るか。」

昂哉「流すな‼︎」

 

 コイツら後でぶっ飛ばしてやる‼︎

 

 それよりこれからAクラス戦に向けての作戦会議だ‼︎

 

雄二「それでは以上で贈呈会を終了とする。さて、次は………」

リンネ「タカヤ、ソレナニ?」

 

 ってリンネ?何故ここに⁉︎

 

昂哉「いや、これはただの固体さ‼︎それよりなんでお前がここに⁉︎」

雄二「昂哉、その子供は?まさか年下の男の子までたぶらかしたのか?」

ムッツリーニ「………男子小学生を誘拐する成人男性………危険すぎる‼︎」

秀吉「姉上に知らせねば………」

明久「大丈夫、君?このおじさんに何かされなかった?」

昂哉「違えよ‼︎この子は函館で会ったリンネ・クライン君さ‼︎毎年行われている交換留学*2で文月に来たってわけ!」

リンネ「そのトーリ‼︎キョウからココの1ねんデス‼︎みんな、ヨロシクね‼︎」

雄二「なるほど、海外に行ったときに誘拐してきたってわけか。」

昂哉「違えっつってんだろこの妻帯者‼︎」

雄二「それも違えよ‼︎」

 

 そう否定出来るのも、後何ヶ月かな?

 

 まあそんな事より、今は大切な作戦会議中だからリンネには帰ってもらわないと。

 

昂哉「リンネ、申し訳ないんだけど、今は忙しいからまた後で………」ボトッ

 

 ん?リンネが何か落としたぞ?なになに…………Tagebuch?英語以外は分かんないけど、ぱっと見ドイツ語っぽいし、恐らくリンネが母国語で書いた何かだろう?でもどこかで見たことある筆跡なのは気のせいか?

 

昂哉「リンネ、落とし物だよ〜。」

リンネ「あっ、アリガト、タカヤ!」

昂哉「ど〜も〜!それより、今忙しいからまた後でね!」

リンネ「ワカッタ!ボクもショクインシツにいくネ!」

昂哉「職員室?」

リンネ「ウン!ゴゴのシュウカイでハナシをするジュンビをしてくるんダ‼︎マタネー‼︎」

昂哉「ばいば〜い‼︎」

 

 ということで、リンネは元気よく去ってった。それにしても、ちょっと気になることがある。

 

雄二「午後の集会?」

 

 雄二も同じことを思ってたようだ。

 

昂哉「確か3年生の進路ガイダンスだよね。」

雄二「3年の集会に1年が出るのって変だよな。」

昂哉「それ。確かにアイツは飛び級してて学力的には高3だけど、それが理由になるとは思えないし………」

雄二「今年の交換留学の話だったら俺達2年にするはずだ。」

昂哉「3年は去年高天原が行って、さっき帰ってきたばっかりだしね〜。」

雄二「だよな。」

 

 高天原か高城先輩が紹介でもするのかな?

 

 

 

 まあそれより、今はあの話だ‼︎

 

雄二「ということで、作戦会議を始めたいのだが…………姫路がまだ来てないから、HR後とする。」

 

 って後でやるんか〜い‼︎確かにここ最近の姫路は珍しく登校時間が遅めである。別に遅刻とかはしてないが。それと、優子もここ最近なんか変だ。なんか忙しいらしく、あまり会えていない。家に居る時に事情を聞いたら、

 

優子「言える時になったら、ババーンと発表してあげる‼︎」

 

 とテンション高めに返された。もしやこの2人で何かしてるのか?

 

秀吉「明久、何か姫路の事情を知っておるかのぅ?」

明久「いや、僕は何も知ら…………」

秀吉「そうかのぅ。」

雄二「姫路に関しては、試召戦争を気負いすぎてる気がするが………」

 

 まあ明久が姫路のために、ってのを姫路は知ってるからね。気負うのも仕方ないか………

 

明久「もしかして僕が姫路さんに変態って思われてるかもしれないんだ………」

雄二「お前は何を言ってるんだ?」

昂哉「それは今更でしょ。」

ムッツリーニ「………様子がおかしくなる理由にはならない。」

 

 さっきの話から何故ああなったのか………明久の思考回路には謎が多い。

 

 結局姫路が来たのはHRの少し前、鉄人と同じタイミングだった。

 

 

 

 

 

 HRの後、俺たちはいよいよ、

 

雄二「よしお前ら、よく聞け‼︎これから俺達の試召戦争の総決算、Aクラス戦の作戦概要を説明する‼︎」

 

 作戦会議だ‼︎クラスのメンバーはもちろん全員揃っている‼︎

 

姫路「………Aクラスに勝てば………」

島田「………アレを早く見つけないと………」

 

 女性陣の様子がちょっと変だが。

 

雄二「とその前に。向こうのクラスに通達の使者を出さないと………待て明久、どこに行く?」

明久「嫌だ‼︎僕は絶対に行かない‼︎宣戦布告の使者なんて金輪際御免だ‼︎」

昂哉「子供みたいに駄々こねないの、明久!」

明久「やったことない奴が言うな‼︎」

 

 もう慣れてるんだから無駄な抵抗をしなければいいのに。全く、馬鹿な奴だなぁ。

 

雄二「お前らの明久に痛い目に遭って欲しいという気持ちは分かるが………」

明久「分かるな‼︎」

雄二「今回はちょっと違う事をやる。」

明久「へっ?」

 

 実は俺は予め雄二と2人である程度の作戦を立てている。それを軽く説明しますか〜。

 

昂哉「ここで皆さんに前回のCクラス戦について思い出して欲しい。」

雄二以外「「「「「Cクラス戦?」」」」」

昂哉「俺たちはどのようにして勝ちましたか?」

秀吉「………使者兼代表である小山を取り囲んで半拘束みたいなことしたのぅ。」

昂哉「正解‼︎」

雄二「俺達が先にこの作戦をやった以上、Aクラスにやられても文句は言えないわけだ。だから従来の使者1人を送り込むやり方は戦力の低下を招きかねない。」

 

 召喚獣の操作が上手い明久を失うのは痛すぎるからね。ましてや代表である雄二が1人で行くなんてことがあったら、それこそ小山の二の舞になりかねない。

 

昂哉「ということで今回は全員で使者をやろうと思います!」

 

 だからこうするのさ!これなら最悪乱闘で済むからね!それに、クラス全員を半拘束するのは極めて難しいだろう。

 

雄二「作戦会議はその後でする予定だが、万が一乱闘になった時のために昂哉の新しい腕輪の力による脅しを行う。」

明久「昂哉の腕輪の力?何か変わったの?」

昂哉「はっきり言えば乱闘向きの技だね。自身の点数を半減させるものの、かなり強力な技になったんだ〜♪」

 

 正直、Aクラス5〜10人程度なら纏めて殲滅できる気がする。俺の新しい技は攻撃範囲と威力が共に強すぎるため、代償として点数の消費が非常に激しい。

 

秀吉「そう言われるとちと見てみたいのぅ。」

昂哉「もし乱闘になったら見せてあげるよ!」

雄二「まあ見せる事態は避けたいがな。なにせ点数差は歴然だ。昂哉が翔子を超え、姫路が久保を超えた今ですらかなりの差がある。」

 

 なにせそれ以下もかなり強いからね。そのための作戦は次の通りだ。

 

昂哉「そのために基本は多対一で潰す事!」

雄二「少しでも消耗したら撤退して点数補充をし、態勢を整えて再度勝負する。」

昂哉「またリンチを実現するために、戦場を広げて敵を分散させるのさ!教室をCじゃなくてEにしたのはこのためだよ!」

秀吉「なるほどのぅ。」

 

 C教室はA教室の隣で一番奥。開始位置に指定が無いとはいえ、点数補修のためにA教室の前を通らないといけないのはかなり不利である。

 

明久「じゃあ元の教室のままでもよかったんじゃない?」

雄二「BとCクラスは余計な茶々を入れられる前に予め潰しておきたかったからな。」

明久「なるほど〜。」

 

 一度試召戦争に負ければ後3ヶ月は宣戦布告が出来ないからね。Dクラスは万が一の事があれば清水を脅せばいいし、これで大丈夫なはず‼︎

 

秀吉「戦い方についてはよう分かった。それで、勝つための他の作戦はあるかのぅ?」

雄二「それについてだが………」

 

 昨日まで俺と雄二が考えていた作戦を皆に説明…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明久「まさか、雄二が霧島さんを誑かすとか?」

 

 瞬時、俺に流れる一筋の電流‼︎これほどまでに聡明なアイディアを、何故俺は思い付かなかったんだ⁉︎

 

雄二「誰がそんな事………」

昂哉「それだ、明久‼︎」

明久「やっぱり⁉︎」

雄二「違えよ‼︎」

昂哉「まずはワイシャツのボタンをちょっと開けて鎖骨をアピールしつつ、」

明久「腕を捲って手の筋肉と血管をアピールする!」

秀吉「それじゃあプロポーズの言葉はワシが考えるとするかの。」

ムッツリーニ「………写真撮影とその後の流れは俺に任せろ‼︎」

雄二「勝手に話を進めるな‼︎」

須川「それじゃあ俺達で結婚式(ごうもん)の準備をするか。」

雄二「おい!俺の命を危険に(さら)すつもりか⁉︎」

昂哉「たった1人の命で皆が救えるならさ、やらない手はなくない?」

 

 トロッコ問題であったよね。線路を切り替えて1人を救うか大勢を救うか。あれの1人がもし明久や雄二だったら、間違いなく1人の方にトロッコを走らせるよ!

 

雄二「それに、翔子の事を間違いなく止めてくる木下はどうすんだよ⁉︎なぁ、昂哉⁉︎」

 

 瞬時、俺に流れる一筋の電流……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「いや、別に俺は構わ………いや、それだと困るか………」

 

 は流れかねていた。

 

雄二「おい!お前木下のこと嫌いじゃなかったのか⁉︎」

秀吉「昂哉はもうかなり落ちてるのぅ。」

明久「最近木下さんが忙しくて寂しそうにしてるもんね!」

須川「これは殺さざるを得まい。」

昂哉「う、うるさい‼︎これは俺が良くても優子が真面目だから絶対に乗ってこない‼︎だからこの作戦は中止だ‼︎///」

雄二「だろうな。」

明久「ちぇっ、つまんないの。」

秀吉「まあ姉上はそういうところで真面目じゃからの………」

 

 むしろ3秒で断られる気がするからね。

 

雄二「ということで今回は違う作戦でいくとする。」

明久「は〜い………」

 

 そしてこの後は雄二と俺による、作戦説明会が行われた。

 

 

 

 

 

 作戦会議の後、明久を作戦のためにEクラスに放り込んだ後、残り49人でAクラスに足を踏み入れた。

 

優子「た、昂哉⁉︎何しに来たの⁉︎///」

 

 最近あまり顔を合わせていない優子はちょっと動揺しているみたいだが、まあ問題ない。

 

昂哉「俺たちの新しい教室の下見に来ました〜♪」

優子「あら、そういうことね。」

昂哉「Yes!」

 

 ちなみにクラスの連中は後ろの方で、

 

須川「個人用パソコンで美術品(エロDVD)を見ようぜ!」

横溝「リクライニングチェアに腰掛けながら聖本(せいほん)読みてえ〜!」

福村「なんならパソコンで電子界旅行(エロサイト閲覧)も出来ちゃうしな!」

 

 教室の使い道について議論してた。

 

優子「アンタら、もっと有意義に教室を使えないのかしら………」

昂哉「まあ別にいいでしょ、なんだって。」

雄二「それよりさっさと済ますぞ。」

昂哉「うん!」

 

 さあ、いよいよアレを言う時だ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「クラス格差の出現から今日に至るまで、我々Fクラスはボロ小屋にとらわれ虐げられてきました‼︎沢山の花粉が侵入してきた春、直射日光が正面衝突してきた夏、そして隙間風が肌に染みた秋‼︎腐った畳の部屋で蜘蛛と一緒に過ごした日々は、とてもかけがけのないものでした‼︎だがそれも今日でお別れ‼︎皆で力を合わせて勝利を勝ち取れば、そこには最高級の部屋と暮らしが待っていることでしょう‼︎だからFクラスの皆さんは、俺に協力して欲しい‼︎共に勝利を掴み取って欲しい‼︎2020年11月24日、俺たちはここに宣言します‼︎Aクラスの悪魔共に、宣戦布告を‼︎」

高城「するのは私たちです。」

 

 えっ、今なんて?気になったので後ろを振り返ると、高城先輩をはじめ、ビッ千華、常夏コンビ、小暮先輩、リンネ、そして学園長であるばあさんがAクラスの教室に入ってきた。

*1
機械力学とは、振動を扱う学問である

*2
原作と設定変更。ちなみに今年は高天原が行った。




 ということで、最終章がスタートしました‼︎Aクラス戦をやろうとした矢先、いきなり3年生に宣戦布告されるというね。そして今後は3年生との戦いをお送りしたいと思います。

 さて、次回は原作10巻ラストから11巻にかけてです。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第八十四問 封印されし記憶

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 俺たちがAクラスに宣戦布告をしようとしたとき、いきなり3年生たちが入ってきて訳の分からない話をし始めた。ババアも添えて。

 

昂哉「どういうことです?」

高城「もう少し分かりやすく話すべきでしたね。はっきり言うと、我々文月学園第三学年は、第二学年に対して試召戦争を申し込みます。」

2年Aクラス・Fクラス全員「「「「「なっ⁉︎」」」」」

 

 どういうこと⁉︎なんで学年対抗戦⁉︎

 

高城「私たちの要求は二年生のA・B・Cクラスの設備及び教室です。こちらがこの試召戦争に勝利した場合、それらを三年生に明け渡してもらいます。」

昂哉「それだと、俺たち二年の上3クラスはどうなるんです?」

高城「二年及び三年のD・E・Fクラスに移っていただくことになります。」

 

 つまりはA〜C教室を三年6クラスで独占し、D〜F教室に二年6クラスを収容するって話か。

 

須川「ふざけんな‼︎」

横溝「そんな話、乗ってたまるか‼︎」

美穂「流石に酷すぎます………」

久保「その通りだよ。」

福村「帰れ‼︎小暮先輩とビッチだけ置いて帰れ‼︎」

千華「おい、誰だ‼︎今アタシをビッチって呼んだのは⁉︎」

 

 当然二年生は阿鼻叫喚になっている。若干一名違う理由でキレてる奴がいるが。

 

小暮「皆様、静粛に。詳しい話は学園長先生にして頂きます。」

ババア「全く、やれやれ、だねぇ………」

 

 そんな中小暮先輩の紹介により、ばあさんが前に出てきた。そしてばあさんは事情を説明し始めた。

 

ババア「アンタたちは急な話に思えるかもしれないけどね、実はそういう提案は前々からあったのさ。」

昂哉「学年対抗戦の話ですか?確かにお化け屋敷のときも似たようなのがありましたが………」

ババア「そうさね。ただ賭ける対象が教室の設備になるってだけの話さ。それに提案したのは三年じゃない。」

リンネ「ボクのイたガッコウからだヨ!」

 

 なるほど、そういうことか〜。確かに同じシステムを使う姉妹校なら提案してもおかしくない。

 

 そしてリンネは俺に近寄ると、

 

リンネ「タカヤにはコレあげる!」

 

 いくつかの紙を俺のズボンのポケットに入れてきた。

 

昂哉「う〜ん、紙は紙でも福沢諭吉が書かれた紙の方が良かったな〜。」

優子「堂々と賄賂を宣言するんじゃないわよ。」

昂哉「じょ〜だん!」

 

 そんなたわいもない話をしていると、

 

姫路「あの、これはどういうことなのでしょうか?」

 

 奥の方にいてあまり話が聞こえてなかったのか、姫路が皆の間を縫ってやってきた。Aクラスとの試召戦争に並々ならぬ思いがある彼女にとって、いち早く確認したい事態なのは当然だろ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高城「姫路……瑞希嬢……///」

姫路「えっ?高城先輩?どうしたんです?」

小暮「…………」

 

 ってなんでコイツ嬉しそうにしてんの⁉︎まさか姫路のことが好きなの⁉︎それと姫路めっちゃ困ってるよ⁉︎あと小暮先輩が人殺しそうな目をしてるんだけど⁉︎なんか色々と大丈夫なの⁉︎

 

高城「姫路瑞希嬢。少々宜しいでしょうか?」

姫路「???は、はい?なんでしょう?」

 

 そして高城先輩が姫路の前に立ち、その顔に手を伸ばす…………ってまずい‼︎

 

昂哉「危ない‼︎」ドンッ

姫路「きゃっ!」

 

 俺は慌てて姫路を精一杯の力で突き飛ばし……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉・高城「「……………」」

 

 高城先輩とキスをする羽目になった……………その瞬間蘇った、()()()()()記憶

 

受付のボーイ「では何番の人にしますか?」

力哉「昂哉は初めてだから、5番の人がいいな。」

克哉「出来れば優しく頼む。」

受付のボーイ「分かりました!」

5番(男)「それでは雲雀丘昂哉様、よろしくお願いします!」

昂哉「はい…………」

 

 酒により封印されし記憶………それは兄貴たちに酔い潰された後、ウリ専*1に無理矢理入店させられ、男同士の保健体育の実習をしたという、あの記憶………………

 

昂哉「くそっ、俺は非処女だったのか………っ‼︎」

他全員「「「「「えっ⁉︎」」」」」

 

 下唇を噛みながら、膝をついて倒れる…………せっかく酒で忘れていた記憶が、高城先輩との男同士のキスにより蘇ってしまった……………というか兄貴共、なんでこの事実を黙ってたんだよ‼︎家帰ったら絶対殺してやるからな‼︎

 

島田「これは凄い事実ね………」

姫路「思い出しちゃったのでしょうか………」

雄二「俺がババアに向けてた怒りも、なんか吹っ飛んじまったわ……」

ムッツリーニ「………とりあえず赤飯を炊こうか?」

秀吉「あ、あの、姉上…………」

小暮「……………」

 

 そして他の人がてんやわんやしたり、小暮先輩が静かにブチギレたりする中………

 

優子「ちょっと⁉︎何してくれてんですか、高城先輩‼︎ぶっ飛ばしますよ‼︎」

 

 優子が高城先輩を殺そうとしていた。これは流石に止めねば!

 

昂哉「優子、ストーップ‼︎」

優子「で、でも…………」

昂哉「とりあえず落ち着いて!」

優子「た、昂哉が言うなら………」

 

 それにしても、高城先輩の狙いはなんなんだ?リンネに知るはずのない俺の旅行のことを言ったり、お化け屋敷をふっかけたり………というか学年同士の対決なら、首席である高天原が来るべきなのに、そいつは今ここに居ない。どうにも狙いが読めない。ぶっちゃけ姫路が本当に好きなのかも分からない。何故ならこうして二年全員のヘイトを稼いで、自分たちに有利な戦いを認めさせる作戦もあるからだ。

 

 とりあえずここは冷静に、交渉するとするか………

 

昂哉「まあ今のキスの件はさておいて、勝負の内容をもう少し詳しく知りたいです。引き受けるかどうかは、その後で考えます。」

小暮「とりあえず私は高城君に再教育を施すので、学園長先生からお話をお願いします。」

高城「えっ⁉︎いや、ちょっとそれは………」

ババア「よし、それじゃあ本題に移らせてもらうよ。アンタはまず自分らで考えると言ったが、二年生と三年生の試召戦争は決定事項さね。これは学園全体での行事として執り行うよ。」

 

 ってマジかよ⁉︎なんだよそれ⁉︎

 

昂哉「おい、勝手に決めるなよ‼︎何考えてんだい、ばあさん⁉︎」

優子「でも負けた方のA・B・C教室と、勝った方のD・E・F教室を賭けるのなら対等だと思うけど………」

昂哉「なわけないでしょ⁉︎今日は11月24日、三年生の自由登校がいつから始まるか…………答えろよ、クソババア‼︎」

ババア「………12月第2週さね。」

昂哉「だよなぁ⁉︎これじゃあ三年は負けてもたった1・2週間我慢すりゃいいじゃねえか⁉︎」

雄二「昂哉の言う通りだ。これを学校行事として決めるには、無理があり過ぎる。」

高城「違いますよ、2人とも。私たち三年生は『受験直前の貴重な時間』を費やすことになるのです。リスクはお互い様だと思いませんか?」

昂哉・雄二「「ならお互い今まで通りにしてればいいのでは⁉︎」」

リンネ「ソレはダメなんダよネ、ザンネンだケド。」

昂哉・雄二「「何故⁉︎」」

リンネ「ダッテ、ボクがコッチに来たリユウのヒトツにそのショウブを見届けるッテのがあるんだカラ!」

 

 ん?リンネが来た理由って、単なる交換留学じゃないのか?

 

リンネ「ソレに、タカヤたちだってコマるハズだヨ!このショウブにはスポンサーのムグゥッ⁉︎」

ババア「坊主、お喋りが過ぎるのは格好良くないねぇ。」

リンネ「ケホッ。ソッカ………ゴメンネ、トウドウ。」

ババア「分かればいいのさ。」

 

 ばあさんがリンネの口を塞いで黙らせたが、なんとなく事情は分かった。スポンサーが金かけてまでやってんのか。それなら無理矢理強行するしかないのか…………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤田爺「それは認められんな。」

 

 ん?じっちゃんがばあさんの前に現れただと?

 

ババア「なんだい赤田。アンタなら一番事情が分かるはずだろう?」

赤田爺「若者の輝かしい青春を、大人の汚らしい事情で奪うのは、何人たりとも許されざる行為じゃ。」

 

 なるほど、やはりじっちゃんもこの無茶には黙ってられなかったか。それは心強い‼︎

 

赤田爺「儂の権力と財力でスポンサーを黙らせてやっても良いのじゃが?それに儂の力なら、学園長に代わってあげても良いのじゃぞ?」

 

 超大企業の元専務が言うと、洒落にならないな。多分文月くらいなら簡単に潰せるのだろう。

 

ババア「ぬぅ………アンタに言われると、ちと困るさね。」

 

 これはいい機会だ。一つこちらの条件を飲ませてしまおうか‼︎

 

昂哉「ばあさん、俺のお願い事を聞いてくれませんかね?じっちゃんも居ることですし。」

ババア「………分かったよ。んで、何を要求するつもりさね?」

昂哉「さっき高城先輩は言いました。我々は受験直前の貴重な時間を使ってる、と。それならいっそ自由登校を無くして、3月まで出席義務を発生させたら良いのではないでしょうか?」

三年生「「「「「なっ⁉︎」」」」」

 

 正直たがが1週間2週間を潰すのなんて時間を犠牲に、とは言い難い。これくらいしないと、きちんと対価を払ってるとは言えないからね!

 

雄二「それなら勝負の条件は対等になるな。」

美穂「雲雀丘君の言ってる事はもっともですね。」

須川「よし、奴らの未来をぶっ潰してやる‼︎」

 

 二年生組もこれなら納得してくれたみたいだ。

 

赤田爺「御主はそれで良いのか?」

昂哉「まあね。元々勝負事やギャンブルは好きだし。ただ対等じゃなかったから文句を言っただけで、対等なら全然ありだよ。これでいいですよね、高城先輩?」

高城「これはあまりにも言い過ぎなのではないでしょうか?」

昂哉「受験前の貴重な時間を、って言ったのは誰でしたっけ〜?」

高城「…………分かりました。引き受けましょう。」

ババア「決まりさね。」

 

 こうして二年生対三年生の試召戦争が決行されることになった。Aクラス戦は無くなったけれど、これで良質なクラスが手に入る機会を得られたぜ‼︎

 

昂哉「じゃあ実際に勝負の内容について決めましょうか?」

ババア「基本的には通常の試召戦争に準じるよ。」

雄二「ってことは、お互いの代表が討ち取られたら終わりってわけか。」

 

 となると、うちらの代表は霧島で、三年生は今この場にはいない高天原ってわけか。

 

高城「それに加えて、他のクラス代表に適用される特別ルールもあるそうです。」

ババア「そうさね。各クラスの代表が討ち取られた場合には、そのクラス全員が補習室行きってことになるよ。」

 

 つまり、雄二がやられるとFクラスが自動的に全滅になるわけか。一気に大将を狙うか、各クラス代表をやっつけて戦力を削るか、難しいところだ。

 

昂哉「次に勝負の科目はどうするんです?俺たち二年と貴方たち三年じゃあ授業の選択自体に違いがありますよね?」

高城「大まかに言えば、センター試験に準ずると言うことになりますね。」

全員「「「「「センター試験⁉︎」」」」」

 

 なんだよそれ⁉︎それじゃあ俺たちが不利じゃないか‼︎

 

明久「って何それ?」

 

 Eクラスへの用事を終えてやって来たセンター試験を知らないバカはともかく、ここは一つ文句を…………

 

高城「貴方が吉井明久君ですか………センター試験を知らないような無計画な人と貴女は一緒にいるべきではないのです、姫路瑞希嬢。」

 

 言おうとしたら、姫路を巡って明久と高城先輩とのバトルが発生した。

 

姫路「ち、違います!明久君はちょっとお勉強と常識とお勉強と世間に疎いので、そんなに無計画じゃありません!酷いことを言わないで下さい!」

雄二「ああ、姫路の言う通りだ!むしろバレーボールのセッターと勘違いしなかったことを褒めてやるべき。」

島田「よしよし、頑張ったわね、アキ。ウチはアキのこと、やれば出来る子だって信じているからね?」

昂哉「思ったより知っててびっくりだよ〜。」

明久「ぬぅぅ………!」

 

 まあ明久の場合、大学行くよりも姫路や島田とかの専業主夫の方が向いてるから、センター試験を知らなくてもいい気はするけどね。

 

 

 

 

 それより、話を戻さないと‼︎

 

昂哉「それより、センター試験準拠だと三年生に有利過ぎませんか?」

高城「ですが、それが一番お互いにとって無駄のない選択のはずです。」

雄二「んじゃ、保健体育はどうするんだ?アレは不要教科として切り捨てるのか?」

高城「私はそうすべきだと学園長に進言したのですが………」

ババア「それは認めないよ。保体は二年も三年も平等にやってるはずだからね。それなら勝負の科目に加えて何の問題があるんだい?」

 

 正直保体が無いとムッツリーニの力が発揮出来ないからね。

 

ババア「さて、アタシからの説明はこんなところだね。勝負は準備のためもあって一週間後、ルールの詳細は追って通達するよ。」

昂哉「一週間後?随分後なんですね。」

ババア「不服かい?」

雄二「いや、そうじゃないが………」

ババア「一週間後の朝九時に開戦。フィールドは学校全体。それまで両学年準備を怠らないことだね。」

リンネ「それじゃあバイバイ!」

小暮「お邪魔致しましたわ。二年生の皆様、来週の勝負、楽しみにしております。」

千華「ぶっ潰してやるから、覚悟しててよね!」

夏川・常村「「あばよ!」」

 

 そうして主要なメンバーはどんどん帰っていった。が、高城先輩だけは帰らなかった。

 

昂哉「先輩、また何か俺たちに用ですか?」

高城「ご安心下さい、雲雀丘昂哉君。私は貴方たちに用事はありません。ただ、折角こうしてお会いできたので、姫路瑞希嬢ともう少し話をしたいだけなのです。」

 

 などと言いながら姫路の元に近寄る高城先輩。ここは俺が止めてもいいけど………折角だし姫路のヒーローにやってもらおうか!

 

昂哉「そういえば明久、その人さっき姫路と急にキスしようとしてたよ?」

雄二「だな。」

明久「なんだって⁉︎」

 

 怒りのあまり目に見えない速さで動き、姫路と高城先輩の間に割って入る明久。

 

高城「失礼。どいていただけませんか、吉井明久君?」

明久「そうはいきませんよ、高城先輩。先輩はさっき姫路さんに変なことをしようとしてたらしいですけどね。だからそれ以上は近づかないでくれますか?」

高城「申し訳ありませんが、私は貴女ではなく姫路瑞希嬢にお話があるのです。」

明久「そうですか。じゃあ僕が代わりに聞いて代わりに答えてあげます。」

高城「二人きりで話がしたいので、お時間を頂きたいのですが?」

 

 バチバチに火花を散らせる2人。今にも殺し合いが始まりそうだ。

 

明久「分かりました。では焼却炉の中で待ってて下さい。マッチかライターを見つけ次第私も向かいます、と姫路さんは言っています。」

 

 いや、そんなことは絶対に言わないだろ、姫路は。

 

高城「私の瑞希嬢は、そのような事は言いません………っ!」

 

 いや、お前のじゃないだろ。

 

明久「誰が、『私の』ですかっての!」

 

 そしてそのまま2人はバスケやサッカーの一対一をやるかの如く、姫路を巡って争いを繰り広げていた。なんかしばらく続きそうだったので、俺はリンネからの手紙を見ることにした。どうやら複数枚あるみたいだ。さてと、何が書いてあるかな?

 

 

 

 

・タカシロはカノジョがいなイ!

 

 でしょうね。いきなり嬢呼びとか、正直ヤクザかと思ったわ。

 

・カラスがゴミ食べてタ!キタナイ!

 

 ドイツ語圏にカラスって居ないんだっけ?割と普通の光景だと思うけど…………

 

・マンホールにポケ○ンが書いてあル!

 

 確か全国各地にあるらしい。俺はよく知らないけど。

 

・ガクエンチョウは、ババア!

 

 分かる。

 

・ハゲが多くなイ、日本ニハ⁉︎

 

 分かる。

 

・ラッコってカワイイ‼︎好キ‼︎

 

 分かる。

 

・ニンジン嫌イ………

 

 分からない。優子が作る弁当に入ってるニンジンがめちゃくちゃ美味しいから。この美味しい思いを、他の人には味わわせたくないぜ!

 

・ハゲ、ドイツにもイッパイイたヨ!

 

 ドイツに多いのはスキンヘッドでは?まあ似たようなもんだけど。

 

・キンタマ、もうケらないデ…………

 

 函館で蹴った時は正直報復出来てスッキリしたな〜。

 

・オジサンみたい、タカヤっテ!

 

 もっぺんキンタマ蹴るぞ。

 

・ツルツル頭ヲタタいてミれバ、スッゴイイイ音がスル!

 

 ざんぎり頭を叩いてみれば、文明開化の音がするでしょ。なにハゲを叩いてるのさ。

 

・ケが少なイ人、カワイソウ………

 

 さっきからハゲネタ多くない⁉︎どんだけ好きなのさ、ハゲ⁉︎

 

・ロン、12,300。

 

 リンネも麻雀知ってるのか!なら今度一緒に打つとしよう!

 

 

 

 それにしても、なんでリンネはこんな事をわざわざ紙に書いて、俺のポケットに無理矢理入れたのか?昼の謎文書の翻訳とか、そう言うことをしてくると思ったのに。やっぱり中身は子供…………って待てよ?そういうことか?それなら紙で渡したのにも納得がいく。理由は分からんが、とりあえずリンネの言うことに従うことにしよう。

 

高城「失礼、随分と長居をしてしまいましたね。それでは皆さん、お邪魔致しました。姫路瑞希嬢、またそのうち。」

姫路「嫌です!」

須川「帰れイケメン!」

横溝「キモいんだよ、イケメン‼︎」

福村「そのまま2度と現れるな、イケメン‼︎」

 

 高城先輩もどうやら帰るみたいだ。それと姫路や他のクラスメイトもめちゃくちゃブチ切れてる。きっと明久絡みのことで何かあったのだろう。

 

高城「吉井明久君、男の嫉妬は可愛げがないですよ?」

明久「……………」

 

 なんか明久はどうやら高城先輩との口論に負けたらしい。まあ高城の言ってる事は割とブーメランな気もするが。

 

 

 

 Aクラスの教室内でさまざまな想いが渦巻く中、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小山「失礼、雲雀丘君はいるかしら?」

 

 Cクラス代表、小山が何故かやって来た。

*1
ゲイ専用風俗




 ということで、学年対抗試召戦争のルール決めの話でした。そして昂哉に衝撃の事実が判明しましたね。酒で消えた記憶は普通は戻りませんが、身体の奥深くでは覚えていたというわけです。

 また、原作では恐らく美波の日記を翻訳した紙を書いたであろうリンネ。しかし本作では明久と面識がないこともあって、違う事が書いてあります。

 さて、次回は小山との話です。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第八十五問 小山友香

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 俺たちがAクラスの教室にに居ると、

 

小山「失礼、雲雀丘君はいるかしら?」

 

 小山がやって来た。

 

昂哉「居ません!」

小山「いや、どう見ても居るじゃない。」

昂哉「じょ〜だん!それより何の用?」

小山「ちょっと屋上に来て欲しいの。」

 

 なにか秘密の話でもあるのかな?

 

昂哉「屋上?分かったよ!そうだ、優子も来る?」

小山「いや、2人きりで話がしたいからナシで。」

昂哉「えっ⁉︎」

優子「分かったわ。昂哉、アタシに気を遣わずに行っていいわよ。隠れて聞いたりもしないわ。」

昂哉「ごめんね、優子………」

 

 ということで、俺は小山と2人で屋上に来た。優子に申し訳ない気がするが、大事な話なのかもしれないから、相手の言うことに従うことにした。

 

 

 

 屋上に来たとき、一応リンネが言ってたことを警戒するようにした。だが周りには誰も居ない。カメラのような存在もない。

 

 一安心したので、

 

昂哉「で、話って何?」

 

 俺は小山に話を振った。すると…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小山「ハッキリ言うと、私は雲雀丘君に興味があるの。」

 

 まあそうだろうね。屋上で2人きり。告白と考えるのが自然だろう。優子を避ける理由にもなるしね。

 

昂哉「俺はそんなに頭が良い人じゃないと思うけど?」

小山「この前のFクラスとの勝負、ルールの穴を使って一気に逆転したんだもの。私が雲雀丘君を見る目が変わっても不思議はないでしょ?」

昂哉「まあ他人の感情をとやかく言う権利は無いか〜。」

 

 人間、何を好きになるかなんて自分で決められないしね。

 

 さてと、告白となったら、言うことはハッキリ言うべきだろう。例えそれで三年生との試召戦争に亀裂が入ったとしても、それでも俺には優先させたい人が居る!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「ごめん小山、俺は君の期待には応えられないよ。」

 

 そう、俺がすべきことは、ハッキリと振ることだ。

 

小山「えっ、どうして………?」

昂哉「だって俺には彼女が居るし。」

小山「それって木下さんのこと?あんなの無理矢理付き合わせただけじゃない?」

昂哉「確かに最初はそうだった。でも一緒に過ごしているうちに、段々と気持ちが変わって来たんだ。コイツなら一緒に居てもいいって。俺の好意は本人に否定されちゃったけどね。」

小山「それって彼女が怖いとか、段々と洗脳されてきたとかじゃないの?」

昂哉「違うよ。アイツはそんなことをするような奴じゃない。」

小山「………でも………」

昂哉「辛いのは分かる。でも諦めて。」

小山「…………分かったわ。」

昂哉「ありがと。」

小山「それじゃあさようなら………」

昂哉「バイバイ。」

 

 小山は泣きながら帰っていった。まあショックを受けるのも当然だろう。でも俺は自分の気持ちに正直に生きたいんだ。許してくれなんて言わない。だけどこの俺の決断を受け入れてくれ。

 

 

 

 

 さてと、そろそろ教室に戻りますか…………ってリンネの手紙………まさか⁉︎

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

 やべっ、チャイムが鳴っちまった!とりあえず次の休み時間に聞かないと!

 

 

 

 

 そして次の休み時間、俺は一目散にAクラスの教室に向かい、

 

昂哉「はぁっ………優子、優子は居る⁉︎」

 

 優子を呼んだ。

 

優子「居るけど………どうしたの、昂哉?」

昂哉「お前、なんか酷い目に遭ってたりしない⁉︎」

優子「へっ⁉︎い、いや、そんなことはないけど………」

 

 良かった、()()無事みたいだ。

 

昂哉「安心したよ………それと………」

優子「分かったけど、ホントにアタシは大丈夫だから!」

昂哉「そうか………」

 

 そうだ、あとあのことを話さないと。

 

昂哉「それと、さっきの小山のは告白だったよ。フったけど。」

優子「えっ⁉︎そ、そうなんだ!」

 

 心なしかホッとしている優子。嬉しそう。こっちまで嬉しくなるよ!まあちょっとびっくりしてるようにも見えたけど。

 

昂哉「それじゃあ授業あるからまた!」

優子「うん!バイバ〜イ!」

 

 そして俺は優子に別れを告げ、再び自分の教室へと戻った。

 

 

 

 

 そしてその2日後、俺は朝登校すると、

 

雄二「う〜ん………」

 

 何やら不満そうな雄二を見かけた。確か昨日はクラス代表同士で作戦会議があったはず。俺は作戦会議の内容をすぐに聞きたかったが、

 

力哉「雲雀丘家の人間はな、服なんて着ないし、飲み会を絶対に断らないし、」

克哉「やることなすこと全てがめちゃくちゃでなきゃいけねえんだ。」

力哉「そして今日は家族での飲み会。」

克哉「だからすぐに帰ってこい。」

 

 家での飲み会のせいで早く帰らざるを得なかったが。それにしても、なんか思うようにいかなかったことでもあったのかな?

 

昂哉「どしたの、雄二?」

雄二「いや、なんでもない………」

昂哉「嘘つけ。昨日の作戦会議でなんかあったでしょ?」

雄二「あ〜、まぁ………」

昂哉「なんか面倒なことでも押しつけられたの?」

雄二「バカ言え。面倒ごとぐらいで俺がキレるか。」

 

 キレると思うけど。でもまあ、そうじゃないって事は………

 

昂哉「意見が聞き入れられなかったってこと?」

雄二「う〜ん、まあ、当たらずとも遠からずだ。」

 

 当たらずとも遠からず?なら…………

 

昂哉「発言権を無くした、とか?」

雄二「正解。クラス間の纏まりを得るためにな。」

 

 ドンピシャだ。雄二はあれこれと指示を出したいタイプだから、自分が意見出来ないなんてのはかなりキツいはず。そしてこれは全体にとってもかなりの大打撃だ。

 

昂哉「それはキツいね………他に頼れる人は居るかな?クラス代表の中で。」

雄二「翔子は…………頭は回るがあまり前に出てまとめるタイプじゃないし、根本は根本だ。小山も………アレだし、清水もまとめるタイプじゃない。中林も正直微妙だな………」

昂哉「確か…………に?」

 

 ん?なんか今おかしいところがなかったか?

 

昂哉「なんでDクラスは平賀じゃなくて清水なの?」

 

 確か代表は平賀なはず………

 

雄二「確かに………休みだったのか?」

 

 雄二も言われて気づく。どうやらこっちも相当気が参ってるようだ。

 

昂哉「かもね。」

雄二「まあ、そうだろうな。」

 

 まあ多分ただの体調不良だろうけど、一応確認しに行くか〜。

 

昂哉「んじゃ、俺はDクラスに行ってくるわ〜。」

雄二「ああ。」

 

 ということで、俺はDクラスの教室へと向かった。

 

 

 

 

 途中、隣のF教室から出てきたトオルに話しかけられた。

 

黒崎「よう、昂哉。なんか俺の教室が臭いんだけど、気のせいか?」

昂哉「うっすトオル。多分気のせいじゃない?」

黒崎「そうか。ちなみに蜘蛛の巣が張ってるんだが………」

昂哉「気のせいじゃない?」

黒崎「そうか…………」

 

 どうやら彼はF教室の酷さに頭を悩ませてるらしい。

 

黒崎「ところで小山がお前に告って粉砕したらしいな。」

 

 そしてやっぱりその話題か………

 

昂哉「そうだよ。まさかお前、小山のこと狙ってたの?」

黒崎「なわけねえだろ。」

昂哉「恥ずかしがらずに言ってごらん♪」

黒崎「恥ずかしがってねえって。それで小山のことなんだが………」

昂哉「奴がどうかしたの?」

黒崎「今度はFクラスの坂本って奴を狙ってるらしい。」

昂哉「マジで⁉︎」

黒崎「マジで。」

 

 確かに雄二は俺とは違って小山が求めるずる賢い奴に相当する。俺からフラれてすぐ次を狙えるほど立ち直りが早いのには個人的に嬉しいが、試召戦争的には嬉しくない‼︎もしや昨日雄二が揉めた原因ってそれじゃないよな⁉︎だってあの場には霧島に根本が居たんだぞ⁉︎でもそれなら発言権を無くしたのにも納得がいく。雄二ならクラス間の調和を考えて言わなくてもおかしくはない。そして奴は異性関係にめっぽう弱い‼︎

 

昂哉「アイツは既に婚約者が居るんだけどな………」

黒崎「マジで⁉︎それ誰⁉︎」

昂哉「霧島翔子。」

黒崎「マジかよ………。全く、羨ましい奴だぜ………」

昂哉「だよね〜♪そんじゃあ、俺用事があるからこれで!」

黒崎「ほ〜い。そんじゃあ試召戦争、頑張ろうぜ!」

昂哉「ああ!」

 

 ということで、俺はトオルと別れてDクラスの教室に来た。のだが…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

清水「平賀君は体調不良でしばらく学校に来れないため、しばらくは美春がクラス代表の代わりをやりますわ!」

 

 なんか凄いことになっていた。

 

玉野「あっ、アキちゃんのスポンサー*1だ!」

昂哉「ど〜も、スポンサーです〜!んで、平賀は大丈夫なの?」

玉野「しばらく来れないって事は、ちょっと重い感じなんじゃないかな〜?」

昂哉「やっぱそうなのか〜。」

 

 ゆうてまだ5日あるけど来れないって事は、インフルか何かなのかな〜?

 

清水「ななな、なんでおじさ………雲雀丘君がここに⁉︎」

 

 おい清水、今俺のことおじさんって言おうとしたでしょ。

 

昂哉「いや、平賀のことが気になってさ〜。」

清水「あああ、貴方は平賀君と仲良かったのですか⁉︎」

昂哉「いや、そんなことないけど〜。」

清水「そそ、それなら良かったのですわ‼︎」

 

 正直平賀とは喋ったことないし、ハッキリ言って顔もあまり覚えていない。でもなんで清水はこんなに動揺してるのだろう?そういえばこの間の面接(お見合い)では突っかかってきたし………。一応俺は奴の強化合宿の件について脅しているはずなんだけどな………

 

昂哉「まあ、なんとなく事情は掴めたよ。それじゃあ、試召戦争一緒に頑張ろうね〜♪」

清水「は、はい‼︎」

玉野「それと、アキちゃんに着せたい服なんだけど………」

昂哉「試召戦争終わったらカタログ見せてね〜♪」

玉野「分かった!」

 

 とりあえず、リンネの手紙と関係あるのかは分からんが、清水も少し警戒することにしよう。そう思いながら俺はDクラスの教室を出て、自分の教室へと帰った。

 

 

 

 

 教室へ帰ると、早速俺は、

 

昂哉「雄二、ここ屋上から近いんだけどさぁ、焼いてかない?」

雄二「あ、ああ、別に構わんが………」

 

 雄二を屋上へと呼び出して、

 

昂哉「聞いたよ、小山に告られたんだって〜w?」

 

 今話題の話を振った。

 

雄二「何故知ってる?」

昂哉「人から聞いた♪もしかして発言権無くしたのってそれでしょ〜w?」

雄二「………ちっ!そうだよ!」

 

 不貞腐れる雄二。やっぱりトオルの言ってた事は真実だったわけだ。

 

昂哉「そんな怒んないでよ〜。せっかくクラスの皆がいないところで話振ってあげてるんだからさ〜♪」

雄二「そうかそうか。そりゃど〜も。」

昂哉「ちなみに2日前には俺も告られたよ、小山に♪」

雄二「………マジで?」

昂哉「うん、マジ♪フったけどね〜。」

雄二「………だから小山は俺のところに来たのか?」

昂哉「さあ、それは知らな〜い♪」

 

 ぶっちゃけ一番好きなのが俺で、二番手が雄二って感じだと思うけどね。俺がダメだったのなら、気を取り直して雄二を狙ったのだとしてもおかしくはない。

 

昂哉「まあとにかく、一つの判断材料は与えました!あとは自分の頭で考えて、どっちが好きかを選んで下さい!すぐにとは言わないけど。」

雄二「……………」

昂哉「告白してきた側も勇気を振り絞ったわけだから、された側もフる勇気を出すのは当然のことだよ。そしてどっちを優先させるかは雄二次第。時間をかけてでもいいから、きちんと自分の頭で考えること!」

雄二「…………ああ。」

昂哉「もしそれで試召戦争に負けるような事があったら、小山をフった俺のせいにでもすればいいよ。俺がアイツを受け入れてたらこんなことにはなってないわけだし。」

雄二「………お前や木下はそれでいいのかよ?」

昂哉「俺はいいよ!というか良くないと言わないし。あと優子にもし非難がいくようなら、俺がそれを受けるね。あくまで判断したのは俺だしさ〜。」

雄二「………分かった。ありがとう。」

昂哉「んじゃ、試召戦争ではよろしくね〜。」

雄二「…………ああ。」

 

 これで試召戦争の不安の種が消えたとは言い切れないけど、一応雄二の助けをする事は出来た。あとは雄二が決めるだけ!そのための憎まれ役なら、いくらでも買ってやる‼︎

 

 

 

 そして試召戦争までのしばらくの間は全て勉強と点数稼ぎのテストに費やした。伸びに伸びた点数は霧島を超え、既に高城先輩にまで匹敵するようになった。流石に高天原クラスには遠く及ばないけど、やれるだけのことはやった。後は全力でぶつかるのみだ‼︎

 

 

 

 そしていよいよ2020年12月1日、三年生との試召戦争が幕を開けた。

*1
昂哉がアキちゃん用衣装に使う金を面白半分で出してくれるから




 ということで昂哉が小山をフる回でした。昂哉は元々中学時代にモテてたため、フるのにも慣れています。そして最初は悪魔だの貶してた優子の存在が、もはや無視出来ないほどに大きくなってきていますね。そして小山はその後は原作通り、雄二にアタックします。

 さて、次回からはいよいよ三年生戦の開幕です。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第八十六問 開戦

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 三年生との試召戦争当日の朝。天気は良好。そして……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「おええええ…………」ビチャビチャ

 

 肝臓は最悪だ。

 

秀吉「全く、お主は何をやっておるのじゃ………」

昂哉「飲み過ぎた…………」

 

 今は作戦会議中…………なのだが、俺と秀吉は現在男子トイレに立てこもっている。その理由は、俺の二日酔いだ。それもそのはず、昨日は

 

友哉「可愛い昂ちゃんの試召戦争決起会、はっじめ〜るよ〜♪きゃはっ♡」

 

 という親父の鶴の一声で飲み会が開催されたからである。我が家において酒を断ることはすなわち死を意味するため、参加せざるを得なかった。ちなみに酒を断らなくても死である。親父が三年生からのスパイなんじゃないかとも疑ったが、

 

恵「酒飲みに悪い人は居ないって、お母さん教えなかったっけ?」

 

 お袋の教えを思い出してめんどくさくなりそうだったので、やめた。

 

昂哉「すまん、秀吉…………」

秀吉「ヤケ酒するからじゃのぅ。」

昂哉「うう……………」

秀吉「まあお主がヤケ酒する理由は分からなくはないがのぅ。」

昂哉「分かるの………?」

秀吉「お主、姉上と別れるのが寂しいんじゃろ!」

 

 確かにこの試召戦争に勝ったら三年生の上3クラスの設備が手に入る。これは二年Aクラスの教室を手に入れるのにも等しい。だから俺が優等生に戻れた、と認めてくれて別れてくれることになった。それが俺は嬉しかったはず…………なんだが………

 

昂哉「そう………かもね………」

秀吉「そしたらお主から告ればええじゃろ!」

昂哉「でも優子は………認めてくれるかな………?」

秀吉「大丈夫じゃろ!むしろ姉上だってお主と別れるのは嫌なはずじゃ。」

昂哉「そう………かな………」

秀吉「そうじゃろ!むしろお主のそんな姿は、姉上は望んどらんと思うぞい!」

昂哉「ああ…………おえええええ!」ビチャビチャ

 

 そうか…………

 

昂哉「なら、俺のすべきことは………自分のした行いや選択に対し………男として………最後まで責任を果たすことだ………おええええ……」ビチャ

秀吉「かっこいい事言っても最後のゲロで台無しじゃな。ほれ、水。」

昂哉「ありがとう…………」

 

 とにかく………この試召戦争に勝たないと………

 

 

 

 

 俺はゲロを吐き終わって教室に戻ると、

 

雄二「試召戦争当日なのに、その提案者が飲み過ぎてゲロ吐いてる件について………」

明久「今からFクラスの皆でキンタマ蹴り大会を開こうと思います‼︎」

ムッツリーニ「………一番いい悲鳴を上げさせた奴が優勝!」

 

 なんかヤバいことになってた。

 

昂哉「すまん………あとにしてくれ………返りゲロを浴びたくなかったらな………」

島田「汚な………っ!」

姫路「全く、優子ちゃんと別れたくないからってヤケ酒するんじゃありません!」

昂哉「面目ねえ…………」

雄二「それじゃあ昂哉のキンタマ蹴りは後にして、持ち場についてくれ。」

全員「「「「「は〜い!」」」」」

 

 ということで作戦について既に話されてたクラスメイトは解散した。

 

雄二「昂哉は既にある程度木下から聞いてると思うが、今回は全クラスのメンツをごっちゃ混ぜにして、点数が均等になるように配置しているらしい。」

昂哉「確か俺は皆と別だっけ…………?」

雄二「ああ。お前は翔子よりも点数が取れてるからな。だから基本的にはAクラスのメンツと同様に待機らしい。」

昂哉「そうか………」

 

 なるほどね………

 

昂哉「さっきから人から聞いた風に話すのは何なの?」

雄二「お前には言っただろ。俺には作戦会議における発言権がないって。」

昂哉「だからって全て伝聞系なのはどうなの………?」

雄二「ああ………それはあまり良くなかったな………」

 

 コイツ、かなりグレてるな………。余程上に立てないのが嫌なのだろう。

 

昂哉「まあ、せいぜい頑張ってね………」

雄二「テメェもな。」

 

 ということで、俺は雄二たちに別れを告げて、Aクラスの人たちと合流した。

 

 

 

 

 今回の試召戦争では、新校舎の4階に三年生の本陣が、旧校舎の4階に二年生の本陣が存在する。二つの建物を結ぶ渡り廊下は戦争の簡略化防止のため使用禁止となっており、わざわざ校庭まで降りなければいけない。互いの校舎の昇降口がそれぞれの本陣への入り口となってるため、そこを賭けて校庭で二、三年B〜Fクラスの500人による大乱闘が起きている。

 

 

 そして俺とAクラスの連中は本陣で待機していた。それはすなわち………

 

優子「大事な試召戦争の日だってのに、酒飲んで二日酔いになったバカは誰かしら?

 

 死を意味する。優子は最近朝とか会えてないので、恐らくついさっきこの事実を知ったのだろう。

 

昂哉「はい…………」

優子「素直でよろしい。それじゃあとりあえず死刑執行しましょう。話はそれからよ。

昂哉「はい…………」

 

 ということで、俺は死んだ。

 

 

 

 ただ試召戦争中ということもあって、すぐに俺は生き返った。

 

久保「第五班あたりが手薄だね。」

美穂「第十二班あたりから補助を呼びましょうか?」

霧島「…うん。…点数に余裕があるし、それで行こう。」

優子「根本君たちのいる第一班とかは余裕そうね。」

霧島「…それじゃあそこから少し人を回そう。」

赤田爺「儂らAクラスからの補助は、まだ要らなそうじゃな。」

霧島「…うん。」

 

 そこでは首脳陣が必死に作戦を立てていた。代表である霧島を始めとして、皆が皆頑張ってる。特に代表の霧島は、いつになく焦った様子で必死に策を巡らせている。

 

昂哉「俺も手伝おうか?」

優子「昂哉は主力中の主力だから、今は休んでて。ここぞという時に使うから。」

昂哉「分かった!」

 

 そしてどうやら俺は最大兵器として扱われるらしい。まあ代表より点数が高い一般人ならそう使われるのが当然だろう。

 

 そんな事を思ってると、

 

工藤「皆、大変‼︎」

 

 伝令役をやっていたと思われる、工藤が本陣に帰ってきた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

工藤「Dクラスの人たちが一切動かないの‼︎それどころかむしろボクたち二年生の戦力を削るような動きをしてるし‼︎」

 

 ヤバい情報を添えて。

 

霧島「…何それ⁉︎」

昂哉「簡単に言うと、裏切りだね。」

優子「試召戦争では同士討ちが出来ないから、そういうのは無いと思ってたのに………」

久保「何をやってるんだ、あの人たちは‼︎」

工藤「前線も押されてる‼︎他のクラスの皆も殺気立ってる‼︎」

 

 そりゃそうだ。味方だと思ったら急に行動しなくなるんだもの。それどころか自分たちを殺すような配置に無理矢理してくる。苛立っても仕方ない。

 

 それにしても、こうなったのは何故だ?代表の平賀が休みということは…………疑うべきはどう考えてもアイツだ。

 

昂哉「俺に任せて。ちょっと行ってくる。」

優子「いや、でも昂哉は………っ‼︎」

霧島「…何か策でもあるの⁉︎」

昂哉「任せて。」

霧島「…分かった‼︎」

工藤「それじゃあボクが案内するね!」

昂哉「よろしく!」

 

 ということで、俺は工藤の案内のもと戦場へと向かった。道中、優子へのヤケ酒の事を聞かれるかと思ったが、状況が状況なので、無駄話もないまま辿り着いた。

 

 

 

 そして俺は戦場に着くや否や、

 

昂哉「清水さ〜ん、ちょっと話があるんだけど〜♪」

 

 黒幕に声をかけた。

 

清水「な、なんです⁉︎美春はお姉様とのイチャラブデートで忙しいんですの‼︎」

島田「なわけないでしょ‼︎それよりアンタもちゃんと戦いなさいよ‼︎」

清水「嫌ですわ‼︎だって死にたくないんですもの‼︎」

昂哉「ねえキミ〜、まさか()()()、忘れてないよね〜?」

清水「ぎくっ……‼︎」

 

 もちろん強化合宿の盗撮兼冤罪ふっかけの件だ。流石に覚えているらしい。

 

昂哉「お利口さんなら、何をすべきか分かるよね?」

清水「…………はい。」

島田「アンタ、さっきまで酒で潰れてたくせに、急に元気になったじゃない。」

昂哉「いや、実はまだ元気じゃないんだ。」

清水「はぁ⁉︎おじさん………じゃなくて雲雀丘君は何をしてるのですか⁉︎そんな人の言う事、美春は………」

昂哉「わ・か・る・よ・ね?

清水「……………はい………」

 

 ということで、俺は清水を体育館の裏に呼び出した。

 

 

 

 体育館裏に着いた後、俺は清水を問い詰めることにした。

 

昂哉「ねえ、なんでDクラスの皆はやる気がないのかな〜?」

清水「…………それを美春に聞いてどうするんです?」

昂哉「お前が代表の代わりなんでしょ?なら理由を聞かれて当然だとは思わない?」

清水「…………美春にはクラスのために黙る権利があります。」

昂哉「そうかそうか!それなら俺はお前のこと、バラしちゃおっかな〜♪」

清水「そ、それは⁉︎」

昂哉「確か俺と雄二しか知らないんだよね〜、お前の秘密♪もしこれが島田に知られちゃったらどうなるのかな〜♪」

清水「ぐっ…………分かりました、話しましょう。」

昂哉「うん!いいこいいこ!」

 

 さて、裏切る理由は何だろうか?

 

清水「美春たちDクラスは、正直負けても痛くありません。D〜F教室が手に入るってことは、現状とあまり変わらないのですから。」

昂哉「ほうほう!んで、他には?」

清水「………なんとなく察しがつくでしょう?」

昂哉「言われなきゃ分かんないな〜♪」

清水「……三年生から褒美が貰えるのです。」

昂哉「褒美って何?」

清水「……具体的な中身は言われてません。」

 

 なるほど、大体理由が分かってきたよ!そして説得の仕方も‼︎

 

昂哉「ふ〜ん!でもいつから自分たちが負けてもD教室のままって、錯覚してるのかな?」

清水「なっ⁉︎」

昂哉「今回負けたら、どう考えても君たちDクラスのせいだよね〜。そんなクラスが、負けた中で最高級の教室に残留で済むと思うのかな〜?」

清水「………でも、貴方には発言権が……っ‼︎」

昂哉「俺には無くても、霧島や根本から言われたらマズくない?」

清水「……………」

昂哉「更には三年生からの褒美ってあるけど、一体何が貰えると思ってるの?その約束だと、石ころ〜、とか空気〜、とかでも言い訳出来ないよね?」

清水「……………」

昂哉「ねっ、分かったでしょ?だから裏切るのなんてやめてさ、大人しく味方に戻ろ?今ならクラスの分もまとめて俺が説得するからさ!」

 

 見た感じ清水は三年生の誰かに利用されている。コイツが男の言うことなんて聞くと思えないから、恐らくは小暮先輩かビッチの仕業だろう。あっちもなかなかのやり手だな!これはやり返すのが楽しみになりそうだ‼︎

 

 それにしても、清水はなんで黙ってるのだろう?俺の言ってることが理解できなかったのかな?

 

昂哉「清水、もう一回説明する?」

清水「…………しか………です………」

昂哉「ん?」

 

 なんて言ったんだろう?声が小さくて聞き取れなかったな………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

清水「こうするしか、ないのですわ‼︎」

 

 なんで清水は叫んでるんだ⁉︎どうした⁉︎

 

昂哉「どしたの、清水⁉︎さっき言ったこと理解出来なかったの⁉︎ならもっかい説明してあげる⁉︎」

清水「美春は三年生に従うしかないのですわ‼︎貴方の言うことは聞いてられません‼︎」

昂哉「いや、なんで⁉︎自分が損すること、理解出来てない感じ⁉︎」

清水「分かってます‼︎でも、こうするしかないのです………っ‼︎」

 

 泣きながら叫ぶ清水。俺の説得は聞いててくれたようだが、それを受け入れられない事情があるらしい。

 

リンネ「タカヤ、ココでナニしてるノ?」

 

 そして清水の叫びを聞いたのか、それとも雄二たちから居場所を聞いたのか、俺たちのところにリンネがやってきた。

 

昂哉「リンネ、ごめん。今はちょっと席を外してくれない?」

リンネ「ヤダ‼︎ボクはタカヤのカッコいいトコロ見たい‼︎」

 

 清水の悲痛な叫びを無視して、無神経に俺に近づいてくるリンネ。

 

昂哉「あのさあ、見てわからな………い?」

リンネ「分からなイ‼︎分からなイ‼︎」

 

 そう言いながら俺のポケットに無理矢理何かを突っ込むリンネ。それも清水に見えない角度で。この瞬間、俺は何かを察した。今の清水の状態も、もしかしたら関係してるのかもしれない。

 

昂哉「分かったよ。それじゃあ俺は戦場に戻るね。」

リンネ「ありがとウ‼︎」

 

 リンネと見つめ合い、目で意思疎通を図る。

 

昂哉「清水はしばらく本陣で休んでな。」

清水「えっ⁉︎で、でも………」

昂哉「大丈夫、お前の秘密はバラさないし、悪いようにはしないから!」

清水「でも……………」

昂哉「ああ、もう!休むったら休む‼︎いい⁉︎」

清水「分かり…………ました…………」

昂哉「リンネ、連れてってくれる?」

リンネ「分かっタ‼︎」

 

 そして俺は清水とリンネに別れを告げ、戦場へと戻った。

 

 

 

 戻る途中、俺はリンネにポケットに突っ込まれた手紙を読むことにした。

 

 

・シミが取れナイ、フクの‼︎

 

 たまにしつこい汚れってあるよね。ごく稀に家事で洗濯をやらされるけど、気持ちは分かるよ。

 

・スミ汚レ、ホントに取れナイ‼︎

 

 すみ………墨汁か。習字でもやろうとしたのかな?確かにそれは取れねえわ。

 

・はるはアケボノ、ヨウヨウ白クなりゆク生えギワ

 

 山際、な。それじゃあただの年寄りじゃねえか。

 

・ハタ、メッチャあル‼︎日ノ丸ノ‼︎

 

 それは多分この間の勤労感謝の日のときのやつじゃねえかな。まあリンネは知らないから驚くのも無理はないか。

 

・カマクラ、サイコー‼︎

 

 いいよね、鎌倉。俺も好き!

 

・ガハハハハッ‼︎マタ同ジ脅シ文句ヲ垂レたナ‼︎他のヤツはナイのカ⁉︎

 

 漫画で日本語を覚えるのはいいことだと思う。でも参考にする漫画*1をどう考えても間違えてるよね。あと最初あれ確か『ダハハハハッ』だったと思うけど。

 

・ラノベでオススメの、オシエテ‼︎

 

 『バカとテストと召喚獣』っていうのがオススメだよ。何故か明久たちに似た人物が登場するんだ。

 

・カイ、食べたイ‼︎

 

 俺も好きだよ、貝。今度一緒に寿司屋に行こうね!

 

・ライナァァァァァァァァ‼︎

 

 漫画*2で日本語を覚えるのは(以下略)

 

 

 

 さてと、アイツが言いたいのは…………ん、この前と読み方変わってるな?ならどこを読めば…………なるほど、そういうことか。これでなんとなく全てが繋がった。後は戦場に戻るだけだ‼︎

 

 

 

 

  side 清水

 

 こうしなきゃいけないのです………こうしないと、お姉様が、酷い目に遭ってしまうのですわ………。だから例え美春が嫌われようと………もういっそ何をバラされようと………美春はお姉様を守ってみせます‼︎

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 俺は戦場に戻るなり、叫んだ。

 

昂哉「Dクラスの皆さ〜ん‼︎清水含め、君たちは三年生に騙されてます‼︎褒美なんてありませ〜ん‼︎ただただ三年生が得するだけで〜す‼︎さっき三年生がコソコソ言ってるの、聞いちゃった〜♪」

Dクラス「「「「「何っ⁉︎」」」」」

玉野「そ、そうだったんだ………」

昂哉「それに今負けたら、他のクラスの連中に責任負わされて、皆さんはF教室になっちゃいますよ〜♪」

Dクラス「「「「「何っ⁉︎」」」」」

玉野「確かに…………」

昂哉「それが嫌なら…………三年共を殺れ。

Dクラス「「「「「……………おう‼︎」」」」」

 

 自分たちにとって何が損なのか分かる連中で助かったよ。俺の話をすぐに受け入れてくれたのはびっくりだが。元々平賀を清水が潰して乗っ取ったとでも思ってたんだろう。だから正直疑心暗鬼になって行動していた奴もいたようだ。

 

千華「ちょっと〜‼︎騙したなんて人聞きの悪いこと、言わないでよ〜‼︎」

小暮「そうですわね。」

 

 なっ⁉︎

 

昂哉「ビッチにエッチ⁉︎何故ここに⁉︎」

雄二「Aクラスは前線に出てこないんじゃないのか⁉︎」

千華「追加で核爆弾を打ち込もうと思って。」

小暮「学年3位と4位の力、見せてあげますわ。」

 

 マズい‼︎コイツら相手だと他クラスのメンバーが蹴散らさせる‼︎

 

昂哉「雄二、現場の細かい指示は自由なん?」

雄二「ああ、一応な。」

昂哉「ならば工藤はエッチの相手を‼︎」

工藤「はい!」

ムッツリーニ「…………ぬあっ⁉︎………でも工藤が行くなら、俺も行く‼︎」ブー

昂哉「なら任せた!」

 

 鼻血を出すムッツリーニ。だが保健体育では、奴に勝てる者は居ない‼︎そして鼻血対策には工藤だ‼︎

 

昂哉「そしてビッチの相手は…………今から秘密兵器を召喚する‼︎雄二、頼んだ‼︎」

千華「はあ、秘密兵器?アンタじゃないのかしら?」

雄二「同感だ。」

昂哉「俺はやることがあるんでね〜。」

雄二「なるほど………なら今はお前を信じよう。」

昂哉「センキュー‼︎」

 

 そうして俺は急いで……………島田の元へ向かった。

 

昂哉「島田、今すぐ俺と一緒に本陣に引き返して。」

島田「えっ⁉︎なんでウチが⁉︎」

明久「どういうこと?」

昂哉「とにかく今すぐ‼︎」

島田「わ、分かった…………」

明久「よ、よく分かんないけど、頼んだ‼︎」

昂哉「おう‼︎」

 

 清水は恐らく脅されている。相手は恐らくアイツに。そして清水の心を揺らすには………島田をダシにするしかない。島田になんらかの悪影響が及ぶ、だから言うことを聞け。こうでもなきゃ、清水が動く理由にならないはずだ‼︎

 

 

 

  

 

  side 千華

 

 騙す?正直アタシは作戦を考えてるわけじゃないから知らないわ。だからDクラス云々のことも裏切る以外はよく分かんない。

 

 それはともかく、秘密兵器ってのを相手にしてやろうじゃない‼︎アタシの実力、見せつけてやる‼︎そう意気込んでたアタシの目の前にやって来たのは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久保「はぁっ………何故僕が出陣する羽目に………」

千華「なっ⁉︎ちょ、直接話すのは久しぶりね、()()()()*3…………」

久保「はぁっ………。人のことを馴れ馴れしく呼ばないでくれますか、()()()?」

 

 3年前に別れた、元恋人だった。

*1
進撃の巨人、登場人物の1人であるダリス・ザックレーが変態的な拷問をしてるときに言ったセリフ

*2
進撃の巨人

*3
久保利光のあだ名




 ということで、三年生戦が始まりました‼︎そして開戦早々、いきなりヤバいことが裏で動いています。リンネも原作に比べて大活躍ですね。

 そしてビッ千華と久保に衝撃の事実が判明しました。彼らは元恋人です。一体何があったのか。それは次回のお楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第八十七問 変わる嗜好と変わらぬ想い

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
前話の後半部分にミスがあったので
修正しました。
工藤が小暮先輩と戦うよう指示される
場所らへん(かなり後)です。



  side 久保

 

 工藤さんに呼ばれて、他の人にも後押しされて来てみたら………この人が相手か………

 

久保「はぁっ………何故僕が出陣する羽目に………」

千華「なっ⁉︎ちょ、直接話すのは久しぶりね、()()()()…………」

 

 別れたはずなのに、付き合ってた頃と同じ呼び方で呼びやがって…………

 

久保「はぁっ………。人のことを馴れ馴れしく呼ばないでくれますか、()()()?」

千華「まあそうなるよね………とりあえず勝負しよっか。試獣召喚(サモン)

久保「試獣召喚。」

 

 

 

国語

 

2年生 久保利光 713点

     VS

3年生 蕨 千華 706点

 

 

 

 点数は互角か…………

 

千華「ゆっくり話でもしながら戦おうよ。久しぶりだし。」

久保「嫌です。すぐにでも先輩を倒します。」

千華「つれないわね…………まあ分かってたけど………」

久保「自分が何したか、分かってるんですか⁉︎」

千華「もちろんよ。」

 

 嘘だ。もし分かってるのならこんなに堂々と僕に近づいて来たりなどしない。何度も僕に近づいて来たりなどしない!

 

 僕は苛立ちに身を任せながら鎌を振るう。それに対して、あの人の武器は………タバコ?

 

久保「なんでそんな武器なんですか?」

千華「アタシがタバコ好きだからよ。」

 

 やはりそういうことか………

 

久保「昔から吸ってたから、ですよね?未成年だった頃から‼︎」

千華「なわけないでしょ‼︎吸い始めたのは今年に入ってからよ‼︎」

久保「嘘だ‼︎だったら一昨年からずっとタバコの召喚獣なのはおかしい‼︎」

千華「アンタも知っての通り、アタシら一族が喫煙者一家だったからよ。雲雀丘だって19歳の頃から召喚獣の武器は酒瓶じゃない?」

久保「くっ…………‼︎」

 

 僕はこの人に負けるわけにはいかないんだ‼︎

 

千華「ただ鎌を振ってるだけじゃ当たんないわよ。」

久保「うるさい‼︎僕はこれしか出来ないんだ‼︎だから点数を稼いで殴ることにした‼︎」

千華「確かに、Aクラスのアンタなら格上と当たることなんてそうそうないしね。いい作戦だわ。まあアタシには通用しないみたいだけど。」

久保「くっ………‼︎」

 

 そう言いながらするりするりと避けられる。これが召喚獣の操作技術の差か………わずかな点数のアドバンテージももはや逆転されてしまった………

 

 

 

国語

 

2年生 久保利光 501点

     VS

3年生 蕨 千華 648点

 

 

 

 でも、僕はここで負けるわけにはいかない‼︎負けるわけにはいかないんだ‼︎

 

 

 

 僕は簡単に言うとこの人の従姉妹だった。小さい時からずっと一緒に遊んでた。何をするにも一緒だった。そんな2人が仲良くなっていったのは、普通のことだったのかもしれない。

 

千華「とっくん、もしかしてお化け屋敷が怖いの?」

久保「…………うん………」

千華「じゃあアタシが手を握っててあげる‼︎」

久保「あ、ありがとう、千華姉(ちかねえ)‼︎」

 

 昔はこの人を千華姉って呼んで慕ってた。自分に自信がなくて色々と自分のことを隠してた時だって、

 

千華「自分に正直に生きた方が面白いわよ‼︎」

久保「………でも、嫌われるのが怖くて……」

千華「そんな奴が居たらアタシにチクって!ぶっ飛ばしてあげるから!」

久保「…………いいの?」

千華「もちろん‼︎」

 

 こうして支えになってくれた。そして、いつも先に立って助けてくれる従姉妹。僕はいつからかそんな千華姉のことが好きになっていた。

 

 自分に正直に生きた方がいい。彼女のその言葉に従って、小学五年生になったある日、

 

久保「あの…………千華姉…………」

千華「なぁに、とっくん?」

久保「その………好きです!僕と付き合って下さい‼︎」

千華「えっ⁉︎」

 

 唐突に告白した。そしたら千華姉はとても驚いてた。そりゃそうだ。いきなり従兄弟に告白されたのだから。ただ千華姉も、

 

千華「いいの⁉︎やった〜‼︎嬉しい〜♪」

久保「ほ、ホントに⁉︎」

千華「うん!」

 

 どうやら僕のことを好いてたみたいだった。それは僕にとって都合がいいというか、とても嬉しい出来事だった。そのおかげで無事付き合うことが出来た。

 

 

 

 その日からは毎日が夢のようだった。色んなところで遊んだ。友達には、

 

友達「なあ利光、お前の彼女さ〜、」

久保「何?」

友達「めちゃくちゃガラ悪くない?大丈夫?カツアゲされたりしてない?」

久保「千華姉………彼女がそんなことするわけないだろ‼︎」

友達「す、すまん………」

 

 見た目でとやかく言われた。確かに見た目はギャルという言葉が相応しい感じだった。でも僕は彼女の内面が好きだった。だから誰に何を言われようと、昔の千華姉の言葉を思い出して、ずっと自分の彼女に誇りを持って生きてきた。

 

 

 

 

 だが中学二年、千華姉が高校二年のある日、驚愕の事実が飛び込んできた。

 

久保母「ねえ利光、昨日飲酒運転轢き逃げ事件があったのって知ってる?」

久保「いや、知らないけど………」

久保母「20歳男性が誰かを轢いたって話なんだけどね……」

久保「なんで朝からそんな話をするの?」

久保母「実はその助手席にね、千華ちゃんが乗ってたの。」

久保「はぁ⁉︎」

 

 信じられない話だった。自分の彼女であるはずの千華姉が、知らない男と車に乗ってた。間違いなく浮気だ。しかもその男は飲酒運転をかました挙句、轢き逃げまでしたという…………。最低な男との最低な行動。にわかには信じられなかった。

 

 だがしばらくして、

 

久保母「千華ちゃん、高校を退学させられたって。」

久保「嘘…………」

 

 段々とその話が現実味を帯びてきた。そもそも事故直後、千華姉と会うことが許されていなかった辺りからそうだったかもしれないが。信じていた最愛の人が巻き起こした事故。信じたくもない事実が無理矢理脳を割って頭の中に流れ込んでくるのを感じた。苦痛で苦痛で仕方なかったが、もはや受け入れるしか選択肢は無かった。そしてそうなった以上、別れざるを得なかった。

 

 

 

 

 結局ずっと会えないまま、不信感だけが募っていった。動向も教えられなかった。そして再開は、まさかの場所でだった。

 

小暮「ところで、千華さんはなんでうちの高校にしたんですの?」

千華「えっとね〜、校則が緩いから!アタシみたいな奴でも入れるとこって、ここしか無かったのよ。」

小暮「なるほど………」

 

 なんと、自分が進学した高校にその人がいたのだ。しかも選んだ理由が理由だ。校則が緩いってなんだよ。そんなの、過去の罪を肯定しているようなものじゃないか‼︎それを聞いた瞬間、自分の中で信じていたものが全て崩れ去る音がした。

 

久保「おい‼︎」

千華「えっ、とっくん⁉︎こ、この高校に………」

久保「二度と僕に近寄るな‼︎」

 

 僕は大声を出して想いをぶつけた後、すぐさま走り去った。その人から逃げるように、逃げるように…………

 

 

 

 その日以降、話したくもなくて、近づかれるたびに適当な嘘をついて逃げた。吉井君が好きな事にして、逃げ続けた。裏切られた苛立ちと、あの人のやらかしを信じたくない心がごちゃ混ぜになって、大きく膨れ上がっていた。だがこうして今日話さざるを得なくなった。でも話したくない………話したくない‼︎

 

久保「早く倒れて下さい‼︎」

千華「無理……っ!アタシだって意地があるんだからっ‼︎」

久保「そんな意地…………要らない‼︎」

 

 ここで決める‼︎腕輪の力で‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久保「《裁きの鎌鼬(かまいたち)》」

千華「くそ………っ‼︎」

 

 僕の召喚獣が振るった鎌から強烈な風が発せられる。そしてそれに巻き込まれる形で、あの人の召喚獣が吹き飛ばされる。これで決まったか⁉︎

 

 

 

国語

 

2年生 久保利光 397点

     VS

3年生 蕨 千華 284点

 

 

 

 まだ死んでない‼︎なら着地したところを鎌で当てる‼︎

 

千華「くそっ!ここで死んでたまるか‼︎」

 

 タバコをふかしながら、歯軋りをするあの人。

 

久保「タバコなんか吸いながらじゃ、僕の攻撃は避けられませんよ‼︎」

千華「うっせえ‼︎アタシはこれが無いとダメなんだ‼︎」

久保「前の彼氏にでも教わったんですか‼︎」

千華「お前に教わった覚えはねえよ‼︎」

久保「嘘をつきやがって…………っ‼︎」

 

 

国語

 

2年生 久保利光 375点

     VS

3年生 蕨 千華 184点

 

 

 

 くそっ、存外しぶとい‼︎もっと僕に召喚獣操作技術があったら………っ‼︎

 

 

 

 

 

  side 千華

 

 とっくんからの予想通りの反応………そりゃそうだよね。アタシが飲酒した20代男性の車に乗ったのも事実。そしてその車が轢き逃げをしたのも事実。全部警察にも見られてる。そりゃ最低な男との浮気って捉えられても仕方ない。でもそれは浮気じゃない。むしろアンタのためを想って、やったことなんだよ‼︎

 

 とっくんの事は昔から好きだった。いつも私についてきてくれて、素直で、何より顔がカッコいい従兄弟。そんな君に慕って欲しくて、カッコつけたり、支えようとしたりしてた。そしたら向こうから告白されて…………正直アタシはそれがとても嬉しかった。付き合ってからの日々は付き合う前の日々よりも格段に楽しかった。

 

 

 

 そして文月じゃない最初の高校で高二だったある日の下校際、アタシは、

 

男「おいお前、俺の恋人になれ。」

 

 中学生くらいのある男の子から告白された。でもとっくんと付き合ってたし、それ以外の男には興味が無かったので、

 

千華「ごめん無理。アタシ彼氏居るし。」

 

 断った。まあフラれた悲しみで泣き出したりするんじゃないかと思ってたが……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男「それって久保利光だろ?」

 

 その男からまさかの発言が飛び出した。

 

千華「な、なんでアンタが知ってんのよ?」

男「そりゃあお前のことを知ってるからな。」

千華「ま、まさかアンタ、ストーカー?」

 

 年下っぽい男の子なのに、急にその子が恐ろしくなった。そこら辺のヤンキーなんかよりヤバい気配。その気配は、すぐに当たった。

 

男「お前が俺の言うことを聞かなかったら、久保利光が………」 ドゴォ

 

 その男は手袋をした手でアスファルトを軽く一回殴って凹ませ、

 

男「こうなるぞ。」

 

 脅してきた。その威力は、明らかに中学生男子のものじゃなかった。下手したらプロのアスリートなんかよりもよっぽど恐ろしかった。

 

千華「えっ…………?」

男「俺には力がある。頭もある。逆らうとどうなるか、分かってんだろうなぁ⁉︎」

千華「う、うん………」

男「なら大人しくついて来い。」

 

 そしてアタシは男について行った。

 

 

 

 

 その先には、

 

20代男性「う、うう…………」

 

 アタシと同じように脅されたであろう、酒臭い20代男性と、車があった。

 

男「今から千華には助手席に、お前には運転席に座ってもらう。」

20代男性「そ、それって飲酒運転………」

男「言うことを聞かないと………?」

20代男性「は、はいっ‼︎」

千華「はい…………」

 

 自分よりも圧倒的に歳上の男すら怯ませる力。よく中学生はイキりやすいと言われているが、そんな年頃の子が実際にイキれるだけの力を持ってしまうとこうなるのだろう。アタシも確かに校則ギリギリのファッションをしてたため、あまり人のことは言えない。

 

男「そしてこの車で街中を走ってもらう。」

千華・20代男性「「はい…………」」

男「それとお前、酒が足りなそうだから今から飲ませる。」

20代男性「はい………………」

 

 今思うと明らかに人を轢かせるためのものだったが、当時は恐怖のあまり何も考えられなかった。言われた通りにやるだけ。運転していた男性もさらに酔わされた、人を轢いたと判断出来なくなるくらいにまで。その結果、あの飲酒運転轢き逃げ事件は発生した。本当に轢かれた人が可哀想だった。アタシは警察になんとか真実を言おうとしたが、

 

警察官「報告ありがとう、我が息子よ。」

男「ど〜も。」

警察官「それで君たちはどうすべきか、分かるよね?」

 

 警察官がまさかの男の父親だった。父親と言うだけあって、同じような雰囲気をしている。どう考えても揉み消されると考えたので、黙らざるを得なかった。何より、それでとっくんが守られるのなら、それでよかった。

 

 

 

 もちろんアタシはその後、最初の高校を退学になった。助手席に座っていただけとはいえ、運転手の男と共犯扱い。学校に来た警察官があの男だったので、正直どうしようもなかった。

 

 そして退学した日の帰り道、

 

男「おい、千華。」

 

 私はその男に話しかけられた。

 

千華「何?」

男「これは久保利光に対する立派な浮気、だよなぁ⁉︎」

千華「…………」

男「これは別れざるを得ないだろう?」

 

 そして初めてその男の目的が分かった。コイツはアタシと付き合いたいがために、罪を着せて、無関係の人を轢かせたんだ。そして無理矢理別れざるを得ない状況を作りたかっただけなんだ。

 

男「もちろん断ると久保利光が………」

千華「怪我する………最悪死ぬ………」

男「賢いようで何よりだ。ではお前は久保と別れろ。」

千華「……………はい。」

男「そして俺の恋人になれ。」

千華「基本的に言う事は聞く。犯すなり好きにしてくれて構わない。でも恋人にだけはなれない。」

男「そうか。まあ身体を差し出すのはいい事だ。」

 

 男が恋愛関係より身体にしか興味無かったのは不幸中の幸いだったかもしれない。こうしてアタシはとっくんと会わずして、別れる事になった。そこからの三年間は奴の言いなりになりながら、入れそうな高校を見つけて入り直し、復讐の機会を待つ日々を送った。自分のためなら無関係な人すらも殺して、更にそれを他人になすりつけることすら厭わない。そしてそれに慣れてるが故に、隙を見せない。アタシはその男がしくじるまで、機会を待ち続けた。

 

 

 

 そうこうしている間に、とっくんとこうして話す場が出来てしまった。非難されるのは重々承知。嫌われるのもまあ致し方ない。だけど、自分の想いだけは、最後にぶつけたっていいじゃない‼︎

 

久保「タバコなんか吸いながらじゃ、僕の攻撃は避けられませんよ‼︎」

千華「うっせえ‼︎アタシはこれが無いとダメなんだ‼︎」

 

 正直途中でグレたくなった。一応20までは我慢したが。そして20歳になってようやく吸い始めたタバコは、ストレス発散にはもってこいだった。

 

久保「前の彼氏にでも教わったんですか‼︎」

 

 前の彼氏………それは…………

 

千華「お前に教わった覚えはねえよ‼︎」

 

 お前しか居ないんだよ‼︎他の誰とも付き合った覚えはない‼︎

 

久保「嘘をつきやがって…………っ‼︎」

千華「嘘じゃない‼︎あれは………あの時のことは………っ‼︎」

 

 弁明出来ないかも知れない‼︎でも、アタシは‼︎あの時から変わらぬ想いを、伝えるんだ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小暮「千華さんはこの三年間、全ての告白を断り続けたのですよ。」

 

 あ………お………い………?確かにそうだけど………

 

久保「えっ…………?」

千華「そう………だけど………」

工藤「ひゅ〜♪」

小暮「ほら、話さないんですか、あの事を?」

 

 葵、アタシのために…………これは感謝してもしきれないな‼︎更に決心がついた‼︎

 

千華「ありがとう、葵!分かったよ、あの日からの想いを話す‼︎」

小暮「どういたしまして。」

 

 そうしてアタシは何故あの事故に巻き込まれたのか。その時の想いを、全て話した。

 

 

 

 

  side 久保

 

 そんな…………まさかそんな理由があったなんて…………

 

久保「信じ………られない………」

千華「まあ信じられないなら信じなくてもいいよ。なにより証拠が無いんだし。」

 

 でも本当かどうかは分からない………信じたい…………が信じていいものか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムッツリーニ「………惚れた女を信じられなくてどうするんだ、久保‼︎」

 

 土屋君……………そうか、そう言う事だよな………自分がかつて信じた女だ。その女がそう言ってるんだ。それを信じなくて、何が男だ‼︎

 

久保「千華姉、ありがとう。僕は君を信じるよ。」

 

 僕は笑顔で、そう言った。

 

 

 

 

  side 千華

 

 信じてもらえた………やっと………3年越しに………っ!

 

千華「うぅ……………」

久保「な、泣かないで、千華姉!」

ムッツリーニ「………お前が泣かせたんだろ。」

工藤「確かにね〜♪」

小暮「罪な男ですわ。」

久保「………否定は出来ない。」

千華「ありがとう、とっくん!だからアタシの三年分の想い、受け取って!」

久保「もちろん!」

 

 だからぶつける‼︎三年分の想いを…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

腕輪の力で‼︎

 

千華「《百本煙草》‼︎」

久保「ちょっ⁉︎それは聞いてない………っ⁉︎」

 

 

 

国語

 

2年生 久保利光 0点

     VS

3年生 蕨 千華 142点

 

 

 

 結果はアタシの勝ちです!

 

千華「やった〜♪」

久保「千華姉、だ、騙したな⁉︎」

千華「別に騙してはいないけど♪これからもよろしくね!もちろん恋人として!」

久保「ああ!」

小暮「いつになく上機嫌ですわね。」

千華「あったり前じゃない!なんせ復縁出来たんだし!」

ムッツリーニ「………良き哉。」

久保「ま、まあね………///」

 

 これでまた前の幸せな日々が送れる。そう思うと、とても心が弾んだ。

 

工藤「じゃあ次は、ボクと勝負しましょう!」

千華「あれ?もしかして葵、負けたの?」

小暮「生物にして土屋君を無効化したのに………工藤さんには負けましたわ。」

千華「マジかよ⁉︎」

 

 この後の勝負は引き分けで双方戦死し、結果としてアタシ、とっくん、葵、愛子、土屋の5人がまとめて補習室送りになった。

 

千華「さあ、次は愛子の番かな〜?」

小暮「そうですわね!」

工藤「ちょ⁉︎ふ、2人とも、変なこと言わないで下さいよ〜!」

千華・小暮「「へっ?」」

工藤「とぼけるな〜‼︎それより、小暮先輩は大丈夫なんですか?」

小暮「私は大丈夫です。お気になさらず。」

千華「いや、気にするわ!」

工藤「というか一個気になるんですけど、高城先輩のどこに惚れたんです?」

小暮「それは………自分がたとえこの世の全員に嫌われようと、好きな人のためなら一途に頑張れるところですわ。」

工藤「なるほど〜。確かにそれなら惚れますね!」

千華「でしょ⁉︎葵ったらそれはそれは面白くて〜‼︎」

小暮「口を縫いますよ?」

千華「ちょ⁉︎怖い事言うなし‼︎」

 

 高城も高城で頑張ってる。一見ヘイトを買ってるように思えるけど、アタシら三年は皆それを分かってるからね!

 

 

 

 

  side 高城

 

 なんとしても勝たなければいけない………この試召戦争に。そして瑞希嬢を交換留学に送り出さなければいけない。それは勉強する環境とかもあるが、一番の理由としては…………奴の魔の手から遠ざけるためだ‼︎




 ということで、ビッ千華こと蕨千華と久保利光の話でした。彼らはもう一つの昂哉&優子の関係といっても過言ではありません。彼女らの物語は如何だったでしょうか?また少ない出番の中でも、久保が千華を避けてる描写(例・期末テスト勉強会のとき)がちょくちょく出てたのはこのためです。

 そして高城の想い。『奴』とは一体誰なのか?それは次回からのお楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第八十八問 束の間の休息

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 午前中の試召戦争は終了し、今はお昼時になった。残念ながらムッツリーニ、工藤、久保は戦死してしまったが、代わりに学年3・4位ペアであるビッ千華と小暮先輩を討ち取る事が出来た。

 

 そして今俺たちは屋上で飯を食ってるのだが………

 

久保「千華姉、これ好きだっけ?」

千華「うん!ありがと、とっくん!」

 

 一部でなんか奇妙な光景が繰り広げられていた。ちなみに昼食と帰りは戦死者とも行動を共にしていい事になっている。

 

秀吉「なあ昂哉、なんじゃアレは?」

昂哉「酒で幻覚でも見えてんのかな〜?」

優子「安心して、アタシも見えてるから。」

美穂「私もです………」

 

 まず2人の光景は………どう見ても付き合ってるそれだ。確かにビッ千華は久保の事を好きだったが、久保はそうじゃなかったはず。確か明久のことが好きだったような……………

 

 そんな事を思ってると、

 

ムッツリーニ「………奴らは、過去を清算したんだ。」

工藤「これで元通り、晴れてイチャラブカップルに戻ったってわけさ!」

 

 隣で小暮先輩と戦ってた保体コンビが解説してくれた。

 

他全員「「「「「マジで⁉︎」」」」」

明久「元から面識あったの、あの2人⁉︎」

秀吉「そうは見えなかったのじゃ。」

昂哉「それじゃあ久保利光が好きって言ったのって………」

ムッツリーニ「………ただずっと一途だっただけ。」

昂哉・明久・優子「「「マジか⁉︎」」」

姫路・美穂「「素敵です!」」

玉野「同感!」

 

 やべえ、全然ビッチじゃなかったじゃん!なんだよそれ!というか同中なのに知らんかったわ‼︎

 

昂哉「おい、蕨!」

明久「蕨先輩‼︎」

千華「ん?急にどうしたの、雲雀丘に吉井?」

昂哉・明久「「ビッチって呼んですいませんでした!」」

千華「分かればいいのよ、分かれば。」

久保「そういえば君たちは千華姉のことをそう呼んでたね………」

 

 逆にお前らは千華姉だのとっくんだのそう呼んでたのかよ‼︎

 

昂哉「というか2人とも性格変わりすぎでしょ‼︎」

千華「好きな人には特別なの♪」

久保「同じく………///」

明久「なんかある意味清々しいね。」

昂哉「それな!」

 

 未だに目の前の光景があり得なすぎて頭が混乱してるわ!まあ幸せになって良かったけどね!

 

 

 

 ということで、こっちはいいのだが………

 

雄二「…………」

霧島「…次の作戦を考えなきゃ………次の………」

島田「美春、アンタ大丈夫?」

清水「………だ、大丈夫ですわ………」

じっちゃん彼女1「ねえ、これどういうこと?」

じっちゃん彼女2「説明して。」

じっちゃん彼女3「……………」

赤田爺「さ、3人とも大切なのじゃ!だから仕方なかったのじゃ!」

じっちゃん彼女1・2・3「「「死ね、クソジジイ‼︎」」」

 

 あっちはかなり大変な事になってた。

 

優子「代表、お昼はちゃんと取らないとダメ‼︎休んで‼︎」

霧島「…後でいい。」

昂哉「雄二はいつまでぐれてんのさ!ほら、隣に未来の奥さんがいるよ〜。」

雄二「誰が誰の奥さんだ⁉︎」

優子「ほら代表、座りなよ。せっかくの夫婦団欒のひとときでしょ?」

雄二「どこに夫婦が⁉︎」

霧島「…分かった。」

 

 まずは霧島夫妻。雄二は発言権を失いグレてる。霧島は推測だけど、小山というライバル出現により雄二にアピールしなきゃと焦ってる。

 

玉野「美春ちゃん、大丈夫?」

清水「だ、大丈夫ですわ………」

島田「さっきからこんな感じなの。」

姫路「どうしましょう………」

昂哉「とりあえず隣に島田が居てあげて。それと俺たちも固まって動こう。」

優子「………それでお願い。」

島田「ホントに何があったのよ………」

 

 清水は正直事情が事情なだけに仕方ない。リンネの手紙が正しければ、かなり精神的にやられててもおかしくはない状況だ。ただ真実がまだ謎なため、とりあえずは警戒しておくだけにしている。

 

赤田爺「うぅ……………」

 

 元カノたちにボコられたじっちゃんは………まあどうでもいいか。

 

 

 

 とりあえずまずは霧島から何とかしよう。

 

昂哉「霧島、頑張ってるね!」

明久「凄いと思うよ!」

霧島「…私は代表だから、責任重大。」

明久「うんうん、霧島さんはカッコいいね!」

 

 確かに、それはそうだ。

 

明久「試召戦争を自分で引き受けたくせに、当日になって二日酔いで来たどこぞのクズとは大違いだよ!」

 

 違う、そうじゃない。

 

優子「そうね。」

 

 ごめんなさい、その通りでございます。

 

霧島「…本当?…それなら、もっと一生懸命に頑張る。」

 

 それはちょっとやめて欲しいわ。

 

明久「いや、霧島さん。カッコいいけど、無理はしない程度に。」

霧島「…大丈夫、頑張る。」

昂哉「頑張りすぎるとかえって………」

霧島「…カッコいいところ、見て欲しいから。」

 

 そう言って霧島は雄二の方を見る。予想通り、雄二にアピールがしたいんだ。ライバルの小山が現れて焦ってるのも分かる。

 

昂哉「だってさ、雄二。」

明久「霧島さんを見て素直な感想を言ってあげなよ!」

雄二「うん?ああ、そうだな………。髪が長いと、ラーメンとか食うときに一緒に食っちゃいそうだな。」

 

 いや、どんな感想だよ。

 

明久「そうじゃないよこの鈍感バカ‼︎」

 

 同感だが、お前が言うな。

 

雄二「鈍感もバカもお前にだけは言われたくねえぞ‼︎」

昂哉「どんぐりの背比べって、知ってる?」

雄二「あぁん⁉︎」

明久「…………?」

 

 明久は知らないんだな、このことわざ。

 

 そして俺たちのやりとりを見た霧島が、

 

霧島「…別に、褒めてくれなくてもいい。」

昂哉・明久「「えっ?」」

 

 まさかの返答をした。どういうことだ?

 

霧島「…でも、代わりに…………」

 

 代わりに…………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霧島「…好きって言って欲しい。」

他全員「「「「「ブホォッ⁉︎」」」」」

 

 何言ってんだよコイツは⁉︎おかげでお前以外全員吹いちまったじゃねえか⁉︎

 

優子「だだだ代表⁉︎いきなりこんなところで何を言い出してるの⁉︎」

美穂「代表さんは、疲れてるんではないでしょうか⁉︎」

秀吉「こうなってもおかしくないくらい、大変だったのじゃろ⁉︎」

昂哉「ああ、霧島は疲れているんだ‼︎」

明久「本当に何を言い出してるの、霧島さん!びっくりして雄二にコーラを噴きかけちゃったじゃないか⁉︎」

雄二「おい明久。テメェはまず俺に詫びるのが先だろうが。」

霧島「…おかしいこと、言った?」

他全員「「「「「言った!」」」」」

霧島「…そう。」

 

 少なくとも、飯食ってるときに言うことじゃねえだろ!

 

霧島「…じゃあ、愛してる、でもいい。」

他全員「「「「「ブホォッ⁉︎」」」」」

 

 だからそれも違うだろって‼︎マジで疲れてんな、コイツ‼︎

 

昂哉「霧島、疲れすぎ〜‼︎」

優子「それとも、何か変なものの影響でも受けたの⁉︎」

明久「高城先輩の影響かっ‼︎」

 

 なんでそこで高城先輩なんだよ⁉︎*1意味分かんねえし‼︎

 

高城「お待ち下さい、吉井明久君。その会話の流れで私の名前が挙がるのは甚だ不本意です。」

 

 しかも本人が来ちゃったよ⁉︎いつの間に現れたんだ、コイツ⁉︎

 

昂哉「びっくりした〜‼︎なんでいるんすか、先輩⁉︎」

高城「姫路瑞希嬢と話しに来ました。」

 

 まあ理由はそれだけだろうけど‼︎

 

姫路「えっと………」

姫路(CV.明久)「すいません。高城先輩のことは大嫌いなので、話をするなんて論外です…………。帰って下さいゲロ野郎………」

高城「何故貴方が答えるのですか、吉井明久君?」

昂哉「彼は自分を姫路瑞希だと勘違いしている一般男性なので、大目に見てあげて下さい。」

高城「なるほど、分かりました。」

明久「おい昂哉‼︎僕はそこまでバカじゃないぞ⁉︎」

昂哉・雄二・秀吉・島田・ムッツリーニ・高城「「「「「「…………えっ?」」」」」」

明久「おいこらそこ‼︎なんで首をかしげる⁉︎」

 

 だってバカがバカじゃないって言ってるんだもの。そりゃ頭の中に疑問符が思い浮かんでもおかしくはないよなぁ⁉︎

 

 そんな事を思ってると、

 

明久「それよりいいんですか、高城先輩。僕らのところに来たりなんかしていたら、他の三年生たちに色々と疑われますよ?」

 

 明久が当然のことを聞いた。それに対し、

 

高城「ご心配には及びませんよ、吉井明久君。そのような疑念を抱く方が出てきたら、その方を最前線に送り込むだけですから。」

 

 思ったよりクズな答えが返ってきた。

 

明久「職権濫用………」

昂哉「独裁者やんけ!」

雄二「見下げた野郎だな、全く。私情のために代表の立場を高天原から乗っ取って使うなんて、恥ずかしくはないのか?」

高城「その評価は心外ですね、吉井明久君、雲雀丘昂哉君、坂本雄二君。私は今持ち得る力の全てを使ってアピールしているのです。そのことをどうして恥じる必要があるのですか?」

 

 なるほど、そういう持論で動いてたのね。それなら納得!

 

昂哉「別に俺は否定してないっすけどね〜♪」

高城「おや、私と雲雀丘昂哉君とでは気が合いそうです!」

昂哉「気が合うっていうか、要するに、クラスの人たちから批判を浴びて失脚するデメリットを考慮した上で、姫路を優先するって事ですよね?」

 

 どう考えても他の人からヘイトを買うのは目に見えてるだろう。それを考慮した上でもやるのだとしたら、それだけ先輩にとって姫路が大切な存在なのだろう。当の姫路は全然興味無さそうだが。

 

高城「その通りです!貴方はなんと聡明な方なのでしょうか!」

昂哉「褒めて下さりありがとうございます!出来れば褒美として、駅前のパチ屋のメダルが5,000枚くらい欲しいかな〜って………」

高城「それは無理ですね。普通の高校生はまずパチンコ屋には入れません。」

昂哉「ガーン‼︎」

 

 くそっ、高城先輩があと一つ歳が上だったら良かったのに‼︎

 

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

雄二「俺とアンタは気が合いそうにねぇな。」

 

 雄二が高城先輩に意見をぶつけた。

 

高城「おや、どの辺りがでしょうか?」

雄二「愛情だのアピールだのと軽々しく口にする、そういった軽薄なところがだよ。ちなみに昂哉もこの点は合わないと思ってる。」

 

 その理由は分かったのだが、まさかの俺にまで飛び火した。

 

昂哉「ああ〜、確かに俺と雄二はそこが違うかもね〜。分かってたけど。」

 

 まあ俺は好きなら好き、嫌いなら嫌いってハッキリ言っちゃうからな〜。恋愛においても。俺が秒でフった小山に対しても雄二は思いつめてるっぽいし。確かに合わないといえば合わないだろう。

 

高城「というか坂本雄二君はそういった言葉を口にすることはないのですか?」

雄二「………悪いかよ。」

高城「いえ。悪いというよりは変わってると思いまして。普通は少しでも好きだという気持ちがあるのなら、それは言葉にしますよね?」

 

 まあ俺もぶっちゃけ高城先輩の意見に賛成だ。ただ、雄二は雄二なりの考えがあるし、フォローはしておこう。

 

昂哉「まあまあ、コイツはコイツなりのポリシーだったり考えだったりがあるんですよ。それが人と違うことくらい、よくあることじゃないですか!」

高城「そういうことなのですね。」

雄二「何が言いたいんだ、昂哉⁉︎」

昂哉「雄二、怒らないで!別に俺は雄二を否定するつもりはないよ!ただ意見が違うだけ!」

雄二「そうかい。」

 

 基本的に俺は他人の意見にあまり干渉しない。困ってる時に助言はするけど、結局やるのは本人次第だからね。まあ無責任っちゃ無責任かもしれないけど。

 

高城「あっ、姫路瑞希嬢、会話が脱線して失礼しました。さあ、私とお話を………」

 

 そんな俺たちの会話をすっ飛ばし、高城先輩は姫路が座る場所を向いて声をかけたが、

 

島田「あ、高城先輩。瑞希ならもうどこかに行っちゃいましたよ?」

 

 どうやら姫路は気づかぬ間にどこかに行ってしまったようだ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高城「それはいけない‼︎今すぐここに呼び戻して下さい‼︎」

 

 って先輩がなんか叫んだんだけど⁉︎

 

昂哉「急にどうかしましたか⁉︎」

明久「あれ?もしかして話せなくて寂しいんですか?」

雄二「焦りすぎだろ。」

高城「笑ってる場合じゃない‼︎早く彼女を………っ‼︎」

 

 明らかに焦る先輩。上っ面の丁寧語も取れ、慌てて周りを探し回る。その豹変っぷりは、正直驚かされた。

 

姫路「あの、すいません………私実は後ろに居ました………」

島田・明久「「瑞希(姫路さん)⁉︎」」

 

 それに驚いたのか、姫路がひょっこりと出てきてしまった。そしてそれを見た高城先輩が、

 

高城「ああ、良かったです………無事で………」

 

 安堵の表情になった。わずか数秒の間でこれだけの幅広い感情変化。これを、

 

雄二「くそっ、大した芝居だ。」

明久「まさかそこまでするだなんて………」

 

 演技と捉える人も居れば、

 

秀吉「どうやら芝居…………じゃないようじゃな。」

千華「ねえ高城、もしかして瑞希()ヤバいの?」

優子「アタシも気になります!」

 

 そう捉えない人も居た。ただ後者の方が演技に詳しい人と高城先輩に詳しい人が居たので、

 

昂哉「何かあったんです、先輩?」

 

 俺はそっちを信用した。

 

高城「あ…………い、いえ………し、失礼しました………」

 

 本人は否定こそすれども、明らかに先程までの余裕は無くなっている。本当に人が変わったかのように。

 

雄二「なあ、本当に何かあるようじゃねえか?姫路に何が起こるんだ?」

高城「えっと………その………」

明久「教えて下さいよ‼︎お願いします‼︎」

 

 流石に雄二と明久も只事じゃないと踏んだのだろう。高城先輩に姫路の情報をすがる。

 

高城「あっ………えっと………」

千華「………言えないことなのね。」

島田「瑞希、何か心当たりは?」

姫路「いや、特に何も…………」

清水「…………もしかして……」

高城「あっ、そうだ!吉井明久君には私の連絡先をあげましょう!そして姫路瑞希嬢について、今後とも語り明かしましょう!」

明久「へっ⁉︎あっ、はい!」

 

 そう言って高城先輩は明久に近づいて紙を渡した後、去ってしまった。

 

姫路「一体何だったのでしょう………?」

島田「さあ、ウチには分からないわ。」

雄二「明久、何か心当たりは?」

明久「僕にもさっぱりだよ………」

昂哉「とりあえず紙に書いてあるLINEを登録しますか!」

 

 そして俺たちは高城先輩から貰った紙を見ると……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・次に高天原大門に狙われるのは、姫路瑞希嬢です。

 

 そこにはとんでもないことが書いてあった。

*1
昂哉はリンネの手紙を読むのに夢中で、高城と明久の一途に想いを伝えるやりとりを聞いてない。




 ということで、お昼休みの弁当タイムでした。霧島の爆弾発言からの高城との価値観の違いと原作通りに進んできた中で、最後に衝撃の事実が明かされましたね。高城が焦るレベルの事態とは?高天原大門とはどういう人間なのか?それは次回のお楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第八十九問 高天原大門

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
殺人や冤罪のなすり付け、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この回だけかなりグロテスクな話が
入ります。ご注意下さい。
苦手な人は読み飛ばしてもらって結構です。
伝えたいことは後書きに書きます。


  side 昂哉

 

 次に高天原に狙われるのは姫路?一体どういうことだ?まさかリンネの手紙のようなことが起こるのか………?

 

 リンネの手紙の読み方はこうだ。まず最初にもらったやつは各文章の最初の文字を繋げて読む。すると浮かび上がるのは、『タカマガハラニハキヲツケロ→高天原には気をつけろ』だ。そして2つ目の手紙。これは各文章の最初の二文字を取り出して読む。すると、『シミスミハルハタカマガハラノカイライ』。シミス→シミズという違いはあるが、これは『清水美春は高天原の傀儡』、いわゆる奴隷であったり後ろで操られていたりする事を意味する。普通人間に使う言葉ではないのだが、清水のあのメンタルのやられ方を見るに、その言葉が当てはまってもおかしくはない。

 

昂哉「とりあえず昼休み中に本陣に戻ろう。ムッツリーニは盗聴の類が無いか確認して。」

ムッツリーニ「………分かった。」

千華「ねえ、なんかやろうとしてるけど、アタシはいいの?一応敵だよ?」

昂哉「試召戦争に関係あるといえばあるが……ないといえば無い。」

千華「何よそれ。とりあえず高城からの手紙を見せて。」

昂哉「ほい。」

 

 もしや心当たりが?

 

千華「やっぱり奴の仕業か…………っ‼︎」

 

 ありそうだ。

 

明久「奴?」

千華「ねえ土屋、ここに盗聴の類が無いか調べてくんない?」

ムッツリーニ「………確認済み。」

千華「ならいいわね。他の人が来ないか、とっくんと赤田で見張ってて。もし来たら追い返すこと。」

久保「分かった。」

赤田爺「了解じゃ。」

千華「よろしく。じゃあ今から瑞希に起こりうることについて話すわね。」

昂哉「よろしく。」

 

 そうして蕨の口から飛び出した話は、想像を絶するものだった。

 

 

 

 

  side 千華

 

 3年前にアタシに近づき、脅迫して偽の浮気情報を作らせた男。そしてアタシととっくんの仲を引き裂いた最低最悪の男。それから三年経った現在、その男は文月学園第三学年の首席として君臨した。その名は、高天原大門。

 

 奴は自分の気に入った女を手当たり次第脅迫を駆使し、手に入れてきた。ある者は偽の浮気現場を作らされ、ある者は窃盗の罪を着せられ、またある者は殺人の罪を着せられた。なまじ警察がそいつの親父で、いつも高天原が絡むときは必ず登場してくるため、親子で隠蔽させられる。

 

 更にたちが悪かったのが、高天原は気に入った女なら何人でも捕まえてた。

 

千華「あのさ、1人に絞った方がいいんじゃない………?」

高天原「は?お前のような能力の低い女がこの俺に意見するのか?」

千華「……………」

高天原「俺はその気になれば、いつでも久保利光を潰せるんだぞ?」

千華「…………なんでもない。」

 

 更には気に入らない人がいたら罪を着せて追放していた。そしてそのためならば、無関係の人すら平気で殺していたと思われる。奴の周りには謎に行方不明になった人が多いからだ。しかもその全てが警察である奴の親父の手によって上手く他の人に罪を押し付けられている。警察内でたった1人の横暴が通っているのも、もしかしたらその父親も武力が強いからなのかもしれない。

 

 逆らいたくても逆らえない。自分がいくら傷つく分には構わないが、大切な人までもが傷ついてしまう。そしてそれを可能にする頭脳と筋力を持っている。どうしようもない時間がずっと続いていた。

 

 恐らくは清水美春も、そして雲雀丘も奴の被害者だ。雲雀丘が(おとし)められた理由は分からないが、清水は自分のタイプだったということで理解できる。そして次は瑞希。高城が必死こいて行動する理由も分かる。

 

 だが高天原にも奴なりの狙いがある。高城にここまで自由に動かせてる理由…………それへ恐らく失敗の責任をなすり付けるためだろう。自分はあたかも試召戦争に関心のないフリをし、表立って動かずして自分の望みを叶える。奴がやりそうなことだ。この横暴はなんとしてでも阻止しなければならない。1人2人では勝ち目のない相手だが、それこそ何10人でかかれば、奴の出鼻をくじけるはず‼︎

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 蕨から聞かされた話は、想像を絶するものだった。俺は自分のことを中々のクズだとは思っていたが、ここまでクズが居ようとは思わなかった。正直完敗だ。文月一のクズの座は、アンタにくれてやる‼︎

 

 そんなことを思ってると、

 

清水「あの………皆さん………強化合宿の盗撮犯は、美春です………」

 

 突然清水が自白し始めた。

 

島田「美春⁉︎アンタ急にどうしたのよ⁉︎」

優子「というか犯人って…………昂哉たちじゃなかったの⁉︎」

昂哉「まあね。知ってたけど黙っておけば利用できると思って。」

優子「いや、その、昂哉たちがいいならいいんだけどさ………」

昂哉「そしてそれを今言うってことは………?」

清水「はい。美春も高天原に脅されましたわ………」

他全員「「「「「マジか⁉︎」」」」」

 

 やはりか。このタイミングでのこの自白。高天原が絡んでるとしか思えない。

 

昂哉「清水、もしよかったら、話してくれると嬉しいな。」

清水「はい。もとよりそのつもりでしたわ。」

 

 こうして清水が更に事情を話してくれた。

 

 

 

 

 

  side 清水

 

 今から1ヶ月半ほど前、下校中に、

 

高天原「おい、お前。俺と付き合え。」

 

 美春は高天原に話かけられたのですわ。でも当時はこの人のことを全く知らなかったのですから、男に告白された嫌悪感と共に、

 

清水「急になんですの、銀髪豚野郎。嫌です。美春に話しかけないで下さい。」

 

 いつも通りの対応をしてしまいました。そしたら、

 

高天原「はぁ?それは俺に対する誹謗中傷だよなあ⁉︎」バゴン‼︎

清水「ひぃ⁉︎」

 

 当然、彼の怒りを買いました。そして怒った彼は足を思いっきり上げて下ろし、アスファルトにヒビを入れました。それが美春は怖くて怖くてたまりませんでして。ただここまでは当然、美春が悪かったのです。だって相手を誹謗中傷する言葉を言ったのだから………

 

 

 だがそこから先は地獄でした。

 

清水「も、申し訳ございません‼︎で、でも、告白は受け入れられません‼︎」

高天原「それは島田美波が居るからか?」

清水「はい、その通り………ってなんでお姉様の名前を知っておりますの…………?」

高天原「俺が何故彼女を知ってるかなんて、無能であるお前に知る権利は無い。それよりお前、そいつがどうなってもいいのか?さっきの俺の力、見てなかったか?」

 

 そいつはいきなりお姉様を出しに脅し始めたのです。最低最悪な野郎でした。だから美春は、

 

清水「お姉様に何をするつもりですか⁉︎流石にそれは許せません‼︎」

高天原「お前は自分の状況が分かってないのか?」

 

 怒りをぶつけました。でもそれに対して、高天原は、

 

高天原「お前が強化合宿で盗撮した件、本人に教えてもいいんだぞ?」

 

 雲雀丘君の周りしか知らない情報を知っていました。そしてそれで脅迫してきました。

 

清水「な、何故知ってるのです………?」

高天原「お前なんかに知る権利は無い。それより島田美波かどうなってもいいのか?」

 

 強者に対する圧倒的恐怖感。そして全部自分が()いた種で大好きな人を傷つけてしまう罪悪感。これはもう、従わざるを得ませんでした。

 

清水「分かり…………ました…………。美春のことは好きにしてくれて構いません。でもお姉様だけはやめてください!」

高天原「それでは俺はお前を好きなように扱う。」

清水「はい…………」

 

 こうして美春はせめてもの贖罪として、自分を差し出すことにしました。しかしそこから先には、更なる地獄が待ち受けていました。

 

 

 

 

 試召戦争の宣戦布告をされてから数日経ったある日、

 

高天原「清水、今から俺についてこい。」

清水「はい。」

 

 美春は高天原に呼び出されてとある空き地へと向かいました。そこは森の中を進んでいった中にある人通りのない場所で、とても不気味でした。

 

 正直美春がここで青姦されるくらいなら、お姉様も守れるし、自分の犯した罪の清算にもなると思っていました。でも現実は違いました。

 

 そこにはなんと……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平賀「ん〜‼︎」

 

 口をガムテープで塞がれ、両手両足を縄で縛られた平賀君がおりました。意味が分からなすぎて、

 

清水「こ、これはどういうことですの………?」

 

 美春は高天原に事情を聞きました。すると、

 

高天原「今からお前は平賀を殺す。」

清水「は?」

 

 高天原はとんでもないことを言いました。

 

清水「いや、どういうことですの⁉︎流石に美春は人は殺せません‼︎」

高天原「お前の罪がバラされても構わないのか?」

清水「構いません‼︎」

高天原「島田美波がどうなっても?」

清水「今まで美春は貴方の言うことを聞いてきたでしょう⁉︎」

高天原「俺は期限を設けたつもりはないが。」

清水「うっ…………?」

 

 とんでもない絶望。人の命を天秤にかけなきゃいけない。でも今なら平賀君を殺さずに済めば、お姉様にもなんとか命の危機を伝えることが出来るかもしれない。そう考えてたけど、

 

清水「あぁぁぁぁぁぁ‼︎やめて下さい‼︎」ぐいいい

高天原「握れ。」

 

 美春はどうすることも出来ませんでした。高天原の強力な腕力で無理矢理包丁を握らされる。そして、

 

高天原「お前が殺したという事実が、今から発生する。」

清水「嫌です‼︎嫌ですのぉぉぉ‼︎」

平賀「んんんんんん‼︎」

清水「嫌ぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」グサッ

 

 高天原の腕力で無理矢理包丁を持った美春の手を無理矢理平賀君の胸に向かって動かされ、そのまま刺される。腕力の差で抵抗も叶わず、美春の持った包丁で平賀君が倒れる。ちなみに高天原は手袋をしており、彼の証拠が残るような事はない。

 

高天原「お前はたった今平賀を、自分がDクラスを乗っ取るために殺した。」

清水「ああ…………ああ…………」

高天原「そして今からお前はDクラスの奴らに、二年を裏切るよう指示する。もちろん言うことを聞かなければ、この罪をバラす。」

清水「はい……………」

高天原「ちなみに今から()()()()が警官としてここに来る。平賀の遺族には家出と、学校には単なる体調不良と伝えるように()()()()()()()()()。荒事にしないためにもな。ちなみにここにはお前が殺した証拠しかない。後は分かるよな?」

清水「はい……………」

 

 こうして美春は人殺しとして、そして裏切り者として行動するハメになりました…………。この大半は美春の自業自得………。でも、でも、高天原だって許してはならない‼︎アイツがのうのうと生きてるのを見る度に、頭に血が上る‼︎お前も美春と同じように、極悪人だろうが‼︎

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 想像を絶する話…………。しかも恐ろしいまでの計画的犯行…………。死人に口無しとはこのことか、現状高天原の犯行を目で見た者は清水しかいない。そして清水が疑われてしまう状況。清水の発言は、犯人が他人に罪をなすり付けてるようにしか聞こえなくなる。実際は清水と高天原の立場は逆なのに。リンネや高城先輩がバレないように必死で警告してくれただけのことが、いやそれ以上のことが奴にはあったのだ。

 

島田「美春……………」

玉野「平賀君が亡くなってたの、知りませんでした……」

千華「美春………でいいよね?」

清水「はい……………」

千華「アンタもアタシと同じ被害者同士。アタシはアンタを信じるわ。」

清水「ありがとうございます………」

明久「僕も清水さんを信じる。こんな奴なんかに、姫路さんや美波を渡せない。」

姫路「私もです。ただやられるだけじゃいられません。」

秀吉「ワシもじゃの。」

ムッツリーニ・工藤・霧島・美穂・玉野「「「「「俺(ボク)(私)も。」」」」」

清水「ありがとう……ございます……」

島田「ウチは美春を信じるわ。今までウチのために頑張ってくれてありがとう。」

清水「お姉様………っ‼︎ありがとうございます………っ‼︎

 

 全員が清水を信じる。そして清水が涙を流す。他の聞き手を入れないために見張ってる久保とじっちゃんも頷いている。

 

雄二「こうなると、姫路や清水、そして島田だけじゃないな。工藤や木下、そしてなにより翔子も、充分狙われる対象だと考えるべきだ。」

昂哉「そうだね。そして男性陣がそのための駒にされかねないことも。」

優子「とりあえず平賀の現状は同じクラスの美紀にお願いしたいわね。」

昂哉「遺族と学校には事実の相違と、高天原という警官に気をつけることを言っといて。清水の証言を信じてもらえるかはともかく、遺族と学校に伝わってる内容が違うことは詰められる。」

玉野「分かった。」

 

 恐らく試召戦争を行うためにあえて学校にはそう伝えたのだろう。家出だと行方不明を疑われて面倒なことになる。最悪試召戦争なんかやってる場合じゃなくなるしな。何故そこまで試召戦争にこだわるのかは分からないが。

 

雄二「後は平賀の遺体はどこにあるんだ?」

清水「警察に渡されたきりです…………」

昂哉「高天原の父親?」

清水「はい…………」

昂哉「それはまずいね。」

雄二「ああ。警察の内部状況は知らないが、最悪死体そのものが無かったことにされてる可能性もある。」

昂哉「それかいつでも清水を吊るせるように、どこかに保管してるとか?」

雄二「あり得るな。とりあえずはババアや先生方に連絡だ。試召戦争を中止にする。」

昂哉「だね。」

 

 こうして俺たちの方針は固まった。後は試召戦争を中止にし、なんとかして高天原の罪を暴く‼︎

 

 さてと、まずは久保とじっちゃんに今後の方針を……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高天原「おいお前ら。まさかこの俺に逆らうと言うのか?」

久保・じっちゃん「「………………」」

 

 ってマジか…………。そこには動かなくなった久保とじっちゃんと共に、全ての元凶、高天原大門がやってきた。そして、

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

 昼休み終わりのチャイムが鳴り響いた。試召戦争が再開してしまったのだ。

 

 

 

 

  side 高天原

 

 雲雀丘昂哉…………いつも目障りなことをしやがって‼︎これもまたアイツの仕業だろ‼︎絶対に酷い目に遭わせてやる‼︎そして残りの女を味わってやる‼︎




 ということで、高天原がラスボスだと判明しました。清水や千華の件は全てこいつの仕業です。今までオリキャラはクズばっかり出さてきましたが、その中でも群を抜いてヤバいクズでしたね。ちなみに気に入った女の子を手に入れてたのは、己の性欲を処理するためです。あと、強化合宿の件については、清水の犯行をこっそり聞いてしまった二年のモブ女子を脅して聞き出しました。

 そして次回は高天原と昂哉の因縁です。昂哉は喋ったことがないはずなのに、どうしてここまで高天原に恨まれてるのでしょうか。それは次回のお楽しみに!ちなみにお化け屋敷対決を企画したもう1人の人物もコイツです。

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第九十問  幸せのためには

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
殺人や冤罪のなすり付け、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side リンネ*1

 

 高天原大門………彼は最初会ったときから、恐ろしさが前面に出ていた。

 

高天原「なんだよお前、俺に文句があんのか?」

リンネ「いえ、何も………」

高天原「ならこっち見んな。」

リンネ「ハイ………………」

 

 映るもの全てを見下すような、冷酷な目。己の快不快だけが行動の基準であるかのような、残酷な声。今日からこんなクラスメイトと過ごさねばならないとなると、とても気が重くなった。

 

 

 

 そして彼が来てから、僕の学校はおかしくなった。同級生が犯罪者となり減り始めたのだ。それまでにそんな事をすると想像出来なかった子でさえ、罪を犯してしまった。中には殺された者も居た。

 

 最初はそれが信じられなかったが、僕はある日ある法則に気づいてしまった。罪を犯した人は全員、高天原に目をつけられていた人だったのだ。彼に一度でも反発したことがあったりする人は、1人残らず犯罪者になっていた。自分の友達も何人かそれで消えていった。それが僕はすごく悲しかった。

 

 そして考え得るのは…………高天原による罪のなすりつけ。それに気づいた時、僕は恐怖でしばらく学校に行けなくなってしまった。二度と彼に目をつけられたくなかったからだ。目をつけられたが最後、自分は犯罪者にさせられ、友達やパパとママにも迷惑をかけてしまう。僕はそうなりたくなかった。

 

 

 

 

 

 だがある日、不登校の日々は唐突に終わりを告げた。

 

リンネ母「リンネ、友達が来てるわよ?」

リンネ「友達…………?」

 

 ママに呼ばれて僕は玄関に向かった。一体誰が来たのだろう?確かに僕には何人か仲の良い友達が居た。その半分くらいは高天原に罪をなすりつけられて消えてしまったが、残り半分、およそ5人くらいはまだ残っていた。もしかしたら自分が心配で来てくれたのかもしれない。それか連絡の取れなくなった、消えた子たちがなんとか来てくれたのかも知れない。

 

 僕が抱いた淡い期待は、

 

高天原「よう。」

 

 玄関のドアを開けた瞬間に瞬く間に消えていった。

 

リンネ「な、なんで…………?」

高天原「ちょっとこっちに来い。」

リンネ「う、うん!」

 

 彼にしては珍しく優しい口調だった。ママに変に感づかれるのを避けたのだろう。それが逆に嫌で嫌で仕方なかった。でもただでさえ不登校なので、これ以上ママには迷惑をかけたくなかった。だから僕は高天原についてく事にした。

 

 

 

 そして近くの公園に着くなり、僕の嫌な予感は当たった。

 

高天原「俺と一緒に日本に来い。言うことを聞かなかったら、お前の家族が大変なことになるぞ。」

 

 さっきとはうってかわり、いつも通りの冷酷な声。彼がこっちに来て以来一度も喋らないよう心がけてたのに、ここにきて目をつけられてしまった。しかも日本への同行。それは高天原と今後も近くで関わらなければならないことを意味していた。それがとても嫌で嫌で仕方がなかった。

 

リンネ「はい…………」

 

 だけどママやパパには酷い目に遭って欲しくない。だから僕は彼に従わざるを得なかった。

 

 次の日から僕は再び学校に行き始め、勉強も頑張り、日本への交換留学生になった。ならざるを得なかった。そして高天原と共に日本に飛び立った。

 

リンネ母「リンネ、元気でね!」

リンネ父「一年後、楽しみに待ってるぞ!」

 

 大好きな家族の元を離れて、恐ろしいクラスメイトと過ごさねばならない日々。それに向かう旅立ちはとても憂鬱だったが、パパとママの笑顔を糧になんとか乗り切ろうと頑張った。

 

 

 

 

 日本に着いて早々、

 

高天原「お前は今から『高城雅春』の命令で函館に行き、この写真の人物、『雲雀丘昂哉』の偵察をする。」

リンネ「はい………」

高天原「あわよくばそいつに罪をなすりつけて刑務所にぶち込んで来い。」

リンネ「はい………」

 

 他の人の責任にしながら、雲雀丘昂哉という人物を潰す。いきなり与えられた命令は、とても過酷なものだった。そしてやりたくなかった。でも大切な人のために、やらざるを得なかった。だから出来る事ならばその人物も、彼のように残虐非道であって欲しい。そう願って、あるいはなって欲しくて、

 

リンネ「ねえ、そこのオジサン!」

昂哉「誰?Who are you?」

リンネ「Vock O Butte(ヴォルク・オー・ビュッテ)、ダヨ‼︎」

昂哉「なるほど、ゔぉくおぶって……って痛ぁ⁉︎」バシン‼︎

 

 ファーストコンタクトを最悪にしたのに、

 

優子「昂哉、その子は?*2

昂哉「優子、コイツはリンネ・クラインだ!俺とキンタマを蹴り合った仲なんだよね〜。」

優子「何それ………」

リンネ「ヨ、ヨロシク‼︎」

昂哉「まあ無邪気な可愛い子だよ。仲良くしてあげてね〜♪」

優子「もちろん!よろしくね、リンネ!」

リンネ「ヨロシク‼︎」

 

 彼はそれとは全然かけ離れた、気さくな人物のままだった。こんな酷い事をした僕にもキンタマを蹴る程度で済ませてくれた。そしてそれ以降はずっと楽しく話してくれた。それが僕は嬉しくて嬉しくて、気づいたら彼の味方をするようになっていた。もちろん高天原にバレないように。そしてこれからも、昂哉の味方をして高天原をなんとかしたい。僕の居なくなった友達の仇を取るために、そしてパパとママを守るために‼︎

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 噂をしていたら、当の本人がやって来ちゃったよ‼︎そして試召戦争が再開してしまった‼︎

 

千華「とっくん、しっかりして!赤田も!」

久保・赤田爺「「……………」」

 

 2人は気絶しており、目を覚まさない。俺らに気づかれないように2人まとめて気絶させたとか、どうなってるんだ、コイツは‼︎

 

高天原「戦死者はとっとと補習室に行けよ‼︎」

千華「分かってるわよ。いくよ、愛子、土屋。この2人を運ぶの手伝って。」

ムッツリーニ・工藤「「もちろん。」」

高天原「ちなみにその2人は階段で転んだのを、俺が拾っただけだ。お前らは転んだとこ、見てないだろ?」

千華「嘘つけ。」

 

 そういえば3人は戦死者だったな。ここで離脱してしまうのは正直心許ない。でも俺たちでやるしかない‼︎

 

昂哉「やあやあ高天原君!代表自ら敵地に突っ込んでくるなんて、よっぽど自殺がしたいのかな?」

高天原「俺は先輩だぞ、雲雀丘昂哉‼︎ちゃんと敬語を使え‼︎」

昂哉「おっとごめんなさい!俺はFクラスなもんで………敬語を正しく使えませんでした………。こりゃ〜すいません♪」

 

 正直中学の頃の名残で後輩のイメージが強いからね。話したことはないけど。

 

雄二「昂哉、敬語は敬うべき相手に使うものだろう?」

明久「少なくともコイツに必要だとは思えない………っ‼︎」

昂哉「確かに、2人の言う通りかも!」

高天原「テメェら、俺に文句があんのか⁉︎」

昂哉・優子・明久・雄二・島田・玉野「「「「「「ありまくりだよ‼︎」」」」」」

姫路・美穂・清水・霧島「「「「です‼︎」」」」」

秀吉「じゃの‼︎」

 

 口を開いてない人たちも高天原を睨みつける。そりゃあそうだ。皆大切な人を守りたいのだから‼︎

 

 

 

 

  side 高天原

 

 優れた人間ほど、幸せになるべきだ。能力を持った者が報われるのは、社会として当然のことだ。これは俺が生まれた時から変わらない人生哲学。俺はこの考えに基づいて生きてきた。

 

 そして俺より優秀な人間は今までに見たことが無かった。学力、体力、美貌。その全てを兼ね備えた俺は、この世の誰よりも幸せになるべきだった。

 

 雲雀丘昂哉。俺が中学に入った時三年生だったコイツは、天才として周囲から持て(はや)されてた。彼より優秀な人は見たことがない。彼こそが学校を代表すべき人間なのだと。もしかしたら俺より優秀なのかもしれないと、胸が高鳴った。だが現実は違った。

 

 まずは俺より低い点数。中学入学時点で既に高校入試で満点を取れるレベルだった俺とは異なり、奴は一・二科目満点を取るのが精一杯だった。酷い時には95点*3を切る、なんてこともあった。そんなんで天才呼ばわりされていいのか?

 

 そして極めつけは壊滅的な運動神経。男子どころか女子にさえ負ける運動神経の悪さを見た時、俺は信じられない気持ちになった。こんな奴がちやほやされている。ハッキリ言ってあり得なかった。

 

 もちろん俺はコイツなんかより100倍優秀だ。だから俺はもっとちやほやされるだろう。女だって手に入れ放題のはずだ。なのにそう上手くはいかなかった。

 

クラスメイト1「雲雀丘先輩ってやっぱすごいよね〜。」

クラスメイト2「あんな天才、初めて見た!」

高天原「は?俺のがアイツより天才だが。」

クラスメイト1・2「「……………」」

 

 アイツは俺の同級生である新入生から好かれる。なのに俺は誰も友達が出来ない。俺の方が優秀なのに…………俺の方がアイツより幸せになるべきなのに…………なのに何故アイツの方が幸せなんだ?何故あんなに沢山の人、特に女に好かれる⁉︎ふざけるな⁉︎その程度の能力しかないくせに‼︎俺がこんなに辛い思いをしてるのだから、アイツはもっと辛い目に遭うべきだろう‼︎

 

 

 

 

 俺はその後アイツを好きだという女のうち1人を利用し、そいつを自分で犯しながら奴が強姦したという証拠を作り上げた。そしてそれを隣のクラスの桂という男に先生に伝えるように言った。

 

桂「えっと………その………」

高天原「これを金山に伝えろ。」

桂「はい……………」

 

 金山という教師は一度自分で決めたことは絶対に曲げない。そして無理矢理にでも動く行動力がある。普段は頑固で愚かな糞教師だったが、利用するにはちょうど良かった。

 

 そしてこの桂という男。コイツは誰一人友達が居なかった。成績も中の中。親とも仲良くない。それはすなわち居ても居なくても大して変わらない存在。証拠隠滅で殺すのには都合の良い人材だった。

 

高天原「お前は邪魔だ。だから雲雀丘昂哉が今からお前を殺す。」

桂「えっ?あの、その………」グサッ、バタン

 

 俺は桂を殺した後、刑事をやってる父に証拠隠滅を任せ、そして桂殺しを雲雀丘に押しつけた。ただ証拠不足や金山が無能だったこともあって、奴は罪には問われなかった。しかし奴は強姦事件をきっかけに信用を無くして不登校になり、卒業した後も高校に入らずニートとなった。俺の作戦は成功したというわけだ。ざまあみろ!俺より無能のくせに、俺より幸せになるからだ!

 

 

 

 だがコイツは3年経って高校に入学してきた。しかも同じ文月学園。更には年寄りとして孤立すれば良かったものを………

 

昂哉「みてみて姫路〜!コイツは俺の天使の秀吉ちゃんだよ♪」

秀吉「何故ワシがお主の天使なのじゃ………」

姫路「わぁっ、可愛い女の子ですね!」

昂哉「でっしょ〜!」

秀吉「わ、ワシは男じゃ‼︎」

黒崎「昂哉、お前二股してたのか………」

昂哉「違えよゼロ………いや、秀吉を入れて1かな〜w」

秀吉「いや、ワシはお主の彼女じゃなかろぅ。」

昂哉「え〜っ⁉︎」

姫路「ち、違うんですか?」

秀吉「違うぞい。」

 

 普通に女や友達を作って普通に幸せそうに過ごしていた。強姦犯になった挙句、三年間ニートだったというのに。何故コイツはいつもこうなんだ?何故いつもコイツは幸せそうに生きてるんだ⁉︎

 

 

 

 

 この試召戦争で二年に勝ち、コイツを退学にする。そしてコイツに二度と社会復帰できない経歴を与えて不幸のどん底に落とす。そして俺は友達や女に囲まれて幸せに過ごす。これこそが、最も優秀な人間である俺の願いだ‼︎それを邪魔するコイツは、許せない‼︎

 

高天原「そうかよ。俺だって雲雀丘、テメェに文句があるんだよぉ‼︎」

昂哉「えっ、何すか?俺喋ったことありませんでしたよね?」

雄二「確かにコイツいつも酒臭いしな。」

島田「よく二日酔いになって迷惑かけるし、」

明久「よくパチンコや麻雀で学校サボるし、」

姫路「好きな子にはなかなか自分の気持ちを伝えられませんし、」

昂哉「ちょっと待って。皆*4まで言うことなくない?」

美穂「いくら私たちが言っても、」

秀吉「ワシをずっと女扱いしよるし、」

昂哉「それは自然の摂理でしょ。」

玉野「女装が似合わなそうだし、」

昂哉「お前そんなこと思ってたの?」

清水「男ですし、」

昂哉「それは仕方なくない?」

霧島「…すぐ雄二を寝取ろうとするし、」

昂哉「ちょっと待て‼︎俺は1秒たりともそう思ったことはない‼︎」

 

 中学の時よりもよっぽどクズになったようだ。そして更に無能になったようだ。

 

高天原「そうやってテメェみてえな無能がよぉ、この天才である俺を差し置いてのうのうと幸せになりやがって…………っ‼︎本当に………」

昂哉「本当に?」

高天原「テメェの人生、随分と(らく)そうだなぁ⁉︎」

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 なんで喋ったことないのに嫌われてんのかと思ってたら、嫉妬されてたんだね。だから俺に罵声を浴びせたのか〜。

 

 そしてなんとなく分かったことがある。中三の時に俺に強姦冤罪をなすりつけたのはコイツだ。あの時にコイツは中一。俺に嫉妬しててもおかしくはないだろう。こんな奴に俺の人生は台無しにされたのか………。怒りが湧きすぎて湧きすぎて、むしろ楽くなってきちゃったよ‼︎

 

優子「アンタ、なんて事をっ‼︎」

 

 優子が怒ってくれてるけど遮って喋っちゃお〜う♪ごめんね優子、あとで色々と気持ちを伝えるから!

 

昂哉「いやはや、喋ったことないのに嫉妬されるとか、俺ってマジモテますね〜♪」

高天原「うるさい‼︎」

昂哉「否定はしないんだ〜♪」

高天原「………殺されてえのか⁉︎」

昂哉「あと〜、一個言いたいんですけど〜、貴方って俺が無能で自分が天才だと思ってるじゃないですか〜?」

高天原「それがどうした⁉︎」

昂哉「ぶっちゃけると………貴方って勉強と運動が出来るだけで、友達を作る能力については全くないですよね?」

高天原「はぁ⁉︎人は天才に自然と寄るものだろう⁉︎」

昂哉「人間バカなんで、そんな簡単にはいかないっすよ〜。まあ俺が言いたいのは…………」

高天原「なんだよ⁉︎」

 

 さあて、言いたい事を言ってやる‼︎

 

昂哉「なんでも人のせいにして生きる貴方の人生こそ、(らく)そうだよなぁ⁉︎」

 

 そしてここでその出過ぎた鼻をへし折ってやる‼︎

 

高天原「なんだとテメェ⁉︎俺の苦労が分かんねえのか⁉︎」

昂哉「分からないね!俺たちは今から高天原大門に召喚獣勝負を挑みます‼︎明久、白銀の腕輪‼︎」

明久「了解!起動(アウェイクン)‼︎」

二年他・高天原「「「「「試獣召喚(サモン)!」」」」」

 

 

 

総合科目

 

二年生

    雲雀丘昂哉 5814点

    吉井明久  295点

    坂本雄二  3142点

    木下秀吉  327点

    島田美波  1678点

    姫路瑞希  5487点

    玉野美紀  1241点

    清水美春  1018点

    霧島翔子  5792点

    木下優子  4817点

    佐藤美穂  4539点

     VS

三年生

    高天原大門 12014点

 

 

 

 相変わらず馬鹿みたいな点数が表示され…………って奴の召喚獣はどこだ?

 

優子「昂哉、上‼︎」

 

 そうして優子の言われるがままに上を見上げると…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

召喚フィールドの上の方に、爆撃機に乗ってる高天原の召喚獣が居た。嘘だろ⁉︎召喚獣って普通地上戦でしょ⁉︎対空用の武器なんて持ってねえよ‼︎

 

 

 

 

  side 高天原

 

 俺は予め試験召喚システムにバレないようハッキングし、自分の召喚獣の武器を爆撃機に書き換えた。本当は他の人の点数をいじっても良かったのだが、流石にそれをやるとバレてしまう。だからこれくらいがちょうど良かった。

 

 さて、お前ら程度で俺に攻撃を当てられるのかな?いや、絶対無理だな‼︎

*1
頭の中は多分ドイツ語だろうと思いますが、分かりやすいよう日本語で書きます。またリンネと高天原のやり取りも本来は英語ですが、これも全部日本語に直して書きます。

*2
温泉を出た後

*3
100点満点

*4
ムッツリーニは戦死したためここには居ない。




 ということで、リンネと高天原の過去が明らかになりました。リンネは原作だとわからせたいクソガキですが、本作だと割と可愛い男の子になってます。そして高天原は……………擁護できないレベルのクズでしたね。

 ちなみに高天原に殺された桂は既に本編に登場しています。沖縄旅行の時に昂哉が死にかけましたが、その時に三途の川の向こう岸に居ましたね。気になる方は第六十四問をチェック!それと、昂哉と桂は三途の川以外では面識はありません。

 さてと、いよいよ次回からは高天原戦に入っていきます。11vs1で超有利かと思いきや、まさかの対空設備無しで爆撃機に立ち向かわなければいけないという状況。これをどう乗り越えるのか、それは次回のお楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。



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第九十一問 爆撃機を撃ち落とせ‼︎

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 召喚獣の武器が爆撃機って、マジかよ⁉︎奴の召喚獣はずっと爆撃機に乗ったまま降りてこないし!

 

明久「ふざけんな、ずるいぞ‼︎」

高天原「召喚獣の武器はランダムだ。それが()()()()爆撃機だっただけだろう?」

 

 同じクズだから分かる。こういうときはだいたい自分で何かしか手を施したパターンだ。でもその証拠がないから、言及のしようがない。生憎暗号理論やセキュリティ関係について語れるほど情報分野に詳しくないんでね!

 

 まあ起きたことは仕方ないとしよう。それより今大切なのは、目の前のことにどう対応するか、だ‼︎

 

昂哉「霧島は下がって‼︎お前が負けたら負けだから‼︎」

霧島「…うん。」

昂哉「それと雄二と清水も!」

清水「分かりました。」

雄二「分かった。どうせステゴロで役に立ちようがないしな。」

 

 まずは二年代表とFクラス代表の待避。霧島は言わずもがな、清水と雄二も負けたらかなりの損害になる。

 

高天原「どこに逃げても無駄だ。お前らは俺に出会った時点で負けている‼︎」

 

 実際にここで霧島と雄二に召喚させなかったとしても、高天原から無理矢理勝負を挑まれてしまうから意味がない。ならば全員で一斉に召喚して、少しでも狙いを定めづらくする。

 

島田「翔子の防御は、点数と飛び道具の無いウチがやるわ!」

高天原「上からの攻撃をどう防ぐつもりだ⁉︎」ヒューン

 

 奴が爆弾を投下した。そしてそれ目掛けて、

 

島田「あぁぁぁぁぁ‼︎」ヒューン

玉野「隙あり‼︎」ヒューン

 

 島田の召喚獣が突撃する。そしてその隙に玉野が弓矢を放つ。更には島田もただやられるだけじゃなく、天高くランスを投げる。爆発でランスが飛んでるのが見えにく………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

島田「ぎゃあああああああ⁉︎あつ、熱い‼︎」

 

 って島田本人が絶叫してる?なんで?

 

明久「大丈夫か、美波⁉︎」

清水「お姉様‼︎お怪我はありませんか⁉︎」

姫路「美波ちゃん………」

島田「だ、大丈夫…………」

 

 明らかに大丈夫ではない。本当に何があったんだ?

 

高天原「その程度の槍や弓矢で、爆撃機に傷をつけられると思ってるのか?」

島田「くっそ…………っ‼︎」

玉野「弓矢では飛行機は厳しいか………」

 

 そして高天原の召喚獣には傷一つついてない。点数も減ってない。化け物か、コイツは⁉︎

 

 

二年生

    雲雀丘昂哉 5814点

    吉井明久  295点

    坂本雄二  3142点

    木下秀吉  327点

    島田美波  1012点

    姫路瑞希  5487点

    玉野美紀  987点

    清水美春  1018点

    霧島翔子  5792点

    木下優子  4817点

    佐藤美穂  4539点

     VS

三年生

    高天原大門 12014点

 

 

秀吉「ワシも投げるぞい‼︎」ヒューン

霧島「…私も‼︎」ヒューン

 

 日本刀を投げて無理矢理当てにいく2人。

 

高天原「近接攻撃の武器を無理矢理投げて使ったところで、無意味なんだよ‼︎」ヒューン

 

 でも奴には当たらない‼︎そして飛んでくる爆弾‼︎

 

昂哉「爆弾が来るぞ‼︎逃げろ‼︎」

雄二「くそっ、範囲が広すぎる‼︎」

優子「しかも速い‼︎」

 

 爆弾から逃げ惑うしかない俺たち。しかも相手へ攻撃がほとんど届かない。くそっ、こんな試召戦争があっていいのかよ⁉︎

 

秀吉「ぐわぁぁぁぁぁ‼︎熱い、暑いのじゃ‼︎」

美穂・玉野「「ぎゃああああ‼︎」」

霧島「…熱い‼︎」

明久「皆、大丈夫⁉︎」

 

 そして阿鼻叫喚の嵐。なんだ?まさか明久のフィードバックが、全員に反映されているとでも?

 

優子「皆、諦めないで‼︎アイツは飛んでる時こそ厄介だけど、撃ち落とせばただの武器無しよ‼︎」

 

 こんな中で優子が鼓舞してくれる。なら俺もそれに乗らないと‼︎

 

昂哉「とりあえずあの飛ぶ鳥を落とすぞ‼︎」

他全員「「「「「了解‼︎」」」」」

 

 ただ俺の武器は酒瓶、というか中に入ってる酒。あの爆撃機を撃ち落とさないことには、使いようがない。

 

高天原「雑魚がいくら集まったって、無駄なんだよ‼︎」ヒューン

 

 ってマズい‼︎俺のところに爆弾が落ちてくる‼︎逃げないと…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉・優子・雄二「「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」」」

 

 身体が焼けるように熱い‼︎実際には燃えてないはずなのに、何故か燃えているのを感じる‼︎これは………もしやフィードバック⁉︎明久が食らってるあの⁉︎だとしたらシステムのバグだ‼︎速やかにこの試召戦争を中止しなければ‼︎

 

昂哉「プログラムがバグってる‼︎一旦中止‼︎中止‼︎」

高天原「どこがだ?どう見ても正常に稼働してるだろう?」

昂哉「何故かフィードバックがあるんだよ‼︎観察処分者以外にも‼︎」

高天原「は?そんなのお前らがただ勝手に言ってるだけだろう?痛みを感じてるなんて証拠でも出せるのか?実際に傷でもついたのか⁉︎あぁん⁉︎」

昂哉「それは…………っ‼︎」

 

 確かに、フィードバックの外傷はついてない。だからそれを証明しようがない。いくらでも演技だと言い張れてしまう…………いや、待てよ?フィードバックがあるってことは…………

 

昂哉「お前ら、召喚獣に触れ‼︎」

他全員「「「「「了解!」」」」」

 

 物理干渉が出来るはず‼︎ということは、触れられるはず‼︎

 

 

 

 そして触ってみると、

 

雄二「本当だ。自分の召喚獣に触れる………」

姫路「これはハッキリとした証拠ですね。」

 

 本当に触れた。これならいける!とりあえずは試召戦争を中止に出来る‼︎

 

昂哉「よしっ、学園長や先生方に声をかけるぞ‼︎」

雄二「だな。」

高天原「もし仮にお前らがフィードバック出来たとして、そのミスは誰の責任になる?」

 

 ん?コイツは何を言ってるんだ?

 

昂哉「お前でしょ。」

高天原「俺がやった証拠でもあるのか?」

昂哉「それは…………」

高天原「無いだろう?」

 

 確かに無い。アクセス履歴を調べて出てくればいいが、そこを上手く消されたら終わりだ。更には召喚獣改造についても、召喚獣そのもののランダム性ということで誤魔化されてしまう。

 

高天原「普通、システムを開発した学園長がやったと考えるのが妥当ではないか?」

昂哉「確かに…………」

 

 言われてみればそうだ。ばあさんが真っ先に疑われる。

 

高天原「人に痛みを与えるシステムを開発した人間だ。告発され次第、すぐに処分されるに決まってるだろう。」

昂哉「だな……………」

高天原「そうなると次の学長は竹原教頭になる。」

昂哉「それはそうだな…………」

 

 2番手が1番手になるのが常識だからね。恐妻家*1こと竹原先生は元々ばあさんと対立していた。清涼祭の後数ヶ月の停職処分となっていたが、今は復活している。だから、次の学園長になってもおかしくはない。

 

高天原「ちなみにその竹原だが………俺の叔父だ。」

全員「「「「「なっ⁉︎」」」」」

 

 マジかよ⁉︎それじゃあこの件を上に報告したら、それこそ高天原の天下になってしまうじゃないか‼︎それじゃあ全く意味が無い‼︎くそっ、このフィードバックと向き合うしかないのか⁉︎

 

高天原「まあとにかく、死ね‼︎」ヒューン

 

 くそっ、また爆弾が落ちてくる‼︎逃げなければ‼︎

 

姫路・秀吉・雄二・清水「「「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ‼︎」」」」

秀吉「す、すまぬ………戦死してしもうた………」

昂哉・明久・雄二・美穂「「「「秀吉(君)‼︎」」」」

 

 マズい、どんどん不利になっていく…………。なのに一向に奴にダメージを与えられない‼︎

 

 

二年生

    雲雀丘昂哉 4712点

    吉井明久  295点

    坂本雄二  1918点

    木下秀吉  0点

    島田美波  346点

    姫路瑞希  3154点

    玉野美紀  354点

    清水美春  259点

    霧島翔子  5018点

    木下優子  3875点

    佐藤美穂  3312点

     VS

三年生

    高天原大門 12014点

 

 

 

 だが仲間の死を、俺は決して無駄にしない‼︎ルール変更を申し出た男として、最後まで責任を果たす‼︎そしてクラスメイトや大切な人を、守るんだ‼︎

 

昂哉「優子、理系脳を活かしてくれ!」

優子「わ、分かったけど、どうすんの⁉︎」

昂哉「飛行機の弱点は⁉︎」

優子「う〜んと………」

 

 現実世界では、ただ弓や槍を当てたところで、爆撃機の墜落は見込めない。威力が足りないからだ。そもそも高さが足りないことはさておき、仮にもし召喚システムが現実の物理現象を参考にしてるのだとしたら…………現実の知識は、そのまま役に立つはず‼︎

 

優子・美穂「「エンジン‼︎」」

 

 なるほど、そこが弱点か‼︎

 

優子「皆、脇に翼があるじゃない?」

明久「うん。」

優子「アレの下に着いてる丸いやつ、アレに向かって攻撃して‼︎」

明久「なるほど、アレがエンジンか!」

雄二「明久で分かったのなら大丈夫だろう!全員、エンジン目掛けて攻撃だ‼︎」

他全員「「「「「オー‼︎」」」」」

 

 これで狙いは決まった。そして遠距離攻撃の代表格といえば…………

 

玉野「えいっ!」ヒューン

高天原「くそっ‼︎」ドゴーン‼︎

 

 弓矢だ‼︎玉野ならこれが使える‼︎重力の影響も懸念されたが、なんとかギリギリ届く‼︎そして見事エンジンの中に入る‼︎そしていくつも入った結果、奴の爆撃機は故障した‼︎エンジンに鳥が突っ込んで故障するバードストライクの原理‼︎そして見事墜落してきた‼︎

 

雄二「墜落するぞ‼︎」

優子「落ちるまでは周りに近寄らないで‼︎」

美穂「火の手が止んだら一斉攻撃です‼︎」

 

 そして爆撃機の墜落により、高天原の召喚獣は大ダメージを受けた。

 

 

二年生

    雲雀丘昂哉 4712点

    吉井明久  295点

    坂本雄二  1918点

    島田美波  346点

    姫路瑞希  3154点

    清水美春  259点

    玉野美紀  354点

    霧島翔子  5018点

    木下優子  3875点

    佐藤美穂  3312点

     VS

三年生

    高天原大門 10285点

 

 

 さてと、今頃フィードバックで……………

 

高天原「くそっ、墜落させやがって‼︎今に見てろよ‼︎」

 

 ピンピンしてる⁉︎何故⁉︎流石に鉄人でも飛行機が墜落したら死ぬぞ⁉︎更に勘だけど、通常の飛行機に比べて爆撃機は後ろに積んでる爆弾が墜落時爆発するからダメージが大きくなるはず。なのに何故コイツは一切痛みを感じてないんだ⁉︎

 

昂哉「お前人間かよ‼︎爆撃機墜落したのに何も痛くないのか⁉︎」

高天原「は?フィードバックなんて、何も感じないが?というかさっきのもお前らの気のせいだろ?」

昂哉「はぁ?」

 

 どういうことだ?何故高天原にはフィードバックが無い?

 

 それと、もし仮に午後からフィードバックが発生したのなら、今頃竹原絡みの事情を知らない他の生徒が教師に報告して試召戦争を中止にしてるはず。それなのに今続いてるということは…………もしかして、俺たちに()()、フィードバックが与えられてる?

 

 

 

  side 高天原

 

 俺は試験召喚システムをハッキングした際、自分の手元の腕輪で特定の生徒にのみ物理干渉が可能になるようプログラムを書き換えてる。そして雲雀丘たちの姿を見て、そこにいる人だけ物理干渉を可能、つまりフィードバックを与えるようにした。もちろん自分は対象外だ。流石に俺といえども、飛行機墜落の痛みには耐えられる気がしないからな。だがこの改造を、誰も俺がやったと特定出来ないだろう?

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 今は余計なことを考えてる暇はない。だから、墜落時の火災も収まったし、攻撃しに向かいますか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高天原「くそっ!思ったより復帰に時間がかかるな‼︎」

 

 はぁ⁉︎もう爆撃機が復活してるんだけど⁉︎嘘だろ⁉︎地上でコイツにダメージを与えるのは不可能なのかよ⁉︎

 

優子「上に上がる前に攻撃‼︎」

島田・清水・玉野「「「死ねぇぇぇぇぇぇぇ‼︎」」」

高天原「クソが⁉︎」

島田・清水・玉野「「「痛っあ‼︎」」」

 

 島田清水ペアと玉野がなんとか攻撃したものの、高天原に反撃されてしまう。そして双方ともにダメージ。

 

島田「ごめん………後は任せた………」

玉野「お願い………っ!」

清水「ごめんなさい………クラス代表なのに………戦死してしまいました………」

昂哉「たりめえよ‼︎」

明久「必ずアイツをブチ殺してやる‼︎」

雄二「もちろん皆、そのつもりだ‼︎」

 

 3人は戦死、更には清水の戦死によりDクラスが一斉に戦死。だがここで奴らの死は無駄にしない‼︎絶対にコイツを倒すんだ‼︎

 

 

二年生

    雲雀丘昂哉 4712点

    吉井明久  295点

    坂本雄二  1918点

    島田美波  0点

    姫路瑞希  3154点

    清水美春  0点

    玉野美紀  0点

    霧島翔子  5018点

    木下優子  3875点

    佐藤美穂  3312点

     VS

三年生

    高天原大門 9315点

 

 

 

 ただ問題なのは、弓矢使いの玉野が戦死しているということ。それはつまり、遠距離攻撃の出来る武器が存在しないことを意味する。果たしてここから、どう立ち向かうべきか…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高天原「くそっ、なんでテメェが乗ってる⁉︎」

明久「隙を見て乗ったんですよ‼︎」

高天原「ざけんな‼︎」

 

 って明久の召喚獣が爆撃機に乗ってるんだけど⁉︎

 

高天原「くそっ、振り落としてやる‼︎」

明久「そうはさせるか‼︎」

 

 そして高天原の召喚獣による荒い運転にも、振り落とされずに粘ってる‼︎流石は観察処分者、召喚獣の扱いは天下一品だ‼︎

 

雄二「お前ら、今がチャンスだ‼︎明久に構わず攻撃しろ‼︎」

昂哉「明久ごとあの爆撃機を撃ち落とせ‼︎」

明久「ちょっと⁉︎それって普通僕のセリフだよね⁉︎」

昂哉・雄二「「知るか‼︎」」

 

 そして皆でエンジン目掛けて一斉攻撃する。俺たちの中だと、佐藤の投げた鉄球が一番近くまで行ったが、まだ届かない。

 

高天原「ざまあみろ。お前らじゃ俺を倒せないんだよ‼︎」

 

 さて、どうすれば……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明久「くそっ、なら僕がエンジンに入ってやる‼︎」

高天原「はぁ⁉︎お前バカか⁉︎」

昂哉「バカの代名詞である観察処分者を知らないとは………貴方、怠惰ですねぇ?」

高天原「うるさい‼︎」

明久「友達が受けた痛みに比べたら、こんなの余裕なんだよ‼︎」

 

 嘘だろ⁉︎明久の召喚獣がなんと自分からエンジンの中に入ってくれた‼︎フィードバックもあるはずなのに命懸けの行動。これが俺の信じた親友の凄さよ‼︎

 

昂哉「島田、清水、玉野‼︎補習室行く前に明久を保健室に連れてけ‼︎」

島田・玉野「「分かった!」」

清水「美春も手伝いますわ!」

 

 そしていよいよ明久の召喚獣がエンジンの中に入る!

 

明久「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」バタン

島田「大丈夫、アキ⁉︎」

玉野「アキちゃん、私たちに任せて!」

清水「今すぐ運びますから‼︎」

高天原「くそっ、また墜落する⁉︎このバカのせいで‼︎」

島田「うっさいわね、アンタ‼︎」

清水「貴方もたいがいバカです‼︎」

玉野「女装も似合わなそう………」

 

 明久自身はフィードバックによるショックで気絶した。そして召喚獣は戦死。だがしかし、高天原の爆撃機を再び墜落させることが出来た‼︎ありがとう、明久‼︎

 

 

 

二年生

    雲雀丘昂哉 4712点

    吉井明久  0点

    坂本雄二  1918点

    姫路瑞希  3154点

    霧島翔子  5018点

    木下優子  3875点

    佐藤美穂  3312点

     VS

三年生

    高天原大門 7489点

 

 

 

 お前の努力は、絶対に無駄にしない‼︎

 

 

 

 

  side 高天原

 

 二度目の墜落。だが吉井明久の死。もうお前らには、攻撃手段は残ってないのだろう?そんな状態で、俺に勝てるのかな?

 

 断言しよう。お前らは絶対俺に勝てない。何故なら俺は天才だからだ‼︎

*1
清涼祭ラスト、第十五問・文月初夏のローション祭りを参照




 ということで、高天原戦の開幕です!高天原の驚異的なプログラミング・ハッキング能力によりかなり苦戦を強いられています。もう既に美波、明久、玉野、美春、秀吉と5/11が戦死してしまいました。

 ただでさえ点数が高いのに、召喚システムにハッキングして自分に有利な状況を作り上げる高天原の実力。そして、通常攻撃では今後一切ダメージを与えられない状況。これを今後どうしていくのか。それは次回のお楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第九十二問 大技連発大決戦

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 俺は明久たちの犠牲、そして努力を絶対無駄にはしない‼︎

 

 

総合科目

 

二年生

    雲雀丘昂哉 4712点

    坂本雄二  1918点

    姫路瑞希  3154点

    霧島翔子  5018点

    木下優子  3875点

    佐藤美穂  3312点

     VS

三年生

    高天原大門 7489点

 

 

 

 だが現状攻撃手段がこちらにはない。さて、どうするか………

 

高天原「死ねぇ‼︎」ドゴーン!

 

 ってヤバい‼︎アイツの落とした爆弾が避けきれない‼︎

 

昂哉・優子・姫路「「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ‼︎」」」

 

 熱い‼︎めちゃくちゃ熱い‼︎身体がヒリヒリする‼︎上手く召喚獣を操作できねえ‼︎

 

 幸い爆弾を再び落とすには時間がかかるようで、俺たちが悶えている間はただ奴の召喚獣は空を飛んでるだけのようだ。それが隙といえば隙なのだが、攻撃手段がない以上、それを活かせない。さて、どうする?

 

優子「み、皆、ここはアタシに任せて!」

 

 ん?優子、どうしたんだ?

 

昂哉「何か策でも?」

優子「もちろん!ただし一回きりだから、よろしく!」

昂哉「分かった!」

雄二「木下に任せる!」

 

 一回きり?もしやアレか⁉︎優子のは知らないけど、頼んだぞ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「《Devil's Lance》」

 

 やっぱりね!腕輪の力か!一か八かの一度きりの勝負に賭けたわけか!確かに、そうでもしないと届かないもんな!

 

 そして優子の召喚獣が槍を高天原に向かって一突きすると、そこから高速の衝撃波が飛んでいった。それにしてもえげつない、そして理系らしい技だ。さて、当たるかな?

 

高天原「くそが‼︎」ドッガーン!

 

 優子の天高く放った衝撃波は見事、高天原に命中‼︎さて、どのくらい削れる⁉︎

 

 

 

総合科目

 

二年生

    雲雀丘昂哉 3412点

    坂本雄二  1918点

    姫路瑞希  1954点

    霧島翔子  5018点

    木下優子  2975点

    佐藤美穂  3312点

     VS

三年生

    高天原大門 5014点

 

 

 

 よしっ、かなり削れた‼︎これは奴には有効だ‼︎2000点近く削れる‼︎ならば腕輪の力をあと2・3回当てれば倒せるぞ‼︎

 

 ただそれが残ってるのは姫路、霧島、佐藤、そして俺の4人。雄二は元々点数が足りないため使えない。そして俺のは地面からの乱闘などには非常に有効だが、空を飛んでる相手には正直届くか分からない。そうなると残りは3人。一発でも外すと終わりだ‼︎

 

霧島「…次は私がやる!」

雄二「頼んだ、翔子‼︎」

 

 そして次は霧島の番‼︎さて、どんな技が出る⁉︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霧島「…《ファラリスの雄牛》」

 

 よく拷問をしている霧島らしいセレクトだ。墜落から回復し、上昇していく高天原の爆撃機の周りを囲むかのように、牛の形を模した処刑道具が現れる。ちなみにファラリスの雄牛とは昔実際にあった処刑方法の一つで、牛の形をした装置の中に人を入れて処刑する、といったものだ。

 

高天原「クソがぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 そして高天原の爆撃機を包んで処刑を始める。なんて恐ろしい腕輪の力なんだ‼︎

 

雄二「ちょ、お前の腕輪の力怖えよ⁉︎」

霧島「…本当は雄二を閉じ込めたかった///」

雄二「ふざけんな‼︎死んじまうぞ‼︎」

優子「今度昂哉に試してみようかな♪」

昂哉「マジでやめろ。」

姫路「明久君とあの中に入ったら………」

美穂「瑞希さん、それただの心中ですよ………」

 

 正直Fクラスにあってもおかしくない代物。今度異端審問用に買おうかな?

 

 

 

総合科目

 

二年生

    雲雀丘昂哉 3412点

    坂本雄二  1918点

    姫路瑞希  1954点

    霧島翔子  5018点

    木下優子  2975点

    佐藤美穂  3312点

     VS

三年生

    高天原大門 2768点

 

 

 

 そしてだいぶ削れる高天原の点数。

 

姫路「次は私がやります!」

昂哉「任せた!」

 

 そして次は姫路の番だ‼︎

 

 

 

 

  side 姫路

 

 明久君はいつだって、優しく私を助けてくれました。小学校の時だって、振り分け試験の時だって、Bクラス戦のときだって、清涼祭のときだって、お化け屋敷対決の時だって、そして今だって……………私は、そんな明久君に恩返しがしたい‼︎そして、自分の想いを伝えたい‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高天原「絨毯爆撃」

 

 えっ?

 

 

総合科目

 

二年生

    雲雀丘昂哉 1375点

    坂本雄二  314点

    姫路瑞希  0点

    霧島翔子  1381点

    木下優子  965点

    佐藤美穂  991点

     VS

三年生

    高天原大門 2768点

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 くそっ、高天原の腕輪の力か‼︎連続で降り注ぐ爆弾の雨。避けるので精一杯だ‼︎そしてめちゃくちゃ身体が熱い‼︎痛い‼︎

 

姫路「そ、そんな……………」

 

 そして一番攻撃を食らった姫路が腕輪の力を使う前に戦死。自分の全力を出せず、後悔の念で溢れているのを感じる。そりゃそうだ。

 

姫路「どうして………私はいつも………役立たず………なのでしょう………」

高天原「戦死者はとっとと補習室行けよ。」

姫路「はい…………」

 

 コイツのことは1年の頃から見てきた。長年溜め続けた幼馴染みへの想い。それを出さずして終わってしまうと思っている。あんなに努力していたのに。一友人として悔しい。そして俺も長年溜め続けた幼馴染みへの想いがある。それは秀吉に、だ。俺はアイツとずっと一緒に暮らしてきた。アイツの生き様を17年間、とても近くで見てきた。そしてアイツも散ってしまった。それ以外にも明久やムッツリーニなどの生き様をこの一年で見てきた。そして誰よりも大切な人の生き様も、17年間この目で見てきた。そしてずっと世話になってきた。皆が皆他人を思い、でも大事なところは譲らない。そんなかっこよく生きてきた人たちの安寧が、今1人の人間によって壊されようとしている。いや、正確にはずっと壊されてきた。これ以上、奴の横暴は止めなければならない‼︎

 

美穂「瑞希さん、ありがとうございました!」

雄二「お前が俺たちに残してくれた点数は、必ず守り抜く。」

霧島「…瑞希の想いは、絶対に無駄にしない‼︎」

昂哉「姫路、あとは任せろ!」

優子「絶対にアイツを仕留めるから!」

姫路「あ、ありがとう………ございます………っ!」

高天原「ごちゃごちゃうるせえ‼︎とっとと死ねや、無能共‼︎」

 

 姫路を送り出す。そしてここで決める。そのための策を、逃げながら考える‼︎

 

 

 

 

  side 高天原

 

 どいつもこいつも無能だらけだ。皆俺に遠く及ばない。だから俺はコイツらより幸せに生きるべきなんだ。そうする権利を持ってるはずなんだ!コイツらを倒して、俺は必ず幸せを手に入れてみせる‼︎

 

 

 

 

  side 須川

 

 代表同士の戦闘情報が入ってる。両学年共に援軍に駆けつけようと、皆必死で攻防する。いち早く屋上に行くために。屋上で奴らは戦ってる。そこに参入して霧島を守りつつ、敵代表を倒す‼︎

 

 

 

  side 昂哉

 

 万策が尽きたように思えるが、全然そうではない。まずは援軍の到着が考えられるからだ。俺たちは今旧校舎屋上にいる。俺たちの本陣の真上だ。普通に考えたら俺たちの援軍が先に到着するはずだが、なかなか到着しない。恐らくは昼休みのうちに三年生が旧校舎に入ってたのだろう。で、今現在は乱闘状態…………と。

 

 そしてそれまでになんとしても霧島の点数を持たせなきゃいけない………が正直怪しい。ならばここで一気に倒してしまうのがいいだろう。そして残った腕輪の力は佐藤の炎と俺のやつ。そのうち俺のは高度が足りないため、使用できる時間が限られる。だとすると佐藤のを頼るしかないが……………

 

昂哉「佐藤、腕輪の力であそこまで届きそう?」

美穂「微妙ですが………やるしかありません!」

昂哉「なるほどね。」

 

 やはり少し厳しいか…………。でもまだ策はある‼︎召喚獣勝負では相性最悪の2人だが、味方で組むと凄まじい力を発揮する‼︎

 

昂哉「佐藤、…………で!」

美穂「なるほど、分かりました!」

優子・雄二・霧島「「「任せた‼︎」」」

高天原「小細工などやっても無駄だ‼︎」ヒューン

昂哉「そんな貴方にプレゼント♪オラァ‼︎」ビシャッ!

 

 そして俺は天高く酒をぶちまけた。もちろん酒瓶ごと。高天原も負けじと爆弾を落としてきたが、それは最高のチャンスだ‼︎

 

優子「なるほど、ならアタシは………えいっ!」ヒューン

 

 そして優子の槍が俺の酒瓶に命中する。その瞬間、瓶は砕け、酒がぶちまけられる。

 

昂哉「今だ‼︎」

美穂「はいっ‼︎」

 

 そして佐藤が決める‼︎散々悩まされてきたあの技で‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美穂「《燎原の炎》」ドゴーン‼︎

 

 酒と炎と爆弾が入り混じり、それが空中で大爆発を引き起こした。

 

高天原「クソっ‼︎これはマズい‼︎」

雄二「俺たちも巻き込まれないよう、逃げるぞ‼︎」

他4人「「「「了解‼︎」」」」

 

 もちろん威力は絶大で、割と離れていた霧島の召喚獣ら辺まで爆風が吹き荒れた。ここで俺たち、特に霧島が死んでは無意味!なんとかまずは逃げて、それからアイツの点数を確認する‼︎

 

 

 

 そして俺たちは無事逃げ切れた。まあ正確には、

 

昂哉・優子・美穂「「「あっつ‼︎」」」

 

 爆心地に割と近かった3人はちょっと巻き込まれたが。でもこれでかなり削れたはず‼︎さあ、どうなってる…………っ⁉︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総合科目

 

二年生

    雲雀丘昂哉 715点

    坂本雄二  286点

    霧島翔子  1234点

    木下優子  235点

    佐藤美穂  241点

     VS

三年生

    高天原大門 210点

 

 

 

 くそっ、まだ生きてんのかよ‼︎

 

高天原「オラァ‼︎」ヒューン

 

 って最後っ屁で召喚獣自身が爆弾を投げてきやがった⁉︎そんなのも出来んのかよ⁉︎マズい、当たる‼︎

 

昂哉・優子・美穂「「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」」」

 

 熱いなぁ、もう‼︎正直身体はボロボロ‼︎死にそうだ‼︎ヤバすぎてある種のハイになってる‼︎

 

 

 

総合科目

 

二年生

    雲雀丘昂哉 32点

    坂本雄二  286点

    霧島翔子  1234点

    木下優子  0点

    佐藤美穂  0点

     VS

三年生

    高天原大門 210点

 

 

 

 そして優子も死んだ‼︎佐藤も死んだ‼︎だが俺は辛うじて生きてる‼︎そして残るは俺の新しい腕輪の力だけ‼︎奴の爆撃機が復活してない今ならイケる‼︎

 

優子「昂哉、後は頼んだ!」

美穂「任せ………ますっ!」

霧島「…お願い!」

雄二「ちゃんと決めろよ‼︎」

昂哉「もちろん‼︎」

高天原「死ねぇぇぇぇぇぇぇ‼︎」

昂哉「お前がなぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 今はただ、皆に感謝を‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「《領域展開 無量飲酒》」

 

 高天原の召喚獣を包み込むように地面から現れる大きな酒瓶。最後にアイツに見せてやるぞ、俺の新しい腕輪の力を‼︎そして皆の想いを‼︎




 ということで、腕輪の力がガンガン飛び交う派手な戦いになりました。それしかないとはいえ、各自がラスボス相手に最後の賭けで必殺技を連発。バトル作品の最終局面みたいでしたね。

 そして昂哉の新しい腕輪の力がようやく登場です!まだ名前と酒瓶だけですが。果たして、どんな技なのでしょうか⁉︎次回、それの説明と共に、三年生戦のクライマックスを迎えます‼︎お楽しみに‼︎

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第九十三問 バカとクズと召喚獣

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 今はただ、皆に感謝を‼︎

 

昂哉「《領域展開 無量飲酒》」

 

 高天原の召喚獣を包み込むように地面から現れる大きな酒瓶。最後にアイツに見せてやるぞ、俺の新しい腕輪の力を‼︎そして皆の想いを‼︎

 

高天原「なんだ、これは⁉︎」

昂哉「俺の新しい腕輪の力について説明しましょう。『領域展開 無量飲酒』とは、酒で満たされている酒瓶内に対象を閉じ込める攻撃です。中に閉じ込められた召喚獣が内部の酒を飲み干したとき、自動的に瓶が壊れて外に出られるようになっております。内部のアルコール度数は科目単体勝負なら初期点数の1/10%、総合科目勝負なら1/100%となります。召喚獣の操作が瓶の中に隠れてしにくい場合は、今出現したモニターから瓶内部の様子を見ることが出来ます。」

高天原「わざわざ丁寧に説明してくれるとは………俺のこと舐めてんのか⁉︎」

昂哉「いいえ。説明することにより得があるから、あえて説明してるのです。」

高天原「はぁ⁉︎それは一体何なんだ⁉︎」

昂哉「これを説明することにより………内部のアルコールが1.5倍になります。」

高天原「なんだと⁉︎」

 

 酒瓶の中に人間を閉じ込めて、それを全部飲めってやったら、多分大体の人は死ぬと思う。これフィードバックありの教師相手に使ったらとんでもないことになるよね。正直前の腕輪の力に比べてもめちゃくちゃ強力な技だ。瓶の容量的には10人くらい中に入れられるもん。まあ瓶の中に誰も入んなかったら無駄撃ちなんですけどね〜。

 

 まあ、流石にこれで死んでくれたでしょ‼︎頼んだよ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総合科目

 

二年生

    雲雀丘昂哉 32点

    坂本雄二  286点

    霧島翔子  1234点

     VS

三年生

    高天原大門 0点

 

 

 

 よっしゃ‼︎俺たちの勝ちだ‼︎

 

雄二「勝った‼︎勝ったぞ‼︎」

霧島「…嬉しい………っ!」

昂哉「よっしゃあぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

高天原「《リバイバル》」

 

 これで皆を守れた‼︎皆の想いを繋げた‼︎やり遂げた‼︎

 

 

 

総合科目

 

二年生

    雲雀丘昂哉 32点

    坂本雄二  286点

    霧島翔子  1234点

     VS

三年生

    高天原大門 12014点

 

 

 

 えっ?何それ?なんで終わってないの?なんで点数が元に戻ってるの?

 

高天原「いつから自分たちが勝ったつもりでいたんだ?」

雄二「おい‼︎なんで点数が回復してんだよ⁉︎卑怯だぞ‼︎」

昂哉「流石にルール違反でしょ‼︎」

霧島「…何を…………したの⁉︎」

高天原「俺の腕輪の力は『リバイバル』と言ってな。一度点数が0点になった時に、それを最初の点数まで戻す。ただそれだけだ。」

昂哉「え?それじゃあさっきの絨毯爆撃は………?」

高天原「ただの通常攻撃だ。やろうと思えばいくらでも出来た。それを腕輪の力のフリをしただけだ。」

 

 嘘だろ…………。俺たちはずっとこいつの掌の上で転がされてたってわけかよ…………

 

高天原「言っただろう?お前ら如きが勝てるはずもない、と。それを親切に俺は言ってやったのにも関わらず、無駄な抵抗をお前らはしたんだ。全く、馬鹿なもんだな。こんな馬鹿な奴らには、刑務所での生活がお似合いだろう。」

 

 だめだ、流石にもうどうしようも無い。攻撃手段を持たず、望みの少ない援軍到着を待つしかないし、待ったとして霧島の点数が持つとは思えない。それに、腕輪の力が無いと奴には攻撃が当たらないが、それを持ってるのは第二学年でわずか10人程度。うち5人は消費済み、2人は気絶でリタイヤ。残り3人がここに来れる保証も無いし、来たとして当たる技かどうかも分からない。ああ、また昔のニート生活に逆戻りだ。せっかく優子がこの楽しい生活を作ってくれたというのに…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄人「こちらです。」

警官1「高天原大門、貴方を殺人未遂容疑で逮捕します。」

 

 えっ?なんか警官10人と鉄人が入ってきたんだけど?どういうこと?

 

高天原「あ゛⁉︎何で俺なんだよ⁉︎というか誰を殺したというんだ⁉︎」

鉄人「二年Dクラス代表、平賀源二だ。お前なら分かるだろう?」

高天原「そいつを殺したのは清水美春だろ⁉︎別の警官が言ってたはずだぞ⁉︎」

警官1「別の警官………高天原警官なら、先程逮捕されましたよ?」

高天原「は⁉︎なんでだよ⁉︎おかしいだろ⁉︎第一誰が俺と父をハメたんだ⁉︎」

警官1「ハメたのではありません。他ならぬ、平賀源二さんの証言です。」

高天原「はぁ⁉︎アイツ、生きてんのか⁉︎」

警官1「はい。」

 

 良かった、生きてたんだ…………ってヤバい…………ハイになってたから忘れてたけど…………身体………痛いんだった…………意識が………持た………な………い…………

 

 

 

 

  side 平賀

 

 高天原先輩が清水さんに無理矢理刺さらせた後、俺は自分の死を覚悟した。何も言えないまま、クラスメイトが犯人だと仕立て上げられ、そのままあの世へ旅立つ。そうして俺は意識を失った。

 

 

 

 そして次に目を覚ましたのはあの世………かと思いきや、見知らぬ家の中だった。その日のうちに目を覚ましたのかは、正直分からなかった。

 

高天原「コイツはとりあえず清水を犯罪者にしたい時にさっきの場所に戻す。」

高天原父「そしてそれを俺が捜査する……………と。」

高天原「その通りだ。ちなみに意識はあるか?」

高天原父「無かったが………まだ生きている。」

高天原「そうか。なら清水を陥れる時に殺せ。」

高天原父「了解。」

高天原「それじゃあ俺は行ってくる。」

高天原父「行ってらっしゃい。」

 

 中では高天原親子が話していた。これより高天原家に俺はいるのだと分かった。そして子の方が外に出た。どうやら俺は少しは延命できるようだ。ならやるなら、今しかない‼︎友の冤罪を晴らし、奴の横暴を止めるんだ‼︎

 

 そして俺は静かに固定電話に寄り…………

 

平賀「文月学園三年………高天原大門の家に…………救急車と………パトカーを………」

 

 119番をした。正直警察の方は間に合わないと思った。そして後はそばにあった大きな本を震える手で服の中に入れ、そのまま倒れた。防御になると思って入れた。そして後は、病院と高天原先輩の父親以外の警官に任せよう。多分死ぬ確率の方が高いが。そう思いながら、俺は目を閉じた。

 

 

 

 

 

 そして俺は再び目を覚ますと、そこはあの世…………ではなく病院だった。

 

平賀父・母「「源二、目を覚ましたんだね‼︎」」

 

 目を覚ますや否や、両親が喜ぶ姿が見えた。

 

平賀「俺…………生きてるの…………?」

平賀母「もちろん!」

平賀父「生きててくれて、父さん本当に嬉しいぞ!」

 

 どうやら自分は生き残れたみたいだ…………良かった………

 

 

 

 しばらくして、俺は事情聴取をされた。どうやら俺は高天原先輩の父親によって家出したことになってたらしい。最悪だ。殺されたことすら無かったことにされてたのかよ。良かった、死ななくて!そして俺は高天原先輩とその父親の犯行を、事細かに他の警察官に話した。どうやらその警官は高天原先輩の父親よりも立場が上の人が何人かいるようで、話を丸めこまれる危険性は無いと言われた。良かった。死人に口なしだが、逆に生きていれば立派な証拠になる。それを今回学ぶことが出来た。まあこんな思いは二度とごめんだけどね。

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 俺は再び目を覚ますと、

 

優子「昂哉、目を覚ましたんだね!良かった〜♪」

 

 そこは保健室のベッドの上だった。そばには窓があり、グラウンドに人が集まってるのが見える。

 

昂哉「優………子?」

優子「うん!」

昂哉「ありがとう………」

優子「なんでアンタがアタシに感謝するのよ。むしろするのはアタシの方だわ!高天原先輩を倒してくれてありがとう!」

昂哉「いや、俺は倒してないよ………途中で警官が来て中止になったんだ。」

優子「そうなんだ〜。でもそれまでは粘ってくれてたし、とてもカッコよかったよ‼︎」

昂哉「ありがとう…………」

 

 ああ…………本当に優子に助けられてばっかりだな………。多分コイツがいなかったら、今頃もっと高天原の被害は拡大してただろう。

 

 ただ一個気になるのが、

 

昂哉「ねえ、本当に優子は大丈夫だったの?高天原に話しかけられてたでしょ?」

 

 Cクラス戦の帰り際のことだった。コイツは高天原に話しかけられてた。リンネの手紙を見た時から、何かあったんじゃないかって不安で不安で、小山をフった時に一度聞いてみた*1。その時は大丈夫だったのだが、今まではどうなんだろう?最近なかなか会えなかったから、不安で不安で仕方なかった。休み時間の度に無事は確認してたが…………

 

優子「本当に大丈夫だって〜!アンタはアタシのこと心配しなくていいから〜♪」

昂哉「でも気になるでしょ‼︎自分の彼女が酷い目に遭ってないかって………」

優子「大丈夫よ!アタシは少なくとも被害者じゃないから!本当に安心して!」

昂哉「わ、分かった…………」

 

 優子がここまで言うのなら大丈夫………なのかな?まあ高天原も捕まったから、これから何か起こることは無さそうだ。

 

 

 

 それとさっきからなんか笑い声が聞こえるんだが……………

 

昂哉「明久たち、外で聞いてるでしょ?」

明久・雄二・島田・常村・夏川・千華・リンネ・玉野「「「「「「「「やべっ、バレた‼︎」」」」」」」」

姫路・高城「「失敗ですね。」」

清水・小暮「「全く、鋭い人ですわね。」」

久保・霧島「「うん。」」

 

 保健室の窓の外からコイツらがずっと意地汚く笑ってたんだよね。しかもよく分かんないメンツで。

 

昂哉「そんな大人数でいたらバレるわ。ってかなんで先輩達までいるんです?」

高城「雲雀丘君にもこのイベントを見て欲しくてね、つい待機してたんです。」

昂哉「イベント?」

 

 確かにグランドは大量の人で賑わってるけど…………

 

高城「それは、家角亜成による強度試験 〜高天原大門の股間はどれだけ強靭なのか〜、です‼︎」

 

 なんだよそれ⁉︎

 

昂哉「めちゃくちゃ面白そうですね!ちなみにどんな奴です⁉︎」

高城「本研究の目的は、強靭な男とされる高天原大門の股間の強度について、家角亜成大先生が開発した対戦型シャルピー衝撃試験を用いて行うものです。内容としまして、高天原大門vsその他大勢のシャルピー衝撃試験を行い、彼の股間の強度を評価します。」

常村「要するに何発も股間に鉄球をブチ当ててるわけだ。」

夏川「面白いだろ⁉︎」

昂哉「ですね!」

小暮「ちなみに彼はノリノリでやってくれてますわ。」

千華「しかも赤田の金で機材を購入して、YouTube配信やってるわよ。」

 

 1vs300人くらいの綱引きをして、負けた方の股間が死ぬのか‼︎しかもそれをテレビに収録させて高天原の醜態を晒す!めちゃくちゃ面白そうだな‼︎でも…………

 

昂哉「高天原はなんでノリノリなんです?」

 

 アイツがノリノリでやるとは思えないんだよね〜。

 

雄二「それなんだが、秀吉の演技とムッツリーニの映像加工技術により、高天原のノリノリな顔と声を偽造している。」

昂哉「畜生かよ。」

雄二「アイツにとってはブーメランだろ。」

 

 絶対本人ブチ切れながらやってるじゃん。まあ偽造に偽造を重ねたアイツらしい末路だけど。それと、ムッツリーニや秀吉たちが居ないのはそのためか。

 

 

 

 そんな事を思っていると、

 

高城「それと、貴方たち二年生には謝るべきことがあります。」

 

 高城先輩が話題を変えた。

 

昂哉「はい、何でしょう?」

高城「高天原大門という化け物を野放しにして被害を拡大させたのは、私たち三年生の責任です。」

常村「今までアイツの言いなりになるしかなかった俺たちのせいだ。」

昂哉「いや、そんな事は………」

夏川「ある。だから今回の試召戦争は、俺たちの負けにする。」

小暮「立会人は、川村先生*2でいいですよね?」

川村「はい。」

二年全員「「「「「えっ⁉︎」」」」」

 

 嘘だろ⁉︎三年生の降伏宣言って…………何もそこまでする必要は無いだろうに………

 

明久「急にどうしたんです⁉︎」

昂哉「らしくない事を言い始めて‼︎」

雄二「気でも狂ったのか⁉︎」

千華「アンタら全員ぶっ飛ばすわよ?」

昂哉・明久・雄二「「「怖っ‼︎」」」

千華「まあなんていうか、アレを止められなかったからね。」

高城「他のクラスの人もそれでいいそうです。」

二年全員「「「「「そうなんですか…………」」」」」

 

 流石にこのまま教室を貰うのは申し訳ないな。だって勝負ではほぼ負けてたわけだし。だからここはこうするか。

 

昂哉「ならば俺たち二年は三年生の自由登校期間を従来通りに戻します。皆もそれでいい?」

雄二「もちろん。」

明久「こんな事されちゃあね。」

高城「なんと…………ありがとうございます!」

夏川「まさかお前らに気を遣われるとはな。」

常村「これは夢なんじゃないか?」

千華「かもね。」

昂哉「可愛い後輩からの一足早い卒業祝いだと思ってもらえれば!」

 

 これでお互いのための結果となっただろう。三年生もあの汚い教室にほぼ通わなくて済むし。

 

 

 

 ただひとつだけ、高城先輩に聞きたいことがある。

 

昂哉「そういや高城先輩は姫路に何かしたかったんですよね?」

姫路「えっ⁉︎」

千華「言い方がいかがわし過ぎるでしょ。」

明久「そ、そういえば‼︎」

高城「それなんですが…………」

 

 高城先輩は姫路を留学させたがってた。一番の目的は高天原から距離を取らせる事だったが、他にも理由が無いわけではなさそう。もしや何かあるのかな?

 

高城「姫路瑞希嬢が無事なだけでも………もういいかなって思いまして………」

 

 そう言いながらにっこりと笑う高城先輩。いつもの取り繕った笑顔ではなく、本心からの笑顔なのがよく分かった。確かに他に何かあったかもしれないけど*3、本人が満足してるなら大丈夫か!

 

昂哉「なるほど、それは良かったですね!」

明久「本当に良かったです!」

雄二「初めてアンタに共感できたわ。」

姫路「ありがとうございます………っ!」

高城「おおっ、姫路瑞希嬢からのありがたきお言葉………感謝致します‼︎願わくば私とお付き合いをしていただきたく存じますが………」

姫路「すいません、それはお断りします!」

高城「そんなっ‼︎」

 

 秒でフラれてるし。まあ姫路が明久のことを好きなのは変わらないしね。

 

小暮「まあまあ、フラれてしまいましたね。」

高城「はい…………」

夏川「そういや1人フリーな女が居たような………」

常村「えっと、誰だっけな…………」

千華「名前は確か…………」

高城「姫路瑞希‼︎」

夏川・常村・千華「「「違えよ、バカ‼︎」」」

小暮「……………」

 

 どうやら高城先輩自身は小暮先輩に興味は無いようだ。少しくらい見てあげたらいいのに。

 

夏川「まあとにかく、もうすぐ下校時間だからさ、」

常村「皆で高天原のキンタマ蹴ってから、図書館行って受験勉強すっぞ!」

小暮「それはいいですね!」

高城「はい……………」

千華「あっ、アタシ彼氏連れてきていい⁉︎」

久保「ご同行してもよろしいですか、先輩方?」

夏川「邪魔しなきゃ構わねえよ。」

千華・久保「「やった〜♪」」

常村「お前らキャラ変わりすぎだろ………」

 

 それにしても、三年生も三年生で仲良いよな。あんまり仲良くなれそうには見えないのに。もしや高天原という共通敵が居たからこそ、ここまで仲良くなれたのかな?*4

 

高城「ということで皆さん、失礼します‼︎」

久保・小暮「「ではまた!」」

夏川・常村・千華「「「バ〜イ!」」」

他二年「「「「「さようなら〜!」」」」」

 

 そして三年生と久保はシャルピー衝撃試験に向かった。

 

雄二「なんていうか、意外といい奴らだったんだな。」

明久「見直したよ!」

島田「アンタら相変わらず酷いわね………」

姫路「ですね…………」

玉野「もうちょっと褒めてもいいんじゃないかな?」

清水「まあ美春としは、お姉様の貞操と平賀君の命が守られただけでよしとしますわ!」

リンネ「ソレナ‼︎」

清水「まあお姉様の貞操は今から美春が奪いますが‼︎」

島田「ちょっと‼︎それじゃあ意味ないじゃない‼︎」

 

 清水も本来の明るさを取り戻してくれた。リンネも心なしか前より無邪気になった気がする…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

島田「っていつもなら言ってたけど、貞操?はともかく付き合うくらいならいいわ。」

 

 っていや待て⁉︎どういうこと⁉︎島田が清水を認めたんだけど⁉︎

 

清水「えっ…………?」

他全員「「「「「えっ?」」」」」

島田「いや、だからアンタと付き合うってこと。」

清水「お姉様が………美春と………?」

島田「だからそう言ってるじゃない。」

清水「で、でもお姉様はこの吉井明久が………」

明久「えっ、僕⁉︎」

島田「それはいいの。ウチがアンタの想いに応えたくなっただけ。」

姫路「美波ちゃん、そうなのですか………」

清水「お姉様…………っ‼︎」ポロ、ポロ

 

 おお〜。清水が命を賭してでも島田を守ろうとしてたのが、島田の心に響いたわけか〜。

 

昂哉・リンネ「「おめでとう、2人とも!」」

姫路・霧島「「お幸せに!」」

玉野「なんか同人誌書けそう!」

明久「そ、そうだったのか………」

島田・清水「「もちろん!」」

清水「ではお姉様、今からデートに行きましょう〜♪」

島田「その前にアイツ*5をブッ飛ばしてからね!」

清水「もちろん!」

 

 それにしても、幸せなら大丈夫です!

 

島田「それと瑞希、ライバルはもう居ないわよ!」

姫路「えっ⁉︎あっ、ハイ‼︎」

明久「ライバ…………ル?」

 

 そして今度は姫路のターン‼︎

 

明久「えっと………まさか………?」

姫路「やっと気づいてくれましたね。明久君、私は貴方のことが好きです!付き合って下さい!」

明久「えっ………えぇぇぇぇぇ⁉︎」

 

 姫路に告られて、時間差で驚く明久。島田からの好意も、姫路からの好意も、本当に気付いてなかったようだ。

 

明久「ぼぼぼぼぼぼ、ぼぼぼーぼぼーぼぼ、僕の方こそ‼︎」

 

 そして慌てすぎてる明久。片想いだと思ってた相手が両想いだと分かってめちゃくちゃテンパってる。余程嬉しいようだ。

 

姫路「はいっ、こちらこそ、よろしくお願いします!」

明久「よよよよよよ、よろしくお願いします‼︎」

雄二「コイツ大丈夫か?」

霧島「…凄いテンパってる。」

昂哉「まあ初めての恋人だったんじゃない?知らんけど。」

リンネ「メデタイ‼︎メデタイ‼︎」

玉野「アキちゃんと瑞希ちゃんの百合………」

島田「アキ………吉井は女じゃないから。」

清水「そうですわ!」

 

 さらっと呼び方を変える島田とさらっと百合認定する玉野。

 

 

 

 さてと、次は俺の番か〜。やっぱり代表コンビは最後に取っておきたいしね!

 

昂哉「それじゃあ今度は俺から!優子‼︎」

優子「…………あっ、はい!」

昂哉「俺から伝えたいことがあります!」

リンネ「タカヤ、カッコよくキメロ‼︎」

昂哉「もちろん!」

優子「えっと………それより先にアタシが言いたいんだけどさ………」

昂哉「何?」

 

 まあ優子から言うことは決まってるでしょう。後はそれを聞いて、俺が答えるだけ………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「高天原とアタシで、アンタをハメた甲斐があったわ。」ニヤリ

 

 えっ?今なんて言った?そして何故笑う?急にどうしたんだ、優子?

*1
第八十五問参照

*2
保健室の先生

*3
原作通り

*4
その通りです。

*5
高天原




 ということで、高天原戦もとい三年生戦の決着です!最後は平賀の生命力で試召戦争が終わりました。

 それにしても、高天原はめちゃくちゃ強敵でしたね。平賀が生きてなければ負けてました。下手するとあの場に霧島が居なくても、二年の主戦力をたった1人で軒並み潰してたかもしれません。ちなみに彼はシャルピーされた後、すぐに刑務所に送られました。

 そして華々しい最終回…………ではありませんでした。ここにきてヒロインの優子がまさかの豹変するという展開。一体どうなるのでしょうか?それは次回からのお楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第九十四問 悪魔

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 高天原

 

 なんだよこのふざけた装置は⁉︎しかも何故俺は固定されている⁉︎

 

高天原「おい‼︎貴様ら、俺に何をするつもりだ⁉︎」

工藤「いや〜、ちょっとした物理の実験ですよ〜。」

高天原「物理だと⁉︎おい家角、俺を解放しろ‼︎」

家角「生徒の分際でこの大天才物理教師であるこの俺に命令する、と…………これは()()()()()必要があるな。」

高天原「ざけんな‼︎テメェは俺より点数低いだろ‼︎」

美穂「なら教えてくれれませんか、高天原先生?貴方の股間の強度を‼︎」

高天原「はぁ⁉︎ふざけてんのかテメェら⁉︎」

 

 これからコイツらは俺に何をするつもりなんだ⁉︎

 

ムッツリーニ「………その紐、引かないと股間が死ぬぞ。」

高天原「引いて何をするつもりだ⁉︎」

秀吉「綱引きじゃの。負けると股間が死ぬタイプの。」

高天原「なるほどな…………」

 

 綱引きか…………なら俺に勝てる奴は居ないだろう。体罰教師として調子に乗ってる西村でさえ俺の前では赤子も同然だ。全く、コイツらはバカだな‼︎

 

赤田爺「それでは対戦型シャルピー衝撃試験に参加される生徒は全員位置につけい。」

 

 そうして俺の対戦相手……………3・400人くらいが全員まとめて敵の位置についただと⁉︎

 

高天原「ふざけんな‼︎1vs300にするつもりか⁉︎」

家角「何も1vs1とは言ってないよなぁ⁉︎」

高天原「にしてもおかしいだろ‼︎皆して俺を虐めるつもりか⁉︎」

 

 なんて酷い連中なんだ⁉︎世界で一番幸せになるべき俺を虐めようだなんて!コイツらは悪魔か⁉︎

 

工藤「せんぱ〜い、もっと笑って〜♪」

高天原「笑えるわけねえだろ⁉︎バカかお前は⁉︎」

美穂「せっかくYouTubeデビューするのですから、もっと堂々としてて下さい。」

 

 YouTubeデビュー…………だと?

 

高天原「ふざけるな⁉︎俺をいじめてる動画を出して何が面白い⁉︎」

ムッツリーニ「………安心しろ。………俺の手にかかれば怒り顔も笑顔になれる。」

高天原「はぁ、出来るわけねえだろんなこと‼︎」

工藤「ムッツリーニ君はね、映像を加工するのが得意なんですよ〜♪」

 

 はぁ?俺の怒りに満ちた顔を強引に笑顔に加工するのか⁉︎

 

高天原「ふざけんな⁉︎それって捏造じゃねえか‼︎」

赤田爺「御主が今まで散々やってきたじゃろ。」

高天原「俺のは違え‼︎優秀な俺が言った事は絶対真実になるんだよ‼︎そうさせるんだよ‼︎」

 

 例え捏造だとしても、俺だけには許されるべきだ‼︎それなのに何故コイツらは分からない⁉︎バカだからか⁉︎

 

高天原「だいいち見た目は誤魔化せても、声は誤魔化せねえ‼︎」

高天原(CV.秀吉)「それなら心配ねえ‼︎なんせ俺は優秀だからな‼︎怒りの声も歓喜の声に変えることが出来るんだ‼︎」

美穂「秀吉君は演技をするのが得意なのです。」

 

 はぁ?俺の怒りに満ちた叫びを喜びに溢れた叫びに変えるだと?

 

高天原「ふざけんなよ、この捏造連中め‼︎」

赤田爺「秀吉よ、台本はどうするのじゃ?」

秀吉「この撮影を見ながら、ワシがアドリブで決めるぞい。」

ムッツリーニ「………そしてそれを見て俺が顔を調整する。」

赤田爺「分かったのじゃ。」

工藤「よろしく〜!」

美穂「お願いしますね。」

 

 くそっ、俺のこの魂の叫びはバカどもに都合よく書き換えられてしまうのか⁉︎この苦痛をなかったことにされるのか⁉︎

 

高天原「テメェら、離しやがれ‼︎」

家角「それでは、撮影開始‼︎」

赤田爺「了解‼︎」

家角「それでは、実験開始‼︎」 ヒューン

高天原「嫌あぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 この後、俺は数百連発も股間に鉄球をぶつけられ、そのまま刑務所に送られた。しかも試験機には、恐らく力の伝達度合いを変えるような工夫がされていた。くそっ、俺をハメたバカどもめ、覚えてろよ‼︎

 

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 俺が優子にあの事を言おうと心を決めた時に、

 

優子「高天原とアタシで、アンタをハメた甲斐があったわ。」ニヤリ

 

 優子が変な事を言い始めた。なんで………?

 

昂哉「ゆ、優子…………?急にどうしたの………?」

明久「木下さん、何を言ってるんだ君は⁉︎」

優子「あれ、もしかして分からなかった?ならもっかい言おうか?高天原とアタシで………」

昂哉「それは分かった。でもハメたって………」

優子「冤罪で全てを失った元優等生の幼馴染みを恋人として健気に支える。そしてその結果、彼氏が元の優等生に戻って幸せを再び手にするのに一番貢献する。そしてそれを色んな人に讃えられる。これって優等生っぽくない?」

昂哉「えっ…………?」

 

 確かに優子は学校では優等生を演じてきたけど……………

 

優子「だからアタシは高天原と一緒にアンタをハメて、堕ちた元優等生を作り出した。」

 

 嘘…………あれって高天原だけじゃなくて、優子の仕業でもあったの…………?

 

優子「そしてアタシはアンタを元に戻した事を讃えられた。アンタは所詮、アタシが優等生になるための()()()()()だったわけよ。」

 

 そんな…………

 

昂哉「それじゃあ今までのは…………」

優子「もちろん嘘。どう、秀吉顔負けのアタシの演技は?」

 

 そんな…………今までコイツと過ごした日々は………全部嘘だったのか………清涼祭も、如月グランドパークも、大学祭も、プールも、動物公園も、勉強会も、お化け屋敷も、沖縄も、函館も…………全部自分のためだけの、時間だったのか……………

 

昂哉「凄………いよ…………」

明久「木下さん、何をしてくれたんだ‼︎」

姫路「雲雀丘君のこと、なんとも思わないのですか⁉︎」

霧島「…流石に酷い‼︎」

雄二「同感だ。」

清水「美春もです。」

玉野「優子ちゃん………信じてたのに………」

島田「優子、アンタ………ぶっ飛ばすわよ‼︎」

優子「騙される方が悪いんじゃ〜ん♪それじゃあ、優等生のアタシは忙しいので失礼しま〜す♪」

明久・雄二・島田「「「くそっ‼︎」」」

昂哉「ちょ、待って……………」

優子「や・だ♪」

 

 そう言って保健室から出て行く優子。俺以外は窓の外にいるから、捕まえられない。くそっ、なんで優子が………こんな…………

 

 いや、俺に気を遣ってるだけかも知れない。俺が優子と別れる条件は、三年生への勝利により満たしていた。だから優子は俺が別れやすいよう、敢えて皆の前で嫌われ役を買って出た。じゃないと皆の前でわざわざ評価が下がるような事を言うはずがない!奴は自分よりも他人を優先するタイプだ‼︎例え、自分が犠牲になったとしても…………と信じたい…………

 

 とにかく、まずはもっと優子と話がしたい。アイツは俺が身体が痛くて動けないと思ってるだろう。でも、そんなの知ったことか‼︎絶対に捕まえてやる‼︎

 

明久「皆、木下さんを捕まえるよ‼︎」

雄二「もちろん………」

昂哉「いや、俺が行くよ。」

姫路「雲雀丘君?だ、大丈夫なのですか?」

明久「無理しなくても………」

昂哉「大丈夫。それに、俺は優子を信じてるから。」

雄二「お前がそれならいいが………」

島田「本当に無理はしないでね。」

昂哉「ああ。」

 

 こうして俺は保健室の扉を開け、廊下に出た。すると、全力で右に走る優子の姿を見た。待ってろよ、優子‼︎今必ず追いついてやるから‼︎

 

 

 

 

 そうして俺は優子の後を追った。あっちはばあさんの部屋がある。あの部屋に何の…………って窓から外に出ようとしてる‼︎あの高さは俺の運動神経じゃ出られない…………ってためらってる場合か‼︎今こそ火事場の馬鹿力、使うべき‼︎例え身体がボロボロになったとしても、アイツに絶対追いつくんだ‼︎

 

 

 さて、なんとか窓から外に出られた‼︎そしてアイツは今裏口に向かっている‼︎ならそっちに向かえ‼︎

 

昂哉「くっ…………‼︎」

 

 靴を履かずに全力疾走してるから、足が痛い‼︎でも知ったことか‼︎絶対にアイツを捕らえるんだ‼︎さて、今度はどこへ向かう…………って学校の裏山⁉︎あそこは車では入れない‼︎良かった、車を使ってなくて‼︎さあ、追うんだ、追いつくんだ‼︎幸いあっちは俺に気づいていない‼︎だから逃げる進路も、単純なものとなる‼︎

 

 

 

 

 そうして俺はしばらく山を走って優子を追いかけ回した。流石に足がキツい…………でも見逃さない、この絶好のチャンスを‼︎

 

 そうして俺は走り続け、なんとか優子の視界を捉えることが出来た。そしてやってきた裏山の頂上には、木で囲まれた中にポツンと芝生のスペースがあって、その上にベンチが置いてあった。一方向だけは見開けて崖になっており、安全柵の先には学校などの街並みが見える。そこで優子は、

 

優子「…………」キョロ、キョロ

 

 辺りを見渡し始めた。ちょっとだけバレるのが怖くなって、思わず俺は木の中に隠れてしまった。荒れる息も手で無理矢理口を塞いで聞こえなくした。アイツはそれに気づかず辺りを見渡し続けている。もしや誰かを待っているのか?脱獄した高天原か?とりあえずしばらくは様子見しよう。

 

 

 

 

 しばらくして、優子は辺りを見るのをやめて、ベンチに座った。ベンチは崖方向に向かって設置されており、座ると絶景が見えるようになっている。俺はそれを後ろから見ているため、優子が見ている方向とは反対方向にいることになる。近づくなら今だ‼︎

 

 そして俺は物音を立てないようにこっそりと優子に近づくと………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「ぐすっ、ひぐっ………」ポロ、ポロ

 

 優子は泣き始めた。

 

 

 

 

  side 優子

 

 これで終わり…………これで昂哉との関係も終わり………計画は無事成功したはずなのに、涙が止まらない…………アタシに泣く権利なんて、これっぽっちも無いはずなのに……………昂哉の人生をぶち壊した張本人であるアタシに、別れを惜しむ権利なんて無いはずなのに………

 

 

 

 

 小4の時のファンクラブの人からの暴行未遂事件以降*1、下校時間にはアタシの小学校に昂哉が来てくれるようになった。アタシはそれが嬉しくて、毎回下校時間を楽しみに学校生活を送っていた。

 

 そしてアタシが小6、昂哉が中3の時だった。アタシはいつものように昂哉が来るのを学校の正門で待っていると、

 

高天原「なあお前、雲雀丘昂哉を知ってるか?」

 

 昂哉と同じ中学の人に話しかけられた。

 

優子「はいっ、そうです!」

高天原「なら俺について来い。2人で話がしたい。」

優子「すいません、昂哉お兄ちゃんとの約束があるので、行けません‼︎」

高天原「いいや、アイツが来るまでの間だけでいい。」

 

 アタシはそれが高天原大門だとも知らずに、子供らしく無邪気に返事をしていた。そんなアタシに高天原は少しの時間でも2人で話そうとした。アタシはこの日昂哉がちょっとだけ遅くなるのを知ってたので、

 

優子「なるほど!なら分かりました‼︎大丈夫です!」

高天原「そうか。ならついて来い。」

優子「はい‼︎」

 

 彼について行く事にした。これが全ての間違いだった。

 

 

 

 アタシたちが路地裏に着くや、

 

高天原「…………」ドン!

優子「ひいっ⁉︎」

 

 高天原はコンクリートの塊を殴って粉々にした。あまりにも突然だったので、アタシはびっくりしてしまった。そして、彼の強さが恐ろしくなってしまった。そして次の瞬間、

 

高天原「お前はしばらく俺の言う事を聞け。でないと雲雀丘昂哉の人生がめちゃくちゃになるぞ。」

優子「あ…………あ…………」

高天原「ちなみにこれを他の人に言っても同じだ。」

 

 アタシは胸ぐらを掴まれながら、高天原に脅された。本当に怖かった。おしっこを漏らしそうになるくらい、本当に怖かった。膝もガクガク震えていた。でもそれ以上に、アタシの大好きな昂哉の人生が壊されるのが嫌だった。あの人の辛い顔を想像するだけで、胸が苦しくなった。アタシはどうなったっていいから、昂哉だけは幸せでいて欲しい。だからアタシは、

 

優子「分かり…………ました…………。アタシは貴方の………言う事を聞きます………。だから、だから昂哉お兄ちゃんだけは‼︎」

高天原「そうか。それでいい。」

 

 こうしてアタシは高天原の言う事を聞いた。それは単純で、ただのカメラで撮られながらの彼の性欲処理だった。アタシはこの男に初めてを捧げるのが嫌で嫌で仕方がなかったけど、それが昂哉のためになるのならやるしか無かった。むしろそれだけで済むのならいいと思っていた。

 

 

 

 強姦された日*2からしばらく経ったある日、

 

優子ママ「優子、知ってる、昂哉君のこと?最近一緒に帰れてないよね?」

 

 ママから昂哉の事を聞かれた。この頃から昂哉は高校受験があるからという理由で、しばらく一緒に帰ってなかった。窓越しに昂哉の部屋が見れたものの、そこにはカーテンがずっとかかっていて、中は見えなかった。だからアタシは昂哉の近況が分からなかったので、

 

優子「知らないけど…………」

 

 こう答えた。するとママは、信じられない言葉を返した。

 

優子ママ「あの子ね、悪い事をやって不登校にさせられてるの。」

 

 誰にも優しかった昂哉が悪い事をしたという事実。アタシにもあんなに優しくしてくれたのに。それがアタシは信じられなかった。

 

優子「嘘だ‼︎昂哉お兄ちゃんはそんな事しない‼︎」

優子ママ「もちろんママも、それからおじちゃんおばちゃんたちもそう思ってるよ。でもね、しばらく学校には行けないんだって。」

優子「やだやだやだやだ‼︎昂哉お兄ちゃんと会いたい‼︎昂哉お兄ちゃんを助けたい‼︎」

優子ママ「それが出来たらいいんだけどね………警察の人からも会わないようにって言われてるの。」

優子「そんなぁぁぁぁぁ‼︎うわ〜ん‼︎」

 

 こうしてアタシはずっと泣きじゃくっていた。しばらく学校に行ってもずっと落ち込んでた。四六時中泣いてた。

 

 

 

 

 そしてある日の下校時間、

 

高天原「よう。ちょっとこっちに来い。」

 

 アタシはまた高天原に話しかけられた。

 

優子「はい……………」

 

 そしてアタシは前と同じように路地裏に行った。そしてそこに着いたとき、

 

高天原「そういえば、雲雀丘昂哉は強姦して謹慎処分になったらしいなぁ⁉︎」

優子「ごうかん?きんしんしょぶん?」

高天原「強姦とは、無理矢理いやらしいことをする、と言う事だ。それと謹慎処分とは、悪い事をして学校に来るなと言われる事だ。」

優子「そう、ですか…………それなら、そうですね…………」

 

 高天原は昂哉の事を話し始めた。同じ中学だから知っててもおかしくはない。そう思った時、

 

高天原「全く、無様だよな〜、アイツは。ただでさえ無能なのに、罪まで犯すだなんて!」ニヤリ

 

 高天原がニヤリと笑いながら昂哉をバカにした。そしてその時なんとなく分かった。今までやってきた事。それは、アタシを利用して昂哉を悪者にしたと言う事。これに気づいた時、自然とアタシの口から怒りの言葉が飛び出ていた。

 

優子「酷い、酷いよ‼︎昂哉お兄ちゃんだけは助けてくれるって約束したのに‼︎」

高天原「酷い?心外だなぁ⁉︎」

優子「なんで約束を破ったの⁉︎ねえ、なんで⁉︎」

高天原「バカだなぁ、お前は。全く、本当にバカな子供だ‼︎」

優子「うるさい‼︎バカはお前だ‼︎」

高天原「俺は確かに、言う事を聞かなければ雲雀丘昂哉の人生がめちゃくちゃになるとは言った。」

優子「そうだそうだ‼︎」

 

 そんなアタシに対して、高天原は信じられない事を言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高天原「でも言う事を聞いたから奴が助かるとは、一言も言ってないよなぁ?」

優子「えっ……………?」

 

 言葉の裏を突く、衝撃の一言。それがアタシには突き刺さった。

 

高天原「それをお前は勝手に勘違いして俺の言う事を聞いた。」

優子「う………そ………」

高天原「あの時お前は言う事を聞かずに俺を力でねじ伏せていれば、雲雀丘は助かったんじゃないのか?あの時俺から上手く逃げ切れれば、雲雀丘は助かったんじゃないのか⁉︎あの時もっと上手くやれてれば、こんな目に遭わずに済んだんじゃないのか⁉︎」

優子「そ………ん…………な…………」

高天原「雲雀丘昂哉の人生を壊したのは誰だ⁉︎他ならぬお前自身だろ⁉︎

 

 大好きなあの人の人生。それを守るどころか、自分でぶち壊していた。アタシがあの時別の行動を取っていたら、昂哉はこんな目に遭わずに済んだ。アタシが間違えたから、昂哉の人生は崩壊した。自分のした事に対する罪悪感で、胸がいっぱいになった。

 

優子「うわわわわわぁ‼︎ごめんなさい‼︎ごめんなさい‼︎ごめんなさい‼︎」

高天原「謝る人が違うだろう?まあ謝ったところで、奴の人生は元に戻らないけどな♪」

 

 謝っただけでは済まない。一度壊したものは、きちんと直さなければいけない。でももしここで今昂哉に謝ったら、それこそ昂哉の人生は壊れたままだ。アタシの言うことなんて聞いてくれなくなるだろう。だからアタシは昂哉が元に戻れるように助けなきゃいけない。そして助け終わった後で、罪を懺悔しなければいけない。アタシは彼にとっての悪魔になってしまったのだから。

 

 

 

 その日から、昂哉を元に戻そうと頑張った。そのためにも、まずは自分が昂哉みたいな優等生になる必要があった。それと、次に高天原が邪魔してきた時のために、身体を鍛える必要があった。こうしてアタシは学校では優等生を演じ、その裏で段々と自分の力が強くなっていった。

 

 でも昂哉にはなかなか会えなかった。それから一年後に繁華街でようやく会えたが、

 

優子「た、昂哉お兄ちゃん………久しぶり………」

昂哉「おっ、優子じゃん!久しぶり〜♪」

優子「こ、高校はどうなの…………?」

昂哉「高校?そんなのどこも受けてないよ。だって学校行くのめんどくさいし。学校なんか行ったら、こうして毎日遊べなくなっちゃうじゃん♪」

優子「ちょ、ちょっと!行かなきゃだめだよ!なんで受けなかったの⁉︎」

昂哉「だって、高校は義務教育じゃないもん♪だったら行かなくていいよね〜。」

優子「で、でも!」

昂哉「何を言っても無駄無駄〜♪」

 

 何を言っても昂哉は自分の意志を曲げなかった。その後も何回か会ったが、何を言っても聞き入れてくれない。加害者の戯言に被害者が従う権利なんて無い。そんな事は分かってたけど、どうしても元の幸せを味わって欲しかった。だからそれから二年後のある日、昂哉が学校に通ってない事をおじさんたち*3に報告した。もちろん、

 

昂哉「ちょっと優子、何してくれてんのさ⁉︎」

 

 昂哉にはその後で文句を言われた。でもアタシは貴方に幸せになって欲しい。そのためにはなんとか言う事を聞いて欲しい。

 

優子「ニートを躾けるのは、当然でしょ?」ぐぎぎぎぎ

昂哉「痛、痛いよ優子‼︎腕が潰れる‼︎」

優子「こうなりたくなかったら、ちゃんと言う事を聞く事。いい?」

昂哉「は、はい…………」

 

 だからアタシは強くなった力を使った。体罰を使った。というかそれしか思いつかなかった。アタシがバカで愚かだから。もちろんこんな事をしたら嫌われるのは知ってた。でもそんなの人生をぶっ壊したことを言えばどのみち嫌われる。というか嫌われて当然。だってアタシは、貴方にとっての悪魔なのだから。

 

 

 

 こうしてアタシは脅迫を利用して昂哉の不真面目になった部分を戻す事をした。二年になってからは恋人という立場に無理矢理なって。昂哉が悪い事をしたら、躾けて元に戻す。悪魔らしい、最低最悪の愛情だ。

 

 ただ昂哉に負担が行きすぎてもいけない。だからアタシは躾けるときだけ関わるようにした。自分からはデートに誘わない。手を繋ぐなどの恋人らしい事も自分からはしない。もし本当にしたくなったら、それは悪い事をした時の罰として行う。それを何も知らない秀吉や瑞希とかは、

 

秀吉「姉上、恋人に遠慮し過ぎじゃろ。」

姫路「そうですよ!もっと雲雀丘君とくっついていいんですよ!」

優子「いいよ、アタシは別に!これで満足だから!」

 

 遠慮気味と言ってた。でもこれで本当に満足、むしろ傲慢な方だった。

 

 

 

 

 昂哉は予想通り、最初はちゃんと嫌がってくれた。被害者が加害者に向けるべき対応を、知らずとも当然のようにしてくれた。でも段々、昂哉はアタシに気を遣い始めちゃった。やっぱり昂哉は昂哉だ。優しいままだ。アタシはそういう安心感を得ると共に、勘違いを抱かせないように、

 

優子「ふぅ〜、お腹いっぱい♪」

昂哉「なのにあっという間に食べ終わった!」

優子「不思議だよね〜。これが美味しさの証って事かな?」

昂哉「まあ、俺はいつもそうだけど♪」

優子「えっ………?///」

昂哉「それじゃあ会計お願いしま〜す♪」

山奥「はいよ!」

優子「あの、その、いつもって………///」

昂哉「言った通りだよ。いつも作ってくれてありがとね!」

優子「ど、どういたしまして………///」

昂哉「さてと、それじゃあ次の場所に行くぞ〜!」

優子「う、うん!///………まあ、褒めてもいじめるのはやめません♪」

昂哉「クソが‼︎」

 

 時々嫌われるような事を言った。それなのに、昂哉は優しいからアタシに気を遣って、好きになってきたかも、とか言ってくれた。その言葉にこっちがますます好きになってった。

 

 でも所詮アタシは加害者で悪魔。だから全てが終わったら、自分の罪を皆の前で打ち明ける。そして昂哉を解放する。それが作戦の締めだった。アタシはこの功績を利用した優等生のフリをし、留学する。もしくは高天原に自白され、刑務所にぶち込まれる。そうして昂哉と自然と距離を取る。そしてそれは上手くいった。高天原は敗れ、昂哉の冤罪も晴れる流れになった。アタシもきっと留学先か刑務所に行くだろう。

 

 だからアタシは本来喜ぶべきはずなのに、全てを言い終わった時、自然と涙が出てきそうになった。もっと一緒に居たいという傲慢な想いが、口から溢れ出そうになった。だからすぐに走って逃げた。もし昂哉に泣いてるところなんか見られたら、また気を遣わせてしまう。彼にはアタシが悪魔という事実だけ知っていて欲しい。

 

優子「ごめん………なさい…………昂哉…………」

 

 そしてアタシか居ない世界で、幸せになって欲しい。

*1
第二十問参照

*2
脅された日とは別の日

*3
昂哉の両親




 ということで、今まで伏せられていた優子の気持ちや行動原理が明らかになりました。子供は何か悪い事があると全て自分のせいにしてしまう。優子もずっと自分のせいで昂哉が闇堕ちしたと思って過ごしてきたのです。優子の性格が原作とちょっと違くない、と今まで思ってきた方もいるとは思いますが、その理由は全てこれです。

 さて、優子が泣いてるの聞いた昂哉はどうするでしょうか?それは次回のお楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第九十五問 クズの恩返し

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 優子はベンチに座った後、

 

優子「ごめん………なさい…………昂哉…………」ポロ、ポロ

 

 泣き始めた。やっぱりそうだよな。俺と別れやすいように気を遣ってくれたんだよな。自分を犠牲にしてでも。だったらやるべきことは一つだ。

 

 そして俺は優子に近づいて声をかけた。

 

昂哉「謝る必要は無いよ、優子。」

優子「へっ?た、昂哉⁉︎」

 

 俺に気付き、急いで涙を拭く優子。俺に涙を見せなくないのも、自分が嫌われ役を演じる上での気遣いだろう。

 

優子「な、何よ⁉︎まさか負け惜しみでも言いに来たわけ⁉︎」

 

 泣いた後を思わせる真っ赤な目で精一杯強がる優子。本当に、お前は優しいよ。

 

昂哉「違うよ。」

優子「嘘ね‼︎」

昂哉「違うって。だからちょっと話を聞いてくれる?」

優子「嫌ですぅ〜!優等生のアタシはそんなに暇じゃないんで!」

昂哉「暇ならこんなとこで1人泣いてないよね。」

優子「そ、そういう仕事なの‼︎」

昂哉「なら続ければ良くない?」

優子「邪魔者が入っちゃダメなの‼︎」

昂哉「そう。それじゃあもう仕事は出来ないから、俺と話をしようか!」

優子「嫌‼︎」

昂哉「なら無理矢理話す!」

 

 多少強引かもしれないけど、お礼を伝えるにはこれが一番だからね。

 

 

 

 

  side 優子

 

 昂哉に泣いてるところを見られた…………謝ってるところを見られた………最悪だ、このままではまた気を遣わせてしまう…………

 

 そういえば、アタシは昂哉をハメたとしか言ってない。過去のこと、その詳細は全然言ってない。だったらここで全部言えばいいじゃない!昂哉のため、って部分だけを抜いて。そうすれば、流石に気を遣わなくなるはず‼︎

 

優子「アンタはまだ分かってないようだから言うけど、アタシの過去はね、かくかくしかじか…………だったの。分かる?アンタが気を遣う必要なんてないの。被害者のアンタが、加害者のアタシに気を遣う必要なんか無いの‼︎」

昂哉「えっ………………?」

優子「アンタはアタシのこと、本当は嫌いなはず。それを気遣いで隠してるだけ。それに、それだけのことをアタシはしてきたんだもん!」

昂哉「………………」

優子「そのアタシがこう言うんだからさ、アンタはアタシと別れればいいじゃない⁉︎そしたらガミガミ怒って虐めてくる相手も居なくなる‼︎自分の予定や自由を拘束してくる相手も居なくなる‼︎自分が嫌いな人と、わざわざ一緒に居なくて済む‼︎他の気になったこ子にアタックすることも出来る‼︎どう、メリットしかないでしょ⁉︎」

 

 自分の悪魔っぷりを話した。別れたことによるメリットも話した。流石にここまでやれば、昂哉も分かってくれるはず‼︎

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 なんだよ…………なんだよそれ……………どう考えても優子は悪くないじゃないか…………。それなのにコイツは優しいから、ずっと俺に後ろめたさを感じて生きてきて……………。それでいて、どう考えても俺のために生きてきて…………。ずっと辛い思いをしてたのに、それでも俺のために頑張って行動して…………それだけ頑張ったのに、自分は全部失うなんて…………そんなの、あまりにも報われないじゃないか…………っ‼︎それなのに、罪悪感からかそれを当然のように思っているだなんて…………なんで俺は気付かなかったんだろう…………ずっと優子の隣に居ながら…………。

 

 思えば彼女の行動はずっとおかしかった。恋人になったのにデートの約束を積極的にしてこないし、2人で写真を撮っても俺に一緒のトプ画にするよう強要してこない。悪いからと俺の隣に立つのを遠慮するし、自分は弁当を毎日作ってくれるのに、俺にお返しを求めたりもしない。せっかく俺が好きになるムードになったのに、それを自分の失言でぶち壊していた。どう考えても普通の恋人がすることじゃない。気付くところはいっぱいあった。それなのに、優子の優しさに甘えて、ずっと放ったらかしにしていた。優子からの無償の愛にずっと甘え続けていた。自分は優子に何かしたわけでもないのに……………。これはもうやるしかない。俺が絶対に、優子を救い出すんだ‼︎

 

昂哉「ごめん優子、お前と別れることにはデメリットしかないよ。メリットなんて何もない。」

 

 

 

 

  side 優子

 

 なんで………ここまで言ったのに………どうして貴方はいつも、アタシに気を遣ってくれるの…………?こんなアタシに…………。早くアタシの呪縛から解き放ってあげたい………っ‼︎

 

優子「はぁ⁉︎アンタはまだアタシに気を遣い続ける気⁉︎」

昂哉「気なんか遣ってないよ。俺がそんな人に見える?」

優子「見える‼︎というかアンタ自身が気付いてないだけ‼︎」

昂哉「気付いてるさ、自分の感情くらい。」

優子「もし仮にアンタがアタシのことを好きだと思ってるなら、それは勘違い‼︎単なるアタシへの気遣い‼︎函館山でも言ったでしょ⁉︎」

昂哉「違う‼︎自分の感情くらい、自分で分かるっつーの‼︎」

 

 ダメだ、このまま話してても昂哉は気を遣い続けちゃう‼︎だったら物理的に離れる‼︎運動神経では、アタシの方が上‼︎

 

優子「とにかく、アンタなんかと話す気なんて無いから‼︎」

昂哉「ちょ、待てよ‼︎」

 

 こうしてアタシは一目散に逃げ出した。

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 くそっ、優子に逃げられた………っ‼︎ただでさえ運動神経は負けるのに、加えて俺は急いできたから靴無し。全然追いつけない…………もうアイツの姿を見失っちまった…………。加えて足が全然動かない…………くそっ、なんで俺はこうなんだ⁉︎俺はこうも無能なんだ⁉︎

 

 優子が話を拒む以上、俺の想いを伝えるのは中々難しい。考えろ、どうすればいい?どうすればアイツを救い出せる?俺は運動面では勝てない。でも勉強面なら勝て…………いや、理数系は無理だ。なら何をすればいい?文系科目で勝負?いや、それはあっちが強引に拒んでくるはず。ならば理数系を頑張るしかないが…………。とにかく、勝負事には相手が勝てる機会も作らなければならない。今まで麻雀やパチスロで学んできたことだ。だからやるとしたら…………これしかない‼︎相手にも有利そうな条件をふっかけて、どっちが勝てるか分からなくする!そしてそこで決める‼︎今まで麻雀やパチスロで散々やってきたことじゃないか‼︎

 

 

 

 

 翌日俺は登校すると、真っ先に雄二の元へ行った。

 

昂哉「おはよう、雄二!」

雄二「おはよう、昂哉…………って昨日は大丈夫だったのか?」

昂哉「まあ大丈夫さ!」

雄二「ならいいが………」

 

 ちなみに三年生戦の戦後処理の影響で、俺たちは元三年A教室にいる。高天原との戦いに大人数参加していた功績を認められたからだ。

 

昂哉「それより霧島には告ったの?」

雄二「昨日のあの雰囲気で出来るわけないだろ。」

 

 なるほど…………ならちょうどいい‼︎

 

昂哉「よし分かった。ならば俺はお前に、最高の告白の場を提供する‼︎」

雄二「………話を聞かせろ。」

 

 よし、まず雄二は乗ってくれた。

 

明久「ねえ昂哉、面白そうな雰囲気がするんだけど?」

島田「なんか考えてるみたいね。」

姫路「私たちでよければ、協力しますよ?」

ムッツリーニ「………俺も。」

秀吉「姉上があんなじゃから心配しとったのじゃが…………大丈夫そうじゃな。」

 

 他の皆も協力してくれる‼︎これはいいぞ‼︎

 

昂哉「皆、ありがとう‼︎」

雄二「よし、そうと決まれば話を聞かせろ。」

昂哉「それじゃあ、皆に話すね!」

 

 そうして俺は自分の考えを打ち明けた。

 

 

 

 その日の昼休み、俺たちは二年Aクラスの教室に行った。

 

昂哉「おはようございます、Aクラスの皆様‼︎」

優子「はぁ⁉︎な、なんで来たのよ⁉︎」

 

 優子は俺に気付いてめちゃくちゃびっくりしてる。そしてどうやら昨日の影響で、いつもは周りにいるはずの霧島たちは優子とは距離を取っている。皆から嫌われるのも承知でやってたのか。その優しさに、より自分の意思が固まる。さあ、今こそ言うべき時だ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「俺たちと試召戦争をしましょ〜う♪」

Aクラス全員「「「「「はぁ⁉︎」」」」」

 

 設備が同じクラス同士の試召戦争。驚かないはずがない。

 

優子「何言ってるのよ昂哉⁉︎そんなの却下、却下よ‼︎」

昂哉「上位クラスは断れないんじゃなかったっけ?」

優子「今は設備が同じだから同格扱いなのよ‼︎だから断れるわ‼︎」

 

 もちろんそれは知ってる。知ってる上でカマをかけた。そしてもちろん優子も知ってた。そして断られた。だがこれだけじゃないことを説明してやる‼︎まずはクラス連中の心を惹くのが先だ‼︎

 

昂哉「ちなみに賭けるのは教室じゃなくて、先生方から貰えるお菓子ね‼︎」

優子以外「「「「「なんだと⁉︎」」」」」

鉄人「ちなみにお菓子をあげるのは、この俺と、」

高橋「私と、」

家角「世界的天才物理学教師の、この俺だ。」

 

 勝てばお菓子が貰え、負けても特に何もない勝負。ちなみに先生方には同行してもらいました。

 

Aクラスの人1「それならやりてぇ!」

Aクラスの人2「しかも先生方からのお菓子‼︎」

Aクラスの人3「ハーゲンダッツとか欲しいな〜♪」

Aクラスの人1「いやいや、今は冬だろ。」

Aクラスの人3「冬に暖房の効いた部屋で食うアイスがどれだけ美味いか、お前は知らないのか⁉︎」

 

 クラスの雰囲気が開戦に向かっている。これで断りにくい雰囲気を作るのだ!ちなみに鉄人と高橋主任には、

 

昂哉「本来やるはずだった試召戦争の代わりをやりたいです。それで俺たちの集大成を見せたいと思ってます。だけど教室は賭けられない。だから代わりに勝ったクラスにお菓子を奢って欲しいです。その代わりに最高の勝負を提供しますから‼︎」

 

 と苦し紛れに説得したら、

 

鉄人「まあ、生徒の努力を教師が無駄にする権利は無いわな。」

高橋「乗りましょう、その話。」

昂哉「本当ですか⁉︎」

鉄人「ああ。」

高橋「はい。」

昂哉「ありがとうございます‼︎」

 

 あっさりと認めてくれた。この2人は本当に最高の教師だ。

 

 そしてケツ先生は、

 

昂哉「先生、かくかくしかじかで試召戦争をやるんですけど………」

家角「どうしてそれを俺に言う必要があるんだ?」

昂哉「貴方様が我々のような未熟な子供にお菓子を下さりますと、貴方様の寛大な心を世に広げることが出来ます。」

家角「それならいいだろう。」

昂哉「ありがとうございます‼︎」

 

 思った通りチョロかった。

 

 

 

 というわけで、まずはクラスの人の心を掴むことに成功した。もちろんFクラスの他の皆も同じ手段で既に攻略済みだ。

 

優子「お菓子って言われても…………」

霧島「…クラスの皆が望むなら、やる。」

優子「代表、そう簡単に引き受けないで‼︎」

霧島「…優子、静かに。」

優子「でも………っ!」

 

 次は優子を勝負の舞台に乗せる番だ。今のままでは絶対に拒むだろう。だがしかし、ここで自分に有利な条件を提示されたのなら、どうなるかな?

 

昂哉「優子、お前の野望を叶えるのに有利な条件を提案してあげるよ。相手にもチャンスがなきゃ勝負事としてはダメだからね。」

優子「…………話なら聞くわ。」

昂哉「具体的な勝負方法は4月の時と同じ、一騎討ちを5回やる。そして勝った方が負けた方の言うことを聞く。」

優子「…………それだけ?」

昂哉「次に科目選択権についてだけど、俺たちは同格扱いなので、5回のうち4回についてはそれぞれ2回ずつ各クラスに選択権が与えられる。」

優子「残り1回は?」

昂哉「俺と優子の勝負。但し科目選択権はお前にやる。」

 

 科目選択権の譲渡。これが優子を勝負に乗らせるための作戦。自分の得意科目がある奴にとって、この話はむしろ望むところだろう?

 

優子「……………いいわ。」

 

 やっぱり‼︎

 

霧島「…代表からも承認する。」

雄二「それでいい。」

昂哉「よっしゃ‼︎それじゃあ一週間後の12月9日水曜日の13:00、場所はこの教室で‼︎皆さん、よろしくお願いしま〜す‼︎」

優子以外Aクラス「「「「「よろしく〜‼︎」」」」」

 

 こうして俺の作戦は無事成功した。そして俺は優子たちの教室を去り、自分たちの教室へと戻った。

 

 

 

 

  side 優子

 

 絶対に昂哉をアタシから解放する。昂哉自身の幸せのために。そのためには、この試召戦争で必ず勝つ‼︎

 

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 自分たちの教室に戻るなり、俺は雄二たちに話しかけられた。

 

雄二「良かったな、昂哉。」

昂哉「うん!」

 

 まあ何はともあれ、第一関門は突破した。後は最終関門を突破するだけだ!

 

秀吉「でも良いのかのぅ?姉上はああした以上、絶対自分の得意科目でくるぞい。」

昂哉「それは分かってる。だから今から一週間、死ぬ気で勉強するのさ!」

 

 正直点数では勝てないかもしれない。でも召喚獣操作勝負に持ち込めるくらいには、点数を伸ばす事は出来る。いや、やる‼︎

 

島田「雲雀丘らしくないセリフね。」

明久「分かる!」

昂哉「お前が言うな。」

姫路「でも、好きな人のために頑張るって素敵ですよね♪」

昂哉「優子が今まで散々やってきてくれたんだ。だからこれはクズなりの恩返しだよ。」

ムッツリーニ「………なんかカッコいいな。」

 

 何年間もずっと俺のために頑張ってきてくれた優子。それをたがが一週間で返すのなんて烏滸(おこ)がましいけど、それでも絶対に返すんだ‼︎

 

 

 

 その日の放課後、俺のことが心配なのか、

 

リンネ「タカヤ、ダイジョウブ?」

 

 リンネが俺たちの教室に来てくれた。

 

昂哉「リンネ、来てくれてありがと!俺は大丈夫だよ!」

リンネ「デモ…………」

昂哉「なに、やるべきことがハッキリしただけさ!」

リンネ「………ソ、ソウナンダ‼︎」

 

 さっきの心配そうな顔から、だんだんといつもの無邪気な顔に戻ってきた。良かった〜!

 

 それより、言うことがあるんだった。

 

昂哉「それより、リンネって確か勉強は三年生レベルだよね?」

リンネ「ウン、ソウだヨ‼︎」

昂哉「なら、俺に一週間勉強を教えて欲しい!ご褒美に日本で行きたいとこ連れてってあげるから!」

リンネ「もちろン‼︎でもボクはキビしいよ〜?」

昂哉「構わないさ!」

リンネ「ならオッケー♪」

昂哉「よし、それじゃあよろしく!」

 

 こうして俺は師を手に入れた。三年生は受験勉強で忙しいし、二年生は俺より学力が高い奴は居ない。優子が得意な理数科目は俺もまあまあ得意で、佐藤と同じくらいなため、俺に教えられる奴は居なかった。先生方を頼るのは忙しいし、何よりお菓子を奢ってもらうからには中立でなきゃいけない。そうなると残されたのはリンネだけ。学力的には高3、だけど学年は高1な彼は俺の先生にちょうど良い‼︎

 

 

 

 そんな事を思ってると、

 

須川「なあ、俺もご一緒していいか?」

 

 須川が俺たちに話しかけてきた。

 

昂哉「どうしたの、須川?」

須川「いや、ただ俺も勉強がしたくてな。」

 

 須川が勉強?珍しい…………さてはアレか?

 

昂哉「なに、Aクラスに告白したい相手でも居るの?」

須川「いや、そうじゃないんだ。」

 

 違うのか。なら一体何なんだ?

 

須川「俺は………今まで普通だったのに………リンネ君のせいで………俺は今大変なんだから………///」ハァ、ハァ

リンネ「ボク?」

昂哉「リンネ、帰るぞ。」

リンネ「う、ウン‼︎」

須川「ま、待ってくれ‼︎」

 

 鼻息を荒くしている須川を見て、俺たちはすぐさま帰宅した。

 

 

 

 

 そして一週間が経ち、試召戦争当日となった。今までの勉強してきた分に加え、リンネに教わった一週間。全てはこの時のため、必ず優子を救い出すんだ‼︎

 

高橋「それでは只今より、AクラスとFクラスの試召戦争を始めます。では先鋒の人、前へ。」

昂哉「ほ〜い♪よろしく、優子!」

優子「こちらこそよろしく、昂哉。」

 

 そして遂に、運命を決める勝負が幕を開けた。




 ということで、昂哉が優子に恩返しをどうするか、それを考える回でした。最後は昂哉らしい考え方でその方法を導き出しましたね。

 さて、次回はいよいよ昂哉と優子の一騎討ちになります。前は完敗した昂哉ですが、今度はどうなるでしょうか?お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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第九十六問 再・Aクラス戦 前編

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side リンネ*1

 

 リンネに先生になって欲しい。そう言った昂哉の目は、いつになく真剣だった。初めて見るその目はとてもカッコ良かった。気になったので勉強中聞いてみると、

 

リンネ「ねえ、タカヤはナンデこんナにシンケンなノ?」

昂哉「優子に恩返しをするためさ!」

 

 すぐに答えが返ってきた。その答える早さと真剣な目つきに、僕は本気の思いを感じ取った。

 

リンネ「オオ〜、カッコいいジャン‼︎」

昂哉「いや、全然だよ。むしろ優子に頼ってばっかだった。優子のが全然凄いよ。」

リンネ「なるホド〜‼︎」

 

 そして僕が褒めても、優子の方がすごいと言う。よほど好きなのだろう。その言葉に違わず、優子は優しいし、一緒に話していて楽しかった。だから僕に出来ることはただ一つ‼︎

 

リンネ「それじゃあボクは、モッとハリキッテオシえるヨ〜‼︎」

昂哉「ありがとう、リンネ‼︎」

 

 2人への恩返しだ‼︎

 

 

 

 そして昂哉は今日、一世一代の大勝負を迎える。頑張って、昂哉!君なら出来る‼︎君が優子を救い出すんだ‼︎

 

 

 

 

  side 昂哉

 

ーーーーー先鋒戦ーーーーー

 

高橋「それでは只今より、AクラスとFクラスの試召戦争を始めます。では先鋒の人、前へ。」

昂哉「ほ〜い♪よろしく、優子!」

優子「こちらこそよろしく、昂哉。」

 

 いよいよ優子との戦いが始まる。ここで必ず勝って、優子に恩返しをするんだ‼︎

 

高橋「科目はどうしますか?」

優子「数学で。」

高橋「分かりました。」

 

 だろうと思ったよ。優子が一番得意な科目。だがそれを分かった上で、俺は対策をしてきたのさ‼︎

 

昂哉・優子「「試獣召喚(サモン)」」

 

 

 

 

数学

 

 

Fクラス 雲雀丘昂哉 779点

      VS

Aクラス 木下優子 1184点

 

 

 

 流石に点数で上回るのは無理だったか。まあそう簡単に優子の努力を超えられるわけないよね。

 

優子「なっ⁉︎あ、アンタ、以外と高いじゃない⁉︎」

昂哉「なんとなくどの科目で来るかは分かってたからね。だから対策をしたまでよ!」

優子「くっ…………!ま、まあ、アタシの方が全然上だし!余裕よ!」

 

 ただこれは単なる点数比べ大会じゃない。試召戦争だ。だからここからの逆転もある‼︎

 

優子「まあ、とりあえず死になさい。」

昂哉「それはこっちのセリフさ‼︎」

 

 そして俺と優子の戦いが始まった。

 

 

 

 さて、優子がどう出てくるか。*2まずはランスを持って突っ込んできたか。

 

優子「死ねぇぇぇぇぇぇぇ‼︎」

 

 ならばこっちは酒瓶で、

 

昂哉「おらぁぁぁぁぁぁ‼︎」

優子「そんなでアタシの口に酒を流し込めるのかしら?」

昂哉「へんっ♪」ドバドバ

 

 地面を濡らす‼︎

 

優子「なっ、ちょ⁉︎滑るんだけど⁉︎」つるっ

 

 そして優子が足を滑らせたその隙に、

 

昂哉「一足早いクリスマスプレゼント〜♪」ドバドバ

優子「くっそ…………っ!」

 

 酒を奴の口にぶち込む‼︎

 

 

 

数学

 

 

Fクラス 雲雀丘昂哉 779点

      VS

Aクラス 木下優子 1057点

 

 

 

 さて、ここが肝心だ。俺の攻撃は酒による酔っ払い効果を付与する。そしてその強さは本人の酒の強さに影響する。しかし優子は未成年だから、どのくらい強いかが分からない。だからフラフラにならない可能性もある。流石に度数77.9%だから、効いてくれてもいいと思うけど………

 

優子「あ〜、もう!地面が滑る‼︎」

 

 地面が酒浸しだから酔ってるのか滑ってるのかどうか分からねえな。ただ度数が高いからもうすぐ蒸発するはず。だからその後分かるだろう‼︎

 

優子「死ねえ‼︎」ヒュン

昂哉「おっと‼︎」

 

 って危ない、間一髪だった‼︎あいつの槍攻撃も意外と精度が高い‼︎酔ってるはずなのに‼︎これはこいつ、かなり酒に強いな‼︎

 

優子「頼みの綱の酔いも、アタシにはあまり効かないみたいね。」

昂哉「ねえ知ってる?飲み会で『俺酔ってないぜ〜♪』って言ってる奴ほど酔ってるんだよ!」

優子「そんなの知るわけないでしょ?だってアタシは未成年なんだから。」

昂哉「なら覚えておきな‼︎」

 

 そう言いながら突進して地面に酒をぶちまける俺。これでまた滑らせてやる!

 

優子「同じ手は何度も食わないわ!」

 

 って上に避けられた‼︎マズい‼︎前に酒をこぼしたから、今度は俺が滑る番になってしまう!

 

昂哉「やばい!転ぶな、転ぶな‼︎」

優子「隙あり‼︎」

 

 上から優子が槍を地面に向けながら落ちてきた‼︎マズい‼︎足が滑って避けられない‼︎

 

昂哉「くっそ‼︎」

優子「まだまだ‼︎死ぬまでランスで刺してやる‼︎」

昂哉「ならばこちらは酒だ‼︎」

 

 強がってはいるものの、優子が俺に馬乗りになってるせいで身動きが取れない。そしてその間に優子のランスを食らう。

 

 

 

数学

 

 

Fクラス 雲雀丘昂哉 623点

      VS

Aクラス 木下優子 1010点

 

 

 

 だがここで終わるわけにはいかない‼︎

 

昂哉「おらよっ!」ヒューン

優子「えっ⁉︎」

 

 武器の酒瓶を優子に向かって投げる!酒瓶は優子に当たって砕けた。ガラスの破片と酒が溢れ始める。そしてそれに優子が気を取られる。そしてその隙に、

 

昂哉「らぁ‼︎」ぐいっ、

優子「なっ⁉︎」

昂哉「雲雀丘昂哉ホールディングス‼︎」ギュッ

 

 優子の槍を手で引く‼︎そして思いっきり倒れさせる‼︎そしてそれを俺が抱きしめる‼︎ちなみに召喚獣同士でフィードバックも直してもらったから、ランスを掴むのも痛くない‼︎だからこのわけわかんない戦法が使える‼︎点数は減るけど‼︎

 

 そして抱きしめたら、

 

昂哉「アンドローリングス‼︎」くるっ

優子「はっ⁉︎」

 

 抱きしめたまま横に回転し、俺が優子の上になる‼︎そして………酒瓶が復活した!だから、

 

昂哉「アーンドアルコールスチューデンツ‼︎」ぐいっ!

優子「くっ……………‼︎」

 

 奴の口に酒をぶち込む‼︎流し込む‼︎体の隅々まで染み渡らせる‼︎

 

 

 

 

数学

 

 

Fクラス 雲雀丘昂哉 493点

      VS

Aクラス 木下優子  721点

 

 

 

 酔いというものは、そう簡単に()めない。つまり相手は攻撃を食らえば食らうほど、酔って足元がおぼつかなくなるはずだ。

 

優子「くっそ………っ!離しなさいよ‼︎」

昂哉「嫌だね〜♪ほら、もっと飲め飲め♡」

 

 そして幸い俺が優子に馬乗りになってるから、いくらでも酒を飲ませられる。アイツに振り解かれるまでに、出来るだけ酒を飲ませる。これが俺に与えられた使命だ‼︎

 

工藤「2人とも、大胆だね〜。」

秀吉「教室の真ん中で保健体育の実習とはの。」

姫路「………す、凄いエッチです…………///」

明久「ひ、姫路さん⁉︎」

ムッツリーニ「……………」ブー、バタン

工藤「ムッツリーニ君⁉︎」

霧島「…雄二、私たちも………///」

雄二「それ以上口を開くな、翔子。俺の命が危ない。」

須川「雲雀丘と坂本は死刑か…………」

横溝「とりあえず武器を持ってくるわ。」

雄二「昂哉はともかく、俺はやめてくれ‼︎」

 

 おいお前ら。真剣勝負の最中に余計なことを考えるんじゃない。ムッツリーニも鼻血を出して倒れるんじゃない!

 

優子「きゃぁぁぁぁ‼︎///」グサッ

 

 優子も照れんな‼︎そして暴れるな‼︎ってかランスを刺してきやがった‼︎マジかよ‼︎

 

昂哉「くっそ‼︎酒飲め‼︎」

優子「飛んでけぇぇぇぇ‼︎///」ヒューン

 

 そしてそれを振り回して俺を遠心力で飛ばしやがった‼︎マズい、ランスから離れて吹っ飛ばされる‼︎

 

昂哉「うわぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 

 

数学

 

 

Fクラス 雲雀丘昂哉 375点

      VS

Aクラス 木下優子  684点

 

 

 

 ただ酒を飲ませた甲斐あってか、

 

優子「くっ…………!しょ、召喚獣が上手く動かせない‼︎」

 

 ようやく酔ってくれた。これはチャンス‼︎一気に畳み掛ける‼︎

 

昂哉「まだまだ宴はこんなもんじゃないよ〜♪」

 

 吹っ飛ばされて離れていたものの、そこから一気に酒を持って優子に駆け寄る。

 

優子「動けぇぇぇぇぇぇ‼︎」

 

 優子もランスを持って駆け寄るが、足元がおぼつかずに蛇行している。それを上手く避けて、

 

昂哉「お届けに参りました〜‼︎産地直送、スピリタスで〜す‼︎」

 

 ぶち込む‼︎無事命中したようだ。

 

優子「あぁぁぁぁぁ、もう‼︎」

 

 優子も焦り始めてる。そりゃ自分が負けそうになってるんだから当然だけど。ただそれは俺にとって都合がいい。焦りと酔いで普段よりパフォーマンスが下がるからだ。

 

優子「死ねぇぇぇぇ‼︎死ねぇぇぇぇ‼︎」

昂哉「くっそ……………っ‼︎」

 

 ただ足元がおぼつかないってことは、裏を返せば攻撃の軌道が読めないってこと。そう乱雑にランスを振り回されたら、どう避けたらいいか分かんねえ‼︎溢れた酒でお互いの足元が滑りまくってるのも原因だけど、そっちは度数が高くてすぐ蒸発するからあまり考慮に入れなくていいだろう。

 

 

 

数学

 

 

Fクラス 雲雀丘昂哉 283点

      VS

Aクラス 木下優子  365点

 

 

 

 

  side 優子

 

 ああ、もう!400点差を詰められてどうすんの‼︎アタシは絶対に負けられないのに‼︎絶対に勝たなきゃいけないのに‼︎

 

 昂哉は自分で自分の首を絞めてることに気づいてない。あんだけ嫌いって言ってた人が、一緒に居るのが嫌な人が、自分の人生をぶち壊した人が、全て打ち明けて解放してあげるって言ってるのに‼︎目の前に貴方の大好きな自由が見えてるというのに‼︎それなのに、なんでアタシにこだわるの⁉︎アタシはアンタにとっての邪魔者なのに‼︎人生を壊した悪魔なのに‼︎

 

 昂哉が囚われてるなら、アタシが解放してあげる。この勝負に勝って、貴方を好きにさせてあげる。それが今まで迷惑かけた分の、お詫びなのだから‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優子「《Devil's Lance》」

 

 

 

数学

 

 

Fクラス 雲雀丘昂哉  47点

      VS

Aクラス 木下優子  365点

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 くそっ、優子の腕輪の力を思いっきり食らっちまった‼︎ランスから放たれる衝撃波を受けて吹っ飛んじまった‼︎点数もだいぶ削れた‼︎マズい、このままだと死ぬ‼︎

 

 普通の状況だったら、絶対諦めるだろう。実際俺もこの状況になったら諦めてる。優子がホントは俺のこと嫌いだったんだ、って思って諦めてる。でも俺はアイツが泣いてるのを見た。アイツが俺に聞こえないように、俺に謝るのを見た。本心を隠して振る舞ってるのをこの目に焼き付けた‼︎

 

優子「昂哉、もう分かったかしら?アンタじゃ数学ではアタシに勝てない。だからとっとと諦めなさい。」

秀吉「姉上はバカじゃのぅ。」

優子「はぁ⁉︎な、何よ、秀吉⁉︎」

秀吉「昂哉がこれくらいで諦める男じゃなかろうに。」

姫路「きっとここから逆転しますよ、雲雀丘君は!」

ムッツリーニ「………自分の欲望は絶対に叶える男だからな。」

明久「やり方はゲスいし、」

雄二「無茶苦茶だけど、」

島田「なんか頼りになる。」

秀吉「それがお主が惚れた男じゃろう‼︎」

優子「ちっ……………‼︎」

 

 いつメンからの励まし。ありがとな、お前ら‼︎島田と過ごした1年間、明久や雄二と過ごした1年間+α(生徒指導室)、姫路やムッツリーニと過ごした2年間、そして秀吉と過ごした17年間。その全ての時間が今この時のために活きている。そして俺に出来ることはただ一つ‼︎自分のした行いや選択に対し、彼氏として、最後まで責任を果たすことだ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「《領域展開 無量飲酒》」

 

 

 

 優子を包み込むように現れる酒瓶。そして優子が中に入った瞬間、蓋が閉じられた。

 

昂哉「優子はこの前聞いてたかもしんないけど、改めて説明するね〜。」

優子「しなくていい‼︎もう知ってるし‼︎」

昂哉「かくかくしかじか………」

優子「しなくていいって言ってるでしょ‼︎」

昂哉「っても俺自身の口を直接押さえるのは反則だからね〜。なんと言おうとさせてもらうよ!かくかくしかじか〜♪」

優子「ああ、もう‼︎」

 

 さあ、これで終わってくれよ〜‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数学

 

 

Fクラス 雲雀丘昂哉 47点

      VS

Aクラス 木下優子  58点

 

 

 

 くそっ、少しだけ点数が残ったか……………

 

優子「はぁっ………なんとか耐えた…………」

昂哉「凄いね。びっくりしちゃったよ!」

優子「でっしょ〜♪」

 

 残るは通常攻撃による戦闘のみ。

 

優子「それじゃあ、死ねぇ‼︎」

昂哉「それはまだ早い‼︎」

 

 まずは一気に近づく。正面から近づいてくる優子のランスをなんとか飛んで避けて、優子の口に酒を近づけていく。

 

優子「そんなの当たるか‼︎」

昂哉「くっそ…………っ‼︎」

 

 それを優子が避ける。そしてまたランスがくる。今度は腹の辺りだから、横によける。そしてもう一度酒を飲ませる‼︎

 

優子「いらない‼︎」バリン!

昂哉「はぁ⁉︎」

 

 って酒瓶を割られた⁉︎これじゃあしばらく攻撃できない‼︎

 

優子「諦めなよ、昂哉‼︎」

 

 だが諦めたくはない。俺のすべきことはただ一つ。酒瓶が復活するまで、ランスを避け続ける‼︎

 

 まずは下腹部付近。これは優子をとび箱に見立てて奴の頭の上に手をつき、避ける!

 

優子「そっち!」

 

 次は回転しながらの攻撃。なら急いでしゃがむ‼︎

 

優子「下ね。ならば‼︎」

 

 上から降ってくるランスは、右に避ける‼︎

 

優子「ああもう、しぶといんだから!」

昂哉「それはいつものことでしょ‼︎」

 

 今度は横からの攻撃。なら飛んで避ける!そしてやっと酒瓶が復活‼︎

 

優子「これで最後ね。」

昂哉「ああ。勝っても負けても、恨みっこなしだ‼︎」

 

 ここで絶対決める‼︎優子への想いを、酒に乗せて届けるんだ‼︎

 

 

 

 

  side 優子

 

 昂哉、今までありがとう。そしてさようなら。アタシのことは気にしなくていいから、どうか幸せになってね…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数学

 

 

Fクラス 雲雀丘昂哉 1点

      VS

Aクラス 木下優子  0点

 

 

 

 う、嘘……………ま、負けた…………

 

昂哉「よっしゃあぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

雄二「9ヶ月越しのリベンジ、達成したな。」

ムッツリーニ「………しかも最後に大逆転!」

明久「おめでとう、昂哉‼︎」

島田「凄いじゃない‼︎」

姫路「感動しました‼︎」

昂哉「ありがとう、皆‼︎」

秀吉「それじゃあ、早く姉上に伝えてやるのじゃぞ!」

昂哉「ああ、もちろん‼︎」

 

 ど、どうしよう………な、なんとかしないと………

 

優子「あ、アタシを刑務所に送るつもりかしら⁉︎それとも退学⁉︎そんなことしたら、アンタの評判がまた落ちるわよ⁉︎」

昂哉「んなことしないよ。」

優子「じゃ、じゃあアタシが命令してあげるわ!アンタは金輪際アタシに近寄らないこと‼︎」

昂哉「数学得意なのに、数字もまともに読めないの?」

優子「代わりよ代わり‼︎アンタの代わり‼︎」

昂哉「俺の代わりは誰もいないんだけどな〜。とにかく今から言いたいことを言いま〜す!」

 

 そう言いながらアタシに近づく昂哉。なんで、なんでそんなことするの………なんでアタシなんかに気遣ってくれるの…………なんでアタシなんかを大切にしてくれるの…………なんでアタシなんかと…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昂哉「俺の恋人になって♪」

 

 付き合ってくれるの…………?

 

優子「……………うぅ……」

昂哉「聞こえなかった?」

優子「い、いや、聞こえてるよ………。だからこの話は断るわ………」

昂哉「いや、断る権利はないから。だって何でも言う事を聞くんでしょ?」

優子「で、でも………っ!アンタのそれはただの気遣いで………っ!」

昂哉「自分の感情くらい、自分で分かるさ。」

優子「いや、分かってないってば‼︎」

昂哉「それじゃあ、自分の感情は自分で決める!俺は優子のことが好きです‼︎だからこの命令にしました‼︎以上‼︎」

優子「そ、そんな…………」

 

 自分の感情は自分で決めるって言われて、皆の前で命令されたら…………もうどうしようもないじゃない…………

 

昂哉「それで、優子は俺のこと好きなの?」

優子「う、うん…………っ!」

昂哉「それじゃあ、これからもよろしくね!」

優子「うん…………っ‼︎」ポロ、ポロ

 

 加害者であるアタシが幸せになれる未来なんて、これっぽっちも想像出来なかった。ましてや自分の好きな相手に好かれる未来なんて。感謝の気持ちと嬉しさが涙となって溢れ出してきた。ありがとう、昂哉。そして、これからもよろしくね。

*1
前と同じように心の中はドイツ語だろうけど、分かりやすいよう日本語表記します。

*2
ここからは基本的に召喚獣の動きです。




 ということで、再・Aクラス戦の先鋒戦でした。昂哉と優子それぞれの想いを賭けた戦いは如何だったでしょうか?高天原に見つかってから5年間ずっと大変な思いをしてきた優子が、昂哉の手によってようやく救われましたね。

 さて、次はいよいよ最終回です‼︎次鋒戦から大将戦までをやった後、最後に少しだけ昂哉と優子が話します。お楽しみに!

 最後に、評価・感想をお願いします。


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最終問題  再・Aクラス戦 後編

この物語はフィクションです。
未成年の飲酒や喫煙は法律で固く禁じられています。
また18歳未満の風俗、雀荘、パチンコ屋などの
入店も法律で固く禁じられています。
更には賭博、アルコールの強要や暴飲、
作中での破廉恥な行為・発言などについても
それらを推奨する意図はありません。
あくまで物語としてお楽しみ下さい。


  side 昂哉

 

 やっと優子に言えた。自分の変化した気持ちを。彼女を救える言葉を。

 

姫路「やっと言えたのですね♪」

秀吉「全く、お主は待たせ過ぎじゃ!」

島田「優子がどれだけ待ったことか………」

昂哉「そうだね。」

明久「おせえよ、クズ!」

昂哉「否定しないわ。」

雄二「そうだぞ、クズ!」

ムッツリーニ「………雄二は人のこと言えなくね?」

昂哉「似たもの同士やな。」

雄二「ま、まあな…………」

 

 自分の気持ちの変化に自分で自信を持てなかった。これが優子をどれだけ疲弊させたことか。

 

高橋「個人的にはもっと見てたいのですが、次鋒戦があるので一旦止めてください。」

昂哉「は〜い!優子、また放課後に!」

優子「うん…………っ!」ポロ、ポロ

 

 こうして俺は泣き止まない優子をAクラスの陣営に戻した後、Fクラスの皆がいるところに戻った。そして、次は次鋒戦だ!

 

 

 

ーーーーー次鋒戦ーーーーー

 

高橋「それでは次鋒の人、前へ。」

姫路「Fクラスからは私が出ます!」

久保「Aクラスからは僕が出るね。科目は古典で。」

高橋「分かりました。」

 

 次鋒もあの時と同じメンツか。ただ科目は久保が得意な文系科目。果たして、どうなるかな?

 

姫路・久保「「試獣召喚(サモン)」」

 

 

 

古典

 

Fクラス 姫路瑞希 401点

      VS

Aクラス 久保利光 764点

 

 

 

 つっよ…………

 

姫路「流石です、久保君………」

久保「文系科目では高天原以外の誰にも負けたことないからね。」

 

 まあ、結果は目に見えてるよな。

 

 

 

総合科目

 

Fクラス 姫路瑞希 0点

      VS

Aクラス 久保利光 321点

 

 

 

 高い点数で殴る、久保らしい戦法だった。

 

姫路「雲雀丘君みたいな逆転は無理でした………」

久保「まあ理系科目では、姫路さんに分があると思うよ。」

姫路「ですね。それで、命令は何です?」

 

 前までならかなりピンチだった状況。久保が明久を奪いかねなかったからだ。でも今は違う。久保には蕨がいる。さて、奴はどんな命令を下すんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久保「では姫路さん、僕&千華姉と吉井君&姫路さんのダブルデートをしよう!」

 

 おお、そういうことか‼︎それならすごくいい‼︎姫路も安心したような表情を見せる。

 

姫路「それはいいですね!」

久保「なんせ、僕の可愛い千華姉を自慢したいからね。」

 

 いや、そういうことかよ!行きたいとこがあるとかじゃないんだ。

 

姫路「私も可愛い明久君を自慢したいんで、丁度良かったです!」

明久「ちょっと姫路さん⁉︎かっこいいなら分かるけど、可愛いって何⁉︎」

 

 姫路瑞希、お前もか。というか明久に女装でもさせるつもりか?それならアイツが黙ってないぞ?

 

玉野「アキちゃんの気配を察して‼︎」

明久「嘘でしょ⁉︎」

鉄人「玉野、授業に戻れ。」

玉野「はい…………」

 

 ってマジで来んのかよ‼︎コイツのアキちゃんセンサーはどうなってるんだ⁉︎

 

 

 

  side 夏川

 

 俺たちは自由登校期間なので、今は学校ではなく高城の家で皆で勉強している。

 

夏川「あ〜、だりぃ〜。」

常村「それな。」

 

 正直勉強に飽きてきたが、やるしかない。大学に受かるためにはな。

 

千華「今とっくんがアタシのこと褒めてくれた気がする‼︎」

高城「私も姫路瑞希嬢が私のことを褒めてくれた気がします‼︎」

小暮「2人とも変なことを言ってないで、勉強の続きをしますよ。」

 

 こんな風に気が狂う奴も出始めるが、仕方あるまい。

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 ということで、次鋒戦も終わり、

 

久保「では後ほど打ち合わせを!」

姫路「はいっ!」

 

 次は中堅戦だ‼︎

 

 

 

ーーーーー中堅戦ーーーーー

 

高橋「それでは中堅の人、前へ。」

島田「Fクラスからはウチが出ま〜す!」

工藤「Aクラスからはボクが出るね。」

 

 まあイベントバトルだから、同じメンツでやるのも面白いよね。さて、科目は何だろう?

 

島田「それじゃあドイツ語で‼︎」

工藤「えっ⁉︎」

高橋「承認します。」

 

 ってそれありなのかよ⁉︎確かにセンター準拠になったせいで英語以外も出来るけどさ〜!島田、流石にそれは大人気ないだろ‼︎

 

島田・工藤「「試獣召喚(サモン)」」

 

 

ドイツ語

 

Fクラス 島田美波 1043点

      VS

Aクラス 工藤愛子 0点

 

 

 というかもう最初から決着ついてるし‼︎

 

工藤「美波、酷いよ‼︎」

島田「へっへ〜ん!これも立派な戦術よ!」

昂哉「島田とリンネと高天原以外絶対0点でしょ。」

 

 正直俺だって英語以外は履修すらしてない。工藤なら尚更だろう。

 

工藤「とにかく、美波はボクに何を命令する気⁉︎まさか、エッチな命令なの〜?ボクはいいけど、清水さんが許さないと思うよ?」

島田「そんなことしないわよ。ウチはただ愛子に、副将戦が終わったら好きな子に告白して欲しいの‼︎」

工藤「なっ⁉︎///」

 

 この瞬間、俺は全てを理解した。

 

工藤「ちょっと、それずるい‼︎///」

島田「命令だから♪じゃあ愛子、頑張って‼︎」

工藤「もぉぉぉぉぉぉぉ‼︎///」

 

 真っ赤に照れてる工藤を横目に、副将戦が幕を開けた。

 

 

 

ーーーーー副将戦ーーーーー

 

高橋「それでは副将の人、前へ。」

ムッツリーニ「………Fクラスからは俺が出る。」

優子「赤田、出番だから起きて!」

赤田爺「う〜む、よっこらしょっと……」

 

 またじっちゃんは寝てたのかよ‼︎この人ちゃんと授業聞けてんのかな⁉︎

 

高橋「科目は?」

ムッツリーニ「………ほけ……」

雄二「いや、ここは赤田に譲る。」

ムッツリーニ「………なっ⁉︎」

 

 そしてムッツリーニの科目選択権を放棄する。普通ならあり得ないことだが、今回だけは特別だ‼︎

 

赤田爺「それでは政治経済じゃ。」

ムッツリーニ「………くっ…………」

高橋「承認します。」

ムッツリーニ・赤田爺「「試獣召喚(サモン)」」

 

 そしてなんともじっちゃんが得意そうな科目。会社の役員を経験してるから、実習経験が豊富過ぎる‼︎対するムッツリーニは保健体育以外壊滅的な成績。

 

 

 

政治経済

 

Fクラス 土屋康太 4点→0点

      VS

Aクラス 赤田敏夫 1076点→1076点

 

 

 

 結果は予想通りだった。

 

ムッツリーニ「………なんで俺が捨て駒に……」

雄二「仕方がなかった、ってヤツだ。」

昂哉「まあ、たまにはいいでしょ?」

明久「いつも捨て駒にされる僕の気持ちが分かったかな?」

ムッツリーニ「………この、裏切り者がぁぁぁぁ‼︎」

赤田爺「それでは儂からの命令じゃ。今から御主の好きな人を言うのじゃ。」

ムッツリーニ「………なっ⁉︎」

島田「ちなみに副将戦が終わったので、愛子もちゃんと言うこと!」

工藤「わ、分かってるよ‼︎///」

 

 そして命令も予想通り。このために雄二が科目選択権を譲ったんだよね。

 

 

 

  side ムッツリーニ

 

 とうとう言う時が来たか………。今まで不安で不安で言えなかった想い。玉砕は承知の上で、工藤をどうやってフォローするか。それを考えるんだ‼︎

 

ムッツリーニ「………俺は工藤愛子が好き………だが気にしなくて………」

工藤「ぼ、ボクはムッツリーニ君が好きでぇぇぇ………えっ?」

 

 嘘…………だろ?

 

ムッツリーニ「………えっと………///」

工藤「いや、その…………///」

 

 もしやずっと、両片想いだったのか…………?

 

秀吉「やっと気づいたようじゃな。」

雄二「全く、見てて(じれ)ったかったぜ。」

島田・姫路・美穂・久保・霧島「「「「「作戦大成功!」」」」」

昂哉・明久・優子「「「イエイ‼︎」」」

赤田爺「若人の純愛も、良きものじゃな。」

 

 マジか、他の奴らは知ってて言わなかったのか…………

 

ムッツリーニ「………そ、その………俺と付き合って下さい……///」

工藤「こ、こちらこそ………///」

 

 まさか俺にも夢のような時間が訪れるとは…………本当に、俺は幸せ者だ。

 

 

 

  side 工藤

 

 ずっと隠してた想い。多分ムッツリーニ君はボクのこと恋愛対象にしてないと思ってた。でも違った。実は両想いだった。それが嬉しい!皆、気づかせてくれてありがとね!そしてムッツリーニ君、これからもよろしくね!

 

 

 

  side 赤田爺

 

 おお、これが懐かしき、若人の青春…………儂にもあんな時代があったのぅ…………って今もそうか。今も昔も、恋愛の心理は変わってないのじゃな。

 

赤田爺「1人の女を愛するも良き、複数の女を愛するも良き、か………」

久保「いや、1人に絞らないとダメじゃないか。」

美穂「浮気はダメですよ?」

優子「だからバツ3になるのよ。」

赤田爺「御主ら、辛辣じゃの………」

霧島「…いや、普通だと思う。」

 

 じゃがこの素晴らしきクラスメイトと会えた。それだけでも、73歳でここに入学した甲斐があったわい‼︎

 

 

 

 

  side 雄二

 

 さて、最後は俺の番か…………。もう6年も待たせたんだ。ここで決める‼︎

 

 

ーーーーー大将戦ーーーーー

 

高橋「では大将の人、前に出てきて下さい。」

雄二「Fクラス代表、坂本雄二だ。」

霧島「…Aクラス代表、霧島翔子です。」

高橋「教科はどうしますか?」

雄二「教科は日本史。内容と方式は小学生レベルで百点満点の上限有りだ。」

高橋「分かりました。そうなると問題を用意しなくてはいけませんね。筆記試験ですので視聴覚室で行うことにしましょう。」

 

 方式は前と同じ。皆も分かってることか、前回みたくざわつかない。さて、戦場へと向かう番だ。

 

明久「雄二、あとは任せた!」

雄二「ありがとう、明久‼︎」

昂哉「俺からも頼んだよ!」

雄二「ああ昂哉、頼まれた!」

ムッツリーニ「………ファイト‼︎」

雄二「お前には随分と助けられたぞ、ムッツリーニ‼︎」

島田「坂本、期待してるわ!」

雄二「島田、ありがとな!」

秀吉「雄二、ファイトじゃ‼︎」

雄二「秀吉、一発かましてやるぜ‼︎」

姫路「坂本君、今までありがとうございました!」

雄二「こちらこそありがとな、姫路。」

 

 皆に送り出されて、俺は視聴覚室へと向かった。

 

 

 

 

 視聴覚室、懐かしき場所。

 

霧島「…あの時ぶりだね。」

雄二「ああ。今度は負けねえからな。」

霧島「…そう。」

高橋「それでは、試験問題を配ります。」

 

 ずっと考えてた、自分の想いを。俺はコイツの何になりたいのか。コイツとどうなりたいのか。よく昂哉ばっかりずっと木下を待たせたとか言われてるが、それは俺だって一緒だ。自分のやり方にこだわって、ここまで時間が経ってしまった。翔子に勘違いを抱かせたと思って、ずっと断り続けてきた。だがこの際、勘違いでもいい。

 

高橋「それでは、試験、始め。」

 

 俺はきちんと自分の手で決めるんだ‼︎

 

 

 

 

  side 霧島

 

 雄二から教わったことは絶対忘れない。それが私なりの雄二への愛だから。だから、

 

 

 

 

()年   大化の改新

 

 

 

 

 

 たとえ真実は違おうとも、私は曲げない。それで他の全てを失おうが、私は雄二さえ居ればいい。

 

 

 

 

  side 雄二

 

 俺と翔子は問題を解き終わった後、教室に戻って結果を待っていた。果たして、どうなる?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本史

 

Aクラス 霧島翔子 97点

      VS

Fクラス 坂本雄二 100点

 

 

 

高橋「3対2でFクラスの勝利です。」

 

 良かった。なんとか勝てた。

 

昂哉「雄二、やふじゃん‼︎めちゃくちゃ凄かったよ‼︎もしや今回のMVPなんじゃない⁉︎」

雄二「お前も充分MVPだろうが。」

明久「100点って、流石だね、雄二‼︎これが雄二の力か!」

雄二「明久の言う通り、いかにも俺の実力だ。」

ムッツリーニ「………お前が全力を尽くしたおかげだ!」

雄二「ああ‼︎」

 

 クラスメイトからも褒められる。あの時とは真逆だ。

 

島田「それより、いつまで翔子を待たせるのよ!」

姫路「早く言ってあげましょう!」

秀吉「お主の想いを、お主の言葉で‼︎」

雄二「もちろんだ‼︎」

霧島「…ま、まさか………?///」

 

 そしていよいよ言う時が来た。俺は翔子に向かって近づき、アイツの手を取って、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄二「翔子、約束だ。俺と付き合え。」

 

 今度は自分から、そう言った。

 

霧島「…ゆ、雄二///」

雄二「待たせて悪かった。どうしても俺から言いたくてな。これでいいか、翔子?」

霧島「…うん‼︎///」ポロ、ポロ

 

 嬉し涙を流す翔子。ようやくここから、俺と翔子の新たな生活が始まる。そう思うと、胸が高鳴ってきた。

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 雄二もやっと言えたか〜‼︎俺とは違って、最初っから満更でもなかったのにね〜。全く、いつまで待たせるんだよ‼︎

 

昂哉・明久「「遅えよ、雄二‼︎」」

 

 思わず明久とも声が合っちゃったし!

 

 

 

 

 さてと、帰りますか!

 

鉄人「Fクラスの皆、何か忘れてないか?」

高橋「私たちからのお菓子を貰うのが目的だったのでしょう?」

家角「色恋にうつつを抜かすとは、まだまだだな。」

Fクラス男子「「「「「おぉぉぉぉぉ‼︎」」」」」

 

 って忘れてたわ‼︎むしろ他のメンバーからしてみればこれがメインじゃん‼︎

 

昂哉「すいませ〜ん!それじゃあお願いします‼︎」

高橋「はい。1人ひとつずつになります。」

鉄人「俺も同じだ。」

家角「俺もだな。」

 

 さて、どんなお菓子が来るのかな……………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高橋女史 渋柿

鉄人   プロテイン

ケツ   自撮り写真

 

 

 

 はい?

 

Fクラス男子「「「「「おぉぉぉぉぉぉい⁉︎」」」」」

昂哉「ちょっと待てぇぇぇ‼︎」

雄二「色々とおかしいだろうが⁉︎」

秀吉「お菓子だけに、の。」

明久「秀吉がダジャレ言うの初めて聞いた………」

 

 どいつもコイツもおかしいだろ‼︎

 

昂哉「ま、まず主任のは………まあいいでしょう‼︎あんまりお菓子っぽくはないですが、まあそういうお菓子もあるってことでいいでしょう‼︎」

高橋「………なんか私やっちゃいました?」

昂哉「特に何も聞きません‼︎」

 

 この人マジで天然だな‼︎本人は何も気づいてないけど、高校生のお菓子に渋柿あげる奴はお前以外いないだろ‼︎まあこの中だと一番マシだけどさ‼︎

 

昂哉「次に鉄人‼︎プロテインってなんですか⁉︎」

鉄人「プロテインとはタンパク質のことで………」

昂哉「そうじゃなくて‼︎お菓子にプロテインはどう考えても変ですよね⁉︎」

鉄人「アスリートにとってプロテインはお菓子みたいなもんだからな。」

昂哉「俺たちはアスリートじゃねえ‼︎」

 

 この人マジで脳筋だな‼︎しかも気づいた上で言ってるし‼︎

 

姫路「プロテインで痩せられるかも………!」

島田「胸も大きくなったりして………!」

鉄人「きちんと運動することも忘れずに。」

姫路・島田「「はい‼︎」」

 

 よりによって女性陣に何故か人気だし‼︎まあ、女だから食っちゃいけないきまりはないけどさ‼︎

 

 そして最後‼︎

 

昂哉「おい家角亜成(けつのあなる)‼︎テメェのは食いもんですらねぇだろ⁉︎」

家角「何を言ってるんだ、雲雀丘?お菓子はおかずの一種とみなせるだろ?」

昂哉「テメェの写真をおかずに使えってか⁉︎」

Fクラス男子「「「「「嫌に決まってんだろ‼︎」」」」」

家角「なんだとお前ら⁉︎俺の写真を冒涜するというのか⁉︎次に補習室送りになるのはお前らだ‼︎」

 

 この人マジでナルシストだな‼︎本人は何も気づいてないけど、誰からも好かれてないぞ、お前‼︎

 

美穂「なんか負けて良かったですね………」

赤田爺「アレを押し付けただけでも、儲けもんじゃろ。」

久保「勝負に勝って試合に負けたとは、このことか。」

霧島「…うちの担任は天然が過ぎる。」

優子「いや、他の人の方が酷いと思うよ。」

工藤「特に家角先生がね〜。」

 

 負けたはずのAクラスの連中の方が喜んでるし‼︎こんなのおかしいだろ‼︎お菓子だけに‼︎

 

鉄人「まあとにかくアレだ。4月ではとんでもない問題児だったお前らが、ここまで成長できた。それは誇るべきことであり、担任としても誇らしい限りである。どうかこれから先もこの努力で得た経験を大切にして欲しい。」

昂哉「いいこと言って誤魔化しても、プロテインは消えませんからね⁉︎」

家角「まあ俺には遠く及ばないけどな。」

昂哉「テメェはちょっとくらい誤魔化せや‼︎」

 

 勝ったのに負けた気分になった。そんな試召戦争だった。

 

 

 

 

  side リンネ*1

 

 今日は昂哉の勝負の日。スマホが使えないから結果が分からなかったけど、どうなったのかな?

 

 そして放課後、僕は教室の前で、

 

昂哉・優子・須川「「「お疲れ、リンネ!」」」

 

 昂哉と優子と知らない誰かに声をかけられた。その瞬間、ほぼ全てを理解した。

 

リンネ「オメデとう、フタリとも‼︎」

昂哉・優子・須川「「「ありがとう‼︎」」」

昂哉「お前のおかげでこうなれたよ!感謝します‼︎」

リンネ「どういたしマしテ‼︎」

 

 そういえば、最近素敵な日本語を覚えたなぁ。今がその使いどきだと思う‼︎だから使っちゃおう‼︎

 

リンネ「スエナガク、オしあわせニ‼︎」

昂哉・優子・須川「「「もちろん‼︎」」」

 

 僕が万年の笑みでそういうと、2人は同じく万年の笑みで言葉を返してくれた。ただもう1人だけはよく分からなかった。

 

 

 

 

  side 昂哉

 

 俺は須川を無理矢理リンネから引き剥がした後、優子と一緒に歩いて下校していた。

 

昂哉「それにしても、渋柿とプロテインと自撮り写真ってどうすりゃええねん!」

優子「食べればいいんじゃない?」

昂哉「他2つはともかく、写真は嫌だ‼︎」

 

 ただスポンサーには逆らえない。そんな無力さを感じていると、優子に話題を変えられた。

 

優子「ところでさ………昂哉はアタシと一緒で良かったの……?」

 

 優子はまだ罪悪感を抱いてるらしい。これはちゃんと晴らしてあげないと!

 

昂哉「良くなかったら一緒に居ないよ〜。」

優子「で、でも、アタシは…………」

昂哉「優子はどう考えても悪くないでしょ。ただ高天原に擦りつけられただけ。それを優しい優子が受け入れちゃったんだよ。」

優子「そう、かな………」

昂哉「それに、あの時の優子の行動のおかげで、俺は楽しい今の生活を手に入れたのさ!」

優子「えっ…………?」

昂哉「あの時の優子の行動は、何も間違ってなかった。ありがとう。」

優子「うぅ…………」ポロ、ポロ

 

 当時の自分の行動をずっと悔いてきた優子。恩を言われて泣いたのも、それが理由だろう。でもそれが俺にとって最良の結果になった。本当に、沢山の恩を貰ってきたなぁ。

 

昂哉「だから今度は、俺が優子のために頑張るよ!」

優子「そ、それはもう、い、いっぱいしてきたから……っ!」ポロ、ポロ

昂哉「じゃあこれからもい〜っぱいしちゃう!」

優子「じゃ、じゃあアタシも‼︎」ポロ、ポロ

 

 そしてこれからも頑張ろうとする優子。正直もう充分なんだけど、本人の意思は無視出来ない。だからその分、俺がもっと頑張らないと。そして優子を幸せにするんだ‼︎

 

昂哉「分かった!それじゃあこれからもよろしくね‼︎」

優子「うん‼︎」ポロ、ポロ

 

 そうして俺は泣きじゃくる優子を宥めながら、夕陽の中を家に向かって一緒に歩いていった。

*1
前と同じ理由で日本語表記




 ということで、「バカとクズと召喚獣」はこれにて完結です‼︎半年間付き合ってくださり、誠にありがとうございました‼︎昂哉と優子の物語は如何だったでしょうか⁉︎感想、評価もお願いします!

 さて、次回作ですが、短編の方は「スケベ過ぎる姫路瑞希」で決定です。近日公開予定です。長編の方は現在連載中の「我妻物語」の後にやります。どっちをやるかは引き続きアンケートを取ります。

 最後にもう一度言わせていただきます。この作品を読んでくださり、本当にありがとうございました‼︎


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