蛍ちゃんかわいい!という一心で原神を始めたプレイヤーは意外と多いはず。 (フラジャイルA)
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蛍ちゃんかわいい!という一心で原神を始めたプレイヤーは意外と多いはず。
新年明けましておめでとうございます。
蛍ちゃんかわいい!というノリと勢いで書きました。
後悔はしていない。
テイワット大陸に存在する七つの大国。
そのうちの一つであるモンドの別名は、『神のいない国』『王のいない城』。
自由を象徴する風神バルバトスによって生み出された国であるモンドは、正しく自由の都ではある、のだが……。
「ーーで?
お前さんはどんな理由があって、年端もいかないレディを陰からこっそり覗き見する、なんて不審者紛いな行為をしていたんだ?
それも、他でもない
……そもそも、俺が与えた任務はどうしたんだ、騎士ゴーディン?
まさか……職務放棄か?」
自由だからといって、
海のように青い髪に、片目を覆い隠す眼帯。
モンドにおいてこれ程までに特徴的な容姿を持つ人物は一人しかいないだろう。
誉れ高き西風騎士団、その中でも騎兵隊を率いる隊長ーー騎士ガイア。
彼の瞳は鋭く、さながら氷のように眼前の不届き者を射抜いていた。
さて、そんな風に睨まれている男ーー騎士ゴーディンはと言うと。
「いや違うんですよガイアさん。これにはダダウパの谷より深い理由があってですね……?
そう! たまたま! ガイアさんの任務をこなそうとこの辺りを歩いていたらたまたま!
噂の旅人さんがいらっしゃったので、先日の風魔龍撃退のお礼を伝えようとですね、はい!
しかし流石は時の人、たくさんの人に話し掛けられておりまして、中々話し掛けることができず……!」
ダラダラと冷や汗を流しながら、必死に言い訳をしていた。
ガイアとはそう変わらない身長の、緩やかにウェーブがかった黒髪にキリッとした瞳。
一般的に見ても整っている方であると言える顔立ちの、騎士鎧を身に付けた男性が、だ。
手をあわあわと動かしながら、さながら命乞いでもするかのように捲し立てている様は、誰がどう見ても『やっちゃった側の人間』である。
そんなゴーディンに向かってガイアはうっすらと微笑み。
「そうかそうか、それは災難だったな。
……しかし、おかしいな。俺が与えた任務は"清泉町への定期伝令"だったはずなんだが?
ここは囁きの森。目指す場所とは真逆の場所だぞ?
それに、"たくさんの人"なんてこの辺りにはいない。いるとすればヒルチャールかスライムだけだ。
さては……水浴びをしている彼女を、覗こうとしていたな?」
ーー躊躇いなくとどめを刺した。
「あ、あはは……
……伝令騎士ゴーディン、これより任務に戻らせていただきまーす!」
「大人しくしやがれ」
「ぬわーっ!汗が凍り付いて動けないーっ!
許してくださいガイアさん! ほんの出来心だったんです! どうか慈悲を!」
「裁くのは俺じゃあない。そうだな……今手が空いてそうだったのは確か……リサだけだったか。お前さんの処遇はあいつに任せることにしようじゃないか。
よかったな? 美人なお姉さんと二人きりだぞ、男としては本望だろう?」
「事実上の死刑宣告ですよねそれ!?
やめろー! 死にたくなーい! 死にたくなーい!」
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「……ん? おい、なんかあっちの方から声が聞こえてこないか?」
「ヒルチャールの鳴き声とかじゃない? いつものことでしょ。
今はそれより……はふぅー、気持ちいいー……」
「あ、ずるいぞ! オイラも入りたい!」
「パイモンの出汁……じゅるり」
「オイラはスープの具材じゃないぞ!?」
男たちが去っていった囁きの森から、少し離れた湖にて。
火スライムによって温められて出来た即席の温泉を、噂の旅人ーー蛍とパイモンは、ひっそりと満喫していた。
その姿を、危うく覗かれそうになっていたとは露知らずに。
正しく、知らぬが仏とはこのことである。
こうして、今日もモンドの平和は守られた。
ありがとう西風騎士団、ありがとうガイア先輩。
~完~
騎士ゴーディンはあの後、超電導を試す実験材料になりました。慈悲はない。
原神の二次創作増えろ(迫真)。
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