MIU404/after ~警視庁 刑事部 第4機動捜査隊~ (土居内司令官(陸自ヲタ))
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#01

MIU404完結記念に書きました。あの事件、結局放置されたまんまやんけという思いで書いてます。


 東京都、渋谷区内を、1台の黒いセダンが走る。その運転席には天然パーマの男性、助手席にはメガネの男性が座っていた。

「志摩ちゃんさー、この騒動終わったら、何かやりたい事あったりするのー?」

「無いな」

「えー? それつまんなくない?」

 その時、車内に設置された大きな無線機から音声が流れてきた。

《警視庁から各局、神南署管内、黒見町6丁目、黒見第4公園にて、地中から不審な袋を発見したと、110当番入電中。近い局は急行されたし》

 助手席のメガネの男性がマイクを取った。

「機捜404、原宿3丁目交差点から向かいます。どうぞー」

《警視庁、了解》

 そして、ダッシュボードの下から着脱式赤色灯を取り出し、スイッチを入れた。

〈緊急車両、通りまーす。はーい、ちょっと通りますよー〉

 メガネの男性がマイクでそう話しながら、黒いセダンは加速する。サイレンを鳴らしながら。

 

 

 

 木々が生い茂る公園に、小型のショベルカーや土木作業員が集まっている。そこへ、サイレンを鳴らしながら黒いセダンがやって来た。その後に、普通のパトカーもやってくる。

 黒いセダンから2人の男性が降りてきて、集まっている土木作業員達に声を掛けた。

「警察です、ちょっと失礼します」

「しつれーい」

 人混みを掻き分けると、そこには地面に大きな穴が掘られており、その底に細長い緑色の寝袋が転がっていた。

 2人は穴の底へと降り、寝袋のジッパーを開けた。

 

 2人は言葉を失う。そこには、腐敗した人間の遺体が納まっていた。ジッパーのタグには、【짐승】と書かれたタグが括り付けられていた。

 

「はい、失礼するよ」

「ちょっとすみません」

 そこへ2人のスーツ姿の男性がやってきた。

「どうも。捜査一課の伊丹です」

「芹沢です」

 そう言いながら、スーツの2人は挨拶をする。それを見て、2人は挨拶を返す。

「4機捜の志摩です」

「伊吹でぇす」

 伊吹、と名乗ったメガネの男性の不貞腐れたような挨拶に、しかめっ面なスーツの男性が更にしかめっ面になる。すると、若いスーツの男性が慌てて間に入った。

「では、ここが我々が行うので……」

「わかりました。それじゃ……聞き込みに行きます。ほら行くぞ、伊吹」

「へぇい」

 志摩と名乗った天然パーマの男性が、メガネの男性の右腕を引っ張る。そして、いつの間にか組み立てられた、ブルーシートの壁から出ていった。

「これ、何でしょうね?」

「これは韓国語で『獣』という意味です。しかし、気になりますねぇ」

「気になりますね」

 スーツの2人が気が付く、寝袋の近くに2人が立っていた。片方はメガネを掛けた初老の男性、片方は褐色肌のワイルドな感じの男性だった。

「何で毎回毎回いるんですか、特命係のお2人さん!」

「まぁまぁ、いいじゃないですか」

 しかめっ面な男性の問い掛けに、ワイルドな男性が応えた。

「よくねぇよ!」

「どうぞ、出口はこちらです」

 若いスーツの男性がブルーシートを捲り、2人に退出を促した。

 

「伊吹、言っておくが――」

「分かってるよ! まだガマさんの犯行だって――」

「失礼、ちょっとよろしいですか?」

 4機捜の志摩と伊吹の間に、初老のメガネの男性が割って入った。

「どちら様で?」

 志摩が尋ねる。すると、初老の男性が応えた。

「これは失礼。警視庁 特命係の杉下と申します」

「同じく、冠城です」

 2人は応える。

「4機捜の志摩です。こっちは同僚の伊吹」

「どぉも」

「初めまして。ところで、ガマさんというのは?」

 伊吹は苛立ちを隠さずに、杉下の問い掛けに応えた。

「それさぁ、言わなきゃいけない訳? この件とは無関係――」

「すいません、あまり関係ない話なので、お気になさらず」

 志摩が慌てて伊吹の言葉を遮った。それに、杉下が納得ならないように応えた。

「そうですか」



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#02

 警視庁 刑事部 第4機動捜査隊。

 

 万年人手不足な3個機動捜査隊のブラックな環境を解決するため、臨時で編成された組織である。

 設立当初はたった15人の隊員だけだったが、2020年4月に制式決定され、20人に増員された。

 

「いや、でも少なすぎでしょ」

 2020年4月12日、東京都 港区、警視庁 芝浦警察署内、第1・4機動捜査隊本部。

 日本国内は絶賛新型ウイルスによる騒動で、都知事が放った「密です」と、絶滅危惧種のオウムが【OTINTIN】で七色に光りながらくびを回す動画がネットミームと化していた。

 

 そんな中、伊吹は言葉を放つ。

「仕方ないでしょ。ここは元々他の機捜の応援の為に設立されたんだから」

 オールバックの中年男性がそう言う。

「ということで、新しく隊長になった後田(こうだ)だ。よろしく」

「随分やる気ない隊長だなぁ」

「伊吹」

 伊吹の発言に、志摩がたしなめる。そして、後田が咳払いする。

「まぁこの情勢下だけど、それでも犯罪が無くならないのが人間社会の常だ。その為に我々機捜がいる。まぁ適当に頑張ってよ」

 最後の言葉に、20人の隊員は拍子抜けする。

 

 何度も言うが、第4機動捜査隊の隊員はたった20人である。

 401を担う、第1班長兼副隊長の陣馬 耕平警部と、米花署 刑事課 強行犯係から異動してきた田場 紹斗(つぐと)巡査長。

 402を担う、相本 義人巡査部長と桐下 那由太巡査部長。

 403を担う、坂木 久禮(くれい)巡査部長と赤江 元永(もとえ)巡査長。

 404を担う、志摩 一未巡査部長と伊吹 藍巡査部長。

 405を担う、墨東署 刑事課 窃盗犯係から異動してきた辻畑 夏希巡査部長と新宿中央署 交通課から異動してきた小早木 美結菜巡査長。

 411を担う、第2班長の倉坂 栄奈警部補と島方 大智(おおち)巡査部長。

 412を担う、城南署 刑事課 強行犯係から異動してきた久波 武巡査部長と畠 慎一郎巡査長。

 413を担う、総務部 広報課から異動してきた川高 瑞菜巡査部長と神南署 刑事課 窃盗犯係から異動してきた高澤 紅葉巡査長。

 414を担う、警備部 警護課から異動してきた蓮田 大陽警部補と警備部 第7機動隊 銃対班から異動してきた勿来(なこそ) 明弥(あけみ)巡査部長。

 415を担う、第3機動捜査隊 3班から異動してきた知多山 華衣巡査部長と湾岸署 刑事課 強行犯係から異動してきた泉生(いずみな) 葵巡査長。

 そして、彼らを束ねる、警備部 特科車両第二課から異動してきた後田 依月(いつき)警視の計21人、しか第4機動捜査隊には居ない。

 

「まぁ頑張ろうや。早速だけど、2機捜の応援要請が出ているので、そっち行ってもらおうか」



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