この素晴らしい世界に祝福を!~和真たちが紡ぐ四天の物語~ (キリア♪)
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このプロローグに喝采を

 読者諸君、待たせたな(スネーク風)
 エタるかもしれないが再投稿
 








 因みに前のが消えたのは一度小説書くの辞めるか本気で迷い一からやろうと決心したためです。
 批判はやめてくれると・・・作者的にはうれしい


 

 俺の名前は佐藤和真。

 

 普通の日本人らしく少し茶色が混じった黒髪と黒目の男だ。

 16歳で彼女なし、不登校で引きこもりをしていた。

 理由は簡単で、いじめられ続けられて抵抗するのも嫌になったからだ。

 

 そんな自分の人生を振り返るのなら、クソ野郎だと自分でも思うほどくだらない人生を歩んできたと思っている。

 

 俺はそんな人生になんの意味も見いだせずあれやこれやと手を打ってくれた親達に少しでも恩返しするためにしゃかりきにバイトをしていた。

 

そして、そんなつまらない日常が続いていたある日…

 

 「ーーーでさ~」

 

 「えー、マジー?」

 

 (あの制服、うちの学校の奴らか?)

 

 バイト帰りに今時のギャルを謳歌している俺が通っていた女子高生の集団を見つけた。

 

 (最悪の気分だ)

 

 早く帰ってゲームなどをして寝よう…

 そう思い、その集団を通り過ぎようとした途端にそいつは現れた。

 

 「ぐふふ、み、みっちゃん!

 お、俺のこと…お、覚えてる?」

 

 ちょうど俺の前、女子高生の集団からしたら後ろからどこからどう見ても正常ではない目が血走った男が女子高生の集団に話しかけて来たのだ。  

 

 「もしかして、あんた。

 トモヒロ?」

 

 「そ、そうだよ。

 みっちゃん!」

 

 くだらないと思いつつ、男の隣を通り過ぎようとして和真は男が手に持っている物に気がついた…

 

 (こ、こいつ…

 なんでコンバットナイフ持ってんだ!?)

 

 コンバットナイフ。

 別名軍用ナイフと呼ばれる小型のナイフでその鋭さは簡単に人を殺せるモノである。

 

 (こいつ、正気じゃねぇ!)

 

 「ね、ねぇみっちゃん。

 なんで、お、俺の告白、ふ、振ったの!」

 

 「はぁ、アンタみたいな奴と付き合うとか無理なんですけどー」

 

 (コイツら、この男が持ってるものに気がついてねぇ!?)

 

 そう言いながら笑うみっちゃんと呼ばれた女子高生とその集団。

そして、トモヒロと呼ばれた男はその笑い声を聞き目が座り。

 

 「な、なら…

 死ねぇ!」

 

 そう言って男はコンバットナイフを振りかざし女子高生の集団に襲いかかった。

 しかし、そのコンバットナイフは女子高生たちに刺さることはなく、いつの間にか女子高生と男の間に立っていた和真の心臓に突き立てられていた。

 

「キャーー!!」

 

「ヒッ!」

 

 流れ出る血は足を伝い血の池を作っており、それを見た女子高生の集団はクモの子を散らす如く逃げ出した。

 それを確認したあと和真は次の行動に出た。

 

 「お前のその纏う空気が気に入らねぇから邪魔してやるよ!」

 

 「な、なんだよ、お前はぁ!」

 

 「俺か、俺はこいつらと同じ高校に通ってた虐められっこだよ!」

 

 そう言いつつ和真は刺している相手の腕を固定し関節を外した。

 

 「ぐ、ぐぎゃぁ!

 な、なんで、そんなや、奴が…

 お、俺の復讐を止める!」

 

 「へっ、へへ…

 たぶん…だがなぁ…カハッ!

 彼奴らに最後の仕返しとしてやってるんだよ…」

 

 血を吐きながらも和真は笑顔でその男に答える。

 

 「仕返し?」

 

 「そうさ…ゴハッ…

 命を助けられた奴らやその学校は注目されるだろうよ…

 そのときに学校がイジメとかを隠蔽してるのがバレると思うんだわ…ハァハァ…」

 

 唖然とするトモヒロと呼ばれた男に和真はエメラルド色の目(・・・・・・・・)を細めながらスマホを渡す。

 

 「ここによぉ、俺を虐めてきた奴らの音声や先公達が俺に言ってきた罵倒などの音声が入ってる…ハァハァ…ハァハァ…

 だから、捕まったときに提出してくれ…」

 

 「はぁ?

 い、意味わからないこと言うな!

 それで俺になんの得が…」

 

 コンバットナイフの柄を和真はハンカチで吹き自分で引き抜いた。

 

 「あるさ、俺を犯人に仕立て上げろ…」

 

 「え、そ、それって」

 

 「俺が…ハァハァ…切れて凶行に及んで…ハァハァ、ゴフッ…それを止めたときに刺さったといえば…なんとか、なるだろ……う」

 

 「お、おい!」

 

 和真の身体から力が抜け、崩れ落ちる。

 こうして彼、佐藤 和真は16歳という短い生涯にに幕を閉じた。

 

 因みにこのあと駆けつけた警察に男は逮捕され、自分がやったと供述。

 その後和真は英雄だの勇気ある少年などと取り立てられ高校などにも取材が殺到した。

 高校はこれを喜び和真を上げまくったのだが、逮捕された男が和真のスマホを警察に提出しつつもこれを公開してほしいと頼みこみ、警察はそれを公開。

 

 すると、和真の虐めや学校側の対応の酷さが世間に流出し学校には抗議の電話や罵倒の電話が嵐のように掛けられ、校長や和真の担任等が書類送検された。

 いじめていたメンバーは親に縁を切られたりそこから引っ越した。

 そして、親は和真のスマホに入っていたという遺言を聞き涙を流しながら

 「お前は世界で一番親不孝者で自慢の息子だ」

 と言って警察と男に礼を言い去っていった。

 

 そして、男はその後色々あったが仮釈放されてからはと言うと積極的にボランティアや手助けをし、

彼の口癖は「復讐するんでも何するんでも立ち向かうなら正々堂々でなくてもいいが、暴力には走ったらダメだ」と言いながら皮肉げに笑うようになったと言う。

 

 その後彼は生涯結婚することなく独身で死んだという。

 

 



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この死後の世界とその先に冒険を!

 剣道や柔道などの設定を変更しました(^v^)


 そして、死後そんな事を知らない和真は

 

 「残念だけど、貴方は死んでしまいました」

 

 「うん、知ってる」

 

 死後の世界で青い髪の女神と会っていた。

 

 女神は自分のことをアクアと名乗った。

 

 「で、ここは?」

 

 「あら、私がどんな女神だか聞かないのね…

 普通は驚いたりとか、私が女神なのを知って頭を垂れるやつが多いのに…

 まあいいわ、ここは転生の間と呼ばれるところで、貴方みたいに選ばれた死者が来る場所よ」

 

 「選ばれた…ね」

  

 「えぇ、親友とでも言える友人の為に悪役を演じた事でいじめられて、その友人が実はそのいじめの黒幕だったことを知り、もう人のことは助けないとか心に決めときながら最後にその親友だった子の妹を助けちゃった憐れで優しいお馬鹿な佐藤和真さん。

 もっと詳しく話しましょうか?」

 

 パチリとウィンクをしながら腰に手を当て和真に微笑むアクア。

 

 「なんで知ってるんだ…て、そりゃあそうか、神様だったら知ってるよな…

 てか、なんかあの女子高生の顔見たことあるかと思ったら、あいつの妹かよ…

 助けるんじゃなかったぜ」

 

あーあ、無駄な命使っちまったぜとぼやきつながら、和真はアクアと名乗る女神に要件は?と目で訴えかけた。

 

 「な、何よそんなに見ても生き返らしたりとかできないからね?

 え…違う?要件を言え?

 わかったわよぅ…佐藤 和真さん。

 貴方には3つの選択肢を与えましょう。

 一つ、天国という名の何もない真っ白な空間に行って地獄を味わう。

 二つ、記憶とか全消去してもとの世界に転生。

 三つ、記憶もそのままに特典をつけて俗に言う剣あり、魔法ありのファンタジーな世界で、魔王を倒すために動くか選びなさい」

 

 アクアが三本の指を突き出しえっへんとその豊かな胸を弾ませながら問いかける。

 そして、そんなアクアの豊かな胸を見もせず和真は引きこもり中に得たオタク魂に火がついた。

 

 (ふっ、その三つの選択肢なら俺の選択肢は決まっている)

 

 「じゃあ、三つ目で」

 

 「即決ね、ならこの本の中から特典を選んで頂戴」

 

 そう言ってアクアは特典が書かれた本を渡した。

 そして、和真がそれを読むこと数分ーーー

 

 「これにしてくれ」

 

 そう言って和真が開いたページに書いてあったのは

 

 『強大な魔力』

 

 と書かれたページであった。  

 

 「はいはい、ならそれで送るから少し待ってね」

 

 (この特典を使ったら、あっちのお金をすぐにでも稼げるだろう…)

 

 そう言ってアクアは祝言を和真に与えた。

 

 「佐藤 和真さん、貴方が魔王を倒した暁にはなんでも一つ願いを叶えましょう…

 そして、異世界であなたに祝福があらんことを!」

 

 そう言われて和真は異世界に旅立った。

 

 「あ、あら?

 なんで私まで巻き込まれてるのよぉぉぉ!?」

 

 イレギュラーを連れて…

 

 そして、アクアたちが送られ静かになった空間に置いてある特典の本が風もないのに勝手に開いた。

 

 そこに書いてあったのは、

 

 『強大な魔力』

 

 向こうでネタ魔法とされる極めても一日二回が限界と言われる爆裂魔法を連発して使えるほどの魔力と魔力回復速度を与え、コントロール出来る特典。

 

 と、ここまではカズマが読めた所。

 だが、その下に異世界の言葉で

 

 デメリット『女神が付いてくる』

 女神と言っても神々からこいつ最近緩んでるし一発気を締めさせようかと思われている女神を一柱連れて行くことになる。

 なので食費など色々嵩むことになる。

 あと、戦闘系の女神や真面目な女神はついてこないため気苦労が耐えないだろうが、この特典を選んでしまったものは頑張ってほしい。

 

 と書いてあるページであった。

 

 おそらくこれを読める者がいたら絶対に嫌がらせだとわかるだろう…

 そもそもな話、これは日本人専用の本であり書かれているのは日本語だけのはずなのだ。

 

 それに異世界の文字を書いてある事自体がそもそもおかしい話なのである。

 

 つまり、何が言いたいかというとーーー

 

 「はぁ!?

 なんでお前までついてきてんだ!?」

 

 「あなたが選んだ特典のデメリットね…

  和真、このアクア様が力を貸してあげるからさっさと魔王倒してあの本作った神ばか殴り飛ばしに行くわよ!

 あ、あと私戦闘能力アンデット系や悪魔専門だからあとよろしくー」 

 

 選んだ者和真にとって、一番痛いペナルティーとなるのだ。

 

 「ふ、ふざけんなーーーー!!!

 アンタみたいな調子に乗ったらドジ漕いて色々やらかしそうな女神と一緒とか不安でしかない」

 

 青く透き通る空に和真の心からの叫びが響き渡る。

 

 (こいつが使えるか否かで俺の今後の動きが変わる…)

 

 「ちょ、ちょっとぉ!

 それってどういうことよ!」

 

 「言葉通りの意味だ!」

 

 「はぁ!?

 この世界のアクシズ教の女神であるアクア様が頭いいのに優しさと鈍感故に親友に裏切られて引きこもった挙句、親に迷惑かけてようやくまともになり始めたところで、その親友の妹庇って死んだあんたのについてやんのよ!?

 もう少し喜んで拝みなさいよ!」

 

 私偉いのよ!と言って無駄に背後に水のアーチを作りふんぞり返るアクアに和真は青筋たてて、

 

 「はぁ?

 だーれがお前みたいな奴拝むかぁ!」

 

 

 「なんですってぇー?

 いい度胸じゃない、表出なさい!

 ケチョンケチョンのぐちょんぐちょんにしてやるわ!」

 

 和真の胸ぐら掴みながらアクアは喧嘩を売るが…

 

 「え、俺女とか殴る趣味ないからパス、てか多分お前知ってると思うが、こう見えて俺体術系習ったり剣道経験者だからな?

 資格とかは取れてないけど一応教士の人と互角にやりあえる程度には強いぞ」

 

 そう言いながらアクアの手をふり払い苦笑する。

 

 「え、何その高スペック」

 

 アクアの顔が目に見えて引きつるがカズマは気が付かず続ける。

 

 「あれ?

 知らなかったのか?

 いや、学校やめてから家の親戚に剣道と柔道の教士の人がいてさ、引きこもってた俺を引っ張り出してくれてな。

 その人たちに鍛錬と礼儀を習ったり、根性を叩き直すためだとしごかれまくっていつの間にか生き残るために避けたり捌いたりしたら互角にやりあえるまでになってた…

 まあ、あの人達のお陰で親や現実と向き合えたし感謝してるよ」

 

 (あの時、何故か身体が勝手に動いて弾こうとしたナイフを胸で受けちまったけどな…)

 

 「さて、こんなところでくよくよしても始まらないし、あのうっすら見えてる町にまで行くか」

 

 そう言って、和真は街の方に歩きだした。

 

 「どうやら、そうした方が良さそうね」

 

 アクアもため息を吐きながらも歩き始めた。

 

 彼等が進む先には何があるのだろうか…

 

 街に進むこと数分、早くも和真は後悔していた。

 

 「つーかーれーたー!

 もう歩けない〜、和真ぁ背負ってぇ」

 

 (ダメだこの女神、使えねぇ)

 

 ジタバタと玩具買ってもらえなくてダタこねるかのように倒れ込み手足をばたつかせる駄女神(アクア)

 

 「はぁ、仕方ねぇ…

 ほれ、さっさとおぶってやるから行くぞ」

 

 そう言ってアクアに背を向けてしゃがむ和真を見たアクアはあり得ないものを見るかのように止まり

 

 「え?

 ほ、本当にいいの!?」

 

 「しゃーねぇだろう、ここで立ち止まってたらさっきお前が言っていたモンスターって言う人を襲う奴らが来るんだろう?」

 

 「ま、まあそうだけど…」

 

 「そんなのが来るかもしれないところに女子供置いていけねぇし、なにより早く街に行きたいからな」

 

 「か、和真ぁ!

 あなたって本当に優しいのね!

 見直したわよ!」

  

 

 アクアはそう言いながらも素早く立ち上がりカズマの背中に飛び乗る

 

 「ぐっ、て言うほどの衝撃もこねえし思った以上に軽いのなお前」

 

 「ふふーん、それはそうよ。

 なんたって私は神よ?」

 

 そう言いつつ嬉しいのか恥ずかしいのか顔を真っ赤にするアクアだが、和真はそれに気が付かず歩き始めた。

 

 (なによ、カズマのくせに…

  親友とかに裏切られてもう絶対優しくしないとか心に決めてるくせに困ってる人見たら助けちゃうバカマのくせに!)

 

 「どうした、アクア」

 

 アクアが静かにしていたため和真は心配して振り向こうとするが

 

 「うっさい、バカマ!

 こっち見んな!」

 

 (本当は、私の事なんて…)

 

 アクアはそれを許さず片手で和真の頭を無理やり前に固定した。

 

 「え?

 なんで今俺罵倒されたの?

 てか、バカマってなんだよ…」

 

 なんか怒らせるようなことしたがなぁ…?とぼやきつつこういうときは黙っとくに限るかと思い渋々その歩をすすめる…

 

 「ねぇ、和真。

 本当は私なんて邪魔じゃないの?」

 

 アクアがそう言うまでは

 

 「はぁ?」

 

 そのアクアの発言に対し、和真の足は止まった。

 

 「だって、一人のほうが何かと動きやすいだろうし、私戦闘に向かないお荷物だし…

 なによりあんたに負担になるだろうし」

 

 それを聞いた和真は、はぁー…とため息をついたあと、アクアの方に顔を向け

 

 

 「ばーか、静かにしてると思ったらそんなこと考えてたのかよ」

 

 「な!

 バカとは何よ、私だって真剣に考えてるんだからね!」

 

 「俺はお前がいてくれて助かってるよ」

 

 「え?」

 

 「だってよ、こんな異世界で誰も知らない場所でたった一人で頑張るのは辛いし怖いさ…

 でも、今はお前がいるだろ?

 

 少しでも俺のこと知ってるお前がいるから俺は恐怖心も抱かずにこうしてのんびりとお馬鹿な女神さまおぶって歩けるんだよ」

 

 少しギザなこと言ったな、俺と言って顔を赤くする和真を見て、アクアは自然と顔が綻んだ。

  

 (あぁ、私はここに居ていいんだ…

 あの静かだけど暗くて寂しく、死んだ人たちの懺悔や負の感情が渦巻くつまらない場所ではない自由で温かいここに…)

 

 「なにニヤニヤしてんだ、お前は」

 

 「ううん、なんでもない…

 ただ、和真の背中って固くて温かいなーって」

 

 うふふ…と笑いながら前よりも強い力で抱きつくアクア

 ちょ、お前もう少し離れろよ当たってんだよ!と顔を赤くしながら告げる和真

 そんな風にしながら歩いて約一時間後

 

 「ようやく着いたな…」

 

 立派な石造りの門を目の前で和真はアクアを背負いつつも道中で狩った獲物引きずりながら呟いた。

 

 そこにいた門番達は顔を引きつらせ、青ざめながら和真達にお決まりの言葉をかける。

 

 「よ、ようこそ…駆け出し冒険者の町であるアクセルへ!」

 

 

 




 一体何故門番達は顔を青ざめていたのだろう…(愉悦スマイル)


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このギルド登録に興奮を!

色々話数合成したりしてますが、読みやすいですかね?



青ざめた門番達にお礼を言いつつ門をくぐると

 

 

---そこにはまさに中世と言わんばかりの石造建築が並び、露店が所々開いておりこの町が活気に満ち溢れている事が容易に分かった。

 

 「何と言うか、本当に異世界に来たんだな俺…」

 

 そう言いつつ通りを真っ直ぐ歩く。

 ようやく異世界に来たことを実感し、笑顔になる和真を見てアクアも笑顔になりつつ街に来た目的を促す。

 

「さあ、お金稼ぐために冒険者になるわよ!」

 

 「あぁ、お前が言ってたモンスターとか倒したりして金を稼ぐ異世界のテンプレな職業だな」

 

 「正確にはギルドに登録していろいろな職業になれるんだけどね」

 

 「まあ、それは言ってからのお楽しみか…

 てか、なんで渡りにこんなに見られてるんだ?」

  

 「わ、わからないわ」

 

 街に入った瞬間は楽しげな喧噪が聞こえていたのだが、周囲が和真達を見た瞬間に街の門番達と同じかそれ以上に顔を青くし、腰を抜かす人もちらほら見え恐怖らしき感情が見え隠れする目で見られて和真は一応原因(・・)に心当たりがあるが居心地が悪かった。

 

 しかし、周りの住民や冒険者達が怯えるのは当然であった。

 

 「しかしアクア、この2つ首の犬と猫っぽいこれ本当に高く売れんのか?

 襲ってきたから撃退したが、どっからどう見ても安く買い叩かれそうなんだが…」

 

 和真が引きずっている縄の先にくくりつけられたケルベスと呼ばれる街殺しと初心者殺しの綺麗すぎる死体を見たら

 

 「大丈夫よ、この猫は初心者殺しって言って相手を他のモンスターのテリトリーに迷い込ませて殺したり、この見た目に反してすごく強くて、毛皮が人気なこともあって高いでしょ?

 

 あとあと、この犬は通称街破壊犬って呼ばれるモンスターでその凶暴さと弱点である2つの心臓を二つ同時に破壊しないといけないから報奨金が入るはずよ、それにこの犬も毛皮や剥製としての価値は高く、この子の場合外傷は一切ないから相当高く売れるわ!」 

 

 んふふ〜♪と上機嫌で和真の背中に頬ずりするアクアに対して和真はやっちまったという顔をしてして

 

 「あー…俺らが注目される理由がわかったわ、完全に自業自得か。

 てか、コイツらそんなに強かったのか?

  普通に弱かったんだが」

 

 頭にはてなマークを浮かべる和真にアクアは何言ってんだこいつという顔をしながら呆れつつ言う。

 

 「それはそうよ、あんた無意識でやってるんだろうけど特典である強大な魔力を体に纏って強化しながらも相手の体内に余った魔力を衝撃として打ち込んで内臓や臓器を破壊してるんだから」

 

 「え、何それ怖い」

 

 え、何それ俺全身凶器?と怯えている和真にアクアは更に追い打ちをかける。

 

 「あれに書いてあるとおりなら、余った魔力だけでも爆裂魔法をつてるレベルなんだからね?

 それに回復スピードも早いから二発くらい打ってから2、3分待てば全快するわ…」

 

 「チートですね、わかります」

 

 キャパオーバーした和真は悟った顔でそうつぶやきつつも

 

 (まだ見ぬギルドの方々、なんかごめんなさい)

 

 ギルドに相当迷惑がかかることを理解して早速謝罪方法を考える和真であった。

 

 普段なら賑わっているはずのギルドは今、死んだような空間になりはてていた。

 誰一人として喋らず動かず、受付の前に立っている二人組に注目していた。

 

 「あのー、私は佐藤和真と申しましてですね。

 こちらでギルドの登録とギルドの前においたモンスターの買い取りをお願いしたいのですが…」

 

 そう言って営業スマイルでギルドの受付嬢に話しかける和真であったが…

 

 「えっと、ひゃ、ひゃい!

  わ、わかりました…

 そ、それではお先にモンスターの課金からして、その後にそこから登録料を差し引くということで、よ、よろしいでしょうか?」 

 

 受付嬢からしたら突然現れた人の革を被った得体の知れない化物がにこやかにお話という名の脅しをしてるようにしか感じられず、びびっていた。

 

 「和真、あんたのせいでこの子怯えちゃってるじゃない…

 安心しなさい、受付嬢さん。

 この馬鹿の手綱はこの女神たるアクアが握っててあげるからぁ!?」

 

 なお、駄女神(アクア)は調子に乗ってカズマの頭をペシペシと叩いた所でデコピン(軽く強化済み)をくらい、悶ていた。

 

 しかし、そのやり取りのおかげか幾分空気が和らぎギルドもいつもの様な活気が戻り始めた。

 

 「ちょっと、空気を和ませるために言ってあげたのにデコピンはひどくないかしら!?」

 

 「あ、二人分でお願いします。

 背中におぶってるこいつも登録するので」

 

 ちょっと!無視する気!?と言い背中で暴れるアクアを苦笑しつつ指差す和真に対して受付嬢のルナは最初の印象と違いすぎて呆けた。

 

 (この方、最初他の冒険者の方が街殺しと初心者殺しをほぼ無傷のまま一人で運んできたと言ってたからもっと怖い人かと思ってたけど、違かったわね)

 

 「ーーい、おーい。

 受付嬢さんや、頼む」

 

 「え、あ、はい。

 わかりました…

 ではこちらに触れてください」

 

 いつの間にかアクアはカズマの背中から降りており、ルナは自分が結構な時間呆けているのに気が付き急いでステータスなどを測れる結晶を用意した。

 

 「アクア、お前からやるか?」

 

 「あら、いいの?

 言っちゃあなんだけど、私のステータスは凄いわよ、きっと…」

 

 「いいから、さっさとやれ」

 

 何よ〜、全部言わせてもくれてもいいじゃない!といいつつ結晶に手を触れる。

 

 「す、凄いですね!

 幸運値が低く知能は平均ですがそれ以外は軒並み高いですよ! 

 殆どの職につけますが何にいたいますか?」

 

 「ほう、流石女神様と言ったところだな…」

 

 「ふふーん、どう?

 少しは見直したかしら?」

 

 「おう、見直したぞアクア。

 それで、なんの職にするんだ?」

 

 「私はね、アークプリーストにするわ!

 回復と補助スキル中心の職だし、和真としても回復系の道具にお金かけたくないでしょ?」

 

 

 「ありがとう、助かるよアクア」

 

 そう言って頭を撫でるとエヘヘヘ〜と照れ笑いしながら顔が綻ぶアクア

 

 「では、アクア様はアークアプリーストとして登録させていただきます。

 こちらが冒険者カードとなりますので無くさないようにお願いしますね」

 

 「次は俺か」

 

 和真は水晶に手を置いたのだが…

 

 『ふふふ、ようやく私の力を使えるようになるのね』

 

 気がつけば草原に立っていた。

 

 




 ようやく次回オリジナル設定回
 


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この世界の設定に解説を!

えー、タグ見てください。
更新催促しないでください。
楽しんでもらえるように色々変えたりしていたり、新しい設定を作っているので前のように高頻度では出せません。


  

 「ここは…いったい?」

 

 

 周りを見回すと青く生い茂る大地、そして雲一つない青い空が広がっていた。

 そんな草原に似つかわしくない苔が生えた祠があり、その傍らに一人の少女がこちらに微笑みかけていた。

 

 『いらっしゃい、サトウカズマ。

 ここは風の祠と呼ばれる場所であり、試練を与える場所よ』

 

 「風の祠?

 と言うかさっきまで俺はギルドにいたはずなんだが…」

 

 『意識だけこちらに持ってきたから、貴方の記憶は正しいわ』

 

 「で、なんで俺はこの風の祠だっけ?

 に呼ばれたんだ?」

 

 なんかしたか?と呟き悩むカズマを見て少女はクスリと笑い理由を述べる。

 

 「私達の管理する四天の祠はそれぞれ選ぶ条件があるのよ。

 まず、風の祠である私の場合は相手が異世界人で魔力が馬鹿みたいにある人。

 そして、前の世界で分体の私が加護を与えた者よ」

 

 「待て待て、四天の祠とか加護とかいきなり言われても困るんだが?」

 

 『ふふ、確かにそうだったわね。

 いいわ、丁度良いし説明しておくわね』

 

 何から話そうかしら…と呟き少女は口を開く。

 

 『まず四天について話そうかしら…

 四天とは、火・水・土・風の四属性からなるこの世界に存在する4つの絶対的な支柱よ。

 でも、神々も人々も我々四天を司る祠の存在を忘れてしまっているから6属性位あるんじゃないかしら」

 

 「んーっと、何故四つの属性しか無いのに6属性になったんだ?」

 

 『まず、それを説明するためには四天が司る力を説明しなければならないわ。

 

 まず、火から説明しましょうか…

 火は光、熱、炎、火を司る属性なんだけど、今の人たちは光と火を分けてしまったみたいね。

 まあ、そこは仕方ないわよね、普通分からないもの火と光が一緒なんて…』

 

 「まあ、たしかにそこは解らんわな」

 

 『もし火の祠の子にあってもそれ言わないでね?

  落ち込むから…次は水ね。

 水は浄化、氷、水、回復、補助を司る属性よ。

 まあ、こっちは基本氷属性と分けられてしまったくらいね…』

 

 「普通にこの世界の知識レベルでそこを一緒にするやつはあまりいないと思うぞ…」

 

 『まあ、ね?

 そして、土よ…土は強化、鉱石、錬金、重力、土、闇を司る属性なんだけど、もうずっと鉱石魔法と重力魔法を使う人がいなくなったから強化と錬金、土だと思われてるわ…

 それに闇はアンデット魔法とかになってしまってるしね…』

 

 「なんというか、鉱石魔法って聞くだけで役立ちそうなのにもったいないな」

 

 『ふふふ、それは土の祠の子に言ってあげたら喜ぶわ。

 最後は風、私の司る風の話よ。

 風は強大故に殆どが忘れ去られた魔法よ。

 風は空間、空気、風、魔力、生物を司る魔法よ。

 正直な話私の司る風がこの世界で最強の属性となっているわ…

 理由は、頭の良い貴方ならわかるわね?』

 

 

 「火は無空にすれば燃えないし、水は風で押し返せるし土は空間を固めてしまえば終わる、と言うか魔力を止めたりしたらそもそも終わるな…」

 

 『正解よ。

 故に昔は風の祠を制すれば世界を制すると言われたほどよ。

 その為、それを恐れた人々は風魔法を殆ど記憶から消去することになったわ…』

 

 「だが、そうすると他の属性の祠のパワーバランスも崩れるから属性は残したまま祠の存在を消去したのか」

 

 『その通りよ、けどそのせいで世界は崩壊へと歩み始めたの』

 

 「どうしてだ?」

 

 『本当の意味での風魔法の使い手が減り魔力の循環が悪くなりその淀んだ魔力のせいで変な生態系が形成されたり、土の属性の鉱石魔法を忘れたがゆえに魔法でしか作れない特殊な鉱石を造れなくなり装備のランクダウンにより魔獣…モンスターと言ったかしら?

 それに対抗しづらくなり水属性が司る浄化が神聖魔法となったせいでアンデットたちの浄化にしか使われなくなり、世界のバグの浄化ができなくなり、光も神聖魔法のくくりに入ったせいで使い手が減ったわ…』

 

 「ある意味自業自得で滅びかけてんのか、この世界…」

 

 『否定はしないわ』

 

 「それで、なんで今更俺が呼ばれたんだ?」

 

 『流石にこの世界が滅びてしまうのは嫌だし、何より暇だったから貴方と契約して外に出たいのよ』

 

 「後半のほうが本命だろ、お前…」

 

 『そうよ、知らないの?

 風は気まぐれで無責任なのよ?』

 

 「はぁ、これから苦労が増えそうだ…」

 

 『それは契約してくれるということでいいかしら?』

 

 「あぁ、こんな俺で良ければぜひ契約させてくれ」

 

 それに、そんな悲しい目で見られちゃあな…と苦笑する和真の発言に目を見開き驚く少女。

 

 (バレないように気分屋でつらなそうに装ってたのにまさかバレるなんね…)

 

 『ふふ、本当に優しいのね貴方。

 じゃあ契約、しましょうか』

 

 そう言って少女は和真に近付き…

 

 チュッ

 

 「んん〜!?」

 

 和真の唇に自分の唇を付け、舌をいれる。

 そう、ーーーーキスであるそれもディープな方の…

 和真はそれに気が付き急いで少女の方を掴み突き飛ばす。

 

 『キャッ!?

 何よ、突き飛ばすなんて酷いわね』

 

そう言いつつペロリと自分の唇を舐める少女に和真はどもりながら

 

 「な、何を!?」

 

 『あら、知らないの?

 祠を司る私達はね、本当に気に入った相手とはキスをして契約を結ぶのよ?』

 

 「へ?」

 

 『まあ、これで契約できたからそろそろ帰るわよ』

 

 「ま、待ってくれ」

 

 『何?

 もしかして、もう一回したいの?』

 

 「なぁっ!?

 ち、違うわい!

 お前の名前だよ、名前」

 

 『へ?

 あぁ、そういえば名乗ってなかったわね。

 私は四天の風の祠を守護し司る、ウィンディアよ。

 よろしくね、ご主人様♪』

 

 和真の言った事に少しだけキョトンとした後にそう言ってウィンディアは笑った。

 

 「ご、ご主人様ぁ!?」

 

 「はぁ!?

 いきなりだんまりしたかと思えばいきなりご主人様とか叫ばないでちょうだいよ、バカマ!」

 

 恥ずかしいじゃない!と言ってアクアがカズマの頭目掛けてチョップをかました。

 

 「あ、あれ?

 俺は…帰ってきたの、か?」

 

 あれは夢だったのか?とぼやき、周囲を見渡す和真に、受付嬢が申し訳なさそうに話しかける

 

 「あ、あの~」

 

 「え、あ、はい!

 なんでございますか?」

 

 「カズマさん、でしたよね。

 こちらが冒険者カードとなります」

 

 そこに書いてあったのは

 

 ーーーー冒険者という文字であった。

 

 「あれ?

 確か、冒険者って最弱職では?」

 

 「え、えぇ…

 なぜか分からないのですが全てのステータスが高く、その中でも魔力と幸運が特出してるのにも関わらず何故か冒険者が勝手に選択されまして…」

 

 「な、なんだってぇ!?」

 

 (な、なんで勝手に…

  もしや!)

 

 そう思っていると

 

 『しょうがないじゃない、私達祠の守護者と契約を結ぶには冒険者しかないのよ』

 

 (やっぱりお前のせいか〜…

 まあ、良いけどな)

 

 ウィンディアの声が聞こえてきたが、姿が見えず探していると

 

 「ちょっと、和真?

 いきなりそわそわし始めてどうしたのよ?」

 

 「そわそわしてねーわ!」

 

 『あ、私の姿探しても無駄よ?

 だって私は貴方の中にいるんですもの』

 

 (へぇ、そうなのか)

 

 こうして、色々あったが無事に和真は冒険者となった。

 

 因みにその後和真達には登録料の差額5000万エリスが支払われ、そのお金で宴会をしようとした駄女神を締めた和真がいた。

 

 



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この素晴らしき受付嬢に羞恥を

 駄女神(アクア)が暴走しギルドメンバーを巻き込んだ宴会をしようとして魔王(和真)にガチで締められた次の日、ギルドに二人はいた。

 

 「ねぇ、五千万エリス入ったのになんで次の日もギルドに来なきゃならないわけ?

 普通は装備品見たり、補助道具とか見に行くのが普通でしょ!」

 

 「あぁ、確かにお前の言うとおりだよアクア…」

 

 「でしょ?

 私間違ったことーーーー」

 

 「だがな?

 誰かさんが必要だからってその日のうちに防寒具、着替え、そして何より高かった高級シャンプーを買ったせいで結構な額とんだからなぁ?

このままこの調子で浪費していくつもりならすぐに今みたいにギルド来て稼がにゃあならん。

 それに、宿屋だと結果的に高くなるから賃貸でもいいから家がほしいしな」

 

 そう言って和真は笑顔でアクアの頭を掴み力を入れる。

 

 「い、いダダダだ!

 ミシミシいってる、いってるからぁ!

 離して、話さないと私の頭ミンチになっちゃう!?」

 

 死ぬ、死ぬー!と叫びながらタップするアクアにため息を吐きつつアクアの頭から手を放し、クエストボードを見る和真

 

 「やはり、ここは冒険者らしく初心者クエストでもやってみるか…」

 

 「えぇ、和真の実力なら普通に上級者モンスター討伐依頼とかいけるはずよ?」

 

 「こちらの世界の生態系と俺達の強さとか、色々調べるために行くんだよ」

 

 「あぁ、そういうことなら仕方ないわね…あ、ルナさんだったかしら?

 初心者用のクエストはどれかしら?」 

 

 ちょうどクエストを張り出すために来ていたルナを目ざとく見つけ話しかけるアクアを見て呆れつつ和真はルナを見る。

 

 「すいません、ルナさん。

 俺達も冒険者に成り立てですからやはり初心者用のクエストを受けたいんですが、俺達でもできるクエストありますか?」

 

 「えっと、初心者殺しとか倒したりしてるので普通に上級クエストでも戦えると思うのですが…」

 

 (と言うか、最近難しいクエストが多いから和真さんみたいな高レベル冒険者にはそっちを受けてもらいたいのになぁ…」

 

 そうルナが思っていると、何故か周りが静まり返り、ルナを見ていた。

 

 「あ、あれ?

 皆さんどうしましたか?」

 

 「あー…

 ルナさん、思ってること口に出してますよ?」

 

 あはは…と頬をかいた和真が申し訳なさそうに話し、それを理解した途端ルナは耳まで真っ赤にして俯く。

 

 (や、やっちゃった〜〜!!

 ど、どうしよう…私ギルドの一員として最低なこと言っちゃった…

 和真さん達に嫌われちゃったかな…)

 

 「ちょっとぉ!

 あんた何をーーーー!?」

 

 アクアが声を荒らげようとすると、それを手で制した和真は静かに呟く

 

 「流石、ルナさんだな…」 

 

 小さい声であったが、周りに何故か響いた。

 

 「え?」

 

 「ギルド員っていうのはその冒険者の力量に合う依頼を探して斡旋し、実力以上の依頼を請け負うとすればその冒険者が気を悪くしないようにやんわりとやめさせる…そういった勇気ある仕事だと俺は思っている!」

 

 そう言って力説するカズマに

 

 「た、確かにそうだな…」

 

 「俺もこの前金がなくて困ってたときにルナさんやそれ以外のギルド員に俺にあったクエストを勧めてくれて助かった」

 

 「そう考えると、あの初心者殺しとか街破壊犬を無傷で仕留めたあの坊主に初心者用クエストを薦めるよりも上級者クエストをすすめるのは当たり前だな」

 

 と、聞いていた冒険者達が同意しつつギルド員たちにしてもらったことを互いに話し始めた。

 

 「え?

  え?」

 

 「なによ~、そう言う事なら先に言いなさいよね♪

 たしかに私達の実力なら上級者クエストの方がふさわしいわよね!」

 

 混乱しているルナにアクアは上機嫌で話しかけ

 

 「そういうことだ、アクア…

 そして、やはりルナさんは最高だな!」

 

 和真がトドメと言わんばかりにそう宣言すると

 

 「流石ルナさん!」

 

 「ふっ、そいつの力を見極めるアンタは最高だぜ」

 

 「ルナさんを褒め称えようぜ!」

 

 と、いつの間にかギルド中の冒険者達が褒め称え始める。

 

 「ルナさん!」「ルナさん!」

 「ルナさん!」「ルナさん!」

 

 「〜〜〜〜っ」

 

 「お前ら辞めてやれよ!

 ルナさん顔真っ赤で涙目だぞ!」

 

 その後も羞恥心でプルプルと震えるルナを皆が褒めたり、たまに求婚を申し込んだり交際を申し込み周りの冒険者にボコられると言った光景が広がった。

 

 しかし、そこに和真とアクアの姿は無かった。

 

 「良かったの?

 あのルナって子、アンタは庇って良い話にしたけど冒険者の要望に答えるのもギルド員の責務なはずよ」

 

 「良いんだよ、俺らは魔王を倒さなきゃならないんだから、初心者クエストより上級者クエストの方な良いしな」

 

 (それに、ウィンディアが昨晩言っていた、あの言葉が実現してしまうと言うなら止めなきゃいけないし)

 

 そう思い、昨日の出来事を思い出す和真

 

宿に泊まっていると突然ウィンディアが目の前に姿を表した。

 

 「なっ!

 ウィンディア、どうしたんだ?」

 

『落ち着いて、カズマ。

 夕方くらいに上手く他の祠の子達と連絡が取れたんだけどどうやら一刻を争うみたいなの』

 

 「そんなに緊急なのか?」

 

 『えぇ、浄化されていないバグがそろそろ爆発しそうなのよ…』

 

 「爆発するとどうなる?」

 

 『世界が崩壊するわ』

 

 「崩壊!?

 魔王よりやばいじゃないか!」

 

 『えぇ、だから明日にでも特に危ない水の祠に向かわないといけないわ』

 

 「場所はどこだ?」

 

 『場所はこの街の中にあるアクシズ教または水の神に関係するものに触れれば水の祠に行けるようにしといたわ』

 

 「それは、俺のパーティーであるアクア本人でもいいのか?」

 

  『可能よ、でも今からは駄目よ?

 明日の昼頃にしないとあの人怒るから』

 

 「了解、なら明日行くとするよ」

 

 

 その後は他愛もない話や俺ができる事、ウィンディアと契約したが故にできるようになった事を確認してから眠った。

 



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