破壊者の力を手にした転生者.Re (真紅林檎)
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プロローグ
どうも、作者の真紅林檎です。この作品は、前に投稿した作品が設定を詰め込みすぎて書き続けれなかったので、そういうのを減らして原作に近い雰囲気で再投稿しました。
もちろん組み込むのはディケイドです、ディケイドかっこいいですからね。
それではリメイクした作品をどうぞ。
突然だが、俺は死んでしまったらしい。
いや、いきなり死んだといわれてもわけがわからないと思ってるだろう。実際言ってる俺自身も何言ってるかわからない。
だから何があったのか一から説明しよう。
まず俺、
だけど学校の帰り道、友達と帰っていたら突然車が突っ込んできて俺は慌てて友達を突き飛ばして…そのまま自分は轢かれてしまった。
暫くして目を覚ますと何故か雲の上に立っていてそこに中年のおじさんがいた。
そこにいたおじさんにここはどこか聞いたらおじさんはこう答えた。
「ここは天界っつう所でお前さんは不運にも死んじまったわけだ」
って。まあこんなこと言われて信じられないので俺は…。
「痛でででででっ!? ギブッ! ギブッ!」
「だったら冗談言ってないでちゃんと説明しろ!!」
・・・おっさん相手に逆エビ固めを決めていた、五分位。
「あ~くそっ、腰がイかれちまうところじゃねえか」
「ちゃんと説明しないあんたが悪い」
「わかったよ、ったく…」
おっさんが腰をさすりながら近くにあった押し入れからちゃぶ台と座布団二枚を取り出して、そこに座る。…っていうかそこに押し入れあったんだ。
「さてどこから話せばいいもんか…まあ簡単に言えば俺はお前ら人間の言うところの神様ってやつだ」
「ダウト」
「おまえ失礼過ぎないか!?」
「だって神様って雰囲気しないし」
「・・・まあ否定はしねえよ」
苦笑いで答えるとおっさんは懐からカルテのようなものを取り出した。
「それで話は戻すが、えっと…架神 悠だったな」
「ああ…って俺あんたに名前名乗ったか?」
「そこは気にすんな、んでっお前さんここに来る前事故にあったよな?」
その言葉を聞いて、俺はあの事故を思い出した。
「突然車が暴走して友人を庇って自分は車に轢かれて重傷を負った、・・・ここまでは合ってるか?」
「・・・ああ」
「よし、んでここからはお前さんも知らないな。そのあと助けた友人が慌てて救急車を呼んで病院に搬送されたが結果間に合わず息を引き取った…ってところだ」
俺は『嘘だっ!』と叫びたがったが、俺の口は開かなかった。
俺自身も、あの速度の車に轢かれて無事じゃすまないと心の中で思っていた。
「・・・実はあの事故はこっちの問題で起きちまったもんだ」
「はっ?」
その言葉に俺は耳を疑った。
「この世界には人の寿命を司る蝋燭を管理する場所が存在するんだ、そこで管理していた奴が間違いで二本の蝋燭を消しちまったんだ」
「二本って・・・まさかそれが?」
「そう、お前さんとその友人の蝋燭だ。間違ったことに気づいたそいつが何とかしようとしたがどうしようもできなかった・・・だがそこで予想外のことが起きたんだ」
「予想外?」
「ああ、本来あの事故じゃお前さんと友人が亡くなっちまうはずなんだがあの時お前さんが庇ったおかげで消えたはずの友人の蝋燭に火が着いたんだ」
「んでその結果友人は助かり、お前さんだけが亡くなっちまったってわけだ」
事の顛末に俺は言葉が出なかった。
「それと管理していた奴を責めないでくれよ、あいつだって間違って消したことを後悔してんだからな」
「・・・それぐらいわかってます」
「そうか…んでここからが本題なんだが。架神 悠、お前に転生したいか?」
「転生?」
「ああ、本来亡くなった魂は冥府に行くはずなんだが、お前さんはともに消えるはずだった友人の命の灯を戻したことに他の神様が気に入ってな、お前さんに転生の機会をくれたわけだ」
「それってどう違うんだ?」
「通常は記憶や体験を全てリセットして新しい人生を歩めるんだが、転生の場合は記憶や体験は消えず、その上特典を貰って別世界で新しい人生を歩める。まっ簡単に言えばよく聞く『なろう系』と『強くてニューゲーム』を合わせたやつだ」
なるほど、わかりやすい。
「どうだ、転生してみるか?いやならこのまま通常の方を行うが…」
「・・・いや、転生するよ。せっかく神様がくれた機会だからな」
「そうか、そいつはよかった!じゃあ早速特典と行きますか」
そういって指を鳴らすとちゃぶ台の上に四角い箱が出てくる。
「この中に特典の内容が入った紙が入っている、好きなのを一枚決めて取ってくれ」
コンビニの三角くじか?っと心の中で突っ込みながらも、箱の中に手を突っ込み適当に紙を一枚取り出す。
「どれどれ・・・ははっ!なるほどな、こりゃいい。」
おっさんは取り出した紙の内容を見て笑った後、カルテを捲った。
「それで、お前さんが転生する世界は悪魔や天使、果てにはドラゴンが存在する世界だ」
「・・・それって戦闘物ってやつか?」
「そうだな。まっ、お前さんなら大丈夫だ」
そう言うとおっさんは、立ち上がり指を鳴らすと扉が現れる。
「後はあの扉をくぐれば転生完了だ、特典の内容や詳しい説明はあっちの世界に着いたら頭の中にぶち込んでおくわ」
「ぶち込むってなんだ!?怖っ!」
おっさんに突っ込みながらも俺は扉の前に立ち扉を開く。
「じゃあな、第二の人生楽しめよ」
「ああ、ありがとうなおっさん」
そして俺は扉をくぐった。
父さん、母さん、元気でな。あいつも俺が助けた命を無駄にすんなよ。俺は今から異世界に行ってくるわ。
それを最後に俺の意識は落ちた。
「最後までおっさんか…あの坊主」
坊主がいなくなったこの世界で俺は坊主の特典を見る。
『ジオウ編のディケイド+ケータッチ』
こんな特典ならあいつはあの世界でも十分戦えるな。
「神の手違いで亡くなった若者、架神 悠。お前さんの幸福をこの最高神が見守ってやる」
神が見守ってやるんだ、頑張れよ坊主。
此処までのご視聴ありがとうございます。
この作品はもう一つ投稿している作品と一緒で不定期投稿ですが、それでもいい方は次回もお楽しみにしてください。
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第1章 旧校舎のディアボロス
物語の始まり
「もうこっちに来てから随分経つな…」
俺の名前は架神 悠…じゃなくて『兵藤 悠』、おっさんによって転生した人間だ。
おっさんに転生してもらってから早十数年、今は立派に高校生をやっている。
この世界に転生したときに、おっさんの言う通り頭の中に色々な事がぶち込まれた。
まず俺の特典は『ジオウ編のディケイド+ケータッチ』だ。どういうものかというと、まずジオウに出てきたディケイドと同じ力を貰えたらしい。
そのうえケータッチはジオウ版ディケイドに合わせているらしい。
次にこの世界についての説明だが、この世界はどうやら戦闘物の中でも大分敵のインフレがやばい世界らしい。
しまいには神さえ出てくる始末らしい。
・・・流石に特典持ってても神相手はやばいんじゃないのか?
だからこの世界でも生き抜くためにこの十数年、日常を送りつつ自分を鍛えていた。
勉強に関しては・・・まあ前世の記憶があるから何とかなった。
それで今はこの『駒王学園』に入学できた。
『きゃーーーー!!』
過去を振り返っていると外の方で女子の悲鳴が聞こえた。
「・・・またか、あの馬鹿共は」
俺は悲鳴の原因を察し重い腰を上げて悲鳴の場所へ向かう。
悲鳴がした場所であろう剣道場に向かう途中、こっちに走ってくる三人組の影を視認できた。
「あっちから来てくれたか、手間が省けた」
「げっ兄貴!? やばい!」
相手も俺を視認したのか真ん中の一人はブレーキをかけるが両サイドの二人は止まる気配がない。むしろ俺を仕留める雰囲気を感じる。
『うぉぉぉ!!そこをどけぇぇぇ!!』
「どくか、このアホ共っ!」
『そげぶっ!?』
俺は襲い掛かってきた二人の拳を躱し、その勢いを利用しラリアットを二人に食らわせ気絶させた。
「さて、何か言い残すことはないか・・・一誠」
「・・・」
唯一ブレーキをかけたのは『兵藤 一誠』俺の双子の弟だ。
現在気絶しているのが一誠の友達の『松田』と『元浜』、三人揃って『変態三人組』と呼ばれている問題児だ。
「・・・兄貴、これだけは言いたい」
「なんだ」
「たとえやられたとしても俺の心は砕けねえ!」
「無駄にかっこいいセリフを覗き行為後に言うなこのアホ!」
俺の渾身の拳骨を頭に食らい一誠は地面に倒れた。
「ったくこの三バカは・・・少しは懲りろよな」
ため息をつきながら俺は三人の襟をつかんで引っ張り出す。
「とりあえず、後で剣道部の人たちに謝罪しとくか」
そう呟きながら俺は三人を連れて教室に向かった。
これが俺の学園生活。いつもの日常だ。
「さて、ちょっと遠出にはなったけど買い物も無事済んだな」
時を飛ばして放課後、俺は母さんに頼まれ町はずれのスーパーで買い物を済ませた。こっちのほうが値段安いしな。
一誠? あいつは二人と共に除きの罰で校庭の草むしりをやっているよ。
母さんに伝えたら『またなのね…』とあきれた感じで了承してくれた。
「それじゃさっさと帰るか、早く家で寝たいし」
そう言い俺はそそくさと路地裏に入り辺りに誰もいないことを確認する。
「よし、誰もいないな」
誰もいないのを確認し壁に向けて手を差し出す。
するとそこから銀色のオーロラのようなものが現れる。
そのオーロラをくぐると、家の近くの路地裏に到着する。
俺がくぐり終えるとオーロラはスッ…と消えていった。
これも特典で貰ったディケイドの力の一つだ。
中学の頃、休みを利用してこれを使って一人で国内やら国外やら色んなところに行ったのはいい思い出だ。
フホウニュウコク?ナニソレオイシイノ?
まあそんなことはさておいて俺が路地裏から出て家に向かうと一誠とばったり会う。
「よっ一誠、草むしりは終えたか」
「何とか終わったよ!おかげで腕がパンパンだ!」
「おお…俺が言うのもあれだがよく途中でやめなかったな?誰も見てなかっただろうに」
「そんなことしても兄貴にはすぐにばれそうだしばれてプロレス技喰らうよりましだと思ってな」
「そりゃ正解だ、そんなことしたら筋肉ドライバーかましてたわ」
「・・・マジでやめなくて正解だったな」
二人で雑談していると、一誠は真剣な表情で俺の方を向く。
「ところで兄貴、実は頼みたいことがあるんだ」
「なんだ、宿題なら手伝わんぞ」
「違うって! 実は・・・俺彼女が出来たんだ」
「・・・んっ?済まないよく聞こえなかった。なんだって?」
「彼女ができたからデートのプラン一緒に考えてくれないか!」
「・・・・・・一誠よ」
俺は真剣な顔で一誠の肩を掴む。
「?」
「画面越しの女は彼女とは言えないぞ」
「二次元じゃねえよ!?ちゃんと三次元で彼女が出来たんだよ!」
「・・・マジで?」
拝啓、おっさんへ。
転生してから十数年、問題児の弟に彼女が出来ました。
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通りすがりの仮面ライダー
「ふぁ~、眠い…」
いや~昨日は驚いたな、まさかあの一誠に彼女ができるなんてな。
証拠の写真も見せてもらってこれは夢なのか?と疑ったぐらいだ、済まない一誠。
写真で見た感じは黒髪のストレートの女の子で名前は天野 夕麻っていうらしい。
本当にこんな美人さんが一誠の彼女になるとはな・・・世の中わからないな。
それでそんな一誠が彼女とのデートをうまくいきたいからプランを考えるのを手伝ってくれと頼んできたから夜遅くまで手伝ったから滅茶苦茶眠い。
それでそんな一誠は人生初めてのデートに向かった。
さて、それじゃあ俺は・・・。
「二度寝するか」
眠いからまた寝ます、昼飯までおやすみなさい。
「さて、これぐらいで十分だな」
時刻は夕方、俺はコンビニでお菓子類を少し多めに購入した。
一誠が帰ってきてデートが成功したならおめでとう記念パーティ、失敗したならどんまい慰めパーティを開くためだ。
さっさと帰って準備をと帰ろうとすると、突然靴紐が切れた。
「っ、何でいきなり…」
俺は靴に手を伸ばすと、ふと一誠のことが頭に浮かんだ。
「・・・まさかな」
俺はそのまま靴紐を治し、歩き始める・・・。
よぉ、俺は兵藤一誠だ!親しい奴からはイッセーって呼ばれている。
早速だけど今俺は今日のデートの最大イベントにたどり着いている。
デートの始まりの場所であるこの噴水で最後のイベントを行う!
サンキュー兄貴!ここまで考えてくれて!今度お礼するぜ!
「ねえ、イッセー君。私たちの初デートってことで、一つ私のお願いを聞いてくれる?」
「っ! あっ、ああいいよ夕麻ちゃん!」
キ、キターーー!!ついにこの時が!これは兄貴が予想していたあれに違いない!
口、よし!汗、よし!度胸、よし! 準備オールOK!
そして夕麻ちゃんは微笑みながら、はっきりと俺に向かって言った。
「イッセー君・・・死んでくれないかな」
「・・・えっ?」
えっと、聞き間違いかな?と考えると突然夕麻ちゃんの姿が変わっていく。
ワンピースが消え去り黒いボンテージの姿に変わり、夕麻ちゃんの背中から黒い翼が生えた。
「夕麻・・・ちゃん?」
「楽しかったわ。あなたとのデート、初々しい子供のままごとに付き合えた感じだわ」
さっきまでの夕麻ちゃんとは思えないほどの冷たい笑み。
そして夕麻ちゃんが手を掲げると、ブゥン。とゲームを起動したような音と共に光る槍が出てくる。
「さようなら」
突然の光景に呆気を取られた俺に向かって夕麻ちゃんは手にした槍を投げつけ、その槍は俺の体を貫いた。
俺は何が起きたのかわからず、腹部から大量の血を流しながらその場に倒れる。
「ごめんね、あなたが私たちの計画にとって危険因子だったから、早めに始末させてもらったわ。恨むなら神器を身に宿した自分を恨んでね」
夕麻ちゃんの声が聞こえてくる。計画?危険因子?神器?何言ってるんだ。
ただでさえ夕麻ちゃんの姿が変わって混乱してるのにそれ以上はわけがわからねえよ。
「あら、人間のくせに意外としぶといわね。まあ念のため止めを刺しておこうかしら」
掠れた視界で夕麻ちゃんがまた槍を構えている。
あれに貫かれたらマジで死ぬ。
その瞬間、俺の脳裏にいろんなことが思い浮かんだ。
ははっ、これが走馬灯ってやつなのかな。
松田、元浜、父さん、母さん、そして兄貴。
すまねえ兄貴、一緒にプラン考えてくれたのに無駄になっちまった。
そして、夕麻ちゃんが俺に向かって槍を振り下ろした。
俺は観念して目をつむった・・・。
けど、いくら待っても痛みが来なかった。
うっすらと目を開けると、手を抑えて別の方向を睨む夕麻ちゃん、そして銃のような物を構えている兄貴らしき人物がいた。
まさか・・・兄貴じゃ・・・ないよな・・・・・・。
それを最後に俺の意識は暗闇に落ちた。
俺が公園にたどり着くと、そこに一誠の見せた写真の夕麻ちゃんが槍を構えていて、その下には血を大量に流して倒れている一誠がいた。
夕麻ちゃんが槍を一誠に向けて振り下ろそうとしたところを俺は取り出したライドブッカーで撃ち落とした。
彼女は撃ち落とされた衝撃で痺れた手を抑えて俺の方を睨んでいる。
「貴様・・・よくも邪魔をしてくれたわね!」
「いや、
「あら、あなたこいつのお兄さんなのね、けど残念ねこの子はもう助からないわ。この子のは私たちの計画に邪魔だったからこの子に近づいて、私が刺したのよ」
彼女はしびれが解けた手で光る槍を生成する。
「貴方がこの子の兄ならちょうどいいわ、兄弟仲良くあの世に送ってあげるわ!」
そういって、彼女は槍を俺に向けて投げつける。
俺は静かに、淡々に、だが槍が来るよりも素早くライドブッカーを剣モードに変え槍を切り落とす。
「へっ?」
彼女は唖然とした顔をしている。おそらく確実にあれで殺せると思ったのだろう。
「あんたが何者だろうが計画だろうが興味ないな、けど」
俺はライドブッカーを下し彼女を睨む。
「そいつは俺の大事な弟だ。傷つけたお礼をしなきゃな」
そして俺はそのまま取り出した『ネオディケイドライバー』を身に着け、両サイドのハンドルを引っ張り展開する。
「なんなのよ・・・、私の槍を消すなんて、普通の人間には・・・あなた、何なのよ!?」
「通りすがりの仮面ライダーだ、よく覚えとけ」
俺はライドブッカーからディケイドのカードを取り出し構える。
「変身!」
俺はそのまま構えたカードを裏返し、ドライバーのバックルに挿入しハンドルを押し戻す。
《KAMEN RIDE DECADE》
俺の周りに十八のホログラムが現れ、そのすべてが俺と重なり俺の姿が変わり、七枚のカードがドライバーから飛び出しフェイスに突き刺さり、体はマゼンダカラーに変わる。
「さあ、覚悟しな」
世界の破壊者、仮面ライダーディケイド。静かな怒りを灯しここに現る。
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悪魔との出会い
「姿が変わった!? まさか貴方も神器を」
「こいつは神器なんかじゃない、さあ行くぞ!」
ディケイドに変身した俺に対し相手は光の槍を生成し投げつけるが、俺は全て切り落としながら相手に接近していく。
「そんななまくらな槍が当たるかよ!」
俺はそのまま相手を蹴り飛ばそうとするが、相手は翼を広げて空に逃げた。
「ふっ! いくら姿が変わっても所詮は人間、空を飛べないやつに負けるわけないわ」
「甘いな、こいつの真価は剣だけじゃねえ」
俺はライドブッカーを銃モードに切り替え相手に向けて撃ちまくる。
相手は慌てて回避するが弾丸の数発が翼に当たりそのまま墜落する。
「があ!? よ…よくも私の翼を!!」
「悪いな、あんたの無駄話を聞く暇はない」
俺はライドブッカーからカードを取り出しドライバーに差し込む。
《FINAL ATTACK RIDE DE・DE・DE・DECADE》
俺の前にホログラムのカードが現れ、カードに向けてライドブッカーの引き金を引き強力なビームを放った。
「なっ!!? くっ、覚えていなさい!!」
相手はビームが当たる直前に光の槍を地面に当て土煙を上げ、ビームが土煙を貫通するがそこに相手はいなかった。
「逃げられたか・・・っ! 一誠!」
俺は相手が逃げたのを確認し、変身を解き一誠の元に駆け寄る。
一誠は腹を貫かれ、大量に血を流している。息はあるが弱弱しい。
「まずい、このままじゃ・・・!」
俺は急いで使えるカードがないか調べようとすると、突然紅い魔法陣が現れそこから一人の女性が現れた。
「この状況は…一体何があったの」
「あんたは・・・リアス先輩」
そこにいたのは学園の先輩、リアス・グレモリー先輩だった。リアス先輩は俺たちの方を見ると驚いてすぐに駆け寄った。
「貴方は兵藤君、それに弟君・・・っ!その傷は!」
「説明してる暇はない! 早く傷を何とかしないと…!」
俺が治療に使えるカードを探していると、リアス先輩が声をかける。
「兵藤君、一つだけ弟君を助けれる方法があるわ」
「っ!! 本当ですか!」
「ええ、だけどこの方法を使えばあなたの弟君は人間ではなくなってしまう。それでもいいの?」
一誠が人間でなくなる。その言葉を聞いて少し黙るが、俺はすぐに答えた。
「それでもお願いします。たとえ人間じゃなくてもこいつは俺の大事な弟だ、だから頼む!」
「・・・わかったわ、あなたのその願いを叶えるわ」
そういってリアス先輩は魔法陣から箱を取り出して、そこから赤色の駒を取り出した。
「我、リアス・グレモリーの名において命ず。汝、兵藤一誠よ。我が下僕となるため、悪魔と成れ。汝、我が『兵士』として転生せよ!」
呪文を唱えると、リアス先輩の持っていた箱からさらに七つの駒が飛び出し合計八つの駒が一誠の体の中に入っていく。
駒が一誠の体に入ると、一誠の腹の傷が消えてなくなった。
「一誠!」
俺はすぐに駆け寄り確認すると、弱弱しかった息は元通りになり、傷も完全に治っていた。
「これで転生は完了よ。まさか駒を八つも使うことになるなんて・・・」
俺は振り返り、リアス先輩にお礼を言った。
「リアス先輩、一誠を助けてくれてありがとうございます」
「別にお礼なんていいわ、それから一ついいかしら」
「なんですか」
「本当ならここで何が起きたのか聞きたいのだけど、もう夜も深いし明日聞いてもいいかしら」
「そういうことですか、わかりました」
「ありがとう、それじゃ明日の放課後、あなた達の教室に使いを出すから弟君と一緒についてきてね」
そういってリアス先輩は魔法陣に乗ってその場から消えた。
「・・・っはぁ~。俺らも帰るか」
俺は寝ている一誠を背負って家に向かう。
「しかしこんなことになるなんてな・・・まさかもう物語が始まったのかな」
俺はそう呟きながら歩いて行った。
そしてこの時、物語の歯車は動き出した。
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