龍騎士 (無課金系指揮官)
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第1話:魔獣との戦い

アークナイツに、どハマリしました。
これからは、連載2つの状態でゆっくり更新して行きます。

こちらは、ほのぼのでは無いかもです。

それでは、どうぞっ!


地平線が見えるほどの平原を俺は歩いていた。この世界でこんな事をする物好きは俺くらいだろうな。

 

「ふぅ......」

 

流石に炎天下にこんな所を黙々と歩いていると流石にキツいな。まぁその理由は今俺の眼下にある。

そこには少し香ばしい匂いを出している、車輪が4つ付いているバイクがある。端的に言おう、壊れたのだ。

 

「まぁ、天災が来る場所では無いから良いけどさぁ~何でここで壊れるん?相棒ぉ」

 

そんな事を愚痴るが相手は無機物である。全くの無意味な行為だ。

 

「予定通りなら今頃目的地の移動都市に着いてたのにな」

 

そう歩いてると、微かに生物の足跡では無い音が聞こえた。

 

「......?可笑しいな、ここいらに都市は来ないはず」

 

俺は立ち止まり耳を澄ます。すると先程より鮮明に聞こえた。

 

「...これは戦闘音か?」

 

ここいらで戦うのか......一体誰だ?しかもさっきより此方に近付いて来るようだ。

 

「逃げるのは......無理だよなぁ」

 

チラッと相棒を見てエンジンを始動させようとするが、やはり起動しない。俺は溜め息を一つしてそのバイクを置き、貴重品である自身の背ほどあるバックを背負いまたバイクのサイドにくくりつけてあった長い棒右手に持った。

 

「行くかな」

 

そう言って俺は音がする方向に向かって走り出した。

 

 

走り出してから早1時間程、漸く遠くに戦場が見えてきた。結構掛かったな。この頃相棒に任せ過ぎてたかな?また鍛えないといけないな。

 

「さて、双眼鏡っと」

双眼鏡を使いよく見てみると、そこには人が何か猛獣っぽいのと戦っていた。

 

「あれって確か、危険生物じゃなかったか?!」

 

おいおい、しかも今戦ってるのは一人だけっぽいぞ?

他の面々はどうやら治療しているようだ。

 

「...加勢するとしますかね」

 

流石にここまで来て、何もしないのはポリシーに反するので俺は持ってきてた棒を軽く振るう。すると先端が展開して穂先となった。そして身を屈めて一気に加速した。

 

 

「ーを!ーーだ!」

 

近付き、何やら指揮官っぽい奴の声が聞こえた。しかし落ち着いているな。こんな状況だが焦りを殆んど感じない。誰がやってるんだ?

 

そう思い駆けながら、人が沢山いる方を見るとなにやら黒いフードを被ったヤツが何やら身振り手振り指揮をしていた。取り敢えずは安全か、戦闘してる奴はー

 

「ーあぶねぇ!」

「っ?!」

 

俺はそう言ってその鬼の女性に攻撃を繰り出そうとしていた猛獣の眼を槍で貫いた。

 

「ギャァ!!!」

 

猛獣は片目を失った痛みで辺りを暴れ始めるがその攻撃範囲より外に出た。すると後ろから声を掛けられた。

 

「貴方は?」

「只の通りすがりの遭難者かな」

 

俺は簡潔にそう答えた。あの猛獣は暫く痛みと戦うだろう。結構深くやったからな。

そんな事を思っていると、その女性は耳に手を何かのやり取りをしていた。

 

「はい......通りすがりだそうです......はい。了解しました」

「ーそろそろ来るぞ」

 

どうやら、無線機か何かで上司と通話しているようだ。

それが終わったと同時に猛獣が此方を威嚇し始めた。

 

「これをつけて下さい」

「...えっ?って!?」

 

それを受け取ったと同時に猛獣が襲い掛かってくるが彼女は般若が象られた三角形の大盾を掲げそれを意図も容易く受け止めた。

 

「速く!」

「っ!」

 

俺は素早く付けるそれと同時に若い女性っぽい声がした。

 

[あー、そこの龍属の方?聞こえますか?]

「聞こえますよ。貴女が指揮官さんですかね?」

 

そのまま問に彼女はあははと困った声を出した後声音が変わった

 

[色々此方にも事情が有りますが、取り敢えず一つ聞きたいです。『あれ』を倒すのを手伝って下さいますか?]

「おう」

 

俺は一人時間稼ぎをしている般若の鬼の援護を始める。

攻撃を繰り出す前にちょっかいをかけたり、その攻撃をいなしたりね。

 

[ではー、相手の今分かっている弱点を伝えます。敵の弱点は頭部だけの様です]

「成る程なっ!」

 

そして、アーツ系の攻撃が聞かないとの事だった。

 

[貴方は物理攻撃で相手を仕留められますか?]

「隙が少しでもあれば!」

 

そう言うと彼女はふむと悩んだ後

 

[分かりました。そういう事ならお任せを]

「おう、なるべく速くお願いしますよっ」

 

俺は平気だけど、般若の鬼がもたないぞ。と心の中で続けた。もしなかったら無理にでもー

 

そう考え始めた時であった。効かぬ筈のアーツ攻撃が敵の周囲を攻撃し土埃が舞い上がった。これじゃ此方がキツくなるだけー

 

「征け!」

「ーーーっ!!」

 

キツい筈なのに躊躇なく言われた言葉に反応してしまった。俺は土埃の中に突撃し、魔獣が放った攻撃を勘を頼りに受け流しそのまま奴の最大の弱点であろう残った目へと向かう。

 

「なぁ、これは『少し』痛いぞ?」

「ガァッ...?!」

 

魔獣が口をコチラに向ける前に俺は槍を右手に持ち替え思いっきり身体を振りかぶった。

 

「はっ!」

「ーーーーー!!、?!?」

 

槍を魔獣の弱点であろう見開かれた目の更に奥にあるであろう脳に向け放った。

 

ズガァァァン

 

大地に響き渡る爆音と衝撃波。俺はそれを至近距離でくらい天高く吹き飛ばされた。おぉ結構高くまで来たな。

 

「ーどうしよう」

 

俺はボソッとそう呟いた。そう考えているうちに上昇が終わる、ならばその次にあるのは落下なのでー

 

「へぶっ!?あぐっ!?へぁっ!?」

 

落下の速度が上がる前に何やら風のアーツ攻撃が俺に直撃する。そしてある程度の高さになった時、死体となった魔獣の最高点から飛び上がる鬼の姿がー

 

「っ!盾をー!」

「!はい!」

 

俺の声が届いたのか彼女は大盾を俺の方に向ける。感謝しつつ盾に足をつけ落下速度を完全に殺し魔獣の上に降り立った。

 

「おっ、槍残ってたぁ」

 

良かった、遥か彼方に飛んでたらヤバかったわと呟きどうやら頭蓋骨で止まった槍を引き抜き、コチラに近付いて来た集団の方に歩みを向けた。

 

「ご助力感謝します。通りすがりさん?」

「いえいえ、所で何故このような場所に?」

 

フードと仮面をつけた女性?が声を掛けてきたのでそう質問すると、今結構有名になってきたロドス・アイランドのドクターとその仲間達だそうで、作戦中に魔獣に襲われここまで撤退してきたのだそうだ。

 

「ーそれで、貴方は?」

「あぁ、俺の名前はードラグーンとでも呼んでくれ。実は龍門に向かっている最中にバイクがイカれてしまってなー」

 

そこから掻い摘んで説明すると暫く悩んだ後に助けて貰ったお礼に、どうやら龍門まで連れてってくれるそうだ。

 

「ありがとう。じゃあ少し待っててくれ、バイク取ってくる」

「あっ、それなら彼女を一緒に連れてって」

 

フードの女性.....ドクターが近くに居たクランタの小柄な槍使いが前に出てきた。

 

「私はグラニ!よろしくドラグーン!」

「お、おうよろしく」

 

かなり元気な奴だな。じゃあ、ちゃちゃっと持ってくるか。

 

それから無事にバイクを取ってきてそのままロドス・アイランドに着いた。そこでドクターに付いてきて欲しいと言われたので付いて行くと、会議室に通された。

入ると何やら裏がありそうな白衣の女性に

 

「我々の力になってくれないか?」

「え?」

 

と言われた。なんで?




感想・評価下さると、嬉しいです。

では、また次回お会いしましょう!


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第2話:勧誘と力比べ

第2話です。

まだヒロイン決まってないです
まぁ、まだ大丈夫でしょう←

では、どうぞ!


入室と共に言われた言葉に俺は困惑を隠せなかった。それを察したのかその白衣?の女性の隣に立っていたコータス族の少女が

 

「ケルシー先生っ話が跳躍し過ぎです!先ずは自己紹介でしょう!」

「...そうだったな。ケルシーだ。ここの医療部門のリーダーをしている」

 

ケルシー先生か、医者と言うのはどんな場面でも会うと気力が無くなるな。それにしてもこの人が医療部門のリーダーと言うなれば、このコータスの少女は何者なんだ?

 

「私はアーミヤといいます。ここロドスのリーダーです」

「...ドクターから聞いたと思うが、流浪の....傭兵?をしてるドラグーンという」

 

疑問に思っていると、向こうから自己紹介してくれた。

ーこの少女がここの社長さんでしたか。少し若いと思いつつも自身も自己紹介をする。

 

「はい、それでケルシー先生が仰っていたのは、貴方の戦闘をドクターから聞いたので是非スカウトしたいのですが」

 

アーミヤ社長はどうでしょうかと、首を傾げている。その姿はとてもかわい....いや、その前に返事をしないとな。

 

「まぁ、流浪人としてそちらの要望は嬉しいのですが、私も仕事の最中でして。今すぐは難しいですね」

 

申し訳ないと答えると、アーミヤ社長は何か閃いたという顔になり

 

「それなら、またその仕事が終わったら、是非ともロドスに来てください」

「そうですね。えーとお話はこれで終わりですか?」

「はい。ではこれから数日貴方が過ごす部屋にご案内しますね」

 

ついて来て下さいと社長は言った。社長自ら案内なんて、何でそんなVIP対応なんだろうか。そうかドクターはこの会社にとっては重要人物だったからか。それを救った俺は一応重要な人....になるのかな。

そんな事を思っていると、ある部屋に通された。結構広いな。

 

「ここです。一般のオペレーターさんと同じ部屋になってしまうのですが」

「十分ですよ」

 

あのまま荒野に居たら、地べたに寝そべる事になっていたからな。と心の中で答える。

そうしていると、部屋の説明が始まった。

 

「こちらがルームキーです。お手洗いと、シャワー室はこの扉の向こうにあります」

「了解です」

 

成程、まぁホテルみたいな感じかな。一人用にしては少し広いが、住む事を考えると良い感じかもしれないなと思った。

 

「一応何かありましたら、こちらの端末で呼んでください。一応艦内の見取り図もありますが、ここは複雑なので」

「あ、ご丁寧にどうもありがとうございます」

 

俺がそう言うと、社長はでは失礼しますと言って部屋を後にした。そうしたら先ずは端末を弄ってみるかな。

先程まで持っていた荷物を部屋の隅に置き端末を手にとって見始めた。

 

「えーと?地図は何処だ?.....っとこれか」

 

取り敢えず、地図さえあればどうにかなるだろうと思っていた俺は目の前にある迷路を理解するのに時間を要した。

 

「...成程、これは暫く端末持ちながらの移動になりそうだ」

 

思っていた数倍迷路となっていた。これは龍門に着くまでには到底覚えれないなと思った。

それから、色々内部にある施設の詳細等を見ているとグゥゥーと音が聞こえてきた。

 

「....食堂って使えるのかな?」

 

さて、そこら辺は聞いて無かったな。もしくは俺が聞いて無かったか。どちらにしろ確認しないとと思いおれはアーミヤ社長に通信しようと思ったがー

 

「これは、メッセージ機能か?」

 

ならば丁度いいだろう。社長さんは忙しいだろうからな。もし返事が来なくても、最悪の保存食料はあるからな。でも温かい飯が食えるのならばそちらの方が良いに決まっている。

そう思いメッセージをアーミヤ社長に送る

 

>アーミヤ社長、ドラグーンです。一つ質問があるのですが、食堂は私は使えるのでしょうか?

お時間がありましたら返答していただけると幸いです。

 

「っと、こんな感じで良いかな?」

 

送信っと...じゃあ取り敢えず、腹の虫の我慢が聞くまで武器のメンテナンスでもやって時間潰しでもするかな。

 

「....って、先ずは武装系を取りに行かなきゃな。えーと場所は...っと」

 

うん。これは良い時間潰しになるな。俺はそう思い部屋を後にした。

 

ーーーーー

 

あれから何度かスタッフさんに場所を確認しながら、ガレージに向かい武器を持ち部屋に戻り整備をしていると端末が震えた。

 

「...ん?あっ」

 

そこにはメッセージの着信を知らせていた。確認するとそこにはこう書かれていた。

 

>ドラグーンさん。アーミヤです。食堂の方には連絡してありますのでどうぞお使い下さい。

 

「おぉ...!それは良かった!」

 

俺は感謝の意を伝え、端末片手に食堂に向かった。正直あと五分遅かったらあのクソマズ携帯食料を食べていた。

 

 

早速端末片手に基地の中を歩いていると、何やら良い匂いがしてきた。

 

「ここが食堂か」

 

さてとカウンターに行くかな。メニューは一般あるから面倒だし日替わり定食でいいや。メニューを適当に決めいざカウンターに居る人に声をかける。

 

「日替わり定食一つ」

「はーいっ!まいどっ」

 

カウンターにいたウルサスの少女が元気よく答えパパっと作り...って速いな?!

 

「はいっ!出来たっ!」

 

そう彼女が渡してきたのは、極東の料理達であった。俺が驚いていると、目の前の料理人はニコッと笑い

 

「君、多分そっちの生まれでしょ!」

「....ありがとう」

 

何故バレたのか等々気になるが、好意は受け取ろう。それに並びだしちゃったからな。

 

俺はいそいそと空いてる席を探した。どうやら混んでる時間だったようだ。探していくと運良く奥のカウンター席が空いてたのでそこに座る。

 

「頂きます...上手いな」

 

うん。これは普通に飯屋が開けるレベルだな。満足しながら食べ終わり、食後のお茶を飲んでいると声をかけられた。

 

「すまないが、少し時間良いだろうか?」

「...どちら様ー」

 

ですかと問おうとしたら、そこに立っていたのは昼間に共闘した般若の鬼だった。

 

「私はホシグマという。あの時は助かった」

 

そう言って手を出してきた。

姿は同じだがその砕けた言葉遣いに少し違和感を感じたが、どうやら仕事中とプライベートでキチンと分けれているタイプの人なんだなと思った。

 

「俺はドラグーンだ。こちらこそ助かったよ」

 

俺は立ち上がり彼女の手を握った。って結構力強いな流石鬼というところか。握手が終わり要件は何なのだろうと思っていると、彼女は本題に入った。

 

「要件は私と戦ってほしい」

「...なるほどね」

 

理由は何となく分かった。大方俺の力を見たいとかそんなんなんだろうな。俺は目を伏せて残ったお茶を飲み干し、彼女の方を向く。

 

「どこでやるんですか?流石にここで始めるのは気が引ける」

「!なら付いてきてくれ」

 

ホシグマの案内のもと、俺は訓練所に着いた。因みに武器はキチンと持ってきた。

 

「おっ来た」

 

訓練所に入るとそんな声が聞こえた、声のしたほうを見るとそこには監視場所みたいな所に入っているドクターとケルシー先生、それに龍族の女性...他にもポツポツと立っていた。

 

「あまり驚かないんだな」

「まぁ、予想出来てましたし」

 

ホシグマの言葉にそう返すと彼女はそうかと言って訓練所の中心に向かった。俺も少し彼女から距離を開けて後をおう。

 

「じゃあ、始めるぞ」

「はいよ」

 

ホシグマは般若の盾をコチラに向けた。俺も部屋から持ってきた棒を槍にせず構える。

 

「「.......」」

 

静寂が両者の間に流れた。ここまでの御仁と相対するのは久々だし、油断せずに行こう。

そしてその静寂が続くと思われた瞬間に俺達は同時に動き出した。

 

「「ーーーー!」」

 

 

ーーーーー

ーーーー

ーーー

訓練所が一望できる管理所にて、私はアーミヤやケルシー、それ以外にもその場にいた面々で眼下を見守っていた。

 

そこには、緑髪をした長身の鬼と、同じくらい長身でその手には棒を持った龍が相対して気を探っていた。

 

「始まりませんね。ドクター」

 

あの状態でかれこれ数分が経過しているので、アーミヤがそう言ってきた。私はそうだねと答える。すると凛々しい女性の声が後からした。

 

「それだけ互いに隙が無いからだ」

「チェンさん」

 

そこにはホシグマの上司であり友人のチェンが腕を組んで立っていた。

 

「だが、そろそろー始まったな」

「「!」」

 

チェンがそう言うと同時にものすごい爆音が聞こえた。急いで眼下を見下ろすと戦闘が始まっていた。

 

開始から展開されたのは、ホシグマの盾による猛攻であった。彼女と作戦に出て何度も見た頼もしさがある。そんな攻撃が続く。しかしー

 

「凄いな、ホシグマの猛攻をああも上手くいなすとは」

「そうですね。ドーベルマンさんはどうも思いますか?」

 

チェンの一言に同意しながらアーミヤはロドスの教官であるドーベルマンに意見を求めた。彼女は少し悩んだ後に口を開いた。

 

「ふむ。ドクターから聞いた限りだと奴の獲物は槍だと聞いたが?」

「確かあの棒の先端が展開して槍になる筈」

 

そう言えばなんで初めから使わないんだろう?私が悩んでいるとチェンがいる方からため息が聞こえた。

 

「ドクター。すまないあれはまだ『じゃれ合い』だ」

「はい?」

 

チェンが言った意味が分からなかった。だってあれだけ激しい攻防だよ?!考えている事が分かったのか今度はケルシーが口を開いた。

 

「確かにその様だな。実際ホシグマが般若を使ってないだろう?」

「...あっ」

 

そこまで言われて、ふと先程ホシグマに頼んだときを思い出していた。確かあの時彼女は般若を使わなければ勝てないとまで言っていた...!そう革新した時に、ドーベルマンがニヤつき呟いた。

 

「始まるな」

 

それと同時にホシグマが般若を起動した。あの何時も頼もしくも恐ろしい般若が浮き出ていた。そしてそれを見た彼も棒を槍に変えていた。

 

「...アーミヤ。声は聞こえないのか?」

「!はい今つけますね!」

 

チェンの言葉にアーミヤは若干焦りながら音声をオンにした。

 

[はぁぁああ!]

[しっ!]

 

全てを押し潰さんとすふホシグマの攻撃を上手くかいくぐり、接近し攻撃するドラグーン。しかしそんなドラグーンも徐々にホシグマの攻撃を受けていく。

 

「ふむ...」

「ケルシー先生?」

 

そんな時、ケルシー先生が何も言わず立ち去ろうとしたのでアーミヤが引き止める。すると彼女は一言

 

「彼を雇うかどうかはアーミヤとドクターに任せる」

 

そう言って、部屋を後にした。思った以上に時間が掛かったからかな?と思っているといつの間にか戦闘音が消えていた。

 

「最後だな」

「そうだな」

チェンとドーベルマンがそう言った。

そこには、開始時と同じように構えている二人の姿があった。

 

そして、今度は両者ではなくドラグーンのみ動き始めた。そしてーーー

思わず耳を塞ぐほどの爆音があたりに響き渡った。

 

「どうなった....?」

 

ドーベルマンの声は若干焦っていた。確かにこれだけの爆音何方かが怪我をしている事だってあり得る....!そう思い煙が晴れるのを待っているとそこから出てくる人影がーー2つ。

 

[予想以上でしたよ。ホシグマさん]

[本気を出していないのによく言う。あとホシグマで良い]

[なら俺の事もドラグーンで良い]

 

二人ともボロボロではあれ、普通に談笑していた。それを見た瞬間ホッと胸を撫でおろした。

 

「じゃあ、これにて解散かな?」

「そうですね。...ホシグマさん、ドラグーンさんお疲れ様でした!今日はこれから一応手当を受けてから帰って下さい!」

 

私の一言に頷きながらアーミヤは下の二人に業務報告をしてもう一度コチラを向いた。

 

「ではドクター、ドーベルマンさん、チェンさん。夕飯でもどうですか?」

 

うん。アーミヤがそう言うのは良いんだけどさ、それ絶対彼の事について話し合うだけだよね?

仕事はやだなーと思いながら、私はアーミヤの後をついて行った。




何故試験(戦闘に?)なったんだろう...?

勝手にキャラが動くのは仕方がない事だなっ

次回は、龍門に着けると良いなぁ

感想・評価お待ちしておりますっ!
ログイン無しでも書けますので是非!

では、また次回お会いしましょう!


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第3話:龍門と若き運び屋

はい。3話です。

今回は龍門のあるところに届け物をするようですよ?

では、どうぞ!


ホシグマとの試合後、手当を受けてそのまま部屋に戻り眠った。

それからホシグマとは何故か良く会うようになった。話してみると同郷出身だった様で、気が付いたら普通に友人となっていた。

それ以外にも、ホシグマ繋がりでツンツンドラゴンのチェンや、サリアというこれまた硬物のワイバーンと仲良く?なった。

 

そんな事をしている内に、数日は楽しく過ぎていきそろそろ龍門に接近する様だ。

俺は動かなくなったバイクを押しながら、何故かいる見送り人達の方に向く。

 

「昨日要らないって言った気がしたんだが?」

「確かに言っていたな。だが、アーミヤから伝言を頼まれてな」

 

そう言うのはツンツンドラゴンこと、チェンである。

 

「伝言?」

「そうだ。『何時でもいらして下さい』だそうだ」

 

確かに伝えたぞと言ってチェンは足早に去っていった。

...嫌われたかね?

 

「さてと、そろそろ良いかな?」

 

そう呟き俺はロドスを後にした。

 

あれから特に問題もなく龍門に入り今は仕事であった届け物を運ぶ先に着いたは着いたんだがそこには誰も居なかった。

 

「ふむ。時間ぴったりに来たんだかな」

「そいつは上々だな」

 

返事が来ないはずの呟きに返事が来て俺はその声音の方に向け槍を向けようとするが、その前に銃に弾が装填される音がした。

 

「お?このエンペラー様とやり合うか?」

 

そこには拳銃を向けたペンギンが立っていた。ん?ペンギン?俺は槍を地面に刺し降参の意を伝えた。

 

「お届け物です。エンペラーさん」

「あ?届け物?」

 

届け物である封筒を一通彼に渡す。すると彼は受け取りその送り主を見て驚いた。

 

「おい、これは?!」

「クライアントからの伝言です。『元気だ』と」

 

依頼はこれで終わりだよな。俺は確認の為に手帳を見る。よしOKだな。俺は依頼の詳細を書いてあったページを破りライターで燃やした。それが終わるとエンペラーさんが呼び止めた。

 

「おいっ!これをどうやって持ってきやがった!?」

「企業秘密です。それでは」

 

俺はそう言って何やら叫んでいるエンペラーさんを放置してその場を後にした。先ずは相棒を直さなきゃな。

 

 

それからバイクの部品等が売ってる店にて部品を購入して、近くの公園の駐車場にてちゃちゃっと組み直し、その相棒に跨りキーを捻った。

 

「おぉ、良い感じ良い感じ」

 

機嫌が良いエンジンの駆動音を聞きつつそれ以外にも確認をする。

 

「よーし、特に問題無さそうだな」

 

駐車場をグルグルと周り調子が良いとこを確認した。また元停めてあった場所に止めると一人コチラに近付いてくる人影があった。

 

「あれ?ドラグーンさん?」

「...ん?」

 

声を掛けられそちらを振り向くと、そこにはフォルテ族の少年が立っていた。フォルテ族で俺を知ってるって事は!

 

「まさか、バイソン坊か?」

「はいっ!お久しぶりです!」

 

俺の言葉に頷きながら更に近付いて来るのは、フェレンツ運輸の御曹司であるバイソンであった。少し前に現社長からの依頼で一度護衛をした事があり、それ以降よくプライベートでも連絡を取っている人物だった。

 

「雰囲気が変わってたから一瞬分からなかったぞ。勿論良い意味でな」

「ありがとうございます!所でドラグーンさんはここで何を?」

 

質問に対して俺は苦笑いをしてここまでの道中を話す。すると彼は徐々に顔を青くしていった。

 

「大丈夫か?バイソン坊」

「相変わらず無茶苦茶しますね。ドラグーンさん」

 

そう言うがバイソン坊も結構揉まれたみたいだなと伝えると、彼は一瞬照れ顔になった後少し溜息を吐いた。

 

「まぁ、こっちも色々あったんですよ」

「そうか。暫くこっちに居るから愚痴言いたくなったら、呼んでな」

「ありがとうございます。では今夜空いてますか?」

 

ありゃ?思った以上に溜まって居たみたいだな。俺はそう思い、頷いた。

 

「じゃあ、場所はどうする?」

「そうですね。ならこちらが決めますね。また連絡します」

 

バイソンはそう言って仕事の途中だったのか足早に離れて行った。まだあと数時間あるな。

 

「なら、仕事を探すかな」

 

傭兵稼業はもう辞めたしな。ハロワにでも顔を出すかな。俺はそう思いバイクを走らせた。

 

「んー、いい仕事無いなぁ」

 

やっぱり傭兵稼業の方が命の危険はあれどその分割高なんだなも思いながら、普通の企業案内を見ていると見知った企業名が目についた。

 

「ロドス・アイランドか」

 

結構幅広く募集しているな。メンテナンス員やら看護師やら、事務職やら、ん?教官職?何が空いてるんだ?

 

俺は給料も良いのでその紙をよく見ると、訓練の補佐と書かれており、戦闘経験がなるべく多い必要があるのか。

俺で行けるか?と思いつつ募集用の履歴書を記入して封筒に入れ、紹介カウンターの横にある配送カウンターに向かった。

 

「お願いします」

「はい、配送料金は1500弊です」

 

サイフからピッタリで出して、俺はハロワを後にした。

 

「おや、丁度良かったかな?」

 

ハロワを出ると丁度端末が震えたので見てみると、バイソンから店の場所と時間が書いてあった。

 

「了解っと、じゃあ駐車場に先に行って待ってるかな」

 

俺は相棒の火を入れ、目的地に向けアクセルを吹かせた。

 

駐車場に無事バイクを停め店の近くで待つこと数分、バイソン坊が店前でキョロキョロしだしたので、手を上げながら近付いていく。

 

「バイソン坊」

「ドラグーンさん」

 

合流したので立ち話もなんだし、すぐに店内にはいる。予約を取ってる様なのでそのまま個室に通された。

 

「ドラグーンさんは、お酒飲みますか?」

「おう。安全な駐車場に停めてあるから、飲むぞ」

 

バイソン坊の選んだ店は良いの置いて有りそうだしなと思いながらそう返すと、彼は分かりましたと言った。

 

「あまり飲み過ぎ無いで下さいね?」

「大丈夫だ。こんな所で酔うまで飲むだけの金は無い」

 

あったら飲むんですねと苦笑いしたバイソン坊。まぁそんなもんさ。

 

それから適当にツマミやら食事と飲み物を頼んで待ってる先に話を振った。

 

「そっちはどんな事があったんだ?こっちはさっき話した話くらいのもんだが」

「そうですね。ドラグーンさんはペンギン急便をご存知ですか?」

 

その問いに俺は一応頷く。結構ヤンチャしてる運送会社?だったはずだ。そう思っていると、彼はポツポツと呟く様に話し始めた。

 

「僕、実は今そのペンギン急便に一度行った話はしたじゃないですか」

「あぁそう言えば、あの時のバイソン坊は結構鬱憤溜まってたもんな」

 

俺は前回のこう言った場の時を思い出しながら何度も頷いた。

 

「それで、今ロドスにお世話になっているんです」

「ロドスにねーん?」

 

どうやら彼は現在ロドスで仕事をしているそうで、その中のトランスポーターがいわゆるペンギン急便式だったそうで、かなり苦労した様だ。しかもその例のペンギン急便の面々も居るそうだ。

 

「ーまったくエク姉は相変わらず考えるより先に引き金低しー」

「まぁ人は中々変わらんものだから...な?」

 

うん。今日はなかなか遅くなりそうだ。

 

ーーーーーー

 

その後酒が全く入ってないのに、愚痴が止まらない彼の相手をし続けそれが終わった頃には沈んでいた日が登り始めていた。

 

「すみません。こんなに...」

「別に構わねーよ。困った時には面を被らず言えって言ったろ?」

 

それに、人のエピソードを聞くのは何気に楽しいんだよな。そう心の中で呟きながら俺はバイソン坊に背を向けた。

 

「まぁ、また何かあったら連絡くれよ。じゃな」

「...はいっ!」

 




片手を上げながら結構な速さで去って行く人を僕は見送った。
僕がまだ仕事になれてない時に、護衛として知り合った龍族の青年。
そして、初めて仕事以外で出来た仲の良い友人である彼はまた何処かをフラフラと歩んで行くのだろう。それはまるで吹く風の如く。

僕は明るくなりだした空を見上げて一つ願う。
願うことなら、また彼と同じ仕事をしたいなと。

ーーーーーーーー

はい、と言うわけで初男性キャラの登場ですっ!

次回こそはロドスに入社できるかな?

感想・評価お待ちしております!

また次回お会いしましょう。


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第4話:入社

第三話です。

まだまだ執筆速度が遅くリハビリは長くなりそうだと思う今日この頃でございます。

では、ゆっくりしていってね!


バイソン坊と話しをした日から早数日、俺はある所目指し相棒を走らせていた。

 

「さらば龍門。また来るぜ」

 

良い場所が多いからなと思いなら龍門の近くに止まっている移動都市に目を向ける。

 

「さてと、受かると良いなぁ...」

 

その呟きは風に乗り何処かに吹き飛ばされていった。

 

その後送られてきた試験概要の通りに乗艦する前に受付のおっさんに一報入れると、更に詳しい艦内図が渡され

 

「時間までにその場所に待機するように」

「了解しました。ありがとうございます」

 

図を見ながら、相棒を指定された駐車場へ停め時間を確認。移動時間も想定して思った以上に余裕が無く少し足早に目的地である会議室の前に立った。

 

「まぁ集合時間前だから誰も居ないのかな?」

 

中に入るか悩んだが、一応廊下で待機する。暫く経つと後ろから声を掛けられた。

 

「貴方がドラグーンさんですか?」

「あ、はいそうです」

 

話しかけてきた人物は人事部のお偉いさんの様だった。簡単な筆記試験をするみたいだ。ヤバいな俺は学校に行っていないので独学でどこまで食らいつけるか心配であったが、どちらかと言うと結果は良かった様でお偉いさんの口角が少し上がったのを確認した。

 

「試験は以上です。では次は面接に移りますが、よろしいでしょうか?」

「はい、大丈夫です」

 

予想通りに面接が始まったので、履歴書の通りの答えと質問を答えていった。内容はまぁ傭兵としての経歴の確認と出身地の話程度であった。ーにしてもそれも確認程度で終わってしまった。

 

「はい。ありがとうございます。では結果をお伝えします」

「...ゑ?」

 

今結果と言いましたか?はぇ?困惑している俺に人事部主任はにこやかにこう答えた。

 

「合格ですよ。そもそも人柄は前確認してましたしね」

「???」

 

その後困惑している俺に対して人事部主任は優しく今後の予定を組み上げていってくれた。因みにそもそもこの試験は本当に確認作業であった様だ。アーミヤ社長から俺の名前があったら一報入れろと言っていたそうだ。これは俗に言うコネ入社かな?と思いつつ今後の予定を見ながら、現在部屋に向かっている。流石に前回居候した所では無かったが、まぁこの付近なら何となくわかるのでサクサク歩いて行く。

 

「ここだな?うん間違いない」

 

一人部屋なので借りたキーでロックを開け中に入る。

 

「よーし、荷ほどきするかな」

 

と言っても正直物は殆ど無いんだけどね。まぁ長く居そうだから少しづつものを増やしていくかな。

 

「よし、終了っと。早急に必要なのは武器ラックかな」

 

無造作に立て掛けるよりそっちの方が良いだろうと思い、買い出しに向かおうと扉の前に向かうと同時に呼び鈴がなった。

 

「は~い、どちら様で?」

 

俺は聞こえているか分からないが、そのまま扉を開くとそこにはアーミヤ社長が立っていた。

 

「ドラグーンさん。今大丈夫ですか?」

「?はい大丈夫ですが」

 

何の用だろうか?今日の予定は特に無かったはずと思ったが社長は少し申し訳なさそうにした後状況を話し始めた。

 

「今からドクターの所に一緒に来ていただいてもいいでしょうか?」

「あぁ成程。良いですよ」

 

多分時間の記入ミスか何かだろう。特に今から急いでやたなきゃならない事は無いのでそう返すと、社長はホッと安心したのか息を吐いた。

 

「では、準備が出来たらお願いします」

「何か必要な物はありますか?」

 

その問いに社長は暫く悩んだ後

 

「では、何時も戦う状態でお願いします」

「了解」

 

何時も戦う恰好となったら今着ているのがそうだし、後は部屋に置いてある槍を持ってっと。俺は忘れものが無い事を確認した後に、部屋を出た。

 

「それでは、行きましょう」

「了解です」

 

 

その後特に何の話も無く廊下をひたすら歩いて行く。まぁたまに職員の人達にアーミヤ社長が声を掛けられていた程度であった。その時は特に話題に入らない様に軽く自己紹介をするかしないか程度の会話だけしていた。

そんなこんなで歩いて行くと、アーミヤ社長はある部屋の扉の前に立ち止まった。

 

「ここです。私に続いて入って来てくださいね」

「あ、了解です」

 

何かさっきから了解ですとしか答えてないので、ロボット感があるけどそれは仕方がないのだ。緊張しているんだよ。

まぁ、向こうは特に何も思っていないのか入室した。

 

「失礼します。ドクター連れて来ましたよ」

 

アーミヤ社長の言葉に黒いフードによって顔は見えないが、うん気配があの時のドクターだな。どうやら影武者ではなさそうだ。彼女は下に向けていた顔を上げた。

 

「あぁ、アーミヤ。お疲れ様。あと...」

「初めまして。いやお久しぶりです。この度特殊オペレーターとして配属になりました、ドラグーンです。これからドクターの下でお世話になります。よろしくお願いいたします」

「「......」」

 

上司に対する言葉遣い....合っているだろうか?暫くぶりに使ったので少々間違っているかもしれないなと思いながら頭を下げるが、帰って来たのは沈黙であった。

 

「...っは!頭を上げて良いですよ!ドラグーンさん!」

「え~と、あの時のドラグーン...さんですよね?」

 

何時まで頭を下げてればいいんだろうと考えていると、先にフリーズから復帰したのかアーミヤ社長が慌てて顔を上げてと言ってきた。なので頭を上げるとドクターが困惑したような声音で聞いてきた。

 

「そうですよ?何かありましたか?」

「いや、あの...何時も通りで良いですよ?」

 

流石に時と場合によるけどとドクターは言ってきた。その言葉に隣に居たアーミヤ社長も項いた。ありゃ?気を使われている?まぁ向こうがそう言っているならお言葉に甘えるとしますかね。

 

「んんっ!じゃあ普段はこれで行かせて貰うわ。よろしくな」

「はい。よろしくお願いします」

 

俺の言葉に頷きながら、そう言うアーミヤ社長。うん彼女の言葉遣いは多分癖なのかな?因みに後ろでドクターも頷いている。

 

「じゃあ、これで今日の予定は終わりですかね?」

「うん。...ん?」

 

俺の言葉に頷きながら答えるドクターであったが、突然鳴った端末をタッチして話し始める。まぁスピーカーモードなのでまる聞こえである。

 

[ドクター!輸送隊がレユニオンに襲われています!]

「今動ける部隊はー!」

 

ドクターの目がコチラの方を向く。詳しく言うと俺とアーミヤ社長を見ていた。

 

「ドラグーン。突然で悪いけど、今の体調的にあの時と同じ位の力出せる?勿論無茶言ってるのは分かるけどー」

「ードクター。今は貴女にこの槍を預けよう。さぁ命令を」

 

ドクターの言葉を遮り槍を展開して言葉を紡ぐ。それで理解をしたのか、ドクターは一言感謝の言葉を言い隣にいるアーミヤに視線を送る。

 

「行きましょうドクター。一応今出れる人達を集めました」

「うん。まずはハンガーまで移動しよう」

 

状況把握は移動しながらねとドクターは足早に部屋を後にした。




いきなり出撃となった不運なドラグーンはどうなるのか!?

では、また次回お会いしましょう。


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第5話:救出作戦?

はい、何か戦ってばかりっすね←
因みにドラグーン君のプロフィールって欲しいですかね?

では、ゆっくりしていってね!


ドクターが歩いていくのと同時に声で指示をしているそうだが、その声音は緊迫していた。因みに状況はアーミヤ社長から説明を受けた。と言っても簡潔にまとめられた物であったが。

 

「状況悪そうだな」

「そうですね」

 

アーミヤ社長は悔しそうにドクターの後をつけている。気が気じゃないのだろうな。部下のピンチなのだから。俺は自分が今から出来る事をやるだけだな。そう思っているとドクターが漸く口を開いた。

 

「アーミヤ。今から帰投中の第2部隊と合流する」

「えっ、でもそれだとー」

 

救援が間に合わないと思ったのだろう。アーミヤ社長がそう言おうとしたのをドクターは手を上げて止める。

 

「そこでだドラグーン。君のバイクは二人乗りかな?」

「そうだな。誰が後ろに乗る?」

 

その返しにドクターはまた少し悩んでいる。するとそこに声を掛けてくる人物が居た。

 

「ん?ドクター?こんな時間にここを歩いているとはな」

「...いた!」

 

丁度曲がり角にて声を掛けて来たのは硬物ドラゴンことサリアであった。その格好は何時もの格好ではなく、私服姿であった。そんな彼女にドクターは擦り寄って行き両手を掴んだ。

 

「休日にごめん!緊急事態だから、手伝って!」

「...説明を要求する」

 

鋭い視線がコチラを貫いた。俺が説明しなきゃいけないの?新人ぞ?

 

「えーと、輸送隊が襲われてる。状況はかなり不味い。今ここにいるメンバーじゃ足りない。先行部隊で俺もう一人行くが、条件に合った人がサリアさんしか居ない」

 

予想も入っているが多分合ってるよな?チラッとアーミヤ社長を確認すると頷いてくれた。それを見たサリアさんも頷いた。

 

「緊急事態では仕方がないな。手伝おう」

「ありがとう!じゃあ急いでハンガーに来て!」

 

ドクターはそれを言うと急ぎ足で向かっていく。俺もそれに付いて行く。

 

 

ハンガーに付いて俺がまず始めたのは、ヘルメットの準備であった。と言っても一応殆どの種族に合うヘルメットを持ってるのでそれを取り出し、準備完了だ。するとドクターが近付いて来た。何かリュックサックを持ちながら

 

「これをバイクに取り付けて」

「通信機のアンテナ?」

 

ドクターは頷いた。俺は了解と言ってバイク後部に付いている荷物置きに括り付けた。

 

「こんな感じで大丈夫か?」

「アンテナが出てれば大丈夫なはず」

 

急ぎだからか、ドクターはそれじゃあと言って来た方向に帰っていった。俺は通信機を耳に付けて起動する。そう言えばチャンネルは?俺が迷っているとサリアさんが走って向かって来た。

 

「来たぞ。通信機のチャンネルは緊急時はコレを使う」

「エスパーですかっと」

 

そう言って手渡されたメモを見ながら設定すると、ドクターの声が聞こえた。

 

[後はドラグーンだけだね]

「遅くなりました。ドラグーン入りました。どうぞ」

 

そう言うとドクターは確認完了と言って作戦の詳細を話し始めた。

 

[では、これから救出作戦を開始します。まずはドラグーン、サリア両名にて対象部隊をポイントαまで撤退させて下さい。方法はサリアの硬質化で敵の足止め、ドラグーンでその援護をして下さい]

「了解!」

[分かった]

 

じゃあ、先に向うとしますかね。俺はヘルメットを被りバイクに跨った。その直後にサリアさんがヘルメットを被り俺の後ろに跨った。

 

「しっかり捕まってて下さい」

[あぁ]

 

無線ごしの返事と共に俺の腹部に手が回される。盾はどうやら背中に背負っているので両手でしっかりと捕まってきた。

 

「ドクター。ドラグーン先行します!」

[頼みます]

 

ドクターの声と共に俺はハンガーから飛び出た。

 

ハンガーから飛び出て、すぐに指揮官以外のオペレーターさんが通信に入って来たので、その指示どおりの道を爆走していると、少し辛そうな声が通信機から聞こえてきた。

 

[づっ?!]

「何か当たりましたか!?」

[い、いや大丈夫だ]

 

そう言う彼女は更に両手に力を入れた。ヴイーヴルの力は強いな...いや彼女が重装オペレーターだからか?いやちょっと体がミシミシいってる!

 

「サリアさん?力を少し弱めて貰えると...ミシミシ来てますので」

[っ!す、すまない]

 

うーん。でも速度落とすのは結構ヤバいよな?悪いがサリアさんにはもう暫く堪えてもらおう。

俺は心の中で誤りつつ更に速度を上げた。

 

[!!]

「グゥッ...」

 

これ、目的地まで大丈夫かな?主に俺の腹部。

 

それから暫く無言になったサリアさんに一方的に声を掛け励まし?爆走していると目的地付近に似た地形ー渓谷が見えて来た。

 

[こちらドクター。先行部隊に報告、味方重装オペレーターが負傷!急いで!]

「了解っ!...見えたっ!」

 

緊迫した声が聞こえそれに返事を返した所で丁度戦場が見えた。そこで後から殆ど発声していなかった声が聞こえた。

 

[ドクター。これより戦闘に入る。前線で殿をするが良いな?]

[お願いします]

 

ならあの重装オペレーターの代わりに前線を張ってる先鋒オペレーターとの間に停車すれば良いんだな?と思っていると、腰に巻かれていた腕が一本消えた。

 

[ドラグーン。このバイクを強化する。そのまま敵の後方目掛けて『吹き飛ばせ』]

「なる程...ねっ!」

 

俺は更に速度を上げる。すると前方どころか全体から何やらシールドが出現した。俺は相棒にごめんと心なかで謝り、丁度味方の近くになった時に飛び上がった。

 

相棒は弾丸となり敵を数人ひき飛ばし、壁に激突し停車した。俺は上空に居る。サリアさんの声が聞こえた。そちらを向くと盾とは逆に持った銃を重装オペレーターに向け放っていた。

 

[全員引け!私が受け止める!これで動けるか?]

[動ける、助かった]

 

よし、少しずつ下がりだしたな。それを横目で確認しつつ敵を見る。見た感じ野党の類だな、軍にしては統率されてない。俺はそれを確認していると術師のグループがコチラに向かってアーツ攻撃を仕掛けてきた。

 

「甘いっ」

 

普通の人間ならば、空中に居るのは当ててくれと言っている様なものだ。だが此方は狙って上空に来てるんでね!俺は槍を構え相手の攻撃を弾いた。

 

[ドラグーン!]

「感謝!」

 

いくつか受ける気で居たが、それらはサリアさんのアーツで防がれた。では此方も仕事をしましょうかね!

 

「サリアさん!突風警戒!」

[!分かった]

 

俺は槍を持っている右手では無く左手を頭の上に持ち上げそのまま振り下げた。すると術師集団に突風が巻き上がり奥の壁に叩き付けられた。俺はそのままサリアさんの隣に着地して、彼女に群がっていた敵の一体を挟撃した。

 

「せいっ!」

「ぐあっ」

 

よーし、じゃあここからは下がりますかね。そもそも突風で一旦敵の進行が遅くできたな。よしこのまま撤退するぞ。

 

 

そのまま撤退戦をしているが、やはりジリ貧である。徐々にだが、サリアさんも俺も疲労が溜まってきている。だが目的地まであと少し...!その時であった。

 

[サリア!ドラグーン!下がって!]

「「!?」」

 

その言葉に反射的にさがる。それと同時に敵集団が燃えた。それと同時に元気の良い声が聞こえた。

 

[オレ様のお通りだ!]

「っ!...」

 

その声が聞こえた時サリアさんの顔が少し強張ったけどどうしたんだろう?結構深い何かがあるんだろうなと思っているとドクターからの通信が入った。

 

[このまま撤退します!サリア、ドラグーンも速く輸送車に!]

「......わ」

「いや、バイクで並走しますよ。サリアさん、相乗するか?」

「えっ、あぁ」

 

サリアさんが眉を顰めていたので、俺は彼女が何か言う前にそう言った。俺は質問が飛んでくる前に一言言った。

 

「俺の相棒は特別なので来ますよ!ほらっ!」

 

俺がそう言うと敵集団の隣を相棒が無人で動き近付いてくる。それを確認したのか輸送車は扉を閉め走り始めた。俺は走ってくるバイクに飛び乗りサリアさんの前で停車した。サリアさんは直ぐに盾を背中に背負い後ろに乗った。じゃあ輸送車の並走するかな。

 

あの後野党共は諦めたのか追いかける生体反応が無くなり今はそこまで速度を出さずに帰投中であった。

 

[ドラグーン]

「どうかしましたか?サリアさん」

[礼を言う]

 

う~ん、少し運転が荒かっただろうか?そんな事を思っているがその予想を反して彼女が言ってきたのは感謝の言葉であった。

 

「いえいえ、案外一人でバイク乗るの寂しいと思う事もあるんですよ。今日みたいな日は特にね」

[そうか]

 

まぁ、それはそうとサリアさんみたいな美人さんと相乗りした経験なんて皆無なので緊張しているのは心の内にでもしまっておこう。

そう考えていると、ドクターの通信が入った。それとほぼ同時にロドスが見えてきた。

 

[あと少しだけど、気を抜かずにお願いします]

「了解」

 

 

それから特に何もなく、医療部門のオペレーターさんやらはまだ今から一仕事あるみたいだが、俺は解放された。因みにボーナスが入るそうで...良かった。相棒のメンテナンス費用にあてよう。




次回からは、訓練+お隣さん等々です!

感想・評価、待っております!(くれるとやる気が出ますっ)←

では、次回またお会いしましょう!



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第6話:訓練とお隣さん

第6話です。

ドクターの皆様は危機契約どうですか?私は頑張って交換所の娘を回収しようとして理性(リアル)を削っている毎日です。

今回は戦闘はほどんどないです。

では、ゆっくりしていってね!


あの緊急出動から何日か経ち、前日俺も漸く誰もが受ける初期講習を終えた。今日から訓練場にて槍使い等の訓練を請け負う事となった。

 

「ドラグーン!」

 

朝食を取り、棒状態の武器を片手に訓練所に向かって歩いていると呼び止められた。振り返るとロドスの訓練の長をしているペッロー族の女性、ドーベルマン教官が近付いて来た。

 

「ドーベルマン教官。おはようございます」

「おはよう。今日から頼むぞ」

「全力で教えようと思います」

 

まぁ人に教えたことなんで無いので少し不安だがと心の中で思っていると、ドーベルマン教官はニヤと笑い

 

「それは上々。あと教官は要らんぞドラグーン」

「ではドーベルマンさんと」

 

そこで分かれ道となったのでドーベルマンきょ...さんと別れ自分は訓練所のある方へと向かった。

 

 

訓練所に付き入るとそこには数人立って待っていた。えーと人数は、二人キチンと居るみたいだな。遅刻者は居ないようで良かった。すると青髪のクランタ族...確かフェンだったかな?が声を掛けてきた。

 

「貴方が今日からの教官ですか?」

「そうだ。今日から槍、いや棒術全般の訓練を担当する事となったドラグーンだ。よろしくな」

 

すると皆からよろしくと言う声が帰ってきた。うん、問題児的な人はいなさそうだな。

 

「と言っても二人だけか...」

 

まぁそらそうだ。俺の訓練はオプションの訓練だからな。希望者のみなのだ。普段の訓練にプラスしてやるしそもそも、俺の腕前も知らん人多いからな。俺は気合を入れると二人をよく見る。ドーベルマンさんから言われていた通りのイメージだとフェンは基礎をやってる感じで正しいみたいだな。

 

「うん、じゃあ先に一応どれ位の腕前かどうか確認がてら組み合うか。先にやりたい方いる?」

 

すると、元気よくもう一人の槍使い銀髪のクランタであるグラニが手を上げた。

 

「はいっ!僕がやりますっ!」

「グラニが先で良いかな?フェン」

「はい」

 

フェンが頷いたので、俺は少し二人から離れる。じゃあやるかな。

 

「じゃあグラニ。よろしくな」

「うんっ!よろしくっ!」

 

と言うと同時に彼女は槍を構え突っ込んでくる。かなりのスピード!俺はその攻撃を受け止めた。

 

「やぁっ!」

「よっ」

 

そこからなるべく、反撃を入れずに彼女の攻撃を受け止めたり受け流したりする。うんこの娘訓練する必要あるか?もう教える事無いんだが!?俺は真面目に考えつつ何か粗が無いか探る。しかし、もう自身の戦い方を見つけてるので特にはー

 

「そこ入るよ?」

「なっ?!」

 

うん。どうやら経験はそこまでって感じかな?なら俺なりにスキの無くす為の組み合い相手になるかな。向こうがそれでも良いならだけど。そう考えつつ体制を崩したグラニの首筋に棒の先っちょを添える。

 

「はい、終わり」

「ーありがとうございました!」

 

彼女は直ぐに降参の意をコチラに伝え頭を下げてきた。よしよれじゃあさっきの考えを伝えるかな。

 

「グラニ。君、訓練必要かい?俺教える事無いのだが?」

「それはキチンと槍を使ってから言って欲しいかな?」

 

グラニはジト目で此方を睨んできた。

 

「戦闘は良くも悪くも経験が必要だから、グラニは取り敢えず組み合いかな?それで荒を取っていこうか」

「分かったよ!ドラグーン教官に速く槍を使わせて見せるよ!」

 

そう言って気合いを入れ直すグラニ。向上心の塊だな教える側としてはつい教育に力がはいる奴だな。

気合いを入れてるところ申し訳ないが、次はフェンだな。そう思いそちらに目を向けると、彼女は頭を下げよろしくお願いしますと言ってきた。

 

「よろしく。じゃあ、掛かって来てな」

「行きますっ!」

 

そう言って鋭い突きを放ってくるフェン。うん流石にグラニ程じゃないが、流石キチンと教官達にしごかれてるな。まぁ俺からあまり教え過ぎーーーとかは考えるなってフェンの教官は言っていたな。ならゴリゴリ教えて行くかな。彼女の癖から良い動きを考えつつ、先程同様に受けに徹して彼女の攻撃をいなしていく。

 

「はっ!」

「うん。良い攻撃だっ!」

 

うむうむ。だが少々丁寧過ぎるかな?俺は今度は反撃をしていく事にした。すると直ぐにペースが崩れて行き、終いには予想通り槍を弾いてしまった。

 

「!?」

「はい、終わり」

「参りました」

 

俺は無防備な彼女の首筋に棒の先っちょを着ける。じゃあフェンにも伝えるかな。

 

「フェンは今度は自分らしい立ち回りを作っていこう。基本はグラニと変わらず組み合いで思った事はその都度教えるよ」

「はい!よろしくお願いします!」

 

俺は近くの座れそうな障害物に背を預けていたグラニを手招きする。そして今後の予定を言った。

 

「明日から通常の訓練前後に交互に組み合おう。アドバイスはその都度教える。こんな感じで行こうと思うが何か質問は?」

 

特には無さそうだな。じゃあっとそろそろ通常の訓練時間かな?俺は時間を見てそう思ったので訓練を終わらせようと言葉を続けた。

 

「では、これで初回は終了します。報告書は午後終わってからで良いからな。では解散!」

「「ありがとうございました!」」

 

そう言って、訓練やら任務に向かって走り出していく二人を見送った。よーし俺はそこの後は暇なんだよな。

 

「取り敢えず部屋に帰るか」

 

俺はそう呟いて部屋に向かい歩みを進めた。

 

特に追加の仕事の予定追加されず、俺はそのまま部屋に行くと俺の部屋の隣から人が出てきた。

 

「ん?お前はー」

「お隣りさんか、はじめまして俺はドラグーンと言う。よろしくな」

 

俺はそう言って棒を持っていない方を相手の白いフードを被ったフォルテ族の女性に手を差し伸べた。すると彼女は少し戸惑ったが、手をとってくれた。

 

「私はヴァルカンだ。ロドスで武器のメンテナンスをしてる鍛冶師だ」

 

そう言って彼女は俺の棒をジィと見つめて来た。

 

「少し見ても良いだろうか?」

「ん?あぁ、構わない」

 

俺はそう言って彼女に棒を渡すと暫く見つめ続けたいやそこまで見る必要あるか?そう思っていると彼女は此方をやや鋭い目線で睨んできた。

 

「これはお前の力量に合っていないのでは無いのか?」

「そんな事は無いぞ?」

 

俺がそう答えるとジィと今度は俺の目を見つめてくるヴァルカン。暫く見つめ合っていると向こうから視線を俺の棒に向けた。

 

「ヴァルカンさん、迷惑じゃ無ければ手入れしてくれないか?俺じゃやりきれない所が多いから」

「...そうだろうな。任せろ、何時までだ?」

 

えーと何時まで?いや、今からやられると午後の訓練があるからあれ、これ無理じゃないか?

 

「すまん、暫く無理だった。訓練があった」

「それは訓練される側か?」

 

その問いに俺は首を横に振った。すると彼女は俺に棒を返して俺が来た方に身体を向けて

 

「代わりの槍なら何本かあるが見てみるか?」

「丁度いい長さがあれば」

 

と聞いてきたので答えると彼女は付いて来いと言って俺が来た道を歩いていく。俺は急いでついて行った。

 

 

付いて行くとある場所でヴァルカンは立ち止まり入って行ったので続いて入る。

 

「ここだ。取っていい武器はあそこのラックにある」

「お、おう」

「その武器をもう少し詳しく見せてくれないか?」

 

ヴァルカンがそう言ってきたので、俺は頷いて渡すと彼女は調整台で詳しく見始めた。なら俺も見るかな?

俺はラックに近づくとそこには剣から槍、棒やらハルバート等等が結構な数置いてあった。

 

「なぁ、ヴァルカンさんー!」

「ヴァルカンでいい。それでなんだ?」

 

彼女は俺の棒を磨きながら反応したので俺は質問した。

 

「ここの武器は全部貴女が?」

「そうだ。どうだ?」

 

短い言葉に様々な意味が乗り俺に届いた。俺は近くにあった俺の棒と同じ位の大きさのハルバートを壁に当たらないように軽く振った。

 

「良い武器だな」

「ハルバートも使うのか?」

 

今度はそんな事を聞いてきた。まぁ普通はそうだよな。

 

「俺は槍が一番だけど、ハルバートも棍も薙刀...まぁ長い物はある程度使えるかな?」

「色々使えるんだな。だからコイツは棍と槍になるんだな」

 

ヴァルカンはそう言って俺の棒を動かし穂先を展開した。

 

「そうだよ」

「ではそのハルバートにするか?コイツのメンテは少し掛かるぞ?」

「優柔不断で悪いが、もう少し悩ませてくれ」

 

俺の言葉にヴァルカンは決まったら教えてくれと返して奥の方にある炉の前に向かった。暫くすると槌を打つ音が始まる。それをBGMに俺は武器を選び始めた。

 

「うん。まぁ槍かな」

 

俺は一番オーソドックスな槍を持ちヴァルカンの方に向う。すると丁度良いタイミングだった様だ。彼女も此方を向いたので声を掛けた。

 

「それか?」

「あぁ。ではメンテナンスよろしく頼む。どれ位掛かりそうだ?」

 

俺の質問にヴァルカンは少し悩んだ後口を開いた。

 

「今日から一週間は欲しい。そうしたらお前が『満足』する物に直せるだろう」

「......じゃあ、一週間後にまたここに来るわ。じゃあまた」

 

俺はそう言って工房を後にした。

その時ヴァルカンが何か言っていたが聞き取れなかった。




「お前は一体何者なんだー?」


思った以上に話が長引きました。訓練がぁ終わらなかった......だと!?

次回はまた訓練を前半に、後半にはほのぼのさせたいと思います!

感想・評価お待ちしております!

では次回お会いしましょう。


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第7話:苦手な者

はい、七話です。メインで出てくるキャラはこれで終わりですかねぇ...

次回位からほのぼのパートに入れるはず...うん。

あとがきにアンケートいれます。お気軽にやっていって下さいっ!

では、ゆっくりしていってね!


ヴァルカンの工房から出ると同時に今の時間を確認する。昼前であるので飯を食ってから武器ラックでも買いに行くかな?

 

「いや、一応業務中ではあるからどうなんだ?う~む」

「ドラグーン?どうかしましたか?」

 

廊下を一人ブツブツと呟きながら歩いていると、後ろから声を掛けられた。そちらを見るとそこには般若を持ったホシグマが立っていた。

 

「ホシグマか。いやなに、仕事が思いのほか無かったから買い出しに行って良いか悩んでいたところだ」

「成程。それは流石に不味いかと」

 

だよなぁ....まぁ部屋に戻ってのんびりするか?いやこの槍の練習がてら訓練場の隅貸してもらうかと思っていると、ホシグマが一言

 

「昼は食べましたか?」

「んや。今からだな」

「ならご一緒しても?」

 

おっそれは良いかもしれないな。俺は頷き返事をすると彼女はふっと笑った後

 

「じゃあ行きましょうか」

「あいよ~」

 

 

あれから普通に世間話をしながら昼食を取り、残った昼休み中にそのまま訓練所に向かった。

 

「うん。空いてるね」

 

それじゃあ午後の訓練が始まるまで慣らしをしますかね。

俺は槍を前に向けて構えを取った。長さはまぁ誤差範囲かな?

 

「よっ、はっ!、それっ!」

 

俺なりの型を確認しつつ演舞を続ける。そしてコレを造った彼女の事を思い出した。

 

「すげぇな。下手な鍛冶士より良い仕事をしてるな」

 

侮っていた訳じゃ無いがこの槍ならあの技も出来そうな気がしてくるなと考えて居ると何者かが近付いて来た。その視線は観察をするような、いや観察と言うより舐め回す様な視線であった。

俺が構えを解いてそちらを向くとニヤりと笑いつつコチラにズンズン進んで来る。

 

「よぉ、久しぶりじゃねえか」

「何の様です?」

 

そう聞くと彼女はニヤニヤしながらコチラに近付いて来て俺の肩をポンと叩いた。

 

「そうカッカすんなって、お前がココに来たって聞いたから様子見に来ただけだって!」

「...はぁ、様子見にしては視線が絡みつくようだったが?」

 

俺の言葉にその人物...ニェンは何を当たり前な事を言ってるんだと言った顔になった。

 

「なに当たり前な事を言ってんだ?まぁ許可無しにやった事は悪かったよ。んな事より」

 

ーお前の愛槍はどうしたんだ?と彼女はそう続けた。俺はその言葉になるべく淡々と答えた。

 

「なに、命を掛けたときに耐え切れなかったんだよ」

 

それに、その戦闘のせいで本気を出せ無くなったので、もうあのクラスの槍は必要ないと口外に伝える。ニェンはふーんと言った後

 

「じゃあ打ってくるかね」

「!?おいっ!」

 

俺の制止の声を無視というより何とも思っていないのか、楽しみにしとけよ〜と彼女は帰って行った。

 

「...はぁ」

 

彼女なら造るだろうな...俺はもうなるようにしかならない現実に溜息を吐いた。

 

「切り替えだな」

 

 

悩んでいても仕方がないので、槍の感覚を掴む作業に戻った。と言っても後は奥義クラスなのであまり見せるものではないか...なんてことを考えているとまた誰かが近付いてきた、

 

「ん、ドラグーンか?」

「ドーベルマンさん」

 

まだ午後の訓練には時間があるのだがどうしたのだろうと考えていると、彼女は俺の持っている槍の方を見て首を少し捻った。

 

「君の武器はどうした?」

「ヴァルカンさんに預けました。訓練ならこっちの方が都合良いですし」

 

駄目でしたか?と聞き返すと、彼女は首を横に振った。

 

「お前は基本まだ作戦には積極的に出ないから、メイン武装でなくても平気だろう。邪魔したな」

「いえいえ、もう終わろうとしていたので大丈夫ですよ」

 

奥義は多分すぐに使うことないだろしこう返すと、彼女はそうかと言って訓練場の奥に歩いて行った。

 

「ん~訓練の邪魔しちゃ不味いよな?」

 

そろそろ止めて帰一旦部屋に帰るとしますか。俺はそう思って訓練場を後にした。

 

 

「ドラグーン教官!」

 

訓練場から出て報告書のテンプレートを端末で見ながら歩いていると声を掛けられた。俺は振り返るとそこにはグラニがこちらに手を振って向かってきた。

 

「グラニ?午後は訓練じゃなかったのか?」

「あはは~」

 

俺の質問に彼女は頭の後ろをポリポリとかいた。これは何かあったな?

 

「いやぁ~訓練しようとしたら、この前の任務ーードラグーンと会った時の任務の報告書にミスがあったらしくてさ」

「怒られて今から訓練場か?」

 

今からなら5~10分程度の遅刻で済みそうだと思い聞いてみるが、グラニは首を横に振った。

 

「クランタの足の速さを舐めないでよっ!もう訓練場にはもう寄ったよ!ただ」

「ただ?」

「ドーベルマン教官だったから、許してもらえなかった」

 

なるほどな。じゃあ今から暇なのか。

 

「じゃあ、今から訓練はなー場所が無いし......」

「教官は暇なの?」

 

首を傾げて聞いてくるグラニにまぁなと返すと、彼女は何かを思いついたのかテンション高くコチラにズイズイと近付きながら

 

「じゃあ、売店行こうよ!」

「いいなそれ」

 

決定!と元気よく言ったグラニは売店がある方向に歩き始める。って腕をひっぱるな!

 

 

それからグラニに引き摺られながらも売店を見回っていたが探していた物はなかった。

 

「教官の欲しいものはなんだったの?」

「武器ラック。といっても蓄えがそこまで無いから買えなかっただけとも言えるか」

 

まぁ今までほぼ自転車操業だった傭兵業だったからなぁ...入るときはヤバい位持っていたけど。と過去の事を話していると一人の女性が近付いてきた。表地がヴァイオレット裏地がレッドのダボっとした上着を着てその下にかなり大きなサイズのTシャツ?を着ている。

 

「あれれ?グラニと噂の新人教官君かな?」

「やあっ!クロージャ!そうそう!ドラグーン教官だよっ」

 

俺が反応する前に元気溌剌にグラニが返答する。俺は苦笑いしつつこちらを観察しているクロージャ?さんに挨拶をする。

 

「どうもこれからお世話になります、ドラグーンです。よろしくお願いいたします。クロージャさん?」

「...あ、うん。よろしく!あとクロージャでいいよ」

 

 

その後クロージャさんの話を聞くに、この人は主にロドス艦内の必需品の仕入れや購買部の運営、艦内インフラの整備等々をしていると言っていた。なんだただの超人の一人であったようだ。

そんな話を聞いた後、今の状況を聞かれたので素直に答えると彼女はあぁ~と言い後ろ髪をポリポリとかいた。

 

「ここに仕入れているのは、結構長く使えるものだから、コスパはいいはずなんだけどね。さすがにその手持ちじゃキツイねぇ」

「そうだよな。ありがとうクロージャ」

 

俺はそう言って、購買部を後にした。因みにグラニは何やら化粧品を買ったそうだ。ふと時間を端末で確認すると今から訓練場に向かったらちょうど訓練の時間になることに気が付いた。

 

「にしても結構時間使ったな」

「そうだね~。じゃあ一旦あたしは部屋にこれ置いてから、また訓練場に行くね!」

 

グラニの言葉に俺は頷くと、彼女はまたね!と言って走り去って行った。

 

「...じゃあ行くかな」

 

彼女の姿が消えてから、俺は訓練場への道を歩き始めた。

 

 

訓練場に付くと、そこには柔軟体操をしているフェンが居た。時間的にはまだ少し余裕があるが、まぁ真面目なのはいいことだ。

 

「フェン」

「あっ、ドラグーン教官!」

 

声を掛けると、彼女は姿勢を正そうするが俺はそれを止めた。

 

「別に軍隊じゃないからそういうのはいいよ。じゃあ少し早いけど始めようか」

「はいっ!」

 

そこから、彼女の素振りを見つつ特に上手い部分や逆に苦手な部分の洗い出しをしていく。

 

「スピードが長所だな。じゃあそのスピードを上げる訓練をするか」

「走り込みですか?」

 

そう言ってくるフェンに俺は否定で返した。

 

「いや、技の出を練習するんだ。せっかく速さが長所なら技の出も訓練すれば化ける気がしてな」

「成程...!ありがとうございます!」

 

感謝はまだはやいぞと突っ込みを入れて、これからの訓練のメニューを決めていると背後からこちらに近付いて来る足音がした。

 

「じゃあ、フェンは取り敢えずこんな感じで頑張ろうか」

「はいっ!」

「えっ!?まさか遅刻した!?」

 

俺の声が聞こえたのか、顔色がどんどん蒼くなっていくグラニの方に向いて大丈夫だと伝える。

 

「ナイスタイミングだグラニ。じゃあ打ち合おうか」

「うんっ!行くぞっ!」

 

その言葉と同時に突っ込んでくるグラニ。様子見はする気無い様だ!

 

 

それから暫く打ち合い、隙がある場所を教えていたら時間となっていた。

 

「よし、じゃあここまでだな!フェン!終わりだぞ!」

「はい...」

「ぁりがとぅございぃましたぁ」

 

フェンも結構きつかったのか結構な汗をかいていた。グラニは、まぁ少ししごきすぎたかな?まぁ特に話すこともないので早々に切り上げることにしよう。

 

「では、本日の訓練はここまで。解散!」

「うぅ...一歩も動けないぃ」

 

グラニはその場で倒れ込んだ。加減を改めないとなと思いながら彼女を保健室に連れていくため、お姫様抱っこをした。

まぁ、その後今日の保健室担当のオペレーターが何故かサリアで、説教を受け夕飯を食いそびれたのであった。因みにサリアはお弁当だそうで....最悪だ。




遅れて申し訳ないっ!

また、次回お会いしましょう!


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番外編01:ドラグーン教官をゲーム風に紹介

アンケート停止するのを忘れていた阿呆な筆者は私です。
なので今回は紹介と本編両方更新します。

では!


コードネーム:ドラグーン

レア度:☆5

陣営:ロドスアイランド

性別:男

職業:特殊

募集タグ:火力/爆発力

戦闘経験:10年

出身:極東

誕生日:不明

種族:龍

身長:180

専門:槍術/薙刀術/電撃作戦/強襲作戦/サバイバル

鉱石病:非感染

 

【物理強度】標準

【戦場機動】卓越

【生理的耐性】普通

【戦術立案】標準

【戦闘技術】卓越

【アーツ適正】欠落

 

個人履歴

傭兵をやっていた龍族の青年。その豊富な経験からロドスでは教官をしている。

 

健康診断

造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。

循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。

以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。

 

【源石融合率】0%

鉱石病の症状は見られない。

 

【血液中源石密度】0.10u/L

今のところは感染していない。

 

彼がここまで感染していないのは、純粋に防護対策を怠らずに生きているからだろう。

ー重装オペレーター サリア

 

っー!また勝手に資料みたんですか?まぁ興味深いですからね。彼

ー医療オペレーター フィリオプシス

 

ここは掲示板ではない。気を付けろ。

ーケルシー

 

資料1

彼は長年傭兵業をしていた様だが、その性格は普通の青年の様な性格をしている。ロドスに入ってからは基本的に龍門の者達と良く話すことが多い様だ。

趣味でバイクを良く弄っており、稀にそのバイクの部品に給料の殆どを使い金欠になる事も...

 

資料2

彼がロドスに加わって基礎訓練も無しに参加した救出作戦にて、彼の使用するアーツは確かに強力だと分かったがその制御は彼は苦手らしい。

今後、ドクターの元で作戦をするならそのアーツの訓練は必須だろう。

 

資料3

変形型槍:鉄棍(仮)

彼が傭兵時代から使い続けていると言われる武器種としては棍に入る武器。特徴としては、川の流れをイメージされている紋様が彫り込まれている事と片方の先端が展開して穂先になる。

重量的には成人男性なら、普通に振り回せる位の重さである。

この武装に使われている金属は鍛えあげられた何かの金属が使われている。

 

 

名称は元々何かついていた様だが、ドラグーン本人が忘れてしまっているため仮で単純な鉄棍と武器のメンテナンスを行っているヴァルカンは呼んでいるそうだ。

 

資料4

信頼度により開放

 

極限記録

第2昇進により開放

 

ーゲーム内ー

ステータス(第2昇進,レベルマックス,信頼度マックス)

HP:2560

攻撃:900

防御:300

術耐性:0

再配置:遅い

 

敵一体に物理ダメージを与える。

 

通常攻撃範囲

■□□

 

スキル1(特化3時)

激槍

範囲内の敵全体に攻撃力の250%の物理ダメージを与える。

 

スキル1発動範囲

 □

■□□□□

 □

 

スキル2

☆□○

ーーーーーーーーー不明

 




うーむ、これはレア度詐欺してる気がする←

まぁ取り敢えずこんな感じです。予想通りでしたでしょうか?

ではまた本編にてお会いしましょう!


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第8話:初めての休日

更新遅れました。申し訳ございませんっ!

では、ほのぼの?回ですっ!

ゆっくりしていってね!


あれからフェン、グラニの訓練をしその成果等をドーベルマンさんに報告したりして大体5日が経ったある日の朝。

 

「んっ...朝だな」

 

布団の中から手を伸ばして近くの端末を手に取る。そして日時を確認してふと何も書かれていないのを確認した。

 

「あっ今日休日か」

 

ならやること無いし寝るーーー

と思ったが、無いなら無いで色々買い足さなきゃと思った物があり、俺は布団の中から這い出た。

 

 

布団から這い出て、朝食やら着替えをして売店にて日常日用品の買い足していると声を掛けられた。

 

「ドラグーン?朝早くからなにをしている?」

「日用品の買い足しかな?サリアさんは?」

 

現れたサリアさんの質問に返事をする。

朝早くからやってるとは思っていなかったが、どうやら日用品等は夜勤の人もいるので24時間やっているみたいだ。因みに今は朝の6時である。サリアさんの感じ的に徹夜っぽくは感じないけど。

 

「私もそうだ。今日は休日だしな」

「服装、普段と変わらないじゃないですか」

 

この前は普段着来てたのにどうしたんだろう?と思いつつ聞いて見たら彼女は少し視線を外し

 

「さっきまで研究室で仮眠しててな」

「あぁ、お疲れ様です」

 

そこでピタリと会話が消える。俺は日用品の選定を終えたのでそろそろ会計に行こうかなと思い一応別れの挨拶しようー

 

「ドラグーン」

「ーなんですか?」

 

狙ったかの如く呼び止められた俺はそのまま彼女の方を見たら、彼女は暫く悩んだ後質問してきた。

 

「今日、暇か?」

 

まだ給料入って来てないので、ラックやら家具やら買うだけの余力は無いな。この前の救出作戦の報酬も来るの来月だし....うん。休日だけどやれることは相棒のメンテか鍛錬かしかやれないしな。

 

「ー暇ですね」

「なら少々付き合ってもらえないか?礼はする」

「礼は良いですよ。それで?」

 

何を付き合えば良いのか聞くと彼女は、ニヤリと笑い

 

「買い出しだ」

「はい?」

 

俺の頭の中は真っ白になった。

 

 

あれから詳しい話を聞くと、どうやら今日宅飲みならぬ部屋飲みをするらしい。メンバーは仲の良いオペレーター達だそうだ。サリアさんの役割は売店にて買い出しをする役目だったそうだがーー

 

「まぁ、一人じゃキツイですねこれは」

「あぁ」

 

俺は酒が、コレでもかと乗っている台車を押すサリアさんを見ながら苦笑いをしているとサリアさんは此方を見て

 

「にしても、よく持てるな?」

「まぁ、鍛えてますから」

 

っとこれは煽りになりますねと続けるとサリアさんは少し目を細めて

 

「その一言が煽りになるぞ?」

「すみませんした...」

 

そんな事を話していると、部屋の前まで来たようだ。俺は先に扉を開けたサリアさんに持っていた食材を渡した。それから台車の上の物が無くなった所でサリアさんが軽く頭を下げつつ

 

「済まないな。感謝する」

「いえいえ気にしないで下さい。あっそうだ」

 

俺は肩に掛けていた自分の買い物の中からある物を出しサリアさんに渡した。

 

「これは」

「あの量だと必要な人も出てくるかな?と思ったので。では台車戻しつつ帰りますね!」

 

俺はそう言ってサリアさんと別れた。うん。久々にオフで人と話したから緊張したのである。傭兵の頃はこんな事無かったからな、忘れていた。

 

さてと、時刻は昼飯時か...じゃあ食堂でも行くかな?

そう思い歩いていた道を少し引き返して、そのまま食堂へと向かって歩いていると、前方に見知った後ろ姿が二人見えたが、気配を消してそのまま追い越した。単に話す内容が無かったからなのだがな。

 

「ふぅ...」

「相席よろしいでしょうか?」

 

そのまま食堂で昼食として蕎麦を食べていると、相席を頼んで来る者がいた。俺は顔を上げ確認すると、そこにはバイソンが立っていた。

 

「お、バイソン坊。おう構わんよ」

 

特に拒む必要性が無いのでそう返事すると彼は、では失礼してと向かいに座った。

 

「結局ロドスに来たんですね」

「まぁ、教官職だけどな」

 

以外だろ?と続けるとバイソン坊は直ぐに

 

「いえ、凄く合ってますよ」

「そうか?お世辞でも嬉しいな」

 

そう言うとお世辞ではないのにとブツブツ始めた少し怖いわっ。

 

「そういえば、そんなに驚いた感じじゃないな?どうしてだ?」

「先日グラニさんと同じ作戦に出まして、そのときに聞いたんですよ」

 

なる程な、どんな風に話したのか少し気になると同時に少し怖いが聞いて見る事にした。

 

「ー彼女はなんて?」

 

少し覚悟を決めて彼に聞くと、彼は確かと少し思い出すように話し始めた。

 

「底が見えない少しサバっとしてるがキチンと鍛えてくれる龍族の青年と」

「...サバっとしてるか?」

「そうですね」

 

まぁ、少し前まで傭兵業やってたからかね?少し直して見るかぁと思っていると苦笑いしたバイソン坊は少しホッとした感じに

 

「でも、ドラグーンさんがロドスに居てくれるのは嬉しいですね」

「そういえばここに居るんだっけ?例の人達は」

 

そうなんですよねと若干愚痴モードに入りそうな彼の肩をポンと叩き

 

「ロドスには長く居るつもりだから、前より気軽に話を聞けるから、そんなに気を落とすなよ」

「そうですね...ありがとうございます」

 

そう言えば今日は仕事じゃないのか?と思い聞くと彼は時間を確認して慌てて食べ始めた。

 

「うぐっ?!」

「おいおい...ほれ水。急ぎすぎるなよ。最悪俺が担いで走るからな」

 

そう言うと、彼は目をギョッとして更に速度を上げ今度はむせることなく食べきった。

 

「ご馳走様でした!ではー」

「食器は俺が持ってくから行きな」

「ー!ありがとうございます!このお礼はしますので!」

 

手短に軽く頭を下げた彼は食堂を猛スピードで後にした。誰かとぶつからなきゃ良いけど。

 

「さてと、俺もそろそろ部屋に帰るか」

 

もう今日やる事が無くなったので部屋に向かい歩いていると向かい側から、チェンが歩いて来ていた。

 

「ん?ドラグーンか」

「チェンさん、どうも」

 

軽く頭を下げつつ言うと、チェンは首を傾げた。

 

「いつもの雰囲気ではないな」

「オフの時はそんな物です」

「そうか」

 

そう言えば今日チェンさんは休みなのかな?と思い聞いて見ると頷いた後ブツブツ言い始めた。

 

「そうだ。そもそも今日は仕事やれるはずだったのに、ホシグマの奴が邪魔をしてな。しかもなら訓練をしにいっても入れない」

「適度な休みは必要ですよ?」

 

やっぱりこの人ワーカーホリックか。そう思い彼女を無理やり休ませた優しい鬼の手伝いでもしようとおもい遠回しに伝えるが予想通りの返答が帰ってきた。

 

「休んでいる」

「...なら、少し付き合って下さい」

 

硬物を説得するならこうするしか無いなと思い俺は少し警戒しつつもついてくるチェンと共にある場所に向かって行った。

 

 

と言う訳で来ました。誰も寄り付かなさそうな少しの明るさしかない開けた場所にて俺は途中の売店にて買った2つの折りたたみの椅子を開いて並べた。

 

「ここに座って下さい」

「一体何なんだ?」

 

疑問符を出しているチェンに笑顔を返して、俺は柔軟をし始める。

 

「ここ、多分中々人が来ない場所です」

「ーーそうだな」

 

そして俺は何時も羽織っている上着をちゃんと着直しいつも懐に隠してる短刀を抜いて構えを取る。

 

「静かな所で見る舞も乙なものなんですよ」

「お前がやるのか?」

「まぁ昔習っていましたからね」

 

詰まらなかったら何時でも帰って良いですからと伝えて舞を始める。ーーー願うは彼女の疲労回復

そう心に決めて舞を始める。誰かに見られながら舞うのは実に久しぶりだな。

 

 

それから一つ一つ丁寧に披露して、終わりを迎えた。さてまだ居るかなー

 

「ーーえぇ」

「.......」

 

そこには眠っているチェンの姿があった。うーんそう言えば昔もそうだったかな?それか余りに疲れ過ぎてて詰まらなかったけど静かだから寝たのかな?

 

「まぁこの気温なら風邪はひかないかな?」

 

俺は隣にあるもう一つの椅子に座り彼女が起きるまで待った。

それから短刀の手入れやら、アーツの使い方等の勉強本(ドーベルマン教官からのおすすめ)を読んで過ごしていると隣から物音がした。

 

「ん...ぁ?」

「起きましたか?おはようございます」

 

俺が薄目を開けたチェンさんに声を掛けると暫くボーとした後、少し顔を赤くして

 

「すまない、眠ってしまっていたか」

「いえいえよく寝れたようで、良かったです」

 

そう言うと、チェンさんは少しバツが悪そうにした後

 

「お前が良ければ何だか、またやってくれないか?今度は最後までみたいからな」

「ーえっ?」

 

チェンさんはそれだけ言うと、先に失礼すると言いそのまま歩き去っていった。

気を使ってくれたみたいかな...?

 

「これは、次まで練習し直さなきゃな」

 

久々過ぎてあまり上手く出来てなかったので、どうせならと練習してあの頃より上を目指そうと目標を定め椅子から立ち上がった。

 

「これで、金が掛かる趣味が出来るようになるまでの暇つぶしが出来るな」

 

俺はそう言い上機嫌で部屋に戻ったのであった。




感想・評価気軽にお願いします!執筆欲に直結しますっ

では、次回お会いしましょう。



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第9話:アーツの特訓?

はーい、更新です。

今回は訓練パート開始編です。
さぁ!ドラグーン君のアーツを教える人は誰だろう?

では、ゆっくりしていってね!


休日あけとなり、最早日課の一部となった朝のグラニとフェンの訓練を終えて訓練所側の休憩所にて報告書等々書類を端末で作成していると、人影が一つ近付いて来たので端末からその方向に視線を上げるとそこには、白い服装を来た少女が立っていた。

 

「おい、そこのお前!」

「なんですか?そして君は?」

 

そう聞くとその少女は偉そうに胸を張りながら話し始めたがその身長的に苛つくより可愛いいといった感じだ。

 

「俺様はイフリータだ!」

「はじめましてだね、イフリータ。俺はドラグーンだ。それで何用だ?」

 

俺がそう聞くと、彼女は懐から出した紙を確認しながら話し始める。初めてのお使いかな?

 

「なんだったけな...そうだ、ドクターの奴が呼んでたぞ!訓練所に向かってくれ!」

「ドクターが?そうか、ありがとうなイフリータ」

 

俺はそう言って訓練所に向かって歩き始めた。

 

訓練所に入ると、特徴的な黒フードと見慣れない何やら杖を2つ持った天使...いや堕天使がいた。

 

「ドクター」

「あぁ来たかドラグーン」

 

何の為に呼び出されたのか何となく察しはついたが一応確認の為にドクターの方に視線を向けると、彼女は困った様に頭をかいた。

 

「んー、私も詳しくは分かってないんだけどね、彼女が君の話をしたらアーツ訓練をしたいって言ってきてね」

 

ドラグーン、君アーツ制御下手でしょ?と続けるドクター。

 

「まぁ、そうですね...」

 

俺の良くない反応を見た堕天使はヘラっと何処か掴みどころの無い顔で此方に手を伸ばしてきた。

 

「取り敢えずよろしくね?私はモスティマ、しがないトランスポーターさ」

「ーよろしくお願いします。モスティマさん」

 

伸ばされた手を握り返しているとドクターはそれじゃあ後は任せたよと訓練所を後にした。ドクターを訓練所から出るまでそちらを見送っていた俺は扉が閉まると同時に嫌な気配を感じ、そちらに全力で槍を振り抜いた。

 

爆音、どうやら範囲攻撃系のアーツであった様だ。撃った張本人に声をかける。

 

「いきなりですね、モスティマさん?」

「......これ位どうって事ないでしょ?」

 

俺は真意を聞きたいのだが、返ってきたのはそんな軽い言葉とアーツであった。それも問題ないので槍で迎撃すると彼女は一瞬眉をひそめた、まぁ直ぐに元の顔に戻った。

 

「ーー今のは本気の攻撃なんだけど?」

「それはもう一つの杖を使ってから言うものでは?」

 

ってこれアーツ訓練じゃなくね?俺は自身の身体能力だけでアーツ斬ってるし...でもアーツ使ったらこの訓練所ヤバいよな?と思考しつつモスティマさんが放ってくるアーツを切り伏せていると、攻撃が止んだ。

 

「ん?」

 

俺は不思議に思い首を傾げるとモスティマさんはやや呆れつつ口を開いた。

 

「ドラグーン、君ってアーツ使う状況ってある?」

「ありますよ?」

 

即答で答えると同時に脳裏に蘇るのは、あの化け物共であった。そう言えばあの化け物共の時は周りの被害考える必要無かったな。

 

「ふーん、そっか」

「???」

 

そう言って俺に背を向けて出て行こうとするモスティマさん。アーツの訓練は?

そう思いつつ彼女を見ていると、扉の前でこちらに振り返り構えを取った。

 

「ー行くよ」

「っ!?!?」

 

それと同時にモスティマさんは2つのアーツユニットを使いアーツを放ってきた、これは無理ー!

俺は反射的に防具に付いているアーツユニットを起動した、それと同時になりふり構わず全力でアーツを行使し槍に纏わせ、それを投擲したー!

 

「ぅらっ!」

「!!?」

 

アーツ同士がぶつかり、今迄ではあり得ない爆音と爆風そして衝撃波が訓練所を埋め尽くした。

 

 

「いっつつ......」

 

俺が目を覚ますと目の前が瓦礫であった。そりゃそうか。まずは身体の状況を確認する。

 

「特に問題ないか...ある意味加減してくれたのかな?」

 

じゃあ次は窒息する前にこの瓦礫の間から出なきゃな。そう思い近くの大きな瓦礫に手を触れた。

 

「これなら平気かな?ーーせやっ!!」

 

俺はガス欠気味なので躊躇なくアーツを行使して目の前の瓦礫を吹き飛ばした。するとそこに見えるのは外の世界ー

 

「うわーお......」

 

そこには面影が無くなった訓練所の姿があった。ざっと見た感じ、区画自体は大丈夫だか、中にあった建物等は全て破壊された様だ。

 

「始末書物だなこりゃ...」

「ガス欠だとその位の威力なんだね」

 

俺は驚きながら振り返るとそこには結構ボロボロなモスティマさんが立っていた。うん、命に別状はなさそうだ。

 

「ガス欠ならそうですね。...大丈夫でしたか?」

「死ぬかと思った...かな?」

 

槍がぶつかってたら危なかったとモスティマさん。それは大丈夫だ、当たらない位置に投げたからな。うん全然威張れないな。

 

「うん。大体分かったかな。じゃあ明日からキッチリやるからよろしく」

「あ、はい。よろしくお願いします」

 

頭を下げつつそう言うと満足そうな顔をしたモスティマさんが何かを思い出した様で、あっと声を出した。

 

「因みに今回はお咎めはないと思うよ」

「...へっ?」

 

じゃあ解散と言って彼女は訓練所跡から出ていった。

 

「取り敢えず、始末書と報告書を作って、瓦礫をまとめておくか」

 

その日は瓦礫を集める仕事と報告書、始末書の作成で一杯一杯になるのであった。因みにヴァルカンさんから借りていた槍なのだが...ボロボロだった。明日頭を下げなければ...

 

諸々の作業が終わった後、日付が変わった位に俺はドクターのいる執務室へと足を運んだ。勿論頭を下げる為だ。入室して書類データを渡し頭を下げた。

 

「すみませんでした!」

「あ、ははは...大丈夫。モスティマから聞いてるから」

 

多分、きっとと続けるドクター。聞くとどうやらアーミヤには事後報告だそうで......

 

「大丈夫か?それ...?」

「大丈夫だ問題ない」

「それはー「何が大丈夫なんですか?ドクター?」っ?!」

 

それは駄目なやつーと茶化そうとしたがその前に若い女性の声が入った。振り返るとそこには目が笑っていないアーミヤCEOが立っていた。

 

「ドクター?」

「すみませんでした」

 

一言で凄いスピードでアーミヤCEOの目の前まで移動したドクターは土下座をしていた。アーミヤCEOはそんなドクターをチラ見した後、俺の方に顔向けた。その顔はいつも通りの可愛いい笑顔であった。目はまだ若干笑っていないが。

 

「ドラグーンさん、報告書は」

「はい、報告書と始末書は今ドクターに渡しました」

「では、本日は上がって良いですよ。キチンとモスティマさんから報告受けてますから」

「は、はい」

 

凄味を出しつつそう言ってくるアーミヤCEOに何故か許されたので退室しようとするがふと暑い視線を感じそちらに向くとそこにはドクターが助けを求めている顔をしていた。

 

「失礼します」

 

済まないドクター、成仏してくれ。俺はキチリと頭を下げ執務室を後にした。

その後廊下を歩き自室に着くと前に何故か人だかりが出来ていた。

 

「えっ何で?」

 

するとその中の一人がこちらに気が付き近付いてきた。彼女は確か医療オペレーターの確かフィリオプシスさんだったっけな?何時だったかサリアさんに医務室で治療受けた際に注意していた人だったはず。

 

「目標人物発見。医務室への移動を要請」

「はいっ?何故です?」

 

現在の時刻は深夜である。なので救急以外はやって無いはずなので一応聞いて見ると、隣にいた茶髪のお嬢様雰囲気全開のフェリーン族の女性があからさまにため息をついた。

 

「何故って、貴方今日訓練所を粉々にした片割れですわよね?ーーにしては無傷そうね」

「モスティマさんには加減して貰いましたから、瓦礫も運良く当たりませんでしたし」

 

そう答えるとお嬢様はなる程と呟いた後、クルッと背を向けて歩き出した。何が聞きたかったんだ?そう思いつつ見送っているとふと立ち止まり

 

「好意は受け取るべきですわ」

 

そう言い残して今度こそ足早に歩いて行った。すると暫く会話に入ってこなかったフィリオプシスさんがズイッと近付いてきて

 

「連行開始ー」

「あ、あのフィリオプシスさんー?!」

 

結構容赦なく引っ張って来た。変に抵抗するのも変だなと思い俺は医務室へと連行されたのであった。

 

 

その後またサリアさんに説教&身体検査をして貰った。

 

「今後は直ぐに医務室に来るように」

「了解.....」

 

因みに、フィリオプシスさんは医務室に着いてから、別の用事があったようで今はサリアさんと二人っきりである。

 

「ふむ、では終わりだ。何か不調があったら何時でも来る様に」

「了解。では失礼します」

「ドラグーン」

 

診察が終わったようなのでとっとと退室しようとすると呼び止められた。なんだろうと振り返るとそこには少し緊張?しているサリアさん。

 

「...この前は助かった」

「あぁ、買い出しですか?別に気にしなくて良いですよ」

 

そう言うとサリアさんは首を横に振る。えっ買い出しでは無いとすると...?

 

「あっ、二日酔いのドリンクですか?」

「...そうだ」

 

頷きそのまま顔を俯かせるサリアさん。あぁお世話になったのは本人だった訳か。

 

「約にたったなら良かった。ではおやすみなさい」

「ああ」

 

俺はそう言って医務室を後にした。




相変わらず序盤は書きたい事多すぎて、話が進まない筆者です。

次回から色々特訓が待ってる.......筈です。

ではまた次回お会いしましょう!


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第10話:返却

今度こそ投稿期間短くしました!

執筆時間は錬成しましたっ!

ではゆっくりしていってね!

2020/11/21追記
おかしい表現の修正しました。


モスティマさんとの模擬戦?があった翌日。俺は朝早くに起きてグラニ、フェンに今日の特訓は少し変わると連絡した。

まぁ急な連絡になって申し訳ないなと思いつつ訓練所で彼女達を待っていると二人仲良く来た。

 

「あっ、ドラグーン教官!」

「おはよう。連絡は確認したか?」

「はい。しかし何故?」

 

早朝で悪かったと続けると二人とも頷いた。しかし、どうしてかやはり気になるようで、フェンが聞いてきた。

なので、俺は背に隠していた槍を彼女達に見せると二人ともにギョッとした。

 

「昨日、モスティマさんとの模擬戦で加減出来なくてな」

「えぇ......これ、ヴァルカンが打った槍だよね?」

 

グラニの言葉に頷くと、最早驚きを通り越して呆れた様だ。

 

「と言う訳で、申し訳無いが今日の特訓は二人の組手のみになってしまう」

「はーい」

「了解です」

 

 

まぁ、二人同士の組手はこの頃やっているのですぐ様用意にかかった。

 

「では、よろしくお願いします!」

「掛かって来なよ!」

 

 

ーーーーー

 

あれから模擬戦→反省会を2,3回繰り返し、何時もより早めに訓練を終え俺は鍛冶場に急いだ。

 

「失礼します」

「ん?ドラグーンか、どうしーー」

 

鍛冶場に入ると返事をしながら此方を向いたヴァルカンがふと俺の持っている槍を見て目を細めた。大体予想はついたようだ。

 

「すまない。昨日モスティマさんと模擬戦をした際にやってしまった」

 

なるべく簡潔に伝え頭を下げるとヴァルカンはため息を一つした後に

 

「......そうか」

「ととっ」

 

その言葉と同時にヴァルカンが丁度手に持っていた物を投げてきた。反射的に受け取り確認する。これはー

 

「直ったのか」

「丁度な。直した箇所は駆動部と穂先が消耗していたから新しくしておいた。何かあったらまた言ってくれ。あとその槍を返してくれ」

「分かった。ありがとう」

 

壊した武器は溶かしてまた別の鉄製品にするそうだ。にしてもよく怒られなかったな?

 

「その武器をあそこまで使える奴がこの予備の槍なら予測出来るだけだ」

 

口ではそう言うが顔は若干曇っていた。そうだよな自身が打った武器が模擬戦でボロボロになったらそうなるよな。

 

「すまない」

「......その謝罪は受け取ろう」

 

暫くの沈黙の後ヴァルカンはそう言った。まぁそう簡単に許してもらえないか。そう思っていると、ヴァルカンは少し此方を見つめた後に軽いため息をした

 

「今度作る武器のテスター」

「?」

「それでチャラだ」

 

それだけ言って炉の方に歩いていくヴァルカン。

 

「ありがとう。ではまた何かあったら端末に連絡ーー連絡先置いておくな」

 

返事は無かったが、最悪部屋隣だから聞いて来るだろうと納得して鍛冶場を後にした。

 

 

それから直った棒の調子を確認する為に訓練所へ向かい丁度訓練の合間だった様で、担当教官に許しを貰い隅っこで慣らしを始める。

 

「直したのは駆動部って言ってたよな?」

 

軽く棍の状態で振ってみるが明らかに振りやすい。普通にそこらへんでメンテナンスする店では経験上、中々出来ない事何だか予想を超えて来たな。

 

「次は槍にーーーはっ?」

 

シャンという軽快な駆動音と共に変な感触も無く変形が終わった。

 

「...正直舐めきってたな」

 

これは今すぐにでも更に調整を頼みたくなってきた。そう思いながら型やら技をやっていると、端末の着信が鳴った。すぐに確認するとそこにはドクターという文字が出ていた。

 

「はい、ドラグーンです」

[ドラグーン、今どこにいる?]

「訓練所ですよ?」

 

俺がそう答えると、今から昨日壊した訓練所に迎えとの事だったので、急ぎ向うとそこにはモスティマさんが瓦礫の上に座って此方を見ていた。

 

「結構速い到着だね。連絡先知らなかったからドクターに頼んだんだ」

「いえ、此方も配慮が足りてませんでした」

 

若干警戒しつつ返事をすると彼女は乾いた笑いをしてから此方に近付いて来た。

 

「まぁ私はあまりここに居ない身だからね」

「ドクターから軽く聞きました。トランスポーターですもんね」

 

ドクターから先程モスティマさんの仕事については軽く聞いた。長距離の運び物を良くやっているらしい。理由は何か感的に聞かないほうが良さそうだ。

 

「それで修行内容ですよね?」

「そうそうーー」

 

俺の言葉にモスティマさんはえーととわざとらしくポケットを探った後、2通の手紙を取り出し此方に渡してきた。

 

「こっちが修行内容。基本毎日やってね。それでこっちは君宛の手紙だよ」

「進捗報告は?手紙でも書けば?」

「そうだね、そうしようか」

 

にしてもそもそもあまりここに居ない人が俺の訓練見るのかが少し疑問に思うが気にしないでおこう。

 

「じゃあ今日は見れるから早速やろうか」

「はい」

 

取り敢えず杖を持ってと言われたので持つ。

 

「これはアーツ制御の練習をする為の杖でね。アーツを起動すると光るんだ。試してみて」

「はい....おぉ」

 

アーツを使うと杖の先端に付いてる石がチカチカとひかり始めた。

 

「うわぁ、これは酷い」

「元々適正がギリギリですからね」

「適正無くても使えるんだね」

 

稀に居るんだっけそんな人と続けるモスティマさんに頷く。

 

「それで、点滅を減らすように頑張れば良いんですか?」

「そうだね。結構根気が必要だけど頑張って」

「了解...っとと」

 

かなりキツイなぁ.....やはり身体を動かすのが好きだなと思った。

 

 

ーーーーー

 

「まぁそろそろ良いかな?」

「ぜぇ.....ありがとうございました」

 

単純作業とはいえ、やはり慣れない物をやるのは疲労感が凄かった。倒れ込んでる俺をモスティマさんは笑って見下ろしていた。

 

「ふーん、ドラグーンって根気あるね」

「メリットの方が多いので......ひぃ」

 

地べたに這いつくばっている俺に近付いてくるモスティマさん。

 

「ほら、そろそろ昼食時だよ?」

「ど、どうも」

 

手を差し伸べてくれたのでその手を取り立ち上がる。これを毎日やるのか

 

「これどこでも出来ますね」

「そうだね。まぁ一応自室内でやるのはオススメしないよ」

「了解」

 

最悪爆発するからねと続けるモスティマさん。うん先に言ってくれてありがたかった。

それから昼食をそのままの流れでモスティマさんと取った。世間話を少ししたのだが、まぁ結構な聞き上手なところもある様でつい話し込んでしまった。

 

「おっとすみません。つい話し込んでしまいましたね」

「おぉ本当だ。じゃあ私はこれでーー」

 

芝居かかったようにそう言って席を立ち食堂を後にするモスティマさんを見送って俺は机に頭をつけた。

 

「これを毎日かぁ」

 

今日は見られていたのもあって根性でどうにかしたが、明日から基本的に一人でやるであろう事実に気が付きやる気が失せる。

誰だって苦手分野を好き好んでやる奴は居ない。

 

「頑張るかぁ.....」

 

一週間やって何も変わらなかったら、術師オペレーターの誰かに聞こう。俺は心の中でそう決めて、席から立ち上がり食堂を後にした。

 

 

自室に戻りながら端末でフェンとグラニに武器が直ったので通常通りにやるとメッセージを送り、その後道草を食いながら帰宅する。

 

「そう言えば俺宛の手紙があったな」

 

懐にしまっていた手紙の内、修行内容と書かれていない方の封筒を確認する。確かに俺宛の様だ。送り主はー

 

「書いてねぇな」

 

書き忘れかね?俺は中身を確認する。するとそこにはこう書かれていた。

 

「『元気にしてるか?イノシシドラゴン。俺は元気にしてるぜ』か」

 

その一文が書かれているだけであった。

 

「あの人からか。相変わらず送り主書くの面倒くさがったな?」

 

俺をイノシシと表するのは一人しか居ないな。

返事はどうしようかね?

 

「出さないときっと来るよな、それは面倒くさいから書くか」

 

俺はいつも用意している便箋を取り出し、席に座った。

 

「相変わらず元気そうで良かったです。こちらも元気でやってますよ。こんなもんで良いか」

 

いい加減イノシシドラゴン呼びは辞めてほしいところではあるけどね。どうせやめねぇし。

 

「っとと、そろそろ午後の訓練だ」

 

俺は封筒にちゃちゃっと宛先、送り主を書いて中に書いたものを入れ武器を持ち自室を飛び出した。

 

「向う途中に配達を頼むか」

 

そう呟いて俺は人に当たらない様に廊下を駆け抜けた。




少し早い気がするけども、彼の武器が帰ってきました。

ここからは、若干術師オペレーターとの絡みが増えるかも?

感想・評価お待ちしておりますっ!

では、また次回お会いしましょう!


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11話:修業の途中経過

お久しぶりです。
執筆時間が取れませんでした。

ライト版のイベントは皆さん終わりましたか?

私は印交換が厳しそうですね←

ではゆっくりしていってね!

ー追記ー
はい、エイヤさんの名前間違えてました。誤字報告ありがとうございます。
修整しました。

以後気を付けます...



モスティマさんからの課題をもらってから、朝の訓練前や午後の訓練後にチマチマやっていた。期間的にはたぶん2,3ヶ月程経ったはずだ。その間に俺として修業関係から仲良くなった者たちがいる。

 

「あっ!おはようございます!ドラグーンさん!」

「おはよう。エイヤ」

 

現在時刻は朝の訓練前、場所は訓練場近くの廊下にて歩いて来るキャプリーニ族の少女、エイヤフィヤトラであった。

彼女が修行関係で仲良くなった一人で、彼女自身はかなりの腕前を持つ術師オペレーターだであり天災研究者でもあった。仲良くなったのは俺の訓練は地味なのでその間のアドバイス兼話相手として気が付いたら仲良くなった。

因みにさん付けしたり敬語で話すと機嫌が少し悪くなる。

 

「今日も訓練ですか?」

「そうそう。少しは点滅減ってきたからな」

 

俺はそう答えて訓練所に入った。そして訓練所内部にある丁度良い座れる場所に座った。

 

「よーし、今日の機嫌はどうかなっと」

「また流し過ぎですよ?」

 

上手く行ったかな?と思ったがその瞬間にはビシっと指摘が飛んできた。

彼女は目と耳が悪いらしい。鉱石病が原因だそうだ。そのお陰?で彼女は熱を感じる事が得意になったそうだ。因みにこの修行用のアーツユニットは適正量超えると熱を帯びるらしい。

 

「...こんくらい?」

「調整は少しづつ上手くなってきてますね。あっそれくらいです」

 

エイヤのアドバイスを受け取り、俺はアーツユニットに流している量を止めた。アーツユニットの宝石部の点滅は初めは殆ど無かったが徐々に酷くなっていった。

 

「キッツ!」

「うふふっ、今日はこの前より少し伸びましたね」

 

その言葉に反応しそちらを向くとエイヤは端末を見せてくれた。そこには確かにこの前より伸びていたがー

 

「ー1秒か」

「大丈夫ですよっドラグーンさん!今まで一度も結果が落ちてなかったんですから!」

 

まぁそうだな。制御の感覚が元々弱いからな。そう思いつつもう一回始める。

因みに参考がてらエイヤにやってもらった時は当たり前だが安定していたし、雑談しててもその安定性は損なわれる事は無かった。本当に基礎中の基礎なんだよな、この作業。

噂ではこれ基本的に術師オペレーターの人はやらない位基礎らしい。

 

「はぁ...もう一回」

「ファイトです!」

 

俺の行動にそう言って声援を送る彼女を視界の端に入れながら修行の続きを始める。まぁ男なのでこんな美少女に応援されたら頑張ってしまうものである。

 

 

「あ゛ぁ゛あ゛.....今日のセット終わりっと」

「お疲れ様です。今日は初めから2秒位長くなりましたね」

「エイヤ毎度ありがとうな」

 

俺が礼を言う。すると彼女はニコニコしながら首を横に振った。

 

「気にしないで下さい。困ったときはお互い様ですから!ではまた来ますね!」

「おう。気を付けてな!」

 

エイヤはそう言って訓練所を後にした。さてと精神的に凄く疲れたがこれからは楽しい訓練の時間だ。

俺が自分の棒を手で持ち凝り固まった身体を伸ばして居ると、訓練所に入ってくる2人の姿があった。

 

「おはよう2人共」

「「おはようございます!」」

 

じゃあ始めるかと言おうとする前にグラニがコチラにスススと近寄ってきた。

 

「エイヤフィヤトラとそこであったよ。今日はどうだったんだい?」

「聞きたければ俺に一本取ったら言ってやるさ」

「いや、それは不可のーーっ!?」

 

棒でグラニの頭目掛けて振るったが彼女はバックステップでかわした。

 

「危ないなっ?!」

「今は訓練時間だ」

 

さぁて、からかってくる奴には少し灸を入れてやるかなっ!

 

「さぁ、行くぜ?」

「ひぃっ、やってやるさっ!」

「はぁ.....この二人は」

 

フェンが何か言っていたが、俺は気にせず組合いを始めた。

 

 

それからグラニを軽く灸を入れて、フェンにはガッツリ教え込んで居ると丁度良い時間となった。

 

「おっ、そろそろ終わりだな。じゃあ今日はここまで!」

「「ありがとうございました」」

 

それじゃあ解散と言うと同時にグラニが此方に近付いて来ると同時にオーバーリアクションしながら文句を言ってきた。

 

「もぉ〜加減してよっ!教官!」

「したぞ?槍にはしてないだろ?」

 

俺は今日も終始槍にはならなかった棒を指差しながら答えると、グラニはむぅーと言いつつ引き下がった。

 

「ーにしても、マジで伸びしろが多いな二人共」

「そうでしょうか?」

 

フェンがそう言って来る。まぁ指摘してる数は若干増えてるからな。それが原因かやっちまったな。ならー

 

「ーよし、それじゃあ午後の訓練は少し復習を兼ねて組手をしようか」

「?了解です」

 

 

そんな話をしながら彼女達とは別れた。その後報告書を記入を直ぐに終わらせ、向かう先はオペレーター達が集まる宿舎の一つである。

本来なら俺が来る場所ではないのだが、今日も呼ばれしてるので来ている。

 

「失礼します」

「あら、今日も来ましたのね」

 

入ると同時に視線が俺に集中する。アハハハ緊張するぞ。俺はまず声を掛けてきた女性、スカイフレアさんに近付いて行く。

 

「まぁ訓練も仕事の内ですので」

「その意気は買いますわ。一応エイヤから連絡来てるしちゃちゃっとやりましょう」

 

本来ならこんな事に時間をくれる様な人では無いらしいが、制御出来てないとはいえモスティマさんをボロボロにした、アーツ能力に興味を持ったらしく俺のアーツを知りたいが故にこうして暇な時間にアーツ学を学んでいるのである。

 

「ーーとなりますわ。ここまでで分からない所は?」

「大丈夫です」

 

理論を知っていた方が良い場合もあるので学んでいる。

とは言っても、そもそも制御の才能はほぼ無いらしい。

 

「まぁ講義はここまでにして、実技の時間ですわ」

「了解」

 

俺は直ぐ様アーツユニットを起動して、訓練を始める。脳裏に思い出すのは朝の感覚ー!

起動してから暫くやっているとスカイフレアさんが片手を上げながら

 

「そこまで」

「はい」

 

掛け声がかかったので直ぐ起動を止める。そして彼女の反応を見ると、相変わらずしかめっ面となっていた。

 

「この前より数段良いですわ、ですがまだまだアーツを撃つ段階には至っていませんわね」

「...はい」

 

一番の苦手分野だから気長に頑張ろう。と自分に言い聞かせつつ返事をすると、スカイフレアさんは顔を背けつつ口を開いた。

 

「ですが、ここの適正検査で欠落判定を受けた人とは思えない成長スピードですわ」

「......恐縮です」

 

ここ数ヶ月て初めて聞いた褒め言葉に一瞬固まってしまったが、返事を返す。すると彼女は時計を確認しわざとらしく時間だと言った。

 

「では、失礼しますわ。また暇な時に連絡しますわね」

「またよろしくお願いします」

 

軽く頭を下げると、彼女は手を振りながら宿舎を後にした。

 

「あぁ、もうこんな時間か」

 

時間を見るとそろそろ教官の仕事をやる時間となっていた。俺は若干急ぎ足で訓練所へと向かって行った。

 

 

「よし、まだ二人共来てないな」

 

訓練所に着くがフェンとグラニの姿は無かった。俺は先程までやっていた勉強により凝り固まった身体をほぐしていると足音が近付いてーん?

 

「3人?」

 

3人と言う事はフェン達じゃない?何か訓練であったのか?等々考えて居ると、俺の視界にその人物達が見えてきた。フェンとグラニ、そしてもう一人白衣を羽織り大盾を持っている女性ーサリアさんであった。

 

「教官!お待たせしました!」

「お、おう。何でサリアさんが?」

 

何故か気合いの入ったフェンの挨拶に戸惑いつつそんな事を聞くとそれに答えたのは本人であった。

 

「...暇だったからな」

「見学ならどうぞ。面白い事はしてませんが」

 

同僚に仕事部屋から追い出されて、それでも眠くなくウロウロしてたら暇潰しにはなりそうな事を聞いたからやって来たのかな?

何となく短いながらもよく会うのでそんな予想をしていると、彼女は俺の方に近付いてきてー

 

「い゛だっ?!」

 

視界に火花がちったぞ!?!?ってまさか顔に出てたのか?それとも心を読まれたのか。

サリアさんは悶ている俺を無視して壁の方に行き寄っかかった。

 

「......はい、じゃあ始めようか」

 

チラッとサリアさんの様子を伺ってから、グラニ達の方を向くとジト目が4つコチラを見ていた。

 

「ドラグーン教官、何か失礼な事を考えてたんですね?」

「顔に出てたよ?」

「ウグッ...始めるぞっ」

 

 

それから復習をメインとして訓練を行い、懇切丁寧に今までにどれ程良くなったかを説明した。

 

「ーーと言う感じで今回は終了かな。キチンと休むように!」

「「お疲れ様でした!」」

 

何時もならそのまま一緒に帰る等声が掛かるのだが、今日は一人荒ぶっている(俺が原因)ドラゴンがいる為にそんな事もなくそそくさと訓練所の出口えと向かっていく教え子達を見送る。

 

「行ったな」

「行きましたね...」

 

じゃあお先に失礼しますと言って帰りたかったが、それと同時に身体が『重く』なった。そして振り返ると目の前には大盾がー

 

「っ?!」

 

俺はどうにかその攻撃を避ける。すると少し微笑んでいるサリアさんが口を開く

 

「たまには『運動』もしなければ腕前が落ちるな?」

「そ、そうですね?」

「私は言わずもがなだが、お前もこの頃アーツの訓練ばかりだろう?なにそんなに時間は掛からん」

 

その言葉と同時に更に身体が『重く』なった。

にしても怒ると普段より2割増で話すんだなと思っていると彼女は目を細めた。

 

「怪我しても治せるから安心しろーー」

「あはは、すみませんでした!!!」

 

当たり前だが、速さを主としている俺はボコボコにされた。何度か映像で見たときよりも重圧がすごかった。

治療を受けながら謝ると彼女は、そんなに怒ってなかったと言っていた。えっ、本気で怒るとどうなるんだ?!




キャラ崩壊タグ入れておきますね(冷や汗)
こんなサリアさんもいる気がする!

勝手に(キャラが)動くんだ。俺は悪くない←

評価・感想お待ちしております!

では、また次回お会いしましょう!


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12話:頼まれ事

亀更新で申し訳無いっ!

今日はほのぼのかな?

ではまったりしていってね!


朝起きる時刻になる頃、俺は何時もの目覚ましではなく呼び鈴で目が冷めた。

 

「んぁあ?...少し待ってくださーい」

 

今日はオフなのに何の用だろうか?俺はちゃちゃっと寝間着から何時もの服装に着換えドアを開けるとそこには黒フードが立っていた。

 

「ドクター?」

「おはようドラグーン。今日暇?」

 

ドクターはそう挨拶と要件を言ってきたしてきた。

 

「まぁ、暇ですね」

「じゃあ今日一日休日出勤で良いから、ちょっと手伝って欲しいんだ」

 

......なる程、どうやら今日は遅くなりそうだなと思いながら俺は給料が出るなら良いと言った。

 

それから若干上機嫌となったドクターが歩いていく道を後から追いかけた。

 

「それで、何を?」

「医療オペレーター達の共有スペース兼会議室の片付けの手伝いかな」

 

俺の質問にそう答えるドクター。なる程なる程

 

「それ俺が手伝えるものですか?」

「大丈夫、危険物やら薬物はないから」

 

なる程人手が足りないパターンかな?

 

「了解です、報酬は?」

「あるよ、お金じゃ無いから不安かも知れないけどね。でも下手したらお金より価値あるかも」

 

ドクターはウインクしてそうな感じでそう言って、歩いていく。まぁ良いか、人との関係も良好であれはある程良いからな。

 

状況を聞こうとしたが見たほうが速いと言われてしまいどんな状況なのかヒヤヒヤしつつ着いたのは会議室と書かれた部屋であった。

中に入るとそこには散らばった紙の書類やらーーーではなく目を引いたのは、焼け焦げた会議室の備品達であった。

 

「皆ー!人手連れてきたよー!」

 

その声でバッと一斉に向く医療オペレーターの人々......余りに動きがシンクロしていたので、ビクついてしまった。

 

「ドクター。それで何をすれば?」

「まずはこの机達をザックリ解体してもらえるかな?」

 

確かにこの机達の大きさは解体しないと運び出せないな。俺は近付いて金具部を見てみると溶けていた。予想はしてたがどんな高温で焼いたらこうなるんだ?

 

「まぁ、深くは考えないでおこう......よしっ、少し離れていてください」

「え?」

 

ドクター含めこの場に居た人々は困惑しているが離れてくれた。俺は上着で隠れている腰上に隠して居た小刀を鞘ごと取り出し、右手でそれを保持し持ち手に左手を添え構えた。

 

「っーー退避!!」

「疾っ」

 

そこらかしらに、散乱していた机やらを持ち運びしやすい大きさに切り刻んだ。久々に抜いたけど案外腕が落ちてなさそうだ。

 

「よし、これで運び出し易くなりましたね?」

 

俺の言葉に帰ってきた反応は沈黙であった。振り返るとそこには何やら警戒している面々が棒立ちしていた。ーやっちまったな

 

「すみません、やる事もっと説明すればよかったですね」

「いや、大丈夫大丈夫。それじゃあ運び出そうか」

 

 

あれから手分けして運びその後予備の机等々を運び込むと昼を過ぎもう夕方となっていた。

 

「これで終わりっと」

「よし、終わったね。それじゃあ皆は今日はこれで帰っていいよ」

 

最後の一つの机を設置してそう呟くのと、その様子を見たドクターが号令を掛けた。それと共にワラワラと部屋から出ていく。俺も出ていくかと思ったらドクターに呼び止められた。

 

「あっと、ドラグーンはストップね」

「?はい」

 

立ち止まりドクターの方を見るとニヤニヤしていた。

 

「報酬だよ。まさか元傭兵なのに忘れてた?」

「忘れてませんが?ここで話すので?」

 

何を貰えるのか?金より価値がある物だと誰かとの関わり合いかなと思っていると、ドクターは服のポケットから紙切れを一枚取り出した。

受け取り開くとそこには、日時らしき数字列と不明な文字列が書いてあった。

 

「...これは?」

「ふっ、それじゃあね〜」

 

ドクターはそう言って会議室を後にした。呼び止めようとしたがドクターはそれを無視して会議室を後にした。

 

「...帰るか」

 

取り敢えず帰りながら考えるかと思い会議室を後にした。

 

 

「日時は今日の夜だな。後はこっちの文字列か...」

 

一人でブツブツと呟きながら廊下を歩いて進む。そんな時にふと壁に見るとそこの下の端に何やら文字列がー

 

「!あった」

 

その場でしゃがみその文字列を移す。進んだので規則性を覚える為に周囲の文字列を収集してみると、どうやら区画の座標の様だ。

 

「......なる程ね」

 

 

となると夜にここに書かれている場所ーー住居区画に行けばいいと言う訳かな?

 

「...何もなかったらドクターに文句言ってやら」

「む、ドラグーンか」

 

廊下の中心にて突っ立って居たからか声を掛けられたのでそちらを見ると、チェンが普段の服装ではなく結構ラフなTシャツとジーパン姿で近付いて来た。

 

「チェンさん、今日はお休みですか?」

「ん?まぁな」

 

そう言ってその両手に持った袋を見せつけてきた。その大きめなエコバッグから顔を出しているのは、レトルトだったり即席食料達であった。

 

「これは...」

「これは食料だ。こちらの方が安く済むからな」

 

確かに食堂よりか安くて済むとは思う。がこれでは健康に良くない気がする。特に彼女は結構ハードワーク気味だし、いつか絶対に体調崩す気がするな。

 

「食堂嫌なんです?」

「そうでも無いが、あそこは賑やか過ぎる」

 

チェンはそう言った後にではなと横を通り過ぎる。まぁ俺が関与する事じゃ無いか。

 

「あぁ、ここで会ったも何かの縁なんで運ぶの手伝いますよ」

「なに?」

 

俺の言葉にチェンは少し警戒する。何故?俺が変な傭兵なのはロドスに入る前に言っていた筈だけど

 

「他意は全く無いですよ?普通の人はするでしよ?」

「......今時、優等生でも珍しいぞ」

 

そう言ったチェンはそっぽを向いた。

 

「そうですかね?」

「ああ。全く、何故傭兵をやっていたのか分からん奴だな」

 

チェンはそう言って俺の方にエコバッグを一つ突き出してきた。

 

「手伝ってくれるんだろう?」

「おう。よっと」

 

チェンは俺が受け取ったのを確認して歩き始める。俺は隣を並走し始めると口を開いた。

 

「いい加減にそのさん付けは止めろ。からかってるのは分かってるぞ?」

「良いので?結局あの時は許可貰えて無かったので」

 

ロドスに入る前にホシグマと仲良くなる過程で何度か飲みに行ったのだが、その時度々引きずられてきていたチェン本人との会話の中で中々許可が貰えなかった記憶があったので聞き返しすると、彼女は目を見開いた。

 

「生真面目か...!あれはどう考えても振りだろう!?」

「すんません、ボッチ傭兵だったもので振りとかあまり分からんのです」

 

自虐ネタも含めて返すと、彼女はため息を一つした後に

 

「まぁ、この際ボッチとかどうでも良い。とにかくさん付けは止めろ。良いな?」

「分かったよ、チェン」

 

俺がそう言うと、そうだそれで良いとチェンは言って話が途切れた。

 

それからチェンの荷物を部屋の前まで持って行き、そのまま別れ自室にて一息つこうとしたが、そこで時計を見た俺は座ろうとした行動を止めて身支度を始めた。

 

「そろそろ時間だったか、危ない危ない」

 

誰の部屋だろうか?一応どんな状況でも対応出来るようにフル装備で目的地に向かった。

 

 

「ここだよな?」

 

俺は居住区のある一つの部屋の前でそう呟いた。指示された時間まであと少し。

 

「誰も居ないよな?」

 

今は俗に言う夜食時なので人通りもほとんど無い。

 

「時間かーーー」

 

何も起きないじゃ無いか。まさかこの部屋の住人が報酬とかか?

 

「いや、普通に見知らぬ傭兵っぽい奴が来たら最悪捕まるよな...」

 

よし帰ろう。無駄足だなと思いその場を離れようとしたら、その目的の部屋が開いた。そしてその中の人物と目が合ってしまう。

 

「「あっ」」

 

現れた人物は黒のボロボロの外装を身に纏った長身のサルガスの女性であった。その次の瞬間俺は心の中でこの状況を作り出したドクターの事を呪うのであった。

 




あぁ〜書きたい話が多いんじゃ〜

はい、暫くは日常編が続く予定です!

評価・感想お待ちしております!筆者の執筆速度に直結致します!

では、次回お会いしましょう!!


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第13話:暖かな光

はい、年が明けましたね(遅くなり申し訳ないです)

本日もほのぼのと行くよー!

長身のサルカズって誰だろう(すっとボケ)

では、まったりしていってね!


目の前の銀髪サルカズの女性と目が合ってしまってから、暫く俺と彼女は目を合わせ続けていた。

 

「あー、失礼しましたぁ〜」

「っ!」

 

うん帰ろう、そうしよう。俺はささっと彼女から背を向けて自室に向けて歩き出そうとしたら、ガシッと肩を掴まれた。

 

「お久しぶりですね。ドラグーン?」

 

そう言ってニコッと微笑む長身サルカズーーシャイニングに対して俺は引きつりながら

 

「お、おう。まさかシャイニングがロドスに居るとは思ってなかったよ」

 

そう返事をしている最中もどうにかして掴まれた手を剥がそうとするが全然剥がれない。この人力強いなっ!

 

「暴れないで下さい。...久々に友と会ったのです。少し部屋で話しませんか?」

「いえ結構ーーはいワカリマシタ」

 

ギロっと睨まれた。普段は余り表情は豊かではない筈なのだが俺相手だと何故ここまで表情豊かなのか...そう思いながら俺は彼女の部屋に連行されて行った。

 

 

中に入ると、まぁ予想通り余り荷物は無かったが小綺麗な部屋に案内され、小さい丸テーブルの片方の椅子を示し座れと言われたので指示通り座った。

 

「綺麗に整頓されてますね」

「そうですか?」

 

最低でも俺の部屋より綺麗だと返すとシャイニングは入室してから続けていた手を止めて此方を向く。

 

「まだ来てからそんなに経ってませんよね?」

「あはは...ま、まぁ荷物は総量が少ないからそこまで散らかってないよ」

 

鋭い視線にのせられて届けられた言葉に俺は苦笑いをしながらそう返した。

 

「そうですか...まぁそれは今はどうでも良いです」

 

そんな事よりとシャイニングはコチラに何かの箱と彼女の武器である杖?剣を持ってコチラに近付いて来た。

 

「見せて下さい」

「へっ?」

 

彼女は椅子には座らずそのまま箱をテーブルの上に置き、杖剣も立て掛け此方に接近しながらそう言ってきた。俺は椅子ごと後ろに下がる。

 

「駄目でしょうか?」

「いや、健康体だからーー」

 

大丈夫と続けようとした瞬間、彼女は迷わず俺のあばら辺りに触れ。

 

「負荷が掛かる戦闘をしたのですね?これでよくメディカルチェックを抜けれましたね」

「...引っ掛かってるさ。でもそこまで重度ではないからな」

 

まぁ質問等々は嘘やら誤魔化しをしているがな。心の中でそう繋げていると彼女はおもむろにアーツを発動した。

 

「おいっ!?これは治らないって診断がーー」

「それは普通の治療アーツの場合ですよ」

 

優しい光が俺を包んだ。それと共に急に眠気が俺を襲ってー

 

「おぃ...」

 

本気で使うなよ。確かアーツって自室での無断使用駄目なんじゃと言おうとするが、その言葉が出る前に俺の意識は落ちた。

 

「大丈夫ですよ。安心して眠って下さい」

 

最後に伝わってきたのは支えられる感触であった。

 

ーーーーー

 

意識が戻ったと同時に目の前には、どこかで見たことのある天幕の中であった。そこには夥しい数の怪我人が寝転ばされていた。

 

一体どこで見たんだろうな?と暫く悩んでいると勝手に身体が動き始めた。これは夢だったのか。

それならどこなのかが分かったと同時に視線の先にシャイニングがアーツを使っていた。俺が近付いて来たのを確認すると彼女は若干申し訳なさそうに顔を歪めた。

それと同時に俺は手に持っていた医療キットを開き、その治療アーツを受けて尚怪我が塞がりきっていない怪我人の手当てを始めた。

 

「すみません。ありがとうございます」

「別に構わないさ、料金分の働きはするさ」

 

ぶっきらぼうにそう返すと、シャイニングはもう一度お礼を行ってまた別の怪我人の方へと向かっていく。

 

ーーーーー

 

「んっ.....あぁ??」

 

目を開けるとそこには見慣れたロドスの天井があった。あれ?俺はいつの間に寝てー!

俺は上半身を思いっ切り持ち上げる。すると先程俺が座っていた場所の方から声がした。

 

「まだ眠っていて下さい。負荷だけでなく疲労も随分と貯めていましたね?」

「いや、休むなら自室へ帰る」

 

そう言ってベッドから起き上がろうとすると、いつの間にか立ち上がったシャイニングが俺の上半身を元あった位置に戻した。

 

「ちょっ!?」

「大丈夫ですよ。あの剣に誓って友を襲うなんて事しません」

 

俺は枕に体重を預けた。彼女がここまで言うなら信頼出来る。あれだけ傭兵稼業をやってきたんだ人を見る目はあるつもりだしな。

 

その反応を見てシャイニングは椅子をそのままこちらに近付けて来た。

 

「そう言えばシャイニングは夕飯食べたのか?」

「えぇ、食べました。ドラグーンは食べて無いですよね」

 

まぁ、腹はそんなに減ってないと返すとシャイニングは少し眉を細めたがそうですかと言った。まぁ健康には悪いかもしれんな。

 

「寝言を言ってましたが、何の夢を見ていたんですか?」

「シャイニングからの初依頼」

 

簡単にそう答えるとシャイニングは少し悩んだ後あぁと頷いた。

 

「あの傭兵らしからぬ処置をしていた時ですね」

「別にソロでやってるやつは、あの手の技術は持ってるだろ」

 

少しムッとしながらそう答えると、シャイニングは少し微笑みながら口を開いた。

 

「では治療の続きを始めましょうか」

「何だよその含みのある笑みはーーよろしくお願いします」

 

素直にそう返す。すると彼女はアーツユニットを持ってアーツを起動する。今度は眠くはならなかった。光に包まれながら集中する彼女を見る。

 

「先程より良くなってる様ですね」

「お陰様で...はぁ」

 

この医師には敵わん。下手に戦っても今の状況じゃ勝てないしな。ホントに何で医療オペレーターやってんだろ。

そんな事を考えているとポコと軽く頭を叩かれた。

 

「余計な事考えましたね?」

「ヒェ」

 

 

それから時々ポツポツと話しながら治療を受ける。何時間経っただろうか、彼女はアーツを停止させた。

 

「こんなところでしょうか」

「どうも。じゃ料金はー」

 

立ち上がり壁に立て掛けられていた武器を身に着けーと言っても棒だけだが、シャイニングの方を見ると彼女は持って来た箱の中身を取り出した。それはアクセサリーであった。

 

「これを身に着けておいて下さい」

「これは?」

 

俺がそう質問すると、シャイニングは少し微笑んで

 

「それには自動治療のアーツを仕込んであります。これで無茶しなければ残った歪みも治るでしょう」

「お、おう。それでりょ...」

 

色々聞き料金をまた聞こうとしたら、彼女は俺の両肩を掴んで押す。向かう先は出口である。

 

「別に要りません。今日の料金は既に貰ってますから」

「...!?ドクターか」

 

俺の質問に返ってきたのは沈黙であった。何時から気付かれてた?と考えていると廊下まで出された。

 

「では、お大事になさって下さい」

「そちらもな、治療感謝する」

 

真面目に挨拶すると、彼女はドアが閉まる瞬間に口を開いた。

 

「ドクターは気が付いていませんよ」

「はっ?」

 

そして閉まった。暫く呆然としていたが、そうしていても意味ないので自室に帰ることにした。

 

「ふぅ」

 

自室に戻る道すがら目先からドクターとサリアが立っていたのを発見、向こうもこちらに気が付いたのか声を掛けてきた。

 

「ドラグーン、どうだった?」

「ドクター貴女は本当に...」

 

俺は溜息をすると、サリアがふむと言った後

 

「どうやら、作戦通りに行ったみたいだな」

「はい?」

 

サリアさんは頷きながらそう答える。どういう事?と思っているとドクターが説明を始めた。長かったので要約すると、ドクターとサリアさんが相談してる所に偶然シャイニング本人が来て、俺かどうか確認と共に検診をして見るとの事であった。

 

「なる程、そういう事でしたか」

「そうなんだ。それで?どうだったの?」

「ノーコメントで」

 

その返事にえーと苦言をして来るドクター。因みにサリアさんも若干表情にて不服を申し出てきていた。

 

「報酬としては十分でしたっありがとうございます」

 

そう言って、それでは失礼しますとつげ自室へと急ぎ向かった。

 

それから自室に、つくと共にベッドへとダイブする。

 

「はぁ...」

 

傭兵ではもう無いのでそこまで心配事では無いが、シャイニングは何故か俺の心の内を透けて見えているかのごとく反応してくるのだ。なのでかなり苦手だ。

 

「まぁ、どっかのニートとは雲泥の差だけどな」

 

今後何だかんだバレそうなので身体の問題はなるべく隠さない方向性にしようと決めるのであった。

 




何か一番イチャコラしている気がするけど...何故こうなった?

評価・感想お待ちしておりますっ!執筆意欲に直結しておりますっ!

では、また次回お会いしましょう。


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第14話:買い出し

はい、ほのぼの回ですっ!

ではまったりしていってね!


目覚ましを入れていた端末が鳴り響く音で俺は目を覚ました。今日は久々の休暇だ。

 

「今日は何も無ければ良いな」

 

この前はドクターに呼ばれて手伝いしたし、今日こそ武器ラックやら何やらを買いたい。そう思いつつ俺は何時もの服装に棒を持ち自室を出た。

 

食堂に向かう為に歩いていると、後ろから声を掛けられた。

 

「ドラグーン!」

「ん?ホシグマとーサリアさん?」

 

振り向くと、何時もの格好をしたホシグマとサリアさんがこちらに歩いて来た。

 

「二人共、今から仕事?」

「いいや今日は休みだな」

 

俺の質問にそう答えるのはサリアさんであった。休暇はキチンと休む人で良かった。

 

「ドラグーンは今から朝食か?」

「おう。って事はホシグマ達も?」

 

頷く二人、なら一緒に食べようという話になってそのまま食堂に向かった。ホシグマは極東の定食を、俺とサリアさんは日替わり朝食を頼み席に座った。

今日は野菜とハムのホットサンドだ。

 

「うん。美味い」

「ドラグーンは極東の定食は食べないのか?」

 

サリアさんがそう聞いてきた。うーんそこまでこだわりは無いな。

 

「そこまでこだわりは無いかな。その日の気分で決める」

 

そう答えると、サリアさんもホシグマも納得してくれた様だ。

 

「ここで出てくる物は外れは無いからな」

「そうだな」

 

それから暫く食べるのに集中して食後の一息をしているが、サリアさんもホシグマも一向に離れない。

 

「そう言えば、二人は今日何か用事ないの?」

「ん?無いな。私としては運動でもしようかと思ったが体を休めるのは大切だからな」

 

ホシグマが先にそう返した。なる程なと頷き二人してサリアさんの方を見ると彼女は此方から目を背けて

 

「私も無い、そう言うお前はどうなんだ?」

「部屋の模様替えやろうかと」

 

俺はそう言った。すると二人は首を傾げる。

 

「「模様替え?」」

「実は今日まで支給された物以外、持っていた物だけで生活してたんですよ」

 

だから、模様替えとは少し意味合いが違うかと続ける。

まぁそろそろクロージャの売店が開くから行こうかなと席を立ち上がると二人も立ち上がった。

 

「なら手伝おう。それなりに家具を買うつもりだろう?」

「サリアの言うとおりだな。暇だし手伝うさ」

 

女性に手伝って貰うのはとも一瞬思ったが、この二人は別かな?俺は感謝の言葉を言って食堂を後にした。

 

 

「で?何を買うんだ?」

「取り敢えず決めてるのは、バックパック等をかける家具と武器ラックかな」

 

売店を目の前にしてサリアさんがして来た質問にそう答えると彼女はなる程と言った後、こっちだと店内に歩いて行ってしまう。追いかけるとそこには金属製のキャスター付き戸棚があった

 

「バックパック等をかけるものなら、この付近がいいだろうな」

「おぉ、ありがとう。じゃあこれくらいかな」

 

俺はそこの中から丁度良い大きさを選び持ち上げると、気が付いたら居なかったホシグマがカートを持って来てくれた。

 

「これがあった方が良いだろう?」

「おっ、ありがとうホシグマ」

 

持ち上げた物をカートに載せて、次の武器ラックを見に行く。ラックが売っている場所につくとそこには一見衣装ケースに見えるものから極東の横に立て掛ける物まで様々あった。

 

「まぁ、部屋の雰囲気的にこっちかな」

「即断だな」

 

俺の決定の速さにホシグマはそんな事を、言ってきたのでそうか?と振り返るとホシグマの隣にいたサリアさんの方も頷いていた。

 

「まぁ昔からこんなんですから、会計行きましょう」

 

 

そこから会計に行くとクロージャが此方を見て少し驚いていた。

 

「クロージャ、会計お願い」

「おやドラグーン。漸く家具買えるんだね。まいどー!」

 

決済は金管理するのは大変だが、社員証でやった。

 

「持ち帰りはどうする?そのままカート使ってもいいよ?返してくれれば」

「じゃあそうしー」

「いや、大丈夫だ」

 

ようかと言う前にホシグマが片方を軽々と持ち上げながらそう断った。ちょっそれ武器ラックの方だから分解されてるから持ち上げやすいとはいえ、重さは結構あるとおもうんだが!?

 

「カートを戻すのは面倒だからな」

 

ホシグマはもうすでに入口の方で待っている。サリアさんは細々とした部品の入った袋を持ちながらそちらに向かって行く。いやっそれも結構重い筈なんだがなぁ。

 

「ー大丈夫そうですわ。じゃあクロージャまた来るよ」

「う、うん」

 

何か呆れ顔のクロージャにそう言って、俺は家具の方を肩に担ぎ急いで向かう。そんなに長く持たせるのも悪いしな。

 

「二人とも、設置までありがとう」

「気にしないでいいさ、丁度暇していたからな」

 

 

あれから組み立てやら設置は一人でやるつもりだったが、ホシグマがそれを却下サリアさんも始め帰るつもりの様だったが、なんか冷蔵庫を見てから何故か今買い出しに行って来てくれた。それプラスお小言も貰ってしまった。

 

「あの冷蔵庫の中身は研究者とは言え、医療関係者なら心配するぞ...今度はキチンと入れておけ」

「うすっ」

 

今の状況は2つある椅子にホシグマとサリアさんを座って貰って俺はベッドの上に座っている。

 

「時間も丁度いいですし夕飯行きましょうか。俺が奢ります。流石に何も礼をしないのは心苦しいので」

「なら、飲みに行くか!」

「「?」」

 

ホシグマがニヤっと笑ってそう言った。嫌な気がするぞ。

 

「ここだ」

 

そう言って連れて来られたのは、接続している龍門の居酒屋街の一店舗であった。流石にサリアさんは目立つ格好だったので私服に着替えて来たが、俺とホシグマはそのままである。

 

<イラッシャーイ

「3人だ。個室空いてるか?」

<アイテル、スキナセキドウゾー

 

店員さんと軽くやり取りをして、ホシグマは振り返り

 

「こっちだ」

「...サリアさんはここの店知ってます?」

「いや、知らん」

 

頷いて彼女に付いていく最中俺の後ろを歩いているサリアさんに聞いてみるが彼女も知らないようだ。そこまで高くないなら良いけど、店の雰囲気的には普通の居酒屋って感じかな。

そんな事を考えていると、ホシグマが一つの個室に入った。それに習い個室に入るとそこは今までとは違い結構落ち着いた雰囲気の部屋となっていた。

 

「個室って別料金だったり?」

「違うぞ?」

 

良かった。バイソン坊と行く店に似てたから少し不安になったのだ。

 

「さぁ、今日は奢りだし飲むか!」

「鬼が本気で飲んだら流石に出し切れんぞ!?」

 

ホシグマのボケか分からん発言にそう返すと彼女は大丈夫大丈夫と言っていた。

 

「そこまでガチでは飲まないさ!」

「ホントか?」

「親しい仲にも礼儀ありだろ?」

 

あまり信用ならないなぁと思っていると店員さんが、やってきたのでまずは、初めの一杯をそれぞれ頼むと直ぐに酒は来たーじゃあ始めよう

 

「「...」」

「...あぁーと、俺?」

 

ジッと此方を見つめて来る二人に対して俺が、そう確認すると頷きが返ってきた。

 

「じゃあー、今日はありがとうございました!乾杯っ!」

「「乾杯ー!」」

 

こうして飲み会は始まった。まぁ何もなく嫌な気がしているので俺は抑え気味に飲もうかな?なんて気軽に考えていたのだが...考えは正しかった。

 

はい、現在かれこれ飲み始めてから2時間程経ちました。結構コスパが良く美味い物が多かったので酒が進んだホシグマ一押しなだけあるな。まぁ個室にして良かったなと思う。そう思いさっきから突っ伏しつつ飲みながら愚痴っている彼女を見る。

 

「うぅ...イフリーターぁ...すまないぃ」

「何時もこんな感じなのか?ホシグマ?」

「そう言えばドラグーンは初めてだったか?」

 

彼女に届かないように隣で確かに抑えめに飲んでいるホシグマに聞いてみると頷きそう答えた。それから暫くサリアさんの言葉に付き合っていと寝始めた。

ホシグマ曰く、サリアさんは強いらしいが許容量を超えると一気に酔いが表に出てくるらしい。因みに5分もすれば目が覚めるそうだ。

 

「zzzz」

「ロドスに来る面々は何かしら抱えてるっぽいなぁ」

「そうだな。そう考えるとドラグーンにもあるのか?」

 

ホシグマの質問に俺はさぁ?と肩をすくめながら返事をする。

 

「それは肯定と同じだぞ?」

「隠したって無駄だろ?こちとら傭兵だぜ?」

「...普通の傭兵はもっと胡散臭いぞ」

 

あれ寝てるはずの声がしたな?とサリアさんの方を向くと彼女は何時もより若干恥ずかしそうにしかめっ面をしていた。

 

「大丈夫だ。言っていた事は軽く流してるから覚えてないよ」

「感謝する...」

「ははっ!形無しだな?元警備部隊長殿?」

 

おいっ、ホシグマ酔ってるのか!?そこで煽るなよっ!ほらサリアさんの眼差しに明らかに殺意が混じってるぞ!?

 

「怒るな怒るな、普段の冷静な所はどうしたんだ?」

「っ!''龍門スラング''!!」

 

はいっ、酔いの勢いか目の前には普段の元警備部隊長としての姿は無く、どうでも良い事でキレている一人の女性とそれを見て愉快そうに顔を歪めてる鬼が居た。因みにホシグマの方も若干龍門スラングが入り出してる。

 

「はぁ...」

 

流石にこの声は外に迷惑が掛かるので俺は火消しに回ることにした。まぁホシグマの狙いらしきものも達成しただろうしな。

 

それから数分かけてどうにか酔っ払い同士のじゃれ合いを止めて会計をして今日の所は終わった。

因みに会計はまぁ想定内であったよ。サイフは軽くなったけどね。

 




と言うわけで、ほのぼのでしたっ!

次回は少し時間が飛びます。

感想・評価お待ちしております!

ではまた次回お楽しみにっ!


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第15話:アーツユニット

本当に更新期間がメチャクチャで申し訳ない

ではゆっくりしていってね!


サリアさんの以外な一面を見た日からまた半月がたったある日の朝。俺は久々にアーツの朝練を一人でやっていた。進捗的にはアーツの起動自体は結構安定して出来るようになっていた。まぁ文通でやり取りをしている我が師匠的にはまだまだだそうで、未だに次のステップに進んでいない。

 

「.........」

 

俺はただひたすらに光っている杖を眺めていた。なんかこの頃は集中していれば揺らぐ事なく出来ている。エイヤもそれ気付いたから来なくなったのかもな。

 

「.........」

「や...?」

 

なんかコツを掴むと変に力まなくて良いな。これだけ出来れば次のステップに行けるかな?まぁまだ集中しないと駄目だから先は長そうだなぁ。

 

「........」

「...!?.....」

 

んー、しかしこの光見てるとシャイニングのあの光とは全然違うな。まぁコッチは光らせるアーツで向こうは別のアーツだから当たり前っちゃ当たり前か。

 

「.......」

 

時間はまだ平気ーーだな。ならこのまま続けよう。今日はスカイフレアさんの講義も無いからな。

そんな感じに訓練しているとケータイの電子音聞こえた。

 

「ーー時間か」

「そうだね。時間だよ」

 

後5分もすればあの二人が来るかな?と思いつつ伸びをするとそんな冷たい声が聞こえてきた。そちらに振り向くとそこには見るからに不機嫌な堕天使の姿があった。

 

「モスティマさん?いつから?」

「結構前からだね。ざっと20分位かな?」

 

20分って!何故気付かなかった?俺は心の中でそう思いつつ頭を下げた。

 

「すみません。集中してたみたいです」

「ふーん?凄い集中力だね」

 

へーほーんと疑いの眼差しをこちらに向けてくるモスティマさん。

 

「な、何かしました?」

「別に。そう言えば結構上手くなったね、これなら次のステップかな」

 

おしっ!と喜んでいるとモスティマさんは少し悩んだ後

 

「ねぇ...ドラグーン」

「はい?」

 

彼女はアーツユニットを軽く振る。方向は俺では無い。着弾した場所にあったコンクリート塀は粉々になった。

 

「君、さっきこれアーツで相殺してたよ?」

「......はい?」

 

いやいやそんな訳ないだろ?と思ったがふと防具に付いているアーツユニットが少し光っているのを確認した。

 

「???」

「どうかした?」

 

このアーツユニットって自動起動じゃないよな?なんて考えていると教え子達の気配がしたのでそちらを向く。それと同時に訓練所の扉が開く。

 

「何でもないですーーおはよう2人共」

「おはようドラグーン教官!と、モスティマさん?」

 

グラニがそう言うとモスティマさんは何時もの掴みどころの無い微笑みを浮かべ

 

「おはよう。じゃあ私はお暇しようかな」

「モスティマさん。すみませんでした」

 

出口に歩いて行くモスティマさんにそう言うと、彼女は振り返り

 

「気にしないで良いよ。終わったらドクターの所に居るから来てね」

 

じゃあねーとモスティマさんは部屋を後にした。さてとじゃあこっからまた冷たい視線を浴びせている弟子たちに説明をしなきゃな。

 

それから冷たい視線が治らないグラニとフェンの2人に訓練を付け、そのまま足でドクターが居るであろう執務室に直行する。執務室の扉の近くにある呼び鈴を鳴らすと、死んだような声が聞こえてくる。

 

[はーい。どちら様?]

「ドラグーンです。モスティマさんはーー」

 

居ますかと聞こうとしたら扉が開いた。そこに居たのはモスティマさんご本人であった。後ろには書類の山と格闘しているドクターが手招きしていた。

 

「さ、入って」

「失礼します。所でこの書類の山は?」

 

にしてもこの量はエグいだろ?何事なのだろうか?そう思い聞いてみるとドクターはあははと笑いながら

 

「アーミヤにサボってるの見られてた」

「...モスティマさん、それで私をここに呼んだのは?」

 

自業自得だったので無視してモスティマさんに声をかける。何か後ろから無視しないで...と聞こえたような気がするが、気にしない事にした。

 

「うん。話は君の持ってるアーツユニットの事さ」

「アーツユニットですか...?」

 

どういう事ー?俺が首を傾げるとドクターが書類の山から出てきてこちらに歩いて来た。

 

「モスティマから今朝の事を聞いた。彼女的にはドラグーンのアーツユニットは君がアーツを使用している時に常時起動している物があるのではないかとの事だった。ドラグーンさえよかったら調べてみないか?」

「分解しないのなら良いですよ?」

 

そう返事をするとドクターはポケットからあるものを出した。

 

「じゃあここに書いてある場所に行って測定をお願い」

「了解です」

 

それからモスティマさんと共に想定室にて測定を行う事となったのだがーー

 

「どうして...?」

 

技術者達に文字通り群がられていた。

 

 

初めは特に問題も無く測定していたのだが、どうやら俺の防具に付いているアーツユニットはそのユニット自体の耐久性がおかしいとの事だった。それ以降やれ分解させてくれだの詳しく測定させてくれだの言われたので、分解は丁重にお断りしてそれ以外には俺自身も気になったのでやってもらった。そして、俺とモスティマさんが測定室から出れたのは昼もとっくに過ぎた時間であった。

 

因みに今朝モスティマさんの攻撃を防いだのはユニットの自動発動型のーーこっから先は専門用語だらけで理解が出来なかったが、自動シールド機能だと思う事とした。

 

「モスティマさん最後まで付き合って下さりありがとうございました」

「別にいいよ。タジタジになる君の姿を見るのは楽しかったし、今朝の不明が分かったからね」

 

そう言ってニヤリと笑うモスティマさん。まぁ他人から見る分にはそうだろうなと思いつつ、それでも少しイラッとしたので目を細めて

 

「もっと早く助けてくれても良かったのでは?」

「ごめん、ごめん。じゃあお詫びとしてちょっと遅いけど昼食奢るよ」

 

なら良いかなと思い返答しようとしたら端末が震えた。

 

「あ、もうそんな時間か。モスティマさん」

「ん?なんだい?」

 

若干上機嫌?なモスティマさんに悪いなぁと思いつつ

 

「これから訓練でした」

「あぁ...もうそんな時間」

 

なので今度奢って下さいよ?と言うと彼女は微笑んで

 

「そうだね」

「それでは失礼」

 

ここから訓練所まで結構あるぞ?歩いてたら間に合わないな。

 

「仕方がない、走るか」

 

その後走っていたら何やら風紀委員長みたいな少女に追いかけ回されたが、どうにか撒いて時間までに訓練所についた。中に入ると流石にギリギリだった為既にグラニとフェンは柔軟を終えたのか話ていた。

 

「っあ!ドラグーン教官!」

「すまん遅れた。準備は出来てるみたいだな?」

「はい、何時でも大丈夫です」 

 

うん。真面目な生徒で良かったと内心思いながら俺は棒を構えた。

 

「じゃあ始めようー!」

「「はい!」」

 

 

そして何時もの如く組手をほぼ休憩無しで行った。この頃だとグラニに関しては何度か槍を使いそうになるぐらい戦いのキレが良くなっている。フェンに関しても訓練始めたての頃のグラニなら勝てる気がする位になっていた。

 

「では、今日はここまで!」

「「ありがとうございました!」」

 

それと共に息を吐き体から少し入っていた力を抜く。するとグラニがフェンとの会話が一段落したのかこちらに声を掛けてきた。

 

「ドラグーン教官!夕飯一緒に食べよう!」

「おういいぞ」

 

それから毎度のごとくグラニ、フェンの二人と夕飯を食べて自室に戻ろうとすると俺の部屋の前に突っ立っているヴァルカンの姿があった。

 

「ヴァルカン?どうした?」

「ドラグーンか、ちょうどお前に用があったんだ」

 

流石に部屋をミスった訳じゃないか。俺はそんな下らない事を脳内の片隅で思いつつ質問をした。

 

「それでその用は?」

「あぁ...それなんだが」

 

そう言って彼女が差し出してくるのは小型の記憶媒体であった。

 

「これは?」

「今度このテスト武装のテスターを頼みたい。ドクターの許可は貰っている」

 

その日までにその武装の事について予習しておいてくれとの事であった。俺は了解と答えつつ早速中身を確認しようと自室に入ろうとするがそこでまた呼び止められる。

 

「ドラグーン」

「なんだ?追加の注意点があったか?」

 

俺がそう聞くと彼女はニヤリと微笑み

 

「当日はとことん付き合って貰うぞ?」

「お、おう」

 

ではなと彼女は今度こそ自室へと入っていった。

 

「...鍛冶師って全員こうなのかね」

 

そう呟いて俺は自室へと入っていった。




と言う訳で次回はヴァルカンとの一日になります!

感想・評価お待ちしております!

では、また次回お会いしましょう!


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第16話:新武器テスターの手伝い

今回は新武器テスター回!

では、ゆっくりしていってね!


突然だがロドスに協力しているオペレーターが使う武器についてなんだが、人に向けて使う物では無いものを使う奴らが結構居るそうだ。

なので、それらの武器のアップデートやらメンテナンスやらを出来るロドスの技術者は全員変人である。

 

「......勿論褒め言葉だけどさ」

 

俺はそんな事を考えながらヴァルカンから貰った新兵器の説明資料を見ているわけなんだが...確かにハルバートは使えるな。だけどよー

 

「これ人に向けて使う物か?」

 

猛獣やら化け物と戦うなら分かるけどと思った時に脳裏に映る数人の姿......

 

「うん。これは深く考えない方が良いな」

 

そう呟いて端末をスリープにして机に突っぷす。因みに今日がその新兵器のテストの日なのでそろそろ行かなきゃ行けないのだが...あまり乗り気はしない。

 

「行くかぁ」

 

場所は何処かな?と確認するとそこにはガレージと書いてあった。

 

 

「えっ」

 

 

嫌な気がしてはいた。俺はガレージにて件の人を待っていると集合時間ピッタリくらいにその手に端末やら映像機械を持ったヴァルカンとクロージャ、そしてドーベルマンさんがこちらに近づいてきた。

 

「ドラグーン。おはよう」

「おう。それでどこでやるか何となく分かったけど一応確認するな?外でやるのか?」

 

その質問にヴァルカンは何を当たり前なことをといった顔になった。

 

「当たり前だ。資料に威力については書いておいたはずだが?」

「だよな」

 

 

と言う訳で我ら一行は武器が入っている装甲車にてロドスの外...だだっ広い荒野にて停車した。ちなみになのだが、護衛も勿論居るまぁ俺にとっては新しい面々ではなくて良かったと思った。

 

「護衛任務開始....zz」

「寝るな。任務中だ」

 

と言う訳で、護衛のフィリオプシスさんとサリアさんです。まぁ火力に関しては今回新武装の評価を手伝うらしいドーベルマンさんがいる。もし怪我したとしても、フィリオプシスさんやサリアさんが居るので問題にならない。そんな事を考えているとヴァルカンが武器をしまうケースの一つを開きコチラに渡してきた。

 

「ドラグーン始めるぞ」

「!観察開始」

「いや、観察じゃなくて周囲の警戒をだな...」

 

フィリオプシス本当は護衛じゃなくてただの野次だったり?そう思ったが少し強めのゲンコツを食らい涙目になりながら周囲の警戒を始めた。それを見守りながら、俺はヴァルカンから受け取った武器を持ちながら彼女達から十分に離れる。

離れながら手に持った受け取った武器であるハルバードをよく見る。ぱっと見た限りでは普通のハルバードにしか見えないが、実はこのハルバートの穂先根本に装飾によってカモフラージュされた回転式のチェンバーがついている。説明によるとこのチェンバーにアーツを貯めておくことができるそうで、そのチャージしたアーツを放ちいろんな使い方ができる......らしい。

 

[では、まずは軽く振ってもらう]

「型でもやれば良いのか?」

 

離れたので聞こえやすいように通信に変えて指示を出してきたヴァルカンにそう返すと肯定の言葉が返ってきた。

 

「じゃあ、久々にやるぞっと!」

 

それから暫く振り回す。うん特にチェンバー部の重さも殆ど俺は気にならないので問題なく出来たな。まぁ久々すぎて型自体は悪い癖が出ていたが。

 

「ヴァルカンへ、特に変な違和感なし。ただ重さは人によるかもしれない、この前持ったハルバートより結構重いからな」

[なるほど。ドラグーン的にはどうなんだ?]

「俺的には...普通に使えるかな」

 

俺は結構無茶な重さの武器も一時期使ってたりしていたのでそう答えると、ヴァルカンは成程と言った後

 

[では次はチェンバーチェックをしてみてくれ。ゆっくりで良いぞ]

 

まだ安定性は完全とは言えないからなと続けるヴァルカン。うんそれはありがたい忠告だな。俺は感謝の言葉を伝えチェンバーにアーツを流す。

 

「これ、どのくらい流せば?」

[ん?あぁお任せだ]

 

は?俺はアーツを流すのを止める。

 

「いやいや、俺がアーツ制御駄目な事知ってるよな!?お任せって言われても分からんぞ?!」

[ドラグーン。やってみろ]

 

荒ぶっている俺にドーベルマンさんは厳しくそう言ってくる。

 

「...了解」

 

俺はもう一度集中してアーツを起動、チェンバーにチャージして行く。すると淡い光が溢れ出てきた。こんな物か?でもーーー

 

「ーーまだ行けそうかな」

 

チャージを続ける。チェンバーの数は8つありその内光が漏れ出てる物は4つ程だなあと4つ!

俺はそのままチェンバーを眺めつつアーツをチャージして行く。

 

「よしっ全部チャージ出来たな...っ!」

[大丈夫か?]

 

でもこれ維持メッチャキツイな!?俺はその事を伝えるべく返事をする。

 

「大丈夫じゃなさそうでっ!維持がキツイです!」

[なら手元にある窪みに指を開放するチェンバー数分押せ!]

 

窪み?あぁこれか、俺は槍のいたる所にある装飾かと思える窪みがあり一番近い窪みに指を押し付ける。するとガチャンと言う。確かこの後はーー

 

「全力で振り抜く!!」

 

それと同時に振り抜く軌跡にあわせた光の刃が飛んで行った。そして荒野にあった2メートル位の岩を切った。

 

[!?!?]

「次は2回ですか?」

[!いや計器的に危険域に入っているから連続の1を頼む]

 

ヴァルカンの指示に了解と返事して、そのままさっきの岩の方に軌跡が行くようにー!

 

「せいっ!」

 

7連撃の技をやりながら攻撃の一瞬前に窪みに指を押し付ける。ハルバートをふる風切り音と共にとてもロマンある機械音が聞こえる。技を終わらせた後にハルバート本体を見るとそこには熱を帯びているのが分かるくらい熱が出ていた。

 

「うわぁ...これヤバくないか?」

[そうだな。一旦戻ってきてくれ]

「了解」

 

最後に俺はチラッと目標地点にした方を見る。無残に切り刻まれた元岩であろう石の山ができていた。

 

 

「お疲れ。そこに立て掛けてくれ」

「分かったよっと」

 

指示された検査台の上にハルバートを置くとヴァルカンは直ぐに検査を始めた。その結果を後ろから覗いて見るが全然分からない。表情的にはいい結果では無かったようだ。

 

「取り敢えず今日はここまでだな」

「...そうだな、では警戒組に乗るよう伝える」

 

ヴァルカンの言葉にドーベルマンさんがそう反応して直ぐに外へと出て行く。あぁまさか壊したかな?

 

「悪い。壊したか」

「...いや、それに関しては予想通りだから気にしなくていい」

 

ヴァルカンはそう言ってハルバートを見る。そう言えばー

 

「ヴァルカン、これはアーツロッドに入るのか?」

「ん?...あぁそうだな」

 

ヴァルカン曰くアーツロッドは武器にアーツを使うための媒体が付いている物の事を指すらしい。

 

「なる程なぁー」

「ドラグーンはアーツ適正欠落って判断されていたな。あれは何故だ?」

 

その質問に俺も少し気になってはいた。基本的にアーツ適正欠落と言われている者たちはアーツ使えない筈なんだよな。俺はギリギリ欠落って事なのかね?

 

「アーツ制御がこの前まで全く出来てなかったからだと思う」

「今日見ている限りだと、使えていたみたいだが?」

「今再度受けたら違う評価受けそうだけどね」

 

そんな話をしていると外からドーベルマンさんが警戒組を引き連れ乗車して来た。

 

「では帰るか、クロージャ!」

「はいはーい!じゃあ皆しっかり掴まっててねー!!」

 

ドーベルマンさんの一言で今日半休?を取って見学に来ていたワーカーホリックのクロージャの運転で帰艦するのであった。

 

 

「では今日の試験はこれにて終了だ。お疲れ」

「「「お疲れ様でした」」」

 

ガレージに装甲車を停めて、全員が降りたのを確認した後、ヴァルカンが終わりの一言をつげた。よーし今日は特に訓練も無いし、ゆっくり休もーー

 

「ドラグーン。少し良いか?」

「ドーベルマンさん?何ですか?」

 

休もうとしたら何やら端末を忙しなく操作しているドーベルマンさんに引き止められたので立ち止まり話を聞く体制をすると、彼女は続けてこう言った。

 

「明日からドクターと任務だ」

「はい?」

 

え、どういう事ですかね?




という訳で16話目でした。

そろそろ突っ込まれそうなので少し捕捉ですが、ドラグーンのアーツ適正に関しては『欠落』で正しいです。
今後少しずつ判明していくのでどうぞお待ち下さいー!

次回はある意味旬のネタ行きますよー!!

評価・感想お待ちしておりますっ!

ではまた次回お会いしましょう!



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第17話:危機契約っ!その1

17話目ですっ!

真面目回が続いております
ほのぼのしたいなぁ←

ではゆっくりしていってね!


俺はドーベルマンさんの言葉を聞き、詳細を彼女から聞こうとしたがドクター本人に聞いてくれと言われてしまったのでドクターに連絡した。

するとドクターは部屋に来いとの事だったので、今ドクターの仕事部屋に直接向かっている。

 

「どうぞー」

「失礼します」

 

仕事部屋に着いて入室許可を貰い入室すると、そこにはドクターは座っておりもう一人右側にあるドクターの机より少し手狭ではあるが、仕事はできるであろうデスクにて椅子に座りながらノートパソコンに何か入力しながら此方を見ている紫髪の龍族...チェンであった。

 

「...ドクター、明日の任務についてなんですがーー」

「あーうん。今から説明するんだけどその前に一つ聞いていい?」

 

チェンは入室者が俺と分かったらすぐ作業の方に戻った。それを視界の端で見つつドクターに聞こうとしたら先に質問がある様だ。

 

「何ですか?」

「危機契約って知ってる?」

 

危機契約ー

それは天災トランスポーター達によって結成された非政府組織だ。

スローガンもあったがなんだったか。誰でも良いから命を救えって感じだった筈。まぁ俺も傭兵時代に何度か巻き込まれる形で参加した事がある。

 

「何度か参加した事があるので知ってるな」

「それなら詳しい說明は必要無さそうだね。明日からその任務に付いてきて欲しいんだ」

 

なる程ロドスも危機契約やってるんだな。まぁシャイニングのおかげでかなり身体の調子も良いし、参加するのは良いけれど...

 

「何故俺?俺より強い人ならロドスにも居るだろう?」

 

そこで仕事してるドラゴンとかな。そう心の中で続けつつそう言うと、ドクターは

 

「その強い人達からの推薦だよ。推薦来た人達が誰かも知りたい?」

「...いや、いいや。予想できるから」

「まぁ今日の秘書のご友人からの熱烈な推薦かな」

 

いいと言ったのにドクターは少し回りくどい言い方で呟く...鬼の方だったか。

 

「まぁ、どうしても嫌なら入れないけど」

「いや出るよ。丁度試したい事もあるしな」

 

メンテした棒の調子とかアーツ特訓の成果を見たいからなと続けるとドクターはよしっと小さくガッツポーズをした。

 

「じゃあ詳細を端末に送るから確認しておいて!」

「了解。では失礼しました」

 

そう言ってドクターの部屋から出ていく。

 

外へ出ると丁度開けると目の前に小さい黒兎とそれに絡んでいる長髪のフェリーン族が立っていた。

 

「アーミヤ社長、こんにちは。そちらの方は?」

「あっ、ドラグーンさんこんにちは。こちらはーー」

 

アーミヤ社長が何か言おうとする前にそのフェリーンはコチラに手を差し伸べつつ口を開いた。

 

「私はブレイズ。貴方の事は色んなオペレーターから聞いてるよ。よろしくねドラグーン教官?」

「よろしく。ブレイズさん」

 

そう言って握手をする。彼女の手はーー強い人の手だな。そう思っているとどうやら彼女も何かを感じ取ったのか、凄く機嫌が良くなった。

 

「へー!これは噂以上!」

「そちらこそ、結構な修羅場を越えて来てるっぽいですね」

 

人懐っこい顔をしながら、握手した後話しかけて来るブレイズさんにそう答えるとキョトンとした。何か変なこと言ったか?そう思っていると暫くの沈黙の後、彼女は何かを思い出したかのように口を開いた。

 

「そうだ、次の任務ーー危機契約ではよろしくね」

「ブレイズさんも出るんですね。よろしくお願いします」

 

よろしくねー。と言いながらドクターの部屋に入っていく。その後ろにアーミヤ社長も続いて入って行こうとするが、その前にふとコチラに視線を向けてきて

 

「今回の作戦。よろしくお願いします」

「こちらこそ」

 

そう言って今度こそ部屋に入っていく社長を見送り、俺は一息ついた。

 

「よしなら準備とかしなきゃな」

 

そう呟いて俺は足早に自室への道を歩いて行く。

 

自室に着いて棒の整備やら防具の点検等々をしていると時間が結構経っておりそろそろ夕飯時になった頃であった。机の上に放っておいた端末が震える。何かあったのだろうか?と確認するとメッセージが届いていた。差出人はーー社長であった。

 

「内容はー?顔合わせと懇親会?」

 

件名にはそう書かれていたので内容を読み解いて行くとどうやら今回の危機契約にて参加するメンバーを集めて文字通り顔合わせを行うようだ。因みに飯代はドクター持ちとの事ーー。

 

「色んな会社が混じってるからなのかね?」

 

俺のイメージ顔合わせは当日にやるのか基本的だったのでその対応に若干新鮮味を感じつつ端末を閉じる。無論参加するとの返事をしてからではあるが。

 

「よし、じゃあ行くか」

 

一応棒を持って自室を出る。会場は食堂だ。

 

 

食堂に着くと立食ビュッフェ形式となっておりもう既に結構な人数が集まっていた。そこに近づいて行くとクロージャが受付をやってるらしくバインダーを片手にコチラに近付いてくる。

 

「ドラグーン来たね」

「お疲れ様クロージャ」

 

労いの言葉を言いつつ彼女に近付いて行くと彼女は首を横に振りながら何時もの事だから大丈夫と返してきた。

 

「それに、私も食べれるしね〜役得役得!」

「納得してるなら何も言いません」

 

ワーカーホリックだよなこの人も...そう心の中で思っていると、ドクターが此方を確認したのか声をあげた。

 

「注目!」

 

それと共に静まる食堂、良き統率力だな。そんな謎上から目線をしつつ話の続きを聞く。

 

「私が危機契約に参加するのはこれで3回目で、何だかんだ皆馴染みの面々だと思うけど、今回新たに一人のオペレーターが参加する事となりました!なのでキチンと交流してね!」

 

じゃあ懇親会開始ー!と言う声で始まる顔合わせてか自己紹介せずに始まるんかいっ!?俺はまず飯を取りに行くべきか、それとも挨拶まわりをしたほうが良いか悩んでいるとコチラに近付いてくる一人のオペレーターがいた。

 

「ホシグマ」

「今回はよろしくお願いしますね?ドラグーン」

 

そう仕事モードで言ってくる彼女。本当にメリハリがしっかりしてる人だ。

 

「こちらこそ、よろしく。まぁどんな立ち位置に居るか分からんがな」

「そうですね」

 

ホシグマとそんな感じで話していると、昼間会ったチェンが誰かを引き連れて歩いて来た。

 

「ホシグマ、速いぞ」

「隊長が遅いからーーおや珍しいですね。貴女が共に来るのは」

 

チェンと共に来たのは、紺色長髪の女ループスであった。チェンは肩をすくめながら経緯を話し始める。

 

「そこで彼の事を話したら是非話したいとな」

「テキサスだ。よろしく頼む」

「これはご丁寧に。ドラグーンと申します、よろしくお願いしますテキサスさん」

 

テキサスさんの挨拶に返すと彼女は少しだけ眉を上げた。一瞬苛ついたのかと思ったがどうやら違うようだ。

 

「テキサスでいい。では失礼する」

「あっ、行ってしまった」

 

何か気に触ることしたかね?と悩んでいるとチェンが何時もあんな感じだぞと伝えてくれた。なる程そういったタイプか。ん?彼女を見ていると服についてるマークに目が行ったあのマークって確か

 

「ペンギン急便?」

「ん?あぁそうだな」

 

となるとあの人も結構はっちゃける人なのか。バイソン坊からは余り聞かない所から察するにそこまで問題児って感じではないのかな?

 

「それでチェンは何か用事があるのか?」

「別に用事がある訳ではないぞ?だか明日は共に最善を尽くそう」

「ああ。そうだな」

 

それを伝えに来ただけだとチェンは言って足早に去っていく。それを見送った俺とホシグマはふと顔を合わせ苦笑いをする。

 

「あれが俗に言うツンデレ的な奴か?」

「それを隊長の前では言わないで下さいね。機嫌が悪くなりますので」

 

ホシグマはそう言って明後日の方向を向く。あ、目が死んでいた。これはよっぽど面倒だったんだな。

俺は今後は思っても口には絶対出さないと約束をする。ホシグマはありがとうございますと丁寧に言い自分もこれにてと歩いて行った。

 

「そう言えば、今回のオペレーター一覧って分かるのかな?」

 

せめてどの職業がいるのかくらいは知りたいな。そう思い端末を調べてみると、ふとアーミヤ社長からメールが届いていた。それを読むとどうやら今回俺しか特殊オペレーターは居ないそうだ。マジか、他の特殊オペレーターと少しは接点欲しかったんだがな。

そうな事を考えていると今度はフィリオプシスさんとシャイニングが来た。

 

「ドラグーン教官、発見。今回の作戦ではよろしくお願いします」

「いえ、こちらこそ。作戦中どうなるか分かりませんがよろしくお願いします」

 

フィリオプシスさんは俺の返事を聞くと満足そうに微笑んだ後ーー

 

「zzzzーーー」

「...」

 

そう言えばサリアさんから少し聞いたな、鉱石病と種族によるものだって。倒れ込むことはなさそうだし気にせずもう一人の方にも挨拶しなきゃと思いシャイニングの方を向くと、彼女は凄くニコニコしながら

 

「治りきって無いのですから、絶対に無理はしないように」

「大丈夫だ問題「もし無理した場合は医療チームの面々に身体の事をバラします」絶対に無理はしません」

 

うん弱みを握られるのは久々だなぁ。呑気にそんな事を考えてはいるがきっとフィリオプシスさんが寝てたから言えた事だよな...起きてても暴露するとか無いよな...?そう意思を向けながら彼女の方を向くと

 

「ふふっ」

「復帰しました...?シャイニングさんどうかしましたか?」

 

丁度良く起きたフィリオプシスさんの言葉に何でもないですと答えるシャイニング。しかし俺は冷や汗が止まんなかった。

 

「じゃあ俺はご飯取りに行きますね!失礼します!」

 

そう言って頭を下げ二人を置いて俺は食事を取りに行った。

 

因みにそれ以降はブレイズさんに絡まれドクターに助けて貰うまで飲まされたのであった。




危機契約が終わるまでに上げようとしていたのに...とっくの昔に終わってしまった。

このお話では次で危機契約が終わる予定です。

評価・感想お待ちしてますっ!

ではまた次回お会いしましょう!


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第18話:危機契約っ!その2

はい、この頃執筆に割く時間が無くなりつつあります。

ゆっくりではありますが更新して行きますので暖かく見守って下さい。

では危機契約の作戦当日ですっ!

それでは、ゆっくりしていってね!


ブレイズさんに絡まれ飲まされた翌日。俺は早朝から龍門の郊外の見晴らしの良い高台の少し後方、高い崩壊しかけのビルの屋上に立っていた。高台には遠距離オペレーターと医療オペレーターが待機しているのが見える。

 

「そろそろ作戦開始時刻か」

 

その呟きと同時に眼下に広がる広場を駆ける猟犬が数匹出てきた。まぁ作戦概要はドクターから聞いていたが、ここまでほぼ予定通りか...

 

「怖い程の頭だな...」

 

そこらの名軍師クラスじゃこれは歯がたたないかも...いやいやそれは無いか?そんな事を考えていると先程から猟犬やらをザックザックと屠っていた先鋒オペレーターであるテキサスであったが、猟犬が更に大量に出てきたと同時にドクターから通信が来た。

 

[ホシグマ、今です!!テキサスの前に]

[了解!!]

 

バッチリなタイミングでホシグマがテキサスの対応仕切れない部分の敵を受け止めた。うへぇホントにギリギリだったぞ!?

 

[ドラグーン!そろそろ術士が来る!]

「了解」

 

ドクターの鋭い指示が飛んでくる。それと同時に俺はビルから飛び降り指定場所まで走った。陣取るは高台

 

「ドラグーン現着、これより作戦行動に移る」

 

それと同時に棒を槍に変形させる。よーし調子はかなり良いっと!!目の前にある安定して立つことも難しそうな建物奧にフード姿の術士を発見したので俺は迷わずその術士に向って槍を振り抜いた。久々にやるがこれがこの槍の真骨頂!伸びる刺突!!

しかし俺は二つ失念していた。この伸びる刺突は俺のアーツの使い方の一つで刺突する時に起きる風をそのまま届けると言った物であったと忘れていた事、そしてアーツ制御なるものを不器用なりにある程度物にしていた事である。その結果ーーー

 

「っ!?!?」

「.....は?」

 

相手術士が跡形もなく消えた。えった力み過ぎた???何時もはこれくらいだったはず...

そんな感じに考えていたのだが、その時ドクターの指示で後方支援を開始したシャイニングから通信があった。

 

[ドラグーン、くれぐれも今までの様に使わないように。威力が桁違いになる筈ですよ。既に遅いみたいですが]

「...あっ」

 

シャイニングに治療受けてたの完全に忘れてたわ。なら力加減しないと直にガス欠になりかねないな。と思っていると俺の攻撃範囲に入った敵が見えた。

 

「よーしこんな物かなっ!」

 

今度は上手く行ったようだ。通過した敵はどんどん消えていく。そしてあれから暫く経つとまたドクターからの指示が来た。

 

[敵重装兵に苦戦してるから援護しに行って!]

「高台から降りてですか?それとも高台から援護?」

 

どっちも出来そうな立ち位置に居たので聞き返すと即答で降りてとのお達しが返ってきた。

 

「了解!」

 

さてとこっからはチーム戦か。久々だが上手く行くといいなとと思い戦いが激化している広場へと急いだ。

 

「斬!!」

 

広場に近付くとチェンの鋭い声が聞こえる。それと同時に赤い斬撃が届くがそれをギリギリ耐えきったのか、重装兵の攻撃がチェンに迫るー俺は迷わずその重装兵に接近しその武器を持っている肩目掛け一撃を放った。

 

「「させない!!」」

 

その時一迅の風と炎が融合し、相手の右半身をエグリとった。炎結構な威力だなただの風がここまでの破壊力になるとは。

 

「チェン無事か?」

「...モーマンタイ」

 

そいつは良かったと言おうとしたら猟犬が俺目掛けて噛みつこうとして来たので回避した。するとチェーンソーがその猟犬を両断した。

 

「いやぁ、凄かったね!さっきの一撃!」

 

そこに現れたのは昨日の酔いどれ...の面影は一切ないロドスのエリートオペレーターのブレイズさんであった。

 

「いえいえ、あれはブレイズさんの炎が凄かっただけですよっ!」

 

後ろから抜けそうな猟犬の首元を槍で穿ち黙らせる。おっと後3匹ー抜けそうだったが、そこに現れたのはテキサスさんとサリアさんであった。

 

「ドラグーン、援護を」

「チェン、ホシグマ、ブレイズ回復するぞ」

 

俺はテキサスさんの要請に頷き彼女の援護をする。その間にサリアさんが負傷兵の手当をする。そして復帰した三人がこちらまでやって来て

 

「テキサスとドラグーン交代だ」

「了解」

「おう」

 

うーんまだ怪我もしてないが、これ危機契約だしな。あとドクターの作戦の一部なので一旦下がった。するとサリアさんの姿は無かったが高台からシャイニングの回復が俺へと飛んできた。

 

「なる程、セーフエリアか」

[そう言うことですね]

 

俺の呟きを聞いたのかシャイニングはそう返す。それと共にドクターからの連絡が来た。

 

[ドラグーン、急いでサリアの援護!結構まずそう!]

「っ!場所は!」

[ドラグーンの初め居た通路!]

 

俺は駆け出した。結構な近場にあったので直に戦闘場所についた。そこには複数の上級術士を一人で受け止めてるサリアさんが立っていた。

 

「くっ...まだだ!」

「ドクター!技使用許可!」

[良いよ!やっちゃえドラグーン!]

 

許可もおりたので、ボロボロのサリアさんに向け通信を入れる。

 

「この一撃受け止めれるもんなら受けとめて見やがれーー!![伏せろ!]」

 

ー激槍!!

俺はトップスピードで伏せたサリアさんの上を飛びこえ、敵の攻撃をも追い抜くスピードで敵に全力で槍を振り抜いた。

暴風が周囲の瓦礫を撒き散らしビルの表面をメッタメッタに傷つけた。技が終わった後に敵の姿は無かった。

 

「...ふぅ」

 

一応周囲の警戒をしつつサリアさんの方を向き口を開く。

 

「大丈夫か?」

「あぁ...助かった」

 

サリアさんはそう言うと同時に警戒を再開しようとしたとき不意に彼女の重心の軸がずれるのに気が付いた。

 

「っ!」

「サリアさん!」

 

俺は咄嗟に彼女を支える事が出来たのだが、その体制が少し不味かった。まぁ焦ってたのもあるんだが、少し抱き寄せる感じになってしまったのだ。

 

「〜?!すまない。もう大丈夫だ」

「えっ、はい」

 

サリアさんは少し焦って直ぐに離れた。怒ってる感じじゃなくて良かったぁ。

 

[作戦終了!皆周囲警戒しながら返ってきて!]

「了解......サリアさん帰りましょうか」

「......」

 

俺は通信にそう返事をしてサリアさんに話しかけたが、彼女は何かを考えて居るようだった。これ通信にも気付いてない感じか?

 

「サリアさん?」

「!何だドラグーン」

 

相当深く考え込んでいたようだ。俺がもう一回声掛けをするとサリアさんは少し驚いた後そう返してきたので、通信が来ていた旨を伝えると少し申し訳なさそうにして

 

「すまなかった。帰るか」

「そうですね」

 

サリアさんと共にドクター達が待つ地点まで歩いて行く。はぐれのマフィアやらレユニオンやらとの交戦は特に無く無事に合流地点まで到着する。すると周囲警戒していたブレイズさんがこちらに気が付いたのか手を振りつつこちらに近付いてきた。

 

「お疲れー!君達が最後だよ!」

「お疲れ様です。ブレイズさんは元気ですね」

 

俺はそう返事をする。サリアさんは挨拶もせずにブレイズさんの方に近付いて行きーー医療アーツをつかった。

 

「怪我の報告はしっかりやれ。いざという時それが命取りになる」

「あはは〜ありがと!ーーほら乗った乗った!帰るよ!」

 

あっ話題をそらした。まぁ特にここに居ても意味無いので俺は輸送車に乗り込む。サリアさんは愚痴愚痴と説教的な事をブレイズさんにしつつ後から乗り込んできた。

乗り込み終わり席につくと同時に車が発進した。それから暫く俺は報告書を記入を始める。周りは何やら話をしているようだが、まぁ特に声掛けてこなければ俺には関係無い話なのだろう。

 

「ふぅ...」

「報告書書くの速いな」

 

俺の作業をチラ見していたのか隣に座っていたテキサスが話しかけて来る。

 

「そうですか?」

「あぁ」

 

まぁ傭兵にしては速いのかもしれないなぁ。俺はそう返すとテキサスはそうだなと言って自身も報告書を書き始めたようだ。暫く眺めてると終わったようだ。やっぱり俺より早かった。

 

「二人共よく書けるね。私はそんなに早くかけないよ」

 

そんな光景を見ていたブレイズさんはどんと胸を張りながらそう言ってきた。うんそれは別に胸を張る事じゃない。

 

「ブレイズ、今回はキチンと期日までに出してね?」

「...はーい」

 

ドクターに注意を受けうだれるブレイズさんを背景に俺は今回の作戦を振り返っていた。

 

「ギャァァァ」

 

ブレイズさんの断末魔が邪魔してマトモに出来なかった。

 

 




次回から話が進んでいきます(予定)

評価・感想お待ちしておりますっ!

また、次回お会いしましょう!


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第19話:MVP

はい、遅れました。申し訳ry

という訳でお話を進めていきますよ(希望的観測)

では、ゆっくりしていってね!



作戦から無事に帰還した翌日、昨日はやらなかったMVP発表なら反省会を今日やるそうだ。でもその反省会が始まるのは少ししてからだし、俺は教官の仕事をしていた。

 

「うん。いい動きだ!」

 

今現在はグラニと模擬戦をしている。グラニといい、フェンといいかなりの勢いで強くなっている。多分今の彼女達が訓練最初期の俺くらいになら余裕をもって勝てるだろうな。

 

「っと、褒められたからって気を抜くなよっ!」

「うげっ?!」

 

グラニの隙を見つけたのでそこを軽く突こうとしがどうにか槍で防いだ。

 

「あっぶな!教官この頃どんどん強くなってるんですけど!?」

「それはお前達がどんどん強くなってるからだよ」

「と言っても、未だに槍使って無いじゃんー!っぶな?!」

 

話すことに気を取られちゃ駄目だぞという思いを込めてちょっとキツイ攻撃を見舞うが、ギリギリで避けた。俺の予想だと防ぐと思ったんだな。

 

「ーよく避けたなぁ」

「だってそれ、強攻撃でしょ!」

 

どうやら俺の狙いを見向いていたようだ。じゃあもう少しギアを上げてーーとしようとしたら電子音が鳴り響く。終わりの時間だ。

 

「はい、終わり」

「あ、ありがとうございました!」

 

グラニの返事的にそこまで疲れてなさそうだな。そろそろ槍使うかなぁ...いや、これは主治医に聞かないとな。

そうこう思っていると、近くで此方を見ながら素振りをひたすらしていたフェンが此方に近付いてきた。

 

「じゃあ、始めよう」

「はいっ!」

 

フェンは何処まで速くなったなーー?俺は油断はしないで彼女との組み合いを始めた。

 

 

フェンとの組み合いも無事終えた。彼女もキチンと成長している。スピードも今となっちゃグラニとドッコイ位かね?

そんな事を考えながら反省会の開催場所である会議室に向かっていると、アーミヤ社長が向かい側からコチラに歩いて来る。

 

「アーミヤ社長」

「ドラグーンさん。おはようございます」

 

丁度会ったのでそのまま特に寄り道もなく会議室まで着いた。中に入るとそこにはドクターとサリアさんが居た。

 

「あっ、ドラグーン!こんにちは」

「ドクターどうも。サリアさんも、こんにちは」

「...あぁ、こんにちは」

 

ドクターは何時もより少しテンションが高かった。大丈夫か?少し心配だな。リセイタリテル?

それに対してサリアさんは何やら考え事をしているようだ。

 

「席は何処に座れば?」

「適当に開いてる席に座って!」

 

かなり上機嫌なドクターの返事を受け俺はどうしようかなと席を見渡す。因みに円卓っぽい感じだ。アーミヤCEOは気が付いたらドクターの隣に座っていた。俺はドクターの向かい側に座っていたサリアさんの隣の席に座り端末を開く。ドーベルマン教官にそろそろ今後の訓練内容を送って来いと連絡がきたからね。

 

「次は連携の練習か?...でもするなら俺は外側から見たいなぁ」

 

複数人数捌ける人に手伝いを頼んでみるか?でもここにそんな隙を持て余してる奴なんて

 

「ー居るけど、厄介だから別のにするか」

 

脳裏にある奴が思い浮かんだが、それを頭振ってその考えを消した。記載いていた訓練内容のメモを一応保存し、別のメモ帳を立ち上げ次の訓練内容になる素案を考え始める。がなかなかいい案が思いつかないため、一旦視線を上げて周囲を確認すると結構な人数が集まっていた。というより隣にブレイズさんが座りつつこっちを見ていたのか目が合った。

 

「いやー凄い集中力だね。私も立場的にやることはあるけどそこまで集中出来ないなー」

「そうですか?と言っても進んでは無いんですけどねー」

 

端末の電源をスリープさせる。席が埋まったしそろそろ始まるだろう。

 

「では、危機契約の反省会に移ります。と言っても報告書の共有をするだけなんだけど、じゃあ端末に送ったから順に話すねーーー」

 

そこからはイメージ大学の講義風のスライドによる各員の報告を集計しての共有が殆どであった。因みに隣にいるエリート猫は結構序盤から寝落ちしていた。大丈夫なのか?

 

「ーー以上で共有は終わりです。じゃあ次は今回の作戦のMVPについてだね。じゃあアーミヤお願い」

 

MVPその言葉をドクターが言った瞬間場の空気がピリついた。というよりMVPってなんだ?そう思っているとサリアさんが俺の困惑顔に気付いたのか説明をしてくれた。

 

「通常の作戦では無いが、この危機契約においては特別休憩を貰える権利がこのMVPだ」

「えっ?でも休暇って貰ってますよね?」

 

確かこのロドスが龍門に帰艦してから2日位の休みを入れられていたよな?そう思い聞き返すとサリアさんが答えるより先にアーミヤCEOの声がよぎった。

 

「では今回のMVPは、サリアさんです」

 

それと同時に拍手が始まる。当の本人はしかめっ面をしていた。いや若干頬が朱くなってるから照れてるかな?

 

「では、サリアさんには3日間の休暇を与えるとの事で今回の会議を終わります」

 

なる程ね、一日増えるという訳か。それならそこまで反感は出ないか。それにここに居る面々は全員かなり忙しい人達だからな。こういった時の休みはありがたいだろうな。

 

「...むぅ」

「......」

 

そう思いつつチラッとサリアさんを見てみるとそこには何時も以上に眉を潜めて考え事をしているサリアさんがいた。サリアさんも仕事中毒者だったのか。そんな事を思っていると肩を叩かれた。振り向くとそこにはニヤニヤしているブレイズさんがいた。

 

「ねー、ドラグーンこの後暇?」

「仕事ですね。ブレイズさんこそ仕事は無いんですか?」

 

そう聞き返すと、どうやら仕事は今日は無いそうだ。まぁ流石に危機契約が終わった後だもんな。

 

「それじゃ、また暇がある時に訓練しよう!」

「えぇ...はい」

 

この人は訓練マニアなのかな?まぁエリートオペレーターから学ぶ事もあるだろうと思い返事をし部屋を後にするブレイズさんを見送る。

 

「サリアさんはー居なくなってるな」

 

それじゃあ俺も退出するかと出口に向かう。

 

 

それから訓練内容を考えつつフラフラと艦内を歩いていると声をかけられた。

 

「ドラグーン?」

「シャイニング」

 

シャイニングが何やら荷物を持って向かい側から歩いて来ていた。彼女は少し首を傾げつつしつもんしてくる。

 

「貴方はまだ仕事中では無いのですか?」

「...そうだな」

 

俺は気分転換代わりに歩いていたと返すと彼女はふむと言った後

 

「ならば、彼女の所に行くのはどうですか?」

「...彼女?」

 

 

誰なのかシャイニングに聞いてみたが、まともに答える気はないらしく(弄られてるだけだなこりゃ)場所だけ教えて貰ったので向かった。するとそこには庭園が広がっていた。確かに気分転換にはもってこいだな。

 

「あら?噂の教官君じゃない?」

「お仕事中申し訳ない。友に勧められまして...って噂の?」

 

気分転換をしているとここの管理者と思わしきヴァルポの女性が話しかけてきた。噂というのが少しばかり気になったので聞いてみると彼女は微笑みながら悪い噂じゃないと言うが詳しいことは教えてくれそうにない。

 

「っと、そう言えば自己紹介がまだだったわね。コードネームはパフューマーよろしくね?」

「私はドラグーンと言います。しがない傭兵をしてました。こちらこそよろしくお願いします」

 

自己紹介を返し握手をする。その後彼女に連れられ何故か園内にあるテーブルと椅子が置いてある場所に向い座るように言われたので座るといつの間にか、2つのティーカップを持った彼女が向かいに座り、ポットからお茶らしきものを入れて片方を俺の方に差し出した。

 

「ハーブティーよ。そこまで癖はないわ」

「どうも...!」

 

一口口に含むと同時にくどく無く鼻を安らかな香りが抜けていった。俺の反応に満足したのか、パフューマーは少し真剣な顔をして聞いてくる。

 

「それで、何故ここに?」

「あぁ...それはー」

 

そこから、訓練内容について悩んでいる事を告げる。すると彼女は少し驚いた様にコチラを見ていた。

 

「んー、なら一旦ドーベルマン教官に相談した方が良いと思うわ」

「そうですよね。ありがとうございます」

 

在り来たりだが色々と一歩が踏み出しにくい自身の上司への相談をするとこを勧められた。まぁ悩んでも思いつかないなら相談するのが一番だなと思い感謝を告げながら、俺は庭園を後にした。

 

 

それからドーベルマンさんに一報を送ると、向こうも丁度話したいことがあるそうで、時間的に空いている食堂で落ち合う事になった。

現場に着くと既にドーベルマンさんは空いた席に座っていたので急いでそちらに向う。

 

「ドーベルマンさん。おまたせしました」

「いや、そこまで待ってないさ。急だったしな」

 

挨拶も程々に話を始める。コチラの相談事としては、教え子の二人の指導現状と次のステップとして考えてる事を伝える。するとドーベルマンさんはなる程と言った後

 

「ならば丁度良いな」

「?」

 

ドーベルマンさんの言った言葉とほぼ同時に一人の人影が食堂に入って来た。そこに立っていたのは、金髪で左腰に帯剣しているクランタ族の女性であった。あの人って確か同じ教官のー

 

「ドーベルマン、来たわよ。それと面と向かっては始めましてね。私はウィシュラッシュよ。よろしくねドラグーン教官」

「こちらこそよろしくお願いします。ウィシュラッシュ教官」

 

ウィシュラッシュ教官はドーベルマン教官と同じく新人教育を担っている人だ。しかし何故彼女も?そう思っていると、ドーベルマンさんは話を切りだした。

 

「ドラグーン。こちらの要件と言うのはだな」

「はい」

 

少し間をおいて口を開いたドーベルマンさんは一言

 

「我々を連携訓練に入れてくれないか?」

「はいっ??」

 

えっどう言うこと??




評価・感想お気軽にどうぞ!

ではまた次回お会いしましょう!


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