晩鐘の鳴る暗殺教室 (REGZA)
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プロローグの時間

拙い文章ですけど読んでみてください


「ハァハァハァッ、クソっ!」

 

 一人の男が夜の帳が降りた欧州の街中を走っていた。だがそれは、何か急いでいるというよりも何かから逃げているようだ。

そして、裏路地の狭い間に姿を隠し後方確認し、誰もいないことを確認すると一息ついた。

 

「何でアイツが此処にいるんだよ!俺が何をしたんだよ!何が殺し屋殺しだ、俺が殺してやるよ。」

 

 そうこの男は殺し屋である。だが殺し屋である筈の男が何かに怯えるように逃げていた。だが今は先程までの動揺はなく、自分の得物である拳銃で逆に殺そうとしていた。男は拳銃片手に自分が逃げてきた方向を警戒していた。

 

「何をしたか、か。言わなければ分からないか?」

 

 男は自分の後ろから声が聞こえ咄嗟に振り向いた。しかし、そこには何も居なかったが、まだ声が聞こえてくる。

 

「人としての行いとしては悪である人殺しに快楽を覚え、人としての欲に溺れた者に殺し屋を名乗る資格なし、故にーーー首を出せ」

 

「人を殺す仕事をしてんだ、そこに何かを見出だして何が悪い。それに、人が死ぬ時の表情を楽しんで何がワリィんだよ!それよりテメェ何処にいやがる!姿を現せ!ブッ殺してやる」

 

 そうこの男は人から頼まれて殺しをするプロではなく、自分が気持ちよく為るために殺し屋になったのである。

男は何処からともなく聞こえてくる声に威勢よく返し拳銃を構えるがいっこうに姿を現す気配はない。

 

「ふむ、暗殺者としての誇りもないか。人のため世のためではなく自分のために誰かを殺す、見るに耐えんな。」

 

「何を言ってやがる」

 

 そして、声が聞こえなくなった途端、(おぞ)ましくも何処か神々しく感じる鐘の音と共に男の目の前に、牛のような立派な角と人間の頭蓋骨を模した様な仮面を着けた少年が立っていた。

顔は見えなかったが身長が高くないことから少年だと思った男は少し安堵したかのように拳銃を下ろしたのだった。

 

「へっ、何だよまだ子供じゃねぇか。ビビらせやがって、まぁとりあえず死ねや!」

 

 いくらプロの殺し屋としては、レベルが低くても何人かは殺している殺し屋、男は直ぐ様少年に狙いを定め拳銃の引き金を引いた。

放たれた弾丸は少年の体に吸い込まれるかのように進み間違いなく当たる筈だった。男も当たることを確信し笑みを浮かべていた。

 しかし、弾丸は少年の体に当たることはなかった。少年は、何時の間に取り出したのか、自分の背丈程もある大剣で弾丸を路地裏の暗闇の中に弾き飛ばした。

 

「は?」

 

男が訳も分からず呆然としていると少年の姿が消え一際大きく厳格さをはらんだ鐘の音が鳴ると、一瞬の浮遊感の後男は首の無い自分の体が崩れ落ちるところを目撃し意識がブラックアウトした。

 

「信仰なき者に生きる世界無し……」

 

少年は呟くと仮面を外した、そして何処かに電話をかけ始めた。

 

 

「もしもし、烏間さんでしたっけ。こっちの仕事は終わったので前に言っていた暗殺、殺らせて貰いますよ。」

 

先程人を殺したとは思えない程明るく、また仮面を着けていた時とはまた違う口調で電話の相手に話し掛けた。

 

「本当か!それは有難いが、条件は覚えているだろうな。」

 

「ええ、もちろん。E組の暗殺者達には何があっても手を出さない、ですよね。流石に素人の暗殺者にまで殺し屋の理想は求めませんよ。」

 

「それなら良い。それで、いつ頃此方に来れる。」

 

「そうですね、後一週間後程ですかね。」

 

「了解した。ただ君が来る頃には既に暗殺者を一人送り込まれている予定だ。」

 

「ふーん、まぁ分かりました。とりあえず一週間後にまた会いましょう。それ迄に俺の伝えていた物用意しといて下さいね。」

 

「分かった。直ぐに用意しよう。」

 

少年は電話を切ると鼻唄でも歌い出しそう程上機嫌ではなく歩きだした。

 

「フフッ、楽しみだな久しぶりの日本。それにマッハ20の生物か、晩鐘は人以外もその名を示すのかな。」

 

少年はまるで闇に溶けるかのように街へと消えていった。

 

 

 

 

一方電話を受けた日本の防衛省に所属しておりE組の教師も行っている烏間先生は、溜め息を吐きながら二人の殺し屋の資料を見てこれからの事を考えていた。二つの紙に書かれている殺し屋は、

 

一人は色仕掛けを得意とし11人の仕事をこなしたプロの殺し屋

もう一人は殺し屋を殺す事を専門にしている程の殺し屋

 

前者は、まだしも後者は生徒としてこのクラスに入る

いくら条件を着けたとはいえ果たして大丈夫なのか

 

そんな不安が、頭を過る中新しく入る生徒の事を伝えにE組の所に向かった。

 

E組の教室である旧校舎に生徒は既に残っていなかった。

グランドにも生徒は残って居なかったので外や教室に要ることはないと思い目的の人物?が要るであろう職員室に、歩を進めた。

木造の職員室に、入ると暗殺の目標(ターゲット)であるタコの様な生物、殺せんせーが生徒一人一人用の問題を作成していた。

 

「おや、烏間先生こんな時間にどうしたんです。」

 

問題作りを続けながら殺せんせーが、烏間先生に話し掛けてきた。

烏間先生は、暗殺者について何処まで話すか一瞬悩んだ後生徒の事を伝えた。

 

「一週間後この教室に新しい生徒が来る、これがその資料だ。」

 

「おやおや、これはまた急ですねぇ。どれどれ」

 

 

烏間先生は、隠す必要もないと判断し二人目の資料、山野翁(やまのおきな)の資料を渡した。

 

「これはこれは、ヌルフフフフフ。また面白い生徒が来るようですね。先生の腕が鳴りますね。」

 

「資料にある通り殺し屋として特殊な価値観を持っている。生徒に危害は加えない用言ってあるがもしもの時は頼むぞ。」

 

「おや、烏間先生が私に頼みごとですか。珍しいこともあるんですねぇ。」

 

殺せんせーは、烏間先生を煽るように顔を緑と黄色の縞模様に話すが烏間先生の顔は青筋を浮かべながらも真剣だった。

 

「俺が言うのも違うかもしれんがコイツは底がわからない上に何を引き金に殺し屋を殺すか分からない奴だ。生徒に危害が及ばないようにするのも俺の役目だ。だが、コイツに関して言えば守れるか分からない、それほどの奴なんだ。だから、お前に頼んでいるんだ。」

 

烏間先生の、真剣な眼差しに殺せんせーも煽る顔色をやめ何時も通りの表情で烏間先生を見ていた。

 

「ええ、勿論守りますよ。このクラスの生徒は、絶対に。」

 

「伝えなければいけないことは伝えたぞ、俺はもう帰る。」

 

「はい、お疲れ様です。」

 

烏間先生が、出ていった職員室で一人殺せんせーは、山野翁の資料を眺めていた。

 

「そうですか。あの時の彼が。」

 

殺せんせーは、一人になり本当に誰もいない静寂の中一人呟き何かに思いを馳せているようだった。

 




キングハサンの口調ってどんなだったっけ?


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初登校の時間

ちなみに私のカルデアにはキングハサンが、いらっしゃっていません。(財布は、ハサンしました)
後私は新社会人で、三交代勤務をしているため書ける時間があまり無かったりするので投稿は、まばらになりますがそれでも良ければどうぞ


「なぁ聞いたか!転校生の話。」

 

E組の教室である旧校舎へと登校するための山道を登りながら黒髪の快活そうな少年、杉野友人(すぎのともひと)と小柄で小学生に間違えられそうな青髪を結んだ少年潮田渚(しおたなぎさ)が今日新しくE組に転校してくる生徒の話をしていた。

 

「うん、でもこの時期に来るってことは。」

 

「やっぱり暗殺者だよな。」

 

「多分ね。ビッチ先生も殺し屋だったし。」

 

転校生の事について話を膨らませていると校舎が見え始め他の生徒も見え始めた。

 

「渚君と杉野じゃん、やっぱり転校生の話してんの?」

 

 

後ろから話し掛けてきたのは赤髪の少年赤羽業(あかばねカルマ)である。

 

 

「おっ、カルマじゃん。今日は早いな、何時もは遅刻ギリギリの癖に。」

 

「カルマ君は、転校生の事どう思う?」

 

「俺は別にどうでも良いよ。でも強いて言うなら面白い奴が良いな。」

 

そう言いながらカルマは、イタズラを考えているのか悪どい笑みを浮かべており、それを見た二人は苦笑いを浮かべていた。

 

「カルマ君程ほどにね」

 

他愛ない会話と共にカルマを含め三人で教室へと入っていった。

教室には既に生徒が殆ど来ており、三人が教室に入って直ぐに殺せんせーも教室に入ってきた。

 

「皆さんおはようございます。今日は一段と来るのが早いですねぇ。やはり皆さんも転校生の事が気になりますか。」

 

「おはよう殺せんせー、それで転校生は何処に居るの?」

 

殺せんせーが教室に入ってきた後に誰か入ってくる気配が無かった為生徒の一人が殺せんせーに尋ねた。

 

「ヌルフフフ、焦らなくても大丈夫ですよ転校生はなんと…………まだ来ていません!」

 

「「「「もったいぶって言うな!!」」」」

 

クラスの全員が、殺せんせーにツッコミをいれた。

 

「ハァ。殺せんせーまだきてないってどういう事?今日来るんじゃないの?」

 

渚が溜め息を一つ吐き殺せんせーに、事情を聞いた。

 

「それが分からないんです。確かに烏間先生からは今日来ると聞いていたのですが。」

 

殺せんせーも事情を理解していないのか困った様子で答えた。

 

「時間なのでHRを始めたいのでいくら初日でも遅刻は許せませんね。!!にゅやッ!!」

 

 殺せんせーの顔が赤く染まり怒りを露にしていると、突然その場から消えるように教室の反対側に飛び逃げた。

 生徒達は殺せんせーが、飛び退いた事よりも先程まで殺せんせーがいた場所に数本の切り落とされた触手と共に立っている仮面を着けた少年の登場に驚いた。

 誰も居なかった筈の場所に突然現れた少年に生徒全員が、警戒しているなか少年はゆっくりと頭蓋骨を模した特徴的な仮面を外した。

 

「皆さんこんにちわ、今日からこのクラスの一員になる山野翁です。勉強はあまり得意ではないですがよろしく。」

 

明るく笑顔で挨拶をするが生徒達は皆が固まっていた。

また、生徒だけでなく廊下でようすをみていた烏間先生とビッチ先生も驚いていた

 

「あれ、反応がない。何か間違えたかな?」

 

     ((((それよりまずツッコませろ!))))

 

翁は、自分の自己紹介が何か不味かったのかと困惑しているが生徒達はそれよりも気になることが多すぎた。

 

「翁君さ今のどうやったの」

 

誰もがあまりの事に口をつぐむ中カルマだけが翁に質問をしていた。皆も気になっていたのでカルマが聞いてくれて内心ホッとしていた。

 

「どうって、ただ後ろから切っただけだけど。」

 

当たり前の事の様に答える翁だが皆は殺せんせーの危機察知能力と速さを知っているため驚いていた。

此処でようやく殺せんせーが、話し掛けてきた。

 

「ヌ、ヌルフフフさ、流石はプロですねぇ。ですが先生は、全く動じてい、いませんよ。ええビビってなんていません。」

 

「「「嘘つけ!!」」」

 

殺せんせーは、ビビっていないと言うが触手はまるで震えるかのように小刻みに振動していた。殺せんせーへのツッコミによりようやく生徒達も復活した。

殺せんせーはHRを切り上げ翁への質問タイムとした。

 

「いつから、そこにいたの?」

 

「最後に教室に来た三人が来たときにはもう教室に居たよ。」

 

「え!でも私達誰も君の事見てないよ。」

 

「気配を消してたからね。」

 

「イヤ、それで見えなくなる訳ねぇだろ。」

 

「ホントだよ。」

 

実際に姿が認識できなくなる程の気配遮断を行うなどしてワイワイガヤガヤと、席に着いた翁のもとに生徒が集まり各々が質問をしていた。

 

「それにしてもすごいね。一人で触手三本も破壊するなんて。それに、あの仮面カッコよかったし。」

 

「!?」

 

「ホントに!あの仮面は、仕事用だからあまり着けないけどカッコ良さを分かってくれる人が、少なかったんだよね。」

 

隣の席のカルマが普通の人が見れば趣味の悪い仮面を誉め周りが混乱していると殺せんせーが来た。

 

「ヌルフフフ、人気者ですねぇ。どうですもう一度先生の暗殺を試してみますか?まぁもう油断もしていないので無理ですが。」

 

「なぁ渚これ」

 

「うん、さっきの根に持ってるね。」

 

殺せんせーが、顔を緑の縞模様で話し掛けて来たため大半の生徒はさっきの事を根に持ってる事が分かったが入ったばかりの翁は、そんなこと知るよしもなく先生の挑発に乗った。

 

「ふーん、言ってくれるじゃん。良いよ放課後に、殺してあげるよ。」

 

その台詞に、クラスメイト達が盛り上がるが誰も殺せるとはまるで思っていなかった。

 

「いいの、そんな大口叩いて。言っとくけどあの先生を殺すの無理ゲーに近いよ。」

 

「大丈夫だよ、さっきはナイフだったけど放課後にはホントの武器が届くから。」

 

カルマと翁は話していたが周りはどんな暗殺になるかで盛り上がっていたため会話と翁の意味ありげな笑みを見てはいなかった

 

 

放課後中庭には殺せんせーと向き合う形で翁が立っており、それを眺める形で他の生徒達が固唾を飲んで校舎から見ていた。

 

「此処からなら生徒達には聞こえないから言うけど久し振りだね」

 

「!ヌルフフフフフ、忘れていると思いましたが覚えていましたか。」

 

「モチロン、この力があるのはある意味貴方のお陰ですから。」

 

「なんか喋ってないか、誰か聞こえないか?」

 

「うーん、ダメだね。遠すぎる。」

 

殺せんせー達は話し始めたが、生徒達には何を話しているか全く聞こえなかった。

 

「少し気になるよね。」

 

「もしかして殺せんせーのこと知ってたとか」

 

「でも殺せんせーって国家機密なんだろあり得ないって」

 

生徒達は、まだ暗殺が始まらないため何の話をしているかで盛り上がっていた。会話に参加していない生徒は、何をするのか見逃さないように凝視していた。

 

「クラスメイトの皆が早く見たいようだから、昔話はやめとくよ。じゃあ行くよ。」

 

「ええ、存分に来なさい。」

 

そう言うと翁は、仕事用の仮面を被ると何処からか対先生物質で出来たと思われる翁程の大きさの大剣を取り出した。すると生徒全員の背筋が凍るほど殺気が溢れだした。

クラスメイト全員が、注目していた筈なのに翁の姿がまるで感じられなくなり、殺気もまるで感じられなくなった。

 

「あれ?また、見えなくなっちゃった」

 

「それよりもあの大剣だろ!何処から取り出した今!」

 

目の前にいた筈の殺せんせーでさえ見失ったのか辺りを見渡し始めた。

 

「晩鐘はまだ鳴らず、されども堕落した心を見逃す事は出来ない。ならば神託は下ったと同じ、故にーーー首を出せ」

 

先程まで全く聞こえなかった筈の翁の声がいきなり生徒達も聞こえるようになり、口調も先程までとは全く違うものになった為皆が困惑し、何処から声が出ているのか探していると、

 

「!にゅやッ!!」

 

殺せんせーが、大きな声をあげ生徒達の目の前まで来ていた。

 

「殺せんせーどうしたんだよ!」

 

「フゥー、危ないところでした。もう少し遅ければ殺られていました。」

 

そう言う殺せんせーの体を見ると腕、足の触手を全て切られ顔も切られかかったのか少し再生している途中だった。

すると再び翁が、目の前に突然現れその手に持つ大剣を振りかぶっていた。

殺せんせーからすれば突然目の前に骸骨が現れ、刀を振りかぶっている状況に焦り再生していた触手を再び切り落とされた。

 

「此処までだな。晩鐘が鳴らなければやはり殺せん。」

 

殺せんせーが、再び距離をとり逃げたのを確認すると仮面を外した。

すると、空気が重く感じる程の殺気もなくなりごく普通の中学生に戻っていた。生徒達も驚きと殺気による緊張で息をするのさえ忘れていたがほぼ全員が安堵からホッと息を吐いた。

 

「今日は、無理だったけどいつか絶対首を落として見せるよ。」

 

そう言って笑う姿からは先程までの殺伐とした雰囲気は感じられなかった。




読んでくださりありがとうございます。
主人公の細かい能力の解説は次回にします。


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解説の時間

少し校舎から離れた位置で仮面を外した翁は、校舎の中にいる生徒達に向かって大剣を肩に担ぎ歩きだした。

生徒達もどうやって姿を消したり一瞬で触手を切ったりしたのか聞きたくてウズウズしているようだった。

窓の前まで来ると生徒達からの質問責めにあった。

 

「やっぱりスゲーよ!どうやって姿消したんだ!」

 

「何処からその剣出したの!」

 

「それより一人で殺れたんじゃないの?。なんで殺らなかったの?」

 

あまりの生徒の勢いに苦笑いしていたが、一つずつ答えていった。

 

「あー、姿を消したのは、まあ気配遮断っていう技術みたいなものだよ。剣は烏間先生に頼んであった特注で、何処から出したかは企業秘密かな。流石に一人じゃ無理だったよ、今の僕だと。」

 

皆と打ち解けている様子を教師二人がみていた。烏間が不安に思っていたことは今のところ問題ないようだった。

 

「ふぅ、流石に今回ばかりは先生も命の危機を感じました。ですが生徒達が打ち解けれたのならそれだけでもよしとしましょう。ヌルフフフフ、プロの殺し屋として聞きますがイリーナ先生から見て彼はどうですか。」

 

そこにやって来た殺せんせーが、汗をぬぐいながら話しかけてきた

 

「私とアイツじゃタイプが違うけど、多分ロヴロセンセイと同等かそれ以上ね。それにしてもあの仮面であの動きよくもまぁアイツを連れてこれたものね。アイツ普段は殺し屋しか狙わないのに。」

 

「ヌルフフフ、彼には彼の事情があるんですよ。」

 

「イリーナも彼を知っていたのか。」

 

「私達の業界じゃ有名よ、仮面をつけた殺し屋殺しは。」

 

三人が話しているなか生徒達はヒートアップし続け気配遮断のやり方を教わろうとする人まで出てきたためプロの技を教わるのはまだ早いので急いで止めに入った。

 

「コラ、君たち早く帰りなさい。明日は集会なんですから。」

 

「えーもうちょっと位いいじゃん。」

 

「ダメです!さぁ帰って宿題をするまでが学校ですよ。」

 

「遠足じゃないんだから。分かったよじゃあね殺せんせー。」

 

「ハイ、皆さんサヨウナラ。」

 

生徒達が殺せんせーに促され続々と帰っていき、翁は渚達と一緒に下校していた。

 

「なぁ翁、一緒に帰ろうぜ!」

 

「勿論、俺で良ければ。」

 

帰路につくなかやはり、話題は先程の暗殺だった。

 

「それにしてもさっきの暗殺惜しかったよな。」

 

「うん、僕たちじゃ全員でも触手を何本も破壊した人なんて居ないよ。」

 

「まぁプロを名乗ってる以上これぐらいはね。ん?どうしたのなんか複雑な表情してるけど。」

 

「い、いや何でもないよ。」

 

これを聞いた茅野、渚、杉野の三人はビッチ先生との差に苦笑いをしていた。

 

「そ、それより気配遮断?だっけ?あれについて詳しく終えてくれよ。あれをクラス全員が、出来るようになれば暗殺が絶対に楽になると思うんだよ。」

 

「教えるって言っても直ぐに出来るようなもんじゃないよ。」

 

「どんなものかだけでもいいからさ!お願い!」

 

「わ、分かったよ。」

 

翁は杉野の勢いに押され話し始めた。

 

「教えるけど俺も感覚的なものだから難しいんだけど、遮断っていうよりは俺は周りの空気とか自然に自分の気配を紛れさせる感じかな。周りに上手く溶け込んで見えなくするっていうよりかは分からなくするようにやれば成功できると思う。」

 

「へー、スゴいね。やっぱり一人でも暗殺出来たんじゃない?」

 

「無理だね。絶対に。」

 

あまりにも強い否定が翁から、出たため困惑しながらも理由を聞いた。

 

「何で?だって殺せんせーですら何処に居るか分かってなかったのに。」

 

「じゃあ何で逆に殺せなかったと思う?」

 

「えっ、そう言われると分からないけど。」

 

「まっ、分からないと思うから先に答えを言うと僕の、気配遮断は完璧じゃないんだ。」

 

「え!?あんなにスゴいのに!」

 

「俺らから見ても完璧に見えたけどなぁ。」

 

翁の発言に三人は驚きの声を上げた。殺せんせーの目すら欺く気配遮断の技術は、端から見れば完璧に見えるため当然であった。

 

「僕の気配遮断じゃ気配を消せても絶対に気付かれる瞬間が出きるんだ。」

 

「気付かれる瞬間?そんなの有るように見えなかったよ?」

 

「危ない目に遭うとゾクッとしたりするだろ、あれが僕が命を奪う瞬間必ず起こるんだ。普通の人なら未だしも殺せんせーみたいにとてつもなく早いとその感覚を感じた瞬間に逃げられてしまうからね。だから、逃げられないよう触手を切ってみたんだけど駄目だったから僕一人じゃ今は無理なんだ。」

 

「完璧に見えても弱点があるんだな。」

 

「ならあの仮面は何なの?口調も変わってたけど。」

 

茅野が、特徴的な仮面について尋ねた。口調も全く変わっていたため気になったようだ。

 

「あれは、仕事の時に必ず着ける物なんだ。口調が変わるのはまぁ、ルーティーンみたいなものだよ。それより明日、集会があるんでしょ。少し楽しみだな。」

 

翁は、あまり話したくないのか話題を集会の事に変えたが三人は集会と聞き顔を曇らせた。

 

「あれ、何か不味かった?」

 

「そっか翁君は知らないよね。僕達のクラスはエンドのE組って呼ばれてて落ちこぼれが集められてるんだ。」

 

「え!そうなの。はじめて聞いたんだけど。」

 

「暗殺の為に呼ばれたからかな。集会にいくと本校舎の皆からの嘲笑の視線に耐えなきゃいけないんだ。」

 

「ごめん、何か。」

 

E組について話す渚の表情をみて翁は、謝っていた。

 

「仕方ないよ、知らなかったんだもん。それに私も入ったばかりだからあまり知らないし。」

 

茅野のフォローのお陰で暗い雰囲気から明るい雰囲気に戻った。

駅に着いたため翁は、三人と別れた。

 

「それじゃ皆、サヨナラ。」

 

「うん、また明日。」

 

「じゃあな。」

 

「バイバイ。」

 

笑顔で見送った翁は三人の姿が見えなくなると急に真剣な表情になった。

 

「さて、そろそろ仕事の時間かな。」

 

そう呟くと椚ヶ丘の町へと消えた。

 



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