ハイスクールBROLY (JOJI)
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プロローグ

久しぶりの投稿です


世界は歪である。

 

「ベジータ王! ブロリーを飛ばし子にするのは本当ですか!?」

 

「…そうだ。」

 

複数の世界が並行して存在し、創造され消えてゆく

 

「馬鹿な!飛ばし子は戦闘力の低いものがなるはず!ブロリーの戦闘力はエリートの戦士も上回っている!飛ばし子になるはずが無い!」

 

「…お前の息子は戦闘力が高すぎる。危険故に飛ばし子にした。」

 

複数存在する故に、時に混じる事がある。時空が歪み、別の世界と繋がりを持つことがある。しかし、時空の歪みとは小規模であり、場所も時には星に、時には宇宙に生じる

 

「嘘だな!俺の息子の戦闘力はあなたの戦闘力を大きく上回っている!故に、俺の息子に嫉妬して飛ばし子にしたのだ!違うか!?」

 

「…なんだと?」

 

「お前は自分の息子に王位を継がせたく、自分の息子より戦闘力の高い俺の息子の存在が邪魔となり、抹消するために…飛ばし子にしたのだ!」

 

「…ふん、殺さなかっただけでもありがたく思うんだな。」

 

「なんだと!?」

 

自分の息子を飛ばし子にされて怒るパラガスはベジータ王に掴みかかろうとする。しかし、側近のサイヤ人に捕え抑えられる。

 

「飛ばし子にするのをやめろベジータ王!」

 

「ふん、無駄だ。既に準備は整い、もうすぐ飛ぶ。」

 

「なに!? くっ!」

 

パラガスは抑えるサイヤ人を払い飛ばして飛び出す。ステンドグラスをぶち破って飛行場へと急ぐ。そこでパラガスはひとつのPODが飛び立って行くのを目撃する。

 

「くそ!」

 

パラガスは急いで近場にいた非戦闘員を掴みあげる

 

「おい!今飛んだPODは誰が乗っている!」

 

「え!?な、なんですか!?」

 

「今飛んだPODは誰が乗っていると聞いているんだ!」

 

「ひぃ!? と、飛ばし子です!ブロリーとかいう名前の…」

 

「ちっ!」

 

パラガスは舌を打ちながら急いで近くの宇宙船に乗り込む。制止の声を浴びながら、パラガスはその一切を無視してブロリーのPODを追って飛び立った。

 

「…いた!」

 

故に

 

「ん?」

 

時空の歪みに巻き込まれるのは不可能であり

 

巻き込まれたとしたら、それは

 

「…きえ…た?」

 

奇跡だろう

 

 

 

 

 

 

 

 

先程、私が住んでいる神社の林に何かが墜落した。それは丸い形の物体であった。

 

そして、その物体の中心が開いていき、中から何かが出てくる。その子は変わった服を着た小さい子供だった。

 

何かを求めるように手を伸ばしている姿を見て私は咄嗟に駆け出してその子に近づいた。その子の前にしゃがみこんで声をかけた

 

その子は怯えたように私を見たが、私が微笑んで大丈夫と声をかけると、その子は首を傾げたあとお腹から可愛い音を鳴らした。

 

 

 




短いけど、次回から長くなるかも知れません。最初、悟空をクロスオーバーさせようかと思いましたが、サイヤ人の未来を託して逝ったバーダックさんが可哀想なので、特に何も託されていないブロリーにしました。オリ主は苦手なので…。


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第1話 かのじょってなんだァ?

書き上がったので投稿します


朝、スズメがチュンチュンと鳴き、日差しが部屋へと当たり始める。部屋の隅の布団がモゾモゾと動きだし、2mはあろう巨体の男が起き上がった。その男は小さく欠伸をした後、布団を丁寧に畳んで襖にしまう。そして、寝間着を脱ぎ始めた。寝間着を脱いだその体はボディービルダーをも唸らせる程に鍛え抜かれた身体をしており、名のある筋肉フェチもこの筋肉にはイチコロだろう。

 

その男は駒王学園の制服を取り出して着替え始めた。なんと、この男この体で高校生である。そして、着替えが終わったその男はまだ幼さが残るあどけない顔で欠伸をしながら部屋を後にする。向かったのは居間だ、そこには既に2人の女性がキッチンに立っており食事の準備をしていた。

 

「あ、朱乃。醤油を取ってくれないかしら?」

 

「はい」

 

「ありがとう。あら? おはよう翠光(すいこう)

 

「おはよう、お母さん」

 

「あら、おはよう翠光。もうすぐ朝ごはんの準備ができるわ。座ってて」

 

「うん、姉さんもおはよう。」

 

姉に言われて机の前に座った彼の名前は、姫島 翠光(ひめじま すいこう)。この家族の長男である。そして、翠光の前にはこれでもかと言うほどのおかずの数々が置かれ、最後に山のように盛り付けたご飯が置かれる。驚かれると思うが、全部翠光用である。

 

そして、朝からボリュームたっぷりのその朝ごはんを笑顔で持ってきたのは腰まであるポニーテールが特徴の翠光の姉、姫島 朱乃。そして、姉と自分用の朝ごはんを持ってきたのは彼女らの母、姫島朱璃(あかり)である。姉と同じくポニーテールだが、彼女は首まで伸ばしている。ちなみに、朱乃と朱璃のご飯はごく普通の量である。

 

「さぁ、頂きましょう。」

 

「うん」

 

「「「いただきます」」」

 

そして、翠光はガツガツと勢いよくご飯をおかずと共にかき込んでいく。ちゃんと噛んでいるのか疑問に思う程の速度でおかずとご飯が翠光の胃の中へと消えていく。

 

「翠光、お代わりあるからね。」

 

「お代わり」

 

そして、10分もしない内に用意した料理達は全て翠光の腹の中に収まった。朱璃が微笑みながら皿を片付けていく。翠光も皿を一緒に持っていく。そのまま洗うのを手伝おうとしたが朱璃に止められる。

 

「大丈夫よ、翠光。ありがとう」

 

「あ、うん。」

 

朱璃が翠光を止めたのは、翠光の有り余る握力だと皿を洗っている最中に割ってしまうからだ。

 

「あら、そういえば翠光。部活の助っ人を頼まれてなかったかしら?」

 

「あ。」

 

朱乃がご飯を食べている最中に思い出して翠光にそう声をかける。

 

翠光の通う駒王学園は、少し前まで女子校だったため男子生徒が少なく、それで男子の部活だと部員が足りず、翠光の身体能力を頼りによく助っ人を頼まれるのだ。今日は野球部である。

時計を見ると朝練が始まるまで数分である。翠光は急いで鞄を持って玄関まで向かってドアに手を掛ける。

 

「行ってきます!」

 

「「行ってらっしゃい」」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、おっぱい揉みて〜」

「「分かる」」

 

芝生に横になりながらそう言葉を漏らすのは兵藤一誠。つんつん頭がトレードマークの男の子。その横に坊主の松田、メガネの元浜が共に横になっていた。彼らはこの元女子学園である駒王学園に(彼女)希望(エロ)を求めて入学した男たちである。

 

しかし、その甲斐虚しく。彼らのところ構わずエロい会話をする、学園で堂々とエログッズを貸し借りする、覗きをするなど、本当にモテようと思ってきたのかと疑問に思うような数々の問題を起こして、2年生になる頃には学園では変態3人組と呼ばれ、悪名高くなってしまっていた。

 

「彼女ほし〜。」

「「分かる」」

 

「なんで、俺たちモテないんだろうな?」

「ああ、永遠の疑問だ。」

「Yah〇o知〇袋にも未だに回答がない、謎である。」

 

顔とルックスと性格のせいであろう。知恵袋も投げ出す周知の事実である。

 

「あー、リアス先輩のおっぱい揉みてー」

「あの胸の中に埋もれたい」

「胸の中でhshsしたい」

 

「朱乃先輩のおっぱいを見たい」

「あのおっぱいで高校生ってやばいよな。」

「それ言ったら、リアス先輩もヤバいだろ」

「姉さんがどうかしたのか?」

 

「「「へァ!?」」」

 

突然、音もなく現れた巨体に飛び起きる変態3人組。その巨体の正体は翠光だった。朝練のあとなのか体操服を着ており、少し汗をかいている。

 

「な、なんだよ翠光か。驚かせんなよな。」

 

「ご、ごめん。おはよう、イッセー、松田、元浜。」

 

変態3人組のリアクションに逆に驚いてしまう翠光。

 

「なぁなぁ、翠光」

 

「ん?」

 

「お前ってさ、朱乃先輩の弟なんだしさ…」

 

「その、朱乃先輩のおっぱいって見たことあるか?」

 

「!?」

 

突然の質問にたじろぐ翠光。その時、彼の脳内では様々な出来事がフラッシュバックする。ネグリジェという寝間着を着て胸を密着させられたり、背中を流すと称して風呂場に突撃されたり、全裸で添い寝されたりという思春期男子にとって宜しくない出来事が蘇ってくる。

 

翠光は咄嗟に赤くなる顔を体ごと逸らす。

 

「ご、ごめん。急ぎの用事があるから行ってくる。」

 

「あ、おい!」

 

そして、ウ〇イン・ボルトもびっくりな速度でその場から逃げ出した翠光。

 

「あの反応、絶対見てるな。」

「ああ、間違いない。あいつウブで顔に出やすいからな。」

 

「くぅー〜! 羨ましいぜ全くよう! あんな美人なお姉さん持っておっぱいも見たなんて!」

 

「言うな、虚しくなる。」

 

そして、血の涙を流しながら地面を叩く一誠、膝を屈する松田、倒れ伏す元浜だった。

 

 

 

 

 

次の日、部活の助っ人も無く普通に学園に向かっていた翠光。姉である朱乃は部活で早めに家を出てしまい1人での登校である。向かっている途中で、松田と元浜が一緒に歩いているのを見かけた。

 

「おはよう、松田、元浜。」

 

「よう! 翠光。」

 

「これから、コンビニに寄ろうと思ってたのだが、翠光も来るか?」

 

翠光はポケットの財布の存在を確かめる。そして、たまには寄り道もいいだろうと思い、元浜達の誘いに乗った。

 

「お? あれイッセーじゃね?」

 

「ああ、本当だ。ん? なんか女の子連れてないか?」

 

「まさか? 偶然隣辺りに並んでるだけだろ?」

 

「…」

 

翠光は一誠の隣を歩いている女性を見て違和感を感じた。人間のように見えて人間ではないような感覚を覚えたのだ。雰囲気が、彼の"父"に似ているのだ。

 

「よう! 翠光! 松田と元浜も!」

 

そして、一誠は翠光達の元にたどり着くと妙に浮ついた様子で挨拶をしてきた。そして、彼の隣には件の女の子が並んで立っていた。

 

「おはよう、イッセー」

 

「お、おい。イッセー、その子は?」

 

「なんで、お前と一緒にいるんだ?」

 

松田と元浜は震えた声でそう質問した。それもそうだろう、日頃からおっぱいやらモテないやらと嘆いていた男が急に上機嫌に女連れである。松田と元浜に嫌な予感か浮かび上がる。

 

「ま、まさか…」

「あ、有り得ねぇよな…?」

 

「ああ、この子か? 俺の"彼女"の夕麻ちゃんだ!」

 

「天野夕麻です!」

 

口を限界以上まで広げて固まる松田と元浜。それを他所に、翠光は自分も名乗ってお辞儀を返した。

 

「じゃ、俺たちは先に行くから!」

 

そう言ってそそくさと立ち去る一誠と夕麻と名乗った女の子。残された翠光は夕麻を観察する。見たところ普通の女の子に見えるが、やはり何かが違う気がする。

 

そして、彼らの姿が小さくなった頃に視線を松田達に戻すと彼らは何やら藁人形と釘を持ってブツブツ何かを唱えていた。

 

そっとしておこうと思い、自分も学園へ急いだ。その胸にひとつの疑問を持ちながら。

それはそうとして、翠光は思った。

 

("かのじょ"ってなんだァ?)

 

 

 

 




感想と評価をよろしくお願いいたします!


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第2話 かのじょってなんだァ? 2

書き上がったので投稿します。


あの日から数日間、一誠は彼女ができた事でえらく浮かれ、松田と元浜の覗きの誘いも「俺、彼女いるから」という川越シ〇フも凌駕する程のウザイドヤ顔をかましながら断りをいれる程である。これには親友である松田と元浜もニッコリと笑ってダブルラリアットをイッセーにぶち込んでいく。いいぞもっとやれ

 

一誠達とは1年の頃に同じクラスになり、一誠達のその気の良い雰囲気が翠光とウマが合い、エロ友にはならなかったが友達となった。2年になっても同じクラスになった。

翠光は松田と元浜が一誠をボコボコにしているのをしばらく傍観していたが、流石にやりすぎだと思ったので止に入っていった。

 

 

 

その日の晩、姫島宅にて。晩ご飯の最中に一誠に彼女ができたと、翠光が話題を出した。

 

「一誠君って、翠光のお友達よね。良かったわね〜。」

 

「学園では、あまりいい噂を聞きませんが、やる時はやるのですね。」

 

朱璃は息子の友達の朗報に素直に祝福し、朱乃はいい噂を一切聞かない一誠に感心した。

 

「実は、イッセーのかのじょから変な感じがしたんだ。」

 

「え?」

 

「ちゃんと顔が笑ってるのに、笑ってない。目が冷たくて、イッセーを見てない。なんだか、不気味だったんだ。」

 

「…まぁ」

 

「…一誠君、心を強く持ってください。」

 

一誠の彼女が一誠と好きで付き合っていないと、翠光の話で察した2人は、そっと一誠の武運を祈った。少し、重たい空気が流れた食卓に翠光は首を傾げたが、続けて2人に質問をした。

 

「母さん、姉さん。付き合うって何?」

 

「「…え?」」

 

「イッセーの感じから凄く嬉しいことだってわかったけど、何が嬉しいのか分からないんだ。」

 

友達に彼女ができたと、嬉しげに話した翠光の口からまさか彼女とは何かと問われるとは思わなかった2人は少し驚く。

 

「あらあら、うふふ。そうね、好きな人と気持ちが通じあった状態かしら。」

 

翠光の質問に朱乃が翠光の隣に身を寄せて肩を密着させながら答える。突然の朱乃の行動に翠光は疑問に思ったが、朱乃の答えに「そーなのかー」と答えて興味を目の前の料理に移して箸を動かすのを再開した。

 

翠光のつれない行動に少しむくれる朱乃だが、母の咳払いで我に返り朱乃もご飯を食べるのを再開した。

 

 

 

 

 

数日後

 

翠光はいつものように学園に向かっていると、気分が悪そうに腹を抑えながら歩いている一誠を見かけた。

 

「おはよう、イッセー。大丈夫か、気分が悪そうに見えるが」

 

「あぁ、翠光か。いや、ちょっと悪い夢を見てな。その、夕麻ちゃんに腹をぶち抜かれる夢なんだ。」

 

「そ、そうか」

 

確かに、そんな夢を見たら気分も悪くなるように思えたが、それより別に翠光はイッセーに違和感を感じた。

 

「イッセー、何か雰囲気が変わったか?」

 

「え? いや、そんなことはないと思うけど…。」

 

「…そうか」

 

翠光は気の所為かと思い、そのまま妙に日差しを避ける一誠と共に学園へと向かった。

 

 

 

学園の昼休みに翠光は教室で一誠達と共に昼食を取っていた。翠光は当然のように重箱五段の弁当。ご飯に2段、おかずに3段使っている。これでも腹八分目もないが、流石にこれ以上だと食費で父の給料が全て吹き飛ぶことになるのでさすがに抑える。

 

一誠達は1年の頃は翠光のその大食いっぷりに目を向いていたが、流石に毎日のように見ているとなると流石に慣れてしまった。

 

「実は、昨日夕麻ちゃんとデートしてさ!」

 

一誠がそう話を切り出してきた。一誠が数日前にデートの約束をしたと自慢して、松田と元浜からの嫉妬のダブルビンタをされていたのを翠光は今でも覚えている。朱乃からデートとは彼女と一緒にお出かけする事と聞いていたのを思い出す。

 

しかし、松田と元浜から意外な返事が帰ってきた。

 

「は? 夕麻ちゃんて誰だよ?」

 

「え?」

 

「そんな子、聞いたことないぞ。」

 

なんと、2人は一誠の彼女の事を覚えてないそうだ。流石にこれには翠光も困惑する。ここ数日間、一誠の惚気話を耳にたこができるくらい聞いていた松田と元浜が忘れるはずがないのだ。

 

「お、お前ら頭でも打ったのか?」

 

「それはこっちのセリフだよ」

「お前に彼女ができるわけないだろー」

 

「「HAHAHA!」」と、笑いながら返す2人に、冗談で言ってないことを悟る。

 

「な、夕麻ちゃんを本当に覚えてないのか!? ほら、この写真の…」

 

と、一誠は携帯を取り出して何かを探し始める。

 

「あれ? ない、夕麻ちゃんと撮った写真も、夕麻ちゃんのアドレスも消えてる…。」

 

震える声でそう口にする一誠。その時、一誠が何かに気づいたように廊下の方に視線を向けると、窓からこちらを覗いている赤髪の美女が目に入る。続いて翠光と松田と元浜が窓の方に向く。

 

何やら教室の外が騒がしいと思っていたら駒王学園の2代お姉様と人気のリアス・グレモリーが教室之前に立っていたのだ。ちなみにもう1人のお姉様は朱乃である。

 

「り、リアス先輩だ…。」

 

「いつ見ても可憐だ…。」

 

リアスは一誠と翠光と目を合わせると、立ち去ってしまう。立ち去る前に少し微笑んだ気がした。

 

「やっぱいつ見ても美人だよなぁ〜。」

 

「うむ、あの近寄り難い気品がいかんともなんとも…」

 

松田と元浜はリアスを見た感想を口にしながらにやけ始める。それとは別に一誠は顔を赤らめて呆然としている。翠光はとくになんとも思わない、それもそうである。朱乃と友人であるリアスはよく家に遊びに来るので見慣れているのだ。

 

「…お前、エロい事ばっか考えすぎて頭おかしくなったんじゃないのか?」

 

「な、お前と一緒にするな! 俺は確かに…」

 

「まぁまぁ、ここは1つ俺ん家に寄れ。そこで俺の秘蔵コレクションを見せてやる!」

 

と、松田が名案とでも言うかのように励まそうとそう提案する。しかし、誘いに乗った一誠だが、依然と暗い表情のままだった。

 

ちなみに、翠光もどうだと誘われたが、丁重にお断りした。

 

 

 

 

その日の夕暮れごろ、翠光は朱璃に食材の買い出しを頼まれてスーパーまでお使いしに行った。そして、その帰り道に公園を通り過ぎる時

 

「ん? イッセーの声?」

 

公園から一誠の声が聞こえたのだ。それも、すごく切羽詰まった声で震えているように聞こえた。何か、嫌な予感がした翠光は荷物をその場において急いで声のした方へ走り出した。公園に入る瞬間に何かにぶつかった気がしたが、気にせず音を置き去りにするほどの速度でその場へと向かう。

 

「ッ!?」

 

その場で目にしたのは、帽子を深く被った背中から黒い翼を生やした男に一誠が光る槍で貫ぬかれている姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




前回で書き忘れた一誠達と翠光の友達になった大まかな経歴を書きましたが、かなり無理矢理感がある気がする。
彼女いない歴イコール年齢の私には、彼女伝々の話は厳しいものがあった。
感想と評価のほどよろしくお願いいたします!


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第3話 許さない

最初だけ、一人称視点に挑戦してみました。
あと、キャラ崩壊注意です。


イッセー視点

 

「…カハッ」

 

「フッ」

 

なんだってんだよ。俺が何したっていうんだ…。今日、朝から凄くだるい体を引きずって学校に行ったら、昼休みに松田と元浜が夕麻ちゃんのことを覚えてないって言われて、夕麻ちゃんのアドレスも写真も消えていて、何が何だか分からなくなった。

夕暮れ辺りになって、偶然通りかかった公園の噴水で考え事をしていたら、変な男が現れた。

 

そいつは意味のわからないことを言い出して、急に襲いかかってきた。逃げ出そうとしたけどら恐怖で体が言うことを聞かず、男が投げた槍が俺の腹を貫いた。あの夢のように…、

 

「ぅ…くそぉ」

 

痛い痛い痛い痛い痛い痛い!! 腹が内側から焼けてるみたいだ!

 

そして、俺を貫いていた槍は消えるように俺の腹から出ていき、またあの男の手元に戻っていた。そして、俺は体に力が入らなくなりそのまま後ろへ倒れるかと思ったが、誰かに受け止められた。

 

「イッセーッ!!」

 

「す…ぃこう?」

 

翠光だ。1年の頃に知り合った友人だ。2m位の巨体に、スポーツも勉強も得意なちょっと世間知らずなところがある変なやつだ。

ダメだ、いくら翠光のとんでもスペックでもあの変な男は危険だ。逃がさないと

 

「ぅ…げ…」

 

ダメだ、上手く口が回らない。

 

「人間? 何故ここに…ここ一帯には結界を張ったはず…。まぁ、いい。これを見られたからには貴様にも死んでもらうぞ。」

 

ダメだ、あいつがなんか言ってる。このままじゃ翠光も殺されてしまう。

 

「許さない…」

 

その時、俺の傷口を布で抑える翠光から、とんでもないオーラが見えた気がした。

 

 

 

 

 

 

男が一誠を光る槍で貫いている。その光景を見た時、翠光の頭は真っ白になった。しかし、一誠が倒れそうになった時すぐさま駆け寄り一誠を抱きとめる。

 

「イッセー!!」

 

「す…ぃこう?」

 

一誠が痛みと苦痛で顔を歪めながら翠光の名を口にした。翠光は急いで自分の着ていた白いTシャツを脱ぎ破り、一誠の傷口に押し当てる。白いTシャツは一瞬に真っ赤に染まり、その傷の深刻さを物語る。

 

翠光は目の前が真っ暗になりそうだった。目の前で大切な友人が死にそうになっている。血で大地を濡らし、苦痛の声を上げ、痛みで顔を歪めている。

 

翠光は既に一誠を殺そうとしている男の声などもはや聞いていなかった。その心を染め上げるのは、怒り、悲しみ、そして

 

許さない

 

瞬間、翠光の内側から莫大なエネルギーが放出された。薄い緑色にも見えるそのエネルギーは真っ直ぐ帽子の男を飲み込もうと迫ってゆく。しかし、そのエネルギーは帽子の男に届く前に間に入った謎の仮面の男が放ったエネルギーと相殺し合って消えてしまう。

 

「な、なんだ今のは!?」

 

帽子の男が先程の攻防に狼狽えている隙に、気絶した一誠を地面に寝かせて一誠の盾になるように前に立つ翠光。翠光は帽子の男と先程の攻撃を止めた仮面の男を睨みつける。

 

「ゥゥゥウウウウッ!!」

 

翠光は目を金色に光らせ、身体中からエネルギーを放出し男たちに突撃する。翠光は真っ先に一誠を刺した帽子の男へ殴り掛かるが、横から帽子の男を突き飛ばして仮面の男が翠光の拳を受け止める。しかし、翠光の勢いは無くならず木々を薙ぎ倒しながら突き進んでいく。

 

「…ッ!」

 

翠光の拳を腕をクロスにして受け止めた仮面の男は、数秒ほど背中に木々を折る感触を感じた後、翠光にパンチを振り切られる前に体を前に倒して離脱する。そして、勢いのまま翠光は地面を殴りつけた。その、衝撃は地面を大きく抉る。

 

「グァァァアアッ!!」

 

翠光は獣のように咆哮を上げ、またもや仮面の男に飛びかかった。しかし、仮面の男は冷静に翠光のパンチを避けて反撃に回し蹴りを放った。仮面の男が放った回し蹴りは翠光の頬に当たり、翠光は大きく仰け反る。

 

その隙に、仮面の男は翠光の体にラッシュを叩き込み、最後にエネルギー波を放った。仮面の男が放ったエネルギー波は翠光を飲み込み消えていった。

 

その場に大きな砂煙が巻き起こり、辺りにお生い茂っていたたくさんの木々は先の戦闘で姿を消していた。

 

「…」

 

仮面の男は用は済んだのか、歩き去ろうとする。しかし、

 

「ヌァッ!」

 

「…!?」

 

大きな砂煙は1つの咆哮とともに吹き飛ばされた。その、咆哮を上げたのは先程の攻撃をまともに受けたはずの翠光。身体中に傷が見当たるが、湧き上がる翠のオーラがそれを隠している。

 

「ウォォォオッ!!」

 

またも翠光は仮面の男に飛びかかる。そして、仮面の男は同じように翠光のパンチを躱そうとするが、ドンッと仮面の男の脇腹には翠光の蹴りが炸裂していた。

 

「…ッ」

 

分が悪いと感じたのか、距離を取ろうと計らう仮面の男だが、翠光はそれを許さず果敢に攻め立てる。先程の攻撃で骨が折れたのか仮面の男の動きは悪く、翠光の攻撃を何度も体に受けていく。

 

「ヌォアアアッ!!」

 

翠光は好機と見たのか、大振りで仮面の男に拳を振るった。しかし、仮面の男はその腕を横に流して一本背負いの要領で翠光を投げ飛ばした。

 

翠光はすぐさま体勢を立て直して向き直るが、その場所に仮面の男の姿がなかった。

 

「ドコニイッタァァァアアアッ!!」

 

翠光は咆哮とも取れる言葉を放ち飛び立とうとするが

 

「翠光ッ!」

 

その声を聞いて立ち止まった。声のした方へ振り返ると朱乃がこちらへ駆け寄って抱き着いてくる。

 

「大丈夫よ…落ち着いて…一誠君は無事よ…だから、落ち着いて…」

 

「…はぁ…イッセー…?」

 

翠光の体から湧き上がっていたオーラは徐々に落ち着いていき、翠光の瞳の色が黒へと戻っていく。それに伴い、翠光の体から力が抜けていき膝を着いてしまう。

 

「…ッ、イッセー…イッセーッ」

 

「大丈夫…大丈夫よ」

 

朱乃は翠光の頭を抱き寄せ、翠光は自分の無力さに涙を流した。朱乃はそんな翠光の頭を撫でてなだめ続けた。

 

 

 

「朱乃…翠光は?」

 

「ええ、大丈夫よ。疲れて寝ちゃったわ」

 

「…そう」

 

そのまま泣き疲れて寝てしまった翠光の頭を膝に預けながら、朱乃はリアスの質問に答える。

 

「…」

 

リアスは翠光と謎の仮面の男が戦った後の惨状を見渡す。木々がなぎ倒され、地面には数々のクレーターができている。

 

「リアス…」

 

「なに? 朱乃…」

 

「私ね…怖くて動けなかった。」

 

朱乃が俯いたまま翠光の頭を撫でながら言葉を漏らす。

 

「あの男と翠光が戦ってるのを見て、助けなきゃって思ったの…。でも、体が動かなかったの。なんでだと思う?」

 

朱乃は翠光の頭を撫でながら、リアスに聞いた。リアスはその質問に答えられなかった。

 

「翠光が…怖かったのよ…。お姉ちゃんなのに、弟が怖くて助けられなかったの!」

 

朱乃は泣いていた。自分が惨めに見えて仕方なさそうにしていた。いつもの頼りになる女王の姿はそこになく、思い悩む1人の少女がそこにいた。

 

リアスはその悩みをどうにかできない自分を不甲斐ないと思い。そっと朱乃を抱き寄せた。

 

 

 

 




難産だった。無計画故に4話目で躓く愚か者はここです。やはり自分には創作力が無いようだ。多分そのうち失踪する(予言)

感想と評価のほどよろしくお願いいたします!


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第4話 悪魔と翠光

続きが思い浮かばなかったので放置してしまったけれど、感想が予想以上に来たので頭を捻って4話だけリメイクとして続きを書き足しました。

今年もこちらをよろしくお願いします!


その日の朝、一誠は人生で1番幸せであった。

 

目が覚めたらなんとあの駒王学園のお姉様であるリアス・グレモリーと共に真っ裸で横になっていたのだ。横に眠る全裸の美女と全裸のイッセー、何も起こっていないはずもなく…ということはなく。

 

その後のリアスの説明により本番には至ってないことを知って、嬉しいような残念のような気持ちを抱いたが、生着替えを目の前で見れたことにより直ぐにテンションはうなぎ登りである。

その後、その姿を親に見られたりしてトラブルがあったが、リアスの説得のようなもので切り抜けて、今こうしてリアスと共に学園へ登校している。

 

イッセーは横目ですぐ隣で、歩く度に形を揺らす2つの果実を凝視する。ムフっと気持ちの悪い声を漏らしながら至福のひと時を過ごしながら登校する。もちろんリアスはイッセーのそんな視線に気づいていたが、あえて気付かないふりをしていた。

 

そして、とうとう学園の前まで着いて周りの視線が自分たちに注目する。当然である。駒王学園のお姉様と名高いリアス・グレモリーが駒王学園の変態と名高いイッセー共に登校してきたのだ。注目しない方が無理な話である。

 

「そそそそんな!? リアス先輩が一誠と!?」

「あああありえねぇ! そんなことあってたまるか!?」

「拙者はもう生きていけないでござる…」

「あぁ…この世の終わりだわ…」

 

様々な生徒が絶望と驚愕という感情に埋め尽くされ、全生徒が膝を着いた。その絵はまさに阿鼻叫喚である。流石のリアスとイッセーもその様子に少し引いた。

 

「ん?」

 

すると、前方から何かが凄まじいスピードで迫ってきているのが見えた。壮大な砂煙をあげ、進路上にある物をスルスルと器用に避けながら向かってくる。

 

「ウォォォオッ!!イッセェェエッ!!」

 

その正体は翠光だった。何故か悪魔のような血相をしながらイッセーに向かって突撃してくる。その姿を見て呆然としたイッセーだったが、その勢いを見て慌て始める。

 

「え? いや、ちょちょちょちょおまっrsふぉッ!?」

 

しかし、慌てるには遅すぎたか。翠光は何故かさらにスピードを上げてイッセーに向かってきた。翠光はイッセーの肩をガッと掴み勢いのままズドンッと大きな音を立てて門の壁に激突した。

 

「イッセー! 生きているのか!怪我はないか!?」

 

「ぐほ、カハッ、お、お前のせいで今死にそうだよ…」

 

イッセーを壁ドンした翠光はイッセーの全身を隈無くまさぐり怪我がないかを確認し始める。

 

「ちょ、待て翠光! 俺はそんな趣味はねぇ!! 離せ離せ!」

 

その言葉でハッと気づいたのか、翠光は直ぐにイッセーから手を離してごめんと謝った。

 

「ふふ、本当に仲がいいのね。」

 

その一部始終を見ていたリアスがそう声をかける。その言葉を聞いてイッセーはどちらかと言うと襲われているようにしか見えなかったのではと思ったが、口には出さなかった。

 

そして、リアスとイッセーと翠光は世間話をしながら学園の中にはいる。

 

「それじゃイッセー、放課後に迎えを寄越すから放課後空けといてね」

 

「は、はい!」

 

じゃあねと去り際にウィンクをして、イッセーの胸を見事に穿ってからリアスが去っていく。うへへへと気持ち悪い笑い声を上げるイッセーの背後に殺気を放って襲いかかる2人の影。

 

「うぉぉりやぁぁ!!」

「死ねぇぇイッセーッ!!」

 

そして、そんな殺気に気づかなかった一誠の背中に襲いかかった松田と元浜の飛び蹴りが襲った。

 

「ぐほぉ!?」

 

「こいつは殺さないとダメだァァァ!」

「コロスッ!コロスッ!コロスッ!!」

 

衝撃でうつ伏せになったイッセーに血の涙を流して凄まじい血相をした2人が追い打ちでイッセーに何度も蹴りつける。その凄まじい光景に流石の翠光も呆然としたが、慌てて止めに入った。

 

 

 

 

 

そして放課後

 

イッセーはあの後から必要に嫌がらせや舌打ちの嵐に合いながらも、なんとか無事に放課後を迎え、イッセーと翠光はリアスの言う迎えを待っていると教室の外が騒がしくなったのを感じた。

 

「なんだ? 騒がしいな」

 

一誠はリアスの迎えが来たのかなと教室の扉を見つめていると、ガチャと扉を開けて入ってきたのは金髪のイケメンであった。

 

「げっ、木場だ…」

 

入って来たのは木場祐斗という駒王学園の王子様と持て囃されているイケメン王子である。その木場が教室を見渡すとイッセーと偶然目が合う。

 

「あ、いたいた。君が一誠君だね。リアス部長の使いで来たよ。」

 

「えー、よりにもよって木場かよ…」

 

一誠はものすごく嫌そうな目で木場を見ながら若干距離をとる。一誠はイケメンが嫌いなのである。木場はそんな一誠の様子に首を傾げたあと、翠光の方へ視線を向ける。

 

「翠光君も来てね」

 

「はい」

 

と、翠光が返事をして頷いていると周りの女子生徒が騒ぎ出した。

 

「キャー!木場君と翠光君のツーショットよ!」

「良い!良いわ!」

「身長差(♂)カップル!悪くない!」

 

途端に騒ぎ始めた(腐)女子達。

 

「おい!俺もいるんだけど!?」

 

「邪魔よイッセー!2人のツーショットが汚れるじゃない!」

「あっちへ行って!」

「このチカン!」

 

「なんでさ!?」

 

「AHAHA!なんだか、騒がしくなっちゃったね」

 

「誰のせいだ!誰の!? ほらさっさとリアス先輩の所に案内しろよオラ!あくしろよ!!」

 

何故かブチギレているイッセーが木場の背中を押して出て行き、その後を翠光もついて行った。

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、俺は悪魔になったって事っすか!?」

 

「そういう事ね」

 

イッセーは自分が1度死んで悪魔になった事や彼女であった天野夕麻が堕天使であった事を説明された。そして、夕麻の目的がイッセーを殺す事やイッセーには神器が宿っておる事も説明された。

 

神器(セイクリッド・ギア)とは稀に人間に宿る規格外な力である。時には悪魔や堕天使を脅かす程の力を持ったものもある。

 

イッセーはまだ覚醒しておらず、この場で覚醒させようとしたが上手くいかなかったようだ。

 

イッセーはふと気になって翠光を見た。

 

「そういえば、お前も悪魔なのか? 姫島先輩も悪魔みたいだし」

 

「いや、違う」

 

「え?」

 

翠光は悪魔ではなく人間であった。その説明が朱乃の口から語られる。

 

「翠光は悪魔になれなかったのですわ」

 

「悪魔になれなかった?」

 

「ええ…以前、私が転生させようとしたのだけれど駒が反応しなかったの。」

 

「え、なんですか?」

 

「おそらく、翠光の潜在能力が大きすぎるからだと思うわ」

 

「潜在能力?」

 

「ええ、悪魔に転生させる人間の潜在能力が高ければ高いほど駒を多く消費してしまうの。そして、私の力を大きく上回る力を持つ人は転生させる事はできない。」

 

「ま、マジすか。という事は、翠光ってリアス先輩より強いって事っすか?」

 

「そうなるわね」

 

「えええ!?」

 

その後、イッセーは悪魔の初仕事のため部室に残り、翠光は普通の人間のため家に帰宅した。

 

 

 

 




感想と評価をよろしくお願いします!

そして、前回からの沢山の感想をありがとうございます!


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第5話 シスターとはぐれ悪魔

詰め込んだら長くなってしまった。
あと、お待たせしてしまいすみません。前回の4話に追加でリアスの悪魔伝々のお話のやつを付け足したので気になる方は見返してみてください。

それではどうぞ


翠光はいつものように学校へ歩いていると日差しを避けながら歩いているイッセーを見かけた。

 

「おはよう、イッセー」

 

「ああ、おはよう翠光」

 

転生したての悪魔は朝に弱く日差しが苦手になる傾向にある。翠光の姉である朱乃も今のイッセーのようになりたての頃は朝は起きれず日差しを避けながら学校に通っていたのを思い出した。

 

しかし、今のイッセーは寝起きで元気がないようにも見えるが、また別の理由で足取りが重いような感じがした。

 

「何かあったのか?」

 

「あぁ、実は昨日の夜にまた堕天使に襲われたんだけど…」

 

「なにィ!?」

 

「ああ!いや、別に怪我とかはねぇんだ!土壇場で俺の神器が出て堕天使を追っ払ったんだよ!」

 

「そ、そうか!良かった」

 

翠光はイッセーに怪我は無いのかと掴みかかったが、イッセーが慌てて怪我はないと主張した。

 

「だけど、その後に部長に報告したら俺が生きてる事を堕天使に知られた事で不機嫌になってよぉ…」

 

「なるほど」

 

イッセーはリアス部長に好意を抱いている様子で、彼女が少し不機嫌になって落ち込んでいるようだ。

 

「大丈夫だと思うが」

 

「そうだといいけど…ああ、なんか学校に行きたくねぇなぁ」

 

そんな様子でトボトボ歩いているイッセーと共に学校に向かっていると「あうっ」と、すぐそこを歩いていた女の子が転んでしまったようだ。それも、派手に転んでロングスカートが捲れ上がってしまい純白のパンティが見えてしまっている。

 

「うっひょー!白だ、ホワイトだ!」

 

「大丈夫か?」

 

落ち込んだ様子から一転して盛り上がっているイッセーを後目に翠光は女の子に手を差し出してあげる

 

「あ、ありがとうございます。はぁ、なんで何も無いところで転んでしまうのでしょう…」

 

彼女のボヤキのいう通りで彼女が転んだところには本当に何も無い平面であった。翠光はとある友人(松田と元浜)にこういった人種をドジっ娘と聞いたことがある。そして、希少とも聞いた。

 

「あと、これ落としたぞ」

 

「あ!ありがとうございます!」

 

途中で拾った布を渡す。じゃ、とイッセーの所へ戻ろうとする。

 

「あのー、」

 

「?」

 

「道に迷って…困ってるんです…えへ」

 

 

 

 

 

 

翠光とイッセーは折角なので道に迷ってしまった彼女を目的地に案内することにした。

 

「えと、旅行?」

 

「いえ、この街の教会に赴任することになりまして」

 

「へぇーシスターなんだ、それでその格好…」

 

イッセーは彼女の服装のシスター服を見てそう言う。

 

「日本語、上手だな」

 

「はい!凄く勉強しました!ありがとうございます!」

 

ロシアから来たという彼女だが、外国人とは思えないほど日本語が上手で翠光は驚いていた。

 

「親切な方に逢えて良かった…これも主のお導きですね!」

 

「いやぁ、HAHAHA…」

 

イッセーが彼女から目を逸らしながらそう答える。詳しくは彼女の胸にある十字架のアクセサリーからだが、実を言うと翠光は少し彼女を警戒していた。シスターとは教会の関係者だ、つまり悪魔であるイッセーの敵であるのだ。とても敵になりそうには見えないが、能ある鷹は爪を隠すとも言うので翠光は一応警戒しながら彼女の隣を歩いていた。

 

すると、道端で小学生の男の子が膝を擦りむいて泣いているのを見かける。それを見かけた彼女は急いでその子の元へ向かってしまう。

 

「大丈夫?男の子がこんな怪我で泣いてはダメですよ」

 

と男の子に声をかけてその子の膝に手を翳すと緑色の光がその子の怪我を見る見るうちに治ってしまった。

 

「はい!もう大丈夫!」

 

「わぁ!ありがとうお姉ちゃん!」

 

その子はお礼を言って立ち上がって走り去っていった。そして、彼女はその様子を見届けてこちらへ戻ってくる。

 

「すみません、つい」

 

「お、おうぜんぜん!」

「大丈夫だ」

 

そして、また道案内を再開する翠光達。すると、イッセーが話を切り出した

 

「君、凄い力を持ってるんだね!」

 

「はい!神様から頂いた素晴らしい力なんです!…そう、素晴らしい…」

 

「?」

 

一瞬、彼女が暗い顔を見せたような気がした翠光だが、すぐに彼女は表情をいっぺんさせた

 

「あ!あれが教会ですね!」

 

「ああ、そうだ」

 

街の奥に森に隠れてぽつんと協会の屋根が見えた。

 

「案内してくれてありがとうございました!」

 

「ああ、うん。でも、あそこに人が入っていくの見たことないけど…」

 

「是非お礼がしたいので、ご一緒して頂いてもよろしいですか?」

 

「ああ、いや用事があるんで…」

 

「学校があるんだ」

 

「学校…そうですか。仕方ないですね…私はアーシア・アルジェントと言います。アーシアと呼んでください」

 

「俺は兵藤一誠。イッセーでいいよ」

 

「姫島翠光。翠光でいいぞ」

 

「日本に来てイッセーさんと翠光さんのような方に出会えて、私は幸せです」

 

「ああ、いやははは」

「…」

 

アーシアが大袈裟に褒められて翠光は頬をかいて照れる

 

「お時間があれば是非教会にいらしてください!約束ですよ!」

 

「ああ、うん。分かった」

 

「…約束だ」

 

 

 

 

 

 

「二度と教会に近づいては駄目よ」

 

イッセーが今朝あったことをリアスに話すとこのような返答が返ってきた。曰く、悪魔が教会に近づくだけで悪魔側と神側の問題になるそうだ。そして、翠光にも

 

「翠光も、悪魔ではないけれど関係者ではあるから一応近づいてはダメよ。」

 

と、注意されてしまった。翠光は心の中で約束してしまったアーシアに謝る。

 

「あ〜あ、俺部長に怒られてばっかだなぁ…」

 

「イッセー…」

 

部室で落ち込んでいるイッセーと翠光。その後ろから忍び寄る影が

 

「部長はあなた達を心配なさっているのですわ」

 

「うぉ!? 朱乃さん!?」

 

「姉さん?」

 

先程から姿が見えなかった朱乃だった。そして、リアスも扉を開けて部室に入ってきた

 

「あら朱乃。もう帰ったのかと思ったわ」

 

「…先程、大公から連絡が」

 

「大公から?」

 

「この街ではぐれ悪魔が見つかったそうですわ」

 

「「っ!」」

 

「はぐれ悪魔?」

 

 

 

 

 

 

はぐれ悪魔とは悪魔の下僕が主を裏切りまたは殺して主の元を去った悪魔のことである。そのはぐれ悪魔が好き勝手暴れていた場合、その街の主に討伐の依頼が舞い込んで来るのだ。

 

そして現在、翠光を含むリアス眷属が総出で件のはぐれ悪魔が潜んでいる廃墟に来ていた。ここには転移の魔法で来たのだが、その魔法には本来リアス眷属しか転移できないのだが翠光は余っていたリアスの戦車の駒を持っていることで転移することが出来た。

 

イッセーは現在リアスに悪魔の駒(イーヴィル・ピース)について説明を受けていた。

 

その時

 

「不味そうな匂いがするわぁ、でも美味しそうな匂いもするわぁ。甘いのかしら?苦いのかしら?」

 

そうセリフを吐いて影から現れたのはプルんとおっぱいを揺らして現れた上半身裸のお姉さん

 

「おっぱい!?」

 

ではなく、お姉さんの下半身痩せにあたる部分は醜悪な化け物のような姿をしていた。

 

「うっわぁ…」

 

「はぐれ悪魔バイザー!主の元から逃げ、その欲求を満たすために暴れる不逞の輩…その罪万死に値するわ!グレモリー公爵家の名において消し飛ばしてあげるッ!」

 

リアスが渾身の決め台詞を言い切ってドヤ顔でバイザーを指さす。その姿が癇に障ったのかバイザーがその巨体を持ち上げる。

 

「小癪な小娘が!貴様は食わずに消し飛ばしてやる!」

 

そして、リアス達の闘いが始まる。今回、イッセーに悪魔の戦い方を見てもらうためにリアス眷属のみで戦うため翠光はイッセーと共に見学である。すると、木場が斬り飛ばした二本の巨大な腕が動き出してリアスを襲いかかった

 

「っ!部長!」

 

咄嗟にイッセーが飛び出すが、その前にリアスの前に立ちはだかる女性がいた。

 

「部長には手出しはさせませんわ」

 

朱乃だった。朱乃はその手に持った刀を抜き放つ。

 

(イカヅチ)よ」

 

そう唱えた朱乃の刀に雷が迸る。そして、朱乃はその刀を向かってくる腕に向かって振り下ろした。

 

"雷切"

 

「ギャァァッ!?」

 

朱乃の技の威力に一瞬でバイザーの腕は消し飛び、射線上にいたバイザー本体にも絶大なダメージを与えた。

 

「あらあら、少し頑張りすぎたかしら」

 

「えぇ…朱乃さんつよ…」

 

「さすが姉さん」

 

「うふふ」

 

朱乃に向かって拍手する翠光に朱乃はピースサインで答え。そして、先程のダメージで瀕死となったバイザーに悠々と近づくリアス。

 

「さぁ、チェックメイトよ」

 

「くくくっ、なかなかの手腕ですなグレモリー公爵とやら」

 

「っ!?」

 

建物の奥から拍手が聞こえ、コツコツと足音を鳴らしながら影から現れたのは真っ青な肌色をした美男だった。

 

「あなた、何者!?」

 

「おっと、失礼。私の名はルシフェル…はぐれ悪魔です」

 

「はぐれ悪魔…」

 

「大公からは1人だけしか報告されていません」

 

「そこのバイザーはいわゆる私の部下みたいなものです。もう、使い道はありませんけれどね。」

 

「なっ!?」

 

バイザーを自分の部下と言ったルシフェルと言うはぐれ悪魔がバイザーに近づいていく。

 

「待ってくれルシフェル!まだ私は!?」

 

「動けないはぐれ悪魔は必要ない」

 

「グッ!?」

 

なんと、ルシフェルは自らの手でバイザーを消し飛ばしてしまった。その所業に驚愕するリアス達。

 

「この魔力量…上級悪魔に匹敵するわね…」

 

「さて、次はあなた達の番ですねぇ。まずは…」

 

敵意を露にしたルシフェルが一瞬消えたかと思うと、次の瞬間には朱乃の目の前に接近していた。

 

「なっ!?」

 

「君からだ」

 

鋭利に尖らせた手を朱乃に突き刺そうと振り抜いたルシフェル。

 

「朱乃っ!」

 

自身の親友の危機に堪らず叫ぶリアス。しかし、ルシフェルの腕は朱乃を貫く事はなかった。ルシフェルの腕が朱乃を突き刺す寸前で横から腕を掴まれて止められたからだ。

 

「なにっ!?」

 

ルシフェルの掴まれた腕からミシミシと骨が軋む音が聞こえる。慌てて抜きはなそうともがくが、万力に挟まれたかのように動かない。

 

「翠光!」

 

朱乃がルシフェルの腕を掴んでいる翠光の名を呼ぶ。翠光は目を金色に光らせながら憤怒を体現したかのような顔でルシフェルの腕を掴んでいた

 

「姉さんに…手を出すなぁッ!」

 

そう吠えると共にルシフェルの腕を思いっきり握ると、ルシフェルの腕はあらぬ方向へ折れ曲がり掴んだ箇所はストローのように細く凝縮されてしまった。

 

ぐぁぁぁぁあ!?

 

ルシフェルは血が吹き出す腕を抑えて膝を着いて叫び散らす。

 

「姉さん、下がってて」

 

「でも…っ分かったわ…」

 

朱乃は手をかそうとしたが、今の自分ではルシフェルに敵わないと悟ると自身の不甲斐なさに唇を噛んですぐに下がっていく。

 

「貴様ァァァッ!」

 

ルシフェルは瞬時に距離を取り、腕を握りつぶされた怒りで残った腕に魔力を込める。しかし、その行動は一瞬で距離を詰めて接近した翠光に止められる。

 

「フンヌッ!」

 

「グハァ!?」

 

翠光の腹パンが見事にルシフェルにくい込み内蔵を破裂させる。口から大量に血を吹き出すルシフェル。そのルシフェルの様子に構わず翠光はその顔面を鷲掴み、飛び上がる。

 

「フンっ!」

 

天井を突き抜けるまで飛び上がった翠光はその手に持ったボロ雑巾を地面に投げ飛ばして、自身も急降下しながら腕を振り絞る。

 

「デェヤッ!!」

 

ズドンッ!とまるで隕石が落ちたかのような衝撃が廃墟周辺を揺らした。少しが降り立った地面には頭が潰れたルシフェルの死体があり、その頭のあった所に翠光の腕が埋まっていた。

 

「翠光っ!」

 

降り立った翠光の元へ朱乃が飛び出していくが、他の面々は動けなかった。単純に恐怖したのだ、翠光の闘いが…いや、一方的な殺戮に。しかし、その状態からいち早く立ち直ったのは意外にもイッセーだった。イッセーは両の頬をバチンと叩いて翠光の元へ駆け寄っていく。

 

「翠光!」

 

翠光はルシフェルの死体から離れた場所で朱乃に返り血をタオルで拭いてもらっていた。そして、翠光はイッセーを一瞬見上げるとすぐに目を逸らした。

 

「ごめん、イッセー」

 

「なに謝ってんだよ?」

 

「だって、怖いものを見せたから…」

 

翠光は理解していた。自身が本能に呑まれて戦ってしまうとこうなってしまうことを、"まるで獣だ"と翠光は思ってしまう。

 

「翠光…」

 

その翠光の様子に朱乃は痛々しく思う。しかし、イッセーはハンっと鼻で笑った。

 

「確かに、ちょっと怖かったさ。いや、正直に言うとちょっとチビっちまった。」

 

「…」

 

イッセーは自身の股間を抑えながらそう呟く。しかし、すぐに顔を上げると翠光の顔を両手で挟んで自身の顔を見るように固定する。

 

「でも、俺達友達だろ!」

 

「っ!」

 

「友達を怖がってどうすんだよ!それに、思い出したらすっげーかっこよかったぜお前!『姉さんに手を出すなぁ!』てな!」

 

「イッセー…」

 

「イッセー君…」

 

そして、リアス達は怖がっている自分を恥じてすぐに翠光に駆け寄ってくる。

 

「凄く頼もしかったよ翠光君」

 

「凄かったです翠光先輩」

 

「流石、朱乃の弟ね!」

 

口々にそう翠光を褒め称える。翠光はその言葉に救われて微笑んでイッセーに言い返す。

 

「イッセー、お前チビった股間を押さえた手で俺の顔に触ったな?」

 

「あ、やべ…悪ぃ」

 

「後でジュース一本だ」

 

「えぇ…」

 

そんな様子のイッセーに面々が笑った後、リアスが手をパンと叩いて

 

「さっ、帰りましょう!」

 

「はい!部長!」

 

リアスに続いて廃墟から出ていくリアス達の後を翠光も追って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翠光達が去っていった廃墟の影から2人の男女が現れる。

 

「あいつ、サイヤ人か」

 

「ええ、そのようね。しかし、何故サイヤ人が"この世界"に? まさか、彼も私達と同じように世界の狭間から転移したのかしら?」

 

「殺すか?」

 

「いえ、今は放って起きましょう。彼がいるだけでこの世界から少しずつ"キリ"を集められるわ。少量だけれど塵も積もればなんとやら、よ。」

 

「…」

 

「なにか言いなさいよ」

 

カツンと女性が杖を地面に着くと魔法陣が広がって、2人の姿は消えていった…

 

 

 

 

 

 

 




今回出てもらったルシフェルは無刻ドラゴンボールの映画で出てきた悪役がモデルです。

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