仮面の悪魔少女 (Sakina)
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序章

今から2年前、日本で世界を揺るがす大事件が発生した。

まるでファンタジーの世界で語られる化け物たちが、空を割いて、この世界にやってきたのである。その化け物は自分たちを悪魔と言いこの世界を侵略しに来た。

当時あらゆる自衛隊、軍隊が抵抗したが、あまりにも現実離れした力によりだんだん人類は追い込まれていった。

しかしある時、悪魔の世界によって滅ぼされた妖精の世界、そこから生き残りこの世界にたどり着いた妖精たちが政府に協力を依頼した。

依頼内容は「妖精と契約し、一緒にあの悪魔たちと戦ってほしい」と、妖精たち曰く自分たちの魔力はこの世界ではほぼ使えず魔法を使うことができなくなっている、ゆえにこの世界の適正のある人間と契約し、契約者の魔力を通し魔法を使うというものだった。

しかし妖精たちとの適性は、純粋な心を持った少女以外持ち合わせていなかったのである。

 

当時は、少女たちに戦わせることを危惧している人たちもいた、しかし、そんなことを言っていられないほどにだんだんと被害が大きくなっていった。

政府は戦う意志のある少女達を集め、政府公認の特殊部隊として配備することをきめた。魔法を使う少女「魔法少女」として。

 

しかし、この物語の主人公はこの特殊部隊として戦う、魔法少女では無い。

 

◇◇◇

夜の街外れ、赤く染まった地面、肉片が散らばったそんな場所に、ぽつんと立っている少女がひとり。身長は150cm後半ほどで、顔には仮面、右手には身の丈以上の赤い剣、左手は化け物の手へ変化していた。

 

「さて今日はこんな感じか」

 

少女は、周りに散らばっている悪魔たちの死骸を見ながらそう呟く。

 

「ちょっと派手にやり過ぎた…」

 

そう言いながらその場から立ち去る。

少し離れたところに着くと、スマホを開く、彼女がそうする理由は、万が一目撃者がいたかどうかを確認するために、ネットでそれらしいものがないかチェックするのである。

だがそれとは別にネットニュースに気になることが書いてあったのだ。

 

「なに何?魔法少女?特殊部隊?妖精と契約って…はぁ?」

 

あまりにびっくりしすぎで、大きな声が出てしまった。

 

「どうしましょ、協力関係は、無理だな、なんせ私は…

元は人間とは言え体も心もとっくに悪魔になっちゃってるし…」

 

「あぁもうおのれ国家権力!」

 

そう悪態をつく

 

「まぁ、でも私がやらないといけないことは…変わらないけどね!」

 

そう割り切って、少女は自宅へと足を進めるのであった。

 

◇◇◇

この物語は、王道主人公である魔法少女の物語ではない

 

大切な人を守るため、仮面の悪魔と呼ばれた、大悪魔と契約し、その力、記憶、魂までもを受け継ぎ、その力で悪魔を狩る。

 

黒縁魔夢(くろぶちまゆ)という名の少女の物語だ



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1話

私の名前は、黒縁魔夢(くろぶちまゆ)、黒髪ロングに、スレンダーな体に、かっこいい美人と言われれるタイプの顔つき、ここまでは、まだ人としてあり得る容姿だ。

だが、左肩あたりから腰の辺りまである一見模様のように見える黒いアザに、左眼の色が赤色だったりと、普通ではない容姿である。

しかも、これが生まれつきでないのが問題なのである、実際両親からは呪いだのなんだの言われ蔑まれ、町では祟りだのなんだのと、さらに医者は、奇病だの未発見の事例だの、まぁこんな容姿のせいで生まれ育った町とことん苦労することになったのだが。

今は、忌々しい故郷を離れ東京で暮らしている。

 

「むにゃ、もうたべれなぁい」

 

この、幼馴染こと、白音虹色(しろねいろは)と、一緒にである。

陶器のような白い肌に白い髪、容姿端麗、才色兼備、さらには性格も良しときた。なんなんだろうか?この幼馴染…

神は人に二物を与えずというけれどこいつは、ニ物どころか、三物四物くらいはもらっているような気がするのだが?

 

こいつとは、幼少期からの付き合いで、いつものように遊んでいた、でも、アザが現れてから急に、両親から町の人すべてに至るまでまるで汚物を見るかのような目で見てくるようになってから私は、人を信じられなくなってしまっていて、白音も同じような目で見てくる、そう思っていた。

だけど、いつもとわらず白音は毎日毎日同じように話しかけてくる。

初めは、同情されているだけだと、裏では何か言っているものだと、そう思って無視を決め込んだ。

でも、白音は諦めなかった、次もまた同じように、その次も、その次も、もう私が数えるのをやめた頃。

私は気になってこの幼馴染に「なんで私に構うの?」とたずねた。

白音は、私と会話できたことが嬉しかったのか、涙目になりながら

 

「だって、私は黒ちゃんと一緒にいたい、話したい、遊びたい!」

 

そんなこと言われても、と私は思う。

 

「こんな呪われたようなアザに赤い目があっても?」

 

なんて返ってくるか不安になりながら私は、そう尋ねた。

 

「なんで?そんなこと言うの?かっこいいじゃん!体にあるアザに赤い瞳のオッドアイ、私は好きだよ!」

 

「なっ!」

 

白音は私に抱きついてそう言葉を口に出した。

 

「それに、私は容姿なんかで人を図ったりしない!」

 

「もう、ひっつくな!」

 

まぁ、こんなことがあって、私たちは会話をするようになる。それから1ヶ月もするうちに、いつでも一緒に行動するような、仲になった。

初めは、白音のことを信じたくてでも、信じられなくて本当なのか確かめたくて、一緒にいた。

でも、だんだんそれだけじゃなくて、本心から白音虹色と一緒にいたい、そう思えるようになった。

そんな感じで、高校になってから逃げるようにその街から出てからもこいつがついて来ようとするので、いっそシェアハウスにしよう、そういうことになったのである。

 

そんな経緯もあって、今美少女も裸足で逃げ出す幼馴染を、私は現在膝枕しているのだが。

 

「そろそろ降りて白音、ちょっと足が痺れてきた。」

 

「もうちょっと…むにゃ」

 

「今日の買い物一人で行ってきてもらうけど?それでもいいならいいけど?」

そう言うと、即座にその場から立ち上がり

 

「すいませんでしたぁー」

 

そう言って自分の部屋に戻って買い物の準備を始める白音。

 

「お待たせ〜」

 

少し待ったら、白音が部屋から出てきた。

 

「さぁ、黒ちゃんデートを楽しもうぜ!」

 

「いやデートじゃないって!もうこのやりとり何回目?」

私が否定すると、白音は、こう返す。

 

「デートっていうのはね?愛し合う二人が、楽しく買い物や食事、遊園地などにでかけることのことです!」

 

そう言いながら白音は、さらに畳み掛ける。

 

「そう、そして私、白音虹色は、黒ちゃんのことを誰よりも愛しています。つまりこれはデート、異論は認めない!」

 

ふむ、確かにでも、

 

「私が白音のこと好きかどうかによるんじゃない?」

 

「え!?」

 

そう私が話すと、白音は泣きそうな顔で私に

「白音、私、嫌い?」

 

片言で喋りだす白音に流石にまずいと思い。

 

「べ、別に嫌いじゃないし、」

 

「じゃあ、好き?」

 

上目遣いで私に聞いてくる。

うっ、やめて私は、私は、

「あ、え、その、うん、あっ?」

 

そうだこう返せば!

 

「幼馴染として、友人として、白音のこと…好きだよ」

 

そう口にすると今度は、幸せそうな顔で

 

「えへぇへぇ、好きだなんて…ぐへへ」

 

だんだん溶けていくかのように錯覚するほど頬をゆるませていく白音に

 

「戻ってこーい、見せられない顔になってる!」

 

そんな会話をしながら私たちは、予定の時間をちょっとすぎたあたりで家から買い物に行くのだった。

そう私はこの時までなんの変哲もない普通の休日での買い物で終わると思っていた。

 

帰り道の途中で空が割れるまでは。

 

 

 

 



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2話

空が割れた、それは比喩でもなんでもなく、ただただ現実として起きた。

この日、人類は初めて悪魔からの侵攻を受けた。

 

私はとにかく走った、白音を連れて。

もう息が上がって走れなくなるまで。

 

「なんなのあれ…」

 

「わかんない」

 

そう言いながら私たちは、息を整えるために少し休憩し始める。

周辺は大混乱、子供から老人まで老若男女関わらず、必死で逃げようとする。

その波に巻き込まれないよう私たちは、横道の方へ向かった。

しかし、この選択が間違いだったと知るのは少し進んでからだった。

 

「おや、美味しそうな獲物が二つ、なんと幸先のいい!」

 

そう言いながら、何かが私たちに向かって降りてくる。

空から降りてきた者は、あまりにも現実離れしていた。

ファンタジーで語られるゴブリンやゾンビ、に翼をつけたような見た目の辛うじて人型を保ってはいるがそれでも絶対に現実にはいないそう断言できる見た目の化け物が、私たちの目の前に現れたのだ。

 

「なっ!」

 

そんなことを考えていると、私はいつの間にか近くの壁に叩きつけられていた。

 

「黒ちゃん!」

 

私に駆け寄ろうと、近づく白音。

だが

 

「逃げさせないよ?嬢ちゃん」

 

そう言って化け物は、白音の髪の毛を掴み上げ、舌で彼女の首筋を舐め始めた。

声にならない悲鳴をもらす白音

助けようとするも、叩きつけられた衝撃で骨が折れたのか、体が動かない、

 

「く、動け、動け!私!」

 

くそっなんでなんで!このままじゃ、白音が!

なんでもする、なんだって差し出す!だからお願い、

どうか…どうか…助けて、白音を助けて

こんなことを言っても意味がないことは、わかっていたはずなのにそう願わずにはいられなかった。

たが

「たとえそれが人間を辞めることになってもか?」

頭の中に声が響く。

幻聴だと私は思った、都合が良すぎると、それでも。

「それで白音が救えるなら」

そう言った途端私の意識がプツリと切れる。

 

◇◇◇

「ここは?」

 

そう言いながら私は体を起こす。

周りを見てもあるのは目の前の光の塊だけ。

その塊から声が聞こえた。

 

「貴様の中というべき場所だ」

 

かすれた声が部屋に響く。

 

「時間がない、手短でいく。」

 

「えっ?ちょ!」

 

「今から貴様と我で契約を始める。」

 

契約って何?どういうこと?

 

「説明している時間もないのだ。無理やりこの場所に貴様を連れ込んだ以上、いつ崩壊するかわからない。」

 

「はぁ?」

 

意味がわからない、私の中の世界?契約?でも、

 

「それで助けられるの?」

 

「あぁ」

 

「契約の条件を話す。」

 

「我との契約の内容は、シンプルだ、貴様に今ある我の全てを与える、代償に、我の力を使って我の復讐の果たしてほしい。」

 

「だが、契約と同時我と貴様は、混ざり合い変化し始める。」

 

「いったいどうなるの?」

 

「姿自体はそこまで変化はしないだろうだが、中身はおそらく別物になる。岩を砕けるほどの怪力、空を蹴り上げられる脚力、その上体内に魔石と呼ばれるものが生まれる。」

 

「えっとつまり、私は、人間をやめて、あの化け物と似たような存在になると?」

 

そんなことがありえるのだろうか?

 

「あぁ、なにせあれと私は、同類だからな。」

 

「なっ!」

 

どうゆうこと?本当もうわかんないことだらけである。

あの化け物のことから。

わたしの中にある謎の塊。

なおかつその塊は、あの化け物と同じときた!

しかも、そんな奴が私に力を貸してくれる?

てかそもそも復讐って何?

わかんないことで頭がいっぱいになるでも…

 

「やはり、こうなるか」

 

そう諦めたように呟く塊。

 

「あぁ、もうわかんない!」

 

でも!

 

「やるよ…契約」

 

「なっ、貴様正気か?提案しておいてなんだが、こんなのによく乗る気になったな?」

 

そんなことを言われても

 

「あなたから嘘をついてる感じはしなかった、それに白音を助けられる唯一の手段、私が断るわけないじゃない」

 

そう言い切る。

 

「…良いだろうでは我に触れろ」

 

「うん、わかった」

 

私はその塊に触れる。

 

「最終確認だ」

 

「我が貴様に与えるのは今ある我の全て、代償は、我の復讐の成就」

「あぁ、何一つ説明されてないがそれでいい」

 

「…始めるぞ」

 

そういうと彼の周りに陣が引かれ始める。

「我、汝と契約す、我の望みは、復讐の成就、代償は、契約者に今持つ我が力、記憶、経験に至るまでの全てを!」

 

そう言い切る。と周りの魔法陣が私を取り囲む。

そして、まるでそこに触れろと言わんばかりな、真っ赤な剣が私の前に現れる。

 

「それに触れれば、契約成立だ、もう貴様は人間には戻れない、それでいいんだな?」

 

「当たり前よ、もうとっくに覚悟は、決めた」

 

そう言って私はその剣に触れた。

 

「仮面の悪魔の名の下に契約は受理されたさぁ、目を覚ませ契約者よ」

 

◇◇◇

「返事をしてよ!黒ちゃん!黒ちゃん!」

 

白音の泣き叫ぶ声が聞こえる。

 

「当たりどころが悪かったぽいな、もったいない…まぁ片方は無事だしいいとするか」

 

私は、目をゆっくりと開け、そのまま立ち上がる。

 

「え?」

 

「なんだと?」

 

驚愕の声が聞こえる。

さぁ、やるぞ私、もうやるべきことは、わかっているだろう?

あの仮面の悪魔を名乗った奴の記憶が私の中にい入ってくるのが、よくわかる。

 

戦いしかしてこなかった幼少期の記憶

「魔王」に拾われ世界が美しい物だと知った記憶

たった一人の魔王の友人として、並び立てる様にと努力をした記憶

戦争で一騎当千の活躍をし、英雄と称えられた記憶

魔王を操られ、自我をも消され、自分では、どうすることもできなくなり、絶望した記憶

その魔王を殺してでも助けるという選択をした記憶

相打ちになりその結果を嘲笑う「狂気の悪魔」の顔を見て死んでも復讐してやると誓った記憶

最強と謳われた悪魔の記憶の全てが…

 

故、わかる

手を広げ、今私に必要なものの名を告げる。

 

「目覚めよ、ペルソナ」

 

その言葉に反応するように私の周りから黒い粒子が現れ形を為し始める。

黒いコート状の服に、黒い外套、そして、私の身長より大きな赤き剣。

そしてかの悪魔がかぶっていたものと少しデザインが変わった仮面。

それらを私は一瞬で纏う。

 

「なんなんだそれは!いや、貴様いったい何になった!」

 

うろたえながら化け物は、私を指を刺す。

 

「大切なものを守るための力を得たただそれだけのこと!」

 

そう言って、私は無防備の化物相手に、一瞬で近づき

 

一閃

 

記憶を便りに剣を横薙ぎで振った。

 

「そ、その剣は、まさか…仮面の…」

 

化け物の上半身と下半身がずれて行き、そのまま真っ二つとなった。

 

「はぁはぁ…」

 

纏っていたものは消え、元の服装にもどっていく。

疲れた、この一太刀を振るうのに体力のほとんどを使うのか。

 

「黒ちゃん!」

 

化物が死んだため、掴まっていた手が緩んだのだろう。

白音が私に抱きついてきた。

 

「大丈夫?」

 

「そっちこそ、いったい何がどうなってるの!」

 

そう白音が問いただすが、わたしは、もう答えるほどの気力は、残っていなかった。

 

「一旦家に帰ろう、私はもう疲れたの、説明もちゃんとするから。」

 

「わかった…ちゃんと話してよ!」

 

そう言って、私たちは、自宅へと向かう。

そして、自宅に着くと玄関で、そのまま倒れ込み、私の意識失ったた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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3話

「それで、そのペルソナ?って悪魔と契約して人間をやめて力を手に入れた。それでいいのよね?」

 

現在わたしは、玄関で倒れた後、少し経つと目が覚めて、それからずっと白音に質問攻めをされおります。

 

「う、うん。」

 

やばい、白音がガチで怒ってる。

 

「黒ちゃん、わたしはおこっています。」

 

そう言いながらわたしを抱き寄せる。

 

「勝手に人間を止めるなんてことをしたこと、そして質問中にわたしに対してそのことを隠そうとしたこと。」

 

「だって…」

 

「わかっています。あのままだと、お互いどうなっていたかわからない。だから、勝手に人間をやめたことには、怒ったりしません。でも…わたしに隠そうとしたことそれだけは許せません…」

 

「いや、その…」

 

どうにか言い訳しようとするが何も思いつかない。

 

「私は、前も言いました!人を容姿なんかで判断なんかしないと!」

 

よく覚えている…だからこそである。

 

「だって、それは、人を判断するだけであって人じゃなくなった私は文字通り違う生き物で、もう今まで白音虹色と仲良くしてきた、黒縁魔夢じゃなくなったんだ、なんて言えなっ」

 

パチッ

 

そう言い終えるまえに、白音が私の頬を叩く。

 

「ばか、アホ、そんなことない!」

 

泣きながら、叫ぶ。

 

「たとえどんな容姿、どんな怪物になろうとも、黒ちゃんであることにかわりなんかないに決まっているでしょ!」

 

肩を震わせなながら喋る白音。

初めて白音に叩かれた。

私を叩く、それで怒りが収まるなら、それでいい、これ以上泣いて欲しくないから…

 

「気が済むまで叩いてよ、それで気が済むなら。それでいいから」

 

そう言ってわたしは、目を瞑って、叩かれるのを待つ。

けれど

 

「叩けるわけないじゃんかっ…わかんないの?叩かれるのも痛いよ!でも大切な人を叩いたわたしは心がいくてたまんないの!それにそんなんで気が済んだり、しないよ…」

 

そう言ってわたしを抱きしめる。

二人ともが落ち着きを取り戻し始めた頃、わたしは恐る恐る尋ねる。

「これからも、わたしと一緒にいてくれるの、白音?」

そう言うと。

 

「当たり前でしょ?なんならここで、宣言してあげる!

わたし、白音虹色は、黒縁魔夢と、一生一緒にいる、たとえどんなことがあろうとも!黒ちゃんは?」

 

あぁ、もう…そんな宣言をされては、こう答えるしかないだろう…まったく

 

「わたし、黒縁魔夢たとえどんなことがあろうとも、白音虹色と、一緒にいる。」

 

そう言い切ると、白音は満面の笑みで、小指を突き出した。

 

「約束して、これから先何があっても嘘をつかず、離れず、お互いを信じ、これからも一緒にいるって!」

 

わたしは、少し躊躇ったが、そのまま小指を差し出し、白音の指と絡める。

 

「「指切りげんまん嘘ついたら針千本のーます!」」

 

「「ゆびきった!」」

 

◇◇◇

この日、私たち普通の日常は崩れ、不肖人間から悪魔になった黒縁魔夢と、その幼馴染白音虹色との、異常な日常生活が始まるのでした。



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4話

悪魔の侵攻があってからの一週間がたった。

その間、わたしたちの日常生活は大きく変わった。

まずひとつ目は、わたしの容姿である、契約した直後はあまり変化はなかったが、日に日にアザが大きくなっていた、4日目の朝には今まで片目だけだった赤眼が両目になった。5日目からはあまり変化は見られなくなったが、身体中に紋章のようなアザ、両目が赤色に染まり、髪の毛の毛先の色も赤色に染まることになった。

ペルソナの記憶から見るにおそらく、契約時に魂は、悪魔になったが、肉体がそれに追いついてこず、5日かけて変化していったとみている。

実際身体能力は、契約直後とは比べものにならないほど上がっているのである。

そして、このアザや赤目になったったのは、ペルソナがわたしに取り付いてからなので、両親や周りの人たちは、おそらく悪魔に対して人間の本能的や体質により、拒絶反応が出ており、そのせいで私を嫌悪していたのでは?と推測している。

さらに、その拒絶反応が一切出なかった白音にも問題があったのだ。

悪魔に対する拒絶反応を無視できる程の、魔力を白音は、保有しているのである。

そしてこれも、ペルソナの知識だが、悪魔は魔力の大き物を好むと言う。

まぁ、でも、これも結局わたしが頑張って守ればいいだけなので解決。

次に、私が学校に行くか否かであったが、私は、もういかなくてもいいと主張し、白音は行くべきと主張した、結論として私は休学という手でこの問題を終わらせた。

休学理由として、「空が割れて以降、外に出るのが怖くなっていけないんです。」

とでも言っておけば、申請は通るのだった。

最後にのこったのは、これからのどうするか?である。

 

◇◇◇

「さてどうしようか…」

 

まずわたしがしなければならないこと、それはズバリこの力をモノにすることと、力をつけること。

力をつける方法には、記憶の方にあてがあった。

ペルソナの本体その死体である。

おそらくそれを取り込むことが可能であるとわたしは考えている。だが

 

「場所がなぁ…」

 

その死体があるのが、魔王が生み出した、時間と次元が入れ混じった特殊な場所にあるため通常の方法では行くことができないのである。

 

「はぁ…この魔法を使いこなせればいけるんだろうけど」

 

魔法陣二つ展開し、その片方に石を投げ込むすると離れた場所にある少し離れた場所にあったもう一つの魔法陣から石が出てくる。

ペルソナが最も得意とした魔法、空間魔法であった。

それで行くことができないか?と思いその場所をつなげようとするが、あまりに離れすぎており発動すらままならなかったのである。

 

「うーん、やっぱり今は、今ある力を使いこなせるようになるのが先決か…」

 

そう呟いたら、わたしは日課になりつつある、練習のための相手求めて夜の街へと駆けていくのである。

 

「もうこんな時間か、そろそろ帰らないと白音に叱られる」

 

そう言って周りを見渡すと、真っ二つに切り裂かれた悪魔の死体が三体。

そう、悪魔相手に力を実践して戦闘感覚を鍛えていくのである。

ペルソナは、訓練らしい訓練を生涯一度もしておらず、ほぼ毎日悪魔やら妖精やらと戦い続けることで強くなっていた。

ゆえ、全く同じ力を継いだわたしならそれと同じ方法で強くなるのが効率がいいと、そう思った、だから、今なお、ちょくちょく侵攻しに来る悪魔どもを一掃することで、白音が襲われる危険性を少しでも減らしつつ、わたしも強くなれる、一石二鳥の特訓方法である。

まぁそれでも暇になる日はあるので、そんな日は、ペルソナの記憶を見返したり、白音と一緒にこれからのことを考えたり、買い物に行ったりしている。 

 

◇◇◇

そんな生活を繰り返し続けて早1年が経とうとする、ある日私は、ペルソナの死体の場所へ転移の魔法を繋げることができるほど成長したのだった。

 



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5話

白い花が辺り一面に咲き誇る平原に

二人の悪魔が、武器を手に向き合っている。

方や、煌びやかな衣装に身を包み、圧倒的なほどの魔力を発する杖、6枚の蝙蝠ような羽に、黄金の肉体を持ち、頭の上に王冠をかぶる、魔王と呼ばれた悪魔。

もう片方は、私がよく知る、仮面をかぶり、赤い剣を振るう、仮面の悪魔ペルソナ

黄金の悪魔の魔法によってその戦闘の火蓋は切られた。

そこからの戦闘は恐ろしくも、凄まじい物だった。

黄金の悪魔がそれこそ何百何千の敵を葬り去れる魔法を使ったのならばそれを赤い剣で尽くを切り裂きながら接近する。

方や、赤い剣と空間魔法を組み合わせながら魔法を切り裂き、接近戦を仕掛ける悪魔に対し、その尽くを、未来を見ているかのように避け、いなし、あまつさえ魔法による反撃までもを行う。

そんな、異次元の様な戦闘もいつかは、終わってしまう。

ペルソナが、魔王の胸へ、剣を突き立てる、それでこの戦いは、決着だった。

だが、ペルソナもまた全力を出し切り、立つことすらできないほどに衰弱しており、血は身体中滝の様に流れていた。そして、その後ペルソナは、起き上がることはなかった。

それを嘲笑う全ての元凶が目の前に居たとしても。

 

◇◇◇

私は、目を覚ます。

いまだに怠い体を起こし、時計を確認すると10時を超えていた。

そしてわたしは、今見た夢を思い返す。

 

「はぁー全く寝ている時くらい休ませてほしい…」

 

そう愚痴ってしまうのも仕方がないと思う。

時より私はペルソナの過去を夢で見る。

だがそれがあまりにもリアルなため、寝ているはずなのに体が全然休まらないのである。

 

「あれがペルソナの最後、魔王との一騎討ち…やっぱ強すぎじゃないかな…あの二人、ほんと。」

 

方や空間を抉ったり、跳躍したり、圧縮したりをほぼノータイムで放ったりできるほど空間魔法を究めており、なおかつ剣技にいたっては、振った、その数秒後に音がやってきたり、目に見えない速度で飛んでくる魔法を切り裂いたりとそんな馬鹿げたことすらできてしまうほど。

そして、それと対等に戦ってる魔王に至っては、時間を戻す以外は基本なんでもできるっていうチート野郎、なおかつその一個一個技能が、ペルソナの剣技級…魔王を名乗るだけあるよほんと…

 

「普通にこいつら二人で、妖精の世だろうが人の世だろうが簡単に侵略できそう…」

 

そう思ってしまっても仕方ないだろう?

 

「ま、今日私はその戦いのあった場所に向かうだけどね」

 

1年間の修行(悪魔狩り)によってついにペルソナの死体の場所に行くことができる様になったのである。

いやはや我ながら凄まじいほどの成長速度である、

いや?これはペルソナに近いずいるとみるべきだろうか?

まぁどちらでも構わない。

服を着替え周りを確認しペルソナの力を解放。

その後、死体があると思われる場所に魔法陣をつなげる。

 

「白音に置き手紙とかしとくべきかな一応。」

 

今日のことを白音には伝えてはいない。

そのため、もしも帰ってくるのが遅くなることになる時のことを考え、「少し帰ってくるのが遅くなります」とメモ帳に書いておく。

 

「よし、こんなもんかな?」

 

手紙を書き終えさぁ、

 

「いざご対面と行きますか…」

 

私は魔法陣へと飛び込んだのだった。

 

◇◇◇

飛び込んだ先は、今日の夢に出てきた場所と瓜二つの場所だった。

 

「よーしこのちかくにあるっ」

 

目の前に迫る拳、それを私はなかば直感で回避する。

あっぶねぇ!

 

「ほお、今のをかわすか、よいな!」

 

そこには、3メートルほどの巨人が仁王立ちをしていた。

あぁ、わたしはこいつを知っている。

 

「剛腕のグラーデ…」

 

「いかにも我は闘争と剛腕の悪魔グラーデである!」

 

やはりと言うべきだろうか、私はこいつをペルソナの記憶で何度か見たことがある。

闘争と剛腕の大悪魔グラーデ、圧倒的なまでのパワーで城の壁を吹き飛ばし、圧倒的なまでの防御力で何百という魔法をも受け止め、敵陣深くに単騎で突撃できる戦闘能力を持つ。だが周りの言葉を聞かず、強そうな奴を見つけたら敵味方関係なく突撃してくるバトルジャーキー。

故に、単騎で運用するのが基本だった。

 

「フハハハ、ただの墓荒らしに対する見張りなんて言うつまらん仕事を押し付けられたと思っておったが!貴様の様な面白き存在と出会えたこと、なんと良き日か!」

 

なるほど、確かに墓荒らし、つまるところ現魔王こと狂気の悪魔の証拠を隠すために、それなりに強くなおかつ痛手では、あまりない、自由に動かせる大悪魔こと、こいつを見張りに選んだと言うわけだろうか?

 

「邪魔をするつもり?私は今すぐにペルソナの死体のところに行きたいのだけれど?」

 

「ふむ、なるほどだが、その言葉には誤りがあるぞ?」

 

「え?」

 

「貴様が今のペルソナであり、あれは、元ペルソナ、もうその名で呼べぬ抜け殻よ…」

 

なるほど確かにそうか、ペルソナは、私に全てを託したってことは、名前までもってことか…

 

「そんなのはどうでもいいこと、そこを通してくれないかな?」

 

期待していないが一応聞いておこう。

 

「否、我が請け負った仕事はこの場の防衛、故侵入者である貴様を殺す。そもそも仕事でなくても貴様を逃すほど我闘争の名は伊達ではないわぁ!」

 

そう言って私に一気に近づく!

やばっ

私は即座に赤い剣で防御した、だが

 

「甘いわぁ!」

 

その剣もろとも私の体を吹っ飛ばす。

なんて、怪力!わかっていたけれども!

うまく受け身をとり、そのまま体制を整え、そのまま敵の後ろ死角に転移、そしてそのまま脇から首へ、袈裟斬り。だが

 

「ふっ!」

 

まるでわかっていたかの様に裏拳が飛んでくる。

剣を振り始めていた私に防御することができず、そのまま頭をぶん殴られる。

かなりの距離を吹っ飛ばされた。

私は、痛む頭を抱えながら立ち上がる、血が流れているのを肌の感触で感じとる。

だけれど、今ので目が覚めた。

私は剣を構え直す。

初めての強敵、死ぬかもしれないと言う恐怖、それら全てが私を急速に成長させる。

剣を持って正面から打ち合う。

最初は防戦一方だったが、だんだんその拳の速度に追いついてくる様になってくる。

時おり左手を強化し、足りぬ手数を補ったりと、そんな攻防を続けて何時間経とうとしているのだろうか?

 

「はぁはぁ…」

 

やはりと言うべきか、体力の方が先に底をついた。

立っている事すら辛い。

 

「フハハハ、楽しかったぞ小娘!その圧倒的な成長速度見ていてとても良かった、後数分あれば我をも上回るほどとは、だがこれで終わりよ!」

 

そう言って左手に魔力を貯めゆっくりと私に近づく。

あ、これ死ぬは

そう自覚してしまう、だが

 

死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない死ねない

死ぬわけには、いかない!

 

まだペルソナとの契約を為し得ていない!

そして、それ以上に!

まだ、白音と一緒にいたい!

あの約束を破るわけにはいかない!

だから、死ねない!

一種の生存本能が今できる私の最善手を見つけ出す。

文字通りの一発逆転、奇策であるうえ、成功したことがない技まで使う。

だけど、この戦いで成長した今の私なら!

目の前に迫る拳と言う名の死

それを私は何も身体を強化せず、そのまま左手で受け止めようとする。

 

「なっ!」

 

強化していない手が、馬鹿げた怪力から繰り出される拳に当り、腕ごと引き千切れる。それが狙いだ

あまりの予想外の出来事にその腕ごと体を殴り飛ばすつもりだったグラーデは、思考が一瞬止まる。

その隙があれば十分!

私は剣に魔力を纏わせる。

これはペルソナが最も得意とした技にして、私が知っている限り最強の攻撃、空間ごと切り裂く、防御が意味をなさない、あらゆる物を切り裂く魔剣技!

その技を今再現する!

 

「万物を切り裂け、魔剣ヨハテ!」

 

一閃

その刃は、言葉通り、無防備だった敵の首を、なんの感触もなくいとも簡単に断ち切った。

ぼとりと首が落ちる。

それを確認し

 

「この戦い、私の勝ちだ」

 

そう呟いて、その場を後にするのだった。

 

◇◇◇

その後、かすかに残っていた魔力を総動員して千切れた腕の傷を癒す。

止血くらいは、できた。

さて、ペルソナの死体の場所に向かいますかね

その後、30分ほど歩いた先に目的のものが見えくる。

今なお、朽ず残るペルソナの死体、私はその死体についている仮面に触れる。

その瞬間、私の意識はプツリと途切れてしまう。

◇◇◇

「またここに連れてきたってところ?」

 

そう私が言うと、虚空からペルソナだった物が現れる。

 

「貴様には、もうわかっていると思うが我はただの残滓、死体に残るほんの少しの魔力と脳に残るほんの少しの意思が貴様に干渉しているにすぎん」

 

そう言って私に手を差し出す。

 

「貴様がやろうとしていることは、わかっておる、この残滓とて、ペルソナの一部、貴様の力になるだろう持っていけ」

 

「えぇそうさせてもらう。」

 

そう言って差し出された手を私はとる。

 

「ついでだ、残っている死体も有効活用してやろう」

 

そう言うと、紫色の粒子が変化したと思うと、左腕があった場所に集まりはじめ、形を成す。

 

「元は、武器にでも変化させる予定であったが、これの方が今の貴様には必要であろう?」

 

こいつは、今の私の千切れた左腕を見て現実にある自分の死体を材料に新しい腕を作り上げたのだ。

新しく生み出された、左腕を握ったり開いたりして違和感がないか、を確認する。

 

「その左腕は、我が死体より錬成し生み出した物、魔力を通すことで形を変化させることも可能にしてある。有効に使え。」

 

その言葉を聞き、試しに魔力を通して、腕を剣の様な形をに変化してみる。

 

「これは、すごいね」

 

腕を失った時は、これからどうしようかと思っていたが、これなら、うまく使いこなせる様になればかなりの戦力アップである。

 

「ふむ、そろそろ時間か」

 

「そうだね」

 

ペルソナだったものは、私にこう告げる。

 

「今より貴様は、ペルソナの力を完全に受け継ぐ、その力を持ってどうか、我が望みを復讐を為してほしい」

 

そう言い切るとそのまま、紫色の粒子を残しそのまま天に帰る様に消えていった。

 

「私は大切な人を守るだけ、でも、あなたの名を継いだ以上、ちゃんと殺してあげる。私もあなたの記憶に何も思わなかったわけじゃ無いから」

 

その粒子を受け取った、新しきペルソナは、そう言葉を残し、その場から立ち去った。



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閉話1

4話と5話の1年間の間にあった出来事です。


夏真っ盛りの8月の夜

私は一人、家近くで開催されていた、夏祭り、その屋台が立ち並ぶ場所近くにある広場で白音を待っていた。

さて、どうしてこんな場所で待っているのかというと、話は昨日の夜に遡る。

 

◇◇◇

「黒ちゃん!夏祭りデートをしましょう!」

 

家に帰宅後、夏休みに入り暇を持て余していた白音が私にそう言ってきた

 

「まぁいいけど」

 

もうデートのことに突っ込むのも無駄だと気づいた私は、そのことをスルーし、白音にそう答える。

 

「それでね!今回のデート、私は待ち合わせをしたいわけですよ!」

 

そんな意味わからないことを言い始める白音

 

「いや、家から一緒に行けばいいでしょ?」

 

「わかってないなぁ黒ちゃん?」

 

そう言いながら私に近寄ってくる

 

「待ち合わせ、それはデートのお約束!これをせずに夏祭りデートが始まるもんですか!」

 

そういいきった。

 

「まぁ、白音がしたいなら、それでもいいけど。」

 

その熱弁に押し負けた私は、待ち合わせをするために、白音より早く出て、その後近くの広場で合流そういう手筈となった。

 

◇◇◇

そんなわけで待っているのだが、

「遅いな、どうしたんだろう…」

本来の待ち合わせ時間を10分ほど遅れている。

ただの待ち合わせなら心配しないのだが、これは、打ち合わせありの待ち合わせ、流石にここまで遅れるとは考え難かった。

それに、ラインや、電話も一切出ない。

「探したほうがいいか?」

迷子であればいいが、もし別の面倒ごとに巻き込まれていたらと思い、私はラインに、着いたら連絡してとメッセージを残し、辺りを探しはじめた。

 

 

「ねぇ君、かわいいね!」

 

「離してください、待ってる人がいるんです。」

 

「まぁそう連れないことを言うなよなぁお兄さんたちと遊ぼうぜ?」

 

5分もせずに白音を見つけることができた。

どうやら複数人のナンパ男に囲まれ、逃げれ無くなっているようだ。

その男たちに、無性に腹が立って、私は悪魔の力以外の持ちうる限りの全力で白音の手を掴んでいる男の頬をぶん殴る。

 

「グハァ!」

 

とわ言っても悪魔の肉体から放たれる一撃その威力は凄まじく。

男が吹っ飛ぶ、その非常識な光景に、他の男達が、呆気を取られる、そのうちに私は白音をお姫様抱っこの要領で持ち上げる

 

「えっ?ちょ黒ちゃん!」

 

「ごめん、白音これがこの場から一番早く逃られるから!」

 

そう言って私は、白音を抱えたままその場を後にする。

後ろから追ってくる人影はあるがこのペースだと撒くことができるはずだ。

その後数分もしないうちに、人影も見えなくなった。

私はそれを確認し、白音を下ろす。

 

「その、ご馳走様でした…」

 

そんな意味がわからない言葉を吐く白音。

 

「だいぶ遠くまで来ちゃったなぁ、こりゃ」

 

いまから歩いても間に合わないくらいには、会場から離れてしまった。

 

「ごめんね、黒ちゃん私が待ち合わせしたいなんて言わなければ」

 

そう申し訳なさそうに頭を下げる。

「いやいいよ、今回は私にも非があるから」

そうである、白音が美人なのは知っていたことだろう、そして、夏祭りには、ナンパが絶えないことも。

 

「でも!黒ちゃ」

 

ヒューーッ

ドンッ!

 

そんな話をしているうちに花火が上がり始める。

ビルとビルの間から見える花火は決して大きくはないけれど、とても綺麗だった。

その光景に私たちは、言葉を失う。

そして花火が終わり、私は白根にこう言った。

 

「白音、来年はもっと綺麗に見える場所で、花火をみよう」

 

そう言うと、白音は満面の笑みで

 

「うん!」

 

返事をしたのだった。

 

 

 

 

 

 




後もう1話くらい閉話書くと思います。


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閉話2

これも引き続き4話と5話の間の出来事になります。


肌の凍る様な冷たさが残る12月31日の夜

私は一人コタツの中でゆっくりしていた。

 

「黒ちゃんー!」

 

そう言ってコタツに頭から突っ込んできた白音

 

「クンクン…」

 

そして、そのままコタツに入れている、私の足を嗅ぎ始める。

 

「いや、ちょっ、離れろ!」

 

そう言ってコタツから出る私。

 

「いやぁ、いい匂いでした!」

 

そう言って白音もコタツから出てくる。

心なしか肌がツヤツヤになっている気がするのだが。

 

「いや、ほんと人に匂い嗅いで喜ぶとか、ただの変態だよ?」

 

顔を引きつらせながらそう言うと、

 

「安心して!黒ちゃん以外にするわけないから!」

 

満面の笑みでそう答える。

 

「いや、私だけでもダメだから!」

 

ほんと困った幼馴染である。

最近ちょとスキンシップの度が過ぎてる気がしてならないのだが。

このままだと、私が別の意味で喰われてしまいそうだ。

 

「まぁ、それはそれとして、黒ちゃん!」

 

大きく手を広げながら喋り始める白音

 

「初詣にいきましょう。そのために実家から着物も送ってもらいました!」

 

そう言いながら着物を見せてくる。

その着物は、淡い紫色の着物で着なくても想像できるほど、白音に似合いそうな着物だった。

ただ、

 

「初詣…」

 

「え、ダメなの?」

 

不安そうな顔をする白音

 

「いや、行きたくない訳じゃないんだけど、その体質的に神社の中に入ると気持ち悪くなっちゃって楽しめないなと思って。」

 

悪魔になってからこの手のものには弱くなってしまっているのだ。

人間の世界ならば環境だけで悪魔が死ぬなんて場所はないけれど、多少肌がピリついたりする場所はある。

例えば、教会や神聖な湖、そして神社の境内である。

 

「そっか、ごめん私そんなことまで気が回らなくて」

 

顔を俯けたままあやまってくる。

白音がこんな調子まま年を迎えるのはなぁ…

 

「調子狂うなぁほんと。」

 

そう言って私は白音に近づき頭を撫ではじめる。

 

「白音私のわがまま聞いてくれる?」

 

「うん…」

 

「あのさ、その着物着てくれない?私着物姿の白音を見たいの」

 

ちょっと恥ずかしい、

頬が熱くなっている。

そう言うと白音は嬉しそうに着物を抱えて、

 

「そっかそっか、そんなに見たいのかぁー私の着物姿、ちょっと待っててすぐ着替えるから!」

 

そう言って部屋に戻る白音。

 

◇◇◇

数分後

 

「どうかな?」

 

着物に着替えた白音が部屋から出てくる。

想像以上だった。

白い髪、綺麗な白い肌によく似合う、紫色の着物。

そのあまりの綺麗さに、放心してしまった。

 

「おーい、黒ちゃん感想は?」

 

はっ!いけない

私は自分にそう言い聞かせ意識を戻す。

 

「いやごめん、あまりに綺麗だったから言葉を失っちゃって。」

 

素直に自分の気持ちを口にした

 

「え、あっその、ありがとう…」

 

顔を真っ赤にする白音

その姿を見て、私は自分の発言を見返す。

あ、やばい、クソ恥ずい

そのまま、何分間か二人とも悶えていると。

 

♫〜〜

 

スマホが鳴り響く。

年明けを祝うためにアラームを設定していたのだ。

 

「あけましておめでとう!」

 

「あけましておめでとう!」

 

私たちは、早口でその言葉を口にする。

 

「今回は、私の勝ち!」

 

そう言って喜ぶ白音。

私たちが、一緒に年明けを過ごす様になってから、どちらが先にあけましておめでとうを言えるか、競うことが定番になっていた。

そして今回のを入れて、勝率は3勝2敗1引き分け。

 

「次は負けない」

 

「こっちこそ!」

 

◇◇◇

そんな、たわいのない話をし続ける私たち、

その時間がこれからも続きますように私は心の中でそう祈るのだった。

 

 

 

 

 

 

 



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1章キャラクター紹介

投票の結果することにしました。


黒縁魔夢(くろぶちまゆ)

 

身長 152cm

体重 「軽い方だよ?」

 

本作品の主人公、ちょっと目つきが悪いイケメン美少女。

人間関係は、白音以外皆無、本人曰く「別に人間関係が少なくて困ったことなんて今までないし別に気にしてない」

だそうです。

 

能力

空間魔法

主人公が使えるのはこの魔法だけ、まぁできることが豊富なのでこれだけで事足りるとも言う。

 

魔剣ヨハテ

真っ赤に染まった無骨な大剣、元々は投げ売りされていた、大剣だったそうだが魔王が面白がって魔剣へと改造、

空間魔法の効果を受けやすい様にした。

なお、魔剣の名前は魔王のセンスだったりする。

 

異形の腕

ペルソナの死体から錬成して作り出された黒縁の新しい腕、伸縮から、形状変化、硬さまでもを変えられるため、

色々と便利な腕となっている。

なお見た目は普通の腕に似せられるのだが、色が黒色から変えられないため、いつも手袋をして隠している。

 

 

白音虹色(しろねいろは)

身長160cm

体重「言わせないよ?」

 

本作品のヒロイン、白髪、八方美人、街を歩けば10人中10人振り向く超絶美人。

人間関係は、黒ちゃんプラス最低限、学校だと窓ばかり見つめる高嶺の美人という評価で、学校三代美女とか言われたりしている。

仲良くなろうと放課後声をかけようとする者もいるが、気づいた時にはもういない、黒ちゃんに1秒でも早く会いたいがため、即座に家へと帰宅している。

本人曰く、「友達付き合いで、黒ちゃんとの時間を取られるのが嫌!」なんだそう。

 

能力

人の中だと5本の指に入るくらいの魔力量だったりする。

 

ペルソナ

 

全長2m

体重 かなり重たい

 

黒色の体色に、人間の骨格に近い体、顔には4つ目の仮面をし、背中から8つの紐状の器官がある。背中の紐状の器官は翼や、腕の様に変化することも可能である。

これが主人公に託した腕の能力の元となっている。

基本的に効率主義の性格、魔王が関わるとちょっと変わってくるが。

幼少期から一人でなんでもこなしてきた為、連携は不得意。

 

能力

空間魔法

主人公と同じだが、やはり練度が違う為、こちらの方が、強い。

 

魔剣ヨハテ

主人公に託したものと同じ。

また武器にこだわりはなく割とポンポン剣を折っている。

これで6本目の魔剣だそう。

 

超感覚

長年戦い続けた経験から、未来予知にさえ到達するほどの直感を得ている。

 

魔王

 

身長変化可能

体重変化可能

 

本作品の最強、越えられない壁、作者の考えた最強の魔王。

黄金色の体色に黄金の冠、体は変幻自在で気分で変えてくる。

悪魔の始まり、文字通り力で他悪魔を黙らせていたりする。

性格は穏やかで、不必要な争いは望まない。

そのため、妖精の世界や人間の世界を責めるなんて必要ないことをしようとはしなかった。

また、基本誰でも信じたりする単純な性格だったりする。

そのため、狂気の悪魔の固有魔法に引っかかりやすかったりする。

 

能力

時を巻き戻す以外全て

本人曰くやろうと思えば時も巻き戻せるが、しようとしないため、それ以外となっている。

 

星杖 クラリス

魔王が持つ最強武器、星の生誕からあるとされる神器。

また、使い手を選ぶため、人格を消去されている状態だと力をつかえなかったりする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次の話から2章になります。


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6話

ゆっくりと目が覚める。

寝ていた体を起こし体の調子を確認する。

異形の腕となった左腕の確認は念入りにした。

 

「よし帰るか。」

 

そう言って私は魔力を通して空間魔法を使い、自分の部屋に移動するのだった。

 

◇◇◇

自分の部屋に戻ると、時間は夜の10時を過ぎほどで、部屋は行く前より物が整理されている様な気がした。

 

「白音が掃除したのかな?勝手に掃除をするなんてらしくないけど。」

 

そしてそのまま私はリビングにいるであろう白音に会いにいく。

 

「ただいま、白音今帰った…?」

 

いつもなら元気よく飛びついてくる白音だか、今回はなぜだか口を開け、呆然としていた。

 

「え、え…うそ」

 

そう言って私に近づき体を触ったり、匂いをかいだりし始める。

「ちょっやめろって!」

 

「この匂い、この感じホンモノ?」

 

私が退けようとしても強く掴んで離してくれない。

けれどそのあまりの必死さに半ば諦めていた。

 

「本物だ、本物の黒ちゃんだ、やっと見つけた…」

 

そう言うと私の方に倒れ込む様にして、眠り始める。

 

「白音?」

 

少しどころではないほどに白音の体が軽い、

流石に異常だと思い始める。

そして、私は最悪な予想を立ててしまう。

 

「まさか!」

 

その予想を確かめるためポケットの中の携帯を開くそこには、あの世界に行ってから一年後の日付が表示されているのだった。

 

◇◇◇

「うぅ、ここは?」

 

そう言いながら目を覚ます白音

 

「白音の部屋だよ。」

 

「あ、あぁ」

 

私が声をかけると同時に私に抱きついてくる、それを私は優しく抱き返す。

 

「黒ちゃん黒ちゃん黒ちゃん黒ちゃん!」

 

「そうだよ、私だよ…」

 

私のことを呼びながらなく白音を慰める様に、そう言い聞かせる。

 

「今まで、いったいどこに行ってたの!私がどんだけ心配したか!どれだけ探し回ったか!どれだけ死のうと思ったか、いつもいつも…もう会えないかもって何度…」

 

そう言って、私のことを強く抱きしめながらそう叫ぶ。

 

「ごめん…白音、こんなの言い訳になるけど、私もこんなことになると思ってなかったの」

 

そうして私は白音にあの世界に行ってからの顛末を聞かせた。

その話が終わる頃には白音の涙も枯れ、過呼吸のままだが落ち着きを取り戻し始めていた。

 

「ごめん、謝って済む話じゃないのはわかってる。

だから、その、私にできることならなんでもするだから…私のことを嫌いにならないで…」

 

他者から嫌悪されるのはいい、けど白音に見捨てられる、嫌われる、軽蔑される、そんなことを想像し始めた私は、あまりの怖さに顔が青ざめていく。

そんなことになったら私は!

そう思った私は、できる限りの最大限を持って許しをこう。

 

「明日から私と一緒に寝て、一緒に起きて、一緒にご飯を食べて、お風呂に入って!もう置いていくのだけは本当にやめて…」

 

震えていた、私の手を白音が強く握りしめながらそう言う。

変わらないその手の暖かさ、その温もりに、安心した私は、緊張の糸が切れてしまい、もう枯れて出ないと思っていた涙が流れ始める。

 

「私を嫌わない?こんな約束をいっぱい破るこんな私を嫌わないでくれる?」

 

「私は、黒ちゃんを嫌ったりできると思ってるの!」

 

その言葉が今は何より嬉しくてたまらなかった。

そうして私たちは一年ぶりの再会を涙を流しながら喜んだのだった。

 

◇◇◇

そこから数日間は、私は日課の悪魔狩りを、白音は学校を休んで、一年という空いてしまった時間を少しでも取り戻そうといろんな場所に、遊びに出かけるのだった。

 

 

 

 

 

 




次の話は序章後半の話の続きになります、わかりにくくてすいません。


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7話

序章後半からです、ややこしくてすいません。


「ただいま」

 

そう言ってわたしは家のドアを開ける。

すると

 

「おかえりー」

 

ドアの前で待機していたのだろう、白音が私に飛びついてきた。

 

「相変わらずなんで帰ってくるまでドアの前で待ってんの?本当…」

 

まぁ、いなかったらいなかったで不安になるのだが。

 

「今日もお疲れ!怪我はない?」

 

「怪我はないよ、今回の悪魔はそんなに強くなかったから

てか、早く部屋に行かない?」

 

そう言って私たちはリビングに置いてあるソファーに座る。

そういえば白音なら少しは知ってるかな?

 

「あのさ、白音魔法少女についてなんか知らない?」

 

「…えっ?」

 

パリンッ

白音は何かにびっくりしたのか、持ってきていたコップを落としてしまった。

 

「大丈夫?」

 

「あ、うん私はなんともないよ…」

 

たしかに怪我はしていなさそうだが、さっきから目を合わせてくれない

 

「あのさ、白音何かあるの?」

 

そう言って私は白音の手を掴む。

 

「あの、その、えっと…」

 

「落ち着いて、何かあるならちゃんと相談して欲しいの。」

 

そう私が言うと、白音は深呼吸をし、覚悟を決めた様な顔で話し始める。

 

「そのね、私魔法少女になっちゃったの」

 

…え?

いやいや待て待て、はぁ?

いや待て、思考停止はダメだ、落ち着け私、そんな難しい話じゃない、ただ白音が精霊と契約して魔法少女になったただそれだけのことよ、うん、それより今は詳しく聞かないと。

 

「どうして魔法少女になったの?柄じゃないでしょ?」

 

白音は、確かに魔力も多く、魔法の才能もあると思う。

けど、魔法少女になっていろんな人を守るとか、悪魔を殺したいほど憎んでいるとも思えない、私と一緒に頑張りたいがそれらしいと思ったが、黙っていた感じからそんなことはないのだろう。

 

「だって、黒ちゃんを探すのに魔法少女は都合がいいかなって、もしかしたら悪魔の世界の方にいるかもしれないからって…」

 

うっ、1年間行方不明になったせいだったか、

 

「その、ごめん私のせいだ。」

 

「いや、私もこんな大事なこと黙っててごめん…」

 

沈默が続く、このままじゃ話が進まないな、

 

「まぁ、過去は変えられないし、一旦割れたコップを片付けてから、これからどうするか話をしよ?」

 

「そうだね」

 

そのまま私たちは割れたコップを片付け始めたのだった。

 

◇◇◇

 

「それじゃあ、魔法少女にのことについて詳しく聞きたいの。」

 

「そうだね、まずどうやって選ばれるのかだよね、まず、高校生を対象に適性検査がちょうど一年くらい前にあって、そこで適性があった人に声をかけて魔法少女についてを聞かされるんだ、そしてその話を聞いてやるかやらないかを選択して、やることを選んだら今度は、妖精たちとあって、どの妖精と相性とかがいいかを見る。その後相性の良かった妖精と契約すれば魔法少女の誕生って感じだったよ」

 

ふむなるほど、確かにこれなら自分から戦いたいと思う人以外は戦わなくて済むし、そしておそらくだが、戦いたくないと言った人には記憶消去の魔法でも使っておけば、詳しい内容も秘匿することも簡単だし、よく考えられてるな。

 

「ふむ、どうやって魔法少女になったかはわかった、けど、白音が契約した妖精はどこにいるの?ここにはいないっぽいけど。」

 

そうである、妖精と契約したならここにいるはずなのだ、緊急時の際力を貸せないなんてことになりかねないのだから。

 

「それが、私小妖精としか契約できなくて、だから目に見えないの」

 

なるほど確かに小妖精つまり形がまだ定まっていない、自我も曖昧な妖精としか契約できなかったと。

 

「でも、その代わり全属性の妖精と契約したの。」

 

「へ?全属性?」

 

「うん、全属性、あ!空間と、時間はそれが使える妖精がいなかったから、それ以外になるけど」

 

いやいや、それでもバケモンじゃないか?それ

才能はあるだろうと思ってたようんでも基本的な全属性扱いである、火、水、木、雷、光、闇ってことだよね?マジで?そんなのできたのペルソナの記憶でも魔王以外はいないと思うのだが?反発し合う光と闇両方適正があること自体おかしいはずなのに…

それに、多分小妖精以外相性が良くなかったのは、私と長い間一緒にいたせいで直感的に拒絶されたからのだと思うし。

そう考えるとやばくね?こいつただの才能の塊なのでは?

神は一体こいつに何物渡してんだよ、ほんと。

 

「まぁ妖精についてはわかったよ。そんで次に聞きたいことは、魔法少女部隊っていうくらいだから白音以外にもいるんでしょ?」

 

「うん、えっと第一期配備だっけそんな感じなのに選ばれたのは私を含めて6人、私以外は、それぞれ別々の属性の中型妖精と契約したよ。多分みんないい子たちだと思う。」

 

「多分?思う?あれ、部隊っていうくらいだし仲良くないの?」

 

「えっと、その当時の私はその余裕がなくて…」

 

まさか、えっ嘘でしょ?

 

「部隊での任務とかでもない限り話したことないの」

 

「ファ?」

 

うんまぁ、再開直後の白音の様子を知っていれば一切喋らす他人を無視する白音の様子を想像できてしまう。

 

「ま、まぁこれから仲良くなればいいと思うし…」

 

「え?」

 

うん?仲良くならないの?

 

「黒ちゃんとの時間が減るのに?」

 

「いやいや、魔法少女同士でしょ?仲良く頑張りなよ?」

 

本当、こいつは、本当、私第一はやめるべきだと思うのだが。

 

「まぁ、とりあえずこの話は置いておいて、もしも私と遭遇した際どうするかだよ、問題は。」

 

出来る限りは、出くわさない様頑張るけどそれでもお互い同じ物を追っている手前バッタリがないとは限らない。

 

「私が一方的に逃走それでいいかな?」

 

多分これが一番楽だと思う。

 

「え、私と一緒に戦ってくれないの?」

 

「いや、だって私は曲がりなりにも悪魔だよ?私は別にいいけど、多分妖精が黙ってないんじゃないかな?それに白音との関係がバレると芋づる式に私のこともバレて追われちゃうから。」

 

「そっか」

 

そう言って、俯く白音。

あぁ、もう

白音に近づき私は

 

「ふぇ?」

 

そのまま抱きしめた。

 

「まだ聞きたいことはあるけど、これだけは言わせて。

私は魔法少女になったことについては、驚いただけ、別にダメとかそんなわけじゃないの、確かに戦って欲しくないけど、それが白音が決めたことなら私は何も言わない、怒らない。だからさ、いつもの明るい白音に戻ってくれない?私までなんか調子狂ってきてるから早く。」

 

我ながら言っててクソ恥ずいなこれ。

ちょっと顔を赤らめながらそう言う。

 

「あぁもう、そんなの反則だよほんと!」

 

抱き返される、ちょっと苦しいけど、少し嬉しい。

少しの間私たちはお互いの調子を戻すために抱きしめ合った。

 

「ねぇ白音、他にも聞きたいことあるけど一旦明日にしない?私ちょっと疲れた。」

 

「うん、そうだね!じゃあ寝よっか、今日も一緒に!」

 

私たちは、握った手だけは離さず、そのまま部屋へと向かうのだった。

 



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