ハイスクールDxD〜with 聖刃〜 (みー助)
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始まり

注意:誤字だったりあるかもしれませんそれでも良かったらどうぞ



かつて、世界の均衡が破れし時、炎の聖剣と赤き神獣を従えた1人の剣士が現れた

 

その者は悪を貫き、この世に平穏をもたらしたという

 

剣士は自分の持つ炎の聖剣と同じ聖剣を己と同じ信念を持つのもに託した

 

そしての聖剣はそれぞれの担い手達の手に渡り二度と世界の均衡が破れないように守護することとなった

 

時は経ち世代交代が進む

 

彼ら聖剣使いは世界を作りし一冊の「大いなる本」を悪魔、堕天使、天使、神そして本の魔物「メギド」から守護していた

 

しかし、その書物を奪おうとする輩が現れ、その本の散らばった一端がワンダーライドブックとなって、世界に散らばり消滅してしまう

 

争いがより一層激化し剣士達は苦しい状況に陥る

 

さらに、追い討ちを掛けるように1人の剣士の裏切りによって聖剣使い達の多くは倒れてしまう

 

闇あるところには必ず光が差すように新たなる炎の聖剣を携え他の剣士達と共に新たなる伝説を生み、この物語(サーガ)に終止符を打つこととなる

 

だが、それはまだ先の話…しかし、その時は着々と近づいて行く…

 

これは、その物語(サーガ)の序章となる話

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

夜。誰もが寝静まり街が空間が静寂に包まれている時

街灯の無機質な明かりに照らされた道そして、微かに照らされながら一人の青年がゆっくりと歩いて目的の場所へと向かって行く。

 

青年が向かった先は毎日足蹴く通っている学舎 駒王学園だった。

 

学園に近づく度に異様な気配が漂ってくる

 

校門前に立つと青年の右手には一振の剣が握られている

 

彼はそっと医者が患者にメスを入れるようにして振る

 

すると先程の違和感の正体である結界に綺麗な一閃が入る

 

スタスタとその結界の中に入って行く

 

そこには駒王学園のオカルト研究部メンバーと見知らぬ外国人数名がなにやら漆黒の翼を持ち、宙を舞っている男と対峙している

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

バギィィィン!と儚い音を響かせながら砕け散る聖剣エクスカリバー

 

伝説の聖剣と謳われるそれを打ち破ったのは、イッセー達リアス・グレモリーの眷属悪魔である木場祐斗。その手に携えたのは禍々しさと神々しさを併せ持った異質の剣だった

 

自身の内に眠る力。あれは禁手だと。所有者の想いが、願いが神器に劇的な変化をもたらしたものであると誰もが悟った。

 

「──見ていてくれたかい?僕らの力は、エクスカリバーを超えたよ」

 

 

イッセーの耳に木場の声が届く。伝説の聖剣を打ち破った仲間に凄さを感じた

 

エクスカリバーを砕かれた担い手、フリード・セルゼンは祐斗の一撃を受けその身を地面に沈める。

 

「バカな、ありえん……ありえん……聖と魔が合わさるなど…」

 

 

伝説の聖剣を砕かれ、放心状態のバルパーは何かをブツブツと呟いている

 

「ばっ馬鹿な。こんな事があり得るものか……」

 

 

バルパーは合体聖剣が折れたの見て、唖然としていた。

 

「聖と魔の融合だと?理論上あるはずがない。そんな事が起こるとしたらそれこそ―――――」

 

 

バルパーは何か分かったのか、狂ったように笑いだした。

 

「あぁ何とも簡単な事じゃないか!聖と魔との力が融合、双方の力のバランスが大きく崩れている。それすなわち!三つ巴の大戦により魔王が死んだのと同じように、神もまた死んだのだ!!」

 

 

シンと静まり返り、一瞬空気が死んだかの様な錯覚に陥った

 

「……………え?」

 

 

『神の死』という驚愕の事実が語られたのだ、それも仕方のないことだろう。

 

そんな彼らの中でも特に信仰心の強いアーシアとゼノヴィアにとって、神がこの世に存在しないという事実は驚愕という言葉では到底言い表せるものではない。

 

ゼノヴィアは力なくその場に膝をつき、アーシアは茫然自失といった風にその場に崩れ落ち、その瞳は受け入れ難い真実によって酷く揺れている。

 

「滑稽な話だ!信仰する主はもういないのに、何も知らずに主は見ているなんて甘い言葉で」

 

 

最後まで言えなかった。バルパーはコカビエルの光の槍に貫かれて、消滅してしまった

 

バルパーを消したコカビエルは、消えゆくバルパーをつまらなそうな顔で見ている

 

「バルパーお前は優秀な男だ。だが余計な事も喋り過ぎたな。そして……お前が居ようが居まいが、俺の計画には何の支障もないんだよ」

 

 

バルパーを使い捨ての道具同様に切り捨てたコカビエル。非道な奴だったが、何とも呆気ない最期を迎えてることとなった

 

だが、今はそんなことよりも「神の死」に動揺を隠せていない

 

「神が死んだですって!?そんな話聞いた事が無いわ!」

 

 

リアスはコカビエルに向かって告げられた真実に異議を唱える

 

コカビエルは黙って話を続ける

 

「あの戦争で魔王と多くの上級悪魔を失った。天使や堕天使も幹部以外は殆ど失った。もはや天使は数を増やす事も出来ない。悪魔でさえ純血種は貴重な存在だ」

 

さらに、と付け加え

 

「どの勢力も人間に頼らなければ生きていけない程に落ちぶれた。天使・堕天使そして悪魔でさえも!三大勢力のトップ共は神を信じる人間を存続させるためにこの事実を封印したのさ」

 

 

ショックで力が抜けるアーシアを小猫が支える。悪魔に転生した後でも主を信じていたアーシアには残酷な現実であった。

 

ゼノヴィアも足に力が入らなくなったのか、ペタンと座ってしまった。木場も呆然としながら聖魔剣を手から放してしまった。

 

コカビエルは積もりに積もっていた、戦争に対する怒りを喚き散らしていた。しかもあのまま戦争を続けていたら堕天使が勝てていたと叫んでいた。

 

「だからこそ俺は戦争をまた起こす。貴様らの首という手土産を持って今度こそ天使と悪魔を完膚なきまでに滅ぼす。そのためにはお前らが邪魔だ。」

 

 

光の槍を手に持ち、アーシア達に向ける

 

「ふん、つまらぬ…この程度で心が折れるか」

 

 

心底飽きたと言わんばかりの表情で見下ろす

 

「テメェ!アーシアとゼノヴィア達を馬鹿にすんな!!」

 

『Boost!!』

 

イッセーは赤龍帝の篭手で倍加し

 

「私の眷属を愚弄する事は、万死に値するわ!」

 

 

挑発とも取れるコカビエルの物言いにリアスが激昂する。そしてその勢いのまま両手からどす黒い滅びの魔力を放ちコカビエルを狙い撃つ。

 

しかし、イッセーの拳は簡単に止められて、リアスの魔法も十枚の黒い羽根でかき消されてしまう

 

「雷よ!」

 

 

今度は朱乃が目の前に魔法陣を展開し、得意の雷を持ってコカビエルへ一撃を放つ。

 

「この程度か?バラキエルの力を宿す者よ」

 

 

「ッ!私をあの者と一緒にするな!!」

 

 

その名を聞いた瞬間滅多に怒らない朱乃が怒りの形相で、雷の力を上げた。

 

その規模は今までで見た中でも特に凄まじいもので、コカビエルの視界を塗りつぶさんばかりの勢いで進んでいく。

 

雷撃によって粉塵が舞う。砂煙の中から姿を現したコカビエルは、右手に極太の光の槍を出現させ雷を消し去り、涼しい顔一つで攻撃を無力化された朱乃は、苦虫を噛み潰したように表情を歪める。

 

しかし、それをチャンスだと畳み掛けるように復活したゼノヴィア達が攻撃する

 

「行きます」

 

 

「リアス・グレモリーの騎士、あわせろ!」

 

 

「ああ!」

 

 

その間に小猫、ゼノヴィア、木場の三人が背後、そして左右と逃げ場を塞ぐように襲いかかる。

 

(全方位からの四点同時攻撃!これならいくらコカビエルでも防ぎきれないはず!)

 

「なるほど、いい考えだ……だが!」

 

 

十ある黒翼を広げたコカビエルは、それらを大地へ向けて振り下ろす。瞬間、凄まじい突風が生み出され、グラウンドの砂が巻き上げられる。さながら砂嵐のように。

 

吹き荒れる砂の暴風はコカビエルを中心に広がり、木場、小猫、ゼノヴィアをも包み込んだ。そして砂が皆の姿を覆った直後、朱乃の放った雷が砂嵐と激突する。

 

雷はわずかな拮抗すら許さず砂嵐を吹き飛ばし、中にいるコカビエルを飲み込む……そう思った矢先。

 

「やはり圧倒的に足りぬのは『』と『経験』か」

 

 

砂煙の中から姿を現したコカビエルは、右手に極太の光の槍を出現させ雷を消し去る。涼しい顔一つで攻撃を無力化された朱乃は、苦虫を噛み潰したように表情を歪める。

 

悠然と、余裕の笑みを浮かべ佇むコカビエル。その真下には、地面へ倒れ伏す三人の姿が。

 

「木場、小猫ちゃん、ゼノヴィア!」

 

 

時間にして数秒、朱乃の放った雷が届くまでのごくわずかな時間。たったそれだけの時間で三人を行動不能にさせた

 

「イ、イッセーさん……」

 

 

震える声でイッセーの名前を呼ぶのは、イッセーと同じ新人悪魔のアーシア。碧眼に涙を溜め制服の裾を握りしめるその体は、声と同様小さく震えている。

 

現状、この場にコカビエルを相手に立ち回れる者はいない。部長も朱乃も疲弊しきっているし、今までのように超火力は出せないはず。

 

(こうなったら、俺が体と引き換えにするしか……)

 

 

イッセーはかつて、部長を救うために使った『体を対価にした一時的な禁手』。今、イッセーがコカビエルと戦うためにはそれしか方法がない。そのためにどれほど体を持っていかれるかわからない。もしかしたらほとんど全部を対価にしないとけないかもしれない。

冷や汗が頬を伝う。心臓の音が今までにないほど聞こえてくる。

 

そっと、震えるアーシアの手を握り返す。顔だけ振り返せば、今にも泣きそうな彼女の顔が視界に映る。そんなアーシアに励ますように笑いかけると、彼女はキョトンとした表情を浮かべ

 

「イッセーさん……?」

 

 

「アーシア、俺、行ってくる」

 

 

そんな彼女の手を優しく解き、イッセーは覚悟を決めたようにコカビエルへと対峙する。

 

「ほぅ、次は貴様が相手か赤龍帝」

 

 

「イッセー!?何してるの、さがりなさい!」

 

 

内心謝罪をこぼしながら、でもバルパーの仕掛けた術式、この街を崩壊させるそれを解除するにはコカビエルを倒すしかないため

 

そして今、それができる可能性があるのはイッセーだけだった。

 

『覚悟はできたか、相棒』

 

 

語りかけてくるのは、左腕の籠手、その中に封印された伝説の龍ドライグ。イッセーの頼れる相棒だ。

 

『言っておくが、対価を払ったからといって倒せるとは限らん。それでもやるのか?』

 

 

最後の忠告をするドライグ。

 

確かに一か八かの賭けになる、けど……皆んなを守るためだったら、体の一つや二つ大したことねぇ!

 

『本当に、お前は歴代稀に見る後先を考えない馬鹿だ』

 

 

確かに俺は馬鹿な男だ。でもな、悪魔としても赤龍帝としても最弱。そんな俺がまともにやって勝てるはずもねぇだろ。

 

『ああ、確かにお前は歴代でも最弱の赤龍帝だ。だが、諦めず最後まで足掻く……そういう男は嫌いじゃない』

 

 

ははっ、そう言われるとなんだか照れるな。

 

『行くぞ、相棒。相対するは堕天使コカビエル、相手にとって不足はない』

 

 

「ああ! 全力全開、文字通りこの身全てを賭けるぜ!」

 

 

見てろ堕天使コカビエル! 下級悪魔の底力、その身にたっぷりと味あわせてやる!

 

左腕の籠手が徐々に赤い光を放ち始める。そしてそれは左腕から体全体へと移り変わり。

 

「──っ!イッセー、あなたもしかして!」

 

 

どうやら、部長は俺が何をしようとしているのか気付いたようだ。必死に止めるように叫び続けている。

 

……ごめんなさい、部長。そして、見ていてください。俺が、あなたの兵士ポーンの兵藤一誠がコカビエルに一矢報いる姿を!

 

「いくぞドライグ!禁手化(バランス・ブレイク)ゥゥゥゥウウ!!

 

 

覚悟とともに宣言する。そして赤い光が俺の体を完全に包みこむ──その直前。

 

紅き焔が空間を包む

 

そして、ドラゴンの咆哮が赤き世界で異彩を放つ

 

突如、イッセーとコカビエルの間に割って入った人影が現れる

 

「な、なんだ……?」

 

 

突然のことに禁手化を中断、割り込んできたその影に目を向けると。

 

「はははははっ!ようやく来たか!」

 

 

嬉々とした笑みを浮かべるコカビエル。いまいち状況を掴めていないオカ研並びに生徒会メンバーは困惑していた

 

「お前との因縁に終止符を打ちに来たぞコカビエル」

 

 

中折帽を左手で押えながら真紅の炎を纏う剣を携えた少年がコカビエルとイッセーの間に降り立つ。

 

そんな少年の言葉に、コカビエルはより一層笑みを深める。まるでこの時を待ち侘びていたかのように。

 

 

「ああ、ああ……始めよう。百年越しの決戦を、俺とお前、二人だけの戦争を!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

少年の振るう剣と光の槍がぶつかる

 

鈍い金属音と共に激しい戦闘が繰り広げられている

 

 

「なんだよ…あれ!?」

 

 

先程の戦いがまるで嘘のようにコカビエルが正真正銘の全力を出す

イッセー達は本当の意味で手を抜かれていた事を悟る

 

まるで追いつけなかった、自分が禁手化してもここまでコカビエルに食い下がることは出来なかったと思うと悔しさと共に自分たちではまともに相手が出来ない敵を真正面から戦っている少年に驚く

 

「ハァッ!」

 

 

「フンッ!」

 

槍の投擲と炎の斬撃がぶつかり、大きな爆発音と共に衝撃はが生じる

 

「──くくっ、ははははははっ!いいぞ!これだッ!これこそが俺が求めた闘争!だが、流暢にしていて良いのか?この街はあと15分もしないうちに崩壊するぞ聖刃(セイバー)。」

 

 

「わかってるさ…」

 

お互いに距離を取り、言葉を交わす

 

少年は剣を斜めに払い、剣の鞘の様なベルト、聖剣ソードライバーに装填する

 

彼はポケットから一冊の赤い本を取り出した

 

ブレイブドラゴン

 

そして、その本の1ページを開くと

 

かつて、全てを滅ぼすほどの偉大な力を手にした神獣がいた…

 

朗読が聞こえてくる

 

この本は大いなる本より、分割された、『ブレイブドラゴン』の伝承を封じ込めているワンダーライドブック。

 

開いたページを再度閉じて、ソードライバーの右側にセットする。

 

少年はソードライバーに装填された剣…火炎剣烈火を引き抜く

 

烈火抜刀!

 

抜刀と同時にワンダーライドブックが再び開き、ブレイブドラゴンが飛び出す

 

少年は火炎剣烈火で空をバツを描くようにクロスにしてに斬る

 

変身ッ!

 

ブレイブドラゴン!

 

激しい炎に包まれ、火柱が立つ

 

烈火一冊!勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、真紅の剣が悪を貫く!

 

炎が消えるとそこには伝説の聖剣を携えし赤き剣士が立っていた

 

その姿は本に記された勇気の竜をあしらったような赤い右半身が特徴的だった

 

「ようやく、ようやく本気を出したな!で、あれば出し惜しみはもうなしだ。ここからは俺も加減抜きで行かせてもらおう」

 

 

右手に作り出すのは光の剣。見た目は槍よりも細く脆そうだが、そこに秘められた光力はこれまでの比ではない。

 

「物語の結末は俺が決める」

 

 

少年もとい、セイバーは火炎剣烈火を構えコカビエルを真っ直ぐ捉える

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

口元に裂けんばかりの笑みを浮かべたコカビエルは、青い双眸を向けるセイバーへ嬉々とした言葉をかける。

 

「さぁ、これからが本番だ!かかってk──」

 

 

ギンッ!鈍い金属音と共に咄嗟にコカビエルは光の剣で防ぐが、あまりのスピードに驚きを隠せないでいた

 

剣の重み、鋭さ、速さどれをとっても先程とは比べ物にならなかった

 

鍔迫り合いになるがコカビエルは勝てないと判断したのか、セイバーの聖剣を弾き距離をとる

 

「か──ははっ、ははははっ!やはり凄まじいな、その力は!」

 

 

セイバーは何も言わず、剣を∞の形に振る。炎が烈火に纏って行き、火柱が完成する

 

「ハッ!」

 

 

飛んでいるコカビエルに向けて振るう

 

「ぐっ…!」

 

 

コカビエルは受け止めるが、その熱量の余波でダメージを負う

 

「まだまだ!」

 

ブレイブドラゴン!

 

ソードライバーに装填されているワンダーライドブックのページを押し込む

 

ドラゴン・ワンダー!

 

 

右腕の「バーンガント」からドラゴンを模した灼熱の炎をコカビエルに放つ

 

「ぐぬぅう!」

 

 

コカビエルが苦痛に表情を歪める。

しかしながら、コカビエルは笑みを絶やすことは無かった。

脂汗を流しながらも笑みを浮かべるのは、自身を凌駕する存在に対する嬉しさ故にだろうか

 

対するセイバーは剣を払い、複眼をコカビエルへ向けて剣を構える

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

リアス達は戸惑っていた。今自分の目の前で起きている現実に。

 

これは夢か、などとそんな馬鹿げたことは言わないし思わない。ただ、現実とわかっていながらも、それを信じきれずにいる自分がいた。

 

「ウオォォオオオオ!!!」

 

 

「ぐぬぅうううぅぅぅ!」

 

 

雄叫びを上げ、駒王学園の校庭を疾走する真紅の剣士。

炎を纏った聖剣で荒々しい剣戟を繰り出しコカビエルを着々と追い詰める

 

激しい攻防と共に鈍い金属音が鳴り響く

しかし、段々とコカビエルの動きが鈍くなっていった。

 

聖剣の波動と纏う炎によるダメージの蓄積。それは予想以上に深刻であった。

あのコカビエルですら受けきるのが、いや辛うじて傷を軽減するだけで精一杯なのだ。

 

生身の状態でコカビエルと同等に渡り合った存在であり、今は鎧を身につけたことにより圧倒する

 

(あの力は一体……!?)

 

 

あの戦いを見ている空想上のおとぎ話に出てくる雲の上の存在のように思えてきてしまう

 

かつて、自分が幼い頃に母により話してもらった昔話に出てきた登場人物に似ているのだ

 

(大いなる本と剣士の物語…まさか…)

 

 

ありえない。リアスは自分に言い聞かせながらセイバーを見る

 

あの剣と本は一体何なのか、神器(セイクリッド・ギア)の書物にもそれらしきものが載っていた記憶はない

 

まだ発見されていない類の神器かと疑うが、あれほどの力ならば知られていない方がおかしい。考えれば考えるほど疑問が浮かんでくる。

 

(謎の剣に本そして、鎧…ダメね、謎は深まるばかりだわ)

 

 

これ以上深く考え込んでも無駄だと、そう言い聞かせ戦場へと意識を切り替える。それと同時にまた一つ、轟音とともに砂煙が爆ぜる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「おぁああ!」

 

雄叫びとともに目の前から光の槍が迫る。それも決して避けられない程の数である

 

しかし、セイバーは迫り来る槍を弾き、それを全て剣で斬り伏せる

 

「ぐ、これすらも防ぐか…」

 

 

自分の攻撃がセイバーには全く通じていないことに驚きと高揚の感情が自身を支配する

 

セイバーは炎の渦を生み出し、コカビエルに向けて放つ

 

「うぉおおおッ!?あっちぃ!」

 

 

遠くで見ていたイッセー達ですらその熱に驚く

 

夜である筈なのにその熱と光によって昼間のような明るさが包む

 

そして光が収まる。世界が夜を取り戻したその中で、コカビエルは体から煙を上げ佇んでいた。もはや満身創痍。ボロボロになった体は立っているのがやっとなのか、小刻みに震えている。

 

ただそれでも、その顔には一切の翳りがなく、その口元は大きく弧を描いていた。

 

「は、ははは……っ!やはり、貴様は格別だ!戦いとは、こうでなくてはな!」

 

 

傷つき、ボロボロになろうとも笑みは決して絶やさないコカビエル。

ボロボロになっても戦いに執着する姿を見たイッセー達は背筋がゾッとする感覚に襲われる。

 

「生死の狭間での戦い、それこそ俺が求めていたもの!血沸き肉踊る最高の舞台!」

 

 

「そうか」

 

セイバーは静かに返事を返す

 

「俺はかつて、貴様の前の代…つまり先代セイバーとは決着が付かなかった。あともう少しの所で邪魔が入り、あの決闘は有耶無耶になってしまった。あれ以来、俺は再戦を…この時をずっと望んでいたッ!代は変わったがお前は先代と同等に…いや、それ以上の実力者だった!これは歓喜だ!貴様という男に会えたこと死んだ神に感謝しなければならないな」

 

 

今のコカビエルの頭からは、この街の破壊など疾うに消え去っていた。

あるのはただ、目の前の剣士との、命を賭した戦いのことだけ。

 

満身創痍のコカビエルはこの一撃に全てをかけるように一振りの光の槍を形成する。それは体育館を破壊した時のものに比べれば段違いに小さいが、その分内包された光力はその比ではない。

 

「さぁ決着をつけるぞ。貴様も全力でかかってこい!」

 

 

「ああ」

 

必殺読破!

 

セイバーはそれに応えるように烈火ををドライバーに戻し、トリガーを一回引いてから抜刀した

 

烈火抜刀!ドラゴン一冊斬り!

 

火炎十字斬!

 

烈火を構えると、コカビエルと視線を合わせタイミングを窺う。

そして、両者共にほぼ同時に大地を駆ける。

 

ハアァァアアアアアッ!!!!!

 

ガァアアアアアアアッ!!!!!

 

 

──ガキィイイイイン!

 

ぶつかり合う剣と槍。瞬間、暗闇を照らすほどの光が炸裂し、あまりの眩まばゆさに一誠たちは目を閉じる。

 

鍔迫り合いに勝ったのはセイバーだった。

烈火の刀身に灼熱の炎を宿し、ドラゴンと共に縦横無尽に移動しながらコカビエルを連続で斬り裂く。

 

そしてイッセー達が次に瞳を開ける時、その先に映っていたものは背中を向けあったセイバーとコカビエルの姿だった。

 

「………そういえば、貴様の名前を聞き忘れていたな」

 

 

小さく、名を尋ねる

 

「…………神城、飛羽真」

 

 

「かみ、しろ…とうま………か覚えておこう。我が最高の好敵手(とも)よ」

 

そう言葉を吐くコカビエルの口元からは、一筋の赤い線が伝う。

 

見ればコカビエルの胸元には大きく『X』の傷跡が刻まれており、それはリアスはもちろん、ついこの間まで戦いとは無縁だった一誠やアーシアですら致命傷だとわかるほどに深刻なものだった。

 

「ああ、俺も忘れない。お前と言う1人の戦士を…」

 

 

「ふっ、なんと清々しい気分なんだ。負けたというのに…ごふっ」

 

血の塊を吐き出すが、その表情は満足したような幸せなものだった

 

「貴様が知りたがっていることを教えてやる……。闇の剣士の居場所だ」

 

 

「な、に…!?」

 

 

仮面で表情は隠れているがセイバーは明らかに同様していた

 

「貴様達の求める答えは禍の団(カオス・ブリゲード)にある」

 

 

「カオス、ブリゲード……」

 

 

聞き慣れない単語で疑問に思うが、自然とコカビエルが嘘をついているようには思えなかった

 

「最後にコレを…」

 

 

懐から一冊の本をセイバーに手渡した

 

ジャッ君と土豆の木

 

「ワンダーライドブック!どうしてこれを!?」

 

 

手渡されたワンダーライドブックに驚いていると

 

「これを持っておけば……いつか、再戦出来ると思ってな。しかし、今となっては不要…勝利者であるお前に渡すのが自然だろう」

 

 

「ありがとう……」

 

礼を言いながらライドブックと強く握りしめる

 

「まさか、礼を言われるとわな…。ああ……悪くない、さいご、だっ……た……──」

 

 

そう静かに語り終えると、コカビエルは眠るように息を引き取った。

それはこの激闘の終焉を告げ、しかしながらあまりにも騒然とした終わりにイッセーたちはしばらくの間 呆然と立ち尽くすことしかできなかった。

 

火炎剣烈火をソードライバーに仕舞い、本を取り、変身を解除する

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

場所はとある書斎、そこには3人の男と1人の剣士が先程の戦いを見ていた

 

「セイバー…まさか、あれほどの力とは、素晴らしい。」

 

 

「だが、我らの敵ではない」

 

 

「厄介にならない今のうちにやっちまうか?」

 

その男たちは各々の感想を述べる

 

1人の男が剣士に向かって質問する

 

「貴方はどう思いましたか?」

 

 

「ふん、あの程度ならばいつでも消す事が出来るだろう。今は、本を完成させる事を優先する」

 

 

そう答えたのはセイバーに似た紫色の鎧の男…裏切りの剣士(闇の剣士)と呼ばれたカリバーだった。

 

「ええ、我々も本格的に動くとしましょう。大いなる目的の為に。所詮ここは隠れ蓑に過ぎませんからね」

 

 

そう言って不気味な笑みを浮かべる3人組

カリバーは静かに、飛羽真を見ていた

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

コカビエルの死を看取った少年…神城飛羽真は立ち去ろうとしていた

 

「待ちなさいッ!」

 

 

飛羽真は足を止めて振り返る

 

「何か?」

 

 

「貴方何者?一体、その力は」

 

 

言い終える前に飛羽真は烈火を構える

 

「くっ…!」

 

 

戦闘体制に入った飛羽真にリアスは1歩足を引く

自分たちでは手も足も出なかったコカビエルに勝利して見せた少年との実力差は開ききっている

仮に、全員で戦ったとしても1分も持たないだろう

 

「出てこい、」

 

 

誰もいないはずの空に向けて、飛羽真は問いかける

 

「先程の戦い…見事だったよ、聖刃(セイバー)。」

 

 

姿を表したのは白い全身鎧で、その容姿は赤龍帝の鎧と似ていた

 

「白龍皇…」

 

 

「知っていたのか、嬉しいねぇ。伝説の剣士に名前を覚えられているとは」

 

 

飛羽真は一気に警戒を強める

 

「おいおい、そんなに殺気を出さないでくれ。今日は君と争いに来た訳じゃあ無い」

 

 

白龍皇はコカビエルの亡骸を指さして

 

「俺の役目はコレの回収だ。」

 

 

そう言って亡骸を抱える

 

そうだ、とつけ加え

 

「今度あった時は戦おう俺とキミどちらが強いか。そして、ライバル君にも期待しているよだが、今のままでは俺の相手にはならないだろうが」

 

『おいおい白いの、久しぶりの再会っていうのに冷たいじゃないか』

 

 

『起きていたのか赤いの、あまりにも大人しいから寝ているのかと思ったぞ。それとすまんな、今の宿主はお前の宿主より目の前にいる聖剣使いに興味があるらしい』

 

 

神器同士の会話、二体の龍の会話に白龍皇の宿主は退屈そうにしていた

 

「アルビオン、手短に頼む」

 

『すまんすまん、赤いの今戦っても面白くない。また今度な』

 

「では、さらばだ諸君」

 

そう言って白龍皇は飛び去って行った

 

リアスが飛羽真の方を向くとそこには誰の姿も無かった




続かない…(´・ω・`)
絶対……多分…


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