アブソリュート・錬金 (caose)
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始まりの日

 最新作・・・スタート!!


 メラメラと燃えている。

 燃えているのは道場。

 その中に・・・3人の人間が・・・いや。

 二人と1体がそこにいた。

 二つの人間は恐らく兄妹であろう。

 似通った髪の色をしていた。

 そして最後の1体は・・・まるで・・・カンガルーのような出で立ちであった。

 唯一違っているとすれば・・・体が毛皮ではなく・・・鉄である事だ。

 そして顔が・・・化け物のようである事だ。

 最後に周りにあるのは・・・人間だったような・・・肉塊になったナニカである。

 そして少年はカンガルーのような機械に向かってこう言った。

 「どうして!どうしてこんな事するんだ!!」

 そう聞くもカンガルーのような機械は何も言わなかったがこう続けた。

 「答えろよ!!」 

 そう言うとカンガルーの様なナニカにある袋から・・・人間が・・・いや。

 人間の首が長いコードのようなものを付けて少年に向かうとそれはこう言った。

 「そんなの決まってるじゃないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「弱いからに決まってるだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 それを聞いて少年は目を見開くとそれはこう続けた。

 「だから喰べるのさ。君も・・・そうなるのさ!!」

 首の様なナニカがそう言うとカンガルーのような機械が一思いに

ジャンプして・・・少年目掛けて突進してきた。

 然し・・・。

 「お兄ちゃん!!」

 そう言って少女は少年を突き飛ばして・・・カンガルーのような機械から・・・離れさせ・・・。

 「あ」

 それと同時に少女の体がカンガルーのような機械によって・・・

踏みつぶされた。

 「がはあ・・・!!」

 少女の口から大量の血を吐き・・・そのまま・・・倒れてしまった。

 それを見て少年は・・・絶叫して少女の名を呼んだ。

 「音羽!!」

 然し少女は何の反応もなく倒れたままであった。

 すると首だけのナニカが少女、音羽を見てこう言った。

 「ああ、音羽か。僕は君の事が好きだった。そして君も・・・。

 「さあ・・・喰べてやろう。」

 

 

 

 

 

 

 

 「ウワアアアアアア!!!」

 

 

 

 

 

 

 少年は唸り声を上げながら近くにあった木刀を持って叩きつけながら

こう言った。

 「よくも音羽を!音羽を!!音羽をーーーーーー!!!!」

 何度も何度も殴りつけるが・・・首だけのナニカは・・・

金属が剥がれた様な顔でこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「効かないよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言ってカンガルーのような機械の尻尾で少年を弾き飛ばした。

 「グフ!!」

 そしてそのまま壁にぶつかって咳き込むが首だけのナニカはこう言った。

 「僕はもう人間じゃないんだよ。そんな程度じゃあ傷一つもつかないし

それに・・・」

 そう言いながら剥がれていた顔が・・・元に戻った。

 「ほら、もう直った。」

 「・・・・・・」

 それを見た少年は何も言えずにズズズと・・・座り込んでしまうと

首だけのナニカはこう言った。

 「じゃあね・・・透流。」

 そう言って少年、透流に向かってカンガルーのような機械の口が大きく・・・

開かれたその時に・・・それは上空から現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「『流星  ブラボキック』!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カンガルーのような機械の頭めがけて誰かが蹴りをかました。

 「だ、誰だ!?」

 首だけのナニカがそう言うと透流の目の前に現れたのは・・・・。

 「・・・お前がこれをやったのか?」

 テンガロンハット風の帽子を付け、長手袋、裾の長いコート、スラックス、シューズを身に纏った人間がそこにいた。

 そして声色からして男性であろうその人間がそう言うと首だけのナニカは

こう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「うん、弱かったら喰べるのはアタリマエデショウ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何も悪気が無いようにそう言うと男性は・・・こう言った。

 

 

 

 

 

 「そうか」

 

 

 

 

 

 

 そう言った後に男性はこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 「ならば心置きなく貴様を・・・倒せる」

 そう言うと首だけのナニカは笑いながらこう言った。

 「アハハハッハ!何言ってるの?!僕は今や人間を超えた存在なんだよ!!

そんなこと出来ないよ!!!」

 ハハハハハと笑いながらカンガルーのような機械が腕を大きく振るって

男性目掛けて殴った。

 「!!!」

 透流はそれを見てもう終わりだと思って目を瞑ろうとすると・・・

男性の声が聞こえてこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それで終わりか?」

 そう言う声と同時にカンガルーのような機械が・・・吹き飛んだ。

 「がはあ・・・!!」

 首だけのナニカもそう言いながら吹き飛ぶとこう言った。

 「何故だ!どうして死なないんだ!!」

 何故と言ってもう一度攻撃しようとすると・・・男性はこう言った。

 「言うか。」

 そう言って男性はカンガルーのような機械の腹部を思いっきり殴って・・・

破壊した。

 「ウがアアアアアアア!!」

 破壊したと同時に腹部に入っていた首だけのナニカの頭部に刻まれていた

マークが壊れた。

 すると・・・。

 「ウワアアアアア!!」

 「朽ちてる!朽ちてる!!何でだよ!!何でだよ!!」

 首だけのナニカが崩れ始めていったのだ。

 すると透流に向けてこう言った。

 「頼む!お願い助けて!!友達だろ僕ら!!!」

 そう言いながら命乞いをするが男性はこう言った。

 「・・・もう一度来世で出直してこい。」

 「タスケt」

 そう言って拳1発で・・・頭部を破壊して消えていった。

 そして男性は透流と死んだ音羽を連れて脱出した。

 これが・・・九重 透流が錬金戦団との出会いである。




  次回へと続く。


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入学。

 そして・・・月日は流れ。


 「・・・あれからもう2年か。」

 透流はそう言って・・・ホテルのベッドから起き上がった。

 あの事件の後に防人からある事を伝えられた。

 それは・・・。

 

 

 

 

 

 

 「君のご両親は残念だが・・・あいつの仲間によって喰われてた。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 最初は受けいられなかったが家に戻ってみるとそこにあったのは・・・。

 

 

 

 血だまりと父と母であった・・・肉塊だけであった。

 

 

 

 

 その後に防人達『錬金戦団』によって掃討されるも透流には何もかも

亡くなってしまった。

 家族を失い天涯孤独となり両家の祖父母も年齢が年齢だけあって自身を

養うなんて無理だと悟っているために透流が決めたのが・・・これである。

 

 

 

 

 

 

 「俺を『錬金戦団』に入れて下さい!!」

 

 

 

 

 

 

 そう言って無論最初は反対されたがそれでもと言われ、取敢えず

予備隊員としてからで決まった。

 その後から透流は家を離れて『錬金戦団』に入団して辛い選抜試験を幾つも

潜り抜けてやっとこさある物を渡された。

 それこそが・・・『錬金戦団』の持つ対ホムンクルス兵器。

 「核鉄」である。

 最もそれをたった2年で授与されるほどともなればそれは

既に才能でしか言えないのだが本人はそうとは思っていない。

 そして透流は本部からある任務を言い渡された。

 その為に透流は既に受けた試験をクリアしておりとある学校の潜入任務を

言い渡された。

 その場所の名は・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「『晃陵学園』・・・か。」

 そう言って透流はクローゼットに入っている制服を見た後にカバンからある物を出した。

 それは6角形の金属で出来た小さな物体。

 これが「核鉄」だとは誰も気づくまい。

 それを見た後に制服に着替え直してこう言った。

 「さてと・・・行くか。」

 そう言って透流はチェックアウトしてから晃陵学園に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「桜がきれいだなあ。」

 透流はそう言いながら歩いていた。

 無論何かないかチェックしながらである。

 正直な話まさかと思ってしまう所があるがそれの調査次第では乗り込むか増援を送るとも言われている。

 そして講堂に入って適当な所に座ると・・・鈴の音が聞こえた。

 それを聞いて振り返るとそこにいたのは・・・。

 

 

 

 

 

 

 腰まで届くほどの銀髪

 透き通るような白い肌

 そんな中で際立つ深紅の瞳

 まるで西洋人形の様に小柄で可愛らしい少女が革靴の音と鈴の音色が

一緒になって響き合い、その光景をまるで映画のワンシーンの様に見ながら

透流から見て前から3列目の席に座ったと同時に殆どの人間がため息をついた。

 恐らく彼女の一挙一動を見てその感想を言っているようだ。

 すると隣にいるポニーテールの少女がこう言った。

 「はあ・・・美少女ってああ言うのを言うのねえ・・・。」

 「・・・・・」

 溜息交じりでそう言うが当の本人はというと・・・周りの監視であった。

 対象は教職員だが見ていると・・・ポニーテールの少女がこう言った。

 「・・・ねえ、せめて相槌くらい打ってくれないかなあ?」

 そう言いながら肩に指先で触れようとすると・・・。

 「・・・・・!!」

 透流はすぐさまにその手を掴んで殴りかかろうとした。

 「ちょちょっとマテ!!」

 後ろにいた黒髪の少女がすぐさまに止めにかかろうとすると寸でのところで

透流はそれを止めてこう言った。

 「あ・・・ああ、悪い。」

 すまないと言って頭を下げて謝るとポニーテールの少女はこう返した。

 「う、ううん。こっちこそごめんね。後ろから何も言わなかったから。」

 慌ててそう言うとポニーテールの少女はこう聞いた。

 「ねえさ、ちょっと聞いて良い?」

 「?」

 「どうしてそんなにしかめっ面しているのかなあって思っててさ。」

 どうしてと聞くと透流はこう答えた。

 「ああ、ちょっと考え事しててな。」

 其れでだよと言うとこう続けた。

 「それってあの女の子を見ても?」

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「いや、ちょっと気になってな。」

 「何で戦闘技術を教える学校にあんな女の子が来るのかなアあって思ってな。」

 「ああ、私もそう思ってたけどもしかしたらあのこ日本在住とかかな?」

 そう言うが透流はこう答えた。

 「いや、あの顔つきと肌の色から見て欧州系ぽいからそれだったら姉妹校に

いるはずだろう?」

 そう言って成程と言った。

 晃陵学園にはイギリスに姉妹校がありそこからのほうが近いだろうと

言っているとポニーテールの少女はこう言った。 

 「それにしても凄く可愛くて綺麗だよねえ。あーあ、羨ましいなあ。」

 そういうと透流はこう言った。

 「いや、アンタも十分に綺麗だぞ。」

 「そう?ありが・・・・ってええええええ!」

 ポニーテールの少女はそれを聞いて暫くすると驚くが透流はこう続けた。

 「いやさ、顔立ちは可愛いし社交的だから中学じゃあモテたんだろうなあって思ってさ。」

 「普通は思ってても言わないでしょう!」

 「・・・そうか?」

 透流は目を点にしてそう言うがポニーテールの少女はそれでも続けようとすると黒髪の少女は二人の間に割り込んでこう言った。

 「いい加減にしないか?迷惑だぞ」

 「「あ、ゴメンナサイ。」」

 お互いそう言うとポニーテールの少女は透流に面と向かってこう言った。

 「と、とにかくね、いきなりさっきみたいなことは言わないほうが良いわよ。

人によっては色々とその・・・勘違いするからね。」

 「あ・ああ・・・分かった。」

 透流はそう返事した後にポニーテールの少女は深呼吸して自己紹介した。

 「えっと・・・なんだか色々あったけど初めまして。私は『永倉 伊万里』。

宜しくね。」

 そう言うと透流も自己紹介した。

 「ああ、俺は『九重 透流』だ。よろしくな。永倉」

 「伊万里で良いわ。透流」

 ポニーテールの少女、伊万里はそう言ってウインクして笑みを浮かべた。

 そしてお互い握手を交わした。

 お互いがここで切磋琢磨し合えると・・・信じて。




 次回は恐らく理事長登場。


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理事長挨拶

 あの子・・・学校行ったのか?


お互い自己紹介した後伊万里はある事を聞いた。

 それは・・。

 「ねえさ、透流。ちょっと聞いて良い?」

 「?」

 透流は何だと思っている中で伊万里が言ったのは・・・。

 「《ルキフル》で昇華する時ってどんな感じだった。」

 「ああ・・・あれかあ。」

 透流はそれを聞いて思い出した。

 何せ投与したと思ったら・・・。

 「灼け死ぬかと思ったなあ・・・。」

 「・・・確かにねえ。」

 伊万里も透流が遠い目をしているのを見てそう思った。

 まさか体から炎が燃え上がってくるなんて想像できないからね。

 「確かに投与の前には説明されてたけどびっくりしたよねえ・・・。」

 けどと言って伊万里はこう続けた。

 「これでアタシたちは・・・ううん、この講堂内にいる全員が

普通の人間じゃあなくなったのよね。」

 そう言うと透流はこう言った。

 「いや違うだろ?」

 「え?」

 伊万里は何でだと思っていると透流はこう続けた。

 「確かに俺達の体は常人じゃあ想像することさえ出来ない体になっちまったけど

それだけで人間じゃなくなったわけじゃあねえだろ?」

 「俺達はこうやって喋ってるし分かりあう事も出来てる。」

 「これだけで俺達は未だ人間だって証拠だろ?」

 そう言っている中で伊万里はくちを( ゚д゚)ポカーンと開けて・・・笑った。

 「アハハハッハ、そうだね!そうだよね!!ああーー、心配して損した。」

 そう言っていると・・・パチンとスピーカーのスイッチが入る音がした。

 すると伊万里がこう言った。

 「あ、入学式が始まるらしいよ。」

 そう言うと男性の声が聞こえた。

 『あ、・・・あ・・・・』

 『一同、静粛に。間もなく入学式を執り行います。司会は私、

三國が行います。』

 そう言う・・・20代後半の男性教師が言った。

 そしてこう続けた。

 『只今より、晃陵学園高等学校入学式を始めます。』

 『まず最初に、当学園理事長より新入生の皆さんに式辞をお贈りします。』

 そう言って現れたのは・・・。

 二つに結った闇に近い黒髪。

 それと同じくらいに黒い・・・ゴシックドレスを身に纏った・・・。

 どう見ても10歳になっているどうかすら怪しい程の少女であったが・・・透流は彼女を見て成程なと思うと同時に疑問が湧いてきた。

 それは・・・。

 「(あの子俺の投与の時にいた・・・まさか俺の事を感づいて!?)」

 そう思いながら懐に入れてある『核鉄』を万が一に備えて触っている中で

伊万里がこう聞いた。

 「驚いてるみたいね。」

 そう聞くと透流は慌てながらもこう言った。

 「いや、あんな若い子が俺らの学校の理事ってのは前もって

パンフレット見てたけどまじかで見るとやっぱりな。」

 そう言うと伊万里もこう言った。

 「そうだよねえ、何せこの学園を設立した時にはもう遺伝子工学者として研究に関わっていたらしいからね。」

 そう言うと透流はこう言った。

 「となると《ルキフル》はその遺伝子工学で出来たって事だな。」

 それを聞いて伊万里もあっ、そうかと言った。

 そして式辞はクライマックスに差し掛かっていた。

 『貴方達はこの晃陵学園にて様々な技術や知識を得ることでしょう。』 

 『然しそれらは全て、より高みを目指すためであることを

常に念頭に置いてください。』

 『それこそが当学園の校訓、《十全一統》となります。』

 『・・・それでは最後にこの言葉を皆様に贈ることで式辞を終わりとさせて

頂きますわ。』

 そう言うと理事長はそこで一旦言葉を止め、新入生全体を見渡してこう言った。

 『願わくば、汝が何時か《絶対双刃(アブソリュート・デュオ)》へ

至らんことを』

 そう言うと透流はこう思っていた。

 「(《絶対双刃(アブソリュート・デュオ)》・・・

一体どういう意味なんだ)」

 透流はそうお思っている中である事に気づいた。

 「?」

 「どうしたの、透流?」

 伊万里はどうしたのかと思って聞いてみると透流はこう言った。

 「いや、理事長どうして降りて来ないんだと思ってな。」

 それを見て伊万里もそう思っていると理事長がこう言った。

 『これより、新入生の皆さんには当学園の伝統行事《資格の儀》を行って

頂きますわ。』

 そう言うと周りがガヤガヤと音を立ててこう言った。

 「伝統行事?」

 「進行表にあるのはこの後の在校生代表による歓迎の挨拶じゃなかったか?」

 「(遂においでなすったか?)」

 透流はそれを聞いて何かがあると思って聞くことにすると理事長はこう言った。

 『それでは《資格の儀》を始めるにあたってですが貴方達の席は

2席でワンセットとなっておりますわ。』

 『その席に一緒に座っている方がパートナーですわ。』

 そう言うと透流は隣にいる伊万里を見ると理事長はこう続けた。

 『ではこれより・・・わが晃陵学園が行われる入試試験としそのパートナーと

決闘をして貰いますわ。』

 『『『『『なあ(*´Д`*)‼!』』』』』

 それを聞くと全員がガヤガヤと驚きの声を上げていると理事長はこう続けた。

 『この試験において勝者が入学、敗者は《ルキフル》を除去した後に

立ち去っていただきますので皆さま・・・』

 『勝ち残ってくださいね。』

 その声が透流の耳に残った。




 次回は戦闘編です。


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戦闘開始

 敵は友達。
 それでも越えなければ・・・先へと進めない。


「・・・冗談でしょ?」

 すると伊万里が隣で目を丸くしたまま呟くとこう続けた。

 「幾ら戦闘技術訓練校だからって入学初日から・・・だ、大体入試試験って何ヨ!《適正(アブト》があれば誰でも入学出来るんじゃなかったの!?」

 そう言うと透流がこう言った。

 「いや、それこそ理事長の策略だろうよ。」

 「え!?」

 伊万里は驚いていると透流はこう続けた。

 「適正があれば誰でも入学できるって口実があればどんな奴だって

受けたくなるさ。それがどれだけの人数だろうとな」

 「そしてそこから1000分の1で分かったとしても実力が無ければ学園としての

立場もない。」

 「だからこそ不意打ちでこう言う試験を出させてるのさ。」

 透流がそう言うと理事長がこう答えた。

 『その通りですわ。』

 そしてこう続けた。

 『何時か必ず、貴方達には戦う時が来ますわ。《超えし者(イクシード)》としてドーン機関の治安維持部隊へ所属した後、時には命がけともいえるような闘いが

必ず・・・訪れましょう。』

 『けれどその時は貴方達の都合で待ってはくれませんのーーーと、ここまで言えばお分かりですね?』

 そう言うと透流がこう締めくくった。

 「・・・《資格の儀》は学園側から俺らに対して贈られる最初の決断・・・

って訳かよ。」

 『その通りですわ。』

 だが透流はこうも聞いた。

 「だけどそれなら何で外部にそれが洩れなかったのか気になるな。」

 『それは』

 理事長が何か言おうとすると透流はこう聞いた。

 「一つは多額の金で買収したかそれとも・・・口封じしたか予備施設が

あるのかって所か?」

 そう聞くと理事長はニヤリと笑ってこう返した。

 『中々感が宜しい事ですわね《九重 透流》』

 『確かに口封じ以外の方法で我々は情報規制をしておりましたし

我が学園にはとある島において研究施設がありそこで研鑽している者たちも

おりますわ。』

 『負けても尚も戦う意志と覚悟を持った者たちだけが集う場所ですが』

 『来年時に空きがあればそこからこの本校に移籍することも可能ですわ。』

 そう言うと理事長は透流に向けてこう聞いた。

 『ほかに何か聞きたいことでも?』

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「それならもう一つ。」

 『はい。』

 「戦う相手はパートナー以外でも大丈夫ですか?」

 『・・・・それはどういう理由で?』

 理事長が何やら眉間にしわを寄せると透流はこう答えた。

 「パートナーではなく他の連中2人をパートナーと連携して倒すじゃあ

駄目なんでしょうか?」

 それを聞くと全員がガヤガヤと話し合っていた。

 中には仲良くなった人間もいる。

 それをいきなり戦い合わせるなんてと否定派もちらほらいたが理事長は

こう答えた。

 『申し訳ありませんがそれは出来ない相談ですわ。』

 『そういうのは入学してからの行事としておりますので。』

 ですがと言って理事長はこう続けた。

 『時には出会って数分しか経ってないパートナー同士で戦い合わせるのも

一興かもしれないですわね。』

 そう言うと三國を見てこう言った。

 『三國、来年度からはそれでやれるか調整お願いできますか?』

 「畏まりました。」

 三國はそう言って会釈した後に透流に向かってこう言った。

 『と言う訳で諦めて貰いますわ。ですが来年度に向けて良い指針が

決まった事には感謝いたしますわ。』

 そう言うと透流は座ると伊万里がこう言った。

 「ありがとう。」

 「どういたしまして。」

 お互いそう言うと理事長がルール説明をした。

 『この決闘は基本的に何をしようとも自由・・・つまり武器の使用制限は

ありませんし勿論《焔牙(ブレイズ)》の使用も許可しますわ。制限時間は10分。その間にどちらかの敗北宣言かこちらが戦闘不能と判断した場合となりますわ。』

 『その間に決着が着かなかった場合はどちらとも不合格となりますので

悪しからず。』

 そう言うがしんと講堂内において沈黙が走った。

 何せその闘いに於いて武器の無制限使用が無いとすれば自分だけではなく相手を傷つけるか・・・殺すかになってしまうのだ。

 そんなのを簡単に決断する人間などいないのだが・・・そう言った

心理的状況に対して囁くのが・・・悪魔なのだ。

 『それと開始前に《焔牙(ブレイズ)》についての補足説明をさせて

頂きますわ。』

 『《焔牙(ブレイズ)》とは超過された精神力によって魂を具現化した

武器・・・故に傷つけるのも同じものであるために体のダメージは無いに等しく、攻撃した相手の精神を疲弊させて肉体を傷つけない制圧用の特殊な武器ですわ。』

 それを聞いた新入生が安堵している中で透流はヤバいなと思った。

 「(くそ!あの子供理事長は悪魔かよ!!これじゃああの

ガキの思う壺じゃねえか!!)」

 そう思いながらも自分の懐にある『核鉄』を触ってこう思っていた。

 「(俺の力はあいつ等や・・・人間にも対抗できるがバカでかい力だからこその覚悟を持たなきゃあいけないのに!!)」

 そう思いながら透流は隣にいる伊万里を見てみると・・・。

 「(・・・覚悟を決めてる目だ。)」

 そう思い透流も覚悟を決めると理事長がこう言った。

 『闘いなさい、《天に選ばれし子(エル・シード)らよ!!

そして己の未来をその手で掴み取るのですわ!!』

 その鋭い一声と同時に・・・学内全てに鐘の音が響き渡った次の瞬間・・・。

 

 

 

 

 

 

 「ウワアアアアアアアア!!」

 

 

 

 

 

 

 誰かが発した雄たけびと同時に戦闘が始まった。

 そんな中で4つの状況が出来上がった。

 一つは状況を理解して講堂入り口に逃げ出す者。

 二つ目はその場でパニックに陥った者。

 三つめは状況についてこれずに立ち尽くす者。

 最後は・・・決闘を受け入れ、戦う者達。

 そう言う人たちは力ある言葉を発して体から焔を出して・・・

武器を顕現させた。

 これこそが・・・《焔牙(ブレイズ)》であり、魂が武器と化した姿である。

 剣、槍、弓、視界に映る数多もの武器を持つ所有者たちが目の前にいる

敵に向かって鎬を削っていた。

 そんな中においても透流と伊万里はお互いの顔を見つけ合ったまま無言で

立ち尽くしていると・・・伊万里は口を開いてこう言った。

 「仕方がないって言葉は好きじゃないんだけど・・・・でも、アタシには

やるべきことがあるわ。その目的を達するためにはどうしてもこの学園に

入学したいの。」

 この学園でと言って伊万里は透流の目を真っすぐ向いてみるとこう叫んだ。

 「この道は譲れない!!」

 そう言って伊万里は胸元に手をかざして・・・こう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「《焔牙(ブレイズ)》!!」

 

 

 

 

 

 

 

 そう言うと伊万里の胸元に《星紋(アスター)》が浮かび上がり、黒く、そして何よりも淡い光を放った・・・見る人間によってはひび割れにも似た構造の

刀になった。

 「透流も《焔牙(ブレイズ)》を出して・・・!」

 そう言うと透流は伊万里に向けてこう言った。

 「悪いが俺のはどうも戦闘向きじゃないからな。」

 そう言うと透流は腕を突き出してこう言った。

 「この拳でお前と戦うさ。」

 そう言うと伊万里はこう言った。

 「そう・・・だったら!!」

 「(速い!!)」

 ルキフルによって超化された瞬発力は数メートルもある間合いを一瞬で

詰めることが可能となっており一瞬で透流のすぐ近くに迫った。

 「うおっと!!」 

 透流はそう言いながら避けた瞬間に・・・振り落とされた床が斬り裂かれた。

 とてもではないが伊万里の見た目から見て出来るものではない。

 矢張りこれがと透流はそう思っていると伊万里はこう聞いた。

 「良い身のこなしだけどもしかして何かやってたの?」

 すると透流はこう答えた。

 「ああ・・・ちょっと格闘技とその他諸々をな。」

 そう言って口を濁した。

 錬金戦団ではあらゆる武術を使わせ、その中から見合った戦い方を見出すという特殊な訓練法がある。

 無論これには特殊な戦場や市街地、ジャングル、あらゆる環境を念頭に

置いており武器は自身が使用するものやその場の武器なども存在する。

 そうとも知らない伊万里はこう言った。

 「そう、アタシは剣道よ。」

 「道理で打ち込みがちゃんとしていると思ったよ。」

 そう言うと伊万里は正眼に構えてこう言った。

 「フフッ、ありがとう。躱された上で言われるのは癪だけど・・・」

 「次は外さないわ。」

 そう言って伊万里は構え直した。

 最早闘いを止めるすべなど・・・ない。




 作者「そう言えば透流って格闘技以外に何マスターしてんだ?」
 透流「それは秘密だ。」
 ネタバレになるからなと言った。


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戦闘終了

 この世界の透流は少し厳しめです。


「透流、もう一度言うわ。《焔牙(ブレイズ)》を出して・・・!」

 伊万里はその状態でそう言うが透流の答えは同じであった。

 「何度も言うが俺のは戦闘向きじゃねえから拳一つでお前を倒す。」

 そう言うが伊万里は怒ってこう言った。

 「ば、バカにしないでよね透流!こう見えても剣道じゃあ県大会の

上位常連だったのよ!!」

 そう言うと透流は伊万里に向けてこう言った。

 「伊万里、これは実戦だ。大会の様に正々堂々な訳じゃない。」

 「俺と君とじゃあはっきり言って・・・格が違う。」

 「!!・・・後悔しないでよね!!」

 伊万里は透流の言葉を聞いて激昂しながら踏み込んだ。

 最初の振り抜きを透流はしれっと避けた。

 そしてさらに弐撃、参撃と繰り出すもそれらを全てを透流はいとも容易く

避けた。

 「くうう!」

 伊万里は透流に対して更に数回振り下ろすも全く聞いていなかった。

 お互いに《ルキフル》で身体能力を超化されており実力は互角なので後に残るのは本人自身の能力、技術、経験がものを言う。

 その点で言えば2年とは言え常識では考えられないほどの戦闘訓練をしている

透流と県大会出場の伊万里とでは正直な所・・・格が違うのだ。 

 それらは幾合かの戦いで伊万里自身も既に納得していた。

 そして伊万里その現状に対して焦りを感じてこう言った。

 「負けられない!アタシは・・・アタシには目的が・・・!!」

 伊万里は透流に対してそう言いながら刀を振るうと・・・透流はそれを余裕で

伊万里の手を捉えて受け止めてこう言った。

 「!!」

 「もうわかったろ。伊万里は俺には勝てない。」

 「・・・」

 「其れでもと言うなら・・・本気でお前を倒す。」

 「!!!」

 伊万里は透流から溢れ出る殺気の様なナニカに驚くがこう続けた。

 「冗談じゃないわ!アタシは自分から諦めはしない!!」

 絶対にとそう言って透流から離れた。

 すると透流は伊万里に向けてこう言った。

 「それなら・・・!!」

 透流はそう言って1瞬の間に・・・伊万里の目の前まで詰め寄った。

 「!!!」

 伊万里は透流のその行動に驚いて下がろうとするも透流は・・・こう言った。

 「御免。」

 そう言って伊万里の腹部に思い一撃を・・・与えた。

 「グフ・・・!!」

 伊万里は透流から受けた攻撃にそのまま壁に向かって・・・突っ込んでいった。

 そしてぶつかって気を失う前に見えたのは・・・。

 「(・・・何で・・・泣きそうになるの?)」

 目に涙を浮かべた透流の姿であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・大丈夫か?」

 透流は講堂の外に臨時で作られたテントの中で寝ている伊万里に向けて

そう聞くと伊万里は透流を見て・・・。

 「・・・・」プクーー。

 顔をむくませていた。

 「・・・結局《ブレイズ》出せなかったなあーー。」

 「あはははははは。」

 透流はそれを聞いて苦笑いしていると伊万里は透流に向けてこう聞いた。

 「そういえばあの戦い方だけど誰に習ったの?」

 結構実戦型だよねと聞くと透流はこう答えた。

 「まあ・・・色々あってな。」

 「ふーーん。」

 そう言いごまかすしかなかった。

 何せ錬金戦団で鍛えられたなんて言えないしね。

 すると透流はこう言った。

 「それじゃあ俺は戻るけどお前これからどうするんだ?」

 そう聞くと伊万里は透流に向けてこう答えた。

 「私は理事長が言ってた予備施設の方に行くよ。せっかくだからね。」

 そう言うと伊万里は透流に向けてこう言った。

 「じゃあまた来年。」

 「おお。」

 透流は伊万里と別れた。

 未だ来年があるのかなと・・・思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 晃陵学園は東京湾北部にある懸垂型モノレールでしか入れない埋め立て地に

出来ている。

 周囲は巨大な石壁に覆われておりそれと同サイズの門が聳え立っていた。

 そして敷地の中央には全体を見下ろせるほどの巨大な時計塔があった。

 校舎や学生寮等の建造物は全て洋風であるため本当に学校なのかと言う前に・・

 「俺達何時から明治時代に来てるんだ?」

 透流はそう思っていた。

 確かにドラマとかでは重要施設などは西欧風であるためそれに似ているなと

思っていた。

 透流は洋風な廊下を見ながらこれからどうしようかと考えていると・・・

後ろから声が聞こえた。

 「お前・・・《九重 透流》か・・・・?」

 「?」

 透流は何だろうと思って後ろを向いても・・・誰もいなかった。

 「何だ気のせいか。」

 そう言うと下から・・・声が聞こえた。

 「おい貴様態とか!!」

 こっちだと言って透流は下を向くとそこにいたのは・・・。

 「お前・・・トラ・・・か?」

 「そうだ!!」

 少し後ろだったがいたぞと言うと透流は申し訳なさそうにこう言った。

 「いやあトラって小さいから分からないよなあ。」

 「貴様!人の気にしていることを毒吐いて言うな!!」

 怒りながらそう言うとトラと言う眼鏡をかけた少年がこう言った。

 「・・・久しぶりだが元気そうだな。」

 「ああ・・・あの時以来だな。」

 透流はその言葉に対してそう答えた。

 最後に彼と会ったのはあの道場での合同葬儀以来である。

 そしてそこから少し離れた場所で透流の両親の葬儀も行われていた。

 妹の遺体も同じ葬儀でやって貰ったのだ。

 できれば最後くらいは・・・両親と一緒にさせてやった方が良いとあの時

助けてくれた錬金戦団の戦士であり戦士長《キャプテン・ブラボー》の心遣いであった。

 その後に透流は錬金戦団に入団することになったので家を売り払って

引っ越したというプロフィールを作ったのも悪しからず。

 するとトラがこう聞いた。

 「あれから2年たったが貴様は引っ越し場所の報告どころか手紙も出さずに

こっちはどれだけ心配したんだと思っているんだ!!!」

 そう言うと透流はこう答えた。

 「あ、・・・ああ・・・悪い。」

 「本当にそう思ってるのか!?」

 トラは透流の言葉を聞いて更に怒るが少し深呼吸してこう聞いた。

 「まあ貴様もあの事件で色々と整理しなければいけんことがあるからな。」

 「だが!これからはちゃんと報告ぐらいは心がけておけ!!」

 良いなと言ってトラは教室に向かうと・・・また声をかけられた。

 「そこの君。」

 「・・・・・ああ、君は。」

 透流はその声の主を見て思い出した。

 後ろの席で自分が伊万里を殴りつけそうになった時に止めに入った少女で

あることを。

 よく見れば黒いストレートロングヘアで可愛いというよりも綺麗と言った

容貌に加え、スタイルの良さとも相まって同い年とは思えないなと思った。

 更に言えば彼女が持つ空気が何やら凛とした感じがしたためにその疑問を

更に加速させていた。

 「あの時は悪かったな。危うく伊万里を殴り飛ばしてたよ。」

 「いや何当然のことをしたまでだ。」

 そう言うと少女はこう続けた。

 「そう言えばあの戦いの中であるが君の戦い方は何やら独創的と言うか・・・

実戦的と言うか・・・型が決まっていない様に見えるが気のせいか?」

 そう聞くと透流はアハハと言ってこう答えた。

 「んまあどちらかと言えば俺のは引っ越した場所の近くにそう言うのを

教えていた師匠がいたんだ。」

 「ふむふむ。」

 「それで教わったらこう言われたんだ。」

 「何と?」

 「《基礎は教えるが後はお前が作れ.》」

 「・・・何だそれは?」

 少女はそう言うと透流はこう続けた。

 「《人間は可動領域や癖が一つ一つ違う。》」

 「《だからそれでも無理やり型を教えるのではなく自分に合った型で

戦わる。》」

 「そう言われたんだ。」

 「成程な、癖とかは人間によって違うからな。型を教えても無駄に

なってしまう」

 「ならば最初から型を本人が作って会得させるとは少し変わった人間だな。」

 「ん・・・まあな。」

 透流はそう言う中である事を思い出していた。

 「《まさか『キャプテン・ブラボー』のあれが武装錬金の一つって言われても

あれって酔狂でしか見えないんだよなあ。》」

 私服は全部あれに近いしなと思いながら話していると少女はこう自己紹介した。

 「ああ、紹介が遅れたな。私は『橘 巴』、今日から宜しくな。」

 「ああ、こちらこそよろしくな。」

 透流はそう言って少女『橘 巴』の手を握った。




 次回は教室編です。


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少女との出会い。

 この時の第一印象って多分透流は・・・不思議ちゃんかなって思うよな。
 ユリエに対して。 


透流はあの後に教室に入ってみると・・・。

 「変わった机だなあ。」

 机が個別ではなく二人で使う横幅が広いタイプなのだ。

 透流は取り合えずという事で入り口付近の空席に座った後透流は周りを

見渡していた。

 如何やら一部の生徒は直接的な打撃で治療中のようであるため開始までは

時間がかかるそうだ。

 他の生徒たちも皆思い思いの時間を過ごしているようだ。

 そして暫くすると・・・又もや静けさが訪れた。

 「?・・・・ああ。」

 透流は何だと思って見てみるとそこにいたのは・・・。

 例の銀髪の少女であった。

 そして彼女は暫く周りを見た後に・・・透流の方を見た。

 「?」

 何だろうと思っていると少女はそのまま透流に近づくとこう言った。

 「トール」

 「(何で俺の名前を・・・ああ。そう言えば理事長が言ってたな。)」

 そうお思いながら銀髪の少女を見ていると・・・。

 鈴の音が近くまで来ていた。

 「?」

 透流は何でこんなに近くだと思っていると銀髪の少女は透流を少し

見つめた後に・・・隣の席に座った。

 空いている席など幾らでもあるのにもかかわらずだ。

 然も・・・。

 |д゚)・・・|д゚)チラッ

 何故か横眼で見つめてくるので堪らずにこう聞いた。

 「ねえさ・・・良いかな?」

 「?」

 銀髪の少女は何だろうと思って見つめると透流はこう聞いた。

 「俺達ってさ・・・何処かで会った?

 そう聞くと銀髪の少女はこう答えた。

 「ナイ。」

 「・・・・・へ?」

 透流はそれを聞いて目を点にした。

 然もその後にも何度か横眼で見てくるので正直な話居心地が悪いと思っていた。

 そして暫くすると治療中の生徒たちも戻ってきた。

 やがて全員が揃ったところで透流は・・・窓から何かが来るのを察知して

窓を閉めようとすると・・・声が聞こえた。

 「ちょっと待った---!!」

 そう言って・・・うさ耳付けた自分と何ら変わらないような女の子が

窓から・・・出てきたのだ。

 そしてうさ耳付けた少女は全員に向けてこう言った。

 「ハロハロー♪アーンド、試験お疲れ様ー★アーンド、入学おっめでとーー!」

 『『『『『・・・・・』』』』』

 全員唖然としているとうさ耳付けた少女はこう自己紹介した。

 「はっじめましてーー!皆の担任の『月見 璃兎』でーす♡親しみを込めて

『うさセンセ』って呼んでねえーー★」

 このハイテンションにどう対応したらいいんだと思っていると少女、

『月見 璃兎』はこう続けた。

 「ありゃりゃ・・・どしたのかなあ?」

 「(アンタの登場に全員驚いてるんだよ。)」

 透流は全員に変わって心の中でツッコミを入れるが『月見 璃兎』は

こう続けた。

 「はっ!?もしかしてアタシの可愛さに見惚れちゃってたりする?」

 「イヤー、そう言うのは結構慣れてるつもりだったけど、流石に

新入生全員がって言うのは嬉し恥ずかし照れまくりだよ~~♪」

 「(なんつうポジティブ!!)」

 透流はそう思っている中で『月見 璃兎』の服装を見てこう思っていた。

 「(あれで教師って言うのが不思議だよなあ。)」

 何せミニスカメイド服にうさ耳ヘアバンドを付けているところを見て・・・

ふざけているのかと言いたいところであった。

 すると照れ臭そうにしているこの自称担任がいる教室から・・・

もう一人が入ってきた。

 「いや、引いてるだけですよ・・・」

 「なーんだ、引かれてただけなの・・・ってええええええ!!

見惚れてんじゃなかったの---!!」

 『月見 璃兎』はその声に対して驚いている中で全員こう思っていた。

 『『『『『(先生グッジョブ!!)』』』』』

 そう思いながら言っているのは・・・先ほど進行係をしていた三國であった。

 そして三國は月見を見てこう続けた。

 「あまりふざけ過ぎていると別の人間に変わって貰いますよ。」

 「大丈夫ですって!泥船に乗ったつもりで任せて下さいな★」

 「沈みますよ。」

 「(そんで俺ら沼の中で溺死)」

 「さーて、それじゃあ改めて自己紹介の続きねえ!!」

 「聞いてました。」

 「(先生ガンバ!!)」

 月見の言葉に対して三國がツッコミを入れて透流もそれに続くが当の本人は

唯我独尊上等で続けるので透流は三國に対してそう思うしかなかった。

 「実は私この春にこの晃陵学園を卒業したばかりのうら若き乙女なので、

至らない事はたーくさんあると思いますが、精いっぱいやっていくつもりだからよっろしくねえーー♪」

 「(まさかの18って・・・おい待てよ、教員資格あんのかこの人)」

 違法じゃねえかと透流はそう思っていると三國がこう説明した。

 「月見先生は昨年の卒業生の中においても特に優秀な成績を修めているため、

本年度から特別教員として抜擢されました。」

 「まあ・・・人格はともかく、技術や能力に関しては申し分ないのでご安心してくださいね。人格はともかくですが。」

 「(そこ重要なんですか!?)」

 まさかの人格問題発言に透流はそう思っているが当の本人はこう説明した。

 「何か凄く棘のある言い方だったけど、皆気にしないでねえーー。今日は

初日という事だから自己紹介と今後のスケジュールについて」

 「その前に《ブレイズ》についての注意事項ですよ。」

 三國が月見に向けてそう言うと月見はちぇーっと舌打ちしながらこう言った。

 「それじゃあ《ブレイズ》なんだけど学園側からの許可なく具現化するのは

厳禁だからしないでねえ!!」

 凄く怒られるからねえと言いながらクラスメートの自己紹介を執り行った。




 そして月見は・・・変人先生。


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学校説明

 先ずは説明を聞いてそれから決めろ。


暫くしていると自己紹介が始まり透流の番となった。

 「《九重 透流》です。趣味は体を鍛えることです。これから3年間宜しくお願い致します。」

 それを聞くと月見がこう言った。

 「ああ、君が噂の《異能(イレギュラー)》だね!」

 そう言われると全員が透流に視線を集めた。

 考えてみれば透流は全員の中で唯一《ブレイズ》を出さずに勝った人間でありその武器の形状が全く不明であり知っているのは教師陣のみなのだ。

 そんなクラスの注目を集めてしまった透流であるがもう一人いた。

 「それじゃあ次は隣にいる超目立つ銀髪ちゃん!」

 月見はそう言って透流の隣にいる少女に向けて言った。

 「・・・ヤー(はい)。」

 銀髪の少女は頷いて自己紹介した。

 「《ユリエ=シグトゥーナ》です。皆さん宜しくお願いします。」

 それを聞いて違う意味でざわついた。

 銀髪の少女が異国から来たにしては流暢な日本語を話しているのを聞いて

驚いたのだ。

 然し当の本人はそう言うのは気にせずに着席してまたもや透流を横目で

見ようとすると・・・。

 「いや、何?」

 「---!!」

 視線が重なったためそっぽを向くも暫くしてまた横目で見初めて

当の本人はもうグロッキーであった。

 

 

 

 

 

 

 全員の自己紹介を終えると三國がこう言って全員に配布した。

 「これが皆さんの生徒手帳と学生証と寮生活のしおりです。学生証と生徒手帳は既に登録済みですので名前を読み上げたら来てください。」

 そう言ってそれぞれに行き渡ると月見がこう説明した。

 「全員に行き渡ったかなあ?校則と寮則は後でチェックしといてねえ♪後、

学生証はクレジットカードとして使えて毎月10万円支給されるから

無くさないでねえ。」

 これ先生のお約束だよと言うと全員が色めきだった。

 学校の案内によれば生活費支給と書かれていたがこう言う意味だったのかと

思っているとこう続けた。

 「はいはーい。はやる気持ちはわかるけど落ち着いてねえ。

最後にうちの学校における特別制度と寮の部屋割りについて話したら終わりだからお金の使い方はその時に考えといてねえ。」

 「先ずは特別制度についてだから耳をかっぽじってようく聞いてねえ。」

 月見はパンパンと手を叩きながらそう言うとこう説明した。

 「うちの学校には《絆双刃(デュオ)》って言う二人一組になって授業を受けるパートナー制度が存在するのね。」

 そう言うと生徒の一人がこう聞いた。

 「先生、どうしてですか?」

 そして月見はこう説明した。

 「うちを卒業すると、ドーン機関の治安維持部隊へ所属するって話は

知ってるよね。」

 それを聞いて全員が頷くと月見はこう続けた。

 「そこの任務は常に二人一組(ツーマンセル)、若しくはそれ以上のチームで

任務を遂行してもらってるんだけど」

 それを聞いて橘がこう言った。

 「・・・成程、卒業後にいきなりチーム行動するのではなく学生の内から

やらせておいて慣れさせるという事ですね?」

 そう言うと月見はにこりと笑ってこう言った。

 「その通り。分かってるね、橘さん♪」

 それを聞いた透流はへーと思いながらこう思っていた。

 「(錬金戦団じゃあ大抵が単体行動で稀に集団でやる時もあるけど

そういうのって滅多にないんだよなあ。)」

 透流はそう思いながらも無論理由があった。

 大抵の団員はホムンクルスに家族を殺されていたり孤児で行き場がない人間が

大多数であったため私怨に走ったりして単独行動が多い為大抵が単体行動なのだ。

 そんな中においても月見は説明を続けていた。

 「さてさて、《絆双刃(デュオ)》についてなんだけど

二人一組じゃないといけないからその関係上、今週末までに正式に相手を

決めて貰いたいから明日の授業で自分に合ったパートナーを頑張って

見つけてもらうからねえ。」

 もしいなかったらこっちで勝手に決めるけどねと言うと透流は

こう思っていた。

 「(それだったら当日まで決めないほうが良いな。)」

 任務上あまり親しくしたら厄介だからなと思っていると月見はこう続けた。

 「・・・で、本題はここからね。実はうちの学校って《絆双刃(デュオ)》を

組んだ後は、お互いをよく知り、絆を強くするためにも出来る限り

一緒の時間を過ごすって言う校則があるのね。」

 「まー何が言いたいのかっていうとお・・・寮で相部屋になるって事

なんだけど♪」

 そう言うと透流は何か可笑しいと思って手を上げてこう聞いた。

 「あの、質問があるんですけど?」

 宜しいですかと聞くと月見は透流を見てこう言った。

 「はいはーい、《異能(イレギュラー)》の九重君、何でしょー?」

 「その呼び方は止めてください。」

 透流はそう言ってこう聞いた。

 「週末までの間は寮の部屋割りはどうなるんですか?」

 そう聞くと月見は目を輝かせてこう言った。

 「フフフ、ナイス質問。そこに気づくなんてうさセンセ超嬉しい♡♡いい子いい子してあげよっか」

 「さっさと答えて下さい。」

 透流に向かってそう聞くも透流はそう返したので月見はぶー垂れながら

こう返した。

 「それじゃあさっきの答えなんだけど」

 そう言って月見はとんでもない事を言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「週末までは・・・仮の《絆双刃(デュオ)》として隣の席に座っている人と

同居させてもらいまーーす。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この日初めて透流はマジかという顔になってしまった。




 高校生からすれば毎月10万円給与って・・・大金だよな。


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同居人との会話。

 この子との会話って・・大変だな。


 「それじゃあ・・・それって・・・つまり・・・・。」

 透流はそう言いながら隣にいるユリエを指さした後に自身を指さすと月見は

親指立てて笑顔でこう言った。

 「良かったね、九重君♪」

 「君の同居人は何と銀髪美少女のユリエちゃんなのだ!男子37人、

女子15人どころか全校生徒の中でも初めての女子との同居!!」

 「イヤー、ラッキーだよねえ、ああでも不純異性行為をして来年には3人目の

同居人が出来たら」

 「するか(*´Д`*)アアアアアアアア!!」

 透流は大声でそう言いながら机を叩いてこう言った。

 「いやそれだったら何で入学式の時に決めねえんだよ可笑しいだろ!!効率悪いし俺が言ってたのが正しい・・・・・(*´Д`*)アアアアアアアア!!」

 透流はあの時の事で抗議していると最も重要な事に気づいて大声を上げた。

 「え!?どうしたの九重君!??」

 月見が透流に向けて何があったのか聞くと透流は・・・Orzになってこう言った。

 「俺・・・どう考えても・・・女子と相部屋だった。」

 そう、あの時に同居人が決まっていたら相手は・・・伊万里であろう。

 すると背中から何かトントンと叩かれたので後ろを振り向いて見ると

目に映ったのは・・・。

 「よろしくお願いします。」

 ユリエがそう言って小さく頭を下げていた。

 そして透流自身も小さくこう言った。

 「よ・・・宜しく。」

 そう言うしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 あれから数時間して敷地内にある寮に移動して門限や食事の時間等を

話してくれた後にそのまま食堂にて早い夕食を摂った後割り振られた部屋にて

透流はユリエに・・・見つめられていた。

 然も無言で・・・。

 じーーーーーーーーーーーーーーーーーー。

 「(頼む・・・誰か来てくれ誰か!!)」

 透流は誰か来ないかと願うが・・・世の中そんなに甘くない。

 どうしたものかと思い透流はまずは無難な方から進めようと思いこう言った。

 「取敢えず座らないか?」

 「ヤー。」

 ユリエは透流の言葉に対してそう答えて正座した。

 外国人は個人差はあれど正座するという習慣が無い為姿勢に問題が

出やすいのだがユリエはそれに当てはまらないようなのでちょこんと正座した。

 その光景を見て透流はこう思っていた。

 「(やっぱ人形みたいだなあ・・・西洋の。)」

 そう思いながら透流は部屋を見て流石と感心していた。

 「(流石に3年間過ごすのを想定してるんだな。良い部屋だ。)」

 まあ自分はどれくらい入れるのか分からないけどなと思いながら観察した。

 部屋は思った以上に広くて綺麗であった。

 床はフローリングで中央にはカーペット、キッチンとテレビ付きで

衣装ケース2個分と二段ベッドと至れり尽くせりと言う物だ。

 おまけに10万円の給付金付きともなると・・・正直怪しさ満点であった。

 こう言う甘い誘惑にはそれ相応の代償を払わなければならないのだから。

 そして透流は自己紹介した。

 「それじゃあ週末までだが自己紹介だな。」

 「俺は」

 「トール」

 「・・・発音は違うがまあ良いか。」

 透流はユリエの言葉に対して苦笑いでそう言った。

 「それで君は確か・・・《ユリエ=シグドゥーナ》さんで良いよな?」

 「ヤー、ユリエと呼んでください。」

 ユリエもそう答えると透流はこう続けた。

 「俺は神奈川県なんだが場所は・・・分かるか?」

 「ナイ。」

 「ああ・・・そう。」

 透流はそう言うとこう続けた。

 「君のその言葉って北欧だと思うけど・・・どこら辺?」

 「ギムレーと言う国です。」

 「やっぱり留学生か。それにしても日本語が上手いけれど両親のどっちかが

日本人なのか?」

 其れとも血縁者関係にいるのかと聞くとユリエは首を横に振ってこう答えた。

 「ママは仕事で通訳のお仕事をしているのでそれで教わって貰いました。」

 それにとってこう続けた。

 「向こうの学校では選択授業で日本語学科もありましたので。」

 「へえ、日本語を習おうとしたのは?」

 透流はそう聞くとユリエは賺さずにこう答えた。

 「ヤー、こちらの学園の事を知ったことと知り合いがこちらのイギリス分校に通っていたので。」

 「ああ、そう。」

 それを聞いてそう言えばと思って思い出した。

 この学園はイギリスにも姉妹校がありそこでも研究しているようだ。 

 そしてそっちには・・・彼女が任務に就いていた。

 「(あいつ大丈夫かなあ・・・高飛車な所はなり潜めているけれどアクが

強いからなあ。)」

 そう思いながら彼女の事を思い出していた。

 自身と同時期に入団した同い年の・・・金髪の少女を。

 境遇が似ており目的も同じであったことと何故かなつかれたのだ。

 「トール、一つ宜しいですか?」

 ユリエは考え事をしている透流を見て聞くと透流もそれによって

意識が戻ったために何だと聞くとユリエはこう答えた。

 「シャワーを先に使って宜しいでしょうか?」

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「ああ良いぜ、さっきの戦闘の後だからゆっくりしておけ。」

 そう言うがユリエは首を横に振ってこう答えた。

 「まだお話ししたいのですが時差と暑さのせいで眠気が強くなって」

 「え・・・今春だぜ。」

 むしろ少し寒いぞと言うとユリエはこう続けた。

 「私の国では夏の暑さと同じなんです。」

 「これで夏って・・・日本の夏無事に過ごせれるのか?」

 透流はそう言うがまあ国柄仕方ないなと思ってこう続けた。

 「それじゃあゆっくり入ってろよ。ああ、そうだ。着替えは脱衣室で

済ましておけよ。」

 「ヤー」

 ユリエは透流の言葉に対してそう答えると着替えを持って出て行った。

 そして透流はユリエが入ったのを確認してカバンから着替えとその他諸々と・・通信装備を取り出した。

 そして透流は通信装備を起動させてこう言った。

 「それじゃあ・・・報告だな。」




 ヒーロー?
 あんなちゃんとした状況に来るわけねえだろ?


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お互い・・・寝て。

 あけましておめでとうございます!!
 1日遅れですが今後も御贔屓でよろしくおねがいいたします。


《アハハハッハ!!そいつはこれから大変だなあ透流!!》

 「そう笑わないでくださいよ『キャプテン・ブラボー』。俺だってまさかとは

思いませんでしたからあ。」

 透流は通信装備でキャプテン・ブラボーに向かって通信していた。

 定期報告と今後についてだ。

 《然しまあ施設がもう一つあるとは。》

 「ええ、それでそっちについてなんですが」

 《分かってる。そっちが保有している島があるのかどうか探ってみるよ。》

 「ありがとうございます。」

 《ま、任務とは言え学生生活は楽しまないといかんぞ。》

 「ええ・・・まあ。」

 透流は濁しながらそう7答えた後にこう言った。

 「それじゃあまた。」

 《ああ。》

 キャプテン・ブラボーとの通信はそれで終わらせて透流は荷物を見た。

 着替えが少々と通信装備、そして・・・「核鉄」もあった。

 本来ならば少ないだろうなと思いながら透流はこれで十分だと思っていた。

 別れるときに物が多かったらどうしようもないからだ。

 すると後ろから・・・声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 「フわあ・・・。」

 

 

 

 

 

 

 それを聞いた透流はああと思っ振り向きながらこう言った。

 「ああ、ユリエか。ちょっと質問・・・がアアアアアアア!!」

 透流はそう言いながら驚いていた。

 何せ今のユリエの格好が・・・際どいのだから。

 パジャマを上半身しか着ておらず、下半身の白い足などがばっちりと

見えてしまっているからだ。

 おまけに眠たげなのかどうかわからないが湯上りの肌が張り付いて華奢な体の隅々が色々と見えてしまいボタンをかけ間違っているため隙間が

見えてしまっておる。

 それを見た透流は慌てながらジャージを出してユリエに向かってこう言った。

 「ユリエ!直ぐにズボンと上着・・・ああもう!!まだ濡れてるじゃないか!!ちゃんと体を拭いてから出なさい!!!」

 そう言って透流は直ぐにユリエを脱衣室に押し戻した。

 そして透流は暫くして・・・こう言った。

 「・・・疲れたア。」

 透流はそう言ってため息ついた。

 そしてさらに数分後・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「着替えました。」

 「おお・・・前よりはマシだな。」

 透流はそう言ってユリエを見た。

 自身が貸したジャージのズボンをはガバガバなようなのでベルトを

着けさせておくとユリエはこう言った。

 「少し・・・暑いです。」

 「我慢してくれ」

 俺の精神衛生状の為にと言いながら気になることを言おうとすると・・・

ユリエは・・・倒れこんだ。

 「ウォォォォ。どうしたんだユリエ」

 「くー、クー。」

 「寝てる・・・。」

 透流はそう言いながらユリエを見た。

 華奢で然も落としたら壊れそうだなあと思って透流はユリエをベッドに

連れて行って下ろそうとするとユリエの体が・・・少し動いた。

 「ん・・・・。」

 「ユリエ?」

 体を僅かに丸め、体を寄せて甘えてくるかのようにぎゅっと服を掴んだ。

 そして寝言で・・こう言った。

 「パパ・・・。」

 そう言いながら・・・涙を流した。

 「(やっぱり寂しいようだな。)」

 どんな理由かどうか分からないが年頃の女の子が住み慣れた国を離れて、

たった一人で日本に着て不安なのであろう。

 そして透流は目元に浮かぶ涙を掬ってこう言った。

 「お休み・・・ユリエ。」

 そう言って透流は寝るかと思って上のベッドに横になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の朝早朝。

 

 

 

 

 

 

 

 「はっ、はっ、はっ、はっ。」

 透流は日課となっているジョギングを始めていた。

 走り込みは昔は苦手だったのが今じゃあと思って苦笑いしていると

少し走った後に透流は寮の近くにある雑木林の中に入って「核鉄」を

取り出して・・・こう唱えた。

 

 

 

 

 

 

 「武装錬金!!」

 

 

 

 

 

 

 

 そう言うと幾つかの電流が流れて・・・静まって・・・トレーニングを

再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふ~~。あれ、おはようユリエ。」

 「ヤー、おはようございます。トール。」

 ユリエはそう言って既に体操服らしき格好に着替えていると透流はこう言った。

 「早いな。」

 「ヤー、何時もこのくらいの時間に起きてトレーニングしているので。」

 「そうか、じゃあ俺はシャワー浴びてるから。」

 「ヤー、それでは行ってきます。トール。」

 ユリエはそう言って部屋から出て行った。

 そして透流はシャワーを浴びながらこう考えていた。

 「定期報告はユリエが風呂に入っている時にするか。」




 次回は朝食です。


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食事中は静かに

 皆も食事中はあんまり喋らないでね。


 透流はあの後にシャワーを浴びた後暫くしてユリエが帰ってきたのでユリエも

シャワーを浴びた後に学生服に着替えてお互いに食堂内に入ると・・・全校生徒から視線を浴びた。

 まあ・・・本人たちはあまり気にしていないが聞き耳立ててみると・・・

こう聞こえた。

 

 

 

 

 「銀色の・・・」

 

 

 

 

 「男女で同居」

 

 

 

 等と聞こえてくる。

 

 

 

 

 そんな中でも透流はユリエに向けてこう聞いた。

 「ユリエは朝飯何にするんだ?」

 そう聞くとユリエは少し考えてこう言った。

 「ビュッフェにしようと思います。」

 「俺はどうしようかな?」

 透流はユリエの言葉を聞いて考えた。

 晃陵学園の学食は肉がメインのA定食。

         魚がメインのB定食

         和洋中が織りなすビュッフェの3通りであるのだが大抵の

生徒はそっちに足を向いている。

 「俺もそっちにするか。」

 「ヤー。」

 そしてお互いが思い思いの食事を取った。

 「ええと俺は・・・唐揚げが4つと・・・お、野菜の甘酢あんかけ。これと

牛肉の黒コショウ炒めとトマトが入ったたっぷりサラダと・・・。」

 そう言いながら透流はある事を思い出していた。

 「(何せ向こうは栄養をちゃんと管理しているし何より・・・

キャプテン・ブラボーから耳に胼胝ができる程言われてるからな。)」

 そう思っているが当たり前だ。

 戦団に所属する以上栄養関係で戦場に出られないなどあってはならないからだ。

 そのおかげかどうか分からないがセロリ以外の野菜を食べれるようになったのは言うまでもない。

 後は白ご飯に甘酢あんかけを注いでから透流は周りを見回していた。

 すると透流はある少女を見かけた。

 そしてこう聞いた。

 「おおい、橘。」

 「?・・・ああ、九重か。」

 透流は橘に向けてそう言うと向こうもそう返すると透流はこう聞いた。

 「すまないが一緒に良いか?席が空いていなくてな。」

 そう聞くと橘はこう返した。

 「ああ、良いぞ。私の同居人も一緒に食べるからそこで。」

 と言いながら橘は栄養よくご飯を取っていた。

 そして席に着くと透流はユリエに向けて橘を自己紹介した。

 「ユリエ、紹介するよ。こっちは《橘 巴》。俺達のクラスメイトだ。・・・

って知ってる・・・よな?」

 そう聞くとユリエは・・・首を横に振ってこう答えた。

 「ナイ。ずっとトールを見てましたから。」

 「・・・あら。」

 透流はそれを聞いて目を点にするが橘は少し笑ってこう言った。

 「フフフ・・・別に構わないさ。昨日は入学初日に

あれ程の戦いがあったのだから。」

 そう言いながら橘が笑うのを見て透流はこう思っていた。

 「(へえ・・・こいつってこんな顔も出来るんだあ。)」

 そう思っていると橘がこう言った。

 「あ、そろそろ・・・こっちだ《みやび》」

 そう言いながら橘が向ける視線の先にいたのは・・・一人の少女がやってきた。

 そして少女はこう言った。

 「こ、ここにいたんだね、巴ちゃん。」

 「はあ・・・呼び捨てで良いと何度も言っているだろう?みやび」

 橘は呆れながらそう言うが少女はこう続けた。

 「で、でも。巴ちゃんは巴ちゃんだから・・・。」

 そう言うとはあとため息交じりで橘はこう言った。

 「全く君は・・・っとすまないすまない。自己紹介しよう。彼女が私の

ルームメイトだ。」

 そう言うと少女は透流達を見て自分を紹介した。

 「え?・・・あっ!?お、おはよう。・・・《穂高 みやび》です・・・」

 そう言う少女、《穂高 みやび》を見て透流はこう思っていた。

 「(何だか橘とは打って変わって大人しそうだなあ。)」

 そう思っていた。

 大人っぽい橘とは正反対にみやびは平均よりもやや小柄で

幼い顔立ちをしていた。

 髪は肩口で切り揃えており後ろは少し伸ばし、お下げとして纏めた部分を前に持ってきている。

 然し何よりも特徴的なのが・・・その・・・巨乳である。

 その大きさはスタイルがかなりいい橘よりも大きかった。

 透流の最初はそっちに目がいきそうであったがそっちは努力でカバーした。

 そして透流達も自己紹介した。

 「ヤー、ユリエ=シグトゥーナです。ユリエと呼んで下さい。」

 「うん、宜しくね。ユリエちゃん。」

 「ヤー」

 「そんで俺がルームメイトの九重 透流だ。透流って呼んでいいぞ。」

 「あ・・・うん・・・」

 宜しくねと最後にみやびは小さな声でそう言った。

 それを聞いた透流はどうしたと聞くとみやびはこう答えた。

 「わ、私、・・・その・・・じょ、・・・女子校出身だから・・・その・・・」

 それを聞いて透流はこう答えた。

 「ああ、それでか。けどナンデこんな学校に?」

 そう言うのってエスカレーター式だろと聞くが当のみやびは直ぐに

橘の後ろに隠れると橘はこう言った。

 「すまないがそれは本人の問題だ」

 だからというと透流はこう答えた。

 「ああ、すまない。誰しも言いたくない理由があるからな。」

 御免と言うとみやびは少し透流を見た後に直ぐに隠れると橘はみやびに向けて

こう言った。

 「大丈夫だみやび。九重は別に噛みついたり等しない。」

 「ほ、・・・本当?」

 「俺は狂犬か?」

 それを聞いて橘に向けてそうツッコミを入れた。

 そしてみやびを見て少し笑顔になって手を振った。

 「!!」

 みやびはそれを見て又もや後ろに下がった。

 それを見ていた橘はみやびに向けてこう言った。

 「ともかく座り給え、みやび」

 「う、・・・うん。」

 みやびは橘の言葉を聞いてそう頷いて椅子に座った瞬間に・・・巨乳が揺れた。

 おまけにそれが机の上に・・・載っかっているのだから質が悪いと思いながらも透流は目の前の食事に手を伸ばした。

 野菜あんかけを丼みたいにして入れていてもちゃんと食べているが暫くして橘がこう聞いた。

 「なあ、ユリエ、透流。物は相談なのだが・・・良いか?」

 「「??」」

 二人は何だと思っていると橘がこう言った。

 「君たちさえよければ、今後もこうして一緒に食事を摂らないか?」

 そう聞くと二人はこう答えた。

 「ああ、俺は構わないぜ。」

 「ヤー、私もです。」

 それを聞いて橘はふ~と言ってこう続けた。

 「ではよろしく頼むよ。」

 「よ、宜しくね・・・。」

 そう言うと透流は内心こう思っていた。

 「(良かった~~。何せユリエと一緒って事になると変に勘潜った奴が

出そうだから任務に支障が出そうになってたんだよなあ。)」

 それに《デュオ》のパートナー探しもしないといけないからなと思っていると

橘がユリエに向けてこう聞いた。

 「時にユリエ。その・・・こう言う言い方は九重本人を前にして申し訳ないが、週末までだが同居生活は大丈夫なのか?」

 そう聞くとユリエは間髪入れずにこう答えた。

 「ヤー、大丈夫です。」

 「そうか、君がそう言うのであれば」

 そう言って透流を見ると透流はこう言った。

 「ああ大丈夫だよ言いたいことは分かってるしそれにそう思うのも

無理ないよな。」

 透流はそう言って橘をフォローした。

 何せ年頃の男女が一緒に暮らしているのだから何か間違いがあってからじゃあ

遅いと思っていたんだろうと思うが透流はこう聞いた。

 「それじゃあもう一つなんだが・・・何かあった時にはユリエを匿う事で

出来ないか?」

 そう聞くと橘は何故だと聞いて透流はこう答えた。

 「俺って時々留守になりそうな時があるからさ。そう言う時にユリエ一人って

寂しそうだからさ。」

 だからさと言うと橘はにこりと笑ってこう答えた。

 「ああ、構わないさ。そう言う時には私達の部屋で過ごしてもらっても

構わないぞ。なあ、みやび」

 「あ・・・・う、うん。歓迎するよユリエちゃん。」

 二人の言葉を聞いてユリエはこう答えた。

 「ヤー、その時はよろしくお願いします。」

 そう言ってお互いいムードになっていった。

 この時が透流にとって・・・ここにいる中で唯一の安らぎだったのだ。




 次回は従業です


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体力は重要。

 どんな仕事においても体力はまず必要。


 「さあさあ、それじゃあ記念すべき最初の授業を始めるよー♪」

 月見はそう言ってハイテンションで授業を始めるようだ。

 授業内容はこうだ。

 ①ルキフルによる身体強化は体を鍛えれば鍛える分*強くなる。

 ②ルキフルには《位階(レベル)》と言うのがあり個人差はあれど

全員《Ⅰ(レベル1)》である事。

 ③学期末に毎に《昇華の儀》を受けることでランクアップできる。

 ④《位階(レベル)》は成績に反映されるから1年の間に上がらなかった奴は

退学。

 「っという事で強靭な肉体と精神力を養うために皆には体力強化を

重点的にしてもらうから皆ファイトー♪」

 そう言って午前中はこれで終わって午後から体力強化訓練が始まる事で透流の

食事は・・・少しシンプルであった。

 「ヤー、それだけで良いんですか?トール??」

 「あ?体力強化だからな。どんなハードトレーニングか分からないから

飯は少なめにしようと思ってな。」

 そう言って食べているメニューがこれ。

 ①ご飯と味噌汁。

 ②魚の味噌煮込み。

 以上。

 

 

 

 

 

 

 「まあそれでも白米を食べる辺りはちゃんとしているがな。」

 一緒に食べる橘もそう言って同じものを食べている。

 今回はB定食なのだ。

 ユリエはビュッフェで少し多めに食べていた。

 「それにしても・・・どんなんだろうね・・・・」

 みやびはそう言いながら食事しているが何やら心配そうであった。

 すると透流がこう言った。

 「まあ何が起こるか今のうちに不安がるよりかは今を考えようぜ。」

 そう言って橘は確かにと言って食事を再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして体力強化訓練の時間。

 全員体操服に着替えて校門前に集まっていた。

 これから何が起こるんだろうと思っている中で月見がこう宣言した。

 「さてさてさてー★今日から暫くは体力強化って事でマラソンだよー♪」

 『『えええええええええええーーーーーー』』

 それを聞いて殆どの人間がイヤな顔をしたがこれはこれで効率が良いのだ。

 体力強化をやるにあたってこれはシンプルなのだが何故何どうしてか

わからないが分かりやすいのだ。

 そして月見は全員に向けてこう言った。

 「ま、暫くは軽めにいこっか。ってなわけで学園の周りを10周ーー♪」

 それを聞いて透流はこう言った。

 「月見先生、この学園の周りって何キロぐらいあるんですかーー?」

 「ええとねえ・・・大体・・・4キロくらいかな♪」

 そう言った瞬間に全員顔を青くした。

 詰る所4キロ*10だから=・・40キロとなるのだ。

 最早フルマラソンと言いたいところだが透流は涼しい顔をしていた。

 何故なら・・・。

 「(何だ、コンクリート伝いで40キロならましな方だな。・・・

何せこっちはマスク付けたりして登山させたり軍隊並みの装備で

ジャングル行軍とかが日課だったからなあ・・・)」

 透流はそう思いながら遠い目をしていた。

 あれは最早拷問レベルだったなあと思いながら道を眺めていた。

 「よ、・・・40キロも走るの・・・?」

 それを聞いて隣にいるみやびが不安そう言うのを聞いて透流はこう聞いた。

 「もしかして長距離が苦手なのか?」

 「えっ?・・・あ・・・う、・・・・うん」

 透流の顔を見るとみやびは一瞬であるが表情を強張らせてこう続けた。

 「走るの・・・苦手だから・・・得意な事なんて全部お姉ちゃんだったけど。」

 「え?みやびって姉ちゃんいるのか?」

 そしてみやびはこう続けた。

 「う、うん。石川県の実家にね・・・・」

 「お姉ちゃん何でも出来るんだ。」

 「スポーツも出来て勉強できて皆から憧れて・・・。」

 「私なんて真逆でさ。ここに進路を決めた時にも喧嘩になったんだ。」

 「喧嘩?」

 「うん。それでそのまま・・・。」

 そう言いながらみやびはズーンと落ち込むと・・・透流がみやびの頭を

撫でてこう言った。

 「だったらさ、電話でもいいから謝れば良いじゃねえか?」

 「え?」

 「心残りがあるんならそう言うのは今からでも遅くないと思うぜ。」

 透流はそう言いながら最後にこう言った。

 「・・・失ってからじゃあ何も出来ないからな。」

 そう言いながら透流は少し悲しそうな表情をしていた。

 最早戻らない家族。

 出来ることならばもう一度・・・あの時にと思えるほどであるほどに。

 それでも駄目ならば・・・今後悔している人間の手助けになれればと・・・。

 「お姉ちゃん・・・許して・・・くれるかな?」

 みやびがそう聞くと透流はこう言った。

 「ああ、大丈夫さ。お姉ちゃんもお兄ちゃんも下の子供の言葉を聞いて

許さない奴なんていないさ。」

 そう言うとみやびがこう言った。

 「そっか・・・そうだね・・・これが終わったら言うよ。そしてもう一度言う」

 「『私はここで変われるよ』って。」

 「・・・そうか。」

 みやびの笑顔を見て透流はそう言った。

 例えどんな理由であっても・・・後悔だけはさせたくないからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はあ・・・はあ・・・・・・ん・・・はあ・・・はあ・・・フはあ・・・」

 透流のゴールから21分後にユリエは完走した。

 ・・・完全にへとへとの状態で。

 「お疲れユリエ。これ、スポーツドリンクだからゆっくり飲んどけ。」

 「ヤー、・・・ありがとう・・・ございます・・・。」

 ユリエはそういってスポーツドリンクを飲んでいる中で透流はと言うと・・・。

 「トールは・・・元気・・・ですね。・・・」

 「そうか?」

 腹筋トレーニングをしていた。

 未だ体力が有り余っているようなので自主トレーニングをしているのだ。

 然も男子及び男女込みで1位なのだ。

 然も・・・ぶっちぎり。

 だがユリエも女子で2位。

 男女込みならば8位と優秀だ。

 この学園の外周路はアップダウンの高低差に加えて海から吹き付ける風が

強い為にかなりしんどいのだが透流自身はこう言うトレーニングを

足場が悪い場所で幾度も重装備でやっているためにこういうのには

慣れっこなのだ。

 そして月見は透流以外で倒れている生徒に向けてこう言った。

 「ほらほらほらほら、そこで寝転がないー。体を動かした方が

蓄積されている乳酸の分解を速めてくれるんだからスタンドアップー★」

 全員よりも早く、然も周回差(透流は半周差)で走り切った月見がそう言って

30分経つと・・・唐突にこう言った。

 「うーん、戻ってこないかァ。待ってるのも飽きたし、

ホームルームは無しって事で今日の授業は終了ーー★きりーつ、礼、着席。皆、

明日も遅刻しない様に。バイバーイ★」

 正に天真爛漫ともいうべき月見は勢い其の儘でひらひらと手を振りながら

校内にへと走り去っていった。

 それを見ていた透流は汗を拭きながらこう言った。

 「三國先生の言う通り確かに人格には問題ありだな。」

 「ふん、全くだ。卒業生で能力は確かに問題はないが性格に問題ありだ!!」

 透流の言葉を聞いてトラもそう答えた。

 そしてさっきまで走っていたコースを見てみると未だは知っている人間がいた。

 無論・・・みやびもその一人だ。

 「(大丈夫かなあ・・・みやび)」

 透流は心配そうにそう思っていた。

 結局みやびが戻ってきたのは夕暮れ時でゴールと同時に過度の疲労で

倒れてしまった。

 その時には透流達が看病した後に部屋に戻しておいた。

 無論夕食は相部屋でもある橘に任せた。

 その日のうちに2人ほどが・・・退学届けを出してここから立ち去った。




 はてさてどうなる事やら。


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心残りは・・・出来るだけ。

 後悔先に立たず。
 


「・・・なあユリエ。」

 「?・・・ヤー、何でしょうか透流?」

 透流は呆れた様子でテレビを見ているユリエにある事を聞いた。

 「何で・・・下、着ないんだ。」

 そう聞いた。

 毎度ながら何故上半身しか着ないのかと聞くとユリエはこう答えた。

 「ヤー、暑いので。」

 そう言った。

 さいですかと思いながら透流はケトルのスイッチを入れて自身が持ち込んだ

アップルティー(粉末タイプ)を作ろうと思いながら茶菓子を出してユリエに向けてこう聞いた。

 「ユリエ、インスタントだけどアップルティー飲むか?」

 そう聞くとユリエはこう答えた。

 「ヤー、頂きます。」

 そう返事して1分も経たないうちにお湯が沸騰してきた。

 「ユリエ、テレビ見ている中悪いが炊き立てで熱いからゆっくり飲むんだぞ。」

 こっち見てなと言って透流はユリエに向けてそう言うとユリエは透流の方を向いてヤーと答えた。

 ユリエがふーふーと冷ましながら飲む様子を見て透流はこう思っていた。

 「(まるで猫みたいだな。)」

 そう思っているとユリエがこう言った。

 「トールも一緒に見ませんか?」

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「おお良いな。」

 そう言って隣に座って見てみると映し出されているのは・・・。

 「桜・・・ギムレーには桜ってないのか?」

 ユリエが見ている桜の名所紹介番組を見てそう聞くとユリエはこう答えた。

 「ナイ。ありません。なのでこうしてみることが出来て嬉しいです。」

 そう言った。

 まあ見るというよりも観るなのだが透流は時計を見てこう聞いた。

 「ユリエ、そろそろ眠たいんじゃないのか?」

 そう聞くとユリエは時計を見てこう答えた。

 「ヤー、そですね。おやすみなさい透流。」

 「ああ、お休み。」

 そしてユリエはベッドに入るとすぐに・・・・。

 

 

 

 

 

 「スー、スー。」

 

 「早!?」

 寝たのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして透流はそれを見計らって通信装備を使って通信した後、学園の地図を見て部屋から出て裏の窓から外に出た。

 透流は今朝早くの稽古中にその指令が届いたので学園から配布された

地図を頼りに活動しようと考えたのだ。

 「それじゃあ・・・行くか。」

 そう言って透流は真夜中の学校に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「う・・・・ん。」

 「目が覚めたか、みやび」

 橘はそう言って目を覚ましたみやびを見ていた。

 「巴ちゃん・・・私・・・。」 

 「極度の疲労らしいぞ。」

 橘がそう言うとみやびはこう言った。

 「やっぱ全然駄目だね。私」

 そう言うと橘がこう言った。

 「・・・そんなことはないさ。いくら《ルキフル》で超化されているとはいえ

あの距離は私でもかなり厳しかったぞ。」

 「それに・・・みやびは元々体を動かすことには不慣れだったんだ。

致し方ないさ。」

 そう言うと橘はこう言った。

 「もう少し休んでおいたほうが良い。腹がすいたらテーブルにおにぎりと九重が作った《はちみつレモン》があるから」

 「え?・・・九重君が??」

 みやびはそういってタッパーに入ってあるはちみつレモンを見ると橘は

こう続けた。

 「ああ、みやびが帰ってくるのを待っていたし倒れた時なんか

私よりも先に救助方法を矢継ぎ早に指示してくれてな。運ぶときには

肩を貸してくれたからな。」

 明日お礼を言っておけよと言って眠りにつくとみやびはこう思っていた。

 「(どうして九重君が・・・私を?)」

 そう思っている中で思い出すのは・・・透流との言葉と・・・

頭を撫でてくれた時の感触である。

 「(・・・九重・・・透流・・・君)」

 それを思い出すと体が・・・火照りそうになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「さあさあさあ!今日は《デュオ》となる候補を決めるために皆にリストを

渡しておくから土曜日までに決めておいてねえーー♪」

 月見はそう言って全員に新入生全員の写真と名前、

武術又はスポーツ経験者であるかどうか、そして《ブレイズ》は何なのかを

事細やかに書き記されている。

 それを読みながらどうしようかと考えていた。

 何せ《デュオ》を決めたとしても任務次第では短期になるために

どうすればよいのかを考えていると月見がこう言った。

 「もし土曜日までに決まれなかった人間はーー♪」

 「・・・先生たちの独断で決めちゃうからねえーー♪」

 そう言うと透流はこう考えていた。

 「(そうか、適当に決まった奴なら心置きなくお別れしても問題ないな。)」

 そう思っていると・・・ユリエがこう言った。

 「トール、巴とみやびが来ています。」

 「?」

 透流は何だろうと思って見てみると橘の後ろで小さくなっているみやびがいた。

 そして暫くするとみやびが前に出て・・・こう言った。

 「ええとね・・・九重君・・・これ。」

 そう言って出されたのは・・・空っぽになっているタッパーであった。

 それを見て透流はこう言った。

 「ああ、別に今返さなくてもいいのに。」

 そう言いながらありがとうと言ってカバンに入れるとみやびがこう言った。

 「あのね・・・美味しかったし・・・ありがとうね。」

 色々とと言うと透流はこう返した。

 「いや、いいさ。俺達は仲間だぜ。助けるのは当たり前だろ?」

 そう言うとみやびがこう聞いた。

 「あ、あのさ・・・これからは・・・その・・・《透流君》って・・・

呼んで良いかな?」

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「ああ、良いぜ。って言うか俺もう《みやび》って呼び捨てしてるしな。」

 そう言うとみやびは(*´σー`)エヘヘと笑っていた。

 これなら大丈夫だろうなと思っているとあの事を聞いた。

 「みやび、そう言えば家族には連絡したのか?」

 お姉ちゃんにさと聞くとみやびは・・・苦笑いでこう言った。

 「あああれね・・・昨日は夜中だったからまた今度にしようかなって

思うんだ。」

 「そうか、ならいいがちゃんと言っておけヨ。」

 透流はそう言うとみやびは席に戻った。

 すると橘がこう聞いた。

 「君はいつの間にみやびの事情を知ったんだ?」

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「ああ、昨日のマラソン前にな。」

 少し世間話なと言うと橘はこう言った。

 「そうか、私もみやびの家については聞いてはいるが中々な、

他人の家の事となると言いだせなくて助かった。」

 そう言うと透流はこう答えた。

 「まあ、皆事情があるしな。それでも家族のしこりはある程度

取り除いておかないとさ・・・後で後悔しちまっても遅いからな」

 そう言うと橘はこう聞いた。

 「すまないが君のご家族は?」

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「2年前に妹を火事で、両親は強盗に襲われて・・・。」

 「そうか、すまなかった。」

 橘はそれを聞いてすまないというと透流はこう答えた。

 「いや良いさ。もう自分に中ではケリがついているしな。」

 そう言うと橘はこう言った。

 「それでもだ、もしその・・・寂しくなったら何時でも来るがよい。」

 歓迎するぞと言って席に戻ると前にいるトラがこう聞いた。

 「本当に大丈夫なのか?」

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「まあ・・・ぼちぼちかな。」

 そう言うしかなかった・・・・。




 次回は4日目です。


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模擬戦開始!

 先ずか戦ってから覚えろ。


 入学して4日目。

 透流はいつも通りの特訓をした後に部屋に戻るとユリエが部屋の外に出る所で

あった。

 「おお、おはようユリエ、早いな。」

 「ヤー、おはようございますトール。そちらもですね。」

 お互いそう言うと透流はこう言った。

 「そういやあ今日はどんな特訓なんだろうな?」

 そう聞くとユリエはこう答えた。

 「ヤー、またマラソンかもしれませんね。」

 「そうなるとまた暇になりそうだな。」

 「・・・トールだけですよ。そう言うのは。」

 ユリエは透流の言葉を聞いてそう返した。

 何せ今まで透流だけが1位であるだけではなく体力トレーニングを

自主的にしているために月見曰く。

 「君って本当はサイボーグなのかなあ・・・♪」

 そう苦笑いで言われたそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日からはマラソンではなくこれに移行となった。

 《無手模擬戦(フィストプラクティス)》

 素人同然(約一名は除外)の新入生に最初からこれはどうかと思われるが

学園の方針であるようだ。

 そんな中において運動能力測定において目立っていた女子2人の組手を見て

全員驚いていた。

 息もつかぬほどの連撃を浴びせる橘とヒット&アウエイを主体としている

ユリエである。

 お互いに一進一退の攻防を繰り広げておりそれを見ていた透流はこう言った。

 「手数はユリエが一番だけどそれを全て往なす橘も中々だなあ。」

 そう言うとトラがこう言った。

 「ふん、当たり前だ。アイツは《橘流十八芸》の一人娘だ。あれくらいできて

当然だ。」

 「橘流?」

 透流がトラの言葉を聞いて何だと聞くとトラは呆れた顔でこう言った。

 「古武術を主体に様々な武芸に通じている有名な流派だぞって・・・

貴様、リストをちゃんと読んだのか?」

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「いやあ・・・相手どうしようかなあと思ってるけどさあ・・・女子相手は

見ない様にしてるんだ。」

 嫌な予感がするからなと言うとトラはこう言った。

 「成程な、賢明な判断だ。」

 そう言うとトラは透流に向けてこう聞いた。

 「それならば九重」

 「?」

 「《デュオ》についてなんだが・・・この」

 「はいはーい。そこまでー。」

 それと同時に月見が大きくホイッスルを噴いたので全然聞こえなかった。

 「?・・・何だ??」

 透流はそう聞くとトラはこう答えた。

 「知らん。」

 「?」

 透流は何だろうなと思っていると月見はこう続けた。

 「3分休憩の後に今度は違う相手を選んでねえーー♪」

 そう言うとユリエと橘は2,3言葉を交わして離れていくと透流は周りを

見渡した。

 「さてと・・・俺も別の相手。」

 そう言うと男性全員が・・・しゅばっと目を逸らした。

 「え!?何で!!」

 透流は何故と聞くと先ほどまで組手をしていたトラがこう言った。

 「貴様が僕相手にあれ程の組手をするからだろうが!!」

 そう言ったのだ。

 透流が組手するとトラは数分間の間に25回も寸でで拳を止めるという

動作があったため全員戦いたくなかったのだ。

 透流自身も錬金戦団にてそう言う特訓をしているためかここにいる

面子の中においてもトップの実力を誇っているのだ。

 それを見ていた透流はどうしようかと思っているとユリエが視界に

入ったので見てみると・・・。

 「・・・俺と同じじゃん。」

 女子の相手を探しているようであるが首を横に振ったり頭を下げて

断っているようなので透流はユリエに向けてこう聞いた。

 「ユリエ、俺と1戦やりあうか?」

 「・・・良いのですか?」

 ユリエはそれを聞いて目を少し大きく開けると透流はこう続けた。

 「ああ、ユリエの実力を見てみたら手合わせしたくてな。」

 「・・・ありがとうございます。」

 ユリエはそう言って頭を下げた。

 そして透流はユリエに向けてこう言った。

 「さあ、始めようぜ。」 

 「ヤー」

 ユリエがそう言うと同時に・・・ホイッスルが鳴った。

 それと同時にユリエの付けている鈴の音が鳴って・・・間合いを詰めていた。

 「!!」

 透流はそれを見て拳を往なして腕を掴んでユリエの横腹に一撃与えようとするがそれを感じたユリエはもう一方の拳で受け止めて蹴りに入ると透流の頭は

それをぎりぎりで避けてユリエを投げ飛ばした。

 そして新体操バリに着地したユリエに反撃のチャンスを与えない様に

透流は間合いを詰めて蹴りを入れようとするとユリエはそれを両手を

クロスして防御してからその足を掴んで透流の顔めがけて回し蹴りを

叩きこもうとした。

 それを見た透流も同じように防御して遠ざかった。

 「・・・やるな。」

 「ヤー、トールも中々です。」

 お互いそう言って終始決着つかないまま終わってしまった。

 「ふう、また手合わせしてくれよ、ユリエ。」

 透流はそう言って腕で汗を拭うとユリエもこう言った。

 「喜んで。」

 そう言った後にユリエは透流に向けてこう聞いた。

 「トール、一つ宜しいですか?」

 「?」

 「トールは武器を持って戦うのですか?」

 「!!・・・何でそう思うんだ」

 透流はユリエの言葉を聞いて内心驚きながらもそう聞くとユリエはこう答えた。

 「ヤー、トールが戦っている時にですが腕の形が何かを持っているような

感じだったので。」

 そう聞くと透流は頭を掻きながらがこう答えた。

 「ああ、何時もは武器持ってしあっていることが多くてな。それでだろ。」

 そう言うとユリエはこう言った。

 「成程、何時かトールの《ブレイズ》を見せて下さいね。」

 「ああ。」

 そう言ってお互い次の相手を探したが結局・・・見つけられなかった。




 次回は多分みやびらへんです。


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相棒決まる。

 ここでみやびについてと相棒が決まります。


そして夜になり透流とユリエは一緒にテレビを見ていた。

 何だかんだで結構うまくいっているのだ。

 今回は動物特集で丁度子ライオンが転がる姿を見ていたユリエがそれを見て

こう言った。

 「可愛い・・・。」

 そう呟いたのだ。

 すると透流はこう聞いた。

 「ユリエは動物好きなんだな。」

 そう聞くとユリエはこう答えた。

 「ヤー、特に鳥が・・・中でもインコが好きです。」

 そう言いながらユリエはアップルティーを飲んでいるとユリエはこう聞いた。

 「トールも動物が好きなのですか?」

 そう聞くと透流は少し苦々しい顔でこう言った。

 「いや・・・あまり好きじゃないな。」

 そう言った。

 あの時妹を殺されたあの日から動物相手に対して幾つかの苦手意識が

出来てしまったのだ。

 無論あれは動物の姿形を変えたバケモノであるのだが心のどこかで

何かがあるようだとそう思っていた。

 そして透流は話題を変えようとユリエにこう聞いた。

 「そういえばユリエ、《デュオ》の相手は決まってるのか?」

 そう聞いた。

 何せお互いに相手を見つけるのは四苦八苦しているのでどうしたら良いのかと

思っていると少ししてユリエは・・・少し俯き加減にこう言った。

 「・・・巴に申し込み」

 「嘘だろ。」

 「・・・・・・ヤー」

 ユリエは決まったと嘘を言ったのだがそれを見た透流は嘘だと見破った。

 そして透流も自分もだよと言うと透流はこう聞いた。

 「良かったらさ、ユリエ。」

 「?」

 「俺と組まないか。」

 「・・・・・!!」

 ユリエはそれを聞いて目を見開くと透流はこう続けた。

 「ほらさ、こうやって一緒に住んでいるからさ。改めてルール作るよりかは楽でいいかなあと思ったんだけどさ・・・どうかな?」

 そう聞くとユリエはこう聞いた。

 「・・・トールは私と組んで迷惑になりませんか?」

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「迷惑上等、仲間なんだから甘えても罰はあたらないよ。」

 だからさと言って透流はユリエに向けてこう言った。

 「俺を頼ってくれユリエ、俺もお前を頼る。」

 そう言うとユリエは・・・。

 「ヤー」

 何時ものように頷いて・・・初めて笑ったのだ。

 それは小さな・・・だが、可愛らしい微笑であった。

 この日、新たに《デュオ》が決まった。

 因みに内心では・・・。

 

 

 

 

 

 

 「(良かったああ・・・これで楽に調査が再開できる。)」

 ユリエって寝るの早いからなとそう思っていた。

 そう・・・言うならばこれは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 計画通りであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 5日目の金曜日。

 恒例のマラソン。

 「遅いな。・・・」

 透流はそう言いながら夕暮れにもかかわらず穂高がゴールしていない事に対してそう言った。

 「昨日はもっと速く走り終えてたなあ。」

 それでも夕暮れ時だったがと言いながらこう続けた。

 「そういやああの時は気を失わなかったから体もそろそろ慣れてくるはず

なんだが。」

 そう呟くと後ろで声が聞こえた。

 「みやびの事か?」

 橘がそう言いながら先ほどゴールした女生徒に対して酸素吸入器を当てていた。

 この二人が大抵首位であり月見からこう言われたのだ。

 「二人とも速いからさあーー、終わった人たちのレスキュー宜しくねえーー♪」

 そう言われたのだ。

 「橘もか・・・まあルームメイトだからな・・・だけじゃないんだろ?」

 「ああ・・・もしかしたらみやびは・・・・。」

 そう言いながら橘は口を瞑んだ。

 この5日間の間に辞めていったのは合計で10人。

 然も透流のクラスだけでだ。

 入学早々から厳しい訓練ばかりで仕方がないとはいえ日増しにクラスの人数が減ってきており現に橘に介抱されている女生徒も諦め始めているのだ。

 そして透流は橘に向けてこう言った。

 「・・・ちょっと様子見てくるからここ頼む。」

 「お、おい九重!」

 やがて半周近く回ったところで道路脇の木に寄りかかっている

みやびの姿が見えた。

 「大丈夫か、穂高?」

 「あ、九重君。どうして?」

 穂高はそう聞きながら力なく顔を上げると透流はこう言った。

 「中々戻ってこないからちょっと心配したんだ。」

 どうしたと聞くとみやびはこう言った。

 「あ・・・ごめんね。足を捻っちゃって・・・。」

 「歩くのは無理そうだな。・・・おぶろうか?」

 そう聞くと透流は片膝ついてそう言うとみやびは大慌てでこう言った。

 「っわわわわ、悪いよ!九重君だって走った後なのに!!

そ、それに私重いから!!」

 普段は大人しいみやびも流石に大慌てであったが透流はこう続けた。

 「それじゃあ肩を貸すから一緒に歩こうぜ。捻ったところは足付かない様に

すればさ。」

 「でも《ルキフル》で回復力も超化されてるし・・・。」

 「動けるようになるまでにはもう辺りは真っ暗だぞ。それに遅くなると

橘が心配するからな。」

 ほらと言うとみやびは少ししてこう言った。

 「それじゃあ・・・肩貸して?」

 「おお。」

 みやびの言葉に対して透流はそう言った。

 みやびの歩くスピードに合わせて歩いているとみやびはこう聞いた。

 「ねえ透流君。私ね、お姉ちゃんに電話したんだ。」

 昨日ねと言うとこう続けた。

 「最初はね、《戻っておいで》とか、《優しいあなたが戦いなんて出来ない》なって結構言われたけど私絶対に変わるって言っちゃんたんだけどね・・・・。」

 「私・・・才能ないかも。」

 「穂高・・・」

 それを聞いて透流は心配するがみやびはこう続けた。

 「私って《アブト》があるだけでそう言うのが無くて・・・

巴ちゃんや透流君みたいになんでも出来る」

 「・・・違うぞ、みやび。」

 「え?」

 透流の言葉を聞いてみやびは何だと思っていると透流はこう続けた。

 「才能って言うのはな、植物なんだ。植物は水や日光が無ければ

成長できない。」

 「うん。」

 「水はこの場合努力、日光は目標とするなら俺も橘もそれに向かって

頑張っていることだと思うんだ。」

 「だからそれを才能の一言で片づけるのはよくない。」

「・・・・・」

 「頑張れなんて無責任な事は俺は言わないし辛いからこそ努力だとか

そう言う脳筋めいた事は言わない。」

 「だけど辛い今だからこそ踏ん張るべきだと思うんだ。」

 「実力ってのは耐えれば耐えた分だけ強くなれるからな。」

 透流はみやびに向かってそう言った。

 たった2年で「核鉄」を手に入れるだけでも才能だと思われるだろがそれは

自分の血も滲むような努力から手に入れたのだ。

 そう、自分の限界を決めないで高めたものにこそそれは与えられるのだ。

 「変わりたければ耐えるんだみやび。自分を変えたけりゃあ

自分を鍛えるしかないんだ。」

 そう言うとみやびはこう言った。

 「私も・・・変われるかな?」

 「ああ、変われるさ。人間だれしも変われるんだから。」

 透流はみやびの言葉に対してそう答えた。

 そして暫くするとユリエと橘が迎えに来てくれた。




 そしてまた時は経て・・・。


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相棒と共に。

 そして相方は決まり・・・。


そして透流とユリエは土曜日の朝早くに事務室に向かって《デュオ》の

登録をした。

 因みに登録する際には学生証に相棒が記載されるのだ。

 そしてある口上をして初めて成立するのだがこれがまた・・・・。

 「何で同性が多いのか納得いったぜ。」

 「・・・?」

 ユリエは透流の独り言を聞いて何だと思っていると透流はこう言った。

 「それじゃあ・・・やるか。」

 「ヤー」

 透流の言葉を聞いてユリエはそう答えるとお互いに胸元を手で翳してこう言った。

 

 

 

 

 

 

 《ブレイズ》!!

 

 

 

 

 

 

 そう言って顕現したのは・・・・。

 

 

 

 

 

 

 「それがユリエのか」

 「ヤー、透流のそれが・・・?」

 「ああ、《異能(イレギュラー)》って呼ばれる所以かな。」

 そう言ってまずユリエが顕現したのは二振りの剣。

 両方ともリーチが違い、ロングブレードとショートブレードとなっている。

 そして透流のは・・・・片手に備えられた楯である。

 普通であれば武器であり防具などは顕現することはないのだ。

 それを見た事務局の職員は口をあんぐり開けている中で透流とユリエは

口上を述べた。

 

 

 

 

 『『絆を結びし者たちよ』』

 『『後を追う限り同じ道を歩めよ。』』

 『『喜びの時も、悲しみの時も、健やかなるときも』』

 『『死が二人を分かつその時まで』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言った後に透流はユリエに向けてこう言った。

 「これからもよろしくな、ユリエ。」

 「ヤー」

 透流がそう言いながら握手する姿勢であったためユリエも握手した。

 そしてお互い朝食の為に食堂に向かった。

 

 

 

 

 

 

 透流がユリエと《デュオ》になった事を橘達に伝えると橘はこう言った。

 「成程な、改めて決めるよりかは早く済みそうだな。」

 「で、でもユリエちゃんは大丈夫なの?男の人と一緒って・・・・」

 それを聞いてみやびがそう聞くとユリエはこう答えた。

 「ナイ、トールは優しい人です。」

 大丈夫ですとそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 その後午前中とはいえ授業がありそれを終えるとトラからこう言われた。

 「九重、一緒に申請に行くか?」

 そう聞いたのだ。

 然し透流はユリエと組んだ事を言うとトラは何やら絶望したかのように

座り込んでこう呟いた。

 「僕は・・・こいつと組むしかないのか・・・?」

 そう言ってトラは隣にいる・・・『辰乃 龍太朗』を指さした。

 当の本人はハハハハハと笑っているが・・・。

 如何やら初日から住んでいるようであるがトラとは性格が正反対であるため

口喧嘩が絶えないようである。

 それを聞いて透流はトラの型を優しく叩いて・・・こう言った。

 「まあ・・・頑張れや。」

 「貴様が言うか!?」

 透流の言葉に対してトラは大声でそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその後に夕食を食べて部屋に戻って暫く寛いでいると・・・

ユリエがこう言った。 

 「トール。」

 「うん?」

 「お風呂に入りませんか?」

 「何時もみたいにユリエが先でも良いぞ。」

 「ナイ、一緒に入らないですか?」

 「・・・・ぶー!!」

 透流はユリエからの誘いを聞いて飲んでいたアップルティーを思いっきり

噴いた。

 そして透流は慌てながらユリエに顔を向けると当の本人は・・・

頬を赤く染めていた。

 自分が何を言っているのか理解しているようであるが透流はユリエに向けてこう聞いた。 

 「なあ・・・なあユリエ、一つ聞いて良いか?」

 「・・・ヤー」

 「どうしていきなりそんなことを言いだすんだ?」

 そう聞くとユリエはこう答えた。

 「『デュオ』を組んだ後はお互いをより深く知り、絆を強くするためにも

出来る限り一緒の時間を過ごすこと、と校則にありますので・・・」

 「いや、ユリエ。そこまで校則は厳密に守らなくていいから!!」

 「そうなのですか?」

 透流はユリエのその言葉を聞いてこう思っていた。

 「(ああ、そういやあ言ってたなあ。)」

 けどなあと思いながら透流はユリエに向けてこう言った。

 「幾ら校則でもそこまで厳密にしなくても良いんだぞ。」

 「そうなのですか?」

 「ああ、って言うか男と一緒に入るのってどうかと思うぞ??」

 透流はユリエに向けてそう言うとユリエは恥ずかしそうに俯いて・・・・。

 そしてこう言った。

 「恥ずかしくはありますが」

 「・・・トールは特別ですから。」

 「・・・・へ?」

 透流はユリエの言葉を聞いて目を見開いた。

 何でだと思っているとユリエはこう続けた。

 「トールは・・・何だかパパの様な感じがしますので。」

 「パパかよ!!」

 それを聞いて透流は机に思いっきり頭をぶつけた。

 「トール、大丈夫ですか?」

 ユリエは透流に向けてそう聞くと透流はこう答えた。

 「ハハハハハ・・・まあそれでも風呂とトイレまで一緒にいる事は無いからな。後、ベッドにも。」

 そう言うとユリエは少し残念そうな顔でこう言った。

 「・・・家では何時もママと一緒でした。」

 「(おかあさーーん!ちゃんとユリエを親離れさせろよ---!!)」

 透流はまだ見ぬユリエの母親に向けて心の中で大声を上げているとユリエは

こう続けた。

 「お恥ずかしい話ですが実のところ一人で寝るのは寂しかったのです。」

 「(御免、任務とかで何時も部屋から出て行ってるもんな。)」

 するとユリエは小さく微笑んでこう言った。

 「だから《デュオ》という事は置いていても、一緒に寝ることが出来るのは

嬉しいのですが・・・駄目でしょうか?」

 ユリエはそう言いながら・・・・まるで捨てられた子犬の様な瞳で

透流を見つめていた。

 じーーーーーーーーーーーーー。

 「(やめろーーー!そんな目で俺を見ないでくれええええ!!)」

 透流を心の中でそう思っていた。

 何と言うか容姿も相まって断ると罪悪感が込み上げそうな感じがするのだ。

 そして暫くして・・・透流はこう言った。

 「き・・・今日だけだぞ。」

 「ヤー♪」

 それを聞いてユリエのアホ毛が回っていた。

 如何やら喜んでいるようである。

 

 

 

 

 

 

 

 そして夜。

 「(何でこうなった・・・)」

 透流は今更ながら内心そう思っていた。

 そう思いながら当の本人でもあるユリエは何気ない表情でこう言った。

 「おやすみなさい、トール」

 「お、お休み、ユリエ・・・」

 透流とユリエはお互いそう言って寝た。

 正直な所女の子と寝る事など・・・一度あっただけなのだ。

 「(そういやあ、あの時はジャングルであいつと寝てたけど・・・

あいつとんでもない奴だったなあ。)」

 ユリエ以上にヤバかったなあとそう思いながらベッドの端でユリエが寝る迄

大人しくしてようとそう思っていると・・・・。

 ぴと

 「!?」

 ユリエが透流の背中に密着していたのだ。

 その為かどうかわからないがユリエの慎ましくも柔らかい胸が

押し付けられるのだ。

 「ユユ、ユリエ何してんだ!?」

 透流はユリエに向けてそう聞くとユリエはこう返した。

 「トール、このまま寝てても良いですか?」

 昔に戻った感じがするのでと聞いて透流はユリエにある事を聞いた。

 「ユリエ、その・・・お父さんは?」

 「・・・何年も前に亡くなりました。」

 ユリエはそう返した。

 すると透流はこう言った。

 「悪い。」

 「ナイ、気にしないでください。」

 透流の言葉を聞いてそう返すと透流もこう言った。

 「俺もさ、両親と妹を亡くしてるんだ。」

 「そうなのですか?」

 そして透流はこう続けた。

 「ああ、だからさ。ユリエのこういう事は分かるさ。」

 けどなと言って透流はこう続けた。

 「何時までも親に甘えられねえんじゃねえかと思うんだ。」

 「・・・・・。」

 「俺達も何時か親になって子供を持って家庭を持って守る対象が増える。」

 「そんな時に何時までも親の幻想を持ってちゃあ成長できないと思うんだ。」

 「だからさ、ユリエ。俺はお前の父親にはなれないけど・・・

お前が寂しいと思った時はこうしてやるから。」

 な、というとユリエは・・・透流の腕にしがみついてこう言った。

 「とてもとても嬉しいです」

 「~~~~~~~~~~!!!!!」

 透流は更に密着されたことにより、緊張してしまいユリエが寝ても

なお起きるしかなかったのだ。

 その次の日は寝不足だったのは言うまでもない。




 次回はあの企画の説明です。


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新刃戦の説明

 第1回の授業・・・スタート!!


 そして月曜の朝。

 ホームルーム後一時間目の授業は英語。

 嘗ては苦手科目であった透流は錬金戦団に入団して以降は一般英語程度は

喋れるようになった。

 そんな中でも月見はハイテンションにこう言った。

 「おっはろー♡みーんな無事に《デュオ》が決まってよかったねー♪」

 「うんうん★さてさて、パートナーが決まって席も《デュオ》同士の並びになって心機一転・・・・」

 「ん?おやおや?中には仮同居の時のパートナーが変わってない人もいるみたいだけどーー、どうしてかなああーーー♪」

 月見はそう言って透流の方を見ると透流はこう答えた。

 「性格の相性が良かったのでね。」

 「何だ、ちぇー。」

 「一体どういう答えを期待してるんだアンタは。」

 不純異性交遊は駄目だと言ったのはアンタだろうがと内心そう思っている中で

月見がこう言った。

 「それじゃあ《デュオ》も決まったことだし、早速来週に《ブレイズ》の

使用を許可した模擬戦・・・《新刃戦》を行っちゃうよー♪」

 それを聞いた全員が驚きと戸惑いが広がった。

 まさかこんなに早く行われるとは思ってもいなかったからだ。

 「うんうん。皆の言いたいことはよーく分かるよ。アタシも学生時代に同じ事を想ってたんだよねーー♪」

 「《いきなりナニ言いだすんだこのクソ眼鏡ーー》って。」

 「あ、今のは三國先生には内緒ね。」

 「あの人がアンタのって事は・・・三國先生も月見先生と同じ感じで教師に

なったのかあ。」

 透流は三國先生の事を思い出しながらそう言った。

 そして月見はこう続けた。

 「それじゃあ《新刃戦》のルールについて説明するから耳を立てて

聞いておくんだよー★」

 「・・・アンタは既に耳を立たせているだろうが。」

 透流は月見がうさ耳バンド合わせて4つの耳があるだろうがと思っている中でルールが説明された。

 「先ず日程なんだけどー、来週の土曜日・・・つまりゴールデンウィークの

前日に行われるから誰かが病院送りになったとしても学校が始まるころには

完治してるからその日にやるねえ♪」

 「・・・なんつう縁起でもない。」

 透流はそれを聞いて呆れ顔でそう言った。

 「開始は17時、終了は19時で合図は時計塔の鐘ねー。戦う場所は北区一帯に

なるよー。」

 それを聞くと透流は手を上げてこう聞いた。

 「あのう、月見先生。一つ宜しいでしょうか?」

 「ん?何だい《異能(イレギュラー)》君♪」

 月見がそう聞くと透流はそれについて何も言わずにこう言った。

 「北区一帯という事は学校内も含まれますがそこでも戦闘して

宜しいでしょうか?」

 そう聞くと月見は親指立ててこう言った。

 「答えは・・・・YES♡《ブレイズ》の形は前にも話したと思うけど

使う人間の心によって使われる武器が違うんだよねえ♪」

 「だから、その武器の特性に合わせて正面から闘うもよし、

戦略を練るのもよし。地形や学校の機材なんかを使って如何に自分が有利な状況で戦うかも重要って訳♪」

 それを聞いた透流はこう思っていた。

 「(かなり実戦的な内容だなあ・・・相手次第で武器に対する戦略とかも

練らないとな。)」

 そう思いながらある事を思い出していた。

 錬金戦団に入団した後なのだがホムンクルスは大抵動植物をベースにした

タイプが多い為にその特徴に合わせた戦闘の取り方や動物相手に対する対策などをしているため見ようによってはこれも同じだなと思っていた。

 「(・・・それが人間に変わってしまったって事か。)」

 透流はそう思いながら周りを見ていた。

 何せここに今残っているのはどれもこれもが武術やスポーツ経験者等が

集まっており(みやびは除いて)恐らくはその中の誰かと思っていた。

 すると月見は満面の笑みを浮かべて、指を立てて楽しそうな感じでこう言った。

 「さーてさて、お楽しみの対戦相手については・・・ナナナナんとー♪」

 「・・・全員、敵♪」

 『『『『『『『・・・・・・ええええええええええええ!!!!!』』』』』』

 それを聞いて全員が驚いた。

 《デュオ》が決まったのにまた戦い合わせるのかと思っていると・・・

月見はこう続けた。

 「ああけど、今回は《デュオ》同士で戦い合わせるんじゃなくてー、

《デュオ》と組んで闘いあう事になるからあ♪」

 「正確には《《デュオ》でそれ以外の《デュオ》をぶっ潰す

バトルロワイヤルなのだーーー♪」

 そう言って月見はこう続けた。

 「それにー、これは入学試験みたいに負けたら退学なんてないから大丈V♡」

 そう言いながら月見はVサインしてこう続けた。

 「そしてーー、何と何とこの《新刃戦》で優秀な成績を収めた

《デュオ》には特別賞与として学年末を待たずに---!!」

 「《レベルアップ》することの出来る《昇華の儀》を受けさせることが

出来るのだああああ!!!」

 『『『『『『!!!!!!』』』』』

 それを聞いて全員が目の色を変えた。

 何せ学年末を待たずに受けれるのだからこれ以上のボーナスはあるまいと思うと月見はこう締めくくった。

 「それじゃあ皆---!!」

 「・・・頑張ってね♡」

 そう言う月見の顔が一瞬だけ・・・・。

 何か悪事を企むかのような顔になっていた。




 そう言えばこの世界の透流って・・・強くね?


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《新刃戦》の意味。

 既に闘いは・・・始まっている。


 その日の昼休み。

 透流、ユリエ、橘、みやび、トラ、タツの今日の話題について学食で話し合った。

 みやびはそれを聞きながら牛乳を飲んでいた。

 ・・・多分それ飲むから胸が大きくなるんじゃね?

 そしてみやびはこう呟いた。

 「はあ・・・まだ《デュオ》が決まったばかりなのに。」

 憂鬱そう言った。

 そしてその言葉に対し橘はこう答えた。

 「決まったばかりだからだと私は思うぞ、みやび。」

 そして透流もこう続けた。

 「俺も橘に同意見だな。組んだばかりだからこそ今のうちに実戦形式の戦闘を

積み重ねておくべきだろうと思っているがトラはどう思う?」

 透流はそう聞くとトラは眼鏡をかけ直してこう答えた。

 「確かにこれからの授業で僕らは《デュオ》としての動き方や心構えを

教わることとなるがそれはあくまでも知識でしかない。」

 「経験として蓄積させることで知識は真に身につくものだ。」

 トラがそう言うと透流はこう答えた。

 「先ずは習うよりも慣れるだ。時間帯や広範囲に広がるバトルフィールド。

ルールからしても不確定要素の多さがこの《新刃戦》の鍵となるだろうな。」

 そう言うとみやびはこう聞いた。

 「時間帯?・・・そう言えば随分遅くにやるなあと思ってたけど

其れはどうしてなの?」

 そう聞くとユリエはこう答えた。

 「開始から30分経てば夕暮れですし、終了30分前になれば日没になりますので

視界が非常に悪くなるからです、みやび」

 そう言うとトラが不機嫌そうにこう言った。

 「ふん。視界の悪さは時に戦況に大きな影響を及ぼすからな。

それも経験させておこうと言う腹積もりなのだろうな。」

 そう言う中においても透流はこう思っていた。

 「(前にジャングルの行軍の時も闇夜の中で進んだ時は神経が逆撫でるような

感じで進んだからな。俺の《ブレイズ》は防御型だから闇の中だと行動が

制限されるからそれを応用してやってみるか。)」

 そう思っていた。

 何せ錬金戦団に於いてもホムンクルス相手だと必ず誰もいない廃墟の中か

夕闇の中で戦闘を行う為そう言う訓練は必須事項として行っているのである。

 するとみやびがこう呟いた。

 「そっかあ、色々な理由があるんだねえ・・・。」

 「理由は分かったけどやっぱりもっと《ブレイズ》に慣れてからでも良いと

思うのになあ・・・。」

 そう言うがそれは全員同じであろう。

 今後《新刃戦》終了まで《ブレイズ》を扱う授業はないが・・・

訓練が出来ないわけではない。

 その理由は・・・これだ。

 「みやび、今回は入試とは違って負けたら終わりじゃないんだ。

背伸びせずに自分のペースで戦おう。」

 「今日の放課後からは許可申請さえすれば学園限定とはいえ

《ブレイズ》を使えるのだから地道に慣れていこうじゃないか。」

 そう、橘の言う通り、放課後からは事務局に申請さえすれば

《ブレイズ》を使用した訓練が出来るようになったのだ。

 恐らく全員が許可申請書を求めて事務局に向かい、訓練を始めるのは

目に見えている。

 更に言えば他の《デュオ》の訓練を無許可で・・・

つまり、スパイ行為をして見ることも可能なのだ。

 《デュオ》を決める際のプロフィールにも書かれているがそれだけでは

足りない。

 同じ武器においても所有する人間の実力や癖、戦闘スタイルは

千差万別である為《新刃戦》は既に始まっていると言っても過言ではないと

思われている。

 いつの世においても情報戦こそ戦争の要である。

 「全く、厄介な話だな・・・。」

 トラはそう言いながら眼鏡をかけ直した。

 そして透流に向けてこう言った。

 「《フィストプラクチィス》では貴様に徹底的に負けはしたが

今度は負けんぞ。」

 そう言うと透流はこう答えた。

 「ああ、俺もユリエと一緒に勝ち進んでやるさ。」

 なあ、というとユリエはこう答えた。

 「ヤー」

 そう言うとそれを見ていたみやびがこう言った。

 「うわあ・・・皆凄いなあ・・・。」

 「やっぱ私じゃあ足手纏いに・・・。」

 そう言うと橘はこう言った。

 「大丈夫だみやび。」

 「・・・巴ちゃん。」

 「確かに現時点においてみればみやびの技量や能力に於いて見ても

彼らには劣る。」

 「・・・・うん。」

 みやびは力なく答えるが橘はこう続けた。

 「それならば力量を埋めるための策を立てればいい。」

 「だからこそ、私というパートナーがいることを忘れないでくれ。」

 「これは1対1ではなく《デュオ》による勝負なのだからな。」

 そう言うと透流は何か考えるような顔をしていた。

 それを見たユリエがこう聞いた。

 「どうしたのですか ?トール。」

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「イヤな、《デュオ》で思い出したんだが前に理事長が言ってた

《アブソリュート・デュオ》。あれがどうも気になってんだ。」

 そう言うと橘もこう言った。

 「ふむ、あれか。私も気になってパンフレットを見返してみたが、

そのような言葉は載ってなかったな。」

 するとユリエもこう続けた。

 「ヤー、確かにそうでしたね。恐らく《デュオ》に関係していますでしょうし、態々理事長が言ってました。」

 

 

 

 

 

 

 『願わくば、汝が何時か《アブソリュート・デュオ》へ至らんことを』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それを聞いてトラがこう言った。

 「ふん。彼女にとって僕らが有益な実験体、つまりモルモットと

認識された時にでも明らかになるんじゃないか?」

 「モルモット。・・・ですか」

 ユリエはトラの言葉を聞いてそう言うと透流がこう言った。

 「まあ、そういう言い方だと気分が悪くなるよな。」

 そう言うとユリエはこう答えた。

 「ナイ、そうではなくて」

 「そうじゃなくて・・・何だ?」

 透流はそう聞くとユリエはこう答えた。

 「私はハムスターの方が好きなので、そちらの方が・・・」

 「そっちかよ!」ビシ!!

 透流はユリエの言葉を聞いて即座にツッコミを入れた。

 もう疲れるなあと思う今日この頃であった。




 次回はユリエと透流の演習。


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英語は今後の世界の基本科目

 先生!!僕は日本人なので日本語覚えてれば十分です!!
 ・・・あの頃が懐かしい。


週が明けて放課後。

 《新刃戦》に向けて透流とユリエは特訓していた。 

 武器の本を買ってその武器のリーチや一般的な使い方、攻撃能力の有無などを

討論しながら策を練ったり、お互いの《ブレイズ》を使って

模擬戦をしたりしていた。

 本来ならばコンビネーションを意識した特訓をすべきであろうが

透流とユリエはそんな付け焼刃でやるよりかは模擬戦をしてお互いの癖を

見極めようという考えに至ったのだ。

 拳と剣。

 お互いに攻撃は拮抗していた。

 ユリエの双剣による連撃と透流による一撃決殺。

 その攻撃に終わりなど見ることもなかった。

 

 

 

 

 

 

 「少し休憩しよう。」

 「ヤー。」

 透流はユリエに向けてそう言うとユリエも承知した。

 ユリエは天性のスピードに武器のリーチが+して攻撃力が増しているのに対し

透流は攻防一体の戦闘でバランスよく戦っていた。

 そんな中で更に4戦した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして寮に戻るとそこには・・・。

 「あ・・・こ、九重君、ユリエちゃん。今戻ったの?」

 丁度外に出ようとしたみやびがそう聞くと二人はこう答えた。

 「ヤー。みやびはお出かけですか?」

 「《新刃戦》の下見か?」

 「う、うん。」

 まあねとみやびはそう言った。

 如何やら橘と共に学園の敷地内を回って作戦を立てるようである。

 「そうか。もう直ぐ日も沈むから気を付けとけよ。」

 「ファイトです。みやび」

 透流とユリエはみやびに向けてそう言った。

 そう言うとみやびは恥ずかしそうにこう言った。

 「うん・・・ありがとう。九重君、ユリエちゃん。」

 そう言うとみやびは小走りで立ち去るのを見て二人も頑張ろうと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《新刃戦》まであと4日。

 二限目の授業でもある英語を終えて透流は背伸びをしていた。

 錬金戦団は世界中に支部を置き、時には海外遠征もしなくてはならないため

英語は必須課題である。

 すると透流は少しため息ついている橘を見てこう聞いた。

 「おい、大丈夫か橘?」

 そう聞くと橘はこう答えた。

 「ああ、卒業後は海外への派遣もあるから語学は重要だと初めの授業で

そう言われているが・・・・はあ。」

 「アハハ・・・実は私もちょっと苦手かな・・・。」

 それを聞いたみやびがそう言うと丁度近くにいたトラがこう言った。

 「ふん、どいつもこいつも情けない。」

 「「・・・・・・」」

 トラの言葉を聞いて橘とみやびは黙ってしまった。

 するとトラが透流に向けてこう聞いた。

 「そういえば貴様とユリエは英語の授業の時は中々発声が良かったが何処で

習ったんだ?」

 そう聞くと先ずユリエがこう答えた。

 「ヤー、北欧諸国の言葉はギムレーと似ていますし学校では英語教育が

徹底されてますし日本語はママが翻訳の仕事をしていますからそれで教わって

そうですね・・・6か国語は話せます。」

 「「「6!?」」」

 それを聞いてトラも含めて目を見開いた後に透流に向けてこう聞いた。

 「それじゃあ貴様は如何だ・・・?」

 そう聞くと透流は少し考えていた。

 何せ学校の授業は錬金戦団の戦士たちが教わりあい、学び合うだけではなく

専門教科などはその道のプロの戦士に教わっているため他の学生よりかは

それなりに出来るのだ。

 そして透流はこう答えた。

 「ええと・・・日本語のければ・・・俺も6って所かな・・・?」

 「「「はああ!?」」」

 それを聞いて又もや3人が驚く中で透流はこう説明した。

 「ええと・・・中国語とロシア語、ドイツ、フランス、エジプト、英語・・・

だな。」

 後は未だ勉強中だなと言うとそれを聞いてユリエも含めて・・・。

 「「「「・・・・・」」」」」

 口を( ゚д゚)ポカーンと開けていた。

 つまるところ合わせて7か国語の言語を習得していることとなるからだ。

 すると橘とみやびがこう頼みこんだ。

 「すまない九重、ユリエ。分からない所を今後とも教えて欲しいんだ!!」

 「私も・・・分からない所を教えてもらいたいなあ・・・。」

 そう言うと二人はこう答えた。

 「ヤー、構いません。」

 「俺もだ。力になれるのなら喜んでだ。」

 そう言うと橘はノートを開いてこう言った。

 「それでは早速なのだが先ほどの授業で分からない所があるのだが。」

 「ヤー、どこですか?」

 ユリエはそう言いながら自身のノートを開くと書かれていたのは・・・。

 綺麗な筆記体の英文と・・・その隣には謎の象形文字が書かれていた。

 透流はそれを見てこう聞いた。

 「へえ、ユリエ。エジプト語の勉強しているのか?」

 そう聞くとユリエは・・・恥ずかしそうに顔を俯かせてこう言った。

 「・・・日本語です。」

 「・・・ああ・・・そうなんだ。」

 それを聞いて透流は御免と言った後でユリエに向けてこう言った。

 「なあユリエ。今度日本語の勉強教えてやろうか?」

 「ヤー?」

 「今後がテストとかで日本語で書かなければいけねえからな。それに備えて

俺達で教えるよ。」

 そう言うと橘がこう言った。

 「確かにな、英語を教えてもらうのにこちらは何もしないのでは武門の恥だ。」

 「わ、私も手伝うよ。ユリエちゃん。」

 「まあ・・・僕も出来る限り手伝うさ。」

 それを聞いてユリエは・・・少し微笑んでこう言った。

 「ヤー、ありがとうございます。」

 それを見た全員が少し・・・笑顔になった。




 次回はあの・・・保健体育です。


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19話

「ウウウ・・・。」

 「緊張する・・・。」

 透流はそう言いながら・・・ユリエの足を触っていた。

 ・・・・いや何やってんだお前は!?

 「トール?」

 どうしたのですかとユリエがそう聞くと透流はこう答えた。

 「え・・・ナンデモナイよ。」

 片言でそう答えるが・・・大丈夫なのかよと思いたくなる。

 「(何でこんなことに・・・。)」

 そう思っているようであるが仕方があるまい。

 ・・・授業なのだから。

 《新刃戦》まであと2日。

 四時限目は保健体育であり授業内容は・・・応急処置に伴う包帯の巻き方である。

 幾つかの巻き方(無論錬金戦団で習得済み)を教わり、《デュオ》で

実践しているのだが異性同士でやっているのは透流達だけである。

 授業の一環とはいえ女子の生足に触れるとなると・・・それもユリエみたいな

綺麗な子なので猶更きつい。

 心臓が間違いなく聞こえてるなというくらいに鼓動が高まる中でユリエが小さくも驚きの声を上げた。

 「あ・・・トール、手順を一つ飛ばしました。」

 「え!?マジで・・・・ブッ!!」

 顔を上げてユリエの足から顔へと視線を移そうとした時に・・・。

 スカートがかなりぎりぎりの所迄捲れあがっていたので吹き出した。

 「?」

 ユリエは何だろうと思っている中で透流は集中することとなった。

 暫くして互いに包帯を巻き終えると月見が両手をパンパンと叩いてこう言った。

 「さー、それじゃあ次は《デュオ》以外の相手とペアになってやってみよー。」

 そう言うと透流は陰ながらほっとした様子でこう思っていた。

「(良かったーー。流石に女の子相手だと緊張するし・・・やっぱりこう言う時は同性の方が落ち着いて出来そうだぜ。)」

 そして後ろではみやびがユリエと組んでいた。

 そして透流も相棒を見つけようと今度は親友でもあるトラにしようかと

思って探してみると・・・。

 「あれ?・・・トラは??」

 そう言った。

 教室中見回してもいないのでトイレかなと思っていると・・・後ろから声が

聞こえた。

 「何を言ってるんだ九重。」

 「!!・・・何だ橘か。」

 透流はいきなりだったので後ろを振り向くと・・・橘を見てそう言うと

橘はこう説明した。

 「トラとタツは先ほどの授業中に散々揉めていて騒がしいからという理由で

月見先生が廊下に放り出されていたぞ。」

 「・・・・何やってんだあの凸凹コンビは。」

 橘の説明を聞いて透流は呆れ顔でそう言った。

 よく見れば橘も同じ表情であったため考えは同じのようである。

 そして透流は仕方ないと言ってこう続けた。

 「それじゃあ俺は他の奴と・・・・」

 そう言いながら周りを見てみると・・・男子全員終わっていた。

 そして現在余っているのは・・・彼女だけ。

 「如何やら他の者は全員組み終わったようだな。余り者同士組むとするか、

九重。」

 「え?・・・・マジで・・・・。」

 透流はそれを聞いてまたかよとそう思った。

 然し次の実習はさっきよりもやばいのだと後に透流はそう語った。

 「どうした九重?早く巻かないか?」

 「ああ、分かったよ。」

 そう言うと透流は次にやるべき内容を見て・・・目を点にしてこう言った。

 「マジで」

 その内容は・・・肩を脱臼した際の巻き方。

 これが想像も絶する難関なのだ。

 やり方。

 ①腕に包帯を巻く

 ②次いで体(胸)を1周するように巻く

 これを数回繰り返すのが基本である。

 然しそれをする際に気を付けなければいけないことがあった。

 それは・・・。

 体に巻き付ける際に・・・胸に当たらないようにしなければならないのだ。

 相手は女性なので胸が膨らんでいることから当たらない様にしなければ

いけないのだ。

 然も厄介な事に橘の胸部はみやびに次いで大きい為

手が当たらないようにするにはかなりの緊張と労力を必要としたのだ。

 それ故に加減を間違えて・・・こうなってしまった。

 「は・・・ふう・・・・ん、はあ・・・九重、ん。・・・少し・・・きつい」

 緊張によって巻き方を間違えてしまい胸を強調するような

巻き方になっただけではなく呼吸が乱れてしまい妙に色っぽい光景が

見えてしまった。

 

 

 

 

 

 「ゴク」

 

 

 

 

 

 誰かが唾を飲んだか分からないがそう言う音が聞こえた。

 すると月見先生が・・・ある一言を言い放った。

 「おやおや?九重君、最初からアブノーマルなプレイをしていると

ノーマルじゃあ満足してもらえなくなっちゃうよー?」

 「あぶのーまる・・・?」

 橘がそう聞くと月見先生はこう続けた。

 「趣味とはいえ胸を強調するように縛るのは授業じゃなくて人気のない所で

ヤッテネ、このエッチマン♡」

 「・・・・・!?」

 橘はそれを聞いて自身の置かれた状況に気づいて・・・こう言った。

 「き、緊縛行為で人を辱めるのが嗜好とは・・・き、君と言う男は

何と破廉恥な!!」

 「誤解だアアアアアアア!!」

 透流はそれを聞いて反論しようとすると橘がこう言った。

 「この不埒者!!!!」

 そう言って立ち上がろうとすると未だ透流は包帯を持っていたため体勢を

崩してしまい・・・。

 「あ!!」

 透流は倒れる橘を見て助けようとするもそのまま一緒に・・・倒れてしまった。

 ガシャアアアアンという音がして暫くすると・・・。

 「(・・・何だ?何か暖かいな。)」

 そう思って腕を動かそうとすると・・・。

 もにゅっと何か柔らかいナニカを感じた。

 更に言えば頭の上に何やら柔らかいものが当たっているのを感じた。

 そして暫くして起き上がるとそこで目に映ったのは・・・・。

 「/////////////」

 「あ・・・ええと・・・・。」

 右手に橘の胸。

 左手は尻。

 然も当の本人は真っ赤になって然も泣きそうになっていた。

 透流はヤバいと思って離れると橘は素早く下がった。

 そして暫くして透流は・・・こう言った。

 「す・・・す・・・すみませんでし」

 「九重の大バカ者がアアアアアアア!!」

 「ター○----ン!!」

 透流は意味不明な断末魔を上げてそのまま・・・教室の隅っこ迄飛ばされた。

 そして・・・。

 「ウワ(*´Д`*)アアアアアアアアアン!!」

 橘は泣きながら走り去っていった。

 『『『『『・・・・・・・・・・』』』』』

 あまりの光景に全員が唖然とする中で月見先生は殴り飛ばされた透流を見て

こう言った。

 「それじゃあ次は臨時で応急手当の仕方を教えちゃうよーー♡」

 月見先生はそう言って包帯を巻いた。

 ・・・ラッキースケベの後にこれは・・・自業自得だな。




 この後晃陵学園においての伝説。
 包帯エッチ騒動の真実として語り継がれた。


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《新刃戦》、開始

 等々戦いの日がやってきた。


「・・・・・・・」(~_~;)

 「・・・・・・」('Д')

 透流はいつも通りユリエと模擬戦していたが空が曇り始めたので早めに切り上げて夕食後に日課のトレーニングをしようとトレーニングルームに向かうと・・・

詰将棋をしている橘と出会ってしまった。

 あの騒動の後から一言も話してくれなくなり昼ご飯の際にもまさに・・・

人を殺すかのような視線を透流に向けて放っていた。

 無論橘もあれはワザとではない事は理解しているが・・・それはそれ、

これはこれである。

 トレーニングルームに向かう道はラウンジ経由なのであるのだが透流を見て

一触即発の状態である。

 無論他の生徒もいるのだが透流が起こした騒動を聞いて男性陣は・・・

こう言ったそうだ。

 『『『『『羨ましい……!!』』』』』

 この一言であった。

 透流は何とかして謝りたいと思っているが今は無理だと悟り・・・

そこから立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして《新刃戦》当日。

 とうとうこの日がやってきた。

 透流とユリエは学園内のどこからでも見えるあの大きな時計塔の時間を見ていた。

 因みに場所はくじ引きで各エリアに待機している。

 尚ルールとしては以下の通りだ。

 ①戦闘時においては割込みも可。

 ②戦闘終了したら勝った《デュオ》に勝者の証として特殊なコインを渡す。

 ③コインを多く捕った又は時間内において20枚以上保有している《デュオ》が《昇華の儀》を受けることが出来る。

 そして暫くして・・・・。

 リーンゴーン・・・リーンゴーン・・・リーンゴーン

 時計塔の鐘が夕方の5時を指したその時・・・開始が告げられた。

 「行くぞユリエ!」

 「ヤー!!」

 「「《ブレイズ》!!」」

 透流とユリエは同時に武器を顕現して走り出した。

 作戦は0.

 只進んで遭遇した他の《デュオ》を撃退する。

 多少リスクがあるように見えるが透流とユリエの実力からすれば

これは妥当であろう。

 そして・・・。

 「・・・・上だユリエ!!」

 「!!」

 透流の言葉を聞いてユリエは上を向くと丁度よく・・・

大きいハンマー型のブレイズを振りかぶろうとした茶髪の少女が勢いよく現れた。

 「イヤアアアアアアア!!!」

 そのまま振りかぶり下ろすが透流はその勢いを殺さずに受け流して

そのまま少女の脇腹に向けて思いっきり掌底を叩き込んだ。

 「ガハア・・・・!!」

 少女はそのまま倒れると同時に・・・何かが倒れる音が聞こえた。

 後ろを見てみるとそこには・・・・黒髪の長髪の太刀型のブレイズを持った

少女を倒したユリエがそこにいた。

 「良し、上々だな。」

 「ヤー」

 透流とユリエはそう言いながら彼女たちが保有するコインを抜き取ってそのまま戦い抜いた。

 そして1時間後・・・。

 「これで合計して54枚か。一応目標には達してるが未だ時間あるな。」

 「ヤー、脱落した《デュオ》が結構いますから今後は探すのが

難しくなりそうです。」

 ユリエはそう言いながらコインを見ていた。

 1時間の間に参加している《デュオ》は全員合わせて60組。

 そして現在残っている《デュオ》は・・・12組。

 状況は《新刃戦》で怪我したり動けなくなった生徒の手助けをするために

見回りしている先生たちが随時報告してくれるのだ。

 「それじゃあまだ行ってない場所に向かおうと思うがもうすぐ暗くなることを

念頭して・・・取り合えず学園の校舎に向かうか。」

 「ヤー、それでしたら表から向かうのと裏から向かうのとどちらのコースに

向かいますか?」

 ユリエは透流の言葉を聞いて賛同してからそう聞くと透流はそうだなあと

言って・・・こう言った。

 「見た感じは表側よりも裏側から行っておいたほうが良いな。」

 そう言って透流とユリエは講堂の裏門から校舎に向かっていると・・・。

 「おや、九重君にシグドゥーナさん。」

 三國先生が現れてそう言うとこう続けた。

 「如何やら勝ち残っているようですね。」

 そう言うと透流はこう言った。

 「あ、三國先生。見回りご苦労様です。」

 「ヤー、ご苦労様です。三國先生。」

 二人がそう言うと三國先生は眼鏡をかけ直してこう言った。

 「いえいえ、これも仕事ですしね・・・。」

 そう言うと二人に向けてこう聞いた。

 「そういえば生徒の内何人かは控え所にいなかったのですが何処に行ったのか

知りませんか?」

 そう聞くも二人は知らないと答えた。

 敗北した《デュオ》は見回りしている教師たちが回収し、寮のラウンジに

連れて行くのが仕事なのだ。

 そして三國先生はこう言った。

 「そうですか。まあそのうち見つかるでしょう。ああ、立ち話をしてしまい

申し訳ありませんでした。時間が勿体ないですから二人とも、

《新刃戦》頑張ってくださいね。」

 そう言うと透流とユリエはお互いに失礼しますと言って小走りで講堂の

裏側にへと向かって行った。

 そんな中で二人の背中を見た三國先生が・・・薄く笑みを浮かべているのを

二人は気づいていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして・・・こちらでは・・・。

 

 

 

 

 

 「やっと御馳走にあり付けそうだ。」

 そう言うと周りにいる・・・猿轡付けられて縄で締め付けられた生徒たちが

そこにいた。

 ここにいるのは全員・・・行方不明になった子供たちだ。

 そしてその人間が・・・変貌していった。

 正にそれは・・・化け物であった。

 

 

 

 

 

 

 

 『サア・・・もう少し集めるか』




 次回は橘&みやび戦です。


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橘戦、開始

 橘戦の前編です。


校舎に行くには講堂と繋がっている連絡通路を通らなければならない。

 透流は先ず道の向こうにある人気を確認してからユリエと共に走った。

 「!!避けろユリエ!!」

 「!!」

 ユリエは透流の言葉を聞いて直ぐに避けるとその地点に・・・何かが飛んできて

目の前にあった地面を抉った。

 そしてそこから少し離れた場所で・・・聞きなれた声が聞こえた。

 「まさか君たちとは幸運だな。私は」

 凛とした声と共に橘が現れて自身の《ブレイズ》でもある雫型の分銅が付いている鉄鎖を回収した。

 鉄鎖は本来鎌に憑りつけて鎖分銅にしたり、相手を拘束したりとサブウェポン的な要素が強いが極めた人間が使えば分銅の攻撃一つで地面を抉ったり頭蓋骨を

粉砕することすら可能である。

 それを見た透流は橘に向けてこう言った。

 「全く物騒な挨拶だなって言うか俺の頭蓋骨当てる気だったろお前。」

 そう言うと橘は透流に向けてこう言った。

 「何を言う。当てる気だったのだぞ。私は・・・・」

 そう言うと橘は少し顔を俯かせて・・・黙った。

 「おおい?・・・どうした??」

 透流は何だと思っていると橘は・・・勢いよく顔を上げてこう怒鳴った。

 「私は貴様に不埒で然も私の体を弄った報いをここで受けさせるのだ!!」

 「お前それが本当の理由だろうがああああ!!!」

 逆恨み・・・とは言えない。

 寧ろ当たり前だろと思いたいのだが橘はこう続けた。

 「橘流十八芸、『橘 巴』・・・参る!!」

 橘はそう言ってヒュン、ヒユンと音を立てながら雫銅を投げ放った。

 「おわあ!」

 「トール!?」

 透流はそれをぎりぎりで避けるがその後ろにあった木が・・・命中して粉微塵になった。

 「うひょお・・・当たったらひとたまりもねえな。」

 透流は粉微塵になった木を見てそう言うと橘は感心するかのようにこう言った。

 「フフフ、良く躱したものだ。何人かは今のデ終わってたがな。」

 そう言いながら透流は周りを見ていた。

 《デュオ》でもあるみやびがいないので何故かと思いながらも戦う事にした。

 今は目の前にいる橘をどうやるかで考えていた。

 目測で鎖の長さは6,7メートル。

 《ルキフル》における超化により手首の僅かな返しが見えづらいのだ。

 そして橘は二人に向けてこう言った。

 「さあ、それでは本格的に始めようではないか!!」

 そう言うと透流とユリエはこう返した。

 「それはこっちの台詞だ!」

 「ヤー、体が温まりました。」

 そう言って三人はそれぞれ動いた。

 透流とユリエは橘を・・・挟みこまない様に囲んだ。

 橘の視覚に自身たちを見せることで判断力を鈍らせようとしたのだが如何やら

それは・・・。

 「君たちの動きは想定済みだよ!!」

 橘にとって想定の範囲内のようだ。

 橘は鎖分銅を使って透流に向けて、そして自身は・・・ユリエの方に向けた。

 鎖分銅のその最も重要な使い方は・・・多対1に使用する同時攻撃である。

 例えるならば鎖鎌ならば鎖分銅を使って一人を攻撃する間に鎌を使って

攻撃するという風に実にトリッキーな戦法を使うことが出来るのだ。

 それを見た透流は雫銅を楯で止めるために一端足を止めた隙にユリエの懐に

飛び込んで腕を取り、そのまま投げ飛ばした。

 意表をつかれたユリエはそのまま飛ばされるも難なく着地した。

 然し再び距離を取られてしまった。

 それを見た透流は橘に向けてこう言った。

 「流石だな、橘。」

 そう言うと橘は誇り高そうにこう言った。

 「橘流十八芸は様々な武術、武芸に通じていてな。とりわけ私は鉄鎖術と柔術が得意だからな。丁度よかったよ。」

 「・・・厄介ですね。」

 橘の言葉を聞いてユリエは少し冷や汗を掻いた。

 遠ければ鉄鎖で、近づいたら柔術という風に遠近両用に優れているのだ。

 近接型の透流やユリエでは相手が悪すぎていた。

 おまけにみやびも見当たらないから猶更分が悪いと思った。

 ここは一時撤退するのがセオリーなのだが橘は容赦なかった。

 「さあ続けていくぞ九重!!」

 そう言いながら橘は雫銅を放った。

 無論避けるがじり貧も良い所だが透流はユリエを見て・・・指を忙しなく

動かした。

 「ヤー」

 そう言うとユリエは《ブレイズ》の片割れを・・・背中に向けている橘目掛けて放った。

 「何!!」

 橘はそれを見て驚いていた。

 何せ《ブレイズ》を投げ放つなど今までいなかったのであろう。

 この戦法はユリエのような複数所有の人間でしか使えない。

 橘はそれを躱すも・・・未だ奥の手があった。

 「何だ・・・・!!」

 橘はそれを見て驚いた。

 何せ・・・透流がユリエの放った《ブレイズ》を持ってこっちに来たからだ。

 橘はそれを見て驚きながらも鎖を束ねてそれを何とか受け止めるが

透流は更に追い打ちをかけるかのように中段突きの拳を橘の腹部にへと

突き刺さった。

 「・・・浅いか。」

 然し透流はそう言いながら橘を見た。

 あの一瞬の間に体を僅かに身を捻らせて打点をずらしたのだ。

 然しそれでも数m飛んだので橘は体勢を立て直してこう言った。

 「く・・・一旦引くぞ、みやび!」

 そう言いながら校舎の中にへと飛び込んだ。

 「トール、どうしますか?」

 ユリエはその光景を見てどうするのかと聞いた。

 鎖分銅は閉所でこそ威力を発揮することが出来る。

 然もみやびの姿が見えない。

 ここで追い打ちかけて何かの策にかかりたくないと思っているが少し考えて

透流はこう言った。

 「・・・先ずは橘を追いながらみやびを見つけよう。流石に遠くにはいない

かもだしな。」

 そう言いながら透流とユリエは進んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 然し未だ透流は気づいていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 危機が迫っていることに未だ・・・。




 後編に続く。


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背中合わせの戦い

 例え何があってもその背中は俺が守る!!


そして透流とユリエが橘を追いかけて暫くすると透流がユリエに向けて手を向けてこう言った。

 「ユリエ、ストップ。」

 「ヤー」

 ユリエは透流の言葉を聞いて立ち止まって見てみると目に映ったのは・・・。

 「トール、巴が倒れそうです。」

 そう言ったのだ。

 現在橘は廊下の端で、膝を付いた様子であった。

 恐らく透流から喰らったダメージがあるのだろうと思っているが透流は

ユリエに向けてこう言った。

 「取敢えず再攻撃するか否かは橘とみやびの出方を見てから行動する。

もしかしたら伏兵がいるかもしれないからな。」

 「ヤー、分かりました。」

 ユリエは透流の言葉を聞いてそう答えるとゆっくりとだが橘の目の前に現れた。

 ユリエが前衛に立って後衛に透流が盾を構えて後ろ向きで歩いていた。

 そしてユリエは橘に向けてこう言った。

 「終わりにします。」

 そう言いながらユリエはじりじりと距離を詰めると・・・・橘は笑って

こう言った。

 「みやび!!」

 その呼びかけと同時に轟音が透流の眼前に響き渡った。

 そこから現れたのは・・・巨大な騎兵槍《ランス》を握っている・・・

みやびがそこにいた。

 そして橘は立ち上がってこう言った。

 「悪いな。1発くらいは貰っておかないと罠だと思って判断してくると

思っていたがこうやって前後の防衛をしながらとなるとは思っていなかったぞ。」

 そして橘は鉄鎖を構えてこう言った。

 「さあ、これで決めるぞ!橘流《大蛇の型》!!」

 そう言いながら橘が放った鉄鎖を勢いよく放って壁や天井に向かって縦横無尽に

弾き、跳ね返りながら軌道を読ませない様に攻撃を繰り出した。

 前を向けば橘による鉄鎖の結界。

 後ろを向けばみやびの突撃。

 この狭い空間では彼女たちに分があると誰でもそう思うだろう・・・。

 普通なら。

 「ユリエ、橘を頼む!俺がみやびの動きを止める!!」

 「ヤー!!」

 ユリエは透流の言葉を聞いてそう答えてチリンという鈴の音と共に走り出した。

 そして透流は腰を深く沈めて防御態勢をとるとみやびは突撃しながら

こう言った。

 「ま、負けないよ私は!」

 「信じてくれた巴ちゃんの為に!そして・・・自分を変えるために!!」

 そう言いながら透流の盾とみやびの騎兵槍がぶつかり合った。

 ぎゃりぃいいいい!!と言う音と共にぶつかり合った。

 「(くう!!重い!!!)」

 透流はそう思いながら耐えている中でこう思っていた。

 「(誰かのために変わりたい!それは間違いじゃあねだろうな穂高!!)」

 それは嘗て透流もそう思っていたのだ。

 もう後悔しないために。

 自分の為に・・・これ以上のホムンクルスの被害で誰かが泣かないために。

 「けどなあ・・・俺だって---!!」

 透流はそう言いながら足を床に思いっきり叩きつけて踏み砕いてそれを利用して止めたのだ。

 「ううう・・・!!」

 みやびは動かなくなった透流は何としてでもと思って勢いを強くするが・・・

透流は動くことがなく只山のような感じで耐えていた。

 そして等々みやびがダウンしてこう言った。

 「はあ・・・もう力が入らないや・・・。」

 そう言いながら尻もち着いてみやびがそう言うと透流はみやびに向かって

こう言った。

 「いや、俺もあそこで踏ん張らなきゃあ危なかったぜ。」

 そして透流はみやびに手を差し伸ばしてこう言った。

 「強かったぜ、穂高」

 するとみやびは顔を赤くしてこう言った。

 「あ、あのね九重君!」

 「?」

 透流は何だろうと思っているとみやびはこう続けた。

 「わ、私の事はみやびでいいから・・・そのね・・・その・・・。」

 「これからはさ・・・透流君って呼んで・・・良い?」

 そう聞くと透流は笑顔でこう言った。

 「ああ、良いぜ。改めてよろしくな。みやび。」

 「うん!」

 お互いに少しだが距離が縮まった瞬間であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその数瞬前。

 橘は戦慄していた。

 何せ縦横無尽に襲い掛かってくる鉄鎖を相手に避けながら間合いを詰めていた。

 それを見て橘はこう思っていた。

 「(《フィストプラクティス》では本気を出していないと思っていたが

まさかこれほど強いとは!!)」

 そう思いながらも間合いを詰めていくのを見て最早ここまでかと思っていると

橘はこう思っていた。

 「(ユリエ、正直な話君は強いが・・・・)!!」

 そして橘はユリエに向かってこう言った。

 「負けえる訳にはいかないのだ!!橘流の看板を背負っている

私が負けるわけには!!」

 そう言いながら橘は鉄鎖をユリエの腹部に狙うもユリエはそれを弾いて・・・

絡ませた。

 「何イイ!」

 それを見て橘は驚愕していた。

 まさかこの攻撃に対して攻撃手段でもある鉄鎖を封じられると

こちらも打つ手がないのだ。

 そしてユリエは絡ませた左の剣と右の剣を同時に巴にへと突き立てた。

 「チェックメイトです。」

 ユリエがそう言うと橘はこう聞いた。

 「一つ聞いて良いか?」

 「ヤー、何でしょう?」

 ユリエは何でしょうかと聞くと橘はこう続けた。

 「何故鉄鎖を絡ませた?」

 そう聞くとユリエはこう答えた。

 「ヤー、ああでもしないと邪魔でしたので。」

 そう言うと橘は・・・こう答えた。

 「やれやれ・・・私の完敗だ。」

 そう言うと同時に橘はユリエの攻撃によって倒れた。




 そして・・・二つの悪意が動き出す。


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特別授業

 ここからは・・・知られてはいけない真実。


「お疲れ、ユリエ」

 「ヤー、トールこそお疲れ様でした。」

 ユリエと透流はお互いにそう言った後、みやびに向かってこう言った。

 「それじゃあ俺達はここを離れるから橘の事よろしくな。」

 「う、うん。」

 みやびは透流の言葉を聞いてそう頷いた。

 橘は現在ユリエの一撃によって意識を失っている。

 あの時攻撃を受けたはずなのに体には何も傷がない事に透流は改めて

驚いていると・・・絶叫が聞こえた。

 「ぐう・・・・がアアアアアアアアアアアアアアア!」

 

 「「!!!」」」

 

 

 

 

 透流達はそれを聞いて驚くと透流は矢継ぎ早に指示を出した。

 「みやび!橘を運んで脱出しろ!!」

 「う、うん!」

 「ユリエは俺と一緒にさっきの方角へ!」

 「ヤー!」

 二人が上に向かう中でそれを見ていたみやびはこう言った。

 「き、気を付けてね!二人とも!!」

 

 

 

 

 

 

 

 「(今の声は確かにトラの声・・・まさか!!)」

 透流はもしかしたらと思った。

 それは自身がここに送られた理由。

 ・・・錬金戦団の指令。

 

 

 

 

 

 

 最上階の廊下に到着すると壁際で倒れているトラと中央に佇む影。

 特徴的なうさ耳バンドを付けた月見先生がそこにいた。

 「トラ---!!」

 「九重君・・・!」

 月見先生がそう言うと透流はトラに近づいてから月見先生に向けてこう聞いた。

 「月見先生!一体何があったんですか!?」

 そう聞くと月見先生は慌てながらこう言った。

 「わ、分からないってば、アタシも今来たばかりだもん!!」

 それを聞いて傷を見てみると透流はある事に気づいた。

 それは・・・。

 「この傷・・・タツと同じだ。」

 そう言ったのだ。

 トラとタツの傷は数か所に鋭利な刃物で斬られたような跡があった。

 すると透流はユリエに向けてこう言った。

 「ユリエ!教室の机とか椅子を壊してくれ!添え木代わりにする!!」

 「分かりました!」

 ユリエはそう言って教室の机やいすを壊した。

 透流はそれを自身の制服の上着を脱いでびりびりと破って覆わせた。

 「取敢えず応急処置はこれで良いとして救護班を呼んで」

 透流がそう言うと月見先生がこう言った。

 「大丈夫。ここに来てすぐに救護班へ連絡したから!」

 そう言うと透流はこう思っていた。

 「(トラにここまでの手負いを負わせるとなると同じ・・・いや、まさか。

《ブレイズ》は人を傷つけない・・・・!!)」

 透流はまさかと思っていると月見先生に向けてこう聞いた。

 「月見先生、一つ宜しいでしょうか?」

 「へ?何??」

 月見先生は何だろうと思っていると透流はこう聞いた。

 「《ブレイズ》って・・・人を殺すことが出来ますか?」

 「「!!」」

 それを聞いてユリエと月見先生が驚くとこう続けた。

 「トラ達は《イクシード》です。ここまでやられるとなると同じ人間しか

いません。そして・・・!!」

 透流はそう言いながら壊して余った机や椅子の足を・・・月見先生目掛けて

殴りかかると月見先生はそれをひらりと避けた。

 そして透流はこう続けた。

 「あの時にここにいた貴方が一番怪しい事になります。」

 違いますかとそう言うと月見先生は・・・こう言った。

 「これ、《ルキフル》の超重要機密事項だから内緒ね。」

 そう言うと月見先生はこう続けた。

 「実は・・・《ブレイズ》が人を傷つけることがない武器なんて

真っ赤な嘘なの。」

 「・・・やっぱり。」

 透流はそれを聞いてそう言うと月見先生は驚いたようにこう言った。

 「へえ・・・もしかして薄々感づいてたあーーー♪」

 「当たり前でしょう。幾ら俺達の魂が具現化した武器だからって・・・」

 「《ブレイズ》で壁や地面を破壊できるんですから人間だって

出来るんでしょう?・・・ってこれ橘と戦った時にそう思ったんだよな。」

 そう言ってユリエはそう言えばと思っていた。

 あの時、橘の鉄鎖やランスは校舎を破壊することが出来ていた。

 それならば何故今まで重傷者が出なかったのかと思うと透流はこう言った。

 「だけどそれだったらユリエがこれまで戦った相手は全員血まみれだったはず。それなのになぜそうならなかったのか?・・・」

 「簡単ですよね、月見先生」

 「・・・始業式の日の入試試験の際に理事長がそう言ったからでしょう?」

 そう言うとユリエは理事長の言葉を思い出した。

 

 

 

 

 

 

 『《焔牙(ブレイズ)》とは超過された精神力によって魂を具現化した

武器・・・故に傷つけるのも同じものであるために体のダメージは無いに等しく、攻撃した相手の精神を疲弊させて肉体を傷つけない・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あの時に私達は暗示をかけられてたんですね?トール」

 「ああ、そうだ。それであっという間に俺達の《ブレイズ》は今まで誰も

死んでいなかった。」

 そうでしょうとそう聞くと月見先生はにやにやと笑いながらこう言った。

 「いやあ・・・中々の名推理だねえ・・・《異能(イレギュラー)》君♡」

 けどねえと月見先生はそう言ってこう続けた。

 「それだけじゃあ《ブレイズ》で人を傷つけることが出来ない。

もう一つ必要な物があるんだよねえ・・・。」

 それはと言って月見先生は・・・こう言った。

 

 

 

 

 「殺意を・・・人を傷つけるって言う強い意志を込めることだよ♡」




 次回は対月見先生


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兎の正体は・・・狼。

 透流「いや、こいつは兎の皮を被ったエイリアンだろ。」
 月見先生「あたしは化け物かよ!!」


「殺意と害意・・・相手を殺したいって言う欲求ですか・・・?」

 透流はそう聞くと月見先生はこう答えた。

 「そのとおりーー、流石《異能(イレギュラー)》分かってるーー♡」

 月見はウインクしてそう言うと透流はユリエに向けて・・・こう言った。

 「ユリエ、直ぐにトラたちを連れてここから離れろ。」

 「?どうしてですかトール」

 ユリエはなぜかと聞いて・・・はっとした表情をすると透流はこう続けた。

 「救護班なんて真っ赤な嘘だ。俺が囮になって時間を稼ぐからその間に」

 

 

 

 

 

 

 

 「おいおい、何二人っきりでいちゃついてんだよ?」

 

 

 

 

 

 

 「「!!」」

 

 

 

 

 

 透流とユリエはその声を聴いて月見を見ると・・・月見先生はある物を

握っていた。

 それは・・・。

 

 

 

 

 「そいつがあんたの《ブレイズ》か?月見先生」

 「そうさ、こいつが俺の《ブレイズ》『牙剣(テブテジュ)』だ!!」

 

 

 

 

 

 

 そう言って月見先生は悪意と愉悦の笑みを浮かべさせて鮫の牙の様な大剣

《テブテジュ》を振るった。

 この武器の特徴はその剣についている幾つもの刃が特徴である。

 相手をそぎ落として叩き斬る。

 これがこの武器の運用特徴である。

 ガギィイン!!と透流はそれを楯で防いで持っていた机の脚で月見先生に向けて殴りかかるも月見先生はそれをひらりと躱した。

 「アハハハッハ、おっかねえなおい。こいつは今までのどの奴らよりも

張り合いが出そうだぜ!!」

 月見先生は笑いながら透流に向けてそう言うと透流は無表情でこう聞いた。

 「なあさ、月見先生。ちょっと聞いて良いか?」

 「あ?何だよ」

 月見先生は荒い声で何だと聞くと透流はこう聞いた。

 「アンタは何が目的がこんなことしたんだ。」

 そう聞くと月見先生は笑いながらこう言った。

 「仕事だよ仕事。有望そうな新人を始末するだけの簡単な仕事さ!!」 

 そう言いながら透流に向けて攻撃すると横からユリエが割り込んでこう言った。

 「・・・仕事という事は、貴方の独断ではありませんね」

 そう言いながら横薙ぎで斬りかかるも月見先生はそれを首を傾けながら

避けてこう返した。

 「それは守秘義務に反するから答えられねーな。」

 そう言ってこう続けた。

 「さあて、それじゃあそろそろお喋りは終わりにしようぜ。特別サービスで

あそこで寝込んでいる連中は手前らの後で殺してやるが・・・もし手前らの

どちらかでも逃げたりしたら・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 「フ・・・ざけるな。」

 

 

 

 

 「トラ!?」

 透流はそう言って倒れていたトラの方を見た。

 よく見ると隣でタツが肩を貸していた。

 「貴様・・・などに・・・やられる・・・僕じゃ・・・ないぞ・・・・!!」

 そう言いながらトラは自身の《ブレイズ》でもある『印短刀(カタール)』

(正式名称はジャマダハルなのだが武器の挿絵が違う事からこれになった)を

持った。

 然し透流は二人を見てユリエに向けこう言った。

 

 

 

 

 

 

 「ユリエ、二人を連れて逃げろ!!」

 「「「!!!」」」

 三人は透流の言葉を聞いて驚くも透流は机の脚をまるで武器の様に

使いながらこう言った。

 「こいつは俺が抑えておくから早く!!」

 「然しトール」

 「良いから行け!!」

 透流はユリエに向けて本当に怒りながらそう言った。

 「!!・・・・ヤー」

 ユリエはそれを見て納得するしかなかった。

 そしてユリエは離れてトラ達の所に向かおうとすると・・・声が聞こえた。

 「どうしたんですか?皆さん??」

 そう言って近づいてくるのは・・・一人の女性であった。

 歳は20後半ぐらいの普通の女性であった。

 レディース用のスーツを着ていてちゃんとした教師であった。

 するとその女性はトラ達を見てこう言った。

 「何て傷なの!?直ぐに救護班の所に連れて行きますので!!」

 そう言うとユリエはこう言った。

 「ヤー、分かりました。では私はトールの応援に」

 そう言いかけると・・・その女性の頭に何かが当たった。

 「!!・・・トール」

 ユリエはそう言って透流の方を見た。

 何やら意味深な顔をしていると月見先生は笑いながらこう言った。

 「おいおいおい、不意打ちにしたってアタシじゃなくてあっちの方って

命中率ないなーーおい。」

 そう言いながら月見先生は笑いながら『テブテジュ』を構えると透流は・・・

ニヤリと笑ってこう言った。

 「いや・・・当たりだぜ。」

 「はあ?」

 透流の言葉を聞いてその先生の方を見ると・・・目を見開いている

ユリエを見た。

 ユリエのあんな顔を見るのは初めてだと思っているがそれはトラ達も

同じであった。

 何せあんなものが当たれば大体の人間は怪我して血が流れている

はずなのだが・・・そうではなくて・・・顔が・・・剥がれていたのだ。

 まるで仮面を付けていたかのように・・・。

 するとその先生が透流の方を見てこう言った。

 「一体どうやって分かったのかしら?」

 そう聞くと透流はニヤリと笑ってこう答えた。

 「企業秘密だよ。」

 そう言うと女性はそうかといってこう続けた。

 「だったら・・・こいつら喰ってから聞くとするか!!」

 そう言って彼女の体が・・・膨張した。

 体は鋼色になり。

 胴体が細長くなり。

 顔がまるで・・・トカゲの様に変貌し。

 そしてその頭が・・・襟巻の様なものが出てきた。

 見る人がいれば正にこう言うであろう。

 ・・・『エリマキトカゲ』のようであると。・・・

 そしてバケモノになった女性は・・・こう言った。

 『サアテト・・・クラウカアアア‼!!』

 大声でそう言ってトラ達に向かおうとした。

 

 

 

 

 

 今・・・ホムンクルスが・・・現れた。




 次回は透流の武装錬金が出ます。


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更なる力。

 やっと透流の武装錬金が出せる。


 「な・・・何だアレハ・・・?」

 トラはそう言って目の前にいる・・・先生だったバケモノを見てそう言った。

 当たり前だろう、何せこんなバケモノに会うなど・・・一生ないのだから。

 『サアテト・・・クラウカアアア‼!!』

 「「「!!!」」」

 三人はそれを聞いて体が竦んでしまい目を閉じた。

 恐らく自身の数秒後の末路を見たくはないのだとそう思って。

 然し・・・それは来なかった。

 

 

 

 

 

 『グガアア‼!』

 「「オラアアアアア!!」」

 

 

 

 

 

 透流と月見先生がそれぞれ楯と武器で殴りつけたからだ。

 そして月見先生は全員に向けてこう言った。

 「手前ら早く逃げやがれ!『選別《セレクション》』はこれで打ちきりだ!!」

 「セ・・・セレクションですか・・・?」

 ユリエはそれを聞いてポカーンとしているが透流はこう言った。

 「恐らく月見先生みたいな強豪を態とぶち込ませて《昇華の儀》を受けさせれるかどうか見極めようとしてたんじゃないか!!?」

 そう言いながら透流はユリエの前に立った。

 すると月見先生は笑いながらこう言った。

 「アハ( ̄∇ ̄;)ハッハッハ!本当に頭が切れるな

《異能(イレギュラー)》!!そう言う事だ!!」

 そう言いながら月見先生はエリマキトカゲになった先生に斬りこむが先生だった人間が腹部についている顔から笑い声を出してこう言った。

 『ギャハは( ̄∇ ̄;)ハッハッハ!ムダヨ、《ブレイズ》ジャアワタシニキズヒトツツケラレナイワヨ‼!!』

 そう言って脚で踏みつぶそうとするも全員それを避けた。

 確かによく見れば先ほど月見先生が攻撃した箇所が既に直っていた。

 すると透流はタツに向けてこう言った。

 「タツ!ユリエとトラを担いで一端逃げろ!!」

 そう言うとタツは黙って首を縦にして頷くとユリエとトラを俵担ぎして逃げた。

 「お、おい貴様!何するんだ!!」

 「ナイ、離してください。」

 トラとユリエはそう言うがタツは黙って二人と共に逃げた。

 そして月見先生は透流に向けてこう言った。

 「手前も逃げな《異能(イレギュラー)》。こうなっちまったら試験もくそも」

 「いや、俺は残ります。」

 「はあ!?何言ってんだ手前はよ!!」

 月見先生はそう言って透流に向けてこう続けた。

 「あいつは《レベルⅣ》のアタシですら傷一つ負えねえのに《レベルⅠ》如きの手前が適う訳ねえだろうが!!」

 月見先生はそう言ってエリマキトカゲと化した人間を見た。

 レベルが3も違うのにそれでも敵わない相手に務まる訳ないと誰もがそう思うであろうが・・・・・。

 世の中には・・・例外と言う物がある。

 「まあ、確かに普通ならそう言うかもしれませんがですが月見先生は

如何やら一つ大切な事忘れてませんか?」

 透流はそう言いながら武器として使っていた机の脚を手放すと透流は

懐に手を入れ乍らこう言った。

 「はあ・・・こんなに早くこいつを使う所を誰かに見せちまうとはなあ。」

 やれやれと思いながら透流は月見先生に向けてこう言った。

 「そういやあ話の続きですけど月見先生。」

 「?」

 「世の中には・・・例外や裏技なんてものがあるんだぜ。」

 そう言いながら透流は懐から六角形の金属の塊を出した。

 然しエリマキトカゲとなった人間らしきものはこう言った。

 『ハア?・・・ナニソレオモチャカシラ?』

 それを見て鼻で笑うと透流はこう言った。

 「成程な、アンタはこいつが知らねえ・・・末端だな?」

 『!!・・・ナンデスッテ・・・・』

 エリマキトカゲとなった人間が歯をぎりぎりと鳴らしながらそう言うと

透流はそれを両手の平に沿うような(見た目は『ドラゴンボール』に出てくる

『悟空』達の『かめはめ波』です。)感じで持ってこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「武装錬金!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉と共に六角形の金属の塊・・・『核鉄」が膨張するかのように・・・

形を変えていった。

 それを見た月見先生はこう言った。

 「あんだあ・・・ありゃああよーー・・・・!!」

 それを見ていた月見先生の顔はまるで・・・おもちゃを見つけた

子供のようであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あれは・・・。」

 そう言ってタツ達を見ていたのは三國先生であった。

 如何やら見回りの最中で橘達を回収に来たのであろう。

 そしてタツはトラ達を下ろした。

 するとそれを見て復活した橘がこう聞いた。

 「九重はどうしたんだ?」

 そう聞くと下ろされたユリエは行った道に戻ろうとするとそれをタツが

無言で首を横に振って肩に手を置いて止めた。

 「離してください。」

 「・・・・」フルフル

 そして怪我人でもあるトラが三國先生を見てこう言った。

 「三國先生・・・九重を・・・助けて・・・下さい。」

 「・・・何があったんですか??」

 三國先生がそう聞くとトラはこう続けた。

 「《セレクション》の・・・最中に・・・バケモノ・・・・。」

 「「「?」」」

 それを聞いて三國先生だけではなく橘やみやびが何だと思っていると

ユリエがこう続けた。

 「やー、今透流は《ブレイザー》の先生ですら傷一つ負えない侵入者と

月見先生と共に交戦」

 ユリエはそう言いかけると上の階から・・・。

 

 

 

 

 

 ズズウウン!!・・・という地鳴りの音と爆発音が聞こえた。

 「「「「「「!!!!!!」」」」」」

 それを聞いて全員が驚くと橘がこう言った。

 「今のは外からだ!」

 そう言うとトラはタツが背負って連れて行った。

 そして外にあるグラウンドで目にしたのは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 『ア・・・がアアアアアアアア・・・・・!!』

 ボロボロになったエリマキトカゲとなった人間と・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「アハハハハハ!やっぱ最高じゃねえか《異能(イレギュラー)》!!」

 高笑いしながら興奮している月見先生と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「もうこれで終わりなのか・・・・・。」

 左手に盾を持ち。

 両手に鉄色の剣と槍のハーフみたいな武器を構えた。

 「・・・ホムンクルス・・・!!」

 親の仇の様な顔をした透流の姿がそこにあった。




 次回は透流の武装錬金の名前と能力を出します。


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透流の武装錬金・解放

 やっとここまで来れた。


 今から数分前。

 「武装錬金!!」

 透流の放った言葉と同時に『核鉄」が膨張してその姿形を変えた。

 それらは透流の両手に装備され、その姿を現した。

 

 

 

 

 

 『・・・ナンダ・・・ソレハ』

 エリマキトカゲとなった人間がそれを見てそう言った。

 両掌はグリップの様なものを持って、ある物を見る人によっては

逆手持ちと言ってもいい様な感じであった。

 槍と剣を足して二で割った様な形状をし、トンファーの様に構えていた。

 そして透流はそれを持って・・・こう言った。

 

 

 

 

 「ぶっ潰してやるぜ・・・ホムンクルス!!」

 

 

 

 

 

 そう言って透流はエリマキトカゲとなった人間に向かって突撃した。

 それを見たエリマキトカゲとなった人間は笑いながらこう言った。

 『アハ( ̄∇ ̄;)ハッハッハ!!ナニカトオモエバタダノトッコウ

ジャナイノ!?』

 そう言いながらエリマキトカゲとなった人間はこう続けた。

 『オノゾミドオリニシネエエエエエエエ‼!』

 そう言って頭部の口を大きく開けて透流を食べようとしたその時に・・・

不可解な現象が起きた。

 『キ・・・キエタ!?』

 透流の姿が消えたことに驚いて周りを探ろうとすると・・・透流の声が

聞こえた。

 「こっちだぜ。」

 そう・・・真上に。

 『!!!!』

 それに気づいたが既に遅く、透流はエリマキトカゲとなった人間の

トカゲの頭部目掛けて思いっきりぶち当てた。

 何せ《ルキフル》による超化と透流自身の実力が加わり、トカゲの頭部を

斬り裂いた。

 『ギャアアアアアアあ‼!』

 それによりエリマキトカゲとなった人間は絶叫するも透流は更に攻撃し続けた。

 『キサマアアア‼!』

 エリマキトカゲとなった人間は手についている爪で攻撃しようとすると・・・。

 「させるかよ!!」

 グリップが柄に変わって斬り裂いた。

 『クソがアアアアア!!』

 そう言って今度は尻尾で攻撃しようとするも・・・。

 「遅い!!」

 透流はそう言ってもう1本の方も同じようにした後に、柄を繋げて

双頭の槍と姿を変えてその攻撃を受け止めた。

 『!!』

 「軽い・・・・な!!」

 透流はそう言いながらきぃいインと言って尻尾を弾くとその槍を胴体に

思いっきり突き刺してそのまま吹き飛ばした。

 そして透流は吹き飛ばされて云ったエリマキトカゲとなった人間を

追っていくのを見てそれを見ていた月見先生は・・・ニヤリと笑ってこう言った。

 「・・・おもしれええじゃん。」

 

 

 

 

 

 

 

 そして前回の最後に続く。

 

 

 

 

 

 「・・・・ホムンクルス・・・!!」

 透流はそう言いながら既にボロ雑巾の様になったエリマキトカゲとなった人間を見下しているとエリマキトカゲとなった人間は透流を見てこう言った。

 『ナゼ・・・《ブレイズ》が・・・フタツモ‥‥?』

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「こいつは《ブレイズ》とは違えよ。」

 そしてこう続けた。

 「手前らホムンクルスをぶっ潰すために作られた兵器、『武装錬金』。」

 「そしてこいつは俺の中にある闘争本能に共鳴して創造した武器。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「『旋棍(トンファー)』の武装錬金《フォース・セイバー》」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「能力は未だ見せてねえが手前みてえな雑魚にはこいつでも

十分勿体ねえがな。」

 透流はそう言いながらエリマキトカゲとなった人間・・・ホムンクルスに向けてそう言うとこう続けた。

 「手前をホムンクルスにした奴は・・・誰だ?」

 『!!』

 「「「「「「!!!!!!」」」」」」

 それを聞いて全員が驚くが透流はこう聞いた。

 「手前をホムンクルスにした奴は誰で・・・行方不明になった奴らは何処だ」

 そう聞くとエリマキトカゲ型のホムンクルスはこう言った。

 『・・・シッテドウスル・・・・』

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「そいつをぶっ飛ばしてこれ以上の犠牲を増やさせねえ。」

 そう言うとエリマキトカゲ型のホムンクルスは・・・大笑いしてこう言った。

 『アハ( ̄∇ ̄;)ハッハッハ!!オマエミタイナガキニナニガデキルッテ

イウンダイ‼!?』

 『オマエミタイナノガアノオカタヲブッツブスデスッテ!?』

 『アタシニクワレテキエナクソガキが‼!』

 そう言うとエリマキトカゲのエリマキが開いたその時に・・・光線が口から

吐き出されて透流を襲った。

 「トール!!」

 ユリエはそう言いながら透流の方に向かおうとするとそれを三國先生がすかさず止めに入った。

 「・・・すみませんが」

 「どきません。あれは貴方程度で勝てる次元ではありません。」

 貴方だって分かるでしょうと言ってユリエは顔を俯かせた。

 とてもではないがあの戦闘に介入できないと判断されたからだ。

 然し現在でも透流は戦っているのに何も出来ないのかとそう思っているが

それは全員同じ気持であった。

 

 

 

 

 

 『アハ( ̄∇ ̄;)ハッハッハ!!ドウヨ、テモアシモデナイジャナイノ!?』

 笑いながらそう言うのを見て透流は賺さずに片方のトンファーを投げるが

それを易々と躱すとエリマキトカゲ型のホムンクルスはこう言った。

 『ザンネンデシタアアア』

 そう言うと透流に狙いを定めたその時に・・・透流は賺さずに懐に入って

エリマキトカゲ型のホムンクルスの本体でもある人間の頭部に向けてトンファーを振りかざしたその時に・・・本体の先生だったソレハこう言った。

 『アマイワヨ‼!』

 そう言いながら腹部から・・・サブアームが出てきた。

 『シネエエエエエ‼!』

 そう言いながらサブアームが透流に目掛けて突き刺そうとしたその時に・・・

不思議なことが起きた。

 

 

 

 

 

 

 「「「「「「「!!!!!!!」」」」」」

 『・・・アゲェ…?』

 

 

 

 

 

 

 

 そう言いながら本体の口から・・・透流が投げたトンファーが出てきたのだ。

 すると透流はそのトンファーを取ってサブアームを破壊すると透流は

本体に向けてこう言った。

 「そう言えば俺の先輩は何時もホムンクルスを殺すときに・・・

こう言うんですよね。」 

 そう言いながら透流はトンファーの刃部分を本体の弱点でもある・・・8の字に似たマークに突き刺してこう言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「臓物(はらわた)を・・・曝け出せえええええ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言いながら頭部を完全に✖型に斬ると・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 『ぎゃあアアアアアアアア‼!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 エリマキトカゲ型のホムンクルスは断末魔を上げて・・・消滅した。

 

 

 

 

 

 

 そして透流は武装錬金を解くと・・・後ろにいる三國先生太刀を見て・・・・。

 

 

 

 

 

 「あはははははは・・・・・・はあ。」

 ため息交じりで笑うしかなかった。




 旋棍の武装錬金《フォース・セイバー》
 ナンバーⅧ
 透流が保有する核鉄の姿。
 その特徴は二対の武器で構成されており状況に応じて攻撃パターンを変更することが出来る。



 通常のトンファー型、二刀流、槍型、本作には登場しなかったがトンファー状で
繋ぎ合わせることでカタールの様な形状にもなれる。
 


 能力は磁力。
 二本の刀身は近ければ反発し遠くで発動すれば引き寄せ合って攻撃できる。
 


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地下に眠る・・・。

 地下にあるのは・・・無名の魂。


エリマキトカゲ型のホムンクルスはそのまま崩れ去るのを見届けた後、

透流は現在・・・質問攻めにあっていた。

 

 「トール、先ほどの《ブレイズ》をもう一度見せて下さい。」

 「九重、何なんだあの武器は!!《ブレイズ》とは明らかに違うようだが理由を

聞かせてもらうぞ!!」

 「九重君、先ほどの武器について理事長にお話を」

 「九重、先ほどの武術だが成程あれなら納得いくな。」

 「透流君、大丈夫だった!?」

 「おいおいおい、《異能(イレギュラー)》さっきのあれよく見せろよ。」

 上からユリエ、トラ、三國先生、橘、みやび、月見先生の順でそう聞いてくるので透流はどうしようと思って閃いたのが・・・これだ。

 「《三十六計逃げるに如かず》!!」

 逃げであった。

 無論三國先生、トラ、タツを除いた全員が追いかけていった。

 恐らく理事長に報告しがてらトラとタツを医療班に引き渡すのであろう。

 透流はそれすらも考えられないほど切迫した状態で逃げていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ハー、ハー、ハー。」

 透流は全速力で森の中に逃げた後である施設を見た。

 そこは・・・。

 「あそこは未だ行ってないな。」

 透流はそう言ってそこへ向かおうとすると・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 「見つけました、トール。」

 

 

 

 

 

 「!!!!」

 

 

 

 

 透流はそれを聞いて驚いて後ろを見るとそこにいたのは・・・。

 

 

 「ユリエ?」

 「ヤー」

 ユリエが透流の後ろにいた。

 「何しに来たんだ、ユリエ?」

 透流はそう聞くとユリエはこう答えた。

 「ヤー、《デュオ》は常に共に行動するものです。然しトールは

足が速かったので追い付くのに時間がかかりました。」

 そう言うと透流はユリエの肩に手を置いてこう言った。

 「あのな、ユリエ。俺はある仕事であそこに行かなければいけねえが

危険だし女の子には刺激が強いかもしれねえんだ。」

 だから戻っとけとそう言うとユリエはこう返した。

 「ナイ、絶対に離れません。」

 一緒に行きますと言って離れようとしなかった。

 すると今度は上から・・・声が聞こえた。

 「やっと見つけたぜ。《異能(イレギュラー)》。」

 月見先生はそう言いながら透流を見ると更に後ろから橘達が来るのが見えた。

 如何やらこれじゃあまた逃げたとしてもきりがないなとそう思ってしまった。

 そして透流はこう提案した。

 「分かりましたよ。聞きたいことはあそこにある古い施設に行きがてらで

良いですか?」

 それを聞くと月見先生は少し考えてこう答えた。

 「良いよーー♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして道中で説明をしていた。

 「先ずはみやびからの質問だが怪我はしてないから大丈夫だ。」

 「ほっ、良かった。」

 みやびはそれを聞いて安堵すると今度は橘に向けてこう言った。

 「それと俺の拳法だがユリエからも指摘されててな。あれを使うのを第一前提としてたんだ。」

 「成程な、見たところトンファーに近い武器と見て取れるがそれを無手で

再現するとなるとそれなりに苦労したであろうな。」

 橘の言葉を聞いてまあなとそう答えた。

 「それとユリエについてなんだがこいつは本来、あまり誰にも見せることは

しちゃあいけないから無理だな。」

 「・・・やー。」

 「それじゃああたしのは♪」

 「論外だ。」

 透流はユリエと月見先生に向けてそう言うとユリエは少しがっかりした様子で

頷いて月見先生は舌打ちした。

 そして透流が着いたのは・・・今は誰も使われていない

研究所らしき場所であった。

 そして透流は扉を開けようとノブを回してみると・・・。

 「開いた。」

 普通に開いたのだ。

 そして扉を開いて見るとそこで目に映ったのは・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 「何もないな。」

 「う、うん・・・そうだね。」

 橘とみやびはそう言って周りを見渡していた。

 月明かりで見えない所があるがそう言うと透流はこう言った。

 「何か火を付けれるものがあれば良いな。」

 「ヤー、何でです?トール。」

 ユリエは透流の言葉を聞いて何故と聞くと透流はこう答えた。

 「ここは昔研究所だったんだ。だったら薬品庫にも多少なりとも

薬があるからな。そいつで火を熾そうと思ってな。」

 そう答えると背後から・・・声が聞こえた。

 「それでしたら懐中電灯をお使いになればどうです?」

 「「「「「!!!!!」」」」」

 透流達はそれを聞いて後ろを向くとそこにいたのは・・・。

 

 

 

 

 

 

 「何だよ、理事長じゃねえかよ。」

 「何だよとは失礼ですわね。」

 九十九理事長は月見先生に向けてそう言うと三國先生はこう続けた。

 「ここで火を熾して燃やされるとこちらが大変ですのでこちらを

使ってください。

 三國先生はそう言って透流達に懐中電灯を手渡すと透流に向けてこう言った。

 「それと九重君には後で先ほどについて九十九理事長がお話したいらしいですのであしからず。」

 そう言って透流は無言でうなずくと全員は中に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 そして透流は九十九理事長に向けてこう聞いた。

 「理事長、一つ宜しいでしょうか?」

 「何ですか?九重 透流」

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「ここには地下室とかないんですか?」

 そう聞くと九十九理事長はニヤリと笑ってこう答えた。

 「ええ、ここは昔《ルキフル》に関する研究所でしたので動物実験用のが。」

 そう聞いて九十九理事長はこう返した。

 「ですが終わったらこちらの質問にはちゃんと答えてもらいますので。」

 そう言うとその場所に案内された。

 

 

 

 

 

 

 

 そこは非常扉に通ずる通路で万が一のための隠し部屋となっていた。

 そこに入るには非常扉のノブを逆向きに回してから開くのでそうやった後で

入って見ると・・・。

 大きなゲージ箱の中に何人かの生徒がいた。

 「彼らは今回の《新刃戦》で行方不明になった者たちです。」

 三國先生はそう言って檻を破壊して倒れている生徒たちの確認をして

こう言った。

 「如何やら眠らされているようだ。月見先生は今すぐに医療班を。」

 「ほいきた!」

 月見先生は三國先生の言葉を聞いて早々と出ようとすると・・・。

 

 

 

 

 

 「キャアアアアアアアア!!」

 

 

 

 

 

 

 「みやび、どうした!!」

 橘はそう言ってみやびのいた場所に向かうとそこには既に透流がそこにいた。

 みやびは透流の背中でガタガタと震えていた。

 「みやび!何かあったのか!?」

 「トール、何かありましたか・・・・・!!」

 橘はみやびに付き添うとユリエは透流の見ているところを見て絶句した。

 そして橘も灯りをみやびが見た場所に向けてみたものは・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 「・・・じ・・・・人骨・・・だと・・・・!!」

 

 

 

 

 幾つもある人の・・・ネズミが噛みついている骨であった。

 そして透流は頭蓋骨を取るとそれを頭にくっつけさせてこう言った。

 「・・・ゴメンな。痛かったろ・・・直ぐに地上に出してやるからな。」

 橘はあまりの光景に口を手で塞ぐ以外に方法がなかった。

 




 そして魂はやっと地上に還る。


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協力関係は難しい。

 ちょっと無理やり感がるように見えるが第1章はこれで終わり。


「はい、そうです。ええ、ええ、骸は大体10体ほど。後で学園の生徒簿から

調べる・・・ああ、はい。・・・すいません。」

 透流はそう言いながら携帯で誰かと外で話している。

 如何やらこういう事に関しての報告なのだろうと思っているが現在は・・・。

 

 

 

 

 

 「ウいぇええええええええ・・・・・・。」

 

 

 

 

 みやびが森で吐いているのを聞かなければならない。

 何せ初めての人骨、然も中には未だ死肉が付いていた物が混じっていたため

その匂いでみやびは吐いているのだ。

 そして三國先生はその骸を見てこう言った。

 

 

 

 

 「誰かはわかりませんが恐らくは去年辞めた生徒が何人かいるはずです。」

 少し調査しますのでと言ってそこから立ち去った。

 九十九理事長は骸の骨を全員分1本ずつ失敬して遺伝子情報から特定すると言ってその場から立ち去って現在残っているのは透流、ユリエ、橘、みやびだけである。

 そして暫くして吐く声が収まったので透流はみやびに向けてこう聞いた。

 「大丈夫か?みやび。」

 そう聞くとみやびは弱弱しくこう言った。

 「う・・・うん。・・・けど暫くはお肉は遠慮しとく。」

 「そりゃあそうだろうな。」

 透流はそれを聞いてそう言った。

 現に実地演習の時でさえ自身も吐いた経験があるからだ。

 そして取り合えずは現場保存という意味で今日の所はここまでという事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして次の日。

 ゴールデンウイークという事もあって生徒全員は未だ就寝、又は

外出しているのだがこの日透流は九十九理事長と三國先生、月見先生、ユリエ、橘、みやびと共に学園にある港に来ていた。

 その目的は・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それで九重 透流。昨日話したそれについてですが。」

 九十九理事長はそう言いながら透流の懐にあると思われる『核鉄」について

聞くと透流はこう答えた。

 「まあ、待って下さい。もう直ぐ来ますから。」

 そう言って暫くして・・・港のすぐ近くの海面が盛り上がった。

 そこから出てきたのは・・・・鋼色の潜水艦であった。

 そしてそこから開くと・・・キャプテン・ブラボーが出てきた。

 「よう、透流。」

 「キャプテン!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「成程な、・・・取り合えず遺骨はこっちで無縁仏として処理しておく。

向こうの話はお前も付き合ってもらうぞ。」

 「はい。」

 透流はブラボーの言葉にそう答えて九十九理事長の案内により

理事長室に向かった。

 そして着くや否やこう聞かれた。

 「それでは璃兎から聞きましたが件のバケモノと九重 透流が

保有するものについてご説明を。」

 それを聞いてブラボーはこう説明した。

 

 

 

 

 

 ①表向きは失敗とされた錬金術は成功していた事

 ②ホムンクルスは遺伝技術から生まれた疑似生命体で人を食す。

 ③それに対抗するために作られたのが「核鉄」で合計して100個ある事。

 ④自身たちはそれらの駆逐と後処理、調査を目的とする組織「錬金戦団」に

所属すること。

 

 

 

 

 

 「そして透流はドーン機関で行われている実験にホムンクルスが

絡んでいないのかを調査していたが如何やらそちら方の先生にホムンクルスが

いたことから黒幕がいる可能性が浮上した次第です。」

 ブラボーはそう言って一息付くがユリエ達は未だ信じられなかった。

 錬金術による遺伝子実験で生まれたホムンクルスだけでも驚いているのに

「核鉄」という超常的な物質迄ある事に頭が追い付いていないからだ。

 そしてブラボーはこう続けた。

 「俺達はその黒幕を突き止めて叩き潰す。研究資料も何もかも破壊してね。」

 そう言うと九十九理事長はこう聞いた。

 「それでは《核鉄》についてですがあれは適正は要りますか?」

 そう聞くとブラボーはこう答えた。

 「いや、あれは人間の中にある闘争本能を武器として顕現する奴だ。

やりようによっては誰でも使える。」

 「「「「「「!!!!!!」」」」」

 それを聞いて誰もが驚いた。

 詰まるところ誰でも使えるとなるとそれは《ルキフル》よりも高い汎用性を

持っていることになるからだ。

 そして九十九理事長はブラボーに向けてこう提案した。

 「良いでしょう。そちらの任務が終了するまで九重 透流については

今まで通りの対応で良いでしょう。」

 「ですが・・・条件があります。」

 そして九十九理事長はこう続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そちらが保有する《核鉄》の技術と我々が保有する《ルキフル》の技術提携をご希望いたしますわ。」

 「「・・・・・」」

 「理事長、それは」

 透流とブラボーはそれを聞いて三國先生が何か言いたそうであったが九十九理事長に止められて九十九理事長はこう続けた。

 「私は《アブソリュート・デュオ》に至ることが出来るのであれば

どのような手段も厭いません。」

 「例えそれで死人が出ようが何があろうが・・・

私はそれを成し遂げなければいけないのです。」

 九十九理事長は確固たる思いでそう言うとブラボーはこう言った。

 「はあ・・・正直技術提携は上層部に掛け合ってみますが期待しないで欲しい」

 「構いませんわ。出来なかったら出来なかったなりに

今後の九重 透流が使用する「核鉄」のデータを取って出も実行いたしますわ。」

 寧ろなければこちらで作るしかありませんしねと言った。

 そして当面は協力関係でという事で話が決まるとブラボーは透流に向けて

こう言った。

 「ああ、そうだ。透流。」

 「はい?」

 「あいつ・・・****がこっちに転入するからよろしくな。」

 「・・・・・ゑ?」

 透流はそれを聞いて裏声になるがブラボーはこう続けた。

 「それじゃあ後は頼むぞ。」

 そう言ってブラボーは潜水艦に乗って去っていった。

 それを呆然と見送る透流は天に向かってこう呟いた。

 「・・・マジかよ。」




 次回へと続く。


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新たな・・・仲間?

 第2巻スタート。


東京にある飛行場。

 そこには・・・例の服を着たキャプテン・ブラボーがそこに立っていた。

 正直な話滅茶苦茶目立つが朝早い為誰もいないので目立っていないのだ。

 そんな中でキャプテン・ブラボーは人を待っていた。

 その人物とは・・・。

 「来たカ・・・。」

 そう言って目の前に来たのは・・・黄金色の長髪の少女であった。

 そして少女はキャプテン・ブラボーに向けてこう言った。

 「お久しぶりです。キャプテン・ブラボー。」

 「久しぶりだな、・・・戦士《リーリス=ブリストル》。」

 お互いそう言うとキャプテン・ブラボーは荷物を持って歩きながらこう聞いた。

 「イギリスにある《フォレン聖学園》じゃあ収穫あったか?」

 そう聞くと《リーリス=ブリストル》はこう答えた。

 「全然ですね。精々あるとするならば《ホムンクルス》の生成所が幾つかあった

ぐらいです。」

 リーリス=ブリストルはそう答えるとある物を受け取った。

 それは・・・。

 「転学届・・・やはりあそこが・・・?」

 「まだわからない。正直な話あの理事長は実際にあったが何かを隠しているようだった。」

 「・・・《核鉄》を作る気かもしれませんね。」

 リーリス=ブリストルはキャプテン・ブラボーに向けてそう聞くと

キャプテン・ブラボーはこう続けた。

 「それは・・・いや、《ルキフル》を作るほどだ。それの大元になる物を

持っていると仮定するなら・・・。」

 キャプテン・ブラボーはそう言って考えるとリーリス=ブリストルに向けて

こう言った。

 「それでは戦士《リーリス=ブリストル》に命令を下す。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「貴官は今日0900を持って晃陵学園に戦士《九重 透流》と組んで任務に

当たれたし。」

 「拝命、確かに承りました。」

 リーリス=ブリストルはそう言うとキャプテン・ブラボーはこう言った。

 「それじゃあそこまで送ってってやる。」

 そう言ってお互いは車に乗り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、晃陵学園では・・・・。

 

 

 

 

 

 がきぃいイイイイイんと金属同士がぶつかり合う音が聞こえた。

 場所は同学園にある森の中。

 その中で・・・・透流達が特訓をしていた。

 その特訓を三國先生が見ていた。

 月見先生はこれ見せると暴走しそうですからと言って自分が

見ることとなったのだ。

 ・・・朝早くからスミマセン。

 透流はそう思いながら・・・ユリエ、みやび、橘達の《ブレイズ》相手に自身は武装錬金で相手していた。

 無論《ブレイズ》が主で武装錬金はサブなのだが透流は何時もの調子で

3人相手に戦っていた。

 勿論最初は特に橘が難色を見せていたが三國先生曰く・・・・。

 

 

 

 

 

 

 「大丈夫です。九重 透流君の方が貴方方よりも強いですから。」

 そう言って3人がかりでの戦闘となった。

 

 

 

 

 

 「(確かに強いな!《新刃戦》でも思ったが九重の戦い方は

これで完全体なんだ!!)」

 橘はそう思いながら鉄鎖を操っておるがそれを透流は楯で弾いてから

《フォース・セイバー》を槍に形状を変えて絡み取った。

 「しまった!!」

 橘はヤバいと思っているとそれをユリエが後ろから透流目掛けて

斬りかかるも・・・透流はそれを勘づき、《フォース・セイバー》を

トンファー型に戻して弾いた。

 きぃいイイイイインと音が鳴ってお互いが離れあった。

 そして・・・・。

 「イヤアアアアアアア!」

 みやびは大声を上げながら突撃していくもそれを・・・透流は

《フォース・セイバー》を地面に向けて能力を発動したその時に・・・

それが起きた。

 「「「!!!」」」

 ズガアアアアアアンという音と共に攻撃が・・・止まったのだ。

 よく見るとみやびのランスの中心部分に黒い・・・何かが攻撃を妨げたのだ。

 そしてみやびが退くと透流はこう説明した。

 「武装錬金は武器の形だけじゃなく、能力も違うんだ。」

 「・・・能力ですか」

 ユリエはそれを聞いてそう言うと透流はこう続けた。

 「因みに俺のは磁力操作で近くならば弾いて遠くなら引き付け合うって言う

能力だな。」

 透流がそう言うのを聞いて橘は成程と答えた。

 先ほどのは砂鉄でありそれで攻撃を止めたのだと推察した。

 

 

 

 

 

 

 

 そして数分後。

 

 

 

 

 

 「それでは私は今日の事を理事長に報告しますので。」

 それではと言って三國先生は立ち去って行った。

 側には未だぴんぴんしている透流と・・・。

 「「「・・・・・・」」」

 ボロボロになったユリエ達がそこにいた。

 何せ攻撃が一つも通らないのだ。

 無理もない。

 「強いですね、トール。」

 ユリエはそう言いながらスポーツドリンクを飲んでいると橘達もこう続けた。

 「確かにな、然し錬金戦団とはこのような貴様みたいなのが一杯おるのか?」

 「・・・凄いねえ・・・。」

 そう言うと透流はこう答えた

 「いや、俺なんてまだまだ下っ端だし今回が初任務だったんだ。」

 そう言うと橘はこう言った。

 「それでは・・・あの死体もか?」

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「ああ・・・実地演習の時に1回見たぐらいだな。」

 あの時は吐いたよとそう言った。

 それでも1回で慣れるなんてありえないとそう思っているとみやびが

こう聞いた。

 「もしかしてだけど・・・・前に見たの?」

 あれをと聞くと透流はこう答えた。

 「ああ・・・1回な。」

 そう言って少し暗く答えた。

 それを見てみやびは御免とそいうと透流はこう言った。

 「それじゃあこれからも同じように実戦型にするから宜しくな。」

 透流がそう言うと全員も頷いた。

 そして全員は食堂に向かう事にした。




 次回へ続く。


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転校生来る!

 転校生は・・・新たなる仲間。


あの後透流達は朝食を食べるために学食堂に向かうが橘は皆を起こしてくると

言って一度寮に戻って行った。

 そして3人が朝食を摂った後にキャプテン・ブラボーからメールが届いたので

見てみると・・・。

 こう言う内容であった。

 

 

 

 

 

 『お前の友達のトラって奴が無理やり退院しそうになっていたから婦長が

失神させて病室に戻したそうだ。』

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・何やってんだ、トラ?」

 透流はそれを見てそう言うしかなかった。

 《イクシード》でも骨折数か所、全身裂傷と打撲で1か月

(尚常人ならば数か月)の大けがをして尚も退院しようとしているとは

何してるんだと思いたい。

 然も今いるのは錬金戦団が運営する病院で本来ならば晃陵学園が運営している

病院なのだがホムンクルスを目撃していることで周りに

聞かれない様にしているのだ。

 だが流石に透流の武装錬金やホムンクルスを目撃してしまったため

ゴールデンウイーク中に透流がお見舞いにやってきて全てを話したのだ。

 ・・・妹でもある音羽と家族の死の真相も全て話して・・・。

 「あの時は凄く怒ってたなあ。」

 透流はあの時の事とトラの言葉を思い出した。

 

 

 

 

 

 

 『ナゼ僕に何も言わなかった!!』

 『言ったら言ったでお前もこっちに来てただろうが‼!』

 『親友が危険な場所に向かっているのに黙って見てろってか!?』

 『お前に何かあったら親父さんたちが泣くだろうが‼!』

 『お前だって祖父母たちを泣かすところじゃないか!!』

 『爺さんたちだってそう長い間生きていないし俺は死ぬ気はない!!』

 

 

 

 

 

 

 「あの時騒ぎを聞いた婦長さんから殴り飛ばされたなあ。」

 今もあの拳骨は痛いなと頭を撫でていた。

 取り合えずは一応お互い謝った後トラは退出する透流に対して・・・

窓に顔を向けてこう言った。

 

 

 

 

 

 『死ぬなよ。』

 

 

 

 

 

 

 「ああ、絶対に死なねえさ。」

 透流はその言葉を思い出してそう言った。

 そして暫くして・・・月見先生が出てきた。

 「おっはよーん♡」

 「ゴールデンウイーク中は楽しかったー?まさかとは思うけど遊びすぎて課題をやってこなかったいけない子はいないよねー?いるんだったらすぐに手を

あげなさーい♡」

 そう言っていると月見先生は全員に向けてこう言った。

 「今日は何と何と転入生を紹介しちゃうよー♪」

 それを聞いて全員がガヤガヤと喚いている中で透流は・・・嫌な顔をしていた。

 何せ前もって言われてるからだ・・・・。

 「まさか・・・・。」

 「?」

 ユリエは透流の言葉を聞いて何だろうと思っていると引き戸が開いて

現れたのは・・・。

 金髪でスタイル抜群の美少女なのだ。

 全員が息を呑む中で少女は自己紹介をした。

 

 

 

 

 

 

 「初めまして、『フォレン聖学園』から転入してきた

『リーリス=ブリストル』です。これからみんなよろしくね♡」

 そう言ってウインクすると男性陣(透流はのけて)全員が顔を赤くしているとリーリス=ブリストルは透流を見るや否や・・・こう言った。

 「ハアイ、透流。久しぶりね♡」

 それを聞いて男性陣の殆どが透流に対して・・・ぎろりと殺気をぶつけてきた。

 「・・・・・マジかよ。」 

 透流はこの状況に味方0だと悟ってしまった。

 すると月見先生はそれを聞いてこう言った。

 「おやおや、もしかしたら二人は知り合いかなあ~~♪」

 「それだったら君は《異能(イレギュラー)》のお隣さんねえ♡」

 そう言うとリーリス=ブリストルは席に着くと透流に対してこう言った。

 「それじゃあ・・・また一緒によろしくね。」

 そう言いながらウインクしてきたときにユリエが立ちふさがるように

こう言った。

 「トールが困っています。止めてください。」

 そう言うとリス=ブリストルはユリエを見てこう聞いた。

 「貴方は?」

 「ヤー、ユリエ=シグドゥ―ナです。透流の《デュオ》です。」

 そう言いながらリーリス=ブリストルを睨むとリーリス=ブリストルは

ユリエを・・・キラキラと言うかの様な瞳でユリエを抱きしめてこう言った。

 「可愛いーー♡」

 「ヤー?」

 ユリエはリーリス=ブリストルにいきなり抱き着かれて困惑しているが

リーリス=ブリストルはユリエを頬ずりしながらこう言った。

 「ねえ、透流!この子私達の養子として引き取りましょう!!」

 「何でだよ!!」

 透流はそれを聞いてツッコミを入れるがそれを聞いた生徒たちがひそひそとだがこう囁いた。

 「え、あの二人ってそう云う仲?」

 「養子ってつまり・・・。」

 「くそう・・・何で九重ばかりが良い思いを。」

 「透流もげろ、透流もげろ。」

 何やら酷い言葉が飛び交っているが橘はそれを聞いて透流に向けてこう言った。

 「九重!貴様は既に・・・まさか既に男女の契りを・・・・

九重の不埒物---!!」

 「誤解だアアアアアアアア!!」

 透流はそれを聞いて大声で否定するが誰かの一言が・・・更に火に油を注いだ。

 「そう言えば九重君って橘さんの胸と尻を鷲掴みしてたよね?」

 「・・・・・へえ・・・?」

 リーリス=ブリストルはそれを聞いて・・・ハイライト無しの瞳で透流に

睨みつけた。

 「ヒィイイイイイイイイイ!!」

 「透流、どういう事かしら?説明を要求するわ??」

 「待てリーリス!それは事故であって故意では」

 「へえ・・・故意じゃないのに胸と尻を触るのが当たり前何て・・・・そんなの信じられるわけないでしょうがーーーーー!!」

 「ですよねええええええ!!」

 透流の言葉を最後に大乱闘に発展したのは・・・まあ、言うまでもない。




 透流・・・流石に事故で胸と尻を触るって・・・無いぜ?
 透流「アンタが言うかアアアアアアアア!!!」


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リーリスとの話

 ここからはリーリスが主役です。


あの後直ぐに透流は男子連中からリーリスの事についてどういう関係なのかを

聞かれまくるも透流はそれをはぐらしていた。

 そして昼食時には殆どの男子学生がリーリスを見て見惚れている中で透流は

ユリエ達に自己紹介した(ユリエはリーリスの膝に座らされていた。)。

 「ええとな・・・俺と同じ・・・まあ、そういう所だ。」

 それを聞くとユリエはリーリスに向けてこう聞いた。

 「ヤー、となれば透流と同じ錬金」

 「はい、そこから先はオフレコね。」

 リーリスはユリエの口を両手で塞いだ後に透流を睨んでこう言った。

 「透流・・・貴方。」

 「はい・・・申し訳ありません。」

 透流はリーリスの目を見て縮こまってしまった。

 するとリーリスは橘とみやびに見えるか見えない程度に核鉄を見せてこう言った。

 「初めまして、透流の仲間で補充として転入したリーリス=ブリストルよ。」

 宜しくねとそう言うとみやびはこう聞いた。

 「けどどうしてこの学校に?フォレン聖学園ってうちと

あまり変わらないでしょ?」

 そう聞くとリーリスはこう言った。

 「簡単よ。向こうでの調査が終わってこっちにお鉢が回ったのよ。」

 「透流の調査でもあるホムンクルス関係は創造主を見つけない限り

終わらないんだから。」

 そう言いながらリーリスは紅茶を飲んでいた。

 そして紅茶を飲み干すとこう続けた。

 「それに、学園側からオファーを貰ったのよ。」

 「あたしも透流と同じ《異能(イレギュラー)》だからね。」

 「「「!!!」」」

 それを聞いて3人は驚いていた。

 透流と同じとなると彼女の武器は一体どんな武器なのか予測がつかないからだ。

 するとリーリスが透流達に向けてこう言った。

 「あ、それとアタシこう見えてもレベルⅡだから皆よりも強いわよ♪」

 「「「「・・・・・えええええええええええ!!!!」」」」

 それを聞いて本当の意味で4人は驚いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「と言う訳で、事前に説明したと思うけど、コイン10枚以上を獲得して

無敗だった子達は特別賞与として《昇華の儀》を受けれることが

決まりました―――♡」

 パチパチパチと月見先生はそう言って拍手してこう続けた。

 「ええとね、受けれるのは3組。」

 ①透流、ユリエ組

 ②橘、みやび組

 ③トラ、タツ組。

 「以上だよ!今言われた人達は土曜日に受けるから遅刻しないでねええええ。」

 月見先生はそう言ってホームルームを終わらせた。

 

 

 

 

 

 

 そして部屋に戻ると・・・・。

 「あ、お帰りー、透流、ユリエ♡」

 「・・・何でここにいるんだ?」

 リーリスがのほほんとそこにいた。

 そして透流の言葉を聞いてリーリスはこう返した。

 「あ、簡単よ。部屋がないから今日からここに住むことになったのよ。」

 「いや、訳わからねえよ!って言うか何でここ!?俺とユリエで手一杯

何だぞ!」 

 透流がそう言うとリーリスがこう続けた。

 「仕方がないでしょ?アタシ《デュオ》がいないし貴方と一緒の方が

都合が良いって九十九理事長がおっしゃったんだから。」

 「犯人はあの子供理事長か!って言うかお前が戦団にいるっていう事は

知っていても何で!!」

 「《異能(イレギュラー)》同士で《デュオ》組んでデータ取りが

目的なんじゃない?」

 リーリスはそう言うとああもうと透流は思っていた。

 ただでさえユリエだけで困惑しているのにここに来てリーリスも加わるって

どういう罰ゲームだよとそう思いたいがリーリスはこう続けた。

 「あ、それとここじゃ狭いから土曜日頃に三人部屋に改装した部屋に移るから

それまで待つようにだそうよ。」

 そう言うとマジかと思っていると気になるワードを見つけた。

 それは・・・。

 「なあ、リーリス。《デュオ》がいないってどういう事だ?」

 そう聞くとリーリスはこう返した。

 「ああ、簡単よ。アタシの《デュオ》がホムンクルスの一体でアタシが生成所に近づいたから消されそうなところをぶっ飛ばしてやっただけよ。」

 そう言って透流はあ、そうと答えた。

 するとユリエは透流に向けてこう聞いた。

 「トール、お聞きしたいことがあるんですが?」

 「何だ?ユリエ」

 透流はなあんだろうと思っているとユリエはこう聞いた。

 「リーリスはトールの同僚だと聞きますがお二人は如何やって

出会ったんですか?」

 そう聞いたのだ。

 恐らくは透流もリーリスも同じ理由だろうかは察知できるが一体なぜだと聞くとリーリスはこう答えた。

 「そうね、透流にはもう教えたけどユリエちゃんも錬金戦団の事は聞いてるし

何時かは分かっちゃうんだから今更良いか。」

 そう言うとリーリスはある事を思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 燃え上がる我が家。

 

 

 

 倒れ捕食される人たち。

 

 

 

 

 そして・・・血に染まった家族と・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「大丈夫か?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 セーラー服を着た・・・太ももに武器を取り付けていた・・・・・。

 

 

 

 

 

 蒼髪の鼻に傷を持った眼光の鋭い少女を。・・・・




 次回の主役はリーリスの過去語り。


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リーリスの過去語り前編

 長くなるので前後編に分けます。


「あの当時私の家・・・ブリストル家は代々から続く貴族の家でね、

父はドーン機関の幹部だったの。結構裕福な家で育っていてね、私自身も

お嬢様だったから何と言うか・・・その・・・ね。」

 「?」

 ユリエはリーリスの言葉を聞いて何だと思っていると透流がこう言った。

 「高飛車だったんだよ。」

 「ちょっと透流!それ言わないでよ!!」

 リーリスはそれを聞いて頬を膨らませながらそう言うとリーリスはこう続けた。

 「まあ、そういう事があってね。私はお嬢様学校に通ってたの。

それで私が14の時にアジア人のメイドさんが来たの。」

 話はそこからねとリーリスは当時の事を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 2年前。

 リーリスの家はお金持ちであり父親は幹部だったことから裕福な生活で美しい庭と優しい家族と執事やメイド達がいて楽しく暮らしていた。

 ある日、リーリスが学校に戻ると・・・見慣れない人間がそこにいた。

 年齢は自身と同じ程度かどうか分からないが青い髪の女性で鼻の頭に傷が

刻まれていた。』リーリスは彼女を見てこう言った。

 『ええと・・・ハロー、貴方は新しいメイドさん?』

 英語でそう聞くと彼女も・・英語でこう返した。

 『お初めましてお嬢様、私本日よりメイドとして働くこととなりました

『トキコ・ツムラ』です。」

 よろしくおねがいいたしますとリーリスに向けてそう言うとリーリスは

こう返した。

 『こちらこそ、宜しくね・・・貴方って幾つ?』

 そう聞くとトキコはこう返した。

 『現在16歳です。』

 『え、嘘!アタシと同い年かなと思っちゃった。』

 アジア人って見た目よりも年が上の人が多いって本当なのねとそう言った。

 するとリーリスはトキコに向けてこう聞いた。

 『ねえ・・・聞きたいことがあるんだけど良いかしら?』

 『何でございましょう?』

 そう聞くとリーリスはこう答えた。

 『デスニューランドって行ったことある!?』

 『・・・ハイ?』

 

 

 

 

 

 

 「普通初めて日本人に聞く言葉がそれなのかって俺斗貴子さんに聞いたときは

目を丸くしたぜ。」

 「・・・良いじゃん、デスニューランド行ったことないし。」

 透流があははははははと笑うのを聞いてリーリスは頬を膨らませていた。

 するとユリエが透流に向けてこう聞いた。

 「ヤー、トール。聞きたいのですが。」

 「?」

 「デスニューランドとは一体何なんですか?」

 ユリエは透流に向けてそう聞くと透流はこう答えた。

 「ああ、アメリカが発祥のアミューズメントパークだよ。今度皆で一緒に

行くか?」

 そう聞くとユリエとリーリス(特にリーリスは目をキラキラと輝いていた)は揃ってこう聞いた。

 「(ヤー、)約束ヨ!!(です。)」

 「あ・・・アア。」

 透流はリーリスの反応に困っているがリーリスは・・・。

 「んんんんん!!それじゃあ少し脱線したけど続きに入るわよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからと言う物同い年があまりいないことも相まって気軽に話すことが出来る仲となりそれは『サラ』という執事の孫娘である女性も含まれていた。

 楽しい日々を過ごしていたがある日の事・・・それは起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それはいつも通りの帰りであった。

 運転手とトキコが迎えに来て家に帰ると・・・。

 『何・・・これ…。』

 家が燃え盛っていたのだ。

 『パパ、ママ‼!』

 リーリスはその光景を見て父親と母親を探そうと庭に入るとそこは・・・

地獄絵図であった。

 『ヒィ‼!』

 そこにはメイドや執事たち・・・であった死体があった。

 何かに食べられて体の一部や半分が無かったりと様々であった。

 するとトキコがリーリスの前に立ってこう言った。

 『お嬢様!ここはお下がりに‼!』

 そう言ってトキコは裾の長いメイド服を破ってミニスカートと

同じくらいにするとすぐさまに火の中に飛び込んでいった。

 『トキコ‼!』

 リーリスはトキコに続くかのように火の中に飛び込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 その中もまた地獄絵図であった。

 中には血だまりしかないものもあり一体何があったんだと思っていると・・・

声が聞こえた。

 

 

 『!!!!!!!!』

 『‥…!!!』

 『パパ、ママ‼!』

 リーリスはその声を聴いて二人がいるであろう部屋に入ると

そこで目にしたのは・・・。

 

 

 

 

 

 『へ…?』

 体の下半身が無くなった父親と・・・。

 今この瞬間にも食べられている母親だった・・・死体があった。

 

 

 

 

 

 『ィ・・・・イ・・・・イヤアアアアアアアア(*´Д`*)‼!』

 リーリスはそれを見て絶叫すると母親を食べていた・・・・鋼色のワニが

リーリスを見てこう言った。

 『これはこれはリーリスじゃあないか?』

 『!!・・・貴方は!?』

 『そう、私だよ。君の・・・婚約者。』

 『ルディアス・・・・!!』

 リーリスはそう言って・・・ルディアスと名乗るワニに目を向けると口から・・顔が現れた。

 リーリスよりも3周りも年上の男性であった。

 するとルディアスというワニがリーリスに向けてこう言った。

 『ああ・・・美しいんだ。その美しさを今日私は手に入るんだ。』

 そう言うとリーリスに向けてこう言った。

 『さあ、おいでリーリス。私の下に来なさい。』

 そう言うとリーリスはこう答えた。

 『断るわ!貴方は私の婚約者じゃないし貴方が一方的に

決めただけでしょう!?』

 そう言った。

 このルディアスと言う男は貴族であるがドーン機関の幹部である

リーリスの父親の役職だけでリーリスに近づいたのだ。

 そして向こうから一方的に結婚を宣言させられたのだ。

 だがその後に自身が経営する精密機械製造会社で不正競争防止法違反に

抵触したため彼の地位と名誉はそこで終わったはずなのだ。

 するとルディアスはこう言った。

 『何を言うんだい?私は君の全てに惚れたのさ。その体も、顔も、気品も、私が求めてやまないモノなのだから。』

 『アンタみたいな最低な人の女に誰がなるものですか!!』

 そう言うとルディアスはリーリスに向けて・・・激しい口調でこう言った。

 『ふざけるな!!』

 『!!』

 『お前も私を小馬鹿にするのか!私の容姿が・・・醜いからか!?』

 そう言ってリーリスはルディアスの容姿を思い出していた。

 禿げ頭で背が低く、小太りであった。

 とてもではないがリーリスと比べると「月と鼈」レベルである。

 そしてルディアスはこう続けた。

 『私はお前の父と何度も嫁に下さいと言っても聞かないどころか

こう言われたんだ!!』

 

 

 

 

 

 《貴様みたいな悪党に娘をやれん≫

 『と、言いおったのだぞ!!富も名声もあったこの私をだぞ!!』

 そう言うとルディアスはリーリスに向けてこう言った。

 『だが私はこの力を手に入れた!先ほどいた《ブレイザー》も私の体に

傷一つ付けられずに私の胃に納めてやったわ!!』

 『そして私はこう言ってやったのだよ!!《リーリスを嫁にするなら

貴様らを生かしてやってもいい》』

 『そう言ってもあいつ等は首を縦に振らなかったのだぞ!!』

 『だからって・・・パパとママを殺す理由になるの!?』

 『ああそうだ!!殺すに十分だ!!父親は私に向けて銃を向けたから

初めに食い殺した!!』

 『そして今、お前の母親も喰ってやった!!』

 『だが・・・お前が私に付いてくるならばお前は殺さないで』

 そう言いかけると・・・ルディアスの体に何かが当たった。

 それは・・・・。

 『何の真似だ?』

 『アンタを・・・殺すためヨ』

 リーリスが持っている銃がルディアスの額に当たったのだが

それが跳ね返った音である。

 そしてリーリスはこう続けた。

 『アタシはアンタみたいな男と一緒にならない!!』

 『結婚するくらいなら殺された方がよっぽどましよ!!』

 そう言いながら銃を乱射するが・・・全然効かなかった。

 するとルディアスがリーリスに向けてこう言った。

 『それならばしょうがない‥‥。』

 『・・・お前を喰い殺してやる!!』

 そう言うと顔を口の中に入れ直して飛び掛かった。

 『!!』

 リーリスはさっと避けてもう一度撃とうとすると・・・。

 『ジャム‼!』

 弾丸が詰まったのだ。

 そして巨大な口がリーリスに襲い掛かって・・・その寸前にルディアスは

こう言った。

 『大丈夫だリーリス。君は丸のみにしてから殺すからね。』

 そう言ってリーリスが食べられる寸前に・・・天井が崩れて

ルディアスの体を・・・何かが貫いた。

 『ぎゃあアアアアアアアア‼!』

 ルディアスは初めて感じる痛みに絶叫すると上にいた人間を見て・・・

リーリスはこう呟いた。

 『・・・トキコ?』

 

 

 

 

 そう、今いるのは・・・セーラー服を着た斗貴子であった。

 そして斗貴子は英語でこう言った。

 『貴様がホムンクルスの創造主らしき人間と何かしらの関係があることは

既に掴んでいた。』

 『!!!』

 『だから初めは家族を守るためにボディーガードとして雇ってもらう

手はずだったんだが両親からの希望で、メイドになっていてな。』

 まあ家族の希望なんだろうなとそう言うと斗貴子は脹脛に付いている・・・

鎌みたいな武器がぎちぎちと音をたてながらこう言った。

 『まあ、貴様みたいな奴らに対しては個人的な恨みもあるし

貴様にこう言っておく。』

 そして斗貴子はルディアスに向けてこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 『腸をぶちまけろ!!』

 

 

 

 

 

 

 そう言って鎌がルディアスの体を・・・バラバラに砕いた。

 するとその近くに・・・ルディアスの頭が出てきた。

 

 

 

 

 『ヒィイイイイイイイイイ・・・ヒィ‥‥。』

 ルディアスは息も絶え絶えで何とか脱出しようとするも・・・斗貴子が

ルディアスの頭を突き刺してこう言った。

 『貴様は逃さん。』

 『ホムンクルスは一体たりとも逃さん。』

 そう言いながらルディアスの頭からギリギリと音が聞こえた。

 『た、助けて!リーリス!!助けてくれ!!』

 ルディアスは泣き顔でそう言うが斗貴子はルディアスに対してこう言った。

 『貴様が殺してきた人たちも同じ事を言ってたはずだが貴様は何をした?』

 『!!!』

 ルディアスはそれを聞いて目を見開くくと斗貴子はルディアスに対して

大声でこう言った。

 

 

 

 

 

 『命乞いは地獄の悪魔に対して行うべきだったな!!』

 そう言いながらルディアスはバラバラに砕かれて・・・消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「その後私は斗貴子さんに助けられて病院に送られた後に家族の死は

ルディアスが起こした毒ガス事件として処理されてたわ。」

 そう言いながらリーリスは外を見るともう夜になっていたのに気が付いた。

 そしてユリエに向けてこう言った。

 「このお話の続きは晩御飯の後でね。」

 そう言ってリーリスは一端区切りが当のユリエの顔は・・・悲しそうな顔に

なっていた。

 透流はそれに対して何も言えなかった。




 次回に続く。


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リーリスの過去語り後編①

 やっと後編に入るが・・・①です。


透流とユリエ、リーリスが学食堂の来ると生徒全員がリーリスを見ていた。

 因みに三人の夕食はこれ。

 ①鮭のホイル焼き。

 ②チキンサラダ

 ③牛肉の生姜焼き

 三人がそれを食事する中で橘達がリーリス達を見つけるとユリエの表情に

何かを感じたのみやびが透流の耳元でこう聞いた。

 「ねえ、透流君。ユリエちゃんどうしたの?」

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「まあ、ちょっとな。」

 そう言って食事した後に部屋に戻って透流がアップルティーを作っている中で

コンコンとノックする音が聞こえた。

 「はああい。」

 透流は誰だろうと思っていると扉を開けた先にいたのは・・・。

 「あれ?橘にみやび。どうしたんだ?」

 そう聞くとみやびはこう答えた。

 「う、うん。ユリエちゃんの事が気になってね。巴ちゃんと一緒に来たんだ。」

 「うむ、みやびがここまで心配しているからな。私も来たんだ。」

 すると透流は二人に向けてこう言った。

 「それじゃあ少し待ってくれないか?アップルティーをもう2つ

作っておくから。」

 「!!ええ、良いよ透流君」

 みやびがそう言うと透流はこう答えた。

 「大丈夫だよ。二つも三つも同じなんだからな。」

 そう言って二人を部屋に案内させてアップルティーを出すとリーリスは

ユリエに向けてこう言った。

 「それじゃあ続きだったわね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「私の家族が殺されて錬金戦団に一時保護された日から・・・

数日経った時ね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2年前・・・。

 

 

 

 

 

 

 リーリスは錬金戦団の一時避難場所として保有している家に滞在していた。

 学校については既に話を付けて当面の間は欠席することになっている。

 斗貴子は戦団に今回の報告をしてリーリスのいる部屋に入った。

 そこにいたのは・・・あの天真爛漫と言ったリーリスは何処にもなかった。

 両親の死を目にして目は紅く腫れ、憔悴しきっていた。

 するとリーリスは斗貴子に向けてこう聞いた。

 『ねえ、トキコ。聞きたいんだけど』

 『何だ?』

 『・・・あのバケモノって何?』

 『アナタハイッタイ・・・誰?』

 リーリスはそう聞くと斗貴子はこう答えた。

 『あれはホムンクルス。人を喰らう錬金術から生まれたバケモノだ。』

 『・・・ホムンクルス』

 そして斗貴子は自身が保有する核鉄こそがホムンクルスに対抗できる唯一の

武器である事も伝えると斗貴子はリーリスに向けてこう言った。

 『私も幼い時に両親・・・いや、全てをホムンクルスに奪われた。』

 『え?』

 『私もそれなりの家系の娘でな。ちやほやされていたがアイツらが全てを

奪い去った。』

 『だからこそ奴らを滅ぼす。一匹たりとも生かすなど以ての外だ!!』

 『全てを駆逐し、これ以上の犠牲を出させん!!』

 斗貴子は力強くそう言うとリーリスはこう言った。

 『私も連れて行って。』

 『・・・』

 『私も・・・パパとママを殺す元凶を・・・殺したい!!』

 リーリスは涙ながらにそう言うと斗貴子はこう言った。

 『錬金戦団は年中人手不足だが戦士になるには狭き門だぞ。』

 『構わないわ。』

 それを聞いて斗貴子は分かったと言ってこう続けた。

 『だがここからは誰もお前を助けない。お前ひとりで潜り抜けなければ

ならん。』

 良いなと言うとリーリスに向けてこう言った。

 『来い。私達の所属する場所《錬金戦団》へ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そして私は錬金戦団で色々と学んだわ。ホムンクルスの対処法や格闘術、

学問、色々と学んだわ。」

 死に物狂いでねとそう言うとリーリスはあの時の事を話した。

 「その時だっとわね。透流に会ったの。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リーリスは日本語をすぐにマスターして暫く経ったある日、

格闘技の練習場で誰かがしているのを見た。

 よく見ると床やサンドバッグが血まみれになっていた。

 するとリーリスはそれをしている人間に向けてこう言った。

 「何してるの?」 

 「!!」

 それを聞いた・・・少年がリーリスの方に目を向けた。

 茶髪の少年で恐らく自分よりも変わらないだろうと思っているとリーリスは

少年に向けてこう言った。

 「もうそれぐらいにしたほうが良いわよ。明日はずっと座学だけれど

手が壊れたら授業所じゃないわよ。」

 そういうが少年はこう言った。

 「・・・ほっといてくれ。」

 そう言うとリーリスはこう言った。

 「まあ、良いわよ。ここで落ちちゃえば戦士になれる確率は

高くなるんだから。」

 そう言うが少年はリーリスに向けてこう言った。

 「戦士になるのは俺だ!俺は直ぐにでも力を付けなきゃあいけないんだ!!」

 「だったら尚の事体を労われってのよ!!心配する人の気になれっての!!!」

 リーリスは少年の言葉に対してそう反論すると少年はこう言って噛みついた。

 「何だよ!大きなお世話だっツウの!!この邪魔虫が!!!」

 「誰が邪魔虫よ!!この血まみれマン!!!」

 「「フン!!」」

 お互いそう言って顔を背けるがリーリスは少年に向けてこう言った。

 「さっさとと医務室にでも行けば?」

 「そのつもりだ。」

 そう言ってお互い別れた。

 これがこの二人のファーストコンタクトであった。

 暫くして・・・ある訓練が言い渡された。

 それは・・・・。

 「今日集まってくれた戦士予備軍の皆さん。本日の特訓はジャングルにテ

2人1組で行われる踏破訓練であり制限時間以内にクリアすることを条件とする。」

 試験官にそう言われてある紙を手渡された。

 それは・・・。

 「その紙に書かれている人間がいる場所にいるから組むように。」

 そう言ってカタカナでこう書かれていた。

 

 

 

 

 「ココノエ=トオルね。」

 

 

 

 

 

 

 「リーリス=ブリストル」

 

 

 

 

 

 

 

 そしてある部屋に入ると・・・・・。

 

 

 

 二人はお互いを見てこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 「「ああああああああああああ!!!!!!」」

 「「あの時の《邪魔虫》【血まみれマン】!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 これこそ運命なのかもしれない。

 




 次回の②に続く。


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リーリスの過去語り後編②

 やっと全部終わった。


 「トールとリーリスは今みたいではなかったんですね。」

 ユリエは二人に向けてそう聞くと二人とも苦笑いでこう言った。

 「お互いに切羽詰まってたしな。」

 「切羽詰まってたのは透流でしょ?私は純粋に心配しただけなんだけどね。」

 透流とリーリスはお互いにそう言った。

 するとみやびが二人に向けてこう聞いた。

 「それだったらどうしてそんなに仲良くなったの?」

 そう聞くと透流はこう返した。

 「いや、違うぞみやび。あれはこいつが一方的にだな」

 「さてと、そろそろ続き話すわね。」

 「おいマテや!!」

 透流はそう言って無視して話を進めようとするリーリスに向けてそういうが

リーリスはこう続けた。

 「あれは確か・・・・ジャングルの行軍訓練の時ね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 錬金戦団は人のいない場所で訓練を行っている。

 ジャングルもその一つであるが訓練の際に使うのは・・・・ステルス型の

オスプレイである。

 これはただ単なるオスプレイではなく光学迷彩が施されており完全に消える様になっているため傍目から見ても誰も気づかない。

 然もこれは武装錬金ではなく科学によって作られているのだから

これもまた凄い。

 そして訓練生はここから・・・飛び下ろされる。

 ちゃんとキャンプセット1式は持たせておりその訓練もしていた。

 

 

 

 然し所詮は訓練なので実際にやれば・・・酷いものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ねえさ、血まみれマン。これで良いの?」

 「誰が違う血まみれマンって・・・違う違うピンが違うっツウの!!」

 キャンプで使うピンを刺す方向を間違えてたり・・・。

 

 

 

 

 

 

 「ねえさ、お米を洗うのに洗剤ってどれ?」

 「何で食品を洗剤で洗うんだ!?」

 往年のギャグを言ったり・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 「ねえさ、火ってこれくらい焚いたほうが良いの?」

 「燃やしすぎだあああああ!!!」

 引火するぞとそう言ったり・・・。

 

 

 

 

 

 もうてんやわんやであった。

 そんな中で透流とリーリスはお互いに文句を言いあいながらも黙々と

行軍して・・・あることが起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「スコールか。」

 「何時やむのかしらね?」

 透流とリーリスはある古い大木の木の根で出来た空洞で休んでいた。

 お互いにびしょびしょでボロボロであった。

 お互いに外を見るが雨は酷く降っていた。

 そして透流は近くで拾った木の枝を燃やして暖を取る事にした。

 パチパチと火が燃える中で・・・・。

 「くしゅん!」

 リーリスがくしゃみをした。

 「おい、大丈夫か?」

 透流はそう聞くがリーリスはこう答えた。

 「煩いわ。貴方には関係のな・・・ㇸクシュ!」

 リーリス何か言いかけたがくしゃみをして中断すると透流はバッグからマットを引き出してリーリスに渡した。

 「ほら、寒いから風邪ひくぞ。」

 そう言うとリーリスは小さい声でこう言った。

 「あ・・・ありがとう。」

 リーリスはそう言ってマットを受け取って体に巻いた。

 そして暫くすると・・・。

 

 

 「ハックション!!」

 

 

 

 今度は透流がくしゃみをした。

 するとリーリスは・・・鼻から鼻水が出ている透流を見て笑いながら

こう言った。

 「何ソレ!変なのーー!!」

 あははははははと笑っていると透流は鼻の頭を掻いてこう言った。

 「うるせえ。」

 そう言うとリーリスは・・・こう聞いた。

 「ねえさ、一つ聞いて良い?」

 「?」

 「何でアンタ・・・戦団に入ったの?」

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「・・・ホムンクルスで俺は家族を失ったんだ。」

 「へえ・・・・。」

 「だから俺は敵討ちと・・・もうこれ以上俺みたいな人たちを

出さないために入団したんだ。」

 透流はそう言いながら右手を見ているとリーリスもこう言った。

 「そっか、貴方もなんだ。」

 そう言うと透流もこう聞いた。

 「貴方もかって・・・お前も?」

 「ええ、アタシもホムンクルスに家族を殺されたわ。」

 そう言うと透流はこう返した。

 「ま、錬金戦団にいる連中の大半がそれらしいけどな。」

 そう言うとリーリスはこう言った。

 「そう言えばあたし達ってあの時からあんまり話さなかったわね。」

 「?・・・そうだな。」

 リーリスの言葉を聞いて透流はそう返した。

 するとリーリスはこう言った。

 「折角だからさ。もう少し話さない?他の・・・ホムンクルスに襲われる前に

何してたとかって?」

 そう聞くと透流はこう返した。

 「んまあ・・・暇つぶしにはちょうどいいかもな。」

 そう言うとお互い昔の事を話していた。

 家の事。

 家族の話題。

 これまでの事。

 お互いに時間が許す限りに話した。

 そして夜になると透流はリーリスに向けてこう言った。

 「《九重 透流》」

 「?」

 「俺の名前だ。血まみれマンじゃなくてそう呼べよ。」

 「俺もお前の事邪魔虫なんて言わねえから。」

 透流はそう言うとリーリスもこう名乗った。

 「《リーリス=ブリストル》」

 「生まれはイギリスで元貴族よ。」

 「俺は一般人だな。」

 「「・・・・ぷふ。」」

 「「アハ( ̄∇ ̄;)ハッハッハあっは・・・・・」」

 そしてお互いに笑いながら寝たが・・・一つ難点があった。

 それは・・・。

 「何で何時も寝るときに全裸なんだ!!」

 「こうじゃないと眠れないのよ!!」

 「お前はターザンか!!」

 そう言ってお互いに寝た。(寝る時は別々)

 それからと言う物お互いに鍛え合い、研鑽を研ぎ合う仲となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そして今に至るって訳ヨ。」

 「うむ、一夜を共にして芽生えた友情という事だな。」

 リーリスの言葉を聞いて橘はそう解釈した。

 するとみやびはある事を聞いた。 

 それは・・・。

 「あれ?それだったらどうしてユリエちゃんを養子にしようって言ったの?」

 そう聞くとリーリスはしれっとこう答えた。

 「ああ、簡単よ。ああ言っておけば後後で任務終了した後に噂が出なくて

済むでしょ?」

 「逆に噂が立つわ!!」

 透流はリーリスに向けてそう言うがリーリスはこう続けた。

 「それに・・・ユリエちゃんって凄く可愛いからに決まってるでしょ~~~!」

 リーリスはそう言いながらユリエを抱きしめていた。

 正に人形の様な感じである。

 そして暫く話して橘とみやびは部屋に戻って透流達も寝ることになったが

リーリスはユリエに向けてこう言った。

 「一緒に寝ましょ♪」

 そう言ってお互いに寝た。

 これを境に透流のベッドにユリエが入る日数が減ったのは透流にとって救いだ。




 次回はレベルアップⅡに昇格してから。


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レベルアップ!!

 レベルアップしてノーコンティニューでクリアしてやるぜ!!
 透流「それ違うレベルアップだろうが!!!」


 土曜日。

 透流達は《レベルⅡ》への昇華を行った。

 首筋にジェットインジェクター(特殊噴射式注射)で体内に新たな《ルキフル》を投与するものなのだが以前とは違って《アスター》が浮かび上がって

灼け死ぬかと思うほどの熱が全身を襲うことなく終わった。

 

 

 

 

 「ふう・・・ちゃんと《レベルアップ》出来て良かったあ・・・。」

 みやびは大きくため息つきながらそう言うと透流がみやびの背中を叩いて

こう言った。

 「頑張った甲斐があって良かったな。」

 「うん。」

 透流の言葉を聞いてみやびははにかんだ。

 そして橘はそんなみやびを見て笑顔でこう言った。

 「ふふ。これで早くもここにいる全員が二年への進級条件を

満たしたこととなるな。また来年もこの顔ぶれの付き合いが続くというのは

良い事だな。」

 そう言うが透流はこう言った。

 「まあ、俺達の任務がそこまで続くかだけどな・・・。」

 「「「「「・・・・・・あ・・・・・・。」」」」」

 その言葉を聞いて全員がしまったと思っていた。

 透流とリーリスの任務は晃陵学園・・・いや、ドーン機関において暗躍する

ホムンクルスの創造主の討伐を終えれば透流達がここにいる理由は失われ、

去って行くのだ。

 そうなったらユリエの《デュオ》がいなくなってしまうのだ。

 そう思っていると少し俯いているユリエを見かけた。

 「・・・・ナイ。」

 ユリエはそう言った。

 そんな暗くなった空気を何とかしようと思い、みやびは慌ててこう言った。

 「そう言えば私達ってどのくらい強くなったのかなあ!!???」

 いきなり大声を上げてしまいあうううと言っているとユリエは

少し顔を上げてこう言った。

 「やー、そうですね。見た目が変わるなら分かりやすいのですが・・・」

 「いや、見た目が変わるってどういう所がだ?」

 透流はユリエの言葉を聞いてそう言うとユリエはこう答えた。

 「ヤー、身長とか、筋肉とかです。

 「・・・何だか皆がタツになりそうだからやめてくれ。」

 透流は一度想像して顔を青くしてそう言った。

 すると何処からか・・・聞きなれた声が聞こえた。

 「くはっ。だったらよ・・・確かめてみるか?」

 「「「「「「「!!」」」」」」」

 全員がそれを聞いたと同時に《ブレイズ》を展開し、透流は核鉄を手に持った。

 そして全員が見た視線の先にいたのは・・・月見先生であった。

 「どうしたんですか?月見先生。何だかいい事があった様な感じですね。」

 透流は少しぎこちない笑顔でそういうと月見先生は不快な笑みを浮かべて

こう言った。

 「まあな、やっと去年消えてった連中の身元が分かったからよ。書類仕事で机に齧り付かなきゃあいけなかったからな。」

 それとと月見先生は全員に向けてこう続けた。

 「それはともかく、許可なしでの《ブレイズ》の具現化は校則違反だぜ。」

 そう言うと透流はこう言い返した。

 「スミマセンね、アンタみてえな危険人物相手に《ブレイズ》を展開するなって時点で無理があるな。」

 そう言うと月見先生は透流の手にある核鉄を見てこう言った。

 「おやあ、そいつは核鉄じゃねえかよ?そいつでアタシと死合うのか?」

 望むところだぜと月見先生は《アスター》を浮かばせた。

 すると月見先生の後ろから・・・声が聞こえた。

 「ハイハイ、戦闘したかったら外でやりあったら?」

 「リーリス・・・。」

 リーリスが両手をパンパンと手のひらを叩いてこう言った。

 「月見先生、ここで戦闘するのが・・・理事長の目的なのかしら?」

 そう聞くと月見先生は舌打ちしてこう言った。

 「ちぇ、折角いい所だったのによ。まあ良いや、アタシの目的はアンタらを屋外にある格闘場に連れて行くってのが仕事だからな。」

 そう言うとついてこいと言って全員着いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 屋外格闘場は見た感じローマにあるコロッセオの如き建築様式であるのだが

《新刃戦》の際には区画外であったため入学直後の施設案内以来である。

 「ここで俺達はアンタと戦うのか?」

 透流は月見先生に向けて鋭い視線でそう聞くと月見先生はこう答えた。

 「本当はそうしてえとこだが残念違ぇよ。折角《レベルⅡ》に超化したからな。模擬演習でその力の具合を確かめてもらうぜ。」

 そう言うと月見先生はこう続けた。

 「あ、それと《ブレイズ》の使用許可を貰ってるから適当に戦っとけ。」

 そう言うと月見先生は席に向かって・・・ジャンプして席に着くとこう言った。

 「アタシは今回見張り役だからアタシの血を沸騰するような闘いを

期待してるぜ。」

 そう言って寝転がる月見先生を見て透流はこう提案した。

 「それじゃあ・・・《デュオ》同士だと一組余るしリーリスがいるから

1人余るから」

 「大丈夫よ、今日の私は只の見学者だから。」

 そう言ってリーリスは席に着くと透流はこう続けた。

 「それじゃあ1対1で試合を」

 そう言うとトラがこう言った。

 「貴様相手に1対1等勝敗が目に見えるわ、たわけ。」

 そう言うがこれしか方法が無い為仕方なくになった。

 対戦基準はこれまでの中で模擬戦などで組まなかった相手を限定した。

 ①みやび対タツ

 ②ユリエ対トラ

 ③透流対橘

 この組み合わせとなった。

 そして・・・模擬試合が始まった。




 ユリエ「トール、あの二頭身キャラは何でしょうか?」
 透流「あれは見るなユリエ。あれは只のバグキャラだ。」


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模擬試合開始!!

 試合開始のベルは・・・既に鳴った。


と言う訳でまず初めはみやび対タツ戦になった。

 残りのメンバーは邪魔にならない様に観客席に移動しながら透流は

こう思っていた。

 「(珍しい組み合わせだけどみやび大丈夫かな?男相手だと委縮しそう

なんだよなあ。)」

 そう思っていた。

 無論特訓の際にもみやびはそういう所があったので直そうと頑張っていたがこれは慣れるしかないなとそう思う。

 おまけにみやびは《レベルⅡ》になったとはいえ元々非力であった。

 それに引き換えタツの方は体力、寮力共にクラストップを誇っておりどう考えてもタツが勝つと橘以外の誰もがそう思っていた。

 そんな中で先手を出したのはみやびだった。

 「い、行くよタツ君!・・・てやああああああああ!!」

 「!!」

 《ランス》を手に地を蹴ったみやびが・・・驚くべき速さでタツの腹部に

命中した。

 そのまま格闘場の壁までぶち抜かれてその場で判定が決まった。

 「勝者はおっぱいちゃん。」

 月見先生がそう言うとみやびがこう言った。

 「お、お、お、・・・《おっぱいちゃん》じゃあありませんよー!!

それとタツ君大丈夫!?」

 みやびは月見先生に抗議しながらもタツに向かってそう聞くも全員が驚いていた。

 目にも止まらぬ・・・とまでは行かないが《レベルⅠ》時の透流と

同じくらいの速さだったのだ。

 それは見ていたユリエですら目を見開くものであった。

 するとそれを見た透流がこう呟いた。

 「みやびであれ程だと俺達はどんだけ強くなってるんだ?」

 そう言いながら手を開いたり閉じたりしていた。

 そう言うと次はユリエ対トラの戦いとなった。

 考えたらこの二人の体格は似通っているためスピード勝負になると

そう思っていた。

 スピードにおいてならば1位はユリエであるが僅差でトラも同じくらい

あるであろうが透流との特訓に置けるものかどうか分からないが

そのスピードと切れは更に昇華されていると言っても良いがトラも負けずには

いられまい。

 トラは透流よりも長く武術を学んでいるため透流が《動の攻め》と呼ぶなら

トラは《静の攻め》と言ったほうだ。

 すると橘が透流に向けてこう聞いた。

 「《フィストプラクチィス》ならば恐らく互角であろうと思うがこの試合は

どう見る?九重。」

 そう聞くと透流は間髪入れずにこう言った。

 「間違いなくユリエだろうな、トラの《ブレイズ》はどういったものなのか

分からないから何とも言えないがユリエが本気を出せば

どうなるか予測つかないよ。」

 それを聞くと橘はこう言った。

 「?それだとユリエは何時も力を御しているとしか聞こえんぞ??」

 そう言うと透流はこう返した。

 「ああ、訓練中でも思ったけどユリエって何か・・・自分の全力を出さない様にしているようにしか感じないんだよばあ。」

 訓練の時にはなと言ってこう続けた。

 「ああでも、何回かは本気な所を出してたぜ。俺との特訓の時に。」

 そう言うがそれに勝つお前もどうかと思う。

 そんな中で二人の対決に動きが起きた。

 両名とも先ほどの試合以上に速く動いていた。

 そんな中で先手を取ったのはユリエである。

 両手に握られている《セイバー》を左右から荒々しく襲い掛かるがトラは

右手にある《カタール》で一方を防御してもう片方は体を逸らして回避しているが透流との特訓における恩恵なのかどうか定かではないがその回避の間隙を・・・

徒手格闘で封じた。

 「!!」

 トラはその攻撃に驚いているが更にユリエはトラの攻撃範囲の内部に

するりと入り込んで抜刀術の応用で攻撃をした。

 二本一辺の攻撃にトラはそのまま倒れた。

 「勝者は銀髪だ。」

 月見先生はそう言ってホイ次とそう言った。

 そしてついに第3戦。

 橘対透流であった。

 すると橘は格闘場に入るなりこう言った。

 「君との勝負はあの時は《デュオ》混みとはいえ《新刃戦》以来だな。」 

 「だが今回は私が勝たせてもらうぞ。」

 そう言うと橘は鉄鎖を出して・・・。

 「試合開始!」

 月見先生の言葉と同時に両者踏み込むが透流は少し驚いていた。

 今までよりも踏み込んだ際のスピードが速かったので戸惑いながらも透流は

正拳を叩きこもうとすると・・・。

 「そう簡単にはやらせん!!」

 橘はそう言って避けながら鉄鎖にある雫銅を透流目掛けて放った。

 そのスピードに透流はヤバいと思いながらギリギリのところで避け切った。

 何度かは透流は鎖を盾で受け止めながら橘の鉄鎖の内部に入って

攻撃しようとすると・・・透流の足に鉄鎖が絡みついた。

 「甘い!!」

 橘は鉄鎖で透流の足を取ろうとするも透流はそれを利用して逆立ちの応用で橘の腕に絡みついて転ばそうとした・・・・が。

 「・・・あ」

 透流は支えにしていた両手が滑ってしまいそのまま・・・

視界が真っ暗になってしまった。

 何やら柔らかいものが口に当たっているような感じがしたので

起き上がろうとすると・・・何か口元にフカッとしたナニカが入りこんだ。

 『・・・アン。』

 何か声が聞こえたが透流は何とか息しようと舌でそれを押しのけようと

すると・・・ナニカがピクンと反応した。

 『やめ・・・九重・・・ダメ』

 何とかそれをどかせながら透流は立ち上がろうとしながら舌で

押し戻して・・・。

 『ヒャアアアアアアアアア♡』

 ナニカがプシャッと音がした。

 そして透流の視界が・・・明るくなったと同時にそれが明らかになった。

 それは・・・。

 「ヒャ・・・ヒャアアアアアアアアア・・・・・♡」

 何やら顔を赤くしてピクピクと痙攣している橘と・・・・。

 「?」

 どうしたんだろうと首を傾げるユリエと・・・。

 「ア・・・・ハハハハ・・・・。」

 呆れ笑いするタツと・・・。

 「////////////」

 顔を真っ赤にするみやびと・・・。

 「///////////]

同じく顔を真っ赤にしているトラと・・・・・。

 「アーひゃひゃひゃひゃひゃひゃやはややは!!」

 爆笑する月見先生と・・・・。

 「・・・・・・・・・」

 絶対零度の視線を透流に浴びせるリーリスがそこにいた。

 「え・・・・何がどうなってんの!?」

 透流は訳も分からずにそう言うと口周りに何か半透明な物質が

口に付いているため舐め取ると透流はこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 「しょっぱいな。」

 

 

 

 

 

 「ギャーハハアハハッ( ゚д゚)ハッ!ハッハッハッハアアハッハ!!!」

 月見先生はそれを見て更に大爆笑した。

 もう息切れしてしまうかと言うくらいに。

 すると透流はリーリスに向けてこう聞いた。

 「ええとさ・・・リーリス?」

 「何かしら?九重君」

 「何で他人行儀!!いやさ!?何で橘顔を真っ赤にしてるんだって試合は

どうなってんだ!!???」

 そう聞くと月見先生は笑いながらこう言った。

 「あのなあ・・・よく聞けよ」( ´艸`)

 「はい」(。´・ω・)? 

 「お前なあ・・・」( ´艸`)

 「・・・・・」(。´・ω・)?

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・・・橘の股間に覆われてたんだよ!!」( ´艸`)

 「・・・・・へ?」

 「そんで橘な・・・スゲエエロい声出して倒れちまったんだよ!!!」

( ´艸`)

 「・・・・え・・・それって・・・つまり・・・・」(;゚Д゚)

 透流は嫌な予感がすると思っているとすぐさまにみやびに向かってこう言った。

 「みやび!ユリエの耳を塞げええええ!!」

 「ぴゃい!?」

 みやびはそれを聞いてユリエの耳を塞いだと同時に月見先生は透流に向けて

ある真実を・・・語った。

 それは・・・。

 「因みにお前が飲んじまったのはなあ・・・・橘の下半身のオツユだよ!!」

 「・・・・・ナンダって---!!」

 「ギャーハハハアアアッハハッハあっははアハハ!!!!!」

 月見先生はそう言ってまた笑い転げてしまった。

 

 

 

 

 

 

 因みにこの結果は失神してしまった橘に対して・・・音声録画していた

月見先生が映像付きで笑いながら見せてしまいその後・・・・どうなったかは

知らない方が幸せであろう。




 どうか・・・消されませんように。


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服を買う際には店は決めたほうが良い。

 皆さんは服を買う時には何を重視してますか?
 私は・・・何も考えてません。


あの後橘はみやびが保健室に連れて行くこととなったと同時にリーリスから

ありがたい言葉(と名を騙った説教)を貰って部屋に戻る事にした。

 本当ならば直ぐにでも謝った方が良いんじゃないかと思われるがリーリスは

こう言った。

 「今あなたが来たらあの子がどうなるか分かったものじゃないわよ!」

 「良いよく聞いて!ああいうね、生真面目な子ほどね、透流がヤッタ事に

対して耐性なんて殆どないから何を所望するか分かったものじゃないからね!!」

 「当面会うのは禁止!!良いわね!!!」

 リーリスにそう言われて仕方なく後日謝る事にしようと思っていた。

 そして夜、透流とリーリス、ユリエはアップルティーを飲んでいるとユリエが

二人に向けてこう言った。

 「トール、リーリス。明日の事でお願いがあります。」

 「「?」」

 二人は何だろうと思っているとユリエがこう言った。

 「明日なんですがお付き合いして貰って宜しいでしょうか?」

 「「・・・ハイ?」」

 透流とリーリスは何言ってんのと思っているとユリエはこう続けた。

 「ヤー、日曜日ですので外に行って買い物に行きたいのです。

最近暑くなってきましたが私は厚手の服しか持っていませんので。」

 ユリエがそう言うのを聞くとリーリスがこう言った。

 「確かにね、北欧だと今ぐらいは真夏と同じぐらいだからね。私も服とか

買っておかないとね。」

 そう言いながらカバンに入っている服を見た。

 正直な所潜入とかがあるせいか最低限の服しか入っていないので夏物を買おうかと思っているようだ。

 そして夜リーリスはこう続けた。

 「それじゃあ明日の・・・店はどうする?」

 リーリスは透流に向けてそう聞くと透流はこう答えた。

 「そうだなあ・・・近くにショッピングモールがあったな。そこで服屋を見回って決めるって言うのはどうだ?」

 透流はそう答えた。

 まあ、男性は個人によるが服に対して無頓着な人がいるのがいるのだ。

 然しユリエはそれを聞いてこう反論した。

 「ヤー、ですが行き当たりばったりもどうかと思いますし、みやび達に

聞いてきます。」

 そう言いながらユリエは・・・ワイシャツ姿で部屋に出ようとするのを見て

リーリスが慌てながらこう言った。

 「ちょちょちょ、ちょっと待ちなさいよユリエちゃん!!」

 「?」

 「その姿で外に出る気!?」

 リーリスがそう聞くとユリエはこう答えた。

 「ヤー」

 「『ヤー』じゃありません!!」

 「?」

 ユリエはどうしてなのだと思っているとリーリスはこう言って怒鳴った。

 「良い!?貴方は女の子でここは男子が所せましといる部屋なのよ!!」

 「そんな中でその格好でもし万が一・・・いや、ユリエちゃんなら

大丈夫かもしれないけどモシモがあるんだから!!!」

 「ですがリーリスは寝る時に服を着ていません。」

 「私は良いのよ!ここは私の部屋だし透流は私の癖よく知ってるんだから!!」

 「出来るなら直して欲しいがな。」

 透流はそう呟きながらアップルティーを啜っているとリーリスは

こう締めくくった。

 「とにかく!ユリエちゃんは部屋から出ない!!明日夏用のパジャマも

買うからね!!」

 そう言うと透流は立ち上がってこう言った。

 「それじゃあ俺がみやび達に聞いて」

 「何であなたが行くのよ!論外!!」

 リーリスの発言を聞いて透流は何でさとそう聞くとリーリスは呆れた顔で

こう言った。

 「あのねえ・・・今日あんな事起こしておきながらよく言えるわね。」

 「?」

 「じゃあ聞くけど《デュオ》はここでは何?」

 「相部屋仲間だ。」

 「みやびの《デュオ》は?」

 「そいつはお前、分かってるよ。橘・・・・・・あああ!!」

 透流はそれを言って・・・気づいてしまった。

 そう、みやびの相部屋は・・・・。

 「そういう事ヨ、理事長から簡単な資料を見せて貰った時にそれも

書かれていたからね。」

 そう言うとリーリスはこう続けた。

 「あのねえ!!前にも行ったけど今の橘は透流を見てあの事思い出したらどんな科学現象が起こるか分かったものじゃないから私が行くから二人は外に出ない!」

 良いねと言ってリーリスが向かって行った。

 取り合えずは透流からは部屋の場所は聞いているためにスムーズに行けた。

 リーリスは取り合えずノックすると向こうから声が聞こえた。

 『ハーーイ』

 みやびの声が聞こえ扉が開いた。

 「あれ?リーリスさん。どうしたの?」

 みやびがそう聞くとリーリスはこう答えた。

 「明日ね、ユリエちゃんに服を買いに行くことになったんだけど近くに

いい店ってないかなあって思ってね?」

 そう聞くとみやびはこう答えた。

 「それだったら・・・近くにショッピングモールがあるでしょ?」

 「うんうん。」

 「そこの店なら大抵は揃ってるよ。そうだ!明日私達もそこに行くことに

なってるから一緒に行かない?」

 みやびがそう聞くとリーリスは少し困った表情でこう答えた。

 「ええと・・・透流も一緒だけれど良いの?」

 「・・・・ああ・・・・ね。」

 みやびはリーリスの言葉を聞いて確かにとそう思っていた。

 今日のことがあったのでたった1日で治るわけではないなとそう思っているとリーリスはこう続けた。

 「それと・・・橘さんどう?」

 大丈夫なのッて聞くとみやびはこう答えた。

 「ああ・・・うん・・・・今日の事でね・・・・」

 「うん。」

 「・・・色々と悶々するからってトレーニングルームに行っちゃった。」

 「・・・さいですか。」

 それを聞いてリーリスは取り合えずこう言った。

 「それじゃあ・・・透流と離して向かうって事で取り合えず良いかしら?」

 「うん・・・それならね・・・。」

 そう言うとお互い2,3言葉交わしてリーリスは部屋から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして橘はと言うと・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ファ・・・・フヒャアアアアアアアアア♡』

 

 

 

 

 

 

 

 

 トレーニングルームのシャワー室にて喘ぎ声が聞こえた。

 そこには・・・橘が中で・・・・そういう事をしていた。

 右手は胸の先端をこね、左手は下半身の・・・女性の部分を指で触っていた。

 そこにいたのは・・・凛とした橘ではなかった。

 目はトロンとしており、はあ・・・ハア・・・と息を切らし、

体は赤く火照っているが橘は自身の指に付いている半透明の液体を見て・・・

あの時を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 透流の舌が・・・口が・・・自身の下半身を外と中同時に責め・・・

イッタ事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして橘の中でナニカが・・・目覚めそうになった様な表情でこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・・トオル・・・・・・♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まるで・・・愛おしい人に体の全てを委ねるような感じで・・・。




 あれ・・・橘・・・・ナニカに目覚めそうだな。


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いざ、『あらもーど』へ。

 作中で・・・ちょっとアダルトな場面があります。


 次の日透流達は校門を出て晃陵学園から出れる唯一の道でもある

関係者用懸垂型モノレール前の駅で待ち合わせをした。

 透流、リーリス、ユリエは制服。

 みやび、橘は私服であったが橘は何やら・・・挙動不審であった。

 透流をチラ見すると透流の瞳が自分を映し出してすぐに顔を赤くして

そっぽ向いた。それが何回かある中で透流はリーリスに向けてこう聞いた。

 「俺、ナニカしたか?」

 そう聞くとリーリスは賺さずにこう言った。

 「当たり前でしょ?昨日の今日なんだからアンタに何かされるんじゃないかって思ってんじゃないの?」

 そう言うと透流はこう反論した。

 「いや、あれは事故であってだな。」

 「人の胸や尻揉んだり女の子の披裂に舌入れて絶頂させたりする何処に事故要素があるのかしら?」

 リーリスはそう聞きながら目を細めると透流は・・・顔を俯かせてこう言った。

 「・・・ありません。」

 「分かれば宜しい。」

 そう言うとリーリスはユリエに向けてこう聞いた。

 「そう言えばユリエちゃんって何か忙しないけどどうしたの?」

 そう聞くとユリエはこう答えた。

 「ヤー、楽しみでドキドキします。」

 そう言うと顔を俯かせていた透流が起き上がってこう言った。

 「そう言えばユリエって日本の街中へ出かけるのって初めてなんだっけか?」

 そう言うとユリエはこくこくと首を上下に動かして答えた。

 そして3人は何気なく話している中でみやびが橘に向けてこう聞いた。

 「巴ちゃん、大丈夫?」

 「ん・・・まあな。」

 橘はそれを聞いて言いにくそうにそう答えるとみやびがこう言った。

 「昨日結構頑張ってたんだよね、特訓。」

 「・・・・うむ。」

 「私も頑張らなくちゃな。」

 みやびはそう言ってふんすかと鼻息鳴らすが当の橘は心の中で冷や汗

垂らしながらこう思っていた。

 「(言えない・・・・昨日九重の事を思い出してシャワー室で3回・・・自分を慰めて挙句の果てには・・・あ・・あ・・・あ・・//////)」

 そう思いながら夢の事を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『九重・・・待て。』

 『待てないぜ、橘』

 特訓する森の中でなぜか両手を縛られて動けない橘に覆い被さる様に

迫っていた。

 『貴様!こんなことをして恥ずかしくないのか!?』

 橘はそう言いながら透流を睨みつけるや否や透流は平然とした様子で耳元でこう囁いた。

 『へえ・・・俺を思い出しながらあんなに激しく自分を慰めていたのにか?』

 『!!?ナゼそれを』

 『聞いてたぜ・・・俺の名前を呼んで・・・シャワーの音程度じゃあ

かき消せないぜ。』

 『そ・・・そんな・・・』

 橘はそれを聞いて絶句するが透流は橘のスカートの中の・・・

ストッキング越しから橘の女性としての部分を弄り始めた。

 『ヒャウ♡』

 橘はそこから訪れる快楽が全身を駆け巡るのを感じ・・・

厭らしい水音立てて透流は何度も何度も指を動かした。

 『ホラ?どうだ??気持ちいか?』 

 『アン、アン、アン♡』

 そして・・・。

 『ホラ・・・自分に正直になりな。』

 『ヒャアアアアアアアアア♡』

 ぷしゅッという音と共に橘の体がエビぞりになると透流は指に付いている

半透明の液体を橘に見せて舐め取ると透流は橘の胸を見てこう言った。

 『さてと・・・それじゃあもう少し・・・楽しもうぜ?橘』

 『巴ってよんれえ~~♡』

 『巴・・・もっとお前のイク顔を俺に見せてくれ。』

 そう言いながら透流は橘の上着のボタンを一つ一つ取っていると透流は橘を見てこう言った。

 『さあ、巴。お前の全てを見せてくれ。』

 そう言いながら透流は橘の胸元に顔を近づかせると

橘はうっとりした様子で・・・こう呟いた。

 『アアアアア・・・・トオル~~♡♡』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「私の不埒者---!!」

 「ヒャア!!」

 「「「!!!」」」

 橘がいきなり立ち上がって大声でそう言うのでみやび達が驚いて橘を見ると橘は座って小さな声でこう言った。

 「す・・・済まない。」

 そう言って縮こまりながら座った。

 

 

 

 

 

 

 モノレールは東京都千葉を結ぶJR路線のとある駅付近まで5分足らずで着く

距離となっている。

 そして乗り換えて一駅で降りて5分程で目的地でもある

ショッピングモール『あらもーど』に着いた。

 休日ということも相まって多くの人で溢れ返っていた。

 ユリエはそれを見てポカンと口を開けてこう言った。

 「・・・・・・まるでお祭りです。」

 「今日は休日だからな。家族連れとか団体とかがいるから逸れない様に

しないとな。」

 透流は周りを見てそう言うと近くにあったガイドマップを手に取って店の場所を確認しようとして・・・眉をしかめた。

 何せ・・・・。

 「何だこの店の数。」

 妙に分厚い8ページ分のガイドマップには500を超える店名が表記されていた。

 流石にこの中だと思うと探すだけでも疲れそうだなって思っていると・・・何か違和感を感じた。

 ソレハ・・・。

 「あれ?ユリエは??」

 透流はそう言ってユリエを探していると・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 「トール~~助けて下さい~~~」

 

 

 

 

 

 幼稚園児たちの群れに押し流されていくユリエを見つけた。

 

 

 

 

 

 「ユリエ---!!」

 透流はそれを見て慌てて手を掴んでそこから引っ張り上げた。

 

 

 

 

 

 「「はあ・・・はああ・・・はあ・・・」」

 お互い息を切らしている中で透流はユリエに向けてこう言った。

 

 

 

 

 

 

 「遭難・・・しない・・・ように・・・手を・・・皆で・・・繋ごうぜ・・・」

 「ヤー・・・」

 お互いそう言ってリーリス達の下に向かった。




 これ・・・大丈夫だよね?


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店探しは苦労するぜ。

 皆もちゃんと情報収集はしようね。


「さてと・・・何処から行くべきなのかしらね?」

 リーリスはそう言ってガイドマップ(と名を騙った説明書)を読みながら

そう言った。

 書いてあるのは店名と配置番号のみ。

 おまけに西・北・南館と様々な場所に配置されており然も服屋だけで60は

くだらない為正直な所何処から行けば良いのか皆目見当が付かない。

 すると透流はこう提案した。

 「取敢えずの所適当に先ずは一番近い所から歩き回ってみようぜ。

これだけあるんならその内いい店に出会うと思うぜ。」

 透流がそう言うとそれを聞いたリーリス達はこう言った。

 「そうね、情報収集しなかったこっちに非があるんだし偶には良いわね。」

 「ヤー、賛成です。」

 「うん、それに次ぎに来た時にはそこに行けるしね。」

 リーリス、ユリエ、みやびがそう言って肯定すると透流は橘を見てこう聞いた。

 「それで何だけど・・・・どうした?橘?」

 そう言って橘に顔を近づけると橘は意識を取り戻した瞬間に透流が

目の前にいるので・・・・叫びながらこう言った。

 「ヒャアアアアアアアアア!!」

 「ブファアアアアアアアア!!!」

 「「「透流(トール)【君】!!!」」」

 橘にぶちのめされた透流が吹き飛ぶのを見てリーリス達が驚くと透流は

そのまま顔に床と激突して・・・失神した。

 「アアアアアアア・・・済まない!トオル!!」

 「「「・・・・・・え?」」」

 橘は透流の・・・下の名前で呼んだことに3人が驚いていた。

 然し橘は透流に近づいてこう言った。

 「済まない!大丈夫か!?」

 そう聞くと透流は・・・力ないままこう答えた。

 「お…おう…何とか・・・な。」

 そう言って立ち上げって透流は橘に向けてこう言った。

 「橘・・・ゴメンな。」 

 「?」

 「ほら・・・模擬試合の時・・・・」

 「!!///////////」

 橘はそれを聞いて顔を真っ赤にしていた。

 然し透流はこう続けた。

 「それでさ・・・どうやったら・・・許して・・・くれるか・・・

考えてたんだけど…思いつかなくってな。」

 そう言うと橘はそれを聞いてこう答えた。

 「・・・それならば・・・一つだけ・・・。」

 「・・・・」

 透流はそれを聞いて真面目な表情になると橘はこう答えた。

 「・・・巴。」

 「?」

 「私の事は・・・名前で・・・呼んで欲しい。」

 「ええと・・・・」

 「・・・・嫌か?」

 橘は透流に向けて・・・上目遣いで・・・ウルウルとしながらそう聞くと透流はそれを見てビクッとして・・・こう答えた。

 「いやさ・・・それって・・・罰じゃ」

 「みやびの事を名前で呼んでいる。私も呼ばれたいのだが・・・・」

 そう言って橘は顔を真っ赤にして俯くと透流はそれを見てこう答えた。

 「分かった。それで許してくれるなら・・・・な。」

 そう言うと橘はにこりと笑ってこう答えた。

 「うむ!分かってくれたならばそれで良いぞ!!」

 そう言って橘は立ち上げって後ろを見ると・・・・。

 「へええ・・・・。」

 「?」

 「巴ちゃん・・・それってつまり。」

 乾いた笑みを浮かべるリーリスと何が何なのか分からないと思っているユリエと何かを察したみやびがそこにいた。

 「アア・・・・アアア・・・アア・・・・・!!」

 橘は何かを感じて更に顔を真っ赤にして・・・俯いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 透流が起き上がって暫くしてから店探しを始めたがすれ違う人たちはユリエ達を見てこう呟いた。

 「ねえ、あの子凄く綺麗じゃない?」

 「私あっちの金髪。」

 「ええそうかな?俺はあっちの黒髪かな?」

 「いやいや、あっちの茶髪の女の子スゲエエロいぜ。」

 「あの銀髪の女の子凄い可愛い。」

 「芸能人・・・アイドルかな?」

 「写真撮ってアップしようよ。」

 「それじゃああの男の子って・・・・?」

 「おいおいおい嘘だろ?あんなガキの周りにあそこまでの

美少女達が選り取り見取りだなんて・・!!」

 「いっそもげちまえ。」

 「少子化にこの仕打ちって何だよ・・・!!」

 「(俺って今日ここから生きて帰れるかな?)」

 透流はそれを聞いて冷や汗を垂らしていた。

 何せ透流に対して・・・殺意が零れそうなほどの嫉妬がはびこっていたからだ。

 然し話題はそれだけではなかった。

 「制服着てるけどどこの学校の子なんだろう?」

 「さあ?見たことないけど・・・?」

 「・・・成程な、確かに理事長が言ってた通りだな。」

 如何やら九十九理事長が言ってたのは真実のようである。

 余程のことがない限り土日に晃陵学園の生徒が制服で歩くことはないし、それに如何やら晃陵学園の内情は情報規制されており噂程度でしかないようだ。

 するとユリエが透流の腕を引っ張ってこう言った。

 「トール、あのお店は如何でしょうか?」

 「?・・・ああ、ここか。」

 透流は店の雰囲気を見てそう言うとリーリスはこう続けた。

 「ユリエちゃん。お手柄よ。そうと決まったらいざ出陣よ!!」

 そう言ってリーリスは透流を引っ張って店の中に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「へえ・・・店の中はこんな感じなんだなあ。」

 透流はそう言って店の中を見て回ると小綺麗な恰好をした店員が透流と・・・

ユリエ達を見てこう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 「(中々良い素材がうちに来たああああ!!!!!)」




 次回は服選び。


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服を買うのは大変だ

 女性って何で服買うだけであんなに時間がかかるんだ?


 「さてと、どんな服が良いのか?・・・だな。」

 透流はそう言って服を品定めしていた。

 ユリエの場合は可愛らしさ。

 リーリスは・・・ドレス?

 みやびは性格的に考えてあまり目立たない方(まあ、胸で無理かもしれないが)

 巴は昭和で着るような緩やかなタイプ。

 正直な所女性陣はそう言う風にしたとしてどんなのが似合うのか透流は

正直な所分からないのである。

 そんな中でリーリスはユリエに向かって服を向けてこう言った。

 「これならどう!?」

 「ヤー、ですがこれは・・・」

 「それならこれとかは?」

 「いやいや、みやび。これもどうだ?」

 ・・・最早女子三人はユリエ相手に完全に着せ替え人形であった。

 するとそれを見ていた店員が4人を見てこう言った。

 「こちら何て似合うと思いませんか?お客様方?」

 そう言って服を何着か持ってくると更に店員は透流を見てこう続けた。

 「それに彼氏さんも彼女さん達の服を見るのもアリですよね!?ネ!!?」

 「え・・・いや・・・その・・・。」

 透流はそれを聞いてたじろぐとユリエは透流に向けてこう聞いた。

 「トール、私はトールが選んだ服を着てみたいです。」

 そう言うとリーリスはこう言った。

 「成程ねえ・・・これなら透流の好みが分かるって事ね。」

 「「!!」」

 それを聞くとみやびと巴の頭に稲妻が走った。

 そして透流に言い寄りながらこう言った。

 「「透流(君)!!」」

 「!?」

 「「・・・・どっちが良いんだ(の)!!」」

 「え・・・ええと・・・。」

 取敢えず透流は女性店員に対して想像で言っておくとすぐさまに似合う服を

何着か持ってきて4人を試着室にいれると透流に向けてこう聞いた。

 「それで!!・・・どちらが本命なんですか!?」

 「え・・・ええと・・。」

 透流は女性店員の言葉を聞いて何て答えたらよいのかと思っていると女性店員は一人で白熱しながらこう言った。

 「あの銀髪の女の子はお人形さんみたいでどんな服着てても可愛いし

金髪の女の子なんてモデルさんみたいだからどんな服でも綺麗でしょうし

黒髪の女の子は体つきが良いですしあの見た目ですから少し大人っぽい格好すれば正しく女性!!茶髪の女の子はあの胸を最大限に発揮できる服装と見た目に反した大人しそうな表情のギャップで男心を掴めそうですからどちらも

捨てがたいですよねえエ~~~!!!」

 「ハハハ・・・。」

 透流はそれを聞いて乾いた笑みを浮かべていた。

 そして暫くして・・・ユリエの方の試着室のカーテンが少し開いた。

 「?どーしたんだユリエ??」

 透流はそう聞くとユリエは少し顔を出してこう言った。

 「トール、着替えが終わったので見てもらえませんか?」

 そう言うと透流はこう答えた。

 「一応言っておくが俺にセンスを求めないでくれよな。」

 「普通それ言うかしら!?」

 もう一つの試着室の向こうでリーリスが大声でそう言った。

 そして暫くしてユリエが出てきて・・・。

 「うお・・・」

 「あら・・・」

 透流と女性店員は揃って驚嘆の声を上げた。

 ユリエが試着したのは白を基調とした涼し気なワンピースであった。

 ふわりと裾が広がり、あしらわれた白いレースが女の子らしさを

際出たせていた。

 「どうですか?トール。」

 透流はそれを聞いて慌ててこう答えた。

 「あ、ああ!!えっと・・・凄く似合ってると思うぞ。」

 「ありがとうございます。それではこれを買う事に」

 「ユリエちゃん。もう少し選んでみたらッて言うか透流。

そんな歯に浮いたセリフ言わないでもう少しちゃんとした感想を言いなさいよ。」

 「俺にどういったらいいんだよ!リーリス!!」

 透流はリーリスの言葉を聞いてそう言うとリーリスはカーテンを開けて

こう言った。

 「例えばこう言うのを見てよ!!」

 そう言って決めポーズを決めたリーリスを見て透流は・・・こう言った。

 「あんまカッコよくねえな。」

 「そっちかい?!」

 リーリスは透流の言葉を聞いてそう言うとこう続けた。

 「もっとあるはずでしょ!?服の感想とか!!」

 そう言って透流はリーリスの服を見た。

 ユリエとは正反対で黒いワンピース。

 短めのスカートと胸元に飾られているフリルが印象的でリーリスの金髪と

合わせるとまるで魔法使いのような感じであった。

 「何か・・・魔法使いみたいだな。」

 「アンタこれで私が箒に乗っているところを下から見ているんでしょ?

うわあ・・・変態ね。」

 「他にどういったら良いんだよ!!」

 透流はリーリスの言葉を聞いてそうツッコミを入れると今度はみやびの方から

声が聞こえた。

 「と、透流君。こっちも終わったよ。」

 そう言ってカーテンを開けたみやびの姿は・・・色んな意味で凄かった。

 水色のミニスカートと青い服の下にはカッターシャツが着こまれていて

見ようによってはみやびにしては大胆だなあと思いながら胸元を見て・・・。

 「!!!」

 驚いた。

 ネクタイが胸に乗っかっているような感じで然もよく見たら上が窮屈なのか

胸の谷間が露出しているのだ。

 そして透流はみやびの目に・・・視線を合わせてこう言った。

 「か・・・可愛いな。」

 「本当!良かったーー。」

 そう言うと巴がこう言った。

 「透流・・・終わったぞ。」

 「おお、そっちはどうだ・・・・・」

 透流は巴の服装を見て目が点になった。

 何て言うか・・・お姫様?

 長く淡い緑色のスカートと頭に付けているフリルの付いたヘアバンドで

可愛らしく見えるが・・・それに相反するかのように胸の部分だけ服がない

オープンバスト・スタイルで巴の胸が寄せてあげているためヤバいと思うと

巴は透流に向けてこう聞いた。

 「透流・・・似合うか?」

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「あ・・・ああ・・・可愛いぞ。」

 「そうか!・・・うむ、そうか。」

 巴は何やらウキウキしていると女性店員が4人に向けてこう言った。

 「あ、あのう!!これも着てみてください!!着るだけで!!!

買わなくていいから!!!」

 「買わなくていいのかい!!!」

 透流は女性店員の言葉を聞いてそう言った。

 そして暫くの間に4人は幾つかの服を買った。




 次はアイスクリーム・・・かな?


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アイスクリーム食べて・・・。

 ここでユリエの隠された才能が発見されます。


あれから4人はユリエに12着+靴3足を買ってカードで払うと言った時の

女性店員の顔が印象に残った。

 然しカードに表示されている学生証を見た時に女性店員は・・・こう呟いたのだ。

 「ああ、あの学校の・・・・。」

 そう言ったので透流はこう聞いた。

 「あのう、もしかして俺達以外にも来てました?

 そう聞くと女性店員はこう答えた。

 「ああ、はい。よくご利用させてもらってますよ。去年確か・・・

うさ耳バンド付けた女の子が大量に服を買ってくれたと店長から聞いたことが」

 「(あの腹黒ウサギか。)」

 透流はそれを聞いてアイツかと感づいた。

 

 

 

 因みに・・・。

 

 

 

 

 

 「びぇくしょん!!」

 

 

 

 

 

 月見先生は何やら大きくくしゃみしたそうだ。

 

 

 

 

 ・・・同時刻に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてユリエの服を買った後も…女性陣は止まることすら知らない。

 今度は雑貨屋に入ってコップやぬいぐるみを買ったり、ペットショップに行ってユリエは・・・・。

 「・・・ヤー。」

 ゲージの中にいるフェレットをじっと見ていたり、ゲームセンターに行って

クレーンゲームで商品を捕ったり、レーシングゲームして・・・

ユリエの背丈がペダルに足を付けきれなかったためリーリスの膝に乗ってやったりリーリスのシューティングゲームで完全勝利したことに周りが歓声を上げたり。

 フリープレイの体感ゲームで遊んだり・・・また幼稚園児たちと共に

引きづられていくという珍事が起こったりと色々あったがまあ・・・

それなりに楽しんでいた。

 そして透流達はある所に来ていた。

 そこは・・・。

 

 

 

 

 

 「あ、ここだよユリエちゃん。」

 「ヤー、ここですか。」

 みやびが連れて言った処はジェラート屋であった。

 そして5人はそれぞれ思い思いのジェラートを食べているとユリエが

ジェラートを透流の口元に運んだ。

 「・・・え?」

 透流は何故と思っているとユリエがこう言った。

 「とても美味しいので御裾分けです。だからトール、あーんってして下さい。」

 「・・・・・」

 透流はそれを聞いてマジかと思っているとユリエは透流に向けてこう聞いた。

 「トール?」

 小首を傾げてそう聞いて最早後はなしと感じて・・・。

 「や・・・やー。」

 力なくそう答えてジェラートを食べるしかなかったがユリエは透流に向けてこう続けた。

 「ですので次はトールです。」

 「あーん。」

 そう言ってユリエは口を開けると透流はそれを見て・・・もうままよと

思いながらジェラートを食べさせた。

 「ヤー、美味しいです。」

 ユリエはご満悦な様子であった。

 それを見ていたみやび達はというと言うと・・・。

 「「うーーー。」」

 何やら羨ましそうな様子で見ているとリーリスが透流に向けてこう言った。

 「さてと、透流。次はみやび達ヨ。」

 「・・・はあ!?」

 「「!!」」

 透流はそれを聞いて驚き、みやび達は目を見開くと・・・二人は

スプーンで掬ったジェラートを出してこう言った。

 「「透流(君)」」

 そう言ってお互い透流に向けると透流はとうとう・・・自棄になった。

 「ああもう!!」

 透流はやけくそだと言わんばかりに二人のも食べた。

 その後に透流は二人にも渡して・・・へとへとになっていた。

 「何でこんなことに・・・・。」

 そう思っていると・・・周りでこう言う声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 『お母さん。あれ何?」

 「シー、見ないの。」

 「一人の男をめぐって4人の女の子が鎬を削る・・・

中々見れない光景だなあ。」

 「私もああいう風に恋愛したいなあ。」

 「逆版の『花より〇子』だな。」

 「何であんなガキが・・・・!!」

 「おいアイツの学校何処にあるか突き止めろ!!カチコミじゃああああ!!」

 「リア充シネ。リア充シネ。リア充シネ。リア充シネ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 これ完全にモテない男たちの標的になってるな。

 

 

 

 

 

 

 

 透流はどうしようかと思っていると・・・後ろから声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 「おい、ガキ。何イチャイチャしてんだよ?」

 後ろでガラの悪い男たちがそう言うとこう続けた。

 

 

 

 

 

 「見ねえ学生服だが何処のだ?」

 「知らねえ。」

 「って言うかこの女の子たち滅茶苦茶美人じゃね?」

 「って言うかさあ・・・コンナガキに4人もいるって何なんだよ。」

 そういうとリーダー格の男が透流に向けてこう言った。

 「おいガキ。ちょっとでいいからさ。この子達貸してくれねえ?なあに。

ちょっといいとこ連れて行くだけだからさ。」

 そう・・・意地汚い笑顔でそういうと透流はこう返した。

 「断る。って言うかお前らの服のセンス正直時代遅れだから最深のにしてから

出直してこい。」

 「「「「!!!!」」」」

 4人はそれを聞いて目を見開くとリーダー格の男性が透流を見て・・・

仲間に向けてこう言った。

 

 

 

 

 

 「何かむかつくな。」

 「どうする・・・?」

 「当然。」

 

 

 

 

 

 

 そして男たちは腰を落としてこう言った。

 

 

 

 

 「軽くボコっちまおう」

 そう言いかけて・・・いきなり男が吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「「「「「「「え・・・・?」」」」」」」」

 透流達も含めて目を見開いて男が吹き飛ばされたところを見ると

そこにいたのは・・・。

 

 

 

 

 

 「ユリエ・・・?」

 透流はそう聞くとユリエは何も言わずに・・・・。

 もう一人の男性の腹部に重い一撃をぶちかました。

 《ルキフル》で超化されたその一撃は大柄の男でさえ・・・。

 「グフ・・・・!!」

 口から嘔吐して余りの痛みに失神するほどであった。

 「「ヒィイイイイイイイイイ!!」」

 残り二人の男たちがあまりの状況に酷く怯えるがユリエは男たちを見て・・・

勢いよくジャンプするととおも同じようにジャンプしてユリエを

捕まえようとすると・・・。

 

 

 

 

 

 

 「ヒック」

 「へ?」

 

 

 

 

 透流はユリエから聞こえた声にまさかと思っているとユリエは透流の肩を

一度踏んでロケットみたいな速さで男たちの内一人に向かってキックした。

 「!!!!!????」

 男は何があったのか分からないともいえるような顔で・・・

そのまま噴水目掛けてダイビングした。

 

 

 

 

 

 「ちょ!ユリエちゃん!?」

 「ユリエ、止まるんだ!!」

 「ユリエちゃん!?透流君は大丈夫だから!!」

 みやび達はユリエに向かってそう言うが降りてきた透流が4人に向けて

こう言った。

 「なあさ、俺らの中で酒が入ったジェラートを食べてたか?」

 「「「「????」」」」

 透流の言葉を聞いて何言ってんだと思っているとリーリスは透流のジェラートを見て・・・こう言った。

 「透流、貴方が頼んだのって・・・ラムレーズンよね?」

 「ああ。」

 「ラムレーズンって・・・お酒入ってたわよね?」

 「「「・・・・・あ・・・・」」」

 リーリスの言葉を聞いてそして4人は未だ無双中のユリエを見て・・・

こう言った。

 「「「「ユリエ(ちゃん)って・・・酒弱いだけじゃなくて酔拳の達人

だったんだ。」」」」

 そう言った瞬間に最後の男がユリエに殴り飛ばされた際に・・・パンツ一丁になってゴミ箱にボッシュートするのを見て4人はこう言った。

 「「「「人間って・・・殴られると服も吹き飛ぶんだ。」」」」

 そして・・・。

 

 

 

 

 

 

 「ヤー。」

 

 

 

 

 

 

 机の上で・・・天元突破した男の如き指を天に突き刺したポーズをとって・・。

 

 

 

 

 

 

 『『『『『おオオォォォォオオ』』』』』』

 いつの間にかできたギャラリーの拍手が鳴り響いて・・・・。

 

 

 

 

 

 「や~~~。」

 

 

 

 

 

 

 

 「「「「ユリエ(ちゃん)!!!!」」」」

 

 

 

 

 ユリエが倒れたので見てみると・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 「スピー、スピー、スピー。」

 

 

 

 

 寝息立てて眠っていた。

 そして4人は心の中でこう誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 「「「「もうユリエ(ちゃん)に酒類は出さない様にしよう。」」」」

 出ないと死人が出かねないとそう固く心に誓ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 序にだが今回ボコボコにされた男たちは度々と問題行動を起こしていたため

揃って警察のお世話になった。




 ユリエ「トール、この《ジャッ〇ーチェン》後で見て良いですか?」
 透流「?良いぞ。」
 あれ見たかも・・・・絶対言わないでおこう。


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新しいルール説明。

 今回は新たな企画についての事です。


「ようやく一息つけれるな・・・。」

 透流はそう言いながらモノレールの中で席に座ってそう言った。

 「全くだな。はあ・・・。」

 無論隣に座った橘も同じであったがみやびはこう言った。

 「だ・・・大丈夫かなあ?あの人たち。」

 みやびはそう言ってあの時にユリエによってボコボコにされた人達を心配した。

 何せ酔っていたので力の加減が上手く行っていなかったため内臓に

多大なダメージが伴っているであろうとそう思っているとリーリスがこう返した。

 「其れは大丈夫でしょう。あの後に私三國先生に電話で報告したら

こう言ったのよ。」

 

 

 

 

 

 

 『直ぐに対処します。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 「多分だけどユリエちゃんがボコボコにした奴らは治療費の数倍のもお金と

引き換えに口を封じてるんじゃない?もし言ったらあの人たちは今度こそ

お墓の中だって言う脅しも込みでね。」

 そう言ってリーリスは眠っているユリエの頭を撫でていた。

 何ともまあ無邪気な寝顔だとそう思っていた。

 そして透流は4人に向かってこう言った。

 「まあ、取敢えず教訓が出来たから良いな。」

 「「「???」」」

 「・・・ユリエにお酒は絶対飲まさない。」

 「「「・・・・・・・」」」コクコク

 それを聞いて3人は黙って真顔で頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの後に『あらもーど』で起きた事件は何も報道されなくその代わりに

少年たちが破壊行為をして捕まったことにされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして暫くして・・・。

 「さーて、交流試合が始まるんだけど実は実はちょーっと、これまでとは内容が違うんだよねえ★」

 『『『『えええええええええええ!!!!!!』』』』

 月見先生の言葉を聞いてクラス全員が絶叫しているが月見先生はこう続けた。

 「この間さあ、ちょーっと事件が起きてね。生徒を守るためにある場所で

実地演習を行う事になったんだああ。」

 そう言うと月見先生は・・・透流とリーリスとユリエを見てこう言った。

 「君たちーー。・・・何か知ってんじゃな~~~い★」

 「「アハハ・・・。」」

 「?」

 透流とリーリスは乾いた笑いをしてユリエは何のことだろうと

首を傾げている中で月見先生はこう説明した。

 「さてさてー。今月の下旬に二年生との交流試合を行う事となったその名も

《咬竜戦》★オッケー?」

 そう言うと生徒の一人がこう聞いた。

 「《新刃戦》の様なものですか?」

 そう聞くと月見先生はこう答えた。

 「う~~ん、ちょっと違うかなあ~~★」

 「今回は《デュオ》での勝負じゃなくて、学年対抗戦なんだけどー、

一年生対二年生の選抜メンバーって形でね♪」

 月見先生の言葉を聞いて生徒の一人がこう聞いた。

 「月見先生、二年生はどうして選抜メンバーなんですか?」

 そう聞くと透流がこう呟いた。

 「そりゃあ相手が俺らなんかよりも濃密な戦闘経験を積んでるからだろう?」

 そう呟いているのを聞いて月見先生は透流に指さしてこう答えた。

 「YES,だって普通に考えたらお互いに全員でやっても勝ち目あると思ってる?」

 そう言って殆ど全員が黙った。

 二年生になっている人間は全員《レベルⅡ》または《レベルⅢ》に

昇格しているため殆どが《レベルⅠ》の生徒たちでは勝つのは無理だろうと

考えているのだ。

 いくら数が多くても・・・精鋭ぞろいの2年生相手に勝つことは

無理だろうと思うがな。

 そして月見先生はルール説明をした。

 ①一年生は全員で二年生は選抜された4組8名の《デュオ》。

 ②《ブレイズ》の使用可。

 ③制限時間は1時間。

 ④時間内にある所定の場所に設置された旗(フラッグ)を倒せば1年生の勝利。

 ⑤全員負ければ二年生の勝ち。

 そして場所についてだが・・・月見先生はこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 「場所は『あらもーど』から少し離れた商店街でもう既に取り壊しが

決まってるからそこでやるからねえ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言うと透流は月見先生に向けてこう聞いた。

 「月見先生、これまでの勝率は1年生と二年生で何割なんですか?」

 そう聞いて月見先生はこう答えた。

 「まあ、そうだねえ・・・二年生が7割って所かな。」

 「詰る所俺らが勝つには3割分って所か。」

 透流がそう言うとリーリスが透流に向けてこう聞いた。

 「ねえ、透流。どうやる?」 

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「多分だけど俺らみたいな奴がいるとなる《レベルⅢ》が

大体2,3組いてそいつらが前衛、バリケードとかには《レベルⅡ》だと

思うな。」

 何せ実力が違うからなとそう言うとリーリスはこう言った。

 「今年は違う場所って言ってたから今年は勝率がどれだけアップするかは

その場所における《ブレイズ》の使い方と使う人間の技量が伴うわね。」

 「ああ、俺みたいな武器だったら懐に入らなけりゃあいけないから

出来るだけ狭い場所が良いな。」

 透流はそう言うとそう言えばと言ってリーリスに向けてこう聞いた。

 「そういやあ、お前の《ブレイズ》って一体何なんだ?」

 何も見てねえぞとそう言うとリーリスはこう答えた。

 「分かったわ。今回は状況が状況だし後で教えるわね。」

 リーリスはそう言ってから月見先生の方に向き直した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして4組の《デュオ》が今日決まり、《咬竜戦》の日程が決まった。




 次回は《咬竜戦》からです。


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作戦会議。

 何時だって先ずは相談。


そして当日。

 《咬竜戦》の開催会場でもある旧商店街に透流達は来ていた。

 モノレールを降りて駅前に待機されていた専用バスに搭乗して来たのだ。

 嘗ては人が賑わっていたこの場所も今やシャッターに閉ざされ、

人の気配もない正にゴーストタウンであった。

 「然しよくこんな所で試合してくれる許可が下りたなおい。」

 「大方、工事する際にぶっ壊す手間を省かせるためだろうな。あわよくば

何棟か崩して貰っても構わないほどにな。」

 「・・・我々は解体業者ではないのだがな。」

 城上の言葉に対して透流と巴がそう言った。

 例え壊しても誰も泣かないどころか工事によって発生する解体の費用が幾ばくか削ってくれることも考えてなのであろう。

 ・・・世知辛いとはこのことである。

 「・・・・!!ふん。」

 城上は話しかけていたのが透流だと知ると目を見開いて眉を顰めて透流に向かって鼻息立ててそっぽ向いて離れていった。

 それを見た透流は何だろうと思っていると城上の《デュオ》でもある泉が

透流の肩をトントンと叩いてこう言った。

 「城上の奴ってさ。《新刃戦》の時にお前に手も足も出ずに負けたろ?」

 「・・・ああ。」

 「そんなもんだから九重の事を勝手にライバル視しているって訳ヨ。

もろ体育会系な性格してっからか超負けず嫌い何だよ。」

 「泉!!」

 城上は泉の言葉を聞いて怒鳴ると泉はヘラヘラと笑いながらこう言った。

 「へいへい、んじゃあ頑張ろうぜ透流。後あいつの事は気にしないでいいからなあいいからなあ。」

 「ああ・・・分かったよ。」

 あれ絶対城上をネタにしているなと透流はそう思っていると隣に巴が透流に向けてこう言った。

 「災難だったな。透流」

 「まあ、仕方がないさ。」

 透流は巴に向かってそう言うと黒塗りの車がやってきた。

 「誰だ?」

 「さあ・・・良い人じゃないって言うのは確かだな。」

 透流は車を見てそう言うと車のドアが開いて出てきたのは・・・・。

 「九十九理事長か。」

 透流はそう言って九十九理事長を見ていると九十九理事長は妖艶な笑みを

浮かべながらこう言った。

 「皆さん、ごきげんよう。既にご存じであると思いますが本日行われる

《咬竜戦》は特別に町内会の人達からのご厚意でこの商店街で行われることと

相成りました。

 「本当ならば闘技場なのですがいつも同じでは飽きてしまうと思われるので

今後からはまあ偶にですがこう言う行事も行われることとなりました。」

 「既に2年生の選抜メンバーは旗を付けて待機所で作戦会議をされています。」

 「今回の《咬竜戦》が貴方達だけではなく彼ら2年生においてもよき経験と

なるよう、心から祈り願っています。」

 九十九理事長の言葉が終わると全員がそれぞれ商店街の入り口から内部に

入っていって今後の作戦会議が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 「それじゃあ作戦会議と行くが・・・俺が司会で良いのかよ?トラ」

 「当たり前だ。貴様がこの中でもまともな意見を出しそうだし貴様以外だと

橘しかいなさそうだしな。」

 トラは透流に向かって眼鏡を付け直しながらそう言った。

 殆ど全員は何でだと思っているとユリエや巴、みやび、トラ、タツ、リーリスは透流の事を知っているために了承していた。

 現在彼らは商店街にある上り階段において作戦会議を聞いていた。

 「俺達の総勢は121名。その中で《レベルⅡ》は俺とユリエ、巴、みやび、

トラ、タツ、リーリスの7人。」

 「残った114名はそれぞれ今言った俺達7人を中心に7等分して

チーム編成をする。」

 「チームについてだが俺は近距離型格闘戦だから苦無とかナイフ、短刀を

持っている奴ら。」

 「ユリエの方は二刀流で高機動型だから出来るだけ軽い武器を持ってる奴ら。」

 「巴は中遠距離型鉄鎖だから伸縮性に長けた武器。」

 「みやびはランスだから攻撃力が高いメイスやハルバート。」

 「トラも高機動型だけどユリエと違って武術に富んでいるからそっち方面を。」

 「タツは持ち前の力が売りで長獲物を持っているから槍とかそう言う奴を。」

 「こんな感じでそれぞれチームリーダーの戦闘パターンに合わせて

チームを作ってさらにそこから4チームに分ける。」

 「何でだ?」

 城上はそれを聞いて何でだと思っていると透流はこう答えた。

 「相手は俺らよりも修羅場を潜り抜けた先輩たちだ。」

 「1対1や半端な人数だったらやられてくださいと言ってるようなものだ。」

 「だけど・・・何も体力が無尽蔵にある訳じゃない。」

 「・・成程、そういう事ね。」

 透流の言葉を聞いてリーリスは何かを閃いてこう続けた。

 「チームを4チームに分けて8人相手に波状攻撃を仕掛けるって言った魂胆ね。」

 「ああ、然も幾ら力が強くっても相性がある。苦手な武器や苦手な戦法。」

 「そう言ったのを確認して相手を波状攻撃する。」

 「相手が退いたら前に、押し出して来たら退く。」

 「それだけで相手の集中力が削がれるって言ったもんだ。」

 「そして相手が動けない間に旗を取る。」

 「要は相手を倒すんじゃなくてどうやって目的を成し遂げるかって問題だな。」

 詰る所は勝つのではなくあくまでも目的を達成すると言うのが第一条件であるという事である。

 それを聞いて全員が息を呑んでいた。

 たった数分でこの作戦を思いつくなんて何者だと思っていると透流はリーリスに向けてこう聞いた。

 「そう言えばお前の《ブレイズ》って何なんだ?」

 チーム分けするのに情報が無いぞと言うとリーリスは胸に手を当てて・・・こう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「《ブレイズ》!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言って現れた《ブレイズ》を見て・・・全員が口を大きく開けていた。

 これこそが彼女の・・・たった一つの《ブレイズ》なのだ。

 

 

 

 

 

 「それで・・・私は何処の班?」

 そう聞いて透流は・・・ニヤリと笑ってこう言った。

 「無論お前に相応しい所だ。」

 そう言って夜になるまで透流達は作戦会議と陣形の説明をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして夜・・・《咬竜戦》ガ始まった。




 次回、《咬竜戦》、開始!!


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戦闘開始!

 《咬竜戦》開始!!


「くそ!何だこいつらは!!」

 二年生にして《レベルⅡ》である少年がそう毒づきながら刀の《ブレイズ》を

振っていた。

 相手は殆どが《レベルⅠ》で如何に障害物がある商店街であろうとも経験豊富な

自分たちが負けるとは思ってもいなかった。

 が・・・・結果はどうだ。

 「こいつら何なんだよ!!」

 そう言いながら刀を一人に向けて振りかぶろうとすると・・・

刀を持っている方の腕に何かが絡みついた。

 「鎖!!」

 そう言って伝って行くと目に映ったのは・・・・。

 

 

 

 

 

 

 巴を含んだ4人が綱引きの様に鉄鎖を握っていた。

 

 

 

 

 

 

 「今だ!」

 巴の言葉と共に・・・8人が一斉に上下から・・・袋叩きをした。

 

 

 

 

 

 

 「君塚!」

 錘を持った少女がそう言うと・・・今度はみやびが現れた。

 「行きます!!」

 そう言って突撃してきた。

 「遅い!!」

 少女はみやびを見てそう言いながら飛び跳ねて後退して・・・背後にいる気配に気づいた。

 「放て---!!」

 リーリスの言葉と同時に弓の《ブレイズ》を持った少女達が上の階から狙撃して動きを封じられた。

 「くう!?」

 少女は毒づいて周りを見た。

 よく見ればみやびの周りにはメイスやハンマーの《ブレイズ》所有者たちが

囲んでいた。

 然も弓部隊の半数は上に向けて準備していた。

 飛び跳ねた時に備えて・・・。

 「チェックメイトですね。先輩♪」

 「くう!?」

 それを聞いて少女は・・・足を地に着けてこう言った。

 「降参ヨ。」

 

 

 

 

 

 

 

 「これは中々・・・。」

 「あいつら結構やるじゃねえか。」

 九十九理事長と月見先生は備え付けられた監視カメラを見てそう言った。

 「正直な所あいつらじゃあ二年生には勝てねえと高を括っていたがな。」

 月見先生はそう言って他の状況を見ていた。

 今回選抜メンバー人の内3人は《レギオンⅢ》で他は《レベルⅡ》。

 透流達ならば《レベルⅡ》程度難なく倒せれるが《レベルⅢ》クラスともなれば勝てるかどうかと思われていたが・・・結果はどうだ。

 透流達のいる班が二年生二人を倒しているのに透流達の被害は0。

 無論けが人はいたがそれらを他のメンバーがカバーして互いに支え合っていた。

 「恐らくは九重君とブリストルさんの入れ知恵でしょうね。敵が質ならば

こちらは数を生かして波状攻撃からなる挟撃、奇襲を主として行い、相手の

最も苦手とする武器と戦略を炙り出させて数を減らして壁を薄くして

最終的には旗を奪うという計画でしょうね。」

 三國先生は戦闘状況から大体の目的を示唆していた。

 「敵を完全に倒すのではなく目的の完全達成。どちらも重要ですが

今最も重要なのは・・・与えられた仕事を確実に成し遂げられることが

出来る実行力。これまでの《咬竜戦》においてここまでしたのは今まで

ありませんでしたわ。」

 九十九理事長はそう言いながら紅茶を一口飲んだ。

 そしてこう言った。

 「このままいけば残りは《レベルⅢ》が3人になりそうなれば幾ら

実力があろうとも疲弊して奪われるが関の山。」

 「だけど二年生も只じゃあくたばらねえと思うぜ。」

 月見先生はそう言って監視カメラを見続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「くそ!こっちは二人もやられた!!」

 「おまけに遠めから見たけど他の《レベルⅡ》も1年生共に押され始めてる。」

 「去年は格闘場だったから全体が見られていたけど今年は更にヤバい。」

 「何せ障害物は多いし然も奴らはそれらを駆使して表や裏に回って

こっちの逃走経路や襲撃場を予測してやがる!!!」

 旗を守っている二年生達が口々にそう言った。

 去年は自分たちが惨敗するが今回は自分たちが勝つと考えていたのに

それが水の泡となってしまったのだ。

 するとこの中で《レベルⅢ》である一人がこう言った。

 「恐らくアイツらの中に作戦を伝えているのがいるに違いない!そいつを叩けばもしかしたら!!」

 そう言ってこう続けた。

 「良し・・・《レベルⅡ》が2人ぐらいになったら下がらせて俺達が

前衛に回る!!そして俺達が指揮官を見つけて叩いて形勢を逆転させるぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「多分だけどそう言ってるはずよ。」

 「リーリス、お前の読みは当たるから怖いんだよな。」

 透流とリーリスは自分たちが指揮している班と共に近くにある潰れた

バーの地下で作戦会議をしていた。

 九十九理事長は幾つかの場所に傷薬と幾つかの食べ物を置いていた。

 これは戦闘が長引いた時に備えての準備だと思う。

 皆思い思いで食事していると作戦を聞いていた。

 あの旗が置かれている場所は東西南北に分けて通れるいわば見渡しが

良い場所。」

 「然もそれぞれの角の店はガラス張りで見える位置にあるから狙撃には

向かないわ。」

 「だからこそ・・・《レベルⅢ》が2人ほど出て行ってくれると好都合。」

 「後は全開の《レベルⅢ》が1人とへとへとな《レベルⅡ》がまあ・・・

2,3人って所かしら。そこで・・・・作戦はこうよ。」

 ①敵の《レベルⅢ》が出て行ったら強襲班として透流、リーリス、後で合流するユリエ班が3人がかりで向かう。

 ②《レベルⅢ》は巴達が引き付けている間に・・・あらかじめ残して

近くに配置されている2チームが旗に向かう。

 ③透流達が残留班を引き付けている間に旗を奪う。

 「作戦はこんなものね。伝えるのはいつも通り・・・良いわね。」

 リーリスはそう言って小柄な少女に向けてそう言うと少女は頷いて出て行った。

 連絡係として足の速い人間や戦闘向きじゃない《ブレイズ》持ちは連絡係として配置されていた。

 そして出て行くのを見送ると全員に向かってこう言った。

 「さあてと・・・いっちょ行きますか!」

 『『おオオォォォォ‼!』』

 透流の言葉を聞いて全員静かに雄たけびを上げたが・・・

彼らはまだ知らなかった。

 ここに向かってくる・・・異形達を・・・。




 じわじわと・・・奴らはやってくる。


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お前らは客じゃない

 関係ないお客様は・・・どっか行け。


商店街の近くで全身を黒い外套で覆った人間たちが20人ほどがバラバラに

散らばって無線機を持って待機している中で一人がこう言った。

 

 

 

 

 「創造主から伝令だ。《目的は

『操焔の魔女(ブレイズ・デアボリカ)』の確保》と《『イクシードの殲滅』》。

邪魔立てするならば容赦するな。・・・気に入った人間がいたら玩具にしても

構わないだそうだ。」

 「女でもですか?」

 男の一人の言葉を聞いてもう一人が下卑じみた笑みを浮かべているとこう答えた。

 「ああ・・・ナニしてもだ・・・だそうだ。」

 そう言うとヒヒヒと笑い声がそこらかしこに響くと・・・男の体が変貌した。

 そして他の人間たちも・・・変貌した。

 動物や昆虫などと言った・・・鋼鉄の生命体になると

リーダー格の男性であったナニカがこう言った。

 

 

 

 

 

 

 『サア・・・カリトシャレコモウゼ。』

 その声と共に進軍した。

 

 

 

 が・・・彼らもまた知らなかった。

 最強と思うこの力にも・・・弱点がある事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「行くぞ---!!」

 「「「ォォォォオオ!!」」」

 2年生の《レベルⅢ》の言葉と共に全員が出て行くのを見てリーリスは

こう言った。

 

 

 

 

 「行ったわね。」

 「それじゃあ俺らも行くぞ。」

 透流の言葉を聞いて全員がこくりと頷いた。

 今いるのは疲弊している《レベルⅡ》が2人だけと完全にこちらを

なめているのかと思うだろうがそうではなかった。

 

 

 「どうだ?リーリス」

 透流がそう聞くと鏡を持っているリーリスがそれを見てこう言った。

 「やっぱりね。《レベルⅢ》との距離が予想よりも近いわ。もし攻撃したら

こっちが挟撃されるわ。」

 そう言ってリーリスは鏡を懐に入れると全員に向けてこう言った。

 「作戦変更ね。天井から行ってユリエ達に報告。私達が囮になるからユリエ達は強奪犯を援護しつつ攻撃に参加。良いわね?」

 そう聞くと伝達係が裏から天井に上って伝達に行った。

 そしてリーリスがこう聞いた。

 「それで良いかしら?」

 透流に向けてそう聞くと透流はこう答えた。

 「ああ、それじゃあ戻ってきたら作戦・・・・・!!」

 透流は何か言いかける前に何かを感じて後ろを振り向くとリーリスも何かに

感づいた。

 

 

 

 

 

 「感じたか?リーリス」

 「ええ・・・この感じは・・・間違いないわね。」

 そう言うと二人はお互いに視線だけを交わして・・・そっちに向かった。

 「!!どうしたの!?」

 攻撃部隊の一人が透流とリーリスに向けてそう聞くと二人はこう答えた。

 

 

 

 

 「「ちょっと様子見。」」

 

 

 

 

 そう言って二人は天井に上って周りを見渡して・・・こう言った。

 

 

 

 

 「「あいつらだ。」」

 そう言うと透流とリーリスは懐から核鉄を取り出すと・・・上空から何かが

来るのを感じた。

 「「!!」」

 二人がそれを感じて避けるとそこにいたのは・・・。

 

 

 

 『ケーケッケケッ!ナカナカカンガイイナガキ‼!』

 蝙蝠型の・・・ホムンクルスであった。

 すると蝙蝠型のホムンクルスが・・・リーリスを見てこう言った。

 『ヘエ・・・ガキニシチャアイイカラダツキジャナイカヨ。チョット

イイコトシテモバチハアタラネエナ!!』

 そう言いながら翼を大きく広げて再び飛ぶとリーリスは透流に向けて

こう言った。

 「透流、ここは私に任せといてくれない?」

 「リーリス!?」

 「あいつは私を御指名のようだしそれに・・・私も戦士よ。」

 そう言うとそれを見た透流はこう答えた。

 「・・・分かった。取り合えずそいつは雑魚だから適当に片しとけよ。」

 「勿論ヨ。」

 リーリスの言葉を聞いて透流は天井から降りて下に向かうと蝙蝠型の

ホムンクルスはそれを見て笑いながらこう言った。

 『ヒャハハ( ̄∇ ̄;)ハッハッハ!!ザコダト?コノチカラヲモッテイルオレハサイキョウダ!!アトデアイツハユックリトイタブルトシテマズハソコノ

カワイコチャンヲオレゴノミニ』

 蝙蝠型のホムンクルスが言い終わる前にリーリスは自身の《ブレイズ》を使って攻撃すると蝙蝠型のホムンクルスはこう続けた。

 『ヒャハハ!!ムリムリ!!コノカラダニハキカネエヨ‼!』 

 そう言うとリーリスは《ブレイズ》を消すと核鉄を構えてこう言った。

 「ねえさ、あんた。それが最凶だって言ったわね?」

 『ソウサ!!コノチカラヲツカッテオレタチハスベテヲエル‼!』 

 そう言うとリーリスはこう返した。

 「アンタらって本当に・・・バカよね。」

 『ナンダト!?』 

 「この世の中には最凶なんて何処にもないの。」

 「表があれば裏もある。そしてホムンクルスは錬金術から産まれた。」

 「なら・・・それを倒すのもまた・・・錬金術。」

 

 

 

 

 

 

 

 「武装錬金!!」

 

 

 

 

 

 リーリスは核鉄を上空に構えるとソレハ光り輝いた。

 『!!』 

 蝙蝠型のホムンクルスはその光に思わず目を瞑った。

 そして光が収まって蝙蝠型のホムンクルスはリーリスを見ようとした

その瞬間に・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 光が幾つも自身に襲いかかっていくのを最後に蝙蝠型のホムンクルスは・・・

消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「な、何なんだこいつらは!?」

 二年生の一人が・・・トラ型のホムンクルスを見てそう言った。

 いきなり20近いバケモノが現れ全員が何が何だと思っていると《レベルⅢ》の

生徒が一人で猿型のホムンクルスに《小剣(スモールソード)》で

突き刺そうとして当てるも・・・貫くことはなかった。

 「なあ!?」

 それを見て驚くと猿型のホムンクルスは笑いながらこう言った。

 『キカネエナ‼!』 

 そう言って《小剣(スモールソード)》の使い手を吹き飛ばすとこう言った。

 『マズハオマエカラダ』

 そう言って口を大きく開くと・・・後ろから声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 「おい」

 『?』 

 猿型のホムンクルスは何だと思って振り向いて・・・頭にある紋章を

貫かれて終わった。

 

 

 

 

 

 「大丈夫か!?」

 「あ・・・あああ。」

 透流は二年生に向けてそう聞くと二年生はポカンとしながらそう答えた。

 そして透流はこう続けた。

 「今すぐに他の皆を連れて逃げろ!」 

 「馬鹿言うな!1年生に助けられただけじゃなくて逃げるなんて

そんなカッコ悪い」

 「今すぐ逃げないと死ぬぞ!!!」

 透流は二年生の言葉を聞いて大声でそう言いながら

他のホムンクルスの方に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 いま、大規模な戦闘が始まろうとしていた。




 次回はリーリスの武装錬金について説明します。


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46話

「畜生が!ホムンクルス何て何で来てんだよ!?然も大量に!!?」

 月見先生はそう言って自身の《ブレイズ》を展開すると九十九理事長が

隣にいる三國先生に向けてこう言った。

 「三國、貴方も援護に行きなさい。生徒たちの避難程度にはなるでしょう。」

 「畏まりました。」

 三國は九十九理事長にそう言って頭を下げると月見先生と共に出撃した。

 そして九十九理事長は懐からある物を出してこう呟いた。

 

 

 

 

 「・・・未だこれを出すには時期が早いですわね。」

 

 

 

 

 そう言って九十九理事長はある資料を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 ・・・六角形の形をした金属を・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ちょっと!?何よこれ!!」

 「化け物がこんなに一杯って・・・何なんだよ一体!!」

 生徒たちはそう言いながらホムンクルス相手に《ブレイズ》で戦っていた。

 然し相手の体は傷ついても傷ついても再生してしまう為効果は薄かった。

 そう・・・透流以外は。

 

 

 

 

 

 「これで11体目!!!」

 そう言って透流は犀型のホムンクルス相手に槍型に変形した

《フォース・セイバー》で貫いた。

 然し敵は空からも来ており正直な所じり貧であり然も・・・全員が

ボロボロであった。

 このままじゃあ無理だと思っていると上空から・・・光が出現した。

 

 

 

 

 『『『『『ウワアアアアアア!!!』』』』』

 全員がそれに驚いていると爆風と同時に・・・彼女が現れた。

 「リーリス!!」

 「遅くなってごめんね透流!上空から来る連中を倒すのに手間取ってたわ!!」

 そう言いながらリーリスは片手に装備している・・・巨大な銃器を見て

透流はこう聞いた。

 「そいつがリーリスのか?」

 それを聞いてリーリスはこう答えた。

 「ええ、これが私の武装錬金!」

 

 

 

 

 

 

 

 「ガトリング砲の武装錬金《ショック・フレイア》よ!!」

 

 

 

 

 

 そう言ってリーリスは《ショック・フレイア》を構えて目の前にいる5体の

ホムンクルス相手に向けて・・・こう言った。

 

 

 

 

 

 

 「消えなさい!!」

 そう言うとガトリング砲から幾つもの・・・光がホムンクルス達を貫いて・・・消滅した。

 そしてリーリスは透流に向けてこう言った。

 「後は4体!さっさと片すわよ!!」

 「おお!」

 お互いそう言うと透流の前に7人ほど・・・現れた。

 

 

 

 

 

 「だったら俺らが力貸すぜ。」

 

 

 「先輩!それにユリエ達も!?」

 そう、《レベルⅢ》の先輩たちとユリエ達が前に立つとこう続けた。

 「お前らの武器だけがあいつらに効いてる。それならお前らの武器が

当たりやすいように援護に徹するよ。」

 「ま、本当なら俺らがやらなきゃあいけないだろうけどここは後輩にってな。」

 「ちょっとカッコ悪いがな。」

 先輩たちがそう言って笑っている中でユリエ達もこう続けた。

 「ヤー、前回は助けられませんでしたから今度は一緒に。」

 「貴様らだけじゃあ逃しそうだからな。」

 「・・・・・」

 「怖いけど・・・透流君と一緒なら私・・・頑張れると思うの!」

 「何時も何時も助けられてばかりでは橘流の名折れだしな。」

 「・・・お前らナ。」

 「人が良いのやら馬鹿なのやら分からないわね。」

 透流とリーリスはそれを聞いて頭を抱えているが仲にいる

ゴキブリ型ホムンクルスがそれを見てこう言った。

 

 

 

 

 『ケエ!!ナニカッコツケテヤガル!!ヤッチマエ‼!!』

 『『『『ウォォォォォォォォ‼!』』』』

 ホムンクルスの残党が透流達に迫ると更に声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 「何勝手に楽しもうとしてやがんだアタシも混ぜろ!!!」

 

 

 

 

 

 

 そう言うと月見先生は中にいる犬型ホムンクルス目掛けて蹴りを入れた。

 

 

 

 

 

 「月見先生(先輩)!!』

 「よお、お前ら。死ぬ気があるのなら大歓迎!!徹底的にこいつらボコすぞ!」

 そう言うと透流は月見先生に向けてこう聞いた。

 「あのう、先生!!他の生徒たちは!!?」

 そう聞くと月見先生はこう答えた。

 「おおよ!そっちは三國先生に丸投げだぜ!!」

 「・・・なんつう教師だ。」

 「諦めろ1年。この人は昔からこうだから。」

 「《デュオ》していた人も大変だっただろうな。」

 「いや、人から聞いたんだがあの人の《デュオ》も負けず劣らずの

変人だったらしいぜ。」

 マジかよと透流はそれを聞いて呆れていると月見先生はこう言った。

 「ほらほら!さっさと畳みかけるぞ!!」

 『お、ォォォォ‼!』

 それを聞いて透流達は取り合えず意識をちゃんとしてから突撃した。

 

 

 

 

 

 

 そして無論けが人はいたが今回は犠牲者なく戦闘が終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「成程、今回襲ってきたホムンクルスは幾つかのグループに分けられていますが大体はこのトレーラーに?」

 「はい。近くにあった防犯カメラによる映像を片っ端から調べたところ

これ以外に不審な車両はいなかったそうです。」

 「そうですか。それなら今後も調査のほどを。」

 ではと言って九十九理事長はあの戦闘の後に来たホムンクルスの動向を

調べていた。

 すると近くにいた三國先生が九十九理事長に向けてこう聞いた。

 「九十九理事長、もうじき例の合宿が開かれますが今回の事を考えて

万全の状態にした方が宜しいかと。」

 「そうですわね。それならば三國と月見先生・・・それとあれも持って

行きましょう。」

 「待って下さい。あれは未だ試作段階で戦闘に向くかどうかは賭けになるかと」

 「それならばそれですわ。そこまでの人間であったこと。」

 

 

 

 

 

 

 「全ては《アブソリュート・デュオ》に至らん為に必要な事。」

 

 

 

 

 

 

 

 そう言うと九十九理事長はテレビを映すとある映像が流れた。

 そしてそれにはこう書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《レベルⅣ共鳴干渉発生器》と言う・・・名が刻まれていた。




 リーリスの武装錬金
 名称  ショック・フレイア
 シリアルナンバーⅢⅡ
 武器 ガトリング砲
 能力 光弾の斉射及びガトリング砲の形状変化に伴う威力操作。


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私の・・・たった一つの・・・欲望

 3巻目だけれどこれって・・・違反じゃないよね?


穂高みやびと橘巴には共通点がある。

 それは・・・異性に対して抵抗感がある事である。

 みやびの場合は人見知り+恥ずかしがり屋で姉と同じく女子中学に

通ってしまった事で更に拍車がかかってしまった。

 巴の場合は武門の家の生まれで自身はそれを継ぐために日々の多くを鍛錬に

費やしたのだ。

 それに伴い彼女の中にある武の才能が開花し、その修練に伴い・・・

同年代の男子が裸足で逃げてしまうくらいに強くなってしまったのだ。

 少年たちにとって強さとは最も単純で分かりやすい基準である。

 然しそれに伴い少年たちの心は頑なになってしまって例え好意を持ったとしても

誰一人想いを伝えることが出来なかった。

 だが二人には決定的に違う所がある。

 それは・・・情報である。

 苦手と言っていたが実は興味がないわけではなかった。

 ドラマや漫画などで恋と言う物がどういう物なのかを知識として

理解しているのだ。

 それにより想像もしてしまう。

 いつか自分もああいう風にと想ってしまうのだが・・・巴はそう言うのでは

なかった。

 巴の場合は恋に憧れるような創作物にも触れることがなく鍛錬に明け暮れて

しまったのだ。

 それにより・・・透流相手に行った《レベルⅡ》昇格に伴う模擬戦で・・・

性的快楽を知ってしまいそれが彼女の中にある・・・想いが変わってしまったのだ。

 みやびならばその口で「好き」と言ってそのままキスしたいという

感情があるのだが巴の場合は・・・違う物であった。

 

 

 

 

 あの唇に私を刻んで欲しい。

 

 

 

 あの歯で私の肌を嚙んで欲しい。

 

 

 

 あの口で私の・・・全てをタベテホシイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 みやびならばその手で握って欲しいと思うが巴の場合はこうだ。

 

 

 

 

 

 

 あの指で私の大事な所を弄って欲しい。

 

 

 

 

 

 あの手で私の全てを触れてほしい。

 

 

 

 

 あの腕で私を・・・ツツンデホシイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 みやびならばその体で抱きしめてほしいと想うが巴の場合はこれだ。

 

 

 

 

 あの体で私の全てを・・・トカシテホシイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最早止まることが出来ない。

 純情な思いと劣情を抱いた想い。

 寝ても覚めても二人は彼の事を想い・・・そして・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ここは何処だ?」

 巴はそう言って周りを見ていた。

 周りはまさに漆黒と言っていい程の空間。

 音もなければ何も感じない。

 「みやびー、何処だ---!!」

 そう言うが音は反響するばかりで何も応答がなかった。

 「リーリス、ユリエ、透流!!いないのかああ!?」

 そう言うが周りは何も感じなかった。

 すると巴は目の前に何かがある事に気づいて近づくとそこにあったのは・・・。

 

 

 

 

 

 「テレビか?」

 

 

 

 そう、部屋に備え付けられているテレビであった。

 するとテレビの画面が光り輝いて巴は何だと思って見て・・・。

 「//////////」

 顔を真っ赤にして黙りこくってしまった。

 映っていたのは・・・・。

 

 

 

 

 

 「私と透流が・・・裸で/////」

 

 

 

 

 

 巴と透流がお互い裸の状態でベッドの上でそういうことをしてる映像であった。

 

 

 

 「い、一体何なんだこれは!?」

 そう言いながら映像を・・・見ていた。

 時折透流が自分の唇を巴の唇を押し付けるかの様にキスすると巴も・・・

舌を入れてそういう事をしていた。

 すると透流が巴を押し倒して何度も何度も腰を打ち付けるが巴はそれに対して

足を組んで離さない様にがっしりとしていた。

 

 

 

 

 「一体・・・これは・・・・?」

 巴はそれを見て後ずさりしていると足元に何かが当たった事に気づいて下を

見るとそこにあったのは・・・。

 

 

 

 

 

 

 「これは確か・・・ヘッドホン?・・・だったよな。」

 そう言って巴はそれを手に取った。

 正直な所こう言うのではなく巴の場合はどちらかと言えばイヤホンの方が

知っているのだ。

 すると巴はそれを耳に付けると・・・声が聞こえた。

 

 

 

 

 『ヒャアアアアアアアアア♡♡♡♡♡』

 「!!」

 巴はそれが自分の声である事に驚くが更に声が聞こえた。

 ソレハ・・・。

 

 

 

 『巴!巴!!巴!!!』

 

 

 

 「透流・・・まさか・・・どうして・・・・。」

 巴はその声を聴いて何故と思っているとヘッドホンから自身の・・・

本当に自分の声かどうか疑いたくなるような声であった。

 

 

 

 『透流!透流!!透流‼!!』

 『好き!好き!!好き!!!大好きーー♡♡♡♡!!』

   

 

 

 

 「これが私・・・なのか」

 『巴!俺もう‼!』

 『良いよ透流♡♡♡♡私透流の子供だったら!!!♡♡♡♡』

 「子供ってまさか!!?」

 『巴---!!』

 『透流---!!♡♡♡♡』

 お互いが名前を呼び合いながら体を伸ばしあったのを見て巴は・・・

震えてしまった。

 

 

 

 

 「まさか・・・まさか・・・そんな・・・これは・・・夢じゃ・・ないのか?」

 巴はヘッドホンを落としてテレビから離れると・・・画面の中にいる自分と

目が合った。

 「!!!!!!」

 

 そこにいるのは何時もの自分ではなく・・・艶めかしい自分の成り果てていた。

 画面の中では透流とキスしてもう一度お互い抱きしめあおうとすると

画面の中から・・・声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  『・・・・ねえ・・・一緒に・・・堕ちろ♡♡♡♡』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ウワアアアアアア!!!!」

 「ハア・・・ハア・・・ハア・・・・、夢か?」

 巴はそう言って周りを見ていた。

 時間は午前2時25分。

 当然の所消灯時間である。

 下を見ると未だ相部屋のみやびは寝ていた。

 「な・・・何だったんだ?あの夢は?」

 正直な所何であんな夢を見たのか自分には分からなかった。

 何故あの夢の中で自分と透流が契りを交わしていたのか。

 そして何故自分があんなに・・・透流と嬉しそうに契っていたのか

理解できなかった。

 然しこんな風になったのはそう・・・あの模擬戦以来である。

 あの時に透流が巴の下半身を舐めてしまったため(事故であるのだが)あれから体の様子が可笑しいのだ。

 

 

 

 

 透流を見ていると体が疼いてしまう。

 透流と言葉を交わすだけで嬉しいと思う自分がいる。

 そして透流が他の女の子と話しているのを見るだけで・・・

不快になってしまう自分がいる。

 

 

 

 

 「何なんだこの・・・気持ちは?」 

 そう言って巴は自身の胸に手を当てて考え乍ら眠りにつくがあの時の事が

忘れらずにこの日は日課となっていた透流との演習は休んだ。

 




 ・・・都合上こうなってしまった為正直に言います。
 ・・・・通報だけはご勘弁を!?


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海の上で一休み

 臨海学校編のスタートです。


「フわ~~。よく寝たなあ。」

 「アンタよくこんな時まで寝られるわね。」

 透流の大欠伸を見てリーリスはため息交じりでそう言った。

 現在透流達は1年生全員で船に乗って1週間の臨海学校のある南の島に

向かっているのだ。

 「潮の香りが凄いなあ。」

 「そりゃあそうでしょ。ここは海の上なんだから。」

 そう言いながらリーリスは・・・膝の上で寝ているユリエの頭を撫でながら

そう言った。

 すると透流はユリエに向けてこう聞いた。

 「大丈夫か?ユリエ」

 そう聞くとユリエはリーリスの膝の上でこう言った。

 「や、ヤ―・・・。大丈夫・・・です。」

 「じゃないだろうな。」

 透流はユリエの状況を見てそう言った。

 ギムレーは日本と同じく島国であるため周囲が海に囲まれているため

船は大丈夫だろうと思っていて・・・そうではない事に気づいた。

 船酔いに陥ってしまい現在休憩中である。

 そんな中でリーリスは持ってきた水筒に入ってあるスポーツ飲料を

飲ませながらこう言った。

 「大丈夫じゃなかったらそう言いなさいよ。私達は《デュオ》何だから時には

甘えなさい。」

 「ヤー・・・分かりました。」

 ユリエはそう言いながら冷えたスポーツドリンクを頭の上に乗せて頭を

冷やしていた。

 そしてユリエはそのまま・・・眠りについた。

 「すう・・・すう・・・すう・・・。」

 ユリエを見ているとこうしたら年相応の女の子だなあと思っていると

リーリスはこう言った。

 「キャプテンブラボーに聞いたんだけどこの間襲ってきた連中は如何やら

某国のトレーラーを使っていたようだから販売経路から調べるらしいわ。」

 「そうか・・・それにしてもあの後からクラスメイト達から

質問攻めだったよなあ。」

 「まあ仕方がないわよ。あんなの見てたら。」

 二人はそう言って商店街にて襲ってきたホムンクルス戦のその後のことを

話していた。

 あの後からクラスメイト達から多数の質問攻めされた後今後について

どうするのかを聞いた。

 そしてその目的を聞くと全員がこう言った。

 『・・・絶対生きて欲しい。』

 そう言ってくれたのだ。

 それからと言う物交代で朝のトレーニングに加わって実力を上げているのだが

その中には2年生が混じる事もあった。

 その理由は・・・これだ。

 

 

 

 

 

 

 

 「何時までも下級生に負けてばっかりじゃ面子が立たん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言って練習に参加してくれている。

 目的は自身の基礎体力の向上と実戦に向けた戦闘の基本の予習。

 更に言えば陣形も視野に入れた特訓をしておりこの分ならば早い段階で

《昇華の儀》を受けさせることが出来ますねと三國先生がそう断言した。

 そんな中でも透流とリーリスはホムンクルスの創造主を見つけるという

任務を忘れておらずドーン機関の内部にある別組織も視野に入れて夏休み中は

それにつぎ込もうと考えていた。

 そんなことを考えていると船室とデッキを隔てる扉が開いた。

 姿を見せたのはみやびであった。

 「よお、みやびも風に当たりに来たのか?」

 「う、ううん。ちょっとね・・・透流君たちが中々戻ってこないなあって

思ってさ。」

 其れでと言ってユリエを見るとみやびはこう聞いた。

 「ユリエちゃん。大丈夫?」

 そう聞くとリーリスがこう答えた。

 「ええ、もうちょっと寝かせて置いたら良くなると思うけど本当だったら

向こうに着いたら直ぐに寝かせたいのよねえ。」

 「うん、そうだね・・・それにしてもユリエちゃんにも

あったんだねえ・・・。」

 みやびはそう言ってユリエを見ているとリーリスはこう返した。

 「当たり前よ。この子だってちゃんとした人間よ。確かに結構強いけど

お酒が弱くて酒乱になって暴走したり可愛い動物が好きだったりお菓子を

食べるのが好きな只の普通の女の子ヨ。」

 そう言うとみやびはこう言った。

 「そうだね、・・・うん。そうだよね。」

 そう言ってみやびはユリエの頭を撫でるとユリエは何やらくすぐったそうに

動いていた。

 それを見ていた3人はほっこりした顔で見ていると透流はみやびに向けて

こう聞いた。

 「そう言えばみやび、一つ聞いて良いか?」

 「?」

 「巴何だけど・・・アイツどうかしたか?」

 「どうって・・・?」

 みやびは透流の言葉を聞いてどんなことなのかと聞くと透流はこう答えた。

 「あいつ、今まで来ていた特訓を偶に休んだり俺と特訓する際には

顔を赤くしたり食事を摂っていたとしても

俺とは全然話してくれないんだよなあ。」

 何でだろうなと聞くとみやびもこう言った。

 「そう言えば巴ちゃん。最近透流君を見るだけで何だか挙動不審になったり

するからどうしたんだろうなあって思うんだよね。」

 どうしたんだろうねと聞くとリーリスはこう返した。

 「ま、そう言うのは本人が自然に言ってくれるのを

待つしかないんじゃないの?」

 「結局のところ本人しか解決できない問題なんじゃないの?」

 そう言ってリーリスはユリエの頭をもう一度撫でていた。

 確かにそうだなと思ってもう少しいるかと思っていたりする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその本人はというと・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「(ファアアアアアアアア♡♡♡透流♡♡♡♡)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 トイレの中で自分を慰めていた。

 然も自分の服を猿轡にして声を出さない様にしている。

 そしてそれが終わるも巴は透流の事を思い出していた。

 もし透流が目の前に突然現れたらという妄想をして・・・・。

 「(透流♡♡私を見て♡♡♡私だけを見て~~♡♡♡♡)」

 そう思っていた。

 

 

 

 

 もう彼女は元に戻れない。

 欲望が満たされない限り・・・彼女は永遠に透流を求め続けるのだから。




 次回は臨海学校の説明です。


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訓練は突然に。

 この学校は何かしらの出来事があるよなあ。


「よしよしよーっし、全員揃ったねえ~~?」

 船内室をぐるりと見ながら月見先生はそう言うとこう続けた。

 「さてさて、この船も間もなく目的の島にとーちゃくしまーす★デッキに

出てた子は島の姿が見えてるから分かってると思うけどもうすぐ船が停まるから

降りる準備をするよーに♡尚、皆の荷物はスタッフ(卒業生)が運ぶから

安心してねえー♪」

 そう言って月見先生は卒業生でもあり《レベルⅢ》の《イクシード》5名を見た。

 彼らは学園の敷地内では行えないサバイバル等の訓練を行う為に

合宿のサポートチームとしてわざわざ来てもらっているのだ。

 すると巴が月見先生に向けてこう聞いた。

 「月見先生。幾らスタッフとしての参加とはいえ、

先輩方に私達の荷物持ちさせるのはどうかと思いますが?」

 そう聞くと月見先生は笑顔でこう答えた。

 「気にしない気にしない。あっちも仕事なんだから♪それよりも

これを今から配るから名前を呼ばれたら鳥に来るんだよー★」

 そう言って掲げたのは時計のような・・・ナニカであった。

 「何ですか、これ?」

 生徒の一人がそう聞くと月見先生はこう答えた。

 「救難信号スイッチ&ライト付きアームバンドだよー☆

本気でやっば―って思ったら押してねー。マジで死んじゃう前に、ね♪OK?」

 それを聞いて全員がざわめいていると透流とリーリスは外に目を向けて見てみるとまさかと思ってお互いに小声でこう言った。

 「なあ、リーリス。気づいてるか?」

 「ええ、船が動いてないって事は・・・そういう事ね。」

 そう言っていると月見先生はこう言った。

 「それじゃあ今回の臨海学校の初めはーー・・・着衣水泳の実地訓練から

開始だよー♪」

 「「(やっぱかい)」」

 透流とリーリスはそれを聞いてやっぱりと思っていると月見先生はこう続けた。

 「到着したら島の中央にある合宿所を各々目指す様にーー☆」

 そう言っているが着衣水泳は先週教わったばかりの技術であり

1キロ泳ぎ終わった後は体が疲労で動けなくなるくらいである。

 そんな覚えたての然も取って付けた様な技術を今ここでかよと思っていると

月見先生が透流の耳元でこう囁いた。

 「死ぬ気でやった方が身につくってもんだ。せいぜい頑張れよ、くははっ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして同時刻の何処か。

 

 

 

 

 

 「・・・さてと、次はこいつじゃのう。」

 そう言って老人は液体が満タンになった水槽を見るとそこにいたのは・・・

人間であった。

 然も全員裸であったのだが老人それを見てこう言った。

 「お前は最高傑作じゃ。何せ・・・あの連中からあれを投与されて

おるからのう。」

 そう言ってもう一方の水槽を見るとそこにいたのは・・・。

 人間とは言い難い・・・ナニカであった。

 それは全身が鋼の・・・化け物であった。

 「こやつがあ奴らを皆殺しにすれば・・・

儂はお前を超えたという事じゃ・・・」

 「フフフフフフフ・・・・フハハハハハハハハハ( ̄∇ ̄;)ハッハッハ!!」

 そう言って高笑いするが・・・彼は知らない。

 それが虎どころか・・・竜の逆鱗に触れることになろうとは。

 

 

 

 

 

 

 

 そして時は同じく海上では・・・。

 クラスメイト達が飛び降りる中透流は全員に向けてこう言った。

 「それじゃあ順番なんだが女性陣が最後な。男性陣が最初、スカートの中見たらお前ら・・・それでも腰を折らないって言えるか?」

 それを聞いて確かにとそう思い先ずは男性陣が飛び込んだ。

 するとそんな中でリーリスはユリエに向けてこう聞いた。

 「そう言えばユリエちゃんって先週の着衣水泳の時は熱中症で休んだけど・・・大丈夫?」

 そう聞いたのだ。

 ユリエは先週最近の日本の暑さに体調が優れなかったため

参加していなかったのだ。

 するとユリエは力なくこう答えた。

 「大丈夫です・・・多分。」

 そう言っているが多少ながら不安なようである。

 するとリーリスがユリエに向けてこう言った。

 「それじゃあ一緒に飛び降りましょ。大丈夫よ、万が一には私と透流が

助けるから。」

 「・・・ヤ―、それでしたら・・・よろしくお願いします。」

 「何言ってんよ、私達は《デュオ》。助け合うのは当たり前でしょ。」

 「!!・・・ヤ―。」

 ユリエはそれを聞いてアホ毛をこれでもかと言うくらいに振っていた。

 そしてそのまま2人が落下した。

 そして暫くすると・・・リーリスだけが出てきた。

 「ぷふぁあ!・・・あれ、ユリエちゃんは?」

 「え、お前と一緒に落ちたよな?」

 「ええ」

 そう言って2人が水面を見ているが・・・ユリエは一向に出てこなかった。

 「ユリエ---!!」

 「ちょっと---!!」

 そして暫くして・・・・。

 「それにしてもユリエって泳げないんだな?」

 「スミマセン、ギムレーでは泳ぐという習慣がありませんでしたので。」

 「成程、寒冷地ならではって所ね。」

 透流とリーリスはそれを聞いてユリエと一緒に泳いでいた。

 錬金戦団は世界中に団員がいるため稀にだがそう言う人たちもいるのだ。

 すると透流がこう提案した。

 「それだったら今回の臨海学校中に泳ぎを教えとくよ。」

 「そうね、何があっても良いように教えとくわ。」

 「ヤー、ありがとうございます。」

 そう言って2人は泳ぎを続けた。




 次は着いてから。


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敵は闇の中に。

 海から泳いでもまだある。


そして透流、リーリス、ユリエの3人は何とか上陸した後

ユリエとリーリスは服を乾かすとかで暫く休憩を取る事にした。

 (下着とかは万が一に備えて近くの岩で小石で押さえつけてるので

例のあれは起こりません)

 そして緩やかな岩壁を見つけて上る事にした。

 山はカルデラ状になっており臨海学校に使う建物は如何やら

窪地の中心のようであったが透流は夕日が差すのを見てこう言った。

 「もうすぐ日が暮れるな。夜、ジャングルの中を歩くのは危険だから何処かで

休める所を探そう。」

 「賛成ね、前に強行突破しようとして痛い目見たんだし。」

 リーリスもそれに答えるとユリエはこう聞いた。

 「前もってことはこう言う事があったんですか?トール」

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「ああ、夜中で肉食動物や蛇とかで酷い目に遭いかけたもんだ。」

 「あれはもう体験したくないわね。」

 透流の言葉にリーリスもそう答えた。

 そして今後についてこう話し合った。

 「取敢えずは開けた、又は窪みがある樹に入って飯は食べれる木の実。

交代で火の番をしつつ夜を明かそう。」

 「そうね、別に建物は逃げないんだし。」

 そうするわとリーリスがそう言うとユリエもヤ―と答えた。

 そして三人は先ずは入れそうな樹を探している中で・・・。

 「「「!!!」」」

 何かを感じて身構えた。

 三人はそれぞれ自身の《ブレイズ》を構えるとリーリスはこう聞いた。

 「敵は何人だと思う、透流?」

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「たぶん・・・2人。」

 「ヤー、周囲に隠れてます。」

 そう言って・・・透流が大声でこう言った。

 「散開!!」

 そう言うと3人はそれぞれ別々に、然し近くにいる感じで別れた。

 そして3人が立っていた場所と木々に何かが刺さっていた。

 そして透流は2人に向かってこう言った。

 「ユリエ、リーリス!2人は今の敵を探してくれ!俺はもう一人の方を

相手する!!」

 「分かったわ!!」

 「ヤー」

 リーリスとユリエはそう言って投げられた方向に向かって行った。

 そして残った透流は近くの木に向かってこう言った。

 「おおい!いるのは分かってんだ!!さっさと始めるぞ!!!」

 そう言って透流は楯と拳を構えると・・・影が現れた。

 全身を黒色の装束に包み、頭も頭巾で隠して

正体が分かりにくくしているようであった。

 すると正体不明の人間が胸元に手を翳すと・・・《ブレイズ》が現れた。

 「!!おいおいおい・・・冗談じゃねえぞ!?」

 そう言った次の瞬間に・・・お互い激突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな中でユリエとリーリスは投げつけた相手を探している中でユリエは・・・何かを弾いた。

 よく見てみるとソレハ・・・。

 「《苦無》・・・これは!?」

 リーリスは苦無を見るや否や驚きながらユリエに向かって叫ぶように

こう言った。

 「ユリエ、気を付けて!こいつらは《イクシード》よ!!」

 「!!・・・ヤ―」

 ユリエはそれを聞いて一瞬驚くも意識を集中して相手を探した。

 然し相手はユリエよりもスピードは遅いがこの森の木々を縫うように

走り、跳び、正に忍者のようであった。

 するとリーリスは自身の《ブレイズ》を見てこう言った。

 「成程ね、ここならば私の《ブレイズ》も使えないって思ってたのね。」

 そう言うとリーリスはけどねと言いながら自身の《ブレイズ》でもある

《長銃身(ロングバレル)》を・・・撃鉄から銃身に持ち手を変えてこう言った。

 「一体何時私が近接戦が出来ないって言ったかしら!?」

 そう言うとリーリスは撃鉄の方を鈍器の様に・・・振り上げて叩きつけた。

 「!!」

 相手はまさかと思って《苦無》を使って防御すると・・・後ろにいる

ユリエに気づかずにいて気づいた時には・・・もう遅かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、透流の方はというと・・・。

 

 

 

 

 

 

 「やるなあ!!」

 透流はそう言いながら刀の《ブレイズ》を持つ人間に向かって

そう言いながら攻撃していた。

 戦闘の最中に透流は近くにあった丸太を破壊して同じように刀の様に

振るっていた。

 然し当てているのは刀身ではなく柄の方。

 刀身だと下手したら壊されるためそっちに集中しているのだが

透流はある事を考えていた。

 ソレハ・・・。

 「(あの《ブレイズ》。何処かで・・・)」

 そう思っている間に透流が持っていた木が破壊され、同時に正体不明は

地を蹴って距離を詰めた。

 そしてタックルするかのような体勢を取ったその時に透流は・・・。

 「そこだ!!」

 先ずは楯で防御して・・・もう片方の拳を体で隠すようにして・・・穿った。

 「!!」

 然し相手はそれを察知してか体を捻って反転させて離れようとするも透流は・・正体不明の服を掴んで防御していた方の手は

刀の《ブレイズ》を持っている方の手を掴んで・・・地面に叩きつけた。

 「クはあ・・・!!」

 するとそれと同時に頭巾が外れて顔が露わになって・・・透流は驚きながら

こう言った。

 「お前・・・伊万里!?」

 「あははは・・・バレちゃったか。」

 嘗て入学式の際に自身が初めに倒した相手。

 「永倉 伊万里」であった。

 そして透流はある事を思い出した。

 始めに理事長が言ったあの言葉を・・・。

 「もしかしてここって・・・理事長が言ってた《かの島》か!?」

 「そうだよ、ようこそ。《晃陵学園分校》へ」




 次回は分校の説明。


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ツッコミは楽じゃない。

 伊万里「やっと再登場したと思ったら何よこれ~~~!!」


「成程、九十九理事長が言ってた島ってのはやっぱりここなんだな。」

 「そう、それと透流達が目指してた場所は分校の校舎兼あたしたちの

宿舎ってわけ」

 透流の言葉に対して伊万里がそう答えると伊万里はあの入学式の後の事を話した。

 「あの後に他の建物でこう言われたんだ。」

 『系列だが普通の高校に編入するかもっと厳しい環境の場所に行くか?』

 「それで私は1も2もなくここを選んでね、

先週やっと《レベルⅡ》に昇格したんだけどそれでもやっぱ強いね透流は。」

 本校の生徒はみんなそうなのと聞くとユリエがこう答えた。

 「ナイ、トールとリーリスはこれよりももっとk」

 「はいはいはい、お喋りはそれくらいねえ!!」

 「そうそうそう!!喋る暇あったら足を動かそうぜ!!!」

 リーリスはユリエの口を塞いでそう言うと透流もそう続けた。

 今ここで錬金戦団の事話してもややこしくなるだけだと悟っているのだ。

 それを見て伊万里は頭に?マーク浮かべるも伊万里はリーリスを見てこう聞いた。

 「そう言えば貴方って入学式の時いなかったけど・・・どちら様?」

 そう聞くとリーリスはこう答えた。

 「初めまして、『フォレン聖学園』から来た『リーリス=ブリストル』。

一応だけど透流とユリエの《デュオ》よ♪」

 「そうなんだ。宜しく、リーリス。」

 そう言って伊万里はリーリスと握手すると・・・大声でこう言った。

 「《デュオ》!?」

 「遅いな!!」

 正直な所遅すぎて透流はツッコミを入れた。

 然し伊万里はこう続けた。

 「え?え?え!!?どうして!!??《デュオ》って確か2人で一つだったはずじゃあ!?」

 「ああ、それな。さっき見て分かると思うけどこいつも

《イレギュラー》だから同じ《イレギュラー》同士を組ませて

どういう風になるのかを観察するためだそうだぜ。」 

 「ああ・・・ね。」

 伊万里はそれを聞いて成程ねと納得していた。

 するとリーリスが伊万里に向けてこう聞いた。

 「そう言えば偶然とはいえ貴方がここに来れたのって・・・・

どう言う絡繰りかしら?」

 リーリスは意地悪そうにそう聞くと伊万里はアハハと笑ってこう返した。

 「それはな、船から降りる前にアームバンド貰ったでしょ?」

 「・・・成程、こいつは発信機も兼ねてるってか。」

 「正解。」

 伊万里は透流の言葉を聞いてそう答えると懐からスマホを取り出して

映像を出すとそこには数字の付いた丸がついていた。

 「これは・・・俺の出席番号じゃねえか!!」

 「そういう事、貴方の事は既に私から他の皆に頼んで優先的に

戦わせてもらうように頼んでおいたんだ。この3か月間の成果を

見せたくってね。」

 けどと言うと伊万里はこう続けた。

 「戦ってみたらやっぱ強いわ。どうしたらそんなに強くなれるのよ?」

 ふてくされる様に伊万里がそう聞くと透流はそれに対して・・・。

 「あははは・・・日々の努力って・・・奴かな?」

 「ふ~~ん。」

 それを聞いて伊万里は疑い深そうにそう聞いた。 

 錬金戦団で基礎的な事は学んだなんて言えないからだ。

 すると伊万里はこうも聞いた。

 「そう言えば貴方達って何で東側から上陸したの?」

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「ああ、ユリエが泳げなくってな。仕方がないから別方向に泳いだんだ。」

 「へえ・・・ちょっと意外ねえ。」

 伊万里はそう言ってユリエを見ているが当の本人は何だろうと思っていた。

 「そう言えばアームバンドで思い出したけどさっきの戦いの時に

何で救出信号出さなかったわけ?」

 そう聞くと透流、ユリエ、リーリスは揃ってこう言った。

 「「「ああ・・・忘れてた(ました)【わね】。」」」

 「どっちも忘れてるんかい!?正体不明の敵だった、然もそれが本当に透流達の命を狙う相手だったらどうするのよ!!連絡を取り合う事で人の命を

救えることだってあるんだからね!!!」

 そう言うと透流とリーリスはこう答えた。

 「「いや、そう言うのだったらすぐにぶっ飛ばしておくな【おくわね】。」」

 「どんだけ自信過剰なんじゃい!?」

 伊万里はここで連続ツッコミをお見舞いした。

 そしてこうも聞いた。

 「そういえば、もう一つ。何でここにはいかずに周辺をうろうろしていたの?」

 夕方位にとそう聞くと透流はこう答えた。

 「いやさ、夜のジャングルって危険だろ?夜行性の肉食動物だったり

毒蛇だったりさ。そう言う時はあまり動かずに水と食料と取敢えず

泊まれるところを確保して明け方に再開しようとしてたんだ。」

 「いやここそんなのいないから!!って言うか野宿する気だったの!?」

 「そうよ、丁度熱くもなく寒くもなくだから泊まるにはうってつけの

陽気じゃない?」

 リーリスの言葉を聞いて伊万里はマジかよと思いながら目を点にして

口を大きく開けていた。

 そして伊万里は暫くして・・・こう言った。

 「貴方達って・・・ジャングル踏破したことあるの?」

 「「・・・何度か死にかけたな【わね】。」」

 「行ってたんかいって死にかけてたんかい!!」

 最早ツッコミ要員となっている伊万里がそう言ってツッコミを入れるとユリエがこう言った。

 「ヤー、そろそろ着きます。」

 そう言って現れたのは・・・。

 南の島において不似合いな洋館で本校の寮と似ていた。

 そして伊万里が先だって建物に駆け寄ると振り返ってこう言った。

 「ようこそ、『晃陵学園分校』へ!!」




 伊万里「・・・もうやだ。疲れた」
 新八(銀魂)「諦めるな!安〇先生も言ってただろ!?
『諦めたらそこで試合終了ですよ』って!!」
 伊万里「アンタ漫画が違うじゃないのよ---!!」
 新八(銀魂)「プギャアアアアアア!!」


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今後の説明

 合宿中は共同で指導するぜ!!


洋館に入った後薄暗い照明の中伊万里の案内によって食堂らしき部屋に入って

見るとそこには既に本校の生徒が何人か来ていた。

 然し透流はそれを見てこう答えた。

 「未だ全員が来たわけじゃないんだな。」

 「ううん、透流達が最後ヨ。人数が足りないのは分校組に負けた人たちが

気絶したからその介護してるんだけどけどやっぱり本校の生徒は皆強かったって

言ってたよ~~。土地をうまく利用して戦術練ったり集団戦で攻撃してきたりって

分校組は今回のデ半数以上が降伏したらしいってさ。」

 「へえ・・・そうなんだあ~~。」

 透流はそれを聞いて思わず目を背けてしまった。

 何せ彼らを鍛えたのはまごうことなく自分とリーリスなのだから。

 それを知らないので伊万里はこう言った。

 「それじゃあ、あたし達分校組は準備があるからこれでね。」

 「また後でね、透流、ユリエ、リーリス。」

 「ああ、またな。」

 「ヤー、」

 「じゃあね。」

 3人は伊万里に向かってそう言うとテーブルに向かって行くとそこには・・・

トラがテーブルで突っ伏して寝ているのを見て起こすとトラは開口一番に

透流に向かってこう言った。

 「ふん、随分と遅かったじゃないか。」

 「ああ、色々と遭ってな。」

 そう言うと近くにいた巴とみやびが透流に向けてそれぞれこう言った。

 「3人とも、無事に到着したようだな。」

 「お、お疲れ様、透流君・・・」

 そう言うとユリエが3人に向けてこう聞いた。

 「ヤー、皆さんも分校組を退けたのですね?」

 そう聞くとみやびが初めにこう言った。

 「と、巴ちゃんが護ってくれたから・・・」

 「フフフ、私だけじゃないぞ。」

 「?」

 透流は巴の言葉を聞いて何だろうと思っていると巴はこう続けた。

 「トラ達がいなければ集団行動で切り抜けると言った事で我々は

ここに辿り着けたのだ。」

 「・・・・・・・へ?」

 透流は巴の言葉を聞いて目を丸くするとトラを見てこう言った。

 「・・・トラ。」

 「何だ?」

 「海で体を冷やして風邪ひいたのか?」

 「貴様は僕を何だと思ってる!!」

 「鈍くさいのがいて怪我でもしたら誰かさんが鬱陶しく言うかと思ったから

提案したんだ!!」

 トラはそう言って透流を睨みつけるが透流はしれッとした表情でこう言った。

 「いや、どちらかといえば皆あのアームバンドを使って

助けを呼ぶだろうなあって思っててさ。」

 「貴様は自分が特訓した連中の実力を疑ってたのか!?」

 「へ?一朝一夕じゃあ身につかないだろうなあって思っててはいたけど。」

 「まあ・・・確かにとは思うが。」

 トラはそれを聞いて少し気まずくなっていた。

 すると休憩していた本校の生徒がぽつりぽつりと姿を現すと・・・

理事長が三國先生を従えて入ってきた。

 すると理事長が全員に向けてこう言った。

 「それでは皆様も気づいてと思われますがここは先の入学式の際に

入学出来なかった生徒たちが入学しています。皆様にはここで彼らと共に

合宿することとなっておりますがここで一つ・・・皆様に警告を

申しておきますわ。」

 そう言って理事長が区切ると全員何だと思って耳を澄まして・・・理事長はこう答えた。

 「今回の合宿で分校組以上に成果を上げなかったものはここに残ってもらい、

代わりに分校組の人間を本校に転入させますので皆さま・・・

どうか、脱落などしない様に気を付けて下さいませ。」

 それを聞いて全員身を引き締める思いで体を震わせた。

 すると三國先生が変わって説明をした。

 ①先ほど言ったように分校組と訓練を受ける。

 ②訓練は多少なりとも危険を伴う為常日頃からアームバンドは外さない。

 ③最終日前日は自由行動とする。

 以上であった。

 そして三國先生は全員に向けてこう言った。

 「この後は夕食ですが本日は既に分校組の皆さんが準備をしていますので

各自は、外の広場に移動してください。」

 それを聞いて多数の生徒が喉を鳴らした。

 そして話が締めくくられると同時に全員が立ち上がった。

 それもそうだと思う。

 何せ着衣水泳から始まってジャングルの中をひたすら歩いて体力がもう殆ど底を尽きかけていると言っていい程である。

 すると巴が透流に向けてこう言った。

 「良かったではないか、嘗ての敵と再会できて。」

 「ああ・・・確かにちょっとだが心に棘っぽいのが残っているような

感じだったけど今回の戦いを見て結構成長しているなと思うと俺もうかうかとしていられないなあって思ったよ。」

 「そうか・・・それは良かったな。」

 すると透流は思い出したように巴に向けてこう聞いた。

 「そういやあこうやって喋るのは久しぶりだけど何で・・・俺の目を見て

喋らないんだ?」

 そう聞くと透流は巴を見ていると巴は透流の・・・目を見らずにこう言った。

 「べべべ別に!大したことではないぞ!?」

 「いや、大したことありそうだけど・・・何かあったのか?」

 透流は巴に向けてそう聞くも何も応答が無い為に透流は巴の・・・

両頬に手を添えてこっちに目を向けさせるようにした。

 「何か言ってくれよ!巴!!」

 「!!!!!」

 巴は透流の・・・顔を見るとあの事を思い出した。

 自分と透流がお互いに・・・お互いの体を貪っていた夢を・・・。

 すると巴は顔を真っ赤にして・・・こう言った。

 「ナナナナナナナ・・・ナンデモナイ!!!」

 そう言うと振りほどいてヒュンと言うかの様に外に向かって走り出していった。

 「・・・大丈夫か、あいつ?」

 透流はそれを見てそう言うしかなかった。




 次回はバーベキュー。


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飯は重要

 俺は肉が好きだああ!!!


 外に出てみると広場にテ分校組の生徒たちがバーベキューの準備をしていた。

 そして準備が終わると代表として伊万里が前に出ると全員に向けてこう言った。

 「ようこそ、『晃陵学園分校』へ!!入学式から今回の《ブレイズプラクティス》やらまあ色々とあったけどその辺りはお肉と一緒にお腹の中に納めて今日から1週間宜しくお願いします!!」

 そういう中で・・・月見先生が焼けた肉を掲げてこう言った。

 「と言う訳で京は夕食兼親睦会も兼ねてバーベキューだよ、皆ー♪」

 「ちょっと、月見先生でしたよね?未だ乾杯していないのにどうして

お肉を焼き始めてるんですか!?」

 「気にしちゃいけないよ、尻尾ちゃん★」

 「スミマセン、彼女は昔からああなので。」

 三國先生がそう言って伊万里に向けて謝罪した。

 ・・・心中お察し申し上げます。

 そんな中で全員に紙皿と箸、紙コップが配られて全員に配布されジュースが

注がれると伊万里はコップを天高く掲げてこう言った。

 「それでは・・・乾杯!」

 『『『『『カンパーイ‼!』』』』』

 その声と同時に・・・バーベキュー目掛けて多くの人間が殺到した。

 最早あそこは戦場となった。

 「アハハ・・・。」

 伊万里はその光景に後ずさりしそうになっているが透流が隣に来てこう言った。

 「お疲れ様、伊万里。」

 「あ、お疲れ様透流。」

 お互いそう言ってコップをちょびっと当てた。

 すると伊万里はこう聞いた。

 「あれ?行かなくて良いの?」

 なくなっちゃうよと伊万里がそう聞くと懐から透流は・・・小さな木の実を出してこう答えた。

 「ああ、少し散策した時に見つけてな。食べれる奴だったしそれに

今あの中に入っても体力消耗するしな。」

 「確かにね・・・。」

 そう言うと伊万里はその木の実を貰って食べながらこう聞いた。

 「そういえば透流の《ブレイズ》って変わった奴なんだね。」

 盾って珍しいよねえとそう言うと透流はこう答えた。

 「まあな、だからこそ《イレギュラー》って呼ばれるんだよなあ。」

 そう言っている中でユリエがこっちに来るのが見えた。

 皿を見れば・・・野菜しかないなと確信した。

 そしてリーリスの方を見てみると野菜と肉が2皿分入っていた。

 恐らくは透流の分であろう。

 すると伊万里の《デュオ》も来ているのが見えた。

 それを見た2人は少し笑ってこう言った。

 「それじゃあ行くか。」

 「そうね。」

 そう言うとお互いの相棒の下に向かって行った。

 彼らは知らない・・・・。

 この合宿に蔓延る・・・悪意がすぐそこまで来ているという事を。




 特訓はダイジェストで出ます。


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鬼ごっこは・・・子供の頃が楽しかった。

 鬼ごっこって色んな種類があるよな。


 臨海学校は一言で言うなら・・・生と死の狭間を彷徨っているのだと

断言できるものであった。

 本校でやる基礎訓練や戦闘訓練のみならず、島の環境を最大限利用した

サバイバル技術やロッククライミング、トラップ設置など錬金戦団で

やっていたようなことをここでもやるのかと透流とリーリスは少し遠い目で

そう思っていた。

 唯一の救いといえば座学がない事が救いといえよう。

 錬金戦団では座学ですら気が抜けないからだ。

 そして4日目・・・・。

 

 

 

 

 

 

 「まさかこの歳になって鬼ごっことはな・・・・!!」

 透流はそう言いながら・・・70キロの砂がたんまり詰まった布人形を抱えて

走っていた。

 現在の気温はこれまでの中で最高の気温であったためかなりきついのだ。

 因みにこの鬼ごっこのルールは以下の通りである。

 ①本校組は砂の入った布人形を持って逃げて追うのは分校組

 ②追って側には携帯型無線機を使って良し

 ③山稜に複数配置されているゴールまで行けば本校組の勝ちで捕まえれば分校組の勝ち

 ④その間は《ブレイズ》以外は何使ってもよし。

 こう言うルールである。

 因みにこれには設定があり、捕まった要人を目的の場所まで逃がすという

設定でここら辺は錬金戦団というよりはドーン機関としての側面がキッチリと

出ている。

 然しこの鬼ごっこは・・・かなりきついのだ。

 木の根やでこぼこの道で足を取られないようにし、障害物だらけという事も

あって集中力を常に一定に保たなければならないが透流とリーリスにとっては既に経験済みであるためそう言う言うのに関しては一日の長であるが・・・

分校組もまた同じなのだ。

 向こうはここで3か月間みっちりとやっているせいなのかどうかわからないが

地形を完璧に把握しているため何処で如何おい囲めば勝てるのかを

把握しているのだ。

 現にそれにより半数以上が捕まっている。

 だが透流とリーリスはそれを・・・逆手に取る作戦を取った。

 幾つかの場所に簡易的な罠を仕掛けてこっちでしかわからない暗号で書かれたマークを辿っているのだ。

 因みに作る際には相手を撒いたことを確認してからである。

 そしてそんな中で透流は・・・伊万里とばったり会ってしまった。

 「くっ!先回りとはやっぱ準備している連中は違うな。」

 「そうよ。備えあれば患いなしってね。」

 そう言いながら伊万里は周りの地形を生かして跳びながら透流の隙を

伺っていた。

 そんな中で透流は・・・足元にある蔦を辿って・・・笑いながらこう言った。

 

 

 

 

 

 「そりゃあ・・・そうだな!!」

 

 

 

 

 そう言いながら蔦を思いっきり足で引っ張ると下から・・・小石が飛んできた。

 

 

 

 「ヤバい!」

 伊万里はそう言って慌てて宙返りして躱すと・・・透流はもう1本の蔦を手に取ってこう言った。

 「こいつで如何だ!!」

 そう言って引っ張って・・・伊万里が着地した場所から蔦が現れて伊万里の足を搦めとった。

 「どうだ伊万里!今回は上手くいかな・・・かった。」

 透流は伊万里の現状を見て・・・段々と顔を赤く染まっていった。

 そして伊万里もそれに気づいて自身の・・・上を見て・・・。

 

 

 

 

 

 「キャアアアアアアアア!!」

 

 

 

 悲鳴を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・透流のエッチ、スケベ、獣。」

 「態とじゃないとはいえ・・・すまん。」

 透流は伊万里に向けてそう謝るも伊万里は尚もこう言い続けた。

 「態とじゃないって言ってても私のパンツを見たでしょう?」

 伊万里は口をアヒル口にしてそう言った。

 そう、あの時に伊万里を逆さづりにするトラップを仕掛けていたのだが

それに伴い伊万里の下着を・・・見てしまったのだ。

 すると透流はこう言って反論した。

 「けけけけどさ、俺以外は見ていないって言うか俺も殆ど見ていないし」

 「今日の色は何色?」

 「パステルカラー・・・あ。」

 「見てんじゃん。」

 透流は誘導尋問に引っかかってしまったと後悔してしまったが喋った以上は・・もうどうしようもなかった。

 「スミマセン、嘘ついてました。見てました。」

 透流は大人しく謝るも伊万里はこう続けた。

 「じゃあ反省してるんなら前の貸と合わせて2つとユリエみたいな

すっごい可愛い子とリーリスみたいなすっごい美少女と《デュオ》になっていて、それでいて一緒のテントで寝ているから合計して・・・4つだね。」

 「何が4つだ、何でそうなるんだ」

 透流はそれには納得しないとそう言うと透流はこう聞いた。

 「そういやあ何時も分校組はどんな特訓してるんだ。」

 それを聞くと伊万里は・・・こう答えた。

 「そうねえ・・・岸壁を手だけで登らされたり・・・

夜間に《ブレイズプラクティス》をやらされて・・・猿を捕まえるだけで

走り回って・・・崖から飛び込まされて・・・・。」

 そう言いながら伊万里の目からほろりと・・・涙がこぼれ落ちた。

 「あれ・・・可笑しいな・・・涙が止まらないよ。」

 フフフと死んだ目で笑いながらそう言うが透流はそれを聞いて・・・

こう答えた。

 「俺も同じだよ、伊万里。」

 「へ・・・?」

 「命綱は付けてあるけど素手で断崖絶壁の山に登ったり色んな場所で模擬演習をやらされたり、クマや猛獣に死ぬほど追われたり、パラシュート付けて飛行機からバンジージャンプやらされたり・・・ハハハハ・・・俺も涙が出そうだよ。」

 ウルウルと涙を流しながらそう言う透流を見て伊万里はこう答えた。

 「透流。」

 「ああ、伊万里。」

 お互いに見つめ合って・・・手を握ってこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 「「俺(私)達は仲間だ!!」」

 

 

 

 

 

 何やら被害者関係だが・・・友情が固く結ばれるのを感じた瞬間であった。

 その後リーリスとも話してお互いに何だか・・・良い意味で仲良くなった。




 死ぬほど辛い訓練をした2人は戦友である。


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人間だれしも長所は必ずある。

 人は誰しも良い所が必ず存在する。


日が落ちて夕食となった。

 二日目以降は訓練の一環として生徒たちだけで飯盒炊飯を行っている。

 それも主食だけではなく総菜に至るまで全部自分たちでやるのだ。

 昼間の特訓で全員くたくたの中においても全員がワイワイやりながら調理するので中々に良いものである。

 透流とリーリスが入っている錬金戦団ではキャンプ用の食糧を買ったり、

ジャングルの中で果物や肉を食べたりしてしていたためバッグの中には万が一に

備えての非常食と米が入っていたためこちらは他のグループよりも豪勢に

なっている。

 そんな中において意外な一面を発揮しているのが一人いる。

 その人物とは・・・。

 「これくらいで良いか、みやび?」

 「えっと・・・もうちょっとだけ薄いほうが良いかな。」

 「そうか、分かった。」

 下ごしらえをしている巴の様子を見てみやびがそう命令していた。

 そしてユリエもこう聞いた。

 「みやび。ナスを切り終わりました。次は何をしたら良いのですか?」

 「え、えーと。・・・今度は人参を一口サイズに切ってくれる?」

 「ヤー」

 ユリエはみやびの言葉を聞くとまるで漫画みたいに野菜を宙に投げて一瞬で

切り刻んだのだ。

 「・・・今度、ちゃんとした調理法を覚えさせよ。」

 「そうね、それが良いわね。」

 透流とリーリスはそれを見てそう言うと今度は吉備津がこう聞いた。

 「みやびちゃーん。味付けはこのくらいでいいー?ちょっと味薄い気が

するけど―。」

 「んっ・・・。」

 みやびはそれを聞いて鍋から少しスープを出して味見して見るとみやびは

こう続けた。

 「そうだね、ちょっと薄いから小匙1杯分塩を足してみてくれるかな?

それでも薄かったら今度は小匙半分で」

 「分かったー。」

 そう言って吉備津は自分の持ち場に戻って行った。

 それを見ながらジャガイモを上げている中でジャガイモの皮むきをしている

トラが透流に向けてこう聞いた。

 「何度見ても意外、と言った顔だな。」

 そう言うが透流はこう返した。

 「まあ確かにと思ってるけどどちらかといえばあれがみやびらしさだと

思うぜ。」

 そう言うとトラがこう言った。

 「確かに、ああ見えて頑張り屋で誰に対しても平等だからな。」

 「・・・だが、物事の中心に立つようなタイプではないなとは今でも

そう思っている。」

 そう言いながらトラはもう一度ジャガイモに目を向けなおすと透流は

みやびを見てこう呟いた。

 「・・・確かにな。」

 

 

 

 

 

 

 それは昨日の事である。

 

 

 

 

 

 

 「よし、これで出来上がり」

 「何だよこれ!!」

 「?」

 透流は何だと思って大声が出た方を見てみると何やら・・・

喧嘩になりそうなくらいの空気が漂っていた。

 聞いて見ると如何やら味付けを失敗してとてもではないが

食べれた物ではないらしく試しに食べた透流自身も自分の舌を疑いたくなるような酷さであった。

 まあ、訓練でへとへとになっている中で作った料理が台無しになるとなれば

怒る理由も分からないわけではなかった。

 するとみやびがそれを味見して見ると・・・みやびはこう呟いた。

 「も、もしかしたら、少しくらいなら・・・誤魔化せるかも・・・。」

 そう言ってみやびは直ぐに幾つかの調味料を鍋に入れて次に香りを整えるためハーブを入れると何たあれ程不味かった料理がものの数分で

食べられるようになったのだ。

 透流はみやびに何処でそんな料理技術を身に着けたんだと聞くとみやびは

こう答えた。

 「私の実家って金沢にある温泉旅館なの、だから家の手伝いとかで

よく厨房で料理のお手伝いしているからそれでかな。」

 そう言ってみやびは透流達と食事をした。

 

 

 

 

 

 それを思い出して透流はみやびあの言葉を思い出した。

 

 

 

 

 

 

 『私・・・才能ないから。』

 

 

 

 

 そう言う言葉を聞いたがちゃんとあるじゃないかと思いながら料理を再開した。

 

 

 

 

 

 

 そして全員が寝静まった頃透流とリーリス、ユリエはキャンプの中で寝ていた。

 このテントは特別製で3人入っても大丈夫なようになっていたのだが

透流曰く・・・こう言った。

 「済まないが俺は自分で用意したテントデ寝るよって言うか寝させてくれ

お願いだ!!」

 そう言い最終的に土下座でユリエ達に話すとユリエは渋々ながら了承した。

 現在透流は2人がいるテントの隣で寝袋の中で寝ていた。

 何せユリエだけではなくリーリスも裸族・・・つまり裸で寝ることがあるので

正直な所そんなところで寝るなど不可能であると分かっているからだ。

 だがこれを他の男子勢が聞けば全員がこう言うだろう。

 

 

 

 

 

 『ふざけんな!このリア充‼!』

 こう言うであろう。

 そして全員は次の特訓に備えてぐっすると寝た。

 

 

 

 

 

 

 そして次の朝。

 透流とリーリス、そしてユリエが起きて早朝特訓する準備を始めた。

 最早ルーティンとなっている日課であるため3人は特訓の疲れなど感じさせずに外に出るとある人影を見た。

 ソレハ・・・。

 「巴?」

 透流はそう言って巴の影を見るとユリエとリーリスに向けてこう言った。

 「悪いが2人で始めてくれないか?俺はちょっと用事があるから。」

 「ヤー、分かりました。」

 「なるべく早くね。」

 2人はそう言って透流を見送った。

 そして透流は巴の所に向かって行った。




 次回は透流と巴との会話である。


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何故俺から避ける!?

 それはね・・・Hな夢を見ているからだよね?
 巴「やめろーーーーーーーー!!」


 「おおい、巴ー!」

 「?・・・!!透流!?」

 巴は透流の声を聞いた瞬間に・・・木々の中に隠れた。

 ここは林道から広場にはと繋がる遊歩道であるのだが獣道であるため所々で

高い木がある為隠れるのには最適なのだ。

 然し巴が隠れた場所は・・・悪手な場所の真下なのだ。

 「おおい、巴ー、聞きたいことがあるんだけどーー隠れてないで

出てきてくれよ---!!」

 「(無理だ・・・今透流に会ったら・・あの夢の事を思い出してしまう!!!)」

 そう、巴は透流と契りを交わして乱れに乱れた自分の姿を思い返してしまうのだ。

 紅く火照った顔

 汗が珠のように弾け、揺れる胸部

 透流と繋がっている女性としての部分

 そして何よりも・・・透流とまぐわいをしている最中の自分の・・・女としての顔

 それらを思い出すと今透流と出会えばどうなってしまうか分からないのだ。

 これまでの自分でいられるのか・・・あの夢の自分になってしまうのか。

 これまで恋愛などしたことすらなかった本人にとってみれば

これは未知の領域なのだ。

 そして巴は透流の声を聴かないようにするために耳を塞いでいる中で・・・それはゆっくりと巴に近づいた。

 ゆっくりとだが・・・確かに・・・確実に近づいて行った。

 そして暫くしてそれは・・・巴の目の前に現れた。

 巴は何かを感じて目を見開いて見たものは・・・・。

 「ア」

 ア

 ・・・クモであった。

 ピシッと何か音がしたその時・・・・。

 

 

 

 

 

 「ふゃあアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

 

 

 

 

 

 巴は大声を上げてそこからすっ飛んで離れた。

 

 

 

 

 

 

 そして後ずさしながら何かが当たったのでしがみ付いて巴はこう言った。

 「クモクモクモクモ!!」

 「おおい!落ち着けよ巴!!」

 「クモクモクモクモクモ!!」

 「巴!!!」

 そう言って声がしているのだが巴はそれを更に強く抱きしめるとそれが・・・

強く両手を掴んでこう言った。

 「落ち着け巴!!」

 そう言って巴を引き離して目の前に現れたのは・・・。

 

 

 

 「と・・・透流・・・・?」

 「大丈夫か?巴」

 透流が目の前に・・・然も、抱き着かれている状態で。

 「へへへへ?どういう事だ!?ナナナナナナナ何故お前がってクモ!!」

 「大丈夫だって、クモはいないって。」

 「・・・本当?」

 巴はそれを聞いて・・・半泣きの状態で透流に向かってそう言うと透流は

こう答えた。

 「あ・・・ああ、大丈夫だから。ホラ、泣くなって。」

 そう言って透流は巴の目に浮かべている涙を拭き取っていると・・・

巴は今の状況を顔を赤くしてこう言った。

 「ナナナナナ何故透流がこんなに近くに!?」

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「いや、さっきまでお前俺に抱き着いてたろ?」

 「抱き着いて・・・・/////////」

 巴はそれを聞いて更に顔を真っ赤にしていると透流が巴に向けてこう聞いた。

 「なあさ、一つ聞いて良いか?」

 「な・・・何だ?/////」

 「何でお前最近俺から避けてるんだ?」

 「そ!・・・それは・・・・/////」

 巴はそれを聞いて口を瞑んでしまった。

 もし喋ったら透流はどう反応するのであろう。

 驚くか?

 軽蔑するか?

 それとも・・・夢のように自分を?

 その口で自分の全てを刻むのか?

 その手で自分の体に触れるのか? 

 その体で自分の全てを・・・砕いて行くのか?

 心臓の高鳴りが止まらない。

 体の隅々が透流を欲してしまってる。

 そんな状況になってしまい巴は自分がもうどうしようもない程透流をと思った

その時に・・・。

 

 

 

 

 

 「あ・・・。」

 ガサリト音がして現れたのは・・・みやびであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そ、そうだったんだ。クモが・・・。2人が抱き合っているからびっくりして勘違いするところだったかなって・・・アハハ・・・・。」

 みやびは透流からなぜあのような状況になっていたことを聞かされて

納得したようであった。

 如何やら巴がクモが嫌いな事を知っているため以外にあっさりと

信じて貰えたようであったが当の巴はと言うと・・・。

 「//////」

 顔を真っ赤にして俯いていた。

 「・・・良いなあ。」

 「何がだ?」

 みやびの呟きを聞いて透流は何がだと聞くとみやびは慌ててこう答えた。

 「ふぇ!ナナナナナナナ・・・ナンデモナイヨ!!」

 「いや、何でカタコトなんだ?」

 みやびの言葉を聞いて透流がそう言うと透流はみやびに対してこう聞いた。

 「そういやあ何してたんだ一体?」

 そう聞くとみやびはこう答えた。

 「私は朝のランニングから戻ってきたところ。何せ起伏が激しいから

丁度よくてね。」

 「確かに、こういう所だと体幹が良くなるからなあ。」

 透流はそう言って大地を踏みしめていた。

 こう言うコンクリートでは再現できない天然の難所があると自然と体幹が

鍛えられるのだ。

 するとみやびが透流に向けてこう聞いた。

 「そう言えば透流君って明日の休みは何するの?」

 それを聞いて透流はこう答えた。

 「ああそうだな、取敢えずは体休めって所だな。」

 そう言うと巴がこう提案した。

 「それならば私達と海に行かないか?昨夜伊万里達に誘われたのだが

どうせ遊びに行くのなら人数が多いほうが良いだろ?」

 そう言うと透流は・・・遠い目をしてこう言った。

 「そういやあ海って遊ぶところだったな。・・・もう地獄の特訓場って

思ってたぜ。」

 アハハハッハと・・・乾いた笑みを浮かべた透流を見て2人は・・・

こう思っていた。

 

 

 

 

 

 「「(完全に・・・洗脳されてる。)」」

 そう思うしかない2人であった。




 次回は女子会!!


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女子会は辛らつ

 女子会は・・・男にとって耳の痛い話がある。


5日目が終了して遂に・・・生徒たちにとっての自由が到来した。

 6日目は完全に自由行動となっており島に出なければ何しても

良いという事である。

 特に透流達本校組にとってみればやっと南の島に来た意味が到来してきたのだ。

 誰もがその日を待ち望んでいる次の日の前の夜。

 食堂にて・・・複数の女子が集まっていた。

 本校組はユリエとリーリス、巴、みやび、吉備津と他1名

 分校組からは伊万里と《デュオ》でもあり《苦無》使いの美和と他2名

 以上9名が・・・女子会をしていた。

 初めは明日の過ごし方について話し合っていたが今では・・・

只の雑談となっていた。

 そして夜もそろそろ更けようという時刻となった時に・・・美和のある一言が

本校組を色めき立った。

 「ねえねえ、本校組の男子ってどう?」

 それを聞いてユリエとリーリス、吉備津、巴は意味が分からないという

表情をするのに対しみやびは一瞬だけであるが肩をびくりと肩を震わせたが幸いにも誰一人としてその様子には誰にも気づかれなかった。

 すると巴がこう聞いた。

 「どう、とは?」

 それを聞いて本校組の女子がフォローを入れてこう言った。

 「気になる男子がいないのかって話だよ、巴」

 それを聞いて巴は男子勢を思い出して・・・透流の事を思い出した瞬間に

顔を真っ赤にした。

 「おやあ?・・・もしかして巴ちゃんってそう言う男性が?」

 本校組の女子がおちょくるようにそう聞くと巴は小さくだが・・・こう答えた。

 「・・・・透流。」

 それを聞くとほほ―と言って幾人かがこう言った。

 「成程ねえ、九重君って結構顔が良いもんねえ。」

 「さんせー」

 「それに料理も出来るし結構強いしね。」

 それぞれが各々の意見を述べると伊万里もこう言った。

 「確かに九重君ってかっこいいところあるしそれに話しやすいよねえ。」

 うんうんと頷いていると伊万里はこう続けた。

 「まあ、異性と言うよりは友達としての付き合いだろうと思うけど

なんだかこう・・・分かりあえそうなのよねえ。」

 リーリスと一緒でねとそう言うとリーリスもこう言った。

 「そうよねえ、私達は・・・同じ境遇を味わったいわば『戦友』何だものね‼」

 「リーリス!」

 「伊万里!!」

 何やら少女達の中で変な友情が煌びやかに輝いていた。

 そして各々の気になる男性を口にした。

 「本校組ってかっこいい男子が多いじゃん?泉君とかさ。ハズレばっかりの

分校組からすると羨ましい話なのよね。」

 「あいつって女好きだから注意ししといたほうが良いよー。」

 「あ、私はトラ君かな。ちっこくて可愛いし。」

 「でもちょっと怖くない。」

 「私は断然タツ君!筋肉ある男子って良いよねえ。」

 「「「其れは無いわ。」」」

 他の名の挙げられていない男子勢からすれば血涙出しそうなくらいの

状況であろう。

 すると吉備津がしれっと・・・爆弾をみやびに向けて投下した。

 「九重君って言えばさ。みやびちゃん。好きなんだよねえー。」

 「!!!?」

 ぽやっとした口調でそう言うとみやびは顔を真っ赤にしてこう返した。

 「とととととと・・・友達」

 「いや、皆気づいてるからねえ。穂高と橘って態度が滅茶苦茶

分かりやすいよ。」

 「「!!!!!」」

 それを聞いて2人とも目を大きく開けるがユリエとリーリス以外の

全員が巴とみやびに視線を合わせると・・・・。

 「「///////」」

 顔を真っ赤にして俯いて・・・頷いた。

 「あらら、透流も罪作りな男ねえ。」

 リーリスはそう言いながらお菓子を頬張っている中でそれを見ていると・・・

肩に何かが乗ってきた事に気づいた。

 「?・・・ああねえ。」

 リーリスはその正体を見て成程と悟った。

 リーリスの肩に乗っているのは・・・。

 「・・・・すう・・・すう・・・。」

 こっくりこっくりと船を漕いでいるかのように寝ているユリエを見ると

リーリスは皆に向けてこう言った。

 「御免ね。ユリエが寝ちゃってるようだから今日はこれで。」

 そう言ってユリエをおんぶしてリーリスは立ち去って行った。

 それを見送ってから暫くは女子会が続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして巴とみやびがテントに戻り・・・。

 「・・・みやび。まだ起きているか?」

 「・・・・うん、起きてるよ。」

 巴の言葉を聞いてみやびがそう答えると巴はこう聞いた。

 「みやびも透流の事が・・・好きなんだな。」

 「う、うん。」

 みやびがそう答えるとみやびは巴に向けてこう聞いた。

 「巴ちゃんも透流君の事が?」

 「ああ・・・夢によく出てるがこの気持ちが何なのか分からないんだ。」

 「?」

 「私のこの気持ちが好きなのかそれとも・・・別のナニカなのか

分からなくってな。だからその・・・分かるまでは・・・。」

 そう言いかけているとみやびがこう言った。

 「私・・・負けないよ。」

 「みやび・・・?」

 「巴ちゃんが透流君の事好きだって知ってる。」

 「けど・・・私も透流君の事が好き。」

 「だから・・・負けないよ。」

 みやびはそう言って笑顔で振り向くとみやびは巴に向けてこう言った。

 「だから巴ちゃんもさ・・・勇気出そう。」

 そう言うと巴はみやびに対してこう答えた。

 「ああ・・・そうだな。」

 そう言ってお互いににこりと笑っていた。

 これが彼女達にとって・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最後の夜の会話になろうとは2人は考えもしなかった。




 恋は戦い。
 そこに・・・悔いが残るかどうかは本人たち次第。


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水着着て・・・痴話話何で聞かにゃあいけないんだ?

 ガールズトークって・・・男性陣の心が大破するのが多いよな。


そして次の日・・・。

 「ユリエちゃんってやっぱり白くて細いね。良いなあ・・・。」

 「ねー。それに小さくてすっごい可愛いし♪」

 「ありがとうございます。私はリーチが短いですからもっと大きくなりたいと

思います。」

 「・・・身長が欲しい理由としてはここじゃあ正しいと思うけど確実に

可笑しいのは気のせいかしら?」

 「?」

 「こらこら、お喋りは着替えてからでも遅くはないだろう?」

 「アハハハッハ、そうねって・・・巴ってばスタイル良いよねえ。出る所は出て引っ込むところは引っ込んでてすらっとしているし。」

 「これで今までどれくらいの男子を誘惑してきたのさ!?」

 「ゆゆゆ・・・誘惑などするものかって私の家は道場で年上の人達しかいないから今までそう言う人はいなかったのだが。」

 「成程ねえ・・・それなら透流を誘惑して見たらどうかしら?

きっところって靡いて巴の事を獣みたいに襲い掛かってくるはずよ~~。」

 「ととと・・・透流を・・・誘惑・・・獣・・・・///////」

 何やらきゃいきゃいと女子たちの声が洞窟の奥から幾重にもわたって響いていた。

 然し洞窟からの声なので反響することから誰が喋っているのか

良く分からないのだ。

 そしてそんな言葉を口走っている中で洞窟の出入り口でただ一人・・・悶々とした表情でこう思っていた。

 

 

 

 

 

 「(俺がいること・・・忘れてない?)」

 

 

 

 

 

 そう思っているのは・・・見張りとして洞窟の出入り口にいる透流であった。

 本人がいるにもかかわらずなぜ自分関連が多いのかとそう思っていた。

 「(何でこうなったんだ・・・)」

 透流はそう思いながら照り付ける太陽を・・・ハイライト無しの目で

そう思っていた。

 因みになぜ透流が見張りなのかと言うと・・・他の男子勢が覗きに

来ない様にしているのだ。

 これは透流が覗きなどしないであろう信頼と実力が高い事から

何とか出来ると高を括った事によるものだ。

 然もその間にもガールズトークは続いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 「お風呂でも思ってたけど、穂高さんってすっごいの持ってよねえーー。」

 「ブラのサイズってどれくらい?」

 「そ、それは・・・ちょっと・・・。」

 「くはっ、答えねえなら・・・こうだ★」

 「ひゃう・・・やめて・・・先生ふぁ!!・・・あ、ん、やめ・・・て、揉まないでぇ・・ふぁん!?」

 「スゴ!指が沈むよー★」

 「あ、じゃあ私も触ってみよう。」

 「ふぇーー!!」

 「うわ、ホントだ!!」

 「羨ましいなあ・・・そんな暴君はこうだ!!」

 「クは( ̄∇ ̄;)ハッハッハ!序にこれも追加してやるぜーー!

そーらクリクリクリ♪」

 「ひあ!ひあああああああ!!」つつつ・・・摘まんじゃあ・・・めえ・・・

ひううううう」

 「ほらほらあ・・速く答えないと今摘まんでいるところが何だか少しずつ硬くなってくるよ~~。」

 「いいい・・・言うから、言うかっらあ・・・。」

 「え・・・Fだよお・・・んくううううううん!!

はあ・・・はああ・・・はあ。」

 「・・・・・・」

 妙に艶めかしい声と荒い息遣いが滅茶苦茶聞こえるため余計に透流の脳内で

妄想が膨らみそうになっているが透流は耳を塞いでこう考えてた。

 「(落ち着け俺!落ち着くんだ!!見張りに集中するんだ!!!

俺は只の見張り台!只の見張り台!!)」

 そう思いながら心を無にしようとしている中で更に・・・声が聞こえた。

 「えーっとつまり、この中で一番最胸がみやび、私と巴が同着でうさセンセ―がその下、そしてその下が伊万里でその2つ下がユリエちゃんで。」

 「(リーリス!!お前何言っているんだよ---!!」

 透流は心の中でリーリスの言葉を聞いてしまい何言ってるんだああと

抗議をしていてさらに暫く経った。

 

 

 

 

 

 

 するとツンツンと肩を突かれて振り返って見てみるとそこにいたのは・・・。

 「お待たせしました、トール」

 「お・・・おお。」

 透流はその光景を見て言葉を失った。

 何せそこにいたのは・・・。

 白いビキニを身に纏ったユリエがそこにいたのだ。

 肌の白さと水着の色がマッチしておりスレンダーな体系でありながらも仄かな色っぽさを出していた。

 そして背後には・・・カラフルデザインな浮き輪を持っていた。

 「・・・ユリエ、お前何時からそれを?」

 透流はそれを見てどう聞くとユリエはこう答えた。

 「ヤー、荷物の中に入れてたので。」

 「・・・そうなんだ。」

 今度ビート板もやろうとそう思っている中でぞろぞろと・・・4人の女子と

月見先生が現れた。

 すると胸元に大きなリボンが着いたフリルの水着を身に纏った伊万里が

透流に向けてこう言った。

 「透流。アタシたちが何を言いたいのか分かる?」

 それを聞くと透流は少し嫌そうな顔でこう言った。

 「・・・感想を言えってか?」

 「正解。男子代表としてそれぞれ感想を言ってね。出来れば

褒め称えて欲しいな♪」

 「男子代表って俺以外は皆別行動だから俺だけじゃん!!」

 そう言いながら透流は頭を抱えていた。

 いや、無論他の男子勢も誘ってみたが・・・・。

 

 

 

 

 

 トラの場合・・・。

 「寝る。」

 タツの場合

 例によって筋トレ(スタッフの皆さんと一緒に。)

 他面子

 「ゆっくり疲れとりたいから」

 「ちょっと分校組の子とナンパしてくる!」

 

 

 

 

 

 

 

 透流・・・・お前人望意外にねえだろ?

 

 

 

 

 

 「喧しいわ!!!」

 地の分読むな。




 褒めるのって・・・大変だ。


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海にて・・・何やってんだ?

 感想その2


「さあさあさあ!早く感想言わないと遊ぶ時間がどんどん減っちゃうんだからね、透流。」

 「・・・因みにだけど。」

 「感想なしと言う選択肢は存在しません。」

 「まさかの拒否!!」

 透流は伊万里の言葉を聞いてそう言った。

 最早道は無しと考えた透流は先ずは伊万里の水着の様子を見て・・・こう答えた。

 

 

 

 

 「・・・凄い魅力的な体をしてると思う。」

 

 

 「スミマセン、警察に連絡してください。変態がここにいますって。」

 「すみませんでした---!!」

 伊万里は《デュオ》でもある美和に対してハイライト無しの瞳でそう言うので

透流はすぐさまに土下座して謝った。

 流石に今のはどうかと思いリーリスがこう言った。

 「あのさあ、透流。それ言うのって例え親しい人間であっても言っていい事と

悪いことがあるわよ。然も今の言動はどう見ても変態以外の何物でもないわよ。」

 「そうよ、もうそういう言う事は言わないようにね。」

 「・・・ハイ。」

 透流はリーリスと伊万里のお叱りを受けて意気消沈する中で伊万里がハイ

次と言って次は・・・巴になると巴は体を抱きしめてこう言った。

 「と、透流・・・あまりその・・・ジロジロと見ないでくれるか・・・。」

 恥ずかしいぞと言って恥ずかしながらそう言うと透流は内心嬉しがって

こう言った。

 「そうか、なら感想は要らないって事で」

 「そうは問屋が下りないわよ。透流」

 透流の言葉を聞いて伊万里が透流の肩に手を添えてそう言った。

 感想無しと言う提案は元から無いのだなとそう思い巴の上下をよく見た。

 紫色の水着で一見したらシンプルなように見えるがレースの様な

黒い装飾がついていて、更にその抜群のプロモーションと黒い長髪によって

巴の大人っぽさが際立って見えた。

 「巴ってやっぱり綺麗だな。」

 「!!!わ、私は、そんな・・・その、き・・・

綺麗などと言われるほどは・・・」

 「いや、綺麗だって。誰が見てもそう思うよ。」

 透流の言葉を聞いて巴は透流に近づいて・・・上向き顔でこう言った。

 「・・・本当か?」

 「あ、ああ・・・綺麗だよ、巴。」

 透流は上目遣いでそう聞くと巴を見てドキリとしてしまいながらもそう答えると巴は後ろ向きになってこう言った。

 「そうか・・・そうか・・・・//////」

 巴はそう言いながら顔を赤く染めていた。

 そして次に美和をほめると美和はこう答えた。

 「アハハハッハ。九重君もカッコいいよ。思ってたよりも着やせしてて

びっくりだね。タツ君とほぼ互角くらいで細マッチョ・・・じゅるり。」

 「お、おう・・・ありがとな・・・。」

 透流は美和の言葉を聞いてその視線に一抹の恐怖を感じた後にリーリスが透流の耳元に近寄るとこう言った。

 「この子って筋肉フェチだからね・・・狙われないように気を付けてね。」

 「ああ・・・そう。」

 透流はその言葉を聞いて目を背けた後みやびの方に視線を移すと

そこにいたのは・・・。

 「こーら、みやび。そんな野暮ったいもの脱ぎなさいよ。」

 伊万里がみやびに向けた時のその格好は・・・麦わら帽子に

水色のカーディガンを纏っているものである。

 するとみやびはこう答えた。

 「で、でも私、泳ぎは苦手だし」

 「俺丁度ユリエに泳ぎ教える所だから一緒に教えるぞ。」

 「ふぇ!ででででも・・・浅瀬で遊ぶならこれで十分かなって・・・」

 「折角九重君が皆の感想言ってくれるんだから、そんなの脱いじゃえー♪」

 「ヒャわ!?」

 伊万里はそう言ってカーディガンを脱がすとそこから現れたのは・・・。

 「!!?」

 みやびの溢れんばかりの・・・巨乳であった。

 みやびは透流を見て隠そうとしているが隠しきれていなかった。

 今のみやびは淡い黄色のスカート水着で可愛らしいデザインであるのだが・・・水着に収まれキレない巨乳によって扇情的な感じとなっていた。

 そして透流はこう答えた。

 「か、可愛いと思う」

 「ピピ―ッ!ハイ透流!その感想はユリエちゃんにもう既に言ってるから

無効です!!」

 伊万里はそう言って透流に向けて自身の頭のリボンを摘まんで振った。

 そして伊万里はこう続けた。

 「ハイ、やり直し。別の女の子に対して使った言葉をもう一度使うなんて

失礼なんて問題じゃあ済まされません!!」

 「「「(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪」」」

 その言葉を聞いて巴、リーリス、美和が揃って頷くと透流はマジかよと

そう思い・・・考えた結果がこれだ。

 「・・・よく似合ってる。・・・水着姿のみやびって初めて見たけど。」

 「そりゃあ皆これが初めてだから当たりまえでしょ。」

 透流の言葉を聞いてリーリスはそう答えて確かにと全員がそう思っていた。

 そしてみやびは嬉しがってこう言った。

 「あ、ありがとう、透流君。その・・・凄く恥ずかしいけど、でも・・・

凄く嬉しいなって・・・。」

 そう言うと透流はこう言った。

 「それじゃあ全員の感想も終わったことだし」

 「ちょっとマテや《異能(イレギュラー)》!!」

 「表が出てるぞ。」

 「・・・いっやーん♡九重君ってば大事な人わっすれてないかなー♪」

 月見先生はそう言ってうさ耳バンドを揺らすと透流はこう答えた。

 「良いんじゃないかな?はまってますよ、ビッチ兎」

 「イヤーん、ありがとうって・・・こら誰がビッチだ!!」

 「偶然転んで水着んで下して象さん晒したろうか!?」

 「やったら今晩の飯のおかずにさせるぞ!兎があ!!!」

 「やってみろやああ!!!」

 お互いにそう言いながら・・・喧嘩が始まった。

 それを見たリーリスはこう言った。

 「さあ、行きましょう。遊んでおかなくちゃ。」

 「えええ!良いの?あれで!?」

 伊万里はリーリスの言葉を聞いて大丈夫なのかと聞くとリーリスはこう答えた。

 「大丈夫よ。どうせお昼ごろには終わるんだからさ。私はユリエちゃんと

みやびちゃんに水泳教えてくるからねえ。」

 それじゃあと言って2人を連れて去って行くのを見て伊万里は巴に向けて

こう言った。

 「それじゃあ・・・ひと泳ぎする?」

 「ああ・・・そうしよう。」

 そう言って午前中は・・・取敢えず平和であったことは間違いないであろう。




次回は・・・告白です。


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頑張って・・・。

 それしか・・・言えない。


 午前中は透流以外はゆっくりと過ごした後午後からはスイカ割りや

ビーチバレー等を楽しんで過ごしていた。

 そして夕方ごろになると巴達が洞窟から制服姿で現れた。

 「待たせたな、透流。」

 「よう、・・・あれ?伊万里は??」

 透流は伊万里の姿が見えなかったので何処だと聞くと・・・。

 「アハハ、ごめんね。お待たせー。」

 タイミングよく洞窟から出てきたので彼らは分校組に戻る事にした。

 「今日は楽しかったねえ。」

 「確かに、今日はゆっくりと休めたから体が楽になったわあ。」

 伊万里の言葉を聞いてリーリスがそう言うと・・・。

 「あ!!」

 突然、伊万里が大きな声を出したので全員が足を止めると透流がこう聞いた。

 「どうかしたか?」

 そう聞くと伊万里はこう答えた。

 「さっきからなんか忘れてるなあって思ってたら・・・ポーチを置いてきちゃったみたいなのよね。」

 「( ̄∇ ̄;)ハッハッハ。ドジッタナ。流石に誰かに拾われ・・・・いや、

猿に獲られるって事も考えたら・・・。」

 透流がそう言って考えていると中で伊万里がこう続けた。

 「そうね、確かに・・・。けどアタシ、夕食の食材を広場に出す当番だったからうーん。ポーチを取りに行くとなると係をさぼっちゃう事になりそうだし・・・」

 伊万里はそう言って頭を捻っているとユリエがこう言った。

 「ヤー、ここからなら全力で走れば10分d」

 「はいはーい、ユリエちゃんは黙ってようねえ。」

 ユリエが何かを言いかけた瞬間にリーリスがその口を塞いだ。

 すると伊万里はみやびを見て目の前で両手を合わせてこう言った。

 「そうだ!ねえ、みやび。すっーーーーーーごい申し訳ないんだけれど、アタシのポーチを取ってきてくれないかな?お願い!この通り!!

後でお菓子奢るから!!!」

 「え・・・?えっと・・・う、うん。良いよ。」

 みやびは必死にそう言う伊万里を見て頷いた。

 みやびの美点は努力家である事とお人好しな点である。

 まあ、そういう所が本人の良い所なのだが。

 「ありがと、みやび!本当に恩に着るわ!!・・・・あー、

でも女の子一人じゃあ何かあったら危ないかもしれないわねー。良くないわー。

心配だわー。」

 「伊万里、お前何だか棒読みしてるところあるけど何企んでるんだ?」

 「・・・別に―。」

 「俺の目を見て答えろ。」

 透流は目線をそっぽ向けた伊万里に向けてそう聞くと美和が透流を見て

こう言った。

 「それなら九重君が一緒に行けば良いんじゃない?」

 「ふぇ!」

 「そうね、透流ならそんじゃそこらの動物なんて片手間で

叩きのめせれるだろうし大丈夫よね!!」

 「ふぇええ!!」

 美和と伊万里の言葉を聞いてみやびが驚いていた。

 そして伊万里は透流の肩に・・・万力の如き握力で透流を掴んでこう言った。

 「行ってくれるわよね?・・・透流」

 「あ・・・ハイ。」

 透流は伊万里から流れ出る気迫に・・・成すすべなく従った。

 「それじゃあ行こうか、みやび。」

 「え?え?え?」

 みやびはその言葉を聞いて何が何なのやら分からなかったのだが伊万里が

みやびの背中を軽く叩くとこう言った。

 「ファイト。」

 「う、・・・うん!」

 みやびはそれを聞いてそう返事してついて行くと・・・ユリエと巴が揃って

こう言った。

 「トール、みやび。私も一緒に戻ります。」

 「そうだな。私も付き合おう。」

 そう言って着いて行こうとした瞬間に・・・2人が突如倒れた。

 「!!!」

 伊万里がそれを見て驚くと・・・リーリスが2人を見てこう言った。

 「あら大変ね、熱中症で倒れちゃったわ。伊万里、巴を運んでくれる?ユリエは私が運ぶから。」

 「え・・・ええ。」

 伊万里は今の姿に恐怖した。

 何せあの1瞬で・・・2人の首元目掛けて手刀を当てて失神させたからだ。

 そして2人を運ぶ中で月見先生はこう言った。

 「・・・・皆やっさしーねえ。」

 そう言って離れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある学校の寮の1角

 そこにはツナギの服を着た大柄の男性がそこにいた。

 無精ひげを生やし何かを読んでいた。

 「それで・・・これは真実なんだな?」

 「・・・・『戦士 斗貴子』」

 

 

 

 

 

 「はい、その通りです。『戦士長』」

 

 

 

 

 

 そう言っているのは鼻の頭に傷がある青みがかかったショートカットの美少女。

 『戦士 津村 斗貴子』である。

 彼女はとある理由でこの学校に転入した中である一般人に『核鉄』を心臓として差し出してその人間と行動を共にしている。

 そしてこの大柄の男性こそ・・・

 『戦士長 キャプテン・ブラボー』である。

 すると斗貴子はブラボーに向けてこう続けた。

 「先の戦いで『蝶野家』から押収した資料と透流達の報告書を鑑みた結果・・・間違いないかと思われます。」

 「この男がな。」

 キャプテン・ブラボーはそう言ってその資料と同封されている写真を見て

そう云う中で・・・電話が鳴った。

 「はい、こちらキャプテン・ブラボー」

 そう言うと電話の主からの伝言で・・・目の色が変わった。

 「分かった・・・直ぐに向かう。」

 そう言うと電話の電源を切ってこう言った。

 「斗貴子、カズキと一緒にある島にへと向かう。」

 「何かあったんですか?」

 斗貴子がそう聞くとブラボーはこう答えた。

 「ああ、如何やら・・・ホムンクルスが2つ同時に出現したそうだ。」

 「!!」

 斗貴子はそれを聞いて場所はと聞くとブラボーはこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 「晃陵学園とそいつらが保有する島だ。」




 すみません。告白は如何やら次回だそうです。


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告白?・・そんなのするって誰が言った?

 世の中って・・・邪魔ばかりあるよな?


「一体どこにあるんだポーチはよ?」

 透流はそう言いながら洞窟の中を探していた。

 伊万里の物と思われるポーチを探しているのだが何処に置いたのやらと思って

探していくと・・・みやびが透流に向けてこう言った。

 「あ・・・ここにあったよ、透流君。」

 そう言って・・・岩陰から隠すかのように置いてあるポーチを持ってそう言うと

透流はそれを見てこう呟いた。

 「・・・何でそんなところに置いてあるんだ?」

 透流はそれを見て呆れながらそう言うと同時に疑問を持った。

 まるで・・・態と置いてあるかのような・・・そんな感じであった。

 それにより大きく時間がロスされたが日が落ちる前よりかは着けるだろうと

思っていた。

 そして透流はみやびが持っているストローバッグにポーチを入れるのを

確認してから2人は肩を並べて夕暮れの砂浜を歩きだした。

 するとみやびは海を見てこう言った。

 「わあ・・・綺麗・・・・。」

 「・・・・確かにな。」

 透流はみやびの言葉を聞いて海を見て・・・そう答えた。

 水平線へと近づきつつある夕日と煌く海面から反射される夕日の日の光が

海面に光の道を創り出していた。

 するとみやびが透流に向けてこう言った。

 「あ、あのね、透流君。」

 「?」

 透流はみやびの言葉を聞いて何だろうと思っているとみやびはこう答えた。

 「もも、もしよかったら、少しね・・・このまま夕日を・・・

見ていきたいなって・・・。」

 そう言うと透流は時計を見て・・・こう答えた。

 「ああ、良いぜ。夕日が沈むまでまだ時間がたっぷりあるからな。」

 そう言って2人は夕日を見ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「綺麗だね、透流君。」

 「そうだな・・・これが自然が生んだ芸術って奴かもな。」

 お互いにそう言いながら夕日を見ている中で透流はこう言った。

 「もしかしたら伊万里はこれを見せたいがためにポーチを

態と置いたって事は・・・ないよな?」

 「ああ・・・タブンネ。」

 透流の言葉を聞いてみやびも確かにとそう思っていた。

 彼女はここで3か月間の間暮らしているためいつ何時になればこのような夕日が見られるのかを把握しているのだ。

 だが何故自分たちだけなのかを透流は納得しているようではなかったが。

 ・・・本当に唐変木。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ねえ、透流君。一つ聞いても良い?」

 「うん?何だ?」

 みやびの言葉を聞いて透流はどうしたあのかと聞くとみやびはこう聞いた。

 「もし・・・全部終わったら・・・どうするの?」

 みやびは透流に向けて聞いたのは・・・今後の事だ。

 透流とリーリスは錬金戦団からの任務で学園に調査滞在している。

 だが若し・・・任務が完了したらどうするのかと聞くと透流はこう答えた。

 「まあ・・・間違いなく次の任務が来るまで戦団が保有する学校に

転入しているな。俺達は根無し草みたいに幾つもの学校や住居を転々とするような組織だから一つの場所にずっとって訳にはいかないからな。」

 「そう・・・なんだ。」

 みやびは透流の言葉を聞いて少しだが・・・落ち込んでしまったのだ。

 もしこのまま・・・自分の胸の内にある思いを告白しなければ・・・後は無いとそう感じてしまったのだ。

 そしてみやびは勇気を振り絞って・・・こう言った。

 

 

 

 

 

 

 「ああああ、あのね、透流君!」

 「うん?」

 透流はいきなり立ち上がるみやびを見て何だと思って自分も立ち上がると

みやびは透流に向けてこう言った。

 「何時も透流君は・・・元気とか・・・頑張る気持ちとか・・・力とか・・・色々と色んなものを貰ってばかりなのに私は何一つ返していないよね・・・。」

 「別に良いって。」

 「ううん、これは私の問題なのに透流君はいつも私の悩みを

聞いてくれたりしててね・・・このままじゃあ駄目だって思うから・・・

今言うね。」

 みやびはそう言いながら透流を見つめて・・・

 

 

 

 

 

 「私、透流君の事が」

 言いかけた瞬間に・・・携帯が鳴った。

 「あ、悪い。」

 「あ・・・・。」

 みやびはそれを聞いてなんて間の悪いと思っている中で透流は携帯を取り出して着信相手を見てみると意外な人物が出ていた。

 其れは・・・。

 

 

 

 

 「キャプテン・ブラボー?・・・何だろう。」

 透流はキャプテン・ブラボーからの通信だったので取敢えず聞いてみようと

思って通話してみた

 「はい、こちら九重」

 『透流!お前今例の島だよな!!』

 「ああ、はい、そうですけど・・・一体何が?」

 滅多に電話なんてしないのにと言うとキャプテン・ブラボーはある事を告げた。

 其れは・・・。

 

 

 

 

 『良いか、よく聞け!今お前の学校の本校が襲撃されている!!』

 

 

 

 

 「何だって!!」

 「へえ!!」

 透流の携帯から聞こえる声を聴いてみやびも驚いていた。

 そしてキャプテン・ブラボーはこう続けた。

 『そっちの方は別の錬金戦団に任せている!俺達はお前たちの方に

向かっている!!』

 「こっちの方って・・・まさかホムンクルスが!!」

 「!!」

 みやびはそれを聞いて顔を青くした。

 あの時は2年生も込みとはいえ死人が出なかったのが奇跡だと

思っていたからだ。

 そしてキャプテン・ブラボーはこう続けた。

 『良いか!俺達がそっちに着くまで大体・・・8分!!

それまで耐え忍んでくれ!!』

 そう言った次の瞬間に・・・爆発音が分校から聞こえた。

 「「!!」」

 透流とみやびはそれを聞くと一目散に分校に向かった。

 




 次回はホムンクルス戦。


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血はやがて・・・狂気にへと変わる。

 ホムンクルス戦第3戦
 開始!!


爆発が起きる数分前。

 広場では多くの生徒たちが夕食の準備をしている中で生徒たちは

大型の輸送飛行機が見えたのであれなんだと思っているとそこから・・・

ホムンクルスが出始めた。

 「ホムンクルス!!」

 『『『『『!!!』』』』』

 リーリスの言葉と同時に本校組全員が突如として《ブレイズ》を顕現させるが

分校組は何だと思っていた。

 すると伊万里がこう聞いた。

 「ねえ、ユリエちゃん。これは」

 「下がってください、あれはモンスターです。」

 「モンスター?」

 そう言うと同時にホムンクルスが着地してそれを見た分校組は・・・誰かが悲鳴を上げてこう言った。

 「バケモノよ!」

 「みんな逃げろ!!」

 そう言うが本校組でもあるトラはこう言った。

 「良いか、今戦えるのはリーリスただ一人だ。九重が来るまでに奴らを

足止めささせるぞ!」

 『『『『『オオォォォォ!!!!!』』』』』

 それを聞いて全員が立ち上がるとリーリスはこう言った。

 「皆、4人一組でホムンクルスを抑え込んで!行動だけでも制限させるわよ!!」

 『『『『『ォォォォ‼!』』』』』

 「武装錬金!!」

 リーリスは核鉄を出してショック・フレイアを顕現させると

それを見た伊万里はこう聞いた。

 「リーリス・・・それって・・・」

 「話は後!そっちはスタッフと一緒に」

 

 

 

 

 

 「ウォォォォォォォォ!!」

 「!?あのバカ!!」

 

 

 

 

 

 リーリスが言いかけるとスタッフの一人が武器を持って襲い掛かるが・・・

ホムンクルスにそんなの効く訳でもなく何事もなかったかのように立っていた。

 「へあ?」

 『アア・・・アンダオマエハヨ?』

 そう言うと同時に60体もいるホムンクルスの中にいたモグラ型のホムンクルスがそのスタッフを・・・喰らい始めた。

 「ギャアアアアア!!」

 スタッフの悲鳴と同時に多くのホムンクルスがそれに群がって捕食し始めた。

 そして残ったのは・・・スタッフが着ていた服の・・・切れ端であった。

 

 

 

 

 

 「イヤアアアアアアアアあ!!」

 「貴様アアアアアアアア!!」

 スタッフの悲鳴と同時に他のスタッフも全員が立ち向かったが・・・

たった数分で・・・・全滅した。

 

 

 

 

 

 「あ・・・・アアアア・・・・。」

 分校組はそれを見て絶望していた。

 そして・・・本校組はと言うと・・・。

 「アタシたちも・・・迂闊にあそこにいたら・・・・。」

 「ウェええええええ・・・・。」

 正に未来の自分たちの如き姿に震えたり嘔吐した人間がそこにいた。

 いや、当たり前であろう。

 映画とかでなら未だしもこれは本当の事だ。

 それを見て・・・恐怖しないのが不思議であろう。

 そう・・・一部を除いては。

 「止まるな!動いて!!」

 「お・・・おお!」

 リーリスの言葉を聞いて全員取敢えず意識を集中させ直した。

 然しそれでも・・・限界があった。

 

 

 

 

 

 

 「い、イヤアアアアアアアア!!」

 「助けてくれええ!!」

 

 

 

 

 

 本校組でも・・・等々犠牲者が出たのだ。

 それも1,2人ではない。

 ・・・現状で5人もの生徒が命を落としたのだ。

 そんな中においても・・・いや、憎しみを抱いて戦っていた。

 自分の《デュオ》を・・・仲間を・・・親友を喰い殺した敵に対して・・・。

 怒りと憎しみを抱いて戦っているのだ。

 そんな中においてリーリスは尚も戦っていると・・・森の方角から

ホムンクルスの断末魔が聞こえた。

 『グぎゃあアアアアア‼!』

 「透流!?」

 リーリスがそう言うと・・・透流が『フォース・セイバー』を顕現させて

みやびと共に出てきた。

 そしてみやびを巴のいる場所に、透流はリーリスの背中に着くと現状の報告に

透流は眉を顰めてこう言った。

 「5人もか・・・!!」

 「ええ・・・それで、錬金戦団には連絡したんでしょうね?」

 リーリスがそう言うと透流はこう答えた。

 「ああ、あと8分粘れば・・・。」

 「8分・・・厳しいわね。」

 「ああ、その間に俺らは60体のホムンクルス相手しなけりゃあ

いけねえって事だな。」

 「残りは48よ。」

 リーリスは透流の言葉に対してそう訂正するが正直な所じり貧だと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その数分前。

 「おいオイオイ、こいつはヤバいんじゃねえのかよオイ!」

 月見先生はそう言って下の様子を見ていた。

 総勢60体ものホムンクルス相手に生徒たち及びリーリス一人では無理だと思い

月見先生は外に出ようとすると・・・九十九理事長がそれを止めた。

 「お待ちなさい月見 璃兎。」

 それを聞くと月見先生はこう答えた。

 「ああ!何言ってんだお前はよ!?今こうしている間にもあいつらが

殺されようとしてんのを黙って見てろって言うのかよ!!??」

 月見先生はそう言って九十九理事長に向かって大声で言うと九十九理事長は

アタッシュケースを出すと月見先生に向けてこう言った。

 「行くのでしたらこれの実験に付き合ってくれませんでしょうか?」

 そう言ってアタッシュケースを開けると何やら

小さなガラス製の箱が入っていた。

 そして《ルキフル》が入っている注射器と共にそれを置くとこう言った。

 「これで貴方も《レベルⅣ》になると同時にこれを扱うことが出来ると

思われますわ。」

 そう言うと月見先生はそれを奪うかのように取ってからガラス製の箱を

開けてみて・・・目を見開いてこう言った。

 「!!・・・へええ・・・完成したのかよ?」

 月見先生はそう聞くと九十九理事長はこう答えた。

 「今だ未調整で戦えるかどうかわかりませんが・・・使ってみれば

分かるかと?」

 そう言うと月見先生は・・・ニヤリと悪役の様な笑みを浮かべてこう言った。

 「良いじゃねえか・・・ノッタゼ!!」

 そう言うと同時に月見先生が出て行ったのと同時に月見先生は三國先生に向けてこう聞いた。

 「三國、現在何機が造られていますか?」

 そう聞くと三國はこう答えた。

 「はい、現在あれを含めて3機です。」

 「そうですか、これで・・・《アブソリュート・デュオ》に至るのも時間の

問題でしょうね?」

 そう言いながらクスクスと・・・笑っていた。




 次回は月見先生の新たな力。
 覚醒です!


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その力・・・新たに目覚める

 遂にこれが・・・登場できたぜエエ!!


 「クハハハハハ!!オイオイオイ手前ら!!派手に殺してくれてるじゃねえかよ

おい!!」

 そう言う声が聞こえたので全員が声の主がいる・・・屋上に目を向けると

そこにいたのは・・・。

 「月見先生!!」

 「よう、ガキども!!」

 月見先生がそう言っていると月見先生は屋上から降りるや否や全員に向けて

こう言った。

 「手前らに特別授業を教えてやるぜ!!」

 内容はと言うと月見先生は自身の《ブレイズ》でもある

《テブテジュ》を出すとこう言った。

 「《レベルⅣ》の《ブレイズ》の使い方についてな!!」

 そう言って《テブテジュ》を振るうと・・・刃が分離して伸びた。

 『!‼』

 それが熊型のホムンクルスに当たるも熊型のホムンクルスはそれを手で

弾き飛ばした。

 「ちぇ!やっぱり通常攻撃は無駄か。」

 そう言って月見先生は《ブレイズ》でもある・・・

本来の名《蛇腹剣(スネイク)》を戻すと透流はそれを見てこう言った。

 「まさか今のが《レベルⅣ》じゃあねえよなおい!!」

 そう言いながら透流は蝙蝠型のホムンクルスに向けて磁力で攻撃していると

月見先生はこう答えた。

 「馬鹿言うな!こいつがアタシの本当の《ブレイズ》の使い方よ。そして・・・」

 そう言いながら月見先生は刃を振るっていると月見先生は・・・こう言った。

 

 

 

 

 

 「喰い殺せ・・・《狂蛇環(ウロボロス)》!!」

 

 

 

 

 

 その声と同時に月見先生の《ブレイズ》が3/2程別れてそれが頭上で

円を描くように回転していた。

 すると月見先生は生徒たちに向けてこう言った。

 「《イクシード》はな、《レベルⅣ》以上になると《ブレイズ》に宿る秘められた力を解放できる。」

 

 

 

 

 

 

 

 「こんな風になアあ!!」

 

 

 

 

 

 

 そう言うと月見先生の《ブレイズ》は回転してホムンクルスに体当たりした。

 『!!!』

 それを見た闘牛型のホムンクルスはそれを角で防御して・・・

何とか弾き飛ばした。

 最早万事休すかと生徒たちはそう思いホムンクルス達もにやりと

笑っていると・・・月見先生はこう言った。

 「そして~~。・・・《レベルⅣ》になった奴は・・・

もう一つの力を持つことを認めれることとなったんだぜ。」

 そう言って月見先生はガラス製の箱を開けてそれをコインのように

弾き飛ばした。

 透流とリーリスはそれを見て・・・目を見開いてこう言った。

 「あれは!!」

 「紫色の・・・核鉄!!」

 そう、九十九理事長が月見先生に渡した物とは・・・核鉄であった。

 「さあ・・・行くぜ---!!」

 そう言いながら月見先生は空いている左手でそれを取るとホムンクルスに

見せつけるかのように・・・こう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「《焔牙錬金(ブレイズ・アルケミア)!!』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言ったと同時に紫色の核鉄光輝くと同時に展開して月見先生の

左手に絡み取るかのように纏わり・・・その姿を現した。

 その姿はまるで・・・楯と剣が一体化したかのような武器であった。

 「へえ・・・こいつがね。」

 月見先生はそう言って自分の左手に装備されている武器を少し見てみて・・・

ホムンクルスに向けてこう言った。

 

 

 

 

 

 「さあてと・・・試運転がてら・・・暴れるとするか!!」

 

 

 

 

 

 そう言うと月見先生は手始めと言わんばかりにクワガタ型のホムンクルスに

まずは《ブレイズ》をぶつけて鋏の動きを止めて・・・。

 

 

 

 

 「ウおらあああ!!」

 

 

 

 

 

 その左手の武器をクワガタ型のホムンクルスに向けるとそれが・・・

射出されたのだ。

 これは防具ではなく・・・暗器型の武器であったのだ。

 そしてそのままそれがクワガタ型のホムンクルスの頭部にある・・・

人間の顔らしき場所に深々と喰いこむとクワガタ型のホムンクルスはそれに対して痛がりながらこう言った。

 『イギャアアアアアア!!イデエ!‼イデエヨ―――――‼!』

 そう言いながら喰いこんだ刃を振りほどくとクワガタ型のホムンクルスは

月見先生に向けてこう言った。

 『ヨクモヤッタナ!!ブッコロシテヤル‼!』

 そう言いながら巨大な鋏が月見先生を挟み込もうとしたその時に・・・。

 

 

 『ア‥‥ガアア・・・・・‼!』

 突如苦しみだすと月見先生はこう説明した。

 「言うこと忘れてたがな。こいつには手前らホムンクルス相手に改造した

液体型ナノマシンが入っていてな。それが注入されると撃たれた個所から手前らの体の組織構造を破壊して・・・ぶっ殺すんだよ。」

 『ア‥‥イギャアアアアアア!!』

 「アタシの生徒に手え出したんだ。」

 「死んで償って地獄に堕ちろ。」

 『ウぎゃあアアアアアアアア‼!!!』

 月見先生の言葉と同時に悲鳴を上げて・・・崩れていった。

 それを見たホムンクルス勢は月見先生を見て恐怖すると・・・

透流が全員に向けてこう言った。

 「皆、後もう少しだ!!気張れ!!」

 『『『『『オ・・・・・おオオォォォォオオ!‼』』』』』

 その言葉と同時に本校組は勢いを取り戻してホムンクルスに対して攻撃を

再開した。

 

 

 

 

 

 そして6分後・・・。

 

 

 

 

 

 「やっと・・・終わったな。」

 「ええ・・・。」

 透流とリーリスはそう言って周りを見渡していた。

 残っているのはホムンクルスの残骸と・・・本校組の血の跡であった。

 全員は一息ついた後に・・・何人かが泣き始めた。

 如何やら自分の《デュオ》または親友を失ったようだ。

 透流とリーリスはそれを見て自分の力なさに痛く感じると同時に

月見先生を見た。

 すると月見先生は透流とリーリスに向けてこう言った。

 「まあ、色々と言いたいことがあるかもしれねえが・・・取敢えずは

終わったな。」

 「ああ・・・そいつについては2分後にキャプテン・ブラボーが来る。その時に聞くぜ。」

 丁度医療スタッフも連れているしなと言うと月見先生はこう答えた。

 「まあ、詳しい事は理事長に聞きな。アタシは実験としてこいつを

貰っただけだ。」

 そう言いながら月見先生は紫色の核鉄を片手で遊んでいると・・・。

 

 

 

 

 

 「おやおや、これは一体何事でしょうねえ?」

 

 

 

 

 「「「!!!」」」

 その声を聴いて透流とリーリス、月見先生が驚いてその声が聞こえた場所に目を向けるとそこにいたのは・・・。

 

 

 

 

 「これこれは初めまして。私の名は《K》。今回の襲撃においてリーダーと

なっている者です。」

 そう言いながら《K》と名乗る金髪の青年は全員に向けてそう言うと《K》は

全員に向けてこう言った。

 「さてと、用件だけ言いましょう。私達は彼女

《操焔の魔女(ブレイズ・デアボリカ)》。ああ・・・九十九理事長と

言いましたっけ?彼女を創造主の下にお連れしないといけないのでどいてくれると私も助かるのですが?」

 そう言いながら青年《K》は慇懃無礼な態度を見せると月見先生はこう答えた。

 「阿保か?手前は。そんなのだれが乗るかよバーカ!!」

 そう言いながら月見先生は《ブレイズ》と核鉄を構えるとリーリスも

こう続けた。

 「確かに、あの事はちょっと縁があるから加勢するわよ。」

 そう言って自身も核鉄を構えると透流もこう答えた。

 「俺達は今回仲間を多く喪ったんだ。・・・

ちょっとばかり八つ当たりさせてもらうぜ!!」

 そう言って自身も核鉄を構えると《K》はそれを見てため息交じりで

こう言った。

 「仕方がありませんね?こちらもはいそうですかと言って帰る訳には

いけませんので・・・さっさと殺しますか。」

 そう言うと《K》の体がうねうねと何かが這いまわるかのような状態に

なると・・・《K》の体が突如膨張して・・・その姿を変えた。

 突起物の様な頭部

 鋭い爪を持った手足

 ずらりと並んだ牙

 そして何よりも・・・バケモノのようなその容姿

 正にモンスターと言っても仕方がない程の容姿であった。

 そして頭部が現ると《K》・・・だったモノはこう言った。

 

 

 

 

 

 『サアテト・・・ハジメマスカ?』




 焔牙錬金(ブレイズ・アルケミア)
 九十九理事長が透流とリーリスの戦闘データをベースに新たに作られた特殊合金で生成された核鉄。
 武装錬金と同じように闘争本能から作られる。
 内部には対ホムンクルス用のナノマシンが入っておりそれを注入して相手を倒す。
 尚、使えるのは《レベルⅣ》からなので事実上突起戦力でしか使えない。
 シリアルナンバーは数字の01と言う感じ
 


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最悪の敵

 敵の特徴は原作に出てくるタイプと同じです。


 『サア・・・コロスカ。』

 《K》と呼ばれていたモンスター型のホムンクルスがそう言うと同時に・・・

一瞬で透流達に迫った。

 「「「!!!」」」

 3人はそれを見ていつの間にとそう思っているとまず攻撃を受けたのは・・・

リーリスであった。

 「グハ・・・・!!」

 息を無理やり吐かれる様な声と共にリーリスは学園の建物に向かって

飛ばされ・・・その向こうに迄行った。

 「リーリス!!」

 透流はリーリスの飛ばされた方向を見てそう言うと月見先生が《K》だった

モンスター型のホムンクルスに向けて刃付きのアンカーを飛ばしながら

こう言った。

 「手前!こっち見なよ!!」

 そう言いながら《スネイク》を振りかざしながらアンカーを突き刺そうと

縦横無尽の動きを見せていた。

 まるで踊るようなその動きに目では負いきれまいと確信していた月見先生は頭部に目掛けて攻撃しようとすると・・・《K》と呼ばれていたモンスター型の

ホムンクルスは月見先生に向けてこう言った。

 『ワルイノデスガキョクゲイニツキアッテルジカンハナイノデ』

 そう言った次の瞬間に・・・月見先生の左顔面目掛けて拳が襲い掛かった。

 「ヤバい!!」

 月見先生はそう言いながら体勢を変えようと《スネイク》で建物に向けて

巻き付いて方向転換しようとするも・・・更に迫ってこう言った。

 『オソイデスネ』

 そう言って月見先生を地面にめり込ませる勢いで殴りつぶした。

 「・・・・・・!!!」

 声も出ないほどの悲鳴で月見先生はそのまま倒れてしまった。

 「畜生!!」

 透流はそう言って《フォース・セイバー》をブレード形態にして月見先生を

殴った腕に目掛けて斬り落とそうとするも・・・途中で止められてしまった。

 「何で!!」

 透流はそう言うと《K》と呼ばれていたモンスター型ホムンクルスは

こう言った。

 『ワタシノカラダハソウゾウシュニヨッテカタクツクリナオサレテイマシテネ、ソンジャソコラデハ・・・イタクモカユクモアリマセンヨ‼!』

 そう言って左腕の方で透流を殴り飛ばそうと拳を振りかざして・・・当てた。

 「ゴファ・・・!!」

 透流はその攻撃に息を無理やり吐かれるも《フォース・セイバー》の能力を

使って何とか学園に向かう事もなかったがいきなりの方向転換によって

内臓にダメージを負ってしまった。

 「・・・くそが・・・!!」

 透流はそう毒づきながらも口から血を吐いた。

 「トール!」

 「来るなユリエ!!」

 透流はこちらに来るユリエに向けてそう言った。

 3人がかりでも勝てない敵を相手に如何にユリエでも守りながら戦うのは

不可能だと分かっているからだ。

 ユリエは透流の言葉を聞いてストップしてしまった。

 すると《K》と呼ばれていたモンスター型のホムンクルスはユリエを見て

こう言った。

 『センジョウデハウゴカナイモノカラシヌトオシエラレマセンデシタカ!?』

 「!!!」

 ユリエは咄嗟にガードするも諸にその腕の攻撃に当たってしまい

そのまま森の向こうにへと飛ばされてしまった。

 「ユリエ!!」

 透流はユリエの方向に目を向けて一瞬の間に《K》と呼ばれていた

モンスター型のホムンクルスが目の前に来たのを見てもう間に合わないと思って

目を瞑ろうとすると・・・。

 

 

 

 

 

 

 上空から声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 「ついええええええええええ!!」

 

 

 

 

 

 「?」

 聞きなれぬ男性の声に誰だと思って上空を見てみると・・・綺麗な山吹色の光が見えた。

 そしてその勢いのまま《K》と呼ばれていたモンスター型のホムンクルスの

右腕を・・・斬り裂いた。

 「!!」

 『ナニ‼!』

 《K》と呼ばれていたモンスター型のホムンクルスはまさかと思って

驚いているともう一人の声が聞こえた。

 

 

 

 

 「大丈夫か!九重!!」

 「・・・斗貴子さん!?」

 

 

 

 

 透流はその女性を見て間違いないなとそう思っていると更に上空からの

人影を見て・・・透流は安堵した様子でこう言った。

 「・・・キャプテン・ブラボー。」

 

 

 

 

 ブラボーは最後に飛び降りて着地すると透流に向けてこう聞いた。

 「無事か!透流!!」

 そう聞くと透流はこう答えた。

 「はい・・・何とか。」

 そう言いながらも透流は血反吐を吐いた。

 そして透流はブラボー達に向けてこう言った。

 「気を付けて下さい、あいつの体に直接的打撃は効きません・・・!!」

 そう言うと斗貴子はホムンクルスの形状を見てこう言った。

 「あれは確かカズキの学校で見た奴と同じタイプ。」

 「ああ、だけど前見た奴よりも様子が違う。」

 斗貴子は隣にいる大型の槍らしき武装錬金を保有する青年・・・カズキと名乗る青年に向けてそう聞くとカズキは何かが違うとそう答えると

キャプテン・ブラボーはこう答えた。

 「恐らく、データを基に改修され、強化されたようだな」

 そう言いながらキャプテン・ブラボーは《K》と呼ばれていたモンスター型の

ホムンクルスの斬られた個所を見て2人に向けてこう言った。

 「良し、俺とカズキが奴を相手取る。」

 「ハイ!」

 「斗貴子、君は透流とリーリスを連れて生徒たちを守ってくれ。」

 「分かりました。」

 そう言うと透流は足を引きづりながらもこう言った。

 「待って・・・下さい・・・俺も・・・!!」

 そう言うが透流を見てキャプテン・ブラボーはこう言った。

 「透流、君はここ迄よく戦った。休んでいてくれ。」

 そう言うとキャプテン・ブラボーは斗貴子とカズキに向けてこう言った。

 

 

 

 

 

 

 「良し・・・やるぞ!!」

 

 

 

 「「ハイ!!」」




 次回は対モンスター型のホムンクルス対原作錬金戦団。


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武装錬金紹介

 こちらはWIKIで調べました。


 「ふん!」

 キャプテン・ブラボーは《K》と呼ばれていたモンスター型の

ホムンクルス目掛けて正拳を振りかざそうとしているのを見てそれを見ていたトラが大声でこう言った。

 「何をしているんだ!九重の忠告を聞いていなかったのか!?」

 そう言いながらキャプテン・ブラボーの拳が《K》と呼ばれていたモンスター型のホムンクルスの拳とぶつかって・・・。

 『グわアアアアアアア‼!』

 《K》と呼ばれていたモンスター型のホムンクルスが吹き飛んだ。

 それを見た巴はこう言った。

 「な!あのバケモノを一撃で・・・彼も《イクシード》なのか!!」

 「いいえ・・・違うわよ。」

 巴の言葉に対して・・・学園からリーリスが左肩を庇うかのような感じで出ながらそう言った。

 「リーリス!無事だったの!?」

 「当たり前でしょ・・・と言いたいところだけど・・・そうでも・・・ないわ」

 「リーリス!」

 ふらつきながら現れたリーリスが倒れかけるのを見て斗貴子はそれを辛うじて

救い上げた。

 「大丈夫か!?」

 「大丈夫・・・じゃ・・・ないかと・・・」

 リーリスは斗貴子を見て少し笑顔で・・・痛々しくそう答えた。

 するとみやびがリーリスと斗貴子に向けてこう聞いた。

 「ねえ、一つ良い?」

 「「??」」

 「あの人は大丈夫って・・・何で?」

 そう聞いたのだ。

 服装は取敢えず置いといてだがそれ以外は普通と何ら変わらないのならば

如何やってあのホムンクルスを殴り飛ばしたのかと聞くと斗貴子はこう答えた。

 「あの姿こそ・・・キャプテン・ブラボーの武装錬金何だ。」

 「・・・・へええ!!あの服が!?」

 それを聞いてみやびは驚いている中斗貴子はそうだと言ってこう答えた。

 「あの武装錬金は所有者の思いによってあらゆる構造に変貌し、

外部からの攻撃を一切合切遮断することが出来る。」

 

 

 

 

 「・・・それこそがキャプテン・ブラボーの持つ『防護服型の武装錬金

《シルバー・スキン》』だ。」

 

 

 

 

 

 

 そう説明しながらもキャプテン・ブラボーは尚も攻撃を続行していた。

 すると《K》と呼ばれていたモンスター型のホムンクルスが

それを聞いているようであるのだがそれを聞いて何故と答え乍らこう言った。

 『キサマ---!!《イクシード》デモナイナラバドウシテワタシニココマデノダメージヲオエサセレルノダアアアアア‼!』

 そう言いながら《K》と呼ばれていたモンスター型のホムンクルスが残った拳を振り上げようとするとキャプテン・ブラボーは静かにこう言った。

 「武器ならばある。」

 「・・・・・お前たち相手に戦うために鍛え上げたこの体こそが・・・

俺の武器だ!!」

 そう言うとその拳目掛けてキャプテン・ブラボーも振るうとそのまま

《K》と呼ばれていたモンスター型のホムンクルスが又もや吹き飛ばされた。

 『クウウ・・・・‼!』

 《K》と呼ばれていたモンスター型のホムンクルスはもう一度体勢を

整えようとすると・・・カズキの雄たけびが聞こえた。

 「イエエエエエエエエエ!!」

 そう言いながら飾り布が着いた大型の槍を持ちながら突撃する

カズキを見てよろめきながらも伊万里達の下に着いた透流は斗貴子に向けて

こう聞いた。

 「斗貴子さん・・・あの人は?」

 「ああ、私が前に任務できていた際に・・・囮捜査をしてホムンクルスに

襲われる寸前に私を助けて命を落とした青年だ。」 

 「へえ・・・・エエエエ!!それってヤバい・・・まさか!?」

 透流は斗貴子の言葉を聞いてまさかと思いながら聞くと斗貴子はこう答えた。

 「ああ、貴様も知っていると思うが核鉄はやりようによっては心臓の代替えにも出来るからな。私は命を助けてくれた借りを返すためにそうしたのだが

同じホムンクルスに襲われた際に覚醒したらしくてな。

今は戦士見習いとしている。」

 「核鉄とは・・・そんなことまでできると言うのか。」

 意外に万能だなとそれを聞いていたトラはそう言うと斗貴子はカズキの

武装錬金について説明した。

 「あの武装錬金は飾り布から発せられるエネルギーを使って」

 そう言うと飾り布から光が漏れ出て・・・勢いを急激に増した。

 「速くなった!!」

 「そう、爆発的な威力と突貫力を与え、相手を撃ち貫く。」

 「その時に発せられる光はまるで・・・太陽のように輝いていることから

この名を私が付けたんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「突撃槍の武装錬金『サンライトハート』」

 

 

 

 

 

 その名前を言ったと同時にもう片方の腕も吹き飛んだ。

 『グウウウウ‼!』

 『キサマーーーーーーーー!!』

 《K》と呼ばれていたモンスター型のホムンクルスは最後のあがきと

言わんばかりに足を上げるもキャプテン・ブラボーの武装錬金が片腕を残して

全ての服が消えているのに気づくとキャプテン・ブラボーはこう言った。

 「貴様の様な硬い奴ならば・・・これでならば如何だ――――!!」

 そう言いながらキャプテン・ブラボーは《K》と呼ばれていたモンスター型の

ホムンクルスの足を・・・文字通りに砕いた。

 『ぬおオオォォォォ‼!』

 《K》と呼ばれていたモンスター型のホムンクルスは

そのまま転げ落ちてしまうとキャプテン・ブラボーはこう言った。

 「もうここまでのようだな。」

 『グウウウウ‼!』

 それを聞いた《K》と呼ばれていたモンスター型のホムンクルスは

悔しそうな顔でそう言うと・・・少し離れた場所から声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 「やっと着きました。」

 「ユリエ!!」

 透流は戻ってきたユリエを見て驚くとユリエは透流の向けてこう言った。

 「ヤ―、あの時に吹き飛ばされた後そのまま移動のスピードに使って

やっとのことで戻ってこられました。」

 そう言いながらユリエは透流達に下に向かっていると・・・

《K》と呼ばれていたモンスター型のホムンクルスはニヤリと笑って・・・口から何かを射出した。

 其れは・・・。

 

 

 

 

 『ケヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ‼!!』

 「あの野郎!」

 「分離できるのか!!」

 カズキとキャプテン・ブラボーはそう言いながらホムンクルスと分離した

《K》はユリエ向けて猛スピードで迫っていた。

 「!!」

 「ユリエ・・・・がはあ!?」

 ユリエは透流の言葉を聞いて気づくももう間に合わないと思うくらいの距離であった。

 透流は血反吐吐きながらも進もうとしたその時に・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ユリエと《K》の間に・・・誰かが割り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 その人間は・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 「ア・・・・アアアア・・・・」

 

 

 

 

 「大・・・丈夫・・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 茶色に近い髪をした・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ユリエちゃん。」

 

 

 

 

 

 《K》によって首元に深くかまれ血を出していた・・・・みやびの姿が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして・・・それを見て・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「み・・・みやびーーーーーーーー!!」

 

 

 

 

 

 悲鳴を上げた巴の声が学園に響き渡った。




 悪夢は・・・再び。


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死は二人を永遠に分かった。

 死。
 それは・・・全ての生き物にとっての終着。


 「みやびーーーーーーーー!!」

 巴の悲鳴にも見た声が学園中に響き渡ったと同時に斗貴子が勢いよく走り出すと

太ももに装備されている4本のブレードを展開した。

 これこそが斗貴子の武装錬金。

 オートメーションされている4本のブレードを持ったサブアームで攻撃すると言う最先端型の兵装。

 ホムンクルスを断罪するという意識の表れ。

 

 

 

 

 

 処刑鎌の武装錬金『バルキリー・スカート』である。

 

 

 

 

 

 

 そして斗貴子はみやびに食らいついている『K》の口の部分にブレードを

使って・・・斬り裂いた。

 『!‼』

 「邪魔だアアアアアアア!!!」

 斗貴子はそう言って『K》の上あごと下あごを斬り裂くと上顎を頭ごと掴んで

キャプテン・ブラボーに向けて投げた。

 そして自身の武装錬金を解除すると透流とリーリスに向けてこう言った。

 「九重!ブリストル!!貴様らの核鉄を貸せ!!この子を治療させる!!」

 「「ハイ!」」

 そう言って2人は核鉄を渡すと斗貴子はそれをみやびの首元に

押さえつけると・・・核鉄が輝いて皮膚が・・・治り始めていった。

 「これは・・・」

 それを近くで見たユリエは何だと思っていると斗貴子はユリエに向けて

こう説明した。

 「核鉄は生存本能を高めらせて治癒能力を倍増できるようになっている。

後は彼女の意思次第だ。」

 そう言うと斗貴子はキャプテン・ブラボーの方を見るとキャプテン・ブラボーは《K》に向けてこう聞いた。

 「さあてと、貴様についてだが聞きたいことが山ほどある。」

 そう言うとキャプテン・ブラボーは《K》に向けてこう聞いた。

 「お前らの創造主は・・・『エドワード・ウォーカー』だな?」

 『!‼』

 《K》はそれを聞いて上顎から下あごへと再生しようとしている中で

キャプテン・ブラボーは《K》に向けてこう続けた。

 「目的は恐らく・・・『イクシード』とそちらが造った『装鋼(ユニット)』におけるセレクションで敗れたことにおける復讐・・・いや、

只単に自尊心を満たすためにこの戦争を引き起こした・・・最低最悪の外道だ。」

 『アがアアアアアアアア(*´Д`*)‼!!』

 キャプテン・ブラボーはそう言いながらも《K》の頭を力強く

握りつぶさんが位の力を発揮したので《K》は痛がるが

キャプテン・ブラボーはこう続けた。

 「そしてこの戦闘で勝利を収めアメリカでホムンクルスを披露させて

アメリカ中のドーン機関を壊滅させるって言う手はずも・・・こっちは既に

調査済みだ。」

 『ナアア‼!』

 それを聞いて《K》は驚いているがキャプテン・ブラボーは

更に力を強めて・・・こう言った。

 「お前たちの計画は絶対阻止する。もうじき世界中の錬金戦団における

『エドワード・ウォーカー』の地下施設破壊計画を実施する。」

 『ソンナ‼!』

 「お前は一足早く」

 『ヤ・・・ヤメ』

 「地獄でそれを拝んでいろ!!」

 その言葉と同時に《K》の頭を破壊して・・・《K》は消滅した。

 

 

 

 

 

 

 「みやび!みやび!!目を開けてくれみやび!!」

 巴は大声でみやびに向けてそう言うとみやびは少しであるが・・・目を開けた。

 「みやび!良かった!!大丈夫か!?痛い所は」

 「巴・・・ちゃん・・・がふがふ!!」

 みやびは巴の名前をいった途端に・・・吐血した。

 「みやび!」

 「みやび!!」

 巴の隣でユリエはみやびの名前を呼ぶとみやびは・・・笑顔でこう言った。

 「ああ・・・良かった・・・怪我・・・して・・・なくて」

 「ヤ―、みやびが護ってくれたおかげです!」

 「巴・・・ちゃん・・・」

 「何だ!?」

 巴はみやびに向けて耳を傾くとみやびの言葉を聞いて頷くとこう言った。

 「透流・・・みやびが。」

 「・・・」

 透流は足を引きづりながらもみやびの下に向かうとみやびは透流に向けて

こう言った。

 「透流・・・君・・・覚え・・・てる?・・・海の・・・事?」

 「ああ・・・ナニカ言いたげだったけど今回のことがあって

聞けなかったよな?」

 「多分・・・もう・・・私」

 「大丈夫だ、戦団で治療すれば絶対」

 「自分の・・・事・・・くらい・・・分かって・・・るから。」

 「!!」

 透流はみやびの言葉を聞いて目を見開いた。

 「あの時・・・言えな・・・かった・・・事・・・言う・・・ね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「私・・・透流君・・・の・・事・・・大好き・・・だよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「え?」

 透流はそれを聞いて言葉を失った。

 自分を・・・何故好きだと言うのか・・・何でと思っている中でみやびは

こう続けた。

 

 

 

 

 

 

 「ずっと・・・透流君・・・から・・・色んな・・・気持ち・・・貰って・・・ばっかり・・・だった。」

 「家族の・・・事も・・・私の・・・事も・・・親身に・・・なって・・・

くれて・・・」

 「ホムン・・・クルスの・・・時・・・だって・・・皆の・・・為に・・・

頑張・・・ってさ・・・。」

 「私も・・・頑張・・・ろう・・・って・・・思っ・・・たんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 「今度・・・こそ・・・透流・・・君・・・に・・・頼れる・・・様に・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・みやび・・・・!!」

 透流はみやびの事を聞いて言葉が出なくなっていた。

 今までのは任務や自分のようにならないでほしいと思っていた。

 それだけなのに・・・そう思っているとみやびは・・・こう言った。

 

 

 

 

 

 

 「透流・・・君・・・いっぱい・・・いっぱい・・・ありがとう・・・・。」

 「待て!みやび!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・さよなら・・・私の・・・最初で・・・最後の・・・愛した人。」

 そう言ってみやびは弱弱しくも透流の顔に手おいて・・・その唇にキスをした。

 そしてみやびは弱弱しく笑って・・・その手を・・・・地面に力なく落とした。

 

 

 

 

 

 

 「みやびーーーーーーーー!!」

 「イヤ---!!」

 みやびの死を見て巴はみやびに抱き着いて泣いているのを見て・・・透流は天に向かってこう呟いた。

 

 

 

 「何でだよ・・・・何で・・・・どうして・・・。」

 透流はそう言ってみやびの遺体を見・・・そして空に向かってこう言った。

 

 

 

 

 

 

 「どうして俺は・・・守りたいって思った人を守れないんだ---!!」

 

 

 

 

 

 大声でそう言ったその時の空は・・・綺麗に輝く星空であった。

 

 

 

 

 

 

 そして次の日の朝。

 

 

 

 

 

 

 「もう直ぐです。・・・・大戦士長。」

 そう言ってヘリの中でキャプテン・ブラボーと同い年位の女性が

大戦士長と呼んだ・・・神父の様な男性に向けてそう言うと男性はこう答えた。

 

 

 

 

 「そうですか、会うのが楽しみですね。」

 「その・・・お嬢さんに。」




 次回で一旦終わります。


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友の死を胸に・・・歩くしか道はない。

 これでお終い。


 あの戦いの後錬金戦団の医療スタッフ達が来て負傷者の治療と

死亡者の弔いをしているのを見てトラはこう呟いた。

 「結局僕らは・・・何も出来なかったというのか・・・・!!」

 トラはそう言いながら自身の拳を強く握りしめていた。

 周りには本校組の・・・戦死した生徒の荷物を丁重に棺に入れていた。

 そんな中で透流は・・・職員たちに交じってリーリスと一緒に破壊された

校舎の瓦礫撤去の手伝いをしていた。

 それを見ていた城上はぎりりと歯軋り鳴らすかのようにこう言った。

 「あいつは何ともねえのかよ・・・同じ仲間なのに・・・!!」

 そう言いながら今でも殴り倒したい衝動であるのだが伊万里はこう言った。

 「ううん、多分だけど・・・ナニカしてないといけないって思ってるんだと

思うよ。」

 「え?」

 「あの時一番・・・守り切れなかった事に後悔しているのはあの2人だと

思うんだ。」

 「・・・どういう意味だよ?」

 城上は伊万里に向けてそう聞くと伊万里はこう答えた。

 「ユリエちゃんから聞いた話なんだけど・・・あの2人はホムンクルスに

家族を殺されたんだって・・・それも全員。」

 「え・・・?」

 城上はそれを聞いて絶句した。

 あの2人の家族はもういないという事など知らなかったのだから。

 それはトラ達以外の全員同じであった。

 「錬金戦団にはそう言う人たちが大勢いてね。だからこそこれ以上悲しむ人たちを出させない為に・・・出来なければその人たちをちゃんと弔うように

しているんだって。」

 「・・・力があっても守れなかったって一番悔しがっているのは・・・

透流とリーリスだと思うの。」

 「・・・・・」

 城上はそれを聞いて黙ってしまった。

 今何か言ってもそれはみやびや死んだ人間のためじゃない。

 自分のエゴと自己満足だとそう確信しているからだ。

 それでもと・・・そう思うのは人間の常であろう。

 「そういえば理事長は何の話をしているんだろう?」

 伊万里はそう言って・・・学園長室の方に目を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「成程、確かに核鉄とは似て非なるものですね。」

 「矢張りな。」

 キャプテン・ブラボーは目の前にいる男性。

 嘗ては彼の下でホムンクルス討伐をしていた・・・

現在の錬金戦団亜細亜支部大戦士長にして錬金戦団戦闘部門顧問。

 『坂口 照星』である。

 照星は九十九理事長が開発した紫色の核鉄を見てそう言ってブラボーも

そう答えた。

 すると九十九理事長は照星に向けてこう言った。

 「未だ試作品ですが現在の所3つほど製造いたしておりますわ。」

 そう言うと九十九理事長は照星に向けて・・・嘗てキャプテン・ブラボーに

向けて言った事をもう一度伝えた。

 「前に彼にも話しましたが貴方に向けてもう一度言います。」

 

 

 

 

 

 

 「我々と技術提携する気になれましたか?」

 

 

 

 

 

 そう聞くと照星は少し考えてある事を聞いた。

 それは・・・。

 

 

 

 

 「貴方はこれで何をするのですか?」

 そう聞いた。

 そして九十九理事長はいつも通りこう答えた。

 

 

 

 「全ては『アブソリュート・デュオ』に至らんがために。」

 「その『アブソリュート・デュオ』とは一体?」

 九十九理事長の言葉を聞いて照星はそう聞くと九十九理事長はにこやかに

こう答えた。

 

 

 

 「私達と共になれば何れはお分かりに。」

 そう言って紅茶を飲んでいた。

 そして照星は暫く顎を手で支えて・・・こう答えた。

 「分かりました、貴方方が敵でないのならばこちらも技術提携に

応じましょう。」

 ですがと言って照星は九十九理事長に向けてこう言った。

 

 

 

 

 「貴方方が敵となれば・・・こちらは容赦いたしません。」

 「結構、お互いに良い関係になれることを。」

 そう言ってクスクスと笑い、照星は退出するとその後に続いて

キャプテン・ブラボーも退席するとキャプテン・ブラボーは照星に向けて

こう聞いた。

 「大丈夫なんですか?あの子は何を考えているのか?」

 「だからです。危険ならば尚の事我々が見える範囲で見張らなければ

なりません。」

 そう言って廊下を歩きながらそう言っていた。

 

 

 

 

 

 

 「ブリストル。」

 「斗貴子さん?」

 斗貴子はリーリスを呼ぶと斗貴子はこう言った。

 「少し来い。」

 

 

 

 

 

 

 

 そして暫くするとリーリスは斗貴子に向けてこう聞いた。

 「それで・・・何でしょうか?斗貴子さ」

 リーリスが言い終える前に斗貴子はリーリスを・・・抱きしめてこう言った。

 

 

 

 

 「もう良いんだ。」

 「え?」

 「もう・・・泣いて良いんだ。」

 そう言ったのだ。

 そしてリーリスはこう返した。

 「私・・・泣いて良いなんてそんな」

 「もう・・・我慢しなくて良いんだ。自分をもう・・・誤魔化さなくて

良いんだ。」

 そう言うとリーリスは・・・震えながらこう言った。

 「斗貴子さん・・・前とは雰囲気変わりましたね?」

 「そうだな・・・そうだと私もそう思っている。」

 そう言いながら斗貴子はリーリスの頭を撫でているとリーリスは斗貴子に向けてこう言った。

 「私・・・泣きません。」

 「・・・・」

 「けど・・・一つだけ・・・宜しいですか?」

 「何だ?」

 「・・・もう少しだけ・・・こうしていて良いですか?それと・・・

何も聞かないで下さい。」

 「・・・分かった。」

 斗貴子の言葉を聞いて・・・初めは鼻を啜る音がして・・・それから・・・

小さめであるが・・・泣き始めた。

 周りにだけ聞こえるような声であるが・・・それでも彼女は・・・泣いた。

 「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・。」

 小声でそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして夜になって仲間内であるが葬儀が行われた。

 親しくなった友達、デュオとの別れをして・・・最後に照星がこう言った。

 「皆さん、初めまして。私は『錬金戦団亜細亜支部大戦士長及び戦闘部門顧問

坂口 照星』と申します。」

 「今回貴方方が遭遇したホムンクルスは今現在において世界中に存在し、我々は根絶しようと努力いたしておりました。」

 「然し、一組織では限界もあります。そこで我々『錬金戦団』は

ドーン機関と共にホムンクルス殲滅を行う旨をここに宣言いたします!!」

 「その際に、もし、貴方方の中に錬金戦団に加入するならば我々は

受け入れます。」

 「ですが、もしホムンクルスとの戦いが嫌と言う人間においてしても

我々は無理強いはしません。」

 「ここから先は貴方方が決めることなのです。」

 私からは以上ですと言うと九十九理事長は全員に向けてこう言った。

 「今ここで去りたいと言うならば私は止めません。ですがもし、敵を倒したいと思うならば・・・抗いなさい、戦って抗って・・・得るのです!己の未来を!!」

 そう言うとキャプテン・ブラボーが前に立ってこう言った。

 「それじゃあ学園から戻ったら残るか出て行くかの用紙をそれぞれの部屋に」

 そう言うと・・・とある声が聞こえた。

 

 

 

 「ふざけるんじゃねえぞ!!」

 

 

 

 

 

 城上はそれを聞いてそう言うとこう続けた。

 「俺達は何も出来なかったけどそのまま出て行くなんてまっぴらごめんだ!!」

 「仲間の仇とれねえで出て行けるかっての!!」

 そう言うと次々と・・・こう声が聞こえた。

 「そうだ!ここで逃げだしたら死んだ連中にあの世で顔向けできねえ!!」

 「私達もあいつらを倒したい!」

 「俺は残るぞ!」

 「私も!!」

 「俺達もだ!!」

 そう言う声の中が響く中透流はある一点を見ていた。

 「・・・巴。」

 巴の方を見ていたのだ。

 今の巴はみやびを失ったショックで憔悴しきってしまい正直な所

何か変な事にならなければ良いと思っている中で巴は・・・こう呟いた。

 

 

 

 

 「みやび・・・みやび・・・みやび・・・。」

 最早何も考えられなかった。

 自分が愛した人と同じように愛しており、絶対負けないと昨夜誓い合い・・・

あれがお互いにとって最後の言葉であったことに心が・・・折れそうに

なっていた。

 




 当面の間・・・休載します。


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作戦準備

 再開しました。


 「七曜(レイン)?」

 あれから数日経ち学園は様変わりした。

 無論これ迄同様の学校になったと同時に錬金船団に於いて未成年団員が

通えるように手配してくれたおかげでカズキ達も入学したのだ。

 それだけではなくブレイズも出来るようになっており

今では錬金戦団と生徒達が互いに切磋琢磨している中で透流がリーリスにそう聞くとリーリスはこう答えた。

 「そう、この学園の最高責任者で構成された七人の上層部。

それが『七曜(レイン)』、それの集まりが今度あって議題は私達錬金戦団との

今後についてね。・・・話はここから、如何やらその『七曜(レイン)』の中に

ホムンクルスを想像した人間がいるって話なのよ。」

 「!!」

 透流はそれを聞いて目を大きく見開いて一体誰なのかと聞こうとした瞬間に

リーリスが透流に向けてこう言った。

 「焦らないで、敵はその内やって来るわ。その時に・・・確実に葬るわよ。」

 「・・・ああ、そうだな。」

 それを聞いて透流達は来る戦闘に備えて準備しようとする中でユリエが

やってきた。

 「トール、巴が来ていません。」

 「・・・またか。」

 「今日で9日目、いい加減・・・とも言えないわよね。」

 リーリスは遠い目をして巴がいるであろう部屋を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「みやび・・・みやび・・・みやび。」

 巴はそう呟きながら・・・みやびの遺品が入った段ボールと

備え付けられた写真を見ていた。

 あの惨劇でみやびを含めて15名の死者を出したあの臨海学校からというもの巴は部屋から一歩も出ずに閉じこもってしまったのだ。

 流石にクラスメイト達は全員心配していたが月見先生がこう言ったのだ。

 「残るも自由、去るも自由、どうしたいのかは手前が

決めなきゃいけねえんだよ。」

 そう言って授業を続けていたが透流とリーリスは知っていた。

 あの後から錬金戦団の団員が捕獲したりしているホムンクルス相手に

特訓をしていることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「どうにかできないものかってこればかりは本人次第なんだよなあ。」

 「そう思うならば一度訪れてみたらどうだ?」

 「トラ?」

 透流の呟きに対してトラがそう言うとこう続けた。

 「貴様が一度訪れてどうするのかを聞いてこい、もし出るのであるのならば

止めることはするな。だがあの惨劇を知って尚も戦うと言うのならば・・・」

 その時はとそう呟いていると・・・放送が鳴り響いた。

 『レベルⅢ又はそれ以上の生徒達は至急校舎裏研究所迄来てください。』

 繰り返しますと言うと透流はタツに向けてこう言った。

 「悪い、俺達これから用があるから。」

 「・・・・」こく

 それを聞いて寡黙なタツは頷くと透流達は校舎裏にある研究所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 嘗ては透流が最初に倒したホムンクルスの食糧とされた研究所跡地であったが

今では新しく錬金戦団と学園が共同で扱うホムンクルス及び核鉄製造施設として

扱われている中で透流達は中に入って新たに作られた部屋に入ると既に上級生達が座っている中で透流達が座るが一つ空きがある事に気づいた。

 「巴。」

 透流は恐らく巴が座るであろう空席を見てそう呟くが扉が開く音が聞こえたので全員それに目を向けるとそこにいたのは・・・・。

 「理事長!?」

 透流が驚いている中で理事長はこう説明した。

 「今日は皆さまに『七曜(レイン)』が催すお茶会

『七芒夜会(レイン・カンファレンス)』についての警護についてですわ。」

 そう言うとプロジェクターが起動して説明した。

 「先ず場所はこの学園ですが皆様はそれぞれ所定の位置で待機してもらいますが若しもホムンクルスが来た時に備えて錬金戦団の方々も各所定の位置とさせて

貰いますわ。」

 そう言うとキャプテン・ブラボーと同じくらいの年齢である女性『千歳』がこう続けた。

 「それでは場所について以下の通りに区分けします。」

 ではと言って最初に三年勢から始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「次に九重 透流、ユリエ・シグトゥーナ。」

 「ハイ!」

 「ヤー。」

 「2人は学園寮にある噴水前です。」

 「「了解。」」

 「寅埼 葵、リーリス・ブリストル。」

 「「ハイ!」」

 「貴方方は校舎天井にて配置。」

 「「了解!!」」

 「以上とします。」

 そう言うと全員解散する中で透流は千歳に近づいてこう聞いた。

 「あのすみません、巴・・・橘の名前が無かったのですが。」

 もしかしてと聞くと千歳はこう答えた。

 「今回彼女は来ていませんので言わなかっただけです、人数的に考えて貴方のチームに入れることとなるかもしれませんが。」

 それで宜しいですかと聞くと透流はそれを聞いて了承した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「トール、巴にはこの事伝えた方が宜しいのでは?」

 「ああ、俺が伝えておく。」

 そう言うとリーリスがこう提案した。

 「それじゃあ今度打ち合わせとして食堂で集合ね。」

 そう言うとユリエは部屋に戻り透流は巴がいる部屋に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そういえば最後にここに来たのって。」

 透流はそう呟いて思い出していた。

 それは・・・巴を肩に担ぎながら部屋に入って・・・それからであった。

 「アイツあれから食事にも出ないからもしかして。」

 そう思いながら入ってみるとそこで目にしたのは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「九重・・・?」

 「・・・巴。」

 憔悴しきっていて目の光が消えかかっている巴の姿がそこにあった。




 そして話に。


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傷ついた少女の心を癒せ

 巴の心を癒せ。


「大丈夫か巴?飯とかも食ってないんだろう?」

 透流がそう聞くと巴は力なくこう答えた。

 「あ・・・ああ、それならば」

 そう言ってすぐ下を見ると確かにあった。

 ・・・カロリーメイトや乾パン、米が入っていたであろう空の御櫃が。

 「・・・お前本当に大丈夫なのか?」

 「・・・正直な所大丈夫とはいえんかもな。」

 アハハと力なく笑うのを見て透流は巴の瞳を見た。

 ・・・嘗ての自分と同じく空虚になった世界に対する諦めの瞳だと。

 それを見て透流はこう聞いた。

 「入って良いか?みやびのお参りもしたいから。」

 「ああ・・・頼む、みやびも喜ぶはずだ。」

 それを聞いて巴は透流を中に入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「荷物の整理か?」

 「ああ、みやびの分をな。」

 そう言って段ボール一箱分の荷物を手に取った。

 たったこれだけしかなかったのかと思ってしまった透流であったが

巴はこう続けた。

 「この中にはみやびが今まで何していたのかを纏めたノートと写真が

入っていてな、私が纏めたのだ。」

 見るかと聞いて透流は良いのかとそう答えると巴はこう返した。

 「お前だからこそ良いんだ、みやびにとってな。」

 そう言って段ボールの蓋を開けると確かにだが・・・写真があったのだ。

 最近の物で行ったらあの時の臨海学校の時の写真が入っていたのだ。

 そしてノートだがよく見たら日記も入っており色んなことが書かれていたが・・この学校であの時校外ランニングの時に助けて貰ったあたりから・・・

透流の事ばかりが書かれていた。

 そして最後辺りでこう書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『私は透流君の事が好きだって分かって幸せです。』

 「・・・・・。」

 透流はそれを見てやるせない気持になっていた。

 自身の事をここ迄思ってくれている人を喪いそれは・・・

最も辛い事だと言う事を思い出したからだ。

 すると巴は透流のすぐ隣に座ってこう言った。

 「みやびは・・・九重の事が好きだった・・・いや、

今でもそう思っていたであろう。私はみやびが幸せに・・・そこにいるだけで

私は・・・・。」

 巴はそう言うと・・・透流に抱き着いてきた。

 「巴・・・。」

 「私は・・・自分が最低だ。」

 「?」

 「みやびが死んで私は物凄く悲しいはずなのに・・・はずなのに・・・

私はお前が・・・九重が来たことでこう思ってしまったんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これで透流は私に向いてくれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そんな汚くて最低な私を九重は・・・透流はどう思うかは分かるが私は自分が恥ずかしくて酷い女だって分かっている!だから言わせてくれ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「私は・・・透流の事が好き。」

 「!!」

 透流はそれを聞いて驚いている中でしがみ付いてこう続けた。

 「お前の事を思い出すだけで体が火照って心がどうしようもならない程

お前を求めてしまう!お前の体の熱を感じたい!その手で・・・口で・・・

目で・・・私にお前を刻んで欲しいと願ってしまう・・・劣情を抱く私を

お前はどう思っているか知らないがだがお前といるだけで・・・透流といるだけで私は心が・・・体がどうにかなってしまいそうなんだ・・・。」

 そう言いながら・・・最終的に泣き始めた巴を見て透流はこう言った。

 「なあ巴、俺はお前の言葉は嬉しいと思うしそれが人なんじゃないかなって

思うんだ。人間ってのは自分の欲に忠実になれる人間と抑制する人間がいる、

そんな中で悲しい時でも笑う奴だったり苦しいのに笑顔でいられる奴なって

そういうのは多分自分の心が壊れている証拠だと思うんだ。」

 「心が・・・」

 「だからさ巴、お前はお前でいろ。泣きたいときは泣いて怒りたいときは怒って笑いたいときは笑ってそして・・・恋したいときは存分にしろ。」

 良いなと言うと透流はこう続けた。

 「まあけど・・・劣情とかは自分の心の中だけで頼むな。」

 そう言ってじゃあ俺帰るなと言うと巴は透流に・・・いきなり口づけして

こう言った。

 「透流・・・これが私の思いだ。」

 受け取ってくれと言うと巴は顔を真っ赤にしてこう言った。

 「そそそそれじゃあ私は食事に行ってくる!」

 それじゃあと言って出て云った後透流は・・・自身の唇が巴と重なった時の

感触を思い出して・・・大声でこう言った。

 「ええええええええええ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「成程ねえって・・・キスとは大胆ねえ。」

 「いきなりで俺も困っているけどな。」

 透流は自身の言葉の意味の軽さに改めて自己満足的だったかと思っているが

リーリスはこう続けた。

 「それで?今日の会議であった配置は??」

 「・・・あ。」

 「私が後で言っておくわ、貴方だけだと下手したら押し倒されて

十か月後にはここ出ていく羽目になりかねないしね。」

 「恐ろしい事言わないでくれ!」

 透流はそれを聞いてヤバいこと言うなとそう思っているとリーリスは小さな声でこう呟いた。

 「ま・・・計画に支障が無いから良いけど。」

 「何か言ったか?」

 「別に~~。」

 そう言ってリーリスは席から立ち上がって食堂から出ていくのを見て

透流は食事を再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして数日後

 「それじゃあ皆準備は良いかしら?」

 それを聞いて周りには学生たちが頷くとリーリスは全員に向けてこう言った。

 「それでは作戦開始!!」




 次回はお楽しみに。


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誕生日

 誕生日・・・それ自身が成長した証。


「ハアアアアアアアアア!」

 学園の裏手の森で巴が透流相手にブレイズで戦っていた。

 あの後から実力を付ける為にこうやって特訓を自主的にしていた。

 その際に変わったことと言えば2つ。

 一つは外見的なものである。

 巴は嘗ての自身・・・みやびを守れなかった自分を捨て去るために自身の髪を

首筋ら辺まで切ったのだ。

 そしてリボンは右腕に付けてそこにはみやびが生前身に着けていた貝殻も

身に着けていた。

 そしてもう一つは・・・精神的である。

 「く・・・やはり強いな透流は。」

 「そっちこそ前よりも強くなっているじゃねえか。」

 透流がそう言いながら巴にタオルを渡すと巴はそれを手に取った後にこう言った。

 「済まない、それとだがこれはどうだ?」

 そう言って巴は鞄の中から漬物を出してきた。

 「これってお前のか?」

 「ああ、汗を掻いたら塩分が欲しくなるからな。一応沢庵を持ってきたんだ、

軽くだがな。」

 そう言うと透流はそれを食べてこう言った。

 「お、旨いなこれ。」

 「そうか、なら良かった。」

 (* ̄▽ ̄)フフフッ♪と・・・女の子の様な笑顔を見せた。

 あの後から透流に対する好意を隠さずにこうやって食べ物とかを

渡したりしていた。

 そしてそれらが終わると普通ならば授業に備えて制服に着替えるのだが

今日は休みの為これからどうするべきかと考えていると・・・メールが届いた。

 「リーリス?何だ??」

 透流はそう言って携帯電話のメールを開くとこう書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『透流へ、特訓が終わったら巴を連れて食堂に来なさい。絶対ヨ!』

 内容がこれ。

 「一体何なんだ?」

 透流はそう呟きながら巴にも伝えると巴はこう言った。

 「( ゚д゚)ウム分かった、それでは食堂で。」

 「おお、じゃあな。」

 そう言って互いに一先ずはシャワーに向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして2人が食堂に向かうが・・・中は暗かった。

 「皆は何処だ?」

 「何故にカーテンも閉まっているのだ?」

 透流と巴はそう言って辺りを見渡しながら入ると・・・突如として光が灯った。

 「「!!」」

 いきなりなんだと思って2人が目を瞑った瞬間に・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パンパーン!!とクラッカーの音が鳴り響いた。

 「これって一体?」

 透流は何だと思っていると自身の頭にカラーテープが付いていた事に

気づいたのだ。

 すると目の前にいたリーリスが代表してこう言った。

 「透流、巴。お誕生日おめでとう!!」

 『『『『『おめでとう!!』』

 生徒達やブラボー達が揃ってこう言った。

 「誕生日・・・ああそうか今日か。」

 透流は全員の事を聞いて思い出したのだがこいつは如何やら

全然忘れていたようだ。

 すると透流はあれと言いながら巴に向けてこう聞いた。

 「巴もか?誕生日??」

 「いや違うぞ!私は1週間前だ!?」

 何故だと言うとユリエがこう答えたのだ。

 「ヤー、巴は遅れた授業と体力、武術を取り戻すために学園に籠りっきりで

それどころではなさそうでしたので今日に持ち込んだのです。」

 「そうか・・・済まなかったなユリエ。」

 「ナイ、巴は色々と大変でしたし私達は仲間ですから気にしないで下さい。」

 そう言うと全員が確かにとそう思っていた。

 すると巴は全員に対してこう言った。

 「皆・・・ありがとう!」

 そう言って巴は頭を下げた。

 そしてリーリスが透流と巴に向けてこう言った。

 「それじゃあ2人にはケーキの蝋燭を消して貰いましょう!」

 そう言って机の上に置かれている大型の・・・ハートマークのケーキが

置いてあった。

 「ちょっと待てリーリス、他にはなかったのか?」

 もっとましなのはとそう聞くとアハハとリーリスは笑ってこう答えた。

 「いやさあ。これくらいともなると普通のケーキ屋じゃあ扱ってなかったから

作れる業者さん探していたら結婚式を急にキャンセルって言うか

新婦が蒸発していなくなったから処分しようとしていたケーキを安値で

譲ってくれたからそれしかなかったのよねえ。」

 「「なんつうもん出してんだ(いるんだ)!!」」 

 正直な所不吉感漂うケーキだが折角だし仕方なしと2人は切り替えて

ケーキの上で灯されている大きい蝋燭1本と小さな蠟燭6本を2人で

一緒に息を吹きかけて消した。

 すると食堂全体で拍手が鳴り響くとリーリスがこう提案した。

 「それじゃあケーキ分けるから・・・初めは透流と巴がケーキ入刀宜しく♪」

 「「!!」」

 2人はリーリスの言葉を聞いて目を思いっきり見開いて振り向くが

当の本人は口笛吹かしながらそっぽを向いていた。

 そして周りを見てみると反応は3種類。

 目を思いっきり見開いてワクワクとした表情でそれを見る人間(大体は女子)

 怨念滅茶苦茶出しまくっている人間(主に男子)

 何も言わずにそっぽ向けて笑いをこらえている面子(主に錬金戦団と

トラとリーリス。)

 そしてユリエはと言うと・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ヤー・・・。」

 目をキラキラとしてその様子を見ていた。

 「(え?ナニコレすぐやれってか??)」

 そう言う思いになった透流であったがどうしようと思って巴の方を見ると

その巴は・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 「ここここれはけけけけつまりそう言う事私と透流がふふふふ夫婦。」

 赤面状態で狼狽えていた(滅茶苦茶嬉しそう)

 どうしようと思うが仕方ないと思って透流は巴の方を見てこう言った。

 「それじゃあ・・・切るか?」

 「ふぇ!?それってつまりそう言う事私まだ心の準備がけけけけけど

透流が望むのならばここここ今夜2人っきりりで初夜を。」

 「いや待て戻って来い!!」

 「透流!子供は何人ほちぃいんでsちゅか!?」

 「お前もう少し落ち着け!!」

 それを聞いて透流はツッコミを入れた。

 その後だが巴と一緒にケーキを切ったがぶっちゃけた処・・・色んな意味で

疲れそうな誕生日であったことは言うまでもない。




 次回は会議。


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会議前

 先ずは顔見せ


そして数日後。

 透流達は錬金戦団の面々と共に今回行われる会合『レイン・カンファレンス』が

始まった。

 各地にいるドーン機関の中でも名を遺すほどの実力と功績を保有し尚且つ

絶対的な才能と実力を兼ね揃えた精鋭にして表に於いても最高の栄誉を持つ

七人である。

 そんな中で九十九理事長は三国と共に初めて向かうのだが大扉を前にして

これまでどんなことがあっても冷静であった彼女が冷や汗を搔いていた。

 重苦しくまるで地獄の門の如く見えるほどである。

 そんな中で案内人の一人がこう言った。

 「理事長、ソレデは既に2人程来ていらっしゃいます。」

 「分かりました、開けてください。」

 それを聞いて案内人はではと言って開けた先にいたのは・・・

2人の男性であった。

 一人は2メートル近い巨躯の円卓の上に足を投げ出している無作法極まれない

和服を着た男とその隣にいるのはマフラーで顔の下半分まで覆った男がそこにいた。

 「お初めまして、『冥柩の咎門(グレイヴ・ファントム)』様。

『煌闇の災核(ダークレイ・ディザスター)』様。」

 「ようお嬢ちゃんが『操焔(ブレイズ)』の跡を継いだって言う天才少女か!?」

 「お初めまして、私『魔女(デアボリカ)』と申しますわ。」

 「おお初めましてだな、まあゆっくり・・・俺は勝手にやっているがな!」

 ガハハハッと大笑いしながら『グレイヴ・ファントム』は酒を飲んでいた。

 だからなのであろう、頬が赤くなっていた。

 そして『ダークレイ・ディザスター』もう一度マフラーを付け直した。

 すると『グレイヴ・ファントム』が九十九理事長に向けてこう聞いた。

 「そういやあドーン機関の連中の中に生徒がいたが・・・中にはとんでもない奴が混じっていたがアイツら一体なんだ?」

 そう言って『グレイヴ・ファントム』は九十九理事長に向けてじろりと目を向けて僅かだが・・・重圧をかけるようにしているが九十九理事長はにこりと笑って

こう答えた。

 「それにつきましては全員揃ってからご説明いたしますのでスミマセンガお酒をもう少し程提供して下さりませんか?それとおつまみも。」

 「お!気が利くねエ嬢ちゃん!!」

 そう言うと暫くして新たに2人ほどが中に入った。

 「よう!『洌游の對姫(サイレント・ディーヴァ)』に『鼬煉の裁者

(テンペスト・ジャッジス)』も来たのかよ!?」

 『グレイヴ・ファントム』が冗談交じりでそう言うが木にしないと

言わんばかりに2人は『グレイヴ・ファントム』の事など無視して九十九理事長に挨拶した。

 「『洌游の對姫(サイレント・ディーヴァ)』です、同じ女性同士

仲良く致しましょう?『操焔の魔女(ブレイズ・デアボリカ)』。」

 そう言ってきたのは誰もが一度ならば目を奪われるほどの美女がそにいたが

彼女は『レイン』の中で最も名の知れた人間で表向きでも有名である。

 彼女は『ベアトリックス=エミール=イエウッド』、

イェウッド王国の王女であると同時に医療制度発展に尽くしている

聖女の様な存在と呼ばれているのだ。

 まあ・・・裏社会でもと或る意味でその名が知れていることは割愛と

させておこう。

 そしてもう一人は華やかな軍服を着た金髪の男性がこう言った。

 「アンシャンテ(お初に目に掛る)

『操焔の魔女(ブレイズ・デアボリカ)』。」

 そう言いながら薔薇の花を手渡した男性に対して・・・

『ダークレイ・ディザスター』が突如大鎌を振りかざして其の首を

斬り落とそうとして・・・第三者によって止められた。

 「おや、ここではこの様なことして許されるのでしょうか?」

 右手一本だけでその大鎌を掴んでいたのは・・・照星であった。

 「誰だ貴様は!」

 「お初にお目に掛かります、私は錬金戦団亜細亜支部大戦士長にして

錬金戦団戦闘部門顧問の『坂口 照星』と申します。以後お見知りおきを。」

 そう言うが『ダークレイ・ディザスター』は照星に向けてこう言った。

 「どけ!俺はこの男に用がある!!」

 「用でしたらその大鎌は使わないでくれるとこちらもありがたいのですが。」

 「!!」

 それを聞いて『ダークレイ・ディザスター』は殺気を放つと・・・

『グレイヴ・ファントム』が『ダークレイ・ディザスター』の肩を掴んで

こう言った。

 「もうやめとけ、お前じゃあこいつには敵わねえことぐらい分かるはずだぜ?」

 「ちぃい!!」

 それを聞いて『ダークレイ・ディザスター』は大人しく座ると

『グレイヴ・ファントム』は照星に向けてこう言った。

 「悪いな助かるぜ、何せこいつらの仲の悪さは評判通りでな。

呼び出した人間としちゃあ冷や冷やしたが・・・アンタ何処の奴だ?

ドーン機関じゃあねえだろ。」

 そう言って少し目を鋭くさせると照星はこう答えた。

 「私は諸事情でここに居ます、既に九十九理事長には許可を

貰っていますので。」

 それを聞いて本当なのかよとそう見てみると九十九理事長が頷いたのでそうかと黙って座った。

 そしてさらに暫くして現れたのは・・・痩躯の白衣を着た老人が現れた。

 「彼が。」

 「ええ・・・貴方方の敵・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・『装鋼の技師(エクイプメント・スミス)の

『エドワード=ウォーカー』ですわ。」

 そう呟いた瞬間に『グレイヴ・ファントム』は九十九理事長に向けて

こう言った。

 「さてと、残り一人はアンタガ『アブソリュート・デュオ』に至ったら来るから今回は欠席って事でおおおい!飯を持って来てくれ!

クロスも替えておいてくれないか!!」

 誰かさんが踏んづけたからなと言うが彼を除いた全員がこう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「「「「「「(いやお前はいいんかい!!)」」」」」」

 これだけであったそうだ。




 次回こそ会議。


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会議は回る

 回る回る意見が回る。


ほどなくして豪勢な食事が並べられて食べている中でレイン達は各々に

世間話の様な事を喋ってはいるが実は探りを入れているのだ。

 ここに居るには自分以外全員が競合相手。

 アブソリュート・デュオと言うゴールの過程に於いて何しているのかは自分勝手にやっており情報を取り合っている中で『グレイヴ・ファントム』が照星に向けて

こう聞いた。

 「『錬金戦団』って言うのは今まで聞いた事ねえがお宅のあの力どう見ても

表社会じゃ出来ねえ業だが何処で習ったんだ?」

 「「「「「!!!!!」」」」」

 それを聞いて全員が、特に『ダークレイ・ディザスター』が目を見張らせると

照星はにこやかにこう答えた。

 「其れはこの会合が終わったらどうです?2人で酒でも飲みながら?」

 つまみに枝豆は如何ですかと聞くと『グレイヴ・ファントム』は笑って

こう答えた。

 「オオ良いね!こんな洒落たもんよりもそっちの方が酒が進みそうだぜ!!」

 ガハハハッと笑いながらワインを引っかけている中でエドワードが

九十九理事長に向けてこう聞いた。

 「そういえばじゃが『操焔(ブレイズ)』は息災かの?『デアボリカ)』殿?」

 「こちらに出向いたのが私の時点で察しておられるのではなくて?」

 「ハハハ、すまんのう、あ奴とはまた酒を酌み交わしたかったのじゃがなア。」

 「(よく言えますね、流石に年の功とも言えるのでしょうか。)」

 照星は内心そう思いながらも食事をしている中に於いてエドワードは全員に向けてこう言った。

 「それでは本題じゃが儂はこの度ある物を開発し、量産することに成功した。」

 「「「「「「「・・・・・・・」」」」」」」

 全員はそれを聞いて何だと(九十九理事長と照星は知っている)思って

耳を傾けるとエドワードが九十九理事長に向けてこう聞いた。

 「『デアボリカ)』よ、お主等は既に知っておられると思うがのう。」

 「ええ・・・こちらも相当な痛手を被りましたわ。」

 そう言って九十九理事長はじろりとエドワードを睨みつけるが当の本人は

何のそのと柳の様に躱しながらこう続けた。

 「そう、まあ斃されはしたがそれでも『ブレイズ』等よりも性能は高く、

然も『アブド』等存在しないと言うほどの汎用性を持ったものを

儂は開発することに成功した事を報告したい。」

 「「「「「!!!!!」」」」」

 それを聞いてレインの殆ど全員が我が耳を疑うがエドワードはこうも言った。

 「儂はこの力を使いあらゆる勢力すらも凌駕する存在へと進化するのじゃ!

それが例え神であろうともなフハハハハハ!!」

 エドワードはそう言って高笑いしていると・・・照星が横から割り入って

こう言った。

 「罪も無い民間人や子供を喰い殺すような存在を『進化』とは戯言も

大概にした方が宜しいですよエドワード=ウォーカー・・・

いや、ドーン機関の『ホムンクルスの創造主』にして元凶。」

 「ほお・・・ホムンクルスの事を知っておるような口ぶりじゃが・・・

何処で知った若造。」

 「少なくとも貴方よりかはよく知っておられますがナニカ?」

 照星はそう言いながら・・・ぎろりとエドワード目掛けて殺気を放った瞬間に

九十九理事長とエドワード以外の全員が身構えてしまった。

 すると九十九理事長は照星に向けてこう言った。

 「落ち着いてくださいまし坂口様、ここで戦闘はご法度とされておりますわ。」

 「その通りですね、では。」

 と言って坂口の殺気が収まった瞬間に全員が冷や汗を垂らして

席に座ろうとするがただ一人・・・座らない人間が一人いた。

 「己・・・若造がー------!!」

 エドワードがそう言って立ちながらも激昂してこう言った。

 「この儂を辱めた報いは必ずつけて貰うぞ!」

 「おいマテよ爺さん、ここじゃ戦闘はご法度だぜ?」

 『グレイヴ・ファントム』がそう言って宥めようとするもエドワードは

更にヒートアップしてこう続けた。

 「貴様みたいなレインでは無い者を呼んだ小娘も同罪じゃ!

纏めて儂のホムンクルスで始末してくれるわ!!」

 「やっと馬脚を現しましたわねエドワード=ウォーカー、いえ、

嘗て祖父に負けた負け犬様。」

 「貴様!」

 「おいお嬢ちゃん!!」

 「貴方が保有しているホムンクルスの精製工場は既に錬金戦団の団員たちが

捕捉しておられますわ。」

 「何じゃと!!」

 「もう間もなく結構時刻ですね、協力として彼女が有している

『護稜衛士(エトナルク)』との合同作戦ですので。」

 「な・・・何故。」

 エドワードは最早開いた口が閉じれない程の情報の数々に恐怖していると・・・坂口がエドワードに向けてこう言った。

 「簡単な話です、我々の仲間がドーン機関にもいるからですよ。

貴方の部下にもね。」

 「スパイ!!」

 「卑怯とはいえませんよ?これが戦争の基本ルールなんですから。」

 坂口がそう言うとエドワードは・・・苦々しい顔でこう言った。

 「はん!その様な戯言を何時まで言えるか楽しみだわい!」

 そう言って持っている懐中時計のスイッチを押した。

 そしてエドワードは全員に向けてこう言った。

 「これで終わりじゃ!間もなく儂のホムンクルスが総出でここに来る!!

その数は約200体!さあ!泣いて命乞いするが良い!!」

 ウハハハハと既に勝った気でいるエドワードに向けて坂口がこう言った。

 「ホムンクルスは錬金術から産まれた人工生命体。」

 「?」

 「ならば・・・カウンターもある事を考えたこと位ありませんか?」

 そう言った瞬間に・・・炎の柱が昇った。

 そして坂口はエドワードに向けてこう締めくくった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「さて・・・開戦と行きましょう。」




 次回は戦闘開始!


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戦闘開始

 いざ決戦に向けて。


一方外ではと言うと・・・既に戦闘・・・いや、蹂躙が始まっていた。

 『ギャアアアアアア‼!』

 馬型のホムンクルスが炎の中で断末魔を上げて消えていったのだ。

 そして炎の中から一人の人間がゆらりと現れた。

 「け!雑魚かよつまんねんなおい!!」

 そう言って現れたのは上着を羽織った状態で上半身裸の男性がそこに立っていた。

 すると他にもいたホムンクルスに向けてこう言った。

 「雑魚ばかりじゃあしなびちまうが・・・ちったあ体を動かすには

ちょうど良いってか!!」

 そう言った瞬間に男性の後ろの炎が形作られて巨大な・・・爆弾が現れたのだ。

 焼夷弾の武装錬金『ブレイズ・オブ・グローリー』。

 そしてその使用者こそ彼、『特殊戦闘及び暗殺、戦闘実働部隊

《再殺部隊》隊長』して戦士長『火渡 赤馬』。

 戦団の中で最も実力のある戦士である。

 「燃え尽きなー------!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ひぃぎゃあアアアアア‼!』

 ライオン型のホムンクルスが突如襲われて喰われ始めたのだ、鋼の犬によって。

 するとそこから少し離れた場所には犬笛を持った太枠の眼鏡を付けた男性が

そこにいた。

 彼の名前は『犬飼 倫太郎』、武装錬金は現在喰らっている犬。

 軍用犬の武装錬金『キラーレイビーズ』である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『アアア・・・体が小さく』

 そう言いながら翼が無い白鳥型のホムンクルスが呟いていたが少し違っている。

 通常ホムンクルスは常人の何倍もの巨大さを誇るのに現在では

手のひらサイズに迄小さくなっていた。

 それは周りにある風船がその証である。

 風船爆弾の武装錬金『バブルゲイジ』。

 能力は一発に付き相手の身長を15センチほど縮めさせることができる能力で既に15発以上は喰らっている。

 そして風船が白鳥型のホムンクルスを覆うかのように囲って・・・爆破した。

 そしてホムンクルスは消滅した。

 使用者は『丸山 円』

 見た目は肥満体系の変な顔をした女性口調の存在であるが

実はこれも自身の武装錬金で覆っており正体は不明である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『クソ!ドコニイヤガル!!』

 そう言って地中から現れたのはモグラ型のホムンクルスであるが

地中から出た瞬間に・・・マークのある首毎斬られた。

 『ヘ?』

 素っ頓狂な声を出して・・・絶命した。

 「次だな。」

 そう言って影から現れたのは『根来 忍』

 武装錬金は忍者刀型『シークレットトレイル』

 能力は空間移動。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ウォらああああああ!!」

 『ギャアアアアアア‼!』

 辺りにいた動物植物型ホムンクルス10体を一度に倒した長身の男性が

そこにいた。

 周りには既にやられたホムンクルスが数えきれないほど存在していると・・・

上からカブトムシ型のホムンクルスが現れた。

 『シネエエエエエエエエ!!』

 そう言った瞬間に男の足元に幾つものホムンクルスが彼の足を掴んで

こう言った。

 『コレデキサマハウゴケネエ!!』

 そう言ってまるで勝機を確信したかのよう之表情であったがそれは・・・すぐに絶望に変わった。

 「フン!」

 『バカナ!!』

 カブトムシ型のホムンクルスがそう言って驚いていた。

 何せあれだけの高度からの突撃にも関わらずに彼が持っている槍は・・・

傷一つ無くあったからだ。

 そしてその儘・・・貫かれた。

 『バ・・・バカナ。』

 そう言った後に男性は自身の足元にあるホムンクルスを突き刺して其のまま・・喰い始めたのだ。

 「ちぃい!不味いな、矢張り卑劣な奴の味は不味いな。」

 そう言ったのは『戦部 巌至』、武装錬金は十字槍の『激戦』

 能力は再生である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして他の場所でも。

 「輝け!『サンライトハート』!!」

 カズキがそう言ってトカゲ型ホムンクルスを貫き。

 「腸をぶちまけろー------!!」

 斗貴子が鷹型のホムンクルスを四散し他にも仲間がいた。

 「アーチェリーの武装錬金!」

 「『エンゼル御前』!!」

 そう言って矢を放ったのはカズキの先輩でもあり

元はホムンクルスの信者でもあった『早坂 桜花』とオートマトンの

『ゴゼンサマ』がいた。

 「日本刀の武装錬金『ソードサムライX』!」

 そう言って胴着姿コブラ型のホムンクルスを一刀両断にした

桜花と同じ顔立ちをした男性は彼女の双子の弟であり同じ信者であった存在。

 「早坂 秋水』である。

 「ウォらあああ!!」

 「堕ちなさいよ!!」

 透流とリーリスも自身の武装錬金で戦ってホムンクルスの数を減らしていた。

 それを見ていた『エトナルク』がこう呟いた。

 「すげえ。」

 「何あの人たち強い。」

 「俺達って出番なくね?」

 そう言っていると上空から・・・ホムンクルスが彼ら目掛けて突撃してきた。

 一人でも喰おうと考えていて先ずは女だと思って突撃した。

 『シャアアアア!』

 「「「!?」」」 

 突然の事であったが3人が武器を構えた瞬間に・・・何かがぶん殴って

破壊した。

 「豪拳『ブラボパンチ』!」

 そう言って内部ごと破壊すると『エトナルク』がお礼を言おうとした瞬間に

キャプテンブラボ―はこう答えた。

 「そんなこと言わないで良い、俺達は仲間だ、助け合うのが当然だからな。」

 他の所にも行くぞと言って立ち去るのを見て3人はこう言った。

 「やっぱ凄いなあいつ等。」

 「うん・・・本当に。」

 「俺達も頑張らなきゃな!」

 そう言って互いに戦闘の参加を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「な・・・何なんじゃこれは・・・!!」

 エドワードはその映像を見て嘘だと言わんばかりに顎を大きく開けていると

それを見ていた『グレイヴ・ファントム』が大笑いしてこう言った。

 「がハハハハ!こいつは良いぜあんたが俺らを殺そうとした奴らが

鎧袖一触と言わんばかりにボコボコだぜ!!」

 そう言いながら酒を引っかけていると他のメンバーもこう続けた。

 「無様だな、これでは神すらも殺せないな。」

 「何と言う圧倒的武力、これが『錬金戦団』の実力ですか。」

 「トレビアン、『エトナルク』達との連携も素晴らしい。これなら彼らと同盟を結んだ方が速そうですね。」

 『ダークレイ・ディザスター』、『サイレント・ディーヴァ』、《颶煉の裁者(テンペスト・ジャッジス)》が揃いも揃ってそう言うとエドワードはぬグググと歯軋り鳴らして照星を睨みつけていると九十九理事長がエドワードに向けて

こう言った。

 「さてと、命乞いすべきは貴方の方ですわねエドワード=ウォーカー?」

 「・・・小娘があ・・・!!」

 そう言って九十九理事長を睨みつけるが九十九理事長は御返しだと

言わんばかりにこう続けた。

 「今から12年前貴方は私の祖父『操焔の魔博(ブレイズ・イノベイター)』に

敗北し、アブソリュート・デュオを知って貴方は滅びを、祖父はそれに至る道を

選んでブリストル様達『機関三頭首(バラン)』に斬り捨てられて貴方は

逆恨みと言わんばかりにブリストル家を手にかけそしてホムンクルスを使って

私の庭を勝手に荒らし、生徒を殺し、多くの人間に憎しみを植え付けた。

貴方の醜悪な浅知恵には最早これ以上見るに堪えませんわ!」

 そう言ってエドワードを睨みつけた九十九理事長に対してエドワードは

その怒気に足を絡ませて扱けた。

 そして大声でこう言った。

 「己己己己己貴様らー------!!よくも儂を笑い者にしおって許さん・・許さんぞー------!!」

 「諦めな『エクイプメント・スミス』、手前の負けだ。

大人しくお縄に着いた方が賢明だぜ?」

 『グレイヴ・ファントム』がそう言うがエドワードは怒り心頭でこう続けた。

 「儂は未だ負けておらん!切り札があるのだ・・・切り札がな!!」

 「切り札・・・それは何でしょう?」

 『サイレント・ディ―ヴァ』がそう聞くとエドワードは自身の服を千切り

破いて・・・それを見せた。

 それは・・・これだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「これこそ我が切り札じゃ!!」

 それは・・・嘗て『K』がなっていたホムンクルスの・・・欠片であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドクンドクンと・・・音を立てて。




 次回は決戦の火蓋。


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決着

 戦闘が終わりそうだな。


 「おい爺さん何だそいつは?」

 『グレイヴ・ファントム』がそう聞くとエドワードはニヤリと醜悪に笑って

こう答えた。

 「これは嘗て儂の部下だった奴の遺伝子情報をベースにして嘗て儂が作った

『装鋼』で発展した究極の神殺し『滅神(リベール)』じゃ!!」

 「『滅神(リベール)』・・・。」

 エドワードの言葉を聞いて『ダークレイ・ディザスター』がぴくッとしているが

エドワードは狂ったように笑いながらこう続けた。

 「こいつでホムンクルスとしての儂の力に『装鋼』の技術力を足し合わせたことで出力、性能は今までよりも段違いに跳ね上がっておる!これを使って先は・・・

ここに居る全員を皆殺しにしてやるわい!!」

 そう言った瞬間にエドワードの肉体が盛り上がって・・・

作り変わってきたのだ。

 その光景は先ず一言上げれるとするならば・・・異形とも言えよう。

 尖った頭部にバケモノの様な見た目、何よりも体の幾つかが機械の様に歯車が

剥き出しになっているかの様に露出していた。(見た目は『アカメが斬る』に

出てきたDr、スタイリッシュの魔物形態)

 すると頭部から上半身だけで出てきたエドワードが下にいる錬金船団たちを見て

こう言った。

 『フフフフ、がハハハハハ!マルデアリノヨウジャナイカ!キサマラハヨクモ

ワシノイダイナケンキュウヲジャマシタオロカモノドモメ!!ワガチカラをモッテキサマラゼンインヲ』

 皆殺しにしてやると言いかけた瞬間に・・・腹部に強烈な一撃が加わった。

 『ガハ』

 突然の事でエドワードは何だと思っていると目の前にいる・・・照星を見たが

その瞬間にナニカが今度は顔面を殴り飛ばした。

 『ゴフ!』

 何がどうなっているんだと思っていると照星はこう言った。

 「武装錬金!」

 そう言った瞬間にエドワードを押さえつけるかのように現れた・・・

巨大ロボットが姿を現した。

 バケツの様な頭部。

 全身を鋼で作られたマントが付いた機械の巨人。

 これこそが坂口照星の武装錬金

 全身甲冑(フルプレートアーマー)の武装錬金

 『破壊男爵(バスターバロン)』!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それを見てトラ達がこう言った。

 「ハアアアアアアアアア!!」

 「巨大ロボットだとー-!!」

 トラと巴が驚くがそれは透流とリーリスも同じである。

 何せ初めて照星の武装錬金を見たのだから。

 「あれが大戦士長の・・・」

 「ちょっとあれって・・・大き過ぎない?」

 そう言うとブラボーが透流達に向けてこう言った。

 「あれこそ大戦士長の武装錬金、幾度もの戦闘で不敗を誇った最強にして最大の武装錬金だ。」

 そう言うと透流達が持っている通信機から・・・声が聞こえた。

 『皆様!至急『バスターバロン』に集結してください!!』

 「了解!行くぞ皆!!」

 「「「「「「ハイ!!!!!!」」」」」

 それを聞いて透流達が向かおうとすると巴が透流の手を握ってこう聞いた。

 「戻って・・・来るよな透流?」

 それを聞いて透流は巴の目を見てこう思っていた。

 もし戻れるかどうかなんて言った日には泣きじゃくって止めようとすること位

明白であろう、だからこそ透流がしたのは・・・行動であった。

 それは・・・キスである。

 『!!』

 それを見てユリエを除いた全員が驚いていた。

 何せこんな戦場のど真ん中でキスするかと思っていると透流はこう言った。

 「大丈夫だ巴、俺はちゃんと戻ってくるから待ってろ。」

 「本当に?」

 「ああ、指きりだ。」

 透流はそう言って指切りした後にこう言った。

 「じゃあ行ってくるぜ。」

 「ああ・・・行ってらっしゃい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして照星はと言うと・・・。

 「成程、それなりにあるようですが性能は『バスターバロン』以下ですね。」

 『グヌヌ!オノレワシノジャマヲー------!!』

 そう言いながら起き上がろうとするがエドワードは全然立ち上がれなかった。

 すると戦団の団員たちが『バスターバロン』に近づくと照星は全員に向けて

こう言った。

 「総員『バスターバロン』の両肩に搭乗!内部に入って下さい!!」

 『『ォォォォ‼!』』

 それを聞いて全員が入ると何故か武装錬金が解除されるも戦士長でもある

ブラボーと火渡が部下たちに向けてこう言った。

 「「総員武装錬金だ!!」」

 それを聞いた瞬間に全員が・・・こう言った。

 『『武装錬金!!』』

 その声と同時にバスターバロンの周りに同じくらいに大きくなった・・・全員の武装錬金が現れた。

 『 バスターバロン』の特性は搭乗した団員の武装錬金の顕現、

巨大になっただけではなく性能も出力も段違いである為・・・こうなる。

 『ギャアアアアアア‼!』

 そのすべてがエドワード目掛けて攻撃したのだ。

 撃たれ、貫かれ、切り刻まれ、焼かれると言った状況にエドワードは

逃げようとした瞬間にブラボーがもう一つ武装錬金を錬成した。

 嘗ての部下が死ぬまで使っていた核鉄、一度は返却されたものの今回の作戦で

再投入されたアナザー。

 『シルバースキンリバース』、防護服から打って変わって・・・拘束具とかした武装錬金。

 その服を纏った瞬間にエドワードが動かなくなると照星は『バスターバロン』のスラスターを吹かすと同時に透流の武装錬金を槍に形状変化して・・・

突撃してきた。

 『ヒ・・・ヒィイイイイイイイイイ‼!』

 エドワードは迫りくるその力に恐れをなして逃げようと思っても逃げられず

どうしようも出来ないという状況に対して・・・こう言った。

 『オノレレンキンセンダンドモガー------!』

 「消え去りなさい!悍ましきホムンクルス!!」

 その言葉と同時にバスターバロンの攻撃が・・・エドワードの胴体を貫通して

破壊した。




 次回は・・・まあ色々と。


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終わりの思い

 やっと終わったな。


『クソ・・・クソ・・・』

 とある森の中で一つの存在がずりズリと蠢くのが見えた。

 時間は夜なのにも関わらずにどうしてなのかと思っているが・・・

答えは決まっていた。

 『オノレ・・・レンキンセンダン・・・ワシノケイカクヲヨクモ・・・!!』

 あの大型ホムンクルスと化していたエドワードの頭部がズリズリと

引きづっていたのだ。

 あの爆発の手前に脱出して事なきを得たのだが頭部しか脱出出来なかったが為

今この様な状況となっているが彼は諦めてはいなかった。

 『ヤツラハカナラズコロシテヤル!イマハヤツラカラハナレテドコカデ

マタジッケンヲシテコンドコソハ・・・!!』

 何ともまあ諦めが悪いというか何であるかと思うが神様はお前を許す気は

無いようだ。

 何せ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ホオ、夜の散歩で面白い物を見つけたな。」

 『ダレジャ!?』

 「ここだ此処。」

 『!!』

 エドワードはそう言って声の聞こえる方向・・・空を見上げるとそれはいた。

 漆黒の蝶の様な羽を羽ばたかせて蝶の仮面を付けた・・・全身タイツで

前が逆Vネックの様な服を身に纏った変態が。

 『ダレジャキサマハ!?』

 「う~~ん、そうだな。俺の事は・・・『パピヨン』と呼んでくれ!

『パピ・ヨン』と愛をこめて!!」

 『(何じゃこの変態は?)』

 エドワードはそう思っているが『パピヨン』はこう続けた。

 「お前ホムンクルスだろ?」

 『ナゼソレヲ・・・マサカキサマ!!』

 「ああ、俺は錬金戦団じゃねえぞ。」

 『ナニ?』

 「俺は・・・これさ。」

 そう言って服をずらすと・・・ホムンクルスの証でもあるメビウスが見えた。

 『ホムンクルス・・・ヒトガタジャト!?』

 「そうだ、俺様は人から『蝶★進化』した存在だ。」

 『ヒトガタ・・・‼!』

 それを聞いてエドワードは『パピヨン』に向けてこう提案した。

 『ノウ『パピヨン』ヨ、ワシトトリヒキセンカ!?』

 「取引?」

 『ソウジャ!ワシノズノウデオマエヲキョウカシタイノジャ!サラニウエニ

ノボリツメルタメニ!!ソノカワリニキサマノノゾムモノスベテヲアタエルゾ!?オンナニカネ、ドウジャホシクナイカ!?』

 エドワードは『パピヨン』を見てまるで垂れ下がっている蜘蛛の糸の様に

思えながらも頭の中ではこう考えていた。

 『クククク、こ奴を利用して新たなホムンクルスを製造して今度は

あ奴らの家族や親友を街ごと喰い尽くして絶望させてやろう・・・儂はまだここで終わる物では)』

 無いと言いかけた瞬間に自身の周りに何かがあるのに気づいた。

 それは・・・これだ。

 『チョウ・・・ジャト?』

 「そう、俺様の蝶最強の武装錬金だ。」

 『ブソウレンキン!?』

 何で持っているんだとエドワードはそう思っているが『パピヨン』は

こう続けた。

 「こいつらは全部火薬で出来ていてな、爆発しちまうが周りにある

こいつらが一斉に起爆するとどうなる?」

 『!!』

 エドワードはそれを聞いて顔を青くした。

 武装錬金での爆発はホムンクルスからしたら最悪レベルの問題である。

 それに死にたくないという思いからエドワードは『パピヨン』に向けて

こう言った。

 『マテ《パピヨン》ヨ!ワシガオマエノネガイヲカナエテヤルト

イッテイルノダゾ!オマエニハネガイナド』 

 無いのかと言いかけると《パピヨン』はエドワードに向けてこう言った。

 「生憎だが俺の願いは貴様程度では敵う事など・・・永遠に無いわ小悪党が!

敗北の味を存分に味わってみろよ?病みつきになるぜ!!」

 『マテ』

 そう言った瞬間に巨大な爆発が起きて・・・エドワードは消滅した。

 自身の弱点でもある・・・舌根っこについているメビウスマークと共に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ハン、貴様程度では俺の願いなど永遠に適うか。俺の願いはただ一つ、

それは」

 そう言いかけた瞬間に背後から・・・太陽の如き光が輝いていた。

 「『蝶野 攻爵』!!」

 「武藤 カズキー------!!」

 カズキの槍と『パピヨン』改め『蝶野 攻爵』の手刀がガチあって

ぶつかり合って互いに離れた瞬間に『蝶野 攻爵』はこう思っていた。

 「(この最高の偽善者でもある武藤 カズキとのリベンジだ!)」

 そう思っている中で透流達も駆けつけると巴がこう言った。

 「何だあの男は!?」

 そう言うと『蝶野 攻爵』はこう名乗った。

 「俺様の名前は『パピヨン』!愛をこめて『パピ・ヨン』と呼んでくれ!!」

 『(いや・・・変態に愛をこめたくない)』

 透流達はそう思っていると斗貴子がこう言った。

 「『蝶野 攻爵』!!」

 「その名を口にするな!それを口にして良いのはそこの偽善者ただ一人だ!!」

 『蝶野 攻爵』がそう言うとカズキに向けてこう言った。

 「武藤 カズキ、如何やらお前は面白い力を手に入れているようだな?

何れはそのチカラ込みで決着をつけて貰うぞ?」

 「ああ、勿論だ。」

 「それじゃあ俺は失礼してもらうぞ、夜の散歩は日課だからな!!」

 そう言った瞬間に大爆発を起こしてそこから姿を消した。

 「あれもホムンクルスなのか透流?」

 「ああ、俺も人型・・・それも完全型は初めて見る。」

 「ええ、正直なところきつい戦いになりそうね。」

 そう思いながらも透流達は月夜を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして・・・数日後

 「それでは今後ともよろしくお願いいたしますわ、坂口様。」

 「こちらこそ、では。」

 そう言って照星が出ていくのを見て九十九理事長はこう言った。

 「これで諸々の手続きは終了いたしましたわ。」

 「然しこれで錬金戦団もこちら側でどの様に『アブソリュート・デュオ》に?」

 「三國、それは見届けてみないと分かりませんわ。それにこれから

もっと面白くなりそうですわ。」

 そう言いながら少し笑みを浮かべる九十九理事長であった。

 すると三國が九十九理事長に向けてこう聞いた。

 「そういえば九重君と橘サンが出かけましたがどちらに?」

 そう聞くと九十九理事長はこう答えた。

 「ああ簡単ですわ・・・墓参りですわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 飛騨にある墓地

 「みやび、やっと来れた。報告することがあったから来たんだ。」

 橘がそう言うとこう続けた。

 「エドワードは消滅した、だがホムンクルスの生成技術は未だ世界中にある。

だから私はこれからも戦う、みやびみたいな人間を

これ以上増やさせないために。」

 そう言って手を合わせると近くにいた透流がこう言った。

 「みやび、俺お前の告白聞いて凄く嬉しかったぜ。向こうで見守ってくれ。」

 透流がそう言うと互いに出て行こうとすると・・・声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ずっと見守っているよ透流君。』

 「「!!」」

 それを聞いて2人は振り向くがあったのはお墓だけである。

 「じゃあ・・・行くか。」

 「ああそうだな。」

 そう言うと互いに向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 未だ終わらない闘い。

 人がいる限り欲は終わらず戦いもまた然り。

 然し、継がれる意思と思いがあれば人はそれを未来に繋げようと願い努力する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『アブソリュート・錬金』、これにてこのお話は終幕とさせていただきまして

では・・・また。




 是にて終幕。


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