青年と少女のマルチプル・オンライン (グラハムさんとピンクマ)
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第一章 愛と驚異
第1話「始まり」


これは、現実世界と仮想世界を行き来する青年と少女の物語…

 

放課後…

 

男子生徒「お前、また痩せたんじゃねーか?」

 

????「え?そうかな?」

 

男子生徒「日常が忙しいかは分からんけど、食生活に気をつけろよ。またな!」

 

????「あぁ、またな」

 

トコッ、トコッ、

 

俺の名前は〘纎月 明日人(せんげつ あすと)〙、高校生だ。

いつもと変わらない、普通の毎日を過ごしている…いや、普通じゃないのかもしれないな。この世界は【仮想現実大規模多人数同時参加型オンラインゲーム】、すなわち【VRMMO】というゲームが大流行している。最近の技術ってすごいよな。もちろん、俺もその1人だ。

 

????「あ〜すと♪」

 

 纎月 「あ、おかえり、咲月」

 

 咲月 「一緒に帰ろ〜」

 

彼女は〘纎月 咲月(せんげつ さつき)〙、高校生だ。

幼い頃だったから詳しくは説明できないけど、俺と咲月は【義兄妹】らしい。

 

自宅…

 

 明日人「ただいま〜」

 

 咲月 「今日も2人は仕事ね」

 

俺の両親は、2人とも銀行で働いていて、帰っても家にいないことが多い

 

 咲月 「はぁ〜、今日も暑かったね〜」

 

ヌギヌギ…

 

 明日人「自室で着替えなよ、、、」

 

 咲月 「いいじゃない、2人だけだし」

 

 明日人(俺が危うく見てしまうところだったんだよ!)

 

 咲月 「それより、今日は何処へ行くの?」

 

 明日人「えっと、GBMかな」

 

 咲月 「分かったわ、あとで私もログインするね」

 

 明日人「あぁ」

 

明日人の部屋…

 

 明日人「さて、始めるか」

 

S■Oのようにあの掛けはしない。

それにしても、相変わらずこの世界は落ち着くぜ。恥ずかしさなんてあまり気にせず、ありのままの自分で遊べる世界なんだからな。

 

 

 

 

 

…目を開けるとそこはもう仮想世界、ここでの俺の名は〘グラハム エーカー〙だ。

 

????「グラハム〜!」

 

グラハム「やぁ咲、、じゃなかった、エディ」

 

危ない危ない、本名で呼ぶところだった。

彼女は〘エディ エーカー〙、咲月のユーザーネームだ。

 

 エディ「さっ、行こ♪」

 

ギュ…

 

グラハム「、、、」

 

 エディ「どうしたの?」

 

グラハム「あ、いや!何でもないよ!」

 

 エディ「そう?」

 

エディは天然なのか!?いきなり手を繋いでくるなんて、、、

仮想世界でもこれは恥ずかしすぎる!

そういえば、最近のエディは随分と寂しがり屋な気がする。まさか、【ノヴァ包囲網】の頃のことを引きずっているのか?

 

 

〜数ヶ月前(2020年8月7日のツイートにて)〜

 

 エディ「今まで何処に行ってたの!?心配したんだからね!」

 

グラハム「ごめんな、、、」(エディにあの件は黙っていよう)

 

 

あれから機嫌を直したと思ってたのに、本当に寂しくて辛かったんだな、、、

 

ギュ‐…

 

 エディ(フフ、、何故だか強く握ってくれた♪)

 

その後、2人は数時間一緒に遊んで、幸せな時間を過ごした

 

グラハム「そろそろ落ちるか」

 

 エディ「そうね、もうすぐ夕飯だからね」

 

グラハム「それじゃ、また向こう(現実)で」

 

 エディ「うん、じゃあね〜」

 

さぁ、俺もログアウトするか。明日は休日だからゆっくりするとしよう」

 

 

 

 

 

…現実世界に戻ってきた。こんな楽しい時間はずっと続くのだろうか。

 

数分後…

 

 咲月 「いただきま〜す♪」

 

 明日人「いただきます」

 

今日は焼き魚か。この焼き加減はもしかしなくても、、、

 

 咲月 「美味しい?」

 

 明日人「うん、とても美味しいよ」

 

 咲月 「えへへ♪」

 

やっぱり、咲月の手料理か。シスコンって訳じゃないけど、咲月の手料理は本当に美味しい。

 

数時間後…

 

 咲月 「おやすみ〜」

 

 明日人「あぁ、おやすみ」

 

 咲月 「私、明日の朝は部活でいないからね」

 

 明日人「分かったよ」

 

こうして俺達の1日が終わった。親ももうすぐ帰ってくるだろう。その前にねておこう。

 

 

 

 咲月 (おやすみ、ずっと一緒にいられるといいな)

 

 

 

 

 




ピンクマ「どうも後書き役(?)ピンクマです。これからはこのような感じで投稿していきたいと思います。」


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第2話「看病」

これからは(できるだけ)週1投稿を目指す(ことができたらな〜)!


 明日人「ん〜、よく寝たな〜」

 

今日も学校か…、早く用意しないと。

それにしても、咲月(エディ)は熱心だよな、毎日朝早くから部活に行って、大会でも良い成績を残してるから。

 

 

時はさかのぼり、学校の授業が終わって放課後…

 

 

 明日人「ふぅ、今日も疲れたな…」

 

 咲月 「明日人〜!」

 

 明日人「やぁ咲月、今日もお疲れ様」

 

 咲月 「明日人もお疲れ様〜」

 

今日も咲月と家へ帰る。一緒に帰ることもいつかはなくなるんだろうな。そういえば噂に聞くと、咲月って結構モテるらしい。分からなくもない、告白も何度か受けてるとか。でもその度に拒否をしてるみたいだ。もしかして他に好きな人がいるとか?

 

 咲月 「明日人?どうかした?」

 

 明日人「あ、ごめん、考え事してた」

 

 咲月 「そうなんだ。何か困ってたら私に言ってね!」

 

相変わらず咲月は優しいな、俺もボーッとしてられないな。

 

 明日人「分かったよ。咲月もなんかあったら言うんだぞ」

 

 咲月 「…えぇ、ありがとう」

 

ん?今少し沈黙があったな、気になるところだけどあまり触れない方がいいのかな?

 

 

帰宅…

 

 

 明日人「は〜、頭痛がする、自室で寝込んでくる」

 

 咲月 「大丈夫?あとで薬持っていくわよ」

 

 明日人「うん、ありがとう」

 

そう言って明日人は自室に戻っていった。

 

 咲月 (大丈夫かしら、、、)

 

 

明日人の部屋…

 

 

 明日人(季節の変わり目だからかな、、少し眠ろう)

 

 

数分後…

 

 

明日人が眠った後、咲月が薬を持って明日人の部屋に入った。

 

 咲月 (薬を持ってきたけど、眠ってるわね)

 

咲月は薬を机に置く。

 

 咲月 (、、、)

 

すると咲月は明日人に顔を近づけた。

 

 咲月 (そういえば、以前私が風邪を引いた時、明日人が看病してくれたわね。ありがとう、今度は私があなたを看病してあげるわ)

 

チュッ…

 

咲月は明日人の頬にキスをし、部屋を出た。

 

 

数時間後…

 

 

 明日人「、、、ん、結構寝てたな、、」

 

ふと机を見ると、薬が置かれている。

 

 明日人「そうか、咲月が看病してくれてたんだ」

 

そして、自分の頬を手で添えた。

 

 明日人「なんで頬が熱いんだろう、、、」

 

 

リビング…

 

 

 咲月 「あら、頭痛は治ったかしら?」

 

 明日人「うん、咲月が持ってきてくれた薬のおかげでね」

 

 咲月 「良かった♪さ、ご飯食べよ!」

 

咲月は本当に優しい子だな。今度なにか恩返しをしてあげよう。

 

 咲月 「ねぇ明日人、良かったら明日、2人で何処かに出かけない?」

 

 明日人「うん、いいよ。看病してもらったし」

 

 咲月 「ありがとう、フフフ♪明日人とデートの約束しちゃった♪」

 

 明日人「で、デート、、、恥ずかしい」

 

まさかのデート宣言、、、こんなこと言われるとは全く思わなかった。嬉しいけどね。まぁ、変に意識しなかったらいいだけか。




ピンクマ「2人には、お互い惹かれる何かがあるんだろうね」


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第3話「告白」

普通にSAOゲームオリジナルキャラが出てくるかも(もしかしたら名前だけの可能性も)
出てきた場合、キリト達は存在しない設定でいくかな


 咲月 「お待たせ!」

 

 明日人「うん、行こうか」

 

 咲月 「うん!」

 

今日は咲月と出かける日、咲月がデートやらと言ってたけどいつものように振る舞えばいいのかな?ま、深く考えなくていいよな。

 

 

デパートにて…

 

 

 咲月 「こうやって2人で買い物に行くのは何ヶ月ぶりかしら」

 

 明日人「ざっと半年前ぐらい?」

 

 咲月 「月日はあっという間ね〜、行きましょ!」

 

 明日人「あぁ、荷物は俺が持つよ」

 

 咲月 「本当!?、じゃあたくさん買うわね♪」

 

帰りは電車だから沢山買ったら、、、まぁいいか、楽しんでもらえれば。

 

 咲月 「ねぇねぇ♪これ買ってくれる?」

 

 明日人「ん?どれどれ、、、」

 

ぬいぐるみか、可愛らしいのを選ぶんだな。値段は、、、!5000円て、50cmでそれぐらいなのか!?諦めてもr、、、

 

 咲月 「いい?お兄ちゃん、、、」

 

すごく目を輝かせてるよ、、、てかこういうときは【お兄ちゃん】って言うんだな。仕方ない、、、

 

 店員 「ありがとうございました〜」

 

 咲月 「へへへ♪ありがとう、明日人お兄ちゃん♪」

 

 明日人「どういたしまして、咲月には感謝してるからな」

 

 咲月 「私こそ感謝してるんだからね!私も何か奢るわよ?」

 

 明日人「いや、女の子に奢ってもらうのは申し訳ないから大丈夫だよ」

 

 咲月 「へ〜、男らしいわね」

 

 明日人「男だからな」

 

 咲月 「フフ、さぁ、他の店も行きましょ!」

 

 

数時間後、自宅の前…

 

 

 咲月 「沢山買ったわね〜、私も持つわよ?」

 

 明日人「もう家に着くし大丈夫だよ、咲月はぬいぐるみを持ってて」

 

ガチャ…

 

 明日人「ただいま〜」

 

 咲月 「ただいま〜♪」

 

 明日人「ふぅ、もう7時か、でも晩御飯は食べたし、風呂に入ってGGO内で睡眠しようかな」

 

 咲月 「私もそうするわ」

 

 

数分後…

 

 

さぁ、ログインするか。そういえば、最近クレハに会ってないな、リアルが忙しいのか?そう考えている間にGGOにログインできた。

 

 

GGO内のグラハムのホーム…

 

 

グラハム(この世界の方が眠りやすいな、寝るとするか)

 

 エディ「グラハム、起きてる?」

 

グラハム「!エディか、どうした?」

 

 エディ「えぇっと、ベッドの隣、いいかしら?」

 

グラハム「うん、、、え?」

 

 

ベッドの上…

 

 

 エディ「今日は色々とありがとうね、楽しかったわ」

 

グラハム「そう言ってもらえて良かったよ、俺も楽しかったよ」

 

 エディ「良かった、、、ねぇ、私のこと頼りにしてる?」

 

急に悲しそうになったな。何か気がかりなのかな?

 

グラハム「あぁもちろん、エディが傍にいてくれて嬉しいからね」

 

 エディ「、、、」

 

ん?俺なんか変なこと言った?急に黙り出したけど。

 

 エディ「じゃ、じゃあ、私のこと、、、好き?」

 

グラハム「!お、おぅ、好きだよ、家族だからね」

 

 エディ「私達、【義兄妹】って言うんでしょ?つ、付き合って欲しいの、、、」

 

、、、え?これ告白ってやつ?告白なんか全くされないと思ってたから油断してたよ、、、ど、どういう反応したらいいの?

 

 エディ「だ、だめ、、、?」

 

グラハム「い、いいよ」

 

 エディ「、、エヘヘ♪モヤモヤが晴れた♪」

 

ギュ…

 

そう言ってエディはグラハムに抱きついた。やれやれ、女の子に告白させてしまうなんてな。

 

グラハム「エディ、これからもy、、、あ」

 

 エディ「どうしたの?、、、あ」

 

2人の見た先には女の子が1人、こっそり覗いていた。

 

グラハム「あ、アファシス、、、」

 

アファシス「え、えっと、、おめでとうございます、マスター」




ピンクマ「なんでもう告白シーンを出したかって?いつでも失踪でk、、、【義兄妹】の使い方が合ってるのか分からなくなってきた(笑)」


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第4話「もう一人の恋する乙女」

まさか3000字を超えるとは、、、


GGOの自分の部屋…

 

 

グラハム「ふわぁ〜、朝だ〜。昨日はまさかアファシスに見られてたとはな」

 

ピロンッ!

 

グラハム「ん?誰からのメールだ?」

 

こんな朝早くにメールがくるなんて珍しいな、、

 

グラハム「クレハだ、久々に会うな〜、何が書かれてるんだ?」

 

 

“グラハムへ

 

早朝だけど、【SBCグロッケンの展望台】に来なさい!”

 

 

まさかの呼び出し、、、最近ログインしてないから報告する為に来てもらうとか?でもそれならメールでいいよな。とにかく行くか。

 

 

SBCグロッケン展望台…

 

 

グラハム「やぁ、クレハ」

 

 クレハ「グラハム、来てくれたのね!」

 

この子が〘クレハ〙、幼馴染で昔からよく一緒に遊んでた。その頃はVRMMOとかリリースされてなかったからかくれんぼとかね。

 

グラハム「どうしたんだ?朝に呼び出して」

 

 クレハ「、、、」

 

いや、なんで沈黙してるの?もしかして、引っ越しとか?、、、ないな。本当にどうしたんだろう。

 

 クレハ「グラハム、あたし、、GGOで一緒に冒険した時からアンタの優しさに惹かれて好きになったみたい、付き合ってくれる?、、、」

 

グラハム「なっ!?」

 

マジかよ、、、エディにも告白されて今度はクレハにまでされた。なんて言おう、、、普通に断ればいいか?でも悲しむ顔なんて見たくないし、、、。

 

 クレハ「どうかしら、、、」

 

グラハム「、、悪いけど俺にはもうe、、、」

 

チュッ

 

グラハム「!」

 

ちょ!き、キスで黙らせるなんて、、誰かに見られたらどうするんだよ!

 

グラハム「ちょ、クレハ、、、」

 

 クレハ「そうか、もうアンタには誰かいるのね。でも、せめてGGOの中だけでも、アンタの隣に居させて、、」

 

チュッ

 

グラハム「、、、」

 

自分でも女性は1人だけを選ばなきゃいけないってことは分かってる。でも、仲間の悲しむ顔なんて俺は見たくはない。

 

 クレハ「、、、あたしの気持ちを聞いてくれてありがとう。例えアンタが他の子と付き合ってても、あたしはアンタのことが好きだから、、、」

 

グラハム「あぁ、ありがとうな。今日はログアウトするよ」

 

 クレハ「えぇ、これからもよろしくね」

 

その頃、女性2人が柱の後ろからグラハムとクレハを見守っていた。

 

?????「良かったわね、クレハちゃん」

 

????「マスター、覗きはいけないのでは?」

 

?????「私が見ているのは知り合いだからいいのよ〜。さぁ、グラハムがログアウトするみたいだから戻りましょうか」

 

????「はい、マスター」

 

 

ログアウト…

 

 

なんだか夢のような時間だったな、、、あ、まだ8時だ。飯を食べなきゃ。

 

 明日人「おはよう」

 

 咲月 「おはよ〜!」

 

ムギュ!

 

咲月が明日人に抱きついてきた。

 

 明日人「おわ!」

 

バタン!

 

咲月が勢いよく抱きついてきた為、明日人は後ろに倒れた。

 

 明日人「いてて、、大丈夫か?」

 

 咲月 「私は大丈夫!でも、明日人は本当に優しいわね、自分のことより私に気を使ってくれるもの。そんな明日人が大好き♪」

 

 明日人「ハハ、ありがとう」

 

 咲月 「さぁ、早く食べて一緒にどこかへ行こう?」

 

 明日人「もちろん」

 

まさか俺と咲月が付き合っちゃうなんてな。

クレハのことも大切にしなきゃ。

 

 

朝食後…

 

 

 咲月 「ねぇ明日人、今日の晩御飯は何食べたい?何でもいいよ!」

 

 明日人「そうだな、、、チキンライスかな」

 

 咲月 「分かったわ、作ってあげる!」

 

 

数分後、明日人の部屋…

 

またGGOにログインするか、狩りやらイベント攻略やら。

 

 

グラハム「さぁ、へカートを持ってイベント攻略するか」

 

 エディ「お待たせ〜、待った?」

 

グラハム「いや、俺も今ログインしたところだから大丈夫だよ。総督府に行こうか」

 

 エディ「うん♪」

 

ホームを出ると、そこにはクレハがいた。

 

 クレハ「あら、グラハムじゃない!」

 

グラハム「お、クレハだ。良かったら一緒にイベント行くか?」

 

 クレハ「良いわね!行きましょう!」

 

 

総督府でイベントを受注し、どんどんエネミーを討伐していく一同…

 

 エディ「やるわねグラハム、何だかまたドキドキしてきた、、、」

 

 クレハ「あら、グラハムに見惚れてたの?」

 

 エディ「く、クレハ、聞いてたのね」

 

 クレハ「分かるわ〜、私もグラハムを見てたら何故かドキドキするもの。今度グラハムとデートしようかな〜」

 

 エディ「ぐ、グラハムは私のものなの!」

 

 クレハ「あら、その発言をしたってことはもしかして2人は付き合ってるの?まぁ、義兄妹って聞いたことあるから変な感じはしないけど」

 

 エディ「と、とにかくグラハムは渡さないから!」

 

 

一方、その時のグラハム…

 

 

グラハム(おいおい、ヒソヒソ話してるなと思ったけど段々声がでかくなってるぞ、、、)

 

 

 

 クレハ「それじゃ、グラハムとの自慢話をしようかな〜」

 

 

 

グラハム(ん?)

 

 

 クレハ「私はグラハムとキスしたことあるわよ?」

 

 

グラハム(え?それ言っちゃうの?)

 

 

 エディ「なっ!わ、私はグラハムにいつも手料理を出してるわよ!」

 

 

 

グラハム(よくキスで怒らなかったな。てか、エスカレートしたらまずい気が、、止めなきゃ、でもどのタイミングで?)

 

本当にどうやって止めよう、、女なら「やめて、私の為に争わないで!」って言えるんだろうけど、俺が言ったら変なやつって思われるだろうし。

 

 クレハ「、、、最後の手段を出すしかないわね」

 

 

グラハム(お、もうすぐ口論が終わるか?)

 

 

 

 クレハ「それは、私とエディ、グラハムの3人でダブルデートをするのよ!」

 

 

グラハム(ダブルデートの意味違いますよ?)

 

 

 エディ「へぇ〜、面白そうじゃない。乗るわ!」

 

 

グラハム(乗るんかい!)

 

 

 クレハ「そうと決まれば、グラハムの元へ戻るわよ!」

 

 エディ「そうね」(本当は独り占めしたかったけど、引くのも大事)

 

 クレハ「グラハムー!」

 

グラハム「な、なんだ?」

 

 クレハ「今から私とエディの手を繋いでもらうから」

 

グラハム「ふぇ?」

 

 

そして、イベントは終わり…

 

 

グラハム「あの、、、いつまで繋ぐつもり?」

 

 エディ「ホームに戻るまで♪」

 

 クレハ「まぁ、あと少しだから。そう言ってる間に着いたわ」

 

グラハム「あ、本当だ」

 

今は12:30か、ログアウトしなきゃな。

 

グラハム「2人共、今日は一緒にイベント攻略してくれてありがとな」

 

 エディ「楽しかったね♪」

 

 クレハ「あたしも楽しかったわ♪ねぇグラハム、こっち向いて?」

 

グラハム「何?」

 

チュッ

 

グラハム「!」

 

 エディ「わ、私の目の前で、、、」

 

 クレハ「、、、ふぅ、次もよろしくね!」

 

グラハム「あ、あぁ、またな」

 

 

グラハムのホーム…

 

 エディ「さぁ、説教ね」

 

グラハム「は、はい、、、」

 

 エディ「クレハとのキス、今回で3回目じゃない?」

 

グラハム「はい、、、」(クレハのやつ、数も言ったのかよ、、、)

 

 エディ「何故断らなかったの?」

 

グラハム「すいません、断る勇気がありませんでした、、、」

 

 エディ「罰は、、、リアルで考えるわ」

 

グラハム「分かりました、、、」(待て待て、親に言うとかじゃないよな?)

 

 エディ「さぁ、ログアウトしましょう?」

 

グラハム「はい、、、」

 

 

ログアウト中…

 

 

マズイかも、罰って何されるの?めっちゃ怖いんだけど。

 

ガチャ

 

 咲月 「覚悟しなさいよ」

 

 明日人(あ、終わった)

 

 咲月 「目を瞑りなさい!」

 

 明日人「ヒィ!」

 

 咲月「、、、」

 

あれ?全然パンチがこない。、、、ん?これ、、

 

チュッ…

 

キスされた!?嫉妬だったのかな。パンチじゃなくて良かった〜。

 

チュッ、チュッ…

 

グラハム(な、長い、、、)

 

 咲月 「ぷはっ!ハァ、、、ハァ、、、」

 

 明日人「ハァ、、、ハァ、、、」

 

 咲月 「罰は、、明日人のファーストキスを取る、、」

 

そ、そうか、VRMMOでのファーストキスは取られたからリアルで、、、。

 

 咲月 「、、次の罰も考えておくからね♪」

 

 明日人「う、うん、、、」

 

今日は凄く恥ずかしい1日だったな。




ピンクマ「クレハって19歳だったんだ、、、」


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第5話「太陽炉」

昼休み…

 

 明日人「はぁ〜、やっと昼休みか〜」

 

最近なんだか時間の進みが遅いな。早く弁当を食べて次の授業の用意をしなきゃな。

 

????「明日人、一緒にお昼にしない?」

 

 明日人「あ、小春か。いいよ」

 

彼女は〘本多小春〙、小学生の頃から仲良くしてる同級生だ。

 

男子生徒A「明日人っていいよな、いつも周りに女がいて(笑)」ヒソヒソ

 

男子生徒B「あぁ、ついでにリアルラックも高いしな」ヒソヒソ

 

ヒソヒソ話してるんだろうが聞こえてんぞ、、、てか「ついで」って何だよ。聞こえないふりしとこ。

 

 

屋上…

 

 

 小春 「最近の授業はどう?」

 

 明日人「んー、まぁまぁってとこかな」

 

 小春 「そう、、話はそれるけど、学校以外でなんかあった?」

 

 明日人「え?なんで分かったの?」

 

 小春 「そりゃあ、私達はもう約10年の仲だし」

 

さすが小春だ、すべてお見通しってことかな。

 

 

前回のことを説明中…

 

 

 小春 「へ〜、明日人は今もモテモテなんだね」

 

 明日人「そうなんだよな、、、ん?今〈も〉?」

 

 小春 「え、知らなかったの?小学生の頃や中学生の頃も一部の女の子達は明日人の話をしてたんだよ?」

 

 明日人「マジか、全然気づかなかった」

 

 小春 「周りの子が明日人を好きになる理由が分かるよ。明日人の優しさで私も好きになったもん」

 

 明日人「て、照れるな、、、」

 

 小春 「ハッ!私もう授業だから戻るね!」

 

 明日人「あぁ、またな」

 

さて、俺も戻らないとな。小春と話してたら昼休みがあっという間だったな。楽しかったから良かった。

 

 

放課後…

 

 

は〜、今日の学校は終わり。何か癒やしはないかな〜。

 

 咲月 「明日人〜!」

 

 明日人「よ、咲k、、」

 

チュッ

 

いきなり咲月が明日人の頬にキスをした。

 

 明日人「!な、なぁ、今外だぞ。見られるぞ、、、」

 

 咲月 「バレないバレない♪」

 

いつからキス魔になったんだよ、、、

 

 咲月 「ねぇねぇ早く帰って一緒に遊ぼ!」

 

 明日人「わ、分かったよ」

 

 

家に帰ってきてログイン中…

 

 

今日は久しぶりにSAOの世界に行こうかな。アニメのSAOとは違って死ぬこともないしログアウトもできるし。

 

グラハム「やっぱり俺は夜空の剣が1番好みだな」

 

 エディ「グラハム、今日は何をする?」

 

グラハム「そうだな、、今回もイベントクエストをするとしようかな」

 

 

エネミー狩り中…

 

 

グラハム「シャープネイル!」

 

 エディ「ヴォーパルストライク!」

 

グラハムとエディのソードスキルでエネミーが撃破されていく。

エネミーを倒していると、グラハムが何かをドロップさせた。

 

グラハム「ん?なんだこれ、、、レア度は、ミシック!?」

 

 エディ「どうしたの?」

 

グラハム「なんか、ミシックアイテムがドロップした」

 

 エディ「へぇ〜、おめでとう!なんていうアイテム?」

 

グラハム「えっと、【システム外スキル習得結晶】、つぶやくとシステム外スキルを自分で作り出すことが可能になる、、、え、ヤバくね?」

 

 エディ「そ、そんなチートアイテム聞いたことないわね」

 

グラハム「結晶だから消費アイテムかな?使ってみよ」

 

これを使えば空も飛べるのかな?

 

グラハム「太陽炉で空を飛びたい」

 

本当はガンダムを呼び出したりしたかったけど、それだとエネミーを簡単に倒せてしまうから無しだね。

 

ピカッ

 

つぶやくとグラハムの足元が円形に輝き出した。

 

シュン…

 

数秒経ち、光は消えた。

 

 エディ「終わり、かな?外見は特に変わってないわね」

 

グラハム「もう飛べるかな?」

 

その時、グラハムの体が浮き始めた。

 

グラハム「おぉ、飛んだ!自分の意思で飛べそう」

 

 エディ「凄いわね!太陽炉を手に入れたってことは、オリジナルのソードスキルもいくつかあるんじゃない?」

 

グラハム「確かに、イベントボスで試してみるとするか」

 

 

ボス戦…

 

 

 エディ「く、パリィで精一杯ね、、、」

 

パシュ!パシュ!

 

 エディ「射撃!?」

 

グラハム「凄いな、剣を相手に向けると射撃するぞ。今だエディ、ラストアタックを!」

 

 エディ「はぁぁ!サベージ・フルクラム!」

 

エディの3連撃がボスに命中し、見事クエストクリアした。

 

 

第一層、転移門広場…

 

 

 エディ「お疲れ様♪さすが太陽炉ね、デメリットとかないの?」

 

グラハム「ん〜、特に無いのかな?一定で飛べなくなるっていうこともないし。あ、でも弓を使うとき狙いが定まりにくいかな。あまり弓は使わないけど」

 

 エディ「太陽炉のおかげで射撃もできるしね」

 

 男性 「おい、さっきの戦闘見てたぜ!どうやって飛べたんだ?」

 

なんだこいつ、、、でも言わなきゃチートって言われそうだな。

 

グラハム「低確率でドロップしたミシックアイテムで飛べたんだ。今やってるイベントのエネミーを倒してたらドロップした」

 

 男性 「低確率か、なぁそれくれないか?欲しいものがあったらくれてやる!」

 

やっぱりな、話しかけて来る奴は大抵取引目当てだ。

 

グラハム「悪いが。このアイテムは渡せないな」

 

 男性 「ほぅ、なら勝負だ。お前が負けたらくれよな」

 

ハハハ!相変わらずゲームの世界は狂ってるな!自分が満足しなかったら他の条件を持ってくる。

 

グラハム「まぁいいだろう。それじゃ、【原始の草原】でデュエルな」

 

 男性 「おうよ!」

 

男性は返事をし、草原へ向かった。

 

 エディ「大丈夫なの?」

 

グラハム「あぁ、大丈夫だよ。いざとなったら空を飛ぶよ」

 

 

原始の草原…

 

 

グラハム「さぁ、デュエルをしようか」

 

 男性 「この世界は現実で死ぬことはないからな。HPを全焼させることが勝利条件としよう」

 

戦闘中毒者め、、、

 

3、2、1、START!

 

グラハム「とりゃ!」

 

 男性 「俺はソロランキング32位だぜ?お前みたいな奴なんかに負けるかよ!」

 

さらっと煽るなよ。

 

グラハム「それでも倒してみせるさ、この手でな!」

 

カキンッ!

 

剣で突き放すとグラハムは剣を男性へ向けた。

 

パシュ!パシュ!パシュ!

 

 男性 「ビームライフルだと、、、これがミシックの力か」

 

グラハム(これなら、飛ぶ必要はないかな)

 

 男性 「ちぃ、撃つんじゃねぇ!近づけねぇじゃねぇか!」

 

グラハム「もちろんあまり近づけたくないからな」

 

そしてどんどん男性のHPが減っていき、HPバーがレッドゾーンまで迫った。

 

グラハム「トドメだ、デッドリー・シンズ!」

 

 男性 「馬鹿な、32位の俺が?」

 

ザクッ!

 

グラハムの7連撃技が綺麗に決まった。

 

グラハム「32位にこだわりすぎだ」

 

 エディ「お疲れ様!」

 

グラハム「ありがとう、広場に戻って飯にするか」

 

 エディ「うん♪」

 

一方、その状況を見ている謎の人物がいた

 

????「ビームを出す剣か、面白い、こっちも対抗してやろう。覚悟しとけよ?グラハムエーカー」

 

 

今、グラハムとエディに強大な壁が迫っている、、、




ピンクマ「この世界での共通するレア度の呼び方」


コモン アンコモン レア エピック レジェンド ミシック

←低い        ←中間→          高い→


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第6話「迫りくる驚異」

グラハムの二つ名

オーランジュ・フェヒター(オレンジの剣士)〘ドイツ語〙

オーランジュ・ゲヴェーア(オレンジの銃)〘ドイツ語〙


土曜日の昼、森にて…

 

エディが部活の為、グラハムは1人でソードスキルの熟練度を上げていた。

 

グラハム「ヴォーパルストライク!」

 

ザシュッ!

 

グラハム「ふぅ、あと少しで熟練度MAXだな」

 

ヒュン、ザクッ!

 

グラハム「ぐぉ!?」

 

グラハムの左腕に矢が貫いた。

 

 

 

????「ここに来るのを待ってたぜ」

 

グラハム「何者だ」

 

グラハムは矢を引き抜きながら尋ねた。

 

????「俺はテーテン、ただの殺し屋さ」

 

は?何言ってんだこいつ。SAOの見すぎでゲームで死ぬとでも思ってんのか?

 

テーテン「殺し屋ってことを信じてねぇみたいだな。このコマンドをイジるだけで、、、」

 

そう言ってテーテンはグラハムに矢を撃った。

 

ザクッ!

 

グラハム「!?、、、、、」

 

痛い、痛すぎて声が出しにくい、、、

 

グラハム「な、何を、、、」

 

テーテン「ペイン・アブソーバーのレベルを1にしたんだ。レベルを下げると痛みが増す。現実の体にも支障が出る。今からお互いのレベルを0にして死を与えてやる」

 

グラハム「簡単に言ってくれる、、、」(回復結晶買ってて良かった)

 

え、マジで殺し合うの?内心泣きそうなんだけど。てかなんでペイン・アブソーバーをいじれるんだよ、チーターじゃねぇか。しかもレベル0で頭撃たれたら終わりだろ絶対。

 

テーテン「早速始めるぞ、初めましてからのサヨナラだ!」

 

そう言ってテーテンはクロスボウを放った。

 

グラハム「GNフィールド!」

 

矢がグラハムに当たるかと思いきや、それを太陽炉の力で防いだ。

 

テーテン「あげゃげゃげゃ!お前なら俺を楽しませてくれそうだ!」

 

グラハム「酷い笑い声だ。」

 

ここは第22層の森の中、そう簡単に助けはこないだろうな。メッセージを送る暇もないし。

 

ガキン!ジリジリ、、、

 

グラハムの剣とテーテンの短剣が鍔迫り合いを起こしている。

 

テーテン「さぁ、苦しめよ!倒れろよ!」

 

グラハム「あぁ、倒れてやるさ、お前を病院送りにしてからな!」

 

ガキン!シャキン!カキン!パシュ!パシュ!

 

テーテン「中距離射撃が小賢しい!」

 

グラハム「お前も同じだ!」

 

そしてグラハムがテーテンの体勢を崩すことに成功した。

 

グラハム「これで終わりだ!」

 

その時だった。テーテンがグラハムの一振りを交わし、その隙にグラハムの左目に短剣を刺した。

 

グラハム「ぐはぁぁぁ!?」

 

苦しい、左が何も見えない。俺はここで、頭を撃たれて死ぬのか?

 

…そういえば、以前も殺し合ったっけな、、、イツキ、、、

 

 

ーーーーーーー

 

1年以上も前、俺はイツキというGGOプレイヤーと【デスゲームエリア】という、イツキの仲間が生成した世界で戦闘した。その時もお互い、ペイン・アブソーバーのレベルを0にしていた。

 

 イツキ「魔王を討つのが主人公の役目だろ?」

 

グラハム「、、、主人公になった覚えはないよ。イツキ、大人しく投降しろ!」

 

 イツキ「君が引き金を引かないなら、僕が!」

 

その瞬間、サイレンがなって戦闘が終わった。

 

 イツキ「時間切れか、、、また会える日を楽しみにしてるよ」

 

それ以来、イツキを見なくなった。

 

ーーーーーー―

 

 

、、、その時に比べれば、こんな戦闘なんて怖くもない!

左目が見えなくなったからなんだ!まだ右目が使えるじゃないか!ここで死んでたまるか!

 

テーテン「トドメだ」

 

テーテンがグラハムの頭を撃ち抜こうとした瞬間、

 

グラハム「、、トランザム!」

 

シュン!、、、

 

グラハムの体が赤く輝き、高速で飛行し、矢を回避した。

 

テーテン「!どこ行きやがった!」

 

ザクッ!

 

テーテン「ぐはっ!せ、背中を切られたのか。だが、、、そこだ!」

 

ブシャ!

 

グラハム「ちぃ!3倍の速さで飛行してるのに」

 

テーテンの一振りがグラハムの左腕を切断した。

 

グラハム「素直にこの世界を楽しめば良かったのに。まぁ、ここがお前の最期だがな」

 

ブシャブシャ!

 

そしてグラハムはテーテンの両足を切断した。

 

テーテン「ハァ、ハァ、い、いいのか!俺を殺すとお前は殺人犯になるんだぞ!」

 

グラハム「何人も殺してきたお前にだけは言われたくないよ。それに、脳と心臓は外してやる」

 

グラハムは力を溜めて剣を構えた。

 

グラハム「ホリゾンタル・スクエア!」

 

ザクッ!ザクッ!ザクッ!ブシャ!

 

テーテン「ぐ、ぬわぁぁぁぁ!、、、」

 

ブスッ!

 

グラハム「な、、、」

 

テーテンの矢がグラハムの右の太ももに命中した。そしてテーテンは消滅した。

 

グラハム「俺も、死ぬのかな。俺の現実の体は普通の人より弱いし、まだ咲月も帰って来てないだろうし、、、」

 

人気のない深い森でグラハムは仰向けに倒れている。

 

グラハム「あぁ、右腕も上がらない。ログアウトできるとしても、こんな状態でログアウトしたら危ないかな」

 

????「、、、グラハ、ム?」

 

グラハム「、、、誰だ?、、この声、コハル、か?」

 

 コハル「えぇ、一緒に遊ぼうと思ってメールを送ったんだけど、いくら経っても返信がこないから探してたの。何があったの?それに、この傷は、、、」

 

グラハム「もう、話せな、、、」

 

 コハル「ぐ、グラハム!しっかりして!回復結晶は、、、あった!」

 

コハルはグラハムに回復結晶を使用した。

 

 

数時間後…

 

 

グラハム「ありがとうコハル、助けてくれて」

 

 コハル「いいよ。それにしても、グラハムは無茶しすぎだよ。チーターと戦闘するなんて」

 

グラハム「今回逃げてもまた別の日に狙われてたと思う。それに、あいつのせいで何人も犠牲が出てたから逃す訳にはいかなかった」

 

 コハル「本当によく頑張ったね、水飲む?」

 

グラハム「飲みたいけど、飲む力すら出ないから飲んでいいよ」

 

 コハル「そう?、、」

 

そう言ってコハルは水を口に入れた。そしてコハルはグラハムの顔を自分に向かせた。

 

グラハム「?」

 

チュッ、、

 

ちょ、俺が飲めないからって口移しは!

 

 コハル「ん、、、ぷはぁ、、こ、これはキスじゃないんだからね!」

 

グラハム「わ、分かってるけど口移しは、、、ま、まぁ、ありがとう」

 

 

ログアウト…

 

 

あ〜あ、苦しかった。あいつのことは通報したから、すぐ捕まるだろう。さぁ、現実の体は大丈夫か?

 

 明日人「いっ、、、」

 

左肩と右の太ももは痛いけど、全く動かせないって訳ではないな。

でも、左目はかすかな光しか見えない。

 

 咲月 「ただいま〜!」

 

咲月が帰ってきた。歩けるか?

 

 明日人「ぐっ!、、」

 

ダメだ、まともに立てない。できるだけ左足に重心をかけて歩こう。

 

 明日人「お、おかえり、、」

 

 咲月 「!ど、どうしたのその目!黒目の色が薄い!」

 

 明日人「え?」

 

そ、そうなのか。そりゃそうだよな、かすかな光しか見えないってことは目の外見にも異常が出てるだろうし。

 

 明日人「実は、、、」

 

 

カクカクシカジカ…

 

 

 咲月 「そうだったのね、、、全く、私のいない間に危険なことを」

 

 明日人「あれは不可抗力だったから仕方ないよ」

 

 咲月 「そ、そうね。とりあえず、病院行くわよ」

 

 明日人「病院、か、、、」

 

 

数時間後、フォートナイトのダーバーガーショップにて…

 

 

グラハム「ハァ、、、」

 

ピンクマ「珍しく元気ないじゃん、どうしたの?しかも左目に眼帯つけてるし」

 

 青クマ「グラハムのことだから、〘3時のおやつ忘れてた〜〙とかでしょ」

 

グラハム「俺のこと今までどんな風に思ってたんだよ、、ってそうじゃなくて、聞いてよ」

 

ピンクマ「うん」

 

グラハム「数時間前に殺し屋に襲われて左目が見えなくなったんだよね、、、」

 

ピンクマ「マジか、あ、だから眼帯を付けてるのか」

 

グラハム「そういうこと。でも、右目じゃなくて良かった。」

 

 青クマ「なんで?」

 

グラハム「だって右目がやられてたらAIMしづらいじゃん?」

 

ピンクマ「さすがオーランジュ・フェヒター、明るい話へと持っていく」

 

 青クマ(暗い話を持ってきたのグラハムだけどな)

 

グラハム「さ、バーガーも食べたし、沢山キルしてこよっと。ピンクマ行くぞ。またな、青クマ」

 

ピンクマ「あいよ〜」

 

 青クマ「バイバ〜イ」

 

ピンクマ「そういや、左から敵が来たらどうするの?」

 

グラハム「ピンクマにずっと警戒してもらう」

 

ピンクマ「あ、ハイ」

 

 

その後、グラハムとピンクマは4位という結果でログアウトした。




ピンクマ「ペイン・アブソーバーのレベル、正直よく分かってない(笑)」


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第二章 ロワイヤル
第7話「好意」


明日人の部屋…

 

明日人は今、GBMで使用しているガンプラの性能調整をしている。

 

 明日人「クアンタのライフルを他のものに変えようかな?」

 

コンコン…

 

するとノックが鳴った。

 

 咲月 「明日人、入っていい?」

 

 明日人「いいよ」

 

ガチャ

 

 咲月 「義足の使い心地はどう?」

 

 明日人「あまり良くないね、、でも、痛みは引いてきたからもうすぐ1人で歩けるようになると思う」

 

俺は右足を痛めてから脚の補助をしてくれる機械を付けている。

松葉杖よりは断然良いけど、それでも邪魔くさい。

 

 咲月 「そうなのね。、、ねぇ、抱いていい?」

 

 明日人「、、うん、もちろん」

 

ギュ…

 

 咲月 「あの時、傍にいてなくてごめんね。私が傍にいていれば義足なんて付けてないでしょうし」

 

 明日人「咲月が悪いんじゃないよ。不可抗力だ。それに、咲月は朝から学校だったんだし」

 

 咲月 「うん、それでも、、、」

 

咲月から涙がこぼれている。

 

 咲月 「何故か〘ごめんね〙って言わないと気が済まないの、、、」

 

 明日人「咲月、、、」

 

ギュ…

 

 明日人「俺は大丈夫だよ、今こうして傍にいてくれてるんだから」

 

 咲月 「明日人、、大好き、、」

 

 

 

 

数時間後、GGOの〘残影の荒野〙にて…

 

 

グラハム「スナイパーの練習だ、、、」

 

バン!

 

グラハム「ぐっ!左から撃たれたか」

 

右手でスナイパーを固定しつつ、左手でハンドガンを取り出し敵を倒した。

 

アファシス「マスター、大丈夫ですか?」

 

グラハム「あぁ、なんとか。まさかエネミーごときに被弾してしまったは、、、」

 

????「あら、グラハムじゃない」

 

グラハム「!ツェリスカ」

 

????「こんにちは、グラハムさん」

 

この人は【無冠の女王】ツェリスカ。このGGOの運営のザスカーっていう所の社員だそうだ。ツェリスカもアファシスの〘デイジー〙を連れている。

 

ツェリスカ「左目、ナイフで刺されたらしいじゃない」

 

グラハム「え、なんで知ってるんだ?」

 

ツェリスカ「SAOのあのトラブルの話がこっちに流れてきたからよ。チーターにあったんでしょ?」

 

グラハム「あぁ、全くだ」

 

ツェリスカ「可哀想にね〜」

 

スタッ、スタッ

 

グラハム「?」

 

なんで近づいてくるんだ?

 

チュッ

 

ツェリスカはグラハムの左の頬にキスをした。

 

グラハム「ツェ、ツェリスカ、何を、、、」

 

ツェリスカ「フフ、景気づけよ」

 

グラハム「景気づけって、、」

 

俺まだ学生だぞ、大人にキスしてもらうって、、、

 

デイジー「マスター、気をつけないとハラスメントコードに引っかかりますよ?」

 

「気をつけないと」?やめさせるのではなく?

 

ツェリスカ「そうね、今回はここまでにしておこうかしら」

 

ちょっと待って、「今回は」?

 

ツェリスカ「次もよろしくね〜」

 

デイジー「それではこれで」

 

グラハム「あぁ、またな、、、」

 

まさか【無冠の女王】にまで目をつけられるなんて。

 

 クレハ「グラハム、一緒にイベント行かない?」

 

、、、ここにもいたな、キスしてきた人が。

 

グラハム「いいよ、行こうか」

 

 クレハ「フフ♪」

 

 

イベントの移動中…

 

 

  クレハ「そういえば、あんたってSAOで事件にあったんだって?」

 

え?その話どこから漏れてるの?

 

グラハム「あれ?知ってるのか?」

 

 クレハ「ニュースで見たわよ」

 

グラハム「へ〜、ニュースに取り上げられたんだ」

 

 クレハ「当たり前でしょ?ゲームで人の生死が関わってたのよ?」

 

グラハム「そ、そうだな、この目もあの時のせいだし」

 

 クレハ「あら?その眼帯おしゃれじゃなかったの?」

 

グラハム「あぁ、実際に左側が見えてないからね」

 

 クレハ「あんたも大変ね、、、そんな話をしてる内に目的地に到着ね」

 

グラハム「よーし、フルブラストだ!」

 

 

数分後…

 

 

グラハム「ふぅ、ラストアタックは貰ったよ」

 

 クレハ「ムゥ、悔しい」

 

グラハム「さてと、ラストアタックボーナスのアイテムは、、、クレハにあげるよ」

 

 クレハ「え、なんで?」

 

グラハム「ボーナスが女性専用アクセサリーだったんだ。俺が持ってても仕方ないからな」

 

 クレハ「そうなのね、ありがとう!早速着けてみるわ!」

 

どんな見た目してるのかな。アイテム名をよく読まずに性能だけ読んだからな。

 

 クレハ「着けたわよ!、、、何も変わってない?」

 

グラハム「おぉ、これはなかなか」

 

 クレハ「どういうこと?」

 

グラハム「鏡機能で見てみなよ」

 

そう言ってグラハムは鏡をクレハの前に出した。

 

 クレハ「ね、猫耳!?これを着けて外に出るのは恥ずかしいわよ!」

 

グラハム「アイテムを非表示にしたらいいだけだよ。そしてその猫耳、それぞれのステータスが+5上昇するらしいよ」

 

 クレハ「結構優れたアイテムなのね。ありがとう!お礼は何にしようかしら、、、」

 

グラハム「お礼なんていいよ。さ、帰ろうか」

 

 クレハ「えぇ、そうね。はぁ、家までちょっと遠い。GGOってあまり移動手段がないわよね。車だって買ってないし」

 

グラハム「、、、なら、ちょっと失礼」

 

そう言ってグラハムはクレハを持ち上げた。

 

 クレハ「ちょっ、お姫様抱っこは、、、」

 

グラハム「降りたいならいいけど、今日だけかもしれないぞ?」

 

 クレハ「、、、わ、分かったわよ。連れて行ってもらうわ」

 

クレハは顔を俯かせて言った。そりゃ恥ずかしいよな、俺だって抱くのは恥ずかしいもん。じゃあなんでお姫様抱っこをするのかってなるけどね。

 

 

数分後…

 

 

 クレハ「お、重くないかしら?」

 

グラハム「大丈夫、軽いよ」

 

本当に軽いから大丈夫だけど、逆に重いって言った時どうなることやら。

 

グラハム「それじゃ、今日は落ちるよ」

 

グラハムがホームに入ると、、

 

 クレハ「えぇ、、あ、ちょっとだけホームに入らせてもらっていい?やりたいことがあるの」ニコリ

 

グラハム「?いいよ」

 

バタン、、

 

 クレハ「、、、それじゃあ、久しぶりに、、」

 

チュッ

 

グラハム「ムッ!、、、」

 

ホームに入ってやりたいことってこれかよ、、いやまぁ、なんとなく予想通りだったけど。

 

ニュル、、、

 

するとクレハが舌を入れてきた。

 

グラハム「ん?!、、、」

 

 クレハ「んん、チュッ、、チュッ、、ぷはぁ、、、今日は色々とありがとうね!こういうことを言うのもあれだけど、、またキスさせてね?、、、」

 

グラハム「、、、誰もいないところでなら」

 

お前はいつからキス魔になったんだよ。それでも了承する俺って何なんだ?

 

 クレハ「フフ♪グラハムならそう言ってくれると思ったわ♪じゃあ、また明日」

 

そう言うとクレハはホームを後にした。

 

グラハム「〘そう言ってくれると思った〙、か、、、」

 

 

ログアウト…

 

 

 明日人「あれ?身動きが取りづらい。あ、脚が不自由なんだった」

 

この脚色々と不便だな。明日には治るかな?

 

ガチャ

 

 咲月 「あら、今ログアウトしたところ?」

 

びっくりした、咲月が入ってきたのか。

 

 明日人「うん、そうだよ。咲月は今家に帰ってきたところ?」

 

 咲月 「えぇ、そうよ。晩御飯も持ってきたわ」

 

 明日人「色々とありがとな」

 

 咲月 「全然いいよ。私は明日人の彼女だし♪」

 

 明日人「あぁ、そうだな」

 

 咲月 「えへへ♪」

 

さて、学校のことも考えなきゃな。この左目見られるの嫌だな。そうだ、眼帯着けよっと。




ピンクマ「1話に約2回のペースでキスされる明日人氏。こんな小説は逆にレア?!念の為今回も言います。〘中の人は本当に健全です!(笑)〙」


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第8話「恋人同士のVRデート」

10月31日の朝…

 

 明日人「ふぃ〜、やっと1人で立てた」

 

1人で立てなかったことがどれだけ辛かったことか。もう危ない奴とは関わらないでおこう。

 

ガチャ

 

 咲月 「おはよう明日人。あら、1人で立てたのね!」

 

 明日人「うん、なんとかね。左目はまだダメだけど」

 

 咲月 「そう、、でも歩けるようになって良かったわ」

 

 明日人「そうだね」

 

 

数時間後、いつものようにログイン…

 

 

グラハム「久しぶりにSAOにログインしたぜ。まだまだ太陽炉を使いたいからな。今回のログインボーナスは、、、ん?」

 

プレゼントボックスには、明日人の太陽炉と似たような物が入っていた。

 

グラハム「ぎ、疑似太陽炉だと、、、SAOの世界でどんどん空を飛ぶ奴が現れるじゃねぇか!俺の太陽炉との違いはあるのかな?」

 

 エディ「グラハム、今日のログインボーナス見た?」

 

エディもログインできたんだな。よく考えれば、これから戦闘時はエディと空中で連携を取ることができるってことか。そう考えれば良いボーナスかな。

 

 エディ「疑似太陽炉を使うの楽しみだな〜。ねぇ、飛び方教えて!」

 

グラハム「そうだった、エディは初めてだったな。分かった、教えるよ。そうだな、、、まずは人気のない場所で練習した方がいいな。そうと決まれば、、、」

 

 エディ「きゃ!」

 

グラハムはエディをお姫様抱っこした。もうこれには慣れたもんだ。そして空を飛び、人気のない場所を目指す。

 

グラハム「ごめんなエディ、お姫様抱っこは嫌か?」

 

 エディ「ううん、私今とっても嬉しいから♪」

 

グラハム「それなら良かった。お、いい場所見つけた!」

 

スタッ

 

グラハム「着地完了っと。さぁ、特訓するか」

 

 エディ「うん!」

 

 

数分後…

 

 

 エディ「はぁ!トランザム・ソードダンス!」

 

グラハム「凄いな、もうトランザムソードスキルを使いこなしてる」

 

 エディ「私だってやればできるもん♪」

 

ドシン、ドシン、

 

グラハム「ん?何の足音だ?」

 

 エディ「、、、!ぐ、グラハム!後ろ!」

 

なまはげ型「がぁぁ!」

 

グラハム「うわっと!?」

 

グラハムはすぐさま緊急回避をした。

 

グラハム「森の奥からなまはげ型のネームドエネミーがくるなんて、危なかったな。エディ、練習通りにすれば大丈夫だからね」

 

 エディ「分かったわ、戦闘開始!」

 

俺のレベルは70、エディは65、そしてネームドエネミーは200か。実際は無謀な戦いだったんだろうけど、太陽炉のおかげでましかな。

 

グラハム「近づいて斬れるか?」

 

グラハムが接近を試みた。しかし、

 

ザンッ!

 

グラハム「がはっ!い、一撃で体力がレッドゾーンまで減った」

 

 エディ「時間を稼ぐから回復結晶を使って!」

 

グラハム「あぁ、すまない!」

 

さて、回復が終わったら一気にいくたとするかな。

 

グラハム「エディ、トランザムアタックだ!」

 

 エディ「分かった!トランザム!」

 

グラハム「トランザム!」

 

2人の超スピードでなまはげ型が混乱している。その隙にエディは剣先をなまはげ型に向け射撃し、グラハムはソードスキルで攻撃する。

 

 エディ「ネームドエネミーの体力ゲージは4本中あと3本、やれるのかしら?」

 

グラハム「硬いな、なら!」

 

グラハムは剣をしまい、両腰から筒状のものを取り出した。するとそこからビームの刃が出てきた。

 

 エディ「フォトンソード!?」

 

グラハム「フォトンソードの二刀流なら!トランザム・レイド!」

 

グラハムの猛攻がなまはげ型を追い詰めていく。

 

なまはげ型「グルル、、、」

 

 エディ「ダウン!今がチャンスよ!」

 

グラハム「トランザムの限界時間か、けどフォトンソードならやれる!ダブルサーキュラー!」

 

グラハムのソードスキルは見事命中したが、なまはげ型体力がほんの少し残っている。

 

グラハム「まずい!」

 

 エディ「させない!」

 

エディの射撃がなまはげ型の残り体力をすべて削った。

 

なまはげ型「ぐがぁぁぁ、、、」

 

なまはげ型は消滅した。

 

グラハム「危なかった、ありがとうエディ」

 

 エディ「もう、無理しないでよね♪それより、なんでフォトンソードを持ってるの?」

 

グラハム「こう見えて俺、鍛冶スキルも上げてるんだ。だからフォトンソードは自分で作った。エディにもあげるよ。」

 

 エディ「凄いわね、ありがとう!」

 

グラハム「いえいえ。よし、次は砂漠で練習するから移動しよう」

 

 エディ「分かったわ。」

 

快晴の空を2人は仲良く飛行した。




ピンクマ「ハロウィンに投稿するはずが、、、(笑)」


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第9話「少女達とロワイヤル」

10月31日の午後…

 

 

グラハム「ふぅ、空中戦の練習疲れたな〜」

 

 エディ「そうね。そうだ、クッキー焼いたんだけど食べる?」

 

グラハム「おぉ!食べたい!」

 

 エディ「いいよ♪ちょっと待ってね、まだ味見してないから」

 

パクッ、モグモグ、、、

 

 エディ「うん、美味しい♪グラハムも食べていいよ!」

 

グラハム「ありがとう!」

 

 エディ「あ、間違えた。グラハムの分はこっち」

 

グラハム「どっち?」

 

チュ

 

グラハム「ンムッ?!、、、」

 

く、口移しじゃないか、、、

 

 エディ「ん、、チュ、、んっ、、あん、、」

 

頼むから変な声は出さないでくれ。そして絶対キス目的だろ、、

 

 エディ「チュ、、チュパ、、、、私のクッキー、美味しかった?」

 

グラハム「あ、あぁ、とっても」

 

 エディ「良かった、グラハムの為に頑張って作った甲斐があったわ♪さぁまだあるから食べてね!」

 

グラハム「う、うん。次は普通に食べるよ」

 

 エディ「あら、いくらでも私が食べさせてあげるのに」

 

グラハム「いや、えと、、口移しはちょっと、、、」

 

 エディ「フフ♪いつでもしてあげるわよ♪」

 

グラハム「う、うん、また今度」(なんでこんなに上機嫌なんだ?)

 

数分後…

 

 エディ「さっ、クッキーも食べたしまた空中戦の練習に付き合ってくれる?」

 

グラハム「もちろん、エディが納得いくまで手伝うよ」

 

 エディ「ありがとう♪」

 

 

数時間後…

 

 

 エディ「かなり戦えるようになったわ!ありがとう!」

 

グラハム「エディはもっと強くなれる、だから頑張れよ。さぁ、ホームに戻ろう」

 

 エディ「うん♪ねぇ、良かったらまたホームまでお姫様抱っこしてくれない?なんだか落ち着くの」

 

グラハム「そうなんだ。分かった、じゃあ失礼」

 

グラハムはエディを軽々とお姫様抱っこした。

 

グラハム「さ、帰ろうか」

 

 エディ「うん!」

 

 

ホームへ…

 

 

グラハム「到着!エディ、降りていいよ」

 

 エディ「ヤダ、ずっとこうしてもらってたい♪」

 

グラハム「そ、そうなのか?」

 

グラハムはホームに入りながら聞いた。

 

 エディ「うん、だってなかなかグラハムに抱かれることなんてないもの」

 

グラハム「それは、、今まで恥ずかしかったから」

 

 エディ「あら、人気のないところを探すときにこうして抱き上げてくれたのはグラハムが始めたことなのに?」

 

グラハム「そのときのエディは初めて太陽炉を使うから、最初は上手く飛べないかなと思って抱き上げたんだよ」

 

エディを降ろしながら応えた。

 

 エディ「ふ〜ん、そういうことだったんだ。えいっ!」

 

グラハム「おわっ!」

 

エディはいきなりグラハムをソファに押し倒した。

え、これ今床ドンの体勢になってる、、、

 

グラハム「え、エディ?これは、、、」

 

 エディ「グラハムは本当に優しいよね。ときには私のお願いを断ってもいいのよ?」

 

グラハム「えぇっと、あまり断らないかな。断れない性格だからってのもあるかもしれないけど、別にできないことを頼まれてる訳じゃないからね」

 

 エディ「そう、それなら良かったけど、嫌だったら断ってね」

 

グラハム「大丈夫だよ。エディこそ、俺の願いが嫌だったら断ってくれ」

 

 エディ「私も大丈夫。愛してるわ、明日人、、、」

 

グラハム「あぁ、俺もだよ、、、」

 

ギュ…

 

エディとグラハムはソファの上で抱き合った。

本名で呼ばれたけど、ホームだから大丈夫だな。

 

 

次の日、GGOの総督府にて…

 

 

グラハム「面白いイベントあるかな?ん?」

 

グラハムはとあるイベントを見つけた。

 

グラハム「【迫る!武力介入!】、参加者は必ず太陽炉を装備すること、か。なかなか面白そうじゃん。ルールは1〜4人チームのバトルロワイヤル、戦闘場所はSBCグロッケン以外の全て、だとは、、、よし、やろっと」

 

SBCグロッケンどこでも戦闘OKって絶対修羅場なんだろうな〜。てか、まさかGGOでも太陽炉を持ち出せるなんてな。とりあえず、クエスト受注したからもう戦いは始まってるんだよな、鍛冶屋で新装備作らないと!

 

 

数時間後…

 

 

 エディ「へぇ、ソレスタルビーイングのパーツをプレイヤー用に発展させたんだ、凄いわね!」

 

 クレハ「鍛冶スキルも上げてたなんて知らなかったわ」

 

 コハル「私もイベントに呼んでもらったのは嬉しいけど、こんな装備貰っちゃっていいの?」

 

グラハム「皆の為に作った装備だから全然いいよ」

 

グラハムはサバーニャのライフルビットとホルスタービットを装備し、エディ達には事前に皆から預かった疑似太陽炉をオリジナルの太陽炉に改造して装備させた。

 

 エディ「私はフルセイバーのバックパック装備ね」

 

 コハル「これは、ハルートのバーニアユニットかな」

 

 クレハ「そしてあたしはセラヴィーのGNHWだったかしらね」

 

グラハム「その通り!さて、そろそろ出発するか」

 

 

雪原…

 

 

 クレハ「うわぁ、GGOなのに空を飛ぶプレイヤーが多いわね、、、」

 

 コハル「スクワッドのバトルロワイヤルか〜、私達勝てるかな?」

 

グラハム「こんな豪勢な装備を使ってるのは俺達だけだろうし大丈夫だろ」

 

 エディ「そうね、できるわよ!」

 

グラハム「じゃあ、フルブラスト!」

 

グラハム達は戦闘に乱入した。

まさか、GGOでも空を飛ぶことになるなんてな。太陽炉って期間限定なのかな?

 

 男性A「なんだ?あの緑色の粒子を扱うプレイヤーは」

 

 男性B「オレンジのプレイヤー、、、まさか噂の〘オーランジュ・ゲヴェーア〙って奴じゃないのか!?」

 

 男性A「マジかよ!なら俺らが奴を倒して有名になるんだ!」

 

グラハム「雪原の空を飛ぶのは気持ちいいな。ん?敵2人が近づいてきてる。まずはスナイパーの〘ティアマトMk3〙の出番だな」

 

グラハムは空中でスコープを覗いた。

 

グラハム「かなりブレるな。なら、行け!ライフルビット!」

 

グラハムが装備しているサバーニャのホルスターから、ライフルビットが射出されていく。

 

 男性A「なっ!?」

 

グラハム「まず1人だ」

 

ライフルビットで男性Aが撃ち落とされた。

 

 男性B「くっ、どうやってそんな装備を!」

 

グラハム「秘密だな。貰った!」

 

続いてもう1人も撃破した。

 

グラハム「ふぅ、エディ達の様子は、、、」

 

 

一方、エディ達は…

 

 クレハ「えいっ!もう1人も!」

 

 エディ「着々と撃破ポイントを取られていく、、、」

 

 クレハ「フフフ♪グラハムに相応しいのはあたしね!」

 

 エディ「そ、そんなことないわ!」

 

 コハル(、、、私のグラハムでもあるのに、、)

 

3人は別のことで争っていた。

 

 

グラハム「俺だけ孤立してる、合流しないとな」

 

 男性C「いたぞ!」

 

 男性D「珍しい装備のプレイヤーだな」

 

 男性E「しかもあいつ、〘オーランジュ・ゲヴェーア〙じゃないか?」

 

 男性F「戦績を上げるチャンスだぜ」

 

俺を倒したぐらいで大したポイント稼ぎにならないのに。

 

グラハム「もう一度使うか。行け!ライフルビット!」

 

 男性E「弾幕で押せ!」

 

相手の弾幕がグラハムを襲う。

 

グラハム「ぐっ!数発被弾した、炸裂弾で1人は落とせそうだな。よし、喰らえ!」

 

ダンッ!

 

 男性D「ぐあっ!」

 

 男性E「誰か奴の蘇生に行ってくれ!」

 

 男性F「俺が行く!」

 

 コハル「させない!GNシザースビット!」

 

 男性F「ゴハッ!」

 

コハルが合流し、シザースビットが男性Fを切り刻み、ダウンさせた。

 

グラハム「助かったよ!」

 

 コハル「間に合って良かった!」

 

 男性C「このままじゃ、、、」

 

グラハム「圧倒させてもらう!」




ピンクマ「進化していくVRMMO」


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第10話「歴戦の女性達」

 男性C「た、助け、、、」

 

男性CをライフルビットとドラケLハブーブで蜂の巣にした。

 

 男性E「そんな、、、」

 

グラハム「これで終わり!」

 

 男性E「かはぁ、、、」

 

最後の1人が奮闘するも、グラハムが圧倒して撃破した。

 

グラハム「よし、2人と合流するか」

 

 コハル「うん、きっとまだ戦ってるよね」

 

 

その頃、エディとクレハは…

 

 エディ「ソードビットが全部壊されちゃった、、、けどまだGNソードIVがある」

 

 クレハ「GNキャノンⅡは全壊、残る武器はドラケLハブーブだけだわ、、、ん?あれは、、、」

 

クレハが見たのは、ロケランを構える女性がいた。

 

????「ダブルキルのチャ〜ンス♪」

 

 クレハ「ハブーブの射程距離じゃないわ、、、」

 

 エディ「ここまでか、、、」

 

女性がロケランを発射した。

 

ドゴーンッ!

 

????「あれ、倒したはずなのにポイントが貰えないな〜」

 

爆発の煙が晴れるとそこにはホルスタービットで守られているエディとクレハがいた。

 

????「宙に浮くシールド!?」

 

女性が油断してる間にライフルビットに囲まれた。

 

????「しまった!」

 

そこにグラハムが空から降りてきた。

 

グラハム「間に合って良かった良かった」

 

 エディ「ありがとう!」

 

グラハム「さて、倒、、、」

 

その時だった。

 

ドカンッドカンッ!

 

グラハム「なっ!?」

 

別方向から二丁拳銃でライフルビットが破壊されていった。

ライフルビットで囲んでる間に倒しておけば良かった、、、

 

???1「助かったよ〜」

 

???2「気をつけて下さい」

 

???3「あの人達が最後のチームだよ!私が前に出るから援護よろしくね!」

 

グラハム「3人チームか、来る!」

 

相手のガトリングと二丁拳銃の猛攻が迫る。

 

グラハム「ホルスタービット!」

 

グラハムのホルスタービットが弾幕を防ぐ。しかし、、、

 

ドカンッドカンッドカンッ!

 

ホルスタービットが1基、また1基と撃墜されていく。

 

グラハム「このままじゃビットが全滅する。ならハブーブで!」

 

グラハムがドラケLハブーブを2丁持ちすると、

 

???3「させない!」

 

グラハム「フォトンソードの二刀流か!」

 

不意を突かれ、グラハムの左腕が切られた。

 

グラハム「くっ、こうなってしまったら弾を全て斬られるのがオチかもな」

 

そう言ってグラハムはドラケLハブーブをエディに渡し、フォトンソードを取り出した。

 

グラハム「皆、残り2人は任せたよ!」

 

 エディ「分かった!」

 

そしてエディ、クレハ、コハルは残り2人をグラハムの近くから離していった。

 

グラハム「ホルスタービットも行け」

 

ヒュンヒュン!

 

グラハム「さて、君の相手は俺だよ」

 

???3「君は覚悟があるんだね!確か、〘オーランジュ・フェヒター〙って呼ばれてるんだよね。一対一で手加減なしだよ!」

 

グラハム「もちろんそのつもりだ。いざ尋常に、勝負!」

 

グラハムと女性は太陽炉の力で宙に浮き、猛スピードで互いに近づいた。

 

バチンッ!ジリジリ、、、

 

グラハム「まさかGGOでも剣を交えるとは。それにこの剣さばき、もしかして君もSAOプレイヤー?」

 

???3「よく分かったね、そうだよ。私はレイン、よろしくね!」

 

グラハム「鍔迫り合いしながら自己紹介か、面白い。グラハムエーカーだ」

 

ジャキンッ!

 

グラハムはフォトンソードでレインを突き放した。

 

グラハム(俺は片手のみでレインは双剣だから俺が相当不利だ。だけど諦める訳じゃない、何かいい手があるはずだ)

 

 レイン「もっと戦いたいけど、制限時間があるからね。一気に行くよ!トランザム!」

 

レインがトランザムを使用し、グラハムを斬っていく。

 

グラハム「ぐっ、と、トランザム!」

 

グラハムもトランザムを使用し、互角の戦いを繰り広げる。

 

バチンッ!ジャキンッ!

 

 レイン「、、、!」

 

レインはふと思った。

 

 レイン(左目に眼帯をしてるから、左側は見えてない!)

 

レインはグラハムの左側に回り込み、そこから、、

 

 レイン「ダブルサーキュラー!」

 

グラハムの胴体にフォトンソードを2本突き刺した。

 

グラハム「ぐぁぁ!」

 

グラハムのトランザムが停止し、体力がレッドゾーンに入った。

 

グラハム「はぁ、はぁ、、、」

 

 レイン「これで終わり!」

 

レインもトランザムが終了した。そしてグラハムを斬ろうとした瞬間、、

 

グラハム「、、、そこだ!」

 

グラハムがトランザムでレインの横に回り、2つのフォトンソードと、サブマシンガンを破壊した。

 

 レイン「トランザムは完全に使えなくなったんじゃないの!?」

 

グラハム「ほんの少しだけトランザムを使える程度の粒子を残しておいたんだ」

 

 レイン「油断した、、、」

 

グラハムはフォトンソードを腰にしまった。

 

 レイン「、、、斬らないの?」

 

グラハム「俺はあまり女の子を斬りたくないんだ。それに初対面で言うのもなんだけど、レインも優しい子だろうし」

 

 レイン「、、、えへへ♪そうかな?」

 

グラハム「あぁ。それじゃ、チームの援護に行くよ。これ以上一緒にいたらチーミングと間違われるからね」

 

 レイン「あ、うん!またね」

 

グラハム(あ、粒子残量13%、、、なら、【UFG】を使うか)

 

一刻も早く援護に向かおうと思い、UFG(アルティメット・ファイバー・ガン)を使った。しかし、、

 

グラハム「いたっ、、」

 

左腕を失い、体に斬撃を受けたことによってバランスが取れず、UFGを手放してしまい、地面に落下してしまった。

 

グラハム「ええい、早く行かなくちゃならないのに!、、、飛ぶしかないか」

 

HPがレッドゾーンにも関わらず、グラハムはすぐさま立ち上がり、太陽炉の力で飛行した。

 

グラハム「、、、あそこか」

 

グラハムは近くの岩場に身を隠し、狙撃態勢に入った。

 

グラハム(武器さえ壊せれば俺達の勝ちだ)

 

右手だけで照準を合わすなんて初めてだ。まずは、あのガトリングとロケラン持ちの子の狙うか。

 

グラハム「目標を狙い撃つ」

 

ドンッ!

 

???1「わっ!」

 

よし、ガトリングは壊した。すかさずロケランを破壊する。

 

ドンッ!

 

???1「そんな!」

 

ロケット弾の方を撃ったことによって、ロケラン持ちの体力はレッドゾーンになった。あとは二丁拳銃の子だな。拳銃はさすがに撃ち抜けそうにないからフォトンソードで攻めるしかないかな。

 

グラハム「皆大丈夫?」

 

 エディ「私はまだトランザムを使えるから大丈夫」

 

 クレハ「あたしとコハルはもうダメかも、、、」

 

 コハル「うん、弾も撃ち尽くしちゃった」

 

グラハム「そうか、よく耐えたね。後は任せて」

 

さぁ、ここが正念場だ!




ピンクマ「トランザム・レイン!」


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第11話「ラストスパート」

???2「あと一息といったところですね。ストレア、私のショットガンを使って下さい」

 

ストレア「ありがと〜!」

 

グラハム(ガトリング持ちの名前はストレアって言うのか)

 

 エディ「グラハム、どうする?」

 

グラハム「どっちにしろ近づかれる、エディは俺のへカートで後方支援をしてくれ」

 

 エディ「で、でも、グラハムに当たったら、、、」

 

グラハム「な〜に、ヒーリング弾も使ったんだ。一発は耐えられる。それに、いざとなったら俺の体を貫通して相手を撃てばいいよ」

 

 エディ「、、、なら、信じてるからね」

 

グラハム「任せて」

 

とは言ったものの、俺の武器はフォトンソードだけ。だけど、今の俺は阿修羅すら凌駕する存在だ!

グラハムは飛行し、相手に急速接近した。

 

ストレア「つ、突っ込んできた!」

 

バンッ!

 

グラハム「おっと、危ない。ごめんな!」

 

ブン!

 

ストレア「きゃあ!ぷ、プレミア、ごめん、、、」

 

グラハムはストレアの背中を討ち、HPを0にした。。

斬りたくなかったけど、仲間の援護をしてるから仕方ない、、、

最後はプレミアって子だったな。

 

グラハム「あとは、君だけだね」

 

プレミア「くっ」

 

バンバンバンバンッ!

 

グラハム「乱れ撃ちと来たか」

 

ヒュッヒュッ!

 

今は順調に回避してるけど残量はあと4%、一気に畳み掛けないと!

 

グラハム「ヴォーパル、、」

 

プレミア「させない」

 

カチャ、、、

 

 エディ「撃たせない!」

 

ドンッ!

 

プレミア「あぁ、、、」

 

プレミアがよろめいた。今しかない!

 

グラハム「ストライク!」

 

直撃は貰った!

だがしかし、、

 

プレミア「ハイパーセンス、、、」

 

グラハム「何!?」

 

プレミアは後ろに緊急回避をし、グラハムに数十発撃ち込んだ。

 

バンバンバンバンバンバンバンバンバンッ!

 

グラハム「くはっ、、、エディ、い、今だ、、、」

 

プレミア「しまった」

 

 エディ「狙い撃つ!」

 

ドンッ!

 

エディの弾がプレミアに命中した。

 

━VICTORY!━

 

 クレハ「やったわね!」

 

 コハル「ナイスだったよ!エディちゃん!」

 

 エディ「皆のおかげだよ!」

 

あれ、これ俺忘れられてないよね?

 

 

数分後、総督府にて…

 

 

 エディ「グラハムが奮闘してくれたおかげだったわ、ありがとう♪」

 

グラハム「いや、エディが最後までサポートしてくれたからだよ」

 

 エディ「そんな、私にはもっと何かできたはずなのに、、、」

 

 コハル「これは、、、」

 

 クレハ「イチャイチャしすぎよ、、、」

 

ストレア「あ、いた〜!」

 

グラハム達の元にストレア達が来た。

 

グラハム「やぁ、レインとストレア、プレミア」

 

ストレア「当ったり〜♪そんな君にはムギュ〜してあげる♪」

 

ギュ〜

 

グラハム「す、ストレア!皆が見てるから!」

 

 エディ「ムッ、、、」

 

 クレハ「ムッ、、、」

 

 コハル「ムッ、、、」

 

う、3人の視線が鋭い、、、

 

 レイン「グラハム君、あの時は斬らないでくれてありがとうね」

 

 エディ「、、、グラハム?斬らなかったの?」

 

グラハム「は、はい、、、」

 

 クレハ「レインが可愛かったから?」

 

 レイン「!な、何を、、、」

 

「可愛かったから?」って質問やめてよ。なんて言い訳をしよう、、、

 

グラハム「女の子をあまり斬りたくなかったからね」

 

 コハル「グラハムっていつも周りに女の子がいるよね、、、」

 

 エディ「確かにそうね」

 

プレミア「これも〘愛〙と言うのでしょうか?」

 

 エディ「違うから!」

 

 クレハ「違うから!」

 

 コハル「違うよ!」

 

グラハム「声を揃えて言われると傷つくんだけど!」

 

 レイン「フフ♪皆グラハム君の事が好きなんだね」

 

ストレア「そう言ってるけど、今回の戦いでレインもグラハムの事が好きになったでしょ〜?」

 

 レイン「え、えぇ!?」

 

ストレア「顔に出てるもん♪」

 

グラハム(ほ、本当だ。顔が赤くなってる)

 

 レイン「そ、そんなことより、ストレアちゃんはいつまでグラハム君にくっついてるの!」

 

ストレア「だって私はグラハムの事が大好きだも〜ん♪」

 

グラハム「え、えっと、俺達実際に会うのは初めてだよな?そんなにくっつかれると恥ずかしいんだけど、、、それに、俺は好かれるようなことをしたかな?」

 

ストレア「んーと、皆に優しくしてるからかな」

 

グラハム「へぇ、、、」

 

ストレア「レインから聞いたよ?HPは0にしなかったって」

 

 エディ「そんなことが、、、全く、グラハムはお人好しすぎるわよ」

 

グラハム「まぁね」

 

 レイン「うんうん。あ、それじゃあ、私リアルで事情があるから落ちるね!」

 

ストレア「私ももう行くよ。バイバ〜イ♪」

 

グラハム「あぁ、またな」

 

 

こうしてイベントは終了した。




ピンクマ「乱れ撃つぜぇ!」


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第三章 復讐は卒然と
第12話「恋のライバル」


イベントが終わり、次の日…

 

今日もグラハムとエディはGGOにログインしていた。

 

 クレハ「グラハム〜!」

 

グラハム「やぁ、クレハ」

 

ムギュ!

 

するとクレハはグラハムに飛びついて来た。

 

グラハム「わっ!」

 

 クレハ「ナイスキャッチ♪」

 

グラハム「避ける訳にはいかないからね」

 

 エディ「ム、、早々グラハムにくっつきすぎ!」

 

 クレハ「あら、嫉妬してるわね」

 

 エディ「、、、してるから離れて!」

 

グラハム(認めた、、、)

 

 クレハ「おっと、そんなことより」

 

クレハはグラハムに抱きつきながら話した。

 

 クレハ「今回の大型アプデ、宇宙に行けるみたいよ!」

 

グラハム「そうなのか?だとしたら宇宙服をゲットしないといけないのかな?」

 

 クレハ「どうなのかしらね。明日にならないと分からないわ」

 

 エディ「楽しみだね♪」

 

グラハム「あぁ、楽しみだ」

 

 エディ「明日の為にレベル上げに行こ!」

 

そう言ってエディはグラハムと手を繋ぎ、総督府に向かう。

 

 クレハ「ちょっと、あたしも忘れないでよね!」

 

クレハもグラハムと手を繋いだ。

 

グラハム「こんな人目に付く場所で手を繋がれると恥ずかしいんだけど」

 

 エディ「異論は認めない♪、!ちょっと、それ私のセリフよ!」

 

 クレハ「異論は認めない!、!ちょっと、それあたしのセリフ!」

 

この2人、絶対仲いいだろ、、、

 

 

ダンジョン内…

 

 

グラハム達は、高レベルのエネミーを倒し、グングンレベルアップしていった。

 

グラハム「それにしてもこのダンジョンの内部、GGOは荒野の設定なのに、どうして緑豊かにしたんだろう?」

 

 エディ「うーん、緑を取り戻したいっていう前振り?」

 

 クレハ「ありえそうね」

 

グラハム「あ、そんな話をしてたらボス部屋の前だ」

 

 エディ「ほんとだ」

 

グラハム「各自ボス部屋に侵入後、散開!」

 

 エディ「OK!」

 

 クレハ「OK!」

 

2人に指示した後、扉を開いた。

 

ギィ、、、

 

グラハム「フルブラスト!」

 

相手は【コープススニファー】の改良版かな。そいつのレベルは230だけど、俺達は太陽炉を備えてるんだ。簡単には負けないはず。

 

グラハム「行け、ライフルビット!」

 

パシュンパシュンパシュン!

 

うーん、命中してるけど堅いな。

 

 エディ「堅い、、、なら!フルセイバーアタック!」

 

ザンッ!

 

エディの剣がコープススニファーにクリティカルヒットした。

 

グラハム「ナイス!行け、ライフルビット!」

 

パシュパシュパシュパシュ!

 

グラハム「なんだか光学武器はイマイチだな」

 

 クレハ「実弾とかの方が効果的なのかしら」

 

 エディ「有り得るわね」

 

 クレハ「!ミサイルが来るわよ!」

 

グラハム(ハイパーセンスを発動する暇もなさそうだ、なら、、、)「ふっ!」

 

ミサイルが命中する直前に、グラハムは後ろにバク宙した。

 

ドカンッドカンッ!

 

グラハム「おっとっと、危ないな」

 

 エディ「ハイパーセンスなしで避けたの!?」

 

グラハム「人呼んで、グラハムスペシャルだ!」

 

すぐさまハブーブを取り出し、コープススニファーにダメージを与える。

ん?ボスから煙が出てきた。大破寸前かな?

 

 クレハ「体力がレッドゾーンになったわ!今よ!」

 

グラハム「結構早かったな、これで終わりだ!」

 

 エディ「最後のレーザーに気をつけて!」

 

グラハム「なっ、ホルスタービット!」

 

ホルスタービットがギリギリ間に合い、グラハムを守った。そしてグラハムはへカートを取り出し、頭に狙いを定めた。

 

グラハム「目標を狙い撃つ!」

 

ドォンッ!

 

弾は見事頭を射抜き、コープススニファーを倒した。

 

グラハム「ふぅ、ナイスファイト」

 

 エディ「お疲れ様!」

 

 クレハ「さすがね」

 

グラハム「これでレベルが結構上がったから、宇宙アプデに対応できるはず」

 

 エディ「そうね♪それじゃあ、ホームに戻って休みましょ!」

 

 クレハ「そうしましょう!」

 

 

グラハムのホーム…

 

 

グラハム達は椅子に座っていた。

 

 クレハ「今回の戦闘で汗かいちゃったわ。お風呂借りていいかしら?」

 

グラハム「いいよ」

 

 クレハ「ありがとう!」

 

そう言ってクレハはお風呂に入っていった。

 

グラハム「ふぅ、クレハが入ってる間にステータスの振り分けをしよっかな」

 

 エディ「むぅ、、、」

 

その時、エディがいきなり後ろから抱いてきた。てか、エディがドレス・オブ・サンシャインを着てるの久しぶりに見る。

 

グラハム「ん?エディ、どうしたの?」

 

 エディ「今日はクレハとよく話してたわね」

 

グラハム「言われてみれば、、、」

 

 エディ「寂しいな、、(ボソッ)」

 

あ、これヤキモチをやいてるな。どうしてあげればいいんだろ。こうすればいいかな?

 

ギュ…

 

 エディ「!」

 

グラハム「ごめんな、寂しかったよな、、、」

 

寂しそうなら抱いてあげればいいよね。これで機嫌を直してくれるかは分からないけど。

 

 エディ「エヘヘ♪初めて抱いてくれたね」

 

グラハム「そうだっけ?」

 

 エディ「抱いてくれたお礼は、、、」

 

グラハム「いやいや、これくらいでお礼なんていらないよ」

 

 エディ「あら、それなら、、、」

 

チュ

 

グラハム「む、、、」

 

またキスか、クレハに見られたらどうしよ、、、入ったばかりだし大丈夫か。

 

 エディ「ん、、チュ、んふぁ、、、」

 

グラハム「、、、」

 

 エディ「チュ、ふぁぁ、、、グラハムは舌入れてこないの?」

 

グラハム「さらっと問題発言しないでよ、、、まぁその、俺、キス下手だから」

 

 エディ「私だってやったことないんだからね。でも、以前も2人でキスしたんだし慣れたでしょ?」

 

グラハム「慣れちゃった、かな」

 

 エディ「じゃあ、今グラハムからキスしてよ♪」

 

グラハム「え、えぇ。嫌って訳じゃないけどそれは、、、」

 

 エディ「もう、勇気がないのね。私は全然嫌じゃないからいつでもきて♪」

 

グラハム「う、うん。じゃあ、いくよ、、、」

 

俺の心臓の音が凄い聞こえてくる。絶対顔赤くなってるよね。

 

チュ…

 

 エディ「♪」

 

グラハム「、、、ん」

 

ヤベ、声出ちゃった。

 

 エディ「ん、、チュ、チュ、、、フフフ♪良く出来ました♪」

 

グラハム「そ、そうかな?」

 

 エディ「うん!それじゃあもうちょっとだけ、、、」

 

グラハム「!く、クレハが帰ってくる」

 

そう言うとドアが開いた。

 

ウィーン

 

 クレハ「ふぅ、温かかった」

 

グラハム「!」

 

クレハが体にタオルを巻いた状態で出てきた。

 

 エディ「く、クレハ!何よその姿!」

 

 クレハ「これもグラハムの為よ♪」

 

なんかこの2人、俺と一緒にいるようになってから性格が変わったような気がするな。

 

 エディ「あなたねぇ、、、あ、いけない!部活に行かなきゃ!グラハムに変なことしたら、2人共許さないからね!」

 

グラハム「え、おれm...」

 

クレハ「大丈夫よ、私が変なことすると思う?」

 

グラハム「既に格好が大丈夫じゃn...」

 

 クレハ「とにかく、エディも気をつけて」

 

 エディ「気遣いありがとう。またね」

 

エディは寂しそうな顔をしてログアウトした。

 

 クレハ「さてと、それじゃ♪」

 

グラハム「、、、早速か?」

 

 クレハ「期待してるの?」

 

クレハがニヤニヤしながら問いかけてくる。

 

グラハム「まさか、そんなことないよ」

 

 クレハ「フフ、そう言うと思ったわ♪」

 

クレハはグラハムの着けている眼帯を外した。

 

 クレハ「まだ見えてなさそうね。治らないの?」

 

グラハム「どうだろうね、治るかは分からないや。そして眼帯を外してると何故か視界がおかしくなるからダメなんだ。伝わりにくいと思うけどね」

 

 クレハ「そうだったのね。うーん、私には傍にいてあげることしかできないわ」

 

グラハム「傍にいてくれるだけでも嬉しいよ、クレハもかけがえのない存在だからね」

 

 クレハ「グラハム、、、」

 

ギュ

 

クレハはグラハムを抱いた。しかもバスタオル姿で。

 

 クレハ「うぅ、嬉しい、あたしをここまで大切にしてくれる人なんてあまりいないから、、ぐすっ、、、」

 

グラハム「クレハ、、、」

 

まさかこんなに泣くなんて。でも、無理もない、クレハの両親はクレハの姉を重点的に見ているらしいから。

 

 クレハ「ねぇグラハム、いや、明日人。」

 

グラハム「何?」

 

 クレハ「こんなあたしでも、これからも愛してくれる?」

 

そうか、クレハは人の愛が欲しかったのか。

 

グラハム「もちろんだよ」

 

そしてクレハはグラハムの手を繋ぎ、キスをした。

 




ピンクマ「戦闘場面を文で表すって難しい」


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第13話「楽しい時間」

現実にて、明日人の部屋…

 

明日人「午後4時半か。よいしょ、、うっ、ゴハッ!」

 

立ち上がると、明日人は吐血し、跪いた。

 

明日人「ハァ、ハァ、、、」

 

 

━━病院に言った時の会話━━

 

 院長「うーん、左腕と両足の痛みは数日で治りそうですが左目は、、、どうでしょうね。きっと見えるようになると思いますよ」

 

明日人「そうですか、、、」

 

 院長「はい、、それと、今から話す事は本人だけに聞いてもらいたいので、お嬢さんは病室の外で待っていて下さい」

 

 咲月「分かりました、、」

 

ガラッ…

 

 院長「さて、今から明日人さんに話すのは、身体の損傷についてです」

 

明日人(もしかして、とても酷いのか?)

 

明日人は黙って聞いた。

 

 院長「今回の来院理由はVRMMOでのトラブルってことですね?」

 

明日人「はい」

 

 院長「今回のトラブルによってあなたの内蔵が傷つけられています。しかし、残念ながら現在の医療では完全に治すことができません」

 

明日人「そうなんですか、、、」

 

 院長「そして、私生活にてあなたの身体に負担がかかると、出血する可能性があります」

 

明日人「!、、何故?」

 

 院長「傷ついた内蔵は非常に治りにくい場所で、激しい動きをすると傷がまた開いてしまうかもしれないのです。手術しようにも成功率がかなり低いので検討中なのですが、、、」

 

明日人「成功率が低いのか、、、手術は自分も考えておきます。」(そうか、咲月を退出させたのは、心配させないようにする為にか)

 

 院長「登校をするのは構いません。ですが、体育は数カ月見学した方がいいでしょう。あまりにも出血しすぎると、次第にめまいを起こし、記憶障害も起こし、最悪死に至るかもしれないので」

 

明日人「わ、分かりました」

 

 院長「これで話は終わりです。お大事に」

 

━━━━

 

 

明日人「あれから数週間経ったのに。ここまで回復が遅いとは、、それに、負担をかけてないはずなのに」

 

そして、引き出しから注射器を出した。鎮痛剤だ。院長に痛みが酷いなら使えと言われたから所持している。明日人はそれを腕に刺した。

 

明日人「ぐっ、、、ハァ、、、」

 

どうしよう、今日咲月にこのことを白状すべきか、それともこのまま黙っておくか。

 

 咲月「ただいま〜」

 

明日人「おかえり」

 

、、、やっぱり言えないや。

 

明日人「今日も部活お疲れ様」

 

 咲月「ありがとう♪ねぇ、今から青クマ達と出かけない?」

 

明日人「うん、いいよ」

 

簡単に死ぬつもりはないけど、生きてるうちに皆と色んな世界を巡りたいな。

 

 

ログイン後、パーティロイヤルにて…

 

 青クマ「よぉ〜、グラハム、調子はどう?」

 

グラハム「良好かな」

 

ピンクマ「バー行こうよ!」

 

グラハム「未成年なんだが」

 

ピンクマ「大丈夫でしょ。、、、多分」

 

 青クマ「酔わない酔わない、、、多分」

 

グラハム「その多分が不安なんだけど。エディもそう思うだろ?」

 

 エディ「行こう。バーに」

 

グラハム「行くのか、、、」

 

 エディ「いくらVRMMOといえど、酔いまで再現されてないでしょ」

 

グラハム「、、、そうだよね。じゃあ行こっか!」

 

 青クマ「わ〜い!」

 

ピンクマ「じゃあ奢りはグラハムさんな」

 

グラハム「え?」

 

 

数時間後…

 

 

ピンクマ「あ〜、ご馳走さま!」

 

グラハム「案外高かったな、、1本300V-Bucksって」

 

 青クマ「安いよ?」

 

グラハム「俺らの中では結構高いんだよ」

 

ピンクマ「へ〜、共通通貨じゃないってこと?」

 

グラハム「うーん、そういうことかな」

 

 青クマ「てかさっきからエディが喋らないんだけど」

 

3人がエディを見ると、頬の赤いエディがいた。

 

グラハム「だ、大丈夫!?もしかして酔った?」

 

 エディ「大丈夫よ〜」

 

グラハム「喋り方がなんかおかしいよ!」

 

ピンクマ「でも、頬の赤いエディってなんか、、」

 

 青クマ「うん、かわいいよね」

 

グラハム「言ってる場合か!」

 

 エディ「なら、グラハムは私のこと可愛くないって思ってるの?」

 

グラハム「え?いやいや、そんなこと言ってないよ」

 

これ完全に酔ってるな。どうしたものか。

 

 青クマ「どうやってグラハムのホームまで運ぶ?」

 

ピンクマ「ドリフトボードで運べばいいんじゃね?」

 

 青クマ「ドリフトボードで?」

 

ピンクマ「ほら、エディって結構軽いからグラハムにお姫様抱っこしてもらえば」

 

 青クマ「なるほど」

 

グラハム「え、恥ずかしいよ。おんぶじゃだめ?」

 

ピンクマ「エディが落っこちたら危ないからだめ」

 

 青クマ「それに、この前本人からお姫様抱っこの話聞いたけど、めっちゃ嬉しそうに話してたよ!」

 

グラハム「そ、そうだったのか。分かったよ」

 

ヒョイ

 

ピンクマ「キャー!」

 

 青クマ「キャー!」

 

グラハム「さ、行こうか」

 

ピンクマ「御意」

 

 青クマ「今日は戦闘できると思ったけど、仕方ないね」

 

 

帰宅…

 

 

グラハム「よし、着いた」

 

ピンクマ「それじゃ、私達も帰るよ」

 

 青クマ「またな〜」

 

グラハム「あぁ、またな」

 

ピンクマ「エディのことを幸せにしてあげてね〜」

 

グラハム「もちろんさ」

 

そしてピンクマと青クマは自分達の家に帰っていった。

 

グラハム「さてと、家に入ろう」

 

ガチャ

 

エディをベッドに降ろしたとき、グラハムは違和感を感じた。

 

グラハム「あ〜、汗をかいてる。着替えさせないとだめだけど、俺が脱がす訳にもいかないし」

 

 エディ「ん、うぅん、、、」

 

グラハム「あ、起きた?」

 

エディはベッドから起きた。

 

グラハム「汗かいてるみたいだから着替えて。ストレージに替えがあるだろ?」

 

 エディ「うん、、」

 

エディはストレージを開いた。

 

シュン…

 

グラハム「え?」

 

間違えたのだろうか、エディが下着姿になった。グラハムは咄嗟に後ろを向いた。

 

グラハム「え、エディ?自分の今の姿分かってる?」

 

 エディ「うーん、いつもの姿」

 

グラハム「まだ酔ってるのか、、、」

 

 エディ「酔ってないって言ってるでしょ〜」

 

困ったな、とにかく、もう2度とエディにお酒を与えるのはやめよう。俺は飲まなくて良かった。

 

グラハム「と、とにかく、服を着てくれ!」

 

 エディ「や〜だ」

 

そう言ってエディは布団の中に蹲った。

 

グラハム「仕方ない、布団の温度を上げてと」

 

ギュ

 

いきなりエディがグラハムの裾を引っ張った。

 

グラハム「どうした?」

 

 エディ「行かないで、、、」

 

まだお酒が回ってるのかな。でも、なんだか心にくる。

 

 エディ「私、貴方を愛してるから、、行かないで、、、」

 

グラハム「大丈夫、何処にも行かないよ」

 

 エディ「うん、良か、、、」

 

スー、スー、、

 

エディは安心した顔で眠った。酒を飲んでたとはいえ、なんで俺が何処かに行くと思ったんだろ。

 

ピンポーン

 

グラハムが椅子に座ろうとすると、インターホンが鳴り響いた。

 

グラハム「誰だ?」

 

覗き穴使いたいけど、GGOのドアには無いからな。

 

ガチャ

 

グラハム「どちら様?」

 

????「お前に、裁きを」

 

グラハム「は?」

 

ドスッ!

 




ピンクマ「私と青クマはあくまでもNPCの設定だよ〜!それと念の為に読み方を」

跪いた→(ひざまず)いた

蹲った→(うずくま)った


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第14話「狂気」

ピンクマ「今回は途中で曲名が出てくるのでその曲を聞きながら読んで頂けるといいかもしれません」


????「フンッ」

 

ブシャ

 

グラハム「か、、あ、、」

 

まさか、またペインアブソーバーを使用した犯罪者!でも、なんで安全圏でもダメージが入るんだ?

 

????「俺のこと忘れてねぇだろうな?」

 

グラハム「、、、テーテン、何故圏内でダメージを与えることができるんだ?」

 

テーテン「覚えていてくれたか。いいだろう、教えてやろう。ちょっとコンピューターウイルスを使ったまでよ」

 

グラハム「そこまで、して、俺に復讐を?」

 

テーテン「あぁそうさ、あの時、お前のせいで体が全っ然動かなかったんだ。それでお前に復讐しようと思ったんだ」

 

グラハム「先に、仕掛けてきたのはお前だろ」

 

テーテン「うるせぇ!」

 

ザクッ!

 

グラハム「ぐっ!」

 

よ、良かった。心臓は外れたか。

 

テーテン「お前が大人しく殺されてりゃ、こんな事にはならなかったんだぞ!今ここで殺してやる!」

 

グラハム「ハァ、ハァ、また同じ過ちを繰り返すか。なら、、俺だって容赦しねぇぞ、、」

 

この殺し合いが終わったら、また病院か。とにかく、ホームから離さないとエディが危ない。

 

グラハム「GNドライブ、起動!このまま押しきる!」

 

グラハムは最大出力を出し、オールドサウスまでテーテンを押し出した。

 

テーテン「ほぉ、オールドサウスまでひとっ飛びとはな。だが、忘れてねぇか?」

 

グラハム「何っ?」

 

テーテンがグラハムの上に回り込み、蹴り落とした。

 

テーテン「俺だって太陽炉を持ってるんだよぉ!」

 

グラハム「かはぁ!」

 

テーテン「死ねぇ!」

 

テーテンはすぐさま二丁拳銃を取り出した。

 

グラハム「はっ!ホルスタービット!」

 

ガキンッガキンッ!

 

間一髪ホルスタービットが受けた。

 

グラハム「殺れ!ライフルビット!」

 

14基のライフルビットはテーテンの周りを取り囲んで射撃した。

 

テーテン「当たらねぇよ!」

 

パシュパシュパシュパシュパシュパシュ!

 

グラハムが圧倒的有利なはずだが、テーテンはそれを避けていき、ライフルビットを破壊していく。

 

グラハム「まずい、視界がぼやけてきた、、」

 

グラハムは地面に降下し、膝をついた。

 

テーテン「止まっているだと、あの野郎なめてるのか?」

 

グラハム「こ、、ここで、死ぬ訳には、、」

 

 

その頃、ホームでは…

 

 エディ「ん、あれ、私、寝ちゃってた。って、なんで下着姿!?」

 

エディは急いで着替えた。

 

 エディ「ほっ、そういえば、明日人は、、、!」

 

玄関に血が溜まっている。

 

 エディ「どうして?、、まさか!」

 

エディはすぐにグラハムのログイン状況を確かめた。

 

 エディ「まだログインしてて、戦闘中?なんだか急いで明日人の所に行かないといけない気がする」

 

エディはグラハムのいる場所へ急いで向かっていった。

 

 

グラハム「まだだ、、まだ倒れないでくれ、俺、、」

 

グラハムはかすかな意識でホルスタービットを展開して身を守っている。

 

テーテン「さて、飛ぶ銃は全部壊したぜ。あとは奴と飛ぶシールドか」

 

バンバンバンバンバンバン!

 

カキンッカキンッカキンッカキンッカキンッカキンッ!

 

グラハム「し、シールドはまだ保つか?」

 

だめだ、もう何も見えない。ここまでか、、、!

 

テーテン「シールドとシールドの間がガラ空きだぜ!堕ちろ!」

 

バン!

 

グラハム「こんな所で俺は、俺はまだ死ねない、、、!」

 

グラハムに弾が当たろうとした時、シールドビットがギリギリ守り、グラハムは立ち上がった。

 

テーテン「まだ立ち上がるか」

 

グラハム「これからだ、、」

 

すると、グラハムのステータスが全て上昇した。

 

テーテン「何!?」

 

グラハム(ありがとう、エディ)

 

その時、オールドサウスのビルの影からエディがいた。

 

 エディ『手に入れるよきっと……』

 

これは、【吟唱スキル】か。凄い、エディは【吟唱スキル】もあげてたのか。

エディが【Longing】を歌うことにより、グラハムのステータスが上昇していくのであった。

 

グラハム「俺は、まだ死ねない」

 

テーテン「ちぃ、この歌声は何処から聞こえてきやがる」

 

グラハム「貴様の、歪みを破壊する!」

 

グラハムの右目が金色に輝き、右手でビームサーベル、左手でライフルビットを構えた。

 

テーテン「ガキがぁ!」

 

テーテンは対抗すべく、ミニガンを手に取り乱射した。

 

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!

 

グラハム「ホルスタービット!」

 

ホルスタービットがグラハムを守りながら、グラハムと共に接近していく。

 

パシュン!パシュン!

 

グラハム「ここは、俺の距離だ!ホリゾンタル!」

 

ブシャ!

 

テーテン「ちぃ、このままじゃ、、、なんてな!俺のペインアブソーバー設定は何も変えていない。死ぬのはお前だけで十分なんだよぉ!」

 

グラハム「そうか、ならその設定画面を寄越せ」

 

テーテン「はぁ?渡す訳ねぇだろ!」

 

グラハム「ならハックするまでだ」

 

グラハムはペインアブソーバーの設定画面を奪取し、テーテンのレベルを0にし、自身のレベルを元に戻した。

 

テーテン「な、何故だ!?」

 

グラハム「聞いてる暇があるなら受けてみろ!ヴォーパル・ストライク!」

 

ザクッ!

 

テーテン「いてぇ!まぁだぁ!」

 

グラハム「撃たせるかよ!スラント!」

 

ミニガンが撃たれる前に、ビームサーベルで銃口を切断した。

 

テーテン「ペインアブソーバーの設定を戻したからって安心するなよ!」

 

テーテンはストレージから群青色のナイフを取り出し、グラハムに刺した。

 

ザクッ!

 

グラハム「ぐっ、クソったれが!」

 

グラハムはテーテンを突き放し、弾切れになったライフルを捨てた。

 

テーテン「お前、以前は殺したくなかったくせに、今回は殺すのか?俺を殺すとお前は本当に捕まるかもしれねぇんだぞ?」

 

グラハム「たとえ矛盾を孕んでも存在し続ける…それが、生きる事だ」

 

テーテン「、、、殺す!」

 

グラハム「だから俺は、、お前を倒す!これからの生き様などどうでもいい、己の意志で!」

 

互いにソードスキルの発動体制を取った。

 

テーテン「ラピッド、、バイトぉ!」

 

グラハム「ソニック、、リープぅ!」

 

片手剣とナイフでは明らかに攻撃スピードが違う、なら、、

 

グラハム「トランザム!」

 

テーテン「トランザム!」

 

グラハム「なっ!しまっ、、、」

 

互いにトランザムを使ったら、自分の体がどうなるか分からない!けど、解除が間に合わない!

 

ザンッ!

 

ザシュッ!

 

グラハムはテーテンの頭部と右腕を切断し、テーテンはグラハムの胸部を貫いた。

 

グラハム「地に堕ちろ、、」

 

グラハムは胸に刺さったナイフを引き抜き、テーテンの傍を離れた。

 

グラハム「、、、さらばだ。囚われの男、、」

 

グラハムの目は青色に戻った。しかし、その目には光がない。

さらにその姿は、血まみれの服を纏い、胴体には穴が空いている。その姿を見たエディは涙を流す。

 

 エディ「明日、人、、」

 

グラハム「咲月、、ごめんな、、入院してしまう、かもしれないから、傍から、、離れて、しまう、、」

 

グラハムの呼吸回数が徐々に少なくなっている。かなり衰弱しているようだ。

 

 エディ「嫌だよ、死なないで明日人、、私を1人にしないで、、」

 

グラハムは強制ログアウトした。

 

 エディ「、、急いで病院に連れて行かなきゃ」

 




ピンクマ「曲名を出し、読者さん達に脳内でその曲を再生してもらうことによって、戦闘場面に迫力が出たんじゃないでしょうか?(笑)」


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第15話「体の異常」

グラハム━暗い、そして寒い、、俺は、死んだのか?━

 

その場所は一筋の光もなく、人の気配がしない。

 

グラハム━ここは、地獄、、?にしては何もないな。でも、ここが本当に地獄なら、俺がいるのは当然だろうな。だって、人を殺したんだから、、━

 

グラハムはふと思い込む。

 

グラハム━もっと、エディの傍にいたかったな、、━

 

????〔、、人、、日人、目を、、て、、〕

 

グラハム━、、誰だ、この暗闇の中で俺を呼ぶのは、、━

 

????〔明日人、お願いだから...起きて..私を1人にしないでよ...〕

 

グラハム━、、エディか、、エディを、咲月を1人にする訳には、、━

 

エディを捜そうとするも、そこは闇が広がるばかりで何もない。

 

グラハム━俺は、、俺はまだ、生きなきゃならないんだ!━

 

ピカッ!

 

グラハムの意志が強くなった時、一筋の光が差し込んだ。

 

グラハム━あぁそうだ、【たとえ矛盾を孕んでも存在し続ける】と言ったのは俺じゃないか。何度でも立ち上がってみせる━

 

グラハムは光の差す方へ歩いた。

 

 

 

明日人「、、、」

 

ここは、病院?まだ視界がぼやけてる。でも、見えなくても分かる。咲月が俺の手を繋ぎながら、目覚めるのを待っている。

それに応える為に、明日人は手を握り返した。

 

 咲月「!」

 

明日人「やぁ、咲月、、」

 

 咲月「、、、明日人!」

 

咲月が涙を流して抱きついてきた。明日人も抱き返す。

 

 咲月「良かったよ、、明日人が死ななくて、、」

 

明日人「心配、かけて、ごめんな、、」

 

 咲月「まだ喋らない方がいいよ。手術したんだから、、」

 

あ、手術したの?成功率が低かったのに上手くいったんだ。

 

明日人「因みに俺、どのくらい、寝てた、、?」

 

 咲月「眠っていた時間は、、、5日よ」

 

明日人「5日も、、、」

 

コンコン

 

病室にノックが響く。

 

 咲月「どうぞ」

 

ガラガラ…

 

 小春「こんにちは」

 

明日人「小春、、」

 

 小春「明日人!良かった、目が覚めたんだね」

 

明日人「あぁ、なんとか、ね、、」

 

 小春「、、、」

 

ギュ

 

俺の話し方が不自然だからかな、小春はそっと俺を抱いてくれた。

 

 小春「無理して話さなくてもいいよ」

 

明日人「、、、うん」

 

 小春「咲月ちゃんから聞いたんだ。明日人が命をかけて戦ったんだって」

 

明日人は頷いた。

 

ガラッ

 

 先生「お、明日人君!気がつきましたか!」

 

今小春と話してたのに、、

 

明日人「はい、、5日も眠っていたみたい、ですね」

 

 先生「眠っていた期間は聞いたんですね。じゃあ、私からは体の状態について話します。お2人は病室の外で待っていて下さい」

 

 咲月「はい」

 

また体に異変が、、、今回も時間が経てば治るだろうけど。

 

 先生「さて、VRの事件は2回目でしたね」

 

明日人「はい」

 

 先生「話すのが厳しかったら聞くだけでも大丈夫ですよ。それで、、はっきり申しますと、明日人君の余命はあと2週間です、、」

 

明日人「そうですか、、、因みに、何故?」

 

 先生「一昨日、明日人君の心臓にかなりのダメージがあることが判明したのです。正直、心臓移植も厳しいかと」

 

明日人「、、、」

 

 先生「ですが、奇跡もあります」

 

明日人「?」

 

 先生「2週間が経過する前に、心臓のダメージが回復していれば、何の問題もありません」

 

明日人「、、、なら、奇跡に賭けてみます。それと、俺は一回家に戻れたりしますか?」

 

 先生「はい、明日人君が望むなら帰れますよ」

 

明日人「そうします。今回もお世話になりました」

 

 先生「いえいえ、これも医師の務めなので」

 

 

数時間後…

 

 

やっと家に戻ってこれた。

 

フラッ…

 

明日人(う、、なんだかめまいがする。外で倒れたらまずい、早く家に入らなきゃ)

 

ガチャ

 

 咲月「お母さん達かな?おかえり、、、!」

 

明日人「俺だよ、咲月」

 

 咲月「あ、明日人!?帰ってこれたの!?」

 

明日人「許可をもらったからね。身体中が痛いけど安心して」

 

 咲月「退院できて良かったね、、グスッ、、」

 

な、泣かれたら今日のこと話しにくいんだけど、、、

 

明日人「泣かないでよ」

 

 咲月「うぅ、、グスッ、、」

 

あ、ダメだ。今日は話せなさそう。

 

 咲月「とにかく、今日は部屋で休んでね!」

 

明日人「そうさせてもらうよ」

 

 咲月「、、、明日人」

 

チュ

 

明日人「ん、、、」

 

5日間昏睡してたからだろうけど、キスが凄く懐かしく感じる。

 

 咲月「大好き、、、」

 

明日人「俺もだよ、、、」

 

言葉を交わし、明日人は自室に入った。

結局言わなきゃいけないこと言えなかったよ。明日言えるかな?

 




ピンクマ「投稿ペースダウン!(言ってる場合か)」


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第16話「生きる術」

仮の余命宣告から1週間と3日が経過した。俺は未だに咲月にこのことを言えていない。はぁ、早く言わなきゃって分かってるのに、、、

今グラハムは、【オールドサウス】で途方に暮れている。

 

????「あらあら、どうしたの?浮かない顔して」

 

グラハム「ツェリスカ、、、」

 

ツェリスカ「私で良ければ、話を聞くわよ?」

 

グラハム「、、、実は」

 

 

説明中…

 

 

ツェリスカ「そ、そんな、、打開策はないの?」

 

グラハム「自然に治ってくれることを祈るしかないよ、、死にたく、ないな、、」

 

ツェリスカ「グラハム、、、」

 

ギュ

 

グラハム「、、!」

 

ツェリスカ「まだ分からないわ。私達がついてるから、希望を持って生き抜きなさい」

 

グラハム「うん、ありがとう」

 

その後、グラハムはツェリスカと別れ、ホームへ帰った。

 

グラハム「ただいま」

 

 エディ「おかえり〜!」

 

 クレハ「お邪魔してるわ」

 

 コハル「こんにちは!」

 

グラハム「丁度いい、皆に話さないといけないことがあるんだ」

 

うぅ、心苦しい。

 

グラハム「俺、、余命があと3日もないかもしれないんだ」

 

 コハル「え?」

 

 エディ「じょ、冗談でしょ、、、?」

 

グラハム「、、、本当なんだ。あの事件からずっと、心臓に負担がかかってる」

 

 クレハ「そんな、、、」

 

 コハル「いやだよ、グラハムが死んじゃ、、、」

 

グラハム「希望はある。心臓があと2日で回復すればいいみたいなんだ」

 

 エディ「、、、私達はその希望を信じよう。すんなり受け入れられないけど、絶対に死ぬ訳じゃないから」

 

 クレハ「そうね、信じましょう、、」

 

 コハル「うん、、」

 

グラハム「いきなりこんな話をしてごめんな。でも、今話さなきゃならなかったから」

 

 エディ「グラハムが悪いんじゃないよ、犯罪者のせいだよ」

 

 クレハ「そうよ。、、ねぇ、もしグラハムとエディが良かったら、リアルの2人の家でご飯にしない?」

 

グラハム「いいよ、そうしよう」

 

 エディ「私もいいわよ」

 

 コハル「確かに、もし本当にグラハムがいなくなっちゃったら悲しいもんね、、私も行きたい」

 

グラハム「よし、じゃあ俺は今から買い出しに行くよ」

 

 エディ「私も着いて行くわ。1人じゃ心配だもの」

 

グラハム「ありがとう、それじゃあ2人共、またリアルでな」

 

 クレハ「えぇ!」

 

 コハル「またね!」

 

 

ログアウト後…

 

 

明日人「うっ、、、」

 

心臓が弱っているからか、めまいがする。

 

ガチャ

 

 咲月「明日人、大丈夫?買い出しに行けるの?」

 

明日人「大丈夫、咲月と一緒ならね」

 

 咲月「そう?でも、無理はしないでね!」

 

明日人「うん」

 

その後、買い物を済ませ、帰宅すると紅葉(クレハ)と小春(コハル)が丁度インターホンを鳴らした。

 

 咲月「いらっしゃい」

 

 小春「こんにちは」

 

 紅葉「あたしとエディはリアルで会ったことなかったわね。はじめまして、〘高峰紅葉(たかみね もみじ)〙よ」

 

 咲月「こっちこそはじめまして、咲月よ。さ、上がって♪」

 

 紅葉「お邪魔します」

 

 小春「お邪魔します」

 

明日人「やぁ、いらっしゃい」

 

 紅葉「明日人とはリアルでは久しぶりに合うわね」

 

明日人「確かにな」

 

 紅葉「やっぱり、リアルでもあんたが好きっていう気持ちは変わらないわ」

 

明日人「照れくさいよ、、、」

 

 小春「準備できたから食べるよ!」

 

明日人「分かった。行こうか、紅葉」

 

 紅葉「えぇ♪」

 

ダイニングへ向かうと、そこには様々な料理が並べてあった。

 

 咲月「皆揃ったわね、それじゃ、食べましょ♪」

 

 一同「いただきまーす!」

 

 紅葉「ほら明日人、先に好きなの取ってよ♪」

 

明日人「いや、いいよ。紅葉達が先に取りなよ」

 

 咲月「明日人には生き延びてもらいたいから先に選んで!」

 

 小春「私も先に明日人に選んでもらいたい」

 

明日人「そうか、、なら、お言葉に甘えて」

 

こうして、楽しい時間がどんどん過ぎていった。

 

 

21時27分…

 

 

 紅葉「ふわぁ、、、眠くなってきたわ」

 

 小春「私も、、」

 

明日人「こんな時間か。なら、泊まるか?」

 

 小春「いいの?」

 

明日人「あぁ、問題ないよ」

 

 紅葉「じゃあ、そうさせてもらうわ」

 

明日人「なら、風呂を沸かしたから入るか?」

 

 小春「そうする。と思ったけど、服持ってきてないや」

 

 咲月「まだ全く使ってない私の服が丁度2着あるから貸してあげるわ」

 

 小春「ありがとう!」

 

明日人「じゃあ、早速3人で入っておいで」

 

 咲月「そうね、何故だかこの家のお風呂、結構広いからね」

 

 紅葉「じゃあそうしよっか」

 

3人は風呂場へ向かった。

 

明日人「ぐっ、、、」

 

明日人の心臓に激痛が走った。

 

明日人「まだ、、まだもう少しだけでも生きさせろ、、、」

 

それでもなお、激痛が走る。

 

明日人「だめだ、、仮想世界に行こう、、、」

 

 

ログイン…

 

 

グラハム「、、、収まった。はぁ、外に散歩しようかな」

 

ガチャ…

 

ストレア「グラハムー!ムギュー!」

 

ギュ!

 

グラハム「す、ストレアか、奇遇だね。抱きつかれると恥ずかしいよ、、、」

 

 レイン「こんにちは!」

 

グラハム「レインも、、、」

 

ストレア「元気ないね。どうしたの?お姉さんに話してみて?私達はもう他人じゃないんだし♪」

 

グラハム「、、そうだね。分かった、話すよ」

 

 

説明中…

 

 

 レイン「そんな、、、」

 

ストレア「でも、グラハムなら生き延びると思うな〜」

 

グラハム「そう、かな?」

 

ストレア「うん!なんだかね、グラハムからは他の人達とは違う感じがするの」

 

グラハム「どんな感じだ、、、」

 

 レイン「でもまぁ、私も絶対生きることができると思うよ」

 

グラハム「そうだよね、、励ましてくれてありがとう」

 

 レイン「また悩んでたら私達に話してみてね!」

 

グラハム「あぁ、そうするよ。さて、そろそろ帰らなきゃな」

 

ストレア「そっか〜、なら、えい♪」

 

チュ

 

ストレアがグラハムの腕を引っ張り、キスをした。

 

グラハム「こ、こんな人目のつくところで、、、」

 

ストレア「さよならのキスだよ♪」

 

 レイン「もう!見てる方も恥ずかしいよ!」

 

ストレア「えへへ♪じゃ、またね〜!」

 

 レイン「またね!」

 

グラハム「またな」

 

さて、明日はどうしようかな。無事に回復することを願うか、ダメ元で病院に行ってみるか、、、

 




ピンクマ「クレハの本名はググった。間違えて、、ないよね?」


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第四章 新世界
第17話「行き着く先は」


明日人「う、、本格的にまずいかも」

 

多大な金がかかっても国際病院に行くべきか?

 

 咲月「明日人〜」

 

明日人「何?」

 

 咲月「その、、、」━皆で一緒に明日人の部屋で寝ていい?━

 

明日人「まぁ、いいよ」

 

 咲月「え?なんで言いたいことが分かったの?」

 

明日人「え、な、なんでだろ、、、」

 

 咲月「不思議だね」

 

明日人「そうだね、、、うぐっ、、、」

 

 咲月「大丈夫!?」

 

明日人「ハァ、ハァ、、あ、明日、受け入れてもらえるか分からないけど国際病院に行ってみるよ、、、」

 

 咲月「私が付き添ってあげるわ」

 

明日人「でも、咲月は明日も学校があるんだろ?」

 

 咲月「明日人が苦しそうだもの、放ってはおけないわ」

 

明日人「そ、そうか、、」

 

 紅葉「明日人、、良かったらあたし達も一緒にいい?」

 

明日人「紅葉と小春まで、、本当にいいのか?」

 

 小春「明日人が大好きって気持ちは皆同じなの。それに、学校に大変なことを話せば分かってくれるよ」

 

明日人「、、分かった、ありがとう」

 

そして3人が同士に明日人を抱いた。明日人は大切にしてくれる嬉しさともうすぐ死ぬかもという哀しさの感情で涙がこみ上げてきた。

 

 

翌日…

 

 

明日人「う、、こんなに病院が怖いって思ったことないよ、、、」

 

 咲月「でも、行かないとね!」

 

明日人「そうだね」

 

 

数分後…

 

 

男医師「う〜ん、、、なるほど、、分かりました。今実在している最新技術で対処してみせます」

 

明日人「そんなものがあるんですか?」

 

男医師「はい。でも、お嬢さん達は一緒に入ることができないので、ガラス越しにいてもらいます」

 

 咲月「分かりました」

 

男医師「それでは明日人君、行きましょうか」

 

明日人「はい、、、またな、皆」

 

 小春「絶対帰ってきてね!」

 

明日人「もちろんさ」

 

 咲月「明日人、、、」

 

明日人「咲月、左手を出して」

 

 咲月「う、うん」

 

咲月が手を出すと明日人は咲月の指にはめた。

 

 咲月「!、、こ、これって」

 

明日人は咲月にアメジストの指輪をプレゼントした。

 

明日人「ここで言うのもなんだけど、俺が帰って来たら、また一緒に幸せに暮らそうな」

 

 咲月「、、、うん!」

 

咲月は涙を流し抱きついた。

 

男医師「すいません、そろそろ...」

 

明日人「はい、行きます」

 

明日人と医師は地下へと向かっていった。

 

 小春「私達も別の階段から行こっか」

 

 咲月「うん」

 

 紅葉「、、、」

 

 咲月「紅葉、どうしたの?」

 

 紅葉「いや、なんでそんな最新技術を利用するのに地下に行くのかなって」

 

 小春「そんなことないんじゃない?」

 

 紅葉「う〜ん、まぁ、行って見れば分かるわよね」

 

 咲月「そうね」

 

 

その頃、明日人は…

 

 

地下3階に最新技術があるとは思えないんですがこれは、、、

あ、あの部屋かな?

 

男医師「ここです」

 

明日人「なんですか、ここ」

 

そこには、手術室でよく見るベッドとコードに繋がれた複数のヘルメットが掛けられている。

 

男医師「今から繊月君にはここに寝転んでもらって、頭にこれを被ってもらいます」

 

明日人「このヘルメットは何ですか?」

 

男医師「それは、手術中、仮想世界にダイブしてもらう為です」

 

多分、麻酔の代わりみたいなもんなのかな?

 

明日人「分かりました」

 

男医師「あ、そうだ。あなたはここ最近、違和感を感じたことはありますか?」

 

明日人「違和感、、、実は、相手の考えてることが分かるんです、、、」

 

男医師「なるほど...繊月君、あなたは希少な存在【イノベイター】です」

 

明日人「イノ、ベイター、、、本当に実在するんですか?」

 

男医師「最近そんな患者が増えているんですよ」

 

明日人(知らなかったな。テレビで取り上げられたことあったのかな?)

 

男医師「それでは、被って下さい」

 

明日人「はい」

 

怪しいけど、これで助かるなら、、、

 

 

ガラス越しにて…

 

 

 咲月「ここね」

 

 小春「何か頭に取り付けてる」

 

 紅葉「怪しすぎる、、、」

 

 小春「何か起きないといいけど」

 

 

仮想世界…

 

 

グラハムは、岩の上でスポーンした。

 

グラハム「ん、、ここは、GGOとはまた別の荒野?」

 

そこは、枯れ木や砂などの景色が広がるばかり。人の気配はしない。

 

グラハム「困ったな、、て、なんで衣装や武器がSAOと同じなんだ?、、まぁ、ありがたいけど」

 

その時、遠くに一瞬光が見えた。

 

グラハム「何の光だ?行くしかない」

 

そしてグラハムは光の見えた場所へ飛翔した。

 

グラハム「なっ!あ、あれは、、、」

 

目に映った光景は、2つの勢力が争っているところだ。

 

グラハム「何の争いだ?よく分からないけど、レッドカーソルの軍勢を倒すか」

 

 

謎の2勢力の戦闘領域…

 

 

 レッド「押せー!押せー!」

 

グリーン「徐々に押されているぞ!」

 

????「このままでは、、、」

 

グリーン「なんだ、あの光は!」

 

????「まさか、敵の増援?」

 

ドゴーンッ!

 

2勢力の間に風圧で砂煙が巻き上がった。

 

レッド1「ぐわっ!?」

 

レッド2「お、おい!」

 

レッド3「何者だ!」

 

グラハム「敢えて言わせてもらおう、、、」

 

グラハムは【夜空の剣】と【ビームサーベル】の二刀を構えた。

 

グラハム「グラハムエーカーであると!」

 

 




ピンクマ「異世界転生みたいな展開になりそう。そのようなアニメは私見たことないけど(笑)」


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第18話「ユーフォニア王国」

現実世界…

 

 

 咲月「手術が始まったわね」

 

 紅葉「きっと大丈夫、明日人なら、、、」

 

 小春「私達の思いは必ず届く」

 

 

その頃、手術室では…

 

 

男医師「これは、正直難しいな」

 

手術師「こうなれば、明日人君のログインしている世界の【加速フェーズ】を上昇させた方がいいですかね」

 

男医師「そうだな、そうしよう。明日人君には悪いが、そこで半年は活動してもらおう」

 

 

仮想世界…

 

 

レッド2「あんな奴がいるなんて聞いてないぞ」

 

レッド3「上に報告した方が良さそうだ」

 

レッド1「来るぞ!撃て!」

 

合図が出たと同時に、敵軍はグラハムに一斉射撃を行った。

 

グラハム「GNフィールド!」

 

グラハムは、GNフィールドですべて防ぐ。

 

レッド1「撃ち方やめー!」

 

レッド3「ば、化け物か!?」

 

グラハム「俺はただの人間だよ」

 

グリーン「騎士長様、あの人は、、、」

 

????「えぇ、きっとあの人は、、、」

 

グラハム「いくぞ、ホリゾンタル!」

 

ザンッ!

 

レッド2「ぐはっ!」

 

レッド4「かはぁ、、、」

 

レッド1「くっ、こうなれば、大将を呼べ!」

 

レッド5「わ、分かりました!」

 

グラハム「せい!はぁ!」

 

シュッ!ブシャ!

 

レッド3「うわぁ!」

 

レッド1「下がれ!あいつは危険だ!」

 

サブリーダーらしき人物が指示を出すと、敵の軍勢は下がっていく。

 

グラハム「勝負ありか?」

 

ズタッ、ズタッ、、

 

その時、奥から大男が現れた。

 

グラハム「あんたがリーダーか?」

 

 大男 「いかにも、俺様が大将だ」

 

グラハム「進軍を諦めて撤退するか、今ここで俺に倒されるか選べ」

 

 大男 「そんな痩せっぽっちな体でこの俺を倒せると思うなよ?」

 

グラハム「例え体格差があっても、勝敗を分かつ絶対条件ではない」

 

 大男 「調子に乗られるのも今のうちだ!」

 

大男が斧を取り出し、グラハムへ斬りかかろうとした。

 

グラハム「ナンセンスだな」

 

グラハムはビームサーベルを瞬時に取り出し、大男の両腕を切断した。

 

 大男 「ぐわぁぁ!!腕が、腕がぁ!!」

 

グラハム「まだやるか?」

 

 大男 「この野郎、、、殺す!」

 

今度は足のすねに装着されているニードルで串刺しにしようとした。

 

グラハム「力に頼り過ぎだ」

 

グラハムは、それをバックステップで避け、今度は両足を切断した。

 

 大男 「あ、あぁ、、、」

 

両腕、両足を斬られた大男はその場で息を引き取った。

 

レッド1「ひっ、て、撤退!撤退!」

 

軍勢は、後方へ逃げ惑った。

 

グラハム「ふぅ」

 

????「あなた、何者ですか?」

 

グラハム「出しゃばってしまって申し訳ない。俺はグラハムエーカー、旅する剣士だ」

 

とりあえず旅する剣士と名乗っておこっと。それにしてもこのNPC、とても自然に話すな。

 

????「いえ、助けて頂きありがとうございます。私は〘スティラ セレーネー〙、騎士長です。いきなりですが、あなたにお聞きしたいことがあるのです」

 

グラハム「何?」

 

スティラ「今の剣技は何なのですか?」

 

グラハム「あれは自己流なんだ」

 

スティラ「なるほど、道理で知らない技だった訳です。良ければ、共に領土に来て頂けませんか?皇帝に今回のことを話さねばならないので」

 

グラハム「了解」

 

 

グリーンNPCの領土…

 

 

スティラ「着きました。ユーフォニアです」

 

グラハム「綺麗な所。見惚れるよ」

 

スティラ「褒めて頂き光栄です。フォニア宮殿に来て頂きたいのでこちらへ、、、うっ」

 

グラハム「だ、大丈夫?」

 

スティラ「し、失礼しました。先程の戦闘で負傷してしまったので、、くっ、、、」

 

スティラの右脚を見ると、深い傷ができている。

 

グラハム「放っておくと悪化しそうだ、手当てするよ」

 

グラハムはスティラの傷に布を軽くかつ、解けないように結んだ。

 

グラハム「これで大丈夫」

 

スティラ「あ、ありがとうございます。あなたは何故ここまでしてくれるのです?」

 

グラハム「傷ついている人を見放すことができないからだよ。人は必ずしも支え合わなくちゃならないんだ。ほら、俺の腕に捕まって」

 

スティラはグラハムに立たせてもらい、肩を組んだ。

 

スティラ「あなたのその考えが、自身を強くしているのでしょうね」

 

グラハム「宮殿はこのまままっすぐ?」

 

スティラ「はい。お願いします」

 

 

宮殿前の門にて…

 

 

 門番「誰か来る...騎士長!それともう一人は誰です?」

 

スティラ「通しても構わん。この方には、負傷したところを助けてもらったのだ」

 

 門番 「了承しました。感謝する」

 

グラハム「いや、大したことはしていない」

 

 

天皇の部屋の前…

 

 

スティラ「ありがとうございます。ここからは1人で立ちます」

 

グラハム「分かった」

 

ガチャ

 

スティラ「失礼します」

 

グラハム「失礼します」

 

 皇帝 「うむ。おや、そいつは誰だ?」

 

グラハム「グラハムエーカー、旅する剣士です」

 

 皇帝 「ほぅ、旅する剣士とはな。そんな奴がどうしてここに?」

 

スティラ「私達を守って頂き、ましてや敵軍の大将まで討ち取ったので、ぜひ皇帝にお会いして頂きたいと思い、この宮殿にお越し頂きました」

 

 皇帝 「なんと、それはさぞ優秀な実力なのだろうな」

 

グラハム「いえ、俺なんかまだまだですよ」

 

 皇帝 「どうだ、我が軍のエースとしてこの国の為に入隊してくれないだろうか?」

 

グラハム「え、でも俺は連携とかできませんよ?」

 

 皇帝 「それなら心配はない。スティラが訓練に付き合ってくれるはずだ」

 

スティラ「はい、ご協力させて頂きます」

 

グラハム「そうですか、、分かりました。入隊させて下さい」

 

 皇帝 「うむ、よくぞ決断した。こちらにこい、契約書を書いてもらう」

 

グラハム「了解しました」

 

まさか軍隊に入るとは、、、でも外をブラブラしているよりはましか。あれ、そういえばログアウトボタンもなかったし、俺はいつログアウトできるんだ?

 




ピンクマ「男医師の言ってた『半年』はゲーム内の半年のことです!」


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第19話「騎士の名を」

どうしても整合騎士の姿を想像しちゃう!(笑)


明日人が仮想世界に来て、仮想世界内で2週間が経過した。

 

 

グラハムの部屋…

 

 

グラハム(はぁ、今日も訓練か、辛いなぁ、、、結局ログアウトの方法も分からないままだし)

 

グラハムはふと時間を見る。

 

グラハム(6時か、鎧を着なきゃ)

 

 

グラハムの朝は訓練場で兵員達との訓練から始まる。

 

 

グラハム「せいっ!とりゃ!はぁ!」

 

シュッ、シュッ、シュ、、、

 

 兵員1「攻撃が早い、、、」

 

グラハム「横腹が空いているよ!」

 

そう言って兵員の横腹を寸止めした。

 

 兵員1「参りました!訓練に付き合って頂きありがとうございました!」

 

グラハム「また俺で良かったら声をかけてくれよ」

 

 兵員1「はい、ありがとうございます!あの、良ければアドバイスなどを頂けませんか?」

 

グラハム「う〜ん、そうだな、、、君の戦い方をみると連撃が少ないからそこを努力すればバッチリかな」

 

 兵員1「分かりました、改善します」

 

グラハム「その意気だ。頑張れ」

 

 兵員1「はい!」

 

グラハム「7時半か、よし、全員訓練具を収納したら解散!」

 

 兵員達「「はい!ありがとうございました!」」

 

朝練終了〜。まだ1日は始まったばかりだ、、休みがねぇ、、、

 

スティラ「グラハムさん、お疲れ様です」

 

グラハム「ありがとう、スティラもお疲れ様」

 

スティラ「ありがとうございます。良ければご一緒に食事をしませんか?」

 

グラハム「いいよ、俺も食堂に行こうとしてたからね」

 

 

食堂…

 

 

スティラ「あの、グラハムさん」

 

グラハム「ん?」

 

スティラ「グラハムさんは何故、あの時旅をしていたのですか?」

 

グラハム「ん〜、、、」

 

本当は旅なんかしてないけどね、、どんな話をすればいいかな。

 

グラハム「そうだな、、、特にこれといった理由はなかったんだけど、自分探しの為に旅を始めたんだ。自分は本当にこんな生き様でいいのかってね、それで剣技とかも学習したんだ」

 

スティラ「素晴らしいですね、自ら試練に励み強くなるなんて」

 

グラハム「ははっ、俺なんてまだまださ。けど、今は騎士としてやれることをやってみるんだ」

 

スティラ「頼もしいです。これからもよろしくお願いしますね」

 

グラハム「こちらこそよろしく」

 

 兵員2「失礼します!」

 

スティラ「どうした?」

 

 兵員2「皇帝殿がお2人をお呼びです」

 

スティラ「分かった、すぐに向かう」

 

 

皇帝の部屋…

 

 

スティラ「失礼します、どうなさいましたか?」

 

 皇帝 「最近、市民から敵の偵察兵を目撃したという情報が数件入ってきているので確認に行ってもらいたい」

 

グラハム「それは放ってはおけないな、分かりました。」

 

スティラ「お任せを」

 

 皇帝 「偵察兵はいつも10時に東門に現れるらしい。頼んだぞ」

 

 

10:00 東門…

 

 

グラハム「そろそろ10時かな」

 

スティラ「、、!グラハムさん、あいつじゃないですか?」

 

グラハム「むっ、、、」

 

迷彩服のレッドカーソル、、、あいつだな。

 

グラハム「そのようだね」

 

スティラ「どうします?この距離じゃ逃げられてしまいますが」

 

グラハム「俺に任せて」

 

グラハムは剣先を敵の偵察兵に向けた。

 

スティラ「?」

 

グラハム「目撃を狙い撃つ」

 

パシュン!

 

スティラ「なっ!?」

 

 

同時刻、敵の偵察兵…

 

 

 偵察兵「、、、」

 

パシュン!

 

 偵察兵「な、なんだ、あの光は、、がはっ!?」

 

 

グラハム「命中。スティラ、確認に行こう」

 

スティラ「は、はい」(この人、確実に只者ではない)

 

グラハムとスティラは両足の無くなった偵察兵を確保した。

 

 偵察兵「う、あ、足が、、、」

 

グラハム「さて、何をしていたのかすべて吐いてもらおうか」

 

 偵察兵「、、、輸送を」

 

グラハム「嘘をつくな」

 

 偵察兵「!」

 

グラハム「お前の嘘はすべて分かる。正直に話した方が身の為だぞ?」

 

 偵察兵「今だ、やれ!」

 

グラハム「なんだと、!スティラ!」

 

スティラ「なっ!しま、、」

 

グラハム(くっ、GNフィールドを展開する暇もない!なら!)

 

タァン!

 

グラハム「くっ!」

 

グラハムはスティラを庇って狙撃された。偵察兵が合図をし、後ろにいた敵兵が狙撃したのだ。

 

スティラ「グラハムさん、しっかりして下さい!」

 

グラハム「ま、まだやれるよ」

 

スティラ「でも、撃たれてしまっては、、、」

 

グラハム「ここで止めなきゃ、ユーフォニアが危ない。スティラは増援を呼んで!早く!」

 

スティラ「、、、分かりました。死なないで下さい」

 

グラハム「当然だよ」

 

スティラはユーフォニアに戻り、グラハムは剣を構えた。

 

グラハム「さぁ、こい!」

 

レッド1「あいつ、俺達の大将を討ち取った奴だ!」

 

レッド2「死んでいった仲間達の分、償ってもらおうか!」

 

グラハム「お前達だって、よくも俺らの仲間を傷つけてくれたな。容赦しねぇぞ」

 

レッド1「ちっ、全員、敵エースに総攻撃!」

 

レッド達「おぉ!」

 

敵軍はグラハムに突撃していく。

ヤベ、挑発しすぎたかな。でも責任を持って戦ってやる。

 

レッド2「仲間の仇!」

 

グラハム「シャープネイル!」

 

シュン!ブシャ!

 

レッド2「ぎゃあぁ!」

 

 

レッド1「、、、あの兵器を俺にくれ!」

 

レッド5「えぇ!でもあれは犠牲が、、、」

 

レッド1「使わなければ全滅だ!」

 

レッド5「りょ、了解」

 

 

遠くの奴らがなんか企んでるな。けど今は目の前の軍勢に集中だ。

 

グラハム「遅い!」

 

レッド6「ぐわぁ!」

 

レッド1「、、、すまない!」

 

ゴゴゴゴゴゴ......!

 

グラハム「!GNフィールド!」

 

敵軍の後方からホバータンクがグラハムに向かって特攻してきた。

 

レッド7「ぎゃあ!」

 

レッド8「ぐへぇ、、、」

 

グラハム「味方ごと巻き込むのかよ!」

 

 

その頃、スティラは…

 

 

スティラ(グラハムさん、大丈夫かしら、、、)

 

その時、スティラは足を止めた。

 

スティラ「な、これは、、、」

 

そこには、血を流した味方が大勢いた。

 

ガサッ...

 

スティラ「何者だ!」

 

スティラの後方から大きな黒い騎士が現れた。

 

スティラ「お前はまさか、闇の帝王!」

 

 




ピンクマ「グラハムは戦車戦、スティラはボス戦」


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第20話「闇の帝王」

グラハムさんについての豆知識

衣装は同じものを2着持っている


現実世界、地下3階…

 

 

手術師「それにしても先生、何故明日人君を仮想世界に行かせたんですか?」

 

男医師「明日人君がイノベイターらしいので、それを確かめる為に行かせたんですよ。それに、明日人君の向かった世界にはなんと、身体ダメージを回復してくれる【AI】がいるみたいなので」

 

 

仮想世界、グラハム側の戦闘…

 

グラハム「味方勢力と敵勢力の武装に差がありすぎだろ。なんだよ敵は銃でこっちは弓矢って、俺はあまり弓使わないけど」

 

レッド1「主砲、発射!」

 

ドンッ!

 

グラハム「GNフィールド!」

 

ジリ...

 

グラハム「まずい!」

 

ドォン!

 

レッド1「やったか?、、、」

 

グラハム「ゴホッゴホッ、、、ったく、手加減できないのか」

 

グラハムは自身に直撃する前に砲弾を斬ったのであった。

 

レッド1「悪魔かよ、、、」

 

グラハム「お前の方が悪魔だろ、味方全員を轢くなんて」

 

レッド1「お前を倒す為ならなんだって!」

 

グラハム「、、、もう終わりにするか」

 

そう言い、グラハムはビームサーベルを両手に持った。

 

グラハム「トランザム!」

 

レッド1「なんだ、この光は!」

 

グラハム「トランザムレイド!」

 

レッド1「皆、すまない、、、かはぁ!、、、」

 

トランザムで戦車のコックピットに接近し、搭乗していた敵兵ごと切り捨てた。

 

グラハム「さて、轢きまくってくれてたから殲滅完了っと。スティラ遅いな、、何かあったのかな」

 

グラハムはユーフォニアへ戻った。

 

 

スティラ側の戦闘…

 

 

スティラ「はぁ、、はぁ、、」

 

闇の帝王「騎士長と言うわりにはまだまだだな」

 

スティラ「皇帝を、やらせはしない、、、」

 

闇の帝王「あぁ、もう消させてもらった」

 

スティラ「!、、なんですって!」

 

闇の帝王「さすがユーフォニアの皇帝だったな、剣の扱いが他と違っていた。だがあの程度では俺には及ばない」

 

スティラ「許さない!」

 

闇の帝王「その状態でどうする?鎧も壊れ、立ち上がることすら困難な貴様に」

 

スティラ「くっ、、」(ごめんなさいグラハムさん、ここまでのようです、、、)

 

パシュン!

 

その時、スティラと闇の帝王の間に粒子ビームが通り抜けた。

 

闇の帝王「!」

 

スティラ「この光は、、」

 

グラハム「そこのお前、動くな!」

 

グラハムがギリギリスティラを守ったのだ。

 

スティラ「グラハムさん!」

 

闇の帝王「貴様か、私達の勢力を弱めているのは」

 

グラハム「そうでもしないと攻めてくるだろ?まぁ、帝王自身が攻めてくるとは全く思ってなかったが」

 

闇の帝王「、、貴様、名は?」

 

グラハム「、、ユーフォニア副騎士長、グラハムエーカーだ」

 

闇の帝王「ほぅ、では副騎士長、お前から消さねばな」

 

帝王は猛スピードでグラハムに接近した。

 

グラハム「お前をここで倒す!」

 

グラハムは夜空の剣を鞘に収め、ビームサーベル二刀流に変更した。

 

グラハム(これで奴の剣ごと切り捨てることができるだろ)

 

しかし、グラハムの作戦は失敗した。

 

ジリジリ...

 

グラハム「な!鍔迫り合いだと!」

 

帝王の実体剣とビームサーベルが鍔迫り合いを起こした。

 

闇の帝王「綺麗な剣だな」

 

グラハム「ちぃ!」

 

バチンッ!

 

闇の帝王「動きが遅いな」

 

バキンッ!!

 

グラハム「ぐっ!」

 

帝王はグラハムのチェストプレートに剣を突き刺し、それを破壊した。

 

闇の帝王「諦めろ、貴様はもう存在するべきではない」

 

グラハム「まだだ、まだ終わらない!」

 

グラハムは、装備をいつものオレンジにした。

 

闇の帝王「装備を変えたところで何ができる?」

 

グラハム「お前の部下にも似たようなことを言ったが、装備の強弱が勝敗を分かつ絶対条件ではない!」

 

グラハムはビームサーベルで帝王に斬りかかった。

 

闇の帝王「遅いな」

 

すると帝王は、一瞬でグラハムの背後を取り、装備を双剣にした。

 

闇の帝王「アサシネイション、、、!」

 

グラハム「バカな!」

 

そしてその双剣をグラハムの背中に突き刺し、蹴りを入れ突き放した。

 

グラハム「うぐっ、、、」

 

スティラ「なんてことを!」

 

闇の帝王「動くな、下手な真似をするとこいつが死ぬぞ?」

 

スティラ「卑怯な!、、、」

 

闇の帝王「、、、急用だ。次の戦いではお前を消す」

 

そう言って帝王は姿を消した。

 

グラハム「ま、待て!、、、うっ」

 

スティラ「ぐ、グラハムさん!無理しないで下さい」

 

グラハム「俺は、、、何も守れなかった、、、」

 

スティラ「グラハムさんは悪くないです、殺されかけた私を守ってくれました。とにかく、宮殿に身を潜めましょう」

 

グラハム「そう、だね、、、」

 

パラパラ.....

 

雨の中、2人は宮殿に戻った。

 

 

宮殿内部…

 

 

グラハム「兵士も市民も全滅、か、、、」

 

スティラ「仇は必ず取る、、、」

 

グラハム(数分の内に壊滅なんて、あいつは一体どれほどの力を持っているんだろうな)

 

スティラ「クシュン!」

 

グラハム「、、、俺のコート使ってよ」

 

スティラ「でも、それだとグラハムさんが風邪を引きますよ?」

 

グラハム「俺は大丈夫、逆にスティラが心配だよ」

 

スティラ「そ、そうですか?では、ありがたく借りさせて頂きます」

 

グラハム「うん、いてて、、体中が痛い」

 

スティラ「だ、大丈夫ですか?」

 

グラハム「動かなければ大丈夫そうかな。床で寝転ぶのは抵抗があるけど、目まいがするから仕方ない、、、」

 

グラハムは床で寝転がった。

 

スティラ「、、、少し頭を上げて頂けませんか?」

 

グラハム「いいよ?」

 

グラハムはゆっくり頭を上げた。

 

スティラ「それでは、、、もういいですよ」

 

グラハム「もういいの?」

 

頭を下げると、、、

 

フニュ…

 

後頭部に柔らかいものが当たった。

こ、これは、膝枕!本当は凄く喜びたいけど、体が痛いから大人しくしとこ。

 

グラハム「!、、も、もしかして素足?」

 

スティラ「はい、こちらの方が床よりは良いですし、鎧を履いたままでは不満だと思うので」

 

グラハム「う、嬉しいけど足痺れちゃうよ?」

 

スティラ「正座は慣れているので大丈夫ですよ。これでゆっくり休んで下さいね」

 

グラハム「ありがとう、、、すごく落ち着くよ」

 

グラハムはそのまま眠った。

 

スティラ「そういえばグラハムさんの左目、何があったのかしら」

 

スティラはグラハムを起こさないように、恐る恐るグラハムの眼帯を外した。

 

スティラ「これは、眼球がない、、、まぶたも切れてる。以前も危険な目に合ったのでしょうね」

 

そして、その目に優しく触れた。

 

ピカッ...!

 

スティラ「!」

 

スティラがグラハムの左目に触れた時、その目がいきなり輝いた。

 

スティラ「一体何が、、、」

 

そっと手を離すと、切れていた筈のまぶたが綺麗になっていて、傷1つない。

 

スティラ「これは、私が?」




ピンクマ「数十分で国を滅ぼした闇の帝王、グラハムとスティラは勝てるのか!?」


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第21話「仇」

現実世界にて、地下3階…

 

 

手術師「、、、!先生、明日人君の左目の輝度が平均値になりました!」 

 

男医師「特性AIに治してもらえたか。よし、なら心臓をこの手で治療するのもチャンスなはずだ、、、」

 

 

15:25 仮想世界…

 

 

スティラ「グラハムさん、起きて下さい」

 

グラハム「ん、あ、ごめん!かなり眠っちゃった!」

 

スティラ「いえ、構いませんよ」

 

グラハム「なら良か、、、あれ、左目が見える!」

 

スティラ「やはり、、、」

 

グラハム「何か知ってるの?」

 

スティラ「はい、グラハムさんが眠った時に左目に触れると、まぶたの傷と一緒に治ったんです」

 

グラハム「そんなことが、、、ありがとう」

 

スティラ「いえいえ、目が治って良かったです」

 

グラハム「よし、防具を装備したら念の為に見回りに行こうかな」

 

スティラ「私も共に見回りに行きます」

 

グラハム「分かった」

 

確かに、1人で見回りは危険かもしれないからね。

 

 

15:35 スティラの部屋…

 

 

スティラ「予備の防具は、、、見つけた」

 

ヌギヌギ…

 

スティラ「あ、グラハムさんにコートを返さなきゃ。このコートを着てるとグラハムさんの暖かさが伝わってくるような、、、わ、私ったら何考えてるのかしら」

 

スティラは防具を装備すると、グラハムのコートを手に部屋を出た。

 

 

15:50 ユーフォニア内部の探索…

 

 

グラハム「うわ、街中が血だらけだ、、、」

 

スティラ「闇の帝王には一体どれほどの力があるのでしょうか」

 

グラハム「この広範囲を滅ぼされたんだ、きっと何らかの奥義があるはずだよ」

 

スティラ「そうですね、、!そういえば、グラハムさんを助ける為に国に戻った時、所々緑色の霧が出ていた気がします」

 

グラハム「緑色の霧、、、有毒ガス?」

 

スティラ「その可能性が高いですね」

 

グラハム「敵の技術によってここまでの損害を及ぼすとは、、、ますます許せなくなってきたな」

 

現実世界へ帰る前に、この世界でやらなきゃいけないことができたな。帝王を討たなきゃ。あいつを放っておけばこの世界に未来はない。

 

 

18:30 フォニア宮殿、食堂…

 

 

グラハム(討つと決断したはいいものの、あんなラスボス級の奴を倒すにはどうしたらいいんだ、、、ビームが全く聞かないし、飛行してたら撃ち落とされそうだし)

 

スティラ「グラハムさん、お待たせしました。お食事です」

 

グラハム「お、ありがとう。いただきます」

 

グラハムはスティラの料理を口にした。

 

スティラ「物音も全然しないですね、、、」

 

グラハム「うん、寂しいね、、、」

 

スティラ「横、失礼します」

 

グラハム「いいよ」

 

スティラはグラハムの横に座った。

 

スッ…

 

するとスティラはグラハムの肩に頭をのせた。

 

グラハム「スティラ?」

 

スティラ「ごめんなさい、しばらくこうさせて下さい」

 

グラハム「、、、いいよ」

 

スティラ「ありがとうございます、、、」

 

スティラから悲しみが感じられる、、、本当にこの国が好きだったんだな。

 

グラハム「、、、大丈夫、俺が必ず、騎士として帝王を討つ」

 

スティラ「!、、私も共に戦います」

 

グラハム「頼もしいけどだめだよ、スティラには死んでもらいたくないんだ」

 

スティラ「それは私だって同じ気持ちです。グラハムさんにまで犠牲になってほしくないんです」

 

グラハム「スティラ、、、なら、明日からまた訓練に付き合ってくれるかな?」

 

スティラ「はい、もちろんです。それでは食事の後、宮殿内の図書館に来て下さい」

 

グラハム「図書館、、、うん、分かったよ」

 

なんだろう、技のリストがあるとかかな?

 

 

図書館…

 

 

グラハム「この宮殿、図書館なんてあったんだ。2週間ぐらいこの場所にいるのによく気づかなかったな、俺」

 

スティラ「グラハムさん」

 

グラハム「お待たせ、待たせたよね」

 

スティラ「いえ、大丈夫です。では、こちらへ」

 

グラハムはスティラのあとについていく。そして2人は図書館の管理室へ入っていった。

 

スティラ「確かここに、、、ありました。ここらの本は、魔法が使えるようなのです」

 

グラハム「魔法か、、、こんな本があるなら、兵隊全員がこれを使えば良かったんじゃ、、、」

 

スティラ「これらを使用することができるのは、国で1番権力が高い者だけなのです」

 

グラハム「なるほど、それなら納得するよ」

 

スティラ「これらを扱いさえすれば、きっと帝王に対抗できるはずです」

 

グラハム「そうだね、使って損はないはず」

 

計画としては、GN粒子と魔法を組み合わせた火力系の技を出せるようになりたいな。

 

 




ピンクマ「帰還まであと、5ヶ月+3日」


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第五章 世界の行く末
第22話「決戦目前」


数週間後、宮殿の庭にて…

 

 

グラハムは、庭に穴を掘って亡くなってしまった人々の骨を埋めて墓を作った。

 

グラハム「あの時、皆を助けることができなくて本当にすまない。今も後悔している」

 

墓に向かって話しかけながら、白薔薇を供えた。

 

グラハム「だから宣誓する、このグラハムエーカーは、騎士として闇の帝王を討ち取ると」

 

そう言うとグラハムは、訓練場へ向かった。

 

 

数分後、訓練場…

 

 

グラハム「、、、せいっ!、、、せやっ!」

 

スティラ「失礼します」

 

グラハム「どうしたの?」

 

スティラ「今度の戦闘時に、共に戦闘して頂ける隣の国の兵士達が約50人名乗り出ました」

 

グラハム「心強い。因みに、弓士の人数は?」

 

スティラ「はい、7人です」

 

グラハム「7人か、、、少ないとは思うけどいないよりは断然ましだね」

 

スティラ「そうですね、、、」

 

グラハム「何か気がかり?」

 

スティラ「、、、皆を国に帰してあげられなかったらどうしようと思ったんです」

 

グラハム「大丈夫、スティラはいつでも状況に合った指揮を出せてるから」

 

スティラ「そうですか?」

 

グラハム「もちろんだよ。だから俺も安心して背中を預けられるんだ。だから自信を持って」

 

スティラ「お褒めの言葉、ありがとうございます。これからも自信を持って指揮を取ります」

 

グラハム「任せたよ、騎士長様」

 

 

翌日、東門前…

 

 

70人ものの兵士達は、東門前で整列をしている。その兵士達の前にスティラが立った。

 

 

スティラ「皆様、今回は帝王討伐作戦に参加して頂き、ありがとうございます。私はユーフォニア騎士長、スティラセレーネーです」

 

グラハムは、スティラが兵士達に話している様子を木陰から見ていた。

 

グラハム(よし、皆の士気を上げていってくれ)

 

この戦いが終わった頃合いに現実に帰りたいな...そもそも俺は現実世界に戻れるのか?この世界に来てから1ヶ月くらい経過してるし、帰れる気がしない。手術がそんなにも厳しいのかな。

 

スティラ「それでは、私とグラハム副騎士長に続いて下さい」

 

グラハムが考え込んでいる間にスティラの話は終了した。

 

グラハム「さて、行くか」

 

 

 

現実世界、地下3階…

 

男医師「む、、、足りないな、、、」

 

手術師「足りないって、何がですか?」

 

男医師「明日人君の体の機能を正常に戻すには、仮想世界でもっと戦闘してもらわないといけないんです」

 

手術師「なるほど、、、この【再生治療装置】は便利なところもありますが、色々と手間も多いですね」

 

男医師「正直な話、明日人君は患者でもあり『被験体』でもあります。これが彼女達にバレたら、我々はクビでしょうね」

 

手術師「バレないようにする為にも、急がないとですね」

 

男医師「頼みます」




ピンクマ「今回の文字数は少なめだね」


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第23話「決戦の始まり」

仮想世界にて、数時間後…

 

 

グラハム「敵の領土に近づくにつれて空が紫になってるな」

 

スティラ「そうですね、私も敵の領土に足を踏み入れるのは初めてですから少し動揺しています」

 

グラハム「その気持ち、分かるよ。、、、立ち聞きは良くないな、出てこい!」

 

スティラ「えっ?」

 

ザッ...

 

グラハム達の正面の岩陰から、大男が姿を現した。

でかい、、2メートルぐらい身長ありそう。

 

 大男 「イカセナイ、、、」

 

グラハム「スティラ、ここは任せて、後で必ず合流するから」

 

スティラ「分かりました、くれぐれもお気をつけて」

 

グラハム「了解。グラハム隊の近距離組、スティラ隊に着いて行け!遠距離組は俺の援護を頼む」

 

近距離組「了解!」

 

タッタッタッタッ…

 

グラハム「さぁ、お前にかまっている暇はないんだ。一気にたたみかける!」

 

グラハムが斬りかかると、、

 

ザシュッ!

 

 大男 「うがぁ!!」

 

大男はあっさり斬られ、その場で死んだ。

 

グラハム「こんなにもあっさり、、、?」

 

 弓士 「副騎士長様、今は深く考えない方が、、、」

 

グラハム「そうだな、、スティラ騎士長達と合流しよう」

 

何故戦闘能力が無い奴に足止め役を務めさせたんだ?

 

 

闇の帝王拠点前…

 

 

スティラ達は、強襲を仕掛ける為にタイミングを見計らっていた。

 

スティラ「私が手を下ろせば、各自突撃して下さい」

 

 兵士達「了解」

 

グラハム「スティラ」

 

スティラ「!グラハムさん、もうあの大男を仕留めて来たのですか?」

 

グラハム「まぁね。でもそいつ、戦う力が全くなかったんだよ」

 

スティラ「そうだったんですか?」

 

グラハム「うん、それがどうしても気になるんだ」

 

スティラ「何故でしょうね、、、!今がチャンス、各自、突撃開始!」

 

スティラが手を下ろすと、兵士達はそれぞれ敵拠点へ突入する。

 

グラハム「グラハム隊も続け!」

 

 兵士達「了解!」

 

敵兵士A「な!どこに潜んでいやがった!?」

 

敵兵士B「できる限り食い止、、ぐはぁ!」

 

グラハム「容赦しねぇぞ。皆、この場所を壊滅にまで追い込むんだ!」

 

 弓士 「副騎士長様!上から接近しています!」

 

グラハム「上?、、!」

 

グラハムが上を見上げると、闇の帝王が上空から大剣を振り下ろしているところだった。

 

グラハム「なっ!GNフィールド!」

 

闇の帝王「そんなものなど」

 

闇の帝王はGNフィールドを軽々と両断した。

 

グラハム「やっぱりダメか!」

 

グラハムはフィールドが両断されたと同時に横にステップし、肩の鎧を壊されながらも、回避することができた。

 

グラハム「また自ら出てくるか。戦闘好きな野郎だな」

 

闇の帝王「お前さえ消せば全てが終わる」

 

闇の帝王は手を上に上げ、何かを取る動作をした。

 

グラハム「お前、今何をした?」

 

闇の帝王「貴様はここに来る前、大男を殺したのを覚えているか?」

 

グラハム「あの手応えの全くなかった奴か」

 

闇の帝王「そいつが見た光景を吸収することで、私はさらなる力を得ることができる」

 

グラハム「でも、今回だけ見たんじゃ意味はないはずだ」

 

闇の帝王「、、、先月からずっと偵察をさせていたとしたらどうだ?」

 

グラハム「何!?あの時の偵察兵は1人だけじゃなかったのか!」

 

闇の帝王「喋りすぎた。そろそろ消させてもらおう」

 

グラハム「スティラ、兵士達を下げて。こいつは危険だ」

 

スティラ「でも、、、いえ、分かりました」

 

グラハム「さぁ、どうくる?」

 

闇の帝王「、、、」

 

闇の帝王は、背部から紫色の粒子を出した。

 

グラハム「あ、あの光は、、、!」

 

闇の帝王「この力が貴様だけの力と思ってないだろうな」

 

グラハム「上等、、グラハムエーカー、標的を切り捨てる!」

 

奴は太陽炉の力を上手く扱うことができないからやれるはずだ。

、、、とはいえ、相手がガンダムタイプとは!

 

闇の帝王「良い代物だ。これでお前を痛めつけられる」

 

グラハム「あの時とは違う、完全に勝利の行方は分からないな」

 

闇の帝王「斬りつける」

 

グラハム「やれるか、【夜空の剣】!【アドバンススキル】、プロミネンスソード!」

 

魔法の力で身につけた技、【アドバンススキル】によって夜空の剣に炎を纏わせた。

 

闇の帝王「魔法を使ったくらいでは何もできん」

 

グラハム「それはどうかな?!」

 

グラハムは剣に纏った炎を闇の帝王の鎧に移した。

 

グラハム「よし、燃えている隙に、、、」

 

闇の帝王「この程度、どうと言うことはない」

 

グラハム「ぐっ!」

 

闇の帝王はなぎ払い攻撃でグラハムを突き放した。

 

闇の帝王「この程度か?」

 

グラハム「まだだ!ホリゾンタル・スクエア!」

 

闇の帝王「ふっ、、、」

 

スッ

 

グラハム「くそ、、、」

 

グラハムのホリゾンタル・スクエアを闇の帝王は、太陽炉の力で飛行し、回避した。

 

グラハム「すごく好戦的な帝王様だな」

 

闇の帝王「これで終わりか?」

 

グラハム「まさか、まだまだやれる」

 




ピンクマ「帰還まで、3ヶ月+3週間」


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第24話「終わり、そして新たな始まり」

敵拠点へ突撃して15分、未だに戦闘が続いている。

 

グラハム「くうぅ!」

 

闇の帝王「諦めろ、貴様の負けは決まっている」

 

グラハム「まだだと言っている!アドバンススキル、ウィンドウソード!」

 

威力は劣るものの、連撃技をいくらでも繰り出せるはずだ。なら!

 

グラハム「ソードスキル、カドラプル・ペイン!」

 

なんとグラハムは、片手剣で細剣スキルを繰り出した。

 

バキッ!

 

よし、闇の帝王の胸部の鎧を破壊することができた!

 

闇の帝王「ちっ、、、」

 

今は武器を取り出す時間も惜しい、瞬時に蓄積ダメージを入れる!

 

グラハム「閃打!」

 

グラハムは体術ソードスキルも使用し、反撃の隙を与えないようにした。だが、、、

 

闇の帝王「調子に、、、のるな!」

 

ザシュ!

 

グラハム「ぐはぁ!反撃されたのか、、、」

 

グラハムが片手剣ソードスキル、細剣ソードスキル、体術ソードスキルのコンボを繰り出しているにも関わらず、闇の帝王は力でコンボを中断させ、グラハムの左腕を斬り落とした。

 

グラハム「左腕がやられただけだ、、、!」

 

闇の帝王「何故そこまでして戦う?お前だって死にたくはなかろう。降参しろ、今なら部下だけ消すことを考えてやってもいいぞ?」

 

グラハム「部下を殺させる訳がない。部下が殺されるくらいなら、俺が殺された方がいい。簡単に殺される訳にはいかないけどな」

 

闇の帝王「理解できんな、お前みたいな奴は本当に早く消さなきゃならないというのに」

 

グラハム「このまま犠牲を出さずに戦う!俺はもう、皆の命を見捨てたりはしない!」

 

闇の帝王「それが貴様の甘さだ!」

 

闇の帝王は剣を振り下ろした。

 

グラハム「はぁ!」

 

グラハムはそれをかわし、闇の帝王の右手を瞬時に斬り捨てた。

 

闇の帝王「この力、聞いたことがある、、、未来を読み取る者の力か、、、!」

 

グラハム「、、、」

 

その時のグラハムの目は、テーテンと戦闘した時のように黄色に輝いていた。

 

スティラ「グラハムさん、、、」

 

スティラはグラハムの戦闘を離れた場所から見ている。

 

闇の帝王「お前達人間をこの世から抹消しなければ、私の願いが叶えられなくなる。この世界を支配するという願いをな」

 

グラハム「世界をお前らに支配させない、トランザム!」

 

斬られた左手から粒子が漏れ出した。

 

闇の帝王「世界を闇に包む、そうすれば静かな世界を手に入れられる、これが正しいのだ!」

 

グラハム「違う!人々はそんな世界を求めていない!」

 

グラハムは夜空の剣を闇の帝王に向けた。

 

グラハム「俺がお前を倒す!トランザムライザーソード!」

 

夜空の剣から極太ビームがとてつもない長さで出てきた。

 

闇の帝王「避けきれん、、、!」

 

グラハム「はぁぁ!」

 

ブシャッ

 

闇の帝王「よくもぉ!」

 

闇の帝王は最期のあがきで剣を投げ、グラハムの左足を斬り落とした。

 

グラハム「最後の最後で、、、」

 

トランザムが終わり、グラハムの全身の力が抜けて倒れ込んだ。

 

グラハム(大丈夫だ、、間違ったことは言ってないはずだ、、、)

 

スティラ「グラハムさん、、、体の一部を失ってまで世界を救ったのですね、、、」

 

そしてスティラは兵士達に向かって大声で発言する。

 

スティラ「皆様!皆様のご協力によって、闇の帝王の野望を止めることができました!本当に、ありがとうございます!」

 

 兵士達『おぉ!!』

 

兵士達は戦いが終わったことを実感し、歓声の声が上がった。

 

 

数時間後、フォニア宮殿のエントランスホール…

 

 

スティラ「アドバンススキル、サナーレ」

 

グラハム「うっ、、、」

 

今はグラハムの斬られた左足をスティラが魔法で接合している。

 

スティラ「左腕はかなり痛んでいたので接合しません、、、」

 

グラハム「分かった、左足が治っただけでも良かったよ。ありがとう」

 

スティラ「お礼を言うのは私の方です。滅んでしまった国の為に闇の帝王を討って頂いて、、、」

 

グラハム「ん〜、、、お礼を言うのはまだ早いと思うな」

 

スティラ「え?」

 

グラハム「ユーフォニア王国を復活させるんだ。それでようやく使命を果たせるからね」

 

スティラ(グラハムさん、、、あなたはどこまで偉大な方なんですか、、、)

 

グラハム「その為には皇帝を選出しないとな、、、」

 

スティラ「皇帝は、グラハムさんが着任した方が良いかと思われます」

 

グラハム「なるほど、、、って、えぇ!?なんで!?」

 

スティラ「何故と言われましても、あなたは人としての常識も多々あり、私よりも力があり、闇の帝王までをも討った方です。そんなグラハムさんに皇帝になって頂きたいのです」

 

グラハム「そう言われても、皇帝のやるべき事とかよくわからないし、、、」

 

スティラ「それならば大丈夫です。私が秘書に就きます」

 

グラハム「、、、分かった、やれることをやるよ」

 

スティラ「その意気です。まずは、圏内の整備から行きましょう」

 

あぁ、まさか俺が皇帝に成り上がるなんて思いもしなかった。こうなれば仕方無い、この国の結末を現実世界に戻るまで見守ってみよう。

 




ピンクマ「グラハムの帰還まで?????」


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第25話「皇帝となった者の帰還」

 

現実世界、病院の近く3階…

 

明日人が手術を開始して3時間が経っていた。

 

手術師「先生、明日人君の手術が完了致しました」

 

男医師「よし、では明日人君を強制ログアウトさせます」

 

カチャ...

 

男医師が仮想世界へのダイブ機能をスイッチでOFFにした。

 

男医師「明日人君、起きて下さい」

 

明日人「、、、うっ」

 

体が重い、、、あれ?ここはもしかして?

 

明日人「病院、、、か、、、」

 

男医師「はい、3時間の間お疲れ様でした」

 

明日人「3時間?俺は仮想世界で半年ものの時間を過ごしたんですよ?」

 

男医師「確かにあなたは半年分を仮想世界で過ごしました。但しそれはその世界の中だけの話、ゲーム内速度を上昇させていたので実際は3時間なんです」

 

明日人「よく分からないです、、、そもそも何故、俺を仮想世界へログインさせたんですか?」

 

男医師「今回の手術の目標は、義眼、心臓、筋肉の機能を作動させることでした。しかし、それらを正常に作動させるには、仮想世界にいる〘身体ダメージを回復してくれるAI〙に会ってもらう必要があったからです。そのAIに会って治療してもらったからこそ、明日人君は今ここにいるんですよ」

 

明日人「身体ダメージを回復するAI、か、、、」

 

もしかしてそのAIって、〘スティラ総合騎士長〙のことかな。3ヶ月前くらいにスティラが左目を見えるようにしてくれたし、、てか今も左目が見えてるな。

 

男医師「さて、いきなりこんな事態を招いてしまったので今回は医療費は無料になります。そして義眼の点検を度々行いたいので、年に一度はまたここに来て下さい。以上です、彼女さん達に顔を合わせてあげて下さい。その後、帰宅が可能ですので」

 

明日人「、、、はい、色々とありがとうございました」

 

男医師「お大事に、イノベイターさん」

 

明日人「!、、、は、はい、失礼します」

 

ガチャ...

 

男医師「、、、数年後には、この技術が世界に広まっていそうだな」

 

 

病院の1階 ロビー…

 

 

 

 咲月「、、、!明日人、、、」

 

明日人「咲月、皆、、、」

 

 紅葉「おかえり、、、!」

 

 小春「心配したよ!」

 

明日人「世話をかけてごめん。さぁ、帰ろう」

 

 咲月「うん!ねぇ、良かったら、、手を繋いで帰らない?」

 

明日人「いいよ」

 

 咲月「やった♪」

 

 紅葉(私も手を繋ぎたいけど、、)

 

 小春(2人の時間にさせてあげよう)

 

 

明日人宅…

 

 

明日人「久しぶりだな、、、」

 

 咲月「え?まだ4時間ぐらいしか経ってないよ?」

 

明日人「それは、、、」

 

明日人は、どんな手術をしていたのかや、仮想世界での出来事について話した。

 

 咲月「は、半年分!?」

 

 小春「それに、明日人がイノベイター、、、」

 

 紅葉「どれも信じ難い話ね、でも、明日人がそう言うなら信じられるわ」

 

 咲月「そうね」

 

 紅葉「さて、明日人は半年分仮想世界にいたみたいだし、休ませてあげる為に帰ろうかな」

 

明日人「もっと家でゆっくりしていいんだよ?」

 

 紅葉「いいのよ、明日人とはまたGGOとかで会えるんだし。じゃあ、またね♪」

 

チュ…

 

明日人「っ、、!」

 

紅葉は明日人にキスをし、帰っていった。

 

明日人(懐かしい、半年前、、じゃなかった、数日前もこんな感じだったな)

 

 小春「じゃあ、私もそろそろ帰るね。バイバイ」

 

明日人「あぁ、またな」

 

続いて小春も帰っていった。

 

明日人「今は昼か、、、なんだか遅く感じるな」

 

 咲月「、、、」

 

明日人「咲月?」

 

 咲月「あ、ごめん!ちょっと考え事をしてたの」

 

明日人「そうだったんだ、、溜め込まずに話していいんだよ?」

 

 咲月「、、、あのね、なんだか不安なの。明日人がまたいつか遠くに行っちゃうんじゃないかって」

 

そうか、、俺は君の傍を離れないと言っておきながら、、、

咲月は俺と出会って以来、人と離れるということに弱いから、悪いことをしちゃったかな。

 

明日人「、、、」

 

ギュ…

 

 咲月「、、、!」

 

明日人は咲月の傍に寄って抱いた。

 

明日人「ごめんな、でも大丈夫、何があっても咲月を見捨てないから」

 

 咲月「うん、、、その気持ち、すごく嬉しい」

 

咲月も明日人を抱いた。その左薬指には、明日人が咲月にプレゼンしたアメジストの指輪がつけられていた。

あの世界での俺の役目はもう終わった。後は任せたよ、〘スティラ総合騎士長〙。

 

 

仮想世界、グラハムのいないフォニア宮殿の皇帝の部屋…

 

 

コンコンコン…

 

スティラ「失礼します」

 

スティラが言うも、部屋から返事は聞こえない。

 

スティラ「、、、〘グラハム様〙?」

 

ガチャ…

 

スティラは少し不思議に思い、ゆっくりと扉を開ける。

 

スティラ「何処に行かれたのかしら、、、ん?何かしら、この手紙」

 

スティラが手に取った手紙には、『スティラ総合騎士長様へ』と書かれている。

 

スティラ「これは、グラハム様の置き手紙?」

 

 

━スティラ セレーネー総合騎士長様へ━

 

この手紙を読んでいる時には、俺はもうこの世界にいない。

信じてもらえないだろうけど実は俺、この世界の者じゃないんだ。だから、いつかは別れの時が来るだろうと確信していた。

無責任なことを言うけど、これからはスティラが皇帝となって、ユーフォニア王国を守ってほしい。

また会う日が来るまで、、、さようなら、、、

 

━グラハム エーカーより━

 

 

スティラ「グラハム様が異世界人だったなんて、、、でも、それでもグラハム様は立派な英雄です。後のことは私に任せて下さい、、、」

 




ピンクマ「帰還完了!」

帰還まで
約3ヶ月・・・闇の帝王撃破 グラハムが皇帝になる

約2ヶ月・・・ユーフォニア王国 25%が復興
       スティラはグラハムの秘書を担当しつつ、軍隊を
       取り締まる〘総合騎士長〙となる

約1ヶ月・・・ユーフォニア王国 45%が復興
       敵の残存部隊接近 グラハムとスティラが撃退する

約1週間・・・ユーフォニア王国 50%が復興
       フォニア宮殿 地下室にてGNドライブを開発

 3日前・・・グラハム スティラへの手紙を随筆する

 2日前・・・グラハム ログアウトの信号を感知する

 1日前・・・スティラ 太陽炉の取り扱い実績を取得

帰還当日・・・グラハム ログアウト


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第六章 荒野から宇宙へ
第26話「君と一緒に」


 

明日人の手術が無事成功し、数日後、GGOの残影の荒野にて…

 

 

 クレハ「これでラスト!」

 

ババンッ!

 

クレハ達は素材を集める為にエネミー狩りをしていた。

 

 コハル「これで全部揃った?」

 

 クレハ「ばっちりよ!ありがとう!」

 

 コハル「それにしても、エディちゃんはあれから本当に幸せそうだね」

 

 クレハ「ほんと、イチャつきすぎよ、、、」

 

クレハ達がエネミー狩りをしている間、岩場の影でグラハムとエディは体を寄り添って話していた。

 

 コハル「確かに、でもクレハも人のこと言えないでしょ」

 

 クレハ「フフッ、確かにね。あの2人の邪魔はしたくないけど、そろそろ動かさなくちゃ」

 

 コハル「そうだね。お〜い!グラハム〜、エディ〜、もう行くよ〜!」

 

 

その頃のグラハムとエディ…

 

 

 エディ「はぁ、、、落ち着く、、、」

 

グラハム「いきなりどうしたの?」

 

 エディ「手術が成功したおかげで、今こうしてグラハムが隣にいてくれることが嬉しいから安心するの」

 

グラハム「そう言ってくれると、俺も生きていて良かったと思えるよ」

 

 エディ「えへへ♪愛してる♡」

 

グラハム「俺もだよ、、、今回の一件でよりエディの大切さが分かったからね」

 

 エディ「そう思ってくれて嬉しい♪あ、コハルが呼んでるね、行こ!」

 

グラハム「そうだね」

 

タッタッタッタッタッ...

 

 クレハ「来た来た、今から明日の大型アップデートに向けて皆で武器の熟練度を上げましょ!」

 

グラハム「賛成、もしかしたら新エネミーが出てくるかもしれないからね」

 

 エディ「そうね、しっかり準備しよ!」

 

 

数時間後…

 

 

グラハム「ふぅ、、、これで皆の熟練度が90%超えになったはず」

 

 エディ「私は超えたよ!」

 

 コハル「私も超えた!」

 

 クレハ「あたしもよ!お疲れ様〜!」

 

グラハム「疲れた、、、ってもうこんな時間か。夕食の準備をするから落ちるよ。また明日」

 

 クレハ「またね♪」

 

 コハル「明日も頑張ろうね!」

 

グラハム「もちろん」

 

 

ログアウト…

 

 

明日人「ん〜、今日は何作ろうかな」

 

 

キッチン…

 

 

 咲月「最近の明日人は凄いね。私よりも料理ができてる」

 

明日人「まさか、まだまだ咲月には敵わないよ」

 

 咲月「そんなことないわ♪これらも病院の仮想世界で覚えたの?」

 

明日人「うん!まさか現実でも同じ料理を作れるとは思わなかったけどね」

 

皇帝になった時にスティラ総合騎士長から作り方を教えてもらったんだったな。あれ、そういえば俺皇帝になったのになんで料理させられてたんだっけな、、、?

 

 咲月「う〜ん!いい匂い♪」

 

明日人「よし、完成!食べようか」

 

 咲月「うん!」

 

 

食事中…

 

 

 咲月「お母さん達、また転勤なんだって」

 

明日人「またか、、、十分に生活できる金は貰ってるけど、なんだか心配だな」

 

 咲月「うん、それに私達が付き合ってるってことを聞いたら驚くだろうね♪」

 

明日人「あ、そういえばまだ母さん達には言ってなかったね。確かに驚くだろうな」

 

 咲月「やっぱり言うなら帰って来た時に言いたいよね」

 

明日人「そうだね、照れくさいけど実際に会って話した方が気持ちが伝わりやすそう」

 

この調子だと、親が帰って来るのはまだまだ先になりそうかな。

 

 咲月「ねぇ明日人、、私達もう付き合って数週間経ってるし、い、一緒に、お風呂にはいらない、、、?」

 

明日人「え?」

 

これはもしかして、お誘いってやつ、、、?別に下心はない、、って言ったら嘘になっちゃうかもしれないけど断る訳にはいかない、、、よね。

 

明日人「、、、まぁ、いいかな」

 

 咲月「明日人ならそう言ってくれると思った♡」

 

 

数分後、浴場にて…

 

 

まさかこの年になって咲月と一緒に風呂に入る日がくるなんて思いもしなかった。最後に一緒に入ったのはいつか覚えていない。

 

 咲月「お待たせ、、、入ろ、、、!」

 

明日人「うん、そうしよっか、、、」

 

き、気まずい。でも咲月も同じこと思ってるだろうし、、、。

そう思いながら明日人と咲月はシャワーで体を洗いに行く。

 

 咲月「背中、洗ってあげるね、、、」

 

明日人「いいの?ありがとう、助かるよ」

 

ゴシゴシ…

 

 咲月「覚えてる?私達が出会った頃、明日人が私の体を洗ってくれたよね」

 

明日人「え、そうだっけ?覚えてないや、、、」

 

 咲月「10年も前だからね、、、こうして2人で入るの、とても懐かしいわ」

 

どうしても思い出せねぇ、、、てか小学生の女の子の体を洗ってあげてたとか何してんだ過去の俺、、、。

 

 咲月「よし、洗い流せた、、、明日人、今度は私の背中を洗って、、、」

 

明日人「任せて」

 

明日人は咲月の背中に目を向けた。すると明日人は咲月の美しい白い肌に見惚れた。

 

明日人「凄く綺麗な肌、、、」

 

 咲月「フフッ♪ありがとう、、、」

 

ゴシゴシ…

 

明日人「あ、、、洗ってあげてたの思い出してきたかも」

 

 咲月「本当?」

 

明日人「うん、確か雨で濡れた咲月を風呂に入れてあげてた」

 

 咲月「当たり♪」

 

明日人「咲月と出会った日のことだからね、簡単に忘れる訳にはいかないと思ったんだ」

 

忘れかけてたけど、思い出せれば結果オーライだよね。

 

明日人「さぁ、咲月の背中も洗い流したよ。中に浸かって」

 

 咲月「うん!」

 

明日人と咲月は広いバスユニットにも関わらず、体を寄り添わせて中に浸かった。

 

 咲月「温かいね、、、」

 

明日人「あぁ、とても、、、」

 

む、胸が当たってる、、、気づいてないふりしておいた方がいいかな?

 

 咲月「こんな時間がずっとあってほしい、、、ねぇ、明日も一緒に入ってくれたりする?」

 

明日人「いいよ、咲月が幸せに感じるならそれで」

 

 咲月「やった♪明日人、だ〜い好き♪」

 

彼氏彼女ってこういうことするもんなのかな、、、?よく分かんないや。

 




ピンクマ「次回からはGGO宇宙編かな(多分)」


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第27話「宇宙へ」

念の為タイトルの読み方を!

宇宙…そら

クレハ達との会話の中ではそのまま宇宙(うちゅう)と読んで頂いて構いません!


 

明日人と咲月が風呂から出た後、明日人の部屋にて…

 

 

2人はベッドに座っている。

 

 咲月「今日も1日楽しかったね」

 

明日人「あぁ、1日があっという間に終わってしまったな、、、」

 

 咲月「うん、でも、まだまだ明日人の隣にいたい。今夜は横で寝かせてもらうね」

 

明日人「いいよ。その、、、俺もまだ一緒にいたいと思ってたからさ、、、」

 

 咲月「そう言ってもらえて良かったわ♪おやすみ、明日は攻略頑張ろうね」

 

チュ…

 

そう言い、明日人と咲月はキスをして眠った。

 

 

翌日、GGOにて…

 

 

 クレハ「遂に来たわね、宇宙アップデート!」

 

グラハム「どんなエネミーが出てくるんだろうな。楽しみだ」

 

 コハル「そういえば、どうやって宇宙へ行くの?」

 

グラハム「確か、、、500万コルぐらい払わないと行けなかったような」

 

 エディ「高いわね」

 

グラハム「そうだね。でも、他にも方法はある。500コル払えばアファシスtype-Aに連れて行ってもらえる」

 

 コハル「その方が断然いいんじゃない?」

 

グラハム「う〜ん、、、そうとも言えないんだ。type-Aは無限にいる訳じゃないから、ロケットの順番待ちで長蛇の列に並ばなくちゃならない」

 

 エディ「それで順番待ちするより500万払って早く向かおうってことね」

 

グラハム「そういうこと。だから皆、協力してくれるかな?」

 

 エディ「私はもちろん協力するわ!」

 

 クレハ「あたしもよ!」

 

 コハル「私も手伝う!」

 

グラハム「ありがとう!3人はそれぞれ100万コル出してくれば、あとの200万コルは俺が払えるからこれで出発できる」

 

こうして明日人達はロケットを購入した。

 

 コハル「そういえば、ロケットの操縦って誰がやるの?」

 

グラハム「アファシスだよ」

 

アファシス「お任せ下さい!」

 

 クレハ(いきなりレイちゃんに操縦を任せるって結構不安ね、、、)

 

グラハム「よし、皆、準備万端かな?」

 

 3人 「うん!」

 

グラハム「じゃあ出発しよう!アファシス、頼んだよ」

 

アファシス「お任せあれなのです!発進します!」

 

ゴゴゴゴゴ……!

 

ロケットは物凄い音を出して打ち上がった。

そして数分後…

 

 コハル「うわぁ、、、」

 

 クレハ「GGOの地球ってこうなってたのね、、、」

 

クレハ達の目に映っている光景は、荒野が多く、緑がほんの一部しかない地球だ。

 

グラハム「緑が本当に少ないんだな、、、ん?お、もうすぐ月に着くよ」

 

 エディ「とても早いね」

 

グラハム「こんなにすぐに到着できるのも、ゲームだからこそだね。さぁ、降りよう」

 

グラハム達はノーマルスーツを着用して、ロケットから降りた。

 

 クレハ「本来は無重力で移動しづらいんだろうけど、太陽炉のおかげで移動が楽ちんね♪」

 

グラハム「そうだな。え〜と、あの月面基地、、、じゃなくて都市に降りればいいのかな」

 

月面基地かとグラハムは思っていたが、ビルや市民NPCがいたので月面都市だと判明した。

 

 エディ「安全圏の表示があるから大丈夫ね」

 

グラハム「だね。都市に降りたら早速クエストNPCを探そう」

 

 3人 「了解!」

 




ピンクマ「どんなクエストが待ってるのかな〜?」


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第28話「ヒューマノイド」

 

月面都市に到着して数分後、グラハム達はクエストNPCを手分けして探している。

 

 コハル「そういえば、クエストNPCの特徴を聞くの忘れてた、、、チャットで聞こう」

 

????「そこの方」

 

 コハル「きゃっ!」

 

コハルがチャット画面を開いたと同時に、突然中年男性が話しかけてきた。

 

コハル「び、びっくりした、、、どちら様ですか?」

 

 NPC「私はこの都市の住人です。少し話がしたいなと」

 

コハル(あ、クエストNPCだ!)「あ、分かりました。少しここで待っていて下さい」

 

そしてコハルはチャットでグラハム達に報告した。

 

 

数分後…

 

 

グラハム「コハル、お待たせ。さぁ住人さん、要件を聞くよ」

 

 NPC「最近、この街で人型のロボットが都市を襲うんです。皆様は見たところ武器を持っている様なので、よければロボット達を退治してくれないかと思い、声をかけさせて頂きました」

 

 クレハ「人型ロボット、、、ヒューマノイドかしら?」

 

グラハム「きっとそうだろうね。分かったよ住人さん、引き受けるよ」

 

 NPC「ありがとうございます。お礼は必ずしますので」

 

そう言ってクエストNPCはその場を去った。

 

 エディ「マップ情報が更新されたよ!」

 

グラハム「よし、目標地点に急ごう。他のプレイヤーが続々来てるからね」

 

 クレハ「そうね、急がなきゃ!目標地点はここから2キロ離れた岩場らしいわ。そこにエネミーの拠点があるみたい」

 

グラハム「了解!」

 

グラハム達は急いでエネミーの拠点に向かった。その場所は肉眼で確認することができる。

 

 コハル「かなり開けた場所だから敵拠点が分かりやすいね」

 

グラハム「そうだね、、、ん?もうエネミーが出てきたぞ」

 

目標地点から数10体のエネミーが出てきた。

空を飛ぶヒューマノイドか。

 

 エディ「名前は、、【ヒューマノイド マニューバ】だって」

 

グラハム「皆、ヘルメットを割られないようにね」

 

 クレハ「そうだったわね、気をつけるわ」

 

グラハム「エネミーも太陽炉を使う時代になってしまったか。けど負けない!フルブラスト!」

 

 エディ「ヒューマノイドは動きが早いから、近づかれる前に倒す!」

 

グラハムとクレハはデュアルサブマシンガン、エディはスナイパーライフル、コハルは2丁拳銃を使ってヒューマノイドを一掃する。

 

 コハル「すぐに全滅させることができたね」

 

グラハム「この次、ボスが出てきそうだからまだ警戒しておこう。目標地点に降下しようか」

 

目標地点に降下すると、敵拠点の大きなゲートに、いきなり攻略条件が表示された。

 

『この施設内、太陽炉使用禁止』

 

 エディ「太陽炉禁止エリアがあるのね」

 

グラハム「最近太陽炉に頼り過ぎてたからな。こういうのも悪くない」

 

 エディ「拠点内は酸素があるみたいよ」

 

 クレハ「それなら、入ってからヘルメットを外した方がいいわね」

 

グラハム「その方が周囲を警戒しやすいからね。潜入しよう」

 

グラハム達は敵拠点へ侵入した。拠点内は腕やらモーター類が置かれているので、ヒューマノイドの製造が行われていると思われる。

 

グラハム「うわぁ、このパーツ全部ヒューマノイドかよ」

 

 クレハ「勝手な考えだけど、こんな大量にヒューマノイドが作られるってことは、出来上がったものを地球に送り込んでることになるのかしら」

 

 コハル「そういうことになるのかな、外にロケット発射台がいくつもあったし」

 

グラハム「これからの展開が楽しみだね。あっ、ヒューマノイドが出てきたよ!」

 

 エディ「なんか紫色のヒューマノイドもいるね」

 

 コハル「あの紫のヒューマノイドはデバフとか仕掛けてくるのかな?」

 

グラハム「【ヒューマノイド コンプリート】、、、近遠距離かが完璧ってことか?」

 

グラハムはデュアルサブマシンガンを構えて接近した。

 

ズキンッ

 

グラハム「ぐっ?!」

 

すると、ヒューマノイド コンプリートを撃とうとすると、グラハムは頭痛を起こした。その光景をエディは見ていた。

 

 エディ(明日人?)

 

グラハム「なんで頭痛が、、、?こいつ、【ヒューマノイド ヘビー】みたいにゆっくり近づいて来る。早く撃たないと、、、」

 

ダダダダダッ!

 

グラハム「体力と防御力が高すぎる。それに、こいつが近づいて来る度に頭痛が酷くなってる気がする。頭痛の原因はこいつか?」

 

ズキッ!

 

グラハム「あぁ!?」

 

ヒューマノイド コンプリートがグラハムの3m付近まで来ると、さらに頭痛が酷くなり、グラハムは銃を落とした。

 

 クレハ「グラハム!?どうしたの!?」

 

クレハが大声を出すも、グラハムには聞こえていない。

 

 エディ「グラハムを助けるわ!」

 

 コハル「そうだね、ただ事じゃないみたい!」

 

グラハムの異常に気づいた3人はヒューマノイド コンプリートのヘイトを取る。

 

 エディ(一体何があったのかしら、、、)

 




ピンクマ「次回に続く!(←言うこと無くなってきた(笑))」


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第29話「謎の症状」

ヒューマノイド コンプリートが近づくにつれ、グラハムの頭痛は酷くなっていく。

 

グラハム「来ないでくれ、、、お前の存在が頭に響くんだよ!」

 

あくまでも敵エネミー、グラハムの声など聞くこともなくヒューマノイド コンプリートはグラハムを斬ろうとした。

 

 エディ「グラハム!」

 

するとその時、エディがヒューマノイド コンプリートの気を引きつけ、グラハムから引き離した。

 

グラハム「エディ、、、」

 

 クレハ「こいつ、結構硬いわね、、、」

 

 コハル「でもあと一息だよ!」

 

 エディ「ティアマトの一撃で倒せる!」

 

エディの弾丸がヒューマノイド コンプリートの頭に命中し、ようやく撃破した。

 

 エディ「ふぅ、グラハム、大丈夫!?」

 

グラハム「あ、ありがとう。あいつに接近した途端、急に頭痛に襲われたんだ」

 

 クレハ「何故かしらね、、、」

 

????「あぁ!!」

 

????「おい、どうした!」

 

すると、敵拠点の入口付近から男性プレイヤー数人の声が聞こえた。

 

 コハル「叫び声、、、?」

 

グラハム「行ってみよう、、、」

 

 エディ「大丈夫なの?」

 

グラハム「さっきと比べてかなり気が楽になったから大丈夫だよ」

 

 エディ「そう、、でも、無理しないでね!」

 

グラハム「もちろん!」

 

グラハム達は入口付近へ向かった。そこには、頭を抱えた男性がしゃがみ込んでいた。

 

グラハム「、、、これもお前の仕業か?」

 

しゃがみ込んでいる男性の前方には、ヒューマノイド コンプリートがいる。

 

 エディ「一体だけじゃなかったのね」

 

グラハム「狙撃なら頭痛を起こさずに倒せるかな。エディ、2人で同時にあいつの頭を撃ち抜くよ」

 

 エディ「分かったわ」

 

グラハムとエディは入口付近から少し離れて〘ティアマトMk3〙を構えた。

 

グラハム「3、2、1、撃って!」

 

グラハムが合図をした瞬間、2人はヒューマノイド コンプリートの頭を見事撃ち抜いた。

 

グラハム「ナイスAIM!」

 

 エディ「グラハムこそナイス♪」

 

グラハム「さて、大丈夫か?」

 

グラハムは頭を抱えていた男性に話しかけた。

 

 男性1「は、はい、、なんとか、、、」

 

 男性2「仲間を助けて頂きありがとうございます!」

 

グラハム「礼はいいよ、ところで、頭痛に襲われたのは君だけ?」

 

 男性1「はい、あの紫色のエネミーに近づいた途端に起こりました」

 

 男性3「ヒューマノイド コンプリート、だっけ?あいつだけなんだか異様な雰囲気を醸し出していましたね。なんでお前だけ頭痛を起こしたんだろうな」

 

 男性2「お前だけ他の人と違って特性が違うからじゃね(笑)」

 

 男性1「絶対関係ねぇだろ、、、てか特性ってなんだよ」

 

グラハム「、、、とにかく、無事で良かったよ。次にあいつに遭遇したら気をつけて」

 

 男性1「あ、はい!ありがとうございました!」

 

男性達は感謝した後、都市方面へ引き返していった。

 

 クレハ「あの人、グラハムと同じ症状だったわね」

 

 コハル「そうだったね、、、」

 

グラハム「特性、か。もしかしてあの人も、、、まさかな」

 

 エディ「どうしたの?」

 

グラハム「いや、なんでもないよ。それより、攻略を再開しよう。まだまだ攻略は始まったばかりだ」

 

 エディ「うん、そうだね!またあのヒューマノイドが出てきたら私達が守るわ!」

 

グラハム「ありがとな!」

 

 




ピンクマ「↓念の為、、、」

AIM・・・狙い


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第30話「反撃」

グラハム達が攻略を再開して数時間が経過し、ダンジョンから出てきた。今太陽炉で飛び立ち、ようやくクエストが終了するところであった。

 

 クレハ「あれからヒューマノイド コンプリートは出現しなかったわね」

 

グラハム「そうだな、でも出てこなくて良かったよ」

 

 コハル「うん、その方が安全かもしれないからね」

 

 エディ「人に頭痛を起こさせるエネミー、、、何なのかしら。あ、そろそろクエストNPCのところに着くわ」

 

グラハム達はクエストNPCの元へ降下すると、ヒューマノイドを討伐したことを報告した。

 

 NPC「おぉ!ありがとうございます!これで驚異は収まったはずです」

 

グラハム「あの、教えてほしいんだが、ヒューマノイド コンプリートの情報って持ってる?もし持ってるなら教えてほしい」

 

 NPC「ヒューマノイド コンプリート、そいつは体力と防御力が非常に高いロボットです」

 

グラハム「、、、それだけ?」

 

 NPC「はい、それだけです」

 

グラハム「そうか、ありがとう」

 

聞きたいことを聞き、グラハム達はクエストNPCと別れた。

 

 

月のホーム…

 

 

グラハム達はログアウトの為に、それぞれのホームへ戻った。

 

 エディ「明日人、今も気分は大丈夫?」

 

グラハム「うん、大丈夫だよ」

 

 エディ「そう、良かったわ♪」

 

グラハム(咲月達は頭痛が起きなかった、そして俺とあの男の人は頭痛が起きた。“特性”でふと思ったけどこの頭痛はイノベイターだけ?てことはあの人もイノベイターだから起きたってことか?)

 

グラハムは様々な疑問を出す。

 

グラハム(仮にイノベイターの者だけが起こす頭痛だとしたら何の為なんだ?運営の意図した行動?それとも不具合?何にせよ答えは出てこない、、、)

 

 エディ「あ、言い忘れちゃってたんだけど、この後クレハ達とお泊り会があるんだけど、現実世界では明日人1人で大丈夫?」

 

グラハム「あ、あぁ、大丈夫だよ。楽しんで来て」

 

 エディ「ありがとう!またね!、、、」

 

グラハム「、、、?どうしたの?」

 

 エディ「え〜と、、、行ってらっしゃいのキスを貰えないかな〜て、、、」

 

グラハム「はは、甘えん坊さんだな」

 

チュッ

 

グラハムはエディの体を抱き寄せてキスをした。

 

 エディ「ん、、、チュ、、、晩ご飯は作り置きしてるから温めて食べてね♡」

 

グラハム「分かった、いつもありがとう」

 

そう言ってエディはログアウトした。

 

グラハム「さて、もう一度あそこへ行くか」

 

 

ヒューマノイド拠点…

 

 

グラハムは、ヒューマノイド コンプリートについて運営に報告する為、ヒューマノイドの拠点へ向かった。

 

グラハム「さっさと入口付近のエネミーを倒して内部に入ろう。トランザム!」

 

ヘルメットをしてるから近接は危ないな。

 

グラハム「ライフルビット!」

 

ライフルビットの乱射でヒューマノイド達は次々と消滅していく。

 

グラハム「乱れ撃つ!」

 

残り4体のヒューマノイドも問題なく倒した。

 

グラハム「よし、突入するか」

 

グラハムはせっせと敵拠点に入っていった。

 

????「、、、!」

 

その光景を岩陰から見ている者がいることにグラハムは気づかない。

 

 

ヒューマノイド拠点 内部…

 

 

グラハム「ここからは太陽炉が使えない、気をつけなきゃな」

 

すると、奥でヒューマノイド達がスポーンする。

 

グラハム「お目当ての奴も出てきたな」

 

ヒューマノイド達の後方に、頭痛を起こさせたターゲット、ヒューマノイド コンプリートもスポーンした。

 

グラハム「スポーンはダンジョン1周1体までか?」

 

ピキンッ

 

グラハム「うっ、、、」

 

まただ。ヒューマノイド コンプリートが出現すると、グラハムは頭痛を起こした。

今の目的は交戦じゃない、今起こっている出来事を運営に伝えるのだ。

 

グラハム「まだ気づかれてない。さっさと報告して戻ろう」

 

バンッ!

 

グラハム「何っ!」

 

ヒューマノイド スナイパーの射程距離にグラハムが少し入ってしまい、気づかれてしまった。

 

グラハム「脳にダメージはないと思うけど、辛い思いはしたくないな、、、スナイパーを早く倒さないと」

 

グラハムはスナイパーを取り出し、ヒューマノイド スナイパーの頭を撃ち抜いた。ヒューマノイド スナイパーがやられると、近くにいた他のヒューマノイドが反応し、グラハムに接近する。

 

グラハム「このままじゃ、、、!」

 

太陽炉禁止エリアだからホルスタービットも使えない。

 

グラハム「まだだ、、、俺はこの世界でもあれが使えるはず!」

 

グラハムは右手に夜空の剣、左手にRE-45を取り出した。

 

グラハム「すぅ、、、アドバンススキル!ヒートソード!」

 

あの仮想世界で覚えた技で切り抜けるしかない!

夜空の剣の剣身が赤くなり、それを構える。

 

グラハム「このスキルは銃には流石に適用されないか。でも大丈夫だ」

 

そう言ってRE-45も構えた。

 

グラハム「、、、ホリゾンタル・スクエアA!」

 

従来のホリゾンタル・スクエアに加え、切断力の増した剣と射撃でヒューマノイド達を圧倒する。

 

グラハム「アドバンススキルの真価、今こそ発揮する!」

 

多くのヒューマノイドを倒し、敵の攻撃は収まってきた。残ったのは、問題のヒューマノイド コンプリートだけ。

危機は去ったからあいつはもう放って撤退してもいいな。

 

グラハム「弾が少ない、戻ろう」

 

そしてグラハムは来た道を戻って行った。

 

 

ヒューマノイド拠点 入口…

 

 

グラハム「やれるだけのことはできた。さぁて、ホームに戻ったらログアウトして飯にでもしよっと」

 

????「グラハム様、ですか、、、?」

 

グラハム「ん?」

 

 




ピンクマ「↓今回も念の為に」

RE-45…“APEX Legends”に登場する連射式ハンドガン


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第7章 青年と騎士
第31話「かつてのパートナー」


 

懐かしく感じる声。ふと振り向くとそこには、ピンク色の髪の女性が立っていた。

 

グラハム「スティラ、、、総合騎士長、、、?」

 

スティラ「まさか宇宙で出会えるなんて、、、数ヶ月ぶりですね」

 

グラハム「あ、あぁ、、、」

 

幻じゃないよな?何故スティラ総合騎士長がGGOにいるんだ?

 

グラハム「とにかく、ここは危険だ。都市の施設で話そう」

 

スティラ「分かりました」

 

 

月面都市、グラハムのホーム…

 

 

グラハム「まずは謝らせて、、、ユーフォニアから離れてしまってごめん。ずっとはあの世界にいられなかったんだ」

 

スティラ「そうだったのですね。確かに、、、グラハムさんがいきなり国を放って消える筈がないですもの。それに、置き手紙で事情がある程度分かりましたので、、、」

 

グラハム「理解してもらえて良かったよ。それで、とても聞きたかったことなんだけど、どうやってこの世界に来たの?」

 

俺はそれが1番聞きたくて仕方が無い。

 

スティラ「それが、私にも分からないんです。目が覚めると不思議な服を着ていて、この星にいました」

 

グラハム「いきなりか、、、」

 

病院の関係者が何らかの意図でスティラをGGOに送り込んだってことか?

 

スティラ「信じてくれますか、、、?」

 

グラハム「もちろん。別世界に迷い込むってのは俺も経験しているからね」

 

スティラ「分かってもらえて良かったです」

 

これで話は一旦落ち着いたかな?ログアウトしなきゃならないけど、なんて説明したらいいんだろ。

 

グラハム「もう夕方だ。お腹空いてるだろうし、このスープでも食べてて。俺は少し席を外すよ」

 

ログアウトするところを見られると驚くだろうから、外でログアウトしようかな。

 

スティラ「、、、グラハム様、、、!」

 

今まで溜め込んだ気持ちをすべて吐き出すような声でスティラはグラハムに抱きついた。

 

スティラ「すみません、、、グラハムさんと再開する前からずっと、、不安で不安で、、、こんな、私、、情けないですよね、、、」

 

グラハム「スティラ、、、」

 

グラハムは抱き返した。

 

グラハム「情けなくないよ。いきなりこの世界に来て、不安にならない人なんていないから。例え騎士でもね」

 

抱き終わり、そっとスティラの頭に手を置いた。

 

グラハム「それと、もう皇帝じゃなくなってしまったから『様』なんて付けないでいいよ。俺は今、ただの戦士だから。それじゃあまたあとで」

 

スティラ「は、はい。分かりました、行ってらっしゃいませ」

 

なんか、変に格好つけちゃったな。いつ引かれてもおかしくないぞ、、、。

 

 

ログアウト…

 

 

明日人「、、、まさかスティラがGGOに来るなんて」

 

明日人はふと、何故スティラがGGOにいるのかを病院の先生に連絡したかったが、根拠なしで話すのはまずいかと考えた。

とにかく、早く晩飯を食べてスティラの元へ戻らないと。

 

ピコンッ

 

明日人のスマホに着信がきた。

 

明日人「ん?咲月からか?」

 

スマホを見ると、メールの通知ではなくGGOのゲームニュースだった。

 

 

━GGOプレイヤー様達へ━

 

いつも〘ガンゲイル・オンライン〙をプレイして頂き、誠にありがとうございます。只今、GGO内で〘ヒューマノイド コンプリート〙に遭遇すると、一部の人が頭痛を引き起こす障害が発生しておりました。なので〘ヒューマノイド コンプリート〙は一時削除させて頂きます。ご理解のほどよろしくお願いします。

 

 

明日人「そうか、ヒューマノイド コンプリートは消されたか。でも、VRMMOで障害が出るって珍しいな、、、」

 

今の明日人は、GGOで頭痛はもう起きないという安心感と、不具合の疑問感でいっぱいだった。

 

 




ピンクマ「咲月ちゃんのお泊り会の風景は〘memory of Edy〙にて!」


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第32話「スティラ」

GGO、グラハムのホームにて…

 

 

グラハム「ただいま〜」

 

スティラ「おかえりなさい」

 

リビングで椅子に座っているのかと思いきや、キッチンで皿洗いをしていた。さっきスティラに出したスープの皿だ。

 

グラハム「あ、洗ってくれたの!?俺がやるのに」

 

スティラ「いえ、食事まで出して頂いたんです。何もしないのは私の気が収まりませんので」

 

グラハム(出会った時から変わってないな、、、)

 

スティラ「ふわぁ、、、今は何時なのでしょうか?」

 

グラハム「え?え〜と、9時半だね」

 

スティラ「あの、もし迷惑じゃなければこの家に泊めて頂けませんか?」

 

グラハム「もちろんだよ。断る訳ない」

 

スティラ「ありがとうございます。この恩は必ず返しますね」

 

グラハム「いやいや、スティラが今大変な思いをしてるんだから気にしなくていいよ。寝る時はこのベッド使ってね」

 

スティラ「はい、本当に何から何までありがとうございます」

 

 

深夜…

 

 

スティラ「、、、ん、今何時かしら。確かグラハムさんはこうするって言ったわね、、、」

 

スティラはシステムウィンドウを開いた。システムウィンドウの開き方は寝る前にグラハムから教わっていた。

 

スティラ「午前2時か、、、」

 

スティラはふと横を見た。そこには、もう一つのベッドで眠っているグラハムがいる。

 

スティラ「変わってないですね、ユーフォニアにいた時のグラハムさんの寝顔と」

 

するとスティラは無意識にグラハムに顔を近づけた。あと少しでも近づけば、スティラの唇とグラハムの唇が触れる。

 

スティラ「、、、何してるのかしら、私、、、。」

 

スティラは顔を離すと、さっきまで自分が使っていたベッドに再び横になる。

 

スティラ「私は騎士、恋の気持ちは隠し通さなくては、、、」

 

そう考え、スティラは眠った。

 

 

朝…

 

 

グラハム「ん〜、やっぱり仮想世界はよく眠れる。スティラはまだ起きてな、、、」

 

スティラに視線を向けた途端、グラハムの独り言が途切れた。何故なら、スティラの胸がチラついていたからだ。

 

グラハム「ちょ、ちょっと見ちゃった、、、隠してあげよう、、、」

 

起こさないようにそっとシーツをかける。

 

グラハム(はぁ、びっくりした、、、)

 

シュイン…

 

グラハム「ん?」

 

突如後ろの扉が開いた。

 

グラハム「あ、エディ」

 

 エディ「あら明日人、もうログインして、、、だ、誰?その人」

 

グラハム「いきなりで驚いたよね、、、この人はスティラ、俺の命を救ってくれた人だ」

 

 エディ「あ、その人がスティラなのね。でもどうしてここにいるの?病院での仮想世界にしかいないんでしょ?」

 

グラハム「それなんだ、スティラが言うには、いきなりこの世界に来たんだって」

 

 エディ「やっぱりあの病院、怪しいわね」

 

グラハム「話をしに行きたいとは思ったんだけど、隠し通されそうなんだよなぁ、、、」

 

スティラ「んん、、、」

 

そんな話をしていると、スティラが起きた。

 

スティラ「おはようございます。あら、どちら様ですか?」

 

そう聞きながら、スティラはさっと体を起こした。

 

 エディ「おはようございます。私はエディ エーカー、グラハムの妹です」

 

スティラ「そうでしたか、お邪魔しております」

 

 エディ「!あ、明日、、、じゃなくてグラハム!早く部屋から出てって!」

 

グラハム「え?何、、、わ、分かったよ、、、!」

 

一瞬何故なのか分からなかったが、理由はすぐに分かり、急いで部屋を出た。

 

スティラ「ど、どうしたのですか?」

 

 エディ「あなた、、、胸が出て、、、」

 

スティラ「なっ、、、」

 

 

数分後、リビングにて…

 

 

スティラ「うぅ、、、」

 

スティラは頬を赤らめながら、エディに貰ったパンを食べていた。

胸を見られたからだろう、顔を全然上げてくれない。

 

グラハム「そ、その、ごめんな、、、」

 

スティラ「いえ、、私の気が抜けすぎていたからです、、、」

 

 エディ(き、気まずい、、、)

 

ピロンッ!

 

すると、グラハムとエディ、スティラに通知が来た。

 

スティラ「今の音は何ですか?」

 

グラハム「お知らせだよ。う〜ん、ユーフォニアでの情報班の報告みたいなものだ」

 

 エディ(ゆー、ふぉにあ、、、?)

 

エディがきょとんとしている間に、グラハムはお知らせを開いた。

 

グラハム「『現在のトラブルについて』?何が起こってるんだろ?」

 

 

 

━現在のトラブルについて━

 

いつも〘ガンゲイル・オンライン〙をプレイして頂き、誠にありがとうございます。只今起こってるトラブルは、謎のNPCによるものだと思われます。外見は初期ノーマルスーツ、初期装備です。分かりにくいかと思われますが、見かければ近づかず、運営へ報告して下さい。

 

 

 

スティラ「グラハムさん、えぬぴーしー とは何ですか?」

 

グラハム「NPCは、えっと、、、別世界の人ってことかな。スティラのような人のこと」

 

とりあえず、異世界人と説明しておこう、、、。

 

 エディ「ねぇ、このNPCってスティラさんのことだよね。もし報告なんてされたら、、、」

 

グラハム「よからぬことが起きるだろうな、、、」

 

スティラ「、、、よからぬこととは?」

 

グラハム「、、、スティラの存在が消される」

 

スティラ「そ、そんな、、、!」

 

スティラはかなりのショックを受けた。

 

グラハム「大丈夫、俺達が必ずなんとかするから」

 

 エディ「うん!スティラさんを消させない!」

 

スティラ「グラハムさん、エディさん、、、ありがとうございます、、、!」

 

スティラの目に涙が浮かんだ。

 

 エディ「何か解決策はないかな?」

 

グラハム「ツェリスカに聞けば何とかなるかな、、、?」

 

 エディ「あ、そっか!ザスカーの社員さんだもんね、メール送ってみるね!」

 

グラハム「任せた」

 

スティラ「その方はどんな人なのですか?」

 

グラハム「ん〜、この世界の偉い人ってところかな」

 

 エディ「返信来た、ここに来てくれるみたい」

 

グラハム「分かった」

 

スティラをユーフォニアに帰す手がかりを持ってないかな?流石に都合が良すぎるとは思うけどね。

 

 




ピンクマ「結構投稿感覚空いちゃったな」


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第33話「安全に帰すプラン」

 

メールから数分後、コハルとクレハがログインして合流したので事情を説明した。その数分後にはツェリスカが来てくれた。ツェリスカにも同様に、そしてさらに詳しく説明した。

 

グラハム「__てな訳で、スティラを元の場所へ帰す方法をほんの少しでも知らないかな?」

 

ツェリスカ「元の場所へ帰す方法、ねぇ、、、。そんなもの、、、」

 

グラハム「やっぱり、ないかな」

 

ツェリスカ「いや、あるにはあるわよ」

 

グラハム「本当?!」

 

ツェリスカ「でも、それは商品の試作型で安全の保証がイマイチなのよね〜、、、」

 

グラハム「そうなんだ、、、」

 

スティラを帰すことのできる可能性をほぼ確実にまでしないと。

 

スティラ「グラハムさん」

 

グラハム「何?」

 

スティラ「そんなに焦らなくて構いません。この世界に迷い込んでとても不安でしたが、グラハムさん達がいるから安心です。ですのでどのくらいの時間がかかるのかは分かりませんが、ゆっくりのペースで大丈夫ですよ」

 

スティラの発言でグラハムは少し気が楽になった。

帰すことで頭がいっぱいだった。こんなときも冷静なんて、スティラは凄いな。(昨日は抱きついてきたけど)

 

グラハム「そ、そう?分かった」

 

ツェリスカ「帰りたくなったら言うのよ?なるべく早くしようとするから」

 

スティラ「はい、ありがとうございます」

 

それじゃあ、しばらくはスティラと一緒に生活する(仮想世界内のみ)ことになるな。

ん?そういえば、、、。

 

グラハム「そういえば、なんで仮想世界を運営してるプログラマー?のはずなのにツェリスカが商品のことを知ってるの?」

 

今言った通り、ツェリスカはGGOを運営している社会人だ。以前聞いた時はプログラマー的なことを言っていたからなんとなく気になった。俺はまだ社会人ではないからあまり触れない方がいいんだけど。

 

ツェリスカ「ザスカーが仮想データ用のメモリーカードを作ろうって言い出したのを聞いたの」

 

グラハム「ありがたい品だね。あっ、今日はわざわざホームに来てくれてありがとう」

 

ツェリスカ「いいわよ。それにしても本当に不思議ねぇ、、、他の世界の子がGGOに来るなんて」

 

グラハム「あぁ、それに、運営はスティラを、、、」

 

ツェリスカ「えぇ、私も始末に反対してるのだけれど、聞く耳持たずって感じね。むしゃくしゃしちゃうわ〜」

 

グラハム「お、お疲れ様」

 

月に1回はツェリスカは仕事の愚痴をこぼしている。

ほ、本当にいつもお疲れ様。

 

 

数時間後、残影の荒野…

 

 

ツェリスカは用事の為ログアウトし、残ったエディ達はスティラの装備選びをした後、GGOでの戦い方を教えていた。

 

スティラ「へぇ、、、これが銃ってものですか」

 

 エディ「そうだよ、銃にもそれぞれ特徴があるから、自分に合ったものを見つけてね」

 

グラハム「ん〜、、、」

 

グラハムはというと、そこから少し離れた岩陰で何かを思い出そうとしていた。

 

グラハム「VR転送装置を使えば、、、いやでもスティラは生身の人間ではないし、ワールドコードも分からないし、、、」

 

VR転送装置はGGOなどにコンバートするための機械だ。それは、『ワールドコード』という5桁の英数字を使うことで様々な世界へ行くことができる。

 

 エディ「明〜日人!」

 

グラハム「っ!ど、どうした?」

 

 エディ「何度呼んでも返事しないから、、、私そろそろログアウトして帰るからね」

 

グラハム「え?あ、そうか、お泊り会してたんだったな。分かった、気をつけて帰ってきて」

 

 エディ「うん、帰ったらまたくっつこ♪」

 

グラハムは照れくさそうに頷いた後、エディはログアウトした。

 

スティラ「エディさんが、、、消えた、、、?」

 

グラハム「あっ、、、」

 

グラハムが声のした方へ顔を向けると、スティラが唖然としていた。

そうだよね、いきなり人が消えたらびっくりするよね。

 

グラハム「エディはしばらくの間転移を、、、」

 

スティラ「てんい?」

 

あ、これどんどん説明が長くなっていくやつだ。

 

グラハム「いづれスティラも体験するよ。その時にまた説明するよ」

 

スティラ「は、はい」

 

一気に説明するのは流石にスティラでも覚えきれないはず。、、、俺が説明ができないっていう思念もあるけど。

 

グラハム「俺もいづれ転移するからその前に俺のホームへ帰ろう」

 

スティラ「了解です」

 

その後グラハムとスティラは話すことなくホームに帰った。

コハルとクレハもエディを見送る為にログアウトしたのかな?それでスティラが俺のもとへ来たんだろう。

 

 

ホーム…

 

 

グラハム「それじゃあ、俺もしばらく転移するよ。留守番頼めるかな」

 

スティラ「外へ出歩くこともないですし大丈夫です」

 

グラハム「そうだったね、それじゃまたね」

 

スティラ「はい、お気をつけて」

 

スティラは少し寂しそうな顔をしていた。ごめんな、流石にずっとGGOに潜っている訳にはいかないんだ、、、。

 




ピンクマ「お待たせしました!最新話です!(おっそ)」


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第34話「総合騎士長との一休み」

 

明日人の家…

 

 

 咲月「ただいま〜♪」

 

明日人がログアウトした数10分後、咲月が帰って来た。

 

明日人「お帰り、昼ご飯は食べてきたの?」

 

その質問に咲月は靴を脱ぎながら答える。

 

 咲月「ううん、明日人と一緒に食べたいなと思って食べてないの。明日人はまだ食べてないんでしょ?私が作るよ!」

 

明日人「確かに食べてないけど、咲月は帰ってきたばっかりで疲れてるだろうから俺が作る」

 

 咲月「ありがとう♪ふ〜、半日でも明日人から離れたら寂しく感じるようになっちゃった、、、抱きしめて」

 

咲月は靴を脱ぎ終え、明日人の前に立つ。その顔はとてもワクワクしているような顔であった。

 

明日人「あぁ、おいで」

 

明日人が両腕を広げると咲月は明日人の肩に顎を乗せる形で抱きついた。咲月は手を明日人の背中に回し、明日人は左手を咲月の背中に回しつつ、右手で咲月の後頭部を優しく撫でる。

 

 咲月「撫でられると落ち着く、、、どうして撫で始めるの?」

 

明日人「感情はあまり表に出さないようにしてたんだけど、咲月を見てると愛おしくてつい撫でちゃった」

 

 咲月「ん〜〜っ♪」

 

咲月は頬を染め、明日人から顔を隠した。

 

明日人「あ、変なこと言っちゃったよね」

 

 咲月「うぅん、そんなことないよ。ちょっと照れ隠ししちゃっただけ」

 

明日人「そうか、変と思われてなくて良かった。さっ、手を洗っておいで」

 

 咲月「うん♪」

 

咲月は上機嫌で洗面所へ行った。

 

 

リビング…

 

 

昼ご飯を食べ終え、2人はソファに座りスティラについて話していた。

 

 咲月「スティラさん、今の環境は辛くないかな?」

 

明日人「咲月達が傍にいるから大丈夫だと思うよ。女性の仲間がいた方がより安心するだろうし」

 

 咲月「明日人から見ればそう感じるだろうけど、実際スティラさんは一番明日人に懐いてると思うよ」

 

明日人「そう?女性同士の方が一番だと、、俺の偏見か、、、」

 

 咲月「多分そうだね。やっぱり異性問わず一番信頼されていることの方が安心するよ♪」

 

明日人「、、、確かにそうかも」

 

 咲月「うんうん、、、あ、スティラさんが懐いてるなら心配することはなかったね」

 

明日人「ホントだ」

 

2人は笑い合い、その後再びGGOにログインした。

 

 

グラハムのホーム…

 

 

スティラ「お帰りなさい、グラハムさん、エディさん」

 

グラハム「ただいま」

 

グラハムはスティラのレベル上げに付き合う為に外出するものの、それ以外では滅多に外出しなくなってきた。

 

グラハム「お腹空いたよね、すぐに何か作るよ」

 

スティラ「グラハムさんの手料理ですか、、、とても久しぶりなので楽しみです!」

 

スティラはグラハムの手料理と聞くと、明るくなった。

スティラの明るい声色を聞くのは初めてだ。(実質)半年一緒にユーフォニアにいた時は明るい声を聞いたことがない。

 

 

数分後…

 

 

 エディ「はい、あ〜ん♪」

 

グラハム「ひ、1人で食べられるよ!」

 

 エディ「フフ♪」

 

口ではこう言ってるけど、目の前にスティラがいなかったら間違いなく食べさせて貰っただろう。

 

スティラ「フフッ、お二人は仲がとてもよろしいですね。失礼な質問をさせて頂きますが、喧嘩をなさったことはないんですか?」

 

 エディ「そういえば、今まで喧嘩したことないね」

 

グラハム「そうだな、まぁそれはエディが良い子だからだよ」

 

 エディ「グラハムの接し方が良かったのもあるよ♪」

 

スティラ「微笑ましい限りです。、、、今気づきましたがお2人の薬指に付けているの、結婚指輪ですか?」

 

スティラは指輪の存在に気づいた。

 

 

グラハム「あ、あぁ。言っていいのかな?」

 

 エディ「うん、スティラさんなら信用できるし大丈夫だと思う」

 

グラハム「分かった」

 

その時スティラはもしやという顔をしていた。

スティラの心情こんなに分かりやすかったっけ。

 

グラハム「実は、、俺とエディは、付き合ってるんだ。お互い両想いで」

 

やっぱり付き合っていることを告げるのは照れくさいな。恥ずかしさで耳まで赤くなってたらどうしよう。ってか左薬指に指輪をつけるのは気が早すぎたな。

 

スティラ「そうだったんですね、、、た、確かお2人は兄妹だったと仰っていたような」

 

 エディ「色々と事情があって、私達は義兄妹なの」

 

エディはそう言うと、スティラは少し真剣な顔になった。

 

スティラ「嫌なら話さなくて結構ですが、もし良ければその事情を聞かせて頂けませんか?」

 

 エディ「長くなるよ?」

 

長くなることを確認すると、スティラは再び微笑んだ。

 

スティラ「構いませんよ」

 

スティラの承知を確認すると、エディは俺達の過去を話し始めた。

 

 

数分後…

 

 

スティラ「そんなことが、、、酷い両親ですね」

 

 エディ「あの時は本当に辛かった、、、でも、そこに明日、、グラハムが目の前に来て私をこの場所に迎え入れてくれたからこうして生きてる。どんなに感謝の言葉を並べても足りないぐらいにね」

 

グラハム「エディ、、、」

 

グラハムは抱きしめようとしたが、目の前にはスティラが座っているので我慢した。

こんなに抱きしめたいと思ったことは今までなかったから顔に出てないかな。

 

スティラ「エディさんとグラハムさんの出会い方、私に似ています」

 

 エディ「そうなの?」

 

スティラ「えぇ、私も身の危険が迫っていた時にグラハムさんが加勢してくれたんです。やはりグラハムさんは国民達が信頼している理想通りの英雄ですね」

 

 エディ「へぇ、、、グラハムは本当に皆から愛されてるね♪」

 

グラハム「愛されてることについては認め、、、るけど、英雄は違うよ。俺はただ皆を救いたいっていう考えだけで動いてるからね」

 

 エディ「じゃあ、グラハムの中の英雄って?」

 

それ聞いちゃうか、、、。俺の中の英雄、、、。

 

グラハム「う〜ん、大切な人を守る力、瞬時に作戦を立てられる思考能力、状況を利用する技能能力の3つを持つ人のことかな。そんな人滅多にいないけどね」

 

こんなもんかな。俺はユーフォニアの兵士達を守れず、一時は国が滅びる道へ辿らせてしまったから英雄とは程遠い。

 

 エディ「結構条件があるのね。でも、グラハムは私やスティラさん、クレハ、コハル、大切な人達を守れてる。だから明日人の言った3つが揃ってなくとも私達の英雄だよ♪」

 

本名出しちゃってますよ咲月さん。

 

スティラ「その通りですね、私も同じ考えです」

 

グラハム「そういうもんか、、、ありがとう?」

 

 エディ「どういたしまして♪さ、今からもう一度スティラさんのレベル上げに行こ!」

 

切り替え早いな、今回はそれでいいんだけどさ。

 

グラハム「そうだな、スティラをもっと強くする為に」

 

スティラ「グラハムさんエディさん、ご指導よろしくお願いします」

 

グラハム「了解!」

 

英雄の話はこれで終わりにしてもらえそうだ。でも、英雄系の話はあまり好きじゃないけど、咲月だけじゃなく皆から本当に認めてもらえてるようで嬉しかったな。

 

 




ピンクマ「今回若干長くなったな」


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第35話「敵の乱入」

 

GGO、雪原…

 

 

グラハムはスティラのレベル上げをもっと効率的にしたいと考え、エディとスティラを連れて雪原のエネミー狩りをしていた。

 

スティラ「あの大型の人型機械、とてもダメージが入りづらいです!」

 

相手はネームドエネミーのアースシェイカー、巨大でつい身構えてしまうが弱点が丸出しなので以外と倒しやすい。

 

グラハム「背中の青い出っ張りが弱点だ!そこを狙って!」

 

スティラ「あれですね、、はぁぁ!」

 

因みにスティラの装備はガン&ソード。とは言えほぼハンドガンは使っていないが。

スティラはGNドライブで浮上し、アースシェイカーの背後に回り込み急所にソードスキルを放つ体制をとる。ソードスキルとは言ったが、スティラは別世界のプレイヤー?の為システム外ソードスキルが多様されている。

 

スティラ「GNシャープスラッシュ!」

 

スティラは剣身にGN粒子を付着させ、弱点を目掛けて技を放った。

 

グラハム(そういえば、スティラは太陽炉の取り扱い実績を取得してるんだった。あの時より動きが綺麗だな)

 

歪むことなく弱点を一刀両断した後、スティラがふわりと下降してきた。

 

スティラ「敵の弱点を教えて頂きありがとうございます。レベルは、、、39になりました」

 

グラハム「うんうん、順調かな」

 

 エディ「順調な方だよね♪」

 

このままどんどんレベルを上げさせてスティラが簡単に倒されないように成長させよう。

 

タァンッ!

 

スティラ「うっ、、、!」

 

グラハムが思考を巡らせていると、スティラが何処からか狙撃された。

 

グラハム「スティラ!?」

 

 エディ「大丈夫!?」

 

スティラのHPバーはどんどん減少していく。

おいおい、HP全消はやめてくれよ、、、!

 

スティラ「くっ、、、視界が赤く染まっています」

 

HPバーはギリギリの所で止まり、赤く点滅している。

ヘッドショットじゃなかったのは不幸中の幸いだ。

 

 エディ「HPが全部無くならなくて良かった、、、」

 

グラハム「ともかく、ここから離れよう。スティラ、俺に掴まって」

 

スティラ「はい、、申し訳ありません」

 

トランザムが手っ取り早いのだが、スティラにはまだトランザムの扱い方を教えてない為、グラハム達はUFGでの逃走を試みる。すると敵はそれを許さないのであろう、スナイパーで一斉攻撃を仕掛けてくる。

 

グラハム「何人いるんだ?、、、!エディ、あのちょっとした洞窟に身を潜めよう」

 

 エディ「分かった」

 

グラハム達は高低差のある地形を利用し、敵からの視線を切ってから洞窟の中に入った。

 

グラハム「ヒーリング弾を撃つね」

 

パンッ

 

スティラ「ありがとうございます」

 

スティラはヒーリング弾を撃ってもらった後、ゆっくりと岩にもたれかかった。

 

スティラ「グラハムさんと再開してから、なんだか私は助けられてばかりですね。帰還したら、また何か恩返しさせて下さい」

 

グラハム「いやいいよ、警戒してなかった俺の責任だ。さて、ここか、、、」

 

 エディ「クシュン!」

 

洞窟から出るタイミングを話そうとすると、エディがくしゃみをした。

 

グラハム「、、、大丈夫?」

 

 エディ「ご、ごめん!会話の邪魔になっちゃったね」

 

グラハム「邪魔になってないから大丈夫だけど、、俺のコートいる?」

 

 エディ「明日、、、グラハムだって寒いはずなのに、、、あ、もう一着持ってたんだっけ。なら甘えようかな」

 

エディはグラハムの着ていたオレンジのコートを着込み、グラハムはもう1枚のコートを着直した。

 

スティラ(私がくしゃみをした時もグラハムさんはコートを貸してくれたな)

 

ザッ、ザッ、ザッ、

 

グラハム達がひと休憩していると、洞窟の外から複数の足音が聞こえてくる。

 

グラハム「くそっ、もうここまで詰めてきたのか?」

 

グラハムが小声で気を引き締める。

 

 エディ「スティラさんのレベルはまだ不十分なのに、、、」

 

グラハム「俺達が仕留めるしかない。スティラは洞窟に残っていて」

 

スティラ「でも、グラハムさん達に負担が、、、」

 

グラハム「な〜に、きっと相手は大したことないよ。そうだ、仮に洞窟に入られた時の為にこのガジェットを使って」

 

スティラ「これは、、、」

 

 

洞窟の外…

 

 

グラハム達の潜んでいる洞窟の外では、地上を歩いている敵プレイヤー4人と空中を擬似太陽炉により飛行している敵プレイヤー3人がいた。

 

 

敵地上チーム…

 

 

 敵A 「あいつら何処に行った?」

 

 敵B 「あの髪色とダメージ数からしてあの女、運営が言ってたNPCだな」

 

 敵A 「それにしても、なんでその女がラグを起こしたって言われてるNPCって分かるんだよ」

 

 敵B 「見たんだよ、月面に赤紫の光と共に現れた初期宇宙服を着た女を。レベル1で月面っておかしくないか?」

 

 敵A 「そりゃ確かにな」

 

 敵B 「しかもそのNPC、あのグラハムと組んでたんだぜ」

 

 敵C 「そ、その人って確かアファシスType-Xを先行入手したり、唯一オリジナルの太陽炉を所持している人ですよね」

 

 敵B 「そうだ。なんだかとても怪しくてよ、グルなんじゃないかってn、、、」

 

ドォン!

 

敵プレイヤーが話し終わる前に、スナイパーで頭を射抜かれた。

 

 敵C 「なっ!?」

 

 敵D 「右上の洞穴からだ!」

 

敵達が視線を向けると、グラハムのコートを元の装備の上から着込んでいるエディがスナイパーを構えていた。

 

 敵A 「あそこにいるのがグラハムだ!空中部隊は先行してくれ!」

 

敵はオレンジのコートを着ているという理由で、グラハムとエディを勘違いしている。

 

パシュン!パシュン!

 

空中部隊が光学ライフルでエディに

 

 エディ「くっ、、、明日人、早く、、、」

 

エディも負けずとヘカートで対抗する。グラハムが背後を完全に取るまで。

 

ヒュン…

 

敵の空中部隊の1人が撃ちながら何かに気づく。

 

 空敵A「、、、なんか粒子音増えてないか?」

 

 空敵B「そんなまさか」

 

 空敵A「気のせいか、、、」

 

 空敵C「う、上!」

 

パシュン!パシュン!パシュン!

 

敵3人が上を向く前に粒子ビームがクリーンヒットし、空中部隊を全滅させた。全滅させた人物は、もちろんグラハムだ。

 

グラハム「背後に回らなくても倒せて良かった」

 

 敵A 「空中の奴らが全滅、、、」

 

 敵D 「洞穴前の奴がグラハムじゃなかったのか!?」

 

 敵C 「深追いしない方が良かったんじゃないでしょうか、、、?」

 

 敵B 「ぐぬぬ、、、さっきスナイパーで命中させたNPCさえ倒せばいいんだ!」

 

地上部隊の敵4人も太陽炉で浮上し、洞穴へ急接近する。

 

 エディ「スナイパーじゃ駄目ね、GNソードビット!」

 

エディの射出した6基のソードビットが敵を目掛けて飛んでいく。

 

 敵D 「誰か!フォローするからNPCがいるかもしれない洞穴へ飛び込め!」

 

 敵B 「俺が行く!」

 

敵がスティラのいる洞窟へ侵入しようとする。

 

 エディ「させない!」

 

エディがドラケLシャマルを取り出し、瞬時に洞窟へ入ろうとする敵に向かって射撃する。

 

 敵B 「ハイパーセンス!」

 

 エディ「侵入されちゃう!」

 

グラハム「くそっ、けどきっと大丈夫、、、」

 

ハイパーセンスを習得している奴らが段々増えてきたな。いや、余計なことは考えず、スティラのいる洞窟へ向かわないと。

 

 

洞窟…

 

 

グラハムとエディが敵と交戦している間、薄暗い洞窟の中にスティラは身を潜めている。

 

スティラ(グラハムさんとエディさんは大丈夫かな、、、)

 

 敵B 「何処にいる!」

 

スティラ(ッ!)

 

いきなり洞窟の入口から罵声が鳴り響き、スティラは思わず声を漏らしそうになる。

 

スティラ(グラハムさんに教えてもらったガジェットを使わなきゃ)

 

スティラはグラハムから教えてもらったガジェット、『メタマテリアル光歪曲迷彩』を使用し、姿を透明にした。

 

 敵B 「いないってことはないだろ!」

 

スティラ(お願い、この制限時間が終了する前に出ていって、、、)

 

敵が出ていく前にガジェットの効果時間が切れたらほぼ間違いなく戦うことになる。スティラのレベルは39、それに比べて敵は150なのでいくら対抗しても敵わない。

 

 敵B 「おわっ!」

 

 エディ「ここに立ち入らないで」

 

エディは敵の背中をビームサーベルで貫くと、一言告げてから上に斬り上げた。

 

 エディ「スティラさん、大丈夫?」

 

エディが小声でスティラの安否を確認すると、スティラが現れた。どうやら丁度ガジェットの効果が切れたようだ。

 

スティラ「はい、私は大丈夫です。それよりも、グラハムさんが1人だと厳しいのでは、、、」

 

 エディ「大丈夫、グラハムは複数人を相手にしても負けないよ」

 

スティラ「そうですよね、グラハムさんがあんな人達にやられるはずがない」

 

そんな話をしているうちに、洞窟の外から戦闘音はしなくなった。

 

 エディ「終わったかな」

 

エディがそっと洞窟から出ると、丁度グラハムが降りてくる姿を見た。

 

 エディ「お疲れ様、きつかった?」

 

エディが洞窟から出ると、スティラも続いて出る。

 

グラハム「ライフルビットで乱射したから問題ないよ。それより、スティラの支援に回ってくれてありがとう」

 

 エディ「うぅん、スティラさんがすぐ光歪曲迷彩を使ってくれたおかげだよ」

 

スティラ「いえ、グラハムさんからガジェットの使用方法を教えて頂けたおかげなのと、エディさんが助けに来てくれたおかげです」

 

そう言うとスティラは2人に深く頭を下げた。

 

グラハム「そんなかしこまらなくても、、、」

 

スティラ「私、いつかはお2人を守れるようになりたいので、明日からまたレベル上げというものにお付き合い頂けますか?」

 

スティラの真剣な表情に、グラハムは心に来るものがあった。

いつの日か、スティラにユーフォニアを守ると誓った時のような気持ちを。

 

グラハム「あぁ、もちろん!」

 

グラハムは微笑んで了承した。

 




ピンクマ「毎度待たせてすいません!」


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第八章 セカンドステージ
第36話「それでもあなたは」


 

グラハム(スティラがGGOに来てから何週間経ったっけ、、、)

 

そう思いながら、今日もグラハムは朝早くからGGOにログインする。

 

グラハム(いつかは現実世界のことも話さなくちゃならないな)

 

スティラ「おはようございます、グラハムさん。今日の夜はどちらにいらしてたんですか?」

 

ログイン処理を終えると、スティラがホームで武器の強化をしていた。

 

グラハム「少し遠出をしていたんだ。次の戦闘区域の下見をした為にね」

 

実際は現実世界で寝てたんだけどね。

 

スティラ「そうだったのですね。その戦闘区域は何処なのてすか?」

 

グラハム「再び月へ向かおうと思う」

 

スティラ「無重力空間ですか、、、私がお供しても大丈夫なのでしょうか?」

 

グラハム「大丈夫だよ。この数週間でスティラのレベルは140まで上がったし、武器の手入れだって自身で出来るようになった。宇宙での大きな動きは確かに不安だろうけど、その場合は俺達が必ず守るから」

 

正直俺も久しぶりの宇宙戦だから不安だけど、俺がしっかりしてなきゃスティラを守れない。

 

スティラ「分かりました、精一杯頑張ります!」

 

グラハム「よし、それじゃあ、もうすぐエディ達もホームに戻って来るはずだから待っていようか」

 

スティラ「はい。あ、すいません、聞きたいことがあるのです」

 

スティラは武器の手入れを止めてグラハムに質問した。

 

グラハム「お、何?」

 

スティラ「グラハムさんの、えっと、赤く光って高速移動する力は私にも使えますか?」

 

グラハム「トランザムか。あれはまだスティラには早いと思う、、、かな。練習したいと思うなら協力するけど、俺も完璧って訳じゃないからちゃんと力になれるか分からないんだ」

 

トランザムで今まで何度体勢を崩しそうになったことか。

 

スティラ「そうだったのですね。でしたら、今から私と少しだけとらんざむ?の練習を行いませんか?」

 

グラハム「いいの?」

 

スティラ「はい、これもまたグラハムさん達を守る為です。そして、隠し玉として習得しておきたいですし」

 

確かに何かしら能力を身につけさせたいな。

 

グラハム「分かった。エディ達が来るまでもう少し時間がかかるはずだから練習しよう」

 

 

残影の荒野…

 

 

上手く教えられるかな、、、いざとなったら俺が壁がわりやら何やらやってやるか。

 

グラハム「え〜と、俺が補助してみせるから、まずはスティラが自由にやってみて」

 

スティラ「了解です、、トランザム」

 

スティラは不安そうにしながらもトランザムを発動させた。

トランザムは必ず安定するようになってるのかな。今まで見てきたトランザムを使ったプレイヤーを思い返すと、失敗している人はいない。

 

スティラ「あの人型は見えますか?あの敵を狙います」

 

グラハム「あそこか、了解」

 

スティラのターゲットは約70m先にいるヒューマノイド・デストロイヤーだ。そいつの武器はロケットランチャーだから直撃はないだろう。

 

スティラ「行きます、、、!」

 

スティラは宣言すると一瞬でグラハムの前から消える。

 

グラハム「あの速さに耐えられるかな?」

 

 

同時刻、スティラ視点…

 

 

スティラ「これが3倍の速さ、、、っ!もう目の前に!」

 

スティラはトランザムの速さに驚きつつも、前方のヒューマノイド・デストロイヤーを視認する。

 

スティラ(ダメ、剣を取り出す時間が、、、!)

 

スティラはそう思い、やむを得ず瞬時にエネミーを蹴り上げる。

 

スティラ「これでぇ!」

 

蹴り上げた後、後方へ一回転し剣を取り出し一振りでエネミーを撃破した。

 

スティラ「、、、ふぅ」

 

グラハム「お疲れ様、初めてなのによく蹴りを入れられたな」

 

スティラ「実は、あれは奇跡的に命中しただけです」

 

グラハム「そうだったんだ、、でも、その後の剣技も見事だったよ」

 

スティラ「ありがとうございます。そう言って頂けると励みになります」

 

 

ピロリンッ

 

 

スティラが感謝を述べていると、エディからメッセージが届いた。

 

グラハム「エディからか。スティラ、エディ達が帰ってきたみたいだから戻ろうか」

 

スティラ「了解です」

 

 

ロケット発射台…

 

 

グラハムとスティラがロケットに乗り込んだ時には、既にエディ達は座席に座っていた。

 

グラハム「ごめん、待たせた!」

 

 エディ「大丈夫だよ、トランザムの練習してたんでしょ?」

 

グラハム「あれ、見てた?」

 

 エディ「うぅん、スティラさんがメールくれたの」

 

グラハム「そうだったんだ」

 

いつの間にやり取りしてたんだ、、、。でも、スティラがこの世界でのルールに慣れてきたってことかな?

 

アファシス「皆さんシートベルトは締めましたか?」

 

グラハムが2秒ほど考え込んでいると、運転席に座っていたアファシスが安全確認を取った。

 

グラハム「あ、ちょっとだけ待って、、、よし、もういいよ!」

 

アファシス「それでは飛び立ちますね!」

 

ゴゴゴゴゴ………

 

 

月面都市のグラハム達のホーム…

 

 

グラハム「残影の荒野から戻ったよ」

 

 コハル「おかえり!」

 

 クレハ「遅いわよ〜!」

 

グラハム「現実より2、3日も早いけどな」

 

 クレハ「現実と比べるものじゃないでしょ!」

 

スティラ「現実、、、?ここはグラハムさん達の世界じゃないのですか?」

 

スティラが『現実』という言葉に引っかかって反応した。

 

 エディ「それは、、、」

 

グラハム「もういいかも、いずれ言わなきゃならないから」

 

グラハムは誤魔化そうとしてくれるエディを引き止めた。

 

スティラ「?」

 

グラハム「スティラ、ずっと黙っててごめん。俺達は、その、、さらに別の世界の人間なんだ。この世界よりずっと向こう?の星に住んでるんだ」

 

スティラに黙っていたことが多すぎて流石に信用がなくなってきてるかもな。てかもう全くないかもしれない、、、。

 

 エディ「黙っててごめんね、本当はスティラさんがこの世界に来てすぐの時に言ってあげたかったんだけど、それだと混乱するかなと思ったの」

 

スティラ「、、、」

 

ずっと秘密にしてたことを怒ってる?でも言っちゃ失礼だけどスティラはその程度で怒らないはず、、、。

 

グラハム「あ〜、怒ってる、、、?」

 

何故俺は怒ってるか確かめた?怒ってたら間違いなく殴られるやつ。

 

スティラ「あ、いえ!怒ってないです!」

 

グラハム「そ、そう?スティラって自分の思ったことをあまり表に出さないから気分を害してるんじゃないかと思ってね、、」

 

スティラ「大丈夫です、グラハムさん達に対して嫌悪など一切ないので!」

 

良かった、怒ってないみたいだ。もうデリカシーのない発言はするんじゃないぞ俺。

 

 クレハ「、、、それじゃあ、秘密を明かしたところで、月面攻略再開するわよ!」

 

少し気まずくなりそうな雰囲気をクレハが流してくれた。

 

グラハム「そうだな、そうしよう」

 

スティラは秘密を黙っていたことをあまり気にしていないようだったが、グラハムは申し訳なさで調子を取り戻すのにしばらく時間がかかった。

 

 

夜、寝室にて…

 

 

グラハムが調子を取り戻した後、スティラ達との時間はどんどん過ぎていき、早くも1日が終了した。グラハムはエディを横に眠らせてからシステムウィンドウを操作している。

 

グラハム「月面だから体内時計が狂うな、、、。しっかり現実の時間を確認しながら行動しなきゃ」

 

シュイン…

 

グラハムが独り言を終えると寝室の扉が開いた。その開いた先には、エディから貰ったワンピースを着たスティラがいた。

 

スティラ「あ、すみません、ノックしようとしたんですがまだ自動ドアに馴染めていなくて、、、」

 

グラハムは隣で眠っているエディを起こさないように、控えめの声量で話しかける。

 

グラハム「大丈夫だよ、どうしたの?」

 

スティラ「これからグラハムさんが眠るところでしたら下がるのですが、もしそうでなければもう少しお話したいなと思いまして」

 

グラハム「いいよ、すぐ行く」

 

グラハムはシステムウィンドウを閉じ、エディを優しく撫でてからリビングに向かった。

 

 

リビング…

 

 

スティラ「今日はトランザムの練習に付き合って頂き、本当にありがとうございました」

 

グラハム「礼なんていいよ、何もコツとか教えてあげられなかったから」

 

スティラ「それでも見守って頂けたので何かお礼をさせて下さい」

 

グラハム「お礼をさせてと言われても、いつも部屋の掃除とか言わなくてもやってくれてるから逆に礼がしたい」

 

この流れも久しぶりだな。

グラハムがユーフォニア王国にいる時、何か感謝することが起こればスティラとお礼の言い合いをしていたのだ。

 

スティラ「この流れ、懐かしく感じますね」

 

スティラも同じことを思っていたらしい。

 

グラハム「うん、俺もそう思ったよ。フワァ、、、」

 

スティラ「フフッ、すいません、眠る時間を取ってしまって」

 

グラハム「い、いや!今のは失礼すぎた!、、、でかい声出ちゃった」

 

俺朝から失礼極まりないことしかしてないよ、、、。

 

スティラ「大丈夫ですよ。眠るのであれば、こちらに来ますか?」

 

グラハム「?」

 

何処に?と思っていると、スティラはソファに座り、膝をスカートから出した。

 

グラハム「あ〜、その気持ちはすっごく嬉しいんだけど、俺が完全に眠っちゃったらスティラの脚がしびれちゃう」

 

スティラ「痺れの心配はございません。それに、、、」

 

グラハム「それに?」

 

スティラはスカートから膝を出した状態のまま微笑んだ。その微笑みは何か企んでいるように見える。

 

スティラ「グラハムさんが本当に失礼だと思っているなら、謝罪の意を示す為に来てくれますね?」

 

そうきたか、やるなスティラ、、、。俺が情けなさすぎるだけかもしれないけど。

 

グラハム「うっ、それを言われると何も言い返せない。そ、それじゃあ、甘えさせてもらおう、かな」

 

グラハムはソファに歩み寄ってスティラの素足に頭を乗せた。

 

グラハム「し、失礼します」

 

スティラ「はい、、、♪」

 

うわ〜、柔らかくて気持ちいい。エディがいるというのに、俺はなんて罪なやつなんだ、、、。

 

グラハム「俺の髪の毛でチクチクしない?」

 

スティラ「意外と髪質は固くないので大丈夫ですよ」

 

そう言いながらスティラはグラハムの頭に手を添える。

やめて、めっちゃドキドキするから。これから恥ずかしさで顔を合わせて話せなくなりそう。

 

スティラ「グラハムさん」

 

グラハム「な、何?」

 

グラハムがスティラの顔を見て話す為に自身の顔を向けると、思ったよりスティラの顔との距離が近かったので思考が一瞬止まった。

 

スティラ「今朝、グラハムさん達は別世界の人って言ってましたが、本当の名前があったりするのですか?」

 

グラハム「鋭いな、あるよ、本当の名前」

 

スティラ「私、もっとグラハムさんのことが知りたいので、教えて下さい」

 

グラハム「いいよ。俺、本当は繊月 明日人っていうんだ」

 

スティラ「せんげつ、、、何だか不思議な名前です」

 

グラハム「多分、俺達の世界の概念とは違うからかな」

 

概念じゃないな、人種って言えばいいの?アメリカ人の名に近いって言いたいけど伝わるかどうか。

 

スティラ「繊月さんは元いた世界でもトップレベルの剣士なのですか?」

 

グラハム「いや、信じられないかもしれないけど、本当の俺はただの民間人だよ」

 

スティラ「本当に信じ難いですね、、、。それでも、あなたは皆を救える力を秘めているはずです。それがどのようなものかは分からなくとも」

 

グラハム「ありがとう。なんだか胸にきたよ」

 

スティラ「少し、出しゃばり過ぎましたね。お話に付き合って頂きありがとうございました」

 

グラハム「出しゃばってなかったから大丈夫だよ。こっちこそありがとう楽しかったよ、おやすみ」

 

スティラ「おやすみなさい」

 

グラハム(スティラがベッドへ移動するから動かなきゃ、、、なのに、睡魔が、、、)

 

グラハムはスティラに膝枕されながら眠ってしまった。

 

スティラ「ここで眠ってしまった、、、今日も私達を懸命にフォローしてくれましたからね」

 

静かに頭を撫でながらスティラもうとうとし始める。

 

スティラ「また明日もよろしくお願いしますね、、、」

 

グラハムをしばらく撫でた後、スティラも続いて眠りについた。

 




ピンクマ「5000文字近くになっちゃった!でも投稿間隔遅いからいい、、、のかな?(笑)」


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第37話「潜入開始」

 

グラハムのホーム、リビングにて…

 

 

 エディ「何でリビングでねてるのかしら」

 

スティラ「私とお話してて、そのまま眠ってしまったのです」

 

 コハル「それにしても、グラハムの寝顔、久しぶりに見た」

 

 クレハ「フフッ、可愛い♪」

 

 エディ「貴方もしかしてまだ明日人を諦めてない?」

 

グラハム「ん、、、」

 

グラハムが皆の声で目を覚ます。仰向けの状態で左を向くと、反対側のソファでエディ、スティラ、コハル、クレハがじっと見ていた。

 

グラハム「お、おはよう。何で皆揃って俺のこと見てるの?」

 

 エディ「明日人の寝顔可愛いな〜って思ってたから皆で見てたの」

 

グラハム「俺の寝顔そこまで良いとは思わないけど、、、てか恥ずかしいから見るな、、、」

 

 

ピロリン

 

 

そんな話をしていると、グラハムへ一件の通知が来た。

 

グラハム「ん?ツェリスカからだ」

 

 エディ「もしかして、元の世界に帰すことができる装置が?」

 

グラハム「、、、できたみたいだね。まさかのそれをプレゼントしてくれたみたい。動作試験協力者的な?形でらしい」

 

 エディ「凄いね、、、で、どうやってするの?」

 

グラハム「ん?」

 

 エディ「スティラさんの世界のソフトは一緒に届いてたりするのかな〜って」

 

グラハム「あ、、、」

 

そうじゃん、スティラの世界へ向かう手段があっても、データ自体がなければ意味がない。

 

 

ピロリン

 

 

グラハム「あ、またツェリスカから通知だ」

 

スティラ「次はなんと言ってますか?」

 

グラハム「『ごめんなさい、世界のデータは見つからなかったわ』、、、てことはスティラの世界のカギはあの病院の地下にしかないのか、、、うん」

 

こうなれば、病院に忍び込むまで。

 

 コハル「グラハム、もしかして危険なこと考えてない?」

 

グラハム「まさか、危険なことする度胸はない」

 

 エディ(私には分かる、絶対何かする、、、)

 

 

現実世界、明日人の部屋…

 

 

明日人はログアウトし、リビングで咲月と一緒に朝ご飯を食べてから再び自室に戻った。

 

明日人「大丈夫、さっと行って帰ってくるだけ、、、」

 

 

コンコンッ

 

 

『あの場所』へいつ行くか考えていると、ドアのノックが聞こえた。

 

明日人「いいよ」

 

 

ガチャ…

 

 

部屋へ入って来ると、咲月は心配そうな顔で話して来た。

 

 咲月「明日人、本当に行くの?」

 

明日人「何処に?」

 

 咲月「隠さないで、表情で分かるんだから」

 

咲月は明日人が何をするつもりか察していたようだ。

 

明日人「やっぱり咲月には隠し事はできないな。、、、俺は、あの病院の地下に行くよ」

 

 咲月「危険よ、、、」

 

明日人「でも行かなきゃ、スティラの世界はあそこにしかない。それに覚悟の上だ」

 

 咲月「そっか、、、気をつけてね」

 

明日人「うん、気をつける」

 

明日人は咲月の心配を和らげる為に、部屋の入口に立ち尽くしている彼女を抱いた。抱くと咲月の髪の甘い香りが漂ってくる。

 

 

20時、病院前…

 

 

明日人「落ち着け、、、平常心、、、」

 

明日人は朝からずっとどのように潜入するか考えていた。あとは運にかけるだけ。

 

明日人「えっと、病院に入って右をずっと進めば地下室の扉が見えるけど、絶対監視カメラがあるよな」

 

以前の記憶を頼りに、明日人は地下への階段を目指す。

 

明日人(あれだ)

 

見つけた階段の前には、三角コーンと立入禁止のテープが貼られている。階段付近には幸い監視カメラはない。

 

明日人(地下室に鍵がかけられてませんように)

 

小さな確率を祈りながら階段を降りて行く。降りれば降りるほど足元が暗くなっていく。そして遂に問題の地下室の扉の前へきた。暗くて見づらいが扉に隙間があり念の為そこから覗いてみると、部屋の中に人はおらず、暗い部屋の中でパソコンの画面が4台ほどついている。隙間から目を離すと明日人はドアノブに触れる。

 

明日人(、、、鍵は開いてるな、入ろう)

 

明日人はなるべく音を立てずに部屋へ潜入する。潜入すると、ドアをゆっくり閉め、パソコン4台の元へ駆け寄る。

 

明日人「えっと、、、」

 

 

 

────────────

GGO、昼頃のグラハムのホーム…

 

ツェリスカ「世界が見つからないなら付属のUSBに保存しなきゃねぇ、、、」

 

グラハム「USBに?」

 

ツェリスカ「えぇ、グラハム宛に送るVR転送装置の他にはね、大容量で特別なUSBも送っておいたの」

 

グラハム「え〜っと、キャラデータをより簡単に持ち運べるとか?」

 

ツェリスカ「いいえ、VRMMOデータ、世界丸ごと読み込ませることができるの」

 

グラハム「へぇ、、、」

 

ツェリスカ「でも、製作者のパソコンに使わなきゃ意味ないけどね。だからグラハムも使えないわ」

 

────────────

 

 

ツェリスカはまさか俺が危険を犯してまでUSBを使おうとしているとは思ってないであろう。

 

明日人「きっとこのパソコンのどれかに、、、頼む、、、」

 

明日人は慣れない手つきでマウスとキーボードを操作し、急いでスティラの世界のデータを探す。

 

明日人「急げ、急げ、、、これか」

 

探し初めて約7分、ようやくスティラの世界と思われるフォルダを発見した。フォルダ名は「人体活性化空間」、モヤモヤする。

それより、この場所に関係者がいつ来てもおかしくない、早くUSBを挿さなければ。

 

明日人「よし挿した。所要時間は4分、流石特別なUSBとは言いたいけどそれまでに関係者が入って来ないかどうか」

 

緊迫があふれ、ふと右上のモニターに視線を移すと、とあるものが目に見えた。

 

明日人「これは、、、」

 

 




ピンクマ「今回は『続きが気になる!』って感じが強くなる終わり方にしました(笑)」


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第38話「元いた世界への道」

 

明日人の見たモニターには、妙なカルテが映し出されていた。『反応速度』、『DNA』、『能力』、などなど。

 

明日人「これは、俺の、、、?」

 

そのカルテは明日人のものであった。奇妙なデータは理解できずとも、『誕生日』、『年齢』、『手術日』ではっきりと確信した。

 

明日人「気味悪い、、、」

 

そう言いながらも明日人はそのパソコンを操作しだした。1つ前の画面に移動すると、明日人以外の名前もいくつかあった。

 

 

 

●● ■■■ 23歳 イノベイター(不完全)

重度の脳障害が発生し死亡。

 

▲▲▲ ■■ 19歳 イノベイター(不完全)

脳障害に一度は耐えるも、二度目の脳障害で死亡。

 

繊月 明日人 17歳 イノベイター(おそらく完全)

二度目は低い影響力とはいえ、脳障害に二度も耐える。

そしてたまに確認される反応速度が我々の基準値を超えている。

 

 

 

明日人「俺以外にもこの地下へ来た人が、、、って当たり前か。それより、脳障害で死亡って、、、GGOで見たヒューマノイドが関わってそうだな」

 

『ヒューマノイド コンプリート』で脳障害を与える理由ってなんだ?

明日人はその場で考え込もうとすると、USBを差し込んだパソコンの画面が切り替わったことにより我に返る。

 

【ワールドデータのダウンロードが完了しました。】

 

明日人「あとは帰るだけ、、、けどこのデータもできるなら取りたい。この万能なUSBでダウンロードできるかな」

 

地下の関係者がまだ戻って来ないことを祈り、USBを仮想世界をダウンロードしたパソコンからカルテ等のパソコンに差し替えた。ダウンロード時間は2分半。

 

明日人「ダウンロードしてる間に他を調べよう」

 

明日人は辺りを見渡した。すると、暗くて見えなかったがパソコンの隣に、液体を入れた試験管を数本見つけた。

 

明日人「これは何だ?」

 

確認する為に明日人はその試験管をパソコンの光で照らした。血だ。試験管を固定していた台には人の名前がラベルで書かれている。

 

〘11月19日 繊月 明日人〙

 

俺の血だ。どうやって保存してるんだよ、今12月だぞ?

今まで痕跡を付けないように部屋の物はなるべく触らないようにしていたが、明日人は血の入った試験管を固定台ごと鞄に入れた。

家で捨ててやる。

蓋がされている為溢れることはないと思うが、試験管同士でぶつかり音がなる為帰る場合は侵入してきた時以上に警戒しなければならない。

 

【イノベイターカルテのダウンロードが完了しました。】

 

そう考えているうちにカルテのダウンロードが終了した。

あとはいじった画面をもとに戻し、家に帰るだけ。

 

明日人「よし、もう脱出しよう。こんな気味悪いのは警察に言えば何とかなるだろ」

 

明日人はパソコンからUSBを抜き、音を出さないように地下室の扉を開き、退出した。

 

コツッ、コツッ、コツッ

 

扉を閉めると誰かが階段を降りる音がしている。誰かと言っても関係者しかいないが。

 

明日人(タイミング最悪じゃねーか!)

 

見つかるとマズイ。明日人は急いで真っ暗な階段裏に身を潜めた。

 

明日人(階段裏なら気づかれないだろ)

 

すると、白衣を着た人が地下室へ入っていった。

 

明日人(よし、今のうちだ)

 

念の為、もう一人来ないかを音で確認した後、明日人は階段を登り1階へ戻った。病院から出ると、家まで全力で走った。

 

 

9時半、家の前…

 

明日人「ぜぇ、、、ぜぇ、、、久しぶりに全力で走った、、、。あ!無我夢中で走ったけど俺の血割れてないよな!?」

 

急いで鞄の中を確認すると、試験管は無事割れていなかった。

 

明日人「良かった、、、てかこの固定してるやつすげぇな。試験管をさらに透明の素材で包み込んでる。ってそれはあとでいいや、早く中に入ろう」

 

 

ガチャ…

 

 

明日人「ただいま〜」

 

 咲月「おかえり!」

 

扉を開けると、すぐに咲月が出てきてくれた。

 

 咲月「大丈夫だった!?」

 

明日人「問題なし。睨んだ通り、病院にスティラの世界があったよ。それを保存してきた」

 

 咲月「良かった、、無事に目的は果たせたんだね!」

 

明日人「うん、それじゃあ早速スティラに話しに行っていいかな?」

 

 咲月「大丈夫だよ、行ってらっしゃい♪」

 

明日人「ありがとう」

 

 

明日人の部屋…

 

 

明日人は自分のパソコンにUSBを差し込み、病院で見たカルテをもう一度確認した。

 

明日人「イノベイター、俺以外にもいたんだな。って俺、脳障害で殺されかけてたのかよ、、、。もう今日見るのは止めだ止め、スティラを帰す準備をしよう」

 

パソコンに差したUSBを抜き、仮想世界にログインする為の機器に差し替えた状態でGGOへログインする。

 

明日人「上手く行きますように、、、」

 

 

グラハムのホーム…

 

 

グラハム「スティラ、どこにいる?」

 

スティラ「はい、こんばんは」

 

スティラは私服にどこから仕入れたか分からないエプロンを着用し、リビングで掃除をしていた。

もう完全に主婦じゃん。

 

グラハム「掃除したら寝るところだった?」

 

スティラ「いえ、まだです。どうしました?」

 

グラハム「遂に見つけたんだよ、ユーフォニア王国へ帰る道を」

 

スティラ「ほ、本当ですか!?」

 

グラハム「あぁ、もう向かう準備もできてる。こんな時間だから明日向かう?」

 

スティラ「いえ、今からでも大丈夫です。向かう方法を教えて下さい」

 

グラハム「了解」

 

グラハムはスティラと一緒にシステムウィンドウを開き、転送を選んだ。あとはOKを押すだけ。

 

グラハム「よし、行くよ」

 

スティラ「はい」

 

グラハムとスティラはOKボタンを押すと、スティラの世界をロードする為に目の前が白く光った。

 

グラハム(そういや、スティラはGGOではプレイヤー扱いだったけど、ユーフォニアに戻ったらまたNPC、、AI?扱いになるのかな)

 

長い時間一緒にいて、ずっと親しくしていたグラハムは、スティラをNPC扱いにさせたくないようだ。そのようなことを考えていると、ログイン処理が終了した。

 

 




ピンクマ「これが今年最後の投稿になります(多分)」


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第39話「女騎士を帰す時」

 

ゆっくり目を開けると、夕日に照らされた見覚えのある景色が広がる。赤い絨毯、高そうな木製の机、そして皇帝の制服。

 

グラハム「久しぶりだな、皇帝の部屋。現実とこの世界は結構時間帯がズレてるんだな。、、、あ、左腕が復活してる、、、」

 

グラハムは以前、闇の帝王との激戦で体の部位を切断され、右足はスティラが魔法で治してくれたのだが、左腕は腐食で接合できなかったのだ。それなのに左腕が復活してると言うことは、再ログインで再生することができるようだ。

 

コンコンッ・・・

 

グラハム「は、はい!」

 

左腕を気にしているとノックが入る。タイミングとなると、、。

 

ガチャ・・・

 

スティラ「失礼します!総合騎士長、スティラ セレーネーです!」

 

懐かしい。前もこうやって兵士の報告の為に入室してきてくれたよね。

 

グラハム「スティラお帰り!折角戻って来れたんだから気を緩めてもいいのに」

 

スティラ「フフッ、そうですね。ですが、明日からまた兵士達に顔を出さねばならないので」

 

グラハム「そっか、、、いやでも、スティラが気を引き締めてるのにこんな事言うのもなんだけど、1日は休暇を取ってもいいんじゃない?」

 

スティラ「ん〜、、、そう、ですね。1日だけ休暇を取らせて頂きます」

 

グラハム「うん、その方がいい」

 

グラハムがそう言うと、真剣だったスティラの顔が微笑みに変わった。

 

スティラ「ありがとうございます。では、もしよろしければ明日、一緒に付き合って頂けますか?」

 

グラハム「いいけど、休暇中に俺もいていいの?」

 

スティラ「もちろんです、グラハムさんが建て直した国を2人で見て回りましょう」

 

グラハム「分かった。そうしよう」

 

スティラ「はい、よろしくお願いします♪」

 

スティラはこの世界で初めて女性らしい微笑みを見せて部屋を後にした。

 

グラハム「、、、ふ〜、遂にスティラをユーフォニアに帰すことができた〜」

 

グラハムは夕日に照らされながら背伸びをした。

 

グラハム「そういえば聞きそびれたけど、スティラはNPC扱いに戻ったのかな。あの感じだと、、、分からないな、明日聞いてみよう。さて、俺も帰るか。向こうの世界はもう夜遅いからな」

 

スティラをユーフォニアへ帰すという目標をついに達成し、グラハムはログアウトした。

 

 

明日人の部屋・・・

 

 

午後10時、明日人は自室でも背伸びをしていた。

 

明日人「う〜ん、そういや晩飯食べてない。、、、明日でいいや。今日は病院へ忍び込んだりスティラを帰したりで精神的にお腹いっぱいだ。咲月はまだ起きてるかな」

 

明日人は自室の扉を開き、リビングへ向かう。

 

 咲月「あっ、明日人!お帰り♪」

 

思った通り、咲月はリビングで待ってくれていた。

 

明日人「ただいま、スティラを無事に帰すことができたよ」

 

 咲月「そう、良かった!お腹空いた?何か作るわよ?」

 

明日人「いや、大丈夫。そこまで腹減ってないんだ」

 

 咲月「そうなのね。ん〜、ねぇ、抱きついて♪」

 

咲月は唐突に明日人へハグを求めた。

 

明日人「すっごい急だ、、、」

 

 咲月「だって、悪いとはこれっぽっちも思ってないけど、ここ数週間ずっとスティラさんの傍に皆でいたからする時間がなかったもの」

 

明日人「いや学校から帰ったらいつもしてるよね。この前はスティラが眠った後にも抱きついたし」

 

 咲月「それじゃ満足しないからです♪」

 

明日人「もぅ、、、ほら」

 

明日人は両手を広げて咲月を包んだ。

 

 咲月「エヘヘ、やった♪あ、そういえば明日人ってたま〜に口調が女の子っぽくなるよね」

 

明日人「嘘だ〜、いつ?」

 

 咲月「さっきだって『もぅ』って声、女の子っぽかった」

 

明日人「マジか、完全に無意識だ。次から気をつける」

 

 咲月「私は良いんだけどね〜」

 

明日人「いつか引かれそう、、、」

 

明日人と咲月は、そんな何気ない会話をして1日を終えた。

 

明日人(まだやる事はもう少しある。ツェリスカへスティラの世界へ帰した事と、あの世界の存在をメールで話そう)

 

そう考えている内に、明日人はゆっくりと眠りについた。

 

 

ユーフォニア王国、フォニア宮殿・・・

 

 

スティラ「くっ、、、頭が、、割れるように、痛い、、、」

 




ピンクマ「帰す?還す?(しっかりしろ(笑))」


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第40話「真相と向かい合う準備」

月面都市、グラハムのホーム…

 

 

グラハムはツェリスカとスティラの件で話していた。本当はメールで済ませる予定だったが、たまたまツェリスカがログインしていたので実際に会って話すことにした。

 

ツェリスカ「そう、スティラちゃんを無事にその世界へ帰せて良かったわ。でも、あなたは単独で病院へ忍び込むなんて、ホント予想外なことをするのね」

 

グラハム「あ、あはは、、、スティラを不安で押し潰したくなかったから、、、」

 

ツェリスカ「まぁ、済んじゃったことだしこれ以上言わないでおくわ。そして次は、、、グラハムの血を何故か採取されてたって?」

 

グラハム「あ、そうなんだ。やっぱあの病院おかしいんだ。俺のことを『完全体』だとかなんとか」

 

ツェリスカ「う〜ん、そこは専門外だから全く分からないわ、、、」

 

グラハム「そうだよな、、、」

 

今、あの病院は何をしてるんだろ。またイノベイターの研究でもしてるのかな。

 

ツェリスカ「ともかく、これから私はまた仕事に戻るわ。分かったことがあればまた連絡するからよろしくね」

 

グラハム「あぁ、分かった」

 

軽く挨拶を交わすとツェリスカはログアウトした。

 

グラハム「ヤベ、スティラとの約束がギリギリになりそうだ!早く行こう」

 

グラハムは急いでユーフォニアの世界へ切り替え、スティラの元へ向かった。

 

 

フォニア宮殿、廊下・・・

 

 

グラハムは休暇中とは思えない服を着用し、門へ小走りで向かっていた。

 

グラハム(俺の私服なさすぎる!仕方ないからコートオブミッドナイトのコートを脱いでパーカーを着て来てしまったわ!次からこんなことないように今日は何か私服を買おうかな)

 

私服の少なさに反省していると、待ち合わせ場所の門前へ着いた。だが、スティラはいなかった。

 

グラハム(あれ、まだ来てなかったか。時間は、、午前9時半だよな)

 

時間も良し、場所も良しで間違ってはいない。だがそこから10分20分と待ち続けてもスティラは来ない。

 

グラハム(、、、来ないな。スティラの部屋へ行ってみるか)

 

グラハムがスティラの部屋へ行こうとしたその時。

 

キーーン…ッ

 

グラハム「、、、ッ?」

 

脳内に耳鳴りのような音が響き、何かを感じた。

 

グラハム「何だ?この感覚、、、嫌な気配を感じる」

 

グラハムはパーカを脱ぎ、コートオブミッドナイトを着用して左方へ飛行した。

 

 

闇の領土奥地…

 

 

グラハム「暗い。でも、ここで下がっちゃいけない気がする」

 

タァンッ!

 

確証なしに進んでいると、下から銃弾が飛んできた。

 

グラハム「おわっ!危ない、急に攻撃が、、、何かあるのか?」

 

ビーッ!!

 

その時、グラハムの目の前に赤いシステムウィンドウが表示された。

 

《ペインアブソーバー Lv.2》

 

グラハム「何で!?」

 

タァンタァンッ!

 

おかしい!そもそもこの世界は銃なんてないはず!

 

ダンッ!

 

必死に避けていると、明らかに威力の違う銃弾が一発撃たれた。

 

グラハム「GNフィールド!」

 

ジリジリッ…

 

グラハム「なっ、、、っ!」

 

ブシャッ!

 

GNフィールドを展開したものの、銃弾は腹部の左側を貫いた。

 

グラハム「ぁあッ、、、クソッ!」

 

グラハムはこれ以上現実の体に害を及ばせない為に咄嗟にログアウトをした。

 

 

明日人の部屋…

 

明日人「うっ、痛っ、、、」

 

痛みを堪えながら、明日人は机の棚から鎮痛剤の注射器を取り出し、それを腕に刺した。

 

明日人「はぁ、はぁ、これで、、最後の鎮痛剤だ」

 

 咲月「明日人?」

 

明日人「は、はい?!」

 

急に咲月が来るのは想定外。

明日人は咄嗟に注射器を布団の中に隠した。

 

 咲月「大丈夫?苦しそうだったけど」

 

明日人「大丈夫、心配かけたね、、。それより大変だ!スティラがいなくなった!」

 

 咲月「え、えぇ!?元の世界へ戻ったんじゃないの!?」

 

明日人「昨日無事に戻ったんだ、けど何処を探しても見つからない。怪しい場所は」

 

ブーッ、ブーッ…

 

ユーフォニアでの出来事を全て話そうとすると、明日人のスマホからメールの通知音が鳴った。

 

明日人「誰だ?、、、病院?」

 

 

 

━━━━━━

【健康診断のお知らせ】

 

 

繊月明日人様、今日の2月9日(日)に健康診断があります。

ご来院宜しくお願い致します。

 

 

 

明日人「え?何でいきなり、、、」

 

不自然すぎる、明らかに罠だろう。

こんな文面を見ていると、なんだか相手は焦っているような気がする。

 

明日人「、、、行かなきゃ。今回こそ問い詰める」

 

 咲月「私も行く」

 

明日人「ダメだ、ここにいて」

 

 咲月「でも、、、」

 

明日人「頼むから待っていてくれ!」

 

 咲月「、、、っ!」

 

明日人は人生で初めて咲月に怒鳴った。

こんな声出したくなかったのに。

そして明日人の声は次第に震えだす。

 

明日人「咲月を巻き込みたくないんだ、、、っ、万が一あの場所で君にも何かあったら、俺は、、、っ。お願い、無事でいてほしいからここで待ってて、、」

 

 咲月「明日人、、、」

 

この気持ちが伝わった咲月は、そっと明日人を抱きしめた。

 

 咲月「分かった、ここで待ってる。無事に戻ってこないと許さないからね」

 

明日人「あぁ、絶対に戻ってくる」

 

イノベイターを求める理由、スティラの行方、スティラの世界について聞く為、明日人は病院へ向かう準備をした。

 

 




ピンクマ「うわぁ病院のメールざっつい、、、」


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第九章 イノベイター
第41話「目標」


 

 太陽が真上に昇っており、辺りを照らしている中、明日人は病院前に着いた。

 

明日人「どんな事があっても絶対、真相を聞いてやる、、、」

 

 

受付前…

 

 

明日人「、、、」

 

病院の中に入るとすぐに違和感に気づく。

 

明日人「誰も、、、いない?」

 

受付カウンターにも人がいないので、明日人は仕方なく奥へ進む。

 

明日人(このまま地下に行ってみてもいいけど、まずは診察室へ向かおう)

 

パシュッ…

 

その時、明日人の首に何か細いものがが刺さった。

 

明日人(、、、っ、首に、何か、、、)

 

明日人の視界は次第にぼやけ、床に座り込む。

 

明日人(何だこれ、、麻酔、、、?)

 

麻酔と分かった時にはもう、明日人は意識を失っていた。

 

 

数十分前、咲月の部屋…

 

 

明日人が家を出てからしばらくすると、咲月は落ち着きのない様子で明日人に買ってもらったぬいぐるみに顔を埋めていた。

 

 咲月「明日人、、、大丈夫かな、、、私もイノベイターだったら着いて行けたのに」

 

言っても叶わないことを言いつつ、明日人の帰りを待つ。

 

 

???…

 

 

グラハム「あ、あぁ、、、あれ、何で俺、、、」

 

まだ頭がクラクラする中、明日人は何故かグラハムとして謎の暗闇にいる。

 

グラハム「ここは、確か前に病院にいた時にも、、、」

 

そう、ここはテーテンに殺されかけた時にも見た光景だ。

何だよ、ここで何をすればいいんだよ。

 

????〔ここは、どこですか、、、?〕

 

グラハム「!?」

 

誰もいないはずの空間から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

スティラ〔あなたは、、、いきなり何を言うのですか〕

 

グラハム「間違いない、スティラだ。誰と話してるんだ?」

 

スティラ〔そんな、、、。はぁ、了解です、この造られた体で役割を果たします〕

 

グラハム「造られた、、、体?」

 

そうなるとスティラは現実世界に干渉したことになる。

 

グラハム「どういうことだ、何の為に、、、」

 

思考が渋滞しすぎて考えがまとまらない。でも、これから実行することは深く考えずとも決まった。

 

グラハム「スティラが本当に現実世界にいるのなら、何が何でも連れ帰ってみせる」

 

するとグラハムの目の前がいきなり光り輝く。明確な目標を持つと輝いて道が開けるとでもいうのだろうか。正体が何であろうとも、グラハムはその光に駆ける。

 

 

病院、地下??階…

 

 

明日人「う、、、」

 

明日人は牢獄のような部屋で窓がなく、右手が鎖で壁に繋がれた状態で目を覚ました。

 

明日人「寒い、、、」

 

????「起きたか?」

 

声がしたので鉄扉の窓へ目を向けると、そこにはグラハムを治療した医師がいた。

 

明日人「、、、これは何の真似ですか?」

 

男医師「分かっているはずだろう、君の血が入った試験管を盗り、ましてや〘マルチプル・オンライン〙のワールドデータをもコピーするなんて」

 

明日人「知りませんね」

 

男医師「隠しても無駄だ、サーバー履歴が残ってるからな」

 

明日人「、、、」

 

前会った時はですます調だったのに今は違う、明らか今までの全部を知っている。

 

男医師「それにしても凄いなぁ、オンライン殺人鬼から2回も生き延びて、宇宙のロボットからの脳波攻撃にも数回耐えて、それから、、、」

 

明日人「テーテンを知ってるのか?」

 

明日人は医師の話を遮って聞く。

 

男医師「いや、知らない。被験体探しにオンラインゲームに潜り込んだらたまたま君達を見かけてね、1回目はずっと見てるだけで、2回目はデータを取らせてもらった。ハッキングして、君のペインアブソーバーを“また”最大限にして」

 

明日人「っ!そうか、あの時、、、!」

 

━━━━━

グラハム「ならハックするまでだ」

 

グラハムはペインアブソーバーの設定画面を奪取し、テーテンのレベルを0にし、自身のレベルを元に戻した。

 

〜〜〜

 

 エディ「明日、人、、」

 

グラハム「咲月、、ごめんな、、入院してしまう、かもしれないから、傍から、、離れて、しまう、、」

 

グラハムの呼吸回数が徐々に少なくなっている。かなり衰弱しているようだ。

━━━━━

 

明日人「あの時、設定を戻したのに重症を負ったのはっ!」

 

それを聞くと、医師は少し嘲笑う表情を見せた。

 

男医師「そうだ、私だ。君がどうしても実験材料として欲しかった」

 

明日人「、、、もう聞いておこう、あんたの狙いは何なんだ?」

 

男医師「イノベイターの力を軍事利用する日本を作ることだ。既にこの地下には数体の人工生物がいる」

 

明日人「人工、、生物、、、」

 

男医師「人工生物は素晴らしいぞ、戦争が起きた時には戦士となったり、治療もしてくれるからな。その為に君からはもっとデータを収集させてくれ」

 

明日人「、、、うるさい、そんなことさせるか」

 

男医師「そんなこと言ったってどうしようもないぞ」

 

医師が言うと、明日人の監禁部屋から立ち去った。

 

明日人(確かにあいつの言う通り、今はどうしようもない)

 

ガチャ…

 

明日人「ん?」

 

脱出する方法を考えていると、いきなり監禁部屋のドアが開いた。

 

 職員「実験室へ行くぞ」

 

明日人「さっきあいつと話したばっかなのにもう準備が出来たんだ」

 

 職員「、、、口の利き方には気をつけろ」

 

明日人(にしても本当に早いな、もうちょっと考えさせろよ)

 

後ろから首を絞める、、、いや、俺はそこまで腕力がない。一気に職員の反対方向へ走る、、、ダメだ、逃げ切れない。この人なんか腰に拳銃付けてるもん。

 

明日人「はぁ、、、」(こうなれば仕方ない)

 

すると突如、明日人は監禁部屋の寝床に寝転びだした。

 

 職員「何をしている?」

 

明日人「俺数分前に目覚めたばかりなんで少し目まいがするんですよ。だから立つのが少し辛い」

 

 職員「実験室に行くのが先だ」

 

寝転ぶ明日人を無理矢理立たせようと、職員は明日人に近づく。

 

明日人「、、、貰うよ!」

 

 職員「なっ、、、!」

 

職員が明日人を掴もうとするその瞬間、腰に付けている拳銃を取り上げ、その銃口を職員へ向けた。

こんな無謀な動きもやってみるもんだな。

 

明日人「抵抗しないでよ、、、?」

 

 職員「今の手っ取り早さ、やっぱりお前は人じゃないんだな」

 

明日人「、、、人だよ」

 

人であることを言うと、明日人は職員の顎を蹴り上げ気絶させた。

 

明日人「罪悪感、、、いや、俺は今囚われてるんだ。これくらいは許してくれよ」

 

独り言を呟いた後、明日人は監禁部屋から出てその扉の鍵を閉めた。勿論、護身用として拳銃を奪ったままである。

 

明日人「さぁ、行こう」

 




ピンクマ「最終回のことなんて全く考えてない人です」


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第42話「その女性は」

 

明日人「、、、何処だよ」

 

明日人は病院の地下?から脱出すべく階段を探し歩いているが、一向に見つからない。

 

明日人「はぁ、動揺しちゃダメだ。何が来るか、、、!?」

 

歩いていると、曲がり角からいきなり黒髪の女性が飛び出して来た。

 

明日人「うぉ!?、、、うぉぉぉぉぉぉ!!?」

 

バスッ!

 

飛び出して来たことに驚いた明日人を一瞬の隙をついて、女性は明日人を床に投げ飛ばした。鈍い音は廊下にやや響いた。

 

明日人「いってぇ、、、っ!」

 

 女性「動くな!」

 

そう言われると同時に、ナイフを向けられた。

 

明日人「いてぇこれ背骨やったよ、、、」

 

 女性「立て」

 

明日人「はいはい」

 

また捕まるのか。投げられた痛みでしばらく走れなさそうだし。

渋々その女性に従い、元々連れて行かされる予定であった実験室に向かう。

 

明日人「、、、」

 

 女性「、、、」

 

明日人(うぅ、怖ぇ、、、後ろ歩かないでくれよ。でも、何故か俺この人を知ってるような)

 

明日人の謎の直感が引っかかり、頭の中がそれでいっぱいになる。

 

 女性「そこの曲がり角を左に曲がれ」

 

明日人「あ、あぁ」

 

明日人は左に曲がり、歩きながら思い切ったことを聞いた。

 

明日人「なぁ」

 

 女性「なんだ?」

 

明日人「変だと思われるかもだけど、俺と君、何処かで会った気がする」

 

 女性「、、、っ」

 

あれ、言葉詰まらせたのか?俺そんなにおかしかった?

 

明日人「あ〜ごめん、この話止めるよ」

 

 女性「、、、いや」

 

女性がその場で足を止めた。

 

明日人「えっ」

 

 女性「あなたからは、何処か」

 

男医師「遅かったじゃないか」

 

奥から出てきた医師に話を遮られた。

いや出てくんなよ、何か聞けそうだったのに。

 

明日人「はぁ、来ましたよ」

 

男医師「それじゃ、この部屋に入れ」

 

明日人「はいはい」

 

もう逃げ場はなさそうだな。俺はこれから何をされるんだ。

 

 女性「、、、待って下さい」

 

明日人「っ?」

 

男医師「ん?」

 

明日人が部屋の中に向かおうとすると、スッと女性が前に立った。

 

男医師「君は役目を果たしてくれた、休憩していいぞ」

 

 女性「いえ結構。それより、この者をどうするつもりで?」

 

明日人(何だか止めてくれるみたい?)

 

男医師「その男の能力を利用して人造人間を量産する」

 

明日人(え、何それ)

 

男医師「そして、世界を救う」

 

明日人「人造人間を利用して戦争するつもりか?」

 

 女性「あなたが作った人もちゃんと命が通っているのですよ」

 

男医師「、、、失敗作が」

 

そういって医師は瞬時に銃を取り出し、女性に向けた。

 

明日人「あぁくそっ!」

 

バンッ!

 

医師が引き金を引く直前、明日人が女性を庇った。そしてその銃弾は明日人の左肩を貫通した。

 

 女性「!どうして、、、っ」

 

明日人「ぁ、あぁ、、、!」

 

あまりの激痛に明日人は膝をついた。ペインアブソーバーの危険値の比にならないほど痛い。

 

 女性「くそっ、こっちです!」

 

女が『くそっ』とか言うんじゃありません。というツッコミは肩の痛みでかき消され、左の通路へ走る。

 

明日人「ありがとう、、、」

 

 女性「礼を言うのはこちらです。そして今ので、、、っ!銃弾が放たれます!」

 

当然ながら話す暇もなく背後から撃たれる。

 

明日人「当たる当たる!」

 

明日人と女性は、それぞれ左右の廊下に飛び込み銃撃を回避した。

 

 女性「今さっき庇って頂いた時、確信しました」

 

廊下を挟んで女性は言う。

 

 女性「貴方がグラハムさん、いや、明日人さんだと」

 

明日人「てことはやっぱり、君はスティラだったんだね」

 

現実世界にスティラがいる。そんな非現実なことが今目の当たりにしている。仮想世界とは違う、黒髪ショートの女性として。

 

明日人「取り敢えず、あの男と距離を取りたい。そっちの廊下の奥へ向かおう」

 

スティラ「分かりました」

 

医師は今は諦めたのか、発砲を中断し、何処かへ移動したのを確認すると明日人はスティラが身を潜めた廊下側に駆け足で動いた。

 

明日人「よしそれじゃあ、、、」

 

「それじゃあ向かおう」と言おうとした途端、明日人の視界は少し歪み、壁に右手をついた。

 

スティラ「だ、大丈、、夫ではなさそうですね、、、。酷い出血、、、」

 

明日人「ごめん、、緊張の糸が、切れて、、、」

 

明日人はその場で座り込み、気を失ってしまった。気を失っても、左手からはまだ血が滴り落ちている。

 

スティラ「誰もいない部屋に連れて行かなきゃ」

 

スティラは明日人の左腕を、医師に持たされていた布で一時的に止血し、現実世界にも関わらず軽々と明日人を抱き上げ無人の部屋を探す。

 

スティラ「ひとまずこの部屋でいいかしら」

 

そこは、ベッドが1つと椅子が2つだけの部屋であった。

 

スティラ「ごめんなさい、ほこりっぽいですけど我慢して下さいね、、、」

 

気を失っている明日人に話しかけ、ベッドにそっと寝転ばせる。

 

スティラ「そういえば、あの男は私の力で負傷者を治療できると言ってたわね」

 

医師を信用する訳ではないが、スティラは明日人の左腕に巻いた布を取り、傷口にそっと触れた。すると非科学的に徐々に傷口が塞がっていく。

 

明日人「うっうぅ、、、っ!」

 

スティラ「もう少し、もう少しだけこらえて下さい」

 

静かに囁やき、完全に傷口を塞いだ。

 

スティラ「魔法でもないのにどうして、、、でもこれで明日人さんが助かる」

 

スティラも軽く一息入れる為に、病室の鍵を音が出ないようにゆっくり閉めた。

 

 




ピンクマ「これからさらに投稿ペースがダウンしそうな、、、」


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第43話「説得力と信頼性」

 

明日人「ん、、、」

 

見慣れなく薄暗い部屋の中、重く感じるまぶたが徐々に開き、明日人は完全に目を覚ました。

 

明日人「ここは、、、そういや撃たれた傷は、治ってる、、、どうなって、、、ところでスティラは!」

 

状況が重なりすぎて理解に時間がかかる。ひとまず、スティラは何処なのかと室内を見渡すと、明日人の左側で椅子に腰掛けて眠っていた。さらにその隣の机には、明日人が今まで巻いていたのであろう血まみれの包帯が置かれている。

 

明日人「ありがとうスティラ、、、。今何時だ、ってスマホ盗まれてるし」

 

今更ながら、所持品がいくつか盗まれていることに気づいた。

腕時計くらいつけて来るんだった。つけて来たとしても、それも取り上げられてそうだが。

 

明日人「う〜ん、ちょっとだけ廊下の様子を覗こうかな」

 

ベッドから起き上がり、足音を立てないようにドアに近づき、そのドアをゆっくり左へスライドさせた。

 

明日人(まさか出待ちなんてされてないよね)

 

そんなことを考えていると、いきなり右から女が飛び出してきた。さっきもこんなことあったな。

 

明日人「うぉびっくりしたおま、、、」

 

白衣?を身に纏った長く青い髪は一瞬見惚れるが、若干桃色に光る目と右手に持っているナイフでそんな感情はかき消された。

 

明日人「待って死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!」

 

頭にナイフを刺されるのを阻止する為、明日人は女の手首を押し返そうとする。

 

明日人(キ、キツイ、、、今の飛び出しとナイフを突き出す瞬発力、もしかしてこの人もイノベイター?)

 

???「大丈夫、殺さない」

 

明日人「ぐぅぅ、、、頭にナイフを刺そうとする人の発言じゃないんだけど」

 

今だけは話している場合じゃないと思い改め、女の手首を後ろへ突き放し、ほんの少しよろめかせた。

 

???「あんた、AI-003はどうしたの?」

 

すると相手はよく分からない型番らしき言葉を出した。その隙に刺されたら怖いのでいざという時の為にホルダー(ちゃっかり拳銃と一緒に盗んだ)からいつでも拳銃を取り出せる体勢をとる。

 

明日人「003?何のこと?」

 

???「あんたと一緒に逃げた子、、よ!」

 

シュッ…!

 

突進してきたので拳銃は使わず右に避ける。廊下の幅はそこまで広くないので、下手したら壁に阻まれ刺される。

 

明日人「彼女にはちゃんと名前がある!型番で扱うんじゃ、、ない!」

 

シュッ…!

 

明日人が話している最中にも突進攻撃を仕掛けてきたので今度は左に避ける。

 

ガンッ!

 

明日人「うっ」

 

壁の幅をしっかり把握できず、ぶつかってしまう。

イノベイターなら空間認識力が高いはずだから、多分まだ体が本調子じゃないんだろう。

 

???「はあっ!」

 

明日人が壁にぶつかったところを見逃してくれるはずもなく、壁に押さえつけられ、ナイフを首に突き立てられた。

 

???「ねぇ、一緒に協力する気はない?」

 

明日人「何でこんなことを?」

 

???「教えてあげる」

 

答えてくれる訳がないと思ったけど、案外すっと話してくれるようだ。

 

???「あんたを捕らえて連れていけば、私は自由になれるから。007なんて呼ばれなくなって、色んなことがこれから待ってるあの男がそう言ってたから」

 

明日人「、、、」

 

自分の待っている未来の為に今成すべきことをする、けど彼女は、、、

明日人は今ある余力を使ってナイフを持つ手を引き離す。

 

明日人「仮に俺をあの医師のところへ連れて行っても、君は自由になれないよ」

 

007「っ!どうしてそんなことが言えるの?」

 

彼女のナイフを持つ手が少し弱まった。

 

明日人「あいつは、俺を隔離した後、君をもっと利用する為に非人道的なことを繰り返す。俺を捕らえると、今の君は消えるよ」

 

007「そんなの、あんたが助かりたいだけの言い分。先のことは私にしか分からない」

 

明日人「分かるんだよ。この先のことを」

 

今なら分かる、今007を引き止めないと彼女みたいな人造人間が増える。そして止められる者がいなくなる。

 

007「くっ、、、」

 

明日人「もう、この争いはやめよう?」

 

明日人は007の手に持っているナイフをそっと取り上げ、手を握った。

俺の会話力に不安はあったものの、反撃されないということはそれなりに効いているのだろう。いや、意外と人の話を聞いてくれる良心的な人?

 

007「ここで役目を放棄すれば、私はこれからどうすればいいの、、、」

 

明日人「それなら、君が嫌じゃなければ俺の居場所に来ればいい。そこには妹がいるけれどきっと歓迎してくれる」

 

大丈夫、絶対咲月も歓迎する。「また女の子?」って反応されそうだけども。

 

007「、、、『一時休戦』ね」

 

明日人「あ、あぁ、それでいい」

 

一時だけか。これは、、「俺の居場所に来ればいい」といった俺が悪いな。初対面でこれはね。

 

007「〜〜っ、さっさと手を離せ」

 

明日人「あ、俺としたことが、、、」

 

思ったことを考えすぎてつい長い時間手を握ったままだった。

 

スティラ「明日人さん!あなたは怪我をしていたのに!」

 

すると背後から大きな声が聞こえてきた。起きたばかりであろう、スティラだ。

黒髪だから誰か分かりにくいな。それと若干顔に跡がついちゃってますよ。

 

明日人「ご、ごめん!ちょっとね」

 

スティラ「ちょっととは、、、あら、あなたは確か同じ部屋にいた方」

 

スティラは明日人に歩み寄ってから007の存在に気づいた。どうやら2人が対面するのは初めてではないようだ。

 

007「003、この人とは知り合い?」

 

スティラ「ぜろぜろさん?あぁ、確かあの男にもそう呼ばれてた気がします。明日人さんは私を何度も救った恩人です、決して敵ではありません」

 

007「あなたがそういうなら、、、」

 

あ、これ俺のこと全然信用してない。今度から正しい説得の仕方を学習しよう。

 

明日人「という訳だから、あの医師の所まで案内してくれないかな?」

 

007「えぇ、分かった」

 

007は迷う素振りも見せずに歩き始めた。それに続いて明日人とスティラも付いていく。

あの医師を捕らえれば今回の事態は収まるのか?

 

 




ピンクマ「新〜キャラ!」


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第44話「終わり?」

 

実験室…

 

 

男医師「007は上手くやってるだろうか」

 

医師は何かの準備をしながら007が戻ってくるのを待っている。

 

 

実験室前の廊下…

 

 

007「この部屋よ」

 

明日人「俺が入らされるところだった場所だ、、、」

 

007「窓とかは何もないから中の様子は分かんないけど、あんたを捕らえたらここに来るようにって言われてるから必ずいるはずよ」

 

明日人「そっか。因みに拘束してくれたりは━━」

 

007「する訳ないでしょ。まだあんたを完全に信用してないし」

 

即答された。

 

スティラ「では、私が行きます」

 

ここでスティラが名乗り出た。

ありがたいんだけど、、、。

 

007「あなたは治癒特化型でしょ?ある程度戦えるとはいえ、あの『身体強化』されたあの人には勝てないわ」

 

明日人(やっぱり)

 

明日人はこの先の未来が少し見え、スティラは『治癒特化型』という存在だということを理解していた。

、、、いや待て、あの医師が身体強化されてるのは知らないぞ。

 

007「てことで、あんたが行ってきなさい」

 

明日人「、、、そうだな」

 

そうだ、俺が行かなきゃ。傷ついたりするのは俺だけでいい。

このように考えると、気が少し楽になった。一度深呼吸をし、実験室のドアをスライドさせる。医師がこっちを向いていないかと焦ったが、運良く背をドアに向けていた。

 

明日人(すぐに捉える)

 

明日人は、部屋の右側の机に置いてあったナイフを手に取り、医師に近づく。

 

明日人(あれ、後ろから拘束する姿勢ってどんなの?取り敢えず首にナイフを突き立てて、反撃を喰らわないように腕も掴めばいいかな?)

 

迷っている場合ではないと判断し、手荒くなってしまうが首にナイフを突き立て足を蹴り、跪かせる。

 

男医師「なっ、いつからだ!?007は!?」

 

明日人「あとで会わせてやるから!大人しく、、、しろっ!」

 

流石に大人を押さえつけるのは辛すぎる。しかも身体強化されてるんだった。

 

スティラ「グラハムさん!足、抑えます!」

 

明日人が手間取っているのを見てるだけではいられなかったのか、スティラが駆けつけてきてくれた。

グラハム呼びになってるのは気にしない。

 

明日人「ありがとう、、、っ」

 

取り押さえて数分後、まさかの007が手頃なロープを何処からか持ってきてくれたのでそれで拘束した。医師は当然、「何故!」という顔をしていた。

 

明日人「ふぅ、ありがとうスティラ、007」

 

スティラ「いつでも力になりますよ」

 

007「ここであんたに死なれたら、この男に真実が聞けなくなるかもしれないからね」

 

男医師「裏切り者共が、、、」

 

007「あなた、この青年を捕らえたら自由にするって話、嘘だったの?」

 

男医師「嘘じゃない、、、!」

 

明日人「まだ言うか」

 

男医師「くっ、黙って従ってれば、、、いいんだよ!!」

 

明日人「!?」

 

すると突然、医師は両手に縛られたロープをとんでもない力でロープを引きちぎり、007を拳で殴りかかる。007は流石の瞬発力で咄嗟に守りの体制に入る。

 

007「うぅぅっ!この私が耐えられない!?」

 

医師の規格外のパワーに耐えられず、007は突き飛ばされ、壁にぶつかる。

 

007「ぐふ、、、っ!」

 

明日人「よくも、、、!」

 

明日人は医師に殴りかかるも、現実では殴り合いの経験など一切なく、あっけなく首を捕まれ棚に投げ飛ばされる。

 

明日人「うがっ!」

 

棚にぶつかった衝撃で、追撃と言わんばかりにガラス瓶が明日人の頭に落ちて割れ、破片が数個刺さる。

 

明日人「この、、、っ」

 

スティラ「止まれ!それ以上お2人を傷つけると容赦しない!」

 

明日人と007を傷つけられたことにより、少し冷静さを失ってしまったスティラはナイフを構えてなるべく対応しやすい距離を取る。

 

男医師「問題ない、明日人君はまだ実験の価値がある。003と007は処分させてもらうがな」

 

バンッ!…

 

攻撃を受け、血が床に飛び散る。だがその血はスティラから出た血ではない。

 

男医師「うっ、、、」

 

明日人「流石に、銃は効いたか、、、。投げられる前にこうすれば良かった、、、」

 

明日人が拳銃を取り出し、スティラが襲われる前に医師を撃ったのだ。因みに狙ったのは腰の『内蔵のなさそうな』部分。体内を完璧に把握している訳ではないので当たっていてもおかしくはないかもしれない。

 

男医師「くそっ、殺せ、、、」

 

明日人「まだ、殺すわけには、うっ、、、いかない」

 

明日人は体に数箇所刺さったガラス片をそっと抜くと、四つん這いで医師に近づく。

 

明日人「スティラの世界、、〘マルチプル・オンライン〙?の権限のパスワードを教えろ」

 

男医師「何、、、?」

 

明日人「今日からあの世界は、、、俺が管理する。じゃないと、また悪用されるかもしれないだろ?」

 

それさえ、それさえ聞き出せればこの出来事は解決することができる気がする、、、。

 

男医師「、、、あの机の上のファイルだ」

 

机の上を見ると、確かに青色のファイルが開いて置いてある。あれを使えば、最後にマルチプル・オンラインにログインした時の謎の施設だけを消去できるはず。

 

明日人「分かった。あとは、、、」

 

男医師「まだ何かあるのか?」

 

医師は呆れたような声で言った。

誰のせいだ。

 

明日人「人造人間のマニュアルとか、、、生態について詳しいことが書かれているレポート類も全て貰おう」

 

これは後々全て捨てようと思っていたのだが、スティラと007を家に迎え入れるのなら必要だろう。

 

男医師「言わないぞ、、、」

 

明日人「そっか。それなら、その場ですぐ死ぬだけだ」

 

男医師「ちぃ、、ファイルの横に立て掛けてある2冊のファイルだ」

 

今度はそちらに目を向けると、緑色のファイルが2冊立て掛けられている。

 

明日人「、、、確認できた。それじゃあな」

 

男医師「!ま、待て━━」

 

バンバンッ!…

 

もう聞くことがないので、明日人は医師の頭に2発銃弾を撃ち込んだ。

 

明日人「、、、また1人俺が殺した」

 

ポツリと呟いた後、銃をホルスターにしまう。

 

スティラ「グラハムさん!」

 

ホッと一息入れようとすると、スティラが抱きついてきた。

焦るとグラハム呼びになるよね。

 

明日人「ぐっ、、、っ!」

 

ガラス片の痛みが体に響き、スティラと一緒に膝をついた状態になる。

 

スティラ「す、すいません!心配しすぎてつい、、、」

 

明日人「う、うぅん大丈夫。すぐに動けるようになる。あっそれより007は!」

 

007「『あっ』て、、忘れてたなんて言わないでよ、、、っ?」

 

医師の遺体の先から、右腰を手で押さえ、右脚を引きずりながら007が近づいてきた。

 

明日人「い、言わないよ。それより酷い傷だ」

 

007「流石にあの力で投げ飛ばされたらね、、、っ」

 

スティラ「すぐに治します!」

 

007「ありがと、、、」

 

007はその場に座り込み、スティラに治療してもらう。

 

007「明日人、、、」

 

明日人「ん?」

 

初めて名前で呼んでくれたな。どうして名前を知ってるかと思ったけど、流石に捕らえる人の名は報告されてるか。

 

007「私を説得してくれて、ありがとね」

 

あ、あれで説得できてたのね。

 

明日人「いや、あの時は007が休戦を出して話を聞いてくれたからだ。それより2人が無事、、、ではないけど、生きてて良かった」

 

007「確かにそうだけど、自分の心配もしなさいよ」

 

明日人「自分の心配より人の心配が優先だから」

 

スティラ「明日人さんはそういう人ですもんね」

 

治療しながらスティラは同情した。

いや本当にその治療法どうなってんの?手を当ててるだけのようにしか見えないんだけど。

 

007「ふ〜ん、、、気に入った」

 

明日人「それは良かった」

 

スティラ「治療終わりました」

 

スティラが手を離すと、007は軽々と立ち上がってみせた。

 

007「ありがと。こんなに人に感謝したのは初めて」

 

明日人「?」

 

007「それより、これからはあんたの拠点でお世話になるってことでいいのよね?」

 

明日人「拠点て、、、まぁそういうことだね」

 

007「それで、もし良かったら名前が欲しいなって、、、」

 

明日人「あぁ確かに、番号呼びはいらないな。う〜ん、、、」

 

スティラ「あ、私もこの世界での名前が欲しいです!」

 

明日人「あ、、、」

 

そうだ、現実での名前だ。仮想世界の方の名前を付けるところだった。

 

明日人「ごめん、考える時間が欲しい。これからずっと大切にできるような名前にしたいから」

 

スティラ「分かりました!」

 

007「あなた、テンション高いわね、、、。でも、確かに名前を決めてもらうのは悪い気はしないわね」

 

明日人「うん、楽しみにしてて。そのためにもここから脱出するよ」

 

明日人は机の上の2つのファイルを手にし、さらに明日人のスマホ等の私物が偶然机に置かれていたのでそれらも回収した後、ようやく脱出を試みる。

脱出した後も〘マルチプル・オンライン〙内の施設削除とかしなきゃな。

 




ピンクマ「、、、」


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第45話「終わらない、止まらない」

※場面がダイジェストに変化する


 

明日人「はぁ、はぁ、、、」

 

007「ほら、あと少しよ」

 

スティラ「頑張って下さい、もう外の明かりが見えますから」

 

明日人が疲弊している理由は、およそ地下10階から1階の階段を登っているからだ。因みに現在はまさかの午前6時、病院に来て16時間が経っている。

麻酔を舐めてたな。これから見る目が変わりそうだ。

 

明日人「ふぅ、ようやく1階だ」

 

スティラ「次はあちらを真っ直ぐですか?」

 

明日人「うん。進んだら開けた場所になるから、左側、、だったかな、そこの自動ドアから出るんだ」

 

スティラ「分かりました」

 

廊下に警備の人がいないか確認し、3人は出口へ歩く。

 

 

数分後、明日人の家の前…

 

 

病院から出た後は、何事もなく家に着いた。

 

スティラ「ここが明日人さんの本当の居場所、、、」

 

007「綺麗な一軒家ね」

 

明日人「、、、」

 

007「明日人?」

 

明日人はしばらく無言で立ち尽くしていた。咲月にどんな顔で会えばいいかを考えていた為だ。

 

明日人「、、、案内するよ」

 

そしてゆっくりと玄関の鍵を開ける。

あ、今日は月曜日だ。俺もあと1時間半で学校だし、そもそも咲月は部活でもういないかもしれない。

 

ガチャ…

 

明日人「あ、、、」

 

 咲月「、、、っ!」

 

玄関の扉を開けると、制服を着て靴を履き終えた少女の姿があった。

 

 咲月「あ、、、あ、、、っ」

 

声を詰まらせており、その目は徐々に涙が溜まっていく。

 

明日人「咲月、、、」

 

 咲月「、、、明日人っ!」

 

咲月の目に溜まった涙が溢れ、明日人に抱きつく。後ろに倒れないように明日人もしっかり咲月を抱く。

 

 咲月「良かった、、、良かったよぅ、、、っ!」

 

明日人「ごめん、こんなに時間が掛かるとは思わなかった」

 

 咲月「本っ、本当だよっ!メールを送ったのに全然出なくてっ、1日が終わったのに帰ってこないからっ、私っ、また1人になっちゃうんじゃないかってっ!」

 

明日人「大丈夫、絶対に1人になんてさせない」

 

涙で頬を濡らした愛おしい顔が明日人の顔を見上げる。

 

 咲月「私、、、どうしても人に依存してしまうから、、、今度からはどうしても、私も、、連れて行ってほしい、、、」

 

咲月の願いは何でも聞いて上げたいが、その願いを受け入れてしまうと、今回のような危険に遭遇した時に明日人は咲月を守ることができるのだろうか。

 

明日人「うん、分かった。でももうこんな事はないはずだから安心して」

 

 咲月「うん、、、ん?」

 

ここで咲月は明日人の後ろにいる2人に気づいた。

 

 咲月「明日人、この2人は?」

 

明日人「あぁ、黒髪の子はスティラで、もう1人は病院で一緒に窮地に立った仲だよ。訳あってこの家に住ませることになって、話したいことも山々なんだけど、これから部活だよね」

 

 咲月「そうだけど、明日人が帰ってきたなら朝練は休ませてもらう」

 

そこまでしなくてもと一瞬思ったが、話をさせてもらえるならいっか。

 

 

学校、4時限目…

 

 

明日人(眠、、、)

 

今、明日人は真面目、、、とは言えないが授業を受けている。スティラと007には家でゆっくりしてもらっており、学校から帰ったら一緒に服を買いに行ってみるつもりだ。

そういえば、今頃病院の地下はどうなっているのだろう。地下に施設が広がっているから関係者が数十人といそうなのだがあの時は会わなかった。もしや監視されていた?いや、今は悪い方向に考えるのはよそう。

 

キーンコーンカーンコーン…

 

考え終わるのと同時に授業終了のチャイムが鳴る。まだ15分あったはずだと思ったが、ちゃんと終了時間だ。

 

明日人(ヤバ、今日のこと考えてたら寝てた)

 

 咲月「明日、、、兄さん、屋上で弁当食べよ♪」

 

明日人「うん、いいよ」

 

明日人は寝起きでだらしない声を出しながら席を立った。

そういえば学校では兄さん呼びだったのを忘れてたな。

教室を出るまで、羨ましさと嫉妬の目線が明日人に向けられていた。

こっち見んな。気まずいわ。

 

 

屋上…

 

 

明日人と咲月は、人気の多い場所から離れたベンチに座り弁当を広げた。

 

 咲月「はい、あ〜ん♪」

 

明日人「だ、誰かに見られちゃうから、、、」

 

 咲月「大丈夫、それを踏まえてこの場所を選んだんだよ?さぁさぁ」

 

明日人「な、ならいいか、、、」

 

明日人は恥ずかしがりながら口を開ける。

 

 小春「相変わらず仲良いね」

 

明日人「んふっ!?」

 

突如後ろから声がし、食べさせてもらうおかずを口に含むと同時に喉を詰まらせた。

 

 咲月「は、はいお茶!」

 

 小春「ごめん!驚かすつもりはなかったんだけど」

 

明日人「いや、大丈夫。どうしたの?」

 

明日人はお茶を飲みながら話をする。

 

 小春「大した用事じゃないんだけど、明日人の体調大丈夫かなと思って。今回も咲月ちゃんから聞いたんだけど、昨日病院に向かったんだってね」

 

俺が病院に行ったことを知ってるのか。それなら話は早そう。

 

明日人「そうそう、案の定酷かった」

 

 咲月「紅葉の言う通りだったわけね」

 

明日人「へぇ、流石看護師希望なだけある」

 

 小春「関係ないと思うけど」

 

明日人「あれ?」

 

病院の地下の需要を考えたからってことじゃないの?いや、無知な俺が余計なことを考えるのはやめておこう。

 

 小春「とにかく、明日人が無事で良かった」

 

明日人「皆に心配かけたね」

 

 小春「ホントだよ。咲月ちゃんなんて、ビデオ通話で大きなクマの人形━━」

 

 咲月「言わないで」

 

小春が何かを言おうとすると、咲月に遮られる。

ビデオ通話中にあのクマに何をしてたんだ。

 

 

放課後、明日人達の家…

 

 

 咲月「ただいま〜」

 

スティラ「お帰りなさい」

 

 007「待ってたわよ」

 

玄関に入ると、早速スティラと007が迎えてくれた。いつも帰った時は誰も家にいないのでなんだか新鮮な気持ちになる。

 

明日人「そうだ、この世界での名前、決めてきたよ」

 

スティラ「本当ですか!」

 

そう、明日人は学校にいる間、昼休み以外はスティラと007の名前を考えていたのだ。

 

明日人「気に入ってくれるといいんだけど」

 

 咲月「いや、先に靴を脱ご?」

 

それもそうだ。

明日人と咲月は靴を脱ぎ、手を洗ってからリビングで話の続きをした。

 

明日人「発表するのもなんだか気恥ずかしいな。まずはスティラ」

 

スティラは背筋を伸ばしてしっかり聞こうとする。

 

明日人「えっと、、スティラは『凛』」

 

スティラ「『りん』ですか、、、」

 

明日人「そして君は、『瑠璃』」

 

007「『るり』、、、フフッ、『るり』ね」

 

明日人「い、イマイチだったらまた考え直すけど、どうかな?」

 

スティラと007は顔を見合わせ、微笑んだ後に再びこっちを見る。

 

  凛「素敵です、ありがとうございます!」

 

 瑠璃「気に入った。あとでどんな文字か見せてもらうわ」

 

良かった、気に入ったみたいだ。

 

 咲月「これからよろしくね♪」

 

 瑠璃「えぇ、お世話になる」

 

この調子だと、すぐにこの環境になれてくれるだろう。

それにしても、ただのゲーマーがこんな境遇に立ち合うことになるなんて思いもしなかった。あの病院は気に食わないが、凛と瑠璃をこの世界に呼び出した、、、いや、産み出したが正しいか。そのことについては感謝するとしよう。

 

 

GGO、グラハムのホーム…

 

 

ツェリスカ「あなたってば本当に無謀なことをするわよね〜」

 

グラハム「でも、こうして無事にスティラがGGOにいつでも来ることができるよ」

 

 クレハ「それに、無謀なことをする方があんたらしいって感じがするのよね」

 

凛と瑠璃に名前を付けてしばらくした後、4人はGGOにログインした。VRにログインするための装置は2つしかないのだが、今回手に入れた人造人間のマニュアルによると、どうやら本人の意志で仮想世界に行き来することができるらしい。

 

 クレハ「はぁ、それはそうと、また女の子か、、、」

 

グラハム「?まぁそうだな」

 

 クレハ「またチャンスが遠のくじゃない、、、」

 

グラハム「???」

 

何のチャンスだ?

 

ツェリスカ「クレハちゃんはあなたと2人っきりの時間がほしいのよ」

 

 クレハ「ツェ、ツェリスカさん、公言しないで下さい!」

 

あ、そのことか。そうだった、自分で言っちゃいけないけど、クレハも俺のことが好きなんだった。前までは女性を1人だけ選ぶなんてできなかったけど、今は必ずと言えるほど1人に絞れる。断るには残念ながらまだ先になるが。

 

グラハム「そういうことか。それなら、また次に会う時でいい?今日はエディに心配かけすぎたから気にかけたい」

 

ツェリスカ「『今日も』の間違いじゃないかしら」

 

 クレハ「確かにそうですね。で、『また会う時』って言葉聞いたからね、約束よ!」

 

グラハム「あぁ、約束する」

 

ひとまず次回に持ち越すことにした。

 

スティラ「グラハムさん、そろそろ」

 

 ルイス「女の子に気を使えるようにしなさい」

 

すると、スティラとGGOにログインした瑠璃、いやルイスが明日人に耳打ちした。

左右から耳打ちされるとくすぐったいんだが。

 

グラハム「そうだな、ちょっと席を外すよ」

 

後ろに振り返るとエディが椅子に座っており、すぐに目が合った。

 

グラハム「エディ、ちょっといいか?」

 

 エディ「う、うん!いいよ!」

 

了承を確認すると、グラハムはエディの手を引き、外(月面都市内)へ出た。

 

 

月面都市、住宅街…

 

 

グラハムとエディは地球からの反射光に照らされた町中を、手を繋いで歩いていた。

 

 エディ「どうしたの?」

 

グラハム「いや、大した用はないんだけれど、咲月と2人っきりになりたかった」

 

 エディ「うん、、わ、私も2人っきりになりたかったから今この時が楽しい」

 

グラハム「良かった」

 

こう話していても駄目だ、言いたい事を言おう。

 

グラハム「昨日はごめん、怒鳴っちゃったりして」

 

 エディ「あ〜あの事ね、、、」

 

この話をした途端、エディの歯切れが悪くなった。

だが、ここで下がってはいけない。

 

グラハム「俺は、本当に咲月が大切だからあんな声出しちゃったんだ。だから、、咲月が、人から見捨てられる恐怖を少しでも感じてしまってたらと考えると俺も辛くて辛くて、、、」

 

謝罪を込めているとエディが足を止めた。手を繋いでいたのでグラハムも遅れて立ち止まる。

 

 エディ「もしかして、私のせいで明日人の精神を追い詰めてる、、、?」

 

咲月は少し泣きそうな顔でグラハムに聞いた。

分かった。咲月の『前の家庭』は酷く困窮していて、両親共々も社会的に追い詰められていたんだ。最終的に咲月にストレスをぶつけてしまい、見捨ててしまったと。

 

グラハム「いや、咲月のせいじゃないよ。俺、どうしても説得が苦手でさ、昨日みたいに怒ってしまったり伝えたいことが伝えられなかったりする。そんな感じで、自分で勝手に追い詰められてる、、、だけ」

 

 エディ「そっか、、」

 

エディはグラハムと繋いでいる手を両手で包み込んだ。

 

 エディ「明日人、1人で頑張り過ぎないで。私も一緒に悩んで、力になれることは何でもするから」

 

グラハム「、、、咲月は強いな」

 

 エディ「私は明日人がいなきゃ何もできない人間だから強くもないよ」

 

徐々にエディが顔を近づけていき、お互いの顔の距離数センチで止まる。

 

 エディ「これから何があっても、置いていかないでね、、、」

 

グラハム「分かった、傍にいるよ」

 

 エディ「ん、、、」

 

顔の距離が最後まで近づき、2人はキスをした。他のプレイヤーに見られるかと思ったが、住宅街は人気のないスポットなので見られずに済んだ、、、はず。

 

 ルイス「あの2人はホントに仲良しね」

 

スティラ「あの、ルイス、追跡は良くないと思うのですが」

 

グラハムとエディが外を出てしばらくすると、スティラとルイスも外に出て2人の後を追っていたのだ。グラハムは見られていることに気づいていない。

 

 ルイス「だって、服を買いに行くって言ってたのにこれよ?」

 

スティラ「あ、私も服を買いに行く件を忘れていました」

 

 ルイス「こうなったら何着も買ってやるんだから」

 

スティラ「、、、程々にしてあげて下さい」

 

スティラは(じゃあホームで服を買いに行くことを言えば良かったじゃない)と思いつつもグラハム達の様子を再び見守った。

 

 

GGO、平原…

 

 

いつも通りの日常は時間があっという間に流れていき、今はグラハム、エディ、スティラ、ルイスの4人で夕日に照らされる中、ネームドエネミーを倒した。

 

 ルイス「、、、こんなに楽しい想いをしているのは初めて」

 

スティラ「そうですね、戦っているはずなのに何故でしょう」

 

そうか、スティラとルイスは争いがなかなか絶えない日常を過ごしてきたから戦闘が楽しいと思う発想は今までなかったのか。

 

 エディ「それはね、皆と一緒にいるからだと思う。2人の世界はどんな感じなのかは分からないけど、絆が強い人と組めば何でも出来るような気がするから楽しさがあるんだよ♪」

 

なるほど、そう言われてみれば分かるかも。

 

 ルイス「なるほどね、理解したわ。その気持ち共感できる」

 

スティラ「絆ですか、、、ならば私達、とても良いチームってことですね!」

 

 エディ「うんうん!さぁ、まだ夕食までは時間がある、行こ!」

 

グラハム「あぁ、行こう!」

 

これまで何度も挫けそうになり、命も落としかけた。だけど、その度に仲間達と支え合って立ち上がることができた。皆となら、止まらずに先へ進める。

 

俺達はここで終わらない!

 

 




ピンクマ「締め方以外と難しいな、、、え、最終回?大丈夫ですおまけがあります(後日公開)」


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EXTRA 青年と少女
「クレハ」友好度100%


 

GGO、総督府…

 

 

スティラを取り戻し、瑠璃を迎え入れた翌日の夕方、グラハムは約束通りクレハと出かけるつもりでいる。仮想世界内でだが。

 

 クレハ「お待たせ!」

 

グラハム「よっ。今日はどこに行くんだ?」 

 

 クレハ「今日は河川フィールドの隠しイベント探しをするつもり。最後まで付き合ってよね!」

 

グラハム「もちろん、約束だから」

 

 

河川フィールド付近、林地帯…

 

 

特に問題なくで河川フィールドにたどり着き、手始めに林の中を探すことになった。

 

グラハム「流石に林の中にもエネミーは湧くか」

 

エネミーはLv175のヒューマノイド、武器種はランチャーやハンドガンなどバリエーション豊か。グラハムはLv270、クレハはLv285なので問題無いように思うが、正確に頭を狙ってくるので舐めていると普通に死ぬ。

 

グラハム「大丈夫だと思うけど、囲まれないようにな」

 

 クレハ「あたしは大丈夫!このくらい楽勝よ!」

 

グラハム「そうか、でも本当に危険だと判断したら飛んでよ?」

 

 クレハ「あら、知らない?擬似太陽炉が今朝のアップデートの時に作ってくれた武器ごと消されちゃったのよ」

 

グラハム「え、マジか、、、」

 

流石にGGO内の太陽炉での空中戦は運営は望んでなかったか。元からログボで配布して様子を伺うつもりだったんだろう。

 

グラハム「昨日今日とたまたま太陽炉を使ってなかったから気づいてなかった」

 

 クレハ「お知らせはちゃんと見なきゃ駄目よ?、、、きゃあっ!?」

 

グラハム「えっ!?」

 

突如クレハが悲鳴を上げたので、すぐに後ろに目を向けると宙吊りにされていた。クレハの足首を見てみるとチェーンが見事に足に絡められている。

 

グラハム「これは足元にも気を付けなきゃいけないな」

 

 クレハ「今はそんなこと言ってないで助け、、、ちょっ!スカ ートの中見ないでよ!?」

 

グラハム「見ないわ!てか以前バスタオル姿で出てきただろ」

 

周りにプレイヤーがいるといけないのでこの発言は声を小さくして話す。

 

 クレハ「フィールドとホームじゃ訳が違うでしょ!?」

 

グラハム「そりゃそうだった。それじゃあ斬、、、」

 

その時だった。クレハを吊るしているチェーンを夜空の剣で斬ろうと振り上げると背後から何かの気配を感じ取った。

 

 クレハ「どうしたの?早く斬ってほしいんだけど、、、」

 

グラハム「クレハ、俺がチェーンを斬ったらすぐに戦闘態勢を取るんだぞ」

 

 クレハ「わ、分かった」

 

気配が近づいてくるまでにチェーンを斬り離し、クレハと共にドラケLハブーブを構える。

 

 クレハ「ホントにこっちの方向から来るの?」

 

グラハム「とか言ってる内に来る!」

 

木々の間から人影がどんどん近づいてくる。1人だが凄い気迫を感じる。

 

ダダダッ!ダダダッ!

 

グラハムとクレハは牽制で撃つも、全て回避される。

 

 クレハ「何なの!?」

 

グラハム「速すぎるな、、、ん?クエストログ?」

 

 クレハ「このタイミングで!?」

 

クエストログの通知が届いたので、一旦グラハムはクレハを抱えてUFGで木の枝に乗り退避する。そして、そのクエストログには〘シークレット・ソードマンを倒せ〙と表示されている。

 

グラハム「確実に隠しイベントのボスだな。道理で気迫が大きい訳だ」

 

 クレハ「どうやって倒すの?あんなのじゃ、いくら弾があっても当たらないわよ?」

 

グラハム「そんなエネミーは早く下方修正されてほしいけど、倒せるなら倒したいな。そうだ、こうしよう。クレハがランチャーであいつの足止めをして、俺が剣で攻撃をする」

 

 クレハ「あの速さで剣を当てられるの?」

 

グラハム「いくら速くても相手はソードマンだ、向こうから来てくれるから俺はそれに合わせるだけ。さらにクレハの足止めで動きが止まるはずだからそこをついて斬る。大丈夫そうだ」

 

 クレハ「最近のあんたならやれそうね、、、。いいわ、一緒にクリア目指しましょ!」

 

グラハム「頼りにしてるよ」

 

グラハムはクレハにグータッチをすると、アイテム欄を確認してから木の枝から飛び降り、剣を構えた。すると、それに気づいたシークレット・ソードマンはすぐさまグラハムに急接近する。

 

バチィッ!

 

夜空の剣と光剣が鍔迫り合いを起こし、グラハムは力任せに押し返そうとする。

 

グラハム(これは、、、このままじゃ剣が溶けてしまうな)

 

剣の表面が溶けてしまうと困るので、左手を剣から離しビームサーベルを取り出す。

 

グラハム「これならどうだ!」

 

ビームサーベルをシークレット・ソードマンに斬り付けようとする。だが、瞬時に突き放され回避される。

 

グラハム(なかなか判断力が高い)

 

ヒューマノイド・ソードマンは再びダッシュでグラハムに迫る。

 

ドォッ!

 

すると、グラハムまで数メートルの所でヒューマノイド・ソードマンの前が爆撃され足を止める。

 

グラハム「ナイスだクレハ!」

 

ここをチャンスと判断し、グラハムはあの掛け声を発する。

 

グラハム「トランザムッ!」

 

グラハムの体は赤く輝き、スピードが上昇する。トランザムのみでなく、太陽炉関連の能力は全て使える。

『擬似太陽炉』は削除し、『オリジナルの太陽炉』は削除しなかったのか。

 

グラハム「GN粒子を表面に付着させた剣に耐えられるか!?」

 

ヒューマノイド・ソードマンは攻撃される寸前に、光剣でグラハムの剣を受け止めたが、GN粒子が付与されている剣に敵わず、ビームの刃ごと首を斬った。

 

グラハム「気持ち良く終われたな」

 

独り言を呟くと、夜空の剣をストレージにしまう。

 

 クレハ「グラハム、今のは!」

 

クレハは木の枝から飛び降り、興味津々でグラハムに聞いた。

 

 クレハ「太陽炉は消されたはず!」

 

グラハム「『擬似太陽炉』だけなんだろうな。目的は知らないけど」

 

 クレハ「確かに目的が分からないし納得もいかない、、、」

 

グラハム「まぁ今はそれより、クレハにこれをあげるよ」

 

そう言いグラハムはクレハに人差し指サイズの六角形の赤い宝石を渡した。

 

 クレハ「これは、あのヒューマノイドのドロップアイテム?」

 

グラハム「そう。それともう一つ、これはイベント報酬だな。1人に1つ配布されてるはず」

 

今度は銃弾のチェーンストラップを取り出す。

 

 クレハ「このストラップ、銃に付けるとリロード速度が結構上がるみたいね」

 

グラハム「こっちは射撃ダメージ上昇と射撃精度上昇が付いてるよ」

 

 クレハ「やっぱり運はあんたが上ね、思ったより早くクリアしたし、もう1つの隠しイベントに付き合ってくれるわよね?」

 

グラハム「そうだな。クレハの欲しいものがドロップするまでやろう」

 

 クレハ「やった♪」

 

 

数時間後、センターストリート…

 

 

あれから数時間、隠しイベントを新たに2つクリアして帰ってきた。

 

 クレハ「ありがとうグラハム!おかげでダメージ上昇アクセサリーが手に入ったわ!」

 

グラハム「どういたしまして。無事にドロップしてくれて良かった」

 

 クレハ「ホントにね。あ、そういえば」

 

クレハはストレージからアイテムの詳細を見る。そのアイテムは、最初の隠しイベントでドロップした六角形の宝石だ。

 

 クレハ「これ、加工して使うみたいなんだけどNPCは受け付けてくれないのよ」

 

グラハム「なるほどね、それじゃあ俺がやるよ。どんなのがいい?」

 

サイズはシステムが調整してくれるから十分良いものが作れるはずだ。逆に失敗のしようがない。

 

 クレハ「そうだった、鍛冶スキルを持ってたのよね。じゃあ、、、指輪にしてほしい」

 

グラハム「指輪か、分かった」

 

早速作る為、2人はホームに戻る。

 

 

グラハムのホーム…

 

 

グラハム「、、、うん、こんなもんか」

 

その指輪はプラチナで作られており、その一箇所には赤く輝く宝石が球に加工され埋め込められている。

 

グラハム「クレハ、できたよ」

 

 クレハ「へぇ、、、綺麗、、、」

 

いつもならテンション高く礼を言うクレハが、今回は珍しく静かだ。あの時告白してきた時のように。

 

 クレハ「ねぇ、あの時のこと覚えてる?」

 

グラハム「あ、あぁ、告白、、、の時の」

 

 クレハ「その時あたし、『仮想世界の中だけでもあんたの隣にいさせて』って言ったから、お願いしたいことがあるんだけど、、、いい?」

 

グラハム「やれる範囲内、、、なら?」

 

ここではっきり「いいよ」と言ってできないことだったら申し訳ないから曖昧な返事にしておこう、、、。

 

 クレハ「なら、今私の指に指輪をはめてもらいたい。リアルじゃ咲月に先を越されてるから、、、」

 

グラハム「あぁ、、、分かった、左手出して」

 

 クレハ「えぇ、、、」

 

これは、、、他になんて言えばいいか分からないな。

そう思いつつ、グラハムはクレハの中指に指輪をはめた。

 

 クレハ「ありがとう、一生大事にする」

 

グラハム「ん、、、」

 

クレハが礼を言うと、グラハムにそっとキスをする。唇を離すと、頬を赤くしたクレハが微笑む。

 

 クレハ「私、『明日人』と会えて良かった。咲月がいるって分かってるのに諦めきれないのよね。だけど、その、、、」

 

グラハム「言わなくても分かってるよ」

 

グラハムはクレハの頭の上に手を置く。

 

 クレハ「、、、えぇ♪」

 

こうしてまた、エディからのヘイトが高まることを察したグラハムであった。

 




ピンクマ「マルチプル・オンラインⅡ、行っちゃう?」


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「ルイス」友好度100%

 

明日人の家、リビング…

 

 

 瑠璃「明日人、ちょっといい?」

 

休日の朝ご飯を終えた後、瑠璃は明日人に声をかけた。

 

明日人「どうしたの?」

 

 瑠璃「GGOの『誓いのグリップ』っていうイベント?アイテムが欲しいんだけど、一緒に来てくれる?」

 

明日人「いいよ、行こう。咲月と凛も呼ぶ?」

 

 瑠璃「そうしたいのは山々だけど、このイベントは2人パーティ限定らしいのよ」

 

明日人「あ、そうなんだ」

 

2人限定ならば仕方ない。明日人と瑠璃は早速GGOへログインした。

 

 

GGO、花畑の丘…

 

 

グラハム「ここが今回のイベントステージか」

 

花畑の丘は名前の通り、綺麗な花が丘一面に広がっている。

 

 ルイス「あの木が目標地点らしいわ」

 

ルイスが指を指した方向を見ると、丘のてっぺんに木が生えており、その周囲にはサソリ型エネミーが複数スポーンしている。

 

グラハム「う〜ん、、、」

 

サソリ型エネミーのレベルは120。対するルイスは85。

 

グラハム「ここは俺が前に出るよ。サソリの体力をギリギリまで減らしてから君が倒せば、良い経験値稼ぎになるはずだ」

 

そう言いながらグラハムはEXPブーストを発動させ、経験値取得量を上昇させた。

 

グラハム(瑠璃ならやれる。俺はサソリのハサミと足を斬り捨てるだけ、、、!)

 

ザシュザシュッ!

 

ビームサーベルを2刀取り出し、グラハムはルイスがダメージを負わないようにする為、想定通りハサミと足の計8つを切断する。そして、右へステップすると、

 

 ルイス「はぁっ!」

 

ルイスも続き、ビームサーベルをサソリの尾を目掛けて突き出す。

 

ザクッ!

 

ビームサーベルは見事クリーンヒットし、サソリを1体倒すことができた。

 

グラハム「ナイスだ!」

 

 ルイス「まだやれるわ」

 

グラハム「よし、この調子で他も倒そう!」

 

 ルイス「えぇ」

 

その後も2人は初めてのコンビネーションとはいえ、サソリを全て倒すことに成功した。最後のサソリを倒すと、木の根元に謎の紙が出現する。

 

 ルイス「これは?」

 

グラハム「地図、だな。この地形の形は確か、、、前に4人で経験値稼ぎをした平原の叢の中かな」

 

 ルイス「分かった、向かおう」

 

 

平原、叢地帯…

 

 

道中、ルイスは視界に入るエネミーを片っ端から倒し、常に経験値稼ぎに専念していた。そして、叢地帯に着くと、叢の中にトレジャーボックスが潜んでいる。

 

 ルイス「あれかしら?」

 

グラハム「あの場所にトレジャーボックスなんて今までに見たことがないから、きっとそれだよ」

 

 ルイス「それじゃあ、中身を確認、、、」

 

パスッ…

 

その時だった。サプレッサー装備の敵からグラハムが撃たれ、その場で倒れてしまった。

 

 ルイス「明日人!」

 

余程驚いたのだろう、本名呼びになる。

 

グラハム「大、丈夫、、、気を付けて、相手は電磁スタン、、、ルイスに分かりやすく言うと麻痺毒だ、、、」

 

 ルイス「くっ、、、」

 

ルイスは動けなくなったグラハムを叢の中に隠し、相手の動きを見る。

 

 ルイス「2人、1人は狙撃兵ね」

 

グラハム「ごめん、俺の警戒心が弱かったばかりに」

 

 ルイス「うぅん、私もあなたの力を過信しすぎて油断してしまった。、、、もう来る、迎え撃つわ」

 

グラハム「でもレベル差が、、、」

 

 ルイス「ここで何もしなかったらそれこそ終わりよ。大丈夫、私は現実では〘戦闘特化型〙なんだから、やることは変わらない」

 

グラハム「、、、STRを12、DEXを24上げて。そうすれば夜空の剣を扱えるはず」

 

グラハムはルイスがステータスを上げ終えたのを確認すると、夜空の剣を渡した。

 

 ルイス「すぐに終わらせてくるわ」

 

そう言い残し、グラハムの居場所を悟られないようにする為、さっと叢を飛び出した。

 

グラハム「状態異常回復薬を持ってくるんだった、、、」

 

様子を伺いたいが寝返りすら打てないので、ただルイスが無事に戻ってきてくれることを祈るしかない。不安に思っているとやがて銃声が止む。

 

グラハム(どっちがやられた?)

 

 ルイス「今戻ったわ」

 

叢の中にルイスがそっと入ってくる。

凄いな、剣1本で銃持ち2人を倒すなんて。

 

グラハム「無事で良かった、、、」

 

 ルイス「あなたの剣のおかげでね」

 

ルイスは夜空の剣を2回撫でてからグラハムに返す。

ルイスの元いた世界の風習かな?

 

 ルイス「まだ麻痺が治らないの?」

 

グラハム「うん、、今回のは意外と長い」

 

 ルイス「それなら」

 

グラハム「?」

 

ルイスはグラハムの頭上へ移動すると、太ももの上にグラハムの頭をのせる。

 

グラハム「な、何をして、、、!」

 

 ルイス「この方が地面よりも断然いいでしょ?それに、今日のお礼として受け取っておきなさい」

 

するとルイスはとあるものをグラハムに見せる。『誓いのグリップ』だ。

 

グラハム「嬉しいんだけど、何で膝枕なの?」

 

 ルイス「この前スティラに、『明日人にお礼するには何が喜ぶか』って聞いてみたら、すぐに膝枕って言うから」

 

グラハム「俺はいつから膝枕好きになった、、、」

 

いやまぁ、悪い気はしないんだけどね。

そんな話をしていると、グラハムの体は電磁スタンから解放された。

 

グラハム「ありがとう、動けるようになった」

 

 ルイス「良かった。それじゃあ、グリップも手に入ったし帰りましょ」

 

グラハムが立ち上がるとルイスも続いて立ち上がり、グラハムより前に立って歩いた。

 

 ルイス(、、、凄く心臓の動きが速くなった、戦いの時とは違う、、、。スティラの言ってたことがよく分かったわ)

 

グラハム「ルイス、ちょっと顔が赤くない?」

 

 ルイス「な、何でもないわよっ!」

 

グラハム「そ、そう」

 

するとルイスはグラハムよりも速く拠点へ走っていった。

 




ピンクマ「おまけはあと2人とグループ編かな」


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「スティラ」友好度100%

 

フォニア宮殿、皇帝の部屋…

 

 

グラハム(、、、眠い)

 

現在は昼過ぎ(現実では夕方)、グラハムは学校から帰るとすぐにマルチプル・オンラインにログインし、今まで溜めていた業務をこなしていた。1つの仕事はそこまで難しくないのだが、塵も積もれば山となる状態なのでかなり疲労が溜まっている。

皇帝の制服を着ていると集中力が続くと思ったのにな。

 

グラハム(あと2つ、終わらせられる、、、けど寝そう、、、)

 

コンコンコンッ…

 

グラハム「っ!は、はい!」

 

グラハムが完全に寝落ちをする前に、誰かが扉をノックした。

 

 一般兵「お忙しいところ、失礼します!」

 

グラハム「いや、大丈夫」

 

一般兵の用は、模擬戦の内容や陣形の組み換えの相談のようだ。

普段ならスティラが指示をしているようなのだが、スティラ自身も忙しいようなので代わりにグラハムに確認したとのことだ。

 

 一般兵「では失礼します!」

 

パタンッ…

 

グラハム「ふぅ、、、」

 

一旦休憩し、傍の台車に置いてある紅茶の入ったティーカップを手に取り、外の景色を見ながらゆっくり飲む。

こんな優雅にお茶をするなんて初めてだ。

 

コンコンコンッ…

 

グラハム「ぁ、どうぞ!」

 

再びノックが聞こえたので、ティーカップを台車の上に戻し扉に視線を向ける。

 

スティラ「失礼します!」

 

扉が開くと、総合騎士長様がはきはきと声を出す。

流石の気迫だ。

そういえば初めてこの世界へ来て去った時、スティラに皇帝の座を託したのだが、本人は「荷が重い」などの理由でグラハムが継続して皇帝になっている。

 

グラハム「お帰、、、り?」

 

「お帰り」でいいのかと思いつつもすぐにそんなことは気にしなくなる。

 

グラハム「お疲れ様、今仕事を終えたところ?」

 

スティラ「はい、街の見回りや中級兵の指揮、その他も全て迅速に対応し終わらせました」

 

グラハム「おぉ、流石、、、えっ、てことは昼ご飯食べてないんじゃ?」

 

スティラ「はい、軽く携帯食料を食べたくらいですね」

 

グラハム「それで倒れちゃったら困る。そうだ、これ食べて」

 

グラハムが手に取り、スティラに差し出したのは『サンドイッチ』だ。本当はいくつか譲りたかったのだが、グラハムが昼食に食べていたために2つしかない。

 

スティラ「あ、ありがとうございます。それではお言葉に甘えて、、、隣に失礼します」

 

礼を言い、サンドイッチを貰うとグラハムの横に座った。

 

 

数分後…

 

 

スティラ「グラハムさん」

 

グラハム「ん?」

 

グラハムは仕事を終え、スティラはサンドイッチを食べ終えるのと同時に聞いてきた。

 

スティラ「せいゆーって何ですか?」

 

せいゆーって、あの『声優』だよね?スティラの口からこんな単語が出てくるなんて珍しいな。

 

グラハム「声優は声を割り当てる?人のことだよ。例えば、ここに人の絵がある」

 

そう言いグラハムは紙に人の顔を簡単に描く。

 

グラハム「これの声を人が担当する仕事だ」

 

別に絵は書かなくてもよかったかも。

 

スティラ「へぇ、、、そのような仕事もあるのですね」

 

グラハム「うん、それで、どうして急に声優のことを?」

 

スティラ「それは、この前咲月さんと瑠璃で出かけていた時に男の人が寄ってきて、すると、すかうと?をしてきたので聞きました」

 

グラハム「マジか、それでなんて返事したの?」

 

スティラ「私はこの仕事があるので適当な理由を付けて断り、咲月さんはそのすかうとを受け、瑠璃は面白そうとの理由で引き受けていました」

 

グラハム「お、おぉ、、、」

 

驚く点が2つ出てきたぞ。咲月が声優になるのか、、、。萌キャラ担当なのかな?そして瑠璃は面白そうだからかよ。いいのかその男の人。

 

グラハム「そうだったんだな、、、。ありがとう、いい息抜きになったよ」

 

スティラ「いえいえ、息抜きになったのであればなによりです」

 

コンコンコンッ!

 

グラハム「どうぞ」

 

ガチャッ!

 

 一般兵「失礼します!」

 

一般兵は焦っている様子で扉を開けた。

 

 一般兵「闇の軍勢の残存部隊が攻めてきております!」

 

グラハム「本当か!」

 

まだ生き残っていた奴らがいたのか。

 

グラハム「分かった。スティラ、陣形を任せるよ」

 

スティラ「承知しました」

 

いつもの優しい顔つきから立派な騎士の顔つきに変わったスティラは、一般兵と急いで敵を迎え撃つ準備をする為走って部屋から出ていった。

 

グラハム「俺も向かうか」

 

本来皇帝は戦闘に参加しないようだが、傍観しているだけでは申し訳ない気持ちを背負ってしまう為、グラハムも後から皇帝の部屋から飛び出す。

 

 




ピンクマ「そして闇の残存部隊を全滅させましたとさ」


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「エディ」友好度100%

 

明日人の部屋…

 

 

チュンチュンッ…

 

休日の朝、外では雀が鳴いており、明日人はそれを目覚まし代わりに目を覚ました。

 

明日人「ん、、、フッ」

 

 咲月「うぅ〜ん、、、」

 

朝起きてすぐに鼻で笑ってしまった理由は、咲月が明日人の胸の中で幸せそうな顔をして眠っていたからだ。

そんな顔されると嬉しくて笑っちゃうよ。

 

 咲月「んん、おはよ、、、」

 

明日人「おはよ。よく寝れた?」

 

返事を聞きながら明日人は咲月の頭を撫でる。

 

 咲月「うん。えへへ、朝起きてすぐに明日人に撫でてもらうの好き♪」

 

明日人「俺も咲月に触れるのが好きだよ」

 

 咲月「うぅ、朝から恥ずかしいよ」

 

照れながらも咲月は明日人と額同士をコツンと優しくぶつける。

 

 

リビング…

 

 

明日人「それにしても驚いたよ、咲月と瑠璃が声優デビューするなんて」

 

明日人は朝ご飯を食べながら咲月と話す。因みに凛はマルチプル・オンラインにログインしており、瑠璃はまだ寝ている。

 

 咲月「スカウトされたと言っても、オーディションを合格しなきゃいけないらしいんだよね。まだそこらへんのこと分かってないから不安だけれど、頑張るね!」

 

明日人「うん、頑張れ」

 

頑張る咲月をしっかり応援する為、明日人はまた咲月を撫でた。

 

 咲月「でも、本格的に声優さんの仕事が始まったら一緒に学校行ったり、お出かけすることが少なくなるかも、、、」

 

明日人「そっか、、、それは寂しい」

 

そうなると出席日数とかどうなるんだろう。何かしら学校側か事務所側が補助してくれるのかな?まぁそれよりも、咲月と一緒にいる機会が減るかもってのは嫌だな。

 

明日人「それなら、今からどこか買い物とかに行こう」

 

 咲月「え、いいの?明日人、最近疲れてるんじゃ」

 

明日人「大丈夫だよ。それに、咲月をデートに誘いたかった、ってのが1番の理由、、、」

 

明日人は途中で恥ずかしくなり声が小さくなる。

 

 咲月「明日人、、、うん、行く!」

 

 

大通り…

 

 

明日人と咲月は手を繋ぎながら街中を歩く。様々な店は休日ということもあり混んでいる。通り道は空いてるだけでも良しと言うべきか。

 

 咲月「明日人とのデートは楽しいな♪」

 

明日人「まだ始まったばかりだけど楽しんでるのならいっか」

 

 咲月「フフッ♪あっ、私あそこに行きたい!一度行ってみたかったんだ〜」

 

そう言って指をさされた方向を見る。そこはおしゃれそうな喫茶店だった。

 

明日人「よし行こう」

 

店に入り、明日人はいちごタルトと紅茶、咲月はフレンチトーストと紅茶を注文してからパラソル付きのテラスに座る。

 

明日人「そういえば、どうして声優のスカウトを受け入れたの?」

 

 咲月「あ、そういえば言ってなかったね」

 

咲月は先に運ばれてきた紅茶にミルクを入れてから答える。

 

 咲月「私の夢っていうのと、小泉さんに憧れてたから」

 

明日人「あぁ、ひよりんか」

 

『小泉妃愛』、通称『ひよりん』、、、誰もが知っている人気声優の1人だ。あの方の声は俺も好きだから憧れるのは分かる。

 

明日人「確かにひよりんの声は魅力的だからね」

 

 咲月「うん、私もひよりんのような声優さんになりたくてスカウトを受けたんだ♪」

 

明日人「咲月ならきっと有名になれる」

 

 咲月「ありがと♪」

 

咲月を自信付けていると頼んだケーキが運ばれてきた。

 

明日人「よくよく考えて思ったんだけど、もしかして恋愛禁止だったりは、、、?」

 

 咲月「それは大丈夫、事務所が機密情報として扱ってくれるみたい」

 

咲月は小声で言った。

良かった、それならありがたい。

その後も明日人と咲月はデートを楽しみ、その1日はあっという間に終わってしまった。

 

 

午後23:00、咲月の部屋…

 

 

暗い部屋にランプの灯り1つの中、明日人と咲月は会話する。

 

 咲月「あ〜あ、、、楽しかった1日が終わっちゃうなぁ」

 

咲月は明日人の肩にもたれかかりながら言う。

 

明日人「また時間が合えば一緒に行こう」

 

 咲月「明日人がそういう風に言ってくれるなんてちょっと以外、インドア派だと思ってたもん」

 

明日人「確かにインドア派だけど、咲月とどこかに行きたいって気持ちの方が強いから。あ、でも、咲月が疲れてたらあれだから言って」

 

 咲月「うぅん、多分だけど言わない。明日人と同じようにどんな時でも、2人一緒なら疲れが吹き飛ぶ気がするんだ♪」

 

楽しい会話をしつつ、咲月は明日人を寝かしつけるかのようにベッドに共に横たわる。

 

 咲月「そういえば伝え忘れてたことが、、、」

 

明日人「声優関連?」

 

 咲月「そう、朝にオーディション受けるって話はしたけど、月曜日にっていうのを言い忘れてた」

 

明日人「平日かぁ、学校の先生には伝えてる?」

 

 咲月「伝えたよ。賛否両論だったけど、最終的に行かせてもらえることになったの」

 

ランプの灯りを消した後、明日人と手を繋ぐ。

 

明日人「あ、そうだ、俺も聞きたいことがあった」

 

 咲月「何々?」

 

明日人「その事務所、新社?」

 

 咲月「そうみたい、設立する為に最低5人の新人声優を集めてるんだって。養成所から初めさせられるみたいだから苦労するかもね」

 

咲月は苦笑いしながら答えた。

 

 咲月「うぅ、寝る前なのに話したいことが沢山出てくる、、」

 

明日人「大丈夫だよ。咲月が疲れなければ」

 

 咲月「ありがと。それで、声優の道をテーマに、養成所の光景をラジオで放送するみたい。いや、テレビだったかな、、、?」

 

おぉ、これは養成所での勉強も気が引けないな。咲月はしっかりしてるから問題ないだろうけど。仮に何かあっても最低限瑠璃が支えてくれる。

 

明日人「はぁ、咲月はまた一段と大人になっていくのに、俺は何も変わってないな」

 

 咲月「明日人もよく頑張ってるよ。いっそのこと私だけが働くってのもいいくらいに」

 

明日人「い、いや!ニートは俺が耐えられない!」

 

 咲月「うんうん、明日人ならそう言ってくれると分かってた♪」

 

すると咲月は明日人を抱き寄せ、明日人の顔を胸に埋めさせた。

 

 咲月「とにかく、今日は楽しかった。また一緒にデートしようね」

 

明日人「うん、そうだね」

 

そしてそのまま明日人は咲月の温もりを感じながら眠った。

、、、視線も共に感じながら。

 

 

咲月の部屋のベランダ…

 

 

 瑠璃「へぇ、、、」

 

 凛 「身体能力を活用してまですることですか?」

 

明日人と咲月が一緒に寝ている所を凛と瑠璃は窓の外から見ていた。

 

 瑠璃「だって気になるでしょ?普段の明日人は咲月の前ではどんな感じなのかって」

 

 凛 「だからと言って『でんちゅー』に登って咲月さんのベランダに飛び移るなど、、、」

 

 瑠璃「なんだかんだ言って凛もここまでついてきたから同罪よ」

 

 凛 「くっ、、、言い返す言葉がありません、、、」

 

しばらくしても、凛と瑠璃は部屋の中にいる2人を見守り続けた。

 

 




ピンクマ「ハミクリの誘惑に抗えなかったぁ。クロスオーバーとR-15タグに甘えすぎたかな?まま、知ってる人はサプライズ?として、、、」


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「咲月・凛・瑠璃」信頼度100%

 

山奥、川岸…

 

 

春が訪れ心地よい日差しが照りつける中、安定の4人は川岸へ訪れている。

 

 凛 「瑠璃!そっちに行きましたよ!」

 

 咲月「明日人頑張れ♪」

 

明日人「くぅぅ、、、っ」

 

明日人と瑠璃は現在、川で泳いでいる魚を網で獲ろうとしてる。その動機は、、、。

 

 

━━━━━

昨夜、夕食…

 

 

 瑠璃「美味しい、何この食べ物?」

 

明日人「ん?魚だよ」

 

 瑠璃「さかなって言うのね。いや、私の世界にはこんな生き物いないから」

 

明日人(それでよく食おうと思ったな)

 

あ、咲月を信頼しているから食べられると判断できたんだろうな。

 

 瑠璃「さかなって何処で捕れるの?」

 

 凛 「海や川などで捕れますよ」

 

ユーフォニアの魚料理は本当に美味しかった。仮想世界だってことを忘れるぐらいには。

 

 瑠璃「じゃあ、明日行きましょ」

 

明日人「行くの!?」

 

━━━━━

 

 

そして今に至る。釣り竿は持っておらず、貸し出してくれる店も離れているので、取り敢えず大きめの網を2つ買って来たのだ。

 

 瑠璃「よし、また捕れた」

 

明日人「え、凄っ」

 

初めてにも関わらず、瑠璃は既に4匹も捕まえている。対する明日人はようやく1匹目を捕まえたところだ。

 

 瑠璃「うっ、魚の生臭さ、まだ慣れないわね、、、」

 

明日人「どうやったら捕まえられるの?」

 

初めて魚を相手にする瑠璃に聞くのもあれだが。

 

 瑠璃「これを聞くとすぐに捕まえられるわ。まず小石を拾い、魚を捉えたらすぐ傍に小石を投げて、逃げた方向に網を持ってくる」

 

バシャッ…

 

言いながらやってみせると、瑠璃の網に確かに魚が一瞬で入った。

 

 瑠璃「ね、簡単でしょ?」

 

明日人「どう見ても簡単じゃ、、、」

 

捕まえたところを見ても半信半疑な明日人は、同じように魚を捕まえようとする。

 

バシャッ…

 

明日人「、、、できた」

 

 瑠璃「その調子よ」

 

明日人「こんなに上手くいくもんなのか」

 

 瑠璃「あなたイノベイターでしょ」

 

明日人「そうでした」

 

いつもと同じ生活してる為にイノベイターの自覚は全くない。

そして数分後、全部で16匹の魚を咲月と凛の所へ持っていき、あーだこーだして魚が焼き上がった。

 

「「「「いただきます」」」」

 

 瑠璃「うん、自分で捕まえた魚を食べるのも悪くないわ」

 

明日人「それに、咲月と凛のおかげで焼き加減も丁度良いよ」

 

 咲月「良かった♪1人4本ずつだからね!」

 

 凛 「まさか魚料理の経験がこの世界で活かせるとは思いませんでした」

 

本当に旨い。咲月の焼いた魚はお袋の味って感じがするし、対する凛の魚は料亭の味がする。どうやればこの味ができるんだろう。

 

 瑠璃「美味しかった」

 

ほのぼのしていると瑠璃は既に4本食べ終えた。

はっや。

仲間とピクニック気分で出かけるなんて滅多にないし、準備に苦労するけど、たまにはこんな時間も悪くないな。

 




ピンクマ「おまけ章も終わってしまった、、、。読者さん!Ⅱもご期待下さいお願いします!」


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