[完結]FIA-F2 WorldChampionship story of speed Final season (九嶋輝)
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Round0 Anfang

昨シーズンの興奮冷めやらぬ中アブダビでは来シーズンに向けてポストシーズンテストが始まっていた。


前年度は、スランプに見舞われながらも、不死鳥の如く復活を果たし、2年連続で、年間ランキング3位に食い込んだ俺。そんな興奮冷めやらぬ中迎えた、アブダビでのポストシーズンテスト。このテストは、前回の2nd seasonで説明した通り、自分との相性ピッタリのチームを見つけて契約して、1年間ないし複数年走り抜くという所謂、「チームの下調べ」にも等しいのである。このテストで俺は、前々から目をつけて交渉していたチームがひとつあり、そのチームのマシンに乗ってみたくてたまらなかった。そのチームというのは、昨年いきなり出てきて、表彰台かっさらいまくった「ユニ・ヴィルトゥオーシ」という、一昨年まで参戦していた「RTロシアンタイムズ」の母体となるチームである。実はこのチームと、あと1つ乗るチームがあって、そのチームの名前は「ハイテックレーシング」という今年度から新規参入したチームだけど、F3とかのカテゴリーだと、割と強豪チームとして、名高いチームだけど、F2だとどうなるのかも確かめたい所だ。そしてテストの日になり、俺は初日に、ユニ・ヴィルトゥオーシに合流して自己紹介等を済ませて、いざマシンに乗り込むと、何やら見慣れたやつが1人いる。まさかだと思うけど、一昨年俺の担当メカニックだった、ギャレットじゃないか!!また同じ職場で会うとは、これも何かの縁だと思ったね。ギャリーは無線で「あれ?ヒカルじゃないか!!まさかお前とまた同じになるとは思ってもなかったぜ!!」俺も無線で「俺もだよギャリー。また同じ職場で会うとはね。まぁ今日1日楽しませてもらうよ。」とコミュニケーションをとっていたが、さっき俺がギャレットの事をギャリーと言っていたのは単純に呼びやすいから。本人も結構気に入ってるから助かるよ。そして走行開始の合図と共に、俺もコースインをした。さてと、このチームの車両特性のお手並み拝見と行きますか。そして最初の1周ゆっくり走って2周目から全開走行開始。それにしても、昨シーズン乗っていた、ARTGPのマシンより扱いやすくて、乗っていて非常に落ち着くマシンに仕上がっていた。でもこのテストは、13インチタイヤ最後のテストでもあり、特性もある程度理解していた。俺は、フルに特性を活かして走り込んだ結果、8番手タイムと、このチームでの初走行にもかかわらずこのタイムは納得いくタイムだった。そしてピットに戻って改めて俺はギャレットにお礼をした。「扱いマシンセッティングをしてくれてありがとな。おかげで走っていて楽しかったよ。」とお礼をしてギャレットからも「俺が車を弄ると何故か必ず扱いやすくなる。自分でも不思議でたまらない。だけどまたお前の笑顔が見れてよかったよ。」といい俺は初日を終えて迎えた最終日。俺は、ハイテックレーシングに合流したが、マシンカラーがあまりにもカッコ良すぎてしばらくフリーズどころか思わず「シルバーアローだ!!」と叫びそうになったが、その気持ちを押し殺して最終日に臨んだ。そして自己紹介等を済ませていざシルバーとブラックに塗られたマシンに乗り込み走行開始。そして全開走行時にふと気づいたのが、新規参入チームにも関わらず、ここまで攻めたセッティングをするチームはあまり居ないという事だ。何故かと言うとマシン特性は昨年の俺の機体と類似してるとまで行かないがかなり似ているのだ。まぁあそこまで暴れないだけいいよ。でも結果から見るとタイム的に初日の方が早かった。やっぱりこのチームの場合マシンに手を焼き10番手に入るのがやっとだった。そしてピットに戻って俺は良い所とダメな所を指摘した。良い所はストレートでは抜群の安定性がある所。ダメな所はコーナリング中ダウンフォースが若干不足気味な所。そしてコーナー進入時にドリフトしてるみたいになってる所。あのさ、Moto2マシンじゃないんだからさ、ちゃんと曲がりましょう。あっ、ここだけの話だけど俺は1回出光ホンダチームアジアのMoto2マシン(カレックス)に乗った事あるけど、あの時は普通に曲がるよりスライドした方が早くてよく滑らせてたけど、この場合は話が違うのでちゃんと曲がろうよ。そういう所を指摘してチームも「いい研究材料になったよ。ありがとう。」と言ってくれて俺も「いい材料を提供出来て良かったよ。ありがとう。」とお礼をしてポストシーズンテストは終わった。そして俺は、初日に走ったユニ・ヴィルトゥオーシと契約を交わし、2020シーズンのFIAF2世界選手権にエントリーする事が発表され、ナンバーも、昨年同様3番になり、昨シーズン後半から加入したレッドブルジュニアとホンダの支援も継続して行われる事になった。そしてマシンカラーは、レッドブルカラーとなり、スポンサーにはカシオとブシロードとオーディオテクニカが継続して就いてるのと、サイドポンツーンにはレッドブルのロゴ。そしてサイドプロテクターには、俺の名前と日の丸とかなりカッコ良く仕上がった。後はスポンサーに俺が愛用してるAraiが就いており、レーススーツのワッペンにもAraiのロゴが縫い付けられている。さぁ最後のシーズンを戦い抜く準備は出来た!!次回は開幕戦オーストリア。お楽しみに。そして晴南もカーリン・レーシングから、今季のF2にフル参戦する事も同タイミングで発表された。



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Round0.5 このチームとの出会い

俺がヴィルトゥオーシと出会った事は、RTロシアンタイムズ時代の2018年まで遡る。このチームの強さはよく知っていた。プレマと同等だと言う事を。そして、俺の歯車が狂い始めたベルギーGPを迎えた。俺はレース前に誠真といつも通り雑談していて笑っていた。まさかそれがアイツと交わす最後の会話、アイツが見せた最後の笑顔になるなんて、誰も知る由もなかった。マシンが続々とオールージュを通過してラディオンへと向かった。その時だった…アイツのマシンはイン側のランオフエリアのスポンジウォールへとオーバースピードで突っ込んだ。フロントウィングを吹っ飛ばしながら。そして、衝撃で跳ね返ってコースへと。その直後に…すぐ後ろのマシンが減速しきれずに激突。モノコックが破壊され、体半分露出する格好になり、首もグラんとしていた。俺は減速して停止した時に、メット越しに見えた修羅場に動揺していた。それからこのチームとの関係が始まった。代表が「辛い気持ちは良く分かる。もし、我々に何か出来るのであれば…」と俺に話しかけてくれた事がきっかけに関係がスタートした。シーズンが終わる度に「俺の所で走るかい?」と気にかけてくれていた。実際にオファーまで出してくれていた。けど、俺は「オファーは、本当にありがとう!けど、ARTでやり残した事があるんだ。気持ちだけでも受け取っておくよ。でも、来年は絶対ここで走るから!」と言ってARTで走った後に「今シーズン、」と代表が言おうとした所で「ここで走る!去年の約束果たしに来たよ。一緒に王者取り行こうよ。」と言って約束通りヴィルトゥオーシで走る事を決めた。俺は「シャシーに関しては新調しないで欲しい。するのならば星奈が使ってたシャシーを持って来てくれ。そのシャシーに全てが詰まってる。今までの全てがね。」とリクエストをした所、すんなりと承諾してくれた。そしてステアリングは、誠真の物を流用という「3人の絆」を示す形になった。実はこのチームとの契約自体は、昨シーズン時点で結んでおり、メディアも俺の動向に注目していた。俺はSNSで「匂わせ投稿」を多数行っており、フィーダーシリーズをメインに扱ってるメディアや、ファンからは「来季はヴィルトゥオーシで走るのか?」と噂が立っていた。ファンの間でも「来季はカーリンに復帰かと思った!?」等と驚きを隠せなかった人が多数見受けられた。それもそのはずだ。だって英国籍強豪チームはカーリンなのだから。予想合戦では、やれMPだのカンポスだのハヤテだのとほぼ大ハズレな回答をする人が多数現れた。でもニアピン回答をする人も多く居た。中にはドライバー編成の予想合戦も展開されていた。ドライバー編成が判明した瞬間に「くっしー選手逃げてぇヾ(゚д゚;)/≡ 」「ヤバい奴来たな。って昨年と一緒とかヤバいって!!」等とTwitterは大荒れになったりもした。



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Round1 波乱の幕開け(オーストリアGP)

前回のエピソードでは、ポストシーズンテストについて書いたけど、今シーズンは後で説明するけど、オーストリアで開幕戦を迎えた。そして俺のF2ラストシーズン遂に開幕!!


前回は、アブダビでポストシーズンテストの様子をお送りしたが、実は一つだけ抜けていたことがある。それはバーレーンでのテストの事だ。ここで超ザックリ言うと、まだマシンと18インチタイヤに上手いこと馴染んでなくて感覚を掴む為にひたすら走り込んでいた。というのがバーレーンでのテストだった。そして今シーズンは、何故かオーストリアで開幕戦を迎えたのだけど、これにはかなり深い訳があって、今も世界中で感染者が立て続けに増えている新型コロナウィルスまたの名を「COVID-19」の大規模なパンデミックとかの影響をモロに喰らって俺が住んでるイギリスもロックダウンを行っており身動きが取れず、一旦イギリスにステイする事にした。幸いにも昨シーズンの後半戦にカンポスレーシングからF2に参戦していて、今年はカーリンからフルエントリーしている佐藤晴南選手と住んでる所が一緒(アッテンボローで共同生活)だからお互いのチームの雰囲気とかの情報交換とか出来たりしたのがとても助かった。何故かって?すぐに戦略が練れるからだよ。そしてCOVID-19が一段落して迎えたF2開幕戦は、なんとF1同時開催という例年とは少し違う開幕戦となったが、今年のF2前半戦は、コロナ対策の一環として無観客で開催する事が発表されたが、もしかしたらその都度変更するという事だ。でもフリー走行からいきなり波乱の幕開けとなった。まずは今シーズン、トライデントからフル参戦するルーキーの坂口万璃音選手のマシンがコースアウトしてマシンがストップしてしまいイエロー。そして俺はと言うと、その間走り終えてガレージに居てギャリーとセッティングを一緒になって考えていた。そして足回りを少しだけ柔らかくして扱いやすく仕上がったマシンを更に扱いやすくした。イエローが解除されて、再びマシンに乗り込みコースイン。しかしこれは偶然なのか、なんかの縁があってこのチームに巡り会えたのかは分からないけど、最後に走るチームが天国に居る誠真と一緒のチームになるとはね。しかもファーストドライバーという同じ立場で。だからこのチームに巡り会えたのかもしれない。そしてタイヤに熱を入れてアタック開始。この時タイヤはソフトタイヤ。柔らかいからすぐに熱が入ってくれてとても助かった。そしてタイムは全体トップタイムでフリー走行を終えた。そして予選では決勝用のタイヤチョイスで挑む事にした。タイヤはハードタイヤでセッティングはあのまま。そして予選開始の合図と共にコースイン。1周熱入れて次の周からは全開走行。そして結果は、開幕早々俺のポールポジションとなった。そしてチームメイトはまさかのフェラーリ育成のアイロット…。マジで嫌な予感しかしない。フィーチャーレースでは、前半はハードタイヤで相手との差をつけて十分にマージンを稼いでピットに入りソフトタイヤに交換して後半を引っ張るという作戦が見事当たり、フィーチャーレースは俺の優勝。続くスプリントレースでは、フィーチャーレース以上に荒れたレースになった。まずはカーリンからレッドブルジュニアとホンダ支援の元、今季F2にレギュラー参戦を開始した後輩の晴南のマシンが、ドラシャが折れて駆動を失い、最初の1コーナー後のストレートでストップ。これでイエローフラッグ。てか、もうその前から荒れており、まずスタートして1コーナーの進入時にマシンが相手に当たってしまい、ダメージを心配したけど大したダメージは無くてよかった。そしてDRSゾーンに入りDRSを作動させ相手を豪快にオーバーテイク。これでトップになり結果は俺の2連勝でF2開幕戦は幕を閉じた。



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Round2 2連戦(シュタイアーマルクGP)

今シーズンはオーストリアで開幕したF2だけど今回は史上初の2連戦。第2戦シュタイアーマルクGP開幕。


前回ラウンドは、俺の完全制覇で終わったけど、今回は史上初の2連戦。だけどFIAのお約束上「同じラウンドでも2回連続の場合名前を変えてやらなければいけない。」というお約束があり、この場合オーストリアGPではなくこのサーキットがあるシュタイアーマルク州という地名をGP名にするという事で「シュタイアーマルクGP」という名前になっている。そもそもこれはF1が「1国1GP」を掲げてる為でもあり、日本も例外ではなかった。かつて日本では、1994年と95年に鈴鹿と岡山(旧TIサーキット英田)でF1がやっており、その際TIサーキット英田の場合、日本GPを名乗れなかった為「パシフィックGP」として開催した事がある。確か94年のパシフィックGPはアイルトン・セナが日本で走った最後のレースだったけど、結果はフェラーリから出てたニコラ・ラリーニに撃墜されて終わってたような。でもコースレコードでもある1分10秒は未だに破られておらず、彼がいかに凄いドライバーかを物語っている。話を戻すと、そんな2連戦でも心配されたのがドライバーの体力面であるが、実はF2を戦い抜いてるドライバーはF1ドライバー並のトレーニングをしてる為、体力面は問題ないけど2連戦の場合、次の週の為、休まる暇がなくて空き時間で休息を取るというのが今回の流れかな。まぁ寝るくらいしかないけどね(笑)。実はこのレースの前の週でアメリカで罪なき黒人が白人警官によって命を奪われるという痛たましい事件が起きその1件でアメリカの各州、果ては全世界を巻き込んだ大規模な抗議デモに発展した。そしてその波はモータースポーツ界にも及びF1〜F3でもレース前に片膝を着いて抗議するというのを行うというのだが俺も差別を嫌ってる人間でありこの醜い差別に抗議する為進んで賛同したのだ。そして全マシンに「END Racism(差別はここで終わらせてやる)」というリバリーと「We Race us One(俺達はレースでひとつに)」というリバリーを貼ることにしたのだ。レース前に、全ドライバーで人種差別に抗議するという意味で片膝を着いて抗議の意を示した。予選は1桁台と安定のポジションとなった。2連戦だからセッティングも変える必要無いからそこの点は助かった。そしてフィーチャーレースではロケットスタートが功を奏して一気にトップになりそこからジリジリ差をつけて行きピットも完璧に決まりもう完全に俺のペースでレースを進めていき、結果は俺の3連勝。スプリントレースでは随所で激しい順位争いが見られており俺もトップを死守する為にひたすら後方をブロックしまくっており果てはDRSゾーンでDRS作動条件でもある1秒以内を大きく引き離し相手のDRSを無効にしてトップを死守して結果は前回と変わらず俺の4連勝となりポイントは80ポイントでランキングトップをキープしたまま第3戦ハンガリーを迎えるのであった。



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Round3 ポディウムラッシュ(ハンガリーGP)

前回も俺の完全制覇と波に乗った状態で迎えた3戦目。シーズンもあと残す所9戦。ハンガリーGP開幕。


開幕戦から完全に波に乗った状態で迎えた第3戦ハンガリーGP。このペースをどこまでキープ出来るかも今後を左右する大きな「鍵」となってくる。さぁ、あと今シーズンも残す所後9戦18レース。まだ前半戦だけどこの前半戦でどれだけポイントを稼いでランキングトップを維持出来るかも鍵となってくる。今シーズンの場合、例年とは少し違うシーズンの為1レースでもポイントを逃すと後が大変な事になる為1ポイントでも多く欲しい。そして迎えたフリー走行。路面温度は高めの為すぐタイヤに熱が入ってくれる為安易にタイムを上げることが出来る。セッティングもオールラウンダーのバランス重視のセッティングにした。実は俺の場合、フリー走行だろうとお構い無しに決勝用のセッティングを施して走る為予選とかそんなに苦労しない。そしてタイヤは最初はソフトタイヤで走る事にした。そしてフリー走行開始の合図と共にコースイン。コースインする度に思うのが毎回ギャリーが扱いやすいセッティングを施してくれるから、フリー走行とかでも、前みたいに暴れるマシンを自分の腕でねじ伏せながら走るなんて言うのが無くなり俺の精神的負担を軽減させてくれているからそこの点はものすごく感謝してる。でもこれもお互いの息が合ってないと出来ないことなんだと思う。そしてフリー走行はまさかの赤旗で振り出しに戻った。F2はすぐ何かあるとフリー走行は赤旗にしたがるんだから。まぁその分、俺が休まる余裕が生まれたのは有難い話だけど。そして赤旗が解除され再びマシンに乗り込みメカニックの合図と共にコースイン。そして全開走行をしていてメカさんがボードを出して俺にみせたけど俺は遅れをとっていると勘違いしたのか何なのかは知らないけどもっと行けるはずだと思いもっとペースを上げて走っていたら全体トップタイムでフリー走行を終えた。そして予選ではチームメイトとのタイムアタック合戦と化した。俺がトップになったその次の瞬間チームメイトがトップになると言うのを繰り返しており、この白熱した戦いにみんな大盛り上がり。そして予選が終わりチェッカーが振られた瞬間に俺がゴールラインに入り、タイムはチームメイトに1000分の6秒の差で逆転ポールポジションを獲得した。そして貴重な4ポイントもゲットして最高の流れで迎えたフィーチャーレース。スタート前チーム内で紳士協定を結んだ。その協定の内容は「スタートしてから最初の1コーナーでトドメを刺さない」という事だった。俺はアイツと戦ってる時いつも当たらないかヒヤヒヤしながら走ってるからこの協定に関しては是非とも最終戦まで締結していきたい所だ。そしてシグナルがブラックアウトしてスタート。スタートは完璧だったけど何かがおかしかった。ミラーを見て確認したらチームメイトが微動だにしておらずガレージに引っ込められていた。多分クラッチの温度上がって張り付いてエンストしたな。幸いにも突っ込んでくる奴がいなかっただけ良かった。そしてピット作業も完璧に決まり、結果は俺の5連勝。ねぇ誰か早く俺を止めないと大変な事になるよ。そしてスプリントレースでは遂に俺の連勝記録を5でストップさせる奴が現れた。それは俺と同期の中国人ドライバー李一飛(リー・イーフェイ)であった。彼はルーキーイヤーからかなり頑張っており、今シーズン在籍してるチームの国籍が日本の為必死に日本語を習得しながらも走っているが速さは一級品。そんな彼が遂に俺の連勝記録を5でストップさせた。そしてシグナルがブラックアウトしてスタート。この時俺はスタートをミスってホイールスピンさせてしまいそこから一気に11位まで陥落。だけど見せ場はここからだった。俺は怒涛のオーバーテイクショーを展開して気付けばアイツの後ろ。もう勝つ為に必死だったけど、アイツも負けじと必死にブロックして俺を勝たせまいと必死だった。そしてチェッカーが振られる頃には俺のタイヤがもう完全に消耗しきっており惜しくも2位でゴールしたけどフィニッシュ後俺はすかさず一飛(イーフェイ)の所に行き優勝おめでとうと握手とハグを交わした。それにしても昨シーズンからこのF2に参入して来た「チームハヤテ・クリプトタワー・レーシング」だけど今シーズンも頑張っており昨シーズンよりかなり上のリザルトを記録しておりかなり進化したのがわかる。最初の間はもう一飛(イーフェイ)自身もどうチームを引っ張って行けばいいかかなり悩んでてその都度俺が相談に乗ってやって解決策を編み出しては採り入れるというのがあのチームの最初のシーズンだったけど2年目となった今シーズンはかなり成長しておりもう俺の連勝をストップさせるまでに成長していたから侮れない。だけど黒地にパープルのストライプは映えるな。次もオーストリア同様2連戦イギリスGP。



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Round4 イギリス2連戦の1戦目(イギリスGP)

前回は遂に俺の連勝記録を5でストップさせるドライバーが現れポイントランキングも前半戦ながらかなり大荒れになった中迎えたイギリス2連戦のうちの1戦目。そして遂にある1件で俺の怒りは臨界点に到達するのであった。


前回は遂に俺の連勝記録を5でストップさせるドライバーが現れポイントランキング上でも前半戦ながらかなり大荒れになった中舞台は俺達のホームコースシルバーストーンで2連戦の1戦目を迎えた。そしてそれと同時に今シーズンの残りのラウンドが発表された。まず第6戦はスペインカタロニア、第7戦はイタリアモンツァ・サーキット、第8戦はF1,F2,F3初開催となるムジェロ、第9戦はベルギースパ・フランコルシャン、第10戦はロシアソチオートドローモ、第11戦、最終戦はバーレーン2連戦に決定した。もうここまで来るとFIA側が意地でもF2を成立させようと必死に考えているのが分かる。話を戻すと、ホームコースで迎えたイギリスGPだけど、ここに来て以前俺が言った「嫌な予感」がまさかここで的中するとは俺も考えてなかった。そしてこれを機に遂に俺の怒りも臨界点に達するのであった。実は昨シーズンのスランプ中、俺は幾度となくチームメイト(マゼピン)との同士討ち紛いな事(しかも仕掛けるのは毎回毎回チームメイト)をやらかしており俺も最初のうちはこういうこともあるから仕方ないと思いながら見過ごしていたが流石にアイロットと一緒になって走ってみると流石に荒々し過ぎるので黙って見過ごす訳には行かない。ここで俺が言わないと流石に他のドライバーの生命にも危険が及びかねないからだ。いや、変に言っても意味ないから最強のおまじないを俺は知っている。そのおまじないというのは俺が2011年シーズンにチーム内の混乱等によるご乱心のあまり色々やらかした際チームのトップから「次やらかしたら、来季のシートは無いと思った方が良いよ。」というおまじないを吹き込まれてからは色々改善して行き何とか首の皮一枚繋げて来季のシートを確保したという過去があるからだ。そして迎えたフリー走行。セッティングはオールラウンダータイプに足を少し柔らかくしてとにかく走りやすいセッティングを施した。そしてセッション開始の合図と共にコースイン。でも事前に聞いた情報によると路面温度は低く天候も曇りで気温も少々低めと流石にいきなり全開走行すると「全開走行」が最悪の場合「全壊走行」と化すから慎重に行かないといけない。何故かと言うとF2の場合一応マシンにも保険が利いてるがその保険はあくまでもフロントセクション及び後ろの足回りとかそこら辺にしか適応されておらず、もしエンジンをトラブル以外の原因でおじゃんにした場合は自腹切ってどうにかしろというのがF2のマシン保険制度だけどいい加減これどうにかした方がいいと思う。だって中にはかなりお財布がカツカツなドライバーも居ることだし。話を戻すと、路面温度とか低い為かなり慎重に走っていき、そしてアタック開始。結果は慎重に走ったのも関わらずトップと幸先のいいスタートがきれた。予選ではフリー走行とは裏腹に遅いトラフィックに引っかかるは俺のラインを邪魔する奴はいるはという最悪の状況になり結果はアイロットの左側となる7番手。そして迎えたフィーチャーレース。スタートは良かったものの少し出遅れてアイロットの後ろ。ピットも上手く行き、取り敢えず表彰台まで頑張ろうと走ってる最中ストレート上で何故かアイロットがマシンを左によせ接触。俺は1度無線で「誰かに当てられたけどまさかアイロットじゃないよね?」と確認したら、返事は「当たったのはアイロットだよ。だけどお前から当たった訳では無いから安心しろ。お前には非は無いということでノーペナルティだ。」その無線を聞いた時俺は「分かった。後で自分からキツく言っとくから。」とだけ返してマシンを降りた。そして案の定チームメイトには危険走行をしたとして5秒のタイムペナルティ及びスプリントレースでの5グリッド降格処分が下された。そしてガレージにアイロットが帰ってきて俺は開口一番「お前、自分が何をやったか覚えてるよね?忘れたは抜きだからな。」と言うとチームメイトは「確かお前に当ててしまってペナルティ喰らった」と言うと俺はありったけの怒りをチームメイトにぶちまけた。「お前は他のドライバーの命をなんだと思ってる!!お前はその危険性も知らずにこの世界に足を踏み入れたのか!!お前は知らんだろうけど俺は2年前のあの一件以降命の重さをよく理解し直したんだよ!!よく考えて走れ!!バカが!!」とかなりキツく言ったから次はやらかさんだろうよ。そしてスプリントレースではそんなアイロットもあの一言が効いたのかかなり慎重に走って無事完走。俺は優勝という結果になった。でもあそこまで言わないとマジで他のドライバーの命を奪いかねないからキツく言っておいて正解だった。もう次こそは同士討ちはありません様に。



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Round5 2連戦の2戦目(イギリスGP)

前回はフィーチャーレースで同士討ちをした際、流石の俺も普段怒らないがあまりにも危険すぎる為チームメイトに怒りをぶつけ、チームメイトには考えて走るように指摘してスプリントレースは事なきを得た。そしてイギリス2連戦もこれで終わりを告げ、シーズンは残す所あと7戦。第5戦イギリスGP開幕。


前回は、ホームラウンドで最悪とも言える同士討ちをやらかしてしまい今回ばかりは何も無い様に祈りながら迎えた2回目のイギリスGP。今の俺に出来ることは、とにかく気持ちを入れ替えて走る事。それだけしか出来ない。いつまでも過去のことを引っ張っていては、今やってる事に集中出来ない。そして俺はシルバーストーンに到着したらまずは深く深呼吸して気持ちを入れ替えた。こうでもしないと何故か落ち着かない。しかし、シーズンも残す所あと7戦となってくるとホントに油断が出来ない。でも今の状況を見てもタイトル獲得はほぼ確実な物となってるけど実際どうなるかなんて蓋を開けてみないと分からない。そんな中迎えたフリー走行。セッティングは前回のラウンドで使ったやつをまんま流用する事にした。2連戦の良い所は前回ラウンドと同じセッティングが使えるという所だ。あとはただ走り込んで感覚を体に叩き込むだけ。そしてセッション開始の合図と共にコースイン。コンディションは前回と打って変わって雲一つない青空快晴。路面温度も高くタイヤにもすぐに熱が入ってくれる最高の状態だった。そして気付けば全体トップ。だけど俺の場合、実はそんなに走ってない。皆から見ると、ただ体力を消費するのを嫌っているからとか実はそんなに走りたくないからとか思われがちだが実はこの回答は全てNO。実は何故少ない周回数で全体トップタイムを出すかと言うと俺の場合短期決戦型の人間だからだよ。そしてガレージに戻ってきてマシンを降りて、あとの時間はチームメイトが変な事しでかしてないかガレージのモニター越しから監視していた。実は俺とチームメイトは、走り方が違い、俺はマシンの性能を最大限に引き出す走り方をするがチームメイトの場合全体的にムラがあるがタイヤマネジメントに少し長けた走り方をする。そしてチームメイトが戻って来ると俺は開口一番「俺の走り方を真似してみろ。そうすれば少しはタイムが上がるはずだ。」とアドバイスをした。迎えた予選では少しスタンスを変えてみた。まずチームメイトを先行させその後に俺がコースインをするというやり方だ。チームメイトも俺が昨日教えたアドバイスをちゃんと覚えていたらしくかなり攻めた走りをしてトップに躍り出るが、俺の方が1枚上手。すぐにタイムを塗り替えトップに。結果は俺がポールポジション、チームメイトが4番手となった。そして迎えたフィーチャーレース。スタートは俺がロケットスタートをかましてポールショットを奪った。そしてレースも中盤に入った頃にピットイン。ピット作業も完璧に決まり俺のポールtoウィンとなった。チームメイトもかなり大健闘して3位表彰台とファステストラップを叩き出してボーナスポイントを獲得した。いやぁ2戦ぶりの優勝も良いものだ。2位には前回俺の連勝記録を5でストップさせた李一飛(リー・イーフェイ)が入った。続くスプリントレースでは俺と一飛(イーフェイ)の熾烈なトップ争いに観客やチームも大盛り上がり。もう各コーナー毎にトップが入れ替わりもうどっちが勝っても可笑しくない状況だった。そしてこのバトルはゴールラインまで続きフィニッシュした際はどっちがゴールしたか肉眼では分からなかった為スロー映像判定に持ち込まれた。結果は、一飛(イーフェイ)が0.0001秒早くゴールして優勝、俺は2位に入った。この結果は控え室で2人して映像を食い入るように見ていた。そして結果を知ると2人して握手とハグを交わした。そして次なるラウンドはシーズンの折り返しとなるスペインGP



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Round6 シーズン折り返し(スペインGP)

前回はダブル表彰台をゲットして今シーズンは今まで以上に波に乗った状態で迎えたシーズン折り返しラウンドとなるスペインカタロニアGP。そしてシーズンも残す所あと6戦となり後半戦もこの状態もキープ出来るのかも問われる。


前回は、ダブル表彰台そしてスプリントレースでの超接近戦を演じたりとF2に復帰してから4シーズン経つけどこれまで経験した事ないほど波に乗ってる状態で迎えた、スペイン、カタロニアGP。でもこの状態はどこか懐かしい感じもした。そう、これは今から7年前にカーリンからGP3(現FIA-F3)にエントリーしてた時に自分の性格とマシンの性格がかなり一致してて全戦全勝とまで行かなかったけれど大半のラウンドで勝利を挙げこの年の年間王者に輝いた時と全く持って同じ状態なのだ。そしてこのラウンドをどうクリアするかで後半戦の流れも変わってくる。そんな中迎えたフリー走行。セッティングはミディアムダウンフォースというこれまた中途半端なセッティングを施してるがこれをギャリーがやると何故か中途半端ではなくなりいい感じになる。そしてセッション開始の合図と共にコースイン。俺は走っていた際高速カーブセクションでスピン。恐らくダウンフォースが思っていたより不足していたのだろう。取り敢えずコースには復帰出来たので復帰してそのままガレージに直行して無線で「ちょっとギャリーを呼んでくれ」と言いギャリーが来て「何があった?」と聞かれて俺は「高速カーブセクションでダウンフォースが不足してスピンしたから少しだけでいいからダウンフォースを増やして欲しい。今のままでも十分扱いやすいけど少しダウンフォースが不足してるように感じるんだ。」と話して少しだけダウンフォースを増やして再度コースイン。そして問題だった高速カーブセクションも難なくクリアして全体トップタイムでフリー走行を終えた。予選では俺もそうだけどメーカー育成ドライバーの全面戦争に発展して行った。まずはホンダ育成ドライバーの俺がトップタイムを出すと次にFDA(フェラーリドライバーズアカデミー)のチームメイトがそれを塗り替え、その次にレッドブルジュニアのドライバーが塗り替えるといった非常にカオスな展開になっていきラスト5分になった所で再び俺がコースイン。そして結果は俺がポールポジションを獲得してチームメイトは2番手とヴィルトゥオーシの1,2となったが嫌な事が1つだけある。それはあいつが1コーナーで俺にトドメを刺さないかだ。でも紳士協定を締結してるから大丈夫だろう。そして迎えたフィーチャーレース。まさかここで番狂わせが起きるとは誰も考えちゃいないだろう。そしてシグナルがブラックアウト。スタートは完璧に決まった。そして1コーナーに突入した際に、何とアウトからトライデントの坂口選手が大外刈りで2番手に上がってきた。いや正直マジでビビった。そしてピット作業も完璧に決まり余裕もって迎えたはずのファイナルラップ。番狂わせはこの時に起きた。とにかく優勝したいと必死にブロックしていたが最終コーナーで隙を突かれてしまい、結果は、坂口選手が初優勝、俺は2位に入り日本人ドライバーのワンツースリーフィニッシュとなった。チームメイトもかなり頑張って何とか6位でフィニッシュ。続くスプリントレースではフィーチャーレースのお返しで俺と坂口選手の一騎討ちを演じ、結果は俺が優勝、坂口選手が2位とフィーチャーレースと逆の結果になった。ちなみに晴南も大健闘の3位表彰台を獲得した。ちなみにこの時に、ゲラエルがクラッシュして、胸骨を折るという大怪我を負ったとの事だ。




これからもシーズンは続いていきますが今月の21日はお休みとなります。理由は23日に最終戦を執筆する為です。


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Round7 Shout&Loud (ベルギーGP)

前回はスプリントレースで番狂わせが起きて驚きを隠せないレースだったがシーズンも残す所あと5戦。そして舞台はベルギースパ・フランコルシャン。天国に居る友に捧げるレースここに開幕。


前回の番狂わせから13日後に迎えたベルギーGP。そしてあの日からもう2年が経とうとしていた。俺はラディオンに着くと花を手向け、手を合わせて「今年も来たぜ。いつもあの世から見守ってくれてありがとう。今年こそ絶対王者獲得するから背中を押してくれ。」と天国に居る誠真に伝えた。そしてこのベルギーGPは本当に特別なレースだと感じている。何故なら俺と2018年シーズンから戦ってるドライバー全員が誠真の死を乗り越えて戦ってるからだ。そして俺のマシンには、あの日以降、あいつの名前のイニシャルとカーナンバー、ヘルメットのリバリーをマシンに貼り付けてる。それくらい誠真の死は、俺に影響してるのだ。俺はあの日以降、軽度のPTSDと軽度のサバイバーズギルトになってるが、今も克服しようと頑張ってる真っ最中だ。でも最初の頃よりはマシになっている。最初の頃は、救急車のサイレン音を聞いただけで軽い発作じみた呼吸が起きたりとフラッシュバックを起こしていたが、最近はそんな事もあまり起きなくなっている。そんな精神面とも向き合いながらシーズンを戦ってる。そして迎えたフリー走行。セッティングはローダウンフォースで行く事にした。天候も全日程晴れ。そしてセッション開始の合図と共にコースイン。そしてかなり走り込んで気付けば全体トップ。俺はそんな事気にもせずに走っていると無線で「この周で戻って来い。もう十分走っただろ。」と言われこの周でガレージに戻った。そしていつも通りギャリーとセッティングについて良く話し合う。ギャリーからは「ローダウンフォースとはいえダウンフォースを若干増やしてある。」と言われると俺は「若干というと5~10%くらいかい?」と聞きギャリーは「それくらいかな。増加させたのは。」と言い俺は「ローダウンフォースでも少しだけダウンフォースがあるとかなり違うんだよな。その、5~10%増やしただけでも安定性が違ってくる。でも感覚で言うと俺が一番最初に走ったプレマの時とかなり類似してるんだ。」と俺が言うとギャリーからかなり衝撃的な一言が出てきた。「お前は知らんだろうけど、実はお前がデビューしたプレマでお前の担当誰だったと思う?実は俺だよ。」というかなり衝撃的事実を知り俺は「嘘でしょ!?だからあの時マシンが扱いやすい性格に仕上がってたのか。だからこんなにも息ピッタリなのか。」と逆に納得してしまった。そんな驚きもあったフリー走行だった。そして迎えた予選。予選では遂に長年極めていた「技」を解禁した。それは「セナ足」と呼ばれる技でその名の通りアイルトン・セナがレースで良く使っていた技で、1秒間にアクセルを踏む回数は6回と言われておりこれまで数多のドライバーがこの技を試したが実戦投入はしなかった。そんな技を実はシーズンを通して極めていた。実はトレーニングにもこれを採り入れており、いつ使ってもいいように切り札としてこの日の為に温存していたのだ。そしてセッション開始の合図と共にコースイン。1周ウォームアップして2周目からアタック開始。そしてこの技を使い誰もが驚愕したスーパーラップを叩き出した。そして今回から初の試みでドライバーの足元に小型カメラを取り付けて足元の映像も国際映像で流す事になったのだけどまさかその第1号が俺になるとは。そして実況もこのスーパーラップの際、足元に注目しており、日本で唯一F2を放送しているDAZNも実況が「なぁんとセナ足の正当後継者が現れたぞ!?かなり速いタイムで、来ている!!そして今セッションが終了したがどうだ?!ポールポジションだぁ!!ポールポジションは九嶋だ!!なんとチームメイトに対して0.6秒差でポールポジション獲得!!セナ足侮るべからず!!」という実況が飛び出す程凄い走りを披露したのだ。実は当初の予定では2年前に導入する予定だったけどまだ未熟な上ミスった際の代償があまりにも大き過ぎて取り返しつかないからという理由で封印していたのだ。そしてチームメイトからは「どうしてそんなに早いタイムが出たのか教えて欲しい。」と言われたが俺は「これに関してはトップシークレットだから教えられない。気になるなら足元の映像を見ることを強く推奨するよ」とだけ返した。そして迎えたフィーチャーレース。このレース前に皆で天国に居る友に黙祷を捧げる事が決まった。そしてレース前になり1分間の黙祷を捧げた。その間スパは静寂に包まれた。そして黙祷を終えるとスタンディングオベーションが起きた。そしてシグナルがブラックアウト。スタートは最高の出来だった。そしてセナ足を使いかなりのハイペースで走りピットイン。スーパーソフトタイヤに替えてピットアウト。そしてチェッカーフラッグが振られフィニッシュ。結果は俺の優勝。スプリントレースでもセナ足を使い、相手に3秒の差をつけて圧勝。俺は、ゴールした時に天高く拳を突き上げて喜びを大爆発させた。やっとスパで勝てた。そして昨年のリベンジが出来た。そんな気持ちでいっぱいだった。表彰台に登壇し、2日連続でスパの地に君が代を響かせた。そして俺達は次なる舞台イタリアモンツァ・サーキットへと向かった。ここまでのポイントランキングは依然として俺がリーダーのまま終盤戦へと突入。遂に念願の世界王者獲得まで目が離せない!!



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Round8 勝利するよりも大切なこと(イタリアGP)

前回は遂にスパ・フランコルシャンで念願のスパでの初優勝をしてさらに波に乗った状態で迎えた第8戦イタリアGP。シーズンも残す所あと4戦8レースとなり念願の世界王者獲得も現実味を帯びてきた。


前回のスパ・フランコルシャンでの初優勝をしてさらに波に乗った状態で迎えたイタリアGP。もう今の俺は誰にも止められない状態なのだ。そしてチームの士気も最高潮に達していた。そしてモンツァ・サーキットには熱狂的なティフォシが詰めかけているかなと思わせての「無観客」。それにしても静か過ぎて逆に落ち着かなかった。まぁ「このご時世」を考えればこれも致し方ないのだろう。そして迎えたフリー走行。セッティングは前回のスパ仕様に少しだけ改良を施したやつで走る事にした。そしてセッション開始の合図と共にコースイン。まずは、前回遂に解禁したセナ足を使い走ってみてその後普通のペダルワークで走ってみてどっちが速いのかも試してみる事にした。そして最初にセナ足を使って取り敢えずトップタイムを出してそのまま次の周は普通のペダルワークに切り替えて走ってみたがまぁ違和感全開。そしてタイムはさっきのやつに比べてかなりの差があり、セナ足がどれだけ凄いのか改めて実感出来た。そして迎えた予選。予選でもセナ足が炸裂。しかしこの技今時のレーシングカーにも通用するのが凄い所である。この技自体アイルトン・セナが当時ドッカンターボそして予選1540ps決勝1350psという排気量が1.5リッターながらこの途方も無い馬力を叩き出した「バケモン」を正確に早く操る方法は無いかと探って編み出したこのセナ足という技。それが今になって再び実戦で使うとは誰も予想してなかった。まぁ電子制御を一切搭載して無いこのマシンにとっては好都合だったのだろう。そして結果は俺のポールポジションとなりさらにプラス4ポイントをゲットした。そして迎えたフィーチャーレース。このレースは今シーズン最も荒れたんじゃないかと思うレースになった。まずスタートは難なく決まり1コーナーも大きな混乱も無く全車クリア。そしてまぁ荒れたのはその次の周から。まずチャロウズのルカ・デレトラズが俺をパスする際イン側のグリーンに乗りながらパス。その際俺は「おいおい!!お前どっから抜いてんの!?」と驚きを隠せなかったがこんな事スチュワートが黙って見過ごす訳ない。まぁ当然ながらトラックリミットオーバーということでドロップポジションペナルティーとなった。だからもし俺が2位でゴールしても結局言うと俺の優勝となる。そしてピット作業も完璧に決まって結果は俺の優勝。そしてスプリントレースでも俺の優勝。そしてポイントランキングは俺がリーダーだけど下位争いがかなり激化しており2位3位共に同点というこれまた激しさを増している。そしてシーズンも最終戦へ向かってさらに激しくなっていくのだった。



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Round9 cool&hard(ムジェロGP)

前回ラウンドはモンツァ・サーキットで優勝&表彰台と今シーズンどツボに嵌って波に乗ってる俺が迎えたイタリア2連戦の2戦目は初開催となるムジェロサーキット。初めて走るサーキットで感じたものとは…


前回はモンツァ・サーキットでのレースだったけど、今回は初開催のムジェロサーキットでのレース。このサーキットはMotoGPイタリアラウンドで使われているサーキットで人気投票1位をよく獲得している所であり特徴的なのは同じセクションが2つ以上なく全てのセクションが程よくミックスされているのが特徴。そんなサーキットで迎えた第9戦トスカーナGP。そしてシーズンも残す所あと3戦と本当にあっという間に終わってしまう。だけどその3戦でどれだけポイントを稼げるかでも随分話が変わってくる。そして迎えたフリー走行。天候は全日程晴れ。気温も低くなく高くなくいい感じの気温であり路面温度も高めと非常にデータ収集にはもってこいのコンディションだった。そしてセッティングはオールラウンダータイプのダウンフォースを少しだけ削るというこれまた奇妙なセッティングを施した。そしてセッション開始の合図と共にコースイン。とにかく走りまくった。それもそのはず。初めて走るサーキットをたった2~3周走っただけでは感覚は身につかないし得られるデータも本当に限られた物になってしまい無意味になってしまう。だから走り込んで感覚を身につけさせるのだ。もしかしたらこの1回限りの開催になるかもしれないから尚更走る。そして時間目一杯走ってタイムは全体トップ。決勝に望みを繋げることが出来た。そして予選では、どん底からの奇跡が起きた。実は予選前のウォームアップランの最中に原因不明のメカニカルトラブルが発生してしまい、そのトラブルシューティングにかなり時間を使っておりこのままだとノータイムの窮地に立たされており今もメカさんが総動員で俺のマシンのトラブルシューティングを行っている。そして予選終了まであと3分となった所で俺のマシンは元通りになりそして俺が乗り込むと監督から無線で「残り3分しかないけどどうする?このままマシンを降りてビリっけつからスタートするかそれとも走ってビリよりマシな所でスタートするかはお前の判断に委ねるよ。」と言われ俺は「だったら1発で決めるしかない!」と言いコースイン。そして1分50秒でアクセル全開でウォームアップを行いアタック開始。もうセナ足を体得している俺は敵無しの状態だった。そしてろくに温まってないタイヤで走るというまさにデンジャラスな事もやってのけた。そしてチームメイトよりも高い回転数でギアを上げたり下げたりと何としても予選だけは通過したかった。そして日本の実況も流石に驚きを隠せず「なっ…なんと!!九嶋が凄い走り方をしている!!残り時間はそんなに無いのに!!か…彼は一体何者なんだぁ!?ポールポジションのタイムよりも早いタイムで各セクション通過をしている!!」と完全に語彙力を失っている状態だった。そしてタイマーがゼロになったと同タイミングで俺もフィニッシュラインを通過して結果は超大逆転ポールポジションとなりこれをガレージで見ていたメカさん達は泣く人もいれば抱き合って喜ぶ人もいた。そして何より嬉しいのが自分なのかもしれない。そしてガレージに戻ると皆して大喜びした。そして俺は「自分も、正直もうダメだと思ってたけど皆の努力を無駄にしたくはなかった。」と素直な気持ちを言った。そしてそんな奇跡が起きた予選から一夜空けて迎えたフィーチャーレース。俺は念願のタイトルを獲得する為の条件を満たさなければいけない。その条件というのが最終戦スプリントレースで優勝するかランキング2位のドライバーがリタイアするかというかなりハードな条件である。そしてこのレースでとにかくポイントを稼いでおきたいというのが狙いだ。そしてマシンをウォームアップさせてグリッドに着き、シグナルがブラックアウト。スタートは完璧に決まった。そして1コーナーも俺がブロックして主導権を完全に握った状態でレースは進行していった。そしてピットインの時も作業が完璧に決まりそのままトップを守った状態でコースに復帰した。でも俺は冷静に落ち着いて走っていた。そしてチェッカーフラッグが振られフィニッシュ。結果は俺のポールトゥウィン。でも実はラスト数周は無線機がイカれておりチームがだすボードで状況を理解していた。そしてゴールしてパルクフェルメにマシンを止めて降りると俺は喜びを大爆発させた。そしてスプリントレースでも完全に俺の一人旅となり2レース共に俺が優勝という結果になった。そしてガレージに戻るとメカさん達は大喜びで俺を迎えてくれた。そして俺は「この調子で最終戦まで頑張ろう!!」と言った。そんな奇跡だらけの今回のラウンドだったが次でシーズンも残り2戦となったがランキングを見ると2位との差がかなり詰まってきており何としてもリタイアやノーポイントは避けたい。そしてホンダの方ではとある計画が着々と進んでいたのだ。



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Round10 OverTure(ロシアGP)

前回は奇跡の超大逆転ポールポジションを獲得してそこからの完全制圧をやってのけ、チームの士気はもう最高潮どころかそれ以上の固い絆で結ばれていた。そしてシーズンも残り2戦。最終戦の最終ラップの最終コーナーまでもう目が離せない。


前回は、予選終了間際までマシンのトラブルシューティングをしてからのぶっつけ本番とも言える1発だけの予選で奇跡の超大逆転ポールポジションを獲得してからの2レース共に俺が優勝という結果で終わって迎えた次なるラウンドはロシア、ソチアウトドローモ。このサーキットは昨シーズンスランプに苛まれていた俺がそのスランプから抜け出せる事が出来て覚醒した所でもある。しかし俺の場合、相性良い所とそうじゃない所がハッキリしている。でも俺の場合は高速サーキットが得意である為、下手に低速域を常用域とするサーキットは苦手なのだ。そしてロシアはとにかく寒い!!モスクワよりも寒いってどういう事よ!?とにかく温まりたくてもうマシンの後方のマフラー近くに居てメカさんにスターターセルを持ってこさせて俺のマシンのリアセクションにこれをぶっ刺す穴があるから棒を刺してセルを回してエンジンをかけてもらい暖気ついでに暖房みたいに使って暖をとっていた。そして暖気が済みセッティングを考えていて、出た結論はオールラウンダータイプで行く事にした。最近このセッティングに頼ってばかりだな。よくよく考えれば。でも変なセッティングするよりはマシだと思う。そしてマシンに乗り込みエンジンをもう一度かけてもらってもう走る準備は万端。そしてタイヤはソフト。タイヤがはめられ、ジャッキが降ろされた。そしてバイザーを降ろし、セッション開始の合図と共にギアを1速に入れてコースイン。流石に1周じゃとてもじゃないけど熱が入りにくい為敢えて多めに走る事にしていた。2周ウォームアップしてからアタック開始。もう走るだけ走った。そして全体トップタイムでフリー走行を終えた。そして迎えた予選。予選では、もうかなりカオスな展開となった。トップがおぞましい勢いで変わっており俺もこの争いに加勢する事にした。そして俺が加わった事によりさらにカオスな展開となったがそのカオスな争いを制したのはやはり俺であった。もうセナ足を身につけたからには「それなり」の走り方をしなければいけなかった。そして俺のタイムを越えようと皆して挑んだが誰一人として越える者が現れなかった為俺のポールポジション獲得となった。そして迎えたフィーチャーレース。もうタイトルを獲得する為には重要なレースとなった。シグナルがブラックアウト。スタートはチームメイトよりも0.1秒俺が早かった。実は俺の場合は自分で「ローンチコントロール」というスタートシステムを完全とまで行かないけど擬似的に再現しているからスタートがスムーズなのだ。まぁやり方を説明するとまず1速にギアを入れたままハンドクラッチをホールドしてアクセル開度を大体30~35%位にしてそのままクラッチを離してスタートするというやり方だけど上手く行けば早いけど失敗するとエンストというデカいリスクも孕んでいる。だけどこれはチームメイトから聞かれても俺は何一つこれに関しては口を開かないようにしている。だって俺が勝つ為に自ら得た技なのだからそれを簡単に口に出して相手に教えるとか馬鹿な事はしない。そしてレースも半分を消化した所でピットイン。ピット作業も完璧に決まりトップのままコースに復帰。そしてあとは完全に俺の一人旅となりそのまま優勝。そしてスプリントレースはまさかの展開となった。それは5周目に起きた。上位争いをしていたチャロウズのルカ・デレトラズとカンポスのニック・エイトキンが接触、2台とも壁に突っ込みクラッシュしたがカンポスのエイトキンは壁と壁の間にマシンがめり込む大クラッシュが起こり辺りが騒然となった。何故なら2年前のあの一件があったからだ。でも幸い2人に大した怪我も無ければ命にも別状無しと聞いてホッとしたけど、チャロウズのマシンはかなり壊れており残念ながら廃車となった。そしてその事故の影響で20分の赤旗中断となったがあまりにも凄い事故だった為再開の目処が立たずそのままレース終了となり結果は俺の優勝となった。そして遂にバーレーンでの最終2連戦を迎えるのであった。そしてホンダ公式プレスリリースで俺がスクーデリア・アルファタウリ・ホンダレーシングから来季のFIA-F1世界選手権にフル参戦する事が発表された。遂に子供の頃からの夢が叶ったのだ。そして次のバーレーンでの2連戦は世界王者獲得の為の重要な1戦なのだが俺は最終戦で決めたいと思っている。



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Round11 Go my Road(バーレーンGP)

前回はスプリントレースで背筋が凍る程の大クラッシュが起きて赤旗中断そしてレース終了という結果だったがこのシーズンも遂にバーレーンでの最終2連戦を迎えた。これがホントの今までの集大成!!第11戦バーレーンGP開幕。


前回はスプリントレースで2台が絡む大クラッシュが起きて赤旗中断そしてそのままレース終了という俺にとってはあまり嬉しくない結果になったがこのシーズンも遂にこの最終2連戦でおしまいとなる。これまで数多の苦楽を共にした仲間とも本当の別れを告げる時が刻刻と迫って来た。二度と会わない奴も居れば今後またF1で一緒になる奴もいる。そんな事もF2の最終戦直前ラウンドの醍醐味でもある。本当にここまで来るのに決して一筋縄では行かなかったし、自分でも1度は諦めようと思っていたけど今ここから逃げたら全てが無駄になると迷ってた時もあった。けど、この2連戦で全てが決まってしまう。だったらここで全てを決めるしかない!!こんな事言えるのも俺がチームの皆をとても信頼してるからだ。そして迎えたフリー走行。気温は前回のロシアとは打って変わって暑いとにかく暑い。コースもこのラウンドはインナーコースと呼ばれる低速型のコース。そして路面温度もとにかく高い。これソフトタイヤとかで行くはいいけどブリスター起こさないか心配になってくる。※ブリスターとは人で言う水ぶくれの事。 そしてセッティングはこれまたお馴染みのオールラウンダータイプ。そしてセッション開始の合図と共にコースイン。そのままウォームアップと行きたいのだけどそもそも路面温度が高いからすぐ熱が入る為ウォームアップする必要が無い。そしてアタックラインを通過してアタック開始。もうここまで来ると自分との戦いになってくる。そして黙々と周回を重ねている間に気付けばトップに。そしてピットに戻ってマシンをガレージに戻し俺がマシンから降りてタイヤを確認した所懸念されていたブリスターは起きていなかったが流石にもうこの暑さを走り込もうなんて言う気力が湧かなかった為もうメット類全部脱いでレーシングスーツだけになってガレージで珍しくくつろいでいた。普段俺は常に気を張りすぎてる為、くつろぐ余裕は無いと思いながら行動してたからせめて今日位はくつろぎたかったのだ。そんな珍しい一面も見せてフリー走行は終わった。そして迎えた予選。予選では全チーム極限の戦いを披露した。そしてセッション開始の合図が鳴り響くと同時に先陣を切ってコースに飛び出したのが今年のF2に参戦してる数少ない女性ドライバーの1人でもあり俺の元チームメイトの宮藤星奈(きらな)選手だった。このドライバーはかなり実力派のドライバーなのだが、何故かいつもマシンと結果に報われておらず相当苦労してるドライバーである。俺と同じ点をあげるとしたら、こういった自分が辛い事を分かっていても笑顔を絶やさない所と、レースの時は冷静にそして激しい走り方をする所、普段は明るくてはっちゃけてる所かな。でも彼女、今シーズン俺と一緒でいきなり覚醒して、現在ランキング5位にいるけど、どうやら今季に移籍したチームハヤテのマシンと自分の性格が思った以上に合致しているらしく、甘く見ると大変な事になりそうだ。彼女だってスーパーライセンスポイント40点確保してF1に行こうとしてるのだから。そんな彼女がとんでもないタイムを叩き出してそれを更新しようと触発されて皆してコースイン。俺もその中の内の1人だ。そして予選もポール争いがヒートアップ。俺はもう十八番となってるセナ足を巧みに駆使して彼女のタイムを更新しようと目論んでいた。そして最後の最後これで彼女自身初のポールポジションと思ったその瞬間周囲の人々がかなりざわつき始めたそれは最後の最後で俺が彼女のタイムを更新してポールポジションを奪取したからだ。そして予選終了後俺は真っ先彼女の元へと行き「ポールポジション奪っちゃってごめん。」と言うと彼女は「明日はお返しするから待ってなさいよね!!私だってその気になればあんたなんてイチコロなんだから!!」と言われて俺は「望むところだよ!!全力でかかって来な!!」という会話を交わして予選は終わった。そして迎えたフィーチャーレース。まさか昨日彼女が言った事が現実になるとはね。俺自身思ってもいなかった。そしてシグナルがブラックアウト。スタートは完璧に決まりそのまま1コーナーも制してあとは俺のペースで物事を進めていけばいいかと思いながら走っていて迎えたピットイン。作業も完璧に決まりそのまま俺の勝利かと思ったらそうでは無かった。実はラスト3周俺はとにかく彼女の猛攻を防ぐべく必死にブロックしていたがファイナルラップの最終コーナーで隙を作ってしまいその隙を突かれて彼女がトップに。これには俺も最後まで食らいついたけど虚しく結果は宮藤選手自身初となるキャリア初優勝となり俺は2位となった。マシンをポディウムエリアに止めてマシンから降りると彼女の口から開口一番「どうだ!!私の実力を思い知ったろ!!だから甘く見ない方がいいって言ったのよ。」と言われて俺は「君には負けたよ。俺もあそこまで必死に攻めるドライバーは初めて見たよ。いや、隙を作ってしまったというのはまだまだ詰めが甘かった証拠なのかもね。でも次は俺が勝つから。」と返して彼女も「かかって来なさいよね!!今度こそ完全に防いでやるんだから!!」とかなり俺とのバトルを楽しんでくれてるみたいだ。そして迎えたスプリントレースでは遂に俺が真の力を発揮した。スタートは難なくこなして1コーナーは彼女に行かせて後ろで様子を伺って次のコーナーでパス。そしてそのままブロックしてDRSゾーンまで持っていきDRSを使わせて俺を抜かそうとしたけどこれも計画通り。実は昨日のレース後入念に作戦を練っていてちゃんと対策してたのだ。そしてファイナルラップになり俺もいつ抜かれるか気が気じゃない状態で危なげない中トップでフィニッシュして15ポイントを獲得した。そしてマシンを降りると彼女から「ホントは…アンタをパスして2連勝したかったけど今日はアンタの勝ちね。」と悔しさを全開にしていたが俺は「でも最後まで俺を攻略しようと必要に頑張ってるのミラーで良く見えてたよ。偉い偉い!!よく頑張った。本当は君にこの一勝をあげたい。けど結果は結果だからこればかりはどうしようも無いけど君とのバトル中いつ抜かれるか俺はすごいヒヤヒヤしながら走ってたよ。だけど本当の勝者は君だよ。」と彼女に言うと彼女は感情が溢れて思いっきり号泣して俺に抱きついて来て俺は「ヨシヨシ。よく頑張ったね。辛かったよね。苦しかったよね。けどよくここまで頑張ったね。本当に偉いよ。」と、優しく声をかけてやると彼女は「…あ…ありがとう。」と言い観客席や皆からは過去最大級のスタンディングオベーションが贈られた。分かるよ。俺もそういう経験嫌という程してるから。そしてシャンパンファイトでは俺に彼女がよくもやってくれたわねと言わんばかりの勢いで俺に集中放火をした。そしてそんな楽しい事もあった第11戦バーレーンGPは幕を閉じ最終戦を迎えるのであった。



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最終回 Round12 夜明けBrand New Days(サクヒールGP)

前回ラウンドは日本人同士の死闘を演じて観客たちを大いに沸かせて幕を閉じた。そしてこのF2世界3周旅行もこれでおしまいとなる。そして俺のF2キャリアで、本当の最後のレースが今宵開幕。


前回は、星奈との死闘を繰り広げて大いに沸かせたが、遂に、最終戦サクヒールGP(高速コースである、アウターコース)を迎えた。そして俺は、皆に本当の別れを告げる時が来た。ここに来るまでの間、数多の苦楽を共にして死闘を演じた仲間ともお別れ。そして、F2世界3周旅行もこれでおしまいとなる。気がつけば、あっという間に終わってしまう俺のF2でのレース。本当に時の流れは早いものである。この3年間、本当に「波乱万丈」のシーズンだったけどすごく楽しむことが出来た。俺が乗るマシンには、最終戦限定カラーを纏った仕様になっていた。俺はこのラウンド限定でヘルメットも変えている。ヘルメットは、亡き親友とここまで歩んできたという証と今まで一緒に戦ってくれた事への敬意と感謝を込めて、この日の為だけに、3年間封印してた彼の形見であるメット「Bell・HP7ブロッサム・カローラMS1」と呼ばれるメットをレッドブルとAraiの許可を得て着ける事にした。マシンのシャークフィンには、もうお約束と化している、自分の名前が漢字で描かれている。このレースを最後に、俺はF2から「卒業」する為、マシンには「see you&good luck」と描かれたり、桜の花が描かれたり、カーナンバーは「3+1」になったりと、最終戦限定仕様とは思えない仕様に仕上がった。俺は全ての準備を整え、イヤープラグを耳に着け、耐火マスクを被り、ヘルメットを被り、メガネをかけ、HANSデバイスをヘルメットに装置して、グローブをはめて、深呼吸してゆっくり、いつも通りにマシンに乗り込んだ。最後のフリー走行開始の合図と共にコースイン。セッティングは高速戦仕様だから、あとは走り込んで、昨日との違いを体に叩き込むだけだった。俺は、今までの事を思い返しながら走っていた。3年前に初めて乗ったプレマや、今の俺を作ってくれた、古巣ARTGP。今思い返せば、本当に思い出尽くしの日々を過ごして来たなとヘルメットの中で思い出しながら走っていた。そして気がつけばトップ。これには俺も超大満足の結果だ。迎えた最後の予選。予選では、超大混戦となり本当に最後の予選を楽しんでいるようにも見えた。俺もメカニックのギャリーの合図でコースイン。そしてアタック開始。もう俺は、このラウンドで年間王者を獲得すると決めているだけに、余計気合いが入っている。そして普段から使用しているセナ足もかなり力が入った「セナ足改」へと進化した。そのセナ足改を使いこなして他を寄せつけないタイムを叩き出してトップに。しかし他のチームは流石にこれを良しとせずに皆俺のタイムを更新しようと試みたが、あと1歩が限界でそれ以上は無理だったらしく結果は、俺のポールポジション獲得。そして迎えた、最後のフィーチャーレース。誠真の両親がガレージで見守る中、俺は、マシンを思いっきりウェービングさせて、タイヤを温めてグリッドに着き、深呼吸して呼吸を整えて、臨戦態勢に入った。シグナルがブラックアウト。スタートは、かなり完璧に決まり、そのまま1コーナーも制圧した。ピット作業は、クルーが1人緊張のあまり、手が震えたが、それ以外は完璧に決まり、そのままトップでコースに復帰。そこからはもう俺の一人旅。そのまま俺の優勝となった。チームメイトも3位とダブル表彰台を獲得。そして本当の最後のレースとなったスプリントレースは、F2の歴史に新たな1ページを書き記す歴史的なレースとなった。俺は、このレースで王者獲得が決まる為、自分の全てをかけて戦う覚悟を決めていた。もうここには、何も思い残す事は無い。あとは皆に、最高の恩返しをするのみとなった。俺は、ゆっくりとマシンに乗り込み、もう、このマシンのコックピットでは聞き納めになるであろう、メカクロームV634Tに火が灯った。そしてギャリーの「GO!!」という合図でコースイン。マシンをグリッドへと運びセーフティカーラン。俺はマシンを思いっきりウェービングさせてタイヤにかなり熱を入れてもう臨戦態勢に入ったままグリッドに着いた。シグナルがブラックアウト。スタートは、もう神がかったスタートを決めて、8番手から、一気に2番手にポジションアップ。5周目にして、早くもトップになり、2位の晴南との差をぐんぐん広げていたが、晴南もその差を、かなりのペースで縮めて来た。だけど次の瞬間、焦りからか「ズルッ!!」とダウンフォースが抜けて、タイヤが滑べり、スピンしかけたが、もうミスは一切許されなかった為、意地と気合いと根性で制御して晴南をパスしてトップになった。そして遂に、俺の悲願達成の瞬間が刻一刻と近付いてきた。もう無線でも監督が涙を堪えながら「あと2周でお前が王者だ。頑張れぇ!!」と言い、俺も、もうラスト3周位から涙が溢れだして前が見えなくなっていた。それ程苦労してきたというが自分でもよく分かる。だけどラスト2周で、俺が恐れていたトラブルが遂に発生してしまった。なんとギアが6速以外全部使えなくなりかけていたのだ。だけどあと2周だから、走る以外、手段はなかった。迎えたファイナルラップ。俺はもう、色んな感情がぐちゃぐちゃに混ざりながらマシンを操っていた。実況も、最終コーナーを曲がった時辺りから、「亡き親友、三鷹誠真と二人三脚で世界王者までの道のりを歩んできた今シーズンのF2!さぁ!来たァ!来たァ!ホームストレートに戻って来たァ!ずっとこの瞬間を皆待ち望んでいたァ!!九嶋 輝!日本人ドライバーとして、アジア人ドライバーとして、FIA-F2世界選手権、初制覇ァァァ!!! 亡き親友、三鷹誠真に捧げる!念願のFIA-F2世界選手権、年間王者獲得!!!おめでとう!!!」と、かなり盛り上がっていた。そして己の限界を超えて走ってくれたマシンと共に遂に、チェッカーフラッグ。俺は、誠真が一昨年の開幕戦、バーレーンのスプリントレースで優勝した時と同じポーズをしてゴール。そして、俺が王者獲得というのを知ったのは監督の無線だった。「おめでとうヒカル!!お前が今シーズンのFIA-F2世界選手権の世界王者だ!!お前は、遂に夢を叶えたんだ!!世界の頂点に立つというデカい夢を!!」という無線だった。この時、極限状態になっていた俺は、思わず「本当か?嘘とかじゃないよね?」と聞き返してしまったが、監督が「本当だ!!お前が今シーズンのFIA-F2世界選手権の世界王者だ!!!おめでとう!!!」と言って、ようやく理解した俺は、何かがプツンと切れて涙を流しながら「うぉおおおおぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁ!!!よっしゃぁぁぁぁぁぁ!!!やったぁぁぁぁぁぁ!!!皆!ありがとう!!おいみてるか?!誠真?!お前の分まで皆走ったぞ!!今日は皆が世界王者だぜ!!お前のおかげだよ!!ありがとう!!!」とただ泣きながら、マシンから空に手の平をかざしながら握って作った拳を突き上げて、喜びを爆発させて叫ぶ事しか出来なかった。そして俺は、最終ラップの最終コーナー、最後の1秒まで一緒に戦ってくれて力尽きたマシンをピットレーンに止めて、マーシャルに引っ張ってもらい、天高く、自分の名前と、親友の名前と、お互いのカーナンバーが刻まれた、日の丸をなびかせながら、パルクフェルメに、最終コーナーまで一緒に戦いボロボロになったマシンと共に帰還して、メカさん達が居る所へダイブして、思いっきり喜びを大爆発させた。2位には最後の最後まで、俺を追いかけ回した晴南。3位には、トライデントの非力なマシンで初めて表彰台を獲得した、「苦労人」タルソ・モレノが入っており、初めての表彰台なのか、国歌が流れてる際に、帽子を取る事を知らなかった為、俺が教えてやると、彼は照れ隠しにとった拳を舐めるというのが、たちまち大爆笑の渦となった。俺はガレージに戻ると、改めて皆にお礼を言った。「ここまで来るのに、俺1人では到底無理だったけど、皆と一緒だったからこそ、ここまで来れた。本当に皆ありがとう。ダブルタイトルも取れたし、思い残す事はなんも無い。俺がF1に行っても、ちゃんと頑張れよ。アルファタウリのホスピタリティから観ててやるからさ。心配すんなよ。そして今まで本当にありがとうございました!!」こう言って皆は、大きい拍手で俺の巣立ちを送ってくれる中、ガレージを後にした。そして住処だったイギリスにも別れを告げ、またイタリアだけど、今度はファエンツァにお引越しして、今シーズンのFIA-F2世界王者を手土産に、2021年FIAフォーミュラ1世界選手権へと臨むのだった。そして、俺が最後の最後まで戦い力尽きたマシンは、ゴールした直後に「ガラガラガラガラ!!」と完全にギアボックスから力尽きた音がして、マシンがその役目を全うしたかのような感じだったけど、俺はもうそんな事どうでもよかった。マーシャルから、俺と親友の名前とカーナンバーがプリントされた日の丸が手渡しされて、「王者獲得おめでとう!!俺も見ててすごい瞬間に立ち会えたのを誇りに思うよ!!」と声をかけられて、俺も思わず、「ありがとう!!俺も君達が喜ぶ顔が見れて、すごい幸せだよ!!いつも、安全なレース進行をしてくれてありがとう!」と答えて、マーシャルカーに引っ張って貰って、クラッチを切り、日の丸を天高くなびかせながら、ウィニングランをしてパルクフェルメまで帰ってきたなんて言うくらい戦ったのだろう。本当に3年間、数多の苦楽を共にした「バディ」でもあるこのマシンには、もう本当に、感謝の気持ちでいっぱいである。俺のマシンは、ギアボックスだけ交換して、あとはそのままの状態でファクトリーで展示される事になったわけだけど、俺自身ギアボックスを壊したのは、今回のレース込みでたった2回と、あれだけ荒くて激しい走りしてるにもかかわらず、なかなか壊れないという耐久性もここで実証された。だけど、俺がゴールしてパルクフェルメへと戻り、マシンから降りた時に流した、大粒の涙は、色々な感情が混ざった涙だった。そして天国から最終ラップの最終コーナーまで一緒に戦った、親友の誠真が叶えれなかった夢を叶えた証の涙でもあった。そして、本来動員出来る数より50%を収容できるという条件のもと、観戦しに来た観客からは、惜しみないスタンディングオベーションが贈られた。表彰台に登ると俺は誠真のスナップショットと俺が被った彼の形見でもある「ブロッサム・カローラ」を思いっきり天に掲げ、彼が叶えれなかった夢を俺が叶えた事を天国に居る彼に報告した。そしてシャンパンファイトでは二位に入った、いや、最後の最後まで俺を追いかけまわした晴南が勝てなかった悔しさのあまり、俺に集中砲火をした挙句、背中にシャンパンを流し込むという後輩とは思えぬ行動をとって、周囲を笑いの渦に包んだ。そこからのインタビューでは、実は俺、ちょっとした悪戯を計画していた。それは宮藤選手のインタビュー中に合いの手を入れたり、ジャンプしてピースかましたりして、カメラに写ろうといういたずらだ。そして、そのいたずらを決行する時が来た。宮藤選手が「私がここまで来るのに、すごくすごく時間がかかったなと感じてます!今までは、本当に、自分は良くても、マシンとかに恵まれてなくて…すいません…優勝は愚か…ポディウムなんて夢の…夢のまた夢でした。ですが今シーズンここまで来れたのはハヤテの皆のおかげです。」と泣きながら答えた時に、俺が「Yeah!! I know this feeling!!hahaha!!」と合いの手を入れたり、ジャンプしてピースを入れると、思わずインタビュアーも大爆笑。だけど俺にも仕返しが...俺も彼女同様に、インタビューを受けてると彼女が涙を流して、目が真っ赤に腫れた状態で、よく小学生がやる指で角を生やすといういたずらと「さっきのお返しよ!!喰らえ~!!」という声と同時に、俺に思いっきり抱き着いてきてインタビュアーも「wow!!こりゃたまげた!!」と面白い反応をしてくれた。そして彼女は「王者獲得おめでとう!!ホントは私も表彰台登りたかったけど、最後まで輝の後ろ走れてよかったよ。」というと俺だって「星奈だって皆イエローフラッグの時にピット入ってるのに唯一ステイアウトするというデカいギャンブルをして一時的にトップ走ってたじゃん。俺それ見てて、うわ、しくった〜ステイアウトしとけば良かったって思った位だよ。」というと彼女は少し顔を赤くして「そ、そうだけど…私はアレが上手く行くなんて思って無かったし…べ、別に今日の主役はアタシではなく輝なんだから、少しでも、場をも…盛り上げようとしただけよ!!と…とにかく世界王者獲得お…おめでとう!!」と完全に顔から湯気出てる状態で話していた。こういったことが出きるのも最終戦ならではだろう。そして俺は彼女に「またヤングドライバーテストで会おう。」と声をかけ彼女も「またアブダビで会いましょ!今度こそアンタを打ち負かてやるんだから!!」と、完全に俺に対する対抗心を燃やしてる状態だった。俺も「またあの時みたいに楽しくやろうぜ!」と返事を返した。そしてガレージに戻ると記念写真を撮り、その後に、アイロットもやってきて、俺を祝ってくれた。そして俺は、アイロットに「そういやぁお前、来季はフェラーリのリザーブになるみたいだな。」というとチームメイトは「うん。」と返事をすると俺に「リザーブっていったいどんな仕事なんだ?」聞いてきた。俺は「簡単に言うと野球で言うベンチ。だけどお前あれだろ新生DTMにフェラーリのハコ車でのワークスチームAFコルセからエントリーするみたいじゃん。アルボンとローソンと一緒に。」と返すとチームメイトは「そうなんだよ。でも、人生初のGT3カーに乗れるから、凄くワクワクしてる。」と返してくれた。そしてチームメイトから俺に「F1に行っても頑張れよ!」と励ましの言葉をかけてくれるワンシーンも。そして、まさに異例ずくめでもあり、激動のシーズンだった、今シーズンのFIAF2世界選手権は、無事に幕を閉じた。そして俺のマシンはギアボックスなどを修復されてポストシーズンテストへと持ち込まれる予定だったが、ファクトリーでそのまま展示するとの事になった。この為ヴィルトゥオーシは、新たにマシンを調達してカラーリングとセッティングは最終戦仕様のままポストシーズンテストへと持ち込まれ、ドライバーには俺と一緒のホンダ育成ドライバーでもあり、俺の後輩でもあり、2020年のFIAF3ランキング2位でもあり、俺の教え子でもある、西木野絵梨子選手がテストドライブをする事になった。そして2号車は、晴南の教え子でもあり、一昨年のFIAF3ランキング3位の絢瀬愛乃(よしの)選手のホンダ育成兼レッドブルジュニアドライバーでもある2名がテストドライブする事となった。ちなみに、俺のチームの場合、情報漏洩防止の為、壁を作ってあるが、もう1つ理由があって、それは、自分でセッティングを探る力を身につけたりする為という理由である。でも実際に壁があった方が、周りを気にすることないからすごく落ち着くんだよね。それと岩佐君に限っては、なんと俺に次ぐレッドブルジュニアドライバーの為、メットやスーツがレッドブルのやつになってる。そしてその2人も、このF2という世界を戦い王者を目ざして駆け抜けるのであった。俺は、ベルギーにあるスパ・フランコルシャンへと行き、あいつが眠りしラディオンへと向かい花を手向け「お前と交した約束果たして来たぜ。ありがとよ。今度はF1で大暴れしてくるからさ、また力をくれよ。」と言いラディオンを後にした。そしてこの物語は新たな世代へと受け継がれ、新たな歴史を紡いでいくのである。2020年12月7日午後21時32分25秒、2年1ヶ月2日と8時間35分25秒ぶりに「2018年11月5日午後13時37分00秒」で止まっていた時計の針が再び動き始めたのだった。




遂に念願の王者獲得をして晴れてF2を卒業出来た訳ですが、物語はこの先も続いて行きます。そしてこれの続編も執筆します。


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Round13エピローグ

前回の最終戦で遂に念願の王者を獲得して晴れてF2を卒業した俺は再びイタリアのファエンツァへと住処を戻してF1の準備をしていたのだが…


前回の最終戦で、遂に念願の王者を獲得して、晴れてF2を卒業する事になり、ヴィルトゥオーシの皆にも別れを告げて、第3の故郷イタリアへと住処を戻した訳だけど、今回はアルファタウリの本拠地でもある、ファエンツァに拠点を置く事にした。そしてまずアルファタウリのファクトリーへと向かい、改めて皆に自己紹介等をすると、何やらかなり見慣れた人が1人こちらへと向かってきた。そして俺に「今シーズンからここでお世話になるという、噂の日本人ドライバーは君かね?」と尋ねられ、俺は「はい。その噂の日本人ドライバーというのは俺の事ですけど。」と返すと、その人の口からとんでもない名前が飛び出してきた。「私の名前はフランツ・トスト。恐らく君の事だから名前を知らない訳ないよね。1回走ってるんだからさ。」と言われたもんだから、まぁ俺は驚きを隠せなかった。実はフランツ・トストさん、日本のファンからはトストさんやらトスト爺さんやらトス爺やらという渾名で親しまれている。そして俺の場合は、レッドブルジュニアドライバーとしては初の日本人ドライバーとして、このマシンに乗るという事から、メディアからはかなり注目されているが、はっきり言うとあまり注目しないで欲しいくらいである。理由としては、常にこの事ばかり考えてしまい、他の事に集中出来ないからだ。そして待望のマシンお披露目のお時間となった。紺色のベールを脱ぐとそこには俺がヤングドライバーテストで乗る予定の「スクーデリア・アルファタウリ・AT01ホンダ」が現れた。そしてマシンには、あの時初めて鈴鹿で公式セッションデビューした時と同じ位置に、自分の名前「Hikaru Kushima」と日の丸が貼られており、遂に子供の頃からの夢だったF1ドライバーになれたと改めて実感出来た。でも俺自身実は、F1に乗るのはこれが初めてではなくて、実は2年前にまだアルファタウリがトロ・ロッソの時にマシンをテストドライブした事があるけど、その時よりマシンは格段に進化していた。まずはシートの型どりを行い自分に合った最適なシートを作り、ステアリングのレクチャーをしたのだけど、まぁ操作するボタンが多い。F2は必要最低限の物しか備わってなかったけどF1の場合はレース中にエンジンマッピングを変えたりフュエールミクスチャーを変えたりハイブリッドシステムの出力を変えたりと勝つ為に色々求められるのだけどそれ等を冷静にこなす事もこの世界で求められている。だけど最初に見た際俺が言ったのは「2年前とステアリング変わった?」と言うとメカさんの1人が「あぁ変わったよ。利便性と見やすさ向上を目的にね。昨年からだけど。」と言われて俺は「だからレッドブルのマシンのステアリングと酷似していたのか。」と納得してしまった。そしてレースを戦う上で必要不可欠となるのがドリンクシステムだ。このシステム抜きに俺は2時間戦えない。実はこのシステムは標準装備となっている。まぁ一部ドライバーを除いてだけど。そしてもう1つ必要不可欠なアイテムがある。そうパワステである。これ、あると無いとじゃ随分変わる。でもF1のルール上では油圧式オンリーとなっておりこの背景にはかつて電動パワステを使って人外的挙動(カックンコーナリング)でシーズンを征服したというメーカーがいたからという都市伝説じみた事例があるからとの事。そんな文明の利器を持ってしてもハンドルは重いのだ。それと油圧式の方が整備も楽という観点からだろう。実は俺、日本GPのフリー走行2回目で初めてF1レースウィークデビューをしたのだけどこの際トスト爺さんが俺の走りに終始釘付けになっており来季の起用を決めたとか。でも実はこの背景には俺の途方も無い苦労と努力があったからだろう。そしてシートを作り終えてその次にシートベルトの要望を伝えた。俺は「シートベルトのメーカーをタカタにして欲しい」と頼むと1人が「何でだ?」と尋ねて俺は理由を言った。「体にフィットしやすいから。」それだけの事だよ。と。そう話すとメカさんの1人が「こういう事も大切だからね。」というやり取りをしていた。そしてファクトリーでの一通りの準備を終えて俺達御一行はヤングドライバーテストの舞台でもあるアブダビサーキットへと向かうのだった。




ちなみにこの世界線ではタカタがエアバッグゲートを起こしていない世界線というのを理解してもらえると幸いです。


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Round14 エピローグその2

前回はアルファタウリのファクトリーへと向かい色々やったが今回はその前日章そして次作の実質的なプロローグ。


前回アルファタウリのファクトリーにて来季のマシンのシート合わせ等色々やったが今回はその裏側。あの最終戦からしばらく経ち俺は第3の故郷イギリスから再び第4の故郷イタリアへと引っ越す準備とかをしていた。そして今日は恐らく人生5回目の引っ越し。まずは、自分の周りを片付ける事にした。まずはダンボールに緩衝材をこれでもかと言うくらい敷き詰めてその中にヘルメットとHANSデバイスを入れてガムテで封をしてまず1つは片付いた。そして普段着は普段着で1つの箱にまとめて蓋をして片付けた。さぁ問題はレーシングスーツをどうまとめるかだ。色々悩んだ挙句今まで所属したチーム順に上から重ねていき事態は解決した。そして後は家電類とか色々片付けてこれで綺麗になった。後は溜まった埃は、掃除機をかけて、これで最初来た時みたいに綺麗になった。後は全部まとめてイタリアのファエンツァへと引っ越すのみとなったが、肝心な晴南の事を忘れていた。俺は慌てて晴南に連絡を取り「引っ越しの準備とか終わったか?」と言うと晴南も「ちょうど今終わったばかりで、ヘトヘトですよ。レースやトレーニング以外でこんなになるの初めてですよ。」とかなり疲れていた模様。そう実はF1参戦にあたって拠点をチームの本拠地ファエンツァに移す事にしておりそこで2人して住むという計画を立てていたのだ。そして俺は全ての作業を終えて外に出てリフレッシュしてるとお隣さんが「おや?また引っ越しかい?」と話しかけてきて俺は「はい、これで2度目のイギリスでの生活ともおさらばしなければならなくなったので。」と言うとお隣さんは「寂しくなるね。でもあの2連戦は楽しませて貰ったよ。最後の最後まで目が離せなかったわ。特に最終戦のゴールした後は思わず泣いてしまったよ。」と言うと俺も「あの時は本当にとにかく嬉しくてヘルメット越しに泣いていて7年前とは違う景色が見えてましたから。」と言うとお隣さんも「7年前もあの時も見ていたよ。」と言いそんな会話をしていて俺は「そろそろ旅立つ時が来たみたいです。今までありがとうございました。いつかまたどこかで会いましょう。それでは」と言い俺は1度ロンドンにある日本大使館へと向かい引っ越しの手続きとか色々してると大使館の人が「今度はどこの国に行くんだい?」と話しかけてきて俺は「またイタリアへと」と言うと大使館の人は「あっちでも頑張れ!!」と励ましてくれた。ちなみにまとめた荷物は2人揃ってファエンツァにあるアルファタウリのファクトリー近くに家に送るようにしてあるからファエンツァに着いた頃には届いてるはず。そして俺と晴南はヒースロー空港へと向かい、そこからイタリアへと向かいそこからファエンツァへと向かった。そしてファクトリー近くの家に向かいちゃんと全部届いてるかを確認し終えてこの日を終えた。でも1番楽なのがイギリスはとうの昔にEUから離脱してるおかげで共通通貨「ユーロ」が使えなくなるんじゃないかとビクビクしてたがそんな問題は無く普通に使えた事。そしてイタリアもEU加盟国の為ユーロが使える為とりあえず資金面は困る事は無さそうだ。実は俺自身これで2度目のイタリア生活を送る訳だが晴南は恐らくこれが初めての2ヶ国目だから俺が説明してやらないといけなくなった。そして一通り説明して迎えた次の日。この日はファクトリーに行き自分のスペースとかを確保してきた。後、今日は快晴どころか地中海気候のおかげでとても暖かい日になっていて「自由猫」と戯れる絶好の日和となった。晴南はどうやら「自由猫」というのを知らないので俺が晴南に「日本で言う野良猫みたいなもん。だけどこっちは人慣れしすぎて警戒心が無い。」というと晴南も納得していた。そしてレーシングギア一式は自分のカバンやバックにぶち込んでありちゃんとあるかどうかも確認した。ちなみに空港では到着してすぐにロストバゲージしてないか確認してイタリアへと来た為心配する必要はなかった。そしてまずは現地に到着して最初に向かったのが日本大使館。そこで必要な手続きとかを踏みイタリア生活をスタートしたという訳だ。ちなみに大使館で手続きとかをし終えた後にサイン色紙をプレゼントすると皆すごい反応を示してくれて職員からも「記念に飾りましょうよ!!」という声が上がり飾ってもらえることになった。そんなかなり急ピッチで物事を進めていたイタリアでの新生活も今日から無事にスタートする事が出来た。本当は日本で暫くの間落ち着いてからしようと思ってたけど、このご時世だから早い事終わらせたかったのだ。と言っても自主隔離期間中に身動きが取れなくなるリスクを考えてもその期間で物事を済ませたかったという俺の考えもあり敢えて日本には行かずそのままイギリスへと直行してこういったことをしていた。変に外出して警察のお世話になるよりはマシだと思ってやった事だ。そしてなぜ2人で住むかと言うと理由は同じチームになって情報共有とかを円滑にしたいのと2人して反省会をしたりするという目的もあるからだ。後は2人のオンボードとかを見比べたりとか色々したいからだよ。



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特別企画 今シーズンのエントリーリスト及び各チーム毎のプレイバック

今シーズン、激動の全12ラウンドを戦い抜いたドライバーとチームを今回は一挙公開!!

 

まずは、昨シーズン、チームタイトルを獲得した、フランスの老舗強豪チームDAMS

 

No1 リオ・ゲラエル(Rd1~6,11~12)(インドネシア)(22歳)、マルコ・ヴィップス(Rd7~10)(ルーキー)(エストニア)(20歳)(バルセロナで胸骨折ったゲラエルの代役)

 

シャシーナンバーは、昨年のキャリーオーバー。

 

No2 アレックス・ティクタム(イギリス)(21歳)(フル)

 

シャシーナンバーは、昨年のキャリーオーバー。

 

このチームは今年この3人で走ったけど、いかんせんDAMSらしさがそんなに無かったような感じがする。マルコに関しては、当初スーパーフォーミュラにチーム無限から出る予定だったけど、コロナの影響で立ち消えに。だけど、初めてのF2の割には、ポディウム取ったりしてるから、今後かなり化ける可能性大!

 

そして今シーズン、圧倒的な強さでシーズンを支配した、ユニ・ヴィルトゥオーシ

 

No3 九嶋 輝(日本)(17歳)(フル)(ワールドチャンピオン)

 

シャシーナンバーは、昨年のキャリーオーバー。

 

No4 アンドリュー・アイロット(フル)(19歳)(イギリス)

 

シャシーナンバーは、昨年のキャリーオーバー。

 

このチームは今年かなり強かったし、レッドブルジュニアの俺が、念願のF2世界王者にもなった。けど問題は、俺がアイロットによる、通称「命知らずミサイル」を何度も喰らいかけていた事。本当にフレンドリーファイアだけは勘弁して欲しかった。でもちょくちょく表彰台獲得してるという点は褒めたい。

 

なんか今シーズンは、妙にしょっぱい結果しか残せなかった、俺の古巣、ART GP

 

No5 クリスチャン・アームストロング(ルーキー)(オーストラリア)(18歳)(フル)

 

シャシーナンバーは、F218-041

 

No6 マーカス・ルンガー(デンマーク)(21歳)(フル)

 

シャシーナンバーは、F218-050

 

このチームは、今年なんか妙にしょっぱいというのかしっくりきてるのか来てないのか、よく分からん結果しか残せなかった。多分単に18インチタイヤに慣れてないだけなのかもしれない。強いて言うならルンガーが2勝したくらい。

 

今シーズンは、日本人ドライバーコンビで大健闘した、カーリン・レーシング

 

No7 角田 愛咲(フル)(17歳)(日本)

 

シャシーナンバーは、昨年のキャリーオーバー。

 

No8 佐藤 晴南(フル)(17歳)(日本)

 

シャシーナンバーは、昨年カンポスで乗った個体のキャリーオーバー。

 

このチームは今年、日本人女性ドライバーコンビというF2史上初の事をやってのけた。その結果、晴南が初めてのフル参戦ながら、年間ランキング3位を獲得してF1のシートを射止めたのは記憶に新しい。

 

今シーズンは、何か、イマイチ目立った活躍をしてなかったカンポス

 

No9 ニック・エイトキン(キム・セヨン)(23歳)(イギリス、韓国)(Rd1~10)、ライアン・ボシュン(Rd11~12)(スイス)(24歳)※エイトキンはイギリスと韓国のハーフの為、韓国名もある。

 

シャシーナンバーは、F218-048

 

No10 スティーブ・サマイア(ルーキー)(フル)(25歳)(ブラジル)

 

シャシーナンバーは、昨年のキャリーオーバー。

 

このチームは、今年何故か低迷していて、サマイアに関しては、「えっ、お前居たのか。」と、ほぼ風のような存在であった。エイトキンに関しては、F1の最終2ラウンドにラッセルのシートを埋める形で、ウィリアムズからワイルドカードエントリーを果たした。そしてそのシートを埋める形で、ボシュンが緊急参戦及び、来季のシートを掴むと言った、一大イベントも起きた。

 

今シーズンは、目立った活躍をしてなかったというより、常時下っ端もしくは、良い感じの順位を走ってた、チャロウズ・レーシングシステム

 

No11 ルカ・デレトラズ(フル)(22歳)(スイス)

 

シャシーナンバーは、昨年のキャリーオーバー。

 

No12 ルイス・ピケ(ルーキー)(フル)(18歳)(ブラジル)

 

シャシーナンバーは、昨年のキャリーオーバー。

 

このチーム程、今年目立ったところないよ。マジで。強いて言うならデレトラズが表彰台登ったくらいよ。

 

今年はホンダの支援なく、単身F2に乗り込んできた松浦伸治さんが所属していた、MPモータースポーツ

 

No14 松浦信治(Rd1~9)(日本)(25歳)、アントワーヌ・アレジ(Rd10~12)(フランス)(22歳)

 

シャシーナンバーは、昨年のキャリーオーバー。

 

No15 フィリップ・ドルゴビッチ(ルーキー)(フル)(18歳)(ブラジル)

 

シャシーナンバーは、昨年のキャリーオーバー。

 

このチームは今年かなり良い所を常にキープしてたりと結果を残していたが、ベルギーのレース1で松浦さんとフィリップが同士討ちをやらかして、その結果、松浦さんが金欠になって、シーズン途中のムジェロGPで、強制ログアウトせざるを得ない状況になってしまったのは、残念な限りだ。

 

昨年限りで撤退したアーデンの枠を引き継ぐ形でエントリーしたBWT HWAレースラボ

 

No16 ニキータ・マルケロフ(フル)(ロシア)(22歳)

 

シャシーナンバーは、昨年のキャリーオーバー。

 

No17 アントワーヌ・アレジ(Rd1~9)(フランス)、アンソニー・ヒューズ(Rd10)(ルーキー)(イギリス)、ジャック・プルシェール(Rd11~12)(ルーキー)(フランス)(16歳)

 

シャシーナンバーは、昨年のキャリーオーバー。

 

このチームは、元が元だから結果は察して欲しい。けど、「ザウバーの逸材」であるプルシェールが、今シーズンのF2のラスト2戦にエントリーした時は、かなり話題を呼んだ。それと、アレジの活動資金捻出の為に、おやっさんが愛車である、フェラーリF40を泣く泣く売っぱらって活動資金を捻出したが、それも虚しく、FDAに無駄金を吸い取られる事に。結果として、おやっさんのF40は、やむ無く犠牲になってしまったのだ。合掌。

 

今シーズンはチームタイトルを獲得したプレマ

 

No20 ミケーレ・シューマッハ(フル)(ドイツ)(21歳)

 

シャシーナンバーは、昨年のキャリーオーバー。

 

No21 ウラジーミル・シュバルツマン(フル)(ルーキー)(ロシア)(19歳)

 

シャシーナンバーは、昨年のキャリーオーバー。

 

このチームは今年チームタイトル手にしたし、シューマッハも強かった。けど相方のシュバルツマンは、なんか地味な所にいた事が多かった気がする。シュバルツマンよ、FIA-F3時代の威勢の良さはどこ行った?

 

おまたせ。テールエンダーだけどいいかな?トライデント

 

No22 タルソ・モレノ(フル)(ブラジル)(23歳)

 

シャシーナンバーは、昨年のキャリーオーバー。

 

No23 坂口 万璃音(ルーキー)(フル)(日本)(20歳)

 

シャシーナンバーは、昨年のキャリーオーバー。

 

このチームのテールエンダーぶりは、もはや名物。だけど坂口選手もムジェロで執念の8位入賞をしてポイント獲得。そして、久方ぶりにカムバックしたモレノは、最終戦レース2で、明らかに周りに比べて、戦闘力に劣りまくってるマシンを巧みに駆使して、3位表彰台を獲得した。

 

今シーズンは新たに、日本のチームで初めて、ユーロ・フォーミュラ・オープンに参戦している、クリプトタワー・レーシングとタッグを組んでエントリーした、チーム・ハヤテ・クリプトタワーレーシング

 

No24宮藤星奈(フル)(日本)(17歳)

 

シャシーナンバーは、昨年のキャリーオーバー。

 

No25 李一飛(リー・イーフェイ)(フル)(中国、日本) (17歳)

 

シャシーナンバーは、昨年のキャリーオーバー。

 

このチームの一番の見所はやっぱり2人の優勝であろう。特に星奈(きらな)はキャリア初優勝を飾った事が大きいし、最終戦前の死闘も記憶に新しい。特にイーフェイはこのチームの参戦初年度からずっと居るし、すごく頑張ってた。それとその努力の賜物として日本語もかなり上達していた。にしてもだ、井口さんもやるねぇ。クリプトタワーレーシングとタッグ組んで戦うなんて。と言っても、クリプトタワーは、元々がモトパークの為、実質モトパークとの合同チームとなっている。

 

※年齢は、エントリーリストに記載された時の年齢です。

 

2018年4月。この世界に突如現れた「音速のシューティングスター」。彼は、3年越しに夢を叶えた。 誰よりも速く、誰よりも強く、誰よりも輝いていた。亡き親友と二人三脚で歩んだ3年間。激動の3シーズン。学校なんかでは、絶対教えてなんてくれない。ここには、喜怒哀楽、様々な感情や自分が導き出した、「勝利の方程式」がある。その答えを知ってるのは、自分自身。そして、F2には「夢」がある。「感動」がある。「希望」がある。「ドラマ」がある。君がいたから「混沌がある。美学がある。政治がある。経済がある。科学がある。技術がある。」そして「ほんの少し愛がある。だからちょっぴり涙が出る。」勝者と敗者、嬉し涙流す傍ら悔し涙流す者もいる。心で泣いて、笑顔見せる。そんな時もある。時に喜び、時に怒り狂い、時に哀しみ、時に楽しむ。今、この「勝利の方程式」を解き終えた自分自身の目には、何が見えてるのだろう?夢叶う者もいれば、夢敗れた者もいる。だけど、ここまで戦ってきた事は、決して無駄では無かったという答えに辿り着くはず。優しさよりも、言葉よりも、「小さな希望」に全てを賭けた者もいる。時に迷走して、自暴自棄になった事もある。あの日流した涙は、「光のプリズム」となり、自分自身を照らし、さらに輝かせている。今シーズンの全てを物語った「最終戦」。各々の全てを出し切る。そう皆で決めて挑んだこのレース。例えどんな順位で走ろうと、各々が放つ、最大限の輝きがサーキットを「彩った」。ゴール後、皆の目には、一体どんな景色が見えたんだろう?死闘を終えたその先には、一体何が見えたんだろう?きっと、色んな感情が混ざって分からないよね。ある少年は「夢」を叶えた。そして、パルクフェルメで流した涙は、色んな感情が混ざっていた。そして、F2は「新たな世代」へバトンタッチして「新たな歴史」を紡いでいく。嗚呼なんて美しいのだろう。「限りない可能性」にかけてみたい。その答えは、間違えてない。その「限りない可能性」は、いつか実を結び、やがて「夢」となる。3シーズン、1095時間、36レース。共に戦った皆に、この言葉を伝えたい。「共に戦ってくれて、ありがとう。」そして、この言葉を伝えたい。「時代は常に、未来への一方通行。明日に背中を向けて、歩んだ過去を確かめる旅路、この道の続きでいつかまた会おう。」



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