モササウルス(シン・サバ)の冒険 (リバーウッドのレイロポォウ!)
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モササウルス(元サバ)とヤンデレ学者

異世界でもない地球、現代日本。

 

 

11月も過ぎようかと秋から冬の厳しさ薫る寒さがシベリアから到来し始めたころ

 

 

 

その日に発刊された釣り新聞は独占ニュースで沸いていた

 

その見出しはこうだ

 

『太古よりの使者!魚竜発見か!』と

 

誰もが馬鹿にしていた

 

 

 

世界最大の入り江を利用した水槽と話題の水族館のチャンネルで彼女の存在は明らかとなった

 

ネットで流れた録画された映像もデマだろうと

 

直接 人目 (スマホ)さらされる(全世界公開)までは

 

情報精度では複数のスマホによって撮影された事実には代えがたいのだろう

 

 

 

 

 

 

おれはチート転生者だ。

 

今、俺は海の中を泳いでいる。

 

 

転生したのは異世界のようなものだ。

 

海の中の魚に転生したのだから

 

 

 

「YOU、転生シチャイナヨー」

 

「いやです」

 

「んーソダネ、今食べてる供物とか?」

 

それって、果物、魚、緑茶、みそ汁の具、コメ、どれかですかァ!?

 

「うん、あ、箸が差しちゃったね」

 

 

 

という訳で神様から供物である鯖に転生しました。

 

神様転生にはチートが付きものなわけで

 

もらったものは形態変化。自身の取り込んだものによって

 

ポイントが割り振られ、ポイントから

好きなものに形態を変換させるエネルギー炉のようなものを搭載している者になったのですが

 

どれでも取り込めるなら、海洋の違法廃棄物もGODな海洋生物の方を模倣しても、よろしいのでは

 

莫大なポイントがたまったので現在もはや鯖ではなく、魚竜に近い形態である

 

ジュラ紀なわーるどなやつである

 

人間のような形態をとろうとした痕跡の腕のようなヒレと胎内を持っている、ただ一つの化け物だ

 

肺と腸も持っている。まあ、見た目も整えると近隣の生態系を崩しかねないので

 

もう諦めたのは遠い過去だ

 

巨大な姿なので船のエコーに移ることは多々あるが潜水艦から学んだ航行術で

 

自衛隊のP-3C哨戒機から逃れたことは名誉であると一過言持っている

 

もうすでに私の姿は補足されていると考えてもおかしくはないだろう

 

こないだ富山の餌付き潜水カメラ写っちゃったもん…

 

 

仕方ないの!エビ美味しいもん!と誰に説明しているのか

前世の民がたぶん画面に私が写っていたりするのだろうか

 

とあるT葉の漁港の港内の底に佇んでいるんだけれども

 

夜になって上から軽トラが沈んできたのだが。

 

 

あ、目が合った。コンニチワー。異界ニポンからキマシタ。元サバです。

 

美味しくいただいてやろうか!と口をカパアと開いてやると

 

助手席のおっさんは泡を吹いて気絶したが

 

運転席にいた女の子はキラキラした目で見ていた

 

 

 

………仕方ないので近くの海水浴場に背中に載せて車を運んだ

 

おっさんの車だろうがま、命あるだけ得と思っておくれ

 

 

ったく、湾の入り江からクジラやなんかの鳴き声をスピーカで流してる連中はまーた俺のことを探してるのか…

 

何笑い声出しとんねんやかましいわ

 

 

そんな夏に入りそうな(むし)っとした春過ぎ、梅雨のことでした

 

 

 

 

 

「質問を始めても、ミス?」

 

 

…私にとっては大変なことなんです。小学校の笑いものにした子たちは縁が切れたし

 

魚類学者の今にとっては

 

 

 

彼女のことは、現実なんだって。

 

 

 

 

私の後ろにある水槽。これが彼女の。彼女だけを保管するために作った楽園です

 

私は消極的なごく普通の子供でした、ある晩、家族の夜釣りに誘われたのです。

 

ええ、よくアウトドアへ誘ってくれるよい家庭でしたね

 

しかし、釣果は得ず。

 

父は半分不機嫌に仮眠をとるといい車に、母は近くの商店で飲み物を買いに行きました

 

冷房が効いているであろう車内に私も入りましたが。

 

致命的なミスであり、私にとっては命の選択肢でした、父はバックギアに入れたままだったのです

 

乗り込む際、私が軽くアクセルを踏み込むと車はそのまま海へと加速してゆきました

 

 

海へ

 

 

 

乗用車は深く沈んでいきましたよ

 

 

密閉度の高い車だったのですがゆっくりと海へ

 

 

海の底は静かで、寒くて。

 

 

少しずつ海水が足元から入り込んでゆく様は今も思い出せますよ

 

 

そのとき、海底の泥を何かがかき回したのです。

 

何かの目がヘッドライトを照らし。

 

気が付いたら、海底の砂より出た目の前に人間の身長より大きな口を開いた彼女に父は気絶しました

 

私は初めて恐竜という太古の幻想(かこ)というものに出会ったのです

 

 

私はその姿に衝撃を受けました、脳が活性化される、血中が沸き上がる、そんな予感がよぎりました

 

 

彼女はその口を駆使し背中に私たちの車を載せたのです

くるんと、回してですよ

 

私はあの日の出来事を、絵に描けます。彼女の背で見た泳いだ海岸線の夜景を。

 

 

 

だからこそ、彼女のために作り上げた。各世界の海岸線に作り上げた彼女のための保養地

 

一度も見かけられませんが、彼女のみの研究に、私は尽くしますし

 

そのことしか考えられない

 

彼女に首ったけなんですね、私。

 

魚竜狂い。共に各国血眼で探し回っている【彼女】を発見するのは一体誰なのだろうか

 

 

結果が待たれる



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