俺ガ・アート・トリガー(新番) (小説大工の源三)
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プロローグ
第一次大規模侵攻二週間前
あるゲートから数人の人が現れた。一人は大人、他は少年が三人、少女が一人だ。
「到着したようだな」
最初に声を出したのは茶色のサングラスをかけた極道のような男だった。その顔には荒々しい傷痕もあり、多数の修羅場を潜り抜けてきたということがわかる。彼の名前は
「俺はこの後知り合いの《こっち側》で俺達の同志──忍田さんや城戸さんがいるようだから、そいつらと協力を要請してくる。お前らは自由行動だ」
「分かりました師匠」
「ならアタシもレンの手伝いするね」
彼のことを師匠と呼んだくせっ毛の少年の名前は
次に手伝いに行くと言った肩までかかるセミロングでアホ毛の少女の名前はストレア。《あちら側》の人間で孤児だったところを蓮が買い取り、助けられた。それからは蓮にベッタリである。
彼の左にいる銀髪の少年が口を開いた。
彼の名前は
「自由行動と言われたがどうするんだ?生憎オレと竜翔は拐われた時に家族が殺されて住む場所もないぞ」
その問いに答えたのはアホ毛のある少年だった。
彼の名前は
「とりあえず俺の家来るか?……でも住所変わっているかもしれないな……」
「ハチ、それなら師匠から住所が書いてある紙もらったけど」
「何であの人そんなの書いてるんだよ……相変わらずの規格外の謎だ……」
蒼魔は頭を抱えた。
彼等が《あちら側》にいたときも蓮のスペックを測りかねていた。蓮に三人で束にかかっても勝てないほど強く、そればかりか遊ばれていた。
「ひとまず竜翔がもらった紙に書いてある住所に行くか」
─────────────────────────
竜翔達は紙に書いてある住所の前に着いた。
「ここか……」
「とりあえずオレと竜翔は離れてるさ。家族水入らずゆっくりしとけ」
「わかった」
一軒家の表札には『比企谷』と書いてあることから八幡の家族が住んでいるのだろう。
八幡は恐る恐るチャイムを鳴らす。
『はーい』
聞こえたのは少女の声だった。
扉が開くとそこには小学生位の少女が現れる。その少女はこちらを──八幡を見るとくりっとした両目から大粒の涙を流すと同時に八幡に飛びかかった。
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」
「ただいま小町」
八幡は少女──小町のことを抱きしめながら頭を撫でる。
小町の泣き声を聞いたのか扉の奥から二人の大人が出てくる。おそらく八幡の両親だろう。
「「どうした(の)小町!」」
「お兄ちゃんが!お兄ちゃんが!帰って来たの!」
「ほ、本当か!小町!」
「うん!」
先に小町のところへ来たのは父親だった。八幡の顔を見た途端小町ごと八幡を泣きながら抱きしめる。
「よく……よく帰って来てくれたな……!」
「ああ、ただいま親父、それと少し苦しい……」
「すまん、お前が帰って来てくれたと思うと抑えられなくてな……」
八幡の父親が離れると入れ替わるように母親が抱きしめる。彼女も涙をぼろぼろこぼしていた。
「お帰り……お帰り八幡」
「おう……ただいまお袋」
こんどは優しく抱きしめられる。八幡はそれを心地よく受け止める。数年ぶりの家族の温かさにふれた彼の目からは涙がこぼれ落ちる。
「話すことがあるから一旦離れてくれ」
「わかったわ……」
母親が離れると八幡は竜翔と蒼魔がいる場所に歩きこちらへ来るように話した。
「紹介する、向こうで共に生き抜いた親友の二人だ」
「殊原竜翔です。八幡には色々助けてもらいました」
「寺井蒼魔です。オレも色々助けてもらいました」
二人は彼の家族にお辞儀をする。
「こちらこそ八幡を助けていただき本っっっっっ当にありがとうございます!」
八幡の父親は二人よりも深く頭を下げる。
そして八幡が話を切り替える。
「親父にお袋、1つ大事な話がある」
「なんだそれは……?」
「……二週間後に大規模侵攻が起きる。俺達はそれに立ち向かわなくちゃいけない。だから親父達はここから遠く離れた避難予定地に避難してくれ」
八幡は地図を出そうとすると、小町が八幡の腕に抱きついた。
「小町?」
「いや!行かないでお兄ちゃん!小町またお兄ちゃんと離ればなれになるのやだ!」
小町は再び泣き出す。八幡はどうしたものかと竜翔に視線を送る。しかし竜翔は手で✕印を出す。
八幡は小町の肩を掴み、彼女の目をしっかり見ながら説得を試みた。
「小町、お兄ちゃんは強いから大丈夫だ。今ここに俺がいる、だから負けないからな」
小町の頭を撫でながら話す。小町は落ち着いて八幡の話を聞き、渋々納得する。
「お兄ちゃん……約束して、ちゃんと小町の所に帰って来るって」
「ああ約束するさ、お兄ちゃんだからな。それにあの時も言っただろ?絶対帰って来るって」
最後に八幡は強く小町を抱きしめる。
「親父、お袋……行ってきます」
「本当は行かせない方がいいんだろうけど……必ず帰ってこいよ八幡……!」
「ええ……元気な姿で帰ってきてちょうだい……!」
八幡の両親は嗚咽混じりの声で送り出す。
八幡達は隊長の元へと歩き出した。
─────────────────────────
三人称side
あれから二週間が経過し、第一次大規模侵攻が始まった。
蓮達はトリオン兵の討伐、及び無力化をしている。二週間前にはボーダーという組織と協定を結び互いに助け合うことと技術提供をすることを約束した。
現れたトリオン兵はすぐさまボーダーによって討伐された。
その間にも八幡達は手分けしてトリオン兵を破壊していく。すると逃げ遅れたのか息を切らして物陰に隠れている少女を目にした。
「おいあんた逃げ遅れたのか」
「……ええ……私、体力が……ないから……」
「そうか、なら少し失礼するぞ」
八幡は一言謝り、少女を抱き抱える。突然のことに驚き少女はアワアワする。
「安全な場所に連れてく。しっかり掴まっていてくれ」
そのまま高く飛び上がる……と言ってもビルなどの壁をつたいながらだが。
「キャアァァァァァァ!」
当然少女は叫ぶ。そのままトリオン兵がいない避難場所へ到着し少女を下ろす。
「怖かったろ、すまんな」
「いえ、助けてくれたのだから……大丈夫よ」
「そう言ってくれると助かる。んでお前さんの家族は……」
「えっと……あそこね」
するとボブカットの少女がこちらに向かってくる。そしてそのまま少女に抱き着く。
「雪乃ちゃん!」
「姉さん!」
「よかった……無事で!」
「私もダメかと思ったのだけれど、そこの彼が」
そう言って八幡の方を見る。
少女は八幡の手を取り目をうるうるさせながら感謝の言葉を話す。
「ありがとう!本当にありがとう!雪乃ちゃんはわたしにとって大事な妹だから!助けてくれてありがとう!」
八幡は照れくさそうに笑う。
「そうか……大事にしろよな」
「──ッ!」
そのまま八幡が立ち去ろうとすると、少女の姉が彼の手を掴む。
「待って!名前教えて!」
「比企谷八幡だ」
「わたし陽乃、雪ノ下陽乃。こっちが雪乃ちゃん」
「比企谷くん助けてくれてありがとう」
八幡は「おう」と一言告げてそのまま戦場に向かった。
二人の少女は彼が跳び去った後を見つめていた。
「ねぇ雪乃ちゃん」
「何かしら姉さん」
「また会えるかな」
「そうね」
─────────────────────────
竜翔side
「こっちは強いのはいないけど……物量が多いな……」
僕はトリオン兵の残骸の上で周囲の様子を伺う。師匠達に連絡を取ろうと通信機能を起動しようとすると一人の少女が新たに出現したトリオン兵に襲われているのを予知した。
僕は彼女が通る道を建物の屋根を跳び移りながら探す。
すると予知で見た少女と瓜二つの少女を発見した。
そして何も無い場所に射撃トリガーを放つ。するとそれに吸い込まれるように、自ら当たりに行くようにトリオン兵が現れ破壊される。
少女は爆発音に驚いたのか、後ろを振り向く。
「何が起きたの……?」
「おーいそこの君!」
「ふぇ?ボク?」
「そう君、ケガとかしてない?」
「うん……大丈夫です……」
「よかった……」
僕が安堵するとまた予知が僕の頭に流れ込む。少女を中心にトリオン兵が現れるのだ。おそらく彼女はトリオンが多いのだろう、トリオン兵が集まって来てしまう。
「えっと……これから避難所に案内するよ、確実に君の周りに奴らが現れるから」
「う、うん……ありがとう」
僕はそのまま少女を護衛しながら避難場所に着く。そこは人がたくさん集まっていて、とても彼女の家族が簡単には見つかりそうにない。
「もう、大丈夫だから。君は他の人を助けに行って」
「わかった、それじゃあ」
─────────────────────────
それから数時間に及ぶ戦闘が続き、終わる頃には既に日も暮れ、空はもうすでに真っ赤に染まっていた。
撃退は果たしたがボーダーも少なくない犠牲を出した。さらには同盟国が襲撃されることもあったりなどもした。
それからは忙しくなった。国との交渉や本拠地の移設&建設。隊員の募集やトリガーの開発なとが行われていった。
その募集隊員の中には僕らが助けた人も居た。
そしてあれからおよそ五年が経過したのだった。
僕が助けた少女の名前は
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設定
殊原隊
イメージボイス 宮野真守
ポジション
誕生日 12月27日 かぎ座
血液型 AB型
職業 高校生
好きなもの
ガラナ 甘いもの 仲間 木綿季
FAMILY
父 母 弟 (全員他界)
RELATION
蓮 師匠
八幡 親友
蒼魔 親友
木綿季 弟子&恋人
トリガー
メイン
弧月 旋空 アステロイド メテオラ
サブ
アステロイド(スコーピオン) バイパー グラスホッパー バックワーム
SE 未来視・過去視
未来視は数秒後の確定した未来と起こり得る脅威
過去視は2年前まで
トリオン 23
攻撃 10
防御・援護 14
機動 10
技術 10
指揮 9
射程 6
特殊戦術 5
合計 76
キャラ説明
幼少の頃突然現れた近界民に家族を殺され拐われる。
その時弟である赤翔が竜翔を殺す目的の射撃トリガーから庇い死亡。その時理由はわからないが、黒い物体が赤翔の側に落ちていた。それを必死に腕を伸ばして隠し持つ。
拐われた後同じように拐われた蒼魔に遭遇、突然船が襲撃、そのまま柊蓮達の部隊によって救出される。
竜翔は自身が生き残る為に戦う力を教えて貰う。
それから数年後、玄界に帰還した。
そして第一次大規模侵攻の時木綿季と出会った。その後入隊し師匠としていろいろトリガーを教えている。
ほとんどのトリガーを使えるが狙撃トリガーはあまり性に合わなくあまり使わない(使っても次第に突砂しだす)。
ボーダーではよくA級3馬鹿とランク戦をしたり、忍田さんの手伝いをしている。隊室には様々な料理器具がありありとあらゆる料理が可能。因みに得意料理は卵料理でいろんな人から高い評価を受けている。
木綿季と付き合っている。
見た目はイナイレの吹雪士郎とFate/Apocryphaのジークを足して2で割った感じ。
イメージボイス 神谷浩史
ポジション
誕生日 9月8日 おおかみ座
血液型 B型
職業 高校生
好きなもの
中華料理 少しピリッと来るもの 仲間 琴音
FAMILY
祖父(他界) 祖母(他界) 姉(行方不明)
RELATION
蓮 師匠
竜翔 親友
八幡 親友
琴音 片想い
双葉 弟子
トリガー
メイン
弧月 旋空 幻妖 バックワーム
サブ
レイガスト スラスター 雷電足 グラスホッパー
トリオン 20
攻撃 14
防御・援護 10
機動 12
技術 8
指揮 5
射程 3
特殊戦術 3
合計 75
キャラ説明
竜翔と同じように家族を殺され、近界民に拐われ柊蓮に助けられ、戦闘技術を叩き込まれた。
姉一人と祖父母の家で暮らしていたが祖父母が殺され姉の姿が見当たらなくなっていた。
そして突然意識を失いいつの間にか船にいた。
得意料理は中華全般で、竜翔と炒飯を合作するととんでもなく旨い。加古殺人炒飯の被害者達からは『神が食べる炒飯』とまで言われるほど。
竹宮琴音に好意を抱き抱かれの状態(簡単に言うと両片想い)。
玄界に戻って来て、偶然見つけた蒼いバンダナをいつも着けている。
見た目はドラクエⅥのテリーの表情を少し丸くした印象。
オリジナルトリガー雷電足を開発するも誰も使えないのでランクダウントリガーである韋駄天が作られた。
韋駄天を使う黒江双葉の師となる。
比企谷八幡
ポジション
誕生日 8月8日 ぺんぎん座
血液型 A型
職業 高校生
好きなもの
MAXコーヒー 仲間 雪乃 陽乃
FAMILY
父 母 妹
RELATION
蓮 師匠
竜翔 親友
蒼魔 親友
雪乃&陽乃 弟子&恋人
トリガー
メイン
スコーピオン アステロイド メテオラ シールド
サブ
シールド バックワーム バイパー グラスホッパー
SE
気配遮断・気配探知
トリオン 22
攻撃 11
防御・援護 12
機動 10
技術 8
指揮 9
射程 5
特殊戦術 4
合計 71
キャラ説明
家族で出かけ帰りの時に家族の目の前で拐われた。竜翔達とはは別の場所にいて助け出されるのにしばらくかかった。しかも蓮曰く助け出されたのは偶然で、運が悪かったら助けられなかったらしい。原作よりシスコン度は下がっている。
大規模侵攻時に助けた雪ノ下姉妹に好意を抱かれていて、二人に告白されるも八幡は二人が大切だからフろうとしたが二人はそれすら先読みし、三人で付き合うと提案。それを八幡は呑み、三人で付き合うこととなった。
最近の悩みは小町のブラコン度が高く家にいると引っ付いてくること。
料理はほとんどできる。
ストレア
誕生日 11月6日 とけい座
トリガー
メイン
レイガスト スラスター アステロイド スパイダー
サブ
メテオラ バックワーム シールド エスクード
SE
完全記憶
オペレーター
トリオン 12
機器操作 10
情報分析 12
並列処理 15
戦術 10
指揮 7
合計 66
戦闘員
トリオン 12
攻撃 10
防御・援護 10
機動 7
技術 7
指揮 7
射程 5
特殊戦術 4
合計 62
キャラ説明
近界で人身売買されている所を蓮が強奪するように購入。人として足りない部分を蓮達によって教育される。
ボーダーゆるふわオペレーターの一角(もう片方は国近先輩)。
助けられた蓮にべったりで、異性としての好意すら抱くほど。
学校は竜翔達と違い桐絵達の通うお嬢様学校である星輪女学院に通う。名字は柊になっており決まった時はとてもご満悦な表情とだらしない声が漏れたそう。
料理はある程度、困らない程には出来る位。そのためいつも雪ノ下姉妹に料理を教わっている。
柊蓮
イメージボイス 鈴木達央
誕生日 10月3日 みかづき座
竜翔達の若き指導者。
実力はボーダー最強で竜翔達やボーダートップの実力者でも勝てないほど。
最強の彼だが普段の生活はリズムがガタガタで大抵はストレアがいないとまともに生活できない。
竜翔達を助けた時の年は18と若くそれから3年でストレアを救出、さらに2年で玄界に帰還するなどの功績を建てる。ストレアに好意を抱かれていることは知ってはいるものの、どうしたらいいか困っている。
因みに忍田さんとは6対4で勝利している(最近では勝ちが多いらしい)。
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一話 ボーダーでの日常
モフモフヘアー竜翔くん
髪はモフモフ心はふわふわしている高校生。
実力はかなりのもので太刀川さんよりも総合力が強い。
料理は絶品、家事もできる完璧少年に見えるが、所々抜けているので注意が必要。
甘いものとガラナが大好きなので生クリームとかガラナを隊室に常備している。
ちなみに弟の話題は地雷なので注意。
実は嵐山さんが一度知らずに踏み抜いたことがある。
僕達殊原隊は夜間の防衛任務にてほとんどトリオン兵が来ないので退屈していた。
今は建物の屋上に座りUNOをやっている。
「ふわぁ~」
「どうしたの八幡、大きいあくびして」
「さっき出水と米屋に捕まってランク戦させられたんだよおかげさまで昼寝出来なくてな」
「また、やってるのかあの戦闘狂達は」
『というか何で任務中にUNOやってるの?』
ストレアがポテチを食べながら質問をする。
「今日はほとんどトリオン兵が出て来ないからね~」
「出てきたとしてもバイパーで仕留めればいいからな」
「それよりストレアこそポテチ食いながらオペレートしてるだろ……」
『いいじゃん~』
「まぁいいが」
その後、出てきたモールモッドも10体しか現れず防衛任務が終わった。
呆気ない……本部に戻ったら何をしようか迷っているとスマホから着信音が流れる。画面を見ると『加古望殺人炒飯被害者の会』からだった。誰が被害に遭ったのか確認すると太刀川さん、堤さん、駿だった。僕は心の中で合掌をする。
「蒼魔」
「なんだ?」
「出番。太刀川さん、堤さん、駿の三人が被害に遭った」
「定期的に来るよな
僕と蒼魔は殺人炒飯の被害者が被害に遭った時、炒飯合作炒飯を作る。なんでもそれがないと二度と普通の炒飯ですら気絶してしまうんだとか、一度殺人炒飯を食べさせられかけた時『一緒に食べる(食う)のはかまわない。だけど二度と炒飯は作らない(ん)』と言ったら、連れて行かれることがなくなった。そんなに死活問題なの……?
隣を見ると八幡が青い顔をしている。
「なあ加古さんから『炒飯作ったから食べて♥』って連絡きたんだが……」
どうやらお誘いのようだ。
ちなみにに僕や蒼魔、木綿季達は当たりしか食べたことがない。
「今日は陽乃さんにご飯作ってもらってるんだろ?そっち優先にして、セクハラ魔迅に食わしとけ」
確か今日は迅さん本部にいるから逃げられないな。視なければだけど、すぐには逃げられないし捕まるか……
「おう、そうする……」
八幡は早速連絡を入れる。
─────────────────────────
殊原隊の隊室には先ほどの被害者の人が机に突っ伏している(八幡に運ぶのを手伝ってもらったが)。さっきから『う"~』などの唸り声が聞こえる死にかけてるのか……まぁ迅さんには作らぬ。木綿季にセクハラかましたのは未来永劫許すことはない。
炒飯が完成したので太刀川さん達の前に用意する。
「出来たのか……」
「神が食べる炒飯だ……」
「これで明日も生きていける……」
三人は勢い良く書き込む。喉に詰まらないのかな?
ものの数分で食べ終えてしまった。
「ふぅ……死ぬかと思った……」
「今回は何炒飯だったんですか?」
「鮭ハチミツわさび炒飯」
「想像しただけで吐きそうなんだが……」
「というかなんでハチミツとわさびを入れるの……」
「実際にオレ達吐きそうになったし……」
もう三人の目が死んでるよ……
「とにかくありがとな殊原に寺井、今度何か奢る」
「ありがとうございます」
そう言って太刀川さんは隊室からいそいそと出ていく。
またレポートサボったのかあの人……
堤さんも太刀川さんと同時に帰ったので、ここにいるのは僕と蒼魔と駿だけだ。駿にはパンケーキをあげている。
「それにしても先輩方の炒飯って何でこんなに美味しいんだろう」
「みんながそう思うからだと思うけどね」
「オレと竜翔は普通に作ってるだけだからな」
後は気持ちの問題かな師匠も気持ちがあれば料理はどうとでもなるって言うし。まぁあの人ほとんど料理しないし、したとしても凝ったもの作れないから説得力を欠けるけど。ストレアがいなかったら相当ヤバい部屋になってそう。
「竜翔先輩、蒼魔先輩ご馳走様!また来まーす!」
「夜も遅いから送るか?」
「大丈夫ー!」
そのまま駿は走って帰った。洗い物は終わらせたし、この後どうしようか……
「オレはもう帰るがお前はどうする?」
「やることないし僕も帰るよ」
「わかった、電気消しとけよ」
「うん」
─────────────────────────
次の日
ボーダーのソファの上に死にかけのお尻星迅がいた。
そのまま放置しようか誰か呼ぶか悩んだ末に、戦闘狂の
「おーい、迅が寝てるって本当か?」
「そこに気絶するように寝てます」
「どうしてこんなとこで?」
「さぁ?」
「まぁいいか、とりあえずランク戦してくる」
「了解です」
迅さんを担いでそのままどっかに行ってしまった。
すると後ろに気配を感じたので振り向くと、何かが飛びかかって来た。
「とーう!」
「うわぁ!」
「おはよう竜翔」
「おはよう木綿季」
彼女は紺野木綿季、A級6位紺野隊の隊長。ポジションは
「今日って確かB級ランク戦の解説あったよね」
「そうだね。木綿季も見に来るの?」
「うーん。見たいけど今日、は防衛任務があるから無理かな」
「そっか、頑張ってね」
僕はそう言いながら頭を撫でる。
「フニャ~///うん!」
しばらく木綿季と談笑をし任務の時間になり彼女と最後にキスをして別れる。
確か今日のランク戦は最近出来た初参加の葉山隊と那須隊と諏訪隊だな……何でも葉山隊は仲良しグループで出来ているとかなんとか。仲良しなら連携も取れるのだろう。実力はいかほどのものかな。
そして解説席には既に八幡と歌歩が座っていた。
「ヤッホ」
「よう、そろそろ観戦者も来るから座っとけ」
「そうする」
僕は八幡の隣に座る。
そしてしばらくするとぞろぞろと観戦者が入って来る。
「間もなくB級ランク戦昼の部が始まります。解説席にはA級0位殊原隊の万能手殊原隊長、射撃手比企谷隊員にお越しいただいました」
「よろしく~」
「よろしく」
「さて今回初参加葉山隊が選んだステージは市街地A。基本的に何の変哲のないステージですが、これはどんな理由なのでしょうか」
「葉山隊は初めてのランク戦だからね。下手に癖のあるステージよりは特徴も少ないステージでやる方がまともにやりあえるからじゃないかな」
「そうだな、後は気候だがこちらも晴れもしくは曇りだろうな。」
「なるほど……今回はどの部隊が勝利するのか、今全部隊転送完了!試合開始!」
─────────────────────────
B級ランク戦が開始される。
それぞれの転送位置は、諏訪隊はバラバラに転送されたみたいだ、諏訪さんと日佐人が遠くに転送されたのでクマを抑えに向かい堤さんが諏訪さんの所へ向かう。一方の那須隊は茜ちゃんが高台へ移動する間に玲が葉山隊の戸部の所へクマが玲のサポートへ向かう。そして葉山隊はやはり合流を優先し全員が同じ場所へ向かっている。
これだとアイビスのいい的だな……今回は茜ちゃんだけがスナイパーだから彼女の動きで戦局が変わる。
そして戸部とクマが衝突、交戦する。互いの弧月で切り合っているものの実力の差で戸部が押される。戸部の弧月が切り上げられ無防備になった瞬間クマの弧月が首を切り落とそうとした途端、戸部の胸部からブレードが飛び出しクマの肩を掠める。トリオン供給器官が貫かれ戸部がベイルアウトする。これにより諏訪隊にポイントが1入る。そのまま日佐人とクマが交戦する。すると空から射撃トリガーが二人の間、というより日佐人に降り注ぐ。
玲のバイパーだ。日佐人は距離を取ろうとするもクマの旋空で左腕を切り落とされる。そのままもう一度旋空を放ち日佐人の体を縦に両断する。日佐人もベイルアウト、那須隊に1ポイント入る。
葉山隊は残りのメンバーと合流し、玲と交戦しているがバイパーの嵐に攻めあぐねている。
すると合流した諏訪さんと堤さんが後ろからショットガンで後ろでシールドを貼りながら射撃トリガーを撃っていた由比ヶ浜と三浦を射撃。ベイルアウトこそしなかったものの大きく機動力を削がれる。
そして同様しシールドとアステロイドが消えた瞬間玲のフルアタックバイパーで葉山がベイルアウト。その間に女子二人もシールドを張ったものの諏訪さんの射撃でベイルアウト。これにより葉山隊は敗北する。諏訪隊が3ポイント、那須隊が2ポイントとなる。堤さんと諏訪さんの一斉射撃をクマの両防御と玲のシールドで防いつつバイパーやアステロイドで地道に反撃する。
諏訪さんが攻撃しようとした途端、遠く離れた場所から閃光が走る。その閃光は諏訪さんの右手、堤さんの左足を破壊する。そして体制が崩れた所を那須のフルアタックバイパーが襲いかかる。そして煙の中から閃光が一つ空高く上がる。そして真っ直ぐにもう一つの閃光が放たれ、それはクマのトリオン供給器官に命中する。それによりクマもベイルアウトする。そして再び煙の中から閃光が出てくる。これにより諏訪隊も全滅し6ー3ー0で那須隊の勝利でランク戦が終わる。
─────────────────────────
「試合終了!スコアは6ー3ー0で那須隊の勝利です!これにより那須隊は7位に上昇諏訪隊は11位にダウンし葉山隊は変動なしとなりました」
それぞれの隊の順位が表示される。
「試合終了しましたので総評をお願いします」
「了解。今回は日浦隊員の最後の狙撃が決め手になりましたね。試合中一度も狙撃せず、タイミングを図ったことが那須隊の勝利に大きく影響しました」
「だな。諏訪さんも狙撃に警戒して最後上の方にシールドを貼って防ごうとしようとしたけど読みが外れてしまいやられたな。笹森が戸部を奇襲してついで熊谷を攻撃しようとしたのは驚いたな。あれは俺もヒヤッとする」
「確かにね~ナイスアイデアだ」
「それと葉山隊なんだが、初戦で那須とやり合えたのはすごいなバイパー対策はしっかりされていて良かったが諏訪隊の襲撃に対応出来ていなかったのは反省点だな」
「それに合流を優先したのはバイパー対策なんだろうね。後はなんだろうあまり他の隊のポジションにケチつけるつもりはないけど、射撃手の二人、合ってないんじゃないかな?なんというか攻撃手の方が合ってる気がする」
「竜翔もか、特に三浦は攻撃手に向いてる気がするな」
「なるほど……それではランク戦昼の部を終了します」
紺野木綿季
ポジション 攻撃手
誕生日 5月23日 うさぎ座
トリガー
メイン
弧月 旋空 シールド 特殊旋空
サブ
シールド バックワーム スパイダー グラスホッパー
SE
心眼
トリオンの動きが肉眼で見える。カメレオンも見えるが酷使するとしばらく目が見えなくなる。
トリオン 9
攻撃 10
防御・援護 7
機動 11
技術 8
指揮 7
射程 5
特殊戦術 6
合計 56
第一次大規模侵攻で竜翔に助けられた少女
ボーダーが表に出て隊員が募集されるとすぐに応募や両親を説得することに成功。そして入隊して竜翔に弟子入りをお願いし、弟子入りする。
基本戦術は攻めるタイプ。未完成だが彼女自身のオリジナルトリガーを作る。竜翔とは恋仲であり、かなり甘えることが多い。
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二話 玉狛支部
ドラクエⅥテリーくん
隠れシスコン。行方不明の姉を拐われた時に探していた。
弧月とバックラーレイガストのスタイルで戦う。
オリジナルトリガー雷電足は彼が考案。しかし使える隊員がほとんどおらずランクダウントリガーである韋駄天が作られた。その後、韋駄天を使う黒江双葉の師匠となる。
琴音のことが好きだが恋愛が苦手なのかうまくいかない。
ガハマちゃんのクッキーの依頼はないです
そもそも引かれてないしボーダー隊員である以上リードを手離したりはしないはずですしおすし
最近Liberty Rosario(SAOユウキキャラソン)に再びはまってます。いい曲だなぁ~癒される
僕はハチと屋上で昼食を食べていた。普段いる蒼魔は琴音に呼ばれていない。
「ねぇハチ。今日玉狛行くけどくる?」
「いや、今日は出水と水上先輩達と射撃手の集まりがあるし、雪乃がいる部活に顔も出すから行かない」
そういえば雪乃とハチは特別棟の空き教室で奉仕部?っていう部活をやってたっけ。あまり依頼が来ないというか、元々雪乃がハチと一緒に勉強するために借りてるらしいけど。本部だといろいろからかう人もいるから中々二人になれないからね……。陽乃さんは陽乃さんで忙しいこともあるので休みの日によくハチと出掛けてるしでうまく付き合っているのだろう。
「わかった。後で隊室にシュークリーム置いとくよ」
元から玉狛に行く際、手土産として持っていくつもりだったのでそれほど手間はかからない。
「サンキュ」
「それにしても平和だね~」
空を見上げると白い雲に青い空、澄んだ空気にほどよい気温、なんだか眠くなってくる……
「起きろ竜翔」
「ふわぁ!」
危ない危ない。寝るところだった。
「珍しいな、こんな時間に寝ようとするなんて。最近ちゃんと寝てるのか?」
「寝てるよ。むしろほどよい環境だから眠たくなって」
「ふーん」
「そろそろ時間だし戻ろう」
「おう」
─────────────────────────
放課後になり僕は一度本部に寄ってシュークリームを作りプラスチックのパックに入れて、カバンにしまって自転車で玉狛に行く。
久しぶりに顔を出しに行くからな~そういえば京介とは太刀川隊から玉狛に移籍してからあまり顔を会わせてないな。ちょっと話して行こうかな。
「ヤッホ」
「む?りゅうとかよくきたな」
「久しぶり陽太郎」
最初に出迎えてくれたのはカピバラである雷神丸の上にまたがったお子様隊員の陽太郎だった。
いまだに雷神丸のことを犬と勘違いしている、というかテレビの特撮の犬と同じ名前なのだとか。
「シュークリーム持ってきたからみんな呼んできて」
「みんなリビングにいるぞ」
扉を開くと桐絵と修がゲームしながらいちゃついて栞がカタカタパソコンを弄り、迅さんがぼんち揚を食べているいつも通りの光景だった。
「竜翔、合作炒h「何を言ってるんですかセクハラ魔迅さん」おうふ」
作らん!僕は作らぬ!
「迅、あんたまたセクハラしたの?」
「僕が大分前のを許してないだけ」
「あはは……っていうことは他の人にはしていると」
「そうだね。懲りない人だよ」
何時になったらセクハラ被害が治まるのやら……
沢村さん、クマなどいろいろセクハラかましてるからな……葉山隊の二人にも忠告しておくか。
「おっと忘れてた。シュークリーム作って来たから、林藤さん呼んできて」
「わかった。修くんと小南は皿出しておいて」
栞はそのまま支部長の部屋に行き修と桐絵はキッチンで皿を出している。
「あれ?京介とレイジさんは?」
「烏丸さんなら今日バイトでまだ居ません」
「レイジさんなら珍しく本部に用があるとか言ってたわ」
「あらら……全員分作って来たのに」
「冷蔵庫に入れておくから京介とレイジさんの分わけといて」
「了解」
僕がシュークリームを出そうとしたら突然肩を掴まれた。驚いて振り向くと林藤さんがいた。
「久しぶりだな竜翔」
「お久しぶりです」
「最近来ないから寂しかったぞ」
「すいません。木綿季といるのが楽しくて」
「お前さんも心を落ち着かせれる人が出来たもんな」
《向こう側》にいた時はほとんど心が休まらず、ずっと緊張状態が続いてちゃんと寝たことがなかった。こっちに戻って来てからも大規模侵攻が起きると聞いてそれに備えないといけないから戦闘訓練を続けて、大規模侵攻が起きて、同盟国が襲われてこちらも少なくない被害を出した。
心も疲弊した時に木綿季が入隊した。
弟子にして、師事して、しばらくしてだんだん彼女の無邪気で真っ直ぐな姿勢に絆されて、惚れて、付き合って色んなことがあった。
「僕に守る物が出来ました……今度こそ失わない……失いたくないです……」
「そうだな……ちゃんと守り抜けよ」
「はい」
「こんにちは殊原先輩」
後ろから京介が現れ少しギョッとしたものの、彼にシュークリームがあることを伝えた。それを知った彼の足取りが少しウキウキしていた。
「京介バイトは?」
「珍しく早く終わったので玉狛に寄って帰ろうかと思って」
「調度いいや家族の分も持ってって」
「ありがとうございます」
僕は京介の家族用を取り出し手渡す。
全員席に座りシュークリームを食べる。陽太郎がクリームを吹き出しかけていたのはちょっと驚いた。少し大き過ぎたな、失敗、失敗。
「そういえば竜翔さんは何故こちらに?」
「あ~、暇潰し。本部に行っても良かったけど最近顔を出してないからね」
「なら、あたしと勝負しなさい!」
「そうだね……いいよ、久しぶりだな~桐絵と勝負するの」
シュークリームを口に詰め込み手早く咀嚼して呑み込む。うむ、我ながら良い出来だ。
僕と桐絵は『001』とかかれた扉に入る
「あたし双月使うけど竜翔は?」
「何時ものトリガーでやるよ」
「今度こそ勝つから」
「また勝つよ」
─────────────────────────
「それじゃ始めるわよ」
「よし、来い!」
桐絵が二刀の双月で切りかかる。それを僕は弧月で受け流しバイパーで後ろにあるメテオラを破壊する。
そのまま僕は切りかかり、双月を上に弾く。しかしそれをさせまいと桐絵はシールドで防ぎメテオラを撃ち落とす。
僕はバイパーで防ぎ後ろに下がる。
「ふぅ……ウォーミングアップは終わりかな」
「そうね」
僕は旋空弧月を放つ、桐絵はそれを受け流しこちらに切りかかり、蹴りを入れ僕は弧月で受け止めるも後ろに飛ばされる。追撃にメテオラが飛んでくるのでバイパーで撃ち落とす。そしてコネクターで繋ぎ合わせた斧を勢いよく振り下ろす。さすがにこれは弧月で防げないので左に身体を寄せて避ける。
一度距離を取りアステロイドを放つが避けられ横から双月が来るがあらかじめ桐絵の双月の軌道にグラスホッパーを用意したのでそれに弾かれて大きな隙が作られ僕は弧月で首を切り落とす。ちなみにこれを考えたのはハチだ。
─────────────────────────
その後9回戦い9対1で僕が勝った。
「悔しい~!」
「ふぅ……」
結構危なかった……
「お疲れ様です殊原先輩、小南先輩、お茶どうぞ」
「ありがとう京介」
「ありがととりまる」
二人でお茶を飲みながら京介を見るとなにやら何か企んでいるようだ……
「知ってますか小南先輩。今飲んでるお茶、雪ノ下先輩からもらったお茶なんですよ」
「えっそうなの。殊原は知ってたの?」
あっさり騙されてる……
「知らない……」
僕は目を反らす。
「修は?」
「桐絵、烏丸さんの嘘です」
「えっ……騙したのーーー!」
桐絵が京介を見る。
「嘘です」
僕は固まった桐絵をそのままにして立ち上がる。
「それじゃ僕はこれで」
僕は玉狛から家に帰る。出る際にギャーギャーと騒ぎ声が聞こえてきた。
そんな日常の一部に僕はクスッと笑ってしまった。
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第三話 特訓
今日も何事もなく、俺は奉仕部へと足を進める。雪乃はもう着いているだろうし。
ガラガラと引き戸を開ける。やはりすでに彼女は椅子に座っていた。
「よう」
「こんにちは八幡」
「今日はまだ依頼はないのか?」
そう言いながら隣に座る
「いえ、今日はボーダー関連の依頼があるわ。そろそろくるはずなのだけれど」
それから数分後扉が開き数人──葉山隊の面々が入って来た。彼らのランク戦の解説もしたばかりだ。
「どうしたお前ら?」
「比企谷くんに依頼があるんだ」
「俺に?」
一息置き全員同時に頭を下げ声を揃えて口を開いた。
「「俺(私)達に戦い方を教えて下さい!!」」
ちらりと雪乃を見ると、すごい驚いてた。信じられない物を見るような目だ。そのまま硬直している。
「うーむ、教えるのはいいけど、正直もう少し実力が欲しいな」
あのランク戦のあとポイントを調べたのだが、全員B級に上がりたてだったのだ。
「とりあえず全員6000前後目指してからだな。それと三浦に由比ヶ浜、この前の解説で言ったんだがトリガーはどうしたんだ?」
一応そこら辺も聞いておかないとな。それで変わっているなら変わっているで考えておかないとな。
「えっと……とりあえず弧月を……」
「私も……」
「わかった、ちょっと待ってろ……」
俺はボーダー支給のスマホで蒼魔に連絡を入れる。
「蒼魔、今本部か?」
『オレらの隊室だが、どうした?』
「実は見て欲しい隊があるんだが」
『葉山隊か?』
「おう」
『今、双葉いるが大丈夫か?』
「問題ない、少しだけ教えてやってくれ。んで6000超えたら本格的に教えてやってくれ」
『わかった』
電話を切る。
「よし……本部行くぞ」
「えっとそれってつまり」
「とりあえず基礎を叩き込む、それからランク戦を頑張れ」
「わかった!みんな頑張ろう!」
「「「おー!」」」
気合いは充分だな。これからの頑張りに期待しますかね。
「そういえばオペレーターは?」
「姫菜なら今日は用事あるって言ってた」
「そうか」
─────────────────────────
本部、殊原隊隊室にて
「蒼魔、入るぞ」
「おう」
俺が扉を開けると、エプロンを着けてホットケーキを作る竜翔と黒江と勉強している蒼魔がいた。
「あ、いらっしゃ~い葉山隊の皆」
「ん?おお来たか」
「?」
「蒼魔、弧月の基礎教えてやってくれ」
「ああ、それじゃ八幡フィールドに的とかセットしてくれ」
葉山隊を連れて蒼魔はトレーニングルームに入る。俺はトレーニングルームのフィールドに仮想の的を表示する。
『よし、始めるぞ。まず切り方なんだが、普段お前らどんな風に切ってるかあれを切って見せてくれ』
蒼魔は的を指さし、葉山隊に切らせる。全員無事に両断するがやはり少し力任せに切っている。
『やっぱりそう切るよな……八幡、硬い的を出してくれ』
別の的を出してそれをまた切らせるが今度は切れずに弾かれる。力任せに切ると切れない、弧月は日本刀と同じように滑らすように引いて切ると綺麗に行く。尤もトリオン兵に使用する技術だが。
『とりあえずこれを一人そうだな……今日は20個切ってくれ。オレも蓮さんほど鬼じゃないからな連続じゃなくていいから。後は、チームメンバー同士でやって何かあればアドバイスする。オレは双葉の勉強を見るから全員終わったら言ってくれ』
それから葉山隊はしばらく弧月を振り続けた。
二時間ほど経ち彼らがトレーニングルームから出てくる頃にはかなり疲労していた。
「お疲れ、明日からはランク戦をやって6000ポイント前後まで上げてこい。三浦と由比ヶ浜は弧月のポイントが葉山にと戸部より少ないから5000ポイント前後だ」
「「は、は~い……」」
フラフラの彼らに、キッチンから出てきた竜翔がホットケーキ(4枚重ね)を4皿並べ更に耐熱ボウルには大量の生クリームが入っており使い放題だ。
「お疲れ様。これは僕からのご褒美とこれからも頑張れの意を込めて作ったから」
「「いただきます!」」
由比ヶ浜と戸部は生クリームをドンと乗せ、葉山と三浦は一度切り分けた後にドンと生クリームを乗せる。
そして一口食べ、全員の顔が驚愕に染まる。
まぁ竜翔の卵を使う料理を初めて食べたらそういう反応をするよな、あの二宮さんや風間さんも驚いたし。いままで真顔でいられた人なんて蓮さんくらいだろう。
「べー……正直男の料理だからなめてたっしょ……旨すぎる」
「どこのプロが作ったんだって思うよ……」
「この生クリーム、甘過ぎなくて丁度いいし」
「ホント、あたしこれ作ってみたい」
─────────────────────────
「「ご馳走さまでした」」
「うん、喜んでもらえて良かったよ」
「いやーこれからも頑張ったら作って欲しいっしょ」
「あーしもお願いします……」
「あたしも……」
「俺もお願いしていいいかな?」
「勿論!その代わり頑張ってね?」
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第四話 ランク戦
葉山隊の訓練をしばらく続けていると葉山が攻撃手より万能手になった方がチームのバランスが取れるので空きスロットにハウンドを入れるように進めた。
そして僕らにも近づいてくるものがある
「そろそろランク戦か……」
そうランク戦だ。今僕らの隊の順位は『0』規格外の0位だ。
「どことだ?」
「えっと……確か風間隊と紺野隊に加古隊だね」
「なら木綿季に風間隊ぶつけようぜ」
と冗談交じりに言う八幡。まぁ木綿季のSEは『トリオン視認』といいトリオンを視覚化する。姉の藍子のSEは『強化視覚』で常人の数倍の視力を持つ。
「作戦としては八幡が風間隊相手して僕が藍子と喜多川落としたあと蒼魔と残りの相手だね」
「なぁ竜翔試したいことがあるんだが」
「試したいことって?」
「実はな……」
なるほどなるほど、それは面白いな。
「いいねやってみよう」
するとジャージを着た美少女と見間違える容姿の男子生徒がこちらに歩いて来る。
「あれ?比企谷くん?」
「ん?戸塚か?昼休みにも練習か、精が出るな」
「うん、やりたいこともあるからね……」
「やりたいこと?」
「三人ってボーダー隊員だよね、なら話した方がいいかな」
戸塚くんはテニスをする理由を話す。
昔、友達が目の前で近界民に拐われて、その友達を助けに行きたいと。でも怖くて中々勇気が出ないのでテニスで反射神経だけでも鍛えていると。
「なるほどな……いつ頃入る予定なんだ?」
「えっと次の入隊試験の時に」
「そうか。ポジションは何処にする予定?」
「射手かな?」
「合格したら八幡、お前教えてやれば?」
「ポイントが6000越えたらな」
そしてチャイムが鳴り、昼休みが終わる。
「もう終わりか……それじゃあね」
そのまま駆け足で帰る戸塚くんを見送り、次のランク戦どうしようか考えていた。
─────────────────────────
「それではA級ランク戦夜の部2戦目を開始します。実況は私、嵐山隊の綾辻、解説は隊員に定評のある東さん、同じ嵐山隊の木虎さんにお越しいただきました」
「「よろしくお願いします」」
「今回のランク戦のマップ選択権は加古隊にありますがどんなマップになるんでしょうか?」
「そうですね、加古のことだから面白いマップにしてきそうで予想がつきませんね」
「加古さんと言えば奇想天外な戦闘をしますから、それに対応するのに一苦労ですね」
「そうですね……あっと隊員も転送が終了したようです。ランク戦開始です!」
─────────────────────────
竜翔side
転送され目を開くと、目の前に広がった光景に何も言えなくなった。
「うっそだろ」
吹雪だ……
「ホントに予想つかないな、あの人は」
『竜翔どうするの?』
「とりあえず八幡には作戦通り風間隊を抑えてもらう、蒼魔は加古隊を雷電足で掻き回してもらう。僕はその間に喜多川と藍子落としてくる。ストレアは今までの記録から行動を予測して」
『比企谷了解』
『寺井了解』
『柊了解』
僕はSEで加古隊の居場所と藍子の狙撃ポイントを視る。さらにレーダーに二人がおそらくいるであろう場所が表示される。
「そこか……」
コブラを生成し、8×8×8に分割して半分を喜多川と藍子に放ち残りの半分を木綿季達の所に放つ。威力より射程とスピードに割り当てたからそこまで威力はないけど。
「ストレアどう?」
『うーん喜多川ちゃんには当たって結構持ってったけど藍子にはエスクードで防がれちゃった』
「何処にいるかは確定?」
『うん、もう一度やる?』
「マーキング」
『ほい!』
「メテオラ+バイパー=トマホーク」
藍子のいる場所にトマホークを放つ。そしてベイルアウトの光が二本出る。
「誰?」
『喜多川ちゃんが自発して藍子がトマホークで落ちた』
「よしそれじゃあ木綿季達と遊んでくる」
『いってらっしゃい~』
弧月を抜きグラスホッパーで向かうのだが……
「風が!」
あおられて中々しまらない……
─────────────────────────
八幡side
風間隊の位置をSEで見つける。ここから近いのは菊地原か。俺はグラスホッパーで移動する今回はスコーピオンの代わりにオプショントリガーを入れて来た。
「菊地原見っけ」
俺はバイパーを周りに落とす。走っていた菊地原の足が止まる。
そこでバックワームを解除して、
「なっ……」
何が起こったのかわからない菊地原の後ろでバイパーを放つ。それをシールドで防がれるも、残して置いたアステロイドで、シールドを削る。
スコーピオンを取り出した菊地原が切りかかってくるので目の前にグラスホッパーを置き吸い込まれるように菊地原はグラスホッパーにぶつかりそのまま飛ばされ、隙だらけになる。トリオン体にメテオラをぶつけてフィニッシュだ。
「いきなりグラスホッパーはやらないから引っ掛かったな。風間さんも近いしそのまま行くか」
グラスホッパーで風間さんの所へ向かう、すると風間さんの所には陽乃もいて切り合っていた。俺は再びカメレオンを起動し風間さんを蹴飛ばし陽乃の弧月を握る腕を殴り、弧月を奪う。
『トリガー臨時接続』
「あっ!八幡ずるい!」
「戦略的と言ってくれ」
「何かと思えば比企谷か……一瞬何が起きたかわからなかったぞ」
「そういえばさっき何したの?突然手に衝撃が来たけど」
「カメレオンのまま殴って蹴った」
「初めて見たよカメレオンで物理攻撃してくるなんて」
弧月の方にセットしてあるトリガーが使えないのでバックワームを解除してアステロイドを放つ。それを俺はシールドで防ぎつつ風間さんを攻撃する。
ポジション射手だけど攻撃手のトリガーも使えるから何の問題はない。
「しかし旋空がないと少し面倒だな……」
合成弾も使いたいので弧月をフリスビーのように陽乃に投げつける。もそれを持ち手で受け止める彼女。
「危ないなぁ~」
「アステロイド+バイパー=コブラ」
それを9×9×9に分割して放つ。シールドを張られるもゴリ押しで砕き、そのまま削る。
「本当にそのトリオンの暴力は恐ろしいな」
「そりゃどうも……それと」
一呼吸置く
「頭上注意ですよ」
何発かわざと外したコブラが再び襲いかかる。
それにいち早く気づいた風間さんが陽乃にスコーピオンを投擲し供給器官を貫き陽乃がベイルアウトし、風間さんもコブラによりベイルアウトする。
「終わったぞ」
『お疲れ様~竜翔の方に向かって。加古さん達が向かってる』
「了解」
─────────────────────────
蒼魔side
「蒼魔先輩行きます!」
「来い双葉」
その一言を皮切りに双葉が韋駄天を起動して切りかかる。対応する為にオレは雷電足を起動して距離を取る。そこからは互いにに弧月で切り合う。
やはり体格差故に攻撃が太刀川さん達より軽い。それでも攻撃は苛烈だ。弟子がここまで強くなっているとわかると、喜ばしい気分になる。
双葉と切り合っていると上から弾トリガーが飛来する。後ろに下がりかわす。
「ハウンド……ということは」
「ふふふ……よくも真衣を落としてくれたわね」
「それならうちの
「まぁいいわ、あなたを落として木綿季ちゃん達も落とさせて貰うわ」
ハウンドが分裂するように増えていきそのままオレを射撃し着弾と同時に韋駄天で双葉が急接近してくる。
その攻撃をレイガストで防御し弧月で反撃する。
それに気づき防御の体勢をとる。
「スラスターON」
しかし飛んで来たのはレイガストだ。
咄嗟に体を反らしてかわすも左腕を失う。
レイガストのないオレをハウンドが襲いかかる、がオレは左手首辺りから伸びるワイヤーを引っ張りレイガストを引き戻しハウンドを防御すると同時に加古さんの右腕を切り落とす。
「今の面白いわね」
「レイガストにワイヤー着けただけだ」
「改造ですかそれ」
「ああ、米屋の槍弧月しかり木虎の巻き取りワイヤーと同じだ」
スパイダーは出してしまえば残り続ける。それと木虎の巻き取りワイヤーから発想を得て制作した。
これで投げてもワイヤーを引っ張ることでレイガストでの二重攻撃が可能になった。
今回の試合が初披露だ。
「さて……二点もらってく」
「いえ……」
「私達が一点貰うわ」
スコーピオンが加古さんの腕から射出される。
それを投げガストで破壊しそのまま突撃する。通り過ぎ様に弧月で切り裂く。うまい具合に腹部を切ることに成功する。
そろそろ暖まってきた頃だ。
「見切ってこい!」
全力の雷電足で高速移動を繰り返す。軌道上に弧月やアステロイドが現れるが韋駄天と違い、こいつは軌道ヲ変えることができる。
二人の片腕も持っていきそのまま持って行こうとしたのだが、視界から瞬時に消える。
「逃がしたか……ストレア、場所は?」
『う~んごめんバックワームで逃げられた』
「なら木綿季達の所行くか、おそらく竜翔もいるだろうし」
『あたしの出番終了?』
「スナイパーもトラッパーもいないからな……」
『それじゃあ先に休憩するね~』
オレは竜翔がいる方向へ走る前に少し休む。
雷電足の欠点だ。脳を酷使するから休まないと
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第五話 ランク戦終了!
解説席side
「ランク戦開始!加古隊が選んだステージは市街地Bなんと天候は吹雪です!」
「加古らしいステージ選択ですね」
「そして開始から数秒で殊原隊長が合成弾で喜多川隊員と藍子隊員を襲撃!」
「真っ先に厄介なポジションを落としに来ましたね」
「今の合成弾はコブラですね」
「殊原隊長の合成弾のタイムは太刀川隊の出水と同じく2秒。今の襲撃は彼のSEとオペレーターの柊隊員の連携で出来るものです」
「これにはたまらず喜多川隊員自発的にベイルアウト藍子隊員はエスクードで防御したがエスクードが砕ける!そのまま藍子隊員は場所を変える為に移動を開始する!」
「あーこれはもうダメですね。トマホークが彼女一点集中で落ちる」
「おっと!菊地原隊員いきなり腕が飛ぶ!」
「今のは……何が起きたんですか?」
「おそらくそばにいた比企谷が蹴飛ばしたんでしょう」
「しかし姿がありませんでしたが」
「カメレオンで姿が見えなかったんでしょう。カメレオンは使用中、他トリガーが使えないが体術は出来る。それで菊地原を蹴ったのでしょう」
「なるほど……寺井隊員と加古隊の戦闘にも動きが出ました」
「黒江隊員が切りかかり猛襲!それを難なく弧月でいなす!」
「寺井は黒江の師匠だ。彼女の動きは彼仕込み、寺井はそれを見ているのだろう」
「加古隊長も合流して攻撃が激しくなります。韋駄天で黒江隊員が攻撃!それをレイガストで防御します!」
「寺井先輩のレイガストは改造型で形状は変えられませんが大きさが小さめなので他のよりも硬いです。それを割るなら、出水隊員クラスのギムレットを分割しないでそのままぶつけるしかありません」
「寺井隊員レイガストを黒江隊員に投げる!それにより左腕にヒット!無防備な寺井隊員にハウンドの雨が降りそそぐ!なんとレイガストがブーメランのように戻って来て加古隊長の右腕を切り落としつつハウンドを防ぐ!」
「あれはもしかするとスパイダーを使って自身へ巻き取りしてるのでしょうか?」
「木虎隊員の巻き取りスパイダーですね。寺井隊員が雷電足で攻撃をしかける!それを加古隊の二人は移動トリガーで姿を眩ます!」
「比企谷隊員と風間隊長、陽乃隊員が接触!風間隊長は蹴飛ばされ、陽乃隊員は弧月を奪われる!」
「比企谷は本当におもしろい戦いをしますね」
「比企谷先輩も加古さんと同じく突拍子もない戦いをしますからね。先ほどのカメレオンアタックも」
「比企谷隊員弧月を投げ返すも見事にそれをキャッチ!そのまま合成弾で二人を攻撃!シールドを貼るも削られる!」
「コブラですね。あれはバイパーに貫通力を着けた合成弾です」
「なんと上から当たっていないコブラが降りそそぐ!それにいち早く気づき陽乃隊員を仕留める!これにより現在のポイントは殊原隊3ポイント風間隊1ポイント加古隊と紺野隊が0ポイントです」
─────────────────────────
竜翔side
木綿季達の方に向かっている途中、僕はス八幡と蒼魔、ストレアに連絡で彼らの現状を聞く。
「二人共ぶつかった相手とその現状はどうなった?」
『八幡の所は菊地原くんと陽乃さんに蒼也さんが落ちたよ』
『菊地原と風間さんは俺がやった』
「残るは遼だけか、蒼魔は?」
『加古さん、双葉ちゃんと当たったみたい』
『だが二人共落とせなかったすまん。だが片腕奪った』
「ナイス」
『少し休ませてくれ、雷電足使った』
「いいよ~休んでる間に終わってるかもだけど」
『それだとありがたい』
風にあおられながらも木綿季達がいる所へ着く。アステロイドを周囲に放ち、追加でメテオラを落とす。
すると雪煙の中に2つ光るものがあった。木綿季の目だろう。
SEを使用する際彼女の緋色の瞳が紅く輝く。
「見られてるな……」
すると弾トリガーが襲いかかる。それをバイパーで相殺。
そこから木綿季が切りかかるので、弧月で受け止める。
「開幕姉ちゃん落としたの竜翔?」
「そうだよ」
「姉ちゃん悔しがってたんだけど」
「まぁ開幕攻撃なんて中々ないからね」
切り合っている最中に弾トリガー、軌道からしてハウンドが襲いかかるのが視える。
それをまたバイパーで相殺して余りを雪乃に当てる。
シールドで防がれるが。
すると木綿季が弾トリガーでやられるのが視えるので横に飛んでかわす。後ろから弾トリガーが襲いかかる。着弾すると同時に爆発する、メテオラだ。
後ろを見ると姿が見えなかった。
「なるほど遼か今のは」
僕は後ろの方に横一文字に旋空弧月で探る。今のでかすったみたいだ。トリオンが漏れている。するとそこに弾トリガーが襲来、そのままカメレオンで姿を消していた遼がベイルアウトする。
「殊原くん真衣の敵討ちに来たわよ」
「特殊工作兵は厄介ですからね」
襲いかかるハウンドをバイパーで相殺しながら余りのバイパーで反撃する。
すると双葉ちゃんが韋駄天で襲撃、その軌道を視て回避、バイパーで反撃する。
すると上空から弾トリガーが僕以外に降りそそぐ。
『よう竜翔、どんな感じだ?』
『風間隊が全落ち、残りは二人残り』
『うし、なら俺が援護する、そろそろ蒼魔もくる』
『おっけ、八幡はバイパーでヤラシク頼むよ』
僕はグラスホッパーで飛び、弧月で雪乃の拳銃を持つ腕を切り落とす。そこへアステロイドが降りそそぐ。それにより雪乃はベイルアウト。それの寸前僕の後ろの方に大量のハウンドが加古隊のところに放たれる。後ろの方からベイルアウトの光一つが見える。そして遅れてもう一本出る。
『誰?』
『一人目が望さん、二人目が双葉ちゃん。蒼魔がいつの間にか来て雷電足で切った』
『さすが青い閃光、仕事が早い』
『それで呼ぶな』
『それならさっさと琴音に告白して付き合え』
『んなぁ!?///』
木綿季だけになり三人で一斉攻撃してランク戦は終わった。特殊旋空が突然使われた時はヒヤッとした。視えてなかったらやられてた。
─────────────────────────
解説席side
「ランク戦終了!点数は殊原隊が7ポイント他3部隊が1ポイントです。順位の変動はありません。総評をお願いします」
「今回はどの部隊も加古隊が選択した市街地Bの吹雪ステージ。この中いつも通り動けと言われても無理があります。風にあおられ、雪に足が取られ機動力が削がれるステージそれでも3部隊が一点もぎ取っていったのはさすが精鋭部隊だと言ったところでしょう」
「今回は殊原隊の新しい仕掛けやトリガーの使い方に驚きもしました。これを参考に隊員達の戦いの幅が広がればいいと思います」
「加古隊は特殊工作兵が落とされて戦法をすぐに変え、攻め時と引き時がよかった」
「風間隊は今回運が悪かったですね。三人全員バラバラに転送されて連携も出来ずに個人で点を取る展開となりました」
「紺野隊は木綿季がスパイダー雪乃の機動力を上げようとしたみたいだがポイントが取れないと見て、混戦に参加して1ポイント取ったというところだな」
「お二方ありがとうございます。これにてランク戦を終了します」
俺ガ・アート・トリガー小話
竜翔「二宮さん」
二宮「なんだ殊原」
竜翔「実は二宮さんにやって欲しいことがあるんです」
二宮「下らんことならやらんぞ」
竜翔「やったら焼き肉奢りますよ」
二宮「わかった……何をすればいい?」
竜翔「スコーピオン二刀流で形を干将・莫邪みたいにして出す時に
それを実行した二宮さん。偶然いた太刀川さんに見られた。
太刀川「スーツのアーチャーw」
その後しばらく二宮さんは『スーツのアーチャー』と呼ばれるようになった。
僕は多めに焼き肉を奢った
─────────────────────────
竜翔sideの途中途中に『視える』と『見える』がありますが誤字ではありません。
竜翔が未来を『視た』って感じです
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第六話 ランク戦後は……
ランク戦も終わり、この後どうしようか八幡と考えていると、匡貴さんが僕名前を呼ぶ。
「殊原、比企谷少しいいか」
「匡貴さん?どうしたんですか」
「少し聞きたいことがある。6時頃にエンジェルラダーに来て欲しい」
「わかりました」
それを伝えると匡貴さんはそのまま隊室のある方へ歩いて行った。八幡も隊室に行って荷物を取りに戻る。
すると後ろから木綿季がこちらに来る。
「お疲れ様~竜翔」
「お疲れ様」
「ねぇ竜翔、明日って空いてる?」
「うん、空いてるよ」
「デートしよ!」
「いいよ。どこに行く?」
「うーん、少し遠出しよっか」
「遠出かぁ~どこにしよう?」
僕はスマホで三門市外の有名所を捜す。するとディステニーランドとは違う遊園地があった。
「木綿季、こことかどう?」
「ここって最近出来た遊園地だよね。ボクも興味もあったから、そこにしよっか!」
「何時集合にする?」
「集合までの時間もったいないから、竜翔の家に泊まってもいい?」
確かに、集合する時間がもったいないな。なら木綿季がうちに泊まる方が合理的だ。実際彼女が家に泊まるのは初めてではないし。
「いいよ、連絡してね」
「わかってるよ~」
─────────────────────────
ボーダー本部を出て本部からちょっと離れた位置にある少し大きな家。一人暮らしには広すぎるけど気に入っている。
「お邪魔しま~す」
「夜ご飯後でもいい?6時に匡貴さんに呼ばれてて」
「わかった。先にお風呂入ってるね」
「着替えはいつもの所にあるから」
「はーい」
僕は師匠からもらったスーツをクローゼットの中から取り出し、それに着替える。
鏡を見ておかしいところがないか確認する。
「しっかしスーツを着るっていうより着られてるっていう方が正しい気がする」
僕はバイクでエンジェルラダーまで向かう。
去年取ったばかりなので木綿季を乗せて走ることはできないのが残念だ。
ビル街に着くと八幡と匡貴さんが既に到着していた。
「早いですね」
「竜翔の場合遠いから仕方ないだろ」
「しゃべってないで早く行くぞ。時間がもったいない」
匡貴さんの後ろを着いていきエレベーターで『エンジェルラダー』の階層まで上がる。
そしてカウンター席に座り店員に注文をする。その時八幡が首を傾げて「どっかで見た気が……」と言っていた。そして匡貴さんが胸ポケットから一枚の写真を取り出す。写真に写っていたのは薄い茶髪の男だった。
匡貴さんの知り合いか?
「二宮さんこの人は?」
「雨取麟児という」
「突然何故この人を?」
「鳩原の密航に関係してるからだ」
「未来さんの!?」
鳩原未来。かつてA級にいた二宮隊の凄腕スナイパー。敵隊員の武器を超絶技巧で狙撃し破壊するという今までやった人がいなかった上に出来る人も少ない業だ。
欠点として人が撃てないというものがあったが、それを補うほどだ。
しかし2ヶ月前に民間人にトリガーを横流しし、更には近界へ密航した。
このことを知っているのは二宮隊は当然として偶々ボーダー本部に向かっていた僕、八幡、蒼魔、当時防衛任務だった風間隊だった。
あの日突然ストレアから電話が来て「密航者が出たから捕らえて!3人が一番近い!」って言われた時は訳がわからなかった。
「二人は雨取麟児について何か知ってるか?」
「うーん……俺はないですね。竜翔は」
「僕もさっぱりです。誰か知ってる人いたっけな……あ、修……?」
確か彼、一時期家庭教師してもらったとか言ってたな……
「殊原何か思い出したのか?」
「いえ、確か修が彼と知り合いだったはずです」
「三雲が……?……いや、それがわかっただけでもいい。頃合いを見て聞いてみる」
そのまま注文した飲み物を飲み干して帰宅する。
「ただいま~」
「お帰り~ごはんにする?お風呂にする?それともボ・ク・?」
「それじゃ木綿季のごはんで」
「は~い♪」
僕は手洗いうがいをしてスーツから部屋着に着替える頃にはテーブルの上には料理が並んでいた。
「「いただきます!」」
味噌汁を一口、うん美味しい。卵でとじたトンカツもサクサクで美味しい。
「どう?」
「美味しいよ」
「やった!そういえば二宮さんとなにしてたの?」
「あまり言えないやつ。それこそボーダーでも」
「わかった。深くは聞かない」
「そうして」
ごはんも食べ終えて、風呂に入る。ランク戦後の風呂は染みるぅ~
生身で戦ってないのになに言ってるんだか僕は。
30分くらいであがる。
冷蔵庫から、お茶を出して飲む。
「テレビなにやってる?」
「バラエティ番組くらいだね」
バラエティ番組かぁ……あまり観ないからいいや。
「明日の予定決めておこう」
「そうだね。何時くらいに出る?」
「少し遠いからね……5時に起きて弁当作って、開くのが9時30分だから、7時ちょっと前に出る」
「了解~そろそろいい時間だから寝よう」
「そうだね。明日に備えて早めに寝るか」
僕の部屋とは別に少し大きめのサイズベッドがあり、木綿季が来て泊まる時はいつもそこで一緒に寝る。
明日が楽しみです。
「竜翔、おやすみなさい」
「おやすみ」
鳩原さんの密航時期は少し調整いれました。原作開始から半年前って時系列がおかしくなるので。
読者の皆さんフリーゲームの『奈落』って知ってますか?
作者はプレイ動画を見ただけですが、あれの第二作の『奈落2』に出てくる『エーベル』ってキャラがいるのですが、彼のキャラデザ、性格が八幡にそっくりなんですよね……
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遊園地デート
木綿季side
「木綿季、起きて朝だよ」
「んう?……あしゃ?」
目を擦り、あくびをして起き上がる。
「今日は……えっと……遊園地で竜翔とデートだ!」
意識が一気に覚醒したボクは飛び起きるように布団から出る。
洗面所で顔を洗う。顔に冷たい水をかける、とても気持ち良くて目が冴える。着替えも終わり朝ご飯を作る。
朝ご飯には目玉焼きをトーストに乗せて食べる。
朝ご飯を食べ終えて、お昼に食べる弁当を作る。おにぎりとおかずの詰め合わせだけだが、実は昨日準備してあったので時間はさほどかからずすぐに完了する。
「準備完了!後はカバンに入れて出発だね」
「僕入れてくるから木綿季は他の準備よろしく」
「はーい」
おしゃれな服を着る。竜翔にはいつでも可愛く見てて欲しいからね。お化粧も姉ちゃんに教えてもらった通りにする。
「終わったよ」
「それじゃ行こう」
─────────────────────────
『◯◯駅~◯◯駅~』
目的の駅に着いて、電車から降りる。少し離れた所にバス停があるので歩く。
数分後にバスが来るのでそれに乗って遊園地近くまで進む。
十数分で着き、そこから更に徒歩で向かう。
「着いた~!」
「ラウンドランド!」
新しく開園した遊園地なので人も沢山いる。
入場して、アトラクションの一日券を買い、腕に巻く。これで一日中楽しめる。
最初は何にしようかなぁ~と悩んでいると竜翔が肩を叩いて指をさす。
「木綿季、あれにする?」
竜翔が指さしたのは、鏡迷路だった。今まで鏡迷路には入ったことがなかったから楽しみだ。
それに竜翔は迷路が好きだったなぁと思い、ボクは竜翔と迷路のアトラクションに行く。
バーコードを係員の人に読みこんでもらい、迷路に入る。
「ほぇ~鏡だらけかと思ったらガラスもあるんだ」
「初めてなんだ木綿季。なら……いやなんでもないや」
「むぅ~何か企んでる?」
「そりゃね、面白いのが視えた」
「その予知覆したくなったよ」
「それじゃファイト♪」
ボクと竜翔は迷路を進んでいくのだが、通路かと思った所にガラスがあって額をぶつける。
「残念木綿季、覆せなかったね~」
「うう~道があると思ったのに~」
悔しくなったボクはがむしゃらに迷路を進む。竜翔とは手を繋いでいるのではぐれることはないし大丈夫。
けれどがむしゃらに進むから道に迷ってしまうしガラスにゴチンと頭をぶつける。
「降参するかい?」
「うん……」
「それじゃあ着いてきて」
竜翔はゴールがわかっているかのように進んでいく。
「なんでわかる……ってSEか……」
「そ、因みに木綿季ががむしゃらに進んで頭ぶつけるまで視えてた」
「覆せなかった~」
竜翔の予知通りだったなんて悔しい。
「ほいゴールに到着。次は何にする?」
「うーん、コーヒーカップは目が回るし、メリーゴーランドは竜翔が乗りたがらないし」
「さすがにね……」
「ゴーカートにする。近いし」
ボク達はゴーカートの場所まで歩く。人が沢山並んでおり乗るまで時間がかかりそうだ。
「一杯並んでるね~どうする?」
「ふっふっふっ……ジャーン、全アトラクションで一回だけ使える優先券」
「なんでそれ持ってるの!」
「抽選であたった」
「運良すぎだよ」
「早速使っちゃおう」
竜翔は優先券を係員の人に見せて、カートがある所に行く。いろんな色のカートがあってどれにしようか悩む。
「竜翔、これにしよう」
ボクが選んだのは紫色のカート。
「じゃあ僕助手席乗るね」
カートに乗り込んだボクはアクセル踏んでカートを進める。やはりゴーカートなのでそこまでスピードは出ない。
十分ほど進んでいると分かれ道があった。
「竜翔、どっちにする?」
「運転手は木綿季だから君の好きな方にしたら?」
「じゃあ左にする」
ボクはハンドルを左に切って進む。そのコースはトンネルがあって薄暗く少し不気味だった。
「空気がひんやりしてるね」
「涼しいけどちょっと怖い」
特に何も起きずにトンネルをくぐり抜ける。更に進むとそこはゴールだった。
「お客様、今日実は午後からレースが行われるのですが参加しますか?」
レースかぁ。どうしようかなボクは別にいいんだけど。
「僕出ていいかな?」
「あれ?意外!どうしたの?」
「木綿季が運転してる所見てると少しやりたくなったからね」
「それじゃあ頑張って一位取ってきてね」
「もちろん」
竜翔は名簿に名前を書き込む。
次に乗るのはジェットコースター!今日一番の楽しみだった、やはり目玉アトラクションなだけあって長蛇の列が出来ていた。しかし今回は優先券があるからすぐに乗れる。
安全ロックがかかり、コースターが進む、坂を登っている間、ボクはすごくワクワクしている。
「ジェットコースターってさ1日の1回目に乗るとき、すごいワクワクするんだけど僕だけ?」
「ボクもそれわかる、馴れてるはずなのにすごいワクワクしちゃう」
そして遂に登りきり、一気に下る。
「きゃぁぁぁぁぁぁあ!!!」
「いぃぃぃやっほぉぉぉぉお!!!」
ものすごい速度で進み、周りの風景がまともに見られないうえ、途中には縦に1回転するものもあって三半規管がおかしくなる。
ジェットコースターが終わり、降りるとボクはフラフラとベンチに座る。
「ああー楽しかった!」
「目が回る……(@_@)」
「少し休もうか」
少し休憩のため、このまま座ることにした。
「僕トイレ行ってくる」
「は~い……」
─────────────────────────
竜翔side
トイレに行き用も済ませた僕は木綿季の所に戻っている途中、見知った顔である修と桐絵が歩いているのを見つけた。
「あれ、修に桐絵、二人も来てたんだ」
「竜翔?あんたも来てたんだもしかして一人?」
「いや、木綿季と。修達は?」
「僕達も……と言いたい所でしたけれど、玉狛第一のみんなと来てます」
「そうなんだ、お互いに楽しもうか」
そう言って別れる、少し急ぎ足で木綿季の所に戻ると見知らぬ男が木綿季に絡んでいたのが視えた、というかすでに絡まれていた。
視逃したか……
「お嬢ちゃん一人?」
「違うよ」
「お友達と来てるの?」
「彼氏とだけど?」
「でもその彼氏さんの姿が見えないけど」
僕は後ろから声をかける
「どーもその彼氏さんです」
「へ?ああ、すいませんでした……」
見知らぬ男は去って行った。
「ごめんね木綿季」
「ううん大丈夫だから」
話のわかる人でよかった。
「次、何に乗る?」
「そろそろお昼だから弁当食べよう」
腕時計を見るとすでに12時を少し過ぎていた。
「ありゃま、どこで食べる?」
「そこの広場で食べよう、丁度ヒーローショーやるし」
「ヒーローショーかぁ……音大きいから苦手なんだよね……」
「効果音がビリビリくるからねぇ~」
僕達は広場でお昼を食べた。
─────────────────────────
ヒーローショーも終わり、そろそろレースの時間になるので僕はゴーカートの所に向かう。
「竜翔頑張ってね~!」
よし、一位とるぞ!
レース会場には、沢山の人が並んでおり、くじ引きで位置が決まる。
僕は5番目のようだ。
「あれ?竜翔じゃん!」
「陽介?君も参加するの?」
「おう、弾バカと緑川とじゃんけんで俺が勝ったから出ることになってな」
「順位は?」
「ふっふっふっなんと1位!」
「初見殺しに気をつけてね」
「ちょっ、何が視えたんだよ!」
「とりあえず頑張れ」
僕はカートを選び位置につく。
『さぁラウンドランドグランプリの第一回が今始まります!選手の皆さんはカートに乗り込んでください!』
指示通りカートに乗る。
そしてシグナルが赤から青に変わる
『選手一斉にスタート!開幕先頭に出たのは8番米屋陽介選手!』
陽介が先頭でレースがスタート、僕はレースで1位をとりたいので、陽介達に負ける訳にはいかない。
「うわぁ!」
すると突然後続の人の叫び声があがる。
『コースの中には沢山の
「完走させる気あるのかなこのレース……」
これからの仕掛けに不安を覚えた。
─────────────────────────
木綿季side
竜翔が参加するレースがスタートし、ボクはモニターでその様子を見る。
「あれ?木綿季先輩だ!」
「本当じゃん、レース見てんのか」
「公平に駿、あれ陽介は?」
「槍バカならレースに参加してんぞ。そっちは一人か?」
「ううん、竜翔もレースに参加してるんだ」
「竜翔先輩も出てるんだ~」
モニターに目を移すと一人失格になっていた。
「うわ~初見殺し過ぎんだろあれ」
「これよねやん先輩回避出来るの?」
次々罠に引っ掛かり失格になる。罠の種類はネット、鉄球、ブリザード砲など多彩で面白い。
それから十数分が経過して残ったのは竜翔と陽介だった。
「槍バカのやつ考えたな、竜翔の後ろにいればトラップに引っ掛からなくて済む」
「うわっずっる!」
そろそろレースも終わりも近づき残すは直線コースのみとなる。
すると竜翔がスピードを落とし陽介が先行する。
「よねやん先輩勝ち?」
「みたいだな」
二人も観客も陽介が勝つと思ったその時ゴールライン手前で罠が作動し、陽介が失格する。
その後ろを竜翔が駆け抜け優勝したのだった。
「最後の最後で陽介、罠に引っ掛かったね。竜翔がスピードわざと落としたんだから何かあると思うのに」
「よねやん先輩、目の前のゴールに目が眩んだんだね」
─────────────────────────
竜翔が表彰台の『1位』の所に立つ。
「殊原竜翔殿、優勝おめでとうございます」
竜翔は優勝メダルを掲げる。それと同時に観客からは拍手が巻き起こる。
「ただいま」
「お帰り、それとおめでと」
「最後の最後で陽介が引っ掛かった時すごい面白かった」
「悔しそうな表情してたよ」
ボクと竜翔は互いに笑い合う。
その後も沢山アトラクションで遊び、日も赤くなる。
「そろそろ帰るか」
「そうだね」
今日はとっても楽しかった♪
次の日、ボーダー本部で竜翔がレースに出てたことが広まり、少し騒ぎがあった。
誰かストレアの強化トリガーを考えてくれ……
作者の頭では浮かばなぬのだ……
コメント欄で募集中……
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七話 チェーンメールと無断アルバイト
蒼魔side
「はぁ……」
放課後の少し前の時間、オレはため息をつく。
「告白ってどうすればいいんだよ……」
教室で机に突っ伏す。琴音に絶賛片想い中のオレは
幸いなことに琴音にはバレていないのだが(幸いでもないか)、どう伝えたらいいか悶々としていた。
「寺井くんちょっといいかい?」
突然葉山がオレを呼ぶ。
「どうした葉山?」
「実はこれを見て欲しいんだ」
そう言いながらスマホの画面を見せる。
そこには『戸部は西校でカラーギャング狩り』、『大岡は対戦校のエースを潰すラフプレーヤー』、『大和は3股するクソッタレ』と三人への悪口がかかれていた。
「チェーンメールか」
「ああ、どうしたらいいか考えて犯人を捜ししたいんだが」
「予想は?」
「大和だね、バレても二人よりは問題にならないから」
「オレもそう思うが裏取りがというか確実性が欲しいな……スマホちょっと借りる」
オレは竜翔を呼ぶ。
「竜翔、これ犯人誰かSEで見つけられるか?」
「何々?チェーンメール、視てみるよ」
竜翔は画面を集中して視る。
「うん、うん……大和かな?」
「サンキュ」
オレは葉山に予想通りだと伝える。
「それでどうするんだ?」
「明日取り敢えず大和だけ呼んで話す」
「そうか……ああ、葉山。お前のとこの女子隊員に伝えといてくれ『茶髪の嵐山さんみたいな髪型で緑のサングラスかけたボーダー隊員に気を付けろ。尻触られる』ってな」
「えっ……?」
「セクハラエリートだからな」
「セク……え?」
「じきにわかるさ」
─────────────────────────
八幡side
小町から、川崎大志の姉である川崎沙希の深夜バイトの理由を調べて欲しいと頼まれ、俺は竜翔と二宮と先週行ったバーに蓮さんと向かう。さすがに未成年だけであそこに行くのは無しだ。
「なるべく早く済ませろ」
「わかってます。忙しいところすいません」
「しかし、そいつは阿保なんかね?」
「友達と話してるところは見かけたことはないので相談相手もいなかったんじゃないんですか?しかも川崎家は兄弟が多いと聞きましたから長女として自分で何かしなきゃいけないっていう責任感もあったりして」
「よくわかんねぇな」
そう話しているうちにバーに着く。
カウンターに目的の人物がいた。
「よう、川崎」
「あんたは確か……比企谷?何しにきたのさ」
「お前の弟が心配してたぞ」
「そ……それなら放っておいて」
「てかお前がここでバイトしてるの学費だろ?」
俺の予想が当たったのか、川崎の体がピクッと反応する。
大志からは自分の学費などが支払われていること、川崎の成績が上位にあることは聞いている。
「だったら何、あんたが支払ってくれるの?」
「いや、そんなことしたって何も解決はしないだろ。だから俺からはこれを参考にな……」
俺は奨学金制度の所に赤で丸く囲ってある予備校のパンフレットを川崎に渡す。
「何これ」
「スカラシップ、あくまでも参考にしといてくれ」
俺はジンジャーエールを頼み、それを飲み干して帰る。
「あっさり終わったみたいだな」
「そうですね」
「お前の家まで送る」
「ありがとうございます」
翌日川崎からお礼を言われ、解決したことがわかった。
毎度チェンメの犯人にしてごめんよ大和
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八話 職場見学
あれから、数日して職場見学の日が訪れる。見学場所は大人数の希望によりボーダー本部になった。
それを知った八幡は少し憂鬱になったのか、暗い空気を出す。
「なんでそんなに嫌なの?バレるのが嫌なわけじゃないし」
「そらそうだが……なんでA級、B級のランク戦するんだよ……」
「上層部の指示らしいぞ。今回の相手は嵐山隊と太刀川隊。これもあるのか八幡?」
「おー……別に俺達じゃ無くていいだろ」
「別にお前が学校の連中にヒソヒソ言われるんじゃないんだから、そこまで嫌がらなくてもいいだろ」
「俺は目立つのが嫌なんだよ……」
ホント目立つの嫌がるよね八幡……
─────────────────────────
そしてボーダー本部に入り、職場見学が始まる。
中々入れないボーダー本部に興奮しているのか、声が聞こえる。
舞台には嵐山さんが立ち、トリガーやボーダー隊員の仕事を説明する。
そして場所を移動して仮想トリオン兵訓練の所に行く。生徒の何人かが選ばれトリガーを選ぶ。その中には戸塚くんもいて、トリガーはアステロイドだった。
仮想トリオン兵を倒していく。しかし好タイムが中々出ない。戸塚くんの番になる。
先程の人達のを見ているからか弱点もわかっているのだが……トリオン量はそれなりか……4か5かな?
タイムは15秒5
「すごいじゃないか!ここまで早いタイムは珍しいぞ!」
「あ、ありがとうございます……」
戸塚くんは照れているようで頬を赤くする。
うーむそこら辺の女子よりも女子らしいな……
すると後ろから公平がやってきた。
「すげーな今の子、アステロイドであんなにはえーの初めて見たぜ」
「あれ?公平、作戦会議室に行かなくていいの??」
「おう。まだ時間あるし、職場見学だから木虎とか緑川みたいなやつがいねーか見に来たんだよ」
「公平から見て、彼はどう?」
「トリオン量がそこまで多くないが、伸びそうだな。水上先輩みてーにエースをサポートして戦うタイプだな」
「そうだねぇ……次の入隊式っていつだっけ?」
「確か……8月10日だったな。なんだ、あの子ボーダーに入るのか?」
「うん。気に入ったの?」
「面白そうだとは思うぜ」
ワクワクした表情を見せる公平。
射手はそんなに多くない。射手で始めた人も段々と銃手に移り変わってしまうのがほとんどだ。そもそも射手というポジションはセンスが問われる。威力・射程・速度の設定に分割と扱いが難しい。それをのっけから熟す八幡が異常だったのだが。
「……てか、さっきお前『彼』って言わなかったか?」
「言ったけど?」
「男なのか?」
「そうだけど」
「そこら辺の女子より女子だなおい……」
引き攣った顔をする公平。
まぁ最初出会った時は僕も同じだったよ。
「そろそろ移動するから、また後で」
「おう」
─────────────────────────
次にランク戦の話を始める。
そして僕達は作戦会議室に移動する。
「3人とも待ってたよ〜」
いつものオベ服のストレアが既に部屋にいた。
「ストレアは今日の為に呼ばれたの?」
「えっとね〜振替休日だったから学校ないんだ〜。それとハチマンはいつまで暗〜い雰囲気出してるの?」
部屋の隅っこで『ズーン』とでも言いそうなオーラを纏っている八幡。いい加減腹を括って欲しいものだ。もう逃げられないのだから。
「おら、さっさと作戦会議するぞ……」
蒼魔に首根っこ掴まれてこちらに連れてこられる。まるで借りてきてた猫のようだ。
「はぁ……嵐山隊と太刀川隊だっけ?」
「うん。フィールドは市街地C。賢の狙撃を活かすつもりだと思う。作戦は太刀川さんを蒼魔が抑えて八幡が公平を抑える。ついでに八幡が賢の居場所を探ってくれればいいかな。後は唯我を嵐山隊に押し付ける。乱戦にぶち込んでゴチャついたら木虎と充を落とせればいいかな?」
「転送配置はそんな感じなのか」
「今回は運が良いみたい」
「そろそろ転送されるよ〜」
─────────────────────────
僕から転送された場所はマップの中心辺り。近くに唯我と木虎がいたので、バイパーを使い、レーダー頼りに2人を充のところに誘導する。
『ストレア、充がどの辺りにいるか予想できる?』
『うーん、リュウトから見て10時の方角かな』
『ありがと』
10時方向にバイパーを落とす。
『八幡?今どう?』
『今、出水と嵐山さんとやり合ってる。できれば2点持ってく』
『よろしく』
僕はグラスホッパーを使い、木虎と唯我のいる場所に跳ぶ。
「メテオラ+バイパー=トマホーク……行け!」
トマホークを216分割にしてばら撒く。当然2人に居場所がバレているので建物内に避難されてかわされる。一部を建物内に向かわせる。ベイルアウトの光が見えないので、仕留められなかったようだ。
煙の中から射撃トリガーが襲いかかる。それをかわしてアステロイドで反撃する。それもかわされてしまう。更に上からも射撃トリガーが放たれる。
「充か……」
シールドを張って防ぐ。後ろにいる唯我も銃を撃ってくる。
「バイパー……」
それをバイパーで相殺する。
前からは木虎がスコーピオンで切りかかってくるので、弧月で受太刀する。左足にスパイダーを撃たれるので左足を浮かして避ける。そのまま木虎の腹にグラスホッパーを使い跳ばす。そのまま後ろで逃げている唯我の供給器官に向けて、旋空弧月を超短く起動して貫く。木綿季がよくやる手だが、元々は僕が使っていた技だ。あんまり実用性はないし、生駒旋空の方が有用なので使う機会がなくなっていた。
旋空弧月は唯我の腹を貫く。まだベイルアウトはしなかったが、脳天を撃ち抜かれる。
『今誰が落ちた?』
『唯我だよ蒼魔。やったのはおそらく賢だけど』
『したら今お前木虎と時枝とやってんのか』
『蒼魔は太刀川さんと?』
『ああ、全然切り込めん。時間かかるから早めにこっちきてくれ』
『あいよ。それとも2人こっちに引っ張って乱戦にする?』
『……そうするか』
『オッケ』
僕は蒼魔との通信を一度切って、グラスホッパーを使って2人をふっ跳ばす。賢の狙撃が不安要素だが、撃たれる未来が視えてないのでそのまま蒼魔のところに向かう。
─────────────────────────
八幡side
転送された場所は下の方か……おっ、近くに出水と嵐山さんがいる。
俺はスコーピオンを使い、建物の上を登る。ベランダに隠れて、メテオラを用意する。2人の間に二宮さん風おしゃれメテオラを落とす。
「比企谷……いつの間にいたんだ?」
「ついさっき」
「比企谷のSEは本当に厄介だな……」
そう言いつつ嵐山さんは突撃銃でアステロイドを撃ってくるので、それをシールドで防ぐ。出水はバイパーで俺と嵐山さんを狙う。
互いにシールドでバイパーを防いで撃ち合う。
スコーピオンを地面に突き刺し、嵐山さんの足を突き刺す。
足止めした嵐山さんをバイパーで撃ち抜こうとしたのだが、自分の足をスコーピオンごと破壊して逃げられる。
俺はスコーピオンをしまってアステロイドを取り出し、バイパーと合成して、125分割で2人に放つ。
射程もそれほど要らないので威力に割くことができる。フルガードしてもそこそこ削ることができる。
俺はその間に移動する。
コブラの雨が止み、出水はメテオラを撃ってくる。周りが煙幕で見えなくなるので、カメレオンを起動して出水の背後に回る。
「ほいっ」
バイパーを撃たれるが、そのまま出水の足を払う。バランスを崩した出水のバイパーがあらぬ方向に飛ぶ。
「うおっ?!」
カメレオンを解除してスコーピオンで仕留めようとしたのだが、嵐山さんのスコーピオンが出水の首を刎ねた。
それでも出水が道連れのメテオラを落としてきたので、フルガードで防御し、ノーダメージに抑える。ベイルアウトの光が出てきたのは一つだけだった。
後ろを見ると嵐山さんが足にスコーピオンを生やして離脱していた。
俺はグラスホッパーを使い、一気に追いかける。
すると嵐山さんがこちらを向いて、アステロイドを乱射してくる。
「くっ……」
更にメテオラで目をくらます。気配探知で居場所はわかるが、追いかけるのを諦める。
俺はストレアに通信を開く。
『すまん、嵐山さんを逃した』
『どっちに向かった?』
『おそらく蒼魔の方だ……』
『ミツルくんとアイちゃんと合流されたら面倒だね』
『まぁこっちは誰も落ちてない上に無傷だからな……』
─────────────────────────
竜翔side
木虎と充を蒼魔のところにふっ跳ばし終える。
『すまん竜翔嵐山さんがそっちに行った。俺も今向かってる』
『今、太刀川さんだけ?』
『唯我も出水も落ちたからな』
『なら八幡はメテオラかトマホークで掻き乱して』
『了解』
僕は旋空弧月を起動、充の腕を落とす。更にグラスホッパーで木虎をトマホークの着弾するであろう場所に跳ばす。充のサポートが入らないので、落とせるであろう。
僕はそのまま蒼魔と太刀川の戦闘に割って入る。
「セイっ!」
ガキン!
僕の弧月は太刀川さんの右手の弧月に受け止められる。
後ろにいる蒼魔が雷電足を起動して、太刀川さんに斬りかかる。左腕を落とすことに成功した。しかし右の弧月から放たれる旋空弧月が僕とその後ろにいる嵐山さんと充に襲いかかる。
テレポーターを既に使ってしまっている嵐山さんを充が突き飛ばし、自身1人を犠牲にベイルアウト。
僕はグラスホッパーで真横にふっ跳び、左腕を犠牲に回避する。
更に八幡のトマホークが嵐山さんに降り注ぐ。しかしインターバルが回復したテレポーターで回避される。蒼魔と切り合っていた太刀川さんの背後には回り、突撃銃一点掃射。太刀川さんが一気に削られる。無論近くにいた蒼魔も撃たれる。レイガストでガードするものの範囲が小さく、徐々に削られる。その前に太刀川さんの旋空弧月で嵐山さんがベイルアウトする。そして賢の今試合2回目の狙撃で太刀川さんもベイルアウトする前に蒼魔の旋空弧月が太刀川さんの供給器官を破壊。ギリギリのタイミングでこちらの得点になったが、ツインスナイプだったのか、蒼魔の左手も撃ち抜かれる。
残った佐鳥が遠くに逃げて自発ベイルアウトで試合終了。
4:2:1で僕達の勝ちとなった。
─────────────────────────
試合が終わり、職場見学も終了する。
このまま帰ることも出来たが、今日は本部に用事があったので残ることにした。
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九話 ボーダーでの日常その2
職場体験も終わり、数日が経過した。
戸塚の訓練成績が良かったので、彼が仮入隊することとなった。時間がある時に竜翔達が訓練をつけている。
そんな中ある日竜翔は荒船に相談を受けていた。
「荒船さんは……いたいた」
「お、こっちだ殊原」
「こんにちは荒船さん。相談って……あれですか?完璧万能手の」
「ああ。弧月はもうマスター取って、今イーグレットのポイント取ってるんだが、次の中距離トリガーで少し相談したかったんだ」
「中距離トリガーというと、銃手か射手のどっちかになりますね……」
「そうなんだが、どっちにするかあらかじめ決めておきたくてな。お前はどっちも使ったことあるだろ?意見とかを参考にしたくてな」
荒船の言う通り、竜翔は射手トリガーだけでなく銃手トリガーも使っていた時期がある。トリガー開発の際に実際に使うことで何がよくて何がダメかを現場で確かめている。
「銃手をするならレイジさんみたく機関銃や突撃銃を使うのがいいですけど、本部トリガーの規格内や荒船さんがメゾット化して一般隊員向けにやっているので突撃銃がオススメですね……射程の確保と連射ができますし、何より威力もそこそこある」
「なるほどな……射手トリガーだとどうなんだ?」
「射手だと、銃手よりは攻撃までに時間がかかりますが、細かい設定ができるので、サポートに向いていますね……点取りやトリオン兵の討伐を優先するなら、銃手の方がいいと思います。射手トリガーでも取れない訳ではないんですけど、初心者にはあまり向かないイメージですし。それに荒船さん、今イーグレット使ってますし」
「……助かった、ありがとな殊原。とりあえずイーグレットのマスター取ったら突撃銃使ってみるとするわ。またなんかあったら聞きに行く」
「はい、荒船さんのメゾットが確立するの楽しみにしています」
そう言って2人は別れるのだった。
─────────────────────────
荒船と別れた竜翔は自身の隊室に戻っていた。
「戻ったよ」
「「お帰り」」
隊室に入ると休憩中の八幡と戸塚がいた。
「竜翔、荒船さんとなに話したんだ?」
「中距離トリガーの相談」
「そうか」
「八幡、戸塚くんの訓練どう?」
「射手トリガーは狙った所に当たる。それに最初は慌てると変な所に行ったが、最近だと落ち着いて撃ててる。ただやっぱりシールドが脆いからなぁ……今はまだアステロイドだけだが、正隊員になったらレイガスト持たせてみるのもありだな。スタイルとしては修だな」
「じゃあ、スパイダーも使わせるってこと?」
「ああ……慣れてきてからだがな」
「スパイダー?それってどう言ったトリガーなの?」
話を聞いていた戸塚が聞き覚えのないトリガー名に疑問を抱き、質問する。
「スパイダーってのは、ワイヤーだな。色とか強度、長さとかをいじって味方を有利にしたり、相手の邪魔をするトリガーだ」
「それを使っている人ってどれくらいいるの?」
「あんまり見かけないね。僕が知ってる限りだと、木虎とか修、レイジさんに木綿季とかだね」
「まぁ使う日はまだ先だから、今はアステロイドに慣れとけ」
「わかった」
そう言って八幡と戸塚は訓練室に入り再び練習を始めるのだった。
─────────────────────────
次の日
蒼魔は葉山から相談を受けていた。
「トリガーをの構築を変えたい?」
「ああ……レイガストをサブに入れてみたいんだ……」
現在、葉山はメインに弧月、旋空、シールドをサブに突撃銃のハウンド、シールド、バッグワームを入れている。
そして現在の葉山の弧月のポイントは6000を超えている。あれから相当頑張ったのだろう。他の3人も6000を超えた。
「しかし、突然だな。なんかあったのか?」
「実はランク戦をしていて、影浦先輩と村上先輩が対戦しているのをみて、村上先輩が弧月とレイガストを使って攻守のバランスの取れた戦い方をやってみたいと思ったんだ」
「そこで、似たトリガー構築のオレに相談に来た訳か」
「うん……それで、実際どうなのか……やっぱり、やめといた方が……」
「ふむ……」
蒼魔は葉山の戦い方を考える。
葉山のスタイルは現在、柿崎のスタイルに近い。
「ハウンドはやめるのか?」
「いや……それだとチームの中距離がさらに弱くなるから外せない……けど、アステロイドにして火力を上げたい……と考えているんだ」
「となると……葉山、お前本格的なガンダムスタイルになるぞ?」
「それってつまり、アステロイドをメインに入れるってことになるのかい?」
どうやらガンダムスタイルの意味が伝わったらしい。
「ああ。旋空を外すことになるが、それでもいいならな」
「それは構わない。旋空弧月は優美子や戸部達が使っているから外しても大丈夫だ」
「よしわかった。ころころとトリガー構築を変えるのはあんま良くないが、それでお前に合った戦い方が出来るならそれでいい」
「ありがとう!」
ふと、蒼魔は、に聞きたいことが一つ浮かんだ。
「今更聞くのもなんだが。お前、誰かを護りたいとか考えてるのか?」
その通りなのか、葉山は驚いた表情を作りすぐさま納得したような顔をした。
「!……ああ。レイガストのシールドモードは並の防御トリガーより硬いから、それで誰かを護れるのならって思ったんだ」
「そうか。なら強くならないとな」
2人は開発室に向かった。
道中、蒼魔は葉山に女子受けのいい所を聞いた。何故と聞かれたので、苦い顔をしながら理由を話すと葉山も似たような理由で悩んでいたのだった。
開発室前まで到着し、中に入る。
「失礼します……ってお前いたのか」
蒼魔が部屋に入って最初に出会った人物───コートを羽織り、指抜きグローブをはいた眼鏡の男、材木座義輝だった。
「む?テリー殿か。隣おるのは……葉山某か。
材木座義輝。本部所属のチーフエンジニアで寺島雷蔵の少し後に入隊。腕のいい万能手だったが、創作本能とやらが騒いだらしく、寺島と同時期にエンジニアに移った。功績として上げるならば雷電足を作り、ランクダウントリガーの韋駄天などを作った男。
「葉山のトリガー構築変えに来たんだ。本格的なガンダムスタイルにしにな」
「……あれか。旋空がなく代わりにメイン突撃銃を備えた村上殿のスタイルになる訳か」
「話が早くて助かる。頼めるか」
「無論だ。ほれトリガーホルダーを寄越すがいい」
差し出された材木座の手に葉山は自身のトリガーホルダーを渡す。
「それで銃トリガーの形は?」
「えっと……片手撃ち出来るのがいいかな……片手にレイガストの盾を張るから。それとレイガストの持ち方なんだけど、腕に括り付けるような感じにできたりする?」
「持ち方を変える程度ならB級隊員でも可能である。銃は片手撃ちか……ふむ……となると犬飼殿の使っている物がよいな。威力はや細かい設定は?」
「えっと、最低でも40m以上だね……それで威力とかも重視したいし……」
「なるほど……弾速を考えると……」
しばらく、葉山の使う銃の設定を考える。2時間が経過した辺りで設定が終わる。
「これで、設定は終わりである。後は使い心地を実践で確かめてみるといい。それとテリー殿、雷電足のレポートをまた頼む」
「ありがとう、材木座くん」
「わかった……明後日に提出する」
そう言って、2人は開発室から出る。
「助かったよ……」
「ボーダーの戦力が上がるならそれでいいんだよオレは。護れるものも護れなくなるのが一番後悔するからな……」
自嘲するように蒼魔はそう言った。
彼自身、姉を連れていかれ自分も連れていかれたのにも関わらず、助けるどころか見つけることすら出来なかったのである。
「何があったかは聞かないよ……俺が踏み込んでいい話じゃないだろうし……」
そう言って葉山は自身の隊室に入るのだった。
「ふう……姉さん……今どこに……?」
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