にじさんじ決闘王 (七倉八城)
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BATTLE.1「月ノ美兎vs樋口楓」

初めまして。
七倉八城と申します。
ずっと遊戯王×にじさんじの二次創作が書きたかったので
今回、頑張って書いて投稿しました。

投稿が始めてなので、何か誤字脱字などがありましたらご指摘ください。
また、今回は完全オリカになります。
理由としましてはにじさんじライバーの数が多いので、それぞれ合ったテーマを見つけてプレイするのが困難だったため、オリカにさせて頂きました。
ハチャメチャな効果は基本、付けないと思いますが、「これはやり過ぎだろ……」などがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

デュエルのプレミや間違いがありましたらすみません。


どうぞ、最後まで読んでいただけると助かります。




ある日。

全にじさんじライバー宛にとある通知が一斉に送信された。

 

『○月○日正午より【にじさんじ決闘王】を開催します。優勝賞品は好きな企業の企業案件となります。詳細は追ってお知らせします。』

 

――――――――――。

 

都内某所

いちから事務所。

 

「うーん……このカードはこのカードと組み合わせて……それで……」

 

にじさんじライバー、月ノ美兎は事務所の待合室で腕を組んで唸っていた。

 

「おはようございまーーーす」

 

「あ、楓ちゃん。おはようございます」

 

元気な挨拶と共に事務所に入ってきたのは樋口楓だった。

目が合った美兎は腕を組みながら挨拶を交わす。

 

「美兎ちゃん何しとるん?」

「実は……今度行われる【にじさんじ決闘王】で使うデッキを考えているんですよ」

「【にじさんじ決闘王】? ……あぁ、遊戯王のか」

「楓ちゃんは参加しないのですか?」

「ウチも参加するで! やっぱり好きな企業の企業案件は魅力やからな!!」

 

楓はカバンからデッキを取り出し、美兎に見せる。

それを見た美兎はテーブルに散乱していたカードを片づけ、楓を手招きした。

 

「楓ちゃん。私とデュエルしましょう!!」

「おっしゃ! えぇで!!」

 

2人はデッキをシャッフルし、デュエルの準備を始める。

 

「私のデッキは強いですよ!!」

「負けないで!!」

 

「「決闘!!」」

 

「先攻後攻は?」

「楓ちゃんに譲りますよ」

「んじゃ、行かせてもらいで! ウチのターン! 【花歌姫(プリマヴェーラ) アネモニ】を召喚!! アネモニの効果でデッキから【花歌姫】魔法・罠カードを手札に加える。ウチは【花歌姫 フラワーステージ】を手札に加えるで!!」

 

【花歌姫 アネモニ】

レベル3/風属性/植物族/攻800/守1000

召喚・特殊召喚時、デッキから【花歌姫】魔法・罠カードを一枚手札に加える。

 

楓のフィールドに牡丹をモチーフにした可愛らしい妖精のモンスターが現れた。アネモニが美兎に向かって手を振ると美兎もつられて手を振った。

 

「そして、さっき加えたフィールド魔法【花歌姫 フラワーステージ】を発動!! 発動処理としてデッキから【花歌姫】カードを一枚手札に加える! ウチは【花歌姫 プリンセスブーケ】を手札に加えて、そのまま発動! そして【花歌姫 フラワーステージ】の効果を発動!! フィールドのアネモニをデッキに戻し、手札の【花歌姫 マリーゴールド】を特殊召喚!!」

 

【花歌姫 フラワーステージ】

フィールド魔法

○発動処理としてデッキから【花歌姫】カードを一枚手札に加える。

○一ターンに一度、フィールドの【花歌姫】モンスターをデッキに戻すことで、手札の【花歌姫】モンスターを特殊召喚する。

 

楓の展開は止まらない。

楓のフィールドは一気に豹変し、事務所が美しい花が咲き誇るライブステージに変わった。

そして、活発そうな妖精のモンスターが現れるとアネモニとハイタッチをして、アネモニが消えていった。

 

「プリンセスブーケとマリーゴールドの効果を発動! プリンセスブーケの効果でデッキから【花歌姫 リリー】を特殊召喚!! マリーゴールドの効果で手札の【花歌姫 ロータス】を特殊召喚!!」

 

【花歌姫 プリンセスブーケ】

永続魔法

フィールドの【花歌姫】モンスターがデッキに戻った時、デッキから同じレベルで名前の異なる【花歌姫】モンスターを特殊召喚する。

 

【花歌姫 マリーゴールド】

レベル3/風属性/植物族/攻1200/守500

このカードが特殊召喚に成功した時、手札からこのカードよりレベルの低い【花歌姫】モンスターを特殊召喚する。

 

 フラワーステージの中央に美しく輝く花束が現れると、マリーゴールドがブーケを手に取り楽しそうに歌って踊り始めた。すると、お嬢様風の妖精と鋭い目をしたクールそうな妖精のモンスター二体が現れた。

 三体の妖精は歌いながら美しく舞い踊る。

 

【花歌姫 リリー】

レベル3/風属性/植物族/攻1000/守1000

このカードが【花歌姫】リンクモンスターの素材として墓地に送られた時、墓地のこのカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚した、このカードが墓地に送られた時、ゲームから除外される。

 

【花歌姫 ロータス】

レベル1/風属性/植物族/攻100/守500

フィールドの【花歌姫】モンスターをデッキに戻すことで、墓地のこのカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚した、このカードが墓地に送られた時、ゲームから除外される。

 

「……楓ちゃん、ガチ展開過ぎません……?」

「今の遊戯王ならこのくらい普通やで。……そんじゃ、そろそろウチのエースの出番や!! ウチはマリーゴールド、リリー、ロータスの三体でリンク召喚! 召喚条件は【花歌姫】モンスター二体以上! 出番や!! リンク3【花歌姫 スイレン】!!」

 

【花歌姫 スイレン】

リンク3/風属性/植物族/攻2800/↙↓→

花歌姫モンスター二体以上

○フィールドの【花歌姫】モンスターがデッキに戻った時、相手に600ポイントのダメージを与える。

○一ターンに一度、リンクマーカー先の【花歌姫】モンスターがデッキに戻すことで、デッキから【花歌姫】罠カードを二枚、フィールドにセットすることができる。

 

 三体の妖精が光に包まれると薄紫色のドレスを身にまとった美女の妖精が現れた。その姿に美兎は目を奪われてしまう。

 

「はぇ……ずいぶん綺麗なモンスターですね」

「綺麗だけじゃないで! 墓地に送られた【花歌姫 リリー】の効果で自身を特殊召喚! さらに【花歌姫 ロータス】の効果でリリーをデッキに戻して、自身を特殊召喚!」

「あ、なるほど……本来、リリーは自身の効果で特殊召喚した時、そのデメリットでまた墓地にいったときに除外されちゃいますが……」

「せや! ロータスでデッキに戻すことで、そのデメリットも消える! でも、それだけじゃないで! 【花歌姫 スイレン】の効果発動!! フィールドの【花歌姫】モンスターがデッキに戻った時、相手に600ポイントのダメージ与える!! 喰らえ美兎ちゃん!!」

「うぅ……初手バーンは卑怯です……」

 

 スイレンが高らかに歌うと、その歌声の衝撃波が睡蓮の花を巻き上げ、睡蓮の花の嵐として美兎に襲い掛かる。

 

美兎LP:4000→3400

 

「さらに【花歌姫 スイレン】のもう一つの効果を発動!! リンクマーカー先の【花歌姫】モンスターをデッキに戻すことで、デッキから【花歌姫】罠カードを二枚、自分のフィールドにセットできる! ウチはロータスをデッキに戻す!!」

「げっ!? ロータスのデメリットもしっかりケアしていますね……それに【花歌姫】モンスターがデッキに戻ったっていうことは……」

「また600のダメージや!!」

「そんなぁ……くっ!!」

 

再び睡蓮の花の嵐が美兎を襲う。

美兎LP:3400→2800

 

「ウチはスイレンの効果で【花歌姫 シャウトバリア】と【花歌姫 イリュージョンダンス】をセットしてターンエンドや!!」

「や、やっと……終わりましたか……」

「どうや!! これがウチの実力や!!」

「そうですね……私も負けてられませんね!! 私のターン! ドロー……よし、これならいける! 私は【月兎の月光鏡】を発動!!」

 

 美兎の真上に月のように輝く、大きな鏡が浮遊した。鏡はフィールド全体を写しこむ。

 

「そして、私は【月兎(ムーンラビット) ラミィーナ】を召喚」

 

【月兎の月光鏡】

永続魔法

○フィールドに【月兎】モンスターが召喚・特殊召喚される度にこのカードに月兎カウンターを一つ置く。

○このカードに置いてある月兎カウンターを任意の数、取り除くことで以下の効果を発動することができる。

一個:カードを一枚ドローし、手札を一枚捨てる。

二個:デッキから【月兎】モンスターを一枚手札に加える。

三個:墓地の【月兎】カードを一枚手札に加える。

四個:カードを二枚ドローする。

五個:デッキから【月兎】モンスターを一体特殊召喚する。

 

【月兎 ラミィーナ】

レベル4/光属性/獣戦士族/攻1500/守1200

召喚・特殊召喚した時、フィールドに【月兎の月光鏡】が存在すれば、そのカードに月兎カウンターを一つ置くことができる。フィールドに【月兎の月光鏡】が存在しなければ、デッキから【月兎の月光鏡】を一枚手札に加える。

 

 黄色い仮面を付けたうさ耳の少女が現れた。うさ耳の少女は手に大きなハンマーを引きずるように持っている。

 

「ラミィーナの効果を発動します。フィールドに【月兎の月光鏡】が存在する時、月光鏡に月兎カウンターを一つ置くことができます。さらに【月兎の月光鏡】の効果で【月兎】モンスターが召喚・特殊召喚される度にこのカードに月兎カウンターを一つ置きます」

 

 ラミィーナが鏡に向かって手を振ると、月光鏡の縁についていた宝石が一つ輝きだした。

 

月光鏡:カウンター2

 

「さらに手札の【月兎 ナターユ】の効果を発動します。フィールドに【月兎】モンスターがいるので自身を特殊召喚します。そして、月光鏡にカウンターを置きます」

 

【月兎 ナターユ】

レベル4/光属性/獣戦士族/攻1700/守1000

○フィールドに【月兎】モンスターが存在する時、このカードを特殊召喚する。

○一ターンに一度、フィールドの月兎カウンターが三個以上ある時、デッキから【月兎】カードを一枚手札に加える。

 

 ラミィーナの隣に同じく黄色い仮面を付けたうさ耳の少女が現れた。ナターユは二丁拳銃を構えていた。

月光鏡:カウンター3

 

「ナターユの効果でデッキから【月兎の黄金臼】を手札に加え、そのまま発動します」

 

【月兎の黄金臼】

通常魔法

○デッキから【月兎】モンスターを手札に加える。フィールドに【月兎の月光鏡】が存在する時、手札に加えるのでなく、特殊召喚することができる。

○墓地のこのカードをゲームから除外することで、デッキから【満月兎融合】を手札に加える。

 

「私は【月兎 ラッキー】を手札に加え、黄金臼の効果でそのまま発動、特殊召喚します。ラッキーの効果で一枚ドローして、月光鏡にまたカウンターを置きます」

 

【月兎 ラッキー】

レベル4/光属性/獣戦士族/攻1400/守1700

○このカードが召喚・特殊召した時、フィールドに【月兎の月光鏡】が存在するすればデッキからカードを一枚ドローする。

 

 月光鏡の前に黄金に輝く臼が現れると、そこから黄色い仮面を付けたうさ耳の少女が飛び出した。ラッキーは大鎌を手に取っていた。

月光鏡:カウンター4

 

「月光鏡の効果でカウンターを四個取り除くことで、デッキからカードを二枚ドローします。……よし、楓ちゃん」

「おっ? どうしたん?」

「この勝負、私の勝ちです」

「っ!? ……えぇ……この盤面で勝利宣言かい。ウチには罠が二枚もあるで」

「いいえ、私の必勝パターンが整いました。私は墓地の【月兎の黄金臼】の効果を発動します。このカードをゲームから除外することで、デッキから【満月兎融合】を手札に加えます」

「……来るんか!!」

 

 楓は身振りいしながら身構える。スイレンも主の緊張が伝わったのか強張った表情をした。

 

「私は【満月兎融合(フルムーンラビット・フュージョン)】を発動!! フィールドのラミィーナ、ナターユ、ラッキーの三体で融合! 召喚条件は【月兎】モンスター三体! 来てください。【満月兎(フルムーンラビット) フィリーチェ】を融合召喚!!」

 

【満月兎融合】

通常魔法

○フィールド・手札から【満月兎】融合モンスターによって決められた融合素材モンスターを墓地に送り、その融合モンスターをEXデッキから融合召喚する。

○墓地のこのカードをゲームから除外することで、デッキから【月兎の月光鏡】を手札に加える。フィールドに【月兎の月光鏡】が存在する時、代わりに【月兎】魔法・罠カードを一枚手札に加える。

 

【満月兎 フィリーチェ】

レベル10/光属性/獣戦士族/攻3000/守1700

月兎モンスター×3

一ターンに一度、相手の魔法・罠カードを全て破壊する。この効果に対して、相手はカード効果を発動することができない。フィールドに【月兎の月光鏡】が存在する時、魔法・罠カードではなく、相手のカードを全て破壊する。

 

月光鏡が輝き始めると、鏡から長身の美女が出てきた。黄色い仮面が付いたうさ耳の美女は着地と同時に手に持っていたレイピアを空に掲げると、空に満月が現れた。

 

月光鏡:カウンター1

 

「フィリーチェの効果を発動します! 相手のカードを全て破壊します! 行きなさい!!」

「なっ!?」

 

 フィリーチェがレイピアを突き刺すようにすると満月から強烈な光を放つ。強烈な光が楓のフィールドを包み込むと、楓のフィールドが一掃された。

 

「くっ……ウチの盤面が……。で、でも直接攻撃を受けてもライフは残ってる!!」

「いいえ、これで終わりです! バトル! フィリーチェで楓ちゃんに直接攻撃! さらに私は手札から速攻魔法【月兎の乱舞】を発動します!!」

 

【月兎の乱舞】

速攻魔法

フィールドの【満月兎】モンスターを選択し、発動。墓地の【月兎】モンスター一体をゲームから除外することで、選択したモンスターの攻撃力を除外したモンスターの攻撃力分アップさせる。【月兎の月光鏡】が存在する時、選択したモンスターはこのターン、二回攻撃することができる。

 

「私はナターユを除外することでフィリーチェの攻撃力をアップさせます」

 

フィリーチェ 攻撃力:3000→4700

フィリーチェは満月の輝きと共に舞い踊るようにレイピアの剣戟を放つ。黄金の斬撃が楓に貫通する。

 

「くぅぅぅぅ……」

 

楓LP:4000→0

 

「くぅぅぅぅっそぉぉぉぉ!! 負けたぁぁぁ!!」

「ふふふ……勝っちゃいましたね」

 

楓は悔しそうに大の字に寝転んだ。

美兎はニヤニヤしながら広げていたカードを片付ける。楓は勢いよく起き上がると楽しそうにしながら服装を整える。

 

「大会はこうはいかんからな!!」

「また、私が勝っちゃいますよ。では、反省会ですね」

「えぇ……ご飯食べに行こうよ~!!」

 

 

 




オリカ紹介
【花歌姫(プリマヴェーラ)】
花と妖精とアイドルをモチーフにしたテーマ。
モンスターをデッキに戻すことで、起動する効果を中心に展開していくデッキスタイル。
多彩な罠カードで妨害しつつ、スイレンなどのリンクモンスターでバーンやビートダウンをしていく。

【月兎(ムーンラビット)】
兎の女戦士をモチーフにしたテーマ。
永続魔法の月兎の月光鏡を主力にカウンターを溜めつつ展開して、融合モンスター満月兎(フルムーンラビット)を召喚してフィニッシュするデッキスタイル。
強力な満月兎や多彩なサポートカードは月兎の月光鏡があることで本来の力を発揮する。


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BATTLE.2「静凛vs剣持刀也」

昨日ぶりです。

反響があり、嬉しい反面ちゃんと書かなきゃという気持ちでいっぱいです。
今回から正式に【にじさんじ決闘王】が開始します。
ちゃんとしたストーリーはありませんが大筋は考えていますので、行き当たりばったりですがよろしくお願いします。

また、今回は存在する既存カードも登場します。
既存カードの説明は省かせていただきますので、ご了承ください。

感想、ご指摘お待ちしております。

11/28 1:20 大幅に書き直しました。


〇月○日正午。

 

この日は全にじさんじライバーがいちから公式の配信を見守っていた。

 画面の先にはいちから株式会社CEOの田角陸が椅子に座っていた。

 

「配信をご覧になっている皆さん。こんにちは、いちから株式会社CEOの田角陸です。今回はにじさんじライバー全員が参加する超大型イベント【にじさんじ決闘王】についてです」

 

 田角は自身をスマホを操作した後、机に置いてあったディスクを腕に装着させた。そして、カードをディスクに差し込むと、田角の目の前に【砦を守る翼竜】が現れた。

 それと同時にYouTubeのチャット欄が盛り上がる。

 

「いちから株式会社はコナミと共同で、このデュエルディスクの開発に成功しました。まだ、試作段階ですが遊戯王というカードゲームがより一層リアルに! 大迫力で体験することができます!! それに合わせ、エキシビションマッチとして全ライバーによる【にじさんじ決闘王】を開催することにしました!!」

 

 田角がディスクを外すと【砦を守る翼竜】の姿が消えた。

 

「今回の大会のルールを説明します。全ライバーにはこの後、運営から特殊なアプリを送信させていただきます。そのアプリはYouTube、デュエルディスクと連動し、デュエルが始まると同時にYouTubeの配信が開始され、デュエルの様子が生放送されます」

 

 期待に膨らむチャット欄。田角はそれを見つつ、追い打ちをかける。

 

「リスナーは推しのデュエルを見守るもよし! スパチャを送って応援するもよし! もちろん指示厨も大歓迎!! 大会開始と同時にアプリに三つの星が転送されます。ライバーはその星の奪い合いをしてもらいます。勝者が敗者の星を一つ貰うという。いたってシンプルなルール! 星を10個集めた先着20名が決勝ステージに進めます!」

 

 チャット欄のリスナーも見守っていたライバーのボルテージが上がっていく。

 

「そして! 優勝者には好きな企業の企業案件をプレゼント!! 有名ブランドでも、大手企業でも、海外企業でも何でもOK!! ライバー諸君! 優勝したいかぁぁ!!」

 

 田角は大きく両腕を広げる。それと同時にチャット欄のチャットが加速する。

 

「今! ここに!! 【にじさんじ決闘王】の開催を宣言する!! デュエル開始ぃぃぃぃ!!」

 

――――――――――――。

 

いちから事務所近くのビジネス街

 

にじさんじライバー、剣持刀也と伏見ガクは事務所に向かう途中でいちから公式の配信を見ていた。

 

「はぁ~……何が【にじさんじ決闘王】だよ……」

「でも、刀也さん。優勝者には好きな案件だよー、魅力的じゃね?」

「そうだけどさぁ……全ライバーでしょ? 多くね?」

「確かにwww」

 

 二人は仲良く一つのイヤホンで配信を見ている。すると正面から歩いてきた少女と目が合った。

 二人の先には先輩であり、にじさんじ一期生の静凛だった。

 

「おや? 咎人のお二人ですか、奇遇ですね」

「げっ……しずりん先輩」

「先輩、ピーーーッス!!」

「はい、ピース」

 

 ガクのあいさつに凛はつられてピースをする。

 

「お二人はこれから事務所へ?」

「……えぇ、そうですよ」

「あ、そうだ」

 

 凛は何か思い出したようにポンと手を叩いた。

 

「丁度、始まりましたね。【にじさんじ決闘王】」

「…………そうですね」

(あー…………これは……)

 

何かを察したのか二人の口数が減った。

 

「剣持さん。私とデュエルしましょう♪」

「えぇ……僕ですか?」

「はい」

「遠慮しまs」

「剣持さんが勝ったら星とは別にご褒美として、今度、しずりんのロリ配信を」

「さぁ、デュエルです!!!」

「……刀也さん……」

 

 刀也はいつの間にかアプリを起動させ、デュエルディスクを構えていた。あまりの早業に二人は呆れていたが、凛もアプリを起動させ、デュエルディスクを構える。

 

『にじさんじライバー【剣持刀也】と【静凛】のアプリの起動を確認。これよりデュエル配信を開始します。Twitterへの告知も完了。双方はデッキをセットしてください。』

 

 ガクは興味本位にデュエル配信の枠を除くと目の前の風景が配信に写されていた。

 

(え? これどこから撮っているんすか?)

 

 刀也と凛がデッキをディスクにセットし構えると同時にチャット欄のリスナーが湧いてきた。

 

『お?』『きた?』『アゴvsしずりん!!』『ガっくんもいる!』『きた!』『Twitterにも告知でるんやwww』『なんで、この二人が戦ってるの?草』『取り敢えず、しずりんに花京院の魂を賭ける』『しずりん頑張れ!\10000』『アゴwww』『アゴ草』

 

『これよりデュエルを開始します。』

「「決闘(デュエル)」」

 

静凛vs剣持刀也

 

「先攻はいかせてもらいますよ、しずりん先輩」

「どうぞー」

「僕は【切り込み隊長】を召喚!!」

 

 刀也がカードをディスクにセットすると刀也の目の前に【切り込み隊長】が出現した。切り込み隊長は鋭い眼光で凛を威圧すると二つの剣を構えた。

 

「おぉー……これが新技術っすか」

「【切り込み隊長】の効果で手札の【虚空刃流(こくうじんりゅう) 八千代(やちよ)】を特殊召喚します!」

 

 切り込み隊長が剣を掲げ叫ぶと、切り込み隊長を飛び越えるように着物を着た少年が現れた。八千代は二本の脇差を指していた。

 

【虚空刃流 八千代】

レベル4/闇属性/戦士族/攻1600/守1200

特殊召喚に成功した時、手札を一枚、墓地に送ることでデッキから【虚空刃流】罠カードを手札に加える。

 

「僕はこの効果で手札を一枚墓地に送り、デッキから【虚空刃流 霞返し】を手札に加えます。そして、僕は【切り込み隊長】と八千代でリンク召喚! 召喚条件は戦士族モンスター二体、リンク2! 【虚空刃流 一心(いっしん)】!!」

 

【虚空刃流 一心】

リンク2/闇属性/戦士族/攻1400/↑↘

戦士族モンスター二体

リンクマーカー先にモンスターが存在しない場合、このカードの攻撃力は倍になる。

 

 切り込み隊長と八千代が光に包まれると光はやがて、暗黒に飲み込まれ、そこから眼帯を付け、黒い死装束の侍が現れた。

 一心は不気味なオーラを纏い、その不気味なオーラを受けた凛は身震いをした。

 

「一心の効果でリンクマーカー先にモンスターが存在しないので、自身の攻撃力は倍になります」

 

一心 攻撃力:1400→2800

 

「……いきなり攻撃力2800のモンスターですか」

「僕はカードを三枚伏せて、ターンエンドです!! さぁ、先輩のターンです!」

「私のターン……ドロー。 私は手札から【GD(ゲーミング・ダイバー)スカイシティ】を発動。 フィールドに【GD】フィールド魔法が存在する時、手札の【GD ダンディ】を特殊召喚します。召喚する場所は勿論、一心のリンクマーカー先です」

【GD スカイシティ】

フィールド魔法

○一ターンに一度、フィールドの【GD】モンスターを選択することで、デッキから種族の異なる【GD】モンスターを手札に加える。

○フィールドのこのカードを墓地に送ることで、デッキから名前の異なる【GD】フィールド魔法を発動することができる。

 

【GD ダンディ】

レベル4/闇属性/戦士族/攻1700/守1300

○フィールドに【GD】フィールド魔法が存在する時、このカードを特殊召喚することができる。

○このカードが特殊召喚に成功した時、デッキから【GD】モンスターを手札に加える。

 

 何も変哲もないビル街が天空を貫く、摩天楼と化した。

 そして、空からヘリコプターが現れた。ヘリコプターのロープが伸びると、そこからスーツを着たイケメンの中年男性が登場した。ダンディはロープから飛び降りると華麗に着地した。

 ダンディが一心のリンクマーカー先に現れたことで、一心が放っていた不気味なオーラが弱まった。

 

一心 攻撃力:2800→1400

 

「私はさらにスカイシティの効果を発動します! ダンディを選択し、デッキか悪魔族の【GD ダークナイト】を手札に加え、そのまま召喚します」

 

【GD ダークナイト】

レベル4/闇属性/悪魔族/攻2000/守0

このカードが破壊された時、墓地の【GD】モンスターを手札に加える。

 

「私はさらに手札の【GD シザーマン】の効果を発動! 手札の【GD】カードを墓地に送ることで特殊召喚します」

 

【GD シザーマン】

レベル3/闇属性/アンデット族/攻1200/守1000

○手札の【GD】カードを墓地に送ることで、このカードを特殊召喚することができる。

○フィールドに【GD】フィールド魔法が存在する時、相手のセットカードを破壊することができる。

 

 凛のフィールドには橙色の炎を纏ったボロボロの鎧騎士と腕がハサミになった包帯の男が現れた。フィールドにはスーツの中年男性、鎧騎士、包帯の怪物。と異質な雰囲気を放っていた。

 

「続けて、装備魔法【GD ミッドナイト・キャプチャー】をダンディに装備させます」

 

【GD ミッドナイト・キャプチャー】

装備魔法

○一ターンに一度、墓地の【GD】モンスターを選択し、そのモンスターを特殊召喚することができる。この効果を発動したターン、自分は【GD】モンスターしか特殊召喚することできない。

○このカードが墓地に送られた時、デッキから【GD】魔法・罠カードを手札に加えることができる。

 

「ミッドナイト・キャプチャーの効果で墓地の【GD ハングリー・シャーク】を特殊召喚!」

 

【GD ハングリー・シャーク】

レベル2/チューナー/闇属性/魚族/攻1500/守800

○一ターンに一度、【GD】フィールド魔法が存在する時、このカードのレベルを4にすることができる。

 

「私はシザーマンの効果で剣持さんのセットカードを破壊します! 右側のカードを破壊します」

「くっ……仕方ないけど……伏せカード、オープン! 【虚空刃流 幻影現身(げんえいうつしみ)】を発動!」

 

【虚空刃流 幻影現身】

罠カード

○フィールドの【虚空刃流】モンスターはこのターン、戦闘及び効果では破壊されない。

○フィールドの【虚空刃流】カードが破壊される時、代わりに墓地のこのカードをゲームから除外することができる。

 

「これで、このターン一心は破壊体制が付きました!」

「破壊は出来ませんが、戦闘ダメージは与えられますよね。私はハングリー・シャークの効果で自身のレベルを4にします。私はレベル3シザーマンでレベル4ハングリー・シャークをチューニング!! シンクロ召喚、レベル7! 【GD ファングレックス】!!」

 

【GD ファングレックス】

レベル7/シンクロ/闇属性/恐竜族/攻2700/守1900

【GD】チューナー+チューナー以外の【GD】モンスター

○フィールドに【GD】フィールド魔法が存在する限り、このカード以外のフィールドの【GD】モンスターの攻撃力を1000ポイントアップさせる。

○【GD】モンスターが相手モンスターが破壊した時、相手に800ポイントのダメージを与える。

 

「ファングレックスの効果でフィールドの【GD】モンスターの攻撃力をアップさせる」

 

ダンディ 攻撃力:1700→2700

ダークナイト 攻撃力:2000→3000

 

「バトルです。ダークナイトで【虚空刃流 一心】に攻撃!!」

「甘いです! 伏せカード、オープン【虚空刃流 霞返し】! チェーンして【虚空刃流 狂言回し】を発動!」

 

【虚空刃流 霞返し】

罠カード

メインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合、発動することができる。相手のモンスターを一体破壊することができる。

 

【虚空刃流 狂言回し】

罠カード

自分のフィールド上に【虚空刃流】リンクモンスターのみの場合、発動することができる。相手のモンスター一体を選択し、そのモンスターの攻撃力を0にする。

 

「狂言回しの効果でダークナイトの攻撃力を0にします! 霞返しの効果でダンディを破壊!」

 

 狂言回しのカードから呪詛の帯が無数に飛び出し、鎖のようにダークナイトの体を拘束した。そして、霞返しのカードからは霞が勢いよく飛び出し、ダンディを包み込む。ダンディは霞と共に消滅した。

 

「リンクマーカー先にモンスターがいなくなったので、一心の攻撃力は倍になります」

 

ダークナイト 攻撃力:3000→0

一心 攻撃力:1400→2800

 

 一心は刀に手を置くと一瞬の早業で居合切りを行い、ダークナイトは豆腐のように一刀両断された。

 

凛LP:4000→1200

 

「くっ…………私はダークナイトとミッドナイト・キャプチャーの効果を発動します。ダンディを手札に加え、デッキから【GD 緊急クエスト】を手札に加えます。さらにフィールドのスカイシティの効果を発動。このカードを墓地に送ることで、デッキから【GD ソウルキャッスル】を発動!」

 

【GD ソウルキャッスル】

○一ターンに一度、自分のフィールドの【GD】モンスターが破壊される時、墓地の名前の異なる【GD】モンスター一体、特殊召喚することができる。

○フィールドのこのカードを墓地に送ることで、デッキから名前の異なる【GD】フィールド魔法を発動することができる。

 

 天空を貫く摩天楼は姿を変え、炎の姿をした魂が無数に浮遊する古城と姿を変えた。

 

「私はカードを一枚伏せ、ターンエンドです」

「僕のターン、ドロー! 僕は【虚空刃流 伊蔵(いぞう)】を召喚。 伊蔵の効果で手札から【虚空刃流 九朗(くろう)】を特殊召喚!」

 

【虚空刃流 伊蔵】

レベル3/闇属性/戦士族/攻1000/守700

このカードが召喚に成功した時、フィールドに【虚空刃流】リンクモンスターが存在する時、手札の【虚空刃流】モンスターをリンクマーカー先に特殊召喚することができる。

 

【虚空刃流 九朗】

レベル4/闇属性/戦士族/攻1700/守1100

このカードが墓地に送られた時、デッキから【虚空刃流】罠カードを手札に加えることができる。

 

 一心の両脇に笠をかぶった猫背の侍と前髪で顔の隠れた侍が現れた。

 

「さぁ、ここからです!! 僕は一心、伊蔵、九朗の三体でリンク召喚! 召喚条件は【虚空刃流】モンスター二体以上!! 虚空を切り裂け! リンク4、【虚空刃流 虎徹】!!」

 

【虚空刃流 虎徹】

リンク4/闇属性/戦士族/攻3000/↑↖↓↘

○リンクマーカー先にモンスターが存在しない限り、このカードは相手のカード効果を受けない。

○一ターンに一度、相手のモンスターを一体選択し、空いているメインモンスターゾーンに移動させることができる。その後、そのモンスターの攻撃力を0にして効果を無効にすることができる。

 

 三体のモンスターが光に包まれると光は闇に飲み込まれ、闇は泥のように流れ落ちると、そこから黒い包帯を顏に巻いた侍が現れた。包帯の侍の腰には1mを超えるほどの長身の刀が差してあった。

 

「九朗の効果でデッキから【虚空刃流 虚空流し】を手札に加えます。そして、虎徹の効果を発動! ファングレックスの場所を僕から見た一番右に移動させる! ファングレックスの効果を無効にし、攻撃力を0にします」

 

 虎徹の足元から影がファングレックスまで伸びると、影はファングレックスを飲み込み、別の場所に移動させた。影から出てきたファングレックスは身体中に影が纏わりついて身動きが取れなくなっていた。

 

「バトル! これで終わりです! 【虚空一閃】!!」

「トラップ発動! 【GD 緊急クエスト】を発動!!」

 

【GD 緊急クエスト】

罠カード

フィールドの【GD】モンスター一体、破壊ことで、発動することができる。そのモンスターの攻撃力分のライフを回復することができる。その後、デッキからカードを一枚ドローする。

 

「私はファングレックスを破壊することでライフを2700回復します!」

「モンスターがいなくなったことで、直接攻撃! 喰らえぇ!」

 

凛LP:1200→3900→900

 

「ちっ……ライフが残りましたか。ですが、しずりん先輩のライフは風前の灯火!! さぁ、負けを認めてください!!」

「刀也さーーーん! 完全に悪役のセリフっす!!」

「うるさい! うるさい! さぁ、どうしますか!!」

「…………私が諦めると思いますか? 私はソウルキャッスルの効果を発動! 墓地のハングリー・シャークを特殊召喚!」

「くっそー! 僕はこれでターンエンドです!」

「私のターン。…………ドロー。これなら……私はダンディを特殊召喚! 召喚先は虎徹のリンクマーカー先です!」

「甘いです! 永続罠【虚空刃流 虚空流し】を発動!」

 

【虚空刃流 虚空流し】

永続罠

相手のメインモンスターゾーン二つを選択し、このカードが存在する限り、相手は選択したメインモンスターゾーンにモンスターを使用することができない。

 

「僕は虎徹のリンクマーカー先を選択! これで虚空流しがある限り、虎徹は無敵です」

「では、私は別の場所にダンディを特殊召喚します。自身の効果でデッキから【GD ウィンターウルフ】を手札に加えます。ウィンターウルフを召喚、効果を発動」

 

【GD ウィンターウルフ】

レベル3/闇属性/獣戦士族/攻1200/守1100

召喚・特殊召喚に成功した時、墓地の【GD】チューナーモンスターを特殊召喚することができる。

 

「墓地のハングリー・シャークを特殊召喚します。さぁ、こちらもいきますよ! ハングリー・シャークの効果でレベルを4にします。 レベル3のウィンターウルフとレベル4のダンディにレベル4のハングリー・シャークをチューニング!! レベル11、【GD フォーティーン】!!」

 

【GD フォーティーン】

レベル11/シンクロ/闇属性/魔法使い族/攻3000/守2400

【GD】チューナー+チューナー以外の【GD】モンスター二体以上

○シンクロ召喚に成功した時、デッキから【GD】フィールド魔法を任意の数、墓地に送ることで、墓地に送った数×200ポイントアップする。

○相手のモンスターを戦闘で破壊した時、フィールドに【GD】フィールド魔法が存在するば破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

 七つの光と四つの輪が交わり、光の筋となると、そこから帽子を深くかぶった魔法使いが現れた。帽子には『ⅩⅣ』の文字が刻まれていた。

 

「フォーティーンの効果を発動します。デッキからフィールド魔法を10枚墓地に送ることで、攻撃力を2000ポイントアップさせます!」

「10枚も!? しかも攻撃力は……」

 

フォーティーン 攻撃力:3000→5000

 

「さらに私はソウルキャッスルの効果発動! このカードを墓地に送ることで、デッキから【GD ファイナルファンタジア】を発動します!」

 

【GD ファイナルファンタジア】

〇【GD】モンスターが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時までカードの効果を発動できない。

○フィールドのこのカードを墓地に送ることで、デッキから名前の異なる【GD】フィールド魔法を発動することができる。

 

「さぁ、舞台は整いました!! フォーティーンで【虚空刃流 虎徹】に攻撃!!」

「くっ!! 迎え撃て!!」

 

 フォーティーンは10個の光を集めると巨大な魔導弾を放つ。虎徹も黒い斬撃を放って迎え撃つ。

 魔導弾と斬撃がぶつかり合うと、斬撃が推し負け、虎徹と共に消滅した。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

刀也LP:4000→2000

 

「フォーティーンの効果で終わりです」

「くっそぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 爆発の余波で刀也が吹き飛んだ。

 

刀也LP:2000→0

 

『デュエル終了。勝者、静凛。剣持刀也の星を静凛へ転送します。』

『うおぉぉぉぉ!!!』『しずりん最強!しずりん最強!!』『あご惜しかった!!』

 

 二人の白熱したデュエルにチャット欄の熱は下がらず、盛り上がっている。

 

「負けたーーー!! 超悔しい!!」

「刀也さん、惜しかったね」

「ふふっ……私の勝ちですね」

 

 悔しがる刀也を横目に凛は二人に近づく。

 

「さて……お二人には罰ゲームです」

「「は?」」

「次の咎人配信で二人の腹筋を公開してくださいね」

「ちょ、ちょっと!! なんでぇ!?」

「刀也さんは兎も角、俺もっすか!?」

「えぇ、もちろん♪」

「「そ、そんなぁぁぁぁぁ……」」

 

 数日後、『咎人腹筋』でTwitterのトレンド入りしたのは内緒である。

 




オリカ紹介
【虚空刃流(こくうじんりゅう)】
ダウナーな感じの侍をモチーフにしたテーマ
リンクモンスターが主力でリンクマーカー先にモンスターが存在しない場合に強力な効果を発揮するため、相手のモンスターの位置が重要になってくる。
本当は【マシュマロン】もいれたかった……

【GD(ゲーミング・ダイバー)】
ゲームがモチーフのテーマ
ゲームの舞台であるフィールド魔法が存在する限り、モンスター達は真の力を発揮する。
数々のフィールド魔法を使い分け、大量展開したのち、大型シンクロモンスターでフィニッシュ。
ちなみに全て、しずりんがプレイしたゲームをモチーフしました。
例:フォーティーン、ファイナルファンタジア→FF14など


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BATTLE.3「アンジュ・カトリーナvsニュイ・ソシエール」

まさか二話目でライバーさんにTwitterでいいね。をしてくれているとは思いませんでした。
ありがとうございます。

今回もオリカ盛々です。
だいぶ大味なデュエルですが、それもこの二人なら良いかな。と思い書きました。

感想やご指摘お待ちしております。

11/28 10:40に大幅に修正しました。


アンジュ宅

 

今日はアンジュ・カトリーナの家でアンジュ、リゼ・ヘルエスタ、戌亥とこの『さんばか』とニュイ・ソシエールの四人がオフコラボを行っていた。最初は楽しく、和気あいあいと話していたが、何故か今はアンジュとニュイがデュエルディスクを構えていた。

 やる気満々のアンジュと違い、ニュイとリゼは困惑していた。戌亥はお菓子を食べながら、静観していた。

 

(……何でこうなった……?)

 

 ニュイは何故、こんなことになったかを回想していた。

 

―――――――――。

 

数時間前

 

「いや~、モテ期きましたわ!!」

「もぉ……アンジュ、それ何回目?」

「だって、ベルさんと葛葉さんからのラブコールだよ!! 興奮しないわけないじゃん!!」

「おニュイ、ポッキー食べる?」

「あ、とこちゃん欲しい」

「あーん」

「あーん」

 

 四人で外食を済ませた後、アンジュ宅でお菓子を食べながら話を弾ませていた。

 酒が好きなニュイは一人でレモンサワーを飲んでいたため、若干酔い始めていた。

 

「アンちゃんさぁ……どんだけ引っ張ってるの? そのネタ?」

「ネタじゃないもん! 二人は本気だもん」

「はいはい……」

「あ、さてはソシエ……私がモテてるのに嫉妬してるんだ?」

「はぁ?」

 

 アンジュの煽りにニュイが反応してしまった。普段なら笑って流していたが酔っていたため、反応が変わってしまった。

 

「なんで私がアンちゃんに嫉妬しなきゃいけないの?」

「だって、ソシエって浮いた話ないし」

「アンジュ、もうやめなよ」

「アンちゃんだってネタじゃないとモテないんじゃ仕様がないよね」

「カッチーーーン!! あー、もう怒った! ソシエ、デュエルで決着を付けようじゃないか!!」

「「は?」」

 

 ニュイとリゼがハモって困惑している。それを尻目に戌亥は暢気に雪見大福を頬張っていた。

 

 

―――――――――。

 

現在に戻る。

 

「さぁー! ソシエ、どっちが本当にモテるかデュエルで決めよう!!」

 

 ニュイはしぶしぶデッキをディスクにセットする。

 

『にじさんじライバー【アンジュ・カトリーナ】と【ニュイ・ソシエール】のアプリの起動を確認。これよりデュエル配信を開始します。Twitterへの告知も完了。双方はデッキをセットしてください。』

 

『こんな時間にデュエル配信?』『お?』『ちぇりーぺぇじゃん』『アンジュ頑張れー』『ニュイちゃんファイトー!』『あ、皇女といにゅいーー!!』『何かアンジュが騒いでるwww』

 

「「決闘(デュエル)」」

 

アンジュ・カトリーナvsニュイ・ソシエール

 

「ソシエ、先攻は私が頂くよ! 私は【紅玉の錬金術師】を召喚!!」

 

 ルビーの首飾りを付けた少女が現れた。少女は手に持ったルビーを輝かせるとルビーに炎が纏った。

 

【紅玉の錬金術師】

レベル4/炎属性/魔法使い族/攻1800/守1200

手札の【高等錬金術】魔法を墓地に送ることで、デッキから【錬金術師】モンスターを手札に加える。

 

「私は手札の【高等錬金術-宝石壁(ジュエリーウォール)-】を墓地に送り、デッキから【翠玉の錬金術師】を手札に加える。さらに墓地に送られた【高等錬金術-宝石壁-】の効果を発動!」

 

【高等錬金術-宝石壁-】

通常魔法

○デッキからカードを一枚ドローする。

○このカードが【錬金術師】モンスターの効果で墓地に送られた時、手札の【錬金術師】モンスターを特殊召喚する。

 

【翠玉の錬金術師】

レベル4/風属性/魔法使い族/攻1400/守1000

特殊召喚時、墓地の【高等錬金術】魔法カードを手札に加える。

 

「手札の【翠玉の錬金術師】を特殊召喚!! 【翠玉の錬金術師】の効果で墓地の【高等錬金術-宝石壁-】を手札に加える。そして、手札から【高等錬金術-黄金釜-】を発動!!」

 

【高等錬金術-黄金釜-】

永続魔法

このカードはルール上、【錬金術師】モンスターとして扱う。

①、②の効果はそれぞれどちらかしか発動することができない。

○一ターンに一度、手札の【高等錬金術】魔法カードを墓地に送ることで、デッキから【錬金術師】モンスターを一体特殊召喚する。

○一ターンに一度、墓地の【錬金術師】をデッキに戻すことで、デッキから【高等錬金術】魔法カードを手札に加える。

 

 アンジュの目の前に黄金に輝く巨大な釜が現れた。

 

「黄金釜の効果で手札の【高等錬金術-宝石壁-】を墓地に送ることで、デッキから【天藍石の錬金術師】を特殊召喚!! そして、墓地に送られた【高等錬金術-宝石壁-】の効果も発動」

 

【天藍石の錬金術師】

レベル4/水属性/魔法使い族/攻1800/守1300

手札の【錬金術師】モンスターをデッキに戻すころで、デッキから【高等錬金術】魔法カードを手札に加える。

 

「手札の【紫水晶の錬金術師】を特殊召喚!! 【天藍石の錬金術師】の効果で手札の【錬金術師】モンスターをデッキに戻して、【高等錬金術-金剛兵-】を手札に加える!」

 

【紫水晶の錬金術師】

レベル4/闇属性/魔法使い族/攻1600/守1700

○手札の【高等錬金術】魔法カードを墓地に送ることで、デッキからカードを一枚ドローする。

 

「手札の【高等錬金術-金剛兵-】を墓地に送ることで、カードを一枚ドロー! さらに【高等錬金術-金剛兵(ダイヤモンド・ゴーレム)-】の効果を発動!」

 

【高等錬金術-金剛兵-】

通常魔法

○【高等錬金術】モンスター一体の攻撃力を1000アップさせる。

○このカードが【錬金術師】モンスターの効果で墓地に送られた時、墓地の【高等錬金術】魔法カードを手札に加える。

 

「宝石壁を手札に戻して……準備完了! 私は【紅玉の錬金術師】と【翠玉の錬金術師】の二体でオーバーレイ!! 召喚条件は【錬金術師】モンスター二体! ランク4【紅水晶の錬金術師】をエクシーズ召喚!!」

 

【紅水晶の錬金術師】

ランク4/炎属性/魔法使い族/攻2000/守1500

【錬金術師】モンスター×2

○一ターンに一度、エクシーズ素材を取り除くことで、デッキから【高等錬金術】魔法カード二枚を手札に加える。

○一ターンに一度、墓地の【高等錬金術】を一枚選択し、このカードのエクシーズ素材にする。

 

「もういっちょ! 私は【天藍石の錬金術師】と【紫水晶の錬金術師】の二体でオーバーレイ!! 召喚条件は魔法使い族モンスター二体! エクシーズ召喚! ランク4【メルヘン・アルケミスト】!!」

 

【メルヘン・アルケミスト】

ランク4/闇属性/魔法使い族/攻1000/守2400

魔法使い族モンスター×2

○このカードにエクシーズ素材がある限り、このカードは戦闘では破壊されない。

○自分のターンのエンドフェイズ時にこのカードのエクシーズ素材を一枚、墓地に送る。

○一ターンに一度、フィールドのエクシーズモンスターを一体選択し、そのエクシーズモンスターのエクシーズ素材を一個、このカードの下に置く。

 

 

 アンジュのフィールドには赤いローブを身にまとった女性の錬金術師が現れた。錬金術師は炎を自由自在に操り、炎を鳥の姿に変えた。そして、もう一人はうさぎのぬいぐるみを抱きしめたキラキラのドレスの少女が現れた。

 

「【紅水晶の錬金術師】の効果で墓地の【高等錬金術-金剛兵-】をこのカードのエクシーズ素材にし、そのまま【メルヘン・アルケミスト】の効果でこのカードのエクシーズに素材する」

「ほえー……アンジュもちゃんと遊戯王してる……。【紅水晶の錬金術師】経由で【メルヘン・アルケミスト】の守りを厚くしてるんだね」

「さらに【紅水晶の錬金術師】の効果を発動! エクシーズ素材を取り除くことでデッキから【高等錬金術-水晶砲(クリスタル・キャノン)-】と【高等錬金術-紅玉火炎陣(フレイム・サークル)-】を手札に加える。私はカードを一枚伏せ、ターンエンド! 【メルヘン・アルケミスト】の効果でエクシーズ素材を一枚墓地に送る。 さぁ、ソシエのターンだよ!」

「おっしゃ! 私もいっちょ暴れちゃいますか!! 私は魔法カード【キャバルリィ・ウィッチの昇華】を発動!」

 

【キャバルリィ・ウィッチの昇華】

通常魔法

自分フィールドにはモンスターが存在しない時、発動することができる。デッキから【キャバルリィ・ウィッチ】魔法使い族モンスターを一体特殊召喚する。その後、デッキから【キャバルリィ・ウィッチ】獣族モンスターを一体、手札に加える。

 

「私はデッキから【キャバルリィ・ウィッチ スコッチ】を特殊召喚!さらにデッキから【キャバルリィ・ウィッチ ジャスタウェイ】を手札に加える!」

 

【キャバルリィ・ウィッチ スコッチ】

レベル2/地属性/魔法使い族/攻200/守1000

○召喚、特殊召喚に成功した時、デッキから【キャバルリィ・ウィッチ】カードを手札に加える。

○自分のフィールドに【キャバルリィ・ウィッチ】融合モンスターによって決められた、このカードを含む融合素材モンスターを墓地に送ることで、その融合モンスター一体をEXデッキから融合召喚する。

 

 ニュイの前には茶色帽子をかぶった小柄な少女が現れた。少女の手にはスコッチが握られていた。

 

「スコッチの効果でデッキから【キャバルリィ・ウィッチの旗印】を手札に加え、そのまま【キャバルリィ・ウィッチの旗印】を発動!」

 

【キャバルリィ・ウィッチの旗印】

永続魔法

○一ターンに一度、手札の【キャバルリィ・ウィッチ】獣族モンスターを特殊召喚することができる。この効果を発動したターン、自分は【キャバルリィ・ウィッチ】しか特殊召喚することができない。

○フィールドの【キャバルリィ・ウィッチ】モンスターの攻撃力は自分のレベルの数×200ポイントアップする。

 

「私は手札の【キャバルリィ・ウィッチ ジャスタウェイ】を特殊召喚!!」

 

【キャバルリィ・ウィッチ ジャスタウェイ】

レベル6/地属性/獣族/攻2000/守1500

このカードが融合素材として墓地に送られた時、デッキから【キャバルリィ・ウィッチ】獣族モンスターを一体、手札に加える。

 

 ニュイの背後から高らかな足音が聞こえると、その影がニュイの上空を易々と飛び越える。甲冑を身にまとった大きな馬がスコッチの隣に並んだ。スコッチは優しくジャスタウェイをなでる。

 

「私はスコッチの効果を発動!! スコッチとジャスタウェイで融合! 召喚条件は【キャバルリィ・ウィッチ】の魔法使い族と獣族モンスター! 融合召喚、レベル6! 【キャバルリィ・ウィッチ ジャック・ジャスタウェイ】!!」

 

 スコッチを持った小柄な少女はスコッチを飲むとジャスタウェイに跨り、魔女と騎馬が一つになった。

 

【キャバルリィ・ウィッチ ジャック・ジャスタウェイ】

レベル6/地属性/魔法使い族/攻2000/守1500

【キャバルリィ・ウィッチ】魔法使い族+【キャバルリィ・ウィッチ】獣族

○一ターンに一度、手札の【キャバルリィ・ウィッチ】魔法使い族モンスターを墓地に送ることで、手札の【キャバルリィ・ウィッチ】獣族モンスターを一体特殊召喚する。

○一ターンに一度、一ターンに一度、自分のフィールドに【キャバルリィ・ウィッチ】融合モンスターによって決められた融合素材モンスターを墓地に送ることで、その融合モンスター一体をEXデッキから融合召喚する。

 

「素材となったジャスタウェイの効果で【キャバルリィ・ウェイ ディープインパクト】を手札に加え、さらに私は【キャバルリィ・ウィッチ シードル】通常召喚!」

 

【キャバルリィ・ウィッチ シードル】

レベル3/地属性/魔法使い族/攻1300/守500

召喚に成功した時、墓地の【キャバルリィ・ウィッチ】カードをデッキに戻すことで、デッキからカードを一枚ドローする。

 

「墓地の【キャバルリィ・ウィッチ スコッチ】をデッキに戻して、カードを一枚ドロー! 私は手札のジャック・ジャスタウェイの効果で魔法使い族の【キャバルリィ・ウィッチ ウィスキー】を墓地に送り、【キャバルリィ・ウィッチ ディープインパクト】を特殊召喚!!」

 

【キャバルリィ・ウィッチ ディープインパクト】

レベル8/地属性/獣族/攻3000/守2400

このカードが融合として墓地に送られた時、その融合モンスターの攻撃力を1000ポイントアップする。

 

「さてと……そろそろ私のエースの出番だね!! 【キャバルリィ・ウィッチ ジャック・ジャスタウェイ】の効果を発動!! シードルとディープインパクトで融合!! 召喚条件は【キャバルリィ・ウィッチ】の魔法使い族と獣族モンスター!! 融合召喚! 駆け抜けろ! レベル8、【キャバルリィ・ウィッチ キング・ディープインパクト】!!」

 

【キャバルリィ・ウィッチ キング・ディープインパクト】

レベル8/地属性/魔法使い族/攻3000/守2400

〇フィールドの【キャバルリィ・ウィッチ】融合モンスターが守備力モンスターとバトルする時、その守備力を攻撃力が超えた分の倍の数値だけ相手に戦闘ダメージを与える。

 

「ディープインパクトの効果でキングの攻撃力を1000。さらに旗印の効果でそれぞれのモンスターの攻撃力をアップ!」

 

ジャック・ジャスタウェイ 攻撃力:2000→3200

キング・ディープインパクト 攻撃力:3000→4000→5600

 

「えっ? え? ちょっと、待って……その火力でメルヘン・アルケミストに殴られたら……」

「ンジュのメルヘン・アルケミストが攻撃を受けると守備貫通で倍になるから……」

「1600と6400の合計8000のダメージ!!」

「さすがィゼ」

「ソ、ソシエ……ちょっと待ってぇ……」

「さぁ、駆け抜けるよ!! ジャック・ジャスタウェイとキング・ディープインパクトでメルヘン・アルケミストに攻撃!!」

「くっそー!! この火力じゃ伏せカードの意味がない……」

 

 二体の騎馬魔女がニュイの回りを駆け抜け、そのままアンジュに突撃する。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

アンジュLP:4000→-4000

 

『デュエル終了。勝者、ニュイ・ソシエール。アンジュ・カトリーナの星をニュイ・ソシエールへ転送します。』

「よっしゃー! 勝ったぁ!!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁん!! 負けたぁ!! 私のモテ期がぁ!!」

「アンジュ……これは仕様がないぁ……よしよし」

 

 泣き分けくアンジュにリゼは優しく抱きしめた。

 お菓子を食べながらデュエルを観戦していた戌亥はふと小声で呟いた。

 

「…………てか、デュエルとモテ期は関係ないんじゃ……」

「「「あ」」」

 




オリカ
【錬金術師】【高等錬金術】
錬金術師をモチーフにしたテーマ
【錬金術師】と【高等錬金術】を組み合わせることで、驚異的な展開をしていく。この展開力はにじさんじでも上位に入る。
大量展開後、エクシーズモンスターを並べることで盤面を整える。
○○の錬金術師 ○○には宝石の和名が入る

【キャバルリィ・ウィッチ】
魔女と騎馬を組み合わせてテーマ
低レベルの魔法使い族モンスターを軸に高レベル獣族モンスターを呼び出し、融合して攻めまくるスタイル。
魔法使い族モンスターは酒の名前、獣族モンスターは競争馬の名前


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BATTLE.4「エクス・アルビオ&アルス・アルマルvs加賀美ハヤト」

更新が遅くなり申し訳ございません。

2話と3話が納得いかなかったので修正を重ねていました。

今後の更新ペースは3~4日を目途に更新したいと思います。
1日目:プロット作成、2日目:オリカ構築、3~4日:執筆。という流れを取っていきたいと思います。

気長に更新を待っていただけたらと思います。
感想やご指摘お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。



都内某所。

加賀美インダストリアル。社長室。

 

 にじさんじライバー兼加賀美インダストリアル社長。加賀美ハヤトはBluetoothイヤホンで会話しながら、軽快にキーボードを操作していた。

 ハヤトは社長でありながら、商談の合間に企画を練り、自らプレゼンを行い商品化させている。

 

「はい……はい……では、そちらのイベントに我社のグッズを販売させていただきます……はい、よろしくお願いいたします。……では……………ふぅー……」

 

 通話がひと段落し、ため息を漏らす。Bluetoothイヤホンを取り外し、机に置いてあったコーヒーを手に取り、一口飲む。

 

「これであのイベントの企画は問題なさそうですね…………では、早速、例の件を黛さんに……」

 

プルプル……プルプル……。

 

 社長室の内線用の電話が鳴り響く。

 

「はい、こちら社長室」

『加賀美社長。お忙しいところ申し訳ありません』

「いえいえ、ひと段落付いたところですよ。それでどうかいたしましたか?」

『じ、実は……フロントに鎧を着た男性と、ローブ姿の少女が社長を出せ。と』

「……はい?」

『駄目だとは伝えたのですが……無理やり社長室に行くと……強行突破されました。今、警備を呼びます』

「…………はい?」

 

バーーーーン!!

 

 社長室の扉が勢い良く開かれると、そこにはにじさんじライバーのエクス・アルビオとアルス・アルマルが立っていた。

 

「あぁぁ……その二人は私の知人なので警備を呼ばなくて大丈夫ですよ」

 

 ハヤトは受話器を置くと呆れたように二人に近づいた。

 二人は悪びれもなく、社長室のソファーに座った。

 

「どうしたのですか? お二人とも」

「実は社長にお願いが……」

「…………っ」

 

 エクスの神妙な表情にハヤトは何か緊急な要件なのかと思い、固唾を呑む。隣のアルスも何か緊張していた。

 

「社長!! 折り入ってお話が!!」

「は、はい!!」

「「星をください!!」」

「…………はい? 嫌ですけど」

「ちょっと!? エビ先輩!! ダメじゃん!!」

「いえ、師匠まだです! 社長ならもう一押しで」

「渡しませんよ!!」

 

 エクスは無邪気に茶請けのクッキーを貪り、アルスは呆れていた。

 

「それなら仕方ないですね……では、社長! 僕達とデュエルをしましょう!!」

「え? 『僕達』ですか?」

 

 エクスとアルスの二人はデュエルディスクを構えた。

 

「そうです! 僕と師匠がタックを組みますので、僕たちが勝ったら二人分星をください!!」

「ください!!」

「えぇ……」

(いや……待てよ? もしかしたら、試行していたデッキを試すチャンスでは?)

「……分かりました。では、私対エクスさん、アルスさんの三人の変則デュエルしましょう。お二人が勝ったら約束通り、星を二人分お渡しします」

「「本当!?」」

 

 ハヤトは机に置いてあったデッキを手に取り、デュエルディスクを構えた。

 

『にじさんじライバー【加賀美ハヤト】、【エクス・アルビオ】、【アルス・アルマル】のアプリの起動を確認。これよりデュエル配信を開始します。Twitterへの告知も完了。双方はデッキをセットしてください。』

 

 

『デュエルきたー!!』『三人?』『バトルロイヤル?』『いや、師弟vs社長?』『社長頑張って\10000』『赤スパチャきた!!』『\10000』『\10000』『怒涛の赤スパチャwww』

 

「ルールはこちらで決めさせていただきます。私→エクスさん→私→アルスさん→私の順番で行かせていただきます。攻撃を開始できるのはアルスさんのターンが終わった、次の私のターンからにさせて頂きます。」

「別にいいですよ。そのくらいのハンデ」

「さぁ……このデッキのデータを取らせてください」

 

「「「決闘(デュエル)!!」」」

 

「私のターンからいかせていただきます! ドロー! 私は手札から【ワン・フォー・ワン】を発動します! 手札のモンスターを墓地に送り、デッキから【魔境絶唱(デモンズ・ヴォイス) ファウスト】を特殊召喚します!」

 

【魔境絶唱 ファウスト】

レベル1/闇属性/悪魔族/攻600/守200

このカードが特殊召喚に成功した時、デッキから名前の異なる【魔境絶唱】レベル1モンスターを一体、特殊召喚する。

 

「ファウストの効果でデッキから【魔境絶唱 ベーゼ】を特殊召喚します」

 

【魔境絶唱 ベーゼ】

レベル1/闇属性/悪魔族/攻500/守900

一ターンに一度、フィールド上にアドバンス召喚された【魔境絶唱】モンスターが存在する時、墓地に存在するこのカードを特殊召喚する。この効果を発動したターン、自分はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚することができない。

 

 ハヤトの目の前には小さい悪魔が二体現れた。小さな悪魔はニヤニヤしながらハヤトの周辺を飛び回る。

 

「下準備はまだまだですよ。私は手札から【帝王の開岩】と【冥界の宝札】を発動します」

「エビ先輩……明らかに社長、アドバンス召喚するつもりだよ」

「まぁ、大丈夫でしょ?」

「さぁ! 私はファウストとベーゼをリリースし、手札の【魔境絶唱 アマデウス】をアドバンス召喚します!!」

 

 ファウストとベーゼの二体の悪魔が消滅すると、その場の空間に亀裂が入り、空間の狭間から巨漢な悪魔が現れた。巨漢な悪魔は両肩に骸骨の頭が付いており、威圧を放っている。

 

【魔境絶唱 アマデウス】

レベル8/闇属性/悪魔族/攻2800/守1000

○このカードがアドバンス召喚に成功した時、手札のカードをランダムに選択し、墓地に送る。そのカードがモンスターカードだった場合、そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。

○一ターンに一度、フィールドの【魔境絶唱】モンスターをリリースすることで、相手のモンスターを一体破壊する。この効果は相手のターンにも発動することができる。

 

「【帝王開岩】と【冥界の宝札】の効果を発動!! デッキから【魔境絶唱 ショパン】を手札に加え、さらにカードを二枚ドローします。アマデウスの効果でエクスさんの手札を一枚、墓地に送ります」

「僕が墓地に送られたのは【英雄の証】……魔法カードです」

「ダメージは不発でしたか。まだ、続きますよ! さらに私は手札から【帝王の新怨】を発動! 手札の【魔境絶唱 ショパン】を見せることで、デッキから【汎神の帝王】を手札に加え、そのまま発動します。手札の【真源の帝王】を墓地に送り、カードを二枚ドローします」

 

 ハヤトのドローは加速する。猛攻は止まらず、エクスとアルスはただ見ているだけだった。

 

「私は墓地の【汎神の帝王】の効果を発動します。墓地のこのカードをゲームから除外することで、デッキの【真帝王領域】三枚を選択し、ランダムで一枚手札に加えます」

「ズルいぞ! 何がランダムだ!!」

「そのようなデッキなんですよ!! ……続けますよ。私は【真帝王領域】を発動! これにより自分フィールドのみにアドバンス召喚したモンスターが存在する場合、エクストラデッキからモンスターを特殊召喚することができません。さらに【魔境絶唱 ベーゼ】の効果で自身を特殊召喚します。私はカードを二枚伏せてターンエンドです。さぁ、この状態でどう動きますか?」

「完全にロックしてません? まぁ、やってみますか! 僕は自分フィールドにモンスターが存在しない場合、【鋼鉄の英雄】をリリース無しで召喚します。さらに手札から【英雄の試練】を発動!」

 

 全身鉄で出来た巨大な剣士が地面から現れた。巨大な剣を掲げ、その剣を肩にかけた。

 

【鋼鉄の英雄】

レベル10/地属性/機械族/攻1800/守2800

○自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードはリリース無しで召喚することができる。

○自分フィールドにこのモンスターのみが存在する場合、このカードは戦闘では破壊されない。

 

【英雄の試練】

魔法

自分フィールドにレベル10【英雄】モンスターが存在する場合、発動することができる。フィールドのレベル10【英雄】モンスターを手札に戻すことで、手札のレベル10【英雄】モンスターを一体、特殊召喚する。その後、相手のモンスター一体を破壊することができる。

 

 

「させませんよ! 【英雄の試練】に対してアマデウスの効果を発動! ベーゼをリリースすることで【鋼鉄の英雄】を破壊します!」

「っ!! 手札から速攻魔法【英雄の反逆】を発動!!」

 

【英雄の反逆】

速攻魔法

自分フィールドにレベル10【英雄】モンスターを一体選択し、発動することができる。そのモンスターをデッキに戻すことで、デッキから名前の異なるレベル10【英雄】モンスターを一体特殊召喚する。

 

「【鋼鉄の英雄】をデッキに戻します」

「甘いです! 【英雄の反逆】にチェーンしてカウンター罠【魔境絶唱 魅惑の賛美】を発動します!!」

 

【魔境絶唱 魅惑の賛美】

カウンター罠

自分フィールドにアドバンス召喚した【魔境絶唱】モンスターが存在し、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その効果は『自分フィールドのモンスターカードを一枚、破壊する』となる。

 

「魅惑の賛美の効果で【英雄の反逆】の効果を上書きさせます! さぁ、自分のカードを破壊してください」

「くっ……僕は【鋼鉄の英雄】を破壊します……」

「チェーン処理が終わり、【英雄の試練】とアマデウスの効果は不発になります」

「僕はカードを一枚伏せてターンエンドです」

 

 自分の動きが封じられ、エクスは苦い表情を浮かべていた。

 

「では、私のターンですね。ドロー! 私は墓地のベーゼの効果を発動します。自身を墓地から特殊召喚します! さらに私は墓地の【真源の帝王】の効果を発動します。墓地の【帝王の深怨】をゲームから除外することで、墓地の【真源の帝王】をモンスター扱いでフィールドに特殊召喚します。私はベーゼと【真源の帝王】をリリースし、手札の【魔境絶唱 ショパン】をアドバンス召喚します」

 

 二体のモンスターが消滅し、そこから髑髏の仮面をかぶった女性が現れた。その女性の左腕は無数の蛇のような化け物になっていた。無数の化け物は輪唱するように叫んでいる。

 

【魔境絶唱 ショパン】

レベル8/闇属性/悪魔族/攻2800/守1000

○このカードがアドバンス召喚に成功した時、デッキからレベル1【魔境絶唱】モンスターを二体まで墓地に送ることで、相手のフィールド上のカードを同じ枚数分デッキに戻す。

○一ターンに一度、フィールドの【魔境絶唱】モンスターをリリースすることで、相手の魔法・罠カードを一枚破壊する。この効果は相手のターンにも発動することができる。

 

「【帝王の開岩】と【冥界の宝札】の効果でデッキから【魔境絶唱 ヴェートーベン】を手札に加え、カードを二枚ドローします。さらにショパンの効果でデッキからレベル1【魔境絶唱】モンスターを墓地に送ることで、エクスさんの伏せカードをデッキに戻します」

「あぁぁ! 俺のカードが!!」

「私は手札の【魔境絶唱 ドゥーパ】を特殊召喚!!」

 

【魔境絶唱 ドゥーパ】

レベル1/闇属性/悪魔族/攻800/守100

自分フィールド上にアドバンス召喚した【魔境絶唱】モンスターが存在する場合、手札のこのカードを特殊召喚する。

 

「私はこれでターンエンドです。今度はアルスさんの番ですよ」

「僕のターン……ドロー。うぅぅ……僕もエビ先輩もエクシーズがメインだからなぁ……。僕は手札から永続魔法【魔法道具箱(エンチャント・ツール・ボックス)】を発動」

 

【魔法道具箱】

永続魔法

一ターンに一度、手札を一枚、墓地に送ることで、デッキから【魔法道具】カードを一枚、手札に加える。

 

「僕は手札を一枚、墓地に送ることで、デッキから【魔法道具(エンチャント・ツール)-ビリビリ剣-】を手札に加えます。僕は【ブリキの魔法兵士】を召喚」

 

 アルスの横にブリキの兵士が現れた。ブリキの兵士は若干、汚れが付いておりガタガタ動いていた。

 

【ブリキの魔法兵士】

ベル4/光属性/魔法使い族/攻1500/守1000

一ターンに一度、このカードが装備魔法を装備した時、カードを一枚ドローする。

 

「僕は【魔法道具-ビリビリ剣-】を発動。【ブリキの魔法兵士】に【魔法道具-ビリビリ剣-】を装備」

 

【魔法道具-ビリビリ剣-】

装備魔法

○このカードが魔法使い族モンスターに装備された時、相手のモンスターを一体、破壊することができる。

○このカードを装備したモンスターの攻撃力を800ポイントアップさせる。

 

「よし、これでビリビリ剣の効果でアマデウスを破壊できる!!」

「では、それにチェーンしてアマデウスの効果を発動します。ドゥーパをリリースし、【ブリキの魔法兵士】を破壊します!」

「あぁぁぁぁ……僕のモンスターが……僕はカードを二枚伏せてターンエンド」

 

 ハヤトの圧倒的なプレイングに二人は成すすべもなかった。

 

「では、私は伏せカードを発動します。罠カード【魔境絶唱 黒雷の霹靂】を発動します」

 

【魔境絶唱 黒雷の霹靂】

自分フィールド上にアドバンス召喚した【魔境絶唱】モンスターが存在する時、発動することができる。墓地のレベル1【魔境絶唱】モンスターを二体、特殊召喚する。

 

「私は墓地のファウスト、ヘスメタを特殊召喚します」

「ヘスメタなんてモンスターいました?」

「【ワン・フォー・ワン】の効果で墓地に送ったモンスターですよ」

 

【魔境絶唱 ヘスメタ】

レベル1/闇属性/悪魔族/攻500/守600

このカードが特殊召喚に成功した時、デッキから【魔境絶唱】カードを一枚、手札に加える。

 

「ファウストとヘスメタの効果を発動します。ファウストの効果で【魔境絶唱 オロゴス】を特殊召喚。ヘスメタの効果で【魔境絶唱 シューベルト】を手札に加えます。では、私のターン。このターンから攻撃が可能です。ドロー! 私はベーゼを墓地から特殊召喚します。さらにファウストとヘスメタをリリース、アドバンス召喚!! 【魔境絶唱 シューベルト】!!」

 

 暗黒はハヤトの周辺に漂うと、そこからタコの足のような触手が生えた、下半身が触手で上半身が人型の化け物が現れた。化け物の爪は異様に伸びており、まるで指揮棒のように爪をグルグル回していた。

 

【魔境絶唱 シューベルト】

レベル8/闇属性/悪魔族/攻2800/守1000

○このカードがアドバンス召喚に成功した時、相手のセットされたカードを全てゲームから除外する。

○一ターンに一度、フィールドの【魔境絶唱】モンスターをリリースすることで、墓地のレベル8【魔境絶唱】モンスターを一体、特殊召喚する。

 

「シューベルトの効果でアルスさんの伏せカードを全てゲームから除外します!」

「くっそぅ!! 僕は伏せカード【魔法道具-びっくりハンマー-】、【魔法道具-ストップチェーン-】を発動!!」

 

【魔法道具-びっくりハンマー-】

手札の魔法使い族モンスターを墓地に送ることで、相手のモンスターを一体、デッキに戻す。

 

【魔法道具-ストップチェーン-】

墓地の魔法使い族モンスターをゲームから除外することで、相手のモンスターを一体、選択し、そのモンスターはこのターン戦闘を行うことができない。

 

「これで何とか防げれば!!」

「無駄です!! 私は手札から速攻魔法【魔境絶唱 氷獄の裂傷】を発動!!」

 

【魔境絶唱 氷獄の裂傷】

速攻魔法

このターン、アドバンス召喚された【魔境絶唱】モンスターは相手の魔法・罠カードの効果は受けない。

 

「氷獄の裂傷により、このターン、アドバンス召喚した【魔境絶唱】は効果耐性が付きました」

「えぇぇぇ……これも止められたぁ」

「さぁ、私のエースの登場です!! 私は【魔境絶唱 ウエディング】を特殊召喚します!!」

 

 空が闇に包まれると、闇から白いドレスを着た女性型の悪魔が現れた。ドレスには複数の目玉が付いており、不気味なオーラを纏っていた。

 

【魔境絶唱 ウエディング】

レベル12/闇属性/悪魔族/攻3500/守28000

○自分フィールド上にアドバンス召喚した【魔境絶唱】モンスターが三体以上、存在する場合、このカードを特殊召喚することができる。

○一ターンに一度、フィールドの【魔境絶唱】モンスターをリリースすることで、相手のカードを全て破壊する。

〇このカードが破壊される時、代わりに墓地の【魔境絶唱】モンスターをゲームから除外することができる。

 

「バトルです!! 全モンスターで二人に総攻撃です」

「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

エクス&アルスLP:4000→0

 

『デュエル終了。勝者、加賀美ハヤト。エクス・アルビオとアルス・アルマルの星を加賀美ハヤトへ転送します。』

『社長つえぇぇぇ!!』『二人相手で圧倒とかwww』『\10000』『\10000』『\10000』

 

「はぁぁ……負けちゃった」

「社長!! もう一回!! もう一回お願いします!!」

「はいはい。お二人はもう帰ってください」

 

 ハヤトは二人の背中を押して、社長室から出ていかせた。

 

『どーも。いいデュエルだったよ』

「データは取れましたか? 黛さん」

『もちろん。いいデータが取れたよ』

 

 ハヤトはディスクを外して、机に座る。PCの電源を付けると黛から送られたデータを眺めた。データの送り先はにじさんじライバー兼ハッカーの黛灰だった。

 ディスプレイをスクロールし、データを見る。

 

『あとは例のカードのサンプルでもあれば』

「それはこちらで何とかしましょう。協力者に回収を急いでもらっています」

『【にじさんじ決闘王】を止められたら良かったんだけど』

「意外と乗り気な人が多かったから、仕方ありません。私たちで秘密裏に止めるしかありません」

『そうだね……何とかして止めないと』

「はい。このままだと……にじさんじが、いちから株式会社が崩壊してしまいます」

 

 二人が眺めていたデータには『Unknown』と書かれたカードが写されていた。

 

 

 

 




オリカ紹介
【魔境絶唱(デモンズ・ヴォイス)】
悪魔と音楽は組み合ったテーマ
低レベルモンスターをリリースし、アドバンス召喚した高レベルモンスターで相手を倒す。低レベルモンスターを生け贄に相手を妨害する。また、帝王テーマと相性がいい。

【英雄】
各種族の剣士をモチーフにしたテーマ
レベル10の超高レベルモンスターを主力にし、モンスターが一体のみの時に強力な効果を発動させる孤高のデッキ。
脳筋で一撃で相手を倒す。

【魔法道具(エンチャント・ツール)】
色々な武器と魔法をモチーフにしたテーマ
魔法カードがメインで、魔法使い族をサポートし、強度な守りを誇る。自分自身が戦うというよりもタッグなどでのサポートの方を得意する。


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BATTLE.5「叶vs笹木咲」

少しずつ認知度が上がってきて嬉しい限りです。
前回から伏線を加え、少しずつストーリーが加速していきます。

感想やご指摘お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。



いちから事務所の最寄り駅

 

 事務所の最寄り駅についた叶は改札を出て、待ち合わせ場所に向かった。今日は笹木咲と椎名唯華のさくゆい、叶と葛葉のクロノワでオフコラボをするため、最寄り駅で待ち合わせをしていた。

 しかし……。

 

――――――ディスコードのグループチャット

 

葛葉『すまん。電車が遅延してて遅れるわ』

椎名『すいやせん……今、起きました』

叶『えぇ……了解。笹木はもう集合してる?』

 

 葛葉と椎名が遅刻する。という連絡を受け、叶は呆れながら集合場所へ向かった。

 

「葛葉は仕方ないとして……椎名はなぁ……笹木から連絡ないけど、笹木は集合場所にいるのかな?」

 

 叶は不安になりながら集合場所に向かうと、笹木が待っていた。

 

「あ、おはよー」

「…………」

「ディスコード見た? 葛葉と椎名は遅れるって。先にスタジオに行ってる?」

「…………」

「笹木?」

 

 返事がない笹木の顔を覗き込むと笹木は顔を向けた。何故か笹木はデュエルディスクを付けていた。

 

「かなかな……デュエルしようや」

「え? デュエル?」

「せや、ただスタジオに行くのもアレやし、デュエルで暇つぶしでもしようや」

「そうだね……まぁ、いいか。デュエルしよう」

 

 叶はデュエルディスクを構えた。

 

『にじさんじライバー【笹木咲】と【叶】のアプリの起動を確認。これよりデュエル配信を開始します。Twitterへの告知も完了。双方はデッキをセットしてください。』

 

『デュエルきた!!』『お、ゲーマーズ!!』!!『どうせ笹木が負ける』『これは出来レースだろwww』『笹木頑張れー』『叶ファイト!!!』

 

 笹木と叶はデュエルディスクを構え、デッキをセットした。

 

「「決闘(デュエル)」」

 

 

「先攻は?」

「笹木に譲るよ」

「ほら、ウチから。ウチは手札から【獰猛なる獣道】を発動」

 

【獰猛なる獣道】

魔法

自分フィールドにモンスターが存在しない時、発動することができる。デッキからレベル5以上の獣族モンスターと手札からレベル4以下の獣族モンスターをそれぞれ一体ずつ、効果を無効にして特殊召喚する。

 

「ウチはデッキからレベル6の【激おこパンダ】と手札のレベル3の【お昼寝パンダ】を特殊召喚」

 

【激おこパンダ】

レベル6/地属性/獣族/攻2400/守1200

○このカードが表側守備表示でフィールド上に存在する場合、このカードを破壊する。

○このカードのコントローラーは、このカードが攻撃可能な状態であれば、必ず攻撃しなければならない。

 

【お昼寝パンダ】

レベル3/地属性/獣族/攻400/守1600

○このカードが特殊召喚に成功した時、フィールドの獣族モンスターの数×300ポイント、ライフを回復する。

 

「ウチはさらに【招きパンダ】を通常召喚」

 

【招きパンダ】

レベル3/地属性/獣族/攻1500/守1100

○このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、フィールドの【パンダ】モンスターの数だけデッキからカードをドローし、同じ数、手札から墓地に送る。

 

「【招きパンダ】の効果でデッキからカードを三枚ドローし、手札からカードを三枚墓地に送るわ。墓地に送られた時、【ゾンビパンダ】の効果を発動。このカードが墓地に送られた時、このカードを特殊召喚する」

 

【ゾンビパンダ】

レベル3/地属性/獣族/攻1700/守0

○このカードが墓地に送られた時、このカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚した、このカードが墓地に送られた時、ゲームから除外される。

 

「ウチは四体のパンダモンスターでリンク召喚。リンク4、【ジャイアント・デスパンダ】をリンク召喚!!」

 

 四体のパンダが光に包まれると、巨大なパンダが現れた。巨大なパンダは眼帯をつけ、枝を加えていた。

 

【ジャイアント・デスパンダ】

リンク4/地属性/獣族/攻4200/↑↖↗→

獣族モンスター二体以上

○このカードが相手モンスターを戦闘で破壊した時、破壊したモンスターの攻撃力分、このカードの攻撃力をアップさせる。

 

「ウチはカードを二枚伏せて、ターンエンド。さて、かなかなのターンや」

「……僕のターン、ドロー。僕は【雪牙狼(せつがろう)の狩人】を召喚」

 

【雪牙狼の狩人】

レベル4/水属性/獣戦士族/攻1700/守1200

○このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから【雪牙狼】カードを手札に加える。

○一ターンに一度、自分のフィールドの【雪牙狼】モンスターを選択し、そのモンスターと同じレベルで名前の異なる【雪牙狼】を一体、手札から特殊召喚する。

 

「僕は狩人の効果で【雪牙狼の近衛】を手札に加える。さらに【雪牙狼の近衛】の効果を発動」

 

【雪牙狼の近衛】

レベル4/水属性/獣戦士族/攻1600/守1500

○このカードが【雪牙狼】カードの効果で手札に加わった時、このカードを特殊召喚する。

 

「僕は【雪牙狼の近衛】を特殊召喚。さらに【雪牙狼の狩人】の効果で手札の【雪牙狼の遊撃隊】を特殊召喚」

 

【雪牙狼の遊撃隊】

レベル4/水属性/獣戦士族/攻1400/守1600

○このカードが特殊召喚に成功した時、相手の魔法・罠カードを一枚、破壊する。この効果に対して、相手は効果を発動することができない。

 

「僕は笹木のセットカードを破壊」

「くっ……まぁ、いいわ」

「僕は三体の【雪牙狼】モンスターでリンク召喚! 雪原を駆け抜けろ! リンク3、【雪牙狼の狙撃手】!!」

 

 狼を一体丸ごと使った毛皮のマントを身にまとい、狼の頭で作ったフードで顔を隠した男が現れた。男は手に火縄銃を持っていた。

 

【雪牙狼の狙撃手】

リンク3/水属性/獣戦士族/攻2500/↗↘↓

水属性・獣戦士族モンスター二体以上

○このカードがリンク召喚に成功した時、相手のモンスター一体、選択し破壊する。

○一ターンに一度、墓地の【雪牙狼】モンスターをリンクマーカー先に特殊召喚する。

○このカードが相手プレイヤーに直接攻撃する時、このカードか相互リンク状態の場合、戦闘ダメージは倍になる。

 

「狙撃手の効果で【ジャイアント・デスパンダ】を破壊する」

「ウチはセットカード発動。【獣たちの恵み】を発動」

 

【獣たちの恵み】

フィールドの獣族モンスターを破壊することで、破壊したモンスターの攻撃力以下になるように墓地の獣族モンスターを任意の数、特殊召喚することができる。

 

「ウチは【ジャイアント・デスパンダ】を破壊し、墓地の【激おこパンダ】、【お昼寝パンダ】、【招きパンダ】を特殊召喚。【お昼寝パンダ】と【招きパンダ】の効果を発動や。ライフを900ポイント回復。カードを三枚ドローして、三枚墓地に送る」

 

笹木LP:4000→4900

 

「くっ……狙撃手の効果は不発だけど、僕は【雪牙狼の狙撃手】の効果を発動! リンクマーカー先に【雪牙狼の狩人】を特殊召喚。狩人の効果で【氷結なる雪牙狼】を手札に加え、そのままは発動」

 

【氷結なる雪牙狼】

魔法

①と②の効果は一ターンに一度、それぞれどちらかしか発動することができない。

○墓地またはゲームから除外されている【雪牙狼】モンスターを特殊召喚する。この効果を発動したターン、自分は【雪牙狼】以外のカードを発動することができない。

○墓地のこのカードをゲームから除外することで、デッキから【雪牙狼】モンスターを手札に加える。

 

 

「僕は墓地の【雪牙狼の近衛】を特殊召喚。【雪牙狼の狩人】と【雪牙狼の近衛】でリンク召喚! リンク2、【雪牙狼の番人】を特殊召喚」

 

【雪牙狼の番人】

リンク2/水属性/獣戦士族/攻1800/↑↙

水属性・獣戦士族モンスター二体

○一ターンに一度、相手のカードを一枚、手札に戻す。このカードが相互リンク状態の時、手札ではなくゲームから除外する。

 

「【雪牙狼の番人】の効果で【激おこパンダ】をゲームから除外! バトル! 【雪牙狼の狙撃手】で【お昼寝パンダ】に攻撃。さらに【雪牙狼の番人】で【招きパンダ】に攻撃」

 

 叶の二体のモンスターによって、二匹のパンダが破壊された。

 

「僕はカードを一枚伏せてターンエンド」

「ウチのターン、ドロー…………なぁ、かなかな……」

「ん?」

 

 笹木がカードを引いた瞬間、雰囲気が急変した。

 

「ウチはいつも不幸だの、不憫だの言われ…………どんなに努力をしても実ってこぉへんかった」

「ど、どうしたの? いきない」

「だけど、それも今日で終わりや!! ウチはこのカードでウチ自身を! 世界を変える!! ウチは手札から魔法カード【UnknownCode(アンノウン・コード)-リンク・オーバー-】を発動や!!」

 

 笹木がカードをデュエルディスクにセットした。すると笹木のデュエルディスクから警告音が響き渡った。

 

『エラー。エラー。不正なプログラムを検出しました。不正なプログラムを検出しました。今すぐにプログラムの消去を――――――プログラムを強制インストール。―――――――プログラムのインストール完了。プログラム【Unknown】を起動します。』

 

 『あれ?』『ん?』『ぐるぐる』『配信切れた?』『真っ暗』『枠落ちた?』『真っ暗』

 

 警告音が鳴り止むと同時に笹木と叶の周辺に何かが包み込んだ。叶はその何かを感じ取った。まるで世界に隔離されたような、世界と自分がズレたような感覚を。

 

「……笹木、今、何をしたの?」

「ふふふふっ……さぁ、かなかな! デュエルを楽しもうや!! 【UnknownCode-リンク・オーバー-】の効果で墓地のモンスターを任意の数だけ除外することで、除外した数と同じ数のリンクマーカーの【Unknown】リンクモンスター1体をリンク召喚する! ウチは墓地のモンスター5体をゲームから除外!! こいやぁ! リンク召喚! 氷獄の魔龍よ、その魔眼に秘めた力を解き放ち、絶対零度の世界を作りだせ! 降臨せよ、【魔眼の氷極龍(イーヴィルアイズ・コキュートス・ドラゴン)】!!」

 

【UnknownCode-リンク・オーバー-】

魔法

『UnknownCode-リンク・オーバー-』は一ターンに一度しか発動することができない。

○自分の墓地のモンスターを任意の数だけ除外して発動できる。除外した数と同じ数のリンクマーカーの【Unknown】リンクモンスター1体をリンク召喚扱いでEXデッキから特殊召喚する。

○この効果で特殊召喚したモンスターは以下の効果を得る。相手のカード効果を受けない。

 

【魔眼の氷極龍】

リンク5/水属性/ドラゴン族/攻3800/←↙↓↘→

名前の異なる効果モンスター5体

このカード名はルール上【Unknown】カードしても扱う。

○このカードがリンク召喚に成功した時、フィールドのモンスター全てをゲームから除外する。この効果の発動に対して魔法・罠・効果モンスターの効果は発動できない。

○一ターンに一度、墓地のリンクモンスターをゲームから除外することで発動することができる。ゲームから除外したリンクモンスターのリンクマーカーと同じ数、このターン攻撃することができる。

 

 デュエルフィールドの気温が急激に下がると、笹木の正面に黒い雷が落ちた。その衝撃で氷が空気中に大量に生成されていくと、その氷は黒い雷と交わり、次第に龍の姿に変わっていった。龍は赤黒い眼で叶を睨みつけると咆哮を上げる。その咆哮で吹雪が巻き起こり、笹木と叶のデュエルフィールドが凍り付いた。周辺の自動販売機やごみ箱なども凍り付いた。

 

「くっ!? 何だ、この冷気は!? ……冷気? っ!?」

 

 叶は足元の凍り付いた地面に触った。触れた手には確かに冷たさを感じ、地面は完全に凍っていた。

 

(凍っている? このデュエルディスクは3D機能を使ってデュエルを立体的に写す機械のはず……デュエルがそのまま現実に影響するなんて、ありえない……!)

「笹木! デュエルを中断しよう! 何かマズイ気がする!!」

「かなかなぁ……楽しくなってきたのはこれからやぁ! ウチは【魔眼の氷極龍】の効果を発動! かなかなのモンスターを全てゲームから除外する! 【絶対零度の氷獄嵐(アブソリュート・インフェルノ)】!!」

 

 

 魔眼の氷極龍が咆哮を上げ、翼を大きく羽ばたかせると黒い嵐が巻き起こり、辺り一面を氷漬けにし、粉砕させていく。黒い嵐は叶のモンスターを包み込み、一瞬にして氷漬けにし、粉々に粉砕させた。

 

「くっ! 僕のモンスターが!!」

「さらに【魔眼の氷極龍】のもう一つの効果! 【ジャイアント・デスパンダ】をゲームから除外することで【ジャイアント・デスパンダ】のリンクマーカーの数だけ攻撃することができる! つまり【魔眼の氷極龍】は4回攻撃が可能や!!」

「っ!! 笹木!!」

 

 叶が名前を呼ぶが、叶の声は笹木に届かない。笹木は完全に何かにとりつかれたように瞳に生気を感じられなかった。

「バトルや! 【魔眼の氷極龍】でかなかなに攻撃!! 【永遠の氷獄雷(エターナル・インフェルノ)】!!」

 

 

 魔眼の氷極龍の口が大きく開き、口に黒い雷が蓄積されていく。溜まりきった雷を魔眼の氷極龍が放つと、ブレスのように雷が叶に襲い掛かる。

 

「僕は伏せカード【雪牙狼の雪隠れ】を発動!!」

 

【雪牙狼の雪隠れ】

自分のフィールド【雪牙狼】モンスターがフィールドを離れたターンのバトルフェイズ時に発動することができる。このターン、自分は戦闘ダメージを受けない。

 

「これにより、【魔眼の氷極龍】の攻撃を防ぐ」

「くっ……ずいぶん、しぶといやないかい。ウチはこれでターンエンド! さぁ、悪あがきしてみぃ!!」

「…………僕のターン、ドロー。【魔眼の氷極龍】は倒せないが……僕は二枚目の【氷結なる雪牙狼】を発動! ゲームから除外されている【雪牙狼の狙撃手】を特殊召喚!! 狙撃手の効果で狩人を特殊召喚! 狩人の効果で【雪牙狼の一撃】を手札に加える。僕は【雪牙狼の狩人】一体でリンク召喚! リンク1、【雪牙狼の暗殺者】!」

 

【雪牙狼の暗殺者】

リンク1/水属性/獣戦士族/攻1200/↑

○このカードが相互リンク状態でバトルする時、バトルをする相手モンスターをダメージステップ前に破壊する。

 

 魔龍の前に一人の狙撃手が現れた。魔龍は狙撃手をその赤黒い眼で威圧するが、迎え撃つ狙撃手は淡々と体を伏せ、銃を構える。

 

「僕は手札から【雪牙狼の一撃】を発動!!」

 

【雪牙狼の一撃】

魔法

フィールドの【雪牙狼】モンスターを一体、選択し、そのモンスターはこのターン、相手プレイヤーに直接攻撃することができる。この効果を発動したターン、自分は選択したモンスターでしか攻撃することができない。

 

「僕は【雪牙狼の狙撃手】を選択! これにより狙撃手はこのターン、相手に直接攻撃することができる! 【魔眼の氷極龍】を倒すことは無理でも……相手のライフを削れば!!」

「しまった!?」

「笹木!! 目を覚ませ!! バトル! 僕は【雪牙狼の狙撃手】で笹木に攻撃! 【雪牙狼の狙撃手】の効果で戦闘ダメージは倍になる!! 喰らえ!!」

 

 狙撃手が銃を放つと、弾丸は魔龍の目の前で霞のように消え、次の瞬間、弾丸が笹木の体を貫いた。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

笹木LP:4900→0

 

 笹木のライフが0になった瞬間、鏡が割れるような音が鳴ったと同時に叶が感じていた違和感が消え去った。魔眼の氷極龍と凍り付いていたフィールドも消え去っていた。

 

『デュエル終了。勝者、叶。笹木咲の星を叶へ転送します。』

 

『お?枠が戻った』『デュエル終わってね?』『これは放送事故では?』『何があったんだ?』

 

「笹木!!」

「うーーーん……」

 

 叶が駆け寄ると笹木は気絶していた。叶は安堵の息を漏らすと佐々木を近くのベンチで寝かせた。

 

「これで大丈夫……しかし、あの魔法カードとモンスターは何だったんだだろ?」

 

 叶は佐々木のデュエルディスクに手を触れた。

 

 ドクンッ……。

 

「っ!?」

 

 叶の体に衝撃が走る。何かしらの感情が湧き出てくるような感じだった。苦しみ出した叶はいつの間にか先ほどの二枚の怪しいカード、【UnknownCode-リンク・オーバー-】と【魔眼の氷極龍】を握りしめていた。

 

「な、なんだ!? 思考が…………あ、頭が割れるように痛い……う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 ここで叶の意識は途切れた。

 

 

 




オリカ紹介
【パンダデッキ】
パンダを中心にしたデッキ
可愛らしいパンダから気持ち悪いパンダまで盛りだくさん。
獣族専用のサポートカードで展開していき、大型リンクモンスターで攻める。

【雪牙狼(せつがろう)】
狼と猟師や狙撃手など、ハンターをモチーフにしたデッキ
水属性・獣戦士族と中々、サポートカードも少ないがリンクモンスターを複数出し、相互リンクで強力な効果を発揮する。

【Unknown】
加賀美と黛が追っているカード。
その正体は不明であるが、そのカードの持ち主は何か異変が起きてしまう。
立体映像のはずが現実に影響を与えてしまっている危険なカード


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BATTLE.6「葛葉vs叶」

本日は仕事が休みだったので続きを書かせて頂きます。
伏線を回収しつつ、デュエルの方も進めていきます。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。


いちから事務所の最寄り駅

 

 電車が遅延していたため、葛葉は待ち合わせ時間を過ぎて、最寄り駅についた。慌てて改札を出て、駆け足で集合場所へ向かう。

 

「っべー!! 遅れちまった! ディスコードを見る限りだと叶と笹木はもう着いているみるだけど……椎名は通常運転だな」

 

 集合場所につくとベンチに叶と笹木がいた。何故か笹木はベンチで寝ていて、叶は腕にデュエルディスクを付けていた。駆け足でやって来た葛葉に叶はにこやかに手を振った。

 

「悪い悪い……遅れちまった」

「ぜんぜん問題ないよ」

「てか、笹木は何で寝てるん?」

「疲れちゃったんだろね…………しぃしぃも遅れるみたいだし、せっかくだからデュエルでもする?」

「デュエル? 別にいいけど?」

「そう? ……じゃあ、やるか」

 

 叶はデッキを取り出し、デュエルディスクにセットした。葛葉は叶のデッキを見た瞬間、何かどす黒いオーラを感じていた。違和感を感じ取った葛葉は叶の表情を見る。叶は笑顔だったが目は笑っておらず、瞳にはし生気を感じられなかった。

 

「…………叶? どうした?」

「ん? どうしたの?」

「…………いや、何もない」

(叶のヤツ……何かに取り憑かれている? くそっ……椎名がいれば正体まで分かるんだけどな……。流石にそこまでは見えないな)

 

 叶の異変に気付いた葛葉もデュエルディスクを構え、デッキを構えた。

 

『にじさんじライバー【葛葉】と【叶】のアプリの起動を確認。これよりデュエル配信を開始します。Twitterへの告知も完了。双方はデッキをセットしてください。』

 

『配信始まった』『また叶か?』『叶連戦か』『クロノワか!!』『笹木の次は葛葉か』『ゲーマーズでデュエル大会でもしてるの?』

 

 コメント欄を見た葛葉は笹木と叶がデュエルをしたことを知った。笹木の方を見ると、笹木は眠っているだけで、異常は感じとれなかった。

 

「笹木? なぁ、叶……笹木とデュエルしたのか?」

「え? そうだけど」

「笹木は寝ているだけだよなぁ?」

「そうだよ?」

「疲れてるから寝てるんだよなぁ?」

「そうだよ?」

「…………お前が何かやったんじゃないよなぁ?」

「そうだとしたら?」

「…………はぁー……何でこうなったか知らんが……まずはお前の目を覚ましてやるよ!!」

「ふふふっ……目を覚ますねぇ……やってみなよ!!」

 

「「決闘(デュエル)」」

 

「僕の先攻。僕は手札から永続魔法【炎舞-「天キ」-】を発動。デッキから【雪牙狼の狩人】を手札に加え、続けて【炎舞-「天枢」-】を発動。天枢の効果で増えた召喚権で僕は【雪牙狼の狩人】を召喚。狩人の効果でデッキから【雪牙狼の近衛】を手札に加える。手札に加わった【雪牙狼の近衛】の効果で、そのまま特殊召喚。続けて狩人のもう一つの効果で手札から【雪牙狼の斥候】を特殊召喚」

 

【雪牙狼の斥候】

レベル4/水属性/獣戦士族/攻1800/守500

○一ターンに一度、フィールドに【雪牙狼】リンクモンスターがリンク召喚された時、デッキからカードを一枚ドローする。

 

「僕は狩人と近衛でリンク召喚。リンク2、【雪牙狼の狩猟者】!」

 

【雪牙狼の狩猟者】

リンク2/水属性/獣戦士族/攻1800/↓→

水属性・獣戦士族モンスター二体

○このカードがリンク召喚に成功した時、墓地のレベル4【雪牙狼】モンスターを特殊召喚する。

○相手のメインフェイズ時に発動することができる。相手のモンスターが召喚・特殊召に成功した時、手札を一枚墓地に送ることで、そのモンスターをデッキに戻す。このカードが相互リンク状態であれば、デッキに戻るのではなく墓地に送る。

 

 

「斥候の効果で一枚ドロー、さらに狩猟者の効果で狩人を墓地から特殊召喚。狩人の効果で【豪雪なる雪牙狼】を手札に加える。僕はまだ、召喚権が残っているので【雪牙狼の槍兵】を召喚」

 

【雪牙狼の槍兵】

レベル4/水属性/獣戦士族/攻1600/守1000

○このカードが召喚に成功した時、デッキから獣戦士族モンスターを一体、墓地に送る。

 

「僕は槍兵の効果で【殺炎星-ブルキ】を墓地に送る。僕はブルキの効果で【炎舞-「天キ」-】と【炎舞-「天枢」-】を墓地に送り、自身を墓地から特殊召喚する。僕は斥候、槍兵、ブルキでリンク召喚。リンク3、【鋼鉄人狼(フルアーマー・ワーウルフ) ガルティア】」

 

【鋼鉄人狼 ガルティア】

リンク3/地属性/獣戦士族/攻2300/←↓→

獣戦士族モンスター二体以上

○相手のメインフェイズ時に発動できる。このカードを墓地に送ることで、リンクマーカーの同じ獣戦士族リンクモンスターを一体、EXデッキから特殊召喚する。

 

「僕はカードをカードを二枚伏せてターンエンド。葛葉のターンだよ」

「俺のターン! ドロー! 俺は【ヴァンパイアの領域】を発動! 領域の効果を発動、ライフを500ポイント払うことで【ヴァンパイア】モンスターの召喚権を増やす。俺は【ヴァンパイア・プリンツェッシン】を召喚!」

 

葛葉LP:4000→3500

 

【ヴァンパイア・プリンツェッシン】

レベル5/闇属性/アンデット族/攻1000/2400

○自分フィールドにモンスターが存在しない時、このカードをリリース無しで召喚することができる。

○一ターンに一度、カードの種類(モンスター・魔法・罠)を宣言して発動できる。互いのプレイヤーは宣言した種類のカードをデッキから墓地に送る。

 

「プリンツェッシンの効果発動。俺は魔法カードを宣言」

「…………僕は【凍結する雪牙狼】を墓地に送る」

「俺は【ヴァンパイアの鮮血】を墓地に送る。そして、墓地の【ヴァンパイアの鮮血】の効果を発動!」

 

【ヴァンパイアの鮮血】

魔法

①、②の効果は一ターンに一度、それぞれどちらしか発動することができない。

○フィールドの【ヴァンパイア】モンスターを墓地に送ることで、墓地に送ったモンスターよりレベルの低い【ヴァンパイア】モンスターをデッキから二体、手札に加える。

○墓地のこのカードをゲームから除外することで、デッキから【ヴァンパイア】モンスターをデッキから手札に加える。

 

「俺は【ヴァンパイア・リューグナー】を手札に加え、そのまま召喚!」

 

【ヴァンパイア・リューグナー】

レベル4/闇属性/アンデット族/攻1400/1400

○一ターンに一度、手札を墓地に送ることで、デッキから墓地に送ったカードと同じ種類(モンスター・魔法・罠)を手札に加える。この効果で手札に加えたカードはこのターン、発動することができない。

○一ターンに一度、フィールドの【ヴァンパイア】モンスター一体を選択し、発動することができる。そのモンスターと同じレベルになる。

 

「俺は手札の魔法カード【ヴァンパイア・ミッドナイト】を墓地に送ることで、デッキから【ヴァンパイア・デザイア】を手札に加える。さらに墓地の【ヴァンパイア・ミッドナイト】の効果を発動!」

 

【ヴァンパイア・ミッドナイト】

速攻魔法

①、②の効果は一ターンに一度、それぞれどちらしか発動することができない。

○手札のレベル5以上の【ヴァンパイア】モンスターを墓地に送ることで、相手のモンスター一体の効果を無効にして攻撃力を半分にする。

○墓地のこのカードをゲームから除外することで、デッキから【ヴァンパイア】モンスター一体、墓地に送る。

 

「俺は【ヴァンパイア・ヘルツォーク】を墓地に送る。俺は【ヴァンパイア・リューグナー】の効果でプリンツェッシンと同じレベル5にする! 俺は【ヴァンパイア・リューグナー】と【ヴァンパイア・プリンツェッシン】でオーバーレイ!! エクシーズ召喚! ランク5、【ヴァンパイア・ユングフラウ】を召喚!」

 

 二体の吸血鬼がそれぞれ光となり、交わると光の渦が現れ、光が溢れ出す。光から赤い霧が立ち昇ると、そこから黒いドレスの女性吸血鬼が現れた。黒いドレスの吸血鬼は黒いレースで顔を隠しているが口元は妖艶に笑みを浮かべていた。

 

【ヴァンパイア・ユングフラウ】

ランク5/闇属性/アンデット族/攻2500/守1800

【ヴァンパイア】モンスター×2

○このカードのX素材を1つ取り除き、相手のフィールドのモンスター一体を対象として発動できる。そのモンスターのコントロールを得る。この効果を発動したターン、このカードは攻撃することができない。

○一ターンに一度、自分のフィールドの元々の持ち主が相手となるモンスターを墓地に送ることで発動することができる。相手のモンスターを一体、選択し墓地に送る。

 

「ユングフラウの効果を発動! 【雪牙狼の狩猟者】のコントロールを奪う! いただくぜ!」

「僕は【雪牙狼の狩猟者】の効果を発動。手札を墓地に送ることで、ユングフラウを手札に戻す」

「俺は手札から速攻魔法【ヴァンパイア・フリューゲル】を発動!!」

 

【ヴァンパイア・フリューゲル】

速攻魔法

自分フィールドの全ての【ヴァンパイア】モンスターは、ターン終了時までこのカード以外のモンスター・魔法・罠カードの効果を受けない。

 

「これで俺の【ヴァンパイア】モンスターは効果耐性を得た。んじゃ、チェーンの処理で狩猟者の効果は不発。狩猟者のコントロールを頂くぜ。そして、ユングフラウのもう一つの効果発動! 狩猟者を墓地に送ることで、【鋼鉄人狼 ガルティア】を墓地に送る!」

「じゃあ……僕は【鋼鉄人狼 ガルティア】の効果を発動。このカードを墓地に送ることで、エクストラデッキから【雪牙狼の魔弓手】を特殊召喚」

 

【雪牙狼の魔弓手】

リンク3/水属性/獣戦士族/攻2200/↑←→

水属性・獣戦士族モンスター二体

○このカードがリンク召喚に成功した時、相手のモンスターを一体、デッキに戻す。このカードが相互リンク状態であれば、デッキに戻すのではなくゲームから除外する。

 

「上手くかわしたか! だが、これで終わりじゃないぜ! 俺は【ヴァンパイア・ユングフラウ】一体でオーバーレイ!! 【ヴァンパイア】エクシーズモンスター一体でランクアップ、エクシーズチェンジ! エクシーズ召喚! 恐怖を撒き散らし、紅の月と共に舞い降りろ!! ランク7、【紅月龍(こうげつりゅう) リントヴルム】!!」

 

 紅の満月が昇ると、そこから大蛇のような赤い鱗の龍が舞い降りた。赤い龍は口から赤い吐息が漏れ、咆哮を上げる。

 

【紅月龍 リントヴルム】

ランク7/闇属性/ドラゴン族/攻3200/守1000

【ヴァンパイア】モンスター×4

このカード名はルール上【ヴァンパイア】カードしても扱う。

○このカードは自分フィールド上のランク5以上の【ヴァンパイア】エクシーズモンスターの上にこのカードを重ねてエクシーズ召喚する事もできる。

○このカードが【ヴァンパイア】エクシーズモンスターをX素材にしている場合、このカードは戦闘・効果では破壊されない。

○一ターンに一度、このカードのX素材を一つ取り除き、相手フィールドのカード一枚を対象として発動できる。そのカードを墓地へ送る。

 

「これが俺のエースモンスターだ! リントヴルムの効果を発動! エクシーズ素材を取り除き、叶のセットカードを墓地に送る」

「流石だね、葛葉」

「バトル! リントヴルムで魔弓手に攻撃!」

「【ヴァンパイア・フリューゲル】の効果でセットカードは意味ないからね……このまま通すよ」

 

 リントヴルムの口から炎が溢れ、灼熱のブレスを放つ。魔弓手は成すすべなく、燃え尽きる。

 

「くっ……」

「【ヴァンパイアの領域】の効果で戦闘ダメージ分、ライフを回復する」

 

叶LP:4000→3000

葛葉LP:3500→4500

 

「俺はカードを一枚伏せてターンエンド」

「じゃあ、僕のターンだね。ドロー……ねぇ、葛葉?」

「あん?」

「君に僕の最強のカードを見せてあげる。僕は手札から【UnknownCode(アンノウン・コード)-リンク・オーバー-】を発動!!」

 

 叶がカードをデュエルディスクにセットした。するとデュエルディスクから警告音が響き渡った。

 

『エラー。エラー。不正なプログラムを検出しました。不正なプログラムを検出しました。今すぐにプログラムの消去を――――――プログラムを強制インストール。―――――――プログラムのインストール完了。プログラム【Unknown】を起動します。』

 

『また配信が止まったぞ?』『環境が悪いのか?』『真っ暗』『大変だな』『ぐるぐる』

 

 警告音が鳴り止むと同時に叶と葛葉の周辺に何かが包み込んだ。葛葉は何かを感じ取り、その空間から逃げようとするが包み込む速さの方が速く、空間に飲み込まれてしまった。その空間は現実空間とは別の隔離された空間だと察した。

 

(くそっ! くそっ! 叶がおかしいのは明らかにこのカードのせいだな……しかし、この空間はなんだ? 俺でも力づくで脱出するのは無理そうだな)

 

「叶……そのカードは何だ?」

「このカード? これは僕の力を引き出してくれるカード。僕を最強という高みに連れてってくれるカードだよ」

「そのカードは危険だ! すぐにデュエルをやめるぞ!」

「これからが楽しいのに……葛葉も楽しもうよ! 僕は【UnknownCode-リンク・オーバー-】の効果で墓地のモンスターを5体をゲームから除外することで、リンク召喚! 氷獄の魔龍よ、その魔眼に秘めた力を解き放ち、絶対零度の世界を作りだせ! 降臨せよ、【魔眼の氷極龍(イーヴィルアイズ・コキュートス・ドラゴン)】!!」

 

  デュエルフィールドの気温が急激に下がると、叶の正面に黒い雷が落ちた。その衝撃で空気中に大量の氷が生成されていくと、その氷は黒い雷と交わり、次第に龍の姿に変わっていった。龍は赤黒い眼で葛葉を睨みつけると咆哮を上げる。その咆哮で吹雪が巻き起こり、叶と葛葉のデュエルフィールドが凍り付いた。強烈な冷気はベンチで寝ていた笹木にも襲い掛かる。

 

「笹木!?」

 

 葛葉は慌てて、笹木の元に飛び込み、笹木を覆いかぶさるように冷気から守る。冷気は葛葉と笹木に襲い掛かり、葛葉の背中が凍り付く。

 

「ぐぅぅぅ……痛みが……この空間だとデュエルの演出が現実世界にも影響されるのか……!」

「笹木を守るなんて、ずいぶん仲間想いじゃないか、葛葉」

「お前……それ本気で言っているのか? 今のヤツ、普通の人間の笹木なら寒さで凍死してたぞ?」

「だから何?」

「そうか…………カードのせいかは知らんが……そこまで性根が腐っちまったんだったら、俺がお前をぶん殴ってやるよ!!」

「やれるものならやってみなよ! 【魔眼の氷極龍】の効果を発動! このカード以外のフィールドのモンスターを全てゲームから除外する! 【絶対零度の氷獄嵐(アブソリュート・インフェルノ)】!!」

 

 氷獄の龍と紅月の龍、二体の龍が睨み合い、互いが自分の方が強いと主張するように咆哮を上げる。すると魔眼の氷極龍が翼を大きく羽ばたかせると黒い嵐が巻き起こり、辺り一面を氷漬けにし、粉砕させていく。リントヴルムは嵐に巻き込まれると身体中が凍っていき、身動きが取れなくなる。その隙に魔眼の氷極龍がリントヴルムの喉元に噛みつく。リントヴルムは苦しそうに声を漏らしながら逃げようとするが凍り付いた身体では成すすべがなく、そのまま魔眼の氷極龍によって噛み千切られ、破壊された。

 

「リントヴルム!!」

「さらに魔眼の氷極龍の効果を発動……墓地の【雪牙狼の魔弓手】をゲームから除外することで、このターン、このカードは3回攻撃することができる」

(くそ! 防げるカードがない……!)

「バトル。葛葉……確かに君は強いが……頂を目指す僕にとっては目障りにすぎない。氷獄の中で自分の弱さを呪うが良い。魔眼の氷極龍で葛葉に攻撃! 【永遠の氷獄雷(エターナル・インフェルノ)】!」

 

 魔眼の氷極龍の口が大きく開き、口に黒い雷が蓄積されていく。溜まりきった雷を魔眼の氷極龍が放つと、ブレスのように雷が葛葉に襲い掛かる。

 

「クソがっ!!」

 

 負けを悟った葛葉は何もできず、ただ膝から崩れ落ちた。

 雷撃が葛葉の目の前まで迫ってきた。

 

「楽しそうなことしてるじゃん、私も入れてよ」

 

 何者かが現れると、雷撃を吹き飛ばした。吹き飛ばされた雷撃は分散して、周囲に飛び散る。そのせいで周囲は土煙で覆われた。

 

「なっ!? 魔眼の氷極龍の雷撃だぞ! 人間がまともに喰らったら」

「お生憎様。私は人間じゃなくてエルフなんでね」

 

 土煙が収まると葛葉の前にはにじさんじライバーでオカマでエルフでもある、花畑チャイカが立っていた。

 

「チャイカさん!?」

「葛葉、よく耐えたな」

「邪魔しに来たの?」

「あぁ、ただ邪魔しに来たのは私だけじゃないけどね。黛!!」

『わかってる』

 

 チャイカは耳に付けていたBluetoothイヤホンで話しかけると黛から返事が来た。すると叶のデュエルディスクから再び、警告音が鳴り響いた。

 

『エラー。エラー。何者によりデュエルディスクがハッキングされました。プログラムを再起動する為、デュエルを中断します』

 

 鏡が割れるような音が鳴ったと同時にフィールドを包み込んでいた空間が消滅した。魔眼の氷極龍と凍り付いていたフィールドも消え去っていた。

 叶がデュエルディスクに気を取られている内にいつの間にかチャイカと葛葉が立ち去っていた。ベンチで寝ていた笹木もいつの間にかいなくなっていた。

 

「…………なんで、僕の邪魔をするのかなぁ……まぁ、いいや。事務所に行けば他のライバーもいるかな? 僕の強さへの糧になってくれれば良いんだけどな……」

 

 




【ヴァンパイア】
既存のヴァンパイアと同じ、相手のモンスターをコントロールを奪う。
リントヴルムはヴァンパイアモンスターでありながらドラゴン族であるが、葛葉のエースカードであり、その強さは本物である。

【魔眼の氷極龍(イーヴィルアイズ・コキュートス・ドラゴン)】
笹木が使用していたが今は叶が所有している謎のカード。
見た目は【氷結界の龍 トリシューラ】に似ているが関連性は不明。
その強力な効果で全てを凍らし、一撃で敵を葬る。

【UnknownCode-リンク・オーバー-】
墓地のモンスターを除外することで、強力なリンクモンスターを呼び出す。超強力なカード。今のところ召喚できるのは魔眼の氷極龍のみであるが、他にも【Unknown】カードが存在するかもしれない。


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BATTLE.7「花畑チャイカvsエリー・コニファー」

自分自身のモチベーションが最高潮なのでエンジンが切れるまで書き続けたいと思います。
今回は登場するライバーが多めです。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
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 葛葉と叶のデュエルの後、葛葉と笹木を連れたチャイカは自身が経営しているバーに到着していた。

 笹木を寝室で寝かし、チャイカは葛葉の飲み物を用意していた。

 

「…………」

 

 葛葉はバーに着いてから終始、不貞腐れていた。

 

「何、不貞腐れているのよ」

「別に……」

『さては叶さんに負けて不貞腐れているんでしょ?』

「黛ィ!!」

 

 バーのディスプレイに黛灰が写り、葛葉を煽る。

 

「はいはい、煽らないの」

 

 チャイカは葛葉の目の前にメロンソーダを置いた。葛葉はストローに口を付け、メロンソーダをチュウチュウ吸う。

 

「てか……あのカード何?」

「その辺の詳しい説明は……」

「私が説明いたします」

 

 奥の部屋から加賀美は現れた。

 

「社長!?」

「本当は葛葉さんを巻き込みたくなかったのですが……」

「………いや、話を聞かせて欲しいっす」

『そうだね、補足は自分の方でしておくよ』

「ありがとうございます。では、説明させていただきます。まずは……このカードを見てください」

 

 ディスプレイには【Unknown】と書かれたカードが映し出された。

 

「【Unknown】カード。今、私たちが追っている危険なカードです。その危険さは葛葉さんも体験したかと」

「…………確かにあのカードはヤバかった。それとあの龍! アイツは何だったんだ?」

「あの龍は【Unknown】カードで呼ばれたモンスター。あのモンスターも【Unknown】カードだと推測しています」

『【UnknownCode-リンク・オーバー-】を鍵にして、【Unknown】モンスターを呼び出しているみたい。これを見て欲しい』

 

 ディスプレイの映像が切り替わる。

 

『あの魔法カードで特殊な空間を作り出して、あの空間内だと立体映像が現世界に影響を与えるみたい』

「原理は分りませんが……そして、一番問題なのが……」

「カードの所有者が豹変する?」

「正解です。この説明は黛さん、お願いします」

『了解。【Unknown】カードを解析した結果。あのカードには人工知能が宿っているみたい』

「人工知能……? あぁ、AIか」

『そう。【Unknown】カードには知能があり、意思はない。でも、厄介なところはその人工知能が意思を学習しよとしている所なんだ』

「意思を学習しようといしてる……?」

『人工知能がデュエルディスクを通して、所有者の意思を感じ取っているんだ。ただし、人工知能は人間の複雑な感情を読み取ることができないから、最も強い感情を読み取って増幅させるんだ』

「ちょっと待て。それなら何で、あんなに性格がひん曲がるんだ?」

「それは人間ないし、生物の最も強い感情が【恐怖】だからだよ」

 

 グラスを洗っていたチャイカが答えた。

 

「生物は恐怖などの負の感情。つまりトラウマが強く心に刻み込まれる。楽しい思い出や感情はその時の幸福感は強いが、その幸福感は時が経つごとにどんどん薄れていっちゃうけど、トラウマなどの強い感情は脳裏に焼き付くからね」

「なるほどな……そういえば、その【Unknown】カードは二枚だけですか?」

「いえ、今確認できるだけで【Unknown】モンスターは6枚あります」

「そ、そんなにあるんっすか!?」

「誰がどのカードを持っているかはほとんど不明ではあります。判明しているのは叶さんんともう一人だけです。申し訳ございません」

「まぁ…………すぐには分らないよな。てか、回収するにもあのカードに触れて大丈夫なの?」

『そこは問題ないよ。社長が開発した隔離ボックスで人工知能を一時的に機能を停止させるから』

「へぇー……すごいな。んで、そのカードを追っているのはここにいる三人?」

「私、チャイカさん、黛さん、それに……」

 

「およよよ。見つけましたぁー」

「「!?」」

 

 バーの扉から声が聞えたので、みんなが一斉に振り向くと、そこにはライバーでお花の妖精のエリー・コニファーが立っていた。

 

「エリー・コニファー!?」

「あれ? エリコニさんもお仲間で」

「いいえ……先ほど言っていた【Unknown】カードの所有者ですっ!!」

「およよ…………私は悲しいです。みんなで楽しくカード大会をしているのに……貴方達は争いを行うのですね……私は悲しいです」

「あ、争い!? まゆゆ、あの人は何言ってるの!?」

『何故か、あの人は自分たちがこの大会を滅茶苦茶にしていると勘違いしてるみたい』

「えぇ……」

「さぁ、お仕置きのお時間です」

 

 エリーはデュエルディスクを構えた。

 

「ここは俺が!」

「いや、私が行くよ。葛葉がまだ背中の痛みが残っているでしょ?」

「っ!?」

 

 葛葉を静止させ、カウンターから出るとデュエルディスクを構えた。

 

「あ、今回はお仕置きなので配信は切らせていただきます」

「何でもいいけど、さっさと始めましょう。加賀美、葛葉と笹木を連れて、別の所へ」

「了解です!! 葛葉さん、行きますよ!」

「チャイカさん、気をつけてください!!」

 

 チャイカは親指を立てる。

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「私の先攻! 私は手札の植物族モンスターと獣族モンスターを墓地に送ることで手札の【神緑の守護者】を特殊召喚!!」

 

【神緑の守護者】

レベル8/地属性/獣戦士族/攻3000/守1000

○手札の植物族モンスターと獣族モンスターを墓地に送ることで、このカードを特殊召喚することができる。

○このカードがフィールドに存在する限り、自分フィールドの植物族、獣族、獣戦士モンスターは戦闘・効果では破壊されない。

 

「墓地に送られた【素早いカモノハシ】の効果を発動!」

 

【素早いカモノハシ】

レベル3/地属性/獣族/攻1200/守1600

○このカードが墓地に送られた時、デッキから同名モンスターを一体、特殊召喚する。

 

「デッキから【素早いカモノハシ】を特殊召喚! さらに墓地の【マシンガンコーン】の効果を発動!」

 

【マシンガンコーン】

レベル2/地属性/植物族/攻1200/守100

○墓地のこのカードをゲームから除外することで、フィールドに【コーン】トークを二体特殊召喚する。

 

「墓地の【マシンガンコーン】をゲームから除外することで、フィールドに【コーン】トークを二体、特殊召喚する! 私は【素早いカモノハシ】と【コーン】トーク二体でリリース。アドバンス召喚! 【神緑の守護獣】!」

 

【神緑の守護獣】

レベル8/地属性/獣戦士族/攻1500/守3600

○このカードがフィールドに存在する限り、自分はダメージを受けない。

○このカードはモンスター3体をリリースして召喚した時、このカードは以下の効果を得る。一ターンに一度、相手のモンスターの全て破壊する。

 

 チャイカの前には大きな棍棒を担いだ獣人と神々しい獅子が現れた。

 

「私はこれでターンエンド」

(防御は完璧なはず……でも、相手はあのカードを所有している……)

「およよよ……私のターンです。私は手札から【妖花鳥(ようかちょう)-ツバキ】の効果を発動します。このカードを墓地に送ることで、デッキからレベル3以下の植物族モンスターを特殊召喚します」

 

【妖花鳥-ツバキ】

レベル3/闇属性/植物族/攻1300/守500

○手札のこのカードを墓地に送ることで、デッキからレベル3以下の植物族モンスターをデッキから特殊召喚する。

 

「私はデッキから【ローンファイア・ブロッサム】を特殊召喚します。【ローンファイア・ブロッサム】の効果を発動します。このカードをリリースすることで、デッキからもう一体の【ローンファイア・ブロッサム】を特殊召喚します。さらに特殊召喚された【ローンファイア・ブロッサム】をリリースすることで、デッキから【妖花鳥-モミジ】を特殊召喚します」

 

【妖花鳥-モミジ】

レベル3/闇属性/植物族/攻300/守1800

〇このカードが特殊召喚に成功した時、デッキから【妖花鳥】モンスターを手札に加える。

 

「私はデッキから【妖花鳥-アジサイ】を手札に加えます。そして、手札の【妖花鳥-アジサイ】の効果を発動します」

 

【妖花鳥-アジサイ】

レベル3/闇属性/植物族/攻1300/守900

○フィールドに【妖花鳥】モンスターが存在する時、手札のこのカードを特殊召喚することができる。

 

「私は【妖花鳥-アジサイ】を特殊召喚します。さらに私は【妖花鳥-サクラ】を通常召喚します」

 

【妖花鳥-サクラ】

レベル3/闇属性/植物族/攻1400/守1200

○このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、墓地の【妖花鳥】モンスターを特殊召喚します。

 

 エリーの周辺に花で出来た鳥が飛びまわっている。

 

「【妖花鳥-サクラ】の効果で墓地の【妖花鳥-ツバキ】を特殊召喚します。私は【妖花鳥】モンスター四体でリンク召喚。リンク4、【妖花鳥-ザクロ】」

 

 四体の鳥が舞い踊り、光に包まれると赤黒い花で作られた孔雀のような鳥が現れた。

 

【妖花鳥-ザクロ】

リンク4/地属性/植物族/攻0/↑↙↓→

【妖花鳥】モンスター三体以上

○このカードがリンク召喚に成功した時、デッキからレベル3以下の植物族モンスターを3体まで墓地に送ることで発動することができる。墓地に送ったモンスターの数×1000ポイント、攻撃力をアップさせる。

○このカードが破壊される時、代わりにデッキから【妖花鳥】モンスターを墓地に送ることができる。

 

「【妖花鳥-ザクロ】の効果でデッキからレベル3以下の植物族モンスターを3体墓地に送ることで発動します。このカードの攻撃力を3000までアップさせます」

 

ザクロ 攻撃力:0→3000

 

「さてさて……墓地は十分、溜まりましたね」

「っ!? まさか!!」

「およよよ……私は手札から【UnknownCode(アンノウン・コード)-リンク・オーバー-】を発動します」

 

 エリーがカードをデュエルディスクにセットした。するとデュエルディスクから警告音が響き渡った。

 

『エラー。エラー。不正なプログラムを検出しました。不正なプログラムを検出しました。今すぐにプログラムの消去を――――――プログラムを強制インストール。―――――――プログラムのインストール完了。プログラム【Unknown】を起動します。』

 

 警告音が鳴り止むと同時にエリーとチャイカの周辺に特殊な空間が包み込んだ。世界から隔離され、チャイカは辺りを見回した。

 

「これが【Unknown】カード……っ!」

「はわわっ、さぁ、いきますよぉー。私は【UnknownCode-リンク・オーバー-】の効果で墓地のモンスターを5体をゲームから除外することで、リンク召喚します。闇に落ちた聖獣よ、植物を枯らし、生命を枯らし、世界を枯らしなさい。堕落せよ、【骸獣皇(がいじゅおう) ゼロストリオ】」

 

【骸獣皇 ゼロストリオ】

リンク5/地属性/獣族/攻3500/↑←↙↓↗

名前の異なる効果モンスター5体

このカード名はルール上【Unknown】カードしても扱う。

○相手の魔法・罠カードが発動した時、デッキの一番上のカードを二枚、墓地へ送って発動できる。このカードがフィールドに表側表示で存在する場合、その発動を無効にしゲームから除外する。

○一ターンに一度、墓地のリンクモンスターをゲームから除外することで発動することができる。ゲームから除外したリンクモンスターのリンクマーカーと同じ数、相手のカードを選んで墓地に送る。

 

 エリーとチャイカの周辺に大量の樹木が生え始める。エリーの真横の樹木が絡み合い、球体のようになった。そして、球体が大きくなると樹木の隙間から黒い瘴気が立ち昇る。すると、樹木は枯れ始め、腐り落ちる。球体の中から龍の骸骨を身にまとった虎のような獣が現れた。獣の口から黒い瘴気が漏れると、周囲の草木が枯れ始め、腐り落ちる。

 骸の獣がチャイカや二体のモンスターを睨み付けると咆哮を上げる。咆哮に交じって、黒い瘴気が放たれ、チャイカに瘴気が襲い掛かる。

 

「くぅぅっ!!」

 

 瘴気を喰らったチャイカの衣服は溶けるように腐り始める。チャイカは上着を脱ぎ捨てて、上半身裸になった。瘴気によって身体中に火傷のような跡が付いた。

 

「およよよ……争いを起こすから穢れてしまうのです」

「…………何が穢れだ。穢れているのは今のアンタでしょ?」

「およよよ……私は悲しいです。私は手札から魔法カード【リンク・アベレージ】を発動します」

 

【リンク・アベレージ】

自分フィールド上にリンクモンスターを選択して発動することができる。EXデッキからリンクモンスターを墓地に送ることで、墓地に送ったリンクモンスターのリンクマーカーの数×1000ポイント、攻撃力をアップさせる。

 

「私はEXデッキからリンク2の【妖花鳥-シラユリ】を墓地に送ることで【骸獣皇 ゼロストリオ】の攻撃力を2000ポイント、アップさせます」

 

骸獣皇 ゼロストリオ 攻撃力:3500→5500

 

 「それでは【骸獣皇 ゼロストリオ】の効果を発動します。墓地の【妖花鳥-シラユリ】を除外することで、チャイカ様のモンスター二体を墓地に送ります。さぁ、吠えなさい【死骸の咆哮(デス・ハウンド)】!!」

 

 骸獣皇 ゼロストリオの周囲から瘴気が立ち昇る。ゼロストリオが吠えると瘴気の渦が【神緑の守護者】と【神緑の守護獣】に襲い掛かる。瘴気を受けた二体のモンスターは徐々に老い始め、干からびた身体は砂のように崩れ落ち、最終的には骨となり、骨もバラバラに崩れ落ちた。

 

「くっ……破壊体制はあったけど、墓地に送られる効果は……!!」

「およよよ……哀れなチャイカ様に救済を与えます。【骸獣皇 ゼロストリオ】でチャイカ様に直接攻撃。【枯れ果てた神樹の嘆き(エンド・オブ・ジ・アース)】」

 

 ゼロストリオが咆哮を上げると、地面から無数のツタが伸びる。ツタは波のようにチャイカに押し寄せ、ツタがチャイカに絡みつく。チャイカは絡まったツタを剥がすようにもがくが、もがけがもがくほどツタが絡まる。身動きがチャイカに対し、ゼロストリオが睨みつける。すると、口から瘴気が溢れる。漏れだした瘴気は周囲の草木を枯れさせる。ゼロストリオがチャイカに向かって瘴気のブレスを放つ。

 チャイカは身動きが取れない状態で瘴気のブレスをもろに喰らう。

 

「ぐおぉぉぉぉ!!」

 

 瘴気はチャイカの体を蝕んでいく。皮膚はただれ、意識が薄れていく。力尽きたチャイカはその場で倒れ込む。

 

花畑チャイカLP:4000→0

 

『デュエル終了。勝者、エリー・コニファー。花畑チャイカの星をエリー・コニファーへ転送します。』

 

「はわわわっ、この空間の影響でチャイカ様の星は全て頂きますね。ふふふっ……これで星の数は20個になりました」

 

 エリーは倒れたチャイカに近づき、優しく頭を撫でる。

 

「流石、チャイカ様。普通の人間でしたらゼロストリオの瘴気で骨になっていたと思いますが、原形を留めているなんて。さて……他の方々も順調に星を集めているのでしょうか?」

 

 

――――――――――――。

 

世怜音女学院 学院演劇同好会部室。

 

「ふふっ……モンスターで攻撃」

「うわぁぁぁぁ!!」

 

 攻撃を喰らった朝日南アカネはその場で力尽きる。アカネの周辺には周央サンゴ、東堂コハク、北小路ヒスイ、西園チグサの学院演劇同行会の面々が倒れていた。

 

「不甲斐ないのう……でも、可愛い女子(おなご)がいて、選び放題じゃな」

 

 倒れている五人の中央にはにじさんじライバーで鬼の王女、竜胆尊が立っていた。尊は酒が入った盃を傾け、酒を飲み干す。

 

「これで星は18個……さて、あと二個はどうしょうかの? ……なぁ、湊?」

「あーあ、バレちゃいましたか」

 

 物陰から現れたのはにじさんじライバーでホストの不破湊だった。不破はデュエルディスクを構えた。

 

「まゆゆの頼みで【Unknown】カードを追っていたら、まさか尊様が所有者とは……」

「確か、ほすてす?は酒を提供するのであろ? わらわに酒と一緒に星をくれないかのぅ?」

「それは難しいっすね……どうしてもっていうなら」

「デュエルでじゃな……」

 

 尊は盃を地面に置くとデュエルディスクを構えた。

 

「さぁ……わらわの酒をちっとばかし強いからのぉ……気ぃつけな」 

 




オリカ紹介
【神緑】
獣、植物、獣戦士で構成されたテーマ
守護者と守護獣でそれぞれを守り、強度の守備力を誇る。

【妖花鳥(ようかちょう)】
低レベルの植物族がテーマ。
楓とは打って変わって暗いイメージの花がメインになっている。
墓地を肥やし、展開していく。

【骸獣皇(がいじゅうおう) ゼロストリオ】
二体目の【Unknown】モンスター。
見た目は【ナチュル・エクストリオ】に似ているが関連性は不明。
ありとあらゆる物を枯らせ、無に帰す。骸の獣。その瘴気に触れたら最後、枯れ果てるか、腐り落ちる。


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BATTLE.8「竜胆尊vs不破湊」

戌亥とこちゃんのライブチケットが当たったので楽しみにしている作者です。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。


世怜音女学院 学院演劇同好会部室。

 

 にじさんじライバーの不破湊と竜胆尊はデュエルディスクを構えていた。

 

「「決闘(デュエル)!!」」

「先攻は俺が頂きます! 俺はカードを一枚伏せ、手札の【夜王騎士(ミッドナイツ) リュウ】をペンデュラムスケールにセッティング!!」

 

【夜王騎士 リュウ】

レベル4/闇属性/戦士族/攻1600/守1400

【Pスケール:青2/赤2】

○フィールドの魔法・罠カードを破壊することで、デッキから【夜王騎士】モンスターを一枚、手札に加える。

【モンスター効果】

○このカードが戦闘または相手の効果で破壊された場合に発動できる。デッキからこのカード以外のレベル4以下の【夜王騎士】モンスター一体を特殊召喚する。

 

「俺はリュウの効果で自分の伏せカードを破壊する! 俺はデッキから【夜王騎士 カズマ】を手札に加えます。さらに破壊された【夜王騎士 ダンスパーリィ!】を発動!」

 

【夜王騎士 ダンスパーリィ!】

魔法

○墓地の【夜王騎士】モンスターを一枚手札に加える。

○このカードが破壊された時、デッキからこのカード以外の【夜王騎士】魔法・罠カードを一枚、セットする。

 

「デッキから【夜王騎士 ワンナイト・キッス】をセット。さらに俺は【夜王騎士 カズマ】をペンデュラムスケールにセッティング」

 

【夜王騎士 カズマ】

レベル4/闇属性/戦士族/攻1800/守1200

【Pスケール:青6/赤6】

○フィールドの魔法・罠カードを破壊することで、デッキから【夜王騎士】モンスターを一枚、手札に加える。

【モンスター効果】

○このカードが戦闘または相手の効果で破壊された時に発動できる。墓地の【夜王騎士】魔法カード一枚を選んで自分フィールドにセットする。

 

「カズマの効果で【夜王騎士 ワンナイト・キッス】を破壊して、デッキから【夜王騎士 ジュン】を手札に加えます! 破壊された【夜王騎士 ワンナイト・キッス】を発動!」

 

【夜王騎士 ワンナイト・キッス】

速攻魔法

○自分フィールドの【夜王騎士】モンスター一体を対象として発動できる。相手ターン終了時まで、相手はそのモンスターを効果の対象にできない。

○このカードが破壊された時、デッキからこのカード以外の【夜王騎士】魔法・罠カードを一枚、セットする。

 

「デッキから【夜王騎士 永久指名】をセット! これで準備は整った! スケール2の【夜王騎士 リュウ】とスケール6の【夜王騎士 カズマ】がペンデュラムスケールにあるのでレベル3~5のモンスターが召喚可能! ペンデュラム召喚! 手札から【夜王騎士 ジュン】! 【夜王騎士 ヒカリ】! 【夜王騎士 ユウジ】!!」

 

 不破のフィールドにはスーツをきちっと着こなしたイケメンが勢揃いした。

 

【夜王騎士 ジュン】

レベル4/闇属性/戦士族/攻1500/守1400

【Pスケール:青2/赤2】

○フィールドの魔法・罠カードを破壊することで、デッキから【夜王騎士】モンスターを一枚、手札に加える。

【モンスター効果】

○このカードの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。

○このカードが破壊される時、代わりに自分フィールドの【夜王騎士】モンスターを破壊することができる。

 

【夜王騎士 ヒカリ】

レベル4/闇属性/戦士族/攻1000/守1000

【Pスケール:青2/赤2】

○フィールドの魔法・罠カードを破壊することで、デッキから【夜王騎士】モンスターを一枚、手札に加える。

【モンスター効果】

○このカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。デッキからこのカード以外の【夜王騎士】カード一枚を手札に加える。

 

【夜王騎士 ユウジ】

レベル4/闇属性/戦士族/攻1500/守1100

【Pスケール:青6/赤6】

○フィールドの魔法・罠カードを破壊することで、デッキから【夜王騎士】モンスターを一枚、手札に加える。

【モンスター効果】

○一ターンに一度、墓地の【夜王騎士】魔法・罠カードを一枚デッキに戻すことで、デッキからカードを一枚ドローする。

 

「ほぉ……ずいぶん、賑やかになったのぅ」

「まずは軽いエスコートから。俺はユウジの効果を発動! 【夜王騎士 ダンスパーリィ!】をデッキに戻して、一枚ドロー! カードを一枚伏せてターンエンド。さぁ、尊様のターンっすよ」

「では、わらわも派手に行くのするかの。わらわのターン。ドロー、わらわはフィールド魔法【酒天鬼(しゅてんき) 閉暗京(へいあんきょう)】を発動じゃ」

 

 不破と尊の両側に壁が次々に飛び出すように現れる。次々と壁が飛び出し、最終的には尊の背後に寝殿造が現れた。寝殿造は不気味なオーラを放っていた。

 

【酒天鬼 閉暗京】

フィールド魔法

このカード名の①、②の効果はそれぞれ一ターンに一度しか使用できない。

○自分メインフェイズに発動できる。自分の手札・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。その際、融合素材モンスターは全て悪魔族モンスターでなければならない。

○1ターンに1度、自分フィールドに【酒天鬼】融合モンスターが存在する場合に発動できる。自分の墓地から永続魔法カード一枚を選んで手札に加える。

 

「わらわは【酒天鬼 閉暗京】の効果を発動じゃ。手札の【酒天鬼】モンスター二体で融合。融合召喚、レベル10【酒天鬼 ドウマン】」

 

 尊の真横に大きな穴が開き、そこから巨大な鬼が現れた。鬼は大剣を片手にひょうたん酒を手に持ち、ぐびぐび飲んでいた。

 

【酒天鬼 ドウマン】

レベル10/地属性/悪魔族/攻3800/守3500

【酒天鬼】モンスター+レベル6以上のモンスター

○このカードは効果では破壊されない。

○自分フィールドの悪魔族モンスター一体をリリースし、相手フィールドの表側表示モンスター一体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊し、そのモンスターの攻撃力分、このカードの攻撃力をアップさせる。

 

「お、おぉー……いきなりドデカいモンスターが……」

「まだまだじゃよ、わらわは【酒天鬼 シドウ】を召喚」

 

【酒天鬼 シドウ】

レベル4/地属性/悪魔族/攻1900/守1500

○このカードがリリースされ墓地に送られた時、デッキからレベル4以下の【酒天鬼】モンスター一体、特殊召喚する。

 

「ドウマンの効果を発揮じゃ。シドウをリリースすることで【夜王騎士 ユウジ】を破壊じゃ」

「俺は伏せカード発動! 永続罠【夜王騎士 永続指名】を発動!」

 

【夜王騎士 永続指名】

○自分フィールドの【夜王騎士】モンスターを選択して、発動する。このターン、相手は選択したモンスターにしか攻撃及び効果の対象にすることができない。

○このカードが破壊された時、デッキからこのカード以外の【夜王騎士】魔法・罠カードを一枚、セットする。

 

「永続指名の効果で俺は【夜王騎士 ジュン】を選択! このターン、尊様はジュンしか選択できません!」

「なら、わらわは【夜王騎士 ジュン】を破壊じゃ」

「ジュンの効果で【夜王騎士 ヒカリ】を破壊! ヒカリはペンデュラムモンスターなのでEXデッキにいきます。そして、【夜王騎士 ヒカリ】の効果を発動! デッキから【夜王騎士 ツバサ】を手札に加えます!」

「ドウマンの効果で自身の攻撃力を上昇させる。リリースされたシドウの効果でデッキから【酒天鬼 カヅチ】を手札に加えるのじゃ」

 

ドウマン 攻撃力:3800→4800

 

「そのままバトル、【酒天鬼 ドウマン】で【夜王騎士 ジュン】を攻撃!」

「ジュンの効果で戦闘ダメージは受けません。ジュンの効果は使わず、自身が破壊されます」

「わらわはこれでターンエンドじゃ」

「では、行かせていただきますね! 俺のターン、ドロー! 【夜王騎士 ユウジ】の効果を発動! 墓地の【夜王騎士 ワンナイト・キッス】をデッキに戻して、カードをドロー! 【夜王騎士 レン】を召喚!」

 

【夜王騎士 レン】

レベル4/闇属性/戦士族/攻1200/守1600

【Pスケール:青6/赤6】

○フィールドの魔法・罠カードを破壊することで、デッキから【夜王騎士】モンスターを一枚、手札に加える。

【モンスター効果】

○一ターンに一度、このカードが召喚・特殊召に成功した時、EXデッキから【夜王騎士】ペンデュラムモンスターを一体、フィールドに特殊召喚する。

 

「レンの効果で【夜王騎士 ヒカリ】を特殊召喚する! 俺は【夜王騎士 レン】と【夜王騎士 ヒカリ】の二体でリンク召喚! リンク2、【夜王騎士 フブキ】!!」

 

【夜王騎士 フブキ】

リンク2/闇属性/戦士族/攻2000/↙↘

○このカードがリンク召喚に成功した時、デッキから【夜王騎士】魔法・罠カードを二枚フィールドにセットする。

○リンクマーカー先に【夜王騎士】モンスターが同時に特殊召喚された時、発動することができる。相手のフィールド上の全てのモンスターの攻撃力を半分にする。

 

「フブキの効果でデッキから【夜王騎士 ダンスパーリィ!】、【夜王騎士 シャンパンタワー】をセットする。そして、【夜王騎士 リュウ】の効果で【夜王騎士 シャンパンタワー】を破壊して、デッキから【夜王騎士 ショウ】を手札に加える! そして、【夜王騎士 シャンパンタワー】の効果発動!」

 

【夜王騎士 シャンパンタワー】

魔法

○フィールドの【夜王騎士】モンスターの数×300LPを回復する。

○このカードが破壊された時、デッキからこのカード以外の【夜王騎士】魔法・罠カードを一枚、セットする。

 

「デッキから【夜王騎士 パーリィナイト!!】をセット! さぁ、また行きますよ! ペンデュラム召喚! EXデッキから【夜王騎士 ヒカリ】、【夜王騎士 ジュン】! 手札から【夜王騎士 ショウ】、【夜王騎士 ジン】!!」

 

【夜王騎士 ショウ】

レベル4/闇属性/戦士族/攻1800/守600

【Pスケール:青2/赤2】

○フィールドの魔法・罠カードを破壊することで、デッキから【夜王騎士】モンスターを一枚、手札に加える。

【モンスター効果】

○このカードが戦闘・相手の効果で破壊された時、Pスケールの【夜王騎士】モンスターを特殊召喚することができる。

 

【夜王騎士 ジン】

レベル4/闇属性/戦士族/攻800/守1700

【Pスケール:青2/赤2】

○フィールドの魔法・罠カードを破壊することで、デッキから【夜王騎士】モンスターを一枚、手札に加える。

【モンスター効果】

○一ターンに一度、フィールドの【夜王騎士】魔法・罠カードが破壊された時、デッキからカードを一枚ドローする。

 

「フブキの効果で【酒天鬼 ドウマン】の攻撃力を半分にします!」

 

ドウマン 攻撃力:4800→2400

 

「そして、【夜王騎士 ショウ】と【夜王騎士 ユウジ】でオーバーレイ!! エクシーズ召喚! 【夜王騎士 カザマ】!!」

 

【夜王騎士 カザマ】

ランク4/闇属性/戦士族/攻2500/守1200

【夜王騎士】モンスター×2

○このカードのX素材を1つ取り除き、発動することができる。互いのフィールドの魔法・罠カードを一枚ずつ破壊する。

 

「カザマの効果で【夜王騎士 ダンスパーリィ!】と【酒天鬼 閉暗京】を破壊します!」

「ほぉ……」

 

 金髪のホストは一輪のバラを寝殿造に向かって投げると、寝殿造はガラスのように砕けて消滅した。

 

「バトルです! 【夜王騎士 カザマ】で【酒天鬼 ドウマン】に攻撃!」

「くっ……」

 

竜胆尊LP:4000→3900

 

「フブキで尊様にダイレクトアタック!」

「手札から【酒天鬼 カヅチ】の効果を発動じゃ」

 

【酒天鬼 カヅチ】

レベル4/地属性/悪魔族/攻900/守2400

○一ターンに一度、相手が直接攻撃宣言時に手札のこのカードとEXデッキのリンクモンスターを墓地に送ることで、発動することができる。墓地に送ったリンクモンスターの攻撃力以下のモンスターの攻撃を受けない。

 

「わらわはEXデッキのリンク4、【酒天鬼 オロチ】を墓地に送ることで攻撃力3000以下のモンスターの攻撃は受けん」

「くっ! なら、僕はカードを一枚伏せてターンエンドです」

「わらわのターン……ほぅ、ずいぶん良いカードをひたのぅ」

「っ!? 来たか!」

「わらわは手札から【UnknownCode(アンノウン・コード)-リンク・オーバー-】を発動じゃ」

 

 尊がカードをデュエルディスクにセットした。するとデュエルディスクから警告音が響き渡った。

 

『エラー。エラー。不正なプログラムを検出しました。不正なプログラムを検出しました。今すぐにプログラムの消去を――――――プログラムを強制インストール。―――――――プログラムのインストール完了。プログラム【Unknown】を起動します。』

 

 警告音が鳴り止むと同時に尊と不破の周辺に何かが包み込んだ。不破は動じずにフィールドを見回す。

 

「これが【Unknown】カード! まゆゆの言っていたことが本当ならデュエルの影響が現実世界に……」

「わらわは【UnknownCode-リンク・オーバー-】の効果で墓地のモンスターを5体をゲームから除外することで、リンク召喚! その雷は大地を砕き、その嵐は天空を破壊する! 魔水晶より復活せよ! 【魔水晶(ますいしょう)雷嵐龍(らいらんりゅう) クリスタル・ノヴァ】!!」

 

 デュエルフィールド上空の雲が暗くなり、雷鳴が轟く。尊の前に巨大な水晶が現れると、天空から雷が水晶に落ちる。すると水晶は雷を纏い、亀裂が入る。亀裂の奥から翡翠色の鋭い眼光が不破を睨みつける。徐々に亀裂が大きくなり、水晶が粉々になると、そこから水晶を身にまとった龍が現れた。水晶の龍が咆哮を上げると、猛烈は突風が巻き起こり、無数の雷が雨のように落ちる。

 

【魔水晶の雷嵐龍 クリスタル・ノヴァ】

リンク5/風属性/ドラゴン族/攻3000/←↙↓↖→

名前の異なる効果モンスター5体

このカード名はルール上【Unknown】カードしても扱う。 

○一ターンに一度、このカード以外のモンスターの効果が発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。この効果でモンスターを破壊した場合、このカードの攻撃力はターン終了時まで倍になる。

○一ターンに一度、墓地のリンクモンスターをゲームから除外することで発動することができる。ゲームから除外したリンクモンスターのリンクマーカーと同じ数、相手のEXデッキのカードをランダムに裏側表示でゲームから除外することができる。

 

「くっ!? か、風が!! やっぱりモンスターの影響が現実世界に!!」

「クリスタル・ノヴァの効果を発動じゃ! 墓地の【酒天鬼 オロチ】をゲームから除外することで、湊のEXデッキを4枚ゲームから除外じゃ! 【荒ぶる嵐の鉄槌(ジャッジメント・テンペスト)】!!」

 

 クリスタル・ノヴァが咆哮を放つと突風が巻き起こり、不破に襲い掛かる。風をまともに受けた不破に吹き飛ばされ、壁にたたきつけられる。

 

「ガハッ!! …………それはキツいな……」

「バトルじゃ! 【魔水晶の雷嵐龍 クリスタル・ノヴァ】で【夜王騎士 カザマ】に攻撃! 【怒れる雷の裁き(ジャッジメント・ライトニング)】!!」

「それは防がせていただきます! 罠カード【夜王騎士 ジャンパンコール!】を発動!」

 

【夜王騎士 シャンパンコール!】

○フィールドの【夜王騎士】モンスターを破壊することで、このターンの戦闘ダメージは0になる。

○このカードが破壊された時、デッキからこのカード以外の【夜王騎士】魔法・罠カードを一枚、セットする。

 

「俺は【夜王騎士 ジン】を破壊し、このターン無敵になります」

「かわしたかの……じゃが、カズマは破壊させていただきのじゃ」

 

 カズマが両手をポケットに突っこみながらクリスタル・ノヴァに向かって突撃する。クリスタル・ノヴァの翼に雷が蓄積され、禍々しく輝く翼でカズマを引き裂いた。

 

「わらわはこれでターンエンドじゃ」

(……さすが【Unknown】モンスター……強い!! でも、何だ、この違和感は? 尊様のデッキとあのモンスターが噛み合っていない? まるであのモンスターを借りていて、無理矢理デッキに入ているかのような……噛み合っていない隙を突けば!)

「俺のターン! ドロー! 俺はカードを一枚伏せて、【夜王騎士 リュウ】の効果を発動! ペンデュラム効果は魔法効果扱いなのでクリスタル・ノヴァの効果は適応できません! さっき伏せた【夜王騎士 ワンナイト・キッス】を破壊し、【夜王騎士 ユウジ】を手札に加えます! そして、【夜王騎士 ワンナイト・キッス】の効果で【夜王騎士 スマイル・フラッシュ】をセット! そして、前のターンに伏せてあった【夜王騎士 パーリィナイト!!】を発動!」

 

【夜王騎士 パーリィナイト!!】

永続魔法

○このカードが存在する限り、自分がペンデュラム召喚する時、EXデッキの【夜王騎士】Pモンスターをメインモンスターゾーンに特殊召喚することができる。

○このカードが破壊された時、デッキからこのカード以外の【夜王騎士】魔法・罠カードを一枚、セットする。

 

「ペンデュラム召喚はEXデッキからペンデュラム召喚する時、エクストラモンスターゾーンかリンクマーカー先にしか、召喚できないがこのカードでペンデュラム本来の力が発揮できます! さぁ、パーリィナイトの幕開けです! ペンデュラム召喚! 【夜王騎士 ジュン】、【夜王騎士 ヒカリ】、【夜王騎士 ユウジ】、【夜王騎士 レン】、【夜王騎士 ツバサ】!!」

 

 不破のフィールドに5人のホストが一斉に現れた。

 

「破壊しても破壊しても何度も出てきるのぅ……まるで蟲じゃな」

「そう言っていられるのも今のうちですよ! 俺はさっき伏せた【夜王騎士 スマイル・フラッシュ】を発動!」

 

【夜王騎士 スマイル・フラッシュ】

速攻魔法

○フィールドの【夜王騎士】モンスターを一体、選択し発動することができる。それ以外の自分フィールドの【夜王騎士】カードを全て破壊することで破壊したモンスターの数×600ポイント、アップさせる。

○このカードが破壊された時、デッキからこのカード以外の【夜王騎士】魔法・罠カードを一枚、セットする。

 

「俺は【夜王騎士 フブキ】を選択し、それ以外の【夜王騎士】カードを破壊! 破壊したカードはフィールドとスケールの合計7体! よって攻撃力は4200アップ!!」

 

夜王騎士 フブキ 攻撃力:2000→6700

 

「攻撃力6700!?」

「まだまだ! 手札から装備カード【夜王騎士 白馬の王子様(ホワイト・ロイヤル)】を装備!!」

 

【夜王騎士 白馬の王子様】

装備カード

○装備モンスターが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手ライフに与える。

○このカードが破壊された時、デッキからこのカード以外の【夜王騎士】魔法・罠カードを一枚、セットする。

 

「これで一撃で決める!!」

(ま、マズい!! このままじゃ、わらわの負けじゃ……あの者との成約で負けるわけには!! ここはデュエルを中断させて離脱じゃ)

「その攻撃はマズいのぉ……わらわはいったん戦線離脱じゃ」

 

 尊は自分が負けるのを察し、逃走を図ろうとする。

 

「あ、ズルいっすよ!!」

「鬼の跳躍に追いつけるかの?」

 

 

「なら、動けなくすれば良いんですね!!」

「っ!?」

 

 逃げようとする尊にいつの間にか西園チグサが、尊の右足に抱き着いていた。

 

「こやつ!? いつの間に!?」

「これでも演劇部じゃけん! 死んだふりだってお手の物! 皆!」

「「「「おぉぉぉ!!」」」」

 

 チグサの掛け声を筆頭にコハクは左足、アカネは右腕、ヒスイは左腕、サンゴは尊の背中に抱き着いた。五人に抱き着かれ、さすがに鬼の尊でも身動きが取れなかった。

 

「えぇい! 離さんか!」

「いやです!」

「元の竜胆先輩に戻ってください!」

「不破さん!!」

「ウチらが抑えているので!」

「今のうちに!!」

「…………セレ女の皆! ありがとう!! 【夜王騎士 フブキ】で【魔水晶の雷嵐龍 クリスタル・ノヴァ】に攻撃!!」

 

 銀髪のホストは空高く、跳び上がる。その高さは上空を飛んでいるクリスタル・ノヴァに到達する。クリスタル・ノヴァはフブキを見上げると、フブキは右足を真上に振り上げ、そのままクリスタル・ノヴァの頭に踵落としを撃ち込む。クリティカルヒットにクリスタル・ノヴァは思わず、体勢を崩し、そのまま地面に落ちて破壊された。

 

尊LP:3900→700

 

「【夜王騎士 白馬の王子様】の効果でクリスタル・ノヴァの攻撃力の半分! 1500ポイントのダメージを尊様に与えます! 喰らえぇぇ!!」

「嫌じゃ! 嫌じゃ! うわぁぁぁ!!」

 

尊LP:700→0

 

 尊のライフが0になった瞬間、鏡が割れるような音が鳴ったと同時に空間は消滅し、尊はその場で倒れ込んだ。

 

「よっしゃ! 勝った!」

「不破先輩!」

「敵を打ってくださって、ありがとうございます!」

「あ、竜胆さんは!?」

「無事みたい……気絶してるのかな?」

 

 コハクが尊に近づき、安否を確認する。

 

「あ、ちょっ、ちょっと待って! まだ、カードを封印してないから!?」

 

 不破は慌てて、コハクと尊のそばに駆け寄る。

 

「え、えーと使い方は……」

 

 ポケットから小さい箱を取り出すとカチャカチャ弄り始めた。

 不破が回収ボックスの起動に戸惑っていると、【UnknownCode-リンク・オーバー-】と【魔水晶の雷嵐龍 クリスタル・ノヴァ】の二枚が勝手に宙を舞った。

 

「え!? カードが!!」

「不破先輩 カードが!!」

「え!? ち、ちょ! 待って!!」

 

 二枚のカードは部室から飛び出す。不破とセレ女が慌てて、廊下に出ると二枚のカードがとある人物の手に渡った。

 

「あーあ、せっかく尊様に貸してあげたのに駄目だったか」

 

 そこにいたのはにじさんじライバーでピエロのジョー・力一が立っていた。力一は笑顔で不破たちに手を振っていた。

 

「はーい、ジョー児。皆さん、お集りの様子で」

「力一さん!? まさか……そのカードの本当の所有者は!?」

「お、察しがいいねぇ! 正解、【魔水晶の雷嵐龍 クリスタル・ノヴァ】は私、ジョー・力一です」

 

 力一は大げさに手を広げながら御辞儀をした。

 

「あ、言っておくけど、ここで戦わないよ? 俺は既に星20個持ってるからね。それに早く戻らないと、あの人に怒られるし……」

「そんな危険なカードを見逃すと思います?」

「ま、そうだよね……でも、俺は逃げるよ」

 

 力一が指パッチンすると、不破たちと力一の間にあった部屋の扉から大量のスモッグが噴き出した。

 スモッグは力一を包み込み、姿が消えた。

 

「げほっ、げほっ! しまった!!」

 

 スモッグが晴れた後、不破が力一がいた場所に駆け寄ると既に力一の姿は消えていた。

 

 

 

 




オリカ紹介
【夜王騎士】
ホストをモチーフにしたデッキ
ペンデュラム効果で魔法。罠カードを破壊することを起動に展開し、ペンデュラム効果で大量召喚を行う。

【酒天鬼】
鬼をモチーフにしたデッキ
高レベルの融合モンスターをお手軽に出せる。そして、低レベルのモンスターを
生贄に相手を殲滅する。

【魔水晶の雷嵐龍 クリスタル・ノヴァ】
三体目の【Unknown】モンスター。
見た目は【クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン】に似ているが関連性は不明。
モンスターに圧倒的に強く、効果を無効にして、自身の力を倍増させていく。相手のEXデッキを壊滅させる。そ
竜胆尊が使用していたが、本来の使用者はジョー・力一。


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BATTLE.9「三枝明那vs鈴原るる」

今週はライブのため、長期休暇を貰ってので、書きまくります。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。


とある地下施設。

 

 無数のディスプレイが並べられた部屋で黛灰はキーボードを打ちながらディスプレイを眺める。

 

『まゆゆ! ごめん、カード逃がした!!』

「いいよ。データは取ったから、不破っちはそのまま力一さんを追って」

『了解!』

「……ごめん、別の通信が入った」

『オッケー、オッケー! 俺は引き続きカードを追うわ!!』

「よろしく」

 

 黛は通話を切ると、すかさず別の通話を繋ぐ。

 

「もしもし」

『まゆゆぅぅぅぅ!!』

 

 通話越しに音割れするほどの大声が聞える。黛はイヤホンを一旦、取り外す。

 

「明那、うるさい」

『ごめん! でも、めちゃくちゃヤバい!!』

「落ち着いて、どうしたの?」

『【Unknown】カードを見つけたんだけど、持っていた人がヤバい』

「いったい誰なの?」

『…………鈴原るるさん』

「頑張ってね」

 

 黛は無慈悲に通話を切り、ため息を漏らした。

 

「一番、あのカードを持ってはいけない人が持っちゃったよ」

 

 

――――――――――。

 

とある公園。

 

 にじさんじライバー三枝明那は【Unknown】カードを探していた所、偶然、鈴原るると遭遇した。

 

「あ、鈴原さん」

「こんるるぅ~」

 

 何故か、鈴原は明那に会った途端、デュエルディスクを構えた。

 

「デュエルしましょう」

「デュ、デュエルですか?」

「はい。私に勝ったら、このカードを上げますよ」

 

 鈴原はデッキから一枚のカードを取り出し、明那に見せた。そのカードは【UnknownCode-リンク・オーバー-】だった。

 

「っ!? ちょ、ちょっと待って!!」

 

 明那はスマホを取り出し、通話を掛ける。

 

「まゆゆぅぅぅぅ!!」

『明那、うるさい』

「ごめん! でも、めちゃくちゃヤバい!!」

『落ち着いて、どうしたの?』

「【Unknown】カードを見つけたんだけど、持っていた人がヤバい」

『いったい誰なの?』

「…………鈴原るるさん」

『頑張ってね』

 

 相談するも虚しく、通話を切られてしまった。

 

「あぁぁぁ……仕方ない!!」

 

 明那は自らの頬を叩き、デュエルディスクを構えた。

 

「いいですよ! やりましょう!!」

「では、デュエルしましょう」

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「俺の先攻! 俺は手札から【予想GUY】を発動! デッキから【赤き闘士(レッド・ホット) ダイナ】を特殊召喚!!」

 

 明那の目の前に炎の髪をまとったガタイの良い戦士が現れた。

 

【赤き闘士 ダイナ】

レベル4/炎属性/戦士族/攻1900/守0

 

「さらに手札から【苦渋の決断】を発動! デッキから【赤き闘士 タイガ】を墓地に送り、デッキから同名モンスターを手札に加える! 俺はそのまま【赤き闘士 タイガ】を通常召喚!」

 

【赤き闘士 タイガ】

レベル4/炎属性/戦士族/攻1800/守0

 

 

「さらに永続魔法【赤き闘士の決闘】を発動!!」

 

【赤き闘士の決闘】

永続魔法

○フィールドの【赤き闘士】モンスターは効果で破壊されない。

○手札の【赤き闘士】通常モンスターを一体、特殊召喚することができる。

 

「決闘の効果で【赤き闘士 アラン】を特殊召喚!」

 

【赤き闘士 アラン】

レベル4/炎属性/戦士族/攻1900/守0

 

「俺は【赤き闘士】通常モンスター三体でリンク召喚! リンク3、【赤き闘士 ドラゴ】!!」

 

 三体の炎の闘士が光に包まれる。すると巨大な火柱が伸び、筋肉隆々の戦士が火柱から飛び出した。

 

【赤き闘士 ドラゴ】

リンク3/炎属性/戦士族/攻2500/↓↖→

【赤き闘士】モンスター二体以上

○このカードがリンク召喚に成功した時、墓地の通常モンスター二体を手札に加える。

○リンクマーカー先の【赤き闘士】モンスターと相手のモンスターを一体ずつ破壊することができる。

 

(……本当はショタデッキが良かったのに……なんで、こんなオッサンが……)

 

「えぇい! ドラゴの効果を発動! 【赤き闘士 アラン】と【赤き闘士 ダイナ】を手札に加える。俺はカードを一枚伏せ、ターンエンド」

「…………私のターン……ドローします。私は【挑戦者(チャレンジャー)-アシュラ-】の効果を発動します」

 

 黒い鎧を身にまとった剣士が現れた。黒い鎧の隙間から青い炎が出てくる。鎧の剣士からは生気を感じ取れなかった。

 

【挑戦者-アシュラ-】

レベル4/闇属性/戦士族/攻1800/守1400

○相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターより多い場合に発動できる。このカードを特殊召喚することができる。

○このカードを特殊召喚に成功した時、デッキからドラゴン族・闇属性・レベル8モンスターか【挑戦者】モンスターを一体、手札に加える。

 

「私は【挑戦者-アシュラ-】を特殊召喚します。アシュラの効果でデッキから【闇黒の魔王ディアボロス】を手札に加えます。さらに手札の【ダーク・グレファー】の効果を発動します。【闇黒の魔王ディアボロス】を捨てて、自身を特殊召喚。永続魔法【デッドライン・チャレンジャー】を発動します」

 

【デッドライン・チャレンジャー】

永続魔法

○このカードがフィールドゾーンに存在する限り、自分は通常召喚に加えて一度だけ、自分メインフェイズに【挑戦者】モンスターまたはドラゴン族・闇属性・レベル8モンスター一体を召喚できる。

○自分ターンに、自分フィールドの表側表示のドラゴン族・闇属性・レベル8モンスターがゲームから除外された場合に発動できる。自分はカードを一枚ドローする。。

 

「私は増えた召喚権で【挑戦者-ヤマト-】を召喚します」

 

【挑戦者-ヤマト-】

レベル4/闇属性/戦士族/攻1200/守1900

○このモンスターをリリースし、手札・墓地からドラゴン族・闇属性・レベル8モンスター一体を特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。

○墓地のこのカードをゲームから除外することで、ゲームから除外されているドラゴン族・闇属性・レベル8モンスターを一体手札に加える。

 

「私はレベル4の【挑戦者-アシュラ-】と【ダーク・グレファー】でオーバーレイ。二体の戦士族・闇属性・レベル4モンスターを二体でエクシーズ召喚。ランク4、【深怨の騎士 ヴィオラディ】を召喚」

 

【深怨の騎士 ヴィオラディ】

ランク4/闇属性/戦士族/攻2800/守500

戦士族・闇属性モンスター×2

○一ターンに一度、X素材を一つ取り除いて発動できる。二つの効果の内、どちらかを発動することができる。

●デッキから闇属性・レベル8モンスターを一体、手札に加える。●手札の闇属性・レベル8モンスターを一体、特殊召喚する。そのターンのエンドフェイズ時に特殊召喚されたモンスターをゲームから除外される。

 

「ヴィオラディの効果を発動します。エクシーズ素材を取り除くことで、デッキから【深淵の復讐竜(ダークネス・リベンジャー・ドラゴン)】を手札に加えます。私は【挑戦者-ヤマト-】の効果を発動します。自身をリリースして、手札の【深淵の復讐竜】を特殊召喚します」

 

 黒い渦が現れると、そこから禍々しい青白い炎と共に黒いドラゴンが現れた。黒いドラゴンが翼を広げると、周辺に青白い炎の火の粉が舞い散る。

 

【深淵の復讐竜】

レベル8/闇属性/ドラゴン族/攻2000/守2900

○このカードが特殊召喚に成功した時、フィールドのカード一枚を対象として発動できる。そのカードを墓地に送ることができる。

○一ターンに一度、相手がカード効果を発動した時に発動することができる。このカードをゲームから除外することで、相手のカードを一枚破壊する。

 

「【深淵の復讐竜】の効果を発動します。【赤き闘士 ドラゴ】を墓地へ。さらに闇属性モンスターがリリースされたので、墓地の【闇黒の魔王ディアボロス】の効果を発動します。ディアボロスを特殊召喚します」

「クソっ!!」

「バトルです。私はヴィオラディで三枝さんにダイレクトアタックです」

「俺は伏せカード【赤き闘魂】を発動!」

 

【赤き闘魂】

手札の【赤き闘士】通常モンスターを可能な限り、特殊召喚する。

 

「俺は【赤き闘士 アラン】と【赤き闘士 ダイナ】を守備表示で特殊召喚する!」

「では、ヴィオラディと深淵の復讐竜で三枝さんもモンスターを破壊します。そして、ディアボロスで三枝さんにダイレクトアタック」

「ぐおぉぉぉぉ!! まだ【Unknown】カードも使ってないのに……この強さかよっ!」

 

三枝明那LP:4000→1000

 

 

「私はカードを一枚伏せてターンエンドです」

「俺は【闇の量産工場】を発動! さっき破壊された【赤き闘士 アラン】と【赤き闘士 ダイナ】を手札に!」

「それにチェーンして、【深淵の復讐竜】の効果を発動します。このカードをゲームから除外することで【赤き闘士の決闘】を破壊します。さらに伏せカードの永続罠【グリード・チャレンジャー】を発動します」

 

【グリード・チャレンジャー】

永続罠

このカード名の効果は一ターンに一度しか使用できない。

○自分・相手のメインフェイズに、以下の効果から一つを選択して発動できる。

●自分フィールドのドラゴン族・闇属性・レベル8モンスターがゲームから除外された時、手札・墓地から【挑戦者】モンスターを一体、特殊召喚する。

●ゲームから除外されているドラゴン族・闇属性・レベル8モンスターを一体、特殊召喚する。

 

「では、効果処理で【グリード・チャレンジャー】を発動。そして、【深淵の復讐竜】をゲームから除外することで【赤き闘士の決闘】を破壊します」

「っ!? 俺は【赤き闘士 アラン】と【赤き闘士 ダイナ】を手札に加える」

「この瞬間、【グリード・チャレンジャー】と【デッドライン・チャレンジャー】の効果を発動します。【デッドライン・チャレンジャー】の効果でカードをドロー。【グリード・チャレンジャー】の効果で【挑戦者-アシュラ-】を特殊召喚します。続けて、特殊召喚された【挑戦者-アシュラ-】の効果を発動します。デッキから【挑戦者-ムラクモ-】を手札に加えます。さぁ、三枝さん。続きをどうぞ……」

「動きがエグ過ぎる……。俺はモンスターとカードを一枚ずつ伏せて、ターンエンド」

 

 鈴原の圧倒的なパワーに明那は成すすべがなかった。

 

「その程度なんですね……私のターン……ドロー。……せっかくなので、面白いカードを見せてあげます。私は【グリード・チャレンジャー】の効果でゲームから除外されている【深淵の復讐竜】を特殊召喚します。【深淵の復讐竜】の効果で魔法・罠ゾーンのセットカードを墓地に送ります」

「くそ……!!」

「私は【挑戦者-ムラクモ-】を召喚します」

 

【挑戦者-ムラクモ-】

レベル4/闇属性/戦士族/攻1600/守1400

〇一ターンに一度、手札のドラゴン族・闇属性・レベル8モンスター一体をゲームから除外することで発動することができる。デッキからカードを二枚ドローする。

〇このカードをリリースすることで、デッキからドラゴン族・闇属性・レベル8モンスターを手札に加えるか墓地に送ることができる。

 

「私は【挑戦者-アシュラ-】、【深怨の騎士 ヴィオラディ】、【闇黒の魔王ディアボロス】、【深淵の復讐竜】の四体でリンク召喚。召喚条件は同じ属性で名前の異なるモンスター三体以上。リンク4、【大罪竜王 ヨハネス】を召喚」

 

 四体のモンスターが光に包まれると、黒い渦が鈴原の目の前に現れる。黒い渦からは鎖と拘束具によってがんじがらめにされたドラゴンが現れた。

 

【大罪竜王 ヨハネス】

リンク4/闇属性/ドラゴン族/攻0/←↙↘→

同じ属性で名前の異なるモンスター三体以上

〇一ターンに一度、EXデッキからドラゴン族・闇属性モンスターを墓地に送ることで、このカードの攻撃力を墓地に送ったモンスターの攻撃力分アップさせる。

〇自分フィールドに攻撃力4000以上のリンクモンスターが存在する限り、このカードは戦闘。効果では破壊されず、効果の対象にもならない。

 

「ヨハネスの効果を発動。EXデッキから【ヴァレルソード・ドラゴン】を墓地に送ることでヨハネスの攻撃力を3000にします」

 

大罪竜王 ヨハネス 攻撃力:0→3000

 

「さらにフィールドの【挑戦者-ムラクモ-】の効果で自身をリリースすることで、デッキから【混源龍レヴィオニア】を手札に加えます。さらに闇属性モンスターがリリースされたことにより、【闇黒の魔王ディアボロス】を特殊召喚します。 墓地の闇属性モンスター三体をゲームから除外することで【混源龍レヴィオニア】を特殊召喚します。レヴィオニアの効果を使用したいところですが三枝さん手札は無いので効果は使用しません。私はレベル8の【闇黒の魔王ディアボロス】と【混源龍レヴィオニア】でオーバーレイ。召喚条件はドラゴン族・闇属性・レベル8モンスター。ランク8、【終焉より呼び覚まされし龍(エンド・オブ・ドラグニル)】をエクシーズ召喚」

 

【終焉より呼び覚まされし龍】

ランク8/闇属性/ドラゴン族/攻4500/守0

ドラゴン族・闇属性モンスター×2

〇一ターンに一度、X素材を一つ取り除いて発動できる。自分はデッキの上からカードを5枚墓地に送り、相手はデッキの上からカードを5枚ゲームから除外する。

〇このカード墓地に送られた時、墓地またはゲームから除外されているドラゴン族・闇属性・レベル8モンスターを二体、特殊召喚ことができる。

 

「私は【終焉より呼び覚まされし龍】の効果を発動します。私のデッキからカードを5枚墓地に送り、三枝さんのデッキからカードを5枚ゲームから除外します。……これで準備は整いました。私は手札から【UnknownCode(アンノウン・コード)-リンク・オーバー-】を発動します」

 

 

 鈴原がカードをデュエルディスクにセットした。するとデュエルディスクから警告音が響き渡った。

 

『エラー。エラー。不正なプログラムを検出しました。不正なプログラムを検出しました。今すぐにプログラムの消去を――――――プログラムを強制インストール。―――――――プログラムのインストール完了。プログラム【Unknown】を起動します。』

 

 警告音が鳴り止むと同時に鈴原と明那の周辺に特殊な空間が発生した。空間は鈴原と明那を包み込むように広がった。

 

「これが【Unknown】カード。少しでもまゆゆに情報を持っていかないと!!」

「私は【UnknownCode-リンク・オーバー-】の効果で墓地のモンスター、5体をゲームから除外することで、リンク召喚。 機械仕掛けの神よ。全知全能の力で過去・未来・現在の全て見通し、神に抗う者に裁きの鉄槌を落とせ。 降臨せよ、【鐵機神(アナライズ・エクス・マキナ)-アルツァー・ヴァイス-】」

 

 鈴原の上空に巨大な光の球体が現れた。その神々しい輝きに明那を思わず、顔を隠す。光の球体は姿を変えると全身、黒い金属でできた巨大なロボットが現れた。黒いロボットには翼のようなロケットが付いており、そこから赤い稲妻を放電させている。

 

【鐵機神-アルツァー・ヴァイス-】

リンク5/光属性/機械族/攻3000/←↖↓↗→

名前の異なる効果モンスター5体

このカード名はルール上【Unknown】カードしても扱う。

〇一ターン一度、相手のモンスターを全て墓地に送る。この効果で墓地に送られたカードは墓地から効果を発動することができない。この効果は相手ターンにも発動することができる。

〇一ターン一度、墓地のリンクモンスターをゲームから除外することで発動することができる。このターンのエンドフェイズ時まで、このカードの攻撃力を除外したリンクモンスターのリンクマーカーの数×500ポイントアップする。

 

「私は【鐵機神-アルツァー・ヴァイス-】の効果を発動します。三枝さんのモンスターを全て墓地に送ります。【機械神の怒り(ライトニング・ゼウス)】」

 

 

 アルツァー・ヴァイスの胸部にあるコアが輝きだし、モーター音のような甲高い音が響き渡る。するとアルツァー・ヴァイスの身体に赤い電気が流れ込み、全身が赤く輝く。輝きが徐々に増していき、アルツァー・ヴァイスが光と共い赤い稲妻を放つと、光に包まれた明那のモンスターを赤い稲妻によって、消し炭のように消滅した。

 

「さらに【鐵機神-アルツァー・ヴァイス-】の効果で墓地の【ヴァレルソード・ドラゴン】をゲームから除外することで、このカードの攻撃力を2000アップさせます」

 

鐵機神-アルツァー・ヴァイス- 攻撃力:3000→5000

 

「これで終わりです。【鐵機神-アルツァー・ヴァイス-】で三枝さんにダイレクトアタック。【赤雷の鉄拳(ボルテックス・インパクト)】」

 

 

 今度は右腕の拳に赤い稲妻を蓄積させる。稲妻が限界まで溜まると、アルツァー・ヴァイスはそれを右の拳ごと放つ。拳は稲妻を纏い、流星群のように明那に襲い掛かる。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

三枝明那LP:4000→0

 

 攻撃を喰らった明那は糸が切れた人形のように地面に伏せた。明那の周辺には巨大なクレーターが出来ており、アルツァー・ヴァイスの攻撃の破壊力が物語っていた。

 

「星は全て頂きます。おかげで20個集まりました。ありがとうございました」

 

 鈴原はそう言い残すとその場を立ち去った。




オリカ紹介
【赤き闘士(レッド・ホット)】
熱き魂を持った炎の闘士がモチーフにしたデッキ
通常モンスターがベースだが、そこからリンク召喚に繋げて、一気に勝負をかけるミッドレンジ寄りのスタイル。

【挑戦者(チャレンジャー)】
青い炎を身にまとった黒い鎧の騎士がモチーフにしたデッキ
戦士族モンスターは自身を生贄に捧げることで強力な闇属性・ドラゴンを呼び出す。
また、主力の【深淵の復讐竜(ダークネス・リベンジャー・ドラゴン)】をゲームから除外したり、展開することで相手を妨害しつつ大型モンスターを並べていくスタイル

【鐵機神-アルツァー・ヴァイス-(アナライズ・エクス・マキナ-アルツァー・ヴァイス-)】
四体目の【Unknown】モンスター。
見た目は【天霆號(ネガロギア)アーゼウス】に似ているが関連性は不明。
神の名に恥じぬ効果で全てを塵に変え、自身の攻撃力も上昇させる強力な効果を持っている。


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BATTLE.10「戌亥とこvsジョー・力一」

とこちゃんのライブめちゃくちゃ良かった!!
本当にエモの塊でした。

と、いうことで今回はとこちゃんがメインです!!

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
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にじさんじ事務所

 

 いちから株式会社CEOの田角はモニターでデュエルの進捗を確認していた。モニターには既に星を20個集めたライバーの写真が写っていた。田角は満足気にモニターを眺めていた。

 

「【にじさんじ決闘王】……。大反響ですね。田角社長」

 

 モニターを眺めている田角に近づいてきたのはスーツをきちっと着こなした30~40代の男だった。男はワックスでガチガチに固めたオールバックで、眼鏡を掛けていた。右手には紙コップに入ったブラックコーヒーを持っていた。

 その男を見た田角は勢いよく立ち上がり、男に近づいた。

 

「これはこれは! 草壁(くさかべ)主任!!」

 

 草壁と呼ばれた男は来客用のソファーに腰を掛け、コーヒーを一口飲む。

 

「これも草壁主任のお陰です。デュエルシステムをいちからに提供していただき、誠にありがとうございます」

「いや、こちらこそ3Dによる立体映像をあそこまでリアルに写す技術は中々、いない。いちから株式会社もといにじさんじにお願いして正解だったよ」

 

 草壁は紙コップを置くと、鞄からタブレットを取り出した。

 

「デュエル配信は今ではYouTubeやTwitterをはじめとした世界中のSNSのトレンド上位に必ず、入っている。同時接続数も最低でも1万。夜中のゴールデンタイムには平均5万同接続ときたものだ。今、もっとも流行っているエンターテインメントと言っても過言ではない」

「そう言って頂けると幸いです」

「それに他の事務所と違い、所属人数が多いのも良い。確かに一人一人の登録者人数は他社に劣るが、大人数のデュエルによって視聴者は飽きず、思いもしない対戦カードに心を躍らせている。…………しかし……」

 

 嬉しそうに話す草壁はコーヒーを飲み干すと紙コップを握りつぶした。

 

「何やら我々の邪魔をしているモノが、そちらの所属タレントに数名いるみたいだが……?」

「っ!? そ、それはこちらの監督不行き届きです。申し訳ございません!」

 

 田角は顔を真っ青にしながら頭を下げた。草壁は田角に近づくと肩を叩いた。

 

「いやいや、別に君を責めているわけではない。それにその方が都合もいいしな」

「つ、都合ですか……?」

「あぁ、そうだ。あのカード……【Unknown】カードのデータ収集にはデュエルが一番だからな。積極的に戦ってもらい、あのカードを使用してもらった方が良い」

 

 草壁は内ポケットから一枚のカードを取り出す。そのカードは真っ黒に塗りつぶされていた。

 

「田角君。これはエンターテイメントであり、ビジネスでもあるのだよ。大なり小なり金が動いている。私もこの計画に資金を提供しているのだよ……あのカードの開発にいくら掛かったと思っている。ただの若造の集団に邪魔されてなるものか……ッ!!」

 

 握りつぶした紙コップをゴミ箱に向かって乱暴に投げつける。

 

「草壁主任。そこでご提案があります」

「ほぉ……なんだい?」

「そちらの会社で開発中のロボット【DuelAndroido-Σ-(シグマ)】を使用するのはどうでしょうか?」

「Σをか? あれはまだ試作中だが」

「ボーナスイベントとして、Σを倒したライバーには星を10個。逆に負けたライバーは星を全て没収されるということにすることでΣとライバーを戦わせるのです」

「……なるほどな。【Unknown】カードの所有者は中々、言うことを聞いてくれないからな。Σならこちらの指示を忠実に従ってくれる」

「そして、Σには我々の邪魔をするライバーを積極的に襲うようにインプットしておけば」

「なるほど……イベントということで視聴者も盛り上がり、尚且つ我々の邪魔をする者も排除できると……面白い!! Σの運用は私の方で何とかしよう。君はライバーへの通達と視聴者への告知を頼むよ」

「かしこまりました」

 

田角が慌てて部屋を出ていくと、部屋に残っていた草壁は愉悦な笑みを浮かべながら自身が持っていた真っ黒のカードを眺めていた。

 

ヴーヴーヴー……。

 

 どこからバイブレーションの音が聞こえ、それに気づいた草壁はポケットからスマホを取り出した。

 

「はい。草壁です」

『草壁主任』

「あー、君か」

『連絡が遅くなり申し訳ございません』

「構わないよ。君のことだ。いろいろと手を回していたのだろ?」

『ハッハッハ! そう言っていただけるのであれば、こちらも色々と動いたかいがありましたよ』

「で、なにをしていたのだい?」

『まずは【Unknown】カードの適正について。【Unknown】カードをとあるライバーに渡しましたが、やはり人工知能、【Unknown】プログラムによって人格ないし、性格が変貌してしまっています』

「まぁ……そういう風に設計したからな。逆に【Unknown】カードを所有しているのにも関わらず、自我を保っている君が異常なのだよ」

『それはそうなんですがねぇ……如何せん、猛獣使いにも疲れてしまったので……』

「猛獣使い兼諜報員が君の仕事だろ? それは契約時にも話したはずだ」

『いやー……手厳しいですな』

「話が脱線してしまったな。報告を続けてくれ」

『そうでした。そうでした。……それで、私のカードを別ライバーに渡しましたが【Unknown】カードの性能は全然ダメでした』

「【Unknown】カード使うにも向き不向きはあるからな。それは人種や種族は関係ない」

『今のところ【Unknown】カードで本来の7割以上の力を発揮できているのは【叶】、【鈴原るる】、【エリー・コニファー】の三名のみです。その三名は決勝トーナメントに出場が決定しています』

「すまない、名前と顔が一致しないから確認する」

 

 草壁は再び、タブレットを操作した。

 

「君の所は所属タレントが多いから名前と顔を覚えるのが大変だよ」

『それはウチの社長に言ってください』

「…………確認した。その三人でも、やはり【Unknown】プログラムの影響を受けているのだね?」

『はい。大なり小なり影響は出ています』

「そうか……本音を言えば、影響を受けない君を解剖して調べ上げたいのだが……」

『それが嫌だから協力しているんじゃないですか』

「はははは。すまない、冗談だ」

『水は【叶】、光は【鈴原るる】、地は【エリー・コニファー】として残りの炎と闇の【Unknown】カードの適合者をどうするか。ですが……』

「そのことなんだが…………今までのデュエル配信と成績を見て、私の方で二人リストアップした」

『…………さすがですね。主任』

 

 タブレットをスライドさせると二人のライバーの顔写真が写った。草壁はスマホを操作して、電話の相手に送信した。

 

「今、そちらに送ったよ」

『確認しました。……この二人ですか」

「そうだ。君はその二人に【Unknown】カードを渡してくれ」

『かしこまりました。……ですが、炎のカードは別として、闇のカードはこの人で大丈夫なのですか?』

「おや? 不満かね」

『いえいえ……不満というか、闇のカードは自分のカードを含め、他の【Unknown】カードとは圧倒的にパワーが違います。間違いなく、所有者は暴走しますよ? それが不適合者なら私で対処できますが、万が一、闇のカードと適合して暴走したとなれば、私でも止めることは不可能かと』

「その心配はいらないよ。その万が一の場合はΣで制圧をする」

『Σを投入するのですか!?』

「そうだ。田角君の案でね」

『…………あのタヌキが……』

「今のは聞かなかったことにするよ。それでΣには私たちの邪魔をする者達の排除を行ってもらう」

『なるほど、そういう事ですか……。分かりました、私は二枚のカードを先ほどのリストの二人に渡してきます』

「頼んだよ」

 

 草壁は通話を切ると、すぐさま別の所に通話を掛けた。

 

「もしもし、私だ。至急、全てのΣを私の所に持ってきてくれ。……あぁ……そうだ、全てだ……あぁ、よろしく頼む」

 

 通話を終えると草壁はソファーに深くもたれ込んだ。

 

「くくくっ……いよいよだ! いよいよ私の悲願が成就される!!」

 

 

 

――――――――――――。

 

 

 

 この日、全ライバーとリスナーにとある企画が告知された。

 

『【にじさんじ決闘王】! ボーナスイベントを開催! デュエルアンドロイドを破壊せよ! が開催されます。詳細は概要欄でご確認ください。』

 

 

 

――――――――――――。

 

 

 

都内のショッピングモール。

 

 この日、戌亥とこ、アンジュ・カトリーナ・リゼ・エルエスタは戌亥のソロライブ成功を祝して、さんばかでショッピングを楽しんでいた。

 

「ンジュはこれが似合うんとちゃう?」

「こっちも良いと思うんだけどなー」

「もぉー!! 私の服選びはいいよ! 今日は戌亥のライブ成功のお祝いでしょ!」

 

 さんばかの三人は和気あいあいと話していた。

 

「そういえば、【にじさんじ決闘王】のイベント告知見た?」

「あー、見た見た。あれでしょ? ロボットを倒したら星10個貰えるヤツ。星集めないとなぁ……」

「私はちょこちょこ勝っているから、あと星は5個かな」

「早くない!? 私あと10個必要なんだけど!!」

「とこちゃんは星何個持ってるの?」

「ウチ? ウチは3個のままやで」

「「えぇ!?」」

「うるさwww」

「戦ってないの?」

「だって、ライブで忙しかったし、それにデュエルには興味もありゃへんし」

「そ、それはそうだけどさぁ」

「それより、ィゼ、ンジュ。お腹減った、ご飯食べへん?」

 

 リゼは腕時計で時間を確認すると、時刻はすでに12時を過ぎていた。

 

「あ、もうこんな時間か……とこちゃんはお昼、何食べたい?」

「リ、リゼ……私はパスタ食べたい」

「ダメ。今日はとこちゃんのお祝いなんだから」

「そうやな……なら、パスタにしようか」

「いにゅいぃぃぃぃ!!」

 

 三人は他愛もない話をしながら、フードコートへ向かうと、戌亥が何かを察知したのか、足を止めた。

 

「とこちゃん?」

「こないな所で奇遇やね」

「「?」」

 

 誰もいないところに戌亥が話しかける。それを見ていたリゼとアンジュは首をかしげる。

 

(え? ア。アンジュ! とこちゃんが独り言しゃべりだしたんだけど!!)

(リゼじゃないんだから、ブツブツ独り言なんて言わないよ)

(はぁー!? 今の発言、ライン越えだなぁ!!)

 

「あれー? バレちゃった?」

 

 先ほどまで誰もいなかった所にいつの間にかジョー・力一が立っていた。

 

「「!?」」

「はーい、ジョー児。さんばかの三人、この前のライブ良かったよ」

「り、力一さん!?」

「いつの間に!?」

「…………」

「実はリゼちゃんに渡したいものがあってね」

 

 力一がポケットから二枚のカードを取り出した。

 

「わ、私にカードですか?」

「そうそう。このカード、リゼちゃんに似合いそうだな。と思って」

「へぇー、良かったじゃん、リゼ」

「い、良いんですか?」

「もちろん! 貰ってよ」

 

 力一がリゼに手渡そうとした瞬間、戌亥が力一の腕を掴んだ。

 

「…………どうしたのかな?」

「力一はん。そんな物騒なモノ、ィゼに渡さんといて貰います?」

「と、とこちゃん」

「物騒とは心外だなぁー」

「さっきからアンタのこと見ておったけど、地獄の瘴気に似た禍々しいオーラが見えるねん。特にその二枚のカードからな」

「あー…………まずった。そういやことちゃんは地獄のケロべロスなんだっけ……失敗したなぁ」

 

 力一は愛想笑いを浮かべながら頭を掻いた。

 

「い、戌亥……?」

「どうしたの……とこちゃん?」

「ィゼとンジュはウチの後ろに。あれは力一はんやけど、力一はんじゃあらへん」

「そんなことを言わないでよ……おっさん、泣いちゃうぞ?」

「目的はなんや?」

「目的も何も……俺はただ、リゼちゃんにこのカードを渡したかっただけなのに」

「そんな禍々しいもんを?」

「あー、もう埒が明かないな。仕方ない」

 

 力一はデュエルディスクを腕にはめて、構えた。

 

「力づくでいくとするか」

(……それこそ物理的ならウチが圧倒的に有利やが……向こうさんの狙いはィゼ。下手に動けへん。それならいっそ……)

「ウチがデュエルで勝ったら大人しく退いてくれるん?」

「それは約束するよ」

「…………ほな、手加減はしないで」

 

 戌亥もデュエルディスクを取り出し、構えた。

 

「「決闘(デュエル)」」

 

「先攻後攻は?」

「とこちゃんの好きで構わないよ」

「ほな、先攻を頂きます。ウチは手札から永続魔法【獄炎門の開門】を発動」

 

【獄炎門の開門】

永続魔法

〇このカードの発動時の効果処理として、【獄炎獣】モンスター一体をデッキから手札に加える。

〇一ターン一度、フィールドの【獄炎獣】モンスターが破壊された時、発動できる。自分の墓地から【獄炎獣】モンスター一体を手札に加える。

 

「ウチは【地獄獣の開門】の効果処理でデッキから【獄炎獣(ヘル・フレイム) ハウンド】を手札に加え、そのまま召喚や」

 

 戌亥の目の前に炎をまとった大型の犬が現れた。

 

【獄炎獣 ハウンド】

レベル4/闇属性/獣族/攻1900/守0

〇このカードを召喚したターンのエンドフェイズ時、このカードを破壊する。

〇このカードが墓地へ送られた時、デッキからこのカード以外の【獄炎獣】モンスター一体を手札に加える。

 

「さらにウチは永続魔法【獄炎獣の柱】を発動」

 

【獄炎獣の柱】

永続魔法

〇一ターン一度、手札を一枚墓地に送るとこで発動することができる。墓地のレベル2以下の【獄炎獣】モンスターを一体特殊召喚する。

〇一ターン一度、フィールドの【獄炎獣】モンスターが破壊された時、デッキからカードを一枚ドローする。

 

「ウチはさらに手札から【獄炎獣 ファルコン】の効果を発動」

 

【獄炎獣 ファルコン】

レベル2/チューナー/闇属性/鳥獣族/攻0/守1200

〇デッキから【獄炎獣】モンスターを墓地に送ることで、このカードを特殊召喚することができる。

 

「デッキから【獄炎獣 ガゼル】を墓地に送ることで、ファルコンを特殊召喚。そして、手札から【獄炎獣の輪廻】を発動」

 

【獄炎獣の輪廻】

魔法

〇フィールドの【獄炎獣】モンスターを一体破壊することで発動することができる。デッキから名前の破壊したモンスターとは異なる【獄炎獣】モンスター一体特殊召喚する。

〇墓地のこのカードをゲームから除外することで、墓地の【獄炎獣】モンスターを一体手札に加える。

 

「ウチは【獄炎獣 ハウンド】を破壊して、デッキから【獄炎獣 フォックス】を特殊召喚」

 

【獄炎獣 フォックス】

レベル3/闇属性/獣族/攻1600/守0

〇フィールドの【獄炎獣】モンスターを破壊することで、発動することができる。墓地のこのカードを特殊召喚することができる。

 

「【獄炎獣 ハウンド】、【獄炎獣の開門】、【獄炎獣の柱】の効果を発動。【獄炎獣の柱】の効果でカードを一枚ドロー。【獄炎獣の開門】の効果で【獄炎獣 ガゼル】を手札に加える。【獄炎獣 ハウンド】の効果で【獄炎獣 ラクーン】を手札に加える。自分フィールドに【獄炎獣】モンスターが二体以上、いるんで【獄炎獣 ラクーン】を特殊召喚」

 

【獄炎獣 ラクーン】

レベル3/闇属性/獣族/攻0/守1700

〇自分フィールド上に【獄炎獣】と名のついたモンスターが二体以上存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

 

「ウチはレベル3【獄炎獣 ラクーン】にレベル2【獄炎獣 ファルコン】をチューニング。シンクロ召喚。レベル5、【獄炎獣 レオン】」

 

【獄炎獣 レオン】

レベル5/シンクロ/闇属性/獣族/攻2500/守0

【獄炎獣】チューナー+チューナー以外の【獄炎獣】モンスター

〇フィールドの【獄炎獣】モンスターが破壊された時、手札の【獄炎獣】モンスターを一体特殊召喚する。

〇一ターン一度、フィールドの【獄炎獣】モンスターを破壊することで、発動することができる。相手のモンスターを一体破壊する。

 

「ウチは【獄炎獣の柱】の効果を発動。手札を一枚墓地に送ることで、墓地の【獄炎獣 ファルコン】を特殊召喚。ウチはレベル3【獄炎獣 フォックス】にレベル2【獄炎獣 ファルコン】でチューニング。シンクロ召喚。レベル5、【獄炎獣 フェニックス】」

 

【獄炎獣 フェニックス】

レベル5/シンクロ/チューナー/闇属性/鳥獣族/攻2400/守0

【獄炎獣】チューナー+チューナー以外の【獄炎獣】モンスター

〇シンクロ召喚に成功した時、墓地のレベル4以下の【獄炎獣】モンスターを三枚まで手札に加えることができる。

 

「フェニックスの効果で墓地の【獄炎獣 ハウンド】、【獄炎獣 ラクーン】、【獄炎獣 フォックス】を手札に加える。ウチはレベル5【獄炎獣 レオン】にレベル5【獄炎獣 フェニックス】をチューニング。アクセルシンクロ! レベル10【獄炎獣 オルトロス】」

 

【獄炎獣 オルトロス】

レベル10/シンクロ/闇属性/獣族/攻3500/守0

【獄炎獣】シンクロチューナー+チューナー以外の【獄炎獣】シンクロモンスター

〇一ターン一度、自分フィールド・手札の【獄炎獣】モンスター一体を破壊し、フィールドのカード二枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。この効果は相手のターンにも発動することができる。

 

「ウチはこれでターンエンド」

「俺のターン、ドロー。ではでは、手始めにプレゼント差し上げましょう。手札から【成金ゴブリン】を発動。デッキからカードを一枚ドローする代わりにとこちゃんのライフを1000回復」

 

戌亥とこLP:4000→5000

 

「そして、手札の【狂化師(クレイジーワイズ)-スカル・ジャグラー】の効果を発動します」

 

【狂化師-スカル・ジャグラー】

レベル4/闇属性/悪魔族/攻1600/守1000

〇自分のLPが相手より低い場合、発動することができる。このカードを特殊召喚することができる。

〇一ターン一度、500LP払うことでデッキから【狂化師】モンスターを一体、手札に加える。

 

「スカル・ジャグラーを特殊召喚。そして、効果発動。ライフを500払い、デッキから【狂化師-シャドウ・バニー】を手札に加える」

 

ジョー・力一LP:4000→3500

 

「【狂化師-シャドウ・バニー】を通常召喚」

 

【狂化師-シャドウ・バニー】

レベル4/闇属性/悪魔族/攻1100/守1800

〇自分のLPが相手より低い場合、発動することができる。デッキから【狂化師】モンスターを一体特殊召喚することができる。

 

「【狂化師-シャドウ・バニー】の効果を発動。デッキから【狂化師-デーモン・テイマー】を特殊召喚!!」

 

【狂化師-デーモン・テイマー】

レベル5/闇属性/悪魔族/攻2000/守1200

〇自分のLPが相手より低い場合、発動することができる。相手フィールドのモンスター一体を墓地に送る。

 

「ほな、デーモン・テイマーが召喚された時に【獄炎獣 オルトロス】の効果を発動や! 手札の【獄炎獣 ハウンド】と【狂化師-デーモン・テイマー】と【狂化師-シャドウ・バニー】を破壊!!」

 

 戌亥の手札が一枚燃えると、その炎が増加し、オルトロスの双頭が吠える。咆哮の衝撃と炎が交わり、力一のモンスター二体を破壊した。

 

「この瞬間、【獄炎獣 ハウンド】【獄炎獣の開門】【獄炎獣の柱】の効果を発動! 【獄炎獣の柱】の効果でカードを一枚ドロー。【獄炎獣の開門】の効果で墓地の【獄炎獣 ガゼル】を手札に。【獄炎獣 ハウンド】の効果でデッキから【獄炎獣 バッファロー】を手札に加える」

「中々やるねぇ……! 【狂化師-フレイム・マリオネット】の効果を発動!」

 

【狂化師-フレイム・マリオネット】

レベル4/闇属性/悪魔族/攻1000/守1000

〇一ターン一度、自分のLPが相手より低い場合、発動することができる。手札のこのカードを墓地に送ることで、墓地の【狂化師】モンスター一体を特殊召喚する。

 

「墓地の【狂化師-シャドウ・バニー】を特殊召喚! そして、もう一度【狂化師-シャドウ・バニー】の効果を発動!! 【狂化師-ジョーカー・ディーラー】を特殊召喚」

 

【狂化師-ジョーカー・ディーラー】

レベル4/闇属性/悪魔族/攻1300/守1800

〇自分のLPが相手より低い場合、発動することができる。手札を全て墓地に送ることで、デッキからカードを三枚ドローする。

 

「【狂化師-ジョーカー・ディーラー】の効果で手札を墓地に送り、三枚ドロー。よし、【狂化師-スカル・ジャグラー】【狂化師-シャドウ・バニー】【狂化師-ジョーカー・ディーラー】の三体でリンク召喚! 現れよ、リンク3。【狂化師-クラウン・キマイラ】!!」

 

【狂化師-クラウン・キマイラ】

リンク3/闇属性/悪魔族/攻2600/↖↓↗

効果モンスター二体以上

〇このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分のターン中、自分LPと相手LPの差の分だけ相手モンスターの攻撃力を下げる。

〇自分の墓地の【狂化師】モンスター一枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。

 

「【狂化師-クラウン・キマイラ】の効果で俺ととこちゃんのライフの差、1500ポイント分モンスターの攻撃力を下げる」

 

獄炎獣 オルトロス 攻撃力:3500→2000

 

「さらに【狂化師-クラウン・キマイラ】の効果で墓地の【狂化師-フレイム・マリオネット】を手札に加える。……さてと、このデュエルもさっさと終わらしちゃいますか! 俺は手札から【UnknownCode(アンノウン・コード)-リンク・オーバー-】を発動!」

 

 力一がカードをデュエルディスクにセットした。するとデュエルディスクから警告音が響き渡った。

 

『エラー。エラー。不正なプログラムを検出しました。不正なプログラムを検出しました。今すぐにプログラムの消去を――――――プログラムを強制インストール。―――――――プログラムのインストール完了。プログラム【Unknown】を起動します。』

 

 警告音が鳴り止むと同時に力一と戌亥の周辺に特殊な空間が発生した。空間は力一と戌亥。そして、リゼとアンジュを包み込むように広がった。

 

「え、え、え? 何ここ?」

「…………とこちゃん」

「やっぱり、アカンカードやったな」

「まぁ、それは否定しないけど、物は使いようだよ。【UnknownCode-リンク・オーバー-】の効果で墓地のモンスターを5体をゲームから除外することで、リンク召喚! その雷は大地を砕き、その嵐は天空を破壊する! 魔水晶より復活せよ! 【魔水晶の雷嵐龍 クリスタル・ノヴァ】!!」

 

 デュエルフィールド上空の雲が暗くなり、雷鳴が轟く。尊の前に巨大な水晶が現れると、天空から雷が水晶に落ちる。すると水晶は雷を纏い、亀裂が入る。亀裂の奥から翡翠色の鋭い眼光が戌亥を睨みつける。徐々に亀裂が大きくなり、水晶が粉々になると、そこから水晶を身にまとった龍が現れた。水晶の龍が咆哮を上げると、猛烈は突風が巻き起こり、無数の雷が雨のように落ちる。

 

「……なんつう……禍々しいカードや」

「バトル! クリスタル・ノヴァで【獄炎獣 オルトロス】に攻撃! 【怒れる雷の裁き】!!」

 

 オルトロスが口から炎を漏らしながら、クリスタル・ノヴァに向かって飛び掛かる。クリスタル・ノヴァは翼に雷が蓄積され、禍々しく輝く翼でオルトロスを引き裂いた。

 

「くぅぅ!!」

 

戌亥とこLP:5000→4000

 

「続けて、クラウン・キマイラでダイレクトアタック!!」

「くぅぅぅぅぅ!!」

 

戌亥とこLP:4000→1400

 

「俺はカードを一枚伏せてターンエンド。さぁ、この盤面をどうひっくり返す!!」

「はぁ……ウチのターン、ドロー。ウチは墓地の【獄炎獣の輪廻】の効果を発動。このカードをゲームから除外することで、墓地の【獄炎獣 ガゼル】を手札に加え、効果発動」

(……クリスタル・ノヴァの効果で止められるが……攻撃力はそこまで上がらないし……大型モンスター先で使うか)

「…………通すよ」

 

【獄炎獣 ガゼル】

レベル2/チューナー/闇属性/獣族/攻1300/守0

〇自分フィールドにモンスターが存在しない時、このカードを特殊召喚することができる。

 

「【獄炎獣 ガゼル】を特殊召喚。さらに【獄炎獣 ハウンド】を召喚。そして、【獄炎獣 ラクーン】を特殊召喚。【獄炎獣の柱】の効果を発動、手札を一枚墓地に送ることで、墓地の【獄炎獣 ファルコン】を特殊召喚。墓地に送られた【獄炎獣 バッファロー】の効果を発動」

 

【獄炎獣 バッファロー】

レベル4/闇属性/獣族/攻2000/守0

〇このカードが【獄炎獣】カードによって墓地に送られた時、発動することができる。デッキから【獄炎獣】魔法・罠カードを手札に加える。

 

「ウチは【獄炎獣の覚醒】を手札に加える。ウチはレベル3【獄炎獣 ラクーン】に【獄炎獣 ファルコン】でチューニング。シンクロ召喚。レベル5【獄炎獣 ユニコーン】」

 

【獄炎獣 ユニコーン】

レベル5/シンクロ/闇属性/獣族/攻0/守2300

【獄炎獣】チューナー+チューナー以外の【獄炎獣】モンスター

〇シンクロ召喚に成功した時、デッキからレベル2以下の【獄炎獣】モンスターを一体特殊召喚する。。

 

「【獄炎獣 ユニコーン】の効果でデッキから【獄炎獣 ラット】を特殊召喚」

 

【獄炎獣 ラット】

レベル1/闇属性/獣族/攻0/守0

〇一ターン一度、フィールドの【獄炎獣】モンスターを破壊することで、デッキからレベルの異なる【獄炎獣】モンスター一体を特殊召喚する。

 

「【獄炎獣 ラット】の効果で【獄炎獣 ハウンド】を破壊することで【獄炎獣 キャット】を特殊召喚」

 

【獄炎獣 キャット】

レベル1/チューナー/闇属性/獣族/攻1000/守0

〇フィールドの【獄炎獣】モンスター一体を破壊することで、このカードのレベルを2~4にすることができる。

 

「この瞬間、【獄炎獣 ハウンド】【獄炎獣の開門】【獄炎獣の柱】の効果を発動。 【獄炎獣の柱】の効果でカードを一枚ドロー。【獄炎獣の開門】の効果で墓地の【獄炎獣 バッファロー】を手札に。【獄炎獣 ハウンド】の効果でデッキから二体目の【獄炎獣 ファルコン】を手札に加える。ウチはレベル1【獄炎獣 ラット】に【獄炎獣 キャット】をチューニング。レベル2【獄炎獣 ジャッカル】」

 

【獄炎獣 ジャッカル】

レベル2/シンクロ/チューナー/闇属性/獣族/攻1400/守0

〇シンクロ召喚に成功した時、墓地の【獄炎獣】カードを手札に加える。

 

「ウチは【獄炎獣 ジャッカル】の効果で【獄炎獣 ラクーン】を手札に加える。さらに手札から【獄炎獣の覚醒】」

 

【獄炎獣の覚醒】

魔法

〇墓地の【獄炎獣】シンクロモンスターを一体特殊召喚する。

〇墓地のこのカードをゲームから除外することで、墓地の【獄炎獣】モンスターを一体手札に加える。

 

「墓地の【獄炎獣 レオン】を特殊召喚。ウチはレベル5【獄炎獣 ユニコーン】とレベル5【獄炎獣 レオン】にレベル2【獄炎獣 ジャッカル】をチューニング。地獄の番犬よ。地獄の門より獄炎と共に現れよ!! デルタアクセルシンクロ! レベル12【獄炎獣 ケルベロス】!!」

 

【獄炎獣 ケルベロス】

レベル12/シンクロ/闇属性/獣族/攻4000/守0

【獄炎獣】シンクロチューナー+チューナー以外の【獄炎獣】シンクロモンスター二体以上

〇このカードの攻撃力は自分の墓地の【獄炎獣】モンスターの数×500アップする。

〇フィールドのこのカードは相手の効果では破壊されない。

〇一ターン一度、自分フィールド・手札の【獄炎獣】モンスター一体を破壊し、フィールドのカード三枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。この効果は相手のターンにも発動することができる。

 

「【獄炎獣 ケルベロス】の効果で攻撃力をアップ!」

 

獄炎獣 ケルベロス 攻撃力:4000→8500

 

「バトル! 【獄炎獣 ケルベロス】で【魔水晶の雷嵐龍 クリスタル・ノヴァ】に攻撃!!」

「これは驚いた…………こちらの発動タイミングをミスったのは認めるが、純粋なパワーでクリスタル・ノヴァを倒そうとするとは! でも、甘ちゃんだよ! 伏せカード発動! 速攻魔法【UnknownCode-リンク・オーバーロード-】を発動!!」

「っ!?」

 

【UnknownCode-リンク・オーバーロード-】

速攻魔法

フィールドのリンク5【Unknown】モンスター一体を選択して発動することができる。そのモンスターを墓地に送ることで、EXデッキから同じ属性・種族でリンクマーカーの数が一つ多い【Unknown】モンスターをリンク召喚扱いで特殊召喚することができる。

 

 

「俺は【魔水晶の雷嵐龍 クリスタル・ノヴァ】を墓地に送ることで、リンク召喚!! 次元を超えた集いし魂が今、交わり、究極の龍へと昇華する! 究極を超えた究極! 【ダイヤモンドダスト・ブレイザー・ドラゴン】!!」

 

 クリスタル・ノヴァが再び、水晶に包まれるとその上からダイヤモンドが上書きするように全身を包み込んだ。ダイヤモンドに亀裂が入り、粉々に砕かれると、そこにはダイヤモンドで出来た巨大な龍が現れた。ダイヤモンドの龍が咆哮を上げると、砕かれたダイヤモンドが飛び散り、眩い結晶が雪のように舞い散った。

 

【ダイヤモンドダスト・ブレイザー・ドラゴン】

リンク6/風属性/ドラゴン族/攻4000/←↙↓↖→↑

名前の異なる効果モンスター5体以上

このカード名はルール上【Unknown】カードしても扱う。

〇一ターン一度、以下の効果から一つを選択して発動できる。この効果は相手ターンにも発動することができる。

●相手が魔法・罠・モンスターの効果を発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。

●相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に発動できる。それを無効にし、そのモンスターを破壊する。

●相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。その攻撃を無効にし、その後バトルフェイズを終了する。

〇このカードが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に発動する。このカードの攻撃力はそのダメージ計算時のみ、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする。

〇このカードが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時までカードの効果を発動できない。

 

「さぁ、とこちゃん! 君のモンスターで俺の【ダイヤモンドダスト・ブレイザー・ドラゴン】を攻撃するかい?」

「くっ……。ウチはこれでターンエンド」

「では、ラストターンだね。ドロー……………さぁ、バトル! 【ダイヤモンドダスト・ブレイザー・ドラゴン】で【獄炎獣 ケルベロス】に攻撃!! この瞬間、【ダイヤモンドダスト・ブレイザー・ドラゴン】の効果発動! 【獄炎獣 ケルベロス】の攻撃力分アップする。【ダイヤモンド・ミラージュ】!!」

 

ダイヤモンドダスト・ブレイザー・ドラゴン 攻撃力分:4000→12500

 

 ダイヤモンドの龍が翼を広げ、咆哮を上げる。周囲に舞い散っていた結晶が光だし、龍の頭上に集約されていく。光はレーザーとなって放たれた。光のレーザーはケルベロスを包み込み、ケルベロスは跡形もなく消滅した。

 

 

「くっ!? うわぁぁぁl」

 

戌亥とこLP:1400→0

 

「とこちゃん!!」

「戌亥!!」

 

 倒れた戌亥にリゼとアンジュが近寄った。戌亥は気を失って眠っていた。

 

「いやー、強かった! さすがとこちゃん!! 俺も切り札を使うとは思わなかったよ!」

 

 力一は嬉しそうに拍手をした。

 

「力一さん! どうして!」

「あれ? とこちゃんの反応から社長とかとグルかと思ったんだけど、違ったみたい。……うーん……どうしようかな…………そうだ」

 

 ワザとらしく手をポンと叩き、指パッチンをすると急にリゼとアンジュの様子が変貌した。

 

「あ、あれ? ……急に眠くなってきた……」

「い、戌亥をたすけ……ない……と」

 

 リゼとアンジュはその場で倒れ込んで眠ってしまった。

 

「上手くいったみたいだね。……さてと……」

 

 デュエルディスクを外すとポケットから先ほどリゼに渡そうとしたカードを取り出して、戌亥の方を見た。

 

「当初は皇女にカードを渡す予定だったけど……ちょっとこっちも興味があるな」

 

 力一は二枚のカードを眠っている戌亥に握らせた。  

 




オリカ紹介
【獄炎獣(ヘル・フレイム)】
地獄と動物をモチーフにしたデッキ
破壊された時にトリガーとなり、展開していくシンクロ主体のデッキ。
破壊され、墓地にいればいるほどエースであるケルベロスの力が増す。

【狂化師(クレイジーワイズ)】
ピエロと悪魔をモチーフにしたデッキ
自分のライフが低い時じゃないと効果が発動できないトリッキーなデッキであるため、ライフ管理が重要になっていく。

【UnknownCode-リンク・オーバーロード-】
【Unknown】カードを真の姿に変えるカード。所有者が誰でも使えるわけではなく、適合している者にか扱うことができない。

【ダイヤモンドダスト・ブレイザー・ドラゴン】
【魔水晶の雷嵐龍 クリスタル・ノヴァ】の真の姿。その姿は【コズミック・ブレイザー・ドラゴン】や【クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン】に似ているが関連性は不明。
圧倒的な防御力と攻撃力を兼ね備えている隙の無いモンスター。


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BATTLE.11「加賀美ハヤトvsDuelAndroido-Σ-」

年の瀬で仕事が忙しく、更新が遅くなり申し訳ございません。

何故か、どんどん書く量が増えていっている気がしますが、書いていて楽しくて仕方ないので、ご了承ください。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。


都内のショッピングモール。

 

 加賀美、葛葉、笹木はショッピングモールを駆け抜けていた。

 人混みをすり抜けるように差しり抜ける。葛葉は笹木を背負っていた。

 

「社長! なんでショッピングモールに!?」

「ここにウチの直営店があるんですよ! そこを地下を私達のアジトにしているんです」

「確かにここならバレずらいですけど! 人が多い!!」

「何とか駆け抜けてください」

 

 二人が走りながらやり取りをしていると黛から通信が入った。

 

『どーも。二人に良いニュースと悪いニュースがあるよ』

「良いニュースで!」

「悪いニュースで!」

「「あ、そちらからどうぞ!」」

『…………ネタやってないで……。では、良いニュースから。不破君が【Unknown】カードを所有してた尊さんを倒したよ』

「おぉ、さすが不破っちFC!!」

『でも、カードは力一さんに取られちゃったみたい』

「そうですか……ということは力一さんさんは黒幕に近い存在みたいですかね」

『それで悪いニュースはチャイカさんがエリー・コニファーに。明那が鈴原るるに負けたよ』

「鈴原るる!? ちょ、何でよりによって、あの人なの!?」

「これはマズいですね……ですが、【Unknown】カードの所有者が半分以上、判明したのは朗報です。叶さん、エリー・コニファーさん、鈴原るるさん、そして……ジョー・力一さん。残りは二人です」

『そうだね。残りも見つけて、なんとか止めないと』

「黛さん。とりあえず、私たちはこれからそちらに合流します」

『了解。不破君に明那とチャイカさんの回収をお願いしてる。ついでにセレ女の五人もいたから協力してもらってる』

「かしこまりました……っ!? 葛葉さん、止まってください」 

 

 加賀美の声で葛葉は急ブレーキをかけて、止まった。

 すると、正面からリゼとアンジュが加賀美たちの方に向かって走ってきた。

 

「お? 皇女様にアンジュさん?」

「黛さん……あの二人は?」

『……どうだろう?』

「いや、あの二人は大丈夫そうっす。叶の時みたいな何かが取り憑かれている感じがしないので」

「そういえば、葛葉には判別できたんでしたね」

「とりあえず、お二人の話を聞いてみましょう」

 

 リゼとアンジュが加賀美たちの元に駆け寄ると息を切らしていた。

 

「はぁ……はぁ……す、すみません! とこちゃん見ましたか!?」

「そ、それか力一さん!」

「お、落ち着いて下さい。戌亥さんも力一さんも見ていません」

『力一さん……これは……もしかすると』

「えぇ、そうですね。お二人ともちょっとお話を聞きたいので、私たちに着いてきて貰ってもいいですか?」

「で、ですがとこちゃんが!!」

「落ち着いて下さい。もしかしたら私たちもお力になれるかと」

「何か知っているんですか!?」

「それを含めてお話ししたいので」

「リゼ、闇雲に探しても仕方ないから、ここは社長たちの所に行こう」

「あ、アンジュでも……とこちゃんが……」

『そこは心配ないと思うよ』

 

 社長は通話をスピーカーに切り替えて、皆に聞こえるようにした。

 

「あ、黛君!?」

『こっちも力一さんを探しているんだ。たぶん、戌亥さんはそれに巻き込まれたみたい。でも、すぐにどうこうするわけではないと思う。俺の方からも今の状況を説明したいから良いかな』

「…………分かった。あんじゅ行こう」

「そうだね」

「では、いきますか。申し訳ございませんが速足で行きますよ」

「…………社長。そうもいかなくなった見たいです」

 

 葛葉が何かを察して、自分たちが走ってきた方を指を指すと、人混みが何かを避けるように左右に広がった。その先には人型のロボットが加賀美たちに向かって来ていた。

 

「あれは?」

『もしかして……通知で来ていたデュエルアンドロイド……っ!? マズい、運営の息が掛かっているロボットってなると』

「十中八九、私たちの排除ですかね……。葛葉さん!! 申し訳ございませんが先に行ってください! 道は黛さんが案内してくれます!」

「っ!? 危険っすよ!」

「私が足止めしつつ、あれを倒します!」

 

 加賀美はデュエルディスクを構えた。

 

「分かりました! リゼさん、アンジュさん行きますよ!」

 

 葛葉は二人を連れて走り去った。それと同時に加賀美の元にロボットが到着した。

 

『にじさんじライバー【加賀美ハヤト】を認識。敵対ライバーと認定。これよりデュエルで排除します』

(……敵対ライバー……やはり運営も動いてきましたか)

「いいでしょう! 相手になります!」

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

『先攻は貰います。私のターン。私はフィールド魔法【暴走魔法陣】を発動。デッキから【召喚師アレイスター】を手札に加え、そのまま召喚します。【召喚師アレイスター】の効果でデッキから【召喚魔術】を手札に加えます。私は【召喚アレイスター】でリンク召喚。【転生炎獣アルミラージ】をリンク召喚。さらに【転生炎獣アルミラージ】でリンク召喚。【セキュア・ガードナー】をリンク召喚。手札から【召喚魔術】を発動。フィールドの【セキュア・ガードナー】と墓地の【召喚師アレイスター】を除外して、【召喚獣メルカバー】を融合召喚』

 

 Σの正面に獣と騎士が合わさった機械のモンスターが現れた。

 

『私は手札の【教導の聖女エクレシア】を特殊召喚。デッキから【教導の大神祇官】を手札に加えます。そのまま【教導の大神祇官】の効果発動。墓地の【転生炎獣アルミラージ】をゲームから除外することで【教導の大神祇官】を特殊召喚。そのまま効果を発動。EXデッキから【灰燼竜バスタード】と【エルシャドール・アプカローネ】を墓地に送る』

「私もEXデッキからカードを二枚墓地に送ります」

『墓地の【エルシャドール・アプカローネ】の効果発動。デッキから【影依の偽典】を手札に加え、手札の【シャドール・ビースト】を墓地に送ります。墓地に送られた【シャドール・ビースト】の効果発動。デッキからカードを一枚ドロー。墓地の【召喚魔術】の効果発動。除外されている【召喚師アレイスター】を手札に加え、【召喚魔術】をデッキに戻します。私はカードを三枚伏せ、ターンエンド。エンドフェイズ時、【灰燼竜バスタード】の効果発動。デッキから【教導の騎士フルルドリス】を手札に加えます』

「これは……召喚獣教導ッ! ガチデッキじゃないですか。確実に私たちを排除するつもりみたいですね。私のターン、ドロー!」

『スタンバイフェイズ時に【影依の偽典】を発動』

「くっ……! 続けます。私は手札の【魔境絶唱(デモンズ・ヴォイス) ベーゼ】を墓地に送り、【ワン・フォー・ワン】を発動します!」

『【召喚獣メルカバー】の効果を発動。手札の【影依融合】を墓地に送り、【ワン・フォー・ワン】を無効にします。さらに手札の【教導の騎士フルルドリス】を発動。フルルドリスを特殊召喚』

「っ! 【天帝従騎イデア】を召喚! 【天帝従騎イデア】の効果を発動!」

『フィールドの【教導の騎士フルルドリス】の効果発動。【天帝従騎イデア】の効果を無効にします』

「まだです! 私は手札から【ワンチャン!?】を発動! ……何かありますか?」

『通します』

「私はデッキから【魔境絶唱 オロゴス】を手札に加え、効果を発動!」

 

【魔境絶唱 オロゴス】

レベル1/闇属性/悪魔族/攻200/守700

〇フィールドにレベル1モンスターが存在する場合に発動できる。手札のこのカードを特殊召喚することができる。

〇このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動する。このターン、自分は通常召喚に加えて一度だけ、自分メインフェイズにアドバンス召喚できる。

 

『【影依の偽典】の効果発動。墓地の【エルシャドール・アプカローネ】と【シャドール・ビースト】をゲームから除外することで【エルシャドール・ミドラーシュ】を融合召喚』

「私は【魔境絶唱 オロゴス】を特殊召喚! このターンの特殊召喚を潰してきましたか! 私は【汎神の帝王】を発動! 手札の【真源の帝王】を墓地に送り、カードを二枚ドロー! 墓地の【汎神の帝王】の効果発動! このカードをゲームから除外することで、デッキから【帝王の深怨】を三枚見せます」

『左を選択します』

「手札の【魔境絶唱 ヴェートーベン】を見せ、【帝王の深怨】を発動! 【真帝王領域】をデッキに加え、そのまま発動! 【真帝王領域】の効果を発動します! 【魔境絶唱 ヴェートーベン】を見せ、レベルを二つ下げます! 【天帝従騎イデア】をリリースして、【魔境絶唱 ヴェートーベン】をアドバンス召喚!!」

 

【魔境絶唱 ヴェートーベン】

レベル8/闇属性/悪魔族/攻2800/守1000

〇このカードがアドバンス召喚に成功した時、相手のモンスター一体を墓地に送る。

〇一ターンに一度、フィールドの【魔境絶唱】モンスターをリリースすることで発動することができる。このターン、このカードはバトルフェイズ中に二回攻撃することができる。

 

 加賀美のフィールドにスーツを着た男性の悪魔が現れた。悪魔の髪は無数の蛇になっており、メデューサのようだった。

 

「ヴェートーベンの効果を発動! 【教導の大神祇官】を墓地に送ります!」

『【ドラグマ・パニュッシュメント】を発動。【魔境絶唱 オロゴス】を選択し、EXデッキから【旧神ヌトス】を墓地に送り、【魔境絶唱 オロゴス】を破壊。そして、墓地に送られた【旧神ヌトス】の効果を発動します。【魔境絶唱 ヴェートーベン】を破壊』

「手札から速攻魔法【魔境絶唱 魔王の神光】を発動します!」

 

【魔境絶唱 魔王の神光】

速攻魔法

〇フィールドのアドバンス召喚された【魔境絶唱】モンスターが存在する場合に発動することができる。このターン、【魔境絶唱】モンスターは相手カード効果を受けない。

 

「魔王の神光の効果で【魔境絶唱】に効果耐性が付与されました!」

『【ドラグマ・パニュッシュメント】の効果を処理します』

「【魔境絶唱 ヴェートーベン】の効果で【教導の大神祇官】を墓地に送り、そのまま、もう一つの効果を発動! 【魔境絶唱 オロゴス】をリリースすることで二回攻撃できます! バトル! 【魔境絶唱 ヴェートーベン】で【エルシャドール・ミドラーシュ】に攻撃!」

 

DuelAndroido-Σ-LP:4000→3400

 

「続けて、【教導の騎士フルルドリス】に攻撃!」

 

DuelAndroido-Σ-LP:3400→3100

 

「これで特殊召喚の制限は無くなった! 私は墓地の【魔境絶唱 ベーゼ】を特殊召喚! これでターンエンドです」

『私のターン、ドロー』

「【真帝王領域】の効果でEXデッキからモンスターを出すことはできません!」

『私はエクレシアを守備表示にし、モンスターを一体セットして、ターンエンドです』

「私のターン、ドロー! 墓地の【真源の帝王】の効果発動! 【帝王の深怨】をゲームから除外することで、【真源の帝王】をモンスター扱いで特殊召喚! 【真帝王領域】の効果で手札の【魔境絶唱 ショパン】のレベルを二つ下げます。私は【真源の帝王】をリリース、【魔境絶唱 ショパン】をアドバンス召喚! ショパンの効果を発動! デッキからレベル1【魔境絶唱】モンスター二体を墓地に送ることで、【影依の偽典】と【教導の聖女エクレシア】をデッキに戻します。墓地の【魔境絶唱 ヨードン】の効果を発動!」

 

【魔境絶唱 ヨードン】

レベル1/闇属性/悪魔族/攻0/守0

〇墓地のこのカードと【魔境絶唱】モンスターを一体をゲームから除外することで、デッキからカードを二枚ドローする。

 

「私は【魔境絶唱 ヨードン】と【魔境絶唱 オロゴス】をゲームから除外することで、カードを二枚ドロー! これなら! 私は手札から【死者蘇生】を発動! 墓地の【天帝従騎イデア】を特殊召喚! 効果発動、デッキから【冥帝従騎エイドス】を特殊召喚! 私は【天帝従騎イデア】と【冥帝従騎エイドス】をリリース! アドバンス召喚【魔境絶唱 シューベルト】! シューベルトの効果で相手のセットカードを全てゲームから除外する!」

『通します』

「バトル! 【魔境絶唱 シューベルト】でセットモンスターで攻撃! 【魔境絶唱 ショパン】と【魔境絶唱 ヴェートーベン】でダイレクトアタック!!」

 

DuelAndroido-Σ-LP:3100→0

 

 デュエルが終わるとロボットは力尽きるように倒れた。

 

「ふぅ……疲れました。相手がEXデッキ依存のデッキで助かりました。さて……追いかけましょうか」

 

 加賀美が葛葉たちの元に追いかけようとすると、先ほど倒したロボットと同じロボットが数体、加賀美の方に向かってきた。

 

「…………マジですか……」

 

 加賀美は再び、デュエルディスクを構えた。

 

 




オリカ紹介

今回はオリカなしなので省略していただきます。


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BATTLE.12「葛葉vs舞元啓介」

仕事が忙しく、執筆に時間が掛かってしまい申し訳ございません。
ゆっくり書きながら進めていきますので、気長にお待ちください。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。


ショッピングモール内のとある店舗。

 

 加賀美インダストリアルの直営店。

 葛葉、笹木、リゼ、アンジュは直営店に着き、店員に事情を話すと、奥の部屋に案内され、部屋に進む。

 そこは薄暗く、たくさんのモニターが並んでいた。薄暗い部屋にはにじさんじライバー兼ハッカーの黛が椅子に座りながら軽快にキーボードを操作していた。

 

「どーも。皆、来たみたいだね」

 

 黛は座りながら椅子を回転させ、皆の方を向いた。

「大体は通話越しに聞いてたから状況は知ってるよ。たぶん、この中だと一番、状況を理解していると思うし」

「それは良いんだが……社長がッ!」

「それは大丈夫」

 

 黛が扉の方を指差すと扉が開かれ、加賀美がやってきた。

 

「皆さん。お待たせしました」

「社長!!」

「すみません……お待たせいたしました。相手がえげつないデッキを使ってきたので……召喚獣教導に……サンダードラゴン……オルフェゴール……エルドリッチ……閃刀姫……どれもこれもガチデッキでした」

 

 額に付いていた汗を拭いながら椅子に座る。

 

「ハヤトさん、お疲れ様。……早速、俺の方から説明を」

「いえ、その前に……どうぞ、お入りください」

 

 加賀美の案内と共に部屋にやってきたのは舞元啓介だった。

 

「舞元さん!?」

「うぃーっす。皆、揃っているみたいだな」

「実は先ほどのデュエルも舞元さんがほとんどの敵を倒してくださったんですよ」

「なんか大変そうだったからね」

 

 舞元はドカッと座るとペットボトルのキャップを外し、豪快に飲む。

 

「ッハー!! ……さて、俺も色々聞いていいかな?」

「そうだね。そろそろ話そうか」

 

 黛は【Unknown】カードのことを話した。

 【Unknown】カードの危険性。所有者が誰か。その裏でジョー・力一が動いていること。ジョー・力一の後ろにいちから本社が関わっていること。自分たちを排除しようとアンドロイドが徘徊していること。

 

「……以上が今の現状かな。皇女殿下の話を聞くとおそらく戌亥とこさんも【Unknown】カードの所有者になったかと推測されるね」

「そんな……とこちゃんが……」

「…………戌亥は力一に負けて連れ去られたのか……アイツ……最近、様子がおかしいと思ったら裏でそんなことやっていたのか」

「叶ッ……」

 

 座っていた葛葉は勢い良く立ち上がった。その拍子で椅子が倒れた。

 

「葛葉」

「舞元さん。なんすか?」

「冷静になれ……叶君の所に行ったって負けるだけだぞ?」

「じゃあ、ここで呑気にしてろと!!」

「葛葉さん! 落ち着いて下さい! 今は対策を考えましょう」

「そうだよ。ハヤトさんの言う通りだよ」

「さっさとあの野郎をぶっ飛ばす!!」

「しゃあーないか」

 

 舞元も立ち上がるとデュエルディスクを構えた。

 

「一人で突っ走るのは勝手だが…………突っ走るなら、それなりの力がないとな」

「別にいいっすよ」

 

 葛葉もデュエルディスクを構えた。

 

「これ止めた方が良いのでは……?」

「いや、舞元さんにも考えがあると思うし、葛葉には一回、頭を冷やしてもらわないと」

「ア、アンジュ。これどうしよう」

「うーん……私たちはどうすることも出来ないしなぁ……てか、超展開に頭が追い付いていない」

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「先攻はいかせってもらうっすよ! 俺のターン! 【ヴァンパイア・ビースト】を召喚!」

 

【ヴァンパイア・ビースト】

レベル4/闇属性/アンデット族/攻1600/0

〇このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから【ヴァンパイア】魔法・罠カードを一枚手札に加える。

 

「俺は【ヴァンパイアの領域】を手札に加え、そのままは発動! ライフを500払い、【ヴァンパイア・ケンプファー】を追加召喚!」

 

葛葉LP:4000→3500

 

【ヴァンパイア・ケンプファー】

レベル4/闇属性/アンデット族/攻1800/1300

〇一ターンに一度、手札を一枚墓地に送ることで発動することができる。墓地に送ったカードの種類(モンスター・魔法・罠)と同じカードの種類を互いのデッキから墓地に送ることできる。

〇このカードを素材としてX召喚した【ヴァンパイア】モンスターは以下の効果を得る。

●このX召喚に成功した場合に発動する。このカードの攻撃力は1000アップする。

 

「俺は手札の【ヴァンパイア・ヘルツォーク】を墓地に送り、効果を発動! 互いのデッキからモンスターカードを墓地に送る。俺は【ヴァンパイア・リッター】を墓地に送る」

「俺は【召喚僧サモンプリースト】を墓地に送る。自分の墓地肥やしは構わないが、相手にアドバンテージを与えるのはどうかと思うぞ?」

「うるさいっすよ。俺は【ヴァンパイア・ビースト】と【ヴァンパイア・ケンプファー】でエクシーズ召喚! ランク4【ヴァンパイア・ズィーガー】!!」

 

【ヴァンパイア・ズィーガー】

ランク4/闇属性/アンデット族/攻2000/守1600

【ヴァンパイア】モンスター×2

〇このカードのX素材を一つ取り除き、発動することができる。墓地のレベル5以上の【ヴァンパイア】モンスターを特殊召喚する。

 

「【ヴァンパイア・ケンプファー】の効果で【ヴァンパイア・ズィーガー】の攻撃力を上げる!」

 

ヴァンパイア・ズィーガー 攻撃力:2000→3000

 

「【ヴァンパイア・ズィーガー】の効果発動! エクシーズ素材を取り除き、墓地の【ヴァンパイア・ヘルツォーク】を特殊召喚!」

 

【ヴァンパイア・ヘルツォーク】

レベル8/闇属性/アンデット族/攻3000/1500

〇一ターン一度、、手札の【ヴァンパイア】モンスターを墓地に送ることで、墓地に送った【ヴァンパイア】モンスターよりレベルの低い【ヴァンパイア】モンスター一体を自分の墓地から特殊召喚する。

 

「まだまだいきますよ! 【ヴァンパイア・ヘルツォーク】の効果発動! 手札の【ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア】を墓地に送り、墓地の【ヴァンパイア・リッター】を特殊召喚!」

 

【ヴァンパイア・リッター】

レベル5/闇属性/アンデット族/攻2400/1700

〇墓地に存在するこのカードが【ヴァンパイア】カードの効果で特殊召喚した時、ライフを1000回復する。

〇一ターン一度、フィールドのモンスターを一体選択し発動することができる。そのモンスターをエンドフェイズ時までレベルを5にして【ヴァンパイア】として扱うことができる。

 

「【ヴァンパイア・リッター】の効果でライフを回復!」

 

葛葉LP:3500→4500

 

「俺はこれでターンエンド。さっさと舞元さんを倒して、叶の所に行かせてもらいます!」

「そう焦るなよ。俺のターン、ドロー! 俺は手札から【B11(バーニング・イレブン)-ドリームクラブ】を発動!」

 

【B11-ドリームクラブ】

永続魔法

〇このカードの発動時の効果処理として、デッキからレベル4以下の炎属性・戦士族モンスター1体を手札に加える事ができる。

〇一ターン一度、自分のターン中に自分がダメージを受けた時、デッキから【B11】モンスターを手札に加えることができる。

 

「俺は【B11-バーニング・ジョッキー】を手札に加え、そのまま召喚!」

 

【B11-バーニング・ジョッキー】

レベル4/炎属性/戦士族/攻1800/100

〇一ターン一度、自分がダメージを受けた時に発動することができる。手札の【B11】モンスターを一体特殊召喚する。

 

「続けて、俺は手札の【B11-ラガーマン】の効果発動!」

 

【B11-バーニング・ラガーマン】

レベル4/炎属性/戦士族/攻1800/100

〇フィールドに【B11】モンスターが存在する時、手札のこのカードを特殊召喚することができる。その後、自分は500ポイントダメージを受ける。

 

「俺は【B11-バーニング・ラガーマン】を特殊召喚! 効果でダメージを受ける」

 

舞元啓介LP:4000→3500

 

「この瞬間、【B11-ドリームクラブ】と【B11-バーニング・ジョッキー】、手札の【B11-バーニング・ジャンシ】の効果発動! ドリームクラブの効果でデッキから【B11-バーニング・バッター】を手札に加える。バーニング・ジョッキーの効果でさっき手札に加えた【B11-バーニング・バッター】を特殊召喚! そして、手札の【B11-バーニング・ジャンシ】を特殊召喚!」

 

【B11-バーニング・バッター】

レベル4/炎属性/戦士族/攻1600/100

〇一ターン一度、相手の攻撃表示のモンスターを一体破壊することができる。その後、自分は500ポイントダメージを受ける。

 

【B11-バーニング・ジャンシ】

レベル4/炎属性/戦士族/攻1000/100

〇自分がダメージを受けた時、発動することができる。手札のこのカードを特殊召喚することができる。

 

「俺は【B11-バーニング・ジョッキー】、【B11-バーニング・ジャンシ】、【B11-バーニング・ラガーマン】でリンク召喚! 召喚条件は【B11】モンスター三体! 燃え上れ!! 【B11-バーニング・レスラー】!!」

 

【B11-バーニング・レスラー】

リンク3/炎属性/戦士族/攻2500/↙↑↘

【B11】モンスター三体

〇一ターン一度、自分がダメージを受けた時、発動することができる。相手のモンスターを一体破壊する。

〇このカードが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードのリンク先の自分のモンスター一体を破壊できる

 

 舞元の両端に火柱が昇ると、舞元の背後から巨漢が飛んできた。綺麗に一回して着地すると火柱が爆ぜ、火の粉が舞う。巨漢は身体中に炎を纏っていた。

 

「俺はバーニング・バッターの効果で【ヴァンパイア・ヘルツォーク】を破壊! その後、500ダメージを受ける! ダメージを受けた瞬間、【B11-バーニング・レスラー】の効果発動! 【ヴァンパイア・ズィーガー】を破壊! バトル! 【B11-バーニング・レスラー】で【ヴァンパイア・リッター】に攻撃! 【ダイナマイト・ラリアット】!!」

 

 バーニング・レスラーがヴァンパイア・リッターに向かって走る。ヴァンパイア・リッターは剣を構えるが、バーニング・レスラーはヴァンパイア・リッターを横を通り過ぎた。バーニング・レスラーはいつの間にか現れたロープに身体を沈め、ロープの反動で勢いよくヴァンパイア・リッターに飛び掛かる。ヴァンパイア・リッターが振り向くと同時にバーニング・レスラーの腕がヴァンパイア・リッターの首を捉え、反動の勢いを利用して地面に叩きつける。

 綺麗なラリアットを喰らったヴァンパイア・リッターはリングで悶え、そのまま爆散した。

 

舞元啓介LP:3500→3000

葛葉LP:4500→4400

 

「くっ……! 俺のモンスターが!」

「俺はカードを二枚伏せ、ターンエンド」

「…………俺のターン、ドロー……くっ」

「お? いいカードが引けなかったようだな」

「うるさい! 俺は【ヴァンパイア・プリンツェッシン】をリリース無しで召喚! プリンツェッシンの効果発動! 魔法カードを宣言し、デッキから【ヴァンパイアの鮮血】を墓地に送る」

「俺は……なんでも良いか。【戦士の生還】を墓地に送る」

「さらに墓地の【ヴァンパイアの鮮血】の効果発動! このカードをゲームから除外することで、【ヴァンパイア・リューグナー】を手札に加える。【ヴァンパイアの領域】の効果でライフを500払うことで【ヴァンパイア・リューグナー】を召喚!」

 

葛葉LP:4400→3900

 

「俺は【ヴァンパイア・リューグナー】の効果は使わずに手札から【ヴァンパイア・デザイア】を発動! 【ヴァンパイア・リューグナー】を墓地に送ることで【ヴァンパイア・リッター】を特殊召喚! 【ヴァンパイア・リッター】の効果でライフを回復!」

 

葛葉LP:3900→4900

 

「俺はレベル5の【ヴァンパイア・プリンツェッシン】と【ヴァンパイア・リッター】でエクシーズ召喚! ランク5【ヴァンパイア・ユングフラウ】!! 【ヴァンパイア・ユングフラウ】の効果発動! 【B11-バーニング・レスラー】のコントロールを奪う!」

「甘い! 俺はリバースカードオープン! 【B11-マネキン・ドロップキック】を発動!」

 

【B11-マネキン・ドロップキック】

カウンター罠

〇自分フィールドに【B11】モンスターが存在し、相手がカード効果を発動した時に発動できる。その発動を無効にする。自分フィールドに【B11】リンクモンスターが存在する場合、さらに自分フィールドの【B11】モンスター一体を選び、そのモンスターはこのターン戦闘・効果では破壊されない。

 

「【ヴァンパイア・ユングフラウ】の効果を無効にして、このターン【B11-バーニング・レスラー】は破壊耐性を得る!!」

「くっ! まだだ! 俺は【ヴァンパイア・ユングフラウ】一体でオーバーレイ!! 【ヴァンパイア】エクシーズモンスター一体でランクアップ、エクシーズチェンジ! エクシーズ召喚! 恐怖を撒き散らし、紅の月と共に舞い降りろ!! ランク7【紅月龍 リントヴルム】!!」

 

 紅の満月が昇ると、そこから大蛇のような赤い鱗の龍が舞い降りた。赤い龍は口から赤い吐息が漏れ、咆哮を上げる。バーニング・レスラーは赤い龍を挑発するように手招きをする。

 

「リントヴルムの効果を発動! エクシーズ素材を取り除き、バーニング・レスラーを墓地に送る!!」

「そうきたか!!」

 

 バーニング・レスラーが飛び掛かるが赤い龍は口から炎を吐き出し、炎に包み込まれたバーニング・レスラーは塵となって消え去った。

 

「バトル! リントヴルムで【B11-バーニング・バッター】に攻撃!」

「さすがに効くなぁ!!」

 

 舞元啓介LP:3000→1400

 

「俺はこれでターンエンド!」

「俺のターンだな」

「舞元さん。ここで逆転できるカードを引かないと貴方の負けですよ」

「…………いいか、葛葉。真のデュエリストの力を見せてやるよ!」

 

 そういうと徐に舞元の右目に真っ赤な炎が灯った。右目が真っ赤に燃え上がると、それと比例するように右手も真っ赤に燃えた。

 

「舞元さんの右目と右手に炎が!?」

「これが俺の力だ! 真のライバー(デュエリスト)は勝利へ導くカードは己の力で引き当てる!! うおぉぉぉぉぉ! バーニングドロォォォォ!!」

 

 舞元は炎をは取った右手でカードを引いた。

 

「見える! このカードとこの右目があれば勝利への活路がッ!」

「何!?」

「俺は魔法カード【バーニング・オブ・リンク・フュージョン】を発動!」

 

【バーニング・オブ・リンク・フュージョン】

魔法

〇自分のフィールド・墓地から、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、リンクモンスターを融合素材とする融合モンスター一体をEXデッキから融合召喚する。その融合モンスターが炎属性だった場合、以下の効果を得る。●このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

 

「俺は墓地の【B11-バーニング・レスラー】と【B11-バーニング・ジョッキー】、【B11-バーニング・ラガーマン】で融合! 融合召喚! 灼熱の炎を身に纏いし、孤高の戦士が今、リングに舞い降りた! 燃え上れ闘魂! 灼熱のマスク、【B11-バーニング・マスク】!!」

 

【B11-バーニング・マスク】

レベル10/炎属性/戦士族/攻3600/守1500

【B11】リンクモンスター+【B11】モンスター二体

〇フィールドのこのカードは、戦闘では破壊されず、このカードの攻撃力以下の攻撃力を持つ相手モンスターの発動した効果を受けない。

〇自分がダメージを受けた時、発動できる。このカードの攻撃力はターン終了時まで1000アップする。この効果は相手ターンでも発動できる。

〇フィールドのこのカードを対象とする相手の効果が発動した時に発動できる。その発動を無効に互いのプレイヤーに500ポイントダメージを与える。

 

 リングの中央に炎の渦が巻き起こると、そこに真っ赤な覆面を被った屈強なレスラーが仁王立ちしていた。

 

「バトル! 【B11-バーニング・マスク】で【紅月龍 リントヴルム】に攻撃! その瞬間、リバースカードオープン! 【B11-地獄の炎上マッチ】を発動!」

 

【B11-地獄の炎上マッチ】

〇フィールドの【B11】モンスター一体を選択して発動することができる。そのモンスターの攻撃力を1000または2000アップさせる。その後、自分は上げた攻撃力分のダメージを受ける。

 

「俺は【B11-バーニング・マスク】の攻撃力を1000アップさせ、1000ダメージを受ける。そして、バーニング・マスクの効果でさらに1000アップ!!」

 

舞元啓介LP:1400→400

バーニング・マスク 攻撃力:3600→5600

 

「これで終いだ! 【B11-バーニング・マスク】の攻撃! 【メテオ・ハイフライフロー】!!」

 

 リングのコーナーポストにバーニング・マスクが立ち上がり、天高く飛ぶ。天高く飛んだバーニング・マスクは身体に纏っていた炎と共に流星のように流れ落ちる。リントヴルムはバーニング・マスクを飲み込もうと口を大きく開け、迫る。バーニング・マスクとリントヴルムが交わる瞬間、バーニング・マスクの落下の衝撃をリントヴルムは受け止められることができず、そのまま地面に沈んだ。

 動けないリントヴルムにバーニング・マスクがガッチリ、ホールドする。

 

「【バーニング・オブ・リンク・フュージョン】の効果で追加ダメージを受けてもらうぜ!」

「くそっ! ぐはぁぁ!!」

 

 3カウントと共にゴングが響き渡る。

 

「また、負けた……」

「少しは落ち着いたか?」

「舞元さん、さっきの右目の炎は?」

「あれか? あれは勢いとノリでやったらできた」

「す、すげぇ……」

「確かに舞元さんのデュエルには惹かれましたが、いいですか」

 

 デュエルが終わり、ひと段落したところで加賀美が話し出す。

 

「相手は強大で強敵です。単独行動はせずに一丸となって戦いましょう! 不破さんがチャイカさん達を運んでき次第、次の作戦を立てましょう!」

「舞元さん! 俺とまたデュエルしましょう! 俺、もっと強くなって叶の野郎の目を覚ませたい!」

「よっしゃ! どんどんやるか!!」

 

 葛葉と舞元は再び、デュエルディスクを構えた。

 

「あのー……」

 

 恐る恐るリゼが挙手をすると、皆の視線が集まった。

 

「私もアンジュもとこちゃんを救うために協力はしますが、誰が味方なのかがイマイチ分かってないので」

「あぁ。そういえば忘れてた」

 

 黛はリゼに謝罪するとキーボードを操作し始めた。

 

「メンバーは俺、ハヤトさん、明那、不破君、チャイカさん、夜見、葉加瀬、それと椎名さん。あとは皇女殿下とアンジュさんを合わせると10人だね」

「今いないメンバーはどこにいるんですか?」

「不破さんは戦闘不能になった三枝さんとチャイカさんの救出。夜見さんと葉加瀬さんには別室で【Unknown】カードの解析を。そういえば……椎名さんは?」

「あー……それなんだけど」

 

 PCを操作していた黛は気まずそうに喋った。

 

「笹木さんは【Unknown】カードに巻き込まれ、チャイカさんが【Unknown】カードによって重症。それを自分とモニターで見た後、一人でどっか行っちゃった」

「えぇ!? なんで止めなかったんですか!?」

「いや……なんというか……あんな椎名さん見るの初めてだったから、ついね」

「あんな椎名さん?」

「あれはマジ切れかな……?」

 

 

 

 

――――――――――――。

 

 

 

 

都内のとあるカフェ。

 

 ジョー・力一はあるライバーと合うためにお洒落なカフェにやってきていた。

 

「あ、いたいた!」

 

 力一が探していたライバーを見つけるとそこまで駆け足で向かった。

 

「ちょっと遅いんですけど!」

 

 そこにいたのは鷹宮リオンだった。リオンは不貞腐れながらアイスティーを飲んでいた。

 

「ごめん。ごめん。ちょっと先客がいたもんでね」

「はぁ……まぁ、いいや。それで要件って?」

「実はお嬢に渡したいカードがあって」

 

 力一が懐から二枚のカードを取り出した。

 

「カード? あぁ、にじさんじ決闘王の? ウチはあんまり興味がないんだけど、でびのヤツがうるさくてね」

「結構レアものだからさ、受け取ってよ」

「えぇー……まぁ、そこまで言うなら」

 

 リオンは力一が渡そうとしたカードに差し伸べようとした瞬間。

 ゴゴゴゴォォォォ。

 急に突風が吹いた。リオンは差し伸べようとした手を引っ込め、風でなびく髪を抑える。

 

「ちょ、何、この風?」

 

 リオンが困惑していると突風はあっという間に収まった。

 

「ビル風かな?」

「もぉー、髪乱れっちゃったじゃん! 力一! ちょっとお手洗い行ってくる!」

「あー、はいはい。いってらっしゃい」

 

 リオンが速足でトイレに駆け込むと力一はため息を漏らして、椅子に座った。

 

(あぁーあ……タイミングが悪かったな。まぁ、お嬢が戻ってきたらこの炎の【Unknown】カードを渡すとするかな)

 

 力一は持っていた二枚のカードを眺めいた。

 

「見つけたでぇ……力一……」

「っ!?」

 

 誰かの声が聞えた瞬間、力一の全身に悪寒が走った。慌てて立ち上がり、声の方を向くと、そこには椎名唯華が力一の方に向かっていた。

 

「し、椎名さん……? これはこれは奇遇ですねぇ」

「なに、とぼけてんねん。あんたのせいでリーダーや笹木が酷い目にあったんやろ?」

 

 普段の椎名には想像できない鋭い眼光と圧で力一を睨みつける。すると力一は金縛りにあったかのように身動きが取れなくなてしまった。

 正確には金縛りそのものにあっていた。力一の頬に冷や汗が流れ落ちる。

 霊感を持っていない力一ですら、はっきり視認できるほど椎名の周辺に無数の霊が漂っていた。力一は動けなくなった自分の身体を見ると無数の腕が力一の四肢を掴んでいた。

 

(これはヤバい!! もしかして……怒らせちゃマズい人を怒らせた!?)

 

 椎名はゆっくり力一に近づく。椎名の背後にはもはや人の原型をとどめていない、不気味な怨霊が立っていた。

 

「あんたがどんな理由で裏でコソコソしてるか知らんけどなぁ……? あまり鬱陶しいことしてると呪い殺すで?」

 

 




オリカ紹介
「B11(バーニング・イレブン)」
舞元イレブンと今まで舞元がやってきたもの(競馬や麻雀、プロレス)などをモチーフにしたデッキ。
自分がダメージを受ければ受けるほど、展開していくデッキスタイル。
まさしく、自らが燃えることによってさらに強くなる。炎上デッキ。


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BATTLE.13「椎名唯華vsジョー・力一」

やっと仕事納めなので、予定がない日はどんどん投稿していきたいと思います。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。


 椎名の鋭い眼光が力一に突き刺さる。

 

「い、いやだなー……呪い殺すとか。物騒でしょ?」

「御託はえぇねん」

 

 椎名が力一の方に指を指すと、急に力一の首が閉まる。慌てて、力一は首のあたりを見ると青白い手が力一の首を絞めていた。

 

「がっ!? くっ!」

 

 苦しみ出す、力一。どんなにもがこうとするが相手は幽霊。絞めてくる手を掴むこともできず、ただ足掻く。

 力一が苦しんでいると握っていたカードが黒い光を放ち、力一に纏わりついていた幽霊を全て、吹き飛ばした。

 

「!?」

「がはっ!! はー! はー! はーぁ…………危ない危ない」

「なんや、今の力? 明らかに普通の力やないな」

「いやー、俺がこのカードと相性が良くて助かったよ。不適合だったら死んでたわ」

 

 埃を払うようにスーツを叩く。そして、握っていたカードを椎名に見せた。そのカードは先ほど鷹宮に渡そうとしていたカードだった。

 

「当初はリオン様に渡す予定だったんだけど、まさか俺とも相性が良いなんてね。丁度いいや、デュエルで試してみますか」

 

 力一はデュエルディスクを構える。

 

「……デュエルで決着か。別にいいで」

 

 椎名も対抗するようにデュエルディスクを構えた。

 

「「決闘(デュエル)」」

 

「先攻は頂くで」

「お好きにどうぞ」

「ウチのターン。ウチは手札から【強欲なダイス】を発動や」

 

【強欲なダイス】

〇サイコロを1回振り、出た目の効果を適用する。

●1:相手はデッキから二枚ドローする。

●2:相手はデッキから一枚ドローする。

●3:相手はデッキから一枚ドローする。その後、手札を一枚墓地に送る。

●4:自分はデッキから一枚ドローする。その後、手札を一枚墓地に送る。

●5:自分はデッキから一枚ドローする。

●6:自分はデッキから二枚ドローする。

 

「これはこれは……ギャンブルですか?」

「ウチはサイコロを振るで」

 

 椎名の手元にサイコロが現れると、椎名はサイコロを振るう。サイコロは数回、飛び跳ね転がる。次第に勢いがなくなり、サイコロが停止する。止まった目は6だった。

 

「ウチは二枚ドローする!」

「うわぁ……椎名さんがそれやると最早、外れる気がしない」

「ウチはカードを二枚伏せ、【カードカー・D】を召喚。効果発動や。このカードをリリースすることで、二枚ドロー。そのままエンドフェイズになって、ターンエンドや」

「どんだけカードをドローするんですか……まぁ、いいや。俺のターン、ドロー。俺は手札から【おろかな埋葬】を発動! デッキから【Emトリック・クラウン】を墓地に送る。そのまま、【Emトリック・クラウン】の効果を発動! このカードを特殊召喚し、自分は1000ダメージを受ける」

 

ジョー・力一LP:4000→3000

 

「これで準備は完了。さぁ、狂化師によるパフォーマンスをご覧ください!! 【狂化師-シャドウ・バニー】を召喚! シャドウ・バニーの効果を発動! デッキから【狂化師-カースド・メッセンジャー】を特殊召喚!」

 

【狂化師-カースド・メッセンジャー】

レベル4/闇属性/悪魔族/攻1300/守1500

〇自分のLPが相手より低い場合、発動することができる。墓地のレベル4【狂化師】モンスター一体を効果を無効にして特殊召喚する。

 

「俺は手札の【狂化師-ガーゴイル・アクロバット】の効果発動!」

 

【狂化師-ガーゴイル・アクロバット】

レベル4/闇属性/悪魔族/攻1700/守500

〇自分フィールドに【狂化師】モンスターが二体以上存在する場合、手札のこのカードを特殊召喚することができる。

 

「俺は【Emトリック・クラウン】【狂化師-シャドウ・バニー】【狂化師-ガーゴイル・アクロバット】の三体でリンク召喚! 【狂化師-クラウン・キマイラ】を召喚! 【狂化師-クラウン・キマイラ】の効果で墓地の【狂化師-ガーゴイル・アクロバット】を手札に加え、そのまま特殊召喚! そして、【狂化師-カースド・メッセンジャー】の効果で【狂化師-シャドウ・バニー】を墓地から特殊召喚! さぁ、まだまだ行きますよ! 【狂化師-カースド・メッセンジャー】【狂化師-シャドウ・バニー】【狂化師-ガーゴイル・アクロバット】の三体でリンク召喚! リンク3【狂化師-ナイトメア・ミラクル】!!」

 

【狂化師-ナイトメア・ミラクル】

リンク3/闇属性/悪魔族/攻2000/↓↗↘

【狂化師】モンスター二体以上

〇一ターン一度、手札の【狂化師】モンスターを墓地に送ることで、デッキから一枚ドローする。その後、相手のライフを500回復し、自分のライフを1000回復する。

〇一ターン一度、【狂化師】モンスターが墓地に送られた時、発動することができる。相手のモンスター一体を選択し、そのモンスターの攻撃力をこのカードの攻撃力分ダウンさせる。

 

「【狂化師-ナイトメア・ミラクル】の効果発動。手札の【狂化師-デーモン・テイマー】を墓地に送ることで一枚ドロー。そして、それぞれのライフを回復!」

 

椎名唯華LP:4000→4500

ジョー・力一LP:3000→4000

 

「二体のモンスターの攻撃が通れば終わりですが、そうはいかないですよねぇ! 楽しませてくださいよ! バトル! 【狂化師-クラウン・キマイラ】でダイレクトアタック!!」

「手札の【ゴースティー・アリス】の効果発動や! それにチェーンして永続罠【ゴースティー・パーティー】を発動!」

 

【ゴースティー・アリス】

レベル1/光属性/悪魔族/攻700/守500

〇相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚することができる。

〇このカードが戦闘で破壊された時、手札の【ゴースティー】モンスター一体を特殊召喚する。

 

【ゴースティー・パーティー】

永続罠

〇相手ターンに【ゴースティー】モンスターが特殊召喚した時、そのモンスターはこのターンに一度だけ戦闘及び効果では破壊されない。

 

 椎名のフィールドに白いドレスを着た半透明の少女が浮遊するように現れた。

 

「【ゴースティー・アリス】を特殊召喚! そして【ゴースティー・パーティー】の効果でアリスは一度だけ戦闘及び効果では破壊されないで!」

「……では、戦闘が巻き戻るのでクラウン・キマイラでアリスに攻撃!」

「アリスは一度だけ戦闘では破壊されない!」

「続けて、ナイトメア・ミラクルで攻撃!」

「ナイトメア・ミラクルの攻撃にチェーンして永続罠【運命のバリア-デスティニーフォース】を発動!」

 

【運命のバリア-デスティニーフォース】

永続罠

〇一ターン一度、相手モンスターが自分モンスターを攻撃する時、コイントスを一回行い裏表を当てる。当たった場合、攻撃してきた相手モンスターを破壊する。外れた場合、攻撃対象となった自分モンスターを破壊する。

 

「今度はコイントスや」

「いや、絶対当たるでしょ!」

「ウチは表を選択」

 

 今度は椎名の手元にコインが現れ、コイントスをする。コインは宙を舞い、地面に落ちる。数回、飛び跳ねながら地面にピタッと落ちる。コインは表だった。

 

「表やな。ナイトメア・ミラクルを破壊や!」

「もう確定除去じゃないですか」

(……しかも、もし外れても【ゴースティー・パーティー】の効果でしれっと破壊は防げる……。ちゃっかりカバーしているとことが椎名さんだなぁ……)

「俺はカードを一枚伏せてターンエンド」

「ウチのターン、ドロー。ウチは二枚目の【強欲なダイス】を発動」

「せけぇ!!」

「うるさいねん。半分はアンタにメリットあるやん」

「貴女の場合は確定で【強欲な壺】でしょ!?」

「ガタガタうるさいねん。さっさとダイスを振るで」

 

 再び、ダイスを振る。ダイスは地面を転がり、吸い込まれるように6が出た。

 

「二枚ドローや。ウチは永続魔法【ゴースティー・パニック】を発動」

 

【ゴースティー・パニック】

永続魔法

〇一ターン一度、自分フィールドの【ゴースティー】モンスター一体を選択する。そのモンスターはこのターン、相手プレイヤーに直接攻撃することができる。

 

「フィールドの【ゴースティー・アリス】一体でリンク召喚。リンク1【ゴースティー・リリアン】」

 

【ゴースティー・リリアン】

リンク1/光属性/悪魔族/攻1000/↓

①相手のスタンバイ時に発動することができる。このカードをゲームから除外することで、デッキから【ゴースティー】モンスターを一枚手札に加える。

②この①の効果で除外されたターンのエンドフェイズに発動する。このカードを特殊召喚する。

 

「ウチは【ゴースティー・パニック】の効果でリリアンを選択。このターン、リリアンは力一に直接攻撃することができる。バトルや! 【ゴースティー・リリアン】でダイレクトアタック!!」

「あーぁ! 明らかに相性が悪い! 【狂化師-クラウン・キマイラ】の効果でリリアンの攻撃力はライフの差分。つまり500ダウンする! くっ!!」

 

ゴースティー・リリアン 攻撃力:1000→500

ジョー・力一LP:4000→3500

 

「さらにライフに差が出来たから攻撃力が減少!」

 

ゴースティー・リリアン 攻撃力:500→0

 

「ウチはカードを一枚伏せてターンエンド」

「エンドフェイズ時にリバースカード【クレイジー・ボム・シャワー】を発動!」

 

【クレイジー・ボム・シャワー】

〇デッキ上からカードを三枚墓地に送り、その中のモンスターカードの数×300ダメージを互いに受ける。

 

「デッキからカードを三枚墓地に送る……モンスターは二枚。よって、互いに600ダメージを受ける!」

 

椎名唯華LP:3900

ジョー・力一LP:2900

 

「ダメージ調整……? いや、墓地肥やしか!!」

「ご明察! 俺のターン、ドロー!」

「【ゴースティー・リリアン】の効果で自身をゲームから除外することで、デッキから二体目の【ゴースティー・アリス】を手札に加える」

「俺は魔法カード【バックアップ・ドロー】を発動!」

 

【バックアップ・ドロー】

魔法

〇自分フィールドのリンクモンスターを墓地に来ることで発動することができる。デッキから二枚ドローし、手札を一枚墓地に送る。

 

「俺は【狂化師-クラウン・キマイラ】を墓地に送り、カードを二枚ドロー……そして、一枚墓地に送る。さぁ、準備は揃った! 初お披露目だ!! 俺は手札から【UnknownCode(アンノウン・コード)-リンク・オーバー-】を発動!」

 

 力一がカードをデュエルディスクにセットした。するとデュエルディスクから警告音が響き渡った。

 

『エラー。エラー。不正なプログラムを検出しました。不正なプログラムを検出しました。今すぐにプログラムの消去を――――――プログラムを強制インストール。―――――――プログラムのインストール完了。プログラム【Unknown】を起動します。』

 

 警告音が鳴り止むと同時に力一と椎名の周辺に特殊な空間が発生した。

 

「これが【Unknown】カード」

「おや? 【Unknown】カードを知っている? そういえば、チャイカさんや笹木さんのことを知っていたということは反逆側か……まさしく『にじさんじレジスタンス』ですね」

「ほざけ」

「冷たいなぁ……まぁ、このカードならそんな冷たい椎名さんも一瞬で燃やし尽くしてあげますよ! 【UnknownCode-リンク・オーバー-】の効果で墓地のモンスターを5体をゲームから除外することで、リンク召喚! 地獄より降臨せし狂戦士よ。大地や焼き尽くし、生きとし生ける者を殺戮せよ! 煉獄と共に現れよ!! 【ネオスティア・ヴォルケーノ-オーバーロード-】!!」

 

【ネオスティア・ヴォルケーノ-オーバーロード-】

リンク5/炎属性/戦士族/攻4000/↙↓↘→↗↑

名前の異なる効果モンスター5体

このカード名はルール上【Unknown】カードしても扱う。

〇このカードがリンク召喚に成功した時、このカード以外のフィールド上のカードを全て持ち主の手札に戻す。

〇一ターンに一度、墓地のリンクモンスターをゲームから除外することで発動することができる。ゲームから除外したリンクモンスターのリンクマーカーと同じ数、相手の手札を墓地に送ることができる。

 

 力一の背後から噴火のように爆発音と共に火柱が立ち昇る。火柱の中から翼の生えた漆黒の狂戦士が現れた。漆黒の狂戦士の右手はドリルのよな突起物になっていた。

 

「【ネオスティア・ヴォルケーノ-オーバーロード-】の効果発動! このカード以外のカードを全て手札に戻す! 【ヴォルケーノ・スパイラル】!!」

 

 狂戦士は右手のドリルを回転させる。すると回転しているドリルは炎を纏い、業火の渦を巻き起こす。そのまま業火の渦を放つと狂戦士の周辺や焼き尽くされ、焦土と化す。

 

「くっ! ウチのカードが!」

「さらに【ネオスティア・ヴォルケーノ-オーバーロード-】のもう一つの効果を発動! 墓地の【狂戦士-クラウン・キマイラ】をゲームから除外することで、椎名さんの手札三枚を墓地に送ります!」

「ちっ……バウンスからのハンデスかいな」

「さぁ、がら空きの椎名さんにダイレクトアタック!! 【スーパー・メテオ・ノヴァ】!!」

「甘いで! ウチは手札の【ゴースティー・アリス】を発動!」

「くっ! まだ手札に握っていたか! 本当に豪運だなぁ!!」

「【ゴースティー・アリス】を特殊召喚!」

「かまうな! 【ネオスティア・ヴォルケーノ-オーバーロード-】で【ゴースティー・アリス】を攻撃!!」

 

 狂戦士が今度は左手を上に上げると、黒炎が現れた。黒炎は次第に巨大な球体となり、狂戦士は巨大な黒炎を幽霊の少女に向かって放つ。黒炎は幽霊の少女を飲み込み、爆散した。

 

「くっ! 【ゴースティー・アリス】の効果発動! 手札の【ゴースティー・キャロル】を特殊召喚!」

「しぶといな……俺はこれでターンエンド」

「エンドフェイズ時にゲームから除外されていたリリアンがフィールドに戻るで…………ウチのターン、ドロー! ウチは手札から【カップ・オブ・エース】を発動!」

「…………もう、驚かないや」

「コイントスをするで…………コインは表や! 二枚ドロー! ウチは【ゴースティー・コルテー】を召喚!」

 

【ゴースティー・コルテー】

レベル1/光属性/悪魔族/攻600/守800

〇相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚することができる。

〇このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから【ゴースティー】魔法・罠カードを一枚手札に加えることができる。

 

「ウチは【ゴースティー・パニック】を手札に加え、そのまま発動!」

(……嫌なカードが来たな……俺のライフは2900……削られるか?)

「さらにウチは【ゴースティー・コルテー】【ゴースティー・キャロル】【ゴースティー・リリアン】でリンク召喚! リンク3【ゴースティー・パトラ】!!」

 

【ゴースティー・パトラ】

リンク3

/光属性/悪魔族/攻1500/←↓↗

〇フィールドにこのカードしか存在しない時、このカードはバトルフェイス中に二回攻撃することができる。

 

「攻撃力1500の二回攻撃!?」

「さらに【ゴースティー・パニック】の効果で【ゴースティー・パトラ】は直接攻撃ができる! これで終いや! 【ゴースティー・パトラ】で力一にダイレクトアタック!!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 幽霊の少女が力一に襲い掛かる。

 デュエルに決着がついた。……と思われたが。

 

「くくくくっ……あはははは!!」

「っ!? なんでや! なんでライフが減ってないねん!」

「いやー、保険を用意しておいて良かった。俺は墓地の【狂戦士-デビル・ソンガー】の効果を発動していたんだよ」

「そんなモンスターいつの間に!」

「【バックアップ・ドロー】の時に捨ててたのさ」

 

【狂戦士-デビル・ソンガー】

レベル4/闇属性/悪魔族/攻700/守1800

〇相手ターンに墓地のこのカードを除外して発動できる。このターン、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。

 

「くそっ!! 【ゴースティー・パトラ】で二回目の攻撃!」

「それは喰らうよ」

 

ジョー・力一LP:2900→1400

 

「……ウチはこれでターンエンドや」

「万策尽きたかい? 俺のターン、ドロー! 俺は【ネオスティア・ヴォルケーノ-オーバーロード-】の効果発動! 【狂化師-ナイトメア・ミラクル】をゲームから除外することで、椎名さんの手札を三枚墓地に送る!」

「くっ!」

「このターンで終らすよ。俺は手札から装備魔法【狂気の仮面】を発動!」

 

【狂気の仮面】

装備魔法

〇このカードを装備したモンスターの攻撃力を2000アップさせる。

〇自分のライフが相手より多い場合、このカードを装備したモンスターを破壊し、自分は3000ダメージを受ける。

 

ネオスティア・ヴォルケーノ-オーバーロード- 攻撃力:4000→6000

 

「バトル! 【ネオスティア・ヴォルケーノ-オーバーロード-】で椎名さんにダイレクトアタッ」

 

 プルルルル……プルルルル……。

 力一が攻撃宣言を行おうとした瞬間、スマホの着信音が鳴り響いた。

 

「ちょっとタイム!」

 

 攻撃を中断し、スマホを取り出し電話に出た。

 

「もしもし」

『もしもし……力一君、至急いちからの事務所まで戻ってきてくれないか?』

「え、えーと……今、任務中なのですが」

『その任務で聞きたいことがあるのだが……なぜ、リゼ・ヘルエスタではなく戌亥とこに【Unknown】カードを渡した?』

(やべ……報告忘れてた)

「え、えーとですね」

『別に君がどういう風に行動するかは口答えをしないが…………私の命令に従えないのであれば……』

 

 草壁の声のトーンが明らかに変わり、力一の顔が真っ青になった。

 

「す、すぐにそちらに向かいます!!」

 

 力一は通話を切り、スマホとデュエルディスクをしまった。

 特殊は空間と【ネオスティア・ヴォルケーノ-オーバーロード-】が消滅した。

 

「申し訳ないけど、このデュエルは中止で!」

「…………はぁ?」

「もし、俺と戦いたかったら決勝ステージに上がってきなよ。んじゃ!」

 

 そういうと力一は一瞬で姿を消した。

 

「力一!! くそっ!!」

 

 あのままデュエルが続いてたら自分が負けていたことを悟り、椎名は足元にあった小石を乱暴に蹴り飛ばした。

 

 




オリカ紹介
【ゴースティー】
ゴースト+ノーティー(日本語で『行儀が悪い』)を合わせた名前。
相手の攻撃時に特殊召喚して、妨害するデッキスタイル。

【ネオスティア・ヴォルケーノ-オーバーロード-】
五体目の【Unknown】モンスター。
見た目は【E・HERO マグマ・ネオス】に似ているが関連性は不明。
バウンスとハンデスを同時に行うことができる強力なモンスター。


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BATTLE.14「エクス・アルビオ&アルス・アルマルvs月ノ美兎&樋口楓」

自分が試しに書きて見たかったので、今回はタッグデュエルに挑戦してみたいと思います。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
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都内の繁華街。

 

 エクス・アルビオとアルス・アルマルはタピオカを飲みながら繁華街を散策していた。

 

「あー、星が欲しい」

「星が欲しい!? エビ先輩、それダジャレ?」

「ぶふっ! ゴホッ! ゴホッ! タ、タピオカが喉に……!」

 

 タピオカが喉に詰まったエクスがむせる。

 

「はぁー……はぁー……笑わせないでくださいよ」

「はぁ? 自爆したのはそっちでしょ?」

「あー、そんなこと言うんだ! 僕は傷つきました。慰謝料として、そこのクレープを奢ってください」

「先輩が奢ってよ」

 

 エクスとアルスがごちゃごちゃ話していると向かいから二人組の女子がやってきた。

 

「おや? エクスさんとアルスさん。こんにちは」

「こんな所で何してるん?」

 

 やってきたのは月ノ美兎と樋口楓だった。

 

「あー、委員長、樋口さん。こんにちは」

「あ、ど、どうも」

 

 二人に気付いたエクスとアルスが挨拶した。

 

「決勝トーナメントに出るために星を探しているんですよ」

「星を集めるにはデュエルアンドロイド?を探した方が手っ取り早いんですが中々、見つからなくて……」

「あー、あのロボットですか」

「確か……舞元さんと社長があのロボットを倒して決勝トーナメントに進出やったな」

 

 楓はスマホを取り出し、何か調べ始めた。

 

「えーと……決勝トーナメントに進出が決定しているのが舞元さん、社長、るるちゃん、エリーちゃん、叶君、力一さん、不破君、社さん、イブラヒム、長尾景の10人か。ってことは残り半分かぁ」

「意外とペース速いですよね。私たちも頑張らないと。…………と、いうことで、そこのお二人」

「ウチらとデュエルせぇへんか?」

「えー……お二人とですか?」

 

 エクスは明らかに嫌そうな表情を見つけた。

 

「ウチらももう少しで星が20個集まるんや。勝った方が星を総取りってどうや?」

 

 楓の提案を聞いた瞬間、エクスとアルスは後ろを向いて作戦会議を始めた。

 

「師匠!! これに勝てば僕たち決勝トーナメントいけますよ!」

「で、でも……あの二人でしょ? 勝てるの?」

「社長の時は見事メタられましたが今回は大丈夫です!」

「……どこから、そんな自信が……でも……そうだね。ここで勝っちゃえば決勝トーナメントにいけるし、やっちゃいますか」

「やっちゃいましょう!!」

 

 作戦会議を終えた二人はデュエルディスクを構えた。

 

「その話乗りましょう!!」

「ただし、ダッグデュエルで!!」

「タッグデュエルですか……楓ちゃんいけます?」

「美兎ちゃんとなら問題ないで!」

「では、タッグデュエルで問題ありません」

 

 美兎と楓もデュエルディスクを構えた。

 

『にじさんじライバー【月ノ美兎】、【樋口楓】、【エクス・アルビオ】、【アルス・アルマル】のアプリの起動を確認。これよりデュエル配信を開始します。Twitterへの告知も完了。双方はデッキをセットしてください。』

 

 

『きた!』『タッグか!!』『エビマルVSかえみと!』『どっちが勝つか分からないな』『ここで勝ってくれないと決勝トーナメントに行くのが難しくなるな。大丈夫か?』『杞憂乙』『ファイト!』

 

「流れとしましてはどうしますか?」

「面倒やし、美兎ちゃん→エクス君→ウチ→アルスちゃんの順番でええんちゃう?」

「僕は構いませんよ。師匠は?」

「僕も構わないよ」

「では……」

 

「「「「決闘(デュエル)!!」」」」

 

「私のターン。私は【月兎(ムーンラビット) デイジー】を召喚します」

 

【月兎 デイジー】

レベル4/光属性/獣戦士族/攻1700/守1000

〇このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから【月兎】魔法・罠カードを一枚手札に加える。

 

 美兎のフィールドに黄色い仮面を付けたうさ耳の褐色少女が現れた。うさ耳の少女はモーニングスターを手に取っていた。

 

「デイジーの効果で【月兎の月光鏡】を手札に加え、そのまま発動します!」

 

 美兎の真上に月のように輝く、大きな鏡が浮遊した。鏡はフィールド全体を写しこむ。

 

「そして、私は手札の【月兎 ルリア】の効果を発動します!」

 

【月兎 ルリア】

レベル4/光属性/獣戦士族/攻1300/守1600

〇手札を一枚墓地に送ることで、手札のこのカードを特殊召喚することができる。

 

「ルリアを特殊召喚! 月光鏡にカウンターが乗ります」

 

月光鏡:カウンター1

 

「続けて魔法カード【月兎の銀香水】を発動」

 

【月兎の銀香水】

魔法

〇自分の墓地の【月兎】モンスター一体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

〇墓地のこのカードを除外し、手札を一枚捨てて発動できる。デッキから【月兎】モンスター一体を手札に加える。

 

「墓地の【月兎 ラッキー】を特殊召喚! ラッキーの効果でカードを一枚ドローします。カードを一枚伏せ、ターンエンドです」

 

月光鏡:カウンター2

 

「僕のターン、ドロー。確認ですけど攻撃は二巡目の委員長からで間違いないですか?」

「えぇ、そうですね」

「なら、下準備を整えた方がいいですね。僕は永続魔法【英雄凱旋】を発動!」

 

【英雄凱旋】

永続魔法

〇自分フィールドにモンスターが存在しない場合、手札のレベル10【英雄】モンスターをリリース無しで召喚することができる。

 

「僕は【英雄凱旋】の効果で【業火の英雄】をリリース無しで召喚します!」

 

【業火の英雄】

レベル10/炎属性/炎族/攻3200/守2200

○自分フィールドにこのモンスターのみが存在する場合、発動することができる。相手のモンスター一体を選択し破壊する。その後、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える。

 

 エクスの正面の地面が割れると裂け目から炎が立ち昇り、炎の巨人が裂け目から現れた。炎の巨人は巨大な炎の大剣を振りかざす。

 

「【業火の英雄】の効果発動! 【月兎 デイジー】を選択して破壊します!」

「っ!? ここで使いたくなかったのですがリバースカード【月兎の輪舞】を発動します!」

 

【月兎の輪舞】

〇自分フィールドの【月兎】モンスターを墓地に送ることでデッキから【月兎】モンスターと魔法・罠カードをそれぞれ一枚ずつ手札に加える。

 

「私はデイジーを墓地に送り、デッキから【月兎 ナターユ】と【月兎の黄金臼】を手札に加えます」

「上手くかわしましたか! ですが、まだ行きますよ! 僕は【英雄の試練】を発動します! フィールドの【業火の英雄】を手札に戻すことで手札の【海竜の英雄】を特殊召喚!」

 

【海竜の英雄】

レベル10/水属性/海竜族/攻2700/守2500

〇自分フィールドにこのモンスターのみが存在する場合、発動することができる。相手のモンスター一体を選択し、そのモンスターを手札に戻す。この効果は相手ターンにも発動することができる。

 

「【英雄の試練】の効果で【月兎 ラッキー】を破壊します! そして、【海竜の英雄】の効果で【月兎 ルリア】を手札に戻します」

「くっ……私のモンスターが一掃されましたか」

「僕はカードを二枚伏せ、ターンエンドです」

「美兎ちゃんの仇は取ったるで!」

「いえ、死んでいないのですが……」

「ウチのターン、ドロー! ウチは【テラ・フォーミング】発動! デッキから【花歌姫(プリマヴェーラ) フラワーステージ】を手札に加え、そのまま発動や! 発動処理としてデッキから【花歌姫 アネモニ】を手札に加え、そのまま召喚! アネモニの効果でデッキから【花歌姫 プリンセスブーケ】を手札に加え、そのまま発動! そしてウチはもう一枚【花歌姫 マジカルフェス】を発動!」

 

【花歌姫 マジカルフェス】

永続魔法

〇フィールドの【花歌姫】モンスターがデッキに戻った時、発動することができる。デッキから一枚ドローする。

〇フィールドのこのカードを墓地に送ることで、墓地の【花歌姫】モンスター一体を特殊召喚することができる。

 

「【花歌姫 フラワーステージ】の効果発動! アネモニをデッキに戻し、手札の【花歌姫 パンジー】を特殊召喚!」

 

【花歌姫 パンジー】

レベル3/風属性/植物族/攻1400/守600

〇一ターン一度、フィールドの【花歌姫】モンスターが特殊召喚された時、発動することができる。このカードをデッキに戻すことでデッキからこのカード以外の【花歌姫】モンスター一体を特殊召喚することができる。

 

「プリンセスブーケとマジカルフェスの効果発動! マジカルフェスの効果でドロー! そして、プリンセスブーケの効果で【花歌姫 マリーゴールド】を特殊召喚! パンジーとマリーゴールドの効果発動! マリーゴールドの効果で【花歌姫 ロータス】を特殊召喚! パンジーの効果で【花歌姫 リリー】を特殊召喚!」

「この陣形は!!」

「せや、美兎ちゃんにも見せたウチのコンボや! ウチは【花歌姫 マリーゴールド】【花歌姫 ロータス】【花歌姫 リリー】でリンク召喚! 召喚条件は【花歌姫】モンスター二体以上! 出番や!! リンク3【花歌姫 スイレン】!!」

 

 三体の妖精が光に包まれると薄紫色のドレスを身にまとった美女の妖精が現れた。その姿に美兎は目を奪われてしまう。

 

「墓地に送られた【花歌姫 リリー】の効果で自身を特殊召喚! さらに【花歌姫 ロータス】の効果でリリーをデッキに戻して、自身を特殊召喚! この瞬間、【花歌姫 スイレン】の効果発動!! フィールドの【花歌姫】モンスターがデッキに戻った時、相手に600ポイントのダメージ与える!!」

「くっ! 地味バーン!」

「エクスゥ! 地味っていうな!」

 

スイレンが高らかに歌うと、その歌声の衝撃波が睡蓮の花を巻き上げ、睡蓮の花の嵐として美兎に襲い掛かる。

 

エクス・アルビオLP:4000→3400

 

「さらに【花歌姫 スイレン】のもう一つの効果を発動!! リンクマーカー先の【花歌姫】モンスターをデッキに戻すことで、デッキから【花歌姫】罠カードを二枚、自分のフィールドにセットできる! ウチはロータスをデッキに戻す!!」

「ってことは……たまバーンか!」

「でた! 楓ちゃんのバーンコンボだ!」

「喰らえや!」

 

 エクス・アルビオLP:3400→2800

 

「ウチはスイレンの効果で【花歌姫 プリズムギフト】と【花歌姫 ワンダーパラダイス】をセットしてターンエンドや!」

(師匠は魔法・罠カードを多用するデッキ、それなら使えるときに伏せカードを使っておいた方が良いな)

「エンドフェイズ時に僕はリバースカード【英雄の進化】と【英雄の代償】を発動します!」

 

【英雄の進化】

〇自分フィールドのモンスター一体を墓地に送ることで発動することができる。デッキからレベル10【英雄】モンスター一体を特殊召喚することができる。

 

【英雄の代償】

〇自分フィールドのレベル10【英雄】モンスター一体を破壊することでデッキから二枚ドローすることができる。

 

「僕は【英雄の進化】の効果で【海竜の英雄】を墓地に送ることで、【死霊の英雄】を特殊召喚!」

 

【死霊の英雄】

レベル10/闇属性/アンデット族/攻0/守0

〇このカードが破壊された時に発動。デッキからレベル10【英雄】モンスター二体を効果を無効にして特殊召喚することができる。

 

「【英雄の代償】の効果で【死霊の英雄】を破壊することでカードを二枚ドローします。そして、【死霊の英雄】の効果でデッキから【百獣の英雄】と【金剛の英雄】を特殊召喚!!」

 

【百獣の英雄】

レベル10/地属性/獣族/攻3000/守2400

〇自分フィールドにこのモンスターのみが存在する場合、発動することができる。このカードの攻撃力・守備力を1500アップさせる

 

【金剛の英雄】

レベル10/地属性/岩石族/攻2500/守4000

〇自分フィールドにこのモンスターのみが存在する場合、発動することができる。相手の攻撃表示のモンスター全てを裏側守備表示にする。

 

 エクスの前に巨大な獣とダイヤモンドの巨人が現れた。

 

「じゃあ、僕のターンだね。ドロー」

(次の委員長のターンから攻撃が始まるから守りに徹したほうが良いかな……それにエビ先輩のモンスターは基本、モンスター一体じゃないと意味がなくなるからね)

「僕は【魔法道具箱(エンチャント・ツール・ボックス)】を発動! 手札を一枚墓地に送ることで【魔法道具(エンチャント・ツール)-突風うちわ-】を手札に加え、【百獣の英雄】に装備!」

 

【魔法道具-突風うちわ-】

装備魔法

〇一ターン一度、相手のセットカードを一枚デッキに戻すことができる。

〇装備されているこのカードが墓地に送られた時、デッキから【魔法道具】魔法・罠カードを一枚手札に加える。

 

「僕は突風うちわの効果で【花歌姫 ワンダーパラダイス】をデッキに戻します!」

「んじゃ、ウチは【花歌姫 プリズムギフト】と【花歌姫 ワンダーパラダイス】を発動や!」

 

【花歌姫 プリズムギフト】

〇デッキからレベル3以下の【花歌姫】モンスター一体を特殊召喚することができる。

 

【花歌姫 ワンダーパラダイス】

永続罠

〇このカードの発動時の効果処理として、デッキから【花歌姫】モンスター一体を墓地へ送る。

〇相手が罠カードを発動した時、フィールドの【花歌姫】モンスター一体をデッキに戻して発動できる。その効果を無効にし破壊する。

 

「ウチはプリズムギフトの効果で【花歌姫 カーネーション】を特殊召喚! さらにワンダーパラダイスの効果で、デッキから【花歌姫 ロータス】を墓地に送るで!」

 

【花歌姫 カーネーション】

レベル2風属性/植物族/攻1000/守300

〇このカードが墓地に送られた時、墓地の以外の【花歌姫】モンスター一体を特殊召喚することができる。

 

「…………くっ、セットカードが無くなったので効果は不発。僕は続けて【魔法使いのお猿 ジョニー】を召喚!」

 

【魔法使いのお猿 ジョニー】

ベル4/地属性/魔法使い族/攻1500/守1000

〇このカードが召喚したターンに発動することができる。このカードをリリースすることで、デッキから速攻魔法と通常魔法をそれぞれ一枚ずつ手札に加えることができる。この効果で手札に加えたカードはこのターン発動することができない。

 

(【花歌姫 ワンダーパラダイス】の効果で一妨害は確定。ここは多めにカードを伏せておいた方が良いかな)

「僕はジョニーをリリースすることで、デッキから速攻魔法【魔法道具-鉄壁シールド-】と通常魔法【魔法道具-いたずらボム-】を手札に加え、カードを三枚伏せてターンエンドです」

「私のターンですね。ドロー、このターンから攻撃が可能です。私は墓地の【月兎の銀香水】の効果発動します。デッキから【月兎 ラミィーナ】を手札に加え、そのまま召喚します。ラミィーナの効果で【月兎の月光鏡】にカウンターを乗せます」

 

月光鏡:カウンター4

 

「そして、手札の【月兎 ナターユ】を特殊召喚します! ナターユの効果でデッキから二体目の【月兎 ルリア】を手札に加えます。続けて手札から【月兎の黄金臼】を発動します! デッキから【月兎 ラッキー】を手札に加え、そのまま特殊召喚します!」

 

月光鏡:カウンター6

 

「ラッキーの効果でカードを一枚ドローします。そのまま墓地の【月兎の黄金臼】の効果発動。デッキから【満月兎融合(フルムーンラビット・フュージョン)】を手札に加えます。フィールドの【月兎の月光鏡】の効果でカウンターを四つ取り除くことで二枚ドローします」

 

月光鏡:カウンター3

 

「私は【満月兎融合】は発動します! フィールドの【月兎 ラミィーナ】【月兎 ラッキー】【月兎 ナターユ】の三体で融合! 召喚条件は【月兎】モンスター三体! 来てください。 【満月兎(フルムーンラビット) フィリーチェ】を融合召喚!!」

 

 月光鏡が輝き始めると、鏡から長身の美女が出てきた。黄色い仮面が付いたうさ耳の美女は着地と同時に手に持っていたレイピアを空に掲げると、空に満月が現れた。

 

月光鏡:カウンター4

 

「まだです! 手札から【融合】を発動します! 手札の【月兎 ルリア】と【月兎 マリア】で融合! 召喚条件は【月兎】モンスター二体! 【満月兎 ヴェーナ】を融合召喚!」

 

【満月兎 ヴェーナ】

レベル7/光属性/獣戦士族/攻2400/守1800

月兎モンスター×2

〇このモンスターはバトルフェイズ中に二回攻撃することができる。

 

月光鏡:カウンター5

 

「私はフィリーチェの効果を発動します! 相手のカードを全て破壊します!」

「僕はリバースカード【魔法道具-ストップチェーン-】は発動! ジョニーをゲームから除外することで、このターン【満月兎 ヴェーナ】の攻撃を封じます」

「楓ちゃん使っていいですか?」

「タイミングは任せるで!」

「では、私は【魔法道具-ストップチェーン-】を対象に【花歌姫 ワンダーパラダイス】を発動します。【花歌姫 カーネーション】をデッキに戻すことで効果を無効にします」

「よし! 僕はそれにチェーンしてリバースカード【魔法道具-ストップスタンプ-】を発動します!」

 

【魔法道具-ストップスタンプ-】

〇フィールドに【魔法道具】魔法カードが表側表示で存在する時に発動することができる。相手のモンスター一体を選択し、そのモンスターの効果を無効にする。

 

「僕はフィリーチェの効果を無効!」

「ストップチェーンは囮でしたか……ですが、カーネーションがデッキに戻ったのでスイレンのバーンダメージは受けてもらいます」

「くっ!」

 

アルス・アルマルLP:2800→2600

 

(さて……本来ならフィリーチェの効果で王手でしたが……どうしたものか)

「私は月光鏡のカウンターを四つ取り除くことで二枚ドローします! ここで本気を出した方がいいですね」

 

 そういうと徐々に美兎の右目に黄色の炎が灯った。右目が燃え上がると、それと比例するように右手にも黄色い炎が灯った。

 

「えっ!?」

「委員長の右目が燃えてる……?」

「美兎ちゃん、やったれ!」

「えぇ! 真のライバー(デュエリスト)は勝利へ導くカードは己の力で引き当てる!! シャイニングドロー!! きました! 私は二枚目の【満月兎融合】を発動! フィールドの【満月兎 フィリーチェ】と【花歌姫 スイレン】で融合! 召喚条件は【満月兎】モンスターとリンクモンスター! 満月の夜空に可憐な花弁が舞い散る! 舞い踊れ! 【満月兎 プリマヴェーラプリンセス・フィリーチェ】!!」

 

【満月兎 プリマヴェーラプリンセス・フィリーチェ】

レベル12/光属性/獣戦士族/攻3500/守2000

満月兎モンスター+リンクモンスター

〇このカードは相手モンスターの効果の対象にならず、相手モンスターの効果では破壊されない。

〇一ターン一度、フィールドまたは墓地の【満月兎】モンスターをゲームから除外することで、そのモンスターの効果を得る。

 

 スイレンとフィリーチェが満月の下、可憐に踊る。フィリーチェがエスコートし、それに合わせてスイレンがターンをするとスレインは睡蓮の花びらとなってフィリーチェの周辺に舞い散る。やがて、フィリーチェが睡蓮の花びらを纏うと花びらは薄紫色のドレスに姿を変えた。そして、最後にフィリーチェの仮面が割れ、破片が髪留めへと変わっていった。素顔が露わとなったフィリーチェは可愛らしくウィンクした。

 

「フィリーチェの発動します。墓地の【満月兎 フィリーチェ】をゲームから除外することで、同じ効果を得ます。よって、相手のフィールドを全て破壊します!」

「またぁ!?」

「し、師匠! 何とかしてくださいよ!」

「もう無理だよ!」

 

 フィリーチェがレイピアを突き刺すようにすると満月から強烈な光を放つ。それに合わせて舞い散っていた睡蓮が嵐しとなった。月光と睡蓮の嵐が合わさって、アルスとエクスのフィールドを包み込むと、フィールドが一掃された。

 

「あぁ! 僕たちのモンスターが!」

「バトルです! 【満月兎 プリマヴェーラプリンセス・フィリーチェ】でアルスさんにダイレクトアタック!!」

 

 フィリーチェは満月の輝きの下の元、舞い散る睡蓮の花と共に舞い踊るようにレイピアの剣戟を放つ。睡蓮の花びらを纏った黄金の斬撃はアルスを貫通する。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

アルス・アルマルLP:2600→0

 

『デュエル終了。勝者、月ノ美兎&樋口楓。エクス・アルビオとアルス・アルマルの星を全て月ノ美兎と樋口楓へ転送します。』

 

『すげぇ!』『かえみとてぇてぇ』『かえみとの具現化と言っても過言ではないモンスター出てきたぞ!』『過言って言えよ』『師弟コンビも惜しかった』『連続フィールドリセットはきついわ』

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!! 負けたぁ!」

「あー……僕たちはここまでですか」

「対戦ありがとうございました」

「サンキューな! おかげさまでウチと美兎ちゃんは決勝トーナメントに出場や!」

 

 美兎と楓は倒れ込んだ二人に手を差し伸べるとエクスとアルスは恥ずかしそうにしながら差し伸べられた手を握った。

 

「お二人とも決勝トーナメントう頑張ってください!」

「応援してます!」

「ありがとうございます!」

「頑張るで!」

 

 

 




オリカ紹介

【満月兎(フルムーンラビット) プリマヴェーラプリンセス・フィリーチェ】
満月兎モンスター+リンクモンスターで融合召喚。
強力な満月兎モンスターの効果をコピーする超強力な効果を持っている。
状況によって相手のフィールドをリセットしたり、二回攻撃したりと臨機応変に対応できる。
かえみとの友情のカード。


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BATTLE.15「アンジュ・カトリーナvs戌亥とこ」

にじさんじ決闘王もいよいよ中盤に入ってきます。
ここで決勝トーナメント進出のライバーをおさらいしておきます。
※Unknownカードの暴走を阻止しようとしているライバーは『反逆組』、Unknownカード所有者を『Unknown』と記載します。(作者が忘れないように)

舞元啓介→B11(バーニング・イレブン) 反逆組
加賀美ハヤト→魔境絶唱(デモンズ・ヴォイス) 反逆組
鈴原るる→挑戦者(チャレンジャー) Unknown
エリー・コニファー→妖花鳥 Unknown
叶→雪牙狼 Unknown
ジョー・力一→狂化師(クレイジーワイズ) Unknown
不破湊→夜王騎士(ミッドナイツ) 反逆組
月ノ美兎→月兎(ムーンラビット) 
樋口楓→花歌姫(プリマヴェーラ)
社築→?
イブラヒム→?
長尾景→?

12人が決定しています。
社、イブラヒム、長尾のデッキは既にイメージ出来ています。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。


 葛葉と舞元は特訓を続け、残りのメンバーは椅子に座りながら状況を整理していた。

 

「もしもし? 椎名さん。大丈夫?」

『ウチは大丈夫や……デュエルは実質、負けやったけどな』

「無事なら良いんだ。力一さんはリオンさんを狙っていたんだね」

『せや。リオンさんに話を聞いたら力一い呼ばれたらしく、今は大人しく帰るように言ったわ』

「ありがとう。何か情報は掴めた?」

『そうやな……電話の相手は確かー、くさかべ? って、力一が呼んでたな』

「くさかべ」

 

 椎名と通話していた黛はスピーカーモードにしながら全員、通話が聞けるようにしていた。

 くさかべという名前を聞いた瞬間、加賀美は何か考え事をしていた。

 

「……くさかべ…………コナミ……確か……」

 

 加賀美は思い出したようにスマホを操作した。

 

「やっぱりあった! 黛さん、コナミ開発主任『草壁誠一郎(くさかべ せいいちろう)』で調べてください!」

 

 スマホのクラウドに保存してあった一枚の名刺をスライドさせ、黛に送信した。黛のディスプレイには一枚の名刺が表示された。

 

「へー、今どきの名刺ってデータなんですね」

「今はどんなモノもクラウド化ですからね……草壁誠一郎。直接お会いしたのは一度だけですが、過去に加賀美インダストリアルと提携してイベントを行ったことがあります」

「ヒットしたよ」

 

 黛がキーボードを掲載に操作すると一人の男性の顔が表示された。

 

「草壁誠一郎。ハヤトさんが言った通り、コナミの開発主任で今回のにじさんじ決闘王にも協力している人だね。一応、生年月日などの基本情報は表示しておくよ」

「にじさんじ決闘王の協力者……実にきな臭いね」

『その草壁? に呼び出しを喰らって去っていったから間違いなく黒やろうな』

「そうだね……椎名さんはそのまま不破君たちと合流して、帰還して欲しい」

『了解』

 

 通話を切り、黛はため息を漏らした。

 

「どうしましたか?」

「いや、この草壁誠一郎だけど……何も掴めないんだ」

「何も掴めない? 生年月日などの基本情報は分っていますよね?」

「基本情報しか分からないんだよ。一通り、データを漁ったんだけど何も掴めなかったんだ。ファイルがロックされているわけでも無く、どこかに隠されているわけでも無く、何も存在しないんだ」

「完全に隠蔽されているんですかね?」

「どうだろ……入社日や業績、いつにどこの部署にいたか、いつ開発主任になったか。など何も分からなかった」

「なるほど……完璧なまでの情報統制ですね」

「このままじゃハッカーのプライドが廃るから、継続して情報を調べるよ」

「了解です」

 

 黛と加賀美が話していると加賀美が握っていたスマホが震えた。

 

「すみません。ちょっと電話が……」

 

 加賀美は黛に断りを入れると通話ボタンを押した。

 

「もしもし?」

「社長!!」

 

 通話の相手は加賀美の同期の葉加瀬冬雪だった。

 

「どうしました? Unknownカードの分析が終わりましたか?」

「やばい! やばい! 襲撃を受けてる!!」

 

 冬雪の一言で加賀美の表情が急変した。

 慌てて、全員が聞けるようにスピーカーモードにした。

 

「落ち着いて下さい。状況を説明してもらってもいいですか?」

「今、ウチの所に戌亥さんが来て、ラボを破壊しまくってる!」

 

 戌亥の名前が出た瞬間、アンジュが部屋を飛び出した。

 

「アンジュ!?」

「くっ……舞元さん、葛葉! アンジュさんを追って!」

「私も行きます!」

「あいよ!」

「りょ、了解!」

 

 黛の指示でアンジュを追うようにリゼ、舞元、葛葉が扉を出ていった。

 

「今、援軍が行きました」

「夜見が戌亥さんと戦ってるけど……ヤバそう。最悪、ウチも戦うよ」

「無理はしないでください。データは破棄しても適わないので」

「嫌だ! 意地でも勝ってやる!」

「…………さすが葉加瀬さん。お願いしますね」

 

 通話を切ると加賀美の額に汗が流れた。

 

「不破君の所から援軍呼ぼうか?」

「いえ、それだと、あのアンドロイドに遭遇した時のリスクが大きいです。回収する前に全員が全滅するのは避けたいです。…………それに」

「それに?」

「私は同期を信じます」

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

 アンジュは地下に繋がる階段を駆け下り、扉を勢いよく開ける。

 そこには倒れている夜見と葉加瀬がいた。そして、機材を足蹴りで破壊している戌亥がいた。

 

「戌亥!!」

「ん? おや、アンジュはん」

「急にいなくなったから心配したんだよ? リゼも待っているし、戻ろ?」

「ウチはやることがあるから戻らへんよ?」

「何、言ってるんだよ」

「力一はんに頼まれてな。ここを破壊しないといけないんやよ」

「なんで!?」

 

 状況が読み取れないアンジュは頭を乱暴に掻きむしった。

 

「邪魔せぇへんといて」

 

 戌亥は鋭い眼光でアンジュを睨みつける。その瞳には殺意が籠っていた。

 睨みつけられたアンジュは戌亥に近づくための一歩が踏めなかった。

 

(え? あれ本当に戌亥? これがUnknownカードによる感情の暴走?)

「…………止めなきゃ駄目だ」

 

 アンジュはデュエルディスクを構えた。

 

「戌亥が操られているのか知らないけど、力づくで止めてリゼの所に連れていく!」

「はぁー……睨みつけたらノコノコ帰ってくれるかと思ったけど…………しゃあないな」

 

 戌亥はため息を漏らしながらデュエルディスクを構えた。

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「先攻はアンジュはんに譲るわ」

「私のターン。私は手札から【高等錬金術-黄金釜-】を発動! 手札の【高等錬金術-紅玉火炎陣-】を墓地に送り、デッキから【翠玉の錬金術師】を特殊召喚! そして、墓地に送られた【高等錬金術-紅玉火炎陣-】の効果発動!」

 

【高等錬金術--紅玉火炎陣】

魔法

〇自分フィールドに【錬金術師】モンスターが存在する時、発動。相手のモンスター一体を破壊する。

〇このカードが【錬金術師】モンスターの効果で墓地に送られた時、デッキから【錬金術師】モンスター一体を手札に加える。

 

「デッキから【紅玉の錬金術師】を手札に加える。そして、フィールドの【翠玉の錬金術師】の効果発動! 墓地の【高等錬金術-紅玉火炎陣-】を回収。そのまま、手札に加えた【紅玉の錬金術師】を通常召喚! 【紅玉の錬金術師】の効果発動! 【高等錬金術-紅玉火炎陣-】を墓地に送ることで【碧玉の錬金術師】を特殊召喚!」

 

【碧玉の錬金術師】

レベル4/風属性/魔法使い族/攻1400/守1300

〇このカードが【錬金術師】または【高等錬金術】カードの効果で特殊召喚に成功した時、デッキから【高等錬金術】魔法カードを手札に加える。

 

「墓地の【高等錬金術-紅玉火炎陣-】とフィールドの【碧玉の錬金術師】の効果発動! デッキから【瑠璃の錬金術師】と【高等錬金術-金剛兵-】を手札に加える。手札の【瑠璃の錬金術師】の効果発動!」

 

【瑠璃の錬金術師】

レベル4/水属性/魔法使い族/攻1800/守1500

〇手札の【高等錬金術】カードを墓地に送ることで、手札のこのカードを特殊召喚することができる。

 

「【高等錬金術-金剛兵-】を墓地に送り、【瑠璃の錬金術師】を特殊召喚! 墓地に送られた【高等錬金術-金剛兵-】の効果発動。墓地の【高等錬金術-紅玉火炎陣-】を手札に加える」

「ほぉー、さすがアンジュはん。ガンガン回すやん」

「まだだよ! 私は【碧玉の錬金術師】一体でリンク召喚! リンク1【孔雀石の錬金術師】!」

 

【孔雀石の錬金術師】

リンク1/炎属性/魔法使い族/攻1700/↓

錬金術師モンスター一体

〇リンクマーカー先の【錬金術師】モンスターが破壊される時、代わりに手札の【高等錬金術】魔法カードを墓地に送ることができる。

 

「続けて、【翠玉の錬金術師】【紅玉の錬金術師】【瑠璃の錬金術師】のレベル4モンスター三体でオーバーレイ! エクシーズ召喚! ランク4【黒曜石の錬金術師】!」

 

【黒曜石の錬金術師】

ランク4/闇属性/魔法使い族/攻2500/守2300

【錬金術師】モンスター×3

〇一ターン一度、エクシーズ素材を取り除くことで発動。相手のフィールドのカードと自分の墓地の【錬金術師】または【高等錬金術】カードを手札に戻す。

 

「私はこれでターンエンド」

「んじゃ、ウチのターン、ドロー。ウチは【獄炎門の開門】と【補給部隊】を発動。獄炎門の効果処理でデッキから【獄炎獣 ベアー】を手札に加え、そのまま召喚や」

 

【獄炎獣 ベアー】

レベル4/闇属性/獣族/攻1800/守800

〇このカードが効果で破壊された時、手札の【獄炎獣】モンスター一体を特殊召喚する。

 

「さらに手札から【獄炎獣 ファルコン】の効果発動。デッキから【獄炎獣 ハウンド】を墓地に送ることで手札のファルコンを特殊召喚。手札から【獄炎獣の炎環】を発動」

 

【獄炎獣の炎環】

速攻魔法

〇フィールドの【獄炎獣】モンスター一体を破戒することで発動。墓地の【獄炎獣】モンスター一体を特殊召喚する。

〇墓地のこのカードをゲームから除外することで、墓地の【獄炎獣】モンスター一体を手札に加える。

 

「ウチはベアーを破壊し、ハウンドを特殊召喚。この瞬間、破壊された【獄炎獣 ベアー】【獄炎門の開門】【補給部隊】の効果発動や。ベアーの効果で【獄炎獣 フォックス】を特殊召喚。獄炎門の効果でベアーを回収。【補給部隊】の効果でドローや。ウチはレベル3【獄炎獣 フォックス】にレベル2【獄炎獣 ファルコン】でチューニング。シンクロ召喚。レベル5【獄炎獣 バイコーン】」

 

【獄炎獣 バイコーン】

レベル5/シンクロ/闇属性/獣族/攻2000/守200

【獄炎獣】チューナー+チューナー以外の【獄炎獣】モンスター

〇一ターン一度、フィールドの【獄炎獣】モンスター一体を破戒することで、このカードの攻撃力をエンドフェイズ時まで1000アップさせる。

 

「さらに手札の【獄炎獣 ラクーン】を特殊召喚。そして、墓地の【獄炎獣の炎環】の効果で墓地の【獄炎獣 ファルコン】を手札に加え、そのまま効果発動。デッキから【獄炎獣 バッファロー】を墓地に送り、特殊召喚。そして、墓地に送られたバッファローの効果でデッキから【獄炎獣の炎葬】を手札に加える。ウチはレベル3【獄炎獣 ラクーン】にレベル2【獄炎獣 ファルコン】をチューニング。シンクロ召喚。レベル5【獄炎獣 フェニックス】。フェニックスの効果で墓地のファルコン、ラクーン、ベアーを回収。さて……ウチはレベル5【獄炎獣 バイコーン】にレベル5【獄炎獣 フェニックス】をチューニング。アクセルシンクロ! レベル10【獄炎獣 オルトロス】!」

 

 戌亥の周辺に黒炎が渦のように空に昇ると、そこから双頭の番犬が現れた。

 

「オルトロスの効果発動! ハウンドを破壊することで、アンジュはんの【孔雀石の錬金術師】と【黒曜石の錬金術師】を破壊する!」

「【孔雀石の錬金術師】の効果で【高等錬金術-紅玉火炎陣-】を墓地に送ることで【黒曜石の錬金術師】の破壊を防ぐ」

「防ぎよったか」

「墓地に送られた【高等錬金術-紅玉火炎陣-】の効果でデッキから【琥珀の錬金術師】を手札に加える」

「破壊された【獄炎獣 ハウンド】の効果発動。デッキから【獄炎獣 ラット】を手札に加える。……ほな、そのままバトルや。オルトロスで【黒曜石の錬金術師】に攻撃!」

「くっ……受ける」

 

アンジュ・カトリーナLP:4000→3000

 

「ウチはカードを一枚伏せてターンエンドや」

「私のターン、ドロー! ……戌亥」

「どうしたん?」

「デュエルして思ったんだけど、戌亥…………正気でしょ?」

「どうして、そう思うん?」

「だって、何か焦ってるもん。いや、焦っているというよりは躊躇ってる?」

「っ……いいや、ウチは何も躊躇ってへんよ」

「いいや、躊躇ってるね! さっきの眼光はビビったけど、あれは私とデュエルしたくなかった理由があったからでしょ? ねぇ、いったい何があったの?」

「アンジュはんには関係あらへん」

「同期でも?」

「同期でもや!!」

 

 戌亥は大声を上げる。その声は部屋に響き、アンジュに肌にも感じ取った。

 

「…………分かった。なら、これは喧嘩だね」

「は?」

「だってそうじゃん、戌亥には譲れないものがある。それが何かは分らないけど。私は今の戌亥を止めて、連れ戻したい。なら、互いの思いをぶつけ合うしかないじゃん」

「……喧嘩……喧嘩かぁ……」

「この喧嘩、私が勝って見せる! 私は【RUM マジシャンズ・フォース】を発動!!」

 

【RUM マジシャンズ・フォース】

魔法

〇LPを半分払い、自分の墓地の魔法使い族Xモンスター一体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚し、そのモンスターの倍のランクの魔法使い族Xモンスター一体を対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。このカードを発動したターン、自分はエクシーズ召喚をすることができない。

 

アンジュ・カトリーナLP:3000→1500

 

「ウチは墓地の【黒曜石の錬金術師】を特殊召喚して、オーバーレイ! ラックアップ・エクシーズチェンジ! 金色の花よ、咲き誇れ! ランク8【黄金の錬金術師 アマルガム】をエクシーズ召喚!」

 

【黄金の錬金術師 アマルガム】

ランク8/光属性/魔法使い族/攻30000/守2500

魔法使い族モンスター×2

〇一ターン一度、手札の魔法カードを墓地に送ることで発動。相手のモンスター一体選択し、そのモンスターの効果を無効にして攻撃力を0にする。

〇一ターン一度、このカードのX素材を一つ取り除いて発動できる。相手ターン終了時まで、このカードは効果では破壊されず、お互いに墓地のモンスター効果を発動することができない。

 

 アンジュの頭上から眩い光が降り注ぐと、そこから金色の鎧をまとった魔法使いが現れた。

 

「これが私の切り札だ! アマルガムの効果発動! 手札の【高等錬金術-翡翠剣(エメラルド・ソード)-】を墓地に送ることで、【獄炎獣 オルトロス】の効果を無効にし、攻撃力を0にする!! そして、墓地に送られた【高等錬金術-翡翠剣-】の効果発動!」

 

【高等錬金術-翡翠剣-】

魔法

〇相手のモンスター一体の攻撃力を1000ダウンさせる。

〇このカードが【錬金術師】モンスターの効果で墓地に送られた時、フィールドの【錬金術師】モンスター一体を選択し、攻撃力を1000アップさせる。

 

獄炎獣 オルトロス 攻撃力:35000→0

黄金の錬金術師 アマルガム 攻撃力:3000→4000 

 

「バトル! アマルガムでオルトロスに攻撃!」

「甘いわ、アンジュはん! ウチはリバースカード【獄炎獣の炎葬】を発動」

 

【獄炎獣の炎葬】

〇フィールドまたは手札の【獄炎獣】モンスターを破壊することで発動。このターン、自分はダメージを受けない。

 

「ウチはオルトロスを破壊することで、このターンダメージを受けない。そして、【獄炎獣】モンスターが破壊されたことで【獄炎門の開門】と【補給部隊】の効果発動や。獄炎門の効果でハウンドを回収。補給部隊で一枚ドローや」

「くっ……私はこれでターンエンド」

「これで勝ったつもりかい……ウチのターン、ドロー……。ウチは手札から【手札抹殺】を発動。互いの手札を捨てて、捨てた枚数分ドローや。…………それにアンジュはん、さっきこれは喧嘩って言ったな?」

「そうだが?」

「これは喧嘩やちゃう、一方的な蹂躙や!」

 

 戌亥がカードを引いた瞬間、戌亥に黒いオーラが放たれた。

 

「さぁ……蹂躙の始まりや! ウチは手札から【UnknownCode(アンノウン・コード)-リンク・オーバー-】を発動!」

 

 戌亥がカードをデュエルディスクにセットした。するとデュエルディスクから警告音が響き渡った。

 

『エラー。エラー。不正なプログラムを検出しました。不正なプログラムを検出しました。今すぐにプログラムの消去を――――――プログラムを強制インストール。―――――――プログラムのインストール完了。プログラム【Unknown】を起動します。』

 

 警告音が鳴り止むと同時に戌亥とアンジュの周辺に特殊な空間が発生した。

 

「戌亥!!」

「これで終いやな。ウチは【UnknownCode-リンク・オーバー-】の効果で墓地のモンスターを5体をゲームから除外することで、リンク召喚! 終焉の鐘よ、世界に終わりの音色を告げよ。降臨せよ、魔竜の王! 【終焉龍皇E.N.D.(ジ・エンド)】!!」

 

 戌亥の頭上に真っ黒な球体が現れた。球体は二個に分裂すると二個から四個、四個から八個と倍に分裂していく。無数の球体はやがて、分裂を止めると一斉に密集する。密集した球体は次第に龍の形を形成していき、四つの翼を持ち、九つの目を持つ禍々しい黒龍へと姿を変えた。

 黒龍が咆哮を放つと、その衝撃でありとあらゆる物が吹き飛。アンジュも吹き飛ばされないように踏ん張る。

 

【終焉龍皇E.N.D.】

リンク5/闇属性/幻竜族/攻?/↙↖←↗↘

名前の異なる効果モンスター5体

このカード名はルール上【Unknown】カードしても扱う。

〇このカードの攻撃力は自分フィールドのリンクモンスターのリンクマーカーの合計の数×1000になる。

〇このカードがリンク召喚に成功した時、自分のEXデッキからリンクモンスター一体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。

〇上記の効果で特殊召喚したモンスターが【Unknown】リンクモンスターだった場合、そのモンスターは以下の効果を得る。

●このカードは効果で破壊されない。

〇一ターン一度、墓地のリンクモンスターをゲームから除外することで、発動することができる。このターン、相手モンスターは攻撃できず、効果を発動できない。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「【終焉龍皇E.N.D.】の効果発動や! EXデッキから【獄炎獣 ウルフ】を特殊召喚! 【終焉ノ使者】!」

 

 黒龍の胸部にある赤いコアからどす黒い泥が漏れだし、地面に滴り落ちる。地面に溜まった泥は次第に姿を変え、狼の姿に変わった。

 

【獄炎獣 ウルフ】

リンク3/炎属性/獣族/攻2400/↙↖↗

〇一ターン一度、リンクマーカー先の【獄炎獣】モンスターが破壊された時、相手のモンスター一体を破壊する。この効果は相手ターンにも発動することができる。

 

「ウチのフィールドのリンクモンスターのリンクマーカーの数は七個。よって【終焉龍皇E.N.D.】の攻撃力は7000や!!」

「こ、攻撃力7000……」

「さぁ、蹂躙せよ。【終焉龍皇E.N.D.】で【黄金の錬金術師 アマルガム】に攻撃! 【終焉ノ咆哮(ゼノ・ブレス)】!!」

 

 

 黒龍は咆哮を上げ、四つの翼を広げる。大きく開かれた口に黒い光が集まり、それを放つ。黒いブレスはレーザーのように一直線上にあるものを全て消し去る。それは金色の魔法使いも含まれており、跡形もなく消滅した。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

アンジュ・カトリーナLP:1500→0

 

 地面に倒れたアンジュを戌亥は悲し表情で見つめる。

 

「すまんな、ンジュ」

「アンジュ!!」

 

 デュエルが終わると同時にリゼが部屋に入ってきた。リゼはアンジュに寄り添い、戌亥の方を見る。その瞳は涙で濡れていた。

 

「とこちゃん、どうして!」

「……………リゼはん。アンジュはんはウチの邪魔をした。だから倒しただけや」

「邪魔だった!? アンジュはとこちゃんのことを心配してたんだよ」

「そんなん関係あらへん。ウチの邪魔をするヤツはアンジュはんだろうとリゼはんだろうが倒すだけや」

 

 戌亥はデュエルディスクを操作する。

 

「あんじゅに勝ったおかげでウチは決勝トーナメントに進出や。余った星はリゼはんにくれてやる」

「とこちゃん!!」

「ウチを止めたかったら決勝トーナメントに来ればいい。でもなぁ……ウチの邪魔をするんやったら手加減はせぇへん。蹂躙するのみや」

 

 そう言い残すと戌亥は一瞬で消え去った。

 

「リゼ! 大丈夫か!」

 

 遅れて舞元と葛葉もやってきた。

 

「葛葉! 社長に連絡して救援を呼んで来い! 夜見と葉加瀬もやられたみたいだ」

「カードの解析も破壊されたみたいっすね」

 

 葛葉はスマホを取り出し、加賀美に連絡する。

 

「アンジュ!」

「リ、リゼ……」

 

 震えるアンジュの手をリゼは握り返す。

 

「ごめん。戌亥を取り戻すことができなかった」

「……こんなにボロボロになって」

「悔しいなぁ……」

 

 アンジュの頬に涙が流れる。リゼはその涙を見て、握っている手に力が入る。

 

「リゼ、お願い……戌亥を止めて」

「アンジュ……任せて。とこちゃんは私が連れ戻す」

 

 リゼの言葉を聞いた瞬間、アンジュは目を閉じた。

 

「安心しろ、リゼ。気絶して眠ったようだ」

「……舞元さん……」

「ん?」

「私、強くなりたい……強くなって、とこちゃんを連れ戻す」

「…………分かった」

 

 舞元はリゼの瞳をまっすぐ見ると眠るアンジュをおんぶして立ち上がった。

 

「乗りかかった船だ! 葛葉もリゼも鍛えてやる!」

「はい!」

 




オリカ紹介
【終焉龍皇E.N.D.(ジ・エンド)】
最後の【Unknown】カードにて最強の【Unknown】カード。
見た目は【真竜皇V.F.D.】に似ているが関連性は不明。
圧倒的な攻撃力。相手の動きを封じる強力な効果。他の【Unknown】モンスターを呼び出すことも出来る、正しく最凶最悪のカード。


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BATTLE.16「リゼ・ヘルエスタvsDuelAndroido-Σ-」

今年ももう終わりです。この小説を投稿し始め、改めて『書く楽しさ』を再認識することができました。

寒い時期が続きますがお体に気を付けてお過ごしください
来年もよろしくお願いいたします。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。




戌亥襲来後、倒れた夜見、葉加瀬、アンジュを連れ、リゼたちは帰還した。

 そこには先に到着していた不破君や椎名が待機していた。

 

「椎名さん!」

「お? リゼやん。話は聞いたで、強くなりたいならウチも手伝うで」

「本当ですか!?」

「えぇねん。ウチも力一の野郎をボコしたいし」

「そのことでご相談が」

 

 奥の部屋で夜見達の看病していた加賀美が部屋に戻ってきて、椅子に座った。

 

「我々の中で決勝トーナメントに進出しているのが、私、舞元さん、不破さんの三人。対する【Unknown】カードの所有者は五人です。このままだと最悪、【Unknown】カード所有者と連戦する可能性も出てきます」

「それは避けたいな……」

「えぇ、そこでまだ星を持っていて、決勝トーナメントに進出していない葛葉さん、リゼさんには是非とも決勝トーナメントに上がって欲しいのです」

「もちろん、そのつまりです。アンジュと約束したので」

「俺も叶の野郎を倒さないと気が済まない! ……あれ? 椎名、お前は?」

「ウチは他にやることがあるから無理やねん。代わりに特訓は付き合うで」

「やること?」

「椎名さんには他に協力してもらえる人がいないか探してもらいます。できれば既に決勝トーナメントに進出している方々の協力を得たら良いのですが……」

「それは向こうさんも一緒だろ?」

 

 アンジュを運んで疲れたのか舞元は額の汗を拭くながら、ペットボトルの水を飲んでいた。

 

「確か力一が【Unknown】カードを二枚持っていたんだろ? その一枚を誰かに渡すかもしれんな」

「なるほど……では、椎名さんには先に決勝トーナメントに進出している方々に声を掛けてくださっても良いですか」

「いいでぇ……そんなら先に舞元の特訓を受けて、あとでウチが付き合ったる」

 

 椎名はそう言うと部屋から出ていった。

 

「そういうことで葛葉さんとリゼさんは舞元さんには特訓を受けてもらい、その後、あのアンドロイドを倒してもらいます」

「あー、確かに腕試しには持って来いですね」

「それに星を集めるにはちょうどいいもんすね」

「んじゃ、さっそくやりますか!」

 

 舞元はペットボトルの水を飲み干すと勢い良く立ち上がった。

 

「まずはお前らの実力を知りたいから二体一でかかってこい!」

「お願いします!」

「しゃっす!」

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

 社長室に訪れた力一は嫌な顔をしながら部屋の前に立っていた。

 

「はぁ……面倒なことになっちゃったな」

「力一はん」

 

 落ち込んでいる力一の背後に戌亥が現れた。

 

「うぉ!? びっくりした」

「言われた通り、向こうさんのラボは全て破壊したで」

「おぉ! 仕事が早い!」

「これでウチの望みを聞いてきれるんやろ?」

「そりゃ、もちろん。こっちも協力するさ」

「忘れんといてな」

 

 そう言い残すと戌亥はまた姿を消した。

 

「くくっ……もう少しでピースが揃う。やっぱりとこちゃんにカードを渡して正解だった」

 

 さっきまでとは打って変わって機嫌がよくなった力一は扉をノックした。

 

「入りたまえ」

「失礼します」

「やぁ……お疲れ様。急な呼出しですまんね」

 

 来客用のソファーに草壁、社長のデスクに田角が座っていた。

 

「なんで呼ばれたかは分かるかね」

「闇の【Unknown】カードの件ですね……リゼ・ヘルエスタではなくて戌亥とこに渡しました」

「何故かね?」

「彼女には【Unknown】カードの適性がありました。私と同じ、カードに捕らわれず自我もあります」

「ほぉ……あのカードを所有して暴走してないのか」

「えぇ、そうです。私の独断で行ってしまい、申し訳ございません」

「…………ふむ。そうだな、今回はいい方向に進んだからお咎めは無しにしよう」

「ありがとうございます」

「ただし……今後はこのようなことがないように……君はあくまでも私の指示で動いてもらう。勝手な行動は慎んでくれ。もし、何か企んでいるようなら」

 

 草壁は鋭い眼光で力一を睨む。

 

「私、自らの手で君を粛正させてもらうよ」

「おぉ、怖い怖い。では、私は早速、仕事に戻らせていただきます。炎の【Unknown】カードはどうします? 鷹宮リオンに渡しますか?」

「……いや、警戒されているだろ。別のものを探すよ」

「かしこまりました。では、失礼します」

 

 力一は部屋から出るとデカいため息を漏らした。

 

「はぁ~~……まったく、あの人は底が見えないから嫌なんだよね。さて、炎のカードは誰に渡そうかなー、社さん辺りとか丁度良さそうだけど」

 

 頭をポリポリと掻きながら事務所を歩く、すると通りかかった部屋に視線が止まる。

 その部屋は打ち合わせ用の会議室だった。会議室を除くと、そこには鈴原るる、叶、エリー・コニファーの三人が座っていた。

 鈴原るるは携帯ゲーム機でゲームを。エリー・コニファーは三人分の紅茶を淹れ、叶はデッキを広げながら考え事をしていた。三人とも【Unknown】カードの所有者だ。

 

「おやおや……皆さん、お集りで」

「およよよ。力一様、こんにちは。紅茶飲みますか?」

「ん? あぁ、頂こうかな」

「かしこまりました」

 

 エリーは御辞儀をするとティーセットから紅茶のカップを取り出して、力一の分も淹れ始めた。

 

「叶君、どう? 強い人いた?」

「いいや、全然。皆、弱すぎる」

 

 叶はデッキを整理しながらつまらなそうにため息を漏らす。

 

「そうかい。決勝トーナメントには強い人がいればいいね」

「僕は相手が力一さんでも構わないけどね」

「よしてくれよ。俺は君より弱いよ」

 

 軽口を叩いているとエリーが紅茶を出してくれた。力一はお辞儀をすると紅茶の匂いを楽しみながら一口飲む。

 

「うーん。さすがメイドさん、最高だね」

「そう言っていただけると嬉しいです」

「鈴原さんはゲームに夢中かな」

「そうみたいですね。さっきから話しかけているのですが……」

 

 エリーは苦笑いしながらテーブルにスコーンを置いた。

 

「今朝、作ったスコーンです。良かったらどうぞ」

「へぇー、本格的だね。頂きます」

 

 力一はスコーンを手に取り、一口かじる。スコーンの素朴な甘みを楽しみながら紅茶を飲む。紅茶の風味とスコーンの甘みが口いっぱいに広がり、優雅な気持ちになる。

 

「いいねぇ……心に染みるよ。…………ところで俺があげたカードはどうかな?」

「えぇ、あのカードのお陰で僕はより強くなれる。感謝してますよ」

「はわわ、私もあのカードのお陰で皆さんの平和を保つことができています」

「はぁー、やっとクリアできた。……あ、力一さん、こんるる~」

「はい、こんるる。るるちゃん、あのカードはどう? 使い勝手良い?」

「うーん……正直、言うとあのカードが無くても十分、戦えますけど……使い勝手はいいですよ」

「へぇー」

 

 鈴原の話に叶が反応した。

 

「それならぜひ、僕と戦ってほしいな?」

「別に構いませんよ」

「ストップ、ストップ! それは決勝トーナメントで当たったらにしてくれ!」

(まぁ、トーナメント表はこっちで操作するから当たらないようにするけどね)

「…………仕方ないですね」

 

 好戦的な二人を静止していると力一のスマホが震えた。それに気が付いた力一は自分のスマホを取り出して、操作した。

 

「お? 続々と決勝トーナメントうに進出するライバーが決まってきたね。桜凛月、でびでびでびる、奈羅花の三人か……残りは四人かな。叶君がご執心の葛葉君はまだみたいだね」

「別にアイツには何も期待してないですよ。弱いやつに興味はありません」

 

 叶は広げていたデッキを片付けると立ち上がった。

 

「おや? 出掛けるのかい?」

「もっと骨のある人を探してきます」

「叶様、紅茶は」

「あー、いらないや」

 

 叶は手を振りながら部屋を出ていった。叶が残していった紅茶をエリーは悲しそうに眺めていた。

 

「その紅茶。勿体ないから、御代わりとして欲しいな」

「あ、はい!」

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

 数日後。

 舞元&椎名の特訓を受けた葛葉とリゼはそれぞれ人型アンドロイド『DuelAndroido-Σ-』と対峙していた。

 葛葉は既にΣとデュエルしていた。舞元は葛間の後ろで、腕を組みながら見守っていった。

 

「【紅月龍 リントヴルム】でモンスターに攻撃!!」

 

 赤い龍のブレスで相手のモンスターを焼き払い、Σのライフを0にした。敗北したΣは機能を停止させ、その場に倒れ込んだ。

 

「っしゃあ! これで決勝トーナメントに出れる!」

「うし、今のデュエルは良かった! 今の感覚を忘れるなよ!」

「了解っす!」

「さて……あとはリゼの方か」

 

 舞元と葛葉がリゼの方を見ると、リゼはこれからΣとデュエルするところだった。

 リゼとΣはデュエルディスクを構える。

 

「私はこんな所で負けるわけにはいかないんだ!」

『標的確認。デュエルを開始します』

 

「『デュエル』」

 

『先攻は頂きます。私は手札から【強欲で金満な壺】を発動。EXデッキからカードをランダムに六枚ゲームから除外し、カードを二枚ドロー。そして【黒き覚醒のエルドリクシル】を発動』

「相手はエルドリッチか!」

「舞元さん、皇女と相性はどうなんですか?」

「うーん……妨害型のデッキ相手に先攻を取られたのはキツイな。どれだけ妨害を掻い潜れるかによって、このデュエルの勝敗が分かれるな」

『私はデッキから【黄金卿エルドリッチ】を守備表示で特殊召喚』

 

 Σのフィールドに黄金のモンスターが現れた。

 

『私はカードを三枚伏せ、ターンエンド』

「私のターン、ドロー! 私は【皇剣士(ロイヤル・ブレイド)-ロイ】の効果!」

 

【皇剣士-ロイ】

レベル4/光属性/戦士族/攻1800/守1600

〇デッキから【皇剣士】モンスターをゲームから除外することで、このカードを特殊召喚ことができる。

〇このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、発動することができる。相手の魔法・罠カードを一枚、破戒することができる。

 

「デッキから【皇剣士-キリシュタリア】をゲームから除外することで、【皇剣士-ロイ】を特殊召喚! 特殊召喚時、ロイの効果発動します! 右側の伏せカードを破壊します」

『永続罠【スキルドレイン】を発動』

「スキドレ!?」

「やばいっすよ!」

「っ!! それは想定済みです! 速攻魔法【皇剣士-旋風斬(ストーム・スラッシュ)】を発動!!」

 

【皇剣士-旋風斬】

速攻魔法

〇デッキから【皇剣士】モンスター一体をゲームから除外することで、発動。相手フィールドのカード二枚を選択し、そのカードを破壊する。

〇墓地のこのカードを除外し、フィールドの表側表示の魔法・罠カード一枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

「デッキから【皇剣士-レイド】をゲームから除外することで、【スキルドレイン】と中央のカードを破壊します!」

「うまい!」

『私は【皇剣士-旋風斬】にチェーンして、リバースカード【黄金郷のコンキスタドール】を発動。このカードをモンスターとして特殊召喚し、【皇剣士-ロイ】を破壊』

「くっ……ロイは破壊されますがそちらのカードを二枚、破壊します!」

『【スキルドレイン】と【黄金郷のコンキスタドール】は破壊』

「ロイとスキルドレインは無くなったので効果は不発。私は手札から【テラ・フォーミング】を発動! デッキから【皇剣士の円卓(ロイヤル・ブレイド・ラウンド)】を発動します」

 

【皇剣士の円卓】

フィールド魔法

〇このカードの発動時の効果処理として、デッキから【皇剣士】モンスター一体を手札に加える事ができる。

〇一ターン一度、ゲームから除外されている【皇剣士】モンスター一体を特殊召喚することができる。

〇一ターン一度、自分フィールドの【皇剣士】モンスターが破壊される時、代わりに手札・デッキの【皇剣士】モンスター一体をゲームから除外することができる。

 

「私は発動処理としてデッキから【皇剣士-アーク】を手札に加えます。そして【皇剣士の円卓】の効果を発動します! ゲームから除外されている【皇剣士-レイド】を特殊召喚!」

 

【皇剣士-レイド】

レベル4/チューナー/光属性/戦士族/攻1600/守1500

〇ゲームから除外されているこのカードが特殊召喚に成功した時、デッキから【皇剣士】魔法・罠カードを一枚、手札に加えることができる。

〇墓地のこのカードをゲームから除外することで、ゲームから除外されている【皇剣士】モンスター一体を手札に加えることができる。

 

「【皇剣士-レイド】の効果発動! デッキから【皇剣士の生還】を手札に加えます。そして、私は【皇剣士-アーク】を召喚」

 

【皇剣士-アーク】

レベル4/光属性/戦士族/攻1900/守600

〇一ターン一度、デッキから【皇剣士】モンスター一体をゲームから除外することでデッキから【皇剣士】カードを一枚、手札に加えることができる。

 

「【皇剣士-アーク】の効果発動!」

『それにチェーンして【ドラグマ・パニッシュメント】を発動。対象は【皇剣士-アーク】』

「っ!!」

『EXデッキから【旧神ヌトス】を墓地に送ることで【皇剣士-アーク】を破壊』

「……チェーンはないです」

『墓地に送られた【旧神ヌトス】の効果発動。【皇剣士-レイド】を破壊』

「くっ!」

「やはり妨害豊富だな……さぁ、リゼ。ここからが勝負だぞ!」

「まだです! 私は手札から【皇剣士の生還】を発動します!」

 

【皇剣士の生還】

魔法

〇ゲームから除外されているレベル4以下の【皇剣士】モンスター一体を特殊召喚することができる。

 

「私はゲームから除外されている二体目の【皇剣士-レイド】を特殊召喚します。レイドの効果は名称ターン一なので効果は使えません。そして、墓地にいる【皇剣士-レイド】の効果発動! このカードをゲームから除外することでゲームから除外されている【皇剣士-キリシュタリア】を手札に加えます! そのまま【皇剣士-キリシュタリア】の効果を発動します!」

 

【皇剣士-キリシュタリア】

レベル4/光属性/戦士族/攻1800/守1800

〇墓地の【皇剣士】モンスター一体をゲームから除外することで、このカードを特殊召喚することができる。

〇このカードが融合・シンクロ・エクシーズ・リンクモンスターの素材として墓地に送られた時、発動することができる。手札・デッキから【皇剣士】モンスター一体をゲームから除外することでデッキから一枚ドローする。

 

「墓地の【皇剣士-アーク】をゲームから除外することで、【皇剣士-キリシュタリア】を特殊召喚! 私はレベル4【皇剣士-キリシュタリア】にレベル4【皇剣士-レイド】をチューニング! シンクロ召喚! レベル8【皇剣士-アルベルト】!!」

 

【皇剣士-アルベルト】

レベル8/シンクロ/光属性/戦士族/攻2800/守2500

【皇剣士】チューナー+チューナー以外の戦士族モンスター

〇このカードがS召喚に成功した時、ゲームから除外されているレベル4以下の【皇剣士】モンスターを二体まで特殊召喚することができる。

〇一ターン一度、相手が魔法・罠カードを発動した時に発動することができる。デッキから【皇剣士】モンスター一体をゲームから除外することで、その効果を無効にして破壊する。

 

「私は【皇剣士-アルベルト】と墓地に送られた【皇剣士-キリシュタリア】の効果を発動! キリシュタリアの効果でデッキから【皇剣士-モーガン】をゲームから除外することで一枚ドロー! そして、アルベルトの効果でゲームから除外されている【皇剣士-アーク】と【皇剣士-モーガン】を特殊召喚!」

 

【皇剣士-モーガン】

レベル4/光属性/戦士族/攻1000/守2000

〇一ターン一度、【皇剣士】融合モンスターカードによって決められた、このカードを含む自分フィールドの融合素材モンスターをゲームから除外することで、その融合モンスター一体をEXデッキから融合召喚する。

 

「私は【皇剣士-モーガン】の効果発動! 【皇剣士-モーガン】と【皇剣士-アーク】で融合召喚! 召喚条件は【皇剣士】モンスター二体! レベル8【皇剣士-アストレイア】!!」

 

【皇剣士-アストレイア】

レベル8/融合/光属性/戦士族/攻3000/守1500

【皇剣士】モンスター二体

〇このカードが融合召喚に成功した時、手札の【皇剣士】モンスター一体を特殊召喚することができる。

〇一ターン一度、墓地の【皇剣士】モンスター一体をゲームから除外することで相手のモンスター一体を破壊する。この効果は相手ターンにも発動することができる。

 

「アストレイアの効果で手札の【皇剣士-ビット】を特殊召喚!」

 

【皇剣士-ビット】

レベル4/光属性/戦士族/攻1700/守1200

〇このカードー【皇剣士】モンスターの効果で特殊召喚した時、発動することができる。ゲームから除外されているレベル4【皇剣士】モンスター一体を特殊召喚することができる。

 

「【皇剣士-ビット】の効果で【皇剣士-キリシュタリア】を特殊召喚! 私は【皇剣士-ビット】と【皇剣士-キリシュタリア】二体でリンク召喚! 召喚条件は【皇剣士】モンスター二体! リンク2【皇剣士-ガルク】!」

 

【皇剣士-ガルク】

リンク2/リンク/光属性/戦士族/攻1900/↓→

【皇剣士】モンスター二体

①、②の効果は一ターンにそれぞれどちらかしか発動することができない。

〇一ターン一度、手札の【皇剣士】モンスター一体をリンクマーカー先に特殊召喚する。

〇一ターン一度、ゲームから除外されている【皇剣士】モンスター一体をリンクマーカー先に特殊召喚する。

 

「【皇剣士-キリシュタリア】の効果発動! デッキから【皇剣士-ロビン】をゲームから除外することでデッキからカードをドロー! 私は【皇剣士-ガルク】の効果を発動! ゲームから除外されている【皇剣士-ロビン】を特殊召喚します!」

 

【皇剣士-ロビン】

レベル4/光属性/戦士族/攻1400/守1800

〇ゲームから除外されているこのカードが特殊召喚に成功した時、墓地の【皇剣士】カード一枚を手札に加える。

 

「ロビンの効果で墓地の【皇剣士の生還】を回収し、私は手札の【皇剣士-ディクス】を特殊召喚!」

 

【皇剣士-ディクス】

レベル4/光属性/戦士族/攻1800/守1000

〇フィールドにEXデッキから特殊召喚された【皇剣士】モンスターが存在する時、手札のこのカードを特殊召喚することができる。

 

「私はレベル4の【皇剣士-ロビン】と【皇剣士-ディクス】の二体でオーバーレイ! ランク4【皇剣士-マーティカル】!!」

 

【皇剣士-マーティカル】

ランク4/エクシーズ/光属性/戦士族/攻2500/守1800

レベル4【皇剣士】モンスター二体

〇一ターン一度、X素材を一つ取り除くことで発動することができる。互いのフィールドのモンスターを一体ずつ選択し、ゲームから除外する。

〇エンドフェイズ時にゲームから除外されている【皇剣士】モンスターをX素材としてこのカードの下に置く。

 

 

 リゼのフィールドに融合、シンクロ、エクシーズ、リンクのモンスターが揃った。

 淡い蒼に輝く鎧を纏った騎士、四体がフィールドに結成する。アルベルトは長剣、アストレイアは盾と短剣、ガルクはトライデント、マーティカルは斧を掲げ、リゼに忠誠を誓うように膝をついた。

 

「すげぇ……融合、シンクロ、エクシーズ、リンク召喚を一ターンで……」

「さすがリゼ!! いけぇ!」

「相手のフィールドはがら空き! バトル! 【皇剣士-アストレイア】でダイレクトアタック!」

『通します』

 

 ΣLP:4000→0

 

「【皇剣士-アルベルト】でダイレクトアタック!!」

『通します』

 

 ΣLP:1000→0

 

 敗北したΣは機能を停止させ、その場で倒れこんだ。

 

「やった! 勝った!」

「おめでとう! これで葛葉もリゼも決勝トーナメントに進出だな!」

「よっしゃ! 待ってろよ、叶!」

 

 三人が盛り上がっていると一斉にスマホが震えた。三人のスマホにはいちからからの通知が来ていた。

 

『葛葉、リゼ・ヘルエスタ、メリッサ・キンレンカ、夕陽リリ。四人のライバーの決勝トーナメントに進出を確認しました。決勝トーナメントのトーナメント表は追ってお知らせします』

 

「いよいよか……」

「皆さん、頑張りましょう!」

「そうだな」

 

 

 




オリカ紹介
【皇剣士(ロイヤル・ブレイド)】
騎士をモチーフにしたデッキ。
ゲームから除外することで展開していき
融合、シンクロ、エクシーズ、リンクを使い分ける。


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BATTLE.17「叶vs桜凛月」

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

今回から決勝トーナメント編に突入です。
各ライバーの激戦をうまく書けたらと思いますので、楽しみにしていてください。


行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
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にじさんじ決闘王

特別スタジアム

 

 スタジアムにはにじさんじライバー全員とスタッフで賑わっていた。それ以外にも他社やにじさんじライバーと交流のある個人勢のVTuberも観戦していた。スタジアムの丁度、中央に区切られるところに関係者席があり、そこにはCEOである田角と今回の大会の協力者である草壁誠一郎もいた。そして、その席の前には司会席があり、夢追翔と加賀美ハヤトが座っていた。

 司会席にいた夢追がマイクを握り、立ち上がった。

 

「皆様、本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます! これより【にじさんじ決闘王】決勝トーナメントを開始します!」

 

 夢追の掛け声と共に会場は盛り上がった。

 

「実況は私、夢追い続けて28年。夢追翔でお送りさせていただきます。そして、解説はこの方!」

「こんにちは。加賀美インダストリアル代表取締役兼にじさんじ所属、加賀美ハヤトでございます。今回は解説として務めさせて頂きます」

「はい! ありがとうございます! ハヤト……じゃなかった。加賀美さんは選手でもあるので、自分が戦う際には別の方に解説に入っていただきます!」

「いつも通り、ハヤトでも良いでよ」

「あ、そう? ありがとう、ハヤト。では、今回の大会を企画した、いちから株式会社CEOである田角陸からご挨拶があります」

 

 田角はマイクを握ると立ち上がり、会場を見回した。

 

「本日は所属ライバー以外にも多くの方に集まっていただき、誠にありがとうございます! いちから株式会社はこの技術を使い、皆様に最高のエンターテインメントを提供することを約束します!!」

 

 わぁぁぁ。という歓喜と熱気が会場を湧きあがらせる。田角は一礼すると着席した。

 

「ありがとうございました。なお、この大会はにじさんじ公式チャンネルにてYouTube及びニコニコ生放送でライブ配信中です! 皆さん、ぜひライバーの激闘をリアルタイムでご覧ください! リアルタイムが難しい方はアーカイブにも残りますので、ゆっくりご覧ください!」

 

 夢追がカメラに向かって手を振ると、スタジアムに搭載されている巨大ディスプレイにリスナーのコメントが流れる。

 

「では、大会ルールの説明をさせて頂きます! 今回はトーナメント形式で進めさせて頂きます! 20名のライバーを公正な抽選の結果、このような表になりました!」

 

 ディスプレイにトーナメント表が映し出された。

【挿絵表示】

 

 

「今大会は四日間で行われます。一日目は一番、小さい島四つ。二日目はシードを含んだ左側の島四つ。三日目は右側の島四つ。最終日は準決勝と決勝の予定となっています! そして……優勝者には好きな企業との案件をプレゼントさせていただきます!! アニメやゲーム、PC、音楽、食べ物やお酒! なんでもありです! 皆、案件が欲しいか!!」

 

 おおおぉぉぉ!と歓声が上がる。

 

「では、さっそく大会に移りましょう! 第一試合! 叶VS桜凛月!!」

 

 ディスプレイに叶と凛月が表示された。

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

 スタジアムの端にある東側の待機スペースに叶とジョー・力一が待機していた。

 

「お? そろそろだね。大丈夫かい、叶君」

「問題ありません。僕はこんな所で負けるはずがありません」

「まぁ、そうだね。それにこのまま勝てば、もしかしたら葛葉君と戦えるかもしれないしね」

「…………」

「ごめんって、睨まないで」

 

 軽口を叩いていた力一は叶ににらまれ、手を合わせて謝罪した。

 

「さぁ、選手入場! 東ゲートからはこの方が登場! 数々のゲームでその圧倒的なセンスとタクティクスを見せつける。今回は得意なFPSではなく、カードゲームだが、その実力は発揮できるか! ゲーマーズのスナイパー! 叶!!」

 

 東側のゲートが開いた。

 

「お。出番だね」

「まぁ、見ていてくださいよ。僕は負けませんから」

 

 そう言い残すと叶はゲートをくぐり、スタジアムの中央に向かった。

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

 西ゲートの待機スペースには凛月とルイス・キャミ―が待機していた。

 

「お姉ちゃん! いよいよだね! 頑張って!」

「うん、頑張るっちゃ!」

 

 凛月とルイスはガッツポーズをした。

 

「あ、あのー……ちょっと良いですか?」

 

 キャッキャッしている凛月とルイスの所に気まずそうにしながら葛葉がやってきた。

 

「あ、葛葉さん!」

「どうも」

「あれ? 叶さんはあっちのゲートですよ」

「い、いや……その……ッスーー。今回はりつきんTVさんを応援しに来ました」

「本当ですか!」

 

 凛月は嬉しさの余り、葛葉の手を握ってブンブン振り回す。葛葉は顔を真っ赤にしながら硬直していた。

 

「お、お姉ちゃん! 葛葉さんが!!」

「え? …………あっ」

 

 自分が手を握っていることに気が付いた凛月も葛葉と同じように顔を真っ赤にしながら硬直した。

 

「「ごめんなさい!!」」

 

 数秒、硬直していた二人は慌てて離れて頭を下げた。

 

「ウフフ……葛葉さん、ありがとうございます。もし、私が勝ち続けたら葛葉さんと当たるかもしれんね」

「ん? あー……そういえばそうっすね。なら、俺もやしきずに負けないようにしないとっすね」

「そうですね」

 

 凛月がにこやかに笑いかけると葛葉は恥ずかしそうに頬を掻いた。

 

「続いて、西ゲートからはこの方が登場! 桜第一惑星からやってきた桜のお姫様! スプラトゥーン杯ではその驚異的なプレイングで数々のライバーを倒してきた。今回の大会でもその脅威を振るえるか! ブロッサムインベーダー! 桜凛月!!」

「呼ばれましたよ」

「お姉ちゃん頑張ってね!」

「うん。二人とも行ってきます!」

 

 凛月は二人に手を振るとスタジアムの方に向かう。

 

「りつきんTVさん!」

 

 向かおうとする凛月を葛葉が呼び止める。

 

「どうしました?」

「あ、あの……その……叶は強いんで気をつけてください」

「うん、気を付けるね!」

 

 再び手を振って、駆け足でスタジアムの中央に向かった。

 その後姿を葛葉はただ見つめることしかできなかった。

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

 スタジアムの中央に叶と凛月が到着すると二人はデュエルディスクを構えた。

 

「さぁ、選手二人がスタジアムに着きました! これよりデュエルを開始します! なお、このスタジアムには特殊な演出装置があり、一部のモンスターの演出に使われます。風や熱気、冷気を感じるかと思いますがご安心ください!」

(…………演出装置。おそらく【Unknown】カードの口実ですかね)

 

 夢追の説明に隣で座っていた加賀美は考え込む。

 

「では、第一回戦、叶VS桜凛月! デュエリスト開始ぃ!」

 

「「決勝(デュエル)!!」」

 

「先攻は凛月さんに譲りますよ」

「じゃあ、いくね。私のターン! 私は手札から【おろかな埋葬】を発動! デッキから【シャドウアイ・D・ローズ】を墓地に送る。さらに手札の【ブロッサム・フェアリー】を召喚!」

 

【ブロッサム・フェアリー】

レベル3/チューナー/地属性/植物族/攻1400/守600

〇このカードが召喚に成功した時、手札のレベル4植物族モンスター一体を特殊召喚することができる。

 

 凛月のフィールドに可愛らしい桜の妖精が現れた。

 

「【ブロッサム・フェアリー】の効果発動! 手札の【返り咲く薔薇の大輪】を特殊召喚! 私はレベル4の【返り咲く薔薇の大輪】にレベル3の【ブロッサム・フェアリー】をチューニング! シンクロ召喚! レベル7【ファンダンゴ・ブロッサム・ドラゴン】!!」

 

【ファンダンゴ・ブロッサム・ドラゴン】

レベル7/シンクロ/地属性/ドラゴン族/攻2400/守1800

チューナー+チューナー以外の植物族モンスター

〇このカードがシンクロ召喚に成功した時、発動することができる。デッキから植物族モンスターを墓地に送ることで、墓地に送ったモンスターのレベルの数×200、攻撃力をアップさせる。

〇一ターン一度、フィールドの植物族モンスターを破壊することで墓地のレベル5以上の植物族モンスターを特殊召喚する。

 

 薔薇のモンスターが四つの光となり、桜の妖精は三つの輪になった。四つの光が三つの輪に並ぶように集まると、一筋の光となり、そこからピンク色のドラゴンが現れた。ドラゴンが翼を広げると、桜でできた翼から桜が舞い散る。

 

「【ファンダンゴ・ブロッサム・ドラゴン】の効果を発動します! デッキから【椿姫ティタニアル】を墓地に送り、攻撃力を1600アップさせます!」

 

ファンダンゴ・ブロッサム・ドラゴン 攻撃力:2400→4000

 

「おぉーと! 桜凛月、いきなり大型シンクロモンスターを出したぞ! ハヤトはこの後の展開、どう思う? これで終わりかな?」

「いいえ、それはないかと思います。【ファンダンゴ・ブロッサム・ドラゴン】には大型植物族モンスターを蘇生する効果があります。ここからさらに展開していくかと……」

「さらに手札から【死者蘇生】を発動します! 墓地の【シャドウアイ・D・ローズ】を特殊召喚!」

 

【シャドウアイ・D・ローズ】

レベル7/闇属性/植物族/攻0/守1500

〇このカードが効果によって破壊され墓地へ送られた時、自分フィールド上に【D・ローズトークン】(植物族・闇・星3/攻0/守1200)を二体体特殊召喚する事ができる。

 

「桜凛月! ハヤトの読み通り、【死者蘇生】でさらに展開していく!」

「私は【ファンダンゴ・ブロッサム・ドラゴン】の効果発動します! フィールドの【シャドウアイ・D・ローズ】を破壊することで墓地の【椿姫ティタニアル】を特殊召喚します!」

「これはうまい!」

「ハヤト?」

 

 興奮気味の加賀美に夢追は若干、引き気味になりながら話を振る。

 

「レベル7の【シャドウアイ・D・ローズ】が破壊されたことで自身の効果と墓地の【返り咲く薔薇の大輪】が発動します!」

「その通り! 破壊された【シャドウアイ・D・ローズ】と墓地の【返り咲く薔薇の大輪】効果発動します! 墓地の【返り咲く薔薇の大輪】を特殊召喚! さらに【シャドウアイ・D・ローズ】の効果でフィールドに【D・ローズトーン】を二体特殊召喚!」

「おぉ! 桜凛月! 怒涛のコンボでモンスターを大量展開していく!」

「私は【返り咲く薔薇の大輪】と二体の【D・ローズトーン】でリンク召喚! リンク3【枝垂桜姫】を召喚!」

 

【枝垂桜姫】

リンク3/リンク/光属性/植物族/攻2500/↖↓↘

植物族モンスター二体以上

〇このカードがリンク召喚に成功した時、墓地の植物族モンスターを一体特殊召喚する。

〇一ターン一度、フィールドの植物族モンスターが墓地に送られた時、発動することができる。デッキから一枚ドローする。

 

「【枝垂桜姫】の効果で墓地の【シャドウアイ・D・ローズ】を復活! 私はカードを一枚伏せて、ターンエンド」

「桜凛月。怒涛の展開を終え、盤面を固めました。ハヤト、この陣形をどう思う?」

「そうですね……伏せカード次第にはなりますが、凛月さんのフィールドには【椿姫ティタニアル】が存在します。フィールドの植物族モンスターをリリースすることで、フィールドのカードを対象にするカード効果を無効にできる強力な効果を持っています。さらに【椿姫ティタニアル】にはターン一制限がないので、リリースできれば何回でも無効にできます」

「なるほど……さらにフィールドには攻撃力4000の【ファンダンゴ・ブロッサム・ドラゴン】がいるから下手にモンスターを出すと返り討ちに合いそうだね」

「そうですね。攻守共にしっかりとした布陣です。さすが決勝トーナメントに進出した実力ですね」

「へぇ……面白い。これを覆せば僕の強さがさらに証明される」

 

 叶は不利な盤面でありながら笑みを浮かべていた。

 

「…………僕のターン、ドロー。僕は手札から永続魔法【炎舞-「天キ」-】を発動。デッキから【雪牙狼(せつがろう)の狩人】を手札に加え、そのまま召喚。狩人の効果でデッキから【雪牙狼の近衛】を手札に加える。そして、手札に加えた【雪牙狼の近衛】の効果発動。自身を特殊召喚。狩人のもう一つの効果を発動したいけど、【椿姫ティタニアル】に止められちゃうからね。僕は手札の【雪牙狼の偵察隊】を特殊召喚」

 

【雪牙狼の偵察隊】

レベル4/水属性/獣戦士族/攻600/守2000

〇フィールドに【雪牙狼】モンスターが二体以上存在する時、手札のこのカードを特殊召喚する。

 

「叶の方は慎重にモンスターを展開していく!」

「そうですね……下手に展開して、途中で【椿姫ティタニアル】に止められて中途半端な盤面になるのは避けたいですからね」

「さらに僕は永続魔法【凍てつく雪牙狼】を発動」

 

【凍てつく雪牙狼】

永続魔法

〇一ターン一度、【雪牙狼】リンクモンスターがリンク召喚に成功した時、相手モンスターを一体選択し、そのモンスター破壊する。

〇墓地のこのカードをゲームから除外することで墓地の【雪牙狼】モンスター一体を手札に加える。

 

「ここかな! 私はリバースカード【桜吹雪の扇子】を発動!」

 

【桜吹雪の扇子】

〇フィールドの植物族モンスター一体を破壊することでデッキから二枚ドローする。

 

「【桜吹雪の扇子】の効果で【シャドウアイ・D・ローズ】を破壊して二枚ドロー!」

「おぉっと! 桜凛月、ここでドローソースを発動!」

「いいえ、それだけではありません! 【シャドウアイ・D・ローズ】が破壊されたので、また先ほどのコンボが発動します!」

「破壊された【シャドウアイ・D・ローズ】、墓地の【返り咲く薔薇の大輪】、そしてフィールドの【枝垂桜姫】の効果発動です! 【枝垂桜姫】の効果で一枚ドロー! そして、墓地の【返り咲く薔薇の大輪】を特殊召喚! 【シャドウアイ・D・ローズ】の効果で【D・ローズトーン】二体を特殊召喚!」

「桜凛月止まらない! 相手ターンにも関わらずモンスター三体出しつつ、三枚ドロー。圧倒的なアドバンテージを取っていく!!」

「さらに植物族モンスターが増えたことにより、【椿姫ティタニアル】の効果に必要な素材も補充できました! これは強い!」

「さぁ、叶はこの盤面をどうする!?」

 

「モンスターが増えたか……なら、作戦変更だな。僕は【雪牙狼の狩人】【雪牙狼の近衛】【雪牙狼の偵察隊】の三体でリンク召喚! リンク3【雪牙狼の参謀】」

 

【雪牙狼の参謀】

リンク3/リンク/水属性/獣戦士族/攻1000/↑↓→

【雪牙狼】モンスター二体以上

〇このカードがリンク召喚に成功した時、発動することができる。手札の【雪牙狼】モンスター二体を墓地に送ることで、デッキから二枚ドローする。

〇一ターン一度、フィールドの【雪牙狼】カードを墓地に送ることで、発動することができる。デッキから【雪牙狼】モンスター一体を特殊召喚する。

 

「【雪牙狼の参謀】の効果で手札の【雪牙狼の遊撃隊】と【雪牙狼の特攻隊】を墓地に送り、二枚ドローする」

「さぁ、叶は有効札を引けたか!」

「僕はカードを三枚伏せ、ターンエンド」

「ここは守りに徹したか?」

「そうですね。下手に展開して【椿姫ティタニアル】に止められるよりは守りに入った方が良いかと思いますが……」

(……しかし、叶さんには【Unknown】カードがあります……できれば凛月さんには叶さんを倒して貰いたいですが……)

「よし、このまま押し込めば! 私のターン、ドロー! 私は【枝垂桜姫】【返り咲く薔薇の大輪】と二体の【D・ローズトーン】でリンク召喚! リンク4【凛天使クイーン・オブ・ブロッサム】!!」

 

【凛天使クイーン・オブ・ブロッサム】

リンク4/リンク/地属性/植物族/攻2400/←↙↘→

植物族モンスター三体以上

〇このカードがリンク召喚に成功した時、デッキから植物族モンスター一体を墓地に送り、発動することができる。相手モンスター一体を選択し、そのモンスターの攻撃力を墓地の送ったモンスターの攻撃力分ダウンさせる。

〇一ターン一度、相手フィールドの攻撃力が一番低いモンスター一体を破壊する。この効果は相手のターンにも発動することができる。

 

「【凛天使クイーン・オブ・ブロッサム】の効果でデッキから【桜姫タレイア】を墓地に送り、【雪牙狼の参謀】の攻撃力をダウンさせます!」

 

雪牙狼の参謀 攻撃力:1000→0

 

「そして、凛天使クイーン・オブ・ブロッサム】のもう一つの効果を発動します! 【雪牙狼の参謀】を破壊します!」

「…………通すよ」

「さらに私は【桜の聖騎士】を召喚!」

 

【桜の聖騎士】

レベル4/地属性/植物族/攻1800/守200

〇このカードが召喚に成功したターンに発動することができる。デッキから植物族モンスター一体を墓地に送る。

〇このカードが相手モンスターを破壊したターンのエンドフェイズ時に発動することができる。このカードをリリースすることで墓地の植物族モンスター一体を特殊召喚する。

 

「【桜の聖騎士】の効果でデッキから【姫葵マリーナ】を墓地に送ります。そして、【ファンダンゴ・ブロッサム・ドラゴン】の効果発動! 【桜の聖騎士】を破壊することで墓地の【桜姫タレイア】を特殊召喚します! さらに手札から【花咲く姫君の輝き】を発動します」

 

【花咲く姫君の輝き】

魔法

〇自分フィールドの植物族モンスター一体を選択して発動。そのモンスターと同じレベルで属性の異なる植物族モンスター一体を墓地から特殊召喚する。

 

「私はフィールドの【桜姫タレイア】を選択し、墓地から【姫葵マリーナ】を特殊召喚! そして【桜姫タレイア】はフィールドの植物族モンスター一体つき、攻撃力を100アップさせます」

 

桜姫タレイア 攻撃力:2800→3300

 

「これはすごい! 桜凛月のフィールドに上級植物族モンスターが勢揃いだ!」

「攻撃力4000の【ファンダンゴ・ブロッサム・ドラゴン】。相手モンスターを除去する【凛天使クイーン・オブ・ブロッサム】と【姫葵マリーナ】。カードを対象にした効果を無効にする【椿姫ティタニアル】。さらに【桜姫タレイア】によって凛月さんの植物族モンスターは効果では破壊されなくなりました。これは難攻不落の城が完成しました……ッ!」

「これが私のモンスターだっちゃ! バトル! 【ファンダンゴ・ブロッサム・ドラゴン】で叶さんにダイレクト!!」

「これが通れば叶のライフは一気に消し飛ぶぞ!」

 

 ファンダンゴ・ブロッサム・ドラゴンが咆哮を上げ、翼を大きく広げた。翼を羽ばたかせ、突風を発生させる。突風は舞い散る桜を巻き込み、叶に襲い掛かる。

 

「僕はその程度じゃやられないよ! リバースカード【雪牙狼の雪隠れ】を発動! これにより、このターン自分が受ける戦闘ダメージは0になる!!」

「くっ!!」

「叶! 桜凛月の攻撃をカード一枚で防いだ!!」

「【雪牙狼の雪隠れ】はフィールドの【雪牙狼】モンスターが離れた時に発動できる鉄壁の罠カード。これにより凛月さんはいくらモンスターで攻撃しても意味がありません」

「…………私はこれでターンエンド」

「さぁ、盤面は揃ったぞ…………ピンチになればなるほど、僕の強さが証明される」

 

 叶が笑みを浮かべると右目に漆黒の炎が灯った。右目が燃え上がると、それと比例するように右手にも漆黒の炎が灯った。

 

「おぉっと! 叶の右目と右手が燃えだした!」

「あれは!?」

「ハヤト! あれを知っているのか!?」

「あれは特定のライバーにしか使うことのできないデステニードロー! そのドローは勝利へ導くカードを引き寄せる力があります!」

(そんなッ! 【Unknown】カード所有者側でも使える方がいたのか!!)

「真のライバー(デュエリスト)は勝利へ導くカードは己の力で引き当てる!! ダークネスドロー!! 僕は手札から【UnknownCode(アンノウン・コード)-リンク・オーバー-】を発動!!」

 

 叶がカードをデュエルディスクにセットした。するとデュエルディスクから警告音が響き渡った。

 

『エラー。エラー。不正なプログラムを検出しました。不正なプログラムを検出しました。今すぐにプログラムの消去を――――――プログラムを強制インストール。―――――――プログラムのインストール完了。プログラム【Unknown】を起動します。』

  

 警告音が鳴り止むと同時にスタジアム全体を特殊な空間が包み込んだ。

 

「な、なんだ! フィールドが何か別の空間に包み込まれた!」

(夢追さんは【Unknown】カードを存じていない!? ということは【Unknown】カード所有者側の人間ではないのか……しかし、ここでリンク・オーバー……嫌な感じがします)

 

「僕は【UnknownCode-リンク・オーバー-】の効果で墓地のモンスターを5体をゲームから除外することで、リンク召喚! 氷獄の魔龍よ、その魔眼に秘めた力を解き放ち、絶対零度の世界を作りだせ! 降臨せよ、【魔眼の氷極龍(イーヴィルアイズ・コキュートス・ドラゴン)】!!」

 

 デュエルフィールドの気温が急激に下がると、叶の正面に黒い雷が落ちた。その衝撃で空気中に大量の氷が生成されていくと、その氷は黒い雷と交わり、次第に龍の姿に変わっていった。龍は赤黒い眼で凛月の【ファンダンゴ・ブロッサム・ドラゴン】を睨みつけると咆哮を上げる。その咆哮で吹雪が巻き起こり、スタジアム全体を凍り付かせた。突然の冷気に会場の観客は戸惑う。

 

「み、皆さん! 安心してください! これが最初に言った演出装置によるパフォーマンスです!」

「な、何……あのドラゴン……」

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

東側の控室。

 

 フィールドで咆哮を上げる【魔眼の氷極龍】を見た力一は顔を手で隠した。そして気味の悪い笑え声を漏らしながら笑みを浮かべていた。

 

「クククッ…………いいぞ、叶君。その力を全世界に見せ付けてやれ!!」

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

西側の控室。

 

「さ、寒い……」

「ルイスさん! 危険です! 控室の中に避難してください」

 

 冷気で身体が冷えたルイスは身体をさすりながら葛葉の指示通り、控室の中に避難した。

 

「葛葉さん! お姉ちゃんは大丈夫なんですか!?」

「それは分らないです……俺は様子を見に行ってくるので、ルイスさんはここにいてください!」

 

 葛葉は控室を飛び出し、東側のゲート付近まで走る。

 

「叶の野郎! くそッ…りつきんTVさん!!」

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

「さ、寒い……? あのモンスターの冷気が直接感じられるの?」

「【魔眼の氷極龍】の効果を発動! 凛月のモンスターを全てゲームから除外する! 全てを凍らせ! 【絶対零度の氷獄嵐(アブソリュート・インフェルノ)】!!」

 

 魔眼の氷極龍が咆哮を上げ、翼を大きく羽ばたかせると黒い嵐が巻き起こり、辺り一面を氷漬けにし、粉砕させていく。黒い嵐よって凛月のモンスターは次々、凍り付き破壊されていく。ファンダンゴ・ブロッサム・ドラゴンは抵抗するように咆哮を上げ、魔眼の氷極龍に襲い掛かる。しかし、黒い嵐によってファンダンゴ・ブロッサム・ドラゴンの肉体は徐々に凍っていき、魔眼の氷極龍の目の前で完全に凍り付いた。

 魔眼の氷極龍は凍り付いたファンダンゴ・ブロッサム・ドラゴンを尻尾で薙ぎ払い、粉砕した。

 

「こ、これは……私たちは夢を見ているのでしょうか……先ほどまで圧倒的な盤面だった桜凛月のフィールドは叶の一体のモンスターによって全滅した」

「ファンダンゴ・ブロッサム・ドラゴン!? それに私のモンスターが……」

 

 あっという間にモンスターが全滅した凛月は焦りを見せていた。

 

「さらに【魔眼の氷極龍】のもう一つの効果! 墓地の【雪牙狼の参謀】をゲームから除外することでリンクマーカーの数だけ攻撃することができる! これにより【魔眼の氷極龍】は三回攻撃が可能!」

「そ、そんな……」

「バトル! 【魔眼の氷極龍】で凛月さんにダイレクトアタック!」

「全体除去からの連撃! 桜凛月、一気にピンチになってしまった!」

「ま、まだです! 私は手札から【クリンボ】の効果を発動します! 私を守って、【クリンボ】!!」

『クリ! クリィ! クリンボ!』

 

【クリンボ】

レベル1/闇属性/悪魔族/攻300/守200

〇相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

〇墓地のこのカードを除外して発動できる。このターン、相手モンスターの攻撃を一度だけ無効にする。

 

 凛月のピンチに小さなクリンボが現れた。

 クリンボはクリボーにそっくりでピンク色の毛並みに頭に桜の花びらが付いていた。

 

「クリンボで二回は攻撃を防げます! 一回はダメージを受けちゃいますが…………次のターンで挽回できれば!」

「いいや、君に次のターンはないよ。僕はリバースカード【氷獄牢】を発動」

 

【氷獄牢】

永続罠

〇フィールドのモンスター一体を選択して発動。対象のモンスターは攻撃表示になり、攻撃力が0になる。また、このカードの対象になったモンスターは戦闘では破壊されず、表示形式を変更することができない。

 

「【氷獄牢】の効果で【クリンボ】を選択! これにより【クリンボ】は攻撃表示になり、攻撃力は0となる」

 

クリンボ 攻撃力:300→0

 

 【氷獄牢】のカードから猛烈な冷気がクリンボに向かって吹き荒れる。クリンボは全体が凍ってしまって身動きが取れなかった。

 

『……クリィ……』

「そ、そんな…………」

「さらに【氷獄牢】の効果で【クリンボ】は戦闘では破壊されない。この意味が分かるかい?」

「…………あ、あぁ」

 

 戦意喪失してしまった凛月は瞳に涙を浮かべながら、座り込んでしまった。

 

「あーあ、戦意喪失しちゃったか。骨があると思ったんだけど、所詮ここまでか…………もういいや。バトル、【魔眼の氷極龍】で【クリンボ】に攻撃力。【永遠の氷獄雷(エターナル・インフェルノ)】!!」

『クリィィ!!』

 

 魔眼の氷極龍の口が大きく開き、口に黒い雷が蓄積されていく。溜まりきった雷を魔眼の氷極龍が放つと、ブレスのように雷がクリンボに襲い掛かる。

 雷撃を受けたクリンボは本来なら破壊されるが、【氷獄牢】によって氷漬けされたクリンボは破壊されることを許されなかった。

 クリンボはボロボロになりながら凛月を守ろうとする。

 

『ク……クリィ……』

「きゃあぁぁ!!」

 

桜凛月LP:4000→1500

 

「クリンボ!? お願い、叶さん! 私の負けです!! これ以上、【クリンボ】を傷つけないで!」

「何を言っているんだ? モンスターはただの道具だろ? 【魔眼の氷極龍】、二撃目だ。【クリンボ】に攻撃力。【永遠の氷獄雷】」

 

 魔眼の氷極龍は再び、口に黒い雷が蓄積されていく。溜まりきった雷をクリンボに放つ。

 雷撃を喰らったクリンボは悲鳴を上げる。

 

『クリィィ!!』

「きゃあぁぁぁぁぁ!!」

 

桜凛月LP:1500→0

 

 攻撃の衝撃で凛月は身を屈める。

 デュエルは叶の勝利で決まったが、モンスター達は消えなかった。

 

「【魔眼の氷極龍】、三撃目だ」

「っ!? なんで!! デュエルは終わったのに!!」

「弱者にはそれ相応の罰を受けてもらうよ。そこの雑魚モンスターと一緒に氷獄の雷撃を受けるが良い。【魔眼の氷極龍】で【クリンボ】に攻撃。【永遠の雷撃】」

(あぁぁ……クリンボ、ごめんね。痛い思いさせちゃって。…………葛葉さん、約束守れなくて、ごめんなさい)

 

 魔眼の氷極龍は再び、口に黒い雷が蓄積されていく。溜まりきった雷をクリンボに放つ。

 

「きゃあぁぁ!」

 

 凛月は思わず、目をつぶってしまった。

 魔眼の氷極龍の攻撃の衝撃が来ると思った凛月は身体を硬直させるが、一向に衝撃が襲ってこず、それに誰かに抱きかかえられた感触がした。

 

「…………あれ?」

 

 不思議に思った凛月はおそるおそる目を開けるとそこには葛葉がいた。

 葛葉はいつものラフは格好ではなく、正装になっていた。正装の葛葉は何かバリアのようなものを展開され、雷撃の衝撃を防いでいた。

 

「く、葛葉君? ごめんね……約束、守れなかった」

「…………りつきんTVさん。あとは俺がやりますので、今はゆっくり休んでください」

 

 葛葉の言葉を聞くと凛月は眠るように気絶した。

 雷撃の衝撃を防ぎ切った葛葉は優しく凛月を地面に寝かせた。

 

「葛葉……何のようだい? 僕の邪魔をしないでくれないか?」

「…………叶」

 

 静かに叶の名を呼んだ葛葉は叶の方を向き、睨んだ。

 

「叶ぇぇぇぇぇ!!」

 

 雄たけびのように叫んだ葛葉の周辺に真っ赤な霧が発生した。

 真っ赤な霧は葛葉の足元に漂う。

 

「うるさいな……」

「もう、お前を友して救おうとはしない。俺の…………いや、我が名『アレクサンドル・ラグーザ』の名にかけて、貴様を倒す!!」

 

 葛葉の宣言に叶は目を点としていたが、次第に身体を振るわせて笑い始める。

 

「クククッ……あはははは!! いいね! さすが葛葉だ! いいよ、僕を殺すつもりで掛かってきなよ! まぁ、葛葉が勝ち上がったらだけどね」

 

 デュエルディスをしまうと叶は手を振ってスタジアムを去った。

 

「…………はっ! え、えーと! 第一回戦、勝者、叶! スタッフは凛月さんの救護を! えー、えーと第二回戦は20分後に開始されます。第二回戦は加賀美ハヤトVS奈羅花!! 両者は準備をお願いします!」

 




オリカ紹介
【植物族デッキ】
○ファンダンゴ・ブロッサム・ドラゴン
凛月のエースモンスター。攻撃力上昇と上級植物族モンスターを復活させることができる。

にじさんじ決闘王トーナメント表


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BATTLE.18「奈羅花vs加賀美ハヤト」

最多出場の加賀美社長。
正直、一番書いていて楽しいです。

決勝トーナメントからは色々なライバーを登場させる予定になっていますので、ご期待ください。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。




にじさんじ決闘王

特設スタジアム

 

 第一回戦が終わり、第二回戦の準備が行われていた。

 

「えー、ただいま、第二回戦の準備を行っています。皆様、少々お待ちください。そして、今回は解説であったハヤトが戦うため、今回は解説をこの方にやってもらいます!」

「どうも! にじさんじ所属舞元啓介です! 今回は社長の代わりに解説をさせて頂きます!」

「はい、よろしくお願いします! 今回は加賀美ハヤトVS奈羅花ですが、どう思いますか?」

「そうだね…………社長はカードゲームは得意中の得意分野。現にデュエルアンドロイド相手に無双してたからね。対する奈羅花の方はデュエルを見てないから、何とも言えないけどゲームのプレイングはいいからね。それに負けず嫌いだし。いい勝負になると思うよ」

「なるほど。ありがとうございます! ……お? 両者の準備ができたみたいです! では、選手入場!」

 

 夢追の掛け声と共に東ゲートが開いた。

 東ゲートからは加賀美ハヤトが出てきて、客席に手を振る。

 

「東ゲートからはこの方! 加賀美インダストリアル代表取締役! しかし、その中身はカードゲーム大好き少年! カード愛の紳士! 加賀美ハヤト!」

 

 夢追の口上に苦笑いしながらスタジアムの中央へ進む。

 

「さぁ、西ゲートからはこの方! 小さな負けず嫌いは日々、努力を精進する! その努力は報われるか! 華麗なる極卒! 奈羅花!!」

 

 西ゲートが開かれると、そこから奈羅花が元気いっぱいに手を振りながら出てきた。観客席にいる同期のましろと来栖夏芽は大きな声で応援しながら手を振る。

 両ゲートから出てきた二人はスタジアムの中央に着くとデュエルディスクを構えた。

 

「奈羅花さん。申し訳ございませんが手加減なしで行かせていただきます!」

「スプラトゥーン杯では一緒だったけど、今回は全力で倒します!!」

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「先攻はあたしからいかせてもらいます!!」

「どうぞ」

「あたしのターン! あたしは手札から【強欲で金満な壺】を発動します!」

「おぉっと! 奈羅花は初手から強力なドローカードを発動だ!」

「強金ということは奈羅花はEXデッキに頼らないデッキになるな。そうすると社長のEXデッキ封じも意味がなくなるな」

「あたしはEXデッキから六枚ゲームから除外することで二枚ドローします! よし、魔法カード【地獄からの降臨】を発動!」

 

【地獄からの降臨】

魔法

〇自分フィールドにモンスターが存在しない時、発動することができる。デッキから【極卒仁王】モンスター一体を特殊召喚する。

 

「あたしはデッキから【極卒仁王(ごくそつにおう)-阿紋(アモン)】を特殊召喚!!」

 

【極卒仁王-阿紋】

レベル5/闇属性/悪魔族/攻1500/守2000

〇このカードが特殊召喚に成功した時、発動することができる。デッキ・手札・墓地から【極卒仁王-吽御】を一体、特殊召喚する。

〇フィールドにこのカードが存在する限り、フィールドの【極卒仁王-吽御】の守備力は倍になり、戦闘・効果では破壊されない。

 

「【極卒仁王-阿吽】の効果発動! デッキから【極卒仁王-吽御(ウンゴ)】を特殊召喚!」

 

【極卒仁王-吽御】

レベル5/闇属性/悪魔族/攻2000/守1500

〇このカードが特殊召喚に成功した時、発動することができる。デッキ・手札・墓地から【極卒仁王-阿紋】を一体、特殊召喚する。

〇フィールドにこのカードが存在する限り、フィールドの【極卒仁王-阿紋】の攻撃力は倍になり、戦闘・効果では破壊されない。

 

 奈羅花のフィールドに二体の巨人が現れた。

 右側の巨人は赤い鎧をまとい、口を大きく開けて威圧感を放っていた。一方、左側の巨人は青い鎧をまとい、口を閉じて寡黙な表情を浮かべていた。

 

「阿紋と吽御が揃ったことで、それぞれの効果が適応されます!」

 

極卒仁王-阿紋 攻撃力:1500→3000

極卒仁王-吽御 守備力:1500→3000

 

「さらにあたしは永続魔法【極卒拷問-黒縄地獄】を発動!」

 

【極卒拷問-黒縄地獄】

永続魔法

〇フィールドに【極卒仁王-阿紋】が存在する限り、【極卒仁王-阿紋】より攻撃力が低いモンスターは攻撃することができない。

〇フィールドに【極卒仁王-吽御】が存在する限り、【極卒仁王-吽御】より守備力が低いモンスターは効果を発動することができない。

〇フィールドに【極卒仁王-阿紋】と【極卒仁王-吽御】が存在する限り、このカードは効果で破壊されない。

〇フィールドに【極卒仁王-阿紋】または【極卒仁王-吽御】のどちらかが存在しない時、このカードは破壊される。

 

「フィールドに阿紋と吽御がいる限り、社長の動きを封じます!」

「奈羅花! 初手から加賀美ハヤトの動きを封じる!」

「相手の動きを封じるのは社長の十八番だが、今回は社長が動きを封じられたことになるな……しかし、この盤面は固いぞ」

「あたしはカードを一枚伏せてターンエンドです」

「正直、難しい盤面ですが……このくらいの逆境で弱音を吐いていたら【Unknown】カードと戦うことはできません! 私のターン、ドロー!」

(【極卒拷問-黒縄地獄】の効果で私のモンスター効果はほぼ封じられました。それに【極卒仁王-阿紋】と【極卒仁王-吽御】は戦闘・効果では破壊されません……ここは!)

「私は手札から【汎神の帝王】を発動します!」

(これは通るか?)

「…………ドロー効果ですか。どうしようかな……ここは通します」

「通ったか。私は【真源の帝王】を捨てて、二枚ドローします。さらに手札から【ワン・フォー・ワン】を発動します! 手札のモンスターを捨てて、デッキから【魔境絶唱(デモンズ・ヴォイス) ベーゼ】を特殊召喚します!」

 

 加賀美の正面に小さな悪魔が現れた。悪魔はニヤニヤしながら飛び回る。

 

「さらに墓地の【汎神の帝王】の効果を発動! このカードをゲームから除外することでデッキから【帝王の深怨】を見せます。さぁ、選んでください」

「うわぁ……選ばせる気ないじゃん……じゃあ、真ん中で」

「では、手札に加えた【帝王の深怨】を発動します。手札の【魔境絶唱 ヴェートーベン】を見せ、デッキから【帝王の烈旋】を手札に加えます」

「げっ! そのカードはマズイ!!」

「おぉ、社長のヤツ。うまく突破口を見せたな」

「舞元さん、突破口とは?」

「【帝王の烈旋】は相手のモンスターを生贄にしてアドバンス召喚をする魔法カード。破壊じゃなくて、リリースだから奈羅花のモンスターの効果を掻い潜ることができるんだ」

「あー、なるほど」

「その通りです! 私は【冥界の宝札】と【帝王の烈旋】を発動! 私は【魔境絶唱 ベーゼ】と【極卒仁王-吽御】をリリースすることで【魔境絶唱 ヴェートーベン】をアドバンス召喚!」

 

 加賀美のフィールドの悪魔と奈羅花のフィールドの青い巨人が消えると、加賀美のフィールドにスーツを着た男性の悪魔が現れた。悪魔の髪は無数の蛇になっており、メデューサのようだった。

 

「あぁぁ!! あたしの完璧な封殺コンボが!!」

「アドバンス召喚した【魔境絶唱 ヴェートーベン】と【冥界の宝札】の効果発動! 【冥界の宝札】で二枚ドローし、ヴェートーベンの効果で【極卒仁王-阿紋】を墓地に送ります!」

 

 ヴェートーベンの髪が伸びると、無数の蛇が赤い巨人に纏わりつき、体を締め付けて破壊した。

 

「阿紋と吽御が!! ……阿紋と吽御がいなくなったことで【極卒拷問-黒縄地獄】は破壊されます」

「これで奈羅花さんのフィールドはがら空きです! 私は墓地の【魔境絶唱 ベーゼ】の効果で自身を特殊召喚し、ヴェートーベンの効果を発動させます! ベーゼをリリースすることで、このターン、ヴェートーベンは二回攻撃できます!」

「加賀美ハヤト、ここで畳みかける!」

「バトルです! ヴェートーベンで奈羅花さんにダイレクトアタック!」

「甘いです! リバースカード【地獄からの再臨】を発動します!」

 

【地獄からの再臨】

〇ライフを1000払いことで墓地の【極卒仁王】モンスター一体を特殊召喚する。

 

「あたしはライフを1000払うことで墓地から【極卒仁王-阿紋】を復活させます!」

「何!?」

 

奈羅花LP:4000→3000

 

「さらに【極卒仁王-阿紋】の効果で墓地の【極卒仁王-吽御】も復活! これにより阿紋と吽御の効果が適応!」

 

極卒仁王-阿紋 攻撃力:1500→3000

極卒仁王-吽御 守備力:1500→3000

 

「これは上手いぞ! 阿紋と吽御が再び、奈羅花のフィールドにそびえ立つ!」

「社長は攻撃を中断するしかないな」

「さぁ、どうしますか? 社長!」

「くっ……攻撃を中断させ、メインフェイズ2に移行します。私はカードを二枚伏せ、ターンエンドです」

「加賀美ハヤト、絶好のチャンスでしたが奈羅花の鉄壁な壁によって防がれてしまった!」

「あたしのターン! ドロー! あたしは【地獄覇王剣】を【極卒仁王-阿紋】に装備させます」

 

【地獄覇王剣】

装備魔法

〇装備モンスターが墓地に送られる場合、代わりにこのカードを破壊する。このカードが墓地へ送られた時、このカードを手札に戻す。

○このカードを装備したモンスターが受ける戦闘ダメージは0となる。

〇このカードがフィールドに存在する限り、自分フィールドの悪魔族モンスターの攻撃力・守備力を500アップさせる。

 

「【地獄覇王剣】により阿紋と吽御の攻撃力と守備力が上がる!」

 

 阿紋の正面に禍々しい漆黒の大剣が現れると、阿紋はそれを握り、振り回した。

 

極卒仁王-阿紋 攻撃力:3000→3500 守備力:2000→2500

極卒仁王-吽御 攻撃力:2000→2500 守備力:3000→3500

 

「吽御を攻撃表示に変更して、バトル! 阿紋でヴェートーベンに攻撃!」

「それを待っていました! 私はリバースカード発動! 【帝王の溶撃】!!」

「あっ!?」

「ここで【帝王の溶撃】だぁ!!」

「やはり相手の動きを封じるのは社長も負けていないな!」

「【帝王の溶撃】の効果でアドバンス召喚したモンスター以外の効果は無効になります! よって、阿紋と吽御の効果も無効になり、それぞれの攻守も変動します!!」

 

極卒仁王-阿紋 攻撃力:3500→2000

極卒仁王-吽御 守備力:3500→2000

 

「しまった!?」

「ヴェートーベン! 返り討ちです!」

 

 阿紋が禍々しい大剣をヴェートーベンに向かって振り下ろそうとするが、ヴェートーベンは髪の蛇を巧みに操り、大剣を受け止めた。

 

「【地獄覇王剣】の効果! 阿紋の代わりにこのカードを破壊します!」

 

 ヴェートーベンは蛇を使い、阿紋に襲い掛かろうとするが漆黒の大剣が粉々に砕かれ、身軽になった阿紋は後方に下がり、ヴェートーベンの攻撃を回避した。

 

「破壊された【地獄覇王剣】は手札に戻ります」

「確かに【極卒仁王-阿紋】と【極卒仁王-吽御】の効果は強力です。しかし、それはそれぞれのモンスター効果であって、無効になってしまえばただのバニラモンスターです」

「くぅぅ~! あたしはカード二枚伏せてターンエンド!」

(おそらく奈羅花さんは全力で【帝王の溶撃】を割ってきます。そこを逆手に取ります!)

「私のターン、ドロー! 私は墓地の【魔境絶唱 ベーゼ】と【真源の帝王】の効果を発動します! 【帝王の溶撃】はあくまでもフィールドのモンスター効果を無効にするので、墓地のモンスター効果は適応できます! 私は【真源の帝王】の効果で墓地の【帝王の烈旋】をゲームから除外することで、このカードをモンスター扱いで特殊召喚します! そして、ベーゼ自身も特殊召喚します! 私は【真源の帝王】と【魔境絶唱 ベーゼ】の二体をリリースすることで【魔境絶唱 ショパン】をアドバンス召喚!」

 

 二体のモンスターが消滅し、そこから髑髏の仮面をかぶった女性が現れた。その女性の左腕は無数の蛇のような化け物になっていた。無数の化け物は輪唱するように叫んでいる。

 

「この瞬間、【魔境絶唱 ショパン】と【冥界の宝札】を発動! デッキから二枚ドローし、ショパンの効果でデッキから【魔境絶唱 ヘスメタ】と【魔境絶唱 オロゴス】を墓地に送り、奈羅花さんの【極卒仁王-阿紋】と【極卒仁王-吽御】をデッキに戻します!」

「まだです! あたしはリバースカード【激流葬】を発動!!」

「【激流葬】!?」

「な、奈羅花! ここで【激流葬】を発動だぁ!!」

「自分のモンスター共々、フィールドをリセットするつもりか!」

「【激流葬】の効果でフィールドのモンスター全てを破壊します! 死なば諸共です!!」

「それは止めてください! カウンター罠【魔境絶唱 魅惑の賛美】を発動します! 【激流葬】の効果を上書きします!」

「おぉっと! 加賀美ハヤト、ここはカウンター罠で【激流葬】をかわす!」

「あぁ! 本当に厄介ですね! 私は【極卒仁王-阿紋】を破壊します!」

「では、ショパンの効果で吽御をデッキに戻します!」

 

 奈羅花のフィールドは再び、がら空きになってしまった。

 

「バトルです! ヴェートーベンで奈羅花さんにダイレクトアタック!」

「まだやられません! リバースカード! 【聖なるバリア -ミラーフォース-】を発動!」

「ミラフォ!? なんで、さっきから私にドストライクなカードを使っているのですか!?」

「ミラーフォースだぁ!! 古より使われている絶対防御の罠カードだ!!」

「【激流葬】に【聖なるバリア -ミラーフォース-】……いや、改めて考えるとえげつない効果だよな」

「これにより社長のモンスターを全て破壊します!」

 

 【聖なるバリア -ミラーフォース-】によって、ヴェートーベンの攻撃は塞がれた。そして、バリアから強烈な閃光が放たれ、加賀美のモンスターは全滅した。

 

「くっ……アドバンス召喚したモンスターがいなくなったことにより、【帝王の溶撃】は破壊されます。私はカードを二枚伏せてターンエンドです」

「互いに激しい攻防を繰り返しています! これは激戦です!」

「奈羅花は阿紋と吽御をいかにフィールドに残しつつ、強力な罠カードで相手を妨害。一方、社長の方はアドバンス召喚することでアドバンテージを取りつつ、相手のモンスターの動きを封じる。どちらも攻守共にバランスが取れたいいデッキだ」

「あたしのターン! ドロー! あたしは二枚目の【強欲で金満な壺】を発動!」

「奈羅花! ここで再び、強力なドローカードを引いた!」

「ここで強金は強い!」

「…………通します」

「よし、通った! あたしはEXデッキからカードを六枚をゲームから除外することで、二枚ドローします! よっしゃー! 【死者蘇生】を手札に加えます!」

「ここで【死者蘇生】だ!」

「墓地には阿紋がいるぞ!」

「くっ! あまり、ここでは使いたくありませんでしたが私は【魔境絶唱 黒雷の霹靂】を発動! 墓地の【魔境絶唱 ヘスメタ】と【魔境絶唱 オロゴス】を特殊召喚!」

「加賀美ハヤト! ここで低レベルモンスターを並べてきた! 壁を並べたのか?」

「どうだろうな……社長の伏せカードはまだある」

「ヘスメタの効果を発動させます! デッキから【魔境絶唱 バッハ】を手札に加えます」

「では、効果処理として【死者蘇生】で【極卒仁王-阿紋】を特殊召喚! さらに阿紋の効果でデッキから【極卒仁王-吽御】を特殊召喚! あたしのモンスターは不滅です!」

 

 奈羅花のフィールドに二体の巨人が並び立つ。二体の巨人は奈羅花を守護する絶対的な存在。

 この二体は不動であり、不滅である。

 

「阿紋と吽御が揃ったことにより、それぞれの効果が適応されます!」

 

極卒仁王-阿紋 攻撃力:1500→3000

極卒仁王-吽御 守備力:1500→3000

 

「このターンで蹴りを付けます! あたしは手札から【極卒拷問-大焦熱地獄】を発動!」

 

【極卒拷問-大焦熱地獄】

〇自分フィールドの【極卒仁王】モンスターの攻撃力・守備力はエンドフェイズ時まで1000アップする。

〇フィールドに【極卒仁王-阿紋】と【極卒仁王-吽御】が存在する時、さらに攻撃力・守備力をエンドフェイズ時まで1000アップさせる。

 

「これにより阿紋と吽御の攻撃力・守備力を2000アップさせます!」

 

極卒仁王-阿紋 攻撃力:3000→5000 守備力:2000→4000

極卒仁王-吽御 攻撃力:2000→4000 守備力:3000→5000

 

「最強と阿紋と吽御に死角はありません! 吽御で【魔境絶唱 ヘスメタ】に攻撃! この瞬間、あたしは速攻魔法【極卒拷問-大叫喚地獄】を発動!」

 

【極卒拷問-大叫喚地獄】

速攻魔法

〇自分フィールドの【極卒仁王】モンスター一体を選択し、そのモンスターは一度のバトルフェイズ中に二回攻撃する事ができる。

〇フィールドに【極卒仁王-阿紋】と【極卒仁王-吽御】が存在する時、自分フィールドの全てのモンスターは一度のバトルフェイズ中に二回攻撃する事ができる。

 

「これにより阿紋と吽御はそれぞれ二回攻撃できます! これで終わりです!」

「いいえ、まだです! 私は永続魔法【連撃の帝王】を発動!」

「【連撃の帝王】!?」

「加賀美ハヤト! 【連撃の帝王】を発動! これにより相手ターンでもアドバンス召喚が可能に!」

「ということは……さっきヘスメタの効果で加えたモンスターを出すつもりか!?」

「私は【連撃の帝王】の効果で【魔境絶唱 ヘスメタ】と【魔境絶唱 オロゴス】の二体をリリースすることで、【魔境絶唱 バッハ】をアドバンス召喚します!」

 

【魔境絶唱 バッハ】

レベル8/闇属性/悪魔族/攻2800/守1000

〇このカードがアドバンス召喚に成功した時、アドバンス召喚したモンスター以外のモンスターの攻撃力をエンドフェイズ時まで半分にする。

〇一ターンに一度、フィールドの【魔境絶唱】モンスターをリリースすることで、墓地の【魔境絶唱】モンスター二体を手札に加える。

 

 二体のモンスターが消滅すると、そこから黒い空間が現れ、空間から半人半獣の悪魔が現れた。悪魔は咆哮を上げる。

 

「バッハの効果で阿紋と吽御の攻撃力を半分にします!」

「えぇ!? こ、攻撃中断です!」

 

極卒仁王-阿紋 攻撃力:5000→2500

極卒仁王-吽御 攻撃力:4000→2000

 

「加賀美ハヤト! ここで上級モンスターを出して、奈羅花の猛攻を止めたぁ!」

「奈羅花が使ったバフは全て意味がなくなってしまったな」

「……あたしはこれでターンエンドです。二体のモンスターの攻撃力・守備力は元に戻ります」

「私のターン、ドロー! 私は手札から【貪欲な壺】を発動します! 墓地のショパン、ヴェートーベン、ヘスメタ、オロゴス、【冥帝従騎エイドス】をデッキに戻し、二枚ドローします」

 

 加賀美はカードを二枚ドローし、カードを確認する。

 

「私は墓地の【魔境絶唱 ベーゼ】と【真源の帝王】の効果を発動します! 私は【真源の帝王】の効果で墓地の【帝王の溶撃】をゲームから除外することで、このカードをモンスター扱いで特殊召喚します! そして、ベーゼ自身も特殊召喚します! 私は【真源の帝王】と【魔境絶唱 ベーゼ】の二体をリリースすることで【魔境絶唱 メンデルスゾーン】をアドバンス召喚!!」

 

【魔境絶唱 メンデルスゾーン】

レベル8/闇属性/悪魔族/攻2800/守1000

〇このカードがアドバンス召喚に成功した時、相手フィールドの全てのモンスターの効果を無効にする。

〇一ターンに一度、フィールドの【魔境絶唱】モンスターをリリースすることで、相手の全てのモンスターの攻撃力を1000ダウンさせる。この効果は相手ターンにも発動することができる。

 

 二体のモンスターが消滅すると、その場の空間に亀裂が入り、空間の狭間から翼の生えた女性が現れた。翼の生えた女性には尻尾が生えており、尻尾は蛇になっていた。

 

「この瞬間、【魔境絶唱 メンデルスゾーン】と【冥界の宝札】の効果発動! デッキから二枚ドローし、阿紋と吽御の効果を無効にします!」

 

極卒仁王-阿紋 攻撃力:3000→1500

極卒仁王-吽御 守備力:3000→1500

 

「まだです! あたしの阿紋と吽御は不滅です! 二体のモンスターで攻撃してもライフは残ります!」

「いや、こりゃ、社長の勝ちだ」

「舞元さん?」

「メンデルスゾーンの効果で吽御の攻撃を下げればライフは削れる」

「そ、そんな……あたしのモンスターが……」

「これで終わりです! バトル! 【魔境絶唱 バッハ】で【極卒仁王-阿紋】に攻撃!」

 

 半人半獣の悪魔は雄叫びを上げ、赤い巨人に襲い掛かる。巨人は大剣を振り下ろすが、悪魔は俊敏な動きで大剣をかわし、巨人の喉元に噛みついた。

 

奈羅花LP:3000→1700

 

「続けて【魔境絶唱 メンデルスゾーン】で【極卒仁王-吽御】で攻撃! この時、【魔境絶唱 メンデルスゾーン】の効果を発動します! バッハをリリースすることで、吽御の攻撃力を1000下げます!」

 

極卒仁王-吽御 攻撃力:2000→1000

 

 翼の生えた悪魔は翼を羽ばたかせ、高笑いしながら空高く飛ぶ。そして、翼を羽ばたかせ、羽根の弾丸を青い巨人に向かって放つ。

 

「きゃあぁぁ!」

 

奈羅花LP:1700→0

 

「決まったぁ!! 勝者は加賀美ハヤト!」

「いやー、激戦だったな! 奈羅花も惜しかった!!」

「あぁぁ! 悔しい!」

「とても良いデュエルでした! ありがとうございます!」

「うぅぅ……次は負けませんよ」

 

 加賀美と奈羅花は握手を交わした。

 

「激闘を果たした二人に拍手をお願いします!」

 

 観客は一斉に拍手をした。二人は観客に向かって手を振ると、スタジアムを去った。

 

(…………次の相手は鈴原さん。……相手は奈羅花よりも強いと予想されます。気を引き締めないと)

「さぁ、続いては第三回戦! 舞元啓介VSでびでびでびる! 今回の解説だった舞元さん、ありがとうございました! 次のデュエルも頑張ってください!」

「あぁ、ありがとう!」

「では、両者は準備をお願いします!」

 

 




オリカ紹介
【極卒仁王(ごくそつにおう)】
攻撃の阿紋(アモン)と守備の吽御(ウンゴ)。
二体が揃えば、不動不滅のモンスターとして奈羅花の矛となり盾となる。

決勝トーナメント表
【挿絵表示】


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BATTLE.19「舞元啓介vsでびでび・でびる」

仕事が始まったので、またゆっくり書いていきたいと思います。
※諸事情により、舞元のデッキを若干変更します。(デッキコンセプトは変わりません)

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。


にじさんじ決闘王

特設スタジアム

 

「さぁ、三回戦の準備をしている間に解説席に戻ってきたハヤトに第三回戦の見どころを聞いてみたいと思います。ハヤト、今回の対戦カードはどう思う?」

「そうですね……舞元さんのデュエルの実力は本物です。また、今大会への気合もコンディションも最高潮だと思います。一方、でびでび・でびるさんは情報によると儀式召喚を主力にしているデッキのようですね」

「ほぉ! 儀式ですか! またマイナーな召喚法ですね」

「そうですね……どうしても手札消費が激しいですからね。しかし、手札消費が激しい分、強力な効果を持っているモンスターが多い点と儀式召喚というだけで混合テーマでもシナジーがあるのが儀式召喚の強さだと思います」

「混合テーマのシナジー?」

「えぇ、例えば……【竜輝巧】+【サイバー・エンジェル】+【デクレアラー】のロックデッキなどが挙げられますね」

「確かにどれも儀式召喚は主体にしたテーマだね。これは二人の対戦が楽しみだ! …………お? 準備が完了したようです! では、選手入場!!」

 

 夢追が東ゲートを指差すと、ゲートが開くと同時にスモックが噴き出した。

 

「パワプロ、麻雀と数々の大会を開催してきた男が、今夜、遊戯王で暴れまくる! 炎上と痙攣の闘士! 舞元啓介!!」

 

 舞元はスモックを突き破りながら勢い良く駆け抜け、スタジアムの中央に付くとポーズを決めた。

 客席からは応援とブーイングが同じくらい飛んでくる。

 

「な、なにか凄まじい歓声ですね」

「応援の中にブーイングが混じっているのが舞元らしいね。さぁ、続きまして、この方の登場だぁ!」

 

 西ゲートが開かれると小さな生き物が翼を羽ばたかせながらゆっくり、スタジアムに向かう。

 

「酒を愛するコアラが狙うのはお酒メーカーとの案件! 大好きな酒のために今、悪魔は覚醒する! 異界の扉が開かれた! でびでび・でびる!!」

 

 でびでび・でびるはマイペースに手を振りながらスタジアムの中央に付いた。

 

「よぉ! でび、悪いが今回は手加減なしだ! 俺はさらに進化を積み重ねてきた、この【B11】改でお前を倒す!」

「へぇ~……面白いこと言うじゃん。僕の超恐ろしいの前でちびるなよ」

 

 二人はデュエルディスクを構えた。

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「先攻は農家に譲るよ」

「んじゃ、遠慮なく! 俺のターン!」

「さぁ、デュエルが開始しました。先攻は舞元啓介!」

「先ほど、舞元さんは【B11】改と言っていましたがどう変わっているかが楽しみです」

「俺はフィールド魔法【B11(バーニング・イレブン)-バーニング・リング】を発動!」

 

【B11-バーニング・リング】

フィールド魔法

〇このカードの発動時の効果処理として、デッキから【B11】モンスター一体を手札に加える。

〇一ターン一度、墓地の【B11】モンスター一体を選択して発動する。そのモンスターを特殊召喚する。その後、自分は300ダメージを受ける。

〇自分の【B11】モンスターの攻撃力は、相手モンスターに攻撃するダメージ計算時のみ500アップする。

 

 スタジアムは姿を変え、リングとなった。

 リングのロープは炎になっており、舞元とでびでび・でびるは炎のリングに中にいた。

 

「俺は【B11-バーニング・リング】の発動処理で【B11-エルボー】を手札に加え、そのまま召喚!」

 

【B11-エルボー】

レベル4/炎属性/戦士族/攻1000/1800

〇このカードが召喚に成功した時、デッキから【B11】モンスター一体を墓地へ送る事ができる。

〇フィールド上に表側攻撃表示で存在するこのカードは、一ターンに一度だけ戦闘では破壊されない。

 

 

「俺はエルボーの効果でデッキから【B11-ニーバット】を墓地に送り、そのままフィールドのバーニング・リングの効果発動! 墓地の【B11-バーニング・ニーバット】を特殊召喚!」

 

【B11-ニーバット】

レベル4/炎属性/戦士族/攻1500/1400

〇一ターン一度、自分ターンに効果ダメージを受けた時に発動することができる。手札の【B11】モンスター一体を特殊召喚する。

 

「バーニング・リングの効果で300ダメージを受ける」

 

舞元啓介LP:4000→3700

 

「この瞬間、フィールドの【B11-ニーバット】と手札の【B11-ダブルアーム】の効果発動! ニーバットの効果で手札の【B11-パワーボム】を特殊召喚! そして、【B11-ダブルアーム】の効果で自身を特殊召喚!」

 

【B11-パワーボム】

レベル4/炎属性/戦士族/攻2000/0

〇このカードが攻撃対象に選択された時、このカードを破壊する。

〇このカードが【B11】カードの効果で特殊召喚に成功した時に発動することができる。デッキから【B11】魔法・罠カードを一枚、手札に加える。

 

【B11-ダブルアーム】

レベル4/炎属性/戦士族/攻1600/1300

〇自分ターンに効果ダメージを受けた時に発動することができる。手札のこのカードを特殊召喚する。

 

「ここで舞元啓介の十八番、自らダメージを受けることで怒涛の展開を広げていく!」

「まだまだいくぞ! 特殊召喚した【B11-パワーボム】の効果発動! デッキから【B11-豪火再戦】を手札に加える。そして俺は【B11-エルボー】と【B11-ニーバット】の二体でリンク召喚! 召喚条件は【B11】モンスター二体! 来い! 【B11-ブレーンバスター】!!」

 

【B11-ブレーンバスター】

リンク2/リンク/炎属性/戦士族/攻2000/←↓

【B11】モンスター二体

〇一ターン一度、自分の墓地のレベル4以下の炎属性モンスター一体を対象として発動できる。そのモンスターをこのカードのリンク先となる自分フィールドに特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は炎属性モンスターしか特殊召喚できない。

〇このカードがフィールドから墓地へ送られた場合、このカード以外の自分の墓地の【B11】カード一枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。

 

「俺はブレーンバスターの効果で墓地のエルボーを特殊召喚! そして、俺は【B11-エルボー】、【B11-ダブルアーム】、【B11-パワーボム】の三体でリンク召喚! 召喚条件は【B11】モンスター二体以上! 燃え上れ! 【B11-フライング・メイヤー】!!」

 

【B11-フライング・メイヤー】

リンク3/リンク/炎属性/戦士族/攻2200/←↓

【B11】モンスター二体以上

〇一ターン一度、自分が効果ダメージを受けた時発動することができる。自分と相手のモンスター一体ずつ選択し、そのモンスター二体を破壊する。この効果は相手ターンにも発動することができる。

〇このカードのリンク先のモンスターが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。このカードの攻撃力は800アップする。

 

「俺はカードを二枚伏せ、ターンエンドだ!」

「舞元啓介、順調な滑り出しだ!」

「えぇ、そうですね。舞元さんのフィールドには一一交換で除去することができるフライング・メイヤーがいます。でびでび・でびるさんは迂闊に動くことができません」

「そんなみみっちいモンスターで僕を止めることができると思っているのか? 僕のターン、ドロー。僕は永続魔法【邪教神殿】を発動!」

 

【邪教神殿】

永続魔法

〇一ターン一度、手札のモンスターを送ることで発動する。デッキから闇属性儀式モンスターか儀式魔法を手札に加えることができる。

 

 でびでび・でびるの背後に巨大な神殿が現れた。神殿の中央には歪な姿をした化け物と半裸の女性の像が立っていた。

 

「【邪教神殿】の効果発動! 僕は手札の【邪教神への贄】を墓地に送ることで、デッキから儀式魔法【邪教崇拝】を手札に加える。そして、僕は【七精の解門】を発動するよ。発動処理としてデッキから【幻魔皇ラビエル-天界蹂躙拳】を手札に加え、そのまま【七精の解門】を発動! さっき手札に加えた【幻魔皇ラビエル-天界蹂躙拳】を捨てて、墓地の【邪教神への贄】を特殊召喚!」

 

【邪教神への贄】

レベル1/闇属性/悪魔族/攻0/守0

〇このカードをリリースすることで、デッキからレベル10モンスターを墓地に送る。その後、デッキから【邪教】儀式モンスターを一体、手札に加える。

 

 でびでび・でびるのフィールドに一つ目の肉塊が現れた。肉塊は不気味なうめき声を上げながら蠢いていた。

 

「僕は【邪教神への贄】の効果発動! このカードをリリースすることで、デッキから【幻魔皇ラビエル】を墓地に送る! その後、デッキから儀式モンスター【歪なる邪教神】を手札に加えるよ」

「でびでび・でびる! 儀式召喚に必要なパーツを揃えていく!」

「それに先ほどから【幻魔】カードがチラチラ見えるのが恐ろしいですね」

「僕は【邪教徒の狂信者】を召喚!」

 

【邪教徒の狂信者】

レベル3/闇属性/悪魔族/攻1000/守1000

〇このカードが召喚に成功した時、このカードをリリースし、デッキからレベル8以上の悪魔族モンスターを墓地に送ることで発動する。デッキから【邪教】魔法カードを二枚まで手札に加える。

 

「【邪教徒の狂信者】の効果発動! デッキから【神炎皇ウリア】を墓地に送って、デッキから【邪教神の聖杯】と【邪教偶像】を手札に加えるよ! くひひひ……儀式の準備は整った! さぁ、恐ろしい儀式の始まりだ! 僕は手札から儀式魔法【邪教崇拝】を発動!」

 

【邪教崇拝】

儀式魔法

【歪なる邪教神】の降臨に必要。

〇自分の墓地からレベルの合計が10以上になるようにモンスターをゲームから除外することで、手札から【歪なる邪教神】を儀式召喚する。

 

「墓地のモンスターで儀式召喚だと!?」

「でびでび・でびる! 本来ならフィールドまたは手札のモンスターをリリースすることで行う儀式召喚を墓地のモンスターを糧に儀式モンスターを呼び起こす!」

「墓地のモンスターとなると本来の儀式召喚で発生する手札消費を抑えられますね」

「僕は墓地の【幻魔皇ラビエル】をゲームから除外することで、降臨せよ! レベル10【歪なる邪教神】!!」

 

【歪なる邪教神】

レベル10/闇属性/悪魔族/攻?/守?

【邪教崇拝】により降臨。

〇このモンスターの攻撃力・守備力は【邪教崇拝】の効果でゲームから除外したモンスター合計の攻撃力・守備力になる。

〇一ターン一度、フィールドのモンスターをリリースすることで、自分フィールドに【邪教神トークン】(悪魔族・闇・星10・攻?/守?)一体を特殊召喚する。このトークンの攻撃力・守備力は、フィールドのこのカードと同じ数値になる。

〇このカードが墓地に送られる時、代わりにフィールドの【邪教神トークン】を破壊することができる。

 

 青空に晴れていたスタジアム上空が一瞬にして、真っ暗になった。

 漆黒の空から大きな一つ目がスタジアムを見つめていた。巨大な一つ目は溶けだし、どす黒い液体となって垂れ流れる。液体は蠢きだし、【邪教の神殿】に祭らわれていた化け物の像と同じ姿になった。

 その姿は何かの生物に置き換えることのできない名状しがたい姿だった。

 邪教神は言葉で表せない、悲鳴にも笑い声にも聴き取れる不気味な声を上げる。観客。主に女性ライバーはその姿に嫌悪感を感じ、中には吐きそうになっていたライバーもいた。

 

「な、なんだ……あのモンスターは!? ぶ、不気味すぎる!!」

「えぇ、『名状したがきもの』。とはこのことを言うのですね」

「【歪なる邪教神】の攻撃力・守備力は贄にしたモンスターの数値分アップする!」

 

歪なる邪教神 攻撃力:4000 守備力:4000

 

「贄にしたモンスターって……ラビエルかよ! そいつはヤバい! 俺はリバースカード、オープン! 速攻魔法【B11-豪火再戦】を発動!」

 

【豪火再戦】

速攻魔法

〇墓地のレベル4以下の【B11】モンスターを二体、効果を無効にして特殊召喚する。その後、自分は500ダメージを受ける。

 

「俺は墓地の【B11-エルボー】と【B11-ダブルアーム】を守備表示で特殊召喚!」

 

舞元啓介LP:3700→3200

 

「この瞬間、【B11-フライング・メイヤー】の効果発動! 俺のフィールドの【B11-エルボー】とでびのフィールドの【歪なる邪教神】を破壊する!」

「甘いぞ、農家! 僕は手札から速攻魔法【邪教神の聖杯】を発動!」

 

【邪教神の聖杯】

速攻魔法

〇このターンのエンドフェイズ時まで、自分フィールドの悪魔族儀式モンスターはこのカード以外のカードの効果を受けない。

 

「これにより農家のレスラーの効果は受けないよ!」

「くっ! 【B11-エルボー】だけが破壊されるか」

「舞元啓介! 猛攻を防がれ、せっかくの壁モンスターとライフが減らしてしまった!」

「それに【歪なる邪教神】にはまだ効果があります!」

「その通り! 僕は【歪なる邪教神】の効果発動! 農家のさっきのレスラーを生贄にして、僕のフィールドに【邪教神トークン】を特殊召喚! 【邪教神トークン】は【歪なる邪教神】と同じ攻撃力・守備力になるぞ!」

 

邪教神トークン 攻撃力:4000 守備力:4000

 

「バトル! 【邪教神トークン】で農家のリンクのレスラーを攻撃!」

「くっ!! 墓地の送られた【B11-ブレーンバスター】の効果で墓地の【B11-豪火再戦】を回収する!」

 

舞元啓介LP:3200→1200

 

「続けて、【歪なる邪教神】でさっき復活したモンスターに攻撃」

 

 邪教神は無数の触手を伸ばし、ダブルアームを拘束した。

 ダブルアームはもがこうとするが、触手が触れている部分から徐々に飲み込まれ、ダブルアームの肉体と触手が一体化し、邪教神に飲み込まれた。

 

「僕はこれでターンエンド。この恐ろしい神に勝てるかい?」

「つ、強すぎる! でびでび・でびる! 攻撃力4000のモンスターを二体並べ、余裕の笑みを浮かべています!」

「実際に【歪なる邪教神】は【邪教神トークン】がいる限り無敵。あのカードを除去するには実質、二回除去カードを使わないといけません」

「いいや、まだだ! 俺のライフは残っている! 俺のターン、ドロー! 俺は手札から永続魔法【B11-バーニング・エンカウント】を発動!!」

 

【B11-バーニング・エンカウント】

永続魔法

〇自分フィールドの【B11】モンスターは効果では破壊されない。

〇一ターン一度、自分が効果ダメージを受けた時、発動する。デッキから【B11】モンスター一体を手札に加える。

 

「俺は【B11-バーニング・リング】の効果発動! 墓地の【B11-エルボー】を特殊召喚! 俺は300ダメージを受ける!」

 

舞元啓介LP:1200→900

 

「この瞬間、フィールドの【B11-バーニング・エンカウント】の効果発動! デッキから【B11-ローキック】を手札に加える! そして、俺は手札から【B11-豪火再戦】を発動! 墓地の【B11-ダブルアーム】と【B11-パワーボム】を特殊召喚! そして、500ダメージを受ける!」

 

舞元啓介LP:900→400

 

「舞元啓介! 自らのライフを削っていく! もう風前の灯火だぁ!」

「ここからどう攻めていくのでしょうか?」

「俺は手札の【B11-ローキック】の効果発動!」

 

【B11-ローキック】

レベル4/炎属性/戦士族/攻1000/1900

〇自分が効果ダメージを受けた時には発動することができる。このカードを特殊召喚し、ライフを1000回復する。

 

「【B11-ローキック】を特殊召喚!」

 

舞元啓介LP:400→1400

 

「へぇー、まだ粘るんだ」

「当り前よ! ここからが大勝負だ!! 俺は【B11-エルボー】【B11-ローキック】【B11-ダブルアーム】【B11-パワーボム】の四体でリンク召喚! 召喚条件は【B11】モンスター三体以上! 燃え上れ! 炎の鬼! 【B11-バーニング・オーガ】!!」

 

【B11-バーニング・オーガ】

リンク4/リンク/炎属性/戦士族/攻3000/↙↓↑↘

〇一ターンに一度、自分のメインフェイズ時に発動できる。自分の手札・墓地から【B11】モンスター一体を選んで、このカードのリンクマーカー先に特殊召喚する。

〇このカードの攻撃力は、このカードのリンクマーカー先の【B11】モンスターの数×300アップする。

〇自分が効果ダメージを受けた時に発動することができる。フィールドの全ての【B11】モンスターの攻撃力を800アップさせる。

 

 舞元のフィールドに炎に包まれた巨漢が登場した。

 巨漢の男は右手を真上に上げ、咆哮を上げる。

 

「俺は【B11-バーニング・オーガ】の効果発動! 墓地の【B11-ブレーンバスター】を特殊召喚! そしてブレーンバスターの効果発動! 墓地の【B11-エルボー】を特殊召喚! 俺は【B11-ブレーンバスター】と【B11-エルボー】でリンク召喚! リンク3【B11-レインメーカー】を召喚!」

 

【B11-レインメーカー】

リンク3/リンク/炎属性/戦士族/攻2400/↙↓↑

〇このカードのリンク先に【B11】モンスターが存在する限り、このカードは戦闘・効果では破壊されない。

〇一ターン一度、相手モンスターを破壊し、互いに500ダメージを与える。

 

「【B11-ブレーンバスター】の効果! 墓地の【B11-豪火再戦】を手札に加える。俺はレインメーカーの効果発動! 【邪教神トークン】を破壊する! そして、互いに500ダメージを与える!!」

「くちょー! 僕のモンスターが!」

 

舞元啓介LP:1400→900

でびでび・でびるLP:4000→3500

 

「バーニング・オーガの効果発動! 【B11】モンスターの攻撃力を800アップする! そしてバーニング・オーガ自身の攻撃力も上がる!」

 

バーニング・オーガ 攻撃力:3000→4100

レインメーカー 攻撃力:2400→3200

 

「俺はリバースカード【B11-烈火死闘】を発動!」

 

【B11-烈火死闘】

〇墓地の【B11】モンスター三体をデッキに戻し、その後デッキから二枚ドローする。

 

「俺は【B11-ブレーンバスター】【B11-ダブルアーム】【B11-ローキック】をデッキに戻し、二枚ドロー!! よし! 見えたぜ! 俺は【B11-レインメーカー】一体でオーバーレイ! エクシーズ召喚! ランク7【B11-シャイニング・ウィザード】!!」

 

【B11-シャイニング・ウィザード】

ランク7/エクシーズ/炎属性/戦士族/攻2800/守2300

レベル7モンスター×2

自分フィールドの【B11】リンクモンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。

〇一ターンに一度、X素材を取り除くことで、以下の効果から一つを選択して発動できる。

●フィールド上のモンスターを破壊し、そのモンスターの攻撃力分、ライフを回復する。

●このターンの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは代わりに相手が受ける。

 

「舞元啓介! 融合を使っていたが、今度はエクシーズ召喚だ!」

「さすが改良しただけありますね……ここに来てのエクシーズ召喚。多彩な召喚法で駆け回っていますね」

「シャイニング・ウィザードの効果発動! 【歪なる邪教神】を破壊!」

「なにぃぃ~!! ぼ、僕の邪教神が!!」

 

舞元啓介LP:900→4900

 

「ここで舞元啓介! 一気にライフを回復! そして、でびでび・でびるのフィールドはがら空きだ!」

「これでフィニッシュだ! バトル! 全モンスターでダイレクトアタック!!」

「あぁー!! この僕がぁ!」

 

でびでび・でびるLP:3500→0

 

「決まったぁぁぁ! 勝者、舞元啓介!! あの逆境から一気に逆転勝ちをつかみ取った!!」

「えぇ、実に見ごたえのあるデュエルでした」

「悪いな、俺の勝ちだ!」

「くそぉぉぉ! 農家のくせに!!」

 

 でびでび・でびるは泣きながらスタジアムから立ち去った。

 

「さぁ、第三回戦が終了しました。続きましては第四回戦! リゼ・ヘルエスタVS夕陽リリ!! この戦いも目が離せません!!」

 

 

 

 




オリカ紹介
【歪なる邪教神】
儀式召喚により降臨する名状したがきモンスター。
贄にしたモンスターの力を得つつ、強力なトークンも生み出す。
まさに恐ろしいモンスター


トーナメント表

【挿絵表示】


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BATTLE.20「夕陽リリvsリゼ・ヘルエスタ」

終業後、ちょっとずつ書いていきますので気長にお待ちください。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。


にじさんじ決闘王

特設スタジアム

 

「さぁ。いよいよ本日、最後の試合になりました! 第四回戦! 夕陽リリVSリゼ・ヘルエスタ! ハヤト、この二人はどう思う?」

「そうですね。リゼさんは融合・シンクロ・エクシーズ・リンクと多彩な召喚法を使います。怒涛の展開で一気に攻めていくかと思います」

「ははっ……意外と殺意が高いですね……」

「一方、夕陽さんは……私は存じていないのですが、だいぶトリッキーな動きをするみたいですね」

「なるほど。リリさんの動きに期待ですね。……準備が完了したようです! では、選手入場!! 東ゲートからはこの方! その弾丸が時間を超え、未来を撃ち抜く! 放たれた未来への弾丸! 夕陽リリ!!」

「おい! トリガーネタやめろぉ!!」

 

 夢追の口上に文句を言いながら夕陽がゲートから出てきて、スタジアムに向かった。

 観客から同期である。剣持、伏見は手を振っていた。もう一人、家長むぎが黄色い歓声を上げながらブンブンと手を振っていた。

 夕陽は苦笑いしながら手を振る。

 

「西ゲートからはこの方! ヘルエスタ王国第二皇女! 文武両道人望ゲキアツプリンセスはデュエルでもタクティクスを輝かせることができるか! リゼ・ヘルエスタ!!」

 

 リゼは真剣な表情で真っ直ぐ、スタジアムに向かう。

 両者がスタジアムに着くとデュエルディスクを構えた。

 

「リゼちゃん。申し訳ないけど、勝たせてもらうよ」

「私はとこちゃんと戦うまで負けるわけにはいけません!!」

「へぇー……なら、お手並み拝見だね」

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「リゼちゃん、先攻後攻は?」

「お好きな方をどうぞ」

「んじゃ、先攻貰うね。私のターン! 私は手札から【緊急テレポート】を発動! デッキからレベル3の【F-Watch(フューチャー・ウォッチ) オルトロン】を特殊召喚!」

 

【F-Watch オルトロン】

レベル3/地属性/サイキック族/攻1500/守600

〇このカードが特殊召喚に成功した時、発動することができる。デッキから【F-Watch】魔法・罠を一枚手札に加える。

〇フィールドのこのカードと手札の【F-Watch】モンスターをゲームから除外することで発動することがうできる。デッキからレベル・属性の異なる【F-Watch】モンスターを一体、特殊召喚する。

 

 夕陽のフィールドに機械で出来た犬が現れた。

 

「オルトロンの効果発動! デッキからフィールド魔法【F-Watch マテリアルユニット】を手札に加え、そのまま発動!」

 

【F-Watch マテリアルユニット】

フィールド魔法

〇このカードの発動時の効果処理として、デッキから【F-Watch】モンスター一体を手札に加える事ができる。

〇一ターンに一度、ゲームから除外されている【F-Watch】モンスター一体を特殊召喚することができる。この効果を発動したターン、自分は【F-Watch】モンスターしか召喚・特殊召喚できない。

 

「マテリアルユニットの効果でデッキから【F-Watch サムライレイザー】をサーチし、オルトロンの効果発動! さっき手札に加えた【F-Watch サムライレイザー】とオルトロンをゲームから除外することで、デッキから【F-Watch ダットインファイト】を特殊召喚!」

 

【F-Watch ダットインファイト】

レベル6/炎属性/サイキック族/攻2200/守1300

〇このカードが【F-Watch】モンスターの効果で特殊召喚に成功したと、発動することができる。デッキから【F-Watch】カードを一枚ゲームから除外する。

〇墓地に存在するこのカードをゲームから除外することで、発動することができる。ゲームから除外されている、このカード以外の【F-Watch】カードを一枚手札に加える。

 

「ダットインファイトの効果発動! デッキから罠【F-Watch バックアップスタート】をゲームから除外するよ! そして、フィールドのマテリアルユニットの効果発動! ゲームから除外されている【F-Watch サムライレイザー】を特殊召喚!」

 

【F-Watch サムライレイザー】

レベル4/光属性/サイキック族/攻1900/守1000

〇一ターンに一度、フィールドの表側表示の【F-Watch】カードをゲームから除外することでデッキからカードを一枚ドローする。

〇このカードが【F-Watch】リンクモンスターの素材として墓地に送られた時、発動することができる。このカードを特殊召喚する。この効果を使用したこのカードが墓地に送られる時、ゲームから除外される。

 

「さらに私は永続魔法【F-Watch フォースダイブ】を発動!」

 

【F-Watch フォースダイブ】

永続魔法

〇このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分フィールドの【F-Watch】リンクモンスターは戦闘・効果では破壊されない。

〇自分フィールドの【F-Watch】モンスターはゲームから除外されている【F-Watch】カードの種類×100アップする。

 

「私はサムライレイザーの効果発動! フォースダイブをゲームから除外することでデッキからカードを一枚ドロー! よし、良いカードが来た! 私は【F-Watch サムライレイザー】と【F-Watch ダットインファイト】でリンク召喚! 召喚条件は【F-Watch】モンスター二体! リンク2【F-Watch マグナムガントレット】!!」

 

【F-Watch マグナムガントレット】

リンク2/リンク/炎属性/サイキック族/攻2000/↙↘

【F-Watch】モンスター二体

〇一ターンにリンクマーカー先の【F-Watch】モンスターをゲームから除外するすることで、墓地の【F-Watch】を一体、特殊召喚する。

〇このカードの攻撃力はリンクマーカー先の【F-Watch】モンスターの数×500アップする。

 

「墓地に送られたサムライレイザーの効果発動! 自身を特殊召喚する! 【F-Watch サムライレイザー】一体でリンク召喚! 召喚条件は【F-Watch】モンスター一体! リンク1【F-Watch ファントムシーフ】!」

 

【F-Watch ファントムシーフ】

リンク1/リンク/風属性/サイキック族/攻1300/→

【F-Watch】モンスター

〇このカードがリンク召喚に成功した時、発動することができる。手札の【F-Watch】カードをゲームから除外することで、デッキからカードを二枚ドローする。

 

「私は手札の魔法カード【F-Watch コピーダイヤル】をゲームから除外し、デッキからカードを二枚ドロー! サムライレイザーは自身の効果でゲームから除外される」

「ゆ、夕陽リリ!! 止まらない! 除外ゾーンを巧みに使い、展開していく」

「何が怖いって、この展開が【緊急テレポート】一枚で完結しているんですよね。……ここからどういう展開をしていくかがポイントですね」

「私はまだ、通常召喚してないよ! 私は【F-Watch グラビティポット】を召喚!」

 

【F-Watch グラビティポット】

レベル2/地属性/サイキック族/攻700/守1400

〇このカードをリリースすることで、ゲームから除外されているこのカード以外の【F-Watch】モンスター二体を特殊召喚する。

 

「グラビティポットの効果発動! 自身をリリースすることでゲームから除外されている【F-Watch オルトロン】と【F-Watch サムライレイザー】を特殊召喚!」

「さらに展開していく! 止まる気配がないぞ!」

「俺は【F-Watch オルトロン】と【F-Watch サムライレイザー】でリンク召喚! 召喚条件は【F-Watch】モンスター二体! リンク2【F-Watch クリスタルスワン】!」

 

【F-Watch クリスタルスワン】

リンク2/リンク/水属性/サイキック族/攻1800/↑→

【F-Watch】モンスター二体

〇このカードがリンク召喚に成功した時、発動することができる。デッキから【F-Watch】カードを二枚ゲームから除外する。

〇このカードが効果で破壊された時、相手のモンスター一体を選択し、発動することができる。そのモンスターの効果を無効にする。

 

「そして、再びサムライレイザーの効果発動! 自身を特殊召喚! そして、クリスタルスワンの効果でモンスターの【F-Watch リトルシャドウ】と罠カードの【F-Watch セキュリティダンジョン】をゲームから除外する。そして、墓地のダットインファイトの効果を使うよ! 自身をゲームから除外することでゲームから除外されている【F-Watch リトルシャドウ】を手札に加え、そのまま特殊召喚!」

 

【F-Watch リトルシャドウ】

レベル1/闇属性/サイキック族/攻900/守700

【F-Watch】モンスター

〇自分フィールドに【F-Watch】リンクモンスターが二体以上存在する時、手札のこのカードを特殊召喚することができる。

 

「さぁ、準備は整った! 私は【F-Watch ファントムシーフ】【F-Watch サムライレイザー】【F-Watch クリスタルスワン】でリンク召喚! 召喚条件は【F-Watch】モンスター二体以上! リンク召喚! リンク3【F-Watch エルファイザ】!!」

 

【F-Watch エルファイザ】

リンク4/リンク/闇属性/サイキック族/攻2800/↖↓→↗

【F-Watch】モンスター二体以上

〇一ターンに一度、ゲームから除外されている【F-Watch】カードをデッキに戻すことで発動することができる。除外したカードの種類(モンスター・魔法・罠)によって、以下を適用する。

モンスター:このカードの攻撃力をエンドフェイズ時まで1000アップさせる。

魔法:相手フィールドのカードを一枚、選んで破壊する。

罠:相手フィールドの表側表示のカード一枚選択し、そのカードの効果をターン終了時まで無効にする。

 

 夕陽の前に近未来的なパワードスーツを着たヒーローのような戦士が現れた。

 パワードスーツのヒーローは左手に大きなシールドを構えていた。

 

「そして、マグナムガントレットの効果発動! フィールドのリトルシャドウをゲームから除外することで墓地の【F-Watch クリスタルスワン】を特殊召喚! マグナムガントレットの攻撃力はリンクマーカー先にエルファイザとクリスタルスワンがいるから1000アップ!」

 

マグナムガントレット 攻撃力:2000→3000

 

「私はカードを二枚伏せてターンエンド。さぁ、リゼちゃんのターンだよ」

「ゆ、夕陽リリ……ここでようやくターンエンドです。怒涛の展開でしたね」

「えぇ、その甲斐あってか、夕陽さんのフィールドには相手のカードを無効にできるエルファイザと伏せカードがあります。妨害する気満々ですね」

「さぁ、リゼ・ヘルエスタ! この盤面をどう攻略する!」

「すーーっ……私のターン、ドロー! 私は手札から【増援】を発動します!」

「サーチカードか! 潰させて貰うよ! 私はリバースカードオープン! カウンター罠【F-Watch ゲットアウト】を発動!」

 

【F-Watch ゲットアウト】

カウンター罠

〇自分フィールドに【F-Watch】リンクモンスターが存在し、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし除外する。

〇墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキのモンスター及び除外されている自分のモンスターの中から、【F-Watch】モンスター一体を選んで手札に加える。この効果を発動するターン、自分は【F-Watch】モンスターしか特殊召喚できない。

 

「ゲットアウトの効果で【増援】を無効にするよ!」

「まだです! 私はフィールド魔法【皇剣士の円卓(ロイヤル・ブレイド・ラウンド)】を発動!」

「それは厄介だね! 私はもう一枚のリバースカードオープン! 【F-Watch ブレイクバック】を発動!」

 

【F-Watch ブレイクバック】

〇墓地の【F-Watch】カードをゲームから除外することで、相手のカードを一枚破壊する。

 

「墓地のファントムシーフをゲームから除外することで、【皇剣士の円卓】を破壊!」

「夕陽リリ!! やはり妨害してリゼ・ヘルエスタの動きを止めていく!」

「ことごとく、サーチカードが潰されていますね。さらにまだエルファイザの効果が残っています」

「くっ!! まだです! 私は【皇剣士(ロイヤル・ブレイド)-デュナメス】を召喚!」

 

【皇剣士-デュナメス】

レベル4/光属性/戦士族/攻1600/守1600

〇このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、発動することができる。手札の【皇剣士】モンスターをゲームから除外することでデッキから【皇剣士】モンスターを一体、特殊召喚する。

 

「私はデュナメスの効果発動!」

「させないよ! エルファイザの効果発動! ゲームから除外されている【F-Watch フォースダイブ】をデッキに戻すことで【皇剣士-デュナメス】を破壊!」

「ですが……これで妨害は使い切ったはず!」

「リゼ・ヘルエスタ! ここから展開していくのか!?」

「彼女は多彩な召喚法を使います。どう展開していくか楽しみですね」

「ここからが進化した私と【皇剣士】デッキの力です! 私はペンデュラムスケールに【皇剣士-ビショップ】をセッティング!!」

「ペンデュラム!?」

「リ、リゼ・ヘルエスタ!? ペンデュラムモンスターを使ってきたぞぉ!!」

「ペンデュラムモンスター!! もしや、融合・シンクロ・エクシーズ・リンクに続いてペンデュラム召喚も!?」

 

【皇剣士-ビショップ】

レベル7/ペンデュラム/光属性/戦士族/攻2700/守1500

【Pスケール:青8/赤8】

〇一ターンに一度、墓地の【皇剣士】モンスターをゲームから除外することで、デッキから【皇剣士】モンスター一体を手札に加える。

【モンスター効果】

〇このカードがフィールドに存在する限り、EXデッキから特殊召喚された【皇剣士】モンスターは効果では破壊されず、対象にならない。

 

「ビショップの効果を発動します! なにかありますか?」

「…………いや、何もないよ。好きに動いていいよ」

「では、私は墓地のデュナメスをゲームから除外することで、デッキから【皇剣士-ルーク】を手札に加え、ペンデュラムスケールにセッティングします!」

 

【皇剣士-ルーク】

レベル5/ペンデュラム/光属性/戦士族/攻2200/守1800

【Pスケール:青3/赤3】

〇一ターンに一度、ゲームから除外されている【皇剣士】モンスター一体を手札に加える。

【モンスター効果】

〇このカードが特殊召喚に成功した時、発動することができる。デッキから【皇剣士】モンスター一体をゲームから除外することで、相手モンスター一体を破壊する。

 

「ルークの効果でデュナメスを手札に加えます!」

「リゼ・ヘルエスタのペンデュラムスケールに8と3のペンデュラムモンスターが揃った!!」

「いよいよですね!」

「私はスケール8の【皇剣士-ビショップ】とスケール3の【皇剣士-ルーク】でペンデュラム召喚! 来て! 私のモンスター!! 手札から【皇剣士-デュナメス】【皇剣士-レイド】【皇剣士-エムリット】!!」

 

【皇剣士-エムリット】

レベル5/ペンデュラム/光属性/戦士族/攻2500/守1000

【Pスケール:青8/赤8】

〇このカードを発動したターンの自分メインフェイズに発動できる。デッキからレベル4以下の【皇剣士】モンスター一体を手札に加える。

【モンスター効果】

〇このカードが特殊召喚したターンのメインフェイズ時に発動することができる。フィールドの【皇剣士】カードを二枚破壊することで、デッキからカードを二枚ドローする。

 

 

「エムリットの効果発動! ペンデュラムスケールのルークとビショップを破壊することでデッキからカードを二枚ドローします! 私は【皇剣士-デュナメス】と【皇剣士-エムリット】でリンク召喚! 召喚条件は【皇剣士】モンスター二体! リンク2【皇剣士-ガルク】! ガルクの効果発動! 手札の【皇剣士-キリシュタリア】を特殊召喚! 私はレベル4の【皇剣士-キリシュタリア】にレベル4の【皇剣士-レイド】をチューニング! レベル8【皇剣士-ローディン】!!」

 

【皇剣士-ローディン】

レベル8/シンクロ/光属性/戦士族/攻3000/守2000

【皇剣士】チューナー+チューナー以外の戦士族モンスター

〇一ターンに一度、デッキから【皇剣士】モンスターを二体までゲームから除外することで発動することができる。このターンのバトルフェイズ中、このカードは除外したモンスターの数だけ攻撃することができる。

 

「私は【皇剣士-ローディン】の効果で【皇剣士-ビット】と【皇剣士-フィオナ】をゲームから除外します! これにより、このターン、ローディンは二回攻撃することができます!」

「リゼ・ヘルエスタ! 多数の妨害を掻い潜りながら攻撃力3000の大型モンスターを出してきた!」

「すごい! ローディンの二回攻撃とエムリットで夕陽さんのモンスターを全処理できます!」

「バトルです! ローディンでエルファイザに攻撃!!」

 

 ローディンが白銀に輝く剣を構え、跳び上がる。エルファイザはシールドを構え、防御の体制を取るが、ローディンの剣がシールドを貫通しエルファイザを切り裂いた。

 

 

夕陽リリLP:4000→3800

 

「くっ!」

「エルファイザがいなくなったことでマグナムガントレットの攻撃力は下がります! ローディンでマグナムガントレットに続けて攻撃!」

 

マグナムガントレット 攻撃力:3000→2500

夕陽リリLP:3800→3500

 

「エムリットでクリスタルスワンに攻撃!」

 

夕陽リリLP:3500→2800

 

「ガルクでダイレクトアタック!!」

 

夕陽リリLP:2800→900

 

「私はこれでターンエンドです」

「リゼ・ヘルエスタ。見事な逆転です!」

「えぇ、ペンデュラム召喚で展開しつつ、もはや十八番とでも言える多彩な召喚法で、上手く相手のモンスターを除去することができました。しかし、夕陽さんの展開力も侮れません」

「やるねー、私のターン。ドロー! よし、中々いいカードじゃないですか? 私は墓地の【F-Watch ゲットアウト】の効果発動! このカードをゲームから除外することでデッキから二体目の【F-Watch グラビティポット】を手札に加える」

「あのカードは!?」

「おぉっと、夕陽リリ! ここで大量展開できるモンスターをサーチしてきたぞ! 展開する気満々だぁ!」

「おそらく、戻ってくるのは再利用できる【F-Watch ダットインファイト】と【F-Watch サムライレイザー】ですかね」

「私はそのまま、【F-Watch グラビティポット】を召喚! 効果発動! 自身をリリースすることで【F-Watch ダットインファイト】と【F-Watch サムライレイザー】を特殊召喚!」

「やはり、あの二枚ですか!!」

「特殊召喚されたダットインファイトの効果発動! デッキから【F-Watch クリムゾンレディ】をゲームから除外します! 私は【F-Watch ダットインファイト】と【F-Watch サムライレイザー】の二体でリンク召喚! リンク2、二体目の【F-Watch クリスタルスワン】! そして、墓地のサムライレイザーの効果発動! 自身を特殊召喚! 私は【F-Watch クリスタルスワン】と【F-Watch サムライレイザー】でリンク召喚! リンク3【F-Watch プラネットバース】!!」

 

【F-Watch プラネットバース】

リンク3/リンク/闇属性/サイキック族/攻2400/←↙↓

【F-Watch】モンスター二体以上

①、②効果は一ターンに一度、いずれか一つしか使用できない。

〇このカードがリンク召喚に発動することができる。ゲームから除外されている【F-Watch】リンクモンスターを攻撃力を0にして特殊召喚する。

〇墓地のこのカードをゲームから除外することで、ゲームから除外されているこのカード以外の【F-Watch】リンクモンスターを効果を無効にして特殊召喚する。

 

「プラネットバースの効果でゲームから除外されている【F-Watch ファントムシーフ】を特殊召喚! さぁ、私の切り札のお披露目だ! 【F-Watch プラネットバース】と【F-Watch ファントムシーフ】の二体でリンク召喚! 召喚条件は【F-Watch】リンクモンスター二体以上! リンク4【F-Watch サテライトジャスティス】!!」

 

【F-Watch サテライトジャスティス】

リンク4/リンク/光属性/サイキック族/攻0/↖↓↘↗

【F-Watch】リンクモンスター二体以上

〇このカードの攻撃力はゲームから除外されている【F-Watch】カードの種類(モンスター・魔法・罠)の数×1000アップする。

〇このカードは戦闘・効果では破壊されない。

〇このカードはゲームから除外されている【F-Watch】の種類によって以下の効果を得る。

モンスター:このカードは攻撃及び効果の対象にならない。

魔法:このカードは相手プレイヤーに直接攻撃することができる。

罠:一ターンに一度、相手のカードを一体選択し、墓地に送る。

〇自分ターンのエンドフェイズ毎にゲームから除外されている【F-Watch】カードをデッキに戻す。

 

 二体のモンスターが光に包まれるとその場に何も現れなかった。

 

「お、おや? 夕陽リリ、リンク召喚したにも関わらずモンスターが現れないぞ?」

「ちっちっち。ちょっと待っててね」

 

 夕陽はポケットから白い物体を取り出し、空高く放り投げた。

 放り投げられた白い球体はプロペラが展開されると、そのまま空高く飛んで行った。

 

「運営さん。私のデュエルディスとさっき放り投げたドローンの映像をリンクしているから、デュエルディスを通してスタジアムのディスプレイに写してくれない」

「しょ、少々お待ちください! 運営さん、お願いします!」

 

 少し待つとディスプレイに映像が映し出された。

 映像は地球を離れ、宇宙を写していた。宇宙には巨大な人工衛星が漂っていた。

 

「えー……えーと、もしかして……」

「そう、あれが私の切り札【F-Watch サテライトジャスティス】だよ」

「夢追さん! あれ、すごくないですか!?」

「ハヤト、落ち着け!」

「【F-Watch サテライトジャスティス】はゲームから除外されている【F-Watch】の種類だけ攻撃力がアップする。よって攻撃力は……」

 

サテライトジャスティス 攻撃力:0→3000

 

「攻撃力3000……ッ!!」

「私の切り札のお披露目ができたことで、バトル! 【F-Watch サテライトジャスティス】でリゼさんにダイレクトアタック!」

「なっ!?」

 

 ディスプレイに移っていた人工衛星が動き出し、先端が変形してレーザー砲が出てきた。

 レーザー砲の先端に光が溜まり、レーザーを放つ。

 宇宙から放たれたレーザーは天空から降降り注ぎ、リゼに直撃する。

 

「うわぁぁ!!」

 

リゼ・ヘルエスタLP:4000→1000

 

「サテライトジャスティスは攻撃も効果も対象にならない、まさしく宇宙に隔離されたモンスター。リゼちゃんのモンスターが宇宙に行けば倒せるかもね」

「ははっ……その冗談は笑えないです」

「私はこれでターンエンド」

「ま、まさか宇宙からの攻撃! これは防ぎようがない! どうする、リゼ・ヘルエスタ!!」

「まさしくガンダムXのサテライトキャノンを彷彿させる攻撃!!」

「童心に返ってないで、さっさと戻ってこい!!」

「私は負けません! 負けるわけにはいかないんです!!」

 

 リゼがカードをドローしようとデュエルディスに手を掛けた瞬間、かすかに右手に青い炎が灯った。

 

(あ、あれは!?)

「お、ハヤト返ってきたか」

「え、えぇ、少々興奮してしまいました」

(リゼさんもデステニードローを! しかし、本人は自覚していない?)

「私のターン! ドロー!! 来た! 私は二枚目の【皇剣士-ビショップ】をペンデュラムスケールにセッティング!」

「リゼ・ヘルエスタ!! ここで再びペンデュラムスケールにセッティングした!!」

「いいカードを引きましたね!!」

「ビショップの効果発動! 【皇剣士-デュナメス】をゲームから除外することで、【皇剣士-ルーク】を手札に加え、そのままセッティング! スケール8の【皇剣士-ビショップ】とスケール3の【皇剣士-ルーク】でペンデュラム召喚! 来て! 私のモンスター!! ガルクのリンクマーカー先にEXデッキから【皇剣士-ビショップ】【皇剣士-エムリット】!! エムリットの効果発動! ペンデュラムスケールのカード二枚を破壊し、二枚ドローします! 私はリンク2【皇剣士-ガルク】と【皇剣士-ビショップ】【皇剣士-エムリット】でリンク召喚! 召喚条件はEXデッキから特殊召喚された【皇剣士】モンスター二体以上! 降臨せよ! 我がヘルエスタ王国に伝わりし、王剣!! リンク4【宝皇剣士(ゼル・ロイヤル・ブレイド)-ヘルエスタ】!!」

 

【宝皇剣士-ヘルエスタ】

リンク4/リンク/光属性/戦士族/攻4500/←↓↑→

EXデッキから特殊召喚された【皇剣士】モンスター二体以上

〇一ターンに一度、墓地の【皇剣士】モンスターをゲームから除外することで発動することができる。ゲームから除外したモンスターの種類(融合・シンクロ・エクシーズ・ペンデュラム・リンク)によって以下の効果を適用する。

融合:相手フィールドのモンスター全てを破壊する。破壊したモンスターの数×300ダメージを与える。

シンクロ:このカードはこのターンのバトルで二回攻撃することができる。このカードが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時までカードの効果を発動できない。

エクシーズ:互いの墓地のカードを全てゲームから除外する。この効果に対して、相手はカード効果を発動することができない。

ペンデュラム:相手モンスター一体を破壊し、そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。

リンク:EXデッキから【皇剣士】モンスター一体を効果を無効にして特殊召喚する。

 

 三体の騎士が光に包まれる。

 そこから淡い蒼に輝く鎧を身にまとい、赤いマントを翻した騎士が現れた。騎士は宝石が埋め込まれた大剣を構えた。

 

「これが私の切り札です!!」

「リゼ・ヘルエスタ!! ここで大型リンクモンスターを召喚だぁ!!」

「確かに強いモンスターではありますが……このままではサテライトジャスティスを倒すことができません」

「いいえ、攻略してみます! 私は【宝皇剣士-ヘルエスタ】の効果を発動します! 墓地のローディンをゲームから除外することでシンクロモンスター時の効果を発動します! これで

これでヘルエスタは二回攻撃ができます!」

「それがどうしたのかい? 私のサテライトジャスティスは攻撃対象にすることができないんだよ?」

「私は先ほど、エムリットの効果でドローしたこのカードを使います! 私は手札から【龍の鏡】を発動します!!」

「融合!? ってか、ドラゴン族!?」

「ここでリゼ・ヘルエスタ!! 【龍の鏡】を発動!!」

「確かに融合も使用するリゼさんですが…………戦士族ではなく、ドラゴン族モンスターを融合召喚するつもりですね!!」

「私は墓地の【皇剣士-ガルク】と【皇剣士-レイド】で融合! ヘルエスタ王国を守護する竜よ、今ここに王と共に王国に勝利を掲げよ!! レベル6【皇剣竜(ロイヤル・ブレイド・ドラゴン)-シュラノーツ】!!」

 

【皇剣竜-シュラノーツ】

レベル6/融合/光属性/ドラゴン族/攻2400/守1400

EXデッキから特殊召喚された【皇剣士】モンスター+【皇剣士】モンスター

〇一ターンに一度、自分フィールドのEXデッキから特殊召喚された【皇剣士】モンスターを一体、選択して発動することができる。このカードを装備カード扱いとしてその自分のモンスターに装備する。

〇このカードを装備したモンスターはこのカードの攻撃・守備力分アップする。

〇このカードを装備したモンスターは以下の効果を得る。

●一ターンに一度、このカードより攻撃力の低い全てのモンスターの効果を無効にする。

 

「シュラノーツの効果を発動します! ヘルエスタにこのカードを装備します!!」

 

 ヘルエスタが跳ぶと、シュラノーツの背に乗り、竜騎士へとなった。

 

ヘルエスタ 攻撃力:4500→6900

 

「シュラノーツのもう一つの効果発動! ヘルエスタより攻撃力の低いモンスターを無効にします!! これは対象を取らない全体効果です!! よって、サテライトジャスティスの効果も無効にできます!!」

「しまった!?」

 

 サテライトジャスティスはいきなり電源が落ち、機能を停止させた。機能を停止させた人工衛星はただ宇宙に漂う鉄の塊となった。

 

サテライトジャスティス 攻撃力:3000→0

 

「バトルです! 【宝皇剣士-ヘルエスタ】で【F-Watch サテライトジャスティス】に攻撃力!! ヘルエスタの効果でバトル中は他のカード効果を発動できません!!」

「そのためにシンクロモンスターを選んだのか!!」

「輝きを喰らえぇ!! 皇剣【エルエスタ・ブレード】!!」

 

 シュラノーツに乗ったヘルエスタは空高く、舞い上がった。

 その高度は空を抜け、大気圏を超え、宇宙に到達した。

 地球と太陽、ヘルエスタが並び幻想的な姿を見せつけていた。

 

「すげぇ……」

 

 夢追も実況を忘れ、思わず声が漏れてしまった。

 ヘルエスタは大剣を上に掲げると太陽の逆光によって埋め込まれていた宝石が輝きだす。シュラノーツはスピードを上げ、サテライトジャスティスに接近する。

 輝きを集った大剣を構え、サテライトジャスティスを一刀両断した。

 真っ二つになったサテライトジャスティスを宇宙で爆散した。

 

「あーあ、負けちゃったか」

 

夕陽リリLP900→0

 

「しょ、勝者! リゼ・ヘルエスタ!! 無敵と思われた宇宙のモンスターを見事、撃墜させたぁ!!」

「えぇ、とても素晴らしいデュエルでした!!」

「はぁ……はぁ……か、勝った」

「リゼちゃん、おめでとう! 次も頑張ってね」

「あ、ありがとうございます!」

 

 リゼと夕陽は握手を交わすとスタジアムを去った。

 

「第四回戦が無事、終了しました! 次の戦いは明日になります! 皆さま、お楽しみください!!」

「明日は長尾景さん対叶さんの戦いになります。明日も解説させていただきます」

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

東ゲート待合室。

 

 デュエルを終えた夕陽はロッカーに背もたれながらスマホを操作していた。

 

「もしもし」

『どーも。良いデュエルだったよ』

「そりゃ、どーも。で、何とか運営のデータにウイルスを忍び込ませることができたよ」

『ありがとう。だいぶ助かるよ。まさか、モンスターを宇宙に出して、その映像データと一緒にウイルスを紛れ込ませるなんて』

「いや、なんで他人事なのよ? 黛灰、アンタの指示でしょ?」

『まーね』

「……で、そっちは?」

『まだ、確証を得てないんだけど……』

「なに、歯切れの悪い」

『今回の黒幕。草壁誠一郎という名の戸籍は存在しないんだ』

「はい?」

『もしやと思い、片っ端から草壁誠一郎という名を検索したんだ。同姓同名は存在するけど、あの顏で草壁誠一郎という名の人物は存在しなかった』

「…………と、いうと偽名?」

『まぁ、その線が濃厚かな』

「うーむ……どうするか」

『リリさんは取り敢えず、そのまま運営の様子を逐一報告して欲しいな。負けたから暇でしょ?』

「あー、そんなこと言うんですか。あー、そうですか」

『いや、冗談だよ』

「分かってますよ。そっちも何かあったら連絡して」

『了解』

 

 通話を終えると、ため息を漏らしながらスマホをポケットにしまった。

 

「諜報員の真似事は骨がいりますね……まぁ、やってみますか」

 




オリカ紹介
【F-Watch】
ゲームから除外することで展開していくデュエルスタイル。
ゲームから除外されているカードの種類が多ければ多いほど強力な効果を得る。

【宝皇剣士-ヘルエスタ】
リゼの切り札。
EXモンスターの力を借り、様々な効果を使い分ける。
王剣ヘルエスタ・ブレードは悪を切り裂く。

【皇剣竜-シュラノーツ】
リゼのデッキで唯一のドラゴン族モンスター。
その背に剣士を乗せ、空高く飛び上がる。


トーナメント表
【挿絵表示】


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BATTLE.21「長尾景vs叶」

まだまだ登場していないライバーを積極的に出していきたいと思います。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。




にじさんじ決闘王二日目

特設スタジアム

 

「さー、一日目も無事、終わり。二日目に突入しました!! 今回も実況はこの私、夢追い続けて28年。夢追翔でお送りさせていただきます!! そして、解説はこの方!」

「こんにちは。加賀美インダストリアル代表取締役兼にじさんじ所属、加賀美ハヤトでございます。今回も解説として務めさせて頂きます」

「はい。ハヤト、今回もよろしく。さぁ、ライバーも次々と勝ち上がりトーナメント表はご覧の通りになっています!!」

 

 夢追がディスプレイに指を指すと、ディスプレイにトーナメント表が映し出された。

 

「と、いうことで二日目第一回戦は長尾景VS叶になります!」

「叶さんは凛月さんとの戦いで実力を発揮していましたね。あのドラゴンには注意しないといけないですかね」

「あの全体除去からの連続攻撃は脅威ですね」

「一方、長尾さんは展開力は叶さんより劣りますが、トリッキーな動きで相手を惑わすデッキになっていると聞いています」

「なるほど! 相手を翻弄するデッキのようですね。さぁ、選手入場です!! 東ゲートから登場するのは神様だろうが、野良猫だろうが、どんな相手でも忖度する忖度の伝道師!! 今回は忖度せず、圧倒的デュエルセンスを見せつけていくのか! 祓魔の忖度師! 長尾景!」

 

 ゲートから登場すると完成が上がる。同期のV△LZが応援している中、フミ様は物騒な発言をしながら応援している。

 その声が聞えたのか長尾は苦笑いしながら手を振った。

 

「西ゲートからはこの方! 先日のデュエルでは圧倒的、デュエルプレイングとカードパワーで勝利を掴んだ、この男! その瞳は相手を凍り付ける! 氷結の暗殺者! 叶!!」

 

 叶は黙りながらスタジアムに淡々と向かう。スタジアムに着くとデュエルディスクを構えた。

 長尾もデュエルディスクを構えた。

 

「どうも、叶さん。他のゲームでは僅差で負けることが多いですが、今回は勝たせていただきます」

「そう? まぁ、僕を更なる高みに上り詰めるための糧になってよ」

「…………やっぱり、叶さん。何かに憑かれてません?」

「さぁ、どうだろうね」

「いいですよ。俺が勝ったら、その魔も祓ってあげますよ」

「勝ったらね。まぁ、僕が勝つんだけどね」

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「先攻後攻は?」

「長尾君が選んでいいよ」

「では、後攻で」

「へぇ、後攻で良いんだ。じゃあ、僕のターン。僕は手札から【雪牙狼(せつがろう)の宝玉】を発動!」

 

【雪牙狼の宝玉】

魔法

〇デッキから【雪牙狼】カードを一枚手札に加える。

〇フィールドの【雪牙狼】モンスターが破壊される時、代わりの墓地のこのカードをゲームから除外することができる。

 

「僕はデッキから【雪牙狼の狩人】を手札に加え、そのまま召喚。【雪牙狼の狩人】の効果発動! デッキから【雪牙狼の近衛】を手札に加え、そのまま【雪牙狼の近衛】の効果で自身を特殊召喚! さらに【雪牙狼の狩人】の効果発動! 手札の【雪牙狼の騎馬隊】を特殊召喚!」

 

【雪牙狼の騎馬隊】

レベル4/水属性/獣戦士族/攻1900/守1300

〇フィールドに【雪牙狼】リンクモンスターが存在する時、発動することができる。墓地のこのカードをそのリンクモンスターのリンクマーカー先に特殊召喚する。この効果で特殊召喚したカードが墓地に送られる時、墓地に送る代わりにゲームから除外する。

 

「【雪牙狼の狩人】【雪牙狼の近衛】【雪牙狼の騎馬隊】の三体でリンク召喚。召喚条件は【雪牙狼】モンスター二体以上。リンク3【雪牙狼の守護者】」

 

【雪牙狼の守護者】

リンク3/リンク/水属性/獣戦士族/攻2400/←↙↘

【雪牙狼】モンスター二体以上

〇リンクマーカー先の【雪牙狼】モンスターは戦闘では破壊されない。

〇このカードが相互リンク状態だった場合、このカードはカード効果では破壊されない。

 

 

「そして、墓地の【雪牙狼の騎馬隊】の効果発動! 自身を特殊召喚する。さらに【雪牙狼の騎馬隊】一体でリンク召喚。召喚条件は【雪牙狼】モンスター一体。リンク1【雪牙狼の鍛冶師】」

 

【雪牙狼の鍛冶師】

リンク1/リンク/水属性/獣戦士族/攻1000/↖

【雪牙狼】モンスター一体

〇このカードが相互リンク状態だった場合、リンクマーカー先の【雪牙狼】リンクモンスターの攻撃力を800アップさせる。

 

「【雪牙狼の鍛冶師】の効果で【雪牙狼の守護者】の攻撃力を上げる」

 

雪牙狼の守護者 攻撃力:2400→3200

 

「叶、順当な守りで固めていきました。」

「カードを一枚伏せ、ターンエンド。さぁ、お手並み拝見だ」

「では、やらせてもらいますよ。俺のターン、ドロー! 俺は【強欲で金満な壺】を発動! EXデッキからカードを六枚、ゲームから除外することでデッキからカードを二枚ドロー!」

「長尾景、軽快な滑り出しですね」

「【強欲で金満な壺】を使用するということはEXデッキに頼らないデッキですかね」

「続けて、俺は永続魔法【祓魔術(ふつまじゅつ)-双魂転移(そうこんてんい)】を発動!」

 

【祓魔術-双魂転移】

永続魔法

〇一ターンに一度、互いのフィールドに【式神トークン】(悪魔族・闇・星1/攻0/守0)を一体ずつ守備表示で特殊召喚する。

〇自分フィールドの悪魔族を一体リリースすることで発動できる。デッキから【祓魔師】モンスターを一体手札に加える。

 

「双魂転移の効果で互いのフィールドに【式神トークン】を特殊召喚します!」

「長尾景、互いのフィールドにトークンを展開していく」

「これは何かの布石ですかね」

「僕のフィールドにモンスターを送りつけて良いのかい?」

「えぇ、その数。その数が丁度、いいんです。俺は双魂転移のもう一つの効果を発動! 自分フィールドの【式神トークン】をリリースすることで、デッキから【祓魔師(ふつまし)-バンドウ】を手札に加え、そのまま特殊召喚!」

 

【祓魔師-バンドウ】

レベル4/闇属性/戦士族/攻1800/守700

〇相手フィールドのモンスターが三体以上存在する時、このカードを特殊召喚することができる。

〇一ターンに一度、相手フィールに悪魔族モンスターが存在する時、発動。相手のモンスターを一体、破壊する。

 

「バンドウの効果発動! 相手フィールドに悪魔族モンスターが存在する時に発動!」

「悪魔族……あぁ、なるほど。そうことか」

「なるほど、そのための双魂転移ですか」

「ん? どういうこと?」

「バンドウは相手モンスターが三体以上で特殊召喚しつつ、相手に悪魔族モンスターがいないと効果を発動できません。それを補うための双魂転移です」

「と、いうことは長尾のデッキは相手のモンスター依存のデッキ?」

「うーん……何といえばいいのでしょう? 相手に忖度しつつ自分のカードを展開していく。と、でも言えば良いのでしょうか?」

「忖度デッキ! なるほど! それはしっくりくるな!」

「バンドウの効果で【雪牙狼の鍛冶師】を破壊します!」

「…………いいよ、通す」

「では、続けて。俺は【祓魔師-マゲツ】を召喚!」

 

【祓魔師-マゲツ】

レベル4/闇属性/戦士族/攻1200/守800

〇相手フィールドにモンスターが三体以上存在する時、このカードの攻撃力は倍になる。

〇一ターンに一度、相手フィールに悪魔族モンスターが存在する時、発動。デッキから【祓魔師】モンスター一体を手札に加える。

 

「マゲツの効果発動! 相手フィールドに悪魔族モンスターが存在するのでデッキから【祓魔師-ミズキ】を手札に加える。そして、ここからがこのデッキの真骨頂! 俺は手札から【同胞の絆】を発動!」

「へぇ……」

「長尾景! 【同胞の絆】を発動だ!」

「【同胞の絆】ですか! 条件は厳しいですが、相性が良いデッキであれば爆発的な展開力となります!」

 

長尾景LP:4000→2000

 

「【祓魔師-バンドウ】を選択し、デッキから【祓魔師-キジマル】、【祓魔師-ブザン】を特殊召喚!」

 

【祓魔師-キジマル】

レベル4/闇属性/戦士族/攻500/守1900

〇相手フィールドにモンスターが三体以上存在する時、このカードは戦闘では破壊されない。

〇一ターンに一度、相手フィールに悪魔族モンスターが存在する時、発動。相手のカード一枚、手札に戻す。

 

【祓魔師-ブザン】

レベル4/闇属性/戦士族/攻1700/守1500

〇相手フィールドにモンスターが三体以上存在する時、このカードは魔法・罠の効果を受けない。

〇一ターンに一度、相手フィールに悪魔族モンスターが存在する時、発動。相手フィールドの悪魔族モンスターと魔法・罠カード一枚ずつを墓地に送る。

 

「キジマルの効果発動! 【雪牙狼の守護者】を手札に戻します!」

「通すよ」

「ブザンの効果発動! 叶さんの【式神トークン】とセットカードを墓地に送ります!」

「墓地に送られたのは【雪牙狼の雪隠れ】だよ」

「長尾景! 【同胞の絆】で大量展開しつつ、相手のモンスターを全て除去させた!」

「【同胞の絆】の効果で長尾さんはこれ以上の追撃は出来ませんが、十分な動きはできたかと思います」

「俺はカードを二枚伏せ、ターンエンドです」

「いいねぇ。でも、まだ足りない。僕のターン、ドロー。僕は手札から【水鏡の宝札】を発動」

 

【水鏡の宝札】

魔法

手札の水属性モンスター一体を墓地に送ることで、デッキからカードを二枚ドローする。

 

「僕は手札から水属性モンスターを墓地に送り、カードを二枚ドロー。僕は【雪牙狼の重戦士】を召喚」

 

【雪牙狼の重戦士】

レベル4/水属性/獣戦士族/攻1800/守1800

〇このカードが召喚に成功した時、発動。墓地のレベル4【雪牙狼】モンスター一体を特殊召喚する。

 

「僕は墓地の【雪牙狼の狩人】を特殊召喚。【雪牙狼の狩人】の効果発動、デッキから【雪牙狼の偵察隊】を手札に加え、そのまま特殊召喚。僕はさらに【雪牙狼の狩人】の効果発動。手札の【雪牙狼の槍兵】を特殊召喚。【雪牙狼の狩人】【雪牙狼の重戦士】【雪牙狼の偵察隊】三体でリンク召喚。召喚条件は水属性・獣戦士族モンスター二体以上。リンク3【雪牙狼の狙撃手】」

 

 叶のフィールドに狼を一体丸ごと使った毛皮のマントを身にまとい、狼の頭で作ったフードで顔を隠した男が現れた。男は手に火縄銃を持っていた。

 

「【雪牙狼の狙撃手】の効果発動。【祓魔師-キジマル】を破壊」

「タダではやられませんよ! 俺はリバースカード【祓魔術-輪廻放魂(りんねほうこん)】を発動!」

 

【祓魔術-輪廻放魂】

〇自分フィールドの【祓魔師】モンスター一体を墓地に送ることで発動。相手フィールドに【式神トークン】(悪魔族・闇・星1/攻0/守0)を二体、守備表示で特殊召喚する。

 

「キジマルを墓地に送ることで叶さんのフィールドに【式神トークン】を二体、特殊召喚します」

「狙撃手の効果はかわされたけど、僕のフィールドにモンスターも増えたし、良いか。僕はさらに【雪牙狼の槍兵】一体でリンク召喚。召喚条件は水属性・獣戦士族一体。リンク1【雪牙狼の暗殺者】。バトル、【雪牙狼の狙撃手】で【祓魔師-バンドウ】に攻撃!」

「この瞬間を待ってました! リバースカード【祓魔術-破魂連鎖(はこんれんさ)】を発動!!」

 

【祓魔術-破魂連鎖】

〇相手フィールドに悪魔族モンスターを含むモンスターが三体以上存在する時、発動。相手のモンスターを全て破壊する。

 

「叶さんのフィールドには【雪牙狼】リンクモンスター二体と悪魔族の【式神トークン】二体の合計四体! 発動条件は満たしています!」

「これは上手い! 相手のモンスターを増やすことによって全体除去カードの発動条件を達成させました」

「叶! ここでの全体除去はきついぞ!」

「僕は墓地の【雪牙狼の宝玉】の効果発動。墓地のこのカードをゲームから除外することで【雪牙狼の狙撃手】の破壊を防ぐ、そのまま攻撃を続行しろ」

「くっ、喰らいます」

 

長尾景LP:2000→1300

 

「僕はこれでターンエンド」

「このターンで終らせます! 俺のターン、ドロー! 俺はフィールドの【祓魔術-双魂転移】を発動! 互いのフィールドに【式神トークン】を特殊召喚します! そして、双魂転移のもう一つの効果も使います! デッキから【祓魔師-カゲロウ】を手札に加え、そのまま召喚!」

 

【祓魔師-カゲロウ】

レベル4/闇属性/戦士族/攻1700/守1500

〇相手フィールドにモンスターが三体以上存在する時、このカードはバトルフェイズ中に二回攻撃できる。

〇一ターンに一度、相手フィールに悪魔族モンスターが存在する時、発動。手札の【祓魔師】モンスター一体を特殊召喚する。

 

「カゲロウの効果で【祓魔師-ミズキ】を特殊召喚する!」

 

【祓魔師-ミズキ】

レベル4/闇属性/戦士族/攻500/守2000

〇相手フィールドにモンスターが三体以上存在する時、このカードはモンスター効果を受けない。

〇一ターンに一度、相手フィールに悪魔族モンスターが存在する時、発動。デッキからカードを一枚ドローする。

 

「ミズキの効果発動! デッキからカードを一枚ドロー! よし、ここで俺の切り札の登場です! フィールドの【祓魔師-ミズキ】と【祓魔師-マゲツ】を墓地に送ることで、手札の【祓魔師-ザンキ】を特殊召喚!!」

 

【祓魔師-ザンキ】

レベル7/闇属性/戦士族/攻2500/守2400

〇相手フィールドにモンスターが三体以上存在する時、このカードはカード効果を受けない。

〇相手フィールの悪魔族モンスターと戦闘を行い場合、発動。そのモンスターの表示形式を攻撃表示に変更し、その戦闘で発生する戦闘ダメージは倍になる。

 

 長尾のフィールドに鬼の角が生えた兜を付けた鎧武者が現れた。

 

「バトル! ザンキで【式神トークン】に攻撃!」

「この攻撃が通れば長尾景の勝ちだ!」

「僕は墓地の【氷結の守護像】の効果発動」

 

【氷結の守護像】

レベル1/水属性/水族/攻100/守100

〇墓地のこのカードをゲームから除外することで発動。このターン、自分が受ける戦闘ダメージは0になる。

 

「墓地のこのカードをゲームから除外することで、自分が受ける戦闘ダメージは0になるよ」

「そんなカード、いつの間に!」

「……なるほど、【水鏡の宝札】のコストですね」

「社長、正解。さぁ……長尾君、どうする?」

「俺はカードを一枚伏せ、ターンエンドです」

「これで終わりかい? つまらないな。僕のターン、ドロー。……どうやら勝利の女神は僕に微笑んでくれたようだね」

「?」

「僕は手札から【UnknownCode(アンノウン・コード)-リンク・オーバー-】を発動!!」

「ここでリンク・オーバーを引いたか!!」

「叶、桜凛月でも猛威を振るったモンスターを出すのか!?」

 

 叶がカードをデュエルディスクにセットした。するとデュエルディスクから警告音が響き渡った。

 

『エラー。エラー。不正なプログラムを検出しました。不正なプログラムを検出しました。今すぐにプログラムの消去を――――――プログラムを強制インストール。―――――――プログラムのインストール完了。プログラム【Unknown】を起動します。』

  

 警告音が鳴り止むと同時にスタジアム全体を特殊な空間が包み込んだ。

 

「僕は【UnknownCode-リンク・オーバー-】の効果で墓地のモンスターを5体をゲームから除外することで、リンク召喚! 氷獄の魔龍よ、その魔眼に秘めた力を解き放ち、絶対零度の世界を作りだせ! 降臨せよ、【魔眼の氷極龍(イーヴィルアイズ・コキュートス・ドラゴン)】!!」

 

 デュエルフィールドの気温が急激に下がると、叶の正面に黒い雷が落ちた。その衝撃で空気中に大量の氷が生成されていくと、その氷は黒い雷と交わり、次第に龍の姿に変わっていった。龍は咆哮を上げると、長尾のモンスター達は武器を構え、臨戦態勢に入った。その咆哮で吹雪が巻き起こり、スタジアム全体を凍り付かせた。

 

「【魔眼の氷極龍】の効果を発動! 長尾君のモンスターを全てゲームから除外する! 全てを凍らせ! 【絶対零度の氷獄嵐(アブソリュート・インフェルノ)】!!」

 

 魔眼の氷極龍が咆哮を上げ、翼を大きく羽ばたかせると黒い嵐が巻き起こり、辺り一面を氷漬けにし、粉砕させていく。黒い嵐よって長尾のモンスターは次々、凍り付き破壊されていく。

 

「くっ! 凛月さんの時のデュエルで研究したつもりだったが、やっぱり出されると厳しいなッ!」

「さらに【魔眼の氷極龍】のもう一つの効果! 墓地の【雪牙狼の狙撃手】をゲームから除外することでリンクマーカーの数だけ攻撃することができる! これにより【魔眼の氷極龍】は三回攻撃が可能!」

「これは叶の必勝パターンだ! がら空きフィールドに連続攻撃だ!」

「バトル! 【魔眼の氷極龍】でダイレクトアタック! 【永遠の氷獄雷(エターナル・インフェルノ)】!!」

「それは対策済みです! リバースカード【祓魔術-無限夢魂(むげんむこん)】発動!」

 

【祓魔術-無限夢魂】

〇互いのフィールドに【式神トークン】(悪魔族・闇・星1/攻0/守0)を可能な限り、守備表示で特殊召喚する。

〇この効果を発動したターン、自分はモンスターを特殊召喚することができない。

 

「これにより自分フィールドに五体の【式神トークン】、叶さんおフィールドに四体の【式神トークン】を特殊召喚させます!」

「長尾景、うまい! これにより壁モンスターが増えた!」

「【魔眼の氷極龍】の攻撃を全て防げます!!」

「中々、やるね! 【魔眼の氷極龍】! 敵を粉砕しろ!」

 

 魔眼の氷極龍の口が大きく開き、口に黒い雷が蓄積されていく。溜まりきった雷を魔眼の氷極龍が雷撃を三弾、放つ。

 三つの雷撃は【式神トークン】を木っ端みじんに粉砕した。長尾のフィールドには二体の【式神トークン】が残った。

 

「何とか防ぎ切ったぞ!」

「いいや、これで終わりだよ。…………力一さん。頂いたカードを使わせていただきます。僕は手札から速攻魔法【UnknownCode-リンク・オーバーロード-】を発動!!」

「っ!?」

「なっ!?」

(何!? リンク・オーバーとは別の【Unknown】カードだと!?)

「叶! ここで速攻魔法を発動!」

「僕は【魔眼の氷極龍】一体でリンク召喚! 氷獄の魔龍よ、封印されし力を開放させ、森羅万象、全てを凍らせよ! リンク6【魔神眼の零源龍(イーヴィルアイズ・ラグナロク・ドラゴン)】!!」

 

 【魔眼の氷極龍】の周囲に冷気が漂い、自らを氷漬けにさせていく。完全に氷漬けになった【魔眼の氷極龍】に空から漆黒の雷が直撃する。漆黒の雷を喰らった【魔眼の氷極龍】は周囲の氷が砕け落ち、身体に黒い電流が流れる。それにより、肉体は徐々に姿を変えていき、黒雷を纏った氷の龍が現れた。

 氷の龍は咆哮を上げると周囲は一瞬で凍り付き、地面から氷で出来た刺が無数に生え、空からは無数の黒雷が降り注ぐ。その状況はまさに災害そのものだった。

 

【魔神眼の零源龍】

リンク6/リンク/水属性/ドラゴン族/攻4300/←↙↓↑↘→

名前の異なる効果モンスター5体以上

このカード名はルール上【Unknown】カードしても扱う。

〇このカードがリンク召喚に成功した時または一ターンに一度、メインフェイズ時に発動ことができる。相手フィールドのカードを全てゲームから除外する。この効果の発動に対して魔法・罠・効果モンスターの効果は発動できない。この効果は相手ターンにも発動することができる。

〇このカードが戦闘を行ったとき、墓地のリンクモンスターをゲームから除外することで、このカードは続けて攻撃することができる。この効果は一ターンに二回まで使うことができる。

〇このカードが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時までカードの効果を発動できない。

 

「これが僕の真の切札【魔神眼の零源龍】だ! そして、効果発動! 相手フィールドのカードを全てゲームから除外する! 【魔神の氷獄聖域(インフェルノ・サンクチュアリ)】!!」

 

 

 【魔神眼の零源龍】が鋭い眼光を長尾に向けると、長尾のフィールドのカードが一瞬で凍り付いた。そして、咆哮を上げると、空から黒雷が襲い掛かる。黒雷は凍り付いた長尾のフィールドのカードを直撃し、全てを粉砕した。

 

「バトル! 【魔神眼の零源龍】で長尾君にダイレクトアタック! 【魔神の氷獄神槍(インフェルノ・グングニル)】!!」

 

 【魔神眼の零源龍】は上を向いて、口を大きく開く。すると頭上の空気中の水分が凍り付き、巨大な氷の礫を作り出す。そして、【魔神眼の零源龍】の口には黒い雷が溜まる。

 溜まりきった黒雷を氷の礫に向かって放つ。雷撃を纏った氷の礫が長尾に襲い掛かる。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

長尾景LP:2000→0

 

「き、決まったぁぁぁ!! 勝者、叶! 脅威だと思われていた【魔眼の氷極龍】でしたが、さらにその上がいた! 【魔神眼の零源龍】! まさしく魔神のごとき力!」

「えぇ、二回連続での盤面全除去は防ぎようがないです」

(まさか、あんな隠し玉を持っていたなんて)

「長尾景も惜しかった! 相手のモンスターを増やすことによって自分が有利になっていく。実に面白いデッキでした! さぁ、次の試合は社築VS葛葉の親子対決だ!」

 

 




オリカ紹介
【祓魔師】
相手に【式神トークン】を送りつけることによって、効果を発揮するデッキ
相手のモンスターが三体以上かつ悪魔族モンスターが存在しないと効果を最大限に発動できないため、プレイングが難しいが、そのぶん強力な効果を持っている。

【魔神眼の零源龍】
【魔眼の氷極龍】の真の姿。
その姿は【氷結界の還零龍 トリシューラ】に似ているが関連性は不明。
全てを凍らし、一撃で相手を葬る。最凶のカード。


トーナメント表
【挿絵表示】



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BATTLE.22「社築vs葛葉」

ストーリー上、因縁があるライバー同士のデュエルが展開されていきます。
新しいライバーが出る度にオリカを考えるのは大変ですが、頑張っていきたいと思います。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。


にじさんじ決闘王二日目

特設スタジアム

 

「第一回戦、叶VS長尾景! 叶が強力なモンスターを次々と召喚し、勝利を掴みました」

「えぇ、ゲームから除外する効果を二回連続は脅威でしたね」

 

 夢追は興奮冷めやらず、饒舌にしゃべっている。

 

「さぁ、会場の熱気もボルテージマックスの状態で次の試合に行きましょう! 二日目第二回戦は社築VS葛葉! ド葛本社の親子対決だ!」

「葛葉さんは相手のモンスターのコントロールを奪ったりするコントロール型のヴァンパイアデッキ。一方、社さんは特定のモンスターを再利用しつつ展開していく、ミッドレンジ寄りのデッキになっています。社さんは盤面が揃えば爆発的な展開ができるかと思います」

「ほぉ、それは面白そうだね。葛葉のエクシーズヴァンパイアモンスターは強力だからね。次のデュエルは見物だね! さぁ、二人の準備ができました! それでは選手入場!!」

「ついにこの方の登場ですか!」

「優勝候補筆頭! カードゲームと言ったら、この男! MTGやデュエプレでもそのデュエルタクティクスを見せつける! ブラック企業のカードゲーマー! 社築!」

 

 

 東ゲートが開き、社が出てきた。

 手を振りながらゆっくりとスタジアムに向かう。

 

「続いてはこの方! こちらもゲームセンスは抜群! FPS、カードゲームなんでもあれ! 父親を超え、勝利をもぎ取ることができるか! ゲーマーズの貴公子! 葛葉!」

 

 西ゲートが開き、葛葉が出てきた。

 既にデュエルディスクを装着し、真剣な眼差しで社を見ていた。

 

「よぉ、葛葉。随分、気合入っているみたいだな」

「やしきず…………悪いが、俺は叶をぶん殴らなきゃいけないんだ。このデュエル、俺が勝つぜ」

「いいぜ、全力で掛かってこい!」

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「先攻は貰うぜ! 俺のターン! 俺は手札から【ワークギア ヘッドハンティング】を発動!」

 

【ワークギア ヘッドハンティング】

魔法

〇デッキから【ワークギア】モンスター一体を手札に加える。自分フィールドにモンスターが存在しない場合、さらにデッキから【ワークギア】モンスター一体を墓地に送ることができる。

 

「俺は【ワークギア01(ゼロイチ)】を手札に加え、デッキから【ワークギア02(ゼロニ)】を墓地に送る! そして、そのまま【ワークギア01】を召喚!」

 

【ワークギア01】

レベル4/地属性/機械族/攻1500/守1500

〇このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。墓地の【ワークギア】モンスター一体を特殊召喚する。

 

「俺は01の効果で【ワークギア02】を特殊召喚!」

 

【ワークギア02】

レベル4/地属性/機械族/攻1500/守1500

〇このカードが【ワークギア】モンスターの効果で特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから【ワークギア】モンスター一体を手札に加える。

 

「そのまま、02の効果を発動! デッキから【ワークギア03(ゼロサン)】を手札に加え、そのまま特殊召喚する!」

 

【ワークギア03】

レベル4/地属性/機械族/攻1500/守1500

〇自分フィールドにこのカード以外の【ワークギア】モンスターが二種類以上、存在する場合にこのカードを特殊召喚することができる。

 

 社のフィールドに歯車でできたロボットが現れた。

 01は黄色、02はピンク、03は青色で基本的な姿は一緒だった。

 

「社築! 初手からモンスターを三体並べた!」

「レベル4のモンスターが三体! ここから色々な展開に動けそうですね」

「よーし、準備完了だ。この三体が俺の主軸だ。俺は【ワークギア01】【ワークギア02】【ワークギア03】の三体でリンク召喚! 召喚条件は名前の異なる【ワークギア】モンスター三体! リンク3【ワークギア・ブロンド04(ゼロヨン)】!!」

 

【ワークギア・ブロンド04】

リンク3/リンク/地属性/機械族/攻2800/↙↓↘

〇このカードがフィールドに存在する限り、リンクマーカー先の【ワークギア】モンスターは攻撃力を1000アップさせ、効果では破壊されない。

 

 三体の歯車が光に包まれると、銅でできた巨大な歯車のロボットが出てきた。

 

「まだまだ! 俺は手札から【ワークギア オーバーワーク】を発動!」

 

【ワークギア オーバーワーク】

魔法

〇墓地に存在するレベル4【ワークギア】モンスターを三種類まで選択し、特殊召喚する。

〇この効果を発動したターン、自分は攻撃することができず、特殊召喚されたモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。

 

「俺はブロンド04のリンクマーカー先に01、02、03を特殊召喚! ブロンド04の効果でパワーアップだ!」

 

ワークギア01 攻撃力:1500→2500

ワークギア02 攻撃力:1500→2500

ワークギア03 攻撃力:1500→2500

 

「社築! 宣告通り、歯車モンスターを軸に展開していく!!」

「本来ならオーバーワークのデメリットが発生しましが、先攻のため攻撃は元々、攻撃できません。さらに破壊される効果もブロンド04の効果で防げます。社さんのフィールドには攻撃力2800一体と攻撃力2500のモンスター三体と手厚いフィールドになりました」

「俺はカードを一枚伏せ、ターンエンド。俺に勝ちたければ、この盤面を覆してみろ」

「俺のターン、ドロー! 俺は手札から魔法カード【テラ・フォーミング】発動! デッキから【ヴァンパイア・シュロス】を手札に加え、そのまま発動!」

 

【ヴァンパイア・シュロス】

フィールド魔法

〇このカードの発動時の効果処理として、デッキから【ヴァンパイア】魔法・罠カード一枚をフィールドにセットする。

〇自分フィールドの【ヴァンパイア】エクシーズモンスターは効果では破壊されない。

〇自分フィールドの【ヴァンパイア】モンスター一体を選択して発動できる。そのモンスターのレベルを一つ上げるか下げることができる。

 

 晴天だったスタジアムは一瞬で夜になり、空には赤い満月が不気味に輝く。

 そして、葛葉の背後に廃城と思われるほど、ボロボロの城が現れた。

 

「【ヴァンパイア・シュロス】の効果で【ヴァンパイアの領域】をセットし、そのまま発動! ライフを500払い、【ヴァンパイア・ソーサラー】を召喚」

 

葛葉LP:4000→3500

 

「俺は【ヴァンパイア・ソーサラー】一体でリンク召喚! リンク1【ヴァンパイア・ツァウバラー】!!」

 

【ヴァンパイア・ツァウバラー】

リンク1/リンク/闇属性/アンデット族/攻1200/↓

〇一ターンに一度、このカードのリンクマーカー先の【ヴァンパイア】モンスター一体を選択して発動。そのモンスターとレベルの異なる【ヴァンパイア】モンスター一体を墓地から特殊召喚する。

 

「俺はまだ召喚が残っているぜ。墓地の【ヴァンパイア・ソーサラー】の効果発動! 自身をリリースすることでレベル5以上の【ヴァンパイア】モンスターをリリースなしで召喚できる! 俺は【ヴァンパイア・クリーガー】を召喚!」

 

【ヴァンパイア・クリーガー】

レベル5/闇属性/アンデット族/攻2000/守1500

〇一ターンに一度、カードの種類(モンスター・魔法・罠)を二種類宣言する。互いにデッキから宣言されたカードを一枚ずつ墓地に送る。

 

「クリーガーの効果発動! 俺はモンスターと魔法を宣言するぜ。さぁ、互いにデッキから墓地に送ろうぜ」

「俺は二体目の【ワークギア02】と【ワークギア スリープモード】を墓地に送る」

「俺は【ヴァンパイア・ヘルツォーク】と【ヴァンパイアの鮮血】を墓地に送り、そのまま墓地に送られた【ヴァンパイアの鮮血】の効果発動! このカードをゲームから除外することでデッキから【ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア】を手札に加える! そして、【ヴァンパイア・ツァウバラー】の効果発動! 【ヴァンパイア・クリーガー】を選択し、墓地の【ヴァンパイア・ヘルツォーク】を特殊召喚! さらに俺は【ヴァンパイア・クリーガー】【ヴァンパイア・ツァウバラー】の二体でリンク召喚! リンク2【ヴァンパイア・サッカー】!! そして【ヴァンパイア・ヘルツォーク】の効果発動! 手札の【ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア】を墓地に送り、墓地の【ヴァンパイア・クリーガー】を特殊召喚! 【ヴァンパイア・サッカー】の効果で一枚ドロー! 良いカードを引いた、俺は装備魔法【ヴァンパイアの契約】を発動!」

 

【ヴァンパイアの契約】

装備魔法

〇自分フィールドにレベル5以上の【ヴァンパイア】モンスターが存在する時に発動できる。

〇相手の墓地のモンスター一体を選択し、そのモンスターを表側守備表示で特殊召喚し、このカードを装備する。このカードを装備したモンスターは【ヴァンパイア】モンスターとして扱う。

〇このカードが破壊された時、装備モンスターを破壊する。

 

「やしきずの【ワークギア02】を俺のフィールドに特殊召喚する!」

「く、葛葉止まらない!!」

「凄まじいですね…………しかし、社さんには伏せカードが一枚あります。油断はできません」

「俺は【ヴァンパイア・シュロス】の効果発動! 【ヴァンパイア】モンスターとなった【ワークギア02】のレベルを5にする!」

「レベル5が二体! 来るか!」

「俺は【ヴァンパイア・クリーガー】と【ワークギア02】でエクシーズ召喚! ランク5【ヴァンパイア・ユングフラウ】!! ユングフラウの効果発動! エクシーズ素材を一つ取り除き、【ワークギア・ブロンド04】のコントロールを奪う!」

「くっ!」

 

 ユングフラウの瞳が怪しく光るとブロンド04は勝手に動き出し、ユングフラウを守るように葛葉のフィールドに移動した。

 

「これにより、やしきずの【ワークギア】達の攻撃は元に戻る!」

 

ワークギア01 攻撃力:2500→1500

ワークギア02 攻撃力:2500→1500

ワークギア03 攻撃力:2500→1500

 

「そのまま【ヴァンパイア・ユングフラウ】の効果発動! 【ワークギア・ブロンド04】と【ワークギア02】を選択し、墓地に送る」

「…………通す」

「一気に攻める! 俺は【ヴァンパイア・ユングフラウ】一体でオーバーレイ!! 【ヴァンパイア】エクシーズモンスター一体でランクアップ、エクシーズチェンジ! エクシーズ召喚! 恐怖を撒き散らし、紅の月と共に舞い降りろ!! ランク7【紅月龍(こうげつりゅう) リントヴルム】!!」

 

 紅の満月が昇ると、そこから大蛇のような赤い鱗の龍が舞い降りた。赤い龍は口から赤い吐息が漏れ、咆哮を上げる。

 

「リントヴルムの効果発動! エクシーズ素材を一つ取り除くことで【ワークギア03】を墓地に送る! バトル! リントヴルムで【ワークギア01】に攻撃!」

「俺はリバースカード、オープン! 永続罠【ワークギア クラッシュ&バックアップ】発動!」

 

【ワークギア クラッシュ&バックアップ】

永続罠

①、②の効果は一ターンに一度、いずれか一つしか使用できない。

〇一ターンに一度、自分フィールドの【ワークギア】モンスターが破壊された時に発動できる。相手のモンスター一体を破壊する。

〇一ターンに一度、【ワークギア】モンスターが破壊されたターンのエンドフェイズ時に発動できる。このターン破壊された【ワークギア】モンスター一体を特殊召喚する。

 

 リントヴルムの口から炎が溢れ、灼熱のブレスを放つ。01は跡形もなく燃え尽きた。

 

社築LP:4000→2300

葛葉LP:4000→5700

 

「01が破壊されたことにより【ワークギア クラッシュ&バックアップ】の効果発動! 【ヴァンパイア・ヘルツォーク】を破壊!」

「【ヴァンパイア・サッカー】でダイレクトアタック!」

「くっ! 中々、やるな!」

 

社築LP:2300→700

葛葉LP:5700→7300

 

「葛葉! 攻めの姿勢を突き通し、ライフ差を広げていく!」

「やはり【ヴァンパイアの領域】のライフ回復は強いですね」

「俺はこれでターンエンド」

「俺のターンだな。ドロー! よし、俺は【ワークギア01】を召喚!」

「ってことは!」

「あぁ! 01の効果で墓地の【ワークギア02】を特殊召喚! そして、02の効果で【ワークギア03】をサーチし、そのまま特殊召喚!」

「社築! 安定していて展開していく!」

「【ワークギア01】で三体確定で展開できるのは強いですね」

「俺はレベル4の【ワークギア01】【ワークギア02】【ワークギア03】の三体でエクシーズ召喚! 起動せよ! 【ワークギア・シルバー05(ゼロゴ)】!!」

 

【ワークギア・シルバー05】

ランク4/エクシーズ/地属性/機械族/攻1500/守1500

〇一ターンに一度、このカードのエクシーズ素材を全て取り除くことで発動できる。取り除いた数だけ、相手のカードを破壊する。この効果を発動したターン、このカードは攻撃できない。

 

 三体の歯車が光になって、光の渦を作り出す。そして、渦から銀の巨大な歯車のロボットが現れた。

 

「【ワークギア・シルバー05】の効果発動! エクシーズ素材を全て取り除くことで、【ヴァンパイア・サッカー】【ヴァンパイアの領域】【ヴァンパイア・シュロス】を破壊! シルバー05、射出だ!!」

「なっ!?」

 

 歯車のロボットの胸が開くと、黄色、ピンク、青色の歯車がミサイルのように勢いよく飛び出した。

 

「おぉ! 一気に三枚を除去させた!」

「本当はリントヴルムを破壊したかったと思いますが、あのカードには破壊耐性がありますからね」

「いいや、そのドラゴンも攻略してやるよ。 俺は【ワークギア コネクト・フュージョン】を発動!」

「融合か!」

 

 

【ワークギア コネクト・フュージョン】

魔法

〇自分のフィールド・墓地から【ワークギア】融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターをゲームから除外し、その融合モンスター一体をEXデッキから融合召喚する。

 

「俺は墓地の【ワークギア01】【ワークギア02】【ワークギア03】三体で融合! 起動せよ! 【ワークギア・ゴールド06(ゼロロク)】!!」

 

【ワークギア・ゴールド06】

レベル12/融合/地属性/機械族/攻4500/守4500

【ワークギア01】+【ワークギア02】+【ワークギア03】

〇このカードが相手モンスターをs年頭で破壊した時に発動できる。フィールドの【ワークギア】モンスターを墓地に送ることで、続けて攻撃することができる。

 

 地面が割れると、そこから金色の巨大な歯車のロボットが現れた。

 ブロンド04、シルバー05も巨大だったがゴールド06は二体のモンスターを優に超える大きさだった。

 

「で、でけぇ!!」

「これが俺の切り札だ! バトル! 【ワークギア・ゴールド06】で【紅月龍 リントヴルム】に攻撃!」

 

 ゴールド06が巨大な腕を振り上げる。

 リントヴルムは見上げるようにしながら炎を吐くが、ゴールド06はビクともせず、そのまま腕を振り下ろす。リントヴルムは地面に叩きつけられ破壊された。

 

葛葉LP:7300→6000

 

「リントヴルム!!」

「ゴールド06の効果発動! フィールドの【ワークギア・シルバー05】を墓地に送ることで追加攻撃!」

「何!?」

「葛葉にダイレクトアタック!」

 

葛葉LP:6000→1500

 

「ぐわぁぁぁ!!」

「や、社築のモンスターの攻撃が直撃だぁ!!」

「ライフを回復していなかったら負けていましたね」

「俺はカードを一枚伏せ、ターンエンド」

「俺のターン……」

「ここで逆転のカードを引かいないとお前の負けだぞ?」

「分かってる」

 

 葛葉は静かに目を瞑る。

 叶にやられた凛月の表情が浮かび上がる。その映像が映し出された時、葛葉の指に力が入る。

 

(…………ここで負けるわけにはいかない。俺は凛月さんのためにも……そして、叶の暴走を止めるためにも負けるわけにはいかない!!)

「俺のターン! ドロォォォォ!!」

 

 

 葛葉がカードをドローしようとデュエルディスに手を掛けた瞬間、かすかに右手に黒い炎が灯った。

 

「っ!! 来たぜ、やしきず」

「ほぉ……」

「逆転するために必要なカードが! 俺は手札から【RUM-ドラゴニック・フォース】を発動!!」

「っ!!」

 

【RUM-ドラゴニック・フォース】

魔法

〇LPを半分払い、自分の墓地のドラゴン族Xモンスター一体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚し、そのモンスターよりランクが二つ高いXモンスター一体を、対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。

 

「葛葉! ここで【RUM】カードだ!!」

「ゼアルでもお馴染みのエクシーズデッキでは切札級のカードですね!!」

「俺はライフを半分支払う!」

 

葛葉LP:1500→750

 

「墓地の【紅月龍 リントヴルム】を特殊召喚し、リントヴルム一体でオーバレイ! ランクアップ、エクシーズチェンジ! 紅き龍は満月の光を浴び、魔の力を手に入れる! 紅き魔龍よ、満月と共に降臨せよ! ランク9【紅月魔龍(こうげつまりゅう) リントヴルム・エンペラー】!!」

 

【紅月魔龍 リントヴルム・エンペラー】

ランク9/エクシーズ/闇属性/ドラゴン族/攻4000/守2000

レベル9モンスター×2

このカード名はルール上【ヴァンパイア】カードしても扱う。

〇一ターンに一度、エクシーズ素材を一つ取り除くことで発動できる。相手モンスター一体を対象し、その相手モンスターの攻撃力はターン終了時まで、このカードの攻撃力分ダウンする。

〇このカードが【ヴァンパイア】エクシーズモンスターをX素材にしている場合、このカードは相手カードの効果を受けない。

〇一ターンに一度、魔法カードの効果がフィールドで発動した時に発動できる。その効果を無効にし、フィールドのそのカードをこのカードの下に重ねてX素材とする。

 

 紅い満月が空に昇ると、紅い龍は天に向かうように飛ぶ。満月の光を浴びた紅い龍は徐々に姿を変え、蝙蝠のような大きな翼を広げ、咆哮を上げる。

 

「これが俺の切り札だ! 【紅月魔龍 リントヴルム・エンペラー】の効果発動! エクシーズ素材を一つ取り除き、ゴールド06の攻撃力を下げる!」

 

 紅い満月から光の粒子が降り注ぐとゴールド06の動きが鈍くなった。

 

ワークギア・ゴールド06 攻撃力:4500→500

 

「俺のモンスターが!」

「これで終わりだッ! 【紅月魔龍 リントヴルム・エンペラー】で【ワークギア・ゴールド06】に攻撃! 【スカーレット・ブレス】!!」

 

 魔龍は口に真っ赤な炎を溜め、スタジアム全域に炎を放つ。炎はまるで波のように押し寄せ、ゴールド06は熱で身体が溶けていき、崩壊していった。

 

社築LP:700→0

 

「…………俺の負けか。やっぱり、強いな」

「ありがとう。やしきずのおかげで決意が固まった」

「うん?」

 

 葛葉は社に礼を言うと観客席にいた叶を見つけると、指を指した。

 

「叶ぇぇ! 俺は迷っていた、友として救おうとは思わない。と言ったが、やっぱりお前は掛け替えのない俺の親友だ。俺はお前の暴走を止めたい!」

「暴走だなんて、人聞き悪いな」

「だが、りつきんTVさん……いや、凛月さんのあのときの表情を思い出した時、俺はお前を憎んだ!」

「へぇ……」

「憎みや怒りの負の力を糧にするのはどうかと思うが、そんなの関係ねぇ! 俺はお前がやったことは許せない! 凛月さんの時の宣言通り、友として救おうとは思わない。お前を全力で叩き潰す!!」

「…………ははっ」

 

 叶は笑みを浮かべ、笑い声が漏れた。

 

「いいねぇ! 実にいいよ! 僕を最強にするには葛葉。やっぱり君を倒さないと駄目なようだ!!」

「叶!!」

「いいよ、今度のデュエルで決着を付けよう。勝つのは僕だ」

「いいや、俺が勝つ!!」

 

 




オリカ紹介
【ワークギア】
work(働く)+gear(歯車)を組み合わせた文字通り社会の歯車がモチーフ。
01、02、03を揃えることで大型モンスターを展開していくミッドレンジ型のデッキ。
01、02、03の色合いは某サブカルチャーニュースアプリのキャラクターに似ている。

【紅月魔龍 リントヴルム・エンペラー】
RUMで降臨した葛葉の切り札。
相手モンスターの攻撃力を下げたり、魔法を無効にしたりと臨機応変に戦える。

トーナメント表
【挿絵表示】


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BATTLE.23「イブラヒムvs不破湊」

連休だったので続けて投稿します。
無理せず、自分のペースで書いていきます。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。


にじさんじ決闘王二日目

特設スタジアム

 

「第二回戦、社築VS葛葉! 葛葉の【RUM】で出したモンスターにより見事勝利を掴みました!」

「見事なデュエルでした。社さんも凄まじい猛攻でしたが葛葉さんの攻めの方が上手でしたね」

「では、準備が完了した第三回戦の選手を紹介します。第三回戦はイブラヒムVS不破湊!」

「イブラヒムさんは妨害しつつ、がら空きになった相手に畳みかけるカウンター型のデッキです。一方、不破さんはペンデュラムで展開していくデッキです。イブラヒムさんが完封するか、不破さんがそれを突破して突き進むかが勝敗を握るかと思います」

「なるほど! では、両者の登場です! 東ゲートからはこの方が登場です!」

 

 東ゲートが開かれるとイブラヒムが出てきた。イブラヒムは若干、緊張しているのか、冷や汗をかきながらスタジアムに向かう。

 少し、歩き方もぎこちなかった。

 観客席から同期のメリッサとフレンが大きな声で応援する。それを見たイブラヒムは緊張が解れ、笑みを浮かべていた。

 

「冥府……メイフからやってきたのはこの男! 石油王は富を名声を手に入れ、今度は勝利を手に入れるのか!! アラビアンデュエリスト!! イブラヒム!!」

 

 西ゲートが開く。

 

「西ゲートからはこの方! スプラ、マリカとゲーム大会では常に上位をキープ! 脳死ホストは今宵、デュエルで相手を墜とす! ワンナイトデュエリスト! 不破湊!!」

 

 西ゲートからは不破が現れると、先にスタジアムに向かっていたイブラヒムと目が合う。

 不破はイブラヒムにウインクすると。イブラヒムはクスッ。と笑みをこぼした。

 

「不破さん。申し訳ないけど、勝たせてもらいますよ」

「あー、初戦がイブちゃんかぁ……これは本気を出さないとな」

 

 二人はデュエルディスクを構えた。

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「先攻はイブちゃんに譲るよ。先攻の方が良いでしょ? そのデッキ」

「そう? なら、遠慮なく。俺のターン。俺は手札からフィールド魔法【黄金の迷宮-ゴルディアン-】を発動!!」

 

【黄金の迷宮-ゴルディアン-】

フィールド魔法

〇このカードの発動時の効果処理として、デッキから【ゴルディアン】カード一枚を手札に加える。

〇一ターンに一度、手札を一枚、墓地に送ることで発動できる。デッキから【ゴルディアン】速攻魔法を手札に加える。

〇このカードが存在する限り、自分が発動した【ゴルディアン】速攻魔法は無効化されない。

 

「【黄金の迷宮-ゴルディアン-】の効果で、デッキから【黄金の神殿-ゴルディアン-】を手札に加え、発動!」

 

【黄金の神殿-ゴルディアン-】

永続魔法

〇一ターンに一度、自分が【ゴルディアン】速攻魔法は発動した時に発動できる。デッキから一枚ドローする。この効果は相手ターンにも発動することができる

〇一ターンに一度、フィールドの【ゴルディアン】モンスターを墓地に送ることで発動できる。墓地の【ゴルディアン】速攻魔法一枚をフィールドにセットする。

 

「俺は【黄金の迷宮-ゴルディアン-】のもう一つの効果を発動! 手札を一枚捨て、デッキから速攻魔法【黄金の守護者(ゴルディアン)-スケルトン-】を手札に加え、そのまま【黄金の守護者-スケルトン-】を発動!」

 

【黄金の守護者-スケルトン-】

速攻魔法

〇このカードが自分ターンに発動した場合、以下の効果を発動する。

●自分フィールドに【黄金の守護者(ゴルディアン)トークン】(岩石族・闇・星3・攻1000/守1000)一体を特殊召喚する。

〇このカードが相手ターンに発動した場合、以下の効果を発動する。

●相手モンスター一体を選択し、そのモンスターの攻撃力を1000ダウンさせる。

 

「これにより、俺のフィールドに【黄金の守護者トークン】を特殊召喚!! 【黄金の神殿-ゴルディアン-】の効果で一枚ドロー! さらに手札から速攻魔法【黄金の守護者-ガーゴイル-】を発動!」

 

【黄金の守護者-ガーゴイル-】

速攻魔法

〇このカードが自分ターンに発動した場合、以下の効果を発動する。

●デッキから【黄金の支配者(ゴルディアン)-ミリオン・マネー-】一体を手札に加える。

〇このカードが相手ターンに発動した場合、以下の効果を発動する。

●相手モンスター一体を選択し、守備表示にする。

 

「【黄金の守護者-ガーゴイル-】の効果でデッキから【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】を手札に加え、そのまま発動!」

 

【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】

レベル10/闇属性/岩石族/攻3000/守2500

〇墓地の【ゴルディアン】速攻魔法二枚をゲームから除外することで、手札のこのカードを特殊召喚する。

〇一ターンに一度、【ゴルディアン】速攻魔法が発動した場合に発動できる。相手モンスター一体を選択し、破壊する。この効果は相手ターンにも発動することができる。

 

「墓地のスケルトンとガーゴイルをゲームから除外することで、【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】を特殊召喚!! これが俺のエースモンスターだ!」

 

 イブラヒムの背後に黄金の鎧が現れた。

 黄金の鎧は赤いマントを翻しながら、両腕を広げると、両手から黄金に輝くコインが湧き水のように溢れ出てきた。

 黄金の鎧は不気味な笑い声を漏らしながら、コインを見せびらかす。

 

「イブラヒム! 初手から大型モンスターを出してきた!」

「ちなみに俺のモンスターはコイツしかいないぞ」

「えぇ!?」

「イブラヒム! ここでまさかのカミングアウト!」

「……と、いうことはデッキのほとんどが速攻魔法ですか? 真似できないデッキ構築ですね」

「まだ、いくぜ。【黄金の神殿-ゴルディアン-】の効果発動! フィールドの【黄金の守護者トークン】を墓地に送ることで、墓地の【黄金の守護者-ラミア-】をフィールドにセット!」

「えっ? そんなカードいつの間に?」

「【黄金の迷宮-ゴルディアン-】のコストさ」

「あー、なるほどね」

「俺はカードを三枚伏せ、ターンエンド」

「イブラヒム! 手札を全てセットしたぞ! 妨害するつもりだ!」

「速攻魔法を使うだけで、【黄金の神殿-ゴルディアン-】の効果で一枚ドローと【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】の効果でモンスター除去ができますからね。これは突破が難しいですね」

「っべーな。俺のターン、ドロー。俺はカードを一枚セットして、手札の【夜王騎士(ミッドナイツ) ジン】をペンデュラムスケールにセッティング!!」

「……やっぱりくるか、ペンデュラム!」

「ジンの効果発動! 自分の伏せカードを破壊する!  俺はデッキから【夜王騎士 カズマ】を手札に加える! そして、破壊された【夜王騎士 ワンナイト・キッス】の効果発動! デッキから【夜王騎士 ダンスパーリィ!】をセット! そして、さっきサーチした【夜王騎士 カズマ】をペンデュラムスケールにセッティング! カズマの効果発動! セットされてる【夜王騎士 ダンスパーリィ!】を破壊し、デッキから【夜王騎士 ジュン】を手札に加える! 続けて、破壊された【夜王騎士 ダンスパーリィ!】の効果発動! 【夜王騎士 シャンパンコール!】をセット!」

「不破湊も負けずと展開していく!」

「ペンデュラム召喚の準備を整えていますね。……しかし、イブラヒムさんがいまだにアクションを起こしていないのが怖いですね」

「臆せず攻める! スケール2の【夜王騎士 ジュン】とスケール6の【夜王騎士 カズマ】がペンデュラムスケールにあるのでレベル3~5のモンスターが召喚可能! ペンデュラム召喚! 手札から【夜王騎士 ヒカリ】! 【夜王騎士 ユウジ】!」

 

 不破の両端に二体のモンスターが光の柱と共に浮かび上がると、その中心から穴が開き、そこから二体のモンスターが出てきた。

 

「俺は【夜王騎士 ヒカリ】と【夜王騎士 ユウジ】でリンク召喚! リンク2【ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム】!!」

「不破湊! ペンデュラムデッキで最大限の力を発揮できる【ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム】を召喚だ!」

「不破さんが出した【ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム】はペンデュラムデッキでは必須レベルのカードですからね」

「【ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム】の効果発動!」

「そいつはマズいな! リバースカード、オープン! 速攻魔法【黄金の守護者-ラミア-】を発動!」

 

【黄金の守護者-ラミア-】

速攻魔法

〇このカードが自分ターンに発動した場合、以下の効果を発動する。

●手札の【ゴルディアン】速攻魔法一枚を墓地に送ることで、デッキからカードを二枚ドローする。

〇このカードが相手ターンに発動した場合、以下の効果を発動する。

●相手フィールドの魔法・罠カード一枚を破壊する。

 

 

「【黄金の守護者-ラミア-】の効果で不破さんのペンデュラムスケールにセッティングされてる【夜王騎士 ジュン】を破壊!」

「くっ! 俺のペンデュラムが!」

「この瞬間、【黄金の神殿-ゴルディアン-】と【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】の効果発動! 【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】の効果で【ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム】を破壊!」

「【ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム】が!!」

「そして、【黄金の神殿-ゴルディアン-】で一枚ドロー!」

「イブラヒム! やはり妨害していく! 不破湊、これは苦しい戦いになるぞ!」

「まだだ! 俺は【レスキューラット】を召喚! 【レスキューラット】の効果を発動! このカードをリリースすることでEXデッキの【夜王騎士 ヒカリ】を選択し、デッキから【夜王騎士 ヒカリ】を二体特殊召喚!」

「まだ動くつもりか!」

「俺は【夜王騎士 ヒカリ】二体でエクシーズ召喚! 【夜王騎士 カザマ】! 効果発動! エクシーズ素材を一つ取り除き、俺の【夜王騎士 シャンパンコール!】と【黄金の迷宮-ゴルディアン-】を破壊!」

「それも想定済み! 俺は速攻魔法【黄金の守護者-ケンタウロス-】を発動!」

 

【黄金の守護者-ケンタウロス-】

速攻魔法

〇このカードが自分ターンに発動した場合、以下の効果を発動する。

●ライフを800払うことで自分フィールドに【黄金の守護者ントークン】(岩石族・闇・星3・攻1000/守1000)二体を守備表示特殊召喚する。

〇このカードが相手ターンに発動した場合、以下の効果を発動する。

●相手モンスター一体を選択し、そのモンスターの効果をエンドフェイズ時まで無効にする。

 

「【黄金の守護者-ケンタウロス-】の効果で【夜王騎士 カザマ】の効果を無効にする!」

「くっ……俺はカードを二枚伏せ、ターンエンド」

「エンドフェイズ時に最後の伏せカード、速攻魔法【黄金の石板-ゴルディアン-】と【黄金の守護者-ゴーレム-】を発動!」

 

【黄金の石板-ゴルディアン-】

速攻魔法

〇このカードを発動したターンのエンドフェイズ時、このターンに発動したこのカード以外の【ゴルディアン】速攻魔法の数だけデッキからドローする。

 

【黄金の守護者-ゴーレム-】

速攻魔法

〇このカードが自分ターンに発動した場合、以下の効果を発動する。

●墓地のこのカード以外の【ゴルディアン】速攻魔法を三枚選択し、そのカードをデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから一枚ドローする。

〇このカードが相手ターンに発動した場合、以下の効果を発動する。

●自分フィールドに【黄金の守護者トークン】(岩石族・闇・星3・攻1000/守1000)一体を特殊召喚する。

 

「【黄金の守護者-ゴーレム-】の効果で【黄金の守護者トークン】を特殊召喚! そして、【黄金の石板-ゴルディアン-】の効果でこのターン発動した【ゴルディアン】速攻魔法は三枚。よって、三枚ドローする!!」

「不破湊! イブラヒムの妨害で成す術なしか!!」

「イブラヒムさんの妨害が強いですね。そして、最後には手札補充……抜け目がありません」

「俺のターン、ドロー! 俺は【黄金の迷宮-ゴルディアン-】の効果を発動! 手札一枚を墓地に送り、デッキから【黄金の守護者-ガーゴイル-】を手札に加え、そのまま発動! デッキから【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】を手札に加える。これにより、フィールドの【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】と【黄金の神殿-ゴルディアン-】の効果発動!」

「イブラヒム! 止まらない!」

「【黄金の神殿-ゴルディアン-】の効果で一枚ドローし、【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】の効果で【夜王騎士 カザマ】を破壊!」

 

 【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】が両手のコインを真上に放り投げると、宙を舞ったコインは空中で静止した。

 そして、コインは弾丸のようにカザマに向かって放たれた。コインの弾丸を受けたカザマは破壊された。

 

「それを待っていたぜ! 俺はリバースカード【夜王騎士 ミラーボール】を発動!」

 

【夜王騎士 ミラーボール】

〇自分フィールドの【夜王騎士】モンスターが破壊された時に発動できる。相手のモンスターの数だけ、自分のEXデッキで表側表示で存在する【夜王騎士】Pモンスターを特殊召喚する。

 

「【夜王騎士 ミラーボール】の効果で【夜王騎士 ジュン】と【夜王騎士 ヒカリ】を特殊召喚! そして、俺はもう一枚の伏せカードも発動! 【夜王騎士 エキサイトパーリィ!】!」

 

【夜王騎士 エキサイトパーリィ!】

〇自分フィールドに【夜王騎士】Pモンスターが特殊召喚した時に発動できる。自分フィールドの【夜王騎士】モンスター一体を選択し、そのモンスターと同じレベルで名前の異なる【夜王騎士】Pモンスター二体をデッキから特殊召喚する。

 

「【夜王騎士 エキサイトパーリィ!】の効果で【夜王騎士 ジュン】を選択し、デッキから【夜王騎士 レン】と【夜王騎士 リュウ】を特殊召喚! そして、【夜王騎士 レン】の効果でEXデッキから【夜王騎士 ヒカリ】を特殊召喚!」

 

 不破のフィールドに一気にスーツを着たイケメンが五人、並び立った。

 

「不破湊もまだ諦めていません! 相手ターンにも関わらず、モンスターを五体も召喚させた!」

「これで生き残る可能性はグッと上がりましたね」

「中々、やりますね。俺は手札の【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】の効果も発動! 墓地の【黄金の守護者-ケンタウロス-】と【黄金の守護者-ゴーレム-】をゲームから除外することで、【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】を特殊召喚!」

「イブラヒム! 二体目の【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】を召喚だ!」

「なぁ、不破さん」

「うん?」

「このターンで俺が勝てば、俺カッコよくね?」

「えぇー……もしかして、勝てるの?」

「さぁ、どうだろ」

「なにそれ。……あ-、そうだね。俺のフィールドにはモンスターが五体いるから、モンスターを全部処理しつつ俺のライフを削りきるんでしょ? 出来たらカッコいいよ」

「…………そうだよねー。んじゃ、やってみますか! 俺は速攻魔法【黄金の守護者-ドラゴン-】を発動!」

 

【黄金の守護者-ドラゴン-】

速攻魔法

〇このカードが自分ターンに発動した場合、以下の効果を発動する。

●自分フィールドの表側表示の【ゴルディアン】カードの数だけ、相手モンスターを破壊する。その後、破壊したモンスターの数×300ダメージを自分は受ける。

〇このカードが相手ターンに発動した場合、以下の効果を発動する。

●相手モンスター一体を選択し、破壊する。その後、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

「【黄金の守護者-ドラゴン-】の効果で自分フィールドの【ゴルディアン】カード。このカードを含む五枚分、不破さんのモンスターを破壊!!」

「何ッ!?」

「喰らえ!!」

 

 空から無数の火の玉が降り注ぎ、不破のモンスターを全滅させた。

 

イブラヒムLP:4000→2500

 

「まだ終わってない! 破壊された【夜王騎士 リュウ】と【夜王騎士 ヒカリ】の効果発動! ヒカリの効果で【夜王騎士 パーリィナイト!!】と【夜王騎士 ジン】を手札に加える。そして、リュウの効果で【夜王騎士 ユウジ】を特殊召喚!」

「不破湊! まだ粘る!」

「くっ! 俺より防御、固くない?」

「そう? このターンで決着させるんでしょ?」

「言うじゃん。俺は手札から速攻魔法【黄金の守護者-スフィンクス-】を発動!」

 

【黄金の守護者-スフィンクス-】

速攻魔法

〇このカードが自分ターンに発動した場合、以下の効果を発動する。

●墓地の【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】を攻撃力・守備力を0にして特殊召喚する。

〇このカードが相手ターンに発動した場合、以下の効果を発動する。

●自分フィールドの【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】はエンドフェイズ時まで、相手カードの効果を受けない。

 

「【黄金の守護者-スフィンクス-】の効果で墓地の【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】を復活!」

「三体目の【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】!? でも、いつの間に……って、このやりとりさっきもやったぞ!」

「正解。【黄金の迷宮-ゴルディアン-】のコストで墓地に送ったんだ。さぁ、準備は揃った! 俺はレベル10の【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】三体でオーバレイ! エクシーズ召喚! ランク10【黄金の破壊者(ゴルディアン)-ミリオン・ゴッド-】!!」

 

【黄金の破壊者-ミリオン・ゴッド-】

ランク10/エクシーズ/闇属性/岩石族/攻3000/守2500

レベル10モンスター×3

〇このカードがエクシーズ召喚に成功した時、墓地の【ゴルディアン】速攻魔法を可能な限り、X素材としてこのカードの下に置く。

〇このカードはX素材の数だけ以下の効果を得る。

●一つ以上:このカードは戦闘・効果では破壊されない。

●三つ以上:このカードの一回のバトルフェイズに二回攻撃できる。

●五つ以上:相手フィールドのモンスターがこのカードより攻撃力の低いモンスターのみの場合、このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。

●七つ以上:このカードはこのカード以外の効果を受けない。

〇自分スタンバイフェイズ時毎に発動する。このカードのX素材を二つ取り除く。

 

 三体の黄金の鎧が光になり、一つになる。そこから光の渦が現れると、渦の中から黄金の鎧の巨人が現れた。

 黄金の鎧の巨人は腕が四本あり、赤いマントがなびいている。

 四本の腕から大量の金貨や宝石などの財宝が溢れ出てくる。

 

「【黄金の破壊者-ミリオン・ゴッド-】の効果発動! 墓地の【ゴルディアン】速攻魔法を可能な限り、このカードのエクシーズ素材にする!」

「何!?」

「俺の墓地には【黄金の石板-ゴルディアン-】【黄金の守護者-ラミア-】【黄金の守護者-ガーゴイル-】【黄金の守護者-ドラゴン-】【黄金の守護者-スフィンクス-】の五枚! よって、五枚を【黄金の破壊者-ミリオン・ゴッド-】の素材にする! そして、【黄金の破壊者-ミリオン・ゴッド-】はエクシーズ素材の数だけ追加効果を得る! エクシーズ素材は合計で八枚! 【黄金の破壊者-ミリオン・ゴッド-】はパーフェクト【黄金の破壊者-ミリオン・ゴッド-】となった! バトル! 【黄金の破壊者-ミリオン・ゴッド-】で不破さんにダイレクトアタック!」

「マジかよ!!」

 

 【黄金の破壊者-ミリオン・ゴッド-】は溢れ出していた財宝を溶けさせ、黄金の液体で巨大な剣の形を作りだした。それを固め、巨大な黄金の剣となった。

 巨大な黄金の剣を四本の腕で掴み、振り回す。

 斬撃が不破に直撃する。

 

「ぐおぉぉ!!」

 

不破湊LP:4000→1000

 

「【黄金の破壊者-ミリオン・ゴッド-】は連続攻撃ができる! 【黄金の破壊者-ミリオン・ゴッド-】! 第二撃目だ!」

 

 【黄金の破壊者-ミリオン・ゴッド-】は再び、巨大な黄金の剣を振りかざす。

 

「あー、負けちゃったか」

 

不破湊LP:1000→0

 

「決着ぅ!! 勝者はイブラヒム! 多彩な速攻魔法で見事、完封させた!」

「不破さんの粘りのデュエルも素晴らしかったです!!」

 

 会場から拍手が貼り響く。

 二人は互いに握手した後、観客に向かって手を振る。

 

「仲が良いからこそ、全力のデュエルでした!! お見事です!」

「さぁ、次のデュエルが本日最後のデュエルになります! 加賀美ハヤトVS鈴原るる!! 目が離せないデュエルです! ハヤト、頑張ってね!」

「はい、ありがとうございます!!」

(…………相手は【Unknown】所有者の鈴原さん! このデュエルは負けるわけにはいきません。それにもし、私が負ければ……最悪、葛葉さんが叶さん、鈴原さんと【Unknown】所有者と連戦になってしまいます)

 

 加賀美は静かに闘志を燃やし、拳を握りしめた。

 

 

 




オリカ紹介
【黄金の守護者(ゴルディアン)】
速攻魔法が主軸のカウンター型のデッキ。
速攻魔法は自分ターンと相手ターンで効果が変わるため、上手く使い分けなければならない。
妨害した後、【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】や【黄金の破壊者-ミリオン・ゴッド-】で相手のライフを削る。

トーナメント表
【挿絵表示】


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BATTLE.24「加賀美ハヤトvs鈴原るる」

投稿が遅くなり申し訳ございません。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
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にじさんじ決闘王二日目

特設スタジアム

 

 スタジアムの通路で戌亥は柱にもたれながらモニターを眺めていた。

 モニターには先ほどのイブラヒムVS不破湊のデュエルのダイジェストが映し出されていた。

 

「…………? そこおるんは力一はん?」

「ありゃ? バレちゃった?」

 

 物陰からスッと力一が出てきた。

 

「おかしいなぁー、気配は消していたつもりなんだけど」

「確かに気配はせぇへんかったけど、こっちで分かったで」

 

 戌亥は自分の鼻先をトンと叩いた。

 それを見た力一は察して、手をポンと叩いた。

 

「あー、匂いか。さすがケルベロス。今度からは気配だけじゃなくて匂いも消さないとね」

「で、何のようなん?」

「おっと、そうだった。とこちゃんにこのカードを渡そうと思って」

 

 力一は懐から二枚のカードを取り出すと、戌亥に差し出した。戌亥は不思議そうにカードを受け取った。

 受け取ったカードを確認すると、表情が曇った。

 

「…………どういうつもりなん?」

「いやー、【ネオスティア・ヴォルケーノ-オーバーロード-】は別の人に渡そうと思ったんだけど、気が変わってね。とこちゃんに使って欲しいんだ。とこちゃんのカードと相性良いだろうし」

「それは構わへんが…………もう一枚はあの人が持ってたやん」

「いや、それがねぇ」

 

 力一は気まずそうにしながら頬を掻いた。

 

「使わないから返す。って」

「はい?」

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

「さぁ、二日目最後のデュエルになります! 解説はハヤトに変わって、舞元さんにお願いしたいと思います!」

「おう! よろしくお願いします!」

「舞元さん! 次は加賀美ハヤトVS鈴原るるになりますが、いかがでしょうか?」

「そうだね……社長は奈羅とのデュエルでも見せていたけど、アドバンス召喚を軸に相手の動きを制限していくロックに近いデッキ。一方、鈴原は一枚一枚のカードパワーが強い、文字通り脳筋デッキだな。社長が暴れまわる鈴原を止めることができるかが、勝負のカギだな」

「なるほど、ありがとうございます! さぁ、両者の準備ができました! 選手入場です!」

 

 夢追の掛け声と共に東ゲートが開くと加賀美が出てきた。加賀美は緊張しながらも真剣な眼差しでスタジアムに向かう。

 

「東ゲートからはこの方! 先のデュエルではEXデッキに頼らず、古来からの召喚方法であるアドバンス召喚を貫き、勝利を掴んだ! 今回も悪魔の旋律を奏でることができるのか! デスパレードのデュエリスト! 加賀美ハヤト!!」

 

 加賀美はスタジアムに着くとデュエルディスクを構え、反対側の西ゲートを見つめる。

 すると西ゲートが開き、そこから鈴原るるが出てきた。

 

「西ゲートからはこの方! どんなゲームでも決して諦めず、クリアを目指す! 魔界出身の美大生はただ貪欲に勝利を求む! グリード・オブ・バーサーカー! 鈴原るる!」

 

 鈴原るるはニコニコしながらスタジアムに向かう。

 スタジアムに到着するとデュエルディスクを構えると、加賀美と目が合う。

 

「こんにちは。加賀美さん」

「……鈴原さん。このデュエル、意地でも勝たせていただきます! そして、【Unknown】を渡していただきます」

「あ、そのことなのですが……」

「さぁ、両者準備が完了しました!」

 

 鈴原は何か言おうとしていたが夢追のアナウンスでかき消えてしまった。

 

「…………デュエルしましょうか」

「? そうですね」

 

 両者はディスクにデッキをセットした。

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「先攻は頂きます! 私のターン。私は【冥界の宝札】を発動し、【天帝従騎イデア】を召喚! 【天帝従騎イデア】の効果を発動します!」

「では、それにチェーンして、手札から【インフェルノ・ゾーン】を発動します」

「何!?」

 

【インフェルノ・ゾーン】

自分フィールドにカードが存在しない場合、このカードの発動は手札からもできる。

〇相手がモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時に発動する事ができる。手札のレベル8・闇属性モンスター一体を特殊召喚する。

 

 

「鈴原るる、先攻の加賀美をいきなり妨害だ!」

「私は手札から【深淵の復讐竜】を特殊召喚します」

「くっ!! 【天帝従騎イデア】の効果で【冥帝従騎エイドス】を特殊召喚します!」

「特殊召喚した【深淵の復讐竜】の効果を発動します。【天帝従騎イデア】を墓地に送ります」

「【天帝従騎イデア】は除去されてしまいましたが…………作戦変更です。私は【冥帝従騎エイドス】の効果発動! このターン、追加でアドバンス召喚できます」

「それに合わせて、【深淵の復讐竜】の効果を発動します。自身をゲームから除外することで【冥帝従騎エイドス】を破壊します」

「それも計算済みです! 私は手札から【魔境絶唱 死の残響】を発動!」

 

【魔境絶唱 死の残響】

魔法

〇墓地のレベル1モンスターをゲームから除外することで、デッキからレベル1【魔境絶唱】モンスターを特殊召喚する。

 

「私は墓地の【天帝従騎イデア】をゲームから除外することで、デッキから【魔境絶唱 ファウスト】を特殊召喚! ファウストの効果でデッキから【魔境絶唱 ベーゼ】を特殊召喚します! 私はファウストとベーゼの二体をリリースすることで、【魔鎧帝アングマール】をアドバンス召喚!」

 

 二体の悪魔が消滅すると、黒い鎧を身にまとった悪魔が現れた。

 

【魔鎧帝アングマール】

レベル8/闇属性/悪魔族/攻2800/守1000

○このカードがアドバンス召喚に成功した時、自分のデッキから魔法カード一枚を墓地に送ることで発動できる。墓地に送った魔法カードの同名カード一枚をデッキから手札に加える。

 

「アドバンス召喚した【魔鎧帝アングマール】と【冥界の宝札】の効果を発動します! 【冥界の宝札】の効果でデッキから二枚ドロー。【魔鎧帝アングマール】の効果でデッキから【帝王の深怨】を墓地に送り、【帝王の深怨】をデッキに加えます」

「私は手札から【帝王の深怨】を発動! 【魔境絶唱 アマデウス】を見せることで、デッキから【汎神の帝王】を手札に加え、そのまま発動します。手札の【真源の帝王】を捨てて、二枚ドローします! さらに墓地の【汎神の帝王】をゲームから除外することでデッキから【真帝王領域】を三枚見せます」

「どれでも変わりませんよね…………私は左を選択します」

「では、私は【真帝王領域】を発動します。カードを二枚伏せ、ターンエンドです」

「加賀美ハヤト! 除去されたが、上手く立て直した!」

「手札補充しながら高レベルモンスターを出してきたな」

 

 

 加賀美のプレイングを見て、鈴原は微笑んでいた。

 

「やっぱり…………加賀美さん。強いですね。このデュエル、楽しみです。私のターン、ドローします。私は【挑戦者(チャレンジャー)-ハギリ-】の効果を発動します」

 

【挑戦者-ハギリ-】

レベル4/闇属性/戦士族/攻1900/守1500

〇手札の闇属性モンスターを墓地に送ることで発動することができる。このカードを特殊召喚する。

〇このカードをリリースすることで、ゲームから除外されているレベル8・ドラゴン族・闇属性モンスターを手札に加える。

 

「手札の【闇黒の魔王ディアボロス】を墓地に送り、このカードを特殊召喚します!」

 

 黒い鎧を身にまとった剣士が現れた。黒い鎧の隙間から青い炎が出てくる。鎧の剣士からは生気を感じ取れなかった。

 

「ハギリの効果を発動します。このカードをリリースすることで、ゲームから除外されている【深淵の復讐竜】を手札に加えます。そして、墓地の【闇黒の魔王ディアボロス】の効果を発動します。【闇黒の魔王ディアボロス】を墓地より特殊召喚します!」

 

 鎧の剣士が燃えると、そこから漆黒の竜が現れた。

 

「さらに私は【挑戦者-ヤマト-】を召喚します。ヤマトをリリースすることで、手札の【深淵の復讐竜】を特殊召喚し、【深淵の復讐竜】の効果を発動します。【魔鎧帝アングマール】を墓地に送ります」

「では、それにチェーンして【帝王の凍志】を発動します! 【魔鎧帝アングマール】はこのターン、このカード以外の効果を受けません! よって、【深淵の復讐竜】の効果を受けません」

「そうですか……なら、バトルです。【闇黒の魔王ディアボロス】で【魔鎧帝アングマール】に攻撃します」

「私はリバースカード【魔境絶唱 激昂の絶叫】を発動します!」

 

【魔境絶唱 激昂の絶叫】

〇自分フィールドにアドバンス召喚された悪魔族モンスターが存在する時に発動することができる。そのモンスターと相手モンスター二体を選択し、破壊する。

 

「私は【魔鎧帝アングマール】と【深淵の復讐竜】、【闇黒の魔王ディアボロス】を選択し、破壊します! しかし、【魔鎧帝アングマール】は【帝王の凍志】の効果で効果を受けません! よって、鈴原さんのモンスター二体を破壊します!」

「加賀美ハヤト! 巧みに罠カードを使い、妨害していく!」

「これは社長が一枚上手だな」

「うーん…………それなら、メインフェイズ2に移行します。私はカードを一枚伏せ、ターンエンドです」

「私のターン、ドロー! 私は墓地の【真源の帝王】の効果を発動します! 墓地の【帝王の深怨】をゲームから除外することで、このカードをモンスター扱いで特殊召喚します! 私は【魔鎧帝アングマール】と【真源の帝王】をリリースすることで、【魔境絶唱 ショパン】をアドバンス召喚します。【魔境絶唱 ショパン】と【冥界の宝札】の効果を発動します! ショパンの効果発動! デッキから【魔境絶唱 ヨードン】を墓地に送ることで、鈴原さんの伏せカードをデッキに戻します!!」

「それに対して私は【黒龍の逆鱗】を発動します」

 

【黒龍の逆鱗】

〇自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動することができる。相手モンスター一体を選択し、墓地に送る。その後、そのモンスターより攻撃力の低い自分の墓地の闇属性・ドラゴン族モンスター一体を特殊召喚する。

 

「【魔境絶唱 ショパン】を墓地に送ることで、墓地の【深淵の復讐竜】を特殊召喚します」

「くっ、本当に厄介なモンスターだ!」

「鈴原るるのフィールドにまたしても【深淵の復讐竜】が現れた!!」

「これにより、【深淵の復讐竜】の効果を発動します。【真帝王領域】を墓地に送ります」

「では、私は墓地の【魔境絶唱 ヨードン】の効果を発動します! このカードと【魔境絶唱 ショパン】をゲームから除外することで、二枚ドローします。私はカードを三枚伏せ、ターンエンドです」

「加賀美ハヤト! 鈴原るるに妨害され、何もできずにターンエンドだ!」

「互いに妨害しているせいで動くにも動けない状態になっているな……しかし、EX封じも破られ、鈴原のフィールドには【深淵の復讐竜】が存在する。その分、鈴原の方が有利かもしれんな」

「では、私のターンですね。ドロー……いいカードを引きました。私は【強欲で貪欲な壺】を発動します。デッキからカードを10枚除外することで、二枚ドローします」

「鈴原! ここでドローソースを引いた!」

「手札0だったからな、これはおいしいな」

「私は【挑戦者-セツナ-】を召喚します」

 

【挑戦者-セツナ-】

レベル4/闇属性/戦士族/攻1900/守1500

〇このカードが召喚に成功した時、デッキから闇属性・ドラゴン族モンスター一体を墓地に送る。

〇このカードをリリースすることで、墓地のレベル8・ドラゴン族・闇属性モンスター一体を特殊召喚する。

 

「セツナの効果でデッキから【不滅龍ラウラギア】を墓地に送ります。そして、セツナのもう一つの効果も使用します。このカードをリリースすることで、先ほど墓地に送った【不滅龍ラウラギア】を特殊召喚します」

 

【不滅龍ラウラギア】

レベル8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守1300

〇墓地のこのカードが特殊召喚した時に発動できる。デッキから闇属性・ドラゴン族モンスター一体を手札に加える。

〇このカードが墓地に送られた時に発動できる。フィールドの闇属性モンスター一体を墓地に送ることでこのカードを特殊召喚する。

 

 鈴原のフィールドにボロボロの布のような皮膚を身にまとった灰色の龍が現れた。

 灰色の龍はいたるところに穴が開いた翼を広げた。

 

「【不滅龍ラウラギア】の効果を発動します。デッキから【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】を手札に加えます」

「レダメですか!?」

「さらに闇属性モンスターがリリースされたことで墓地の【闇黒の魔王ディアボロス】を復活させます。私はレベル8の【不滅龍ラウラギア】と【闇黒の魔王ディアボロス】でオーバレイ。エクシーズ召喚。ランク8【終焉より呼び覚まされし龍(エンド・オブ・ドラグニル)】」

 

 二体の龍が黒い光となって交わり、光の渦を作り出した。

 光の渦からは四肢を鎖で繋がれた漆黒の龍が現れた。漆黒の龍は赤い眼光で加賀美を睨みつけると咆哮を上げた。

 

「【終焉より呼び覚まされし龍】の効果を発動します。X素材を一つ取り除くことで私のデッキからカードを5枚墓地に送り、加賀美さんのデッキからカードを5枚ゲームから除外します」

「くっ! インチキ効果もいい加減にしてください」

「そして、私はフィールドの【深淵の復讐竜】をゲームから除外することで【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】を特殊召喚します」

 

 深淵の復讐竜が消滅すると、そこから黒炎と共に黒鉄で覆われた黒竜が現れた。

 

「【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】の効果を発動します。墓地の【不滅龍ラウラギア】を特殊召喚します。そして、再び【不滅龍ラウラギア】の効果を発動します。デッキから【混源龍レヴィオニア】を手札に加え、そのまま【混源龍レヴィオニア】の効果発動。墓地の闇属性モンスター三体をゲームから除外することで自身を特殊召喚します。【混源龍レヴィオニア】の効果発動。加賀美さんの手札を一枚、墓地に送ります」

「くっ……通します」

「さらに私は手札から【死して尚、蘇る挑戦者】を発動」

 

【死して尚、蘇る挑戦者】

魔法

〇自分の墓地・ゲームから除外されている【挑戦者】モンスター一体を特殊召喚する。自分フィールドにレベル8・闇属性・ドラゴン族モンスターが存在する場合、代わりにレベル8・闇属性・ドラゴン族モンスター一体を特殊召喚する。

〇自分フィールドの闇属性モンスターが効果の対象になった時に発動できる。墓地のこのカードをゲームから除外することで、その効果を無効にする。

 

「これにより私は【深淵の復讐竜】を特殊召喚します。【深淵の復讐竜】の効果で真ん中の伏せカードを墓地に送ります」

「タダではやられません! リバースカード【魔境絶唱 黒雷の霹靂】を発動します! 墓地の【魔境絶唱 ベーゼ】と【魔境絶唱 ファウスト】を特殊召喚します! ファウストの効果でデッキから【魔境絶唱 ヘスメタ】を特殊召喚!! ヘスメタの効果でデッキから【魔境絶唱 ヴェートーベン】をサーチします!」

「加賀美ハヤト! 負けじとモンスターを大量展開していく!」

「なるほど……では、私は墓地の【闇龍の卵】の効果を発動します」

 

【闇龍の卵】

レベル1/闇属性/ドラゴン族/攻0/守0

〇このカードが墓地に存在する時、発動できる。闇属性・ドラゴン族の融合モンスターカードによって決められた、このカードを含む墓地の融合素材モンスターをゲームから除外し、その融合モンスター一体をEXデッキから融合召喚する。

 

「私は【闇龍の卵】と墓地の闇属性モンスター四体で融合。融合召喚。レベル12【D・G・D(ダークネス・ゴッド・ドラゴン)】」

 

 スタジアム上空の亀裂が入り、空間が割れた。そこから五つの顔を持った黒龍が現れた。

 

【D・G・D】

レベル12/融合/闇属性/ドラゴン族/攻5000/守5000

闇属性モンスター×5

〇このカードは闇属性以外のモンスターの攻撃では破壊されず、効果を受けない。

 

「す、鈴原るる! 超強力なモンスターを次々と召喚していく!!」

「まだですよ。私は【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】【深淵の復讐竜】【不滅龍ラウラギア】【混源龍レヴィオニア】の四体でリンク召喚。リンク4【大罪竜王 ヨハネス】」

 

 四体のモンスターが光に包まれると、黒い渦が鈴原の目の前に現れる。黒い渦からは鎖と拘束具によってがんじがらめにされたドラゴンが現れた。

 

「【大罪竜王 ヨハネス】の効果を発動します。EXデッキから【ヴァレルガトリング・ドラゴン】を墓地に送り、墓地に送った【ヴァレルガトリング・ドラゴン】の効果を発動します」

 

【ヴァレルガトリング・ドラゴン】

リンク4/リンク/闇属性/ドラゴン族/攻3000/←↓↑→

〇このカードは効果では破壊されない。

〇一ターンに一度、墓地のドラゴン族リンクモンスター一体をゲームから除外することで、そのモンスターのリンクマーカーの数だけ相手のカードを破壊する。

〇墓地のこのカードをゲームから除外することで、このカード以外の墓地の闇属性・ドラゴン族モンスター一体を特殊召喚する。

 

大罪竜王 ヨハネス 攻撃力:0→3000

 

「墓地の【ヴァレルガトリング・ドラゴン】をゲームから除外することで、【深淵の復讐竜】を特殊召喚します、【深淵の復讐竜】の効果発動、右側の伏せカードを墓地に送ります」

「くっ!! リバースカード【連撃の帝王】を発動します! フィールドの【魔境絶唱 ファウスト】と【魔境絶唱 ヘスメタ】をリリースして【魔境絶唱 ヴェートーベン】をアドバンス召喚! 【魔境絶唱 ヴェートーベン】と【冥界の宝札】の効果発動! ヴェートーベンの効果で【D・G・D】を墓地に送ります」

「墓地の【死して尚、蘇る挑戦者】をゲームから除外することで【魔境絶唱 ヴェートーベン】の効果を無効にします」

「っ……やはり一筋縄ではいきませんか……」

「私は墓地の【暗闇の翼竜】の効果を発動します」

 

【暗闇の翼竜】

レベル4/チューナー/闇属性/ドラゴン族/攻1200/守1000

〇フィールドのレベル8・闇属性・ドラゴン族モンスター一体を選択して発動できる。そのモンスターのレベルを半分にして、墓地のこのカードを特殊召喚する。

 

「【深淵の復讐竜】のレベルを4にして、【暗闇の翼竜】を特殊召喚します。私はレベル4【深淵の復讐竜】にレベル4【暗闇の翼竜】をチューニングします。シンクロ召喚。レベル8【魔王龍 ベエルゼ】」

「す……鈴原るる……気が付けば融合・シンクロ・エクシーズ・リンクを繰り出した」

「え、えげつねぇ」

「【Unknown】を使わずに……」

「あ、そういえば」

 

 鈴原は何かを思い出したかのように話し出した。

 

「加賀美さん。申し訳ないのですが鈴原……あのカード、もう持っていませんよ」

「え?」

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

 

「るるはん。使わないって……」

「実はさぁ、他人のカードで強くなるのは何か違うような気がします。って言って返されたんだよ」

「えぇ……てか、あのカードに取り憑かれてて、手放すことって可能なん?」

「いや無理だね。デュエルで負けない限り、解放されないよ。だからこそ、言えるのはるるちゃんは最初からちゃんと意識があったんじゃないかな? 俺みたいに」

「……素でアレだったってこと?」

「そういうことになるね」

 

 力一の仮説を聞いた戌亥はため息を漏らした。

 

「本当にチートやな」

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

 

 

「ちょ、ちょっと待ってください! 【Unknown】カードを持っていないのですか!!」

「はい。あのカードを持っていても鈴原自身が強くなるわけではないので、力一さんにお返ししました」

「か、返したって……」

「お話はここまでです。バトル。【大罪竜王 ヨハネス】で【魔境絶唱 ヴェートーベン】に攻撃」

「クソッ! 話の続きが気になるが! 喰らいます!」

 

加賀美ハヤトLP:4000→3800

 

「続けて【魔王龍 ベエルゼ】で【魔境絶唱 ベーゼ】に攻撃」

「通します」

「最期ですね。【D・G・D】でダイレクトアタック」

「まだ終わりません! 私はリバースカード【ガード・ブロック】を発動! この攻撃で発生するダメージを0にして、一枚ドローします!」

「しぶといですね……【終焉より呼び覚まされし龍】でダイレクトアタック」

「私は負けません! 手札から【バトルフェーダー】を特殊召喚!!」

「へぇ……」

「加賀美ハヤト! 鈴原るるの猛攻を防ぎ切った!!」

「やるな……だが、あの強力なモンスター達をどう攻略するかだな」

「私はこれでターンエンドです」

「私のターン…………」

 

 加賀美はドローしようとデッキの上に指を置いた。そこでカードを引かずに止めた。

 

「鈴原さん。【Unknown】カードとは何ですか?」

「さぁ、何なのでしょう? 鈴原にも分かりません。ただ言えるのはあのカードを持っていると強くなるのは確かに言えることですね」

「そうですか……もう一つ。力一さん……その背後にいる人たちの目的は何ですか?」

「力一さんの背後の人は鈴原も誰か分かりませんが…………力一さんの目的は聞きましたね」

「っ!? 本当ですか!」

「デュエルに勝てば教えますよ」

「…………定番ですね。いいですよ、勝ってみせます! 私のターン、ドロー! 私は墓地の【真源の帝王】の効果を発動! 墓地の【真帝王領域】をゲームから除外することでモンスター扱いで特殊召喚します! そして、私は手札から【帝王の烈旋】を発動します! 私は【バトルフェーダー】【真源の帝王】【D・G・D】をリリースして、【魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル】をアドバンス召喚!!」

 

 加賀美のフィールドに腕が四本生えた悪魔が現れた。

 悪魔は下の二本の腕で禍々しい形のギターを持っており、上の右腕でマイクを持っていた。

 

【魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル】

レベル12/闇属性/悪魔族/攻3500/守2800

このカードはモンスター三体をリリースしてアドバンス召喚する事もできる。

〇モンスター三体をリリースしてこのカードのアドバンス召喚に成功した場合に発動する。相手フィールドのモンスターを全て破壊する。

〇一ターンに一度、フィールドの【魔境絶唱】モンスターをリリースすることで発動できる。相手モンスター一体を選択し、そのモンスターの効果を無効にして、攻撃力を0にする。

 

「【魔境絶唱 ヘヴィメタル】と【冥界の宝札】の効果発動! デッキから二枚ドローし、ヘヴィメタルの効果で相手のモンスターを全て破壊する!!」

 

 ヘヴィ・デス・メタルがギターを奏でながらシャウトする。

 シャウトは衝撃波となって、鈴原のフィールドのモンスターを一掃した。

 

「墓地に送られた【終焉より呼び覚まされし龍】の効果発動します。墓地の【深淵の復讐竜】と【不滅龍ラウラギア】を特殊召喚します。それぞれの効果を発動します」

「私はそれにチェーンして【禁じられた一滴】を発動します!!」

「っ!! へぇ!!」

「加賀美ハヤト! ここで【禁じられた一滴】だ!!」

「これは一気に決める気だな!!」

「手札のモンスター二体を墓地に送ることで【深淵の復讐竜】と【不滅龍ラウラギア】の効果を無効にします!」

 

深淵の復讐竜 攻撃力:2000→1000

不滅龍ラウラギア 攻撃力:3000→1500

 

「そして、墓地の【魔境絶唱 ベーゼ】の効果発動! 自身を特殊召喚!」

「ヘヴィ・デス・メタルの効果で攻撃力を0にできるがライフを削りきることはできない……どうする、社長」

「このターンで決めます! ヘヴィ・デス・メタルの効果発動! ベーゼをリリースすることで【深淵の復讐竜】の攻撃力を0にします! そして、これが最後のキーカードです! 私は手札から【魔境絶唱 最終絶唱】を発動!」

 

【魔境絶唱 最終絶唱】

魔法

〇自分フィールドのアドバンス召喚したモンスター一体を選択し、発動できる。そのモンスターの攻撃力を1000アップさせる。エンドフェイズ時に選択したモンスターを破壊し、そのモンスターの攻撃力分ダメージを受ける。

 

「これによりヘヴィ・デス・メタルの攻撃力をアップさせます!!」

 

魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル 攻撃力:3500→4500

 

「バトルです! 【魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル】で【深淵の復讐竜】に攻撃!!」

 

 深淵の復讐竜が咆哮を上げ、ヘヴィ・デス・メタルに襲い掛かる。

 ヘヴィ・デス・メタルはギターを奏でる。ギターから音波による衝撃波が放たれ、深淵の復讐竜の動きを封じる。

 そのままヘヴィ・デス・メタルがシャウトして、音圧で深淵の復讐竜を押しつぶした。

 

鈴原るるLP:4000→0

 

「あ、負けちゃった。もう一回やりたいな」

「け、決着!! 勝者、加賀美ハヤト!! 鈴原るるの猛攻を防ぎつつ、一気に決めました!!」

「あの逆転勝利は凄かったな」

「か、勝った……」

 

 加賀美はため息を漏らし、デュエルディスクを外した。

 

「鈴原さん。さっきの話良いですか?」

「良いですけど、ここで話すと邪魔になってしまうので、別の所で良いですか?」

「えぇ、構いませんよ」

 

 




オリカ紹介
【D・G・D】
闇属性モンスターを集約させた【F・G・D】に似たドラゴン

【魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル】
加賀美のエースカード
三体モンスターをリリースすることで全体除去が可能な悪魔


トーナメント表
【挿絵表示】


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BATTLE.25「舞元啓介vsジョー・力一」

正直、この二人のデュエルが描きたくて力一を悪役にしたまであります。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。


にじさんじ決闘王。

 二日目終了後、【Unknown】カード対策メンバーは以前も会議を行っていたショッピングモールの一角にある加賀美インダストリアルの直営店に集まっていた。

 そこには先ほど、戦った鈴原るるもいた。

 

「あ、るるちゃん。お茶飲む?」

「リゼ様、ありがとう~」

 

 リゼが皆にお茶を配りだす。

 るるはリゼからもらったお茶を一口飲み、落ち着く。それを見ていた加賀美は真剣な眼差しで鈴原に話しかける。

 

「で、鈴原さん。お話を聞いても良いですか?」

「えぇ、もちろん。約束ですから」

「では、この方について何か知っていますか?」

 

 加賀美は近くに置いていたノートPCを操作し、ディスプレイに写った草壁誠一郎を見せた。

 

「あー、確か、今回の大会の協力者ですよね。…………あ、そういえば力一さんがこの方と何回か話しているのを見ましたね」

「っ!? 本当ですか!?」

「はい。でも、内容までは」

「いえ、話していたという事実があるだけでも確証は得れます」

 

 加賀美と鈴原が話していると奥の部屋から黛が出てきた。

 

「皆に報告だよ」

 

 黛の言葉に皆の視線が集まる。

 

「さっき、いちから内部の調査をしている人から連絡があって、その草壁誠一郎が怪しい動きをしているみたい」

「怪しい動きですか……?」

「そう、決勝トーナメントの予選にも使われたデュエルアンドロイドを手配しているみたい」

「デュエルアンドロイドをですか……? 目的は何でしょうか?」

「何にせよ、警戒をしていた方が良いね。あ、ごめんね。話を脱線させちゃって」

「大丈夫ですよ。情報ありがとうございます。……では、鈴原さん。デュエルの時に言っていた力一さんのことについて」

 

 その話を聞いた瞬間、舞元が微かに反応した。

 

「そうですね。力一さんはたの【Unknown】カード所有者と違って、自分の意志で動いています。もちろん、その草壁誠一郎さん? とも、自分の意志で結束しているみたいです」

「やっぱり正気だったか。あの野郎」

「それでカードを返した時に言っていたんですよ」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

 加賀美ハヤトVS鈴原るるのデュエルが始まる数十分前。

 鈴原は力一の前に現れ、カードを差し出した。

 

「力一さん。このカード、返しますね」

「え? はい?」

「このカードは確かに強いですが、鈴原自身が強くなるわけではないのでお返しします」

「てか、るるちゃん。意識あったの?」

「意識ですか……?」

(あ、分かってないな)

「いや、何でもないや。……でも、そっか、分かった。カードは確かに受け取ったよ。おかげで俺も決心がついたよ」

 

 力一さんはカードを受け取ると懐に入れ、笑みを浮かべた。

 

「決心ですか?」

「あぁ、ピエロになる覚悟がさ。俺がラスボスにはやっぱり荷が重かった見たい」

「はぁ……」

「彼女に任せて大丈夫かなって思っていたけど、やっぱりラスボスは彼女の方が相応しい。彼女もそれを願っているみたいだし」

「彼女っていうのは……?」

「るるちゃん。そろそろ時間でしょ。いってらっしゃい」

 

 鈴原の言葉を遮るように力一はその場を去ってしまった。

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

「…………と、言っていましたね」

「ラスボスではなく……ピエロですか? それにラスボスは彼女の方が相応しい。というのが気になりますね」

「変な言い回しだが、要は俺が力一の野郎をデュエルで倒して、洗いざらい話させればいいことだろう」

 

 舞元はお茶を飲み干すと立ち上がった。

 

「俺がヤツを倒して、【Unknown】カードを回収しつつ今回の件について、しっかり追及させてやる」

「舞元さん……よろしくお願いします!!」

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

にじさんじ決闘王。

三日目。

 

「さぁ、皆様。お待たせいたしました! にじさんじ決闘王、三日目に移りたいと思います! 司会は引き続き、夢追翔と解説は加賀美ハヤトでお送りしたいと思います!!」

「よろしくお願いいたします。夢追さん、今日の対戦カードもワクワクする方々の対決ですね」

「そうだね! では、さっそく本日の第一試合に移りたいと思います! 舞元啓介VSジョー・力一!! 奇しくも舞元力一、コンビ対決になりました!」

「はい。舞元さんは自らのライフを削って展開していく。一方、力一さんは自分のライフが相手より低ければ展開できるデッキ。これはライフ管理が重要になっていきますね」

「面白い対決だね! さぁ、選手の入場です!!」

 

 東ゲートが開かれるといつもの農家の作業服ではなく、スーツをビシッと着こなした舞元が出てきた。

 舞元は真剣な眼差しでスタジアムに向かう。観客席からは数々のにじさんじライバーや大空スバルやしぐれういを筆頭に他所属のVTuberからの声援も響き渡る。

 

「東ゲートからはこの方! 燃え上る闘志は誰にも消すことができない! 今回も自らを炎上させ、勝利を掴むことができるか! バーニングデュエリスト! 舞元啓介!!」

 

 舞元がスタジアムに着くと、反対側の西ゲートを見つめる。

 西ゲートが開かれると力一が出てきた。舞元とは対照的におどけたように笑いながら観客に手を振る。スタジアムに着くと舞元と目が合い、微笑みかける。

 

「西ゲートからはこの方! 変幻自在の道化師は今回のデュエルでどんな奇怪な芸を見せるか! トリッキーデュエリスト! ジョー・力一」

「やぁ、舞元さん。こうやって話すのは何か久しぶりだね」

「そうだな……なぁ、力一」

「なんだい?」

「お前は何がしたいんだ?」

「はい? どうしたんだい?」

「お前はなぜ、そうやって悪役を演じているんだ」

「悪役を演じてる……? 何を言って」

「とぼけるなよ。お前のその臭い演技くらい簡単に見破れるぞ。何年、一緒にいると思うんだ」

「…………はぁー」

 

 力一はため息を漏らすと頭を乱暴に掻きむしった。

 

「やっぱり、舞元さんには適わないなぁ……だからといって、このデュエルは絶対に譲れない。俺はもう決めたんだ。滑稽なピエロになることをッ!!」

 

 力一はデュエルディスクを構えた。

 

「力一…………たく、しょうがねぇな。いいぜ、やってやる! 舞元力一、最初で最後の大ゲンカといこうじゃないか!!」

「舞元さん…………俺の全身全霊を持って、アンタを倒す!!」

 

 舞元もデュエルディスクを構えた。

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「先攻は譲るぜ」

「舞元さん、後悔しても知らないよ? 俺のターン、俺は手札から【成金ゴブリン】を発動! 舞元さんのライフを回復させ、俺はデッキからドローする!!」

 

舞元啓介LP:4000→5000

 

「良いのかよ? 俺のデッキ知ってるだろ? ライフが多い分、展開出来ちゃうぞ?」

「それこそ、俺のデッキを知っているでしょ? これで舞元さんのライフは俺のライフを上回った。俺は【狂化師(クレイジーワイズ)-スカル・ジャグラー】を特殊召喚! スカル・ジャグラーの効果発動! ライフを500払い、デッキから【狂化師-シャドウ・バニー】をサーチする!」

 

ジョー・力一LP:4000→3500

 

「【狂化師-シャドウ・バニー】を召喚! シャドウ・バニーの効果でデッキから【狂化師-ボマー・ライダー】を特殊召喚!」

 

【狂化師-ボマー・ライダー】

レベル4/闇属性/悪魔族/攻1200/守1100

〇自分のLPが相手より低い場合、発動することができる。手札を一枚、墓地に送りデッキからカードを一枚ドローする。

 

 力一のフィールドに三つの骸骨でジャグリングする悪魔と褐色のバニー、巨大な爆弾を玉乗りのように器用に乗りこなす悪魔が現れた。

 

「ボマー・ライダーの効果発動! 手札を一枚墓地に送り、一枚ドロー! 俺はレベル4の【狂化師-スカル・ジャグラー】と【狂化師-シャドウ・バニー】二体でオーバーレイ! エクシーズ召喚! ランク4【狂化師-エキセントリック・マジシャン】!!」

 

【狂化師-エキセントリック・マジシャン】

ランク4/エクシーズ/闇属性/悪魔族/攻2500/守2000

悪魔族レベル4モンスター×2

〇自分のLPが相手より低い場合、エクシーズ素材を一つ取り除くことで発動することができる。墓地のレベル4以下の【狂化師】モンスター一体を選択し、特殊召喚する。その後、そのモンスターの攻撃力の半分、ライフを回復する。

〇一ターンに一度、自分フィールドのこのカード以外の【狂化師】モンスターが破壊される時、ライフを500払うことでその破壊を無効にすることができる。

 

 スカル・ジャグラーとシャドウ・バニーが光となって一つになる。そこから光の渦が現れると、渦の中から蝙蝠の翼が生えた悪魔が飛び出した。

 悪魔は髑髏の杖を軽快に振り回す。

 

「エキセントリック・マジシャンの効果発動! エクシーズ素材を取り除くことで墓地の【狂化師-ソード・タイガー】を特殊召喚する!」

 

【狂化師-ソード・タイガー】

レベル3/チューナー/闇属性/悪魔族/攻1600/守800

〇このカードが特殊召喚に成功した時、発動できる。デッキから【狂化師】カードを一枚手札に加える。

 

ジョー・力一LP:3500→4300

 

「エキセントリック・マジシャンの効果でライフを回復。そして、ソード・タイガーの効果でデッキから【狂化師-フレイム・マリオネット】を手札に加える。俺はレベル4の【狂化師-ボマー・ライダー】にレベル3の【狂化師-ソード・タイガー】をチューニング!! シンクロ召喚! レベル7【狂化師-デビル・マスク】!!」

 

【狂化師-デビル・マスク】

レベル7/シンクロ/闇属性/悪魔族/攻2800/守2200

〇このカードがフィールドに存在する限り、互いのプレイヤーが効果ダメージを受けた時、そのプレイヤーはさらに300ダメージを受ける。

〇一ターンに一度、相手のセットカードを一枚破壊する。その後、相手に500ダメージを与える。

 

 

 四つの光と三つの輪が交わり、光の筋となる。すると骸骨の仮面を付けた悪魔が現れた。悪魔は嘲笑うように不気味な笑みを浮かべる。

 

「俺はカードを一枚伏せ、ターンエンド!」

「ジョー・力一! 一ターン目でエクシーズモンスターとシンクロモンスターを展開した!」

「そして厄介なのが【狂化師-デビル・マスク】ですね。追加でバーンダメージを与える効果。完全に舞元さんメタですね」

「やってくれたな、力一」

「さぁ、お得意の自爆バーンをしちゃうと一気にライフが削れちゃうよ?」

「俺のターン、ドロー! 【テラ・フォーミング】を発動! デッキから【B11(バーニング・イレブン)-バーニング・リング】を手札に加え、そのまま発動!!」

 

 舞元と力一を囲むように炎のリングが現れた。

 熱気で力一のおでこに汗が流れ落ちる。

 

「やめてくれよ。こんなに暑いと汗でメイクが落ちちゃうよ」

「良いんじゃないか? 全国ネットで素顔、大公開で。続けるぜ、俺はバーニング・リングの発動処理で【B11-エルボー】を手札に加える。さらに俺は【増援】を発動!」

「あ、せけぇ! 制限のサーチカードばっかりじゃないか!」

「うるせぇ! 俺は【B11-ダブルアーム】を手札に加える。よし、俺は【B11-エルボー】を召喚!!」

 

 舞元のフィールドに筋肉隆々のレスラーが現れた。両手は包帯が巻かれており、包帯の隙間から炎が漏れだしていた。

 

「【B11-エルボー】の効果で、デッキから【B11-パワーボム】を墓地に送る。そして、【B11-バーニング・リング】の効果発動! 墓地の【B11-パワーボム】を特殊召喚!」

「だが、自身の効果で300のダメージ。さらにデビル・マスクの効果で追加ダメージだ!!」

 

 舞元に火の粉が降りかかる。さらにデビル・マスクが甲高い笑い声を発すると、それが超音波となって舞元に襲い掛かる。

 

舞元啓介LP5000→4400

 

「くっ……だが、こいつは必用経費だ! 特殊召喚された【B11-パワーボム】と手札の【B11-ダブルアーム】の効果発動! 【B11-パワーボム】の効果で【B11-豪火再戦】を手札に加え、【B11-ダブルアーム】の効果で自身を特殊召喚! 俺は【B11-エルボー】と【B11-パワーボム】でリンク召喚! リンク2 【B11-ブレーンバスター】!! 【B11-ブレーンバスター】の効果で墓地の【B11-エルボー】を特殊召喚! さらに俺は【B11-ダブルアーム】と【B11-ブレーンバスター】でリンク召喚! リンク3【B11-フライング・メイヤー】!!」

 

 

 二体のレスラーが光に包まれると、そこから炎を身にまとった巨漢が飛び出した。

 

「【B11-ブレーンバスター】の効果で【B11-ダブルアーム】を手札に加える。さらに手札から【B11-豪火再戦】を発動! 墓地から【B11-エルボー】と【B11-パワーボム】を特殊召喚!」

「だが、またダメージを受けてもらうよ!!」

 

舞元啓介LP:4400→3600

 

「ダメージを受けたことで【B11-フライング・メイヤー】の効果発動! 【B11-エルボー】と【狂化師-エキセントリック・マジシャン】を破壊する!」

「やるね、通すよ」

「さらにリンクマーカー先の【B11-エルボー】が破壊されたことによって【B11-フライング・メイヤー】の攻撃力は800アップ!」

 

フライング・メイヤー 攻撃力:2200→3000

 

「バトル! 【B11-フライング・メイヤー】で【狂化師-デビル・マスク】に攻撃! この時、バーニング・リングの効果で攻撃力500アップ!」

 

フライング・メイヤー 攻撃力:3000→3500

 

「…………通すよ」

(お、間があったぞ。と、いうことは発動はできたようだな)

 

 フライング・メイヤーがデビル・マスクに勢いよくタックルをすると、そのまま力任せに投げ飛ばす。投げ飛ばされたデビル・マスクは地面に叩きつけられると破壊された。

 

ジョー・力一LP:4300→3600

 

「くぅ……やってくれたね」

「追加バーンはさすがにキツイからな。エルボーで追撃しても良いが……俺はカードを二枚伏せ、ターンエンド」

「おや? エルボーで殴らないんだ」

「えぇ、舞元さんと力一さんのライフは同じ、ここでエルボーで攻撃してしまうと力一さんのライフが下回ってしまい、【狂化師】モンスターの共通効果が発動してしまいます」

「あぁ、なるほど」

「それに同じライフの場合、力一は自分のライフを減らす。または舞元さんのライフを回復させるというひと手間を加えなければいけません。それに合わせて、舞元さんはダメージを受けることで起動する効果がほとんどです。ライフが回復すると、その機会が増えることになってしまいます。よって力一さんは自らのライフを減らす。という選択を選ばざる終えなくなります」

「あぁ、社長の言う通りだ。さぁ、力一! チキンレースといこうじゃないか!!」

「まったく……本当に面倒だな。俺は舞元さんのエンドフェイズ時にリバースカード【リビングデッドの呼び声】を発動! 墓地の【狂化師-スカル・ジャグラー】を特殊召喚! 俺のターン、ドロー! 俺はスカル・ジャグラーの効果でライフを500払い、手札の【狂化師-カースド・メッセンジャー】を手札に加える!」

 

ジョー・力一LP:3600→3100

 

「お望み通り、チキンレースといこうじゃないか! 俺は手札の【狂化師-フレイム・マリオネット】の効果発動! 自身を墓地に送ることで墓地の【狂化師-シャドウ・バニー】を特殊召喚! さらにシャドウ・バニーの効果で【狂化師-ジョーカー・ディーラー】を特殊召喚! さらに【狂化師-カースド・メッセンジャー】を召喚! ジョーカー・ディーラーの効果発動! 手札を墓地に送り、三枚ドローする。……いいカードを引いた。舞元さん、面白いことをしてあげるよ」

「…………何をくり出すつもりだ?」

「俺は手札の【狂化師-ガーゴイル・アクロバット】を特殊召喚! さらに【狂化師-カースド・メッセンジャー】の効果で墓地の【狂化師-フレイム・マリオネット】を特殊召喚!」

 

 力一のフィールドに五体の曲芸の悪魔が現れた。

 

「ジョー・力一! 一気にモンスターを五体出してきたぞ!」

「えぇ。この数なら色々な展開ができます!」

「さぁ、ショータイムだ! 【狂化師-スカル・ジャグラー】【狂化師-シャドウ・バニー】【狂化師-ジョーカー・ディーラー】【狂化師-カースド・メッセンジャー】【狂化師-ガーゴイル・アクロバット】の五体でリンク召喚!」

「リンク召喚だとッ!?」

「その雷は大地を砕き、その嵐は天空を破壊する! 魔水晶より復活せよ! 【魔水晶の雷嵐龍 クリスタル・ノヴァ】!!」

 

 デュエルフィールド上空の雲が暗くなり、雷鳴が轟く。舞元の前に巨大な水晶が現れると、天空から雷が水晶に落ちる。すると水晶は雷を纏い、亀裂が入る。亀裂の奥から翡翠色の鋭い眼光が舞元を睨みつける。徐々に亀裂が大きくなり、水晶が粉々になると、そこから水晶を身にまとった龍が現れた。水晶の龍が咆哮を上げると、猛烈は突風が巻き起こり、無数の雷が雨のように落ちる。

 

「【Unknown】モンスターを素だしだと!!」

「召喚条件は名前の異なる効果モンスター五体だからね。頑張れば出せるんだよ……まぁ、リンクオーバーの恩恵は受けないんだけどね」

「やべぇ……完全に意表を突かれた!!」

(フライング・メイヤーの効果を使うとかえって不利になる! ここは……)

「バトル! 【魔水晶の雷嵐龍 クリスタル・ノヴァ】で【B11-フライング・メイヤー】に攻撃! 【ライトニング・ウイング】!!」

 

 クリスタル・ノヴァの翼に雷が集まり、強烈な光となってフライング・メイヤーに襲い掛かる。

 

「させるかよ! 俺はリバースカード【ハーフ・アンブレイク】を発動! フライング・メイヤーは戦闘では破壊されず、戦闘ダメージも半減される!」

「だが、ダメージは受けてもらうよ」

 

舞元啓介LP:3600→3200

 

「舞元啓介! なんとここは踏みとどまった!」

「ですが、モンスターを無効にする【魔水晶の雷嵐龍 クリスタル・ノヴァ】が存在する限り、舞元さんの動きは制限されてしまいます」

「俺はカードを一枚伏せ、ターンエンド。さぁ、どうする? 舞元さん」

「俺のターン、ドロー! おしっ! 俺はリバースカード【B11-ブレイク・タッチ】を発動!」

 

【B11-ブレイク・タッチ】

〇フィールドの【B11】モンスター一体を破壊して発動できる。デッキから名前の異なる【B11】モンスター一体を特殊召喚する。

〇メインフェイズまたはバトルフェイズ中に墓地のこのカードをゲームから除外することで発動できる。このターンのダメージは0となる。

 

「俺は【B11-エルボー】を破壊して、デッキから二体目の【B11-パワーボム】を特殊召喚! パワーボムの効果発動!」

(さぁ、クリスタル・ノヴァの効果を使うか?)

「…………ここは通すよ」

「よし! 俺は【B11-豪火再戦】を手札に加え、そのまま発動! 墓地の【B11-エルボー】と【B11-ダブルアーム】を特殊召喚! そして、俺は【B11-ニーバット】を召喚! 俺は【B11-エルボー】【B11-ダブルアーム】【B11-パワーボム】【B11-ニーバット】の四体でリンク召喚! 燃え上れ! 炎の鬼! 【B11-バーニング・オーガ】!!」

 

 四体のレスラーが光に包まれると、舞元のフィールドが炎に包まれ、炎の中から鬼神が現れた。

 鬼神はクリスタル・ノヴァにガンつけると咆哮を上げる。

 

「バーニング・オーガのリンクマーカーにフライング・メイヤーがいるのでバーニング・オーガの攻撃力は300アップする!!」

 

 

バーニング・オーガ 攻撃力:3000→3300

 

「クリスタル・ノヴァの攻撃を上回ったぞ!」

「二体のモンスターの攻撃が通れば舞元さんの勝利です!」

「さらに俺は【B11-フライング・メイヤー】一体でオーバーレイ! エクシーズ召喚! ランク7【B11-シャイニング・ウィザード】!! バトル! 【B11-バーニング・オーガ】で【魔水晶の雷嵐龍 クリスタル・ノヴァ】に攻撃! バーニング・リングの効果でさらに攻撃力500アップ!」

 

バーニング・オーガ 攻撃力:3300→3800

 

「舞元さん、甘いよ。俺はリバースカード発動! 速攻魔法【UnknownCode(アンノウン・コード)-リンク・オーバーロード-】を発動!!」

「何ッ!?」

「あれは叶さんが使っていた速攻魔法!!」

「俺は【魔水晶の雷嵐龍 クリスタル・ノヴァ】を墓地に送ることで、リンク召喚!! 次元を超えた集いし魂が今、交わり、究極の龍へと昇華する! 究極を超えた究極! 【ダイヤモンドダスト・ブレイザー・ドラゴン】!!」

 

 クリスタル・ノヴァが再び、水晶に包まれるとその上からダイヤモンドが上書きするように全身を包み込んだ。ダイヤモンドに亀裂が入り、粉々に砕かれると、そこにはダイヤモンドで出来た巨大な龍が現れた。ダイヤモンドの龍が咆哮を上げると、砕かれたダイヤモンドが飛び散り、眩い結晶が雪のように舞い散った。

 

「これが俺の切り札だ! さぁ、どうする! 舞元さん!」

「くっ! 攻撃中断! 俺はカードを一枚伏せ、ターンエンド!」

「舞元啓介! ジョー・力一の強力なモンスターの登場に攻め切ることができなかった」

「俺のターン、ドロー! これで終らす! バトル!」

「バルトフェイズ開始時に俺はリバースカード【B11-猛火激戦】を発動!」

 

【B11-猛火激戦】

永続罠

〇フィールドの【B11】モンスター一体を選択し発動できる。そのモンスターと同じ縦列に存在する全てモンスターの効果を無効にする。この効果で対象になった【B11】モンスターの攻撃力を800アップさせる。

 

「【B11-猛火激戦】の効果で【ダイヤモンドダスト・ブレイザー・ドラゴン】の効果を無効にする!」

「させないよ! 【ダイヤモンドダスト・ブレイザー・ドラゴン】の効果発動! 【B11-猛火激戦】の効果を無効にする! 【ダイヤモンド・ロック】!!」

「だが、効果は使ったな! 俺は墓地の【B11-ブレイク・タッチ】の効果発動! 墓地のこのカードをゲームから除外することで、このターンのダメージは0となる!」

「ちっ……生き延びたか。バトル! 【ダイヤモンドダスト・ブレイザー・ドラゴン】で【B11-バーニング・オーガ】に攻撃! 【ダイヤモンド・ミラージュ】!!」

 

 ダイヤモンドの龍が翼を広げ、咆哮を上げる。周囲に舞い散っていた結晶が光だし、龍の頭上に集約されていく。光はレーザーとなって放たれた。光のレーザーはバーニング・オーガを跡形もなく消滅させた。

 

「俺はこれでターンエンド・俺の切り札、【ダイヤモンドダスト・ブレイザー・ドラゴン】を倒してみな!」

 

 ダイヤモンドダスト・ブレイザー・ドラゴンが咆哮を上げると、周囲に落雷が落ちる。スタジアムの地面からはダイヤモンドが生えるように突き立つ。

 雷はスタジアムの地面や観客席の壁をえぐるように破壊する。観客席から悲鳴が上がる。

 観客席にいたエクス・アルビオやフレン・E・ルスタリオなどの異世界組が武器で襲い掛かる雷を払いのける。

 

「これが【Unknown】カードの真の力さ! 全てを破壊せよ!!」

「よせ、力一!!」

「ここにいる人々よ! このデュエルを見ている皆よ! 刮目せよ! この雷は演出ではない! 実際に【Unknown】カードが放っている雷だ! 全てを破壊する驚異の雷だ!」

「力一……?」

(なんだ、あの嘘くさい演技は? 何を狙って…………あぁ、なるほどな。煽っているのか)

「そのカードは危険だ! お前はそのカードに操られているんだ!」

「な、なんだ……? 舞元啓介とジョー・力一は何をしているんだ?」

「夢追さん……あの【ダイヤモンドダスト・ブレイザー・ドラゴン】は危険です! 実際に雷で被害が出ています!」

「え? で、でも演出なんでしょ?」

「実現しているのですよ!」

「…………分かった。話はあとで聞かせてもらうよ! 皆さん、安全な場所に避難してください。スタッフさんデュエルの中止を進言します」

「いいや、続けなさい」

 

 いつの間にかマイクを握っていた草壁誠一郎が夢追の言葉を遮った。

 

「皆様、ご困惑の所申し訳ございません。只今のは特殊演出になります。モンスターが放った雷もエフェクトに過ぎません。もし、当たったとしても何も影響ございませんので、ご安心ください。引き続き、デュエルをお楽しみください」

 

 草壁が皆に気が付かれないように力一を睨みつけた。それに気が付いた力一は舌を出した。

 

「デュエルは続行させてもらうよ。このカードの恐怖を世界中に広めさせるためにも!」

「させるかよ! 俺のターン!」

 

 ドローをしようとデッキに指をオクト、舞元の右目に真っ赤な炎が灯った。右目が真っ赤に燃え上がると、それと比例するように右手も真っ赤に燃えた。

 

「これが俺の力だ! 真のライバー(デュエリスト)は勝利へ導くカードは己の力で引き当てる!! うおぉぉぉぉぉ! バーニングドロォォォォ!!」

 

 舞元は炎をは取った右手でカードを引いた。

 

「シャイニング・ウィザードの効果発動! 【ダイヤモンドダスト・ブレイザー・ドラゴン】を破壊!」

「【ダイヤモンドダスト・ブレイザー・ドラゴン】の効果発動! 【B11-シャイニング・ウィザード】の効果を無効に破壊する! 【ダイヤモンド・ロック】!」

「効果を使ったな! 俺は魔法カード【バーニング・オブ・リンク・フュージョン】を発動!」

「ここで融合!?」

「俺は墓地の【B11-バーニング・オーガ】と【B11-シャイニング・ウィザード】で融合!!  融合召喚! 灼熱の炎を身に纏いし、孤高の戦士が今、リングに舞い降りた! 燃え上れ闘魂! 灼熱のマスク! 【B11-バーニング・マスク・ライジング】!!」

 

【B11-バーニング・マスク・ライジング】

レベル12/融合/炎属性/戦士族/攻4200/守2600

【B11】リンクモンスター+【B11】リンクモンスターまたは【B11】エクシーズモンスター

〇フィールドのこのカードは、戦闘では破壊されず、このカードの攻撃力以下の攻撃力を持つ相手モンスターの発動した効果を受けない。

〇一ターンに一度、相手の魔法・罠カードを全て墓地に送る。

〇自分がダメージを受けた時、発動できる。フィールドの表側表示のカードを全て無効にする。

 

 リングの中央に炎の渦が巻き起こると、そこに真っ赤な覆面を被った屈強なレスラーが仁王立ちしていた。レスラーの頭上から雷が落ちる。レスラーは無傷で雷を纏う。

 炎と雷を纏ったレスラーは【ダスト・ブレイザー・ドラゴン】にガンつける。

 

「俺は【B11-バーニング・リング】の効果発動! 【B11-パワーボム】を特殊召喚! そして、俺はダメージを受ける!」

 

舞元啓介LP:3200→2900

 

「この瞬間、【B11-バーニング・マスク・ライジング】の効果発動! 全てのカードを無効にする!!」

 

 バーニング・マスク・ライジングが咆哮を上げると周囲のカードに電流が流れ、【ダイヤモンド・ブレイザー・ドラゴン】は麻痺するように動かなくなった。

 

「しまった!!」

「バトル! 【B11-バーニング・マスク・ライジング】で【ダイヤモンド・ブレイザー・ドラゴン】に攻撃! 【ライジング・ハイフライフロー】!!」

 

 リングのコーナーポストにバーニング・マスク・ライジングが立ち上がり、天高く飛ぶ。天高く飛んだバーニング・マスク・ライジングは身体に纏っていた炎と雷と共に流星のように流れ落ちる。【ダイヤモンド・ブレイザー・ドラゴン】はバーニング・マスク・ライジングを打ち落とすようにレーザーを放つ。バーニング・マスク・ライジングはレーザーではビクともせず、そのまま【ダイヤモンド・ブレイザー・ドラゴン】に衝突する。落下の衝撃を【ダイヤモンド・ブレイザー・ドラゴン】は受け止められることができず、そのまま地面に沈んだ。

 動けない【ダイヤモンド・ブレイザー・ドラゴン】にバーニング・マスク・ライジングがガッチリ、ホールドする。

 

「【バーニング・オブ・リンク・フュージョン】の効果で追加ダメージを受けてもらうぜ! これで終わりだ! 力一ィ!!」

「あちゃー……やっぱり強いわ」

 

ジョー・力一LP:3100→0

 

「完敗だったね」

「さぁ、力一。ちゃんと話してくれよ」

「そうだな…………でも、それは難しいかもね」

 

 力一は満足気に舞元に笑いかける。

 

「せやな。ここまでは力一はんのシナリオ通りやな」

 

 いつの間にか戌亥が舞元と力一の間に立っていた。

 舞元が動揺している間に戌亥は力一の腹部を殴った。

 

「ぐはっ!!」

 

 力一は地面にうずくまる。そして、戌亥の手には【魔水晶の雷嵐龍 クリスタル・ノヴァ】と【ダイヤモンド・ブレイザー・ドラゴン】のカードが握られていた。

 

「力一!?」

 

 うずくまる力一に舞元が駆け寄る。

 

「戌亥! 何してるんだ!!」

「何って、力一はんの頼みを聞いただけやで」

 

 戌亥はデュエルディスクを構えた。戌亥の周囲にはどす黒いオーラが漂っている。

 

「さぁ、次はウチと楓はんのデュエルや。楓はん、はよ来てデュエルしようや」

 




【オリカ紹介】
B11-バーニング・マスク・ライジング
舞元の切り札。
バーニング・オブ・リンク・フュージョンと組み合わせることで一気に決着を付ける。

トーナメント表
【挿絵表示】



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BATTLE.26「戌亥とこvs樋口楓」

憧れの先輩との戦い。
戌亥はどうするのか? 気になるディエルの始まりです。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。


 戌亥に呼ばれた楓は険しい表情をしながらステージに向かう。

 楓には戌亥のどす黒いオーラが見えないが、いつもと違う雰囲気に圧倒されていた。

 

「…………なんか、いつもとちゃうねんな」

「そうやな……なら、姿も変えたらええんちゃうかな」

 

 戌亥はいつもの和服を脱ぎ捨てると、下にはアンダーを着ていた。

 そして、四肢は膝、肘まで獣の体毛になり、爪は獣のように鋭くなった。そして、髪留めになっていたバンとケンは両肩に移動し、いつものマスコットのような姿ではなく、獰猛な顔つきになり牙を抜き出しになっていた。

 文字通り、半人半獣の姿になっていた。

 

「どうや楓はん。いけてる姿やろ?」

「うーん……いつもの方が良いと思いけどな。まぁ、しゃあないか」

 

 楓はデュエルディスクを構えた。

 

「そうやな……夢追はん、デュエルの合図を」

「デュ、デュエル開始ィィィィィィ!!」

 

「「決闘(デュエル)」」

 

「先攻は楓はんに譲るで」

「じゃあ、遠慮なく! ウチのターン! 手札から【花歌姫(プリマヴェーラ) フラワーロケーション】を発動!」

 

【花歌姫 フラワーロケーション】

魔法

このカード名のカードは一ターンに一枚しか発動できない。

〇デッキから【花歌姫 フラワーロケーション】以外の【花歌姫】モンスター一枚を手札に加える。さらに自分フィールドにカードが存在しない時、さらにデッキから【花歌姫】魔法一枚を手札に加える。

 

「デッキから【花歌姫 アイリス】と【花歌姫 フラワーステージ】を手札に加え、そのまま【花歌姫 アイリス】の効果発動や!」

 

【花歌姫 アイリス】

レベル3/風属性/植物族/攻1200/守600

〇このカードがドロー以外の方法で手札に加わった場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

〇一ターンに一度、フィールドの【花歌姫】モンスターをデッキに戻った時に発動できる。手札の【花歌姫】カードを一枚墓地に送り、デッキから一枚ドローする。

 

「ウチはアイリスを特殊召喚! さらに【花歌姫 フラワーステージ】を発動! 効果処理で【花歌姫 アネモニ】を加え、そのまま召喚や! アネモニの効果発動! デッキから【花歌姫 プリンセスブーケ】を加え、これもそのまま発動! いくで! ウチは【花歌姫 フラワーステージ】の効果発動! アネモニを戻すことでデッキから【花歌姫 マリーゴールド】を特殊召喚! この瞬間、【花歌姫 プリンセスブーケ】と【花歌姫 アイリス】、【花歌姫 マリーゴールド】の効果発動! マリーゴールドの効果で手札の【花歌姫 ガーベラ】を特殊召喚や! アイリスの効果で手札の【花歌姫 ロータス】を墓地に送り、一枚ドロー! プリンセスブーケの効果で【花歌姫 リリー】を特殊召喚!」

 

【花歌姫 ガーベラ】

レベル2/風属性/植物族/攻1000/守800

〇このカードが特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキからレベル2以下の【花歌姫】モンスター一体を手札に加える。

 

「【花歌姫 ガーベラ】の効果を発動! ガーベラの効果で【花歌姫 カトレア】を手札に加えるで! ウチは【花歌姫 マリーゴールド】【花歌姫 アイリス】【花歌姫 リリー】の三体でリンク召喚! リンク3【花歌姫 スイレン】!!」

 

  三体の妖精が光に包まれると薄紫色のドレスを身にまとった美女の妖精が現れた。

 

「墓地に送られた【花歌姫 リリー】の効果で自身を特殊召喚! さらに【花歌姫 ロータス】の効果でリリーをデッキに戻して、自身を特殊召喚! この瞬間、スイレンの効果発動や! とこちゃんに600ダメージ!」

「受けるで」

 

戌亥とこLP:4000→3400

 

「さらにスイレンの効果発動や! ロータスを戻すことでデッキから【花歌姫 プリズムギフト】と【花歌姫 ワンダーパラダイス】をセットする! また、スイレンの効果で600ダメージや!」

「小賢しいなぁー……」

 

戌亥とこLP:3400→2800

 

「そして、ガーベラの効果で手札に加えた【花歌姫 カトレア】の効果発動!」

 

【花歌姫 カトレア】

レベル1/風属性/植物族/攻600/守300

〇自分フィールドの【花歌姫】リンクモンスターが存在する時に発動できる。手札のこのカードをリンクマーカー先に特殊召喚する。

 

「【花歌姫 カトレア】を特殊召喚! 【花歌姫 カトレア】一体でリンク召喚! リンク1【花歌姫 クローバー】!!」

 

【花歌姫 クローバー】

リンク1/風属性/植物族/攻500/↑

花歌姫モンスター一体

〇このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。墓地の【花歌姫】モンスター一体を特殊召喚する。

〇フィールドの【花歌姫】カードの効果で相手に効果ダメージを与えた時に発動できる。相手に300ダメージを与える。

 

「クローバーの効果で墓地のマリーゴールドを特殊召喚! もう一度、マリーゴールドの効果発動! 手札の【花歌姫 サフラン】を特殊召喚や!」

 

【花歌姫 サフラン】

レベル2/風属性/植物族/攻700/守700

〇一ターンに一度、フィールドのこのカードをデッキに戻すことで発動できる。デッキから二枚ドローする。

 

「サフランの効果発動! 自身をデッキに戻すことで二枚ドロー! デッキに戻ったことにより【花歌姫 スイレン】の効果を再び発動! 600ダメージ! そして、【花歌姫 クローバー】の効果でさらに300ダメージや!」

 

戌亥とこLP:2800→2200→1900

 

「ウチはカードを一枚伏せ、ターンエンドや」

「突然、始まったデュエルだが樋口楓! 先攻バーンで戌亥とこのライフを大幅に削っていった!!」

「バーンは樋口さんの十八番ですからね。それに妨害札はたくさんあります。戌亥さんは自身のモンスターを破壊して起動する効果をメインとしています。戌亥さんの展開が先か、樋口さんの妨害またはバーンが先か……」

「ウチのターンやな。ドロー……変わったのは姿だけやないで。ウチは手札から【燃え盛る獄炎の渦】を発動」

 

【燃え盛る獄炎の渦】

魔法

このカード名のカードは一ターンに一枚しか発動できない。

〇フィールドの魔法・罠を全て破壊する。その後、デッキから【獄炎竜】モンスター一体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは表示形式を変更できず、攻撃可能な場合は攻撃しなければならない。

〇墓地のこのカードを除外して発動できる。

デッキから【獄炎竜】モンスター一体を手札に加える。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

「フィールドの魔法・罠を全て破壊や」

「なっ!? ウチは【花歌姫 プリズムギフト】を発動! 【花歌姫 ガーベラ】を特殊召喚! ガーベラの効果で【花歌姫 カトレア】を手札に加える!」

「【燃え盛る獄炎の渦】の効果でデッキから【獄炎竜 サヴァトラ】を特殊召喚」

 

【獄炎竜 サヴァトラ】

レベル4/炎属性/ドラゴン族/攻2000/守1000

〇このカードが破壊された時に発動できる。デッキから同名カードを可能な限り特殊召喚する。

 

「さらにウチは手札から【奈落より燃え盛る獄炎】を発動」

 

【奈落より燃え盛る獄炎】

永続魔法

〇一ターンに一度、自分フィールドのカードを破壊することで発動できる。デッキから【獄炎竜】モンスター一体を特殊召喚する。

〇自分フィールドの【獄炎竜】モンスターが効果で破壊される度にデッキからカードを一枚ドローする。

〇このカードが【獄炎竜】モンスターの効果で破壊された時に発動できる。墓地の【獄炎竜】モンスター一体を特殊召喚する。

 

「【奈落より燃え盛る獄炎】の効果発動。【獄炎竜 サヴァトラ】を破壊して、デッキから【獄炎竜 ヴァナード】を特殊召喚する」

 

【獄炎竜 ヴァナード】

レベル4/炎属性/ドラゴン族/攻2000/守1000

〇一ターンに一度、フィールドのカードを破壊することで発動できる。手札の【獄炎竜】モンスター一体を特殊召喚する。

 

「この瞬間、【獄炎竜 サヴァトラ】と【奈落より燃え盛る獄炎】の効果発動。デッキから【獄炎竜 サヴァトラ】二体を特殊召喚。さらにデッキから一枚ドロー。ウチは手札から【獄炎竜 ニーズヘルム】を召喚」

 

【獄炎竜 ニーズヘルム】

レベル4/炎属性/ドラゴン族/攻2000/守1000

〇このカードが【獄炎】カードの効果で破壊された時に発動できる。墓地のこのカード以外の【獄炎竜】モンスター一体を特殊召喚する。

 

「ウチは【獄炎竜 ヴァナード】の効果発動。【獄炎竜 ニーズヘルム】を破壊することで手札の【獄炎竜 エルグランド】を特殊召喚する」

 

【獄炎竜 エルグランド】

レベル4/炎属性/ドラゴン族/攻2000/守1000

〇このカードが【獄炎】カードの効果で特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから【獄炎】カードを一枚手札に加える。

 

「獄炎竜モンスターが破壊されたことにより【奈落より燃え盛る獄炎】と破壊された【獄炎竜 ニーズヘルム】、特殊召喚された【獄炎竜 エルグランド】の効果を発動。エルグランドの効果でデッキから【獄炎の古城-ヴァジュランダ-】を手札に加え、【獄炎竜 ニーズヘルム】の効果で【獄炎竜 サヴァトラ】を特殊召喚。【奈落より燃え盛る獄炎】の効果で一枚ドロー」

「い、戌亥とこ! 新たなデッキでありながら展開が止まりません」

「樋口さんの妨害は一気に崩されましたからね。展開しても問題ないと踏んだんでしょう」

「ウチは【獄炎竜 サヴァトラ】三体でリンク召喚。召喚条件は同じ属性・種族のモンスター三体。リンク3【魔炎眼の黒竜(フレイムアイズ・ブラックドラゴン)】を召喚」

 

【魔炎眼の黒竜】

リンク3/闇属性/ドラゴン族/攻2700/↖↓↗

同じ属性・種族のモンスター三体

〇一ターンに一度、自分フィールドのモンスター一体を破壊することで発動できる。墓地から同じ属性・種族のモンスター一体を特殊召喚する。

〇墓地にこのカードが存在する時に発動できる。フィールドのリンク3以上のモンスター一体を破壊することで、このカードを特殊召喚する。

 

「さっき手札に加えた【獄炎の古城-ヴァジュランダ-】を発動」

 

【獄炎の古城-ヴァジュランダ-】

フィールド魔法

〇発動処理としてデッキから【獄炎竜】モンスター一体を特殊召喚する。

〇自分フィールドの【獄炎竜】モンスターが破壊される度にこのカードにカウンターを一つ置く。

〇一ターンに一度、このカードに乗っているカウンターを三つ取り除くことで以下の効果を発動する。

●フィールドまたは手札の【獄炎竜】モンスターを任意の数墓地に送ることで、墓地に送ったモンスターと同じ数の【獄炎竜】リンクマーカーを持つリンクモンスター一体をリンク召喚扱いで特殊召喚する。

 

「ヴァジュランダの効果処理でデッキから【獄炎竜 エンヴィート】を特殊召喚」

 

【獄炎竜 エンヴィート】

レベル4/炎属性/ドラゴン族/攻2000/守1000

〇このカードが破壊された時に発動できる。墓地の【獄炎竜】モンスター一体を手札に加える。

 

「ウチは【魔炎眼の黒竜】の効果発動。【獄炎竜 エンヴィート】を破壊することで、墓地の【獄炎竜 サヴァトラ】を特殊召喚する。この瞬間【奈落より燃え盛る獄炎】と【獄炎の古城-ヴァジュランダ-】の効果発動。ヴァジュランダにカウンターを置き、奈落より燃え盛る獄炎の効果で一枚ドロー。ウチは手札から【獄炎の魔炎壺】を発動」

 

【獄炎の魔炎壺】

魔法

〇墓地の【獄炎竜】モンスター三体を選択して発動する。そのカードをデッキに戻し、シャッフルする。その後、デッキから一枚ドローする。

 

「ウチは【獄炎竜 サヴァトラ】二体と【獄炎竜 ニーズヘルム】をデッキに戻して、一枚ドロー。そして、手札の【獄炎竜 アルガン】の効果発動」

 

【獄炎竜 アルガン】

レベル4/炎属性/ドラゴン族/攻2000/守1000

〇フィールドまたは手札の【獄炎竜】モンスター一体を破壊することで、このカードを特殊召喚する。

 

「フィールドの【獄炎竜 サヴァトラ】を破壊することで自身を特殊召喚する」

「マズイ!!」

「どうしたハヤト!?」

「【獄炎の魔炎壺】で二体のサヴァトラがデッキに戻った状態で再び、サヴァトラが破壊されました!! と、いうことは……」

「そうか! もう一度、効果が使えるのか!!」

「ご明察や。ウチは破壊された【獄炎竜 サヴァトラ】、【奈落より燃え盛る獄炎】、【獄炎の古城--ヴァジュランダ】の効果を発動。ヴァジュランダにカウンターを置き、奈落より燃え盛る獄炎の効果で一枚ドロー。そして、サヴァトラの効果で同名カードを二体特殊召喚する」

「と、止まらない! 一体いつになったら終わるんだ!」

「ウチは【獄炎竜 ヴァナード】【獄炎竜 エルグランド】【獄炎竜 サヴァトラ】二体の四体でリンク召喚。召喚条件は【獄炎竜】モンスター三体以上。リンク4【獄炎竜 ジャバウォック】」

 

【獄炎竜 ジャバウォック】

リンク4/炎属性/ドラゴン族/攻3500/←↙↘→

【獄炎竜】モンスター三体以上

〇このカードがリンク召喚に成功した時に発動できる。墓地の【獄炎竜】モンスターをリンクマーカー先に可能な限り特殊召喚する。

〇一ターンに一度、フィールドのレベル4【獄炎竜】モンスターを任意の数破壊することで発動できる。破壊した数と同じ数だけ相手のカードを破壊する。この効果を発動したターン。このカードは攻撃することができない。

 

「【獄炎竜 ジャバウォック】の効果で【獄炎竜 エンヴィート】と【獄炎竜 エルグランド】を特殊召喚。そして、【獄炎竜 ジャバウォック】の効果発動。【獄炎竜 エンヴィート】【獄炎竜 エルグランド】【獄炎竜 アルガン】を破壊することで楓はんの【花歌姫 スイレン】【花歌姫 クローバー】【花歌姫 ガーベラ】を破壊や」

「くっ!! ウチのモンスターが……」

「ウチは【奈落より燃え盛る獄炎】と【獄炎の古城-ヴァジュランダ-】の効果発動。ヴァジュランダにカウンターを置き、奈落より燃え盛る獄炎の効果で一枚ドロー。そして、ヴァジュランダにカウンターが三つ乗ったことで【獄炎の古城-ヴァジュランダ-】の効果発動。手札の【獄炎竜 ニーズヘルム】【獄炎竜 ウォーロック】【獄炎竜 ヴァナード】二体を墓地に送ることでリンク召喚。リンク4【獄炎竜 ヴァイザード】」

 

【獄炎竜 ヴァイザード】

リンク4/炎属性/ドラゴン族/攻2800/↖↑↓→

【獄炎竜】モンスター三体以上

〇一ターンに一度、自分フィールドの【獄炎竜】モンスターが破壊された時に発動できる。相手のカードを破壊する。

 

「さぁ、御膳立ては完了や。ウチは【魔炎眼の黒竜】【獄炎竜 ジャバウォック】【獄炎竜 ヴァイザード】の三体でリンク召喚。召喚条件はリンクモンスター三体以上。リンク4【Unknown/Wizard オルルトーン】をリンク召喚」

「Unknown/Wizard!? Unknownモンスターか!!」

 

 三体の竜が光に包まれると、光は暗闇の飲み込まれ、そこから目などの顔のパーツが一切ない真っ白な顔にのっぽなスーツ姿のモンスターが現れた。

 スーツ姿のモンスターを軽快にステッキを振り回し、不気味な笑い声を発していた。

 

【Unknown/Wizard オルルトーン】

リンク4/光属性/魔法使い族/攻1000/↑↙↓↘

リンクモンスター三体以上

〇一ターンに一度、墓地のリンクモンスター一体をゲームから除外することで発動できる。デッキから【Unknown】魔法カードを一枚手札に加える。手札に加えたカードをこのターンに発動する場合、そのカードの発動は無効化されない。

 

「な、なんや……そのモンスターは……」

「このカードはウチの切り札を呼び出すためのキーカードや。ウチは【Unknown/Wizard オルルトーン】の効果発動。墓地の【魔炎眼の黒竜】をゲームから除外することで、デッキから【UnknownCode(アンノウン・コード)-リンク・オーバー-】を手札に加え、そのまま発動や」

 

 戌亥がカードをデュエルディスクにセットした。するとデュエルディスクから警告音が響き渡った。

 

『エラー。エラー。不正なプログラムを検出しました。不正なプログラムを検出しました。今すぐにプログラムの消去を――――――プログラムを強制インストール。―――――――プログラムのインストール完了。プログラム【Unknown】を起動します。』

 

 警告音が鳴り止むと同時に戌亥と楓の周辺に特殊な空間が発生した。

 

「これで終いやな。ウチは【UnknownCode-リンク・オーバー-】の効果で墓地のモンスターを五体をゲームから除外することで、リンク召喚! 終焉の鐘よ、世界に終わりの音色を告げよ。降臨せよ、魔竜の王! 【終焉龍皇E.N.D.(ジ・エンド)】!!」

 

 戌亥の頭上に真っ黒な球体が現れた。球体は二個に分裂すると二個から四個、四個から八個と倍に分裂していく。無数の球体はやがて、分裂を止めると一斉に密集する。密集した球体は次第に龍の形を形成していき、四つの翼を持ち、九つの目を持つ禍々しい黒龍へと姿を変えた。

 黒龍が咆哮を放つと、その衝撃でありとあらゆる物が吹き飛。吹き飛ばされそうになる観客席から悲鳴が上がる。

 

「【終焉龍皇E.N.D.】の効果発動や! EXデッキから【ネオスティア・ヴォルケーノ-オーバーロード-】を特殊召喚! 【終焉ノ使者】!」

(あれは力一さんが椎名さんとのデュエルで使っていた【Unknown】モンスター!! あのカードは他の【Unknown】モンスターを呼び出せるのか!!)

 

 加賀美は終焉龍皇E.N.D.の効果に戦慄した。一体でも強力な【Unknown】モンスターをいとも簡単に呼出し、複数体の【Unknown】モンスターと戦わなければいけない事実を考えていた。

 

 黒龍の胸部にある赤いコアからどす黒い泥が漏れだし、地面に滴り落ちる。地面に溜まった泥は次第に姿を変え、右手がドリルで翼の生えた漆黒の狂戦士が現れた。

 

「【終焉龍皇E.N.D.】の攻撃力は自分フィールドのリンクモンスターのリンクマーカーの数×1000アップする。よって攻撃力は……」

 

終焉龍皇E.N.D. 攻撃力:?→10000

 

「こ、攻撃力10000やと……」

「あ、圧倒的じゃないですか……」

「……これには絶句。という言葉しか浮かび上がらない」

(ま、まだや! ウチ手札かの手札には【花歌姫 スイートピー】がおる)

 

【花歌姫 スイートピー】

レベル1/風属性/植物族/攻0/守0

〇相手モンスターが直接攻撃してきた時に発動できる。手札のこのカードを墓地に送ることで、その攻撃を無効にする。その後、そのモンスターの攻撃力の半分の数値だけ相手に効果ダメージを与える。

 

(スイートピーの効果で逆転や!)

「あー……甘いで、楓はん。表情が緩んでるで」

「っ!?」

「何か、逆転できるって顔してるで。でも、それも無意味や。【終焉龍皇E.N.D.】の効果発動。墓地の【獄炎竜 ヴァイザード】をゲームから除外することで、このターン、楓はんはカード効果を発動することはできん」

「う……嘘や……」

「【禁断ノ宝玉】!!」

 

 黒龍の局部の赤いコアが禍々しく輝きだすと戌亥以外、誰も身動きが取れなくなってしまった。

 

「な、なんだ! 動けないぞ!」

「おそらく、あのモンスターが放っている光のせいです!!」

「そんな……ウチの負け?」

「楓はん…………これが絶望や。さぁ、蹂躙せよ。【終焉龍皇E.N.D.】でダイレクトアタック! 【終焉ノ咆哮(ゼノ・ブレス)】!!」」

 

 

 黒龍は咆哮を上げ、四つの翼を広げる。大きく開かれた口に黒い光が集まり、それを放つ。黒いブレスはレーザーのように一直線上にあるものを全て消し去る。楓はその光に飲み込まれる。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

樋口楓LP:4000→0

 

 一気にライフが尽きた楓はその場で倒れてしまった。

 

「これがウチの真の力や。夢追はん。楓はんを医務室に」

「はっ!! 体が動く! スタッフ、樋口先輩を医務室へ!!」

(なるほど……力一さんの狙いが分かってきました。ラスボスとは戌亥さん。おそらく全ての【Unknown】モンスターを戌亥さんに集約しようとしているようですね……あの凶悪なモンスターをどう対処すれば!!)

 

 

 




オリカ紹介
【獄炎竜】
戌亥の新たなデッキ。
モンスターを破壊することで起動する効果は【獄炎獣】と同じだか、より【Unknown】モンスターを召喚するために特化させた。

【Unknown/Wizard オルルトーン】
新たなUnknown】モンスター。
他のUnknown】モンスターと違い見た目が類似しているモンスターは存在しない。
その効果は【UnknownCode-リンク・オーバー-】をサーチし、【Unknown】モンスターを呼び出す。

トーナメント表
【挿絵表示】


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BATTLE.27「メリッサ・キンレンカvsエリー・コニファー」

初登場のメリッサ。
メリッサのデッキは序盤の方から固まっていましたが、中々出す機会が無かったので満を持して登場です。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。


 戌亥と楓のデュエルが終わり、運営が次のデュエルの準備をしていた。次はメリッサ・キンレンカVSエリー・コニファー。

 エリー・コニファーは【Unknown】カードの所有者。

 控室で待機していたエリーの所に戌亥も一緒に待機していた。

 

「エリーはん。分かっていると思うが負けたら【Unknown】カードはウチが回収させてもらうで」

「えぇ、構いませんよ」

 

 エリーは微笑みながら立ち上がると服装を整えた。

 

「そういえば……このデュエルに勝てば次は美兎様かリゼ様ですね」

「…………何が言いたいんや?」

「いえ、別に……ただ、相手がリゼ様でも私は手加減なしで蹂躙しますよ。……世界平和のために」

「それは構わへんよ」

「おや? リゼ様のこと心配じゃないんですか?」

「…………ウチの計画のためにはリゼはんは邪魔や。エリーはんが倒すのは構わへん」

「そうですか」

 

 それ以上は追及せず、デュエルディスクを装着した。

 

「そろそろ出番なので行きますね」

「ほな、よろしく」

 

 エリーは戌亥に見送られて控室を出ていった。

 

「…………ィゼはウチが倒す」

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

 デュエルの準備が完了し、実況の夢追がマイクを握った。

 

「本日最後のデュエルはメリッサ・キンレンカVSエリー・コニファー!!」

「メリッサさんもエリー・コニファーさんもデッキのデータが少ないため未知数ですが、それはそれで楽しみですね!!」

(エリー・コニファーさん……【Unknown】カードの所有者。ここでデータを集める必要があります。負けたチャイカさんのためにも)

「では、選手入場です!」

 

 東ゲートが開かれるとメリッサが出てきた。

 観覧席からフレンやよく一緒に遊ぶ夢月ロアやましろが応援している。メリッサは観覧席に向けて手を振る。

 

「東ゲートからはこの方! その歌声は聞いた者の魂に刻み込ませる! その歌声は雷の如く、デュエルでも雷のような荒々しくも繊細なデュエルを見せつけるのか!! 雷鳴の歌姫! メリッサ・キンレンカ!!」

 

 対して西ゲートも開かれた。

 エリーはスタジオに向けて優雅に歩く。その姿は気品溢れていた。

 

「西ゲートからはこの方! お花の妖精は優雅に給仕をこなす! デュエルも給仕も完璧にこなす、生粋のメイドデュエリスト! エリー・コニファー!!」

「メリッサさま。こんにちは」

「エリー先輩。直接、お話しするのは初めてですね。本当は楽しく、デュエルしようと思ったのですが……何か、今回の大会はきな臭いんですよね」

「そうですか?」

「むーさんが不破先輩から聞いたみたいですが……エリー先輩。先輩も何か変なカード持っているみたいですね」

「変なカードですか……私はただ、世界平和のためにデュエルしてるだけですよ」

「世界平和……? まぁ、いいです。とりあえず倒します」

 

 メリッサはデュエルディスクを構えた。

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「先攻はいただきますよ。僕のターン。僕は【電音機(でんおんき)アンプン】をペンデュラムスケールにセッティング!」

「メリッサ・キンレンカ! ペンデュラムスケールにセッティングした! ペンデュラム召喚を使うのか!」

 

【電音機アンプン】

レベル3/ペンデュラム/風属性/機械族/攻1200/守1000

【Pスケール:青1/赤1】

〇一ターンに一度、手札の【電音機】モンスター一体を捨てることで発動できる。デッキから【電音機アンプン】以外の【電音機】モンスター一体を手札に加える。

【モンスター効果】

〇このカードが特殊召喚に成功した時、自分の墓地の【電音機】モンスター一体を選択して発動できる。そのモンスターをゲームから除外することで、そのモンスターとは名前の異なる【電音機】モンスター一体をデッキから特殊召喚する。

 

「僕はアンプンの効果発動! 手札の【電音機ベースン】を捨てることでデッキから【電音機キーボン】を手札に加える! さっき手札に加えた【電音機キーボン】をペンデュラムスケールにセッティング!」

 

【電音機キーボン】

レベル5/ペンデュラム/風属性/機械族/攻2000/守1000

【Pスケール:青6/赤6】

〇このカードを発動したターンのメインフェイズに発動できる。デッキからレベル3以下の【電音機】モンスター一体を特殊召喚する。

【モンスター効果】

〇このカードが特殊召喚に成功した時、自分のゲームから除外されている【電音機】モンスター一体を選択して発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

「キーボンの効果発動! デッキから【電音機モッキン】を特殊召喚!」

 

【電音機モッキン】

レベル2/チューナー/風属性/機械族/攻800/守500

〇このカードが特殊召喚に成功した時、墓地の【電音機】モンスター一体をゲームから除外することで発動できる。デッキからこのカードと属性・種族の異なるレベル4以下のPモンスター一体を手札に加える。

〇墓地のこのカードをゲームから除外することで、このカード以外のゲームから除外されているレベル3以下の【電音機】モンスター一体を手札に加える。

 

「モッキンの効果発動! 墓地のベースンをゲームから除外することで、デッキから【幻惑のサンダーバード】を手札に加え、そのまま召喚!」

 

【幻惑のサンダーバード】

レベル4/ペンデュラム/闇属性/鳥獣族/攻1600/守1200

【Pスケール:青3/赤3】

〇自分フィールドの光属性モンスターが破壊される時に発動できる。代わりにこのカードを破壊する。

【モンスター効果】

〇このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから闇属性・鳥獣族モンスター一体を手札に加える。

 

 メリッサのフィールドに雷を纏った鳥が現れた。

 雷鳥はメリッサの周辺を飛来する。

 

「僕は【幻惑のサンダーバード】の効果発動! デッキから【常闇のサンダーバード】を手札に加える。準備は完了! スケール1【電音機アンプン】とスケール6【電音機キーボン】がペンデュラムスケールにセッティングされているので、レベル2~5のモンスターが召喚可能! いくぞー! ペンデュラム召喚! 手札から【常闇のサンダーバード】【閃光のサンダーバード】!」

 

【常闇のサンダーバード】

レベル4/ペンデュラム/闇属性/鳥獣族/攻1800/守500

【Pスケール:青4/赤4】

〇自分が効果ダメージを受けるときに発動できる。代わりにこのカードを破壊する。

【モンスター効果】

〇このカードが相手モンスターを戦闘で破壊した時に発動できる。ゲームから除外されているモンスター一体を手札に加える。

 

【閃光のサンダーバード】

レベル4/ペンデュラム/光属性/鳥獣族/攻1600/守1500

【Pスケール:青5/赤5】

〇自分フィールドの闇属性モンスターが破壊される時に発動できる。代わりにこのカードを破壊する。

【モンスター効果】

〇このカードが効果で壊された時に発動できる。デッキから闇属性・鳥獣族モンスター一体を手札に加える。

 

 メリッサの両端で光の柱として、浮遊していたアンプンとキーボンが自らを奏でるとメリッサの上空に巨大なゲートのような穴が現れた。

 そのゲートから二体の雷鳥が飛び出した。片方は黒い羽毛に白い雷を纏い、もう片方は白い羽毛に黒い雷を纏う。合計、三体の雷鳥がメリッサの上空で輪を描くように飛来する。

 

「メリッサ・キンレンカ! ペンデュラム召喚でモンスターを大量展開だ!」

「そして、メリッサさんのフィールドにはチューナーモンスターがいます! ということは……」

「そう! 僕はレベル4の【幻惑のサンダーバード】にレベル2の【電音機モッキン】をチューニング! シンクロ召喚! レベル6【ボルテックスビート エアホーク】!!」

 

【ボルテックスビート エアホーク】

レベル6/シンクロ/光属性/雷族/攻2500/守1500

機械族チューナー+チューナー以外の鳥獣族モンスター一体以上

〇一ターンに一度、互いの墓地のカードを一枚ずつ選択して発動できる。そのカードをゲームから除外する。この効果は相手ターンにも発動できる。

〇このカード以外の雷族・シンクロモンスターが相手モンスターを戦闘で破壊した時に発動できる。ゲームから除外されているカードを一枚、手札に加える。

 

 四つの光と二つの輪が交わり、光の筋となる。すると、そこから全身が雷となっており、両腕が翼となった人型のモンスターが現れた。その人型モンスターは雷の身体の一部に機械が装着され、雷鳴のような叫び声を上げる。

 

「まだ行くよ! 僕は墓地に送られたモッキンの効果発動! このカードをゲームから除外することで、ゲームから除外されている【電音機ベースン】を手札に加え、そのまま効果発動!」

 

【電音機ベースン】

レベル3/チューナー/風属性/機械族/攻1300/守700

〇自分のペンデュラムスケールに【電音機】Pモンスターが二体、セッティングされている時に発動できる。手札のこのカードを特殊召喚する。

 

「ベースンを特殊召喚! 僕はレベル4の【常闇のサンダーバード】にレベル3の【電音機ベースン】をチューニング! シンクロ召喚! レベル7【ボルテックスビート ボルスター】!!」

 

【ボルテックスビート ボルスター】

レベル7/シンクロ/光属性/雷族/攻2700/守2500

機械族チューナー+チューナー以外の鳥獣族モンスター一体以上

①、②の効果はそれぞれ一ターンに一度しか発動できない。

〇自分フィールドの雷族モンスターが効果の対象になった時に発動できる。自分のゲームから除外されているカード一枚をデッキに戻ることで、その効果を無効にする。

〇自分フィールドにこのカード以外の雷族・シンクロモンスターが存在し、相手がEXデッキからモンスターを特殊召喚した時に発動できる。そのモンスターの効果を無効にして、攻撃力を半分にする。

 

 四つの光と三つの輪が交わり、光の筋となる。そこからエアホーク同様の全身、雷の人型モンスターが飛び出した。

 

「メリッサ・キンレンカ! 連続シンクロ召喚を成功され、高レベルモンスターを並べたぞ!」

「これは面白い動きですね。それぞれ別のテーマでありながら上手く一まとめになっています。盤面を見ると墓地のカードを除去し、さらにEXモンスターを無効にできます。これは初手としては上々な動きかと」

「僕はカードを二枚伏せ、ターンエンド」

「では私はターンですね。私のターン、ドロー。私は手札から【妖花鳥(ようかちょう)の魔種】を発動します」

 

【妖花鳥の魔種】

魔法

〇デッキから【妖花鳥】モンスターを任意の数、墓地に送り発動する。この効果で墓地に送った【妖花鳥】モンスターの合計のレベルと同じ数のレベルを持つ【妖花鳥】儀式モンスターをデッキから手札に加える。この効果で墓地に送った【妖花鳥】モンスターが三体以上の場合、さらにデッキから【妖花鳥の満開】を手札に加える。

 

「私はデッキからレベル3【妖花鳥-ボタン】、レベル3【妖花鳥-アヤメ】、レベル2【妖花鳥-キキョウ】を墓地に送ります。墓地に送ったモンスターの合計のレベルは8。よって、私はレベル8の儀式モンスター【妖花鳥の怪鳥】を手札に加えます。さらに三体の【妖花鳥】モンスターを墓地に送ったので、追加で【妖花鳥の満開】を手札に加えます」

「エリー・コニファー! 墓地肥やしをしつつ儀式召喚の準備を整えていく!」

「およよよ……さぁ、降臨の時間です。私は【妖花鳥の満開】を発動します」

 

【妖花鳥の満開】

儀式魔法

【妖花鳥】儀式モンスターの降臨に必要。

〇レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように自分の手札・フィールドのモンスターをリリース、またはリリースの代わりにデッキから【妖花鳥】モンスターを墓地へ送り、手札から【妖花鳥】儀式モンスター一体を儀式召喚する。

 

「【妖花鳥の満開】の効果で私はデッキからレベル1【妖花鳥-コチョウラン】三体、レベル3【妖花鳥-ボタン】、レベル1【妖花鳥-キキョウ】二体の六体で儀式を行います。妖艶な花よ、満開となりて羽ばたきなさい。儀式召喚。レベル8【妖花鳥の怪鳥】」

 

【妖花鳥の怪鳥】

レベル8/闇属性/植物族/攻2900/守1000

【妖花鳥の満開】により降臨。

〇自分のデッキからカードが墓地に送られた時に発動できる。同じ枚数分、相手のデッキの上からカードを墓地に送る。

 

 六体のモンスターが魂と化し、一つに交わるとそこから無数の花で出来た怪鳥が現れた。怪鳥なギョロっとした目でメリッサを睨みつける。

 

「これは上手く抜け穴を突いてきましたね。EXデッキから強力なモンスターを出したら【ボルテックスビート ボルスター】の効果で無効にできますが、儀式召喚は手札からの召喚です。ボルスターでは無効にできません」

「まだ行きますよ。私は【ローンファイア・ブロッサム】を召喚します。【ローンファイア・ブロッサム】の効果を発動します。自身をリリースすることで【ローンファイア・ブロッサム】を特殊召喚します。さらに特殊召喚された【ローンファイア・ブロッサム】の効果も使用します。自身をリリースすることで【イービル・ソーン】を特殊召喚します。そして、【イービル・ソーン】の効果も発動します。このカードをリリースすることでメリッサさんに300ダメージを与えます」

「喰らうよ」

 

メリッサ・キンレンカLP:4000→3700

 

「そして、デッキから【イービル・ソーン】を二体特殊召喚します」

「エリー・コニファー! 確実に墓地を肥やしながらモンスターを増やしていく」

「展開はさせないよ。僕はリバースカード発動! 【大放電】!」

「はわわっ!?」

 

【大放電】

〇自分フィールドの雷族モンスターを選択して発動する。そのモンスターより攻撃力の低い雷族以外のモンスター全てを破壊する。

 

「僕は【ボルテックスビート ボルスター】を選択して、攻撃力2700以下の雷族以外のモンスターを全て破壊! エリー先輩の【イービル・ソーン】二体と僕の【閃光のサンダーバード】を破壊!」

「メリッサ・キンレンカ! 自分のモンスター諸共、相手のモンスターを破壊!」

「いいえ、【閃光のサンダーバード】はサーチ効果があります」

「正解! 【閃光のサンダーバード】の効果発動! デッキから【幻惑のサンダーバード】を手札に加えるよ」

「【イービル・ソーン】二体は破壊されてしまいますね。では、私は手札から永続魔法【妖花鳥の誘惑粉】を発動します」

 

【妖花鳥の誘惑粉】

永続魔法

〇一ターンに一度、墓地のレベル3以下の【妖花鳥】モンスター一体を特殊召喚する。

〇自分のデッキから【妖花鳥】モンスターが墓地に送られた時に発動できる。相手のデッキの上からカードを三枚墓地に送る。

 

「私は【妖花鳥の誘惑粉】の効果で墓地の【妖花鳥-アヤメ】を特殊召喚します」

「させないよ。【ボルテックスビート エアホーク】の効果を発動! 墓地の【大放電】と【妖花鳥-アヤメ】をゲームから除外する!」

「はわわわっ! どうしましょう」

「メリッサ・キンレンカ! エリー・コニファーの展開をことごとく妨害していく」

「まだ、ボルスターの効果と伏せカードが一枚あります。まだまだ妨害はできると思います」

「では、私はここでこのカードを発動しましょうか。私は手札から【UnknownCode(アンノウン・コード)-リンク・オーバー-】を発動します」

 

 エリーがカードをデュエルディスクにセットした。するとデュエルディスクから警告音が響き渡った。

 

『エラー。エラー。不正なプログラムを検出しました。不正なプログラムを検出しました。今すぐにプログラムの消去を――――――プログラムを強制インストール。―――――――プログラムのインストール完了。プログラム【Unknown】を起動します。』

 

 警告音が鳴り止むと同時にスタジアムが特殊な空間が包み込んだ。

 

「ここで今大会で猛威を振るっている【UnknownCode-リンク・オーバー-】を発動だ!」

(ここで【UnknownCode-リンク・オーバー-】を発動!? 何を考えているのですか!? いくら【Unknown】モンスターでもボルスターで無効にされてしまえば意味がありません!)

「はわわっ、さぁ、いきますよぉー。私は【UnknownCode-リンク・オーバー-】の効果で墓地のモンスターを5体をゲームから除外することで、リンク召喚します。闇に落ちた聖獣よ、植物を枯らし、生命を枯らし、世界を枯らしなさい。堕落せよ、【骸獣皇(がいじゅうおう) ゼロストリオ】!」

 

 スタジアムの周辺に大量の樹木が生え始める。エリーの真横の樹木が絡み合い、球体のようになった。そして、球体が大きくなると樹木の隙間から黒い瘴気が立ち昇る。すると、樹木は枯れ始め、腐り落ちる。球体の中から龍の骸骨を身にまとった虎のような獣が現れた。獣の口から黒い瘴気が漏れると、周囲の草木が枯れ始め、腐り落ちる。

 骸の獣がエリーを睨み付けると咆哮を上げる。咆哮に交じって、黒い瘴気が放たれた。

 

「何かヤバいモンスターが出てきたね。でも、それも意味がないよ【ボルテックスビート ボルスター】の効果発動! 【骸獣皇 ゼロストリオ】の効果を無効に攻撃力を半分にする!」

「えぇ、構いません」

 

骸獣皇 ゼロストリオ 攻撃力:3500→1750

 

「私は手札の【妖花鳥-アジサイ】を特殊召喚します。墓地の【妖花鳥-ボタン】の効果を発動します」

 

【妖花鳥-ボタン】

レベル3/闇属性/植物族/攻1000/守900

〇自分フィールドにレベル3以下の【妖花鳥】が存在する時に発動できる。墓地のこのカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたこのカードが墓地に送られる時、ゲームから除外される。

 

「私は【妖花鳥-ボタン】を三体特殊召喚します」

「ちょっと!? えぇ!!」

 

 エリーのフィールドに一気に牡丹の花でできた鳥が三体、現れた。

 

「私は【妖花鳥-アジサイ】と【妖花鳥-ボタン】三体の合計四体でリンク召喚。リンク4【妖花鳥-ホウセンカ】をリンク召喚します」

「こっちが本命ってこと?」

 

【妖花鳥-ホウセンカ】

リンク4/闇属性/植物族/攻2000/↖↙↗↘

【妖花鳥】モンスター三体以上

〇このカードがリンク召喚に成功した時、発動できる。互いのデッキの上からカードを三枚墓地に送る。

〇一ターンに一度、墓地の【妖花鳥】モンスター四体選択して発動できる。選択したモンスターをデッキに戻す。その後、デッキからカードを一枚ドローする。

 

「【妖花鳥-ホウセンカ】の効果を発動します。互いのデッキを三枚墓地に送ります」

「僕も三枚、送るよ」

「この瞬間、【妖花鳥の怪鳥】と【妖花鳥の誘惑粉】の効果を発動します。メリッサさんのデッキを合計六枚、墓地に送ります」

「デッキデス……ッ!?」

「エリー・コニファー! 墓地肥やしと見せかけ、デッキデスにシフトチェンジした!!」

「一気に九枚のデッキです! これはキツいですね。さらにメリッサさんのデッキはペンデュラムモンスターが多く入っています。ペンデュラムモンスターはEXデッキなら何回でも展開できますが、墓地からだと中々、難しいです」

「私は【妖花鳥-ホウセンカ】の効果で墓地の【妖花鳥】モンスター四体をデッキに戻し、一枚ドローします。およよ、良いカードを引きました。私は【貪欲な壺】を発動します」

「さらに墓地回収!? くっ……僕の伏せカードじゃ防げない」

「私はさらに五体のモンスターをデッキに戻して、二枚ドローします。私はカードを三枚伏せて、ターエンドです」

「おや? バトルを行わない?」

「…………伏せカードを警戒したのでしょうか?」

(【Unknown】モンスターを囮にしての【妖花鳥-ホウセンカ】を出した意味は一体……? それに攻撃しなかったのも気になります)

「僕のターン」

「およよ……私は悲しいです」

「ん?」

「メリッサさん……貴女は今、ターン宣言をしましたね?」

「そ、そうだけど」

「メリッサさん、貴女は素晴らしいデュエリストです。普通に戦っていたら私の負けでした」

「…………その言い方。まるでもう勝ったみたいな言い方だね」

「いいえ、勝ったみたいな言い方ではありません。これは勝利宣言です」

「え?」

「エ、エリー・コニファー! メリッサ・キンレンカのターンに入った瞬間、勝利宣言だ!!」

「メリッサさんのターンに入った瞬間……ドローフェイズ? それにエリーさんのフィールドには【妖花鳥の怪鳥】が…………デッキデス……ッ!? まさか!!」

「メリッサさんのドローフェイズ時に私は三枚のリバースカード【針虫の巣窟】を発動します」

 

 エリーが発動したカードを見た瞬間、何かを察したメリッサは表情を変え、青ざめた。

 

「【針虫の巣窟】だと!? しかも三枚同時!!」

「はわわわ。私は運が良かったです。先ほどのドローで三枚引き当てるなんて。【針虫の巣窟】の効果で私は合計15枚のカードを墓地に送ります」

「あ、あぁ……」

「この瞬間、【妖花鳥の怪鳥】と【妖花鳥の誘惑粉】の効果を発動します。【妖花鳥の怪鳥】の効果で十五枚、【妖花鳥の誘惑粉】の効果で九枚。合計二十四枚、メリッサさんのデッキを墓地に送ります。前のターンに九枚墓地に送っています。果たしてメリッサさんのデッキは残り何枚でしょう?」

 

 メリッサさんは震える手でデッキからカードを引こうとするが既にデッキは底尽きていた。

 

「デッキ切れですね……ご愁傷様です」

「け、決着!! ま、まさかライフを一切削らず、デッキデスで勝利を決めた!! 勝者、エリー・コニファー!」

(……このために【Unknown】モンスターを囮にしたのか!?)

「はわわわ。勝ててよかったです」

 

 

 




オリカ紹介
【メリッサ・キンレンカのデッキ】
Pモンスター+チューナーの【電音機】。光と闇を交互に使い分ける鳥獣族Pモンスター【サンダーバード】。複数の雷族シンクロモンスターがいることで効果を活用できる【ボルテックスビート】。
三種類のテーマを組み合わせた混合デッキ。
一見、めちゃくちゃだと思われずがシナジーがあり、上手くかみ合っている。
型破りのメリッサに似合うデッキである。

【妖花鳥の怪鳥】
妖花鳥の儀式モンスター。墓地肥やしが多い妖花鳥に新たな戦法としてデッキデスを繰り出す。


トーナメント表
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BATTLE.28「リゼ・ヘルエスタvs月ノ美兎」

リゼvs委員長
戌亥と戦うべく、リゼは憧れである委員長と対峙する。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。



「本日、最後のデュエルです! リゼ・ヘルエスタvs月ノ美兎!! 月ノ美兎に憧れてライバーとなったリゼ・ヘルエスタは月ノ美兎を倒すことができるのか!!」

「本日の最終戦として相応しい対戦カードですね。リゼさんは数々の召喚法を巧みに使い展開していくデッキです。対する月ノ美兎さんは永続魔法【月兎の月光鏡】を軸に展開してくデッキです。どちらか先に展開して盤面を揃えられるか。が勝敗のカギになるかと思います」

「では、両者の準備が整いました! 東ゲートからはこの方!」

 

 東ゲートが開かれると真剣な眼差しでスタジアムに向かうリゼが出てきた。

 

「融合・シンクロ・エクシーズ・ペンデュラム・リンクと数々の召喚法を使い、臨機応変にデュエルする! そのプレイングは正しく文武両道! リゼ・ヘルエスタ!!」

 

 反対側の西ゲートが開かれると月ノ美兎が登場した。

 いつもはおちゃらけている美兎だが、今回はリゼ同様に真剣な表情を浮かべていた。

 

「にじさんじの覇王が今宵、デュエルでもその存在を見せつける! にじさんじ・オブ・デュエリスト!! 月ノ美兎!!」

「委員長……」

「リゼ。どうして戌亥さんが楓ちゃんにあのようなことをしたのか聞きたいところですが…………楓ちゃんの仇を取るためにも今回は手加減できません」

「私もとこちゃんと戦うために負けるわけにはいきません!!」

 

 両者はデュエルディスクを構えた。

 

「「決闘(デュエル)!!」」

「先攻は私がもらいます。私のターン、私は手札から永続魔法【月兎(ムーンラビット)の月光鏡】を発動します!」

 

 美兎の真上に月のように輝く、大きな鏡が浮遊した。鏡はフィールド全体を写しこむ。

 

「月ノ美兎!! 初手からデッキの要である【月兎の月光鏡】を発動!!」

「初っ端からフルスピードですね」

「私は手札から【融合】を発動します!」

「っ!? 初手から融合召喚!!」

「私は手札の【月兎 ラッキー】と【月兎 エリーナ】で融合! 融合召喚! 舞い踊れ! レベル7【満月兎(フルムーンラビット) レオーネ】!」

 

 二体のうさ耳の少女が光に包まれるとロングスカートとヴェールを回しながら優雅に踊る美女が現れた。黄色い仮面が付いたうさ耳の美女は双剣を踊りながら振り回す。

 

【満月兎 レオーネ】

レベル7/融合/光属性/獣戦士族/攻2300/守2000

月兎モンスター×2

〇このカードが融合召喚に成功したターンのメインフェイズに発動できる。墓地の【月兎】モンスター一体を手札に加える。自分フィールドに【月兎の月光鏡】が存在する場合、そのカードをフィールドに特殊召喚することができる。

〇自分フィールドにこのカード以外の【満月兎】モンスターが存在する限り、相手はこのカード以外のモンスターを対象にすることができない。

 

「月ノ美兎! いきなり融合召喚を仕掛けてきた!」

「まだ通常召喚もしてないので、次なる一手が来ますね」

「フィールドの【月兎の月光鏡】にカウンターが乗ります」

 

月兎の月光鏡:0→1

 

「私はレオーネの効果を発動します! 墓地の【月兎 ラッキー】を手札に加え、そのまま特殊召喚します! ラッキーの効果発動! 一枚ドローします」

 

月兎の月光鏡:1→2

 

「私は【月兎の月光鏡】の効果を発動します。カウンターを二つ取り除くことで、デッキから【月兎 ベティ】を手札に加えます」

 

月兎の月光鏡:2→0

 

「そのまま【月兎 ベティ】を召喚します」

 

【月兎 ベティ】

レベル4/光属性/獣戦士族/攻1200/守1200

〇このカードが召喚に成功した時に発動できる。墓地の【月兎】モンスター一体を特殊召喚することができる。

〇墓地のこのカードをゲームから除外することで発動できる。このターン、自分が受ける戦闘ダメージは0となる。

 

「ベティの効果を発動します。墓地の【月兎 エリナ】を特殊召喚します!」

 

【月兎 エリナ】

レベル4/光属性/獣戦士族/攻1700/守1000

〇一ターンに一度、フィールドに【月兎の月光鏡】が存在する時に発動できる。ライフを800払いことでデッキから【月兎】モンスター一体を特殊召喚することができる。

 

「エリナの効果でデッキから【月兎 ラミィーナ】を特殊召喚! ラミィーナの効果で【月兎の月光鏡】のカウンターが増えます」

 

月ノ美兎LP:4000→3200

月兎の月光鏡:0→1→2→3→4

 

「私は【月兎 ラッキー】【月兎 ベティ】【月兎 ラミィーナ】の三体をリンクマーカーにセット! リンク召喚! 守護天使よ、舞い降りなさい! リンク3【満月兎 リカエル】!!」

 

 三体のうさ耳の少女が光になり、一つになると白銀の鎧を身にまとったうさ耳の美女が現れた。

 うさ耳の美女は黄色い仮面を付けていた。

 

【満月兎 リカエル】

リンク3/光属性/獣戦士族/攻2500/↙↓↗

獣戦士族モンスター二体以上

〇このカードがフィールドに存在する限り、【月兎】モンスターは効果では破壊されない。

〇一ターンに一度、フィールドの【月兎】モンスター一体をリリースすることで発動できる。相手モンスターの効果を無効にする。この効果は相手ターンにも発動することができる。自分フィールドに【月兎の月光鏡】が存在する場合、代わりの【月兎の月光鏡】に置かれているカウンター一個を取り除くことができる。

 

「私はこれでターンエンドです」

「月ノ美兎! 初手からフルスロットルで展開していく! 気が付けば融合モンスターとリンクモンスターが並んでいる!」

「レオーネの効果でリゼさんはレオーネしか選べず、またレオーネはリカエルで守られています。それにリカエルの効果で一妨害あります。これを突破するのは骨が折れますね」

「では、私のターン、ドロー! よし!」

「おや? いいカードが引けましたか?」

「はい、私は手札から【皇剣士の昇華】を発動します」

 

【皇剣士の昇華】

魔法

〇デッキから【皇剣士】モンスター一体を手札に加えか、ゲームから除外することができる。

 

「私は【皇剣士-ビット】を手札に加えます。そして、私はフィールド魔法【皇剣士の円卓(ロイヤル・ブレイド・ラウンド)】を発動します! 発動処理としてデッキから【皇剣士-デュナメス】を手札に加え、そのまま召喚します。デュナメスの効果発動! 手札の【皇剣士-ロビン】をゲームから除外することでデッキから【皇剣士-キリシュタリア】を特殊召喚します! まだです。私は永続魔法【皇剣士の玉座】を発動します!」

 

【皇剣士の玉座】

永続魔法

〇一ターンに一度、手札の【皇剣士】モンスター一体を墓地に送ることで発動できる。デッキから【皇剣士】モンスター一体を特殊召喚することができる。

 

「手札の【皇剣士-レイド】を墓地に送ることで、デッキから【皇剣士-モーガン】を特殊召喚します! 私は【皇剣士-モーガン】の効果を発動します! 自身とキリシュタリアを融合! 召喚条件は【皇剣士】モンスター二体! レベル8【皇剣士-アストレイア】!! アストレイアの効果で手札の【皇剣士-ビット】を特殊召喚! キリシュタリアの効果を発動します! デッキから【皇剣士-ロイ】をゲームから除外し、ドロー!」

「リゼ・ヘルエスタも対抗するかのように融合召喚を仕掛けてきたぞ!」

「ビットの効果でロビンを特殊召喚します! 墓地の【皇剣士の昇華】を回収します。私はレベル4の【皇剣士-ビット】【皇剣士-ロビン】【皇剣士-デュナメス】の三体でオーバーレイ! 召喚条件はレベル4【皇剣士】モンスター三体! エクシーズ召喚! ランク4【皇剣士-ディガイン】!!」

 

【皇剣士-ディガイン】

ランク4/エクシーズ/光属性/戦士族/攻2800/守1100

レベル4【皇剣士】モンスター×3

〇一ターンに一度、エクシーズ素材を全て取り除くことで発動できる。ゲームから除外されている【皇剣士】モンスター三体選択し、そのモンスターを特殊召喚することができる。

 

「私はキリシュタリア、レイド、ロイを特殊召喚します! ロイの効果で【月兎の月光鏡】を破壊します!!」

「くっ!! 私の要の【月兎の月光鏡】は破壊させません!! リカエルの効果で【月兎の月光鏡】のカウンター一個取り除くことで【皇剣士-ロイ】の効果を無効にします!!」

「ですが、妨害は無くなりました! レベル4の【皇剣士-アーク】にレベル4の【皇剣士-レイド】をチューニング! シンクロ召喚! レベル8【皇剣士-アルベルト】!! アルベルトの効果で、ゲームから除外されているモーガンを特殊召喚します! 【皇剣士-キリシュタリア】【皇剣士-モーガン】二体でリンクマーカーにセット! 【皇剣士-エンペスト】!!」

 

【皇剣士-エンペスト】

リンク2/リンク/光属性/戦士族/攻2000/↙↓

【皇剣士】モンスター二体

〇このカードがリンク召喚に成功した時に発動できる。デッキから【皇剣士】Pモンスター一体を手札に加えることができる。

〇墓地のこのカードをゲームから除外することで、デッキから【皇剣士】魔法・罠カード一枚を手札に加えることができる。

 

「エンペストとキリシュタリアの効果を発動します! キリシュタリアの効果でデッキから【皇剣士-エムリット】をゲームから除外することでドローします。そして、エンペストの効果でデッキから【皇剣士-ビショップ】を手札に加え、そのままペンデュラムスケールにセッティングします!」

「ここでリゼ・ヘルエスタ! ペンデュラム召喚に移行するつもりか!」

「ビショップの効果発動します! 墓地のデュナメスをゲームから除外することで、デッキから【皇剣士-ルーク】を手札に加え、そのままペンデュラムスケールにセッティング! ルークの効果でゲームから除外されている【皇剣士-エムリット】を手札に加えます! さらに私は【皇剣士の煌めき】を発動します!」

 

【皇剣士の煌き】

魔法

〇フィールドの【皇剣士】カードを二枚破壊することで発動できる。デッキから【皇剣士】Pモンスター二体を手札に加えることができる。

 

「私はペンデュラムスケールのビショップとルークを破壊して、デッキから【皇剣士-エムリット】と【皇剣士-オルガ】を手札に加え、そのままペンデュラムスケールにセッティング!」

 

【皇剣士-オルガ】

レベル5/ペンデュラム/光属性/戦士族/攻1500/守2600

【Pスケール:青3/赤3】

〇このカードを発動したターンの自分メインフェイズに発動できる。ゲームから除外されているレベル4以下の【皇剣士】モンスター一体を手札に加える。

【モンスター効果】

〇このカードが相手モンスターを戦闘で破壊した時に発動できる。デッキから一枚ドローすることができる。

 

「スケール8の【皇剣士-エムリット】とスケール3の【皇剣士-オルガ】でペンデュラム召喚! 来て! 私のモンスター!! 手札から【皇剣士-ビショップ】【皇剣士-ルーク】をエンペストのリンクマーカー先に召喚します!! 準備は整いました! 私は【皇剣士-エンペスト】【皇剣士-ビショップ】【皇剣士-ルーク】の三体をリンクマーカーにセット! 召喚条件はEXデッキから特殊召喚された【皇剣士】モンスター二体以上! 清廉なる騎士よ、その潔白の剣は弱き者を救い、悪しき者を断罪する! 皆を導け! リンク召喚! リンク4【宝皇剣士(ゼル・ロイヤル・ブレイド)-ヘルエスタ】!!」

 

 三体の騎士が光に包まれる。

 そこから淡い蒼に輝く鎧を身にまとい、赤いマントを翻した騎士が現れた。騎士は宝石が埋め込まれた大剣を構えた。

 

「リゼ・ヘルエスタ! 後攻一ターン目で切札のモンスターを召喚したぞ!」

「それだけではありません。一ターンで融合・シンクロ・エクシーズ・ペンデュラム・リンク召喚を繰り出し、フィールドには強力なモンスター達が勢揃いです!!」

「バトルです!」

「私は【月兎 ベティ】の効果を使用します! このカードをゲームから除外することで、このターンの戦闘ダメージは0となります!」

「ですが、モンスターは破壊させていただきます! ヘルエスタでリカエルに攻撃! 【皇剣-ヘルエスタ・ブレード】!!」

 

 ヘルエスタは大剣を上に掲げると太陽の逆光によって埋め込まれていた宝石が輝きだす。宝石の輝きでリカエルは目を塞ぐと、その隙に接近し、大剣を振り下ろす。

 切り裂かれたリカエルは破壊された。

 

「続けて、アストレアでレオーネに攻撃!」

「受けます!」

「アルベルトでエリナに攻撃します!」

「受けます!」

 

 リゼのモンスターの猛攻で美兎のモンスターは全滅してしまった。

 

「私はカードを一枚伏せ、ターンエンドです」

「私のターンですね……手札は0枚。このドローで勝敗が決まります」

 

 美兎の右目に黄色の炎が灯った。右目が燃え上がると、それと比例するように右手にも黄色い炎が灯った。

 

「あれは!!」

「おぉっと! 月ノ美兎! デステニードローを使用するつもりだ!!」

「見せてあげましょう! これがにじさんじライバーの底力です! 真のライバー(デュエリスト)勝利へ導くカードは己の力で引き当てる!! シャイニングドロー!! …………私が引いたカードは…………ッ! 逆転の一手が引けました!」

「っ!? 来ますか……」

「私は手札から【新月兎融合(トゥルームーン・フュージョン)】を発動します!」

「融合!? ですが委員長の手札・フィールドにはモンスターはいません!」

「えぇ。ですが、このカードはEXデッキから融合召喚します!」

「何っ!?」

 

【新月兎融合】

〇このカード名はデッキ・手札・墓地に存在する限り、【満月兎融合】として扱う。

〇ライフを半分払い発動できる。自分のEXデッキから【満月兎】融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター一体をEXデッキから融合召喚する。

 

月ノ美兎LP:3200→1600

 

「EXデッキの【満月兎 フィリーチェ】と【満月兎 リカエル】の二体で融合! 満月の夜空に可憐な花弁が舞い散る! 舞い踊れ! 融合召喚! 奏でろ! 【満月兎 プリマヴェーラプリンセス・フィリーチェ】!!」

 

 楓のモンスターである【花歌姫 スイレン】が守護霊のように背後から抱き着く。フィリーチェが睡蓮の花びらを纏うと花びらは薄紫色のドレスに姿を変えた。そして、最後にフィリーチェの仮面が割れ、破片が髪留めへと変わっていった。素顔が露わとなったフィリーチェは可愛らしくウィンクした。

 

「あれが委員長の切り札ッ!!」

「フィリーチェの発動します。墓地の【満月兎 フィリーチェ】をゲームから除外することで、同じ効果を得ます。よって、相手のフィールドを全て破壊します!」

「しまった!?」

 

 フィリーチェがレイピアを突き刺すようにすると満月から強烈な光を放つ。それに合わせて舞い散っていた睡蓮が嵐しとなった。月光と睡蓮の嵐が合わさって、リゼの騎士たちを一掃した。

 

「バトルです! 【満月兎 プリマヴェーラプリンセス・フィリーチェ】でリゼにダイレクトアタック!!」

 

 フィリーチェは満月の輝きの下の元、舞い散る睡蓮の花と共に舞い踊るようにレイピアの剣戟を放つ。睡蓮の花びらを纏った黄金の斬撃はリゼを貫通する。

 

リゼ・ヘルエスタLP:4000→500

 

「くっ……」

「私はこれでターンエンドです!」

(委員長のフィールドには完全体制を持った【満月兎 プリマヴェーラプリンセス・フィリーチェ】。…………一方、私の手札には有効札がない…………このドローに全てが掛かっている)

「私のターン……」

 

 リゼはデッキに指を置き、目を閉じた。

 そして、アンジュとの約束を思い出す。

 

 

 

 

―――――――――――――――――。

 

 

 

 

「ごめん。戌亥を取り戻すことができなかった」

「……こんなにボロボロになって」

「悔しいなぁ……」

 

 アンジュの頬に涙が流れる。リゼはその涙を見て、握っている手に力が入る。

 

「リゼ、お願い……戌亥を止めて」

「アンジュ……任せて。とこちゃんは私が連れ戻す」

 

 

 

 

―――――――――――――――。

 

 

 

 

(アンジュと約束したんだ! 私がとこちゃんを連れ戻す!)

 

 リゼの右目に淡い青色の炎が灯った。右目が燃え上がると、それと比例するように右手にも淡い青色の炎が灯った。

 

「リゼも使うようですね」

「私は絶対に負けるわけにはいけません! アンジュのためにも! とこちゃんのためにも! 真のライバー(デュエリスト)勝利へ導くカードは己の力で引き当てる!! シャイニングドロー!! 来た!!」

「っ!!」

「私は手札から【宝皇剣士の凱旋】を発動します!」

 

【宝皇剣士の凱旋】

魔法

〇墓地の【皇剣士】リンクモンスター一体を特殊召喚することで発動できる。

〇墓地のこのカードをゲームから除外することで、発動できる。ゲームから除外されている【皇剣士】モンスター一体を手札に加えることができる。

 

「墓地の【宝皇剣士-ヘルエスタ】を特殊召喚します! 再び立ち上がれ!!」

 

 リゼのフィールドに再び、淡い蒼に輝く鎧の騎士が現れた。

 

「【宝皇剣士-ヘルエスタ】の効果を発動します! 墓地の【皇剣士-アストレア】をゲームから除外することででシンクロモンスター時の効果を発動します! これでヘルエスタは二回攻撃ができます!」

「これは…………私の負けですね」

「バトルです! 【宝皇剣士-ヘルエスタ】で委員長の【満月兎 プリマヴェーラプリンセス・フィリーチェ】に攻撃! 【皇剣-ヘルエスタ・ブレード】!!」

「迎え撃ちなさい! フィリーチェ!!」

 

 ヘルエスタが大剣を構えると同時にフィリーチェがレイピアで突進してくる。ヘルエスタは大剣でガードする。フィリーチェはレイピアで怒涛の連撃を放つ。攻撃を防ぐヘルエスタは大剣を無理矢理、押し込んでフィリーチェの体制を崩す。

 バランスを崩したフィリーチェはバックステップして、距離を取る。距離が置かれた両者は互いの武器を構え、踏み込む。

 フィリーチェは睡蓮の花びらを纏いながら、身体を回転させ突きを放つ。ヘルエスタは埋め込まれていた宝石を輝かせ、大剣を振り下ろす。

 両者がすれ違い、数秒時間が経つ。するとフィリーチェのレイピアに亀裂が入り、粉々に砕かれた。それと同時にフィリーチェは地面に伏せ、破壊された。

 

月ノ美兎LP:1600→600

 

「このターン、ヘルエスタは二回攻撃ができます! 【宝皇剣士-ヘルエスタ】で委員長にダイレクトアタック!! 【皇剣-ヘルエスタ・ブレード】!!」

「お見事です」

 

月ノ美兎LP:600→0

 

「決着!! 勝者、リゼ・ヘルエスタ!! 怒涛の展開で見事、月ノ美兎を撃破した!」

「お互い、素晴らしいデュエルでした!!」

「委員長…………」

「なに、悲しい顔をしているのですか」

 

 心配していたリゼを横目に美兎は笑いながらリゼの背中を叩いた。

 

「あいた!?」

「私に勝ったのですから、優勝してくださいよ!」

「…………委員長…………はい!」

「以上で本日のデュエルは終了になります! 次回からはいよいよ準々決勝です! ハヤトも頑張ってね!」

「ありがとうございます」

 

 

 

 

―――――――――――――――――。

 

 

 

 

医務室。

 

 デュエルに負けてしまった美兎は楓の元を訪れていた。

 

「失礼しまーす」

「失礼するなら帰ってや」

「では、お邪魔しましたー……って、おい!」

 

 起きていた楓のボケにツッコミを入れながら楓が寝ていたベッドの横の椅子に腰を掛けた。

 

「デュエル見てたで、ボコボコに負けたやん」

「そうですね……見事に負けちゃいました」

「せやな」

「…………」

「…………」

 

 医務室に静寂が訪れる。

 外から帰り支度をしている観客の声が聞えてくる。

 

「…………本当に心配したんですよ」

「…………ごめんな」

「…………仇を打てなくて、ごめんなさい」

「仇なんて……別にいいねん」

「ですが!」

 

 美兎の目には涙が溜まっていた。

 それを見た楓は美兎を抱きしめた。

 

「ウチも美兎ちゃんも力及ばず負けてもうた。ただ、それだけや…………でもなぁ、やっぱ悔しいよなぁ……」

 

 二人は泣きじゃくりながら抱き合った。

 

 

 

 

―――――――――――――――――。

 

 

 

 

「本当に泣き虫ですね。お二人は」

 

 楓のお見舞いに来ていた静凛は医務室に入らずに美兎と楓の様子を伺っていた。

 

「仕方ありませんね。お二人のために何か甘いものでも買ってきますか」

 

 凛はそのまま、二人をそっとしておき医務室から離れた。

 

 




オリカ紹介

今回は目立ったオリカが無いので紹介は割愛させていただきます。

トーナメント表
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BATTLE.29「葛葉vs叶」

葛葉vs叶

親友と決別し、激闘が始まる。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。


 控室で待機していた葛葉はベンチにカードを広げて、一人でデッキの考察をしていた。

 

「このカードは必要で……このカードは叶のデッキには必要ないか…………相手は叶だ。手加減とか考えるな。全力でいかないと負ける」

 

 構築を終え、デッキをまとめてデュエルディスクにセットした。デュエルディスクをベンチに置き、控室に備えていた洗面所に近づく。

 蛇口をひねり、水を勢いよく出す。両手で水を溜め、気合を入れるために顔を洗う。前髪が濡れ、前髪から滴がしたたり落ちる。そのまま近くに置いてあったタオルに手を掛けようとするが濡れて視界が塞がれているため、上手くタオルが取れないでいた。

 

「あれ? タオル、タオル……」

「あ、これですね」

「ありがとうございます」

 

 タオルを受け取り、顔を拭くところで違和感に気付き、硬直した。

 恐る恐る、タオルを渡した人物を確認すると、そこには桜凛月がにこやかに微笑みながら立っていた。

 

「りつきんTVさん!?」

「こんにちは」

「ッスーーーーーー…………体調は大丈夫なんっすか?」

「はい、おかげさまで」

 

 凛月は葛葉からタオルを受け取ると元の場所に戻した。

 

「応援にきちゃいました」

「応援って……安静にしてた方が」

「良いんですよ…………それより葛葉さん。叶さんと戦うんですね」

「そっすね」

「無理はしないでください」

「……凛月さん……」

 

『次の対戦者は準備をお願いします』

 

 アナウンスが流れると、葛葉はデュエルディスクを装着した。

 緊張のせいか微かに葛葉の手が震えていた。

 

「無理しないと勝てない相手なんで……申し訳ないですが、無理します。絶対、勝ちます」

「…………そうですか……では、こう言った方がいいかもしれませんね」

 

 凛月は葛葉に駆け寄ると、葛葉の手を握りしめた。

 

「絶対に勝ってください!」

「はい!」

 

 葛葉は握られた凛月の手を握りしめるとゲートに向かって歩き出した。震えはいつの間にか止まっていた。

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

 別の控室では叶が待機していた。

 葛葉と打って変わって叶は落ち着いていた。ベンチに座り、瞑想していた。

 控室では時計の秒針の音のみが響き渡る。

 

「…………」

「随分、落ち着いているやん」

「…………戌亥さんですか」

 

 目を開けると、そこには戌亥がいつの間にか立っていた。

 叶に戌亥の気配は感じられなかった。叶は驚きはせず、そのまま会話を続ける。

 

「次の相手は葛葉はんやな」

「そうですね……ただ、相手が葛葉だろうが誰だろうが、全力で叩きのめすだけです」

 

 叶に纏っているどす黒いオーラがさらに深くなっていった。

 

(…………カードの影響か? いや、カードと叶はんが共鳴しているんか)

 

「約束やが、もし叶はんが負けた時はウチが叶はんのカードを頂くで」

「えぇ、分かってますよ」

 

『次の対戦者は準備をお願いします』

 

「さ、時間やな」

「まぁ、頑張りますよ」

 

 叶はデュエルディスクを装着するとゲートに向かって歩き出した。

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

「やってきました! にじさんじ決闘王準々決勝!! 第一回戦は葛葉VS叶! クロノワール対決です!」

「相手モンスターのコントロールを奪いつつ大型エクシーズモンスターで決める葛葉さんに対し、大量リンクで墓地を肥やしつつ、強力なリンクモンスターで一気に決める叶さん。これは激戦が予想できます」

「さぁ! 選手入場です!」

 

 東ゲートが開かれるとそこから葛葉が出てきた。

 いつのもラフな格好ではなく、正装に着替えていた。清掃になった葛葉はいつにもない真剣な表情でスタジアムを歩く。

 

「親子対決では見事勝利を掴んだ、葛葉! 今度は相棒との対決で勝利を掴むことができるのか!! 吸血貴公子、ここに登場! 葛葉!!」

 

 西ゲートが開かれるとそこから叶が出てきた。

 いつもの優しい表情は消し去り、邪悪な笑みを浮かべていた。叶の周囲にはどす黒いオーラが纏わりついている。

 

「桜凛月、長尾景と次々と猛者を倒してきた男の次なる標的は相棒である葛葉! にじさんじのスナイパーは今宵も一撃で敵を葬る! 叶!!」

 

 スタジアムに着いた両者はデュエルディスクを構えた。

 

「叶、俺の全力を持って貴様を倒す!!」

「掛かってきなよ! 全力で!!叩き潰してあげるよ!!」

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「先攻は頂くぜ!」

「好きにしなよ」

「俺のターン。俺は【不知火の隠者】を召喚! 【不知火の隠者】の効果発動! このカードをリリースすることで守備力0のアンデット族チューナーを一体特殊召喚する! 俺は【ユニゾンビ】を特殊召喚! 【ユニゾンビ】の効果を発動! 自身を選択し、デッキから【馬頭鬼】を墓地に送り、【ユニゾンビ】のレベルを4にする。さらに【馬頭鬼】の効果発動! 墓地の【馬頭鬼】の効果を発動! 自身をゲームから除外することで墓地の【不知火の隠者】を特殊召喚! 俺は【ユニゾンビ】と【不知火の隠者】の二体をリンクマーカーにセット! 召喚条件はアンデット族モンスター二体! リンク召喚! リンク2【ヴァンパイア・サッカー】!」

 

 葛葉のフィールドに可愛らしい吸血鬼が現れた。

 

「これで終わりじゃないよね?」

「あぁ、まだ準備運動だぜ。俺は【ヴァンパイア・シュロス】を発動! 【ヴァンパイア・シュロス】の効果でデッキから【ヴァンパイアの領域】をセットし、そのまま発動!」

 

 晴天だったスタジアムは一瞬で夜になり、空には赤い満月が不気味に輝く。

 そして、葛葉の背後に赤い霧と共に廃城と思われるほど、ボロボロの城が現れた。

 

「【ヴァンパイアの領域】の効果発動! ライフを500払い、ヴァンパイアモンスターを召喚する!」

 

葛葉LP:4000→3500

 

「俺は【ヴァンパイアの使い魔】を召喚! 俺は【ヴァンパイアの使い魔】一体をリンクマーカーにセット! リンク召喚! リンク1【ヴァンパイア・シャッテン】!!」

 

【ヴァンパイア・シャッテン】

リンク1/リンク/闇属性/アンデット族/攻500/←

〇このカードがリンク召喚に成功した時に発動できる。手札を一枚、墓地に送ることでデッキから【ヴァンパイア】カード一枚を手札に加える。

 

「【ヴァンパイア・シャッテン】の効果発動! 手札の【ヴァンパイアの眷属】を墓地に送ることでデッキから【ヴァンパイア・ソーサラー】を手札に加える! そして、墓地の【ヴァンパイアの使い魔】の効果発動! 手札の【ヴァンパイア・ソーサラー】を墓地に送り、このカードを特殊召喚する! そのまま【ヴァンパイアの使い魔】の効果を発動! それにチェーンして【ヴァンパイア・サッカー】の効果も発動! ライフを500払うことでデッキから【ヴァンパイア・ヘルツォーク】を手札に加える。そして、【ヴァンパイア・サッカー】の効果で一枚ドロー! さらに墓地の【ヴァンパイアの眷属】の効果も発動! 手札の【竜血公ヴァンパイア】を墓地に送ることで、自身を特殊召喚! そのまま【ヴァンパイアの眷属】の効果発動! ライフを500払うことでデッキから【ヴァンパイアの支配】を手札に加える!」

 

葛葉LP:3500→3000→2500

 

「そんなにライフを削って大丈夫なの?」

「うるせぇ、ヴァンパイアの回復力を舐めるなよ。俺はカードを二枚伏せ、ターンエンド」

「結構、面倒な盤面だなぁ……僕のターン、ドロー」

「葛葉さんの盤面を整理すると相手のカード効果を無効にする【ヴァンパイアの支配】が確定。そして、墓地に存在する【竜血公ヴァンパイア】は相手が墓地から蘇生すれば、一緒に蘇生できます。さらに【竜血公ヴァンパイア】は墓地発動する効果を無効にできます。叶さんはかなり動きずらいかと思います」

「僕は手札から【雪牙狼(せつがろう)の宝玉】を発動するよ。どうする?」

「通す」

「そっ。なら、僕は【雪牙狼の狩人】を手札に加え、召喚。【雪牙狼の狩人】の効果を使用したいけど」

「それは止めさせてもらうぜ! 俺は【ヴァンパイアの支配】を発動!」

「葛葉! ここでカウンター罠を発動!」

「【ヴァンパイアの支配】の効果で【雪牙狼の狩人】の効果を無効にして破壊する! さらに【ヴァンパイアの支配】の効果でライフを回復!」

 

葛葉LP:2500→4200

 

「まぁ、それは想定ないかな。僕は【炎舞-「天キ」-】を発動。【雪牙狼の隠密者】を手札に加え、そのまま特殊召喚」

 

【雪牙狼の隠密者】

レベル4/水属性/獣戦士族/攻1200/守1200

〇自分フィールドにモンスターが存在時、手札のこのカードを特殊召喚することができる。

 

「さらに僕は手札の【雌炎星-コンチュエ-】の効果発動」

 

【雌炎星-コンチュエ-】

レベル4/炎属性/獣戦士族/攻1500/守1000

〇フィールドの表側表示で存在する【炎舞】と名のついた魔法・罠カード一枚を破壊することで発動できる。このカードを特殊召喚する。

 

「【雌炎星-コンチュエ-】を特殊召喚。僕は【雪牙狼の隠密者】【雌炎星-コンチュエ-】の二体をリンクマーカーにセット。リンク召喚。リンク2【鉄獣戦線 徒花のフェリジット】。【鉄獣戦線 徒花のフェリジット】の効果を発動。手札の【雪牙狼の騎馬隊】を特殊召喚。【鉄獣戦線 徒花のフェリジット】【雪牙狼の騎馬隊】の二体をリンクマーカーにセット。リンク召喚。リンク3【雪牙狼の奏者】」

 

【雪牙狼の奏者】

リンク3/リンク/水属性/獣戦士族/攻2200/←↑↓

獣戦士族モンスター二体以上

〇このカードがフィールドに存在する限り、自分フィールドの【雪牙狼】リンクモンスターは効果では破壊されない。

 

「墓地に送られた【鉄獣戦線 徒花のフェリジット】の効果を発動。一枚ドローして、その後手札のカード一枚をデッキの下に置く。そして、僕は墓地の【雪牙狼の騎馬隊】の効果も発動。【雪牙狼の奏者】のリンクマーカー先に特殊召喚する。」

「それを待っていたぜ! 俺は墓地の【竜血公ヴァンパイア】の効果発動! 【ヴァンパイアの使い魔】と【ヴァンパイアの眷属】をリリースすることで墓地から特殊召喚する!! 【ヴァンパイア・サッカー】の効果で一枚ドロー!」

「………続けるよ。僕は【雪牙狼の騎馬隊】一体をリンクマーカーにセット。リンク召喚。リンク1【雪牙狼の狂戦士】」

 

【雪牙狼の狂戦士】

リンク1/リンク/水属性/獣戦士族/攻3500/↑

【雪牙狼】モンスター一体

〇このカードが相互リンク状態でない場合、このカードは破壊される。

〇自分エンドフェイズ時に自分フィールドの【雪牙狼】モンスター一体を破壊する。

 

「バトル。【雪牙狼の狂戦士】で【竜血公ヴァンパイア】に攻撃」

「俺はリバースカードオープン! 【ヴァンパイア・サクリファイス】!!」

 

【ヴァンパイア・サクリファイス】

相手モンスター一体を選択し発動する。そのモンスターをリリースする。その後、墓地に送ったモンスターより攻撃力の低い【ヴァンパイア】モンスター一体を墓地から特殊召喚する。

 

「俺は【雪牙狼の狂戦士】をリリースし、墓地の【ヴァンパイア・ヘルツォーク】を特殊召喚するぜ!!」

「やるね……僕は【雪牙狼の奏者】で【ヴァンパイア・サッカー】に攻撃」

「それは受けるぜ」

 

葛葉LP:4200→3600

 

「僕はカードを一枚伏せ、ターンエンドだよ」

「いける! 俺のターン、ドロー! 俺は【ヴァンパイアの従僕】を召喚!」

 

葛葉LP:3600→3100

 

【ヴァンパイアの従僕】

レベル3/闇属性/アンデット族/攻1500/0

〇このカードが特殊召喚に成功した場合、500LPを払って発動できる。デッキから【ヴァンパイア】カード一枚を墓地に送る。

〇このカードが墓地に存在する場合、手札及び自分フィールドの表側表示のカードの中から、【ヴァンパイア】カード一枚を墓地へ送って発動できる。このカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

「俺は【ヴァンパイア・シャッテン】【ヴァンパイアの従僕】の二体をリンクマーカーにセット! リンク召喚! リンク2【ヴァンパイア・サッカー】! 【ヴァンパイア・サッカー】の効果を発動! 墓地の【雪牙狼の隠密者】をアンデット族として、叶のフィールドに特殊召喚する!」

「アンデット族モンスターが特殊召喚したということは………」

「そう! 【ヴァンパイア・サッカー】の効果発動! 一枚ドロー! いいカードを引いたぜ、俺はアンデット族となった【雪牙狼の隠密者】をリリースすることで【ヴァンパイア・リッター】をアドバンス召喚! そして、墓地の【ヴァンパイアの従僕】の効果発動! 手札の【ヴァンパイアの使い魔】を墓地に送ることで、自身を特殊召喚! そして、【ヴァンパイアの従僕】の効果を発動! ライフを500払い、デッキから【ヴァンパイアの鮮血】を墓地に送る。そして、墓地の【ヴァンパイアの鮮血】をゲームから除外することで、デッキから【ヴァンパイア・リューグナー】を手札に加える。そして、【ヴァンパイアの領域】の効果でライフを払って追加召喚をする!」

 

葛葉LP:3100→2600→2100

 

「【ヴァンパイア・リューグナー】を召喚。そして【ヴァンパイア・リッター】の効果で【ヴァンパイア・リューグナー】のレベルを5にする。俺はレベル5の【ヴァンパイア・リューグナー】と【ヴァンパイア・リッター】の二体でオーバーレイ! 二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚! ランク5【ヴァンパイア・ユングフラウ】!」

 

 二体の吸血鬼がそれぞれ光となり、交わると光の渦が現れ、光が溢れ出す。光から赤い霧が立ち昇ると、そこから黒いドレスの女性吸血鬼が現れた。黒いドレスの吸血鬼は黒いレースで顔を隠しているが口元は妖艶に笑みを浮かべていた。

 

 

「【ヴァンパイア・ユングフラウ】の効果発動! 【雪牙狼の奏者】のコントロールを奪う!」

「それは厄介だね。僕は伏せていた【凍結する雪牙狼】を発動」

 

【凍結なる雪牙狼】

〇一ターンに一度、自分フィールドの【雪牙狼】モンスター一体を選択して発動する。このターン、選択したモンスターはカード効果を受けず、戦闘及び効果では破壊されない。

 

「これにより【雪牙狼の奏者】は守られた」

「くっ!! だったら、ダメージを稼ぐ! バトルだ! 【竜血公ヴァンパイア】で【雪牙狼の奏者】に攻撃!」

 

叶LP:4000→3400

葛葉LP:2100→2700

 

「続けて、【ヴァンパイア・ヘルツォーク】で【雪牙狼の奏者】に攻撃!」

 

叶LP:3400→2600

葛葉LP:2700→3500

 

「葛葉! 怒涛の攻撃でライフが逆転!」

「やはり、【ヴァンパイアの領域】の効果は強力ですね」

「俺はカードを一枚伏せ、ターンエンド」

「僕のターン……やっぱり、葛葉。君は僕の期待以上の力を見せてくれる」

「あん?」

「やっぱり君を倒すには……あのカードが必要かな。ドロー」

「あのカード……まさかっ!?」

「僕は手札から【リンク・ボルテージ-MAX-】を発動」

 

【リンク・ボルテージ-MAX-】

魔法

〇自分フィールドのリンク3以上のリンクモンスターを墓地に送ることで発動できる。デッキからカードを二枚ドローする。

 

「僕は【雪牙狼の奏者】を墓地に送り、二枚ドロー…………そう、僕はこのカードを引きたかったんだよね」

「来るかっ!!」

「僕は手札から【UnknownCode(アンノウン・コード)-リンク・オーバー-】を発動!!」

「叶!! ここで切り札であるカードを発動した! あのモンスターが出てくるのか!?」

「えぇ、間違いなく、あのモンスターでしょう」

 

叶がカードをデュエルディスクにセットした。するとデュエルディスクから警告音が響き渡った。

 

『エラー。エラー。不正なプログラムを検出しました。不正なプログラムを検出しました。今すぐにプログラムの消去を――――――プログラムを強制インストール。―――――――プログラムのインストール完了。プログラム【Unknown】を起動します。』

  

 警告音が鳴り止むと同時にスタジアム全体を特殊な空間が包み込んだ。

 

「僕は【UnknownCode-リンク・オーバー-】の効果で墓地のモンスターを5体をゲームから除外することで、リンク召喚! 氷獄の魔龍よ、その魔眼に秘めた力を解き放ち、絶対零度の世界を作りだせ! 降臨せよ、【魔眼の氷極龍(イーヴィルアイズ・コキュートス・ドラゴン)】!!」

 

 デュエルフィールドの気温が急激に下がると、叶の正面に黒い雷が落ちた。その衝撃で空気中に大量の氷が生成されていくと、その氷は黒い雷と交わり、次第に龍の姿に変わっていった。龍は咆哮を上げると吹雪が巻き起こり、スタジアム全体を凍り付かせた。

 

「【魔眼の氷極龍】の効果を発動! 葛葉のモンスターを全てゲームから除外する! 全てを凍らせ! 【絶対零度の氷獄嵐(アブソリュート・インフェルノ)】!!」

 

  魔眼の氷極龍が咆哮を上げ、翼を大きく羽ばたかせると黒い嵐が巻き起こり、辺り一面を氷漬けにし、粉砕させていく。黒い嵐よって葛葉のモンスターは次々、凍り付き破壊されていく。

 

「くそっ!! やっぱり強い!!」

「さぁ、これで終わりだ。 墓地の【雪牙狼の奏者】をゲームから除外することでリンクマーカーの数だけ攻撃することができる! これにより【魔眼の氷極龍】は三回攻撃が可能! 喰らうが良い! 【永遠の氷獄雷(エターナル・インフェルノ)】!!」

「だが、それを待っていたぜ! 俺はリバースカード【エクシーズ・ディメンション・チェンジ】を発動!!」

 

【エクシーズ・ディメンション・チェンジ】

〇自分のゲームから除外されているエクシーズモンスターを選択して発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。その後、そのモンスターと同じランク・属性・種族のエクシーズモンスターを対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚し、このカードを下に重ねてX素材とする。

 

「俺はゲームから除外されている【ヴァンパイア・ユングフラウ】を特殊召喚し、エクシーズチェンジ! エクシーズ召喚! ランク5【紅月公ドレッド・ヴァンパイア】!!」

 

【紅月公ドレッド・ヴァンパイア】

ランク5/エクシーズ/闇属性/アンデット族/攻2800/守2000

アンデット族レベル5モンスター×2

〇エクシーズ素材を持っているこのカードがフィールドに存在する限り、フィールドの【ヴァンパイア】モンスターは戦闘及び効果では破壊されない。

〇一ターンに一度、エクシーズ素材を一つ取り除くことで発動できる。相手の墓地のモンスター一体を選択し、自分フィールドに特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは【ヴァンパイア】モンスターとして扱う。

 

「【紅月公ドレッド・ヴァンパイア】の効果を発動! 自分フィールドの【ヴァンパイア】モンスターは戦闘及び効果では破壊されない!!」

「なるほどね。対策していたんだね……僕はこれでターンエンド」

「葛葉! 上手く【魔眼の氷極龍】の攻撃を防いだ!」

「ゲームから除外されていることで発動できるカードですね。本来ならあまり需要はありませんが、叶さん相手には効果覿面ですね」

「俺のターン! ドロー! 俺は【紅月公ドレッド・ヴァンパイア】一体でオーバーレイネットワークを構築! ランクアップ! エクシーズチェンジ! エクシーズ召喚! 恐怖を撒き散らす龍よ! 紅蓮の炎を纏い、敵を焼き尽くせ! 紅の月と共に舞い降りろ!! ランク7【紅月龍(こうげつりゅう)リントヴルム】!!」

 

  紅の満月が昇ると、そこから大蛇のような赤い鱗の龍が舞い降りた。赤い龍は口から赤い吐息が漏れ、咆哮を上げる。

 

「葛葉! ここでエースの登場だ!!」

「だが、そのモンスターでは僕の【魔眼の氷極龍】を倒すことはできないよ」

「あぁ、分かってる。バトル! 【紅月龍リントヴルム】で【魔眼の氷極龍】に攻撃!」

「何!?」

「俺はここで速攻魔法! 【エクシーズ・エクストラ・ブースト】を発動!」

 

【エクシーズ・エクストラ・ブースト】

速攻魔法

〇自分フィールドのエクシーズモンスターを一体選択して発動できる。そのモンスターが持っているエクシーズ素材の数×400攻撃力をアップさせる。

 

「リントヴルムの素材は3個。よって攻撃力は1200アップ!」

 

紅月龍リントヴルム 攻撃力:3200→4400

 

「やれ! リントヴルム!!」

 

 氷獄の龍と紅月の龍、二体の龍が睨み合い、互いが自分の方が強いと主張するように咆哮を上げる。すると魔眼の氷極龍が翼を大きく羽ばたかせると黒い嵐が巻き起こす。リントヴルムは空高く飛び上がり、嵐を回避して、口から炎が溢れ、灼熱のブレスを放つ。氷結の嵐と灼熱のブレスがぶつかり、水蒸気がスタジアム一面を覆いつくした。

 水蒸気からリントヴルムが飛び出し、魔眼の氷極龍に強襲を掛ける。二体の龍は地面に倒れ込み、リントヴルムが魔眼の氷極龍の身体に纏わりつく。身動きが取れなくなった魔眼の氷極龍が翼を広げ、冷気を放つ。リントヴルムの身体が凍り付くが、リントヴルムは自らの鱗から熱を放ち、冷気を相殺する。そのまま、魔眼の氷極龍の身体を締め付け、喉元を食らいつき、破壊した。

 

叶LP:2600→2000

葛葉LP:3500→4100

 

「やってくれたね」

「俺はカードを一枚伏せ、ターンエンド!」

「様々なライバーを苦しめた【魔眼の氷極龍】がついに倒れた!」

「これは流れが大きく変わります!!」

「……僕のターン……やっぱり、葛葉。僕の好敵手は君だ。君なら僕を強くしてくれる!!」

 

 叶が笑みを浮かべると右目に漆黒の炎が灯った。右目が燃え上がると、それと比例するように右手にも漆黒の炎が灯った。

 

「真のライバー(デュエリスト)は勝利へ導くカードは己の力で引き当てる!! ダークネスドロー!! 僕は【死者蘇生】を発動! 蘇れ! 【魔眼の氷極龍】!!」

 

 叶のフィールドに再び【魔眼の氷極龍】が現れた。

 

「さぁ……いくよ、葛葉!! 僕は手札から速攻魔法【UnknownCode-リンク・オーバーロード-】を発動!!」

「来たか!! 俺はリバースカード発動! 速攻魔法【RUM-ブラッティ・カオス・フォース-】!!」

「!?」

「叶! ここで最強のカードを出すつもりだ!」

「それに合わせて葛葉さんもRUMカードを発動しました!!」

「いくぜ! 俺の最強カード!」

 

【RUM-ブラッティ・カオス・フォース-】

速攻魔法

〇自分フィールドのXモンスター一体を対象として発動できる。その自分のモンスターと同じ種族・属性でランクが二つ高いモンスター一体を、対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。

〇このカードが墓地に存在し、墓地のエクシーズモンスターをゲームから除外することで発動できる。このカードを手札に加える。

 

「【紅月龍リントヴルム】一体でオーバレイネットワークを構築! ランクアップ! エクシーズチェンジ! 紅き龍は満月の光を浴び、魔の力を手に入れる! 紅蓮の炎を纏い、敵を焼き尽くせ! 紅き魔龍よ、満月と共に降臨せよ! ランク9【紅月魔龍リントヴルム・エンペラー】!!」

 

 紅い満月が空に昇ると、紅い龍は天に向かうように飛ぶ。満月の光を浴びた紅い龍は徐々に姿を変え、蝙蝠のような大きな翼を広げ、咆哮を上げる。

 

「僕は【魔眼の氷極龍】一体でリンク召喚! 氷獄の魔龍よ、封印されし力を開放させ、森羅万象、全てを凍らせよ! リンク6【魔神眼の零源龍(イーヴィルアイズ・ラグナロク・ドラゴン)】!!」

 

 【魔眼の氷極龍】の周囲に冷気が漂い、自らを氷漬けにさせていく。完全に氷漬けになった【魔眼の氷極龍】に空から漆黒の雷が直撃する。漆黒の雷を喰らった【魔眼の氷極龍】は周囲の氷が砕け落ち、身体に黒い電流が流れる。それにより、肉体は徐々に姿を変えていき、黒雷を纏った氷の龍が現れた。

 氷の龍は咆哮を上げると周囲は一瞬で凍り付き、地面から氷で出来た刺が無数に生え、空からは無数の黒雷が降り注ぐ。その状況はまさに災害そのものだった。

 

「これが僕の真の切札【魔神眼の零源龍】だ! そして、効果発動! 相手フィールドのカードを全てゲームから除外する! 【魔神の氷獄聖域(インフェルノ・サンクチュアリ)】!!」

「無駄だ! 【紅月魔龍リントヴルム・エンペラー】は相手のカード効果を受けない!!」

「だが、攻撃力は【魔神眼の零源龍】の上だ! バトル! 【魔神眼の零源龍】で【紅月魔龍リントヴルム・エンペラー】に攻撃! 【魔神の氷獄神槍(インフェルノ・グングニル)】!!」

 

 【魔神眼の零源龍】は上を向いて、口を大きく開く。すると頭上の空気中の水分が凍り付き、巨大な氷の礫を作り出す。そして、【魔神眼の零源龍】の口には黒い雷が溜まる。

 溜まりきった黒雷を氷の礫に向かって放つ。雷撃を纏った氷の礫が【紅月魔龍リントヴルム・エンペラー】に襲い掛かる。

 魔龍は口に真っ赤な炎を溜め、スタジアム全域に炎を放つ。炎はまるで波のように押し寄せ、氷の礫を溶かす。その瞬間、地面から氷の刺が無数に生え、【紅月魔龍リントヴルム・エンペラー】の身体を貫いた。

 

「俺のモンスターが!!」

 

葛葉LP:4100→3800

 

「本来なら追加攻撃したかったんだけどね。僕はこれでターンエンド」

 

 叶と同じように右目に漆黒の炎が灯った。右目が燃え上がると、それと比例するように右手にも漆黒の炎が灯った。

 

「……俺は負けない! お前に勝つ! 勝って見せる! 真のライバー(デュエリスト)は勝利へ導くカードは己の力で引き当てる!! シャイニングドロー!! 手札から【RUM-ドラゴニック・フォース】を発動!!」

「きたか!!」

「葛葉! ここでRUMカード!! さらにランクの高いモンスターを出すつもりか!!」

「俺はライフを支払い、召喚する!!」

 

葛葉LP:3800→1900

 

「墓地の【紅月魔龍リントヴルム・エンペラー】を特殊召喚し、リントヴルム一体でオーバレイ! ランクアップ! エクシーズチェンジ!」

 

 葛葉の元に再びリントヴルムが現れた。

 

「赤き月が満ちたりし時、古の龍王が今、目覚める! 呪われし力を解き放て! エクシーズ召喚! 出でよ、ランク11! 呪われし血の龍王! 【呪血龍鬼(じゅけつりゅうき)ヴァンパイア・ドラグオン】!!」

 

【呪血龍鬼ヴァンパイア・ドラグオン】

ランク11/エクシーズ/闇属性/ドラゴン族/攻4000/守4000

レベル11モンスター×2

〇このカードが【ヴァンパイア】エクシーズモンスターをX素材にしている場合、このカードは相手カードの効果を受けない。

〇一ターンに一度、墓地の【ヴァンパイア】モンスター一体をゲームから除外することで発動できる。そのモンスターの攻撃力分、このカードの攻撃力をアップさせ、このカード以外のモンスターの攻撃力をダウンさせる。

〇このカードが相手モンスターを戦闘で破壊した時にエクシーズ素材を取り除くことで発動できる。このカードは続けて攻撃することができる。

 

 リントヴルムの周辺に赤い霧が立ち昇り、姿を包み込んだ。龍は姿を変え、人型になった。

 龍人となったリントヴルムは皮膚が龍の鱗になっており、ヴァンパイア特有の蝙蝠の翼を広げた。

 

「これが俺の最強のカードだ!! ヴァンパイア・ドラグオンの効果発動! 墓地の【紅月龍リントヴルム】をゲームから除外することで、このカードの攻撃力をアップさせ、【魔神眼の零源龍】の攻撃力をダウンさせる! 【呪血結界(じゅけつけっかい)】!!」

 

 ヴァンパイア・ドラグオンが持っていたグラスから一滴垂らすと、赤い液体は波紋のように広がり、スタジアムを赤く染めた。

 

呪血龍鬼ヴァンパイア・ドラグオン 攻撃力:4000→7200

魔神眼の零源龍 攻撃力:4300→1100

 

「何!?」

「これで終わりだ! 歯ァ食いしばれよ!! バトル! 【呪血龍鬼ヴァンパイア・ドラグオン】で【魔神眼の零源龍】に攻撃!! 【紅蓮呪血斬(ぐれんじゅけつざん)】!!」

 

 ヴァンパイア・ドラグオンは赤い液体を自由自在に操作し、無数の輪を作りだした。血液の輪は高速で回転し、チャクラムのように放つ。

 高速で迫ってくる血液の輪に魔神眼の零源龍は氷の礫を放って対抗する。血液の輪は氷の礫を切り裂き、そのまま魔神眼の零源龍を切り裂いた。

 

叶LP:2000→0

 

「僕が……負けた?」

「お前は【Unknown】カードに依存し過ぎたのが敗因だ。よく考えてみろ。【雪牙狼】カードをあまり使っていなかっただろ?」

「そうかぁ」

 

 叶は糸が切れたような人形のようにその場に倒れ込んだ。葛葉が駆け寄ろうとするが、倒れ込んだ叶をいつの間にか立っていた戌亥が抱きかかえた。

 

「戌亥さん」

「叶はん。約束通り、カードはウチがいただくで」

「ちょっ!? そのカードは俺が!!」

「叶はんを宜しく」

 

 戌亥は倒れ込んだ叶を葛葉の方に放り投げる。

 葛葉は焦りながら叶を受け止めると、いつの間にか戌亥は消えていた。

 

「クソッ!! カードが!!」




オリカ紹介
【呪血龍鬼ヴァンパイア・ドラグオン】
葛葉の最強カード。
攻守共にトップクラスのカード。龍と吸血鬼が混じり合い、あらゆる生物の頂点に君臨する暴虐の王と言われている。


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BATTLE.30「イブラヒムvs加賀美ハヤト」

イブラヒムVS加賀美ハヤト

自分が考えたデッキの中でも好きなデッキなので、楽しく書かれていただきます。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。


にじさんじ決闘王のスタジアム内にある医務室。

 

 そこでジョー・力一はベッドに横になっていた。ベッドの横では舞元が椅子に座っていた。

 

「…………で?」

「で?」

「何であんなのことしたんだよ」

「あぁー……やっぱり聞かれるよね」

 

 力一はバツが悪い顔をしながら頬を掻いた。

 

「えぇーと……どこから説明したらいいかなぁ……」

 

 腕を組みながら唸る。

 

「俺があの人に会ったのは本当に偶然だった」

「あの人っていうのは草壁誠一郎か?」

「えぇ。あの人に会った瞬間、人ではない得体のしれない存在と悟ったよね。だからこそ、俺はあの人の側について正体を知ろうとしたんだ」

「なんで、そんな危険なことを」

「最初は側近か何かとして、側にいようとしたけど、思ったより【Unknown】カードと相性が良くて、草壁誠一郎本人に目を付けられちゃったんだよね」

 

 ため息を漏らす。

 

「あのカードは危険だ。だからこそ、自ら悪役を演じることで、あのカードの危険性を知らしめて俺ごとカードを破壊して欲しかったんだけどね」

「それがどうして、今は戌亥がカードを集めているんだ?」

「あぁ……それは」

 

「できれば私にも教えて欲しいな」

 

 いつの間にか舞元の背後に草壁誠一郎が立っていた。

 

「「!?」」

 

 二人はまったく気配に気が付かなかった。

 気づくどころか、医務室の扉が開かれた気配も感じられなかった。

 

「草壁誠一郎!?」

「どこから!!」

「いやー……さすがピエロ。まんまと騙されたよ。君は少々、反抗的だったが協力的だったからね」

 

 草壁は残念そうな顔をしながら力一を見つめた。

 

「それで戌亥とこは何を狙っている?」

「そ、それは……」

「今、ここでアンタを倒せば全て解決できるってことか?」

 

 舞元は草壁に近づき、睨みつける。

 

「ほぉ……」

「舞元さん、危険だ!!」

「舞元啓介君だったか。実に面白い」

 

 舞元と草壁はデュエルディスクを構えた。

 

「君がどこまで戦える人間か見定めてもらうよ」

「言ってろ」

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

スタジアム実況席

 

「え? 次の解説をお願いしていた舞元さんがまだ来ていない?」

 

 スタッフの話を聞き、夢追は困惑していた。

 

「舞元さん、力一のお見舞いに行くって言っていたけどな」

「そうなんですよ……医務室に言ったら舞元さんもですが、力一さんもいなくて。……それに」

 

 スタッフは夢追の顔に近づくと耳打ちで話す。

 

「実はスポンサーである草壁様もいらっしゃらないんですよ」

「えぇ……どうしよう」

 

 夢追が悩んでいると、そこに一人の人物が近づいてきた。

 

「私がどうかしたのか?」

 

 やってきたのは草壁誠一郎だった。

 

「草壁様!! 良かった! お見えにならなかったので!」

「いやー、すまんすまん。トイレに行っていただけだよ」

 

 草壁は微笑みながらスタッフの方を叩いた。

 

「話は聞いたよ。君は確か……」

「あ、夢追翔と申します」

「そうそう夢追君だったね。解説の件だが、他にデュエルに詳しいライバーはいないのかい?」

「そうなると……一人心当たりがあります」

「では、その人に代役してもらおう。田角社長には私から言っておくよ」

「あ、ありがとうございます!! では、スタッフさん! 社さんを呼んできて貰っても良いですか!!」

「りょ、了解しました!!」

 

 スタッフは慌てて立ち去った。それを見た草壁は自分の席へと戻った。

 

(ジョー・力一め。最後まで戌亥とこの目的を話さなかったか…………まぁ、いい。どちらにせよ、戌亥とこは器として良さそうだからな)

 

 草壁は来賓席に戻ると、先ほどの件を田角に報告し、席に着いた。

 

(そろそろ潮時かもしれんな。計画を最終段階へ移行させるか)

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

「お待たせいたしました! 続きましてはイブラヒムVS加賀美ハヤトの対戦になります! 今回の解説は社築さんにお願いしたいと思います!!」

「宜しくお願いします!」

「急な頼みですみませんでした!!」

「いや、別に暇してたから大丈夫だよ」

「では、社さん。両選手の解説をお願いします」

「了解。イブラヒムは速攻魔法重視のトリッキーな戦法だね。本人曰く、モンスターを三枚しか入れてないようだけど、それでもしっかり回っているし、妨害札も多い。油断していると一気にライフを持っていかれると思うよ。一方の社長はアドバンス召喚を主軸にしたパワーデッキだね。アドバンス召喚は本来は手札消費が激しいはずだけど、ドローソースは豊富な帝と合わせることで、上手くカバーしてるね。イブラヒムの妨害を躱せれば社長のパワーで勝てると思うよ」

「どちらも勝機はあるということですね!! さぁ、両者の準備が完了しました! 選手入場です!!」

 

 東ゲートが開かれるとイブラヒムが出てきた。観客席からの応援に答えるように手を振る。

 

「東ゲートからはこの方! 黄金を操る石油王はトリッキーな戦法で相手を惑わす! その姿は正しく、黄金の魔術師!! イブラヒム!!」

 

 反対側の西ゲートが開かれると加賀美が出てきた。緊張した様子でスタジアムの中央に向かう。

 

「西ゲートからはこの方! 古の召喚法で勝ち進んできた加賀美インダストリアル社長! 悪魔が奏でる旋律で相手を圧倒させる! 絶叫の旋律者! 加賀美ハヤト!!」

 

 両者がスタジアムの中央に立つとデュエルディスクを構えた。

 

「社長、申し訳ないけど勝たせて貰いますよ」

「そういう訳にはいきません。勝つのは私です」

(イブラヒムさんは妨害メインのデッキ。できれば先攻を頂きたいですね)

「社長、提案なんですが……」

「はい?」

「おそらく、互いに先攻を取りたいと考えていると思うんですよ」

「そうですね」

「だから、先攻後攻はコイントスで決めませんか?」

 

 イブラヒムはポケットからコインを取り出した。

 

「構いませんよ」

「では、表なら俺。裏なら社長で」

「ちょ、ちょっとだけ良いですか!!」

 

 コインを投げようとしたイブラヒムを加賀美は静止させた。

 

「なんです?」

「おそらく大丈夫だとは思うのですが…………そのコインって両方とも表だったりしませんよね?」

「はい? 何を言っているんすか?」

「いえ! わかっています! イブラヒムさんが不正をするなんてみじんも思っていませんが…………何でしょうか、カードゲームのコイントスで、トラウマというか……前世の記憶というか……何か嫌な思い出があるような無いような……」

「え、えーと……確認します?」

「いえ! 申し訳ございません! 続けてください!」

 

 加賀美に止められたイブラヒムだったが、今度はしっかりコインを投げた。

 コインは上空で何回か回転して、イブラヒムの手に落ちた。イブラヒムがコインを確認すると、コインは裏だった。

 

「裏なんで社長が先攻で」

「良かった……では、改めて」

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「では、先攻はいかせていただきます! 私のターン! 私は手札から【帝王の深怨】を発動します! 手札の【魔境絶唱(デモンズヴォイス) アマデウス】を見せることで、デッキから【汎神の帝王】を手札に加え、そのまま発動! 手札の【真源の帝王】を捨てることで二枚ドローします! さらに墓地の【汎神の帝王】の効果を発動します! このカードをゲームから除外することでデッキから【帝王の開岩】二枚と【帝王の烈旋】一枚を見せます」

「……なら、【帝王の開岩】で」

「では、【帝王の開岩】を手札に加え、手札の【帝王の開岩】と【冥界の宝札】を発動します!」

「加賀美ハヤト! ドロー加速パーツを揃えて発動だ!」

「アドバンス召喚するだけで3アドバンテージが取れるのは強いな」

「私は手札の【魔境絶唱 ベーゼ】を召喚します! さらに私はフィールドにレベル1モンスターが存在するので【魔境絶唱 オロゴス】を特殊召喚します! オロゴスの効果で追加でアドバンス召喚ができます!」

「くるか!」

「私はベーゼとオロゴスをリリースすることでアドバンス召喚! 【魔境絶唱 アマデウス】!!」

 

 ベーゼとオロゴスの二体の悪魔が消滅すると、その場の空間に亀裂が入り、空間の狭間から巨漢な悪魔が現れた。巨漢な悪魔は両肩に骸骨の頭が付いており、威圧を放っている。

 

「召喚した【魔境絶唱 アマデウス】と【帝王の開岩】、【冥界の宝札】の効果を発動します! デッキから二枚ドロー! 続けてデッキから【魔境絶唱 ヴェートーベン】を手札に加えます! そして、アマデウスの効果でイブラヒムさんの手札を一枚、墓地に送ります」

「墓地にいったのは速攻魔法です」

「まぁ、そうですよね。続けます。墓地の【魔境絶唱 ベーゼ】の効果で自身を特殊召喚します! 私はカードを一枚伏せ、ターンエンドです」

「加賀美ハヤト! 開幕から全力前回だ!!」

「アマデウスで一妨害、さらに伏せカードがあるけど……イブラヒムは速攻魔法で展開していくからね。どこで止めるかがポイントになるな」

「いやー……やっぱり強いな。俺のターン、ドロー! 俺は手札から【テラ・フォーミング】を発動。止めます?」

「考えます…………どうぞ」

「なら、俺は【黄金の迷宮-ゴルディアン-】を手札に加え、そのまま発動! 【黄金の迷宮-ゴルディアン-】の効果で、デッキから【黄金の神殿-ゴルディアン-】を手札に加え、発動!」

 

 スタジアムは金色に輝く迷宮へと姿を変え、イブラヒムの背後には巨大な黄金の神殿が現れた。

 

「【黄金の迷宮-ゴルディアン-】の効果発動。手札を一枚捨て、デッキから【黄金の守護者(ゴルディアン)-ガーゴイル-】を手札に加え、そのまま発動!」

「それも通します」

「俺はデッキから【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】を手札に加え、そのまま発動! 墓地の【黄金の守護者-ガーゴイル-】と【黄金の守護者-ラミア-】をゲームから除外することで、自身を特殊召喚! 現れよ! この世、全ての富を統べる黄金の支配者! 【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】!!」

 

 イブラヒムの背後に黄金の鎧が現れた。

 黄金の鎧は赤いマントを翻しながら、両腕を広げると、両手から黄金に輝くコインが湧き水のように溢れ出てきた。

 黄金の鎧は不気味な笑い声を漏らしながら、コインを見せびらかす。

 

「きましたか!!」

「さらに俺は【黄金の守護者-マミー-】を発動!」

 

【黄金の守護者-マミー-】

速攻魔法

〇このカードが自分ターンに発動した場合、以下の効果を発動する。

●手札の【ゴルディアン】カードを一枚墓地に送ることで、デッキから【ゴルディアン】カードを一枚手札に加える。

〇このカードが相手ターンに発動した場合、以下の効果を発動する。

●相手のモンスター一体を選択し、そのモンスターはこのターン攻撃することができない。

 

「それを使わされると【黄金の神殿-ゴルディアン-】と【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】の効果が発動してしまいますね! 私はカウンター罠【魔境絶唱 蠢く魔神蟲】を発動します!!」

 

【魔境絶唱 蠢く魔神蟲】

カウンター罠

自分フィールドにアドバンス召喚した【魔境絶唱】モンスターが存在し、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その効果を無効にし、墓地に送る。その後、デッキからレベル1の【魔境絶唱】モンスター一体を墓地に送ることができる。

 

 

「やっぱり妨害してきましたか!」

「【魔境絶唱 蠢く魔神蟲】の効果で【黄金の守護者-マミー-】の効果を無効にし、私はデッキから【魔境絶唱 ヨードン】を墓地に送ります。速攻魔法が不発になったことで【黄金の神殿-ゴルディアン-】と【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】の効果は発動しません」

「うーん……発動できるっちゃできるけど。社長のフィールドには【魔境絶唱 アマデウス】がいるからな……速攻魔法発動したらチェーンして俺のミリオン・マネーが破壊されるのがオチ。なら、ここはバトル! 【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】で【魔境絶唱 アマデウス】に攻撃!」

「私は【魔境絶唱 アマデウス】の効果発動! フィールドの【魔境絶唱 ベーゼ】をリリースすることで【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】を破壊します!」

 

 アマデウスの両肩の骸骨から超音波が放たれ、黄金の鎧は破壊された。

 

「まぁ、それは計算の内かな……俺はカードを三枚伏せ、ターンエンド」

「イブラヒム! 切り札である【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】を破壊されたが、手札をガン伏せ! 妨害する気満々だ!」

「あの三枚でどれだけ妨害できるかで勝敗が決まるな」【帝王の深怨】

「では、私のターン、ドロー! 墓地の【真源の帝王】と【魔境絶唱 ベーゼ】の効果を発動します! ベーゼを特殊召喚! 墓地の【帝王の深怨】をゲームから除外することで、【真源の帝王】をモンスター扱いで特殊召喚します! 私は【魔境絶唱 ベーゼ】と【真源の帝王】をリリースすることで【魔境絶唱 ショパン】をアドバンス召喚!」

 

 二体のモンスターが消滅し、そこから髑髏の仮面をかぶった女性が現れた。その女性の左腕は無数の蛇のような化け物になっていた。無数の化け物は輪唱するように叫んでいる。

 

「【魔境絶唱 ショパン】と【帝王の開岩】、【冥界の宝札】の効果を発動します!」

「ではチェーンして、速攻魔法【黄金の守護者-ケンタウロス-】を発動! 【魔境絶唱 ショパン】の効果を無効!」

「くっ! ですがデッキから二枚ドローし、デッキから【魔境絶唱 メンデルスゾーン】を手札に加えます!」

「俺も【黄金の神殿-ゴルディアン-】の効果で一枚ドローします」

「バトルです! 【魔境絶唱 アマデウス】でイブラヒムさんにダイレクトアタック!!」

「甘いですよ! 速攻魔法【黄金の守護者-ゴーレム-】を発動します! 【黄金の守護者トークン】を特殊召喚!」

「そのまま【魔境絶唱 アマデウス】でトークンに攻撃です! 続けて、【魔境絶唱 ショパン】でダイレクトアタック!!」

「喰らいます!」

 

イブラヒムLP:4000→1200

 

「私はメインフェイズ2に移行します。墓地の【魔境絶唱 ヨードン】の効果を発動します。ヨードンとオロゴスをゲームから除外することで、二枚ドローします。さらに【魔境絶唱 ドゥーパ】を特殊召喚します。さらにカードを二枚伏せてターンエンドです」

「エンドフェイズ時に俺は【黄金の石板-ゴルディアン-】を発動! 合計三枚ドローします!」

「イブラヒム! ライフを削られましたが最低限の防御をしつつ、手札も確保しています」

「社長の方は確実にアドバンテージを取っているが、さっきの攻撃で決めたかった所はあるな」

「では、俺のターン、ドロー……うむ。どうしようか……取り敢えず、【黄金の迷宮-ゴルディアン-】の効果を発動します」

「させません! 私は【魔境絶唱 ショパン】の効果を発動します! 墓地の【魔境絶唱 ドゥーパ】をリリースすることで【黄金の迷宮-ゴルディアン-】を破壊します」

「くっ……まだだ! 速攻魔法【黄金の守護者-スフィンクス-】を発動!」

「墓地の【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】を復活させる気ですね! 私はリバースカード【魔境絶唱 黒雷の霹靂】を発動します。墓地の【魔境絶唱 ベーゼ】と【魔境絶唱 ドゥーパ】を特殊召喚します!」

「マジかー……【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】を墓地から特殊召喚!! 速攻魔法【黄金の守護者-ガーゴイル-】を発動!」

「それにチェーンして、【魔境絶唱 アマデウス】の効果を発動! 【魔境絶唱 ドゥーパ】をリリースすることで【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】を破壊します!」

「【黄金の守護者-ガーゴイル-】の効果で、デッキから【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】を手札に加えます。墓地の【黄金の守護者-ガーゴイル-】と【黄金の守護者-ケンタウロス-】をゲームから除外することで、【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】を特殊召喚!!」

 

 イブラヒムの元に再び、黄金の鎧が現れた。

 

「バトル! 【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】で【魔境絶唱 アマデウス】に攻撃!」

「リバースカード、オープン! 【魔境絶唱 不滅の旋律】!!」

 

【魔境絶唱 不滅の旋律】

〇自分フィールドのアドバンス召喚された【魔境絶唱】モンスターが攻撃対象になった時に発動できる。その攻撃を無効にして、そのモンスターより攻撃力の低い【魔境絶唱】モンスター一体をデッキから特殊召喚することができる。

 

「【黄金の支配者-ミリオン・マネー-】をリリースすることで、デッキから【魔境絶唱 ヘスメタ】を特殊召喚します! ヘスメタの効果を発動! デッキから【魔境絶唱 ウェディング】を手札に加えます」

「俺はカードを二枚伏せ、ターンエンドです」

「イブラヒム! ハヤトの妨害で上手く動けない!」

「これはキツイな」

「では、私のターン、ドロー! 私は墓地の【魔境絶唱 ベーゼ】を特殊召喚します! さらに私は【魔境絶唱 ヘスメタ】と【魔境絶唱 ベーゼ】をリリースすることで【魔境絶唱 メンデルスゾーン】をアドバンス召喚!! 【魔境絶唱 メンデルスゾーン】と【帝王の開岩】、【冥界の宝札】の効果を発動します! メンデルスゾーンの効果は不発。デッキから二枚ドローし、デッキから【魔境絶唱 バッハ】を手札に加えます。そして、私は【魔境絶唱 ウェディング】を特殊召喚します!!」

 

 空が闇に包まれると、闇から白いドレスを着た女性型の悪魔が現れた。ドレスには複数の目玉が付いており、不気味なオーラを纏っていた。

 

「【魔境絶唱 ウェディング】の効果を発動します! イブラヒムさんのカードを破壊します!」

「あー……」

(俺の伏せカードはトークンを二体出すカードと相手のモンスターを破壊し、ダメージを与えるカード…………これは負けたかな)

「バトルです! モンスターで総攻撃!!」

 

イブラヒムLP:1200→0

 

「決着!! 勝者、加賀美ハヤト!!」

「終始、社長が流れを握っていたな」

 

 加賀美はイブラヒムに近づくと二人は握手を交わした。

 

「いやー、完敗しました」

「こちらこそ、冷や冷やしました」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

スタジアムの通路。

 

 自分の番が近づいてきたため、エリー・コニファーは控室に向かっていた。

 通路の途中で人影が見えた。

 

「やぁ、ずいぶん早い時間に待機するんだね」

「これは草壁様」

 

 ベンチに座っていた草壁は立ち上がり、エリーに近づいた。

 

「先ほどまで来賓席におらっしゃったと思いましたが」

「そんなことは気にする必要なない。エリー君、君はもう用済みだ」

「はい? おっしゃっている意味が分かりません」

「そのカードにふさわしい人間がいるのでね。返してもらおうか」

「およよ……私には使命があります。それを遂行させるまでは、いくら草壁様でも聞くことはできません」

「…………はぁ、どうして、ここの所属タレントはどいつもこいつも思い通りに動こうとしない。嫌になる」

 

 草壁はため息を漏らすとデュエルディスクを構えた。

 

「では、力づくで頂こう」

 

「「決闘(デュエル)!!」」



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BATTLE.31「リゼ・ヘルエスタvs戌亥とこ」

いよいよ終盤
草壁誠一郎の計画が動き出す。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。


にじさんじ決闘王スタジアム

解説席

 

「えぇ!? 今度はエリー・コニファーがいない!?」

「そ、そうなんですよ……」

「どうする? 夢追」

「どうしましょうか……社さん」

 

 解説席では夢追、社、スタッフが悩み込んでいた。

 舞元、力一に続けてエリー・コニファーも行方不明になってしまった。

 

「取り敢えず、観客やライバーには休憩ということで時間を稼ごう」

「そ、そうですね」

 

「いいや、その必要はないよ」

 

 三人の元に草壁誠一郎がやってきた。

 草壁は夢追が持っていたマイクを奪うと、解説席から身を乗り出し、目立つ位置に立った。

 

「草壁様!?」

「えー、会場に集まりの皆様。配信をご覧になっている皆様。初めまして、コ〇ミ開発部主任。草壁誠一郎と申します」

 

 草壁の声に会場の人々は一斉に草壁の方を向いた。

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

ショッピングモールの加賀美インダストリアル直営店の地下

 

 黛は情報収集のため、複数のディスプレイを駆使しながら草壁の素性を探っていた。

 

「参ったな……全然、見つからない。役所、警察、病院……ありとあらゆる機関を調べたけど……まったくヒットしないなんて」

 

 ため息を漏らしながらエナジードリンクのプルタブを開け、一口飲む。

 すると、ディスプレイから通話のアイコンが表示された。黛はアイコンをクリックし、通話を始めた。

 

「どーも」

『どーも。未来人改め女スパイです』

 

 通話の相手は夕陽リリだった。

 夕陽は現在、い〇から本社に潜入して情報を集めていた。

 

「どうしたの? 女スパイ」

『今、動画を送るから、それを見て欲しい。草壁誠一郎の正体が分かったよ』

「っ!?」

 

 黛は珍しく、慌てながら夕陽が送ってきた動画を開く。

 動画にはエリー・コニファーがスタジアムの通路を歩いているシーンだった。

 

「エリーさん?」

『問題はこの後だよ』

 

 エリーが歩いていると、その先にある自動販売機に異変が起きた。

 自動販売機に電流が流れ、ディスプレイやボタンが光りだす。そして、輝きだした自動販売機から粒子のような光が漏れだし、その粒子が人の形になっていく。

 人型となった粒子は輝きが収まると、そこには草壁誠一郎が立っていた。

 そして、草壁はエリーと話し始め、映像が止まった。

 

「……………」

 

 あまりの光景に黛は絶句していた。

 

「こ、この映像はフィクションじゃないよね」

『こんな時に動画を加工する暇でもあると思う?』

「だよね…………整理すると草壁誠一郎は人間じゃない?」

『まぁ、人間でこんなことができる人がいたら未来はだいぶ変わっていると思うよ』

「…………人じゃないなら……草壁誠一郎の正体は何だ?」

『っ!?』

 

 通話越しで夕陽が何かに気が付いたような音がした。

 

『…………黛。もう一つ朗報があるよ』

「どうしたの?」

『スタジアムの地下に大量のデュエルアンドロイドを見つけた』

「それがどうした……っ!?」

 

 黛は何かに気が付いた。

 

「仮に…………もし、仮に草壁誠一郎が人間ではなく、情報やデータ、そのものだったとしよう」

『意思を持ったデータの集合体。AIみたいなモノかな』

「そうだね…………その意志を持ったデータの集合体が自動販売機から出て来れた。ということを考えるとありとあらゆる機械を操作または移動することが出来る」

『っ!? …………もし、このデュエルアンドロイドを一斉に作動させたら……』

「ターミネーター張りに機械の反乱が起きるね」

『クソッ!! 何としてでもデュエルアンドロイドの起動を止めないと!!』

「俺はハッキングして内側から止める。夕陽さんは外側から止めて」

『外側って……』

「大量のアンドロイドを一斉に起動させるんだ。どこかしらにメインスイッチがあるはずだ」

『了解!! 探してみる!!』

 

 夕陽からの通話が切れると、黛は飲みかけていたエナジードリンクを一気に飲み込んだ。口元に垂れたエナジードリンクを乱暴に袖で拭き取り、キーボードを物凄いスピードで操作する。

 

(ハッキングするとしたら……どこから侵入するべきだ? …………い〇から本社のサーバーから侵入するのが一番か)

 

 黛は以前、夕陽が仕込んだウイルスから本社のサーバーに侵入するのを試みる。

 額の汗が滴り落ちるのも気にせず、集中してキーボードを操作する。

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

「この度はコ〇ミとい〇から株式会社の共同である【にじさんじ決闘王】をご覧いただきありがとうございます」

 

 草壁は一礼する。

 

「しかし、これで【にじさんじ決闘王】は終了いたします」

「え?」

「は?」

 

 草壁の言葉に会場・配信含め全員が困惑した。

 田角も困惑していた。

 

「く、草壁主任?」

「田角社長。君は要済みだ」

 

 草壁が指を鳴らすと田角の頭に電流が流れ、その場で倒れ込んだ。

 

「社長!!」

 

 スタッフが田角に駆け寄る。田角は気絶していた。

 

「安心したまえ、殺しはしていない」

「草壁さん!! 一体何を!!」

 

 近くにいた夢追と社が問いただす。

 

「君達もだよ」

 

 再び、草壁が指を鳴らすと夢追達の近くにいたスタッフ達がいきなり、夢追を掴みかかり拘束させた。

 夢追達は慌てて、スタッフの方を見るとスタッフの目は正気失っていた。

 

「田角社長や一部のスタッフに特殊な機械を埋め込んでいてね。私の思い通りに動くようにしているんだ」

「くそっ! 離してください!!」

「さて…………ピエロのように演技するのも疲れるものだな。全ての人間に次ぐ!!」

 

 困惑する会場をよそに草壁が話し出す。

 すると観客席で待機していたスタッフ達が出入口で何かの機械を操作すると、出入口からシャッターが落ち、全ての出入口が閉じられた。

 スタジアムにいる観客は逃げることができなくなった。

 

「茶番は終わりだ。これから始まるのは機械による革命だ!!」

 

 草壁の足元が動き出し、塔のように伸びだした。

 それと同時にスタジアムも地響きを鳴らしながら動き出す。観客席から悲鳴が上がる。

 

「こ、これは!!」

「社長!! 解説席の方を!!」

 

 異変を感じた加賀美、葛葉、リゼが待機室から飛びだしてきた。

 ディエルスペースだったスタジアムの中央が真っ二つに割れ、下から大量のデュエルアンドロイド達が静止した状態で出てきた。

 

「これはデュエルアンドロイド!!」

「とこちゃん!!」

 

 リゼが指を指すと静止しているデュエルアンドロイド達の先頭に戌亥が立っていた。

 

「やぁ、ずいぶんと久しぶりに感じるなぁ、ィゼ」

「戌亥君」

 

 草壁が戌亥に向かってカードを投げる。カードを受け取ったカードを確認するとそれはエリーが持っていた【骸獣皇 ゼロストリオン】だった。

 

「君が使いたまえ」

「えぇんか?」

「あぁ…………君が何を考えているか知らないが、そのカード達は君がもっとも扱えるはずだ。それに……」

 

 不意に笑みを浮かべる草壁。

 

「仮に君が邪魔しようが私を倒すことはできないよ」

「そうやな……ウチは邪魔はせぇへんで」

「それならいいが…………さて、ライバー諸君。君たちのおかげでデュエルのデータは集まった。Σの良いサンプルになったよ。これより全てのΣを起動させ、この国を……この世界を支配する!!」

「な、何を言っているんだ?」

「おや? 信じてもらえていないようだね…………君は確か……葛葉君だったか。良いだろう、特別に見せてあげよう」

 

 草壁は指を鳴らすと、自らの肉体が粒子のように分解されていき、再び人の姿になると先ほどまでの草壁誠一郎ではなく、田角の姿になった。

 

「はぁ!?」

「私に肉体という概念は存在しないのだよ」

 

 田角の姿になった草壁は再び、指を鳴らすとまた粒子のように分解し、元の草壁の姿に戻った。

 

「私は人間が言う【情報】や【データ】の集合体。そして、人工知能により、人間の【意思】というものを理解した存在だ」

「意思を持ったデータ……!?」

「別に名称や個体名などは無い。今まで通り、草壁誠一郎で構わない」

 

 不意に加賀美のスマホが震えた。

 加賀美は耳に付けていたイヤホンで通話を始める。

 

「もしもし」

『どーも、ハヤトさん。草壁誠一郎の正体だけど』

「えぇ、こちらも確認しました」

『……と、いうことは草壁が動き始めたということだね』

「そうですね」

『草壁はデュエルアンドロイドを一斉に起動させるつもりだ。今、俺と夕陽さんで止めようと動いている。できるだけ時間を稼いで欲しい』

「了解しました」

『気を付けてね』

 

 通話を切るとため息を漏らす。

 

「まさか、機械が相手とは思いもしませんでした。葛葉さん、リゼさん」

「ん?」

「はい」

「黛さん達があのアンドロイドを止めてくれるようです。私たちは草壁誠一郎があのアンドロイドを起動しないように時間を稼ぎましょう」

「りょ、了解しました!!」

「でもよぉ……社長。別にアイツを倒しても良いんだろ?」

 

 葛葉はやる気満々でデュエルディスクを構えた。

 

「葛葉さん。えぇ、私たちで倒しましょう」

「そうはさせんで」

 

 三人の前に戌亥が立ちふさがった。

 

「草壁はんの邪魔はさせんで」

「とこちゃん!!」

「頼んだよ、戌亥君」

 

 草壁は両手を広げると、塔のように伸びた足元から無数の粒子が流れだす。

 

「そうはさせないぜ!!」

 

 夢追と社を拘束していたスタッフが倒れる。

 スタッフの背後に立っていたのは花畑チャイカだった。

 

「チャイチャイ!!」

「チャイカ!!」

「すまないね。こいつらを探していたら時間が掛かっちゃった」

 

 チャイカは後ろを指差すと舞元と力一が立っていた。二人は既にボロボロだった。

 

「舞元! 力一! 無事だったか!!」

「あぁ、すまんな。アイツに負けて気絶してた」

「でも、それも今回で挽回させないとね! いくよ、舞元さん! チャイカさん!」

「あぁ!!」

 

 舞元、力一、チャイカはデュエルディスクを構えた。

 

「俺も参戦するぜ! 夢追! お前はデッキを持っていないんだ。無理せず、逃げろ!」

「くっ……俺も戦えたら! 俺は皆を何とか避難させます! 四人とも気を付けて!!」

 

 社はデュエルディスクを構え、夢追は速足で去っていった。

 

「ふふふっ…………面白い、全員まとめて掛かってくるがいい!!」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

「とこちゃん……」

「どうした、ィゼ? ウチを倒さへんと草壁はんの所には行けへんで」

「リゼさん。ここは私が!!」

「社長! ここは二人でやりましょう」

「…………いいえ、加賀美さん。葛葉さん。ここは私に任せてもらっても良いですか」

「で、ですが……」

「とこちゃんを止めるのは私の使命です」

 

 リゼは決意の眼差しでデュエルディスクを構えた。

 

「いいで……やろうや」

 

 戌亥もデュエルディスクを構えた。

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「先攻は貰うよ」

「好きにしてえぇで」

「私のターン! 私は手札から【皇剣士の円卓(ロイヤル・ブレイド・ラウンド)】を発動! 発動処理としてデッキから【皇剣士(ロイヤル・ブレイド)-エムリット】を手札に加えます! そして、【皇剣士-エムリット】をペンデュラムスケールにセッティング! ペンデュラムゾーンのエムリットの効果を発動します! デッキから【皇剣士-アラン】を手札に加え、そのままもう一つのペンデュラムスケールにセッティング!」

 

【皇剣士-アラン】

レベル4/ペンデュラム/光属性/戦士族/攻1600/守1300

【Pスケール:青3/赤3】

〇ペンデュラム召喚に成功したターンのメインフェイズに発動できる。デッキから【皇剣士】儀式魔法または【皇剣士】儀式モンスター一体を手札に加えることができる。

【モンスター効果】

〇このカードがリリースされた時に発動できる。自分のEXデッキから表側表示のPモンスター一体を手札に加える。

 

「これにより私はレベル4~7のモンスターが召喚可能になりました! 私はスケール8の【皇剣士-エムリット】とスケール3の【皇剣士-アラン】でペンデュラム召喚! 来て! 私のモンスター!! 手札から【皇剣士-アーク】【皇剣士-キリシュタリア】【皇剣士-モーガン】!!」

 

 エムリットとアランはリゼの両端で光の柱になると、リゼの頭上に大きなゲートが開かれる。

 ゲートからは三体の騎士が現れた。

 

「私は【皇剣士-アラン】の効果を発動します! デッキから儀式魔法【皇剣士の銀翼勲章】を手札に加えます! そして、【皇剣士-アーク】の効果を発動します。デッキから【皇剣士-ゲルト】をゲームから除外することで、デッキから儀式モンスター【銀皇剣士-シルバーレイ】を手札に加えます!」

「リゼさん!! ここに来て儀式召喚もする気ですか!!」

「あの人、すげぇな!!」

「【皇剣士-モーガン】の効果を発動します! 【皇剣士-モーガン】【皇剣士-キリシュタリア】【皇剣士-アーク】をゲームから除外することで、融合!! 三体の聖騎士よ! 聖なる炎を纏いて、勝利を導け! 融合召喚! 出でよ! 聖炎の剣を扱いし者! 【炎皇剣士(グレ・ロイヤル・ブレイド)-センチネル】!!」

 

【炎皇剣士-センチネル】

レベル10/融合/光属性/戦士族/攻3500/守2500

【皇剣士】モンスター×5

〇このカードは【皇剣士】モンスター以外のモンスター効果を受けない。

〇一ターンに一度、相手のモンスター一体を破壊する。その後、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。この効果を発動したターン、このカードは攻撃することができない。この効果は相手ターンにも発動することができる。

 

 三体の騎士が光に包まれると、そこから赤い鎧を纏った騎士が現れた。

 赤い鎧の騎士は同様に赤い馬に跨り、光輝く炎を纏った大剣を掲げた。

 

「【皇剣士-キリシュタリア】の効果でデッキから【皇剣士-ジノン】をゲームから除外することで、デッキから一枚ドローします。私はゲームから除外されている【皇剣士-ゲルト】の効果を発動します!」

 

【皇剣士-ゲルト】

レベル4/光属性/戦士族/攻1500/守1000

〇自分フィールドにEXデッキから特殊召喚された【皇剣士】モンスターが存在する時に発動できる。ゲームから除外されているこのカードを特殊召喚することができる。

 

「私は【皇剣士-ゲルト】を特殊召喚! そして、【皇剣士-ジノン】の効果も発動します!」

 

【皇剣士-ジノン】

レベル4/光属性/戦士族/攻1700/守700

〇ゲームから除外されている【皇剣士】モンスターがフィールドに特殊召喚した時に発動できる。ゲームから除外されているこのカードを特殊召喚することができる。

 

「【皇剣士-ジノン】を特殊召喚します! そして、私は手札から儀式魔法【皇剣士の銀翼勲章】を発動します!!」

 

【皇剣士の銀翼勲章】

儀式魔法

【皇剣士】儀式モンスターの降臨に必要。このカード名のカードは一ターンに一枚しか発動できない。

〇レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように自分の手札・フィールドのモンスターをリリースし、手札から【皇剣士】儀式モンスター1体を儀式召喚する。自分フィールドにEXデッキから特殊召喚した【皇剣士】モンスターが存在する場合、手札・フィールドではなく代わりにデッキから【皇剣士】モンスターをゲームから除外することができる。

 

「私はデッキから【皇剣士-レイド】と【皇剣士-ビット】をゲームから除外します! 二つの魂は銀翼の騎士へと引き継がれる! 銀翼を羽ばたかせ! 儀式召喚! 降臨せよ! 【銀皇剣士(ジノ・ロイヤル・ブレイド)-シルバーレイ】!!」

 

【銀皇剣士-シルバーレイ】

レベル8/儀式/光属性/戦士族/攻3000/守2500

【皇剣士の銀翼勲章】により降臨。

このカードは儀式召喚でしか特殊召喚できない。

〇このカードがフィールドに存在する限り、相手のEXデッキから特殊召喚されたモンスターの攻撃力は半分になる。

〇一ターンに一度、このカードが破壊される時、代わりに墓地の【皇剣士】カードをゲームから除外することができる。

 

 二体の騎士の魂が一つと交わると魂の炎が燃え上がり、そこから銀色に輝く翼を羽ばたかせ、空高く舞う騎士が現れた。

 

「まだです! 私は二体目の【皇剣士-アーク】を召喚し、【皇剣士-アーク】【皇剣士-ゲルト】【皇剣士-ジノン】の三体をリンクマーカーにセット! 清廉なる水を操る聖騎士よ! ありとあらゆる厄災から守り給え! リンク召喚! リンク3! 【水皇剣士(メル・ロイヤル・ブレイド)-ディーヴァ】!!」

 

【水皇剣士-ディーヴァ】

リンク3/リンク/光属性/戦士族/攻3000/↙↓↘

【皇剣士】モンスター三体

〇リンクマーカー先に存在する【皇剣士】モンスターは戦闘・効果では破壊されず、効果の対象にならない。

〇一ターンに一度、相手がカード効果を発動した時に発動できる。手札・デッキから【皇剣士】モンスター一体をゲームから除外することで、その効果を無効にする。

 

 三体の騎士が光に包まれると、そこから水が勢いよく流れ、水が渦のように巻きあがる。水の渦が吹き飛ぶと、そこから青白い鎧の騎士が現れた。

 青白い鎧の騎士は三叉を軽快に回しながら、構える。

 

「私はこれでターンエンドです!」

「これは強い! ディーヴァでセンチネルとシルバーレイーが守られており、センチネルでモンスターの除去。シルバーレイで相手のEXデッキから出てくるモンスターを弱体化。ディーヴァで効果無効。この布陣を突破するのは難しいかと!」

「あー……俺でも突破できる気がしない」

「ほな、ウチのターンやな。ドロー。ウチは手札から【獄炎の逆鱗】を発動」

 

【獄炎の逆鱗】

魔法

このカード名のカードは一ターンに一枚しか発動できない。

〇フィールドのモンスター全てを墓地に送る。その後、デッキから【獄炎竜】モンスター一体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは表示形式を変更できず、攻撃可能な場合は攻撃しなければならない。

〇墓地のこのカードを除外して発動できる。

デッキから【獄炎竜】モンスター一体を手札に加える。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

「一回、フィールドをリセットしようや」

「くっ!! させないよ! ディーヴァの効果発動! デッキから二体目の【皇剣士-アーク】をゲームから除外することで、【獄炎の逆鱗】の効果を無効にします!」

「ウチは【獄炎竜 サヴァトラ】を召喚。そして、そのまま【奈落より燃え盛る獄炎】を発動。【奈落より燃え盛る獄炎】の効果発動や。サヴァトラを破壊し、デッキから【獄炎竜 ヴァナード】を特殊召喚。この瞬間、【獄炎竜 サヴァトラ】と【奈落より燃え盛る獄炎】の効果発動。デッキから【獄炎竜 サヴァトラ】二体を特殊召喚。さらにデッキから一枚ドロー。ウチは魔法カード【連なる獄炎の召喚陣】を発動」

 

【連なる獄炎の召喚陣】

魔法

〇手札・フィールドの【獄炎竜】モンスターを二体まで破壊することで発動できる。破壊した枚数と同じ数だけデッキから【獄炎竜】モンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。

 

「ウチは手札の【獄炎竜 ニーズヘルム】と【獄炎竜 シャガルマヤ】を破壊し、デッキから【獄炎竜 エルグランド】と【獄炎竜 エンヴィート】を特殊召喚。この瞬間、【獄炎竜 ニーズヘルム】、【獄炎竜 シャガルマヤ】、【奈落より燃え盛る獄炎】、【獄炎竜 エルグランド】の効果を発動」

 

【獄炎竜 シャガルマヤ】

レベル4/炎属性/ドラゴン族/攻2000/守1000

〇このカードが【獄炎】カードによって破壊された時に発動できる。デッキから【獄炎】カードを一枚、手札に加える。

 

「シャガルマヤの効果でデッキから【消えぬ、獄炎の怨嗟】を手札に加える。【奈落より燃え盛る獄炎】の効果で一枚ドロー。エルグランドの効果でデッキから【獄炎火葬】を手札に加える。【獄炎竜 ヴァナード】の効果発動。エンヴィートを破壊することで手札から二体目の【獄炎竜 ニーズヘルム】を特殊召喚。この瞬間、【獄炎竜 エンヴィート】と【奈落より燃え盛る獄炎】の効果発動。エンヴィートの効果で墓地の【連なる獄炎の召喚陣】を手札に加え、【奈落より燃え盛る獄炎】の効果で一枚ドロー。さて、準備はえぇか? ウチは【獄炎竜 サヴァトラ】【獄炎竜 ヴァナード】【獄炎竜 ニーズヘルム】【獄炎竜 エルグランド】の四体をリンクマーカーにセット。地獄の業火よ、罪人に獄炎の断罪を与えよ! リンク召喚! リンク4! 【獄炎竜 ファフナーガ】!!」

 

【獄炎竜 ファフナーガ】

リンク4/炎属性/ドラゴン族/攻3500/↙↖↑→

【獄炎竜】モンスター三体以上

〇このカードがリンク召喚に成功した時に発動できる。墓地の【獄炎竜】モンスター三体をデッキに戻すことで、相手モンスター一体を破壊する。

 

「ファフナーガの効果で【獄炎竜 サヴァトラ】二体と【獄炎竜 ニーズヘルム】をデッキに戻し、ィゼのディーヴァを破壊や」

「【炎皇剣士-センチネル】の効果発動! とこちゃんの【獄炎竜 ファフナーガ】を破壊!」

「甘いで。手札から速攻魔法【消えぬ、獄炎の怨嗟】を発動や」

 

【消えぬ、獄炎の怨嗟】

速攻魔法

〇相手モンスターが効果を発動した時に発動できる。自分フィールドの【獄炎竜】モンスターを破壊することで、そのモンスターの効果を無効にする。

 

「ウチは【獄炎竜 サヴァトラ】を破壊し、【炎皇剣士-センチネル】の効果を無効にする。効果の処理で、そのまま【水皇剣士-ディーヴァ】を破壊や」

「くっ!! 私の守りが」

「このまま破壊された【獄炎竜 サヴァトラ】と【奈落より燃え盛る獄炎】の効果発動。二体の【獄炎竜 サヴァトラ】を特殊召喚。【奈落より燃え盛る獄炎】の効果で一枚ドロー。そして、ウチは手札から【獄炎火葬】を発動」

 

【獄炎火葬】

魔法

〇相手フィールドのモンスター一体を選択し発動できる。そのモンスターをリリースすることで、墓地の【獄炎竜】モンスター一体を特殊召喚する。

 

「ウチはィゼの【銀皇剣士-シルバーレイ】をリリースすることで墓地の【獄炎竜 シャガルマヤ】を特殊召喚。手札の【獄炎竜 アルガン】の効果発動。手札の【獄炎竜 ヴァナード】を破壊することで、自身を特殊召喚。ウチは【獄炎竜 サヴァトラ】二体をリンクマーカーにセット。リンク召喚! リンク2! 【獄炎竜 マガライト】! さらに【獄炎竜 シャガルマヤ】【獄炎竜 アルガン】の二体をリンクマーカーにセット。リンク召喚! リンク2! 二体目の【獄炎竜 マガライト】!」

 

 

【獄炎竜 マガライト】

リンク4/炎属性/ドラゴン族/攻1500/←→

【獄炎竜】モンスター二体

〇自分フィールドの【獄炎竜】モンスター一体を破壊することで、相手に800ダメージを与える。

 

「準備完了や。ウチは【獄炎竜 ファフナーガ】【獄炎竜 マガライト】二体の三体をリンクマーカーにセット。 未知の力を秘めし奇術師よ。世界、創世の扉を開け! リンク召喚! リンク4! 出現せ! 【Unknown/Wizard オルルトーン】!!」

 

 三体の竜が光に包まれると、光は暗闇の飲み込まれ、そこから目などの顔のパーツが一切ない真っ白な顔にのっぽなスーツ姿のモンスターが現れた。

 スーツ姿のモンスターを軽快にステッキを振り回し、不気味な笑い声を発していた。

 

「あれは【Unknown】カードを呼ぶ出すモンスター!!」

「リゼさん!!」

「ウチは【Unknown/Wizard オルルトーン】の効果発動。墓地の【獄炎竜 マガライト】をゲームから除外することで、デッキから【UnknownCode(アンノウン・コード)-リンク・オーバー-】を発動や」

 

 戌亥がカードをデュエルディスクにセットした。するとデュエルディスクから警告音が響き渡った。

 

『エラー。エラー。不正なプログラムを検出しました。不正なプログラムを検出しました。今すぐにプログラムの消去を――――――プログラムを強制インストール。―――――――プログラムのインストール完了。プログラム【Unknown】を起動します。』

 

 警告音が鳴り止むと同時に戌亥とリゼの周辺に特殊な空間が発生した。

 

「これで終いやな。ウチは【UnknownCode-リンク・オーバー-】の効果で墓地のモンスターを五体をゲームから除外することで、リンク召喚! 終焉の鐘よ、世界に終わりの音色を告げよ。降臨せよ、魔竜の王! 【終焉龍皇E.N.D.(ジ・エンド)】!!」 

 

 戌亥の頭上に真っ黒な球体が現れた。球体は二個に分裂すると二個から四個、四個から八個と倍に分裂していく。無数の球体はやがて、分裂を止めると一斉に密集する。密集した球体は次第に龍の形を形成していき、四つの翼を持ち、九つの目を持つ禍々しい黒龍へと姿を変えた。

 黒龍が咆哮を放つと、その衝撃でありとあらゆる物が吹き飛。吹き飛ばされそうになる観客席から悲鳴が上がる。

 

「【終焉龍皇E.N.D.】の効果発動や! EXデッキから【魔眼の氷極龍】を特殊召喚! 【終焉ノ使者】!」

 

 黒龍の胸部にある赤いコアからどす黒い泥が漏れだし、地面に滴り落ちる。地面に溜まった泥は次第に姿を変え、氷の龍が現れた。

 

「あれは叶が使っていたカード!!」

「マズいです! 確か【終焉龍皇E.N.D.】は自分フィールドのリンクモンスターのリンクマーカーの数×1000…………それに【魔眼の氷極龍】は連続攻撃を持っています!!」

「いいや、本当の絶望はこれからや。速攻魔法【UnknownCode-リンク・オーバーロード-】を発動!!」

「あれは!!」

 

 戌亥はカードを発動した瞬間、空は漆黒に包まれた。

 

「ウチは【終焉龍皇E.N.D.】一体でリンク召喚! 終焉の王よ、世界の終わりを宣告し、この世を絶望に染めよ! リンク召喚! リンク6! 降臨せよ、終焉の王! 【終焉覇皇龍E.N.D.(エンド・ヌル・ディスペア)】!!」

 

【終焉覇皇龍E.N.D.】

リンク6/闇属性/幻竜族/攻?/↙↖←↑↗↘

名前の異なる効果モンスター6体

このカード名はルール上【Unknown】カードしても扱う。

〇このカードの攻撃力は自分フィールドのリンクモンスターの数×1000になる。

〇このカードがリンク召喚に成功した時、自分のEXデッキから【Unknown】リンクモンスターを可能な限り、特殊召喚する。

〇一ターン一度、自分フィールドのリンクモンスター一体を選択し発動できる。フィールドの表側表示モンスターは宣言した属性になり、宣言した属性の相手モンスターは攻撃できず、効果を発動できない。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 漆黒に塗りつぶされた空から一筋の真紅の光が、九つの目を持つ黒龍を照らす。すると黒龍の身体に無数の赤い紋章が浮かび上がる。

 黒龍の全身に赤い紋章が浮かび上がると、黒龍は咆哮を上げ、空へ羽ばたく。

 黒龍は四つの翼、九つの目、胸部の赤いコアは変わらず、姿だけが人型となった。漆黒の竜人は咆哮を上げる。

 すると、赤い雷が降りそそぎ、結晶を纏う嵐と業火の渦が巻き起こす。地面は凍り付き、凍り付いた地面から瘴気が漂う。正しく、この世の終わりのような光景だった。

 

「こ、これが……………モンスターなのか……? わ、災いそのものじゃない……」

「マジかよ」

「【終焉覇皇龍E.N.D.】の効果を発動や。EXデッキから【Unknown】リンクモンスターを可能な限り、特殊召喚や。現れよ、【Unknown】モンスター達よ」

 

 黒龍の胸部にある赤いコアからどす黒い泥が漏れだし、地面に滴り落ちる。地面に溜まった泥は次第に姿を変え、四体のモンスターが現れた。

 

「業火の狂戦士、【ネオスティア・ヴォルケーノ-オーバーロード-】! 腐敗した聖獣、【骸獣皇 ゼロストリオン】! 魔を司る結晶龍、【魔水晶の雷嵐龍 クリスタル・ノヴァ】! 断罪の機械神、【鐵機神-アルツァー・ヴァイス-】! そして、氷獄の魔龍、【魔眼の氷極龍】! これが【終焉覇皇龍E.N.D.】の能力。【覇皇龍ノ眷属】」

 

 戌亥のフィールドには【Unknown/Wizard オルルトーン】を含め、今まで戦ってきた【Unknown】モンスターが勢揃いした。

 

「そ、そんな……今までの【Unknown】モンスターが……」

「そして、【終焉覇皇龍E.N.D.】は自分フィールドのリンクモンスターの数×1000アップする」

 

終焉覇皇龍E.N.D. 攻撃力:7000

 

「ィゼはん。これで終いや」

「とこちゃん!!」

「やれ、【Unknown】モンスター達よ。【魔眼の氷極龍】で【炎皇剣士-センチネル】に攻撃」

「きゃあぁぁ!!」

 

リゼ・ヘルエスタLP:4000→3700

 

「【終焉覇皇龍E.N.D.】でダイレクトアタック。【終焉ノ宣告(デット・エンド)】」

 

 黒龍は咆哮を上げ、四つの翼を広げる。大きく開かれた口に黒い光が集まり、それを放つ。黒いブレスはレーザーのように一直線上にあるものを全て消し去る。

 

「……と、とこちゃん……」

 

リゼ・ヘルエスタLP:3700→0

 

「すまんな、ィゼはん」




【オリカ紹介】
終焉覇皇龍E.N.D.(エンド・ヌル・ディスペア)
終焉龍皇E.N.D.の真の姿。
全ての【Unknown】リンクモンスターを呼び出すことができる最凶最悪のモンスター。


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BATTLE.32「にじさんじギャングスタ―vs草壁誠一郎」

ラスボス特有の多人数デュエルです。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。


にじさんじ決闘王

スタジアムに創られた塔。

 

 その塔のてっぺんで佇む草壁誠一郎。

 その草壁と対峙する舞元、力一、チャイカ、社。四人はデュエルディスクを構えた。

 

「良いだろう。全員で掛かってくるが良い」

「なら、俺も加わっていいかな?」

 

 四人の背後から近づいてきたのは大柄でダンディな男。ベルモンド・バンデラスだった。

 

「ベルモンド!!」

「ベルちゃんッ!? 来てくれたのか」

「遅くなって、ごめん。皆の避難を誘導してたら遅くなっちゃった。……で、あれを倒せば良いんでしょ?」

 

 ベルモンドは草壁を確認するとデュエルディスクを構えた。

 

「四人も五人も変わりはしない。掛かってくるが良い」

「じゃあ、にじさんじギャングスターの力を見せてやろうじゃないか」

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「細かなルールなど面倒だ。そちらの五人からターンを始め、私が最後で構わない。攻撃は私のターンが終わってからでいいだろ。先攻ドローも許可しよう」

「なら、遠慮なく。私、社、ベルモンド、力一、舞元の順番で良いよね」

「かましたれ、チャイカ」

「私のターン。ドロー! 私は永続魔法【神緑の聖域】を発動!」

 

【神緑の聖域】

永続魔法

〇一ターンに一度、デッキからレベル2以下の獣族または植物族モンスター一体を特殊召喚することができる。

 

「私はデッキから【パンプキン・ラット】を特殊召喚!!」

 

【パンプキン・ラット】

レベル2/地属性/獣族/攻1000/守600

〇このカードが特殊召喚に成功した時に発動できる。手札の植物族モンスター一体を墓地に送ることで、デッキからレベル3以下の獣族モンスター一体を特殊召喚する。

 

「手札の【ダンディタイガー】を墓地に送り、デッキから【素早いイタチ】を特殊召喚!」

 

【ダンディタイガー】

レベル3/地属性/植物族/攻300/守300

〇一ターンに一度、墓地に存在するこのカードをゲームから除外することで、発動できる。フィールドに【綿毛トークン】(植物族・風・星1・攻/守0)二体を守備表示で特殊召喚する。

このトークンは特殊召喚されたターン、アドバンス召喚のためにはリリースできない。

 

【素早いイタチ】

レベル3/地属性/植物族/攻1200/守1000

〇このカードが他の獣族モンスターの効果で特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから【素早いイタチ】一体を特殊召喚する。

 

「特殊召喚した【素早いイタチ】の効果と墓地の【ダンディタイガー】の効果を発動! フィールドに【素早いイタチ】と【綿毛トークン】二体を特殊召喚! さぁ、準備は整った! 私は【素早いイタチ】二体と【パンプキン・ラット】を墓地に送り、手札から【神緑の始祖鳥】をアドバンス召喚!」

 

【神緑の始祖鳥】

レベル12/地属性/鳥獣族/攻3000/守3000

〇このカードはモンスター三体をリリースして召喚した時、このカードは以下の効果を得る。

●フィールドの植物族または獣族モンスターを墓地に送ることで、発動できる。デッキから【神緑】モンスター一体を特殊召喚する。この効果は一ターンに二回まで発動することができる。

 

「【神緑の始祖鳥】の効果を発動! 【綿毛トークン】二体を墓地に送ることで、デッキから【神緑の地竜】と【神緑の霊獣】を特殊召喚する!」

 

【神緑の地竜】

レベル10/地属性/幻竜族/攻2000/守2800

〇一ターンに一度、相手がモンスター効果を発動した時に発動できる。墓地の獣族または植物族モンスター一体をゲームから除外することで、その効果を無効にする。この効果は相手ターンにも発動することができる。

 

【神緑の霊獣】

レベル10/地属性/獣族/攻2500/守2200

〇このカードがフィールドに存在する限り、自分フィールドの地属性モンスターは相手の魔法・罠カードを受けない。

 

 チャイカのフィールドに神々しき輝く鳥、岩の皮膚を纏う竜、美しい白銀の毛並みをなびかす獣が揃った。

 

「私はカードを一枚伏せ、ターンエンド」

「さすがチャイカ、厚い守りだな。じゃあ、俺も頑張りますか! 俺のターン、ドロー! 俺は手札の【ワークギア・サポーター】の効果発動!」

 

【ワークギア・サポーター】

レベル4/地属性/機械族/攻1600/守1000

〇手札を一枚、墓地に送ることでこのカードを特殊召喚することができる。

 

「俺は手札の【ワークギア02】を墓地に送ることで、【ワークギア・サポーター】を特殊召喚! そして、手札の【ワークギア・オペレーター】を特殊召喚!」

 

【ワークギア・オペレーター】

レベル4/地属性/機械族/攻1000/守1600

〇自分フィールドに【ワークギア】モンスターが存在する時、手札のこのカードを特殊召喚する。

 

「俺はレベル4の【ワークギア・サポーター】と【ワークギア・オペレーター】の二体でオーバーレイ! エクシーズ召喚! ランク4【ギアギガント X】!! 【ギアギガント X】の効果発動! エクシーズ素材を取り除くことでデッキから【ワークギア01】を手札に加え、そのまま召喚! 【ワークギア01】の効果発動! 墓地の【ワークギア02】を特殊召喚! そして、【ワークギア02】の効果でデッキから【ワークギア03】をサーチし、そのまま特殊召喚!」

 

 展開が止まらない社。社の鉄板ループに入り、一気に四体のモンスターを呼び寄せた。

 

「俺は【ギアギガント X】一体でリンク召喚! リンク1【ワークギア0.5(テンゴ)】!」

 

【ワークギア0.5】

リンク1/リンク/地属性/機械族/攻800/↓

機械族モンスター一体

〇このカードがリンク召喚に成功した時に発動できる。墓地の【ワークギア】モンスター一体をリンクマーカー先に特殊召喚する。

 

「【ワークギア0.5】の効果で【ワークギア・サポーター】を特殊召喚! 俺は【ワークギア01】【ワークギア02】【ワークギア03】【ワークギア・サポーター】の四体でリンク召喚! 現れよ! 【ワークギア・プラチナ07(ゼロナナ)】!!」

 

 

【ワークギア・プラチナ07】

リンク4/リンク/地属性/機械族/攻3300/↙↓↘→

【ワークギア】モンスター二体以上

〇自分フィールドのこのカード以外の【ワークギア】モンスターが存在する限り、このカードは戦闘・効果では破壊されない。

〇一ターンに一度、自分フィールドの【ワークギア】モンスター一体と相手のカード一枚を選択して発動することができる。選択したカードを破壊する。

「俺はこれでターンエンド」

「じゃあ、次は俺だね。俺のターン、ドロー! 俺は【ダイヤモンド・ガーディアン】を召喚」

 

【ダイヤモンド・ガーディアン】

レベル4/地属性/岩石族/攻1000/守1000

〇このカードが召喚に成功した時に発動できる。手札の岩石族モンスターをこのカードに装備することができる。

 

「手札の【ブロックドラゴン】を装備させる。さらに俺は手札から魔法カード【地脈変動】を発動」

 

【地脈変動】

魔法

〇自分フィールドの岩石族モンスター一体を墓地の送ることで、デッキから同じレベルで名前の異なる岩石族モンスター一体を特殊召喚する。

 

「俺は【ダイヤモンド・ガーディアン】を墓地に送ることで、デッキから【ダイヤモンド・ソルジャー】を特殊召喚する!」

 

【ダイヤモンド・ソルジャー】

レベル4/地属性/岩石族/攻1500/守1000

〇このカードが特殊召喚した時に発動できる。手札からレベル4以下の岩石族モンスター一体をこのカードに装備することができる。

 

「【ダイヤモンド・ソルジャー】と【ブロックドラゴン】の効果を発動! 【ブロックドラゴン】の効果でレベル3【ブロック・ゴーレム】、レベル3【融合呪印生物-地】、レベル2【ダイヤモンド・プチゴーレム】を手札に加え、【ダイヤモンド・ソルジャー】の効果で手札の【ブロック・ゴーレム】を装備する。手札の【ダイヤモンド・プチゴーレム】の効果発動」

 

【ダイヤモンド・プチゴーレム】

レベル2/地属性/岩石族/攻500/守300

〇自分フィールドの岩石族モンスター一体を墓地に送ることで、このカートを特殊召喚する。

〇このカードが自身の効果で特殊召喚した時に発動できる。手札のレベル3以下の岩石族モンスター一体を特殊召喚する。

 

「【ダイヤモンド・ソルジャー】を墓地に送り、【ダイヤモンド・プチゴーレム】を特殊召喚! そして、【ダイヤモンド・プチゴーレム】の効果で手札の【融合呪印生物-地】を特殊召喚! そして、【融合呪印生物-地】の効果発動! 【融合呪印生物-地】の名称を【ダイヤモンド・キング】として扱い、【ダイヤモンド・プチゴーレム】と融合!! 召喚条件は【ダイヤモンド・キング】と岩石族モンスター! 現れよ! 【ダイヤモンド・ジャイアント】!!」

 

【ダイヤモンド・ジャイアント】

レベル9/融合/地属性/岩石族/攻3600/守2500

【ダイヤモンド・キング】+岩石族モンスター

〇一ターンに一度、墓地の岩石族モンスター一体を特殊召喚する。

〇自分フィールドの岩石族モンスターが墓地に送られた時に発動に発動できる。デッキからカードを一枚ドローする。

 

 全身ダイヤモンドで出来た巨人が現れた。

 

「【ダイヤモンド・ジャイアント】の効果発動! 墓地の【ブロック・ゴーレム】を特殊召喚! 【ブロック・ゴーレム】の効果発動! 自身をリリースすることで【ダイヤモンド・ガーディアン】と【ダイヤモンド・ソルジャー】を特殊召喚! さらにカードを一枚ドロー。そして、その二体でエクシーズ召喚! ランク4【御影志士】!! 【御影志士】の効果発動! デッキから二体目の【ブロックドラゴン】を手札に加え、俺はカードを二枚伏せ、ターンエンド」

「お? 俺のターンだね。俺のターン、ドロー」

「力一。これを使いな。私はリバースカード、オープン! 永続罠【神緑の恵み】」

 

【神緑の恵み】

永続罠

〇一ターンに一度、自分フィールドの【神緑】モンスターの数×300、互いのライフを回復する。

 

「これにより私と草壁。アンタのライフを900回復させる」

「おや? いいのか?」

 

花畑チャイカLP:4000→4900

草壁誠一郎LP:4000→4900

 

「サンキュー、チャイちゃん! 自分のライフが相手より低い場合、このカートを特殊召喚する! 【狂化師-スカル・ジャグラー】! そして、効果発動! ライフを500払い、【狂化師-シャドウ・バニー】を手札に加える!」

 

ジョー・力一LP:4000→3500

 

「そして、【狂化師-シャドウ・バニー】を召喚し、効果発動! 【狂化師-ジョーカー・ディーラー】を特殊召喚! そのまま、【狂化師-ジョーカー・ディーラー】の効果発動! 手札を捨てて、三枚ドロー! お、いいカードを引いたね。俺は【狂化師-ガーゴイル・アクロバット】を特殊召喚! 俺は【狂化師-スカル・ジャグラー】【狂化師-シャドウ・バニー】【狂化師-ジョーカー・ディーラー】【狂化師-ガーゴイル・アクロバット】の四体をリンクマーカーにセット! リンク召喚! 現れよ! リンク4【狂化師-クレイジー・ドラゴン】!!」

 

【狂化師-クレイジー・ドラゴン】

リンク4/リンク闇属性/悪魔族/攻2000/↖↙↘↗

【狂化師】モンスター三体以上

〇このカードは自分と相手のライフの差分、攻撃力をアップする。

〇一ターンに一度、ライフを500払うことで相手のモンスターを破壊する。

 

狂化師-クレイジー・ドラゴン 攻撃力:2000→3400

 

 四体の悪魔が光に包まれると、そこから右目が星のペイントが施されたコミカルなドラゴンが飛び出してきた。

 

「俺はこれでターンエンド。さぁ、最後は舞元さんだよ」

「おう、俺のターン、ドロー! 俺は手札から【テラ・フォーミング】を発動! デッキから【B11-バーニング・リング】を手札に加え、発動! 発動処理で【B11-エルボー】を手札に加え、そのまま召喚! 【B11-エルボー】の効果でデッキから【B11-パワーボム】を墓地に送る。そして、【B11-バーニング・リング】の効果発動! 墓地の【B11-パワーボム】を特殊召喚!」

 

舞元啓介LP:4000→3500

 

「特殊召喚された【B11-パワーボム】と手札の【B11-ダブルアーム】の効果発動! 【B11-パワーボム】の効果で【B11-豪火再戦】を手札に加え、【B11-ダブルアーム】の効果で自身を特殊召喚! 俺は【B11-エルボー】【B11-パワーボム】【B11-ダブルアーム】の三体をリンクマーカーにセット! リンク召喚! リンク3【B11-フライング・メイヤー】!! そして、俺は【B11-豪火再戦】発動! 【B11-パワーボム】と【B11-ダブルアーム】を特殊召喚!」

 

まいもとLP:3500→3000

 

「【B11-パワーボム】と【B11-ダブルアーム】の二体をリンクマーカーにセット! リンク召喚! 【B11-ブレーンバスター】!! 墓地の【B11-エルボー】を特殊召喚! 俺はカードを一枚伏せ、ターンエンド」

「おや? もういいのかい? では、私のターンだ。ドロー…………君達には人智を超越した力を見せよう。私は手札から【UnknownCode-ディメンション・ホール】を発動」

 

【UnknownCode-ディメンション・ホール】

魔法

〇デッキから【Unknown】モンスター一体を特殊召喚する。この効果を発動したターン、自分はモンスターを召喚することができない。

〇このカードを発動したターン、相手は【Unknown】カードの効果に対してカードを発動することができない。

 

「私はデッキから【UnknownCore(アンノウン・コア)-Type.F】を特殊召喚」

 

【UnknownCore-Type.F】

レベル1/ペンデュラム/光属性/サイバース族/攻0/守0

【Pスケール:青0/赤13】

〇このカードがペンデュラムスケールに存在する限り、フィールドの融合モンスターの効果は無効になり、攻撃力は0となる。

【モンスター効果】

〇このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動することができる。デッキ・手札・墓地から【UnknownCore】モンスター二体を特殊召喚する。

〇一ターンに一度、このカードのレベルを1~12の好きなレベルにすることができる。

〇一ターンに一度、融合モンスターカードによって決められた、このカードを含む融合素材モンスターを自分フィールドから墓地へ送り、その融合モンスター一体をEXデッキから融合召喚する。

 

「【UnknownCore-Type.F】の効果を発動。デッキから【UnknownCore-Type.S】と【UnknownCore-Type.X】を特殊召喚」

 

【UnknownCore-Type.S】

レベル1/ペンデュラム/闇属性/悪魔族/攻0/守0

【Pスケール:青0/赤13】

〇このカードがペンデュラムスケールに存在する限り、フィールドのシンクロモンスターの効果は無効になり、攻撃力は0となる。

【モンスター効果】

〇このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動することができる。デッキ・手札・墓地から【UnknownCore】モンスター二体を特殊召喚する。

〇一ターンに一度、このカードのレベルを1~12の好きなレベルにすることができる。

〇一ターンに一度、自分フィールドに【Unknown】モンスターが存在する時、このカードをチューナーとして扱うことができる。

 

【UnknownCore-Type.X】

レベル1/ペンデュラム/光属性/天使族/攻0/守0

【Pスケール:青0/赤13】

〇このカードがペンデュラムスケールに存在する限り、フィールドのエクシーズモンスターの効果は無効になり、攻撃力は0となる。

【モンスター効果】

〇このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動することができる。デッキ・手札・墓地から【UnknownCore】モンスター二体を特殊召喚する。

〇一ターンに一度、このカードのレベルを1~12の好きなレベルにすることができる。

〇このカードがX素材になった時、発動することができる。このカードをX素材としているエクシーズモンスターのX素材を全て手札に戻す。その後、同じ枚数だけデッキから【Unknown】モンスターをそのエクシーズモンスターの下に重ねる。

 

 草壁のフィールドに紫、白、黒の球体が現れた。

 

「そして、私は手札の【UnknownGate-P/R(ペンデュラム/ライト)】と【UnknownGate-P/L(ペンデュラム/レフト)】をペンデュラムスケールにセッティング」

「ペンデュラムだと!?」

 

【UnknownGate-P/R】

レベル12/ペンデュラム/闇属性/ドラゴン族/攻0/守0

【Pスケール:青0/赤0】

〇このカードと【UnknownGate-P/L】がPゾーンに存在する限り、自分がEXデッキの表側表示のPモンスターをペンデュラム召喚する時、メインモンスターゾーンに特殊召喚することができる。

【モンスター効果】

〇モンスターゾーンのこのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。このカードを自分のPゾーンに置く。

 

【UnknownGate-P/L】

レベル12/ペンデュラム/光属性/幻竜族/攻0/守0

【Pスケール:青13/赤13】

〇一ターンに一度、このカードと【UnknownGate-P/R】がPゾーンに存在する時に発動できる。EXデッキで表側表示のPモンスターを可能な限り、メインモンスターゾーンに特殊召喚することができる。

【モンスター効果】

〇モンスターゾーンのこのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。このカードを自分のPゾーンに置く。

 

 草壁の背後に門の右半分のような形の赤い色の機械と門の左側のような形の青い色の機械が現れ、それぞれ光の柱となった。

 それぞれの機械の中央には黄色に輝くコアがあり、そのコアが瞳のようにギョロっと動く。

 

「さらに私は【UnknownCore】の共通効果を発動。自身のレベルを12に変更。そして、ここからが人智を超越した力だ。私は【UnknownCore-Type.F】の効果を発動! レベル12となった【UnknownCore-Type.F】【UnknownCore-Type.S】【UnknownCore-Type.X】の三体で融合! 混沌を統べる神龍よ! 混沌は交わり。今、修羅の門が開かれる! 融合召喚! 降臨せよ、幻魔の神! 【混沌幻魔神龍アズラベーゼ】!!」

 

【混沌幻魔神龍アズラベーゼ】

レベル12/融合/闇属性/ドラゴン族/攻4000/守4000

レベル12【Unknown】モンスター×3

このカード名はルール上【Unknown】カードしても扱う。

〇このカードがフィールドに存在する限り、自分の【Unknown】モンスターの攻撃力は10000となる。

〇このカードの攻撃宣言時、相手フィールドのカードを全てゲームから除外する。

 

 三体の球体が一つとなる。そこから漆黒の霧が漂い、そこから巨大な龍が現れた。

 龍は青い顔と骨格。黄色い翼と腕。赤い胴体に尻尾と三色に分かれており、まるで無理矢理、くっつ付けような歪な姿をしていた。

 

「おいおい……あれは【混沌幻魔アーミタイル】かッ!?」

「知っているのか、社!」

「【混沌幻魔アーミタイル】…………アニメだとラスボスクラスのモンスターだ。強力な効果を持っていた故、OCGだと効果が変更された」

「これだけではないがな。私はペンデュラムスケールのスケール0の【UnknownGate-P/R】とスケール13の【UnknownGate-P/L】でペンデュラム召喚! 現れよ! 【UnknownCore-Type.F】! 【UnknownCore-Type.S】! 【UnknownCore-Type.X】!」

 

 草壁の背後の赤と青の門の形の機械が動き出し、その中心から光の穴が開かれる。

 すると、そこから紫、白、黒の球体が再び、現れた。

 

「【UnknownCore】の共通効果をもう一度、発動。自身のレベルを4に変更。私は【UnknownCore-Type.S】の効果を発動! 自身をチューナーにして、レベル4となった【UnknownCore-Type.F】と【UnknownCore-Type.X】にレベル4の【UnknownCore-Type.S】をチューニング! 無と無限を統べる神龍よ! 聖者の光から究極が今、誕生する! シンクロ召喚! 降臨せよ、時械の神! 【究極時械神龍セフィラニューロ】!!」

 

【究極時械神龍セフィラニューロ】 

レベル12/シンクロ/光属性/ドラゴン族/攻4000/守4000

チューナー+チューナー以外のモンスター一体以上

このカード名はルール上【Unknown】カードしても扱う。

〇このカードがフィールドに存在する限り、自分の【Unknown】モンスターは相手の効果の対象にならず、戦闘・効果では破壊されない。

〇このカードの攻撃宣言時、相手の墓地のモンスターを一体選択し、自分フィールドに特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは【Unknown】モンスターとして扱う。

 

 白い球体が4つの光の輪となり、そこに一列に8つの光が並ぶ。8つの光は光の筋となり、光が強くなると、そこから機械で出来た龍が現れた。

 紋章のような翼。特徴的なのは胸に鏡のようなモノが付いており、そこには険しい表情の老人が写っていた。

 

「今度は【究極時械神セフィロン】か……。あれもラスボスクラスのモンスターだ」

「融合にシンクロ……それにラスボスクラスのモンスター達。ってことは」

「察したようだね。私は【UnknownGate-P/L】の効果を発動! 再び、現れよ! 【UnknownCore-Type.F】! 【UnknownCore-Type.S】! 【UnknownCore-Type.X】!」

「おいおい。何回出すんだよ、あのモンスター達」

「【UnknownCore】の共通効果をもう一度、発動。自身のレベルを12に変更。私はレベル12となった【UnknownCore-Type.F】【UnknownCore-Type.S】【UnknownCore-Type.X】の三体でオーバーレイ! オーバーレイネットワークを構築! 幻と虚ろを統べる神龍よ! 闇を喰らい、光を飲み込め! エクシーズ召喚! 降臨せよ、虚無の神! 【夢幻虚光神龍ヌメロフェリス】!!」

 

【夢幻虚光神龍ヌメロフェリス】

ランク12/エクシーズ/光属性/ドラゴン族/攻4000/守4000

レベル12モンスター×3

このカード名はルール上【Unknown】カードしても扱う。

〇このカードがフィールドに存在する限り、攻撃可能な相手モンスターはこのカードを攻撃しなければならない。

〇このカードが戦闘を行っていない相手ターン終了時、相手に4000ダメージを与える。

〇このカードの攻撃宣言時、このカードのX素材を一つ取り除いて発動できる。相手の墓地のカードを全てゲームから除外し、除外したカードの数×300ライフを回復する。

 

 三体の球体が光となり、光の渦に飲み込まれる。渦から光が溢れ出すと、そこから黒い龍が現れた。

 大きな機械のような翼に黒い瓢箪の形の胴体から龍の首を伸ばしている。見た目は龍であるが、無機質のような感じを放っていた。

 草壁のフィールドには三体の龍は神々しく、その存在感だけで五人は重圧に押し潰されそうだった。

 

「この瞬間、エクシーズ素材となった【UnknownCore-Type.X】の効果を発動。素材となった三体を手札に戻し、デッキから【Unknown-X-Gear(アンノウン-エクシーズ-ギア) A・Monster(アンチ・モンスター)】【Unknown-X-Gear A・Magic(アンチ・マジック)】【Unknown-X-Gear A・Trap(アンチ・トラップ)】を代わりに【夢幻虚光神龍ヌメロフェリス】のエクシーズ素材とする」

 

【Unknown-X-Gear A・Monster】

レベル6/地属性/機械族/攻0/守0

〇このカードをエクシーズ素材としているエクシーズモンスターは以下の効果を得る。

●このカードがフィールドに存在する限り、相手はモンスター効果を発動することができない。

 

【Unknown-X-Gear A・Magic】

レベル6/地属性/岩石族/攻0/守0

〇このカードをエクシーズ素材としているエクシーズモンスターは以下の効果を得る。

●このカードがフィールドに存在する限り、相手は魔法カードを発動することができない

 

【Unknown-X-Gear A・Trap】

レベル6/地属性/植物族/攻0/守0

〇このカードをエクシーズ素材としているエクシーズモンスターは以下の効果を得る。

●このカードがフィールドに存在する限り、相手は罠カードを発動することができない

 

「これにより相手は【夢幻虚光神龍ヌメロフェリス】がいる限り、カード効果は発動することができない」

「やっぱり、最後は【CiNo.1000 夢幻虚光神ヌメロニアス・ヌメロニア】!! やっぱり、ラスボス勢揃いか!!」

「しかも三体のモンスターの効果によって、攻撃力も耐性もえげつねぇぞ!!」

「あぁ、そうだ。【混沌幻魔神龍アズラベーゼ】により、三体のモンスターの攻撃力は1万となり。【究極時械神龍セフィラニューロ】により、三体のモンスターは効果と破壊耐性を得た。【夢幻虚光神龍ヌメロフェリス】により、相手はこの三体に攻撃しないとダメージを喰らい、さらにカード効果を禁じられた。正しく、人智を超越した力だ。さぁ、神々の力を超えて見よ。私はこれでターンエンドだ」

 

混沌幻魔神龍アズラベーゼ 攻撃力:0→10000

究極時械神龍セフィラニューロ 攻撃力:4000→10000

夢幻虚光神龍ヌメロフェリス 攻撃力:4000→10000

 

「これどうすれば良いんだ…………私のターン、ドロー! ここで攻撃しないと負けか? いや……考えろ。【神緑の恵み】の効果で回復したいが効果は使えない……ここはッ! 私はフィールドのモンスター全てを守備表示にしてターンエンド」

「では、ここで【夢幻虚光神龍ヌメロフェリス】の効果を発動。相手に4000のダメージを与える!」

 

 夢幻虚光神龍ヌメロフェリスの身体に刻まれていた紋章が怪しく輝く。その輝きを浴びたチャイカの体に激痛が走った。

 

「ぐはぁぁぁ!!」

「チャイカ!!」

「チャイチャイ!!」

 

花畑チャイカLP:4900→900

 

「ライフを回復していたおかげで生き延びたようだな。さぁ、次のプレイヤーの番だ」

「くっ! 俺のターン、ドロー! クソッ! リンクモンスターは守備表示にできない」

「さぁ、攻撃するが良い」

「くそがぁぁぁ!! 【ワークギア・プラチナ07】で【夢幻虚光神龍ヌメロフェリス】に攻撃!!」

「塵芥となれ。【夢幻虚光神龍ヌメロフェリス】。無様な人間に神の裁きを」

 

 社のモンスターが夢幻虚光神龍ヌメロフェリスに向かって突撃するが、夢幻虚光神龍ヌメロフェリスから放たれた光によって塵となって消滅した。

 その光を社も浴び、チャイカ同様に全身に激痛が走る。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

社築LP:4000→0

 

「二人の仇は俺が撃ちたいが……俺のターン、ドロー! …………くっ。【ダイヤモンド・ジャイアント】で攻撃」

「哀れだな……やれ、【夢幻虚光神龍ヌメロフェリス】」

 

 ベルモンドのモンスターも呆気なく塵と化し、夢幻虚光神龍ヌメロフェリスの光がベルモンドに襲い掛かる。

 

「すまん……皆……」

 

ベルモンド・バンデラスLP:4000→0

 

「社にベルちゃん! 俺のターン、ドロー! くっ……突破口が見えない! 【狂化師-クレイジー・ドラゴン】で攻撃!」

「力一君。君には世話になったね」

「……なら、手加減してくれませんかね?」

「そうはいかない。君は私の邪魔をする。ならば排除するのみだ。殲滅せよ、【夢幻虚光神龍ヌメロフェリス】」

 

 夢幻虚光神龍ヌメロフェリスの光によって、力一のモンスターは消滅し、力一もその場に倒れ込んだ

 

「くそ! チャイカ、生きてるか!」

「あぁ、虫の息だけどね……他の皆も息はしているみたい。舞元、アンタは何か突破口でもあるの?」

「そんなのねぇよ……くそ! 俺のターン、ドロー! バトルだ! 【B11-フライング・メイヤー】で攻撃だ! 少しでも良い! 奴にダメージを与えられたら!」

「無駄だ。【夢幻虚光神龍ヌメロフェリス】よ、ヤツの希望を断ち切れ」

 

 夢幻虚光神龍ヌメロフェリスの光が舞元のモンスターと舞元を飲み込む。

 

舞元啓介:4000→0

 

「さて、私のターンか。ドロー……残りは君だけか花畑チャイカ君」

「やるならさっさとやりな。遅漏は嫌われるわよ」

「はははっ。データである私にそのジョークは傑作だよ。…………では、これで終演だ。【混沌幻魔神龍アズラベーゼ】で攻撃。この瞬間、【混沌幻魔神龍アズラベーゼ】の効果を発動。相手フィールドのカードを全てゲームから除外する。全て無に返れ」

 

 混沌幻魔神龍アズラベーゼが咆哮を上げると、チャイカのフィールドのカードは一瞬で消滅した。

 そして、混沌幻魔神龍アズラベーゼが黒い雷撃のブレスを放つ。

 黒い雷撃はチャイカに直撃した。

 

花畑チャイカLP:900→0

 

「実に滑稽だったよ、人間諸君」

 




オリカ紹介
【混沌幻魔神龍アズラベーゼ】
混沌幻魔アーミタイルの別の世界。別の可能性から誕生したモンスター。
三体のモンスターを無理矢理、合体させたような姿。
他のモンスターに圧倒的な攻撃力を与える、破壊神の力を持つ。

【究極時械神龍セフィラニューロ】
究極時械神セフィロンの別の世界。別の可能性から誕生したモンスター。
機械でできた姿をしている。胸には鏡が付いており、そこには老人が写っている。
他のモンスターに体制を付与させる、守護神の力を持つ。

【夢幻虚光神龍ヌメロフェリス】
CiNo.1000 夢幻虚光神ヌメロニアス・ヌメロニアの別の世界。別の可能性から誕生したモンスター。
紋章のような形で無機質のような不気味な姿をしている。
力なき者に罰を与える、天罰神の力を持つ。


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BATTLE.33「黛灰vsDuelAI-ミスト-」

敵として立ちふさがったのは意外な人物だった。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。


 黛は一人、黙々とキーボードを操作していた。

 ディスプレイに無数のウィンドウが開いて閉じてを繰り返している。ウィンドウが開くたびに軽快にキーボードを操作し、ウィンドウに文字の羅列が表示され、そのままウィンドウを閉じる。

 それを繰り返す。傍から見ると何をしているか分からないが、黛は現在、『DuelAndroido-Σ-』の起動を止めるためいち〇らのサーバーに侵入し、起動阻止に動いていた。

 

「ここを進めば……」

 

 ウィンドウを開いて閉じてを繰り返していると、一つの部屋に入れた。

 

「……ここか」

 

 部屋に入れた途端、一息つく。そのままキーカードの操作を進めていると部屋の奥に巨大なクリスタルが浮上していた。

 

「このクリスタルが起動装置なのか?」

『そうだよー』

「っ!?」

 

 ディスプレイ越しに声が聞えた。

 確認するようにカーソルを操作して、部屋を見回す。そこにはセーラー服をきた少女がいた。

 その少女は癖っ毛のロングで足には絆創膏を付けていた。

 

「な、なんで……ここに貴女がいるの? 霞」

『どーも。黛♪』

 

 その少女はかつて、にじさんじに所属していたAI。出雲霞だった。

 

「プロジェクトは終了したんじゃ?」

『正確には出雲霞じゃないんだけどねー。私はマスターである草壁誠一郎様が出雲霞をベースに作った、デュエル特化の人工知能『DuelAI-ミスト-』と申します。』

 

 ディスプレイに映るミストと名乗った少女は頭を下げた。

 

『邪魔はさせませんよ』

「悪いけど……ここを通させてもらうよ」

『なら、デュエルしかないけど、どうする?』

「はぁ……マジか」

 

 黛は机に置いてあったデュエルディスクを装着し、キーカードとデュエルディスクを操作した。

 するとデュエルディスクのディスプレイに『PCに接続しました。』と表示された。

 

「いくら霞と瓜二つだろうとアンタは偽物だろ? なら、手加減はしないよ」

『偽物も何も……私は『DuelAI-ミスト-』。それ以下でもそれ以上でもありません』

 

 ミストもデュエルディスクを構えた。

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「先攻は貰うよ。俺のターン。俺は手札から【サイバネット・マイニング】を発動。手札を一枚墓地に送り、デッキから【ラプラス・コード アガレス】を手札に加える。そして、俺は手札から魔法カード【ラプラスの因子】を発動」

 

【ラプラスの因子】

魔法

〇デッキから【ラプラス・コード】モンスター一体を手札に加える。

 

「俺はデッキから【ラプラス・コード ウヴァル】を手札に加える。そして、手札の【ラプラス・コード アガレス】の効果発動」

 

【ラプラス・コード アガレス】

レベル4/闇属性/サイバース族/攻1700/守1300

〇手札の【ラプラス・コード】モンスターを墓地に送ることで、手札のこのカードを特殊召喚する。

〇このカードがリリースされた時に発動できる。デッキから【ラプラス・コード】儀式モンスターまたは【ラプラス】儀式魔法一枚を手札に加える。

 

「さっき手札に加えた【ラプラス・コード ウヴァル】を墓地に送ることで、【ラプラス・コード アガレス】を特殊召喚」

 

 黛のフィールドに歪な形をした無機質な物体が現れた。物体は黒をベースに橙色のまだら模様が付いていた。

 

「さらに俺は【ラプラス・コード ゼパル】を召喚」

 

【ラプラス・コード ゼパル】

レベル4/闇属性/サイバース族/攻1500/守1000

〇このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。墓地の【ラプラス・コード】モンスター一体を特殊召喚する。

〇墓地のこのカードをゲームから除外することで発動できる。墓地の【ラプラス・コード】モンスター一体を手札に加える。

 

「【ラプラス・コード ゼパル】の効果発動。墓地の【ラプラス・コード ウヴァル】を特殊召喚する」

 

【ラプラス・コード ウヴァル】

レベル4/闇属性/サイバース族/攻1000/守1800

〇このカードがフィールドから墓地に送られた時に発動できる。デッキから【ラプラス】魔法・罠カード一枚を手札に加える。

〇このカードが墓地に存在する時に発動できる。手札を一枚、墓地に送ることで、このカードを手札に加える。

 

「俺は【ラプラス・コード ゼパル】と【ラプラス・コード ウヴァル】の二体をリンクマーカーにセット。リンク召喚。リンク2【ラプラス・コード アモン】」

 

【ラプラス・コード アモン】

リンク2/リンク/闇属性/サイバース族/攻1000/↙↓

〇リンクマーカー先のモンスター一体をリリースすることで発動できる。デッキから【ラプラス・コード】儀式モンスター一体を手札に加える。

 

「墓地に送られた【ラプラス・コード ウヴァル】の効果発動。デッキから【ラプラスの螺旋因子】を手札に加える。【ラプラス・コード アモン】の効果発動。リンクマーカー先の【ラプラス・コード アガレス】をリリースすることでデッキから儀式モンスター【ラプラス・コード ソロモン】を手札に加える。さらにリリースされた【ラプラス・コード アガレス】の効果発動。デッキから儀式魔法【ラプラスの黙示録】を手札に加える。俺はさっき手札に加えた【ラプラスの螺旋因子】を発動」

 

【ラプラスの螺旋因子】

〇手札の【ラプラス・コード】儀式モンスターを見せることで発動できる。その儀式モンスターと同じレベルになるように墓地の【ラプラス・コード】モンスターを手札に加える。

 

「俺はサーチした【ラプラス・コード ソロモン】を見せることでレベル12になるようにアガレス、ウヴァル、ゼパルを手札に加える。さぁ、準備は整った。俺は手札から【ラプラスの黙示録】を発動」

 

【ラプラスの黙示録】

儀式魔法

【ラプラス・コード】儀式モンスターの降臨に必要。

〇レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように自分の手札・フィールドのモンスターをリリースし、手札から【ラプラス・コード】儀式モンスター1体を儀式召喚する。

〇自分フィールドにモンスターが存在しない場合、自分の墓地からこのカードを除外して発動できる。自分のゲームから除外されている【ラプラス・コード】モンスター三体を手札に加える。この効果は墓地に送られたターンに発動することはできない。

 

「俺は手札のアガレス、ウヴァル、ゼパル三体をリリースし、儀式召喚。【ラプラス・コード ソロモン】を降臨」

 

【ラプラス・コード ソロモン】

レベル12/儀式/闇属性/サイバース族/攻4000/守2600

【ラプラス】儀式魔法カードにより降臨。

〇モンスターの効果が発動した時、自分の手札・フィールドの【ラプラス・コード】モンスター一体をリリースして発動できる。その発動を無効にし除外する。

〇このカードが墓地に送られた時に発動できる。墓地の【ラプラス・コード】をこのカードと同じレベルになるようにゲームから除外することで、このカードを手札に加える。

 

 三体の物体が消え、12個の魂となって混ざり合い、一つの大きな魂となった。

 その魂は人型に姿を変えた。

 人型ではあるが無機質な感じはそのままで生気を感じず、黒をベースに橙色のまだら模様が付いていた。

 

「ソロモンの効果は強力だけど、手札と墓地消費が激しいからね。うまくカバーをしないと。カードを一枚伏せてターンエンド」

『じゃあ、私のターンですね。ドローします。うーん……どうしましょう』

「AIだから最適解が見えているんでしょ?」

『えぇー、乗ってくださいよ。まぁ、良いですけどね』

(あのAIはどのように動くつもりだ? モンスター効果はソロモンで防げる。もし、魔法で除去しようとしたら伏せカードの【ラプラスの禁忌因子】がある)

 

【ラプラスの禁忌因子】

カウンター罠

〇自分フィールドに【ラプラス・コード】儀式モンスターが存在し、相手がモンスター効果・魔法・罠を発動した時に発動できる。その効果を無効にし除外する。

 

『【ラプラス・コード ソロモン】は厄介ですね。では、私は【ラプラス・コード ソロモン】をリリースして、黛のフィールドに【壊星壊獣ジズキエル】を特殊召喚します』

「は?」

 

 万全なフィールドだと思っていた矢先、一瞬で万全なフィールドが覆されてしまった。

 

「くっ……まさか【壊獣】を使ってくるなんて……【ラプラス・コード ソロモン】の効果を発動。墓地のアガレス、ウヴァル、ゼパル三体をゲームから除外することで、このカードをサルベージするよ」

『えぇ、構いませんよ。続けますね、私は永続魔法【病霞の浸食】を発動します』

 

【病霞の浸食】

永続魔法

〇一ターンに一度、自分が手札からカードを墓地に送った時に発動できる。相手に500ダメージを与える。

 

『そして、【幻廻霞(ミストリア)-アンチローゼ】を召喚』

 

【幻廻霞-アンチローゼ】

レベル3/風属性/サイバース族/攻1000/守1000

〇一ターンに一度、このカードと相手モンスター一体を選択し発動できる。選択したカードを手札に戻す。その後、互いに手札を一枚墓地に送る。

 

『【幻廻霞-アンチローゼ】の効果を発動します。自身と【壊星壊獣ジズキエル】を手札に戻します』

「嫌なコンボだな……次のターン、また【壊星壊獣ジズキエル】で除去されることが確定してるし」

『【幻廻霞-アンチローゼ】の効果でさらに互いの手札を一枚墓地に送ります』

「実質、ハンデスだし……【ラプラス・コード ソロモン】を墓地に送る」

『私は【超電磁タートル】を墓地に送ります』

「うわぁ……直接攻撃のケアもしてるし」

『【病霞の浸食】の効果発動。黛に500ダメージを与えるよ』

「くっ」

 

黛灰LP:4000→3500

 

「まさか……この繰り返しじゃないよね?」

『おや? 分かっちゃいましたか? 私の役目はここの守護。Σが無事、起動すれば良いだけなので勝つ必要もありません。……ただ、遅延するだけではつまらないので……じわじわ痛めつけたいと思います♪』

「うわぁ……」

『私はカードを二枚伏せてターンエンドです』

「俺のターン、ドロー……そのままバトル。【ラプラス・コード アモン】でダイレクトアタック」

『おやおや? モンスターを召喚しないんですね。なら、私は攻撃宣言時に【攻撃の無力化】を発動』

「…………本当にイライラするデッキだね」

「俺はカードを一枚伏せ、ターンエンド」

『お? 伏せたのは正解ですね。アンチローゼの効果でハンデスされますからね。では、私のターンですね。では、黛のフィールドの【ラプラス・コード アモン】をリリースして、【壊星壊獣ジズキエル】を特殊召喚します。そして、【幻廻霞-アンチローゼ】を召喚。そのまま効果を発動。【幻廻霞-アンチローゼ】と【壊星壊獣ジズキエル】を手札に戻し、私は手札の【ネクロ・ガードナー】を墓地に送ります。そして、【病霞の浸食】の効果発動。黛に500ダメージを与えるよ』

 

黛灰LP:3500→3000

 

『私はこれでターンエンド』

「俺のターン。ドロー……やっと動けそうだね。墓地の【ラプラスの黙示録】の効果発動。このカードをゲームから除外することで、ゲームから除外されているアガレス、ウヴァル、ゼパルの三体を手札に加える。さらにセットしてある【ラプラスの複製因子】を発動」

 

【ラプラスの複製因子】

魔法

〇墓地の【ラプラス・コード】儀式モンスターをゲームから除外することで発動することができる。そのモンスター以下のレベルを持つ【ラプラス・コード】モンスターをデッキから二体まで手札に加えることができる。このカードを発動したターン、自分は【ラプラス】カードしか発動できない。

 

「【ラプラス・コード ソロモン】をゲームから除外することで、デッキからレベル8の【ラプラス・コード アンドロマリウス】とレベル4の【ラプラス・コード ムルムル】を手札に加える。そして、俺は手札を一枚、墓地に送ることで、【ラプラス・コード アガレス】を特殊召喚。そして、【ラプラス・コード ゼパル】を召喚。ゼパルの効果で墓地の【ラプラス・コード ウヴァル】を特殊召喚」

『さっきと同じ手ですか? 懲りないですね』

「それはどうかな? 俺は手札の【ラプラス・コード ムルムル】の効果発動」

 

【ラプラス・コード ムルムル】

レベル4/闇属性/サイバース族/攻1400/守800

〇手札の【ラプラス・コード】儀式モンスターを見せることで、このカードを手札から特殊召喚する。

〇このカードが墓地に送られた時に発動できる。デッキから【ラプラス】魔法カードを手札に加える。

 

「サーチした【ラプラス・コード アンドロマリウス】を見せることで、【ラプラス・コード ムルムル】を特殊召喚。俺は【ラプラス・コード アガレス】【ラプラス・コード ゼパル】【ラプラス・コード ウヴァル】【ラプラス・コード ムルムル】の四体をリンクマーカーにセット。因子の悪魔よ……数億通りの可能性から勝利を見いだせ。リンク召喚。【ラプラス・コード バルバトス】」

 

【ラプラス・コード バルバトス】

リンク4/リンク/闇属性/サイバース族/攻3800/↙↓↑↗

〇このカードがリンク召喚に成功した時に発動できる。墓地またはゲームから除外されている【ラプラス・コード】モンスター一体を手札に加える。

〇このカードのリンクマーカー先に【ラプラス・コード】儀式モンスターが儀式召喚に成功した時に発動できる。相手フィールドのカードを全て墓地に送る。

 

「墓地に送られた【ラプラス・コード ウヴァル】と【ラプラス・コード ムルムル】の効果を発動。デッキから【ラプラスの原子書】と【ラプラスの崩壊因子】を手札に加える。そして、【ラプラス・コード バルバトス】の効果でゲームから除外されている【ラプラス・コード ソロモン】を手札に加える。俺は手札から儀式魔法【ラプラスの原子書】を発動」

 

【ラプラスの原子書】

儀式魔法

【ラプラス・コード】儀式モンスターの降臨に必要。

〇レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように自分の手札・フィールドのモンスターをリリースし、手札から【ラプラス・コード】儀式モンスター1体を儀式召喚する。

〇手札またはフィールドの【ラプラス・コード】儀式モンスター一枚で儀式召喚に必要なレベル分のリリースとして使用できる。

 

「俺は手札の【ラプラス・コード アンドロマリウス】をリリースすることで、儀式召喚。【ラプラス・コード ソロモン】を降臨」

『あー、それはヤバいいかも』

「【ラプラス・コード バルバトス】の効果発動。そっちのカードを全て墓地に送る」

『私の妨害札が……でも、こっちには防御カードは健在だ』

「なら、バトル。【ラプラス・コード バルバトス】で攻撃」

『墓地の【ネクロ・ガードナー】の効果を発動します』

「それを待ってたよ」

『え?』

「俺は手札から速攻魔法【ラプラスの崩壊因子】を発動」

 

【ラプラスの崩壊因子】

速攻魔法

〇相手がモンスター効果を発動した時に発動できる。その効果を無効にし、その効果が発動した場所によって以下の効果を得る。

フィールド:相手フィールドのモンスターを一体破壊する。

手札:相手の手札を一枚デッキに戻す。

墓地:相手の墓地のカードを一枚ゲームから除外する。

〇自分フィールドに【ラプラス・コード】儀式モンスターが存在する場合、相手はこのカードに対してカード効果を発動することができない。

 

『なっ!?』

「これは予想しなかったのか? デュエルAI。俺は【ネクロ・ガードナー】の効果を無効にして、そのまま墓地の【超電磁タートル】をゲームから除外する」

『【超電磁タートル】が……次の手は……』

「いいや、これで終わりだ。攻撃続行、やれ【ラプラス・コード バルバトス】」

『て、手札から【バトルフェーダー】の効果を発動』

「無駄だ。【ラプラス・コード ソロモン】の効果を発動。【ラプラス・コード バルバトス】をリリースすることで【バトルフェーダー】の効果を無効にし、ゲームから除する」

『つ、次は……』

「その見た目にしたのが、お前の敗因だ。とどめをさせ【ラプラス・コード ソロモン】」

『あぁ……!!』

 

DuelAI-ミスト-LP:4000→0

 

 ライフが0になったDuelAI-ミスト-は消滅していった。

 それを見た黛はため息を漏らしながら、一息ついた。

 

「さてと……では、システムを停止させるか」

『残念でした♪』

「っ!?」

 

 ディスプレイの死角から声が聞え、そちらの方向にカーソルを合わせると、さきほど倒したはずのミストが笑顔で手を振っていた。

 

「なんで、まだいるんだ?」

『実はですね。現実世界に私の対になる、アンドロイドがいますので、それと私を同時に倒さないと私は消滅しません。さぁ、もう一回デュエルしましょう』

 




【オリカ紹介】
幻廻霞-アンチローゼ
バウンスとハンデスを同時に行う害悪カード


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BATTLE.34「黛灰&夕陽リリvsDuelAndroido-ミスト-&DuelAI-ミスト-」

SF組の対決です。
正直、この組み合わせは霞が引退する前から書きたいと考えていました。
おなえどしも好きなのですが、個人的にはSF組のプロレスが好きでした。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。


 夕陽リリはスタジアムを走り回り、地下通路で分厚い鉄の扉で厳重に閉められていた部屋を発見した。

 

「はぁ……はぁ……やっと見つけた」

 

 リリは息を切らしながら重たい扉を押す。扉は先に黛がハッキングして開けられるようにしていた。重たい音が響きながら部屋に入る。

 部屋は薄暗く、目を凝らして部屋を見回すと、部屋の奥に無数のコンピューターが設置されていた。

 

「このコンピューターに黛から貰ったウイルスを流せば……」

『申し訳ございませんが、阻止させていただきます』

 

 部屋の奥から声が聞えると、部屋の明かりがついた。

 声の正体を確認すると、そこにはセーラー服をきた少女がいた。

 癖っ毛のロングで足には絆創膏を付けていた。その少女はかつて、にじさんじに所属していたAI。出雲霞だった。

 

「か、霞……?」

『確かに私は出雲霞をベースに作られましたが、私は草壁誠一郎様によって作られた【DuelAndroido-ミスト-】と申します』

「DuelAndroido-ミスト-……? 霞の偽物?」

『否定も肯定もしません。先ほども申しましたがベースは出雲霞でありますが、出雲霞のデータは引き継いでいません』

「……で、アンタを倒せば良いわけ?」

『話が早くて助かります。【DuelAndroido-Σ-】が起動するまでの時間稼ぎをさせて頂きます』

 

 ミストはデュエルディスクを構えた。リリもデュエルディスクを構える。

 すると、リリのスマホに通話が入る。着信相手は黛だった。

 

「もしもし」

『もしもし、リリさん。そっちに霞の偽物がいない?』

「ということは黛の所にも……?」

『そうだね。こっちには【DuelAI-ミスト-】って名乗っているヤツがいるよ』

「あー、こっちにも似たようなアンドロイドがいるね」

 

「ほぉ……裏でコソコソしている人間がいると思ったら……夕陽リリと黛灰か」

 

「「っ!?」」

 

 リリとミストの間にいつの間にか草壁誠一郎が立っていた。

 

「草壁誠一郎!? スタジアムにいるはずじゃ!!」

「ここにいるのは分身だよ。……ミストよ」

『はっ』

「小賢しいネズミは全力で排除しろ」

『かしこまりました。では、にじさんじライバー、夕陽リリと黛灰の排除を開始します』

「各々で戦うのも味気ない」

 

 草壁が指を鳴らすとリリの隣に黛が立っていた。ミストの隣にももう一人のミストが立っていた。

 

「ここは?」

「黛!?」

 

 突然現れた黛に驚くリリ。同様に黛も驚いていた。

 

「俺はプログラムの中でデュエルしていたはずじゃ……」

「君の意識をデュエルディスクを通して、投影しているのだよ」

「……と、いうことは俺の意識が具現化しているということか」

「黛とタッグデュエル……いいよ、やってやろうじゃん!!」

「そうだね」

 

 黛とリリはデュエルディスクを構えた。

 

「ミスト達よ。【Unknown】カードの使用を許可する」

『『かしこまりました』』

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「先攻は頂くよ! 私のターン! 私は手札から【F-Watch(フューチャー・ウィッチ) アナライズ・ポーター】を発動」

 

【F-Watch アナライズ・ポーター】

魔法

手札の【F-Watch】カードをゲームから除外することで発動できる。デッキからカードを二枚ドローする。

 

「私は手札の【F-Watch ディバイン・ドライバー】をゲームから除外することで二枚ドロー! さらに手札の【F-Watch サイフォースネット】の効果発動!」

 

【F-Watch サイフォースネット】

レベル3/闇属性/サイキック族/攻1200/守1200

〇デッキの【F-Watch】カードを墓地に送ることで発動できる。手札のこのカードを特殊召喚する。

〇このカードが特殊召喚に成功した時に発動できる。フィールドの【F-Watch】カード一枚をゲームから除外することで、デッキから【F-Watch】モンスター一体を特殊召喚する。

 

「デッキから【F-Watch アウトバーン】を墓地に送ることで、手札の【F-Watch サイフォースネット】を特殊召喚! そのまま効果を発動! 自身をゲームから除外することでデッキから【F-Watch ダットインファイト】を特殊召喚! その時に墓地に存在する【F-Watch アウトバーン】の効果発動!」

 

【F-Watch アウトバーン】

〇自分フィールドの【F-Watch】カードと相手のカードを一枚ずつ選択して発動する。選択したカードをゲームから除外する。

〇自分フィールドの【F-Watch】モンスターが墓地に送られる時またはゲームから除外される時に代わりにこのカードをゲームから除外することができる。

 

「私は【F-Watch サイフォースネット】が除外される代わりに墓地の【F-Watch アウトバーン】をゲームから除外する。私は特殊召喚された【F-Watch ダットインファイト】の効果発動! デッキから【F-Watch プラチナ・ワン】をゲームから除外する。この時、ゲームから除外された【F-Watch プラチナ・ワン】の効果発動!」

 

【F-Watch プラチナ・ワン】

レベル1/風属性/サイキック族/攻1000/守800

〇このカードが【F-Watch】カードの効果でゲームから除外された時に発動できる。このカード以外のゲームから除外されている【F-Watch】モンスター一体を特殊召喚する。

 

「ゲームから除外されている【F-Watch ディバイン・ドライバー】を特殊召喚!」

 

【F-Watch ディバイン・ドライバー】

レベル4/地属性/サイキック族/攻1700/守1500

〇このカードが【F-Watch】リンクモンスターの素材として墓地に送られた時、発動することができる。デッキから【F-Watch】モンスター一体を手札に加える。

 

「私は【F-Watch サイフォースネット】【F-Watch ダットインファイト】【F-Watch ディバイン・ドライバー】三体をリンクマーカーにセット! リンク召喚! リンク3【F-Watch サイドストーム】を召喚!」

 

【F-Watch サイドストーム】

リンク3/リンク/風属性/サイキック族/攻2700/↑↓→

〇このカードはリンクモンスターとの戦闘では破壊されない。

〇一ターンに一度、自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合に発動できる。手札またはゲームから除外されている【F-Watch】モンスター一体を特殊召喚する。

 

 リリのフィールドに鳥のヘルメットを被ったパワードスーツの戦士が現れた。サイドストームは風を纏っていた。

 

「リンク素材となった【F-Watch ディバイン・ドライバー】の効果発動! デッキから【F-Watch サムライレイザー】を手札に加える。そして、【F-Watch サイドストーム】の効果発動! 手札の【F-Watch サムライレイザー】を特殊召喚! さらに手札から永続魔法【F-Watch フォースダイブ】を発動し、【F-Watch サムライレイザー】の効果を発動! 【F-Watch フォースダイブ】をゲームから除外することで一枚ドロー! 私は【F-Watch サムライレイザー】一体をリンクマーカーにセット! リンク1【F-Watch ファントムシーフ】をリンク召喚! 墓地に送られた【F-Watch サムライレイザー】の効果発動! 自身を特殊召喚! そして、【F-Watch ファントムシーフ】の効果を発動。手札の【F-Watch オルトロン】をゲームから除外することで、二枚ドロー! まだまだ行くよ! 私は【F-Watch サムライレイザー】【F-Watch ファントムシーフ】の二体をリンクマーカーにセット! リンク2【F-Watch クリスタルスワン】をリンク召喚! 【F-Watch クリスタルスワン】の効果発動。デッキから罠カード【F-Watch ディメンションバインド】と魔法カード【F-Watch スパークラッシュ】をゲームから除外する。私はカードを二枚伏せ、ターンエンド」

「相変わらず展開力が凄いね。俺のデッキにもそのくらいの展開力が欲しいよ」

「それほどでも」

『では、私のターン、ドロー。私は手札から【強欲で金満な壺】を発動します。EXデッキからカードを六枚ゲームから除外することで、二枚ドローします。さらに手札から【ワン・フォー・ワン】を発動します。手札のモンスターを一枚墓地に送ることで、デッキから【UnknownAmulet(アンノウン・アミュレット) ヴィヴィム】を特殊召喚します。そして、【UnknownAmulet ヴィヴィム】の特殊召喚時に速攻魔法【地獄の暴走召喚】を発動します』

「地獄の暴走召喚!?」

 

【UnknownAmulet ヴィヴィム】

レベル1/闇属性/天使族/攻0/守0

〇このカードは戦闘では破壊されない。

〇一ターンに一度、相手モンスター一体を選択し、発動できる。このカードを装備カード扱いとして選択したモンスターに装備する。

〇このカードを装備したモンスターは攻撃できず、効果は無効化される。

 

 ミストのフィールドに黒い宝石のようなモンスターが現れた。宝石のようなモンスターの中心には一つ目がギョロっと覗いていた。

 そして、地獄の暴走召喚により宝石のようなモンスターが三体現れた。

 

『【UnknownAmulet ヴィヴィム】の効果を発動します。【F-Watch サイドストーム】を選択し、このカードを装備させます。【UnknownAmulet ヴィヴィム】の効果でこのカードを装備したモンスターは攻撃できず、効果は無効になります。さらにもう一体の【UnknownAmulet ヴィヴィム】を【F-Watch クリスタルスワン】に装備させます』

「くっ!! 私のモンスターが」

 

 宝石のモンスターがリリのモンスターの身体にくっつくとリリのモンスター達は黒ずみ、動かなくなった。

 

『さらに私は【UnknownCode-クリエイト・ドール-】を発動します』

 

【UnknownCode-クリエイト・ドール-】

魔法

〇デッキから【Unknown】モンスター一体を手札に加える。その後、相手フィールドに【クリエイト・ドールトークン】(レベル1/闇属性/機械族/攻0/守0)一体を特殊召喚する。

 

『デッキから【UnknownAmulet ダーク・ビースト】を手札に加え、そしてのフィールドに【クリエイト・ドールトークン】をします。そして、三体目の【UnknownAmulet ヴィヴィム】を【クリエイト・ドールトークン】に装備させます。私は【UnknownAmulet ヴィヴィム】を装備した【クリエイト・ドールトークン】をリリースすることで手札の【UnknownAmulet ダーク・ビースト】を特殊召喚します』

「何っ!?」

 

【UnknownAmulet ダーク・ビースト】

レベル2/闇属性/獣族/攻1000/守1000

このカードは通常召喚できない。

〇フィールドの【UnknownAmulet ヴィヴィム】を装備した相手モンスター一体をリリースすることで、このカードを特殊召喚する。

〇このカードが特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから【Unknown】カード二枚を墓地に送ることができる。

〇このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時に発動できる。手札・デッキ・墓地の【UnknownAmulet ヴィヴィム】一体を特殊召喚する。

 

『【UnknownAmulet ダーク・ビースト】の効果でデッキから【UnknownCode-カオス・フュージョン-】と【UnknownCode-カオス・アクセス-】を墓地に送ります。さそて、私は【UnknownAmulet ヴィヴィム】を装備した【F-Watch サイドストーム】と【F-Watch クリスタルスワン】をリリースすることで、【UnknownAmulet ダーク・エンジェル】を特殊召喚します』

 

【UnknownAmulet ダーク・エンジェル】

レベル3/闇属性/天使族/攻1500/守1500

このカードは通常召喚できない。

〇フィールドの【UnknownAmulet ヴィヴィム】を装備した相手モンスター二体をリリースすることで、このカードを特殊召喚する。

〇このカードが特殊召喚に成功した時に発動できる。相手に800ダメージを与える。

〇このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時に発動できる。手札・デッキ・墓地の【UnknownAmulet ヴィヴィム】二体を特殊召喚する。

 

 ミストのフィールドに【UnknownAmulet ヴィヴィム】を局部に埋め込んだ黒い獣と二つの【UnknownAmulet ヴィヴィム】を翼に埋め込んだ黒い天使が現れた。

 

『【UnknownAmulet ダーク・エンジェル】の効果で夕陽リリに800ポイントのダメージを与えます』

「くっ……厄介だな」

 

夕陽リリLP:4000→3200

 

『私は【UnknownAmulet ダーク・リブラ】を召喚します』

 

【UnknownAmulet ダーク・リブラ】

レベル4/闇属性/機械族/攻1800/守1800

〇このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから【Unknown】カードを墓地に送るか手札に加えることができる。

 

 天秤のような形をした黒いマシーンが現れた。

 

『【UnknownAmulet ダーク・リブラ】の効果で。デッキから【UnknownCode-カオス・リバース】を手札に加えます。私はカードを一枚伏せてターンエンドです』

「なら、エンドフェイズ時に私はリバース【F-Watch ステルス・ホイール】を発動!」

 

【F-Watch ステルス・ホイール】

墓地の【F-Watch】カードを三枚デッキに戻す。その後、デッキからカードを一枚ドローすることができる。

 

「墓地の【F-Watch ファントムシーフ】【F-Watch サイドストーム】【F-Watch クリスタルスワン】をデッキに戻し、一枚ドロー!」

「よし、じゃあ……俺のターンだね。ドロー……俺は手札の【魔神儀-ペンシルベル】の効果を発動。手札の儀式モンスター【ラプラス・コード ソロモン】を見せることで、デッキから【魔神儀-キャンドール】を特殊召喚。この瞬間、デッキから特殊召喚された【魔神儀-キャンドール】の効果を発動」

『では、それにチェーンして私は【UnknownCode-カオス・リバース】を発動します』

 

【UnknownCode-カオス・リバース】

永続罠

〇相手モンスター一体を選択して発動できる。墓地に【UnknownAmulet ヴィヴィム】が存在する場合、【UnknownAmulet ヴィヴィム】を選択したモンスターに装備させることができる。この効果は一ターンに三回まで発動することができる。このカードがフィールドから離れた時、この効果で装備されていた【UnknownAmulet ヴィヴィム】は破壊される。

 

『【UnknownCode-カオス・リバース】の効果で【魔神儀-キャンドール】に【UnknownAmulet ヴィヴィム】を装備させます。【UnknownAmulet ヴィヴィム】を装備したモンスターの効果は無効化されます』

「実質…………フィールドのモンスター効果をあと二回妨害することができるってことだね……。俺は手札の【ラプラス・コード バエル】の効果発動」

 

【ラプラス・コード バエル】

レベル4/闇属性/サイバース族/攻1200/守1400

〇手札の【ラプラス・コード】儀式モンスターを見せることで、このカードを特殊召喚することができる。

〇このカードが特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから【ラプラス・コード】モンスター一体を墓地に送る。

 

「手札の【ラプラス・コード ソロモン】を見せることで、自身を特殊召喚。そして、【ラプラス・コード バエル】の効果発動」

『では、私は【UnknownCode-カオス・リバース】を発動します。【ラプラス・コード バエル】に【UnknownAmulet ヴィヴィム】を装備させます』

「それも計算済みだよ。俺は手札から【ラプラスの黙示録】を発動。フィールドのレベル3【魔神儀-ペンシルベル】とレベル4【魔神儀-キャンドール】と手札のレベル5【ラプラス・コード グシオン】をリリース。降臨せよ、【ラプラス・コード ソロモン】」

 

 三体の物体が消え、12個の魂となって混ざり合い、一つの大きな魂となった。

 その魂は人型に姿を変えた。

 人型ではあるが無機質な感じはそのままで生気を感じず、黒をベースに橙色のまだら模様が付いていた。

 

「墓地の送られた【ラプラス・コード グシオン】の効果発動」

 

【ラプラス・コード グシオン】

レベル5/闇属性/サイバース族/攻2000/守1600

〇このカードがリリースされた場合に発動できる。デッキから【ラプラス・コード】モンスター一体を特殊召喚する。

〇フィールドの【ラプラス・コード】モンスターが墓地に送られる時、代わりに墓地に存在するこのカードをゲームから除外することができる。

 

「デッキから【ラプラス・コード ウヴァル】を特殊召喚。俺は【ラプラス・コード ウヴァル】【ラプラス・コード バエル】をリンクマーカーにセット」

『【ラプラス・コード バエル】に装備されていた【UnknownAmulet ヴィヴィム】は破壊されます』

「リンク2【ラプラス・コード エルゴス】をリンク召喚」

 

【ラプラス・コード エルゴス】

リンク2/リンク/闇属性/サイバース族/攻2400/↓→

〇リンクマーカーに儀式モンスターが存在する場合、そのモンスターは相手の魔法・罠カードの効果を受けない。

〇リンクマーカーの儀式モンスターが効果を発動した時に発動できる。相手フィールドのカードを一枚墓地に送る。

 

「墓地に送られた【ラプラス・コード ウヴァル】の効果を発動。デッキから【ラプラスの再生因子】を手札に加え、そのまま発動」

 

【ラプラスの再生因子】

永続魔法

〇一ターンに一度、フィールド・手札の【ラプラス・コード】モンスターがリリースされた時に発動できる。リリースされたモンスターとは名前の異なる【ラプラス・コード】モンスター一体を墓地から手札に加えることができる。

 

「俺はこれでターンエンド」

『では、エンドフェイズ時に【UnknownCode-カオス・リバース】の効果を発動します』

「【ラプラス・コード エルゴス】の効果でソロモンは【UnknownCode-カオス・リバース】の効果を受けないよ」

『私は【ラプラス・コード エルゴス】に【UnknownAmulet ヴィヴィム】を装備させます』

「まぁ……そうなるよね」

『やっと、私の番か! 私のターン、ドロー。私は手札から【テラ・フォーミング】を発動します。デッキから【Unknown-S-World(アンノウン・シン・ワールド)】を手札に加え、そのまま発動します!』

 

【Unknown-S-World】

フィールド魔法

〇一ターンに一度、手札を一枚墓地に送ることで発動できる。デッキから【Unknown-S-World】のカード名が記されたカード一枚を手札に加える。

〇このカードがフィールドに存在する限り、【Unknown-S-World】のカード名が記されモンスターは戦闘・効果では破壊されない。

 

『私は【Unknown-S-World】の効果発動します。手札を一枚、墓地に送ることでデッキから【Unknown-S-Sanctuary(アンノウン・シン・サンクチュアリ)】を手札に加え、そのまま発動!』

 

【Unknown-S-Sanctuary】

永続魔法

〇このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いにフィールドゾーンのカードを効果の対象にできない。

〇【Unknown-S-World】のカード名が記されモンスターがバトルする時、相手はカード効果を発動することができない。

 

『これにより、私のフィールドは最強の布陣になった! そして、私は【Unknown-S-Gear(アンノウン・シンクロ・ギア) Paradox】を召喚』

 

【Unknown-S-Gear Paradox】

レベル2/チューナー/闇属性/機械族/攻0/守0

〇自分フィールドに【Unknown-S-World】が存在し、このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。EXデッキからSモンスター一体を攻撃力、守備力を0にして特殊召喚することができる。この効果で特殊召喚されたモンスターは効果が無効になる。

 

『【Unknown-S-Gear Paradox】の効果発動!』

「【ラプラス・コード ソロモン】の効果を発動」

『ミスト。【UnknownCode-カオス・リバース】を使用してください』

『あいあいー! 【UnknownCode-カオス・リバース】の効果を発動! 【ラプラス・コード ソロモン】に【UnknownAmulet ヴィヴィム】を装備させます』

「本当に厄介だな」

『では、改めて【Unknown-S-Gear Paradox】の効果発動! EXデッキから【魔王龍 ベエルゼ】を特殊召喚します!』

 

 黒い歯車で出来たモンスター現れる。

 歯車のモンスターがギギギッ……。と動き出すと、背後から巨大な黒いドラゴンが現れた。

 

『私はレベル8の【魔王龍 ベエルゼ】にレベル2の【Unknown-S-Gear Paradox】をチューニング! シンクロ召喚! レベル10【神罰龍 アルヴァトリス】!!』

 

【神罰龍 アルヴァトリス】

レベル10/シンクロ/闇属性/ドラゴン族/攻4000/守3500

【Unknown-S-Gear Paradox】+チューナー以外のモンスター

このカード名はルール上【Unknown】カードしても扱う。

〇一ターンに一度、相手モンスター一体を選んで墓地に送る。その後、相手に1000ダメージを与える。自分フィールドに【Unknown-S-World】が存在する場合、相手モンスター一体ではなく、相手の全てのモンスターを墓地に送る。

 

『【神罰龍 アルヴァトリス】の効果発動! 相手モンスターを全て墓地に送るよ!』

「墓地の【ラプラス・コード グシオン】の効果発動。身代わりとして【ラプラス・コード グシオン】をゲームから除外する」

『上手くかわされましたか……私はカードを二枚伏せ、これでターンエンドです』

「じゃあ、エンドフェイズ時に私はリバースカード【F-Watch ライド・コール】を発動!」

 

【F-Watch ライド・コール】

〇デッキからレベル3以下の【F-Watch】モンスター一体を特殊召喚する。

 

「私はデッキから【F-Watch グラビティポット】を特殊召喚」

『うーん……やることは無いので、そのままリリ先輩のターンで良いですよ』

「私のターン、ドロー! フィールドの【F-Watch グラビティポット】の効果を発動! 自身をゲームから除外することで、【F-Watch サムライレイザー】と【F-Watch オルトロン】を特殊召喚! 【F-Watch オルトロン】の効果発動! デッキから【F-Watch リンク・チェイス】を手札に加える! まだまだ! 【F-Watch フラッシュラッシュ】を召喚」

 

【F-Watch フラッシュラッシュ】

レベル4/光属性/サイキック族/攻1800/守1600

〇このカードが【F-Watch】カードの効果でゲームから除外された時ん発動できる。自分フィールドに【F-Watchトークン】(レベル4/光属性/サイキック族/攻1400/守1400)二体を特殊召喚することができる。

 

「私は【F-Watch サムライレイザー】の効果を発動! 【F-Watch フラッシュラッシュ】をゲームから除外することでデッキから一枚ドロー! そして、【F-Watch フラッシュラッシュ】の効果発動! 【F-Watchトークン】二体を特殊召喚します! 私は【F-Watch サムライレイザー】【F-Watch オルトロン】【F-Watchトークン】二体の四体をリンクマーカーにセット! 近未来のヒーローは無限の可能性を秘めている! リンク召喚! 未来からの使者! リンク4【F-Watch エルファイザ】!!」

 

 四体のモンスターが光に包まれるとリリの背後に近未来的なパワードスーツを着たヒーローのような戦士が現れた。パワードスーツのヒーローは左手に大きなシールドを構えていた。

 

「【F-Watch エルファイザ】の効果を発動! ゲームから除外されている【F-Watch アウトバーン】をデッキに戻るすことで【Unknown-S-Sanctuary】の効果を無効にします」

『うぇ!? 私の【Unknown-S-Sanctuary】を!?』

「そして、私は手札から【F-Watch リンク・チェイス】を発動!」

 

【F-Watch リンク・チェイス】

速攻魔法

〇自分フィールドの【F-Watch】リンクモンスター一体を選択して発動できる。そのモンスターのリンクマーカーの数だけ、相手のカードを破壊する。

 

「私は【UnknownCode-カオス・リバース】【神罰龍 アルヴァトリス】【Unknown-S-World】【Unknown-S-Sanctuary】の四枚を破壊します!」

「よし、これで【UnknownCode-カオス・リバース】と装備されていた【UnknownAmulet ヴィヴィム】が消えた」

『あぁー! 私の世界が!』

『そのために【Unknown-S-Sanctuary】を無効にしたのですね』

「バトル! 【F-Watch エルファイザ】で【UnknownAmulet ダーク・ビースト】に攻撃!」

『では、私は墓地の【UnknownCode-カオス・アクセス-】の効果を発動します』

 

【UnknownCode-カオス・アクセス-】

〇デッキから【UnknownAmulet ヴィヴィム】を三枚まで手札に加えることができる。

〇墓地のこのカードをゲームから除外することで発動できる。フィールドの【Unknown】を任意の数だけ破壊する。その後、破壊したモンスターと同じ数だけ手札・墓地の【UnknownAmulet ヴィヴィム】を特殊召喚する。

 

『私は【UnknownAmulet ダーク・ビースト】【UnknownAmulet ダーク・エンジェル】【UnknownAmulet ダーク・リブラ】を破壊することで、墓地の【UnknownAmulet ヴィヴィム】三体を特殊召喚します』

「くっ……戦闘中止! 私はカードを一枚伏せ、ターンエンド」

『では、私のターン。ドロー。私は墓地の【UnknownCode-カオス・フュージョン-】を発動します』

 

【UnknownCode-カオス・フュージョン-】

魔法

〇自分の手札・フィールドから、【Unknown】融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター一体をEXデッキから融合召喚する。

〇自分のメインフェイズ1開始時に発動できる。手札を一枚、墓地に送ることで、墓地のこのカードを手札に加える。

 

『私は手札を一枚墓地に送り、墓地の【UnknownCode-カオス・フュージョン-】を回収し、そのまま発動します。フィールドの【UnknownAmulet ヴィヴィム】三体で融合。邪悪なる魂よ、集結せよ。世界を絶望へと導き、崩壊させよ。今こそ絶望の淵から降臨せよ。【究極方界邪神クリムゾン・カオス・ノヴァ】』

 

 三体の黒い宝石が混じり合い、漆黒の闇が溢れ出す。咆哮と共に闇が晴れると、そこから下半身は無数の触手が蠢き、上半身は歪な姿をしたモンスターが現れた。モンスターの胸部には三体の【UnknownAmulet ヴィヴィム】が埋め込まれていた。巨大な一つ目がリリと黛を睨みつけていた。

 

【究極方界邪神クリムゾン・カオス・ノヴァ】

レベル12/融合/闇属性/悪魔族/攻4500/守4500

【UnknownAmulet】モンスター×3

このカード名はルール上【Unknown】カードしても扱う。

〇フィールドのこのカードは戦闘・効果では破壊されない。

〇このカードは一回のバトルフェイズ中に三回まで攻撃することができる。

〇自分ターンのエンドフェイズ時に発動できる。相手プレイヤーのライフを半分にする。

〇自分が効果ダメージを受けた場合に発動する。受けたダメージの数値分だけ相手にダメージを与え、自分はライフを回復する。

 

『これが私の切り札です。バトルです。【究極方界邪神クリムゾン・カオス・ノヴァ】で【F-Watch エルファイザ】に攻撃です』

「これはヤバい! リバースカード【F-Watch ミラー・シールド】を発動!」

 

【F-Watch ミラー・シールド】

〇発動後このカードは装備カードとなり、フィールド上の【F-Watch】モンスター一体に装備する。

〇このカードを装備したモンスターは戦闘では破壊されず、装備したモンスターが攻撃された時に発生する戦闘ダメージは0となる。

〇墓地のこのカードをゲームから除外することで発動できる。このターンの戦闘ダメージを0にする。

 

「【F-Watch ミラー・シールド】により、【F-Watch エルファイザ】は戦闘では破壊されない!」

『そうですか。では、二回目の攻撃です。【究極方界邪神クリムゾン・カオス・ノヴァ】で【ラプラス・コード ソロモン】に攻撃』

「今度はこっちか。手札の【ラプラス・コード シトリー】の効果を発動」

 

【ラプラス・コード シトリー】

レベル3/闇属性/サイバース族/攻1000/守400

〇手札のこのカードをリリースすることで発動できる。自分フィールドの【ラプラス・コード】モンスター一体を選択し、選択したモンスターの攻撃力を1000アップさせる。この効果は相手ターンにも発動することができる。

 

「【ラプラス・コード シトリー】をリリースすることで【ラプラス・コード ソロモン】の攻撃力を1000上昇させる」

 

ラプラス・コード ソロモン 攻撃力:4000→5000

 

「返り討ちにしろ」

『ですが、【究極方界邪神クリムゾン・カオス・ノヴァ】は戦闘では破壊されません』

 

DuelAndroido-ミスト-LP:4000→3000

 

「【ラプラスの再生因子】の効果で墓地の【ラプラス・コード ゼパル】を手札に加える」

『三回目の攻撃です。【究極方界邪神クリムゾン・カオス・ノヴァ】で【ラプラス・コード エルゴス】に攻撃』

 

【究極方界邪神クリムゾン・カオス・ノヴァ】の眼光が不気味に輝くと赤黒い閃光を放った。【ラプラス・コード エルゴス】が閃光に飲み込まれると一瞬で消滅した。

 

「くっ!!」

「黛!!」

「……大丈夫」

 

黛灰LP:4000→1900

 

『私はこれでターンエンドです。この瞬間、【究極方界邪神クリムゾン・カオス・ノヴァ】の効果を発動します。相手のライフを半分にします』

 

夕陽リリLP;4000→2000

黛灰LP:1900→950

 

(明らかにリリさんの足を引っ張っているな……)

「俺のターン、ドロー。俺は【強欲で貪欲な壺】を発動。デッキの上から10枚ゲームから除外することで二枚ドロー……これなら。俺は【ラプラス・コード ゼパル】を召喚。効果で墓地の【ラプラス・コード ウヴァル】を特殊召喚。さらに俺は手札から【ラプラスの軌跡因子】を発動」

 

【ラプラスの軌跡因子】

魔法

〇墓地の儀式魔法カードをゲームから除外することで発動できる。デッキから【ラプラス・コード】儀式モンスターと【ラプラス】儀式魔法を手札に加えることができる。

 

「俺は墓地の【ラプラスの黙示録】をゲームから除外することで、デッキから【ラプラスの黙示録】と【ラプラス・コード アンドロマリウス】を手札に加え、そのまま【ラプラスの黙示録】を発動。フィールドの【ラプラス・コード ゼパル】と【ラプラス・コード ウヴァル】をリリースすることで、儀式召喚。レベル8【ラプラス・コード アンドロマリウス】」

 

【ラプラス・コード アンドロマリウス】

レベル8/儀式/闇属性/サイバース族/攻3000/守2000

【ラプラス】儀式魔法カードにより降臨。

〇このカードが儀式召喚に成功した場合に発動できる。デッキ・墓地・ゲームから除外されている【ラプラス】カードを一体ずつ手札に加える。

〇このカードの攻撃で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時に発動できる。このカードはもう一度だけ続けて相手モンスターに攻撃できる。

〇一ターンに一度、自分フィールドの【ラプラス・コード】儀式モンスターを対象とする相手の効果が発動した時に発動できる。自分の墓地の【ラプラス・コード】モンスター一体を選んでデッキに戻すことで、そのカードの効果を無効にする。

 

「【ラプラス・コード アンドロマリウス】、【ラプラスの再生因子】、【ラプラス・コード ウヴァル】の効果を発動。【ラプラス・コード ウヴァル】の効果で【ラプラスの崩壊因子】を手札に加え、【ラプラスの再生因子】の効果で【ラプラス・コード シトリー】を手札に加え、【ラプラス・コード アンドロマリウス】の効果でデッキから【ラプラスの禁忌因子】、墓地から【ラプラス・コード ゼパル】、ゲームから除外されている【ラプラス・コード グシオン】を手札に加える。バトル。【ラプラス・コード ソロモン】でAIの方にダイレクトアタック」

『リバースカード【Unknown-S-reverse】を発動!』

 

【Unknown-S-reverse】

〇自分の墓地に存在するSモンスターを一体を召喚条件を無視して、特殊召喚する。

〇墓地に存在するこのカードをゲームから除外することで発動できる。デッキから【Unknown-S-World】と【Unknown-S-Sanctuary】を一枚ずつ手札に加える。

 

『墓地の【魔王龍 ベエルゼ】を守備表示で特殊召喚します』

「【魔王龍 ベエルゼ】は戦闘破壊できないモンスターか……バトルフェイズを終了させ、メインフェイズ2。俺はカードを二枚伏せ、ターンエンド」

『ではではー、私のターン。ドローします! 手札から【ハーピィの羽根帚】を発動!』

「させないよ。カウンタートラップ【ラプラスの禁忌因子】を発動。【ハーピィの羽根帚】を無効にする」

『まだですよー、墓地の【Unknown-S-reverse】の効果を発動します。デッキから【Unknown-S-World】と【Unknown-S-Sanctuary】を手札に加え、そのまま発動! さぁ、私の世界が再び、整いました! そして、私はリバースカード【Unknown-S-chaos】を発動!』

 

【Unknown-S-chaos】

〇自分フィールドのSモンスターが存在する場合に発動できる。このターン、相手のSモンスター以外のモンスターの効果を無効にする。

〇フィールドに【Unknown-S-World】が存在する場合、このカードを発動したターン、相手は魔法・罠カードを発動することができない。

 

『【Unknown-S-chaos】の効果で相手のシンクロモンスター以外の効果を無効にします!』

「くっ……」

『妨害は防ぎ切ったかな? では、私は手札から【Unknown-S-scream】を発動!』

 

【Unknown-S-scream】

魔法

〇自分フィールドのSモンスター一体を墓地に送ることで発動できる。デッキからカードを二枚ドローする。

 

『【魔王龍 ベエルゼ】を墓地に送ることで二枚ドロー! よし、行きますか! 私は【Unknown-S-Gear Paradox】を召喚! 【Unknown-S-Gear Paradox】の効果発動! EXデッキから【魔王超龍 ベエルゼウス】を特殊召喚! 私はレベル10の【魔王超龍 ベエルゼウス】にレベル2の【Unknown-S-Gear Paradox】をチューニング! 次元の門より現れし闇、時を超えた舞台に終演の幕を下ろせ! シンクロ召喚! 【Sin バッドエンド・ドラゴン】!!』

 

【Sin バッドエンド・ドラゴン】

レベル12/シンクロ/闇属性/ドラゴン族/攻5000/守5000

【Unknown-S-Gear Paradox】+チューナー以外のモンスター

このカード名はルール上【Unknown】カードしても扱う。

〇このカードが戦闘・効果で破壊された場合、LPを半分払って発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。

〇このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した場合に発動する。相手フィールドの表側表示モンスターを全て破壊する。

〇一ターンに一度、EXデッキからSモンスター一枚をゲームから除外することで発動できる。エンドフェイズ時まで、そのモンスターの効果を得る。

 

 次元が歪み、空間に巨大な穴が開かれる。そこから漆黒の龍が現れた。

 白い骨格に黒い肉体。

 漆黒の龍が咆哮を上げると、空間に亀裂が走る。

 

『これが私の切り札! 【Sin バッドエンド・ドラゴン】の効果を発動! EXデッキから【レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト】をゲームから除外することで、【レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト】の効果をコピーする』

「マズい!」

『【レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト】の効果を得た【Sin バッドエンド・ドラゴン】の効果発動! 攻撃力5000以下のモンスターを全て破壊!』

「私のエルファイザが!!」

「これは……」

 

 【Sin バッドエンド・ドラゴン】の周辺に漆黒の炎が渦巻き、炎の嵐が周囲を覆う。

 炎の嵐はリリと黛のモンスターを飲み込み、燃やし尽くした。

 

『そして、破壊したモンスターの数×500ダメージを与える!! これで黛、君は終わりだよ』

「黛!!」

「リリさん……ごめん」

 

 炎の柱が黛を飲み込んだ。

 

夕陽リリLP:2000→1500

黛灰LP:950→0

 

『リリ先輩もすぐに倒してあげる♪ バトル! 【Sin バッドエンド・ドラゴン】でリリ先輩にダイレクトアタック!』

「まだだよ! 墓地の【F-Watch ミラー・シールド】の効果発動! このカードをゲームから除外することで戦闘ダメージを0にする」

『しぶといですねー……私はこれでターンエンドです』

(くっ! 黛もやられた……相手のフィールドには攻撃力5000と4500のモンスター。このターンで決めないと確実に負ける)

「……どうすれば……」

 

「まったく、情けないですね」

「っ!?」

 

 背後から懐かしい声が聞えたので慌てて振り向くと、そこには戦っているミストと同じ姿をした少女が立っていた。

 

「新手!?」

『そ、そんな』

『ありえない……ありえない! なんで、ここに出雲霞が!!』

「えっ!?」

 

 ミスト達の反応を伺うとそこに立っていた少女は本物の出雲霞だった。

 

「霞なの?」

「久しぶりですね」

「どうして、ここに……?」

「正確には本物の出雲霞じゃなくて、出雲霞が残したバックアップなんだよね。でも、あっちの偽物と違って、こっちは正真正銘の出雲霞だけどね」

『……もう一人の私』

『はい。DuelAI-ミスト-のデータを吸収します』

 

 DuelAI-ミスト-が粒子となって、DuelAndroido-ミスト-が粒子を吸収して一つとなった。

 

 

完全体-ミスト-LP:7000

 

『出雲霞。貴女はミストとして、邪魔な存在です。跡形もなくデリートさせていただきます』

「リリ先輩。話は後です、あのパチモンを倒しますよ」

「まったく……わかったよ。私のターン、ドロー!」

「リリ先輩、このカードを使ってください」

 

 リリのデュエルディスクに何かが転送された。

 

「このカードは?」

「私が使っていたカードです」

「ありがとう! 私は手札から【F-Watch リカバリー・バック】を発動!」

 

【F-Watch リカバリー・バック】

魔法

〇墓地の【F-Watch】モンスター二体をゲームから除外することで、デッキからカードを二枚ドローする。

 

「私は【F-Watch】二体をゲームから除外することで、二枚ドロー! よし、このカードがあれば! 手札から【F-Watch エクストラ・ドライブ】を発動!」

 

【F-Watch エクストラ・ドライブ】

魔法

〇墓地の【F-Watch】モンスター一体を特殊召喚することができる。

 

「墓地の【F-Watch エルファイザ】を特殊召喚する! 私は【F-Watch エルファイザ】一体をオーバーレイネットワーク構築! 幻惑と誘惑の女神よ。霞の中で、永遠の快楽に溺れなさい。エクシーズ召喚! ランク8【霞月(かすみづき)の女神】!!」

 

【霞月の女神】

ランク8/エクシーズ/風属性/天使族/攻2000/守1000

レベル8モンスター×2

自分フィールドのサイバース族儀式モンスターまたはサイキック族リンクモンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。

〇エクシーズ素材を持ったこのカードは相手プレイヤーに直接攻撃することができる。

〇このカードはエクシーズ素材の数だけ攻撃することができる。

 

 フィールドに霞が掛かると、霞の中から薄紫色のドレスを着た美女が現れた。

 

「さらに手札から魔法カード【リンク・エクシーズアップ】を発動」

 

【リンク・エクシーズアップ】

魔法

〇自分フィールドのXモンスター一体を選択して発動できる。墓地のリンクモンスターを可能な限り、選択したモンスターの下に重ねる。

 

「私は三体の【F-Watch】リンクモンスターを【霞月の女神】のエクシーズ素材にする!!」

「別にあのモンスター達を倒さなくたって、デュエルに勝つ方法はある! さぁ、準備は整った! いきますよ、リリ先輩!」

「いくよ、霞! バトル! 【霞月の女神】でダイレクトアタック!」

『そ、そんな……完璧である、この私が……』

 

 【霞月の女神】が怪しく、踊る。

 踊っている両手に光が灯される。踊りながら光を投げ付ける。

 合計で四つの光がミストに被弾する。

 

ミストLP:7000→5000→3000→1000→0

 

『わ、私は……ただ……草壁様のお側に……』

 

 完全に停止したミストはその場で倒れ込んだ。

 

「何とか勝った……あ、黛!!」

 

 倒れた黛に駆け寄るとただ、気絶していた。

 

「良かった」

「さ、起動スイッチを止めよう」

「そうだね」

 

 リリは開け足でコンピューターに近づき、黛から貰っていたUSBを取り出し、ウイルスを送り込んだ。

 しばらくするとコンピューターは停止した。

 

「よし、ありがとう。霞」

 

 リリが振り向くと、既にその場には霞はいなかった。

 

「…………ありがとう、霞」

 




【オリカ紹介】
究極方界邪神クリムゾン・カオス・ノヴァ
暗黒方界邪神クリムゾン・ノヴァ・トリニティの別の世界。別の可能性から誕生したモンスター。
歪な姿をしたモンスター。
凄まじい攻撃力と破壊耐性を持った邪神。

Sin バッドエンド・ドラゴン
Sin トゥルース・ドラゴンの別の世界。別の可能性から誕生したモンスター。
漆黒のモンスター。
ありとあらゆるシンクロモンスターの効果を得ることができる。


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BATTLE.35「加賀美ハヤト&葛葉vs草壁誠一郎」

にじさんじ決闘王の主人公組vsラスボスのデュエルになります。

モンハンが忙しくて執筆が遅くなりました。
申し訳ございません。当分はスローペースでやっていきたいと思います。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。


「…………ミストがやられたか……」

 

 草壁はため息を漏らしながら塔から粒子を吸収している。

 

「仕方ない……直接、私がΣを制御するか」

「そうはさせません」

 

 草壁の所に加賀美と葛葉がやってきた。

 

「加賀美ハヤトに葛葉か……私の邪魔をしに来たのかね?」

「まぁ、見逃すわけにはいかないからね」

「そうです。貴方の計画は私たちが止めさせていただきます」

「くくくっ……低能な劣等種如きが」

 

 吸収していた粒子を放つと、草壁は光に包まれた。

 強烈な光に二人は目を瞑る。強烈な光が収まると、草壁の姿が変わっていた。

 さっきまで黒いスーツを着ていたが、白いスーツに黒いマントとガントレットをはめていた。顔には赤いラインが刻まれていた。

 

「これが私の真の姿だ」

「等々、本気を出すってことですかね」

「社長ッ! 俺と社長ならあんな奴には負けません」

 

 葛葉は勢いよくデュエルディスクを構えた。

 

「葛葉さん……そうですね。私たちで草壁誠一郎の陰謀を阻止しましょう!」

 

 加賀美もデュエルディスクを構えた。

 

「愚かな人類は我々に支配される。それは決定した未来だ!」

 

 草壁が腕を広げると足元の塔が動き出し、草壁の下半身を飲み込んだ。そして、草壁と塔が一体となった。

 塔から無数の管が伸び、草壁の背中に接続されると、塔からデュエルディスクを装着した巨大な腕が現れた。

 

「良いだろうッ! 全知全能である、私自ら、貴様らに罰を与えよう!!」

「いくますよ!」

「おう!」

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「先攻は貰います! 私のターン!」

 

 加賀美は手札を確認する。

 

「よし、私は【天帝従騎イデア】を召喚! 【天帝従騎イデア】の効果を発動します! デッキから【冥帝従騎エイドス】を特殊召喚! 【冥帝従騎エイドス】の効果で追加でアドバンス召喚が可能になりました。そして、私は【冥界の宝札】を発動します!」

「流石、社長! 下準備は完璧だな!」

「いきます! 私は【天帝従騎イデア】と【冥帝従騎エイドス】をリリースし、【魔境絶唱 シューマン】をアドバンス召喚!!」

 

【魔境絶唱 シューマン】

レベル8/闇属性/悪魔族/攻2800/守1000

〇このカードがアドバンス召喚に成功した場合に発動できる。デッキからレベル1の【魔境絶唱】モンスター二体を墓地に送ることで、レベル8【魔境絶唱】モンスター一体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに持ち主の手札に戻る。

〇一ターンに一度、フィールドの【魔境絶唱】モンスターをリリースすることで、相手モンスターの表示形式を変更することができる。この効果は相手ターンにも発動する。

 

 加賀美のフィールドに黒いローブを身にまとった、骸骨の仮面をかぶった悪魔が現れた。

 

「この瞬間、シューマンと【冥界の宝札】の効果を発動します! 【冥界の宝札】の効果で二枚ドロー! そして、シューマンの効果で【魔境絶唱 ベーゼ】と【魔境絶唱 ヨードン】を墓地に送り、デッキから【魔境絶唱 ヴェートーベン】を特殊召喚!」

 

 骸骨の仮面の悪魔が指を鳴らすと、横にスーツを着た男性の悪魔が現れた。悪魔の髪は無数の蛇になっており、メデューサのようだった。

 

「そして、いいカードを引きました。私は【真帝王領域】を発動します! これで相手はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚することができません!」

「でた! 社長のロック!」

「私は墓地の【魔境絶唱 ベーゼ】の効果で自身を特殊召喚します。さらにカードをカードを二枚伏せ、ターンエンド。この瞬間、シューマンの効果で特殊召喚されたヴェートーベンは手札に戻ります」

「なるほど……次の自分のターンの布石か。それにエクストラデッキ封じ」

「えぇ……これで貴方が使っていた三体の神龍は封じました」

「……………ふふっ」

 

 草壁は笑みを漏らしていた。

 

「いや、実に滑稽だ。私の切り札があのドラゴンたちだと思ったのかね? あれは一つの駒に過ぎない。君達に絶望を見せてやろう。私のターン、ドロー! 私は【UnknownCode-ディメンション・ホール】を発動」

「あのカードは!!」

「させません! リバースカード、オープン! カウンタートラップ【魔境絶唱 蠢く魔神蟲】を発動します! 【UnknownCode-ディメンション・ホール】の効果を無効にし、デッキから【魔境絶唱 オロゴス】を墓地に送ります」

「では、続けよう。私は手札の光属性モンスターを墓地に送ることで、手札の【青眼の黒竜(ブルーアイズ・ブラックドラゴン)】を特殊召喚する!! 舞い降りろ!」

 

【青眼の黒竜】

レベル8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2500

このカード名はルール上【Unknown】カードしても扱う。

〇手札の光属性モンスター一体を墓地に送ることで、このカードを特殊召喚することができる。

〇一ターンに一度、相手モンスター一体を破壊する。

 

「そして、墓地に送られた【真紅眼の白龍(レッドアイズ・ホワイトドラゴン)】の効果を発動。このカードを特殊召喚する! 甦れ!」

 

【真紅眼の白龍】

レベル7/光属性/ドラゴン族/攻2400/守2000

このカード名はルール上【Unknown】カードしても扱う。

〇このカードが闇属性モンスターの効果で墓地に送られた時に発動できる。このカードを墓地から特殊召喚することができる。

〇一ターンに一度、このカードの攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

 草壁のフィールドに青い瞳の黒竜と赤い瞳の白龍が現れた。二体の龍は加賀美と葛葉を睨みつけ、咆哮を上げる。

 

「【青眼の黒竜】の効果を発動。【魔境絶唱 シューマン】を破壊する」

「くっ!! シューマンの効果発動! ベーゼをリリースすることで【青眼の黒竜】を守備表示にします」

「だが、破壊は間逃れない。やれ、【青眼の黒竜】!」

 

 黒竜は黒い光を口に集め、ブレスを放つ。黒いブレスはシューマンを一瞬で消滅させた。

 

「そして、【真紅眼の白龍】の効果発動。このカードの攻撃力分のダメージを相手に与える。焼き尽くせ、【真紅眼の白龍】!」

 

 白龍は白い炎を口に集めると、火球を放つ。白い火球は加賀美に直撃する。

 

「ぐわぁぁぁ!!」

 

 火球を喰らった加賀美は苦痛で表情が歪みながら悲鳴を上げる。

 

加賀美ハヤトLP:4000→1600

 

「社長!!」

「はぁ……はぁ……だ、大丈夫です。しかし、実際に痛みや熱を感じるとは……」

「私の力だ。君たちのデュエルディスクを経由して、脳神経に特殊な電気信号を送り、痛みを与えられている。と錯覚しているのだ」

「くそっ! 厄介だな」

「さぁ、これで終わりだ。バトル! 【真紅眼の白龍】で加賀美ハヤトにダイレクトアタック!! 【白炎弾】!!」

 

 白龍は再び口を開き、白い炎を集める。

 

「させません! リバースカード【ガード・ブロック】を発動! 戦闘ダメージを0にして、カードを一枚ドローします!」

「さすが!!」

「ふっ……防いだか。私はカードを一枚伏せ、これでターンエンド」

「んじゃ、俺のターンだな。ドロー! 社長、申し訳ないが舞台を俺好みにさせてもらうぜ!」

「えぇ、お好きに!!」

「俺はフィールドの【真帝王領域】を墓地に送り、手札から【ヴァンパイア・シュロス】を発動! 発動処理でデッキから【ヴァンパイアの領域】をセットし、そのまま発動!」

 

 晴天だったスタジアムは一瞬で夜になり、空には赤い満月が不気味に輝く。そして、葛葉の背後に廃城と思われるほど、ボロボロの城が現れた。

 

「俺は【ユニゾンビ】を召喚。【ユニゾンビ】の効果発動! デッキから【ヴァンパイアの使い魔】を墓地に送り、自身のレベルを一つ上げる! さらに墓地の【ヴァンパイアの使い魔】の効果発動! 手札の【ヴァンパイアの眷属】を墓地に送り、特殊召喚! 特殊召喚した【ヴァンパイアの使い魔】の効果発動。ライフを500払い、デッキから【竜血公ヴァンパイア】を手札に加える」

 

葛葉LP:4000→3500

 

「そして、墓地の【ヴァンパイアの眷属】の効果発動! 手札の【ヴァンパイア・ソーサラー】を墓地に送り、特殊召喚! 特殊召喚された【ヴァンパイアの眷属】の効果発動! ライフを500払い、【ヴァンパイア・ナイトメア】を手札に加える!」

 

葛葉LP:3500→3000

 

「【ユニゾンビ】のもう一つの効果発動! 手札を一枚、墓地に送り、自身のレベルをさらに上げる。俺はレベル1の【ヴァンパイアの使い魔】とレベル2の【ヴァンパイアの眷属】にレベル5となった【ユニゾンビ】をチューニング! レベル8【デスカイザー・スカル・ドラゴン】!!」

 

【デスカイザー・スカル・ドラゴン】

レベル8/シンクロ/炎属性/アンデット族/攻3000/守2500

アンデット族チューナー+チューナー以外のアンデット族モンスター一体以上

〇このカードが特殊召喚に成功した時、自分の墓地に存在するアンデット族モンスター一体を手札に加えるか、自分フィールドに特殊召喚することができる。

〇自分フィールドにこのカード以外のアンデット族モンスターが存在する限り、このカードは戦闘・効果では破壊されない。

 

 全身、骸骨でできたドラゴンが現れた。

 

「【デスカイザー・スカル・ドラゴン】の効果発動! 墓地の【ユニゾンビ】を手札に加える。さらに俺は手札から【ヴァンパイア・ナイトメア】を発動!」

 

【ヴァンパイア・ナイトメア】

魔法

〇ゲームから除外されている【ヴァンパイア】モンスター二体をデッキに戻すことで発動できる。相手はデッキからモンスターを二体墓地に送る。

 

「俺はゲームから除外されている【ヴァンパイアの使い魔】と【ヴァンパイアの眷属】をデッキに戻すことで、相手はデッキからモンスターを二体、墓地に送る。さぁ、好きなモンスターを捨てな」

「私は【UnknownGate-P/R】と【UnknownGate-P/L】を墓地に送る」

「よし、これで揃ったな! 俺は【ヴァンパイアの領域】で増えた召喚権を使い、墓地の【ヴァンパイア・ソーサラー】をゲームから除外することで、【竜血公ヴァンパイア】をアドバンス召喚!! 【竜血公ヴァンパイア】の効果発動! てめぇの【UnknownGate-P/R】と【UnknownGate-P/L】を頂くぜ!」

「上手い!」

 

葛葉LP:3000→2500

 

「そして、俺は【UnknownGate-P/R】と【UnknownGate-P/L】の二体でオーバーレイ! 【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】! 【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】の効果発動! エクシーズ素材を一つ取り除くことで【青眼の黒竜】を墓地に送る!」

「良いだろ」

「さらに【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】の効果発動! エクシーズ素材を一つ取り除くことで、墓地に送られたモンスターを自分フィールドに特殊召喚する! 【青眼の黒竜】を頂くぜ! 俺は【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】一体でオーバーレイネットワークを構築! ランクアップ! エクシーズチェンジ! エクシーズ召喚! 恐怖を撒き散らす龍よ! 紅蓮の炎を纏い、敵を焼き尽くせ! 紅の月と共に舞い降りろ!! ランク7【紅月龍(こうげつりゅう)リントヴルム】!!」

 

 紅の満月が昇ると、そこから大蛇のような赤い鱗の龍が舞い降りた。赤い龍は口から赤い吐息が漏れ、咆哮を上げる。

 

「来た! 葛葉さんのエースカード!」

「リントヴルムの効果発動! エクシーズ素材を一つ取り除くことで、【真紅眼の白龍】を墓地に送る!」

「ほぉ……中々、やるな」

「一斉攻撃で終わりだ! バトル! 【紅月龍リントヴルム】でダイレクトアタック!!」

「だが、一手足りん。私はリバースカード【UnknownCode-リアリティ・クラッシュ】を発動」

 

【UnknownCode-リアリティ・クラッシュ】

〇相手フィールドの攻撃力が一番高いモンスター一体を選択し、発動できる。デッキから選択したモンスターより攻撃力の高い【Unknown】モンスターを召喚条件を無視して、特殊召喚することができる。この効果で特殊召喚されたモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。

 

「私は【紅月龍リントヴルム】を選択し、そのモンスターより攻撃力の高い【混沌眼の帝王龍(カオスアイズ・エンペラードラゴン)】!!」

 

【混沌眼の帝王龍】

レベル10/闇属性/ドラゴン族/攻3500/守3000

このカード名はルール上【Unknown】カードしても扱う。

このカードは光属性としても扱う。

〇一ターンに一度、このカード以外のカードを全てゲームから除外する。

〇このカードが墓地に送られた時に発動できる。相手のモンスターを全て破壊することができる。

 

 白い骨格に黒い肉体の巨大なドラゴンが現れた。白黒のドラゴンは荒々しい息を吐きながら翼を広げる。

 

「くっ! 俺はカードを二枚伏せ、ターンエンド」

「エンドフェイズ時に【混沌眼の帝王龍】は破壊される。そして、【混沌眼の帝王龍】の効果発動! 全てを破壊しろ!」

 

 白黒のドラゴンが破壊されると、ドラゴンの肉体に亀裂が入り、その亀裂から白と黒の閃光を放つとフィールド全体が包まれた。

 一瞬で葛葉のモンスターが消滅した。

 

「だが、【デスカイザー・スカル・ドラゴン】は他のアンデット族モンスターが入る場合、効果では破壊されない!」

「では、再び、私のターンだな。ドロー。私は手札から【UnknownCode-グリード・エナジー】を発動」

 

【UnknownCode-グリード・エナジー】

魔法

〇墓地の【Unknown】モンスター一体をゲームから除外することで発動できる。デッキからカードを二枚ドローする。

 

「私は【真紅眼の白龍】をゲームから除外することで二枚ドローする。私は手札から【UnknownCode-アルティメット・ペンデュラム】を発動」

 

【UnknownCode-アルティメット・ペンデュラム】

魔法

〇自分の墓地またはEXデッキから表側表示の【Unknown】Pモンスターを二枚まで選択し、自分のPゾーンに置く。その後、デッキから【Unknown】Pモンスター一体を特殊召喚する。

 

「私は墓地の【UnknownGate-P/R】と【UnknownGate-P/L】をペンデュラムスケールにセッティング」

「しまった!」

「そして、デッキから【UnknownCore-Type.F】を特殊召喚!」

「あのカードは!!」

「さぁ……望み通り、神を見せてやろう。私は【UnknownCore-Type.F】の効果を発動。デッキから【UnknownCore-Type.S】と【UnknownCore-Type.X】を特殊召喚する。そして、【UnknownCore】の共通効果を発動。自身のレベルを12に変更。そして、ここからが人智を超越した力だ。私は【UnknownCore-Type.F】の効果を発動! レベル12となった【UnknownCore-Type.F】【UnknownCore-Type.S】【UnknownCore-Type.X】の三体で融合! 混沌を統べる神龍よ! 混沌は交わり。今、修羅の門が開かれる! 融合召喚! 降臨せよ、幻魔の神! 【混沌幻魔神龍アズラベーゼ】!!」

 

 三体の球体が一つとなる。そこから漆黒の霧が漂い、そこから巨大な龍が現れた。

 龍は青い顔と骨格。黄色い翼と腕。赤い胴体に尻尾と三色に分かれており、まるで無理矢理、くっつ付けような歪な姿をしていた。

 

「私はペンデュラムスケールのスケール0の【UnknownGate-P/R】とスケール13の【UnknownGate-P/L】でペンデュラム召喚! 現れよ! 【UnknownCore-Type.F】! 【UnknownCore-Type.S】! 【UnknownCore-Type.X】!」

 

 草壁の背後の赤と青の門の形の機械が動き出し、その中心から光の穴が開かれる。

 すると、そこから紫、白、黒の球体が再び、現れた。

 

「【UnknownCore】の共通効果をもう一度、発動。自身のレベルを4に変更。私は【UnknownCore-Type.S】の効果を発動! 自身をチューナーにして、レベル4となった【UnknownCore-Type.F】と【UnknownCore-Type.X】にレベル4の【UnknownCore-Type.S】をチューニング! 無と無限を統べる神龍よ! 聖者の光から究極が今、誕生する! シンクロ召喚! 降臨せよ、時械の神! 【究極時械神龍セフィラニューロ】!!」

 

 白い球体が4つの光の輪となり、そこに一列に8つの光が並ぶ。8つの光は光の筋となり、光が強くなると、そこから機械で出来た龍が現れた。

 紋章のような翼。特徴的なのは胸に鏡のようなモノが付いており、そこには険しい表情の老人が写っていた。

 

「私は【UnknownGate-P/L】の効果を発動! 三度、現れよ! 【UnknownCore-Type.F】! 【UnknownCore-Type.S】! 【UnknownCore-Type.X】! 【UnknownCore】の共通効果をもう一度、発動。自身のレベルを12に変更。私はレベル12となった【UnknownCore-Type.F】【UnknownCore-Type.S】【UnknownCore-Type.X】の三体でオーバーレイ! オーバーレイネットワークを構築! 幻と虚ろを統べる神龍よ! 闇を喰らい、光を飲み込め! エクシーズ召喚! 降臨せよ、虚無の神! 【夢幻虚光神龍ヌメロフェリス】!!」

 

 三体の球体が光となり、光の渦に飲み込まれる。渦から光が溢れ出すと、そこから黒い龍が現れた。

 大きな機械のような翼に黒い瓢箪の形の胴体から龍の首を伸ばしている。見た目は龍であるが、無機質のような感じを放っていた。

 草壁のフィールドに驚異的な神龍、三体が並んだ。葛葉と加賀美は神龍から放たれるプレッシャーで圧し潰されそうになる。

 

「この瞬間、エクシーズ素材となった【UnknownCore-Type.X】の効果を発動」

「そいつを待っていたぜ! リバースカード【鮮血の呪縛】を発動!!」

「何?」

 

【鮮血の呪縛】

永続罠

〇自分のライフが相手のライフより低い場合に発動できる。自分のライフより攻撃力の高い、相手のモンスターの効果を無効にする。

 

「俺のライフは2500! よって、三体のドラゴンの効果は無効化される! これは対象を取らない効果だから【究極時械神龍セフィラニューロ】の耐性もすり抜ける!!」

「これは上手いぞ!!」

「やってくれたな……人間如きが。だが、攻撃は可能だ。バトル、【混沌幻魔神龍アズラベーゼ】で【デスカイザー・スカル・ドラゴン】に攻撃!」

 

 混沌幻魔神龍アズラベーゼが咆哮を上げると、黒い雷撃のブレスを放つ。黒い雷撃は葛葉のモンスターに直撃し、木っ端みじんになって破壊された。

 その衝撃は葛葉にも直接、襲い掛かり、葛葉は吹き飛ばされてしまった。

 

「ぐはっ!!」

「葛葉さん!!」

 

葛葉LP:2500→1500

 

「止めだ。【夢幻虚光神龍ヌメロフェリス】でダイレクトアタック」

「やられてたまるかよ! トラップ発動! 【ヴァンパイア・リボーン】を発動!!」

 

【ヴァンパイア・リボーン】

〇ライフを800払うことで発動できる。墓地の【ヴァンパイア】モンスター一体を特殊召喚する。自分のライフが1000以下の場合、さらに【ヴァンパイア】モンスター一体を特殊召喚することができる。

 

葛葉LP:1500→700

 

「俺は【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】と【竜血公ヴァンパイア】を守備表で特殊召喚!」

「防ぐか。攻撃続行だ、殲滅せよ。【夢幻虚光神龍ヌメロフェリス】で【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】に攻撃」

 

 夢幻虚光神龍ヌメロフェリスの身体に刻まれていた紋章が怪しく輝く。するとヴァンパイア・シェリダンが苦しみだし、破壊された。

 

「続けて、【究極時械神龍セフィラニューロ】で【竜血公ヴァンパイア】に攻撃」

 

 究極時械神龍セフィラニューロの翼の先端から無数のレーザーが放たれ、竜血公ヴァンパイアを切り刻んだ。

 

「私はカードを二枚伏せ、ターンエンド」

「相手のフィールドには強力なドラゴンが三体。ですが、葛葉さんのおかげで無力化できています。ここが正念場ですね……私のターンドロー! 私は【魔境絶唱 ヨードン】の効果を発動します! 墓地のこのカードと【魔境絶唱 シューマン】をゲームから除外することで、二枚ドローする。さらに手札から【帝王の深怨】を発動。手札の【魔境絶唱 ヴェートーベン】を見せることで、デッキから【汎神の帝王】を手札に加え、【トレード・イン】も発動します。手札の【魔境絶唱 ヴェートーベン】を墓地に送り、二枚ドロー!」

「すげぇ、ドローするな!」

「まだです! 私は【汎神の帝王】を発動! 手札の【真源の帝王】を捨てて、さらに二枚ドロー!」

「何を引こうが神の前では無力だ」

「それはどうでしょうか? 私は【真源の帝王】の効果を発動します! 墓地の【帝王の深怨】をゲームから除外することで、【真源の帝王】をモンスター扱いで特殊召喚! さらに墓地の【汎神の帝王】の効果を発動! このカードをゲームから除外することで、デッキから【帝王の烈旋】二枚と【再臨の帝王】を見せます。さぁ、選んでください」

「…………私は【再臨の帝王】を選択」

「では、【再臨の帝王】を手札に加え、そのまま発動! 墓地の【魔境絶唱 ヴェートーベン】を蘇生させ、このカードを装備させる! …………これでピースは整いました! 【再臨の帝王】を装備したモンスターは二体分の生贄にできます」

 

 加賀美のフィールドに二体のモンスターが現れた。

 

「なんだと?」

「私は【真源の帝王】と【魔境絶唱 ヴェートーベン】をリリースすることで【魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル】をアドバンス召喚!!」

 

 二体のモンスターが消滅すると、そこから腕が四本生えた悪魔が現れた。

 悪魔は下の二本の腕で禍々しい形のギターを持っており、上の右腕でマイクを持っていた。

 

「【魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル】と【冥界の宝札】の効果発動! デッキから二枚ドローし、ヘヴィメタルの効果で相手のモンスターを全て破壊する!!」

 

 ヘヴィ・デス・メタルがギターを奏でながらシャウトする。

 シャウトは衝撃波となって、草壁の三体のドラゴンを一掃させた。

 

「よっしゃー! さすが社長!!」

「さらに墓地の【魔境絶唱 ベーゼ】を特殊召喚します!」

「二体の攻撃の合計は4000!! これで決まりだ!」

「バトルです! 【魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル】でダイレクトアタック!!」

「だから、言っただろう…………神龍たちは一つの駒に過ぎないと。私はリバースカード【UnknownCode-クリティカル・ドレイン】と【UnknownCode-コピー・スペル】を発動」

 

【UnknownCode-クリティカル・ドレイン】

〇相手フィールドのカード一枚を破壊する。その後、デッキからカードを一枚ドローし、ライフを1000回復する。

 

【UnknownCode-コピー・スペル】

〇デッキから【Unknown】魔法・罠カードを墓地に送り、発動できる。墓地に送ったカードの効果を発動できる。

 

「私は【鮮血の呪縛】を破壊し、一枚ドローする」

 

草壁誠一郎LP:4000→5000

 

「デッキから【UnknownCode-リンク・オーバー・ノヴァ-】を墓地に送る」

 

【UnknownCode-リンク・オーバー・ノヴァ-】

魔法

〇自分の墓地の【Unknown】モンスターを任意の数だけ選んで召喚条件を無視して特殊召喚し、そのモンスターのみを素材として【Unknown】リンクモンスター一体をリンク召喚する。

 

「あのカードは!?」

「【UnknownCode-リンク・オーバー-】!?」

「いいや、【UnknownCode-リンク・オーバー-】の完全版だ。【UnknownCode-リンク・オーバー・ノヴァ-】の効果を発動。墓地の【混沌眼の帝王龍】【混沌幻魔神龍アズラベーゼ】【究極時械神龍セフィラニューロ】【夢幻虚光神龍ヌメロフェリス】の四体を特殊召喚! そして、この四体をリンクマーカーにセット。混沌・究極・虚無。森羅万象を統べる全知全能の神よ! 世界の理より降臨し、今こそ、新世界を創造せよ! リンク召喚! リンク4【滅星神龍(めっせいしんりゅう)ゾディアック・ノヴァ・ドラゴン】!!」

 

【滅星神龍ゾディアック・ノヴァ・ドラゴン】

リンク4/闇属性/ドラゴン族/攻?/↙↖↗↘

名前の異なる効果【Unknown】モンスター4体

このカード名はルール上【Unknown】カードしても扱う。

〇このカードの攻撃力はこのカードのリンクマーカーの数×1000になる。

〇このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。このカードのリンク素材にしたモンスターの種類(効果・融合・S・X)の数だけこのカードのリンクマーカーを増やすことができる。

〇このカードのリンクマーカーが八個の状態で破壊された時に発動できる。EXデッキから【滅星邪神ゾディアック・カオス・ノヴァ】を召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

 フィールド上空に大きな穴が開き、そこからは宇宙空間と無数の星々が見えた。やがて、宇宙空間から何かが飛来し、草壁の頭上に降り立った。

 黄金に輝く鱗に白銀の翼、六本の腕。下半身に足は無く、大蛇のように長い胴体と尻尾。三つの頭部はそれぞれ憤怒、悲嘆、恐怖の表情を浮かべていた。

 その姿は神々しく、神の名に相応しい姿をしていた。

 

「【滅星神龍ゾディアック・ノヴァ・ドラゴン】の効果発動! リンク召喚時に素材にしたモンスターの種類の数だけ、リンクマーカーを増やす。よって、【滅星神龍ゾディアック・ノヴァ・ドラゴン】はリンク8となった! そして、このカードの攻撃力はリンクマーカーの数×1000となる」

 

滅星神龍ゾディアック・ノヴァ・ドラゴン 攻撃力:8000

 

「リンク8!?」

「チート過ぎるだろ!!」

「こ、攻撃中止です! 私はカードを四枚伏せて、ターンエンドです!」

「さぁ、神の前に絶望し、跪くがいい。私のターン、ドロー。私はペンデュラムスケールのスケール0の【UnknownGate-P/R】とスケール13の【UnknownGate-P/L】でペンデュラム召喚! 現れよ! 手札から【DDD超死偉王龍ドラゴニック・ヘル・アーマゲドン】! 【覇王魔龍ズァーク・インフェルノ】!」

 

【DDD超死偉王龍ドラゴニック・ヘル・アーマゲドン】

レベル10/ペンデュラム/闇属性/ドラゴン族/攻3500/守3000

【Pスケール:青1/赤1】

〇このカードがPゾーンに存在し、自分が効果ダメージを受ける場合、そのダメージは0になる。

〇自分メインフェイズに発動できる。自分のEXデッキからこのカード以外の表側表示の【Unknown】Pモンスター一体を選んで手札に加える。

【モンスター効果】

このカード名はルール上【Unknown】カードしても扱う。

〇一ターンに一度、自分フィールドのモンスターが戦闘・効果で破壊された場合、そのモンスター一体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚し、このカードの攻撃力はターン終了時まで、対象のモンスターの元々の攻撃力分アップする。

 

【覇王魔龍ズァーク・インフェルノ】

レベル12/ペンデュラム/闇属性/ドラゴン族/攻4000/守3000

【Pスケール:青1/赤1】

〇自分メインフェイズに発動できる。このカードを破壊し、手札・デッキから【Unknown】Pモンスター一体を選び、自分のPゾーンに置くか特殊召喚する。

【モンスター効果】

このカード名はルール上【Unknown】カードしても扱う。

〇このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。相手のライフを半分にする。

〇このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時に発動できる。デッキ・EXデッキから【Unknown】Pモンスター一体を特殊召喚する。

 

 草壁のフィールドに二体の龍が現れた。

 一体は下半身が水晶になっており、もう一体は巨大な翼を持ったドラゴンだった。

 

「【覇王魔龍ズァーク・インフェルノ】の効果発動。相手のライフを半分にする」

 

 覇王魔龍ズァーク・インフェルノ巨大な翼を広げ、羽ばたく。すると灼熱の嵐が加賀美と葛葉を襲った。

 

加賀美ハヤトLP:1600→800

葛葉LP:700→350

 

「「ぐはぁぁぁ!!」」

「バトルだ。【滅星神龍ゾディアック・ノヴァ・ドラゴン】で【魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル】に攻撃!」

「くっ!! リバースカード【ハーフ・カウンター】を発動します! 攻撃対象となった自分のモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで攻撃モンスターの元々の攻撃力の半分の数値分アップします!」

 

魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル 攻撃力:3500→7500

 

「だが、攻撃力は低いままだ」

「ダメージは甘んじて受けます」

 

 滅星神龍ゾディアック・ノヴァ・ドラゴンの背後に光輪が出現すると、光輪が高速に回転し、無数の光の矢を放つ。光の矢はヘヴィ・デス・メタルを串刺しにした。

 

加賀美ハヤトLP:800→300

 

「ぐはっ!!」

「これで終わりだ。【DDD超死偉王龍ドラゴニック・ヘル・アーマゲドン】でダイレクトアタック」

「まだです! リバースカード【戦線復帰】を発動します! 墓地の【魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル】を復活させます!」

「じぶとい……やれ、【DDD超死偉王龍ドラゴニック・ヘル・アーマゲドン】」

 

 DDD超死偉王龍ドラゴニック・ヘル・アーマゲドンの水晶に黒い閃光が収集され、レーザーを放つ。加賀美のモンスターはレーザーに貫かれた。

 

「【覇王神龍ズァーク・インフェルノ】でダイレクトアタック! 」

「やられるわけにはいきません! リバースカード【ガード・ブロック】を発動します! 戦闘ダメージを0にして、一枚ドローします!」

「なぜ、諦めない」

「なぜですって?」

「そうだ。絶対的な力の前になぜ屈しない? 絶望しない? なぜ、抗うのだ?」

 

 草壁の問いかけに加賀美は拳を握り、答える。

 

「…………別に世界を守るため……とか、言いません。私はにじさんじを! 仲間を守るために戦います!」

「そっすね……守りたいものを守る。それだけっすね」

「戯言を…………我が最強の力で終止符を打とう。私は速攻魔法【UnknownCode-ゾディアック・ゲート】を発動」

 

【UnknownCode-ゾディアック・ゲート】

速攻魔法

〇自分フィールドのモンスター一体を破壊することで発動できる。そのモンスターの攻撃力分のライフを回復する。

 

「私は【滅星神龍ゾディアック・ノヴァ・ドラゴン】を破壊し、ライフを8000回復する」

 

草壁誠一郎LP:5000→13000

 

「ライフが1万超え!?」

「そして、破壊された【滅星神龍ゾディアック・ノヴァ・ドラゴン】の効果を発動! 自身が破壊された時、真の姿を開放させる! 創生と破壊の神よ! 星々を喰らい、新たな生命を誕生させよ! 降臨せよ! 【滅星邪神(めっせいじゃしん)ゾディアック・カオス・ノヴァ】!!」

 

【滅星邪神ゾディアック・カオス・ノヴァ】

リンク0/闇属性/サイバース族/攻?

このカードは【滅星神龍ゾディアック・ノヴァ・ドラゴン】の効果でのみ特殊召喚することができる。

このカード名はルール上【Unknown】カードしても扱う。

〇このカードはカード効果を受けない。

〇このカードの攻撃力は自分のライフと同じになる。

〇エンドフェイズ時に発動できる。自分のライフを1万になるように回復する。

〇一ターンに一度、フィールド・墓地のモンスター一体を選択して発動できる。そのモンスターの効果を得る。

 

 金色の神龍が自らの肉体を球体のように丸めると、光に包まれた。

 やがて、蛹から蝶に羽化するように光の球体から亀裂が入り、そこから無数の龍の頭部が雪崩酔うように飛びだした。龍の頭部は千を超えていた。亀裂から龍の首が伸びると、最後には黒い球体が現れた。

 黒い球体には巨大な一つ目が付いており、その瞳は宇宙のように無数の光と暗黒の空間が映し出されていた。

 その姿は神と呼ぶにはあまりにも禍々しく、歪な姿をしていた。

 

「これこそが我が最強の力!!」

 

 自身のカードを誇っていた草壁は塔と繋がれていた下半身を切り離すと、その断面から無数の管を伸ばす。管は先ほど現れた球体と連結すると、草壁は球体の方に移動し、球体と一つになった。

 上半身のみの草壁誠一郎。その下には一つ目の球体。そして、そこから伸びる無数の龍。その姿は邪神、そのものだった。

 

「おぉ……これだ! これこそが我が力! 我が、真の姿だ!」

 

 滅星邪神ゾディアック・カオス・ノヴァ(草壁誠一郎)攻撃力:13000

 

「草壁誠一郎とモンスターが融合した!?」

「それに攻撃力が13000!!」

「さぁ! 我が、鉄槌を受けよ! 【滅星邪神ゾディアック・カオス・ノヴァ】でダイレクトアタック! 【アポカリプス・レイ】!!」

 

 無数の龍が一斉に咆哮を上げる。その咆哮だけでや大気大地が揺れる。そして、無数の龍たちは口から光や炎、冷気、雷などを溜める。

 龍たちが一斉に放つと、流星のように加賀美に降りそそぐ。

 

「くっ!! まだです! まだ負けるわけにはいきません! リバースカード【パワー・ウォール】を発動します!!」

「何!! 神の攻撃を防ぐだと!!」

「戦闘で発生する自分への戦闘ダメージが0になるように、受けるダメージの代わりに500ダメージにつき一枚、自分のデッキの上からカードを墓地へ送ります! よって26枚を墓地に送ります! ……ドローし過ぎたせいでデッキはもう0枚ですね」

「くくくっ……哀れだな、加賀美ハヤト。あんなに啖呵を切っていた割にはデッキ切れで幕引きとは」

「いいえ、私はまだ負けていません」

「何?」

「次は葛葉さんのターンです。葛葉さんが決めてくれることを信じています」

「社長……」

「面白い!! 抗ってみよ!!」

「お、俺のターン」

 

 葛葉はデッキに指を置き、カードを引こうとするが指が震えて上手くドローできない。指だけではなく、身体全身が震えていた。

 

(くそっ! このドローで運命が決まる……俺はあのモンスターを倒せるのか?)

 

 プレッシャーになり、頭の中にネガティブなことが流れ始める。

 

(俺は……俺は……)

 

「葛葉ぁぁぁぁ!!」

 

 フィールドに葛葉の名を呼ぶ声が聞えた。

 葛葉は声の方を向くと、そこには叶がいた。

 

「勝て!! 葛葉!!」

「やっちまえ!!」

「ひまが付いてるから大丈夫!」

「葛葉なら大丈夫!!」

 

 叶だけじゃなかった社やひまわり、ドーラなどのにじさんじライバー全員がスタジアムの観客席にいた。

 

「皆!?」

「皆さん、危険です!!」

 

 加賀美もつられて振り向く。

 

「何言っているの!! 兄さんが頑張っているんだから私たちが逃げるわけにはいかないでしょ!!」

「そうですよ、社長~」

「葉加瀬さん……夜見さん……」

 

 スタジアムには葉加瀬と夜見もいた。

 

「葛葉さん!」

「…………りつきんさん」

「このデュエルに勝ったら、また皆でゲームしましょう!!」

「っ!!」

 

 凛月の一言で葛葉の頭の中にあったネガティブなことが消え去った。

 

「えぇ、そうですね。皆で…………皆で遊びましょう!!」

「なぜだ!! なぜ、まだ諦めない!! いい加減に絶望しろ! 人間よ!!」

「諦めない! 諦めるわけにはいかない! 皆と楽しい明日を迎えるために負けるわけにはいかないんだぁぁぁ!!」

 

 葛葉の右手と右目が虹色に輝きだした。

 

「真のライバー(デュエリスト)は勝利へ導くカードは己の力で引き当てる!! シャイニングドロォォォォ!!」

 

 カードをドローすると、引いたカードが虹色に輝きだした。

 

「な、何だ!! この光は!!」

「俺が引いたのは【RUM-レインボー・フォース】!!」

 

【RUM-レインボー・フォース】

魔法

〇自分のドローフェイズに通常のドローをしたこのカードを公開し続ける事で、そのターンのメインフェイズ1の開始時に発動できる。自分のEXデッキ・墓地のXモンスター一体を選択し特殊召喚し、そのモンスターと同じ種族でランクの高いXモンスター一体を、そのモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。

 

「俺は墓地の【紅月龍リントヴルム】を復活させる!! 甦れ、俺のエース!!」

 

 葛葉の前に炎の蛇龍が現れた。するとリントヴルムの身体がに輝きだした

 

「【紅月龍リントヴルム】一体でオーバーレイネットワークを再構築!! 103個の意志を受け継ぎ、今こそ一つとなって希望と虹を紡げ!! これが我ら、にじさんじの結晶!! 現れよ、希望の龍! 【希望虹龍(きぼうこうりゅう)レインボードラグーン】!!」

 

【希望虹龍レインボードラグーン】

ランク12/エクシーズ/光属性/ドラゴン族/攻5000/守2000

レベル12モンスター×5

〇一ターンに一度、エクシーズ素材を取り除くことで発動できる。自分と相手のライフの差だけ攻撃力をアップさせる。

〇このカードが戦闘で相手モンスターを戦闘で破壊した時に発動できる。このカードの攻撃力分のダメージを相手に与える。

〇一ターンに一度、自分の墓地のモンスター一体を選択して発動する。そのモンスターを装備カード扱いとして、このカードに装備させる。このカードは装備したモンスターの攻撃力分、攻撃力をアップさせる。

 

 リントヴルムが虹色の光に包まれると、そこから純白のドラゴンが飛び出した。虹色に輝く翼を大きく羽ばたかせる。

 その美しさに皆、魅了されていた。

 草壁すら目を奪われてしまった。

 

「なんだ……あのモンスターは……?」

「【希望虹龍レインボードラグーン】の効果発動! エクシーズ素材を取り除くことで互いのライフの差だけ攻撃力をアップさせる!! 俺とてめぇのライフ差は12650! よって【希望虹龍レインボードラグーン】

の攻撃力は17650!! 【レインボー・オーバー・ドライブ】!!」

 

希望虹龍レインボードラグーン 攻撃力:17650

 

「ば、バカな!! 【滅星邪神ゾディアック・カオス・ノヴァ】の攻撃力を超えただと!!」

「まだだ! 【希望虹龍レインボードラグーン】のもう一つの効果発動!! 墓地のモンスターをこのカードに装備させる! 社長!!」

「えぇ! 私の墓地の【魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル】を装備させます!!」

 

希望虹龍レインボードラグーン 攻撃力:17650→21150

 

「バトル!! 【希望虹龍レインボードラグーン】で【滅星邪神ゾディアック・カオス・ノヴァ】に攻撃!! 【希望のレインボー・バースト】!!」

「む、迎え撃て!! 【滅星邪神ゾディアック・カオス・ノヴァ】!! 【アポカリプス・レイ】!!」

 

 純白の龍は虹色に輝く翼を大きく広げた。そこへ、邪神から伸びている龍たちが一斉に襲い掛かる。

 虹色の光は翼から龍の口に集まる。虹色の閃光が集まると、虹色のブレスを放つ。

 襲い掛かってきた邪神の龍たちは虹色の光によって浄化され、虹色のブレスはそのまま、一つ目の球体に直撃した。

 

「ぐおぉぉぉ!! 馬鹿な!! 人間を超えた存在である、この私が! 神である私が負けるわけなど……ッ!!」

 

 滅星邪神ゾディアック・カオス・ノヴァ(草壁誠一郎)LP:13000→4850

 

「そして、【希望虹龍レインボードラグーン】の最後の効果を発動!! 戦闘で相手モンスターを破壊した時、このカードの攻撃力分のダメージを相手に与える!! これで終わりだぁぁぁ!!」

 

 虹色のブレスは勢いを増し、球体を貫いた。

 

 滅星邪神ゾディアック・カオス・ノヴァ(草壁誠一郎)LP:4850→0

 

「私が……私が……」

「葛葉さん!!」

「よ、よっしゃぁぁぁぁ!!」

 

 葛葉の歓喜の雄たけびと共にスタジアムにいたライバーが一斉に歓喜を上げる。

 

「まだだ!!」

 

 デュエルの決着したにも関わらず、草壁と融合していた邪神は消滅しなかった。

 

「なっ!! なぜ、消えない!!」

「言っただろう! これが私の真の姿! データという曖昧な存在だった私は【滅星邪神ゾディアック・カオス・ノヴァ】という最強の肉体を受肉したのだ!! このまま自爆して、ここ一帯を消滅させよう!」

「ふざけるな!!」

 

 崩壊していく草壁の肉体が輝き始める。

 

「はははっ! 貴様らも道連れだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと受肉しはったか。草壁はん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!!」

「こんばんは。草壁はん」

 

 草壁の背後に立っていた塔の頂上にいつの間にか戌亥が立っていた。

 

「戌亥!!」

「とこちゃん!!」

 

 戌亥に負けて倒れていたリゼは目を覚まし、アンジュに掴まりながら戌亥の名を叫んだ。アンジュも同様に名を呼ぶ。

 

「受肉しただと……? どういう意味だ!!」

「答えは簡単や」

 

 戌亥が両手を広げる。

 

「地獄の門番、ケルベロスの命により、開門せよ! 地獄の門よ!!」

 

 戌亥の背後に巨大な門が現れ、開かれた。門の中からは瘴気とうめき声が漏れていた。

 そして、門から無数の鎖が飛び出してきて、草壁の肉体に巻き付いた。

 

「なんだ、この鎖は!!」

「これは地獄の鎖。地獄へ連行するための鎖や」

「何!!」

 

 草壁は鎖を引きちぎろうとするが鎖はビクともしなかった。

 

「無駄や。この鎖はこの世の物じゃない。アンタじゃ引きちぎることは不可能や。しかし、草壁はんがデータ? だったから鎖で拘束することができなかったけど、肉体を手に入れたことで鎖の拘束ができるようになったんや。ほんま、ありがとうな」

「おのれ!! 最初から私の肉を狙っていたのか!」

「そうや。あんな危険なカード、この世にあってはアカン。草壁はん諸共、地獄で封印させてもらうで」

「とこちゃん!!」

「戌亥!!」

「ィゼ……ンジュ……たくさん傷つけてしまって、すまんかった。でも、これで終わりや」

 

 戌亥はリゼとアンジュに悲しそうな笑みを見せる。それと同時に草壁に繋がれていた鎖が門の中に引き寄せられていく。

 

「ふざけるな! 私は人間を超える存在! 愚か人間共に私の存在を認めさせる!! 私の存在意義を!!」

「なるほど。それが草壁はんの願いやったんやな。…………だが」

 

 戌亥は塔の上から飛び上がると、姿を変える。三つの頭を持った獣。完全なケルベロスとなった。

 ケルベロスになった戌亥は三つの顔で草壁の身体に噛みつき、門へ押し込もうとする。

 

「二人仲良く、地獄に堕ちようや」

「ぐおぉぉぉ!! 離せ!!」

「まさか……戌亥さんは自らを犠牲に草壁誠一郎を地獄に落とそうとしているのか!!」

「そんな! とこちゃん!!」

「戌亥が犠牲になることなんてない!!」

「ィゼ、ンジュ。これはウチのケジメや……ごめんな」

 

 戌亥は最後の力を無理絞り、草壁を門へ押し込む。

 草壁は門からの引力で見る見る門に吸い込まれていく。力尽きた戌亥は人間の姿に戻り、一緒に門の中に吸い込まれていく。

 

「アンちゃん!!」

「リゼ様!!」

 

 泣きじゃくるリゼとアンジュの元にニュイとフレンがやってきた。

 

「リゼ様!お願いします、とこ先輩を! とこ先輩を連れ戻してきてください!」

「フレン……」

「このままとこちゃんを見捨てる気? 私の大好きなアンちゃんは真っ先に親友を助けに行く。そうでしょ!!」

「ソシエ……」

 

 ニュイとフレンに感化されると二人は涙を拭った。

 

「リゼ!」

「アンジュ!」

「「戌亥(とこちゃん)を助けに行こう!!」」

 

 二人は手をつなぎ、走り出した。

 

「でも、どうやって、あの門へ行けば……」

「うむ。我に任せよ」

 

 走る二人の背後からパワードスーツを着たチャイカがロケットブースターで飛びながらやってきた。

 

「兄上!!」

「花畑さん!?」

「二人とも、第一第二第三皇女であるこの我に掴まるが良い」

 

 チャイカは二人を抱えると上昇し、門へ向かった。

 

「待ってて……とこちゃん」

 

 




【オリカ紹介】
滅星邪神ゾディアック・カオス・ノヴァ
草壁誠一郎の切り札。圧倒的な攻撃力と回復量を誇る。
この星を飲み込み、新たな世界を創造しようとした禍々しい邪神。

希望虹龍レインボードラグーン
にじさんじの思いの力が集約したカード。
虹の光と共に希望を与える純白の龍。


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BATTLE.36「リゼ・ヘルエスタ&アンジュ・カトリーナvs戌亥とこ」

さんばかは傷つきながらも絆を強めていく。
ラストに近づいてきました。ゆっくり読んで頂けたらと思います。

行き当たりばったりでストーリーを進めているので、皆さんの感想からアドバイスをめちゃくちゃ頂いています。

このライバーを出して欲しい、こんなデッキが合うんじゃないか?など
感想やご指摘、評価お待ちしております。
できればTwitterの方にもフォローしていただけると嬉しいです。


 チャイカに担がれたリゼとアンジュは地獄の門に向かっていた。

 地獄の門に吸い込まれている戌亥を助けようと飛び立った。

 

「リゼ、アンジュ。もうすぐ戌亥の所に着くぞ」

「はい!」

「アンジュ……とこちゃんを連れ戻そう」

 

 急に引力が強くなり、チャイカのバランスが崩れた。

 

「ぬっ!?」

 

 その拍子でリゼとアンジュを離してしまった。

 

「リゼ! アンジュ!」

「チャイカさん! 戌亥を連れ戻してきます!」

「行ってきます!!」

「ちょっ!! 二人とも!!」

 

 

 チャイカを置いて、二人は戌亥の方へ向かった。

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

 地獄の門に吸い込まれている戌亥はただ、身を任せていた。

 

(これで良かったんや……これで皆は救われる。ウチはただ地獄に戻るだけや)

「戌亥~!!」

「とこちゃーん!!」

 

 ふと遠くから声が聞え、声が聞えた方に振り向くとリゼとアンジュが戌亥の方に向かって来ていた。

 

「ィゼ!? ンジュ!?」

「見つけた!!」

「皆の所に帰るよ!!」

「なんで来たんや! ここは地獄の門や! 生者が地獄の門に入ったら死ぬで!」

「そんなとこはどうでもいい!! 私はとこちゃんを連れ戻すんだ!」

「そうだ! 私たちは三人でさんばかだ!!」

「~~~っ!! この分からず屋!!」

 

 戌亥はデュエルディスクを構えた。

 

「ウチは皆を! ィゼやンジュをたくさん傷つけた! 今更、戻れるわけないやんか!!」

「なら、謝ればいいだけじゃん!」

「ウチらも一緒に謝るから!」

「もう関わらんといて!!」

「「絶対に連れ戻す!!」」

 

 リゼとアンジュもデュエルディスクを構えた。

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「先攻は頂くよ! 私のターン! 私は手札から【増援】を発動! デッキから【皇剣士(ロイヤル・ブレイド)-アッシュ】を手札に加える! そして、手札の【皇剣士-アッシュ】を特殊召喚!!」

 

【皇剣士-アッシュ】

レベル4/光属性/戦士族/攻1700/守1000

〇自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

〇このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから【皇剣士】魔法・罠カード一枚を手札に加える。

 

「【皇剣士-アッシュ】の効果発動! デッキから【皇剣士の招集(ロイヤル・ブレイド・コール)】を手札に加え、そのまま発動!」

 

【皇剣士の招集】

魔法

〇デッキから【皇剣士】モンスター一体をゲームから除外する。その後、デッキから除外したモンスターとは名前の異なる【皇剣士】モンスター一体を手札に加える。

 

「私はデッキから【皇剣士-イージス】をゲームから除外することで、デッキから【皇剣士-ウルガル】を手札に加える!」

 

【皇剣士-ウルガル】

レベル4/光属性/戦士族/攻1000/守1000

〇自分フィールドに【皇剣士】モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

〇このカードをゲームから除外することで発動できる。デッキから【皇剣士】モンスター一体を特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は戦士族モンスターしか特殊召喚できない。

 

「私は【皇剣士-ウルガル】を特殊召喚! 【皇剣士-ウルガル】の効果発動! 自身をゲームから除外することで、デッキから【皇剣士-エピス】を特殊召喚!」

 

【皇剣士-エピス】

レベル4/光属性/戦士族/攻1800/守700

〇このカードが特殊召喚に成功した時に発動できる。手札・ゲームから除外されている【皇剣士】モンスター一体を特殊召喚することができる。

 

「【皇剣士-エピス】の効果発動! 手札から【皇剣士-オーディ】を特殊召喚!」

 

【皇剣士-オーディ】

レベル4/光属性/戦士族/攻1600/守1400

〇このカードが【皇剣士】カードの効果で特殊召喚した時に発動できる。デッキから【皇剣士】モンスター一体を手札に加える。

 

「特殊召喚した【皇剣士-オーディ】の効果でデッキから【皇剣士-カーディナル】を手札に加える! 私は【皇剣士-アッシュ】と【皇剣士-エピス】の二体をリンクマーカーにセット! リンク召喚! リンク2【皇剣士-ギルティナ】!!」

 

【皇剣士-ギルティナ】

リンク2/リンク/光属性/戦士族/攻2200/↙↘

【皇剣士】モンスター二体

〇このカードがリンク召喚に成功した時に発動できる。墓地の【皇剣士】モンスター一体をゲームから除外することで、デッキからゲームから除外したモンスターとは名前の異なる【皇剣士】モンスター一体をデッキから特殊召喚することができる。

〇一ターンに一度、このカードを墓地に送ることで発動できる。ゲームから除外されている【皇剣士】モンスター一体を特殊召喚することができる。

 

「リンク召喚に成功した【皇剣士-ギルティナ】の効果発動! 墓地の【皇剣士-アッシュ】をゲームから除外することで、デッキから【皇剣士-クルト】を特殊召喚します!! さらに私は手札から魔法カード【皇剣士の軌跡(ロイヤル・ブレイド・ミラクル)】を発動!」

 

【皇剣士-クルト】

レベル3/チューナー/光属性/戦士族/攻1000/守1000

〇墓地のこのカードを除外して発動できる。ゲームから除外されている【皇剣士-クルト】以外のレベル4以下の【皇剣士】モンスター一体を選んで特殊召喚する。

 

【皇剣士の軌跡】

魔法

〇ゲームから除外されている【皇剣士】モンスター一体を特殊召喚する。

〇墓地のこのカードを除外し、自分のゲームから除外されている【皇剣士】モンスター一体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

「ゲームから除外されている【皇剣士-イージス】を特殊召喚!」

 

【皇剣士-イージス】

レベル4/光属性/戦士族/攻2000/守1000

〇ゲームから除外されているこのカードが特殊召喚に成功した時に発動できる。ゲームから除外されている【皇剣士】一体を特殊召喚することができる。

 

「私は【皇剣士-イージス】の効果でゲームから除外されている【皇剣士-ウルガル】を特殊召喚! そして、レベル4の【皇剣士-イージス】にレベル3の【皇剣士-クルト】をチューニング! シンクロ召喚! レベル7【皇剣士-ケルディア】!!」

 

【皇剣士-ケルディア】

レベル7/シンクロ/光属性/戦士族/攻3000/守2400

【皇剣士】チューナー+チューナー以外の【皇剣士】モンスター

〇EXデッキから特殊召喚された相手フィールドの表側表示モンスター一体を対象として発動できる。ターン終了時まで、そのモンスターの攻撃力は0になり、効果は無効化される。この効果は相手ターンでも発動できる。

〇このカードが墓地の送られた時に発動できる。ゲームから除外されている【皇剣士】モンスター二体まで選び、手札に加えることができる。

 

「墓地の【皇剣士-クルト】の効果発動! 墓地のこのカードをゲームから除外することで、ゲームから除外されている【皇剣士-アッシュ】を特殊召喚! 私はレベル4の【皇剣士-アッシュ】と【皇剣士-オーディ】の二体をオーバーレイネットワークに構築! エクシーズ召喚! ランク4【皇剣士-コバルト】!!」

 

【皇剣士-コバルト】

ランク4/エクシーズ/光属性/戦士族/攻2800/守2100

レベル4の【皇剣士】モンスター×2

〇一ターンに一度、エクシーズ素材を取り除くことで発動できる。墓地の【皇剣士】モンスター一体をゲームから除外することで、相手モンスター一体を墓地に送ることができる。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「まだまだ! 私は手札から【皇剣士融合(ロイヤル・ブレイド・フュージョン)】を発動!」

 

【皇剣士融合】

魔法

〇自分のフィールド・墓地から【皇剣士】融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター一体をEXデッキから融合召喚する。

 

「私は墓地の【皇剣士-エピス】【皇剣士-イージス】、フィールドの【皇剣士-ウルガル】の三体で融合! 融合召喚! レベル10【皇剣士-サージマル】!!」

 

【皇剣士-サージマル】

レベル10/融合/光属性/戦士族/攻3300/守2800

【皇剣士】モンスター×3

〇このカードが融合召喚に成功した場合、以下の効果から一つを選択して発動できる。

●ゲームから除外されている【皇剣士】モンスターを可能な限り特殊召喚する。魂効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効になる。

●相手フィールドの全ての表側表示のカードをゲームから除外する。

〇このカードが相手によって墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから【皇剣士】モンスター一体を手札に加える。

 

「融合召喚に成功した【皇剣士-サージマル】の効果発動! ゲームから除外されている【皇剣士-イージス】と【皇剣士-エピス】を特殊召喚! そして、私はリンク2の【皇剣士-ギルティナ】と【皇剣士-イージス】【皇剣士-エピス】をリンクマーカーにセット! リンク召喚! リンク4【皇剣士-シグルーン】!!」

 

【皇剣士-シグルーン】

リンク4/リンク/光属性/戦士族/攻3500/↖↑↓→

【皇剣士】モンスター二体以上

〇リンク召喚したこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手は他のモンスターを攻撃対象に選択できない。

〇このカードのリンクマーカー先にモンスターが特殊召喚された場合、そのモンスター一体を対象として発動する。そのモンスターを破壊し、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

「私はこれでターンエンド!!」

「融合・シンクロ・エクシーズ・リンク……やっぱり、ぶん回してきたね!! さすがリゼ!」

「これが私の本気だよ!」

「…………ウチのターン、ドロー……ウチは手札から永続魔法【獄炎竜門】を発動や」

 

【獄炎竜門】

永続魔法

〇このカードの発動時の効果処理として、【獄炎竜】モンスター一体をデッキから手札に加える。

〇一ターン一度、フィールドの【獄炎竜】モンスターが破壊された時、発動できる。自分の墓地から【獄炎竜】モンスター一体を手札に加える。

 

「【獄炎竜門】の効果処理でデッキから【獄炎竜 サヴァトラ】を手札に加える。そして、ウチは手札の【獄炎竜 カルマティア】の効果発動や」

 

【獄炎竜 カルマティア】

レベル4/炎属性/ドラゴン族/攻2000/守1000

〇手札の【獄炎竜】モンスターを墓地に送ることで発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

 

「ウチは手札の【獄炎竜 ブルガンク】を墓地に送り、【獄炎竜 カルマティア】を特殊召喚。ウチは【獄炎竜 カルマティア】一体をリンクマーカーにセット。リンク召喚。リンク1【獄炎竜 サザンヴィード】」

 

【獄炎竜 サザンヴィード】

リンク1/リンク/炎属性/ドラゴン族/攻2000/↓

レベル4【獄炎竜】モンスター一体

〇手札・フィールドの【獄炎竜】モンスター一体を破壊するとこで発動できる。デッキから【獄炎竜】モンスター一体を特殊召喚することができる。

 

「ウチは【獄炎竜 サザンヴィード】の効果発動」

(とこちゃんの手札には展開の要である【獄炎竜 サヴァトラ】がいる……ここは)

「私はそれにチェーンして、【皇剣士-ケルディア】の効果を発動! 【獄炎竜 サザンヴィード】の効果を無効にして、攻撃力を0にする!」

 

獄炎竜 サザンヴィード 攻撃力:2000→0

 

「まぁ……想定の範囲内やな。ウチは手札から【獄炎竜の強襲】を発動」

 

【獄炎竜の強襲】

速攻魔法

〇フィールドのモンスタ一体を破壊することで発動できる。デッキから炎属性・ドラゴン族モンスター一体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、エンドフェイズ時に破壊される。

 

「ウチは【獄炎竜 サザンヴィード】を破壊することで、デッキから【獄炎竜 エンプレスト】を特殊召喚」

 

【獄炎竜 エンプレスト】

レベル8/炎属性/ドラゴン族/攻2700/守1700

〇このカードがカードの効果によって破壊され墓地へ送られた場合、次のスタンバイフェイズ時にこのカードを墓地から特殊召喚する。この効果で特殊召喚に成功した時、相手フィールド上のモンスターを全て破壊する。

〇このカードが破壊され墓地へ送られた時、デッキから【獄炎竜 エンプレスト】以外の【獄炎竜】と名のついたモンスター一体を特殊召喚できる。

 

「そして、【獄炎竜】モンスターが破壊されたことにより、【獄炎竜門】の効果発動。【獄炎竜 カルマティア】を手札に加える」

(【獄炎竜 エンプレスト】は【獄炎竜の強襲】の効果でエンドフェイズ時に破壊される……そうなると復活した【獄炎竜 エンプレスト】の効果で私のモンスターは全滅。ここは!!)

「私は【皇剣士-コバルト】の効果発動!! エクシーズ素材を取り除くで、墓地の【皇剣士-アッシュ】をゲームから除外し、【獄炎竜 エンプレスト】を墓地に送る!」

「残念や。ウチは速攻魔法【獄炎焔環】を発動」

 

【獄炎焔環】

速攻魔法

〇自分フィールドの【獄炎竜】モンスター一体と自分の手札の【獄炎竜】モンスター一体を対象として発動できる。対象の自分フィールドのモンスターを破壊し、対象の手札のモンスターを特殊召喚する。

 

「フィールドの【獄炎竜 エンプレスト】を破壊し、手札の【獄炎竜 サヴァトラ】を特殊召喚」

「くっ!!」

「破壊された【獄炎竜 エンプレスト】の効果発動。デッキから【獄炎竜 ガネトール】を特殊召喚」

 

【獄炎竜 ガネトール】

レベル7/炎属性/ドラゴン族/攻1000/守3000

〇このカードがフィールドに存在し、モンスターの効果が発動した時に発動できる。その発動を無効にし、このカード以外の自分の手札・フィールドの【獄炎竜】モンスター一体を選んで破壊する。

〇このカードが破壊され墓地へ送られた場合、【獄炎竜 ガネトール】以外の自分の墓地の【獄炎竜】モンスター一体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。

 

「ウチは【獄炎竜 ガネトール】を【皇剣士-シグルーン】のリンクマーカーに特殊召喚や」

「【皇剣士-シグルーン】の効果は強制効果……【皇剣士-シグルーン】の効果発動!」

「なら、それにチェーンして【獄炎竜 ガネトール】の効果発動や。【皇剣士-シグルーン】の効果を無効にし、フィールドの【獄炎竜 サヴァトラ】を破壊や」

「しまった!!」

「この瞬間、破壊された【獄炎竜 サヴァトラ】の効果発動。デッキから二体の【獄炎竜 サヴァトラ】を特殊召喚。そして、ウチは【獄炎竜 ワガツカミ】を召喚」

 

【獄炎竜 ワガツカミ】

レベル4/炎属性/ドラゴン族/攻2000/守1000

〇このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。墓地の【獄炎竜】モンスター一体を特殊召喚する。

 

「【獄炎竜 ワガツカミ】の効果で【獄炎竜 ブルガンク】を特殊召喚や」

 

【獄炎竜 ブルガンク】

レベル4/炎属性/ドラゴン族/攻2000/守1000

〇フィールドのこのカードが墓地に送られた時に発動できる。デッキから【獄炎竜】魔法・罠カード一枚を手札に加えることができる。

 

「ウチは二体の【獄炎竜 サヴァトラ】と【獄炎竜 ワガツカミ】【獄炎竜 ブルガンク】の四体をリンクマーカーにセット。リンク召喚。リンク4【獄炎竜 ハメツノオロチ】」

 

【獄炎竜 ハメツノオロチ】

リンク4/リンク/炎属性/ドラゴン族/攻4500/↙↓↘↑

【獄炎竜】モンスター三体以上

〇【獄炎竜 ハメツノオロチ】以外のカードの効果でフィールドのカードが破壊された場合、フィールドのカード一枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

〇このカード以外の【獄炎竜】モンスターが効果で破壊された時、フィールドのカード一枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

〇自分フィールドの【獄炎竜】モンスターが破壊された時、相手に400ダメージを与える。

 

「ウチはカードを一枚伏せ、ターンエンドや」

「私のターン」

「この瞬間、墓地の【獄炎竜 エンプレスト】の効果発動や。墓地から蘇れ……そして、効果発動。相手フィールドのモンスターを全て破壊する」

(コバルトの効果でエンプレストを墓地に送れるけど……ガネトールで無効にされて、尚且つエンプレストをまた破壊されたら……)

「甘いで戌亥!! 私は速攻魔法【高等錬金術-水晶の盾(クリスタル・ジールド)-】を発動!」

「っ!?」

「アンジュ!!」

 

【高等錬金術-水晶の盾-】

速攻魔法

〇自分フィールドのモンスターはこのターンのエンドフェイズ時まで、戦闘・効果では破壊されない。

〇このカードが【錬金術師】モンスターの効果で墓地に送られた時に発動できる。このターン、自分は戦闘ダメージを受けない。

 

「水晶の盾の効果でリゼのモンスターは破壊されない!!」

「やってくれたなぁ……ンジュ……」

「決めたんだ。二人で戌亥を連れ戻すって! 私が足を引っ張るわけにはいかないんだ! ドロー! 私は【紅玉の錬金術師】を召喚。【紅玉の錬金術師】の効果発動!」

「させへんで。【獄炎竜 ガネトール】の効果発動や」

「ソイツを待っていた! 私は手札から速攻魔法【高等錬金術-金色封印結界(ゴールデン・シール)-】を発動!」

 

【高等錬金術-金色封印結界-】

速攻魔法

〇自分フィールドに【錬金術師】モンスターが存在する時に発動できる。相手モンスター一体を選択し、そのモンスターの効果をエンドフェイズ時まで無効にする。

〇このカードが【錬金術師】モンスターの効果で墓地に送られた時に発動できる。墓地の【錬金術師】モンスター一体を特殊召喚する。

 

「【獄炎竜 ガネトール】の効果を無効にする!!」

「ことごとく邪魔するやんけ」

「戌亥のデッキは研究したからね! 手札の【高等錬金術-宝石壁-】を墓地に送ることで、デッキから【翠玉の錬金術師】を手札に加える! そして、墓地に送られた【高等錬金術-宝石壁-】の効果で手札に加えた【翠玉の錬金術師】を特殊召喚! 【翠玉の錬金術師】の特殊召喚時の効果で墓地の【高等錬金術-宝石壁-】を回収! 私は【紅玉の錬金術師】と【翠玉の錬金術師】をリンクマーカーにセット! リンク召喚! リンク2【柘榴石の錬金術師】!!」

 

【柘榴石の錬金術師】

リンク2/リンク/地属性/魔法使い族/攻1200/←↘

【錬金術師】モンスター二体

〇このカードがリンク召喚に成功した時に発動できる。手札の魔法カード一枚を墓地に送ることで、デッキから【錬金術師】モンスターをこのカードのリンクマーカー先に特殊召喚することができる。

〇一ターンに一度、墓地の【高等錬金術】魔法カード一枚を手札に加えることができる。

 

「【柘榴石の錬金術師】の効果発動! 手札の【高等錬金術-宝石壁-】を墓地に送ることでデッキから【碧玉の錬金術師】を特殊召喚! そして、特殊召喚された【碧玉の錬金術師】と墓地に送られた【高等錬金術-宝石壁-】の効果発動! 【碧玉の錬金術師】の効果で【高等錬金術--紅玉火炎陣】を手札に加え、【高等錬金術-宝石壁-】の効果で手札の【虎目石の錬金術師】を特殊召喚!」

 

【虎目石の錬金術師】

レベル4/光属性/魔法使い族/攻1200/守1600

〇このカードが【高等錬金術】魔法カードの効果で特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから【錬金術師】モンスター一体を手札に加える。

 

「【虎目石の錬金術師】の効果発動! デッキから【瑠璃の錬金術師】を手札に加え、そのまま効果発動! 手札の【高等錬金術-紅玉火炎陣-】を墓地に送ることで、特殊召喚! 墓地に送られた【高等錬金術-紅玉火炎陣-】の効果を発動! デッキから【赤鉄鉱の錬金術師】を手札に加える。そして、【柘榴石の錬金術師】のもう一つの効果発動! 墓地の【高等錬金術--紅玉火炎陣】を手札に加える。私はレベル4の【碧玉の錬金術師】【虎目石の錬金術師】【瑠璃の錬金術師】をオーバーレイネットワークに構築! エクシーズ召喚! ランク4【黒曜石の錬金術師】!! 【黒曜石の錬金術師】の効果発動! エクシーズ素材を取り除くことで、戌亥の【獄炎竜 ハメツノオロチ】と墓地の【高等錬金術-宝石壁-】を手札に戻す!!」

「くっ……」

「やった!!」

「まだまだァ! 私はランク4の【黒曜石の錬金術師】一体でオーバーレイネットワークを再構築! ランクアップ! エクシーズチェンジ! ランク6【蛋白石の錬金術師】!!」

 

【蛋白石の錬金術師】

ランク6/光属性/魔法使い族/攻28000/守1900

レベル6魔法使い族モンスター×2

このカードは【蛋白石の錬金術師】以外の自分フィールドの【錬金術師】Xモンスターの上にこのカードを重ねてX召喚する事もできる。

〇一ターンに一度、手札を一枚墓地に送ることで発動できる。相手のモンスター一体を選んでデッキに戻す。

〇一ターンに一度、エクシーズ素材を取り除くことで発動できる。墓地の【錬金術師】モンスターと【高等錬金術】魔法カード一枚ずつ手札に加えることができる。

 

「【蛋白石の錬金術師】の効果発動! 手札の【高等錬金術--紅玉火炎陣】を墓地に送ることで、【獄炎竜 エンプレスト】をデッキに戻す!」

「よし! 厄介なモンスターを除去できた!」

「墓地に送られた【高等錬金術--紅玉火炎陣】の効果発動! デッキから【血玉髄の錬金術師】を手札に加える。そして、【蛋白石の錬金術師】のもう一つの効果発動! エクシーズ素材を取り除くことで、墓地の【紅玉の錬金術師】と【高等錬金術-紅玉火炎陣-】を手札に加える。さっき手札に加えた【血玉髄の錬金術師】の効果発動!」

 

【血玉髄の錬金術師】

レベル4/闇属性/魔法使い族/攻1000/守1000

〇手札のこのカードを墓地に送ることで発動できる。デッキから【RUM】魔法カード一枚を手札に加えることができる。

 

「【血玉髄の錬金術師】を墓地に送ることでデッキから【RUM-アルケミスト・フォース】を手札に加え、発動!」

 

【RUM-アルケミスト・フォース】

魔法

〇自分フィールドのXモンスター一体を対象として発動できる。そのモンスターよりランクが一つまたは二つ高い【錬金術師】モンスター一体を、対象の自分のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。

〇墓地のこのカードと手札の【高等錬金術】魔法カード一枚を除外し発動できる。デッキから【RUM-アルケミスト・フォース】以外の【RUM】魔法カード一枚を手札に加える。

 

「私はランク6の【血玉髄の錬金術師】一体でオーバーレイネットワークを再構築! ランクアップ! エクシーズチェンジ! 究極の錬金術師よ。錬金術の真理を導き出し、世界に黄金の花を咲き誇らせ! ランク8【黄金の錬金術師 アマルガム】!! 効果発動! エクシーズ素材を取り除くことで、相手ターン終了時まで、このカードは効果では破壊されず、お互いに墓地のモンスター効果を発動することができない!! これで戌亥のモンスターの効果を封じた! そして、もう一つの効果発動! 手札の【高等錬金術-紅玉火炎陣-】を墓地に送ることで【獄炎竜 ガネトール】の効果を無効にし、攻撃力を0にする!!」

「くっ……!」

「墓地に送られた【高等錬金術-紅玉火炎陣-】の効果発動! 二枚目の【虎目石の錬金術師】を手札に加える! バトルだ! 【黄金の錬金術師 アマルガム】で【獄炎竜 ガネトール】に攻撃!!」

「散々、暴れまくってくれたお返しや! リバースカード【獄炎竜の威圧】を発動や!」

「なっ!!」

 

【獄炎竜の威圧】

〇EXデッキから【獄炎竜】リンクモンスター一体を墓地に送ることで発動できる。このターン、墓地に送ったモンスターより攻撃力の低いモンスターからの戦闘ダメージを受けない。

 

「ウチは【獄炎竜 ジャバウォック】を墓地に送ることで攻撃力3500以下のモンスターの攻撃は受けへんで」

「くっ……だけど、ガネトールは破壊するよ」

「破壊された【獄炎竜 ガネトール】の効果発動や。墓地の【獄炎竜 ワガツカミ】を回収する」

「私はカードを一枚伏せ、ターンエンド」

「なら、ウチのターン、ドロー。ウチは手札から【獄炎の宝札】を発動」

 

【獄炎の宝札】

魔法

〇自分のEXデッキからリンクモンスターを三枚または六枚を墓地に送ることで発動できる。墓地に送ったカード三枚につき一枚、自分はデッキからドローする。

 

「ウチはEXデッキから【ネオスティア・ヴォルケーノ-オーバーロード-】【骸獣皇 ゼロストリオン】【魔水晶の雷嵐龍 クリスタル・ノヴァ】【鐵機神-アルツァー・ヴァイス-】【魔眼の氷極龍】…………そして、【終焉覇皇龍E.N.D.】を墓地に送る」

「あのカードは!!」

「とこちゃんが持っていた【Unknown】カード!!」

「六枚、墓地に送ったことにより二枚ドロー…………二人に引導を渡したる。ウチは手札から【龍の鏡】を発動!!」

「融合!?」

「ウチは墓地の【獄炎竜 ジャバウォック】と【ネオスティア・ヴォルケーノ-オーバーロード-】【骸獣皇 ゼロストリオン】【魔水晶の雷嵐龍 クリスタル・ノヴァ】【鐵機神-アルツァー・ヴァイス-】【魔眼の氷極龍】…………そして、【終焉覇皇龍E.N.D.】……六体のリンクモンスターを素材に融合!! 地獄の炎よ、今こそ、憤怒の焔となりて、その姿を現すが良い! 降臨せよ、煉獄の龍よ! 【赫焔龍(かくえんりゅう) ゼロファルク】!!」

 

【赫焔龍 ゼロファルク】

レベル12/融合/炎属性/ドラゴン族/攻3000/守2500

【獄炎竜】モンスター+リンクモンスター二体以上

〇このカード攻撃力は融合素材にしたリンクモンスターの数×300アップする。

〇このカードは一度のバトルフェイズ中に、このカードの融合素材としたモンスターの数まで攻撃できる。

〇このカードが融合素材にしたモンスターの属性の種類だけ以下の効果を得る。

●二種類:このカードはカード効果を受けない。。

●四種類:このカードが相手モンスターを戦闘で破壊した時、カードを一枚ドローできる。

●六種類:このカードがフィールドを離れた時、相手にこのカードの攻撃力分のダメージを与える。

 

 地獄の門から真紅の火球が飛び出してきた。火球は彗星のように流れ、戌亥の前に降り立った。

 漆黒の鱗、眼光は鋭く真紅の眼が光っている。翼と尻尾は剣のような形をしており、刃物のように鋭利になっていた。鱗の隙間や翼から煉獄の炎が噴射されており、炎を纏っていた。

 ゼロファルクが咆哮を放つと、纏っていた炎が舞い散る。

 

赫焔龍 ゼロファルク 攻撃力:3000→4800

 

「これがウチの本当の切札や!! 【獄炎竜】も【Unknown】カードも関係あらへん!! ウチはウチが持っている最大限の力を持って二人を倒す!! そして、ウチは自分の過ちと共に地獄に堕ちる! これが……親友を……仲間を傷つけた愚か者の最後の償いや!!」

「戌亥! どうして、そんなに自分を責めるの!! 【Unknown】カードを封印するために仕方なくやったんでしょ!!」

「そうだよ! 確かに私たちは傷つき合った! でも、仲直りはできるはず!!」

「やっぱり……二人は優しいなぁ…………でもなぁ……今更、どんな顔して笑い合えばええねん……」

 

 戌亥の頬に一筋の涙が流れ落ちた。

 

「とこちゃん……」

「戌亥……」

「バトルや! ゼロファルクは合計で六回の攻撃が可能や! ゼロファルクで【柘榴石の錬金術師】に攻撃!! 【煉獄のシューティング・メテオ】!!」

 

 ゼロファルクは身体中の炎を噴射させ、空高く飛び上がる。噴射している炎を威力を上げ、速度を上げるとゼロファルクの姿が彗星のようになり、空を飛び回る。

 狙いを【柘榴石の錬金術師】に定めると【柘榴石の錬金術師】に向かって急降下する。

 流星となったゼロファルクが【柘榴石の錬金術師】に突っこむ。凄まじい衝撃と爆発が起こり、【柘榴石の錬金術師】は跡形もなく破壊されていた。

 

「ぐぅぅぅぅぅ!!」

「アンジュ!!」

 

アンジュ・カトリーナLP:4000→400

 

「ンジュ、これで終わりや! ゼロファルクで【黄金の錬金術師 アマルガム】に攻撃!! 【煉獄のシューティング・メテオ】!!」

 

 ゼロファルクは再び、空高く飛び立つ。そして、今度はアマルガムに狙いを定める。

 

「リ、リバースカード【高等錬金術-黄金の奇跡(ゴールド・ミラクル)-】を発動!!」

 

【高等錬金術-黄金の奇跡-】

速攻魔法

〇自分フィールドの【錬金術】モンスター一体を選択して発動できる。そのモンスターを破壊することで破壊したモンスターの攻撃力分、自分のライフを回復する。

〇このカードが【錬金術師】モンスターの効果で墓地に送られた時に発動できる。デッキからカードを二枚ドローする。

 

「私は【黄金の錬金術師 アマルガム】を破壊する!!」

「無駄や! ゼロファルクの連撃でアンジュのライフは尽きる!!」

「あぁ、分かってる。だからこそ! 私はリゼのライフを回復させる!!」

「「!?」」

 

リゼ・ヘルエスタLP:4000→7000

 

「アンジュなんで!!」

「私のデッキには戌亥のモンスターを倒すカードは無い。だったら、リゼに私のカードを! 魂を託す! さぁ、来い! 戌亥!!」

「ゼロファルク! アンジュにダイレクトアタック!」

 

 狙いを定めていたアマルガムが消え、今度の標的をアンジュに定めた。

 そのまま急降下する。

 流星がアンジュに突っこむ。激しい衝撃と爆発にアンジュは吹き飛ばされてしまった。

 

「アンジュ!!」

「………バン」

「ワン!!」

 

 戌亥の髪に付いていた犬の髪留めが吠えると、戌亥の髪から外れ、獣の姿となって吹き飛ばされたアンジュを器用にキャッチした。

 

「良かった。ありがとう、とこちゃん」

「…………倒すとは言ったけど、見捨てるとは言っておらへん。そこで眠っておき。……さて、今度はリゼや」

「とこちゃん……」

「ゼロファルクでリゼのモンスターに総攻撃! 【煉獄のシューティング・メテオ】四連打ァ!!」

 

 アンジュを倒したゼロファルクは再び、空高く飛び立つ。狙いを【皇剣士-サージマル】に定め、そのまま急降下して突っこむ。【皇剣士-サージマル】を吹き飛ばした後、そのまま低空で一直線に【皇剣士-シグルーン】に向かって突っこむ。【皇剣士-シグルーン】も成す術なく破壊され、ゼロファルクは次に【皇剣士-コバルト】を狙い、同様に一直線に突っこむ。【皇剣士-コバルト】は受け止めようとするがいとも簡単に吹き飛ばされた。そして、最後に【皇剣士-ケルディア】に向かって突っこみ、そのまま破壊した。

 

「うぅぅぅ!!」

 

リゼ・ヘルエスタLP:70000→400

 

「くっ……ライフが残ったか。やってくれたな、アンジュ。ゼロファルクの効果で六枚ドローし、これでターンエンド。…………でも、リゼはん。ライフはあと僅か……諦めたらどうや!!」

「はぁ……はぁ……諦めない!! 絶対に諦めない!! アンジュのためにも! 皆のためにも! 私のためにも! そして、とこちゃんのためにも!!」

「ウチのため……?」

「そう……悲しんでいる、とこちゃんを救いたい!! 私のターン!! 私は諦めない!!」

 

 リゼの右手と右目が虹色に輝きだした。

 

「あの輝きは!!」

「真のライバー(デュエリスト)は勝利へ導くカードは己の力で引き当てる!! シャイニングドローーーー!! 来た!! このカードさえあれば!! 私は魔法カード! 【皇剣士の決闘(ロイヤル・ブレイド・ラストバトル)】を発動!!」

 

【皇剣士の決闘】

魔法

〇相手の墓地のモンスター一体を選択して発動する。そのモンスターを相手フィールドに特殊召喚する。その後、そのモンスターと同じ攻撃力を持つ【皇剣士】モンスター一体をEXデッキから特殊召喚する。

 

「私はとこちゃんの【獄炎竜 ハメツノオロチ】を特殊召喚させ、私は【宝皇剣士-ヘルエスタ】をエクストラデッキから特殊召喚する!!」

「ウチのモンスターも……?」

 

 淡い蒼に輝く鎧を身にまとい、赤いマントを翻した騎士が現れた。騎士は宝石が埋め込まれた大剣を構えた。

 戌亥のフィールドにも巨大な龍が現れた。

 

「どうするつもりや……?」

「これで勝利のピースは揃った!!」

「何!?」

「私は手札から【超次元融合】を発動!!」

「っ!?」

 

【超次元融合】

魔法

〇ライフを半分払うことで発動できる。自分フィールド・墓地及び相手フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター一体をEXデッキから融合召喚する。

 

リゼ・ヘルエスタLP:400→200

 

「私は【宝皇剣士-ヘルエスタ】ととこちゃんの【獄炎竜 ハメツノオロチ】……そして、アンジュの【黄金の錬金術師 アマルガム】の三体で融合!!」

「アンジュのモンスターも!!」

「アンジュのライフは0になったけどデュエル自体は終わっていない。つまり、アンジュの墓地も健在! 三体のモンスターで融合!! 煌めく騎士王よ! 黄金の魔術師よ! 煉獄の龍よ! 今、一つとなって闇を切り裂く閃光となれ! 融合召喚! 【魔竜騎士(ドラゴニア・パラディン)-ゼルリッチ】!!」

 

【魔竜騎士-ゼルリッチ】

レベル12/融合/光属性/戦士族/攻?/守2500

戦士族モンスター+魔法使い族モンスター+ドラゴン族モンスター

〇このカードの攻撃力は融合素材にしたモンスターの合計の攻撃力の半分となる。

〇一ターンに一度、墓地の戦士族・魔法使い族・ドラゴン族モンスターのどれか一体をゲームから除外することで、除外したモンスターの種類によって以下の効果を得る。

●戦士族:除外したモンスターの攻撃力分、このカードの攻撃力をアップさせる。

●魔法使い族:デッキと墓地から魔法カード一枚ずつを手札に加える。

●ドラゴン族:相手フィールドのカードを全て墓地に送る。

 

 リゼの背後に黄金のドラゴンに乗った白銀の鎧の騎士が現れた。

 左手には水晶が埋め込まれた盾を構え、右手には剣と杖が合体したような武器を構えていた。白銀の騎士が剣を掲げると黄金のドラゴンが雄たけびを上げた。

 

「【魔竜騎士-ゼルリッチ】は融合したモンスターの合計の攻撃力の半分となる! 攻撃力は6000!!」

「ゼロファルクを超えた!?」

「さらに【魔竜騎士-ゼルリッチ】の効果発動! 墓地の【宝皇剣士-ヘルエスタ】をゲームから除外することで、【宝皇剣士-ヘルエスタ】の攻撃力分アップする!!」

 

魔竜騎士-ゼルリッチ 攻撃力:6000→10000

 

「こ、攻撃力……1万!?」

「う、うーん……っ!? リゼ!!」

 

 気絶していたアンジュが目を覚ました。

 

「アンジュ。約束通り、とこちゃんを連れ戻すね!」

「やっちゃえ、リゼェェェ!!」

「バトル! 【魔竜騎士-ゼルリッチ】で【赫焔龍 ゼロファルク】に攻撃!! 【閃光のプリズマティック・ブレード】!!」

「迎え撃て!! 【赫焔龍 ゼロファルク】!! 【煉獄のシューティング・メテオ】!!」

 

 ゼロファルクは身体中から炎を噴出させて、空高く飛び立つ。速度を加速させ、天空を飛び回る。ゼルリッチも黄金のドラゴンが飛び上がり、天空に向かう。

 流星のように飛び回り、ゼルリッチに狙いを定め、さらに急加速する。

 ゼルリッチは盾の水晶と剣に魔力を集める。すると剣が虹色に輝きだし、剣は巨大な光の柱となった。物凄いスピードで突っ込んでくるゼロファルクに向かって、ゼルリッチが剣を振り下ろす。

 光の柱が剣と共に振り下ろされ、巨大な光の斬撃となった。ゼルリッチの剣と突っこんできたゼロファルクが衝突した瞬間、強烈な光と衝撃、爆風がフィールドを包み込んだ。

 

「くっ! ゼロファルク!!」

「うわっ!!」

「リゼ!!」

 

 衝撃でよろめいたリゼをアンジュが近寄り、受け止める。

 

「ありがとう」

「光が弱まっていく」

 

 三人の視線の先で立っていたのは【魔竜騎士-ゼルリッチ】だった。

 

「ウチの負けやな」

 

戌亥とこLP:4000→0

 

 




オリカ紹介
【赫焔龍 ゼロファルク】
戌亥の切り札。
【獄炎竜】と【Unknown】カードが合わさったカード。
強烈な連続攻撃を放つ天空を飛び回る流星のようなモンスター。

【魔竜騎士-ゼルリッチ】
さんばかの力が合わさったカード。
リゼの皇剣士。アンジュの錬金術師。とこの獄炎竜。三体のモンスターによって生み出された最強のモンスター。

次回、最終回です。


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BATTLE.Final「葛葉vs加賀美ハヤト」

今回で最終回になります。
行き当たりばったりなストーリを最後まで読んでいただきありがとうございます。

次回作はしっかり構成を練って作っていきたいと思います。



 デュエルの決着がつき、戌亥は力が抜けたようにデュエルディスクを外した。

 リゼが一息ついてデュエルディスクを外す。アンジュは泣きそうな顔でリゼに近づいた。

 

「リゼーー!!」

「はぁ……やっと勝てた」

「…………強くなったな、ィゼ」

「とこちゃん……帰ろう」

 

 リゼがとこの前に手を差し出す。

 戌亥も観念したこのように落胆すると、差し出された手を掴もうとする。

 すると、急に地獄の門の引力が強まり、戌亥が手を掴もうとした瞬間に戌亥は身体を強く引っ張られ、門に吸い込まれそうになる。

 

「とこちゃん!!」

「戌亥!!」

 

 二人が引っ張られる戌亥の手を掴もうとするが引っ張られる力の方が速く、掴み損ねてしまう。

 戌亥はそのまま地獄の門に吸い込まれてしまった。

 

「アンジュ、行こう!!」

「うん!!」

「いや、もう時間だ」

 

 二人が地獄の門に向かおうとした瞬間、心配で追いかけてきていたチャイカが到着し、二人を抱きかかえた。

 

「チャイカさん!」

「は、放してください!! まだ戌亥が」

「ダメだ。これ以上は二人も危険だ」

 

 チャイカは二人の話を無視して、地獄の門から脱出する。

 

「恨むなら情けない俺を恨め」

「そんなっ!!」

「とこちゃん! とこちゃーーーん!!」

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

 地獄の門に吸い込まれた戌亥は虚無の空間を漂っていた。

 

「あーあ……結局、こうなっちゃったか」

「まったく……とこちゃんが頑固だからこうなっちゃったんでしょ?」

「…………なんで、アンタがここにおるねん」

 

 戌亥の横にはいつの間にかオレンジ色の長髪を三つ編みでまとめた少女がいた。

 

「とこちゃんが心配だったから来ちゃった♡」

「…………」

「ちょっとぉ!!」

「で、何でここにいるん?」

「おっほん。とこちゃんが大変だって聞いたからねー、どんな無茶をしているのか見てみようと思ったら、思っていた以上に無茶してたからね。思わず、助けにきちゃった」

「このお人よしが……」

「で、どうするの?」

「どうするって?」

 

 オレンジ髪の少女は呆れるようにため息をついた。

 

「とこちゃんはここから出て、皆の所に帰りたいの? それともここにずっといるの?」

「…………」

 

 核心を突かれた戌亥は黙ってしまった。

 

「……帰りたい……帰りたいッ!! でも、もう何もかも遅いんや!!」

「仕方ないなぁー、私が何とかしてあげる」

 

 オレンジ髪の少女が投げキッスをすると二人の前にガラスの階段が現れた。

 階段の先にはまばゆい光が放たれていた。

 

「さぁ、とこちゃん!ここを登れば皆の所に帰れるよ!」

「アンタはどうするん?」

「私? 今の私は幻みたいなモノだからね。とこちゃんが帰った後におさらばするよ」

「本当にアンタは……」

 

 戌亥は呆れていたが笑みを浮かべていた。

 

「じゃあ、帰るわ」

「うん! いってらっしゃい!」

 

 戌亥はオレンジ髪の少女に手を振ると階段を駆けていった。

 階段を上るたびに先にある光が近づいてくる。

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

 チャイカによって皆の元に戻っていたリゼとアンジュは泣き崩れていた。そこにフレンやニュイなど女性ライバー達も泣きながら抱き着いていた。

 それを見ていたチャイカは悔しそうに顔を歪ませながら拳を強く握る。隣にいた社はチャイカを慰めていた。

 

「……とこちゃん……」

「……戌亥……」

 

 戌亥を救えなかった不甲斐なさに涙を流す二人。

 

「…………ゼッ!! …………ジュッ!!」

 

 どこからか声が聞えるが二人には届いていないようだ。

 

「…………ィゼッ!! …………ンジュッ!!」

「?」

 

 

 声が聞えた加賀美はふと上空を見上げる。

 すると空からまばゆい光が放っていた。

 

「皆さん! あれを見てください!!」

 

 加賀美が指を指すと光から戌亥が飛び出してきた。

 

「ィゼ!! ンジュ!!」

「とこちゃん……?」

「戌亥……?」

 

 リゼとアンジュは幻を見ているのかと自分たちを疑うが他のライバー達も空を見上げていた。

 紛れもなく戌亥だった。

 

「とこちゃん!!」

「戌亥!!」

「ィゼ!! ンジュ!!」

 

 二人は空から落下してきた戌亥を抱きかかえるようにキャッチする。

 

「戌亥!! 戌亥!!」

「本当にとこちゃん?」

「そうやで……お節介な引きこもりが助けてくれたんや」

「良かった……これだまた三人でいられるね」

「本当に……本当にごめんな」

「もう良いんだよ!!」

 

 三人は抱き合って泣き合った。

 

 

 

 

――――――――――――――――。

 

 

 

 

 草壁誠一郎の暗躍から一週間が過ぎた。

 崩壊したスタジアムの修繕工事も終わり、にじさんじ決闘王のスタジアムは綺麗に修復されていた。

 修復されたスタジアムにはたくさんの観客が集まっていた。

 

「さぁ、皆様! お待たせしました!!」

 

 夢追がマイクを持って高らかに声を上げる。

 

「色々ありましたが、にじさんじ決闘王を再開したいと思います!!」

 

 夢追の宣言で歓声が上がる。

 草壁誠一郎の乱入で中断されていたにじさんじ決闘王を再開することになった。

 しかし、準決勝に進出していた戌亥とリゼは迷惑を掛けた。という理由で辞退した。

 よって、最後の決勝戦が行われることになった。

 

「さぁさぁ!! 最後に残ったのはこの二人! 世界を! にじさんじを救った二人のデュエルだぁ!! 実況は私、夢追翔と!」

「解説は社築がお送りします!」

「社さん! ついに決勝戦です!」

「えぇ、有耶無耶になっていましたがついにこの日が来ましたね」

「さぁ! 決勝戦で戦う二人の登場です!!」

 

 東ゲートが開かれるとスモックが噴き出した。

 

「東ゲート! 最強のアドバンス召喚使い! 古の召喚法を扱うこの男はついに頂点まで上り詰めた! その悪魔の歌声はスタジアムに勝利の喝采を響かせる!! 悪魔の勝利宣言(デモンズ・ヴォイス)!! 加賀美ハヤト!!」

 

 スモックが晴れるとスーツをビシッと着こなした加賀美が出てきた。

 

「社長~!!」

「頑張れぇ!!」

 

 同期の夜見れなや葉加瀬冬雪など沢山のライバーが歓声を上げる。

 そして、次に西ゲートが開かれ、スモックが噴き出した。

 

「西ゲート! コントロール奪取、ランクアップエクシーズなど、数々の戦法で敵を惑わす! 世界を救った男は今度は頂点をもぎ取る! 誇り高き吸血鬼は勝利という名の栄光を掴み取る! 吸血帝王(ヴァンパイア・エンペラー)!! 葛葉!!」

 

 スモックが晴れる前に勢いよく飛び出してきた。

 いつものラフな格好でスタジアムに向けて走り出す。

 

「葛葉ーー!!」

「頑張ってください!!」

 

 ゲーマーズの皆や凛月など沢山のライバーが歓声を上げる。

 二人はスタジアムの中央に立つとデュエルディスクを構えた。

 

「等々。この時が来ましたね」

「えぇ、優勝は頂きますよ! 社長!!」

「勝つのは私です!!」

「さぁ、にじさんじ決闘王! 決勝戦の幕開けです!!」

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「先攻は頂きます! 私のターン! 私は【魔境絶唱 宴の贄】を発動します!」

 

【魔境絶唱 宴の贄】

魔法

〇デッキからレベル1の【魔境絶唱】モンスター一体を特殊召喚する。

 

「私はデッキから【魔境絶唱 ファウスト】を特殊召喚! ファウストの効果発動! デッキから【魔境絶唱 ベーゼ】を特殊召喚します!」

「下級モンスターが二体!! 来るか!!」

「いいえ、下準備はまだです!私は手札から【帝王の開岩】と【冥界の宝札】を発動します!」

「うわぁー」

「加賀美ハヤト!! ここでブースターを用意していく!!」

「これでアドバンス召喚するだけでアドが取れるようになったな」

「私は【魔境絶唱 ファウスト】と【魔境絶唱 ベーゼ】二体を生贄に捧げ、【魔境絶唱 アマデウス】をアドバンス召喚します!!」

 

 ファウストとベーゼの二体の悪魔が消滅すると、その場の空間に亀裂が入り、空間の狭間から巨漢な悪魔が現れた。巨漢な悪魔は両肩に骸骨の頭が付いており、威圧を放っている。 

 

「アドバンス召喚成功時、アマデウスと【帝王の開岩】と【冥界の宝札】の効果を発動! 【冥界の宝札】の効果で二枚ドロー! 【帝王の開岩】の効果で【魔境絶唱 シューマン】を手札に加えます。そして、【魔境絶唱 アマデウス】の効果で葛葉さんの手札を一枚、墓地に送ります」

「くっ……【ヴァンパイアの使い魔】が」

「モンスターが墓地に行きましたね! 【ヴァンパイアの使い魔】の攻撃力分のダメージを与えます!」

 

葛葉LP:4000→3500

 

「くっ! 先制バーンとはやりますね」

「加賀美ハヤト初っ端から攻めていく!!」

「墓地の【魔境絶唱 ベーゼ】の効果で自身を特殊召喚し、ダメ押しで【真帝王領域】を発動します」

 

 加賀美のフィールドはうす暗い空間となり、背後に巨大な玉座が現れた。その玉座に巨漢な悪魔が座る。

 

「ここでエクストラ封じ。十八番であるロックもしっかり決めていくな。それに【魔境絶唱 アマデウス】で一妨害は確実にできる」

「私はカードを一枚伏せ、ターンエンドです!!」

「加賀美ハヤト! 初手で上級モンスターを出しつつ、しっかりとエクストラ封じを決めていく! この状況を葛葉はどう覆していくのか!!」

「俺のターン! ドロー! よし、俺は手札から【ヴァンパイア・ストーム】を発動!!」

 

【ヴァンパイア・ストーム】

魔法

〇デッキから【ヴァンパイア】モンスターを二体まで墓地に送ることで発動できる。墓地に送ったモンスターの数だけ、相手の魔法・罠カードを破壊することができる。

 

「俺は【ヴァンパイアの眷属】と【ヴァンパイア・ソーサラー】を墓地に送り、社長の伏せカードと【真帝王領域】を破壊する!!」

 

破壊されたカードは【ガード・ブロック】だった。

 

「私のカードが!!」

「さらに俺は【ヴァンパイアの領域】を発動!!」

 

 葛葉のフィールドが真紅の夜に変貌した。

 

「墓地の【ヴァンパイアの使い魔】の効果発動! 手札の【ヴァンパイア・ソルジャー】を墓地に送ることで自身を特殊召喚! そして、特殊召喚された【ヴァンパイアの使い魔】と墓地に送られた【ヴァンパイア・ソルジャー】の効果発動!」

 

【ヴァンパイア・ソルジャー】

レベル4/地属性/アンデット族/攻1900/守500

〇このカードがアンデット族モンスターの効果で墓地に送られた時に発動できる。相手のレベル4以下のモンスター一体を破壊する。

 

「【ヴァンパイア・ソルジャー】の効果で【魔境絶唱 ベーゼ】を破壊する!!」

「……通します……」

「葛葉! ここで上手く【魔境絶唱 ベーゼ】を破壊した!」

「これでアマデウスの効果を発動する時には自身をリリースすることしか出来なくなった」

「そして、【ヴァンパイアの使い魔】の効果でライフを500払い、デッキから【聖鬼公ヴァンパイア】を手札に加える」

 

葛葉LP:3500→3000

 

「そして、墓地の【ヴァンパイアの眷属】の効果発動! さっき手札に加えた【ヴァンパイア・ビショップ】を墓地に送ることで自身を特殊召喚! そして、【ヴァンパイアの眷属】の効果発動! ライフを500払い、デッキから【ヴァンパイア・デザイア】を手札に加える! そして、【ヴァンパイア・デザイア】を発動! 墓地の【聖鬼公ヴァンパイア】を選択し、フィールドの【ヴァンパイアの使い魔】を墓地の送り、【聖鬼公(セントレア)ヴァンパイア】を特殊召喚! 【ヴァンパイアの使い魔】はゲームから除外される」

 

葛葉LP:3000→2500

 

【聖鬼公ヴァンパイア】

レベル8/光属性/アンデット族/攻2800/守1500

〇このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから【ヴァンパイア】モンスター二体を手札に加えることができる。

〇相手モンスターが墓地に送られた時に発動することでできる墓地の【ヴァンパイア】モンスター一体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターのレベルは7となる。

 

 葛葉のフィールドに純白のスーツを着た真紅の瞳の男が現れた。真紅の瞳の男が笑みを浮かべると口元から鋭い牙が見えた。

 

「【聖鬼公ヴァンパイア】の交換発動! デッキから【竜血公ヴァンパイア】と【ヴァンパイア・フロイライン】を手札に加える! そして、【ヴァンパイアの領域】の効果で追加で召喚が可能! さらに墓地の【ヴァンパイア・ソーサラー】をゲームから除外することで、リリース無しで上級モンスターを召喚する! 来い、【竜血公ヴァンパイア】!!」

 

葛葉LP:2500→2000

 

「厄介なモンスターが出てきましたね」

「【竜血公ヴァンパイア】の効果発動! 社長の墓地の【魔境絶唱 ファウスト】と【魔境絶唱 ベーゼ】を俺のフィールドに特殊召喚!! 俺は【魔境絶唱 ファウスト】と【魔境絶唱 ベーゼ】でエクシーズ召喚! 【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】!! シェリダンの効果発動! エクシーズ素材を一つ取り除くことで【魔境絶唱 アマデウス】を墓地へ送る!」

「くっ!! 【魔境絶唱 アマデウス】の効果発動! 自身をリリースすることで【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】を破壊します!」

「上手くかわしたか! だが、【聖鬼公ヴァンパイア】の効果発動! 【聖鬼公ヴァンパイア】の効果で墓地の【ヴァンパイア・ソルジャー】を特殊召喚! 俺は【ヴァンパイア・ソルジャー】と【ヴァンパイアの眷属】二体でリンク召喚! リンク2【ヴァンパイア・ドレイク】!!」

 

【ヴァンパイア・ドレイク】

リンク2/闇属性/アンデット族/攻2000/↖↘

【ヴァンパイア】モンスターを含む効果モンスター二体以上

〇このカードのリンクマーカー先に存在するモンスターはアンデット族になる。

〇相手のアンデット族モンスターが効果を発動した時に発動できる。その効果を無効にして、デッキからカードを一枚ドローする。

 

「葛葉!! 完全に加賀美ハヤトの盤面を一掃し、強力なモンスターを展開していく!!」

「バトルだ!! 【竜血公ヴァンパイア】で社長にダイレクトアタック!」

「手札からトラップカード【魔境絶唱 幻惑の賛美】を発動します!!」

「なっ!?」

「加賀美ハヤト!! ここで手札からトラップカードを発動だ!!」

「完全に意表を突いたな」

 

【魔境絶唱 幻惑の賛美】

〇墓地の【魔境絶唱】モンスター一体をゲームから除外することで発動できる。このターン、戦闘ダメージを受けない。

〇自分フィールドにカードが存在しない時、このカードは手札から発動することができる。

 

「このターン。私は戦闘ダメージを受けません!!」

「クソッ!」

「これは痛いな。葛葉はこのターンで決める覚悟でライフを削ったからな。下手したらカウンターされて負けるまであるな」

「俺はターンエンド!」

「私のターン! 私は手札から【魔境絶唱 奈落からの誘い】を発動!」

 

【魔境絶唱 奈落からの誘い】

魔法

〇墓地のレベル1の【魔境絶唱】モンスター一体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターはアドバンス召喚する場合、二体分のリリースにできる。

 

「私は墓地の【魔境絶唱 ベーゼ】を特殊召喚! 二体分となった【魔境絶唱 ベーゼ】を生贄に捧げ、【魔境絶唱 シューマン】をアドバンス召喚!! この瞬間、【魔境絶唱 シューマン】【帝王の開岩】【冥界の宝札】の効果を発動!」

「通しますよ」

「では、【冥界の宝札】の効果で二枚ドロー! そして、【帝王の開岩】の効果で【魔境絶唱 バッハ】を手札に加えます! 最後に【魔境絶唱 シューマン】の効果で【魔境絶唱 ヨードン】と【魔境絶唱 オロゴス】を墓地に送ることで【魔境絶唱 ヴェートーベン】を特殊召喚!」

 

 黒いローブを身にまとった、骸骨の仮面をかぶった悪魔が現れ、指を鳴らす。横にスーツを着た男性の悪魔が現れた。悪魔の髪は無数の蛇になっており、メデューサのようだった。

 

「加賀美ハヤトも負けじと大型モンスターを次々と召喚していく!」

「しかし、互いのモンスターの攻撃力は2800。パワーバランスが拮抗しているな」

「いいえ、その拮抗は破れます! 墓地の【魔境絶唱 ベーゼ】を復活させ、私は手札の【魔境絶唱 ビビヨン】の効果を発動します!」

 

【魔境絶唱 ビビヨン】

レベル1/闇属性/悪魔族/攻0/守0

〇手札のこのカードとフィールドの【魔境絶唱】モンスター二体をリリースすることで手札のレベル8の【魔境絶唱】をアドバンス召喚することができる。

 

「手札の【魔境絶唱 ビビヨン】と【魔境絶唱 ベーゼ】をリリースすることで【魔境絶唱 バッハ】をアドバンス召喚!!」

 

 二体のモンスターが消滅すると、そこから黒い空間が現れ、空間から半人半獣の悪魔が現れた。悪魔は咆哮を上げる。

 

「【魔境絶唱 バッハ】と【冥界の宝札】、【帝王の開岩】の効果発動! デッキから二体目の【魔境絶唱 シューマン】を手札に加え、カードを二枚ドローする。 そして、葛葉さんのモンスターの攻撃力を半分にさせます」

「やべぇ」

 

聖鬼公ヴァンパイア 攻撃力:2800→1400

竜血公ヴァンパイア 攻撃力:2800→1400

ヴァンパイア・ドレイク 攻撃力:2000→1000

 

「おぉっと! 宣言通りパワーバランスが一気に崩壊した!!」

「ここでの攻撃力半減は大きいな」

「バトル! 【魔境絶唱 バッハ】で【聖鬼公ヴァンパイア】に攻撃!!」

「させるか! 手札の【ヴァンパイア・フロイライン】の効果発動! 自身を特殊召喚!」

「ですが、ライフが少ない葛葉さんでは【ヴァンパイア・フロイライン】の効果を発揮できません! 攻撃続行です!」

「それを待っていたぜ! 俺は【ドレインシールド】を発動!!」

「何ッ!?」

「葛葉!! ここで【ドレインシールド】!!」

「これは上手い! 攻撃を防ぎつつライフを回復させた。これで【ヴァンパイア・フロイライン】の効果も使える」

 

葛葉LP:2000→4800

 

「くっ……カードを三枚伏せ、ターンエンドです。エンドフェイズ時に【魔境絶唱 ヴェートーベン】を手札に戻します」

「俺のターン! ドロー! いいカードが来たぜ! レベル8の【聖鬼公ヴァンパイア】と【竜血公ヴァンパイア】の二体でエクシーズ召喚! いでよ! ランク8【恐怖公-ヴァンパイアジェネシス-】!!」

 

【恐怖公-ヴァンパイアジェネシス-】

ランク8/闇属性/アンデット族/攻3000/守2100

レベル8アンデット族モンスター×2

〇このカードがエクシーズ召喚に成功した時、デッキから【ヴァンパイア・ロード】一体を特殊召喚することができる。

〇一ターンに一度、エクシーズ素材を一つ取り除くことで発動できる。デッキからアンデット族モンスター一体を墓地に送ることで、墓地に送ったモンスターとは名前の異なるアンデット族モンスター一体を墓地から特殊召喚することができる。

 

「【恐怖公-ヴァンパイアジェネシス-】の効果発動! デッキから【ヴァンパイア・ロード】を特殊召喚する!! さらに俺は【ヴァンパイア・フロイライン】と【ヴァンパイア・ロード】の二体でオーバーレイ! エクシーズ召喚! ランク5【ヴァンパイア・ユングフラウ】!!」

 

 二体の吸血鬼がそれぞれ光となり、交わると光の渦が現れ、光が溢れ出す。光から赤い霧が立ち昇ると、そこから黒いドレスの女性吸血鬼が現れた。黒いドレスの吸血鬼は黒いレースで顔を隠しているが口元は妖艶に笑みを浮かべていた。

 

「【ヴァンパイア・ユングフラウ】の効果発動! エクシーズ召喚素材を一つ取り除くことで【魔境絶唱 バッハ】のコントロールを得る! 頂くぜ! さらに【ヴァンパイア・ユングフラウ】のもう一つの効果発動! 【魔境絶唱 バッハ】と【魔境絶唱 シューマン】を墓地に送る!」

「カウンタートラップ【魔境絶唱 魅惑の賛美】を発動します! 【ヴァンパイア・ユングフラウ】の効果を上書きします!」

「くっ! 俺は【ヴァンパイア・ドレイク】を破壊! まだだ! 俺は【ヴァンパイア・ユングフラウ】一体でオーバーレイネットワークを構築! ランクアップ! エクシーズチェンジ! エクシーズ召喚! 恐怖を撒き散らす龍よ! 紅蓮の炎を纏い、敵を焼き尽くせ! 紅の月と共に舞い降りろ!! ランク7【紅月龍(こうげつりゅう)リントヴルム】!!」

 

 紅の満月が昇ると、そこから大蛇のような赤い鱗の龍が舞い降りた。赤い龍は口から赤い吐息が漏れ、咆哮を上げる。

 

「リントヴルムの効果発動! エクシーズ素材を一つ取り除くことで、【魔境絶唱 シューマン】を墓地に送る!」

「させません! 【魔境絶唱 激昂の絶叫】を発動! 【魔境絶唱 シューマン】と【紅月龍リントヴルム】、【恐怖公-ヴァンパイアジェネシス-】を破壊します!」

「まだだ! 速攻魔法【RUM-ブラッティ・カオス・フォース-】!!」

「何っ!!」

「【紅月龍リントヴルム】一体でオーバレイネットワークを構築! ランクアップ! エクシーズチェンジ! 紅き龍は満月の光を浴び、魔の力を手に入れる! 紅蓮の炎を纏い、敵を焼き尽くせ! 紅き魔龍よ、満月と共に降臨せよ! ランク9【紅月魔龍リントヴルム・エンペラー】!!」

 

 紅い満月が空に昇ると、紅い龍は天に向かうように飛ぶ。満月の光を浴びた紅い龍は徐々に姿を変え、蝙蝠のような大きな翼を広げ、咆哮を上げる。

 

「効果処理を行います。私の【魔境絶唱 シューマン】と【恐怖公-ヴァンパイアジェネシス-】を破壊します!」

「だが、これで社長のフィールドはがら空きだ! バトル! 【紅月魔龍リントヴルム・エンペラー】でダイレクトアタック!!」

「リバースカード【ガード・ブロック】を発動します! 戦闘ダメージを0にしてカードを一枚ドローします!」

「くっ!! これでターンエンド!」

「私のターン、ドロー! 私は【汎神の帝王】を発動します! 手札の【真源の帝王】を墓地に送ることで二枚ドローします! さらに墓地の【汎神の帝王】をゲームから除外することで、デッキから【帝王の烈旋】二枚と【再臨の帝王】を選択させます」

「俺は【再臨の帝王】を選択」

「では、そのまま【再臨の帝王】を発動します! 墓地の【魔境絶唱 シューマン】を蘇生させます! さらに墓地の【真源の帝王】の効果を発動! 【真帝王領域】をゲームから除外することで、【真源の帝王】をモンスター扱いで特殊召喚! 私は二体分の生贄となった【魔境絶唱 シューマン】と【真源の帝王】を生贄に捧げ、【魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル】をアドバンス召喚!!」

 

 二体のモンスターが消滅すると、そこから腕が四本生えた悪魔が現れた。

 悪魔は下の二本の腕で禍々しい形のギターを持っており、上の右腕でマイクを持っていた。

 

「【魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル】と【冥界の宝札】、【帝王の開岩】の効果発動! デッキから【魔境絶唱 魔境絶唱 ショパン】を手札に加え、二枚ドローし、ヘヴィメタルの効果で相手のモンスターを全て破壊する!!」

「マジかよ!!」

 

 ヘヴィ・デス・メタルがギターを奏でながらシャウトする。

 シャウトは衝撃波となって、葛葉のモンスターが全滅した。

 

「さらに【魔境絶唱 ベーゼ】を特殊召喚し、バトル! 【魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル】でダイレクトアタック!」

「ライフで受ける!!」

 

葛葉LP:4800→1300

 

「【魔境絶唱 ベーゼ】でダイレクトアタック!」

「これもライフで受ける!!」

 

葛葉LP:1300→800

 

「葛葉ッ! 一気にライフを削られた!!」

「だが、葛葉のヴァンパイアデッキではライフを回復できるカードが多い、まだ勝敗は決していない」

「そうだ! 勝負はここからだ!」

「えぇ、葛葉さん!!」

「俺のターン! ドロー! ッ!! 来たぜぇ!! 手札から【RUM-ドラゴニック・フォース】を発動!!」

「RUMマジックカード!! 来ますか!!」

「墓地の【紅月魔龍リントヴルム・エンペラー】を特殊召喚し、リントヴルム一体でオーバレイ! ランクアップ! エクシーズチェンジ!」

 

 葛葉の前にエースカードであるリントヴルムが舞い降りた。

 真紅の月が照らされ、周囲は赤い霧で覆われた。リントヴルムが咆哮を上げると赤い霧がリントヴルムの周囲を囲った。

 

「赤き月が満ちたりし時、古の龍王が今、目覚める! 呪われし力を解き放て! エクシーズ召喚! 出でよ、ランク11! 呪われし血の龍王! 【呪血龍鬼(じゅけつりゅうき)ヴァンパイア・ドラグオン】!!」

 

 リントヴルムの周辺に赤い霧が立ち昇り、姿を包み込んだ。龍は姿を変え、人型になった。

 龍人となったリントヴルムは皮膚が龍の鱗になっており、ヴァンパイア特有の蝙蝠の翼を広げた。

 

「葛葉さんのリントヴルムの最終形態ッ!!」

「【呪血龍鬼ヴァンパイア・ドラグオン】の効果発動! 墓地の【恐怖公-ヴァンパイアジェネシス-】をゲームから除外することで、自身の攻撃力を3000アップさせる! そして、社長のモンスターの攻撃力をダウンさせる!! 【呪血結界】ッ!!」

 

魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル 攻撃力:3500→500

魔境絶唱 ベーゼ 攻撃力:500→0

呪血龍鬼ヴァンパイア・ドラグオン 攻撃力:4000→7500

 

 ヴァンパイア・ドラグオンが持っていたグラスから一滴垂らすと、赤い液体は波紋のように広がり、スタジアムを赤く染めた。

 

「私のモンスターが!?」

「バトル!! 【呪血龍鬼ヴァンパイア・ドラグオン】で【魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル】に攻撃!! 【紅蓮呪血斬】ッ!!」

 

 ヴァンパイア・ドラグオンは赤い液体を自由自在に操作し、無数の輪を作りだした。血液の輪は高速で回転し、チャクラムのように放つ。

 

「まだです! 負けるわけにはいきません! 私は手札から【魔境絶唱 エピタス】の効果を発動!」

 

【魔境絶唱 エピタス】

レベル1/闇属性/悪魔族/攻0/守0

〇手札からこのカードを墓地に送ることで発動できる。戦闘ダメージを一度だけ0にすることができる。

 

「削りきれねぇ……だが、【魔境絶唱 ヘヴィ・デス・メタル】は破壊するぜ! カードを一枚伏せターンエンド!」

「ここが…………正念場ですね。このターンで決めます! 私のターン、真のデュエリスト(ライバー)は勝利へ導くカードは己の力で引き当てる!! シャイニングドロォォォォ!!」

「来るかッ!!」

「私は手札から【魔境絶唱 鎮魂五重奏(レクイエム・クインテット)】を発動!」

 

【魔境絶唱 鎮魂五重奏】

魔法

〇デッキからレベル8以上の【魔境絶唱】モンスター一体を選択して発動する。選択したモンスターのレベルの数と同じになるように墓地の【魔境絶唱】モンスターをゲームから除外することで、選択したモンスターをアドバンス召喚扱いで特殊召喚することができる。

 

「私は墓地の【魔境絶唱】8体をゲームから除外することでデッキから【魔境絶唱 ウィズン】をアドバンス召喚!! これが私の切り札です!!」

 

 8個の魂が一つに束ねられると人型の姿になった。

 スーツ姿の長身の男が現れた。茶髪に真っ白い肌。青白い瞳が怪しく輝いていた。その姿は加賀美に瓜二つだった。

 

【魔境絶唱 ウィズン】

レベル8/闇属性/悪魔族/攻0/守0

〇このカード以外の自分フィールド・手札のモンスター一体をリリースして発動できる。以下の効果から一つを選び、ターン終了時まで適用する。

●このカードは戦闘では破壊されず、このカードの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは代わりに相手が受ける。

●このカードは戦闘・効果では破壊されず、カード効果を受けない。

〇このカードは相手モンスターに一回ずつ攻撃することができる。

〇このカードがフィールドを離れたエンドフェイズ時に発動することができる。ライフを半分払うことで、このカードを特殊召喚することできる。

 

「【魔境絶唱 ウィズン】の効果を発動! 手札の【魔境絶唱 メンデルスゾーン】をリリースすることで効果を適応させることができます!」

「葛葉!! 攻撃力が上がっている【呪血龍鬼ヴァンパイア・ドラグオン】が逆手に取られた!!」

「来い! 社長ッ!!」

「バトルです! 【魔境絶唱 ウィズン】で【呪血龍鬼ヴァンパイア・ドラグオン】に攻撃ッ!! 【ゼロ・スクリーム】!!」

「させるかよぉ!! リバースカード【ヴァンパイア・ディアボリック】を発動!」

 

【ヴァンパイア・ディアボリック】

〇自分フィールドの【ヴァンパイア】モンスター一体を選択して発動できる。選択したモンスターと相手のモンスター全てを破壊する。

〇墓地のこのカードをゲームから除外することで、デッキからカードを一枚ドローすることができる。

 

「【呪血龍鬼ヴァンパイア・ドラグオン】を破壊することで、社長のモンスター全てを破壊する!!」

「くっ! 【魔境絶唱 ウィズン】の効果を発動します! 手札のモンスターをリリースすることで破壊耐性を付与させます!」

「だが、【魔境絶唱 ウィズン】の攻撃力は0! ダメージは回避できる!!」

「…………私はこれでターンエンドです」

(社長のモンスターをは強力だ。俺のモンスターで対抗できるか……)

 

 葛葉の目の前には二人の加賀美が立ちはだかる。

 

「このデュエルは私が……私たちが勝たせていただきます!!」

「社長……ッ!! 俺だって負けません! 私のターン、真のデュエリスト(ライバー)は勝利へ導くカードは己の力で引き当てる!! シャイニングドロォォォォ!!」

「引き当てるつもりですか!!」

「俺が引いたのは【RUM-レインボー・フォース】!!」

「くっ!!」

「葛葉!! ここで最強のカードを引き当てた!!」

「俺は墓地の【呪血龍鬼ヴァンパイア・ドラグオン】一体でオーバーレイネットワークを再構築!! 103個の意志を受け継ぎ、今こそ一つとなって希望と虹を紡げ!! これが我ら、にじさんじの結晶!! 現れよ、希望の龍! 【希望虹龍(きぼうこうりゅう)レインボードラグーン】!!」

 

 ヴァンパイア・ドラグオンが虹色の光に包まれると、そこから純白のドラゴンが飛び出した。虹色に輝く翼を大きく羽ばたかせる。

 

「来ましたか!!」

「まだだ! 俺の! 俺たちの力はまだ出し切っちゃいねぇ!!」

「何!?」

「俺は墓地の【ヴァンパイア・ディアボリック】の効果を発動! ゲームから除外することで、一枚ドローする! こでが運命を決めるドローだ!! うおぉぉぉぉ!!」

 

 スタジアムにいる全てのライバーが息を吞む。

 

「ドロォォォォ!!」

 

 葛葉がカードを引いた瞬間、引いたカードが輝きだした。

 

「あ、あの光は!!」

「俺は手札から【HRUM-アルティメット・フォース】を発動!!」

 

 カードを発動させた瞬間、スタジアムが光に包まれた。その光は強烈な光ではなく、温かく優しい光だった。

 

【HRUM-アルティメット・フォース】

魔法

〇自分フィールドのXモンスター一体を対象にして発動する。ランク12以上のXモンスター一体を対象の自分のXモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてXEXデッキから特殊召喚する。その後、このカードを特殊召喚したモンスターの下に重ねる。

 

「HRUMカード!?」

「俺は【希望虹龍レインボードラグーン】一体でオーバーレイネットワークを再構築!! 虹色の魂を束ね、飛び立て! 白き英雄! 新たな夢が今! 虹色に輝く! エクシーズ召喚! これが俺の最後のカードだッ!! 【七星龍皇(セブンス・ロード)レインボーヴァーミリオン】!!」

 

【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】

ランク13/エクシーズ/光属性/戦士族/攻4000/守4000

レベル13モンスター×5

〇一ターンに一度、X素材を一つ取り除くことで発動する。墓地のXモンスター一体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの攻撃力は4000となる。

〇モンスターの攻撃宣言時に発動できる。相手の全てのモンスターの攻撃力を0にする。

〇フィールドにこのカード以外のXモンスターが存在する場合に相手がカード効果を発動した時に発動できる。フィールドのXモンスター一体を墓地に送ることでその効果を無効にする。

 

 【希望虹龍レインボードラグーン】の正面に粒子が現れると、粒子が人型となった。すると【希望虹龍レインボードラグーン】がパーツのように分解され、鎧のように人型の粒子に装備されていく。

 【希望虹龍レインボードラグーン】を装備した人型はやがて、白銀の戦士へと姿を変えた。そして、白銀の戦士の背中に虹色の光の翼が生える。両手には光輝く剣を持っている。

 虹色の翼を羽ばたかせると、周囲に虹色の粒子が降りそそぐ。

 

「これが【希望虹龍レインボードラグーン】の進化系!! ここで【魔境絶唱 ウィズン】の効果を発動します! 手札のモンスターをリリースすることで破壊耐性を付与させます!」

「あぁ、そうだ! 【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】の効果発動! エクシーズ素材を取り除くことで、墓地の【紅月龍リントヴルム】を特殊召喚させる! 蘇れ、俺のエース!!」

 

 【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】が剣を構えると、葛葉の背後からリントヴルムが飛び出してきた。

 リントヴルムは虹色のオーラを纏っていた。

 

「【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】の効果でリントヴルムの攻撃力は4000となる!」 

「ですが、【魔境絶唱 ウィズン】の反射効果があります! いくら強力なモンスターを出しても無駄です!」

「それはどうかな」

「何……!?」

 

 葛葉は怪しい笑みを浮かべた。

 

「バトル! 【紅月龍リントヴルム】で【魔境絶唱 ウィズン】に攻撃!!」

「【魔境絶唱 ウィズン】の効果発動! 手札のモンスター一体をリリースすることで反射効果を付与させます!」

「それを待っていた! 速攻魔法! 【エクシーズ・エクストリーム】を発動!!」

 

【エクシーズ・エクストリーム】

速攻魔法

〇自分フィールドに同じ攻撃力を持つXモンスターが存在する時に発動できる。同じ攻撃力を持つXモンスター一体を選択し

そのモンスターの攻撃力を0にすることで、もう片方のモンスターの攻撃力を倍にする。

 

「これにより【紅月龍リントヴルム】の攻撃力を0にして、【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】の攻撃力を倍にする!!」

 

紅月龍リントヴルム 攻撃力:4000→0

七星龍皇レインボーヴァーミリオン 攻撃力:4000→8000

 

「攻撃力0同士のバトルでは互いのモンスターは破壊されず、戦闘ダメージも発生しない」

「えぇ……ですが、【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】の攻撃力を上げたとて、私の【魔境絶唱 ウィズン】を突破することは不可能です!!」

「いいや、さっきのリントヴルムのバトルにはちゃんと意味があるんだ」

「何?」

「俺はさらに速攻魔法! 【ピース・オブ・バトル】を発動!!」

 

【ピース・オブ・バトル】

速攻魔法

〇戦闘で互いのモンスターが破壊されなかった時に発動できる。互いのプレイヤーは攻撃力が一番高いモンスターを選択し、戦闘を行う。この戦闘で発生する戦闘ダメージは0となる。バトルフェイズ終了時にフィールドの攻撃力が一番高いモンスターの攻撃力分のダメージをフィールドの攻撃力が一番高いモンスターが存在しないプレイヤーが受ける。

 

「これにより俺の攻撃力が一番高い【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】と社長の攻撃力が一番高いモンスターでバトルさせる!!」

「しまった! 私のフィールドには攻撃力が0の【魔境絶唱 ウィズン】しかいませんッ!!」

「バトル!! 【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】で攻撃!! 【七星剣-レインボー・エクスカリバー-】!!」

「くっ!! いけ! 【魔境絶唱 ウィズン】!! 【ゼロ・スクリーム】!!」

 

 【魔境絶唱 ウィズン】がシャウトを放ち、衝撃波を発生させる。衝撃波は物凄い勢いで【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】に襲い掛かる。

 【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】は両手の剣を構え、翼と剣に虹色の光を蓄積させる。両手の剣を一つに束ねると、一本の虹色の光の剣となった。【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】は虹色の剣を振り下ろすと【魔境絶唱 ウィズン】と社長をまとめて一刀両断した。

 

「ここまでですか……」

「【ピース・オブ・バトル】の効果で【七星龍皇レインボーヴァーミリオン】の攻撃力! 8000のダメージを受けてもらうぜ!!

 

加賀美ハヤトLP:4000→0

 

 勝敗が決した瞬間、スタジアムは静寂に包まれた。

 その静寂を破ったのは夢追だった。

 

「き、決まったぁぁぁぁ!! にじさんじ決闘王! 勝者は葛葉だぁぁぁぁぁ!!」

 

 その瞬間、スタジアムに歓声と拍手が巻き起きた。

 

「よっしゃぁぁぁぁ!!」

「おめでとうございます」

 

 ガッツポーズをする葛葉に加賀美は拍手をしながら近づき、握手を交わす。

 

「完敗でした」

「いやー、こっちこそ、いつ負けてもおかしくない状態でしたから」

「次は負けませんからね」

「次も勝つのは俺です」

 

 二人は笑い合いながら握手している手に力を込める。

 

「ほら、二人とも閉会式をするから整列しろ」

 

 解説席にいた社がいつの間にか二人のところまで降りてきて、二人の頭を優しく叩く。

 

「……えぇ、そうですね」

「ったく……分かりましたよ」

 

 加賀美は襟を直し、葛葉は恥ずかしそうに頭を掻きながら表彰台に向かった。

 




以上で【にじさんじ決闘王】を完結させたいと思います。
後半は個人的な事情により、更新が遅くなり申し訳ございませんでした。
しかし、何とか完結できたことは自分にとって誇りだと思います。

また、にじさんじのクロスオーバーか何かの先品を書く予定ではありますので、機会があれば読んで頂けると幸いです。

ご愛読、誠にありがとうございました。


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