インフィニット・ストラトス~Z・G・G (鎧武 カチドキ)
しおりを挟む

一話

この回では主人公の名前は出ません(なんでだよ)


 

「フフフ…漸く…漸くだ……やっと届いたーーーーー!!!!」

 

 

 

 

 

とあるマンションの一室に少年の雄叫びが響く…まあ俺の叫び声な訳ですが

 

 

 

 

 

「あぁ…コツコツ貯めた小遣いとバイト代で漸く買えたこの『スーパーロボット超合金の真ゲッター1』と『S.H.Figuartsシャイニングウルトラマンゼロ』と『仮面ライダー斬月カチドキアームズ』!!いや~御三方はやはりかっこいいでありますな!!」

 

 

 

 

 

暫く箱を机の上に置き眺めて居たがふと机の上に置いていた一冊のラノベが視界に入った

 

 

 

 

 

「あっと…ちゃんと戻しとかないとな」

 

 

 

 

 

表紙に右手に刀を握った状態で機械の腕を展開している黒髪ポニテの少女とISと題名が書かれたラノベと三つの箱を持って自室の扉を開ける

 

その部屋の正面の壁には勉強机を改造した作業台が在りその右側に仮面ライダー・ウルトラマン・ゲッターロボ・ガンダムの四作品の小説とDVD&Blu-rayボックスをそれぞれ収めた棚が、左側にガラスケースに収めたフィギュアや仮面ライダーのアイテムを飾ったクローゼットが在った

 

作業台に箱を置いて部屋をぐるりと見渡す

 

 

 

 

 

「…この部屋も大分埋まってきたな……」

 

 

 

 

 

この部屋には俺が自分で買い揃えた物以外に友人やバイト先の先輩達からゆづって貰った物も有る為状態が悪かったりもするが完全に壊れてなければ何とか俺でも修理が出来た為一部屋が埋る程グッズが揃えられた

 

 

 

 

 

「…そろそろ棚を増やした方が良いかな?バイトのシフト増やすか?」

 

 

 

 

 

そう呟きながら部屋から出た瞬間もの凄い音と共に…俺は真っ白い空間に移動した

 

 

 

 

 

「……は?何処だ…ここ」

 

 

 

 

 

後ろを振り返ってもさっきまで居た部屋は無く変わりに裾が足元まで伸びたグレーのローブを目元まで深く被った人が立っていた

 

 

 

 

 

「おや…ここに人の子が来るとは…」

 

「アンタ…何者だ?」

 

「僕かい?ん~…君に理解しやすく言うなら神…かな?…元だけどね……まぁそこは如何でも良い」

 

 

 

 

 

自身を神と言ったローブの人と俺との間に突如水が噴出し小さな水溜りを造った

 

ローブの人はその水溜りを覗き込むと

 

 

 

 

 

「これは…」

 

「フム…君が住んでいたマンションの裏側だね」

 

 

 

 

 

小さな水溜りには俺が借りていた一室の裏側が映し出され数秒後にそこにタンクローリーが軽自動車の側面に追突した状態でマンションの塀を破壊し俺が居た部屋に突っ込んで来て俺はペシャンコに押し潰されたみたいだった

 

 

 

 

 

「………え?何…ドッキリか?これ」

 

「いや…残念ながら事実だよ」

 

 

 

 

 

ローブの人が指差す先には救急隊に運び出される俺が居たが…上半身のみしかなかった

 

それを観た俺は呆然と成りその場に座りこむ

 

 

 

 

 

「…本来なら君の様に死んでしまった者は此処とは違う場所で天国か地獄に送られるんだが…これも何かの縁だ。…私が君を違う世界に転生させよう」

 

 

 

 

 

そんな俺を哀れに思ったのかローブの人はそんな提案をして来た

 

 

 

 

 

「転生?それって…」

 

「言葉通りだ。君はこの世界で既に死んでしまったからこの世界で再び生を謳歌する事は出来ない……しかし別の世界なら問題無いんだ。それにもうすぐここは消える」

 

「別の世界って…いきなりそんな事言われても……それに消えるって……」

 

「フム…ん?これは…」

 

 

 

 

 

ローブの人が再び水溜りを覗き込むと事故現場に俺が死ぬ前に持っていたISのラノベが目にとまったらしく暫く独りでブツブツと呟きながら思案している様だったが数分後、ローブの人は古い用紙と羽ペンを懐から取り出すと用紙にサラサラっと何かを書き込み水溜りに用紙を入れると水溜りが虹色に光だした

 

 

 

 

 

「これでよし。さ、この中に入ってくれ」

 

「……え?」

 

「君の転生先は君が最後に持っていた本の世界だ。後、『ウルトラマンゼロ』・『真ゲッターロボ』・『仮面ライダー鎧武関連』を特典として向こうの世界を代表する物に使える様にしたのと……これは君が集めていた映像媒体のデータと僕からのおまけだ。向こうで初めて会った人に渡すと良い」

 

 

 

そう言いながらUSBを俺に渡し俺を引きずるローブの人……え?え?ちょっと待て……真ゲッターロボ!?

 

 

 

「ちょっ!?ちょっとまて!?」

 

「待たない。じゃ、頑張ってね~」

 

 

 

そう言って俺を水溜まりに投げ込んだローブの人は俺に向かって

 

 

 

「次は善き人生を!!僕の最後の友よ!!!!」

 

 

 

 

 

その言葉を最後に俺は水溜まりの中を重力に従うかの様に下へと落ちて行った

 

 

 

 

 

 

 

ローブの人側

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ……上手くいった様だね」

 

 

ローブを剥ぐとそこには白髪の少年の顔が有ったがその右側は既に色が抜け透明に成っていた

 

 

「……本当なら神しか使う事の出来ない神紙だったが…案外上手くいくものだね」

 

  

そう呟くと真っ白い空間に亀裂が走り始め上の空間からポロポロとガラス片の様な物が落ちてくる

 

 

 

「本当にギリギリだったね……でも、僕の最後の力は彼の物に成った……これで思い残す事は……有ったね」

 

 

 

困った風に苦笑しながら既に光が消えた水溜まりの前に座ると水面を見詰め

 

 

「彼がどんな新たな人生を歩むのか…それを見届けれないのが少し残念だ…だが彼には僕の残り少なかった力を与えた」

 

 

水面に映っていた彼の顔はもう消えかけていたがそれでも彼は微笑んでいた

 

 

「願うなら…僕の力も使って彼女を支えてやってくれ……」

 

 

その言葉と共に彼は消滅し……部屋も崩壊した



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

二話

この回からISの世界に入っていきますがスタートは原作の三年程前で主人公は一夏の一つ年上です


最初落とされた時は白かった空間は今は夜の様に暗く更にいつの間にか左腕に装着されたウルティメイトブレスが装着されておりブレスを視認した瞬間中にあのローブの人が転生特典として着けてくれた『ウルトラマンゼロ』『真ゲッターロボ』『仮面ライダー鎧武関連』が入ってる事とこの三つの使い方が頭に流れ混んで来たが…

 

「(コイツら追加パッケージみたいな扱いでコアに成るISは別で用意しないといけないし…現存のISじゃパワー負けして満足に扱えない…扱えたとしても松毬ロックシードのみ…と)」

 

正直ここまで問題だらけとは思って無かった……確かに三つ共強力だ…何かしらの制限がかかってるとは思ったが第二世代ISでは無理…最低でも第三世代並のスペックが無いと使えないとは……

 

 

「(ISが無い今使えるのはゼロアイとゲットマシーン状態とロックビーグル四機のみ…そして身体能力が人間体ウルトラマン並って……まぁ良いか…なんか徐々に浮上してるし最初に会うのがIS開発者なのを祈るしかないか)」

 

 

今後ど~するかな~なんて考えてるとゆっくり浮上していた体が急に水面から引っ張られる様に勢い良く浮上し始めポーンっと地面に投げ出された

 

「ヘブ!?ってぇ……って何処だここ?」

 

 

周りを見渡しても木々が在るだけで電灯等の文明機器が見当たらない

 

 

「もしかして……無人島か?……ならワンチャンあの人に会えるかな?…会ってくれるかな……会ってくれると…嬉しいな……」

 

 

この世界で唯一無人島に居そうな人を思い浮かべ数%の確率に期待しようと思ったがどう考えても冷たくあしらわれる未来しか見えない現状だったが取り敢えず行動しようと思い立ちウルティメイトブレスからタンポポが描かれたロックシードを出して解除し放り投げる

すると錠前は展開しながら大きくなり目の前で浮遊する

仮面ライダー鎧武シリーズに出てきた浮遊出来るエアロバイク型のロックビーグル『ダンデライナー』

 

 

「おぉ……本当に使えた…燃料要らずって……凄いな」

 

 

ダンデライナーに股がり計器類を確認するが速度メーター・高度メーター・残弾数らしき物は表示されていたが燃料メーターが無い事に驚きつつも操縦桿を握り上空に舞い上がる

 

 

「オオォ…本当に凄いな……だけどここ…本当に無人島っぽいな……どうしたもんか《…た…て》ん?」

 

 

上空から現在地を確認しようにも視界内に明かりが一切無く目印に成りそうな物も無いため途方にくれていると何処からか幼い子供の声が聞こえた

普通なら上空に居る俺に届く筈の無い声が届いた

 

「……だれか居るのか…何処だ……何処に居るんだ……」

 

 

周りを見渡してる最中にも《助けて……を助けて》と何度も助けを求める声が聞こえ左腕に違和感を覚え観るとウルティメイトブレスの結晶が青く点滅していた

そしてそこから声が聞こえて来る事に気付きブレスに向かって

 

「何処だ!!何処に居るんだ!!」

《ここだよ!!ママを…ママを助けて!!!!!》

 

 

ブレスに向かって思い切り叫ぶと女の子からも今までより鮮明に声が聞こえ離れた場所に白色の光が一瞬見えたた

 

 

「!?そこか!!今行く!!!!」

 

 

ブレスに応答してダンデライナーを光った場所に急行させるするとそこには不思議の国のアリスの様な服装に機械のウサミミを着けた女性が何かから逃げる様に全力で走っていた

 

 

「あれは……篠ノ之束!?あの人が逃げる程の相手って……ハァ!?」

 

 

篠ノ之束を追い詰めていた相手を見て紀野は驚愕した

何故ならその相手は

 

 

「何で…何でダークロプスが篠ノ之博士を追い掛けてんだよ!?」

 

 

 

 

束視点~

 

「あ~もう!?何なのさ彼奴等!?」

 

 

背後から追ってくる五機のISから全力で逃げる束は悪態を付きながらも森の中を爆走していた

 

 

「この子造ってたら急に襲って来しこの子もこの子で起動しないし起動したと思ったら光っただけだし後ろの子達も言う事聞かないし!?もうマジで何なのさ!?」

 

 

普通のISなら彼女が破壊するなりこの島から脱出すればよかったのだがいくら束が全力で殴ろうと凹みすらせず不利と悟った彼女は人参ロケットでこの島から脱出しょうとしたが緑色の光線に破壊されてから打開策を考えながらダッシュで逃げ、一度は上手く巻いたが急に持ち出した待機状態のISが急に光り追っ手に見付かり再び逃げていた

しかしただ走って逃げてる訳では無く逃げる方向に生えてる木を蹴り倒し向こうに蹴り着けたり叩き着けたりして妨害している……が

 

『…』

 

両手の鉤爪で簡単に切り裂かれ殆ど意味が無かった

 

「あ~もう!!本っ当しつこいなお前ら!!「伏せて!!」え?キャ!?」

 

 

束が叫びながら走ってると急に上から声が聞こえその後直ぐに銃声が鳴り響く音と重い激突音の後に爆発音が鳴り響き直ぐ隣に誰かが着地した音が聴こえそっちに向くと

 

 

「えっと……大丈夫ですか?」

 

 

 

 

紀野視点~

 

 

 

ダークロプスが篠ノ之博士を追い詰めてた事にかなり驚いたが今は助けるのが先と思考を切り替えて一度篠ノ之博士達を追い越す様に上空に上がり自由落下の速度も加えて落下しながら

 

 

「伏せて!!」

 

一応大声で叫びながらダンデライナーの機銃をダークロプスに向けて放ちながら近付き操縦席から飛び降りながらゼロアイを呼び出してハンドガンモードにしてダンデライナーにエメリウム光線を放つとダンデライナーはダークロプスを二体巻き込みながら爆発した

 

 

「えっと……大丈夫ですか?」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

三話

「えっと……大丈夫ですか?」

 

篠ノ之博士の方を向くとこちらを呆然とした顔で見ておりいきなりハッとした顔で俺に掴み掛かってきた

 

 

「お…お前の仕業か!?さっきの彼奴等と同じ光線撃ったろ!?彼奴等も仕業なんだろう!?」

「おっ落ち着いて下さい!!俺はさっきこの世界に放り込まて無所属ですし俺は助けを求められたから来たんですよ!!」

「この世界って何だよ!!後束さんは助けなんて呼んで無いぞ!?」

「いや博士じゃなくて!?こう…女の子?幼い女の子の声が俺のブレス越しに聴こえてきたんですよ!?」

「ハァ!?お前ロリコンか!?第一こんな無人島に人間なんて私しか《ここだよママ》ヒョエ!?」

 

ブレスから声が聴こえた事に驚いた篠ノ之博士は手に持っていたチョーカーを放り投げてしまったが何とか左でキャッチする

 

《ありがとうねお兄ちゃん》

 

再びブレスから声が聞こえると同時にチョーカーの中央の結晶が点滅する

 

「えっと……もしかして俺を呼んでたのって…君?」

《うん、ママと私を助けてくれてありがとう》

 

オッフ……まじかい……束さんもなんか驚き過ぎて目が点に成ってるし……

 

 

「えっと……名前聞いても良いかな?」

《私の?ん~でもまだ機体名がついて無いし…ママからはコアNo.002って呼ばれてたけど……》

「No.002…か……なら仮でオーツーって呼んでも良い?」

《オーツー……ウン♪私の名前は今日からオーツー♪》

「ちょっと待てーーー!?」

 

コアNo.002……オーツーと話してるとフリーズから立ち直った篠ノ之博士が凄い勢いで俺の左腕を掴みブレスを左腕ごともぎ取る勢いで引っ張ってきた

 

「何さ何さ何さこれ!?え!?何でコア人格の声が聴こえるの!?」

「俺にだって解りませんよ!?それよりここから離れますよ!!まだあの三体だけって決まってませんから!!」

《そうだよママ。後さっきの三体の内一体はまだ息が有るよ》

 

「「……え?」」

 

博士と共に振り返ると爆心地では一体のダークロプスが右腕と左足を失いつつ這い上がろうとしていた

 

「……オーツー、あのダークロプスのコアって篠ノ之博士が造ったコアか?」

《ん~違う…かな?世界中に散らばってる妹達と違うシグナルだから恐らく別の人が造ったコアだと思うよ》

「むっ、束さん以外に造れない筈のコアだって?本当かよ」

「自分の娘の言葉位信じてやって下さいよ博士……」

 

 

まだ生きてるダークロプスにゼロアイを向けつつオーツーに確認するとやはりと言うか篠ノ之No.ではない別のシリーズのコアだと判明した

恐らくこの世界に無い特撮のダークロプスを真似てる事からなんとなく予想していたが……

 

「(亡国企業か女権団のどっちかに俺と同じ様にこの世界に来た奴が居る確率は高いか……だが今は)……急いでこの島から出ますよ」

「は?何でお前の指示に従わないといけないのさ?逃げたければ一人で逃げなよ。後さっさと私の娘返せ」

「むろんオーツーは返しますけど……あれ、恐らくまだ居ますよ?そうだろ?」

《うん……軽く二十機近くは居るかな?ちょっと彼奴等のコアが劣化版だからか正確な数までは解んないけど……こっちに集まって来てるね》

「……まじ?」

 

何かされる前に破壊したかったが既に増援を呼ばれた後だったがエメリウム光線で目の前のダークロプスを破壊する

二十機近くか……正直十機位かと思ってたけど……卑怯だがやるしかないか

 

「……オーツー、一回で良い。俺にお前を使える様には出来るか?」

《え?うん、お兄ちゃんなら良いけど……策が有るの?私武装何も積んで無いけど》

「あぁ。このブレスには換装アーマーみたいなのが入っててな、このゼロアイもそうだ。だが第二世代機だとISの方が持たない……一つのかけだが…やるか?」

《……そうしないとお兄ちゃんもママも助からないんでしょ?ならやるしか無いじゃん》

「悪いな……本当は脱出するだけならオーツーを無理矢理纏う事はしなくても良いんだけど……篠ノ之博士の理想からかけ離れた彼奴等を野放しにしちゃ置けないからな」

 

篠ノ之博士がISを造ったのは宇宙開発の為……あれはもう殺戮兵器だ……制作者の意図しない運用の為に造られたなら……それを破壊するのは同じく送り込まれた俺の仕事だ

 

「え?…え?ちょっと待って…って事は束さんが調整して直ぐに起動出来たの!?後何でお前が束さんがISを造った理由を知ってるんだよ!?」

「……聞いて貰えるなら後で自分が話せる範囲であれば全て話しますよ…ですが、今はあのIS擬きどもの破壊を優先させて下さい……行くぞ、オーツー!!!」

《うん行こう、お兄ちゃん!!》

 

 

ワラワラと上空に集まってきたダークロプスになんとなくノリでオーツーを掲げると結晶が光、直ぐにちょっとした浮遊感が俺を襲った

オーツーのIS状態は全体的に黒く、そして装甲は脚部以外必要最低限しか展開されていなかった

 

 

「脚部メインか……ブレス内のパッケージとの相性も俺の喧嘩スタイルとも良さそうだな」

《え?お兄ちゃん喧嘩するの?》

「まぁ……絡まれる事は多かったからな。拳よりも蹴りの方が得意だったな……まぁそんな事は置いといて…殺りますか!!」

《うん、やっちゃえお兄ちゃん!!》



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

四話

「よっゼリャ!!」

 

一番最初に近付いて来たダークロプスの鉤の振り下ろしをバックステップで避けウルトラゼロアイを使う時間稼ぎに成ればと胴体を蹴る……が蹴ったダークロプスの上半身と下半身がバキン!!と音を発てて別れた

 

 

「「《…………え?》」」

 

 

やった張本人の俺・オーツーと茂みに隠れて観ていた篠ノ之博士三人の声がハモった…………

 

 

「……ISって怖!?」

「いっ…イヤイヤ!?流石に一撃は無理だから!?」

《そっそうだよ!?お兄ちゃんの脚力どうなってるの!?化け物なの!?》

「なわけあるか!?こっちとらただの常人だわ!?……ってあ…」

「あって何さ?」

「いっいや~……今の自分の体って多分篠ノ之博士の劣化版?で良いのかな?それ位の強さは在るんですよね~」

「在るんですよね~じゃないよ!?そんな体ならそう成るのは当たり前だろ!?!?」

 

 

正直言うと……嘘だ

ウルトラマン(人間体)の身体能力が篠ノ之博士の劣化版な訳が無い……だがこうでも言っとかないと今の篠ノ之博士なら「解剖させろ!?」って言いかねないから誤魔化すのが最適だと直感で思ったから誤魔化した

 

 

《(……ママの劣化版って……絶対に嘘だよね?)》

「(シーー!!俺はまだ解剖もホルマリン漬けもされたく無いの!!)」

 

 

だがやはり装着してるオーツーは誤魔化せなかったが今は集まって来たダークロプス軍団を対処するのが先と思考を切り替える

 

「時間掛け過ぎたら増援を呼ばれる可能性も在る…か?まぁ……一気に蹴散らすぞ!!」

《オッケー!!》

「シェア!!」

 

 

オーツー装着時にブレスに戻ったウルトラゼロアイを呼び出し掛け声と共に装着すると黒かった装甲は脚部は足元から赤く椀部は青く成り胸部には銀色のアーマーが装着され中心には青く光るカラータイマーが出現しウルトラゼロアイは黄色のバイザーに変化し中心部に緑色のビームランプが在り頭部にゼロの特徴とも言えるゼロスラッガーが二本装着される

 

『オーツー ウルトラマンゼロスタイル』

 

「おぉ…こうなるのか……オーツー、行けるか?」

《……なにこれ…凄く力が湧いてくるよ!!》

「……換装アーマーって言うよりモーフィングアーマーじゃん!!後で調べさせろ!!」

「…ヤッパリ……言うと思いましたよ…篠ノ之博士、これ預かってて下さい」

 

 

ブレスからUSBメモリーを取り出し篠ノ之博士に投げ渡す

 

「?これは?」

「こっちに来る前に渡された換装アーマーに関するデータと後オマケの色んな宇宙開発に関するデータ……らしいです。最初に出会った人に渡せと言われたので」

「……へー、何の疑いも無く束さんに寄越すなんて…お前馬鹿なの?私がお前を見捨ててこのデータだけ持ち去るとか考えなかったの?」

「篠ノ之博士の夢に関わって来るデータですから。それに、俺は篠ノ之束を疑いませんよ」

 

 

俺はそれだけ言ってダークロプス軍団に突っ込む

 

 

束視点~

 

 

『俺は篠ノ之博士を疑いませんよ』

 

 

あの変な男は笑顔でそんな事言って無人機どもに突撃していった…今までみたいに私を利用しようとか化け物を見る眼じゃ無かった……ただ純粋に…尊敬してる人を見る眼だった……箒ちゃんやいっくんやちーちゃんみたいに私を私として観てる眼…

 

「………なんなんだよ…彼奴……」

 

渡されたメモリーを持ちながら……気付けば彼奴の闘いを眺めてた

 

 

紀野視点~

 

「ゼロスラッガー!!」

 

 

頭部に装着されたゼロスラッガーを脳波コントロールで前方に居るダークロプス軍団に向けて射出すると避けそびれた2体が縦に割かれ沈黙した

 

「……人間相手には使えねぇ!?!?」

《ん~と言うか、大分彼奴らが柔らか過ぎるんだよ》

「え?マジで?」

《うん、シールドエネルギーの反応が無かったから恐らくその分兵装用エネルギーにまわしてると思うよ?》

「なら…遠慮無く行きますか!!」

《いっちゃえいっちゃえ♪》

 

 

戻って来たゼロスラッガーの一本を片手に持ちもう一本を思い切り蹴り飛ばすと更にもう1体のダークロプスを両断し接近しながらエメリウムスラッシュを額のビームランプから射出しながら顔を左右に揺すると更に4体を爆散させた

 

『『『ギギギ!!!!!』』』

「掛かって来いや!!」

 

一気に7体も仲間がヤられたからか完全に俺を敵とみなし鉤爪やダークロプススラッガーを構えて突撃してくるが蹴り飛ばしたゼロスラッガー戻って来る際に1体を斜めに切り裂いた事で爆散し残り11体

 

「フッ!!シェア!!ゼリャ!!」

 

ダークロプス達の鉤爪やダークロプススラッガーを避けながら両手のゼロスラッガーで切り裂き・蹴り抜き・殴り倒していると両手が残ってる数体のダークロプスは一ヶ所に固まり腕をL字に組んでダークロプスショットを、腕が片方しか無い若しくは両方無いダークロプスはダークロプススラッシュを撃って来たがゼロスラッガーをカラータイマーの両サイドに取り付け

 

「これで仕舞いだ!!」

《イッケーー!!》

「ゼロツイン…シュートーー!!!!!」

 

ゼロスラッガーとカラータイマーから放たれた眩い程の白い光線がダークロプス達の光線を押し返し残りのダークロプス達を呑み込み跡形も無く消し去った

 

「……増援は…無さそうか?」

《みたい…だね。お疲れ様お兄ちゃん》

「フィ~……脳波コントロールって…疲れるな……」

《アハハ…取り敢えずママの所に戻ろ?》

「だな」

 

篠ノ之博士の元に戻るとISが解除されオーツーも元のチョーカーに戻り俺の首に巻き付いていた

 

「ありがとなオーツー、おかげで生き残れたよ」

《お互い様だよ?お兄ちゃんがママと私を助けてくれたから私もお兄ちゃんの手助けをしただけだもん》

 

軽くオーツーに礼を言ってから首からオーツーを外し篠ノ之博士に返す

 

「ありがとうございました」

「……お前さ、何で素直に返すの?」

「はい?」

「だから!!何で素直にこの子返すのかって聞いてんの!!」

「エエェ…いや、直ぐ返すって約束しましたやん……それにこの子は元々篠ノ之博士が宇宙に行くための翼として産み出した子ですよ?他の兵器としか観てない奴等ならともかく篠ノ之博士から奪ったりしませんよ……」

 

そう素直に言うと目を見開きながら何か有り得ない物を観る目で俺を観るが篠ノ之博士の手を取りオーツーを持たせる

 

「何時に成るか分かりませんが…夢……叶えて下さいね」

 

その場を離れようと振り返るとオーツーを纏った時に蹴り抜いたダークロプスが残った上半身を火花を散らしながらダークロプススラッガーを投擲し爆発した姿を見付けダークロプススラッガーが篠ノ之博士の方に真っ直ぐ向かってるのに気が付いた

 

「束さん!?」

「え?キャ!?」

《お兄ちゃん!?》

 

篠ノ之博士を突飛ばしダークロプススラッガーの進路から外すがギリギリのタイミングだった為

 

 

ザシュ……ボト

 

 

「《……え?》」

「ガアアアアアア!?!?!?」

 

 

篠ノ之博士を突飛ばした俺の右腕の肘から切断され鮮血が噴水の様に飛び出した



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

5話

俺がこの世界に来て三年が経過した

 

え?飛ばし過ぎ?別に特別報告する事も無かったからな

 

切り落とされた腕の変わりにISの技術を使ったオートメイルみたいな腕を付けて貰ったり

束さんが元ファントムタスク構成員の実働部隊の「スコール」「オータム」「マドカ」の三人を仲間に加えたり

束さんの夢を実現させる為に《SGR》って名前の会社設立した位だし……え?それを説明しろって?…長く成るし…相手が待ってくれるとは思えない

 

「さっさと墜ちなさいよ!!」

「だったら当ててみなよ、おばさん?」

 

俺に向かってくる攻撃を全て避けながらIS学園の教員を挑発してるからな

何でこうなったか?

織斑一夏がISに触れたから中学生以上を対象とした全世界一斉適性検査が始まってバレた

そして今IS業界で急成長中のSGR社の社長(スコールさん)の息子って設定にしてたのもあって学園側から『そちらで造られた機体を持参してもらって構わない』との事だったので俺の専用機と成ったオーツーと共にIS学園に入学したが……アリーナで女尊男卑に染まった元代表候補生だったラファールを纏った教員が試験官だった為本気でふざける事にした

 

「ホラホラ~それでも代表候補生だったんですか~?全然当たってませんよ~?」

「うるさい!!男ごときが私をバカにするなーーー!!!!!」

「そんな風にしょーもない理由で相手をバカにしてるからそんなお粗末な攻撃しか出来ないんですよっと」

 

束さんが造ってくれたオーツー専用武装『バットクロック』と『ガンガンセイバー』をガンモードで呼び出し相手が両手に装備していたヴェントのマガジンを撃ち抜き弾丸の暴発でヴェント本体を破壊する

 

「グッ!?クソ!!クソクソクソクソ!!!!!こんな筈じゃ…こんな筈じゃーー!!」

「過去の栄光にすがり付くだけの輩に未来を観てる人間を停めらるかよ!!!」

 

俺に…と言うより男に負けるとは微塵も思って無かったのか発狂しながら大型コンバットナイフを振り下ろす教員の腕を蹴り上げ踵の装甲を刃に、爪先の装甲をスラスターに造り変え振り下ろす

機体装甲を操縦者の思い通りに造り変える

これがオーツーの『第三世代兵装《液体記憶装甲》』

 

元々スペック事態は第三世代機より優れていたオーツーだったが第三世代兵装が無く束さんに聞いたら「キー君の好きにして良いよ♪」とお許しが出たのでドイツが開発していた《VTシステム》とUSBメモリー内に有ったグレートマジンガーのデータを掛け合わせた物を提案したら即座に造って搭載してくれた……VTシステムの名前を出した瞬間のあの顔は思い出しただけでも体が震える…

 

「ゥワッシャイ!!!!!」

 

自然と発した掛け声と共に教員の肩にギルスよろしく踵落としをし爪先のスラスターを吹かせ斜めに切り裂きその勢いに更に脚部スラスターを使ってもう片方の足で頭部を蹴り教員を地面に向けて蹴り飛ばしガンガンセイバーとバットクロックを連結させライフモードにして生身を狙い

 

「こいつでフィナーレだ!!」

《オメガインパクト!!》

 

音声と共に二つのトリガーを引くと二連装の銃口から放たれた強力な二発のエネルギー弾が螺旋を描きながらラファールを纏った教員を撃ち抜き教員が気絶して戦闘は終了と成った

その後プライベートチャンネルから出撃したピットに戻る様に連絡が入り戻ると黒いスーツをピシッと着こなした織斑先生が出迎えてくれた

 

「ご苦労だったな観咲、それと先程の戦いを見せて貰ったが…貴様、今回が初戦闘では無いな?ブランクが有るとは言え代表候補生だった教員に対し本気を出さず無傷で勝利するとは驚いたぞ」

「確かに初戦闘じゃ無いですけど織斑先生に驚かれるとは…少し誇らしいですね。っと、少しすいません」

 

オーツーを解除し織斑先生から少しピットの出入り口側に離れ腰のポーチからピンクの兎がプリントされた紙箱と携帯灰皿を取り出し紙箱から煙草に似たシルエットの薬煙を一本取り出して咥え火を付ける

 

「……端から見たら煙草を吸ってる様にしか見えんが…あの束が自ら送って来た書類とサンプル通りの様だな」

 

ダークロプス達との戦闘後気を失った俺は束さんにラボまで運ばれ2日程眠ってたらしい

倒れた原因は腕を切り落とされた時の痛みと本来人類が持たない物質不足のせいで倒れたらしい

その物質の名称は一度聞いたが全く知らない物質だった為流したがどうやら俺が渡したUSBの中に記載されていたらしい

なんでも転生者に対するデメリットだそうだ

俺の場合はキャラメル等で補給出来るそうだが含まれてる量が少なく普通に生活するだけで1日五箱分は摂取しないと倒れるそうだ……糖尿病で早死にだけは御免だ

打開案として薬煙なら普通に生活する分には1日3本~5本、IS使用後に1本吸えば問題無いとの事で俺は渡された煙草に似たシルエットの薬煙を吸っている……不良少年じゃ無いからな?

この見た目煙草の薬煙は煙草みたいに火を付けて吸うがニコチン・タールはゼロ、匂いは香草と言った具合の見た目だけのなんちゃって煙草だ……なら呼吸器で良いじゃないかと思ったが薬草だけ造って後は俺が巻く方が楽なんだと

 

「ええ、まだ未成年ですから煙草は吸いませんよ。まぁ成人してもこれが在るので吸いませんけど」

「その方が良いだろうな。話は変わるがこの後直接教室に案内する。時間的に入学式は終わってるからな、更衣室前で待機してるから吸い終わってから直ぐに着替えて出て来い」

「了解です」

 

と敬礼をすると「返事はハイだ。後敬礼なんぞするな、私は軍に関わりは有っても一般人だ」と言われ微笑みながらの出席簿アタック(最弱)を貰い織斑先生はピットから出ていった

 

「(…なんか……原作より雰囲気が柔らかい?)」

 

 

原作の織斑先生と目の前で微笑んだ織斑先生の違いに少し驚きつつもそう言えば束さんも何だかんだ原作より丸いし可愛い所が多いな~と思いながら更衣室に移動して支給された制服に着替える

特にこれと言った要望も無かった為原作一夏と同じタイプの制服に成ったが……白い制服なんて初めて着たな…

 

《ん~っ出来たーーーー!!!!!》

「うお!?どうした!?後久し振り!?」

《あ、お兄ちゃん!久し振り~♪》

 

 

左腕のブレスから久し振りに聞こえたオーツーの元気な声

俺の適性がバレてから《ちょっと深層部に潜るから暫く私は出て来ないからね。あ、ISは纏えるからそこは気にしないで》と言ったきり出て来なかったが……声を聞けて安心した

 

「で?何が出来たんだ?」

《ん~今見せても良いけど…外で待たせてるなら後にしよ?》

「…それもそっか、じゃぁ……行くか」

 

ロッカーに置いていた教材を入れた鞄とISスーツを入れた鞄を持ち外に出て織斑先生に案内されながら一年A組の教室に向かう

 

 

あぁ……ここから原作のスタートか…………まぁ上手く立ち回ってみますかね

 

この世界に来て束さんやオータムさん・スコールさん・マドカちゃん・クロエちゃんと言った重要人物達との生活で疑問を感じた事も有ったが…前世で生きていた頃より数千倍楽しい生活を過ごせた事にあの時俺を転生させてくれたローブの人……本当にありがとう



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

6話

アリーナの更衣室を出て直ぐ脇に立って待っていた織斑先生に案内され校舎に向かう道中織斑先生から

 

「あぁそうだ、観咲。お前のクラスは三組に変更に成った」

「へ―…そらまた急ですね」

「四クラスの内専用機持ちが居ないクラスが三組だけでな。一組と四組にはそれぞれ代表候補生が在籍…と言っても四組の方は専用機が完成してないがな。二組にも四月下旬に来るらしくてな。だがそれだとクラストーナメント等の戦力が三組だけ未経験の小娘だけに成るだろ?切磋琢磨してもらう為にお前は三組に変更に成った訳だ」

「成る程、しかし良くIS委員会が良く許可しましたね」

「まぁ…………親友が脅したらしくてな…」

「あ……すいません」

 

精神披露MAXな表情で顔を反らした織斑先生に心で合掌し束さんは本当に自由な人だと呆れるしか無かった

 

「?何故お前が謝る?」

「実は……こういった関係でして」

「……は?…ハァアアアア!?」

 

制服の襟とオーツーの間に隠していたネックレスを引っ張りカッターシャツの中にしまっていた部分……指輪を見せると織斑先生はかなりのオーバーリアクションで驚いていた

 

「アハハ…やっぱり驚きますか」

「かっかっ観咲!?それは!?」

「はい、エンゲージリングです」

 

一部に兎の装飾が施された指輪を見て織斑先生は稲妻に撃たれた様な衝撃を受け窓際の手刷りに寄り掛かった

 

「嘘だろ……何故だ…何故アイツの方が早いんだ……私と同じ…いや私より酷いアイツがコッコッコッ婚約だと……嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ」

 

いや怖いわ!?

 

永遠と現実逃避を繰り返す織斑先生に恐怖を感じたが時計を確認するともうすぐホームルームが終わる時間だった為なんとか案内の続きをお願いする事に成功し無事に三組の教室前に着いた

 

「ここがお前のクラスだ…後は担任に任せるぞ……」

「あっハイ、アリガトウゴザイマシタ」

 

ドンヨリとした府陰気でフラフラと自身の受け持つクラスへと歩くその後ろ姿はまるでゾンビの様にフラついて居た

 

「(……山田先生がまた織斑先生のやけ酒の餌食に成るのか……なんかスンマセン)」

 

心の中で被害を被るであろう山田先生に謝罪し扉をノックすると「はーい」と声と共に扉が開いたが目の前には誰も居らず首を傾げて居ると

 

「もうちょっと下に目線を下げて欲しいのです」

「下?」

 

疑問に思いながら目線を下に下げると俺の下腹部辺り位の身長のちんまいピンク髪の女の子が生徒名簿を抱き抱えながら立っていた

 

「三組クラス担任の小萌と言います、一年間宜しくお願いしますね観咲君♪」

「あ、はい…」

 

なんだろ……すんごい笑顔なんだけど…目が笑って無いぞこの人……

 

「さ、早く入って序でに自己紹介もしちゃって下さい。もうすぐホームルームも終っちゃいますから」

「あ、はい。え~っと、皆さんと同じクラスに成った観咲 紀野です。SGR社の副技術班長兼テストパイロットとして来ました。歳は皆さんより一つ上ですが余り気にせず話かけて下さい。自分の専用機はこのチョーカーに成ってるオーツーです、一年間宜しくお願いします」

 

そう締め括るとシーンとしあれ?間違えたかな…

と不安に成ってると

 

『『キャーーーー!!!』』

「耳がーー!?!?」

 

「二人目の男子!!しかも年上!!」

「今話題のSGR社社長の息子さん!!しかもイケメン!!」

「嫌いじゃないわ!!」

 

一気にキャーキャー言い出したクラスメート達は相当嬉しかったのかもうハシャギまくりで……一言言うなら凄く煩かった

 

「はーい皆さん、一旦お静かに~。ホームルームは時間的に終わりますので一時限目までに観咲君に聞きたい事は茶々っと聞いちゃって下さいね~」

 

小萌先生は軽く教卓に名簿を叩きながらそう言うと教室を出ていった…マジかよ……

 

 

~四時間後~

 

「疲れた……」

 

ホームルームから授業を挟み現在お昼時

疲れきった俺は昼飯を食いに食堂に着ていた

ここの学食は他国からも生徒が来る為様々なバリエーションが有ったが俺は肉蕎麦大(温)と稲荷寿司(五貫)を注文して詰めれば四・五人座れそうな席に一人で座っていた

ホームルームの後クラスメート達は年上だからか男だからか遠巻きに俺を見てヒソヒソ話してるが何故か直接話には来ない…まぁここでも変わらんが

それと織斑先生が言ってた通り専用機持ち処か代表候補生すら在籍してなかった様で俺がクラス代表をする…と言うか小萌先生に押し付けられた

まぁやるのは良いんだけど……俺一応メカニックなんだけどな……

 

「あ~…蕎麦が旨い…」

 

出汁が良く絡まった肉蕎麦をすすりながらちょっと現実逃避していると

 

「なぁあんた」

「んぁ?」

 

前から声をかけられ蕎麦をすすりながら向くとカツ丼の載ったトレーを持った男子生徒…織斑一夏と少し不機嫌そうなつり目の長いポニーテールが特徴的な女子…篠ノ之箒が立っていた

 

「あのさ、他に空いてる席が無いから相席させて欲しいんだけど…大丈夫か?」

「別に良いぜ?俺も一人席が無かったからここに座ってるだけだしな」

 

サンキューと言って左側から反対側に座った二人と対面に成る様に座ると

 

「俺は一組の織斑一夏、んでこっちが幼馴染みの」

「篠ノ之箒だ」

「俺は三組の観咲紀野だ、一応三組のクラス代表だ」

「「一応?」」

「まぁ俺以外に専用機を持って無いからってのが理由だ」

「へ~もう専用機支給されたのか?」

「いや、会社で色々とテストする際に俺が使っていたこいつをそのまま請け負ったって感じだ。世間にばれない様に会社内でしかやって無かったが……織斑が不用意に打鉄に触らなきゃ進級して今頃二年生だったのに」

「うっ…すっすまん……って年上!?」

「そうだぞ~まぁ気にせずタメ口で良いぞ?どうせ俺に話かけたのも同じ男だったからだろ?」

「あ~…了解。なら俺の事も一夏って呼んでくれ」

「オッケー、俺も紀野で良いけど……連れの子が構ってくれなくて拗ねてるぞ?」

「だっ誰が拗ねるか!?」

 

分かりやすく一夏を睨んでたのに何を言ってるやらと少し肩をすくめればからかわれたと思ったのか少しジト目で俺を睨むが俺は肉蕎麦と稲荷寿司を間食しお茶をすすりながら二人のやり取りを眺めるが壁の時計を観ると後10分程で余鈴が鳴る頃だった為そろそろ教室に戻る事にした

 

「そろそろ余鈴が鳴りそうだから俺は教室に戻るが二人とも遅れるなよ?じゃな」

「紀野も頑張れよ」

「……一夏お前観咲が何者か知らないのか?」

 

食器を返却口に返し食堂から外に出て自販機で缶珈琲を買って近くのベンチに座りながら薬煙を吸う……昼下がりの会社員か俺は

 

『どうお兄ちゃん?クラスで一人だけ男って状況は?』

「(思ってたよりキツイな……精神的に)」

 

元々女子高だった事も有り男性用のトイレや更衣室が無い為一階職員用トイレを代用させてもらったりアリーナ側の更衣室に行かなければ成らないのも要因だがやはり異性に気を付けて振る舞わないといけないのが辛い

 

『ひょっとして一夏に言った言葉ってお兄ちゃんも思ってた事だった?』

「(まぁな、まぁ一夏は余り気にしないかもだが……結構しんどいぞ?そう言えばこもってた間何してたんだ?)」

『ん~?単一仕様能力を作ってた』

「(マジかよ…出てきたって事は出来たのか?)」

『うん、でも現状の私とちょっと物足りないからついでに第二形態しといたよ』

 

マジか~とオーツーの言葉に内心驚きつつ案外早かったな~と思いながら薬煙の残りを一気に吸い携帯灰皿に擦り付けて片付ける

 

「(だったら小萌先生にアリーナを借りれないか聞かないとな)」

『お兄ちゃんがお母さんに渡したデータの一つだからお兄ちゃんも問題なく使えると思うよ?一夏に渡すデータと同じ奴だから』

「(一夏と同じ…NTDかよ……)」

 

NTD…本来ならニュータイプデストロイシステムの名の通りガンダムシリーズのニュータイプと呼ばれるパイロット達を殲滅する為のシステムだがこの世界にそんな人間は居ない

なら何故NTDなのか

それは束さん以外の作ったISのコアを破壊する為

故にニュータイプコアデストロイシステムでNTDと言う名前に成った訳だが……マジか~…オーツーのカラー的にバンシーだろうけど…後で束さんに連絡しとかないと…

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

七話

時間は更に飛んで放課後

 

学年主任の織斑先生と担任の小萌先生にアリーナを使用許可を無事もらいISスーツに着替えアリーナのカタパルト付近で待機していた

 

最初は二人とも無理だと言っていたがオーツーが第二形態に成り単一使用能力が発現した為確認の為使用させて欲しいと頼み込むと驚きながらも特例として許可してもらえた

 

但し

 

 

「えっと……宜しくお願いしますね?観咲君」

 

「こちらこそ手加減の程宜しくお願い致します山田先生」

 

 

目の前のホンワカマウンテンボイン眼鏡の山田先生と模擬戦を我らがドンこと織斑先生発案の元執り行う事に成った

 

ついでに一夏と箒もここで観戦するとの事で同じく待機しながら話したり連絡先の交換したりした

 

 

 

「手加減ですか……観咲君の戦闘記録を見る限り手加減出来そうに無いのですが…」

 

「イヤイヤ、織斑先生が現役時代に唯一まともに撃ち合った山田先生が何を言ってますか…」

 

 

 

織斑先生の活躍に隠れがちだがこの人は織斑先生に唯一まともに対抗出来たIS乗りだ

 

他の代表達は大体一太刀で破れてしまい最早試合にも成らなかった中で唯一織斑先生が認めたIS乗り…そんな人と模擬戦だよ?こっちとらオーツーのテストが出来れば良かったのに……

 

ため息混じりにそうぼやくと山田先生は苦笑いしながら反対側のピットに向かう後ろ姿を見送ると一夏と箒が寄ってきて

 

 

 

「紀野、大丈夫だ!!俺でも山田先生に勝てたんだから勝てる!!」

 

「……一夏…お前オルコットに山田先生が壁に勝手に突っ込んで行ったと言って無かったか?」

 

「…………あ」

 

「駄目じゃねぇか…まぁやれるだけやりますか。行くぞオーツー!!」

 

『(ガッテン♪)』

 

 

 

掛け声と共にオーツーを身に纏うと脚部は一次形態から余り変わって無かったが所々切り込みが入っていた

 

そして元々少かった胸部と腕部装甲はバンシィをモチーフにした切れ目の入った装甲に成っていた

 

地上用バンシィの右腕と左腕に付いていたレールガン「Beam - Smartgun(ビーム・スマートガン)」通称BSと「Vibro - Nail(ヴァイブロ・ネイル)」通称VNは腕に装備されずVNは両肩の装甲として装備され使用時にパージし両腕に装備可能でBSは元々オーツーに搭載されて無かった非固定ユニットとして新たに発現したシールドビットを挟み込む様に畳まれ普段は背面スラスターとして機能し射撃の際に両肩に接続しエネルギーを充填するかシールドビット状態で吸収した被弾エネルギーを打ち出す事が出来る仕様らしい(オーツーに表示されたデータ上)

 

そして頭部にはユニコーンシリーズお馴染みの角(バンシィタイプ)が在るがマスクは無い

 

 

「これは……凄いパワーを感じる」

『(お兄ちゃんがお母さんに渡したデータの中でお兄ちゃんが持つモーフィングアーマーと干渉が少ない設計で進化してみたけど……どうかな)』

「(凄い…凄く格好いいし完全に俺達だけの姿じゃないか!!!ありがとうオーツー!!)」

『(えへへ♪あ、機体名はオーツーからバンシィ・クロスに変化してるけど今まで通り私の事はオーツーって呼んでね?)』

「(当たり前だ、機体が変わってもコアのお前はオーツーだ。唯一無二の俺の最高のパートナーのオーツーだ!!)」

『(うん!!お兄ちゃんと私が組めば無敵なんだよ!!)』

 

「それが紀野のISの新しい姿…」

「あぁ、これが俺が広い宇宙で飛ぶ為の新しい翼だ。どうだ?格好いいだろ?」

「めっっっちゃ格好いいな!!」

「この良さが分かるとはな…友よ!!」

 

嬉しさの余り変なテンション一夏と拳を合わせる俺と一夏と少し複雑な表情でこちらを見詰める箒といった変な状況に成ったが織斑先生から山田先生の準備が整ったからさっさと出ろと指示が出た為カタパルトに向かう

 

「紀野!!」

「ん?どうした?箒?」

 

振り向けば何か言いたいが躊躇い、でも聞きたいと言った表情だったが決心した表情に成り

 

「お前は…ISをどう思ってる。そのISでどうしたいんだ」

 

「どう思ってる…か……俺は束さんの夢が詰まった翼だと思ってる。束さんはオーツー達が兵器として運用される事を望んで無かった…政府や軍人が勝手に兵器利用したがっただけで束さん自身はただ宇宙を知りたい…自分がまだ知らない知識を探したいって言ってた……だから俺は一部でも良いからオーツー達を束さんの願い通りに使いたい。その為に俺は……いや、俺達は今の世界をひっくり返す。否定されようとも笑われようとも本来の姿に戻してみせる!!」

 

箒の瞳を真っ直ぐ見詰めながら俺の思い……昔束さんに助けられた時に言った事をそのまま妹の箒にも言ったがこれはあの時…束さんとオーツーに初めて会った時から変わらない俺の意識だ

 

「…………そうか…前に姉さんが教えてくれた恩人とは紀野の事だったか…私はまだ姉さんを許せない…家族を引き裂いたあの人を……だから証明してくれ、姉さんはそんな事をしたかった訳じゃないと…姉さんの意識でこんな世界にしたんじゃ無いって事を」

「勿論だ」

 

そう言って今度こそカタパルトエリアに入りカタパルトと脚部を接続する

 

『(お母さん……お兄ちゃんの事話してたんだね)』

「(みたいだな…束さん何時も箒や御両親の事気にしてたし…会社設立してから直ぐにIS委員会と日本政府と交渉して御両親はなんとか社宅に住んでもらえる様には出来たが箒だけはまだだったからな……)」

 

交渉材料にしたのは三年前に束さんを襲った無人機のダークロプスとその戦闘データ

劣化版とは言え束さん以外のコアと無人機が複製出来る組織が存在する事実はなんとしても世間に出したくない政府とIS委員会にとって保護プログラムを即廃棄する程度には効き目は有ったが箒はその頃IS学園入学が既に決まっていた為卒業してからでも構わないと思われたのか未だに両機関からの通達は無かった様でそれに怒った束さんはIS委員会と日本政府が隠していた不正の事実を全世界にばら蒔き当日の幹部は全員辞任させられ全世界政府は「あの会社だけは手を出しちゃまずい」と理解し結構幅を利かせれる状態と成った

 

『(それよりも早く飛ぼうよ!!私も早く試したいよ!!)』

「(オッケー、なら思い切り飛ぼうか!!)」

《システムオールグリーン。観咲ちゃん、何時でもどうぞ!!》

「観咲紀野『(オーツー!!)』バンシィ・クロス…出るぞ!!」

 

カタパルトに勢い良く押し出されアリーナに出撃した

 

 

 

 




一夏「そう言えば箒、束さんと連絡取ってたのか?」
箒「あ-…なんと言うか…前に姉さんからメールが届いてな」

束『箒ちゃん箒ちゃん!!今私は協力者と一緒に宇宙開発を目指して企業を立ち上げたよ!!お父さんとお母さんも一緒に暮らせる様に頑張ったから箒ちゃんも何時でも来てね!!』

箒「これ以降は私が返信してないから来ないが……出来れば企業の名前も教えて欲しかった……」
一夏「束さんらしいっちゃらしいな……」
箒「(姉さん成りの償いの積もり……なんだろうか……夜にでも紀野と話が出来れば良いのだが…)一夏」
一夏「…怖かったら俺も一緒に付いて行くから一人で抱え混むなよ?」
箒「む…何で話す前に解った……」
一夏「箒って家族や自分に関係するものは一人で抱え混みやすいからな、昔と変わって無いだろうな-って」
箒「…バカ……その時は…頼む」
一夏「おう、任された」


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。