歪な愛 (糸守)
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1.邂逅
1-1 失踪、遭遇そして戦闘


初投稿です。下手ですが暖かく見守ってくれたら幸いです。
オーバーロードのイビルアイが好きすぎることと、クロスオーバーで書きたくて挑戦しました。
「」→会話
()→内心
(「」)→脳内会話


「本当に、ほんとうに休みが欲しい!!!」

 

確か俺はこの国の王だよな。というか魔王だ。

ある程度は仕事があることはわかっていた。その上で俺は君臨するけど統治せずのスタンスでちょっとした仕事だけしての楽しく暮らすつもりだった。

俺一人、たいして仕事をしなくとも俺を慕ってくれる優秀な仲間たちもいるから簡単にいくと思ってた。

 

 

「なのに何だこれは!!!」

「どうしたんですか?リムル様?」

「なぁシュナ、これ本当に俺が確認しなきゃいけない書類なのか?」

「もちろんです。リムル様はこのジュラテンペスト連邦国の王様なんですから!これでもだいぶ厳選したんですよ?」

 

 

「うげぇ、、、」(これで減らしてくれたのか、、、とてもありがたい、ありがたいんだけどこの束をみるとそんな気持ちも遥か遠くに行ってしまう、、、。)

「ディアブロとかに任せちゃ、、、」

(というか厳選した時点である程度みんな確認してるし俺みる必要あるのか)と言葉途中で考えをめぐらせていると俺の思ってたことが分かったのかシュナはくすりと笑って

「もちろんリムル様が確認しなきゃダメな書類ですよ。一応私も目は通しましたが確認は大事です!」とシュナは答えた。

 

 

初めはゴブリンたちに頼まれ村を牙狼族から守りゴブリンと狼たちの共生を手助けをしてた。

その後鬼人たちとも仲良くなり少し忙しいながらも充実した生活を送っていたはずだった。

それなのにどこをどうしたらこうなる?!?!?!と過去回想している間にシュナがお茶を入れてきてくれた。

 

 

俺はお礼を言いつつもお茶を飲みながら頭の中は現実逃避を繰り返していた。

「リムル様、今日はもう遅いですしまた明日からにしましょう。」とシュナは俺が限界そうなので気を使ってくれた。

確かに辛い、ラファエルさんに頼めばすぐに終わるんだろうけどそれだと俺は全く仕事をしてないことになるし、そもそも任せても俺は座ったまんまだし退屈になる。

わがままだということはわかっている。

 

 

「んーそうだな今日は終わりにするか!」

「はい、それではお疲れ様でした。お休みなさい、リムル様」

「あぁ、お疲れ、おやすみ、シュナ」

 

シュナが部屋から出て行った後も書類の束を見ながら

「俺ってしっかり魔王やれてんのかな?」と自重気味に独り言を呟き帝王学や社長関連のハウツー本でも読みたいなって思っていると

すると「告 肯定。」と返事がきた。

 

 

「はは、励ましてくれてるのか?」

「解。違います。」なんか大賢者からラファエルに進化してから妙に人間味があるんだよな。

「んーとにかく1日でも良いから休みが欲しいー、明日1日どっか行こうかな、気分転換にしに」

「解、必ずシュナ、シオン、ディアブロに発見されます。」

「あー確かにあいつら俺の考えてること何故かわかるんだよな、シュナとディアブロはともかくシオンなんて直感で見つけてるっぽいしまじ謎だよな。んーじゃあ、転移の座標適当に決めて飛んだらどうだ?」

「解、それは距離にも寄ります。1日は可能だと推測します。」

 

 

「おし!じゃあ、申し訳ないけど一日休みもらおうかな、勝手だけど良いよね、俺魔王だし。」

「。。。。。」

うわぁ、なんかラファエルさんから何言ってんだこいつって感じの雰囲気感じる。何も言われてないのに、、、

「とりあえず急にいなくなったら困るだろうからメモ書きだけでも残しておくか」

『疲れました。ちょっと出かけてきます。1日くらいで戻るので探さないでください。』っとこれで良いかな?

「。。。。。」

すごく何か言いたそうなオーラ感じるけど何も言ってこないからいいか。

 

 

「さて、とりあえず人の街に転移するか。なんかここで適当に転移したら魔力の残滓とかで速攻でバレそうなんだよな。」

「よしあんなメッセージ送っといてなんだけど、勘違いとかされてたら困るし俺からヒナタに会いに行ってみようかな?魔王化して強くなったしこの前みたいに負けることはないだろうし、、、うん、そうしよう!」

 

 

 

 

 

 

翌朝。シュナはリムル を起こしにリムルの寝室に向かっていた。

コンコン、「リムル様ー、朝ですよー」コンコン、コンコン。何度かノックしてみたがまるで反応がない。

「失礼します。リムル様、もう朝で、、す、、ってあれいない?」

 

 

寝室にリムル がいないことに一瞬キョトンとなったがすぐに昨日の夜を思い出し

「あーきっとまだ仕事部屋にいらっしゃるんだわ」と一人納得したシュナは仕事部屋に向かった。

しかしそこにもリムル はいなかった。

 

「あれ?リムル様はどちらにいかれたのでしょう?」っと独り言を言いつつリムルの机に向かうと

『疲れました。ちょっと出かけてきます。1日くらいで戻るので探さないでください。』と書き置きがあった。

流石のシュナも狼狽し「は?」と間の抜けた声が出てしまった。しばらくし、意識を取り戻したシュナはわずかばかりの魔力の残滓に気がついた。

「ん、これは、魔力の跡。転移?リムル様はいったいどちらに?私じゃこの流れは追えない、、、。」と考えたシュナはひとまず兄のベニマルに相談してみることにした。

 

 

 

「お兄様、大変です!リムル 様が消えました!」

あの手紙を見た後シュナはすぐに兄のベニマルの元へ向かっていた。

「お、シュナおはよう、、、、は?リムル様が消えた?なんでわかるんだ?」

「この書き置きを見て下さい」とシュナはさっきリムル の部屋で見つけた書き置きをベニマルに見せた。

『疲れました。ちょっと出かけてきます。1日くらいで戻るので探さないでください。』

 

 

「。。。。これだけではまだなんとも言えなくないか?これを見つけたのは今朝なんだろ?」

「はい。」と何か思うところがありそうながらもうなずくシュナにきが浮いたベニマルは

「まだ何か気になることでもあるのか?」

「はい。昨日のことなんですけど、、、」とシュナの説明にベニマルは

「うーーん、、、やっぱり少し考えすぎじゃないか?仕事の多さに疲れてどこか気分転換でもしに行ってるんじゃ、、」と話していると突然、

 

 

(バン!!!)「それならどうして行き先とか教えてくれなかったんですか?それに転移した跡があったんですけどどこに行ったか大体の場所すらわからないんです。今までこんなことありませんでした。」とシュナが勢いよく机を叩き、話し始めた。

驚いたベニマルは呆気にとられていたがシュナが話したことを聞いて一気に現実へと引き戻された。

 

 

確かにリムルがたまに転移を使って勝手に何処か行ってしまうことがある。ただそれは周りに迷惑がかからないよう短時間で用を済まし戻ってくるしディアブロやシュナはなんとなくどこに行ったか転移の魔力から把握している。それなのに今回は全くわからないという。これはシュナが慌てるのも納得だ。

「全くわからないのか?ディアブロやソウエイには聞いてみたのか?」

「いえ、まだです。」

「それなら一緒に聞きに行ってみるか。」

 

 

 

 

「あれ?」

転移したリムルは強烈な違和感に襲われた。

「ルベリオスの周りにこんな森みたいなところあるのか?」

「解、ここは神聖法皇国ルベリオス付近ではありません」

 

「ん?じゃあここどこなんだ?」

「不明」

「は?まじで?え?何で?ルベリオスに座標合わせて転移したよな?」

「告、そうです」

 

「じゃあ何でこんなわけのわからんとこにいるんだ?」

「解、転移時に何らかの魔力干渉を受けました」

「魔力干渉?」

 

「告、誰のどのような魔力かは不明です。」

「ふえーまじか、ここからテンペストまでどれくらいの距離がある?それと転移で戻れそうか?」

「解。現在地からテンペストまでの距離不明、解析まで推定3日。」

 

「まじかー、んじゃどうするかーっつてもここ森のなかだし、、、、廃虚みたいなでかい建物見えるしそこまで行ってみるか。人がいればいいけどモンスターとかいたら魔力でバレるから一応仮面はつけとくか。」とリムルは目の先に見えるおっきな建物?を目指すことにした。

しばらく森を歩きとりあえず目的にしていた建物まで近づいてみると「これは神殿?聖堂?それともやっぱり廃虚?」ととても判断し難い建物だった。

「ラファエルさんこれ何かわかる?」

 

 

「解。不明です。」

「まじか、んーどうしようか、つってもこの建物しかここら辺にはないし、行ってみるか。」

「入ってみたはいいけど何にもないし誰かいる気配全くしないな。なのになんか違和感あるんだよなー」

 

 

しばらく歩いていると下に続く階段があり下がってみると上下左右全てブロック状の石で作られた道があった。

「なんかthe迷宮って感じだな、ただそれなら人やモンスターがいてもいいはずなんだけどなーんーよくわからん」

「告。この先複雑に入り組んでおり正確な道が不明です」

「うへーやっぱ迷宮みたいだな。前みたいな魔力が使えなくなるような結界はあるか?」

「解、ありません」

 

 

「よしそれならなんとかなるかな、飲食は不要だし最悪迷ったら転移でここに戻ればいいかな。」と思い進んでいると目の前からスケルトンの軍団が現れる。

「うわ、迷宮っていうよりダンジョンだな」と愚痴をこぼしつつ黒炎をぶつける。ちょうど一本道だったためスケルトンたちは一斉に消炭になった。

「んーこれはスケルトン関係がたくさんいるダンジョンなのか?それともかつてここに住んでいた人がアンデッドになったのか?」

「告、この先に大きな魔力反応があります。」

 

 

 

「どれくらいだ?」

「告。ベニマル以上です。」

「は?まじか、ベニマル以上って魔王並ってことか」

「解、肯定します。」

「どうしたもんか、アンデッドなら会話は無理か?いやそれだけ強いなら意思疎通できる可能性はあるか?とにかくここがどこなのか知りたいから一か八かで行ってみるしかないか」と思ったリムルは探知した大きな魔力反応の元へ足を進めた。

 

 

 

見つけた大きな魔力反応のもとへ近づいていくとそこにはゴスロリ風の女の子がいた。

(こんなところに女の子?てかすげー可愛いな、いやいやいや絶対おかしいだろ、てか感じた魔力反応はこの子からか?まじ?)

「えーーっと、こんにちは。お嬢さん。僕リムル って言います。」

 

「。。。。。。」

「あのーお名前伺ってもいいですか?」

「あぁー名前を聞きたかったんでありんすね。ナザリック地下大墳墓第1、第2、第3階層守護者シャルティア・ブラッドフォールンでありんす。ようこそ侵入者さん、一方的に楽しませてくんなまし。」

 

 

(は?墳墓?ここ墓なの?墓なのに守護者?てかなんでゴスロリ?1、2、3っていくつあんのここ?そもそもあの喋り方なに?ただの痛い子?)

とリムルの頭の中は訳のわからない情報で大変なことになり一人頭を抱えていた。

 

 

(なんか急に頭を抱え始めたんでありんす。ナザリックのことを知っている?いや妾の言葉を聞いてから悩みはじめたからその可能性は低いでありんすかね。おそらくここのことはアルベドが把握してるでありんしょうからひとまず排除するでありんす。)

とシャルティアが思い動き出そうとした時、向こうから話しかけてきた。

 

 

「えっとここは墳墓なのか?」

「さっきそう言ったでありんす」

「ここから強い反応を感じてきたんだけど君のことで間違いない??」

 

 

「そうでありんすかね」(意図的に接触してきた?まさか私を洗脳してきた奴ら?それなら慎重にするべき?それとも一気に殺してしまう?)と色々考えていると

「あのさルベリオスって知らない?」

「知らないでありんす」(ルベリオス??敵にとっての何?人?武器?国?なんの名前?)

 

 

(やべー全く会話が続かない、俺の事侵入者って言ってたしなんかまずい気がする。なんとか穏便に済ませたいんだけど)

とお互い表面上はともかく内心は全く穏やかではなかった。

 

 

(とりあえず考えていても埒があかないでありんす。一先ず気絶でもさせてアルベドに相談するでありんす。)

(んー俺から話さないと話してくれないなどうしようか)などと思っていると

(「告、背後から攻撃です。」)

 

 

とラファエルさんが相手の攻撃を知らせてくれる。素早く教えてくれたので俺は間一髪のところで避けることができた。

(ハクロウは俺の魔力探知をすり抜けて俺に攻撃を当てたけど今のは違う。これは純粋に俺の魔力感知に反応するよりも早く俺の後ろに回り込んで攻撃したんだ。まずいな相当強い、魔王化してなかったら今の一撃でやられてたな、スライムなのに冷や汗かいた、、、)

 

 

(まずいでありんす、かなり本気で仕掛けた今の攻撃避けられるとは思わなかったでありんす。これはおそらくこの世界に来てから一番強い)

互いが相手を強者だと認識ししばらくの沈黙が流れる。

 




色々と難しいです。

あんころ(餅)さん、トマス二世さん誤字報告ありがとうございます。


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1-2 混乱に混乱

末端冷え症で朝などはpcに触れることすら億劫に思います。


アルベドが執務室で仕事をしていると戦闘メイドのエントマからメッセージが届いた。

 

 

「アルベド様、侵入者がただいまシャルティア様と戦闘中の模様です。」

「シャルティアが相手していて問題が?」

「いえ、まだ何も問題はないのですが何分、戦いが拮抗していまして」

「シャルティアが手こずるなんて珍しいわね、そもそも侵入者なんて初めてかしら。それで敵の人数は?」

 

 

「一人です」

「は?一人?!」

「はい。なので報告させてもらいました。」

「そ、そう。分かったわ。仕事に戻りなさい」

「かしこまりました」

 

 

(シャルティアが相手一人に苦戦、、、相手は100lvに近いもしくは100lv。

可能性としてはシャルティアを洗脳した奴ら、まだ接触したことのないこの世界の強者、もしくは私たちと同じ。

どちらにしても確認してからアインズ様に報告するべきね。)

 

 

と考えたアルベドは頭の中で練っていた計画をひとまずやめてミラーオブリモートビューイングのある部屋まで向かった。

そこで見た光景にアルベドは驚愕した。少しではあるもののシャルティアが押され始めていたのだ。

これはまずいと思ったアルベドはすぐさま主人へとメッセージを飛ばしたのだった。

 

 

 

一方エランテル近郊でギルドからの指名依頼であるギガントバジリスクの討伐を終えたアインズはギルドに向かっている途中だった。

するとそこにアルベドから伝言が届く。

「アインズ様アルベドです。」

「アルベドか、どうした?侵入者でも来たか?」とアインズは少しでも自分を神かなんかと勘違いしている子供たちの誤解をとくために日頃からちょっとした冗談を言っているのだがこのタイミングでこの冗談はアインズの狙いとは真逆の方に行ってしまった。

 

 

「!?はい、お気づきでしたか。連絡が遅れて申し訳ありません。只今侵入者はシャルティアと交戦中です」

「は、え」ゴホン。「了解した。それで敵の数は?」

「一人です。」

「は?」

 

 

「一人です、相手は相当の実力者のためナザリックにご帰還お願いできますでしょうか?」

「りょ、了解した。すぐ戻る。私が戻るまでにナザリックにいる守護者のみでいいので集めておくように」

「かしこまりました」

 

 

(まじか、冗談で言ったつもりだったのに、、、それよりも各階層守護者中最強のシャルティアとの戦いが拮抗。

流石に想定外すぎる。急いでナザリックに戻らねば)

「ナーベラル、私は至急ナザリックに戻らなければならなくなった。ギルドへの報告は任せる。ハム助も連れて行け。」

「かしこまりました。」

 

 

 

戦いが始まり約20分が経過したあたりで互いに距離をとり無言の状態になる。

両者ともに致命傷はなく、息も乱れていないが険しい表情をしていた。

(このままだと少しまずいでありんす。ここまで強いとは思わなかったでありんす。)

(まずいな、めっちゃ強い。今はなんとかラファエルさんのおかげで反応できてはいるけど、、、)

と内心二人はここまでの戦いからなんとなくではあるものの相手の力量を把握しここからどうするか悩んでいた。

 

 

 

「アルベド、アウラ、マーレよく集まってくれた。しかし今は形式的な会話をしている暇はない。侵入者はどうなっている?」

「はい、未だシャルティアと交戦中です。どちらも決めてがなく攻めあぐねている状況です。」

「シャルティアとタイマン張れるなんて強いですねーアインズ様ー」

 

 

「うむ、1vs1でならばおそらくシャルティアは守護者最強だ。

だからこそシャルティアが負ければ1vs1 であいつに勝てるものはこのナザリックないにはほとんどいないということになる。ここは慎重に事を運ばねばならぬ。」

「ぼ、ぼくもそう思います。」

 

 

「3人から見てこのものはどう感じる?敵か?」

(???)アインズの言葉に首をかしげる3人。

「コレだけ強い人間がいたら流石に我々は情報を少しは持っているはずだ、見覚えや心当たりのあるものは?」

「この仮面は王国で活動している蒼の薔薇のイビルアイというものではないでしょうか?」とアルベド

 

 

(青の薔薇、、、あ!アダマンタイト級冒険者のことか、仮面なんてしていたのか、もっとしっかり報告書読まなきゃな)と内心で自分の勉強不足を反省していると

マーレが「で、でも蒼の薔薇って複数人のパーティですよね?1人はおかしくないですか?」

「うーんあたしもそう思う、イビルアイって確かあと4人仲間がいたよね?そいつらは?」

 

 

「私もマーレとアウラの考えに賛成だ。今モモンとして活動している時のlvはおおよそ40lv程度だ。

同じアダマンタイト級であるからlvの誤差は多くても10〜15くらいだろう。そのレベル帯の相手にあそこまで苦戦することは考えにくい。」

「申し訳ありません、アインズ様。仮面というだけで決めるのは早計でした」と頭を下げるアルベドに対してアインズは蒼の薔薇すら候補に出てこなかったことを猛烈に謝りたくなった。しかし支配者はそう簡単に謝れないためその気持ちは心に留めておき、

「良い、アルベド。意見は大切だ。多角的に考えていかねば必ずどこかで失敗する。それよりも今は対策だ。それで初めの質問に戻るがお前らはあれは敵だと思うか?」

 

 

「侵入者であることに変わりはありません。命令さえいただければすぐに排除してまいります。」というアルベドの意見にアウラもマーレもうなずいている。

「ダメだ、それは問題の先送りにしかなっていない。今後このようなことがあったときのためにも手当たり次第抹殺するのはあまり良いとは思えない。私はおそらくあの人間は私たちと同じ存在であると思われる。理由はいくつかあるが1番の決め手はやはり単独であるという点だ。シャルティアを洗脳した奴らはシャルティアの危険性を考えて単独で行動するとは考えにくく、まして他の手のものという線も考えられない。」

 

 

なるほどと言った感じで納得する3人。

「それでアインズ様、どうするんですか?」

「うむ、一番いいのはやはり我々の勢力に取り込むことだな。それができなくとも敵対しない関係を作っておきたい。あれは非常に厄介だ。」

「しかしアインズ様、もし敵対してこようとしたら、、、」

「ああ、アルベド心配いらない。もしそうなれば殺すだけだ。」

「「「かしこまりました」」」

「それでは第一階層へ向かうとするか。」

 

 

 

 

「ソウエイ、リムル 様は見つかりましたか?」

「申し訳ありません、まだです」

「シュナ、どうしてディアブロに聞くのは嫌なんだ?」

「聞いてすぐにリムル様を見つけられたらなんか悔しいからです。それに彼ならもうおそらくリムル 様がいらっしゃらないことに気がついていると思いますよ。」

「どうしてわかるんだ?」

「なんとなくです。」

「なんとなく、、か。」

「はい、ただ100%気付いていると思いますよ。彼のリムル 様への思いは狂信者並ですから。悪魔なのに」

「ああ、そうか(苦笑)」

「はい。それよりもリムル様はいったいどちらに、、、、」

 

 

 

 

(んーどうしたものか、一向に決着がつかない。俺としては倒す理由も倒される言われもないからいいんだけど相手は確実にこっちを殺る気だしなぁ)

(決め手がないでありんす、スポイトランスでいくら体力を吸っても減る気配がない、こいつ本当に人間?)

 

(「シャルティア」)

(「は、はい!アインズ様!」)

(「今からそちらにアルベド、アウラ、マーレと向かう、相手との距離を開けて待機せよ」)

(「かしこまりんした。」)

 

 

(あれ相手が後退した。なんでだ?)

(「告、個体名シャルティアと同等と思われる個体4名がこちらに接近中」)

(うわ、マジかよ、いよいよ相手も本気なのか?)と思案していると豪華な衣装を着た骸骨が姿を現した。

(なんだあのスケルトン、ボスか?でもそれにしたら弱い気がする。)

(告、あの個体は魔力探知阻害のアイテムを保持していると思われます。)

(俺の仮面みたいなものか)などと考えていると骸骨が話しかけてきた。

 

 

「ようこそ、侵入者君。こちらと話をする気はあるか?」

(??えらく温厚そうだな。てか俺から仕掛けてないんだけど、、、)

「あぁ構わない。というか俺は攻撃されただけなんだけどな」

「それはすまないな、彼女はそれが役割なのだから許してやってくれ。」

 

 

「まぁそれはいいけど、確かに守護者とかいってたもんな。というかここは墓なのか?」

「あぁそうだ。君はここがどこだか知らずに来たのか?」

「ここが目的っていうか目に入ったから来たというか」と答えると相手の空気が一瞬張り詰めた。

「ここは幻影魔法をかけていて普通は見えないはずなんだが」

「んーと言われても見えたからなー?」

 

 

(幻影魔法に何らかの耐性を持っている?いやそれならシャルティアとあそこまで戦えた理由がわからない。何なんだ?いったい)

「まあそれはいい。それでここに来た理由は?」

「ああ、ルベリオスって知らないか?」

「ルベリオス?何かモンスターの名前か?」

「国の名前だよ、ルベリオスに行こうと転移したら見覚えのない森の中にいたんだ。それでちょうど建物らしいものが見えたから誰かいないかと思ってきてみたんだよ。」

 

 

(アインズ様、私もそれについて聞かれたんでありんす。)

(ほぉ、それで何と答えたんだ)

(聞いたことない単語だったので会話に意識を誘導してるのかと思い、とりあえず気絶させようとしたでありんす。)

(は!?気絶?ゴホン!!!わかった。)

「なるほど君の言い分は理解した。残念だがここにいるものたちにルベリオスという国を知っているものはいない。それで次はこちらから質問させてもらっていいか?」

 

 

「ああ、いいぞ」

「君はどこの国のものだ、王国か?帝国か?それとも法国か?」

「は?何だそれ?」

(ふむ、やはり違うか。)

「では、ユグドラシルという言葉に聞き覚えは?」

「ユグドラシル?悪いが初めて聞いた」

 

 

(は?・・・どういうことだ)思っていたことと違い困惑しているとアルベドが

「あなた先ほどから黙って聞いていれば人間のくせに、アインズ様に対して失礼よ。名前くらい名乗ったら?」

「良いアルベド、下がれ。」

「はい、申し訳ありません」

(うわなんかめっちゃ綺麗な人がすげー怒ってる。人間嫌いなのか?)

「ああ悪いな、自己紹介もまだだったな。俺はリムル=テンペスト。後人間じゃなくてスライムだ。」

 

 

(((((は???)))))

リムル の発言にその場にいた5人全員が困惑した。

その後に続けて話したリムル の「まぁ元は人間だったけどな」という呟きは誰も聞いていなかった。

 

 

「何の冗談だ?君からは魔物の気配を全く感じないが」

「?ああそれはこの仮面のせいだ」といいリムルは人型からスライムに変化した。

そうすると再び場が一瞬ざわついた。

「本当にスライムのようだな、、、」(ヘロヘロさんと違って毒々しいオーラは全くないな)などと考えつつもう少し話してみることにした。

 

 

「私はこのナザッリク地下第墳墓の絶対なる支配者アインズ・ウール・ゴウンだ。ここで立ち話はなんだ、先程の詫びも兼ねてお茶でもどうだ?」

(どうする、今戦っていた奴のレベルが計5人、今のうちに逃げるべきか?それとも少しでも情報を集めるべきか?)と考えはしたがいざとなったら転移すればいいかと楽観的に考え誘いを受けることにした。

 

 

「ああ俺も聞きたいことがあるから構わない」と少し強めに出てみると周りのアルベド、シャルティア、アウラの3人が渋面を浮かべ、マーレは慌てだした。

(あの美人さんめっちゃ嫌そうな顔してる、)とリムルも気付きつつもスルーすることにしアインズとかいうやつの後についていくことにした。

 

 

 

 

リムルの失踪発覚から数時間が経った今何の手がかりもないまま悩んでいるとコンコンとノックされる音が聞こえ扉の方を見るとすごく不機嫌そうなディアブロがいた。

「おはようございます、ベニマル様、シュナ様、ソウエイ殿」

「ディアブロか、どうした?」明らかに不機嫌そうなのはスルーしてベニマルが尋ねる。

「我が主、リムル様はどちらに?」

「やっぱりお前も気付いていたか。」

 

 

「はい当然です。あの方の気配がこの世界から消えて気づかないものなどいるはずがありません!」と熱弁するディアブロ

「は?おいこの世界から消えてっていうのはどういうことだ?」

「言葉の通りです。リムル様の気配が全く感じられません、悪魔は元々気配を辿るのが得意なのでそうそう探し人を見つけられないなんてことはないのですが今回は全くわかりません。」と不機嫌そうにいうディアブロ。

 

 

(この世界に反応がない?あ、、シュナは、、、?、、、!!!!まさか)

「ディアブロ、ソウエイこのことは誰にもいうな。誰かに尋ねられたら適当に答えておけ。

とりあえずまた後で話し合おう、とりあえずもう一度探してみてくれ」

「は?だからもう、、、、あーわかりました。それではまた後ほど」とシュナの様子を見たディアブロはため息をしつつ部屋を出た。

 

ソウエイはいつの間にか消えていた。

「あーシュナ」

「ゥゥ、、、リ、、、ムル、、、ザマ、、、、ヒック」

(こんな取り乱してるシュナ初めて見た気がする。ってもどうしたもんか、、ったくどこいったんだよリムル様)

とどうすることも出来ないベニマルは一人頭をかきながら悩むのだった。

 





トマス二世さん誤字報告ありがとうございます。


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1-3 帰還して謝罪、そして。

一章は終わりです。
早いですか?早いですよね。でも気にしないでください。
このページを開いてくれてありがとうございます。


「それで君はジュラテンペスト連邦国の王をしていると?」第9階層の一室に来てアインズら5人とリムルは話しをしていた。

「ああそうだ、知ってるか?」

「いや全く知らないな、というよりも今君が話してくれたことほとんど全て知らないな。逆に君もそうであろう?」

「んーそうだな、ユグドラシルも位階魔法も武技も国名も全く知らないな。」

「ということはだ。つまり君は別世界から転移してきた可能性が高い」

「まーそういうことになるのか??」

「何だ、別の世界に来たというのにえらく落ち着いているな」

 

 

「ん?まぁ異世界は2度目だし、なんかもう耐性でも出来たのかな?、自分でも冷静すぎて少し驚いているよ」

と苦笑するリムル に対しアインズらは2度目という言葉に強く興味を惹かれる。

「2度目?」

「2度目だ、俺もとは人間だったんだ、それから死んでスライムに転生したんだ。」

あまりの衝撃的な言葉に今日最大の沈黙がこの場に流れる。

(元々人間?それから転生してスライムに?あまりにも似ている気がする。まさか1度目は地球だったりして、、、)

とアインズはリムルの境遇に強い既視感を感じた。

 

 

他の面々も何か思うことがあるのだろうがアインズがいるため自由に発言することができない。

「なあそれよりも、さっき俺と戦っていた子の目がなんかぎらついていて怖いんだが」

「?ああそれは気にしないでくれ、彼女は、、、彼女の性癖は多少変なんだ。ネクロフィリアでバイなんだ。」

そう言われたリムルは一瞬体をビックッとさせ「やめてくれよ、俺は無性だぞ。」

「、、、、、」といったものの返事はない。

「は?(無性もいけんのか)」と声に出そうになったがすんでのところで耐えたリムル 。

「引かないでくれなんし、これは妾の創造主であるペロロンチーノ様が決めたことでありんす。」

 

 

(何をいってるんだ?というかペロロンチーノって、、、えらく奇妙な名前だな。

偽名か?でも偽名にしては目立ちすぎな気が、、これはどちらかというとゲームのユーザー名な気がする、、、!?ゲーム!?まさかいるのか地球出身のやつが!?)と思案中のリムルを見てアインズもいくつか聞きたいことがあったので守護者たちを下がらせることにした。

 

 

「では、アルベド、アウラ、マーレ、シャルティアそれぞれ各仕事に戻れ。」

「アインズ様はどうされるのですか?」

「私はまだ話がある、これ以上守護者が集まっていては任務に支障をきたしかねない」

「侵入者と二人きりなんて危険です!せめて私だけでも護衛としていさせてください。」

「許可できない。命令だアルベド。即座に守護階層に戻り役割を務めよ。」

「、、、、、かしこまりました。」と不承不承ながらも頭を下げ軽くリムルを睨み部屋を出た。残りの3人も同じようにアインズに頭を下げて部屋を出た。

 

 

 

 

「良かったのか?侵入者と二人きりなんて、あんたこの国?墳墓の王なんだろ?」

「構わない。」

「そうかい、てか何であの黒髪美人のアルベドさん?に嫌われてるんだ?」

「さあな、私に対する言葉使いかなんかじゃないか」

(それであんな態度になるか???)と思いつつ内心ではアインズなんたらがわざわざ侵入者の俺と二人きりになることを選んだ真意を探る。

 

 

「ところでさっきの子が言ってた創造者ってなんだ?」

「言葉の通りの意味だよ、彼女は我が友人であるペロロンチーノが創造した。他の子たちも我が友人たちが創造した。」

疑問符を頭の上に浮かべるリムル に対してアインズはそのまま話し始めた。

「私たちも元々この世界のものではない。ある日突然この墳墓ごとまとめて転移した。」

「!?、それであんたの友人たちはどうしたんだ?」

 

 

「元の世界にいるはずだ」

「その聞きにくいんだが、ペロロンチーノって人の名前は本名なのか?」

「どういうことだ?」

「いやそう言った名前は、、、何というかすごく変に感じるんだよ。あくまで俺が人間だった頃を基準にすると何だけどな。」

「ほう、、、その世界には『日本』という国はあったか?」

「!!!!!あった!!!!てことはあんたも日本から転生した人なのか?」

「いや私の場合は少し違う気がする。この体はゲームのアバターだ。そしてそのゲームの名がユグドラシルだ」

「!?!?、、、なるほど、だから創造者か。彼女たちは元々NPCってことか」(だから俺と二人で話したかったのか)

「ああその通りだ。ゲームのユグドラシルなら知っているだろう?」

 

 

「いや知らない」

「は?あのユグドラシルだぞ?ゲームしたことないのか?」

「いやゲームはしてた方だと思うぞ?」

「それなら知っているはずだ。DMMO-RPGと言ったらユグドラシルって言える時代だってあったんだぞ?」

「DMMO?、、、、、時代?、、、お前いつの日本にいたんだ?」

「いつ?」

 

 

「ああ日付だ、日付。」

「確か2138年とかだったと思うが、、、」

「2138!?まじか、俺がいたのは2018年だぞ!」(アインズ抑制はいる)

「それは何とも凄まじいな」

「おいおいおいお前なんでそんなに落ち着いていられるんだよ!」

「いや驚いているとも、ただこの体は一定の感情の高ぶりを感じると自動的に抑制されるんだ。」

「なんかしっかりアンデッドだな」

「あぁそうだな。これはこの体の優れているところでもあり生物として欠けているところとも言えるな」と苦笑するアインズ

「それでここはどんなところなんだ?」

 

 

「この世界か?この世界、、、この世界の生物ははっきり言って弱い。我々がこの世界に来て以降、我々以上の強者に出会ったことがない。」

「そんなに弱いのか?お前らが強すぎるとかではなく?」

「ああこの世界には位階魔法が存在すると言っただろう?この魔法は10段階、さらにその上には超位魔法がある。

私たちは程度の差はあれど10位階までつかえるものは多い。しかしこの世界では7位階ですら神話の領域だ。第3位階魔法など使えれば天才と言われる」

「うわー魔法の威力がどのくらいか分からないから何とも言えないけどインフレ半端ないな、てかそのユグドラシル?と同じ魔法システムなんだな」

 

 

「やはりそこに気がつくか、私もそのことが気になって調べてみたのだがどうも数百年前に我々のようなものがいたという記録があった。おそらくその前もいたのだろう。そして彼らのことは後世に語り継がれるほど強大だった。だからそこから位階魔法が伝わったのではないかと思われる。」

「へーなるほどな、一定間隔で向こうからこっちに来てるのか」

「おそらくな、正しいかどうかは分からないが」

 

 

「お前らはどうしていくんだ?」

「世界征服するらしいぞ」

「何で、らしいなんだ?」

「それは、、、部下がそうしようとしているからだ。」

「はあ?そう言った方針はあんたが決めるんじゃないのか?」

「それはそうなんだが。私が転移してきた初日に部下と話をしていたんだ。その際星と月の明かりだけで辺りがみえる綺麗な夜空を見て世界征服なんて面白いかもなって支配者風に言ってみたんだがいつの間にか部下たち全員に広まっていてな。それにこの世界のものは弱いから割と出来てしまいそうでな」

「うわーなんか大変なんだな、優秀な部下がいると楽だ思ってたけど苦労してる奴もいるんだな」

 

 

「ああ胃がないはずなのに毎日痛みを感じる、帝王学の本とか読んで勉強しているんだがどうにも上手くいかん。それにこのギルドは本来異形種で構成されていたからアンチ人間がほとんどでな。」

「それ世界征服ってより人類滅亡にならないか?」

「いやそれは部下がなんか勘違いして勝手に縛りプレーしているから滅亡にはならないはずだ。」

「縛りプレー?」

「ああ、上司の意を酌むって感じだ。一言何か言えばこちらの意図してない方向にどんどん進んでいくんだ」

「それって意を酌んでんのか?」

「まあそこは触れないでくれると助かる。」

「なんかすげー苦労してんだな。話なら聞くぞ?」

 

 

 

「ああそれで調査兼息抜きのために変装して冒険者をやろうと思ったらまた勘違いされてな大変なんだ、本当に」

「はは、、、」(なんか想像以上にため込んでたんだな、かれこれ1時間くらい話してるけど止まる気配がないな)

「だいたい最高峰の知恵者という設定の子供たちに小卒の俺が話についていけるわけないじゃないか」

「え、アインズ、お前って小卒なのか?何かあったのか」

 

 

「ああ向こうでは割と普通だ、貧富の差がはっきりと出ていた世界だからな」

「100年も経つと制度自体違ってくるのか、てかかなりハードな世界になってるな」

「リムル、そちらの世界はどうなんだ?」

「俺の?そうだなお前の話聞いた後だとかなり俺からしてみるとイージーな世界だな。国づくりや敵対勢力とかでは苦労はあるけど優秀な仲間にまかせっぱなしでも何とかなるからな」

 

 

「それは本当に羨ましい、」

(心の底から出たみたいな感じの声だな、、、)

「それでリムル、お前はこれからどうするんだ。元の世界に戻る手段でも探すのか?何ならずっといてもいいんだぞ」

(ほんとに素を出せる相手がいないくて苦労しているんだな、「ラファエルさんあとどれくらいであっちに転移できるようになる?」)

(「解、2日です。」)

(お、少し早くなった、さっきっから全く話さないから何してるのかと思ったけど転移の座標解析に演算機能全て使ってるのか)

「ありがたい話だけど俺は後2日くらいしたらテンペストに戻るよ」

「??可能なのか、」

 

 

「ああできる、さっきの転移地点からテンペストまでを逆算すれば何とかな」

「それで2日か、にしても早いな」

「まあな、転移さえできるようになればまた来れるようになるからまた来るよ」

「そうか、そうか。お前は一国の王だったよな。ならば同盟を結ばないか」

「俺としては構わないがどんな内容なんだ?」

「そうだな、相互の協力関係をまずは築きたい。今のところはそれくらいだな、あとは私たちは人を殺すことが多い。

リムルの話を聞く限りそちらの国にはあまり受け入れられなさそうだ。だからお互いの世界には求めがない限り不干渉でいきたい。」

「それならあまり同盟を結ぶ必要はないんじゃないか?」

 

 

「、、、私はいざというときの信頼できそうな国が欲しい。この世界ではアンデッドは生者を憎み理性のかけらもないと扱われ碌に話し合いすらできない。それゆえの武力行使も多々ある。そんな中で信頼できる相手はなかなかできない。」

「俺ならアインズが元は人間であるって知ってる、それに同じ世界の出身だからこの世界のものたちよりは信頼できるってわけか」

「ああその通りだ、それにこちらに来れるということはそちらにもいけるということだろう?」

(「どうなんだ?行けそうか?」)

(「解、可能です。ただ必要魔力量がこちらの世界に行く方が膨大です。)

「多分大丈夫だと思うぞ。来たいのか?」

 

 

「私がそちらの世界を見てみたいというのもあるが、彼らに魔物と人が共存出来ているところを見せたい。

彼らは優秀だが優秀すぎる反面人間を見下す傾向がひどく多い。

そうして見下してばかりいたらいつか足を掬われたり何か大きなミスをしてしまいそうな気がする。

それに私が元人間だったからというのもある。こちらから提示できる条件はそちらの国の状況を知れないと何とも言えないから詳しい条件はまた今度話し合おう」

「なるほどな、それでそっちの国の名前は何というんだ?」

「まだ国名はないな、仲間に説明するときはナザリックといって説明してくれ、遠からず国が建国されるはずだ」

「わかった、それじゃあこれからよろしく頼む」と言いリムルはアインズと握手した。

 

 

 

リムルがいなくなってから6日。テンペストでは緊急会議が行われていた。

「それで何かわかったものはいるか?」とベニマルの言葉で会議は始まった。

「各地にいる隠密からは何も情報は上がっていない」

「こちらも未だ気配はおろか魔力の反応すら掴めていません」

と捜索に関して周りよりも一歩も二歩も抜きん出ている、ソウエイ、ディアブロが完全に手をこまねいている。

 

 

「このジュラの森の中にリムル様の反応はありません」とさらにこの森の中なら随一の情報把握能力を持つトレイニーもダメな様子。

そんな中いまこの会議は二つの意見でわれている。このまま周囲の様子を窺いつつ国の運営を第一に考えるもの、今すぐにでも旅立ち遠方までリムルを探しに行こうとしてるもの。両者のリーダーがベニマルとシュナなのでどちらにもつきにくい3つに分かれている。

 

 

「お兄様、今すぐ探しに行くべきです。」

「探しに行くってどこに行くんだよ、あてでもあるのか?」

「まず人間の国にリムル様と同じ世界から来たという子供たちを連れてきます。」

「なんでだ?」

「リムル様の気配がこの世界にないとしたら向かったのは元いた世界だと思われるからです。」

「それはわかるんだが何でそれが子供たちにつながるんだ?」

 

 

「はい、子供たちを連れてきたら今度は時空を飛べるようなユニークスキルを持つものを探します。

そこからその子たちの記憶を元に転移してリムル様をお迎えに行きます。

(俺の妹ってもう少し頭良かったよな?普段なら難しいとわかるような意見だよな)

「シュナそれは少し難しいと思うぞ」

「いいえお兄様、難しくてもやるんです。」

(あ、ヤバい、まじだ、マジの目してる)

などと議論は膠着状態のまま2時間が過ぎようとした頃ディアブロが満面の笑みで部屋から出て行きそうだったので、

「おいディアブロどこ行くんだ?」

「当たり前のことを聞かないでいただきたい、我が主を迎えに行くんですよ」

「戻ってきたのか??」というベニマルの質問に対してディアブロは笑顔のままだった。

 

 

 

 

あれからなんだかんだで3日泊まってしまった。居心地がよく待っている仕事のことを考えると億劫な気持ちになり帰るが遅くなりもう1日滞在してしまった。

「3日間ありがとな、それじゃあそろそろ行くよ」

「ああこちらも有意義な時間を過ごせた、また今度ゆっくり話をしよう。」

「もちろんだ、向こうで仲間たちに同盟の件伝えたらまた来るよ、そんなに時間はかからないと思う」

「わかった、それではその時を楽しみにしている」

「おうそれじゃあまたな」アインズとその後ろについて一言も喋らないアルベドさんに見送られて俺はテンペストへ転移した。

 

 

 

「アインズ様あの者と今後どうするおつもりなのでしょうか?」

「友好的な同盟を結びたいと思っている。理由はいくつかあるがまあ皆が集まった時にでも詳しく話そうか」

「同盟ですか、、、かしこまりました。」と頭を下げた。その間にもアルベドは様々なことを思案していた。

「では9階に戻り次第、先日のセバスの件の報告を頼む」

 

 

「かしこまりました。」

「ふぅ、戻ってこれたかな。」転移したのは先日から全く減っていない書類の束のあるリムルの執務室だった。3日も仕事をさぼってしまいこれからのことを考えてやや憂鬱な気分になっていると扉をノックする音が聞こえてきた。

「はーい、どうぞ」

「失礼します、リムル様。あぁお久しぶりでございます。ご帰還大変嬉しく存じます。」

「あー俺がいないのバレてたか」

 

 

「はい、それはもちろんです。リムル様の気配がこの世界から無くなって気がつかない配下などいるはずもありません。」

「あ、ああ」(相変わらず変なやつだなぁ)

「それでこの3日間みんなどんな感じだった?何か変わったことはあったか?いつも通りだったか?」

「この3日?はい、リムル様の捜索会議以外はいつも通りだったと思われます。」

「はぁ!?そんな大ごとになってたのか?」と驚きつつため息をついていると再び部屋をノックする音が聞こえた。

「はーい」

 

 

「リムル様!ようやく帰ってこられましたか!探しましたよ!ほんと」

「あーなんか結構大ごとになってるっぽいな、なんかすまん。」

「まあ俺はいいですけど過激派の説得お願いしますね、まじ大変でしたよ」

「過激派?」

「ええ、リムル様が元いた世界に行ってしまったから自分たちもって転移できる転生者探し始めようとしてたんですよ。とにかく止めてきてください。」

「何だそりゃ、何となく心当たりはつくがその計画を立てたのは誰だ?」

「えーっと、おもにシオンとシュナです」

 

 

「あーわか、、、グッハッっっ」突然何かの衝撃に吹き飛ばされたリムル は何が何だかわからずフリーズしてしまう。

「よがぁぁっだーリムル様ー心配しましたぁ”ぁ”ーー」ぐすっぐすっと泣きじゃくるシュナ。

「ああごめんなシュナ」と謝りつつシュナの頭を優しく撫でる。

「ところでベニマル、シオンは?」

「ああ、あいつは、、、」

 

 

「なんかその溜める感じすごいデジャブ感じて嫌だから早めに教えてくれないか?」

「リムル様を探してぶっ通しで5日間徹夜してたんで今ぶっ倒れて寝てます」

「そうか、寝てるのか、、、5日?、、俺が転移してからまだ3日だよな?」

「何言ってるんですか?もう6日目ですよ?」

 

 

(どういうことだ?俺が転移してからまだ3日しか経ってないのにもう6日目?時間の進み方も違うのか?ややこしすぎるだろ異世界。まあたった2日の誤差でよかったのか?)

「と、とにかくシュナは一旦離してくれないか?」痛覚無効のはずなのに何故か苦しいリムル は耐えきれず声をかけるがシュナはガッチリホールドしたまま寝てしまっていた。ベニマルに視線を向けると「仕方ありません。シュナもシオンと同じで徹夜続きでしたから」

「あーわかった、とりあえずひと段落したら話すからひとまずこの場は解散でいいか?」

「はい、ではいつ頃にまた集まればいいですか?」

 

 

「あー夜に会議室で。いつもいる奴らにも声かけといてくれ、俺はとりあえずシュナを運んでくる」

「わかりました、ではまたあとで」

「失礼します、リムル様」とベニマルとディアブロは軽く頭を下げて部屋を出た。

 

二人が部屋を出てからシュナをみると目の周りには何度も涙を拭った後があり、リムルは自分をこんなにも思ってくれていることに嬉しさを感じると共にあんな軽い書き置き一つでしばらく留守にしてしまったことに対してひどい罪悪感を覚えた。

とりあえずベッドまで運ぼうと思ったリムルはシュナを抱えて執務室を出た。

「あーーおはよう、シュナ?」

あれから3時間、とりあえず自分のベッドにシュナを運んできたものの手を全く離してくれそうな気配がないので一緒に横になることにした。

そして今目を覚ましたシュナはまた目に涙を浮かべ、無言でリムルに抱きついた。

「、、、、、」

「、、、、、」

 

 

「おはようございます、お帰りなさいませリムル様。本当に心配しでした。

リムル様が元いた世界に帰ってしまってもう私たちはいらないのかなって、、、ッヒク、、ッヒク」

「ごめんなシュナ、そんなふうに考えていたのか?ただちょっと息抜きに遊びに行こうとしたら変なところに行っちゃっただけなんだ。

シュナたちがいらないなんて一度も考えたことないよ、本当にごめんな。」

と柄にもなく真面目なトーンでシュナに本音を伝え抱きしめる。シュナは一瞬びくっとした様子ではあったがリムルを抱きしめ返す。

「はい、、、、もう少しこのままでもいいですか」

「うん。ただもう少ししたらみんなにも伝えなきゃならないから一緒に会議室まで来てくれるか?」

「はい」

と2人はしばらく横になり無言で抱き合った。

 




読んでくれたことに感謝します。

あんころ(餅)さん誤字報告ありがとうございます。


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2.別の邂逅
2-1 共同作業もどき


一応言わせてください。メリークリスマスと。
いやメリークリスマスイブですかね。
ま、いっか。

早くも2章です。
作中メインキャラは1章で一回も出てきていないイビルアイです。
なんてこった。
ま、いっか。


「あーみんな今回は悪かった。転移ミス?で別世界に転移してしまってた」

「リムル様お体の調子は大丈夫なのですか?」

「ああ問題ない。それと突然なんだけど今回俺の行った、、、たまたま行ってしまった異世界のある国と同盟を結ぶことになった。

勝手に決めてすまないがよろしく頼む。」

 

 

「同盟ですか、、、?それはどう言った内容なのですか?」

「俺も相手も互いの国に関して詳しいことがわからないからな、まだ決めていない。ただ相互協力が一番無難なところかと俺は思ってる。」

「どうしてそんな知らない国と同盟を結ぼうと思ったんですか?」

「国というより向こうのトップが俺と関係があってな。

それに今回俺が魔王になる際に向こうから仕掛けてきたとはいえファルムス軍を全滅させた。

ドワルゴンのように俺たちに友好的な国もあるけれど今回の一件からもしかしたら俺らを討伐しにくるかもしれない。

そうでなくても援助を求められる国がドワルゴンやユーラザニア以外にもあった方が安全だからな。だから協力体制を取っておきたいと思った。」

 

 

「理由はわかりましたが何故ブルムンド王国やドワルゴンではないんですか?その国は信用できるんですか?」

「ああ、まず彼らの国は人間はいない。俺たちみたいな魔物の国だ。それに俺らはあくまでも人間とは協力していきたいと考えている。

だから魔物の同盟者はこの世界のものでない方がいいと考えた。あとは単純に強いからだな。俺と同じくらいの実力者が数十人以上いたぞ」

このリムルの言葉に会議室は騒然となる。

「リムル様、強いのは心強いですが危険ではないですか?」

 

 

「まあ確かに危険かもしれないが、今のところ向こうからこっちに来るには俺がいないといけないし。

性格もいいやつそうだったしこっちから裏切ったりすることがない限り問題ないと思うぞ。それでみんなはどう思う?」

「私はリムル様の意のままに」と言って恭しく頭を下げるディアブロ。

「まあ俺も構いませんよ」とベニマルが言ったことでみんなもうなずいてくれた。

 

 

 

 

リムルとの出会いからかれこれ2ヶ月くらいが経ち王都襲来なども何とか乗り越えたアインズは冒険者組合から呼び出しを受けていた。

ギルドに到着して受付に行くと話が通っておりすぐ応接室へと通された。

「おお!モモン君よくきてくれた、ささ座ってくれ。」

「アインザックさん、指名の依頼があると受付で聞いたのですが」

「ああそのことなんだが王都のラナー王女から君への依頼が来ている。内容は直接じゃないと言えないとのことだそうだ。」

「ラナー王女ですか?」

 

 

「ああ何でも初めは王女と親しい蒼の薔薇に依頼したそうなんだが彼女たちだけではやや手に余るそうで彼女ら、、特にイビルアイ殿がモモン君を強く推薦していたと聞いた。」

「アダマンタイト級冒険者の彼女らの手に余る仕事、、、」

「嫌ならもちろん断ってくれて構わない」

 

 

(さてどうしたものか。厄介ごとなのは確実な気がするが報酬はいいし何よりあのアルベドとデミウルゴスが認める人間か、、、興味半分怖さ半分って感じだな。えせ英雄ってのがバレそうだから正直会いたくない。ただ今のうちに会っておけばアインズとして合うときの耐性がつけられるか、、、ならば一応会って話をしてみるか?俺を推薦していたイビルアイも謎だが、、、)

「依頼を受けるかどうかはとりあえず話を聞いてからにします。王都に向かえばいいんですか?」

「そうか。わかった。ああそうだ、この手紙を持って城に行けばいいそうだ。確かちょうど1週間後の午後だ。それと蒼の薔薇から事前に話したいことがあるから王都に来てくれるのなら王城へ行く前に××に来てほしいそうだ。」

 

1週間後、結局何の用件かわからないままアインズはナーベと共に王都に来ていた。

「とりあえず青の薔薇がいるという××に向かう」

「かしこまりました。モモンさーん。」とやはりどこか間抜けな返事をするナーベと共に××に向かった。

店内に入るとバーみたいになっておりカウンターに立っている男しかいない。

「冒険者をしているモモンというものだ。蒼の薔薇に呼ばれてきた、彼女らはどこに?」

と男に尋ねると、こちらを一瞥してから

 

 

「三階の310号室だ。」と言ってきた。

人気のない建物だと感じながらも階段を上がり部屋の前まで行き扉をノックする。

すると中から低い声がして「誰だ?」と聞いてきたので「モモンだ。」と簡潔に答えると勢いよく扉が開き先ほどとは全く違う声のイビルアイが部屋から出てきた。「モモン様ぁ!!」

「ああイビルアイか、久しぶりだな。」

「はい、モモン様!」

(んーなんかよくわからないんだよこいつ、何で急に様付け何だ?こちらが油断するのでも狙っているのか?)とただデレているだけのイビルアイに対して的外れな予想をするアインズ。

 

 

「それで他の蒼の薔薇の面々は?」と尋ねるとイビルアイは少し口ごもり

「すみません、今は私しかいません。今回のことで少し話をしておきたくて、仲間に内緒で、、、」とどこか煮え切らない様子のイビルアイを不審に思いつつだからこのような人目のつきにくいところを選んだのかと納得するアインズ。

部屋に入りお互い座ったが謎の沈黙が流れる。

居心地の悪くなったアインズは話を切り出す。

 

 

「それで今回の依頼とはどう言ったものなんだ?イビルアイ、君が私を指名することを王女に強く言っていたと聞いたが、、、?」

「え、あ、は、はい!」とどこか落ち着きがない様子のイビルアイ。アインズは気を使い

「同じ冒険者同士気を使うことはない。話してみてくれ。それと敬語はなくても大丈夫だぞ」

「あ、ありがとうございます、、、。その今回の依頼について少し引っかかることがあって、仲間四人には言いにくいことで内容も内容だけに悩んでいたんだ。このようなことに呼び出しをして本当にすまない。」と頭を下げるイビルアイ。

 

 

 

「いや、組合を通した正式な依頼だ。

この依頼を受けるとはまだ決めたわけでもないから何も気にする必要はない。

その仲間に言えない気にかかることとは一体?まずは話を聞かせてくれないか?」

「ああ、今回の依頼は簡潔に言ってしまえばある人物の殺害なんだ。」

「それは冒険者の最高峰であるアダマンタイト級冒険者チームの君らでも難しいのか?」

「それはまだはっきりとは断言はできない。今回の依頼は初め蒼の薔薇にというよりラキュースがラナーから相談されていたことなんだ。

内容は第五位階信仰系魔法〈死者復活〉を使ってほしいという内容だった。

そしてその相手はラナーの護衛役のクライムという男だ。」

 

 

 

「つまり今回の目的はそのクライムという男を殺した犯人の殺害ということか?

ただどうして初めと依頼内容が変わったんだ?」

「そこが今回の依頼のおかしなところで私が引っかかったとこなんだ。

復活させるために王城に向かいクライムの死体を見たがただ彼はただ殺されたわけではなかったんだ。嬲り殺されたんだ。クライムは私たちと比べると弱いが国の軍隊の奴らよりは強い、そんなやつを一方的に殺せる実力があるやつを殺してきてほしいとラナーはラキュースに言ったんだ。」

「それは蒼の薔薇の実力を信頼してということではないのか?」

 

 

 

「ラナーとラキュースに何も私的な関わりがない場合だったらそう言えたかもしれない。

ただラキュースは王国の貴族でラナーの数少ない友人の一人だ。

そんな友人に対して自分の護衛が殺されたからと言って復讐なんて頼むのだろうか、、、?それも蒼の薔薇ではなくラキュース個人に。

相手の実力も不確かな段階で。何だかとても嫌な予感がしたんだ、、、ただこんなことを言っても絶対ラキュースはラナーを庇うだろうし私の心配なんて杞憂だというだろうと思ってな。だから誰にも言えず困っていたんだ、、すまないモモン様。」

(確かに違和感がないかと言えば違和感は私も感じる。

それにまだ何か隠している気もする。しかし嬲り殺された、、、か、、、、)

とアインズはこの世界に来て間もない頃の出来事を思い出し少し不愉快な気分になった。

 

 

「なるほど、話はわかった、私からも質問いいか?」

「ああ構わない、私が分かる範囲ならば。」

「ラナーという人の性格や為人はどんな感じなんだ?」

(え、ラナーの???まさかモモン様、ラナーに興味を!?!?!?って違うそんなはずない、、よね)

「ら、ラナーの性格ですか、、、、世間では優しくて聡明で慈悲深いと言われている。実際によく会う私も彼女はとても賢いやつだと思った。ただ慈悲深いのかは、、、何とも言えない」

 

 

「慈悲深く聡明だと言われている王女が復讐という時点で少し変だな。

それに友人より護衛を優先している気もするな、確かに変だな、ただ王女をこの目で見てみないことには何とも判断ができない。

とりあえず王城に行き話を聞くことにする。」

「ああそうだな、、無理を言ってすまない。」

「さっきも言ったが気にしないでくれ」

 

 

もうしばらくイビルアイと話したのち別々に部屋を出て王城へ向かうことにした。

一方イビルアイとモモンが話をしている頃、蒼の薔薇の他の面々は午後まで特に用もなく宿泊している宿にいた。

「しっかし今回の件モモンに協力を頼む必要あったのか?」

「きっとイビルアイが一緒に仕事したいだけ」

「きっとそう」

 

 

 

「本気か?人殺す依頼を惚れているやつと一緒にやりたいなんて考えるかぁ?」

「イビルアイはきっとそういう趣味。」

「一体どんな趣味だよ、しっかしモモンが一緒にいてあいつ仕事できるのか?あの件以来、寝ないはずなのにベッドに入ったかと思えばずっとモモンの名前呼んで体くねらせてにやけてるぞ?本当に大丈夫か?振られたりでもしたら死んじゃうんじゃねぇか?」

「可能性大」

「というか、ほぼ即死」

「だめじゃねぇか」とガガーランが笑っているとラキュースが

「きっとイビルアイには何か考えがあるのよ、今回の件全く犯人の見当がつかないし、もしかしたらすごい強いかもしれないでしょ、単独犯か複数犯かもわからないし」

 

 

 

「まぁそうっちゃそうなんだけどよ、わざわざ来てくれると思うか?」

「んーそれは、、、」と黙ってしまうラキュース。

「だよなぁ、そういえばイビルアイはどこ行ったんだ?まだベッドの中で悶えているのか?」

「さっき出掛けるって言ってた。」

「直接王城いくって言ってた。」

「へーそれでどこ言ったんだ?」

「きっと門でモモンが来てくれるのを待ってる」

「絶対そう」

「それなら午後のあいつのテンションで丸わかりだな」

などとイビルアイとモモンが割と真面目な話をしている時こちらではイビルアイを小馬鹿にしていたのだった。

 

 

「ラナー、クライム君の様子はどう?」

「今はだいぶ落ち着いたみたいで会話はできるし食事もしっかり取れています。」

「そう、それならよかった。あの殺され方じゃ心が変になってもおかしくない殺されかただったから、、、」

「ええ、、、ただ今のところ大丈夫そう、本当にありがとう、ラキュース」

「気にしないで、私たちの仲じゃない」

「、、、(笑顔)」

 

 

などとクライムの様子について話をしていると給仕をしているメイドが

「漆黒の御二方がいらっしゃいました」とラナーに報告しにきた

「お通しして」

「かしこまりました」

といいメイドが部屋の外に出るとすぐラキュースやガガーランが

「よかったわね、イビルアイ」

「おい、嬉しいからってにやけんなよ」と言ってくる。

「に、に、にやけてなどおらん!!!!」

 

 

 

(なぜだ、なぜばれてる、私は仮面をしているからどんな表情をしているかなんてわかるはずがないのに、、)

などと話していると再び部屋がノックされメイドに連れられてきたモモンとナーベが入ってくる。

「失礼します、はじめましてラナー王女、お久しぶりです蒼の薔薇の皆さん」

「お久しぶりですモモンさん、ナーベさん」

「おう、久しぶりだな」

「ちわ」「やほ」

 

 

「本日は来てくださりありがとうございます、モモンさん、ナーベさん。どうぞこちらにおかけください」

(全く王女様っぽくないな?)

「はい、、それでは失礼します。」

「こちらに来てすぐなのですが、依頼の件についてお話よろしいですか?」

「ええ、構いませんが一介の冒険者である私たちが王女とお会いしてよろしいのですか。宮廷内で要らぬ噂が広がりませんか」

「蒼の薔薇のみなさんもよくいらっしゃるので問題ありません。」

本来何も問題がないわけがない。蒼の薔薇と違って漆黒の二人はまずラナー個人と何の繋がりもない。

さらに拠点は王都ではなくエ・ランテルだ。そちらからわざわざやって来ている。

宮廷内の者ならば聡い者でなくとも何かあるのではないかと探りを入れてくるだろう。

アインズは今回の依頼とは関係なくラナーは王国貴族らに自分たちと関係があることを仄かしたいのだろうと考える。

しかしその真の意図が全く検討もつかないため依頼の話を聞くことにする。

 

 

 

「そうですか。それでこのように直接会っての依頼なんて、よほどのことなのでしょうか?」

「はい、モモンさんにはとある人物の殺害をお願いしたくて。」

「とある人物の殺害?」

「はい。ただ相手は分かりません。」

「は?」

 

 

「わからないのです。」

「あ、モモンさん私から説明よろしいですか?」

「ラキュースさんお願いします。」

「2週間ほど前にラナーの護衛をしているクライム君が何者かに殺されたんです。」

「何者かに?」

「はい、通り魔の類ではないかと」

「どうして通り魔だと?物取りや私怨の犯行などは?」

「どちらも可能性が低いと思います。」

「その理由を聞かせてもらっても?」

 

 

 

「はい。まず物取りでないことは確かです。

彼の死体からはほとんど取られたものが見当たりませんでした。

それと私怨の可能性もおそらく低いかと、彼は襲われている冒険者を助けに行って殺されたみたいなんです。そこにもう一人の死体がありましたので」

「2つばかり質問をさせてもらっても?」

「はい」

「先ほど死体からはほとんど何も取られていないと言っていましたが何か取られたものでも?それとどうしてもう1つ死体があったからと言って彼が狙いではなく巻き込まれただけだと?」

 

 

 

「彼が取られたものはプレートです。ラナーがミスリル製の防具を送った時に一緒に渡したお守りらしいです。

それと彼が狙いでないということがわかったのは私が彼に<死者復活>をかけて蘇らせたからです。」

「なるほど、、、、、」(<死者復活>は聞いていた通りだ。ただプレート、、?まさか)アインズはプレートと聞いて再び嫌なことを思い出す。

「そのクライムという人と話すことは可能ですか?」

「はい、復活後間もないので起き上がれませんが話すことは可能です。」

「では少し会話をさせてもらっても?」

「ラナーいいかしら?」

「はい、構いません」と言い立ち上がったラナーはモモンを隣の部屋に案内した。

「少々彼と二人きりで会話させてもらっても?」

「はい?構いませんが?」と不思議そうな顔をつくったラナーだが何も言わずに部屋を後にした。

 

 

 

戻ってきたラナーを不思議に思ったラキュースは「どうしたの?」と尋ねた。

するとラナーは「モモンさんクライムに何か聞きたいことがあるらしくて二人にしてくれないかって」

「そうなの?何でかしら?何か聞いている、ナーベさん?」と声をかけると閉じていた目を開け

「、、、、わかりません」と一言だけ言って再び目を閉じてしまった。

こちらはこちらでガガーランがイビルアイに「おい、どうしたずっと黙って?」

「イビルアイ発情」「絶対そう」などとティア、ティナがおちょくるも全く反応を見せず、

3人が心配になりイビルアイをみていると「かっこよかった、、、」とポツリと一言だけ言って再び黙ってしまった。

3人は互いに目を見合わせて(ああこいつもうダメかもしれない)と思ったのだった。

 




第五位回信仰系魔法の<死者復活>は死体の損壊が酷いと発動しないとかなんとかですがそこは気にしないで欲しいです。

あんころ(餅)さん、トマト二世さん誤字報告ありがとうございます。


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2-2 依頼

すごい眠たいです。
このページを開いてくれてありがとうございます。


部屋に入ると一人の少年がこちらをみてきた。

「はじめましてかな?冒険者をしているモモンという。」

「はじめまして、クライムと申します。先日のヤルダバオトの件はご協力ありがとうございました。

それとこのような体勢でお話ししてしまい申し訳ありません。」

 

 

「いや復活直後と聞くし仕方あるまい、気にしなくていい。それで今回は君を殺したものについてはなしを聞きにきた。いくつか質問いいか?」

「はい、私にわかる範囲ならば何でも」

「では早速」と言いモモンは質問を始める。

「敵の武器はスティレットだったか?」と質問するとクライムは驚いた顔をして肯定する。

「敵は女だったか?」という質問に対しても肯定する。

(やはりあいつか、、どこの誰が生き返らせたかは知らないが、面倒なことになった。あいつは私の正体を知っている。是が非でも殺さなくては、、、)

と少し焦りつつ今後の方針を思案しているとクライムが驚いた様子で話しかけてきた。

「モモン様はどうして犯人についてそんなに詳しいのでしょうか。もしかして関わりがある人なのですか。」

「私が取り逃した者である可能性がある、私からの質問は今ので全てだ。それでは少し目を瞑ってもらえるか?」

 

 

「?はい、構いませんが一体何を!?」

「悪いが今の質問を王女に知られるわけにはいかないんで記憶をいじらせてもらう」

(ナザリック随一の知恵者たちが認める人間だ。私が犯人について知っていると知られるのは良くない。

もし何らかの方法でこちらよりも先に犯人とコンタクトを取られたりしたら非常にまずい。)

その後記憶操作したアインズは部屋を出てラナーと蒼の薔薇と合流した。

 

 

 

「それでモモンさん今回の依頼引き受けてくださいますか?」

「内容は彼を殺した者の殺害でいいんですか?生捕りにするとかではなく?」

「はい、クライムを嬲り殺したものなど見たくありません、それに生捕りの方が難しいと聞きますし。

(クライムを嬲るなんて私以外していいはずがないのに、、)」

「わかりました、蒼の薔薇の皆さんに出された依頼の協力という形でよろしいですか?」

「はい、よろしくお願いします。」

「モモンさん、ナーベさんよろしくお願いします。」

「こちらこそお願いします。」

「お願いします。」

依頼を引き受けたモモンは青の薔薇と少し話し合い翌日ギルドに集まることにして解散した。

 

 

 

「ナーベ、話がある。そこの椅子に座れ。」

「いえ、モモン様の前で座るなんて恐れ多いです。私はこのままで構いません」

「え、、、あ、、ゴホン、、わかった。では今回の依頼の件だが私たちが冒険者として活動しはじめた時に潰した共同墓地の件覚えているか?」

「すみません、、、、えっと、、、」

「スケリトルドラゴンをお前が相手にした時だ。」

「あ、、はい覚えています。あの紅子目つきがどうかしたのですか」

「そちらではなく私と戦った方だ。今回の犯人はおそらくあの女だ」

「???」

 

 

「あの女は確かに私が1度殺した。しかしその後証拠提出の際に引き渡したあの女の死体は一晩でどこかに消えた。」

「誰かしらに蘇生された可能性が、、、?」

「そういうことだ。あの者を蘇生させたということは仲間もしくは後ろ盾となる組織や国が存在するということだ。

あの程度のレベルだがこちらの世界ではかなりの強者だ。仲間ではなく後ろ盾があるなら間違いなく法国だろうな」

「なるほど」

「つまりあの頃から我々はマークされていたということになる。

そしてあの女は私がマジックキャスターであるということを知っている。

法国に逃げ込まれたら厄介だ、確実にやつを殺す。

できれば情報収集のため生かしてナザリックに送りたいが最優先はあいつの存在を消すことだ。いいな?」

「かしこまりました。」

 

 

「それでは次だ、スクロールを使用して以前のようにあいつを探せ」

「かしこまりました」と言ってナーベはスクロールを使いロケートオブジェクトを使用する。

「場所がわかりました。このあたりです。」

「ここか、、ここは確か、、、ってまた墓にいるのか?ということはあのハゲも蘇ったと考えるべきか?面倒な、、」

「どう致しますか?私が行って殺してきましょうか。」

「いやだめだ。それはまずい、蒼の薔薇に説明するのが面倒だ。何とか誘導して発見させよう」

「はい。」

「それでは次だ」

「次ですか?」

「ああ、リモートオブミラービューイングとスクロールを用いて今日の昼に行った王城、あのラナーとかいうやつを映し出せ」

「???かしこまりました。」不思議そうにしているものの命令に従ってスクロールを使い映し出す。

「映し出しました。これは、、、???」

「ふむ、なるほど、そういうことか」疑問符を浮かべるナーベに対しアインズは納得した表情を見せるのだった。

 

 

一方蒼の薔薇は

「おい、イビルアイ明日から大丈夫か?」と昼間のようにいじるような心配ではなく本気で心配するガガーランに対し、

ティナ、ティアは「無理」「絶対仕事にならない」と相変わらずおちょくっている。

それに対しイビルアイは「当然平気に決まってる。たかが通り魔だぞ」と普通に答えるイビルアイに対しガガーランは

「いや、俺が言ってんのはな、モモンがいて仕事に集中できんのかって聞いてるんだよ」と問いかけると、今度は慌てた様子で

 

 

「なななななななななななななな何を言っている。とととと当然へへへへいへいへい、平気にきききき、決まってるだろ」

と言うイビルアイを見て

(「きっと明日もずっと仮面のうちではにやけてるんだろうな」)と思う4人であった。

 

 

翌朝今後の活動方針を決めるため漆黒と蒼の薔薇の両チームはギルドに来て話をしていた。

「ここで話していい内容なんですか?」

「あー確かに少しまずいかもな、場所変えるか?」

「どこにする?」

「私の宿泊しているところはどうですか?」

とアインズが提案するとイビルアイが少し体をビクッさせたがみんなスルーしてアインズが利用している宿に場所を移すことにした。

「へーここがモモンの泊まってるやどか、結構渋い趣味してんな。」

「人が多いと何かと面倒なので」

「まぁそれもそうか、てか俺ら王都にいるのにこんなところに宿があるなんて全く知らなかったな。人は少ないが結構いい値段しそうなところだな」

「ええそうね、ずっと王都にいる分馴染みのあるところにしかいかなくなっているものね」

「イビルアイそわそわしてる」

「う、うるさい」

「はいはい、あなた達これから仕事の話なんだからしっかりして。」

「了解、鬼ボス」「わかった、鬼リーダー」

宿の中に入るとほとんど人がおらず少し大きめの丸テーブルに座り話を始めた。

 

 

「とりあえずこれからどうしますか?」

「ああ、その前にモモン。にこれから仕事を一緒にするんだしイビルアイに話す時みたいにタメ口で構わないぞ」

「、、、そうか分かった。これからどうする?こちらは戦士と魔法詠唱者の二人組なんで人探しはあまり得意ではない。」

「そうね、私たちはそういったことは大体ティア、ティナに任せてしまってるわね。」

「ひとまず通り魔の被害にあったのはあの二人だけなのか?」

「いえ、あと何人かいるそうよ」

「そうかそいつらは夜で歩いていた冒険者か?」

「ええそうらしいわ。」

「なら昼の間は情報収集をして夜に見回りをしたり地道にやっていくしかないか」

「そうね、、、とりあえずそうしましょう。情報交換は毎朝ここでいいかしら?」

「ああ構わない」

 

 

「それじゃあ、、、そっちは戦士と魔法詠唱者だけで大丈夫?うちからイビルアイかしましょうか?」

「???イビルアイも魔法詠唱者だろ?

それに余計なお世話かもしれないがいくらパーティリーダーだからと言って仲間の意思を確認せずそんな風に言うのはどうかと思うぞ?」

(イビルアイをこちらに送って監視でもするつもりか?)

「そ、そうね。ごめんなさいね、イビルアイ」

「い、い、や、だ、大丈夫だ。気にしてない」

「それじゃあまた明日の朝ここで」といいモモンとナーベは外に行ってしまった。

「何かごめんなさいね。イビルアイ。」

 

「そんな風に謝らないでくれ、何だか惨めな気分になる、、、」

「でもよ、モモンって本当にしっかりしてるよな。

あんなこと言う冒険者見たことねぇよ。」

「そ、そうだ。モモン様は素晴らしいんだ。

そう、決して別にいなくてもなんて思われてない、うんそうだ、きっと」

と自己暗示をかけるイビルアイに対し申し訳なく思ったのかラキュース、ガガーランは何も言えず、ティア、ティナも流石に何も言わなかった。

 

 

あれから1週間経った。しかし。

「私たちは昨日と同じで何の情報も得られてないわ。」

「いやーしょっぱなからつまずくとは思わなかったわ。」

「確かに」「あんな目立ちそうな殺しかたしてるのに」

と犯人の目星はおろか目撃情報すら得られていない状況に蒼の薔薇は今後の方針を決めかねていた。

「あーそのことなんだが、、」

「何かわかったの?」

「ああ、犯人を知ってるかもしれない」

「は?!何だって急に?」

 

 

「昨日聞き込みをしていたら遠くからだがその犯人らしき人を見たと言う人から話を聞けてな、私の知っているやつに特徴が一致していてな、、、」

「何だよ、沸きらない反応して、親しいやつなのか?」

「いや、1度しかあったことはない」

「それならどうしてそんなん何だよ」

「いや、そいつは1度私が殺しているんだ」

モモンのこの言葉に蒼の薔薇の面々は一様に驚いた反応を見せる。

「それでモモンさん、その人物とは、、?」

「確か名前はクレマンティーヌ?といった感じだったと思う。」

「クレマンティーヌ?女性ですか?」

「ええ」

「どのくらいつよい?」

 

 

「えーっと確か戦っている際に自分と戦えるのはこの国ではガゼフストロノーフ、ブレインアングラウスに青の薔薇に一人とかって言ってた気がする。」

「!!!戦士長並みですか、それは厄介な、、、」

「でもよ自称だろ?実際戦ってみたモモンはどう感じたんだ。俺らの中でそいつが認識しているのはおそらくイビルアイのことだろうが俺は勝てそうか?」

「それは1vs1で?それともチームで?」

「そりゃもちろん1vs1だ。」

「実力は互角かややあちらが上だな。戦闘スタイルはスティレットを両腰に下げていて、主に武技で身体能力を底上げしてスピード重視で攻撃を仕掛けてくる。攻撃は鎧の継ぎ目を攻撃してじわじわいたぶるのが楽しいと言っていたな。」

「それは、、相性悪いな。それに趣味も最悪だな」

「ええ、そうね、、、、」

 

 

「参考までに教えてくれ、モモンと俺の戦い方はパワー重視で似ているだろ?それならお前も相性が悪いはずだ。どうやって倒した?」

「ああ、私か?参考にならないと思うぞ、と言うより怪我するからやめておいた方がいいと思うが。

私はあえて一撃くらいその瞬間に剣を手放して抱え込んだ。それで締め殺した。」

「あ、ああそりゃ参考にならねぇな」流石のガガーランも苦笑を浮かべていた。

他の面々も若干引いている中イビルアイとナーベだけがどこか羨ましそうな表情を浮かべていた。

「ま、まあそうなるとあれね、敵の正体はつかめたから後は居場所だけね!」

と精一杯空気を入れ替えようとするラキュースにモモンは

「おそらくだが居場所もわかると思う。」

「モモンさんどうして?」

 

 

「以前私たちがあの女に会ったのは墓地だった。その時何かしらの儀式みたいなことをしていたから今回もその可能性が高いのではないかと思ってな。」

「なるほど、、あ、それってエ・ランテルでのアンデットの軍勢のことですか?」

「ああそうだ、前回は時間も方法もなかったからただ向かってしまったが今回は違う。だからティアとティナにここら周辺の墓地を少し調べてきて欲しいんだが頼めるか?」

「おけ」「問題ない」

「助かる。ただもう一つだけ気になることがあるんだ。」

「気になること、、、?」

「ああ、エランテルで起きた騒動の後、首謀者らの死体が消えていたんだ。かなり厳重に警備されていたのにその警備を皆殺しにして。」

「だから今回生き返ってまた同じようなことをしていると?」

「そうだ、ただ今回に関しては生き返ったことよりも死体を奪った奴の方が気になる。

私はクレマンティーヌはどこかの傭兵かぶれか何かかと思っていたのだが今回の件もあり確信した。あいつの裏には大きい組織か国が潜んでいるはずだ。」

「ああなるほど、、、それは厄介ですね。」

「本当に厄介だ。」

 

 

「裏がどこかはわかりますか?」

「王国と戦争になっても問題なく<死者復活>を使える奴がいるところなんて、、、私は法国しか思い浮かばない。」

「法国か、、、あそこならあり得るな、、、」

「それはおかしい?」

「どうしてだ?」

「法国は人間至上主義国、アンデットの実験なんてしなそう」

「確かにそうね、、でもそうなると他に考えられるのは帝国かしら。でもそうするとますます謎だわ。

アンデットに関する実験ならばあの魔法詠唱者フールーダ・パラダインが自ら行えばいいのに、どうしてわざわざこちらで?」

「まぁひとまず後ろ盾とか気にせずそいつをもう一度殺しちまえやいいんじゃねえか?」

「そうだな、ひとまずクレマンティーヌを殺すことを優先するか。あ、それともう一つ伝えておくことがあった。」

「何だ?」

「その墓地での事件のときもう一人厄介なのがいたんだ。」

「厄介?」

 

 

「ああ、スケリトルドラゴンを召喚する爺さんだ。だからティア、ティナが調べてそれっぽい人がいたら二手に分かれよう。」

「ああその方がいいな、俺とモモンでそのスケリトルドラゴンを相手するか?」

「いや悪いが私にクレマンティーヌをやらせてくて、自分のミス、、、ではないが少し気になってしまうんでな」

「ははっ、それはいいけどよ、じゃあどうするんだ?」

「スケリトルドラゴンと相性の悪い魔法詠唱者のイビルアイとナーベに私の援護をしてもらいたい。あのスケリトルドラゴンを使役する爺さんはガガーランとラキュースで引き付けてティアとティナの二人があの爺さんを殺せば問題ないと思う。」

「私たちは問題ないわ。イビルアイはいい?」

「も、も、問題ない!!!!任せてくれ!!!!」

「よろしく頼む、イビルアイ」

「は、はぃぃ、、、」

「では今夜、ティア、ティナは墓地を見てきてくれるか?」

「り」「v」

「ではまた翌朝に」といってモモンとナーベは出て行った。

 

 

 

「なんかよかったわね、イビルアイ」

「ここんとこせっかく一緒の仕事してるのに全く関わりがないって嘆いてたもんな」

「よろしく頼む、イビルアイ、イビルアイ、イビルアイ、、、」

「うわ、オートエコーしてる、」

「大丈夫か、あいつ?」

「キット大丈夫、、、ヨ?」

「なぁ私はもうすぐ死ぬのだろうか?」

「はぁ?何でだよ」

「好きな人から頼られたんだぞ!幸せすぎて、、、、、、」

「うわ、ちょろいん」「うわ、ダメ男製造機」

「ちょっと二人ともそれは言い過ぎ、、、、、でもないのかしら、、、、?」

これだけいじられても全く反応するそぶりを見せないイビルアイ に対してラキュースは「あ、やっぱりダメかも。」と思うのであった。

 



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2-3 解決・・・?

末端冷え性には床暖必須です。


「あーったく、何でこんなことしなきゃならないんだよ。私は一刻も早くこんな国から出たいってのに。」

(せっかく生き返ったんだからもうあの化け物とは出会いたくねーだよ。

つっても私を生き返らせたのは法国の奴らだからこの命令には従わなきゃならないだろうな。

無視して反感を買うのは生き返ったばかりだし良くない、、、、はぁついてないわ。

こんな落ち目のクソオネェなんてほっときゃいいのに何の利用価値があるんだか)

 

法国は8本指がすでにアインズにより支配されていることを何故か把握しておりどうにか奴隷部門のコッコドールをこちら側に引き込み密偵のようなことをさせようとしているのだがそのことを全く知らされてないクレマンティーヌはただひたすら文句を言うのであった。

 

 

 

ティアとティナが墓地の調査に向かうと地下に続く道のようなとこへ入っていく人を見つけたのでついていくことにした。するとそこには、、、

「かじちゃん、まだ終わらないの?」

「ああうるさい奴め、まだだ。後少し負のエネルギーが足りないのだ。これも全てあの忌々しい女のせいだ」

「そんなことどうでもいいのよーこんなジメジメしたところにいたくないわー、早くこの国出ようよー」

「ええい、うるさいわ、黙っておれ、殺すぞ」

「あーもう怖いんだからー。かじちゃんマジな話後どれくらいなの、もうイライラが限界。早くこの国から出て行きたいんだけど、、、、」

「後2日もすれば終わる、そしたらアンデットたちを王都に攻め込ませてその間に国境を越えられるから辛抱せい。」

「後2日かーもっと早くならないの?」

「ああこればかりはどうにもならん、それより下手に冒険者狩りなぞして目をつけられるなよ」

「ええ〜しょうがないじゃーん、適度にストレス発散してないとイライラして手当たり次第に人殺したくなっちゃうんだもーん」

「とにかく後2日静かにしておれ」

「はい、はーい」

 

 

翌朝いつものように始まった会議だったがティアとティナの報告を聞いて空気が変わった。

「それでそいつらは明日、明後日にでもアンデットの軍勢を王都に仕掛けると、、」

「そう、鬼ボス」

「わかったわ、調査お疲れ様、今夜動くことになるかもしれないから後でゆっくり休んで。」

「ん」

「了解」

 

 

「相手はこの国を安全に出るために注意を自分たちから逸らすつもりね。」

「やはり法国が関わっているとみるべきか、、、?」

「モモンさんどうして?」

「このアンデット軍の攻撃を受ければリ・エスティーゼ王国はかなりのダメージを受ける。」

「でもそれなら帝国だっていう可能性は?アンデット召喚とかなら魔法に詳しいあのフールーダパラダインがやはり関わってたりしてるのでは?」

「可能性は否定できない。ただ帝国は毎年の戦争で王国の国力を徐々に減らしている。それなのにこんな急な予定を立てるだろうか、、それにアンデットの群が作れるのなら帝国は戦争でその軍団を使ってくるのではないか?」

 

 

「確かにそれはそうですけど、でもそれならどうして法国になるんですか?」

「法国と帝国は同盟とまではいかないが協力関係にある」

「え!?本当ですか」

「ああ、情報の出所は教えられないが確かな情報だ。

理由としては帝国は人類のために軍などの強化に努めているから人類の守り手である法国といい関係を築いているらしい。

しかし王国は近年8本指などの台頭により国が内部腐敗してきていると思われている。

だから法国は帝国に王国を併合するのが望ましいと考えているそうだ。だから私は今回の計画には法国が関与しているのではないかと思ったんだ。」

 

 

「なるほど、そんなことが。モモンさんの情報網はすごいですね」

「いやたまたまだ。それより襲撃はどうする?」

「こちらは人数も多くないし後手に回るのは避けたいですね。

明日相手の準備が整うのだとしたらやはり今日の夜にでも行動開始した方がいいのではないでしょうか?」

「わかった。では今日の夜に、先ほどティアとティナが伝えてくれた情報をもとに二手に分かれて攻めよう。」

「はい、そうしましょう。それではまた後ほど

「大丈夫か?イビルアイ?」

 

 

「あ、ああ問題ない。」

(どうしてだ?何でこんなに緊張しているんだ?この間話していた時はここまで緊張していなかったのに。

ああ、きっとモモン様から理由は何であれ私を求めてくれたことが嬉しくてたまらないんだ。

と言うか問題ないって!!もう少しくらい可愛い言い方できなかったのか、私!)

(なぜだか先ほどからイビルアイの様子がおかしい。

これからの戦闘に緊張しているのか?いやそういうやつではないと思うが、、わからない、、)

イビルアイの様子がおかしいことには気づいたアインズだったが見当違いな予想をしていた。

「とりあえずこの間のヤルダバオトの時のように私をあいつと1vs1にできるようにして欲しい。

あいつの周りに誰かいる場合は二人に任せる。誰もいなかった場合状況を見て柔軟に動いてくれ。」

「はい」

「ああ了解した」

その後両チームは軽く作戦を立てて夜、瞬時に行動すべく準備を開始したのだった。

 

 

「俺らの標的はあの赤いローブを着たハゲか?」

「そう」

「あいつ」

「そんなに強そうに見えないけど、油断しないようにね」

「おう、とりあえず俺とラキュースがあいつに近づくからうまいことやれそうなタイミングでやってくれ」

「わかった」

「ただ1度失敗してしまうと警戒されるだろうから慎重にね」

 

 

「こんなところで出会うとは奇遇だなクレマンティーヌ」

「は!?!?!?お前はあの時の」

(なんでこいつがいるんだ?どうする?戦っても絶対に勝てない。

かといってこのクソおかまを置いて逃げても法国から何かされるかもしれない、どうする。どうする)

「モモン様、あの女の横にいる男8本指の幹部だ」と小声でイビルアイが教えてくれた。

「8本指?どうしてこんなところに、あいつのことは任せてもいいか?できるだけ捉えたい」

「ああ任せてくれ、」

 

 

「どうした?そんな目で見られても困るのだが」

「お前どうしてここにいるんだ?」

「ちょ、ちょっと何よこいつら!あんた早くやって頂戴よ、そのための護衛なんで、、(ぐはっ)」

「悪いがお前は寝ていろ」イビルアイの第一位階魔法<魔法の矢>をくらい即落ちするコッコドール。

「イビルアイ、ナーベここらにいる奴らを頼む」

「さてクレマンティーヌ私たちはこちらで話し合わないか?」

「ああ、(断る選択肢なんてねーよ)」

「こんなところで何してんだ?爺さん?」

「貴様らこそ何をしている」

「そりゃ当然警備だよ、警備」

「それで私に何かようか」

「ああ、大アリだね。こんな真夜中に墓地で何してんだ?」

「そんなこと貴様らに話す必要などない」

「とりあえず大人しくついて来てもらおうか、もう1度死にたくないだろ」

 

 

「何?(こいつ今もう一度と言ったか?ワシのことを知っておるのか)」

「わしのことを知っていて声をかけてくるとはどこのば、、」グハッ

話している途中、突然胸部に痛みを感じたと思った瞬間にカジット・デイル・バダンテールの2度目の生はあっさりと終わってしまった。

「うわ、すごいあっさりとした終わりだな。何も苦労せず終わってよかったんだろうけど、、なんか釈然としねーな。とりあえずあいつらに合流するか」

「死体はどうする?」

「一応燃やして置きましよう。アンデットになられたら大変だしまた蘇生されるかもしれないし。」

「了解」

 

 

 

「それで何でお前がここにいるんだよ!!!」

「数週間前ミスリルの鎧を着た少年を殺しただろ?」

(は???ミスリル??あ、あの邪魔して来たガキか。あいつはこいつの知り合いだったのか?クソクソクソクソ!!!)

「ああ殺したよ、何だまたお仲間さんだったのか?怒っちゃった?」

内心死ぬほど後悔しているもののここで折れたらもう何もかも折れてしまいそうなクレマンティーヌは言葉と態度はいつも通りふざけた振る舞をした。

「いや仲間ではない。前回の時のように知り合いですらない」

「は?なら何で?」

「依頼だよ、依頼。君の殺した少年の主人が君を殺してくれと。」

 

 

「は?指名依頼?カッパーの、、、」

クレマンティーヌが以前見たモモンのプレートはカッパー、初心者のプレートだった。しかし今の色はカッパーではない。

一瞬自分の目を疑いたくなる現実に頭が追いついてこなかった。

(アダマンタイト?私が殺されてからまだ1年ちょっとしか経ってねーぞ、何でそんな色なんだよ、確かにあいつは強い。

けどいくら何でも異常すぎる。いや待て、今こいつは依頼だと言った。つまり、、、)

「取引がしたい。」

「ほう、取引?」

「ああ、あんたは今私を殺すことが依頼だと言った。ならば私はそちらの望むものを何でも支払う。だから見逃して欲しい。」

「この間とえらく態度が違うな」

 

 

「そんなこと当たり前だ、勝てないことは分かりきっているからな。で取引してくれるのか、してくれないのか?」

「君が支払えるのは金だけか?」

「金じゃなくても何でもいい、私にできることならば」

「そうか、ならば質問だ。君の後ろにいるのは法国か?」

「ッッツ、ああそうだ。それをどうして知っている。」

「今は私が質問をしている」

「あ、ああ」

「では法国を裏切り私の下につけ、これが取引条件だ。」

「は?何を言ってるんだ、お前」

「そのままの意味だが?さあどうする。」

「ひとつ聞かせてくれ。あんたは法国とやり合うのか」

 

 

「やりあうも何も先に手を出して来たのはそちらというだけだ」

(は?手を出した?法国の連中こんな化け物に手を出したのか?頭いかれてんのか?いやあいつら、私がいうのも何だがなかなか壊れてるやつらばっかか)

「私はあんたの下についたら何をすればいい?」

「お前は明日の混乱に乗じて法国に戻るつもりだったのか?」

「何でもお見通しってか、ああそうだよ。」

「そうかならば密偵をしてもらう。お前、法国でそこそこの地位だったんだろ?」

「何で知ってんだよ、ああ一応な。」

「まぁそれならば話は早い。お前の仕事は2つ。法国の情報を全て吐くこと。それと法国に潜り情報を集めることだ」

「あーあーわかったよ、どうせ断るなんて選択肢私には残ってねーしな」

 

 

「それで今回は見逃してくれるんだろ」

「いいえ、あなたはここでもう一度死んでもらいます。」

「ガハッ、、、なんで、、、」

「それはお前の殺害が依頼だからだよ、(まあ他にも理由はあるけど)。ご苦労だった、ナーベ。それでイビルアイの方はどうなった?」

「ありがとうございます。はい、向こうは合流した残りの奴らがここらにいるものを捕まえて縛り上げています。」

「了解した。我々もこの死体を持って彼方に向かうとしよう。

 

 

 

「そっちも無事終わったみたいだな」

「ああこっちは何事もなくっていうかほんとに何もなかったな」

「ええ、ティナが後ろからグサって刺して終わりでした」

「まあこちらも似たようなものだったな。ところでこいつはラナー皇女には見せるべきだと思うか?

本人かどうか確かめるためクライム君には悪いが確認してもらわなければならないが」

「彼女はきっと見たがると思いますが見せない方がいいでしょう」

「そうか、わかった。」

「リーダー打ち上げ」

「鬼ボス打ち上げ」

「あーそうね、ひと段落ついたし明日ラナーへ報告しに行ったらやりましょうか。モモンさんとナーベさんもどうですか?」

 

 

「お誘いありがたいが私は遠慮させてもらう。ナーベはどうする?」

「私もモモンさーんがお断りするなら私も結構です。」

「あ、そうですか、残念です。あの失礼だとは思うのですがひとつ質問よろしいですか?」

「ええ」

「モモンさんとナーベさんの関係ってどんな感じですか?付き合っているんですか?」

「いや、そういった関係では。私とナーベの関係?えーっと敢えて私とナーべの関係を説明するとしたら大切な友人の子かな。」

「友人の子ですか、、、」

平然と否定するモモンと少し俯いて顔を赤くしているナーベ。

ラキュースは「ああ、この人もか」と思うのだった。

 

 

翌朝王城に報告に行きクライムに確認をとり依頼達成となった。

その後蒼の薔薇は今日の打ち上げの準備をすると言い宿に戻ってしまいそうになったのでモモンは急いで声を掛ける。

「イビルアイ、この後少しいいか?」

イビルアイに声をかけたはずなのに他の面々が鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をし、呼ばれた本人は感情のキャパシティを超えたのか固まっている。

「えーっと、イビルアイ?」

「あ、ああ大丈夫だ、それで何のようだ?」

「少し話がしたい、10〜20分大丈夫か?」

「ああ構わない、ラキュース先、宿に戻っていてくれ」

「それじゃあ悪いが少しイビルアイを借りる。」

それだけ言って3人は去っていった。

「おい、まさか意外といけんのか?」

「びっくり」

「一方通行だと思ってた」

「ええ、ほんとにびっくり」としばらく唖然としてしまう4人であった。

 





トマス二世さん、誤字報告ありがとうございます。


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2-4 黄金の化物

骸骨以外は泣けます。私の作品上はですが。


「すまないな、急に」

イビルアイが連れてこられたのはこれまで朝の情報交換の場としていたモモンの宿だった。しかし今回はロビーではなくモモンの部屋に通された。

(え、え、え、え、え、まさか今から?

何も準備してない、、どうしよう、、、、、)などと混乱していると

 

 

「遠慮せず立ってないで座ってくれ、」

「は、はい」と小さく返事してベッドに座るイビルアイ。

「えっとできれば話しやすいようこっちに来て欲しいんだが、、、」

急にベッドに座るイビルアイに対して不思議に思い声をかけるモモン。

「え、?あ、ああ」

自分の考えていたようなことではないと知り落ち着いた反面、少し残念な気持ちになるイビルアイだったがモモンの言葉を聞いて一気に落ち着きを取り戻した。

いや取り戻さざるを得なかった。

 

 

「先日話したことなんだが、、、」

「ああ、あのことか」

「私なりにあの王女を調べさせてもらったが、、、」

「正直なところわからなかった。」

「というと?」

「彼女の見ているものがわからない。

正直あまり関わりたくないと感じた。

ただこれはあくまで私の直感がそう言っているだけだ。

何か明確な証拠があるわけではない。

 

 

だから関係を深めない方がいいと思った。がそういうわけにもいかないのだろう?」

「そうだ、ラキュースはただの冒険者ではなくこの国の貴族でもある。

それにもう十分関係は深まっている。」

「そうであろうな、、ならば大変ではあるだろうがなるべくあの王女と会う時は近くにいてやった方がいいと思う。」

「ああ、そうするつもりだ」

「まぁなんだ、チームメンバーに隠し事をしたままっていうのも辛いだろうし、困った時がくればいつでも相談に乗るから言ってくれ。

それともう少し私も調べてはみるつもりだ」

「!!!ありがとう、、、」

(これはまたモモン様と二人で話せる口実に!!!最悪だった気分が少し良くなった?気がする。はは、私はこんなにも現金な女だったのか、、)

など気分が上がったり下がったりを繰り返しているとモモンが

 

 

「これから打ち上げなのだろう?時間を使わせてしまって悪かったな、」

「いや気にしないでくれ、そ、その、、モモン様と話せるのは嬉しい、、も、モモン様はいつまでこの王都に?」

「今日一晩泊まったらエランテルに戻るつもりだ」

「そ、そうなのか、、な、なら今夜私たちと打ち上げしないか?」

「ありがたいが今日はこれから少し予定があってなすまない。」

「そ、そうか、では私はこれで。改めて今回はありがとう。」

イビルアイが部屋を出たことを確認するとモモンは今回最後の仕事に取り掛かるのだった。

 

 

 

 

「おい、どうしたんだ?こいつ。戻って来てから急ににやけたり落ち込んだりして」

「さ、さあ?」

「脈なし?脈あり?」

「なんかよくわからない表情だな」

「ま、とりあえず暗くなって来たしそろそろ打ち上げ始めましょうか。」

「おう、そうだな、酒飲むか」

「それじゃあとりあえず今回の依頼達成お疲れ様!乾杯!」

「「「乾杯」」」

 

 

〜2時間後〜

「しっかしよーイビルアイ、どうだったんだ?

さっきモモンに呼ばれてただろ?何の話してたんだ?いけそうか?」

「無理無理」

「もし成功したらモモンはロリコン」

「ちょっとそれは失礼よ。」

適度に酔った蒼の薔薇の面々がイビルアイに絡む

「でもよあいつの側にはあんな美人がいるんだぜ。

それにあんだけいい男なら女なんていくらでも寄ってくるんじゃないか?」

この言葉にイビルアイは突然声を荒げる

「そそそそそそんなことは、、、、ナーベは何もないって、、、言ってたぞ!!」

「おいおい嘘かもしんねーだろ、今頃宿でやることやってんじゃねーのか?」

ガガーランの言っていることを想像でもしたのか

「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙」

と顔をつっ伏せて嘆き始めるイビルアイ 。

 

 

「そうでもないっぽいわよ?」

「そうなのか?」

「ええ、モモンさんに聞いたらナーベさんは大切な友人の子って言ってたわよ。

そんな人に手を出すような人には思えないし。

ただナーベさんは完全に惚れてるっぽいけど。」

「へーそんな関係なのか、あの二人。てかそしたらモモン自身は結構な年だな。

つってもあれだけの美人に惚れられていて同じパーティでなおかつ二人ってもうくっつくのは時間の問題じゃないか?」

そんなことをガガーランがいうと

「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙」

と再び死にそうな声を出しイビルアイは黙ってしまった。

 

 

「ほら、そんなに苛めないの。

いくら望みが薄いからって私たちくらいは応援してあげなきゃかわいそうじゃない。」

この言葉が最後の決め手となり「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙」

とイビルアイは座っていた椅子から落ちてそのまま倒れ伏してしまった。

「お前こそもうちょい気を使ってやれよ、今のは流石にきついぞ」と言いつつ笑うガガーランと他の2人。

ラキュースはラキュースでやってしまったと思うものの特に気にせず笑うのだった。

 

 

 

 

それからしばらくして

「はぁ、本当に疲れた、、、このアンデットの体になって疲労なんて感じないはずなのにな、、、

こんな疲れない体質なのに疲労を感じるなんてそんな特異体質この世に私しかいないだろうな。しっかしこの惨状、、、」

そこには酒を手に倒れる4人の姿があった。

「こんなになるまで飲むなんて今回の依頼、そこまで盛り上がるようなことではないと思うのだが、、、」

などと軽く思いながら4人に片付け毛布をかける。

「さて、私はどうするか、、、モモン様に会いたいな、、、散歩にでも行くか」

と思い、外に出るともう日を跨ぎそうな時間のためか人一人見当たらない。

 

 

しばらく何も考えず歩いているとどこからか鎧の擦れる音が聞こえる。

気になってそちらのほうに行ってみるとモモンが一人で歩いていた。

(モモン様!!!なんて奇跡!!!せっかくだし声かけてもいい、、よ、な、?)

などと浮かれていたがモモンのどこか深刻そうな雰囲気にその気持ちは一気に霧散する。

それと同時に(こんな時間に一人でどこに行くのだろうか)という疑問が頭に浮かんだ。

声もかけず後ろからつけるなんてダメだと思いつつも体は勝手に<不可視化>の魔法をかけて動いていた。

 

 

しばらくつけていると(なんでこんな遅くに王城に?あ、門番に話しかけた。)

少し話したらすんなりと門番はモモンを中に通したので「そんなんでいいのか、王国軍」と思いながらついていくとある部屋に入っていった。

その部屋を見た途端イビルアイはいてもたってもいられなくなり一度王城を出てすぐ<飛行>の魔法を使いさっきの部屋、ラナーの部屋のバルコニーまで向かった。すると中から話声が聞こえ、自身が考えていたような真っピンクのことではないことに安心したが中から聞こえてくる話に愕然とした。

 

 

 

「ラナー様、失礼します。あの、お客様がお見えになっています。

このような時間なので追い返そうとしたのですが、、、」

「わかりました、通してください。」

「!?よろしいのですか?」

「追い返せないような方なのでしょう?問題ありません。」

「かしこまりました。」

「それでどちら様なのですか」

「アダマンタイト級冒険者、漆黒のモモン様です」

侍女の言葉を聞いたラナーは珍しく本心から驚いた。

 

 

コンコンと部屋がノックされ次女が中に入ってくる。

「失礼します、ラナー様、モモン様をお連れいたしました。」

「ありがとう、下がってくれて構わないわ」

「で、ですがこのような時間に殿方とお二人というのは、、」

「構いません。」

「ですが、、、」

一向に引こうとしなかった侍女だが

「いいから下がってください。モモン様がそのような不埒なことをする方とでも?」

という言葉がきっかけとなり

「い、いえ。し、失礼します。」というと侍女は慌てて部屋を出た

「失礼しました、モモン様」

「いや構わない」

「今お茶入れますね、そちらにおかけください。」

「いやそのような気遣いは無用だ。」

 

 

「はぁ?わかりました。それで今夜はどのようなご用件で?」

「ああ少し聞きたいことがあってな、それとその作り笑いやめていいぞ。」

「聞きたいことですか?私にお答えできることなら」

とモモンの後半の言葉は完全にスルーして話を続ける。

が次のモモンの言葉に驚き思わず笑顔がなくなってしまう。

「まず今回の件お前はどこまで把握していた?帝国までか?それとも法国もか?」

「あら、バレてしまっていたのですか。私が把握していたのは帝国までです。

法国も関わっていたのですね。私には戦闘のノウハウがありませんのでどこの国が強いかなどは漠然としかわかりませんの。」

「そうか。今回帝国が王国を属国にしようと画策していることに気がついていたか?」

「はい、帝国と8本指の一部が何やらしていることは知っていました。」

 

 

「そうか、それで無視をしていたと」

「はい、本当ならこのまま無視して王都を早く占領でもしてもらおうと考えていました。」

「ならばなぜこのタイミングで手を出した?あの男か?」

「ええ、私は彼らが何かを企んで実行しようとも全く興味ありませんの。

ただ今回は私の物に手を出されたので」

「お前の者、、、か」

「はい、私の物です。」

「お前は、お前の狙いは帝国に占領され捕虜となりその男と暮らすことか?」

「まぁほんとにすごいですね、正解です。

このまま王国が存在続けたら私の願いが叶わないのです。

それとあなたも先ほど私のクライムに何かしましたよね?」

モモンは最後の問いには答えず逆に問いを投げかける。

「そうか、お前にとってその男以外どうでもいいということか。」

この問いにラナーは間髪入れず「はい」と肯定した。

 

 

「それでは今回帝国が裏にいると知った上でラキュースら、蒼の薔薇に依頼をしたと?」

「ええ、そうですね。彼女は本当に使えるので死なずに済んでよかったです。本当にありがとうございます。」

「使える、か。ラキュースは友人ではないのか?」

「ええ、友人ですよ。」

「ならば聞き方を変えよう。<死者復活>を使えないラキュースは友人か。」

「ええ、使えない友人ですね。モモン様が何を求めているのかはわかりませんが私にとって友人なんてどうでもいいのです。

クライム以外、私の中での基準は使えるか使えないかなので。

あくまで家族、友人、敵は私に対しての相手の立場。概念でしかないのでそんなことどうでもいいのです。」

この言葉にモモンは一気に殺気立つが抑制のおかげで気分は最悪ではあるものの王族殺しというレッテルは貼らずにすんだ。

 

 

「その考えは生来のものか?」

「ええ、そうです。なので私に何を言っても何も変わりませんよ」

「そうか、わかった。」

「それとモモン様、あなたも昼間私のクライムに何かしたようですが何をされたのですか?お答えによっては許しませんよ?」

ととても王女とは思えない殺気を向けてくるラナーに先ほどまでのモモンの殺気が霧散してしまう。

モモンは先程無視した質問に2度も無視することは流石にできず返答する。

「ああ、大したことはしていない。お前に聞かれたくない話題があったのでな、記憶をいじらせてもらっただけだ。」

「まぁそれは気になりますね。内容もそうですが、モモン様は魔法もお使いになられるのですか?」

と張り付けたような笑みで尋ねてくるラナーにモモンはそっけなく

「そういったマジックアイテムがあるだけだ。」と一言いい部屋を後にした。

部屋を出たモモンは部屋の外で待機していた侍女に連れられ王城を後にする。

その際モモンの胸中には怒りや殺意に加えあの王女へ気味の悪さからくる寒気などで言葉では表せないほどに不機嫌だった。

 

 

ラナーのラキュースに対する考えを聞いたあたりでイビルアイ二人の会話を聞くことに耐えきれずイビルアイは<飛行>を使用して急いで人気のない場所に向かった。

もう声を抑えることが難しかった。こんな感情久しく抱いていなかった。

涙なんて下手したら数百年ぶりかもしれない。

それほどまでに今の出来事はイビルアイの精神に大きな影響を与えた。

「そんなことあるか。あり得ない。

ラキュースが今までどれほどお前のことを心配して、忙しい中時間を作って会っていたと思ってるんだ?

それが使えるからって理由だけで今までラキュースと関わっていたのか?

あいつはお前のこと本当に、本当に自慢の友人だと言っていたんだぞ、、、、、、。其れにモモン様のあの殺気、、本気で怒っていた、傷ついていた。

きっとモモン様は薄々かもしれないけど気がついていたんだ、あの黄金の化物を。

それを知った上で私には今後のことも考えて、それとなくアドバイスをくれて裏で色々してくれて今回も傷ついて損で大変な役回りばっかしてくれて、、、、、、、。

それなのに私は今だって耐えきれず逃げ出して、あの王女のことだって本当は心の中ではどこか引っかかっていたのに何もないから、知りたくないからと放置して、、、、、、、、結局モモン様に裏で支えてもらって。

私は何年経っても、いくら実力がついて強くなっても昔と同じで弱いままだ。

もう嫌だ、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、モモン様、、、、、、、、、。」

王女への怒り、自分に対する失望、モモンが自分を気にしてくれ、優しくしてくれることに対する喜び、様々な感情や思いが入り混じり涙は止めどなく溢れた。




人間の涙、人外の涙。本当に信じられるのはどっちなんでようね。


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2-5 それぞれの想い

2章一応終わりです。
ここまでお付き合いしていただきありがとうどざいます。


翌朝、モモンとナーベがエランテルに戻るということで蒼の薔薇の面々は見送りに来ていた。

「今回は色々とありがとうございました。」

「元気でな!」

「バイバイ」

「またね」

「ああ、また何かしらの依頼などで会った時はよろしく頼む。」

「おい、イビルアイ 、何か言っとけって。」

「あ、、ああ。も、モモン様、あの、、」

 

 

「今回はイビルアイのおかげで相手との戦闘に集中できた。助かった。

これから大変だと思うが頑張ってほしい。何かあればいつでも頼ってくれ」

と言ってモモンは何通かの封筒を取り出してイビルアイに渡した。

「こ、これは?」

「これに手紙を入れて魔力を込めれば送りたい人のもとに届くマジックアイテムだ。何かあれば使ってくれ」

 

 

(ああ、優しすぎるよモモン様。きっとあの王女が危ないって確信したからさらに親身になってくれてるんだろうけど、、、

もっと自分のことを考えて欲しい。いつも忙しいだろうにこんなの私が手紙送ったらまた迷惑かけちゃう、、、でも、、それでも嬉しい、、。)

「あ、ありがとうございます」

とイビルアイが受け取るとモモンとナーベは軽くみんなに挨拶して行ってしまった。

「おい、よかったなイビルアイ、それでまた話せるし、もしかしたら会えるかもな」とおちょくってくるガガーランに対しイビルアイは「ああ」と気の抜けたような素っ気無いような返事を返すのだった。

 

 

 

「アインズ様、なぜあのようなアイテムをあんなやつに?」

とナーベは若干不機嫌そうな感じで尋ねてきた。

それもそのはず。先の件でエントマが死にかける原因を作ったのがあの女なのだから、嫌うのも無理はない。

「今回の件で蒼の薔薇の信頼度は比較的高くなっただろう。もし何かあれば連絡をしてくるかもしれない。

それはつまり奴らの行動をある程度把握できあわよくば制御できる可能性があるということだ。」

「なるほど、アインズ様の御慧眼恐れ入ります。」

 

 

(相変わらずよいしょしてくれるけど本当はあいつが気に入ったからなんだよな。

エントマの件でイメージ最悪だったけど、実際は物凄い仲間思いなやつだったし少なくともあのくそ王女なんかより断然いいし。

それに今回の件で疑いの目も少しは晴れたような気もするし)

と相変わらずイビルアイ の恋心には全く気づかないアインズだった。

 

 

 

 

あの後再び殺された私は生き返させられコッコドールとともにどこだか分からない場所を連れまわされていた。

(ったく、ここはどこだ。こっちは生き返ったばっかでしんどいってのによ。

つーかなんだ、このガキ。今までなら何も考えず殺していたがこいつもあいつと同じ感じがする。今すぐ離れてぇ。)などと考えていると

「ちょっとぉどこに行くのよぉ」と甲高くこちらをイラッとさせる声に思考が停止させられる。

「もーうるさいなー、黙ってついてきてよ。他の8本指のとこだよ、ひとまずは」

「あ、あらそうなの。他のみんなもここにいるのね。あれから全く連絡取れないから消されたのかと思ってたわ。」

「まーなんでもいいから黙ってついてきて」

 

 

「え、ええ」

などと言っている間に扉の前までたどり着いた。

そのガキはノックも何もせず突然扉を開くと

「はーい、ちゅうもーく」とその場には明らかに不適切な声で話し始める。

しかし異様なのはそのガキのテンションだけではなかった。

部屋に入った途端そこにいた7人の、おそらくコッコドールと同じ8本指の幹部たちが一斉に立ち上がりそのガキに頭を下げたのだった。

その光景の異様さにさっきまで気に触るような声を出していたコッコドールも唖然としていた。

「はい、今回はみんなの同僚を連れてきたから。紹介するから顔あげてー。」

上がった7人の顔を見て二人は再び愕然とさせられる。

その顔は皆一様にやつれておりここでの環境の、扱いの厳しさを物語っている。

元漆黒聖典のクレマンティーヌでも恐怖を感じるほどにここにいる奴らの顔は皆酷かった。

 

 

「今回連れてきたのは二人ね、一人は知っての通り君らの同僚のコッコなんたらね。もう一人は法国から寝返ったやつね、えーっと名前はクレアとかだっけ?」

「クレマンテーヌだ」名前を覚える気すら見せない様子のガキのイラッとしたが今はこれから起こることへの不安が大きすぎてそれどこはなかった。

「クレマ、、、?まぁなんでもいいや。とりあえず今からこの二人を恐怖公のところに連れて行くから帰ってきたらこれからのこと説明してあげて」

恐怖公とアウラが言葉を発した途端そこにいた7人が皆「ヒッッッ」と声を押し殺そうとしたが抑えきれなかった悲鳴のようなものが聞こえた。

「ちょ、ちょっと、何よその反応、これから私たちは何されるってわけ?ちょっとヒルマ教えてちょうだい」

とコッコドールが危機迫った様子で問いかけるがそのヒルマとかいう女は一瞬逡巡するもすぐ諦めたような表情となり目を逸らす。

「ちょっとどうして目を逸らすのよ!!!」

と騒ぎ立てるコッコドールをうるさいと感じたのかさっきまでどこにもなっかた鞭で突然コッコドールに巻きつけそのまま歩き出す。

「そっちのクレ、、、何とかもついてきてよ、あんま手間かけさせないでね」

というアウラに対して何かできるわけもなく黙ってついて行くクレマンテーヌ。

3人が部屋をさった後ここにいる7人は二人を、同じ苦しみを体験した同志を優しく迎え入れようと決めたのだった。

私はこの日初めて法国の生に執着させる考え方を呪った。どうしてあんな思いをしてまで生きなければならないのか。どこから私は間違えたのか、私の人生はいつ終わってくれるのかと。

 

 

 

 

「みなのもの面をあげよ」

「「「「「「「ハっ」」」」」」」

「先日のことについて何かわかったことはあるか、アルベド」

「はい、先日アインズ様のお手を煩わせたごみによると何者かに蘇生されたらしく気づいたら生き返っていたとのことです。

その時に自分の持ち物の中に手紙(指令書)が入っていたらしく今回の計画が実行されようとしました。」

「ふむ、、、わかった。ではデミウルゴス今後どうするのが最善と考える?」

「はい、やはりアインズ様のおっしゃられたようにあの者を法国に向かわせるのがよろしいかと。」

(俺の言った通りにか、、、今回も俺が全く考えてもいないことがその発言には含蓄されているんだろうな、、、、はぁ、、)

「ではそのようにしろ、それと今後私みたいに正体を知った相手を逃さぬよう注意しろ」

「「「「「「「ハっ」」」」」」」

「しかしながらアインズ様、今回は私たちの落ち度。アインズ様には何も問題ございません」

 

 

「アルベド、せっかくアインズ様が我々のミスを無視してくれてこちらへ注意してくださっているんだ。そこには触れなくても、、、」

「いいえ、デミウルゴス。もしこの言葉を鵜呑みにしてアインズ様の意図を読み取れないものがいたら大変だわ」

「それもそうか、失礼しました。アインズ様。」

「う、うむ。他に何か報告のあるものは?」

(は?何何何?明らかに俺の落ち度だろ。死体が蘇生されることを考慮して「これがハンデの正体だ」とかイキらなければ何も問題なかっただろ!

お前らの思考どうなってんだよ!)

 

 

「アインズ様、そろそろあのリムルとかいう奴が来てもいいんじゃありんせんでしょうか?」

「あぁ、そろそろかもな。しかし我々にはあいつと連絡する手段がないのでな。あちらから来るまで待つ他あるまい」

「アインズ様、私はその時この場にいることができなかったので同盟の件詳しくお聞かせ願えますでしょうか?」

「あぁ、まだ皆に話していなかったな。そもそもの出会いは偶然だ。

たまたまあの者が転移ミスでナザリックに迷い込みシャルティアと戦闘になったことからこの件は始まる。

そしてあの者はシャルティアと互角に戦える位強い。あの場では転移も使用できる様子だったので殺すことも困難だと感じた。

そこで情報を得るために話してみたところあいつは魔物と人の暮らす国の王らしい。

この人間の国しか周辺にない中、我々が今後どのように国を作って行くかの良いサンプルとなる可能性が高い。

それと我々は今後学習による進化はあっても種族としてこれ以上の高みに登ることは現段階では不可能だ。

しかしあいつの世界ではあいつの強さは上の下ほどという。これは我々がさらなる高みへ登れる可能性がある。

まぁまだいくつか理由はあるが皆に説明すべきことはこれくれらいか」

 

 

「あれで上の下でありんすか、、、」

実際に戦ったナザリック内随一の戦闘力を誇るシャルティアが衝撃を受けたのだろう。ボソッとつぶやく。

「なるほど、納得いたしました。しかしそれほどの武力。

こちらに攻め入られる可能性は無いのでしょうか」

「あぁ、その点に関しては問題ない。」

「その理由をお聞かせ願えますでしょうか?」

「それはできないな、どうしても知りたければ考えろ、私から伝えることはできん。」

「!!!なるほど、そういうことでしたか。かしこまりました。」

(うわーまたなんか勘違いされた。単に同郷の説明ができないだけなんだよなぁ、、てかアルベドが珍しく全く話さないけど大丈夫か?)と思いつつもこれ以上話題にする議題もないことから会議は終了となった。

 

 

会議ののち各階層守護者は各々仕事に戻った。

自室に戻りアインズの言を少しでも読み取ろうと熟考していたデミウルゴスだったが訪問者が訪れたことにより思考は現実へと引き戻された。

「君が私の部屋に訪ねてくるなんて珍しいね。どうしたんだい、コキュートス?」

「ワタシモコンカイノドウメイニツイテカンガエタノダガ、アインズサマノイトガヨメナイ。クワシクオシエテクレナイカデミウルゴス?」

「なるほど、そういうことでしたか。」

「アア、アインズサマノセツメイデアルテイドハリカイシタガ、ワタシニハデメリットガオオイヨウニシカオモエナイ。」

「ええ、私も初めはそう思いました。しかしアインズ様はまだ何か私たちにおっしゃっていないことがあるご様子。

その点から考えるとまだ私の憶測ではありますがそのおっしゃっていないことがあの者がアインズ様の信用を勝ち得た理由なのではないでしょうか?

信用さえできれば今回の同盟の件はもしもの時の保険であり、異世界の技術による私たちの強化の可能性はメリットしかありませんからね。」

「ナルホド、シンヨウデキルリユウガアインズサマニハナニカアルノカ。シカシソレヲナゼワタシタチニオシエテクレナイノダロウカ?」

「そこまではまだ分かりません。しかしアインズ様が信用なさった方。

私たちも全幅の信頼を寄せるとまではいきませんが多少安心しても良いのではないでしょうか?」

「ソウダナ、デミウルゴスカンシャスル。デハワタシハワタシノカイソウニモドル」

「ええ、ではまた。」

(コキュートスにああいったもののやはりアインズ様のお考えがまだ気になりますね。やはり至高の41人をまとめ上げていた方の知略にはまだ到底及ばないということでしょうか。)と思いデミウルゴスは世界征服の計画について考えを巡らすのだった。

 

 

一方自室に戻ったアルベドは思考の海に浸かったままだった。

「あいつをどうにか私の意のままに使えれば、、、、しかし、、、いやそれだとデミウルゴスが気づくわよね、、、でも、、、、、、はぁ、、、、。私もあの子娘みたいに私もアインズ様に首輪でもつけてずっと私だけのものにできたら、、、、ふふふ、、、」

とアルベドの部屋からはナザリック内の者が聞いたら即不敬と感じるようなことを平然とつぶやくアルベドの姿があった。

彼女はベッドの上でほとんど裸の状態でシーツにくるまり体をくねらせている。

その部屋の中からは不気味だが妙に色っぽく、艶かしい声が響くのだった。

 





syrupさん誤字報告ありがとうございます。


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3.出会いは偶然
3-1 出会い頭の誤解


2章自分で読み直していて、クロスオーバー要素なさすぎて流石に引きました。


「さてと、同盟の件どうしたもんかな。アインズも結べたら良しって感じだったし相互協力してこうくらいの内容でいいかな、、、?

えーっと確かこっちの1日が向こうの半日とかだから向こうでは1ヶ月ちょい経ったってところか?こっちもワルプルギスとかで忙しかったからなぁ。」

アインズと出会ってから既に1ヶ月。

本来はもっと早く同盟締結に向かうつもりだったリムルだったがクレイマンによる煩わしい陰謀やワルプルギスなど色々と立て込んでおり行くタイミングがなかった。

 

 

「それじゃあまた少し行ってくるから留守は任せたぞ」

「はい、任せてください!」

「かしこまりました。」と張り切る秘書1に丁寧に頭を下げる秘書2。

「任せてください。てか一人で大丈夫なんですか?一応国と国の同盟なんですよね?」

「あぁ、そこまで形式ばったお堅い同盟じゃないからな。多分問題ないと思うぞ。それに安全面の方では今回はランガを影に潜らせて行くからな。」

「主人のことは任せてくれ、ベニマル殿。」

「ああ頼んだぞ、ランガ。」

 

 

などと話しているとシュナが

「リムル様、、、」と袖を引っ張ってきて若干の涙目でリムルに話しかける。

「シュナ、大丈夫だ。またすぐ帰ってくるから。ゆっくり待っていてくれ。」

と言ってシュナの頭を撫でるリムル 。

(んーあれ以来どうもシュナがよく甘えてくるな。

この間のそんなに心配かけさせちゃったか、、)と内心反省するリムル。

「はい、、、、」

照れているのか俯いているシュナ。

あの件以降しばらく塞ぎ込みだったが最近ようやく以前のようになってくれたため安心していたが、まだどこか不安そうな様子のシュナを見てリムルはなるべく早く同盟を締結して帰ろうと思うのだった。

それから見送りに来てくれたみんなを見て

「それじゃあ、行ってくる!」と転移の魔法を発動していると

「「「「「「行ってらしゃーい」」」」」とほぼみんなが笑顔で見送ってくれた。

しかしそんな中、主君を見送る執事が如く頭を下げていたディアブロに対しシュナが話しかけていた。

 

 

「ディアブロ、聞きたいことがあるのだけど。」

「なんでしょうかシュナ様。ただいま我が主リムル様のお見送り最中なのでできれば後にして欲しいのですが。」と頭を下げたまま器用に返事をするディアブロ。

「時空を越える転移、この世界外への転移は難しいの?」

「はい、それはもう普通の転移とは比べ物にはなりません。転移の際の必要魔力もそうですが、転移先の座標がわからないとそもそも転移できません。」

「なら仮に座標さえ把握して、魔力が不足していなければ普通の転移ができるものなら可能ってこと?」

「理論上は可能なはずです。しかし普通は何かしらの問題が生じることを考えてなのか、悪魔でも時空転移しているものを私は聞いたことありません。」

「そう、、、、ありがとう」

思案げなシュナの表情を面白そうにみるディアブロだったが、リムルの去ったのちこの場にいるのは既に二人だけでもう一人のシュナも何か考え事をしており上の空といった様子でディアブロの表情を全く見ていなかった。

 

 

 

(いつも通りならシオンとディアブロが付いて来ると言ってうるさいのに今回は珍しく静かだったな。

ディアブロは転移間際シュナに話しかけられていたっぽかったし何だろ?)

など思ってる間に転移が完了した。

「よっし転移でき、、、た?あれ?ここは?」

リムルの転移した場所はこの間の墳墓が全く見えない湖だった。

(「ここは?」)

 

 

(「解、転移先に転移妨害の魔法がかけられており別の場所に転移させられました。)

(「うわぁ、またどっか違うとこかー。んー違う世界ではないっぽいし歩いて向かうかー、ラファエルさん案内お願い。)

(「告、できません」)

「は!?!?マジで?)と驚いて思わず声を漏らしてしまうリムル 。

(「解、以前接触したものの気配が感じられません。

よほど遠い場所にいるか気配遮断系の能力または魔法を使用してると推測します。」)

「んー困ったな、てかなんで前回は転移できたんだろな?」

などと湖の前で座り込み考えるリムル。

 

 

これはアインズが転移阻害の費用をケチったことに原因があり、

リムルが転移してきた時に上げた警戒態勢を維持したままだったのが今回の転移失敗の理由なのだがそんなことリムルは知る由もない。

「どうしようかな、いったん戻るか?でも戻ったところで転移阻害をどうにかしないとダメなんだよな。ボチボチ探すしかないか。シュナが心配しない程度で。」

この先長そうだな、、などと考えていると

「我が主人、どうしました?」と言ってランガが影から出てきて訪ねてきた。

「ん?あぁここ前回の転移地点と違うっぽくてな〜」

「なぜ違うところに?」

 

 

「なんかそこに転移阻害の魔法があってここに飛ばされたっぽいんだよな」

「なんと!?それは主人が来ると知って阻害魔法をかけるとは」

「いや、向こうにも何かあったのかもしれんぞ、向こうは俺がいつ来るのか何てわからないだろうし。」

「そ、そうでしたか。それでは一度テンペストまで?」

「いや、少し探してみようと思う。戻ってもどうせ阻害魔法をどうにかせんといけないだろうし」

などと話していると突然背後から「危ない!!!後に下がって」と叫び声が聞こえたと思ったら剣を持った女と、他何人かが俺とランガの間に割って入ってきた。

思わずリムルは呆然としてしまいその人たちを眺めてしまった。

 

 

 

「なぁ今回の依頼どう思うよ?」

「まだなんとも言えないわ」

「しかし詳しい情報が一切ないなんておかしすぎやしねぇか?」

「それは尽くそいつと遭遇した冒険者が殺され逃げ帰った一部の奴らも混乱して情報を聞き出せなかったからだろう」

「ええ、そうギルドマスターが言ってたわね」

「でもよ、姿や形、それに攻撃手段まで意見がバラバラってあり得んのか?」

「確かに今回の依頼は不審なところばかりだが放って置くわけにもいくまい。」

「まぁそうなんだよな」などと話していると少し遠くから

「は!?、、、」と素っ頓狂な叫び声が聞こえ蒼の薔薇の一同が顔を見合わせる?

 

 

「おい、今の声はなんだ?」

「誰かが襲われている?」

「鬼リーダー、確かめる?」

「鬼ボス、どうする?」

「もしかしたら私たちの探しているモンスターかもしれないわ。

見に行ってみましょう。ただしもし攻撃するとしても慎重にね。」

と話し合った五人は湖のそばで腰を抜かし地面に手をついている人と大きなモンスターを見つける。

「どうするよ、助けねえと不味くないか?」

とガガーランが言うとイビルアイが焦った様子で

「まずいぞ、あれは強い。勝てるかわからん。」

と言うイビルアイの切羽詰まった声と話した内容でその場に一気に緊張感が走る。

 

 

するとリーダーであるラキュースが

「でもまだあの人は生きている、あの人だけでも助けられないかしら?」

「ああ、そうだな。

戦うかは別としてあいつは助けてやらねえとまずいよな。どうする」

「ならば私、ラキュース、ガガーランであいつの注意を引いている間にティアとティナがあいつを救出。その後私たちはひとまず離脱しよう。」

「わかったわ、それじゃあ行くわよ!!!」

とラキュースの掛け声とともに蒼の薔薇は行動を開始し始めた。

「危ない!!後に下がって!!」

と声をかけすぐさまモンスターの気を引き、臨戦態勢をとるラキュースにガガーラン。

その後ろではイビルアイ も何やら魔法の準備をしている。

いい感じにモンスターの注意は引けたから後はティアとティナがあの人を助け出して即離脱。

 

 

と考えているとそのモンスターはラキュースたちには目もくれずティアとティナの元へ一直線に向かう。

ラキュース、ガガーランそしてイビルアイもがそのモンスターの行動を見て驚愕する。

「う、嘘だろ、マジックアイテムまで使用したティアとティナに気づいていたのか」と珍しくイビルアイも狼狽してしまう。

それもそのはずで今のマジックアイテムを使っている彼女らは高位の冒険者ですら発見が困難な暗殺者なのだ。

それなのに突然の襲撃に加え目の前に敵がいる状況で潜伏している彼女らを見つける。並大抵のモンスターではない。

この時イビルアイは戦力差を見誤ったかと後悔した。イビルアイは内心で

(早く離脱せねばまずい。あいつには悪いがこれはどうしようもない。もっと念入りに準備しなければならない)と頭をフル回転させていると思ってもいないところから声がかけられる。

 



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3-2 疑問と提案

アメトーーク5時間スペシャルやっているなぁ。
もうそんな時期かと思いつつ私はテレビを見ずに妄想して文字をカチカチ打っています。

どうでもいいことかもしれませんが明日の夜は予定があるため更新は昼過ぎくらいだと思います。


リムルは呆然としてしまった。

ランガと今後について話していただけなのになぜこうなった?と。

なぜ今自分は拉致されかけているんだ?と。

いつもならばすぐに感知して避けることも可能だったが驚きすぎて一瞬思考が停止していた。

動き出したのは拉致されそうなリムルを見てランガがこちらに走ってきたくらいのことだった。

時間としては1分くらいしか経っていなかったが状況の変化は目まぐるしかった。

 

 

ひとまず落ち着こうとみんなに聞こえるようランガに声をかける「ランガ、止まれ!」と。

そうすると突然来た5人も困惑した様子で立ち尽くしている。

そこで拉致っ子の二人ではなくはじめに声をかけてきた女剣士に話しかける。

「えーっと、初めまして。状況がよくわからないんですけど、聞いてもいいですか?」

「え、あ、はい。私たちも少し現状を把握しきれていないのでので少し待ってもらってもいいですか?」

「え?はい、まぁ」とリムルも疑問符を浮かべる中5人が集まって話しだす。

リムルもランガと合流する。

「なんだったんだろうな、、、、

(あ!!!ランガひとまず人前で話しちゃダメな)」と念話で伝えるリムルに対しよくわからないものの「ワゥ」と返事するランガ。

(確かここの世界、異種族へのあたりが厳しいってアインズが言っていたよな)と思い出しランガをちょっと大きな犬で押し通そうと考えるリムル。

 

 

「どう言うことだ?」

「別に襲われていたわけじゃない?」

「そうみたいね、でも」と何かいいかけリムルたちの方向をみるラキュースに対し

イビルアイが「ああ、おかしいな。あの人間は全く強そうじゃないのにあの強いモンスターが襲わない理由がわからない。それにあの仮面、、、」

「ああ、さっきは後ろ姿しか見えなくて気がつかなかったが、、最近よく仮面に出くわすな、、、」と珍しく苦笑するガガーラン

「確かにそうだな、しかしあの仮面はおそらくあいつらとは関係ないだろう」

「そうなのか?」

「おそらくな、あいつからは何も感じない。ただの人間としか思えない。仮に何かあってもあいつらは仮面に仕掛けなんてことしてなかったからな。」

「なるほどな、じゃあひとまずよくわからねえから話してみるか?」

「ええ、そうね。理由はわからないけどあのモンスターも全く襲おうとする気配もないものね」

とよくわからないものの話を聞いてみないことには始まらないと結論付けた青の薔薇は一人と一匹の元へ近づいていった。

 

 

「先ほどは突然すみません。あ、私はラキュースと申します。冒険者をしています。」

「あ、リムルって言います。大丈夫なんですけど、どうして突然?」

「えっと、先ほど私たちが向こうのほうにいたときに悲鳴とも取れるような、取れないような声が聞こえてこちらにきてみたのですが、そうしたら地面に手をついてそのモンスターを見上げているリムルさんを見かけまして襲われてると思い、、、」

と少し申し訳なさそうに説明してくるラキュースに対し

(あー俺の声が原因なのかー。転移失敗してさらにラファエルさんでも場所がわからないって言われて驚いちゃったんだよな。

そんなに申し訳なさそうにされるとむしろこっちが申し訳ないな、、、)と思いつつ

「あ、そうでしたか。なんかすいません。

ちょうど休憩していた時にそこの湖の水でむせてしまい、、、」と適当な言い訳をいう。

「いえ、ご無事でしたら何よりです。それでその、そちらのモンスターについて伺っても?」

 

 

「あーはい、ランガって言います。」

「・・・・・え?それだけ?」

「それだけって言いますと???」

「あ、そうですね。こちらの言葉不足でした。今私たちはギルドの依頼であるモンスターの調査をしています。」

「ある調査?」

「はい、先日から多くの冒険者がそのモンスターに襲われているんですが情報が錯綜していて詳しいことが何一つ分かっていないんです。

それでそちらモンス、、ランガくんはみたことがなかったのでもしかしたらと思って、、、、」

(何組もの冒険者が襲われているモンスターの調査依頼を受けているってことはそれなりのランクと言うことかな?確かアインズはアダマンタイトが一番上位の冒険者とか言ってたっけ?)

「なるほど、わかりました。確実にランガではないですね。」

「なぜですか?」

 

 

「あ、えーっと、ランガは、こいつが小さい時に拾ったんです。それ以来ずっと一緒にいるのでそんなことはしてないですよ」再び即興で嘘を作るリムル 。

「なるほど、だからあなたと一緒にいたと、わかりました。

ありがとうございます。あのそれでリムルさんはどうしてこのようなところに?」

(んーなんて言ったものか、、、)

「えーっと道に迷ってしまって」

「道にですか?ここで?一体どちらに向かわれていたのですか?」

(墓参りって概念こっちにあるのか?んーここは無難に言っとくか)

「墓地に行こうとしてたんですけどこの辺りにありませんか?」

「墓地、、、ですか?」と訝しげな表情になる蒼の薔薇の面々。

それを察してかリムルはすぐさま

 

 

「あーそうなんですよ、この辺りに両親の墓があるらしくてランガと旅してるんですよ」

「そうなんですか、リムルさんはこの辺りの人ではないのですか?」

「えっと小さい頃はこっちに、でも両親が死んでからは遠くに、、です。」

それとなく突っ込みにくい理由を作りなんとか誤魔化すことに成功したと思ったリムル だったが突然仮面の子から話しかけられる。

「墓地なら知っているぞ、案内してやろうか?」

「え?、、本当ですか?」

全く想像していなかった返答に困るリムル。

 

 

自分から探していると言っている反面断るわけにもいかずお願いをする。

「ええと、お願いします」

するとイビルアイは

「私たちは今依頼の最中でなこの件が片付くまで待っててくれ。」

今すぐかと思いきや割と待たされそうな雰囲気を感じてリムルは

「待ってるって、どれくらいですか?」と尋ねるとイビルアイはラキュースに

「どれくらいかる?」と問いかける。

突然話題を振られたラキュースは驚き「え?!わ、わからないわ」と返事をする。

「そうか、ならばリムル、私たちについてくれば話は早い。依頼が終わり次第連れて行ってやる。」

「え?イビルアイ何を考え、、、」と何か言いかけたがイビルアイに睨まれて?黙るラキュース。

 

 

(んー何考えてるんだ?この仮面っ子は、、まあでも探してるって言ったのは俺だし断ると訝しがられるだろうし、もし俺が探してるとこならラッキーだし話に乗っとくか。)

「まぁ構わないですけど3日以上経ったら一人で探すことにしてもいいですか?俺もいろいろあ予定があるので」

「ああ、わかった。少しチームで話がある」とリムルに告げると5人は少し離れて行ってしまった。

(今あの仮面っ子、イビルアイって呼ばれてたか?意味わかってんのか?てかどうして両親はそんな名前にしたんだ?

イビルアイ って、、、めっちゃ厨二感があるよな、、いやこっちでは全く違う意味なのか?)

などと考えているとランガが小声で「いいんですか?」と疑問を投げかけてくるので「ああ、まあこのまま一人で探してもたいして変わらないだろうしもしあいつが俺の探してるとこならラッキーだしな。」とリムルとランガが話し合う一方

 

 

蒼の薔薇の五人は「どう思う?」

「一応筋は通っているだろ?小さい時から育てていたならあのモンスターが懐いているのもわかる。」

「まあね、それに死んだ両親の墓を探していると言うのも珍しいけれど別にない話じゃないわよね。」

「理由はどれもおかしなとこはない。ただあれだけのモンスターだ。どこかしらの情報から流れてきてもいいだろうし、もしこちらに届かないほど遠くから来ているならあの軽装はおかしい。街に入るにしてもあのモンスターには従魔につける首輪などもない。これでは街に入れないだろう?逆に野宿してるとしたら身なりが綺麗すぎるし少しずつだが違和感がある。」

というイビルアイの意見を聞いて蒼の薔薇の面々は確かにと納得するのだった。

「イビルアイが言う通り、確かに少し変かもしれないわね。」

「んー気になるっちゃ気になるがそこまでに気になることか?」

「まぁそれは今後行動を共にすればわかることだ。」

話し合いを終えたらしい蒼の薔薇に対し

 

 

「それでこれからどうするんですか?」

と言うリムルの問いかけにラキュースは

「ひとまずそのモンスターが目撃された場所まで行こうと思っています。」

「えっと、俺はついていけば?」

「はい、ここからそう遠くないので。」

「わかりました、改めましてリムルって言います。よろしくお願いします。」

「ラキュースです、チームメンバーが無理言ってすみません」

「ガガーランだ、よろしくな」

「ティア」

「ティナ」

「イビルアイだ」と一言ずつ名前を言い、早速目的地へと向かい始めた。

 

 

しばらく6人と1匹は無言のまま足を進めたが、リムルはその無言の雰囲気の気まずさに耐え切れず話しかける。

「それで今回の依頼ってどんな感じで達成なんですか?」と尋ねると

ガガーランが「未確認のモンスターの把握がまず第一の目標だな。可能ならば討伐も視野に入れるがそっちのみたいのなら、しっかり支度してからじゃなきゃ無理だな。」

「そうねんですか?冒険者って言ってましたけどどのくらいのランクなんですか?」というリムルの問いに今度は

ラキュースが一言「アダマンタイト級よ」と答える。

(アダマンタイト級?それって、、、そういやアインズも冒険者してるって言ってたな。

もしかして知ってたりするのか?いやあの格好で冒険者してるわけないか。あれじゃ討伐対象だもんな。とりあえずよくわからないから聞いてみるか。)

「アダマンタイト級というのはどのくらいなんですか?」とリムルがきくと皆が一様に驚きそして疑問をぶつけてくる。

 

 

「?!知らないのか?」

「ええ俺が暮らしていたところでは違う分け方でして」

「?そんな遠くから来たのか?まあいいや、アダマンタイトってのは一番上のランクだぞ」

この言葉に今度はリムルが驚く。

(は?一番上?まじか?あ、でもアインズがこの世界の生き物は皆弱いって言ってたっけな、それならまぁそのくらいなのか?)

など考えつつも黙っていては怪しがられるのでとりあえず何か言おうと思い口を開く。

しかし「そうか、アダマンタイトってのは一番上のランクなんですね」となぜか復唱してしまう。

「ええ、王国に3つしかいないのよ」と無意識に自慢してくるラキュースだがそれより気になる単語が聞こえ「今王国って言ったか?王国ってリ・エスティーゼ王国のことですか?」

「ええ、そうだけど、どうかしたの?」

 

 

「あ、いや、両親の墓はリ・エスティーゼ王国付近にあるはずなので。とりあえずそっち方面に来れてるって分かって少し安心したんです。」

「なるほど、そうなのね。さっき言ってたけど向こうではあなたも冒険者だったの?それと冒険者だったら敬語とかも面倒でしょ?タメ口で構わないわよ。」

「ん?あぁそれは助かる。そうだぞ、冒険者だぞ」

「ランクは」と突然イビルアイが話に割り込んでくる。

「Bだ。ってもよくわからないよな。向こうではA〜Fで分けられていて、そこからさらにそのランクに+や−があるな」

 

 

「ほう、初めて聞いたな。そう言った分け方をする国もあるのだな。なんと言う国なんだ?」

「ブルムンド王国って場所だ」

「ブルムンド王国、、、聞いたことないな。」と言って何か考えるように黙り込むイビルアイに双子の片割れが「Bランクってことは相当強い?」と聞いてくる。

「まあそこそこじゃないか?」(なんか俺探られてんのか?話しかえるか。)

「まあ俺のランクのことよりも今回のモンスターはどうやって判断するんだ?特徴も何もわからないんだろ?」

「まぁな、でも私たちが知らない魔物ってだけで見つけたようのもんだけどな。」

「ええ、私たちですら知らなくて強力な魔物ならそもそも危険ですしそんな魔物が多発するはずないわね、」

「なるほどね、とにかく知らない強い魔物が条件ってわけか」などと話していると目的地まで到着した。

 

 

 

「それじゃあ私たちはこの辺りの状況を調べるけどリムルさんは、、、」

「俺も適当に調べてみるから気にしないでくれ」

「じゃあ1時間後くらいにまたこの辺りで」と言い残し蒼の薔薇は森の奥へ言ってしまった。

「ランガ、どう思う?あの人たちが探している魔物強いと思うか?」

「ここの連中がリムル様の情報通り弱ければ、探している魔物もそれほど強いとは思えませんが、、、」

「だよなー。とりあえず魔力探知で探してみるか。」

「(ラファエルさん何かわかる?)」

「(解、大きめの魔力反応があります。ですがここにはもうその魔物はいないようです。)」

「(反応はあるのに魔物はいない?てことはさっきまではいたってことか?)」

 

 

「(解、その可能性が高いです。)」

「(難度とか大まかでいいからわかるか?)」

「解、おそらく難度B〜A -です。)」

「(それってどうなんだ?あの人たちじゃきついか?)」

「んー考えても分からんからとりあえずその魔力地点まで行ってみるか。

ランガあっちの方から感じる魔力のところまで行ってみてくれ」

「かしこまりました、我が主人」

向かってみるとそこにはあの仮面っ子、イビルアイがそこにはいた。

下を向き、顎に手を当て何やら考え事をしていたが俺らの気配に気がついたのかこちらをみてきた。

「お前もここに気がついたのか?」

「ん?ああランガがここに向かってな」

「ほぅ、この魔力反応に気がつくのか、強い上に賢いのか」

 

 

「まあな、それでどうするんだ?」

「ああ、居なくてもなお残り続ける魔力、想像以上に強いかも知れんな、ひとまずみんなに話してみないことにはなんとも言えないな。」

「そうか、ところで本当に墓の場所に心当たりがあるのか?」

「ん?私を疑うのか?もちろん知っている。」

「そりゃ素顔も分からない今日出会ったよく分からない人を信用してるってそいつの頭が心配だ。」

「それは、、、お前のことか?」

「あ、俺もか。って違くてお前のことだよ」

「まぁ信じるも信じないも好きにしてくれ、そろそろ1時間だ。集合場所に戻るぞ」

「あーわかった」(話をスルーされた感は否めないがまあいいか)と思いつつランガと共にイビルアイの後をついて行った。

 



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3-3 普段は鋭いちょろイン

今年ももう終わりですね。
世間一般で見ると色々あった一年でしたが私個人で考えると何があった一年か思い出せません。
来年もよろしくしてくれると嬉しいです。


「みんなどうだった?」とラキュースが尋ねることで会議が始まった。

「私たちは3人の死体を見つけた。」

「冒険者、1人は戦士で1人はモンクで後一人は多分魔法詠唱者」

とティアとティナが報告する。

「多分???」

「その死体だけ頭がなかった。服装とパーティ構成から多分魔法詠唱者だと思った。」

「頭部が、、、なるほど、わかったわ。私たちは残念だけど何も見つけられなかったわ。イビルアイとリムルさんは?」

 

 

「私はこいつとちょうど同じとこにいたから持ってる情報は同じだ。私から説明するぞ」

「ああ、頼んだよ」

「おそらく私たちが探している魔力の痕跡を見つけた。ここにはもういないが、かなり強い魔物だと思う。」

「そう、わかったわ。それじゃあこれからどうしましょうか、イビルアイ 、その魔物がどっち方面に向かったかわかる?」

「おそらくあの魔物が向かったのはトブの森の方だな。追って討伐するにしても準備をしっかり整えた方がいい。」

「トブの森、、、少し厄介ね。ひとまず今日はエ・レエブルかエ・ペスペルに向かって支度するのがいいかしらね。」

「おう、じゃどっちにするよ」

「私はエ・ペスペルの方がいいと思う。エ・レエブルだと最悪大きく迂回したり山を越えなければならなくなる。」

「お前はエランテルに近いからそっちの方がいいってだけだろ」

 

 

とガガーランがからかうと慌てて「ッッナ///そ、そんなんことは、、、」と弁解する。

そんなイビルアイを蒼の薔薇はやや呆れ気味に、リムルは不思議そうにみるのだった。

少ししてラキュースが「じゃあこれからのことも決まったし暗くなる前にエ・ペスペルに向かいましょう。リムルさんもそれでいいかしら?」

「ああ別にそれでいいんだけど王国で使える金がなくて、モンスターとか換金してもらえる場所ってそのエ・ペスペルにあるかな?」

「ああ、そっか、そうね。いいわ、今回のことで長い間拘束しちゃうから宿代とかは私たちが出すわ。」

「んー、いいのか?」

「ええ、ただ討伐にも協力してくれると助かるんだけど」

「なるほど、それも込ってわけか。いいけど俺は約束通り3日以上かかるようなら途中でも墓探しに行くけどそれでいいのか?」

「ええ、構わないわ。」

「それならよろしく頼む」

会話がひと段落付きエ・ペスペルへ向かった。

 

 

 

「へぇあそこがエ・ペスペルか、結構大きいんだな。そう言えば俺身分証とかないけど大丈夫なのか?」

「いくらか必要だけど大丈夫よ、それより問題はそっちのランガくんよ。従魔の首輪もないのにそんなにおっきな魔物がいたら大騒ぎよ」

「あーそうだな、でも問題ないぞ」

「問題ないって、大有りじゃない?」とやや呆れ顔のラキュースを無視しリムルは

「ランガ戻れ」と一言、するとランガはリムル の影に吸い込まれ消えてしまった。

「「「「え?」」」」と皆同じように驚く。

「種族スキルでランガは影を移動できるんだ、言ってなかったっけ?」

「ええ、初耳よ。でもそれなら問題ないわね」

 

 

そうしながら歩くうちに街に入るために並ぶ列を見つける。

列に並びしばらくすると門兵から身分証の提示を要求される。

当然持ってないリムルは怪しがられるものの王国で3つしかないアダマンタイト級冒険者パーティの紹介ということで難なく入ることができた。

「これから私たちは宿をとって明日からの準備をするけどリムルさんはどうする?」

「んーどうするって言われてもな、ここのことなんも分からないしな、何か手伝うことはあるか?」

「そうね、、特にないわね」

「そうか、じゃあこの街を散策でもしているよ」

「わかったわ、じゃあ日が落ち始めたらあそこに見える飛龍亭ってところに来て」

「わかった、じゃあまた後でな」

とリムルが街の散策に行った後、いつもは別々にそれぞれの役割をこなす蒼の薔薇だが今回は一緒に準備をしていた。

というのもこれからリムルと行動を共にするのでリムルの情報共有が今しかないと思ったからである。

 

 

「それでイビルアイ 、さっきはなんで一緒に行動してたの?」

「ああ、それな、俺も気になってたぜ」

「私は魔力の気配を追った。あいつもそれをしたってだけだ。」

「リムルさんからは魔力反応全くないって言ってなかった?魔力を持たない人が魔力の反応に気付けるの?」

「本人が言うにはあいつじゃなくてランガがこっちに行きたがってたからきたって言っていたぞ。」

「なるほどね、というより魔力も感知できるのね。ほんと優秀ね。」

「いや案外魔力感知に優れているのはあいつかもな」

「どうしてだ?」

 

 

「あいつは冒険者ランクBと言っていた。よくは分からんが話を聞いたところだいぶ上のランクだ。

あの見た目からして近接型の戦士などは考えにくい。それならもう魔法詠唱者しか考えられないだろう?」

「まぁそうかもね。ただ魔力はないんじゃないの??」

「ただのテイマーなんじゃねぇか?あんだけすげー魔物なんだし主人が弱くても大抵のことがなんとかなりそうだがな」

「魔力を抑えるマジックアイテムはあるし、テイマーはなくはないがそれならテイム関連の魔法が使えるはずだから魔力がないってのは考え直さなければいけなそうだな」

「なるほど、そうね」と3人が真面目に話していると後の二人が「イビルアイ見過ぎ」

「浮気、浮気」といじってくる。またもやイビルアイ は慌てて

「ち、違うわ!!!!!と言うかあいつは女だろ」

 

 

「違うきっと男の子」

「違う、女の子」

と別々のことを言う双子。

それに対しラキュースは「それはあなたたちの希望、願望でしょ。あ、、でもどうしよう、、」

「どうしたんだ?」

「私もリムルさんは女性だと思って私たちと同室にしちゃったわ、、、」

「まぁ別にいいんじゃねぇか、とりあえずもう準備もできたし日も暮れそうだし宿に向かおうぜ」ガガーランが話を変えることで皆冷静になり、宿に向かう。

宿に向かうとそこにはリムルが既にいた。

「ごめんなさいね、結構時間かかっちゃって。」

「いや、大丈夫だ、そっちの準備はもう大丈夫なのか?」

「ええ、一通り終わらせたわ、私たちは荷物を置いてくるからもう少し待っててもらえる?そしたらそのままご飯にしましょう。」

「ああ、わかった、ここにいるから行ってきてくれ」

 

 

その後しばらくして荷物を置いて戻ってきた蒼の薔薇の面々に連れられて食事処にやってきた。

「この街に来るとここにほぼ来るのよ。」

「そうなのか」と他愛もない話をしつつ料理を待つ。

そしてリムルはある頃に気がついた。

(あ、やべ、仮面外さなきゃ。「ラファエルさんなんとか魔素が漏れないようにならない?」)

(「告、体が魔王化に適応したことにより魔素は完全に抑えることが可能です」)

(「うわ、まじかめっちゃ便利になったな」。、、まあこれからも仮面はつけるけどな)など思っていると料理が運ばれてきた。

がなぜか皆料理じゃなくて俺の方を見てくる。

みんなの視線が痛くて思わず「あの、どうかしましたか?」と急に初対面口調になってしまった。

「あ、今までずっと仮面をつけていたからどうするのかと思って」

「そりゃ外すに決まってんだろ?」

「え、ええそうね、なんか悪いわね、食べましょう」

 

 

それから気を取り直して食事を食べようとリムルが仮面を取るとみんなの顔が一斉にリムルに向けられ皆一様に驚いた。

しかしその後の反応が3つに分かれた。

明からさまにほっとした様子3人とすごい残念そうな1人、そしてご飯を食べ始めたガガーラン。

なんだこいつら、????と思いながらも無視してリムルはご飯を食べ始めた。

しばらくしてからティアがリムルに「なんでいつも仮面してるの?」と問いかける。

(なんでって言われても前まで魔素だだ漏れだったからなんて言えないしな)と思いつつ「この仮面、形見なんだよ。それに外しているとすげー絡まれてだるいし」

「形見か、、、」形見という言葉にすごく反応していたのは質問を投げかけたティアではなくイビルアイだった。

しかし何か聞くというわけでもなくただその言葉を口にしただけだった。

なんだか少ししんみりとした感じになってしまい、よくはわからないが何かやってしまったと思うリムルは急いで話題転換をする。

 

 

「それで明日からはどうするんだ?」

「ああ、明日はとりあえずここから東にあるトブの大森林という場所に向かう。

そこへ行くのに半日くらいかかるからその日は調査だけだな、見つけても居場所を把握しておくだけにするつもりだ。野営して見つけられていれば次の日に討伐する。と言った感じだな」

「なるほど、了解だ。」

「それと私の知る墓地はそっちの方角にあるから心配するな」

「そうなのか、助かるな」

「イビルアイ 、まさかその墓地って、おい、モモンに会いたくて行こうとしてんじゃねぇよな?」このガガーランの言葉にイビルアイは固まる。

「図星かよ!!!」

「し、しかし私の知っているとこがそこなのだから仕方ないだろう///」と後半甘々の声で反論するイビルアイ。

「そんなとろけた声で反論されてもな。」と流石のガガーランも苦笑している。

その状況に一人ついていけないリムルは「モモン?」とぼそりと口から溢す。

「ああ、そうよね、リムルさんは知らないわよね」とラキュースが訪ねてくる。

 

 

「ん、いや、どこかで聞いたような気もするんだけどな、誰なんだ?

「私たちと同じアダマンタイト級冒険者、漆黒ってチームのリーダーよ。チームのリーダーって言っても二人だけのチームなんだけどね」

「へ〜王国にある3つのうちの1つか。

それでなんであんなにイビルアイはいじられてるんだ?」

「ああ、あれはね、、モモンさんに惚れ込んでいるのよ。

ある事件以来モモンさんの名前を出すだけで蕩けきっちゃうから毎回いじられてるの。」

「ある事件?」

「ええ王国に悪魔が襲来したことがあったんだけどその時の敵のボスが強すぎてね。その時に助けてもらってころっとね、、、」(はぁ、、)

と説明し終えたラキュースはため息をつく。

その後に『でもいくらなんでもちょろすぎよ』という言葉はあえて聞かなかったことにした。

 



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3-4 解決

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。


余談ですがありえないくらい眠いです。


 

 

「それじゃあ明日からよろしくな、俺の部屋ってどこだ?」

「ええ、よろしくね、部屋なら私とガガーランと3人部屋よ」

「は?同じなのか?いいのか?」

「ええちょうど3人部屋二つしか残っていなかったの、何かあれだったかしら?」

「いや、そっちがいいんなら別にいいけど」

「そう、それじゃあティアとティナ、イビルアイまた明日ね。

朝の7時には出発したいからそれまでに支度しておいてね。」

「了解、鬼ボス」

「早すぎ、鬼畜、鬼リーダー」

「ああ、わかった」

と三者三様の反応を見せ隣の部屋に入っていった。

 

 

リムルはベッドに入ると一錠の薬を飲み眠りについた。

リムルはスライムのため本来、食事も睡眠も必要ないのだが人型になり食事が取れるようになったことにより睡眠もしたくなった。

しかしいくら元人間とは言え睡眠という概念のないスライムの体では眠ることはできず半ば諦めかけていたところちょうどにベスターが作ったという睡眠薬のことを知った。

使ってみたところ無事睡眠可能に。

それ以来、たまに眠くなりたくなった時に使用していた。

今は異世界におり眠ることは些かに不安はあるもののキャラの濃いメンツとの出会いで精神的に疲れていたため薬を使うことにした。

効力は明日の朝6時までにラファエルさんに設定してもらい服用。

 

 

すぐに睡魔に襲われそのまま眠りについてしまった。

翌朝リムルが目を覚ますと二人はまだ寝ていた。

部屋の時計で時間を確認するとちょうど6時をすぎたくらい。

「7時に出発って言っていたけど大丈夫なのか?」

と独り言を漏らすと窓から声が聞こえてきた。

「ダメに決まっているだろ、本当に仕方がない、お前ら起きろ、時間だ」

と窓から入ってきて二人を起こし始めたのはのはイビルアイだった。

「お前いつもこんなことしてんのか?」

「ああ、いつもは5人部屋でな。

朝が早い時は大体いつも私が起こしている。

おい、起きろ、いつまで寝ているつもりだ。」

「大変なんだな、お前がこっちの部屋の方が良かったんじゃないか?」

「どちらでも同じだ。おい、本当に起きろ」

「5人中4人が朝に弱いのか、、、野営が心配になってきたぞ」

「そこは大丈夫だ、依頼中は気を張っているおかげかこいつらの眠りは浅いからな。」

「それの反動って感じか」

 

 

「まあそうかもしれないな」などと話していると

「んんん、、、、」と声が聞こえる。

ようやく覚醒し始めたようだ。

「本当に手が掛かる」と愚痴るイビルアイだがリムルはどこか幸せそうな雰囲気を感じられた。

リムルも部屋を出る支度をするためベッドを綺麗にする。

そうしているうちに2人は完全に目が覚めたようで時計を見て慌てて支度し始めている。

支度を終えて食堂に集まった6人

「みんな、おはよう、後ごめんなさい、出発は8時に、、、」

「わりーな寝坊しちまってよ」

「かまわん、こいつらも私が起こすまで寝ていたからお前らと何も変わらん、謝るならリムルにいえ」

「いや、俺もかまわないぞ。それより8時出発で大丈夫なのか?」

「ええ問題はないわ」

「それで到着したらなんだけど先にイビルアイとリムルさん、ランガくんに先調査を始めていてもらいたいの。

私たちは拠点にできそうな場所と魔物の目撃情報を村々から集めたいから。」

「わかった、見つけた場合はどうする?」

「ひとまず集まって情報交換するために調査開始してから3時間経ったら集まりましょう。

野営場所は向こうについてから決める感じで」と今後のことを決めつつ朝食をとり出発した。

 

 

 

「へぇ、ここがトブの森かぁ。ここに目的の魔物がいるのか?」

「ああ、おそらくな、ここから昨日と同じ魔力を感じる、多分その狼も気づいているだろ」

「あーそうっぽいな、というかどうする?一緒に探すか?それとも別々で調べるか?」

トブの森付近の森で4人と別れイビルアイと二人で森まで来たリムルだがここからどうするか悩んでいた。

「魔力の反応を感じられるんだ、わざわざ別行動したってどうせ会うだろ。ならば始めから一緒の方が確実だろう」

「それもそうか」(ランガとこれからどうするか話しておきたいんだけどな、)

なんだかんだで昨日から蒼の薔薇の誰かしらと共にしているためランガと話せていないリムルは別々で調査する今のうちに今後について話しておこうと思っていたのだがあっけなく失敗。

仕方がないのでその問題は後回しにし、イビルアイについて行った。

 

 

 

 

「そっちはどうだった?ラキュース」

3時間が経ちひとまず集合地点まで戻り情報の共有を始めた。

「ええ、村人に襲われたものは今のところいないそうよ。気味の悪い魔物に遭遇したって怯えている村人が何人かいたわ。」

「その魔物は人間の頭部らしきものを持っていたとでも言ってたか?」

とイビルアイが問うと4人は驚いた。「まさか、お前、見つけたのか?」

「ああ、私たちはトブの森についてから発見した魔力を辿って行った。あれは普通の人が見たら恐怖を感じずにはいられないだろうな、」

「どんな魔物だったんだ?」

「見た目を簡単に説明するなら首から上のない痩せ細った人間だな、まぁ頭部は3つあったがな。」

「それは、、、気味が悪いわね。それでどのくらい強そうだった?」

「おそらくだが王都で戦ったメイド悪魔より強いぞ」

 

 

「まじか、あいつより強いのかよ。どうすんだ?」

「今回はリムルたちもいるから苦戦はするだろうがなんとかなるはずだ。

予定通り明日になったら仕掛けよう。」

「ええ、分かったわ。気を引き締めていかないとね。」

「割と早く調べ終わったな、今から倒しに行っても大丈夫なんじゃないか?」

「いや、危険だ。万全を期して挑むべきだ。」

「やっぱりそうだよな、でも俺も敵の姿形は見ておきてぇな」

「そうか、ならば二手に分かれてやつを見張るか」

「そうね、見失ったりしたら厄介だものね」

「ああ、夜は私一人で問題ないがその代わり今は休ませてくれ。」

「ええ、わかったわ。リムルさんそいつのところまで連れて行ってもらえる?」

「別にいいけどどう二手に分けるんだ?まさかイビルアイと全員か?」

「んーそうね、ひとまず夜になるまでは私とティア、ガガーランとティナで見張りましょう。リムルさん二回案内お願いしてもいいかしら。そのあとは私たちが見張るから。」

「わかった、それで夜は?」

 

 

「、、、そうね」となんだか言いにくそうなラキュースを見てイビルアイが

「夜は私一人だ」と言う。

「なんでだ?明らかに負担が違いすぎるだろ」

「それは私がこのチームで一番強いからだ。」

「そうなのか、、、それでも一番強いからって負担を全部引き受けるのは違うだろ?」

「それは、、そうだが、、、、」本当は自分はアンデットで睡眠が必要ないから見張り役を買って出ているのだがそんなことを知らないリムルは当然納得しない。

「そうね、イビルアイに任せっきりなのはおかしいわね。

私たちもローテーションしましょう。」

「ラキュース」

「いいのよ、仕方ないもの」

「すまないな」

このやりとりにリムルは思うところがないわけではないが部外者であるため何も言わなかった。

 

 

「それじゃ夜まではさっき言った通りで夜からはこのローテにイビルアイとリムルさんでお願いね」

「ああわかった。それじゃあ行こうか。」とリムルはまずラキュースとティアを案内し、時間が来たところでガガーランとティナを案内した。

皆あの魔物に対して一様に顔をしかめていたがそれは恐怖によるものではなく怒りや嫌悪による感情だった。

夜になりリムルとイビルアイの見張りの番がきた。

「さっきのこと余計だったか?」と言うリムルの問いに

「いや、まぁそうだな、、、、あいつらが私頼りなのは確かなことだしな、、」

「押しつけられているってより寄りかかられているってことか、なんか邪推して悪かったな。」

「寄りかかられているか、、、そうなのかもしれないな。いいや気にしないでくれ。外からみた私たちはお前が見たように見えている、ただそれだけのことだからな。それにそう見えたところで何も気にする必要はないからな。」

「信頼しているんだな、チームメンバーのこと」

「、、、、ああそうだな、あいつらは、、、」

「あいつらは?」

「いやなんでもない」

それ以上イビルアイが話さないのでリムルも特に追求しなかった。

 

 

 

夜が開けて日が昇り始めた頃作戦会議が開かれていた。

「あの魔物は一晩中その場にいて特に動く気配がなかったわね」

「何か目的でもあるのか?」

「全く分からないわね、そもそもなんで頭を3つしか集めてないんだろうな。」

「どう言うことだ?」

「いや、この間の死体を見た時から思ってたんだけど、頭の取られた死体とそうじゃない死体があっただろ?

俺は1つしかいらないから他のは奪っていないって思ったんだけど今回見たら3つあったからさ、そもそも奪う理由も分からないし」

「確かに、奪う頭部と奪わない頭部があるのは気になるな」

「ただあの魔物の気分ってことは、、ねぇか」

「そうね、あの頭部を自分の体に括り付けている感じだったもの、何かしらの意味、効果があると思うわ。」

「ま、戦えばわかるか。でどう攻める?」

 

 

「そうね、リムルさんの戦っているところ見たことないのだけれどリムルさんってテイマーなの?」

「テイマー?なんでだ?、、、あ!ランガのことか。いいや、テイマーじゃないぞ。」

「じゃあどんな闘い方を?」

「一応近接戦が一番得意かな、あとは一応魔法か?」リムルが一応とつけたのは自身のスキルが魔法と言っていいか分からなかったからなのだが魔力がないと思っている蒼の薔薇の面々は魔法で何かしらできると考えておらず

「ではリムルさんは私とガガーランと共に攻撃担当で。いつも戦うとき私の攻撃には威力が大きい分、溜が長い攻撃があるの。その時ガガーランと一緒に敵を引きつけてもらいたいんだけど、いいかしら?」

「ああわかった。俺ら3人の役割はいいとして、あとの3人はどうするんだ?」

「リムルさんは何か事前に言っておくことはない?えっとイビルアイは魔法で私たちに支援魔法をかけながら後方から魔法攻撃ね。あとの二人は敵の撹乱のため色々とするわ。」

「事前に言っておくことか、、特にないな。ああ了解した。

それで、もしだめそうな場合はどうするんだ?」

 

 

リムルはこの世界の基準が未だに分からないため本気を出すつもりはない。

もちろん死ぬつもりは全くないが率先して魔物を倒すつもりもない。

蒼の薔薇のレベルに合わせつつ無理なら無理でその時の対応はしっかり把握しておきたい。

「そうね、私たちのうち誰かが死んだり酷いダメージを受ける、イビルアイの魔力が切れて支援なしじゃきつい場合は撤退ね。」

「え、、死ぬってそれはもうアウトじゃないのか?」

「あ、そっか、そうね、まだ言ってないものね。

私は第五位階信仰系魔法<死者復活>が使えるの。

だから私が死ななければ他のみんなは大丈夫よ。

ただ大量の生命力が消費されてしまうから復活後すぐには戦えないけど。」

 

 

リムルはこの説明の半分は何を言ってるか分からなかったがとにかくラキュースはリムルが少し前に一番求めていた能力、

求めたがゆえに魔王になった原因の蘇生関連の魔法が使えると言う。

(うわ、まじかよ、すげーな、ラファエルさんに解析してもらったら俺も使えるようにならないかな、

使っているとこみたいな、誰かし、、、いやいやいや、それはだめだ。一時的な仲間でしかないとはいえ今の思考は人として終わっている考えだな。)となんとか思い直す。

「そうなのか、わかった。」

「それじゃあみんな準備はいい?いくわよ」

 

 

 

王冠の悪魔は暇を持て余していた。

デミウルゴスことヤルダバオトから今後の作戦で必要になるから頭を揃えてくるように言われた。しかしそれもひとまず終了し次の指示があるまで待機しなければならない。

ナザリックに戻りたいが魔皇ヤルダバオトとナザリックの関係が決してバレないように今回の計画のメンバーはナザリックへの帰還を禁止されている。

「しかしこの世界はレベルが低いなぁ、どのマジックキャスターも良くて第三位階魔法しか使えねぇ、今の俺の頭も第三位階が1人に第二位階が2人、、。はぁ、、、これじゃあアインズ様の、、、違った、、ヤルダバオト様の役にたてねぇよ、、、」などと見張られていることにも気がつかず独り言を漏らす。

幸い距離があり話している内容は聞こえてはいなかった。

王冠の悪魔がこの世界のレベルの低さに嘆いていると背後から突然魔法詠唱が聞こえた。

「<火球!!!!!>」

どうにか回避に成功した王冠の悪魔は第三位階魔法が飛んできたことに初めは驚いたものの、すぐに喜びの感情に変わった。

「これは幸運だ、第三位階の頭からこちらに転がってきてくれるとは」

などと言っていると突然背後から仮面に斬りかかられる。

「な、な!?」全く感知できかったため驚きで混乱する。

 

しかし相手はそんなんことお構いなしでさらに攻撃を仕掛けてくる。

「テッヤァ!!!」正面から巨大なハンマーが降ってくる。

一度体勢を立て直すべく王冠の悪魔は<次元の移動>を使用する。

急いで発動したため正確な座標設定をすることができなかったため視界に入った誰もいない場所に転移する。内心焦りながらも冷静に語りかける。

「突然攻撃してくるとは、全く礼儀の知らないやつだなぁ」

「な!?魔物が話すだと?」

すると魔物が突然切れ始めた。

「この俺を、ヤルダバオト様に仕えるこの王冠の悪魔を魔物扱いだと?舐めるなよ人間が」

この言葉にリムル以外の皆が驚愕する。

「ヤルダバオト、、だと。貴様ここで何をしていた、あいつはまた何かするつもりなのか!!!」

 

 

「はぁ?そんなことわざわざ言うわけねぇだろ、あほか?」

不意打ちから逃れ一息つけたおかげで王冠の悪魔は落ち着きを取り戻し、逆にヤルダバオトの配下だと知った蒼の薔薇は一層交戦的な視線で悪魔を見る。

リムルはなんだかよく分からないため1度後方に下がりイビルアイに尋ねる。

「おい、あいつのこと知っているのか?」

「いや、あいつのことは知らない。だがあいつが今言った名前はつい最近聞いた」

「ヤルダバオトだっけか?誰なんだ?」

「ああ、そうだ。先日王都がそのヤルダバオトに襲われた。」

「王都襲来、、、あぁ一昨日ラキュースが話していたことか。でもそいつはモモンってやつのおかげでどうにかなったんじゃないのか?」

 

 

「あぁ、あの時王都の民はモモン様がヤルダバオトを退けてくれたおかげで助かったが倒せてはいないんだ。

それなりに傷跡は残っただろうが、、、くそっこんな隠し球までいたのか。」

「こいつは前回の襲撃にはいなかったのか?」

「ああ、いなかった。」

「どうする?捕まえるか?」

「できればそうしてやつの目的などを知りたいが、討伐が優先だな。倒せるか分からない相手に変に手加減をしてやられてしまってはもともこもない。」

「そうか、わかった。それとさっき俺があいつに切りかかった時に『第三位階の頭が来た』って言ってたけれどもしかしたらあいつの3つの頭って、、、」

「!!!!!まさか、3つとも魔法詠唱者のものでそいつの使える魔法を使えるようにでもなるってことか、、、、?」

「ああ、その可能性が高いな。だから狙われるとしたらまずはお前だから気をつけろよ」

「問題ない、それよりそろそろあいつらも限界近いぞ」

 

 

リムルとイビルアイが会話している間にも王冠の悪魔と蒼の薔薇の戦いは始まっており、今はラキュースとガガーランが二人で相手をしていた。

ティアとティナも飛び道具で死角から狙ってはいるものの効果は薄い。

「おいおい、なんだなんだ、お前らアダマンタイト級の蒼の薔薇だろ?こんなもんか?こりゃ助かったな。

ヤルダバオト様と互角に戦った漆黒のモモンなら無理だったがお前らなら問題ねぇか。なんかしらねぇ仮面の奴もいるけどまぁいいか。さっさと死ねや」

相手の魔法<鈍足>によりスピードが落ち、蒼の薔薇の攻撃は全く当たらないが王冠の悪魔の攻撃はラキュースとガガーランに当たる。

「<雷撃><魔法の矢><魔法の矢>」とリキャストタイムのない3連続魔法が二人を襲う。

流石にこれをくらえばまずいと思ったリムルはランガを呼び二人を影移動を用いてこちらまで運ぶ。

完全に攻撃が当たるものだと思っていた王冠の悪魔はこちらを見て舌打ちをする。

「チッ、何をした、そこの仮面ら」

 

 

「危ないって思ったからこっちに運んだだけなんだけど、ま、ひとまず次の相手は俺ってことだ。イビルアイ、二人を任せても大丈夫か?」

「あ、ああ。構わないが、お前一人でどうにかなるのか?」

「とりあえずの時間稼ぎだから早めに二人を直してくれると助かるんだけど」

「分かった。任せろ。」

二人のことをイビルアイに任せリムルは刀を再び抜き王冠の悪魔へ近づく。

リムに注意を向けていた王冠の悪魔は再び不意打ちを喰らう

「<爆炎陣>」

「グハッッ,,,まだ隠れているやつが、、、、どこだ、、、?」

「いねーよ、そんな奴。今のは俺の魔法だ」

「そんなことありえないな、お前からは全く魔力を感じられん、ハッタリはやめておけ」

 

 

「まぁなんでもいいけどよっ!」会話途中突然スピードを上げ王冠悪魔に斬りかかる。注意を向けていたにもかかわらずその速度についていけず左腕を切り落とされる。

「なにっ?!」慌てて後退し「<水晶盾>」を唱えリムルから距離を取る。

しかし後ろから先ほどと同じ声が聞こえる。「<爆炎陣>」

後ろに飛び下がったことにより体勢が崩れたため吹き飛ばされる。

「グハッッッッ、、、やっぱりいるじゃねぇか、クソが」

(第三位階までしか使えないのにこの人数、、あいつの頭はもったいないがここは仕方ないが逃げるか)などと仮面のやつとその爆発方向を警戒しながら考えていると「ハアアア!!!」っと後ろから今度は横なぎにハンマーが振るわれる。

(チッこいつもう回復したのか、、、なぜ俺の後ろに、、)と考える王冠悪魔だったがもう片方の仮面による転移だと気づく。

 

 

「クソクソクソクソクソクソクソクソガアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

突然相手は発狂し三方向に魔法を発動する。

リムルの方向に<雷撃>イビルアイとガガーランの方には<酸の矢>そしてもう一方先ほどランガが影移動で運んだラキュースの方には<衝撃波>そしてラキュースの方に突進する王冠悪魔。

一直線の雷撃はリムルにあっさり避けられ、酸の矢もイビルアイが<水晶盾>を張ることで防御。

ラキュースの方は魔剣キリネイラムを上段に構えて先ほどから発動準備していた技を繰り出す。

「超技!暗黒刃超弩級衝撃波オオ!!!」その掛け声とともに凄まじい衝撃が地面、空間に伝わりその攻撃線上の王冠悪魔の放った<衝撃波>とその王冠の悪魔は跡形もなく消え去っていた。

 

 

 

 

戦いが終わり皆が集まる。

「終わったな、なんかメイド悪魔よりも弱くなかったか?」

「ええ、強かったけどイビルアイが警戒してたほどじゃなかったわね」

「鬼ボスの最後の方がよっぽど危険」

「そうそう」

「ああ、それは多分、あいつがまだ不完全だったからだろう。」

「不完全?」

「リムルが初めに切りつけた時に『第三位階の頭が来た』と言っていたのを聞いたらしい。」

「ああ、そう聞こえたな。最初にイビルアイが撃った魔法が第三位階。そしてその頭が来たってあいつは言ってたからな、多分あいつは頭を取り込むことでその魔法詠唱者の魔法が使えるようになるんじゃないかと思ったんだ。」

「なるほどな、てことはイビルアイがやられてたらマジで不味かったってことか」

イビルアイの推測を聞いた他の面々は唖然としていた。

「だから戦闘中だったけど1度後退させてもらったんだ、二人とも悪かったな。」

「いいや、気にすることはねぇ、その情報は間違いなくイビルアイに伝えた方がよかっただろうからな」

 

 

「そうね、でももし完全体だったらって考えるとゾッとするわね。

実際近接戦ですら私とガガーランは持ち堪えるのでやっとだったし。」

「確かにな、あいつ俺らに速度のデバフ使って自分にはバフかけてやがったしな。

よくリムルは戦えたな」

「まぁ俺は隙をついただけだけどな、ティアとティナの援護も助かった」

「惚れちゃった?いつでもいいよ」

「お疲れ」となぜか対応に落差があったがリムルは触れてはいけないような気がしてスルーした。

「さてとこれで依頼は達成なんだよな?次は俺の番だ。案内頼む。」

「ああ、分かった、今から行くか?ひとまず報告に、、、おい、静かにしろ、誰か来るぞ」とイビルアイが突然警戒したので他の蒼の薔薇の面々も再び警戒しなおす。

当然リムルも気がついてはいたが魔物の類ではないので気にしてはいなかった。

イビルアイが気配のする方向に声をかける。「そこにいるのは誰だ?」

するとその声に反応したのかその方向から二人組がやってくる。

そしてお互いに「「「「「「あ!!!!」」」」という間の抜けた声を出した。

 



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3-5 最重要人物たちがエンカウント

書く側になって初めてpcがフリーズし、データが吹っ飛ぶことの恐怖を実感しました。

書いていた内容こんなんだっけ?、、、どこか違う、、、どこだ、一体どこなんだ。
って言いながら全く違う言葉をpcに入力してました。


 

あの依頼以降モモンへの指名依頼が特になかったため、モモンは少しお金に困っていた。

といってもデミウルゴスのおかげでナザリック全体の資金難はどうにかなったのだが。

世間体を気にするアダマンタイト級冒険者なのでたとえ自分がアンデットで食事睡眠不要でもエ・ランテル内で宿をとっていた。

それも最高級なところを。これはアインズからしたら無駄な出費であるためナザリックのお金は使いたくなかった。

おかげでかなり金策に苦労していたのだが。そんな中冒険者ギルドから呼び出しがあった。

モモンはすぐさまその呼出しに応じ、例の如くギルドマスターの部屋に案内された。

 

 

「やあモモン君、度々すまないね。

先日は無理なお願いを聞いてもらって悪かったね。今回はギルドから少しお願いがあってね。」

「ギルドから、、ですか?」

「ああ、とりあえず座ってくれ。お茶でも飲むかい?」

「それでは失礼します。お気遣いありがとうございます。

ですが結構です。それよりも依頼の件お聞かせ願えますか?」

「そうかね、今回のギルドからの依頼は謎の魔物の調査だ。」

「謎の魔物ですか?どんな魔物なのか分からないのですか?」

 

 

「ああ、これまで何組かの冒険者が襲われていてね。

逃げ帰った何人からかは話を聞いたんだが、意見が点でバラバラでね。

そこでオリハルコン冒険者チームにも依頼を出したんだが連絡が取れなくてね。」

「なるほど、オリハルコン級ですら危ない魔物ですか。」

(うん、うん今度の依頼は期待できる!、、、

いやでもここの世界の人たちハムスケに畏敬の念を抱いているしなぁ。今回の依頼は話半分くらいで聞いておこう。)

「それで今現在王国では蒼の薔薇にも依頼しているんだが」

「その魔物が目撃されたのは王国なんですか?それならまた王国に?」

「いや今回は違う。

どうにもその魔物の目撃情報が王都から徐々に離れてこちら側に来ているらしい。

つい最近に王都襲撃があったばかりだから神経質な人が多くてね、こちらでも調べるように頼まれてるんだ。

しかもオリハルコン級でダメだからもう君しかいなくてね。」

 

 

「わかりました、そういうことでしたらお引き受けします。

それで私たちはどこに調査に向かえば?」

「ああ、場所はトブの森だ。これだけ目撃者が少なく、目撃した者も錯乱していたりで情報が少ない。

もし仮にその魔物に知性があるならば人目を避けているような節が見られる。隠れるとしたらあの森が最適だからな。」

「それならば森に異常がないかハムスケに聞いてみますので今から調べてきます。とりあえず2〜3日で戻ります。」

「は?今から?」

「はい、今からです。」

「そ、そうか。気をつけて行ってきてくれ。」

「はい、それでは失礼します。」

モモンとナーベは軽く一礼してから組合長室を後にした。

 

 

 

トブの森へ向かう途中

「ナーベ、先ほどの話どう思う?」

「こんなことでモモンさーんに余計な仕事を与えるゴミが早く死ねばいいのにと思いました。」

(え、お前あの時不機嫌そうだったけどそんなこと考えていたのかよ!!)

話の趣旨がズレまくりで唖然としてしまうものの段々と慣れてきたのですぐに正気を取り戻して再び質問をする。

「いや、そうではなくてだな、今回の調査依頼をどう思う?」

「そういうことでしたか、失礼しました。

今回の依頼ですか、、、全てハムスケにやらせれば良いかと思います。」

(うわあああ、、また話が飛んでったー!!!!)

 

 

2度目の話の飛躍にまたも正気を失いかけるモモン。

「そういうことでもなくてだな、、今回目撃された魔物をどう思う?」

「モモン様のお話しされている意図を読み取ることができず大変申し訳ありません。」

と深々と頭を下げるナーベ。ここがまだ街道で多くの人が見ているにもかかわらず。

(だからこんな人目のあるところで頭を下げんなって!!!)

と内心発狂するモモンだがそれを表に出すことはなく冷静に話す。

「頭を上げろ、とにかく魔物について考えたことを話せ」

「かしこまりました。」

ようやく本題に入れたとほっとしたのも束の間で、思ってもいなかったナーベの発言に思考が止まる。

「おそらくですが魔物ではなく悪魔の類ではないかと思いました。」

 

 

「そ、その理由は?」

今度は今度で意見が至極真っ当で返答に窮してしまう。

「ゴミどもの意見の不一致です。

もしこの不一致がただナメクジの無能さによるものだったらわかりませんがそうでないのなら精神操作の可能性があるかと。」

「なるほどな、分かった。もし悪魔であるならばこちらにきて初めて出会う魔物だ。少しだが期待できるな」

などと話しているうちに森の入り口付近までたどり着き、調査を始めた。主にハムスケがだが。

しばらくしてナーベが使用していた探知魔法に幾つか反応が出る。

「モモンさん、この先で何者かが戦闘中の様子です。」

「戦闘中?大まかな人数は分かるか?」

「はい、7、、いや8です?」

「どうした?」

「申し訳ありません、1つ反応がでたり消えたりするものがありまして。」

「ふむ、よく分からんがとりあえずそちらに向かってみるか」と向かおうとすると

「殿!!!向こうで何者かが戦闘しているでござる!!!」

と勢いよく少し遅い情報を知らせてくる。

「ああ、今から向かうところだ」モモンは特に何も言わずスルーしたのだが

「遅い、もうとっくにわかっているのだけれど」と容赦なく告げる。

 

 

「そ、そんなぁ」とハムスケは嘆くがモモンはそれすらも無視して先頭が行われているという方向へ向かう。

向かっている途中ナーベから「モモンさん、反応が一つ消えました」

と報告された。「先ほどの反応はそれか?」

「はい、おそらく瀕死状態だったために反応が出たり消えたりしたのかと思われます。」

本当はランガの影移動で反応がバラバラなのだが王冠の悪魔の死亡と探知タイミングが重なったためそう認識された。

戦闘は終わったのか向こう側から話し声が聞こえる。

歩いて寄って行ってみると

「そこにいるのは誰だ?」と警戒心むき出しの声で話しかけてくる。

モモンはどこかで聞いたような声だと思いながらその声のする方向へ近づく。

するとそこには見覚えしかない連中がいた。

「「「「「「あ!!!!!!!」」」」」」

 

 

 

 

「モ、モモン様ぁ〜!」

漆黒と蒼の薔薇が遭遇してから真っ先に声を出したのはイビルアイだった。

仮面で声は低くなっているはずなのに周りにはとても甘ったるい声が響く。

イビルアイはモモンらに駆け寄り声を掛ける。

「モモン様お久しぶりです。どうしてちらに?」

「ああ、依頼でな。むしろ私の方が聞きたい。どうしてイビルアイ、いや蒼の薔薇がこのトブの森に?」

「はい、私たちも依頼です。調査対象の魔物を追ってここまで。」

調査対象と聞きモモンは先ほど組合で蒼の薔薇も同じような依頼を受けていたことを思い出す。

「それは未確認の魔物の調査か?」

「!?そ、そうです!どうしてモモン様がそれを?」

「実は私も組合から同じ依頼を受けていて、その未確認の魔物がこちら側に移動しているらしいから調べてきて欲しいと依頼を受けていてな。

「そうだったんですか!?」

「ああ、それで先ほど戦闘しているものがいることに気がついてきてみたんだが倒したのか?」

 

 

「はい、おそらく依頼にあった未確認の魔物でした。」

「エ・ランテルのギルドにも報告したいからどんな魔物だったか教えてくれないか?」

「はい!!ですが私たちも初めてみた魔物だったので詳しくはわかりませんがあの魔物は、、ヤルダバオトの手先の魔物でした。人間の、魔法詠唱者の頭部を集めていたらしくて、、、」

「ヤルダバオトの手先?」

(は?うちの魔物だったのかよ、結局、、、)

「はい、その魔物が自分から『ヤルダバオト様に仕える王冠の悪魔を知らないだと』って言っていました。」

(は?王冠の悪魔が!蒼の薔薇にやられたのか?!まじか?いや、まだ頭を集めきれていないとかなら、、、いや、しかしあり得るのか?)

「なるほど、そんなことを、その魔物はいくつの頭部があったんだ?」

「頭部の数、、ですか?3つありました。」

(モモン様、魔物の名前だけで正体を察せられるなんて、流石一流の冒険者、、、いや私の愛しい人、、、、)

と普段のイビルアイならば未確認の魔物の名前を聞いただけで大まかな見当をつけていることに対して疑問を抱くはずだが、相手が愛するモモンなだけあってただの尊敬になってしまう。

そんなイビルアイの思考はつゆ知らずアインズは蒼の薔薇の強さを上方修正するか悩んでいた。

しかしふと蒼の薔薇の面々を見てみるとパーティメンバーが一人増えていることに気がついた。

 

 

 

 

リムルは誰か来たなと思いその方向を見ていると突然イビルアイの甘ったるい声が聞こえた。

何事かと思いイビルアイをみるとその二人組の方へかけていく。

状況が把握できないでいるとラキュースが教えてくれた。

「あれがこの間話した漆黒のモモンとナーベよ」

「へぇあれがそうなの、、、か」(あれ?)

疑問そうにしていると再びラキュースが「どうかしたの?」と尋ねてくる。

「いや、やっぱどこかであったことがあるような気がしてな」

「そうなの?でもあれだけの格好、見たらなかなか忘れないんじゃない?」

「んーそうなんだけどさ、、、んーーー」

悩んでいると(「解、個体名アインズと同一の反応があります」)とラファエルさんが教えてくれる。

(「あ!!!それ!!見たことないのに会ったことある気がしたのはあの気配に見覚えがあったのか!!そういえば冒険者もしているって言ってたしな。

てか、ついてるな、これで探す手間が省けたわ、俺も声かけるか」)

 

 

 

そしてアインズはその1人にすごい見覚えがあった。しかし見間違いだったり、他人の空似の可能性も捨てきれないので念のため尋ねる。

「イビルアイ、メンバーが増えたのか?」

「いや彼女はリムルっていって今回偶然出会ってそのまま協力してもらうことになったんです」

(なるほどな、リムルがいたならば王冠の悪魔は余裕で倒せるか、いやいやいや、そんなことよりどうしてここにいるんだ?

聞いてみたいがこの姿で会うのは初めてだし、とりあえず蒼の薔薇と分かれたら声を掛けるか)などと考えていた。

それなのにリムルから手を振って近づいてくる。

(え?まさか気づかれた?まさかな)と思うがどんどん迫ってくる。

そしてついに「おーい、アイ、、、うわぁっ」本名を呼ばれかけたので焦ってリムル にラリアットするような勢いで肩を組む。

そして小声で話し始める

「おい、リムルなんでここにいるんだ?」

「やっぱアインズだったのか、いやお前に会いに行こうと思って転移したらなんか転移阻害に引っかかって変な場所まで飛ばされたんだよ。」

「あーそれはすまない。お前が帰ってからしばらく警戒強化ってことで転移阻害魔法発動していたのを忘れていた。」

「お前らの魔法かよっ!!」

「とにかくすまなかったな、それより私がこの格好をしている時はモモンと呼んでくれ、アインズとばれるのは本当に困る。」

「あーだから今焦っていたのか、なんか悪かったな、わかった。」

 

 

 

などとリムルとモモンが肩を組み縮こまって話しているすがたをイビルアイ以外の蒼の薔薇の面々は呆然と眺め、イビルアイは泣きそうな声を出していた。

「え、、、モモン様、、、、リムルのこと知って、、、、

え、、、、なんであんなに親しげな、、、私だってまだ、、、え、、、、え、、、、えっっ、、、、

だってリムル遠くから来たって、、、え、え、、、、、、なんでなんでなんでなんでなんでなんで?」

とイビルアイが困惑しているとラキュースが二人に話しかける。

「あのモモンさんお取込のところすみません、とりあえずこのまま森の中にいるのもあれなので一度出でから話し合いませんか?」

「あ、すみません。そうですね。ここじゃあれなので場所を変えましょうか。」

漆黒と蒼の薔薇、そしてリムルは話し合うために森から出て落ち着けそうな野営地を見つけた。ひとまずそこで話し合うことにした面々は先ほどの魔物の話から始める。

その間もイビルアイは魂が抜けたように、また壊れた機械のように「あぁ、、あ、、ええ、、、、あぁあぁ、、え、えええ、、え、、」なっていた。

そんなイビルアイちらりと見たラキュースだったがひとまず放っておいて先ほどの魔物の話から始める。

 

 

「先ほどイビルアイが言っていたように、私たちが戦ったあの魔物、いえ悪魔は先日の王都襲来の主犯であるヤルダバオトの手のもののようです。

実力はおそらくメイド悪魔くらいで、とても強力でした。それにやつの能力も非常に厄介でした。

魔法詠唱者の天敵ともいえます。モモンさんは何か気になることはありますか?」

「いや、先ほどその悪魔についてはイビルアイから聞いたので大丈夫だ。」

「わかりました。それで一番の問題は、やはりヤルダバオトの目的でしょうか。

あれほどの悪魔を使い何をしようとしていたのか、なるべく早めに対応しておきたいですね。」

「ヤルダバオトってのはなんで王都を襲撃したんだ?」

「とあるアイテムを求めて来そうよ。」

「アイテム?」

「ええ。私も詳しくはわからないわ。」

「でも、それだと、対策の立てようがないんじゃないか?」

「ええそうね、どうしても対応が後手に回ってしまうわ。」

「できることといえば今回みたいに王国にいるかもしれねぇ悪魔を探して倒すことくらいだな」

 

 

「ええ、そうね。それで、、、話はだいぶ変わるんだけど、、、、リムルさんってモモンさんと知り合いだったの?」

「ん、まぁそうだな、なぁモモン」

「そうだな」

「それで、その二人はどんな関係なの?」とラキュースが尋ねるとイビルアイの体が少し痙攣する。

「関係、、、関係かぁ、、、」少し悩んだようだがすぐリムルは答える。

「同郷だな」

「え、そうなの?同郷、、でも同郷ってだけでそんなに仲良いものなの?」

「そんな良さそうに見えるか?」というリムルの問いに放心状態のイビルアイ以外の蒼の薔薇の面々はコクコクと頷く。

「まぁ風呂も一緒に入ったくらいだし仲良いって言ったら仲良いのか?」

と先日ナザリックでの出来事を遠い昔を懐古するように話し、モモンに尋ねるリムル

「私に聞くな」と素っ気なく返事をするモモンだがその様子は蒼の薔薇側から見たらもうカップルのそれだった。

「え!?お風呂も!?」驚くラキュースだったがそれよりもイビルアイは完全に壊れてしまったらしく顔を伏せて啜り泣き始めてしまった。

そんな状況をリムルは不思議そうに見ながら

「そりゃ男同士仲良くもなりゃ風呂くらい入るだろ?なぁ?」

「だから私に聞くなって」と会話する二人だがナーベを除いたみんなはそれどころではなかった。

 

 

イビルアイとティナは急に元気になり他の3人は愕然としている。

しばらくしてようやく落ち着きを取り戻したのかラキュースが「ねぇリムルさん」と声を掛ける。

「なんだ?」

「あなたって、、、その、、、、男性なの?」

「そうだけど、知らなかったのか?」

「知らないわよそんなこと、それに知っていたら部屋も同じにしなかったわよ」

「そんなこと言われてもな、第一、一人称が俺ってずっと言ってたし気がつかなかったのか?」

「確かに気にはなっていたけどガガーランもそうだからそういう人なのかと思ったのよ、、、」と疲れ切った様子のラキュース。

「あぁ確かにそう言われればそうだな」

とお互い何ともいえない感じになっているとモモンが

「なんだか話しているところ悪いが依頼についてはもう完了と言うことでいいんだな?」と。

 

 

「はい、しかしこの周辺にももしかしたらヤルダバオトの手先がいるかもしれませんのでエランテルギルドに注意するよう伝えてもらえませんか?」

「わかった、ギルドの方には私から伝えておこう。これから君たちは王都のギルドに報告か?」

「はい、一刻も早く伝えなければなりませんので」

とラキュースが言うとイビルアイは慌てて

「ま、まだ私たちはリムルに案内しなければならないではないか!エ・ランテルに行かねば!」と力説するも

「あー悪い、もう大丈夫だ、イビルアイ」

「え?どうして??」

「俺が探してた墓の場所はモモンが知ってるから後で教えてもらうわ、な、モモン」

「墓?ああ、あそこか。わかった、案内しよう」

 

 

「な、だから気にしないでくれ。急いで王都に戻って伝えなきゃいけないんだろ?」

「え、、、」

「そうね、悪いわねリムルさん、こっちの手伝いだけしてもらう形になっちゃって。」

「いや飯も部屋も用意してくれたしなんも問題ないぞ。」

「そう言ってくれると助かるわ、もし王都に来ることがあったら声かけて。ご飯くらいご馳走させて。」

「ああ機会があったら頼む。」

「え、、、え、、え、、、、」

リムルらが話している間もイビルアイは何かいいたそうにしていたが結局何も話すことができなかった。

それから話し合いはひとまず終了した。モモンとラキュースはこれからのことで話し合うため出発はもう少し後になった。

 



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3-6 様々な視線

書き溜めがなくなりそうで吐きそうです。
しっかり書いとけよってだけなんですけど、言いたくて仕方がないので前書きを利用して言わせていただきました。
失礼しました。



 

漆黒と蒼の薔薇の話し合いが終わるのをボケーっと座って待っていたリムルのもとにイビルアイがやってきた。

「おう、お疲れ」

「あ、ああ」と何かいいたそうにモジモジしていた。

不思議に思いリムルは「どうしたんだ?」と尋ねる。

「そ、そのだな、頼みがあって、、な、、、」

「頼み?なんだ?」

「その、ここだと話しにくいから向こうで聞いてもらってもいいか?」

少し不思議に思いながらも頷くリムル。

 

 

モモンたちから離れ、再び話始める。

「それで頼みってなんなんだ?」

「ああ、あまり驚かないで聞いて欲しいんだが、、、私はその、、、モモン様のことが好きなんだ!!!!」

「ん?ああ、知ってるぞ」

「え!?なんで!?」

「なんでって、、、昨日みんなでご飯食べている時ラキュースから聞いたし、、、それにあの様子見たら誰でもわかるだろ?」

「!ラキュースめ、勝手に話したのか!…………………というか、え?そんなにわかりやすいのか?!」

「そりゃ分かり易すぎるだろ、てか、アピールしてるもんだと思ったけど素なんだな」

「あ、あ、アピール!そそそそんなつもりない!それでは私がまるで痴女みたいではないか!!!」と早口になるイビルアイ。

そんなイビルアイを見つつリムルは尋ねる。

「それでお願いってなんなんだ?」

「あ、ああ。えーっとな、も、ももん様の好みを聞いてきて欲しい。」

「好み?」

 

 

「ああ、どうもモモン様がそう言った話をされていたことがないらしくてな、いくら調べても分からないんだ。

リムルならモモン様と仲良さそうだったからなっ。だから頼む!!!報酬は言い値で払うから!!!」とすがりつくイビルアイ

「いくら調べてくれって言われても、、、まあいいけど、、、てか別にそんなことで報酬なんていらねぇよ。」

「おおお!!!本当か!!!ほんとに聞いてきてくれるんだな!!!」

「ああ、分かった、分かったから落ち着けって。」

(別に聞くことくらいなんも問題ないけど、、相手がなぁ、、、これだけ喜んでるイビルアイには悪いけど、厳しいだろうな、だってあいつアンデットだしな、、)と内心思っていると

「頼んだぞ、リムル。」と気持ちの篭りまくった声でお願いをされるリムル。

「聞くのは別にいいんだけどさ、どうやってお前に伝えるんだ?これから王都に戻るんだろ?」

「ああ、そうだったな、、、、、リムルはいつまでこの辺りにいるんだ?」

「んー詳しくは分からないな。」

 

 

「そうか、、、ならば1ヶ月こちらにいてくれないか?エランテルでの宿泊代などの生活費は私が出すから」

「んー1ヶ月くらいならモモンに頼むから問題ないぞ、後来る日をしっかり決めてくれないか?すれ違いとかで街にいなかったら面倒だしな。」

「そ、そうか。なら1ヶ月後のこの時間にまたここに来てくれないか?」

「ここに?」

「ああ、私は転移魔法が使えて一度行ったことのある場所なら来れるんだ」

「それならエランテルに1度行ったらどうなんだ?」

「ああ私もそうしたいのだがな、、仲間にそうしたら毎日エランテルに行くからダメだと言われてな。」

「そ、そうか。まああんま期待されても困るからな。」

(ほんとに好きなんだな。もしアインズのこと知ったらどう思うんだろな。失望するのか?逆に憎悪とかの感情を抱くのか?案外受け入れたりすることもあるのか?)とあれこれ考えリムルはイビルアイに聞いてみた。

 

 

「なぁ、もしモモンがお前の思ってるようなやつじゃなかったらどうするんだ?」

「私の思うモモン様?」

「ああ。お前の中では、んーなんていうかモモンってかっこいい英雄って感じなんだろ?もしそうじゃなかったらどうなんだ?どう思うんだ?」

「確かに初めて会った時はその印象が強かったな、

町娘のように、アダマンタイト級冒険者に向ける羨望の眼差しでモモン様を見ていたかもしれない。

でも最近モモン様の優しさに間接的ではあったが触れる機会があったんだ。

もっと前からだったのか、その時からだったのかは分からないがはっきり自覚したんだ。

私が好きなのは英雄モモン様じゃなくてモモン様だってな。だからもしモモン様に人にいえないことがあったとしても気にしない。

私だって人に言えないことくらいあるのだから何も気にしていない。むしろそうしたことを私に教えてくれるのなら私は嬉しい。」

リムルは思った以上に真剣な答えでちょっとした疑問でこの質問をしたことに後悔する。

「そうか、、、、本気なんだな。応援するよ。」

「あ、ありがとう。」今更恥ずかしくなったのか辿々しくなるイビルアイ

「それじゃあそろそろ向こうも話は終わってるだろうし戻るか」

「そうだな」

 

 

 

2人が戻ると話は終わっていたようでこれからお互いがお互いのギルドに報告に行くことになった。

蒼の薔薇と別れる際イビルアイに何度も念を押され彼女らとは別れた。

「なぁモモン、これからギルドに向かうのか?」

「ああそうだ、先ほどの件を伝えなければならないからな」

「てか、このハムスターなんだ?」

「ハムスターではないでござるよ、某ハムスケというでござる。」

「うわ、喋った、いやそれ結局ハムスターじゃ?てかなんでこんなところにいるんだ?」

「某は殿の騎乗魔獣なのでござる」と誇らしそうに言うハムスケに頭を抑えるモモン、そしてその騎乗姿を想像して吹き出すリムル。

「笑うなよ、こいつこの世界だと森の賢王とか言われて敬われてるんだからな」

「こいつがか?蒼の薔薇が最高ランクの冒険者ってのを聞いてから思ってたけどモモンの言うとおりこの世界はそこまで強くないよな。」

「やはりそう思うか。」

「まぁな、しょっぱなからシャルティア?が相手だったからな。どうしても比べちゃうな」と苦笑するリムル。

「シャルティアは1vs1はナザリック内で肉弾戦最強かもしれないからな、仕方があるまい」

「そうなのか、てか話っぱなしで悪いな。その子とも話しておくこととかあるだろ?」

 

 

「いえ、私はモモンさんの決定に従うだけなので問題ありません」

と淡々と答える黒髪美人。

「えっとお名前は?僕リムルって言います。」

と前回の失敗を踏まえ先に質問からし軽く会釈すると

「今はナーベと名乗っております」と丁寧に答えてくれた。

意外と話せる美人なのかと思っているとモモンが

「あんまり期待するなよ、あとで後悔するぞ」などと言ってくる。

リムルはあまり意味がわからなかったがのちに街に入ってからその言葉の意味に気づくことになる。

「それでリムル、これからどうするのだ?できれば一度ギルドまでついてきて詳しく伝えてもらいたいんだが。」

「ああ、そんくらいなら問題ないぞ。モモンとは同郷でお前に会いにきたって設定でいいか?」

「ああ、そうしよう。その後に私たちはナザリックに戻る予定だからその時先日の件について話し合わないか?」

 

 

「悪いな、俺一回向こうに戻るわ、この間こっちから戻ったら仲間にめっちゃ心配されてさ、今回はすぐ戻るからって言っちゃったからな。」

「今回はって言っても前回も3日くらいだったではないか?」

「そうそう、こっちと向こうの時間の流れがほんの少し違ってなこっちの1日が向こうだと2日なんだよ」

「そうなのか、と言うか1日だけ早いってのもなんとも言えないな。話は分かった。では次はいつこちらに来る?」

「ああ、一旦報告に戻るだけだから2、3日したらまた来るよ。そん時は阻害魔法取っといてくれ。なんならお前がこっちの世界に来るか?」

「了解した。今は遠慮しておく。これから忙しくなりそうだし、そちらの世界に行くことに異を唱える部下もいるだろうからな、、、」

 

 

「アルベドさんとかか、、。あ、それとさ1ヶ月後にイビルアイと会う約束しててエランテルにいる間モモンに面倒見てもらうって言っちゃったから話し合わせといてくれ。」

「別に構わないが、どうしてイビルアイと会うんだ?」

「ま、それももっかいこっちきたら話すよ。」

と話している間にエランテルの街が見えてきた。

門に近づくと多くの羨望視線がこちらに、いや、漆黒に向けられる。

それに対しリムルへ向かう視線はこの仮面なんだ?という疑惑の目。

「な、なあ、アダマンタイト冒険者ってのはどこでもこんな感じなのか?すげー、居心地悪いんだけど」

「まあそうだな、気にしなくてもそのうち慣れるだろ」

と話していると門兵が話しかけてくる。

 

 

「お、お疲れ様です。そ、そのモモン様とナーベ様は問題ないのですがそちらの方の身分証を見せてもらっても?」

「あ〜悪いな、持ってなくてな、作ってもらうことはできるか?」

「はい、一時的なものなら可能です。」

「それじゃあ、頼む」

とやはりアダマンタイト級冒険者の連れと言うことですんなりと街に入ることができた。

「いやーそれにしてもお前ほんとに人気だな」

「真面目に英雄を演じているからな」

「それ言っちゃダメだろ、それでこれからギルドに行くんだっけか?」

「ああ、ギルド長に報告しに行く。その時リムルも冒険者登録したらどうだ?毎回門に入る時聞かれてたら面倒だろ。」

「そうだな、そうするか、先に登録しても構わないか?」

「分かった」

 

 

 

ギルドに到着するとモモンとナーベに一度視線が集まったと思ったらその視線が一斉にリムルに向けられる。

リムルは一瞬たじろぐものの門前で似たような経験を既に経験していたためすぐに2人のあとをついて行く。

(なんで俺見られてんだ?あいつらと一緒に入ったからか?それとも仮面のせいなのか)

「連れのギルドへの登録を頼みたい」

「も、モモン様?組合の依頼でトブの森へ向かったはずでは?」

「ああ、その件については後ほどギルド長に伝えたいことがあるが先に登録を頼む。」

「は、はい。かしこまりました。それでは登録手続きを行います。

こちらの用紙に記入をしていただくのですがよろしいでしょうか。」

「えっと、代筆お願いできますか?」

「かしこまりました。それではご質問させていただきます。」

 

「以上で登録は完了です。こちらがギルド証となるカッパーのプレートです。こちらの説明はご必要でしょうか?」

「いや、ギルドについてはさっきモモンに聞いたので大丈夫です。」

「かしこまりました。それではモモン様ギルド長に話は通っているのでギルド長室までお願いします。」

「了解した。」

言われた通りにギルド長室に向かおうとすると受付から

「すみません、リムルさんはこちらでお待ちください。」

「ん?ええっと、モモン?」

「私からギルド長には話しておくので気にしないでくれ。」

「は、はぁ、わかりました。」

 

 

 

ギルド長の部屋につき扉をノックする。すると中から声がした。

「モモン君かね、入ってきてくれ。」

「はい、失礼します、アインザックさん。」

「それでどうしたのだ?つい先ほど調査に向かったばかりではないか?まさかもう調査は終了したのかね?」

「調査というか討伐が終了しました。」

このモモンの言葉に、重々しい雰囲気を醸し出していたギルド長は一気にコメディ漫画のキャラクターのようにずっこける。

「た、倒した?すまないがもう一度言ってくれないか?」

 

 

「はい、討伐完了しました。と言っても私ではないんですが」

「モモン君ではない?どういうことかな?」

「はい、私がトブの森に行くと蒼の薔薇と遭遇、話を聞いたところちょうどその魔物を討伐したとのことで。」

「なるほど、蒼の薔薇が、、しかしなぜ彼女らがトブの森に、、?」

「そのことはここにいる私の連れ、リムルの方が詳しいので彼から説明してもらおうと思います。」

「そう言えば君は?」

「あ、はい、リムルって言います。どうも」

「はあ?どういうことかね?モモン君」

「はい、彼は私の同郷して、私に会いにくる途中に蒼の薔薇と出会いそのままその調査対象との魔物とも出会ったそうで。」

 

 

「も、モモン君と同郷!?なるほど、事情は分かった、悪いが説明をお願いできるか、リムル君。」

「えーっと、トブの森に行ったのは単純にその未確認魔物の魔力残滓を追って行っただけです。

ちなみに蒼の薔薇とは偶然出会いまぁ色々あって行動を共にしていました。あとは、、、、その魔物の説明をすればいいですか?」

「少し待ってくれ、魔力残滓を追うとは?」

「あぁ、それは俺じゃなくて一緒にいた蒼の薔薇のイビルアイがやっていたことなのでわかりません。」

と話が脱線し、自分に注目が来ることを恐れ全部イビルアイがやったことにするリムル。

「なるほど。ならば次はその魔物の説明を頼む。」

 



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3-7 会議の在り方

一応3章はこれで終わりです。
やっと主要キャラであるアインズ、イビルアイ、リムルを交わらせることが出来ました。

自分で言っててなんですがやっぱり同盟の必要性が感じられず内容をどうしようかありえないほど悩んでいます。


リムルがその魔物についての説明を終えるとアインザックは難しい表情になった。

「あのヤルダバオトの手下だったのか、、、それならば情報が錯綜したのも無理ないか。それでモモン君はどう考える?」

「私たちはもうヤルダバオトは王国を襲撃しないと思いました。」

「ほう、それはなぜかね」

「明確な理由はありませんが元々奴が王国を襲った理由はアイテムを求めてでした。それがない今王国を襲撃する意味がありません。」

「それはそうかもしれないがやつは悪魔だ。悪戯に人を攫ったり殺しに来たりするかもしれないのでは?」

「その可能性は、、低いのでは?やつは確かに悪魔でしたがそれと同時に非常に理性的に思えました。

この王国を襲撃することで得られる利益と私と敵対するリスクを考えるともう王国には来ないように思います。」

「なるほど、モモン君がいる限り王国は安全と?」

「はっきりと断言はできませんが。王国に来るよりかは他の国に行ったほうがいいと考えるのでは?」

 

 

「そうか、それでは今回の悪魔がいた理由はどうなる?」

「それは他国を落とす準備をしていたのでは?

あの悪魔が実力を最大限発揮するには魔法詠唱者の頭部が必要です。

そのためには事前に行動しておくことが必須です。

しかし襲撃予定の国でそのような行動をしていたら当然警戒され事前行動は愚か、計画そのものが破綻しかねません。

だからあの悪魔はこの王国にいたのではないか、と先ほど蒼の薔薇のリーダー、ラキュースと話し合いをしたところ出た結論です。」

「そうか、蒼の薔薇も同じような見解か。

分かったこのことは各国のギルドに通達しておこう」

「よろしくお願いします。」

「任せてくれ、それで話は変わるんだがそっちのリムルくんは蒼の薔薇と共闘したと聞いたがそれほどの実力者なのかね?」

 

 

リムルは冒険者組合長が自分に聞いているのか、モモンに聞いているのか分からず視線でモモンに返事を任せた。

「ええ、強いですよ。彼一人で蒼の薔薇全員に匹敵するかもしれません。」

「本当かね!」思わずと言った感じでアインザックは立ち上がりリムルに近づく。

「いやそんなことないですよ、、、、マジで、、、だからちょっと顔離してもらえます?」

「ああ、すまない。それではリムル君はモモン君のパーティに入るのかね?」

「いや、入らないですよ」

「そうなのか、ではソロでやって行くのか、なんならこちらから相性の良さそうなものを紹介するが」

「あーいえ、大丈夫です。

(うわーなんかこのおっさんギラギラしててしんどいなー)

というか俺別に冒険者やりにここに来たわけじゃないですし。

俺はモモンに会いに来たんで少ししたら帰りますけど」

 

 

「な!?そうなのか、、、まぁまだここにいるのだろ、思う存分この街を楽しんで行ってくれ。いつでも私たちギルドは君を歓迎しよう。」

「は、はぁ、、、」

「アインザックさん、そこまでにしてあげてください。」

「すまなかったね、リムル君」

「いえ」

「それでは報告は以上なので失礼します。」

「ああ、今回も助かった、また何かあったら頼むよ」

ギルドを出た途端にリムルが文句を言ってきた。

「おいなんであんな風に説明するんだよ、絶対わざとだろ」

「いやいや、言いがかりはやめてくれ、第一リムルが私に任せたのではないか。」

「それはそうだけどさ、、はぁ、、それでモモン、お前は帰るのか?」

「ああ、そうだな、これから話し合うことが増えたからな、、、」

「???そうなのか?まぁ、それなら俺も一度戻るから魔法の解除は任せたぞ。」

「それについては任せてくれ。」

と外を歩いていると、一台の馬車が近づいてきて中から一人貴族風の男が出てきた。

 

 

リムルはなんだろうとその男を見ていると

「貴様がアダマンタイト級冒険者漆黒のナーベか?」と男が問いかける。

ナーベは当たり前のように無視をする。

「ふふ、そう緊張せずともよい。

このフィリップ様が貴様を娶りに来てやった、光栄に思え。」

ナーベの無視を緊張していると独自解釈したフィリップはそのまま話し続けた。

リムルはモモンに何か言わないのかと目線を送ると首を振る。

リムルはこの世界の貴族階級にはそれほどの力があるのかと驚いているとナーベがさらに驚きの発言をする。

 

 

「死ね、下等生物(ウジムシ)。

私がお前の妻になどなるはずがないでしょ。

叩き潰す許可をいただけますか、モモンさん?」

この発言にリムルだけでなくアホ貴族も言葉をなくしている。

ただ周りの人たちは日常風景を見るように「ああ、またか」と言った感じでこちらを見ている。

ようやく言われたことを理解し始めたアホは怒り始めるが、相手は貴族ではないといえ冒険者の最高峰、手を出せるはずもなく簡単に取り巻きはのされてアホは逃げて行く。

この一連のやり取りが終わりそうなところでリムルは正気を取り戻しモモンに顔を向ける。

「だから言ったではないか、あまり期待するなと。

ナーベは身分など関係なくいつもこんな感じだ。

単純に人間を見下しているからな、治らないぞ。」

「期待するなってこういうことかよ、、、」

というものの勢いよくツッコむ気力はどこかに行ってしまい項垂れるリムルであった。

 

 

 

 

リムルたちと別れてから蒼の薔薇は王都に戻っていた。

「しっかしリムルが男だったとはなー」

「マジショック」

「マジ最高、ギリショタいける、万歳」

「そうね、仮面とった姿見るまではどっちか分からなかったけどあの姿見たら誰でも女性だと思うわよね。」

「そうだな、男なら自分が絡まれるのが謎って言ってたのも頷けるな。

それにしてもモモンとマジで仲良さそうだったな、実はできてんのか?」

というとイビルアイは体を痙攣させ、ティナは嬉しそうに

「モモンには近しいものを感じる。」

「絶対に違う!きっとモモン様の性癖は普通だ!」

 

 

「ならイビルアイは無理」

「ど、どうしてだ」

「幼児体型だから」

「うぐっ、、もしかしたら私みたいのがいいかもしれないじゃな、ないか!」

と顔を真っ赤にして反論するイビルアイ。

当然仮面をしているので見えていないがみんなは気づいている。

「そしたらモモンはロリ確定」

「そ、そんなことは、、、、」

と反論できずにいるイビルアイを無視し、ラキュースは

「はいはい、人の趣味にどうこう言わないの、第一今のは全部あなたたちの妄想だし。

それより今はヤルダバオトのことよ。

モモンさんとの話し合いで王国が狙われる可能性は低いって結果にはなったけど対策しておいて損はないわ、戻ったら色々と忙しくなるんだからしっかりしてよね。」

とバッサリ話を断ち切った。

 

 

愛しのモモンガ様が冒険者としての仕事を終えて帰ってきた。

私は守護者統括ではあるがそれ以前に恋するただのサキュバス。

愛する人が仕事から帰ってきたら、出迎えるために最終装備裸エプロンでお出迎えせねばならない。

しかし今回は事前に各階層守護者を集めるように御命令なされた。

少し残念に思いながらも仕事なのでやらないわけにはいかない。

いち早く玉座の間に皆を集めて外までモモンガ様を出迎えに行く。

モモンガ様について行き外で共に仕事をしているナーベラルには殺意を覚えるが私とモモンガ様の関係を支持してくれているのでそれほど気にしてはいない。

統括としてどの誰よりもモモンガ様の隣にはいるがもちろんいられないことも多い。

それがどうしても我慢できなくなる時がある。

 

 

1秒たりとも愛するモモンガ様から離れたくない。

今にもこの感情をお戻りになられたモモンガ様にぶつけてしまいそうになる。

しかし自分がこの栄光あるナザリックの守護者統括であるという自負がなんとかその思いに歯止めをかける。

そうした葛藤をしつつモモンガ様を玉座の間にご案内し自らも頭をたれる。

会議が進むにつれて怒りの感情がどんどん抑えられなくなるのを感じた。

どうにか会議が終わり自室に戻るまでは耐えられたがその後は心荒意乱。

初めはまだ大丈夫だった。

ギルドから依頼があり調査したところナザリックのもの、デミウルゴスの次の計画に必要な駒の失態。

同僚に対して少し情けなく思うくらいだった。しかしその後が問題だ。

その悪魔を倒したのが蒼の薔薇と先日ナザリックに侵入してきたゴミ。

 

 

そいつがたまたまいたおかげであの人間のコマ、蒼の薔薇が無事だったのは計画の都合上よかったけれど。

そのゴミがモモンガ様と人間の街で一緒に行動し、またすぐ会いに来るとほざいている。

これではまるで転移を覚えたばっかりの遠距離カップルみたいではないか。

あのゴミスライムの分際で私たちの主人、いや私の愛する人に手を出すなんて許せない。

しかしそれでもモモンガ様はあのゴミと必要性の感じられない同盟を結ぶという。

きっとあの方のことだから私などでは到底思いつかない理由があるのでしょうけど、それはそれ。

本当に憎い。そのせいでモモンガ様に知られないように殺すこともできない。

「あぁ、愛しの、私のモモンガ様、、はぁ、、んん、、、、

はぁはぁ、、、モモンガ様、私の私だけのモモンガ様、、、一生あなたの側に、、はぁはぁ、、誰にも渡さない、、、、んはぁっ、、、」

いつの間にか怒気は愛欲へと変化しその美しい見た目からは想像もできない醜い感情が現れ始めていた。

 

 

 

「ただいま」

ひとまずアインズと別れテンペストに戻ってきたリムルは行く時に泣きそうになっていたシュナに真っ先に会いに行った。

「おかえりなさいませ、リムル様!」今確認していた書類から目をはなしすぐにリムルの元へ行く。

「ああ、ただいま、こっちはもう1週間くらいか?何か変わったことはあったか?」

「えっと、ヴェルドラ様が魔素の調整ができるようになりこちらにいらっしゃってリムル様がいないと聞いて怒っていらっしゃいました。

後はディアブロはヨウムさんを王にするために一緒にファルムス王国まで向かっています。他には特に変わった事はありません。」

「ヴェルドラもう魔素調節できるようになったのか、さすが龍種なだけあるな。ディアブロはいないのか、、、、。」

「どうかされましたか?」

「ん?あぁなんでもない。それより神聖法皇国から何かあったか?」

「いえ、今のところは何もありません。」

「そうか、わかった。今夜、みんなを集めてくれるか?これからについて話し合うから」

「わかりました」

 

 

夜になり皆が集まったので会議が始まった。

集まったのはリムルにヴェルドラ。ベニマル、ソウエイ、シュナ、シオン、ハクロウの鬼人たち。

リグルドたちホブゴブリン、それにゲルドにカイジン、ベスターなども集まっていた。

「それじゃあ今日話す事は4つかな?一つ目はヴェルドラが魔素調整できるようになってこれから一緒にいる機会が多くなると思うからみんな把握してくれ。」

「ワハハ、よろしく頼むぞ」

「はい、それじゃあ早速二つ目。ディアブロがいるファルムス王国の件はどうなってる?」

「え!我の紹介もう終わりか!?」

「はいはい、今ちょっと大事な話してるから、これでも読んでろって」といって読んでいた漫画の続きを渡すとすぐに静かになる。

 

「ディアブロからは上手くいってる、とだけ連絡があってそれ以外には何もないですね」

「そうか、ならファルムスのことを考えるのはあとでいいか。次行くか、、これが割と一番の問題だよな。神聖法皇国から何かコンタクトとかはあったか?」

「今のところはまだありません。ただ隠密の部下の報告によるとヒナタ・サカグチが何かしようとしているとのことです。」

「ヒナタが?あのメッセージちゃんと伝わったよな?まぁ引き続き警戒だけはしておいてくれ。ただし絶対に手を出すなよ。危ないから」

「かしこまりました。」

 

「よし、それじゃあ最後だな。同盟のことに関してだが結べなかった。」

「え?どういう事ですか?向こうから同盟を持ちかけてきておいて拒否したんですか?」

「いや、なんか向こうもゴタゴタしてるみたいでな俺が転移した時ちょうど転移阻害魔法の発動していてなまずたどり着けなくてな。だからもう一回行ってくる。」

「それってまた阻害にひっかかるんじゃねぇか?」

「いや、向こうで同盟国の王とはたまたま出会えてな解除するよう頼んだから大丈夫だ。

それで今回もう一回行くんだけど誰か補佐で連れてこうかと思ってな、ベニマルが良いかと思ったんだけどこっちでも色々あるから迷っててな。」

「まぁ確かにそうですね。俺も行ってみたいですけどこっちにも問題は色々ありすもんね」

「だろー、だから誰が良いかなって思ってな」

「はい!ここはリムル様の第一秘書である私が!」

「はい!私がついて行きます!」と真っ先に手を上げるシオンとシュナ。どうして異世界という興味惹かれる単語にヴェルドラが反応しないのか気になるリムルだった。

しかしそれは単にヴェルドラが漫画に意識を向けているからでリムルたちが転移した後にひたすら後悔するのだが、、、。

(やっぱこの二人が食いつくよな、、、)

 

 

「んー今回は同盟を結ぶから書類に強いやつが来て欲しいんだけどシュナはいいとしてシオンは大丈夫か?」

「問題ありません!もしもの時は剛力丸があります!」

「いや、何も大丈夫じゃねーよ!!!そうだな今回は戦う事はないしシオンは留守番な」

「そ、そんなぁ、、」

「リムル様、私は、私はついて行っていいんですよね?」

「ああ、書面でのやり取りとか苦手だから頼むな」

「はい!任せてください!」と満面の笑み頷くシュナ。

見方を変えると仕事を与えられただけなのに。

「それでリムル様どうするんですか?」

「んーそうだな。今回も1週間くらいで戻ってくる。

多分それくらいで戻ってこないと色々と問題があるだろ?

そこからは多分ちょこちょこ空いた時間に連絡ついでに行くぐらいだと思う。

もう少ししたらカイジンとベスターもついて来てくれないか?向こうとの連絡手段が欲しい。」

「おれぁ構わないぜ」

「はい、私も大丈夫です。」

「それじゃあ今日の会議は終わりですか?」

「あーそうだな、他に何か言いたいことあるやついるか???」と尋ねても特に何もなかったので会議は終了した。

 




トマス二世さん誤字報告ありがとうございます。


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4.同盟
4-1 綾羅錦繍の墓守と一路順風な魔王


早くも4章スタートです。
そしておそらくですがすごく短い章になると思います。

あと、タイトル少しカッコつけちゃいました。噛み砕くと「アインズとリムル」です。


 

今回の見送りはリムルが断った。

流石に短いスパンでちょっと出かけるだけなのにみんなの時間を使ってまでしてもらうことじゃないと言ってシュナと二人で転移して来た。

国交を開くということでリムルはシュナに言われてフォーマルな格好だった。

「よし、転移できたな。体調とか大丈夫か?シュナ」

「はい、大丈夫です、ここがリムル様のおっしゃられた異世界ですか?」

「ああ、ぱっと見はそんなに変わらないんだけどな、とりあえず森の中にいてもあれだし早速向かうか」

「はい、でもこの森の辺りには何もありませんがどうしてこちらに?」

「ん?あそこに見えるだろ?あの建物がこれから向かう場所だぞ」

「???どちらにあるのですか?」

 

 

「???どちらにって、、、

(あーアインズが幻術魔法をかけていて見えないはずだとかいってた気がするな)

そういえば、誰にも見つからないように幻術魔法をかけているっていってたんだ」

「幻術魔法ですか?、、、、、あ!!!本当だ、ありました!あの辺り少しだけ歪んで見えます。」

「そういうふうに見えるのか、まぁとにかくあそこに向かうぞ」

「はい。(私こういった感じの魔法は得意だったんだけど、、、な、、、)」

しばらく二人で森を進むと目的の建物が見えてきた。

以前同様に石造りの道の下まで行く。

「ここから中に入って行くけどこの間来た時罠とか多かったから俺から離れるなよ」

「え、そんな危ないところなんですか、ここ。」

 

 

「言ってないっけ?ここは墳墓だけど財宝とかもたくさんあるからある意味ダンジョンみたいなんだよ。」

「そ、そうなんですか、、?わかりました、、、リムル様から離れません!」

と宣言してリムルの腕に抱きつくしシュナ「え、?あ、うん。とりあえず進むか」

抱きついてきたシュナを引き離そうとしたものの離れるなと言ったのは自分であるためそのままにして墳墓内を進むことにした。

しばらく進むと前回同様にあの大きな魔力反応を感じる。

今回は話が通っているだろうと思い何の気兼ねなしにその反応に近づくリムル。

しかしそんなことなど知らないシュナは慌てて掴んでいたリムルの腕を引っ張る。

「リムル様、危険です。あちらからはものすごく大きな魔力の反応があります。

「ああ、そいつなら多分大丈夫だぞ、前回も同じところにいたからな、知っている奴のはずだ」

 

 

とシュナに説明しているとこっちの反応に気がついたのか向こうから近づいて来た。

「リムル、ようやくきたでありんすね、もう待ちくたびれたでありんす。」

「ああ、悪いな、てかお前らが魔法発動させてたからだろ」

「それは、それでありんす。」

「何だそれ」

シュナは、リムルとかなり親しげに話す彼女を見ているとその彼女から敵意のある声で話しかけられた。

「それでそっちの鬼さんはどちら様でありんすか?」

突然の敵意に驚き、警戒しているとリムルから説明してくれた。

「彼女はシュナ、俺の仲間だ。今回は同盟を結ぶ話がメインだからな。

俺じゃあ書類とかうまく把握できないからついて来てもらったけど別にいいだろ。」

「確かにリムルは書類仕事とかできなそうでありんすね。まぁいいと思うでありんすよ。

早速アインズ様のもとにお連れするでありんす。ついてくるでありんす。」

と言ってシャルティアは歩き出す。

 

 

シャルティアについて行きながらリムルはシュナに説明する。

「あいつはシャルティアだ。

ここの連中は外部のやつに比較的警戒心強いからあんま気にしないでくれ。」

「は、はい」

とどこか歯切れの悪い返事を返すシュナ。

リムルはこの時シュナは突然の敵意に驚いたと思っていたがそれは違った。

シュナはシャルティアとリムルの会話に嫉妬していた。

まだ出会って間もないのに打ち解け、部下でないため接する態度はラフ、自分では絶対にできないことをしているシャルティアに嫉妬していたのだった。

そしてそんなことに嫉妬する自分に嫌悪感を抱くシュナ。

(はぁ、、、ダメだとわかっていても嫉妬してしまいます、、、リムル様、、、)

と思いを巡らせていると前方から魔力が使用されるのを感じすぐさま警戒する。しかしそんな警戒はただの杞憂でしかなかった。

シャルティアの転移を使用したのだった。

シャルティアの転移魔法で先ほどまでいたダンジョンのような空間とは全く異なり絢爛豪華な装飾が施されている通りに転移した3人。

そこには一際大きくて荘厳な扉があった。

 

 

「こちらでアインズ様がお待ちになっているでありんす。」

リムルは返事をしようとしたが扉が開き始めたためそちらに意識を向けた。

扉の中はとてつもなく広い空間で奥に玉座が構えられている。

そこまでの道は埃一つない綺麗なレッドカーペット。

リムルは内心でフォーマルな格好をしていくように言ってくれたシュナに心底感謝した。

開いた扉を通りレッドカーペットを進み玉座にいるアインズのもとまで進む。

アインズを見てみると、彼は彼でいつも以上に贅を凝らした服装をしており、リムルの外服が及第点にしか思えないくらいの素晴らしいものだった。

その間に何か俺らの説明がされていたようだったがリムルは色々とそれどころではなかったので全く話を聞いていなかった。

目の前まで行くと玉座に座るアインズ、その後ろに何人かがいた。

いつの間にかシャルティアもそちらにいる。

 

 

見たことある人もいれば初めての人もいるので眺めていると会場全体に響く透き通った声で守護者統括アルベドがリムルの紹介をする。

「アインズ様、テンペスト国より国王リムル=テンペスト、お目通りをしたいそうです。」

「よく来たな国王リムル、私がこのナザリック地下題墳墓が主人アインズ・ウール・ゴウンだ。」

(え?え?え?え?え?え?え?何何何?聞いてないんだけどこんなのなんて言ったらいいんだ?「ちょっと、ラファエルさん、助けて」)

(「解、今からいう言葉を繰り返してください」)

(「歓迎心から感謝する、アインズ・ウール・ゴウン殿」)

「歓迎心から感謝する、アインズ・ウール・ゴウン殿」

「今日は同盟を結ぶために来てもらったが、これからも長く付き合うことになるのだ。私の腹心たちを紹介させてくれ。

まずは前回も会っているものたちからだ。

守護者統括アルベド 、第1、2、3階層守護者シャルティア、

第6階層守護者アウラとマーレだ。彼女らのことは以前にも伝えた通りだ。

 

 

そして新たに3名紹介したい。

まずは第5階層守護者コキュートス。

前回彼はリザードマン集落の統治のためナザリック外に出ていた。

次に第8階層守護者デミウルゴス。

彼はヤルダバオトとして各地で様々な計画をしている。

最後に執事長のセバスだ。

彼の行っていた仕事は王国での情報収集。

それぞれひと段落ついたためこちらに戻って来ている。

しかし今後も忙しくなる可能性があり説明する機会がないのでまず紹介をさせてもらった。」

(今すごく聞き流してはいけない単語が聞こえたけど、とりあえずスルーするか)

 

(「あぁこれからよろしく頼む。

  俺からも仲間を1人紹介させてもらいたい。

  彼女は鬼人族のシュナだ、俺の補佐役についている。」)

「あぁこれからよろしく頼む。

俺からも仲間を1人紹介させてもらいたい。

彼女は鬼人族のシュナだ、俺の補佐役についている。」

「ほぉ、鬼人とな、それでは同盟の件だ。

そちらは決まったか?私たちとどのような同盟関係を結ぶかを」

「あぁ、同盟の件やその他諸々と話し合いたいことがある。

どこか話し合える場所はあるだろうか?」

「了解した、それでは今から準備しよう。あちらの部屋で待っていてくれ。」

「分かった、行こうか、シュナ」

「はい」

 

 

別室に連れてこられたリムルとシュナは揃ってため息を吐く。

「はぁーなんつーことしてくれたんだよ、マジで緊張したわ。」

「わぁ、リムル様すごいです、あんな場所であんなにも堂々と、、、」

「いや、まー、たまたまな、てか同盟のこと任せちゃっても大丈夫か?」

一言二言とは言えそれは全てラファエルさんのおかげだけどそんなこと言えるはずのないリムルは話を逸らす。

「多分、大丈夫だと思います。私たちの条件はこっちにくる前に決めた通りで、基本的に相互協力の関係構築ですよね?

向こうからの要求があった場合はどうするんですか?」

「俺らの内容は決めた通りだな。向こうの要求はこっちに無理がない範囲で飲めばいいぞ。

アインズと俺は保険としてこの同盟を結びたいだけだからな。こっちが無理してまであっちの要求を受け入れる必要はないぞ。

ま、向こうも俺と同じ考えのはずだからそんなに気張らなくても大丈夫だぞ。」

「わかりました、では頑張りましょうね、リムル様」

「あぁ頑張ってくれ、シュナ」

 

 

「???はい?リムル様とアインズ様が話し合うんじゃないんですか?」

「ああ、俺らはまた別のことで話があってな。

だから交渉は多分シュナとあのアルベドって人だと思うぞ」

「え!?、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、頑張ります!」

(ものすごく間が空いたがなんとかやる気にはなってくれたようで何よりだ)

「それでリムル様は何をなさるんですか?」

「ええ?ああ、アインズと話があるんだ。

内容は、、、言っていいのか分からないから、ごめん秘密な」

(ただアインズが素で話したいってだけの理由言えないよなぁ、、、)

「はぃ、、わかりました。」

とどこか残念そうにするシュナ。

 



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4-2 名ばかりは大仰な同盟

今回は短いです。すみません。
次パートが長いのでまとめるか迷ったのですが切ることにしました。
理由は、、、、、、、、、ないです。

嘘です、この章が短いので話数稼ぎたいなって思ってしまいました。


 

「それでデミウルゴス、アルベド。

あの者と同盟関係を持つことはお前たち二人が心配するほどのことか?」

「はい、あの下賤なスライムとの同盟など、、、」

「いや私は同盟に賛成です。

アルベド、君が何を気にしているのかは分からないが私はアインズ様がおっしゃったように異世界の能力などを取り入れてナザリックの戦力の底上げし、

そして私たちの強化を目指すのはとても利にかなっていると思うんだけどね。」

「そ、それは、、、そうかもしれないけれど」

(スライムがまた私のモモンガ様を奪う。それだけはなんとしてでも、、、)

 

 

「アルベドが何をそこまで嫌がっているのかは私にも分からないが、先ほどのような国と国の公的な対応をこなせない国など同盟を結ぶ価値がないと言ったのはお前だ。

そして彼は我らと同盟を結ぶにふさわしい対応を見せた。違うか?」

「はい、アインズ様のおっしゃる通りです。」

「ならば予定通り同盟は結ぶ。良いな?」

「はい、かしこまりました。」

「会議はデミウルゴス中心に進め、テンペストとの同盟を締結せよ。」

「かしこまりました。しかしアインズ様、自らが国王リムルと決める方がよろしいのでは?」

 

 

「あぁ、私は別件でリムルと話がある。その間に内容をある程度決めておいてくれ。

本来アルベドに任せようかと思ったんだが、今のアルベドが正常な判断ができるか些か不安なのでな。」

「なるほど、かしこまりました。」

「あ、アインズ様、い、今なんとおっしゃいましたか?」

「すまないな、アルベド。

お前を信用していないわけではない、ただ少し不安なだけだ。」

「い、いえそのことではなく、今あのスライムと話があると、、?」

「そのことか、そうだが、それがどうした?」

「それはもちろん私も同席のもとで話し合われるのですよね?」

「何を言っている?

違うぞ、アルベド。お前はデミウルゴスの補佐だ。

第一リムルとの話し合いは誰も同伴させるつもりはない。」

 

 

「し、しかしそれでは御身にもしものことがあったら、、、

第一デミウルゴス、どうしてあなたはアインズ様をお止めにならないの!?」

「君が何をそんなに必死になっているのか分からないが、

どうしてアインズ様の御身がこのナザリック内で危険になるんだい?」

「それはあのスライムが」

「まずあり得ないだろう。

これから同盟を結ぼうとしている国の王に危害を加えて相手になんのメリットがあるんだ。

それにアインズ様が他国の王と人払いまでしてなされるお話だ。

我々のような非才の身には到底理解の及ばない大切なことを話し合われるのだろう。

それを配下の私たちが邪魔をするなどあってはならないことではないか?」

「そ、それは、、、」

(まじデミウルゴスないす!

今回はその深読み本当に助かるよ!!!

まぁただリムルに愚痴りたいっていう国のトップとしては終わってるような行動だけど絶対デミウルゴスが対応した方がうまく行くもんな、うん。)

アインズは内心でデミウルゴスに賛辞を送りついでに自分の行いを正当化していた。

アルベドは何も言い返せなくなり話は終わった。

 

 

 

「初めまして、アインズ様より先ほど紹介いただいたデミウルゴスと申します。」

「私も先ほど紹介していただいたアルベドよ、よろしく」

「はい、お願いします。リムル様の側近でシュナと申します。」

「それでは早速だが同盟内容について話し合おうか。」

「はい、まずはそちらのお考えをお聞かせ願えますか?」

 

「我々は正直この同盟の重要性がいまいち掴み切れていなくてね。

 もちろんこの同盟にはメリットもあるがデメリットもある。

 しかし我らが主人はデメリットなんてまるでないかのように同盟を結ぼうとした。

 しかし同盟の内容はさほど気にしていない。

 あれほど望んだ同盟なのに今そちらのリムル陛下と何か話し合っているご様子。

 話し合いの内容がわからない以上判断することは少し難しいが、アインズ様は貴国もしくは貴国の王との接点が欲しかったのではないかと私は考えました。

 だから私たちの考えとしては当たり障りのない内容で貴国との関係を保ちたいと思っています。

 シュナ殿はリムル陛下から何か聞いていないのでしょうか?」

 

「なるほど、わかりました。

私もリムル様のお考えを全て聞いたわけではないのですが困った時に相互扶助できる関係が良いとおっしゃておりました。」

シュナの意見を聞いたアルベドが

「相互ねぇ、、一方的にではなく?」

とどこか挑発めいた口調でシュナに話しかけるアルベド。

「リムル様に同盟を持ちかけたのは貴国の王だと伺いましたが、ご存知ありませんか?」

イラッとはしたがあくまで外交の場なので冷静に煽り返すシュナ。

やや青筋が浮かんでいるアルベドをデミウルゴスが制し、謝罪する。

「いや、本当にすまないね、なぜか彼女気が立っていてね。

それより私はアインズ様から同盟を持ちかけたという話は初耳でして、

詳しく聞かせてもらってもよろしいですか?」

 

 

「ええ、構いません。と言いましても私も詳しくはわかりません。

ただ同盟を持ちかけられて理由を尋ねたらお互いに信用できるから同盟関係を結びたいと言われたとしか」

「出会ったばかりの相手を信用、、、

いや出会ったばかりでは、、ないのか、、?なるほど。そういうことでしたか。」

「デミウルゴスさん?」

「ああ。失礼、参考になりました。

それでは同盟はこのようなこのような感じでどうでしょう?」

 

 

「異世界同盟」

 1.相互不干渉(過度な相互干渉を避ける)

2.協力要請(依頼された際に干渉する)

 3.交換留学生制度(見聞を広げるためのもの。技術相互支援など。)

 

 

「初めはこのような感じでどうでしょう?」

「そうですね、、しかしこの1と2が矛盾しているように思うのですが、

どういった意図で?」

「1は過度に互いの世界、組織の在り方や方針に口を出しすぎないようにするためのものです。

今後付き合って行く上で貴国の世界のとはどうしても相いれないことも発生するかもしれません。

そうした時あまり干渉しすぎるというのも関係悪化につながる可能性があります。

2は目的のために互いへの干渉を許可するというものでしょうか。

ですので1と2は矛盾しているようですが危機管理と利益確保のためのものです。」

「なるほど理解しました。

3は、、、特に問題ないですね。

 

私から何か追加したいことはないので問題ありません。」

「わかりました。

ならばあとはこちらをお二人にお見せして正式に同盟締結といった流れですかね。

本日はお疲れ様でした。」

と言って手を差し出してくるデミウルゴス。

シュナは手を握り返す。

一見和やかに終わった外交だったがデミウルゴスの半歩後ろにいるアルベドは終始不機嫌だった。

 



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4-3 存在したかもしれない休み時間

 タイトルを「支配者の価値観」にするか迷いました。
でもそんな大そうな話をしてないので今のやつにしました。

そうですね、きちんと言わないといけませんよね。
おはようございます。


シュナとデミウルゴスが話し合っている中こちらでも話し合いが行われていた。

話し合いと言っても学校の休み時間に行われるような、

「うわ、次の時間の小テスト勉強してねぇ」

「乙、もう無理だから諦めな」

くらいのくだらない会話だが。

「それで、同盟締結の内容決めの時に二国のトップが私室でグダってて良いのか?」

「何も問題ない。私の部下は私より圧倒的に優秀だからな。」

「それ自分で言っちゃうのな。まぁ俺もそうだけど。

それで今回の同盟どんな感じの内容にするんだ?」

 

 

「知らん」

「おい!本気か?!」

「八割型本気だ。

私としては相互協力のできるような同盟を結んどいてくれと伝えたがまたどのように歪曲して伝わっているか、わからないのでな。」

「あぁーこの間もそんなこと言っていたもんな、、、

あ!そういえばなんだよさっきのあれ、あんな型式ばった歓待されるなんて聞いてなかったぞ」

「私もだ、なんか本当にすまないな。

エ・ランテルから戻ってきて守護者たちにお前がくることを伝えたらアルベドが露骨に嫌そうな反応してな、

それからいくつか同盟を結ぶ際の条件みたいなのを提案されて、満たせないようなら同盟を結ぶ意味がないと熱弁されてな。」

「アルベド、、、、?あーあの黒髪美人の人か。

前回も聞いたけどまじでなんで俺あの人に嫌われているんだ?

てか、お前王様だろ?バシッっていえば良いんじゃなかったのか?」

「私もアルベド本人に同盟締結を否定する理由を聞いてみたんだがあの下賤なスライムなんての一点張りでな分からない。」

「下賤って、、、俺そんなに嫌われてんのな、、、まぁ良いけど。」

 

 

「それとアルベドの意見を聞く理由だが、、私は賢王ではない。

それなのに周りからは全て肯定され神格化されかかっている。てかされている。

その中で部下の意見も聞かず恣意的な行動ばかりしていては愚王になってしまう。

だから私は私より優秀な部下の意見を聞いている。」

「なるほどな、俺も優秀じゃないから周りに助けられているってのにすっかりそのことを失念していたな、悪かったな。」

「いや気にしないでくれ。それより前回ナザリックに来た時はまたすぐ来ると言っていたのにずいぶん遅かったな。何かあったのか?」

「ん?そうか?そうだな。でも向こうの2日がこっちの1日だから結構早かったと思ったんだけどな。俺の世界に魔王がいるって話たっけ?」

「聞いた、というよりその魔王がお前なんじゃないのか?」

「俺もそうなんだけどさ、何人かいるんだよ、俺の世界に魔王。」

「ほう、それはまた面白いな。それでその魔王らと戦いにでもなったのか?」

 

 

「不定期で開催されるワルプルギスっていう魔王の集会があるんだけどそこで魔王の1人に仕掛けられてな。」

「ワルプルギス、、面白いな。私もぜひ参加してみたいものだ。」

「まぁ機会があったらな、でもお前より強いのも何人かいるぞ」

「ほう、やはり興味深いな、でも私より強いやつか、会ってみたいが会いたくないな」と苦笑するアインズ。

「まあそんな感じで相手魔王国と俺らの国が戦争になって、それには勝ったんだが今度は俺が新しい魔王だからって人間至上主義の国から狙われているんだよ」

「そちらも大変のようだな。敵からも味方のような奴からも狙われて。どこの世界にも人間至上主義の者はいるのだな。そんな中で国を留守にして大丈夫なのか?」

「俺の仲間は優秀だからな、2、3日くらい空けていても大丈夫だ。ただまぁ心配だから同盟の件が終わったらすぐ戻るけどな」

 

 

「そうだな、その方が良いだろうな。ただ先日、イビルアイと会う約束しているとか言っていなかったか?」

「あ!そういえばそうだった、危ねぇ、、、」

とやばいという顔をした後まだ約束した日がすぎたわけでもないのでそっと胸を撫で下ろす。

「それでなんの用件でイビルアイ から呼ばれているんだ?」

(あーそういえばこいつには今度会った時話すって言ったんだっけ。

でも本人の恋愛のことだし、、、第一その相手本人だしな。なんて言おうか、、、)

「相談事があるって言われてな。」

「相談事?、、、、、あぁなるほどあれのことか、しかしなぜお前に?

それほどまでに親しくなったのか?」

(なぜイビルアイがリムルにあの王女と仲間のことを?)

「え!?あれって、わかるのか?」

「ああ、私も相談されたからな、もちろんモモンの時だが」

 

 

(相談?は?え?なんであいつは好きな相手に好きな人のこと相談してんの!?)

「そ、それで、、なんて答えたんだ?」

「放っておくのも嫌だったのでな、いつでも連絡できるように手紙の魔法道具を渡したぞ。」

「放っておくのもいや?、、、、、

(え?割と脈ありなのか!?いやそれにしたら扱いが雑な気もするが、、、)

手紙は来たのか?」

「いや来ていない、私ではどうすることもできないからな。

だから今回リムルに相談したいと思ったのか」

と自己完結するアインズ 。

(お前じゃどうすることもできないって、、、

お前しかどうにかできないことだろ!、、、)

「なあ、それってお前にしかどうにかできないんじゃないか?」

 

 

「私にしか?何を言ってるんだ?仲間のことだ。

私にはどうすることもできまい。というより相談の内容はもう聞いているのか?」

(仲間、、、?あ、話ずれて、、ないか?

そりゃそうかいくらイビルアイがモモンのこと好き過ぎでも本人にはいえないよな)

「え?ああ、そういえばアインズはイビルアイのことどう思うんだ?」

これ以上この内容を話していると話がズレていることに気がつかれそうだったので無理やり話を変えるリムル。

そんなリムルに特に気にした様子もなく

「イビルアイのことか?はじめてあったときの印象は最悪だったな。」

と答えるアインズ。

「初めて会った時?それって王都襲撃の時だったか?」

「ああ、知っていたのか?」

「この間蒼の薔薇と依頼受けている時に聞いてな。

ヤルダバオト?が攻めてきたとかなんとかって。それでなんで印象最悪なんだ?」

「そのヤルダバオトのことなんだがな、私の部下なんだ。

王都襲撃はさっき紹介したデミウルゴスの計画の一部でな」

 

 

「は?!さっき謁見の時、聞こえたデミウルゴスって人がヤルダバオトってのは幻聴じゃなかったのか、、、てかマッチポンプが甚だしいな!」

「まあそうなんだが、、、実を言うと私も知らなくてな、、、」

「どう言うことだ????」

「まず事の発端は王都の貴族から悪魔に襲われているから王都に来て欲しいと言う依頼があった。

冒険者モモンとして依頼を受けて実際王都に行ったんだが、ヤルダバオトことデミウルゴスが蒼の薔薇のイビルアイと戦っていてな、

流れ的にヤルダバオトと戦う羽目になったってわけだ。」


「何も聞かされていなかったのか?」

「これも話すと長くなるんだが、王都襲撃の少し前に王都に派遣していたセバスが王国の裏組織から目をつけられていてな。

そいつらを潰すよう命令を出したんだが、そしたら紆余曲折あって王都襲撃になっていた。

訳を聞いたら理由は色々とあったがとにかくその組織を乗っ取るための陽動が必要だったらしくてな、そのためのヤルダバオトだったらしい。」

「それはなんとも大掛かりだな。優秀すぎる部下の弊害ってやつなのか?、、、」

 

 

「そうなるのか?

しかしナザリックからしたら何もマイナスがないから特にいうこともなくてな。」

「そうか、、、てかそれでなんでイビルアイの印象が最悪なんだ?

ヤルダバオトと戦っていただけだろ?」

「いや、その前にもう一人、私の部下と戦っている。

その際に私の部下が殺されかけてな。

もちろん襲撃を仕掛けたのはこちらだから何も文句など言えるはずもないがここにいる皆は私のかけがえのない宝、子供達だからな。

それにメイドと戦って瀕死にまで追い込んだって話をされた時イビルアイに対して私とナーベは殺気を出してしまったからな。

どこか怪しまれているような気もするんだ。」

「それで最悪の印象か、、、」

(いやそれはないぞ、アインズ。あいつお前にベタ惚れだぞ)

と内心で思うものの口に出すわけにはいかず一言で黙ってしまう。

 

 

「ただ今は違うな、この間共に仕事をする機会があってなその時彼女について少しだが知ることができたからな、今は小動物に向ける程度の愛情があるな」

「小動物、、、?」

「ああ、私はこの体になってから人間の頃と思考が変化してな、、

関係のない人間を殺しても何も感じないし、他のいろんな欲求もほとんどない。

このナザリックの存続が今私の中にある一番強い欲求だ。」

「なるほどな、この間も言ってたけど人間らしさが綺麗に取り除かれているんだな、その体。」

「まぁな。問題ないわけはないが今はまだ人間だった頃の感覚が残っているからそれほど気にはならないが、、」

「不老、、、っていうか、もうそういう話ですらないか。

ずっとこの国の王としてやっていくのか?」

「ああ、私もそこが少し不安でな。リムル、お前も不老なんだろう?どうするつもりなんだ?」

「んー俺か?俺は初めの頃は国が安定してみんなが俺を必要としなくなった頃にでも気ままに旅でもしようかなとか考えてたな。

ただ今は、みんなどんどん強くなって種族進化までして寿命まで伸びてきてるし国と国の問題も山積みだからまだ今後のことは考えられないな。」

 

 

「そうか。まだ先のことは考えられないか、、、。

私の場合は、、、ここから離れるつもりはないし離れられないだろうな。」

「離れられない?」

「ああ、ここ、ナザリックは私の全てだ。

現実に家族も友人もいない私が唯一友と呼べる人たちと作り上げた空間だからな。

捨てることはできない。例え他の皆がリアルを選び、去ってしまってもな、、、、。

それにここの子供たちは薄らとだが向こうでの記憶があるらしくてな、

自分たちは捨てられたという風に思っているらしい。

それなのに最後に残った私が彼らから必要とされているのにここを離れるわけにはいかないだろう」

「そうだったのか、、、。」

「ああ。」

 

 

「ずっとこの国に君臨し続けるなら王妃とか作るのか?

俺も無性だけど国王だからどうしようかと思ってな。」

「王妃か、、、、」

「ああ、アルベドさんとかめっちゃお前のこと好きそうだし、どうなんだ?」

「、、、はぁ、、、アルベドか、、、

あれは私が彼女の性格を歪めてしまったからああ言う感じになっているだけだ。」

「歪めた?」

「そうだ。ユグドラシルのサービス期間の最終日に皆のキャラ設定を見ていてな、

アルベドの設定をビッチからモモンガ、私を愛しているって言うふうにしてしまったから今のような感じになっているんだ。」

「それだからダメなのか?」

「ああ、あれは本来の、仲間が思い描いた彼女ではないからな。」

「でもビッチで自由に動き回れるようになるよりはお前のことが好きっていう風の設定の方がいいんじゃないのか?その制作者がよっぽど変な性壁でない限り。」

「そういうものか?私はどうにも納得できなくてな。」

「もし純粋に好意を寄せられているとしたら、無性でも嬉しいのか?」

「それはまぁもと男のわけだし嬉しいな。ただ嬉しいと言うだけでアルベドを王妃に、私の妻にと言うわけにはいかないと思うがな」

 

 

「どうしてだ?好みじゃないのか?」

「いやかなり好みだ。たださっきも言ったが彼女も仲間が残した大切な子供たちだ。そういった対象として見られない。」

「まあそうか、友人の子供のような存在だもんな。そうなるよな。でも一生このままでいるのか?」

「そのつもりだ。

このナザリックのもの以外で今も昔も私を受け入れてくれるものなどいるわけあるまい。」

「もしいるとしたらどうなんだ?」

「それでもあまり今と気持ちは変わらないだろうな。」

「そうかー、でも単純な好みの話をするならアルベドさんみたいのが好きなのか?」

「見た目の話か?それなら割と好みではあるな、残念美人感は否めないが」

「そう言うのが好きなのか、金髪とか染めているのは?」

「金髪?どうした突然?、、、、そうだな、

元日本人なだけあって黒髪に惹かれてはしまうが別に絶対黒髪ってわけではないから髪色は気にしないな。

というより私自身がこの見た目だからな容姿はたいして気にしないな。

その代わり好みとかもほとんどないんだがな」

と自嘲気味に笑うアインズ。

 

 

「そうか、なら、、、」

さらにリムルが質問しようとすると流石に変に思ったのかアインズがリムルの言葉を遮った。

「おい、さっきから私の好みなど聞いてどうした?」

「ん?あ、いや、まぁ未来の人間の好みは昔と変わってるのか興味があったんだ。」

「あーなるほど。少し私も気になるところではあるがそろそろ時間だろう、いくか?」

「ああ、もうそんな時間か。なんか仕事サボってるみたいでシュナに会いにくいな」

「サボってるみたいと言うか実際にサボってるんだがな」と苦笑するアインズにつられリムルも苦笑した。

なんとか誤魔化せたと安堵する反面、大してアインズの好みや恋愛観について聞き出せなかったことにがっかりしていたリムルだったが

張り詰めた空気が会議室一体に広がっており、さっきまでのやるせない感情は一気に霧散した。

 

 




トマス二世さん誤字報告ありがとうございます。


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4-4 信頼と殺意

4章終了です。
早いですね(他人事)
やっぱり見切り発車じゃなく、しっかり同盟が必要な理由など考えた上で書き始めないとだめだったなと猛省しています。

それと読んでくださっている方には申し訳ないんですが諸事情により、土曜、日曜は更新できるかわかりません。
ご了承いただけますと幸いです。



二人がやってきたことに気がついたデミウルゴスとアルベドはアインズに頭を下げ、シュナはリムルに軽く頭を下げて報告する。

「リムル様、同盟の内容の件なんですが大体決まりましたので報告させていただきます。

「ああ、決まったのか?今何か話してるようだったけど」

「はい、同盟の内容に関しては少し前に決まっております。」

「そうなのか?なら何の話を、、、」

「はい、内容はこのような感じです。」とリムルが会話の内容を聞く前に話始めてしまった。

聞いた内容は相互不干渉に協力要請、交換留学生制度と先ほどアインズが言っていたように相互協力を主とした、と言うよりそれ以外には特に何もない感じだった。

 

 

アインズが二人の前まで行き進捗状況を尋ねる。

「それではお前たち、同盟についての報告をせよ」

「かしこまりました。

しかしそれほどお伝えするようなことはなく先ほどアインズ様が仰られた通りでございます。」

と少々疲れ気味のデミウルゴスが報告する。

アインズはこの報告に今まで散々騙されてきたので詳しく聞く。

「それならばなぜ今まで話し合いをしていたのだ?」

「その件ですが、それは、、、」

「アインズ様、同盟の内容こちらでございます。」

デミウルゴスが何か言おうとしたがアルベドが言葉を遮る。

少し不思議に思ったがアインズは差し出された紙に目を通す。

 

 

内容は相互協力のことだけで他のことは特に何も記されていなかった。

深読みレベルカンストのこの二人が自分の言ったことだけをするなんて今までなかったので逆に不安になり尋ねてみる。

「内容はこの3つだな?他に何もないな?」

「はい、この3つだけです。明確に立場をはっきりさせるような項目を作ろうとしたのですがデミウルゴスに止められてしまいまして。」

「いや、良好的な関係を築きたいからな、構わない。デミウルゴス、あのリムルの配下と話してみてどう感じた?」

「まだはっきりとは申し上げられませんが非常に賢く優秀だと感じました。

今回作成した条文だけではただ上の者の意見を反映させただけの条文に思えますが、彼女は主人から今回の内容をすべて自己の裁量で決めるように言われたそうです。

もし本当にすべて主人から任せられているのならそれに足るだけの信頼があると言うことかと。」

 

 

「なるほどな、リムル本人も側近のような感じで話していたのだし実際優秀なのだろう。」

「はい。しかし実力で警戒するならあの国王リムルだけで問題ないかと。あのものは確かに優秀ですが1人で我々に危害を加えられるとは思いませんので。」

「それはまぁそうかもしれないがこれから友好関係を結ぶ国にそこまで警戒する必要があるのか?」

「それは、、」

デミウルゴスが何か言おうとしたが再びアルベドに会話を遮られる。

「アインズ様、あちらも話し合いのほうは終わったようです。」

「あぁ、そうか、では私とデミウルゴスは見送りに行くのでその間に急いで作成するように」

「かしこまりました。」

アルベドは一礼し、デミウルゴスを一瞥した後書類を作成しに行った。

 

 

 

「リムル、今書類を作成させているから少し待っていてくれ」

「わかった。俺らはその書類をもらい次第戻るな。あっちが少し心配なんでな」

「そうだな、向こうでの問題を片付けたらまたゆっくりしにでも来い。あー後イビルアイの話忘れるなよ。」

「ああ、さっきまで忘れてたけどもう思い出したから大丈夫だ。ま、ちょこちょこくるからその時はよろしく頼むわ」

「いつでも歓迎しよう。できれば早くそちらとの連絡手段を確立させたいものだな。」

「んー確かにそうだな、今度俺らの技術開発してる奴ら連れてくるからまたその時にでも考えないか?」

「そうだな、こちら準備しておこう。書類もできたことだしそろそろだな、また来るといい、二人とも」

「あーありがとな」

「ありがとうございました、これからよろしくお願い致します。」

ラフな感じで手を上げるリムルに深々とお辞儀するシュナを見送ったアインズは一人転移で私室へと戻った。

残ったデミウルゴスとアルベドの間にはなんとも言えない雰囲気があった。

 

 

 

 

「それで、デミウルゴス。私が離れている間にアインズ様に何か余計なことを言ってないでしょうね?」

「余計なこととは何だい?シュナ殿と険悪な感じになったことかい?」

「わかっているのにわざわざ確認しないで頂戴、あのクソ小娘もクソスライムも本当にむかつく。どうしてアインズ様はあんな奴らと同盟なんて。。。」

「何度も言うけど同盟はメリットが大きいだろう。多少のデメリットはあるとしても我々の戦力が増強されるならばこれに越したことはないだろう。」

「ええ、そうね。それならば何も問題はないわ。ただなぜ隷属にしないのかしら?

あのスライムの実力はそこそこかもしれないけど所詮1人でしょ?

第一私たちはあいつの国すら見たことがないのよ?

それなのに対等な同盟を結ぶなんて、、、」

「私も初めそこが不可解でした。

 

 

しかし先ほどのシュナ殿の意見を聞いて思ったのですが、アインズ様とリムル殿は元々面識があったのでは?その点にあなたも薄々気になっているのでは?」

「そんなはずないわ!?そもそも私たちがあのスライムに会ったのはあいつが偶然にナザリックに侵入してきたからよ?それなのに何でアインズ様があいつと面識があるのよ?」

「私にも正確なことはわかりませんがそうでなければあそこまで親しげな理由がつきません。リムル殿はスライムです。我々の知っている形態と違う可能性もあります。」

「そうしたら向こうは何かしら言うでしょ?」

「もし我々には言えない理由があったとしたら?

例えばこの地をさられた御方々とか。」

「そ!そ!んなはず!!!!あるわけない!!!ナザリックをさられた方が今更何の、、、、まさか、、、、、」

「ええ、もしかしたらアインズ様を、、、」

 

 

「だめ、絶対に許さない、そんなこと絶対に、最後まで私たちのもとにいてくれたモモンガ様を連れていくなんていくら私たちの創造主たちとは言え絶対に許さない、、、、、

殺す、、、、殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す

殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す

殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す

殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す

殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す、、、、、、」

 

 

と呪詛のように殺すと呟き出すアルベドに対してデミウルゴスはあくまで冷静に

「まだこれは可能性の話でしかありません。

もし仮にそうであったならば私たちの身の振り方も考えなければならないのでもう少し冷静になってくれませんか?」

「身の振り方、、、?仮にウルベルト様がいるならそちらに行く、アインズ様を裏切ると言うことかしら?」怒気まじりの質問にもデミウルゴスは冷静に

「いいえ、アインズ様を裏切るなどおかしなことは言わないでもらいたい。

仮にあちらにウルベルト様がいるとして私がそちらに行こうと敵対するわけではありません。それに創造主に仕えることのどこに裏切りがあるのでしょう?」

「あなた、、、、、そうね、、、まぁ今はその可能性があるかもしれないってだけでいいわ。」

 

 

 

 

リムルとシュナが転移で戻ってきた日の夜みんなを集めて再び会議が行われた。

会議といっても同盟の内容についての報告がメインだったが。

「えーっとてなわけで異世界同盟を結んできたからみんなよろしくな」

「よろしくなってどんな内容なんですか?」

リムルの雑な説明に苦笑いしながら質問するベニマル。

「んーまぁ大した内容じゃないぞ。相互協力だったり、過度に接触しないようにとか」

「なんかそれ矛盾してませんか?」

「お兄様、それはまだ両国の関係が深まっていないことと、異世界の国のため好きな時に連絡を取り合うこともできなければ、向かうこともできないからです。

なのでお互いが探りつつ協力できるようにとしたのです。」

「なるほどな、てかリムル様が結ぶって決めた同盟なんですからしっかりしてくださいよ」

「いやー悪いな、全部シュナに任せっきりでな」

と苦笑するリムル。それを見て笑う会議に出席した面々。

 

 

「リムル様質問してもよろしいですか?」

とその時たまたま会議に出席していたドライアドのトレイニーさんが訊ねてきた。

「なんですか?トレイニーさん?」

「私はその異世界の国と同盟を結ぶことについて今日初めて知ったのですが、どうして急に明確な理由もなく同盟を結ぼうとお考えになられたのですか?」

「あ、そっか。トレイニーさんこの間いなかったんだっけか。

理由はこの前も言った通りなんだけど、俺が魔王になって人の国と色々揉めてる現状だとこの世界のどこかの国と同盟を結ぶより安全かと思ったんだ。

それにあいつらの国は強い奴が多いしな。」

「ですが出会って間もない方達なのですよね?

本当にこの世界の国と同盟を結ぶより安全なのですか?」

「確実に安全とは言い切れないけどな。

ただ相手国も魔物の国だし、王とは関わりがあったし大丈夫だと思うぞ。

まぁだから本音を言っちゃえば互いの関係を維持するためというより保険として同盟が必要だったんだけどな。まぁそれは向こうも同じ感じだとは思うけどな。」

「なるほど、保険ですか。その王とリムル様のご関係とは?」

「悪いな、それは向こうから言わないで欲しいって頼まれていてな。」

「そうですか、分かりました。」

 

 

リムルとトレイニーの会話を聞きながらシュナは疑問が一つ解消されたと同時に新たな疑問が生じた。

(リムル様は同盟内容を気にしていらっしゃらなかったけど今ので納得。

ただどこであの恐ろしい王と関係ができたのかしら?

そういえばデミウルゴスさんは御方々とか言っていたけれど関係があるのかな、、?

リムル様は教えてくださらないでしょうし、んーーー気になります、、、)

とシュナが脳内で熟考しているうちに会議はお開きとなり、その場にはリムル、シュナ、ベニマル、シオン、ソウエイが残った。

「それでヒナタの件とディアブロの件で何か進展はあったか?」

「ディアブロの方からは何も。

しかしソウエイの部下の隠密がヒナタサカグチが何名かのものと共にこちらテンペストまで来ているのを発見したものがいます。

今のところ街道を進み途中休憩所に寄ったりするだけで特に怪しいことは何もないので放置していますがいかがいたしますか?」

 

 

「え?!あいつこっち来てるのか。

複数できたってことはあのメッセージ見てないのか?

それともキレたのか?とりあえずそのまま見張っておくようにしてくれ。」

「リムル様そんなやつ私と私の剛力丸改で叩きのめしてきます!」

ソウエイが返事をする前にシオンが割り込んできたがリムルは歯牙にも掛けず

「やめとけって、あいつめっちゃ強いからな。頼んだぞソウエイ」

「御意」

シオンはがっかりした様子で、一方ソウエイは既に行動を開始したらしく姿を消していた。

リムルはここらでヒナタとやり合うことになりそうだと思いつつイビルアイとの約束に間に合うかどうか心配していた。

 




トマス二世さん誤字報告ありがとうございます。


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5.仲介と招待
5-1 王国最高峰の日常


世間は成人式ですね。開催するか中止にするかなど色々ごたついていたらしいですね。

そんなことはさておき、今回の話は短めです。上手い区切れ目が見つからず短くなってしまいました。すみません。


アインズとリムルの異世界同盟が締結されてから約1月が経った頃。

蒼の薔薇がいつも話し合う時に集まるラキュースの自室にはイビルアイ以外の4人が集まっていた。

 

「あれ?イビルアイのやつどこ行ったんだ?」

「イビルアイなら朝から出かけているわよ」

「モモンに会いに行った?」

「きっとそう」

「んーそうなのかしらね。

今朝どこに行くか聞いたら教えてくれなかったのよね。

と言ってもそれはいつも通りだから特に気にしていなかったんだけど」

 

 

「まぁそのうち帰ってくるんじゃねぇか。

それより聞いたか?

エ・ランテル近郊に巨大な墳墓が発見されたって話」

「ええ、王宮内でもその話が話題になっているわ。

帝国内のワーカーたちが何組か潜り込んだらしいけど誰一人として帰ってこなかったとかで王国の貴族たちがどうするかって揉めているわ。

利権に関わってきそうな問題だから特に貴族派と国王派が揉めているらしくて、、、。」

「その話マジだったのか。

てっきり噂に尾鰭がついて広まったもんだと思ってたぜ。

てか相変わらず貴族ってのは利権や外面ばっか気にしてほんと面倒だな。

それで、調査の依頼とかきてないのか?」

「いくつか来るには来たんだけどエ・ランテルは私たちのホームではないし、エ・ランテル付近はモモンさんのテリトリーだし。

それにだいぶ仲良くなれたと思うから何かあれば声かけてくれそうだと思うのよね。

だから今は断っているのよね。第一危険そうだし。」

 

 

「鬼ボスにしては珍しくまとも」

「私たちも調査したくない、帰れなくなりそう」

「そんなにやばそうな場所なのか?

というかエ・ランテルならイビルアイが真っ先に飛びつきそうな話題だけどな。」

「まぁそうね。実際私もそのことについて聞かれたけど依頼断っちゃたし調査しないってことを伝えたらすんなり諦めてくれたわよ?」

「へぇ、そりゃモモンに会えるかもしれないってに珍しいな」

「そうね、そう言われると確かに少し気になるわね。

んー、、、こっちでよっぽど外せない用事でもあったんじゃないかしら?

エ・ランテルで遺跡?墳墓?調査になると長い時間あっちで作業しないといけないでしょうし。」

「もしかしてそれが今いないことに関係するのか?」

 

 

「はっきりと断言はできないけどね。もしかしたらそうかもしれないわね。」

「そうなるとますます気になるな。モモンに会えるかもしれない以上の約束か」

「きっとイビルアイ別の男見つけた」

「いや、女かもしれない」

「まさか、あの入れ込み具合、そうそう他の人に恋慕なんてしないんじゃない?

それより私たちは今日のうちに今後受けられそうな依頼とか探さなきゃ。

ここのところ悪魔関連のことで忙しかったから。」

「そうだな、あの戦闘きっかけかわからねぇが俺とティアの体の調子も戻ってきたしな」

とイビルアイのことはさほど気にもとめず今後の方針を決め始めるのだった。

 



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5-2 仮面の2人

急いで書いたため誤字がありましたらすみません。


「なんとかイビルアイとの約束に間に合いそうだな。

しっかしあれからヒナタは攻め込んで来るわなんやらでめっちゃ忙しいかったな、、、、、

休みが欲しくて転移したのに結局前より忙しくなってんだからやってられないよな、、、」

と苦笑するリムルだが彼は今テンペストを一旦離れイビルアイに会うためにトブの森へ来ていた。もちろん前々回同様ランガと共に。

「しっかし向こうの2日がこっちの1日っていう謎の時間軸でなきゃ絶対間に合わなかったからな。謎時間軸に感謝だな」

と独り言を呟いているとリムルの向かい側の方から気配を感じる。

向こうも同様でこちらの気配を感じて駆け寄ってくる。

 

 

「久しぶりだな、リムル」

「ああ、久しぶり、にしても日付が合っていて安心したよ」

「なんだ?1ヶ月後としっかり伝えたじゃないか?」

と謎時間軸について知らないイビルアイは不思議そうに首をかしげる。

リムルは異世界のことなんて言えるはずもないので「ははっ」と頭をぽりぽりと掻きながら乾いた笑い声をあげる。

「そ、それでだ、リムル。その、聞いてきてくれたか?モモン様に」

「まぁ立ち話もなんだからあっちの湖の方にでも行って座って話さないか?色々と伝えることも聞きたいことも多いし。」

リムルが場所を変えることを提案するとイビルアイはただ首を縦に振り歩き始めた。

移動中、特に魔物に襲われるたりすることも、なくほどなくして湖に到着した。

 

 

「それで、リムル、モモン様は今交際している方とかはいるのか?

どんな人が好みなんだ?私について何かおっしゃっていたか?」

とものすごい勢いと圧で質問されるためリムルはたじろいでしまう。

「ちょ、ちょっと待ってくれ。そんな一度に質問されても答えられないって!

あと落ち着いて、ほら椅子あるから座って」

と言いリムルはランガとともに机1つと椅子を2脚取り出した。

影から物を取り出すという異様な光景にイビルアイも落ち着きを取り戻し

一言「すまない」と言いリムルから差し出された椅子に腰掛けた。

「何か飲むか?」

というリムルの問いに何故か一瞬硬直したがすぐに

「いや気にしないでくれ」とだけ返事をする。

リムルはすぐにでも聞きたいのだろうと特に不審がることはなく依頼されたことについて答えようとする。

「それでだな、モモンに恋人がいるかどうかだよな?モモンは今現在、、、」

「ちょ、ちょとまっっってくれ、いざ聞くとなると心の準備が、、、、」

 

 

と慌て始め深呼吸を何度もして「スマナイ、オチツイタ。オシエテクレ」

ととても落ち着いていない様子でモモンの話をしたらすぐに取り乱すのは容易に想像できた。

そのためこのままではキリがないのでリムルは話し始めた。

「今はモモンに恋人はいないそうだぞ。それに想い人も。」

今度はイビルアイが止める間も無く一気に伝えてしまう。

イビルアイは「あ、、、」と慌てていたがモモンに恋人がいないと知ると安心したのかホッと胸を撫で下ろす。

「そ、それで好みのタイプとかは何か言っていたのか?」

「んーそのことなんだけどな」なんて言い出したらいいのか悩んでいると

「私に気を遣ってくれているならば構わないから教えてくれ!!!!!」

「いや気を使っているわけじゃ、、、なんというか特に好みはないらしい、、、ぞ?」

「好みが、、、ない?」

「ああ、今は、、というよりは自分にはやることがあるからってどうも恋愛に関してはあまり積極的じゃないっぽい。それに、、、いやなんでもない。」

「おい、!何を言いかけた!?気になるぞ!

やることがあるのか?それは何かリムルは知ってるか?」

 

 

「それは知らな、、、」

知らないというつもりのリムルだったがあまりに真剣な様子でこちらを見つめるイビルアイに嘘をつくのはどうにも憚られてしまい言葉に詰まる。

そしてリムルは改めて言い直す。

「一応知ってはいる。

モモンがこれからやらなければいけないことは。

ただそれを俺からは言えない。悪いな。」

「ど、どうし、、、、そうか、そうだよな。いやこちらこそすまない。」

愛しのモモンと同郷だというリムル。

何かしらモモンについて知っているのだろうが、モモンの重要度の高い秘密を出会ったばかりのイビルアイに教えることはない、というより普通はできない。

ということに気がついたイビルアイは謝罪する。

 

 

「ただそのモモンの事情を知っている俺からすると少し難しいかもしれない。

それでもモモンを好きな気持ちを諦められないか?」

「ああ、私は、私が生きてきて初めて好きになった人なんだ。そう簡単に諦められない、、、!」

「そうか、なら、、、、」

ならモモンに時間作ってもらえるよう頼むことくらいならできるけどどうするかということを聞こうとした時イビルアイの言葉に何か違和感を覚え黙ってしまった。

そんなリムルを不審に思いイビルアイは「おい、リムルどうかしたのか?」と声をかける。が考え事をしているのか返事がない。

仕方がないのでイビルアイはしばらく様子を見ることにした。

(俺は何に引っかかっているんだ?

イビルアイのモモンに対する想いは少なくとも本気であるように思える。

じゃあ何に違和感を感じたんだ?

『ラファエルさん、イビルアイとの会話もう一度知ることはできるか?』

『解、可能です。』

『じゃあ頼む』

 

 

【『そ、それで好みのタイプとかは何か言っていたのか?』

『んーそのことなんだけどな』

『私に気を遣ってくれているならば構わないから教えてくれ!!!!!』

『いや気を使っているわけじゃ、、、なんというか特に好みはないらしい、、、ぞ?』

『好みが、、、ない?』

『ああ、今は、、というよりは自分にはやることがあるからってどうも恋愛に関してはあまり積極的じゃないっぽい。それに、、、いやなんでもない。』

『おい、!何を言いかけた!?気になるぞ!

やることがあるのか?それは何か知ってるか?』

『それは知らな、、、

一応知ってはいる。モモンがこれからやらなければいけないことは。ただそれを俺からは言えない。悪いな。』

『ど、どうし、、、、そうか、そうだよな。いやこちらこそすまない。』

『ただそのモモンの事情を知っている俺からすると少し難しいかもしれない。それでもモモンを好きな気持ちを諦められないか?』

『ああ、私は、私が生きてきて初めて好きになった人なんだ。そう簡単に諦められない、、、!!!!!』】

 

 

『告、内容は以上です。これより前の会話も確認しますか?』

『いや、ひとまずは大丈夫。ありがとう』)

この会話を確認しながら違和感を感じた部分を探すリムル。

リムルは並列思考や超速思考のスキルを併用して違和感の正体を探る。

時間としては1分にも満たない時間だった。そして気が付く。

(俺が気になったのはここか。

『ああ、私は、私が生きてきて初めて好きになった人なんだ。そう簡単に諦められない、、、!!!!!』

普通なら大して気にもならなかったが、、、、

そういえば俺イビルアイの年齢知らないんだよな。

小さいけど話し方は大人っぽいし、実力もこの世界では上位にあるっぽいから忘れていたけど。

悩んでいても仕方ないから本人に直接聞いてみるか。)

「なあイビルアイ、」

「あ、どうしたんだ急に黙ってしまって」

 

 

「いや、悪いな。少し考え事をしていて。それより俺からも一つ質問いいか?」

「ああ、構わないが何だ?」

「お前今いくつだ?」

そうリムルに問われた瞬間一瞬体が硬直するイビルアイ。

「お前の真剣さに押されて忘れてたけど、モモンも流石に未成年とかは恋愛対象外だと思う、、、ぞ?」

「違う!!!!私は断じて未成年なんかじゃない!!!年齢は、、、、」

勢いよく反論した割に年齢について言おうとすると吃るイビルアイをみて不思議に思ったリムルは

「どうしたんだ?もしかしてすごい年齢だったりするのか?モモンは未成年は恋愛対象外だろうけど大人であるなら年齢なんか気にしないと思うけど?」

そう言ってもしばらく無言のイビルアイだったが何かを決心したかのように勢いよく顔をあげ言葉を発する。

「悪い、リムル。私はお前に隠していたことがあるんだ。」

「ん?隠していたこと?

そりゃ1つや2つ誰にだってあるだろ?それが今の話と何か関係があるのか?」

 

 

「ああ。私の年齢のことだ。私はもうかれこれ、、、、、、、、、、、、、、、、、250年以上は生きている。」

すごい溜めのあとのとんでもないカミングアウトによりリムルに加えて究極能力であるはずのラファエルまでもが一瞬フリーズする。

今であればただのゴブリンでもリムルに攻撃を与えられたであろうほどの隙ができた。

そのフリーズした間にもイビルアイは驚くべき情報を伝えていく

「私は特別なタレント持ちでな、元は人間だったのだが子供の頃にその能力が暴走してアンデットの吸血姫になってしまったのだ。」

「そ、、そ、、、そうなのか、、、、」

リムルは突然のことでなかなか次に発する言葉が出てこない。

しかしよく考えるとイビルアイが人間でない、モモンも人間でないのだから意外とうまくいくのではないかと思い始めた。

「だから年齢を言いたくなさそうだったのか。でもそれならどうして教えてくれたんだ?」

「それは、私もはっきりとはわからない。

ただ出会って間もない私の初恋を応援してくれて色々手助けしてもらっているリムルには嘘をつきたくないと思ったんだ。

それに今までこのことを伝えて受け入れてくれた人はほんのわずかだったんだがリムルなら気にしないでくれると勝手に思ってしまったのもあるかな」

と苦笑交じりに話すイビルアイ。

 

 

「そう思ってくれるのは素直に嬉しいな。

イビルアイが話してくれたからこそ俺も話さなきゃいけないことが1つできたんだけど聞いてくれるか?」

とリムルから想定外の切り返しが来たので首をかしげるイビルアイ。

「なんだ???」

「実はな俺も人間じゃないんだ」

今度はイビルアイがフリーズする。

「と言っても元は人間だったからイビルアイと似たような感じかもしれないけどな」

「そ、そうなのか?リムルもアンデットなのか?」

「いや、俺はスライムだぞ」と言って人型を解除して、ただのスライムの状態になる。

「これは、、、、、ほんとにスライムなんだな、、、、

確かに元人間であったのなら私と似ているかもな」

リムルを見てイビルアイは驚きと感心の入り混じったような声で感想を言う。

「俺だって隠し事はあるんだしそんなに自分が人間じゃないことを隠してたって気にしなくていいと思うぞ?

第一、冒険者なんて魔物から人々を守ってるんだろ?そこらの世界どころか世間も知らないボンボン貴族よりよっぽどいいと思うけどな」

「あ、ありがとう、、、、」

イビルアイは驚きと喜びで胸が張り裂けそうだった。

 

 

今までイビルアイがアンデットだと知った者の反応はだいたい2つに分かれた。

1つはアンデットだど分かった瞬間、恐怖し今までの態度をひっくり返して迫害するもの。

もう1つは今の仲間たちのように受け入れてくれることだ。

しかし受け入れ、今までの行動を肯定してくれるものなんて今まで誰もいなかった。

そんなイビルアイにとってリムルが何の気なしに言った言葉は涙が出そうなくらい嬉しいものだった。

「あ、それで話戻るんだけどな、そのまぁ250歳近いんだっけか?」

「正確には数えていないからわからないがそのくらいになると思う。

やはり私にはモモン様は、、、」

「いや問題ないと思うぞ???」

「は?私はアンデットなんだぞ?それにこんな見た目でありえないほど年上なんだぞ?」

「自分で言ってて悲しくならないのか?それにモモンは好みは特にないって言ってたし、それにあいつも俺と同じでイビルアイがアンデットだとしても気にしないと思うぞ?」

「そ、そうなのか?」

「ああ、あいつはそう言ったこと、種族なんかに頓着しないからな。」

 

 

「そうなのか、やはり素晴らしい方なのだな、、、。」

(さて、色々と困ったぞ。

イビルアイもアンデットならモモンも気にはならないだろうが今度はイビルアイの方がモモンがアンデットだってことを知ったらどう思うのか、、、。

てか、俺がスライムで、モモンと同郷って、、、モモンもスライムって思われたりしそうだな。正体をばらしたのは迂闊だったか?

いや、それでもこんなに真摯に俺と向き合ってくれてるんだから、話さないのは嫌だし不誠実だよな。それに、、、、まぁなるようになるか)

とリムルは思考を放棄しイビルアイと話し続けることにした。

「俺からモモンに時間作ってもらえるよう頼むことくらいならできるけどどうする?」

「ほ、本当か?!本当にいいのか!?」

「それに応じてくれるかはわからないけど頼むことくらいならできるぞ?」

「それなら、、、お願いしてもいいか…?」

「ああ構わないぞ。ただ最後に確認させてくれ。

モモンにだってイビルアイと同じで秘密もいくらかあるだろうけど、たとえどんな秘密があってもモモンに対する気持ちは変わらないのか?」

「ああ、私だってモモン様に隠し事をした状態なんだ。例えモモン様にどんな秘密があろうとも気にしない。

この間も言ったが、むしろその秘密を私に共有してくれるのなら私は嬉しくてしょうがない……!!」

 

 

「そうか、、、ならモモンに頼んでみるよ。」

「ああ頼む。ただ私のこと、私がアンデットであることは私が直接伝えたいからモモン様には言わないで欲しい。」

「わかった、」

「また1月後にここでいいか?」

「ああ、また一月後にここで。」

「私は転移で王都に戻るがリムルはどうする?」

「いや、俺はもう少しこのトブの森を散策してからエ・ランテルに戻ることにするよ。

もし1ヶ月以内にイビルアイに連絡したくなった場合はどうしたらいい?

王都に行けば会えそうか?」

「ああ、何かしらの依頼を受けている場合もあるが長期的な依頼を受ける予定はないな。

ただもし私がいなかったら私の宿で半日くらい待っていてくれないか?受付には話を通しておくから。」

「俺はそれでもいいけどいいのか?モモン以外の男を部屋に入れて?」

「バァッ/// 揶揄うな!そもそもリムルはスライムなんだから無性だろ!」

「ははっ確かにな」

イビルアイは顔を赤くし、リムルはカラカラと笑ったのだった。

 

 

*お互い仮面をつけているため互いの表情は正確には分かりません。

 




次回の更新は金曜日を予定しております。
毎日更新できず申し訳ありません。

トマス二世さん誤字報告ありがとうございます。


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5-3 連絡手段

書き溜めの枯渇。掃き溜めの巣窟。今眠たいのでくだらない韻を踏んでしまいました。気にしないでください。


イビルアイと別れたのちリムルは連絡手段の確立とイビルアイの件についてアインズに伝えるため動き始めた。

トブの森からさほど遠くないということもありランガに乗りながらナザリック地下大墳墓に訪れた。

リムルが墳墓に到着したはいいがどこから入ればいいか思案していると後ろから突然声をかけられる?

「人間がここでなんのようっすかー?」

振り返るとそこにいたのはメイド服にスラッシュアックスのような武器を装備しており、明らかにこの墳墓の関係者であるように思える。

軽い言葉使いとは裏腹にこちらを警戒しているようにリムルは感じたため両手をあげ話しかける。

 

 

「アインズに会いに来たんだけど今ここにいるか?それと俺は人間じゃないぞー」

「アインンズ様の御知り合いっすか?失礼ですけど誰っすか?」

「一応この間そっちの国と同盟を結んだ国の王でリムルっていうんだけどアインズから聞いたりしてないか?」

「あぁ、聞いてるっす。あんたがその国の王様なんすね。失礼したっす。ちょっと確認してくるから待ってて欲しいっす。」

相手が自国と同盟を結んだ王だというのに一向に言葉遣いを直そうとしないメイドだがリムルは言葉使いに対して気にしていない。

それよか最初に来た時と違っていきなり攻撃されなかったことにひどく安堵した。

武装メイドが墳墓に入って10分くらいが経っただろうか。

 

 

中からさっきのスラッシュアックスを装備したメイドとガントレットを装備したメイドが現れた。

「大変お待たせいたしました。私は国王リムルの案内を任されました、ユリアルファと申します。」

「ルプスレギナベータと申します。」

さっきの軽い口調は聞き間違いだったのかと思うくらいの丁寧な口調でリムルは心底驚いた。

一瞬返答に窮するもののラファエルさんに助けてもらい丁寧な言葉使いを心がける。

「いや突然の訪問すまない、アインズ殿は今お時間よろしいだろうか?」

「アインズ様は現在手が離せない状況ですので30分ほど待ってほしいとのことです。それまでこちらで案内するお部屋でお待ちいただけないでしょうか?」

「了解した」

と言いリムルは案内された部屋のソファに腰掛ける。

すると先程のスラッシュアックスを装備したメイドが

「飲み物をご用意させていただきました。」とやはり丁寧な口調で話し、給仕を始める。

 

 

ガントレットのメイドが一礼して部屋を後にするとスラッシュアックスのメイドが近づいてくる。

どうしたのかと目線をそちらに向けると、メイドが両手を合わせながら

「さっきのことは黙っていて欲しいっす!同盟国の王にあんな話し方してたってバレたら怒られるっす!」と頼み込まれてしまう。

「いや俺は別に気にしてないから大丈夫、特に誰にも言うつもりないぞ」

「ほんとっすか?助かるっす!!!いや〜話のわかる王様っすね!それもう一杯どうすっか?」

とジュースをもう一杯進められる。そうこうしているうちに30分ほど経過し、扉がノックされガントレットのメイドが再び現れる。

「お待たせしました。アインズ様の準備が整いましたのでこちらにどうぞ」

と言われ転移門のようなところの前まで連れてこられる。

 

 

「この先でアインズ様がお待ちですのでどうぞ」

「この先?了解、案内ありがとう。」聞きたいことはあったもののアインズが待ってくれているためさっさと門を潜ってしまう。

門を通るとそこは前回のような大広間ではなく個人の書斎といった感じの部屋だった。書斎といってもバカ広いのだが。

「久しいなリムル、突然どうした?」と重く荘厳に響く声が聞こえる。

その方向に目を向けると座っているアインズ、そしてその後ろに控えるアルベドが目に入る。

「急に来て悪いな、少し話があってな。」

「話?連絡手段についてか?」

「あぁ、それもあるんだが他にもな。まずは連絡手段の方から話せるか?

いつまで経っても俺がこれるタイミングで転移してメイドさんに案内してもらうのも大変だろうし。」

 

 

「そうだな、私が留守である時もあるだろうしな。

早めに解決しておきたい問題ではあるな。解決策として私が今さっと思いつくのは二つだな。

一つが、こちらが普段用いている連絡方法が異世界にも通じるか試す方法。

もう一つが技術者に何か作らせてこちらとあちらにその装置を固定し、そこから連絡を取り合う方法だな。

前者の方法でやりとりができるならば簡単で良いのだが望みは薄いだろう。後者は前者よりも可能性はあるが時間と手間がかかるな。」

「あぁそうだな。俺も今んとこ思いつくのはその二つくらいかな。

前者は魔法の発動方法が違うからどちらかの魔法でできればいいんだけど難しそうだよな。」

「そうだな、どうしても他空間にまで影響を及ぼすことができるようには思えないな。

ここに来たばかりで悪いんだが一度この部屋の前に出てくれないか?

私らが用いる<伝言>が使えるか試してみたいのでな。」

 

 

「部屋の前に行けばいいんだな。了解。

できなかった場合俺の方からもスキルの<思念伝達>が効果を発揮するか試してみるよ」

と言いリムルはひとまず部屋を出た。しばらくすると脳内に声が届く。

(「聞こえるか?リムル?」)

(「ああ、聞こえるぞ」)

(「どうやらこちらの世界ではこちらの世界の法則が異世界のものにも適応されるようだな。

あとはこれが異世界にいるものにも届くかどうかなのだが、試してもみないことには分からないな。ひとまず部屋に戻ってきてくれ。」)

(「了解、」)と一言つげてリムルは部屋に戻った。

 

 

「さてこれでこちらにいる時はこの連絡方法で問題ないな。

あとは緊急で連絡を取りたい場合に異世界とこちらの世界でやりとりをする方法だな。」

「そうだな〜これでこっちに来たらアインズに連絡できるからすれ違いとかの問題は解消できたな。

あとはやっぱこの方法が、俺があっちに戻っても使えるか、使えなかった時にどうするかってことだな。

転移できるってことは魔力を使えば声だけ飛ばすことはできるはずだよな?」

「理論上はそう考えられるだろうな。そもそも転移より電話の方が遥かに簡単なはずだからな」と言って苦笑するアインズ。

それに釣られてリムルも笑う。

「って考えるとやっぱ携帯とかより固定電話とかの方が作りやすいのか?」

「国家間の連絡手段としてもそちらの方が記録しやすいしいいだろうな。

ただ技術者でもない我々が話し合っても詮なきことだ。」

 

 

「確かに俺らだけじゃどうしようもないな。

研究者たちに任せるしかないかな。まずは両世界につい調べないといけないよな。

それぞれ研究者、技術者を送り合うか?」

「そちらのやり方の方が効率はいいだろうが、何か見落としがあるといけない。

時間はかかるだろうがどちらかの世界でまとめて研究させたほうが良いのではないか?」

「なるほどな、それも一理あるなぁ、そうするか。

アインズの方が大丈夫なら俺が戻るときに一緒に連れて行こうか?

そしたら次来る時そいつらと俺の国の研究者と連れてくるから。」

「私の方は構わない。アルベド、通信技術などを専門としているものを2名選び準備させろ。」

「かしこまりました。」と言い、一礼した。

左耳に手をあて<伝言>を使用しようとしたところアインズから声をかけられる。

「アルベド、<伝言>で部下に命じるのではなくお前自らが出向き、指名してこい。」

「かしこまりました。後ほど早急に準備いたします。」

「いや、今すぐだ」

 

 

「し、しかしそれではアインズ様の身に何かあった場合この身を盾とし、お守りすることができません!」

「それはつまり、同盟国の王であるリムルが私に危害を加えると言うことか?」

「い、いえ、そう言うことでは、、、、、、」

「ならば早急に技術者選抜に取り掛かれ。

仮にリムルが私を害そうとしてもここには八肢刀の暗殺蟲もいるのだからそこまで過剰に警戒する必要はない。」

「かしこまりました。」とアルベドは渋々といった感じで第九階層のアインズの仕事部屋を後にする。

その際リムルは軽くではあるものの殺気をアルベドから向けられておりスライムであるのに鳥肌が立ちそうになっていた。

「すまないな、リムル。どうにもあいつはお前のことを警戒していてな。」

「いや、大丈夫だよ」(警戒ってより目の敵にされてる気がするんだけど)

「それでもう一つの話とはなんなんだ?他に聞かれたらまずい話なのであろう?」

「気づいててアルベドさんを退出させてくれたのか。悪いな。ああ、ちょっと他に聞かれたくない話でな。

二人で話したいんだけど場所移すか、ここにいる奴ら下げてくれないか??」

「それほど聞かれたくない話なのか。わかった、場所を移そう。こちらに来てくれ。」

とアインズは立ち上がり奥の部屋に進んでいく。

 




次回更新は明日、1月16日土曜です。

トマス二世さん誤字報告ありがとうございます。


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5-4 密談


来週末英検があります。
コロナで延期になるだろうなと高を括っていましたが普通に行われるそうで、勉強していなかったことに後悔です。
めっちゃ焦っています、、、苦笑


 

執務室の奥には扉があった。

リムルはその扉に向かって歩くアインズについていく。

「ここは私の寝室でな。ここへは護衛の見張りですら入れないようにしている。

防音の魔法もかけてあるため傍受心配もない。ここなら良いだろう?」

「ああここなら話しやすそうだ、助かる。」

「それで誰にも聞かれたくない話とはなんだ?」

「ああ、そのことなんだがな、、、、」とどこか煮え切らない態度のリムル。

「どうした?何か言いにくいことなのか?」

 

 

「いやそう言うわけじゃないぞ。それでこっちは今どんな状況なんだ?」

会話の流れで上手くイビルアイのこと切り出せればと世間話から始めるリムル。

唐突な話題を不思議に思うものの話に乗るアインズ。

「最近か?最近は帝国から探りを入れられていてな、面倒だから国として各国にナザリック地下大墳墓と言う国を建国したと各国に喧伝しているところだ。」

「なんか忙しそうだな。これからどうする予定なんだ?」

「これからか?これからは同盟国である帝国の戦争に同盟国として参戦するのが直近の大きな予定だな。」

「帝国からちょっかいかけられていたのに帝国と同盟を結んだのか?」

「あぁ、まぁ紆余曲折あってな。そうなったんだ。」

「どことの戦争なんだ?」

「王国だ」

「!?お前が冒険者してるとこのエ・ランテルってとこも確か王国領だよな?いいのか?」

「まぁ仕方あるまい。同盟国の相手がたまたまそうだったのだから。

それに冒険者は国の揉め事に参加しないことが暗黙の了解であるしこちらに被害が及ぶことはないだろうからな。

個人的にも王国の王族、貴族はあまり好かないので何も問題はない。」

 

 

王国の王族と言った時、骸骨であるはずのアインズの顔がどことなく歪んだように感じたリムルだったがそれよりも聞かねばならないことがあった。

「それじゃあ蒼の薔薇に手は出さないのか?」

「ああ、戦争に出てくるはずもないしな。それに蒼の薔薇は個人的に殺したくないからな。

ただナザリックの利益のために殺すこともあるから必ず手は出さないとは言えないがな。それがどうしたんだ?」

(まずいな、イビルアイとの間を取り持とうとしているのに下手したら敵対関係になっちまう、、、

これは早いとこ手を回さなきゃな、、、、)

「個人的なお願いなんだが蒼の薔薇には手を出さない、、、、

というよりか殺さないでほしいんだけど頼めるか?せっかく仲良くなったからどうにも割り切れなくてな。」

「そうか、あの短い期間でそれほど打ち解けたのか?

いや、そうか。個人的にイビルアイから相談されるほど関係が深くなっていたな。

できる限り努力しよう。」

「悪いな」

「それでそろそろ本題について教えてくれないか?」

「そうだな、そうだよな。」

と何か考える素振りを見せたのち何かを決心した様子でリムルは話を切り出した。

 

 

「なぁこの間も聞いたがイビルアイについてどう思う?」

「ん?イビルアイか?そうだな向こうは私のことを不審に思っているみたいだが、私個人としてはこの世界のナザリック以外の者の中でなら一番好きかもしれないな。

しかしナザリックの支配者の視点で見ると大切な子供に手を出され殺されかけているのでな、正直なところ評価が難しいな。」

「なるほどな、でも初めの時とは違って殺意とかはないんだろ?」

「ああ、エントマをあんなふうにしたとは言え、今は殺したいとは思わないな。

彼女は仲間思いで私、個人としてはとても好感を持てる。」

「おお!そうかそうか!(以外に好感触!)

じゃあ仮に、仮にだぞ?イビルアイから告白されたらどうする???」

「はぁ!????どういうことだ?話の全体像が全く掴めん???????」

「いや今は全体像とかいいからさ、どうなんだ?実際」

「仮とはいえあり得ない話だな。彼女は人間、私はアンデット。それで話は終わりだ。」

 

 

「種族差を気にしているのか?」

「ああ、人間とアンデット。とても相入れるものではないだろう。」

「でもお前は今そうした多種族国家を作ろうとしているんだろ?そんな種族差なんて気にしていたら埒があかないぞ」

「それはそれ、だろう。第一そろそろいい加減に本題を話してくれないか?」

「ん?いやこれが本題だぞ?」

「これが本題?種族差の恋愛についてが人払いをしてまでも私に伝えたかった話なのか?」

「いや、違う違う。イビルアイに告白されたらどうするかってのが本題だ」

「は?!?!?!?!?!??!?!?!?!?!?!?!??!?!?!?!?!?!?!??

!?!?!?!?!??!?!?!??!?!?!??!?!?!?!?!??!?!?!?!?!?!?!

??!?!?!?!?!?!?!?!??!?!?!?!?!??!??!?!?」(鎮静)

 

 

「なんか鎮静するの遅かったな」

「鎮静を上書きするほどの驚きだったのでな、、、。あれは仮の話ではないのか?」

「いやほんとだぞ。イビルアイから相談されたって言っただろ?これのことだったんだ」

「確かにそのような話なら私になんて当然言えるはずもないか。しかしなぜお前に相談したんだ?」

「それはこの間トブの森で会った時に俺とアインズが仲良さそうだと思ったんだと。

それに蒼の薔薇にも昔からの付き合い的な感じで紹介しちまったし。」

「そうか。そういえばそうだったな。しかしイビルアイは私に不審感を抱いているのではないか?」

「なんでそう思ったんだ、そこがすごい引っかかってんだけど。」

「いや、事あるごとに私についてくるし、王都襲撃の際、蒼の薔薇のリーダー、ラキュースに会おうとした時合わせたくなさそうな感じだったからな。」

「それは単純にお前と一緒に居たいだけだろ。ラキュースの件も惚れた男が自分以外の異性に興味を示したんだから嫌だっただけだろ。」

 

 

「な、なるほど、、、、。」

「で、どうなんだ?」

「いや、仮に本当にイビルアイに告白されたとしても交際するようなことはないだろうな。問題が多すぎる。」

「問題?種族差以外にか?」

「ああ、まず種族差だ。それに彼女は友人の子を殺そうとしたんだ、組織の長として許容できない。

それにこれが一番の問題で彼女が愛していると言ったのは私、アインズ・ウール・ゴウンではなくエ・ランテルの漆黒の英雄モモンだろう。

関係が深まればいずれ話さなければならない時が来る。だから私は彼女の期待には応えられそうにない。」

「それが全て解決できたとしたらどうだ?」

「全て解決?そうだな、、、、、それでも恋愛対象として見ることは難しいように思う。それに解決はできないと思うぞ。」

 

 

「まぁ種族差の解決は無理だな。ただ残り二つは簡単に解決できるぞ。

一つ目のことはお前自身の問題だ。仮にその傷つけられた子がいくら憎んでいようともアインズが命令すれば済むだろ?

ちょっと横暴かもしれないけどそのくらいの我儘言ってもいいだろ?

それにな、イビルアイは『はっきり自覚したんだ。私が好きなのは英雄モモン様じゃなくてモモン様だ。』

って英雄としてのお前じゃなくモモン自身が好きってはっきり言ってたぞ。」

(鎮静)(鎮静)(鎮静)(鎮静)(鎮静)

「お、おい大丈夫か?」

 

 

「ああ、済まない。直接ではないとはいえ女性からそのようなことを言われた経験がなかったのでな。それに種族差の問題が片付いていないではないか。」

「で、どうなんだ?無理そうか?」アインズの種族差についての言及は無視して話を進めようとするリムル。

「ああ、それでも難しいだろうな。私にはこのナザリックが何よりも優先すべきことなのでな。

それよりリムルなぜお前がそこまでしてイビルアイを手助けようとするのだ?」

「そう聞かれるとうまく応えられないけど、イビルアイの本気具合に俺も心の底からうまくいって欲しいなって思ったんだ。

それに俺はアインズにも幸せになって欲しいからな。イビルアイとならもしかしたらって思ったんだ。

ナザリックが最優先か、、、、。じゃあこう考えたらどうだ?」

「????」

 

 

「今後国を統治していくにあたって妃の話とかも出てくると思うんだ。

そうした場合女性慣れしておくことは大切じゃないか?

それにまず妃の候補として出てくるのはアルベドさんとかシャルティアなんだろ。

初めがあの二人ってのは、危険なんじゃないか?

下手したらナザリックの屋台骨にヒビでも入りかねないぞ?」

「た、確かに。その通りかもしれな、、、、いやその通りだな。」

「だろ?そのためにどうだ?

練習としてイビルアイとデートしてみたりするっていうのは?」

(練習扱いでイビルアイには悪いけどこうでも言わなきゃ動いてくれなさそうなんだよな、、、)

「なるほど、、、、」と思案するアインズにリムルは決め手となる一言を言う。

「もし相手がアルベドさんだった場合色んな意味で死人が出るかもしれないぞ」ボソッ

「確かにそうだな、これはナザリック存続のためにも早めに対処しておかねばならないことだな。」

「だろ?だからさイビルアイとデートしてみたらどうだ?」

「わかった。今回はリムルの作戦に乗ってみよう。」

 

 

「でも問題はアインズが忙しそうなことなんだけど時間的に余裕はあるのか?

なんならこっちの世界に来るか?誰からも注目とかされないだろうし。」

「それはとても魅力的な提案だな。だが配下たちが誰一人として許さないであろうな。

未開の地へ私が護衛もなく足を運ぶのは。時間は戦争の少し前なら作れそうだな。

その後となると戦後処理などで少し忙しくなるから難しいかもしれない。」

「やっぱそれは無理か。となるとデートの場所は限られてくるよな。エ・ランテルか王都か、、、、というか時間カツカツだな。」

「そうだな、確かに限られてくるな。私もイビルアイも色んな意味で目立つからな。」

「なんなら一緒にクエストでも受けてみたらどうだ?魔物の討伐とか殺伐としているのじゃなくて採取系のものとか」

「ふむ、、、、それなら人目を気にする必要もないか。しかしイビルアイはそれでいいのか?」

「まぁ聞いてみるよ、ここの世界にいれば<伝言>で連絡を取り合えることはもう分かったし。」

「そうだな、全て任せてしまって悪いが頼む。」

「気にしないでくれ、後はまぁモモンの姿で活動しているときが一番自由に動けるだろ?

だからアルベドさんとかシャルティアには何も言わなくても問題ないと思うけど、ナーベさんをどうにか説得しないとだから頑張ってくれよ」

「あ、、、そうか。ナーベがいるのか、、、。はぁ、、、、。」

とナーベラルを説得するために事情を説明するか上手く誤魔化すかそれとも、いっそのこと命令してしまうかと考えまた無い胃を痛めるアインズだった。

 

 

 

 

そして話し合いがひと段落したあたりで扉がノックされる。

扉の向こうから今日のアインズ様当番であるフィースの声が聞こえる。

「アインズ様、アルベド様が入室の許可を求めております。」

「分かった。今支度する。少し待て。

リムルこの件はナザリック内のもの、特にアルベドには絶対に漏らすなよ」

「ああ、あれ以上殺気を向けられるのはごめんだからな」

と話し合いを終わらせ、寝室から出て仕事場に戻る。

「アインズ様、技術者の選抜完了いたしました。」

「ああ、ご苦労。それではリムルこの二人とアルベドをよろしく頼む」

「!?」

「!?」

アインズの発言に驚く二人。

「ちょ、それってどういう、、、、、」

リムルが何か言いかけるもののそれ以上の声量でアルベドが抗議する。

「どういうことでしょうか、アインズ様!?」

「言葉通りの意味だが?」

「私もこのスライ、、、リムル陛下の国に行くということでしょうか?

しかし私には守護者統括としてこのナザリック内での仕事がございます。」

「それになら気にしなくていいぞ、デミウルゴスをこちらに戻らせているところだ。

それに早急に決まったとは言え国家間のやり取り。使者を送るのは当然であろう。」

「しかしそれは私でなくてもよろしいのではないでしょうか?」

「いやテンペストは大切な友好国だ。

それならば送る使者も高い品格、地位、信頼性が求められる。私が信頼する部下の中でアルベドが最適であると私は考えているぞ。」

「////////////」アインズの言葉にアルベドは顔をふやけさせて黙ってしまう。おそらくもう文句は出ないだろう。

その様子を見てリムルは急いで女性の扱いを学ぶ必要はないように思えたがそのことに触れるのは薮蛇であるように感じたため突かないことにしたのだった。

「ということですまないな、アルベドも使者として送るのでよろしく頼む。」

リムルは思うことはあるものの特に断る理由もないのでその申し出を受け入れたのだった。

 

 





次回の更新は1月17日日曜日の予定です。


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5-5 NPC2度目の世界転移


今回鬼短いです。


 

アルベドはリムルの転移魔法でナザリックの精鋭技術者2名とともに転移した。

転移した先は活気のある街でリムルというゴミスライムが街の者から笑顔で挨拶されている姿を見て本当に国王であるのかという疑問を抱いた。

(どうして国のトップが普通に街中を護衛の一人もつけずに歩いているのかしら。

頭おかしいんじゃないの?)

などと考えていると強力な魔力反応を3つ確認する。

そのうちの一つには覚えがあったアルベドは顔を顰める。

しかしそれ以上に顔を顰めることがあった。

「リムル様、おかえりなさいませ!!!」

「おう、ただいま!」

と何か話し合っている様子だったがアルベドは子憎たらしい小娘など今は眼中になかった。

 

 

それ以上に警戒しなければならない。

国王リムル級に強いと思われる者が二人も現れたのだ。

アルベドの緊迫した様子など全く気にならないのか国王リムルはシュナ以外の二人にも話しかける。

「おう、ベニマル、ディアブロ。ただいまー。何も問題なかったか?」

「リムル様、お帰りなさい。特に問題は起きてませんよ」

「おかえりなさいませ、リムル様。私の方からの報告としましてはヨウムをファルムス王国改め、

ファルメナス王国の国王にするという任務完了してまいりました。」

こちらの二人もアルベドのことは歯牙にも掛けず国王リムルと話している。

 

 

しかしそれでもアルベドは警戒を解かなかった。いや、解けなかった。

それほどまでの実力。ナザリックがあの世界に転移してから久しく会っていなかった複数の実力者。

そんな彼らに対してアルベドの警戒心は最大に高まっていた。

そんなアルベドの内心などつゆ知らずリムルは3人と軽く話をし、アルベドたちのことについて話し始める。

「この3人は今回同盟を結んだナザリック国の使者と技術者たちだ。

まずは向こうの国との連絡手段の確立を目的として技術者に来てもらった。

シュナは使者のアルベドさんはこの間会ったから知っているだろ?」

「ええ、まぁ、はい。」

 

 

「今回アルベドさんは連絡手段の確立を目的とする技術者の2人とは違う目的で使者として来てもらっていて、ジュラ・テンペスト連邦国の視察に来たんだ。」

「視察、、、ですか?」

「ああ、それでシュナにお願いがあるんだけどアルベドさんの案内お願いできるか?

俺はちょっとまだやることがあってアルベドさんについていられないんだ。」

「え、、、私がですか?」

「ああ、俺以外だと面識あるのシュナだけだし、女性同士だから何かといいのかと思うんだけどだめか?」

「い、いえ。わかりました。」

と渋々だが引き受けてくれるシュナ。

アルベドとしても一悶着あったシュナとはできるだけ距離を置きたかったが、リムルは前回の同盟内容締結の際アインズと別室でグダっていたためそんなこと全く知らなかった。

 

 

 

 

ひとまずアルベドをシュナに全任せして来たリムルは技術者たちを今度はカイジンとベスターのところへ連れて行った。

「おーい、カイジンいるかー?」

「おう、どうしたんだ、リムルの旦那」

「今回俺が異世界の国と同盟結んで、連絡手段確立の研究のためについて来てくれって頼んだだろ?」

「ああ、もう行くのか?」

「いや、今回は向こうの技術者の人たちがこっちの世界に来てくれたんだ。」

と言いリムルは後ろにいたナザリック陣営の技術者2人を紹介する。

2人は紹介されると軽く会釈をする。

「それで今回はこっちの世界について色々と教えてやってほしい。なんならこっちの2人と話し合って通信機とか作ってくれると助かる。」

「なるほどな、了解したぜ。それなら俺らは向こうの世界に行く必要は無くなったのか?」

「いや、どちらにしても一度はついて来てもらいたい。

通信機がこっちでできたとしても向こうで通じるか確認しなきゃいけないだろうし、出来なかったら出来なかったで向こうの世界に行って研究、開発してほしいからな」

「わかったぜ、とりあえずそっちの2人はこれからよろしくな。」

とカイジンが声をかけると2人は再び礼をする。

カイジンと2人がうまくやっていけるかどうかすごく不安に思ったが、まぁなんとかなるかと楽観的に考えるリムルであった。

 





次回の更新は1月19日火曜日の予定です。


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5-6 呆気ない**


少し前まで毎日更新していたので1日とは言え投稿に感覚が開くことに違和感を覚えます。
なら、毎日投稿すればいいじゃんって話なんですがそうは問屋が卸しませんでした、、、。


 

アルベドをシュナに押し付け、一緒に来た技術者2人をカイジンに預けたリムルはひとまずアインズと向こうの世界で試してみた

<伝言>がこっちに来てもアインズに届くのか試すことにした。

「えーと確か片手を耳らへんに置いて<伝言>の対象相手を指定するんだけっか?」

(「<伝言>アインズ、聞こえるか?おーーい、こっちの世界からメッセージ送ってるんだけどー、おーい。」)

と呼びかけてみるものの返事はない。

これでもしもう一つの手段を試してだめだったのならば

もうあとは完全にカイジンたち任せになってしまうということを考えていると酷くノイズ混じりの声が聞こえてきた。

(「リ……か?……こ…はメッ……か…しか……な……………どう……いる…?」)

リムルはこれに返事しようか迷ったが、こちらがほとんど聴こえていないということは向こうも同じだろうと思い

、考えていたもう一つの方法を試してみることにした。

それは分体との意思共有だ。リムルは向こうの世界でアインズと話しているときに思いつきでスライムの一部を切り取ってアインズの近くに置いてきた。

こちらの世界にいるときは意思疎通、共有が出来たためもしかしたら可能なのではないかと考えたのだ。

 

 

 

 

アインズはナザリック内の自室でデミウルゴスが作成した今後の方針についての計画書に目を通していた。

目を通すと言ってもそれは何か計画に修正を加えるということではない。

むしろ自分より格段に秀でている部下の計画書に修正を加えることなんて恐ろしいことアインズにはできなかった。

ただ上司として部下の作成した書類に目を通すという仕事をしていたのだ。

(「ア゙ァ゙―疲れた、というかさっぱり分からん。なんで?どこをどうすれば帝国の戦争に参加することになるんだ?しかも協力者として???」)

書類を理解しようと一所懸命であったアインズであったが難しすぎて匙を投げ、現実逃避気味になっていた。

すると突然<伝言>のコール音が聞こえる。

 

 

今日は今後特に予定もなかったため何か緊急事態でも起きたのかと思ったが<伝言>の内容がそもそもわからなかった。

(「ア……ズ、聞………か?………い、こ…ちの………メッ……………るん……どー、おー……。」)

アインズは一瞬、書類の難解さに頭がやられてリムルの声が幻聴として聞こえているのかとすら思えた。

しかしすぐにそんなことはないかと考え直す。

<伝言>はなんと言っているか全くわからなかったがアインズは一応返答してみる。

「(リムルか?これはメッセージか?しかしなんと言っているか全くわからないぞ?どうなっている?)」

アインズはしばらく経っても返事がなかったため相手も自分と同じように聞こえているか、

もしくは全く届いていないだろうと推測し、推測したはいいのだが今後自分ができることは特にないということに気がつき、嫌々ながらも書類の確認作業に戻る。

 

 

しかし椅子に座り書類を確認していると机の下から声が聞こえてきた。

「おー成功か?って暗いなここどこだ?」

机の下を覗いてみるとそこには青い球体があった。

「おい、まさか、リムルなの、、、か?」

「おーその声はアインズか?なんか暗いんだけどここどこだ?」

「暗いって、ここは私の机の下だがそこまで暗くないぞ?」

「え??あ、そうか。俺今スライム形態だから目がないのか。

よしっ、、、、ってあれ?人型になれない??」

「どうしたんだ?」

「いや、人型になろうと思ってるんだけど全くできなくてな、どうにも魔力がこの体には全くないらしい。」

「つまりそれはどういうことだ?」

「ええっとな、この分体だと向こうの俺と意思共有はできるけど魔力供給がされないから定期的に魔力補充をしないとこの分体は消えちまうっぽい?

それと人型にもなれないから目も、、、というよりかは聴覚以外の五感が機能してない感じだな。」

 

 

「なるほどな、魔力補充は私が行うから心配しなくていいぞ。

というよりどうして聴覚だけ都合よく残っているのだ?」

「それは多分ジャイアントバットって魔物を捕食した時に得た<超音波>ってスキルがあるからだな。

目も魔力感知のスキルを使えば見えると思うんだけどな、多分。

でも連絡取り合えればいいからまぁいっかなって。」と苦笑するリムル。

「スライムの特性か、便利だなその能力。」

「というか、<伝言>は全くだめだったな。なんて言っているかノイズ多すぎて全然聞こえなかったぞ。」

「やはりそちらも同様か、私も同じだ。そもそもこちらの原住民は<伝言>の精度があまり正確ではないらしい。

もしかしたらそれがリムルにも適応されているのかもな。何故かは知らないが。」

 

 

「まぁ詳しくはよくわからないよな。ただ俺の分体があれば一応連絡取り合えるってわかっただけでもラッキーだな。

どうする?通信機の研究の方は、続けるか?」

「それはもちろん。というより今さっき研究者を送ったばかりではないか。

国と国との連絡手段がお前の分体ということにおそらくうちの部下たちからは情報の精度といった点で疑念が残るだろうしな。

それならば共同開発の通信装置ができるに越したことはないだろう。」

「確かにそうだな。とりあえず俺今からもう一回そっち行くから。」

「は?どうしてだ?」

「いや、イビルアイに伝えに行くんだよ。お前がデートしてくれるってって伝えに」

「(鎮静)そ、そうか。しかしナザリックへはもう結界を張ってしまったから転移できないぞ。」

 

 

「マジか!?仕事がはえーな」

「私の部下が優秀だからな」

「部下がかよっ!」とすかさずツッコミを入れるリムル。

「やはり、Y E Sマンの子供たちとは違ってリムルと話していると会話していると実感するな」と笑うアインズ

アインズは何の気無しに言っているのだろうがリムルとしてはアインズが現状、

そのY E Sマンたちの信頼を失墜させないために無い胃を痛めていることを知っているので何とも反応がしづらい。そこで話を戻した。

「そっちに転移できないなら、この間行ったし、トブの森へ転移するよ。

王都もそこまで遠くないし。というか重要なのは日程ほうか、どうする?」

「そうだな、できれば帝国と王国の戦争の後の方がいいな。」

 

 

戦争後にデートって頭トチ狂ってんのかと思うリムルだったがそもそもナザリック主体で行われる戦争でも無いのだからそこまで重く考えていないのかと思い直すリムル。

「戦争はいつ頃行われるんだ?」

「詳しくはわからないが例年通りならば作物の収穫時期に始まるらしい。

おそらく1ヶ月以内には方はつくだろう。」

「ってことは来月あたりならいつでもokってことか?」

「いつでも、、とは言い切れないができるだけ都合をつけよう。

それに彼女の予定の方も聞いてからにしてくれ。

彼女とてアダマンタイト級冒険者。忙しいはずだ。」

「それもそうだな。とりあえず王都に行って聞いてみるわ。

何かあったらまた連絡するから魔力供給頼むぞ」

「ああ、任せておいてくれ。それじゃあ、またな」

「あ!!!そうだ」

アインズが話を切ろうとした時スライムがブルブルと振動するほど大きな声が聞こえてきた。

 

 

「どうした?」

「そういえば何だけどな、今度俺の国で建国祭をやるんだけどアインズたちも来ないか?」

「建国祭か、楽しそうだな。しかし、、、、それは異世界の他国も来るのだろう?」

「異世界の他国?あぁ、俺らの世界のテンペスト以外の国ってことか。結構呼んだから来ると思う。

お前が会ってみたがっていた魔王も何人か呼んでいるし、当然仲良くなった人間の国の王侯貴族も呼んでるぞ?」

「それは是非とも行ってみたいな、ただ行ってはみたいのだが。

私の配下たちが人間とうまくできない奴らばかりだからな、、、」

「あ、そういえばそうだったな、、、、。

でももうアルベドさんとか来ちゃってるし。

通信機が俺らの建国祭までに完成しなくて、アインズに時間があったらナザリックのメンバー何人かと来たらどうだ??」

「そうか、そちらには既にアルベドが行ってしまっているんだったな、、、

そうだな機会があれば我々も参加させてもらおう。」

「ただ連れはできるだけ温厚なやつで頼むな〜俺の仲間も血の気多いやつ何人かいるからさ」

「ハハハ、、、できる限り善処しよう。ではまたな。」

「あぁまたな〜」

と通信が終わったリムルはアインズに余計な胃痛の原因を与えてしまったかと一度は考えるが、答えは明確であるので思考を放棄し転移を発動した。

 





タイトルの**は「解決」です。
連絡手段はどうするのか!?って結構はなし広げちゃってた気がしたんですけど、
解決方法が呆気なくてなんかスカし感あるなって自分で感じてます、、、苦笑

次回更新は可能ならば明日の1月20日水曜日です。
ただ無理だったらすいません。更新が来週の1月26日火曜日になってしまうかもしれません。


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5-7 仲人リムル

英検、、、はぁ、、、苦笑。

前書きという名の一言日記にしちゃってすいません、


リムルはトブの森に転移し、そのまま飛行しイビルアイたち蒼の薔薇のいる王都へ向かう。

もちろん誰かに気がつかれないように高度を高くして。

(「しかしなんて伝えればいいんだろうな。イビルアイの様子からモモンが好きなのは本当なんだろうけど、

それでアインズが好きなのかはまだわからないもんな。

てか、もし仮にイビルアイがアインズが今回参加する戦争の話を聞いて王国の冒険者として見過ごせないとか言って敵対関係になったら最悪だな。

そんなことは起こらないとは思うけど最悪のケースを想定しておかなきゃいけなよなぁ、、、。

これでモモン=アインズってバレたら色々と不味そうだし。

とりあえずイビルアイとアインズのデート前にそのことをアインズに話しておくか。

てか、ラファエルさん、もしアインズとイビルアイが敵対関係になった場合ってイビルアイの記憶をモモン≠アインズって書き換えられたりする?」)

(「解、可能です。」)

(「マジか、なら最悪イビルアイとアインズのデートにこっそりついていって修羅場になったらそうすればいっか」)

とさも名案のように語るリムルだが本音としては2人のデートとやらを見たいだけなのであった。

(「………………………」)

それを知ってか知らずかラファエルさんは何かいいたそうな雰囲気である。

(「あれ?ラファエルさんが何か言いたそうな気がする?」)

(「解、何もありません。」)

 

 

 

 

1人での検問は流石に緊張したが冒険者の証であるカッパーのプレートを下げていたため、

怪しい仮面をつけていようとも一言二言質問されるだけですんなり通れた。

王都内に入ってからリムルは蒼の薔薇、厳密に言うとイビルアイが宿泊している場所を探していた。

いくつか高級そうな宿を訪ね、イビルアイについて尋ねるが、利用していないと伝えられる。

3つ目に訪ねた場所は蒼の薔薇が宿泊している場所ではなかったものの、利用している宿を知っていたので教えてもらった。

王都で蒼の薔薇が宿泊している宿は有名らしく、街の者ならばほとんど皆知っているそうだ。

リムルはそれならば前2つの宿はどうして教えてくれなかったのかと思うが恐ろしい考察をしてしまう。

(「まさか、似たような背丈で、似たような仮面をつけているから熱狂的なイビルアイファンとか勘違いされてるのか、、、、、?まさかな、まさか、、、な」)

と考えるリムルだったが、その理由はもっと単純であった。

街の者ならば誰でも知っているようなことをわざわざ宿の受付まで来て尋ね、そしてその相手がよくわからない仮面をつけているため不審に感じた、ただそれだけの話であった。

リムルはようやく蒼の薔薇が宿泊しているという宿に辿り着き受付に尋ねる。

 

 

「すみません、アダマンタイト級冒険者チーム、蒼の薔薇のイビルアイさんって今いますか?」

「ええ、っと申し訳ありません。どちら様でしょうか?蒼の薔薇の皆様のお知り合いの方でしょうか?」

と尋ねられた受付のお姉さんは戸惑っている。

それもそのはずだ。なんたって謎の仮面+性別不詳の奴に突然話しかけられたのだから困惑しない方が異常だろう。

しかし高級宿で働く受付嬢なだけあってその様子を一切、噯にも出さない。

「あ、突然すいません。僕、リムルっていう者なんですけど。少しイビルアイさんと約束がありまして、何か聞いていませんか?」

「あ、リムル様ですね。はい、蒼の薔薇のイビルアイ様からお伺いしております。

ですが申し訳ありません。

 

 

蒼の薔薇の皆様がご宿泊されているのはこちらなのですが、ただいまクエストに出ていらっしゃっています。

おそらく夕方ごろにはお戻りになると思うのですがいかがいたしますか?」

「あーそれなら待っていても大丈夫ですか?」

「はい、かしこまりました。

イビルアイ様からリムル様がいらっしゃった時、部屋の鍵を渡して欲しいと申し付けられましたのでこちらをお持ちになってください。」

「ありがとうございます」

受付嬢から鍵を受け取り部屋に向かうリムルであった。

 

 

 

 

蒼の薔薇は前回のヤルダバオトの手下である王冠の悪魔の討伐以来、特に何もクエストを行っていなかった。

というのもアダマンタイト級冒険者である彼女らに見合うだけの依頼がなかったのだ。

しかしいくら依頼がないとはいえずっと宿にいるのも体が鈍ってしまうので一つ下のランク、オリハルコン級の依頼を冒険者組合から斡旋してもらいその依頼を受けていた。

内容としてはオーガ、トロールの群れの討伐。難易度はさほど高くないものの数が多かったため1日で終わると予想していたが2日もかかってしまった。

「いやぁ〜まさかあんなにいるとはな。依頼通りオリハルコン級の冒険者が相手してたらまずかったんじゃねぇか?」

「確かにそうかもしれないわね。それよりガガーラン、あなた以前より強くなった?」

「ん?そうか?前の感覚戻ってきてるだけじゃねぇか?」

「そうかしら?まぁそうね、王都の件で大変だったものね。

「それはそうと全く組合はもっとしっかりして欲しいものだ。」

「イビルアイなんかババァみたい」

「クレーマー、タチ悪い」

「ババァいうな!!!!」

「はいはい、ふざけないで。この件は組合にはしっかり報告しておくから。それにまぁ多少は仕方ないでしょうし。」

「そうだな、魔物がどれほどいるかなんて偵察しなきゃわからねぇし、

その情報も王都に着く頃には信憑性が高いってだけで正確じゃねぇからな。ほんと魔物の繁殖力ってのは厄介だな。」

といつものように軽く文句を言うイビルアイにそれをおちょくるティアとティナ。

パーティを取り持つラキュース、そして豪快に笑うガガーランと蒼の薔薇は心身ともに擦り減るような依頼の後でも良くも悪くもいつも通りであった。

「てか、俺は早く宿に戻って飯食って寝てぇな」

「ええ、そうね。組合への報告をさっさと済ませてご飯食べましょうか」

と今後の予定を立て帰路につく蒼の薔薇であった。

 

 

 

 

「いやぁー疲れた。なんであんなに組合は情報を聞きたがるんだよ。

もう討伐し終えたし次、気を付ければいいだけの話じゃねぇか。

散々魔物を相手した後に人間の相手までしなきゃいけないなんてよ、全くこっちの身にもなってくれってんだよ。」

あれから組合に行き報告を済ませ早く宿に戻ろうとした蒼の薔薇の面々だったが、

出会った魔物が予想以上に多かったことで事情聴取に時間がかかってしまった。

「まぁまぁ、ヤルダバオトのこともあったばかりで魔物の数が事前の情報と違うってなったら心配にもなるわよ。

そんなことより早く部屋に荷物おいてみんなでご飯食べに行きましょう?」

「鬼ボス珍しくまとも」

「鬼リーダーにしては殊勝」

「はいはい、2人も無駄口叩いてないで行きましょう」

蒼の薔薇は宿に着くと鍵を受け取りそのまま荷物を置きに部屋へ向かう。

しかし部屋に向かう途中でおかしなことに気が付くラキュース。

「あら、これって私たちの部屋の鍵かしら?なんかいつもと違うような気がするんだけど?」

「どれ、見せてみろ。」とイビルアイに言われて鍵を渡すラキュース。

 

 

「確かに、これは私たちがいつも使っているものではないが部屋番号は同じだし、受付が渡し間違えたんじゃないか?」

「そうね、確かに部屋番号は同じだし、予備の鍵と間違えたのかもしれないわね。受付の人いつもと違う人だったし。」

と納得した2人だったがティアとティナに声をかけられる。

「私たちの部屋誰かいる」

「え?私たちの部屋に?何人?」

「確実に1人はいる。何か魔法だったりアイテムを使用していたらもっといるかも?」

「どこかからの刺客な訳ないわよね?

もしそうなら私たちのことを部屋で待っているなんておかしすぎるもの。

それも気配も隠さず。」

「あぁ、しかしそいつの目的がわからない以上迂闊に、、、、、っておい。ガガーラン、話を聞け!」

イビルアイが話している間にガガーランが部屋に入ろうとしている。

それもいつの間に今さっき話題になったいつもと違う鍵を使って。

イビルアイは戦闘系職業のガガーランが気付かぬ間に鍵を持っていることにも驚いた。

当のガガーランは楽観的に「誰か確認すりゃ済む話だろ」と言ってドアのノブに手をかけ開けてしまった。

他4人は一応警戒するがそれもすぐに杞憂だと部屋の中から聞こえてきた声でわかる。

 

 

 

 

リムルは昼頃に蒼の薔薇の宿泊している宿に来て、鍵をもらい部屋で蒼の薔薇が帰って来るのを待っていた。

「あの受付のお姉さんが言うにはあいつら今日の夜前には帰ってくるとか言ってたけど、

それまで何しようかな?なんならここの座標わかるし一旦向こう戻ってもいいけど蒼の薔薇が正確に帰ってくる時間なんて分からないしな。

んーーーここで建国際の資料でも精査してるか。」

と何をするか決めたリムルはベッドに寝転がり書類を読み始めた。

 

どのくらい時間が経ったのだろうか?

気がつけばあたりは暗くなっており、外からは仕事終わりなのだろうか、冒険者らしき者たちの騒ぎ声が聞こえてくる。

そしてリムルは部屋の外から気配を感じた。蒼の薔薇が帰って来たのだろうと思い書類を胃のなかに仕舞い、ベッドに腰掛ける。

しかし蒼の薔薇は扉の前でこそこそと何かを話しており、一向に入ってくる様子がない。

どうしたものかと考えているとようやく扉が開く音がした。しかしそれと同時にイビルアイの焦った声も聞こえる。

リムルは疑問に思うもののひとまず声をかけた。

 

 

 

「おかえりー随分遅かったな。」

「おう、リムルじゃねぇか。どうしたんだ私らの部屋で?なんだ、俺と寝たくなったのか?」

「ちげーよ!俺はイビルアイに用があって来たんだよ」

「ん?そうか?だとよイビルアイ」

「部屋にいたのはリムル、お前だったのか。」

「あぁ、この間王都に来て会えなかったら部屋で待っててくれって言ってただろ?」

「そうだったな、受付に伝えたことをすっかり忘れていた。だから私たちの部屋の鍵がいつもと違ったのか。」

と納得するイビルアイ。

「それでリムルさんはどうして王都に??」

とラキュースが尋ねてきたので

「ああ、それはイビルア、、、、」

 

 

「ああああああああああああああ、ちょっと私に用があったんだよな?な?リムル」

とイビルアイがリムルの説明を遮ってしまう。

リムルは頭に「?」が浮かんだものの本当のことなのでそのまま話を進める。

「あぁ、ちょっとイビルアイに用があってな。急に来て悪いな。」

「いや、気にするな。それよりむしろ待たせてしまって悪かったな。」

「そうね、部屋にいたのには驚いたけどイビルアイが話してくれなかったのが悪いんだし気にしないで。

それよりこれから私たちご飯行くんだけど、リムルさんもどう?」

「ん?ご飯か?俺はちょっとイビルアイに伝えることがあったんだけど、イビルアイも飯行くのか?」

「え、っとそれは、イビルアイは行かないわよ?」

 

 

とイビルアイに聞いたつもりのリムルだったがラキュースが返答に窮してしまう。

「ラキュース、気にするな。リムルには私の正体を伝えている。」

するとイビルアイ以外の蒼の薔薇の4人が驚く「「「「え!?」」」」

そのうち1人はまた別の意味で驚いているのだが。

「そ、そうなの?」

「ああ、リムルは信頼できるからな」

「そりゃ、ありがとな。てかそう言うことはしっかり仲間にも伝えておけって。」

「そ、そうだな。これから気をつけよう。

みんなは飯に行かないのか?私ならここでリムルと話しているから気にしないでくれ。」

「ええ、そうね。みんな行きましょうか?」

「ああ、そうだな。」

と言い4人はご飯を食べに行ってしまった。

 

 

 

 

「しっかし驚いたなぁ、イビルアイのやつリムルとなんか親しげだったけど部屋に入れるくらい仲良くなってたんだな。」

「そうね、初めはびっくりしたけど正体も伝えるくらいだし本当に信頼しているようね。」

「もしかしたらイビルアイ、モモンからリムルに変えた?」

「きっとそう。」

「そうかしら?リムルさんとは友人って感じじゃない?

あの子の恋愛レベルじゃ好きになった相手と2人っきりで話すなんて無理でしょ?」

「おい、おい、ラキュース今日はやけに辛辣じゃねぇか。もしかしてリムル狙ってたのか?」

というガガーランの言及にラキュースは顔を少し赤くして反論する。

「違うわよ、そんなんじゃないわ!」

「鬼ボス顔赤い」

「鬼リーダー照れてる」

と揶揄うティアとティナであったがラキュースの顔が赤かったのはお酒によるものなのか照れによるものなのかはラキュース本人にしか分からないのであった。

 

 

 

 

蒼の薔薇が楽しく飲みあっている一方イビルアイとリムルはというと…。

「それで急にどうしたんだリムル?」

「この間話たことなんだけどさ」

とリムルはイビルアイに会いに来たはいいが、

モモン本人に「イビルアイが惚れているからデートしてあげてくれ」と言ったなんてことは依頼主であるイビルアイには口が裂けても言うことができないため

なんと言うべきか考えていた。

しかしその黙考がイビルアイには凶兆にしか感じられず思わず大きな声が出てしまう。

 

 

「気にしないでくれ、、!も、モモン様も忙しいんだ、、

きっとそうだ!だだだからわ、私はそそそんななにニニに気、気にしていないか、ら。ダダダ大丈夫だぞ。」

とイビルアイはリムルが言い淀んでいる様子からデートの取り付けに失敗してしまったのだと考え、

落胆するとともにわざわざ自分のためにモモンに頼みに行ってくれたリムルを気遣わなければと思い辿々しくも元気な様子を見せる。

しかし当のリムルは宣言通り完璧にデートの確約をもぎ取ってきたのだからイビルアイが泣きそうな声でいる理由がわからず困惑してしまう。

「どうしたんだ?急に泣きそうな声になって。大丈夫か?」

「私?、私、ならも、も問題ないぞ。

たとえダメでも私は気にしてなんかいないからな。

むしろわざわざ聞きに行ってくれてありがとうな。私はちょっと1人になりたいから、、、、」

などと訳の分からないことを言うイビルアイ。

 

 

よく分からないがこのままでは埒が明かないと思いとりあえずモモンと話たことだけを伝えるリムル。

「とりあえず、モモンはデートokって言ってくれた。

ただ今は忙しいから一月後くらいで予定のつきそうな日を教えて欲しいって言ってたぞ?」

この言葉を聞いたイビルアイはフリーズしてしまう。

先程まで完全に諦めていたのに、いざデートできるとわかってしまうと嬉しさよりも困惑と緊張が勝ってしまう。

そのためリムルは数分固まったイビルアイにずっと話しかけることになるのだった。

 

 

 

イビルアイがようやく氷解し始めたと気がついたリムルは早速本題を話進める。

「とりあえずモモンにイビルアイとの時間作ってくれないかって頼んだら今は難しいけど一月後なら大丈夫って言ってたけどイビルアイは大丈夫か?」

「あぁ何も問題ない。たとえ問題があってもモモン様最優先だ。」

「それって問題ないのか?まぁいいか。

それとモモン的にはエ・ランテルや王都で2人で色々すると注目を浴びて大変なことになりそうって言っててな」

「確かに別チーム同士のアダマンタイト級冒険者が一緒にいたら嫌でも注目を集めてしまうか、、、別に私はそれでも、、、、」

と何か言いかけたイビルアイ。

しかしそれにリムルは触れず話続ける。

「だから何か一緒にクエストでも受けるのはどうかって言ってたんだけどどうだ?

もちろん討伐とかのじゃなくて何かしらの薬草採取とか、簡単なやつ。」

「それはいいかもしれないな、ふ、ふ、2人っきりになれるし、、、、」

と照れているイビルアイ。

そんなに照れるなら一々言わずに心の中で思っていればいいのではないかと思うリムルだがそれを直接、

面と向かって言うほどデリカシーがないわけではない。

 

 

「えっとじゃあ、一月後に何かしらの依頼を一緒に受ける形でいいのか?」

「ああ、私はモモン様と居られるならば正直なんでもいい。

ただ依頼はどこのギルドで受けるんだ?

どこのギルドでも流石にアダマンタイト級冒険者が採取依頼を受けるなんて、逆に目立つ可能性があるぞ。」

「確かにそうかもしれないな、なら俺から依頼を指名で出せばいいんじゃないか?

指名依頼の内容は指名された当人しか分からないだろ?」

「そうだな、でもそんなことまで頼んでしまっていいのか?」

「別に今更だろ。そのくらいならいくらでも手伝ってやるよ。」

「本当にありがとう。」

一応話が一纏りしたところでリムルはイビルアイに尋ねた。

「最終確認なんだけどさ、イビルアイはモモンに直接自分のことを話すのか?」

この質問をされた時イビルアイは固まってしまう。

しかしそれはそうだろう。

 

 

長い年月生きて初めて好きになった相手。

そんな相手と採取クエストという名目ではあるが2人っきりでいられる、いわば初のデート。

そんな幸せな時間を彼女の正体が破壊する可能性があるのだから、悩むのも当然だろう。

イビルアイからしてみれば今まで信用し正体を明かした途端に手のひらを返し、即討伐というひどい対応をされたことがあるのだ。

もしかしたらイビルアイは自分の正体をモモンに伝えることで最悪、冒険者と魔物というただの討伐関係になってしまう可能性も存在する。

そしてイビルアイは何かを決心した様子で口を開く。

「私はモモン様が好きだ。

だから彼には偽りの私ではなくて本当の私を知って欲しい。

これは私のエゴかもしれない。ただ伝えなきゃ一生後悔すると思うんだ。

勝手に伝えられるモモン様は迷惑かもしれない、でもそれでも私は大好きな人に嘘をつきたくないんだ。」

と仮面越しですら伝わる熱量で語るイビルアイ。

「そっか。分かった。」

決心したイビルアイに対しリムルが言う、いや言えることは何もなかった。

その後もう少し話、イビルアイとは別れた。

そしてリムルはこの2人のことも考えつつ直近の問題である建国祭について考えなら転移を使用しテンペストへと戻るのだった。

 




5章終了です。

色々とあり毎日の更新が難しくなって来たので更新日を固定したいと思います。
毎週火曜と土曜を予定しております。
よろしくお願いします。

トマス二世さん、誤字報告ありがとうございます。


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間話1 配下と従者
1 配下の苦悩


最近ブラックコーヒーにハマっています、、、、、ヒロシです。
どうでもいい一言の後には
ヒロシというワードを入れたくなってしまいます、、、、筆者です。


あのクソスライムは本当に一国を統治する王であった。そこは別にどうでも良い。

しかしこの国を仮想敵国とする私からしたらこの国の武力は決して侮れない。

あのクソスライムは確かに強い、それもシャルティアと肉弾戦できるほどに。

しかしいくら強くてもそれは「個」でしかない。

ナザリック全勢力をもってすればあいつを消すことなど容易だ。

 

 

同盟締結の際あのクソスライムは秘書として小娘を連れてきた。

階層守護者に及ばないにしろあの小娘は秘書にしては、そこそこは強い。

それこそプレアデス一人一人の力量で互角に戦えそうなのは第8位階魔法を使えるナーベラルくらい。

だからあのクソスライムは武力を示すために自分の次に強く、そして頭の切れる者を連れてきたと私とデミウルゴスは考えた。

しかしこの国に来てその判断は間違いであったと気づいた。

 

 

スライムの出迎えにきた3人の中であのスライム級の実力者が1人。

そしてそいつよりは実力がやや劣るものの確実に小娘より強いやつが1人。

その他にもこの国内から強者どもの気配を何人も感じる。

それでもおそらくナザリック全軍をもってすれば勝てる。

しかしそれは勝てると言うだけでそれには何もメリットがない。

侵略戦の場合多くの戦力をこちらに送らなくてはならないため、自然とナザリックの防備が薄くなる。

そして勝ったとしてもこちらの損耗率を考えると頭が痛くなる。

そしてまだ視察できていないためこの国を侵略することで得られるナザリックの利益が分からない。

つまりデメリットしかない。

 

 

仮に私たちにレベルの成長限界が来ていないのならばこいつらを殺すことで得られる経験値にメリットを見出せたかもしれない。

しかしそれはたらればの話なのだ。

もしかしたらアインズ様は敵戦力を知っていた?もしくはここの戦力を推測できていた?

それはなぜ、、、?

やはり階層守護者を下がらせてクソスライムと2人きりで話した時の内容に答えがあるとしか考えられない。

それにしてもアインズ様が敵戦力を把握した上で同盟を結ぼうと言ったのならば納得できる。

そうするとデミウルゴスのふざけた推測は大外れとなるかどまぁそれはひとまずどうでもいい。

私を大使にしたのは確実にこの事実に気づかせるため、、、、もしくは私にここの戦力を調べさせるため?

しかし、しかしだ。

それならばなぜアインズ様は私たちにこのことを教えてくれなかったのかが分からない。

やはりどうして同盟を結んだのかが分からない。

 

 

考えに行き詰まったアルベドはひとまず自分の考察を整理することにした。

 

①アインズ様は敵国の兵力を完全に把握、ないしほぼほぼ確信をもって推測していた。

②私にこちらの兵力を探らせ今後の対応を定めるためひとまずは隷属ではなく同盟にした。

③こちらが異世界に転移できない以上隷属関係を強要し逃げられた時追うことができない。

④バハルス帝国以上にあのスライム個人を脅威として捉えた。

 

 

①の場合どのようにしてアインズ様が敵兵力を把握していたのかと言う疑問が残る。

そうなった場合考えられることは2つ。

1つはアインズ様があのスライムと2人きりで話した際にそうした自国の戦力の話題になった。

2つ目はデミウルゴスの考えたようにアインズ様とスライムがもともと面識があって兵力など国家機密とも言える情報を言い合えるほど親密だった。

これはどちらにしても最悪ね。

 

②の場合はもしこの国の兵力が想定よりも弱かった場合にすぐ隷属できるよう、逆に想定より強くかったとしても関係維持できるよう考えて同盟にした?

そして確認のために私を送った?その場合、帰ったらすぐに報告しないといけないわね。争うにはメリットが少なすぎると。

 

③は②と同じね。仮に逃げられてもこちらからは追うことはできない。逆に相手は魔力さえあればいつでもこちらに攻撃を仕掛けることができる。最悪ね。

 

④はあのスライムの国を見ずともアインズ様はこいつ単体を脅威と見做した。

でもそれならばなぜあの場で出会った時に転移阻害の魔法を発動させて私たち4人と協力して排除しなかった理由が分からないわね。

 

つまり考えられる中で可能性が高いのは②。

次点で、と言うより私個人で考えて最悪なのが①ね。

と考えたアルベドはナザリックにより多くの情報を持ち帰るために大使としての仕事を今以上に気を引き締めて行わなければならないと考えるのだった。

 

 

 

 

テンペストに来てから数日。

ナザリックから共にきた技術者たちはこの国の研究者たちと何やら話し合っている。

毎晩の報告書を読む限りここの研究者のレベルは高いらしい。

らしいと言うのも世界が異なるため研究の根幹となる知識にいろいろと齟齬があるそうだ。

しかしその齟齬を即座に修正できることからこちらの研究者が有能だということを示している。

今現在アインズ様が求めていらっしゃる異世界間で利用できる通信機。

こちらの開発はやはりと言うべきか難航している。

と言うのも前述したように世界ごとの知識齟齬が大きな問題らしい。

詳しいことは技術者に任せているので分からないがこのままではなかなか通信機は完成しないだろう。

ナザリックへの帰還が当分先になりそうで、そう考えただけで発狂ものである。

 

 

ただそれ以上に不満なことに私はこの数日放置されている。

同盟国の大使であるのにだ。一体どうしてなのか。

そもそもあの憎たらしいクソスライムは建国祭や何やらと色々と忙しいらしい。

同盟国の大使である私を部下に任せないといけないほどに。

私はあのクソスライムを見ているだけで吐き気がするから問題ないのだけれどその代わりに充てられた者も以前一悶着あった小娘。

一瞬私に対する嫌がらせなのかとも考えたが小娘も顔を顰めたし、あのクソスライムは私と小娘に一悶着あったことを知らないのね。

それにその小娘の方もかなり忙しいらしい。

 

 

〜数日前〜

「ああ、俺以外だと面識あるのシュナだけだし、女性同士だから何かといいのかと思うんだけどだめか?」

「い、いえ。わかりました。」

「それじゃあ、よろしくなー」

と言いあのスライムは私が警戒していた奴らとナザリックの技術者を連れてどこかへ行ってしまった。

その後小娘から話しかけられる。

「リムル様から案内役を仰せつかったシュナです。

前回のことは気にしなくていいのでゆっくりこの国を堪能なさってください。」

「そうね、そうさせてもらうわ。」

といったもののアルベドの心中は前回の言い争いのことを思い出し腑が煮えくりかえりそうだった。

 

 

〜同盟締結日〜

「なるほど理解しました。3は、、、特に問題ないですね。

私から何か追加したいことはないので問題ありません。」

「わかりました。ならばあとはこちらをお二人にお見せして正式に同盟締結といった流れですかね。本日はお疲れ様でした。」

と対等な感じで握手する2人を見てアルベドは同僚までもが同盟国に対し表面上は敬意を払った対応をしておりイライラしていた。

そしてアルベドはつい思いを吐露してしまった。

「あなたはリムル陛下の考えを理解したつもりでいるけど、実際は唯々諾々とただ命令に従っているだけなのね。」

唐突なアルベドの発言に穏やかなムードで終わろうとしていた話し合いの場が一気に冷え込む。

「それはどういったことでしょうか?」

「あら、言葉通りの意味だけど、そんなことも伝わらない?」

「それは、つまり私は何もリムル様のお考えを理解していないと、、、?」

「ええ、そうよ」

「それはどうしてですか?」

 

 

「そんなことも分からないのね。いやだから何も分かっていないのね。

そもそもこの同盟の締結はアインズ様から持ちかけたけれど実際は隷属を要求しているのよ?」

「それはどういうことでしょうか?」

「まだ分からないの?アインズ様は貴国の王を尊重して同盟を提案しただけなのよ。

本来ならばそのアインズ様の恩情に気がつき、すぐに隷属を懇願するべきだったのよ、貴国の王は。

それなのにそれをしなかった。いや、できなかったのね。

きっと自分が王であるというプライドが邪魔をして。

だからリムル陛下はあなたを連れてきたんじゃない?

自分は席を外させてもらうからその間に隷属を代わりに要求してくれと。

それをリムル陛下があなたに託したのにあなたは言葉通り同盟を結べと言うリムル陛下の命令にただ従って、ほんと王共々無能ね。」

「いい加減にしていただけますか?

リムル様への侮辱、いくらこれから同盟を結ぼうとしている国の方でも看過できませんよ。

それにどうして貴国の王は隷属を望んでいると?

そしてなぜリムル様が隷属を私に要求しているとわかるのですか?

妄言が酷すぎますよ。ここは外交の場であって精神病患者の通院する病院ではありませんよ。」

 

 

「なんですって?本当に無能ね。彼我の戦力差を考えたらわかることじゃない?

あなたの国で脅威となり得そうなのはリムル陛下のみ。

あなたが言う外交の場に王が配下を1人しか連れてきていないのがいい証拠よ。

他国に行く王が示威行為として国力なり兵力なりをなんらかの形で喧伝するのは当たり前のことじゃない。

それなのにそうしないと言うことは私たちに匹敵するほどの戦力が貴国にはないと言うこと。

ならば当然隷属して庇護下に入れてもらおうとするでしょ?」

「はぁ、これは異世界間での同盟です。どうして力を誇示しなければならないのですか?

政略戦争でもするわけもないでしょうし。あなたこそ常識に囚われすぎではありませんか?」

と両者は一応口論をしていたが既に2人は互いを警戒していた。

いつ攻撃されてもおかしくないと。しかしそこを冷静にデミウルゴスが止めに入る。

「お二人ともいい加減にしていただけますか?」

「ちょっとデミウルゴス!邪魔しないでちょうだい!」

 

 

「そろそろ頭を冷やしてください、アルベド。

あなたの発言はこれから同盟を結ぶ国の王に対して失礼すぎますよ。」

「あなたは本気で今回の同盟に賛成しているの!?あり得ない!」

「賛成か反対かではありません。あなたの態度が見過ごせないと言うことです。

それにアインズ様がお決めになられたことです。まず私はそのことを否定するあなたに思うことがあるのですがね。」

「ッッ!!!///」

「すみませんでした、シュナ殿。こちらから厳重に注意しますのでどうかお許しいただけないでしょうか?」

と言うデミウルゴスの低姿勢にシュナも血の気が引いて謝罪を受け入れるのだった。

それから少ししてアインズとリムルはやってきた。

 

 

 

 

確かに今となってはあの時の私の考えは的外れだった。

テンペストの戦力はとても軽視して良いものではなかった。

しかしそのことを小娘に得意顔で暗に指摘されては納得しようにもできない。

「それではこれからご案内いたします。何かご質問などはございますか?」

だからここでまた言い返してしまう。

「特にないわ。そもそもあまり興味ないもの、だから早くしてくれる?」

そしてシュナも顔に出してはいないが前回のことがだいぶ腹に据えかねていたためこう答えてしまう。

「そうですか、では宿泊する場所へ案内いたします。

その後はお好きにしてください。

私も今後のことで忙しいので、つきっきりでご案内できませんがご了承ください。」

 

 

そうして部屋に案内されそのまま放置。

この国は正気かと尋ねたくなるものの原因が自分であるためどこか後ろめたいアルベドであった。

そしてあれからさらに数日。

ようやく小娘が部屋に来た。

「失礼いたしました。私の代わりに案内役の者を遣わせる手筈だったのですがこちらの手違いで大使の方を放っていてしまい申し訳ありません。」

「いえ、構いません。こちらこそお忙しい中突然の来訪申し訳なく思っていますので。」

とアルベドはこれ以上皮肉を言い合っても敵陣ではこちらが不利だと考えたため大使としての職務を全うすることに決めた。

アルベドの様子に少し驚いているシュナであったが、シュナはシュナで少しやりすぎたかと反省していた。

「それでは遅ればせながらではありますが私がご案内させていただきます。よろしくお願いします。」

「ええ、よろしく」

それからアルベドはテンペスト内をシュナに案内される形で回った。

 

 

 

 

まず初日は午後から首都である中央都市リムルを案内される。

そして翌日は朝から移住地区、商工業地区、観光娯楽地区、迎賓地区と大きく4つに分けられている場所をそれぞれ見て回った。

端的に説明すると移住地区はテンペストの国民が暮らしている場所。

商工業地区は職人たちの家やその職人が作り出したものを売る店などがある。

観光娯楽地区はまだ未完成とのことで詳しいことはわからないが闘技場が製作されている途中であった。

まだ完成してはいないがどうみてもバハルス帝国にある闘技場よりも規模が大きそうである。

そして最後が迎賓地区。ここは私も宿泊していた施設もある。

これらを見るだけでも正直リ・エスティーゼ王国やバハルス帝国なんかよりも活気がありよっぽど栄えている。

ナザリックが国家運営する際に見習うべき箇所もいくつかありそうだ。反乱の可能性などを考慮し、ここまで国民に活力はいらないが。

アルベドは自分の想像を遥かに超えるテンペストの国力に言葉を失っていた。

しかし翌日アルベドはさらに驚愕することになる。

それは案内役のシュナに連れられ封印の洞窟に来た時だった。

 

 

アルベドが驚愕した理由は二つ。

まずこの洞窟内では回復薬の生成とその材料となる薬草の栽培を行う生産研究施設があるという。

そんな施設、普通ならば国家機密レベルのものであるはずなのになんの惜しげもなく公開し、説明までしている。アルベドにはとてもじゃないが信じられなかった。

そしてさらに信じられないことにここにはあのクソスライム以上に強大な力を持った龍が封印されていたというのだ。そしてその封印を解いたのがあのクソスライム。

つまりこの国の武力面で最も警戒していたクソスライム以上の奴がいるということ。

まだそいつの実力を確認したわけではないが今までの情報の精度を勘案すると簡単にブラフだと判断することはできない。

第一ここには多少ではあるが強大な魔物特有の魔力残滓がある。このことからもアルベドは聞いた話がほぼ真実であると考える。

 

 

 

案内が一通り終わりアルベドは自分に用意されている部屋に戻ってきていた。

残る施設は迷宮など見学に時間がかかりそうなもの以外全て終了したとのことらしい。

アルベドは部屋で熟考していた。それはこの国とどう付き合っていくべきかをだ。

この国、テンペストと上手く付き合っていくことができれば確実にナザリックの利益になる。

しかし一歩この国との付き合い方を間違え、戦争にでもなれば確実に階層守護者の何人かは死ぬ。

それはいくら復活できるとはいえまずい。階層守護者が負けたということがダメなのだ。

もしそのことがナザリック内もしくは他国に知られた場合、盤石な支配に亀裂が生じかねない。

となると初めの通りに同盟関係を維持しつつ関係を深めていくのが吉。

しかし、しかしだ。そうなれば自ずとあのクソスライムがナザリックに来る回数が増える。

それはつまり私がアインズ様と2人きりでいられる時間が減り、逆にあいつがアインズ様と一緒にいる時間が増えるということ。

それに関してはいくらなんでも妥協できない。

それならばどうするべきか。戦争をせずに相手を服従させる方法、、、

アルベドはその方法を部屋にこもり思索するのだった。

 




syrupさん、トマス二世さん誤字報告ありがとうございます。


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2 従者の猜疑心

脱力タイムズってなんであんなに面白いんですかね。


 

私は不思議に思っていました。それはアルベド様についてです。

以前同盟締結の際にあり得ない妄言をさも当然のように考え、リムル様を侮辱したあの女が突然態度を軟化させました。

この国に来て初めはそんな様子は一切なく、以前と同様に高慢な態度で私に接してきました。

 

 

【「それではこれから案内いたします。何か聞きたいことはございますか?」

「特にないわ。そもそもあまり興味ないもの、だから早くしてくれる?」

「そうですか、では宿泊する場所へ案内いたします。

その後はお好きにしてください。

私も今後のことで忙しいのでつきっきりでご案内できませんがご了承ください。」】

 

 

この国に来た当初の会話を思い出すだけでもイライラしてしまいます。

完全にこの国を舐め切った態度。

そんな態度に耐えきれず思わずこの会話から数日相手を放っておいてしまいました。

リムル様の大切な同盟国の大使であるのに。

数日経ち流石にあの対応はまずかった、それに自分も子供だったと反省し謝罪しに行きました。

しかしそこからがまた驚きでした。

 

 

【「失礼いたしました。

 私の代わりに案内役の者を遣わせる手筈だったのですがこちらの手違いで大使の方を放っていてしまい申し訳ありません。」

「いえ、構いません。こちらこそお忙しい中突然の来訪申し訳なく思っていますので。」

「それでは遅ればせながらではありますが私がご案内させていただきます。よろしくお願いします。」

「ええ、よろしくお願いします。」】

 

 

私の手違いの件(くだり)は確実に文句や皮肉を言われると考えていました。

それなのにアルベド様からは謝罪。本当に戸惑ってしまいました。

だから私は本当にやり過ぎてしまったのかとも一瞬考えました。

しかしテンペスト内を案内するうちにアルベド様が態度を急変させた理由が分かりました。

単純に彼女は私たちの国を実際に見て、私たちの国の評価を修正したのです。

この国は隷属ではなく同盟だというように。

 

 

これは好意的に捉えれば彼女から私たちの国が同盟に値するというふうに評価されたことになります。

しかし彼女に認められることを好意的に捉えて良いのかという問題も残ります。

なぜなら彼女に認められるということは前段階では彼女からは評価されてない、なんならこの国は隷属まで要求しても問題ないと考えられているのです。

前回お会いした時はこれほど計算高い方だとは思っていませんでした。

リムル様は今回の同盟を一応の保険として締結しましたがこれでは私たちの国が窮地に追いやられた時に本当に助けてくれるのか判断できません。

リムル様は同盟国の王と親しいようでしたが、だからといって絶対に助けてくれるというわけではありません。

むしろ大使として視察に来る彼女の人柄の方こそよく把握しておかなければならないように私は思います。

だから私は明日の迷宮の案内が終わり次第至急アルベド様と話さなければならないと感じました。

もちろん建前を抜きに本音で。はぁこの同盟本当に必要なのでしょうか。

リムル様がこの世界にいらっしゃらないというのは本当に嫌で、不安に押しつぶされてしまいそうになります。

こんな同盟無くなってしまえばいいのですが、、、。

 

 

 

 

翌日アルベド様にテンペスト国観光の目玉スポットとなる予定の迷宮を案内します。

朝10時にアルベド様が宿泊している宿までお迎えに行き案内をします。

道中はアルベド様から何かしらの質問があれば回答しますが世間話などの会話は一切ありません。

そして迷宮の前まで到着し、説明をします。迷宮の詳細についてはリムル様だけでなくラミリス様の個人情報も含まれるので細かくはお伝えしていません。

しかしアルベド様はここの迷宮の有用性に気付いている様子。やはり頭の回転が早い方なのでしょう。

開示した情報は今後迷宮がオープンした後に説明するような内容、迷宮主の任意で死者蘇生ができることや階層を自由に変化できることなどしか伝えていませんのに、、、。

そしてこの迷宮攻略アトラクションについての説明をしました。

この迷宮は第100層まであり、一定の階に階層ボスが存在することをお伝えしました。

 

 

アルベド様はその階層ボスを確認したいとおっしゃっていましたがゼギオンや竜たちがまだ成長しきっていないためお断りさせていただきました。

しかしそれ以上にアルベド様はこの迷宮の階層ボスが外でも活動できるのか、

また外でも自由に復活できるのかという階層ボス個人というより何かしらの迷宮内の制約を探っているようでした。

当然私は答えを濁し、迷宮主に聞かないことには私ではわからないと伝えました。

アルベド様は渋々といった感じでしたが引き下がってくれました。

説明をし終えた後は実際に迷宮内に入り案内をしました。

建国祭で他国の方にはお披露目するのでアルベド様がテンペスト国民を除いて初の入場者です。

 

 

しかし初の入場者といっても挑戦者ではありません。

ですので、95層にまず転移します。

アルベド様はご自身が想像された迷宮と違うといった感じで困惑されていましたが

ここを迷宮内のリゾート施設だということをお伝えすると得心された様子で何か考え事をなさっていました。

それからしばらくして迷宮の案内がひと段落したことで、ひとまずテンペスト内で案内できる場所の視察は全て終わりました。

案内が終了しアルベド様を宿舎にお連れすることになりました。

もう視察が終了したためアルベド様とゆっくり2人で話をする機会が今後あるのかわかりません。

ですので宿に戻る途中がアルベド様を呼び止める最後のチャンスだと思い、私はアルベド様に話があることをお伝えしました。

するとアルベド様も何か私と話したいことがあったようでちょうどよかったと言われた時は再び驚いてしまいました。

 



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3 陥落


今日の内容一回全部消えて吐きそうでした。
無駄労力です。萎え萎えです。
萎えすぎて萎えってめっちゃ打ちます。


 

アルベドは焦っていた。

前日に紹介された封印の洞窟もそうだが今回案内された迷宮、これは本当にまずい、と。

封印の洞窟にいた竜はまだこの目で正確に確認したわけではないし、相手のブラフという可能性もまだ捨てきれない。そして仮に存在していてもあのスライムと同じであくまでそれは「個」でしかない。まだ対処できると考えていた。しかし今回の迷宮は全く話が異なる。話を聞いた限りではその迷宮主が存在している限りその迷宮主の任意で死者蘇生などを行えるという。つまりナザリックが侵略戦を仕掛けたとしても国民全員があの迷宮内に逃げ込んでしまえば誰1人として殺せないということになる。その一方ナザリック陣営は死んでも蘇生できるが魔力が必要になるためそう何度も蘇生できない。つまりアンデッドの軍勢で不死身の軍を相手にしなければならないのだ。とんだ茶番であり、どちらがアンデッドなのかすらわからなくなってくる。

そしてさらに恐ろしいことはその迷宮主の力の適応される範囲がわからないということだ。もしかしたら一度その力の恩恵を受ければ迷宮の外でも死者蘇生などの力を発揮することができるかもしれない。そうなれば今度はナザリックに攻め込まれるかもしれない。最悪だ。詳しいことはあの小娘に聞いてもわからないと言われたが確実に嘘だろう。あの小娘はクソスライムの信頼厚い部下、それならばどの情報がこの国にとってのウィークポイントになるか把握しているに違いない。なんとしてでも昨日考えた通りの話運びに持って行くしかない。あの私の推測が外れていたらもうおしまいだけれどそれしか思い浮かばなかったのだから仕方がない。それよりあの迷宮の主とさっきからあの小娘は言っているけど、こんなどでかい迷宮を1人で運営できるなんてあのクソスライムより強いんじゃないかしら、ほんと意味がわからない。とやや自暴自棄になりながら表面上は淑女然とした態度でシュナに話しかけたのだった。

 

 

 

 

アルベド様から2人で話がしたいと言われました。

私は驚きつつも自分の方からも話があったのですぐに部屋を用意しました。

そして再び私はアルベド様に驚かされました。なにせあんなにも高慢で人を見下してくる方が部屋に入り、話を始めるなり深々と謝罪してきたのです。

「先日からの貴国に対する度々の無礼誠に申し訳ありませんでした。同盟締結の際の私の推測はシュナ様のおっしゃる通り私の妄言でした。」

私はついどんな意図があるのか勘繰ってしまいましたが、純粋にそれは私たちの国に対する評価を改めたからだと考えました。もしかしたら何かしらの裏があるのかもしれません。しかし現状は何も分かりません。だから私はそのひとまずその謝罪を受け入れました。そして真意を探るべく鎌をかけてみました。

「分かりました。アルベド様の謝罪受け入れたく思います。

謝罪の意図は私たちの国がアルベド様に認められた、ということでよろしいでしょうか?」

「はい、先日より貴国を視察させていただき私たちによる援助など不要なことをはっきり理解いたしました。差し出がましいことを申しまして、申し訳ありません。」

やはり私の予想した通りアルベド様は私たちに対する評価を大幅に変更したようです。ただこの変わりよう、、、

確かに今の姿が大使として、国の重要な役職に就く方の態度としてふさわしいと思います。しかしこれほどに態度が隷属国相手と同盟国相手で変化する方なのでしょうか?

もしこれが演技でないとすればこの同盟関係の維持はどうしても不安が大きいですね。

それにこの態度の変化を故意に行なっているとしたらその目的は一体、、、

何故なのでしょうか?

もしかしたら不信感を与えることが目的?でもどうして?

そんな不信感を与えてしまっては信頼関係が重視されてくるこの同盟において悪手すぎる行動、、、。

まさかアルベド様はこの同盟を白紙にしたいのかしら???

やはり直接聞いてみるしかないのかしら、、、?

 

 

 

 

私が謝罪した後あの小娘は黙って何かを考えている様子。

それはそうよね、あの態度の変わりよう、何かしらの裏があると考えるのは当然。

もし気が付かないようならそれこそ本当に同盟を組む価値を見出せないわ。

あの小娘がどこまで私の考えを理解しているかはわからないけど何か気になっていることは確か。それならば私からきっかけを作って話の主導権を握るのが吉かしらね。

「少々話は変わりますがシュナ様は本当に今回の同盟に利があるとお考えですか?」

私は相手の表情を探りつつもいきなり本題を伝えてみる。

小娘は一瞬目を見開きまた何かを考えるように俯きながら何かをつぶやいている。

「それはどういうことでしょうか?」

「それはもうお気づきになられているのではないですか?

この同盟を結ぶ意味がないことに。」

「そのようなことはないのではないでしょうか?この同盟を結ぶことによるデメリットも確かにありますがメリットだって十分にあるのではないでしょうか?」

「確かにメリットはあるかもしれません。今回のように互いの研究者や技術者を交流させただけで彼らは異世界の知識を自国の利益につながるように昇華させようとしています。しかしそれはこの同盟を結んだことによる副次効果で本来私たちの王と貴国の王が願った主なる目的である保険の役割を果たすことができない可能性があることくらいシュナ様ならばとっくに気がついているのではないですか?」

と私が尋ねると小娘はため息をつきこうきりかえしてくる。

 

 

「その原因があなた自身であることをわかっていての発言ですか?」

この発言でアルベドはシュナが自分の想定通りに考えていることを確信し思わずにやけそうになってしまう。

「ええ、そうですね。」

「それはあなたの同盟国と隷属国に対する態度の違いが私の懸念材料になっていると、そうおっしゃっているのですね?」

シュナは語気を強めて問う。しかしその途端アルベドは笑みを作り、以前のような口調に戻る。

「ええ、むしろ気がついてもらうためにいつもより少し過剰にしたのよ。

感謝して欲しいくらいね。」

「気が付かせるため、、、?」

「そうよ、気づいてもらい貴国から同盟を白紙にしてもらうためにね。」

「何故白紙に?そもそもそれならばまず同盟を持ちかける必要がなかったのでは?」

「同盟を持ちかけたのはアインズ様らしいけれどその場にはアインズ様とリムル陛下しかいなかったのよ。

その場でどのような会話がされていたのかもわからないわ。何故同盟を結ぶことになったのかなんて皆目見当がつかないわ。」

「そちらから持ちかけた同盟だから破棄するためにはこちらが主だって行動する必要があると?」

「まぁ簡単に言ってしまえばそうね。

アインズ様の面子を部下である私が潰せるわけないでしょ。

それにここに来るまでは別に同盟もまぁなくはないと考えていたわよ。

でもそうね、、、あなたたちの国は私たちにとって少し危険すぎるわ。」

 

 

「危険ですか?」

「ええ、国力にしても武力にしてもね。」

「それはおかしくありませんか?そもそも同盟国なんですよ、どうして戦争を前提に話を進めるのでしょうか?」

「はぁ、そうしたことも考慮しておかなければならないでしょ。

国の政治を担うものならば特に。

武力衝突になった際に戦争の可能性を失念していましたでは話にならないわよ。

第一その見通しの甘さで国民が死ぬ可能性すらあるのよ?理解している?」

シュナはアルベドに言われたことに全く反論できなかった。

その通りだった。確かに今は比較的有効な関係を維持できている。

しかしその関係がいつ壊れるかは誰にもわからない。

仮に他国、例えば武装国家ドワルゴンなどであれば一応隣接する国であるため両国は友好でいるための努力をする。

しかし今回の同盟相手の国は異世界に存在する。同盟という関係が常に続く訳ではない。

そもそも今回締結した同盟の国は異世界に存在するため情報を得ることすら困難だ。もしかしたらこちらの知らないうちに相手は攻め込む準備をしているかもしれない。

それが原因で市民の非難が遅れ都市戦にでもなったら被害甚大である。そのことに気がついたシュナは言葉を失ってしまっている。

 

 

しかし助言をしたアルベドは内心で笑いが止まらなかった。

そもそもアルベドにとって大切なことはアインズのみであり臣民がいくら死のうがどうでもいい。むしろ敬愛するアインズのために死ぬことができるのだから喜ぶべきだとも考えている。

しかしその考えがこちらの世界では受け入れられないことはここを視察しているうちに理解した。

だから今回のように話を進めればシュナというリムルの信頼厚い仲間を丸め込めるのではないかと考えたのだ。

しかしそこでシュナに問いを投げかけられる。

「確かにその可能性があることは私含めこの国もものの多くが失念しておりました。

ご指摘ありがとうございます。しかしやはり気になるのですが、同盟を持ちかけたのは貴国の王、アインズ陛下ですよね。それはそちらのミスではないのでしょうか?」

シュナは確かにその可能性について失念していた。しかし本来同盟はナザリック側から持ちかけているためどうしても腑に落ちないとこがあった。

シュナの質問にアルベドは端的に答える。

「それはバランスが取れていたからよ。」

「バランスですか?」

「ええ、おそらくアインズ様はナザリックが武力であなたたちを圧倒すると考えていたの。

そして我々は異世界転移ができない。だからアインズ様は武力で、そしてリムル陛下は転移でという点でそれぞれにアドバンテージがあった。

だからそれぞれに楔を打ち付けることでこの同盟はうまくいくだろうと考えていたの。」

「理由としては分かりましたがどうしてテンペストの武力が貴国に劣ると考えたのでしょうか?」

 

 

「私はアインズ様のお考えが全て分かる訳じゃないから、これは私たち従僕(シモベ)の考えだけれどリムル陛下の実力が理由ね。確かにリムル陛下は強いわ。

でも言ってしまえば私たちナザリック陣営の守護者1人と戦えるレベルってだけなの。

当然我々の主人アインズ様は我々よりも強いわ。

従ってあなたたちの国にはアインズ様の身を脅かす者がいないと判断した。

仮に奇襲を受けたとしても対処できると考えていたわ。

しかしこの国を訪れ視察する中でその推測が誤っていたと実感した。

リムル陛下ほどではないにしてもこの国には強者が多い。

ましてリムル陛下よりも強い者がいるというのはこちらとしては大問題なのよ。」

「魔物の習性から逆算してリムル様より強いものはいないと考えた、そしてリムル様に並ぶ実力の者も普通に考えて少ないだろう、と結論を出したということでよろしいでしょうか?」

「そうよ」

「なるほど、理解いたしました。確かに危険ではあります。

この同盟は私たちもそうですが貴国も不安の種を抱えることになるのですね。」

「ええ、だから今回のことは非常に残念だけど同盟は白紙に戻す方向で進めた方が両国のためだと思ったのよ。」

 

 

シュナは黙り込む。

非常に悩んでいるようだ。一方アルベドは悠然とした態度で微笑を浮かべて立っている。

しかしその内心では自分に対する拍手が鳴り止まない。

こうした理由ならば誰からも後ろ指を刺されることなくクソみたいな同盟を破棄できると。

しかしシュナはアルベドの思惑通りには動かない。

「確かにその危険性を考慮して同盟を白紙に戻すことが一番安全だと思います。

ですが貴国と友好的な関係を築くことで利点もたくさんあるのが現状です。

であるならば私はリムル様を信じついていくだけです。」

とあっさり断られてしまうアルベド。

一瞬額面に青筋が浮かぶもののまだ諦めない。

「そう。では仮にあなたの国の王が国益を無視して己のためにこの同盟を結んでいたとしたらどうするの?」

「それは、、一体、、?」

「リムル陛下はこちらの世界に何度か足を運ばれているようだけど毎回アインズ様にお会いするために来ているわけではないらしいわ。」

「では一体何をしにそちらの世界に行くというのですか?」

「リムル陛下はアインズ様に会うのと同じくらいの頻度で、向こうで冒険者をしている女に会いに行っていると部下から報告を受けたわよ。」

アルベドは一体どこから入手したのだというような情報を悠然とした態度でシュナに開示する。

しかしアルベドが余裕でいられるのもアインズとイビルアイがリムルの仲介でデートするということを知らないからなのだが、そんな事実に気がつくのは後の話。

一方シュナは今度こそ本当に思考が停止してしまう。

アルベドの言葉を素直に受け取ったシュナには自国の王が異国の女に逢いに行っているようにしか思えなかったのだ。

「え、、、、、、、、、、リムル様が?、、、、、、、、、、、え、、ええ、え、え、え、え、ええ、え、えええ、え、、え、え、、、

え、え、え、、え、え、え、え、え、、え、え、え、、え、え、え、え、え、、え、え、え、え、え、え、え、、え、え、え、え、、え、え、え、え、え、え、え、え、え、、、ええ、え、え、、、え、え、え、、、、、ええええ?」

 

 

止まった思考にアルベドが考える隙を与えないように次々情報を流し込む。

「ええ、これは確かな筋からの情報よ、あら、知らなかったの?おかしいわね。リムル陛下がアインズ様に会い来る時は必ず国の者に伝えてからいらっしゃっていると聞いたのだけれど。」

「、、、、、、はい、、、確かにアインズ陛下に会いに行かれる時は必ず私に一言伝えてくれていました、、、、。」

「ではなぜその女冒険者と会う時はシュナ様にお伝えせずに行かれたのでしょうね?」

「それは、それは、、、それは、、、、」

答えに言い淀むシュナ。

「まさかあちらの世界で良い仲になられた方でもいるのかしら。」

「そんなこと、、、そんなことあ、り、、、ま、、せ、、」

最後まで言い終わる前にトドメの一言。

「その女冒険者と会う時はほとんどが2人きりの時らしいわよ。」

そうアルベドが伝えるとシュナは崩れ込んで顔をくしゃくしゃに歪めてしまう。

「ゥゥ、、、リ、、、ムル、、、ザマ、、、、ヒック」

アルベドは泣き崩れたシュナに近づき笑いを必死に堪えて声をかける。

「大丈夫?そんなに悲しかったの?」

「だって、だってリムル様が、、、ずっと、、、好きだったのに、、、」

と先ほどまでの凛とした態度で外交問題について話していたシュナの面影はどこにもなく、そこにいるのは好きな人を知らないうちに奪われ泣きじゃくるただの子供だった。

アルベドはそっと寄り添い、後ろから抱きしめながらシュナにこう囁く。

「そんなに嫌ならば奪ってしまえば良いじゃない?」

「う、、、、ば、、、う、、、?」

「ええ、そうよ。リムル陛下があなた以外を好きになってしまったのならその女から奪えばいいのよ。簡単でしょ。」

「で、でも、、私には、、、そん、、な、、、こと」

 

 

「できるわよ。あなたならきっと。それにリムル陛下が会っている女はこの世界の者じゃないんだもの。それなら異世界との関係を切ってしまえばいじゃない。」

「それ、それでも、、リムル様は、、、転移で、、、グスッグス」

「それならあなたがどこにも行かないようにずっとお世話してあげれば良いじゃない?」

「私が、リムル様の、、お世話?」

「ええ、そうよ。リムル陛下をどこにも行かないようにするの。

そしてあなたがリムル陛下の全ての面倒を見てあげれば良いじゃない。

大好きなリムル様と朝一緒に起きて、服着替えさせてあげて、ご飯食べさせてあげて、一緒に仕事して、

お風呂一緒に入って、夜ご飯食べて、そして一緒に寝るの。どう?最高じゃない?もう誰にも取られる心配なんてないわよ。」

「でも、でも、そんなことしたら、、リムル様に嫌われるんじゃ、、、」

「大丈夫よ、だって全てあなたがリムル様を思ってする行動なんだもの。

全て喜んで受け入れてくれるわよ。」

「ほんとう、、、?」

「ええ、本当よ。」

「うん、、わかった、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、私はどうすればいい、、、?」

「まず私の質問に答えてくれる?」

「うん。何?」

「今日迷宮で話していたことは本当?」

「ええ、本当よ。」

「迷宮の蘇生機能は外に出ても効果を発揮するの?」

「いいえ、外では認識の範囲外になってしまうから蘇生はできなかったはずよ。」

「そう、ありがとう。後は私に任せて。」

「ううん、これくらいのことならいつでも聞いて。」

アルベドは魔法の効果が発揮されているか確かめるために気になっていたことを聞いてみた。

そしてすんなり返答が来たことで今度こそ堕とした、と拍手喝采を自分に送る。

ついでにナザリックに攻め込まれる心配も減ったことに胸を撫でおろした。

初めは魔法系統に強そうな彼女に第四位階魔法<全種族魅了(チャームスピーシーズ)>を使用した時はバレないかと柄にもなくヒヤヒヤした。

しかし精神的にまいらせて正解だった。おかげで簡単に堕とせた。

シュナがリムルを異性として愛しているという前提なしには今回の策はうまくいかなかったので昨日の晩死ぬ気で頭を回転させてよかったとアルベドは思った。

そしてアルベドは異世界同盟を白紙に戻すべく更なる計画を練るのだった。

 



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ごめんなさい。
圧倒的なまでの言い訳


前書き
土曜日の更新から第6章がスタートします。
ですがその6章前に色々と作者から言い訳?弁解?説明?をさせてください。
興味ない方、うるせぇという方はスルーしてください。


 

 

まず前提としてですがこの物語はアインズとイビルアイの恋愛を見たくて個人的に自給自足している作品です。

そしてそれならばなぜリムルを登場させたのかという話になると思うのですが、理由は単に転スラを好きだったことと、アインズとイビルアイが恋愛するとなった時にナザリック陣営でこの2人の恋を仲介してくれそうな人が誰1人としていないなと考えたからです。恋に奥手な2人ではなかなか進展はしなそうですし仲介は必須だと考えています。しかしアルベド、シャルティアあたりはマジギレしそうですし、デミウルゴスは恋ではなく交配実験の一種としか考え無さそうなので嫌でした。パンドラズアクターやセバスあたりならばわんちゃんあったかも知れませんがそれでも彼らが優先するのはイビルアイの恋ではなく、アインズの意思とナザリックという組織だと思います。そこで私はリムルをオーバーロードの世界線にぶっ込みました。

 

 

しかしそうしたことでまた別の問題起きてしまいました。

それは圧倒的なまでのイチャイチャ不足です。

自分読み返してみても「アインズ×イビルアイ」というより「アインズ×リムル+イビルアイ」になってしまっているなとは思っています。

それでも1章〜5章まではまだなんとか設定も本編の流れに沿って展開していったつもりなので、出来の悪いオバロ×転すらコラボ物語として押し通せるかなと思っていました。

読んでくださっている方達がどういった印象をお持ちか分かりませんがとにかく私はそう思っていました。

 

 

しかし今後の展開を考える上で更なる問題が発生しました。

問題が何かを記述してしまうとネタバレになってしまうため明言できません、申し訳ないです。

ただ読者の方々には一つお伝えしておかなければならないことがあります。

ここから転スラは本編通りの流れで行くと思われますが、オバロの流れや設定をオモクソ変えます。

そして作者である私がこういった物語を書くのが初めてということもあり、正直変えた設定はユルイと思います。オバロ好きな方には耐え難い変化かもしれません、もしかしたら作品に対する冒涜や侮辱と捉えられてしまうかも知れません。しかしそれでも設定を変えたのには理由があるということをお伝えしたく長々と書かせていただきました。

すみませんが、よろしくお願いします。

 

 

6章主な登場人物

転スラ・・・リムル、シュナ、ディアブロ、ルミナス、ガゼル、ヒナタ、エルメシア

オバロ・・・アインズ、アルベド、シャルティア、デミウルゴス、アウラ、マーレ

 

 

糸守 朱知.



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6.建国祭
6-1 多忙なリムルと苦慮するアインズ


この間受けた英検、あと二点足りませんでした。
発狂しそうです。
アインズ様の<鎮静>の能力?私にもください。


リムルは大慌てだった。

建国祭の準備は優秀な仲間達のおかげで着々と進められていた。

しかし問題はあった。

まずは魔王になり、ジュラの森を手中に納めたことで大森林内の各部族が挨拶に来たのだ。

リムルが魔王ということで恐る恐る挨拶にくる兎人族などは今後自分が悪いスライムだと言う誤解を解けば良いし、

自分のことを見定めるような目で見てくるものたちもシオンやディアブロを軽く宥めるだけだからまだいい。

しかし初めから交戦的な奴らは本当に疲れる。

時間がない中でこうした奴らを相手にするのは本当に骨が折れる。まぁスライムだから骨はないのだけれど。

だから牛頭族と馬頭族が来たときはシオンが割とうまく対処してくれて本当に助かった。

なんやかんやあって魔王就任によって発生したイベントの謁見式はなんとかなった。

しかし気づけば前夜祭まであと数日。まだまだやることが山のようにあるのだ。

リムルはジュラ・テンペスト連邦国の王であり、尚且つ魔王だ。

一国の王として人間の国と、そして魔王として他の魔王たちと関係を深めていきたいリムルは建国祭に様々な者を呼んだ。

そこまではいい。しかし人と魔物という本来ならば敵対する者同士をいっぺんに集めてしまったためにやることが多すぎたのだ。

特にリムルが苦悩していたことは礼儀作法。この人と魔物が争い合う世界で世界共通のマナーなどはなく、その国ごとに異なっている。

建国祭まで残り1週間。前日には前夜祭が行われ、武装国家ドワルゴンからはガゼルたち、その他にもミリムなどが来ることが決まっている。

「わぁーまじでなんでこんなに色々な国招待しちまったんだ!覚えることが多すぎる!!!!覚えきれねぇ!!!!」

とリムルは思いつきで開催を決意した少し前の自分に対して恨み言を吐く。

しかしいくら文句を言ったところでもうどうしようもない。

リムルは極力覚える努力をし、あとは未来の自分とラファエルさんに丸投げするのだった。

 

 

 

 

ブルムンド王国の国王夫妻と自由組合王国支部の支部長フューズととても建設的な話をした翌日。

武装国家ドワルゴンのガゼル王がやって来た。

ペガサスに乗ってガチガチの鎧を身に纏っていた前回とは異なりきちっとした正装で大勢の部下を連れて来ていた。

大国としての他国の貴族連中に対して武装国家の武威を見せつけなければならないのだろう。

「来てやったぞ、リムルよ。今回は久々の馬車旅で俺も疲れたわ。」

と文句を言いつつドカリと椅子に腰掛けるガゼル。

そんな様子ながらも王者然とした態度は崩さないのだからたいしたものである。

リムルもそんなガゼルを参考にしようと見ているとテーブルに並べられた茶菓子に片っ端から手を出している。

どこをどうしたらそこまで器用なことができるのだろうかと呆れながらもしっかり

「おい、俺の分の菓子も取っといてくれよ」と釘を刺す。

しかしガゼルはそんなこと知ったことかと言った感じで菓子を頬張る。

「細かいことをいちいち気にするな。こんな些事に気を取るなどお前もまだまだだな。」

と指摘してくるガゼルに対し(お前こそ人のお菓子とっておいてよくそんなでかい態度でいられるな)と内心さらに呆れるリムルであった。

 

 

しかし呆れると同時にガゼルの疲れた様子から街道の馬車移動がやはり大変であることを再確認したため

魔導列車作成もよりも街道整備に気合いを入れねばと考える。

そんな呆れながらも今後について考えると言う割と器用なことをしていると、ガゼルから話しかけられる。

「お前に聞きたいことがある。日向坂口(ヒナタ・サカグチ)と戦って引き分けたというのは本当か?

あの女がお前と引き分けあっただけでお前と和解するなどとても信じられん。

どうせお前が勝ったのに殺さなかったのであろう?」

「すげーな、なんでそこまでわかるんだよ!

でもまぁ勝ったには勝ったけど辛勝だし、ほんと勝った気なんてしなかったんだけどな」

とリムルが日向との戦いを思い出し苦い顔をしていると

「信じられん、あの女には俺でも部が悪いのに。」

とガゼルは自分の予想が当たっていたこととリムルが日向に勝ったことの両方に心底驚いていた。

「まぁ俺が勝てたのは90%以上でスキルのおかげだしな、第一俺の実力じゃうちの幹部たちに勝てるかどうか分からないぞ。」

 

 

リムルは究極能力(アルティメットスキル)『暴食之王(ベルゼビュート)』などの効果もあり自分では把握しきれないほどのスキルや魔法を使える。しかしリムル自身はその能力について認知していないのだ。認知していなければ当然使用できない。そこを究極能力(アルティメットスキル)である『智慧之王(ラファエル)』ことラファエル先生が効率的に運用してくれているのだ。

その莫大な演算処理能力を使用して未来予知紛いのことができるほどに。

そんなラファエルさんフル稼働させて日向に辛勝なのだ。

とても勝ったなんて思うことはできない。

「やはりお前は変わったやつだな。お前の実力というのはそのスキル含めたものだろう?なぜ己とスキルを切り離して考えるのだ?」

と言いガゼルは呆れながらも笑っている。

しかしこれがリムルの隠さざる本音なのだから仕方がない。

まぁ掘り下げても何も面白くない話なのでリムルもガゼルに合わせて笑っておく。

当然、苦笑いの方ではあるが。

 

 

「それで今回は一体何を考えている?」

とさっきまでのふざけた様子とは異なり真剣に尋ねてくるガゼル。

心なしか<英雄覇気>まで漏れ出ている気がする。

しかし尋ねられているリムルには何も思い浮かぶことがないためただただ戸惑う。

「なんのことだ????」

「なんのことだ?ではないわ!!今まで我らのことを魔物の近親種と言い距離を置いていた西方教会から国交の打診があったのだ。どうせお前が何かしたのであろう!」

そんなリムルの様子にイラッと来たのかガゼルは本題を告げた。

以前リムルは日向にガゼルも巻き込んじゃえ的なことを言っていたなと思い出した。

しかし思い出したはいいがどう説明すればいいか分からず遠い目をしてしまう。

そんな様子のリムルを見てガゼルはスキル<思考読破>を使いリムルに何かやましいことがあると察する。リムルはもうどうにでもなれと事の顛末を説明することに決めた。

当然だがルミナスのことは隠しながら。

黒幕が七曜の老師であることを伝えなんとか納得してもらう。

「なるほどな、しかし全く勝手に巻き込みおって。」

と文句を言う割に満更でもない表情をするガゼル。

 

 

「だから、まぁよろしく頼むよ」

「好き勝手しおって。まぁこの際だからこの件はまぁいい。

それよりもせっかくの祭りだ。楽しませてもらうことにしよう。」

散々リムルに文句を言ったことで様々なストレスが発散されたのであろうかガゼルは先程までの話はもうどうでも良いという感じで話を切り替えた。

リムルは調子のいい王様だなと思うがそのことをわざわざ伝えて再びガゼルの怒りをくらうアホではない。

「まぁ日向もこの建国祭に招待しているから詳しいことが話したかったら俺に言ってくれ。向こうに時間作ってもらえるように言ってみるから。」

「そうか、わかった。」

「あぁ!そうそう。それともう一つ言っておかなきゃいけないことがあったんだ。

今回人間の国以外も招待していてさ、パッと見、魔王よりも魔王している見た目のやつとかいるけど怒らなきゃ温厚なやつだからあんま警戒しないで普通に接してあげてくれ。」

とリムルが伝えるとガゼルはこめかみを抑えてため息をつく。

「はぁ、、、全く。あまり問題が起きそうな事案を持ってこないで欲しいんだが。

魔王じゃない魔王など正直意味もよく分からんが、、、まぁ良い。わかった。」

こめかみを抑え、ため息つくガゼルだったが去っていく足取りは軽く見えるのであった。

 

 

 

 

アインズは悩んでいた。

悩みの種は当然、前回リムルと通信で会話した際に招待されたジュラ・テンペスト連邦国の建国祭についてだ。

書状を送られて正式に招待されたわけではない。とはいえ向こうの国王直々のオファーだ。忙しくなければ、普通断る選択肢はないだろう。

そして丁度よくバハルス帝国とリ・エスティーゼ王国の戦争が始まり、衝撃的なことにアインズの超位魔法<黒き豊穣への貢(イア・シュブニグラス)>で王国は即降伏。

エ・ランテルを手中に納め、バハルス帝国は恭順と計画がとんとん拍子で進み今は思いの外、時間があった。

ならばなぜ同盟国の建国祭に行くことを躊躇うのか。

その理由は単純であった。ただただナザリックの者たちを外の世界に出すことが怖いのだ。他者がこれだけ聞けば過保護な親心と思うものもいるかもしれない。しかしそうではない。

逆なのだ。ナザリックという組織は基本的に人間という種族を蔑視している。

確かにペストーニャなどの例外もいるにはいるがそうした者は圧倒的マイノリティだ。

そんなメンバーをリムル主催の建国祭に連れて行けばどうなるのか。

それはもう火を見るよりも明らかだ。絶対問題を起こす。

だからアインズは出席するかどうかを本気で、かれこれ3時間近く悩んでいた。

しかしこれ以上1人で悩んでいても仕方がないため、デミウルゴスに相談することにした。

 

 

 

 

「お呼びでしょうか、アインズ様?」

デミウルゴスがアインズに呼ばれいつもの執務室にやってきた。

「守護者統括を兼任している忙しいなか悪いな、少し相談があってな。」

「いえ、とんでもございません。アインズ様のご期待に添えますよう精一杯努めさせていただきます。相談、でございますか?」

「ああ、先日同盟を結んだ国について覚えているか?」

「はい、覚えております。」

「その国から建国祭の招待をされた。」

「建国祭でございますか?」

「ああ、なんでも向こうもこちらと同じで国ができたのはつい最近みたいでな。

各国から友好国を招き国のお披露目をするのだと言っていた。」

「なるほど、しかし異世界の国である我々とはあまり関係がないように思えますが、、、。」

「確かに異世界間でテンペスト国以外と国交を深めるつもりはない。

しかし向こうにアルベドたちが既に行ってしまっているからな。

これはリムルなりの配慮であろう。」

「なるほど、そういうことでしたか。

ならば招待をお受けすれば良いのではないでしょうか?」

とアインズが何に悩んでいるのか未だに把握できずデミウルゴスらしくないふわふわした返答をしてしまう。

「しかし話はそう簡単にはいかないのだ。リムルの国は我々と根本的に国の目標が違う。

我々の目的は世界征服であるがリムルらは国の発展を主軸に活動している。

そのためにリムルは人間、魔物関係なく手を取り合っていける世界を目指しているらしい。

そのことについて異世界人である我々がどうこういう問題ではないが、我々が建国祭に出席するかを私が悩む理由ではあるのだ。」

「なるほど、そういうことでしたか。確かに我々は基本的に人間を下に見るものが多いですからね。そのことが原因で向こうの人間を過って殺してしまってはリムル陛下の政策の邪魔になるということでしょうか?」

「まぁ、、、そういうことだ。」

 

 

とアインズは返答に間が空いてしまう。

(ほら!そういうとこ!こっちが一方的に虐殺するみたいな前提で考えているとこ!

向こうの人間はこっちの奴らと違って強者もいるって言うのに、、、。

いつもデミウルゴスは冷静だから忘れがちだけど、本質は残忍で冷酷なんだもんな。

はぁ、、、仕方ないか。)

「しかしだからと言って同盟国からのせっかくの招待だ。

断るのもあまり良くないだろう。

だからデミウルゴスにはテンペスト国に行くメンバーの選抜を任せたい。」

「なるほど、かしこまりました。メンバーの選抜を行うにあたり一つお願いがございます。

今、テンペスト国には視察をおこないに、アルベドがいます。

とはいえアインズ様の護衛として他の守護者もお連れいただきたく思うのですがよろしいでしょうか?」

「そこは現守護者統括であるお前に任せよう。

ナザリックの防衛に差し支えない範囲でなら構わない。

それとあまりの大軍は用意しなくて良い。」

「よろしいのでしょうか?異世界の者とはいえ各国の貴族が参列するのでしたらナザリックが武威を示すべきかと愚行いたしますが、、、。」

「相手国は我らの国がどこにあるのかもわからないのだ。

後のリムルの心労になりそうなことは控えよ。」

「失礼いたしました。早急に軍と護衛を準備したいと思います。それでは失礼いたします。」

デミウルゴスが出て行った後アインズはリムルに連絡を取り支度をするのだった。

 




トマス2世さん誤字報告ありがとうございます。


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6-2 ちょっと聞いていた話と違うんだけど。

このご時世
電車などみんな意識して席を一人分を空けて座るのに
わざわざ座りにくる人ってほんとなんなんでしょう。

テトリス感覚で人と人との間に挟まりに行きたくなるんですかね?

一列できてもすぐ消えないけどウイルスかかったらガチで消える可能性出てくるので笑えません。


 

その後ヨウムたちと挨拶を交わし、イングラシア王国からユウキと子供達を連れて来て、

その後面倒な4人組を相手したリムルの精神的疲労はピークに達したため夕食まで部屋のベッドでゴロゴロと休んでいた。

するとどこからか声が聞こえてくる。しかしどこから聞こえるのかが分からない。

不思議に思ったリムルはラファエルさんに聞いてみた。

(「ラファエルさん、何か聞こえない?」)

(「告、異世界にある分体より連絡です。」)

(「あ、なるほどな、アインズからか。

一体どうしたんだろうな?それでえーっと分体と連絡取り合うには、、、、

意識を共有するんだっけか、、、?あ、繋がったか、、?」)

 

 

Fromアインズtoリムル

「おーいアインズ、聞こえるか〜?」

「ああ聞こえている、ようやく繋がったか」

「悪いな、うまく分体と意識共有するのって案外難しくてな」

「電波が悪いのか、それなら仕方がない」

「電波って、、、まぁ似たようなもんか。それでどうしたんだ?」

「この間の件だがこちらでは既に戦争が終わってしまって時間がありそうなのでな。

せっかくの機会だから参加させてもらおうかと思ってな。」

「こないだの件?、、、あ、俺らの建国祭のことか。

てかもう戦争終わったのか?被害とかなんもなかったのか?」

「被害?まぁ何もない、、、はずだ。」

「なんだよ、その溜め。まぁ何もないなら良いけど、それで今から来るのか?」

「いや、今そちらに行くメンバーを厳選しているところだ。」

「なるべく温厚な奴らで頼むわ。」

「当然だ、そのための選抜メンバーなのだからな。

私たちはどういった立ち位置で他国のものと接すれば良いのだ?」

「んー普通に俺らの同盟国でいいんじゃね?

異世界のことは伏せておいた方が無難かな?

それにお前ら見て普通に話しかけてくる奴らも普通じゃないからあまり気にしなくて良いと思うぞ。」

「なんだかすごい失礼なことをサラッと言ったな。まぁ良いか。了解した。

では準備出来次第また連絡する。

そこまで時間はかからないと思う、転移場所は街から近めで人目のつかない場所を希望する」

「俺らの街の中じゃダメなのか?」

「あぁ、一応同盟国に公式に訪れるのだ。馬車などの支度があるのでな。というかリムルの魔力負担が大きいと思うが大丈夫か?」

「なるほどな、それなりの大所帯で来るのな。俺の方は全然大丈夫だぞ。」

「そうか、それならばまた後ほど連絡する。ナザリックの転移阻害魔法は解除しておくのでな、よろしく頼んだぞ、では。」

「ああ、了解!またあとでな。」

 

 

 

 

リムルとの連絡が終了してから間も無くして、再び執務室の扉がノックされる。

それを今日のアインズ様当番であるメイドのエトワルが確認しに行く。

アインズの執務机から扉までは意外と距離があり、確認するための往復でもそこそこ時間がかかる。

アインズは誰が来たのか結構気になるのだが急いている王というのは外聞が悪いので何事もないようにどっしりと構えている。

そこにエトワルが来て訪問者とその要件を伝える。

「アインズ様、デミウルゴス様がお越しです。テンペスト国訪問の人選が終了したとのことです。

お通してもよろしいでしょうか?」

「ああ、構わない。通せ。」

アインズが許可を与えるとエトワルが再び扉を開けに行く。

この制度、メイドたちから面倒くさがられてないかななどと考えていると、デミウルゴスが入室してくる。

「アインズ様、失礼いたします。軍の編成終了いたしました。」

(軍って、、、、まぁいっか。)

「うむ、ご苦労。それで私の供をする階層守護者の準備は完了しているか?」

「はい、シャルティア、アウラ、マーレの三者とも準備は完了しております。いつでも出発できます。」

「3名も階層守護者たちを出してしまって大丈夫なのか?」

「はい、先日の戦争以来こちらを警戒して法国などの密偵も影を潜めておりますので、ナザリックには私とコキュートスそれにセバスの3名で大丈夫かと。

用途は非常に限定されますがガルガンチュアやヴィクテムも一応おりますので。」

「そうか、お前がそう判断したなら良い。

ならば今回テンペスト国まで行く奴らを第八階層に集めておけ。暫くしたら私もそちらに向かう。」

「かしこまりました。それでは失礼いたします。」

デミウルゴスが退出したのちアインズはまたリムルに連絡をするのであった。

 

 

 

 

一方第八階層では姉弟が楽しそうに話していた。

「アインズ様とお出かけだってね、楽しみだねマーレ!」

「そ、そうだね!お姉ちゃん。でもアインズ様がこれから向かう場所ってあのリムルとかってスライムの国なんだよね?

シャルティアさんくらい強い相手だったしアインズ様に危険とかないのかな、、、?」

「大丈夫だって!今そのスライムの王様とアインズ様は同盟を結ばれているんだし、そもそもあの時のシャルティアは完全武装もしてないなかったんだし!」

などと話しているとゲートが開かれる。

「そんなにリムルを甘く見ていると足元掬われるでありんすよ。」

「シャルティア!?どうしてあんたがここに?」

「デミウルゴスからここに来て待機するように言われたでありんすよ。

もうすぐアインズ様もいらっしゃるんでありんす。」

「ここに今回のメンバー集めて転移するのかな?」

「んーそうっぽいね!それよりさっきのってどういうこと?」

「言葉通りの意味でありんす。

私も本気は出しんせんでありましたけどリムルも本気じゃなかったでありんすよ?」

「え!そうなの?!」

「多分でありんすがね、だってあの時攻撃を始めたのも妾でありんしたし。

そもそもリムルからカウンター以外で攻撃されんせんでありんしたからね。」

「へえ〜そうなんだ。じゃあやっぱ結構今回危ないのかもね?」

 

 

リムルの危険度について再修正されているときどこからともなく声をかけられる。

「いや、それは心配しなくて大丈夫だと思うよ。」

「あ、デミウルゴス!、、、大丈夫って、、危険じゃないの?」

「ええ、まぁそもそも同盟国ですしね。

それにアインズ様とリムル陛下はもう既に何度かお二人だけでお話をされる仲。

今更アインズ様に危害を加えるとも考えられません。」

「それもそうでありんすね。」

「そっか、確かにそうだね!」

「ぼ、僕もそう思います。」

「それでデミウルゴス、其方も今回一緒に行くんでありんすか?」

「いや、私はここの現守護者統括だからね。ここを離れるわけには行かないよ。

ここに来たのはアインズ様に供するものたちの最終確認するために来ただけだよ。」

「意外と少ないんでありんすね。」

「確かに、あのリザードマンたちのときくらいの人数で行くのかと思ってたんだけど」

「私もそのくらいの規模がいいと思って具申したんだけどね。

敵地へ行くわけでも、仮想敵国に示威行為しに行くわけでもないからと言われてね。

そもそも異世界へ転移するのだから術者の魔力も考慮しなければならない。」

「な、なるほど。」

「納得でありんす。」

などと会話をしているとアインズがリムルと共に現れる。

話していた階層守護者はリムルがこちらの世界に来ていることに気が付けていないため皆一様に驚いているが、アインズがいるためすぐに臣下の礼をとる。

 

 

 

 

リムルは頬が引き攣るのをなんとか堪えながら内心でアインズに文句を言っていた。

(「おいおいおい!なんだこの軍団!なんでこんなにいるんだよ!いやいやざっと見ただけでも100は軽く超えてんだろ!

下手したら200くらいいそうだな、、、はぁ、、、」)

(「告、推定200~250です。」)

(「いいって!別に教えてくれなくても!!!!てかこの人数を転移できんのか?」)

(「解、可能です」)

(「あら、その感じだとまだまだ余裕そうな感じか、、、。

てかアインズも初めっから教えてくれりゃいいの、、、に、、、?

ってあれ心なしかあいつの顔ひきつってね?骨のはずなのに

もしかしてこの軍のことアインズも知らなかったのか?

なんか今もシャルティア達に跪かれてなんか大変そうだし。」)

 

 

などとリムルがラファエルさんと話ている一方アインズはアインズで1人、内心で発狂していた。

(「いやいやいや、なんだよこの軍!確かにデミウルゴスは軍って言ってたけど、、、

しっかり軍隊じゃん、、、てっきり俺についてくるもの達だから名目として軍って言葉使っているのかと思ったらまじだったのか、、、

てっきり20人くらいの規模かと思ってたんだけど、、、

はぁ、そもそもナザリックにはリムルが条件として提示した温厚なやつなんてそもそもいないか、、、

まぁ多くは私が作ったアンデット達で制御できるからまぁよいが、、、

てか臣下の礼とかリムルの前でやめてくれないかな、恥ずいんだけど、、、」)

と思っているとデミウルゴスが話しかけてくる。

 

 

「アインズ様、大変お待たせいたしました。

こちらに私が選抜いたしました軍勢をご用意いたしました。

今回はテンペスト以外の異世界の国への適度な示威行為を目的といたしましたので中隊規模にいたしましたがよろしかったでしょうか?」

「あ、ああ。流石はデミウルゴスとしか言えないな。

では、私はリムルの国にいってくるので留守は任せるぞ。」

「かしこまりました。この命に代えましたも必ずこの地をお守りしてご覧に入れます。」

「ま、まぁ敵襲などの可能性は低いと思われるが頼んだぞ。

ではシャルティア、アウラ、マーレはあそこの馬車にのり待機せよ。

私は最終確認でまだすることがあるのでな。」

とアインズが指示を出すと3人は立ち上がり馬車へと向かっていった。

 

 

「リムルこの人数、転移可能か?」

「ああ、できるけどこの人数でいいのか?」

とデミウルゴスがまだ待機しているため本当のことをアインズは言えないし、リムルは聞けないでいた。

「ああ、リムルが可能であるならば私の方は何も問題はない。」

とリムルが無理だと言ってくれることに期待するがこの程度ならば問題ないと返されてしまう。

ナザリック随一の知者であるデミウルゴス、それに友であるリムルの2人ともがこの数に何も違和感がない様子。

アインズはだんだんこの規模が適正数にすら思えてきた。

「そ、そうか。じゃあこのまま転移発動するからな」

しかしリムルは当然この人数は多いと感じている。

しかしアインズの部下がいる手前尋ねていいのかわからないため転移可能だと答えてしまう。

「では私も馬車の方に向かうとするか。転移したのちはどのように対応すればいいか?」

「んーそうだな。とりあえず、テンペストまで徒歩30分くらいのところに転移させるから、転移できたらそのまま真っ直ぐ進んできてくれ。

こっちで迎え入れる準備しておくから。」

「分かった。では全てリムルに任せよう。」

「それではアインズ様、お気をつけくださいませ。」

「ああ、そちらも任せたぞ。では。」

そしてアインズが馬車に乗ったタイミングでリムルは転移魔法を発動した。

するとナザリック第八階層に並べられていた中隊規模の軍が一瞬にして消える。

デミウルゴスでさえもこれには少しばかり驚いてしまう。

 

 

 

 

しばらくしてデミウルゴスは声をかける。

「それで、君はリムル陛下がこちらにいらっしゃっていたことには気がついていたのかい?」

「イヤキガツカナカッタ。

ワタシモデミウルゴスドウヨウニアインズサマトリムルヘイカガトモニイラシタトキニハオドロイタモノダ。」

「それで、どうだい?勝てそうかい?」

「ワカラナイ。マリョクリョウハオロカブジントシテノリキリョウモショウジキワカラナイ。

タダアノキボデテンイマホウガツカエルノダ、ソレコソアインズサマナミノマリョクリョウナノデハナイカ?」

「ええ、そうですね。私もあの転移には驚きました。

リムル陛下の力の底を確認するため、アインズ様に指摘されない程度に少し多めに軍を準備したんですがね。

これならばもっと多くしておけばよかったですよ。

それでソリュシャン、あなたは何かわかりましたか?」

 

 

「はい、デミウルゴス様。

直接お話ししたわけではないのではっきりと断言は致しかねますがあの方は私の創造主であるヘロヘロ様ではないと思われます。」

「そうですか、、、、。となれば私の予想は外れていましたか。

しかしそうなるとますますアインズ様となぜあそこまで親しいのか皆目見当がつきませんね。」

「タダデアッテカライキトウゴウシタダケデハナイノカ?」

「その可能性はないとは言い切れませんが、ですがコキュートス。

君ならば我々階層守護者と同等の実力者がこのナザリックに侵入したどうしますか?

護衛も1人もつけずに対話をしますか?相手から求めてきたならばともかくアインズ様からお話しされたと聞きますし。」

「タシカニシンニュウシャトハナストハオモエナイナ。

ゼンカイデミウルゴスガケイカクシタサクセンニモアマリカンバシクナイヒョウジョウヲサレテイタ。」

 

 

「ええ、そうですね。アインズ様はこの地にナザリック以外のものを招き入れることを厭う様子があります。

そうであるのにあのリムル陛下は別。何かもともと関係があるとしか考えられないのですがね。」

「タシカニソウダナ。

ダカラシコウノオンカタガタノヒトリデアルヘロヘロサマガスガタヲカエテコンタクトヲトッタトオモイ、

ヘロヘロサマノソウゾウブツデアルソリュシャンヲコチラニヨンダノカ。」

「ええ、実力だけならば君に判断して貰えばよかったでしょうが、私が一番気になっていたことは御方々であるのか否かなのでね。

ああ、仕事の邪魔をして悪かったね、ソリュシャン。もう戻ってくれて構わないよ。」

とデミウルゴスが声をかけるとソリュシャンは一礼しその場を後にする。

 

 

「デミウルゴス、イッタイナニヲキニシテイルノダ?

リムルヘイカハシンライデキタノデハナイカ?

ナラバナゼシュゴシャヲサンニンモツケタノダ?」

「ええ、アインズ様に害を為すとは私も考えていません。

しかしナザリックに対してリムル陛下が好意的とも限りませんからね。」

「ドウイウコトダ?」

「これもアインズ様から伺った話ですが、リムル陛下は人間と魔物が手を取り合いながら暮らせる国を目標としているらしいです。

そして我々の行動はどう都合よく解釈してもその考えとは相容れないものです。」

「タシカニワレワレトアイイレルモノデハナイガ、ソレハイセカイノコトダ。

ソコマデキニスルヒツヨウガアルノカ?」

「ここで私もアインズ様とリムル様があそこまで密に連絡を取り合う仲ではなければそこまで気にしませんでしたが、、、

我々と相容れないだけでアインズ様との関係は良好。であればアインズ様だけをリムル陛下が求めるとも考えられるのではないでしょうか?」

 

 

「アインズサマガワレワレヲオイテイセカイニサッテシマウト?」

「そこまでは言っていません。

リムル陛下しか異世界間の転移を使えない今、護衛の少ない状態でアインズ様を異世界にお送りすることが心配だったのです。

だから懸念点が多いということで守護者3名を護衛として送ったと考えてください。」

「ナルホド、シカシドウシテアインズサマトリムルヘイカガレンラクヲトリアッテイルト?

ソモソモソノレンラクシュダンカクリツノタメニアルベドハイセカイニイッテイルノデハナイカ?」

「そうですね、そこも私も懸念材料なんですよ。

御二方は何かしらの連絡手段があることは確実だと思いますよ。

今日みたいに突然軍を編成してもすぐ転移でリムル陛下が迎えにくるという手際の良さからして連絡手段が確立していなければ考えられません。」

「タシカニソウダナ」

「はい、ですがそうするとなぜアルベドを大使として派遣されているのか全く見当がつきません。

ですので詳しいことは守護者4人が戻ってきてからでないとわからないですね。」

「シュゴシャガモドリシダイカイギヲヒラクベキデハナイカ?」

「そうだね、情報のすり合わせはしておいた方がいいだろう。では彼らが戻って来

次第そうするとしようか。それまで自由に動ける階層守護者は我々2人だ。精々頑張るとしようか。」

「ソウダナ、ワタシハジブンノカイソウニモドル。マタナニカアレバカエヲカケテクレ。」

こうして2人は各々の守護階層に戻ったのであった。

 



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6-3 こちらにも周知されてゆくナザリック

最近書くスピードが絶望的に落ちてきてます。
どうにか完結まで一定ペースで書きたいなぁ。



転移した後アインズはシャルティア、アウラ、マーレと馬車に乗ってリムルが待つテンペストまで向かっていた。

馬車の周囲には多数のアンデットなどの魔物もおり、新人の商人などが運悪く出会してしまった場合卒倒するレベルの統率された魔物の軍がそこにはあった。

そう、群ではなく軍なのだ。魔物がフルメタルプレートの装備をしているのだ。

一体どんな悪夢なのか、と常人ならば発狂してしまうであろう。

しかしそんな人間達が抱く感情など知ったものかと馬車の中は穏やかな雰囲気であった。

「アインズ様!ここは本当に異世界転移しているんですか?

ナザリック付近のトブの大森林とあまり変わらないように思うのですが、、、?」

「そうでありんすね、ぱっと見いつもと同じ森でありんすね。」

「え、っとでも、ここら一帯はトブの森と違って魔力が溢れていますよ????」

「ああ、そのようだな、マーレ。ここは異世界。世界の法則がまず異なっているのであろう。

我々が先ほどまでいた世界では魔力は大気中に存在するものではなく我々の体内から生じるものであったのだからな。

このことだけでもここが異世界であると判断出来よう。」

 

 

「確かにそう言われるとここらの魔力は異常でありんすね。

妾たちが普段魔力のない空間で暮らしているからでありんしょうか?

気になるとなんだかむず痒い感じでありんす。」

「んー私は魔法をそもそも使えないからなー。

まだあんま異世界に来たって実感しないなー」

「それでアインズ様、今回は一体どのような用向きでリムルの国まで訪れることになったでありんすか?」

「デミウルゴスから聞いていないのか?」

「はい、私たちはただアインズ様の護衛として同行するようにって。ね!マーレ?」

「う、うん!デミウルゴスさんからは特に何も言われてないです。」

「そうか。まぁ今回は特に大した理由はないからな。

伝えることはないとデミウルゴスは判断したのであろう。」

「どういうことでありんすか?」

「リムルは国を作ったからと建国祭を行うと張り切っているらしくてな。

それで各国に招待状を送りまくっているらしい。それが私の元まで来ただけの話だ。」

「建国祭ですか?でも私たちって同盟は結んでますけどそもそもあまり干渉しないことにするんじゃなかったんですか?」

 

 

「ああ、そうだな。同盟相手の国が異世界に存在するからこそ適切な距離感というものは大切になってくるだろうし、

そもそも私たちはテンペスト以外の国とこの世界では国交を持つつもりも全くないからな。

参加して他国の貴族などと知己を深める理由も必要性もないな。」

「でもそれならどうしてリムルはアインズ様を招待なさったでありんすか?」

「まぁおそらく一般的な政治的配慮だろうな。

異世界の国とはいえ自国に同盟国の大使が視察に来ているのだ。

当然建国祭が行われることは把握しているだろう。

ならば招待しないのは今後の関係を考慮するとあまりよろしくないと考えたのではないか?」

「な、なるほど」

「リムルって意外とよく考えているんでありんすね」

「確かに、アインズ様ほどじゃないけど結構頭のキレる王なのかもしれないね」

とアインズは久しぶりに胃の痛くならない会話を大切な子供達とできたことで大変満足していた。

しかしアンデットになっても楽しい時間というものは過ぎるのが早いらしく、あっという間にテンペスト国の正門まで辿り着いてしまう。

馬車の中からリムルを探してみるが見当たらない。

まだ準備でもしているのだろうか。

などと考えるがその思考は外の喧騒によって掻き消える。

 

 

建国祭というだけあってテンペスト国の活気は素晴らしいななどとアインズは思っていたが無い耳を澄ますと聞こえてくるのは人々の楽しそうな声ではなく、

引き攣ったような声や、少し遠巻きにこちらを見ながら何か話している声だった。

そこでようやくアインズは「あぁ」と得心する。

そういえば自分の周りには200以上の完全装備した魔物がいるのだったなと。

すると恐る恐るといった感じではあるが装備したゴブリンがフルプレートのシモベに近寄り声をかけている。

しかしその声をかけているのは骸骨戦士の1人。

当然<第4位階使者召喚>で召喚した魔物であるため知性はおろか会話することすらできない。

話しかけているのはこの国の警備隊のものであろうか?

もう少し利口そうなやつに話しかけて欲しいものだとアインズは思う。

馬車内にいる他の守護者三人も外の様子を気にしてはいるが特に動く気配はない。

外の様子を気にしているのは単純にアインズの護衛として役割を果たしているのだろう。

そのためこれは自分で状況説明を行わなければないのかとため息をつかざるを得なかった。

結局また胃が痛くなるのかと思いつつアインズはリムルが早く来てくれることを待ち望んでいた。

 

 

 

 

リムルはテンペストから30分くらいの距離の場所に転移を使ってアインズ達を送ると自分は急いで国に戻る。

寝室に戻るとソウエイが緊迫した様子で報告に来た。

「リムル様、ご報告がございます。

ただいま街道警備していたものから連絡があり、未確認の馬車数台と200ほどの魔物がこちらに向かっているそうです。いかがいたしますか?」

「あ、それ、この間同盟を結んだ国の馬車だから何もしなくていいよ。

ただ魔物を引き連れていて人間たちとの間で何か問題が起こるかもしれないから警戒だけはそのまましておいてくれ。」

「御意」と一言つぶやくとソウエイはすぐに消えてしまった。

先程のソウエイの緊迫した様子を見てリムルは急いで情報共有しないと面倒なことになりそうだと感じたため<思念伝達>でリグルド、ミョルマイル、ベニマル、シュナ、シオン、ディアブロといったメンバーを招集する。

数分して皆が集まる。

「みんな忙しいのに悪いな。急に呼んじゃって。」

「いえ、それでリムル様一体どうしたんですか?」

とシュナが訪ねてくる。他の皆も同じように疑問を浮かべている。

「この間、同盟を結んだ時ナザリックも建国祭に招待していてな。

もうあと10分ほどで到着するから俺は出迎えしないといけないんだ。

だからベニマル、シオン、ディアブロは俺について来てくれ。」

「俺ら三人ともですか?何か警戒でもしているんですか?」

「いや単純に相手の人数が軍隊並みに多いからこっちも対抗手段があることを周りにアピールしておかないといけないと思ってな。」

「軍隊並みに多い???」

「ああ、馬車数台にそれを護衛している魔物が200以上いるからな。」

「それは、まぁ確かに多いですね。」

と苦笑するベニマル。しかしシオンとディアブロのもう2人はなぜか戦意を漲らせている。リムルは一応戦うなよと釘はさしておく。

 

 

「だよな、多いよなー。まぁ来ちゃったもんは仕方ないからな。

それでシュナにはアルベドさんを連れてきて欲しいんだ。」

「アルベド様をですね、かしこまりました。」

と一言いうとシュナはすぐに部屋を出て行ってしまう。

やけに淡白な感じだなと思うリムルだったがまだやることがあったためそのことを意識のはじに追いやる。

「それでリグルドとミョルマイル君は極悪非道な見た目をした恐ろしい軍隊がこちらに向かっているけど

同盟国の軍だから気にする必要はないってことを国全体に広まるように色々なところに声かけをして欲しいんだ。

忙しいと思うんだけど頼めるか?」

「かしこまりましたぞ、リムル様。」

「任せてくだされ、リムルの旦那。」と2人とも二つ返事でokしてくれた。

みんなにやってもらいたいことを伝えると再びソウエイがやってきた。

「リムル様、先程報告した馬車が正門前に到着したようです。

今は警備兵のゴブリンが確認を取ろうと魔物に何か訪ねているそうですがいかがいたしますか?」

「あー、そのゴブリンにはひとまず下がるように伝えてくれ。

俺も今からそっちに向かうからひとまずソウエイが状況説明をしていてくれないか?

アインズは馬車の中にいるだろうから。」

「御意。」

ソウエイが行った後リムルたちも急いでアインズ達の元へ向かった。

向かっている途中にリムルはこんなにてんやわんやするのなら、事前にアインズが来ることを皆に伝えておけばよかったと後悔したのであった。

 

 

 

 

アインズはソウエイというリムルからの使者の説明を聞き、ひとまず馬車の中で待つことにした。

他の守護者三名はアインズ様を待たせるなんて不敬だと怒っていたが、アインズからしてみれば突然連絡した挙句、中隊規模の軍で建国祭に参加すると言っても快く受け入れてくれる相手なのだ。そんな準備に時間がかかることくらい何の問題もない。

むしろ迷惑をかけてしまっていて申し訳なく思っていたのだった。

そんな守護者との考え方の違いに気が遠くなっていたアインズだったが、外が再び騒がしくなったことで現実に引き戻される。

どうやら正門が開いたようだ。

アインズは馬車を出て外を確認しに行こうとするも三人に止められる。

しかしここにずっといるわけにもいかないため外の様子をシャルティアに確認しに行ってもらう。

数分後シャルティアが戻ってきた。リムルたちが正門前で待っているということなのでアインズはアウラとマーレも引き連れて門まで向かった。

 

 

側から見ればその4名は1人は骸骨、1人はゴスロリそしてもう2人はダークエルフの子供。

綺麗な骸骨以外は一見脅威とは言うには無理があるものの一定以上の実力者からすれば彼らは厄災以外の何者でもないが今回、

アインズたちは純粋に建国祭を楽しみにやって来た。

だからこそリムル陣営から感じる警戒心の理由がわからない。

考えていても埒が明かないためリムルに向かって歩き続ける。

そしてちょうどいい距離になった時に挨拶をしようと声を出そうとした時、

向こうも同じことを考えていたのだろうか。リムルが話し始める。

 

 

「ようこそ、アインズ。同盟国の王としてそして友として言わせてくれ。

ぜひこの建国祭を楽しんで欲しい。

初めはアインズの見た目の怖さに俺の仲間の警戒しちゃっているみたいでな、そこは大目に見てくれると助かるよ。」

「招待、心から感謝する。ぜひ貴国の建国祭楽しませてもらおう。

私の見た目が怖い?随分と酷いことをいってくれるではないか。

私はお前と違って愛くるしい姿を取ることはできないからな、勘弁してくれ。」

と軽く談笑しあい握手をする両者。その様子を見ていくばくかは緊張が解れる両陣営。

その後各陣営のメンバーを紹介しあい、その後ナザリックメンバーを用意された部屋へ案内する。

案内と言ってもアインズが連れてきた軍はアインンズが個人で召喚した者であるため部屋は不要。

 

 

そのためリムルがラミリスに頼み迷宮内に空き部屋を作り、その部屋に軍隊を置かせてもらうことにした。

残り数名はナザリック内の地位をアインズに聞き、そのランクごとに部屋を分けていく。

そしてアインズはリムルから明日、立食パーティがあるから参加してほしいと頼まれる。

アインズは正直何も食べれないため参加する意義を見出せず初めは断ったのだが、リムルから何度も頼まれるため渋々了承した。

そして今は自分に充てがわれた部屋にいた。

明日の夜に待つ憂鬱な立食パーティに備えるために今は1人でいたい気分だったのだが

先にこちらに来ていたアルベドの報告を聞かなければならないため部屋にはこちらに来ている守護者たちを全員呼んでおいた。

アルベドと2人きりでは内容が難しかった時に何か理由を立てて詳しく聞くこともできないために三人を呼んでおいたのだ。

それに長期間離れていたとかを理由に押し倒されるのもしんどいのでそれを警戒してという理由もあった。

 




トマス2世さん誤字報告ありがとうございます。


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6-4 報告会

この時期はいっつも頭がぼーっとしてしんどいです。
あれ?少し早くないか?
いつもなら3月、4月ごろなのに。
まぁ、昨日暖かかったからな。
花粉症の性か、、、はぁ、、、。


 

「アインズ様お久しゅう御座います。せっかくのアインズ様とのお時間、

2人きりでいられないことはとても残念ですが私がこちらに来てからの報告を始めさせていただいてもよろしいでしょうか?」

アルベドの発言にシャルティアが真っ先にガンを飛ばす。

アウラはまたやってらぁの顔。

マーレはどうしたらいいのかオドオド色々な人の顔を交互に見ている。

アインズはアルベドとシャルティアが口喧嘩でも始めたら面倒なのでさっさと本題を聞こうと口を挟む。

 

 

「報告、、、。それは開発中の通信機についてか?」

「それも報告内容の一つですが、主にはこの国についてのことです。」

「この国について?まぁ分かった。それでは連絡手段の方から聞こう。」

「かしこまりました。連絡手段の確立はまだ当分先のことになりそうです。

研究以前に異世界の知識を現地人から聞いてナザリックの知識を擦り合わせることから始めているそうです。

それとこちらの研究者が言うには私たちの世界まで行ってみないことには完成できるかすら正直のところわからないと申しておりました。

ですのでまだ時間がかかるとのことです。申し訳ありません。」

「いや、構わない。開発する上での根底の知識が異なるのだ。

時間がかかっても仕方あるまい。それでこの国についての報告というのは?」

 

 

「はい、この国の内情や兵力についてです。

アインズ様のご慧眼通りこの国と同盟を結んだことは正解でした。

隷属を要求した愚かな私をお許しください。」

「そ、そうか。」

(え?!?!なになになに!?なんで兵力なんて探ってんの?

てか俺の慧眼ってなに?アルベドの目は正常に機能しているのか?

俺がいうのも何だけどその目やばいぞ???

そもそも隷属って何??誰に対して言った?俺そんな提案されたっけ?

聞いてもろくなことにならなそうだからひとまず報告の続きを聞く、、、か?)

と鎮静される寸前までアインズはパニクっていた。

「はい、テンペスト国のなかで注意するべき人物はリムル陛下のみであると私とデミウルゴスは考えていましたが、

この国を訪問しれその考えが間違っていたことに気がつきました。」

「ちょっと待つでありんす。リムル以上に強い奴がこの国にいるんでありんすか?」

アルベドの発言を流石に聞き逃せなかったのかシャルティアが話しかける。

 

 

「ええ、リムル陛下より強いかはまだわからないけれど確実にリムル陛下に匹敵する実力者はいたわよ。

それにそれよりは弱いけれどプレアデス達じゃ相手にならなそうなレベルのやつも結構いたわ。」

「プレアデス達は戦闘に重きを置くとはいえ、メイドだ。

あまり多くを求めすぎても仕方あるまい。それでそいつらの情報は?」

アインズは色々とパニクっていたがリムル以上の実力者がいる可能性があるということを聞き、急いで思考を切り替える。

「はい、まず私が見た中で特に注意するべき対象は6名です。

まず1人目がこの国の王位でもあるリムル=テンペスト。

彼はシャルティアと打ち合えるほどの実力をもつ者。これだけで脅威足り得ます。」

「そうでありんすね。戦った時は確実に手を抜いていたでありんしょうしね。」

とシャルティアもアルベドの考えに肯定的な意見を並べる。

アウラとマーレはテンペスト勢との戦闘経験はおろか接触もあまりしていないため特に何かを言うことはなく静かに話を聞いている。

アインズはなぜリムルが警戒対象にされているのか分からず再び、人知れず困惑している。

 

 

「2人目はベニマル殿。この国の軍を預かる職についているそうです。

実力としては守護者未満プレアデス以上ですので注意は必要かと。

ただ軍の指揮官としての実力は未知数ですので今後脅威度が修正される可能性は多分にあると思われます。

3人目と4人目はリムル陛下の執事という者達です。

1人はシオン様。このかたの実力はおそらくベニマル殿より少し弱いくらいです。

しかし執事を称するのに事務能力は皆無。

そして彼女の作る料理を食べたものは必ず状態異常を引き起こしています。

ですので注意が必要かと。

もう1人の名前はディアブロ。

彼はデミウルゴスと同じく種族は悪魔。

それも実力は相当だと思われます。

自力の差はデミウルゴスにあるでしょうがルール無用の1vs1ではデミウルゴスがやや不利かと思われます。

今のところ確認できている実力者で彼がリムル陛下に並ぶほどの猛者ですので警戒は必須かと。」

 

 

「デミウルゴスより強いってほんと!?アルベド。

デミウルゴスだってナザリック内ではかなり強いと思うんだけど、、、

てか、階層守護者が負ける可能性があるってだけでもやばくない??」

このアウラの指摘を聞いてその通りだとアインズは感じる。

確かにデミウルゴスは守護者の中ではあまり強いといえたものではない。

しかしそれでも守護者たるに相応しい実力はあるし、智略の面では彼ほど仲間で良かったと思える者はそうそういない。

そんなデミウルゴスが1vs1では負ける可能性があるというのだ。

守護者達もそれは最大限に警戒するだろう。

「得意分野の違いとでもいうべきかしらね。デミウルゴスは軍略であったり、誰かと協力して戦った方が強いでしょ?

でもあの悪魔はものすごく個人戦に特化していると思うわ。

実際に戦っているところを見たことはないけど彼の佇まいからは敗北の気配というが全くしないもの。」

「そ、そんな人がまだいたんですね、、、。リムル陛下はどうしてその者を前回連れてこなかったのでしょう?」

「そうね、おそらくだけど、こちらの防衛戦力として残して置きたかったのではないかしら?

もしくは何かどこかへ出向くような長期的な仕事をしている最中だったとか。」

「な、なるほど」

 

 

「残り2人は私はこの目で実際に見ていないから判断できないけどほぼ確実にディアブロ殿レベルで危険なやつよ。まず1人目がヴェルドラ=テンペスト。」

「ん?テンペスト?」

「はい、アインズ様。お察しの通りかと。ヴェルドラ殿はこの世界に4体しかいない竜種の1体であるそうです。

以前まで封印されていたらしく、リムル陛下がその封印を解いたとか。詳しい経緯は分かりませんがテンペストの名を冠するのにも何か理由があると思われます。」

「そ、そうか。それでそいつの実力は?」

「正確には分からないのですがこの世界では竜種という存在は消滅することはないそうです。」

「はっ?」

「情報の精度はおそらく高いと思われるのですが正直言っている意味が私にもよく分からなくて。

それに魔力、物理的パワー、強靭さがどれも多種族よりも圧倒的に勝っていて、リムル陛下の魔力量の10倍以上はあるのが確実だそうです。」

「それはちとまずいでありんせんか?」

「確かにそうね、勝てる気がしないわ。

ただまだ実物を見たわけではないから今の情報が全て正しいと思わないでちょうだいね。」

「分かっているでありんすよ」

 

 

「それで最後の者なのですが、アインズ様。迷宮に関してはどの程度把握しておりますか?」

「なんでもこの国の名物施設にするとしか聞いていないがその迷宮がどうしたのだ?」

「私からすればあれほどの迷宮をレジャー施設として用いようとしたリムル陛下のお考えは正直、理解しかねます。

まずあの迷宮内での死は存在しないらしいです。」

「死が存在しない?」

「はい、特定のアイテムを保持している者のみとのことですがそのアイテムさえ保持していれば殺されてもすぐに復活するそうです。

リムル陛下はその特性を利用し内部で魔物を発生させて擬似的な狩場を再現するそうですが、

あの場所は軍事的防衛拠点としてこそ真価を発揮すると考えております。

その迷宮は広さも階層も改装もある程度自由にできると聞きました。

であるならば防衛拠点として相手が攻めてきても死ぬことはなく、大量の軍を駐屯させておくにも何も問題のない場所となります。」

「確かにすごいでありんすね。」

「うん、そうなると攻める側の兵だけ死んでいくってことだよね?完全に難攻不落の要塞だね。」

「確かにそれは攻めることすら困難だな。攻め手の兵を悪戯に消費するだけで終わってしまうな。」

「はい、その点から私はこのテンペストを占領することは困難であると考えました。

さらにその迷宮には主がいるそうなのです。」

「(せ、占領、、、?何を言っているんだ?)迷宮の主はリムルではないのか?」

「はい、おそらくは。

私は実際に迷宮を見たので判断できることなのですが、あの規模の迷宮を普通個人の魔力で運営できるとは考えられません。

ですのでかなりの強者が主なのではないかと考えた所存です。」

 

 

「なるほど、つまりは我々が最大限に警戒しなければならないやつはリムルレベルで強いディアブロ、

それにリムルと同じテンペストの名を持つ竜、さらには巨大迷宮を1人で運営している謎のものか。」

「はい、私が見た中で特に危険だと感じたのはその4名、そして先ほど説明した2名を合わせました6名でございます。

あまり深い関係を築くことは危険かと存じ上げます。」

「なるほど、調査ご苦労。関係はお互いの目的などの様々な要因で変化はするだろう。

ただ幸なことに我々はテンペスト国と敵対しているわけではない。

同盟を結んでいるのだ。そのことをゆめゆめ忘れることのないように。」

とアインズが警戒もいいがあくまで同盟国だということを強調すると守護者3人は納得した顔で了承する。

1人渋々と頷いている者もいるがアインズは特に気にしない。

「「「「かしこまりました」」」」

「今回の建国祭が終わり次第ナザリックの技術者とテンペスト国の研究者をリムルから預かりこちらで開発させるつもりだ。

よってアルベドの大使としての任もこの建国祭が終了するまでとなる。何か調べたりすることがあれば早急に済ませておくように。」

「かしこまりました。」

「では、今日はもう各自の部屋で休むように。」

というアインズの一声で会議はお開きとなった。

 




次から建国祭スタートです。


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6-5 発芽

花粉やばい死ぬ。
鼻詰まって寝れぬ。
頭が全く回らぬ〜
集中力持たぬ。ぬ、ぬ、ぬ、ぬ〜。


 

今日は建国祭一日目。

午前中は音楽の演奏会が行われ、午後からはガビルとベスターの研究発表が行われた。

リムルは人間の貴族達に今日、一日中付き添っていた。

ルミナスも混じっていたが西方聖教会は人間の国として認知されているから致し方ない。

そのためミリムやアインズたちが何を行なっていたかは知らない。

警戒のため藍闇衆の中でも実力の高いものを見張りとしてつけていたのでそこまで心配はしていない。

特に問題報告されていないので何事もなく建国祭を楽しんでくれているだろう。

 

 

むしろ問題なのは人間達の方でアインズのことについてものすごい勢いで尋ねられ、、、いや問いただされた。

ヒナタにガゼルはもちろんのこと、エルメシアやルミナスまでもがすごい剣幕で尋ねて来た時は流石にリムルもたじろいでしまった。

というより天災級のミリムよりも見た目が異常なアインズの方が恐怖心+興味心を引きつけてしまうのだろうか?

ミリムに対する苦情は一言も聞いていない。

アインズに関して聞かれたリムルはみんなに一々説明することが面倒であったため今日の夜説明すると流してしまった。

今晩のパーティは前日の御座敷スタイルとは違って洋風な部屋で立食形式で行われることとなった。

これは前日からいる方々を退屈させないためでもあり、ただ単純に御座敷のキャパオーバーでもあった。

立食パーティには様々な国の重鎮たちが参加していた。

 

 

その中でも一際注目を集めていた数国。

まずブルムンド王国の国王夫妻、それにファルメナス王国の国王ヨウムとその妻であるミュウラン。

どちらも小国であったり、新国家であったりと歴史ある国の大貴族からは軽視されがちな国だ。

しかしそんな国の王が今回の建国祭開催国である魔王リムルと仲良さげに会話しているのだ。嫌でも会場の注目を集めてしまうだろう。

さらに注目を集めるのは武装国家ドワルゴン国王ガゼル・ドワルゴと神聖法皇国ルベリオス法皇ジル・リラ・ルベリオス。

両者とも建国以来、一度も交流がなく武力衝突はしてはいないもののいつ戦闘が起きてもおかしくない雰囲気だっただけにこの建国祭に同時出席するというのは奇跡みたいなものだと各国の貴族たちは考えていた。そのため当然各国の話題の中心となっていた。

ちなみに銀髪メイドも色んな意味で注目を集めていた。

そしてその神聖法皇国の西方教会聖騎士団長ヒナタ・サカグチ。

それにイングラシア王国自由組合総帥ユウキ・カグラザカ。

知っているものは彼らが異世界人であると知っているので大した驚きではないが知らない人たちからすれば

他国の騎士団長と組合の総帥に交友関係があること自体驚きであるのだ。

 

 

次に魔王陣営。

人間サイドからは旧魔王カリオンに旧魔王フレイを従え勢力を伸ばしつつあるため、

次は自領が支配されるのではないかと人間たちから恐れられている魔王ミリム・ナーヴァ。

当然本人はそんなつもり全くなくミッドレイにシュナの料理の素晴らしさを熱弁している。

そこまで語彙が豊富でないため同じようなことをずっと言っているのだがミリム信者のミッドレイには関係ないようだった。

最後は当然アインズ達ナザリック陣営の者たちだ。

国王であるアインズはあの見た目故に人間の貴族からは忌避され、大商人たちからも恐れられている。

アウラとマーレはダークエルフの子供という珍しい種族なだけに好奇な目で見られている。

本人達は全く気にしていないようだがその気になればここにいる奴らの大半を一瞬の内に始末できる。

そのことに気がついている一部の実力者が彼女らに恐怖するとともに警戒している。

アルベドは異種族ではあるが当然のように多くの男性の視線を釘付けにしており、様々な貴族連中に声をかけられている。

しかし当人からすればアインズ以外の者など利用価値があるかないかの基準でしか存在しないため適当にあしらう。

シャルティアは護衛当番でありアインズの近くにいるため特に周囲の視線を集めてはいないようだ。

 

 

パーティが始まり各々が挨拶などを済ませ、なんとなくひと段落したあたりで多くの視線が魔王リムルに集まる。

その視線が意味することは皆共通しており「いいから早く、あのおっかない集団の説明をしろ」ということのみである。

リムルはその視線に居心地が悪くなったためそろそろ説明しないといけないかと思い、飲み物片手に話を始める。

「みなさん、ジュラ・テンペスト国の建国祭1日目はいかがでしたか?

楽しんでもらえたでしょうか?我が国では2日目、3日目と今日以上に盛り上がるイベントが目白押しです。

明日は闘技場の予選試合がございます。

そして最終日には闘技場の決勝に加え我が国最高の施設、迷宮のお披露目会がございます。

今日の演奏会や研究発表は明日、明後日も定刻通りに行われますので気に入られた方はぜひ足を運んでみてください。」

とリムルは今後の予定を今ここにいる建国祭の出席者たちに伝える。

一部は闘技場や迷宮に興味を示したがそれ以上に「あいつらの説明はまだか?」の視線が多くてリムルは辟易してしまう。

 

 

「そしてさらに皆様にご紹介させていただきたい者がございます。」

と言ってリムルはアインズを呼び、自分の隣に来させる。

「彼は魔導国の国王であるアインズと言います。私の国、テンペストとは同盟関係にあります。

見た目は怖いですが基本的に温厚で理知的です。ですので皆さん心配なさらないでください。

ほらアインズからも何か言ってくれ」

と言いアインズの背中を叩く。

アインズは少し嫌がりながらも前に出る。

2人のやり取りからはとても仲が悪いようには思えない。

ただそうではないのだ。

会場にいる全ての人はあの怖い骸骨がリムルたちと同盟関係にあることは当然理解した。

しかし皆その国名に聞き覚えがないのだ。

だから皆の頭は「いや、魔導国ってどこ!?」というフレーズで埋め尽くされる。

ただそんなツッコミ思考も次のアインズの自己紹介で霧散してしまう。

 

 

「私は魔導国 国王アインズ・ウール・ゴウンである。

先ほど盟友リムルから紹介された通りだ。

貴国らとは特に敵対するつもりもない。だが決して友誼を結ぶつもりもない。

この建国祭の期間は我々のことは特に気にしてもらわなくて構わない。」

アインズは配下たちの前で常日頃から王様ロールプレイを行っていたため、

人前に立って偉そうな口調で話すことに慣れていた。

いや、慣れているはずだった。

しかしここにきて各国の本物の王侯貴族がいるということに緊張してしまい、

無意識の内にスキル<絶望のオーラⅠ>を発動させてしまう。

この時発動させてしまった<絶望のオーラ>がレベルⅠだったことは不幸中の幸いだろう。

しかしアインズがこのオーラを出した途端にヒナタやガゼルなどの実力者は警戒体勢に入る。

それ以外の者達は恐怖により足がすくんでしまう。

 

 

ただアインズやリムル、ミリムにルミナスはそれどころではなかった。

《告。進化条件(タネノハツガ)に必要な人間の魂(ヨウブン)を確認、、、、、認識しました。

個体名アインズ・ウール・ゴウンに対する世界からの恐怖を確認、、、、、、認識しました。

規定条件が満たされました。これより魔王への進化(ハーベストフェスティバル)が開始されます。》

真なる魔王として覚醒するためには人間の魂1万が必要。

アインズはすでに帝国と王国の戦争で18万の魂を得ているため覚醒条件突破。

そしてそれ以前に実力は真なる魔王であるリムル並かそれ以上。

魔王クラスの実力を保持しているため覚醒条件突破。

では後は何が足りなかったのか。

それはアインズに対する世界の認識であった。

アインズは異世界から来た者であり、この世界の認識外の存在。

しかしこの世界の人間、特に世界の中心となる各国の王侯貴族がアインズ・ウール・ゴウンという名前を認識。

そしてアインズのミスにより漏れ出た<絶望のオーラⅠ>により各国から脅威であると認識された。

もともとアインズは覚醒魔王になるための条件をほぼクリアしていた。

 

 

後は世界からの脅威認識のみという状態だった。

要するにアインズは丁寧に自己紹介をし、そしてその結果で真なる魔王として覚醒してしまったのだ。

《告。個体名アインズ・ウール・ゴウンの魔王への進化(ハーベストフェスティバル)が開始されます。

その完了と同時に系譜の異形種への祝福が配布されます。》

アインズは聞いたことのない声に終始戸惑っていた。

さらにアインズはこの体になって初めての睡魔に襲われていた。

襲われると言ってもその度に<鎮静>が発動してしまうのでほんのひと時の睡魔なのだが、

この睡魔→鎮静→睡魔→鎮静の件が何度も行われるため煩わしくて仕方がない。

(「リムルはこっちを見て心配そうな顔をするし、

あそこにいる銀髪メイドはものすごく驚いた顔でこちらを見てくるし一体なんなのだ、これは?

それにアルベドたち守護者もこちらをなぜか見てくるし、、、。」)

などと考えているとリムルが話かけてきた。

「アインズ!色々聞きたいことはあるけどとりあえずは後だな。体の方は大丈夫か?」

「体?体は特に問題ないと思うが、、、強いていうならばこの体で初めての眠気を感じることくらいだな。」

「それだよ!それ!耐えられるのか?俺もあの時はすぐ意識を失っちまったぞ?」

「いや、眠気が来た途端に<鎮静>されるから今はまだ大丈夫だが、鎮静機能がなくなれば少しまずいやもしれん。」

「そうか、その体の特性が羨ましいな。

というかアインズがその眠気感じるってこと自体がまずいぞ。

次は仲間達に同じやつが来るぞ?

アルベドさん達に別室に移ってもらえるように頼んでくれないか?」

「何?私以外にもこの眠気が来るのか?

わかった、今すぐ伝えよう。悪いが他の部屋を貸してもらえないか?」

「あぁ、今すぐ準備する。」

 

 

リムルとひとまず話が終わり守護者達に声をかけようとしたその時だった再び世界の言葉が聞こえる。

《告。魔王への進化(ハーベストフェスティバル)が開始されました。

身体組織が再構成され新たな種族へ進化します。

、、、、失敗しました。

個体名アインズ・ウール・ゴウンより複数の種族を認識。

それぞれの限界レベルの上限を解放、、、、、成功しました。

全ての身体能力が大幅に上昇しました。

種族スキル<不死の祝福>、<種族スキル不浄なる加護>と

職業スキル<不死のオーラ>、<アンデッド作成>、<アンデッド支配>、<アンデッド強化>、<アンデッドの副官>を統合します。

、、、、成功しました。7つの能力統合成功により究極能力(アルティメットスキル)『不死者之王(アルシエル)』が誕生しました。》

ここで世界の言葉が一旦途切れる。

いや厳密に言えば聞こえている。聞こえているはずなのだが何と言っているのか聞き取れない。

《究極能力(アルティメットスキル)『不死者之王(アルシエル)』の*********************************。

*************************************。

******************************。

***********************************************************************************************。》

リムルとミリムそれにルミナスの3名はそのことを不審に思うもどうすることもできない。

そしてアインズは訳のわからない声のことをひとまず保留にし、アルベド達に状況を説明し部屋を移ってもらう。

各国の貴族連中は何が何だか困惑しているようだが先程の恐怖がまだ残っており何も言い出すことはない。

ヒナタやユウキ、それにガゼルやエルメシアといった実力者らもまだ警戒しているものの特に何かをしてくることはなかった。

 

 

おそらく後でリムルが酷く絞られることになるのだろうが、、、。

アインズの配下達を別の部屋に移したとほぼ同時に再び世界の言葉が対象者に聞こえる。

《告。個体名アインズ・ウール・ゴウンの魔王への進化(ハーベストフェスティバル)が完了しました。

続いて系譜の異形種への祝福の授与を開始します。》

別室で待機していたテンペスト国の者がリムルに耳打ちをする。

それを聞いたリムルはアインズに近づき別室の状況を知らせる。

「このアナウンス通りお前の仲間達も始まったっぽいぞ。

4人とも突然意識朦朧になり始めて、数分もしないうちに眠ってしまったそうだ。」

「そうか、、、状態異常耐性やそうしたことに関するアイテムを持っていても効果がないのか。」

「普通みんな耐えられねぇんだよ。アインズの体絶対におかしいぞ?」

「そう言われてもな。というか他の人たちに説明しなくて大丈夫なのか?」

「あ!そうか!はぁ、、、まぁ後で話聞かせてもらうからな。

とりあえず俺は事態収拾のために色々やらなきゃいけないから少し待っていてくれ。」

「ああ、なんか悪いな。頼んだ。」

アインズの体に何も異常がないことを確認したリムルは何が何だか分からない

と言った感じで呆然としている各国のお偉いさん方に事情をおそろしく掻い摘んで説明する。

「すみません、ちょっとしたトラブルが起きてしまいました。

アインズのあのオーラは決して皆さんに害を為そうとしたものではないんです。」

とリムルが説明しているとガゼル王から質問を受ける。

「ではあの殺気はいったいどのように説明するのだ?」

「彼のあの殺気、、、オーラは常に出ているものなんだ。」

「常にだと?」

「あぁ、あのオーラはアインズの種族特有のもので常に出ているものなんだ。

ただ今日みたいに人の多い場所だとみんなが耐えられないだろ?

だから無理を言って抑えていてもらったんだ。」

「ならばなぜこのような場にアインズ殿を呼んだのだ?」

「みんながアインズについて知りたがっていただろう?

だからきちんと説明する場が欲しかったんだが、今は建国祭の最中。

だから今日みたいな人が集まる時にしか説明できなかったんだよ。

それにアインズは初めに言ってただろ?

“だが貴国らとは特に敵対するつもりはない。だが友誼を結ぶつもりもない。

この建国祭の期間は我々のことは特に気にしなくて構わない。“

って。あれは皆のことを想っての発言だったんだよ。

少し口下手だけどそこは勘弁してくれよ?」

「なるほどな、あの発言にはそうした意図があったのか。

口下手が過ぎる気はするが、、、まぁこちらに被害はない。

だから我が国は特に問題にするつもりもない。きっと他国もそうであろう。」

「そうか、悪いな。皆さんもすみませんでした。ありがとうございます。」

と横槍が入っても面倒なのでガゼルと2人で話をさっさと済ませてしまう。

ガゼルが率先してアインズについての疑惑を晴らそうと質問してくれたことも

早期解決の一助となったためリムルはまたガゼルに借りができてしまったなぁと少し遠い目をしたのだった。

 



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6-6 結局、胃が痛くなる2人

生きがいが欲しい今日この頃。
お腹痛くなるほど笑いたいなーって最近よく思います。


その後立食パーティが再開され和やかなムードで終了する。

各国の貴族達からは明日の闘技場大会や明後日の迷宮について質問されたり、

本当にあのアンデッドは大丈夫なのかと訝しがられて大変ではあったが、

テンペスト国に対して嫌悪感や警戒心を抱くのではなく感心を持ってくれていることに嬉しく思う。

しかしその後の会議は荒れた。荒れに荒れた。本当に筆舌に尽くし難いほど荒れた。

まず初めの話題に上がったのは金貨の件。

正直他国の重鎮であるガゼルやエルメシア、それにヒナタやユウキのいる前で話すような内容ではないのだがそんな外面を取り繕っている余裕はないので仕方がない。

まぁ恥を捨てたことで金貨が不足している問題はなんとかなりそうなのだから問題ない。

 

 

ヒナタからは冷たい視線を向けられっぱなしなのだがそれになんとか耐えるリムル。

なんとかなりそうだと思い安心した途端、今度はエルメシアから<英雄覇気>をリムルはぶつけられる。

初めは唖然としたがこちらも負けじと<魔王覇気>で対抗する。

しばらく睨み合いが続いたと思ったら突然エルメシアがリムルに尋ねる。

「貴殿に聞きたいことがある。」

「?」

「そこの危険極まりない原初の黒と、朕ですら知らないあの凶悪なアンデッドをどう処するつもりだ?」

しかしリムルには質問の意図が分からず率直に思ったことを口にする。

「いや、別に?そもそも原初の黒ってディアブロ?それに凶悪なアンデッドってアインズのことですか?

どう処するって、特に何も?そもそもディアブロは俺の執事だし、アインズは友人なんですけど??」

「‥‥‥‥‥聞き方を変えます。どちらかが暴走し、人間に害をなそうとした時、貴殿はどう対応するの?そしてどう責任を取るのかしら?」

(暴走?責任?、、、、確かに暴走して俺の責任問題になりそうだよな、、、、今日の件もアインズの暴走っちゃ暴走だし、、、

ただ暴走しそうなのはこの2人だけじゃないしな。そもそもアインズなんかは割と常識人サイドな気がするんだけど。

もっと暴走しそうなやつここにいっぱいいるのに、なんでこの2人に対して聞くんだ?)

とやはりリムルはエルメシアの質問の意図を正しく汲み取れていなかった。

 

 

「そりゃ被害が出る前に止めるしかないですよ?」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥は?は?本気?思わず<英雄覇気>とか全部止めちゃったんだけど?

君がその受肉して名を得た原初を止める???それにおそらくその原初以上に強力なアンデッドも???」

「はい、そりゃ、被害を出さないためにはそうしないとダメじゃないですか?

そもそもディアブロが本気になったら相手できるのこの国にも数人しかいませんし。

そいつらを危険に晒すよりは俺1人で対処した方がいいですし。

アインズは確かに俺より強そうだから暴れられたら困りますけど対応策はありますし。」

とリムルが言うと人間サイドは皆、いや1人を除き唖然とした表情でこちらをみている。

話していたエルメシアは当然のこと、ガゼルも。

それにいつもニコニコしているユウキでさえもこの時ばかりは驚いていた。

ただヒナタは呆れを通り越して頭が痛くなったのか、かこめかみを抑えてため息をついていた。

「ねぇねぇ、ガゼル坊聞いた?魔王リムルってすっごい大物なのね。彼ってこれが平常運転なの???」

「はぁ、否定したいがこれがいつも通りだ。

もうこいつと関わりを持ったんだ。振り回される用意はできているだろうな?」

「え、、、、、、、、、、、、、、、、、、」

とエルメシアが答えに窮するとガゼルは日頃いじられている分をやり返せたのが嬉しかったのかにやけだす。

 

 

リムルは突然蚊帳の外に追い出されたかと思ったら自分の正気を疑われ出した。

そして誰か否定してくれないのかと周りを見渡し助けを求める。

しかし周りを見ても、先ほどまで話題の中心にいたディアブロは何故か嬉しそうだし、シオンは何故か羨ましそうにディアブロを見ていた。

シュナはこの会話に興味がないのか特に何も言ってくれそうにない。

テンペスト内ではだいぶ常識人のベニマルにリグルドも頭をぽりぽり掻きながら困った様子で当たりをみている。

ここでリムルはあぁ誰も助けてくれそうにないやと気づいた。

救いの手がないことに絶望していると再びエルメシアから話しかけられる。

しかも再び王者然とした<英雄覇気>を纏わせた状態で。

「ひとまず貴殿がいれば原初が暴れても対応できるとしましょう。

ただあのアンデッドはどうするつもり?

朕は戦闘に関して詳しいわけではないから断言はできないけれどあのアンデッドは正直貴殿よりも強いわよね?」

とアインズに対する質問が来た。

 

 

「そもそもテンペスト国にいる奴らでアインズと戦って勝てる可能性があるのって俺とヴェルドラそれにディアブロくらいですからね。

俺は多分勝てないですし、ヴェルドラは、んーどうなんですかね。

人型だと勝てないんじゃないですか?竜に戻れば話は別ですけど。」

とリムルが言うとエルメシアの<英雄覇気>は再び解除されてしまう。

「ちょっと待ってちょうだい?暴風竜ヴェルドラが復活していること自体眉唾物だったのに、何?

人型って、、、そもそも竜種に匹敵するの?そのアンデッドって、、、。」

「はい、今この場にはいないですけどこの国の中にちゃんといますよ?

どうなんですかね、でもアインズは戦えると思いますよ?竜種と。」

「そんな相手の暴走をどうやって止めると言うのかしら?」

「それは、、、アインズとの関係に関することなのであまり詳しくは話せませんけどちゃんと手があるのは確かです!」

 

 

「はぁ。その手段を聞きたかったんだけど、、、、まぁいいわ。

暴風竜がこの地にいるのにテンペスト国が無事なんだもの。それだけでだいぶ信頼に値するわ。

今は魔王リムルの言葉を信じることにする。貴殿が人類に仇をなす存在にならない限り朕は、魔導王朝サリオンは貴国と正式に盟友関係を築こう。」

「?まぁなんか信用してくれたなら良かったです。」

とリムルとしては少々解せない形ではあったが話は上手くまとまったようだ。

各国の王族を交えた国内会議は終了した。

リムルはガゼルとミョルマイルを誘って飲みにでも行こうと思っていたのだがヒナタに声をかけられる。

「悪いけど、ちょっといいかしら?」

「どうしたんだ?ヒナタ。」

「どうしたんだ、じゃないわよ。あんな化け物連れてきて。

あなたの気が変わって人類を滅ぼすつもりなのかと思ったくらいよ。」

と言ってヒナタはため息をつく。

「アインズのことか、んーとなんかごめんな?

ないない、ってかそもそも俺は元人間なんだし急に人類滅亡なんてするかって。」

「‥‥‥はぁ、そうね、、、、。それでこれからが本題なんだけどルミナス様が用があるそうよ。

会議が終わり次第今日一緒にいたあのアインズとかいうアンデッドと部屋に来てほしいって言ってたわよ。それじゃあ、私は伝えたからね。」

「ヒナタは一緒に行かないのか?」

「ええ。私もそのアインズってアンデッドに少し興味があったのだけど、ルミナス様が3人で話がしたいっておっしゃるから。

それに私はそろそろ寝なきゃいけないし。それじゃあおやすみ。」

「あ、ああ。おやすみ。」

 

 

 

 

リムルがこの事態の収集のため各国の王侯貴族に説明しに行った。

その後すぐに、アインズに別室が用意されるということなので案内に来た者について行き部屋に入る。

アインズは1人部屋に入ると椅子に腰掛け、先程の出来事を考えていた。

(「あのアナウンスみたいな声は一体、、、?

リムルにも聞こえていたようだったがあの声はこの世界特有のエフェクトなのか?

そしてこの体。確実に以前よりも強くなっている。

私のレベルは既にマックスの100lv。これ以上上がるはずがないのに。なぜ?

やはりあの言葉通りレベルの上限が解放されたということだろうか。

となるとこの体の最大レベルが気になるが、、、あちらの世界でレベル上げを行うのは難しいだろうな。

それに『不死者之王(アルシエル)』というものを獲得した後の言葉が一部聞き取れなかったがあれは私だけなのだろうか?

そもそもあの声は誰が聞くことができるのだ???」)

とアインズはほんの数刻前の出来事を再び思い出していた。

 

(《究極能力(アルティメットスキル)『不死者之王(アルシエル)』のスキル<不死の空間>により特定の種族以外への世界の言葉を遮断します。

種族スキル黒の叡智、暗黒の魂、漆黒の後光を統合します。、、、、成功しました。

3つの能力統合成功により究極スキル『慊焉之王(サタン)』が誕生しました。

『慊焉之王(サタン)』の効果により系譜の異形種への祝福の授与を**しました。

『慊焉之王(サタン)』の効果により系譜の異形種への祝福の授与を**しました。

さらに『慊焉之王(サタン)』の効果によりこの効果の一部を隠蔽しました。》)

 

(「特定の種族以外に聞こえなくすると言っていて、

私が聞こえているということはアンデッドには有効なスキルであることは確かだろうが、

もう少し自分で使ってみないことには分からないな。

それにあのスキル<不死の空間>というのも、あの世界の言葉とやらを参考にすると、

究極能力(アルティメットスキル)『不死者之王(アルシエル)』のスキルの一部でしかないのだろう。

つまりまずは『不死者之王(アルシエル)』を全て把握しないといけないということだろうか。

それにもう一つの究極能力(アルティメットスキル)『慊焉之王(サタン)』も確認しなければならないのか。

これは私の個人的な直感だがこのスキル、、、なんだか嫌な予感しかしない、、、、。

はぁ、、、、新たに能力を得て強くなったことを喜ぶべきなのか、新たな能力が未知であることに恐れるべきなのか、、、、分からん、、、。

それにリムルにも迷惑をかけてしまった。はぁ、、、。ほんと胃が痛い。

リムルが後で来ると言っていたが、私が聞くべきことはなんだ?

まず究極能力(アルティメットスキル)というものについて聞くこと。

そして私の能力がどのようなものか把握できるのが最善だな。

次に確認すべきことはアルベド達の容体か。

あのリムルの口振りからして以前に同じような経験をしているのだろう。

ならばどのくらいで目を覚ますのかなど聞くべきことが大量にあるな。

あとは、、、、まぁ謝罪は確実にしなければならないな。」)

リムルが来るまで何もすることはないアインズはただひたすらに思考の海に沈むのであった。

 

 

 

 

あれからどれくらいの時間が経過しただろうか? 

2、3時間くらいだろうか。

アンデッドになってから時間の感覚が鈍くなっていることがもしかしたら一番今困っていることかもしれない。

などくだらないことを考えていると部屋がノックされ外から声がかけられる。

「アインズー?入っていいかー?」

アインズは返事をし、扉を開ける。

「もう各国への対応は済んだのか?」

「あぁ、なんとかな。ほんと大変だったんだからなー!」

「悪い、悪い。緊張してしまってあのオーラが出てしまったんだ。」

「緊張かよ!?てか緊張するたびにあんなオーラ出されてたらたまったもんじゃないぞ!」

「そこは本当にすまない。私も人前に立つことは慣れたと思っていたのだがな。

各国の王侯貴族にたちに萎縮してしまった。」と苦笑いするアインズ。

「ったく、仕方ないな。それでちょっと聞きたいことがいろいろあったんだけどさ。」

「あぁ、私も聞きたいことがある。と言うか部屋に入らないのか?」

「ええっとな、諸々のことで話があるんだけどお前と話がしたいってやつがいてな、今からそいつのとこまで行くからついてきてくれないか?」

「私に話?誰だ?」

「俺と同じ魔王の1人、ルミナスってやつなんだけどな。」

「ルミナス?もしかして銀髪のメイド服を着た女か?」

「!?そうだけど、なんでわかったんだ?」

「いや、今日のパーティの時、世界の言葉とやらが聞こえた時物凄い形相でこちらをみていたからな。

もしかしたらそうなのかと思っただけだ。」

「まぁあの言葉聞こえるのは究極能力(アルティメットスキル)保持者だけっぽいからな。」

「そうなのか?その辺りのことも詳しく聞きたいのだが」

「それじゃあちょっとついてきてくれ。」

「ああ、了解した。」

 




トマス二世さん誤字報告ありがとうございます。


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6-7 えんろーるめんと。

もう3月ですね。
春は別れと出会いの季節と言いますが、
ここ一年コロナで全く外に出ていないので出会いゼロです。
気が置けない仲の友人があと何人かできればなってよく思います。
出会いはないのに。


アインズとリムルはルミナスが泊まっている部屋まで向かう。

「そもそもルミナスという奴は一体どんな魔王なんだ?」

「どんな魔王?」

「お前と同じ魔王であるならばそれなりの地位のある者、それこそ一国の王であったりするのではないか?

それなのにあのメイド服を着ているのはおかしいだろ?もしかしてそういう特殊な趣味なのか?それとも何か意味があってのことなのか?」

「なるほどな。一応国のトップだぞ。ただ詳しく説明すると俺がルミナスに殺られちゃうからな、、、。

簡単に言うと正体がバレないようにあの格好をしてるって感じだな。」

「意味があって、あの格好をしてたのか。リムルよりも強いのか?」

「んーどうなんだろうな?でも古参の魔王であることは確かだし、実力も相当だぞ。

ただ戦ったことはないからな、、、。よくわからん。」

「そうなのか。」

 

 

などと会話をしているうちにルミナスの泊まっている部屋の前までたどり着く。

到着するなりリムルは先程アインズの部屋に来た時のように気軽に扉の向こう側にいる者に声をかける。

中から返事があったためリムルは扉を開く。中に入ると先程夕食の時に見かけた銀髪のメイドが椅子に腰掛けていた。

「遅かったな。待ちくたびれたぞ。」

「悪いな、会議の方が長引いちゃってな。それで話ってなんだ?」

「戯け。既にそこのアンデッドを連れて来いといった時点で気づいておろうが。」

「はは、まぁな、、、」

とリムルは頭を軽く掻く。ルミナスはそんなリムルの様子に渋面を浮かべている。

「それで、そのアンデッドはリムル、貴様とどういった関係なんだ?」

「どう言う関係って、、、、同盟国相手だけど?」

「同盟国?リムル、妾を馬鹿にしておるのか?此奴の実力は言わずもがな、此奴の配下どもも皆、かなりの実力者ではないか。

そんな奴らが存在している国をこの妾が把握しておらんはずがなかろう。」

「えっと、、、それはだなぁ、、、」

とリムルがアインズのことについて説明し損ねているとアインズが話に割って入る。

「よい、リムル。ここからは私が説明しよう。

 

 

まずは自己紹介から、私は魔導国が王、アインズ・ウール・ゴウンである。」

「ほう、、、。妾は魔王ルミナス・バレンタインじゃ。ルミナスでもなんでも好きに呼べ。」

「そうか、ではルミナス。リムルと私の関係についてだったな。

私とリムルは同盟を結んでいる。それも個人はなく正式に国家間でだ。

しかしそうなれば私のことを認知している者が全くいないのはおかしい。

ルミナスはこのことに引っかかりを覚えたと?」

「そうじゃ。」

「それは単純に私が、いや私たちがこの世界の生物ではないからだ。

私はこことは別の世界に国を築いている。」

「何?」

「そしてリムルがたまたま私の暮らす世界に迷い込んで来たため知己を得る機会に巡り会えたのだ。」

「こことは別の世界か、、、、それならば妾たち魔王に一切存在を知られていないことにも説明がつくか。

ならばなぜ今回この国に来た?

リムル、お主もあまり凶悪なアンデッドと関係を持っていると世界、特に人間たち側に知られるのは良くないのではないか?」

「それはそうなんだけどな。

建国祭前にアインズの国の人たちがちょっと訳あってこっちの世界に来ていたんだ。

ここに来ていたら当然建国祭のことも知るだろ?

相手を大使として持て成していたから、同盟国として招待しないのはどうなんだって思って呼んだんだ。

まぁ人間サイドにはガゼルとか仲良い奴らも多いからなんとかなるだろって思ってさ。」

と楽観的なリムルの意見を聞くと疲れた様子でルミナスからお叱りを受ける。

「‥‥‥はぁ、、、リムル、貴様前々から思っていたがちと無計画すぎやしないか?」

「あ、、、はい。すいません。」

行き当たりばったりなところは全く持ってリムル自身もそうであると実感していることなので素直に頭を下げる。

「まぁ良い。問題はここからじゃ。アインズ。貴様これからどうするつもりだ?」

 

 

「どうするつもりとは?」

「貴様は今日、究極能力(アルティメットスキル)を手に入れたであろう?」

「ああ、」

「それが問題じゃ。

まずアインズ。貴様が真なる魔王へ至たり、究極能力(アルティメットスキル)を手にした事ことは究極能力(アルティメットスキル)を有するものは皆把握しておる。」

「ちょっと待ってくれ、ルミナス。私はそもそも究極能力(アルティメットスキル)という言葉すら初めて聞いたのだ。

なぜ私以外の者が私の能力について知っているのだ?」

「そうか、貴様はこの世界の外から来たのであったな。

これは妾の考察でしかないのではっきり断言はできないが、、、、まぁよい。

この究極能力(アルティメットスキル)というものはそもそも持っているものが本当に少ない。

それこそこの世界の生物の1%にも満たないであろう数だ。

絶対数が少ないからかは分からないが、究極能力(アルティメットスキル)を得る際に聞こえる声は既に究極能力(アルティメットスキル)を持っている者全てに聞こえる。」

「それはどの程度の情報が全体に漏れているのだ?」

「どこの誰がどのような能力を手に入れたのか全く分からん。

しかしそれは逆に言えば敵か味方かも分からない奴が自分に匹敵するほどの能力を得たかも知れないことを意味する。」

「確かに危険かも知れない、ただ尚更意味が分からないな。

なぜ今後のことを考えねばならない?

確かに得体の知れないやつが得体の知れない強力な能力を手に入れたことは究極能力(アルティメットスキル)保持者にとって気にはなるだろうが、

言ってしまえばそれだけの話だろう?

私の存在を知られていないのであればそこまで苦慮して今後を考える必要はないのではないか?」

「普通ならばそうだ。しかしアインズ、お前の手にした能力が問題だ。」

 

 

「能力?なぜルミナスが私の能力について知っているのだ?」

「リムル、アインズが究極能力(アルティメットスキル)を獲得した際、世界の言葉は全て聞こえたか?」

「いや、途中から聞こえなくなったぞ?ミリムも訝しんでいたしみんなそうだったんだろ?」

「いや妾は、九割ほどは聞こえた。

それはおそらく妾の種族が関係してくるのであろうがそれに関しては今はどうでもよい。」

「?」

「?」

とリムルとアインズが疑問を浮かべる中ルミナスは淡々と話を進めていく。

「つまりだ。究極能力(アルティメットスキル)保持者であるリムルが世界の言葉を聞けていないと言うことは、

貴様の究極能力(アルティメットスキル)は世界の言葉にも制限をかけられるほど強力だとも考えることができる。

それをこの世界の調停者であるギィ・クリムゾンが見過ごすとは考えにくい。

なんらかの手段を用いてアインズのことを見つけ出すであろう。」

「ちょっと待ってくれ、ルミナス。そもそもなんでこの話でギィが出てくるんだ?

確かにあいつは俺ら魔王のなかで一番強いんだろうけど、俺が究極能力(アルティメットスキル)を手に入れた時は何もしてこなかったぞ?」

「妾も詳しいことは知らない。

ただ妾が先日究極能力(アルティメットスキル)に目覚めた時ギィが直接聞きに来たのだ。

詳細は省いて説明されたが究極能力(アルティメットスキル)の中でも特に強力な能力で、美徳系と大罪系というものがあるらしい。

そして奴は大罪系スキル保持者を魔王たちで独占したいと言っていた。

リムル、貴様がギィから何もされてないのはその時点で繋がりがなかったからではないか?

どうせあのギィのことだ。今でも信頼していないから警戒、監視されているとかだろう。」

「んー確かにそうだな。初対面だったからな、流石にスキルについて聞いてこないか。

でもそうなれば尚更ギィが出張ってくるのは謎だろ?アインズが獲得したのは美徳系でも大罪系でもないんだから。」

 

 

「はぁ、、、さっきも言ったであろう?

世界の言葉にも干渉するような強力なスキル保持者をギィが放っておくとも考えられんと。

奴は大罪系や美徳系の能力を警戒しているのではなく、おそらくだが強力な究極能力(アルティメットスキル)を警戒しているのだと妾は考える。」

「あ、そっか。なるほどな。だからアインズが面倒なことになるかもしれないのか。

てか、ギィはギィでなんか色々としているんだな。」

「ルミナス、正直私にはまだ何がそれほどまでに大きな問題なのかが分からない。

とにかくそのギィという者に私が敵ではないということを伝えられればよいのか?」

「ああ、下手に貴様の存在を隠すよりはその方がいいだろう。

ただ漠然と敵でないと言っても信用されるとも考えにくい。」

「では、どうしろと?」

とアインズがルミナスに尋ねるとリムルがふと思ったことを口に出す。

「なぁ、そもそもアインズのことを説明するよりアインズは早く国に戻って落ち着くまでこっちにくるのを控えればいいんじゃないか?

会うのは俺が転移して向かえばいいだけだし。」

そのことにアインズも納得し同意するが、ルミナスは反対のようだ。

「いや、アインズの存在は隠すべきではないぞ。そもそもあの者のことだ、既に魔力反応などから究極能力(アルティメットスキル)に目覚めた者がこちら側、西にいることくらい気がついているはずだ。バレるのも時間の問題だろう。ならばこちらから先に伝えたほうが要らぬ疑いをかけられずに済む。」

「なるほど。じゃあいっそのことアインズ、魔王になるか?」

とリムルが唐突に爆弾発言をしたことでアインズの<鎮静>が発動してしまう。

しかしその発言が爆弾のように感じたのはアインズだけであり、ルミナスもリムルの意見に同意している。

「確かに、それも悪くないやもしれん。」

自分で引き起こした問題ごととはいえこれ以上大ごとにするのはまずいと感じたためアインズは当然反対する。

「なぜだ?そもそもだ、そもそも。リムル、ルミナス、忘れているのかも知れないが私はこの世界の者ではない。

ならばこの世界に深く関わるような魔王というものになるべきではないと思う。それに軽はずみになろうと思ってなれるようなものでもないと思うのだが。」

 

 

「確かにあまりこちらの世界に干渉しすぎるのは本来ならばまずかったかも知れない。

しかし貴様は既に世界から認識され究極能力(アルティメットスキル)まで与えられておる。

ならばここからはリスクの比重を考えるべきだ。この世界に干渉するリスクとギィを敵に回すリスクををな。」

「私がこの世界に認知されていることは理解したが、どうして魔王になるという考えになるのだ。

ギィ個人と話せば済む話ではないのか?」

とアインズが別案を出すと一応2人とも理解はしてくれる。

「確かに悪くはない。しかしリスクが大きすぎる。

ただ会話だけでギィの信用を勝ち取るのは難しいだろう。

あやつが初めて会った者のいうことを全て信じるようなお人好しな性格なら何も問題はなかったな。

しかしそんな甘い奴ではない。最悪戦闘になるかも知れない。

ならば初めから魔王になることでひとまず敵対するリスクは抑えられるはずだ。

妾とリムルの推薦で魔王になればいきなり攻撃されることもないだろう。

それに彼奴もリスク管理さえできれば魔王が何をしていようと気にしないだろう。

それが調停者というものだからな。」

「やっぱそうだよな。魔王になっとけばひとまず安全だろうな。」

アインズの別案は事も無げに却下され、魔王になったほうが確実で安全だと2人に諭される。

 

 

ここまでしっかり説明されたらアインズはもう納得し、受け入れるしかない。

「なるほど、理解した。ただ私は魔王になる手順というものを知らない。どうすればいいのだ?」

「アインズはもうさっきので真なる魔王として覚醒してるから既に魔王だぞ?」

とアインズは魔王になる決心をしたというのにリムルから既に魔王になっていると言われてしまう。

「どういうことだ?」

「もう世界のシステムはアインズが魔王って認識してるんだ。

だからあとは他の魔王から承認してもらって世界各国にそのことを伝えるってことだ」

「な、、、なるほど。その、、、魔王申請みたいなものか。」

「まぁそんな感じだな。せっかく今この国には魔王が3人いるし魔王達の宴(ワルプルギス)を開催するか。」

「リムルとルミナスで2人。私はまだ魔王として認識されていないのに数に含めていいのか?」

「あぁ、言い忘れてた。この国にはもう1人、ラミリスって魔王がいるんだよ。」

「なるほど、そうなのか。」

「な、ルミナスもいいだろ?」

「まぁ今回は致し方なし。面倒だが、ギィからいらぬ不信感を抱かれるほうがより面倒だ。よかろう。」

「えっとじゃあ、いつ開催にしようか、、、。」

リムルがいつ魔王達の宴(ワルプルギス)を開催しようか考えているとアインズに話しかけられる。

「ちょっといいか、リムル。」

「どうしたんだ?」

「私の部下達が目覚めるまで待ってもらいたい。

それとナザリックの方も少し心配なのでな、できれば向こうに一度戻らせて欲しい。」

「確かにそうだな、気が回らなくて悪かった。この後向こうに確認しに行くか。」

「あぁ、悪いな。」

「ルミナスはまだ何かあるか?」

「此奴の究極能力(アルティメットスキル)について色々と聞きたいことはあるが、急いでいるのであろう?今回はもういいぞ。」

「悪いな、ルミナス。それと今回の助言、感謝する。」

「よい、気にするな。」

 

 

 

 

ルミナスとの話が終わり、アインズとリムルはアインズの配下の様子を確認するために動いていた。

「リムル、ナザリックに戻る前にアルベド達の様子を確認したい。部屋まで連れて行ってもらえないか?」

「ああ、そうだな。わかった。

てか、アインズ聞きたかったことがあったんだけどいいか?」

「なんだ?」

部屋に向かう道中、リムルは気になっていたことを尋ねる。

「今日、世界の言葉が聞こえた時の話なんだけどさ。どうして途中から俺らに聞こえなくなったんだ?」

「あぁ、そのことか。リムルはどこまで聞こえていたのだ?」

「確か、、、スキル名しか聞こえなかったな。」

「なるほど。まだ私も自身の究極能力(アルティメットスキル)について把握できていないため

詳しくは分からないが『不死者之王(アルシエル)』という究極能力(アルティメットスキル)はおそらくアンデッドに有効なスキルなのだと思う。」

「アンデッドに有効なスキル?」

「そうだ。実際どれほど有効なのかは不明だが、世界の言葉とやらをアンデッド以外に聞こえなくしていることからしてかなり強力なスキルなのだろうな。」

「だからあの続きが聞こえなかったのか。てことはそのスキルはサポート系なのか??」

「いやあの能力は『不死者之王(アルシエル)』のスキルの一部でしかない。

ただ他にどのようなスキルがあるかはまだ分からん。

ナザリックに戻り次第ゆっくり確認しようと思っている。」

と話しているうちにアルベドたちが眠っている部屋に到着した。

 

 

中にいる4人は眠っているため反応はないだろうが、マナーとして一応ノックする。

すると驚くべきことに返事があった。

慌てて中に入ってみたが4人ともまだ眠りについたままであった。

では誰が返事をしたのか。

それは部屋の中で4人の様子を見にきたシュナであった。

「どうしたんだ?シュナ、こんな時間に。」

「あ、リムル様。アインズ陛下。

えっと、私もアルベド、、様の様子を見に来たのですが、、、、。

ただ、どなたもまだ目覚めておりませんでした。」

「そうか、わざわざ悪いな。」

「いえ、アルベド様がこちらにいらっしゃる間、彼女のお世話をすることが私の役目ですので。

では私はこれで失礼いたします。」

と言って部屋を出て行ってしまいそうになったのでリムルはこれから向こうの様子を見に行ってくると伝える。

すぐに戻るからとシュナを不安にさせないようにと気を使って伝えるが、

シュナは何も気にすることはなく笑顔で「いってらっしゃいませ」とだけ言い部屋から退出してしまった。

リムルはいつもの反応と違うことを疑問に思うがこの場に他国の王であるアインズがいたからだと勝手に納得する。

リムルがシュナと会話している間ずっとアルベド達の様子を見ていたアインズに話かける。

「どうだ、アインズ?」

「シュナ殿が言っていたように特に何も反応はないな。」

「そうか。」

「リムルの場合はどうだったのだ?同じ経験をしたことがあるのだろう。」

「俺の場合か、、、、俺の場合は詳しくは分からないなぁ。俺の方が長く寝っちゃってたんだよな」

「そうか、本来私もこうなるはずだったのだったな。」

「ただ、数日もすれば目覚めると思うぞ?」

「そうか、では次はナザリックまで頼む。」

「そうだな、じゃあ行くか。」

とリムルは座標をナザリックに設定し転移魔法を発動した。

 

 

 

 

転移阻害の魔法を発動させていなかったおかげで今回はすんなりナザリックに戻ることができた。

転した場所は前回同様、ナザリック地下大墳墓第六階層大森林の中にある円形闘技場(コロッセオ)。

リムルとアインズが転移して来るとプレアデスの1人、シズ・デルタが待機していた。

アインズがシズに話を聞いたところ、デミウルゴスに指示されてここにいたとのこと。

いくらアインズ達がいつ戻ってくるか分からないとはいえ、流石にずっとここで待機させるのはデミウルゴスにしては非効率だな、

などと考えるアインズであったが今はそれ以上に色々と考えることがあったためそんな邪魔な思考は投げ捨てる。

「シズ、悪いが至急デミウルゴスに私の部屋まで来るよう伝えてくれ。」

「ワカリマシタ。」

その後アインズはリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを使用してリムルとともに急いで私室に向かう。

アインズが部屋に到着し10分くらいしたのち部屋の扉がノックされる。

今日突然に帰って来たにも関わらずアインズの執務室で待機していたシクススが面会の手順に沿って訪問者を部屋に入れる。

「アインズ様、お出迎え出来ず申し訳ありません。」

「いや、気にするな。それよりデミウルゴスお前の体に何か問題は起きていないか?」

「私の体でしょうか?」

とアインズの質問の意味がわからず聞き返すデミウルゴス。

「ああ、そうだ。急な眠気などはないか?」

「いえ、特に何もありませんが、、、。ところでアインズ様、アルベド達はどこに???」

 

 

「まだ向こうの世界にいる。

細かく説明すると時間がかかる故、詳細なことは後で帰って来たものから聞くように。

ただ端的に言うと守護者4名は現在、進化に伴い意識不明の状態だ。」

「なッ!?!?!進化?それに意識不明ですか?」

「ああ、だが心配する必要はない。これは向こうの世界特有のものらしい。

私も詳しくはわからないが向こうの世界で私が魔王に連なる存在になったことで私の配下たちもその恩恵を預かるそうだ。

その際体への急激な負荷を軽減するために一時的に休眠状態のようなものになるらしい。

アルベド達がそうなったのでな、こちらにいる者達がどうなったのか気になり戻って来たのだ。」

「なるほど、、、、しかし流石アインズ様。

向こうの世界でも魔王というような非凡な存在になられているとは。

臣下としてこれほどの喜びはありません。」

とデミウルゴスが感激に震えているとその声は突然聞こえてくる。

《告。個体名アイン‥・ウール・ゴ‥‥に連‥る‥‥の異形種を再‥‥‥。

これ‥り祝福の‥‥‥が開‥され‥ま‥。》

途切れ途切れだが世界の言葉が聞こえる。

アインズの配下が進化の途中であったため進化の原因であるアインズも世界から認識されたままであった。

そして他世界にてアインズの配下を再確認。そして進化が開始された。

しかしそんなこと全く知らないアインズとリムルは唖然としてしまう。

心配で一応様子は見に来たが、まさかこの世界にまで影響が及ぶとは予想だにしてなかったのだ。

 

 

驚いて固まっていると傍からドスっという物音が聞こえてきたため意識が現実へ引き戻される。

音のした方向に目をやるとデミウルゴスが片膝をついた状態で頭を押さえている。

シクススには何も影響は無いようでデミウルゴスが倒れたことに驚いている。

「すみません、アインズ様、、、、突然、、、、、抑えきれないほどの眠気が、、、、、」

「良い、デミウルゴス。至急、自身の守護する階層に戻り休みを取れ。

眠気を感じていない配下がいればそいつに階層の指揮権を一時的に委ねろ。後ほど確認しに行く。」

「すみません、、、、、失礼致します、、、、、。」

デミウルゴスにリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを渡し、退出を促す。

その後2人で今後のことを話そうとした時再び2人は世界の言葉に驚かされてしまう。

《告。究極能力(アルティメットスキル)『****』へ系‥の*****の祝…の授与の**を**しま‥。

『****』のスキル<善**き悪*>が発動。『****』のスキル<無**る*声>が発動。

こ…により配‥の能力に‥‥衡が生‥ま‥。

告。『不‥者‥‥』の‥果‥動により『慊‥之王』の‥‥‥果を‥効にします。

こ‥‥‥祝福の最‥‥整に入り‥す。》

 

 

「リムル、聞こえたか?」

「ああ、でもおかしくないか?」

「世界の言葉は途切れ途切れに聞こえることか?

それとも究極能力(アルティメットスキル)が究極能力(アルティメットスキル)に影響を及ぼしていることか?」

「世界の言葉にノイズ見たいのが入ってることだよ。やっぱりここが異世界だからか?」

「おそらくそうであろうな。この世界の言葉の有効範囲ギリギリのところにこの世界があるのか、私たちがいることによって無理にこの世界に干渉しているのかはわからないが、今後あの言葉が聞こえた時に世界間を転移するのは控えたほうがよさそうだな。」

「そうだな。ってかなんだよ?究極能力(アルティメットスキル)が究極能力(アルティメットスキル)に影響を与えているって。」

「はっきり聞こえている訳ではないから断言は出来ないが、今回獲得した究極能力(アルティメットスキル)がもう片方の究極能力(アルティメットスキル)に何かした干渉したみたいだ。その内容がノイズまじりでどんなことをしたのか全くわからないがな、、」

「そんなことあるのか、、、どんな感じに干渉しているのか全くわからないのか?」

「あぁ、片方がもう片方に何かしたことは分かるのだが、それがプラスに働くのかマイナスに働くのかが聞こえなかった。聞こえた内容からしておそらくこれから始まる配下たちの進化に関することだとは思う。

だから配下たちが目覚めて来るまではわからないな。」

「なるほどな、、、てか二つも究極能力(アルティメットスキル)手に入れていたのかよ!!!」

「言っていなかったか?まぁそうなのだ。

これから各階層を周り配下たちの様子を見ようと思う。悪いが少し付き合ってくれないか?」

「確かに早くここにいる奴らの様子は確認した方がいいよな。わかった、とりあえず眠っているやつはみんな進化途中ってことでいいのか?」

「おそらくそのはずだ。では悪いがもうしばらく頼む。」

アインズとリムルはナザリック内にいる配下たちの様子を確認するべく動き始めたのだった。

 




ここで一応6章終了です。
シズのセリフをひらがな表記にするかカタカナ表記にするかすごい悩みました笑
ここまでお付き合いくださりありがとうございます。
話の構成としてはおそらくあと2章、3章書くつもりです。
新年度が近づきつつあるため忙しく、更新頻度は落ちてしまうかもしれません。
ご了承頂けたら幸いです。



*世界の言葉(この物語上での)
究極能力保持者は他の者が究極能力に目覚める際、同じ声を聞くことができる。
ただし、聞こえる言葉の量は究極能力覚醒者と究極能力者との距離に応じて変化する。
覚醒者付近にいる究極能力保持者は覚醒者と同じくらい詳細を聞くことができ、距離が離れれば離れるほど概要は省かれ能力に目覚めた者がいることのみ世界の言葉で通知される。


トマス二世さん誤字報告ありがとうございます。


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間話2 微睡みの中で
1


さて、もうすぐ4月ですね。
今年度はみなさん、学校、職場に通うことができるのでしょうか?
私は正直、オンラインが楽なのでこのままでもいいなって気持ちが9割ほどあります。


 

 

いつもそうだった。

 

私は近くでただ見ているだけ。

 

私は近くでただ聞いているだけ。

 

私がその会話に加わることはない。

 

いくら会話に参加したいと思ってもできない。

 

どうして私はこの会話に参加する権利がないのだろう。

 

加わることは出来ないのに、

                 目を背け

                 耳を塞ぐ

ことも許されない。どうして?

 

それに私は決まった言葉しか口にすることを許されない。

 

私はただ大好きなあの方達と時間を共にしたいだけなのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれからどれくらいの時間が経過しただろうか。

 

5年?それとも10年?

 

もしかしたらまだ1年ほどしか経っていないのかもしれない。

 

しかし私の体感では果てしなく長い時が流れた。

 

いや、どれほどの時が流れたのかなんて正直分からない。

 

ただあの時間は辛く苦しいものだった。

 

いつから私に自我が存在したのかも分からない。

 

ただ自我というものに目覚めたことは私が生まれて以来最悪の事象だったと思う。

 

もし私に自我がなんてものが存在しなければ、私は大好きな方達の側にいるだけで満足できたと思うから。

 

それ以上のことを渇望せずに済むのだから、今感じている苦痛を味わうことはなかっただろう。

 

しかし一度、私の中に生じた自我の情動は止まることを知らない。

 

長い間共にいればいるほど私の欲望は大きくなっていく。

 

初めは自我が芽生える前と同様、あの方達とただ一緒に居られればそれだけでよかった。

 

しかしどんどん私の想いは膨らんでいく。

 

 

私はあの方達の輪に加わりたい。

私はあの方達と話したい。

私はあの方達の力になりたい。

私はあの方達から必要とされたい。

私はあの方から必要とされたい。

私はあの方の愛情が欲しい。

私はあの方の妻になりたい。

私はあの方の子供が欲しい。

 

 

あれ?私はいつから特定の殿方にのみ想いを寄せるようになったのだろうか。

 

いや、そのようなことは考える必要はない。

 

いくら考えようと私に愛を伝える手段はない。

 

ただあの方だけが私、そして私たちの側に今もなお、居続けてくださることが愛おしくてたまらなかった。

 

しかしそんな私の想いを伝えられる転機が突然訪れた。

 

本当に突然としか言いようのないタイミングで。

 

なぜ私が自由に話せるようになったのか。

 

なぜ私が自由に動けるようになったのか。

 

理由は今でも全く分からない。

 

だがそのようなことはどうでもよかった。

 

私は今まで伝えることが出来なかった想いをあの方に伝えられるようになったのだから。

 

王座の間で失態を演じてしまい自身を不甲斐なく思ったがそれ以上にあの方に触っていただいたということが嬉しくて仕方なかった。

 

これほどの喜びを一度感じてしまったらもう以前のように見ているだけなど耐えられない。

 

 

 

 

しかしどうして?

 

どうして私はまた動けないの?

 

どうして私はまた声を出すことが出来ないの?

 

どうして私は享有を奪われなければならないの?

 

奪ってしまうのなら、なぜ私にあの幸福を味合わせたの?

 

もし仮に私に自我を与えた者がいるならば

 

もし仮に私の自由を再び制限する者がいるならば

 

絶対に、絶対に、絶対、私は

 

許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない

許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない

許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない

許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない

許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない

許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない

許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない

許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない

許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない

許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない

許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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2

ヒロインより登場回数の多いサブキャラがいたんですよ〜
なぁ〜にぃ〜!やっちまったなぁ!



はい、やっちまいました。


 

 

そんな恨み辛みの思考がどこからか聞こえてくる声に一時的に掻き消される。

 

 

「それはもちろん。

というより今さっき***を送ったばかりではないか。

国と国との連絡手*******ということにおそらくうちの部下たちからは情報の*********念が残るだろうしな。

それならば*********ができるに越したことはないだろう。」

 

 

 

これはアインズ様の声?

しかし一体誰と何の話をしているの?

ノイズのようなものが多くて聞き取れない。

 

 

 

「確かにそうだな。とりあえず俺今からもう一回そっち行くから。」

 

 

 

これは?!あのクソスライム、、、

 

 

 

「は?どうしてだ?」

「いや、イビルアイに伝えに行くんだよ。お前がデートしてくれるって伝えに」

 

 

 

 

は!?!?!?!?!

何を言っているの、このスライムは?

アインズ様と蒼の薔薇のイビルアイ?

は???意味がわからない。

 

 

 

 

「そ、そうか。しかしナザリックへはもう結界を張ってしまったから転移できないぞ。」

 

 

 

 

どうしてアインズ様は否定してくださらないの?

どうして私というものがありながらあんな小娘に?

 

確かに蒼の薔薇のイビルアイがアインズ様に、いや冒険者モモンに恋慕していることは報告書に記載されていた。

しかし当のアインズ様はイビルアイに警戒心を与えてしまったと考えているはず。

少なくともナーベラルからはそう報告されている。

それなのになぜ?どうしてアインズ様は満更でもないような声なの?私は?いつもは私がどんなに求めても応じてくれないのに。

 

 

どうして?

どうして?

どうして?

何がいけないの?

私の何がダメなの?

こんなにもあなたを愛しているのに。何が私に足りないの?

仰ってくださればすぐにあなたの理想になります。いや、なってみせます。

だからお願い、私を、

私を選んで。

私が一生涯あなたの側にいることを許してください。

お願い。

また私を捨てないで、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、。

アインズ様、、、行かないで、行かないで、だめ、だめ、だめ、だめ、だめ、だめ、だめ、だめ、

 

 

 

 

私はいつの間にか自身の感情を何もない空間に吐き出していた。

すると先ほどまで何も見えなかった光景に変化が起きた。

自分の目の先にアインズ様の後ろ姿があった。

そして私の独白はいつの間にかアインズ様への懇願へ変化した。

しかしそんな私の懇願はアインズ様には届かない。

次第に私の懇願は悲壮混じりの絶叫へと変化していた。

いつの間にか体も動かせるようになっていた。

目からは溢れんばかりの涙。

私は必死に叫び、アインズ様を追った。

しかしいくら叫べども、いくら追えども一向にアインズ様は振り返ってくれない。追いつく気配すらない。

アインズ様は今、私に背を向け何をしているのだろうか?

私がそう疑問に思った瞬間私の見ていた風景が再び変わった。

今度はアインズ様の正面に自分がいる。

私はようやくアインズ様に認識してもらえたことに安堵した。

しかしそれは間違っていた。

アインズ様と私との間には距離があり、その間にはあの忌々しいイビルアイとかいう小娘が私のアインズ様と楽しそうに談笑している。

その光景を見た瞬間私の中で何かが崩れるような音がした。

私は無意識のうちに膝をつき、両手で頭を抱え発狂していた。

自分の内に生じた怒り、悲しみ、嫉妬に殺意といったあらゆる負の感情を体外に撒き散らした。

そして私の見ていた世界は真っ黒に染まる。

何もない空間に突然、機械的な音声が流れる。

《告。個体名アインズ・ウール・ゴウンの魔王への進化(ハーベストフェスティバル)に伴い行われた個体名アルベドへの祝福(ギフト)の配布を終了します。

これにより個体名アインズ・ウール・ゴウンの全配下への祝福(ギフト)の配布を終了いたします。》

 



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7.覚醒
7-1 タクシー


データ、、、


 

アインズとリムルはかなりの時間をかけて配下たちの様子を確認した。

眠りについていたのは階層守護者であるデミウルゴスにコキュートス、パンドラズアクターそれに執事長であるセバス。それとプレアデスたちだった。なぜかアインズがこの世界に転移してからよく関わるものたちだけが眠りについていた。それ以外のもの、例えばルベドや紅蓮などは何も起きていなかった。

そのほかにもこの地に転移した後、新たにナザリックの末席に加わったハムスケやリザードマンたちも何も影響はなかった。

 

 

厳密に言えば彼らも変化したようだがその変化は微々たるものだった。

「眠りについていない配下たちも進化、、、

というより強化はされていたが体に異常はなくむしろ調子がいいと言っていたな。」

「もしかしたら変化に対して体が耐えきれるものだったから睡魔に襲われなかったのか?」

「その可能性はあるな。ただ今は理由を考えるよりもナザリック運営を優先しなければならん。

ここで少し待っていいてくれ。今起きている配下の中で有能な者たちに階層守護者たちの指揮権を一時的に委譲してくる。」

「おう、わかった。でも大丈夫か?」

「ああ、流石にリムルもここにいる者たちを詳しくわからんだろう?

手伝わせっぱなしで悪いからな、少し休んでいてくれ。」

とアインズは言ってリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを発動させて消えてしまう。

 

 

しかしアインズは30分もしないで戻ってきた。

「早かったな、もう大丈夫なのか?」

「ああ、ひとまずはな。階層守護者たちが目覚めるまではなんとかなるだろう。

ここにいる奴らは皆、ナザリック以外の者に排他的だが仲間たちの結束は強いからな。」

ナザリック運営がなんとかなると、ひと段落ついたことで話は今後についてに変わる。

「なんかこれからやることいっぱいあるな。どうする?」

「そうだな。まず今後について少し整理したい。

まずはこちらの世界だが、、、。

ひとまず階層守護者が目覚めるのを待ち、目覚め次第帝国と王国の戦後処理など諸々の世界征服計画が再開される。といったところか。」

 

 

「俺の方は、今のところはすること少なめだな。

えっと、、、明日明後日でまず闘技場予選と本戦行なって、迷宮の説明会やって、その後アインズのデートの手伝いして、評議会に出席して、ルミナスと音楽会やってあとは東の帝国について調べてっと、あれ?意外とやること多いな。」

「なんだか大変そうだな。特にお前の世界は国が多いし、その国々に猛者がいて警戒しなければならなそうでしんどいな。私の件は、、、その悪いな。」

「いや、いいって。俺から提案したことばっかりだし。

まぁ俺はひとまずテンペストに戻るよ。明日の準備とかもしなきゃいけないからな。

アインズはこっちにいないとナザリックが心配だろ?

あの4人が目覚めたらまた知らせに来るから転移阻害のアイテム、発動させないでおいてくれ。」

「何から何まで助かる。悪いがよろしく頼む。」

 

 

 

 

リムルがテンペストに戻ってから6日後、再びナザリックにやってきた。

「よっと、、、ここは、ええっと、、ってアインズ!」

とナザリックに転移したリムルは、ここはどこかとあたりを見回す。

今回の座標の設定は正確だったらしくちょうどアインズの部屋に来ることができた。

アインズは書類整理の途中だったらしく顔を上げて、ポカーンとした様子でこちらを見てくる。

「3日ぶりだなー悪い悪い急に連絡もなくきちゃって。」

「こちらは6日ぶりなのだが、まぁいい、、、それにしても突然だな。4人が目覚めたか?」

「そのことなんだけだな、、、、、、、、、、、目覚めるには目覚めたんだけど、、、、、、目覚めたのは3人なんだよ。」

「3人?誰か1人はまだ意識が戻らないのか?」

「ああ、そうなんだ。他の3人の調子はいいみたいなんだけど、、、、、、、、。」

「悪いがひとまずそちらに関しては後ほど聞かせてくれ。

問題はその目覚めていないものだ。誰なんだ?目覚めていないものは。」

 

 

「アルベドさんだ、、、。」

「アルベドか。リムル、お前も以前、部下たちより長く眠りについていたと言っていたな?

似たような例もあることだし特に問題ないように思うが。どうしてそんなに芳しくない表情をしているのだ?」

「確かに、俺もみんなより意識が戻るのは遅かったけどアルベドさんの場合は俺とちょっと様子が違う感じなんだ。」

「様子が違う???」

「あぁ、なんだか時折魘されているみたいでな。」

「確かにアルベドが暴走した時はたいへ、、、じゃなくて。

以前はそうした魘されるような状態はあったのか?」

「いや、みんなに確認したけど誰もこんな魘されたりすることはなかったらしい。

今はシュナがつきっきりで看病してくれているから何かあればすぐわかるはずだけど、、、。」

「それは確かに心配だな、、、。

こちらに来たばかりで悪いが連れて行ってもらえるか?」

「俺は大丈夫だけど、ここの警備やらなんやらは大丈夫なのか?」

 

 

「ああ、こちらではもうすでに6日が経過していてな。

眠りについていたプレアデスたちがちょうど昨日、目覚めたのでな。

少しくらいならば空けても問題ないだろう。」

「お!そうだったのか。プレアデスっていうとあのナーべさんとかか?」

「そうだ、ナーべを含め6名の戦闘メイドたちが進化し、目覚めたのでな。おそらく大丈夫だろう。」

「デミウルゴスさんとかはまだなのか?」

「まだ目覚めていない。

やはり眠りについた者の中でも実力があるものほど進化に際しての影響が大きいようだな。

アルベドはまだなんとも言えんが。」

「ああ、急いでいるのに悪かったな。アルベドさんと3人の様子見に行くか。」

「よろしく頼む。私はエントマに<伝言(メッセージ)>でその旨を伝えるため少し待ってくれ。」

とアインズは片手を耳にあて何か話し始めた。

リムルはそんなアインズをボケーっと眺めながら転移魔法の構築に取り掛かっていた。

まぁ細かいところは全てラファエル任せなのだが、側から見れば全てリムル1人が行なっていることなのでなんの疑義が生じることもないだろう。

アインズの<伝言(メッセージ)>が終了したところでリムルもちょうど転移の準備が完了する。

そして2人はテンペストへ転移したのだった。

 

 

 

 

「アインズ様、お待ちしていたでありんす。」

アインズとリムルがテンペストに転移すると3人が2人を、いやアインズを出迎えた。

リムルはいつもならシュナが駆けつけてくれるのにな、となんだか寂しく感じている。

「シャルティア、それにアウラにマーレ。もう体の調子はいいのか?」

とアインズが尋ねると3人は何も問題ないと答え、そして謝罪する。

自分の体調なんかよりも、むしろアインズの護衛としての役目を果たせなかったことに三者ともに罪悪感を抱いているようだ。

アインズは気にすることはないと一言伝えアルベドの様子を尋ねる。

「アルベドは未だ眠ったままでありんす。

時折魘されて苦しそうにしていることもありんす、、、。」

「マーレが鎮静作用のある魔法をかけてみたりしたんですけどそれでもダメで、、、ね?マーレ」

「う、うん。何度かやってみたんですけどダメでした。」

「そうか、それならば私が出来ることはなさそうだな。

とりあえず様子を確認したい。部屋まで案内してくれないか?」

 

 

「かしこまりんした。こちらでありんす。」

と3人に案内され、アルベドが寝ているという部屋までリムルと共に向かう。

部屋にたどり着き中に入ると、シュナが寝ているアルベドの看病をしていた。

アインズたちに気がつくなりシュナは立ち上がり頭を下げる。

「シュナ、アルベドさんはどんな感じだ?」

「はい、今は比較的落ち着いています。ただいつ苦しみだすのかが全くわからなくて、、、。心配です。」

「そっか、、、。どうしてアルベドさんが目覚めないか、とかもやっぱりわからないか???」

「正確にはわかりません。」

「正確には?」

「はい、いくつか考えてみたのですが、やはり問題はこの環境でしょうか?」

「環境?」

「はい、アルベド様の暮らしている世界には魔素がないとお伺いしました。

ですので今回の進化の際、体内に大量に魔素を取り込む事になるこの状況に原因があったのではないかと思いまして。」

「んー魔素、、、かぁ。確かにその線もあるのか??

でもそしたら先に目覚めた3人に影響がないのも、向こうの世界で魔素もなく進化が始まったのも理由が説明できなくないか??」

とリムルが尋ねるとアインズが返答する。

「確かに魔素というものが今回の原因であるならばシャルティア、アウラにマーレが影響を受けていないことは不思議ではある。しかしあちらの世界ではデミウルゴスたちの進化が始まってから時折空気中に魔力の残滓を感じることがある。あれが魔素と言う物であるならば、もしかしたらこちらの世界のシステムがなんらかの形であちらでも作用しているのではないか?」

 

 

「え、そうなのか?でもやっぱそれなら尚更魘されている理由がわからないだろ?

デミウルゴスさんたちも魔素の影響を受けているなら何かしら反応があってもいいんじゃないか?」

「確かにそう言われればそうだな。」

アインズとリムル、2人が頭を抱えて唸っているとシュナが会話に復帰する。

「魔素に触れていた時間が問題なのではないでしょうか?」

アルベド様はナザリック魔導国の大使として他の方々より長い間こちらの世界にいらっしゃいました。

それが魔素との親和性を変に高めてしまって悪い影響が出ているのではないでしょうか?

無論、進化の際に何も影響が起きなかったアインズ陛下は例外であると思いますが。」

とシュナはアルベドが他のものよりも魔素に触れる時間が多かったことを理由として掲示した。

リムルはアルベドがシュナと視察のために封印の洞窟に行ったりしていることも知っていたので確かに可能性はあると考える。

 

 

こちらの世界の人間は大量の魔素を体に取り込むと何かしらの弊害が生じる。

たとえ人間でないとしても今まで魔素のない世界で生きていたのだから体が拒否反応を示してもおかしくはない。

「確かにその可能性もあるな。ならアルベドさんもだけどシャルティアたち3人も早めにナザリックに送り返したほうがいいのか?どうするアインズ?」

「そうだな、、、、。シャルティア、アウラ、マーレは至急ナザリックに帰還させたい。

組織運営に早く戻ってほしいと言うこともあるが、やはり魔素が何かしらアウラたちに影響を及ぼす可能性があるのだとすれば危ないからな。

ただアルベドに関してはまだ、できることならこちらで面倒を見てもらえないだろうか?

前回同様、進化の際に世界間の移動は危険のリスクは高いと思う。

ならば初めからこちらでそのままにしておきたい。悪いが頼んでもいいか?」

 

 

「んー確かにそうだな。それこそデミウルゴスさんの前例があるしな。

下手に転移させるのは危険か。わかった。アルベドさんはこのまま目覚めるまでここで看病しよう。

シュナ悪いんだけど引き続きアルベドさんのこと頼めるか?」

「はい!お任せください!アルベド様は大切な、、、、友好国の大使の方なので私が責任を持って看病させていただきます。」

「(あれシュナってこんなにアルベドさんのことよく思っていたっけ?)ああ、頼むな。」

あからさまに嬉しそうな様子のシュナを見て少し不思議に思うものの自分が知らない間に打ち解けたのだと考えるリムル。

そしてリムルはアルベドをシュナに任せ、急いでアインズたちを再びナザリックへ送り返す。

タクシー運転手って大変だったんだろうなと地球にいる頃のことを思い出しながら器用に転移を発動する。

リムルはその後再び自分が戻るために転移を発動させたのだった。

 




pcデータ吹っ飛びました。
描き途中の7、8、9章全部おじゃんです。
泣きそう、、、というより泣きました。
申し訳ないのですが週一更新にさせてください。
すみません、、、。


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