乙女剣士と戦闘狂の暗殺教室 (ニック)
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出会いの時間

5月に入ったばかりのとある裏道場にて、俺は小さく息を吐くことになる

ここはとある道場であり、その入門生として俺はいるわけなのだが

 

「死ね!!山吹くん!!」

「死ぬのは貴方だっ、土井副署長ぉっ!!」

 

俺の目の前では殺し合いが行われていた

他の人が見たらおかしいと思うだろうがこれが俺の普通である

そういう俺の周りにも屍が周辺に散乱しており、近くの人が屍になっていた

 

「……はぁ。次かかってくる奴誰だ?」

 

俺はコキコキと手首を鳴らす

しかし挑もうとする人は誰もおらず俺は少しだけ一息つけると思うと小さくため息を吐いたところで一人の防衛省職員の男性が俺の方に近づいてくる

 

「井岡くん。師範が客間に来てほしいって言っていたよ?」

「ん?俺をですか?」

「うん。どうやら仕事を任せたいそうらしい。ちょっと詳しくは話せないけど便利屋への依頼って言っていたから」

「っ!すぐに行きます」

 

俺はすぐ様走り出す。一応俺の年齢は15でだが便利屋としては高校に入ってからのはずなのだが

最近不可解なことが多くなっており、特に異常なのは去年の3月末、月が三日月型になったことだ

月の大半が破壊されたらしいんだが詳細は不明。どういうことだか全く理解できなかったのだ

そしてしばらく歩き道場の居住用スペースにある客間へと向かう

 

「失礼します。井岡忍です」

「忍くんかい。入りたまえ」

「はい」

 

と襖を開けるとそこにはポニーテールの少女、師範の一人娘である八重樫雫さんとどこか体ががっしりしている男性。

巨大な黄色いタコがいた

 

「……」

 

俺はきょとんとして目を何回か擦る。見間違いかと思いつつもう一度そのタコを見る

それを数回繰り返した後、師範が無表情で告げる

 

「……はぁ。信じられないかもしれないが実態だよ。忍くん。防衛省から君に依頼があるらしい」

「防衛省からですか?」

「あぁ。ちょっと雫もそれに巻き込まれたらしくてね。だから護衛の意味も兼ねて便利屋の君が一緒にいてくれると嬉しいんだが……」

「ちょっとお父さん?便利屋って?」

「はぁ、とりあえず依頼内容を教えてください。ついでに報酬も」

「あぁ。それじゃあ烏間さんお願いします」

 

と少しだけ緊迫したような顔つきになる烏間さん

 

「防衛省の烏間というものだ。ここからの話は国家機密だと理解いただきたい」

 

と一言だけいいそして

 

「君たちにはこの生物を殺してほしい」

「「えっ?」」

 

それは客間の中で二人の声が響いた

 

「えっと?一応聞きますがネタやドッキリじゃないんですよね?烏間さんのことは斎藤さんから聞いていますが……」

「あぁ、どっきりではない。詳しいことを話せないがこいつは三月に月を破壊した犯人だ。そして来年、この月を破壊した生物は、この地球のも破壊する」

「……」

 

俺と八重樫さんは息を呑む。当たり前だ。それは来年3月に全員人類の滅亡って言っていることなんだから

 

「今年四月からこの生物は椚ヶ丘中学校三年E組の担任をすることになった。だから二人には椚ヶ丘中学に移転してほしいのだが」

「……あの、中学校の担任をすることになったってどうしてですか?」

「理由はわからん。だがこの一ヶ月の間奴は普通に学校に向かい担任の先生をしている」

 

と言った矢先八重樫さんも不思議と思ったのか首を傾げる

 

「こいつはとにかく速い。満月を三日月に変えるような生物だ。最高時速はマッハ20」

「あぁ。なるほどな。生徒の危害を加えないことを認めさせれば近距離で1クラス分の人間が殺すことができる。教室っていう密集空間で確か椚ヶ丘の三年E組は隔離施設だったはずだ。情報の漏洩もしにくい」

「にゅや?知っているんですか?」

 

タコが話しかけてくる

 

「……まぁ色々あってな。こっちも企業秘密にさせてもらおうか」

「うむ。成功報酬は100億だ」

「「100億!?」」

 

俺はその額に驚いてしまう。

 

「ちょ、ちょっとそれはあまりにも多すぎませんか?」

「当たり前の額だろう。暗殺の成功は冗談抜きで地球を救うことに」

「いや、反対だ。あまりにも少なすぎる」

 

俺は断言する。すると八重樫さんとタコ、烏間は首を傾げる。だが師範は俺の意味を理解しようとしたのか考え始める

 

「どういうことかい?」

「いや。金額って恐らく殺し屋にも適応されているんですよね?それって生徒の身の安全を保護することを恐らく条件に加えていませんよね?」

「…どういうこと?」

「先生からの危害を加えられるってことではなくて外部の人間から狙われることを指しているんだろう」

「はい。マッハ20の生物なんて数人程度の規模じゃ無理です。恐らく最低でも20人近くの者が集団的にそれもほとんど作戦通りに動きを読めなければ殺せません。……もしこのタコがまともな先生であった場合俺たちは真っ先に狙われること、もしくは俺の家族は別ですが自分の親しい人が狙われる可能性があります」

 

俺の言葉に烏間と名乗った防衛省の男性は目を見開く

 

「それに暗殺費用や転校に関する交友関係や学業。俺たちは殺しの経験がないこともそうですが何よりも椚ヶ丘はここから遠すぎませんか?」

 

俺も何度か言ったことがあるのだが東京都の反対側に位置しており恐らく一時間半は通学にかかるだろう。

 

「それに関しては俺たちで寮を用意するつもりだ。もし暗殺に成功した場合その家も自由に使ってくれてもいい。学業については高校についてならある程度ならこちらで保証はさせてもらおう」

「……は?」

 

俺はキョトンとしてしまう

 

「八重樫の本当の姿については防衛省職員もわずか通っていることもあるのだが……未だに上層部は知らない人が多い。その頂点にいるのが15歳の少年ってことを聞いて協力していただけないかと思ったわけだ。……手当については鷲三と判断して決めさせてもらおう」

「……んじゃなんで八重樫さんが含まれているんですか?確か国家機密って俺にだけ伝えることが目的だったんですよね?」

「にゅや。それは!?」

 

とタコが焦り出す。俺は首をかしげると八重樫さんが小さくため息を吐く

 

「なにか視線を感じるって振り向いたら黄色い生物が見えてね。……ぬるふふふふっていいながら飛んでいったのよ」

「……国家機密が見つかっていいんですか?」

「見つかっていいはずがないだろ!!」

「にゅや!す、すいません。私は国家機密失格です」

 

と頭を下げる黄色いタコ。

いや。そもそも何が目的で八重樫さんを見ていたんだ?

俺は首を傾げると……少しだけ嫌な予感がした

 

「それともちろんのことだが学費については心配しなくても防衛省側は負担する。それと名目上は八重樫さんは井岡くんも剣道で一年から負けなしなんだろう?なので国指定の特別強化選手として招くことになっている」

「……待遇が良すぎませんか?」

「せめてこれくらいはしないといけないだろう。それに八重樫さんはともかく井岡くんはどうしても入るだけでもこいつを殺せる可能性が数パーセント上がることになる」

 

……一瞬で何かに思い浮かんだ。即ち八重樫の裏を使えってことか?

師範を見ると一度頷く。自重はいらない。思う存分腕を振るえってことだろう

 

「……もしかしなくて断ったら記憶消去の治療が待っているんですよね?」

「あぁ」

「……受けます。」

「私も受けます。……どっちにしろ香織とはいられなさそうだから」

 

香織と呼ばれるのは白崎香織のことだろう。

いつも一緒にいるメンバーの一人で仲がよい一人である

 

「にゅや。それならE組に加入するのは5月の後半からになるでしょう」

「ん?5月の後半?」

「はい。君たちの学校よりも椚ヶ丘は授業の進み方が速いので防衛省と私が協力して授業を受けてもらいます」

「「えっ?」」

「一応中間考査は……元の中学校のころの平均を出しておくが二人とも勉強が苦手ってことではないのだろう?授業態度も真面目だからすぐに50ページおいつくだろう」

 

それってほぼ一日中勉強漬けってことじゃと冷や汗を掻く。

どうやら俺も八重樫さんもしばらくは勉強に費やすのだった



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教室の時間

「やっぱり結構山奥にあるよなぁ。この教室」

「……井岡くん結構余裕あるわね。私結構きついのだけど」

「ん?それじゃあ荷物持とうか?今日竹刀とか木刀とか入っているだろ?」

「お願いしてもいいかしら」

「別にいい。というより最初から持ったらよかったな」

 

俺は八重樫さんは山道を歩いていく。勉強地獄から解放され椚ヶ丘中の初日。寮というなの一軒家から出て本校舎で手続きと挨拶をした後のことだった。少し離れているがそれでも通うことになったのだが

 

「そういえば井岡くんって滅多に道場に出てきてないわよね?」

「ん?あぁ。俺は剣術の方に子供の頃から参加しているし、基本は裏の方に参加しているからな」

「そういえばおじいちゃんが言っていたけど……一体裏ってどういうことなの?」

「多少の剣術と雑技」

「その雑技ってなんなのって言っているのよ」

「まぁそれはおたのしみってことで」

 

俺は誤魔化すと小さく苦笑する。いや。まさかこんな場合でバラすことになるとは思わなかったなぁ

そうしながら歩いていくと小さな木造建ての建物が見受けられる

 

「ここが校舎だったはずだ」

「えっと……」

「まぁ流石に本校舎と比べたらボロボロだけどな。それでもまだ自然の中にあるだけましだと思うぞ。一応俺たちには図書館の優先権と本校舎への入室、部活の参加はできるらしいし。というよりも名目上は部活に参加しないといけないしな。ちょうどいい準備体操になるだろ」

 

八重樫さんははぁと小さなため息をつく

 

「しかし、本当にこんなゴムで殺せるのかしら」

 

と八重樫さんは政府から配布されたナイフをとる。これは対先生物質でできたゴムによく似たナイフだ。人体的には問題はないがあのタコには効くらしいのだ

 

「それは大丈夫だと思うぞ?実際赤羽ってひとが触手を破壊しているって話だ。手に対先生物質のゴムを貼り付けたらしい」

「へ?」

「握手の隙を見ていたずら程度だったらしいが結果は成功。恐らく弱点もいくらかあるだろうしそこを狙っていくしかないだろうな」

 

暗殺とは言ったがこれは戦闘と答えた方がいい。奇襲も恐らくほとんど遅く見えるだろうし詰将棋のように地道に削っていくしかないのだ

 

「井岡くんって色々考えているのね」

「ん?これくらい普通だろ?これから依頼だし前準備は済ませてくる。一応八重樫さんの護衛も含めているからな。基本的には学生だけど地球の命運もかかっているわけだし自分の手札をなるべくは見せないようにしたいんだよ」

 

その情報がどれだけ大事になるのか、自分がどれ程やれるか……少し確かめるいい機会だ

すると授業終わりのチャイムがなり、俺たちは今日から通うクラスへと向かうのであった

 

 

「というわけで今日から通うことになった八重樫雫さんと井岡忍くんだ」

「八重樫雫です。よろしくお願いします」

「よろしく」

 

至って普通の挨拶をする八重樫さんと俺にクラスメイトとなる生徒たちがわっと湧く

 

「この時期に転校してきたってことは本職の暗殺者ですか?」

「いや。八重樫さんは至って普通の一般人だ。最近こいつの姿を見てしまってな」

「何やっているの殺せんせー!!」

「にゅやっ!?すいません」

 

と入った瞬間カオスになっている現状に俺も八重樫さんもタジタジになってしまう。

 

「……ただ、井岡くんに限っては俺自身よく分からない」

「えっ?」

「勧められたのが警察なんだが、情報が上層部でも詳しくは分からないらしい。ただ、警察の組員に聞いても井岡くんの名前を聞くだけで適任だと声が上がることが多い」

 

まぁ防衛省は調査内容に入っているからな。知らされなくても当然だろう

 

「まぁ簡潔にいうなら俺は探偵って答えればいいかな?基本的に諜報役が多いからな」

「諜報?」

「情報集めとかだな。一応剣術とその雑技が基本だけど俺たちは便利屋として裏で調査したりしているんだよ。俺も来年から入るつもりだったけど、政府や防衛省とか色々な方面で犯罪を見つけるための集団で、何人か政治家にも便利屋が紛れ込んでいる。俺は今師範についで二番目に強いからな」

「つよいって剣道ってこと?」

「いや。総合的に」

 

俺は首を振る。総合的ってどういう意味か聞こうとしているのだろうが

 

「八重樫家では体術や投擲も習うんだよ。表の剣術の方でもな。元々戦国時代では武士も体術が必要だったって言われているしな」

「武士も?」

「そう。刀を落とす時だってあるし、何より槍になると小回りは効かない場合もある。だから八重樫さんも習っているよな?」

「えぇ。簡単なものは一通り」

 

と八重樫さんも習っていることは師範から聞いている

 

「まぁ実践じゃなければ分からないと思うけど……まぁせっかくだしエキシビションマッチでもするか?一応……俺はすぐに戦えるようにはしてあるけど」

 

俺は軽くナイフではなく小太刀を片手で軽く回し逆手で持つ。

 

「にゅや?しかし今は自己紹介の時間ですし、お二人は名目上部活動に参加しないと……」

「だからこそ今が実力を見せる時だろ?俺が手伝うにしろソロで暗殺できるとはまっさら思っていない。マッハ20の先生だぞ?……だからある自分を売り込むチャンスだろうしできれば烏間さんにお願いしたいんですが…」

「……ほう。俺か?」

「はい。……そうしないと怪我するんで」

 

俺が断言するとクラス中からザワザワと声が聞こえる

八重樫さんはちょっとと言うが運が良くて怪我、最悪死ぬだろうしな

 

「ほう。そこまで言うのか?」

「事実ですから」

「その子八重樫の裏道場出身って言ったわよね?烏間。本気でやった方がいいわよ」

 

すると金髪の女性の先生が入ってくる

どうやら八重樫の裏の顔を知っているらしい

 

「ビッチ先生知っているんですか?」

「知ってるも何も私たちにとっては天敵なのよ…ある意味殺し屋よりも恐ろしい集団って言っても過言ではないわ」

「……どういうことだ?」

「見たら分かるわ……戦い方を見たら異常だから」

 

するとビッチ先生と呼ばれた先生は俺を見つめる

とりあえず俺なりの暗殺の始まりだ



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暗殺の時間

八重樫裏道場にはこんな掟がある

 

殺される前に殺せ

 

一歩立ち止まったら死を覚悟しろ

死にたくなければ攻め続けろ

 

とこんな風な掟があり、俺はひょんな事により裏の道場にどっぷり嵌っていった

八重樫流において正式な門下生になれる者は多くないが、一度八重樫の門下生となった者達は、職業に関係なく、だいたい殺しにかかるような鍛錬が日常となっている。

それがたとえ小学生であっても変わりはなかった

だから今回も殺す気で本気でやらせてもらおう

 

校庭にでると俺はそのまま制服ので烏間先生と向き合った

距離はおよそ5m離れお互いに体をほぐしている

 

「それじゃあ烏間先生、判定方法はどうします?」

「ん?判定とは」

「いや色々あるでしょ?例えば俺の場合は小太刀が当たったらダメとか反対に対先生物質を当てたら勝利とか色々な方法が」

「…ほう。」

 

すると感心したような顔をしている烏間先生。

 

「今回の場合が小太刀が当たったらにしよう」

「了解」

 

と言った瞬間俺は瞬時に接近そして小太刀を振るう

 

「なっ!」

 

瞬時に反応するが後方に仰け反る

殺し合いによ〜いドンとかないんです

そして振り切る感触で体勢が崩れるのを確認するとその方向へ服を引く。重心がよっているので足を引っ掛け相手を点灯させると同時に俺は後ろへと回り

 

「一本ですよね?」

 

俺は小太刀を首元を突きつける。烏間さんは少し苦笑いをして手を挙げた

 

「……あぁ。一本だ」

「出足で完全に遅れてましたからね。その一瞬と少し油断が入っていたので簡単でした」

「ちょ、ちょっと待ってそれって卑怯じゃないの?」

「戦闘において一番大事なのは有利性を保つことだ。たった数秒のことだけで結果が決まる。剣術だったら開始って言われるかもしれないけど今回についてはルールは相手に小太刀を当てられるというルールしかない」

 

烏間先生は反論がないらしい。少し驚きながらも冷静に分析していた

 

「それも最初の避けてから対応も見事でした。あの後直接狙ってきたのであれば烏間先生も対応が取れたでしょう。しかし井岡くんは全体を見えていましら。自分の技術を使い、確実に足元を引っ掛けて背後に回ってました。柔道でいう大外刈りですね?」

「そうですね。多分純粋な戦闘力であるなら俺よりも強いことは明らかだったんでいかに相手を崩すことを考えてました。後方に倒れていたため大外刈りになりましたが前方なら一本背負いですね横方面なら小内刈りで体勢を崩そうかと」

 

すると感心したのか少しだけ驚ろく表情を見せる

本来ならこんなつもりではなかったのだがこうなってしまったからにはしかたがない

 

「接近方法は恐らくナンバか?その走り方は」

「はい。一応俺にとってはこっちの方が慣れているので絹擦れの音も聞こえなりますし一瞬して接近するのにはうってつけなんで」

 

すると首を傾げるクラスメイト。俺はその様子を見て実践を踏まえながらやってみせる

 

「こうやって同じ手と足を同時に向けて歩く方法だよ。胴の捻りや軸がずれることがなくなる生で絹擦れや靴のおとがしにくくなるんだよ」

「へぇ〜」

「まぁこれは教えてあげるから。少しは気づかれにくくなるはずだぞ?暗殺をする以上覚えといて損はない技能だしな」

 

するとおぉっと少しだけ驚いたような反応を見せる

 

「後はフリーランニングと呼ばれる技術や投擲も得意だぞ?」

「フリーランニング?」

「そう。フリーランニング。まぁ危険だし、今はやらない方がいいですかね?」

「そうですね。個人での暗殺ならいいでしょうが、今の君らに教えるのは危険です。」

「最低限のルールは守りますから」

 

まぁ情報も与えられていないでなおかつクラスメイトにインパクトは与えられただろう。

これで少しは誘ってもらえればいいんだけど

と思った矢先クラスメイトの一人

 

「でもさ?そこまで強いのか?」

「強いっていうよりもせこいっていうか」

「せこくて何が悪いの?サッカーでごっつあんゴールとか得意な人がいるだろ?相手の隙があったらそこをつく。それが例えアドリブでもな。別に俺が殺さなくてもいいんならそれでもいい。ただ作戦を実行した後のわずかな時、その隙を狙う生徒がいたら?成功率は少しは増すんじゃないか?」

 

俺は真面目に話す。空気が一瞬で引き締まり、俺の話を聞きはじめる

 

「たった一撃では絶対にこのタコは仕留められない。奇襲でも作戦を組み立てていても必ず次の手が重要だ。烏間先生だって俺の初撃には対応できていただろ?」

「それって第二の刃ってこと?」

「そういうこと。まぁ本当は先陣切っていくのが一番好きだけどなこのタコがいる前では情報を渡したくないからな。奇襲って形を取らせてもらったんだよ。まぁ、情報は実際暗殺する時のお楽しみってことで」

 

と軽い空気に戻す。重要なことは言い終えたので後は普段どおりだろう

 

「そうそう八重樫さんは俺とは別の部署に通っていたから普通の女の子だからな。八重樫の剣道重視で少し剣術を齧っている程度って聞いているし、こういう荒事には関わってないから」

「あなたって剣道でもかなりいい成績を残しているらしいけど」

「ん?元々第一の刃は俺は剣士だぞ?ただありふれた剣術とちょっとした雑技が得意な中学生ですから」

 

まぁ先生たちにはバレている気がするが、気にしないでおこう

バレていてもその技のキレや技は見分けはつかないだろう

そしてその後の展開も

 

「ヌルフフフ。それじゃあお二人ともよろしくお願いします。私のことは殺せんせ〜と呼んでください」

「はいよろしくお願いします。殺せんせー」

「よろしくな。殺せんせー」

 

俺は自然と手を出すと殺せんせーもその手を掴もうとした途端触手が破壊させた

 

「にゅや!?」

 

と同時に反対の腕から棒状の手裏剣を取り出し殺せんせーの服を狙うと同時に空中で体を左捻りながら蹴りを入れる。

殺せんせーは一瞬飛ぼうとしたがそれは最初の手裏剣に服を抑えられているのを見る殺せんせー

もちろん靴には対先生ナイフは仕込んである

 

殺れる

 

と思って俺は足を振り切る。だけど……蹴ったような感触がない

 

「チッ」

 

あれを躱すかよ

 

空中で一回転しながら俺は殺せんせーの位置を確認しそでに隠していた銃を使い銃撃する

それは吸い込まれるように対先生BB弾は吸い込まれていくが避けられる気がしたので着地後すぐさま接近し銃撃を加えながら近接戦に持ち込もうとするが

 

「ヌルフフフ。いい動きですが悪足掻きですよ」

「悪足掻きでもチャンスがあれば狙うさ。すいません。烏間先生暗殺付き合ってもらったのに殺せませんでした」

「あ、あぁ。だが今のはどうやって。明らかに一瞬あいつの動きが止まったように見えたんだが」

「棒型手裏剣ですね。私もいつ投げられたのか分かりませんが……服をめがけて動きを止めにきました」

「しゅ、手裏剣?」

「う、嘘」

 

すると烏間先生が目を見開き驚いたように俺を見る

 

「……っ!やっぱりそうなのか?八重樫の正体は」

「えぇ。日本に殺し屋がいないのはこの集団がいるからって言われて言われているわ。表は警察が、そして裏では八重樫家が日本の治安を守っていると言われているのよ」

 

ビッチ先生と呼ばれていた金髪の女性は俺を見る

 

「八重樫忍術道場。日本で自衛隊よりも戦闘に優れているって私たちは言われている。忍者と呼ばれる集団だわ」

 

ビッチ先生の言葉に俺は軽く笑顔を見せる

数秒後クラスメイトの絶叫が聞こえてくるのであった



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戦後の時間

「ちょ、ちょっと待ってどういうことよ。私の家が忍者屋敷?えっ?」

 

一番動揺しているのが八重樫さん本人であるっていうのが面白いところだが、俺は説明するためにクラスメイトの方を見る

 

「八重樫流っていうのは元々安土桃山時代から続く忍者の家系であるんだよ。俺はその中の一人。本当なら俺も入る予定はなかったらしいんだけど……一度忘れ物をした時につい裏の顔を見てしまって」

「そういえば記憶消去手術のことも知っていたが…」

「そのことが原因ですね。まぁ今回に限っては表に出ることは許可されているので…あんまり口外にしてくれると助かるかな」

 

と俺は少しだけ苦笑してしまう

 

「……知られてもなかったのにあの距離を外されたらさすがにきつい。殺せんせーに通用しそうなものもネタ切れだしな」

「完全に油断してました。……ところで手のことなんですか」

「ん?あぁ。あれはゴム手袋をしていたんだよ。ここにくるまでずっとゴム手袋、それも対先生用の内臓ものを付けっぱなしにしていただけだ。もちろん指紋とかもちゃんと再現して」

「いつのまに…凄いわね。よくそんな発想をしたの?」

 

八重樫さんが驚いたようにしていたが

 

「事前赤羽さんが一度触手を破壊したって聞いたんだよ。それの応用ですよ。まぁ今回に限っては結構作戦ミスが多かったんですが」

「ミスですか?」

「あぁ。俺が勝ったことが最初の作戦変更を余儀なくされたんだよ。烏間先生に奇襲を仕掛けて負けるってことができなかったのが一番作戦の失敗を余儀なくされました。元々奇襲で俺に当てられないって思わることを前提とした作戦だったので」

「すまない。奇襲してくるのを分かっていながら防げなかった俺の責任でもある」

 

烏間先生が頭を下げる

だから傲慢な性格で相手を舐めているという雰囲気づくりをしていたのに全てが台無しになったと瞬間だった

 

「にゅや?烏間先生は奇襲してくるって分かっていたんですか?」

「あぁ。予想外だったのが思った以上に何をしてくるのかが分からなかったことだ。特に開始の合図前に襲いかかってくるということと技のキレが想定外だった」

「閃光弾にするか迷ったんですけど、閃光弾だとどうしても周りに被害がいきますからね。他にある程度手をバラそうとしていてあえて怪我をしたふりをしてそのまま室内で暗殺するって夜中に作戦を練っていたんですよ」

「……」

 

すると冷や汗を垂らす殺せんせー

俺は二度と使えない手だと思うので全部発言してしまう

すると赤い髪の男子が俺に向かって発言してくる

 

「なるほど、確かに屋外よりかは戦闘という面では室内って手は有効だね。でもどうして戦闘を選んだの?」

「烏間先生に頼んで潮田さんのメモ帳を少し拝見させてもらったんですよ。すると暗殺というのは少し相性が悪い気がして。特にイリーナ先生の暗殺結果を見て俺の得意な火薬や奥田さんみたいな毒物は効かないもしくは使う前に撤去させられるような気がして……そう考えるとそれよりも生徒に危害を加えられないことを考えて戦闘というやり方の方が殺せるかなって思ったんですけど」

 

油断プラス暗殺ではない暗殺。そして殺気を抑え演技力を鍛えていたのに奇襲という作戦が失敗した中俺は軽く苦笑してしまう

すると少しだけイリーナ先生は考え始める

 

「烏間。この子本当に殺し屋じゃないの?」

「あぁ……日本の中学生がここまで心理をついた作戦を思い浮かぶとは思いもしてなかった……少し話を聞いた時は驚いたんだが……」

「いや。殺せてませんよ。俺まだ銃撃についてはかなり不安定なんで。土日使って烏間先生に教えてもらったのですが視線を逸らして撃つってことが不安定なところでできないので。さっき殺せんせーは視線を見てました。恐らく視線の向きで銃撃バレていましたしね」

 

俺は反射神経や動体視力に関しては師範以上であり、マッハ20を見えるようにとこの二週間の間に特訓もしてきてある

だからこそ確信していた。この刃じゃ殺せないと

 

「殺せるか殺せないかは実力を見たらすぐに分かります。それに反応が思っていたよりも早かったです。恐らく外に逃げるなどして逃げられていた可能性が高いです。殺せる可能性は10回に一回あればいいくらいでしょうか?」

「1割もあったのか?」

「えぇ。それくらいですね。完全に不意はつけていたはずなので。室内だと多分武器に気づかれる可能性があるので…もうちょっと下がるでしょうけど」

 

実際そこの辺りはかなり練っている。潮田さんが書き綴ったノートには鼻がいいって書いてあったのでかなり仕掛けに苦労した。

 

「妥当なところでしょう。私は手袋も靴も全く気づきませんでした。しかし匂いはどうしたんでしょうか?」

「家で使っているボディシャンプーで一度手袋をつけてあるんだ。足元も底が少し高くして収納スペースを作っているからな。いつでもナイフを取り出せるようにしているし匂い対策はしっかりしている」

 

匂いを利用してなるべく気づかれないようにしていたんだけど、……そこはうまく使えるようにしておかないとな

 

「そういえば手裏剣っていつ投げたの?」

「空中で一回転する間服の袖からスライドさせていつでも投擲できるように制服を改造したんだよ。皮膚が弱いとか日光に弱いとかいえば冬服は夏でも着ていいしな銃だって袖にショルダーを作ってある」

「すげぇ。てか体術ももしかして忍術なのか?」

「いや。普通にオリジナル。受け身を想定してフリーランニングの基礎と同じようにしていたんだよ。カンフー映画を少し真似したのもあるんだけど、フリーランニングをできるようになったら教えてあげるさ」

 

といつのまにか俺の周りにはクラスメイトが集まっていた

 

「まぁ、一回殺せればいいしな。また作戦塗り直してくるよ」

「ヌルフフフ。またいつでも殺しにきて下さい」

「ん」

 

俺は手をひらひらと振ると一呼吸置く

……やっぱ悔しいな。いつぐらいだろうか。得意分野で負けるっていうのは

ほとんどこういったことでは負けたことがなかった俺にとって敗北は久しぶりである

 

「そういや、すいません。時間とってもらって」

「いや。十分暗殺できる可能性があったからな」

「まぁこれからは協力して暗殺することが中心的になるかな。俺自身としたら恐らく一番暗殺できる方法でやったんだ。俺個人では暗殺できないな」

 

真剣に少しだけ力不足を感じる。もとより道場で磨いてきた技を簡単に避けられたんだ。

ちょっと悔しさはあるし、苦々しさだってある

でも普通の学園生活よりかは楽しくなるような気がした



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予定の時間

「そういえば悠馬来週から修学旅行なんだよな?俺と八重樫って班どうするんだ?」

 

俺が最近よく話している学級委員長である磯貝悠馬とその友人である前原陽人に聞いてみることにする。

ついでによくいるのは八重樫さんともう一人の委員長である片岡メグとすばしっこいのが特徴の岡野ひなたである

 

「う〜ん普通なら希望したところなんだけど」

「俺たちに限ったらここに来て初めての行事だろ?E組っていうのがどれくらいの差別を受けているのか分からないけど…」

「あれ?本校舎行く機会多いよね?それなのになんで?」

 

恐らく部活動のことだろうけど俺は苦笑する

 

「人数上の関係と授業のペースからE組になっているって説明をされているんだよ。夏休み後にE組を抜けてもいいってことになっているんだ」

「えぇ。私は復帰したらAクラスになるってことだけど井岡くんは?」

「俺はC。勉強は社会科と理系が得意だけど、英語が苦手で毎回赤点スレスレだからな。こっち通っていたら普通にE組行きはあり得た」

 

英語がどうしても苦手で中二の時につまずいているんだよなぁ

それ以外は基本的前の中学でもトップ争いに食い込んでおり社会だけに限れば学年トップである

 

「英語苦手なの?」

「苦手。英語だけは完全に赤点にならないように勉強しているしな。元々勉強はテスト前でも二時間しかしてないけど」

「えっ?それだけ?」

「あぁ。基本予習と復習だけだな。朝一時間、夜一時間。朝練前と帰ってすぐに勉強をするようにしているんだよ。どうも勉強を長時間やると集中力が持たなくてな。中一の先生が朝と夜きっぱり時間を決めたら反対に成績が上がったからそれ以降そのやり方で勉強している」

 

俺は苦笑してしまう。元々剣道で集中力を使っているので勉強が少し気が抜けてしまうのか集中力が切れるのが早いのだ

 

「って話逸れすぎだろ。結局修学旅行の班どうするんだ?」

「逸らしたのあなただけどね」

「本当にすいません」

「それなら一緒の班組まないかな?」

「私たち女子二人は決定しているんだけど誘う相手がいなくて」

 

と話しかけてきたのは矢田さんと倉橋さんだ。

俺は銃撃もできさらに接近戦を仕掛けることが多いので席を前の席にして欲しいと要望があったので

 

「ん?八重樫?それとも俺?」

「井岡くんだよ。男手がこっち少ないから。雫ちゃんは確か神崎さんと一緒に組むんだよね?」

「えぇ。7人班になるのだけど話してみたいって言われたから……」

 

なるほど、先に予約してあったのか

 

「了解。それで男子は誰誘う?悠馬と陽人は片岡さんたちの班だろ?」

「ううん。3人班だよ?」

「へ?」

「私たちは時間の関係上暗殺に参加しない班だから」

 

あぁ。そういうことか。

殺し屋の移動時間の関係上少し合間を加えることになっており烏間先生とイリーナ先生がこの班に加わる。

つまり俺たちに関しては昼時が殺せんせーの時間帯になる

なお、この班はどの班が殺しても分配がもらえるというため結構人気だったのだが、どうやら二人が獲得したらしい

 

「なるほどな、それじゃあどこ回るんだ?」

「それなんだけど少しいいかな?私行きたいところあるんだ!!」

 

と少しばかり手を上げている倉橋さん。

そして暗殺に関与しない俺たちのサポート班が開けたのであった

 

 

「そういえば、暗殺はしないけどどこらへんで食べるのがいいのだろう?」

「ん。京都なら少し高いけど行きつけに料理どころに京料理で美味しいところあるぞ?そこでもいいなら案内しようか?」

「へ?」

 

すると意外そうに俺を見る

 

「京都行ったことあるの?」

「まぁ。色々あってな。一応知り合いの店で完全個室で信用ができる店だから何でも屋の会合でよく使うんだよ?一応探偵っていう名目だから、警察からの依頼。それもかなり重要な取締の時に使う店」

「……いや何で?」

「殺せんせ〜国家機密だろ?それならちゃんと信用した店じゃないと録に俺たちと飯を食べにいけやしないだろう?人間の変装も下手だし」

「……にゅや!!」

 

するとちょうど殺せんせ〜がやってきたのか俺の方をみる

 

「嫌だから八重樫さんにバレたりしたんだろ?唯でさえリスクを負うんだしそれに完全個室だから他の班の暗殺の準備もバレないだろ?烏間先生の監視も確実取れるからな」

「……うむ。高価ってどれくらいだ?」

「まぁ夕食なら一食、数万は余裕で超えますね。」

「す、数万?」

「一応和食の高級店だからな。まぁランチメニューなら高いけど三千円くらいで和食を味わえますしそっちにすれば少し高いくらいで中学生としても妥協点あたりだと。表向きにもかなり有名店でよく有名人が通っているんですよ。」

「く、詳しいね?」

「一応俺の知り合いがやっている店だからな」

 

するとクラスが納得したようにしている。

何かと何でも屋がやっている店はかなり便利なことになる

 

「俺の名前を使えば裏から入れるので……人には絶対見られないですから。料理も美味しいし正直、俺のわがままだけど……ちょっとそこのお店の湯豆腐とお吸物だけは食べておきたくて」

「私たちはいいよ〜井岡くんのオススメする店みてみたいし」

 

と盛り上がる俺たち、これで頼まれていた布石を打つことができただろう

俺たちにとって中学生生活で最初で最後の修学旅行。

俺は来たばっかりのクラスメイトだがそれでもなんとかなりそうだと少し安心してしまった

 



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修学旅行の時間①

そんなところで月日は流れ修学旅行当日

 

「お兄様!!一緒の席に座りませんか!?」

「お兄様!?」

 

俺がクラスメイトのところに向かおうとした時俺は本校舎の生徒に捕まった

しばらく話し、そして残念そうな佐伯さんに軽く手を振り

俺は席に向かうとそこには矢田さんと倉橋さん、八重樫さんが既に座っていた

 

「お兄様って?」

「……いや。俺なんか女性からお兄様って呼ばれることが多いっつーか。剣道やっていると昔の八重樫もそうだけどオシャレとか気につかない人も多くて……んでいつのまにかお兄様って言われていることが多いんだよ」

「あなた結構私たちの部活で有名だったわよ?時々教えたりしているのわよね?」

「男女問わずな。一応八重樫流で師範と同格には強いんだぞ?剣道ってよりも剣術の方が強いけど、何しろお姉様と戦って一本取ったことも関係しているんじゃねーか」

 

とからかいながら話すと八重樫が睨んでくる

すると倉橋さんが不思議そうにしているのだが

 

「お姉様?」

「ん」

 

俺は八重樫さんを指さす。転校生は面倒見の塊という噂が流れている

俺も中学校のころは元々兄貴肌であることがあり別にお兄様扱いは慣れているので天之河という門下生であり文武両道で成績ではいつもトップ。中学総体でも俺以外に負けたことがないという何でもできてさらにイケメンである生徒がいるから目立たなかっただけで結構人気はあったのだ。なお、適当にサボったりしていたりアニメやスポーツの基本的な情報もリークしているので男性にも人気があるのだ

なお八重樫さんは男らしい性格でありながら面倒見がいいというから女性から人気がある。なので女性からという意味で義妹集団が周辺にはいるのだ

 

「って雫ちゃん、いっくんと戦ったの?」

「えぇ。手も足も出なかったけど」

 

倉橋さんは最近いっくんと呼び始めた。

一番八重樫さんとは異なる意味で近いのは倉橋さんだろう

 

「えっと?ついでに雫ちゃんはどれくらいに」

「小学生から公式戦では一度も負けたことがなかったはずだぞ?男女混合のころは俺も八重樫さんに負けていたから」

「…えっ?」

 

まぁ覚えてないか

 

「小学校の低学年のころは弱かったんだぞ?俺。というよりもパワーじゃこのクラスの寺坂には劣るはず。あんまり体脂肪率が伸びないのもあって、力勝負に憧れていた俺にとっては目指す道を間違えていたんだよ。俺の親父が力強さで強かったからな。俺が覚えている限り一切剣では敵わなかった」

「……敵わなかった?井岡くんが?」

「あぁ。親父も母さんも剣術に関してはずば抜けていたんだよ。裏をやってなかったとしてもかなり綺麗な剣筋で少し前まで研究員だった」

「へぇ〜少し見て見たい気がするけど……」

「それはちょっと無理かな。母さんと一緒に少し遠いところに行ってしまったから」

 

俺は少しだけ苦笑いをしてしまう。

どういう意味かは言わないことにした方がいいだろう

それからさりげなく生き物の話題を振り、八重樫さんや倉橋さんと話ながら新幹線の中移動時間を楽しんだ

 

 

「1日目ですでに瀕死なんだけど」

「新幹線とバスに酔ってグロッキーとは」

「いっくんも大丈夫?」

「あぁ。酔い止めは飲んできたから……」

 

少しだけぐったりしている俺。

昔から大型車両のバスなどが苦手で遠足はいつも袋と酔い止めを持っていたのだ

 

「二人とも寝室で休んだら?」

「俺はそうしようかな?って言いたいところだけど神崎さんの日程表見つかったか?」

「ううん。確かにカバンに入れたはずなのに」

「とりあえず予備のやつ貸そうか?」

「うん。でもいいの?」

「一応三つ持ってきているから大丈夫。一応忘れた人ようにコピーは取ってあるから」

 

すると俺はカバンの中から日程表を取り出し神崎さんに渡す。

なお殺せんせーから渡された修学旅行のしおりはかなり厚くみたいところが見えづらいという困難があるため簡易型の日程表になる

俺たちのところは連絡役なので全員の班の行動ルートをまとめてあるのだ

 

「んじゃ少し早いけどごめん。お先に」

「うん。本当に大丈夫?」

「大丈夫。んじゃおやすみ」

 

と少しだけ顔を青くしながら寝室に向かう。疲れもあったのか布団に入った瞬間俺はすぐさま眠りにつくのであった

 



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修学旅行の時間②

「気持ちいいなこれ」

「うん。でも酔いは大丈夫なの?」

「俺大型車両以外は酔わないんだよ。何故か分からないけど」

 

と俺たちがいるのは川下りをしながらのらりくらりと流れていっているところだった。

 

「そういえば、なんでこの時間帯にしたんだ?希望は倉橋さんだけど、あえて一本遅らせたのは井岡くんの提案なんだろ?」

「一応唯一暗殺できる可能性のある班を手伝おうって思って。この川下り、実は悠馬たちの暗殺を結構する嵯峨野トロッコ電車と鉢合わせするんですよ」

「えっ?そうなの?」

 

イリーナ先生は驚いたようにしている。倉橋さんや矢田さんも同様らしい。

 

「まぁ知っているのが俺と悠馬だけだからな。健斗でさえ知らないと思う。実は視線誘導で俺たちに気づかせるように仕組んだんだよ。匂いで恐らく俺たちが乗っていることを知っているんだろう。恐らく暗殺者も火薬特有の匂いで気づかれていると思っている。だから絶対に視線を俺たちに向けさせるようにするためにこの川下りに乗ったんだよ。ついでにここには防衛省職員しか乗ってないからな。暗殺についても全員知っているぞ」

 

すると烏間先生は感心したようにする

 

「よく調べたな」

 

烏間先生はやっぱり知っていたのだろう。俺は少し苦笑してしまう

 

「一応時間はあったのと、それと暗殺の結果をちゃんと見ておきたかったので。それと触手を封じるために倉橋さんと矢田さんはトロッコが見えたら手を振ってくれると助かるかな」

「うん。それくらいならいいよ」

「ふ〜ん。で殺せる可能性は?」

「3000回やって一回殺せたらいいところだと思います。師範とともに何度も組み立てても狙撃になると可能性は低い。元々愛銃を使うと火薬の独特の匂いで気づかれるだろうしな」

 

実際何度もシミュレーションをした結果がこれだ。これくらいで殺せんせーを殺せるわけがない

 

「狙撃は有効ではないってことか?」

「俺は狙撃するなら近接の方が高いと思います。それか数十キロくらい離れた距離からの狙撃になるか、フィニッシャーとして狙撃を使うのが現実的だと」

「…フィニッシャーか」

「……烏間も井岡も何で暗殺のことになると饒舌になるのかしら?」

「似た者同士だからかな?」

「お互いに真面目だからね……それと少し戦闘している時が生き生きしているし」

 

とそんなことを言い合っている女性陣。

そんなそこらで川下りを楽しみながら目的の場所へと向かっていった

 

 

「おかっしいな?」

 

俺たちは今祇園の昼食が終わった時俺はスマホを耳に当てながら

やはりと言うべきか暗殺は失敗。銃弾を八つ橋で塞がれたと悠馬が言っていた

映画村の方は役者に混ざっていたなどお前バレたらどうするんだと突っ込みたくなったことも多々あるのだが

なお、今殺せんせーは産寧坂に向かっているはずだが

ついでに祇園に来たのは昼飯のためである。美味しい料理を食べたので全員が

 

「どうしたの?」

「いや。さっきから八重樫さんに暗殺場所を聞こうと思って連絡しているんだけど何度連絡しても繋がらないから」

「えっ?」

「それ本当か?」

 

先生の様子が変わる

 

「はい。最初は交通機関を利用しているのかって思っていたんですけどLAMEにも通知がつかなくて。一応今の時間帯だと祇園にいるはずだから電波が届かないってはずはないはずなんですけど」

「……こっちも。茅野ちゃんに繋げようとしたけど繋がらない」

「……余計に怪しいな。イリーナ先生。烏間先生二人のことお願いできますか?ちょっと祇園を捜索してきます」

「捜索?でもどうやるのよ?祇園っていっても広いわよ?」

「いや上から探すんで」

 

俺は一瞬で壁を蹴るとまるで某赤帽子のヒゲジジイみたいに壁キックで上に上がり屋根の上によじ登る

 

「えっ?」

「ちょっと探して来ます。見つかるようなヘマはしないので」

 

と言いながら俺は屋根をフリーランニングを使い移動していく。滅多にしないのだが高速で移動していく

恐らく暗殺だから人通りが少ないところを回ればいい。即ち花魁街にいると思っていいだろう

祇園は華やかだが基本的に昼間は人通りが少ない。だからその班はすぐ見つかった

 

「っ!」

 

それは明らかに争った跡がある痕跡が残されていた

 

「おい。大丈夫か!?」

「……っ!って井岡くん?」

「連絡して通じなかったからこっち側来てみたけど……とりあえず手当が先だな。烏間先生にも連絡しないと……ってそういや女子は?」

「すいません。攫われました」

 

俺が聞くとすると物陰から一人の少女が現れる。

メガネをかけた少女。

 

「奥田?」

「すいません。隠れてました」

「……っ!なるほど。いや。それでいい。奥田、携帯渡すから烏間先生に連絡いれておいて。アドレス帳に入ってあるから」

「はい」

 

なるほどやってくれた。

昨日のしおり、あれは落としたんじゃなく盗まれたんだ

恐らく同じ新幹線に乗っていた奴らの計画的犯行か

 

「……車のナンバー隠してやがった。多分盗車だし犯罪なれしているよあいつら」

 

赤羽も起き上がり少し頭を押さえている

 

「ちょっと待って確かしおりに拉致られた時の対応法について書いてあったから」

 

と胸元から修学旅行のしおりを取り出すとそのページを探し始める。

 

「えっ?井岡。それどこから取り出したの?」

「胸元だが?八重樫流収納術を使ったらってあったあった。恐らく訛りとかそんなんなかっただろ?…チッ。昨日の新幹線で盗まれた可能性を考えておくべきだった」

 

軽く舌打ちをしてしまう。土地勘がないから恐らく近場の廃墟で潜伏するはず。ホテルとか入られることはないだろうけど

 

「……ってすげぇな。これ。殺せんせーこんなん書いていたんかよ」

「えっ?」

「ほら、拉致実行犯対策MAPだってさ。普通こんなん想定しないだろ?」

 

俺がそのページを指す。……とりあえずすることは二つだな

 

「俺と赤羽で救出しに行くか。殺せんせーにも連絡はいくだろうけど俺たちが向かうところ以外を調べてもらおうか。奥田がいる以上杉野と潮田は烏間先生と合流した方がいいだろ?」

「…だろうね。奥田さんが二次被害にあわないためにも祇園にいる烏間先生たちと合流した方がいいだろうね。荒事に慣れているのは俺と井岡だろうし」

「……っ!」

 

実際これが一番安パイだ。それに女性にとって既に最悪のケースも想定しないといけない

 

「潮田。奥田さんにここから一番近い旧娯楽施設跡を俺と赤羽が探しにいくからその他を殺せんせーが探してって伝えておいて」

「えっ?でも」

「生憎これが一番早いだろ?女目当てってことは犯す気だろうしなるべく早々にけりをつけたい」

「……分かった」

「赤羽。行くぞ」

「了解。渚くん、杉野ちょっと待ってて。あいつらに生きていることを後悔させるから」

 

と俺が先導し目的の場所へ向かう

それに八重樫の門下である俺にとって八重樫さんは家族なんだ。

絶対に見捨てるわけにはいかない

恐らく容姿的問題から最初に狙われるのはお嬢だ

……攫ったことを後悔させてやる

と俺もかなりの憤りを覚えているのであった




ちょっと事情につき、白崎香織というありふれた職業で世界最強のキャラを加えるかことをアンケートをとります。


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解決の時間

最初は雫sideで進行していきます。
基本主人公目線ではない場合は三人称となります
アンケートは今日の24時までです



雫は高校生の男に連れさられ体を触られていた

恐らく元カラオケの小部屋だったのであろう。壁が厚く古いコンセントが乱雑に置かれている

茅野と神崎は別室にいる。車内で聞く限り元は神崎さんがリュウキという男性に目をつけられていたことが雫にはわかっていた。

 

「うっひょ〜飛んだ上玉だぜ!」

「リュウキさんもこんな上玉を俺たちにくれるもんなせっかくだから撮影班も呼んで全員で夜まで楽しもうぜ!」

 

雫は今身動きの取れない名前も知らない男に犯されそうになっている

胸を触られ、尻を撫でられ、もはや犯されるのも時間の問題だった

どうしてこうなったのかしら

雫の目には涙が溜まっている

もはやこんな状況になって私を助けてくれる人はいない

と既に心が折れかかっていた

昔から雫は自分の本音をさらけ出すことができなかった

家族のために剣を振るい本当は女の子らしくいたい一人の女の子

剣の才能があった私を家族は喜んでくれて、期待を裏切らないようにしていた

元々雫は小学生のころはおしゃれなんか全く分からないおかっぱの服も地味な女の子だった

容姿のいい幼馴染を持っていることから同級生からの虐めにあい、のちに親友となる白崎香織が現れるまで雫は誰の助けも得られずただ一人でずっと耐えていたのだ

中学になってからも雫にとって誰かに頼れる存在は現れず、逆にみんなに頼られることが当たり前になっていた

そして今

雫は地球の危機のため怪物を暗殺する依頼を受け危険地帯に立ち、その教室の修学旅行で犯されそうになっている。

例え雫でさえ心が折れてしまっても仕方がないと言えるだろう。もはや救いは香織が巻き込まれなかったくらいだ

 

「それじゃあお先にもらうぞ〜」

 

ニヤニヤと下卑た声で雫の服を引き破る男。

犯される直前になってその恐怖が、嫌悪感が雫の心に絶望を与えていく

少しだけ

初めて素直な声をあげたのであろう

 

「た、すけ、て……だれ、か……たす、け、て…よぉ……」

 

 幼子のように泣きながら助けを求める。いつも誰かに頼られて、縋られて、そして雫は、そんな彼、彼女を常に助ける側だった。泣きながら、もうダメだ、もう立てない、誰か助けて欲しい等と泣き言を言ったことなんてない。

そんな雫を楽しんでいる男たちが肌に触れようとした時だった

 

「……泣いている女に手を出すんじゃねーよ」

「ガハッ」

 

最近親しくなり始めた、初めて聞く怒りの声

男の顔面に肘打ちが入る。その瞬間雫は涙でぼやけていたが誰がそこに助けてくれたのが嫌でも視界に入る

雫の幼馴染みたいに顔が整っているわけでもない。むしろこの学校に入る元凶であり、雫の扱い方がかなり雑で少し苦手意識を持っていた

だけどもこの場においては誰よりも頼りになり、井岡忍の姿だった

 

 

忍side

 

八重樫さんと出会う少し前、俺と赤羽が旧娯楽場についた直後。

 

「ここで当たりだな」

「あぁ。ナンバーが隠された車があるしね」

「んじゃ俺は裏口から入る表から暴れておいて。とりあえずボ赤羽は全員あった敵を全員半殺しにしといて。その間俺が女子の救出をするってことでどうだ?」

「そこらへんは任せるよ。俺はあいつらを半殺しにできればいいから」

 

まぁとある連絡も入れたから恐らく大丈夫だろうけど

俺はいつも通りの要領で気配を消しながら足音を立てないように潜入する。先手の重要さは俺にとっては死活だ。

力はそこまで強くない俺が落とすには技が必要だ

卑怯、汚い。それはスポーツ以外であれば何でも使うつもりだ

潜入するとそこはすごくタバコのステガラやアルコール飲料の缶が落ちていることから地元でも有名な危険地帯なのだろう。

しばらく捜索しているとついに数人規模の集団が歩いていたのもあり

 

「……つまり。全員をこういう風にのばして私のところに来たってこと?」

「まぁな。奇襲で全員落として一人の急所をずっと攻撃し続けて情報を吐かせただけなんだけどな」

 

俺は俺の上着を羽織りながら八重樫さんを背負いながら説明をしながら赤羽の元に向かっていた

三人の八重樫さんに絡んでいた男に体は触られていたらしいがどうやら最悪なことは直前で防げたらしい。ただ制服が破れて使い物にならないこともあり俺の制服を羽織っているのだ

八重樫さんはどうやら腰を抜かしているのか俺の助けがないと動けないようになったらしいので背負っていたのだが何か不満げだった

 

「……ありがとう。井岡くん。助けてくれて」

「気にすんな。家族を助けにきただけだからな。今度困っている時に今度は八重樫が助けてくれたらそれでいい」

 

八重樫の門下生は同門を家族として扱うのであるので家族を助けただけのこと。お礼を言われる筋はない。

するとギュっと俺の背中を抱きついてくる

怖かったのは当たり前だろう。犯罪行為に巻き込まれていたのだから

もうそろそろ赤羽と合流してもいいころだろう。

 

「八重樫。怖いんなら後は目を瞑ってろ。……後は俺たちがやるから」

「……大丈夫。でも私を背負って戦えるの?」

「元々護衛用の訓練は受けてあるからな。救出訓練も警察署で何回か体験させてもらって署長から絶賛されるほどだから安心しとけ……」

 

と最後の扉をけ破るとそこには赤羽と女子の姿、そして何人か気絶している高校生が見られる

やっぱりいたのか。

少しだけ苦笑してしまう

 

「井岡くん!!八重樫さん!!」

「よう。ギリギリセーフだったけどなんとかこっちはなったぞ?」

「てめぇ。連れはどうした!?」

「ん?雑魚ならそこらで半殺しにしといたから当分は起きてこないはずだぞ?」

「…なっ30人近くいたはずだぞ!?」

 

驚く不良ども、でももうすぎたことだ

 

「……んで?地獄を見る覚悟はできたか?手加減する気はさらさらないしな」

「…ふ、ふざけるな!!舐めた格好しやがって」

「なんてな。それじゃあ先生後はお願いします」

「あぁ」

 

一瞬で全員が吹き飛ばされたのだ。それも一人の超人によって

実は八重樫さんに話していないことがある

メールで烏間先生に事前にメールを送り俺の場所を送っておいたのだ。

 

「か、烏間先生!」

「分かりづらい救援要請だったな。少し戸惑ったぞ?」

「すいませんね。時間がなかったので。担任を呼ぶよりも烏間先生の方がそっち側の都合としてもよいと判断しただけですよ。それと最初から俺たちで勝とうなんて思ってはいないさ。俺ができることなんて自分でもわかっている。だからこそ信頼できる仲間に任せるのは当たり前だろ?」

 

最初から俺は八重樫さんが動けなかった場合を想定して動いていた。だからこそ最初から烏間先生で制圧することだけを考えていたのだ

 

「……クソ。散々見下しやがって」

「バカか。見下してないからこそ今の状況が出来上がっているんだろうが。言っとくが椚ヶ丘の3-Eはどちらかというとお前らよりだ。本校舎の奴らから差別を受けクラスは落ちこぼれ扱いされている。でもな汚い場所でも咲く花はあるし綺麗な土地でも周囲を一転させる毒草だってある。全部か結果だよ。場所や過程なんて関係ない。どう育ったかが全てだ」

 

俺は少しだけ笑い

 

「さて決着だよ。赤羽。美味しいところ全部持っていけよ」

「どこがだよ。全部井岡の思い通りってわけじゃん」

 

といいながらさっき渡しておいてしおりで最後の高校生の頭をぶん殴る赤羽

これにて全ての決着がついたのであった

 

「とりあえずこいつらどうするの?」

「ほっとけ。府警呼んでもいいけど、暗殺を続ける以上は俺たちのことを府警に知られるとまずいし面倒臭い。スマホから個人情報を抜き取って口封じする方がよっぽど楽だ」

「……お前妙に慣れているけど……もしかして経験ある?」

「いや。八重樫でいつもやっているから。忍者同士の争いで牽制するには一番簡単に相手を黙らせることができるからな」

「……本当に何やっているのよ、お爺ちゃん」

 

と今戦後処理をしていた。とりあえずどこで神崎を狙いをつけたのかみないとな

そうして携帯をいじっていると

 

「なるほど……神崎?これが原因か?」

「えっ?」

 

俺はリーダー格の男子のポケットから取り出した携帯から一つの写真に気づいた

それは明らかに神崎の姿であるが今の見た目とは大きく違う

容姿も現状は黒髪の大和撫子と言われても過言ではないくらい見た目は整っているのだが、写真に写るのはパーマを茶色髪の女性。

 

「これ神崎だろ?お前ゲーマーだと思っていたし」

「えっ?知っていたの井岡くん」

「神崎さんがか?」

「はい。時々悠馬たちとサバイバルゲームの話をしているんですけどゲームっていうと一瞬だけ俺の方に視線を向けていたので。隠れゲーマーとか世間帯を気にしている人には多いですしね。まぁ俺もゲームもアニメも話通じる方なんであんまり気にしてないんですけど」

 

といいながらバックアップが取られていないのか確認した後スマホのデータを初期化する

 

「これでよしっと」

「……あんた本当に慣れているわね」

「本当なら再生する方が慣れているんだけどな。データの復元とか俺にかかればかなりちょろいし」

 

とりあえずこれでいいか

 

「とりあえずこんなところですかね?」

「そうだな撤収しよう」

「二人は大丈夫か?八重樫さんは少しだけトラウマに残っているらしいし普通はこういう風に混乱しててもおかしくはないけど。神崎に関しては狙われていた張本人だろ?」

「うん。大丈夫。それとありがとう」

「気にするな。お礼は二人に言っとけ。俺は家族を助けにきただけだからな」

 

俺は言葉に二人は首を傾げる

てかさっきから八重樫さんの胸が当たっているのもあり少し気をそむけるのが辛いんだけど

 

「八重樫さん?もうそろそろ歩けませんか?流石に元の班に戻らないといけないだろうし」

「その件だが殺し屋の依頼はキャンセル。このメンバーで自由時間終了まで行動してもらう」

「あっ。そうなるんですか?」

「それならもう少しだけいいかしら……歩けると思うけど少しまだ気持ち悪いから」

「……まぁいいけど。とりあえず甘いもんでも食べにいってどこを巡るか考えるか。茅野も赤羽も甘党だしちょうどいいだろ?近場で美味しい店あるからな。どうせあのタコも参加するだろうしな」

「おっ!いいね〜」

「賛成!!」

「にゅや大丈夫でしたか!?皆さん!!」

 

とちょうどいいタイミングで殺せんせーがやってくる。

さて修学旅行を再開しよう




ついでに白崎がヒロインに加わる場合白崎はありふれの主人公とは出会ってないというifルートになる予定です


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修学旅行の時間③

「……いっくんも神崎さんも凄い!?」

「全くどう避けているのか分からねぇ?」

 

と俺と神崎さんはアーケードゲームをやっているのだが

 

「いや。俺もここまでかな。さすがに目が疲れてきた」

「でも二人とも意外です。ゲームがここまでうまいって」

「俺はそんなんではないだろ?男子って結構こういうの好きだし。友達付き合いでゲームやったりするしな。元々公立出身だし珍しいことではない」

「へぇ〜」

「私は黙ってたの遊びができても進学校じゃ白い目で見られるだけだし、でも周りの目を気にし過ぎていたのかもしれない」

 

ゲームというものは世間帯ではあまりいい風に見られていない

 

「でも、井岡くんが大事なのは中身の前を向いて歩くことだって」

「……まぁ大まかには合っているな。まぁ俺の職業柄結果を求められるからであって中学生ではそういう判断でいいと思う」

「仕事柄ってそういえば探偵って言っていたね?でもバイトってウチ禁止なんじゃ」

「俺は本職が探偵だからな。正式に防衛省から依頼されここにいるからな。さってと。風呂入ってくるか」

「あれ?男子の入浴期間終わったんじゃなかった?」

「俺は八重樫さんの方行っていたから。やっぱりショックが大きかったらしくて夕飯もそっちで食べていただろ?」

 

すると少し苦い顔をする

八重樫さんは少し怖かったのか今完全に寝込んでいる。

おかゆを食べさせ八重樫さんが眠るまでずっと付き添いで、先生も入れないでおいた

今先生に会うのは精神は壊れる可能性があるからだ

 

「だから烏間先生に頼んで女子の入浴時間後には入らせてもらうことになったんだよ」

「でも、八重樫さんって強いって思っていたけど」

「みんなの期待に応え続けていたんだろ?八重樫さんは人の期待を裏切れないタイプだからな……まぁとある人に連絡入れたから…少しは落ち着くだろうけど」

「とある人?」

「八重樫さんの親友件恩人っていうべき女子。少し携帯電話をパクって暗殺の件は伏せて今回の件について話したんだよ。一応寮の住所は教えたからなんとかなってほしいけど」

「…厳しいの?」

 

倉橋さんの言葉に頷く

元々色々と工夫をしながらストレス解消してきたんだけどそれももう通用しないだろう

 

「元々少しホームシック気味でもあったからからかったりして適度に毒を抜かしてきたんだけど……今回の件で爆発したって感じか。あいつだけは唯一巻き込まれた形でこの教室に参加している。だからこそ俺たちみたいに目的があるわけでもないし本当は可愛い物好きの女の子だ……100億の賞金なんか要らないから平和な日常に戻りたいって思ってもおかしくはないだろうな」

 

だから今回の件は本当にとどめになったのだろう。

元々護衛として離れたことも失敗の一つだろう

 

「……いっくんでもどうにもならない?」

「ん〜。なんとかなるかと言われたらこの教室にいるくらいならなんとかなるだろうと思うけど。俺は今回ばかりは説得がしないつもりかな。多分楽しいこともこの先は一杯あるだろうけど、危険なことも多くあるだろうし、今回の件で俺自身八重樫さんは安全なところにいてほしいって気持ちがあるんだよ。女の子らしく」

「……そうなんだ」

「こればかりはこの先暗殺を続けるならば俺たちはあまり関わらないで自分で立ち直らないといけないと思っているな。今俺たちが行ったところで暗殺を続けろって言っても逆効果だろうからな」

 

ただ重い空気に包まれる

もしかしてと茅野が疑問に思っていたのだろう俺の発言について聞いてきた

 

「そういえば八重樫さんのこと家族って言っていたけど…本当に家族ってことではないよね?」

「ん?あれは八重樫道場全体の掟だよ。門下生を身内、即ち家族として扱う。『家族は家族を絶対に見捨てない。見捨てないからこそ家族なのだ』ってな。俺はどんなことがあろうがこれを最優先している。正直稽古意外では許可がない限り師範の許可がない限り武道を使用してはいけないって言われているんだよ。今回破ったけど元はこういうこと」

「いい掟だね」

「俺もそう思うよ。だからこそ八重樫さんのことはどちらかというと家族として扱っているんだ。俺は必ず殺せんせーが暗殺できる状態でも八重樫さんが危険に侵されていた場合真っ先に八重樫さんを助けに行く。それはクラスだって同じこと。誰かが危険に侵されていた場合どんなことがあろうと助けるって」

 

俺は少しだけ苦笑する。

助ける。簡単に告げれるけど一番難しい言葉

この時ばかり思わずにはいられなかった。

このままで本当に助けられるのかと

 

 

「ん?何しているんだ?」

 

風呂上がりにコーヒー牛乳を飲みながら俺が大部屋に入るとそこには赤羽を含め男子全員が一つの紙を見ながらだべっていた

 

「おっ!井岡もいいところに来た。井岡お前たち女子で気になる娘っている?」

「ん?いないしまだそこまでクラスメイトのことについて分からないからな。どちらかといえば見た目より性格を重視するタイプだし」

「……へぇ〜。じゃあ好きなタイプは?」

「一緒にいて苦にならない人かな?それと家での俺を受け入れてくれる人。俺って外ではしっかりするけど家の中では結構面倒臭がりだからな」

「自分でいうんだ」

「自覚はしているけど直す気はさらさらないしな。手を抜くところは抜かないとずっと気を張っていたら疲れるだけだって」

 

俺はお土産屋で買ったやつはしを開け食べ始める

 

「それといいの?さっきからあのタコメモっているけど」

「えっ?」

 

窓から覗き込む殺せんせー。俺は気づいていたが面白そうなことになりそうだったので黙っていたのだが

するとメモっているタコが障子を閉める。

 

「メモって殺しやがった」

「殺せ!!」

 

といい追いかけていくクラスメイト。俺は残ったメモを見て少しだけ苦笑いしてしまう

神崎  3票

矢田  2票

八重樫 2票

倉橋  2票

他一票

男子の人気投票で堂々の二位につけていた

俺はそれを写真に撮り先ほど連絡先を交換したとある人に送る

 

すると少し待ちメールが送られてくる

 

『雫ちゃんだから当然だよ!井岡くんは誰に入れたの?』

 

俺は小さく笑顔になる。

そしてそのメールに返信する

 

『八重樫のところプラス一票しといて』

 

とだけ書き綴り俺はメールを閉じる。修学旅行が終われば季節は6月

暗殺期限まで残り10ヶ月に迫ってきた修学旅行の終わりに最初の試練が訪れていた



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突撃少女の時間

ついにあの人の登場です


「あ〜よく寝た!」

「いっくんよく寝てたね。体は大丈夫?」

「大丈夫。寝てたら酔いは覚めたから」

 

俺は酔いから解放せれ少し晴れやかな気分で久しぶりの椚ヶ丘の土地を踏んだのだが

 

「……」

「雫ちゃん大丈夫?」

「えぇ。大丈夫よ」

 

と口では平気そうにしているが態度は余裕はないのか俺の服を掴んでいる

ショックはやっぱり大きかったんだろう

やっぱり力及ばないよな

師範だったら守れたのだろうか?

八重樫さんを傷つけずに入られたのだろうか?

いや、そんな仮定は間違っている。

実際俺がその場にいて、班は違うが気づくチャンスはかなりあったはずだ

それでこんなことになったのだから、護衛としては失敗なのだろう

そんな風に振り返りながら軽く凹んでいるところだった

 

「雫ちゃん!!」

「……えっ?」

 

俺はタッタッタッと走ってくる音が聞こえてくる。

解散と言葉と共に一直線に八重樫さんに走ってくるのが分かるとクラスどころか学年全体がその人を注目している。

中学で八重樫さんと共に二大女神と言われ男女問わず絶大な人気を誇り、腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげだ。スッと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配置で並んでいる。

その女子は、周囲の視線を気にせずに八重樫さんに抱きついた

 

「雫ちゃん!久しぶり」

「香織?」

「うん。香織だよ。雫ちゃんの親友の白崎香織。雫ちゃんが傷ついているから連れ出してほしいって話を井岡くんから聞いて飛んできたの?」

「な、なんで?」

「白崎さんが京都に来ることだけはなんとか阻止はできたけどな。八重樫さんの携帯を使わせてもらった。修学旅行で色々あったし軽いホームシック気味だっただろ?八重樫さんにとって、慣れない土地に一人暮らしとか色々あったからな。……俺にはできないことを白崎さんならできるからな」

 

俺は少しだけ苦笑してしまう

そしてまず白崎さんに頭を下げる

 

「白崎さんもごめん。急に知らない、それも八重樫さんのスマホから電話して」

「ううん。大丈夫。私も雫ちゃんが全く連絡してくれなかったから現状を知りたかったから。寮の住所も教えてくれなかったから少し不安だったんだ。雫ちゃんまた無茶しているんじゃないかって」

「それはお前も変わらなくね?八重樫さんが今の髪型になるのも道場で師範に力説してたよな?」

「うっ。い、嫌なものだね。若さ故の過ちって」

「今も変わらないと思うけど?八重樫さんのことを聞いて京都まで突撃してこようとしてこようとする奴がどこにいるんだよ?」

 

目を逸らす白崎さんに俺は首を横に振る

そんなことない。白崎さんの美点はそこなんだから

純粋でまっすぐでお人好しなところ

 

「八重樫さんにはそんなの白崎さんが必要だから」

「どういうこと?」

「そのままの意味。白崎さんは確か八重樫さんの寮に泊まるんだったよな?八重樫さんの寮は隣だから買い出しあれば言って。近くのスーパーで買ってくるから」

 

歩くのも厳しそうだし八重樫さんも苦しいだろう

 

「……俺にできるのはここまで、後はお願いしてもいいか?」

「うん。それと雫ちゃん部活動は?」

「部活動は元々休みなはず。それに今八重樫さんが剣道をやるって言っても俺がやめさせてたから。師範も男の人らしいし俺が見ているところで発作が起こったらさすがに対応取れないから」

「……そっか」

 

少し考えている白崎さん。信じたくはなかったんだろうが悔しいけど事実なのだ

今度は八重樫さんに向けて頭を下げる

 

「八重樫さんもごめん。勝手に携帯使ったのと勝手に白崎さんを呼んで。でも八重樫さん自身考える必要があると思ってた。何かと一人暮らしに苦労しているところもあったから」

「…気づいていたのね?」

「あぁ。剣道だって元の学校でもできるからな、だから一回ちゃんと考えて欲しい。ここに残るのか、それとも元の学校で前まで通りに元の学校に行くのか」



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薦める時間

八重樫さんに出した最終通告。

厳しいだろうがここで決めないとこのままずるずるといってしまうので八重樫さん自身が答えを出さないといけない

だからこそ俺はそこに居合わせたらいけないと思っていたんだが

 

「ってことがあったんだ」

「そうなの?もう光輝ったら」

 

と修学旅行の最初の晩御飯

お互いに久しぶりに親友に笑顔が溢れる

まるで百合の花が咲いているみたいにべったりであり再会を喜んでいた

そんな二人に一人だけポツンと食べ続けている俺

 

「……ってなんで俺まで」

「えっと?ダメだった?」

「いや。別に夕飯くらいはいいけど……ちょっと居づらい……」

「えっ?どうして?」

「仲よすぎだから」

 

突っ込む俺に二人がキョトンとする

百合の花が咲いているみたいで俺は完全に置いてけぼりとなっていた

 

「えへへ。そうかな?」

「そうかしら?」

「自覚なしっと。まぁ八重樫さんが元気出たなら別にいいけどさ」

 

俺は少しだけ安心してしまう。

久しぶりに笑ったな。八重樫さん

白崎さん呼んで正解だったと思っていると

 

「あら?それはあなたがいうかしら?あなたってクラスでも人気なんでしょ?修学旅行で彼氏に男子で一位になっていたわよ?」

「…それ俺に言ってもいいのか?」

「でも雫ちゃんも人気だったよね?修学旅行の男子での気になる女子一位だったよ」

「……あなたもいいの?元はあなたがバラしたのよね?」

「別に隠せって言われなかったから別にいいんじゃね?てかお互いにやることは恋バナかよ」

「修学旅行の定番ネタだからじゃない?あなたも参加したの?」

「したな。まぁ自分のタイプを言ってごまかしたけど」

「えっ?そうなの?」

「担任に見てたからな。あの先生メモって逃げやがったから」

 

なお、バタバタとして暗殺になったのはいうまでもない

 

「女子も似たようなものよ。確か女子はあなたに七票近く集まっていたから」

「俺か?意外だな。健斗はともかく悠馬は選ばれてもおかしくないと思っていたんだけど」

「磯貝くんも人気は高いんだけど……金銭面でね」

「あぁ。なるほどな」

「……二人とも私のこと忘れてないかな?」

 

すると白崎さんがほっぺたを膨らませていかにも怒ってますと言いたげだった

白崎さんをなだめていながら夕飯を食べている途中だった

 

「それで雫ちゃんはどうするの?元の中学校に戻るのかな?」

「…」

「雫ちゃんはどうしたいの?」

 

本当にまっすぐに投げ込んでくるな。

急な話の方向転換に俺は驚くが白崎さんの目は真剣だった

 

「……俺からも少しだけ口を挟むけど、八重樫さんはもうちょっとワガママになった方がいいんじゃないか?」

「えっ?」

「期待に応えるっていうのも分かるけどさ、自分がどうしたいかっていうのが一番大事だと思うぞ?俺だってそうだろ?お前らがさらわれた時にお前らの班に任せたり、あのまま殺せんせーを呼ぶことだってできたしな。そうしなかったのは、まぁ少しばかり怒りもあったんだけど、俺自身が八重樫さんを助けに行きたかったからだし。というよりも殺せんせーに任せた方が安全だったって後から後悔していたけどな」

 

実際俺が助けに行ったのは自己満足でしかない。

それも正直に応えるのなら、あの時俺は八重樫さんを助けに行っただけなのだ。

だから本来なら神崎さんや茅野さんにお礼を言われる筋合いなんてないのだ

 

「多少迷惑かけたってちゃんとフォローしてくれる人も、やりたいことに協力してくれる教師もいるんだしな。真面目な性格なのはわかっている。でも期待に答えながら自分を出す。自分の意見を告げるっていうのはこれから先必要な技術だぞ」

「……あなたは?」

「ん?」

「井岡くんはどうなの?私を助けてくれるのかしら?」

 

八重樫さんの言葉に俺は呆れてしまう

助けないんだったら元々殺せんせーか烏間先生に任せているからな

 

「…いや。助けにいっただろ?」

「……それもそうね」

「ん〜言葉じゃ簡単に言えるけど行動で表さないといけないだろ?スポーツと同じで結果が全てだから……ただ言葉で伝えるなら。俺は八重樫さんを見捨てない。それが身内であり友達の八重樫さんの味方であるから」

 

俺は言い切る。それが俺が八重樫さんに出来る唯一のことだ

すると今まで弱気であった八重樫さんの目に少し輝きを取り戻していた

 

「……味方でいてくれるのよね?」

「あぁ」

「いざという時は助けてくれるのね?」

「当然」

「そう。……なら……もう少し頑張ってみようかしら。香織とは離れることになるけどそれでも井岡くんがいてくれるならもう少しだけ頑張れそうだから」

 

恐らく暗殺という意味でもだろう。

でもちょっとだけ事情がかわったんだよなぁ

 

「そのことなんだけど、ちょっといいか?白崎?お前椚ヶ丘こない?」

「えっ?それってE組ってこと?」

 

俺は頷く。

危険であるがちょっと前の中学の白井から聞いた情報であれば出来るだけこっちも手を打っておきたかった

 

「いや。中学の友達に聞いたんだけど、白崎さんも八重樫さんがこっちに移ってから元気もなかったらしいし、ちょっと孤立気味って聞いていたから」

「……えっ?」

「天之河の取り巻きが八重樫さんがいなくなったおかげで急に勢力を伸ばしはじめているって。だからいつものメンバーで集まることも少なくなったって聞いている。元々天之河を狙っている人は多かったからな。八重樫さんがこっちに来たからその均衡が破れたんだろ」

 

だから少しだけとある提案を烏間先生に聞いてみたのだった。

そしたら意外にも了承してくれたのもあり事情も話して相談してほしい

 

「というよりも今は一人でも可能性がある生徒が欲しいんだとよ。それに八重樫さんの件っていえば簡単に防衛省は脅せるしな。まぁ正直八重樫さんが向こうに戻るか、白崎さんがこっちにくるかが一番よかったんだよ」

「ちょっと待って、どういうこと?二人とも剣道の強化選手として椚ヶ丘中に転校したんじゃないの?」

「……白崎。ちょっと真面目な話になる。馬鹿げているかもしれないけどこれは真実だ。このままいけば来年の三月地球が滅びるらしい」

 

とここから俺の説明が始まる

八重樫の本当の姿もこみで説明し始める

元々は俺だけ参加する予定であったが八重樫さんが国家秘密の殺せんせーを見て加わったことなど

できるだけわかりやすく説明する

 

「……つまり、その殺せんせーを殺さないと地球は月みたいに破壊されるの?」

「マッハ20の化け物でゴム弾で殺せるっていう見た目は黄色いタコみたいな奴だけどな。今触手を破壊したのは俺と赤羽の二人。両方とも不意打ちって形だったけどな」

「……雫ちゃん?嘘じゃないんだよね?」

「嘘みたいだけど本当のことよ。私も巻き込まれてしまったけど普通に授業しているし暗殺をしていること以外は変わらないわ」

「というよりも普通の先生より断然分かりやすいしな」

 

あの先生の経歴が気になるところだけど……

ってよくよく考えると少しだけおかしいところがあるよな

まぁ人工的に作られたものと恐らく元人間ってことは分かるが……

 

「まぁ、これは絶対国家機密だから漏らさないように。一応俺が信用における人物として身内の一人に声をかけることを条件にしたから」

「えっと?もし受けなかったらどうするの?」

「いや。何もしない。まぁ記憶消去手術もしないようにしてある。元々は八重樫さんの相談役として関係者じゃない信用のできる人をおきたかったから、もし戻るにしろ八重樫さんの苦痛を和らいでくれる可能性が一番高いのは白崎さんだから。こっちに来ないとしてもこれから八重樫さんの相談を受けたり愚痴を吐き出せるのが白崎さんだと思う。口の堅さは分からないけど一番の適任だと思うしな。元々今回の件で残るにしろ戻るにしろアフターケアは大切だったし。八重樫さんが安心できるというか素直になれるのは白崎さんだと思うから」

 

というと白崎さんがこっちを見て笑っている

俺は首を傾げ白崎さんをジト目で見る。

 

「なんだよ?」

「ううん。雫ちゃんのこと本当に大切にしているんだって思って」

「……別にいいだろ?」

「もしかして二人って付き合ってたり」

「しないしない。というより俺元からこんなんだぞ?後輩とかにも結構過保護って言われたりする」

「……だからタチが悪いのよ」

 

まぁどのことを指しているのか分かっているが聞こえないふりをする

はぁと少しだけため息を付くと真剣な様子になる

 

「で、香織を本当に入れる理由は?」

「ん?」

「こっちに来る方が危険じゃないの?殺し屋に狙われるようなことだってあるんでしょ?」

 

本当に頭が回るのが早い。

問題提起能力とカリスマ性、総合力的にはかなり高いのが八重樫さん。

だけど

 

「……それが一番の理由だよ。今学校外で人質に取りやすいのは白崎さんだろ?武道もなにも教えもないそれでいて八重樫さんと俺と交友がある。俺は烏間先生のことは信頼しているけど、国に関しては信用してないからな」

 

俺は一つだけ言葉を挟む。すると八重樫さんも理解したらしい

 

「防衛省が生徒の危害を禁止しなかった場合狙われるのは」

「絶対ではないが白崎さんだろうな。確実に八重樫さんって人質を取ることができる。まぁだからこそ俺たちがやっていることについて話したっていうのはあるけど?…脅し行為になるからわざとボカせたんだよ。俺の予想が絶対に会っていることなんてないし、それに殺せんせーがいる方が安全だろうしな。まぁだからこそ今回駅に呼んだのは…殺せんせーに白崎さんの匂いを覚えさせるためでもあったんだ」

「…あなたどれだけ先を考えているのよ?」

 

俺は少しだけ苦笑する

実際俺に関して先を読む能力は異常だと言われる

とくにリスクリターン問題に関してはなおさらだ

 

「それだけ先のことを考えないとあの先生を殺せない。どれだけ先を読めるか。どれだけ行動パターンを見抜けるかが暗殺の鍵をになっているんだ。まぁ先を読むことは剣道の応用だよ。人を見て、癖を暴き、そして次の動きを予測する。俺はどちらかといえば指揮能力がないからな。結構自由に動き回る性格もあるし」

「自分でいうのね?」

「自分のできることを理解していないとな、自分よりも強い人に勝つなんて不可能だから」

 

強いって分かっている時だってある。普通じゃ敵わないって分かっているって思う相手がいることだってある。

負けるってことは俺は嫌いだ

 

「……えっと?でも両親にはどう説明するの?」

「建前は防衛省がなんとかするだろ?そこらへんは後から聞かされるだろうし話を合わせればいい。まぁ無くても八重樫さんを使えばうまくいくだろうしな」

「雫ちゃん?」

「あぁ。まぁ例えば今回の件で不安に覚えた親御さんが女性が寮での一人暮らしに不安を覚え友人とルームシェアするためとか適当に理由をつけることは可能だろうな」

 

実際やろうと思えばいくらでもやりようがあるし、

 

「まぁつまりは白崎さん次第で」

「もちろんやるよ。雫ちゃんと一緒に居られるんだよね?」

「まぁルームシェアすることになるだろうな。八重樫さんが良ければだけど」

「別にいいわよ。一人じゃちょっと寂しかったし」

 

ん。それなら連絡をしておくか。

一応これで八重樫さんのことはある程度は落ち着くだろう

 

「まぁ転入は週明けくらいかな?」

「そうなるわね。でも大丈夫なの?授業追いつくの中高一貫校だからかなり大変よ?」

「大丈夫だと思いたい。……殺せんせーに話して勉強教えてもらえよ。来週ってことは1日のほとんどを勉強漬けにされるだろうしな。まぁ総合的に俺たちの方が点数は高いから……白崎さんの方がかなり大変じゃないか?」

「えっ?」

 

すると引きつったような白崎。俺たちとは違い余裕はない

心の中で頑張れと思いながら勉強を手伝ってやるかと俺と八重樫さんは少しだけ苦笑するのであった



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自立思考固定砲台の時間

「今日だったわよね?転校生が来るの?」

「あぁ」

 

といつもの登校日。俺と八重樫さん、いや雫はいつもの通学路を歩いていた。

というのも昨日白崎さんを見送りした後の帰り道雫から言われてのことであり、名前で呼んで欲しいと頼まれたのだ

大体関係が変わったことはあの日から察しがついているが、今のところ問題はないので

 

「この時期で、しかもこの文章ってことは暗殺者転校生かしら?」

「だろうな」

 

烏間先生から送られたメールには

 

『明日から転校生が一人加わる。多少外見で驚くだろうが…あまり騒がずに接して欲しい』

 

とのことらしい

 

「でも基本的にこの歳で殺し屋になっているってかなり珍しいって聞いているけど」

「あなたみたいに忍者であるってことも珍しいでしょ?」

「いや?甲賀や伊賀の同世代の奴は結構いるぞ?正直八重樫は元々身内の紹介しかとらないし、雫の婿に継がせようとしていたらしいけど……俺がいるからその心配もなくなったしな。裏はほぼ確実に俺が継ぐことになる。多分高校卒業したら八重樫に苗字が変わるだろうし」

 

実際俺は八重樫を継ぎたいって思っているし、師範たちのそのつもりでいるらしい。何でも屋についても手伝い程度で結構実績を上げているし

そういえば

 

「八重樫は将来的に何になりたいのか希望はあるのか?」

「えっ?」

「いや。なりたいものだよ。剣道の道をそのままいくんなら剣道の師範の道を目指せばいいし、それに他の道だってあるだろ?八重樫はまぁ俺が全部で継ぐのもありだから」

「……」

「えっと?もしかして考えてなかった?」

 

俺の言葉に雫は頷く。

将来設計はしているタイプだと思っていたのでこの返答は意外だった

 

「えぇ。でもあなたみたいに進路を決めている人は少ないんじゃない」

「そうか?」

「えぇ」

 

そういうものなのかな?まぁ俺にとって忍術も剣術も大切にしてきたし、今も楽しいってことが多いしな

そんな将来の話をしながら学校へ向かう。そして教室に着いて挨拶しようと俺は教室のドアを開けてとある一点を見てそしてまた閉じた

 

「どうしたの?」

「いや。今どう見てもおかしなものが見えたような気がして」

「……どういうこと?」

「とりあえず入るか。……ってやっぱり見間違えじゃないのか」

 

そう呟くのも無理はないだろう修学旅行前にはなかった席に黒い直方体の物体が置かれてある

箱状の液晶モニターからすると顔見たいなものが現れる

 

「……これは?」

「恐らくAI搭載した兵器だろ?恐らく行動パターンや戦闘行動を学習するイージス艦の応用型として作られたんだと思うけど」

「…なんでもあなた知っているわね」

「なんでもはしらないって。知っていることだけ」

 

言ってみたかったことの改良型というとすると竹林の目が少し輝いたような気がした

なんとなく仲良くなれそうだと思っているとすると倉橋さんが俺の方を見る

少しだけホッとしたように笑い俺にピースを作り笑う

倉橋さんに軽く手を振るとするとジト目の二人の視線に気づく

 

「……忍、倉橋さんと何話しているのかしら?」

「いや、普通にお前のことを心配そうだったから」

「忍?」

 

すると今度は神崎さんが反応する

あれ?一瞬空気冷たくなったような?

少し震えながら矢田さんが聞いてくる

 

「二人って名前を呼び始めたの?」

「あぁ。別に悠馬や健斗と同じだから別に問題ないし、元々名前で呼ぶのに抵抗ないし、後輩は俺男女構わず全員名前呼びしているから」

「そうなんだ?」

「別に名前で呼んでほしいならそっちに変更するけど?」

「あっ!僕もいいかな?」

 

すると潮田が先に手を挙げる。いつのまにか固定砲台より、俺のクラスメイトの呼び方に話題がシフトしていた

 

 

朝のHR。烏間先生がチョークを手に取り、『自律思考固定砲台』と書いた。

 

「ノルウェーから来た自律思考固定砲台さんだ」

『みなさまよろしくお願いします』

「……よくやるな。人口知能だからなんとか思考能力と顔を持っていることを逆手に契約の裏をかいたんだろうな」

「裏って」

「実際そうだろ?こんなことにならなければ兵器の参入なんて認められないだろ」

 

俺がそういうと声を詰まらせる烏間先生

実際こんなのは屁理屈でしかない。

 

「それに教師が認めてもクラスに認めてもらわないといけないだろ?俺だって仕事の前に信用を作るところから始めたんだし、俺だって生徒だしな」

『……生徒に認めてもらう?』

「このことが理解できなかったら何にも話にならないと思うぞ?」

 

俺は意図を含ませた言葉を送るとすると首を傾げる烏間先生たち。

そして一時間目、予想通りの結末だった

授業中に左右から、恐らくプラスチック製の銃が展開される

密度の高い弾幕が教室に放たれるがやはりというべきか当たらない

当然のことだが当たらない。まぁあっちも最初の暗殺を当たるとは思ってもいないだろう

 

「ショットガン4門に機関銃2門ですか?濃厚な弾幕ですがここの生徒は当たり前にやっていますよ。それと授業中の発砲は禁止ですよ。それと、井岡くん。どこに行くつもりでしょうか?」

「ん?射撃が終わらないんなら今日は別の教室で自習しようと思ってな」

「にゅや?」

 

俺の言葉に殺せんせーは少しだけ驚いたようにする

 

「明らかに邪魔だろ?俺は仕事も合わせているけど最低限度の常識はわきまえるだろ?自分中心的に授業中に射撃をすることなんてしない。というよりも授業にならないし授業の声も聞こえない。それなら他の教室でイリーナ先生の英語の授業でも聞いていた方がマシだ」

「……」

「それにそれが暗殺できるようなら俺たち要らないだろ?勝手に機械相手に授業しとけばいいってことだ。どうせ行動パターンから動きを予測して撃ってくるタイプの機械だからこれから先もこの射撃を続けるんだろ?こんな兵器が教室にいて授業なんてできるわけないし」

「ちょ、ちょっと」

 

俺は一瞬カルマを見るとすると軽く頷く

布石は打っておいたので意図は伝わっただろう

 

「そうだね〜俺も授業どころじゃないしこのままであるなら俺も卒業までフケるよ」

「か、カルマくん?」

「だってそうでしょ?授業しているのに授業にならないって。それに実際井岡の言う通りでしょ?」

「……まぁそうわよね〜。私もパスかな」

「中村さん!?」

「俺もパスだ。さすがに邪魔だろ」

 

すると察しのいい中村は俺の策が分かったらしい。そして次に寺坂たちのグループも立ち上がる

まぁ寺坂たちは多分俺の意図など完全に無視した形であると思うけど

 

「……俺も正直嫌だな」

「私も」

「ちょ、ちょっと皆さん!!」

 

するとクラスの大勢がその流れを掴み取り立ち上がる。この時点で烏間先生と殺せんせーは気づいたようだ

全て俺の計算内であることを

 

「元々ここは生徒と殺せんせーの信頼がなければ成立しない。だからもし外部がどんな介入をするかによって生徒たちの対応も変わる。即ちどんな言い訳をしようが生徒はそいつをクラスメイトと認めないだろうな」

 

学習能力があるのであればその意味が分かるのであろう。

これ以上授業の邪魔するならとことん潰すと

何千手もある以上俺はクラスの崩壊という手を使ったのだ

そしてこの手を使ったのはもう一つ目的があるのだ

それは二度と防衛省含め暗殺者や兵器の使用に生徒を巻き込まないこと。それであれば暗殺を放棄することだ。

この教室を成立させている人物は殺せんせーのほかに二人いる。そしてその一人の条件に元三年E組の初期メンバーを優先するはずだと予想はついていた

 

「……分かりました。それと自律思考固定砲台さん。今井岡くんが言った通り授業中の妨げになることはよしてください。これ以上授業中の妨害をするようなら、あなたを生徒と認められません」

『……分かりました』

 

学習能力はあるらしく、これ以上の射撃はしてこなかった。これで……一件落着というところかと思うと俺は小さく息を吐いた



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