SAO×FGO 再演の人理焼却 (アルバロス)
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プロローグ

「いきなり呼び出して何の用だ?ダヴィンチ」

「やぁ、終夜君。かのゴルゴーン三姉妹とお茶していた所を呼び出して申し訳ないね」

「ホントに思ってんだか」

 

管制室に入ってきた男、零童終夜は呼び出した張本人、レオナルド・ダ・ヴィンチに問いただす。問いただされたダヴィンチの口から出た謝罪の言葉に疑惑の目を向ける終夜だが、管制室にいた他のメンバー。探偵の祖たるシャーロック・ホームズ。ホームズの宿敵として存在する犯罪界のナポレオン、ジェームズ・モリアーティー。グランドろくでなしのマーリン。そして月のAIにして自称月の女王、BBとかなりの人物が揃っているため先ほどのは些細なものだと疑惑の目を閉じた

 

「そうそうたる面子だが、どうしたんだ?」

「実はだね……既に解決し、行われるはずのない『人理焼却』が既に行われてるらしいんだ」

「誰の情報だ?」

 

情報元を問いただした終夜の返答に情報元のBBへ視線を送るダヴィンチ。目線を辿り、BBだとわかった瞬間、「コイツかよ」とでも言いたげな表情を見せる終夜に全力で異議を唱えるBB

 

「あなたの思ってることはわかりますー。どうせ信じていないんでしょうけど、本当なんですー!」

「仮に真実だとして、どこで行われているんだ?」

「さぁ?」

「は?」

 

どこで行われているか、情報元のBBが知らないと言い、思わず、表情が険しくなる終夜と、この状況にやっぱりかと頭を抱えるダヴィンチ。BBとダヴィンチ、両方のフォローのため、ホームズが話を続ける

 

「私が順番に説明しよう。ある日、彼女はネット上で特異点を発見。そして、こちらへの報告と同時に特異点の調査をしようとしたところ、突如消えたそうだ」

「消えた?感知できなくなったとかでなく?」

「そう、文字通り消えたんだ。だが、その特異点は定期的に現れるという。そこで、現れた時を狙って少しでもいいからと彼女に探って貰った結果、かつての人理焼却と同じ状態だったそうだ」

「もちろん、データは持ち帰って貰い、こちらでも精査済みだ。そしてこちらでも同じ結果が出ているよ」

「そしてだ。私とダヴィンチ女史はある仮説を立てた」

「終夜くん。君はロゴスリアクトを覚えているかい?」

「ああ、ヤバいシミュレーターか」

 

ダヴィンチの口から出たロゴスリアクト。かつて織田信長のみの国取合戦という非常に混沌としたぐだぐだ特異点を作った張本…物?であり、実物がどういうものかと言われれば、とにかくヤバいシミュレーターなのである

 

「つまり、あの特異点のように、人理焼却というあの一連の戦いが一つの特異点となって何かのシミュレーター内で運営されている。と予想したわけか」

「流石Mr.話が早い。本来ならば、マスターである立香に行ってもらうんだが……」

「これ以上、あの子を戦いの場に出したくないということでね。代理を立てることにしたんだ」

「それが俺か。んで、任務は?」

「人理焼却を繰り返しているシミュレーター、又は実験空間の捜索。及び、人理焼却の解決とシミュレーションの停止だ。出来れば何者がやっていたのかも探って欲しいかな」

 

一人で行うにはかなりのものだが、自分しかいなかったとはいえ、一人でやり遂げたマスターの代わりということもあり、二つ返事で了承する終夜。そこから情報の擦り合わせを行い、最後に何の情報も持たず、面白そうというだけで管制室にいたマーリンをぶちのめしてから、終夜はとりあえず今日の予定を消化するために呼び出されたため途中で抜け出したお茶会へと戻ることにした




次回からはロストソング本編へと移ります。そして、ロストソングの本編完結後FGOへと入っていきます

コラボまで先は長いですが、どうかお付き合い下さい


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第一話

サブタイトルを思い付くまで話数で進めていきます

あと、ゲームシステムについて、捏造が少々入っています。ご注意を


「さて、ここが候補の電脳世界。アルヴヘイム・オンライン、通称『ALO』か」

 

あのミーティング後、その日の予定を全て終えた終夜はBBの案内のもと、人理焼却が行われている電子空間に移動するが、痕跡は残っておらず、無駄足を踏む結果となった。そこで、電子空間の世界、または電脳空間を利用する場所を探していった結果、ALOに終夜はたどり着いた

 

「大型アップデートに合わせて忍び込むことは恐らく可能だろうし、身を隠すのに俺はそうする。と、考えればやはり一番怪しいのは、この世界だな」

 

大型アップデートがあったALOの新ステージを散策する終夜は、簡単に敵が尻尾を出すはずがなく、BBも積極的に協力することは無いだろうからと、純粋に新しいALOの攻略をするため、一人フィールドへ向かう

 

 

「さて……と。とりあえず、ソードスキルてのを使えるようにするか」

 

最初のフィールド、浮島草原ヴォークリンデでVRMMO初心者の終夜は一通りの操作を覚えるため、近くにいるモンスターの集団へ一人特攻していく

 

 

 

「攻撃をいつものようにいなすにはスキルが必要そうだな。今だと当たり判定で普通に吹っ飛ばされるしな……しっかし、ソードスキルはどう撃つんだ?」

 

周辺のモンスターに特攻した終夜はソードスキルをものにするため、ひたすらモンスターと戦闘を続けていくが、一度もソードスキルを発動できず、ただモンスターをバッタバッタと斬り倒して、経験値を獲得しているだけの作業になっていた。また、敵の攻撃を現実の戦闘と同じよう、手でいなそうとするも、ここはゲームの中、当たり判定に阻まれ、敵のハンマーによる攻撃をくらうことが多々ある。また、軽いノックバックも設定されているためか、体勢が崩れることもしばしば。

危なくはないが、モンスターが増えている現状をどうするかと考え始めたとき、突如後方の空から声が届く

 

「あんた、大丈夫か!?」

「ん?あー、色々と困っててな。とりあえずモンスターを全滅させたい」

「わかった。いくぞ、みんな!」

 

声をかけてきたのは、全身黒一色の少年と、シルフ、ケットシー、ウンディーネの少女の計四人のパーティーだ

モンスターを全滅させたいことを伝えると、息ピッタリの連携で次々とモンスターを倒していく。終夜の出番なく先ほどまで終夜の周りを取り囲んでいたモンスターたちは全て倒されてしまった

 

「わー、早ぇ………」

「さっきも、聞いたけど、大丈夫か?」

「あー、助かったよ。今日、始めたばかりでソードスキルが使えないから、ひたすら斬ってるだけだから終わりが見えなくてな」

「今日が始めて!?」

 

始めたてということに、驚かれるが無理もない。始めは5.6体だったモンスターも倒す速さより、新たにモンスターがポップする速さの方が速く、数はほぼ倍になっていたのだが、やられることなく立ち回っていたのだから

 

「あんた、良ければ俺たちと一緒に攻略しないか?」

「提案はありがたいが、良いのか?」

「ああ。色々とレクチャーするんだったら攻略しながらの方がいいと思うしな」

 

黒衣の少年の提案を聞いた終夜は、視界に入った女子の反応を見る。すると、三人とも呆れ顔で黒衣の少年を見ており、勝手に決めて……や、仕方ないですよというのが表情だけでわかるほど。ただ、否定的ではなさそうなので、少年からの提案を受けることにする

 

「なら喜んでその提案、受けさせてもらうよ。俺はシュウだ」

「俺はキリト。よろしく、シュウ。あと後ろの三人も紹介しておくよ、俺の仲間だ」

 

キリトと握手したあと、後ろに控えていた三人、ウンディーネの少女がアスナ。ケットシーの少女がシノン。シルフの少女がリーファと紹介を受けたあと、四人と共に空都ラインへと戻るため転移門へ移動した

 

 

 

 

 

 

 




ということで、第一話が終了しました。

仕事の関係と、別に投稿している小説の関係もあり、急ぎはしますが、約三日ほど更新ストップすると思います

気長にお待ち下さい。それでは失礼します


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第二話

「あっ、キリトー!帰ってきてたんだ。……って、後ろの人は誰?」

空都ラインに到着後、キリトの後をついていく終夜は様々な種族のプレイヤーの集団と合流する。会話と、雰囲気からして、キリトの仲間であることは間違いないだろう。と、ピンク髪の少女が終夜の姿を目にとめ、誰だと当然の反応をキリトに向けた

 

「気が早いわよ、リズ」

「紹介するよ。彼の名前はシュウ。今日始めたばかりの初心者(ビギナー)だよ。シュウ、こいつらはALO以前からの俺の仲間だ」

「シュウです。よろしく」

 

全員と挨拶と自己紹介を交わした終夜は、仲間の内巨漢のエギルと冴えないクラインの二人と別れ、サブクエスト攻略のためフィールドへ再び繰り出していく

 

 

 

「さて、ならソードスキルの練習といこうか。基本は、準備動作として構えてから、自分の武器からライトエフェクトが発生すると、そのままシステムが自動で動いてくれる。まずは………」

 

お手本として、キリトが一番簡単なソードスキルで敵を倒した後、なんとかソードスキルを発動させた終夜。何度もやっているうちにすぐにコツを掴み、先ほどまでのぎこちなさのない、全く違う動きで次々と敵を屠っていく

 

「す、凄いです。短時間であんな動きができるなんて」

「ホントに初心者なのかしら?」

「もしかして、現実世界で剣道とかやってるんじゃないかな?」

「えーっと、現役としては、あんな動きが生身でできる剣道家なんていないと思いますよ………」

 

終夜の常人ならざる動きへの反応は様々。純粋に驚いたり、初心者では無いのではと疑惑の目を向けたり、現実世界で何かやっているのかと考えたり。そんな女性陣の心境を露知らず、クエスト達成数以上のモンスターを倒した終夜とキリトは、女性陣の元に戻り、クエスト達成の報告のため、空都ラインの酒場へと戻ることにした

 

 

 

 

 

 

「さて、これでクエスト達成だ」

「少ししたら工房に来てくれってエギルさんが言ってましたよね?」

「そうだな……少しは時間がたったし、エギルの言うとおり、工房へと顔を出そうか」

 

酒場にてクエスト達成の報告とクリア報酬を獲得した終夜たちは、クエスト前に別れたエギルの言葉通り、町の工房へと全員、足を向けた

 

 

 

「おう、キリト。それにみんなもちょうどいいタイミングだな」

「おお、これは……」

「ダイシー・カフェ、出張店だな」

「ダイシー・カフェ?」

 

話を聞くと、エギルはALO本土に喫茶店を開いており、また現実世界でも喫茶店を営んでいるらしい。そして、普段からキリトたちのたまり場となっており、本土と離れたこちらにも必要だろうと、新たに店を構えたそう。そして、リズも自分の鍛冶スペースを工房内に作り、ここで加治屋としての仕事もしていくという

 

 

「今日はここで解散しようか。また明日だな」

「明日からは本格的に新エリアの攻略だね」

「まずは、草原の島。ヴォークリンデね」

 

明日、集合時間や場所を決めて、解散するキリトたち。終夜もキリトたちと別れ、一人フィールドを散策するが、本来の目的に関係するものは見つけられず、仕方なくALOからログアウトをするのだった




このペースだと、いつFGOコラボにいくんだろ………

できるだけ急ぎでないとホントに不明ですな


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第三話

「同じ羽根飾りをつけてるやつが多いけど何かイベントでもあるのか?キリト」

「いや、あれは音楽妖精プーカの羽根飾りでイベント限定でもなんでもない筈だけど……」

 

集合まで時間があったため、たまたま出会ったキリトと二人で町をブラブラしていると、同じ羽根飾りを付けた集団が共通の話題で盛り上がっていたり、羽根飾りを付けたプレイヤーの姿がちらほらと見え、何かあったのかキリトに聞く終夜だが、キリトも知らないらしく、最初に合流したアスナに聞いてみると、既に知っていたようで教えてくれた

 

「あれはね、シャムロック信奉者の証なんだって。最近では歌姫セブンだけでなく、七色博士に心酔する人も多いみたい」

「七色博士に?彼女の論文を一般人が理解できるとは思えんが」

「ALO内で自身の論文についての講義もやってるみたいで、それも人気らしいよ」

 

ほー、っと感心する終夜は、解散した後にでも論文を見ようかと思案しつつ二人とともに集合のため、ダイシー・カフェに向かう。そして、みんなが合流したので攻略に向かおうと、外へ出ると町の広場に人混みができ、何か騒ぎになっているようだった。気になったキリトが攻略の前に人混みの理由を確認しにいくと、そこにいた人混みの全員が羽根飾りを付けており、真ん中には先ほどまで話題に上がっていた歌姫セブンが、一人の男を連れて周りに手を振っていた

 

「あれが、歌姫セブンか?………にしても、周りの奴等が鬱陶しいな」

「し、シュウさん。落ち着いて下さい。にしても凄いですね。ファンの方がこんなに」

「ああ、俺もこんなに多いとは思ってなかったよ」

 

周りの熱気に怒気を高める終夜を宥めにかかるシリカもファンの多さにびっくりした様子で、キリトもそれに同意する。

 

「ねぇ、この周り全員がシャムロックに所属しているのかしら」

「違うという思うよ。周りにいるのは見物人と熱心なファンが大半だろうね」

「よく知ってるわね、フィリア」

 

フィリアからの情報曰く、シャムロックに所属しているプレイヤーはALOでもトップ層らしく、生半可なプレイヤーはいないという。そして、セブンの隣にいるウンディーネは名をスメラギといい、セブンが最も信頼を置く人物らしい

 

「でもねー、あのセブンってこ。かなり弱いみたいだよ。ステータスでみても、んーと、シュウ君を除いた全員より弱いし」

「それでもシャムロックがトップクラスのギルドということは本当に手練れが多いみたいだな。しかも、シャムロック最強がスメラギか……」

「……さて、それじゃあ俺たちも攻略にいこう」

 

 

セブン一行が離れ、自分たちも攻略のためキリトの声でフィールドへと移動を開始する




本当にこのペースだといつコラボまでたどり着くんだろうか

ようやく来ましたFGOの夏イベ。まだ作者はガチャを引いていませんが、既に友人からキアラさんを引いたと報告があり、若干殺意を覚えています

火焔猫さん、誤字報告ありがとうございます


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第四話

「さて、攻略といったが、どこまでキリトたちは攻略できているんだ?」

「今はだな……」

 

フィールドにて、モンスターと初めて戦闘しただけの終夜は、どこまで攻略できているか、次はどこを攻略するのか聞いたのだが、最初のダンジョンをクリアし、レアアイテムをゲットしただけで、まだ本格的に進める方法はわかっていないとのことだった

 

「中央の浮島にいく方法がまだわからないわね」

「高度制限で飛んではいけないから、別の方法があるはずだよ」

 

フィールド中央にある浮島は高度制限以上の高さにあり、リーファが言う通り、飛行して向かうことはできない。そのため、たどり着くための手段を探していると、中央の真下に位置する場所に何らかの装置があることを見つける

 

「この装置、動いていないけど、一体何に使うんだろうな」

「真下ってことは………」

「あ、お兄ちゃん。誰か来たよ」

 

見つけた装置の前でどんな装置か、どう動かすのか全員で考えていると、こちらに向かってくる集団をリーファが発見する。その集団はプーカの羽根飾りを付けており、先ほどセブンの隣にいたスメラギもいたことからシャムロックだと判明した。そしてキリトがシャムロックの一人に話しかけ、好感を得たのか装置についてのヒントを教えて貰っていた。どうやら近くにある遺跡が怪しいらしい

 

「それじゃあ、その遺跡にいこっか。案内できる?ユイちゃん」

「ユイちゃん?」

「はい、その遺跡はここから東に少しいったところにあります。それと、初めまして、シュウさん。ナビゲーションピクシーのユイです」

「よろしく、ユイ…ちゃんでいいのか?」

「はい」

 

ユイの自己紹介を受けたのち、全員でその遺跡に向かうが、入り口に鍵がかかっており中に入れそうになかった。と、扉の前で立ち往生している終夜たちに救いの手を差しのべる男が来ていた

 

「よお、キリト」

「クライン!」

「やっぱり、キリトたちもここにたどり着いてたか。それと……えっと、どちら様?」

「ああ、紹介するよ。彼はシュウ、始めてまだ2日目のビギナーだ」

「シュウです、よろしくお願いします」

「どーも、クラインといいます」

 

話しかけてきたサラマンダーの男性、クラインは挨拶後、ここの扉の鍵を町のNPCから情報収集中にゲットしたといい、その鍵を使用すると、無事扉が開いた

 

「それじゃあ、俺はここで失礼するぜ」

「一緒にいかないのか?」

「今やってるサブクエストを終わらせてから合流する。町で会おうぜ」

 

サブクエストの途中だというクラインは、クエストを達成するため、一人町へと向かっていった

 

「それじゃあ、攻略を始めよう!」

 

探索していると、どうやら小さいらしく、一つだけしかギミックのないダンジョンのため、苦戦することなくボス部屋までたどり着く終夜たち

 

「それじゃあ、ボスとの戦いだけど、シュウにスイッチを教えるよ」

「スイッチ?」

「ああ、一人目がボスの攻撃をパリィしたり、ソードスキルを売って仰け反らしたときに入れ替わって二人目が攻撃することさ。言うより実践の方がシュウには早そうだから早速いこう!」

 

小さなダンジョンのため、ボスの強さもそこまでなく、これからの強敵にも使っていく技術を教えて貰いながら難なく倒したら、ボス部屋の奥で古びた本と鍵をゲットすることができた

 

「本と鍵…ねぇ。この鍵、一体何に使うのかしら」

「この鍵、錆が酷すぎてそのままじゃ使えないんじゃないかしら」

「錆を落とすようなアイテムってあるのか?」

「私は知らないし、皆も知らないんじゃないかしら」

 

入手した鍵を手に、終夜とリズベット、シノンの三人が話し合っていると本を見ていたシリカから困ったと声があがる

 

「その本、何かあったのか?」

「古代文字みたいで、読めないんです」

「もう片方のページには、平らな板の上に人が浮いている絵があったんだけど、それだけだと何の事だか」

「その本、見せて貰っていいか?……………なんだ、古代のルーン文字か。何々」

「古代のルーン文字……ってアンタ、それ読めるの!?」

「ああ」

 

シリカから本を受け取り、一通り目を通す終夜。本に書かれている言語が、ルーン文字とわかると、拍子抜けして、言語を見るためにページの中心部に向けた視線を文の初めに持っていく。そこでシノンから驚きとともに読めるのと聞かれ、読みながら軽く相槌をうつと、全員が驚きの声とともに顔を終夜に集中させた。終夜は気にせずそのまま読み進め、本の内容をキリトたちに伝える

 

「どうやら、あの装置は二つのアイテムで動くらしい。そして、あの装置は人を飛ばすものって書いてある。つまり、あの装置を起動させて中央の浮島まで飛んでいくってことだな」

「あの絵はそういう意味だったんですね!」

「ならあとはアイテム集めだけど……とりあえず町に戻ろうか」

 

今後の方針も決まり、各自のアイテム等の準備やクラインとの合流のため、町へ戻ろうと提案するキリトに誰も異論なく、今後の展開に予想話を咲かせながら楽しく町へと帰還するシュウたちだった

 

 

 

 

 




さて、次はいよいよ、作者の好きなキャラ不動の一位のユウキとの出会いです!


アリシャさん、サクヤさんファンの皆様、申し訳ありません
特殊な虫眼鏡で本を解読するイベントをすっ飛ばさせて頂きました。
古代文字としかかかれてなく、誰も読めないということだしルーン文字でいいかと、ルーン文字設定にさせて貰いました

何故読めるかと言われますと、皆さん大好き青タイツの人がいるでしょう?

ランサーが死んだ!

それでは皆さん、この後を感想欄にでもご唱和下さい。

それでは


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第五話

『そちらの首尾はどうかな?』

「残念だが、敵の尻尾も例の特異点の影も見当たらない。そちらは?」

『残念ながらこちらも同じ状況だよ。特異点の影すら掴めない。BBもダメだったらしい』

「それは困ったな………」

 

こちら側の世界に渡ってからの拠点にしているマンションの自室でカルデアに現状報告を行う終夜。カルデアでも捜索を行ってはいるが、終夜共々結果は振るわない様だ

 

 

『あ、終夜さん。いいところにいました。糖分が不足しているので高級和菓子をお願いします。あの赤いアーチャーさんのも美味しいのですが、終夜さんが買ってくるものもとても美味しいので』

「いやいや、えっちゃん。唐突に和菓子と言われましても」

『ダヴィンチ女史、頼まれたものを……終夜さんですか、ちょうど良かったです。図書館に無い本で欲しいものがありますのでそれの入手を……』

「ちょっと待って、メドゥーサさん。なんでアンタまで俺にお使いを頼むんだよ」

『あと、お姉様たちに出す紅茶の仕入れを……』

「まさかのスルー!?」

 

会議中に割り込んできたのは、カルデアの中で終夜と仲の良いサーヴァントの謎のヒロインXオルタ、通称『えっちゃん』と、とある場所で大活躍のメドゥーサの二人。二人ともちょうど良いと終夜をパシリ扱いし、止めようにも両方とも聞こえている筈なのに聞く耳を持たず注文する内容を告げてくる。悪態をつきつつも、ちゃんとメモを取る終夜の姿を見たダヴィンチはニヤリと笑い密かに複数のサーヴァントに連絡を入れる

 

 

「はぁ……わかった。これらを買ってそっちに……」

『なら、私の分のスイーツをお願いします』

「アナ……君までもか……」

『大きい私のお願いを聞くのなら私のお願いも聞いてくれていいでしょう?』

「まぁ、いいのはいいんだが……」

『なら我輩の望む同人グッズの入手もお願いしますぞー!!!』

『はーい、私も私もー』

「おっきーはいいが……くろひー、テメーは自分でいけや!」

『女性贔屓は酷いでございまするぞー!!』

 

ダヴィンチが呼んだサーヴァントは、女神に近い姿のメドゥーサのアナと俗に言うオタクサーヴァントである刑部姫と黒髭、エドワード・ティーチ、通称『くろひー』。黒髭とギャンギャン言い争う姿を良いものを見たとご満悦のダヴィンチは言い争いを納めたあと、後の三人の注文を済ませると有無を言わさず通信を切る。通信を切られた終夜は、キリトに数日ログインできないことを伝えたあと、全員の注文品を必死に集め始めた。高級和菓子や、高級茶葉等を仕入れたついでにカルデアの備品も購入したため、総額は五百万を越えたとかなんとか。

搬入を手伝った赤い弓兵曰く、カルデアに到着して注文品を届けたあとは死んだ目をしていたらしい

 

 

 

 

 

 

「悪いな、皆。急用が入って数日ログイン出来なかった」

「別に構わないさ。用事が出来たのなら仕方ないさ」

 

そうして、久しぶりにログインした終夜は町でキリトたちと合流し、突然数日留守にしたことを謝罪する。けれど、キリトたちは怒ることなく、仕方ないと理解を示してくれた。と、一人見知らぬ少女を目にする終夜。その視線に気づいたキリトはその少女の紹介をするため少女の名前を呼んだ

 

「ユウキ、紹介するよ。彼が前に言っていたシュウだ」

「お兄さんが、ビギナーなのにすっごく強いっていうシュウさんだね、ボクの名前はユウキ。よろしくね」

「別にシュウでいいよ」

「ユウキはね、絶剣って言われてる凄腕のプレイヤーなのよ」

「絶……剣?」

 

アスナの解説に突如ガックシと肩を落とす終夜。その姿に何か変なこと言った?と焦るアスナたちだったが、キリトがハッと理由を思い付いたため、恐る恐る終夜に聞いてみた

 

「シュウ、お前まさか戦えなかったから落ち込んでるんじゃ……」

「噂は聞いていたから出来れば辻デュエル中に出会いたかった………」

「えっと……つまりシュウはボクと戦いたかったってことだよね?それじゃあ…やる?」

「いいのか?」

「うん!ボク、皆がいうシュウの強さを見てみたいし」

「ならやろう。フィールドにいこうか」

 

気を効かせたのか、デュエルも申し込むユウキに少し食い気味に確認を取る終夜は、ユウキのOKを聞くやいなや即答でデュエルすると、フィールドへ即、移動を始めた

その姿に、そんなにやりたかったんだと、少々呆れ気味の女性陣

 

 

 

 

 

 

「えーっと、デュエルは……おい、キリト。やり方がわからん!」

「ならボクから申し込むよ。全損決着モードでいいんだよね?」

「ああ、よろしく頼む」

 

フィールドに降り立った終夜たちは、デュエルのために開けた場所に移動し、互いに距離をとる。操作の不馴れな終夜に変わってユウキがデュエルを申し込み、カウントが始まる。町でのやり取りが聞こえていたのか、少々ギャラリーも集まって来ていた

 

「ユウキさんは剣、シュウさんは刀ですか。どんな勝負になるんでしょうか」

「でもよぉ、アスナちゃんが戦って、勝てなかったんだろ?」

「うん。あのときは途中で終わったけど、そのまま最後まで続けてたら私が負けていたはず」

「ならあいつは勝てないんじゃないか?」

 

クラインの道理ある言葉に納得する全員は終夜の横顔を見る。3カウントが始まり、1に差し掛かろうとする辺りで終夜は閉じていた目をゆっくり開く。その顔と見える気迫に思わず気圧されるキリトたち。ユウキも今までの人とは違うと気を引き締め直す。そして、カウントが0になったと同時にまず終夜が仕掛けた

 

「フッ…トッ……ハァッ!」

「ッ……やあぁぁ!」

 

二人の剣戟に回りからは歓声が上がる。リーファも終夜が繰り出す技の流派の多さに感嘆の表情で終夜の動きを追っていた。だが、戦っている終夜本人は一人、内で驚愕の表情を浮かべながら戦っていた

 

「(おいおい、いくらなんでもこれはないだろう。なんで、攻撃が全て防がれるんだ(・・・・・・・・・・・))」

 

カルデアには、数多の英雄が集う。その中には失われた流派や不完全に伝わった流派の祖もおり、戦ったり、指導を受けたりして、終夜は武術を会得している。それ以前からの独自の剣も合わせて使い、ユウキと戦っているが、その全てが今、防がれている。その中には完全に裏をとり、普通なら絶対に反応できない攻撃もあった。その筈なのに、ユウキは見えてから対応したのだ

 

「……こりゃ、マズいな」

 

普段、主に刀で、他に拳に脚にその他諸々。一つの戦闘でも複数の手段を持って戦うのが終夜のスタイルだが、決して今回は使用しないと決めている。その理由は至極単純。絶対なる剣『絶剣』と言われるユウキを剣だけで倒したいからだ。が、終夜の頭に現在、ユウキに勝利するビジョンは写っていない。それもその筈、魔法の域にまで達したNOUMINの剣等々、0と1だけの世界でましてやサーヴァントでも無い身で扱えるわけがない。

しかも、終夜は元々あまり防御はせず、攻撃を受けようともそこで捕まえ攻撃するといったドM戦法を使う

(ちなみにこのことをマーリンが言ったら一分後、肉塊と化したマーリンの姿があったとか)

いつもの通りではそのまま自分のHPが0になるだけなので必死に防御を行う

 

「?こないならボクからいくよ!」

「チッ……なんの!」

 

どうするかと距離を取り思案しようとするが、そんな隙をユウキが見逃すはずなく、ユウキは自分から仕掛けていく

そして、一進一退の攻防が続き、終夜も何度か攻撃をヒットさせることはできたが、それでもユウキの反応を越えることができず、ユウキの体力を自分のより少なくすることは難しそうだ

 

「リザイン……あーもう、無理。どうやっても勝てんわ。疲れたー!」

 

これ以上やっても、ジリ貧で自分の負けだと早々に認め降参した終夜はそのまま横に倒れ、思いをぶちまける

 

「シュウも強かったよ!ありがとう」

「ありがとうはこっちの言葉だよ」

 

二人の健闘を称えるように、周りのギャラリーから拍手が起こる。キリトたちの元に戻った終夜は攻略の進行具合を聞き、二つのキーアイテムは既に獲得しているらしく、あとは例の装置を起動させるだけだというので、そのまま向かうことを提案。キリトたちは少し休憩してからと言うが、終夜が押しきり、ユウキの意見を聞いて、そのまま中央の装置まで全員でいくことになった

 

 

 

 

 

 

 




ということで、無事にユウキとファーストコンタクトを取れました

ユウキとアスナの絆は特別なもののため、アスナの代わりに終夜を出すということがどうしても考えられず、あえてカルデアとのやり取りを入れ、出会うタイミングをずらしました。

アスナが戦った後に戦えばいいじゃんと思われる方もおられると思いますので先に答えておくと、そのパターンの理由付けが考えれなかったからです

NOUMIN?今回の映画では全章通して空気のあの方ですよ

それでは


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第六話

「さて、あとは装置にアイテムをセットするだけなんだろ?」

「ああ、それじゃあセットするぞ」

 

終夜とユウキのデュエルが終わったのも束の間、終夜一行は今後の攻略の鍵となる装置の前に移動していた。

終夜が読み解いた本の内容では装置にキリトたちが集めた二つのキーアイテムをセットすれば、高度制限以上の場所にある浮島へと移動出来るようになるはず。そのため、キリトが装置にアイテムをセットすると、突如キリトたちを囲うように四体のモンスターがポップする

 

「突然、モンスターがポップしたわ!」

「……まぁ、中ボスが出てくるのは進行度的にも今がちょうどいいしなぁ、当然だろう」

「なにアンタは冷静に現状を分析してるのよ!」

 

そこらのフィールドにポップする雑魚敵ならば四体は苦戦するはずもないのだが、中ボスであれば話は別。強敵に囲まれ、不味い状況に陥ったキリトたちの元に同じようなパーティーがやってきてくれた

 

「敵に囲まれたようだな」

「貴方たちは…シャムロック!?」

「どこのパーティーかは知らんが、ここは共同戦線といこうじゃないか。互いに二体ずつでどうだ?」

「助かる!」

 

援軍に来たシャムロックとボスを半分ずつ対応するように即座に決め、中ボスを倒すために行動を起こす。終夜はユウキとともに二人で連携を決め続け、更にリーファのアシストもあって一体を撃破。その間にキリトやシャムロックも残りのボスを全て撃破し、無事装置は起動するのだった

 

 

「あのっ、助けてくれてありがとうございます」

「気にすることはない。俺たちにとってもフィールド解放クエストは重要だからな」

 

シリカの感謝に答えたシャムロックの一人は、届いたメッセージを確認すると、ギルド本部へ戻らないといけなくなったと、キリトたちに先に進む権利を譲るといい、ギルド本部への撤退していった

 

「行っちゃいましたけど、ほんとにいいんでしょうか」

「大丈夫だろうな。あの態度からしても、相当自信があるようだし、更に言えば序盤のこの島を先に攻略されようと、後半で巻き返そうとするだろうしな。メンバーも多いし」

「それじゃあ、中央の島にいこうぜ。気流装置が起動したみたいだしな」

 

一緒にクリアしたのに自分たちだけ先にいってもいいのかと心配するシリカに別に問題ないだろうと終夜は声をかけ、このままいても埒があかないのでキリトが皆に攻略を進めようと指示をだし、起動した気流装置で中央の浮島まで移動する。その際に、中々の高度まで一気に飛び上がるためシリカは怖がったり、逆にユウキは楽しんだりと各々違った反応を見せつつ、最後のダンジョンの前まで移動する

 

 

 

 

 

「ここのダンジョン、アイテムを集めに入ったダンジョンとは違う気がする」

「私は何も感じないけど索敵スキルが違ったらそう感じるのかな?」

「いや、俺のゲーマーとしての勘さ」

「えー……何それー」

 

キリトの謎の自信ある反応に少々困惑気味のリーファ。そんな二人を横目に一人ため息をつく終夜を見かねたユウキはその反応が気になり、終夜に近づく

 

「シュウ、どうしたの。ため息ついてさ?」

「ユウキか。いや、序盤だとわかってはいるんだが、最終ダンジョンがこうも単純だとなぁ……」

「どれどれ〜」

 

最終ダンジョンとはいえ、攻略するフィールド全体で見ればまだ序盤のため、マップ見るだけでわかってしまう、明らかに難しいギミックのなシンプルなマップだった

 

「んー、やっぱり始めだから仕方ないと思うよ?ボク」

「これだったらユウキとのデュエルの方が燃えるなー」

「次も負けないよ」

「安心してくれ、今は負ける未来しか見えないから」

「二人ともー、早くこないとおいてくわよー」

 

二人で話していると、すでにキリトたちは先に進んでおり、気づいたリズに早く来るよう急かされ二人とも走って集団に追い付く。単純なダンジョンとあって、そこまで時間もかからず、ボス部屋までたどり着いた

 

「ここまで来ると、この先に手強い敵がいるってことが嫌でもわかるわね」

「皆、準備はいいな?」

「ダメです!」

「何でよ!」

 

ボスに挑戦する前の確認の問いに真顔で答えた終夜にツッコむリズ。冗談だと、笑い飛ばす終夜に額を押さえるリズの光景を苦笑いで見たキリトはそのまま、ボスの扉を開ける。すると、部屋の中から強烈な風がキリトたちを襲う

 

「な、なんて風!」

「このままだと吹き飛ばされちゃうよぉ!」

「これは……皆さん、別の場所に転移します!」

「えっ、耐えなくていいの!?」

 

強制転移することをユイが全員に知らせると、そのまま全員が強制転移しダンジョンの外の空中に全員が滞空状態でたっていた。そこに遠くから巨大なドラゴンが咆哮を上げつつ終夜たちのもとへ、飛翔してくる

 

「あれが今回のボスか!」

「……ファヴニールか。そういや、ジークフリートと同一視される邪竜ファヴニールを討った英雄、シグルドは原点が北欧神話だったな」

「その知識は今必要ないでしょ。来るわよ!」

 

突進してくるボスの攻撃を四散して回避する終夜たち。エリアボスということもあり、その攻撃方法は多彩であり、どれも高威力。巨体による突進やボスの起こす竜巻に苦戦しつつも、終夜やキリトたちは見事な連携でボスのHPを削っていく

 

「ようやく、歯応えのある敵だ。もうちょっとは楽しませて貰わないとなぁ!」

「皆さん、ボスの体力はあと僅かです!」

「よし、気を抜かずにいくぞ!」

「うぉりゃっ!」

「シュウが全然聞いてない!」

 

次第にボスの体力は削れ、ボスが瀕死なのをユイが知らせると(一名除き)キリトの声に答え、気を引き締め直す。そして、戦い続け終夜が一撃を喰らわせたら、ボスがポリゴンとなって消失。ボスを倒すことができたのだった

 

 

「よし。これで草原の島はクリアだな」

「お前ら、オレ様の勇姿をちゃんと見てたか!」

「え?」

「あ……」

「えっと……」

 

ボスを倒せたことで盛り上がる一行だったが、クラインの一言に女性陣が気まずそうに目を逸らす。

 

「ちょ、おい。なんで皆して俺から目を逸らすんだよ」

「冗談よ。仲間の動向ぐらい、ちゃんと把握してるわ」

「すまん、俺はほぼ見てない」

「グホッ」

「というか、いたんだなクライン」

「…………………」

「ああっ、クラインさんが!」

 

シノンが冗談だとクラインに伝えるが、同時に俺は見てなかったと終夜はぶっちゃけ、ダメージを喰らうクライン。さらに終夜は追い討ちをかけたためクラインはあられもない姿になってしまう

 

「アハハハハ。そういえば、ユイ。これで次の島にいけるんだよな?」

「はい。パパたちがボスを倒したので、先ほど次のフィールドへ進む転移門が解放されました」

「わかった。皆、次の島へと向かおう!」

 

ボスを倒しても、ダンジョンの中に戻される訳ではないようなので、キリトの一声で全員、新たなフィールドに向かうため進路を起動した転移門へと向けて移動を開始した

 

 




筆がのって、連載しようとしたら謎の睡魔と、仕事の出勤命令でテンション落ちて、ゆっくり投稿になってしまった


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第七話

「ここが砂丘峡谷ヴェルグンデですね」

「……意外と暑くねぇのか、よかった」

「シュウって暑いの苦手なんだね」

「ああ。大の苦手だ」

 

ボスを倒して、その足で新フィールドにやって来た終夜たち一行。砂漠と岩山で構成されたフィールドは、現実の砂漠とは違い、猛暑と言われるような堪えるほどの暑さではなく、苦にならない程度の暑さに調整されているため、鍛冶職人のリズは新しい素材に、キリトやアスナたちは新しいクエスト攻略に心が向いていたが、ただ一人、暑さを大の苦手とする終夜だけは予想より低い温度に一人ホッとしていた

 

「まずは、どこから攻略すればいいかな?」

「ヴォーグリンデのときみたいに島を一周してみるのはどうでしょうか」

「そうしてみようか」

 

 

攻略に対して明確な指針が無いため、どう攻略するかを聞いたストレアに対して、ユイが初めの島、ヴォーグリンデと同じ方法を提案する。明確な指針もなく、自分達で探っていくしかないため、アスナがその案で行くことを決め、皆でフィールド全体を一周したあと、一旦町へと帰還する

 

 

 

 

「さて、それじゃあ砂漠の島の攻略作戦会議を始めるぜ!」

 

町に戻った終夜たちは一度解散し、少し時間を置いて、自分達が拠点にしている宿屋前で再集合をする。全員が集合すると、クラインの言葉を皮切りに、作戦会議が始まった

 

「今回のフィールドの最終目的も、フィールドの大ボスを倒すってことでいいよな」

「今回もいくつかダンジョンがあったからどこかに先に進むためのアイテムがあるんじゃねぇか?」

「どんな強さの敵がいるかわからないから転移門近くのダンジョンから攻略するのがいいと思うけれど」

 

各々思うことを口にして話し合った結果、転移門近くのダンジョンから順に攻略することに決定し、そのままフィールドへ繰り出していく

 

 

 

 

 

 

「あっ!シャムロックだー」

「ふっ、お先に攻略させてもらうよ」

 

フィールドに移動し、作戦会議で決めた通りに転移門から一番近いダンジョンに入ると、ダンジョンに入る扉の前にシャムロックのパーティーが先に陣取っており、ちょうどダンジョンに入るところだったのか、先に失礼と言い残してダンジョンへ入っていく。どうやら、鍵が必要らしく、シャムロックの入っていったダンジョンにはまだ挑戦できないみたいだ

 

「鍵が必要なのか……あの短時間とはいえシャムロックの連中、中々の速さだな」

「先越されちゃったし、私たちも早く鍵を入手しないと」

 

シャムロックに負けないよう、急いで他のダンジョンへ向かう終夜たち。島を一周し、発見したダンジョンへと進み、攻略を済ませ、ダンジョン内のボスを倒す。すると、ボス部屋の奥の宝箱から謎のパーツが入手できた

 

「なんなんですかね、これ」

「何かの部品みたいだけれど」

「恐らくだが、鍵じゃねぇかな。他のダンジョンで残りのパーツをゲットして鍵を完成させて、最初のダンジョンに挑むようになると思うぞ」

「なら他のダンジョンも早くクリアしないとですね」

 

攻略の手順も憶測ではあるが判明したため、シャムロックに追い付けるよう、次のダンジョンへ急ぐ終夜たち。そして、次のダンジョンもなんなくクリアし、アイテムをゲット。終夜の言う通り、組み合わせると鍵になるようだが、まだパーツが足りないようで、鍵は完成しなかった。そして、ダンジョンから出た途端、理由も言わず、キリトが走り出した

 

「ちょ、ちょっとキリトくん!?」

 

アスナたちも慌てて追いかけ、キリトに追い付くと、アスナが既にキリトから何かを聞いていたからか、すぐに自分達がつけられていたのかを聞き出す

 

「キリトくん、やっぱり……」

「ああ、つけられていた。追い付けなくても姿だけでも見てやると思ったんだけど、ダメだった」

「尾行か……気にしすぎるのも支障がでるぞ」

 

キリトは、捕まえられなくとも姿だけ確認しようと視線の感じる方へ駆けるが、たどり着いたときには、姿が見えず、もう逃げられた後だった。終夜は尾行に集中し過ぎるのはよくないと忠告をし、キリトもこういう撹乱もゲームの楽しみ方の一つだと気にする素振りもなく、攻略を再開する。途中、ヴォーグリンデと同じ、気流発生装置があった場所では、近くにあった制御装置で気流を止めようとして、やはりヴォーグリンデと同じく、中ボスがポップする。中ボスを撃破して、気流装置を停止させると、気流で見えなかった場所に一つ宝箱が眠っていた

 

「鍵?」

「あ……多分それ、シャムロックが入っていったダンジョンの鍵だな。そこで多分最後のパーツが手に入るんだろう。シャムロックのやつら、攻略が異様に早いと思ったけど、俺の早とちりか」

「大丈夫だよ。それじゃあ、最初のダンジョンまで戻ろうか」

 

最初にシャムロックと出会ったダンジョンまで戻ってきた終夜たちは、先ほど入手した鍵を使い、扉にかかっていた鍵を解除する。今までの二つと難易度は変わらないため、サクサクっとクリアして、最後のパーツを手にいれると、全てのパーツが合体して、鍵の形に変形する

 

「この鍵で入るダンジョンのボスは中々強そうだね」

「そうだな。とりあえず、一旦、町に戻ろうか」

「了解!」

 

ストレアの言ったことに同意したキリトは、全員に町へ戻ることを伝え、帰還する

 

 

 

「それじゃあ、皆準備とかあるだろうから、一旦解散でいいか?」

「私、ログアウトして済ませないといけない用があるから明日でもいいかしら」

「俺も済ませたい用件があるんだ」

「それじゃあ、明日宿屋に集合することにして、今日は解散しようか」

 

このまま、鍵を使用して新たなダンジョンに挑む前の準備をすることを提案するキリトに、この後用事があるから明日でもいいかと、聞くシノンとエギル。二人の話を聞いたキリトは少し考えたあと、全員に明日から攻略を再開することにして、今日の所はこれで解散することを伝えた。シノンとエギルはそのままログアウトし、クラインは自分のギルドと合流するため別れる。他にもリズは加治屋の仕事へと向かったりと最終的に残ったのは、キリト、アスナ、リーファ、終夜の四人だった

 

「シュウはこの後何もないのか?」

「とくに何もないが、どうするんだ?この人数だと、サブクエを受けるくらいか?」

「俺はもう一度フィールドへ出るのもいいかなと思ってる」

 

攻略は出来なくとも、何か発見があるだろうと、満場一致でフィールド探索をすることになったため、回復アイテムなどを揃えて、全員の準備が終わり次第、転移門でフィールドへと転移した

 

 




次回は、レインちゃんとの出会いです

感想の他に何か意見がありましたら、活動報告の意見箱にお願いします。モノによっては運営様から削除され、確認できない場合がありますので


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第八話

「きゃあああっ!」

「女の子の悲鳴!?」

「あっちからだな」

「シュウくん、早っ!」

 

フィールドに転移した途端、全員の耳に女性の悲鳴が届く。悲鳴をした方へ、終夜が一番早く駆け出し、やや遅れてリーファ、アスナ、キリトの順で終夜の後を追う。駆けつけた先には、モンスターに襲われている1人の女性が倒れており、一番早く現場に到着した終夜は、そのまま少女の元に向かい、モンスターとのすれ違いざまに、一撃を入れ、倒れている女性を抱えあげ、自身の攻撃により、ヘイトが自分に変わったモンスターを振り向きざまに倒す。その後、女性を抱えたまま、無茶な動きを出来るだけせずにモンスターを屠っていく。追い付いたリーファやアスナも参戦するが、キリトは終夜が抱えた女性に何か思い当たることがあるのか、立ち止まるが気づいたリーファに急かされ、キリトも戦闘に参加する

 

 

 

「さて、これで全部か。そっちは大丈夫か?」

「うん、大丈夫だよ。それより……早くその子降ろしてあげたら?」

 

助けた少女を抱えたまま、現状確認する終夜に大丈夫と返しつつ、お姫様抱っこのままの女性を降ろすよう促すリーファ。終夜が女性を抱えた状態から立たせると心配したアスナが声をかけた

 

「あの……ありがとう」

「大丈夫、怪我はない?」

「(ぶっちゃけ、怪我と言えるものはしないと思うが。…………ん?)」

 

終夜のメタい話はさておき、助けた女性は一人で探索中に迷い、迷った先でモンスターと出くわしたらしい。アスナは解放されてすぐのフィールドでは危険だと女性に伝え、女性から町まで同行させて貰えないかとの提案に喜んで了承を示した

 

「……………」

「おーにーいーちゃーん?さっきからジロジロ見てるよねぇ?そんなにこの子が気になるの」

「もしかして一目惚れかー!?」

「違う!……君は見たところレプラコーンだな」

「あ、はい」

「基本、戦いには不向きな種族のレプラコーンが一人で冒険するなんてのはあまり聞かない話だ」

「ッ!」

「え、種族によって戦闘の向き不向きがあるのか!?」

 

 

キリトは終夜とリーファの二人から向けられた疑惑の目を否定して、自分が感じた違和感を伝える。その言葉に、女性は核心を突かれたような反応を見せるとともに、終夜も初耳の情報に女性に向けていた視線をキリトに向け直す。キリトの疑惑にアスナも同意を示した

 

「確かに、普通はアタッカーやディフェンダーと同行する事が多いわよね。あなた、もしかして初心者」

「えと、あっ……は、はい!」

「でも君の履いている靴ってかなりレアな装備じゃないか?」

「そうなのか?」

「それはレプラコーン専用の特殊な装備だ。ソロの初心者が入手できる代物じゃない」

「擁護とかそういうわけじゃないが、俺とキリトたちみたいにこの子が上級プレイヤーと一緒だったって可能性は?」

 

キリトの追及に待ったをかける終夜。本人にも擁護の意図はさらさら無いが、それでもこの空気ではと自分を引き合いに出し、別の可能性をキリトに提示する。が、キリトは別にそこに関しては気にしていなかったようだった

 

「確かにその可能性もある。けど、足元にあるその特殊な形状の足跡は前に俺がストーカーを追いかけた時に残っていた足跡と同じものだ」

「それって!」

「じ、じゃあこの子があたしたちを追いかけていたストーカー!?」

 

キリトの告げた事実に衝撃を受けるアスナとリーファ。観念した素振りの女性は素直に白状した

 

「まさかこんなに早くバレちゃうだなんて。さっすがSAOの英雄キリト君は洞察力も違いますなぁ。私を見た瞬間から疑ってたでしょ?」

「(SAOの英雄?…てか、SAOってなんだ?)」

「ああ、また接触してくるだろうと予測してたんだ。どうして俺たちを付けていたんだ?」

 

追及を止めないキリトと対称に、自分の知らない単語で頭を悩ます終夜は調べておくかと対応を未来にほっぽりだす

 

「ただ私、英雄様ご一行がどれほどの実力者を実力者か知りたかったんです」

「私たちことを知っているプレイヤーはそう多くはないわ。どこでその情報を」

「うーん、アスナさん。あなたたちが考えているほど知ってる人、少なくないと思うよ?だって、私が行きつけの裏サイトには、あなたたちのパーソナルデータが普通に載ってたもん。あなたのは無かったけれど」

「まぁ、そうだろうな。始めて一週間ほどの初心者なんだし」

「嘘っ!」

 

謎の女性の言葉に少々身構えるリーファとアスナ。だが、その女性は終夜が初心者だということに驚きを隠さず、終夜の顔を見る。自分を抱えても、普通に戦えていた終夜が初心者だということが信じられないからだった

 

「それは事実だ。俺たちが初めて出会ったときは、ソードスキルをまともに発動することもできなかったからな」

「それはさておき、私たちの実力を見極めてどうするつもりだったの?」

「やだなぁ、そんな顔しないでよ。私ね、友達は少ないし、ギルドにも入りたくないから、実力のある人にお近づきになれないかなぁ、って、そう思っていただけだよ」

「攻略に必要な臨時パーティなら、広場でいっぱい募集してるじゃない」

「それに関しては……私のプライベートに関わることなので言えないのですよー」

 

掴み所もなく、自分たちを追いかけていた理由は話すものの、その先のことまでは話さず、情報を明かさない女性にリーファはいい顔をせず、どうするかキリトに意見を求めた。すると、キリトとアスナの二人は別に勝手についてくればいいと怒らず、また同行をすることも許したのだ

 

「だったら、俺がキリトたちと行動しないときに暇であれば着いてきてもらいたいな」

「私が……あなたに?」

「おう。キリトたち以外に知り合いもいないから、別れたあとは基本ソロプレイだったんだ。だからお願いするよ。助けてくれた礼を返すってことで」

「…………それじゃあ、よろしくってことで」

「ああ、そう言えば名前を聞いていなかったな。名前、なんていうんだ?」

「私は……レインだよ」

「そうか、よろしくなレイン」

「今後ともよろしく、レイン。俺はシュウだ。データは無いって言ってたし名乗っとくよ」

 

助けた女性、レインを連れ町に戻った終夜一行。終夜はレインとフレンド登録をしたあと、キリトたちと別れる。キリトたちも少し会話したあと、レインと別れたようだった

 

 

 

 

 

 

 

「さて……………

 

 

 

 

 

いるな?BB」

「はーい!今回のあなたの相棒、ラスボス系後輩のBBちゃん、登場でーす!」

 

キリトたちと別れたあと、三度目のフィールドに立った終夜は、転移門から離れた場所まで飛行して人目につかない場所までくると、BBを呼び出す。すると、突如、桜マークが地面に浮かんだと思えば、そこからBBが姿を現した

 

「でも、よくわかりましたね。私が来てるって」

「あのときに、こんな砂漠に不似合いな桜を見れば嫌でも気づく。それで、何の用だ。ただ、遊びに来たということでもあるまい?」

 

レインと話していたあのとき、終夜の視界に桜の花が見え、終夜が視認した途端、桜の花が消えたことにより、終夜はBBが来ていることを判断したのだ。そして、用件を催促する

 

「いくつか報告と連絡を。まず、カルデアは今回の特異点捜索を打ち切りました。理由は賢王の千里眼による未来視です。」

「アイツが素直に未来を見るとは思わなんだな……」

「そして、カルデアは今回の特異点の解決を全て、フォーリナー『○○○○○○』貴方に委任します。私と水着姿の私は連絡役として関わります」

「ん、了解した。んで、敵の尻尾等は?」

「残念ながらまだ掴めていません。そちらは?」

「こっちも相変わらずだ。一応、カルデアに置いてない自前の兵で探してみたが特に何も」

 

変わらない状況に、ため息をつき、めっっったに吸わない煙草を吸おうとする終夜。VR世界のため、煙草が吸えないので手持ち無沙汰なまま、今後の展開をどうするか考える。が、現状何も手を打てないためカルデア側へ今回のことを了承したと伝えるようBBに依頼して別れる。

別れたあと、BBにSAOなどを調べて貰えれば良かったと少々後悔しながら、一人帰路についたのだった

 




さて、今回も無事終わりました

けど、書き方が良いのかどうか分別つかないので、感想欄でも活動報告の意見箱でもいいので意見とかありましたらお願いします

誰からのでも真摯に受け止め、また返信していけたらと思ってますので、よろしくお願いします


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第九話

「………ということなの。だからレインって子が来たら仲良くしてあげてね」

 

レインと一騒動あった翌日、攻略再開のためエギルの店に集まったシノンたちにアスナが代表して昨日のやりとりとレインについて説明していた

 

「いやー、キリトよ。相変わらずの女の子プレイヤーホイホイだなぁ」

「どういうことだ?」

「シュウは知らないよな。アスナちゃん始め、ユウキちゃん除いたここにいる全員、キリトにホイホイされたやつしかいないからよ」

「ちょっと、クライン!私たちのイメージが悪くなるでしょ!」

 

クラインのからかいに怒り狂うリズ。そのリズを宥めるアスナやシリカを横目に終夜はキリトを引いた目で見ていた

 

 

「おい、シュウ。その顔はなんだよ」

「いや、優しいお前の本性が女誑しのナンパ野郎だとは思わなくてな………」

「いや、なんでそうなる!?」

 

収集がつかなくなりそうな雰囲気だったが、キリトへのからかいを済ませた終夜とエギルの二人が収めて、改めて今後について話し合う

 

 

「あの鍵だが、それを使うであろう鍵のかかったダンジョンがあったから十中八九そこだろう。案内するよ」

「それと、攻略とは関係ないんだけど、レインさんが私たちのパーソナルデータを入手したって話、嘘だと思う」

「そうなのか?」

「はい。ママの言うとおり、レクトの運営はその辺りのセキュリティ管理はしっかりしていますから。例えばクラインさんがいかがわしいサイトにてウイルスに引っ掛かり、フレンド情報などを流出させたとしても即座に発見、出所に注意喚起した上で抹消することが可能です」

「なんだよ、その例えは!」

「ほー、優秀なんだな」

「ならそのレインって子はどうやって俺たちのデータを入手したんだ?」

「わからない。けど大丈夫だろう」

「俺は無視かよ!」

 

まだ謎の多いレインだが、キリトは特に問題視しないようで、エギルが大丈夫なのかと心配する。キリトはエギルの心配に理解はしながらも、ゲームにおける策略もプレイヤーの楽しむ一つの要素だとの考えで深く追及するつもりはないらしい。それとクラインに関しては誰も触れずにいた

 

「まぁ、キリトの方針に口を挟むつもりはないぞ。それで、ダンジョンにはもういくのか」

「ああ。シャムロックに負けるわけにはいかないからな!」

 

 

早速フィールドへと繰り出し、終夜が先頭でダンジョンへと向かう。そんな時、ポツリとリーファが以前から思っていたことを漏らす

 

「シュウさんって、本当に何者なんだろう」

「唐突にどうしたのよ、リーファ」

「VRMMOは初めてなのに、あれだけの戦闘技術を持って、ヴォーグリンデの時には、普通の人なら読めるはずのないルーン文字を当たり前のように読んでいた。こんな謎だらけの人に疑問を持たない方がおかしいですよ」

「確かにそうですね。普通の人なら出来ないことばかりですもん」

 

 

今までの終夜の異常と取れる行動の数々に当然の反応を見せる女性陣。そんなことは露知らず、終夜はそのまま鍵のかかったダンジョンまで、全員を案内した。そして、早速鍵を使用しようと、アスナたち数人が扉の前に向かったとき、終夜にメッセージが届く

 

「メッセージ?……………はっ?」

 

レインとの会話でも言った通り、終夜にはキリトたち以外に行動する相手はおらず、またメッセージを相互に送り会う相手など皆無である。が、送信者の名前を見ると終夜は目の色を変える。キリトがその様子に気付き、終夜に声をかけると、終夜はキリトに急用のため抜けることを伝え、ダンジョンを飛び出す。そのメッセージにはこう綴られていた

 

 

『万能の天才より!

 

既にBBから聞いていると思うけれど私達は特異点解決から手を引き、全てを君へと託した。その謝罪という訳ではないが、君の拠点へ数人サーヴァントを送らせて貰ったよ。メンバーが誰なのかは君がゲームからログアウトしてからのお楽しみだよ♪また進展があれば伝えてくれると嬉しいよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ!お目覚めですなぁ!」

「邂逅一番がなんでてめぇだぁ!」

「ぐぶふぉあ!」

 

ゲームからログアウトした終夜の視界に映ったのはライダークラスのエドワード・ティーチ。初邂逅がむさいお前かとの理不尽な一撃を食らったくろひーはそのままの勢いで床に倒れる。フルダイブの性質上、基本寝室においてあるためリビングに出ると……

 

「あ、やっほー」

「お兄ちゃん、私達が来たよー」

 

テレビの前にて自前のゲーム機で遊ぶ刑部姫とジャック。テーブルには探しだした和菓子を広げ、食べながら読書するえっちゃんに紅茶を飲みながら同じく読書するメドゥーサとアナ。そして台所にはクラス『バトラー』の赤い弓兵が。この光景にエミヤへ説明を求めるとエミヤは自分の呼び方に怒りながら答えてくれた

 

「………援軍というより、ただの居候じゃねぇか!なんでこの人選なんだよ、オカン!」

「誰がオカンだ!……全く。ダヴィンチ曰く、特異点解決にはお前一人でも充分だから行きたい人でと立候補を募った結果だ」

「あ、立候補なんだ………じゃねぇよ!」

 

メッセージを受け取ってすぐに戻ってきたことを後悔していると、エミヤからは事件についての詳細を尋ねられた

 

「して、解決の進歩は?」

「あのなぁ、昨日の今日で進んでるわけないだろう。影すら掴めてねぇよ。だから今はメインのストーリーをこっちでであったやつらと進めてる」

「ふむ。BBですら見つけれない……オフラインか?」

「なら今まで感知出来ていたのがおかしいだろ。何が目的にしろ、わざわざ知られやすいオンライン上にあったんだから」

「なら何が目的と考える?」

 

エミヤからの難しい問いに終夜は悩んだ顔を見せず、さっと自分の考えを返答してみせた

 

「人理焼却における何らかの達成……だろうがその何らかは不明だな」

「何故そう思う?」

「一つの事象を繰り返すということは、何か得たい結果があるから繰り返すんだ。実験しかり練習しかりな。あの聖杯大戦の特異点だってそうだ。だが今回は絶対この人物が行ったと言える確証がないから人物から推測できる目的も不明というわけだ」

「そうか。だが魔神柱が行っている可能性は?」

 

カルデアにとって最初の強大な敵、魔神柱。可能性として一番大きいそれをエミヤは提示したが可能性は少ないだろうと終夜は予想していた

 

「確かに普通は可能性としては大きいが、俺はほぼ無いと思っている。ソロモン72柱から個々の魔神になったやつらにもう一度人理焼却をやろうとするやつはいなかった。他に逃れた魔神がいたら話は別だがな」

「ふむ……」

「今は考えても仕方ないさ。」

 

難しい顔をするエミヤと違いあっけらかんとした終夜はALOに戻らず、ジャックとゲームをしたり、人数分の食器類を買い揃えるため買い物に出掛けたりして一日を過ごした

 

 

 

 

 




色々と申し訳ありません!

BOXイベ中の執筆に、イベント開催前は思い出すためゲームのやり直しをしていたら時間がかなりたっていました………

魔法科高校もとうとう終わったため、そちらの小説も進めながらこっちもやっていこうと思います

また、ゲームの進行上仕方ないとはいえ、レインとシノンたちの初邂逅の個別を一纏めにするのに辻褄合わせや場面展開が上手く出来ず、スキップせざる終えないこととなってしまいました……

実力不足で申し訳ないです


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第十話

「支出が一気に増えたな。全く……」

「それは困り者だな。資金繰りは問題ないのか?」

「原因の一人が言う言葉かよ、エミヤ。全くもって問題ないよ。悪いことにな」

 

カルデアからサーヴァントが援軍(という名の居候)として来たため、必要な日用品が増えたことにより現在終夜はあの中で一番現代に馴染みのあるエミヤを連れ、買い出しに出ていた。必要な食器などの購入を済ませ、コインパーキングに停めてある終夜の車に積み終えた二人が向かったのはオタク文化でよく知られているが、電化製品でも大体のものが揃っている秋葉原であった

 

「秋葉原……何を買うつもりなんだ?」

「おっきー要望のゲーム機。あと他にも少々あるが」

「マスターからあまり買い与えるなと言われてなかったか?」

「ジャックを出汁に使われたら何も出来ねぇよ」

「………ロリコンめ」

「せめてシスコンと言え」

 

少々棘のある言葉の応酬を交わしながら歩く二人……ふと歌を歌っているメイド服の少女の路上ライブに終夜が足を止めたためエミヤも同様に足を止めた

 

「……どうした?」

「あそこで歌を歌ってる娘、俺が知ってる娘と似てるなと」

「ふむ……本人の歌唱力は良いがスピーカーの音割れが酷いな」

「そりゃ一個人では限界があるだろうよ」

『はぁ……はぁ……あ、ありがとうございましたー!私、ここで働いてるのでもしよければ来てみてくださいね!』

 

歌い終えた少女はまばらにだが終夜たちと同じく足を止めて聞いてくれていた人に感謝と自分が働くメイドカフェの宣伝をするとスピーカーなどの機材を片付け始めた

 

「さて、なら俺たちもいこうか」

「メイドカフェには一人でいってくれ」

「何でそうなる!?」

 

周りにいた人々が動き始めるのと同じタイミングに終夜たちも目的地へと軽口を叩き合いながら足を進める

 

「あの人、もしかして……………」

 

その際、メイド服の少女含め数人から見られていたことには気づいていなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おう、キリト。前もいきなり消えて悪かったな」

「何かあったのか?」

「こっちの用で突然な。まぁ問題ないからキリトが心配する必要はねぇよ。それより、砂漠の島はもうクリアしたんだって?」

 

次に終夜がログインしたときには、既にキリトたちは砂漠の島ヴェルグンデをクリアし、氷の島、環状氷山フロスヒルデを解放したようだ。進行度はまだヴェルグンデと同じく島を一週しただけで本格的な攻略は今からエギルの店で話し合うとのことなのでキリトと二人でエギルの店に向かう

 

 

「さてと、揃ったな。それじゃあ新しいフィールドの攻略会議、始めるぜ」

「周りには高い氷山がたくさんありましたね」

「高度制限が低いから飛んでの攻略は難しいね」

「そう言えば、島の中央にあった謎の装置も気になるねー」

「確実に攻略の鍵になるだろうね」

 

初探索の際にいなかった終夜は黙って会議の内容を聞くことに徹していた。方針が、ヴェルグンデと同じく転移門近くのダンジョンから攻略していくことに決まり、各々準備のため一度解散することになったが、エギルにキリトが呼ばれ店に残ることに。特に準備することのない終夜はキリトとともに店に残ることにした

 

「で、エギル。要件ってなんだ?」

「店の前からお前のことを見ているらしき少女がいてよ。あの子だよ」

「あれは………セブン?」

 

三人だけの喫茶店に入ってきた少女は、今話題のアイドル兼科学者のセブンだった

 

「あっ、やっと見つけた!あなたのこと、探してたのよ」

「探してたって一人でか!?こんなところにきて大丈夫なのか?シャムロックのお付きは」

「おいエギル。今さらっとキリトに酷いこと言われたな。それと、キリト。いつセブンと顔見知りになったんだ?」

「この間、街で偶然知り合ったんだ。二人とも、このことは他の皆には……」

「ああ、わかってる。黙っておくよ。騒ぎを大きくしたら不味いからな」

「俺も黙っておくさ。特にクラインにはな。さて、お二人さんとも話したいことがあるだろうし俺も聞きたいことがあるんだが、表が騒がしくなってるぞ」

 

セブンの姿を見たという情報が流れたからか話を中断せざる終えなくなったことにより、セブンは再び来ることを約束して先に店から出ていく

 

「人気者は大変だな……それじゃあ俺たちもいくか」

 

セブンと同じく店を出た三人は店先で準備を終え、三人を待っていた皆と共にフロスヒルデの攻略へと向かっていく

 

 




次回から本格的な攻略に入ります

けど、なんなんでしょうか。あっさりとしすぎている気がしなくもないのは………

あと皆さんboxイベの調子はいかかでしょうか。私は今回目標が150〜200箱だったのですが100箱もいかなさそうです……

やる気がちょっと………


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第十一話

「この近くのダンジョンには武器や素材などが豊富に眠ってるらしい。西側の敵が強すぎて俺たちは引き返したんだがあんたらなら大丈夫だろう。入手回数に制限のあるレア宝箱もあるみたいだから急いだ方がいいぜ」

「貴重な情報をありがとう」

「ああ、それじゃあな」

 

終夜たちがフロスヒルデに入ると、ちょうど街へ戻ろうとするプレイヤーと遭遇し、ここら一帯についての情報を教えて貰うことができた

 

「さて………それじゃあいこうか」

「ねぇシュウ。あんた、寒くないわけ?」

「涼しいくらいだが?」

 

初めてフロスヒルデに来たキリトたちは誰もが寒いと口々に漏らすがヴェルグンデのときと違い、嬉しそうな表情の終夜にリズが不思議そうに聞くと終夜から想像と違う回答が返り、各々驚きや引く表情を見せる

 

 

「なんだよ、その反応は………」

「いや、これを涼しいってあんた」

「悪かったな、重度の暑がりで」

「急ぐぞ、二人とも」

 

長くなりそうな二人のやりとりを見たエギルが二人に早く行くよう促し、揃って最初のダンジョンへと向かう。以前までの島と違い、高度制限が厳しくほとんどが徒歩になってしまう。けれど始めに向かったダンジョンは高度制限以下の道があったため全員飛行して向かうことができた

 

 

 

「よし、ここのダンジョンだな」

「レア宝箱もあることだし、急ごうか」

 

ダンジョンの入口に到着した一行。会話もそこそこに早速ダンジョンへの入る一行。少し足を進めると、またかと足を止めたキリトが何もない場所へと声をかける

 

「いるんだろ、レイン」

「あはは、なんでわかるのかなー」

 

すると、物陰からレインが姿を現す。既に知っているからか、シノンたちからの驚きの声はない

 

「キリトの反応からみて同じ感じのことを繰り返してるのか………一緒に攻略しないのか?」

「今日は……遠慮しようかな」

「…………」

「ちょ、ちょっと!?」

「おし、じゃあ先に進むぞー」

 

終夜からの誘いに少し目を逸らしながら断るレインを見た終夜は、レインが自分を向き直す前に手の届く距離まで近づくとレインの手を引き、先に進もうとする。レインは驚きつつ、終夜から逃げようとするが痛くはないが逃げれない強さで手を握られているため逃げることができない

 

「お、おいシュウ」

「別に一人増えるくらいいいだろう?」

 

その光景に、思わずキリトは終夜を止めようとするが、終夜の有無を言わさぬ雰囲気に、何も言えなくなってしまう。そのため、なし崩しにもレインは終夜たちと行動することとなり、恥ずかしいからと、逃げないことを約束に終夜に手を離してもらう

 

「さてと、それじゃあ攻略を始めようか」

 

ゴタゴタも収まり、攻略を再開する終夜たち。探索中、宝箱を発見するも、中身は空でありシャムロックが既に攻略していくことが伺える。そのため、このダンジョンを急いで攻略していく一行は、ボス部屋の前に到着すると、既にそこには一パーティーのプレイヤーが固まって立っていた

 

「ねぇ、ボス攻略を手伝ってくれないかしら?」

「別に構わないぞ」

 

どうやらボス攻略を手伝ってくれるプレイヤーを待っていたらしく、提案を受けたキリトたちは相手のパーティーと共にボス部屋へと入る

 

「あ!扉が閉まっちゃったよ」

「ボスを倒さないと出られない典型的なやつだな」

「私たちはこっちのボスを倒すから貴方たちはそっちをお願い!」

「わかった!いくぞ、みんな!」

 

ポップしたボスの半分を任された終夜たちは、苦戦することなくボスを倒し、相手側も無事ボスを倒せたため入口の扉と部屋の奥の扉が開く

 

「ありがとう。手伝って貰ったし、奥の宝箱はあなたたちのものよ」

 

そういうと、相手のパーティーは最後にお礼としてある程度のお金を渡して去っていった。だが、宝箱を開けると中に入っていたのは、レアアイテムでもなんでもなく、先を越されていたのがわかった

 

「まぁ、案の定ってところだな」

「先を急ごう!」

 

先に攻略しているであろうシャムロックに負けないよう、次のダンジョンへ急ぐ終夜たち。

 

 

 

 

 

「この先、トラップが多いから注意してくれ」

「ああ、わかったよ」

 

次のダンジョンに到着すると、一人のプレイヤーが近づいてきてトラップが多々あることを教えてくれる。その情報を元に慎重に進む終夜たち。だが、とある部屋で行き詰まってしまう

 

「扉が開かないよー」

「鍵らしきものなんて今までにあったか?」

「………なるほど。全員、戦闘準備ー」

「シュウ、それはトラップ……」

「かからないと開かないんだって。こういうのは」

 

トレジャーハンターのフィリアがトラップだと判断して開けなかった宝箱を開けようとする終夜。フィリアが止めようとするも、終夜は引っ掛からないとダメだと、宝箱を開ける。宝箱の中身は空であるが、当然トラップであるため部屋に閉じ込められモンスターがポップする。終夜の指示通り戦闘準備をとっていたのですぐにポップしたモンスターを倒す。全て倒しきると部屋に入ってきた方の扉と開かなかった扉の両方が開き、通れるようにななった

 

「あ、本当に開いた」

「だろ?そろそろボスだとは思うが………」

「ここだな」

 

部屋を出て進み、ボス部屋に到着すると早速ボス部屋へと侵入する。ここのボスも初めのダンジョンと同じく強化されたmobがボスのため難なく倒し、ボス部屋の奥にある宝箱を開ける。が、中から出てきたのは素材アイテムだった

 

「やっぱり攻略されていたか……」

「残るはあと一個のダンジョンだが………」

「あそこのダンジョンって確か鍵がかかってたよね?」

「流石にレア宝箱に入ってはいない筈だからなぁ。どうする?一旦、街に戻るか?」

「ああ、街で情報を集めよう」

 

ダンジョンから脱出できる回廊結晶を使い、終夜たちは現在攻略できる最後のダンジョンに入るための手段を探すため、街へと帰還することにした

 

 

 




さてさて、少々原作と違う展開にはなりましたが大幅に変わることはないのでご安心を

スマブラの参戦キャラにマイクラのスティーブが発表されましたが、皆さんは普段何を使ってますでしょうか

作者は勇者とマルスとスネーク、たまにゼルダを使用してます。雑魚の下手くそのため、負けまくってるんですけどね


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第十二話

「なぁ、あんた。俺の仲間が東のダンジョンに挑むと言ったまま帰ってこないんだ。様子を見て来てくれないか?」

「(クエスト……何かでフラグが立ったか)わかった」

「ありがとう。ダンジョンの鍵はこれで開くはずだ」

「了解した。……さて、キリトにメッセージと」

 

街に戻った終夜たちは別れて鍵のかかったダンジョンに入る方法を探していた。そんなとき、終夜は街のNPCからダンジョンに取り残されたNPCの救出クエストを依頼される。そのダンジョンが例の鍵のかかったダンジョンであったため、受け取り後キリトたちにメッセージを飛ばして集合をかける

 

 

「入る手段が見つかったんだ」

「ああ。NPCからダンジョンに取り残された仲間の救出依頼を受けたら貰えたんだ」

「ということは、ある程度ダンジョンをクリアしたらフラグが立つのかしら」

「そう言うことだろうな。早速いこうか」

 

全員が集まったあと進むための条件の考察をほどほどに済ませ、早速ダンジョンへと向かう

 

 

 

 

「マップを見るだけでも今までのダンジョンと違って広いのが分かるな」

「出来るだけ急ごう!」

 

先程の二つのダンジョンと違い、少々広いため終夜たちは二手に別れる。終夜は、ユウキ、レイン、シリカ、ストレア、クライン、の六人と一緒に攻略をする

 

「さてと、それじゃあ俺たちはこっちだな」

「慎重に進まないとですね」

 

キリトたちと別れた終夜たちはダンジョンを進んでいくが、並みいる敵は視認した時点で終夜が倒しているためレインたちはただ歩くだけになってしまっている

 

「本当に凄いね、シュウくん」

「そうですね。ボス戦でもよく活躍されてますから」

「しっかしよぉ。攻略に関係ありそうなものなが全然ないぞ」

「この先も特に何かあるわけじゃないし、こっちは『ゴゴゴゴ』……キリトたちが当たりだったみたいだな」

 

終夜たちが攻略する道中にめぼしいものはなく、あるのはただの宝箱だけであった。進んださきの部屋や周辺の行き止まりをみても、扉を開くためやギミックを動かすためのスイッチやレバーも見当たらなかったため、キリト側が当たりであることがわかり、尚且つ何かが動く音がダンジョン内に響いたため、引き返しキリトたちと合流を図る終夜たち。無事、合流すると、そのままダンジョンの奥へと進む。

 

「ここがボス部屋だな」

「ボスを倒せたらNPC救出が出来てクリアだろうな」

「早速いこうよ!」

 

手段たちがボス部屋へと入ると、待ち受けていたのは今までとは明らかに違う、いわゆる中ボスが待ち構えていた。

 

「お〜。ようやく手応えのありそうで無さそうなやつがきた」

「………シュウさんの手応えを感じるハードルが高いと思うんですけど」

「私もそう思うわよ、シリカ」

「ん?何か言ったか?」

「え!?べ、別に何もないですよ」

「そ、そうよ。それよりボスに集中しないと!」

 

こそこそと話をするシリカとリズに何を話してたのか聞く終夜だったが、はぐらかされモヤモヤが多少残るままボス戦に突入する。岩のような見た目の通り、一撃一撃が重い攻撃を放つボスだが動きは俊敏でないため、終夜やキリトの前衛がパリィを駆使し、立ち回ったためあまり大きなダメージを受けずにボスを倒すことができた

 

「助けてくれてありがとう。あのモンスターのせいでこの部屋から出られなかったんだ。奥に宝箱があったけど、あれはあんたたちのものだ。それじゃあ!」

 

ボスを倒すと、部屋の奥に行けるようになり、そこにいたNPCから感謝を告げられたあと、NPCがいた場所の更に奥にある宝箱に集まっていた

 

「それじゃあ開けるぜ!」

「………あれ、これってただの素材アイテムだよ?」

「まぁ、先に攻略されてるってことだな」

「えー。このクエスト大変だったのにー!」

 

このクエストもアイテムの入手に制限があったらしく、終夜たちがゲットしたのは何の変哲もない素材アイテムだった。この事にリーファが不満を漏らす

 

「まぁ人数も違うし、常に大人数で攻略してるらしいからそりゃ、先を越されるのは当然ではあるな」

「ねぇ、キリトくん。キリトくんたちがシャムロックに先手を取られ続けてるのはシュウくんが言った通りなんだよね?」

「ああ、そうだけど」

「なら、シャムロックの動きを予測して、先に動けばいいんだよ」

「予測って簡単にいっても……できるのか?そんなこと」

「うん。レインちゃんにお任せあれー。それじゃあわかったら連絡するから!じゃあねー、ダスヴィダーニャー」

 

シャムロックに負け続けている今の状況を打開する方法を考えたレインは、シャムロックの動きを予測し、動きがわかれば連絡するといって、終夜たちと別れる。終夜たちは、その行動に驚きつつも、自分たちに打てる手がないため、レインに任すことを決めて、自分たちも街へ戻ることとする。そして、レインからの情報は意外な速さで持ち込まれた

 

 

 

 

「シャムロックは明日、レアなクエストを攻略するらしい。行き先は南西の渓谷の先にあるらしく、入手回数に制限のあるためそこを今日中に押さえたい」

「峡谷かぁ……あの先に何があるのかわからないんだよね」

「峡谷の向こう側に出られれば何かわかるはずだよ」

「それじゃあ、街で情報収集してからいきましょうか」

 

レインからの情報をもとに、シャムロックに先行して攻略するため、エギルの店に集まるキリトたち。終夜がレインから受け取ったメッセージはキリトに転送してあり、代表してキリトがシャムロックの次の動向を皆に伝える。先の話もそこそこに街へ情報収集に出る終夜たち。街で入手した情報は、渓谷の先にいるモンスターにはブリューナグの輝石というアイテムが必要なこと。そしてブリューナグの輝石を獲得するクエストが酒場にあるということ。そのため、まず酒場へと向かい、対象のクエストを受注する。その内容は、ヒポグリフ15体の討伐というもの。早速目的地まで向かいヒポグリフの討伐を開始すると、あっという間に目標数を達成する。早速、クエスト報告のため街へと帰還する

 

「あそこにいるの、シャムロックじゃない?」

「………渓谷の先の攻略にはブリューナグの輝石というアイテムが必要だが、入手方がわからないな」

「明日の攻略までには入手をしておきたいものだ」

 

街へと転移してきた終夜たちはちょうど、転移門近くで会話するシャムロックのメンバーを発見する。会話から察するにシャムロックは入手方法をまだ見つけておらずブリューナグの輝石の入手はまだであることがわかった。その事にキリトが喜びの声を挙げた

 

「おっしゃ!シャムロックに勝ったぞ!これだからVRMMOは止められないんだ」

「レインの情報のおかげだな」

「えへへ」

「けど、喜ぶのもいいが、いつシャムロックが追い付くかわからないんだ。早く渓谷へと向かうぞ」

「ああ、そうだな」

 

喜びもほどほどに、渓谷へと向かう終夜たち。転移門から遠くなるが、高度制限以下の道があるため、飛行して渓谷まで向かう。そして、渓谷へと踏み入れようとしたときに突然、ドラゴンがポップする

 

「ほう、ドラゴンか」

「こいつぁ、なかなか手強そうだぞ」

「気を引き締めていくぞ、みんな!」

 

ドラゴンの見た目に反さず、強敵であったため全員気を抜かずに戦い、見事に勝利する。けれど、すぐに同じモンスターが再ポップをする

 

「モンスターが復活した!?」

「こいつ、普通の手段では倒せないのか」

「キリト!ここでブリューナグの輝石だ」

「そういうことか!」

 

事前に得た情報からここが使用するタイミングと判断した終夜はキリトにブリューナグの輝石を使用するように伝える。キリトがブリューナグの輝石を使用すると、モンスターが消え、渓谷の先へ進めるようになった

 

「パパ。先ほどのモンスターも、一番最初に倒したのがパパたちです」

「おっしゃ!ここでもシャムロックに勝った!」

「この先にレアクエストがあるのか……」

「早くいこー」

 

当然のことながら、シャムロックは未だここにたどり着いていないためキリトたちが最初に攻略することができた。早速、渓谷へと進みクエストを発見するため探索を開始した

 

 

 

 

 




さて、FGOでは待ち望んでいた沖田さんのスキル強化

殺意マシマシで沖田さん大勝利!モーション変更も顔面宝具で更に良し!

あと、SAO好きの皆さんで知ってる方がおられましたら教えて貰いたいんですが、戦闘中、相手の武器を奪いその場で使用できるのか。はたまた奪えなかったりインベントリに入るのか。そこらへんの設定がどうなってたか思い出せず、またそもそも決まってたのかどうかも怪しいので、どうか知ってる方教えて下さい。

これを聞いたのは、とあるシーンで必要になったことでです。なければ、独自設定という形で行ってもいいんですが一応ということで……

どうかよろしくお願いします


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第十三話

もしかしたらマッピングが必要かも知れませんが、ゲームの様にマップは既にわかってるものとします
(ただし、ゲームと違いスイッチ等のギミック位置に関しては表示していない設定です)


「なかなか広いな」

「ああ。これは攻略に苦労しそうだぜ」

 

渓谷の奥にはダンジョンの入口が一つ存在していた。ダンジョンの中に入り、マップを見るとなかなか広大で攻略には骨が折れると終夜とクラインは話していた。いざ攻略に入ると、小部屋ごとにモンスターが配置され、そのモンスターを全滅させないと、扉が開かず次に進めないため戦闘ばかりが続いていく

 

「こまごまとした戦闘が多いな。変なギミックが無いぶん楽だけど」

「確かにそうだけど、戦闘も多すぎるわよ」

「シャムロックに負けないよう頑張りましょう、リズさん」

「言われなくてもわかってるわよ」

 

戦闘の多さに辟易しながらも進んで行き、ボス部屋までたどり着いた

 

「さて、ここがボス部屋だろう」

「みんな、準備はいいな?」

「もちろん」

「負けないわよー!」

 

ボス部屋に入ると、待ち構えていたのは三ツ首のヒュドラ。いざ、戦闘に入ると三ツ首からの広範囲に渡るブレスやしっぽによる攻撃と範囲攻撃が多く、また動きも俊敏であったが、ボスの動きをよく見てブレスを回避し、しっぽによる攻撃も、ガードやパリィを駆使し立ち回り、そこまでの被害なくボスに勝利することができた

 

「よしっ、無事に勝ったぞ!」

「パパ。このボスも倒したのはパパたちが初めてです!」

「ん?………お客さんか」

 

終夜を除いた全員が各々シャムロックを抜き、一番にクエストクリアしたことに喜んでいるなか、足音が聞こえた終夜はボス部屋の入口に視線を送る。すると、スメラギを筆頭にシャムロックのメンバーがボス部屋へと突入してくる

 

「貴様ら……」

「スメラギ!お前たちには悪いけど先に攻略させてもらったよ」

「ところで、そこの貴様。最近注目のトレジャーハンター。確か、フィリアとか言ったな。俺たちの動向を把握していたのか?」

「(………言葉から察するにシャムロックの動向を故意に漏らした人物はいない。まぁ、それはファンからしても別にわからない話でない。レインはいったい、どう情報を入手したんだ?)」

一人、レインの情報の入手方に一層、疑問を深める終夜

終夜を他所に、キリトとスメラギは話を続けている。スメラギの発するシャムロックの考えに基づく行動にキリトが共感を示したが、スメラギの反応は良くも悪くもない

 

「スプリガン……名前は?」

「キリトだ」

「キリト……だと?なるほど、お前だったのか。数ヶ月前から圧倒的な速度でALO攻略を進めているパーティーがあると聞いた。そのリーダーの名が、キリト」

「数ヶ月前から圧倒的………あれ、それについて行けてるって俺、異常だな」

「今更!?というか、今言うことでもないでしょ!」

 

終夜の今の空気と的外れな言動に突っ込むリズ。それを他所に、キリトはスメラギと火花を散らす。が、スメラギがまた会いまみえるだろうから勝負はその時だといい他のメンバーを連れ引き替えしていく。そんなとき、ふとスメラギとの会話の中で引っ掛かった点をフィリアがキリトに聞くのだった

 

「あれ?キリト、あのセブンとあったことあるの?」

「あっ……いや、あははは」

「早速バレたんだな、キリト」

「てか、バレたときの誤魔化しが下手すぎる」

「なんでお前一人占めしてるんだよ!セブンちゃんとの繋がりをよ!」

「お、俺一人じゃない!エギルはともかく、シュウも一緒だ!」

「俺に振るな、俺に」

 

セブンとキリトが会っていたことに何故に教えなかったといつの間にかセブンのクラスタになっていたクラインが詰め寄る。困ったキリトはシュウもだと、飛び火させてしまう。が、クラインが止まりそうにないため仕方なくキリトはそうした理由を説明する

 

「俺さ。七色博士の提唱する考えとかに興味があったんだよ。あの子が提唱する、ネットワークにおける社会性っていうのをさ。一度、面を向かって深く聞いてみたい。そう思ってたんだ。それにあんな小さな子が自分の研究のために妙に大人ぶって必死になって……それがかわいそうにやってきたというか、放っておけないというか」

「でも、最近、本当によくセブンさんのファンの方々をよく見かけます」

「ファンじゃなく、追っかけっていうんでしょ。ああいうの。特に攻略に参加するわけでもなく……何しに来てるのかしら」

「まぁでも、スヴァルトエリアの難易度の高さは既にプレイヤーのなかでも周知の事実だし。熱心に攻略しているのは、私たちと上位ギルドの内の数チームだけ」

「じゃあ今、この新エリアにいる人たちってもしかして………」

「あの子の追っかけ。クラスタって事ね」

「そうなのか。残念だな、みんなもっとゲームを楽しめばいいのに」

「それは違うぞ、キリト」

「シュウ?」

 

キリトの理由から話は飛び、セブンのファンの話になると、今の新エリアにはほぼセブンのクラスタしかいないとの意外な事実が判明した。その事にアスナは純粋に驚き、キリトはもっと自分でゲームを楽しめばいいと複雑な表情だ。その呟きを聞いた終夜はキリトの意見を真っ向から否定した

 

「セブンのクラスタにとって、今のALOはゲームとして遊ぶ物ではなく、少し言い方は悪いが『セブン』というコンテンツを楽しむための手段なんだ。だから、このスヴァルトエリアが高難易度であり、自分には最後まで攻略できなくても、セブン率いるシャムロックの活躍。セブンのライブ。セブンの現実世界で発表した論文についての講義。とゲームそのものをしなくても満足出来てしまう」

「セブンというコンテンツ………」

「だから、楽しめと言われてもクラスタにとっては余計な世話だと反応されるし、セブンに対するこちらの共感に反応することがあっても、向こうがこちらの事柄に共感するのは少ないだろうな。既にゲームクリアという目的がセブンに変わってしまってるんだから」

 

難しい話をする二人を他所に、アスナたちは奥の小部屋へと進んだ。その小部屋には謎のレバーがあり、横に初めの島で終夜が読んだルーン文字で何かが記されていた。早速ユウキが終夜を呼ぼうとすると、その前に動かせばいいと、笑顔でストレアがレバーを倒す。すると、突如揺れが発生したが、収まったあとには宝箱が出てきただけであった

 

「なんだよ、宝箱だけか」

「あっ、見て。中からまた箱がでてきたよ」

「なんだろう、これ」

「取り出して見るぜ………ってアチチッ!凄く熱いぞ」

「ふむふむ……そういうことか」

「シュウ。それ読んで何かわかった?」

「えっ!?シュウくんってあれ、読めるの?」

「はい。そうみたいなんです。最初の島のときも、あの文字で書かれた本を普通に読まれてましたから」

 

宝箱の中からはケースに入った赤い球体が。クラインが、それを取り出そうとすると、その赤い球体は非常に高い熱を持っており、持てずにそのままケースへと戻す。その横で終夜はレバーの横に書かれたルーン文字を読んでおり、終夜がルーン文字を読めることを知らないレインは驚いていた

 

「これを使う場所に心当たりが一つある。間違ってたらそれまでだが、あってるだろう。どうする?」

「シュウ、案内してくれ。シャムロックが攻略に来ているんだ。負けたくはない」

「了解した」

 

謎のアイテムの使用場所に心当たりがあった終夜はそれをキリトに伝える。間違った可能性はあるが、シャムロックが攻略に来ていることもあり、間違ってもいいか、案内してくれとキリトは終夜に伝えたので、早速その場所へと向かっていく

 

 

 

 

 

 




あー、ものの名前が思い出せないのすんごいモヤモヤしますね

あの、ディズニーのティンカーベルが捕まった時に入れられてるあの箱?。名前なんていうんでしたっけ?

最初ランタンだと思ったんですが、画像で見たら全然違うし、他の用途が思い付かないので調べようにも調べられなかったんです

誰かお願いしますm(__)m


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第十四話

「さっき言っていたのがここだ」

「わっ!滝が凍っちゃってる!?」

「クライン。さっきのやつ、使ってみてくれ」

「おう、わかった。それじゃあいくぜ」

 

ダンジョンから脱出し、終夜の案内で向かったのは渓谷の入口から少し東に歩いた場所。そこはフィールドの中央に位置する氷山があり、この場所だと終夜が足を止めた先には、寒さにより凍りついている超巨大な滝。終夜の言う通りにクラインが先ほど入手したアイテムを滝へと投げ入れると凍った滝はみるみる溶けてゆき、滝の中に隠されていたダンジョンの入口が顔を出した

 

「見て!滝の奥に遺跡があるよ!」

「いってみるか!」

 

いざ、滝の中の遺跡に入ってみると、マップとしてはとても狭いものだったが、いかにもという風に二手に道が別れている形だった

 

「………よし、二手に別れよう」

「おいおい、シュウ。こんなに狭いんだったらみんなでいってもいいじゃねぇか」

「日程がどうなったか知らないが、既にスメラギたちが俺たちのすぐ後ろまで追い付いてるんだ。ギミックがあって、往復しなければならないよりは別れたら方が早い」

「それもそうだな」

 

終夜の提案通り、二手に別れて進んでいくと小部屋にレバーがあり、レバーを倒しても終夜の部屋の扉は開かずキリトたちの方で扉が開く音がする

 

「やっぱりそういうギミックがあるよな」

 

すぐあとに、終夜たちの部屋の扉も開き、奥でキリトたちと合流する。と、終夜は視線を。キリトは険しい顔で片方の扉を見る

 

「シュウさん、キリトさん。どうしたんですか?」

「複数のプレイヤーが近づいてくる」

「確実にスメラギ一行だろうな。最強ギルドの称号は伊達ではないようで」

 

直後、ゆっくりとした足取りでスメラギたちが姿を現す。

 

「スプリガンのキリト。お前たちも中々やるな!」

「また会えたな。この前約束したデュエルをしようぜ!」

「えっ、今?」

「今はダンジョン攻略中だぞ。今はどちらが先にこのダンジョンをクリアできるか。それが勝負だ」

「先ほどあんなことを言ってた割に、勝負ごとには乗るんだ……」

 

キリトのデュエル宣言に驚くアスナやシュウに今は攻略が優先だと主張するスメラギ。だが、キリトがデュエルをしたいとの主張を曲げないため、スメラギが付き合う形でデュエルが勃発する

 

「……………」

「あの、シュウさん?」

「そういや、あのスメラギってやつ。実力はどれ程なんだ?」

「あれ、前に言わなかったっけ?ALO最強だったユージーン将軍を打ち倒して、現状最強なのがスメラギだよ」

「ほー、ならあいつ倒せば俺がALO二位か」

「いや、なんで二位なのよ」

「俺がどう頑張っても勝てないであろうユウキが居るからな」

 

終夜の発言に、何故二位かとの声はあれど勝てない等の否定をするものは一人もいなかった。既にアスナたちには、終夜ならやれるだろうとの諦めにも似た思いがあったためだ。と、デュエルの途中。突然、スメラギがデュエルを中断する

 

「もうこのあたりでいいだろう」

「まだ勝負は……ついていないぞ!」

 

まだ勝負がついてないと、デュエルを続けようとするキリト。だが、組織として動いているスメラギにはその思いは届かない

 

「その実力と気概だけは認めてやる。だが、今はダンジョン攻略が優先だ。我々は組織で動いているからな」

「でも……」

「やめとけ、キリト。組織に関わりのないお前が不満を言ったところでスメラギには届かんよ」

「ふっ。そう言うことだ………ん?お前は……レイン。嘘つきレインじゃないか」

 

忠告をした終夜の言葉に同意したスメラギはふと、終夜の側にいたレインを見ると、突然レインを嘘つきといい放つ。混乱するキリトたちだが、当の本人はばつの悪い顔をしていた

 

「いやぁ…あはは。困ったなぁ」

「なるほど。お前がこいつらを手引きしていたということか」

「どういうことなんだ、レイン」

 

スメラギの言葉にキリトはレインに説明を求めるが、その内容はスメラギが話してくれた

 

「彼女は以前、メンバーに嘘をつきシャムロックに加入した。だが、その嘘がバレ、ギルドを追い出された。だが、ギルドからの登録解除のタイムラグを利用して情報を得ていたというわけだ」

「ばれちゃあ仕方がないなぁ……ごめんね、キリトくん。攻略合戦に水を指しちゃって」

「まぁ、姑息ではあるがそれも攻略手段のひとつ。潜り込まれた俺たちにも非はあるということだ」

「言いたいことはわかった。俺たちは一旦この場を退くことにする。だからレインに関しては見逃してくれないか?」

「見逃すもなにも、さっきから俺はこういう手段も有りだと言っている。だが、貴様が勝負を投げるのなら仕方がない。その分、我々が新エリア踏破に一歩近づくだけだからな」

 

キリトはこちらに非があると、攻略を一旦止めるとスメラギに伝える。スメラギは気にはしていないというも、キリトが自ら降りることを引き留めることはしなかった。そして、キリトはレインを連れ、街のダイシーカフェまで帰還した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……みんな、今話した通りだ。どんな意図があろうと、俺はレインを責めるつもりはない。だから彼女を許してやってくれないか?」

「「「「………………」」」」

「私は納得できないわ」

 

ダイシーカフェに戻った一行。キリトはレインの行った行為を責めることは無いと主張し、許してくれるよう頼んだのだが、一同の中でシノンが納得できないと主張する

 

「いくら相手が許したとしても、そこまでした理由を知る必要はあるでしょ。まず、それを教えなさいよ」

「ええと……それは……」

「ま、待ってくれ。シノン」

「折角、あの世界から脱出できて、みんなと仲良く、今度こそゲームを遊べると思ったのに……私は、変なしこりを持ったままゲームをプレイはしたくないわ」

「なら、一ついいか?」

 

激昂するシノンに、口には出さずとも同じような思いの面々がいる中、終夜が口を挟んだ。だが、その顔は失望したような見下したような、そんな顔だった

 

「シノン。君の主張は確かに正当なものだ。だが問おう。その理由を知ってどうする?」

「どうって……」

「俺の考えを先に言おう。シノン、君の主張は身勝手な我が儘にしか聞こえない」

「なんですって!?」

 

シノンをバッサリ切った終夜にシノンが怒りを向ける。が、終夜はそれを何とも思わずそのまま続ける

 

「別に行動原因について聞くのは否定しないさ。だかな、仲良くゲームを遊びたいなら何故俺たちが加入するのを許した?見知った間柄だけならこんなトラブルなんざ元から起こらなかった。事情も知らない俺たちの加入を許したのはキリトが連れてきたからか?」

「それは………」

「これが極論といわれても別に否定はしないさ。だがその怒りはただの自分とって都合のいい自分優位な考えでしかないぞ」

「お、おい。シュウ!」

 

言い終えた終夜は席をたち、店から出ていく。

まるでその答えには興味がないと言わんばかりに

 

そして、カフェからでた終夜はカフェのすぐ近くで立ち止まる。すると少し時間がたつと、申し訳無さそうに暗い表情をしたレインが同じくカフェから姿を現す

 

「レイン」

 

それを見た終夜はレインを手招きで呼び寄せる。レインがそのまま近づくと、手をとりそのまま街中を歩きだす

 

「俺もキリトと同じく、何故やったかを聞くことはない」

「うん……」

「キリトたちがどういう決断をするのかはわからないが、もしもの時はレインについていってやるよ」

「えっ……それは申し訳ないよ」

「危険な手を使ってでもしたいものなんだろ?それを手伝うというだけだ。気にしない、気にしない」

 

頭をポンポンと軽く叩きながら笑う終夜に少し恥ずかしそうにするレインだった

 

 

 

 




長らくお待たせして申し訳ないです


一応、誤解されるかもということで終夜の考えの補足等をします

終夜が引っ掛かったのは「みんなで仲良く」の一点だけ
ただ楽しく仲間内でプレイするならば、トラブルになるかもしれない終夜たちを入れることなくキリトたちのみでやっていればいい。
自らも良いと言っておきながら今回で仲良くプレイできないかもしれないとの主張は都合がよすぎるとの考えからです

これは作者も同じ考えです

何かありましたら言っていただければそれにお答えさせていただきます


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第十五話

エギルの店から出た終夜たちが別の場所で一服をしていると、終夜が出ていった後の話し合いで決着がついたのかレインも一緒に攻略を続けようとキリトが伝えにきた

 

「俺の言った通り大丈夫だといったろ?レイン」

「う、うん」

「お人好しなんだから何だかんだと仲間外れにはさせないさ、キリトは」

「はは、……褒められている気がしないな」

 

終夜の褒めているのか褒めていないのかわからない言葉にキリトは苦笑いを見せるしかなかった。その後、アスナたち他のメンバーと合流すると、終夜とシノンの間で不穏な空気が流れるも何とか音便にすみ、攻略を再開する終夜たち

 

 

 

「さて、スメラギたちにだいぶ遅れをとっているがどうするんだ?キリト」

「攻略途中だったこのダンジョンをクリアしたら考えるさ」

 

スメラギたちとの一悶着により、一旦退いたダンジョンに戻ってきた終夜たち。残すはボス部屋だけだったのですぐにボスへと挑む

 

「うーん……同じ外見のボスキャラ多くないかな?もっと、こう種類を……」

「文句言うとこそこ!?」

 

他と同じモデルの中ボスに不満げな終夜と、そこに怒るのかと驚くリズ。半ば定番と化したこのやり取りだが、それはさておき。ダンジョンが小さいことから予想も出来ていたが、ユイからそれほど強くないボスであることが伝えられた。全員、中ボスクラスであれば、既に苦戦するようなレベルではなく、楽々とボスを倒し、部屋の奥にある宝箱を開封する

 

「これ。最初の島の気流装置と同じ模様…ですね」

「ウィーザルの紋章……ね。名の意味通りならおそらくそれが高度制限の解除をするアイテムだろう」

 

宝箱には、初めの島。ヴォーグリンデの気流装置にあったのと同じ紋章の宝石が入っており、終夜はそれが高度制限解除のアイテムだと断定する

 

「リズやフィリアが何故だと言いたげな顔をしてるから説明すると、ウィーザルってのは北欧神話の主神、オーディンの息子の名で、名前の意味には森ともう一つ、広いって意味がある」

「広い……高度制限がなくなり、広い範囲を探索できる?」

「安直すぎやしねぇか?」

「世界背景まで凝りに凝ってるゲームでなければ安直なものも多いさ。凝ってるやつだと、ゴミアイテムですら設定の一部になることもあるんだから」

 

ゲームの展開とアイテムの名前の関係が安直すぎだと怪しむクラインだが、終夜は凝ってなければこのくらいのは多いと反応する

 

「そういえば、島の中央に謎の装置があったな……」

「それならこれはそこで使うものなんですかね」

「ここで考えるよりいった方が早いよ!ほらほら〜!」

 

この島で何のためにあるのか不明な装置があったことを思い出したエギル。そこで使うのかと考える隣にいるリーファだったが話を聞いていたストレアが現地の方が早いと強引に全員を装置へと向かわせる。皆、苦笑いだったがそれもそうだと装置のある島の中央部へと向かっていく

 

 

 

 

 

「おい、キー坊。ここに何かをはめれる穴があるぞ。さっき手に入れたアイテムを入れてみろよ」

「そうだな………大抵、こういうときはモンスターが出現すると思うけど皆、準備は?」

「おう、いつでもいいぜ!」

「ああ。はやくシャムロックのやつらに追い付かないとな」

 

ボス戦の前触れのため、キリトはアルゴが発見したくぼみに先ほど手に入れた宝石を入れる前に確認をとる。全員の準備がいいとわかったのでキリトが宝石をくぼみに嵌めると、突如ボスモンスターがポップする

 

「なんだ………中ボスか。はぁ」

「また言ってるよ、この戦闘バカ」

「あははは。あの時、キリトさんに変わってスメラギさんと戦えれば良かったですね」

「あれだったら、あの時いた全員とまとめてやるくらいじゃないと気が乗らない」

「帰って来た答えがまさかの高難易度!?」

 

高度制限解除前の壁として出現したボスモンスターだったが、活躍することなく倒されることになる。そして、ボスを倒した途端、『高度制限解除中』のアナウンスと共に装置が起動し、地面が揺れる。

 

「あ、揺れが収まった」

「……パパ。今までかかっていた高度制限が解除されたのを確認しました」

「ありがとう、ユイ。これで、今まで行けなかった浮島にもいくことができるな」

「でも、次の島は解放されないんだね」

「そりゃ大ボスと戦ってないからな。恐らくこの島を含めた三島のダンジョン。確か、二個づつ残ってたよな?」

「はい。高度制限があり、挑戦できなかったダンジョンは全部で六箇所あります」

「だったらそれを手分けして集めてあそこのダンジョンにいけばいいんだろ」

 

そういう終夜が指差す先には、氷山の前に立つ館のような建造物があった。だが、これにフィリアがなんでそこだと思うのか疑問をもつ

 

「ねぇ、なんであそこなわけ?」

「この島で建物であったダンジョンなんてなかったろ。たった一つ建造物があり、それがデカいときた。そりゃあれしか無いだろう」

「なら作戦会議の意味も含めて俺の店で一服しないか?」

「賛成〜マスターの淹れるお茶おいしいし」

 

全員、街へ戻るため転移門へと移動する中、終夜はどんなアイテムなのか可能なら見ておきたいと一人でダンジョンに挑もうとする

 

「ならボクも残るよ。シュウ一人だと大変だろうし、ボクもそこまでアイテムを消費してないから」

「いいのか?」

「うん!」

「二人とも気をつけて。負けそうになったら引き返すのよ」

「言われなくても」

 

キリトたちと別れた二人はそのままひとっ飛びにダンジョンへと飛んでいく

 

 

 

 

 

「さてと、ここだな」

「マップを見ると、そこまで広いダンジョンじゃないみたいだね」

 

ダンジョンに潜った二人はまずマップを開き、ダンジョンの広さを確認後、立ち回りを決めてからダンジョンへと挑んでいく

 

「難易度はそこまで上がって無いんだな」

「そうだね。だいたいさっきのダンジョンと同じくらいだし」

「ならこのままもう一つもクリアしてから戻るか!」

 

キリト達の中でも既に強者の立ち位置の終夜と高い戦闘力をもつユウキの二人は、ペアということもあり若干いつもより攻略速度は落ちているが、そこまで変わらない速さでボス部屋へと到着。ボスは中ボスでなく、少し強化されたそこらの雑魚キャラのため、あっという間にダンジョンをクリアした

 

「また宝石だね」

「ということは、あと五個宝石を集めればいいわけだ。ちゃっちゃともう一つのダンジョンもクリアしようか」

「うん!」

 

ボス部屋の奥にて入手したのは、女性の横顔が彫られた白い宝石であり、もう一つのダンジョンでは大樹が彫られた黄緑の宝石を獲得した

 

 

 

「あっ、二人が帰って来たよ!」

「早かったじゃねぇか。やっぱりダンジョン攻略はできなかったか」

「んなわけあるか、クライン。氷の島のダンジョンは二つともクリアしてきたさ」

 

街で作戦会議を終えたキリトたちと合流した終夜は氷の島のダンジョンを攻略したこと、入手した宝石の存在を伝えた

 

「へぇ、ということは残りのダンジョンで同じ宝石をゲットすればいいんだ!」

「それほど強いモンスターのいるダンジョンでないからな。手分けして攻略しよう。シャムロックは大人数だが、逆に大人数でしか動けない以上俺たちより攻略速度は劣るはずだからな」

「シュウの言うとおりだな。それじゃあ早速……」

 

キリトが四つにチーム分けを済ませると、ダンジョン攻略後、街での合流はせず現地に集まることに決めてそれぞれ別れる。シュウのメンバーは、レイン、シリカ、フィリアの三人。シュウたちは草原の島のダンジョンの一つを攻略することになった

 

 




長らくお待たせして申し訳ないです!

構想は既にあるのですが執筆意欲がなくてですね……

今は一番好きなポケモンのスイクンの色違いをだすため厳選作業がメインになってしまってます(笑)

なんでもいいので感想下さい(露骨)


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第十六話

「あら〜困ったな」

 

「こんな状況で呑気すぎですよ!」

 

「こんなボスなんて聞いてないよー!!」

 

 

 

ダンジョン攻略中の終夜たち。何事もなくボス部屋へまで進んだはいいもの、ボスに問題があった。氷の島でユウキと攻略した時は二つのダンジョン両方とも強化されただけの雑魚キャラだったが、終夜たちが戦うことになったボスは、最初の島の大ボス、ファフニールと瓜二つの黒いドラゴンだった。このクラスのボスだと思っていなかったシリカたちは当然パニックになるなか、終夜は一人、ゆる〜く現状をどう変えるか考えていた

 

 

 

「うーん、メインアタッカーは俺として……」

 

「ちょちょ、シュウ!?」

 

「目の前!ボスの攻撃が来ますよ!?」

 

 

 

ボスが終夜をターゲットに12個ほどの光弾を発射する大技を構えているが、気にする素振りを見せない終夜にシリカとフィリアの二人が終夜に慌てて攻撃が来ることを伝えるが時既に遅し。12発の光弾が終夜へ放たれる。

 

…………が

 

 

 

「もう200発程あれば手応え有りなんだがな〜。物足りないのは変わり無いけ……どっ!」

 

 

 

放たれた光弾は全て叩き落とされ、終夜にダメージが入ることはなかった

 

 

 

「うっそぉ………」

 

「考えるのが面倒になったから俺は突っ込む!適当にフォローよろしく!」

 

「そ、そんないきなり言われても!」

 

 

 

終夜の無茶振りに困り果てるレインたち。終夜本人は既にボスの懐に入り込んでおり、どんどんボスのHPを削っていく。もちろん、懐にいるためボスの攻撃も激しいが的確に弾き、かわし、武器を振るい続ける終夜の姿に本当にフォローがいるのかと、疑問を持ちつつもフォローをこなすレインたち。戦闘開始から10分ほど経ち、ボスを討伐することができた

 

 

 

 

 

「………ねぇ。これから、もうシュウ一人でもいいんじゃないかな」

 

「そんなこといっちゃダメですよ、フィリアさん。気持ちはわかりますけど……」

 

「ボスの体力、ほとんどシュウくんが削ったもんね」

 

 

 

サポートに徹していたレインたちは、半ば投げ槍な会話をしていたが、その内容は終夜に伝わることがなく、終夜自身は頭に疑問符を浮かべながらレインたちの元へと戻っていった

 

 

 

「何を話してたか知らないが、三人とも。無事宝石はゲットしたぞ」

 

「そ、それじゃあ!早く集合場所のダンジョンまで急ぎましょう」

 

「そうね、遅れると皆に悪いし!」

 

 

 

バレるとマズイと思ったフィリアたちは終夜との会話を最小限に抑えて、何でもないように転移門へと移動を始めた。三人の反応を不審がる終夜だが、あまり深く考えることなく、三人の後についていくのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、シュウ!あんなボスが出るなんて聞いてないぜ」

 

「クラインのダンジョンも島の大ボスのバージョン違いだったのか」

 

「だったって、シュウもなのか?」

 

 

 

終夜たちが集合場所のダンジョンに到着すると、終夜と同じく大ボスクラスのボスを相手にすることになったクラインが文句を言ってきたが、終夜はやっぱりかと一人納得して、クラインの文句はスルーしていた

 

 

 

「ああ。この島のダンジョンはそうじゃなかったから他も同じだと思ったんだがな」

 

「あ、私たちが最後だね。遅くなってごめん」

 

「気にしなくてもいいよ、アスナ」

 

 

 

到着が最後になったアスナのグループが到着し、先に到着していたキリトが見つけていたくぼみに6個の宝石をはめ込むと扉がゆっくりと開きダンジョンに挑むことができるようになった

 

 

 

「早速いこう!」

 

 

 

キリトの号令とともにダンジョンに挑戦する一行。スイッチの探索に手こずったりや突然ポップするモンスターに驚かされたりしながらも順調にボス部屋まで進むことができた

 

 

 

「ここがボス部屋だな。ほかの扉に部屋は全部調べたし」

 

「どうやらまだ攻略されてないみたいだ」

 

「大組織ゆえにやはり速度は遅いな」

 

「早速行こう!」

 

 

 

まだシャムロックが攻略していないのを確認した一行は、さっそくボスに挑むため扉を開ける。いつも通り、強制転移させられる。転移した先にはイカのような全身をもち頭部が花のように開くと、ヒト型の上半身があるという不気味なボスが待ち構えていた

 

 

 

「ほう、なかなか楽しそうなボスだ」

 

 

 

終夜の機嫌が良くなったことには誰も触れず、全員でボスに挑むが、ボスの多彩な攻撃に苦しめられる。ボスは接近してきた終夜やキリトに向かって息を吐きだし、リーファやシノンなど遠距離組にはイカの姿に戻り、体当たりを繰り出し、終夜たちが近づき直すとの繰り返しにより、戦闘は長時間に及ぶが、だれも欠けることなくボスに勝利することができた

 

 

 

 

 

「貴様ら・・・・・」

 

「悪いな、スメラギ。この島は俺たちが先にクリアさせてもらったぜ」

 

 

 

ボス戦が終わった終夜たちは元のボス部屋へと戻されていた。そこにメンバーを引き連れたスメラギが現れる。キリトがスメラギに勝利宣言をするが、スメラギはそこまで悔しがる素振りを見せない

 

 

 

「ふん。確かにこの島では遅れをとったが、ここはまだ通過点。スヴァルトエリアの攻略はまだ途中、ここから裏世界の攻略が始まる。最後は俺たちシャムロックが先に制覇させてもらう」

 

「俺たちも負けないぜ」

 

 

 

互いに負けないと宣言し合い、ライバルとしてか互いに笑みを浮かべるが、そのあとのキリトのセブンを心配する問いかけにスメラギはその笑みを消す

 

 

 

「キリト。貴様にセブンについて心を許した覚えはないぞ。それに貴様に心配されるようなことはない」

 

「そうそう。キリトが会ってないだけだ。セブンは元気そうだったぞ」

 

「なぜ貴様がセブンの様子を知っている」

 

 

 

半ば、スメラギのフォローをするような終夜の発言にいち早く反応したスメラギは終夜を問いただす。終夜は地雷を踏んだか?と思いつつも別に隠すようなことでもないとスメラギの問いに答えた

 

 

 

「セブンがキリトに会うためダイシーカフェに顔を出したときに話した。それだけだ」

 

「・・そうか。セブンが言っていた新しい発見や別視点での貴重な意見をくれたと言っていたのは貴様のことか」

 

「そうか。俺の言葉が役立ったのなら、嬉しい限りだ。それと、言わなかったのは聞かれなかったからだ。先に言っておくぞ、リズ」

 

「なんであたしよ!聞こうとしたのは事実だけど」

 

 

 

最後に一言キリトに言ったスメラギはそのまま他のメンバーを連れて去っていく。キリトはセブンをここまで持ち上げて何がしたいんだと去っていくスメラギの背中を見ていた

 

 

 

 

 

「あっ!解放されたみたいだよ。スヴァルトエリアの裏世界!」

 

「ああ。本当の闘いはここからだな」

 

「打ち切り漫画みたいなセリフはやめてくれ、キリト」

 

「なんでそう言われるんだ!」

 

 

 

解放された裏世界たる島を視界に入れつつ思い思いに話し込む一行。そのなか、クラインが表世界クリアのパーティーをすることを提案し、全員が賛成。エギルが自身の店を貸し切りにしてくれるとのことで全員で街へと戻ることになった

 

 

 

 

 




ちょっと筆が進むのが遅くなりましたが、乗っているため、今日中にもう一話投稿します。多分



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第十七話

もし、更新の関係で16話を見てないかたは先にそちらをご覧下さい


 

 

 

 

 

 

 

「それでは僭越ながら、私。クラインが乾杯の音頭を…」

「長い!では、かんぱ〜い!!!」

「始めたばっかなんだが!?」

 

ダイシーカフェで表世界クリア記念のパーティーをする終夜たち。乾杯の音頭をクライン自ら名乗り上げ、挨拶を始めるが乾杯の音頭は終夜に奪われ、乾杯後も皆、クラインに目もくれず、料理に夢中になっていたため、クラインは二重でショックを受けていた。そして、乾杯の音頭を奪った終夜は料理の元に向かわず、店の端で輪に加わっていないレインの元に移動していた

 

「店の隅で何してるんだ、レイン」

「あ、シュウ君。……みんなで和気あいあいとしてるのを邪魔したら悪いかなーって思ったのですよ」

「確かに、あんなことがあれば気にするのもわかるけど、レインの助力もあってシャムロックに勝ってるんだ。ほらほら、皆の所にいくぞ」

「ちょっ、ちょっとシュウくん!」

 

自分を下比するレインを見かねた終夜は強引にレインの手を引き、二人して輪に加わる。その後は、キリトがシルフ領の兵士として雇われないかとシルフ領、領主のサクヤに勧誘されたり、ケットシーの兵士として終夜がスカウトされ、依頼を受け行動する傭兵なら構わないと今後のやりとりを行う終夜の姿が。そしてセブンが表世界の攻略祝いと、シャムロックを負かしたことに一言言いに来たりと色々な出来事が起こった

 

 

そして、パーティーの翌日。裏世界の攻略が始まる

 

 

 

 

 

「裏世界、『ニーベルハイム』今までと雰囲気が全然違うな」

「スヴァルトエリア最後のフィールドだから難易度もこれまでより格段に高いだろう」

「うんうん。満足させてくれることを期待する」

「あんたは何様よ、全く」

「とりあえず、島を一周してみましょう」

 

最後の島に転移した終夜たちは、転移門から見える範囲での所感を思いのまま話し、今までと同じく島を一周することから始めることにした

 

 

「不思議な塔だね。信号機みたいに光ってるよ」

「転移門からも見えていた中央の巨大な塔の光と同じ色か。繋がりがありそうだな」

「けど、入口が見当たりませんよ」

 

飛びながら探索をしていた終夜たちは、フィールドにある一つの塔の前で色々と話し込んでいた。入口が見当たらないと、地上に降りてみると、突然渦のようなものが発生する

 

「これ、もしかして転移装置じゃないかな?」

「ワープホールってわけか。行ってみるか?」

「まだ探索を始めたばかりだけど、そうしよう」

 

ストレアの予想は正しく、終夜たちはダンジョンへと転移する。そして、入口には同じ転移装置らしきものが鎮座してあり、脱出する際はこの装置を調べればいいらしい

 

「さて、それでは攻略開始だ!」

 

最後の島ということもあり、新モンスターや今までの敵も強化されていたりとキリトの言うとおり、難易度は格段に上がっていた。危機的状況に陥ることなく進んでいく終夜たちは、ボスも強化された雑魚ということで無事にボスを打ち倒すことができた。だが、ボス部屋の奥の小部屋が解放されただけで、クエストクリアにはならなかった。そして、奥の小部屋にはレバーが一つあるだけだった

 

「これを操作すればいいのかな」

「多分、そうだと思う。ボスを倒したとき、クエストクリアにならなかったし、クリア条件がこれの操作で間違い無いと思う」

「それにしても、シャムロックと競ってると大変ね」

「うん。セブンちゃんがライブ中に協力を呼び掛けてるらしいから今ではシャムロックだけでなく、クラスタの人たちまで攻略に参加してるからね」

 

何のギミックか不明なレバーの前で色々と話し込む一行。いざ、レバーを操作しようとしたそのとき、背後から幾人ものプレイヤーが現れる

 

「最近、シャムロックと競いあってるスプリガン。キリト一行だな?君たちには悪いが、このクエストの勝利者はセブンに譲ってもらう」

「………ほう」

 

突然現れたプレイヤーはレイド人数MAXの48人。その全てがセブンのファンの証、プーカの羽飾りをつけ、クエストクリアを譲れと要求してくる。その際、誰一人終夜が笑みを浮かべたことに気づいてはいなかった

 

「お前たちはセブンのファンか?」

「俺たちはセブンの信奉者!七色博士の理論を信じ、そしてセブンの歌声とメッセージを愛するものだ!」

「セブンクラスタか。人のプレイスタイルは様々だし、俺は否定したりしない。けど、こういうやり方をスメラギは嫌っていた筈。お前たちは誰の指示で動いている」

 

セブンクラスタに対し、険しい顔でキリトは対応をとる。セブンクラスタたちは、終夜たちに自分たちのようにセブンにスヴァルトエリア攻略の成果を捧げるように要求する。そうすれば、セブンの歌の通り、争い・衝突のない世界で平等に生きていけるのだと。清々しいほどにハッキリとしたハイエナプレイに潔いと感じるキリトは仕方ないと譲ろうとする。

 

 

 

 

が、そのクラスタの言葉を、終夜は一太刀にて切り捨てた

 

「シュウ!?」

「ッ…クク……クハハハハハ。一人の歌姫(めがみ)を祭り上げ、その名を傘にこの蛮行。愚考極まり、笑いしかないわ」

「貴様っ!カハッ」

 

 

終夜に斬られたパーティーのリーダー格の男は怒りのまま終夜に近づこうとするが、顔面への容赦ない一撃でHPが無くなり、リメインライトへと変わる。ゲーム内であるため、設定により痛覚などはある程度遮断されているが完全に無いわけでなく衝撃などはあるため、この終夜の一撃に怯むクラスタたち。だが、目の前の男は止まらない

 

「反抗されることをわかっての要求だろう?何故怯む?さぁ、貴様らの敵は目の前だ。武器を手にとれ。さぁ、鏖殺(せんとう)の始まりだ。後ろの全員、手を出すなよ?」

 

終夜の突然の変わりように驚愕に染まるキリトたち。それらを放って、1対47の戦いが始まる。驚きはしつつも、数的有利から余裕だ。終夜がバカだとの雰囲気を出すが、それが間違いであったとすぐに思い知ることになる。

 

 

「はぁ……この程度ならハッキリ言って興ざめなんだが?」

「このっ!」

「敵の前で大振りをするな。斬れといってるものだ」

「はあっ!」

「考え無しに突っ込むな。こうなる」

 

戦闘開始から10分も経たずに、クラスタたちはその人数を約半分まで減らすことになった。しかも、終夜が腕を斬り落とし、また弾き飛ばすことで奪った剣、槍、メイス、アックス、ナイフ、レイピア等を常人以上の腕前で扱うため対応しきれず、倒される者がとても多かった。そうして、全てのクラスタをリメインライトに変えた終夜の顔は、不満足で期待外れだと物語っており、その顔でリメインライトのまま残っているプレイヤーに向けて、挑発のような宣言をする

 

「どうせ、掲示板にでも書くだろうから言っといてやる。クラスタ共、俺は貴様らのソレを真っ向から否定する。文句があるなら今以上の人数でも集め、挑むがいい。それで貴様らがどうなるかは知らんがな。あと、貴様らの武器は有効に使わせて貰おう。ああ、最後に。挑むのは俺だけにしろ。後ろのやつらを攻撃したら……覚悟しておけ」

 

宣言を終えた終夜は呆然と見つめるキリトたちの元へ、少々の困り顔でゆっくりと戻っていく

 

「いきなり悪いな。あんなことをして」

「ていうか、あんた!さっきの宣言」

「ああ。クラスタに喧嘩売ったが、何か?」

「何か?じゃないわよ!どうして……」

「個人的に気に入らん。以上!あ、あと張り合いが欲しかった。それじゃあレバーを操作して、早く次へいこうぜ」

「誰のせいでこうなってるのかわかってるのかしら」

「俺だろ?よくわかってる」

 

この一連の終夜の行動に嫌悪感を抱くものはいなかったが、複雑な思いを抱えるものは少なくなかった。複雑な思いといっても、心配だが心配する必要があるのか?やもうちょっとやり方が……といったものだけだった

 

 

 

 

終夜のこの行動はセブンクラスタの中であっという間に広がり、1レイドをたった一人で潰した男として話題に上がり、掲示板ではクラスタによる非難やどんな戦いなのか興味を示すもので炎上したり盛り上がったりしていた

 

 

 




ふう。一応、武器の鹵獲は可能だということですので相手プレイヤーの武器も使用し、戦ってます

間違いであれば修正するかもしれません

またアンケートの件は数日待ってからの投票数で決めたいと思っています

そして、またまた露骨ですが感想give me!
感想があればあるほどやる気が起きます。
よろしくお願いします


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間幕『スリーピングナイツ』

「あっ!シュウ〜!」

「ん、ユウキ?」

 

氷の島の攻略途中、全員が揃わないと攻略を進めないため、自由行動と決まっていた日に街であてもなくぶらついていた終夜はユウキに呼び止められた

 

「急にごめんね。シュウにお願いしたいことがあるんだけど、いいかな?」

「お願い?別にいいが……」

「ホント!?それじゃあこっちに来て!」

「先に何を手伝うか……っておいおい!」

 

不安そうにお願いするユウキに二つ返事で了承を返すと、笑顔になったユウキに手を引っ張られ強引にどこかへと連れていかれる。連れていかれたのは、街の中にある一つのカフェだった。そして、ユウキはテーブルに座る五人のプレイヤーの元にまっすぐ向かっていく

 

「みんな〜!言ってた人連れてきたよー」

「えーと、どちらさま?」

「紹介するね!ボクのギルド、スリーピングナイツの仲間たち!」

「へぇ……ギルドの。……………ギルド?」

「うん。ホントはみんなと攻略する予定だったんだけど、中々みんなと時間が合わなかったから、他の人と冒険してみたらって言われて」

「それであの辻デュエルか」

 

ユウキの事情をなんとなく理解した終夜。なぜデュエルで仲間になる人を探したのかは敢えて触れずに……

 

「最近になって集まれるようになったから、ギルドを再始動させようと思ったんだよ。あ、みんなへの紹介がまだだったね。この人がボクの言ってたプレイヤーのシュウ」

「よろしく」

「僕はジュン!シュウさん、よろしく!」

「あー、自分はテッチって言います。どうぞ、よろしく」

「ワタクシはタケルンって名前です。よろしくお願いします」

「私はノリ。会えて嬉しいよ、シュウさん」

「初めまして。私はシウネーです。ありがとう、来てくださって」

「そして……一応ボクがギルドリーダーのユウキです!シュウ、一緒に頑張ろう!」

「いや、頑張るとはいえ何を?」

 

終夜の返しにポカンとするユウキ。そして後ろでは察したかのように頭を抱えたノリと苦笑いのシウネーの姿が

 

「あ、そっか。ボクまだなーんも説明してなかった」

「「「だあああっ!」」」

「何も言わずに連れてきたの!?」

「うちのリーダーはこれだから」

「あはは〜忘れてたー」

 

和気あいあいとワチャワチャするスリーピングナイツの面々に仲がいいチームだと一人思う終夜。ただ、そのまま放っておかれても困るのでユウキに説明を求める

 

「ごめんごめん。今回の目的はこのボスを倒すこと。ここにいるみんなだけで!」

「なになに……『その力は歴代最強!?待望のイベントボスついに実装!攻略成功メンバーは本誌に掲載……』レイドを組んだ場合はリーダーのみ掲載……これに載ることが目的か?」

「はい。残念ながら、スリーピングナイツはもうすぐ解散予定なのです。だから最強クラスのボスを討伐し、私たちがこの世界に居た証を残したいんです」

「なぁ、ユウキ。この話を受けるのはいいがなんで俺なんだ?」

「う〜ん。シュウだからかな?変かもしれないけど「ククッ」……シュウ?」

 

不意に笑う終夜。その訳は、ユウキの理由がかつて自分のマスター、藤丸立香から返された答えと全く同じだったからだ

 

「ああ、悪い。以前にも同じ事を言われた経験があったからなついな。」

 

ポンポンとユウキの頭に手を置いた終夜はボスに挑む時になったらまた連絡を入れるよう頼み、ユウキたちと別れ、再度街をあてもなく散策する。その顔はユウキの言葉からの懐かしさや嬉しさで笑みが浮かんでいた

 

 




やっと書き終えた………

私、リアルで遊戯王とヴァイスをやってるのですが最近両方に力を入れた関係でこっちに中々時間が割けませんでした。申し訳ない


そして、また投稿は空くかもしれないです。普段からスマホで投稿してるので、PCを使えば仕事の休みに投稿できるんですが、自分のPCがないので家族共有のPCである関係上ずっとはできないんですよね……

そして素材が旨いクリスマス……投稿がなければクリスマスボックスの為の脳死周回をしてると思って下さい。
早ければ次の投稿は金曜日となります


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間幕『スリーピングナイツ』②

「ふむ。それで、私たちを集めた理由は何かな?」

 

「とある事情により、戦力が必要でな。ちゃっかり『俺の』金で買ってやってたお前らをよん……」

 

「残念ですな〜拙者、際どい防具を着た女性がいるのを期待したの…ガハァッ!」

 

「デュフるな、黒ひー。」

 

 

 

街の一角にて終夜は、ちゃっかり遊んでいたカルデアから来たサーヴァントの内の男性陣、アーチャー『エミヤ』ライダー『エドワード・ティーチ』の二人を呼び出していた。真面目に話を切り出すエミヤと違い、残念な表情で周辺の女性プレイヤーを見ていたくろひーに一撃を食らわした終夜は、そのまま集めた理由を話し始める

 

ちなみに、エミヤの種族はサラマンダー。 黒ひげの種族はノームである

 

 

 

 

 

「こっちで知り合った相手のギルドと共にあるボスを攻略するんだが、面倒な予感がしていてな」

 

「というと?」

 

「今回のボスは発表当初から実装まで注目を集めていたボスであり、攻略すれば雑誌に載ったりとリターンもかなり大きい」

 

「つまり争奪戦になると」

 

「端的に言えばそうだが、そうでもない。生半可な実力では勝てないからな。俺が気にしているのは…」

 

「ふむ。そういうことか」

 

 

 

不意に言葉を切り、視線を街の方へと向ける終夜。そしてその視線の先にあるものを見て納得するエミヤと、一人いじけているくろひー。その終夜の視線の先には、プーカの羽飾りを着けたプレイヤー、セブンクラスタの姿が。終夜はセブンクラスタ、又はシャムロックによる妨害を警戒していた

 

 

 

「何かと手段を選ばないところがあるからな。そこを警戒しての事だ。先日のこともあるしな」

 

「先日とは?」

 

「ハイエナプレイをしたセブンクラスタを全滅させて、最後に煽りました」

 

「手段を選ばないのはわかったが、その後の対応による問題は自分が招いた結果では?」

 

 

 

エミヤのもっともな返答に何も言い返せない終夜はすっとぼけることとする。その終夜に頭を抱えるエミヤ。そうこうしていると、終夜の元にユウキからボスに挑む準備が出来たと連絡が入る。そのため、終夜は二人と別れ、ユウキから連絡のあった場所まで移動し、残された二人も時間差で終夜を追いかけるようにその場を発つ

 

 

 

 

 

 

 

「おう、ユウキ」

 

「お待たせ、シュウ。ごめんね、準備とか長くなっちゃって」

 

「気にしてないから謝らなくていい。それじゃあ早速いこうか」

 

 

 

転移門前でユウキたちと合流した終夜はそのまま全員と軽く喋り合いながらダンジョンへと向かっていく。またその後ろには察知されない程度の距離でエミヤと黒ひーの二人が付かず離れず、追いかけていた

 

 

 

「イベントボスとは言え、専用ダンジョンではないんだな」

 

「通常のダンジョンが一時的にイベント専用となっているようですね」

 

 

 

ダンジョンに挑戦すると終夜はヒーラーのシウネーと後衛で雑談をしながらダンジョンを進んでいた。というのも、ユウキだけでなく、ジュンたちの実力もかなり高く、またコンビネーションもいいため、変に混ざる方が迷惑と思ってのこと。決してサボりではない

 

 

 

「しかし、みんなこれ程強いのに俺がいるか?」

 

「恥ずかしながら、罠に真っ正面に突っ込んだり出会うモンスターを全滅させながら進むため……」

 

「ああ、なんかわかるわ。ユウキとジュンの二人が何も考えずに突っ込んでる風景が予想できる」

 

「全くもって、その通りなんです……」

 

 

 

終夜の予想は当たっており、シウネーが恥ずかしそうに終夜の予想を認めて頷く。そんなことは露知らず、ユウキを先頭にどんどん、ダンジョンを攻略していった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ボス部屋の前で終夜の懸念は的中するのだった

 

既にボス部屋へと到着していたシャムロックのメンバー20人ほどが入口を占拠し、封鎖していたのだ

 

 

 

「あ、あのプレイヤーは……」

 

「シャムロック…」

 

「まーた、あいつらか」

 

「まだ人数が少ないからあれは先導隊だな。本隊もまだの様だし先に挑戦させてもらおうか(門前払いだろうけど)話を付けてこよう」

 

 

 

(話が拗れて戦闘にならないか)心配するユウキをよそに一人、シャムロックの元へ移動する終夜。何者だと視線を送るシャムロックの中から一人の男が終夜の前に立ち塞がった

 

 

 

「なんだ、貴様は」

 

「俺たちも君らと同じくイベントボスの攻略に来ている。どうやら人が集まり終わって無いようだから先に挑戦させてもらえないか?」

 

「それは出来ない。ボスに挑みたければ我々の攻略を待つことだな」

 

「お前たちが終わるまで小一時間以上待てと?準備もろくに出来ないのによく言う」

 

「ふん、文句はギルドマスターを通して貰おうか」

 

「ほざけ。例え伝えようが聞く耳ももたないだろうに」

 

「ね、君」

 

 

 

議論が平行線を辿るなか、終夜の隣に来ていたユウキが終夜と言い争っている男を呼ぶ

 

 

 

「つまり、ボクたちがこれ以上どうお願いしても譲ってくれないってことだよね?」

 

「当然だ」

 

「そっかぁ、じゃあ仕方ないね。戦おう」

 

 

 

突然、戦う意思を示したユウキに驚く終夜。その終夜にユウキは無邪気に微笑んだ

 

 

 

「ごめんね、シュウ。けど、結局はシュウも同じことをしてたよね?というか、シュウの場合は不意打ちしてたよね?」

 

「まぁな」

 

「だったら良いよね!」

 

 

 

やれやれと、シュウは自身の武器を抜く。その際、スリーピングナイツの面々をチラリと確認すると、誰一人嫌な顔を見せずユウキと同じように武器を構え、戦闘体勢に入っていた

 

 

 

「なら、さっさと道を開けて貰うぞ。シャムロック!」

 

 

 

突如始まった戦闘。人数の差が大きいスリーピングナイツだったが、コンビネーションに関しては圧倒的に分があり、次々にシャムロックメンバーを倒していく。だが、残り数人というところで、シャムロック本隊が到着してしまう

 

 

 

「後方から大勢のプレイヤーが!」

 

「本隊到着か……」

 

「はははは!どうだ。これが力の差と言うものだ!お前ら、こいつらに巨大ギルドにたてついた罪を思い知らせてやれ!」

 

「おおおお!!」

 

 

 

勢いづくシャムロックとは反対に、スリーピングナイツの面々の士気は下がってしまう。そんな中で終夜はスリーピングナイツに一つ指示を出した

 

 

 

「全員、ボス部屋の前で待機。俺に危険が迫ろうが、来るなよ」

 

「でも、それじゃあシュウが!」

 

「大丈夫だって」

 

「メイジ隊。焼いてやれっ!!」

 

「フッ……『アーチャー』!」

 

 

 

先導隊を全滅させたスリーピングナイツの全員を扉の前で待機させた終夜はそのまま本隊へ突撃しようとする。ユウキが心配だと引き留めようとするが、問題ないとそのまま突撃する。

 

その光景に格好の獲物だとリーダー格の男が魔法を放つように指示を出すが、その魔法は放たれることなく、待機状態の空中で消滅する

 

 

 

「なっ何が起きた!?」

 

「流石っ」

 

「無茶が過ぎるのではないかね?」

 

「うるせぇ」

 

 

 

魔法が消滅したのは、この戦場に魔法で隠れていたエミヤが放った矢により、魔法の核が破壊されたことで起きたことだった。それと同時に敵陣に突っ込んだのは終夜とエミヤと同じく魔法にて隠れた黒ひげだった

 

 

 

「美少女のために戦えるとは………燃えてきますぞぉ」

 

「おい、エミヤ!自分で呼んどいてなんだが、こいつ連れて来たの失敗じゃないか!?」

 

「元からわかっていた事だろう。全く……」

 

「辛辣ですなぁ……」

 

 

 

黒ひげのテンションに自らの判断を悔いる終夜とそれに呆れるエミヤ。その周りには、黒ひげに殴り倒された者。終夜に斬り倒された者。エミヤに撃ち抜かれた者が転がっていた。また、エミヤの周囲には弓しかないと突貫したシャムロックのメンバーがエミヤによって切り捨てられ、リメインライトと化して、その場に鎮座していた

 

 

 

「うっそぉ………」

 

「シュウさんもですが、あのお二方もとても強いですね」

 

「あのシャムロックがもう壊滅かよ……」

 

 

 

この光景にはユウキたちも驚きが隠せず、あんぐりと口を開けて呆けたりしていた。そして、戦闘開始からものの十分程でシャムロックの本隊は終夜たち三人によって壊滅させられた

 

 

 

 

 

「手応えのない……」

 

「仕方ないだろう。それより……ボス攻略の方は良いのかね?」

 

「………あ、」

 

 

 

シャムロック殲滅で終わった気になっていた終夜に頭が痛いとの素振りを見せるエミヤ。悪い悪いと、反省してない返しをした終夜はそのままユウキたちの元へ戻り、その間にエミヤと黒ひげの二人は回廊結晶を使い、ダンジョンから脱出した

 

 

 

「シュウ。さっきの二人は……」

 

「リアルでの仲間だ。こんなことがあるだろうと事前に呼んどいた。まぁ、それは置いといて早くボスに挑もうぜ」

 

 

 

ボス部屋へと突入する終夜たちは、特殊フィールドへと転移し、既にそこにはボスが待ち構えていた。史上最強の評価通り、その攻撃は苛烈を極める。スリーピングナイツの面々も必死に対応するが受け止め切れず被弾してしまうこともしばしば。そんな中、終夜はというと……

 

 

 

 

 

「クハハハハハハ!いいぞ、貴様!もっと寄越せ。hurryhurryhurry!」

 

「あ…ジュン!テッチ!急いで下がって!巻き込まれちゃう!」

 

 

 

一人、狂ったように攻撃を捌き、ボスにダメージを与えていく。その様子を見たユウキは前衛にて奮闘していたジュンとテッチを後衛へと下げ、そのまま終夜の行動に巻き込まれないよう一塊に集まるよう指示を出した

 

 

 

「ええと、あれがシュウさん?さっきと全然違うんだけど」

 

「あはは……」

 

 

 

ジュンはその変容っぷりに困惑し、ユウキはそれに対して苦笑いで何も言えない様子だった。そして、終夜の猛攻を受けるボスも本来あり得ないのだが、どこか怯えているように見えてしまう。だが、そのお陰でボスの攻撃が全て終夜に向かっているため、回復が間に合っていない先程までと違い、終夜の回復にだけ集中すればいい状態の今がチャンスと、シウネーを残し全員で突撃するユウキたち。その状態を知ってか知らずか終夜もボスのヘイトを自身のみに向けられるよう立ち回り、ユウキたちがダメージを負うことが殆んど無くなっていた

 

 

 

 

 

「もう少しだよ、皆!」

 

「「おう!」」

 

「もうシュウさんへのヒールが追い付きません!」

 

「頑張れシウネー!」

 

「あとちょっと!」

 

「そんな〜」

 

 

 

ボス討伐までもう少しというところで、ボスの行動パターンも変わり、被弾が増えた終夜の回復を担当するシウネーが根を上げる。だが、ユウキとノリの二人が頑張れと声を掛けるだけで何か改善されるわけではなく悲嘆にくれつつ、回復を続ける。そしてユウキのラストアタックでボスのライフバーが0となり、ついにボス討伐を達成した

 

 

 

 

 

「ふう、お楽しみもこれで終いか……」

 

「やったー!やったよー!!」

 

「おい、ユウキ。ちょいまっ……ガフッ」

 

 

 

武器をしまい、終わったと惜しむ終夜に喜びを全身に出したユウキが抱きつく。終夜も受け止めるが、コート装備の終夜と違い、ユウキは胸当てを装備しているため、通常より威力が高い。そのため思わぬダメージを受けてしまう。が、喜ぶユウキを無下にできず、あやすように頭を撫でる

 

 

 

「みんなもお疲れ様」

 

「おつかれ!いやー、まさか本当に勝っちゃうなんてなー」

 

「みんな、すげー頑張ったもんな」

 

「それ以上にシュウさんがいてくれたのが大きいですね」

 

「あんなにヒールしたのは初めてです……」

 

「シウネーには苦労かけたな」

 

 

 

二人がそんなやりとりをしている間に他のメンバーも喜びを露に、話をしながら集まってきた。ただ、シウネーだけは疲労困憊のようで、終夜はシウネーを労っていた

 

 

 

「さて、これでおしまいだな」

 

「いや、まだやってないことがあるぜ!」

 

「……宴会か?」

 

「そう!……ってなんでわかったの」

 

「大抵はそうだろうよ」

 

「なんで、遠足みたいになってるのさ!」

 

「まぁまぁ、ユウキ」

 

 

 

全員でこのあと行う打ち上げのことを楽しく話し合いながらダンジョンを脱出する。そして、後日打ち上げをすることを決めて、ダンジョンの入口で終夜はスリーピングナイツと別れる。ユウキもまだ一緒にいるらしいので、終夜は一人帰路につく。久々の戦闘に満足して




長らく投稿できずらい申し訳ありません

間幕はこれにて一度終わりとなり、本編へと戻ります。
ただ、正月特別編として終夜たちのほのぼのとした日常を書くかもしれません。

これに関しては作者の出来に対する満足度合いによりますので確実にあるとは言えません

(エアコミケでユウキのプレマ情報を見ず、そのまま流してしまった自分が怨めしい)


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第十八話

あの後、ダンジョンを脱出した終夜たちだったが、セブンのライブが開催される時間だといい、セブンがプレイヤーたちにどう攻略を促しているのかの確認のため、街へと戻ることにしたのだった。だが、終夜はそこでキリトたちと別行動を取ることにした。先程殲滅したクラスタと鉢合わせると無用なトラブルを起こしかねないとの懸念のためだ

 

「さて、それじゃあ攻略しておきますか」

 

そして、終夜は攻略しないとは言ってないとそのまま探索を続行していく……

 

 

 

 

 

 

「キリト〜。シャムロックが高難易度クエストを攻略したらしいよー!」

「ああ、そうらしいな。でも、いくらシャムロックとはいえ、こんなに早くにクエストをクリアするなんてな」

 

セブンのライブのあと攻略再開を翌日として解散。翌日に集まり、攻略再開の前にと準備のためそれぞれが別行動をとるなか、キリトは娘のユイとストレアと休息をとっていた。そして、話題にあるのはキリトたちが途中で抜けたセブンのライブ後に行われたクエスト攻略についてだ

 

「パパはセブンさんたちが使ってる攻略の方法を聞きましたか?」

「いや、知らないけどだいたいの予想はつくよ。レイドを組んで大勢で押し掛けたんだろ」

「はい。ライブのあと、シャムロックとクラスタが合流し、揃ってなだれ込むようにクエストへ進み、プレイヤーの人数に物を言わせて攻略したそうです」

「でも、そのときにひと悶着あったみたいだよー」

「ひと悶着?」

 

ストレアの気になる単語に反応したのは、準備を終えて宿へと戻ってきたリズとシリカの二人だった

 

「うん。どうやら、そのクエストの場所に偶然シュウ君が居合わせたみたいで、クラスタの一部と衝突したみたいだよー」

「はぁ!?クラスタと衝突!?」

「帰ってきたと思えば、何か物騒な話だな」

 

ストレアからさらっと流された情報に驚くリズ。それと同時に何事だと、リズたちと同じく宿へ戻ってきたエギルとクラインが反応する

 

「えーっと。あの時、別れたシュウくんの言うとおり、クラスタの中にはあのときのプレイヤーもいたみたいで、そのクラスタから因縁付けられたみたいだよ?」

「あー、その後の展開はだいたい想像がつくな」

「同じだな、キリト。俺も同じことを考えてると思う」

「なによ、二人して。それで?」

「当然、戦闘になるんだけど、途中で戦力の低下を見かねたのかスメラギが仲裁したみたいだよ」

「ういっす〜遅れてはないな。って、ちょちょ!?」

 

そこに現れたのは話題の渦中にある終夜だった。集合具合を見て、最後でないと安心する終夜を見たリズが怒り顔で終夜に詰め寄る。訳が分からない終夜はそのまま下がろうとするが、入ってすぐのため背後は扉。逃げ場もなくリズの怒り心頭の声を受ける羽目になった

 

「あんた、なんてことしてんのよ!」

「なんてって………あ、昨日のアレか」

「アレかじゃないわよ、アレかじゃ!」

「なぁ、シュウ。スメラギの仲裁があったと聞いたが、どういう風だったんだ?」

「ああ、それはな……」

 

 

 

 

 

キリトと別れた終夜はあのレバーを操作後、あるプレイヤーからクリア時のレバーは島中央のボスを弱体化させるものだと聞き、そのまま挑もうと考えたが、万が一のことを考えて、もう一つのダンジョンを攻略してからフロアボスに挑むことにした。その際、ルートの一つに街のNPCから受けていたクエスト対象のダンジョンがあったため先にそちらの攻略を優先させ、ダンジョンに挑んだ

 

「流石に高難易度というわけではあるが、ボスが人形だったのがなぁ。普通に動きが読めるし……まだドラゴンの方が……」

「貴様は!」

「あっ?」

 

高難易度クエストではあるが、終夜は一人で楽に勝利。そのまま帰路に着くと、ダンジョンの中腹でプレイヤーの集団と遭遇。攻略後に合流したシャムロックとクラスタの一団だったが、終夜に全滅させられたプレイヤーが終夜の姿に反応する。が、終夜はその相手がなんなのか検討がつかず、相手の怒りが増す結果となった

 

「少し前にお前がダンジョンで全滅させたレイドの一人だ!」

「ああ。あのときの雑魚か」

「誰が雑魚だ!あのとき、貴様が邪魔さえしなけれ……はっ?」

「なんか知らんが、とりあえず死ね」

 

理不尽な気がする行動ではあるが、喧嘩を売られたと判断した上での行動。というのは建前で終夜は正直、戦闘できればそれでいいのである

 

「このっ!」

「俺たちの邪魔をするか!」

 

無論、只見るだけの筈もなく、激昂したクラスタがそのまま終夜へと襲いかかる。が、敢えなく撃沈。どんどんリメインライトへとその姿を変えていく。そろそろ30人を越える頃、集団の後ろからスメラギが姿を現す

 

「なんの騒ぎだ」

「ん……おう、スメラギ」

「貴様は、あのときの」

「なんか知らんが喧嘩を売られたからな。買ったぞ」

 

終夜の軽い発言に頭が痛いと抱えるスメラギ。だが、悠長には構えてられないとこの場を納めるために動く

 

「このクエストを攻略するために、これ以上の戦力低下はこちらとしては望ましくない。仕掛けたのはこちら側だが、武器を納めて貰いたい」

「……まぁ、いいだろう。別にこの人数全て相手取る気でもなかったし」

 

半ば興が削がれた終夜はスメラギの願いを素直に聞き入れ、回廊結晶でダンジョンを脱出したのだった

 

 

 

 

 

「とまぁ、そんな感じで」

「はぁ、全くあんたってのは……」

「ああ、あと。楽しみを取るようで悪いが、あの空中で直立不動のボス。先に倒しておいたぞ」

「はい!?なんでよ!」

「一人で倒したのか」

「あれを攻略手段として取るなら、あのボスも数で押すはず。なら戦力に差がありすぎるこちらではこれから負ける一方だからな。先手を取らせてもらった」

 

会話をするうち、全員が揃ったため、終夜が進めた分を含めて現状確認後、終夜が解放した最終ダンジョンへ挑むため宿を発つ終夜たちだった

 

 

 

 




今回、短いですがキリがいいのでここまでです
正月特別編は上手く出来なかったため、今回は見送りということにさせて頂きます


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第十九話

「ここがラストダンジョンの入口か……」

「パパ。ここにいたボスを最初に倒したのはシュウさんで間違いないのですが、今日、私たちが来る二時間前にボスを倒したパーティーがあるみたいです」

「へぇ………翌日には復活たぁ。人海戦術は侮れんな、この世界。いや、人的資源が無くならない訳だからその人数を毎度集めることが出来るシャムロックを褒めるべきか?」

「って、おいおい!これはマズイんじゃねぇのか!?」

「まぁ、攻略度で言えば負けているだろうな。確実に」

 

シャムロックに先を越されていると分かり、取り乱すクラインと、対照的に一人冷静な終夜。その終夜に疑問をぶつけたのはリズだった

 

「ねぇ、シュウ。あんた、ずいぶんと冷静ね」

「そうか?」

「シャムロックに抜かれたってのに焦ってすらないからよ」

「ああ。人海戦術ならそこまで進行は進んで無いだろうと踏んでだ。正直な所、シャムロックの人海戦術が効果的かというとそうではないからな」

「……というと?」

「あとはダンジョンを進みながらな」

 

珍しく反応したエギルに少々驚きつつ、ダンジョンに入ってからとダンジョンの中に向かう終夜。他の面々も追従し、全員が中に入ったのを確認してから、先ほどの続きを話す

 

「人海戦術ってのは、強いように見えて究極の個に弱い場合がある」

「究極の個?」

「そうだな……良い例えがあるしシャムロックで話そうか。このダンジョンに、スメラギを含めたトップランカーが10人。中堅層が30人。あとは強さがまばらなクラスタが40人の計80人で挑んだとする。では、問題だクライン。この場合でこのダンジョンの中ボスに挑んだときにはどうなってると思う?」

「俺かよ!……うーん」

 

全員に聞こえる声量で先頭にたって戦う終夜とシノン、リーファの後方支援であらかたの敵は倒せており、漏れたのもキリトたちが倒すことで、それほど会話は中断せずにダンジョンを進むことが出来ていた。そんな最中に急に話を振られ真面目に考え込むクライン。それを尻目に到着したボス部屋らしき部屋のドアを開ける。

 

「これが答えだな」

「なっ!………」

 

 

予想通りだと、顔色を変えない終夜と裏腹に驚愕に顔を染めるキリトたち。ボス部屋の中には多数のリメインライトに姿を変えたプレイヤーが広がる光景があり、どんなことがあったか一目で判る状態だった

 

「とまぁ、こんな風にそれほどの実力がないやつが集まっても強力なボスに殺られるって訳だ」

「この状況で話続けるのかよ!」

「仮に壁に30人いたとしても、全員がスメラギ等のトップランカーなら話は別だが強さもまばらなクラスタが混ざればその分強度は落ちるし、被ダメージも増える。さらにワンパンが増えれば更にだ。それを毎度続けれる訳も無いからな」

 

クラインのツッコミも無視して話を続ける終夜は、辺りに転がるまだ実体を保つ瀕死のプレイヤーを放置してボス部屋を進む。が、ある一人のプレイヤーの遺した言葉に足を止めた。それはキリトたちも一緒だった

 

「俺達は……セブンを助けるんだ……セブンちゃんの為に………ラストダンジョンの攻略を…」

「…!!」

「あんたらはそこまでしてセブンのことを」

「当たり前だ。俺達の女神、俺達はあの子の為なら……うっ」

「セブンの為……ね。……ステンノから聞いた彼女達の孤独がどういうことかよく分かる」

「シュウくん?」

 

瀕死プレイヤーの最後の言葉に各々違う反応を見せる中、終夜はかつてカルデアでステンノと一度だけ交わした会話を思い出し、遠い目をしていた。そんな終夜をレインが心配そうに顔を覗きこんでいた

 

「どうする?キリトくん。これだけの人数がやられたのはボスだけじゃなくってきっと大群だったんだと思う」

「一度引き返す?」

「先に進もう、キリト君。きっと、シャムロックのトップランカー達がもっと先にいってる筈だから」

「どうした、レイン。今までと違って随分積極的だが?」

「えっ!?そ、そうかな〜」

 

返事しづらそうな反応のレインだが、終夜もからかいの意思しか無いので、すぐに会話は終わり。ボス部屋の奥に檻で阻まれた部屋があり、既に部屋の中にいるボスの姿も確認できた

 

「さて。ボスがいることだしさっさといくかぁ」

「軽いわよ!って言いたい所だけどアンタの場合は諦めるわ。文字通りさっさと倒しちゃいそうだし」

「うんうん。ボクもそう思う!」

「リズだけでなくユウキまで……まぁいいか」

「さて、シュウに負けないようにボスに挑もう!」

「いや、キリト?それどういうこと?」

 

深刻な雰囲気とは打って変わり、終夜を弄りつつ士気を高めるキリトたち。事実、終夜が常人でない動きでボスのHPを削っており、その事実で弄るため終夜も反論できず、放置して好きに言わせることにしたのだった。

 

そして、ボスに挑む終夜たち。ボスの攻撃は、クラスタが壊滅したことが納得できる程の苛烈さを誇る。が、悲しいことに、騎士型のボスだった為か終夜が一人で真っ正面からボスの攻撃に対応出来てしまい、力任せの薙ぎ払いもユイの攻撃タイミングの連絡に合わせてキリトたちが下がると共に終夜は受け流し、ヘイトを全て自分へと集める。結果的にはキリトたちがボスの横や後ろから攻撃するだけでボスが倒せる構図になってしまい、あっという間にボスのHPは0になってしまった

 

「ホント、シュウが居るってだけで反則っぽいわ〜」

「ダメですよ、リズさん。シュウさんがいることでボス戦が楽なのは事実ですけれど」

「いや、それだとユイが最も反則だろ。ボスの攻撃がわかるとか普通にチートだろ。………と、そろそろそちらに反応した方がいいかな?セブン」

「扱いが何か釈然としないけど、いいわ。ようやく来たわね、キリト君。それにアスナちゃんにリーファちゃん。それにレインとシュウも!」

「セブン?なんでここ…「おい、シュウ!セブンちゃんに呼び捨てされてるたぁどういうことだぁ!ぶはぁっ」

「話があるなら続けて?うるさいやつは黙らせたから」

 

クラインを黙らせた終夜は話の続きを二人に促す。ホントに大丈夫かと困惑するセブンだったが、クラインのせいで中断した話を再開する

 

「キリト。先程の質問だが、この攻略にはセブンがこなくては行けなかった。それだけだ」

「ほんとは怖いんだけど、ALOで行いたかった実験の最終段階だからね」

「実験?最終段階?」

「あたしたちはね、ここで『クラウド・ブレイン』をここで実現させてみせるの」

「クラウド…ブレイン?」

「その話をするため、セブンはここで貴様らを待っていたんだ。せめてもの償いにな」

「償い?」

「クラスタの件だろ。ダンジョンクリアを奪おうとした。ただ、立ち話もなんだ。エギル、店使わせてもらうぞ」

「いや、勝手に決められても困るんだが」

「いいわね。マスターのお店のケーキ。美味しいから好きなの」

「まぁ、いいか」

 

話し合いの結果、エギルの店で話の続きをすることになった。両者が退いたあとも、他のプレイヤーが同じ地点から始められる可能性もあるが、シャムロックとキリトたちの他にここまで到達できるプレイヤーは少なくとも今新エリアにいるプレイヤーのなかにはいないとの結論付け、全員で街へと帰還するのだった

 

 




更新が大変遅くなり申し訳ありません!

最近、趣味の遊戯王に時間を裂いておりました
まぁ、勝率は0とかいうクソザコなんですがね。
ハハハハハ……(ーдー)、

次話はほぼ原作のゲームと変わらないのですぐに投稿できると思います


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間幕『女神のお願い』

本来であれば本編を更新しようと思っていたのですが、パッと思い付いたこの話が、意外と筆が乗ってすぐに完成してしまったため、そのまま投稿します
時系列としては、ロストソング編は完結して、本題のFGOとのクロスオーバー前だと思って下さい



「何故私が付き合わされているのか聞いてもいいかね?」

「必要以上に金を使いそうになったときのストッパーだ」

 

今、俺はエミヤ、くろひーの二人を連れオタクの聖地こと秋葉原まで来ていた。理由は後述するが、一人だと購入品を所持したままの移動や購入品の運搬に支障があるため二人を連れて来ているというわけだ

 

「えっちゃん殿の為に高級和菓子500万円分、えっちゃん殿とメドゥーサ殿を連れ回して購入した服にその後にステンノたまにエウリュアレたん「あ?」ステンノ様にエウリュアレ様の分の服、合計800万円分。そして我らオタク部門の雑多購入品1700万円。一月で3000万をサラッと使った終夜が今さら自重する必要ないのでは?」

「それらは最後を除いて必要経費だ。あと、一つ訂正すると服と同時にアクセサリーも買ったから服の部分は合計2500万だぞ」

「一体、何を買えばそうなるんだ………」

 

今さら自重かと、くろひーが出した過去の支出金額に頭が痛い素振りを見せるエミヤだが、とても心外だ。くろひーやらムニエルの同人誌分など無駄な部分が無いとは言えんが、その中にはマスターの分のゲーム機や俺の好み(性癖)100%の服と必要な品があったんだ。それにエミヤ。キッチンの器具や食器類も俺が買ったんだから文句を言うな

 

「だが、突然ビデオカメラにマイクの購入とは、何があったのかね?」

「ん?いつもの女神様の気まぐれだろうが………突然、配信するとか言い出してな。その分だ」

「本当に突然だな」

「最初は配信じゃなくライブだと言ってたがダヴィンチ女史が全力で止めたから妥協案らしいがな」

「まぁ、彼女たちの性質を考えれば妥当な判断か」

 

まぁ、今に始まったことでもないステンノとエウリュアレの二人の気まぐれ。

毎度、伝え方が変わるおねだりだが今回のおねだりは色々と強烈なものだった。というのも、ぐっすりと寝室で寝ていた深夜、大事な所をギリギリ隠してはいるがほぼ透け透けのドレスを纏った二人が夜這いの如く現れると、既にヴラド公に依頼していたと、礼装にあったアイドル衣装を見せてくる。だが二人の格好が格好なので直視出来んと横を向けば、両サイドに性癖ドストライクの格好で羞恥で顔を赤くしている末妹を配置しており逃げ場が無い。

その上で、了承すればご褒美だと言われ(性欲に負けて)了承すればすぐにいつもの格好に戻ってカルデアへと戻った二人に申し訳なさそうにおずおずと必要品を書いた紙を渡してきたメドゥーサとアナも姉の命令だと、服を戻して寝室から出ていく。結局、ご褒美というのもこの必要品の購入のことだった。

 

「羨ましかったですぞー。あんな格好のお二人に迫られるとは!」

「結果は生殺しだがな。というか、見たのかあの格好」

「ええ。入っていく瞬間をチラッと…「天誅」アビャア!」

 

なんか、二人の姿を見られたのも腹立つのでくろひーに目潰しをしてから、目的のものを探しに行動を再開する。何かと俺が夢中になっているときに構ってくるから攻め処がわかりやすいんだよな〜ステンノ

 

 

 

 

 

 

「いや〜豊作でござるな〜」

「ふむ。これで洗濯の問題は解決した。あとは……」

「お前ら結局文句言いつつ買い物エンジョイしてんじゃねぇかよ」

「そこのお兄さんたちー。休憩にどうですかー?」

「メイド喫茶!是非とも!」

「黙ってろい」

 

 

客引きのメイドさんに詰め寄ろうとする黒ひげの頭を地面に叩きつける。客引きのメイドさんも、黒ひげの行動に若干引いていたが、俺が対処している合間にエミヤへ強かに詰め寄っている。エミヤが対応に困っていたので、助け船をと思っていたが先程見えたチラシの店名で心変わりをして、店に行くことを客引きに伝えた

 

「おい、確かに時間は余っているが……」

「ん。ちょっとな♪」

「では、お店はあちらです〜。私は先に店へ行ってイケメンの上物が来るって伝えておきますねー」

「ああ、ありがとう………て今、上物っていった!?」

 

メイドさんの発言に一部驚愕しながらも、黒ひげを引きずり店へと向かう。道中、店名がハッキリと分かる辺りで俺はエミヤから軽蔑の視線を向けられてしまった

 

「おい、なんだ」

「貴様のやろうとしてることがわかっただけだ。特に何かあるわけじゃない」

「ならその視線をやめろ」

 

気を取り直して、店のドアを開ける。カランコロンと来店を告げるベルが鳴り、メイドの一人が接客の為にこちらへ向かってきたが、俺の顔を見たとたん、俺の想定通りの反応を見せてくれた

 

「お帰りなさいませ、ご主人……さ…ま」

「ただいま、レイン」

「(エミヤ殿。なかなかのクソ行動だと私は思いますがあなたはどうですかな)」

「(無論、同意見だ。女性の反応で遊ぶとは…)」

「聞こえてんだよ、お前らな」

 

そう。もうおわかりだろうが、ここはレインがバイトで働いているメイド喫茶だ。一度だけ、キリトと共に来たことはあったが、それはレインの意思の確認のためであったので、レインが夢を追いかけるため、店を辞める前にもう一度メイド姿を堪能しようと考えていたのだ

 

「……ご主人様、三名のお帰りでーす!」

「うん、やっぱ可愛い」

「この変態は後で処すべきですな」

「ああ、全くだ」

 

変わらず、批判的な二人を放って、レインの案内のもと席に座り注文を済ませる。注文したものが届くのを待っている合間にエミヤが思い出したかのように話を切り出してきた。

 

「そういえば、終夜。また、ダヴィンチ女史がいつも通りクレジットカードを出してくれとのことだ。今回は三枚だと言っていたな」

「ほー。また立香が出掛けるのか。けど、三枚ってどんなチームなんだ」

「マスター、カドック、キリシュタリアの三人に護衛の私。オフェリアにアナスタシア、マシュに虞美人とペペロンチーノの女子会に護衛のナポレオンとアシュヴァッターマン。最後にそこの黒ひげ含めたミスター、ムニエルや刑部姫たちのオタク部だな」

「女子会にツッコミを入れたいとこだがいつものことだしいいか。そう言えばデイビットは?」

「その日はカルデアの子供組とお前の義妹たちと一緒にいるそうだ」

「お待たせしましたー」

 

そうこうしていると、注文の品が届き始めたので話を切り上げ、俺はレインの羞恥を、黒ひげはメイド喫茶自体を楽しみ、エミヤは半ば仕方なしにメイドさんと関わっていた

 

 

「そう言えば、次はいつALOにログインするんだ?」

「えーっと、次のアップデートで鍛治師に焦点を当てたクエストが来るって話だからその時かな」

「わかった。ログインするときはメッセージをちょうだいな。待ってるから」

「うん、わかった」

 

この会話が他のメイドさんの何かに引っ掛かったのか、会計を済ませて店を出てふと店を見るとレインが他のメイドさんに囲まれて質問攻めにあい、リーダー的な人に周りのメイドさんが怒られる様子が見えて、軽く笑ってしまった

 

「さーてと。ムジーク印のふわふわクロワッサンの材料買って帰りますかー」

「拙者、まだ寄りたいところが山ほど…」

「どれだけ買い込むつもりだ。今度にせい!」

 

 

結局、ぐだぐだ店をいくつか巡って帰宅したのだった…

何も買わなかったがな!

 

 




なんか、くろひーの口調がこれじゃない感がするのは私だけでしょうか……

詳細は質問されれば答えますが、クリプターの面々は生存しています。ただし、ベリルてめぇはダメだ

ちなみに、ギリシャ異文帯の双子。マカリオスとアデーレも存命です

本編は少々時間がかかるかもしれませんが、既に半分は書き終えているので少々お待ち下さい


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第二十話

「クラウド・ブレイン……中々興味深い話だったな」

「そうだな。……けど、アスナたちはともかくなんでシュウはついていかなかったんだ?」

 

セブンとの話し合いのあと、セブンの協力要請を断り、あくまで自分たちの力でクリアしたいと伝えたキリトたちは、シャムロックとの裏世界攻略対決再開のため中断したダンジョンの部屋へと戻っていた

エギルの店で聞いたセブンの話を要約すると、クラウド・ブレインとは人が持つ個々の情報処理能力をクラウド化し、ネットワークにて共有。そうすることでただ単に高スペックなCPUではできないハイスペックかつ情緒的な演算処理システムの構築をすること。

そしてシャムロック、クラスタといった集団を作成したのはあくまで実験のため。

実験の手段はセブンという偶像に対して、高難易度クエストとも言える新エリアの攻略達成時に何人が心を一つにするか、その統計を図るというもの。人の心は複雑怪奇で本来ならば観測をとることは難しい。けれどゲーム内にすぐに反映出来るアミュスフィアの感情表現を察知するスキャンシステムを使えばグラフ等でどれだけの人数が同じ感情を抱いたのかの統計をとることができるそうだ。

 

「初心者の俺を助けたキリトたちから敵に付くのはガラじゃないからな。それに、仮にセブンに協力するといってもシャムロックやクラスタのやつから反感を貰うだけさ。知り合い曰く掲示板とかでかなり炎上してるらしいしな」

『驚くほど、罵詈雑言が書かれてましたねー。まぁ、マスターさんが退屈しないようにと月に二度もAチームのマスターを巻き込んで特異点を作るあなたにはお似合いの光景でしたが。というか、ガラじゃないって、冗談ですよね?』

『黙ろうか、BB。てかなんで居る。マルタけしかけるぞ』

『面白い話を聞いたので。それと挨拶のようにあの人をけしかけるのは止めてください』

 

終夜の今までの行動でだいたい想像がついたアスナたち女性陣は互いに顔を見合わせながら苦笑いし、エギルとクラインは今まで目撃した終夜とシャムロックの激突を思い返しており、BBとのやりとりを見ているものはいなかった。仮に見ていたとしてもBBは直接姿を現しておらず、ただ独り言を言っているようにしか見えないのだが

 

 

「さて、中断したボス部屋だ。ここからも強い敵が多く出ると思う。気を引き締めていこう」

「「「「おう!」 」」」

 

既にスメラギによって開けられていたボス部屋の奥の扉からその先へ進む終夜たち。ボス部屋前までと違い、各段に強化された敵がわんさかと沸き、簡単に進むことができないが、陣形を組み堅実に敵を倒しながら進んでいく。そして、ある程度進んだ所で休息をとることになった

 

 

 

「すごく強い敵が多くなってきたね。すごい大変」

「そうだね・・流石に一筋縄ではいかなくなってきたね」

「ああ。でも少し違う気がする」

「違うって、何がだ?キリト」

「HPが尽きかけのシャムロックとかリメインライト化したクラスタが散らばってた部屋があっただろ?あの惨状を作った敵はもっと違うタイプな気がするんだ」

 

キリトの言う通り、ダンジョン後半の敵は間違いなく強いのだがALOの中でも上位層が多いシャムロックを壊滅させる程の敵は姿を現しておらず、今後探索中に遭遇する可能性は十分ある。その事にリーファやシリカはまだみえない敵に対しての恐怖をあらわにしていた。そんなほのぼのとした空気の中、突然キリトが爆弾を落とした

 

 

「ところでさ、レイン。そろそろ話してくれないか?七色博士の実の姉。君の本当の名前を教えてくれるか」

「…!!」

「キリト君!どういう意味!?レインさんがセブンちゃんの実の姉?」

「キ、キリト君。い、嫌だなぁ?そんなわけないでしょ~?私がセブンと私がセブンと姉妹だなんて、似ても似つかないよ~あっちは押しも押されぬ人気者の美少女だし、私なんか・・」

 

キリトからの思わぬ口撃に動揺しつつもなんとか返答するレイン。その身振りから終夜は口に出さずにそれが事実であると判断した。キリトはリアルの事情の持ち込みはご法度なのを理解していたが、それでも気になったので調べた。だが、他のアスナたちはまだ飲み込めてないのかすぐに疑問を口にした

 

「でも、レインちゃん。あなたのことでまだまだ分からない事があるよ。どうして私たちの素性を知っていたのか。とか」

 

「それは簡単な話だ。君もSAOに巻き込まれたプレイヤーの一人なんだろ?」

 

 

言い当てられるとは思わなかったレインと、SAOをプレイしていた終夜を除いた全員が驚き、アスナたちはレインの方を向いた。

レインも逃げ場が無いと悟ったのか困ったように口を開いた

 

 

「あは、あはははは。ここまで来たら、もうしらばっくれるのは……無理だなぁ」

「全部話せ、なんて言わない。けれど俺たち仲間を納得させて欲しいんだ。君が、七色博士に近づいて何をしたかったのか」

「そうだね、そろそろ潮時かな。……私の名前は枳殻虹架だよ」

 

レインの本名から始まった話。都内で生活している女子高生ということ。元々ロシアに住んでいたこと。レインとセブンが生き別れる原因となった両親の離婚。そして、レインの普段の生活。終夜も遭遇した秋葉原で歌っていたメイドの姿をした少女がレインであったことも判明した

 

 

「あの時、路上ライブしてた子がレインだったんだな」

「うん。キリトくんとアスナちゃん。二人から感じるあたたかさが一緒だったからすぐにわかったよ。それにあの時、シュウ君も見てくれてたよね?色黒の長身の人と二人で見てくれてたよね」

「ああ、あの時か。機器による音割れとかはあったけど歌は良かったと思うぞ、俺は」

「けど、レインさん。どうして隠れてセブンちゃんに近づいたの?そこが一番知りたいところだよ!」

 

 

核心を話して欲しいとリーファがレインに促す。聞かれたレインは、少し顔を曇らせつつその理由を話す。

 

 

「なんでだろ……多分、ひがみ、みたいなのがあったんだよ」

「ひがみ?」

「私、ゲームが好きだし、コスプレとかアイドルとかそういうサブカルが好きだけど、やっぱり一番は歌を歌いたかったの。歌って、有名になって、お母さんを楽にさせてあげたいって思ってた」

 

 

レインの口から続いたのは、同じ血を引くセブンがアイドルと博士の二足のわらじが出来ていたことへの多少なりとの妬み。そして、両親の離婚の原因となったセブンの才覚と両親の対立。離婚後、日本へとやってきたこと。紆余曲折を経て、シャムロックへと入ろうとするが嘘がバレ、嘘つきレインと呼ばれてしまったこと…… キリトに近づいたのは、シャムロックに近い実力を持っていたため。キリトたちのサポートをして、少しでもセブンたちに追い付こうと考えた結果だった

 

 

「レイン」

「なに、シュウ……く、ん?」

 

一言、名前だけを呼んだ終夜はレインをそっと抱き締める。困惑するレインをよそに優しくレインに言葉を続ける終夜

 

「そこまで喋ったんだ。少しぐらいは皆に少しは心を許せ。これまで、それにこのダンジョンでもずっと申し訳無さそうにすごすごと後ろを付いてきてただろうが。」

「それは……皆を利用してたんだよ。それが、情けなくて…」

「その想いまで吐き出したんた。もう仲間と疑うやつはいない。なっ、キリト」

「あ、ああ。そうだよ、レイン」

「だから、今したいことを言ってみろ」

「……みんなで、スヴァルトエリアをトップで攻略したい。それで、七色にちゃんと自己紹介したい。お姉ちゃんだよって」

「いいじゃねぇか。ならそれを達成出来るように頑張るぞ」

 

 

レインの決意に皆がやる気になり、攻略を再開することになった。レインの顔にも、もう申し訳なさが見えるような陰りは無くなっていた

 

 

 

 




一年以上更新がストップしてしまい申し訳ありません……

理由としまして、FGO編における展開が全く思い付かなかった為です。ぶっちゃけますと、現在も2〜3箇所程の大きな場面の展開以外思い付いておりません
というのも、FGO編であっても主に動くのがSAO本編の主人公たるキリトであり、主人公がド派手に暴れるというのが本当の終盤の終盤しかありません。そして、そこまで連れていくのに展開が二番煎じが多くなりそうであり、主人公を活躍させようとするとこの小説の根底から崩れることになります

そのため、長らく思考時間をとってましたが、流石にロストソング編だけは終わらせようと筆を取った次第です
恐らく、この下にアンケートを作ってる筈なのでそのアンケートに答えて頂くとともに、意見に関しては活動報告へとお願いします
感想に書かれましても、削除された場合作者であっても読めない為、どうか活動報告へとお願いします
身勝手な言い分で申し訳ありません


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第二十一話

「このダンジョン、最後のボスってどんな敵かしら?アルゴは何か知ってる?」

 

攻略途中、ふとアスナがラスボスに関することを口にし、攻略メンバーであり、同時に情報屋も行っているアルゴに聞いてみるが、アルゴも調査中で詳しいことはわからず、全員の視線は何故か終夜に集中していた

 

「俺が言っても、確実じゃねぇってのに……まぁ、いいや。北欧神話をモチーフにしたフィールドなんだ。ラスボスも自然と絞られる。一つ、北欧神話の終焉、神々の黄昏(ラグナロク)を引き起こした張本人たる悪神とも呼ばれることのある『ロキ』。もう一つは、北欧神話を終わらせたと言ってもいい存在、炎の巨人『スルト』ひっくり返してまさかの主神『オーディン』って可能性もある。が、今はそんな先のことより、シャムロックに追い付くのが先決だ。悠長にラスボスのことを考えてる暇は無いぞ」

 

会話はボス部屋の前で行われていたので、話を切り上げた終夜がそのままドアを開くと、広い部屋の中心でスメラギが一人待ち構えていた。そして、セブン他シャムロックの姿は見受けられなかった

 

「遅かったな」

「スメラギ?」

「アンタ、待っていたのか?……他のシャムロックはどうしたんだ」

「どうしたもこうしたも、こいつが待っている理由なんぞ一つだけだ。キリト、お前との勝負の為……そうだろう?スメラギ」

「ああ、その通りだ」

 

スメラギ側から来るとは思わなかったと、武器を構えて臨戦態勢をとるキリト。レインが、スメラギの実力を考えるとキリト一人では無謀だと、挑発に乗る必要はないとの意味も含めて止めようとするが、それを終夜が制する

 

「レインの気持ちはわかるが、止めてやるな。ゲームの世界で誰かに勝ちたい。ただ、それだけなんだ。キリト!俺は見てるだけだが、楽しませてくれよ」

「何を言っている。キリトの次は貴様だ、シュウ」

「そこまでして時間を稼ぎたいか。まぁいい、そうなったら瞬殺してやるよ」

 

 

終夜の言葉を最後に、ボス部屋では狭いと場所を変えるスメラギ。一時的に屋外に出た一行、スメラギからの申請でデュエルが開始する

 

 

「ほう……実力は拮抗してるか。が、キリトが押しぎみかな」

「このままいったら、キリトさんの勝ちですね!」

「そう上手くいけばいいがな………っと、戦局が動きそうだ」

 

空中で、互いに斬り結び、ぶつかり合う二人。それを地上から見上げる一行。そんな中、スメラギのHPが約半分まで減ったとき、状況が一変する。突然、両手武器の刀を片手で持ったスメラギ。そのまま繰り出される強力な攻撃に、次第にキリトが押されていく結果になる

 

 

「OSS『テュールの隻腕』ねぇ。」

「何よ、それ。スメラギが刀を片手で持ったこと?」

「北欧神話にテュールという隻腕の軍神がいるんだが、そのように、本来両手でもつ刀を片手で持つことで両手・片手、両方の特性を活かせる…だそうだ。遠いから少ししか口を読めなかったが、こんな感じのことを話してたぞ」

 

今さら驚くまいと、口を読んだことには触れずデュエルの様子を見つめる。そんな時、状況が大きく動いた。

高速で飛びつつぶつかり合う二人。ぶつかったあと、下手側のキリトがSSヴォーパル・ストライクで剣を突き出し、突進。それを軽くいなしたスメラギは「貰った!」と最上段に構えつつ、キリトの方へと振り向く。すると、驚愕の表情を浮かべるスメラギ。振り向いた先には、既に別のSSを発動したキリトの姿があり、その剣は防ぐものが無いまま胴体を一閃。勢いそのままにスメラギの全身を斬るキリト。スメラギも反撃と、苦し紛れの一撃を放つが避けられ、そのまま、両手の片手剣による連続SSで決着がつき、勝者はキリトとなった

 

 

 

「あの連続したのは本当にソードスキルか?」

「あれは、前にキリト君が言ってた、片手剣のソードスキルを左右交互に繰り出して、スキル後の硬直をキャンセルするシステム外スキル『スキルコネクト』!」

「ほう……原理はわかったが、よく見つけたもんだなぁ、それ」

 

勝負が決着したあとは、スメラギの言うまま先に進んだ終夜たち

 

 

 

「テュールの隻腕をセブンへ継承……移行開始」

 

この先、何があるのか。スメラギの言葉を聞いた終夜であれば察せれたかもしれないが、スメラギがそのようなことを一行が居る前で行う訳もなく、何が待ち受けているのかは不明のまま突き進む終夜たちだった

 




締め切りを決めていなかったアンケートの結果を見たところ、とりあえず全部書けとの声が多かったので、ゆっくりとですが執筆を進めていきます

また、感想・意見ありましたら感想欄・活動報告の投稿箱のところまでお願いします
小説もよりよくしていきたいので、どうか声をお寄せ下さい。よろしくお願いします


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第二十二話

スメラギと決着をつけたボス部屋から終夜たちは、止まることなくシャムロックを追いダンジョンを進むが、シャムロックの背中を掴む気配は一向にしないままだった。だが、モンスターの攻撃が襲いかかる中、ボス部屋までたどり着いた全員の顔に焦りはなかった

 

「さて、ボス部屋だな」

「この部屋から今までとは違う雰囲気を感じるな」

「さあ、シャムロックに追い付くためにもボスに挑もう!」

 

 

ボス部屋の中心で待ち構えていたのは、二対の腕に巨大な剣を持った『ジークフリート』だった

 

「いや、確かに北欧のシグルドと同一視されるが北欧外から持ってくるかぁ………お前ドイツだろ?」

『すまない……私が出てしまってすまない』

「シュウが最初のボスの時に言ってた、あの竜を倒した英雄だったわよね?」

「ああ、他にも逸話があるが…………流石に背中以外無敵の逸話は反映しないか」

 

幻聴が聞こえたような気がした終夜の一撃から始まったボス戦。最終戦が近いこともあり、ボスの攻撃も苛烈を極め一筋縄ではいかない敵であった。終夜、キリト、クラインの三人がボスの猛攻を凌ぎ、ユウキ、レイン、ストレアを始めとした他の面々がボスの体力を削る態勢でボスと戦闘するが、ボスの攻撃を捌ききれず、他の面々へ攻撃が被弾することもあり、アスナ、リーファの後衛も気の抜けない時間が続く

 

「流石に剣が四本は捌くのも辛いなっ!」

「普通は捌けねぇぞ、捌けるのお前くらいだよ!」

「皆さん!ボスのHPが半分を切りました!」

「あと半分だ、皆気を抜くな!シュウも頑張って捌ききってくれ!」

「あいよ〜」

 

次第に減っていくボスのHPに比例して行動パターンが変わったり増えたりするなか、ボスの攻撃を一人で捌いていく終夜。斬撃には受け流し・弾き返し、火柱・ビームの遠距離・範囲攻撃は回避すると、目が慣れたのか動きに対応し始めた終夜の邪魔になるとキリトとクラインもボスへの攻撃に移ったため、HPの減りも早くなる。そして、ユウキのOSSが決め手となり、ボスのHPが尽き終夜たちはボスを突破することができた

 

 

「よし、討伐完了。なかなかキツかったな」

「セブンたちもこいつを倒して先に進んだのかな?」

「多分、パーティ毎に倒さないとダメなんだろう。だから、俺たちがついたから復活したんだと思う」

「まだ先があるんだ。急ごう」

 

ボスを倒すが、ボス部屋の先にシャムロックの姿はなく、追い付いた訳でないためすぐに空気を切り替えて、すぐに先へ進む。

 

 

 

 




戦闘シーンってこんな感じだったっけ………
次の展開が大きい分、今回は最小レベルです。
次回はガッツリ書いてると思います


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第二十三話

長文の会話が多々あります








 

 

 

 

ジークフリートを倒し、ダンジョンの残りを進んだ終夜たちは、ダンジョンの最奥の扉までたどり着いた。ただ、シャムロックの姿は最後まで捉えることは出来ず、扉からもただならぬ気配を醸し出していた

 

「ここがダンジョンの最奥だな」

「さっきのジークフリートよりももっとやばい感じがするわ」

「恐れていても仕方ない。ボスに挑もう」

 

 

 

 

 

「プリヴィエート、キリト君にシュウ君」

 

ボス部屋に入ると、セブンが一人立っているだけで、シャムロック・クラスタの面々、ボスの姿はどこにもなかった

 

「君だけか?他のシャムロックはどうしたんだ?」

「みんなやられちゃったよ。本当に強かったの。でも、たった今倒したから、ここのラスボスを」

「ほう」

「スヴァルトアールヴヘイムの最深部にいた闇の神を、あたしがたった一人で倒したの」

「一人で?セブン、君のスキルレベルじゃ到底勝てないはずだが、どうやったんだ?」

「あら、以前にシュウ君に言わなかったかしら?ここ、スヴァルトアールヴヘイム限定のOSSの引き継ぎ方があるって」

 

スヴァルトアールヴヘイム限定のOSSの引き継ぎ方。それは、元の使い手がそのOSSを使えなく変わりに、スキルと共にスキルの熟練度もそのままの状態で引き継げるパターン。キリトに敗れ、キリトたちを見送ったスメラギが行ったのも同様のもので、現在スメラギは自身のOSS『テュールの隻腕』が使えず、セブンが使えるようになっている。シャムロックやクラスタが着けていた羽根飾りがその役割を果たしており、この羽根飾りを着けている場合は遠隔であってもOSSを引き継ぐことが可能であった

 

「今まさに、あたしは倒れたみんなの力を集めてラスボスに一人立ち向かい、倒したってわけ。今頃、羽根飾りを通じて各所に伝わっているはずよ。壮大な実験!題して《ラグナロク・パストラル》とでも名付けようかしら」

「ラグナロク……北欧神話の終焉、《神々の黄昏》を名前にするとはな」

「《神々の時代》よ、シュウ君。あたしの実験の成功はネットワーク社会の新たな一歩になるの。」

 

話を聞いていたキリトは憤った様子でセブンに詰め寄る

 

「セブン……君は…いくらシステムで許されているとはいえ、多くのプレイヤーのゲーム体験を、経験値を摘み取ったんだぞ!?スキルを向上させるためにそれぞれが掛けた時間が、君の実験のせいで無駄になったんだ!その責任の重さを理解してるのか!?」

「やだなぁ、キリト君。熱くなっちゃって。シュウ君なら理解してくれるよね?あたしは一度も強要していない。間違ったこともいってない。みんな賛同してくれただけ」

「まぁ、そうだな。責任が無い……とは言い切れんが、キリトの言い分全てが正しいとは言えないな」

「なんだと!?」

 

終夜の思わぬ言葉にキリトは思わず終夜を見る。が、終夜はキリトの怒気も意に介さず、涼しい顔で話を続ける

 

「以前も言ったし本人の前で言うのもなんだが………シャムロック・クラスタにとってもう今のALOはセブンというアイドルを楽しむ為のコンテンツだ。それに熱狂的なファンというのは、その愛を向ける先のための代償は気にしないもんだ。アイドルの握手券を求めてCDを何枚も買う。ファングッズを全て多数買う…とかな。それを行ったファンに対して勿体ないと言うのは自由だが、その行動を止める権利は無いしその行動自体余計な世話だ。更に言えば、大元であるセブンに文句を言うのも筋違いだ。それで言えばさっきのキリトの発言はセブンにはお門違いってことだな」

 

終夜の発言を機嫌良さそうに聞いていたセブンだったが、終夜の話が終わった途端、突然レインに頬をひっぱたかれて困惑の表情を浮かべ、終夜やキリトも同様に驚いたが、レインの怒った表情を見て、レインに口出ししようとしたキリトを終夜は黙らせた

 

「セブン。あなた、何を勘違いしているの?」

「レイン……あなたはなんの権限であたしの頬をひっぱたいたのかな?」

「あんたのそのクソ生意気な笑みを見てられなかったからよ。確かにあんたの実験は高尚かもしれない。それで新たな技術が生まれるかも知れない。けど、アンタ仮にもアイドルやってるんでしょ!?皆に夢を与えるのがアイドルの務めなのにアイドルが皆の夢を奪ってどうするのよ!」

「あたしは皆の期待に応え、みんなはその見返りをくれた。これは互いに利益を分け合う純粋な交渉よ!みんな幸せなんだからいいじゃない!」

「セブン、それは…」

「シュウ君は黙ってて!!」

 

流石にと横から口を出そうとした終夜をレインは一喝する。怒鳴られた終夜は仕方ないと口を閉じ、変わりに二人との距離を少しだけ詰めた

 

「みんながあんたをチヤホヤするのは、アンタに惚れ込んでるからでしょ!実験なんて関係ないわ!」

「でも、ちゃんとあたしはリアルのことも明かしてる。その上でみんなは付き従ってくれる!その清廉潔白な行いの結果をそんな風に言わないで欲しいわ!」

「だったら、素直に実験のためだったって言いなさいよ!」

「そ、それは………」

「それにね、わたしはここにゲームをしに来てるの!博士だかなんだか知らないけど、もうよく分からない実験に利用されるのはもう御免なのよ!わたし達に用意された大事な遊び場を、アンタの妙な欲望で汚さないで!」

「ッ……………」

 

デスゲームと化したSAOを生き延びたレインから発せられた言葉に事情の知らないセブンの言葉が詰まる。だが、セブンも決意を秘めた表情でレインに切り返す

 

「レイン、あなたの理屈を全部否定したりしない。でも……あたしは止まるつもりはない。実験はまだ……続ける」

「なら、セブン。個人的にはその実験の行く末に興味があるが…今回はキリトたちの手前、止めさせてもらう」

「強力なOSSを無数に持つあたしに勝てると思うの?シュウ君」

「君ほどの少女に負けるほど弱くは無いさ」

 

突如、終夜vsセブンの対決となる。無数のOSSを武器に終夜に向かうセブンだったが、セブンはアイドル・博士であって、戦士でない。対人戦闘の経験どころか、戦闘経験が不足しているセブンが繰り出すOSSを全て捌き、的確にダメージを与えていく終夜。戦う前は余裕の表情だっセブンは一切攻撃が通らず、本気で命を狙う終夜の冷酷な表情に焦りと恐怖が見えていた。圧倒的な差がすぐに埋まる筈がなく、セブンのHPを削り終夜が勝利した

 

「ハァ……ハァ………嫌、嫌よ。あたしは、スヴァルトエリアを攻略した、英雄になるの。最後の勝利を見せつけて、これからもみんなのアイドルとして、女神として、実験を続けるの……だから、もう一度戦いましょう。今度は……絶対に……勝っテ……ミセ……」

 

未だ諦めず、戦おうとするセブンの全身が突如狂いだし、次第に姿を変えていく

 

「どうなってんだ?」

『恐らく、アバターに対して付与されたデータ量がオーバーフローしてバグを起こしたんでしょう』

「……いたのかBB。解決法は?」

『簡単です。ぶっ飛ばしてください。OK?』

「OK!」

 

データ過多により、バグを起こしたセブンの身体は機構の女神といっても過言でない姿に変わり、終夜達に襲いかかる。無数のOSSにデータ量そのものでの質量攻撃を繰り出すセブンに迂闊に近づくことができない終夜たち

 

 

「ごめんね、シュウ君、みんな。最後の最後まで、うちのことで迷惑かけて」

「気にせん!あ、そうさな……」

「ひゃっ」

「謝るなら、まだついている嘘を明かしてくれたら考えるよ」

「なっ……それって」

『心当たりがあるんだ、鎌かけは成功かな』

 

謝るレインの耳元でそっと囁いた終夜はレインの真っ赤になった顔は見ず、その反応を耳で聞いて何も言わずセブンの元へ特攻した。その背中をリズたちは冷たい目で追うが遅れてセブンの元へと向かい、セブン攻略が始まった

 

 

 

 

 

 

 

 




長くなりそうでしたので一旦切ります
5/18日中に次話投稿できるよう頑張ります


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第二十四話

ボスと化したセブンの攻撃は火力・範囲ともにこれまでで最大であり、終夜だけがボスの攻撃を捌くことは難しく、全員で連携して少しずつセブンのHPを削っていく。

 

 

「ジークフリートが可愛く見えるな。火力がえげつない」

「ああ、全くだ。しかも遠距離の弓まであるときた。近くても遠くても変わらない攻撃は辛いな」

「愚痴をいっても仕方ねぇ。セブンちゃんを助けるためにもこいつを倒そうぜ」

「エギル。真面目なクラインから邪な意思を感じるが気のせいか?」

「いや、事実だろう」

 

セブンのあまりの強さに軽い愚痴を交わす終夜とエギル。二人の元にきたクラインが二人に発破をかけるが、その性格からまともに受け取られることはなく、からかいながらセブンの元へと向かった二人。からかわれたクラインは、不満げな表情を浮かべつつ二人に遅れてセブンの元へと向かった

火力が高いため、HPが尽きリメインライトと化すメンバーもいたが、アスナ・リーファといった後衛がなんとか立て直し、全滅の恐れがないまま攻略は進んでいく

 

 

「アタシハ……アタシハ、タダ」

「セブン。今回は素直に諦めろ」

「イヤ……イヤヨ………ウワァァァァァァ」

 

意志疎通は出来るのか、まだ諦めていない様子のセブンに冷酷に失敗を告げる終夜。だが、認めたくないセブンは激昂して終夜をターゲットに怒濤の攻撃を放つ。データそのものの質量攻撃や弓矢・魔法攻撃が飛んでくるが、終夜も回避出来るものはなんとか回避し、回避出来ないものは仕方ないと、突っ込んで真っ正面から受ける。

その行動が裏目となり、狙われていない他のメンバーが一斉にHPを削りにいくが、途中で突然レインが辞めて欲しいと懇願する

 

「レイン!?」

「あなた、この子を庇うの!?」

「ごめん、みんな本当にごめん。けど、もうこの子に戦う力は残ってないよ。今はもう駄々を捏ねているだけ。あとは、きっちり私が決着をつけるから」

「だったら、時間は稼いでやるから俺が狙われてる間に済ませな!」

 

戦いの最中ではあるが、レインが自身の想っていたことをセブンにぶつける。始めは聞く耳を持たなかったセブンも必死に伝えるレインの言葉に、自身の言葉が詰まることもあった。そして、遂にHPが尽き、セブンは元のプーカの姿に戻る

 

「なんで……なんでよ!みんな、みんなあたしのこと好きだって。応援してくれるっていったじゃない!……どうしてみんなはあたしの邪魔をするの!酷いよー!!」

 

子供らしく泣きわめくセブン。そのセブンを見たレインは子供らしく泣けることに安心したように、優しくセブンに声をかける

 

「大人たちに囲まれて、世間に担がれて、話題の的になって……振り回されているうちに、乗った船から降りることが出来なくなっただけなんだよね?」

「うっ……ううっ」

「ほらっ、無理しないでお姉さんの胸で泣いて。しばらく貸してあげるから」

「うっ……うわーーん!!」

 

レインに抱きついて泣きじゃくるセブン。姉妹の優しい光景に離れて見ていたキリトたち、それぞれから安心する声が交わされる。この光景はライブ中継されていたらしく、ラスボスをセブンが倒したという高まった感情がその後のカオス展開に白けてしまったので失敗したというのを、各地の様子を確認したユイの言葉もあって結論付けられた。

 

 

「まだライブ中継してるんだよな?」

「はい。みんな、呆気にとられていますが」

「ん、りょーかい」

「シュウ?」

 

まだライブ中継が続いているのをユイに確認した終夜は優しい顔でセブンの元に近づく。キリトやレインは目的が分からず?顔をしており、レインの顔をみた終夜は思わず苦笑するがそのままセブンに背丈を合わせ、優しく諭す

 

「まぁ、これでセブンの想いも少しは伝わったんだ。ちゃんとした方法で呼び掛ければ今度は成功するさ」

「………その時は、シュウ君もちゃんと協力してくれる?」

「ああ、その時は何があろうと最大限協力させてもらうさ、歌姫セブン。なんならキリトを打ち倒せってお願いでもいいぜ」

「おいおい……」

「……嬉しいわ、ありがとう!」

「おっ」

「なっ!」

「わぁっ!」

 

ボスと化していたとはいえ、セブンのHPが0になったことには変わりなく、光の欠片になって消えそうになるセブン。消える間際、終夜の頬にキスをして消滅するセブン。セブンが消えた欠片が消えるまでセブンのいた場所を優しく見つめていたレインと、その頭を優しく撫でる終夜。

その後ろでクラインが、中継先のモニター前でクラスタの男連中が涙を流しつつ怒り狂っていたのは関係ない話………

 

「関係あるわ!セブンちゃんから…」

「はいはい。さっさといくわよー」

 

そんなクラインに呆れつつ、クラインを引っ張り先にボス部屋を出ていくリズベット達。キリトはアスナと共に残っており、終夜に促され共に出ようとするレインと共にキリト達もボス部屋を出ていく。

 

 

そうして、セブン率いるシャムロック及びクラスタとの対立、攻略戦が幕を閉じたのだった

 

 

 

 

 

 




完結っぽいですが、もう少し続きます

一応、展開は少しは決めてますがあくまで参考までに下記のアンケートにご協力願えると助かります
意見は何度も言ってしつこいかもしれませんが、活動報告までお寄せ下さい。
今話投稿後にアンケート作成しますので(アンケート設定の関係上)もしなければページ更新等で対応願います


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第二十五話

「マスターのケーキは絶品ね。リアルでも食べたいくらいだわ!」

「なら、日本に来たときには是非とも寄って貰わないとな。」

「うん、行く行く!マスターのお店に行くの楽しみよ!」

 

「セブンのやつ、すっかりこの店の常連になったな」

「そうだな。しかし、事件前と違って平和なもんだ」

 

セブンの実験が終夜たちの手によって失敗に終わったが、騒動が起きる前に終結したことで運営からセブンへの罰則等は何もなかった。

ただ、クラウドブレインの実験が終わったことにより、セブンのアイドル活動はほとんどなく、それに付随してシャムロックもほとんど活動停止状態となっていた。そして、セブンのアイドル活動が減り、熱が冷めたのかクラスタの人数も大幅に減ってしまっている

 

「そういえば、キリトくん。さっきそこでスメラギさんとすれ違ったよ」

「なんだと!?」

「ちょっと、キリトくん!?」

 

スメラギの姿を先ほど見たことを聞いたキリトは、追いかけるかのように、急いで店から出ていく。アスナを含めた面々はキリトの突然の行動に驚くもその行動原因がわかっているため、呆れているメンバーもいた。

キリトがスメラギの元へ向かったのは、一連の騒動が落ち着いた頃、ALOからの引退宣言をし、ログインすることがなかったからだった

 

「キリトは、ライバルに引退されて寂しいんだね」

「引退するとはいえ、気が向いたらログインしてくるだろって」

「キリトはいいわよ。それより……」

 

「あっ、そうだ!シュウ君、一昨日送った論文見てくれた?所感を聞きたいんだけど」

「ん、どっちの論文からがいい?」

「そうね……私が個人的に気になってるこっちから!」

「こっちか。まずここは…………」

 

キリトを見送ったアスナたちの視線の先は、先ほどまで美味しそうにケーキを食べていたセブンと、セブンに呼ばれ、その隣に座る終夜へと向けられていた。

セブンは、ケーキを食べていたときよりも嬉しそうな雰囲気を出しつつ、終夜の論文に対する所感や疑問点を聞き、時折自分の所感や考えを終夜にぶつけていた。

対する終夜も、所感を聞かせてほしいと送られてきた論文を、即座にカルデアへと転送。知恵を貸せとホームズ他知識人を集め、論文の熟読後討論し、一定の結論を得た上でセブンと会話をしていた。

 

「レベルが高すぎるというか、話についていけないわ」

「あら、そう?一度、私が聞き耳たてて気になった論文について聞いたら、凄く解りやすい説明で面白かったわよ」

「それは、素直にしののんが凄いんじゃ……」

 

そんな会話を交わしていると、スメラギとの会話が無事に出来たのか、キリトが戻ってくる。

 

「キリの字、スメラギとは話せたのかよ」

「ああ。シュウは?」

「あそこでセブンちゃんと論文について話してるよ」

「わかった。すまん、みんな。俺いかなきゃいけないとこがあるんだ」

「キリト君、どっかいっちゃうの?」

「ああ、お前の大事な人のところだよ。シュウ、後でメッセージを送るから、その通りに動いてもらってもいいか?」

「別に構わんが?」

「すまない、それじゃあ行ってくる」

「ち、ちょっとキリト君!?ちゃんと説明しなさいよー!」

 

キリトは、混乱するセブンを終夜に任せ、スメラギと同じく騒動終結後から一度もログインしていないレインの元へと向かっていった




前回、アンケートのご協力ありがとうございます。
といいつつ最終確認なのですが、最速クリアの場合バグありRTAの時オカゼルダみたいなことになりますが本当によろしいでしょうか?
(わからない人は一度調べて見て)


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第二十六話

キリトがレインの元へと向かった翌日、終夜はキリトのメッセージで指定された始まりの島、ヴォークリンデのとある地点に向かっていた。そして、指定された地点には既にキリトとレインの姿があった

 

「待たせたな。久しぶり、レイン」

「う、うん。ごめんね、いきなり連絡を絶って」

「理由があるんだろうから、気にしてないさ。それでキリト。俺を呼んだ理由は、レインとのデュエルか?」

「えっ!?」

「そうだけど、なんでわかったんだ?」

 

何一つ意図を伝えていない状態で考えていたことを言い当てられたキリトは、更に終夜のわかった理由で再度驚愕することになる。

 

「スメラギとのデュエルを譲って貰ったからその礼ってところだろ。そして、ALO1と言われたスメラギと同じような相手として、スメラギと同等以上のレインを呼んだ。本音は自分が戦いたい……ってところだろ」

「ハハハ………何も間違いが無いな」

「けど、シュウくん。スメラギさんとかより強いって言うのは過大評価すぎるよ〜」

「その反応で確信したが……レイン。君は嘘をつくのが下手すぎる。わざとか知らんけど顔に出過ぎだ。そう思った理由は他にもあるが……まぁ、説明が面倒だからいいか」

 

終夜からのとどめの一撃となる言葉に、レインは思わず笑ったのち、二人の予想が正しいこと、正真正銘、二人への隠し事がもう無いことを認めた。

 

 

 

「なら、始めようか」

「シュウくんの強さはずっと近くで見てたからね。そう簡単にはやられないよ!」

 

デュエルのカウントダウンが始まると同時に終夜の雰囲気が変わり、レインも先ほどまでの雰囲気とは違った空気を纏う。そして、カウントが0になって先に動いたのはレインの方だった

 

「じゃあ、隠してた私のスキルを見せて上げる!『エック・カッラ・マーグル・メキアー・レクン!』」

「なん……はぁっ!?」

レインがスキルを発動すると、レインの周囲の空間から幾本もの剣の先が顔を出し、次の瞬間終夜へ向かって飛来する。その姿はまさに慢心o……英雄王ギルガメッシュの宝具『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』と同じ

 

「どう?シュウくん。このスキルは、無数の剣を空間の狭間に隠し、わたしの意思で自由に召喚できるの」

「ギルガメッシュと同じか。まだ、宝具の原点じゃないだけマシだが……これは二刀流というよりは」

「あえて言うなら多刀流だね。無数の剣が相手に降り注ぐ。これがわたしのスキル『サウザンド・レイン』だよ!さぁ、シュウくんはどうやって攻略するのかな?」

「んなもん、決まってる。正面突破だ」

 

終夜は放たれる無数の剣を軽々と叩き落としながらレインへと接近。初見のスキルであり、一泡吹かせられると思っていたレインは、一瞬驚くも(既に経験有りにより)即対応した終夜の姿で逆に驚かされるが、かなり接近されており、驚いているだけの暇は無いとすぐに切り替えて終夜を迎え撃つ。

 

 

「きっつい……」

「まだまだ序の口だ…っと、空に逃げるか」

「押されてばかりじゃ嫌だからね!」

 

斬り合いにて押され空中へと退いたレインは、その場から再度スキルを使用して剣の雨を降らせる。頭上の優位を取られた終夜は降り注ぐ剣を避けつつ、戦略を組み直す

 

『元が鍛冶スキルだったからか知らんがリキャストタイムが短いから連射されるのが面倒だな。しかもレインの腕も立つ。なら……』

「やっぱりシュウくんなら、多少のダメージなら気にせず突っ込んでくるよね。けど……甘いよ!」

「ッ!……おいマジか」

 

剣の雨を最短距離で突き進んだ終夜は不敵な笑みを浮かべたレインの顔を見て、特攻した剣の雨から抜け出すが時既に遅く、終夜のHPバーには麻痺状態を示すアイコンが点滅し、体の自由が効かなくなりそのまま地上へと落下した

 

「25%で動けなくなるとかじゃないのね」

『それ、○ケ○ン……』

「やあぁぁぁっ!」

 

別ゲームの麻痺の仕様をボソッと呟く終夜と、呟きが聞こえており声に出さず内心でツッコミを入れるキリト。その状態でレインは落下した終夜へ全力で追撃する。レインにとって今の状況は、初見の敵でも圧倒する終夜に隠していた手札を全て使って、初めて創られた最初で最後の大きな隙。終夜は麻痺が解けると同時に即反撃するためレインの動きをずっと見続けていたが、麻痺に気を取られて毒も罹っていることは気づかず、HPが0となりレインとのデュエルに敗北する

 

 

 

「なぁ、キリト。なんで俺は負けたんだ?」

「麻痺と同時に毒もかかってたんだよ。だからレインの攻撃と毒のダメージで負けたって訳だ」

「私、状態異常武器を作るのが得意だからね!それに、初めて会った時に初心者っていってたのと、一緒にいたとき、耐性を気にする素振りが見えなかったから何時もより多く用意してたのがよかったよ〜」

 

デュエルを終えて、腑に落ちない終夜はレインの説明にいつものサーヴァントとしての意識が強過ぎたのを少し反省する。そうしていたとき、何も聞かされずに困惑しつつセブンが3人の元に来る。

 

「ねぇ、キリトくん。突然ここに来いって一体何事?シュウくんもいるし………あなたは、レイン?」

「ほら、レイン」

「キリトくん。あれは……もういいって」

 

セブンの姿を見たレインと余計な事と分かってはいるもののお節介をかけるキリトの間で軽くひと悶着が起きる。その内容は、レインがセブンの実の姉(・・・)であるという事実を伝えること。レインは今ここで告げることを拒否しようとするが、終夜がキリトの肩を持ちレインの背中を押す。

 

「レイン。今の君の気持ちがわからない訳ではないが、伝えるなら早い方がいい。伝えるのを後回しにして、すれ違い、溝が深くなってから伝えたとて、もうそうなってはよりを戻すことも出来ないかも知れない。なら今言うべきだ」

「シュウくん……もう、二人ともお節介やきだなぁ」

 

そういいつつ、レインはセブンに自分が生き別れの姉であること。生き別れの原因になった両親の過去を話していく。その様子を二人は離れたところでそっと見守っていた

 

「上手くいくかな?」

「心配ないだろう……仲違いしたわけではないんだ。驚きはすれど、きっと上手くいくさ」

 

 

無事、再会したレインとセブンは互いに抱き合う。そしてキリトの目的であった、レインとセブンの仲を取り持つことができたために解散となり、レインとセブンの二人はこのまま二人で話をすると先に街へと戻っていく。

終夜も当初の目的は全く掴めてないなぁと軽い調子で戻ろうとするが、キリトからまさかの情報が飛び出す。

 

 

「あ、そうだシュウ。『カルデア』って知ってるか?」

「」

「?」

「………歴史用語だな。バビロン11王朝のことを新バビロニア王国と呼ぶ他にカルデア王朝、カルデア帝国とも呼ぶ。が、そのカルデアがどうした?」

 

ただの何気ない会話らしくない反応の終夜に少し疑問を持つキリトだが、あまり気にせずに話を続ける

 

「よく分からないメッセージが朝届いたんだ。ほとんど何のことかわからない中、分かる単語がカルデアぐらいだったんだよ。神話とかに詳しそうだったから聞いてみたんだが…」

「見せてもらっても?」

「ああ、いいぞ」

 

終夜は、キリトに見せてもらったメッセージの内容と差出人を見てキリトに気付かれないように自身の動揺と混乱を隠す。

 

 

 

 

 

 

 

『突然のメッセージに驚かせてすまない。窮地に陥っている我々を助けてくれる存在を探してこのメッセージを送っている。どうか我々カルデアを助けてくれないだろうか?助けてくれるのならばここの場所まで来て欲しい。よろしくお願いします

 

ロマニ・アーキマン』

「どういうことだ。ロマニ」




約一年、更新もせずに失踪してすいませんでした。

他作者様の作品を読み、面白いものを作ろうと頑張る中、当時の趣味であった遊戯王にてメンタルが折れる出来事が起き、少しばかり何も手を付ける気が起こらず、一時期全く別のことをしていました。
そこから時間が少し経ち、メンタル回復しても小説に関しては、執筆中から有った自分の書きたいクオリティでの執筆が出来ていないこと。面白い物を作り読者の皆様に届けることが出来ていない。そんなネガティブな思 いと感想が欲しい。もっと自分の良い評価を見たいとの承認欲求的なものを解決することが出来ず、そのままズルズルと小説の更新も一年止まってしまっていました。
拙くとも書くしかないかと今更ながら筆を取った次第です。
また今後も目を通して頂けると幸いです。


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FGO編
プロローグ


「ふーむ。前責任者ロマニ・アーキマンを名乗る謎の人物からのメッセージによる呼び出し・・・大丈夫なのかね!?」

「青い顔をするな、ゴルドルフ所長。まぁ、現場に向かってないからどうなるか、何が待ち受けているかは不明だな」

 

キリトにメッセージを見せて貰った後、メッセージをコピーすると、キリトと別れゲームからログアウトする。その後カルデアに通信を繋げると早速ゴルドルフから帰還命令が出た為、カルデアに戻った終夜は管制室で会議に参加する。

 

「終夜君、向こうで会った仲間にこちらのことは?」

「何も伝えていない。カルデアが何であるか知ってるかとしか聞かれなかったから、歴史用語として誤魔化した」

「ああ、バビロン11王朝のことだね。確かにカルデア王朝やカルデア王国という呼称があるから嘘は言ってないね。それで、終夜君はこれからどうする気だい?」

「はいはーい。BBちゃんが来ましたよーっと」

 

ちょうどそこに、データの捜査を終えたBBが合流する。タイミングが良いのか悪いのか微妙なタイミングだったが、今後の話を後に回し、報告を聞くことに

 

 

「とりあえず解析は終わりました。送信元は例の特異点で間違いありません。ただ・・」

「ただ?」

「送信元が辿れただけで、その他はさっぱりです」

 

BBの報告は半ばわかっていたことで、各員の表情が暗くなることは無かった。そこからすぐに今後の対応の話が始まった。

 

「技術顧問。解決法の提案はあるかね?」

「うーん・・・終夜君、君が特異点に入り込もうとする場合、直接電脳空間へ渡ることは可能かい?」

「可能か不可能かで言えば可能・・・だとは思うが」

「確証は無い・・か。レイシフトも現状あまり使用できないし・・・」

「時計塔め・・・」

 

人理漂白から世界を救った後、カルデアと藤丸立香は時計塔の中で大きすぎる存在となっていた。数多くの英霊と契約したマスターとして今後の聖杯戦争の触媒として狙うもの。はたまた別の理由で狙うもの。さらには封印指定までも・・・またカルデアの存在もその気になれば自由に過去を変えられる力があることを危険視される

南極のカルデア基地に戻ったメンバーに対し、時計塔や個人からの刺客が何度も放たれるがその全てを終夜が自らの部下と殲滅。終いには時計塔に直接乗り込み、終夜と知己の魔法使い『キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ』が慌てて仲裁に出るほど色々と暴れまくり、時計塔とカルデアで不可侵の協定が半ば強制的に結ばれる。その際、カルデア側からもレイシフトの使用の制限を譲歩の形で出したため、微小特異点などでの使用が激減し、今回も使用できない状態。だが終夜は別の手段を考えていた

 

「BB。仮にマスターの歩みをそのまま辿るのなら始めにサーヴァントの召喚があるはずだ。その時に介入し、俺のアバターにサーヴァントの霊基パターンを付与してサーヴァント化させるのは可能か?」

「可能ではありますが・・ああ、そういうことですか。霊基を自らと別ける気ですね。今現在も在り続けているあなただと可能ですが、それなら直接あなたが召喚されるのが良いのでは?私の介入が必須なのは変わりませんし」

「なんだ、俺を直接召喚できるのか。ならそっちだな。悪いがBB、キリトたちに着いていてくれ。姿はそのときまで隠すように」

「言われなくても」

 

そう言い残すと、BBの姿は消える。特異点となる場所に挑もうとするキリトたちの元へと向かったのだろう。

 

「さて、俺は召喚待ちだな」

「あの時から色々と迷惑を掛ける。ただ、やりすぎるなよ!」

「やりすぎって、そんなことなぁ・・」

「よく言うわ!あの時計塔を半壊させて並みいるロードの半数他実力のある魔術師を何人も半殺しにしおって!」

 

ギャアギャア言い合う終夜とゴルドルフを見て、顔を見合わせて苦笑するダヴィンチとシオン。すぐに収まるだろうとほったらかしにされたが、収まる気配が無く、終夜をエルキドゥによる拘束からのステンノとエウリュアレのW宝具にて沈黙させることで痴話喧嘩を終結させた

 

 

 

 

 

 




FGO編RTAの為、既にプロットは決めてますが1話2話で終えるのとも思いプロローグを挟みましたが、逆にプロローグが一番悩みに悩み、これでも納得出来てません・・・

普通にあーでもないこーでもないと書き直しましたが、纏まりきらなかったのでこれはこれでという感じです。

さて、次回からチキチキ、人理焼却RTAの始まり始まり~


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第一話

BBちゃんの口調がムズい・・・・









「じゃあ、私が詠唱を教えるから、その通りに唱えなさい。そうすれば、サーヴァントを召喚できます」

「わかった」

 

炎上した街中、カルデアのマスター『藤丸立香』の永い旅の始発点たる特異点Fにキリトはアスナたちいつもの面々ともう二人、『マシュ・キリエライト』『オルガマリー・アニムスフィア』の二人とベースキャンプとする霊脈地で英霊召喚を行おうとしていた。

キリトは、終夜にカルデアのことを聞いてから、他のメンバーにも謎のメッセージを受け取ったことを連絡。終夜からいけないとの連絡があった為、終夜を除いた全員が揃う日にエギルのダイシーカフェにてメッセージを再度確認。この日は予定が合い、セブンと半ば強制参加のスメラギの姿もあった。ユイが、メッセージに危険性は無いが何が待ち受けているかはわからないとのことにゲーマー魂を刺激されたキリトは皆を説得して指定されたポイントに向かう。そうすると強制的に転移させられ、移動した先はカルデアの廊下だった。

そこからは、藤丸立香と同じ足取りを辿る。(皆の頼れる後輩)マシュに出会い、レフ・ライノールと出会い、メッセージを送ったとされるロマニ・アーキマンとも出会う。だが、ロマニ本人はメッセージを送ったことに心当たりはなく一つの謎を残したままカルデアの爆発。それによる特異点Fへのレイシフト・・・

 

 

 

「英霊・・歴史に残る英雄や偉人。どんな人が来るのか楽しみですね!」

「まぁ・・といっても所詮はゲームだからねぇ」

「そう言うのは無しですよ。リズさん」

「けど、最初からハードなストーリーだね。まさか、最初から爆発だなんて」

 

キリトが詠唱を覚えているなか、召喚に際してどんな人物が来るのか、またさっきまでのストーリーについてたわいのない話をしていたが、キリトがいざ召喚をしようとすると、キリトに近づいてその様子を見守る

 

「失敗するなよっキリト!」

「わかってるよ、クライン・・・いくぞ。『素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。 降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。閉じよ閉じよ閉じよ閉じよ閉じよ(みたせみたせみたせみたせみたせ) 繰り返すつどに五度。 ただ、満たされる刻を破却する―――告げる。 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。誓いを此処に。 我は常世総ての善と成る者、 常世全ての悪を敷く者。 汝三大の言霊を纏う七天、 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!』

 

キリトの詠唱が終わると、召喚サークルが大きく光る。

 

 

 

 

 

 

 

 

が、光が収まるとそこには何も無かった

 

「失・・敗?」

「おい、キリの字よぉ」

「俺は教えられた通りに言っただけだぞ!」

「っ!パパッ!気を付けて下さい。ハッキングです!」

「何ですって!」

 

ユイの発言と共にキリトたちを囲むように桜のマークと共にnow hacking の文字がいくつも浮かぶ。困惑するキリトたちの耳に一言

 

『B~B~チャンネル~』

 

やけに明るい声が聞こえた途端、周囲の光景が一気に変わり炎上していた都市から一変、ピンクを基調としたスタジオに早変わり。キリトたちが周囲を警戒するなか、目の前に一人の少女が現れる

 

「はぁ~い。ラスボス系天才美少女後輩、BBちゃんの登場で~す!どうです、人類の皆さん。突然襲われた蟻のようにあわてふためいてますか?していますねー?」

「何よ、こいつ。腹立つわね!」

「おほぉうっ!なんて格好だぁ!」

「・・下卑た視線とか色々と言いたくなりますが、話を早く進めるためにも先に召喚を済ませてしまいましょうか」

「?・・・あつっ!」

 

BBが手をキリトに向けると、キリトの手の甲に令呪が浮かび上がる

 

「キリトくんに何をしたの!」

「あら、説明が無かったんですか?それは令呪。召喚したサーヴァントに絶対服従の命令を行使できるもの。まぁ無くなって反逆されるかも知れませんけど」

 

最初とうってかわって、事務的にキリトたちに令呪について説明すると、興味なさげに視線を外し終夜の召喚に取り掛かる。召喚時のデータを書き換え、終夜のデータを差し込むとそのまま他にも準備をし、終わると再度キリトたちに向き直す

 

「では、あなた方のサーヴァントを呼び出します。それでは、どうぞー」

 

BBが指を鳴らすと同時に、再度召喚術式が起動しそのまま英霊召喚が始まり、スーツ姿の終夜がキリトたちの目の前に膝をついた状態で現れる

 

「サーヴァント、フォーリナー。召喚の招きに従いここに参上した。・・あなたが私のマスターか?」

「その声・・その顔・・まさかシュウか!?」

「おっ、よくわかったな。シュウ改め、零童終夜だ。よろしく」

 

全く状況が読めていないキリトたちは、全員ただただ驚愕して何も言い出せなかったが、そんなキリトたちを放って終夜はBBと情報共有をする

 

「で?」

「・・カルデアに到着後、そのまま爆発に巻き込まれ特異点Fにレイシフト。霊脈地に到着後に行われた最初の召喚のタイミングです。・・・一言で済まさずにちゃんと伝えて貰えます~!?」

「おー考えとく。ここまではカルデアで見た過去データと同じか。ここから特異点攻略して・・・ってなると長すぎて面倒だな。よし、黒幕の検討はいくつか立ててるし確認するためにもショートカットするか」

 

既に置いてけぼりのキリトたちの中で、クラインが説明を求めようとした瞬間、終夜が能力を使用する。

 

 

 

 

 




金曜日が有給になり、土日含めてがっつり趣味のヴァイスに走ってました・・・(戦績は良くも悪くもない微妙な所)
次回、FGO編完結です。
(皆が求めたんだから仕方ないよね)


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第二話

終夜が能力を使用した次の瞬間、キリトたちはBBの特設スタジオから最初の旅の終わり、冠位時間神殿ソロモンの一角に立っていた

 

「ここは一体………」

「旅の終わり。本来君たちが歩む筈だった旅路の終着点となる場所がここだ。私から君たちに謝罪と代価を。君たちが本来、これからの旅路で得る筈だった多くの感動・興奮・悲哀……その他諸々を今から俺が奪う。代わりに君たちが知りたいことは全てが終わった後、包み隠さず話すと誓おう」

「それってどういう・・・」

「ねぇ、キリト君。あそこ!」

 

先ほどと打って変わって他人行儀となった終夜に困惑し、事態も飲み込めない中、アスナが一人の人影を見つけ叫ぶ。そこには、緑色のシルクハットを被り特徴的な長髪をした一人の人物。ほんの短い時間だがカルデアでキリトたちが出会ったレフ・ライノールが背を向けて立っていた

 

「?おや、キリト君たちではないか。どうしてここ…に……」

「久しいな、レフ。いや、フラウロスと呼ぼうか?」

「………何故、貴様がここにいる!!」

 

アスナの声に反応してか、振り向いたレフは初対面の時と同じようにキリトたちに声を掛けるがキリトたちの前に移動した終夜の姿を目にした瞬間、少しの無反応の後

本来いる筈の無い(・・・・・・・・)存在に激昂した表情と共に声を荒らげる。

 

「愚問だな。俺はカルデアがサーヴァント。かつて在りし人理焼却、それが再びあろう物なら解決に乗り出すことが我らカルデアが務め。ここにいても何らおかしくもあるまい」

「ほざけ。本来、人の味方でない(・・・・・・・)貴様が我らと敵対することこそがおかしいのっ・・」

 

叫ぶレフの首が突如飛ぶ。そして終夜の手にはいつの間にか一振の刀が。謎が謎を呼ぶこの状態に状況を見ているだけのキリトたちだったが、突如地面が揺れ始める。そして、ユイからのボス出現の発言と共に魔神柱となったレフ・ライノールもといソロモン72柱の一柱、フラウロスが顕現する

 

「起動せよ。起動せよ。情報室を……」

「さっさと全員来い。魔神柱」

 

キリトたちが突如現れた魔神柱に武器を構えようとした瞬間、冠位時間神殿中に72柱の魔神柱全てが顕現する。驚くことなく、手に持つ刀を一振する終夜。その一振で10体程の魔神柱が消滅し、再顕現する。

 

「敵わぬとも、我ら72柱が総力を持って貴様の足をここで留めよう。来るがいい、原初の魔神『カタスフィア』!!」

「悪いが、貴様らの相手は既に済ませた(・・・・・・)

 

終夜の一言と共に個々のタイミングは違うが、72体の魔神柱全てが消滅・再顕現を繰り返す。そして、次の瞬間キリトたちは玉座のある空間に移動していた

 

「次から次へとどうなってんだこりゃあ・・」

「玉座に人が居ますけど、もしかしてあれが・・」

「待って。シュウの隣にいるの、あのロマニさんじゃないかしら?」

 

次にキリトたちが目にした光景は玉座に座る一人の男性。そして終夜とその隣に何故か立っているロマニ

・アーキマン。ロマニ本人も突然のことで何で?と困惑している最中、肩を叩き自分の方に向けさせた終夜が刀で一刺ししようとした。そのタイミングで明確に終夜を狙った強力な一撃が飛来する

 

 

「っとぉ。予想の中でド本命かつ一番外れて欲しかったのが的中か……」

「ソレハサセナイ。ドクターヲシナセヤシナイ」

 

終夜と玉座の男を結んだ直線のちょうど真ん中、その空中に少年とも少女とも取れるナニカの影が浮かんでいた。そして、ロマニを含めた空間全ての時が停まっていた。そんな中でも動けるキリトたちは、それでも動けなかった。終夜の行動の真意、謎の影との事情、わからない事が多すぎて手を出そうにも出せなかったのだ

 

「ダカラ・・タオス。ドクターヲカナラズタスケテミセル」

「やってみろ。数多の決して敵わぬ願望を受けた遠き理想望む紛い物(人類最後のマスター)よ!」

 

そうして、二人の闘いが始まった。終夜に襲いかかるシャドウサーヴァントの大群と本来ならば使える筈の無い影からの冠位魔術を始めとする多数の魔術。本来、簡単に退けれるそれらを敢えて終夜は正面切って迎え撃った。

 

それは終夜にとって何かの贖罪なのか。笑いも怒りも哀れみも無く、淡々と影からの何かを受け止めるかのように闘う終夜。そんな中突然BBの声が終夜に届く

 

「解析完了!聖杯は、あの影の・・・マスターの中です!」

「了解。悪いなマスター。俺は・・・マスターの秘めた願いを否定する。」

 

周りのシャドウサーヴァントを瞬時に一掃すると、影との距離を詰め新たに取り出した刀を持った二刀の一撃を影に叩き込む。そして、影から聖杯がこぼれ落ちる

 

「ダメ・・ダメダ。それは……ソレジャア・・ドクターヲ」

「その願いを抱えて静かに眠れ。心に傷が残ろうとも色褪せずに残る思い出と共に、既に前へ進んでいるから」

 

終夜の言葉を受けた影はその表情を見せること無く崩れ去り、同時に世界も揺れ、崩れていく。

 

「パパ。ここの空間が崩壊していきます!」

「おいおい。どうすんだよ!」

「シュウ!これからどうすれば」

 

消え去った影が居た場所をただ見つめる終夜だが、キリトの声に一瞬目を閉じると、同じ場所を見返すことなく振り向くことなくキリトたちの元にゆっくり向かっていく

 

「とりあえず、空都ラインの転送門に送る。最初に言った説明は後日だ。BB、頼んだ!」

「だと思いました!」

 

BBが手を叩くと、キリトたちは転送される。崩れていく世界に残るのはもはや終夜とBBの2人だけだった

 

「あの新所長含めたメンバーにはともかく、マスターにはどう説明するんです?薄々、何かがあったことは察してますよ」

「何とか誤魔化すさ。妖精眼持ちが近くに居るが流石にやつらもこの真実を話すことはしないだろうさ。自分がほんの僅かでもこうだったらと願った、夢物語の特異点だったとはな」

 

そして終夜とBBも冠位時間神殿から脱出し、カルデアに帰還する。そして、マスターが寝静まった頃に報告すると告げるとその足を自らの主の元へ向ける終夜。その顔は仮面を被るかの如く気の良い兄貴分となっていた。

 

そして、自身の眼で見えた全てをスタッフ含めた経営陣と何かがあったことを立香と同じく感じ取った元Aチームの(異聞帯にて唯一救われなかったベリル除く)6名に説明した。

説明を聞いた一同は今回の特異点攻略の詳細を立香に教えることを禁止し、いつもの終夜特製ハチャメチャ特異点の制作失敗による自主解決として処理することが決定された

 

 

 

 

 

 




だいぶ期間が空きましたが、FGO編終了です
当初はもう少し長くなる予定でしたが、文才もなく広げたところで一掃するだけだしと、サーヴァントの登場を無くして簡潔にしてみました

終夜の正体は次回にて本人の口から語られる予定ですがサーヴァントマテリアルみたいな形で出せたら別枠で出そうと思います
(投稿出来る文字数を越えれたらの話ですが)

久々の執筆なので、読みにくい等ありましたら(感想だと消される可能性あるので)活動報告の意見箱に。
内容の感想もいつでも待ってますのでどうかよろしくお願いしますm(__)m
一つ一つ読ませていただいて次からへの糧にしていきたいと思います。


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