ハンドアート・オンライン (麦畑)
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始めましての方は始めまして。麦畑と申します。
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

では、どうぞ


ソードアート・オンライン

 

それは天才科学者、茅場晶彦がプログラミングをし、大手ゲームメーカー「アーガス」が

発売したVRMMORPGである。

そのゲームシステムの特徴を上げるとすればそれはやはり「魔法」が無いこと。

その代わりに「ソードスキル」とゆう、言わば必殺技のようなものが導入されていた。

だが、このゲームが発売される前からとんでもない話題になっていた一番の理由はそこではない。

 

 

「世界初」のVRMMORPGである、とゆうことだ。

 

 

VRMMORPGとゆうのは、専用のゲーム機を使い、脳に直接信号を送り、まるでゲーム

の中にいるような感覚で遊ぶことができるMMORPGのことである。

 

まあ、そんなとんでもないゲームに、中学生二年にしてネトゲ廃人予備軍である俺、

「吉野 純一」が目をつけないはずが無かった。

発売される数ヶ月前、βテスターの応募が始まった。募集定員はたった千人。

当然俺も応募したのだが、当選倍率はまさかの100倍を超えていた。

俺は「さすがに無理だろうな」と思いながら当選者が発表される日を待っていた。

同じクラスの奴等(友人とは言ってない)もかなりの人数が応募していたようだったし、倍率の高さ

は身をもって感じていた。

そして当選者発表の日、俺は何かに祈りながら当選者一覧のページを食い入るように見る。

(さて・・・どうだ・・・?)

俺の番号は「38559」。食い入るように画面を見ながらスクロールしていく。そして、

 

----------------------------------

 

38101

 

38559

 

39002

 

----------------------------------

 

 

「あったぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」

こうして晴れて俺はβテスターとなった。

 

 

 

 

==========================

 

 

あれから数ヶ月がたち、SAOサービス開始の日になっていた。

「やっとか・・・・・・っ!」

そう呟くと俺の口の端は自然と吊り上っていた。

思い出せばこの数ヶ月間は色々あった。

 

βテスト期間はずっとSAOのことしか考えていなかった。

武器は何を使うか、今日はどこでレベリングをするか、スキル構成はどうするか。

何回かふざけて素手で戦ったこともあった。

その時周りから変な物を見るような目をされたのは良い思い出だ。

あと、SAOのやりすぎで学校の宿題を忘れた。反省はしている、後悔はしていない。

 

そんなことを思い出しながら、俺はナーブギア――VRゲームをやるために必要な家庭用ゲーム機だ。――の

バイザー(?)に写されている時計の時刻を見る。

 

12:55

 

あと5分。いつもならすぐに過ぎてしまう時間。

が、今の俺には途方も無いほどに長く感じられた。

そして、もう一度時間を見る。

 

1:00

 

時間を確認し、嬉しさや懐かしさなどを感じながら俺はあの城に行くための魔法の言葉を口にする。

 

 

 

「リンク・スタート!!」

 

 

 

こうして俺のSAOでの戦いが始まった

 

 

================

 

 

 

徐々に現実の感覚が消えていく。

さっきまであったベッドの感覚は、もう消えた。

そして完全に現実の感覚は消え、変わりに擬似的な感覚が身を包む。

いきなりキーボードとディスプレイのようなものが目の前に現れる。

俺はディスプレイに書かれている必要事項をキーボードで打ち込んでいく。

すべて書き終えた瞬間、目の前に「 Welcome to Sword Art Online !」と表示され、懐かしさ感じ―――

「・・・?」

ることは無く、俺は違和感を抱いていた。

(ベータの時は音もあった気がするんだが・・・仕様変更か?)

が、そんな疑問にシステムが気づくわけが無く、次々進んでいく。

名前、性別、初期スキル、ステータスタイプ、容姿。

設定を次々と入力していく。

 

=================

 

名前:shin

 

性別:男

 

初期スキル:片手剣

 

ステータスタイプ:アタッカータイプ

 

=================

 

 

とまあこんな感じだった。

設定が終わったので確認ボタンを押す。

すると、

 

===========

 

この設定でいいですか?

 

 はい  /  いいえ

 

===========

 

ということが書かれたウインドウが出てきた。

当然「はい」を押す。

するとウインドウ「ポフンッ」と音をたて消え――なかった。

「・・・・あれ?」

もう一度押す

反応無し

また押す

反応無し

「どうしたんだ・・・?」

そう呟いた直後ウインドウが所々、不規則に消えていく。

「なんなんだよ・・・」

そう呟き不安に駆られる。

そう思った直後だった。

周りの壁(?)がさっきのウインドウのように消え始めた。

「はあ・・・・!?」

どんどん壁は消えていき、全てが消えた後に俺がいたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アインクラッド第1層の上空だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・へ?」

眼前に広がるのは、

美しい町並み

空色の第一層の天井

真下には現実ではそうそうお目にかかれない程にきれいな山や森

一瞬そんな風景に目を奪われるが、すぐそんな余裕は無くなった。

何故かと言うと、当然のように俺が落下し始めたからだ

 

 

「嘘おおおおおおおおおおおおおおおおおお!?!?!?!?」

 

 

そのまま俺は下にある森に向かって一直線に落下していった。

 

 

 

 

 

 

============================

 

 

 

 

 

 

 

 

「し、死ぬかと思った・・・」

 

なんとか着地し、そう呟いていた。まあ、ゲームだから死ぬわけないが。

空に放り出された後、俺は一番真下近くにある木に目をつけた。

俺はその木に向かって落ちていき、その木の枝を掴んだ。

当然その枝はストッパーの様な役目をし――このゲームの木は全て破壊不可能

オブジェクトのため折れない――落下する速度は一気に落ちる。

その後は普通に枝から手を放し、着地した。

 

「にしても・・・ここどこだ?」

 

見渡す限り、木、木、木。

目印になるようなものは何も無くすぐに迷子になりそうな場所だった。

俺はここがどこだか調べるためメインメニューを呼び出し、階層マップ――自分の今いる層の簡単な

マップ。自分の今いる場所と、各町やダンジョンのおおまかな位置が見れる――を開こうとする。

が、その前にとある場所に目が行く。装備一覧だ。正常なら今この段階だと、

スモールソード、チェストプレートの二つが装備されているはずなのに、

 

============

 

装備一覧

 

武器:無し

 

胴:無し

 

腕:無し

 

脚:無し

 

靴:普通の靴

 

服:普通のインナー

 

ズボン:普通のズボン

 

 

============

 

という感じだった。

「はあ?」

まあ当然の反応だろう。

スキルの所も見てみる。正常なら片手剣スキルがあるはず。

 

が、習得しているスキルは一つも無かった。

 

「どういうことだ・・・?」

まあ考えても仕方ない。自分で習得すればいいだけの話だ。

そう考え、スキルロット編集のウインドウを開き、未修得の欄をおす。

攻撃系スキル、補助系スキル、生産スキルの三つが出る。

俺はその中から攻撃系スキルを押した。

 

が何も反応は無かった。

 

「な・・・・・っ!」

もう一回押す、が反応は無い。次は試しに補助系スキルを押してみる。

すると、「索敵」や「隠蔽」などのいま習得できる補助系スキルの一覧が出る。

一覧を閉じ、また未修得の欄を押す。

攻撃系スキル、補助系スキル、生産スキルの三つが先ほどと同じように出る。

「あ・・・・・・っ!」

そこで攻撃系スキルが他の二つのような青色では無く、灰色になっていることに気づく。

 

それは、今俺に習得できる攻撃系スキルが無いことを示す。

 

「まじかよ・・・・・・」

とりあえずスキルは後回しにし、次は武器を確かめる。

所持武器の欄をタップ。所持武器の一覧が出る。

しっかりとその中には、初期装備「スモールブレード」があった。

「よかった・・・・・・」

そしてそれをタップし装備の欄を押す。すると、

 

 

===============

 

現在この武器は装備できません。

 

===============

 

 

 

というウインドウが出てきた。

 

 

「・・・・・・・・・・」

俺は、全てのウインドウを閉じ、空を見上げる。

が、空は無く、代わりに第1層の天井が広がっている。

その天井は俺の今の心とはまったくの正反対の色、つまり気持ち良いほどの青色だった。

「ふぅ・・・・・・・・」

俺は一気に空気を吸い込む。そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

「武器もスキルもつかえねーって、どういうことだ、ゴラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

そう、叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 



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始まった日

たくさんのUAありがとうございます!
さて今回は初の戦闘回&デスゲーム開始です。

では、どうぞ


 

 

 

それは俺が空に向かって叫んだ直後のことだった。

 

・・・ブブッブッブブブブ・・・

 

「!?」

後ろから蜂が飛んでいるような音がした。しかも、複数。

俺は音のする方を向く。

そこには、3匹の巨大な蜂がいた。

「何でこのタイミングで・・・!」

「ドリルビー」それが奴らの名前だ。

名前の通り、ドリルのように回転する針を持った蜂だ。人の顔ほどの大きさで、

素早く、連携して攻撃してくるのが特徴だ。

針の攻撃はやっかいで、たまに針が通常の何倍も早く回転させながら突撃する特殊攻撃がある。

ちなみにその攻撃はベータの時は「ドリル針」などと呼ばれていた。なんと安直な名前か。

 

どうする?戦うか?逃げるか?試しにやられてみるか?

 

相手は今の俺より早いから逃げるのは論外。

ちゃんと黒鉄宮で復活するか確かめたいが、スタート地点があんなんだったんだ、

おかしな所に飛ばされるかもしれない。ならやめたほうがいい。

なら・・・

 

 

「戦うしかない・・・か」

 

 

そういって戦う体勢――といってもただ腰を少し落とし、両腕を構えただけだ――をとり、

敵の攻撃に備える。

敵の中の一匹が一気に俺に迫り針を突き出してくる。

俺はそれをステップで横に移動し避ける。

そこに残りの二匹が、片方は上から、もう片方は下から先ほどの蜂と同じ様に攻撃をしてくる。

 

「・・・・っ!」

 

それを俺はバックステップでかわし、上から攻撃してきた蜂の頭を殴る。

俺は直ぐに地面を転がるようにし、その場から離れる。

その直後先ほどまで俺がいた所に最初に攻撃してきた蜂の針が通り過ぎる。

俺は起き上がると後ろに跳び、距離をとって体勢を立て直す。

さっき殴った蜂のHPゲージを見る。

(十分の一も減ってねえ・・・)

今の自分の攻撃力のなさに少し驚くが、そんな思考は直ぐに捨てる。

蜂達が俺に向かって一斉に向かってきたからだ。しかも一匹はドリル針を使おうとしている。

ドリル針を使おうとしている蜂以外が一気に針を突き出しながら突進してくる。

俺はそいつらの攻撃をステップでかわし、残り一匹の攻撃に備える。

その蜂は他の蜂よりも数段早いスピードで迫りドリル針を俺に向け放つ。

俺はその攻撃を体をそらすことで避ける。そしてすれ違いざまに、

「シッ・・・!」

下から上に突き上げるように殴る。

「グゲェッ!」

そう、はき捨てるように叫びながら跳んでいく蜂。

HPゲージを見てみるとさっき殴ったときよりも減りが大きかった。

後ろから蜂が迫っていることに音で気づき、その場から一気に飛びのく。

また距離をとり体勢を整える。

気は抜けない。まだ戦いは始まったばかりなのだから!

 

 

================================

 

 

攻撃が来る、それを避ける、隙があれば攻撃をする、攻撃を避けながら距離をとる。

そんな戦い方をし続け、もう二十分以上たっていた。

「ハアァ・・・ハアァ・・・」

息が荒くなる。ゲームなので疲労は無いし、息をする必要は無い。

だが、精神面では話は別だ。長時間ずっと集中しながら体を動かしているのだ。

無意識のうちに脳がそういう信号を出しているのだろう。

敵のHPゲージは全てレッドまで減っていた。

対して俺はまだHPゲージはイエローまで減っていた。

やはり武器無しで戦うのは難しい。

「そろそろ・・・こっちから仕掛けるか・・・?」

そう呟く。敵のシステムはもう俺の戦い方に対応してきていた。

つまりあいつらの中では「俺がこうしたこうすればいい」みたいなものが出来上がっているのだ。

このままではとてもやりにくい。が、裏をかえせばこのままじゃなければいいということだ。

そこまで考えたら、俺は全力で地面を蹴り一番近くの蜂との距離を詰める。

初めての行動。蜂にとっては予想外な行動。それが蜂の動きを鈍らせる。

「セェッア!!」

そう短く叫びながら蜂を思いっきり殴る。

その攻撃は、相手の弱点である腹を捉え、一気に蜂を吹き飛ばす。

途中でいきなりその蜂の動きは止まり、ポリゴンの欠片となって砕け散る。

「まず、一匹!!」

次は右のほうにいた蜂を狙う。

その蜂は針を突き出し応戦する。が、その攻撃を俺は予想していたため、

その攻撃を簡単に避けて見せる。

「ラァッ!!」

攻撃が当たらず隙ができる。その隙を俺はのがさず、拳を握り、蜂を地面に叩きつける様に殴る。

まだHPゲージが残っていたが、もう一匹の蜂に邪魔され攻撃できなかった。

距離をとる。さっきまでと同じ行動、同じ状況。唯一違うのは、敵が一匹減っていること。

体力が残っていない方の蜂がドリル針のモーションに入る。

もう片方の蜂は俺に一気に近づき針を突き出してくる。

俺はそれをバックステップで避け、蜂に膝蹴りをする。

「グギャァッ!」

そう蜂が叫ぶが気にしない。

蹴られた蜂を俺は掴み、ドリル針を今まさに発動しようとしている蜂に投げつける。

当然、投げられた蜂はドリル針の餌食となり、ポリゴンの欠片となって砕け散る。

そして投げられた蜂に当たることでドリル針は止まり、投げつけられた蜂には

硬直時間が課せられる。

俺はその隙に距離を詰め、その蜂を殴る――!!

 

 

「ハアァァァァァァ!!!」

 

 

――俺の拳は蜂を貫いていた。

 

 

 

 

 

こうして俺の初めての武器無しでの戦闘は終わった。

 

=================

 

 

初の戦闘を終えた後、俺は「始まりの街」に移動していた。

移動する途中でスキルのことを思い出し、

「索敵」と「隠蔽」のスキルを取得しておき、

この2つのスキルを駆使し戦闘を最小限に抑えながら移動していた。

「やっとついた・・・」

周りの人達が俺に奇異の目を向けるが、俺は気にしない。

俺はとある店に行くために、街の中を歩きだす。

しばらく歩き目的の店に到着する。

「ほんと、なんでここはこんな分かりにくい場所にあるんだ?」

店の名前は「ホロン防具店」。かなりの格安で防具を売ってくれる店だ。

通常、NPCの店では商品をシステムで決められた値段、つまり定価でしか売ってくれない。

が、各層に一つだけ、見つかりにくい所に商品を安く売ってくれる店がある。

まあつまりこの層のその店がこの、ホロン防具店なのだ。

俺はそこに入り、防具を買い、そしてそれらを装備する。

どうやら防具はしっかりと装備することが出来るようだ。

「良かった~・・・」

すごい安心感に包まれる。

さっきまでは装備してる間に攻撃される

可能性があったため確かめられなかった。(けして、忘れていたとかそういうのでは無い。)

その後街を歩いていると

『おい――ログ―――が――ねえぞ』

『まじ――。GMコール―――のか?』

そんな声が聞こえる。

(・・・!?・・・そうだ、GMコールすればこのバグも治してもらえるかも・・・!!)

そう考え直ぐにGMコールをする。

が、

「・・・またかよ」

GMコールは届かなかった。

次は周りから叫び声が聞こえる。

『おい、GMコールが届かねえぞ!?』

『はあ!?じゃあどうやってログアウトすんだよ!!』

「ログアウト出来ない・・・?しかもGMコールを他の奴等もできないのか・・・?」

俺はメインメニューを開きログアウトボタンを探す。

「無い・・・だと・・・!?」

絶句する。

ログアウトボタンを押す以外、VRゲームでは、ゲームを止める方法がないからだ。

が、直ぐに考え直す。

このバグは周りのプレイヤーの話を聞く限り、どうやら全プレイヤーに発生しているらしい。

なら運営側が強制ログアウトなりなんなりをするはず。

だが、いつまでたっても強制ログアウトはおろか、運営からのお知らせみたいなのさえこない。

「本当にどうしたんだ・・・?」

色々考えるが答えはでない。

いや、一つだけ考え付いたが、あまりにも荒唐無稽なもので、ありえる筈がない。だけどそれならこの状況にも納得がいく。

(この状況が意図的なものだなんて、あるわけが・・・)

直ぐにこの考えを捨て、また考え始めるが

・・・リンゴーン リンゴーン ・・・

という鐘の音が俺の思考を遮った。

「なんだ・・・?」

 

 

直後、俺は青い光に包まれた。

 

 

======================

 

 

「なんなんだよ・・・いきなり・・・」

青い光に包まれた後、俺は、いや全プレイヤーが始まりの街の中央広場に強制転移させられていた。

プレイヤー達は皆、「やっとログアウトできるのか?」などといっている。

だが俺はそう考え無かった。

なぜか、それはただの勘だった。

ただ、何か嫌な予感がしただけだ。

しばらくプレイヤーの声が響くだけの時間が続く。

それもだんだん収まりはじめた時、

「お、おい!!う、上!上!!」

誰かがそう叫ぶ。それにつられ上を見ると何時の間にか、空が赤い警告ウインドウで埋め尽くされていた。

「なっ・・・!」

思わず口に出してしまう。

さらに、よく見るとウインドウの間から血のような物が垂れていた。

それは俺達の上で何かを形作っていく。

それはやがてGMのアバターがいつも着ていた、ローブになる。

そして、そのローブはこう言った。

 

 

 

 

 

「プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ。

 私の名前は茅場 晶彦。この世界をコントロールできる唯一の人間だ。」

 

 

 

 

======================

 

 

それから茅場を名乗る人物は、次のことを俺達にいった。

 

ログアウトが出来ないのはこのゲームの仕様だということ。

 

このゲームで死ねば、本当に死ぬこと。

 

全ての蘇生アイテムが使えないこと。

 

ログアウトするには、この世界をクリアしなければならないこと。

 

 

俺はそれが信じられなかった。信じたくなかった。

が、同時に心の何処かで、何故か納得している自分もいた。

(まあ男なら、異世界に行きたいってみたいとか、普通思うよな)

と。

 

説明が終わると奴はこう言った。

「諸君にプレゼントがある。アイテムストレージの中に転送しておいた。」

それを聞き俺はメインメニューを開き、

そこからアイテムストレージを開く。

そこには、手鏡というアイテムがあった。

その欄をタップしアイテムを出現させる。

出現したのは只の手鏡だった。

その手鏡には、まさに勇者といった感じの顔が写っている。

「これがどうしたんだ・・・?」

そう呟く。

周りのプレイヤーたちも俺と同じ様な反応をしていた。

 

それはいきなり起こった。

なんの脈絡も無く、青い光が身を包む。

そしてその光が消えた時、周りのプレイヤー達の容姿が変わっていた。

いや、違う。戻っていたのだ。もとの、本来の容姿に。

俺は手鏡をみる。そこに写っていたのは、

 

 

目付きの悪い目

 

低い鼻

 

女子みたいに小さい顔

 

周りと比べ、明らかに小さい身長

 

もやしの様な体型

 

 

完璧なまでの「吉野 純一」だった。

 

「これでソードアート・オンラインのチュートリアルを終わる。ゲーム攻略に励んでくれ」

茅場はそう言うと、ローブは消えていった。

俺は信じられなかった。この世界に閉じ込められたことを。

これが遊びでは無くなったことを。

 

俺は気付けば始まりの街の門に向かって走っていた。

普通に考えれば自殺行為だろう。武器を使えないのにモンスターの巣窟であるフィールドに出るなんて。

だがこの時の俺はそんな事は微塵も考えていなかった。

胸に抱くのはたった一つ

「絶対にぶん殴ってやる・・・!」

あのふざけた天才(茅場 晶彦)に対する怒りだけ。

俺は門をでる。そして走り出す。

目の前に「フレンジーボア」というモンスターがいた。

 

「ウアァァァァァァ!!!!!」

 

俺はそいつを殴った。

 

 

思いっきり、殴った。

 

 

自分の思いをぶつける様に

 

 

この世界に反抗するように

 

 

 

 

 

 

 




どうだったでしょうか。
多分、元の作品を読んだことのある方はこう思ったはずです。

「ほとんど変わってなくね?」と、

ま、僕の文章力が上がってないのが悪いんですが。

では、また次回!


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鼠との再開

実に約半年ぶりの更新です・・・
本当にすいませんでした。
新しい環境になかなか慣れずまったく書けませんでした。
そのためちょっと今回は文やキャラがひどい事になっているかもしれません。

それでもよければ、どうぞ。


このデスゲームが始まってから4日が経過した。

小耳に挟んだ情報によると自殺や引き際を間違ったような奴等でかなりの人数が死んだようだ。

俺も実際に人が死んだところ見たわけではないが、人が死んだことで周囲に撒き散らされたアイテムを見たことがある。

あの時は流石に堪えたものだ。

 

さて、大量に死人が出ている中、俺は何をしているかというと、

 

「セェアッ!」

「グキュルラ!?」

 

ダンジョンにこもっていた。

 

=====================

 

「ふぅ・・・」

 

モンスターを倒し、一息つく。

俺はこの三日間ずっと町に戻らずレベリングをしていた。

索敵スキルで周囲の敵を探し、敵が複数いたら隠蔽スキルでやり過ごし、一匹や二匹で行動しているモンスターをひたすら倒す。

それでもレベルはあまり上がらず、もう4日目だってのにまだレベル5――

 

「いや、レベル6か」

 

目の前にウインドウが表示され、SEが鳴る。

どうやら今の戦闘でレベルアップしたようだ。だとしても俺のレベルは低い。

これくらいβの時は2日もかからなかった。

本当に素手で戦うのは難しいし、時間がかかる。

俺はウインドウを閉じメインメニューを開く。

そして、俺にとっての武器であるガントレッドの耐久値や、アイテムの数を確認する。

・・・ポーションもパンものこり少ないな。

 

「一回町にいくか・・・」

 

そう呟いてから俺は階層マップを開き近くの町を探す。

このダンジョンに一番近いのは・・・

 

「ベーネルか」

 

俺は直ぐにウインドウを閉じてから索敵スキルや隠蔽スキルを使いながら、ベーネルと言う町に移動し始めた。

はあ・・・せめて食料だけでも現地調達できればいいんだが・・・

 

=====================

 

ベーネルと言う町は職人や商人の町だ。

ここにいる職人達は第一層の他の職人達よりも熟練度が高いし、ここにいる商人達は他の商人達が売っていない様なものを売ってくれる。

まあ、たまにバカみたいに高い値段のアイテムを売ってくるぼったくり商人や、たまには良い剣を作るけどそれ以外はクソみたいな武器しか作らない鍛冶屋とかもいたりするのだが。

 

「さて、何を最初にするかな」

 

町の中を歩きながら呟く。

最初はやはりアイテムの補充だろうか。

でも買いすぎてガントレッドのメンテ出来なかったらヤバイし・・・

そう、頭を悩ませながら町を歩いていると、

 

「・・・?」

 

不意に違和感を感じた。

なんというか、こう、敵意とか殺気とかじゃなく、なんか見られているような、

そんな違和感を。

俺は索敵スキルを使い周りを探る。

すると、

 

「・・・居た」

 

策敵スキルが近くにプレイヤーがいることを教えてくれる。場所は教会のような建物の影。

 

「そこのあんた、町中でなんで隠蔽スキルなんて使ってるんだ?」

 

少し高圧的に隠れているプレイヤーに話かける。

隠れていたプレイヤーは隠蔽スキルを解き、姿を現した。

 

「・・・へぇ、オレっちの隠蔽スキルを見破るなんテ、かなりの策敵スキルだナ」

 

現れたのはローブを身に纏った女性プレイヤーだった。ローブのせいで顔は見えないが声から察するに、俺と同い年か少し上くらいの年だろう。

 

「俺としては、今まで俺の策敵スキルに引っ掛からなかった事が驚きなんだが」

 

俺の策敵スキルは間違いなく全プレイヤーの中でも1、2を争うくらい高いはず。それなのに意識してないとはいえまったく引っ掛からなかったんだ、奴はかなり隠蔽スキルが高いのだろう。

 

「それより、俺になんの様だ?さっきからずっと俺のことを観察しやがって」

「ただ短ニ、素手でフィールドから戻ってきたあんたに興味があるだけダ」

「・・・」

 

どうやら相手は俺自身に興味がある様だ。

・・・まあ、武器も持たずにフィールドから町に来たとなりゃあ興味もわくか。

 

「分かった。なら取り敢えず場所変えようぜ」

 

俺に興味があるんだろう?と付け足してから俺は歩き始める。ローブの女はそれに黙って付いてきた

にしても、なんかこいつのしゃべり方誰かに似てるような・・・?

 

===================

 

 

「さて、何が知りたいんだ?」

 

ここはとあるレストラン。周りはまったく人はいなく、こうゆう話にはもってこいの場所だった。

 

「いざそういわれるト、何を聞けばいいか困るナ」

 

案外相手は知りたいことが具体的に決まっていないようだった。

仕方ない。

 

「俺は名はシン。武器は何故か持てなくて、攻撃スキルも使えないから素手で戦っている。年は13、血液型はB型、他に知りたいことは?」

 

自分から情報を流す。こうでもしないと話が進まないからな。

この情報に相手は目を見開いて驚いていた。

 

「まさかとは思っていたガ、本当にシン坊だったのカ・・・」

 

そんな事を呟いてる。

って、

 

「シン坊って・・・まさかお前アルゴか!?」

「ああ、そうダ。正真正銘アルゴお姉さんだゾ?」

「どうりで聞いたことのあるしゃべり方な訳だ・・・」

 

まさか情報屋としてβ時代に有名だったアルゴにこんな早く会えるとは運がいい。

アルゴの顔をよくみると『鼠のアルゴ』と言われる由縁である鼠のヒゲのようなペイントがあった。

 

「にしてもまさカ、シン坊があの噂の正体とはナ。流石のオレっちも驚きだヨ」

「噂?」

 

なんだ?噂って。

 

「ああ、なんでモ、『武器を持たず、素手でフィールドを練り歩くバカがいる』っナ」

「バカは余計だ、バカは」

 

知らないうちに俺は有名人になっていたらしい。嬉しいのか悲しいのか・・・

にしても本当に会えてラッキーだ・・・。これでしばらくは情報面に関しては困らない。

 

「ところでシン坊」

「なんだ?」

「武器と攻撃スキルが使えないってのワ、どうゆうことダ?」

 

・・・思えば説明してなかったな。

 

「何故かは分からないが、武器は装備できず、スキルは修得出来ない。ただそれだけだ」

「『それだけ』ってレベルじゃないと思うゾ・・・」

 

アルゴが俺の台詞に呆れている。

珍しい。

 

「とゆうカ、なんなんダ?そのバク」

「・・・俺はこれはただのバクじゃないと思う」

「・・・どうゆうことダ?」

 

俺の言葉にアルゴが食いついた。

 

「このSAOってゆうゲームはさ、初のVRMMOだとか、ソードスキルとかそんな表面的なとこだけ話題になっていたが、実は他にも凄い点はたくさんあるんだ。例えばそうだな・・・アルゴ、SAOを買うときなんか思わなかったか?」

「特には無かったナ。強いて上げるなら値段が意外に安かったことカ?」

 

アルゴはそう答えた。

そしてその答えは俺が欲しかった答えだった。

 

「そう、このゲームは異様に安いんだよ。MMO最大級の大型サーバーの維持費、開発費その他諸々を入れてあの安さは異様だ。で、その理由何だか分かるか?」

「確か・・・独自のデバッグシステムによる人件費の削減、だったカ?」

「正解。で、その独自のデバッグシステムの一つに他のデータを確認しそれを逆算するなりそのままのデータを使うなりしてバクを修正するものがある」

「・・・なるほどナ。それなラ、すぐにでもバグは修正されるはずダ」

「だが、そうならない。つまり、これがバグでなく意図的にされたものの可能性が高いってことだ」

 

あくまで可能性だけどな、と付け足しておく。

 

その後、少し情報交換(と言うなのネタ提供)をした。

なんかこっちからも聞き出したいな・・・

あ、そういえば

 

「なあ、アルゴ」

「なんダ?」

「どうにかして食料を現地調達する方法って知らないか?」

 

俺はついさっき思っていたことを聞いてみた。

 

「あー・・・それは、300コルってとこだナ」

 

流石アルゴ。情報より先に値段を言うとは。なんとゆう商売根性。

 

「マ、今回はタダにしておくヨ」

「え、マジで?」

「マジ」

 

予想外過ぎることをあのアルゴが言ってきた。

どうしたんだこいつ・・・

 

「で、その情報はどんななんだ?」

 

アルゴに聞く。するとアルゴは何かを思い出すようにしながら答えた。

 

「あー、この町のある道具屋に調理スキルを取った状態で行くんダ。そこのクエストを受けるト、携帯調理器具が手に入ル。あと、確か熟練度が30以下じゃないとクエストが受けれないから気を付けロ」

 

なるほど。30以下か。ならさっき空いた新しいスキルロットに入れれば大丈夫だろう。

 

「ありがとな、アルゴ」

 

そう言ってから俺は道具屋にいこうとする。が、

 

「・・・なんでこんなこと聞いタ?」

 

アルゴが俺にそう言ってきた。

 

「・・・生き残るためだよ」

 

そう言って俺は店を出た。




・・・ひどいですね、今回。
なんかやっつけ感がかくしきれないとゆうか・・・
アルゴもなんか違和感バリバリですし。
多分この話は後々修正します。

後、しばらくは更新が遅いと思うのでご了承ください。
では

追記
まさかこんな早く修正するとはしかもかなりの量を本当にすみませんでした


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