poison☆chocolat (乱数調整)
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だいたいこんなギルド

ここは、戦士たちの憩いの場──

 

#コンパス 【戦闘摂理解析システム】のS4からS7ランク、ひいてはそれ以上のランクの強者まで集まる、宿泊施設のついた喫茶である。

 

5階建てで客室は100部屋。

料金は割高ではあるものの、三食昼寝菓子付きの上、飲み放題食べ放題のかなり優良なギルドである。

 

客室は常に満員に近く、新規入居の条件は日に日に高くなり続けているという。

 

これはそんなギルドで起こったとある一日の一部を切り取った物語である。

 

─────────────────────

 

「くあぁぁぁぁぁ……おはよぉ……」

 

「ん、おはよう。インパス。」

 

「おぉ、いたのかよーぐる。驚いたぞ。」

 

このギルド、poison☆chocolatの一員であるインパスが自室から出て一階の食堂に出てくると、ダイニングでコーヒーミルでコーヒー豆を挽いていたよーぐると出会う。

 

まだ日が登りきっていない時間帯に起きている者がいるとは思っていなかったがゆえか、インパスは少なからず驚いていた。

 

「驚いてくれるなよ。ところでインパス、コーヒー飲むか?」

 

「あぁ。入れてくれるのか?」

 

「もちろんだ。ヨーグルトぶち込んでやる。」

 

「おいバカやめろ。」

 

ニヤリとよーぐるが笑うと焦った様子でインパスが静止する。

よーぐるは「冗談だよ」と言うと白くて微妙に溶けきっていない固形物が浮いたコーヒーをインパスに差し出す。

インパスの笑いは引きつっていた。

 

ヨーグルトの酸味はコーヒーのえぐみを上手く引き出し、酸っぱく、えぐみがあって苦いコーヒーをインパスは飲み下す。心なしか瞳には涙が浮かんでいるように見えた。

 

「……っはーー!!不味い。もう一杯。」

 

「入れてやろうか?」

 

「いやいい疲れてるだろ座ってろっつうか座っててくれ。」

 

インパスは特製コーヒーをもう一杯入れようとするよーぐるに早口で捲し立てる。よーぐるは「うまいのにな……」と呟きながらも一度は浮かせた腰を下ろす。

 

「それよりも、だ。お前はホントに朝メシ作らねぇのな。いつもと違って早く起きたけど作りたくないからって待つこたねぇだろ。」

 

そうインパスはよーぐるに文句を言う。

このギルドは三食昼寝のうえに菓子付きだが、それは誰かが作るからだ。

 

朝は一番早く食堂に来た人が調理をすることになっている。

 

「いやいや、俺は別に待ってたわけじゃねぇよ。俺が来た時にはもう厨房に人がいたからな。」

 

しかしよーぐるはインパスのその言葉を否定する。決して作りたくなかったわけではなく、もう先人がいたから作っていないのだと。

 

「へぇ……今日は誰が?」

 

「わからん。早く起きるのはギルマスとサブマスくらいしか俺は思いつかん。」

 

インパスは短くよーぐるに誰が朝食を作っているのかを訊ねるがよーぐるもそれは分からないと言った。

せいぜい早く起きそうな人を挙げるくらいで精一杯らしい。

 

厨房を覗けば誰が作っているか分かりそうなものだが、とある事情により厨房を使う時は施錠する事が義務付けられている。

 

「ふぅん……ま、サブマスはねぇわな。あの人、朝早くから庭の【愛】を育ててるって言ってるし。」

 

「【愛()】な。あの人ホント頭おかしいと思うわ。この前なんか、タコと間違えてハスターの足狩って来たんだぜ?」

 

「あー、あれな。ハスターをただのタコと間違えるのもやべぇけど、それ以上にハスターとタイマン張って発狂せず足数本持ち帰ってくるのも驚きだったわ。」

 

「あの人の頭のおかしさってそこだけじゃないだろ。」

 

よーぐるとインパスがサブマスの頭のおかしさについて話していると、そこに割ってはいる人が現れた。

 

「お?すちはむじゃん。随分と早起きだな。YouTubeに上げる動画、夜遅くまで編集してたんじゃねぇの?」

 

「いや、逆だ逆。今まで起きてただけだよ。朝メシ食ったらすぐ寝る。」

 

すちはむと呼ばれた男、すちーるはむちーずというYouTuberだ。最近、友人の声を使った動画が普段の動画の1600倍ほど再生されていたらしく複雑な心境らしい。

 

「おいすちはむ、どうしたんだ?サブマスは【愛】と称した毒草や毒物、劇物を料理に仕込んでギルメンに食わせるのがやべぇところだろ。餌食になるのはたいていギルマスだが……」

 

「お前ら、あのサブマスの恐ろしい特技を知らないのか?」

 

すちはむの最初のセリフを覚えていたよーぐるがすちはむにそう訊ねる。するとすちはむはガタガタと震えはじめ、自身の恐ろしい体験を語り始めた。

 

「あれは俺がサブマスに毒を盛られた時だった……いつもあの人はギルメンに毒を盛るからなんとか止めようと思って、ギルメン数人で作戦をたてたんだ。」

 

「ほう?そんなことがあったのか。」

 

「あぁ。毒を食らう恐ろしさを味わってもらおうと思って、俺たちはいつもあの人がやってるように致死量に満たないくらいの毒物を入れたんだ……」

 

すちはむが震えながら声を振り絞る。インパスとよーぐるはなぜそうも怯えるのか分からないといった表情をしながら合いの手を入れる。

 

「でも、失敗したんだろ?」

 

「いや、いや!成功、したんだ……成功したはずなんだ……!!」

 

怯えるすちはむに二人は困惑を隠せない。二人はその先を話すようにとすちはむに目で訴えるがすちはむはその出来事を反芻しているように話さない。

しばらく待つとすちはむはやっと口を開いた。

 

「俺たちが用意した毒入りスープを、あの人は飲んだんだ。そしたらあの人、なんて言ったと思う?」

 

「……いや、想像もつかねぇな。」

 

「俺もだ。なんて言ったんだ?」

 

二人はサブマスがなんと言ったか考えたが分からなかったらしく、その先をすちはむに促す。

すちはむはその不可解な現象を説明し始めた。

 

「あの人は言ったんだ。「水仙とトリカブト……あとシアン化物ですか?美味しいんですけど、植物系と化学系は混ぜない方が美味しいですよ!」だって!なぁおい、信じられるか!?毒物を食べて平然としてやがったんだ!」

 

「あの人不死身かよ……」

 

「ウッソだろお前。」

 

「そのあとも「水仙は独特の苦味があるから初心者には向かないよ」とか「トリカブトは特有のえぐみがあるから下ごしらえは丁寧にね?」とか、知りたくもない毒物調理法を教えてきやがったんだ!それからポケットから出したさくらんぼの種を三つデザートにって食べて、あの人は「美味しかったよ〜。また何か作ったらくださいね!」って言って庭に行ったよ……」

 

「あの人特性ポイズンヒールか?」

 

「どこのガッサだよ。」

 

笑えない驚愕の事実がそこにはあった。

 

「皆さん朝早いですね……ってお通夜みたいな雰囲気?」

 

「お、三下」

 

「三下ァ!!」

 

「おうおはよう三下」

 

「なんて略してもいいとは言ったけど連呼するな!」

 

その時もう一人、朝ごはんを食べに起きてきた人物がいた。名前は三下いちご大福。ギルマスの次にサブマスの毒牙にかかっている不憫なギルメンだ。

 

この前はサブマスの捌いた河豚を食べたら霧の世界に閉じ込められて生存者をフックに吊るす儀式をやらされていたらしい。

それを聞いてサブマスは「あ、みんなに会えたんですか!みんな私の友達なんですよ〜いい人たちだったでしょう?」と屈託のない笑みで答えたらしい。生存者をフックに吊るす儀式はその友達の仕事なのだとか。

 

その声で皆目が覚めたのか、ゾロゾロとギルメンたちが起きてくる。

 

ほぼ全員が起きてきた頃、その場にいなかったメンバーはギルマスとサブマスだけだった。

 

「んじゃ、今日はギルマスの朝メシか。」

 

「サブマスまだ庭いじりしてんのか?こういう日はろくなことしてねぇんだよな、あの人。」

 

「誰がサブマスを庭から呼んでくる?俺いやだぜ?」

 

「俺だって嫌だよ。朝から毒草食わされたり神話生物と遭遇したらどうしてくれるんだ。」

 

「ま、朝メシできてから考えようぜ。」

 

「とりあえず三下か?」

 

「昨日も行きました!りゆきさんお願いします!」

 

「嫌。」

 

皆が皆、朝ごはんができあがるのを待ちながらサブマスを庭から呼ぶ責任を押し付け合う。

そろそろ時刻は7時半。いつも朝ごはんができあがる頃合よりも遅い時間だ。

 

そんな時、店の上階から焦ったようなドタバタという音が聞こえてくる。

 

クローゼットを乱暴に開け、急いでドアを開けてから階段をかけおりる音が食堂に響いた。その音はだんだんと食堂に近づいてくる。

 

バタン!とひときわ大きな音が鳴ると同時に扉が開き、扉から見慣れた人が現れる。

 

「ごめんみんな寝坊した!今日はご飯誰が作ってる?」

 

ギルメンたちはギルマスをまじまじと見る。その顔は驚愕に彩られていた。

 

「えっと……みんなどうしたの?」

 

「ギルマスが、朝メシ作ってたわけじゃない……のか……?」

 

「え、うん、いや、はい。寝坊しました。」

 

絞り出すように一人がそう訊ねる。ギルマスはまだ状況が理解できていないらしく、目を白黒させながらそう答えた。

 

その瞬間、厨房のドアが開いた。

 

「皆さん朝ごはんできましたよ〜!」

 

「散開!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

厨房から出てきたのはサブマス。手には見た目は美味しそうな朝ごはんがあったがトリカブトの花が添えられていたりベラドンナの花が浮かんでいたりと見るからに危険だった。

 

こういう時のギルメンとギルマスの危機回避能力には目を見張るものがある。サブマスが厨房から出て2歩と歩かないうちに全員が部屋からいなくなっていた。

 

「おや?誰もいない……さっきまで楽しそうな声がしてたのにな……あっ、鬼ごっこしてお腹を空かせようとしてるんですね!よーし、張り切って捕まえますよ〜!!」

 

そう言ってサブマスは料理を机に並べてから部屋を飛び出した。

 

しばらくしてギルドホールから悲鳴や奇声が上がる。声が上がってからしばらくするとギルメンたちが一人、またひとりとサブマスによって食堂に連れてこられ、椅子に縛り付けられる。

 

サブマスがいない時を見計らってギルメンを助けに来たもの達も「あ、鬼ごっこ終わりですか?ならみんなで食べましょう!!」といつの間にか背後に現れたサブマスによって椅子に縛り付けられる。

……この話はパニックホラーか何かだっただろうか?

 

「えっへへ〜。みんな揃いましたね!今日のメニューはけっこう頑張って作りましたよ!ジギタリスのスープにはベラドンナの油で香りをつけて、メインはコカトリスのターキー!青梅でサッパリ仕上げましたよ!サラダはメニューにもある大人気のいつもの新鮮サラダ!デザートには桃まるごと一つとザックームを使ったタルトを用意してます!いっぱい食べて今日も一日頑張りましょう!」

 

この話は何か。

冒頭に述べたそれを訂正しなければならない。

 

これは、ギルド【poison☆chocolat】で起こったとある事件(にちじょう)を切り取った物語である。




どうも、乱数調整です。
私の所属してるギルドの一つが最高にイカレてて楽しいので宣伝です。
一応、加入条件は銅安定なのですが、その辺はギルマスが適当に決めているので、楽しそうだと思ったら加入申請お願いします。

私はそこまで強くないのですが、ボーダーが上がる前に入ったのでギルメンに慣れてます。

続くかもしれません。続かないかも。

ではでは、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。


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トランシーバーごっこ

ギルドのTLで起きたやり取りだけだと文字数が足りなかったので創作を足してます。


「こちら沼にハマったサブマスです。こちらではゼロキルアタガンが流行っています、どうぞ」

 

「二度寝したら悲しい時間に起きた!どうぞ」

 

「バトルではコクリコが二度寝、三度寝程度では片付けられないほど眠っているので気にしなくても良いのでは?どうぞ」

 

「こちら一般ギルメンです。こちらではゼロキル即溶けHS溜めない味方が流行っています、どうぞ」

 

「こちらギルマスです。デキレの振り幅にビビりながら潜っていますが一向に黒いチップの出る気配がありません、どうぞ」

 

「天然黒片は都市伝説では?どうぞ」

 

「天然ブラチ出ました、どうぞ」

 

「殺しに行きます、どうぞ」

 

「スチャ__(⌒(_'ω')_┳━──、どうぞ」

 

「残念それは残像だ、どうぞ」

 

「ブラチからゲームバズーカが出る呪いをかけました、どうぞ」

 

「やめてください死んでしまいます、どうぞ」

 

「こちらやっとS2に上がった一般ギルメンです。マリアでバトアリ潜ってますが、敵味方全員ガンナーという悲しく苦痛な試合ばかりです、どうぞ」

 

「こちら調査員、現在バトアリに潜入中、しかし目標の黒片は発見できず、どうぞ」

 

「こちら新人一般ギルメンです!デキレの暴力で野良でちょびちょびやっております!」

 

「こちら一般ロリコンです、ロリっ子が一向に現れません死にます、どうぞ」

 

「こちら私立ハーヴィン幼稚園、多様なロリータがいっぱいです。死ぬ前に一度お越しください、どうぞ」

 

「40秒で支度します、どうぞ」

 

「こちらサブマス、ギルメンと思しきロリコンを二名発見。私の愛で処理します、どうぞ」

 

「こちら私立ハーヴィン幼稚園!何者かによる毒ガス攻撃を受けている!至急応援を求m……」

 

「メーデーメーデーメーデー、や ら れ た」

 

「こちらサブマス。ロリコン二名の鎮圧終わりました。引き上げてミスポロロッチョの旦那と愛を与えます、どうぞ」

 

「えっと……できるだけお手柔らかにしてあげてください……どうぞ」

 

「保証は出来ません。オーバー。」

 

 

 

ギルドのTLで起こっていたトランシーバーごっこを傍受していた組織があった。

全員が覆面を被っており人相は分からないが、その体つきから男だということが分かる。

 

男たちは突然知らない回線が現れたため、その回線の出処を突き止めるために傍受を始めたのだった。

 

その通信の出処は謎に包まれたギルド【poison☆chocolat】だったため、男たちはギルドの内情を知ろうと話を聞き入っていたのだ。

 

「……おい、なんなんだこいつらは?」

 

「分からん……何か重大な秘密でも話すのかと思っていたら、全くそんなことは無いじゃないか……」

 

「少しでも知れればと思ったが、まさか奴ら、情報戦にも長けているとはな……」

 

男たちは深刻な面持ちで話を続ける。

 

「あのギルドは隙がない。忍び込めそうな庭には毒持ちの植物が溢れてる上、コカトリスが数匹放たれてる……コカトリスを使役するって、ホントあのギルドなんなんだよ……」

 

「それに正面だ……いっそ正面からの侵入もありかと思っていたが、門扉の裏側にハスターの足が生えていた。」

 

「何っ!?奴らのバックに神話生物がいるだと……!?」

 

「こんなの……どうやって勝てって言うんだよ……」

 

男たちの声に覇気が無くなっていく。このままメンバーがやる気を無くしてしまうのを危惧したのか、組織のリーダーらしき男が声を上げた。

 

「お前ら!どこかに必ず隙があるはずだ!!何も戦おうってわけじゃねぇ、アイツらの秘密を知れればそれでいいんだ!なに、チャンスは必ず来る!」

 

「……そうだな。数ある中でたった一回のチャンスをものにすればいいんだ!できる!やってやる!」

 

「俺もだ!あのギルドの強さの秘密……絶対に暴いてやるぞ!」

 

リーダーの鼓舞でメンバーがやる気を取り戻す。その様子を見てリーダーが満足そうに言う。

 

「よし!それでこそお前らだ!よし、すぐに次の策を考え──」

 

「チェリィパァイ……」

 

その時だった。男の背後に美の化身が現れたのは。

 

「な……っ!?誰だお前は!」

 

「ワテクシは美の化身、ヴィーナス・ポロロッチョ!人の話を盗み聞きしてるバットなチェリーパイ達を、おしおきしにきたわっ!」

 

「あ、ポロさん。見つかりました?」

 

ポロロッチョが口上を述べると、別の人物の声がした。

 

「お前は……喫茶の……!!」

 

「どうもサブマスです。」

 

poison☆chocolatのサブマスターだった。

 

「お前、どうしてここが分かった!?」

 

「いやね?ロリコンのギルメン二人が「通信を傍受してた人がいるからそっちを先に狙うべきだと思う!」って言ってたので探してみたんですよ。」

 

「まさか本当に傍受してる奴らがいたとは……」

 

「ですね。気を逸らして逃げるだけのつもりだったのに……こんなギルドの会話を聞き取ってなにが楽しいのか……まぁ、こっちは助かって良かったです。」

 

「???何か言いました?」

 

「いや何も」「ほら俺たちの言った通りだったでしょ?」

 

独り言を聞かれて焦った様子でギルメン二人が釈明する。サブマスは首を傾げながらも「まぁいいか」と男たちに向き直る。

 

「と、いうわけですので。ポロさんと私の愛で更生させますよ!愛は世界を救うんです!」

 

「……その愛が毒じゃなかったらな」

 

ギルメンがポツリと呟くが、その声はサブマスに届かなかったらしい。

 

「俺たちがそうやすやすと捕まるとでも?」

 

やり取りの時間が長かったからだろうか、男たちは徐々に冷静さを取り戻していた。

 

よく考えれば相手はヒーローを含めても4人、そのうち2人はいかにもやる気がなさそうで、男たちを捕まえようが捕まえなかろうがどうでもよさそうにしている。

そのうえサブマスは自信ありげに腕を組んでいるだけで何もしようとはしていない。

 

不意打ちをくらわせて全員で散りぢりに逃げれば全員は無理でもかなりの人数が残れるだろう。

ポロロッチョのターゲットロックオンは厳しいが、歩の悪い賭けではない。

 

男はそう考えていた。

 

「えぇ、捕まえますよ!ながながとお話に付き合ってくれてありがとうございました!」

 

サブマスがそう言ったとたん、バタバタと男たちが倒れる。ついでにギルメン2人も倒れる。

ポロロッチョとサブマスだけがその場に立っていた。

それを見たサブマスは満足そうに、ポロロッチョは唖然としていた。

 

「はい、おしまいです。ポロさんポロさん、運ぶの手伝ってくれますか?」

 

「え?……えぇ、モチのロンよ!でも一つだけいいかしら?」

 

「もちろんですよ〜!」

 

サブマスは屈託のない笑顔でポロロッチョにそう返事をする。その様子にポロロッチョは困惑しながらも訊ねた。

 

「チェリーパイはいったい何をしたの?」

 

「ん?あぁ、簡単な話ですよ!眠たくなるお香を焚いてたんです!水仙と鈴蘭、あとベラドンナとジギタリスを調合したとってもいい匂いのお香です!寝る時には欠かせないんですよねぇ。」

 

「…………チェリーパイ、それは毒草じゃないかしら?」

 

「大丈夫です!死ぬほどの毒は入ってないので!」

 

サブマスが答えた。サブマスはこう言っているが、それはサブマスの毒耐久がおかしいだけで、普通なら致死量である。

 

前もギルメン達が言っていたように、サブマスのアビリティはポイズンヒールなのではないかと言われているのだ、毒が効くわけがない。

そんなサブマスが致死量ではないと言ったところで誰が信じるだろうか?

 

「あらそうなの?じゃ、大丈夫ね。」

 

信じる人がいた。

ヒーローであるポロロッチョにはあまり毒が効いていないからその言葉を信じたのか、はたまた余程のお人好しか。

 

「それじゃ、世界に愛を伝えましょう。」

 

「全身全霊で愛してあげる!」

 

それ以来、男たちを見たものはいなかったという……




お久しぶりです、乱数調整です。
今回は実際にギルドであったやり取りを文字起こしして一部脚色した物語になっています。

なんだかサブマスが化け物ですね。まぁサブマスならやりかねないので構いません。ギルドの誰に聞いてもそんな返答が帰ってくると思います(そもそもサブマスの存在自体がネタみたいなところもあるし)

次回は未定です。こっちより先に別作を進めないといけないので……
あと私が今現在多忙なので……

ではでは、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。


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