小さな彼女達の日常 (とあるP)
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第一話 15㎝の仲間たち
友人から勧められて、以前からの書きたかった武装神姫にチャレンジしてみたいと思います。
自分の神姫メインで投稿して行くのでよろしくお願いします!
2036年。人類は高度に発達した技術により、15㎝の人型ロボット<神姫>を開発した。それにより、ライフラインの運用が大幅に改善された。彼女達は今まで困難な現場や、災害現場などで活躍を見せた。
その活躍の場は幅広く人型ロボットにそれぞれ独自の武器や装備を施し、戦わせるスポーツまでに発展した。それを人々は、『武装神姫』と呼んだ…
そして、ここに、その神姫と共に遥々上京して来た1人の少年がいた。
『間もなく終点東京~東京です。お降りの際はお荷物のお忘れ等~』
「やっぱり、都会は人の数も多いね。東北のド田舎とはだいぶ違うよ」
「そんな事ないのです~マスターの家も立派なところでしたよ」
「ええ、そうですわね。大自然の中で奏でるヴァイオリンもまた良かったですわよ」
「ありがとう。そう言って、もらえると助かるよ。レーネ、沙羅壇」
腰まである金髪をなびかせて、白い武装を身に纏いスレンダー体系のアルトレーネと、銀髪に所々に楽器を模様した武装をしている沙羅壇、この二体の神姫マスターは姫野楓(ひめの かえで)である。
彼のには、大きな事情があった。それは、彼の名前にある…
旧姓は前田。10年前楓は祖父、祖母、両親と住んでいた。ある日の授業中いつも通り次の授の準備をしている所に担任のが飛んできてこう伝えた
「大変よ前田君!君の家が火事になっていて…」
「え!そんなバカな!」
楓は学校を飛び出して、自宅へ向かった。朝は共に食事をしていたのに未だに信じられなかった。いや、信じたくなかった。それでも足取りは早くなる一方だった。
やがて、消防車や野次馬が多くなるにつれて現実味を帯びて来た楓は自宅の惨状を目の当たりにした。2階建ての一軒家は既に火の手が周り、消火のしようがない状態だった。それでも楓は一縷の望みをかけて炎の中へ向かって行った。
「母さんーー!父さんーー!ばあちゃんーー!じいちゃんーー!」
「こら、入っちゃいかん!」
「放せよ!あの中には家族が、家族が居るんだーーーーー!」
楓の声虚しく、中からは、4人の焼死体が見つかった。その後は葬儀等で日常が過ぎて行ったが、問題が一つ残っていた。楓の親権である。
当時の楓はまだ小学生。中高生になるにつれて、色々とお金がかかってくる。親戚一同誰も楓を引き取ろうとしなかった。このままでは、楓は孤児院に入れて行かれてしまう。
そんな時、楓を引き取る人が出た。
「あの!私が楓君を引き取ります!」
「先生…」
その人は、楓に火事を知らせた姫野琴歌(ひめの ことか)であった。彼女は、学校関係者として葬儀に参加していた。そこで行われていた、親戚同士の押し付け合いに嫌気がさし、急遽申し出たのだ。
当然、親戚一同は猛反対した。しかし、楓本人から、琴歌と暮らしたいと言ってきたので、本人の希望を尊重し、親権を琴歌に譲った。
「先生がお義母さんになるけど、楓君はそれでいい?」
「うん…先生と一緒にいたい」
こうして、前田楓から姫野楓になったのだ。琴歌との生活は決して楽ではなかった。彼女は女手一つで、しかも、思春期の男の子を育てる自身が無かったのだ。
そこで、なけなしの貯金を崩して手に入れたのが、レーネと沙羅壇である。
「初めまして、戦乙女型MMSのアルトレーネなのです~」
「ごきげんよう。ヴァイオリン型MMSの沙羅壇と言います。以後お見知りおきお」
これが、楓とレーネ、沙羅壇のファーストコンタクトであった。
あれから10年が経ち楓も高校生となった。本来であれば、琴歌と一緒に地元に居ればいいのだが、琴歌曰く
「もう楓も高校生なんだから、都会で暮らしてみなさい!大丈夫よ。衣食住は揃っている場所だから。それに、自立して早く大人の仲間入りしないとね♪」
「はい!マスターの世話は任せてくださいなのです!」
「ええ、マスターを立派な紳士に育ててあげますわ」
そんな事があって、楓は東京で暮らすことになった。東京駅から電車で10分。そこから歩いて15分の所にあるマンションに新居があった。既に荷物が届いており楓は荷解きを終えのんびりとしていた。
「そう言えばこの辺散策していないな。暇だし散歩がてら見てこようかな…」
「マスターお散歩ですか?でしたらレーネもお供するのです!」
「いけませんよレーネ。マスターは1人で出歩きたいのですから。遠慮しませんと」
「ありがとう沙羅壇。そんな遠くに、行かないと思うから直ぐに戻ってくるよ。いい子で待っていたらジェリカン買ってきてあげるからさ」
「わーい!じゃあレーネイチゴ味のジェリカンがいいのです~!」
「なら、わたくしは、オレンジ味でお願い致しますわ」
「わかったよ。じゃあいってきます」
『いってらっしゃい~!(ませ)』
駅の近くには公園があり、人々と神姫は休息を楽しんでいた。また、一角にはビジュアライザーが設置されており、神姫バトルを楽しんでいた。
そして、楓が編入する高校が見えてきた。現代風な高校には3Dホログラムや最新鋭の設備が揃っており、楓自身も明日からの入学を楽しみに待っていた。
そんな時である。1人の生徒が楓に話しかけてきた。
「君、こんな所で何をしているの?」
「え?」
その人は、背が高くて腰まで伸びた黒髪に凛とした佇まい。可愛いよりは綺麗系の顔立ちをしており、自己主張が激しい胸にすらっとした足が特徴な人だった。制服姿を見る限りここの生徒らしい。余りの美しさに楓は心を奪われそうになった。
「えっと…明日から、この高校に通うことになっているのでその下見ですかね」
「そうだったのね。ごめんなさいね、邪魔しちゃったみたいで」
「い、いえ!そんなことないですよ」
「この学校はいいところが沢山あるわよ。気に入ってもらえると嬉しいわ」
「はい、あの「あ、ここにいたのね~。もう探したよ!」…」
「ごめんなさいね。牛尾先生からの頼みごとをしていたら、ここに来ちゃって」
「早く来てよね!みんな待っているんだからね」
「わかったわ。それじゃあ…あれ?」
女子生徒と話していたら、いつの間にか楓は居なくなっていた。
「どったの?」
「今ここに男の子が居なかった?」
「うん?誰もいないけど?」
「そう…」
後ろ髪を引かれる思いながらも少女は学校へ戻って行った。それに彼は言っていた。「明日から、この高校に通うことになっているのでその下見ですかね」っと。明日になれば彼に会えるのだからと…
高校から帰る途中にコンビニによってイチゴとオレンジのジェリカンを買って楓は帰宅した。
「ただいま~」
『おかえりなさい(なのです~)マスター!』
「遅くなってごめんね。直ぐに料理作るからね」
「それには及びませんわマスター」
「そうなのです~リビングに行ってみるです」
「うん?」
そこには、既に料理が用意されていた。しかも、楓の好きなメンチカツとカボチャの煮物があった。
「わ~うまそうだね。これレーネと沙羅壇が作ったのかい?」
「はいなのです~!」
「ええ、本当はわたくし1人で大丈夫だったんですけど…」
「そんな事ないのです。沙羅壇さんは手伝って欲しそうでしたたよ」
「ちょっと!レーネさん!」
「あははは!そうだったんだね」
「あ、やっとマスターが笑ってくれたのです」
「ええ、そうですわね」
「僕がかい?」
「ええ、マスターここへ来るまでずっと浮かない顔をしていたので、心配していましたが…大丈夫でしたわね」
「そうなのです!やっぱりマスターは笑顔が似合う色のです」
「レーネ、沙羅壇…ありがとう」
そう言って、楓は夕食を食べるのであった。その日の夕食は10年前に食べていた家族との夕食と同じ暖かいものだった。
いかがでしょうか?最初なので、こんな感じにしたいと思います。
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第二話 高校入学
今回からオリキャラが多数出てきますが、容姿は皆様の想像(妄想)に任せます。
それでは本編どうぞ
楓が高校の下見をした次の日。いつもより早起きした楓は弁当の準備をしていた。そんな中レーネと紗羅檀はクレイドルから起動して料理をしている楓の傍にやって来た。
「マスター、何しているのですか?」
「見たところ、お弁当の様ですが?」
「ああ、これかい?昼の弁当を作っているんだ」
「それでしたら、わたくし達がやりますのに…」
「ごめんね。こればっかりは自分でやっておきたいんだ。その代わりに、朝食の用意をしてくれないかな?」
『分かりました(わ)』
楓は玉子焼きにウインナー、シーザーサラダ、きんぴらごぼうとお弁当に必要な物を準備していた。一方レーネと紗羅檀は、目玉焼きとトーストを準備しており、楓がいつでも出れるような支度をしていた。
そして、お弁当が出来た楓は、真新しい制服に腕を通して鏡の前で身支度を済ませていた。
「寝ぐせとか無いよね?」
「ええ、紳士的で素晴らしいですわ」
「そうなのです~カッコイイですよ~」
「なら、いいけど…マズイ!もうこんな時間!それじゃあいってくるね~」
「ああ、マスターこれ朝食です~」
「ありがとうレーネ、紗羅檀。それじゃあ今度こそいってきま~す」
『いってらっしゃいませ(いってらっしゃいです~)』
そして、楓は高校前に到着した。既に多くの生徒達が行きかう中楓は、今日から高校生活が始まると思うと、とてもワクワクした。先ずは、担任に挨拶をする為に職員室に向かうのであった。しかし…
「職員室ってどこにあるの?」
田舎の学校はこんなに広くなかったから、直ぐに職員室の場所は分かっていたが、ここは大都会東京。学校もそれなりの大きさだった。楓が迷っていると、後ろから透き通った声で呼び止められた。
「どうかしたんですか?」
「え?」
そこには、昨日学校の玄関で出会った人だった。楓は少し戸惑ったがこのままでは遅刻してしまうので、職員室の場所を聞いてみることにした。
「あ、あの職員室を探しているんですけど、場所がわからなくて…」
「職員室なら私も行くので一緒に行きましょうか」
「え!いいんですか?」
「はい。さぁ、こっちです」
その女子生徒に案内されながら楓は、職員室に向かうのであった。そして、10分後職員室に到着した。
「ここが職員室になります」
「ありがとうございます。えっと…」
「雨宮静香(あまみや しずか)と言います」
「僕は姫野楓と言います」
「姫野君。また会いましょうね」
そう言って、静香は去って行った。楓は「また会いましょう」と言う言葉が分からなかったが、また会える気がしていた。そして、職員室の中に入って行くのであった。
「失礼します。今日から編入することになりました、姫野楓です」
「おお!話しは聞いているぞ。俺が担任の日比野 航(ひびの わたる)だ。よろしくな!」
「はい、よろしくお願いします」
「しかし、良くここがわかったな」
「ええ、雨宮さんと言う人に案内されました」
「あ~あの雨宮がね…」
「どうしたんですか?」
「彼女は気難しくてな、その雨宮に声をかけられたとなると、姫野お前何かしたのか?」
「そんなことないですよ」
「まぁ、いいか。兎に角教室に案内するぞ。付いて来い」
「はい」
そして、航に案内されて着いた所は「1-C」と書かれていた教室の前で止まった。ここが楓の教室らしい。
「そこで待っていてくれ。直ぐに紹介するから」
「わかりました」
教室内では、生徒達が互いの神姫を見せ合いっこしていた。どうやら、この学校では神姫の持ち出しがOKらしい。
「おーい席に着け。今日から編入する者を紹介する。入って来い」
「失礼します」
楓の登場によりみんな興味津々と言ったところだった。そして、航が黒板に『姫野楓』と書いて自己紹介が始まった。
「初めまして、姫野楓と言います。東北の方から引っ越して来ました。得意なことは家事全般ですかね。あとは、最近始めたのは、神姫達の服を考えることですかね。趣味は特にないので、教えてもらったら嬉しいです。どうかよろしくお願いします」
パチパチパチパチ
どうやら、皆に受け入れられたようだ。そして、席は窓際の一番奥と言うベストポジションになった。皆が見ている中楓は自分の席に向かうのであった。
そして、席に着くと、隣りと前に座っている人から早速質問攻めにあった。
「初めまして。私は潮崎 美琴(しおざき みこと)って言うよ。よろしくね!」
「よ!俺は龍造寺 武志(りゅうぞうじ たけし)ってんだよろしく!」
「初めまして、姫野楓って言います。よろしくね」
「あ~硬い挨拶は抜き抜き!今日から俺たちは友達なんだ。だから、タメ語でいいだろう。だから、俺の事も武志て呼んでもいいぜ。俺も、楓って呼ぶからよ」
「私の事も美琴って呼んでよ。いいでしょ。楓君」
「いいよ。よろしくね武志、美琴さん」
『おう!(ええ!)』
そう言って、楓に友達が出来た。朝のSHRが終わった後に周りの人達からの質問攻めが始まった。
「楓くんって何処か来たの?」
「今は、どこに住んでいるの?」
「朝はパン派?ごはん派?」
「ええっと、僕は〇手から来たんだ。今は学校近くのアパートに1人暮らしなんだ。朝は休みの日はパンかな?それ以外はご飯が多いよ」
そして、ある女子生徒からこんな質問が出てきた。
「楓くんって神姫持っているの?」
「え?なんで?」
「だってここって、神姫バトルが出来る学校なんだよ」
「そ、そうなんだ…」
「で、楓くんって持っているの?」
「う、うん…えっとね、レーネと紗羅檀だよ」
「いいなぁ~」
「そうなの?僕と彼女達はもう何十年も生活しているから、もう小さな妹みたいかな?」
皆からの質問で休み時間が終わって、授業となった。よく見てみると武志の頭が前後に揺れている。楓は武志を助けようと、背中を叩いて起こした。何とか起きた武志は「サンキュー」と小声で答えた。
お昼時間。皆弁当を持ち寄って食べていた。楓も食べようとした時、カバンが軽い事に気が付いた。恐る恐る覗いてみると…
「なんで弁当がないの!」
「え?楓君弁当がないの?」
「マジかよ。マンガ見たいな展開だな…」
「どうしよう、仕方ない。購買で『コンコン』ん?」
『マスタ~開けてくだい~』
『これ、重くてかないませんわ…』
「レーネ?紗羅檀?どうしたんだい」
ジタバタする2人を見て楓は急いで窓を開けた。そこには朝準備した楓の弁当があった。
「マスター。今朝作って来た、弁当を忘れるなんておっちょこちょいさんなのです」
「ええ。ですから私とレーネさんで届けに参りましたの」
「そうだったんだ。忘れていてごめんね」
「大丈夫です~」
「マスターの学校も知れたので良かったです」
そんなやり取りを見ていたら、美琴と武志が興味津々で話しかけて来た。
「えっと…それが楓君が言っていたレーネと紗羅檀なの?」
「へ~俺の所に居る、アイネスとは全く違うな」
『それはどう意味なのかなマスター!』
武志の胸ポケットから現れたのは、レーネの姉妹機であるアルトアイネスであった。
「ボクはそんなに大人しくないの!そりゃあレーネと比べて大きくないけど、マスターを思う気持ちは誰にも負けないよ!///」
「アイネス。ありがとうよ」
「それで行ったら、ウチのベビーちゃんとも違うよね」
『なによ!』
今度は美琴のポケットから、耳がシンバルでエレキギターを持っている神姫が現れた。彼女は「ベイビーラズ」と言うエレキギター型の神姫で、主にドラムセットを組立てて攻撃してくる。
「だってさ、楓君の紗羅檀には優雅さがあるのに、ベビーちゃんたらライブ見たいにうるさいんだもん」
「仕方ないじゃん!それが私なんだから!」
「まぁまぁ、神姫それぞれに特色があるんだからいいじゃない。ウチのレーネと紗羅檀も時々抜けている所があるんだよね」
『マスター!!』
「けど、僕はそれでもこの2人が居てくれるから、寂しい思いをしないんだよ。だから、感謝しているよ。ありがとうねレーネ、紗羅檀」
『マスター///』
「はいはい、ごちそうさまでした。それよりも早く食べましょう。時間が惜しいわ」
「だよな。それじゃあいただきま~す」
「僕たちも食べようか。レーネ、紗羅檀」
「はいなのです(わかりました)」
楓はレーネと紗羅檀が持ってきた弁当。レーネ達はジェリカンをそれぞれ楓の席で食べるのであった。そんな姿を廊下から覗いていたのは…
「あれが姫野君の神姫なのね」
「ここに居ましたか、雨宮
「ええ、ちょっと新入生のかん…見学をね」
「今観察って言いましたよね?絶対そうですよね?」
「……」
「こっちを見て言いなさい!」
「うるさいわよ。新島
黒縁メガネを掛けてショートカットで雨宮よりも少し小柄。出るところは出ておりグラビアアイドル顔負けの体形で1年後輩の新島幸子(にいじま さちこ)は生徒会長の言動に若干の苛立ちを覚えていた。
「それよりも言わなくていいですか?貴女が生徒会長だと…」
「いずれわかる時が来るわ。それまでは秘密にしておきます」
そう言って、楓達の教室を去って行くのであった。
中途半端なところで終わりましたが、許してくださいねw
アイネスとベイビーラズが出てきましたが、今後も出てくると思いますので宜しくお願い致します。
次回「第3話 対決生徒会長!」
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