ハイスクールD×Dに転生した (ユウタロス)
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第1話 兵藤一誠、出撃します!

2作目、投稿します

と、言うわけで第1話です


俺の名前は兵藤一誠。転生者だ。特典も1つだけ持っている。

 

俺が兵藤一誠として転生してから14年が経った。

 

 

『オイ相棒、誰に話してるんだ?』

 

 

ドライグちょっと黙ってて

 

すまん、話が逸れたな。それで、俺が転生してから14年が経った訳だが、実は1つ悩んでいる事がある。

 

14歳。つまり中2。そう、受験である。

 

一応転生する前は高校生だったのでここまでは特に勉強で苦労していないのだが。悩んでいるのはソコでは無く。

 

『果たして俺は駒王学園に行くべきか?』

 

ぶっちゃけ、俺はグレモリー眷属が嫌いなのである。具体的に言うと、『王』と『女王』。

 

まず、『王』リアス・グレモリー。

コイツは才能でゴリ押しの脳筋、血筋を鼻に掛けた自己中、自分の領地1つすら満足に管理出来ない無能王、等々、パッと思い付く範囲でこの様である。

正直コイツに偉そうに命令されたらぶっ飛ばしてしまいそうである。

多分、原作の一誠君も、コイツが不細工か貧乳だったら絶対に王としては認め無かったと思う。

自分のミスで殺された相手を平然とこき使う神経が理解出来ない。事後承諾で人の事を悪魔にするし。

 

 

次、『女王』姫島朱乃。

『王』のイエスマン、自分の主と仲間が生命の危機に頻しているのに使える力を使わない自己中、等々、こっちも酷い。

『戦車』塔城小猫と違って、自分の力にトラウマを持っている訳でも無いのに、肝心のタイミングで使わないとか、どういう神経をしているのか。

『女王』の使命は『王』を立て、進言する立場なのにイエスマンとか。具体的に言うとコカビエル戦。

 

 

うん、こんな奴等絶対、上司にしたくない。

 

全くもって駒王に行きたいと思えない。ソーナ・シトリーとか他のグレモリー眷属は好感が持てるんだけどなぁ.....

あの二人で台無しなんだよなぁ.....

シトリー眷属になっちゃうと匙君が眷属に入れなくなっちゃうしなぁ.....

 

 

『相棒、独り言は終わったか?』

 

 

ああ、うん。お待たせ、ドライグ。

 

 

『ああ。それじゃあ、終わらせるぞ(・・・・・・)

 

 

おっけー。

 

 

「グギュオオオオオオ!!」

 

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoost!』

 

 

「消し飛べ」

 

 

『Explosion!』

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

はい、本日の狩りは終了っと。

 

ああ、うん。実は今、はぐれ悪魔狩りの真最中だったんだ。

あの無能王のおかげで結構な数のはぐれがこの町に入り込んでくるのである。要は舐められてるんだね。

 

 

「ホンット、何とかしてくんないかねーあの無能王」

 

『どうした相棒。今日はやけに毒舌だな?』

 

「いやー、リアス・グレモリーの無能っぷりに良い加減ウンザリしてきてさ。

今月はもう7体だよ?ココ一応魔王の妹の領地だよ?はぐれの数が有り得ないでしょ。

ホント、どんだけ舐められてるんだか.....」

 

『まあ、魔王の縁者と言っても、所詮は十数年しか生きていない小娘、と言う事だろう』

 

「はぁ......あの無能は俺がはぐれ狩りしてる事には気付いてるんだろうか....」

 

『恐らく無いだろうな』

 

「だよねぇ.....知ってて放置なら馬鹿か大物、気付いて無いなら無能の極みだね」

 

 

はぐれは人を喰う奴が多いってのに....何考えてんだか....

 

 

『そんなに気付かせたいなら、暫くはぐれ狩りは辞めたらどうだ?そうすれば、いくら無能でも気付くだろうさ』

 

「アイツ等が気付くまで犠牲者は見てみぬフリしろって?馬鹿言うな。そんな事出来る訳無いだろ」

 

『やれやれ、相棒の博愛っぷりも筋金入りだな』

 

「うるさいな、ぶっ飛ばすぞ」

 

『ツンデレ乙』

 

「よーし、お前後で触手プレイな?」

 

『スンマッセンしたっ!!』

 

 

ああ、そうそう。転生して一番ビックリしたんだけど、ウチのドライグ、メスでした

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

1年後

 

「そんで?お前さん、何処行くか決めたのかい?おっ、尻尾切れた!」

 

「結局、駒王には行かないのか?頭も壊したぞ」

 

「うん、真田北高校行こうかなぁ.....と」

 

「えー!?あそこ男子校でしょ!?イッセー君と一緒に行けないじゃない!落とし穴張ったわよー」

 

「そうッスよイッセーさーん。皆で西校行きましょうよー。よっしゃ、紅玉来たッスー!!」

 

『なにぃー!?』

 

「いや、もう書類申請しちゃったし。推薦の」

 

「そんなー.....ガックリ」

 

「まあ、そう言う事ならしょうがないな。諦めな。レイナーレ、ミッテルト」

 

「別に放課後なら会えるんだから良いじゃん」

 

「それはそうッスけど~...」

 

「相棒、ジュースがもうないぞ!」

 

「あー、そう言えば切らしてたっけ。しょうがない、買って来るよ。アザゼルさんは?何かいる?」

 

「アタシかい?そうだね、ウィスキーボンボン頼むわ」

 

「私カラムーチョ!」

 

「ウチはじゃがりこが良いッス!」

 

「ハイハイ」

 

 

え?何で堕天使達と遊んでんだって?この一年で色々あったんだよ

 

え?何でアザゼルさんの口調が女言葉なのかって?アザゼルさんが女だからに決まってんだろ

 

え?何でドライグがジュース飲めんのかって?この一年(ry

 

まあ、簡単に言うと

 

ミッテルトがはぐれに襲われてるのを発見

        ↓

はぐれをアボンして救出。なつかれる

        ↓

後日、レイナーレとアザゼルさんがお礼に。アザゼルさんが女になっててビックリ

        ↓

なんやかんやでドライグの身体造りを手伝ってもらう

        ↓

そんな感じで仲良くなる

        ↓

休日には一緒に遊びに行く仲になる←イマココ

 

 

である。まあ、他にも色々有ったのだが、纏めるとこんな感じである。

 

「あ、ねぇねぇイッセー君、ヴァーリちゃんも遊びに来たいってー!」

 

「オッケーしといてイイヨー」

 

え?何でヴァーリ(ry

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「こんなもんでいいかな.....ん?」

 

 

近所のスーパーでお菓子を買っていると、知ってる顔を見かけた

 

「こんにちは、ベルさん」

 

「おや、イッセー殿。こんにちはであります、こんにちはであります」

 

 

このチマッコイ子はベルテインさん。近所に住んでる、深山さんちのメイドさんである

 

 

「ハイハイ、こんにちは。夕飯の買い物?」

 

「その通りであります、その通りであります。イッセー殿も買い物でありますか?」

 

「うん。まぁ、俺はお菓子なんだけどね。あ、そうそう。商店街の八百屋の方がレンコン安く売ってたよ」

 

「な、なんと!こうしちゃいられねーのであります!イッセー殿、ありがとうであります、ありがとうであります!」

 

「どういたしまして。コタロー君にもよろしくね?」

 

「了解であります!それでは、サヨナラであります、サヨナラであります!」

 

「はいはい、さようなら~」

 

 

会話が終わると、ベルさんはすっとんで行った

 

 

さて、俺も戻るかな....

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「ただいま~....お?」

 

靴が2組増えてる。もう二人は来たのか。まだ30分位しか経ってないのに

 

「ただいま~」

 

「あ!イッセー君おかえり!お邪魔してま~す!」

 

「おおっ!戻ったかイッセー!お邪魔しているぞ!」

 

「ハイハイ、いらっしゃい二人共」

 

「あ!イッセーさんじゃがりこは!?」

 

「カラムーチョは!?」

 

 

おかえりはどうしたこのスカポンタン共

 

 

「おかえり、じゃがりこ!」

 

「おかえり、カラムーチョ!」

 

「よーし、お前ら表出ろ」

 

 

まったく、このアホっ娘共は.....

 

 

「おかえり相棒」

 

「ただいまドライグ。はい、いちご牛乳。コップで飲めよ?」

 

「おう!」

 

「アルビオンにはカルピスね」

 

「おお!ありがとうイッセー!」

 

あっ、因みにアルビオンも身体持ちです。ドライグと一緒に造りました

 

「ハイハイ、どういたしまして」

 

「じゃがりこー!」

 

「カラムーチョー!」

 

「やかましい!」

 

『へぶ!?』

 

とりあえず、お望みの物を顔面に叩き付ける

 

「おっ、戻ったかイッセー」

 

「ああ、ただいまですアザゼルさん。はい、ボンボン」

 

「おっ、サンキュー」

 

「ヴァーリはポッキーね」

 

「ありがとうイッセー君!」

 

 

さて.....

 

 

「結構集まったけど、何する?」

 

「スマブラ!」←レイナーレ

 

「太鼓の達人!」←ミッテルト

 

「ポップン!」←ドライグ

 

「ポップン!」←アルビオン

 

「ポッキーゲーム!」←ヴァーリ

 

「映画でも見に行くか?」←アザゼルさん

 

「とりあえず、ヴァーリ黙れ?」

 

「なんで!?ポッキーゲームやろうよ!」

 

 

そーゆーのは彼氏とやってください

 

 

「ぐぬぬぅ....アルビオーン!イッセー君のガードが固いー!」

 

「アルビオンならドライグとポップンやってるぞ」

 

あの二人は見てて癒されるねぇ....

 

「うーん、ゲームは結構全部やり込んじゃったしなぁ....映画行こっか!」

 

「何見るの?」

 

「うーん....午後からならパラノー○ル・アクティ○ティーやってるッスよ」

 

「えっ、マジで?」

 

『げっ』←レイナーレ&ヴァーリ

 

「ドライグー、アルビオンー。午後にホラー映画見に行くよー」

 

『りょーかーい!』

 

「イ、イッセー君?ホラーは辞めない?」←ヴァーリ

 

「そ、そうそう!こっちのプリキュ○とか....」←レイナーレ

 

「イッセーさん、チケット取れたッスよー」

 

「ん、ありがとうミッテルト」

 

『ミッテルト貴様ーーー!!!』←レイナーレ&ヴァーリ

 

 

そんなホラー映画位で大袈裟な....

 

 

「イッセー君は平気だからそんな事言ってられるのよ!」←レイナーレ

 

「そうよそうよ!罰として今夜はご飯ご馳走しなさい!」←ヴァーリ

 

「あっ、私もイッセー君のご飯食べたい!」

 

 

お前ら実は余裕だろ?......あっ、そうだ!

 

 

「ん?どうしたイッセー?」

 

「アザゼルさん、近所の娘一人誘って良いですか?」

 

「ああ、アタシは別に構いやしないよ。友達か?」

 

「いや、ご両親が仕事であまり家に居ない娘でして。たまに一緒に遊んであげてるんですよ」

 

 

言いながら電話してみる。まぁ、向こうの都合にもよるんだけど......お、繋がった

 

 

『も、もしもし?ど、ちら様ですか?』

 

「あ、もしもし小梅ちゃん?一誠だけど」

 

『あ...!い、いっせーさん!え、えっと、わ、私に何か、ご用事ですか....?』

 

「うん、今日の午後に友達とホラー映画見に行くんだけどさ、一緒に行かない?」

 

『い、いいんです、か....!?』

 

「うん、もちろん!それじゃあ、行くって事で良いの?」

 

『は、はい...!絶対、行きます....!』

 

「おっけー。じゃあ、一時くらいに...いや、暇なら今から来る?」

 

『あ、す、すぐ行きます....!』

 

「ハーイ、じゃあ、待ってるねー」

 

 

電話を切る。よし、小梅ちゃんも参加っと....

 

 

「ミッテルトーチケットもう一枚追加しといてー」

 

「りょーかいッスー」

 

 

これでよし....ん?

 

 

「イッセー!」タタタタタ,ガシッ,ギュー

 

「っと、どしたアルビオン?」

 

「イッセーもポップンやるぞー!」

 

 

ああ、宿主と違って、なんと癒される事か...

 

 

「おい相棒...っ!白いの!相棒に何をしている!」

 

「何だ赤いの?私とイッセーの触れ合いの邪魔をするな」

 

「何を!相棒の邪魔だぞ!さっさと離れろ!」

 

「うるさいぞ!決めるのはイッセーだ!」

 

『何を~!?』

 

 

うん、ホント見てて癒されるねぇ...

 

 

「ええい!ならば私はこうだ!」ピョン

 

 

ドライグが背中に飛び付いて来た

 

 

「よいしょっと、うん。相棒の背中は暖かいな!」

 

「ぐぬぬぅ...それなら私はこうだ!」ヨジヨジ

 

 

アルビオンは胸元によじ登って来た。慌てて片手で支える。

 

「っとと...ちょっと二人とも、危ないんだけど」

 

「聞いたか白いの!相棒が邪魔だって言ってるぞ!さっさと降りろ!」

 

「何を言ってる赤いの!イッセーはお前を邪魔だと言ったんだぞ!そっちが降りろ!」

 

「喧嘩するなら両方叩きおとすぞ」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「は、初め、まして。し、白坂小梅です....」

 

「キャー!この娘可愛いー!」←レイナーレ

 

「ホントホント!お人形さんみたーい!」←ヴァーリ

 

「ふ、ふえ!?あ、あうぅ....」

 

 

10分位で小梅ちゃんが来たのだが、ヴァーリとレイナーレに揉みくちゃにされている

 

 

「ホレ、その辺にしとけ。小梅ちゃんが困ってんだろ。挨拶しろ挨拶」

 

「あ!そうね!私はレイナーレよ!よろしくね小梅ちゃん!」

 

「私はヴァーリよ!」

 

「うむ、私はアルビオンだ!よろしく頼むぞ小梅!」

 

「ああー、ウチはミッテルトッス。よろしくッスよ小梅ちゃん」

 

「アタシはアザゼルさ。よろしくね、お嬢ちゃん」

 

「は、はい...!よろしく、お願い、します....!」

 

「よし、挨拶も済んだ事だし。映画行こっか!」

 

『ハーイ!』

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「」チーン←ヴァーリ

 

「」チーン←レイナーレ

 

「うおー、結構怖かったすね~」

 

「うん、かなりビックリしたな」

 

「お、面白、かった、です」

 

「お嬢ちゃん、何気に肝っ玉がでかいな....アタシはどうもこの手の奴は苦手なんだよなぁ....」

 

「お、おおおお面白かったな!相棒!」ギュー

 

「なな、ななな中々だったな!イッセー!」ギュー

 

「ハイハイ、怖かったねー二人共」

 

 

涙目でプルプル震えながらしがみついている二人の頭を撫でてやる

 

 

ナデナデ、ナデナデ、ナデナデ.....

 

 

「ふあぁぁぁぁ.....」

 

「ふえぇぇぇぇ.....」

 

「.....今更だけど、コイツら本当に二天龍か?」

 

「まあ、良いじゃないっすか」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「はーい、皆さん。いただきます」

 

『いただきます!』

 

 

映画を見た後に、物足りなくなりTUT○YAで何本かDVDを借りて帰宅。

今日は皆ウチに泊まるそうなので夕飯は大人数で食べられる様にでっかいグラタンを作った。今夜は寒いしね

 

 

「美味しー!」

 

「美味しいわね!」

 

「ウマイッス!さすがイッセーさん!」

 

「お、美味、しいです」

 

「ウマイぞ相棒!」

 

「オイシイぞイッセー!」

 

「本当、大したモンだねぇ」

 

「ハッハッハ、もっと褒めろもっと褒めろ」

 

 

作った物を称賛されるのはいつだって嬉しいモンだ

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「小梅ちゃん寝た?」

 

「ああ、ぐっすりな」

 

 

よっし、それじゃあ、お仕事(一狩り)行きますか

 

 

「イッセー、またはぐれ狩りか?」

 

「あ、はい」

 

「そうか....アタシ等が手伝えりゃ良いんだがな....」

 

「それはしょうがないですよ。堕天使勢が魔王の身内の領地ではぐれ狩りなんて、バレたらエライ事になっちゃうでしょ?」

 

 

ぶっちゃけ、ウチに頻繁に来てる時点でアウトっちゃあアウトなんだけどね

 

 

「.....すまない。油断だけはするなよ?お前に何かあったら皆悲しむからな」

 

「いえいえ、その言葉だけで十分ッスよ。それに、どっかの無能と違って油断だけはしないようにしてますから」

 

「.....わかった。じゃあイッセー、いってらっしゃい(・・・・・・・・)

 

「はい、行ってきます(・・・・・・)

 

 

アザゼルさんと話した後に、ドライグと家を出る

 

 

「行くよ、ドライグ」

 

「了解だ相棒」

 

 

ドライグの姿が消え、俺の左手に『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』が現れる

 

 

「うっし!行きますか!」

 

『ああ!』

 

 

『赤龍帝』兵藤一誠、出撃します!

 

 

 

 




はい、と言う訳で第1話でした


TSした娘のイメージは

ドライグ:テイルレッド(俺、ツインテールになります。)

アルビオン:九鬼紋白(真剣で私に恋しなさい!)

ヴァーリ:168(艦隊これくしょん)の髪を白くしたかんじ

アザゼル:フランシス・ドレイク(Fate/Extra)の髪を黒くしたかんじ


コッチも完結目指して頑張ります!




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第2話 俺これだけで後5年は戦えるわ


今回、長くなりすぎたので二分割します


と言う訳で第2話です


「右手に気、左手に魔力.....あっ、ヤベッ!」

 

 

ーーーーパシゥゥゥゥン...ーーーーー

 

 

「はぁ...また失敗か...」

 

『まあまあ、そんなに落ち込むな相棒。発想は良いんだから、そのうち出来るさ』

 

「そのうちって、いつやねん....」

 

 

え?何してるのかって?いや、はぐれ狩りをソッコーで終わらせたから、前々からやってる『咸卦法』の練習をしてたんだよ。

前に言っていた俺の特典って言うのが『ネギまの魔法・技術を修得出来る』って言う物なんだよね。だから『咸卦法』の練習してるのである

一応、『気』と『魔法』は結構使える様になったんだけどねぇ...『瞬動』とか『虚空瞬動』も出来るんだよ?でも、やっぱり『咸卦法』はレベルが違うわ

 

 

「やっぱり、ムズイなぁ...っと、もう着いたか」

 

 

イカンイカン、ちょっと熱中しすぎたな。人に見られたりして無いよな....

 

 

「安心しろ相棒。特に視線は感じなかったぞ」

 

「そっか、なら良かった。ありがとドライグ」

 

「ふっ、気にするな。他ならぬ相棒のためだ」

 

 

まったく、良い娘だよこの幼女竜は....

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「ただいま~」

 

「おかえり、イッセー」

 

「あ、イッセー君おかえり!」

 

「ただいま、アザゼルさん、レイナーレ」

 

 

うん、誰かに『おかえり』って言って貰うのは良いものだ

 

 

「フム、特に怪我はしていないようだな」

 

「当たり前だ!相棒があの程度の敵に遅れを取るものか!」ドヤァ

 

 

ドライグがどや顔してる。チョー可愛い

 

 

「俺汗かいたからシャワー浴びて来るわ」

 

「あ!相棒、私も浴びる!」

 

「ドライグ、そろそろ一人で風呂入れる様にしなさい」

 

「え~?水臭い事を言うなよ相棒」

 

「だーめ。中身がどうであれ、身体は女の子なんだから」

 

「ちぇー」

 

「イッセー君、私が背中流してあげよっか♪」

 

「おバカ。慎みを持ちなさい、はしたないでしょ。自分の身体を見てみろ。俺が欲情して襲ったらどうするつもりだ.....浴場だけに」

 

「.......イッセー」

 

「.......相棒」

 

 

何だその目は。言いたい事が有るならハッキリ言え

 

「イ、イイイイイッセー君、今何て言ったのかしら?one more please?」

 

「欲情して押し倒すぞって言ったんだよ。浴場だけに」

 

「...........タ..」

 

 

レイナーレ?

 

 

「イッセー君の同意キターーーーーーー!!よっしゃー!これでかつる!!こうしちゃいられねー、さあイッセー君!私と一緒にいざお風呂場(アルカディア)に「やかましい」へぽぉ!?」

 

 

騒ぎ出したレイナーレにビンタを入れておく。まったく、小梅ちゃんが起きたらどうするつもりだ

 

 

ーーーーダダダダダダ.....ガチャッ!ーーーー

 

 

「イッセー君に押し倒してもらえると聞いて!!」

 

「空耳だ、寝てろ」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「はあ、疲れた....」

 

 

ーーーーガチャッーーーー

 

 

「お疲れ様です、旦那様。ささ、コチラに!マットとローションの準備はバッチリぃぃぃぃぃ!?痛い!痛いよイッセー君!」ギリギリギリ

 

「何故ココに居るヴァーリ?」アイアンクロー

 

「だってイッセー君がお風呂場なら襲ってくれるって言うから!」ギリギリギリ

 

「言ってねぇよ、どんだけ都合良く解釈してんだよ」アクリョクアップ

 

「うええええん、イッセー君痛いよー!」ペチペチ、タップタップ

 

「はぁ...」

 

 

いい加減手が疲れてきたのでヴァーリを離してやる

 

 

「ううぅぅぅ、後付いたらどうしてくれるのさー」カオナデナデ

 

「冗談抜かせ」

 

「ぬぅぅ...イッセー君が冷たい...こんなにアプローチしてるのにー」

 

「....あのさ、何で俺なの?他にも良い奴いっぱいいるでしょ?」

 

 

ぶっちゃけ、何でここまで好意を持ってくれているのかが判らない

 

 

「へ?そんなの一目惚れに決まってるじゃん!ってゆーか、一目見た瞬間に『あ、私はこの人と一緒になるために生まれてきたんだなぁ...』って思ったよ!」

 

 

.......どうしよう、ここまでドストレートにこんな事を言われるとは思わなかった

 

 

「お、おお....そ、そうですか」

 

「そうなんです!」

 

 

そんな断言されても....

 

 

「と、取り敢えず、風呂から出なさい。俺が入るから」

 

「えー?一緒に入ろうよ~」

 

「ダメ、ゼッタイ」

 

「ちぇー。しょうがない、ヘタレなイッセー君に免じて今日はこの位にしといてあげよう」

 

「へいへい、そいつはドーモ」

 

 

そう言うとヴァーリは風呂場を出ていった

 

 

「.....はあー、ヤバかった...マジで襲いそうになった....」

 

 

え?冷静に対処してただろって?馬鹿言え、テンパリ過ぎて一周回って達観してただけだよ。

いや、だってヤバいでしょ!?ヴァーリもレイナーレもドライグも!

何あのスベッスベの肌!サラッサラの髪!ほのかに漂う甘い香り!

我慢するのにどんだけ精神力使ってると思ってるのさ!?

 

 

「はぁ...」

 

 

そんな具合に、悶々としながら風呂に入ってから床についたのであった

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

翌朝

 

ーーーーpipipipipipi....バシンッーーーー

 

「...んん....朝か」

 

 

そろそろ、起きないと....と思い、起き上がろうとするが、上手く起きれない。何か身体が重い.....ってゆーか、何故かやたらに布団が膨らんでいる。布団を捲るとそこにはーーーーーー

 

 

「くー....くー...」

 

「すぴー...すぴー....」

 

 

ーーーーードライグとアルビオンがいた。二人とも、ガッチリしがみついていて離れない

 

 

「......」ホッペプニプニ

 

「ぷえぇぇぇ....」

 

「......」ホッペムニムニ

 

「むにぃぃぃ....」

 

 

......ふう

 

 

「俺これだけであと5年は戦えるわ」

 

 

ーーーーダダダダダダ....バンッ!ーーーー

 

 

「うゅっ!?」

 

「ぴっ!?」

 

「イッセーさん、おっはよーッスヴぇ!?」

 

 

朝っぱらから喧しいアホ(ミッテルト)の顔面に目覚ましをシューッ!!

 

 

「何してんだこのスカポンタン俺の天使達が起きちまったじゃねーかゴラァ」

 

「だからって、時計顔面はあんまりでしょ!?ウチだって女の子なんスよ!?」

 

「ドライグ、アルビオン、今日の朝ごはんは何食べたい?」

 

「ホットケーキ!」

 

「ホットケーキ!」

 

「そーかそーか、そんじゃ、気合い入れて作るとしましょうかぁ」

 

「ちょっと!スルーしないでくださいッス!」

 

「ハイハイ、ごめんね。パンケーキにアイス乗っけてあげるから機嫌直してよ」

 

「えっ!?アイスッスか!?やっほーッス!」

 

 

......自分で言っておいてなんだけど、この娘ちょっとチョロ過ぎやしないだろうか?

コレじゃ将来悪い男に捕まりそうな気がする

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「ウマウマ♪」

 

「アムアム♪」

 

「まいう~ッス~♪さっすがイッセーさん!」

 

「んーな、ホットケーキなんて誰が作っても変わらないって」

 

「いや~アタシにゃ、こんなキレイに焼けねーよ?ホントに器用だねぇ、お前さん」

 

「お、美味、しいです、よ」

 

「イッセー君おかわりー!」

 

「私もー!」

 

「お前ら何回おかわりしてんだよ。気持ち悪くなるぞ?ってか、太るぞ?」

 

「イッセー君の手料理で太るんなら本望!」

 

「是非も無し!」

 

「そーですかい...」

 

 

この後結局二人で10枚位おかわりしてた。正直、作ってる最中に胸焼けしてきたのだが、あんな笑顔で美味しい言ってくれるんだったら『まあ、良いか』と思えた

 

 

 

 

 

 

「うう....気持ち悪い...」

 

「食べ過ぎた....」

 

「だから控えろって言ったのに....」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

3ヶ月後

 

 

 

『BoostBoostBoostBoostBoost!!』

 

「メウス・ルブラム・ドラコ・カル 来れ雷精、風の精。雷を纏いて吹けよ南洋の嵐。」

 

『Explosion!』

 

「『雷の暴風』!!」

 

 

詠唱が終わると、32倍の威力になった『雷の暴風』が凄まじい勢いで撃ち出される。しかしーーーーー

 

 

「ぐはははははっ!甘いわああっ!!ぬぅうううんんん!!」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー特撮ヒーロー物の敵幹部みたいな格好をしたオッサンの、斧の一撃で叩き斬られた

 

 

「嘘ぉおおおおお!?」

 

 

何でだよ!?32倍だぞ!?

 

 

「ぐははははっ!中々だったぞ赤龍帝!!次は我輩の番だ!!行くぞおおおっ!!」

 

 

そう言うとオッサンーーーアルマロスさんは一瞬で俺に接近し、斧を振り降ろしてきた

 

 

「っ!ヤベッ!?」

 

 

『瞬動』と『虚空瞬動』を使い、ひたすら避けまくる!

 

 

「ぬおおおおお!?」

 

「ぐははははは!どうした赤龍帝!?避けてばかりでは勝てんぞお!?」

 

「上等だコンチクショーー!!ドライグ!あれ(・・)使うぞ!」

 

『了解だ相棒!!』

 

 

ドライグが応じると、俺の左腕に4本の巨大なクローが現れる

 

「コレが前々から考えていた新武装!名付けて!『赤龍帝の振撃爪』だ!!」

 

『VIBRATE!』

 

 

クローをアルマロスさんの斧に叩き付けると、ギュアアアアアアンッ!という激しい震動音と共に弾き飛ばした!!

 

 

「何っ!?」

 

『BoostBoostBoostBoost!』

 

 

無詠唱『魔法の射手 収束・雷の37矢』を右腕に乗せ、一気にぶちかます!

 

 

「貰ったあああああああっ!!」

 

『Explosion!』

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

「イッセー君お疲れー♪」

 

「」チーン

 

「ハッハッハ、負けたなイッセー!」

 

「うるせーやい!」

 

 

え?あの後どうなったって?普通にかわされて、カウンターで膝蹴りぶちこまれましたよ?

 

 

「はぁ、イケルと思ったんだけどなぁ...」

 

「いやいや、あの脳筋バカ(アルマロス)相手に良く頑張った方だよ。大したモンだ」

 

 

アザゼルさんはそう言うけど....

 

 

「やっぱ悔しいなぁ....」

 

「なーに、お前さんは若いんだ。まだまだ伸びるさ」

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

今、俺は冥界の堕天使領に来ている。数日程前にアザゼルさんが『いつもお邪魔してばかりじゃ申し訳無いから、たまにはウチ(グリゴリ)にも来な』と言ったのが発端である。

ちょうど冬休みだったので『じゃあ、行ってみるか』と言うノリで来たのだ

 

「しっかし、来てすぐに模擬戦する事になるとは....」

 

「しょーがないよ、アルマロスさんに見付かっちゃったんだもん」

 

「ヴァーリは闘った事あるの?」

 

「うん、たまにね。一応勝ち越してるよ?」

 

「マジか....俺も頑張ろ」

 

「うん!頑張ってね!....所でさ、アルマロスさんと闘ってた時にヒュンヒュン動いてたけど、アレ何?」

 

「『瞬動』の事?そういえば、見せた事無かったっけ?」

 

「うん。ってゆーか、私イッセー君が闘ってる所初めて見たよ」

 

「あー...まあ、良いや。えっと、瞬動だっけ?アレは仕組みは簡単だよ。足に魔力を集中させて地面を蹴って、掴む」

 

「へ~、面白そう!ちょっとやってみるね」

 

「オイオイ、そう簡単には「えいっ!」..oh....」

 

 

流石天才、一発で成功したでゴザル。俺、半年位かかったんだけどなぁ....

 

 

「どうどう?」

 

「すごく....完璧です。ってゆーかマジで凄いね」

 

「どやあ」

 

 

ドヤ顔可愛いなチクショー

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

一週間後

 

 

「それじゃあ、お世話になりました」

 

「ぐはははははっ!何、良い鍛練になった!またいつでも来い!」

 

「スマンなイッセー。殆どこの脳筋の相手させちまって」

 

「いえいえ、コッチも良い修業になったんで。新しい技も編み出せましたし」

 

「そうか。それなら良かったわ」

 

 

他のグリゴリの人達にも挨拶を済ましたので帰る事にしよう

 

 

「それじゃあ、俺はこれで。ありがとうございました」

 

「おう!またいつでも来な」

 

「イッセー君またねー」

 

 

 

 

 

そんなこんなで堕天使領を後にした俺だった

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

2年と4ヶ月後

 

 

「ふふふんふーふふん♪ふふふーふふん♪」

 

 

あ、どうも、お久しぶりです。兵藤一誠です。

アレから2年程経ち、自分は無事に高校2年生になりました。

まあ、その間に色々有りましたけどね。ミッテルトと一緒に忍者に弟子入りしたり、レイナーレと一緒に魔法使いに弟子入りしたり、ヴァーリと一緒に孫悟空に弟子入りしたり。

あれ?弟子入りしてばっかりだな....まあ、良いや。あ、そうそう。『咸卦法』が出来るようになりました!

と、まあ、この2年程色々あったんですよ。

え?やけに機嫌が良いな?何か良い事有ったのか?

いや、何でか判らないんだけど、今日は何か良い事が有りそうな気がするんですよねー...って!

何かトラックに轢かれそうになってる人がいる!

 

 

「危ないっ!」

 

「きゃっ!?」

 

 

俺がそのシスター(・・・・)を引っ張り寄せると、トラックは目の前を猛スピードで走り抜けていった

 

 

「あっぶねーな、あのアホトラック....キミ、だい、じょう...ぶ...」

 

「あっ、危ない所をありがとうございました!あの、良かったら、お名前を....?」

 

 

......あれー?どうして君がいるのー?

 

 

「あ、あの....どうしたんですか....?」

 

「あ、いや、な、何でもないよ。えっと、俺は兵藤一誠。イッセーって呼んでよ。君は?」

 

「あっ、ハイ!私はアーシア・アルジェントと言います!アーシアと呼んで下さい!」

 

 

ーーーーーーーアーシアちゃん

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「へぇ、じゃあこの町の教会に赴任してきたんだ?」

 

 

.....何でだ?レイナーレとミッテルトがこんな事をする訳が無い。なら、アーシアがこの町に来る筈が....まさか修正力が働いたなんて無いよな....?

 

 

「ハイ!....でも、この町に来てから困っていたんです。実は、道に迷っていたんですけど、私、日本語がうまく話せなくって....」

 

 

あ、ちなみに俺、今は翻訳魔法を使ってるんでバッチリ会話出来ます

 

 

「それで、その.....出来れば、教会まで連れていってもらえないでしょうか....?」

 

 

....取り敢えず、アザゼルさんに連絡してみるか...

 

 

「ん、良いよ。それじゃ、行こっか?」

 

「ハイ!お願いします!」

 

 

と言う訳で俺とアーシアは教会に行く事にしたのだった





と言う訳で第2話でした


みんな大好きアーシアちゃん登場回でした


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第3話 死なない程度にぶっ飛ばす!!


今回、長くなりすぎたので二分割です

と言う訳で第3話です


教会へ行く途中の公園で転んで泣いている子がいた

 

 

「あっ....あのっ、イッセーさん!ちょっと待っていて下さい!」

 

「え?ああ、うん」

 

 

そう言うとアーシアは泣いている子に駆け寄って行ったので、俺も付いていく

 

 

「大丈夫ですよ?すぐに治してあげますね」

 

 

アーシアが男の子の頭を撫でながら、擦り剥いた膝に手をかざす。すると、手のひらから淡い緑色の光が発せられ、傷を治していく

 

 

(あれが『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』か....凄いな、128倍の『治癒』位あるんじゃ無いか?これを魔力の消費無しでか....)

 

 

まあ、これは俺が回復系の魔法が苦手だからなんだが....

 

 

「はい、もう傷は無くなりましたよ」

 

 

考えてる内にケガを治し終わったようだ。子供ものお母さんもキョトンとしてる。が、頭を下げるとソソクサと子供を連れていってしまった

 

 

(....まあ、普通そうだよな)

 

「........」

 

 

アーシアは少し寂しげな顔をしている

 

 

「お姉ちゃん、ありがとー!」

 

 

声のした方を見ると、さっきの子供がアーシアに向かって手を振っていた

 

 

「え、あ.....」

 

「ありがとう、だってさ」

 

「!そうですか...」

 

 

教えてあげると、アーシアは、優しさに満ち溢れた顔で手を振り返していた

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

その後、しばらく無言で歩いていた俺達だが、途中で

 

 

ーーーーくぅ~~~....ーーーー

 

 

と言う可愛らしい音が聞こえたので立ち止まる。音のした方を見ると、アーシアが顔を真っ赤にしてうつ向いていた

 

 

「はうぅ~........」

 

「.....先にご飯食べに行こっか」

 

「.....はい....」

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「ほあ~....」

 

 

近くに有った真っ赤なアフロのピエロがイメージキャラクターのハンバーガーショップにやってきた。

アーシアは物珍しそうにキョロキョロと店内を見回している

 

 

「アーシア、手伝おうか?」

 

「大丈夫です。一人で何とかしてみせます!」

 

 

胸を張ってそう答えるアーシア.....でもキミ、日本語話せないんじゃ....

 

 

(しょうがない、ちょっくら手助けしてあげよう)

 

 

俺は気付かれ無いように、アーシアに翻訳魔法を掛けてあげる

 

 

「いらっしゃいませ。御注文はいかが致しますか?」

 

「え、えっと.....ち、チーズバーガーのセットを下さい!」

 

「かしこまりました。チーズバーガーセットが一点で420円になります」

 

 

お金を払って商品を受け取るアーシア

 

 

「どうですか、イッセーさん!一人で買えましたよ!」

 

「おお、大したモンだ」

 

 

フッフッフ、と得意気な顔をしている。スンゴイぷりちーです

 

 

「........」

 

 

席に着いたのに何故か食べずにハンバーガーをじっと見つめるアーシア

 

 

「どしたの?」

 

「えっと、イッセーさん、これはどうやって食べるのでしょうか....?」

 

「ハンバーガー食べた事無いの?」

 

「は、はい...テレビでは観た事があるんですが、本物を見るのは初めてなんです」

 

 

なるほど。確かにシスター生活じゃあ、ハンバーガーなんて食べないか

 

 

「これはね、こうやって包み紙をずらして、一気に食べるんだよ」

 

「な、なんと!」

 

「ポテトも手掴みです」

 

「す、すごいです!こんな食べ方が有るんですね!」

 

「さ、アーシアもどうぞ」

 

「ハイ!」

 

 

小さなお口でハンバーガーにかぶり付き、もっきゅもっきゅと食べている。ハムスターみたいで凄い可愛い

 

 

「お、美味しいです!ハンバーガーって凄い美味しいんですね!」

 

 

目がキラッキラしてる。どうしよう、アーシアが可愛い過ぎて生きるのがツライ。そんな事を考えていると俺のケータイが鳴り出した

 

 

(相手は....アザゼルさんか。丁度良い、アーシアの事を聞こう)

 

 

「あっと、アーシア。ちょっと待っててくれる?」

 

「ハイ、お気になさらずにどうぞ」

 

「ごめんね」

 

 

店の外に出て電話にでる。念のため、アーシアが見える位置にいよう

 

 

「もしもし」

 

【イッセーか?アザゼルだ】

 

「どうしたんですか?」

 

【実は厄介な事が起きてな、どうもウチ(グリゴリ)の下のモンが無断でソッチの領域でゴソゴソやってるらしいんだよ】

 

 

.....当たりだな

 

 

「実は俺、今日コッチの教会に赴任してきたって言う『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』持ちのアーシア・アルジェントって言うシスターと一緒に居るんですけど」

 

【何?.....ちょっと待ってろ。すぐかけ直す】

 

 

そう言って切るアザゼルさん。5分程で再びかかってきた

 

 

「どうでした?」

 

【今ミカエルの奴に確認したんだが、その娘は教会じゃ『魔女』って言われててな、追放処分を受けて教会を破門されてるそうだ】

 

「....つまり」 

 

【ああ、教会はその町にシスターは派遣していない(・・・・・・・)。そもそも、その町の教会は今現在使われていない(・・・・・・・)そうだ。当然だな、ソコは魔王の縁者の領地なんだからよ】

 

「....確か、グリゴリには『神器』を抜き取る技術が有りましたよね?」

 

【十中八九それが目的だろうな...イッセー、済まないが頼みがある】

 

「任せて下さい。アーシアは何がなんでも護ります。それと、ヤンチャしてる奴等は、どうします?」

 

【ハハッ、『赤龍帝』殿直々の警護か、頼もしい限りだな.....極力(・・)、生け捕りで頼む】

 

「了解。名前は?」

 

【ドーナシーク、カラワーナ、クローディス、ミストレックスだ】

 

「解りました。終わったら連絡しますね」

 

【ああ。世話かけるな】

 

「良いですよ、別に」

 

 

アザゼルさんとの通話を切る。さて、アーシアと話し合いしないとな....

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「あ、イッセーさん、お帰りなさい!」

 

「ごめんね、つい長くなっちゃったよ」

 

「いえ、気にしないで下さい」

 

 

......ホント良い娘だよ、この娘は。思わずじっとアーシアの顔を見る

 

 

「?どうしたんですか?」

 

「.....あのさ、アーシア。ちょっと聞いて欲しい事があるんだ」

 

「....なんですか?」

 

 

俺は真面目な顔で切り出す

 

 

「実はさ、俺も『神器』持ってるんだ」

 

「!そうなんですか!?」

 

「ああ。その関係でな?堕天使に知り合いがいるんだが、その人から『この町でコソコソしてる堕天使達が居る』って連絡を受けたんだ」

 

「.....!」

 

「その人にちょっと調べてもらったんだ。アーシア、君の事をね」

 

 

疑ってるみたいな言い方だが、正直に伝える

 

 

「『教会はこの町にシスターは派遣していない』.....だそうだ」

 

「...........」

 

「アーシア、単刀直入に言うよ。その堕天使達はキミの『神器』が目的だ。このまま教会に行ったら、キミは確実に『神器』を抜かれて殺される」

 

「っ!!そん、な.....」

 

 

....ショックなんだろうな。自分を拾ってくれた奴等は、自分の神器だけが狙いで、自分の事などどうでも良かったのだから...

 

 

「わた、し、どうすれば....」

 

「アーシア。今日、俺とキミは出逢った。互いに自己紹介もしたし、おしゃべりもした。飯だって一緒に食った。だから、俺達はもう友達だ。親友だ」

 

「....え.....?」

 

「行く場所が無いなら俺の所に来い。困った事が有ったら、助け合うのが友達だ」

 

 

アーシアは呆然として俺の方を視ている。不意に彼女の瞳からツゥーッと涙が溢れたかと思うと、一気に咽び泣きはじめた

 

 

「わ、わた、し達は......今日、初め、て....逢った、んです、よ.....?」

 

「この国には一期一会っつー、素ん晴らしいお言葉が有ってな?『この人との出会いは一生に一度の事かもしれない。大切にしよう』って意味なんだ。

まあ、何が言いたいのかってゆーとだな?友達になるのに『初対面かどうか』なんて関係無いんだよ」

 

「わた、し.....日本語、話せません.....文化だって....全然、知らないんですよ....?」

 

「そんなら俺が教えてやる。それに、最近は日本も欧米化が進んでるからな。

まともに日本文化を知らない日本人なんてそこら中にいるさ。何も恥じる事なんて無いよ」

 

「私、世間知らずです.....」

 

「なら、これから一緒に町に行って見て回れば良い」

 

「いっぱい、いっぱい迷惑かけるかもしれません...!」

 

「おうおう、かけろかけろ。お互いに迷惑かけあうのが友達ってモンだ!」

 

 

するとアーシアは、一呼吸置いてーーー

 

 

「私と、友達になってくれますか?」

 

「おう!これからよろしくな、アーシア!」

 

 

こうして、俺とアーシアは友達になった

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「さて、と。オイ、ドライグ」

 

 

周囲に人払いの魔法をかけてからドライグを呼び出す

 

 

『何だ相棒』

 

「聞いてた通りだ。俺とアーシアは友達になった。だから、お前もアーシアと友達だ。友達なんだからしっかり挨拶しろ」

 

『やれやれ、解ったよ、相棒』

 

 

そして実体化するドライグ。アーシアはそれを目を丸くして見ている

 

 

「紹介に預かった通り、兵藤一誠の相棒の『赤龍帝』ドライグだ」

 

「ハ、ハイ!アーシア・アルジェントです!アーシアって呼んで下さい!」

 

「ああ、よろしくな、アーシア」

 

 

よし、お互いの挨拶は済んだな

 

 

「そんじゃあ、ドライグ。アーシアを俺ん家まで連れてってやってくれ」

 

「解った。相棒はどうするのだ?」

 

 

俺?俺はねぇ....

 

 

「ちょっと相手の堕天使達とO☆HA☆NA☆SI☆してくるよ」

 

「...そうか。やり過ぎるなよ?話が聞き出せなくなる」

 

 

ドライグが『あ、堕天使終わったなー』と言う風に俺を見てくる

 

 

「解ってるって。そんじゃあ二人共、行ってくるね」

 

 

「ああ」

 

「き、気を付けて下さい!」

 

 

そんな言葉をかけられながら教会に向かう俺だった

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「と~ちゃ~く、っと」

 

 

おおー、結構な数の気配がすんなぁ...何で気付かなかったのかなぁ.....

 

 

「まあ、取り合えずそれは置いておいて....」

 

 

俺は『咸卦法』を発動する。さ、て、とーーーーーー

 

 

 

 

 

 

ーーーードガアアアアアアア!!!ーーーー

 

 

「おっ邪魔しまああああああっす!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーカチコミじゃあああああっ!!!!

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

5分前

 

「フフフ、もうすぐよ。もうすぐ至高の力が私の物に.....!」

 

「カラワーナ様」

 

「あら、ドーナシーク。アーシア・アルジェントはもう来たの?」

 

「い、いえ、それが.....」

 

「ーーーーハァッ!?行方不明!?」

 

「も、申し訳ありません!この町に来た事は解っているのですが...」

 

「だったら、ぼやぼやしてないでサッサと探しなさいよっ!!」

 

 

ああ、イライラするっ!これだから下級は....!

 

 

「まあまあ、落ち着きなさい、カラワーナ」

 

「.....クローディス」

 

「この町に居るのは確かなのだろう?なら、焦る事は無いさ。ミストレックス」

 

「はいっ!」

 

 

クローディスの呼び声に応じてもう一人下級が入って来た。コイツはドーナシークと違い、顔だけしか取り柄の無い馬鹿だ。正直、見てるだけでイライラが増加する

 

 

「お呼びですか、クローディスさん!」

 

「ああ。話は聞こえていただろう?ドーナシークと共にアーシア・アルジェントを捜してきてくれ」

 

「了解です!」

 

「さあ二人共、行って来なさい」

 

『はい!』

 

 

クローディスの命じるままに二人は出ていった

 

 

「さて、落ち着いたかな?カラワーナ」

 

「フンッ、偉そうにしないで...きゃっ!」

 

 

私がそっぽを向いた瞬間にクローディスはグイッと私を引き寄せ、そのまま服の中に手を入れてきた

 

 

「あ、ちょっ....ンッ...あっ...い、今は...ダメ....!」

 

「良いじゃないか、どうせあのクズ共じゃあ、すぐには見つけられないさ。それに、だいぶ、ご無沙汰だっただろう?」

 

「んぅっ!あっ..!ああっ.....!!」

 

 

ああ、く、くる.....っ!!

 

 

ーーーードガアアアアアアアッ!!!!ーーーー

 

 

「!?な、何なの!?」

 

「何事だ!?」

 

 

バンッと扉を開けてはぐれ悪魔祓い(エクソシスト)が部屋に入って来る

 

 

「ほ、報告します!現在、謎の男に襲撃を受けています!!」

 

 

何ですって!?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「死ねぇええええ!」

 

「うおおおおおお!」

 

 

はぐれ悪魔祓いがビームサーベルみたいな物を構えて、突っ込んでくる。が、しかしーーーー

 

 

「遅いっ!」

 

 

ーーーーアクビが出るくらい遅い。まあ、ただのはぐれ悪魔祓いじゃあ、しょうがないんだけどね

 

最初に突っ込んで来た男の上段からの振り下ろしをバックステップでかわして、二人目の方に蹴り飛ばす

 

 

「ギャアアアアアアアア!」

 

「ぐああっ!」

 

 

思わず反応してしまったのか、飛んできた一人目を真っ二つに切り払った二人目に、『瞬動』で近付いて殴り飛ばす

 

 

「メウス・ルブラム・ドラコ・カル 来たれ 虚空の雷 薙ぎ払え!」

 

 

二人目を殴り飛ばした先の集団に狙いを定める

 

 

「『雷の斧』!!」

 

 

俺の手から放たれた雷が相手の集団を焼き払う

 

 

「「「「「「ぎゃああああああああっ!!!!」」」」」」

 

 

「今ので10人位....後、5、60人位か....」

 

「隙ありぃぃぃいいいいい!!」

 

「無ぇよ、アホ」

 

 

後ろから飛びかかってきた奴を後ろ回し蹴りで蹴り飛ばす

 

 

「がはああっ!」

 

「やれやれ....おい!はぐれ共!武器を捨てて投降しろ!そうすりゃあ、命は保証してやるぞ!」

 

 

一応、投降の意思を問いかけておく

 

 

「ぎゃはははははは!何だよ何だよ!オンモシロソーな事やってんじゃん!!」

 

 

耳障りな声がしたかと思うと、教会の地下から白髪の男が出てきた

 

 

「んーんー。はっじめましてー!ボクちゃんのお名前はフリード・セルゼン!あなたのお名前教えてちょ?」

 

「『魔法の射手 連弾・光の37矢』!」

 

「うわっとっととお!!ハハハ!何だこの魔法!見た事無ぇぞ!!」

 

 

チッ!避けたか!

 

 

「んー、過激だねー!おれっち、惚れ惚れしちゃっ、がああああああっ!」

 

 

空中で身動き取れなかったっぽいんで、瞬動で一気に近付いて蹴り飛ばした。ちょっと力入れすぎたのか、壁をぶち抜いて外に飛んで行ったが

 

 

「やれやれ、『赤龍帝の籠手』を使うまでも無いな.....」

 

 

この間、僅か2分30秒。わかっちゃいたけど、雑魚過ぎる

 

 

「残りは地下に逃げたか....」

 

「おい!もうやめろ!何で人間同士で争うんだ!」

 

「何?」

 

 

声のする方を見ると、剣を持ったオレンジ髪と黒髪の堕天使がいた

 

 

「何だお前ら」

 

「俺はミストレックス!コッチのオッサンはドーナシークさんだ!」

 

 

ターゲット二人発見...っと

 

 

「そうかい。じゃあ、ミストレックス。武器棄てて投降しろ」

 

「何でだよ!話合えば良いだろ!」

 

「は?馬鹿かお前?お前らが話し合いじゃ済まない事やらかしてるからこうなってんだろうが。それ以前に、お前は武器を持って話し合いするのか?」

 

「おい、発言にはもう少し気を遣ってくれよ?せっかく、こうして穏便にすませてやってるってのに....これだから人間は。こんなに俺と人間で意識の違いがあるとは思わなかった...!!だから人間なんて守りたくないんだ!」

 

 

コイツ、マジで何なの?

 

 

「....とにかく、投降しろ。それで全て終わる」

 

「....でも、それは根本的な解決にならないだろ!」

 

 

ーーーーブチィッ!!!ーーーー

 

 

「おい、良いか?最後にもう一度だけ言うぞ?諦めて、サッサと投降しろ、このキチ○イ野郎....!」

 

「何だと!この野郎、馬鹿にしやがって!食らえっ!」

 

「『風盾』」

 

相手の光力の槍を障壁で防ぐ。つーか、その剣使わないのかよ....

しっかし投降の呼び掛けを無視して攻撃か....よし、コイツは潰す

 

 

瞬動で一気に近付き、殴り飛ばす

 

 

「ガハッ!?このやろ「遅い」がああああっ!?」

 

 

吹っ飛んだキチ○イより先に回り込み上空に蹴り上げる

 

 

「『魔法の射手 連弾・氷の47矢』」

 

 

ーーーードガガガガガガ......ッ!!ーーーー

 

 

「あがげぎゅがぐぎぎゃああああっ!!?」

 

 

耳、左手の小指、左の翼、右足の親指、鼻.......放たれた『魔法の射手』次々に狙った部位に直撃し、キチ○イの体を少しずつ削り取っていく...

 

 

ーーーードサッ!ーーーー

 

 

「ひ、ひぎゅうああぎいぃいぃ....」

 

「メウス・ルブラム・ドラコ・カル 『白き雷』」

 

 

削りきられ、だるま状態で落ちてきた○チガイの頭を『白き雷』を纏わせた右足で踏み潰す

 

 

ーーーーグシャッ!!ーーーー

 

「ぴぎっ...!」

 

 

すると、キチガ○の体は消滅し、後には一枚の羽だけが残った

 

 

「....まだやるかい?」

 

 

落ちた羽を回収しながら、ドーナシークに問いかける

 

 

「......いや、止めておこう。少なくとも、お前は俺がどう足掻いても勝てる相手じゃないからな」

 

「賢明な判断だな。とりあえず、じっとしてろ。あんたの処遇はアザゼルさんが決めるはずだ。他の連中は?」

 

「恐らく、皆地下に居るだろう」

 

「そうか.....動機は解るか?」

 

「『至高の力を手に入れる』....だそうだ」

 

「なるほど、上場酌量の余地無しだな」

 

 

地下への階段を中程まで進んだ所で詠唱を始める

 

 

「メウス・ルブラム・ドラコ・カル 小さき王 八つ足の蜥蜴 邪眼の主よ 時を奪う毒の吐息を」

 

丁度詠唱が終わる頃に階段を降り終えた

 

「『石の息吹』」

 

ボッ!と音を立てて、石化効果のある煙が地下の祭儀場に充満していく

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

3分後

 

 

「....もう良いかな」

 

 

祭儀場に入ると堕天使を含め、しっかり全員石化していた

 

俺は石化している連中を異空間の倉庫にポイポイと放り込んで行く

 

 

「よっし、お仕事完りょ...『風花・風障壁』!」

 

 

ーーーーガキィィィィィンッ!!ーーーー

 

「何っ!?」

 

「くっ....!」

 

 

......いきなり攻撃してくるとはな...

 

 

「部長、気を付けて下さい...!」

 

「相当な手練ですっ...!」

 

 

俺が三大勢力の内のどこかのお偉いさんだったらどうするつもりだったんだ?

 

 

「うふふ、余り抵抗しないでくれると助かりますわ」

 

「安心しなさい。アナタ達はやらせ無いわ。下僕を守るのも『王』の勤めよ。

...さてと」

 

 

なあ.....

 

 

「答えなさい。このリアス・グレモリーの領地で何をしていたのかしら?」

 

 

ーーーー無能王(リアス・グレモリー)

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

さて、どうしたもんか.....この時のグレモリー眷族ってホンットに実力差も解んないカスしかいないんだよなぁ....

 

いきなり一方的に攻撃されたんだから、正当防衛でやり返しても良いんだけど....さすがに、魔王にはまだ勝てないしなぁ...

アザゼルさん達にも迷惑かかるだろうし....

 

 

「どうやら堕天使を狩っていたようだけど...何が目的?」

 

 

三大勢力の仲を取り持つ事ですが?

 

 

「それに、ここ数ヵ月、この町のはぐれ悪魔を狩り続けていたのもアナタね?」

 

 

確かに俺だが、確たる証拠も無いのに決め付けてんじゃねーよ。

そもそも、俺はここ数年狩り続けてるんだけど。マジで今まで気付いて無かったのか....

 

 

「....上に居た堕天使はどうした」

 

「ああ、それならボーッとしていたから消し飛ばしたわ」

 

 

無抵抗の相手を...コイツ正気か?さっきもいきなり攻撃してきたし....

 

 

「さあ、無駄な抵抗は止めなさい。アナタには色々聞かなくちゃいけない事があるもの」

 

 

あ、ヤバい。俺もうぶち切れそう。コイツに下に見られるとか、マジで我慢ならない

 

 

「......」

 

「答える気は無いようね。仕方ないわ、朱乃!」

 

「ウフフッ!さあっ、良い声で鳴いて下さいね?」

 

ーーーーカッ!ガガガガガガガガッ!!ーーーー

 

 

姫島朱乃の攻撃を不可視の障壁を展開して、敢えて受ける

 

 

5秒...10秒...15秒....

 

 

(やれやれ、これじゃあ、並の人外じゃ死んでるぞ....?)

 

 

明確な敵対行動を取った訳でも無いのにこの対応か...

 

30秒経過。もうそろそろ、いいかなーーーーー

 

 

「さて、そろそろ.......正当防衛だっ!!」

 

 

ーーーー死なない程度にぶっ飛ばす!!

 

 

瞬動で木場祐斗の後ろに回り込み『魔法の射手 収束・雷の47矢』を右拳に乗せる

 

 

「なっ..!?」

 

 

慌ててガードしているが、もう遅い

 

 

「一人目っ!!」

 

ーーーーズドンッ!!ーーーー

 

「ぐああああああっ!!」

 

 

ガードをぶち抜いて殴り飛ばす。『騎士』撃破(テイク)っと

 

 

「メウス・ルブラム・ドラコ・カル 来たれ 虚空の雷 薙ぎ払え」

 

「祐斗先輩っ!?この...!」

 

 

塔城小猫が俺に殴りかかろうとするが、俺の詠唱の方が早い

 

 

「『雷の斧』!」

 

「キャンッ!?」

 

「二人目...」

 

 

『戦車』撃破(テイク)

 

 

「なっ!?祐斗!小猫!くっ!....よくもっ!」

 

「メウス・ルブラム・ドラコ・カル 来れ雷精 風の精 雷を纏いて吹けよ南洋の嵐」

 

「駄目っ!リアス、下がって!!」

 

 

ーーーー王手詰み(チェックメイト)

 

 

 

「『雷の暴風』!!」

 

 

ーーーードンッッッッ!!!!ーーーー

 

 

放たれた『雷の暴風』によって教会は木端微塵に吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

「『女王』、『王』.....撃破(テイク)

 

 

 





ハイ、と言う訳で第3話でした


何か途中で霧が出てきましたね(笑)

あ、フリード君はまだキチンと生きてます。まあ、ボロボロでしょうけど

戦う事無く退場したカラワーナとオリキャラのクローディス君、投降したのに特に描写も無く散ったドーナシーク君

今後、彼等の出番はありません(笑)


今回グレモリー眷族は『赤龍帝の籠手』無しで瞬殺されました。

この世界では、凶暴なはぐれ悪魔はグレモリー領に侵入すると、すぐにイッセー君に駆逐されていました。

つまり彼女等は『自分達より格下の相手を集団リンチ』以外した事がありません。

なので、『自分より格上の相手に各個撃破される』と言う状況に実戦では陥った事がありません。

と言うよりも、そもそも『実戦で自分より格上と戦う』という事態を想定した事すら有りません。


まあ、今回はそもそも相手(イッセー君)との実力差が大き過ぎたので。

例え想定していたとしてもどうしようも有りませんでしたが(笑)


前回、今回と戦闘描写が有りましたが、正直、戦闘描写は苦手なんですよねぇ....




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第4話 練習すれば出来る様になるモンだよ?


ライザー編は丸々カットします

と、言う訳で第4話です


「ーーーーと、まあ、こんな感じです。一応ドーナシークの羽は回収しときました」

 

【....そうか、わかった。本当に面倒をかけたね。ありがとう、助かったよ】

 

「いえいえ、アザゼルさんには何時もお世話になってますからね。たまには恩返ししないと」

 

【ハハッ、嬉しい事言ってくれるねぇ。

......しっかし、無抵抗の相手を問答無用で殺しにかかるとはね......リアス・グレモリーは何考えてんだい?】

 

「いや、何も考えてないんでしょ。『愚かにも、このリアス・グレモリーの領地で好き勝手やってる堕天使を颯爽とやっつけた私、カッコイイ!』って所じゃ無いですか?これだから無能は....」

 

【....なあ、念のため、もう一度聞いておくけどさ、本当に殺って無いよな?】

 

「大丈夫ですって。ちゃんと生きてるのは確認したし、応急処置もしときましたから」

 

【.....そうか。まあ、とりあえず、悪魔側にはウチ(グリゴリ)が話を付けておくよ.......それで、アーシア・アルジェントの事なんだがな....】

 

「大丈夫です。ウチで面倒見ますから。本人にもそう言いましたしね」

 

【わかった。困った事が有ったら何時でも連絡しな】

 

「ええ、ありがとうございます。それじゃ」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ただいま~」

 

 

ーーーーダダダダダッ.....バンッ!ーーーー

 

 

「イッセーさん!大丈夫ですか!?」

 

「おっとっと、大丈夫だって。ほら、ご覧の通り」

 

 

家に帰り、玄関を開けると、アーシアが凄まじい速さで突っ込んで来たので受け止める

 

 

「ホントに、ホントに大丈夫なんですか?無理してませんか?」

 

「ハハッ、アーシアは心配性だな。これでも『赤龍帝』だぜ?あの程度の奴等にはやられたりしないよ」

 

 

俺がそう言うと、アーシアはぺたん...と床にへたりこんでしまった

 

 

「あ、あうぅ~....スイマセン、安心したら、力が抜けてしまって...」

 

「そんなに心配してくれたのか....ありがとう、アーシア。立てる?」

 

「んにににぃぃいい....!....た、立て無いです~」

 

 

アーシアは、ぷるぷると震えながら精一杯立とうとしているが、上手く力が入らないようだ

 

 

「しょうがない...アーシア、ちょっとごめんね?」

 

「ふえ?きゃっ!?」

 

 

アーシアの膝の裏に手を通し、反対の手を脇下に通して、横抱きで抱えあげるーーーーそう、『お姫様抱っこ』である

 

 

「あ、あああああの、い、いいいイッセーさん!?こ、ここ、これは、少女コミックで有名な、あの伝説の...!」

 

「ん?ああ、お姫様抱っこは嫌だった?ちょっと我慢してね、すぐ運んじゃうから」

 

「いえ!お気になさらず!お気になさらずに、どうぞごゆっくりと....!」

 

 

マジか。平然とやってる様に見えるだろうけど、俺今、内心凄い事になってんだけど。心臓バックバクだよ?

こんな美少女をお姫様抱っこしといて緊張しない男何ているのだろうか?いや、いない(断言)

 

アーシアを抱っこしたままリビングに入ると、今まさにイチゴ牛乳のボトルをらっぱ飲みしようとしているドライグと目があった

 

 

「.........」

 

「.........」

 

「お、お帰り、相棒」

 

「ただいま、ドライグ。イチゴ牛乳はコップに入れて飲みなさい」

 

「す、すまん...欲望に駆られてつい....」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「さてと、アーシア。君は今日からウチに住む訳なんだけど、着替えとかはある?」

 

「い、いえ....私は普段はこの服ばっかりだったもので....」

 

 

フム、着替えは無し、か....

 

 

「よしっ、それじゃ、今から買いに行こうか!」

 

「え!でも、私あんまりお金は....」

 

「いや、俺が出すから気にしなくて良いよ」

 

「そ、そんな訳には....!」

 

「良いんだよ、お金はたくさん有るから。さっき堕天使の知り合いが居るって言ったでしょ?その人の所でバイトみたいな事やってるからさ。聖書でも言うでしょ?『汝、隣人に手を差し出せ』だっけ?」

 

「あ、あうぅ~...私、早速ご迷惑を...」

 

「何言ってるのさ、こんな美少女の為にお金を使う事の何が迷惑か!と、言う訳で、行こうか」

 

「び、美少女.....はうぅ...」

 

 

アーシアは俺の美少女発言で顔を真っ赤にしている。そんな照れないでよ、俺もかなり恥ずかしいんだから

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

「そんな訳で、やって来ましたショッピングモールです」

 

「ほあ~!!イッセーさん、見てください!色んなお店がありますよ!」

 

 

アーシアの目がキラッキラ輝いている。うむ、連れてきて良かった

 

 

「アーシアはこういう所は...」

 

「ハイ!初めてです!」

 

「そっか、それじゃあ、まずは服を買っちゃって、その後に....お?あれは....ちょうど良いや。アーシア、ちょっとここで待っててね?」

 

 

正直、俺には女の子の服を選ぶセンスは無いからな。こういうのは専門家に頼もう

 

 

「おお~い、コタロ君~!」

 

「ん?...あれ、イッセーさんじゃないですか。どうしたんですか?」

 

 

この娘は深山琥太郎。俺のご近所さんの男の娘で、ベルテインさんのご主人様でもある

 

 

「いや、ちょっと野暮用でさ。ねえ、コタロー君。ファッションセンスに自信はある?」

 

「ハイ?」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「これなんかどう?アーシアちゃんに良く似合うと思うよ?」

 

「わ~!カワイイお洋服ですね!」

 

 

ドーモ、イッセーです。現在、アーシアとコタロー君はガールズトークで盛り上がっています。俺?やる事も無いから、ボーッと二人を眺めてますよ?勿論、二人に害虫ヘテロが寄って来ない様に、周囲にガンガン威圧感を与えています。営業妨害?知ったこっちゃ無ぇ

 

 

「イッセーさ~ん、ちょっと~」

 

「ん?はいはーい」

 

 

コタロー君に呼ばれたので試着室の方に行く

 

 

「アーシアちゃん、イッセーさん来たよ」

 

 

コタロー君がそう言うと、シャーッと音を立てて試着室のカーテンが開かれる

 

 

「ど、どうですか?イッセーさん...?」

 

「おぉ....似合ってる。月並みな感想だけど、すっごい可愛いよ」

 

「ほ、本当ですか!?頑張って選んで良かったです!」

 

 

ギンガムチェックのスカートにふわふわのブラウス、ダンガリーのパーカーというコーディネート。春っぽくてとっても可愛い

 

 

「いや、コタロー君に頼めて良かったよ。俺こういうセンスはまるで無いからさ」

 

「いえいえ、私もお役に立てて良かったです!」

 

「よしっ、じゃあ、その服買っちゃおうか」

 

「で、でも、本当に良いんですか....?」

 

「良いんだって。俺はアーシアが好きな服を着てくれるのが一番嬉しいんだよ」

 

「そうですか....イッセーさん、ありがとうございます...!」

 

「うん、どういたしまして。それじゃ、もう少し色々買ってから帰ろうか?」

 

「ハイ!」

 

 

.....その後、服や下着、日用品等を買い込んだ後に、もう少し店を見て回ると言うコタロー君にお礼を言ってから別れ、帰宅した俺達だった

 

 

 

 

家に帰っても、アーシアはニコニコと嬉しそうに俺が似合ってると言った服を眺めていた

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

3日後

 

 

学校からの帰り道、友人達が公園にいたのだが、何かじ~っと高い木を見ている。とりあえず、気になったので話しかけに行く

 

 

「お~い、ヒデノリ、モトハル、妹~」

 

「!イッセーか...」

 

「みんなして何やってんだ?」

 

「いや、まあ、アレ(・・)をな...」

 

アレ(・・)...?」

 

 

モトハルが口ごもりながら指差した方を見ると、鞄が3つ、木の高い所に引っ掛かっていた

 

 

「あ~.....妹がテンション上げすぎて、投げたカバンが枝に引っ掛かって困ってた所に、ヒデノリとモトハルが通りかかって、妹が二人を抱え上げたけど届かなくって、しょうがないからカバンを投げつけて落とそうと思ったら結局お前らのカバンまで引っ掛かっちゃった.....って感じか?」

 

「何でそんな正確にわかんのっ!?」

 

「見てたんなら言ってくださいよ!」

 

「いや、見ちゃいなかったさ。妹は制服の肩の辺りがしわくちゃで、ヒデノリとモトハルは靴をかかと履きしてるから、そうかな~って思ったんだよ」

 

「お前は将来探偵でもやるのか?」

 

 

いや、実戦だとこれ位の事はすぐに気付けないと命に関わるんだよ

 

 

「まあ、良いや。引っ掛けたのはあの3つだけか?」

 

「ああ。取れるか?」

 

 

大体8メートル位か....

 

 

「ほっ」

 

 

ーーーーシュシュシュッ.....バキバキバキッ!ーーーー

 

 

「よっ、はっ、ほっ、と.....ハイ、取れた」

 

 

落ちてきたカバンをキャッチして三人に手渡す

え?どうやって取ったのかって?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

普通に石投げて引っ掛かってる枝を切断しただけだよ?

 

 

「「「イヤ、普通じゃねーよ」」」

 

 

そう?練習すれば出来る様になるモンだよ?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

またまた3日後

 

 

「あ、イッセー」

 

「おやイッセーさん、こんにちは」

 

「おお、ハクノにタマモさんじゃん」

 

 

ここで出会ったのは岸波白野とその使い魔....と言うか、押し掛け女房の玉藻さん

 

二人の出逢いは、以前、ハクノが那須温泉に旅行に行った際に、『殺生石』を観に行った所、『イケ魂キター!』と言う声と共にタマモさんが殺生石をぶち破って出現。そのまま、なし崩し的にハクノの使い魔になったそうだ。

ちなみに、京都の九尾の御大将はタマモさんの後輩らしいです

 

 

「二人共こんな所で何してんの?デート?」

 

「キャッ!分かっちゃいました?いやー、やっぱり私とご主人様のラブラブっぷりはどうやっても隠せないんですかねー♪」

 

「タマモ、まずあの事を聞かないと」

 

「あ、そうでしたそうでした。イッセーさん、1週間程前に町外れの廃教会で戦闘が有った様なのですが、何か御存知ありません?」

 

「1週間....ごめん、それ俺だ。いらん警戒させた?」

 

「ああ、やっぱりイッセーさんでしたか。いえ、何か見知った気配が闘ってるなー...と思いまして。何が有ったのですか?」

 

「いや、ちょっとヤンチャしてた堕天使とゴタゴタしてたら、リアス・グレモリーが攻め込んできてね」

 

「ああ、あの無能な小娘ですか...」

 

「イッセー、その人ってそんなに酷いのか?一応、ここの領主なんじゃないのか?」

 

「無能=リアス・グレモリーで通じる位には酷いな。俺、いきなり殺されそうになったし。俺がはぐれ狩りしてんのも、最近漸く気付いたらしいし」

 

「う~わ、噂以上の無能っぷりですね~....」

 

 

ちなみに、俺とハクノ達との出会いは一年程前の事になる。

当時、帰宅途中だったハクノがはぐれに襲われ、俺が救出。その後、すっ飛んで来たタマモさんが、俺がハクノを襲っていると勘違いして全力で殺しにかかってきたのである

 

 

(いやー、あれは怖かった)

 

 

俺はあの時初めて『このままでは殺される』と思った。その後、ハクノの『相手の行動を三手先まで読める』という神器、『先見の魔眼』が覚醒。

ハクノに指揮され、何とかタマモさんをKOして誤解を解いたのである

 

 

(本当、女の怨み程恐いモノは無いよなぁ....)

 

 

「まあ、そんな訳でさ。アイツ等、俺に返り討ちにされてイライラしてるだろうから。絡まれない様に気を付けてくれ」

 

「勝手に突っかかっといて負けたら逆ギレとか、どうしようもね~....イッセーさん、ご忠告、ありがとうございました。では、私達はこれで」

 

「またな、イッセー」

 

「ああ。またな、二人共」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

2ヶ月後

 

 

「ハイ?」

 

【コカビエルが教会からエクスカリバーを盗み出して、ソッチに向かったんだ】

 

 

あー.....エクスカリバー編が始まったのか...

 

 

「....それで、俺にどうしろと?」

 

【ミカエルから『教会の悪魔祓いを二名送り込んだ』と言う連絡を受けてな。ソイツ等のサポートにまわってやってくれないか?】

 

 

.....イリナとゼノヴィアか

 

 

「サポートで良いんですか?俺が直接やった方が早いと思うんですけど....」

 

 

これは慢心ではなく、事実である。今の俺なら禁手化(バランス・ブレイク)しなくても、コカビエル位は苦戦せずに倒せる

 

 

【いや、コカビエルの独断とは言え、今回は完全にウチ(グリゴリ)の不祥事でな。教会側の顔を立てて...ソイツ等に勝たせてやらなきゃならないんだよ。

本来だったらヴァーリにやらせるべきなんだが、アイツはコカビエルが大っ嫌いでね....自分で始末しちまいかねないんだよ】

 

「.....なるほど....じゃあ、『コカビエルに勝てなくても、善戦は出来る位にその二人を鍛える』...で良いですか?」

 

【ああ、出来るんなら、それが最高なんだが...頼めるか?】

 

「まあ、問題無いですよ。幸い、アレ(・・)も完成しましたからね。時間的には問題無いです」

 

【ああ、アレ(・・)か.....じゃあ、すまないが、頼む。この埋め合わせは必ずするよ】

 

「気にしないで下さいって。それでは」

 

 

 

さて、色々準備しなくちゃな....

 

 





はい、と言う訳で第4話でした

着々とキャラが増えてきました


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第5話 真剣でッ!?

今回、ちょっと青臭い描写がありますが、まあ、我慢してやってください


と、言う訳で第5話です


2日後

 

 

「ねえ、ゼノヴィア。本当にここであってるの....?」

 

「ああ、住所はこの家になっているぞ.....どうかしたのか?」

 

 

私の名前は紫藤イリナ。プロテスタント所属の悪魔祓い(エクソシスト)で、『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』の担い手でもある。

今回、ミカエル様から堕天使コカビエルによって奪われた三本の聖剣(エクスカリバー)の奪還、又は破壊の任務を仰せ遣った。

その際に、『現地の協力者の元で修業を受けよ』という御指示も受けたのだけど.....

 

 

(ここって....イッセー君の家...だよね...?)

 

 

兵藤一誠。私が幼稚園の頃に仲が良かった男の子....なんだけど...

 

 

「よし、イリナ、早速行くぞ」

 

「あ、う、うん....」

 

 

ゼノヴィアがインターホンを押すと、男の子の声が聞こえてきた

 

 

【はい、どちら様ですか?】

 

「この度、教会から聖剣奪還の任を受けたカトリック所属のゼノヴィア、並びにプロテスタント所属の紫藤イリナだ。現地協力者と話がしたい」

 

【.....確認した。今玄関を開ける、入ってきてくれ】

 

 

その直後、ガチャッと言う音と共に玄関のドアが一人でに開いた

 

 

「行くぞ」

 

「はーい」

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

家に入ると、私達と同い年位の少年が出迎えた

 

 

「いらっしゃい、お二人さん。俺が今回君達の教官役を依頼された『赤龍帝』兵藤一誠だ。」

 

 

や、やっぱりイッセー君!?って言うか、せ、『赤龍帝』ですって!?

 

 

「な!?せ、『赤龍帝』だと!?」

 

 

ゼノヴィアも同じ様に驚いている。まあ、当然驚くだろう。まさか、自分達の教官を『赤龍帝』が務めるなど、普通は夢にも思わない

 

 

「ん?何だ、聞いてなかったのか?」

 

「あ、ああ...しかし、何故、赤龍帝が私達の教官を...?」

 

 

その通りだ。普通はこんな依頼は受けない筈。なのにどうして....

 

 

「ああ、アザゼルさんとミカエルさん、それに、メタトロンさんに頼まれたんだ。あの人達には色々と世話になっているんでな」

 

 

ミ、ミカエル様やメタトロン様、それに、堕天使総督にも面識があるの!?

 

 

「今回の事件について、君達はどれくらい聞いている?」

 

「え、えっと、堕天使コカビエルによって教会から聖剣が奪われたって...それで、私達に奪還任務が下った....って」

 

「なるほど、じゃあ簡単に説明しよう。

今回のエクスカリバー強奪はグリゴリの総意ではなくコカビエルの独断によるもの。

奪われたエクスカリバーは『天閃』『透明』『夢幻』『祝福』の四本。まあ、要は全部だな

目的は三大勢力間での戦争の再開。

教会はエクスカリバーを強奪されると言う失態を挽回するために単独でエクスカリバーを奪還する事を決定。

しかし、コカビエルに敵いそうな者が見当たらない。

そこで、グリゴリの伝で『赤龍帝』である俺に連絡を取り、君達を『最低限、コカビエルと戦えるレベル』にまで鍛える事にした。

......と、まあ、大体こんな感じだね」

 

 

そ、そう、なんだ....正直、余りにも色々あって、頭の整理が追いつかない

 

 

「じゃあ、行こうか?」

 

「へ?ど、何処に?」

 

「もちろん、修業場さ」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺は二人をある物が有る部屋に連れてきた

 

 

「さ、コッチ来て」

 

「お、お邪魔しまーす...」

 

「...ここが、修業場か?正直、ただの部屋にしか...ん?これは....」

 

 

部屋の中央には、それぞれ雪山や砂漠、離島、火山、学校等のミニチュアが入った大きなフラスコが複数、接続して置いてある

 

 

そう、『魔法先生ネギま!』に出てきた『ダイオラマ魔法球』である

 

 

「ねえ、イッセー君...これは...?」

 

「これは、『ダイオラマ魔法球』って言ってな、この中は外と時間の流れ方が違うんだ。

この中での一日は外では1時間しか経過しないんだ」

 

「なるほど、これを使って長期間の訓練を行う、と言う訳か....」

 

「そういう事。

ぶっちゃけ、常識的に考えて2、3日でコカビエルに勝てるレベルまで鍛え上げるとか、不可能だからな。その点、これを使えば、少なくとも1ヶ月は修業できる」

 

「す、凄いわね!これ!」

 

 

イリナとゼノヴィアは魔法球に感心しているようだな.....さて、そろそろ呼ぶか...

 

 

「それと、もう一人紹介しよう。アーシア、来てくれ」

 

 

俺の呼び掛けに応じて部屋に入ってくるアーシア。やっぱり、緊張している

 

 

「この娘はアーシア・アルジェント。この修業の間は、アーシアに治療してもらう予定だ」

 

「.....もしや、『魔女』アーシア・アルジェントか?まさか、この地で会おうとは」

 

 

...やはり、きたか...

 

 

「へえ、あなたが一時期内部で噂になってた『魔女』になった元『聖女』さん?悪魔や堕天使をも癒す能力を持っていたらしいわね?教会を追放され、どこかに流れたって聞いてたけど、まさかイッセー君の所に居るとは「.....オイ、居たら悪いか?」え?い、イッセー君?」

 

「聞いてんだろ、答えろよ。アーシアがここに居たら悪いのか?」

 

 

イリナ達の物言いにカチンときたので、ちょっくらお説教するとしよう

 

 

「大体さ、お前らこれから(赤龍帝)の修業を受けるんだぞ?まさか、修業が終わるまで無傷でいられると思ってないよな?」

 

「あ、あの、イッセー君...」

 

「俺さっき言ったよな?『この修業の間はアーシアに治療してもらう』って。意味分かってる?市販の回復薬じゃ、間に合わない様な怪我をする可能性があるんだぞ?」

 

「あ、ああ....」

 

「そういう時にアーシアに治してもらうんだぞ?要は、お前らの命を救ってもらうんだぞ?その相手に何だその態度は?『魔女』って蔑称だろうが」

 

「ご、ごめんなさい....」

 

「俺に言うな、アーシアに謝れよ。

お前らさ、アーシアがどれだけ優しい娘か知らないだろ?どうせ『『聖女』に必要なのは分け隔てない慈悲と慈愛だけだ』とか思ってんだろ?怒んないから正直に言ってみ?」

 

「そ、その...はい...」

 

「アホか。この娘はな、れっきとした『人間』なんだよ。おい、イリナ。『人間』って漢字でどういう風に書くか分かるか?」

 

「え、えっと...『人の間』です...」

 

「そうだよ『人の間』だよ。

人間ってのはな?人と人の間に居る、要は他人と触れ合うから、心を許せる相手がいるから『人間』でいられるんだよ。

ニュースでたまに見る世捨て人とかどうだ?やってる事まるっきり動物と一緒だぞ?」

 

「そ、そう、だな...」

 

「何が言いたいのかってゆーとだな?『人間』は『聖女』にはなれないんだよ。人間は一人でいるのは耐えられないんだよ。

お前らに想像出来るか?自分の事を異質なモノとして...皆と同じ『人間』ではなく『人を治療出来る生物』として....『聖女』として見られる奴の気持ちが!」

 

「.......」

 

「想像出来る訳ねーよな、俺だって想像出来ねーよ!」

 

 

ヤバい、歯止めが効かなくなってきた

 

 

「その『聖女』って言う役割だって自分じゃなくって周りが勝手にやった事だしな!なのに、不満一つ言わずに毎日毎日、人を癒し続けた!自分の力が役立つのが嬉しかったから!神様に人を癒す力を授けて貰った事をいつも感謝していた!」

 

「わ、私達は...そんな...つもりじゃ...」

 

「ある日その娘の前に傷付いた悪魔が現れた!その娘はどうしてもその傷付いた悪魔を見捨てる事が出来なかった!『悪魔は敵だ、堕天使は敵だ』っていつも聞かされてたのに!それほどまでに優しい娘なのに!!」

 

「.......」

 

「ただ『悪魔や堕天使をも治療できる』というだけでっ!!勝手に『聖女』として担ぎ上げておきながら、自分達に都合が悪くなったら『魔女』と糾弾して捨てた!!なのにこの娘はまだ神を信じてるんだぞ!!」

 

「.......」

 

「そんな娘にテメー等は何て言った!?ああっ!?正直なあ!俺はアーシアには手伝って欲しく無かったよ!!絶対に蔑んでくると思ったから!!案の定やらかしたしな!」

 

「それでも、「イッセーさん、もう十分です」....スマン、ちょっと熱くなりすぎた」

 

「いえ、こんなに私の事を想ってくれる人に出逢えたんです。これだけで、今まで我慢して良かったと思えました。主に感謝しなくてはいけませんね」

 

 

....こんなに良い娘なのに、何でここまで苦労しなくちゃならないんだよ....

 

 

「.......」スッ、ツカツカツカ....

 

 

?急にゼノヴィアがアーシアの正面に来た。何する気だ....?

 

 

「あの....ゼノヴィアさ...」

 

 

ーーーーバアアンッッッ!!!ーーーー

 

 

 

ゼノヴィアが凄まじい音を立てて地面に自分の頭を叩き付ける様にして、土下座をした

 

 

 

「...すまなかった。アーシア・アルジェント。私が愚かだった。他人の話だけを信じ、実際の君を見もしないで見下していた。」

 

 

......あれ?キミ、そんな人だったっけ?最初はもっといけすかない感じじゃなかったっけ?

 

 

「...そうね。確かに、ゼノヴィアの言う通りだわ。ごめんなさい、アーシアさん」

 

 

イリナもっ!?え、イヤ、性格が良いに越したことはないんだけど.....

 

 

「それに、イッセー君にも昔、言われたもんね。『自分で直接見聞きした訳でも無い事を鵜呑みにするな』って」

 

 

ヤバイ、全然覚えてない。俺、そんな事言ってたのか......

 

 

「いえ、気にしないでください。私の行いが浅はかだったのも本当の事ですから」

 

 

なんか、アーシアも大分メンタルが強くなってきたなぁ....

 

 

「まあ、その、なんだ?とりあえず、和解出来た....って、考えて、良いのか?」

 

「ああ」

 

「うん!」

 

「はい!」

 

 

そ、そうか.....それなら、何より、かな...

 

 

「えっと.....じゃあ、修業、始めるか?」

 

「りょーかい!」

 

「ああ、了解だ」

 

「イリナさん、ゼノヴィアさん、頑張ってください!怪我をしたら、私がしっかり治します!」

 

「ああ、頼むぞアーシア」

 

「お願いね、アーシアさん!」

 

 

....仲、良いね?俺、キレる必要無かったかなぁ....うわあ、何か俺、スッゴイ痛い奴な気がしてきた....

 

 

一人、そんな事を考えている俺だった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

修業1日目

 

 

「じゃあ、まずはお前らの連携を確かめたいから、模擬戦をやるぞ。二人まとめてかかって来い。あ、とりあえず二人の純粋な技量が知りたいから、エクスカリバーの能力は使わないでくれ」

 

 

俺がそう言って構えると、怪訝な顔をする二人

 

 

「あん?どうした?」

 

「イッセー君、神器は?」

 

「ああ、とりあえず、最初は無しでいくから。俺に一撃当てたら解禁する」

 

「......わかった」

 

 

じゃあ、仕切りなおしてーーーー『戦いの歌』

 

 

「スタートッ!!」

 

 

ーーーーフォンッ!!ーーーー

 

 

瞬動を使って一気にゼノヴィアに肉薄し、右ストレートを放つ

 

 

「ぐおおおおっ!?」

 

「おっ、やるなぁ」

 

 

確実に入ったと思ったのだが、当たる直前に、後ろに飛んで衝撃を逃がされた。まあ、それでも10メートル程吹っ飛んだのだが

 

 

「!?ゼノヴィ「相方のことを気にしてる余裕は無いぞ?」キャアアアアア!」

 

 

気を取られたイリナの顔を掴み、ゼノヴィアに投げつける

 

 

「ぐおっ!」

 

「きゃうっ!」

 

「ほら、どうした。これが実戦だったら、少なくともイリナは確実に死んでるぞ?」

 

 

倒れている二人に接近して、踵落としを放つ。二人は飛び上がってそれをかわし、一気に俺から距離を取った

 

 

「お前ら、幾ら俺が生身だからって油断しすぎだろ?俺は天使長と堕天使総督からお前らの教官役を依頼されたんだぞ?最低でも、お前ら二人を同時に倒せるレベルに決まってるだろうが」

 

「.....そうだな。すまない、貴方を見くびっていた。イリナ!本気でいくぞ!」

 

「オッケー!」

 

 

ゼノヴィアが正面から、イリナが左から回り込むように切り込んできた。結構早いな.....

 

 

「おおおおおおおおッ!」

 

「たああああッ!」

 

 

ゼノヴィアが重く鋭い一撃を放ち、かわした所にイリナが手数で攻めてくる。それらを捌いていると、再びゼノヴィアが攻撃してくる。フム、コンビネーションに問題も無い。優秀だな、そろそろ『戦いの歌』じゃ厳しくなってきた

 

 

「(そろそろ、切り替えるか....)よっし...イリナ!ゼノヴィア!ギア上げるぞー!」

 

 

『戦いの歌』を解除し、『咸卦法』に切り替える

 

 

ーーーーヒュンッーーーー

 

 

「な!?消え「てはないぞ」っ!!」

 

 

瞬動でイリナの背後に回りこむ。イリナの腕ごと腰の辺りに手を回し、ガッチリと抱きしめるようにホールドして、持ち上げる

 

 

「ひっ!?こ、この姿勢は....!や、やだ、ヤダヤダヤダ!ぜ、ゼノヴィア!助け....!」

 

「どっせええええええいッ!!」

 

 

ーーーーズドンッ!!ーーーー

 

 

「んぎゃんッ!?」

 

 

イッセーのバックドロップ!!かいしんのいちげき!!紫藤イリナに999のダメージをあたえた!!

 

 

「きゅ~~~~~.......」

 

 

ーーーードサッーーーー

 

 

紫藤イリナは倒れた!!イッセーは7の経験値をてにいれた!!」

 

 

「ちょっと少なすぎやしないかい!?」

 

 

ありゃ、声に出てたか。まあ、良いや

 

 

「さて、次の獲物.....相手はお前だぞツームストンパイルドライバー(ゼノヴィア)?」

 

「待て!今、何と書いて私と読んだ!?」

 

「あ?何がだよツームストン(ゼノヴィア)?」

 

「じょ、冗談だよな?女の子にそんな事する訳ないよな?」

 

「ハッハッハ、安心しろツームストン。普通は女の子にバックドロップもしねぇよ」

 

「つまりやるって事じゃないか!?もう普通に私の事ツームストンって呼んでるし!」

 

「その通....りッ!!」

 

 

俺は一気にゼノヴィアに接近する

 

 

「お、おのれええええ!やられる前に殺ってやるッ!!」

 

 

ゼノヴィアも接近してきた

 

 

「うおおおおおおおッ!!」

 

 

ーーーーズドドドドドド......ッ!!!ーーーー

 

 

「よっ!ほっ!はっ!シィッ!」

 

 

ゼノヴィアの放つ斬撃を、かわし、そらし、受け流しながら近付く

 

 

「ハアッ!!」

 

 

下段からの斬撃をかわして掴みかかる。が

 

 

「貰ったああああああああッ!!!」

 

 

ゼノヴィアはエクスカリバーを投げ捨て、切り上げの勢いを利用して回し蹴りを放つ。放たれた蹴りは俺の胴を薙払うようにせまり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーースカッ!!ーーーー

 

「.......へ?」

 

 

ーーーーそのまま素通りした

 

 

呆然としているゼノヴィアの肩を背後から掴む

 

 

「残念、それは残像だ」

 

「......」

 

 

人形の様にギギギギギ....とコチラを振り向くゼノヴィア

 

「......」

 

「今度からはしっかり相手の気配を確かめような?」

 

「......ぎ、ギブアップ」

 

「拒否」

 

 

スパンッ!と足払いをして、空中で回転しているゼノヴィアの身体を掴み、頭を膝で挟む

 

 

「わあああッ!や、やめろ!離せッ!離せえええええッ!」

 

「さーん、にーい、いーち」

 

「はなっ.....」

 

 

ーーーーズドンッッ!ーーーー

 

 

「ぎゃふん」

 

 

ーーーードサッーーーー

 

 

「ふう、終了っと。アーシア~!ゼノヴィアも治療してやって~!」

 

「はーい!」

 

 

イリナの治療をしていたアーシアにゼノヴィアの方も頼む。すると、30メートル(・・・・)程離れた所にいるアーシアから、ゼノヴィアの方にも淡い緑の光が届く

 

 

「しっかし、アーシアもだいぶ成長したなぁ...」

 

 

ここ、2ヶ月程の特訓のお陰で、アーシアの治療の腕は、メキメキと上昇した。今では、最大40メートル離れた所から12人まで同時に治療できるようになっている

 

 

「さて、次は聖剣の能力有りでやってみるかな.....」

 

 

その後、復活した二人と能力有りで模擬戦し、問題点等を洗い出して二人の修業内容を決定。日が暮れるまで、ひたすら身体と精神を虐め抜いて1日目は終了した

 

 

 

以下、ダイジェストでお送りします

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

3日目

 

 

 

「じゃあ今日は、ひたすら俺の攻撃をかいくぐって俺に攻撃当てにきてねー。10回成功したら終了。途中で失敗したら一からやり直しだぞ」

 

「了解だ、師匠」

 

「任せてよ!」

 

「オッケー、じゃあいくぞー」

 

『BoostBoostBoostBoostBoost!!』

 

「メウス・ルブラム・ドラコ・カル 『魔法の射手 連弾・光の54矢』」

 

 

54×32=1728

 

 

「「ちょっ、待っ」」

 

「さあ、頑張って俺に当てに来いよー。とりあえず攻撃は避けないでやるからさ。じゃ、スタートッ!」

 

 

ーーーーキィィィィィン.....ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド.........ッッッ!!!!!ーーーー

 

 

「「ギャアアアアアアアアアアアアアッ!!」」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

8日目

 

 

 

「今日は休憩だ。自由にしてて良いぞ」

 

「本当か!?」

 

「やったー!!」

 

「ただし、たまーに、仙術で気配消して襲撃するからな」

 

「それは休憩って言わないよ!?」

 

「お前らは修業しに来てるんだから当たり前だろ。要は気配察知の訓練だな」

 

「.....こんな事だと思った」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

14日目

 

 

 

「たあああああああッ!!」

 

「踏み込みが甘いぞ。もっとヒザ上げて足伸ばせ」

 

「でやあああああああああッ!!」

 

「無駄な動作が多いな。聖剣の能力で威力は底上げされるんだから、もっと力抜いていいぞ」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

17日目

 

 

 

「ぬうううううううう.......」

 

 

ーーーーキィィィィィィィィン......ーーーー

 

 

「おー、良い感じ良い感じ。もうちょっと聖剣のオーラを圧縮出来ればアレ(・・)が使えるぞ?」

 

「本当か師匠!?」

 

「おう。つーか、お前ら習得早すぎじゃね?どんだけ優秀なんだよ」

 

「フッフッフ!もっと褒めても良いんだぞ師匠?」

 

「チョーシ乗んなアホ弟子」

 

 

ーーーーズビシッ!ーーーー

 

 

「あうっ!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

19日目

 

 

「イッセー君、どう!どう!?」

 

「おう、技としての完成度はかなり高いな。良く頑張ったな。偉いぞイリナ」アタマナデナデ

 

「えっへっへっへっへ~♪」

 

「師匠、私とイリナで扱いが違いすぎないか?」

 

「私はゼノヴィアと違って繊細なんだから当たり前でしょう?」

 

「ほう。私に喧嘩を売るとは、良い度胸だなプロテスタント(異教徒)?いつもいつも師匠にベタベタしくさりおって!顔を貸せ、叩き斬ってくれる!」

 

「何、嫉妬?全く、すぐにキーキー言うんだから。これだからカトリック(異教徒)は....」

 

「何だと異教徒!?」

 

「何よ異教徒!?」

 

「やめんかアホ共」

 

 

ーーーーガンッ!ゴンッ!ーーーー

 

 

「「ぎゃんッ!?」」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

22日目

 

 

「師匠ー!!大変だ大変だ大変だ大変だ大変だーーーーーッ!!!!」

 

「イッセー君ー!!大変大変大変大変大変ーーーーーッ!!!!」

 

「イッセーさーん!!大変です大変です大変です大変です大変ですーーーーーッ!!!!」

 

「どうしたっ!?」

 

「神器が発現したんだッ!!」

 

「神器が発現したのッ!!」

 

「私、禁手に至っちゃいましたッ!!」

 

真剣(マジ)でッ!?」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

そんな感じで色々と実りのある24日間(24時間)だったが、アホ二人がリアス・グレモリーに教会からの通告をしに行って無かったそうなので、一旦外に出る事にした

 

 

「うわー!ホントに一日しか経ってない!」

 

「おお.....師匠を疑っていた訳では無かったのだが、まさか本当に中の一日は外で一時間しか経過していないとは.....」

 

 

やっぱり驚いているな。まあ、アーシアも最初は目を丸くして『ふええええええええええええええッ!?』って驚いてたしな

 

 

「ほれ、パッパといって来い。もう、確実にお前らの方が強いんだからな?手ぇ出すなよ?出しても殺すなよ?」

 

「ハーイ!」

 

「分かっているさ。では、行ってくるよ師匠」

 

 

 

 

そんな感じで二人を見送ったあと、アーシア、ドライグと一緒に買出しに出かけた俺達だった

 

 

 

 

 

 




はい、という訳で第5話でした


今回はイリナ、ゼノヴィアの神器覚醒、アーシアの禁手化等がありました









若干ネタバレになりますが、二人の神器は『聖剣創造』です。
原作でも木場君は『聖剣使いの因子』を手にいれた事で『聖剣創造』を入手していたので、同じく、『聖剣使いの因子』持ちのイリナと、元から高い『聖剣使いの因子』を持っていたゼノヴィアなら持っていてもおかしくはないかなぁ...と

アーシアの禁手はそのうち使用します










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第6話 ゼノヴィアは出来る娘だもんな?


ビルドファイターズ、終わっちゃいましたねぇ....

と、言う訳で第6話です


「さ~て、どうしたモンか.....」

 

 

イリナとゼノヴィアの二人を送り出した後、雨が降っている中、買出しに来た俺とドライグとアーシア。買出しの途中、戦闘をしてる気配があったのでドライグにアーシアを任せ、確認に来たのだが......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには、片腕の無いズタボロの『騎士』木場祐斗がいた。俺が到着した時にはすでにこの有様で、今まさに止めを刺されそうになっていたのだが、相手ーフリード・セルゼンは俺を見ると一目散に逃げ出して行った

 

 

 

「こいつはほっといたら死ぬよなぁ.....仕方ない、連れて行くか....っとその前に『治癒』」

 

 

ブーステッド・ギアを出し、数回倍加してから『治癒』を使う。取り敢えずの応急処置だ

 

 

「....もしもし、ドライグ?」

 

【おお、どうだった相棒?】

 

 

電話を取り出してドライグに連絡する

 

 

「いや、ちょっと拾い物(・・・)しちゃってさ。悪いんだけど、アーシア連れて家に戻ってくれ」

 

【了解した.......なあ、相棒】

 

「ん?どした?」

 

【イチゴ牛乳も買っていいか?】

 

「.....一本だけだぞ?」

 

【了解だ!】

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「戻ったぞ、相棒」

 

「イッセーさん、ただいまです!」

 

 

木場君に輸血をしながら『治癒』をしていると、ドライグとアーシアが戻ってきた

 

 

「おかえり、二人共。アーシア早速だけど、コイツを頼む」

 

「ッ!分かりました!『禁手化(バランス・ブレイク)』!!」

 

 

禁手化するとアーシアの姿が、美しい青いヴェールを纏った赤い服に変わり、手には真っ赤な卵が現れる

 

 

「いきます!」

 

 

アーシアが手をかざすと、凄まじい、しかし暖かい光が放たれ、木場君の体を包み込む。すると、無くなった木場君の右腕が一気に再生した(・・・・)

 

 

 

 

 

 

ーーーーーこれが、アーシアの禁手『聖母の祝う復活祭』。その効果は『発動中、指定した対象に一時的な不死性と超絶的な再生能力を与える』という、『もうコレ、神滅具(ロンギヌス)でいいんじゃないのか?』的なトンでも効果である。勿論、『幽世の聖杯』と違って、使っても精神汚染はしない

 

 

「....ふう。イッセーさん、終わりました。これでもう大丈夫です」

 

「ああ、ありがとうアーシア......その、すまない」

 

「...いえ、イッセーさんが頼ってくれたんです。しっかり応えないと」

 

 

健気で良い娘だねぇ....

 

 

「それで、イッセーさん。この人は...?」

 

「リアス・グレモリーの『騎士』だ。エクスカリバー持ちに襲われててな......あのまま見過ごしてやられたら三大勢力間でトラブルになるからな。回収したんだ」

 

「そうでしたか......」

 

「とりあえず、目ぇ覚ますまではウチで保護する。二人にも説明しないといけないからな.....ドライグ、コップで飲めって言ってるだろ」

 

「ぬう....」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ーーーーと、言う訳でな」

 

「そうか.....ありがとう師匠。いらないトラブルが起こるところだったよ」

 

「通告してる間に眷属が死亡、なんてなったら教会からの宣戦布告だと思われかねないもんね。ありがとう、イッセー君」

 

 

戻ってきた二人と一緒に別荘に入り、さっきの事を報告する

 

 

「それで師匠、ソイツはどうするんだ?」

 

「とりあえず、目を覚ますまではコッチで保護.......お?」

 

「う、うぅ...ここは....?」

 

 

目が覚めた様だな

 

 

「おはよう、木場祐斗君?」

 

「ッ!キミは.....ッ!?ここはどこだ!何が目的だ!?」

 

「まあまあ、落ち着け。順番に説明してやるよ」

 

 

とりあえず、俺が木場君を発見してからの事、コカビエルの事を説明する

 

 

「ーーーって感じだな」

 

「....キミの話が本当だと言う証拠は?」

 

「う~ん、お前の主に確認取れば分かると思うぞ?」

 

「......そうか。いや、信じるよ。助けて貰ったのは事実だしね.....それより、アレが六本もこの町にあるのか....」

 

「そうそう。んで、お前は何でフリード....お前を襲っていた奴と戦闘になったんだ?」

 

「覚えのあるオーラを感じてね...そのオーラを辿って行ったら出会ったのさ。部長....僕の主達は気付いていなかった様だけどね。ついでに言わせてもらうと、今もガンガン感じてるよ。あの忘れもしないオーラを....ッ!!」

 

 

そう言ってイリナとゼノヴィアを睨み付ける木場君

 

 

「キミ達が彼の言っていた教会の聖剣使いかい?初めまして。僕はキミ達の先輩さーーーーー失敗作だったそうだけどね」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その後もガンガンと殺気を浴びせ続ける木場君にとうとうゼノヴィアがプッツン。『文句があるなら直接かかってこいやゴラァ!!』という感じでブチ切れ、あれよあれよと言う間に木場君と勝負する事になっていた

 

 

「じゃあ、まあ、とりあえずルールは『殺害厳禁』で。この勝負が終わったら一切、聖剣関係で揉め事起こすなよ?」

 

「わかった」

 

「ああ、それで構わないよ」

 

「じゃあ、始めるぞ」

 

 

俺の言葉で互いに構える二人。俺達も巻き添えを喰らうのは嫌なので距離をとる

 

 

「始めッ!!」

 

 

ーーーーヒュンッーーーー

 

 

俺の言葉と共にゼノヴィアの姿が消え、エクスカリバーを振り下ろした姿勢で木場君の背後に現れる。さらにーーー

 

 

ーーーーガキィィィィィンッ!!ーーーー

 

 

「なっ!?」

 

 

ーーー木場君の持っていた魔剣が中ほどから折られた

 

 

「どうした?大口を利いていた割に、実力はたいした事がないようだな?」

 

 

これは、ゼノヴィアの発現した神器『聖剣創造』を使った『擬似・瞬動』を使った攻撃である。

仕組みは簡単で、靴の形をした聖剣を作り、それに聖剣のオーラを込めて一気に移動する。

『気』や『魔法』が使えない二人の為に、俺が編み出した技である

 

 

「くっ!舐めるなああああああああッ!!」

 

 

あーあー、挑発に乗っちゃって.....

 

 

「はああああああああああッ!!」

 

「甘いッ!!」

 

 

木場君がそこら中に魔剣を生み出し斬りかかるが、ゼノヴィアのエクスカリバーの一薙ぎでまとめて吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる

 

 

「があっ!...く....ッ!!この程度で....ッ!!」

 

 

またも飛び掛る木場君。だめだな...完全に頭に血が上ってる。エクスカリバーしか見えていない。キミの強みは持ち前のスピードと『魔剣創造』だろうに.....真正面から斬りかかってどうするんだよ...

 

 

「やれやれ、そろそろ終わりにするか.....耐えろよ?」

 

 

いい加減ウンザリしてきたのか、ゼノヴィアがエクスカリバーにオーラを収束させ始める

 

 

「行くぞ!師匠直伝ッ!雷!光!剣ッ!!」

 

 

『京都神鳴流奥義 雷光剣』言わずと知れたネギまの技である。

この修業期間中に俺が一度模擬戦で使ったのを、ゼノヴィアが見様見真似で再現して、見事完成させたのである。

聖なるオーラの雷が落ちてくるのでもはや『雷聖剣』と呼ぶべきなのかもしれないが。

まあ、それは置いておくとして。

あれはマズイ。さっきも言ったが『聖なるオーラの雷光(+『破壊の聖剣』)』である。あれが当たったら木場君は確実に消し飛ぶ

 

(まずい、瞬動じゃ間に合わない。クソッ、しょうがない。あんまり倍加無しで使いたく無いんだけど、こんな所で木場君脱落とか冗談じゃねえからな!)

 

 

「.....『縮地无彊』ッ!!」

 

 

ーーーードンッッッ!!!ーーーー

 

 

 

『縮地无彊』は『ネギま』でも使っていた超長距離瞬動である。一人で修業していた時はどうしても使え無かったのだが、ヴァーリと一緒に闘戦勝仏に弟子入りして、1年かかって漸く習得したのだ。まあ、素の状態で使うと脚がへし折れそうになるのだが....強化してる暇は無かったからな。しょうがない

 

 

「ドリャアアアアアアアッ!!」

 

「ぐうっ!」

 

 

ーーーードガアアアアアアアアッ!!ーーーー

 

 

『雷聖剣』が直撃する、ほんの少し前にギリギリで木場君を掴んで離脱した

 

 

「....はぁ、あっぶねー...おい、大丈夫か、木場祐斗?」

 

「.....あ、う、うん...すまない」

 

 

よし。とりあえず、被害は俺の脚の激痛だけだな

 

 

「そうか、無事なら構わない......さて、ゼノヴィア?ちょっとここ来て座んなさい」

 

「ま、待ってくれ師匠!私が何をしたと言うんだ!」

 

「『何をしたと言うんだ』じゃねーよ。お前俺の話聞いて無かっただろ?俺は最初に『殺害厳禁』って言ったよね?何ぶちかましてんの?」

 

「うっ!い、いや、それは.....」

 

「そもそも何の為にコイツ助けたか解ってんの?悪魔側といざこざ起こさないためだろ?何で教会の悪魔祓いが率先して問題起こしにかかってんだよ?」

 

「....す、すいません」

 

「まあ、ウンザリしたのも解るよ?俺も見ててイライラしたからな。でもさ、お前プロだろ?だったら公私はキッチリ分けようぜ?な?」

 

「....はい。ごめんなさい。私の思慮が浅かったです。もう、しません」

 

「ん。もう解ったな?ゼノヴィアは出来る娘だもんな?」

 

「....はい...!」

 

「よしよし。じゃ、イリナと一緒に今日のメニューをこなしてきなさい。あ、そうそう。さっきの雷光剣は良い出来だったぞ」

 

「本当か!?」

 

「ホントホント。さ、修業頑張ってきなさい」

 

「ああ!」

 

 

俺が褒めると、ゼノヴィアはとても喜んで修業に行った

 

 

「さて、木場祐斗。お前は何で自分が負けたか解るか?」

 

「.....僕が、彼女より弱かった。それだけさ...」

 

「違う。確かにお前の実力はゼノヴィアより低い。だが、それ以上に今のお前の戦い方は酷かった」

 

「.......」

 

「木場祐斗、お前の強みは何だ?」

 

「ボクの、強み...?」

 

「そうだ。お前の強みは持ち前の『騎士』のスピードと『魔剣創造』だろう。効いたかどうかはさておき、何故スピードや手数を活かした攻撃を使せずに、わざわざ不慣れな大剣ばかりを使った?」

 

「...それは」

 

「そこまで聖剣が憎いか?」

 

「当たり前だッ!!アレのせいでボクや同志達は.....ッ!!」

 

「『聖剣計画』だったか。まあ、俺は経験した訳じゃ無いからな。復讐したければすれば良い。俺は別に『復讐は負の連鎖を生むだけだ!』なんて寝言言ったりはしないさ.....ちょっと聞くけど、お前は聖剣を壊したらどうするんだ?」

 

「.....どういう意味だ」

 

「どうもこうも無ぇよ。ただ聞いただけさ.....一つ言っておくぞ?聖剣を壊す理由に『仲間が復讐を望んでいるだろうから』とか、掲げ無い方が良いぞ?」

 

「.....何故だ」

 

「お前、今まで復讐だけを目的に生きてきたってクチなんだろ?そういう奴、特に『復讐の理由を他人に預けてる奴』はな、復讐を終えると人形みたいになっちまうんだよ。所謂『燃え尽き症候群』ってヤツだな。

お前、グレモリーの眷族だろ?アソコは自殺なんて絶対許さないだろうからな。燃え尽きてからも何千年も無意味に生き続けるのはツライぜ?」

 

「.....終わった後の事なんて、どうでも良い」

 

「あっそ。じゃあ、それは置いておくけどさ。お前どうすんだ?今のお前の実力じゃあ、フリードにも勝てないぜ?聖剣全部壊すなんて、夢のまた夢だな。あっという間に殺られて終わりさ」

 

「......なら、頼みがある」

 

「頼み?」

 

「彼女達をあそこまで鍛えたのはキミなのだろう?なら、ボクをあの領域、いや、もっと先まで連れていってくれ」

 

「ほう?まあ、確かにお前は才能があるみたいだしな。俺が直接鍛えれば、少なくとも今のあの娘達のレベルまでなら確実にいけるだろうさ。

だが、それで俺に何の得が有る?言っておくが、俺があの二人を鍛えているのは世話になってる人達に頼まれたのと、相応の報酬も貰ったからだ。

お前は何を対価にする?この『赤龍帝』兵藤一誠に何を差し出すつもりだ?」

 

 

俺が『赤龍帝』の名を出すと、木場君は驚愕の表情を浮かべた。が、すぐに強い目で俺の顔をしっかりと見返してきた

 

 

「.....ならばッ!ボクはこの身の全てを差し出そう!ボクが今日まで生きてきたのは復讐を果たす為だ!!それが終われば、この身がどうなろうと一向に構わない!!」

 

「ハッ!『この身の全てを差し出す』たぁ、大きく出たな!確かに対価としては十分過ぎるさ。だがな、お前は自分が何を言っているのか解っているのか?

言っておくが、コレは正式な悪魔との契約としての話だぞ?『全てを差し出すってのは』命も含めてだ。復讐を終えた後に俺に神器を抜かれて殺されても文句は言えないんだぞ?」

 

「....覚悟の上だ...ッ!」

 

 

俺と木場君は互いの瞳を睨みあうように見る

 

 

(.....本気の様だな.....)

 

 

「良いだろう、ならば契約だ!木場祐斗、お前はこの戦いで復讐を終え次第、この『赤龍帝』兵藤一誠の所有物になる。その代わり、俺はお前に確実に復讐を遂げさせてやる!この契約に同意するか?」

 

「当然だ!!同意する!!」

 

なんか、俺の方が悪魔みたいな感じだけど、気にしない方向で行こう。しっかし、成り行きとは言え、魔王の妹の眷族引き抜いちゃったなぁ.....

 

まあ、良いかな?正式な契約だし。俺に非は一切無い。別に魔王“の”眷族引き抜いた訳じゃ無いしな。

眷族の教育も出来ていないリアス・グレモリーが悪い

 

 

「よし、契約は完了だ。じゃあ、早速修業に入るぞ、付いてこい」

 

「ああ!」

 

 

俺はアーシアとゼノヴィア達にこれから36時間の集中特訓に入る事をを告げる

 

そして、倉庫からこの『魔法球』の前に作った試作型の魔法球を取りだして入り、その中でもう一つ試作型の魔法球を取り出す。これらはそれぞれ、1時間が12時間と6時間になっている。

これを使ってコッチ(魔法球)の1時間を72時間にして修業する。この数年で完全に錆びきった(木場祐斗)を研ぎ直し、鍛え上げるには最低でもこれ位の時間は必要になる

 

正直これは、仙術が使えるかよっぽど長寿の生物じゃないと、無視出来ないレベルで生活に影響が出る。特に、記憶面で。なので、ゼノヴィア達には使わせていないのである

 

「今から108日間の修業に入る。始めれば、もう取り消しは効かないぞ?本当に良いんだな?」

 

「ああ、構わない」

 

「そうか、なら行くぞ」

 

 

俺は最後の確認をしてから、木場君と共に魔法球に入る。

中に入ると、そこには地面以外何も無い空間が広がっていた

 

 

「さあ、修業の始まりだ。気合い入れて行くぞ?」

 

 

 

 

 





ハイ、と言う訳で第6話でした

今回は多少強引な感じでしたが、木場君の引き抜き回でした

ぶっちゃけ、木場君を回収するにはああするしか思い付かなかったんですよねぇ...

今回登場した『疑似・瞬動』の時の靴型の聖剣は『ビェールクト』の脚の膝部分までをイメージしてください




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第7話 お前には解らんだろうよ

3作目『ハイスクールD×Dに転生した/アナザー』の投稿、始めました

と言う訳で第7話です


36時間後

 

 

「フム、そろそろ師匠達が出てくる時間だな」

 

「そうね。それじゃ、迎えに行きましょうか?」

 

「そうですね、行きましょう」

 

 

イッセーさん達が修業に入ってからちょうど36時間が経ちました。そろそろ魔法球から出てくる時間になるのでゼノヴィアさんとイリナさんとで迎えに行きます

 

 

 

イッセーさん....兵藤一誠さん。神滅具『赤龍帝の籠手』の保有者の現『赤龍帝』で私のお友達。

教会に捨てられ、堕天使に殺されそうになっていた私を助けてくれた、とても強くて優しい人です

 

あの人のおかげで、私にはたくさんのお友達が出来ました

夢だったお友達とのおしゃべりや、可愛いお洋服を着たり、本を読んだり.....みんなイッセーさんが叶えてくれました

以前『私だけこんなに良い思いをして良いのでしょうか?』と聞いてみた事がありました

 

『良いんじゃない?アーシアは今まで頑張って色んな人達に尽くしてきたんでしょ?これまでの青春時代は全部人の為に使ってきたんだから、ちょっと位自分の為に使ったって誰も文句は言わないさ。ってゆーか、文句言う様な恥知らずは、例え神でも俺が黙らせるから』

 

その言葉だけで、これまでの事が全て報われた気がしました

 

 

「それにしても、イッセー君って何処であんなに色々な魔法を覚えたのかしらね?私、イッセー君が使ってる魔法は全部初めて見たわよ?」

 

「ああ、教会の資料にも無いしな。この魔法球にしたって、どれだけの技術が使われている事やら....それに、戦闘能力や技術もそうだが、人脈が凄まじい」

 

「ホントよねー。どうやったらミカエル様やメタトロン様、堕天使総督とかと仲良くなれるのかしら?ちょっと聞いたんだけど、何か北欧神話の人達とも交流があるらしいじゃない?」

 

「ぶっ飛んでるなぁ...師匠...」

 

「ぶっ飛んでるわねぇ...イッセー君...」

 

 

イリナさんとゼノヴィアさんがイッセーさんについて話しています。確かにイッセーさんは色んな人達とお知り合いですもんね。ロボットのメイドさんとか、真祖の吸血鬼さんとか、薔薇の乙女のお人形さんとか、プラモデルの好きな喋るカエルさんとか

イッセーさんにご紹介してもらいましたが、皆さんすっごい良い人(?)達でした

 

 

「私も何人かご紹介してもらいましたよ?皆さん良い方々でした。カエルさんとか特に」

  

『カエルさん!?』

 

 

あれ?私、変な事言っちゃったでしょうか?

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

木場君との修業が終了したので、外に出ると、教会三人衆がお出迎えしてくれた

 

 

「お帰りなさいイッセーさん、木場さん」

 

「お帰りー」

 

「お帰り師匠。ソイツの出来はどうなったんだい?」

 

「ああ、中々だな。正直、ゼノヴィアもデュランダル使わないと厳しいぞ?」

 

「ほう?本当か師匠?」

 

 

ゼノヴィアが期待に満ちた目で見てくるが、流石にまだ戦わせる訳にはいかないので『諦めろ』と言うと、ガッカリしていた

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

その晩、駒王学園の方から何らかの魔術の発動を感じ取った

 

 

「!来たか!イリナ、ゼノヴィア!行くぞ!」

 

 

祐斗は何か思うところが有るのか、現在別行動中なので、二人を連れて先に行く

 

 

「オッケー!」

 

「了解だ師匠!」

 

「あ、イッセーさん!私も行きます!」

 

 

俺達が学園に向かおうとすると、何故かアーシアが『自分も付いていく』と言い出した。危ないから家に居ろと言ったのだが、『自分が居れば、もし怪我をしても直ぐに治せるから連れて行ってくれ』と言われ、渋々、アーシアも連れて駒王学園に向かった

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「あっ!そこのアンタ等!ちょ、ちょっとタンマ!今学園は立ち入り禁止中なんだ!今日は帰ってくれ!」

 

 

俺達が駒王学園に入ろうとすると、シトリー眷族の匙元士郎が俺達に立ち入り禁止だと告げて帰らせようとする。

成る程、キチンと仕事しているな。感心感心。

匙君にゼノヴィア達が聖剣奪還に来た事を告げると、何処かにすっ飛んで行った。と、思ったらソーナ・シトリーを連れて来た

 

シトリーの話は原作通り学園を覆っている結界についての説明や、コカビエルが校庭で何かしらの儀式をしている事、リアス・グレモリーがコカビエルの相手をしていると言う事だった。そして原作とは違い、救援に来るのはセラフォルー・レヴィアタンなのだそうだ『ここはグレモリーの領地なんだからサーゼクス・ルシファーが来るんじゃ無いのか?』と聞いてみた所、『サーゼクス様への救援はリアスが拒否したので、代わりにセラフォルー様へ応援を要請しました』だそうだ。

何か、グレモリー勢の判断力が原作より酷くなってるんですけど....

 

ーーーーーーーーーーーー

 

結界に入って直ぐに、校庭でケルベロスと戦闘中のグレモリー勢を発見。ケルベロスの数が原作よりもずっと多く、十匹以上いる。

正直、無能はここでやられてくれた方が嬉しいのだが...そうなると和平どころじゃ無くなってしまうので、救出に入る。

 

イリナとゼノヴィアが二人で一匹づつ速攻で仕留める。

ぶっちゃけ、今のあいつ等ならケルベロス程度は一人で6匹位なら簡単に始末出来るのだが『どんな相手でも格下と侮るな、全力で潰せ』と調教.....もとい、教育してあるので確実にやっている様だ。

 

そんな感じで戦っていると、油断した無能が一匹のケルベロスに弾き飛ばされる。そのまま無能を喰い殺そうするケルベロスだが、突如地面から発生した剣群に串刺しにされ、そのまま息絶える

 

 

「部長、遅くなりました」

 

 

祐斗、参上。そのまま周囲のケルベロスの掃討に移る。無能が『何処にいっていたの!?』とか喚いてるけど華麗にスルーしてケルベロスを屠りまくる。

『そんな事を今聞いてどうする?』と思うが、無能が状況を理解する能力が欠如しているのは知っているので俺もスルーしておく

 

その後、ケルベロスを殲滅した後に祐斗の覚醒シーンが有ったが、ここはまあ、良いだろう。敢えて語るなら、バルパーのご高説→聖魔剣覚醒→フリード瞬殺である

 

フリードが瞬殺された後、何かブツブツ言っているバルパーをコカビエルが串刺しにしようとする。が、それよりも速く、祐斗がバルパーを斬り捨てた

 

 

「......祐斗、敵は取れたな?」

 

「.....ええ。同志達はああ言ってくれましたが、やはりケリは自分の手でつけました。これで、契約は完了です。この戦いが終わり次第、僕は貴方の所有物となります」

 

「祐斗ッ!?貴方、何を言っているの!?そんな勝手な真似が「黙れ、リアス・グレモリー」ッ!何を....ッ!貴方が祐斗を...ッ!」

 

「勘違いするなよ?この契約は、俺を『赤龍帝』だと知った上でコイツ自身が持ちかけてきたモノだ。俺が何度も『良いのか?』と確認して、それでもコイツは望んだんだ。

『僕に復讐を遂げるだけの力をくれ。対価に、僕はこの身の全てを貴方に差し出そう!』....ってな」

 

「そんな.....祐斗、どうして......」

 

 

コイツは真剣(マジ)で言ってるのか?まあ、甘やかされて育った貴族様には理解出来んかな....

 

 

「ま、お前には解らんだろうよ。『例え、自分の全てを投げ捨てようと絶対に叶えてみせる!』ってモノの無い奴にはな.....1つだけ言っておくぞ、リアス・グレモリー。

お前が祐斗の復讐心を少しでも捨てさせていれば。あるいは.....まあ、不可能だろうが、理解してやっていれば、こうはならなかっただろうさ」

 

「........」

 

 

やれやれ、これだから上級悪魔(笑)は.....

 

 

「ククッ、フフフッ!フハハハハハハハハハ!!」

 

 

俺が呆れていると、コカビエルが突然笑いだした

 

 

「何だコカビエル、何がおかしい?」

 

「クハハ.....イヤ、なに。兄と比べて余りに情けない妹を見たんでな。まさか、魔王の妹が、グレモリー家の次期当主が眷族に逃げられるとはな....まあ、お前には過ぎた眷族だったと言う訳だ。ククッ、『姉より優れた妹などいない!』...だったか?中々に秀逸な言葉だな。最も、この場合は兄だがな」

 

 

うん、まあ、ごもっともデスネ。リアス・グレモリー、ぐうの音も出ません

 

 

「そんな事はどうでも良い。コカビエル、今すぐに投降しろ」

 

 

ゼノヴィアがコカビエルが投降する様に呼び掛けるが、コカビエルはそれを一蹴する

 

 

「ハッ!馬鹿か貴様?俺は戦争がしたいんだ。だからこうして、わざわざ魔王の妹の領地に来てるんだよ!」

 

「.....投降の意思は無いようだな」

 

「当たり前だ!そんな事する訳が無いだろうが!」

 

「なるほど、解った。イリナ、叩き潰すぞ」

 

「オッケー、ゼノヴィア!『赤龍帝』直伝の戦闘技、見せてあげるわ!!」

 

 

イリナとゼノヴィアが構えるが、コカビエルは余裕の表情で悠然と構える。

ここに、聖剣と堕天使の戦いの火蓋が切って落とされた

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「ハアッ!」

 

 

イリナは『擬態の聖剣』を鎧の形にして身に纏い、瞬動を使って一直線にコカビエルに接近する

 

 

「ハッ!バカが、飛べもしない人間の分際で跳び掛かって来るとはな!」

 

 

コカビエルは多数の光の槍を放ってくる。が、イリナは『聖剣創造』を使い空中に聖剣を造る。それを足場に瞬動、放たれた槍が直撃するよりも速くコカビエルの上空に移動する

 

 

「ッ!?何だと!?」

 

 

まさか翼も無しに空中で軌道を変えるとは思わなかったであろうコカビエルは、一瞬、イリナの姿を見失う。その隙にイリナは再び聖剣を足場に瞬動、コカビエルに向かって真っ逆さまに落ちる様に接近する

 

 

「たぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 

 

くるくると回転しながら勢いを付け、鎧の踵部分に聖剣のオーラを収束させて一気に踵落としを放つ!

 

 

「ぐおおおおおおッ!?」

 

 

頭を狙って放たれた一撃を、コカビエルは寸での所で身を捻って回避。が、完全に避ける事は出来ず、左の翼を4つ切り落とされる。いきなり片翼を殆ど失った事により、コカビエルがバランスを崩す。そして、その隙を見逃す程ゼノヴィアは甘くは無い

 

 

「うおおおおおおおおおッ!二刀連撃雷光剣!!!」

 

「があああああああッ!!」

 

 

ゼノヴィアの放った雷光剣に呑み込まれるコカビエル

 

 

「やったの!?」

 

「あ、バッカ...ッ!!無能テメェ!よりにもよって一番のNGワード言いやがったな!?」

 

 

あ~あ、やっちまったな.....

無能の言葉に応える様に周囲の粉塵がゴウッ!と吹き飛び、多少はボロボロだが、まだまだ健在のコカビエルが現れた

 

 

「フハハハハハハッ!!いいぞ、いいぞ!実に良い!!想像以上だぞ聖剣使い!!」

 

 

うわあ....チョー良い笑顔だよコカビエル

 

 

「そこの『赤龍帝』に鍛えられたのだったか?成る程、随分と師匠に恵まれた様じゃないか!!」

 

 

へいへい、ソイツはドーモ......あれ?何か忘れてる様な...あ、ヤバい

 

 

「しかし、仕えるべき主を亡くしてまで、お前達神の信者と悪魔はよく戦う」

 

 

ーーー暴露イベント(神の不在)忘れてた。うっわ、やべえよ。どうしようどうしよう?

二人共修業中、途中から『コレは神の試練、コレは神の試練、コレは神の試練....』とか、ぶつぶつ言いだす位に精神的に追い詰めちゃったせいで若干、原作よりも神への信仰が強くなってるんだけど.....

 

その後もコカビエルのスーパー暴露タイムは続き、ある程度語った所で教会三人衆がくずおれてしまった

 

 

「ヤベ....ッ!!」

 

 

即座に3人を回収し、コカビエルから距離をとる

 

 

「オイッ!!3人共大丈夫か!?アーシア!ゼノヴィア!イリナ!しっかりしろ!!」

 

「......あ、イッセー、さん...」

 

「.....ウソだ。.....ウソだ。」

 

「...........」

 

 

これはもう戦えないか...

 

 

「...しょうがない。メウス・ルブラム・ドラコ・カル 『眠りの霧』」

 

 

これ以上は三人の精神がヤバいので眠らせる。さーて、どうしたモンか.....

 

 

「マスター、ここは僕がいきます」

 

 

俺が考えていると、祐斗がそう言い出した

 

 

「.....本気か?アレ(・・)はまだ持って数分だろ?...無理しなくても俺がやるぞ?」

 

「いえ、それじゃあ意味が無くなってしまいますから。それに、少しは部長の顔も立てないといけませんからね」

 

 

そう言って苦笑する祐斗。全く持って律儀なヤツだな.....

 

 

「...わかった、やってみろ」

 

「ええ、任せて下さい!」

 

 

祐斗が向き合うとコカビエルは面白そうに此方を見やる

 

 

「話し合いは終わったか?どうやら聖魔剣使いが相手の様だが...ククッ、どんな切り札を持っているのやら....本当に貴様には過ぎた眷族だな、リアス・グレモリー?」

 

 

全く持ってその通りだよ。本当に、コイツ運だけはやたらと良いよなぁ...

 

 

「生憎、コレが終わったら僕は彼の所有物になるんでね。グレモリー眷族としての最後の大仕事だ。行くぞ、コカビエル。『禁手化(バランス・ブレイク)』」

 

 

 

祐斗が禁手化すると、その周囲に凄まじい量の様々な魔剣が現れる。それらは次々に粒子状になり、祐斗の身体を包んでいく。

そして灰色の、龍の姿を模した鎧が現れる。コレが祐斗の魔剣創造の(・・・・・・)禁手、『|刃鎧纏いし魔龍の剣士《ミューティレイティング・スケイル・ドラグ・フェンサー》』

 

ヴンッ!と瞳に蒼白い光りが灯ると、灰色だった鎧も蒼白く変色し、バチバチと蒼雷を帯電し始める

 

 

「ほう!それが貴様の切り札か!なるほど、随分とおもしろーーーシュパン...ッ!ーーーそう...な...?」

 

 

手刀の形にした右腕を振り抜いた姿の祐斗が、コカビエルの背後に現れる。それと同時にボトリ...と、コカビエルの右腕が地面に堕ちる

 

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!?」

 

 

右腕を抑え、のた打ち回るコカビエル

 

 

ーーー『刃鎧纏いし魔龍の剣士』の能力は単純だ。『自分が創造出来る剣の特性を鎧に宿す』、これだけ

 

また、宿した特性によって鎧の色も変化する。今みたいに、雷の特性の時は蒼、炎の特性の時は緋...と言った具合である

 

 

「おのれええええええええええええッ!!」

 

 

憤怒の形相のコカビエルが、数えきれない程の光の槍を放つ。が、しかし

 

 

「.....無駄だよ」

 

 

祐斗の鎧が再び変色し、闇色に変わる。放たれた槍は祐斗に命中すると同時に次々と掻き消える

 

 

「...相性が悪過ぎるな」

 

 

コカビエルは必死な表情で槍を放ち続けるが、祐斗は全く意に介さずに平然と歩み寄り

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぐごあああああああああッ!?」

 

 

ーーーーコカビエルが泡を吹いてぶっ倒れた.....って、え?

 

 

「.......え?何?何が起きたの?祐斗お前何やった?」

 

「い、いえ、僕は何も....何故か独りでに...」

 

 

みんな何が起こったのか解らないようだ。周囲を見回したり、ひたすら困惑している

 

 

 

ーーーー相棒!ゆーがっためーるだぞ!ーーーー

 

 

突然、俺のケータイにメール(CV:ドライグ)が届いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=================

 

From:玉藻さん

 

To:イッセーさん

 

ーーーーーーーーーーー

 

こんばんはイッセーさん。良妻賢母のタマモちゃんです♪

先程から駒王学園の方から妙な魔力が流れて来ていたので遠見の術で様子を覗いたのですが、何やら堕天使と戦いになられているようで。

私としましても、そちらの戦いに手を出すのは野暮かと思ったのですが、ご主人様が漏れ出た魔力のせいで体調を崩してしまいまして...

ご主人様への悪影響は看過出来ませんので、原因の堕天使を死ねない(・・・・)程度に呪っておきました。

その旨をご報告しておきます。

 

 

 

=================

 

 

 

「タマモさんェ.....」

 

 

送られて来たメールに嘆息を禁じ得ない。まあ、『ご主人様至上主義』のタマモさん的にハクノに影響が出る事は許容出来ない...むしろ、コロコロしてないだけ感謝した方が良いのか.....

チラリとコカビエルの様子を確認するが、白目を剥いて、泡を吹きながらビクンビクンッと痙攣している。とても戦闘が出来る様な状態ではない

 

 

「.....まあ、一応これで片付いたな」

 

「.....そう、ですね....」

 

 

何とも言えない雰囲気の中、俺の連絡を受けてやって来た堕天使にコカビエルを引き渡し、エクスカリバーの核を回収してから教会3人衆を抱えて帰宅した俺と祐斗だった

 

 

 

 




ハイ、と言う訳で第7話でした


今回は木場君の禁手回でした。

今回登場した木場君の禁手『|刃鎧纏いし魔龍の剣士《ミューティレイティング・スケイル・ドラグ・フェンサー》』のイメージは『闇の魔法』+『フェイズシフト装甲』ですね。まあ、フェイズシフト装甲と違って紙装甲ですが。
あと、作中では語っていませんが『鎧のどの部分で攻撃しても斬撃になる』と言う効果も有ります。例えば、グーで殴っても、グー型の斬撃になります

それと、質問の有ったアーシアの禁手の名前は『聖母の祝う復活祭(トワイライト・ブレッシング・イースター)』です

ハイスクールD×Dっぽい読み方にしてみたんですけど、いかがでしたでしょうか?
好評の様なら今後は読み方を付けていきたいと思います



『刃鎧纏いし魔龍の騎士』にしなかったのは『もう自分は『騎士』としての木場祐斗ではない』と言う、木場君の意思の現れですね


木場君「聖剣計画被験体も『騎士』木場祐斗も、今ここで死んだ!僕は......『剣士』木場祐斗だッ!!」



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第8話 練習なら、しょうがないな



最近好みに合うラノベが少ないんですよねぇ...

と言う訳で第8話です



【.......】

 

「.......」

 

【...あ、あの...『赤龍帝』殿、これは教会の規律を守る為で...】

 

「あ¨?グダグダ言ってねぇで結論言えや」

 

【い、いえ...その...なので、異端認定を解く事は...ちょっと..】

 

「出来ないと?」

 

【すみませんすみませんすみません!!あ、生憎とても自分の権力では....!】

 

 

先日のエクスカリバー事件の後、何とか復活して教会へと報告をしに行ったイリナとゼノヴィアだったが、数日後に『異端認定をされ、教会を追放された』と言って、泣きながらウチへと戻って来たのだ。

原作知識で多少は知っていたとは言え流石に許せなかったので、現在俺は天界に抗議のテレビ電話を入れているのである

 

 

「だからさ、『ミカエルさんに代わってくれ』って言ってんじゃん?」

 

【も、申し訳ありません!!ミカエル様は現在出払っておりまして....!】

 

「『じゃあ、誰でも良いから『熾天使』のヒトに代わってくれ』とも言ったよね?」

 

【そ、その.....皆様、先日のエクスカリバーの件で、お忙しく....】

 

「.....お前さ、時間稼いでれば俺が諦めるとか考えてんの?

ソッチの都合なんか知った事じゃ無えんだよ。俺は『呼び出せ』って言ってんだよ。何?みんな電話出れない位忙しいの?じゃあ俺が直接ソッチ行こうか?」

 

 

余りにイラッときたので少しキツ目に出る

 

 

【い、イエ!せせ、『赤龍帝』殿にお越し頂くわけには....《え?は、ハイ、少々お待ちを...》せ、『赤龍帝』殿!只今メタトロン様に替わります!】

 

 

そう言うと、パッと画面が切り替わりメタトロンさんが現れる

 

 

【イッセー殿、お久し振りで御座る】

 

「お久し振りですメタトロンさん。単刀直入に言いますけど、今ウチにいる三人の異端認定解いてくれませんか?」

 

【...イッセー殿、申し訳ないがそれは聞き入れられないので御座る】

 

「何故です?『神の不在』を知っているからですか?それなら、そちらの『ジョーカー』はどうして異端認定されて無いんですか?」

 

【.....そちらの三人は替えが効くが、デュリオ殿はそういう訳にはいかないから...で御座ろうな】

 

「....解っちゃいましたけど、良くそんな俗物的な考え方で堕天しませんね?そのくせ、主の為に尽くしてきた三人を切り捨てるとか...『システム』、どっか壊れてんじゃないんですか?」

 

 

まあ、神がいないって言うのが一番のバグなんだろうけど....

 

 

【申し訳ない。ミカエル殿も皆も尽力しているのだが、どうしても主と比べてしまうと、な....】

 

「....はぁ。いえ、俺もかなり無茶言ってるのは解ってるんで。やっぱり、どうしても厳しいですか?」

 

【うむ。拙者も他ならぬイッセー殿の頼み故、何とか叶えたいのだが.....やはり、厳しいので御座るよ。一人認めてしまえば私も私も...と、きりが無くなってしまうで御座るからなぁ...アーシア孃の『聖母の微笑』等は特に『システム』に影響を与えてしまう故に...】

 

 

他の人達には話して無いけど、アーシア『禁手』至っちゃってるしね....

 

 

「やっぱ、厳しいか....すいません、わざわざ」

 

【イヤイヤ全てはこちらの責任、イッセー殿には何の非も無い故お気になされるな。無論、そちらの三人も】

 

 

その後、他愛の無い世間話を少しした後に『百地殿に宜しく』と言われ、通話は終了した

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「あ、どうでしたマスター?」

 

 

リビングに入ると、祐斗がそう聞いてくるので『やっぱ、駄目だった』と告げると苦笑していた。

三人の様子を聞いてみたのだが、アーシアとゼノヴィアはともかく、イリナは未だに寝込んでいるそうだ。

取り敢えず三人の部屋に調子を聞きに行ってみる。祐斗にはその間に夕飯の準備を頼んでおいた.....後、修業の途中位からかな?何か、やたら祐斗が俺に絡んでくる様になったんだけど...コレはどういう事なんだろう?

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

ノックをして、『入るぞ~?』と声をかけながら部屋に入るとイリナがソファーでボーッとしていた.....あれ、アーシアとゼノヴィアはいないのか?イリナに聞いて見ると『近所のコンビニに行った』だそうだ。気付かなかったな...

取り敢えずイリナに最近の調子を聞いてみるが、『...あ、うん....』とまあ、見事な迄に燃え尽き症候群状態である。流石にこのままだと不味いよなぁ.....よし...

 

 

「イリナ、明日デート行くぞ」

 

「あ、うん.....へ?へえええええええッ!?」

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

翌日

 

 

「と言う訳で、やって来ました毎度お馴染みショッピングモール」

 

ちなみに、まだイリナは来ていません。ウチのイケメン王子によると、『デートの時は一緒に行くより待ち合わせにした方が良いですよ』との事なので、別々にやって来ました。そんな感じで30分程待っていると

 

 

「い、イッセーくん!おまたせッ!」

 

 

イリナがやって来た

 

 

「おっ、来たかイリ...ナ...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー純白のドレスに身を包んで。

イヤイヤイヤ、ちょっと待とうか?あれ、俺『今日はショッピングモールに行く』って言ったよね?『パーティーに行く』何て言ってないよね?何故そんな服装なのですか?ってゆーか、その格好でここまで来たの?

そう聞くと、『この間読んだ少女マンガではこうやってたもん!』と言われたのだが、それはあくまでもマンガの中だから通用する訳で....

 

 

「あの、イッセーくん....似合って無かった...?」

 

 

イヤ、似合ってるよ?似合ってるしスゴい可愛いんだけどね?こう、その場に相応しい格好があると言いますか....もっとカジュアルな服装の方が良いんじゃないかなぁ....と

 

そんな感じでイリナを説得し、近くの店で普通のカジュアルな服を購入してからおデートを開始したのだった

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「あはは!イッセーくん、今日は楽しかったね!」

 

 

そーですか、楽しかったなら何よりです。イリナのここ数日の沈みっぷりが余りにもあんまりだったので、気分転換させるつもりで誘ってみたのだが.....元気になって良かった

 

 

「.....イッセーくん、私ね?ここ何日か、ずっと考えてたんだ。『私の今までの人生何だったんだろう...』って。正直、絶望の余り死んでしまいそうだったわ」

 

 

まあ、そうだろうな。17年の生涯の殆どをその為に捧げてたんだしな

 

 

「でもね?今日イッセーくんと一緒に遊んでて、そんな陰鬱な気持ちは吹っ飛んじゃったの。それに、考えてみたら、例え主が既に居られなくても主を信仰する事は出来るしね。

そんな訳で!イッセーくん、今日は本当にありがとうね!」

 

「どういたしまして、イリナが元気になって何よりだよ」

 

 

そんな感じで俺とイリナのおデートは割りと成功したのだった

 

おデートの帰り道に立ち寄ったゲームセンターにて。ストⅡをザンギエフで80連勝している少女とその少女に挑みまくっているガイル使いの少年がいた。俺も少女に挑戦してみたが、何も出来ないままパーフェクト勝ちされた。意外とイリナが善戦していた

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「それじゃあ日程が決まったんですか?」

 

「ああ、来週行われるそうだ」

 

 

数日後、三勢力会談の日程が決まったそうなので、打ち合わせも兼ねてアザゼルさん達グリゴリ勢がウチに来た。最初、イリナとゼノヴィアが跳び掛かろうとして大変だった。即座に取り押さえたけど

 

 

「場所は駒王学園だそうだ。まあ、それは良いんだが.....実は、コカビエルの件に関与した奴等も招集したくてな....全員(・・)

 

 

......それは、つまりウチの4人だけでは無く...タマモさんも呼ぶと?ってゆーか俺に呼んでこいと?なるほど、今日はその為にウチに来た訳ですか.....なるほど、なるほど....

 

 

「つー訳で、イッセーにはアイツを呼んで欲しいんだが....」

 

「ハッハッハ、お断りします。俺はまだ不能になりたくありません」

 

「そこをなんとか.....この中でアイツの連絡先知ってるのお前だけなんだよ!」

 

 

やだよ!絶対タマモさん怒るもん!『厄介事に巻き込まないで下さいませんか?』とか言われるもん!その後で精神的にくる呪い放ってくるもん!禿げるのとかお腹壊すのとか不能になるのとか!最悪のケースだと玉天崩が飛んできて物理的に(・・・・)不能にされるもん!

 

 

「良いじゃないですか呼ばなくっても...ってゆーかそれ、最悪の場合『天照』出張って来ますよ?あの人、タマモさんの事は孫みたいに可愛がってますもん」

 

「あー...その可能性があったな....しょうがない、諦めるか...」

 

 

そうそう、障らぬ神に祟り無しですよ。コカビエルは脳卒中って事にしときましょう。

そんな感じで話をまとめた後にリビングに戻るとーーーー

 

 

「あ、イッセー君お帰りー!」ヴァーリ

 

「キレイですー.....」アーシア

 

「ねえねえイッセーくん見てみてー!」イリナ

 

「おお、師匠。ちょっと見てやってくれ」ゼノヴィア

 

「イヤー、大したモンっすねー」ミッテルト

 

「ホントねー....」レイナーレ

 

「?どうしたおまえ....ら...」

 

 

ーーーーそこにはブロンドの髪の美少女がいた。身長は俺より少し低い位、薄いブルーの瞳で、左目の下に泣き黒子がある。後、何故かナース服を着ている

 

 

「ど、どうかなマスター?」

 

 

木場君で御座った。うん、『なんで女になってんの?』とか『なんでナース服なの?』とかは置いておいて.....超絶可愛い。何この娘?可愛すぎだろ?

取り敢えず、感情の赴くままにひたすら誉める、褒める、ホメちぎる。

 

 

「ヤバい、失敗したかも...」

 

 

ヴァーリが何か言ってるけど、気にせずに頭撫でたりして可愛がる。五分程経過した所で祐斗は顔を真っ赤にしてうつ向いてしまった。うん、大分堪能した。さて...

 

 

「何で祐斗が女になってんの?後、何でナース服?イヤ、凄い似合ってて可愛いんだけどね?」

 

「あの、マスター...もう十分なんで....」

 

 

ヴァーリ達に聞いて見ると、どうもアザゼルさんがノリで開発した『性転換光線銃』とやらを使ったのだそうだ。凄いなグリゴリ、そんな物まで作れるのか。グリゴリの技術力は世界一ィィィィィッ!ってか?

 

 

「所で、コレ、どん位で元に戻んの?」

 

『......え?』

 

 

.......え?何その反応?使ったんでしょ?

 

 

「.....アザゼルー!あの性転換光線銃ってどれ位で元に戻るのー?」

 

 

おい、ちょー待てや。解んねーのに使ったんか?

 

 

「は?『あれは失敗作で使ったら元に戻らなくなっちまうから絶対に使うなよ?いいな?絶対だぞ?』って言っといただろーが?」

 

「え゛」

 

ーーーーガシィッッ!ーーーー

 

「.....ヴァーリ?」アタマニアイアンクロー

 

「れ、レイナーレも言い出しっぺです!」ヒヤアセダラダラ

 

「ちょ、ヴァーリ...ーーーーガシィッッ!ーーーー...えっと、その....ゴメンちゃい♪」テヘペロ

 

お仕置き(ギルティ)」アクリョクゴジュウ

 

『いーやー!イタイイタイイタイイタイィィィィィィィィィィッッ!?ゴメンナサイゆるしてー!!』ギリギリギリ

 

 

お前ら祐斗どうすんの!?この娘悪魔だよ!?今後1万年女で過ごすの!?あと何でナース服!?

 

 

「あ、ヤッパそこ気になるッスか?」

 

 

それはそうだろう。つーかあのナース服どっから持ってきた?ウチにあんなの無かった筈だぞ?

 

 

「木場の私物らしいぞ?」

 

 

ーーーーえ?ゼノヴィアさん、今何と?私物?アレが?誰の?

 

 

「木場のだ」

 

 

ーーーー真剣(マジ)で?

 

 

真剣(マジ)で」

 

 

....ふう

 

 

「知りたく無かったわそんな情報オオオオオオオオオッッ!!」アクリョクハチジュウトッパ!

 

『ひぎぃぃぃぃッッ!?ら、らめえええええええ!!アタマの中身全部出ちゃうのおおおおおおッッ!?』タップタップ

 

 

え?何?じゃあ祐斗君はホンモノだったの?確かに修業中とかたまに目付きがおかしかったり、ここんところ、やたら一緒に着替えようとしたり、やたら触ってきたり、朝起きたら何故か一緒の布団で寝てた事が有ったけど!

 

 

「いや、イッセーさん、それは少しは警戒しましょうよ?無防備過ぎるでしょ。お尻無事なんですか?」

 

「あ、そ、その、違うんですマスター!この服は前に依頼者の方に『女装してくれ』って頼まれて.....それで持ってたんです!」

 

 

.....最近頻発する謎の肌接触は?

 

 

「え?それはマスターにお触り....ゲフン、ゲフン!....えっと、その...CQCの練習です!」

 

 

.....そうか、CQCの練習か...

 

 

『あ、アヘェ......』ビクンッビクンッ

 

「はい!CQCの練習です!」

 

 

.....うん、そうか。練習なら、しょうがないな。うん、しょうがないんだから、しょうがない。

俺は特に何も聞かなかった事にした。うん、まあ、今後は美少女だし?特に問題は無いな、うん

 

 

「お、イッセー!戻ってきたのか!」

 

「おい、白いの!相棒にベタベタするなと何度言えばわかるんだ!」

 

「うるさいぞ赤いの!」

 

「なにを白いの!」

 

『ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ!』

 

 

そんな事を考えていると、ポップンをやっていたドライグとアルビオンが俺の所に駆け付けてきた。うん、凄い可愛い。

ホントにこのロリドラゴン達は無垢で愛らしい。見てるだけで癒される

 

 

「ホレ、喧嘩するな二人共」アタマナデナデ

 

『ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇ....』ポエ~

 

 

動かなくなったアホッ娘二人をソファに放り捨て、二人の頭を撫でながら和んでいると、アーシアが寂しそうにこっちを見ていたので招き寄せて一緒に撫でる

 

 

『はふぅぅぅぅぅぅぅ.....』へにゃ~

 

 

...ふう、癒された。俺はこれで後10年は戦える!

 

 

「.....どうしよう、レイナーレ。ワタシ、なんかイッセー君のオシオキが苦痛に感じなくなってきた」

 

「奇遇ねヴァーリ。私も最近お仕置きが心地良くなってきたわ」

 

「アカンッス。何とか踏み止まって下さい二人共。そこから先はもう戻れなくなっちゃうッス」

 

 

そんな感じで暫くまったりした後、皆で仁義無き桃鉄百年×10やエアライド、スマブラ大会をやりながら一晩過ごした。途中でヴァーリとレイナーレがリアルファイトに突入したり、ミッテルトがゼルダテロやったら集団リンチされたり、アザゼルさんとレイナーレ、ミッテルトで誰が黒ピットを使うかで揉めたりしたが、とても楽しかった。後、アーシアがガノン使いだったのに衝撃を受けた

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

会談当日

 

 

俺はとある神社を訪れていた。ミカエルさんがゼノヴィア達の修業の報酬を支払うので受け取りに来て欲しいのだそうだ。そんな訳でやって来たのだが、正直、わざわざ神社で渡さなくても良いんじゃ...とも思ったが、まあ、それは言わないでおこう

 

 

「初めまして...では無いですね。こうして実際にお会いするのは初めてですが。『赤龍帝』兵藤一誠です。よろしくお願いします、ミカエルさん」

 

「『熾天使・天使長』ミカエルです。此方こそ宜しくお願いしますね、兵藤一誠くん」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「では、コレが約束の『各種魔法金属』です」

 

 

俺はミカエルさんから魔法金属の入ったケースを受け取り、中身を確認してから御礼を言ってケースを異空間の倉庫にしまう

 

 

「それと、コチラもどうぞ」

 

 

ミカエルさんがそう言うと、宙に二本の剣が現れた。片方からは聖なるオーラが、もう片方からは魔のオーラが溢れ出ている

 

 

「.....これは...」

 

「聖剣『アスカロン』と、魔剣『アロンダイト』です。両方共に特殊儀礼を施しているのでドラゴンの力さえ有れば扱える筈です」

 

 

う~ん...イヤ、有り難いし貰えるんなら喜んで貰うけど....原作読んでても思ったんだけど、正直、『赤龍帝』に『龍殺し』を贈るのってどうなの?

 

 

『おいミカエル。私達に『龍殺し』を与えるとは、皮肉のつもりか?』

 

 

こらドライグ、喧嘩腰にいくなって

 

 

「いえ、コレは天界からの誠意の気持ちですよドライグ。『天界は貴女達と敵対するつもりはありません』と言う事の証拠として貴女達の天敵の『龍殺し』をお譲りしたと言う訳です」

 

 

ああ、成る程ね、そう言う事か。確かにそれは誠意の気持ちになるな。俺達への対抗策を差し出す訳だし

 

 

「それに、アスカロンはともかく、アロンダイトの方は魔剣なので我々には使えませんから。どうせ使えないならば、『赤龍帝』との友好の印として贈った方が良いですからね。コチラも『聖魔剣』を数本戴きましたし」

 

「成る程、そう言う事なら喜んで戴いておきます。では、また後で」

 

「ええ、また会談で。失礼します」

 

 

そう言うとミカエルさんは光に包み込まれ、一瞬の閃光の後にこの場から消え去った

 

 

「さて、俺達も帰るか」

 

「そうだな、相棒」

 

 

アスカロンとアロンダイトを『赤龍帝の籠手』に統合してから帰宅する事にした

 

 

「相棒、肩車してくれ!」

 

「ハイハイ。さて、今夜は忙しくなるなぁ」

 

 

取り敢えず、今日は早目に夕飯にするか。

そんな事を考えながらドライグを肩車して帰る俺だった

 

 

 

 

 






ハイ、と言う訳で第8話でした


三勢力会談は次回になります。


そして、今後、木場君(♂)は木場君(♀)になります。原作でも割とその気が有るっぽいので『まあ、良いかなぁ...』と思いまして...



イヤ、ぶっちゃけ作者は女体化した木場君が一番可愛いと思うんですよねぇ.....




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第9話 うん、それムリ

投稿遅れてスミマセン!御感想は後でまとめて返信させていただきます!!

と、言うわけで第9話です


「初めまして、今代の『赤龍帝』。私が『魔王』サーゼクス・ルシファーだ」

 

「私がセラフォルー・レヴィアタンよ☆よろしくね☆」

 

「ああ、これはどうも。『赤龍帝』兵藤一誠です。以後よろしくお願いします」

 

 

現在、俺達は駒王学園にいる。時刻は丁度午前0時を過ぎた位だ

 

 

「先日は私の妹が迷惑をかけたようだね。申し訳ない」

 

 

先日(・・)っていつの事言ってるんですかねぇ?コカビエルの事?堕天使の事?いきなり攻撃された事?領地をしっかり管理できてない事?いっぱいありすぎて分かりませんが?

そんな風に聞き返すとサーゼクスさんは苦笑いをする。まあ、どれもこれも全部無能が悪いからな

 

 

「まぁ、オレも大人気なかった部分もあったんで。とりあえず、遺恨は無しにしましょう」

 

「そう言ってくれるとありがたいね.....それで、リアスの『騎士』の事なんだが.....』

 

 

生憎あの契約は双方の合意の上で交わした契約だからオレには何の非も無い。

そもそも、眷族があんな思いを抱いていた事に気付けなかったリアス・グレモリーが悪いのだからこちらが遠慮する必要は無い。ここはビシッと言っておく

 

 

「『祐斗をリアス・グレモリーに返せ』とかだったら聞く気は無いですからね?祐斗とはキチンと契約した上で、契約を持ちかけてきたのはアイツですから」

 

「いやいや、そんな事は言わないさ。それは下僕の不満を見抜けなかったリアスが悪い訳だからね。むしろ、はぐれにならなかっただけマシだと思っているよ」

 

 

あれ?違ったか?じゃあ、何で祐斗の事を言い出したんだ?

 

 

「なに、彼...今は彼女か。彼女は私の『騎士』の弟子でもあってね、彼が気にかけていたから様子を聞こうと思ったまでさ。悪魔は契約を厳守する存在だからね、キチンとした契約の上なら文句は言わないさ。それと、彼女の『聖魔剣』を私達にも少し呈出してくれないかな?」

 

 

なるほど、ソッチがメインか....まあ、別に構わないか。悪魔側への貸しになるし

 

 

「ええ、構いませんよ.....無論、貸し1つですよ?」

 

「ははは、抜け目が無いね...」

 

「悪魔との契約ならキチンと言質取っておかないといけませんから」

 

 

そんな感じで話していると、グレモリー勢がやってきたのだが、オレを見るなり突っかかってきた。まあ、全部スルーしてやったが。つーかお前ら来るの遅ーよ、何分待たせてんだ?お前ら一番立場下だろうが。

そんなイライラを抑えつつ、三勢力会談.....まあ、実際には『三勢力+赤龍帝の和平会談』が始まったのでそちらに意識を注ぐ。無能がこちらを睨みつけてくるが、コイツは自分がこの状況で何をしているか理解してるんだろうか?

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「.....これは」

 

 

会談が終わりかけた頃、突然、塔城小猫と姫島朱乃、ソーナ・シトリーとその眷族達の動きが完全に停まった。さらに、校庭に次々と魔術師達が転移してきた.....なるほど、テロか

 

 

「やれやれ、面倒な事になったモンだねぇ...サーゼクス!ミカエル!」

 

「わかっている!」

 

「任せなさい」

 

 

アザゼルさんが二人に声をかけ、強力な防壁結界を駒王学園の校舎全体を覆う様に展開させた。ふむ、取り敢えずこれでココは安全だな

 

 

「で?どうすんですか?これ『停止世界の邪眼』でしょ?」

 

「さーて、どうしたモンかね?一番てっとり早いのは『停止世界の邪眼』の持ち主ごと纏めて旧校舎を吹っ飛ばしちまう事なんだが...」

 

 

流石にそういう訳にはいきませんからねぇ...これから和平結ぼうとしてる相手の部下をムッコロスのは、ちょっとねぇ.....

そんな風にアザゼルさんと話していると無能が『私の下僕を武器にされるなんて...しかも、大事な会談を付け狙う戦力にされるなんて...これ程侮辱される行為も無いわッ!』とか偉そうに言ってた。

思わずぶっ飛ばしそうになるのを堪え、『俺が吸血鬼の回収に行く』と言ったら『そんな必要は無いッ!私が救出してくるッ!』とか抜かし出した

 

 

「は?お前バカだろ?自分が何しでかしたか解ってんの?

『会談の障害になるかもしれない強力で不安定な力を持った眷族を単独で放置し、その上でソイツをテロに利用された』んだぞ?直接的では無いにせよ、お前のせいで会談止まったんだぞ?くだらない意地張ってんじゃねぇよ。

いいか?お前の面子なんざどうでもいいんだよ『俺が行った方がより速く、確実に解決出来る』だから行くって言ってんの。

つーか、そもそも身の丈に合わない奴を眷族にするなよ。お解り?」

 

「くッ!あなた...ッ「待ちなさい、リアス」お兄さまッ!?」

 

「.....兵藤一誠君、キミにできるのかい?」

 

「できないとでも?少なくとも、あなたの妹が一人で乗り込むよりは遥かに成功率高いですよ?」

 

「.....わかった、キミに頼もう。極力、傷つけないであげてくれ」

 

 

ハイハイ、解ってますよ。これで悪魔側にさらに貸し1っと....

祐斗達に校庭の魔術師達の相手を任せ、『禁手化』してから影を使った転移魔法で直接ギャスパーが居るであろうオカルト研究会の部室に転移する

 

 

「はろはろー♪」

 

『何!?』

 

 

おお、驚いてる驚いてる。さて、ギャスパー君は...お、いたいた。イスに縛り付けられてら

 

 

「ギャスパー・ヴラディだな?救出に来たぞー」

 

「ヒィィィィィィィィッ!また知らない人がぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

 

ギャスパー君、ちょっとビビリ過ぎじゃないかい?まあいいや、とりあえずーーー

 

 

「『風花 武装解除』!!」

 

 

オレの周囲からブワッ!!と凄まじい暴風が発生し、魔女達の服と武装を吹っ飛ばす

 

 

『き、キャアアアアアアアアアアアアアア!?』

 

「はいはい、『魔法の射手・戒めの風矢』」

 

 

顔を真っ赤にしながら体を隠してうずくまった魔女達を『戒めの風矢』でサクサク捕縛していく

 

「お前ら...テロリストなんだろ?服脱げたくらいで動揺するなよ...」

 

「うるさいばかぁ!!何なのよアンタは!?」

 

 

捕縛されて床に転がされてる魔女の一人が半泣きで怒鳴りつけて来たので『赤龍帝ですけど?』と明かしたところ、みんな一斉に『え?ウソ!?さ、サイン下さいッ!!』とか抜かしてきた。どういう事か聞いてみたところ、どうもオレは魔法使いの間ではかなりのカリスマ的存在になっているらしいのだ。なんで?

 

 

「『赤龍帝』様は魔法使いの間で凄い話題になっているんですよ!?今までに無い画期的な魔法をわずか15歳で生み出した希代の大天才だって!」

 

 

そりゃあ、異世界(他作品)の魔法ですから。ってゆーか、え?オレそんな事になっちゃってんの?一応言っておくけど、オレ、魔法使い協会所属してないよ?ちょっとゲンドゥルさんの所で勉強してただけだよ?なんで皆オレの事知ってんの?

 

 

「だって魔術師ゲンドゥルが『私は今まで彼ほど優秀な男子は見た事がありません。あんな教え子を持てて、私も鼻が高いです』って言ってましたもん!あの魔術師ゲンドゥルがッ!」

 

 

...ゲンドゥルさん....認めてくれてたんですか.....正直、怒られてばっかりだったからなぁ...やべぇ、かなり嬉しいわ...っと、こんな事してる場合じゃなかったギャスパー君止めないと。

ギャスパー君にアザゼルさんから預かった腕輪を付けさせ、数回倍加してから腕輪に譲渡する

 

 

「どうだ?制御できそうか?」

 

「は、はい...なんとか...」

 

「よし、じゃあいくぞ」

 

 

念のためにギャスパー君に目隠しをし、床に転がってる魔女達は操影術の影布で縛り上げてから転移魔法で連れていく

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ただいまーっと」

 

「お、戻ったかいイッセー。どうなった?」

 

 

聞いてきたアザゼルさんに、影からギャスパー君と魔女達を引っ張りだして見せる

 

 

「ほう、さすがだな。ところで、なんでこいつ等素っ裸なんだ?」

 

 

武器とか隠し持ってたら危ないから、武装は服ごとまとめて吹っ飛ばしたんです。あと、なんかオレ魔法使いの間で有名になってたんですけど

 

 

「え?アンタ知らなかったのかい?『希代の天才魔術師 赤龍帝』ってかなり有名だよ?」

 

「えーオレ全く知らなかったん「そこのあなた、何者です」あ?」

 

 

振り向くと、そこにはやたら胸元の開いた派手な服装で、額に青筋立てた女がいた。あー...何だっけコイツ?

 

 

「...その方は先代レヴィアタンの末裔の『カテレア・レヴィアタン』です」

 

 

カテレ.....あー、ハイハイ!アザゼルさんにソッコーで負けたあの噛ませね。グレイフィアさんの説明聞いてようやく思い出した。あー、コイツが気分良く語ってる最中に出てきたのか

 

 

「んで?その旧レヴィアタン様が何の御用で?」

 

「フン!そんなもの決まっています。私から『レヴィアタン』の座を奪い盗ったそこのセラフォルーとサーゼクス、並びにミカエル、アザゼルを抹殺す「うん、それムリ」...あ、貴方...ッ!このカテレア・レヴィアタンを侮辱するつもりですかッ!?」

 

「イヤ、侮辱云々抜きに不可能に決まってんだろ。あんた自分の実力過信し過ぎじゃね?

『魔王』二人に『天使長』と『堕天使総督』、ついでに『赤龍帝』だぞ?勝てる訳無いだろ。つーか、そんなに強いんならあんたが『魔王』になってるハズだろうが」

 

 

言っちゃなんだけど。アザゼルさん一人にも勝てないヤツがそれと同等以上の相手を同時に6人なんて不可能に決まっている

 

 

「フン...まあ、確かに私だけの力では貴方達を同時に相手取る事は不可能でしょう。そう、私だけ(・・・)なら」

 

 

そう言うとカテレアは懐から小瓶を取り出し、中に入っていた小さい黒い蛇を呑み込んだ。瞬間、ヤツから凄まじいプレッシャーが放たれる。なるほどアレがオーフィスの『蛇』か、凄いな.....

 

その後、カテレアが調子に乗っているのでボコりに掛かろうとしたが、アザゼルさんが『今更だけど、アンタはゲストなんだから下がってな。後はアタシがやる』との事だったので、祐斗達校庭組の援護に向かう事にした

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

校庭に出ると同時に、背後からゼノヴィアに放たれた魔法の炎をアロンダイトで叩き斬る

 

 

「ゼノヴィア、油断すんな」

 

「すまない師匠。旧魔王の方は?」

 

「アザゼルさんが潰すって。オレ達は雑魚の掃除」

 

「そうか、了解した」

 

 

そう言うと、ゼノヴィアはデュランダルを構え直して、敵陣に突っ込んで行った。

その後、オレもアロンダイトで魔術師達を薙払っていたのだが、いかんせん、相手は無尽蔵にどんどん湧いてくるので、きりがない。

しょうがないので校庭ごと纏めて吹き飛ばす事にした。丁度アレも習得出来たんだし。そう思ったオレは呪文の詠唱を始める

 

 

「メウス・ルブラム・ドラコ・カル 契約により 我に従え高殿の王! 来たれ! 巨神を滅ぼす燃ゆる立つ雷霆よ!!」

 

 

あ、ヤバい。三人を下がらせねぇと

 

 

「祐斗!ゼノヴィア!イリナ!オレの後ろに!!」

 

『了解です(だ)(よ)ッ!』

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

 

 

三人がオレの後ろまで下がってきた事を確認してから倍加を始め、詠唱を再開する

 

 

「百重千重と重なりて 走れよ稲妻!!」

 

『Explosion!!』

 

 

オレが詠唱している事に気付いた奴等が攻撃してきたり、障壁を張ったりしているが、もう遅い。食らえ、雷系最大呪文!!

 

 

「『千の雷』!!!!」

 

 

ーーーードガアアアアアアアアアッッッンンンン!!!!ーーーー

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「その程度ですか、アザゼルッ!!」

 

「ハッ!借り物の力で漸くアタシ等と戦える様になったヤツがよくほざくねぇッ!」

 

 

カテレアの奴と戦い始めて数分が経ったが状況は余り芳しく無い。

ヤツがオーフィスから手に入れた『蛇』によって得た力は想像以上だった。

これ以上イッセー一人にやらせる訳にはいかなかったから、代わりに相手してるんだが....やれやれ、中途半端に強くなりやがって。

しょうがない、アレを使うかね?出し惜しみしてやられでもしたら目も当てられないしねぇ....

 

 

「覚悟を決めてもらいましょうか、アザゼル」

 

 

ヤツが嘲笑を向けてくるが、それを無視して懐から短剣ーーー傑作人工神器『堕天龍の閃光槍』を取り出す

 

 

「それはーーー」

 

「アタシは自他ともに認める神器マニアでね、こうして自作したりもするのさ。ま、殆どのモンが屑でどうしようも無いんだけどね。『神器を開発した』って所は唯一ヤツ()の尊敬に値するところさね」

 

「ーーーそれで?その屑でどうするつもりなのです?」

 

「こうするのさ!『禁手化』ッ!!」

 

 

短剣のパーツが分離し、光が噴き出す。光はアタシの身体を覆い、黄金の鎧になる。これが『堕天龍の閃光槍』の擬似禁手『堕天龍の鎧』だ

 

 

「ーーーそんな!?神器の研究はそこまで進んでいなかったはずです!」

 

 

カテレアはこの鎧を見て動揺している

 

 

「なるほど、その様子じゃあ、ウチ(グリゴリ)の裏切りモンが研究資料を持ち出してた様だね。だが、お生憎様。真理に近い部分はアタシとシェムハザの奴しか知らないのさ」

 

 

アタシが皮肉気に言ってやると、ヤツは舌打ちをしながら青黒いオーラを噴出させる。どうやら、そろそろ決着を着けるつもりのようだね

 

 

「私は偉大なる真のレヴィアタンの血を引く者!カテレア・レヴィアタン!貴女ごとき忌々しい堕天使に負けは」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーードガアアアアアアアアアッッッンンンン!!!!ーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

カテレアはヤツが吠えている最中に突然降ってきた凄まじい雷に捲き込まれて、一瞬でアタシの視界から消え失せた

 

 

ーーーーアレ、ナンカオチテキタゾ?ーーーー

 

ーーーーマスター、コノヒトキュウレヴィアタンデス!!ーーーー

 

ーーーーア、ホントダ。ヤベェ、ジュツニマキコンジャッターーーー

 

 

.....下の方から聞き慣れた声がーーーーって言うか、イッセーの声が聞こえてくる。どうもカテレアはアイツの魔法に捲き込まれてやられたらしい.....コレ(禁手)、使い損したなぁ.....

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ドーモ、イッセーです。ちまちま魔術師達を倒すのが鬱陶しくなってきたので『千の雷』でまとめて吹き飛ばしたのだが、カテレアが上空に居たのに気付かずにまとめてブッパしちゃいました。

『擬似禁手』を無駄に使う事になってしまったアザゼルさんから文句を言われ、ズッタズタになった校庭を見たシトリー眷族からも怒られました

 

まあ、そんな訳で『禍の団』の襲撃犯たちは全て返り討ちにしたので、現在アザゼルさん達首脳陣は『禍の団』とギャスパー君、並びにリアス・グレモリーの今後について話し合っている

 

『禍の団』のやった事とは言え、眷族がテロに利用されたと言う事は到底看過出来る訳が無く、『恐らく、ギャスパー・ヴラディの眷族解除、並びに領地の没収等があるだろうさ』とはアザゼルさんの弁である。

まあ、それ位しないと懲りないだろうからな、あの無能は

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

暫く待っていたのだが一向に話し合いが終わる気配が見えないので先に帰ってしまおうと思い、会議室を出ると匙君がオレの事を出待ちしていた。

何か用でもあるのか?と聞いてみた所、『頼む!どうか俺の事を鍛えてくれ!!』と、いきなり土下座された。

 

流石にいきなりそんな事を言われても困るので詳しい話を聞いてみた所、『冥界に、身分に関係無く誰でも通えるレーティング・ゲームの学校を建てる』というソーナ・シトリーの夢を叶える手伝いがしたいのだそうだ

『別に眷族なんだから、普通に手伝う事になるだろう?』と言ったら

 

 

『少しでも早く会長に夢を叶えて欲しい。その為には強くなって、レーティングゲームに勝ち、会長の評価を上げなくちゃならないんだ!!頼む!俺に会長を助けられるだけの力をくれ!!』.....だそうだ。

 

 

いやぁ、熱いねぇ...青春だねぇ...若いって良いねぇ...こういう愚直な奴は嫌いじゃないので手伝ってやる事にする

 

 

「ほい、これ持ってろ」

 

「これは?」

 

「オレの連絡先と紹介状。アザゼルさんにも話は通しておいてやるから、時間が出来たら連絡しな」

 

「?アンタが鍛えてくれるんじゃないのか?ってゆーか、紹介状?」

 

 

匙君が怪訝な顔をしてくる

 

 

「現在最も神器の研究が進んでるのはグリゴリだからな。そこに行って特訓受けた方がお前の為になるはずだ。せいぜい頑張れ」

 

 

ぶっちゃけ、オレは匙君と違って直接戦闘型だからな。オレの修行じゃ『黒い龍脈』は活かしきれないのだ。もちろん、オレとの戦闘経験は無駄にはならないだろうが....

オレがそう言うと匙君は納得した様で、何度も『ありがとう』と言って感謝してきた。うんうん、ちゃんとお礼が言えるのは良い事だ。どっかの無能と違って

 

 

 

 

 

 

 

 

 





はい、という訳で第9話でした


描写はしていませんでしたが、『アスカロン』はイリナが使用しています


とうとうイッセー君が『千の雷』を習得しました。本編では使ってませんが、既に『燃える天空』も習得しています。
まあ、あっちは天界勢がいる時は呪文詠唱でヒンシュク買うので使えませんが....


そして立ち上がる匙君強化フラグ(笑)


作者は匙君や原作一誠君みたいな泥臭いヤツは大好きです



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第10話 帰れ


お待たせしました!


と言う訳で、第10話です


 

 

「ーーーと言う訳でして、どうか私を弟子に....」

 

「帰れ」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

30分後

 

 

「はぁ...やっと帰ったよ...」

 

 

 先日の会談以来、一日に3回はさっきの様に弟子入り希望の魔術師がやってくるようになってしまった。

 電話は日に20回はかかってくるし、書類に到っては日に40通は届く。いいかげんウンザリしてきた.....それもこれも全部悪魔側のせいである

 

 

「おのれ悪魔陣営.....!!」

 

 

 事の発端はコカビエル襲来時にまで遡る。あの日、コカビエルが連行された後にサーゼクスさんが報告を受けたそうなのだが、その後がよろしくなかった。サーゼクスさんの眷族である『マクレガー・メイザース』が(赤龍帝)がこの町に住んでいる事を知ったのである。

 

 その後、古巣である魔術結社『黄金の夜明け団』の幹部との会話の際に、つい『素性不明の天才魔術師である今代赤龍帝の正体が分かった』と零してしまったそうなのだ

 

 それだけならまだ良かったのだが、今度は何処からか会談時の戦闘映像が流出する。『どうせ赤龍帝なんて魔術的にはたいした事が無いに決まっている』と高を括っていた魔術師達は、俺の『千の雷』を見て腰を抜かしそうになったらしい。

 即座に映像は消したのだが、こうしちゃいられない!とその幹部達が俺に対して勧誘のメッセージを送ってきたのだ

 

 魔術結社に所属なんて面倒くさい事は御免だったので断ったのだが、その返事に逆ギレした幹部の一人が俺の住所と戦闘映像を大公開しやがったのである。

 それ以来、毎日の様に弟子入り希望や、勧誘の魔術師達がやって来るのだ。

 

 ちなみに、情報大暴露の翌日にマクレガー氏がボッコボコの幹部を連れて謝りに来た

 

 

「もう、ホンット面倒なんだよなぁ...いっそ、誰か一人くらい弟子にしちゃえば....いや、駄目だな、そしたらキリがなくなる....」

 

「師匠、考え事をしている最中で申し訳ないが、ちょっと来てくれないか」

 

 

 俺が悩んでいると、ゼノヴィアが俺を呼びに来た。どうしたのか聞いたら、どうにも厄介な人が俺に要があるそうなのだ。

 取り敢えず、ゼノヴィアに言われた通りにテレビ電話が有る部屋に行く事にする

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「.....つまり?」

 

【私の妹が貴方の大ファンでしてね、どうか弟子にしてあげてくれませんか?】

 

 

...どうしたもんか?

今、俺はアーサー王の子孫と自称する男と会っている。

 なんでも、コイツの妹は『黄金の夜明け団』に所属していて、前々から俺のファンだったのだそうだ。ずっと弟子入りしたかったのだが、俺が身元を隠していたのでそれは不可能だった。

 

 が、先日の個人情報大暴露事件で俺の身元が判明。早速弟子入り志願に行こうと思ったが、『黄金の夜明け団』の幹部達に俺への接触を禁じられてしまう。

 

 愛しの妹が『どうしたものか』と悩んでいたのを目撃したこの男が、『妹が接触を禁止されたのならば、私が代わりに頼み込めば良いじゃないか!』と閃き、俺に連絡をとってきたーーーだそうだ。面倒だなこのシスコンメガネ

 

 

「生憎、俺はまだ弟子を取れる程の実力は無いんだが?」

 

【ご謙遜を。貴方の戦闘映像は私も拝見させて戴きましたが、魔法だけでなく近接格闘技術も素晴らしい腕前ではありませんか!正直、私も是非貴方と戦ってみたいですよ】

 

 

 最近みんなの評価が高すぎてストレスがヤバい。どうしてこう、面倒な奴に目を付けられるのだろう.....

 それに、とアーサーが続ける

 

 

【貴方が最後に放った一撃、アレは名のある神の雷に匹敵するモノです。あんなモノを平然と放っておいて『弟子を取る程の実力は無い』等と言われたら、魔術結社の立つ瀬がありませんよ.....と、私の妹より】

 

「....そこに居るんだったら直接話したらどうだ?なんでアンタが話してるんだよ」

 

【私もそう言ったのですが、『赤龍帝さんの許可を取るまでは私が話す訳にはいきません!』と言い張りましてね...】

 

 

 言いながら苦笑するアーサー。成る程、生真面目と言うか、頑固と言うか....

 

 

「じゃあ、その娘と代わってくれ。取り敢えず、話してみない事には何とも言えん」

 

【少々お待ちを...《ルフェイ、赤龍帝がアナタに代わって欲しいそうですよ...》...ハイ!初めまして赤龍帝さん!私がルフェイ・ペンドラゴンです!】

 

 

 アーサーが画面から出たかと思うと、金髪の、いかにも魔女といった姿の少女が入ってきた。この娘がアーサーの妹か

 

 

「初めまして、赤龍帝の兵藤一誠だ。早速だけど、俺は弟子を取るつもりは無いぞ。俺は人にモノを教えるのが苦手だからな。諦めてくれ」

 

【そこをなんとか!直接教えてくれなくても構いません!見て盗みます!とにかく、間近で見させて下さい!!】

 

 

 ルフェイの眼を真っ直ぐに見据える。が、俺に取り入ろうとかそう言う類の下心は見えない。う~ん、でもなぁ...

 

 

「何でそんなに俺に弟子入りしたいんだ?俺より有名な魔法使いは沢山いるはずだぞ?ってゆーか、『黄金の夜明け団』なんて大御所なら、師匠なんていくらでもいるだろう?」

 

【そんなの決まってます!兄さんも言っていましたが、私がアナタのファンだからです!それに、私の同年代で赤龍帝を知らない子なんて居ませんよ?『赤龍帝ブロマイド』だって全弾コンプリートしています!】

 

 

 え、ちょっと待ってくれない?『赤龍帝ブロマイド』って何?俺そんなの聞いてないよ?何で本人の預かり知らない所でそんなモノが出回ってるの?ソレ誰が儲けてんの?

 

 

【勿論、布教用と観賞用と保存用で3枚ずつ持ってます!】

 

 

「そ、そう...ソレはどうも.....」

 

 

 言えない、『ソレ、俺は許可出して無いんだけど?肖像権の侵害なんだけど?』とは言えない.....!

 クッ...しょうがない、ブロマイドの件は一旦置いておこう

 

 

「.....取り敢えず、俺が夏休みに入ったら一旦顔合わせしよう。適当に8月の暇な日に予定を空けておいてくれ。弟子云々はその時に決める。これで良いな?」

 

【あ、ハイ!分かりました!8月を楽しみにしていますね!それでは、失礼します!】

 

 

 ブッ!と言う音を立てて画面が消える。結局

ルフェイの熱意に負けて、一度顔合わせする事になったかぁ.....

 また、魔術師達がギャーギャー言ってきそうだなぁ.....

 いっそ、引越そうかなぁ.....後、ブロマイドの出処調べないとなぁ...

 

 

「はぁ、やる事ばっかだなぁ.....」

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

「へえ!それじゃあ、その娘を弟子にするのかい?」

 

「まぁ、まだ決めた訳じゃ無いんですけどね.....ウチに押し掛けてくるアホ共と違って、ゲスい下心とか無さそうだったから断り切れなくって...」

 

「イッセーさ~ん、イヤな物はイヤだッ!って、ちゃんと言ったほうが良いっすよ〜?」

 

「相棒はお人好しだからなぁ」

 

 

 ドーモ、イッセーです。現在、俺とドライグはグリゴリの研究所に来ています

 

 

「...よし、検査終了っと。どうだい二人共?どこか違和感のある場所は?」

 

「俺は無いですね。ドライグはどうだ?」

 

「う~ん....私も特に無いぞ!」

 

「アザゼル様〜コッチのデータも異常なしって出てるッスよ〜」

 

 

 え?何してるのかって?俺とドライグの精密検査。

 前に、ドライグの身体を造る時にアザゼルさん達に手伝って貰ったっていうのは言ったっけ?それ以来、大体半年に1回くらいの割合で検査を受けているのである。

 このドライグの身体は俺が持っている『アーウェルンクス・シリーズ』の技術と、このグリゴリの技術を合わせて造った、超ハイブリッドなシロモノなのだ。

 なので、急に体組織の崩壊が起きたりしないか、魂の拒絶反応が起きないか、等々、定期的に検査する必要が有るのだ

 

 

「よし、二人共お疲れさん。もう上がって良いぞ〜.....あ、そうだ。イッセー、ドライグ。二人共、この後なにか予定はあるかい?」

 

「え?いや、特に無いですよ?」

 

「アザゼル、何か有るのか?」

 

「ああ、チョイとね。イッセー、この間お前が紹介状を書いた悪魔がいただろ?シトリー眷族のヤツだ」

 

 

 ああ、ハイハイ匙君ね。アイツがどうかしたのだろうか?

 

 

「ああ、アイツが今ウチに修業しに来ててね。ちょっと様子を見て行かないかい?」

 

「けっこー頑張ってるっぽいッスよ〜?」

 

 へぇ.....そうだな、アレから少し経ってるし、どれ位強くなったか気になるな

 

 

「分かりました、俺がイッチョ揉んでやりましょう!」

 

「別に戦う必要は.....いや、いい機会か?.....そうだな、良し。イッセー、禁手は無しで頼むぞ」

 

「了解です」

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

「お、いたいた」

 

 

 俺が訓練場に到着すると、そこには手持ち無沙汰気味な匙君がいた。まだ俺には気付いていない様だ

 

 

「あの、アザゼル総督?模擬戦って、誰とやるんですか?」

 

『良いからソコで待ってな.....お?来たようだね』

 

「え?...あれ!?アンタは...!」

 

「ハッハッハ!久し振りだね匙君?調子はどうだ?」

 

「え?まさか、模擬戦の相手ってアンタなのか!?」

 

「おう!喜べ、匙元士郎!この赤龍帝 兵藤一誠が相手をしてやる!さあ、構えな!」

 

 

 最初は驚いていた匙君だったが、俺が相手と分かると一気に表情を引き締めた。ほうほう、中々イイカンジに育っているじゃないか!

 

 

「『時間無制限、殺害禁止』でいくぞ。ハンデとして、俺は神器は使わん。気張って来いよ?」

 

「上等だ!!」

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

10分後

 

 

「おお、やるねぇ....」

 

「ぜぇ...ぜぇ...ど、どんなモンだ...」

 

 

 取り敢えず、『俺に一撃入れる』を目標にやってたんだが...まさか10分でクリアするとは思わなかった。ゼノヴィアとイリナも最初は二人掛かりでギリギリ8分位だったのに、大したもんだな

 

 

「いやいや、大したモンだよ。ハンデ有りとは言え、たった10分で俺に一撃入れたんだ。自慢して良いぞ?」

 

「へ、へへ...ソイツはどうも...つーか、アンタ、本当に強いな...コレでハンデ有りかよ...」

 

「そりゃそうだ。俺は小学生の頃にはもう修業してたんだからな。キミとは年季が違うんだよ」

 

 

 ついでに言えば、ヴァーリや闘戦勝仏とも戦ってたからな...そういえば、最近ヴァーリと戦って無いな...今度模擬戦でも頼もうかな?

 

 

「さて、再開するぞ。今度は一対多の戦い方を教えてやろう。レーティングゲームで上を目指すんなら、覚えておいて損はしない筈だぞ?」

 

「わ、分かった!.....で、アンタは誰と組むんだ?」

 

 

 え?別に誰とも組まないよ?だって、俺一人で19人までイケるし

 

 

「「さて、まずは二体一でいくぞ?」」

 

「はああああああああッ!?」

 

 

 匙君がメチャクチャ驚いている。まあ、いきなり影分身されたら驚くか。たぶん、匙君にはいきなり俺が二人になった様に見えただろうしな。

 

 さて、始めますかな

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 初めまして。俺の名前は匙元士郎だ。会長の...ソーナ・シトリーの『兵士』をやっている、新人悪魔だ

 俺は今、堕天使の組織『グリゴリ』で修業を積んでいるんだが.....

 

 

「う、おおおおおおおおッ!」

 

「コラコラ」「闇雲に突っ込むな」

 

「ガアッ!?」

 

 勢いを付けて放った廻し蹴りを一人が受け止め、その隙に、背後から接近したもう一人に蹴り飛ばされる

 

「ほらほら、どうした?」「もうギブアップか?」

 

 今オレが戦っている相手は、最強の神器である『神滅具』の内の1つ、『赤龍帝の籠手』の保持者である『赤龍帝』兵藤一誠だ。

 やっぱり『赤龍帝』の名前は伊達じゃない。コイツ、何と神器を使わずに分身の術をしてきたのだ。悪魔になったオレが言うのはどうかと思うが、正直人間辞めてるとしか思えない

 

 

「クッ...まだまだァァァァァ!」

 

 転がりながらも、『黒い龍脈』からラインを飛ばして兵藤①に接続しようとしたが、難無くかわされる

 

「『魔法の射手 氷の13矢』」

 

「うおったあああッ!?」

 

 兵藤①の放った魔法を身を捻って避けたが、無理に避けたせいでバランスが崩れてしまった。当然そんな隙を相手が見逃す訳が無く、兵藤②.....面倒だから②でいいか。②が一気に懐に入ってきた

 

「げ!?やべ.....ッ!」

 

「『魔法の射手 収束・雷の7矢』」

 

「グアアアアアッ!?」

 

 咄嗟にガードしたが、そのガードをぶち抜いて電撃を纏った拳が叩き込まれる。そのまま俺は数メートルは吹っ飛ばされた。

 クソ!解っちゃいたけど強過ぎる...!まだ神器も使わせられて無ぇってのに.....!!

 

「サジ、近接戦闘中は何があろうと体制を崩すな」「今のが実戦だったら死んでたぞ?」

 

「了、解...ッ!」

 

起き上がり、①と②に向かって突っ込む。突っ込みながら、そこら中に向かってラインを放つ

 

「ハァッ!」

 

 ①の放った拳を、そこら中に引っ付けたラインの内の一本を引っ張ってワイヤーアクションの様にかわす。そのまま①に向かって魔力弾を放ったのだが、魔法の障壁で難無く受け止められた。

 

「チッ.....ッ!危ねぇ!!」

 

 ガードされた事に舌打ちしていると、背後から②が飛び掛かってきた。慌てて別のラインを引っ張り、飛び掛かりながら放ってきた②の攻撃を、ギリギリでかわす

 

 

「ふむ、だいぶ周囲に気を配れる様になってきたな。」

 

 

兵藤から距離を取って呼吸を整えていると、向こうが分身を消して話し掛けてきた。クソ、全く息が切れてねぇ。どんな体力してんだよ...

 

 

「へっ.....俺は、最強の『兵士』になるんだ...!これ位、出来て当然だ!!」

 

 

 強がってみたものの、もう魔力がスッカラカンなんだよなぁ.....

 そんな事を考えていると、兵藤は空中に電気の魔法を浮かべた

 

 

「サジ、コレにラインを繋げてみろ」

 

「は?何だよ急に...?」

 

「良いからやってみろ」

 

 

 言われるがままにラインを繋げてみる。すると、ラインから俺に魔力が流れ込んで来た!暫くすると、魔力が途切れる。それと同時に、浮かんでいた雷球も消滅していた

 

 

「コレは.....!!」

 

「ふむ、適当に思い付いたんだけど...案外どうにかなるもんだな。技名は『敵弾吸収』で決定だな。サジ、どれ位回復した?」

 

「あ、えっと...15%位...だな」

 

「アレ?オマエの総魔力の30%は回復出来る位の魔力は込めたんだが.....まだ上手く吸収し切れてない様だな。

 サジ、今後仲間と訓練する時はコレをメインにやっていけ。最終目標はコレを色んな形状で使える様になる事だな。網型とかな。

モノにすれば、実質、無尽蔵に魔力が使える様になるぞ?」

 

 

 た、確かに...!相手の攻撃を吸収すれば、コッチは消費ゼロで攻撃出来る!もっと上手くいけば、味方の魔力を回復する事も出来る!!

 

 

「よし、もう一回いくぞ?成功したら、今度はライン2本でやってみろ。それが成功したら3本でやるぞ。

 取り敢えず、今日は動かない的を狙ってもらうが、最終的には動いてる攻撃を一瞬で吸収できる様になれ。いいな?」

 

「押忍!!」

 

 

 その後、俺は、魔力弾を放っては吸収し、放っては吸収し....と言った訓練を1時間程練習した。

 兵藤がその位で帰ってしまったので、『敵弾吸収』の練習は一先ず終わりにした。流石に光力を吸収したら死んじまうからな。

 しっかし、兵藤には本当に世話になりっぱなしだ。将来、絶対にこの借りを返してみせる!

 

 そう誓いながら訓練を続けた俺だった

 

 

 

 

 

 

 

 






ハイ、と言う訳で、第10話でした


投稿が遅れて申し訳ありませんでした!!


リアルが忙しかったり、他の作品書いてたりで、気付いたら2週間以上経っちゃってました...(汗)


あ、4作目『アカメが斬るに転生した』の投稿も始めたのでソッチもよろしくお願いします


さて、今回は、みんな大好きルフェイちゃんの登場回と、匙君の修業回でした

今回、ルフェイちゃんはテレビ電話での登場でしたね。あと3話位したら生で登場するので、しばらくお待ち下さいm(_ _)m


そして着々と強化されていく匙君。
彼には『グレモリー眷族フルボッコ』と言う崇高な使命があるので頑張って貰います(笑)


御読了、ありがとうございました!
エタらない様に頑張って更新していくので、今後ともよろしくお願いします!!






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第11話 これ以上譲歩するつもりは微塵も無い


ypaaaaaaaaaaaaaaa!!とうとう響たんがВерныйたんになったぜえええええええええッ!!


と、言う訳で第11話です


「え、今からですか?」

 

「ああ、急な事で申し訳無いんだがね」

 

 

 皆さんコンニチハ、世間の高校生達が必死に勉強している中、ウチの5人娘達と悠々自適に過ごしていたイッセーくんです

 

 本日、アザゼルさんがアポ無しで家に来たので、どうしたのか聞いてみると、何やら冥界は悪魔領にて魔王達との会談が有り、それに俺も参加して欲しいのだそうだ

 

 

「まあ、予定は大丈夫ですけど...もうちょっと早く言ってくれません?」

 

「いや、本当に悪いね。ヴァーリに連絡する様に頼んでおいたんだけど、どうも忘れてたらしくってねぇ...」

 

「ヴァーリェ...」

 

 

 何をやってるんだあのアホっ娘は.....まあ、済んだ事をいつまでもグチグチ言っててもしょうがない。取り敢えず、支度するとしよう

 

 

「会談ってどれ位かかるんですか?」

 

「まあ、3、4日ってとこかねぇ...」

 

 

 え、そんなにやるの?その間俺は何処に泊まるの?まさか、毎回冥界まで呼び付ける気?

 

 

「ああ、ソレはセラフォルーの奴が手配済みだそうだよ。あんなナリでも外交担当だからね、その辺の事はしっかりやってるよ」

 

 

 なるほど、仕事は真面目にやってるのか。まあ、あの格好を制服と言い切るのはどうかと思うけど。いや、似合ってて可愛いんだけどね?

 

取り敢えず、必要なモノを異空間の倉庫に放り込んでいき、アーシア達に3、4日程家を開けると伝え、念の為に生活費を10万程渡しておく

 

 

「良し...アザゼルさん、準備完了です。いつでも出れます」

 

「おう。じゃあ、行くとするかね」

 

「師匠、お土産は甘い奴が良いな」

 

「あ、私もー!」

 

「行ってらっしゃいはどうした、このスカポンタン共」

 

 

 最近は全く遠慮しなくなってきたな、このアホっ娘共

 

 

「あはは...行ってらっしゃいませ、マスター」

 

「イッセーさん、お気を付けて!」

 

「おう、ちょっくら行ってくるわ。みんな俺が居ない間、家の事頼むぞ?」

 

『はーい!』

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「お待ちしておりました、アザゼル総督、赤龍帝殿」

 

 

 アザゼルさんに引っ付いて歩いて行くと、駅についた。何で駅に?と思っていると、後ろから声を掛けられる。振り返ると、ソコにはソーナ・シトリーとその眷族達が居た

 

 何をしているのか聞いてみると、セラフォルーさんから俺達の出迎えを命ぜられたのだそうだ

 

 

「わざわざ出迎えなんてしなくても気にしないんだけどなー...後、無理に敬語じゃ無くても構わないですよ?」

 

「い、いえ...そう言う訳には...」

 

「イッセー、三勢力内での自分の重要度をちゃんと理解してんのかい?ぶっちゃけ、アンタ全勢力で、半端な幹部よりも重要視されてるんだよ?」

 

「え、マジっすか?」

 

 

 俺そんなに評価高いの?

 

 

「そりゃそうさ。『歴代でも最高レベルな上に三勢力に対しても好意的な赤龍帝』なんて、みんな必死こいて厚遇するだろうさ」

 

 

 アンタと敵対するとヴァーリまで敵に回るだろうしね、と笑いながら付け加えるアザゼルさん。いや、笑ってますけどヴァーリは堕天使勢でしょうが

 

 

「ま、無駄話はこの辺にしておくかね。じゃ、頼むぞ、ソーナ?」

 

「はい。それでは、赤龍帝殿とサジ、桃、それと巴柄は私について来て下さい。椿姫、アザゼル総督と残りの皆を連れてきて下さい」

 

『ハイ!』

 

「あ、ハイハイ」

 

 

 ソーナさんに言われるがままについて行く俺達。どうやって冥界に行くのかサジ達に聞いてみたが、サジ達もこれが初めてなのだそうだ

 

 ツカツカと歩いていくソーナさんについて行くと、不意にとあるエレベーターの前で立ち止まった

 

 

「では、降りますのでエレベーターに乗って下さい」

 

「...降りる?」

 

 

 このエレベーター、どう見ても上にしか行かなそう何ですけど?

 

 訝しみながらも、取り敢えずエレベーターに乗り込む。やはり1階か2階にしか行かない様になっている。

 

 そんな事を考えていると、ソーナさんがポケットから何かのカードを取り出して、電子パネルにタッチした。すると、ピッ!という音と共にエレベーターが降り始めた

 

 

「おお、凄え、秘密基地みたいだな」

 

「ええ。この町には、この様な悪魔専用の仕掛けが沢山あるんですよ」

 

 

 へぇ~...長年この町に住んでたけど、初めて知ったな。魔力とか使ってないから気付かなかった。そのまま2分程経って、漸く停止した。

随分深い所に在るな...地震の時とか崩れないのか?

 そんな事を考えながらエレベーターの外に出ると、そこには広大なホームが広がっていた。そのまましばらく歩き、開けた空間に出た

 

 

「おお...」

 

 

 ソコに在ったのは列車だった。まあ、普通の列車よりも鋭角で悪魔の紋章がたくさん刻まれているが、ソレはどう見ても汽車であった

 

 

「これがシトリー家の所有する冥界列車です。今回はこれに乗って冥界に入ります」

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

「う〜む、中身は普通の列車と同じか...あ、でも座席が豪勢だな...」

 

 

 シトリー家の所有する列車に乗って数分、全く代わり映えのしない景色(まあ、次元の壁を走行中なのでしょうがないのだが)に飽きたので、列車の内部を探検しているのだ。

 どうも、列車に乗る際は色々と細かい決まりが有るらしく、先頭車両に主、そこから中央車両までにゲスト、その後に眷族達が乗車するのだ。

 なので、この車両には俺とアザゼルさんしか居らず、アザゼルさんがガッツリ寝入ってしまった今、俺は大変暇を持て余しているのだ

 

 

「しょうがない、後ろの車両に行くか。サジ君以外のソーナさんの眷族達にも挨拶してないしな」

 

 

 『後部車両に行ってます』と書いたメモをアザゼルさんの顔に貼り付け、後部車両に向かった

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

「お邪魔しまーす」

 

「あれ、兵藤か。どうかしたのか?」

 

「いや、アザゼルさん寝ちゃったから暇でさ。する事も無いから遊びに来た。お互い、挨拶もまだだしな」

 

 

 突然現れた俺に怪訝そうな顔をしているサジにそう言うと、納得した表情を浮かべた

 

 

「と、言う訳で。もう知ってるだろうが、俺が『赤龍帝』兵藤 一誠だ。よろしくな?あ、先に言っておくけど、無理に敬語使わなくて良いから。俺も基本、敬語は年上にしか使わないから、そのつもりで頼むな」

 

「え、ええ...では、私から自己紹介させていただきます。ソーナ・シトリーが眷族、『女王』真羅 椿姫です。よろしくお願いします、兵藤一誠...くん?」

 

「ああ、俺高2なんで君で構わないですよ」

 

「あ、私は『僧侶』の花戒 桃だよ!私も高2なんだー!コレからよろしくね!」

 

「『騎士』の巡 巴柄です。同じく高2です。よろしくお願いします」

 

「『戦車』由良 翼紗。私も2年生だ。よろしく、イッセー君」

 

 

真羅さんと巡さん、それと由良さんね。おっけー、ちゃんと覚えた

 

 

「そして俺が『兵士』匙 元s「知ってる。次」言わせろよッ!?」

 

 

 いや、だって知ってるし...

 

 

「『兵士』仁村 留流子です。高校1年生です。ヨロシクです」

 

「私は『僧侶』の草下 憐耶です。私も2年生です。コレからよろしくお願いしますね、兵藤くん」

 

「はい、みんなよろしく.....まあ、自己紹介はこの位にしておいて。ヒマでしょうがないからババ抜きやろーぜ?」

 

 

 ひとまず全員の自己紹介が済んだので、トランプを取り出しながらそう言うと、真羅さん以外は全員食い付いて来た

 

 

「あれ?真羅さん、ババ抜き嫌い?」

 

「あ、いえ...なんと言いますか...あまり、私達と変わらないなぁ...と思って...」

 

 

 いや、そりゃそうでしょ。アンタ俺の事何だと思ってたんだよ?

 

 

『息をする様に周囲を破壊し尽くす、人型決戦魔導兵器じゃないか?』

 

 

 ドライグ、1週間いちご牛乳抜きな?

 

 

『そんなッ!?何故だ、相棒!私はただ客観的に事実を言っただけじゃないか!?』

 

 

 1ヶ月にしてやろうか?

 

 

『ごめんなさい、もう言わないのでそれだけは許してください OTZ』

 

 

 そんなやり取りをしてから、真羅さんとドライグ、後から様子を見に来たソーナさん達を交えてみんなでババ抜きをやったのだが、ソーナさんがボロ負けだった

 

 

「クッ!何故です!?私のPOKER Faceは完璧だったハズッ....!」

 

 

メチャクチャ悔しがっているが.....まあ、うん...可哀そうだからそろそろ教えてあげるか。みんなも、いたたまれない表情してるし

 

 

「あの、ソーナさん.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ババ引かれそうになった時にちょびっと羽が出て来てますよ?」

 

「......へぇ!?」

 

 

 俺がそう言うと、慌てて自分の背中を確認して、羽を引っ込めたソーナさん。顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。

 滅多に無いのであろう主の赤面に興奮しているサジを、由良さんがボディブローで沈めた。

 やれやれ、あれだけ腹筋鍛えておけって言ったのに...

 

 

 そんな感じで小一時間程みんなと交流した所で、列車が駅に到着。ソーナさん達はシトリー家に向かうらしいのでココで別れ、俺とアザゼルさんはそのまま冥界の首都リリスへと向かった

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

「ヤッホー☆アザゼルちゃん、赤龍帝ちゃん!お久しぶり☆」

 

「イッセーくーん!イッセーくんのアイドル、ヴァーリちゃんもいるよー!」

 

「あ、お久しぶりですセラフォルーさん」

 

「あたしゃ別に久し振りでも何でも無いんだけどねぇ...」

 

「イッセーくーん?私もいるよー?」

 

 

 首都リリスに着いた俺達を出迎えたのはセラフォルーさんだった「ねぇねぇイッセーくーん?」。うむ、今日も魔法少女コスプレがよく似合ってる。

 良く『歳を考えろ』って言われているセラフォルーさんだが、俺的には似「イッセーくんってばー」合ってれば問題無いと思うんだ。

 そもそも、一万年も生きる悪魔相手に歳云々で文句を言ってもしょうがないだろうに

 

 

「う〜...アザゼル〜!イッセーくんが無視するー!.....はっ!コレがイッセーくんの愛情表現なの!?」

 

 

 ソンナワキャネーダロ

 

 

「いや、アンタが連絡するの忘れたから怒ってんだよ」

 

 

 Exactly。流石アザゼルさん、俺の気持ちを的確に表してくれる

 

 

「なーんだ、期待して損しダダダダダダダッ!?」ギリギリギリ

 

「『ごめんなさい』はどうしたバカ野郎」(#^ω^)ビキビキ

 

 毎度お馴染みとなったアイアンクローをしながらヴァーリを叱り付ける。が、ヴァーリはハァハァと息を荒げるだけで効きやしない。

 呆れながらヴァーリを、ポイッ!と放り捨てセラフォルーさんの方に向き直る

 

 

「で、コレからどうするんですか?俺、このアホっ娘のせいで詳しい内容全然知らないんですけど」

 

「う~んとね?今日は赤龍帝ちゃんとヴァーリちゃん、それにアザゼルちゃんとミカエルちゃんも交えて『禍の団』への対策会議するの☆」

 

 

 ああ、なるほどね。だから態々俺達最強格を呼び付けたのか。

 ひとしきり話を聞いた後、俺達はセラフォルーさんに連れられて魔王城へと向かったのだった

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

「ほぉ〜コレが魔王城か...なんか、思ったより普通の城だな」

 

 

 セラさんに連れられて魔王城にやって来たのだが、魔王城が普通の中世ヨーロッパの城みたいで驚いた。

 もっとこう、ドラクエみたいな禍々しい感じの城を想像していたんだが...城の中もかなりクリーンで、所々エレベーターとかも付いているし。

 なんかもう、城って言うより超高級ホテルみたいだな

 

 

「やあ、キミが今代の赤龍帝かな?」

 

 

 キョロキョロと周りを観ていると、背後から誰かに話しかけられたので振り返る

 

 

「.....そうですけど、あなたは?」

 

 

 ソコにいたのは一人の妖艶な雰囲気を漂わせたイケメンだった。

 .....やべぇ、この人、尋常じゃない位強そうなんだけど

 

 

「おっと、これは失礼。俺の名前はアジュカ・ベルゼブブ。現魔王の『ベルゼブブ』を名乗らせてもらってる者さ」

 

 

わーお、魔王でした。しかも、ベルゼブブって...確か、『超越者』の一人じゃなかったっけ?

 

 

「おお、魔王殿でしたか。どうも、『赤龍帝』兵藤 一誠です。それで?魔王殿はわざわざ会談前にどうしたのですか?俺に何か御用でも?」

 

「フッ、そんなに警戒しないでくれたまえ。単純に、君に興味があったから話しかけただけさ」

 

「...興味とは?」

 

「それは勿論、君の使っている魔法の事さ。あんなに奇妙で、それでいて完成されている魔法は初めて見たからね。全く持って興味深い。君さえ良ければ、是非ご教授願いたいモノだよ」

 

 

 そう言って実験対象を見る様な目でこちらを見てくるアジュカさん。

 うーわ、厄介なのに目を付けられた...こういう技術屋気質のヤツはホントに面倒臭いんだよなぁ...

 

 

「それはどうも。あいにく、この魔法は誰かに教えるつもりは(今の所)ありませんので」

 

 

 取り敢えず、にべも無しに技術提供を拒否っておく。コレを解明でもされたら、一気に俺の武器の殆どが封じられるからな

 

流石に向こうもそれは分かっていたのか、俺が拒むと、特に粘る事も無くアッサリと引いた

 

 

「おっと、そろそろ会談が始まるな。では兵藤一誠君、また後で会おう」

 

 

 正直、もうあんまり会いたくないんですけどね

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

「ーーー以上の事より、我々は対『禍の団』専門のチームの設立を提唱する」

 

「ふむ...まあ、ウチもそれには異論は無いね」

 

我々(天界)も同意しましょう.....しかし、問題は...」

 

「ああ、『誰を参加させるか』って事さね」

 

 

 ハイハイ、イッセーくんですよー。今は四大魔王+堕天使総督+天使長+二天龍という、冥界の1つや2つは軽く滅ぼせる戦力で会議してます。

 

 議題は最近活発に動き出してきた『禍の団』について。

 

 連中はどうも、各地の神器持ちの人間を攫ったり、悪魔勢や堕天使勢に対して散発的なテロ行為に及んでいるらしい。

 

 そのため、三大勢力間で人員を出し合って、対『禍の団』用の専門チームを作ろうとしているのだ。

 

 

ウチ(グリゴリ)で出せるのはヴァーリと『刃狗』ぐらいかね。つーか、これ以上出したらウチがやってけ無くなっちまうよ」

 

「まあ、『神滅具』持ちを二人も出している時点で十分過ぎるでしょう。我々(天界)からは『ジョーカー』と『御使い』を出向させましょう」

 

「へぇ!『煌天雷獄』を出してきたかい!随分と太っ腹だねぇ?て言うか、いつの間に『御使い』を完成させた?」

 

「つい先日完成したばかりです。『悪魔の駒』やグリゴリのデータのお陰で、大分研究が進みましたから」

 

「ふむ、なるほどね。では、悪魔勢からは『若手四天王』とその眷族達を向かわせよう。若手とは言っても、皆十分な実力はある」

 

 

 どうやら、大分話が纏まってきたみたいだな。さて、それじゃあ、そろそろ聞いてみるかな

 

 

「...それで?三大勢力間での話し合いはほぼ完了したみたいですけど...俺を呼び付けた理由は?」

 

「ふむ、では、そろそろ話そうか。『赤龍帝』兵藤 一誠殿。貴殿とその仲間達には、今後設立される予定の『対テロ組織用特殊対策チーム』の『戦技教導官』の役割を受け持って欲しい。コレは悪魔、天使、堕天使の三陣営からの正式な依頼だ」

 

 

 なるほど、ね。要は『まだ実践経験の薄い奴らを鍛え上げ、なおかつテロリスト狩りにも協力しろ』って事か。まあ、引き受けても良いんだけど.....

 

 

「引き受けるのは構わない。ただし、条件が在る」

 

「...どのような条件かな?」

 

 

 サーゼクスさんが真剣な表情で聞いてくる。まあ、そこまで大したモノじゃ無いから安心して欲しい

 

 

「1つは俺の仲間についてだ。俺自身が参加するのは構わないが、あいつ等は別だ。もしもウチの奴らが参加したく無いと言ったなら、ソイツは絶対に参加させん」

 

「なるほど。まあ、当然の事だね。アタシ等はあくまでも依頼人だ。ソッチが『引き受けない』と言い切っちまったら、どうしようも無いね」

 

 

 良し、アザゼルさんはコッチの援護に入ってくれてるな

 

 

「次。教導を受ける奴等が、俺や俺の身内に対して不当な理由で危害を加えた場合、問答無用で始末させて貰う。強引な勧誘や脅迫行為も同様だ」

 

「ふむ...まあ、ご最もですね。特に異論はありませんよ」

 

 

 天界勢もコッチに付いてくれたか。良し、あと1つ

 

 

「最後だ。『俺の魔法や技術に対して、強引な情報提供の要請をしない』並びに『俺の研究成果の技術の無断使用、情報漏えいを禁ずる』。これさえ守れるんだったら、戦技教導官の役目を引き受けよう」

 

 

最後の条件でアザゼルさん以外はみんな大分渋い顔をしている。やっぱそれが狙いか

 

 

「言っておくが、俺はこれ以上譲歩するつもりは微塵も無い。この条件が飲めないんだったら、この話は無かった事にする」

 

 

 『ネギまの魔法と技術』は『赤龍帝の籠手』と並ぶ、俺の最強の武器だ。そう安々と教えるつもりは基本的に無い。

 少なくとも、俺が信用出来ると判断した奴ら以外に教える気は微塵も無い。

 

 

 戦いにおいて最も重要なモノは情報だ、情報こそが力だ。知っていれば知っているだけ対策が練れ、優位に立てる。

 逆に、知られていれば知られているだけコチラが不利になる。

 だからこそ、そう簡単に教える訳にはいかないのだ。『教えたら多用されて、弱点がバレた』なんて事になったら笑い話にもならない

 

 なので、先日の『千の雷』がバレたのは本当に痛手だった。唯一の救いは、映像がサイレントだったお陰で詠唱まではバレ無かった事くらいだ

 

 

「...分かった。その条件を飲もう」

 

「良いのか?サーゼクス」

 

「仕方が無いさ。彼もこれ以上の譲歩は無いと言った通り、コチラに対する譲歩は最大限だ。何せ、コチラには損失が一切無いのだからね」

 

 

 良し、通った...!ぶっちゃけ、俺にはこの要請を断る大義名分が無かったからな。コレで済んで良かった

 

 

「報酬の件は後程決めるとしよう。他に何かある者は?」

 

 

 サーゼクスさんが聞いてみるが、特に異論があるヒトはいない様だ

 

 

「では、本日の会議はこれで終了としよう。みんな、今日は御苦労だった」

 

 

やれやれ、漸く終わったか...

 

 

まあ、そういう訳で。兵藤一誠、戦技教導官に就任が確定しました

 

 

 






はい、という訳で第11話でした


今回は『D×D』の設立回、それとイッセー君の戦技教導官就任回になりました




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第12話 何...だと...

今月のドラマガに乗っていたシーグヴァイラさんの挿絵が想像以上に好みでした


と、言う訳で第12話です


「ーーーって言う訳でさ、今度新設する予定の対テロチームの教官役をする事になったんだ」、

【へ~。まあ、イッセー君の実力なら妥当な所じゃない?】

 

「うん、まあ、ソレは良いんだけどさ。イリナ、お前達にも参加要請が来てるんだが、どうする?」

 

【え、私達にも来てるの?.....ねえ、イッセー君。正直に言って、私達で勤まると思う?】

 

 

 うーむ、どうだろう?まだ参加予定の相手の情報が全然無いから何とも言えない。

 しかし、今のイリナ達の実力なら、特殊能力の類を持たない上級悪魔程度なら何の問題も無く撃破出来る事は確かだ

 

 

【う~ん...】

 

「別に今すぐ決める必要は無いぞ?アーシア達とも相談しなくちゃいけないしな」

 

【そうね。取り敢えず、何日か考えさせてちょうだい。みんなと相談してから決めるわ】

 

「ん、了解。それじゃ、キチンと戸締まりしてから寝ろよ?おやすみ、イリナ」

 

【は~い!お休みなさい、イッセー君!】

 

 

 ピッ!という音と共に画面が消える。取り敢えず、イリナ達は保留だな

 

 

「はぁ~...やれやれ、会議ってのはホントに疲れるなぁ...」

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 現在、俺はシトリー家の邸宅に居る。理由は簡単、セラさんが手配した宿と言うのがココだったのである

 

 

「しっかし、広過ぎて落ち着かないな...」

 

 

 魔王の賓客という事で、最上級の客室へと通されたのだが、コレがメチャクチャ広いのだ。我が兵藤家の自室の5倍は広い。しかも、風呂やらキッチンやら寝室とリビングやら...生活に必要そうなモノは全て完備されている

 

 当然こんな広い部屋に一人っきりでは落ち着く訳も無く、さっきからずっとソワソワしっぱなしなのである

 

 

「しょうがない、ちょっと散歩にでも行ってくるかな...」

 

 

部屋の扉に『少し散歩に行って来ます』と書いたメモを貼り付けて、部屋の外へと出た

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 シトリー低の外に出て、しばらく歩く。うん、程よく冷たい夜風が心地いいな

 

 

「は~...およ、湖だ」

 

 

 そのまましばらく歩いた所で、そこそこ大きい湖を見つけた。ちょうど良い、ちょっと夜釣りでも楽しんでいくかな?

 

 

「持ってて良かった、異次元倉庫〜♪」

 

 

 毎度おなじみの倉庫から釣具や椅子等を取り出す。よし、コレで準備万端だ

 

 そのまま釣糸を湖面に垂らす。さてさて、何が釣れるかな?

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「お、イナダっぽい奴16匹目フィッシュ。いい湖だ、面白い様に魚が釣れる」

 

 

 いや~、大量大量。ホントに面白い位釣れるなーココ。まあ、湖だからイナダじゃないだろうけど、と、17匹目フィィィイッシュ!!

 

 

 ーーーガサガサ...ーーー

 

 

「ん?」

 

 

 何だ?なんか物音がしたな。誰か俺の事探しに来たか?

 

 

「ミィィ〜」

 

 

 背後の森から現れたのは、綺麗な黒猫だった

 

 

「何だ猫か。どうした黒猫〜?」

 

「にゃう〜」

 

 

 黒猫は俺の近くまで寄って来ると、地面に座って俺が今釣り上げたイナダっぽい魚を、じぃ〜...っと眺め始めた

 

 

「?コイツが欲しいのか?」

 

「にゃん!」

 

 

 鳴き声と共に、力強く頷く黒猫。コイツ、俺の言葉が分かるのか?

 

 うーむ、別にあげても良いんだが、寄生虫とかが怖いな....

 

 

「ふむ、黒猫よ、ちょっと待ってろよ?」

 

「うにゃ?」

 

 

 魔法で真水を発生させて魚を洗い、倉庫から包丁とまな板、七輪と炭を取り出して、捌いていく

 

 

「『火よ灯れ』」

 

 

 炭に火を着けて七輪に放り込み、金網を載せてイナダっぽい魚を軽く炙っていく

 

 

「...よし、もう良いかな。黒猫〜コッチおいで〜」

 

「にゃ〜」

 

「よしよし、たんとお食べ」

 

「ニャン!」

 

 

 適当な皿に炙ったイナダ(仮)を乗せて黒猫の前に置く

 

 

「うにゃッ!うにゃッ!」まぐまぐ

 

 

 凄い勢いで魚を食べる黒猫。お腹すいてたのか?

 

 

「そんなガッつか無くても大丈夫だって...」

 

「うまいにゃ〜」

 

「え!?」

 

 

 月の方を向いていると、黒猫の方から声が聞こえた。慌ててソッチを見るが、居るのは魚をガッつく黒猫ばかり

 

 

「...空耳、か?」

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「...ふう、そろそろ帰るかな」

 

 

 その後30分程釣りを続け、釣果はイナダ(仮)が30匹程(内5匹は黒猫が食べた)だった

 

 流石にそろそろ戻らないと要らん心配を掛けさせるかもしれないので戻る事にする

 

 

「つー訳で、そろそろ退いてくれ」

 

「にゃ?うにゃーお!」

 

 

 俺の膝の上で丸くなっていたクロ(黒猫の名前、俺が勝手にそう呼んでいる)に告げると、クロはぴょん!と飛び降りる

 

 

「にゃ〜にゃ〜」

 

 

 俺を見ながら、じゃ〜ね〜みたいな鳴き声をし、尻尾をフリフリとしたクロは、そのまま森の中へと駆けていった。さて、帰るか

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 夜釣りから帰ってきて、『さあ、寝よう』と思っていたのだが.....

 

 

「.......」

 

 

 ベッドが明らかに膨らんでいる。ついでに言うと、長い銀髪がベッドから垂れている

 

 

「......」

 

 

 無言でベッドに近づき、掛け布団を剥がすと...

 

 

「むにゃ...えへへぇ...イッセーくん...♡」

 

 

 何故か、“俺の”Yシャツを着て寝ているヴァーリが居た。下はパンツのみ。誘ってんのかオイ

 

 

「...はぁ~、しょうがない...」

 

 

 叩き起こしてやろうかと思っていたのだが、あまりにも幸せそうな寝顔のヴァーリを見てしまったので、見逃す事にした

 

 

「全く、カワイイ顔で無防備に寝ちゃいおって...」

 

 

 眠ってるヴァーリの頭を撫でると、ふわっと、ほのかに甘い香りが漂ってくる。うわ~女の子の香りだ〜

 

 こんな無防備な美少女と一緒のベッドで寝る訳にはいかない。人様の家で美少女を襲ったなんて事になったら首を括らなければならない

 

 え?ドライグ達とは寝てるだろって?幼女は良いんだよ、アレは愛でる者だからな

 

 

「.....おやすみ、ヴァーリ」

 

 

 ヴァーリに布団を掛け直し、自分はソファーで寝たのだった

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

『おーい、イッセー。起きてるかーい?』

 

「...ぬぅ」

 

 

 翌朝、俺を呼びに来たアザゼルさんの声で目が覚めた。うおー...結構寝ったっぽいな...さて、顔洗わなければ...

 

 

 ーーーむにゅっ♡ーーー

 

 

「...ゃん♡」

 

「.....」

 

 

 ...何だろう、右手が凄くスベスベでモッチモチのナニかに触れた。若干寝惚けていた意識が急速に覚醒していく。それと同時に、身体に掛かる重みに気付く。具体的に言うと、10代の少女が俺の上に乗っている様な.....

 

 

「おーい、何やってんだいイッセー?」

 

 

 ッ!?しまった、アザゼルさんが部屋に入って来てしまった!

 

 

「あ、あはは!おはようございます、アザゼルさん!」

 

「おう、おはよう。なんか、セラフォルーの奴が呼んでるぞ?それと、ヴァーリの奴を知らないかい?部屋に居ないんだよ」

 

 

 ヴァーリですか?ココで俺に抱き着きながら寝てます。右手がふとももに挟まれてて、すんごい柔らかくて気持ちいいです。

 

 

「い、いや~ちょっとワカンナイデスネ〜。今着替えるんで、先行ってて下さい」

 

「そうかい?それじゃ、アタs「うみゅぅ...♡」ん?」

 

(オイィィィッ!!頼むから喋んないでヴァーリィィィィ!!)

 

 

 急いでヴァーリの口を手で覆う。が、あろう事かヴァーリはその手をチュパチュパとしゃぶりだした

 

 

(ちょっとおおおおおッッ!!何してんのおおおおおッッ!?)

 

「今ヴァーリの声がしなかったかい?」

 

「え?俺には聞こえなかったッスねー?空耳じゃないッスか?(やめろおおおおッッ!!その舌を引っ込めろおおおおおッッ!!)」

 

「んー、確かに聞こえた気がしたんだが...」

 

 

 ハヤクデロハヤクデロハヤクデロハヤクデロ....

 

 

「まあ、空耳なんて誰にでも有りますよ!じゃあ、今着替えるんで先行ってて下さい!(早く部屋から出て行けええええッッ!!300円あげるからあああああッッ!!)」

 

「おう。じゃあ、ヴァーリ見付けたら教えとくれ」

 

 

 そう言うと、アザゼルさんは部屋を出て行った

 

 

「...はぁ~、危なかった...二重の意味で危なかった」

 

 

 ヴァーリにしゃぶられてた指を引き抜く。美少女に指をしゃぶられるとか、どんなプレイだ。ソレを表情に出さないで耐えろとか、どんな拷問だ

 

 

「具体的に言うと?」

 

「アザゼルさんに勘違いされるのと、勘違いが勘違いで済まなくなりそうだった...」

 

「つまり?」

 

「だーから、ヴァーリに手を出し...そうに...」

 

 

 ...今、俺は誰と話していた?

 

 

「にへへ〜♡イッセー君、私に手を出しそうになったんだ〜♡」

 

 

 声のした方を見ると、ソコにはニヤニヤと緩みきった笑みを浮かべるヴァーリの姿が!チクショウ、カワイイなオイ.....ッッ!!

 

 

「......いつからだ...!いつから起きていた...!?」

 

 

 まさか、最初から起きていたとでも...ッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?昨日イッセー君が釣りから帰ってきた時からだよ?」

 

「何...だと...」

 

 

 最初から所じゃ無いじゃないですかやーだー!

 

 

「ふっふっふ...イッセー君の温もりはしっかり堪能させてもらったよ!一晩中!」

 

 

 寝ろよ!アホかこの娘は!?

 

 

「勿論!イッセー君が『カワイイ』って言ってくれたのもバッチリ聞いてます!録音もしてます!録画もしてます!」

 

「消せぇッ!!!」

 

 

 何やらかしてくれてんの!?

 

 

「残念ッッ!!録音、録画してたのはアザゼルでしたッッ!!」

 

「なn(ry」

 

 

 アザゼルさんもグルだと...!?じゃ、じゃあ、さっきのも...!

 

 

「ヤラセです!」

 

 

 よくもだましたアアアア!!だましてくれたなアアアアア!!

 

 

「でも、セラフォルーさんが用事が有るのはホントだと思うよ?」

 

「ソコじゃねーよ!」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「ーーーという訳でね?赤龍帝ちゃんにはソーナちゃん達に戦技教導の体験版を実施してあげて欲しいんだー☆」

 

 

 ドーモ、イッセーです。現在、セラさんとお仕事のお話中です

 

「ふむ...まあ、構いませんよ?教導っていうと、実戦形式で良いんですか?」

 

「うん!ソーナちゃん達も対テロチームに選ばれたんだし、格上との勝負を経験しておいて欲しいの☆」

 

 

 なるほど、確かにやっておいて損はしないな。チームの設立はまだ先だけど、それまでに地力は上げられるだけ上げておいた方が良いしね

 

 

「でも、流石にいきなり実戦形式だと俺が瞬殺して終わりですよ?」

 

「う~ん...じゃあ、制限時間30分でハンデとして赤龍帝ちゃんは開始15分は動かないであげて☆

あ!それと、会談の時に使った電撃とアロンダイトは禁止でお願い☆」

 

 

 あ~、確かにアレ使ったらホントに瞬殺だもんな

 

 

「了解です。じゃあ、ソーナさん達に準備する様に言っておいて下さい。俺は転移でアーシア呼んできますんで」

 

「オッケー☆」

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

試合開始12分後

 

 

 

「おおオッ!」

 

 

 由良翼紗がイッセーに正面から突進を仕掛ける。『戦車』の特性である怪力でもって一気に弾き飛ばそうと言う魂胆なのだろう

 

 

「もらいますッ!!」

 

 

 さらに、プロモーションによって『戦車』へと変化した仁村留流子がツバサに合わせて左から突っ込んで来た

 

 

「ふん」

 

 

 が、しかし。イッセーは正面から突っ込んで来たツバサを右手で、左からのルルコの一撃は左手で軽々と受け止める

 

 

「なっ...!?」

 

「マジですか?」

 

 

 全力では無いが、それなりに力を込めて放った攻撃を片手で安々と受け止められた事に二人は驚愕の表情を浮かべて固まってしまい、次の行動に移るのが遅れる

 

 

「近接格闘中に動きを止めるなッ!!」

 

 

 当然、イッセーがそんな隙を見逃す筈が無い。ルルコの頭を掴むと、逃げられない様にガッシリ腕を掴んでいたツバサに思いっきり叩き付けた 

 

 

「ガッ...!」

 

「ギャウッ!?」

 

 

 しかし、それだけでは終わらない

 

 

「メウス・ルブラム・ドラコ・カル 『白き雷』」

 

 

 イッセーは、地面に叩きつけられたツバサとルルコに白き雷で追い討ちを掛ける。

 

 

ーーーバチンッッッ!!!ーーー

 

 

『ソーナ・シトリー様の『兵士』、『戦車』撃破(テイク)

 

 

 白き雷が直撃すると、二人の身体がパァッと輝き消失する。それと同時に二人の撃破を告げるアナウンスが聞こえてきた

 

 

「メウス・ルブラム・ドラコ・カル 『氷盾』」

 

 

 不意に、イッセーは確認もせずに背後に障壁を張る。すると、突然地面から魔力弾が発生。そのままイッセーに向かっていくが、氷盾に弾き飛ばされ、あらぬ方向へ飛んでいく

 

 

「ウソっ...!?」

 

 

 弾かれた魔力弾が向かった林から、少女の驚愕の声が聞こえる。そして、魔力弾が直撃する直前に『僧侶』花戒桃が慌てて飛び出して来た

 

 

「魔力弾を跳弾させて相手に攻撃するって、ドンだけなのよ!?」

 

「メウス・ルブラム・ドラコ・カル 『魔法の射手 収束・氷の23矢』」

 

 

 モモの叫びをスルーしつつ、魔法の射手を放つイッセー。ソレを避けようと逃げるモモだが、魔法の射手は追尾性を持っているので避けられそうも無い

 

 

「どりゃああああッッ!!!」

 

「元ちゃん!?」

 

 

 とうとう魔法の射手が直撃しそうになった瞬間、飛び出して来たサジが『黒い龍脈』でモモを引き寄せる。さらに、魔法の射手をネット状に展開させたラインで吸収した

 

 イッセーは、サジが一瞬で23本分の魔法の射手を吸収したのを見ると、感心した、という様な表情を浮かべた

 

 

「へぇ!だいぶ上達したじゃないか!」

 

「へッ!ソイツはどうも...!!」

 

 

 そのまま睨み合っていると、不意にアナウンスが流れてきた。それと同時に、サジがモモを抱き抱える

 

 そうして自分の周囲にラインを張り巡らせたかと思うと、後ろに下がりながらラインのテンションを上げ、パチンコの様に一気に空中へと飛び上がった

 

 恐らく、ソーナ・シトリーの元へ向かったのだろう

 

 

『試合開始より15分が経過しました。只今を持って、兵藤一誠様の拘束を解除します』

 

 

 バシュンッ!と音を立てて、イッセーをその場に拘束していた鎖が外れる。鎖が外れたのを確認すると、イッセーはサジ達が向かった方角を向く

 

 

「ふむ。それじゃあ、征くとするかな?」

 

 

 イッセーは呟くと、グッと踏ん張り、足に魔力を集中させる。キュキュキュキュキュキュ....という甲高い音が周囲に響き渡り、足元がビシッ、ビキッ...とひび割れていく

 

 

「『縮地无彊』!!」

 

 

 イッセーは脚部の魔力を開放すると、凄まじい速度で跳躍する。そして、イッセーの身体はガオンッ、という音と共に音速を突破し、周囲をソニックブームで薙ぎ払いながら一気にソーナ・シトリーの元へと向かった

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「はい、お疲れ様で〜す。反省会やるよ〜」

 

『.....お疲れ様です....』

 

「何だ何だ、どうしたみんな?元気が無いぞ?ちゃんとアーシアに傷の治療はしてもらったでしょう?」

 

 

 床に転がっているのは満身創痍といった有り様のシトリー眷属達。まさに死屍累々といった様子である

 

 あの後、縮地无彊で一気に相手の拠点に乗り込み、残っていた眷属全員対俺の近接戦闘戦になったのだ。まあ、咸卦法のお陰であっと言う間にノシちゃったんだけどね

 

 

「じゃあまず、仁村と由良からな」

 

『.....はい』

 

「まず、能力の分からない相手にいきなり突っ込むな。大方、『俺は魔法使いだから素手なら接近戦で簡単に倒せる』とか思ったんだろ?」

 

「う、うん.....」

 

「そうです....」

 

「そういう慢心は捨てろ。人間でもお前らより強い奴なんて腐る程いる。上を知れ。

後、攻撃が通用しなかった位で固まるな。実戦だったら死んでるぞ?」

 

『はい...』

 

「最後、お前ら打たれ弱過ぎるぞ?『戦車』だったら|アレ≪白き雷≫の2、3発は耐えて魅せろ。『戦車』にプロモーションしてた仁村もな。分かったか?」

 

『分かったよ(です)』

 

「よし。次、花戒」

 

「は、はいッ!」

 

「お前、何で林から出て来た?」

 

「え?だって、居場所がバレたから...」

 

「あの時の俺は動けなかったんだぞ?わざわざ林から出て来る必要は無かった。逃げ回るんなら林の中を逃げれば良かったハズだぞ?その方が、俺も狙いが付けづらかった」

 

「あ!確かに!」

 

「今後は気をつけろ。格下相手ならそれでも構わんが、格上の前に無策で出るのは無謀の極みだ。次、サジ」

 

「おう!」

 

「だいぶ神器の扱いが上達したな?ちゃんと魔法も吸収出来てる。さっきの地面からの魔力弾は土の中にラインを伸ばし、『僧侶』に撃たせた魔力弾をラインで輸送したんだろう?」

 

「へッ!まあ「ただし、お前は致命的な失敗を犯した」え?な、何がだ?」

 

「俺が開放された直後に逃げたのはいい。ラインも上手に使えていた。問題なのは、お前が真っ直ぐソーナさんの元に向かった事だ」

 

「...?何がマズいんだ?」

 

「アホ、お前達は30分間逃げ切れば勝ちなんだぞ?あそこは正反対の方向に向かって、少しでも俺を陽動しておくべきだろうが。なに自分の本拠地バラしてんだよ」

 

「...あッ!!」

 

 

 やれやれ...

 

 

「次は神羅さんです」

 

「はい、何がマズかったでしょうか?」

 

「まあ、強いて言うなら神器の使い方ですね。『追憶の鏡』でしたっけ?確かに『破壊した際の衝撃を倍返しする』って効果は強力ですけど、返せるのはあくまでも衝撃だけですからね」

 

 

 別に衝撃を与えなくても鏡を壊すなんて簡単だしね。加熱して冷却すれば勝手に壊れるし、純粋なエネルギー攻撃なら簡単に突破出来る

 

 

「それに、鏡が壊れるギリギリの威力で攻撃すれば対して脅威にならないし、そもそもアレは近接戦闘中に使うには大き過ぎます。壊した時点で衝撃を返せるなら、わざわざ大きくする必要は無いでしょう?」

 

「なるほど...確かにその通りですね」

 

「個人的には、デカい鏡を1枚よりも小さい鏡を沢山の方が厄介ですね。それで、自由に動かせたりしたら最高の一言に尽きます。カウンターファンネルとかヤバ過ぎですから」

 

「...そんな事、思い付きもしませんでした。凄いですね、兵藤一誠君.....後、カウンターファンネルとは何ですか?」

 

 

 ああ〜...そう言えば、ガンダム無いんだっけ...何だっけ、ダンガムとか言うパチモンしか無いんだよなぁ...

 

 

「ああ〜、まあ、気にしないで下さい。とにかく、問題点はそれぐらいなんで、頑張って見て下さい。巡と草下については特に問題は無いな。強いて言うならもっと耐久性を上げろ。最後はソーナさんです。良いですか?」

 

「ええ、お願いします」

 

「では...ソーナさんは指揮能力等は問題ありませんね、『王』としての素質は十分あると思います(どっかの無能とは違って)。ただ、1つ気になったのは戦闘能力についてですね」

 

「...やはり、そうですか...」

 

 

 あ、やっぱし気にしてましたか...

 

 ソーナさん、指揮や作戦立案なんかの『王』としての能力は十分有るんだけど、本人の戦闘能力だけは今一つパッとしないんだよなぁ...

 

 まあ、基本は頭脳労働だし『王が直接戦わなければならない時点で敗け』って、考えは分かるんだけど、やっぱりもうチョット本人の戦闘能力が欲しいよなぁ...

 

 

「...確か、ソーナさんは水を使った魔力が一番得意なんですよね?」

 

「え?あ、はい」

 

「ふむ...ソーナさん、ウォーターカッターと水蒸気爆発って、知ってますか?」

 

「!!...なるほど、確かにソレならPower不足は解消できます...!!」

 

「まあ、何の捻りもなく水や魔力弾を叩き付けるよりはよっぽど威力は出ますね。後は、セラさんみたいに空気中の水分を直接操作できるようになれば、なお良いですね」

 

「分かりました。ソレを今後の課題として努力していきましょう」

 

 

 まあ、あくまでも『王』の仕事は眷属達の指揮だから、そこまで本人が強くなる必要は無いけど.....実戦ではそうも言ってられないからね

 

 

「じゃ、取り敢えずコレで『Hyodo's Boot Camp 出張お試し版』は終了です。お疲れ様でした〜」

 

『お疲れ様でした!!』

 

 

 さて、この後はまた会議か.....メンドクセー...

 

 

 

 

 

 




ハイ、という訳で第12話でした


今回はヴァーリちゃんのターン!回とソーナたんパーティーの特訓会でした

しかし、シーグヴァイラさんはロボットマニアですか..... 閃 い た !!


次回はギャー君回です



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第13話 空耳か?

やっとテスト週間から開放された...これで執筆時間が取れる!


と、言う訳で第13話です


「赤龍帝ちゃんおつかれー☆」

 

「あ、セラさん」

 

 

 シトリー眷属達と軽く模擬戦をした後、イッセーは再び首都リリスの魔王城に来ていた

 

 

「今朝はソーナちゃん達の相手してくれてありがとうね♪」

 

「いえいえ、依頼を請けた以上はチャンと働きますよ。ソーナさん達は礼節もキチンとしてますからね。

 才能も有るし、ソレを腐らせない様に努力もしてます。教えてて楽しいですよ」

 

「でしょ〜!?ソーナちゃん達『冥界に下級悪魔でも通える学校を建てるんだ』って、スッゴイ頑張ってるんだよぉ♪...でも、上級悪魔達はまともに取り合ってもくれないの...」

 

「旧い悪魔達の転生悪魔や下級悪魔に対する差別は酷いですもんねぇ...」

 

 

 イッセーの言葉にセラフォルーは深いため息をついた。やはり、現魔王としては、上級悪魔達の差別意識は悩みの種なのだろう

 

 

「みんな、おんなじ悪魔なのにねぇ...」

 

「まぁ...老人ってのは、若いモンが気に食わないんでしょう。でも、新しい時代を作るのは老人じゃなくて若い奴らです。若い世代がソレを望んでいるなら、いつか実現させる事が出来ますよ」

 

「...うん、きっとそうよね.....よし!そろそろ会議に行きましょっか!遅れたらサーゼクスちゃん達に怒られちゃうわ☆」

 

「ですね」

 

 

 一旦落ち込んだセラフォルーだったが、イッセーのフォローで気を持ち直した

 

 

「うん、今日の議題は他勢力の神話勢と、京の妖怪さん達、それと、ギャスパー・ヴラディちゃんについてよ☆」

 

 

 ああ〜...そういえば、ギャスパー君はまだ処分決まって無かったんだっけ?

 

 

「うん、今はリアスちゃんの眷族から外れているのだけど、処遇はまだなの」

 

「なるほど....」

 

 

 う〜ん...『禍の団』の所為とは言え、三勢力の和平会談の妨害やらかしちゃったしなぁ...まあ、何とかしてみるか...

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「そんで?結局あの半吸血鬼の小僧はどうするんだい?アタシのおすすめは神器の剥奪だね」

 

「しかし、神器の抜き取り技術はまだ完全では無いのでは?」

 

「何言ってんだい?ソレぐらいのリスクが無きゃあ、処罰にならないじゃないか。今必要なのは『ギャスパー・ヴラディには相応の処罰が下った』って事実だろう?」

 

 

 アザゼルの言葉に苦虫を噛み潰した表情をするサーゼクス。やはり、身内が死ぬ可能性は極力減らしたいのだろう

 

 

「あ、ちょっと良いですか?」

 

「ん?イッセー、どうかしたかい?」

 

「ギャスパー君なんですけど、俺にもらえませんかね?」

 

 

 アザゼルとサーゼクスは、イッセーの言葉に目を丸くする

 

 

「...それはどう言う意味だい?」

 

「どうもこうも、文字通りの意味です。対外的には『赤龍帝とのパイプ役』って感じで」

 

「...しかし、それでは大した処罰にはならないのでは?」

 

「甘いですね。俺、世間的には『人型殺戮魔導兵器 赤龍帝』で通ってるんですよ?

 何でか知らんけど『機嫌損ねたら精神崩壊するまで拷問される』って言われてるんですよ?そんな奴とのパイプ役なんて、十分厳罰でしょう?」

 

 

 困惑気味の表情で問い掛けるサーゼクスに、イッセーは答える

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 因みにこの噂は出所は堕天使勢...と言うか、ミッテルトである

 

 以前、駒王町に侵入したとあるはぐれ悪魔がミッテルトを襲っていたのだが、そこに駆け付けたイッセーは『いたいけな少女を襲うなど...ゆ゛る゛さ゛ん゛ッ!!!』と、超新星・ムカおこエンドオブエンシェントジェノサイドブレイバー

 

 当時可能な限りのありとあらゆる魔法をブッパ→9割殺しのはぐれ悪魔にフェニックスの涙を使用→ブッパ→涙→ブッパ→涙→......といった具合に延々と繰り返したのだ

 

 最終的に余りにも無惨過ぎるはぐれ悪魔に、ミッテルトが『もうやめて!はぐれ悪魔のライフはゼロよ!!』と言うまで拷問は続いた

 

 

 その後、無事に保護されたミッテルトが『今代の赤龍帝はヤバい』と、一部始終を同僚達に語って聞かせた所『赤龍帝を怒らせる』⇒『気が狂うまで拷問される』と言う事になったのである

 

 

 ミッテルトを助けた翌日に、わざわざアザゼル本人が御礼に来たのはコレが原因だったりする

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「...一つ聞かせて欲しい。彼を手に入れたとして、どうするつもりだい?」

 

「え、何も?気に入ったんで鍛えてやろうかと思って」

 

 

 あっさりと答えたイッセーに拍子抜けするサーゼクス

 

 

「んで、どうします?多分、俺の案が1番丸く収まると思いますけど?」

 

「天界としては特に何も問題は無いですね」

 

「イッセーが良いならウチもそれで構わないさね。サーゼクス、どうすんだい?」

 

「...そう...だな。分かった、そうしよう。では、ギャスパー君をよろしく頼むよ、一誠君」

 

「はいはい。あ、それと一つお願いがあるんですけど」

 

「ふむ?お願いとは?」

 

「まあ、大した事じゃあ無いんですけどね?ウチの娘達を駒王学園に入れてやって欲しいんですよ。いい加減に学校通わしてあげたいんですけど、俺の通ってるのは男子高でして」

 

「ああ、それ位なら構わないよ」

 

「よし、じゃあ夏休み明けから頼みますね?出来れば同じクラスにしてやって下さい」

 

「ああ、任せてくれ。それでは、次は京の妖怪達と他勢力の神話勢についてだな」

 

「あ、俺、妖怪勢と北欧勢と仏教勢なら少しコネありますよ?アポ取る位なら多分出来ます」

 

「イッセー、北欧と仏教はともかく、アンタいつの間に妖怪とコネなんか作ったんだい?」

 

「いや~、中学の修学旅行の時にちょっと」

 

 

 ちなみに、コネと言う程では無いが、ギリシャ勢にも知り合いが居たりする

 

 

「じゃあ、ちょっとお話通しておいてくれない?勿論、キチンと報酬は出すわよ?」

 

「別に報酬は無くても良いんですけど...貰えるんなら貰っときますね」

 

 

 その後、細々とした調整を済ませて所でサーゼクスが『では、本題に入るとしよう』と言い出した

 

 

「?本題?今日はこの事について会議しに来たんじゃ無いんですか?」

 

「うん、ソレも勿論そうなんだがね....兵藤一誠君。取り敢えずコレを見てくれ」

 

 

 そう言って何らかの資料を渡してくるサーゼクス。アザゼルやミカエル達が何も言わないのを見ると、二人は承知済みなのだろう。まずは見てみようかと資料に目を落とすとーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《三勢力間和平成立記念作品 『魔法少女マジカル☆レヴィアたん THE MOVIE 〜冥界大ピンチ!? 蘇りしマジックドラゴン〜 』 シナリオ担当:セラフォルー・レヴィアタン》

 

 

 

 

 表紙にはいつも通り魔法少女コスを着たセラフォルーと、明らかにイッセーであると思われる赤い鎧を纏った人物が描かれている

 

 

「」

 

 

 瞬間、固まるイッセー。人間は自分が理解出来ないモノと直面すると思考が停止するものである

 

 見間違いではないかと思い、一旦資料を視界から外し、目を揉みほぐしてから再び資料を見る。が、そこに描かれているモノは変わらない

 

 

「..クッ..!...ブフっ...!!」

 

「ちょっ..!..笑うなヴァーリ...ブフッ!」

 

 

 アザゼルが堪え切れずに吹き出したヴァーリを注意するが、自分だって堪え切れていない

 

 

「どうだろう、一誠君?君には是非『マジックドラゴン』としてこの映画に出演して欲しいんだ」

 

「バカじゃねーの?」

 

 

 したり顔で聞いてくるサーゼクスをバッサリと斬り捨てるイッセー

 

 

「え~?ドコがダメなの〜?」

 

「全部だよ。ってゆーか、何で和平成立して1、2ヶ月でもうシナリオ完成してんだよ?」

 

「頑張りました☆」

 

 

 イッセーの問いに横チェキしながらテヘペろで答えるセラフォルー。頑張るべき所が間違っちゃいないだろうか?

 

 

「慌てるのは早いぞ、一誠君。ページをめくってみたまえ」

 

「はぁ...?」

 

 

 取り敢えず、言われた通りに次のページを開くとーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《同時上映 『劇場版 魔王戦隊サタンレンジャー 〜マジックドラゴンの遺産〜 』 シナリオ担当:サーゼクス・ルシファー》

 

 

 

 

「この映画はセラフォルーの『魔法少女マジカル☆レヴィアたん』とのコラボレーションになっていてだね...」

 

「お前らホントにバカじゃねーの?」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 その後、ドライグとアルビオン、ヴァーリ達に『イッセーのカッコイイ活躍が見たい!』と延々とねだられたイッセーは、出演料もガッツリ弾むとの言葉に、渋々ながら出演を決めたのだった

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「はぁ...映画か...」

 

「イイじゃん、イッセー君もコレでスターの仲間入りだよ?」

 

 

 三大勢力との会議が終わり、現在俺はヴァーリと共に帰宅途中である

 

 

「別にスターなんて興味無いし...」

 

 

 はぁ...面倒だなぁ...

 

 

「...あ、そうだ。ちょっと連絡しとかないと...」

 

「?どしたのイッセー君?」

 

「いや、ギャスパー君と妖怪達の事でちょっとね」

 

 

 携帯を取り出して電話をかける。繋がってくれると良いんだけど...そこそこ忙しい人だしな

 

 

【はい、もしもし?】

 

「あ、お久しぶりです月音さん。兵藤一誠です」

 

 

 電話の相手は青野月音(あおの つくね)。数年前にとある事情で知り合いになった、元人間の真祖の吸血鬼だ

 

 

【あれ、イッセー?久し振りじゃん、どうしたのさ?】

 

「実は色々あって1人半吸血鬼の子の面倒見る事になりまして...出来たら、ちょいと鍛えてあげてくれないかなー...って思いまして」

 

【ああ〜、また何か厄介事引き受けたの?】

 

「いや~、アッハッハッハ.....それで、どうでしょう?引き受けたは良いんですけど、俺じゃあどうしても妖力の類は教えられなくって...勿論、キチンと報酬は出します」

 

【う~ん...分かった、引き受けるよ。イッセーには世話になったしね】

 

「ありがとうございます。じゃあ、本人の詳しい情報は後で送りますんで」

 

【うん、オッケー。それじゃあ】

 

「ハイ、ど~も〜」

 

 

 ピッ!と電話を切る。普通、この手の依頼は資料を見せてから依頼するべきなので断られると思ったのだが...多分、気を使ってくれたんだろうなぁ...報酬はそれなりに色付けないとな

 

 

「後は...玉藻さんか」

 

 

 気が重いが仕事なのでしょうがない。そう腹をくくって岸波家に電話をかける

 

 

「あ、もしもし?兵藤一誠ですけど...」

 

【イッセー?どうかしたのか?】

 

 

 電話に出たのは白野

 

 

「実はちょっと玉藻さんに頼みたい事があるんだけど...」

 

【あ〜...タマモは、今ちょっと...】

 

 

 ?歯切れの悪い返事だな...なんかあったのだろうか?

 

 

【うん、実は「奏者ー!」うわっ!?】

 

 

 ん?今の声誰だ?

 

 

【ちょ、ちょっと!タオル!タオルはどうしたのさ!?「む?なぜその様な物を纏わなければならぬ?余の身体に隠すべき所など「ああーーッ!?ご主人様に何してんだこの淫蕩がアアlaaaaaaッ!」あ、ちょ、タマモッ!呪符はだm】

 

 

 ぶつんッ!と唐突に通話が切れる。なんか、切れる直前に爆音が聞こえた気がしたが...

 

 

「.....今日は忙しいみたいだし、明日にするか!」

 

「?良いの?」

 

「良いんです」

 

 

 いや、だって何か取り込み中っぽいじゃん?他所様の家庭事情に首突っ込むべきじゃないジャン?

 

 

「べ、別にビビった訳じゃ無いんだからね!」

 

「じゃあ、その膝の震えは何なのさ?」

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「ただいまー」

 

「お邪魔しまーす!」

 

「あ、イッセー君おかえりー!それと、いらっしゃいヴァーリさん!」

 

「お帰りなさい、マスター、ヴァーリさん」

 

 

 出迎えたのはイリナと祐斗だけ。アーシアとゼノヴィアはどうしたのだろうか?

 

 

「二人なら小梅ちゃんとレイナーレ達と一緒に映画見に行ってるわよ?」

 

 

 へ~。二人は何で残ったんだろ?

 

 

「いや~私、ホラーはどうにも苦手で...」

 

「私も...」

 

 

 あれ?レイナーレ、ホラーなのに見に行ったのか?

 

 

「あはは...どうも知らなかったみたいで...」

 

「『ホラー見に行く』って聞いた時の顔を見せてあげたかったわ!雷が効かなかったルフィを見た時のエネルみたいな顔してたもの」

 

 

何ソレ凄く見たい

 

 

「レイナーレwwwご愁傷さまwww」

 

 

 草生やすなヴァーリ

 

 

「それじゃあ、みんなは夕飯どうするんだ?ってゆーか、みんなここ2日何食ってた?」

 

「う~ん、ピザとかお蕎麦とかラーメンとかお寿司とか...」

 

 

 要は全部店屋物かい。4人も女子が居て誰一人として料理出来ないってどうなん?

 

 

「いや~、耳が痛い!」テヘペろ

 

「うぅ...スミマセン、マスター...」

 

「祐斗は良い。おい、正座しろ食っちゃ寝1号」

 

「ええ〜?何で私はダメなのよ〜?」

 

「ウチに来てからの生活態度を考えてから言え」

 

「むぅ.....」

 

 

 頬を膨らませて唸るイリナ。カワイイなオイ

 

 

「悔しかったら自分の部屋の掃除くらい自分でやれ。気付かれてないと思ってるんだろうけど、いっつもアーシアに掃除手伝ってもらってんの知ってるんだぞ?」

 

「うっ.....!」

 

「その点祐斗って凄いよな、料理以外何でも出来るもん。ホント、いつもありがとな」

 

「え、えっと、そんなに大した事では...淑女としての最低限の事ですし.....」

 

「ごふっ...!?」

 

「それに、マスターのお役に立つのは、養って頂いてる身としては、当然の事と言いますか...」

 

「ぎゃふんっ!?」

 

 

 言葉って凄いよな、直接批難してる訳じゃ無くてもガッツリダメージ入るんだもん

 

 

「まあ、そういう訳だ。今後は部屋の掃除位一人で頑張れ」

 

「うぅ...了解...」

 

 

 ガックリと肩を落としながら返事するイリナ。まあ、元男に女子力で負けたらそうなるわな

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 ーーーガチャッーーー

 

 

 魔法金属の整理をしていると、玄関が開く音が聞こえてきた

 

 

「ただいま」

 

「ただいまです!」

 

「ただいまッスー!」

 

「お、お邪魔、します」

 

「.....ただいま...」

 

 

 おお、みんな帰ってきたのか

 

 

「みんなお帰りー」

 

「あ、イッセーさん!お帰りなさい!」

 

「お帰り、師匠」

 

「あ、イッセーさん、お邪魔してるっスよー」

 

「い、イッセーさん。お、お邪魔、してます...ッ!」

 

「......お邪魔してます....」

 

 

 レイナーレのテンションが半端無く低いんですけど。何がそんなに怖いのだろうか?

 

 幽霊なんて、所詮はただの人だったモノなんだから、レイナーレの方が遥かに強いぞ?

 

 

「そう言う問題じゃないのッ!!怖いモノは怖いの!!」

 

 

 幽霊が怖い堕天使なんてお前以外で聞いた事ねぇよ。まあ、それはいいとして.....

 

 

「みんな今日は泊まってくのか?」

 

「ハイ、お世話になるッス!」

 

「い、良いん、ですか...?」

 

「勿論。ただし、親御さんの許可が降りたらね?」

 

「は、ハイッ!聞いて、みます...ッ!」

 

 

 ぱたぱたと電話に向う小梅ちゃん。うむ、可愛らしい

 

 

「んで?レイナーレはどうすんの?」

 

「泊まる。絶対泊まる。何が何でも泊まる」

 

「そんなに怖いか....まあ、いいや。みんな夕飯何食べたい?」

 

「ハンバーグ!!」ドライグ

 

「ハンバーグ!!」アルビオン

 

「コロッケ!!」ミッテルト

 

「私はイッセーさんのお料理だったら何でも構わないです」アーシア

 

「うん、私もそうだね」ゼノヴィア

 

「私はコロッケがいいかなぁ」イリナ

 

「私もです」祐斗

 

「私はハンバーグ」ヴァーリ

 

「えっと、私も、ハンバーグで...」小梅ちゃん

 

 

 

 ふむ、4対2でハンバーグか。って言うか、小梅ちゃん、親御さんはどうだった?

 

 

「め、『迷惑掛けない様に』って...」

 

 

 つまりオッケーな訳ね。はい了解

 

 

「じゃあ、買い出し行ってくるわ。他に何か必要な物は?」

 

「あ!イッセーさん、シャンプーと柔軟剤がそろそろ切れそうです!」

 

「麦茶のパックも無くなりそうだな」

 

「ん、了解。じゃあ、行ってくる」

 

「あ、相棒!私も行く!」

 

「私も行くぞイッセー!」

 

 

 と言う訳で、レッツゴースーパーいけいけゴーゴー

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 シャンプー買った、柔軟剤買った、麦茶買った、ハンバーグの材料買った

 

 

「うん、コレで全部かな?」

 

「相棒ー!」

 

 

 トテトテとコチラに駆け寄ってくるドライグ。その手にはイチゴ牛乳2リットルタイプ×6

 

 

「置いてきなさい」

 

「ヤダっ!!」

 

 

 ヤダっ!!じゃないだろヤダっ!!じゃ...

 

 

「ドライグ、ワガママ言うなら今後一切イチゴ牛乳買わないぞ?」

 

「おい赤いの!イッセーに迷惑かけるな!」

 

「そう言うアルビオンもカルピス置いてこような?」

 

「うぅ...」

 

 

 眉間にシワを寄せながら、それでも二人はジュースを手放さない。そのまましばらく何かを考え込んだかと思うと、急にドヤ顔で俺の顔を見る

 

 

「相棒!ひょっとしたら明日大地震があるかもしれない。そうなると、当然入荷は遅れてしまい、在庫が無くなると、次はいつ買えるか分からない。

 しかし、それでは相棒が『イチゴ牛乳は週に1本』の約束が守れなくなってしまう。私は相棒をウソつきにはしたくないんだ。

 ーーーと言う訳で、相棒コレ買ってくれ」

 

「どういう訳だよ」

 

 

 何でそんな屁理屈でドヤ顔してるんだよ?通る訳無いだろうが

 

 

「...ヒック..」

 

 

 おい、ちょっと待て泣くなよアルビオン!?俺が悪いみたいになるだろ!!

 

 

「泣いて...ヒック...ないもん...」

 

 

 そう言いながらも目に涙を溜めるアルビオン。コイツほんとにドラゴンかよコンチクショー

 

 

「あーもー分かった、分かった!!買っていいよ、もう!!」

 

「...いいのか....?」

 

「ただし、飲むのは週に1本だからな?」

 

「...ん」

 

 

 はぁ...なんか、最近このロリッ娘達を甘やかし過ぎてる気がする。つーかホントにこのロリッ娘共は二天龍なのだろうか...

 

 

「さて、じゃあ帰る...おわっと!」

 

 

 レジに向かおうとした所で、曲がり角から現れた人にぶつかってしまった

 

 

「あ、スイマセン!」

 

「いやいや、お気になさら...ず....」

 

 

 相手はすぐに謝ってきたが、正直、その人の買い物カゴの中が気になってしょうがない

 

 

「?あの、何か...?」

 

 

 その買い物カゴの中は数え切れない程の金属フォークが入っていたのである

 

 

「あの...?」

 

「あ、いえ、何でも無いです。それでは」

 

 

 おっと、ジロジロ見過ぎた

 

 怪訝そうな顔をするその人から離れてレジに向かった俺達だった

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「相棒!ハンバーグはみでぃあむれあで頼むぞ?」

 

「イッセー!私はうぇるだんがいいぞ!」

 

「はいはい」

 

 

 ご機嫌で歩いていくドライグとアルビオン。ハンバーグ1つでここまで喜ぶとは...

 

 

『...アノ~...』

 

 

 ん?今誰かに呼ばれた様な...?

 

 振り向いて見るが、そこには誰もいない

 

 

「相棒ー?」

 

「どうしたんだー?」

 

「いや、今誰かに呼ばれた様な...」

 

「私には聞こえなかったぞ?」

 

「空耳じゃないのか?」

 

 

 う~ん、やっぱ空耳か...?

 

 

「...まぁ、いっか。さっ、帰るぞ二人共」

 

「「おう!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『.............ヤッパリ、キコエテルンダ....!』

 

 

 





ハイ、と言う訳で第13話でした


読者よ、第10話で『後3話位でルフェイちゃんが登場します』と言ったな、あれは嘘だ


 ...いえ、最初はちゃんと出そうと思ったんですけど、予想以上に会議の所で時間かかっちゃいまして....

 ちゃんと夏休み中には登場させてあげるのでご安心下さい

今回はギャスパー君の今後回、新キャラと過去キャラの登場回になりましたね


そして晴れてメディアデビューするイッセー君

原作の一誠君は『おっぱいドラゴン』でしたが、ウチのイッセー君は『マジックドラゴン』になりました

デビュー作が劇場作品とは、随分と恵まれてますね(笑)


第7話でアーシアが言っていた『真祖の吸血鬼』が月音クンの事だと予想出来ていた人はいたのだろうか?いや、いないはず!

そして、いつの間にか登場していた赤わんこ事ネロさん(笑)

主人公を差し置いてドンドン修羅場に突入していくザビ男の明日はどっちだ!?



ちなみに、1番最後に出て来たのは皆ご存知の『あの子』です


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第14話 何だこれは?

とうとう通算UA数50000、お気に入り登録数も500件突破しました。嬉しい限りです

と、言う訳で第14話です



「.....ん〜?」

 

「?どうした相棒?」

 

 

 ...いや、スーパー出た辺りからな〜んか視線を感じるんだよなぁ...

 

 しかし、何度か周囲を見渡してみたのだが特に何も居ないのである。

 

 

「う〜む、私は特に感じないがなぁ...」

 

「私もだな。イッセー、索敵魔法には引っ掛かったのか?」

 

「いや、全然。一応半径1キロ迄ならそれなりの精度で探れるんだけど、一切反応無し」

 

 

 やっぱ、気のせいなのかなぁ...

 

 

「まあ、最悪戦闘になったとしても相棒とヴァーリ達が居れば普通は負けんだろうさ」

 

「どっちかだけでもオーバーキルだしな」

 

 

 う~ん、まあ、それもそうか...

 

 

「よし、じゃあパッパと帰るか!みんな腹空かしてるだろうしな!」

 

 

「「おう!」」

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

『う~ん、どうしよう...気配は感じ取ってくれてるみたいなんだけど...』

 

『...よし、もうちょっと近づいてみよう!』

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「ただいま〜」

 

「お、おかえりなさい」

 

「ただいま、小梅ちゃん」

 

 

 あの後も何度か探査魔法使ったのだが、結局何も引っ掛からなかった。ドライグ達には『心配し過ぎだ』と笑われたのだが、どうにも見られている感覚が消えない。

 

 ...一応、小梅ちゃん達にも言っておくか。

 

 

「小梅ちゃん、今日はもう外には行かないようにね?」

 

「?なんで、ですか?」

 

「いや、さっき帰ってくる途中で『不審者が出た』って注意報があってさ。念のためにね」

 

 

 小梅ちゃんに何かあったらご両親に会わせる顔が無いからね、と言うと、素直に納得してくれた。ええ娘や...

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

『うぅ...全く気付いてくれない』

 

『こ、こうなったら意地でも気付いて貰います!!』

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「でんでらりゅ〜ば〜でってくっるばってん!」

 

「でんでらりゅ〜ば〜で〜てこんけん!」

 

 

 イッセーです。ハンバーグの下ごしらえをしていた所、赤白リ達が『お手伝いしたい』と言い出したので、挽肉をこねてもらってます。

 

 

「と〜とと〜?」

 

「とっとと〜!」

 

 

 二人して変わった歌を歌いながら挽肉をコネコネするドライグとアルビオン。幼女の捏ねたハンバーグとか最高dゲフンゲフン...イカン、なんか危ない電波を拾っていた。

 

 

「どうだ相棒?」

 

 

 ドライグが聞いてきたのでボウルの中を覗き込む。うん、もう十分かな。

 

 二人から受け取ったタネを楕円形にして空気を抜き、中心を少し窪ませてからフライパンで焼いていく。

 

 ジュワーッ!と言う音と共に肉の焼ける匂いが充満していく。

 

 

『うわ〜美味しそう〜...』

 

 

 んん!?今の声誰だ!?

 

 

「イッセー、どうかしたのか?」

 

「いや...今、声が...」

 

『はぁ〜...って、あれ!?聞こえましたか!?』

 

「ん〜?私には聞こえんぞ?」

 

「いやいやいや!絶対誰か喋ってるって!途切れ途切れでよく聴こえないけど!」

 

 

 さっきから明らかに聞いた事ないが声が聞こえてきてるのに、何故か誰一人として気付かない!何だこれは?どうなっている!?

 

 

『おおーい!目の前ですよ~!目の前にいますよー!』

 

 

 また聞こえた!クソ、どっから話し掛けて...「あの、イッセーさん、コレ...」うん?どしたの小梅ちゃん?

 

 

「えっと、誰か喋ってるから...これで...」

 

 

 そう言っておずおずとウィジャ盤を差し出してくる小梅ちゃん。って言うか、小梅ちゃんにも聞こえてるの?

 

 

「は、はい...途切れ途切れ、ですけど...」

 

 

 そうか...まあいい。それじゃあ、早速試して...

 

 

「ちょっ!相棒!ハンバーグ!」

 

「あっ、ヤベッ!」

 

 

 危ねー...危うく焦がすところだった...

 

 

「あ〜...じゃあ、ドライグ、アルビオン。小梅ちゃんと一緒にウィジャ盤やってみてよ」

 

「おう!任せろ!」

 

「了解だ!行くぞコウメ!」

 

「は、はい...!」

 

 

 さて、ロリ達が遊んでいる間に残りのハンバーグも焼かないと...まあ、絶対お代わりするんだろうけど...

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「いただきます」

 

「「「「「「「「「いただきまーす!」」」」」」」」」

 

「い、頂きます!!」

 

 

 頂きますの言葉と共に食べ始める俺達。

 

 

「美味しいぞ相棒!」

 

「ね~。何て言うか、家庭の味がするよね〜」

 

「うむ、師匠なら良き主夫になれそうだな」

 

 

 好評な様で何より。 まあ、本当は俺よりも母ちゃんが作った方が旨いんだけどね。

 

 

「さよちゃん、お味はどうだい?」

 

「お、美味しいです!はんばーぐって、こんなに美味しいモノなんですね!!幽霊の時からずっと食べてみたかったんです!」

 

 

 そして、俺の隣でまぐまぐとハムスターの様にハンバーグ(和風)を頬張るのは相坂さよちゃん......そう、“相坂さよ”である。言わずと知れた、ネギま屈指の存在感の薄さを誇る幽霊少女である。

 

 正直、最初にその姿を目視した時はメチャクチャ驚いた。『アイエエエエエエ!?サヨチャンナンデ!?』とか叫んじゃう位には驚いた。

 

 小梅ちゃんがウィジャ盤使って会話した所、存在感が薄過ぎて同じ幽霊にすら気付かれず、今までずっと独りぼっちだった事が判明。念の為に確認したが、“麻帆良”なんて地名は知らないそうだ。

 

まあ、存在感の薄さは『ネギま』通り...いや、それ以上か?小梅ちゃんでも目視出来てなかったし...

 

 暗い所は怖いので、スーパーやコンビニの前で道行く人々に声を掛け続けると言う行為をかれこれ15年程続けていたらしいのだが、一向に気付いてもらえず。

 

 心が折れかけていた所で俺が声に反応したので『是非友達に!』と思い、付いてきたのだそうだ。

 

 聞いた話が余りにも不憫過ぎたので、修羅場中だったタマモさんに頼みこんで、別荘内に予備として用意してあった『アーウェルンクスの素体』を媒介に蘇生させたのである。

 

 

「さよちゃん、そんなに慌てて食べなくてもハンバーグは逃げないから。ドライグとミッテルト、ちゃんとピーマンも食え。ゼノヴィア、レイナーレからハンバーグを強奪するな」

 

 

 さよちゃんがハンバーグを頬張り過ぎて喉に詰まらせないかハラハラしつつ、お代わりを要求してきたヴァーリにご飯をよそって渡し、行儀の悪い3馬鹿娘を注意する。

 

 

「イッセーさん、ハンバーグお代わり!」

 

「私も!」

 

「アタシも食べたいッス!」

 

「はいはい....ドライグとミッテルトはピーマン食わなきゃお代わり禁止だぞ」

 

「「うえぇぇ〜.....」」

 

 

 あっという間に自分のハンバーグを食べ尽くしたムスメ達にせっつかれ、追加のハンバーグを焼く為にキッチンへと向う。

 まったく、食べる暇も有りゃしない...

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 食後、イッセーは『料理以外の家事は私達の仕事です!』と頑なに主張する祐斗とアーシアに食器の片付けを任せ、さよを連れて別荘に来ていた。

 

 

「ふわ〜!イッセーさんってスゴイ魔法使いさんだったんですね!!」

 

「ハッハッハ、もっと褒め称えなさい」

 

 

 キラキラした尊敬の眼差しで見てくるさよに、すっかり気を良くしているイッセー。 実にチョロい。

 

 

「それで、どうしてここに?」

 

「うん、ちょっと自覚を持ってもらおうと思ってね」

 

「自覚?」

 

 

 不思議そうな顔をするさよに拳大の石を手渡すイッセー。

 

 

「ソレを握り締めてごらん」

 

「はぁ...?」

 

 

 さよが言われるがままに両手でギュッと石を握り締めると、ボゴンッ!という音と共に石は粉微塵に粉砕された。

 

 

「( ゚д゚)」

 

「とまあ、不用意に力を入れるとそうなる(・・・・)からね。 暫くの間、さよちゃんにはココで力加減を覚えてもらうよ。 OK?」

 

 

 イッセーの問にコクコクと全力で頷くさよ。 出来ればすぐに友達を作りたいが、このままでは相手を木っ端微塵にしかねないので当然の反応であろう。

 

 

「よし。それじゃあ、まずは全力で海面をパンチして自分の力の最大値を把握しよう」

 

「は、はい!相坂さよ、いきます!」

 

 

 じゃぶじゃぶと海の中に入って行くさよ。 自分の腰辺りの深さまで歩いて行くと、右手を振り上げた。

 

 

「てええええええいッッ!!」

 

 

 ーーードッパアアアアアアンッッッッッッ!!!ーーー

 

 

 振り下ろされた右腕は水面を叩き潰して(・・・・・)海底に大きな拳の跡を刻み込み、周囲には十数メートルの水柱が巻き上がった。

 

 

「...え?」

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「おおーい、師匠〜.....」

 

 

 15時間程経った頃、ゼノヴィアが別荘にやって来た。

 ゼノヴィアはテラスで月を見ていたイッセーに声を掛けようとするが、膝の上でさよがスヤスヤと眠っているのに気付き、起こさない様にソロソロと近付いて来た。

 

 

「師匠〜...」

 

「ゼノヴィアか。どうかしたか?」

 

「いや、サヨの調子はどうかなぁ...と」

 

 

 小声で問い掛けるゼノヴィアに、くいっと親指を起てて背後を示すイッセー。 指差された方を見てみると...

 

 

「Oh....」

 

 

 木々は薙ぎ倒され、砂浜は消失。 端的に言うと、竜巻が発生したかの様な惨状である

 

 

「コレ、サヨがやったのか...?」

 

「最初はちょっと素の身体能力確かめるだけのつもりだったんだけどねぇ...この娘、どうも無意識で霊力と気を使って『咸卦法』もどきを纏ってたんだよねぇ...」

 

 

 しかも俺の咸卦法より出力高いの(笑)ーーーそう言ってハハハとイッセーは笑うが、顔は引き攣っている。

 

 

(.....そういえば、師匠は覚えるのに数年位掛かったって言ってたな...咸卦法)

 

 

 ゼノヴィアはふと、以前、目の前の少年が言っていた事を思い出す

 

 

(『自分に才能は無い』、か...とてもそうは思えないがなぁ...)

 

 

 ゼノヴィア...と言うか、この世界の裏の関係者からすれば十分過ぎる位だが、イッセーの中での『才能が有る』と言うのは、ネギ・スプリングフィールドやナギ・スプリングフィールド、ヴァーリやルフェイ達...要するに『言われなくても出来る・少し言われたら出来る奴』なのだ。

 

 ちなみに、そう言う意味ではゼノヴィアも『才能が有る人』に入っている。

 

 

「んぅ...」

 

「あ、さよちゃん起きた?」

 

「...ぉはようございますぅ...」

 

 

 ゴシゴシと目を擦りながら起き上がるさよ。 この惨状を引き起こした張本人とは思えない程のあどけなさである。

 

 

「さて、サヨも起きた事だし。師匠、ちょっと稽古をつけてくれないか?」

 

「ん?ああ、良いよ。さよちゃんはどうする?見学する?」

 

「う~んと、じゃあ、お願いします」

 

「よし、それでは早速始めよう!」

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

「さて、と。師匠、準備は良いか?」

 

「誰にモノを言っている。何時でも始めていいぞ?」

 

 

 軽く答えるイッセーはだらんと脱力しているがその実、一部の隙も無く何時でも行動出来る様に構えている。

 

 イッセー曰くーーー『咸卦法で地力は向上してるんだから、ムダに力を入れる必要は無いんだ。相手を仕留めるのに必要なのは、過剰な力よりも速さ。だから、基本はこうして余計な力は完全に抜いた方が良いんだよ。力を籠めるのは当てる時だけ』ーーーだそうだ。

 

 要するに『戦闘時は常に無拍子』状態である。と言っても、まだまだ完成には程遠いが。 

 

 

(よくもまあ、コレで才能が無い等と言えたものだ!)

 

 

 ゼノヴィアは、自分の師匠の非常識っぷりに嬉し半分、呆れ半分でため息を吐く。

 

 

「?どうした?」

 

「いや、何でもない...さッ!!」

 

 

 訝しげなイッセーの問いに、ゼノヴィアは『聖剣創造』で黒鍵を両手に3本ずつ、計6本創り出し、投擲しながら応えた。

 

 黒鍵は、かなりの速度で飛翔するが、イッセーの数メートル手前で粉々に砕け散る。見れば、いつの間にやらジャージのポッケに両手を突っ込んでいる。無音拳で迎撃したのだろう。

 

 ゼノヴィアの不意打ちを、イッセーは卑怯等と言わない。『何時でも始めて良い』と言ったのはイッセーであり、ゼノヴィアに『格上と対峙した時に少しでも隙があったら全力で突け。隙は見せる奴が悪い。先手必勝、油断大敵、やる気満々、意気揚々...だ』と調きょ...教育したのもイッセーだからだ。

 

 

 

「フッ!!」

 

 

 元々あの程度の黒鍵等、足止めにもならないと理解しているゼノヴィアはイッセーが無音拳で迎撃する隙に次の行動に移る。

 

 瞬動を使って懐に潜り込み、レイピア型の聖剣でもって高速で連続突きを放つが、イッセーは放たれた突きを最小限の動きで躱しながら貫手を放つ

 

 

(チッ、やはり手数では無理かッ!?)

 

 

 かなりの速度で放っている突きが全く掠りもせず、その癖イッセーの貫手は浅くではあるが確実に自分の肌を斬り裂いていく。

 

 やはり高速戦闘はイッセーの方に部があると判断したゼノヴィアは、イッセーの周囲を囲う様に聖剣を発生させ、バックステップで距離を取りながらチャクラム型の聖剣を大量に投擲する。

 

 

 ーーーキュパパパパパパパ....ッ!!ーーー

 

 

 予想道理、数秒でにチャクラムは撃墜されたが、その間に虚空瞬動でイッセーの空中に移動すると、巨大な斬艦刀を創り出し全力で振り下ろす。

 

 

「おおおおおおおッ!!!」

 

「『氷神の戦鎚』!!」

 

 

 自重で加速しながら真っ直ぐに、豪速で振り下ろされた斬艦刀はしかし、真横から叩き付けられた巨大な氷塊によって粉々に砕かれる。

 

 諸共に粉砕された剣と氷塊によってゼノヴィアの視界が覆わる。

 ソレはほんの一瞬の事だが、イッセーがゼノヴィアの目の前に移動し、ギロチンの様にその脚を振り上げるのには十分な時間だった。

 

 

「『魔法の射手・集束 光の20矢』」

 

 

 魔法の射手を乗せた踵落としがゼノヴィアに振り下ろされたが、ゼノヴィアは視界が覆われた瞬間に自分の目の前に堅さのみを重視した盾型の聖剣を創り出していた。

 

 

「ぐぅッ!!」

 

 

 イッセーの踵落としは盾だけでは無く、盾を構えていたゼノヴィア腕をも圧し折る。だが、魔法の矢を乗せた蹴りを喰らいながらも片腕が折れる程度で済んだのは僥倖であろう。

 

 蹴り飛ばされたゼノヴィアは海面に叩き付けられ、そのまま海面を水切り石の様にバウンドしながらも、亜空間から取り出したデュランダルに聖剣のオーラを収束させていく。

 

 

「だああああああああッッ!」

 

 

 そして、追撃に来たイッセーが射程に入った瞬間、一瞬で体勢を立て直して聖剣のオーラで作られた斬撃を放った。

 

 

「デカいだけじゃ、当たんねーよ」

 

 

 虚空瞬動で難無く躱して接近して来るイッセーに、ゼノヴィアは構わず斬撃を放ち続ける。

 

 放たれた斬撃の数が20を超えたあたりでイッセーはふと思った。いくら何でも無駄撃ちのし過ぎであると。

 

 

(こんだけ撃ってたら相当バテて来ると思うんだが...う〜ん...何か狙ってるのかな?)

 

 

 このまま接近するべきか悩んだが、『弟子の策を力尽くで叩き潰すのも師匠の役目』、と判断して接近する。

 

 ゼノヴィアとの距離が、後十数メートル程に迫った時、ゼノヴィが動き出した。

 

 

「『禁手化(バランス・ブレイク)』ッ!!」

 

「何ッ!?」

 

 

 ゼノヴィアの背後に大量の聖剣が集まって、一体の騎士を形造る。十字架を模した大剣を持ち、その鎧は龍の意匠が施されており、その姿は正に竜騎士(ドラグナー)と呼ぶに相応しい...そう、姿“は“

 

 

「おいおいおい.....ちょっとデカ過ぎ(・・・・)じゃね!?」

 

 

 イッセーが半分呆れながらも、驚愕の声でその竜騎士を“見上げる”。

 

 そう、その竜騎士はイッセーやゼノヴィアよりも遙かに大きい、全長およそ20メートルはある巨大竜騎士だったのである

 

 

「フフッ、名付けて『葬滅の竜騎士王(デモリッシュ・キング・ドラグナー)』さ。どうだい、師匠?」

 

 

 何か策が有るのだろうとは思っていたが、まさか禁手化してくる等とは思っていなかったイッセーに、勝ち誇った様な笑みを浮かべるゼノヴィア。

 

 

「...大したモンだ。いつの間に至ったんだ?」

 

「師匠が会議に出ている時にね。まあ、まだ30分位しか保たないんだけどね?」

 

「いや、初めてでそれだけ保てば十分さ。俺なんて最初は10分しか持たなかったからな...さっ、かかってこい」

 

 

 イッセーの言葉に応じる様に竜騎士王はその十字架の大剣を振り降ろす。

 

 刃渡りおよそ15メートルの大剣が振り下ろされると、凄まじい衝撃波によってその数百メートル先まで海が真っ二つに割れた。

 

 

「やっぱデカいのは強いな!それに速い!」

 

 

 虚空瞬動でその巨大な斬撃を躱したイッセーは、空中で詠唱を開始する

 

 

「メウス・ルブラム・ドラコ・カル!! 九つの鍵を開きて レーギャルンの筺より出で来たれ!! 『燃え盛る炎の神剣』!!」

 

 

 詠唱が終わると、イッセーの右腕に尋常では無い重圧感を垂れ流す巨大な灼熱の剣が現れる。

 

 

「ハアッ!!」

 

 

 最大出力の咸卦法で振るわれた炎の剣は、見事に竜騎士王の無手の左手首を斬り飛ばす。が、斬られた手首は即座に修復される。

 

 

「このサイズでこの再生速度かよ...」

 

 

 こういった独立稼働型の神器には再生能力は付き物であるが、コレは明らかに速過ぎる。

 

 さて、どうやって撃破したものかと考えていた所で、斬り掛かって来たゼノヴィアのデュランダルをアロンダイトで受け止めて鍔迫り合いに移る。

 

 

「なんだ、発動中でも動けるのか。つーか、アイツ随分と再生能力高いな?」

 

「“大きい”と言う事はそれだけ的になりやすいと言う事だからね、当然さ」

 

 

 平然を装っているが、ゼノヴィアは改めて自分の師匠に戦慄している。

 

 

(左手で鍔迫り合いを維持しながら、右手の剣で竜騎士王の攻撃を捌く、か。勝てる気がしないなぁ...っとお!?)

 

 

 ゼノヴィアが思考する一瞬の隙を突き、デュランダルを受け流してゼノヴィアを蹴り飛ばす。

 

 

「ぐぅッ...!ドラグナアアアアアッッ!!!」

 

 

 竜騎士王の大剣に尋常でない聖剣のオーラが集まっていく。集束した圧倒的なまでのオーラは、その余波だけで周囲の一切を薙ぎ払っていき...

 

 

「ーーーって、お馬鹿アアアアアッ!!」

 

「へぱぁっ!?」

 

 

 イッセーは神剣を消して一瞬でゼノヴィアに接近すると、全力のビンタでもってゼノヴィアの意識を刈り取る。そのビンタの勢いたるや凄まじい。

 

 まずビンタが当たった瞬間にゼノヴィアの意識は消し飛び、次に決して年頃の女の子がしてはいけない部類の顔になり、最後に音を置き去りにして宙へすっ飛んで行った

 

 

「全く...あの出力で攻撃なんてしたら、俺はともかくとして、自分とさよちゃんまで巻き込むだろうが...」

 

 

 ちなみに、竜騎士王の方はゼノヴィアの意識が消えたと同時にガラガラと崩れ、霧散していった

 

 

 

 

 

 





ハイ、と言う訳で第14話でした

今回はさよちゃん登場回とゼノヴィア禁手化回でした

さよちゃんの素の基礎スペックはイッセー君どころかゼノヴィア達よりも上です。どうしてこうなった(困惑

ゼノヴィアの禁手『葬滅の竜騎士王(デモリッシュ・キング・ドラグナー)』のモデルは『黒縄天譴明王』ですね。
禁手の内容は色々考えたのですが、やっぱりゼノヴィアの様なパワータイプにはこれが1番似合うかと思ったのでコレにしました


D×D第三期決定ですか...胸熱ですね。個人的には覇龍化の場面が気になりますね

みんな〜!7月から始まる『アカメが斬る!』絶対見てね〜!面白いよ〜!普通にメイン張れるレベルの美少女がポンポン出るよ〜!(番宣

後、4作目『アカメ斬るに転生した』もよろしくね〜!(露骨過ぎる宣伝


次回も引き続き日常回...かな?






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第15話 肌荒れでも起こしたらどうする!?


遅くなって申し訳ありません!!


と、言う訳で第15話です




「うひゃー! うーーみーーだーー!!」

 

「海だーーー!!」

 

「海だぞーーー!!」

 

「海っすーーー!!」

 

「海ですーーー!!」

 

「ま、待ってくださーい!!」

 

「走っちゃダメだよーー!!」

 

 

 

 ヴァーリ、ゼノヴィア、ドライグ、アルビオン、ミッテルト、さよが叫びながら走り出し、アーシアと祐斗が慌てて追いかける。そして、その後ろを全員分の荷物を担いだ一誠がレイナーレ、イリナと共に歩いていく。五人娘達ほどではないが、この三人も楽しそうにしている。

 

 

 

「綺麗な海ねー」

 

「おお。人もそんなに多くないし、いい穴場だな。イリナ、どこでこんな所知ったんだ?」

 

「えへへー! この間商店街のおばちゃんに教えてもらったのよ!」

 

「「へー」」

 

 

 関心した声をあげる2人に、イリナはニコニコと満面の笑みを浮かべながらドヤ顔をしている。幼い頃にイギリスに移住して以来、久しく日本の海には来ていなかったので楽しみで仕方ないらしく、ちらちらと海の方を見ている。きっと自分も海に走り出したいのだろう。

 

 

「民宿は俺とレイナーレで行っておくから、お前も走ってきていいぞ。水着は着て来たんだろ?」

 

「えっ、いいの!?」

 

「そんなキラキラした顔しておいてダメなんて言えないわよ。早くいってらっしゃいな」

 

「オッケー!! キャーー、うーーみーーよーー!!」

 

 

 叫びながら走り出したイリナを見送った2人は民宿に歩いて行った。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「ほっほぅ? 中々良さげな民宿だな」

 

「オシャレね~。目の前が海で眺めも最高ね」

 

 

 今回一誠達が予約した『民宿まりん』は海や駅から近いながらもそこそこ程度のお値段である、穴場スポットだ。以前電話した際に月音に教えてもらった店である。

 

 中に入ると、奥の方から女将さんがやって来る。

 

 

「あ、予約してた兵藤です」

 

「はいはい、お待ちしておりました。女将のまりんです……なるほど、君がギンの言ってたイッセー君か、中々男前だねぇ。こっちの可愛いお嬢ちゃんは彼女?」

 

「妻です♡「抜かせアホ」あ~んもう、イケズなんだから♡」

 

 

 頬を両手で挟んでクネクネとするレイナーレに若干イラッとするが、せっかくの旅行なので怒らない様に自重する一誠。

 

 

「とりあえず、先に荷物だけ置きに来たんで部屋に案内してもらって良いですか?」

 

「かしこまりました。それでは、こちらへ」

 

 

 部屋に荷物を置いた2人は、海に向かった。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「お、いたいた……んん?」

 

「あら、もう友達作ったのかしら?」

 

 

 ビーチパラソルやらビーチチェアを担いだ一誠とレイナーレは、ヴァーリ達が見知らぬ少女達とビーチバレーをしているのを目撃する。

 

 参加しているのはヴァーリ、ゼノヴィア、祐斗の3人。

 

 対するはアホ毛が特徴の銀髪の少女、ツインテールの赤髪少女、そして三つ編みの金髪の3人。みんなかなりの美しさである。

 

 

「はああああああッ!」

 

「フッ、中々やりますねッ! 感動的です! だがしかぁしッ! この私の宇宙CQCの前では無駄無駄無駄無駄無駄ァッ! なんですよぉッ!!」

 

 

 銀髪少女のアタックをゼノヴィアがダイレクトに打ち返し、それをまた銀髪少女がダイレクトに打ち返して……と言う具合にお互い延々と打ち合っており、ヴァーリ達や相手の少女達は手が出せないでいる。

 

 

「なんという超次元ビーチバレー」

 

「どっちかと言えばテニヌじゃない?」

 

 

 『まあ、どっちにしろヌポーツだよな』等と話している一誠とレイナーレの元に、盛り上がってる2人を放置してヴァーリと祐斗、赤髪少女と金髪少女、更にその連れと思われる少年がやって来た。

 

 

「すみません、ウチのニャル子がご迷惑を……」

 

「いえいえ、ウチの方こそゼノヴィアと遊んで……あ、こないだのフォーク少年じゃないか」

 

「え? えっと……」

 

 

 連れの少年は、先日スーパーにて大量の金属フォークを購入していた少年だった。

 

 余りにも大量にフォークを購入していたものだから一誠はよく覚えていたが、少年の方はそうでもなさ気な様子である。

 

 

「ほら、先週の特売日に大量にフォーク買い込んでたでしょ?」

 

「…ああ! イチゴ牛乳の人か!」

 

「そうそう。俺は兵藤一誠、高校2年だ」

 

「ああ、僕は八坂真尋だ。僕も高2だよ」

 

 

 自己紹介をした所で、同い年だと知って会話の弾む2人はそのまま何やかんやと話し込み始める。すると、なんとお互いに『民宿まりん』に泊まる事が判明。

 

 

「一誠達も『まりん』に泊まってるのか…」

 

「そう言う真尋達も「あれ? イッセー?」うん? …って、白野じゃん」

 

 

 聞き覚えのある声に振り向くと、岸波白野が居た。白野も一誠がいるとは思っていなかったのか、驚いた表情を浮かべている。

 

 

「いや〜、なんか見覚えのある奴がいるなぁ…って思ったんだよね。イッセーも泳ぎに?」

 

「まあね。いつも別荘(あそこ)じゃあ、皆飽きちゃうからな。息抜きも兼ねて来たんだわ。って言うか、1人? タマモさんは?」

 

 

 普段は常に白野の3歩後に付いている良妻賢母の狐様がいない事に気付いた一誠が、不思議そうに周囲を見渡す。

 

 

「タマモ達なら『着替えてから行きますので、先に行ってお待ち下さいませ♡』って」

 

「へ〜…あ、真尋。コイツは岸波白野って奴で、俺の友人だ。白野、こっちのは八坂真尋って言ってな、さっき友達になったんだ」

 

「あ、どうも。八坂真尋です」

 

「あ、ご丁寧にどうも。岸波白野です」

 

 

 ぺこりぺこりとお辞儀をしあう2人を余所に、一誠は自分の娘達の為に浮き輪やサンオイルを用意していく。

 

 膨らませるのは大変だろうと浮き輪に空気を入れ、冷たいのは嫌だろうとサンオイルを人肌位まで温める。

 

 サンオイルは『市販品のサンオイルなんて何が入ってるか分からんもの、ウチの娘達に使えるか! 肌荒れでも起こしたらどうする!?』と言って一誠が作った自家製サンオイルで、全員それぞれの肌質に最も適した材料を使っている。

 

 当然UVB100%カットである。

 

 普段のしごきっぷりとはエラい違い。レイナーレはそんな親バカ全開の一誠を苦笑しながら眺めている。

 

 

「これでよし」

 

「準備終わったの?」

 

「うん。レイナーレ、みんなにサンオイル塗っといてやってよ。俺向こうで釣りしてるからさ」

 

「あら、イッセー君は塗ってくれないのかしら?」

 

 

 一誠は、イタズラっぽく言うレイナーレをチラ見すると、持っていた麦わら帽子を深く被る。

 

 

「おバカ、男にそう言う事を言うんじゃありません。襲われたらどうすんだ」

 

「フッ、イッセー君ならウェルカムよ! 大歓迎ね! 他の男? 串刺しにします」

 

「……アホか」

 

 

 それだけ言うと、一誠は釣り具を持って堤防の方へ向かって行った。

 

 ちなみに、レイナーレは『アホか』と言いつつ、ちょびっとだけ嬉しそうな顔をした一誠に全力で萌苦しんでいた。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「師匠、スイカ割りをやろう」

 

 

 釣りをしていた一誠の元にゼノヴィアがやって来て、そんな事を言い出したのはちょうど昼食時であった。

 

 

「スイカ割り?」

 

「うん、さっき放送で『夏といったら海でスイカ割り。コレをやらなきゃ始まらない!』って言って、海の家でスイカの大安売りを始めたんだ」

 

 

 ゼノヴィアは『だからスイカ割りしよう』と言って『運営の思うツボだな~…』なんて思っている一誠をグイグイと引っ張る。

 

 

「わかった、わかった。今行くから先に行っとけ」

 

「よし、絶対だぞ師匠!」

 

 

 面倒くさがっていたが、ゼノヴィアの並々ならぬ熱意に根負けして釣具を空間倉庫に放り込んでいく一誠。

 ゼノヴィアは一誠が片付けを始めたのを確認すると、一目散に海の家の方に駆けて行った。

 

 

「スイカ割りか〜…たぶん、前世含めて30年振り位だな…みんな元気にしてっとぉ!?」

 

 

 久しぶり過ぎる出来事に、ふと前世の家族や友人達の事を思い出していると、まだ揚げていなかった釣り竿に大物がヒットして慌ててリールを巻く。

 

 

「ぬぉぉぉ……ッ! 何だこれホオジロザメでも食い付いたか!?」

 

 

 身体能力の強化をしていないとは言え、自分が釣り上げられないと言う、どう考えても普通の魚とは思えない引きの強さに困惑する一誠。

 その後も粘り続けるが、一向に釣り上げられそうに無い獲物にしびれを切らし、【感化法】を最大出力で展開。

 

 

「どりゃあああああっ!!」

 

 

 流石に抵抗出来なかったのか、海中から凄まじい勢いで釣り上げられた―――人魚が。

 釣り上げられた人魚はそのままビタン、と堤防に打ち上げられる。

 

 

「痛か〜! 痛か〜!」

 

 

 何故か博多弁で『痛い痛い』と叫ぶ人魚。まさか人魚を釣り上げる事になるとは思っていなかったため、どうすれば良いのか分からずに只々人魚を見つめる一誠。すると、不意に人魚と目が合う。

 

 

「……」

 

「……釣り針外しとってくれなか?」

 

「…アッハイ」

 

 

 ごもっともな要求に、慌てて転移魔法で人魚の舌に刺さっている釣り針を取り除くと、【治癒(クーラ)】で傷を治す。

 

 

「おぉ〜、舌ん痛みのちゃっちゆう間に無くなりよったちゃ! あんだ魔法使いなん?」

 

「あ〜、まあ、はい。一応、魔法使いやってる兵藤一誠って者です」

 

「うちはむろみばい、よろしゅうね!」

 

 

 釣り上げられた事は特に気にしていない様でホッとする一誠。

 

 

「いや〜、たっくん以外に釣り上げられるっちは思わなかったちゃ」

 

「あ〜、その、何かすみません」

 

「よかよ、よかよ、気にしとらんから。そいや、うちはもう来るたい! やいね!」

 

 

 軽く言葉を交わすと、むろみは海に飛び込んで泳ぎ去って行った。何故かバタフライで。

 ばっしゃばっしゃと凄まじい速度のバタフライで泳ぎ去って行くむろみを見ながら、ぽつりと、一誠は呟く。

 

 

「……何で博多弁?」

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「師匠、遅いぞ!」

 

「すまんすまん…って言うか、何玉買ってんだよ……」

 

 

 プンスカしながら駆け寄ってくるゼノヴィア。 だが、一誠はゼノヴィアの背後に積まれたスイカの山に顔を引き攣らせている。

 

 

「どうだ、凄いだろう? 一玉500円だったからな、20玉も買ってしまったとばぁっ!?」

 

「バカヤロウ、こんな買い込んでどうする気だ!」

 

 

 胸を張りながら自慢してくるゼノヴィアの頭にゲンコツを振り下ろす一誠。別にゼノヴィアの胸を見ながら『立派なスイカだ』なんて思って無い。無いったら無い。

 

 

「ぬぉぉぉぉぉおおお……!」

 

 

 涙目で頭を抑えてうずくまるゼノヴィアを、苦笑しながらアーシアが治療している。

 

 

「つーか、祐斗は何してたんだよ? 止めなきゃ駄目だろゼノヴィアはアホッ娘なんだから!」

 

「す、すみません! ちょっと僕が目を離した隙に……レイナーレとヴァーリに、頼んでおいたんですけど…」

 

「「ちょ、ま」」

 

有罪(ギルティ)

 

 

 雲ひとつ無い青空に、2つの嬌声が響き渡った。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「しっかし、どうするかコレ…」

 

「凄い数ね〜」

 

 

 一誠は積み上げられたスイカの山を前に唸っていた。スイカは水物で長期保存には適さないので、とっておく事は出来ない。氷漬けにでもしてしまえば保存は出来るが、そうすると解凍した時に味がおちてしまう。

 

 

「5個旅館にあげて今7個食うとして、残り8個か…」

 

「イッセーさん、キシナミさん達にもあげたらどうですか?」

 

 

 考えていると、アーシアからの画期的な意見が入る。

 

 ちなみに。アーシア、ヴァーリ、さよは紺色のスク水(もちろん、胸のゼッケンには平仮名で名前が書いてある。ココ重要)、ドライグとミッテルトはセパレート、アルビオンとイリナはワンピース、ゼノヴィアとレイナーレ、祐斗はモノキニ型の水着を着ている。

 

 

「…そうだな、そうするか。じゃあ、早速配りに行ってくるわ。アーシア、ドライグ達と先に遊んでてやってくれ」

 

「ハイッ!」

 

 

 一誠はヒョイっとスイカを8玉抱え上げると、白野達の方へと歩いて行った。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「お〜い、白野〜」

 

「おや、イッセーさん」

 

「イッセー、どうかしたのか?」

 

 

 両手にスイカの山を抱えてやって来た一誠を訝しげに迎えたのはタマモと白野であった。

 

 

「いや、ウチのゼノヴィアがアホみたいにスイカ買い込んじゃってさ、お裾分けに」

 

「え、良いの?」

 

「あら、ありがとうございます!」

 

 

 『こんなに沢山食べ切れないしね』と言いながらスイカをタマモに差し出す。

 

 可愛らしい姿をしていても、流石は九尾。それなりの重さがあるスイカ4玉を片手で軽々と受け取った。

 

 

「タマモよ、誰だそやつは?」

 

「アンタの知り合い? どことなくシンパシー感じるんだけど…」

 

 

 見れば、犬っぽい雰囲気の金髪美少女とスイーツ(笑)っぽい雰囲気の美少女が居た。二人とも興味深そうに一誠の方を見ている。

 

 

「ああ、貴女達はまだお会いした事がありませんでしたね……

 一誠さん、コチラ我が家の居候の音痴達です」

 

「誰が音痴よ!? エリザベー……ランサーよ!」

 

「そうだぞ! この至高の芸術たるネロ・クラウディ……セイバーに向かって何と言う!」

 

「ホント声だけは良いんですけどねぇ……あ、この方ガッツリ『裏』のヒトなんで、本名で大丈夫ですよ?」

 

 

 心の底から残念そうに話すあたり、本当に音痴なんだろうなぁ……と少々哀れみの目を向ける一誠。実に失礼な男である。

 

 

「あら、そうなの? じゃあ、エリザベート・バートリーよ」

 

「余はネロ・クラウディス・カエサルだ!」

 

「あ、どうも。赤龍帝の兵藤一誠です」

 

 

 一誠が赤龍帝である事を話すと、とたんに驚いた表情をする2人。

 

 

「なんと! 『カイザーハーレムドラゴン』と名高き赤龍帝か!?」

 

「え!? アナタが『拷問魔龍赤龍帝』!?」

 

「ちょっと待って」

 

 

 不穏すぎる単語にストップをかける一誠。その一誠を尊敬の眼差しで見ているネロとエリザベート。

 

 

「え? カイザー? 拷問魔龍? 何それどこ情報?」

 

「? 何処と言われてもな…そう言う風に伝わっているぞ? のうエリザ?」

 

「ええ。堕天使をつま先からハムの様にスライスして、死ぬ寸前にフェニックスの涙で完全回復させて精神崩壊するまで拷問したんでしょう?」

 

「イッセー…そんな事してたのか……」

 

「Oh…」

 

 

 『そんな事はしていない!!』そう言いたかった一誠だが、何割かは身に覚えのある話だったので強くは否定できず。まさかそこまで悪名が響いているとは思っておらず、顔を手で覆い天を仰いだ。

 

 

「それで、そのハレム達はどこの居るのだ? 噂に名高き赤龍帝のハレム、是非一目会っておきたいのだが」

 

「いや、別にハーレムじゃ……まあ良いや。うん、皆は向こうでスイカ割りやってるよ。参加する?」

 

「ほほう、スイカ割りとな? 面白い、是非参加させて貰おう! 征くぞ奏者よッ!!」

 

 

 ローマ育ちの為にスイカ割りなど今まで体験した事が無いネロは、一気にヴァーリ達の方に走り去って行った。

 

 

「あ、ちょ、ネロ! はぁ、全く…イッセー、本当に参加していいのか? 今日は家族サービスの旅行なんだろ?」

 

「いいよいいよ、あの手のイベントは人数多い方が楽しいからさ。あ、タマモさん。そのスイカ俺が持ってくから」

 

「そうか……うん、じゃあ、俺達も参加させてもらうよ。行こうタマモ、エリザ」

 

 

 タマモからスイカを受け取ると、一誠は真尋達の方に向かう。

 何気にスイカ割りを楽しみにしている白野が、タマモとエリザベートと手を繋ごうと両手を差し出す。

 

 

「はーい♡ タマモは何処までもお供いたしまーす♡」

 

「あら、子ブタの癖に私と手を繋ごうなんて、10年はや「そうか…じゃあ、行こうかタマモ」「はい♡ それじゃ、エリザさんはお独りでどうぞ♡」あ、う、ウソ! ウソだからぁ! 私とも手ぇ繋いでよぉ!」

 

 

 タマモはデレデレで、手を繋ぐどころか恋人の様に胸を押し付ける様に腕を組む。

 エリザは気恥ずかしさからツンデレ気味になってしまい、危うく置いて行かれそうになった為、泣きそうな声で白野の腕を掴み取るのだった。 

 

 その様子を離れた場所で見ていたハゲとメガネの男子高生が『爆死しろおおおおおお……』と、冥府の底から響いてきたかのような怨鎖の声をあげていたとかなんとか。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 白野と別れた一誠は、引き攣った表情を浮かべていた。原因は単純にして明快。

 

 

「まっひっろさ〜ん! ちょ〜っと背中にSANオイル塗って下さ「クー子、塗ってやれ」「任せて少年…!」ええい、アンタは呼んでね〜んですよ、この変態が! 気化爆弾で自爆してなさい!!」

 

「あ、あの、マヒロ君ッ! 僕にもSANオイルを……」

 

「みーっ!? み、みみ、みーっ!? みーっ!?」

 

 

 ―――混沌(CAOS)だったから。

 

 真尋に怪しげな薬品(サンオイルらしい)を手渡すニャル子。

 

 その薬品をクー子に手渡す真尋。

 

 手渡された薬品を頭からぶっ被り、全身ヌルヌルでニャル子に絡み付くクー子。

 

 海パンに手をかけながらサンオイルを塗る様に真尋に要求するハス太。

 

 浮き輪に乗っかったまま、引き潮で沖に流されて行くシャンタッ君。

 

 

「いや、引き潮はアカンやろ」

 

「みーっ!? ……み?」

 

 

 転移魔法でシャンタッ君を回収してから真尋達の方に向かう。

 

 

「お〜い」

 

「ん? ああ、一誠か。なんか用か?」

 

「ん、スイカ割りやるから一緒にどうだ?」

 

「「ほほう?」」

 

 

 スイカ割りと言う単語が出た瞬間、ぴくりとアホ毛とツインテールを反応させるニャル子とクー子。

 

 

「フッフッフ、一誠さん。私の前でスイカ割りの話題を出すとは……」

 

「少年、やりに行こう」

 

「ぼ、ボクもやりたいなっ!」

 

「うん、まあ。やらせてくれるって言うなら、参加させてもらおうかな」

 

「ん、じゃあ行くか……と、コイツ真尋達の」

 

「おや、シャンタッ君。見ないと思ったらこんな所にいたんですか!」

 

「みー! みー!」

 

 

 ノリノリの少女達にシャンタッ君を手渡すと、スイカ割りをしているゼノヴィア達の所に歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「盛り上がったな〜…」

 

「いや〜、凄かったわね〜」

 

 

 シャクシャクとスイカを咀嚼しながらレイナーレと会話をしている一誠。その視線の先にはキャイキャイと騒いでいるロリっ娘達と、頭だけ出しながら砂浜に埋っているヴァーリとゼノヴィアがいた。

 

 

「イッセーくーん、そろそろ出してよ〜!」

 

「師匠〜、私にもスイカを〜……」

 

「食べ物を粗末にするようなアホ共に食わせるスイカはありません!」

 

 

 生首2つが恨めしそうに声をかけるが、一誠はピシャリと言い放つと、構わずにスイカを食べ続ける。

 

 ――スイカ割り大会は、大半が外国人…と言うか、人外だった為にそれなりに盛り上がった。まあ、そこまでは良かったのだが、そこでヴァーリとゼノヴィアがやらかした。

 

 人生初のスイカ割りと言う事でテンションが上がり過ぎたのだ。

 

 秒間30回転と言う常人ならば確実にブラックアウトするであろう高速回転から開放された2人は、あろうことか回転した際の遠心力を利用して、全力でスイカに木刀を振り下ろしたのである。

 

 ただでさえ常人離れしている二人がそんな事をしたせいで、スイカは見事に消し飛んでしまったのである。それはもう、種1つ残さずに。

 

 

「フハハハハ! 無様だなヴァーリ! ……あ、イッセー! スイカおかわりだ!」

 

「おぉ、アルビオンちゃんも中々食べますねぇ…あ、マヒロさん、ほっぺたにスイカが付いてしまってますよ! 私が丁寧に舐め取っ…あ、はい冗談ですからそのフォークをお納め下さい」

 

「いや〜、砂浜で西瓜をたべるなんて風情がありますねぇ…」

 

 

 ワイワイキャアキャアと非常に騒がしい。女3人寄れば姦しいとはよく言ったものである。皆最初は初対面で若干気不味そうにしていたが、スイカ割りをしている間にすっかり仲良くなっていた。

 

 

「……ん? なあ、一誠。そのスイカ、ちょっとおかしくないか?」

 

「あれ? 言われてみれば確かに…なんて言うか、固そうだな?」

 

 

 真尋と白野が不思議そうな顔をして一誠に問い掛ける。

 注意して聞いてみると、真尋達が食べているスイカはシャクシャクと水々しい音をたてているが、一誠が食べているスイカからはガリガリと固そうな、それこそ煎餅を齧っているような音が聞こえているのである。

 

 

「ん? ああ、凍らせてるからな。知り合いに教えてもらったんだけど、シャーベットみたいで中々ウマいぞ。やってやろうか?」

 

 

 一誠の言葉に白野は納得し、自分もやってもらおうとスイカを手渡す。真尋は怪訝そうな顔をして見ている。

 一誠が受け取ったスイカに手をかざし、一言『こおれ』と呟くと、パキンっという小気味良い音と共にスイカ内部の水分が凍り付き、スイカシャーベットが出来あがる。

 

 

「な……ッ!?」

 

「ほい。ちょっと重くなってるぞ」

 

「おぉ〜、冷たくて美味しそうだな!」

 

 

 驚愕する真尋を余所に、ガリガリとスイカシャーベットを食べ始める白野。

 

 

「真尋もやるか?」

 

「美味しいぞ?」

 

「いやいやいや、ちょっと待て! 今のどうやったんだよ!?」

 

「どうって……見てただろ?」

 

「見てたから言ってるんだよ!」

 

 

 『お前は一体何を言っているんだ?』とでも言いたげな表情の2人に、キィィィーーーッ!! とヒステリックに頭を抱える真尋。

 

 

「……あれ? ひょっとして真尋って『裏』の人じゃ無いんじゃ……」

 

「え? いや、それは無いだろう? 人外を4人も連れてるんだし……」

 

「……え?」

 

 

 一誠と白野の会話が耳に入った真尋は、ピタリとヘッドスパンキングを止める。

 

 

「え? いや、なん、人外…え?」

 

「いや、あの4人。ヒトじゃ無いだろ?」

 

 

 一誠が離れた場所で志村○んばりの勢いでスイカを食べているニャル子達を指差しながら言う。

 

 

 何の前振りもなく、いきなりニャル子達の正体がバレてしまったのだから当然と言えば当然の事なのだが、真尋はかなり動揺していた。

 

 

「な、なんで…」

 

「何でって言われても……まあ、『裏』に関わったことがある奴なら普通は分かると思うぞ? って言うか、あの超次元ビーチバレーを見れば一般人にも分かるだろ」

 

 

 ニャル子の余りにも

 

 

「まあ、そんな焦る必要は無いよ。って言うか、今ココにいる人なんて、大半が人外だしね」

 

「そうよ、私だって堕天使だもん。ハクノ君なんてイッセー君と同じ魔法使いだし」

 

「レイナーレ、俺をイッセーと同列にしないでくれない? 俺はまだ人間辞めてないよ?」

 

「おい、どういう意味だザビエル。

 つーかお前、戦術眼は並の人外より遙かに人外じゃねえか。何で七尾のタマモさんの攻撃が予測出来るの?」

 

「え? え? 魔法使い? 堕天使? 邪神じゃなくて?」

 

 

 進む会話に付いて行けず、真尋は狼狽える。

 

 

「あの娘達邪神なのか……名前的にニャルラトホテプとクトゥグア、それに、ハスターとシャンタク鳥か?」

 

「そ、そうだけど……何で分かったんだ?」

 

「いや、前に知り合いの宇宙人に『イッセー殿、ニャルラトホテプ星人とクトゥグア星人には気を付けるであります! アイツら真剣(マジ)で他人の迷惑なんて一切気にしないんだよ!! 人様の軍事基地で勝手に喧嘩おっ始めるんだもの!!』……って言われたからさ」

 

 

 一誠の言葉に、あぁー…と遠い目をする真尋。苦労しているのだろう。

 

 

「ほら見てよレイナーレ。イッセー宇宙人とも友達なんでしょ? 立派な人外だよ。俺とは格が違うね」

 

「イッセー君ごめんなさい、私にはフォローしきれないわ」

 

「ブッ飛ばすぞお前ら……まあ、そんな訳だからさ。別に無理して隠さなくてもいいよ? 民宿にも2人妖怪いるし」

 

 

 民宿にも人外がいると知り、自分がいかに人外の存在に囲まれて生きていたのかを自覚して顔の引きつる真尋。

 

 そんな真尋の顔を見ながら『転生者もいると知ったらどうするんだろうなぁ…』と思う一誠であった。

 

 

 

 





ハイ、と言う訳で第15話でした


今回は水着回になりましたね。前回から3日後の話になります。



投稿遅れてホントに申し訳ありません!! ORZ

いえ、ホントはもっと早く更新するはずだったんですよ? ウソじゃないヨ?

実は8割ほど(14000字位)書いてあったデータがアボンしまして……しばらくアウアウアー(^p^)状態になってました

気晴らしに他の作品更新したり、新作書いてたりしたらあっという間に二ヶ月も…(汗)

次話は1週間以内にあげますので、なにとぞお許しくだせぇ m(;∇;)m

 次回も引き続き旅行回です。みんな大好きなあのヒトも登場するよ!




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第16話 どうしようも無ぇや!



前回の後書きで『1週間以内に更新する』と言ったな、アレは嘘だ。

…いや、ホントすいません。頑張ったんですけど書き終わりませんでした(泣)

今回は粗雑な捏造設定が入りますので『そういうのはNG』と言う人は、どうかご容赦を。


と、言う訳で第16話です








 夕方。浜で十分遊んだ一誠達は『民宿まりん』に戻ってきていた。

 

 

「しっかし、まさか一誠が魔法使いだとは思わなかったよ」

 

「いや~、俺はむしろ、真尋に邪神の彼女がいる事よりも、タダの人間が一誠にフォーク当てられた事に驚いたよ。ですよね、ギンさん?」

 

「せやなぁ、つくづく人間はごっつ生き物やと思ったわ」

 

 

 白野、真尋と会話をしているのは森丘 銀影(もりおか ぎんえい)。かつて、とある事件で一誠と出逢った青野月音の仲間で新聞部の先輩である。

 

 現在は恋人で同じく陽海学園のOGである音無 燦(おとなし さん)と共にここ、『民宿まりん』で働いている。

 

 

「まあ、そら置いておいて。お前ら、ホンマの所誰が1番なんや?」

 

「は、何が?」

 

「何がやないわ、しらばっくれたらアカンで! あないにぎょうさん可愛ぇ娘侍らしよって!」

 

『はぁ?』

 

 

 一誠、白野、真尋が全く同時に口に出す。

 

 

「“はぁ?”やないわ! 特にお前やイッセー! お前一人で何人女の子連れ回してんねん!?」

 

「……10人?」

 

 

 少し考えてから答える一誠。

 

 

「多いわ! 月音かて6人やぞ!? 裏モカ入れても7人やで!」

 

「芳芳をカウントするのはやめて差し上げなさい」

 

「確かに、言われてみれば凄い数だよな」

 

 

 銀影に指摘された事で、冷静に考えると凄まじいまでのハーレム状態である事に気付いた白野と真尋。

 一誠は2人を、“余計な事に気付きやがって……”とでも言いたげな、苦虫を噛み潰した様な顔で見る。

 

 

「余計な事に気付きやがって……」

 

 

 訂正、口に出していた。

 

 

「……いや、まあ、半分は娘みたいなもんだから。明確にLOVEなの3人だけだから」

 

 

 だからセーフと言い張る一誠。分かっていて放置している時点で、ちっともセーフでは無いのだが。

 

 

「―――イヤね? 俺だってこういうのは良くないって分かってますよ? でも、選べないじゃん。もし誰か一人を選んだら、他の娘が悲しむかもしれないじゃん」

 

 

 不意に、一誠がポロっと愚痴を零す。

 

 

「……イヤイヤイヤ、“選ぶ”とか“悲しむかもしれない”とか一体何様だよ俺は……

 ぶっちゃけ、俺なんてただ強くて魔法が使えるだけの高校生だし……なんでここまで好かれてるのか、自分でも分かんないんだもん……

 かと言って、皆に他の男は好きになって欲しくないし……あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛、自己嫌悪で鬱ってきた……」

 

 

「お、おう……何や、その……苦労、しとるんやな……?」

 

 

 銀影は、自分が壮絶な地雷を踏み抜いた事に気付いたが、時既に遅し。

 

 一度口に出してしまったが為に、一誠はドンドンと愚痴と自己嫌悪の言葉を溢れ出させていく。

 

 やはり前世含めて30年彼女がいなかった男にとって、現在の『美少女数名に恋い焦がれられている+美少女数名との同居生活』は些か精神的にキツいものがあったらしい。

 

 ついでと云わんばかりに、()(兵藤一誠)なだけに、辛そうである。主に下半身が。

 

 自分と同じ様な境遇の男子が居る事も相まって、堰を切った様に『普段は言えない本音』を吐き出していく一誠のそのザマは、正に『ヘタレ』の一言に尽きた。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「……ふう。なんか、吐き出したら結構ラクになったわ。ありがとな、みんな」

 

『あ、ああ、うん……』

 

 

 しばらくボソボソと愚痴を吐き出した事で胸につっかえていたものが取れたかの様な、スッキリとした笑顔を浮かべる一誠。代償はとことんまで沈んだこの空気である。

 

 

「さて、俺のせいでだいぶ空気が悪くなったし……いっちょやりますかな。うん。

 白野、真尋、悪いけどみんなを下のテラスに集めといて」

 

「? 分かったけど……何するんだ?」

 

 

 不思議そうな顔をする白野に、一誠はニヤリと笑って応える。

 

 

 

「夏の夜にやるものなんて、一つに決まってるだろ?」

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

「【昇銀龍千輪菊光露】!!」

 

 

 気合一閃。

 

 一誠が抜き放った刀から飛んでいった光弾は、空高くまで上昇すると爆発。巨大な光の花が広がった。

 

 

『おお〜〜〜!!』

 

「よっしゃ、まだまだいくぞーーー!!」

 

 

 みなが歓声をあげて花火を見ているのに気を良くした一誠は、抜刀速度を上げて次々に花火を打ち出していく。

 割物、型物、ポカ物と、様々な花火が大量に飛び交う様子に、民宿どころかそこら中から見物人が集まってくる。

 風鈴と花火、うずまき蚊取り線香とスイカ。まさに日本の夏のオンパレードである。

 

 

「うりゃりゃりゃりゃりゃああああ!!」

 

 

 ……あと、暑苦しい男。

 

 

「せりゃりゃりゃr「イッセーさん、暑苦しいのでもう少し静かにやって下さいませんか?」アッハイ」

 

 

 『雄叫びをあげながら刀を振り回す男子高校生』は余りに見苦しかったのか、タマモにかなり冷たい眼を向けられ、静かになる一誠。それでも腕の動きは一切止まっていない。

 

 

「……つくづく僕と同じ地球人とは思えないな。イッセー、本当は邪神なんじゃないのか?」

 

「だからイッセーとオレ達を同列にしちゃ駄目だって……」

 

 

 男2人は失礼な事を言っているが、幸運にも花火の音にかき消されて本人には聞こえていなかったようである。

 

 

「ねぇねぇイッセーくん! 私の顔の花火飛ばしてよ!」

 

『は?』

 

 

 黙々と花火を打ち上げている一誠の元にやって来たヴァーリがぶっ放した凄まじいまでの無茶振りに、みんながざわめき出す。本職の花火職人でも難しそうな注文なので、当然と言えば当然の事なのだが。

 

 

「のう、ヴァーリよ。それは些か無茶振りが過ぎるのでは「ん、良いぞ」えっ、出き『出来るの!?』……ぬぅぅ、余のセリフに被せるでない!」

 

 

 見かねたネロがヴァーリを諌めようとした所で、まさかのOKが出て場のざわめきに拍車が掛かる。

 

 まさか出来ると思っていなかったのか、ヴァーリもポカンと口を開けている。

 

 

「……師匠、別に見栄を張る必要葉無いんだぞ? 出来ないんだったら出来ないって言って良いんだぞ?」

 

「出来る、つーのっ!!」

 

 

 ゼノヴィアの『出来もしない事を出来ると言ってしまい、途方に暮れている子供を諭す様な優しい口調』に若干イラッとした一誠が、通常よりも長めに溜めてから居合抜きを放つ。

 

 光弾は空中で爆発すると、満開の向日葵のような満面の笑みを浮べたヴァーリの顔になる。

 

 雪の様な肌は透明感のある白色、日の光を浴びるとキラキラと輝く髪は白銀色。形の良い耳や整った鼻どころか、まつ毛や八重歯まで再現しており、如何に一誠がヴァーリの顔を覚えているかをまざまざと見せ付ける。

 

 

「す、凄いな…よく再現出来てるよ」

 

「当たり前だ、俺がヴァーリの顔を間違える訳が無いじゃないか。何年見つめてたと思ってんだ」

 

「ふ、ふぇぇぇ……」

 

 

 その余りの精密さに、若干引いた様子の真尋が話かけるが、当然だと返す一誠。

 

 先程までのヘタレっぷりがウソの様な堂々とした返事に、ヴァーリは顔を真っ赤にし、他の皆は気圧されて只々同意するしか無かった。

 

 その後、ポケモンやらカービィやらタマモを押し倒している白野やら、真尋を押し倒しているニャル子等、様々なリクエスト通りの花火を打ち上げた一誠であった。

 

 

 因みに。

 

 後日、あの花火が一般人達にも見えていた事を思い出して、1人ベッドで悶え苦しんでいる銀髪ポニーテールを目撃した酒好きの堕天使が居たらしい。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「あ、そうだ。一誠君、最後の1人はいつ来るんだい?」

 

『最後の、1人…?』

 

 

 女将さんが花火を上げ終えた一誠へ掛けた問に、ドライグ達が不思議そうな顔をする。

 

 ドライグとアルビオン。ヴァーリ、レイナーレとミッテルト。アーシアにゼノヴィアとイリナ。そして祐斗とさよ。およそ兵藤家の面々と言える者は全員揃っているのに、他に誰が来るというのか。

 

 

「相棒、誰が来るのだ? アザゼルか?」

 

「ん? ああ、ちょっと弟子入り志願者とその保護者がね…まあ、その辺はおいておいて。皆でコレでもやろうじゃないか」

 

 

 ドライグの質問に軽く答えると、懐からWi○ U本体とリモコンを取り出す一誠。明らかに懐に入る大きさでは無いのに誰もツッコまないあたり、一誠の仲間内での評価がよく分かる。

 

 

「フッ……師匠、今日こそ勝たせてもらおうか! 私のクッパで!!」

 

「相棒! 私はピーチだからな! 真似しちゃダメだぞ!」

 

「そうだぞイッセー! デイジーは私のだ!」

 

「ロゼッタは私専用、異論は認めない」

 

「はっはっは! お前ら有象無象なんぞ、この俺のヘイホーで蹴散らしてくれるわ!」

 

 

 その後、歓声を聞きつけたニャル子達も乱入。そのまま民宿のスタッフも含めた、全員参加のマリカー王者決定戦へと発展した。

 

 なお、キチンと防音・遮光結界を敷いていた為、ご近所から苦情が来る事は無かった。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 翌日、まだ朝日が登りきっていない時間。一誠はテラスの椅子に腰掛け、瞑想していた。

 

 

「……お、来たか」

 

 

 一誠が目を開けたのと全く同時。空間が斬り裂かれ、そこから2人の男女―――アーサー・ペンドラゴンとルフェイ・ペンドラゴンが現れた。

 

 

「こんにちは、兵藤一誠君」

 

「お、おはようございますッ!」

 

「はいはい、おはよう2人共。待ってたよ」

 

 

 随分とスタイリッシュな登場をしておきながら、何事も無かったかの様に平然と挨拶するあたり、この三人はだいぶ一般常識と言うものが吹っ飛んでいる。

 

 

「おや、割りと早めに来たつもりでしたが、待たせてしまいましたか?」

 

「ああ、様式美だから気にしないで……さて、ルフェイ」

 

「は、はい!」

 

 

 一誠に名を呼ばれ、緊張しながらも手を挙げるルフェイ。

 

 

「約束通り、今から君に俺の魔法の一部を教えてあげるけど。約束の内容は覚えてる?」

 

「もちろんです! “決して他人にこの魔法についての情報を与えない”、“決して不当な目的にこの魔法を使わない”…ですよね?」

 

「うん、覚えてるなら良いよ。じゃあ、早速やろうか。アーサー、悪いけど君にはここで待っててもらうよ?」

 

「構いませんよ、そう言う約束ですから…その代わり、後で私と一戦交えて下さい。……ではルフェイ、頑張るんですよ?」

 

「ハイ、兄さん!」

 

 

 ルフェイはアーサーの言葉に元気に頷くと、一誠が用意した魔法球に入った。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 用意しておいた携帯型魔法球(内部時間4倍速)内。

 一誠は伊達メガネを付けて黒板の前に立ち、ルフェイは靴と靴下を脱いで地面に正座しながら小さい勉強机にノートを広げて一誠を見ている。

 

 

「―――さて、ルフェイ。魔法とは何か分かる?」

 

「私たち人間や神話の存在などが魔法力を消費して発動する超常現象です」

 

 

 一誠の質問に、スラスラと淀みなく答えるルフェイ。

 

 

「ふむ。じゃあ、魔力と魔法力の違いは?」

 

「魔力は悪魔の体内にのみ存在する物で、魔法力は悪魔以外の存在が保有している「うん、それ間違い」……え!? ち、違うんですか!?」

 

 

 魔法使い…と言うか、『裏』に関わる人間の一般常識が間違っていると、キッパリと言い切った一誠に驚愕するルフェイ。

 

 

「実はね、どっちも同じ物なんだよ」

 

「……え?」

 

「“魔力は悪魔にしか使えない”んじゃなくて、“悪魔は魔力の直接操作が出来る”って言う事なんだよ」

 

「魔力の直接操作……ですか…?」

 

 

 如何に天才児と言えど、流石に突拍子も無さ過ぎる説明だったのか。ルフェイは怪訝な顔をして小首を傾げている。

 

 

「おう。と言っても、急に言われても分かんないか……例えるなら、そうだな……車を動かすにはガソリンが必要だよな?」

 

「は、はい」

 

「人間は石油(魔力)からガソリン(魔法力)を精製しないと(超常現象)を動かせないけど、悪魔はダイレクトに石油(魔法)ぶち込んで車を動かせるんだ。簡単に言うとこんな感じだな。分かった?」

 

「あ、はい。大丈夫です」

 

 

 かなり粗雑な例えだが、一応は伝わったようである。

 

 

「……でも、どうして悪魔は魔力の直接操作が出来るんですか?」

 

「それは悪魔たちが魔力で出来てるからさ」

 

「…へ?」

 

 

 本日2度目の爆弾発言に、ルフェイはポカンと口を開けて呆けてしまう。だが、一誠は気にせずに話を続ける。

 

 

「“超越者”は知ってる?」

 

「……あ、はい。“サーゼクス・ルシファー”と“アジュカ・ベルゼブブ”、“リゼヴィム・リヴァン・ルシファー”の三人ですよね?」

 

「そうそう。そのうちのサーゼクスさんの能力は?」

 

「サーゼクス・ルシファーは自身を滅びの魔力に……」

 

 

 途中まで言った所でルフェイが固まる。

 一誠の“悪魔は魔力である”と言う言葉をそのままに信じるならば、つまり。

 

 

「気付いた? アレが、悪魔の本来の姿なんだよ。って言うか、フェニックスなんて正にそうでしょ? いくら肉体が傷付いても、意識さえ保てるなら何度でも蘇るんだから。ちなみに、死んだ悪魔が粒子になって消滅するのは魔力に還元されるからだよ」

 

 

 ルフェイは一誠の話を聞きながら、“何をどうしたらこういう発想が出来るのか”と考えていた。

 

 

「……なんか全く関係ない話になってたな。よし、話を戻そう。俺の魔法についてだったな」

 

 

 ここで、ようやく本来の話に戻る。

 

 

「あ、ハイ! ぜひ赤龍帝様の魔法を教えて頂きたく…」

 

「そんな、固っ苦しく呼ばなくても、普通に呼べばいいよ。じゃあ、ハイこれ」

 

 

 ポンと手渡されたのは、先端部分にハートの付いた小さ目の(ワンド)。『ネギま』原作でも登場した、子供用練習杖である。

 

 

「あの、コレは……?」

 

「それを振りながら【プラ・クテ・ビギナル 火よ灯れ】って唱えてみ?」

 

「わ、分かりました! 【プラ・クテ・ビギナル 火よ灯れ】!!」

 

 

 尊敬する大魔法使いである一誠が言うのだから、とにかくまずはやってみよう。

 

 そう思いながら呪文を詠唱するが、杖は全く反応しない。

 

 

「あの、何も起きないんですけど……」

 

「貸してみ? 【プラ・クテ・ビギナル 火よ灯れ】」

 

 

 一誠が杖を受け取って詠唱すると、杖の先端部分から大きい火柱が立つ。

 

 それを見たルフェイは、再び一誠から杖を受け取って詠唱するが、火柱どころか火の粉すら出ない。

 

 

「どうして……?」

 

 

 如何に魔法力を込めようと、うんともすんとも言わない杖に、困り果てるルフェイ。

 

 

「それじゃあ、いくらやっても無理だよ。ヒントあげるから、どうしてか考えてみ。じゃあ、ヒント。F1カーにどれだけ軽油を入れたって、絶対に動かないよ」

 

 

 一誠の言葉に考え込むルフェイ。

 

 如何に魔法力を注ぎ込んでも、全く反応しない杖。F1カーが杖ならば、軽油は魔法力。F1カーを動かすのに必要なのはハイオクガソリン。このハイオクガソリンを魔法関係のものに当てはめるなら……

 

 

「……魔力を、込めるんですか?」

 

「正解。俺の魔法は“魔力を使って発動する”んだ」

 

 

 その答えに唖然とするルフェイ。当然だ、魔力を使って発動すると言う事は、魔力を直接操作していると言う事であるのだから。

 

 人間には、それが出来ないはずなのだから。

 

 

「……先生は、悪魔なんですか?」

 

 

 故に、ルフェイは思わずそんな言葉を投げかけていた。

 

 

「まさか、俺は立派な日本男児だよ。そもそも、お前らみたいな魔法使い達はみんな勘違いしてる。人間にだって魔力は使えるぞ? って言うか、俺使ってるし」

 

 

 だが、一誠はハッキリと“自分は人間だ”と宣言する。その上、“魔力は人間にも使える”と。

 

 

「ど、どうやるんですか!?」

 

 

 食い気味なルフェイの質問に、一誠は初めて難しそうな顔をした。

 

 

「ひたすらその杖使って練習してれば、半年もすれば使えるようになる……と、言いたい所なんだがな……」

 

 

 難しそうな顔をしたまま考え込む一誠に、不安が募っていくルフェイ。

 

 

「何か、問題があるんですか…?」

 

「……うん、ルフェイはだいぶ魔法力のクセが染み付いちゃってるからな……多分、ただ闇雲に練習しても出来無いかもしれないんだ」

 

「そ、そんなぁ……」

 

 

 憧れの赤龍帝の魔法が使えると思った所でこの言葉。ルフェイは目に見えて落ち込んでしまう。

 

 

「安心しな、ちゃんと方法はあるから」

 

「ホントですか!?」

 

 

 駄目だと思った瞬間にこの言葉。本人は意識していないのであろうが、見事なまでの飴と鞭である。

 

 喜ぶルフェイを尻目に、一誠はチョークで地面に人2人分程度の大きさの魔方陣を描く。

 

 

「と言う訳で、ルフェイ。ちっとこっちおいで」

 

 

 トコトコと魔法陣に入ってきたルフェイに、人差し指を出してもらうと、断りを入れてから細い針で軽く突付いて出血させる一誠。

 

 一誠は、ルフェイの血液を指で掬い上げると、自分の片手にも針を突き刺して出血させる。

 

 

「ん。じゃ、ちっと申し訳ないんだけど。この血飲んでもらえる?」

 

「は、はい……え、えっと、コレは、何の儀式魔法なんですか…?」

 

「“従者契約”のお試し版さ。じゃ、いくよ?」

 

 

 魔法陣が発光するのと同時に、拭い取ったルフェイの血を飲む一誠。

 

 

「は、ハイ! えっと、えっと…あむっ」

 

「ちょ!?」

 

 

 発光を始めた魔法陣に焦ったのか、一誠の様に指で拭い取らずに、直接一誠の人差し指を咥えてしゃぶりだすルフェイ。

 

 

「ん…ちゅぷ…んぅ…」

 

「あ、ちょ、別に指は……ええい、【仮契約】!!」

 

 

 血を零さないように、一誠の指を丁寧に舐め回すルフェイ。

 

 ガッシリと引き締まった少年の指を、少女の小さな舌がチロチロと這い回り、その唾液で塗らしていく。その光景は、ルフェイの幼い容姿も相まって凄まじいまでの扇情的で背徳的な雰囲気を感じさせる。

 

 簡単に言うとめちゃくちゃエロい。それはもう、一誠のキバットバットⅡ世がウェイクアップしてダークネスヘルクラッシュしそうな位エロい。

 

 止めさせようにも契約魔法は既に起動している為、即座に契約を終わらせにかかる一誠。

 

 

「んっ…ふぁ…!」

 

 

 魔法陣が一際強く輝くと、空中に仮契約カードが現れる。それと同時に、魔法陣の光が弱くなっていき、最終的にフッ、と掻き消える。

 

 

「―――ふぅー、契約完了っと……ルフェイ、気分は…ルフェイ?」

 

 

 現れた仮契約カード(へちゃむくれ版、効果は同じ、アーティファクト無し)をキャッチしてルフェイの方を見ると、そこには地面にへたり込んでいるルフェイの姿が。

 

 ルフェイは顔を真っ赤にして、ハァハァと荒い呼吸を繰り返している。

 

 

「しゅ、しゅみましぇん……こ、腰が抜けて……」

 

「え、あれで?」

 

 

 確かに【仮契約】の際には多少の性的快感が生じるが、【契約執行】に比べれば微々たる物。

 

 あの程度でこの有り様では【契約執行】なんて使った日には、とてもお茶の間に放送出来ないような展開になる事は明々白々である。

 

 

「しっかし、困ったな……仮契約でコレじゃあ、とてもじゃないけど【契約執行】なんて使えないよなぁ……」

 

「いえ、大丈夫です! 私、イケます!」

 

「いや、そう言われても……正直、さっきのよりキツいよ? その……性的快感が」

 

「だ、大丈夫です!」

 

 

 顔を赤くしながらも続行を求めるルフェイに、これ以上何か言うのは無粋と判断したのか、一誠は仮契約カードを構える。

 

 

「……分かった。じゃあ、取り敢えず10秒いくぞ? 【契約執行 10秒間 一誠の従者 『ルフェイ・ペンドラゴン』】」

 

「ひゃあああんっ!?」

 

 

 体中を一誠の魔力が駆け巡った瞬間、ルフェイの背中にゾクゾクとした快感が走り、思わず大きな嬌声が漏れる。そのまま10秒が経過すると、ルフェイはぺたりと腰砕けになっていた。

 

 

 

「えっと、今、ルフェイに魔力を供給したんだけど…分かった?」

 

「はぁ…はぁ…」

 

「ルフェイ〜?」

 

「すみ…ハァ…ません…ハァ…もう一度、お願いします…もっと…ハァ…長めで…」

 

「お、おう……」

 

 

 その後も……

 

 

「【契約執行 30秒間】」

 

「んんんんッ!!」

 

 

「【契約執行 90秒間】」

 

「ひぎぃっ!!」

 

 

「【契約執行 120秒間】」

 

「〜〜〜〜〜ッ!!」

 

 

 少しずつ【契約執行】の時間を伸ばしていき、200秒を超えたあたりでようやく詠唱練習が開始。

 

 そうして【契約執行】が6分を超えると……

 

 

「イキます…【プラクテ・ビギ・ナル 火よ灯れ】!」

 

 

 気合いを入れて詠唱すると、杖の先端部分から30センチほどの火柱が発生した。

 

 

「で、出来た〜! 出来ましたよ先生!」

 

 

 水に沈めてみても燃え続けている事から、ちゃんと【火よ灯れ】が発動しているのだと判断した一誠は、ルフェイに労いの言葉をかける。

 

 

「おお、出来てる出来てる。たった1時間ぽっちで大したもんだよ」

 

 

 ルフェイは詠唱が、魔力を用いた魔法が成功した喜びのあまり、杖を地面に置いてからぴょんと一誠に飛びついた。

 

 

「おっと」

 

 

 落っことさないように、飛び付いてきたルフェイをギュッと抱き締める一誠。しかし、ルフェイは忘れていた。未だ一誠からの魔力供給が続いていた事を……

 

 

「ひっ!? あっ! やっ! だ、めぇぇぇ………」

 

 

 一誠に抱きとめられた途端、ルフェイの全身を電流が走る。

 全身に氷の様な冷たさが走り、間髪入れずに爪先からゾワリとした熱が生じ、耳鳴りと共にその熱が足から上へと這い上がっていく。

 瞬く間に全身を熱さと痺れが支配していくその陶酔感に、ルフェイは、完全に頭の中が真っ白になる。

 

 

「ッ!! あッ、あ……ッ!! 〜〜〜〜〜〜ッ!!」

 

 

 その余りの快感に、体を海老反りにさせてビクンッビクンッと痙攣するルフェイ。ルフェイは痙攣が止むと、くたりと力無く一誠に凭れかかる。

 

 

「ちょ、ルフェイ!? おい、ルフェイ! だいじょうb……」

 

 

 シャァァァ…と言う音と共に、一誠のズボンが生暖かい、ツンと鼻に付く臭いの液体で濡れていく。

 

 

「……え?」

 

 

 一瞬、どうしてズボンが濡れるのか理解出来ずに固まり、理解してしまってからは別の意味で固まる一誠。

 

 

「……」

 

「……」

 

 

 沈黙。抱き合った姿勢のまま硬直し、只々沈黙する2人。

 

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……うっ、うぅ……」

 

「!?」

 

 

 重すぎる沈黙を破ったのはルフェイ。嗚咽の声と共に、ジワリ、とルフェイの澄んだ青色の瞳に大粒の涙が浮かぶ。

 

 

「ちょ、待っ…」

 

「……ひっく……う、うええぇぇぇぇん…」

 

 

 ルフェイ、号泣。

 

 

「ひっく、えっぐ、ひぃぃぃん……」

 

「あ、あの、ルフェイ? その、何だ? 俺は、全然気にしてないから……」

 

「びえぇぇぇぇんッ!!」

 

「ハハッ、どうしようも無ぇや!」

 

 

 余りにもあんまり過ぎる状況に、『もう、なるようになーれ♡』と思考放棄を始める一誠。

 

 なにせ中学生程の少女にお漏らしをさせてしまったのである。たかが魔法が使えるだけの男子高校生如きに『慰めの言葉をかけろ、少女の心に一切の傷を残すな』と言う方が酷である。と言うか、大人でもそうそう慰められるものでは無い。

 

 “後でアーサーに殺されるかもしれない”

 そんな事を考えながら、ルフェイが泣き止むまで延々と彼女の頭を撫で続けた一誠であった。

 

 

 

 

 





ハイ、と言う訳で第16話でした

今回は前回に引き続いての海回、ギンちゃん初登場回、イッセー君のヘタレ&本音暴露回、ルフェイちゃんとアーサーの生出演回になりました。

捏造設定で『悪魔=魔力の塊』、『魔法力=魔力の劣化品』と言う事になりました。

一応、理由があってこうしたので。納得がいかない方々もいるでしょうが、目をつぶってやって下さいませ m(_ _)m

具体的にどういう事か伝わらなかったかもしれないので、そのうち本文に修正かけます。


それと、出すかどうか非常に悩んだのですが、今回から『UQ HOLDER!』の技も出す事にしました。一応、ネギま』の世界線上の話だし、問題ないよね!(目反らし)

そして最後の最後で(恐らく)全て持っていった(であろう)、(生では)初登場のルフェイちゃん。


友人に『お前のssってハイスクールD×D原作の癖に、全然エロ描写無いよな(笑)』と言われたので『上等じゃこんにゃろう!!』と逆ギレ。
タイミング良く登場したルフェイちゃんに犠牲になってもらいました(ゲス顔)

しかし、書いといて何ですけど…ルフェイちゃんの描写は大丈夫なのだろうか。ちゃんとエロくなってるのだろうか……(汗)

作者の力量ではコレが限界なので『ちっともエロくねーぞゴラァ』と言う方々には今後のエロ描写については諦めて頂きたく存じますです、ハイ。

次回も引き続きルフェイちゃん回です。

次回こそ、次回こそ何とか1週間以内に更新を……!!



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第17話 ち ょ っ と 締 め て く る わ



この話を読み終えた後、あなたは『お前かよ!?』…と言う!

と言う訳で、第17話です




「―――なるほど、こういう術式になっているんですか……凄く参考になります!」

 

「ははは…それは何よりだよ…」

 

 

 前回、ルフェイにお漏らしをさせると言う、誰かに知られれば問答無用タイーホされるような失態を犯した一誠。

 わんわんと泣き叫びながら『責任をとってください!』と訴えられた一誠は、持ちうる限りの語彙を総動員してルフェイを説得。『下級魔法4つ、中級魔法3つ、上級魔法1つを伝授する』事で許してもらったのである。

 

 流石に呪文8つを4時間で教えるのは無理があったので、現在もう2つ携帯型魔法球を取り出して64倍速で魔法を教え込んでいる。

 

 伝授済みの魔法は【魔法の射手】、【治癒】、【風陣結界】、【戦いの歌】、【風花風障壁】、【凍る大地】、【白き雷】。ルフェイの適正は風が最も高く、次点で氷と雷。逆に最も適正が低かったのが地と闇であった。

 

 

「んじゃ、最後の上級魔法にいくよ? コレ、攻撃専用だからさ。使う時はよく注意してね?」

 

「はい!」

 

「―――メウス・ルブラム・ドラコ・カル 来たれ雷精、風の精 雷を纏いて吹けよ 南洋の嵐 【雷の暴風】」

 

 一息で詠唱を終えると、【雷の暴風】を海に向けて放つ一誠。

 まるでビームの様な【雷の暴風】は、数キロ程離れた場所にあった小さな無人島に直撃。跡形もなく消し飛ばした。

 

「……」

 

 詠唱の短さに反比例する様な威力に、ルフェイは開いた口が塞がらなくなっていた。

 和平会談の際に放った【千の雷】の方が高威力なのだが、映像を見るのと実物を見るのとでは迫力がまるで違うのだから当然だろう。

 

 はっきり言って『ネギま』系統の大技は、神器を使わない人間1人が出せる威力を、大幅に超越している。この【雷の暴風】1つとっても並の上級悪魔の攻撃等よりも遥かに強力なのだ。

 

「―――とまあ、これが風と雷の複合上級魔法の【雷の暴風】だよ。どう?」

 

「……すごい、です。コレは、会談の際に使っていた術とは別の術ですよね?」

 

「そうだねぇ、コレ(雷の暴風)アレ(千の雷)だったらアレの方が遥かに強いね。比較にならないよ」

 

「……なるほど…やっぱり、映像越しに見るのと実際に目で見るのとでは、天と地程の差があります……」

 

 少し考え込んだ様子を見せると、一誠の顔をちらりと見やるルフェイ。そこはかとなく不安そうな顔をしている。その表情に疑問を感じた一誠がどうしたのかと聞いてみた所、俯いてボソボソと話し始めた。

 

「その……今更なんですけど、私、こんなに魔法を教えて頂いても良いのでしょうか…? だって、今日教えて頂いた魔法だけでも、特許を取ってしまえば一生遊んで暮らせるだけのお金や名声が手に入りますよ?」

 

「ああ、別に気にしなくていいよ。コレはお詫びだし、元々【魔法の射手】と【治癒】と【氷楯】は教えるつもりだったから」

 

 俯きながら話すルフェイに、一誠は軽く笑って答える。しかし、ルフェイは納得がいかないようで、なおも反論を繰り返す。

 

「で、でも、全然釣り合ってませんよ!? それは、私だって、その…オモラシ…は恥ずかしかったですけど、冷静に考えれば、悪いのは私ですし…」

 

「良いの良いの。有能で礼儀正しい娘には良くしてあげるのが俺のポリシーだからさ……その代わり、皆には言わないでね? 俺タイーホされちゃうからさ」

 

 魔法と引き換えに保身にはしる一誠。ゲスいと思ってはいけない、強制わいせつ罪は実刑判決6ヶ月〜10年。社会復帰してからも周りの視線がエラい事になるのである。

 

 【雷の暴風】の記録された巻物を手渡し、ソレを嬉しそうに読み解いていくルフェイをジッと眺めてみる一誠。

 喜んだり泣いたり悩んだりと、表情豊かな勤勉少女。兵藤家の住民で言うならばアーシアか。

 

「なあ、ルフェイ。例え話なんだけどさ、自分の恩人の命と引き換えに俺の最上級魔法が手に入るとしたら、どうする?」

 

「? う〜ん、私だったら命を取りますよ? もちろん、先生の最上級魔法はとても興味深いですけど、それだって人命には変えられません」

 

「……そっか…うん、なら良いや」

 

 きょとんとした表情を浮かべるが、すぐにそう答えたルフェイにホッとした顔をする一誠。もしここで魔法を選んでいたら、一誠はルフェイとアーサーの記憶を消してその辺に放り出すつもりだった。

 

 今更の話になるが、一誠は元々身内に対して甘い。特に女子に対してはすこぶる甘いが、身内と認定するには絶対的な条件がある。それは、『恩に報いる事』と『人に頭が下げられる事』だ。

 

 一誠はヴァーリ達と出会って以来、長期休暇の際には頻繁に海外武者修行の旅に出ており、世界中の様々な国を旅して来た。その為、色々と汚い人間も目にしてきているのである。命を救ってくれた相手を追い剥ぎする者や、さもソレが当然の事のように金品を集りに来る者等、およそ人間の屑に当たる者達を目にした為に、所謂『筋を通さない』奴を嫌悪しているのである。

 

 改めてルフェイの人と成を確認した一誠は、苦戦しているルフェイの為にもう一度【雷の暴風】を唱え始めるのであった。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「ふぅー、疲れた疲れた」

 

「先生、ありがとうございました」

 

 呪文を習得したルフェイと一誠が魔法球から出て来たのは192時間後、外の時間では3時間後だった。キョロキョロとアーサーの姿を探すと、二人が戻ってくるまでの間暇だったのか誰もいない浜辺でひたすらに剣を振るっていた。

 

「兄さん、お待たせしました」

 

「おや、お帰りなさいルフェイ。勉強になりましたか?」

 

「はい、とっても!」

 

「それは良かった。一誠殿、ありがとうございました」

 

「いやいや、ルフェイは物覚えが良かったから全然苦労しなかったよ。ほれ」

 

「おや、これはどうも」

 

 一誠が水球を作って手渡すと、それでバシャバシャと顔を洗うアーサー。ルフェイに教えた魔法の内容を教えると、【戦いの歌】の所でピクリと反応していた。ルフェイの接近戦時の脆さを気にしていたのだろう、かなり喜んでいた。

 

 そんなアーサーを見ていた所で、不意に一誠の脳裏にあるアイデアが湧く――この二人も『D×D』のメンバーに勧誘してみよう、と。

 

「なあ、アーサー。強い奴と戦える機会があるんだけど、興味無い?」

 

「ちょっとそこの所詳しく」

 

 思い立ったが吉日と、試しにアーサーに尋ねてみたところ、それはもう豪快に喰い付いた。

 

 一誠がしめしめと黒い顔をしながら『D×D』について語っていくと、アーサーはブラックバスのようにグイグイ喰い付いていく。

 

「―――まあ、そんな訳でさ。今はちょっとでも戦力が欲しいんだよ。受けてくれる?」

 

「ええ、喜んで。ルフェイ、あなたはどうしますか?」

 

「えっと……対テロ組織と言う事は、いざと言う時は先生と一緒に戦う事になるんですよね?」

 

「まあ、そうなるね。一旦キチンと説明しておこうか」

 

 あっさりと快諾するアーサーを尻目におずおずと聞いてくるルフェイに、懇切丁寧に仕事内容を説明する一誠。アーサーは戦闘狂の気配が滲み出ていたので碌に仕事内容の説明をしていなかったが、ルフェイはそういう訳にはいかない。

 

 彼女はバグキャラでも戦闘狂でも魔法少女でも無い、ただの魔女っ娘なのである。魔法少女では無く魔女っ娘なのである。大事な事だから2回言った。

 

「基本的な目的は『禍の団』によるテロの阻止。『禍の団』の構成上、相手は悪魔と人間、偶に堕天使かな」

 

「テロの阻止とは、具体的にどんな事を?」

 

「基本は人間界を最優先とした『禍の団』による襲撃者の迎撃、神器保持者や異能者なんかの保護になるね。あ、入るんだったら使い潰されないように俺の直属の部下扱いになるけど」

 

「……分かりました。私も参加させていただきます!」

 

 しばし考え込んでいたルフェイだが、やがて意を決した様に顔を上げ、堂々と参加する事を宣誓した。一誠が本当に参加するのか問うても、結論を変える素振りはまるで無い。

 

「……うん、分かった。それじゃあ改めて……対テロ特殊部隊『D×D』へようこそ、アーサー・ペンドラゴン、ルフェイ・ペンドラゴン。二人を盛大に歓迎するよ」

 

「よろしくお願いしますね、一誠殿」

 

「よろしくお願いします、先生」

 

 2人は一誠の差し出した手を取り、固い握手を結んだ。こうしてアーサー・ペンドラゴンとルフェイ・ペンドラゴンの『D×D』参加は決定したのであった。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「―――イッセェェエエエエッ!」

 

「くたばれえええええッ!」

 

「フンッ」

 

『ぐあああああっ!』

 

 ルフェイ達との細々とした打ち合わせが終わった後、砂浜でのんびりかき氷を食べていた一誠に対して背後から飛び掛かってきた男達。一誠はその男達の拳が直撃する瞬間、男達の腕を掴んで海の方へと放り投げる。投げ飛ばされた金髪と赤毛の男は盛大な水柱をあげて着水した。

 

「また盛大に飛んだな…」

 

 再びかき氷を食べ始めた一誠に話し掛けたのは、一誠の学友である唐沢だった。何故ここに居るのか聞いてみた所、男子勢のみで遊びに来たとの事。それを聞いた一誠、先程投げ飛ばした2人――ヒデノリとヨシタケを凄まじい哀れみの表情で見て、一言。

 

「ひでぇ、せっかくの夏休みを……」

 

 聞こえていたら、確実に真田北高の全校生徒を敵に回すであろう言葉を呟いた一誠。もっとも、一誠と同じ小学校の人間ならば、本気で挑む様な真似はしないであろうが。

 

「まあ、お前から見ればそうだろうがな。何時ものメンバーはどうしたんだ?」

 

「ん? ヴァーリ達? なんか皆で遠泳やってるよ。後はあっち」

 

 そう言って指差した先を見れば、確かに金や銀のカラフルな髪の毛が波間や砂浜に見え隠れしている。意外とムッツリな唐沢、何とか水着姿のヴァーリ達を見ようと必死で目を凝らすが、よく見えず。唐沢が肩を落とした所で、突然一誠が立ち上がる。

 

「どうした?」

 

「アレ」

 

 一誠の指差した方を見ると、数百メートル程先に鼻血を垂れ流しながら超望遠レンズで砂浜で遊んでいるミッテルト達を撮影している高校生らしき少年の姿が。

 

「ち ょ っ と 締 め て く る わ」

 

 言うやいなや、一瞬でその場から掻き消え、盗撮をしている少年の元に移動した一誠。遠目にしか見えなかったが、後に、唐沢はその時の一誠の表情を『SANチェックが必要になりそうな位おっかなかった』と語ったという。

 

 その後、ヒデノリ達を交えてビーチバレー大会に移行。同級生にも遠慮せずにバンバン本気サーブを連打、最終的に真田北校生+白野&真尋を交えて戦ったが、それでも一誠のストレート勝ち。真田北校七不思議に新たに『兵藤一誠は何者か?』が刻まれる事になった。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「いや〜、本当に申し訳ありませんねぇ…」

 

「気にしないで良いよ。こっちもバイト代貰うんだし」

 

「まあ、いきなりなのは確かですけどね」

 

 現在、一誠はニャル子等と共に彼女の愛車であるネフレン=カーに乗って次元の狭間を移動していた。メンバーはニャル子、クー子、ハス太、一誠、そして四尾状態の玉藻の5人。過剰戦力も良い所である。

 

 事の発端は1時間程前、『ドキッ! 男だらけのビーチバレー大会』が終了した頃にさかのぼる。

 

 バレーが終わった後、一誠は一人民宿に戻りアーサーとルフェイが参加する事についての報告書を書いていたのだが、突然ニャル子、クー子、ハス太が来訪する。どうしたのかと聞いてみれば、魔法使いとしての一誠に仕事の依頼があるとの事。依頼を受けるかどうかは後決めでも良いので、取り敢えず現地に同行してくれないかと求められたのである。

 

 最初は面倒臭がっていた一誠だが、報酬が魅力的(地球外のレアメタル)だった為に引き受けたのである。ホイホイと付いて行くと、同じくバイトを引き受けた玉藻(四尾)の姿が。白野を放置していいのか尋ねた一誠だが、“五尾の私が居ますから無問題です”との事であった。

 

 そうして5人でネフレン=カーに乗り込み、次元の狭間に突っ込んだのであった。

 

「しっかし、このネフレン=カーってのは凄いな。陸海空に次元の狭間まで移動出来るとか、便利過ぎでしょ…何?」

 

 ふと呟いた一誠に、周囲から胡乱な視線が突き刺さる。

 

「いえ、生身でソコ移動出来る時点で我々は心底驚いてるんですが……」

 

「ニャル子ちゃんだって生身で長時間の水中戦は無理なのにね…」

 

「少年、ホントに人間…?」

 

 邪神三柱の同類を見るような視線に顔を引き攣らせた一誠。ちらりと玉藻の方を見てみるが、玉藻は気不味そうに一誠から目を逸らすと呟いた。

 

「あ、私は七尾の私をあしらった時点で一誠さんを人間にカテゴライズするのは止めているので…」

 

「お前ら死んじゃえ」

 

◇◇◇◇◇

 

 

「はい、到着でーす!」

 

 次元の狭間の果ての果て。ありとあらゆる存在に忘れ去られた終焉の世界。そこにソレ(・・)はあった。

 

「……アーシア達連れて来なくて正解だったな…聖職者が見たら確実に心持ってかれてるぞ…」

 

 そこにあったのは、巨大な光り輝く十字架。至る所に聖骸布と聖杭が打ち付けられており、並の悪魔ならば近付くどころか視界に入れた瞬間に消し飛ぶであろう膨大な聖なるオーラが溢れ出ている。

 

「うわ〜……これ、聖書の四文字さんの封印じゃないですか。聖気がエライ事になってますよ」

 

「うん、ぱっと見で即死系の呪印が刻まれまくってるのが分かるわ。ニャル子さん達邪神でしょ? 良く耐えられるね、コレ」

 

「まあ、邪神と言っても宇宙人ですからね。と言うか、それ以上に一誠さんがこの場所で平然としてる事に愕然としています」

 

「人間、大抵の事は気合いで何とかなる」

 

 この場の一誠以外の全員が“いや、それはお前だけだろ”と思ったが、冷静に考えると自分達の想い人も割りと人間辞めてる気がしてきた為に、ニャル子達はツッコもうとした言葉を飲み込んだ。

 

「そんで? ニャル子さん達はこの御大層な墓石を退かして、何を掘り出すつもりな訳? 事と次第によっちゃあ…」

 

「あ、いえいえ。別に悪い事しようって訳じゃ無いですって!」

 

「課長に頼まれたの」

 

 構えを取ろうとした一誠に、ニャル子達は慌てて事情を説明し始める。

 

 それによると、今から数千年前にニャル子達の上司が地球で一人の子供をつくった。その『息子』は悪逆非道の行いを好き放題にやらかしたいたのだが、ある日を境にプッツリと消息を断ってしまった。どうも次元の狭間の深奥に行った事は分かるのだが、そこから先は一切分からず。

 

 何人かの調査員を次元の狭間に向かわせて調べさせていた所、ようやくこの封印を発見。調査員だけではとても歯が立たなかった為、現地で休暇中だったニャル子達に調べるように指令が下ったのであった。

 

「―――と言うお話だったのです」

 

「一誠君と玉藻さんにはコレを解くお手伝いをして欲しいんです!」

 

「いや、まあ、話は分かったけど…」

 

 ニャル子の話を聞いた一誠は、険しい顔をしている。それは、この封印術式の下にいる存在のせいであった。

 

「…冗談ではありませんね、お断り致します。話にもなりません」

 

 玉藻は一誠と同じく険しい顔をして、バッサリと斬り捨てる。

 

「そちらの話が真実だとすれば、この下に居るモノはかつてこの星を荒らした大罪人。それをわざわざ解き放つなどと……何故、自分の首を自分で締めるような真似をしなくてはならないのです」

 

「うん、俺も玉藻さんと同意見だね。こんな規模の封印を施すなんて、どれだけヤバい奴が居るのやら……って言うか、開放と同時に暴れ出すんじゃね?」

 

 一誠と玉藻(地球の住民)の正論にぐうの音も出ないニャル子達(異星人)。更によくよく考えてみると、もしも上司の息子が開放と同時に暴れ出しでもすれば、自分達にもかなりの危険が及ぶ。それどころか、下手をすれば真尋にも被害が出かねない。それはニャル子にとって看過出来る事では無い。

 

 上司の息子と愛しの男。どちらを天秤にかけるか。

 

「―――うん、それもそうですね。そんじゃ、帰りましょっか!」

 

 ニャル子は自身の吐き気を催す色の脳細胞を全力稼働させ、ためらう事無く真尋を選び取った。クー子とハス太も何も言わない辺り、彼女達の中では

 

 真尋、家族>友人>>>>>越えられない壁>>>>>>>会った事も無い上司の息子

 

 なのであろう。そのままネフレン=カーに乗り込み帰ろうとした、その瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「む? 客人とは珍しいな…エセルドレーダ、茶の用意だ」

 

「イエス、マスター」

 

 十字架の一部が扉の様に開き、中から金髪の美少年と黒髪の美少女が現れた。

 

 

 

 

 





はい、と言う訳で第17話でした。

ヤバい、前回『一週間以内に更新』とかほざいておいてこのザマだよ……

今回はかなり駆け足気味になりましたが、ルフェイちゃん魔改造計画始動&D×D参入回と『黙示録の獣』様の登場回でした。

ルフェイちゃんは皆様の御期待通り、キチンと魔改造します(笑)

久しぶりに登場した男子高校生達。お忘れかもしれませんが、ウチの一誠君は真田北校生です。

そして最後に颯爽とご登場なさった『666の獣』ことマスター・テリオン様。勿論エセルドレーダ様もご一緒です。

フッフッフ……まさか、この獣を出すと予想出来た人は居るまい…!

ぶっちゃけますと、このネタをやりたいが為にニャル子さん達を登場させました。

出したいから出した! 後悔はしていない! (・`ω・)キリッ!

まあ、マステリ様はゲストキャラなので、本格的に物語に関与する事はありません。きっと、たぶん、恐らく、Maybe…


『マステリ様、初めてのバーベキュー』
『祐斗、攻める』
『一誠君、キレる』

次回はこの3本です!


六作目、『魔術師が最弱って言った奴ちょっと来い』の投稿も始めました。コレも転生者沢山出ますので、もし良かったら読んでやって下さいm(_ _)m

また、活動報告にて『アカメが斬るに転生した』のアンケートもやってますので、もし良かったらご協力下さい。それでは(^^ゞ




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第18話 考えるな!

今回、ネタ満載です


と、言う訳で第18話です



「あ、私、貴方のお父上に貴方の保護を命ぜられました惑星保護機構の八坂ニャル子です」

 

「同じくクー子…」

 

「えっと、協力者のハス太です」

 

「現地協力者の兵藤一誠です」

 

「同じく、岸波玉藻です」

 

「うむ、余はアレイスター・クロウリー。『マスターテリオン』とも『黙示録の獣』とも呼ばれていた。こやつはエセルドレーダだ」

 

「よろしくお願いします」

 

 軽く自己紹介を終えたところで、ニャル子は今日この場所に来た本題を語り出した。アレイスターは黙って話を聞いていたのだが、ニャル子が語り終えた所で一言。

 

「だが断る」

 

「ナニッ!!」

 

「このアレイスター・クロウリーが最も好きな事の一つは、絶対に「YES」と答えると思っているナイアルラトホテップに「NO」と断ってやる事だ」

 

「そう言う訳ですので、お引き取りを」

 

 にべもなく会話を打ち切る二人。

 

「いえ、あの、一応我々も仕事で来てるんで“はい、そうですか”と言う訳には……」

 

 ニャル子が粘ろうとするが、二人は全く聞く耳持たず。いそいそと大型テレビに向かうと、ゲームを始めてしまった。仕方がないので一旦帰ろうと立ち上がった瞬間、アレイスターのアーケードコントローラーを見たニャル子とクー子が眼を見開く。

 

「そ、そそそそソレはぁッ!? 開発者にしか配られなかった『機械神vs機械神 エクストリームバーサス マキシブースト』の専用アケコン、『アーケードコントローラーEx ver.リベル・レギス』じゃあないですかあああああッ!!」

 

「この血の様な紅色……間違いない、ヤフオクにも出回った事の無い、世界にたった23台しか無い幻のアケコン……! 一体どうやって……」

 

 余りにも凄まじい二人の剣幕にドン引きしている一誠達だが、二人は全く気にせずに食い入る様にアケコンを見つめている。

 

「フッ、知れた事。バ○ダイに『機械神vs機械神』のアイデアを与えたのが余であったからだ!」

 

 アレイスターは集中線が引かれそうな位のドヤ顔でそう言い放った。

 

「「な、なんだってー!?」」

 

 急に90年代のマンガの様な顔になって絶叫するニャル子とクー子。

 

 わなわなと慄く二人を放置してゲームを始めたアレイスターだが、何かを思いついたのか、くるりとニャル子達の方を振り返る。

 

「ニャルラトホテプよ、余とゲーム勝負をしようではないか。貴公達が勝ったのならば、余は潔く父君の元へ帰るとしよう」

 

 ゲーム勝負という単語が琴線に触れたのか、ニヤリと笑みを浮かべるニャル子とクー子。二人はまるで鴨が葱と鍋とコラーゲンを背負って来たかのような目でアレイスターを見やる。

 

「フッフッフ、言いましたね? この私とクー子にゲームで挑むと!」

 

「女王は伊達じゃない……」

 

 ニャル子とクー子が全身から謎のオーラを発しているが、対するアレイスターはまるで微風でも浴びているかの様な余裕の表情。

 

「では、早速始めようではないか。エセルドレーダは下がっていろ、余一人で釣りが出る」

 

「イエス、マスター。勝利の栄光を、マスターに」

 

 恭しくアレイスターに一礼したエセルドレーダが下がると、意気揚々とテレビに向かう3人。慣れた手つきでキャラ選択を済ませて試合開始。

 

 ニャル子のデモンベインとクー子のアイオーンがアレイスターの駆るリベル・レギスと向かい合い、カウントダウンが始まる。

 

「フフフ、私のデモンベインを持ってすれ「天狼星(シリウス)の弓よ」アッーーーーーー!」

 

 開始した瞬間に光の雨が降り注ぎ、ニャル子の選んだ機体が削られる。

 

貴公(ナイアルラトホテップ)にだけはその機体は使わせん。ナイアルラトホテップならばチクタクマンを使っていれば良かったのだ!」

 

 ダウン状態になったデモンベインにリベル・レギスが接近、黄金の剣で斬り上げて空中に浮かせると、白い焔を纏った手刀で一刀両断。

 

「ば、馬鹿なあああああッ! アレイスターさん、貴方は私の……ッ!」

 

 言い終わる前に機体は爆発。このゲームにおける暗黙のルール『死体は喋らない(ジェリ・ド・メサ)』のせいで、ニャル子が最後に何を言おうとしたのかは分からず終いだった。

 

「さて、次だ」

 

 クー子の駆るアイオーンに狙いを付けると、リベル・レギスは一直線に突っ込んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

「ば、馬鹿な……私とクー子が、たったの3分で…」

 

「ブラックロッジの機械神はバケモノ……」

 

 そして2分後、そこには2対1にも関わらずボロ負けした結果、灰のように燃え尽きているニャル子とクー子の姿が。

 

「―――さて、次は誰がやるのだ?」

 

 アレイスターが一誠達の方を振り返りながら問うてくるが、一誠は今のプレイを見ていて早々にこのゲームで勝つ事は不可能だと悟った。何故ならば―――

 

「アレイスター・クロウリー! あんたこのゲームやり込んでいるなッ!」

 

 ―――ローディング画面にて、カンストしたプレイ時間が見えたから。無論、操縦技術が優れていたのも分かるが、それより何よりプレイ時間がブッ飛んでいるのだ。9999時間とか、何をどうしたらそんなプレイ時間に至ると言うのか。

 

 一誠はふと、『黙示録の獣』がゲーマーだと知ったら、アザゼルはどんな反応をするのかと気になった。

 

 それは置いておくとして、わざわざ相手の得意分野で戦う必要は無い。

 

 そもそも、一誠はロボットゲーはアーマード・コアの様なリアル系しかやらないので、この手のロボットプロレスものはすこぶる苦手なのだ。

 

「答える必要は無い……と言いたい所だが、プレイ時間を見られてしまってはどうしようもないな。いかにも。余はこのゲームにおいて、全国オンラインで1位をとる程度にはやり込んでいる。時間は幾らでもあったからな。魔人は伊達ではない」

 

 ドヤ顔で答えるアレイスターに対し、一誠は必死に“ソレは廃人です”と言おうとする口を押さえ付ける。目の前にいる存在は、その気になれば瞬き一つする間もなく自分を消し飛ばせると理解しているからである。

 

「…とにかく、そのゲームを使うのは止めて、公平に勝負出来るモノ……そうですね、トランプ、ポーカーなんかで勝負しましょう」

 

「ほう、何故それを選んだのだ?」

 

 アレイスターは、興味深そうに一誠を見やった。

 

「決まってます。TVゲームと違って、運さえ良ければ弱者でも強者に勝てる余地があるからですよ。まあ、麻雀なんかもそうですけど、アレは時間がかかり過ぎますから」

 

「フ、ハッハハハハハハ!!」

 

 一誠の言葉に、アレイスターが盛大に吹き出した。怪訝な顔をする一誠を他所に、その後も暫く笑い続けるアレイスター。5分程経った所で、ようやく笑いが収まったアレイスターが“スマンな”と言いながら呼吸を整えて一誠の方に向き直る。

 

「フゥ…ハハッ、まさか余に幸運のみを武器にして挑みかかってくる者が居るとは思わなんだ。気合と根性で挑んで来た者は居たが、この様な手合いは初めてだ。良かろう、貴公とはポーカーで戦おうではないか」

 

 一誠は内心でガッツポーズを取った。ようやく勝率が30%を超えたあたりだが、現状ではコレが限界であろう。

 

 アレイスターがトランプを取り出し、シャッフルしようとした所でニャル子が待ったを掛けた。どうしたのかと思うと、ニャル子は懐から赤地に金の十字架が描かれているトランプを取り出した。

 

「これはラウズカードと言うトランプでしてね、私の高校時代の友人であるオンドゥル八世に頂いたモノです。これを使用してもらいましょう。相手が用意したトランプなんて、何が仕込まれてるか分かったモンじゃありませんからねぇ」

 

 その場のニャル子以外の全員が、“お前が言うな”と思ったが、空気を読んでスルーした。

 

「……良かろう。では、始めようではないか。そこのハスター、シャッフルを」

 

「は、はい!」

 

 アレイスターはニャル子の取り出したトランプを検分した後、ハス太に手渡す。ハス太は慣れた手つきでシャッフルを終えると、あっという間に配り終える。

 

「勝負は七回戦、その内一度でも貴公が勝てば、余は潔く帰るとしよう」

 

「盛大なハンデをどうも…」

 

 苦笑しながら手札を確認する。配られたのは♤A、♤2、♡5、♤9、♧Q。初戦は手堅くいくべきと判断した一誠、♡5と♧Qをチェンジした所、ものの見事に♤3と♤6がやって来た。

 

 アレイスターが手札をチェンジしたのを確認し、お互いに手札を開く。

 

「スペードのフラッシュ」

 

「ふむ、ダイヤのロイヤルストレートフラッシュだ」

 

「ふぁッ!?」

 

 いきなりの最強役に驚愕する一誠。不正はないかとハス太の顔を見るが、ハス太は黙って首を横に振る。即ち、不正無し。

 

「マジか、おい…」

 

「マジだ。さあ、兵藤一誠。勝負を続けようではないか」

 

 戦慄する一誠にニヤリと笑みを魅せるアレイスター。その怪しげな魅力に、一誠の背筋に冷たい冷たいものが走ったが、悟られないように不敵な笑みを浮かべ返す。

 

「……上等」

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 ゴクリと、誰かの生唾を飲み込む音が聞こえる。ぴりぴりとした空気が部屋に充満し、全員が瞬き一つせずに固唾を呑んで見守る中、金色の少年――『黙示録の獣』アレイスター・クロウリーが手札を開く。記されていた絵柄は蟷螂、百足、狼、欄、そしてパラドキサカマキリ。

 

「―――♡のロイヤルストレートフラッシュだ」

 

 悠然と放たれた言葉、示された最強の役。

 

「そ、そんな……」

 

「な、7回連続……」

 

 余りにも無情な現実に皆が絶望的な表情を浮かべ、顔を俯かせて震えている一誠を見やる。

 

「ああ、終わりだ……俺の勝ちでな!!」

 

 絶望に咽び泣いているかと思われた一誠は、しかし。獰猛な笑みを浮かべた貌を上げた。

 

 宣言と共に一誠の手札と捨て札のカード、合計13枚が光り輝く。それだけでは終わらず、今度は一誠自身も輝き始めた。カードはそのまま独りでに空中に浮かび上がると、光の粒子となり黄金に輝く5枚のカードになる。

 

「あ、あれは……!」

 

「知ってるのニャル子ちゃん!?」

 

「ええ、アレはギルドラウズカード! 実体が無いカードであり、封印されているカード13枚と融合した時に初めて使用可能になる物です! その力は他のカードとは一線を画し、対抗できるのは同じく13枚のカードが融合したワイルドカードだけと言われています!!」

 

 ハス太の問いにニャル子がドヤ顔で語り出す。玉藻はその内容を胡散臭そうな顔をして聞いているのだが、ニャル子は全く気付いておらず。

 

 もう『実体が無いカード』等と言っている時点でポーカーのルールがガン無視されているのだが、アレイスターが楽しそうに空中に浮かび上がったカードを観ている為に、黙って彼の側に侍るエセルドレーダ。

 

「いくぞ、アレイスター! 集いしスートが一つになる時、新たなカードが未来を照らす! 光射す道となれ! コール! 覚醒の輝き、ロイヤルストレートフラッシュッ!!!」

 

 黄金のヘラクレスオオカブト、スカラベ、鷲、山羊、そしてコーカサスオオカブト。尋常ではない力を内包したカードはAのヘラクレスオオカブトから順に一列に並ぶ。

 

「いっけえええええ!!」

 

 一誠の叫びと同時に、ラウズカードから『ウェエエイ!』という謎の音声と共に謎の光線が放たれ、アレイスターを包み込んでいった。

 

「ふっ……余の、負けだ」

 

 ポーカーにおいて、並ぶ物の無い最強の役の頂点に位置するスペードのロイヤルストレートフラッシュ。ソレを最後の最後に引き寄せた、絶大な幸運に感服したアレイスターは、自らの敗北を認めた。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 ―――七戦目にして逆転勝利を手にした兵藤一誠。かくして、一誠達は究極の存在である『黙示録の獣』の脅威から世界を守ったのであった 〜fin〜 」

 

「ニャル子さん、くだらない事してないでサッサと荷造りしてくれない?」

 

「アッハイ」

 

 一誠が世紀の大逆転勝利を飾ったポーカー勝負から10分後、一誠達は里帰りをするアレイスターの荷造りを手伝っていた。

 

 どうやらアレイスターはちょくちょく人間界を訪れていたらしく、昔は大して物が無かったと言うこの十字架内は、ここ百年の間に集めた様々なサブカルグッズで満たされており。

 

 端的に言うと中野ブロードウェイの様な有り様だった。

 

「ああーッ! コレは幻の『黒鉄のストライバー DVD BOX 完全限定生産版』じゃないですかああーッ!?」

 

 割り当てられた区画内のコレクションを黙々と分類分けして梱包していく一誠を他所に、ニャル子は先程からお宝を見付けては騒いでおり、全く作業が進んでいない。

 

「うっひょおおおおお! コンプリートセレクションのアマダムがあああ痛たたたたああああああッ!?」

 

 大興奮中のニャル子の影が揺らめいだかと思うと、一瞬で蛇のようになりニャル子に絡み付く。そのままコブラツイストに移行してニャル子の身体を絞め上げた。

 

「ちょ、痛い痛い痛い!! 一誠さん何をするだあああああ!?」

 

「真尋に“ニャル子が働かなかったら傷が残らない程度に傷め付けて働かせてくれ”って言われたからね」

 

 ニャル子の方をちらりとも見ずに、淡々と言い放つ一誠。友人に頼まれたからとは言え、(見た目)美少女に平然と関節技を極める辺り、大分イラッと来たのだろう。

 

「くっ! 流石ですね真尋さん…まさか友人に妻の折檻を依頼するとは、なんという鬼畜…! コレは私も被虐趣味に鞍替え…あ、スミマセン。真面目にやりますです、はい」

 

 能面の様な無表情の一誠を見たニャル子は、いい加減真面目にやらないとマズいと悟ったのか、生体時間の加速(クロックアップ)を使用。凄まじい勢いで荷物を梱包し始めた。ソレを見た一誠は何故そんな便利な物があるのに使わないのかと首を傾げながら溜息をつき、呟く。

 

「バーベキューの準備あるんだからサッサと終わらせてくれよ…」

 

「ほう、バーベキューとな?」

 

「え?」

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

「白野、肉野菜20本出来たぞ」

 

「はいよ。イッセー、追加20本と運搬20本頼む」

 

「ん、了解」

 

 夜の砂浜にて、一誠、白野、真尋の男三人組はひたすらにバーベキューを作っていた。なにせ、並の男子の倍は食べる女子が10人近く居るのだ。焼いた端から串は消えていくので、三人は食べる暇がまるで無い。

 

 一誠が具を串に刺すのと運搬と串洗い、真尋が味付け、白野が焼き担当である。

 

 焼き上がった串を一誠が影を操作して女子+男子(?)の元に運びこむと、皆あっという間に串を持っていく。

 

「やべぇ、玉葱と豚肉切れた!」

 

「こっちもハチミツが無いぞ!」

 

「イッセー! 炭がもう限界だぞ!」

 

 ちらりとテーブルの方を見た所、女子達はまだまだ食べ足りないようで、ガールズトークに花を咲かせながら追加の串を要求している。

 

「ふむ、これがバーベキューか…良い味だ」

 

「マスター、こちらを。ミディアムです」

 

 バーベキューを食べた事がないと言うアレイスターとエセルドレーダの二人も交えてだが。

 

「ええい、かれこれ200本は焼いてるっつうのに…女子の胃袋は底無しか!? いや、まあ、男子もいるけど!」

 

 転移魔法で行きつけの業務用スーパーに移動、不足した食材を買い込んで再び海辺へ転移。食材を補充したら無人の山に転移し、適当に小さ目の木を斬り倒して【紅き焔】で炭にする。この間、わずか4分である。

 

「なあ一誠、コレ、僕達の分は……」

 

「考えるな! 最悪その辺のラーメン屋にでも連れてってやるから、今はひたすらに手を動かせ!」

 

「クッ、アーチャーさえ居れば……!」

 

 結局、その後も300本程焼き続け、最終的に500本近く焼いた辺りでようやく女子から満腹宣言。

 

 空きっ腹を抱えた逸搬人三人組は、後片付けを女子に任せ、フラフラと食事を求めて街へと歩き出すのであった。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 深夜。食事を終えて、帰宅の準備をしていた一誠の元にアレイスターとエセルドレーダが訪れた。今から故郷に帰るので、久々に楽しませてもらった礼に渡したい物が有るとの事。

 

「なに、余が渡したいから渡すだけだ。遠慮せずに受け取るが良い」

 

 “大した事はしていない”と言って断ろうとするがアレイスターの言葉とエセルドレーダの無言の圧力に屈した一誠は、アレイスターが懐から取り出した、均整のとれていない不格好な筺を受け取った。

 

 一誠が筺を開き、そっと中を覗いてみると、そこには7本の支柱で支えられた、黒い結晶体が……

 

「お返ししますッッッッッッ!!!!」

 

 刹那の内にアレイスターに返却する一誠。コレはタダの人間程度に御しきれるモノでは無いと、本能が全力で叫んでいたからだ。

 

「マスターの贈答品が受け取れないと言うのですか? ヒトの子風情が、随分な態度ですね」

 

 贈り物を突っ返すという失礼極まり無い一誠の態度にエセルドレーダが激おこぷんぷん丸状態で睨み付けるが、ソレで引く訳にはいかない一誠。

 

「いや、そうじゃ無くてですね? コレは余りにも俺の手には余る物ですよ? コレ、アレでしょう? 『輝くトラペゾヘドロン』でしょう?」

 

 『輝くトラペゾヘドロン』。クトゥルフ神話に登場する黒い結晶体で、あらゆる時間と空間に通じていると言われる超常物体である。

 

 こんなトンデモ物質は受け取れないと言い張る一誠にイラッと来たのか、エセルドレーダが“聞き分けの悪い奴は軽くド突き回してやろう”とばかりに指をポキポキ鳴らすが、アレイスターがソレを手で制する。

 

「よい、エセルドレーダ。兵藤一誠、ソレはもはや余には必要の無い物だ。先程も言ったが、遠慮なく受け取るが良い。貴公ならば多少は扱えよう、余が保証するぞ」

 

「いや、保証するじゃ無くって……」

 

 一誠があーだこーだと言い続けていた時。

 

「―――見付けた」

 

 不意に届いた背後からの声に一誠とアレイスター、エセルドレーダが振り向くと、そこには黒い少女が居た。

 

「久しい、マスターテリオン」

 

「……ふむ、オーフィスか。なるほど、数千年振りだな」

 

 黒い少女――オーフィスがアレイスターに話し掛けると、懐かしそうな顔をしてアレイスターは応じた。

 

「それで、今日は何用だ? ああいや、言わなくてもいい。グレートレッドを倒すのに手を貸せと言うのだろう?」

 

「話が早い。マスターテリオン、いや黙示録の獣(トライヘキサ)。我と共にグレートレッドを討とう」

 

「だが断る」

 

 オーフィスが不気味な笑顔で差し出した手を、アレイスターは鼻で笑って弾く。オーフィスは何故自分の申し出が断られたのか理解出来ず、先程とは打って変わって困惑しきった表情を浮かべ、アレイスターに何故と問うた。

 

 アレイスターは哀れとでも言いたげな目でオーフィスを見やると、こう答えた。

 

「―――下らんな。己の住処など、己が力のみで勝ち取るべき最たるモノ。ソレを自分よりも格上の存在に勝ち取らせよう等と…全く、コレだから生まれついての神はつまらない。少しは人間を見習ったらどうだ? あの男は、絶対に勝てない相手にも数え切れない程――それこそ無限に等しい数の戦いを挑み続け、遂には打ち破ったのだぞ?」

 

 そう言って宇宙(そら)を見るアレイスターの姿は、ここには居ない誰かを思い出しているかのようであった。

 

 それに、とアレイスターは続け。

 

「―――余は、絶対に「YES」と答えると思っている混沌の神に「NO」と断ってやる事が大好きなのでな」

 

 ニヤリと、少年のような笑顔を浮かべた。

 

 アレイスターの徹底的な拒絶に、これ以上話しても無駄であると悟ったオーフィス。今度は一誠の方へと向き直り、勧誘の言葉を口にする。

 

 一誠は何故そこまでグレートレッドを倒したいのか疑問に思い、オーフィスに問いただす。

 

「次元の狭間は元々我のモノ。我は、あの静寂を取り戻したい」

 

 帰ってきたのは微妙にズレた答え。グレートレッドを撃退するだけならば手伝えなくも無いが、テロ組織に手を貸す事は出来ないと答えた一誠に対し、オーフィスは不服そうな顔をする。

 

「…我の力、あげる。だから手伝って」

 

 オーフィスが袖口から黒い蛇の様な物を差し出すが、一誠は決してソレを受け取る事はせず。

 

 頑として蛇を受け取らない一誠に諦めたのか、オーフィスは“また来る”とだけ言って瞬きの間に消え去った。

 

「……では、我等も行くとしよう」

 

 アレイスターはエセルドレーダの手を取ると、太陽の中心に目が描かれた紋章を持った、厳かで忌まわしい神気を放つ扉が現れる。

 

「あ、ちょ、ちょっと! トラペゾヘド……」

 

「さらばだ、兵藤一誠。次は純粋な(・・・)運のみで勝負しようではないか」

 

「え゛」 

 

 ―――バレてる。一誠がそう思った時にはもう、アレイスターは扉を潜り抜けており、その扉も下から光の粒子になって消え始めていた。

 

「……はぁ、バレて無いと思ったんだけどなぁ…」

 

 一誠は次元の狭間の果ての世界に到着する寸前、倍加の能力を使用して自身の『幸運』を増加(ブースト)していたのである。気になる回数は25回、およそ3355万倍。Fate風に言うなら幸運A+は堅い。

 

 ぶっちゃけると、相手が毎回ロイヤルストレートフラッシュ等という、ブッ飛んだ運の持ち主で無ければ最初の一発で勝負が決まってもおかしくは無かったのである。

 

 扉が完全に消え去ると、一誠は頭を掻きながら悩まし気にトラペゾヘドロンの入った筺を眺める。破壊は恐らく不可能であろうし、棄てたり他人に譲る等もってのほか。

 

「はてさて、どうしたモンかねぇ……」

 

 満月を眺めながら、独り呟く一誠であった。

 

 

 





ハイ、と言う訳で第18話でした。

今回でようやく海編も終わりです。いや〜長かった!

今回はいつもよりカオス8割増しでお送りしましたが、いかがでしたか?

疾風の如く現れて、嵐の様に去って行ったマスター・テリオン。彼は大変な物を置いていきました―――『シャイニング・トラペゾヘドロン』です。

ええ、第零封神昇華呪法です。どうしようコレ……

ちなみに、この二人はトラペゾヘドロンから『クラインの壺を突破したマスター・テリオンとエセルドレーダ』の記憶が流入した、あくまでも『斬魔大聖デモンベイン』に登場したのとは別人です。

まあ、『あらゆる時間と空間に繋がってる』らしいし、記憶の流入位ならするかなぁ…と。

なので、マステリ様の一人称が『僕』ではなく『余』なのは間違いではありません。

次元の狭間を散歩している際に、突如平行世界の記憶が流入。記憶の統制を図る為に行動不能に。ソレを偶然発見した聖書の神が封印しました。

コレが、『どう考えても遥かに格下である聖書の神が、どうやってマスター・テリオン封印したのか?』の答えです。

ハイ、ぶっちゃけますと、全く封印出来てませんでした(笑)

封印も中身弄って家にしちゃってますしね(笑)

そして初登場、『無限の龍神』オーフィスたん。おう、喜べお前ら、幼女だぞ(狂喜乱舞 

ちなみに、ウチの一誠君は『おっぱいドラゴン』では無く『歴代最強格の赤龍帝』です。

なので、原作ほどオーフィスたんの興味の対象にはなっていません。せいぜい『あ、こいつ手駒にしたら使えそうだな』位の関心です。

尺の都合で祐斗の話入れられんかったよ……orz



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第19話 足りなければ、足せばいいよね?

今回は久々に一人称視点を書きました。正直、久々過ぎてキャラ変わちゃってるかも…(汗)

と言う訳で、第19話です。


「本当にスンマセン……」

 

「まあ、気にすんな」

 

 海での衝撃体験から2日後、一誠は冥界のとある病室にて匙元士郎と話していた。理由は簡単で、匙の治療のためである。

 

 昨夜、いつもの様に皆の夕飯を作っていた一誠の元にアザゼルからの緊急要請が入ったのだ。内容はSS級はぐれ悪魔の『黒歌』が魔王主催のパーティーに侵入し、リアス・グレモリーの眷族の塔城小猫を拉致。それを阻止しようとした匙、巡巴柄が負傷した。

 

 外傷は『フェニックスの涙』で治癒出来たのだが、仙術と妖術による複合技で身体の気脈が滅茶苦茶に乱されてしまった為に、三大勢力関係者で唯一仙術が使用可能である一誠とヴァーリが呼ばれたのである。なお、巡の方はヴァーリが治癒している。

 

「失礼します。兵藤君、匙の容態は…」

 

「ああ、ソーナさん。もう大分治ってますよ、二週間も有れば完治出来ますね」

 

 入室してきたソーナ・シトリーに容態を告げると、ホッとしながらも、無念そうな表情を浮かべる。

 

「え!? に、二週間も!? ひょ、兵藤! 何とか3日以内に治せねぇッんがぁッ!?」

 

 完治には二週間かかると告げられた匙はベッドから跳ね起きるが、一誠に頭を引っ叩かれてベッドに叩き落とされる。頭を押さえて悶えている匙に、バカを見る目をした一誠が諭すように話しかける。

 

「バカ野郎。仙術と妖術の複合技で生命力をダイレクトに削り取られたんだ、命があっただけ幸運だと思え」

 

 寿命がゴッソリと持っていかれたのだ、いくら悪魔が長命とは言え、いきなり寿命が削られてマトモに動ける訳が無い。まして身体の気脈はボロボロ、碌に魔力も練れない身体で何をしようというのか。

 

「そうですよサジ。確かに貴方とトモエが居ないのは痛手ですが、貴方達の体調には変えられません」

 

「で、でも、会長! 今度の試合は、冥界の重鎮達や、他神話の方達が大勢来るんでしょう!? そこで負けたりなんかしたら、ただでさえ悪い会長の立場が…!」

 

 立場が云々と言う不穏な言葉が聞こえた為に、どうかしたのかと聞いてみれば、6日後に『若手四王』の一人であるディオドラ・アスタロトとのレーティング・ゲームがあるとの事。

 

 どうして匙があそこまで早く治療を終える事に固執していたのか納得した一誠は、ふと考える。ディオドラ・アスタロトは現在『禍の団』の内通者として疑われている容疑者の内、最も黒に近い男。ソーナ達が上手く煽れれば、何か尻尾を出すかもしれない…と。

 

「…しょうがない」

 

 見かねた様な表情を浮かべながら一誠は口を開く。かなり負荷がかかるが、2週間の治療を5日以内に縮められると。その言葉を聞いた二人は、ガバッと頭を上げ、一誠の顔を見やった。

 

「で、出来るのですか!? それなら…いえ、しかし…」

 

 頼もうとした所で、ソーナが口ごもる。なにせ、どれ位の危険が及ぶかがまるで分からないのである。2週間の療養で完治出来る傷を治す為に、匙と巡にリスクをもたらすのは『王』として正しい事なのか、ソーナは考え込む。

 

「大丈夫です会長! 多少の負担ぐらい、全然へっちゃらですよ! 兵藤、本当に5日で動けるようにしてくれるんだよな!?」

 

「お前達次第だけどな。耐え切れば、動ける様になるのは保証するぞ。その代わり、失敗したらミンチになる。まあ、とりあえず死にはしないぞ」

 

 それでもやるのかと問い掛ける一誠に、匙と、後からやって来た巡は構わないと言い切る。2人の意志を確認した一誠は、ソーナの目を見据えた。あくまでも2人はソーナの眷族であり、一誠の身内では無いため、確認もせずに実践する訳にはいかないからである。

 

「会長…!」

 

「お願いします、会長…!」

 

 匙と巡がすがる様な目で懇願してきた所で、ソーナは溜め息を吐く。こめかみに指を当て、苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべながら、再び溜め息を吐くと、しょうがないと言いたげな苦笑を浮かべる。

 ソーナは襟を正してから一誠の顔を見て、深々と頭を下げる。

 

「…どうか、二人をよろしくお願いします、兵藤君」

 

「はいはい。それじゃ、二人は借りてきますね〜」

 

 そして、一誠は二人を連れてどこかへ転移した。

 

「…大丈夫なのでしょうか…」

 

「大丈夫、大丈夫。イッセーくんが『死にはしない』って言ったんだから、死ぬ事は絶対無いって! アーシアも居るんだし」

 

「いえ、あの、死ななければ良いと言う訳では……」

 

「大丈夫! イッセーくんはその辺シッカリしてるから、最悪肉塊になっても、死んでなければどうとでも出来るよ!」

 

 あっけらかんと言い放つヴァーリに、自分は早まった判断をしたのかもしれないと、ソーナは頭を抱えてしまう。

 黒い触手をうねらせながら『会長!』と話し掛けてくる、モザイク必須の赤グロいナニカを想像してしまい、顔を青ざめさせながらガクブルと身体を震えさせるソーナ。

 若干パニック気味なのか、魔王だけでは無く、何故か、本来は仇敵である神にさえも二人の無事を祈り始める。

 

「きゃんっ!?」

 

 当然やってくる頭痛に、ソーナは再び頭を抱えるのであった。

 

 

◇◇◇

 

 

 月日は流れ6日後、冥界に作られたレーティングゲームの特設アリーナ、そのVIP席に一誠は座していた。VIP席には一誠の他にも、燐天使のミカエルとガブリエル。グリゴリ総督のアザゼルと白龍皇ヴァーリ。北欧の主神オーディン。ギリシャの主神ゼウスにポセイドン、ハーデス。そして須弥山の帝釈天等々、尋常では無い猛者達が勢揃いしていた。

 

 なお、ヴァーリは一誠の膝上に座っており、それを見たオーディンのお供のヴァルキリー、ロスヴァイセがギリギリと歯ぎしりをしているのはご愛嬌。この二人、何気に仲が悪いのである。理由は言わずもがな。

 

「―――それでお前さん、結局どうやってあいつ等を復活させたんだい?」

 

 匙と巡についてヴァーリから話を聞いていたアザゼルは、一体どんな荒療治を施したのかと怖いもの見たさで一誠に問いかけた。

 だが一誠はニッコリと微笑むだけで何も語らず。ただ一言、『生命力が足りなければ、足せばいいよね?』とだけ答えた。

 

 その一言から色々と察したアザゼルは、引き攣った表情でモニターに映る二人の顔を見やる。片や、精悍な顔立ちで威風堂々と仁王立ちをしている少年。片や、試合が始まるのを今か今かと、その眼をギラギラ輝かせながら腰の刀に手を添えている少女。

 二人共、まるで歴戦の古強者の様な覇気を帯びており、ぶっちゃけて言うとソーナ以上に目立っていた。無論、悪い意味で。

 

 1週間前と比べると、驚きのビフォー・アフターである。

 

 アリーナの中央部にて、ソーナとディオドラが互いに握手を交わし、実況のインタビューに対してそれぞれ自信満々に勝利宣言をする。

 沸き立つ観客を余所に、一誠とアザゼル、そしてヴァーリは冷静にディオドラを観察する。各魔王と天使、ゲストである他勢力の神々には事前に連絡を済ませてあり、万が一ディオドラが妙な事をすれば即座に取り押さえる手筈にはなっている。とはいえ、警戒しておくに越した事はないのだ。

 

 実況のセラフォルー・レヴィアタンによると、今回のレーティングゲームのルールはシンプルな全眷族参加形式のサドンデスバトル、ステージは124種類の中からランダムに決定するとの事。解説席には何故か、つい先日遭遇した金髪ツインテールの人魚が鎮座しているが、誰も何も指摘しないのでスルーする一誠。

 

 運営側からの注意事項が提示された後、カウントダウンが始まる。

 

いよいよゲームが始まるといった瞬間、異変は起こった。会場の内外の至る所で凄まじい爆発が発生し、それと同時に特設アリーナを取り囲む様に無数の悪魔と魔術師、黒い異形の怪物達が現れたのだ。

 また、時を同じくしてVIP席にも異常が起こる。一誠とヴァーリの周囲に黒紫色の霧が発生し、その身体をあっと言う間に取り込み、消失したのだ。

 更にそれだけでは無く、同じくVIP席に居た北欧の主神オーディンと、ギリシャの主神ゼウスも黒紫色の霧に飲み込まれていったのである。

 

「な、一誠!? ヴァーリ!? ジジィ!? クソッ、やられた! 連中、先に最高戦力を隔離しやがった!」

 

 アザゼルが憎々しげに叫び、懐から人工神器『堕天龍の閃光槍』を取り出し禁手化しようとした瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――が、はぁ……ッ!?」

 

 

 

 突如虚空から現れた白銀の剣にその胸を貫かれた。剣はアザゼルの胸から引き抜かれると、再び虚空へと消え去る。

 支えが無くなったアザゼルが地面の血溜まりに倒れ込むのと同時に、数え切れない程の攻撃が飛来。VIP席を粉砕した。

 

 

◇◇◇

 

 

 

 霧が晴れると、(一誠)は無人の荒野に立っていた。今の霧は多分、神滅具の『絶霧』だろうな。

 奇襲を警戒しながら即座に禁手化、アロンダイトを地面に突き刺し、そこを起点にして周囲に魔力の波をソナーの様に放つ。

 魔力波は衝撃を伴いながら音よりも早く周囲に拡散していくが、200メートル程進んだ所で掻き消される。なるほど、あの辺か。

 

「術式開放【紅蓮蜂】」

 

 事前に仕込んでおいた遅延呪文を発動。周囲に無数の紅色の雀蜂が現れる。なるほど、呪文は使えるみたいだな。てっきり魔力を分解する空間にでもしてるかと思ったんだけど。

 とりあえず、周囲の蜂をソナーが消された地点に向かわせ、起爆。1匹につき十数メートルは吹き飛ばす爆弾数百匹が一気に爆発したのだ、相手が何であれ、無傷と言う事は無いと思う。

 

 なんて事を考えていたら、爆炎の内部から凄まじい速度で槍の穂先が伸びてきた。それどころか、一拍遅れて魔術やら矢やら剣やら銃弾やら、果てはミサイル等々、様々な攻撃がすっ飛んで来た。うん、まあ、完全にフラグだったもんげ、ちかたないね。

 とりあえず、もう目と鼻の先にまで迫って来てるメチャクチャ神々しい槍を対処しよう。コレが1番威力高そうだし。

 

 地面に突き刺していたアロンダイトを引き抜いて、勢いそのままに槍の穂先を下からカチ上げて弾き飛ばす。飛んできた魔術は【斬魔剣】で斬り捨て、矢と剣と弾丸は影布で無力化、ミサイルは残りの紅蓮蜂で撃墜。

 

 弾いた槍が縮んで戻って行こうとしていたので、柄の部分に捕まって一緒に引っ張られていく。本体までご案内願おうジャマイカ。

 なんて横着してたら数秒もした所で槍が縮むのを止め、爆炎を切り裂いて6本腕の白髪が飛び出して来た。明らかに重さ違うんだし、そらバレるわな。

 白髪が手に持つ6本の剣の内、右手と左の肩甲骨から生えている手の2刀からは凄まじく嫌な気配が漂っている。アレ多分龍殺し(ドラゴンスレイヤー)だな、触らんようにしとこ。

 

「ハァァァァァッッ!!」

 

 気合一閃で左右の龍殺しで斬り付けてくる白髪。いきなり龍殺しかよ、ソレは駄目だろう。RXが開幕リボルケインしてくる様なモンだぞ。

 

 流石に6本腕相手に手数じゃ勝てそうに無いので、アロンダイトを全力で降り下ろして迎撃。腕4本じゃ受け止めきれないと察知した白髪は攻撃を中止してガードに入った。うん、予想道理。

 アロンダイトから手を離して、白髪の後ろで呪文を詠唱していた眼鏡に投擲。障壁を張られてしまったので仕留める事は出来なかったが、詠唱を妨害出来たので良しとしよう。素直に上段構えでガードしている白髪には、ガラ空きのボディに豪殺居合拳をプレゼントしておく。

 

「がハッ……!?」

 

 おお、咄嗟に背中の腕2本使ってガードしおった、やるな白髪。まあ、ダメージは減らせて2割位だろうけど。

 そのままササッと追撃して仕留めようとした所で、右から無数のミサイル、左と背後から無数の魔術、上から剣で出来たドラゴン、そして正面から聖なる光が向かって来た。うん、まあ、八方塞がりには遠く及ばないな。確実に仕留めるんだったら、追加でグレイプニルでも持って来い。

 

 真上に跳躍し、ご丁寧に大口開けているドラゴンを【雷の投擲】を10本程叩き込んで串刺しにし、右のミサイル群に蹴り込む。ドラゴンは先頭のミサイルに命中して爆発四散、飛び散った破片が周囲のミサイルに当たって連鎖爆発。ドラゴン倒してミサイルも回避成功、一石二鳥だな。

 

「術式解放【奈落の業火】」

 

 振り返りざまに左と背後の魔術を敵ごと【奈落の業火】でローストして迎撃。さて、お次は前方の聖なる斬撃だな。ぶっちゃけると、コレが1番大した事無い。当たればヤバいけど、こんな鈍足の攻撃に当たる程トロいつもりは無いからね。

 虚空瞬動十九連で一気に槍使いの元に俺、参上。学ランの上に漢服を腰縛りにしてる槍使いは、突然現れた(かの様に見える)俺に愕然とした表情をしている。うん、話は署で聞くね、お休―――

 

「曹操!」

 

 ランサー仕留めようとしたら、背後からパツキンのチャンネー(死語)が飛び掛かって来た。本来だったら絶対やらないんだけど、敵だし面倒だから顔面に後ろ廻し蹴りを叩き込んで撃墜。逃げ出さない様に影布と【魔法の射手 戒めの風矢】で拘束してから【石化の邪眼】で石にして空間倉庫に放り込む。よし、尋問用員確保。後はランサーを仕留め…あれ、いない。10秒も掛けてなかったんだが、何処に…

 

「―――奥の手を使っていなかったとは言え、俺達英雄派の精鋭をものともしない、か。なるほど、噂に違わぬその力、実に素晴らしいじゃないか!」

 

 あ、ランサー見っけ。地面に刺した槍の穂先を伸ばして、石突の部分に片足立ちしながらコッチ見てる。なんだコイツ、凄いウザいわ。

 

「まずは突然の無礼を詫びよう、『赤龍帝』兵藤一誠。俺の名は曹操、『禍の団(カオス・ブリゲード)』の『英雄派』第一部隊のリーダーをやっている者さ。因みに、三国志の曹操の直系の子孫だよ。俺達はみな何かしらの英雄の子孫でね、偉大な御先祖様の名を名乗っているのさ」

 

「…当代『赤龍帝』兼、対テロ特殊部隊『D×D』戦技教導官兼、遊撃部隊隊長、兵藤一誠。七代遡っても一般市民だ」

 

 本当は名乗る義理も義務も無いんだが、まあ、こういうのはノリだ。なんかアイツ、ちょっと煽てりゃ色々口滑らしそうな顔してるし、ここで一旦情報の整理も兼ねてボーイズトークでもするとしよう。ついでに、この隙にアロンダイトを回収して…遅延呪文も幾つか仕込んどくとしよう。

 

「ハハ、君も隊長をやっているのか。規模の違いはあれど、お互い大変だな!」

 

「あいにく、俺の部下はお前の所のチンピラと違って規律正しいんでな、苦労はしてないんだ」

 

「やれやれ、つれない返事だな…まあ良い、こうして君だけを連れてきたのは理由があるんだ。まどろっこしい、形式的な文句は省いて単刀直入に問おう―――兵藤一誠、俺達と共に英雄にならないか?」

 

 アイタタター、コイツいい歳こいて厨二病かよ。いや、まあ、神器なんて持ってたら厨二病にもなるか。そもそも『英雄』ってなろうと思ってなるモンじゃ無いだろうが。

 うーむ、コイツは予想外だ、まさかこんな馬鹿だとは思わなかった。まだ『世界征服しよう』とかの方がマシだぞ。まあ、とりあえず…

 

「断る」

 

「なっ…!?」

 

 いや、何でそんな驚いてんだよ、受ける訳ねーだろうが。ソレ引き受けて俺に何のメリットがあると言うのか。

 

「何故だ、それだけの力がありながら、何故人外共に顎で使われている!? 何故その立場を甘んじて受け入れる!? 人間としての誇りは無いのか! 人の身でどこまで高みに到れるか、確かめたくは無いのか!?」

 

「そんなモン、別にテロリストにならなくても幾らでも挑戦出来るだろう。つーか、お前ら言ってる事とやってる事がメチャクチャなんだよ。人外共に挑むとか言っときながら、やってる事は神器持ちの一般人の拉致と冥界の市民への散発的なテロ行為ばかり。」

 

 強さ的には相当な筈なのに、どうも中ボス臭がするんだよな、コイツら。何て言えばいいのかな…ああ、そうだ。中途半端なんだ。

 現状、流されるままに戦技教導官なんぞ引き受けてる俺が言うのもなんだけど、コイツらには信念が感じられ無い。

 英雄になりたい? 結構。人外に挑戦したい? 結構。

 

 じゃあ何で『禍の団』に所属して『旧魔王派』と共同作戦やってんだよ。『英雄』自称してんだったら『悪の組織(カオス・ブリゲード)』に喧嘩売れよ。

 

 ―――まあ、結論を言うと、だ。

 

「お前らは力と英雄の血に酔ってるだけの厨二病だ」

 

 『英雄』とは『人々に賞賛される偉業を成した者』だ。チマチマとテロ行為ばっかりやってるチンピラなんぞ、『英雄(ヒーロー)』どころか『反英雄(アンチヒーロー)』にもなれやしない。wiki○ediaで『ヒーロー』についての項目でも見直して来い。そもそも何だその服は、学ランに漢服とかクソダサいし!

 

「……そうか、残念だ。君ならばきっと英雄になれていただろうに」

 

 そう言うと、曹操が俺に槍を向けてくる。もう話し合いは終わりだ、遅延呪文も十分仕込んだし、叩き潰してふん縛る。

 まだ他の連中もそこそこいるし、まずはあのハリネズミ状態のキン肉マンから仕留めるか。曹操は後回しだ。

 影分身を3体展開し、それぞれを曹操、白髪、眼鏡にけしかけ、(本体)はキン肉マンに仕掛ける。

 瞬動で懐まで入り、アロンダイトで逆袈裟に斬りつける。が、数センチ程度しか斬れない。予想以上に堅かった。コイツに斬撃は向いてないな、打撃と魔法で仕留めよう。

 

 キン肉マンの全身ミサイルを、最近編み出した『水平瞬動』で回避。さて、何を撃ち込むべきか。最低限、中級以上じゃ無いと効かないだろうし。とりあえずオーソドックスに【雷の暴風】でいってみるか。

 キン肉マンが全身のミサイルを撃ち終えた瞬間に上腕と鎖骨を掴んで背負い投げ。地面と熱いベーゼを交わしてもらう。怯んだ隙に右脚を垂直に持ち上げて【雷の暴風】を装填、頚椎に全力で踵落としをお見舞いする。正直オーバーキルな気がしないでも無いけど、追撃で【氷神の戦槌】も叩き込んで、トドメに【雷の投擲】装填パンチを20回程叩き込んでから石化して回収。コレで残りのリーダー格は三人。

 

「やれやれ、耐久力の無いジャンヌはともかく、まさか俺達の中で1番頑丈なヘラクレスまで墜ちるとは…恐ろしい限りだよ、赤龍帝の魔法は」

 

 曹操と眼鏡、白髪がやって来た。流石に分身じゃあ倒せないか。まあ、キン肉マンを倒す時間が稼げたから良しとしよう。次は…白髪かな。

 

 アロンダイトを構え白髪を仕留めようと駆け出した瞬間、『赤龍帝の鎧』が俺の意志とは無関係に勝手に解除された。なんだ、どういう事だ?

 

「『異能の棺』。自身の体力と精神力を極限まで消費する事で、対象の異能を一時的に封じる神器さ。コレで君の赤龍帝の籠手を封じさせて貰ったよ」

 

 ドヤ顔で解説してくる曹操。すげぇイラッとする。周囲を見渡せば、どこに隠れていたのか数人の魔術師がこちらに杖を構えている。あの中の誰かが術者だろう。

 

「……面倒な物を…」

 

 さて、どうするか。神器が使えない以上、使えるのはアロンダイトと魔法と気だけ。これだとちょっと三人同時に仕留めるのは骨が折れるな。まずは術者を仕留めないと…とりあえず、咸化法最大出力、発動。

 発動と同時に某野菜人が金髪になった時のように周囲の地面が粉砕、陥没する。うん、最大出力で使うのは久々だな。

 

「な、この圧力は…!?」

 

「馬鹿な、神器は確かに封じたぞ!?」

 

 白髪と眼鏡、驚き過ぎだろ。どうせ、魔法使いなら神器さえ封じればどうとでも出来るとか考えてたんだろうけど、生憎だったな。

 

 赤松作品の魔法使いは接近戦の方が得意なんだよ。

 

 咸化法のお陰で多少は戦闘能力が上がったが、コレだけではまだ手こずりそうなので更に一枚手札を切る。

 

 全身を影布で包み込み、ピッチリと頭部まで全身タイツの様に覆う。一枚被せたら二枚目、二枚被せたら三枚目といった具合に、影布を次々に重ねて圧縮し、多重積層装甲を生成。身体中に鋭利な衝角を作り、背中には魔力ブースター、関節と急所部分には特に強固な装甲を展開する。

 展開時間わずか17秒、神器が使用出来ない状況を想定し、2年掛けて編み出した【近接格闘影装:黒龍戦鎧】の完成。

 発動時には多少の魔力を消費するが、一度発動してしまえば装甲の修復とブースター以外では一切魔力を使わない省エネ仕様だ。

 

 アロンダイトを構え直して曹操達を見据える。この隠し球を見られたんだ、何が何でも取っ捕まえてやる。 

 

「やれやれ、『赤龍帝の籠手』さえ封じれば何とかなると思っていたんだが、いささか見通しが甘かったようだ。一体幾つ引き出しを持っているのやら―――仕方ない、こちらも本気で行くとしようか。禁手化(バランス・ブレイク)

 

 凄まじく噛ませ臭のする台詞と共に曹操が禁手化、その周囲にボウリング位の大きさの球が7つ現れた。何だ何だ、まさか神龍とか呼び出すんじゃ無いだろうな?

 

「これが俺の禁手『|極夜なる天輪聖王の輝廻槍《ポーラーナイト・ロンギヌス・チャクラヴァルティン》』だ。最も、まだ未完成なんだが……」

 

「ハイハイスゴイネー」

 

 本来だったら能力が分からない相手に突っ込むのは危険極まりないが、今は時間が惜しい。悦に入りながらご丁寧に禁手の解説を始める等という、人の事を舐め腐っている曹操に縮地で肉薄して全力の【雷光剣】で消し飛ばす。え? 卑怯? 油断する方が悪い。

 

「―――おいおい、話の途中で攻撃するのは感心しないな」

 

 仕留めたと思ったが、やはりそんなに甘くはなかった。纏めて消し飛ばした筈の三人が俺の背後に居たのである。と言うか、周囲の風景が変わってるから多分、俺を空間転移で後ろに飛ばしたんだろう。転移された瞬間がまるで分からなかったな…これじゃ不用意に接近戦が出来ない。全く持って面倒極まり無い。

 

 この空間に引っ張り込まれてからおよそ7分30秒、下手すれば外と時間の流れが違うかもしれない。まずいな、もう四の五の言っていられない。

 

「その様子だと、何をされたのか気付いているようじゃないか。今のは馬宝(アッサラタナ)と言う能力で……」

 

「曹操」

 

 …頼むから、使わせてくれるなよ。火は生け捕りには向いて無いんだ。

 

「俺は今から、今の俺に出来る最大の一撃を撃つ。死にたくなければ投降しろ」

 

 警告はした。さあ、どうする。

 

「フッ、確かに神器無しにしては頑張っているが、今の君の動きならば十分に目で追える。思い上がるのもそこまでにしたらどうだ?」

 

 …投降の意思は無し、か。しょうがない―――この空間ごと灼き尽くす。

 

「双腕解放。右腕固定【燃え盛る炎の神剣】、左腕固定【燃える天空】――術式統合。装填、『裏切りの魔剣(アロンダイト)』」

 

 右腕に顕現していた大剣と、左腕の炎が1つに溶け合い、アロンダイトを依代にして新たな剣を生み出す。

 

「【神炎剣『灼世ノ杖』】」

 

 顕れたのは、常軌を逸した熱を内包した、一本の赤い大太刀だ。存在するだけで俺以外の周囲の全てを灼いていく太刀を見た曹操は、慌てて極大の聖なるオーラを放ってくるが、もう遅い。

 

 太刀を脇に構え、振り抜くと同時にその熱を解き放つ。何処にも逃げ場などは有りはしない。

 

「術式解放【焦熱世界・激痛の剣(ムスペルヘイム・レーヴァテイン)】」

 

 刀身が赤黒の炎と化し、この創られた空間を包み込み込んで、灰塵すら残さずに全てを灼き尽くした。

 

 

 




ハイ、と言う訳で第19話でした。

今までもチョコチョコと原作改変が起きていましたが、今回は一際大きく変わりましたね。

内容的には5、6、9、10、12巻を足して割った様な感じです。

今回の『旧魔王派』と『英雄派』による同時襲撃は、ウチの一誠君がこの時期(作中8月)において原作よりも遥かに脅威度が高かった事と、原作よりも数ヶ月早く『D×D』の結成が決定した為に起こりました。要は『ヤバいのがもっとヤバくなる前に潰しておこう』って事ですね。

戦闘中、一切倍加の音声が入っていませんでしたが、一誠君は常に最大まで倍加してから攻撃してます。正直、いちいち『Boost!』って書いてたらクド過ぎるので……

そしてサラッと流した初登場の百均ヴァルキリーのロスヴァイセさん(笑)
彼女やヴァーリ達の状況については次回以降になります。

今回一誠君が披露した必殺技【近接格闘影装:黒龍戦鎧】と【神炎剣『灼世ノ杖』】。

【黒龍戦鎧】についてはブラックウォーグレイモンx抗体をイメージして貰えれば大体OKです。

申し訳ないが、【神炎剣『灼世ノ杖』】については『何で太刀なんだよ、それじゃアホタルじゃねーか』と言うツッコミはNGでお願いしますこの通り! Orz 何でもしますから!

コレは現状、『ロンギヌス・スマッシャー』を抜きにすれば最大火力ですね。一応、豪獣鬼程度ならば文字通り塵一つ残さずに灼き尽くせます。因みに、屋外で使う際にはキチンと障壁を展開して逃げ場を封じます(笑)

それでは最後に一言。






頼りになる仲間が主人公勢だけの特権だと、何時から錯覚していた?(ニヤリ


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第20話 誰が喋って良いって言ったよ?

遅ればせながら、明けましておめでとうございます! 今年も1年、頑張って更新していきたいと思います!

あ、それと現在、活動報告にて当作『ハイスクールD×Dに転生した』の通算10万UA突破記念(ちょっとフライング)の番外編用のアンケートを実施しています。もし良かったらご協力お願いしますm(_ _)m

と言う訳で、第20話です



「アザゼル!」

 

 ミカエルは地面に倒れたアザゼルを抱き上げ、即座にVIP席の壁を突き破って脱出。その数秒後にVIP席は無数の悪魔と魔法使いと怪物の攻撃を受けて崩壊した。

 

「ある程度の襲撃は予想していましたが…!」

 

 アリーナの内外は既に戦場と化していた。護衛の部隊は100メートル以上の巨体を誇る怪物群の内、一際巨大な異形の怪物から無尽蔵に発生してくる小型の怪物の対処に精一杯になっている上に、セラフォルーとサーゼクスは超巨大怪物を撃破しようとしているのだが、周囲の味方のせいで全力が出せていない。

 故に『禍の団』の悪魔と魔法使いの相手が出来る者が少数しかいないのである。

 

「っと…!」

 

 地上からの攻撃を躱して光の槍で迎撃する。光の槍は無数の光の矢に分裂し、地上で暴れまわっている魔獣と旧悪魔勢を消し飛ばすが、即座に先程とは比較にならない量の反撃が飛んで来た。

 空中では体のいい的だと判断したミカエルは比較的戦況が穏やかな場所に着陸、懐から『フェニックスの涙』を取り出してアザゼルの傷に振り掛けた。傷はあっと言う間に塞がっていき、アザゼルの顔色も多少はマシになっていく。

 

「―――おっ、来た来た!」

 

「ッ!」

 

 ようやく深呼吸する暇が出来たミカエルが敵の迎撃に向かおうとした途端、虚空から新たな敵が現れた。

 

 朱槍を肩に担いだ長身の男、先程アザゼルを貫いた白銀の剣を持った全身鎧の騎士、銀の軽鎧を纏った美丈夫。

 

 その全員が最低でも上級悪魔が可愛く見える程の覇気を宿しており、下手をすれば最上級悪魔クラスの者さえもいる。とてもミカエル一人で対処しきれる人数では無く、加えてアザゼルはまだ意識を取り戻してはいない。

 

 状況は最低に近かった。

 

「…貴方達は?」

 

「ん? おおっと、こいつは失礼。俺は……そうだな、ランサーとでも呼んでくれや。『禍の団』英雄派の第二分隊に属してるぜ、一応な」

 

 禍々しい朱槍を携えた青年は、そう言ってニヤリと笑う。

 

◇◇◇

 

「クッ、このぉッ!」

 

 ロスヴァイセはアリーナの護衛の天使、悪魔と共に無限に湧いて出てくる小型と中型の魔獣の対処にあたっていた。自身の知り得る全ての攻撃魔法を常に放ちつつ、愛剣を振るって近くの魔獣を次々に斬り捨てて廻る。

 折角数年振りに一誠に会えると思って来てみれば、あの憎っくきヴァーリが常に一誠に張り付いていた為に挨拶程度しか交わせず、直後の襲撃のせいで離れ離れ。挙句の果てには、隙あらばヒトの尻を撫で回そうとする上司のエロボケジジィ(オーディン)が拉致られる。

 

 即ち、お付きであるロスヴァイセの責任問題。

 

「んもぉぉぉぉぉッ! なしてわだすばっか、こんな貧乏クジ引かされるさぁぁぁぁッ!?」

 

 アスガルドに帰った際の始末書やら減給やらを想像してしまい、いい加減にストレスでプッツンしてしまったロスヴァイセが方言丸出しで絶叫する。ストレスを晴らすかの様にありったけの魔法陣を展開し、オリジナル魔法のフルバーストで周辺一体の魔獣を根こそぎ消し飛ばした。

 

 が、日頃から色々とストレスを抱えているロスヴァイセのイライラはこの程度で晴れる訳も無く。

 ぺんぺん草も生えない程キレイに吹き飛ばした大地とロスヴァイセの憤慨ぶりにドン引きしている防衛部隊を一瞥すると、別の魔獣を求めて飛び立つ。

 

「…これ、戻ったら絶対ブリュンヒルデ様に怒られるよね……うぅ、減給待ったナシどころか左遷待ったナシかも…」

 

 肩を落として落ち込みながらも彼女の周囲には絶え間なく魔法陣が展開・発動され続け、下方では豪雨のように魔法が放たれ続けており、ちょっとした地獄絵図になっていた。

 

「フフッ…冥界で地獄絵図とは、笑えますね…」

 

 ささくれだったロスヴァイセが自分のいささか以上に不謹慎な思い付きを自嘲していると、不意にガラスが砕け散る様な音が響き渡り、

 

「――うーわ、結界抜け出して早々に嫌な女と顔合わせちゃった。ねえ、貧乏ヴァルキリー? イッセーくんどこに居るか知らない?」

「……こっちの台詞ですよ、アホ龍皇。一誠さんはどうしたんですか?」

 

 グッチャグチャの、辛うじてヒトの形を保った肉塊を片手に持った、白い鎧姿の少女――ヴァーリ・ルシファーが現れた。

 

 二人はお互いの顔を視認した瞬間、某ウザイ聖剣に絡まれた人の様な嫌悪感に満ちた顔をする。いつも通りメンチの切り合いからド突き合いに発展するかと思われた二人だが、流石に状況が状況なのでそんなことは無く。 

 

 「「まあ、まずはあのデカブツから潰しますか(そっか)」」

 

 この騒動の根源であると思われる超獣鬼達をロックオン。

 

『Half Distance!!』

 

 ヴァーリによって超獣鬼との距離が半減され、同時にロスヴァイセの周囲に灰色の雷を纏った巨大な槍が七本出現する。

 

「いっけえええええ!!」

 

 ロスヴァイセが叫び、槍は超獣鬼目掛けて飛翔。しかし、いかに巨大な槍とは言え、全長はせいぜい20メートル程。対する超獣鬼の全長は200メートル以上。

 サイズ差は熊と鉄串のような物だ、再生能力もあるし、大した効果は見受けられないだろう。そう思ったが故に、超獣鬼は無造作にロスヴァイセの槍を受けてしまった。

 そうして大槍が突き刺さった瞬間、異変が訪れた。槍の刺さった位置から周辺にかけてが、ペキパキと音を立てながら石化していくのである。

 

『■■■■■■■ッッ!?!?』

 

「うーん、やっぱり再生能力持ちには石化が一番ですね」

 

「相変わらずえげつないなぁ、この貧乏ヴァルキュリア」

 

 もはや声という範疇を超えた絶叫が轟きわたり、超獣鬼の周辺にいた小型魔獣や魔法使い、神器使いと悪魔達は根こそぎ吹き飛ばされる。

 

 しかし、障壁を展開しているロスヴァイセとヴァーリは微風でも受けているのかの様に平然としており、ヴァーリにいたっては半減の効果を凝縮した短槍を超獣鬼の石化していない部位に雨あられのように突き刺し続けている。二人の攻撃によって超獣鬼が弱っている事に気付いた悪魔と天使、堕天使の合同部隊はここぞとばかりにありったけの力を籠めた攻撃を放つ。

 

 一発一発の威力はそこまで高くも無いが、塵も積もればなんとやら。石化と半減への抵抗に殆どの力を費やしている超獣鬼はあっという間に磨り潰され、大きさは4分の1程度にまで縮小する。

 

「よし、貧乏ヴァルキュリアにばっかり活躍させるのは癪だし、ここは必殺技で華麗にトドメを刺そう!」

 

「……周囲に被害が出ない技にして下さいよ」

 

「お前と一緒にすんな」

 

 超獣鬼の上空に舞い上がったヴァーリが高々と右手を天に突き上げる。

 

「必殺……」

 

『DivideDivideDivideDivideDivideDivide!!』

 

 神器の効果音が響く度にヴァーリの左手に周辺からかき集めた魔力が収束していき、籠めた術式が全力で稼働していく。限界まで魔力が充填された事を確認したヴァーリは、高速で超獣鬼目掛けて落下し始める。

 

「ハイパーボリアァァァァ……」

 

「ちょ!? この馬鹿ッ……!」

 

 その手には白い炎が燦然と煌めいており、ヴァーリが何をしようとしているのか理解したロスヴァイセは大慌てで超獣鬼の周囲にいる迎撃部隊に防御結界を創り出す。

 

「ゼロ、ドライブッッッ!!!」

 

 超高速で放たれた絶対零度の手刀は超獣鬼を真っ二つに両断、氷結し、粉々に粉砕した。

 

「……決まった」

 

「『……決まった』じゃ、ないでしょォォォッ!!!」

 

「あ痛ッ!?」

 

 ビシッと手刀を振り下ろした体勢で呟いたヴァーリをグーで殴り飛ばしたロスヴァイセ。

 

「私言いましたよねぇ!? 周囲に気を付けてって言いましたよねぇ!?」

 

「違うよ、『周囲に被害が出ないような技にして下さいよ』って言ってたんじゃん。貧乏な上に記憶力も無いの?」

 

「一緒ですッ!! と言うかあの惨状をどうするつもりなんですか!?」

 

 超獣鬼が居た場所を片手で指差しながらヴァーリの胸ぐらをつかんでガックンガックン揺するロスヴァイセ。

 ロスヴァイセの指の先を見やれば、木々も大地も大気すらも氷結し、ロスヴァイセがギリギリで守った部隊員も凍り付いた障壁の中で身動きが取れなくなっている。まあ、愉快な氷像(オブジェ)と化している旧魔王派の悪魔達よりはマシであろうが。

 

「いや〜、ほら。皆無事だから良かったじゃんwww」

 

「わ・た・し・が! フォローしたからでしょうがッ!! 草生やすなァ!」

 

 ケラケラ笑うヴァーリにブチ切れたロスヴァイセ、ヴァーリ目掛けて【雷の暴風】級の威力の魔法を三点バーストで放つ。普通は至近距離で砲撃型の攻撃など避けられないのだが、そこは数千年生きたアルビオンをして“天才”と言わしめたヴァーリ。華麗に躱してお返しとばかりに魔力弾を叩き込む。

 

「なんの!」

 

「きゃーっち!」

 

 ロスヴァイセがそれ(魔力弾)を愛剣で切り捨て、勢い良く投擲するがヴァーリは容易く掴み取る。

 

「ハッハッハ、遅い遅い! 遅すぎてハエが止まりそ「【術式起動(アクティブ)】」アバばばバババ!?」

 

 兜を収納し、掴み取った剣を肩に担ぎながらロスヴァイセをおちょくろうとした瞬間、刀身の一部がスライドして放電を始めた。電撃をしたたかに浴びたヴァーリはまるで昔のアニメの様に全身黒焦げになり、透き通るように綺麗な銀髪もモッサモサのアフロ状態。

 

「うきゅぅ〜……」

 

 バッタリと仰向けに倒れたヴァーリ。目はグルグルと渦を巻き、口からはモクモクと煙を吐き出している。どう見ても戦闘不能状態だった。

 

「全く……ほら、起きなさい」

 

「あ〜、痛たたたた……ちょっと、何その剣!?」

 

「フフフフフ、良いでしょうコレ? 私の誕生日プレゼントに一誠さんが造ってくれたんですよ〜♪」

 

「ぐぬぬ……やたら痺れると思ったら…!」

 

 ヴァーリからひったくって取り返した剣を、両手で大事そうに抱えて、うっとりとした表情で頬ずりするロスヴァイセ。傍からみたら完全にブレードハッピーな危ない人だ。

 

「ッ!!」

 

「およ!?」

 

 異常なまでの精霊のざわめきを感知した2人が同時に顔を上げた瞬間。赤黒が虚空より現れ、冥界の紫掛かった空を炎で覆い尽くした。

 

「う〜わ〜……」

 

「う〜ん……アーシアでも無理だろうなぁ……」

 

 その炎が自身の意中の少年によるモノだと2人。ロスヴァイセはあまりの容赦の無さにちょっと引き、ヴァーリは相手から情報を引き出す事を諦めていた。

 

 冥界の空を覆い尽くした赤黒の炎は、一誠を閉じ込めていたであろう結界を灼き尽くしただけでは飽き足らず、そこら中を飛び回っていた飛行型魔獣と魔法使い、ついでにその辺の森も灼き払っていく。

 

「……やべえ、やりすぎた……」

 

「あ、イッセーくん!」

 

「無事だったんですね! 私、心配したんですから!」

 

 最初に炎が出現した場所からヴァーリ達目掛けて高速で飛んできた黒い人影――一誠が頭を抱えて呟く。2人は即座に一誠に抱き着くが、当の本人はそれどころではないようで、まるで気付いていない。

 

「やべえ、やべえよ。どうしよう? 火事もそうだけど、それ以上に【焦熱世界・激痛の剣(ムスペルヘイム・レーヴァテイン)】がバレたのが痛過ぎる。クッソ、まさかあの人が敵側だとは思いもして……」

 

「イッセーくん?」

 

「一誠さん?」

 

「え? あ、二人共、居たの?」

 

 心配そうに声を掛けられて、ようやく二人に抱きつかれている事に気付いた一誠。

 

「むぅ、せっかく心配してたのに。イッセーくん全然気付かないんだもん」

 

「何があったんですか?」

 

「…実は、『禍の団』の幹部達に逃げられちゃってな。切り札も二つばかりバレた」

 

「え!? 一誠さんから逃げ切ったんですか!?」

 

 一誠が敵を逃がした。しかも、切り札を使ったうえで一誠から逃れたと言う事に愕然とするロスヴァイセ。

 

「ああ、完全にしてやられた――相手は、カルナさんとプルートだ」

 

「……Perdon?」

 

 一誠の口から飛び出た名前に、思わず自分の耳に回復魔法をかけてから聞き直すロスヴァイセ。

 

「マハーバーラタの大英雄カルナと、最上級死神のプルートだ」

 

「……あっ、立ちくらみが……」

 

「イッセーくん、それって、つまり……」

 

「……多分、今回の襲撃の内通者は帝釈天インドラと冥王ハデスだ」

 

 ヴァーリの言葉に一誠が頷いた途端、ストレス値が限界突破してしまったロスヴァイセが卒倒する。

 倒れたロスヴァイセを片手で支えながら重々しく答えた一誠に、思わずヴァーリも米神を押さえて唸りだす。

 ハデスは一誠とヴァーリの二人がかりならばどうとでも出来るが、問題はインドラの方だ。インド神話の武神のチートっぷりは冗談抜きでシャレにならない。

 

「……ひとまず、アザゼルさん達と合流しよう。ヴァーリ、方角分かるか?」

 

「……そう、だね。うん、まずはそうしよう。えっと、アザゼルは……こっち!」

 

「……前々から思ってたんだけど、お前のポニテどうなってんの?」

 

 うぃんうぃんとパラボラアンテナの様に稼働するヴァーリのポニーテールを見た一誠が思わず呟くが、そんな事を気にしている場合ではないので急いでアザゼルの元へと向かう。

 

「……居た!」

 

 ヴァーリの指差す先で今まさにミカエルに向かって禍々しい朱槍を投擲しようとしていた青い全身タイツの様な戦装束を纏った青年に対して、残り少なくなった魔力を一気に消費して加速し、亜音速でもって急降下キックを放つ。

 

「『突き穿つ死翔の(ゲイ)……ッ!」

 

「ダラッシャアああああああッ!」

 

「うおっ!?」 

 

 直撃する寸前で身を捻って一誠の蹴りを回避したランサーと、勢いそのままに突っ込んでくる一誠を跳躍して回避した背後の二人。

 

「ちっ、横槍たぁ無粋な真似してくれんじゃねぇか。えぇ、赤龍帝?」

 

「こんな大乱戦で横槍も何もねーよ」

 

「ハハッ、それもそうか!」

 

 素早く後方に飛び退り、アザゼルとミカエルを背後に庇うようにランサー達と対峙する一誠。ふと見ると、ランサーの背後に佇んでいる二人が、目を丸くして一誠の方を見ている。

 

「……やれやれ、妙ちきりんなトコに呼ばれたと思ったら、まさかお前のトコだったとはなぁ……さて、ここは“久しぶり”と“初めまして”のどっちが相応しいのかねぇ……」

 

「あ? 何訳分かんねぇ事言ってんだ?」

 

 一誠の方を見ながらしきりに頷いている銀の軽鎧を纏った青年に、頭のおかしい人を見る目を向ける一誠。

 

「ああ、その様子を見るにまだ(・・)みてぇだな……じゃあ、こう言っておこう。初めまして赤龍帝、俺の名はライダーだ。以降ヨロシクな」

 

「……セイバーだ」

 

「おっと、そんじゃあ俺も自己紹介しておくか。俺はランサーだ、ヨロシクな赤龍帝の小僧!」

 

「兵藤一誠だ、小僧じゃねえ」

 

 じりじりとミカエル達を下がらせながらアロンダイトを構える一誠と、余裕の表情を保ちながらも一切の隙を見せつけないランサー。睨み合いでは埒が明かないと判断した一誠が距離を詰めようとした瞬間。

 

「――そこまでです。撤退しますよ、ランサー」

 

 両者の間に黒いローブを纏った男が現れた。認識阻害の魔術を使っているのか、ローブの中の表情は伺いしれない。

 

「はぁ? 撤退だと!? 巫山戯んな、これからようやく盛り上がれそうなんだぞ!」

 

「ランサー、作戦を忘れたのですか? 戦闘は赤龍帝と白龍皇が脱出するまでのはずですよ?」

 

「ちっ……そういう訳だ。悪いな赤龍帝、ここは引かせてもらうぜ。ウチのボスは腰抜けなんでな」

 

 ローブの男の言葉を受けたランサーが憎々しい表情で言って展開された魔法陣に飛び込んで姿を消し、残りの二人も同様に魔法陣に飛び込む。

 

「……では、赤龍帝殿。私もこれで失礼しま……」

 

「せいやあああああッ!」

 

「がげっ……!?」

 

 一誠が三人を見逃した為に、当然自分の事も見逃すだろうと勝手に思い込んだローブの男の背中に、上空から猛スピードで突っ込んできたヴァーリの飛び蹴りが突き刺さる。

 ボギリと、骨の砕ける音と共に海老反りになったローブの男が宙を舞い、追撃で飛んで来たロスヴァイセの魔法が直撃して地面に叩き落とされる。

 

「ごっ……あ……ッ!」

 

「ん。ヴァーリ、ロスヴァイセさん。ナイスショット」

 

 つかつかとローブの男に歩み寄った一誠がその後頭部を踏み躙りながらヴァーリとロスヴァイセに向かってサムズアップした所、二人共に無邪気にサムズアップで返してきた。

 

「ぐっ……下等な人間如きがァ……ッ!?」

 

「おい、誰が喋って良いって言ったよ?」

 

 怒気に満ちた言葉と共に起き上がろうとするが、一誠の足はぴくりとも動かず、それどころかどんどん頭部を地面にめり込まされて行くローブの男。

 

「メウス・ルブラム・ドラコ・カル 小さき王、八つ足の蜥蜴、邪眼の……」

 

「お……の、れェェえええええッ!!」

 

 取り敢えず重要参考人っぽいので石化して確保しようと詠唱を開始した瞬間、ローブの男の影が蠢き、そこから一誠目掛けて大量の魔獣が飛び出した。

 

「主よ……っと、危ね。【雷の斧】」

 

 一誠は即座に飛び退き【雷の斧】で薙ぎ払う。そのまま【石化の邪眼】で周囲一帯を根こそぎ石化させた一誠だが、粉煙が晴れた時には既にローブの男の姿はなかった。

 

「ちっ、また逃げられた……」

 

「すみません、一誠さん。私の探知魔法圏内にも見当たりません……」

 

「完全に逃げられちゃったねぇ……感触的に背骨逝ったと思ったんだけどなぁ……」

 

 不機嫌そうに舌打ちする一誠。それを見たロスヴァイセは申し訳無さそうに誤り、ヴァーリは口をωにしてポリポリと頭をかいている。

 一誠も逃がしてしまったものはしょうが無い、と思考を切り替え、ミカエルと目を覚ましたアザゼルの元へと歩み寄る。

 

「アザゼルさん、具合どうですか?」

 

「最悪さね、口ん中が鉄臭くてかないやしない。一誠、口直しの酒くれ」

 

「そんだけ減らず口が利けるなら大丈夫ですね」

 

 一誠は目覚めて早々に酒を強請る呑兵衛を軽くあしらい、現状の報告を始める。

 アザゼルは英雄(笑)派に『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』と『絶霧(ディメンション・ロスト)』、『魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)』の使い手がいる事に驚愕していたが、それ以上に、英雄(笑)派を仕留めようとした際にカルナとプルートが介入してきた場面で声を荒げて激昂する。

 

「……実力差のせいで捕らえられなかったのかと思ったけど……やってくれたねぇ、雷神に腐れ骸骨が……っ!!」

 

「……あ、良い事思い付いた! メウス・ルブラム・ドラコ・カル おお、地の底に眠る死者の宮殿よ……」

 

 憤慨しているアザゼルを見ていた一誠だが、何かを閃いたのか、突如呪文の詠唱を始める。一誠の発動しようとしている魔法の詠唱を聴き取り、一誠が何をするつもりなのか気付いたロスヴァイセとヴァーリ、アザゼルの三人は嗜虐心に満ちた笑顔を浮かべる。

 

「…? 三人共、一誠くんは何を……?」

 

「しっ! いいから黙って見てな、ミカ坊」

 

 怪訝そうな表情のミカエルを気にする事無く、一誠は着々と術式を構築していく。

 

「……我らの下に姿を現せ! 【冥府の石柱】!」

 

 そうして一誠の詠唱が完了すると同時に、冥界上空に複数の巨大な石柱が現れる。唖然とするミカエルを余所に、石柱は残っていた巨大魔獣達に降り注ぎ、圧殺した。

 

 

◇◇◇

 

 

 ――こうして『禍の団』との初の大規模戦闘、通称『第一次混沌大戦』は幕を閉じたのであった。

 

 この戦いにおける死傷者数は、敵味方を合わせて数千人にも及ぶと言われ、中でも旧魔王派に属する上級悪魔が多数討伐された事による冥界の人口の減少は深刻な問題となっている。

 この為、少しでも悪魔の人口を増やそうと、『悪魔の駒』の授与資格である、上級悪魔への昇級条件の引き下げ等が検討中であると魔王庁から発表があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 余談だが、この戦闘の直後に冥府にあるハーデスの神殿が突如として崩落したと言う情報が三大勢力内に流れて来た。

 倒壊の詳しい原因は現在調査中だが、専門家の意見では神殿の主柱数本が消失した(・・・・・・・・・・・・)事によるバランスの崩壊が原因ではないか、という説が出ているが、何故そんな事が起きたのかは分かっていない。

 また、ハーデス神殿の倒壊と同時刻に冥府上空に複数の石柱が出現した、という目撃情報があるが、こちらとの関連性も不明である。

 

 〜冥界新聞 第6666回 より抜粋〜

 




ハイ、と言う訳で第20話でした。

今回は英雄派第二分隊の登場回と、魔改造済ロスヴァイセさんの本格登場回でした。

今回登場した英雄派第二分隊、通称:英雄カッコガチ。この人達、みんなマジモンの英雄様です。英雄(笑)達とは違って、ご本人様です。

前回の後書きでチョロっと書いた“頼りになる仲間”はこの人達の事ですね。

どうです? 頼りになるでしょう? 若干1名、信頼と実績の宝具キャンセル喰らってましたけど(笑)

そして本格登場、みんな大好き“百均ヴァルキリー”こと、ロスヴァイセさん(調教済)

どれ位魔改造されてるのかと言うと、小細工抜きでスコル&ハティを真正面から無傷で叩き潰せる位強いです。頑張ればロキも倒せます(笑)

一応、今回で襲撃事件については終了、次回からはまた日常(と言う名の無差別クロス)回に戻ります(笑)

前書きでも触れましたが、活動報告にて当作のアンケートを実施しています。良かったら参加してやって下さい。

p.s.7作目『仮面ライダーになった』の投稿始めました。初の非転生オリ主物です良かったら読んでやって下さい。それでは(^^ゞ





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