メガテン世界だけど仲魔がデビチルデザインな件について (あきゅおす)
しおりを挟む

イントロダクション

デビチルの悪魔デザインもいいものだということを伝えたかったので初投稿です。


 青年が立っていた。右手には血のようなものがついた剣、左手には銃、そして汗を流し大きな呼吸をしているという即パクられてもおかしくないレベルの不審者ルックだった。その周りを金髪翠眼、緑のノースリーブとハーフズボンを着た、小学生ぐらいの男の子が背中から羽を生やし飛んでいた(・・・・・・・・・・・・・・)

 

「ぜぇ…ゼぇ…。ピクシー、周りの様子は!?」

 

 ピクシーと呼ばれた男の子は指を軽く振る。すると、そよ風が生きたように建物の隅々まで行き届いた。

 

「んー、大丈夫!」

「おっけ、こっちもエネミーソナーに反応なし。…終わったぁ!今日も生き残ったぁ!」

 

 周りに敵がいないのを確認した後、警戒を解き武器を持った両手をあげて喜びを表す青年。

 

「葛葉から見たら雑魚レベルとはいえまだなって間もないサマナーを一人で出動させるとかマジ葛葉。…まぁ1回で学生にしては大金をもらえるからいいけどさぁ」

 

 武器をしまい、愚痴りながら葛葉と呼ばれる組織の担当者あてにメールを作り、送信を押すと背伸び。

 

「ごめんね、ボクが前線で戦えたらいいんだけど…」

「後方支援で役立ってるから気にすんな。見た目それなのに前線で戦えさせれるかよ。なんもかんも葛葉が悪い」

 

 そういうと、青年はしまった銃を軽くたたく。用途や見た目からGUNPと呼ばれる銃型コンピュータみたい、とあっち側の住人は思うだろうがその実全く違う。その銃は本来であればこの世界にはない、デビライザーと呼ばれる代物だった。葛葉が管理していた、使用不可で廃棄前のGUNPに混ざっており、なんの因果かこの青年に与えられてしまったのである。なお、葛葉からは使えるならそれを使えとお達しが来ている。

 

(メガテン世界でテンションをあげるべきか下げるべきかですごく悩んだ上に自分だけデビライザーで縛りプレイってなんでだよぉ!)

 

 青年を現在の1番の悩みはこのデビライザーの性能である。仲魔にしてデビライザーに入れる際に能力が落ちてしまうことと見た目がガラッと変わる…ぶっちゃけデビチルデザインになってしまうことである。

 

 能力が落ちる分に関してはその分コストも下がるから悪いことばかりではないが、青年は生きるためだったら支出は惜しまないたちなのでどちらかというと性能をとりたい。

 

 見た目に関しては青年が仲魔にできるレベルだと子供や可愛い動物になってしまうのが多いので、仲魔の能力が下がっているのも相まって前線に出すのをはばかられる、と青年は自ら前線に出てしまうのだ。高位のデビルだったら戦わせても大丈夫そうな見た目ではあるのだが、駆け出しである青年にはまだ仲魔にすることができないのだ。そもそも交渉しミスったら死ぬのでそんなリスキーなことはできない。

 

 なお、能力が落ちる部分に関しては半分誤解しており、高位であればあるほど能力は落ちなくなっていくということを青年が知るのはまだ当分先の話である。

 

 

「…お、メールだ。ってまた変態どもからか。削除だ削除」

「…あはは」

 

 デビチルデザインになったことにより、別の需要が生まれつつあるのだが、青年はことごとく跳ね返している。青年の仲魔は見た目が違うというのは知れ渡っているがピクシー(金髪翠眼ショタ)シルフ(布一枚)ウィンディーネ(スク水)etc…を愛でさせてくれ!と業の深い依頼が現在進行形で来るのである。そっち系の依頼するやつからは同族扱いされているとおまけ付きで。

 

「…さて、帰ってご飯にするか」

「今日の当番はウィンディーネだったよね?楽しみー」

 

 仕事の後片付けをすまし、家に帰った青年を待っていたのは。

 

「ハスハスハスハス!」

「いーーーーやーーーー!」

 

 ウィンディーネのお腹あたりに抱き着いて顔をうずめて嗅ごうとしているようとしている不審者な美女と必死に逃げようとしているエプロン姿のウィンディーネの姿だった。

 

「おや、お帰り。早かったね。ピクシー君もお帰り。さっそく脇をおかずにご飯を」

「オマエカエレ」

「いやだなー、冗談だよ。ウィンディーネちゃんのご飯食べたら帰るからさ。なんならウィンディーネちゃんでも」

「カエレ」

「ああん、いけずぅ」

 

 青年にしばかれ、よよよと泣いたふりをする美女。ウィンディーネがぶぶ漬けを出すと美味しそうに食べていた。ちなみに彼女は元ダークサマナーであるが、青年の仲魔を見てあっさり寝返った経歴を持つ、非常に腕の立つ(残念な)サマナーである。実は今日も割とヤバめ(世界崩壊レベル)の案件をこなして来た帰りなのだ。仲魔もガッチガチなのだがメギドラオン持ちピクシーとかWブースター大冷界ユキジョロウとかを持っている時点でお察しである。

 そうこうしているうちに美女はぶぶ漬けを食べ終わると、またウィンディーネに抱きつこうとしていた。

 

「こんなんが…っ!こんなんがトップクラスのサマナーなんてっ!」

 

 悔しさをにじませながらこんなんをウィンディーネから引っぺがす青年。こんなんに守られて、今日も日本は平和であった。




デビチルアリスのデザイン、僕は好きです。異論はもちろん認めます。(挨拶)

メガテンっぽさを受け継ぎつつ、子供向けにポップにした秀逸なデザインだと思います。(性癖が歪みそうなのを直視しつつ)

個人的に特に歪みそうなのは…バステトですかね…。(ケモノ、ナイスバディ、メカクレ(片目)、胸を髪で隠している)。検索かけて出てきたカードのやつを見たらヤバかった。
通常のメガテンシリーズでは出てない悪魔が出たりとか、デザインがガラッと変わっているのあったり。ランダとか誰だお前!?ってなるデザインも多いので電子の海で探してみんな、見よう!

※後書きにて感想と正反対のこと言ってたので修正しました。
メガテンっぽさあったりなかったどっちだよ(自問自答)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

前世の知識があっても間違う時だってある/アルケニー

一話につき1体ずつ悪魔にスポットライトを当てつつタイトルに出していく書いていこうと思います。アニメ版リスペクト
なお最新話の場合はタイトルでの悪魔名表示は伏せます。


「誘拐未遂事件?」

「ああ、いつの間にか誘拐されるという。ただ夕方とかある程度するとかえってくるし、しかも子供たちが無事に返されるおまけつきだ。そしてなんでかそのあと親は怯えながら被害届を下げている」

「なにそれ」

 

 昼休み。飯を食べようとした青年に葛葉から依頼が来た。仲魔たちと話すために学校の屋上で給水塔に隠れつつ話し始める。召喚(コール)しているのはピクシーとユキオンナだ。ちなみにユキオンナは真・女神転生シリーズで言うところのユキジョロウであるが、違いとしては髪は短く後ろで束ね、着物の裾はミニスカぐらいまでなっており、幼くなっているのが特徴だ。某美女曰く、「将来いい感じのツンデレさんになりそうな美少女だ。それと足をp」らしい。

 

「誘拐された子供たちはすごく丁寧に扱われているらしくてな、楽しかっただのご飯が美味しかっただので自分が誘拐されたという認識がなくて。それで一応誘拐未遂事件として扱われちゃいるがいつのまにか誘拐されているから警察も尻尾を掴めないらしい」

「うーん?警察の範疇なのになんで葛葉から来てるの?」

 

 紙パックの牛乳をちゅーと吸いながら疑問に思ったことをそのまま口に出したピクシーに青年は答える。

 

「それが誘拐された子の中の一人が、お姉さんが腕が何本もあるマジックをしてくれたと言ったんだとか。すごーいというとお姉さんはすぐ腕を消したらしい。ちなみにその子は見える子だとか」

「あ、それは葛葉さんたちに回る案件だね」

「子供にやさしい多腕の女性…?」

 

 うーんと頭をひねっているユキオンナ。多分厄介な美女が見ていたら気配を消して下から舐めるように見ていただろう。

 

「ふん!」

「ぎゃん!」

 

というか実際に青年が蹴ると美女に突き刺さった。そのままの勢いで転がる美女。

 

「いやいそうだなとは思ったけどさお前マジでいるのかよ…」

「ふふふ…、我ながら完璧な隠形だったのによくぞ見破った…」

「隠形では全く分からんかったけどお前の思考回路分かりやすいからな」

「とすると私の考えをトレースしたのか、同志の素質があるぞ?」

「願い下げだバカ野郎この野郎」

 

 こいつは無視しといて、と一拍。

 

「一応、前世での記憶ではカーリーっぽい感じはするんだけどなぁ。伝承とは全く違うからなんとも言えない」

 

 ちなみに青年の前世とかメガテンのこととかは美女の他心通により見抜かれ、隠すのもめんどくさいので仲魔と美女には伝えている。

 

「ふぅん、カーリーか。君が見たゲームではカーリーは子供好きな側面もあったんだ」

「と言っても自分の子供の件だったしなぁ。しかもたぶん1作品だけだったし」

 

 デビチル白の書において、カーリーは娘を誘拐されて、その犯人に命令されて主人公である葛()将来に襲い掛かったことがある。その後、誘拐された娘を返すと仲魔になってくれるので義理堅さもある。

 ちなみに犯人は天使である。ほんとメガテン世界の天使はろくな事しないな。

 

「多腕は仏教かインドの神様に多いっていうのもあるけど、虫系統の悪魔でもいるからな。もしかしたらそっちの可能性もある。…まぁ今回の悪魔は穏便にことを済ませているようだし、交渉でなんとかなる可能性もあるから」

「それに私もついていくしねぇ?戦闘になっても大丈夫さぁ!」

「…移動中は仲魔は戻しておくぞ?」

「そんなー」

 

 

 

 

 

 

 

「恥ずかしい」

「まぁまぁ元気出して。牛乳いる?」

 

 美女の仲魔であるヘルズエンジェルのバイクを使い、サクッと移動した青年と美女。ちなみにバイクだけ取られて還っていくヘルズエンジェルは悲しそうだった。

 

 移動先の公園で美女が隠形されているが速攻でそれっぽい気配を感知し、気配の主に交渉を持ち掛けると快く応じてくれた。その気配の主とは…アルケニーだった。しかも真シリーズの見た目(デザイン)ではなく、デビチルの見た目(デザイン)である。

 

 来る前にはあそこまで語っていた青年だったが、結局違ったため、手で顔を覆いながら体育座りしている。ピクシーが慰めようと飲みかけの牛乳を渡すところを美女はガン見していたが、青年の代わりに交渉をしているのでそちらに意識を戻した。

 

「…すまない、欲望を抑えるのに時間がかかった。それで今回の誘拐犯は貴女で、その、アルケニーでいいんだよな?」

「え、ええ、そうよ」

 

 美女が語っている通り、一般のアルケニーと今目の前にいるアルケニーの見た目は全然違った。一般のアルケニーは全裸で手足が鎌に近い形になっている髪型ボブで前髪パッツンの美女なのに対し、このアルケニーは手が6本あるワンピースを着たロングヘアの美女なのである。

 

 自分の知っているアルケニーとの見た目の違いに戸惑いながら話す美女と似たように、牛乳飲んでるピクシーのどこに欲望が向いたのかを戸惑うアルケニー。割とドン引きしている。

 

「で、だ。まず何から聞けばいいのか…。変な聞き方になるが、その見た目は?」

「ああ、これね。半年前に交渉したサマナーに変なGUNPに入れられて出された後、この見た目になっちゃって。まぁ入れる前にちゃんと説明も受けたし、慰謝料をもらった後、契約を解除してもらったわ」

 

 その言葉を聞き吹き出す青年。

 

「あの、もし…?」

「なにかしら?」

「もしかしてこんな銃でしたか?」

 

 そう言ってアルケニーに銃を見せる青年。アルケニーはんー?と銃を見た後、笑顔で答えた。

 

「そうこれこれ。最近同じタイプが出回ってるのかしら?でも使えないから廃棄するって言ってたのに…」

(また葛葉かよぉ!というか使用不可で使えなかったんじゃないのかよぉ!?)

 

 これを葛葉に問い詰めると、使用不可じゃないけどめんどくさいから使用不可ということにした、という回答が返ってくるだろう。

 すっごい渋い顔する青年に気付いたのか、アルケニーはこう続ける。

 

「あー、もしかして君、その廃棄品をつかまされた口?」

「…はい、そうです。葛葉に」

「それはご愁傷様」

 

 青年がさらに落ち込んだのをしり目に美女が話題を変えて、今日ここに来た案件の処理を進めようとする。

 

「それでだな。誘拐を起こした理由に関して聞かせてもらいたいんだが?」

「ええ。といってもなんてことないわ。子供たちがかわいそうでね」

 

 というのも、このアルケニーは家庭に問題のある子どもを誘拐しており、一時だけでもいいから辛いことを忘れてほしいということで手厚くもてなしているのだそうだ。ただ誘拐事件に発展し、サマナーからも追われる展開は避けたかったため、だから1日しないぐらいで返していたらしい。ちなみに親たちにはなるべく穏便(・・・・・・)にその問題を解決するように促したとか。

 

「…あー、なるほど。しかしどうしてまた子供を助けるようなことを?」

「この姿になってから何故か、ね…」

 

 立ち直った青年が疑問を投げかけるとどうしてかわからないといったように返すアルケニー。本人もなんで変質したか分かっていないらしい。

 

「ここら辺の子供たちはもう大丈夫そうだし、あなたたちが来たからやめるわ」

「…わかりました。今後は起こらない、ということでうまいこと報告しておきますんで」

「ちなみに何かしら起こした場合は私が対処しますので。具体的にはイタズラにはイタズラを、死には死を、セクハラにはセクハラを」

「…まぁ、起こさないようにするわ」

 

 悪意がないのが分かったのでとりあえずこの悪魔はそのままでいいだろう、と結論付けた青年は放置することにした。そしてクギを指していると思わせつつ隙あらばセクハラをいれようとする美女。

 

「それでこれからどうするんですか?」

「そうね…、しばらくはまた衣料関係でフリーランスでもやろうかしら」

「人間社会に溶け込んでる…」

「慰謝料としてもらった隠形で腕を隠すと溶け込めるわよ?時々、見える人がいるから気を緩めると大変なことになるけど」

「慰謝料とはいえ何教えてんだよ葛葉」

 

 あれか?この世界の葛葉はアホなのか?と頭を悩ませる青年であった。




アルケニーは文中にあった通りデザインがかなり違うため、片方から入った人はもう片方のデザインに最初は驚かれると思います。今となってはメガテンシリーズでのお尻から糸を出している方が見慣れているまでありますが、よくよく考えたらキレッキレのデザインですね…。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

穴があったら落ちたい/アーマーン

「…ねぇ、質問なんだけどさ」

「なんだ?」

 

 葛葉からの依頼で訪れた異界化した廃ビル。マグネタイトの節約のため、ピクシーだけをコールし最上階を目指している道すがら、半目になりながらピクシーが質問してくる。

 

「なんで落とし穴に落ちていくの?」

「…落とし穴巧妙に隠してあるし」

「落とし穴を知らせるアプリを入れているのに?」

「…本当に落とし穴か気になるじゃん?」

「本音は?」

「マッパー故致し方なし」

 

 オートマッピング機能があったら埋めたくなるのはマッパーの性だからしょうがないね、と言いながら青年は落とし穴の反応を示したところに喜々として飛び込んでいく。そのせいで普通に最上階に行く時間の倍はかかってそうである。下の階層に着地した(ピクシーはふわーっと降りてきた)あとも会話は続く。

 

「はぁ…。毎回仕事が終わるたびに生き残ったぁ!だの死ぬかと思った!だの大騒ぎしているのに、なんで自分からリスクを」

「一応リターンも兼ねてるんだなこれが」

 

 この世界の異界化に関しては分かっていないことも多く、そのため少しでもデータが欲しいというのが葛葉の実情でもある。何が落ちている、主は誰だ、罠はどんなものがあるか、異界化した際のマップ構造の共通点はあるか、などなど。

 

「だから急がないといけない依頼以外はこうやってデータ収集で追加報酬をもらってるんだ」

「だけど追加報酬なくてもマッピングするんでしょ?」

「これも全部ATLUSってやつのせいなんだ」

 

 再び呆れるピクシーから目を逸らす青年。前世ではボウケンジャーでもあった。

 

 そんなこんなで見え見えの罠に突っ込んでいき、時間を使ったりもしたが、青年とピクシーはどうにか異界の主がいると思われる屋上の扉の前まで辿り着いた。

 

「この廃ビルのデータも取り終えたし、あとは主を倒すか交渉するか…と思ったけど」

「明らかに殺意が漏れてきてるね…」

 

 交渉の余地はほぼなさそうだなと思いつつ、戦闘の準備をするためにデビライザーに繋げてあるスマホを操作する。

 

「…よし。コール、ジャックフロスト!」

「ヒーホー!」

 

 呼び出しに応じて出てきたのは数少ない、デビチルでもデザインの変わらないジャックフロストだった。そのためか強さもこの世界のジャックフロストと変わらないため、青年は重宝している。

 

「今日も頼んだぜ、ジャックフロスト」

「もちろんだホー!」

 

 準備を整え、扉を開くとそこには…

 

「ヒィィぃぃ!」

「逃げろ逃げろクソ悪魔ぁ!」

 

異界化されたせいか屋上とは思えない広い空間と主と思われる強力そうな魔獣アーマーン、その主に対してマグナムをぶっ放す見知った顔を見つけた。

 

「…一度戻ってくれ」

「うん。…頑張ってね」

「ヒーホー…」

 

 見間違いであってほしいと思い、一度扉を閉じ開くと変わらないどころか今度はグレネードランチャーをぶっ放していた。

 

「ア!ソコノニンゲン!」

 

 青年が顔をしかめながら扉のところで突っ立っているとアーマーンが気付きすごい速さで近付いてくる。グレポンの着弾も主を追ってる。

 

「タノム!タスケテクレ!」

「ごめんなさい、ボクはあなたを退かしに来た人間なんでちょっと近づかないでもらえませんか!?…って扉消えてる!って爆発がぁ!つーかそのなりで二足ダッシュは超キメェ!」

 

 扉に逃げ遅れ、爆発が近くなるため青年もアーマーンから逃げるようにダッシュする。アーマーンはワニの頭、ライオンの前足、カバの後ろ足を持っているのだが、実物は二足で動いていた。

 

「あぁん!?お前もこいつの仲間かぁ!?」

 

 ぶっ放してる少女はハッピー状態になっているのか、すごい凶悪な笑みを浮かべながら青年にもサブマシンガンを向けて何発か撃つ。

 

「あっぶねぇ!待った、俺だ俺!」

 

 慌ててなぜかそこらへんに転がってる大きなコンクリート片の影に隠れながら赤ずきんに声をかける。と同時にアーマーンも転がり込んできた。

 

「ちょっ、なんで入ってくるんだよ!」

「イイジャネェカ!シナバモロトモダ!」

「良くねぇ!」

 

 慌ててアーマーンを影から蹴り出し、爆発もそちらへ向かうように誘導する。アーマーンはまた影に隠れようとしたがグレポンの偏差撃ちに気づきコンクリート片と反対方向に逃げた。

 

「…あん?見た顔だな。っつーかお前か」

 

 少女がグレポンでアーマーンを牽制しながらコンクリート片の影からひょいと顔を覗かせるとそう青年に声をかけた。もちろんサブマシンガンの銃口もむけながらだったが、顔を見知ったやつだと認識すると銃はしまった。

 

「…顔を確認してから撃てと前も!」

「へーへー、うっせーな。当たらなかったからいいじゃねーかよ」

「隠れる場所なかったら当たってんだよ!」

 

 指で耳をふさぐ真似をする少女だが、その間もグレポンで主を追うように撃っている。

 

「グレポンの爆発音より小言のほうがうるさいのか…」

「お前が来たということは葛葉ん連中か。ちっ、お前葛葉にチクるんじゃねーぞ」

「分かってる分かってるから殺意込みの眼差し向けんな」

 

 合法非合法問わず金さえもらえれば依頼を受ける悪魔殺し専門の少女とはこれまで何度もバッティングしており、そのたびに銃で皮一枚撃たれたり、火炎放射器で尻を焼かれたり、直撃は避けたグレポンの爆風で吹き飛ばされたりといろいろ被害に遭っている。青年は赤ずきんを着せたらさぞ似合うんだろうなと思いつつも言ったら吹っ飛ばされると思い黙っている。

 

「ちっ、遊ぶヒマもなくなっちまったか。それじゃあサクッと」

「待て待て。ちょっと交渉させろ」

 

 葛葉が絡んでいることを知り、いたぶるのを切り上げてサクッと始末しようとする少女に対してアーマーンに交渉を仕掛けようとする青年。

 

「…7:3」

「9:1」

「お前ホント手厳しいなぁ!しかもそっちが別口で受けた依頼からまるっともらうんだろ!?」

「楽しみの邪魔をした迷惑料だ」

「いやお前ほんっと…。あーもう。分かった!8:2だ!」

「毎度ありぃ」

 

 葛葉からの報酬の分け前を決めてニッコリと悪い笑みを浮かべる少女をしり目にアーマーンに向き直る青年。

 

「おい」

「ナ、ナンダ?」

「仲魔になるか殺されるか。5秒以内に決めろ」

「エッ」

「5…」

「ナカマ!ナカマニナル!」

 

 グレポンやマグナムに吹き飛ばされるよりはましだと思い、仲魔になるのを選ぶアーマーン。

 

「交渉成立だ。ちなみにこの中に入ると見た目変わるからな」

「エッ」

 

 さらになんか言おうとしたアーマーンだったが、言う前にデビライザーの中に吸い込まれていった。

 

「…よし。さて帰るか。お前はどうする?」

「こっちの依頼人に報告してからてめぇんとこに金取りに行く」

「分かった。…あー、多分あいつもいるからそのつもりでな」

「…ちっ」

 

 帰っていく少女にそう声をかけると舌打ちをして去っていった。

 

「さて、メールを送って…」

 

 主を失い異界化から解き放たれたビルの屋上で報告と後処理を行いつつも、めんどくさそうなため息をつく青年であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで新人紹介だ」

「ナンナノダコノスガタ!?」

「着ぐるみだね」

「着ぐるみですね」

「んー、ケモい姿になるかとおもっとけどこれはこれで…」

 

 家に帰り、青年とその仲魔(とやっぱりいる美女)に紹介するため召喚(コール)されたアーマーンは自分の姿に驚愕した。ファンシーなワニの着ぐるみになっていたのだ。しかも本体は着ぐるみの口の中にある黒い球体になっていた。

 

「オイ!スガタカワリスギダロ!」

「嫌だったらこれからあいつが来るから引き渡すけど…?」

「コノママデイイデス」

 

 爆風との追っかけっこが相当堪えたのか迷いなくこのままを選ぶアーマーンだったが、体の変化に違和感があるため、腕をグルグルしたり、その場で足踏みしたりしている。

 

「おや、あいつというのは?」

「カリンだ。今日バッティングしてアーマーンと交渉のため、報酬の8割持ってかれるけど」

「へぇ、またぼられたねぇ」

 

 ケラケラと笑う美女にため息をつく青年。そのときチャイムがなり、来客を告げた。

 

「はーい…。あ、お姉ちゃん!今開けるねー」

 

 ウィンディーネは玄関ののぞき穴から少女―カリンの姿を確認すると、嬉しそうに戸を開けた。すると、先ほどの殺気塗れの少女とはうって変わり、明るいどこにでもいる普通の女の子だった。

 

「お邪魔しまーす!」

「いらっしゃい、カリンちゃん!」

「ありがと、ウィンディーネちゃん!」

 

 ウィンディーネが家事に戻るのを見ると声をいつものトーンにして(低くして)青年に話しかける。

 

「…おい、キチンと金は取ってきたんだろうなぁ?」

「相変わらずの猫かぶりだねカリンちゃん!」

「ふん」

「こゆびっ」

 

 変わりっぷりをいじってきた青年の小指だけを力いっぱい踏み抜き、カリンは美女に向き直る。

 

「ユイお姉さんもお久しぶりです!」

「いやー、ほんと久しぶりだね。あと私への対応は地でいいんだよぉ?」

「んー?これが私の地ですよ?」

 

 何言ってるのかわからなーいときゃぴきゃぴしているカリンであるが、少し冷や汗かいてるのがわかる。

 

「ホント、自分より上の人の前だと猫被るねぇ。まぁそれこみで好きだけど」

「猫被りは分からないですけど私もお姉さんが好きです!」

 

 よしよしとカリンの頭をなでる美女――ユイとそれで嬉しそうにしているカリン。その足元には小指を踏み抜かれて転げまわっている青年がいた。ちなみに骨折していたので後ほどユキオンナにディアをかけてもらった。

 

「オオ!マエガムキヤスイ!コノカラダモナカナカダナ!」

 

 なお体の違和感を感じていたアーマーンだが、ぬいぐるみ体になって前が向きやすくなり生活しやすくなって喜んでいるのをここに記しておく。




デビチルのアーマーンはデザインはかなり変わっていますが、特徴は残っているので初見でも「あれ?アーマーンじゃね?」って分かるポップなデザインなのがすごいと思います。まぁ他にワニっぽい魔獣っていないってのもあるかもしれませんが…。
あとメガテンのアーマーンってどう行動してんのだろうと思いD2を起動してみたところ、そう動くんかーいとなりました。真正面に攻撃するのダルそう。

そしてカリンのキャラがなんか見たことあるな…と思ったあなたはボクと握手!書いてる途中でネオジオの某ソフトがswitchに移植される記事が出ちゃったししょうがないよね。
ちなみに漢字で書くと狩林と書きます。リスペクト元の超必からもじりました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

いろんなそしき/ハーピー&ランダ

 青年は当初は葛葉やその他の組織、ダークサマナーが集まる犯罪組織が主に活動していると思っていたが、この世界ではガイア教、メシア教も活発に活動しているため、様々な勢力が群雄割拠している(ものすごくカオスな状態になっている)。メガテン的に言うんだったら組織的な属性がLawとChaosだけでなくDarkとLightもあるみたいな。

 となると、やっぱりその分だけ組織の戒律もたくさん出てくる。例えば人様に迷惑をかけない程度に自由にする組織とか、ゆるーい戒律を持つ宗教とか、力を持つ者こそ厳しい戒律を守らなければならないとしている修行僧みたいなグループとか、一見ちゃんとした戒律を持っているが曲解してても守っていればOKとかいうやべーところなどなど。まぁLawとChaos、それぞれの先端にいるのはやはりガイア教とメシア教であるが。

 

 余談ではあるが、どっからか電波を受信したのかよく似た名前でガ…ガイアッ教なるものもあるが、教義は言わずもがな(百合の間に挟まりたい)である。ちなみにDark-Natural。カウンター組織(挟まる奴ら絶対に殺すマン)たちが信徒を見つけ次第葬っていたりするが。

 

 青年は葛葉を主軸としていろいろな組織の依頼を受けているフリーのサマナーのため、いろんな組織に顔を出している。…といってもまだそれぞれの担当者と顔見知りというレベルだが。今回もそんな葛葉とは別の組織から依頼を受けたことから始まる。

 

 

 

「んあ?」

 

 スマホで依頼のメールをチェックしていると不思議な依頼が目に留まる。差出人はこれまで何度か依頼を受けた組織だったが、内容は今までに受けたことのないものだった。

 

「異界攻略だけど…?」

 

 詳細な内容を見てみると、どうやらその組織では新人のトレーニング用に異界を囲っていたらしいが、その異界に何故か高位の悪魔が住み着き新人がサクッとされてしまった。その悪魔以外は新人には持ってこいのため、その悪魔をどうにかしてほしいとのこと。

 

 報酬はよかったがこっちも新人に毛が生えたレベルの腕なのでお断りのメールを入れようとするが、なんとなく気になったため、とりあえず人んちのPCで勝手に動画をあさっている美女(ユイ)に相談することにした。ツッコミ入れるのもめんどくさかったので青年は何事もなかったかのように話しかける。

 

「ということなんだが」

「うーん、クサ過ぎる」

 

 その言葉に近くで日向ぼっこしてたアーマーンがビクッと反応する。

 

「キミじゃないから。今は柔軟剤のいい匂いさぁ。…あー、なるほどねぇ」

 

 PCをいじってははーんとなってるユイ。

 

「いい勘してるねぇ」

「何か分かったのか?」

「慌てない慌てない、1つずつ解いていこう。そもそもさ、この組織はなんでわざわざ囲っていた異界を他のサマナーに教えてるんだい?」

「手に負えなくなったからじゃないのか?」

「それだったらその組織の強いやつに頼ればいいじゃない。確かあそこの組織はそこそこのサマナーがいるはずなんだよ」

「そいつにも手に負えかったとか?」

「昨日の依頼の途中で見かけたからそんなことはないはずさ」

 

 それを聞き首をかしげる青年。ユイはキーボードを叩きながら話を続ける。

 

「ちなみにその依頼自体は少し前から出回ってるねぇ。そしてここにその組織の極秘資料とまとめたものがありまぁす」

 

 PCのディスプレイには組織の人数やら個人情報やらが書いてあり、最近の組織の増減がまとめられていた。

 

「少し前まで下がっていたのに最近は上がり始めてる」

「そっ。時期的には依頼メールが出回り始めてからだね。ってことはさ…」

「この依頼を受けたサマナーが取り込まれている…?」

 

 よくできましたぁ、とニヘラと笑うユイ。

 

「でもなんでまた…」

「そこでこの異界さぁ」

「…洗脳とかか?」

「んー、その手もあるけど対策済みのサマナーもいたりするから。もっと人間社会寄りのものさ」

 

 ユイが再びカタカタとキーボードを叩くとどこかのカメラ映像が流れる。そこには今回の組織の人物と雇われたサマナーと思われる2人の話声が聞こえてきた。要約すると…。

 

「高位の悪魔と戦って大けがしたのを手当てしたからその分組織で働け、ねぇ」

「別バージョンでは異界が消滅したからその分の損害を吹っかけてるねぇ。」

 

 ちなみにその異界を作った悪魔、それを乗っ取った高位の悪魔、ともに組織の悪魔っぽいねぇ、とユイが付け加える。

 

「いやー、ほんとマッチポンプだねぇ」

「うわぁ…」

 

 で、とユイは青年に向き直る。

 

「これを聞いた君はどうするんだい?」

「…ちなみに主と高位の悪魔の情報は?」

「えーとね…」

 

 

 

 

 

―――――――――

 

「…依頼を受けてくれる人(カモ)からメールが来ました」

「どんな奴だ?」

「少々特殊な悪魔を使うらしいですが、サマナーとしての実力は下の方だと思われます」

「ふむ…。働きアリは何匹いても困らんからな。丁重にもてなしてあげなさい」

「かしこまりました。今回もいつものハーピー(主役)ランダ(高位の悪魔)で大丈夫だと思います」

 

 

―――――――――

 

「…あー、うん。なるほど」

 

 悩むように声を出した青年を見て察したユイは声をかける。

 

「もしかしてどっちかがあのデザインになる…?」

「いや、どっちもだ」

 

 その言葉を聞いた瞬間、ユイは座った状態のまま天に向かって両手を突き上げる。

 

「天は…っていうとなんかメシアンっぽくて腹立つから運は我に味方した…っ」

「だけどなぁ…」

「なんか問題でもあるのかい!?」

 

 新しいデビチルデザインの悪魔が見れると聞いて興奮を隠せないユイに青年は言葉を返す。

 

「ハーピーだけならまだしもランダもいるとなると交渉どころの問題じゃ…」

 

と言いかけた青年だったが、その瞬間に両肩をつかまれる。

 

「護衛を請け負おう。報酬はハーピーとランダのデザインチェンジだ」

「お、おう」

 

デビチルデザインの悪魔のことになると相変わらずキャラぶれるよな、と思いながら青年はユイに護衛を頼むことになった。

 

 

 

 

 

 

 そこからの展開は早く、ユイが真正面から襲撃、組織の総力なぞ物ともせず、カラクリを暴露して組織の犬になってた人たちを味方につけて壊滅させた。襲撃の際に真っ先にしたことは2体と契約をしていたサマナーのCOMPを速攻で壊すことだった。なぜ契約しているサマナーを知っていたかは誰にも分からない。

 

 

「あー、なるほどね。髪質が…」

「そうなのよね。ガッチガチに固まってるのよ、これ。他の悪魔からも松ぼっくりってからかわれるんだけど。これさえなければワタシも…」

「そんなあなたに朗報が」

「聞くわ」

 

 

 

「グググ…、ワシが負けるとは…」

「もうCOMPも壊れてるし、契約を守らなくても…」

「この見た目!この年!もう契約しか守る(縋る)ものが…」

「そんなあなたに朗報が」

「聞かせい」

 

 

 その間に青年は隅っこの方で解放された2体との世間話を交えた交渉をしていた。怪しい通販みたいな感じになってしまったが、2体とも速攻で食いついたためすんなり仲魔にできた。弱くなるのも伝えているが、2体にとっては些細なことらしい。

 

 総力戦が終わり安全になった後、確認してもらうためすぐにコールすると、

 

「まぁ!髪を変えられるだけじゃなくて服も自由に着替えれるのね!」

 

 コギャル(死語)になったハーピーと

 

「むほほほほ!イケイケでナウくなったわい」

 

 死語を連発する――被り物は変だが――アラビアン風の装いの美少女が出てきたため、ユイがいつも通り襲い掛かろうとしたのであった。いつも通りに青年に対空されて落とされていたが。

 




この2体に関してはデビチル ランダとかデビチル ハーピーで検索してもらうとすぐに出てきます。メガテンと全然違うデザインなんで、ぜひ一度見てください。検索してもらうためにこの1話を書いたまであります。
ランダはメガテン版のデザインの方も味もあり、強敵感もあって好きです。ハーピーはすごく…松ぼっくりです…。

話はメガテンっぽいマッチポンプとデビチルデザイン悪魔で話を書こうとしたら迷走した感じが。ぐぬぬぬ



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話という名の設定ミスフォロー

今回の新悪魔はいません。代わりに登場人物が増えるよ!


 現実の技術が発達するにつれてゲーム中でのCOMPも変わってきた。

 最初はラップトップパソコンだったが、2でハンドヘルドコンピュータ、if...でアームターミナル、3は…あれってどうなってるんだっけ…。4はガントレットと呼ばれてはいるがifのアームターミナルに近いもの(可愛いOS付き)、4Fはスマホ(声が渋い魔人付き)。

 

 外伝的なものに逸れると、デビルサマナーではGUMPをはじめとした様々な形のCOMP、デビチルではGUMPっぽいデビライザーとキングライザー、デビルサバイバーでは3DS型と携帯電話、D2ではスマホ。ライドウは逆に過去なので封魔管というオカルト的なものだった。ラストバイブルに関してはファンタジーなので普通に召喚していると思われる。

 

 青年が使っているデビライザーはGUMPの扱いと変わらず使えるのだが、デビライザー単体では召喚、帰還しかできないのでPCやスマホとかに繋いだりしてデビライザーに出し入れしている。

 カリンが使っているのはGUMPなのだが、特に仲魔にしているものはいないので単なる重りになっている。交渉する暇があったら弾ブッパするというのは本人の言。仲魔を弾にしてる漫画もあったことを青年は知っていたが、さすがに可哀想なので黙っていることにした。

 ユイはというと普通にGUMPを使っていたが、一度ラストバイブルの話をしたところ、ぼんやりと掴んだらしく、本人曰く、「こう…はっ!という感じで」出せるようになった。COMPなしで。戦闘中は安定しないので相変わらずGUMPを使っているが、それでもプログラムなしで召喚しているとかこいつだけラストバイブルから来てない?と青年は内心思っていたが、彼女に関しては常識に当てはめること自体が間違っているのでそれ以上考えるのも止めた。ちなみに悪魔合体もそんな感じでできるらしい。何もんだよこいつ。

 

 長々とCOMPや召喚方法について書き出してきたが、つまるところ筆者が語りたかっただけである。ちなみに一番好きなのはifのアームターミナル。ごちゃごちゃした機械とゴーグルwith制服の組み合わせがすごい好き。デビライザーの容量がパンパンなのである。上述の通り入れ替えなどはできるが、腰を据えてしないといけないので戦闘中はできない。某元凶とかアプリとかでの容量の拡張ができたらよかったのだがそれも無理。ちなみに他のCOMPなどの召喚方法も試してみたがなぜかうんともすんともいわなかった。

 

 青年はこの世界に来てからアタッチメント、もしくはキングライザーを目にしたことはないがデビライザーがあるのならあるだろうと希望は持っている。お金を稼ぐ目的もあるが、アタッチメントとキングライザーの情報を得るため、青年はいろいろな陣営に顔を出し、いろいろな依頼をこなしているのである。…一度、ユイをSP代わりにしておけばよくね?とも思ったが仲魔のストレスがマッハになりそうなのですぐに脳内から消した。

 

「どうしたもんかねぇ…」

 

 依頼用のメールボックスに目を通すが、タイミングの悪いことにフリーでも葛葉経由でも特に依頼は入っていない。まぁ今すぐ必要でもないし気長に探すか、とメールボックスを閉じ背伸びをする。そっちの強化ができないなら自分の装備の強化と思い近くの商店に出向くことにした。

 

 

 

 

 

「いらっしゃい…お主か」

 

 カランコロンとドアに付いたベルが鳴り店主がちらっと見るが、青年の姿を確認するとすぐに興味を失い作業に戻った。表は漢方薬などを取り扱っている薬屋だが、裏では武器・防具を取り扱っているため、ダンジョンに潜る場合や依頼の準備にはうってつけの店なのである。ちなみに店長は見た目は幼女だが何歳なのかは誰も知らない。

 

「ラインナップは?」

「特に変わってないな。…いや、新しいのを1つ入荷したな。これじゃ」

 

 そういって店主が指し示した先にあったのはデビライザーとは違うが、それと同じ系列のものであると分かる形の銃―――キングライザーだった。青年は自分が望んだものが予想外の場所にあったのはうれしいが、それよりも先に胡散臭さを感じ顔をしかめた。

 

「…どうしたのこれ?」

「いやなに。自称新参者が今後ともごひいきにとのことで安くで売ってきたんじゃ」

「ちなみにどんな見た目だった?」

「えらいチャラチャラとした服装の若者じゃったな」

 

 自分の想像していたのと違い、ホッと安堵する青年。よかった、デビライザーを運ぶだけの運送屋さんはいなかったんや…!と思っていたのもつかの間。

 

「う”ぃじゅある系といったらいいのかのう。首の周りにふさふさをつけて体に鎖を巻いておったな」

 

 その後の店主の言葉を聞き、飲み込んでいくにつれて安堵から酸っぱい顔になっていく。

 

「名前とかは聞いた?」

「確かるしふぁーと言っておったな。ばんどまんの偽名じゃろうけど」

 

 名前を聞いた瞬間両膝をつく青年。チャラチャラした服装で若く見えるのルシファー…最初に思い浮かんだのはデビチルのルシファーである。デビチルのルシファーと言えば主人公たち(刹那と未来)の家系図を複雑にした元凶の一人。異種間でありなおかつ異父兄弟がいて異母兄妹(もしくは姉弟)がいるって子供向けのゲームなのにさすがアトラス。

 

「いや待て落ち着け。本当にただキングライザーを銃と思って売りに来ただけのただの一般人ルシファーさん(偽)の可能性も…」

 

 銃を売った時点でただの一般人もクソもないことに気付かないぐらい動揺しつつよたよたと立ち上がると、カランコロンと来客を告げるベルが鳴った。

 

「いらっしゃい。…げ」

「遊びにきたよぉ!」

 

 客への対応と思えぬ声を上げた店主だったがそれもそのはず。出禁にして入れない様にしても入ってくる厄介な奴(ユイ)が来たからだ。

 

「お主、どうやってこの中に!?結界張ってたのに!?」

 

 結構奮発して結界張ったのにも関わらず、それすら歯牙にもかけず入ってくるユイに戦慄する店長。

 

「おやぁ、キミもいたのかい」

「あっさり結界壊すとか何もん…いや今更か」

 

 ユイの特異性に呆れる青年だが、それを否定する店主。

 

「…壊れてないんじゃよ」

「え?」

「普通だったら壊れて気付くはずなんじゃが壊れてないんじゃ」

「結界が不良品なんじゃ?」

「確認はしっかりしたからないはずじゃ」

 

 店主は顎に手を当て少し考えたあと、分からんと首を振りユイに質問した。

 

「お主、どうやってここに?」

「ん?悪魔がよくするいつの間にか現れていつの間にかいなくなるっていうのを真似したらできてさぁ。出かけるときとかに便利なんだよねぇ」

「え?」

 

 ユイが手を軽く振るうと空間が切れ、なんか奥にうねうねした空間が広がっていた。

 

「こんな感じ。まだ実験段階だから自分しか安全な保障がないけどね」

 

 あははーと笑うユイをよそに引きつった笑みで顔を見合わせる青年と店主。

 その日の店主は荒れに荒れ、買い物は値段の割り増し…はされなかったが、いらないものや買う予定ではなかったものまで買わされた青年であった。店主の八つ当たりということはわかっているが、年下(?)の八つ当たりに付き合ってあげるのも年上の務めだと思い、甘んじて受け入れた。ユイは青年の家も出禁になった。

 

 

 

 

 

「まぁそんなの関係なく入ってくるんだけどねぇ」

「知ってた」

 

 その出禁はその日のうちに破られ、するすると入ってくるユイには目をくれず、キングライザーの調整をする青年。

 

「ん?何してるんだい?」

「今日、店で買ったやつの調整。多分俺が使えるやつだ。しかも入れる奴が増えるはず」

「本当かい!?」

 

 入れる奴が増える、というのはデビチルではクラスがあり、その中でもキングクラスはデビライザーに入れることはできず、キングライザーに入れることができるのである。ただしキングライザーはアタッチメントを付けないと3体までしか入れることができない。

 

「んー、今は3体までしか無理か…。まぁ戦闘で召喚数が増えるのはありがたい」

「ちなみに召喚できるようになったのって誰がいるんだい?」

「ええとな…」

 

 今まで仲魔にできなかった悪魔を思い出して口走る青年。

 

「あ、そういえばこっちでもランダが召喚でk」

「Hurry」

「あっはい」

 

 実は前回仲魔にしたランダだったが、仲魔にできるだけでデビライザーからの召喚はできなかったのである。前回出てきたランダはユイのサモンで召喚されたこと(辻褄合わせしたこと)を追記しておく。

 

「あれから私がサモンしようとしても出てこなくなったからさー頼むからさー出してよー」

「あんたのせいでキングライザー手に入れるまで引きこもられたんだぞ自重しろ。というか他人の契約した悪魔も呼び出せるとかお前ほんとになんなのさ…」

「さすがに仲間内じゃないと呼び出せないし、()()戦闘中は不安定になるから呼び出せてないんだけどぉ?」

「それでもだよ…ってまだぁ!?いずれ呼び出せるようになるのかよ!?」

「ゲームの召喚方法って参考になるよねぇ」

 

 普通のサマナーであれば自分が契約した悪魔は自分でしか使役できないはず(契約を上書きした場合などは別)だが、ラストバイブルではパーティ内であれば契約した者以外でも召喚・帰還ができるのである。やっぱりラストバイブルの世界から来てない?




やっべ、ランダのクラスキングじゃん。どうやってデビライザーで召喚してんねん。

どっかで修正せんとなー

そういやラストバイブルの召喚方法…。せや!


ガバ設定を立て直そうとしたら変態に強化フラグが立ったでござる。ちなみにラストバイブルに関しては軽く調べましたが家にあったGB版を触って以来長らく触ってませんので、設定ガバガバの可能性ガガガガガ


ちなみ店主のデザインは同じATLUSの世界樹の迷宮Ⅲ、もしくはXの店主であるネイピアを思い浮かべていただければ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

そんなに重大じゃない事件の話/マメダヌキ

 近年のメガテンでは種族の追加でフードというひと際目立つものがある。ほとんどは日本由来なのだが、なんでかチュパカブラも分類されている。今回はそんなフードに分類される悪魔のお話。

 

「まさかこんなに早く終わるとは…」

 

 雨が降り続いているとある日。青年に依頼が入りいつもの防具をつけ現場の一軒家(結界)に踏み込んだら雲消霧散したという不可解な事象に遭遇。青年が微力ながらも反応するエネミーセンサーを頼りに近づいていくと、うずくまってる悪魔を発見した。その瞬間、青年は察した。

 

「うごごごごご…。皮が…皮が…」

 

現場の一軒家(結界)が巨大な陰嚢自体であったことに。

 

「うわえんがちょ」

「えんがちょとは何かえんがちょとは!ワシの○○をそんなもの(スパイク)で踏みおってからに!」

「いやそんなもん(○○)で結界作るからでしょ」

 

 ブチ切れている結界の主…マメダヌキに対して冷静にツッコミを返す青年。

 マメダヌキ。人を化かす狸であり、その際には幻術と巨大な陰嚢を用いて化かすと言われている。その大きさは一軒家の広さにもなるとか。

 

「そんで。なんで結界なんか…」

「結界も何も雨宿りしてただけなんじゃが」

「…ああ。なるほど。そりゃあすまなかった」

 

 ここ何日か続く雨のせいか、ととりあえず納得する青年。お詫びに、とピクシーを召喚し袋にディアをかけつつ(ピクシーはすごい嫌そうな顔をしていたのだが、後ほど機嫌取りにホールのケーキをプレゼントされて喜んでいた。チョロい。)悪魔からもらった美味しい酒を渡しつつ話を続ける。そのお酒に気をよくしたマメダヌキも話に応じてくれた。

 

「まだここに住み続ける予定?」

「雨宿りがてらいるだけじゃ。この雨が止んだら立ち退くわい」

「あー、そうしてくれ。一応こっちからは葛葉の方には報告しておく。ただ止んだらすぐに立ち退かないと葛葉の連中が退治しに来る可能性があるからな」

「あい分かった」

 

 …そういって別れたのが数日前。事の経緯を葛葉に説明して待ってもらい、雨がやっとで降りやんだので青年はアフターフォローも兼ねて再びマメダヌキの元に向かった。

 

「えぇ…」

「すまんのぅ。これは予想外じゃったわ」

 

 ぱっと見一軒家の横にちょこんと座るマメダヌキは申し訳なさ半分、困惑半分で青年に謝った。

 マメダヌキの陰嚢が化けた一軒家が迷い家になってしまったのである。

 

 マメダヌキのマメ(?)ダヌキが迷い家になってしまったのである。

 

「これ解除できないの?」

「解除しようとしているんじゃが、強い力によってできない状態なんじゃ」

「具体的には?」

「解除しようとするとギリギリ千切れないぐらいのレベルでたまが引っ張られる感覚」

 

 違う、そっちの具体さじゃないと思いつつも想像してしまい、下の方に寒気が走る。

 

「強い力の元ってのには心当たりは?」

「そうじゃな…。多分、この前の雨が影響していると思われる」

 

 それを聞き、ああ…と納得する青年。青年も雨が止んだ後で知ったことだが、その雨にはとある神が関わっておりそれをとある変態が解決したのだ。つまり自然の雨ではなく神の流した雨だった。その事件は関係者が口をつぐんでおり詳細は分からない…はずなのだが、青年は変態から直接聞いたためある程度影響ありそうと思っていた。

 

「しかも雨の後に干せてないのじゃがそのせいで蒸れて蒸れて」

「止めろ」

 

 中に入って原因を取り除けば…と思っていたが、マメダヌキのいらない一言のせいで入る気がなくなった。

 

「すいません、この前のマメダヌキなんですけど。…ええ、ちょっと厄介なことがありまして…。一軒家になってた部分が迷い家に…。いや、冗談じゃないです。なんかこの前の雨の影響とか本人…本ダヌキ?は言ってまして。え、この前の一件で人手不足だから担当変更どころか増援も出せないって?そんなー」

 

 誰かにこの一件を任せたいという望みにかけて葛葉の担当者に電話するが、迷い家自体はそう危険なものではない(むしろ家具を持って帰ると幸運をもたらすといわれている)ため変わらず青年が担当する羽目になった。

 

「そしたらこんな案は…。あ、それでいいですか?」

 

 担当者にさらなる提案をしたところ、OKをもらったのでその案を実行することにした。その案とは…。

 

「なぁ、その一軒家小さくできたりしない?もしできたら、迷い家がどこか行くまではうちの庭に居ついていいからさ。自分の監視付になるけど」

「おお、小さくできるぞい。迷惑かけるのぉ」

 

迷い家が出ていくまで監視できる範囲に放置することである。無理やり迷い家を追い出そうとするとどうなるか分からない、そもそも迷い家がどうやったらなくなるのか分からないため、この案が安全だと思ったからだ。ちなみに先ほどの電話で監視も依頼の一部にしたので少しではあるがお金が入ってくることになった。

 迷い家が抜けたあともマメダヌキは青年宅に居着き、なんだかんだで仲魔になることになった。見た目はリアルな狸からマスコット的な見た目になったそうな。




何も考えずに書いたら下ネタと例のアレネタがやばかったので書き直してました。


マメダヌキは最近のシリーズ(ⅣFやDSJ)でレギュラーになりつつあるので見る機会が増えた気がします。それ以前ではデビチル以外にでてたっけな…?

デザインはⅣFやDSJだとぱっと見普通の狸の上に一つ目の鬼?の幻が見える感じですが、デビチルデザインではディフォルメされた狸の頭の上に紐っぽいのが2つ飛び出ている感じでした。当時はぬいぐるみっぽいなと思っていましたが、今考えるとあれってそれだよな…。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

デフォルメるのがほとんどだけどときたま本家に近い/ヤマタノオロチ

「ふふふ…。この召喚が実行されれば…」

 

 とある建物の一室。床には魔法陣が書かれており、その中央で魔導書と呼ばれるものを手に持つ怪しく笑う女が一人立っていた。

 女が日本語ではないものを発音すると、足元の魔法陣が怪しく光りだした。それが大きく光り、爆ぜようとした瞬間、ドアが蹴破られ、何かの音がしたと思うと光が萎んでいった。女がドアの方を見ると、銃を構え、額に汗を流している男が立っていた。女が足元を見ると銃弾で魔法陣の一部が削れていた。

 

「そこまでだ」

「また…」

 

 女はキッっと忌々しいものを見るように男を睨みつける。

 

「また邪魔をするのですね…!」

「ああ、何度だって止めるぜ…!」

 

 それはなんて事のない、

 

「コンビニに買い物に行ってほしいだけなのに!」

「ちょっとしたことでバカでかい召喚をするアホはな!」

 

 魔力の規模はデカいのに目的がショボい一事件であった。

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

 

「あー、はい。いつものバカが外に出るのをダルがって…。ええ、召喚も止めました。自分がこってり絞った後、出頭させますんで…」

 

 激しくバトりそうな流れから脳天チョップ一閃で決着がついた後。緊急の依頼をしてきた葛葉に電話する青年の言葉を女が正座で泣きながら聞いていた。報告が終わり、青年は改めて女と向き合う。

 

「頼むから外出るのめんどくさいからっていちいち召喚で済ますのやめてくれ」

「だっでぇ…」

「だってもクソもない」

 

 部屋に入った直後は暗くて分からなかったが、青年が電気をつけると女の服装はジャージだった。しかも胸元に○○高校、その下に田中と書いてある。ちなみに女…田中は高校卒業済みである。

 

「はぁ…。バカでかい魔力を感知したから急いできたけど、今度は何を召喚しようとしたんだ?」

「ヤマタノオロチ」

「バカじゃねぇの!?なんでコンビニにお使い行かせるのにヤベーやつなんだよ!というかせめて人型を…いや違う。なんでそいつを…」

「媒介になるのがお酒しかなくて…、それでお酒っていったらヤマタノオロチしか思い浮かばなくて…」

「お酒でももっと他にいるだろぉ!?」

「そんなに怒らなくてもぉ…」

 

 そう口ごもってまたスンスン泣き始める田中。青年はため息をついて面倒くさそうに頭を掻く。

 

「何買ってくりゃいいんだよ?」

「バスクケーキ」

「地味に旬過ぎてるな…。ったく、最初っから俺に連絡しときゃいいのによ…」

「悪魔の方が信頼できるし…」

「契約って意味ではそうだけど、そのあとどうなるか分かんねーのに…。顔合わせがてらランダとハーピーおいていくからな」

「ピクシーきゅんは!?」

「お前には会わせん」

「そんなー」

 

 以前監視がてらピクシーを置いたらトラウマになったらしく、今後引き合わせないことを頼まれたのを思い出したので、大丈夫そうなランダとハーピーを召喚することにした。

 

「ちなみに肉体に精神が引っ張られたせいかパリピだから頑張れ」

「えっ」

「あ、おはつ?よろよろ~」

「はじめまして~!成人が高校時代の芋ジャーって漫画あるあるでリアルじゃ初めて見るけど…一周回ってありじゃね?」

「それな!」

「ぐ、グワァァァァ」

 

 青年もあのテンションについていけないのだが、それ以上の耐性無しにヤバい召喚をしようとした罰としてわざと2人をあてがう。きゃぴきゃぴしている2人とは対照的にまぶしさのあまりに腕で目元を隠す田中。青年はそれを確認した後、コンビニへと向かうのだった。

 

 

「…で、帰ってきたのはいいけど」

「「「うぇ~い!」」」

「ウェ~イ!」

「なんで頭だけ召喚されてるんですかね…」

 

 バスクケーキを購入して帰ってきた青年が見たものは、酔っぱらってる3人と頭だけ魔法陣から出ているヤマタノオロチの姿だった。

 

「完全に止めなかったから中途半端になったらしく…」

「…あっぶねぇ」

 

 また変態に借りを作るところだった、と安心する青年。

 

「…で仲良くベロンベロンになってるけどこれは契約済みだよな?」

「あっ」

「アッ」

「えっ」

 

 

 

――――――――――――――

 

「ええ、今度こそ大丈夫です。件のヤマタノオロチは契約してキングライザーに入れましたから…。ええ、まさか儀式が再起動するとは…」

 

 契約されていないことに気付いたヤマタノオロチがさらに大量の酒を求めて暴れる前に青年がなんとか説き伏せ(変態を召喚し)、契約、キングライザーに入ってもらった後。青年は改めて依頼主に報告をした後、大きくため息をつき女に向き直る。ちなみに件の変態はヤマタノオロチの容姿がほとんど変わらなかったのを見て残念そうに帰っていった。

 

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

「いや、今度のは自分も油断していたのが悪かった」

「ですよね!」

「秒で開き直んな!お前のやらかしたことが原因だぞオラァン!」

 

 田中がちょっとフォローしたらすぐに付けあがる性質ではあるのは知っているが、気を抜いて魔法陣をそのままにしていた自分にも非があるので謝る青年だったが、案の定付けあがったのですぐさま牙をむく。

 

「とりあえず買ってきたバスクケーキを喰ったら葛葉に連れて行くからな。たっぷり絞ってもらえ」

「やだなぁ…。お部屋に籠りたい」

「ならすぐさま召喚に頼る癖を直せ」

「だって悪魔の方が信頼できるし…」

「さっき聞いたっちゅーねん。ほれ、ブラック」

「ありがとうございます…。はぁ…」

 

 田中はもろもろあって人間より悪魔を信頼している。そのせいで以前、大きな事件を引き起こしたのだが、まぁ変態がどうにかしたので割愛する。

 

「うっし、じゃあ行くぞ」

「ううう…、さらば我が部屋…」

「離れたくないなら自重しろよ…」

 

 芋ジャーから黒のセーターにジーンズに着替えた田中にツッコミを入れつつ、青年は一緒に葛葉へ向かうのだった。




お久しぶりでございます。くだくだしてたら夏も終わってました…。

ヤマタノオロチはデビチルでは珍しく、ドット上では本家デザインに近いものとなってるなーと思い書きました。図鑑にもなってた白の書の攻略本が手元にあればまたどんなデザインかちゃんと確認できたのですが…。致し方なし。

 純血合体元のオロチは可愛らしい(?)ヘビというかツチノコみたいだったので、急に本格的デザインになるとはたまげたなぁ…。

次回はちょっと試したい書き方(掲示板方式)があるので遅くなるかもしれませんが、なる早で書きたいと思います。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

真・悪魔を愛でるスレ126/バステト

祝!真・女神転生Ⅴ発売!(約1週間遅れ)
なお中身は全然Ⅴとは関係ない模様。


1:名無しの悪魔使い

このスレは悪魔の想いの丈をぶちまけつつも雑談していくスレです。

次スレは980を踏んだら立てるように

 

 

 

 

 

 

125:名無しの悪魔使い

いいなー、俺も仲魔とラブラブしてーなー

 

126:名無しの悪魔使い

代わりに危険域まで精気吸われるから覚悟しろよ。俺はできている

 

127:名無しの悪魔使い

それぐらいでラブラブできるなら差し出すに決まってんだろ

 

128:名無しの悪魔使い

いつもこいつら覚悟ガンギマリしてんな

 

129:名無しの悪魔使い

そらユキジョロウちゃんのためなら

 

130:名無しの悪魔使い

精気吸われるよりも凍死が死因になりそう

 

131:名無しの悪魔使い

話変わるけどまた例の人新しい悪魔増えてるのが目撃されてるな

 

132:名無しの悪魔使い

マジで?ソースはよ

 

133:名無しの悪魔使い

画像ハラデイ

 

134:名無しの悪魔使い

つ(普通のネコマタをポップにしつつもメカクレグラマラス全裸の部分はそのままにしたような悪魔が味方にマカカジャをかけている姿)

 

135:名無しの悪魔使い

>>134 !?!?!?!??!?!!?

 

136:名無しの悪魔使い

あーっ!いけません!

 

137:名無しの悪魔使い

消される!消される!

 

138:名無しの悪魔使い

悪魔の画像だからセーフ

 

139:名無しの悪魔使い

いや肖像権的にアウトだろ

 

140:名無しの悪魔使い

悪魔に肖像権ってあるのか?

 

141:名無しの悪魔使い

これ元はなんだ?ネコマタっぽいけど

 

142:名無しの悪魔使い

撮ったやつ曰く、指示出してるの聞くにはバステトなんだとか

 

143:名無しの悪魔使い

これがバステト…。ふむ

 

144:名無しの悪魔使い

ネコの仲魔は万病に効く、ばっちゃが言ってた

 

145:名無しの悪魔使い

元はエジプト神話感満載だったけどこれはあまりにもスケベ…もといイメチェンしすぎじゃない?

 

146:名無しの悪魔使い

メカクレ、ナイスバディ、ケモさ、全裸

ネコマタと同じ属性だがポップさが加わるだけで別の魅力が

 

147:名無しの悪魔使い

しかもこう…なんか母性が

 

148:名無しの悪魔使い

例の人の仲魔で性癖に刺さりそうなのってほかに誰がいるっけ?

 

149:名無しの悪魔使い

>>148 ピクシーきゅん、ユキオンナ、ランダ、ハーピー、ウィンディーネ、ネコマタはぱっと出てきた

 

150:名無しの悪魔使い

大抵は元がそんなに強くないのとしか交渉できないらしいしな

 

151:名無しの悪魔使い

シルフもいたはず

 

152:名無しの悪魔使い

ユキオンナはオンナってよりもムスメって感じが

 

153:名無しの悪魔使い

セクシーなおねえさん(自称)だからしょうがない

 

154:名無しの悪魔使い

オキツネさまだっけ?あれの元知らないんだけど

 

155:名無しの悪魔使い

確か放置されてた神社の神様だったはず。あの銃に入ったら若返ってああなったとか

 

156:名無しの悪魔使い

また依頼のメール送らないと。お祈りメールしか来た事ないけど

 

157:名無しの悪魔使い

なんで断るのにお祈りメールなんだよ…。就活の地獄思い出すじゃねーか

 

158:名無しの悪魔使い

お祈りwwwwメールでwwwwダメージを食らうサマナーwwwwwww

なんで俺以外にいるのか

 

159:名無しの悪魔使い

見ただけでキュートでもありセクシーでもありクールでもあるとか無敵過ぎない?

 

160:名無しの悪魔使い

そうそうこういうケモさもいいんだよ。

 

161:名無しの悪魔使い

ニアころしてでも うばいとる

 

162:名無しの悪魔使い?

まーた知らんところで情報流出しとる

 

163:名無しの悪魔使い

この?は…デザチェン兄貴!?

 

164:名無しの悪魔使い

出たな俺らの味方にして敵

 

165:名無しの悪魔使い?

なお現在ボディガードは例のHENTAIに任せています

 

166:名無しの悪魔使い

ガチガチに固めてると見せかけてそのボディガード裏切らない?(仲魔が)襲われなかった?

 

167:名無しの悪魔使い?

>>166 あー、今回は大丈夫そう

 

168:名無しの悪魔使い

>>167 今回はで草

ダークサマナーから寝返ったと聞いた時は絶対スパイやろと思ったけど、その実単なる同類だもんな

 

169:名無しの悪魔使い

同類(業界最強クラス)

 

170:名無しの悪魔使い

そんなことより撮影の依頼って出せますか?

 

171:名無しの悪魔使い?

>>170 だめです

 

172:名無しの悪魔使い

>>171 絶許

 

173:名無しの悪魔使い

>>171 夜道には気をつけろ(写真的な意味で)

 

174:名無しの悪魔使い

>>171 1枚だけ!1枚だけでいいから!

 

175:名無しの悪魔使い?

だって一個でも依頼受けたらメール爆撃してくるだろ!

 

176:名無しの悪魔使い

>>175 残当

 

177:名無しの悪魔使い

>>175 一度スキ見せたらしゃぶりつくす

 

178:名無しの悪魔使い

>>175 おら!仲魔だしな!まだ持ってんだろ!

 

179:名無しの悪魔使い?

お前ら本当はダークサマナーだろ

 

180:名無しの悪魔使い

>>179 正義のサマナーなんです!本当なんです!性癖に忠実すぎるだけで!

 

 

 

 

 

「ってことになっててだな…」

「そうなんですか?」

 

 掲示板で起こったことをざっと説明し頭を抱える青年。その話を聞き、バステトはまぁ!と手で口を隠すような動きで驚いていた。ちなみに現在は非戦闘時で青年の目のやり場に困るので縦セーターとジーンズを着てもらっている。目は泳いでいるが。戦闘時は集中しやすいように服を着せてはいないが、青年としては着てほしいなーと思っていたりする。

 

「バステトさぁん、おかわり」

「かしこまりました。よく食べてくださいね」

 

 そして先程の話にも出てた通り、唯がボディガードとしてついており、ついでに今日の当番であるバステトの作った夕飯まで食べていた。ちなみに唯はバステトに手を出そうとしてないが、それは初対面のときに「なんだろう、襲いたくなる見た目だけど襲っちゃいけない雰囲気が…。これが…バブみ…?」と新たな境地に目覚めたからである。

 

「邪魔なやつならぶち殺したらいいのによぉ…。あ、バステトさん、ごちそうさま!おいしかったですぅ♪」

「オソマツサマでした。お口にあったようでなによりです」

 

 ついでに飯をタカりに来た狩林もいたりする。こちらは「なーんかバステト…さんには逆らえないんだよな」と首をひねっていた。分かる。

 

 ちなみにバステトは豊穣や性欲を司りつつ、家庭を守ると信仰されていたのに加えて、初めのころのバステトは「ラーの目」として人を罰する神だったらしい。(Wikipedia参照)

 それを踏まえてデビチルデザインのバステトを改めて見ると、メカクレによってもう片方の目を意識させつつ、ナイスバディにも意識をもっていかせようとしているところから、どちらの意図も取り入れてると思われるから恐れ入った。

 

 それはさておき。

 先ほどのスレにあった通りバステトはここ最近青年の仲魔になった。

 とある神様が悪さをしていたのでそれを止める際に共闘し、そのまま仲魔になってくれたのである。ちなみにとある神様自体は唯がサクッと解決しました。なんで人間なのに八艘飛びできるんですか?(畏怖)

 青年はというと、本来であればその依頼を受けるまでに達していないため参加しないはずなのだが、たまたま唯が依頼を受けた際に近くにおり、気が付いたら唯の(ヘルズエンジェルの)バイクに二ケツさせられていた。戦闘の方ではサポートに徹し、魔法は使えないからアイテムをぶん投げていた。ナバールかな?

 ただ、戦闘の規模が規模だっただけに、何人かのサマナーとも共闘したため、バステトのことが漏れたのだと思われた。

 

 

「あの戦闘の規模だったしバレるのもしょうがないけど節操ねぇなこいつら…」

「ご迷惑をおかけしてしまって…」

「ああ、別に悪いことしたわけじゃないんだ。謝らないで」

「…ありがとうございます」

 

 恐縮してしまったバステトに青年はフォローをいれる。上目遣いに加えて笑顔でお礼を言うバステトに見惚れてしまったのは内緒だ。

 

「あれぇ?照れちゃってる?」

「そうですね、照れてますね!…はっ、童貞丸出しでクッソ笑える」

「うるせぇ!特にカリン!」

 

 内緒にできてなかったのは言わずもがなである。

 

 




デビチルのバステトはメガテンでいうところのネコマタ枠です。デビチルのネコマタが子供受けしやすいデザインになった代わりにバステトで差しに来てる(極論)

文中にもあった通り、改めてデザインを見直しつつ某ネット上の百科事典を読み直すと、伝承をなぞりつつもアレンジ(迫真)を加えているデザインということが分かったので改めてすごいなと思いました。(性癖を植え付けそうなことから目をそらしつつ)

真Ⅴたーのしー


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

外伝・ハーベストですの/デメテル

この話は
・デビチル要素は(ほぼ)皆無です。
・DSJの追加要素(追加エンド)、および真Ⅴのサブクエのネタバレを含みます。
・真Ⅴに出てきたの悪魔に焦点を当てた話になっております。

以上の点にご注意ください。


「あ!」

「げ」

 

 特に依頼もなくぶらぶら出歩いてた矢先。厄介な悪魔に出会ってしまい、青年は思わず苦い顔をした。

 

「むー、なんで私に会うたびに苦い顔するんですの?」

「だって厄介な頼みを持ってくるじゃん…」

「初対面のときからそんな感じでしたの!」

 

 プンプンと頬をあざとく頬を膨らませる悪魔。その見た目とは裏腹に腹黒であるのだが、あざとさは腹黒さとは別で素で出しているのだからタチが悪い…と青年は思っている。

 

 それだけだったら青年もため息をつくだけで済むのだが、苦い顔をしたのは腹黒さとあざとさに加えて無邪気に厄介ごとを頼んでくるのである。しかも本人…本神…本悪魔…?ではないのだが、別の次元では頼みごとをするだけしといて主人公(金色バケツ)をだまして手柄をかすめ取り、それを彼女の主神に持っていくとかいうクソムーブをかましてくれるのでそれを警戒してしまうのだ。なお別の次元の彼女のその後は…自業自得ながらも悲惨な目にあっている。

 最新作(真Ⅴ)では連続するサブクエに出ており、最後の依頼後に仲魔になってくれるのだが、その前まで裏切る気満々だった。その最後の依頼の中での主人公の選択肢があからさまに別次元の主人公(カッコいい金色バケツ)に起こった出来事を意識されていたのは余談である。

 

「だけどちょうど会えてよかったですわ!ハーベストですの!」

 

 …その厄介な悪魔(彼女)の名前はデメテルという。

 

「んでなんの用だ?また厄介な頼みじゃ…」

 

 超カッコイイ金色バケツに起こった出来事や今までの依頼を思い出し、警戒しながら問いかける青年。

 

「今までのは結果的に厄介になったことは謝りますの…。ですけど、今回こそは簡単な依頼ですの!」

 

 そういってにっこり笑いながらデメテルは頼みごとを口にする。

 

「お友達と一緒にゼウス」

「却下ぁ!」

 

 厄介ごとじゃないといいながらものすごい厄介そうなことを口にするデメテルを遮って断る青年。

 

「あんなん倒せとか無茶いうな!いやあいつ連れて行ったら勝てるかもしれないけどさぁ!余波で死ねるわ!」

「倒せとは言ってませんわ!お話をしてほしいだけですの!」

「…話?」

「そうですの。最近、私たちの方でもそのお友達のお話が出てきますの。異次元を切り裂くだとかCOMPなしで召喚できるとか噂になってますの」

「…あー」

 

 心当たりがありまくるせいで思わず口ごもる青年。お友達かどうかはさておいて、もはや人間の範疇を超えてる変態が身近にいるのは確かである。

 

「それに、最近ストレス発散してないとかぼやいてましたので、好奇心を満たしてストレス発散ですわ!」

「最終的に戦闘になるやつじゃねーかそれ」

 

 絶対好奇心満ちたら落ち着くようなやつじゃねーんだよなぁ…、むしろ戦闘になるやつやんけ。と呟く青年。

 

「大丈夫!戦闘になりそうになったら私が止めますわ!」

「せめて戦うスキル構成になってから言ってくれませんかね…」

 

 ふふん!と(慎ましい)胸を張ってるデメテルだが、どちらかというと回復・バフ系の魔法が多いので戦闘では後衛である。

 渋い顔を変えない青年を見てムムムとなったデメテルだが、いい案を思いついたとばかりに笑顔で提案する。

 

「連れてきてくれたらあなたの家の庭をハーベストにして差し上げますわ!」

「すぐ連れてきます、女神デメテル」

 

 兵糧はいつの時代も大事だししょうがないね!と笑顔で答える金欠ぎみの青年だった。

 

 

…………

 

 

「…やっぱ受けなければよかったかな」

「ああなったら私でも止められませんの…」

「止める宣言はどこに行った」

 

 速攻で後悔する青年と速攻で止めるのは無理と悟った女神が離れた場所から人外と神様の戦いを見ていた。

 結論としては青年の予想通りになった。唯を連れてゼウスと話していたところまでは良かったものの、結局はゼウスが血がたぎっちゃったらしい。

 

「いいじゃねぇか!人間にしておくには惜しいぜぇ!」

「全知全能の神に褒められるとは照れる、ねぇ!」

 

 ゼウスがケラウノスを振り、唯が自作の剣で受け止める。そのたびに衝撃波と激しい金属音がなる。鍔迫り合いになった後、ゼウスが離れ際に真理の雷を放つが、それを読んでいた唯は回避する。

 ケラウノスってやべー武器だったはずなのになんでそれと鍔迫り合いできるんだあの剣…と思いながら遠くから眺める青年とデメテル。すっかりテンションが最高潮に達している2人が満足するまでやらせておくのが吉だと思い、青年はデメテルと話を続ける。

 

「んで、奴の話で好奇心を満たせた?」

「ハーベストですの!」

 

 デメテルは大きくうなずき、ご満悦な表情を浮かべたが、その後すぐに曇った表情になる。

 

「ただあそこまで異能を持っているといろんな神様が集まってきそうですわ…」

「まあ本人も楽しそうだしいいんじゃないかな。できるだけ巻き込んでほしくないけど」

 

 まぁ無理だよな…と青年はつなげようとしたけど、言霊という言葉を思い出してその言葉を飲み込んだ。

 

「ごっめーん!無理ぃ!どちらかというと君が起点だしぃ!」

「噓でしょ、起点俺なの?」

 

 戦いながらも話を聞いていたらしい唯がその言葉を発して青年のかすかな努力は無駄になったが。そして巻き込まれてるんじゃなくて自分が起点になっていることに絶望する青年。

 

「が、頑張ってくださいませ!そこを乗り越えれば黄金の稲穂に…」

「稲穂扱いはやめろぉ!」

「なんでですの!?」

 

 やっぱりなんか目論んでないかこのロリ女神、と思いながらツッコミを入れる青年。この世界は特にそういうの(黒幕)がいなさそうだが、ゲームでの暗躍を考えると安心できないないのである。

 

 ちなみに戦いの方は最終的に2人の武器をお互いの首もとに寸止めするまで続いた。これ以上すると本気になってしまうとのことらしい。なんで神と一対一で張り合えてるんですか…?




あけましておめでとうございます&遅れてすいませんでしたぁ!

年末に真Ⅴ周回していたら各ルート限定のサブクエを取り忘れていたことに気付いて意気消沈していました。

それはさておき、今回の話は真Ⅴ、デメテルに焦点を当てた話になったため、外伝とさせていただきました。腹黒(?)不憫ロリ女神もいいし、腹黒改心ロリ女神もいいよね…。

ゼウスがデビチル出てるからかすっているからセーフなのでは?と思った方もいるかもしれませんが、ゼウスがデビチルに出ているのはこの話を描いてる途中だったのでとりあえず今回の話では触れないことに。移植だけだと思ってたPS版の追加要素で出ているとは…。
ただ真Ⅴデザインのゼウスはかなりカッコいいのでそのままになるか、もしくは別デザインのものを出すか…(PQを思い出しながら)

引き続き書いていきますので、本年もよろしくお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

悪魔同士の恋愛的なのってなかなか見ない/????

 とある日。

 合同で人手もあるし楽そうであると思って引き受けた仕事だったが、予期していなかった強力な悪魔の襲来により他のサマナーたちが大打撃を受け、危機を一瞬早く察知し難を逃れた青年は彼らを逃がすために殿を務めざる負えなかった。蓄えてきた物資を全部放出し、仲魔もかわるがわる出し切り、それでも今までで一番死を覚悟した青年であったが、他のサマナーを逃し、増援(へんたい)が来るまで耐えきり、ともに(主にへんたいの活躍で)瞬殺、なんとか交渉で仲魔にできた。

 

「」

「おい、唯…し、死んでる…」

 

 その襲来した悪魔はメソポタミア神話で神々の母とされているティアマットであった。

 女神転生系列での古い作品では、デザインの差異こそあるものの、複数の蛇が体にまとわりついている複乳で、黒に近い鱗の肌を持つ女性というのがデフォルト(魔神転生やラストバイブルではまた違う姿である)であったが、ソウルハッカーズからは、大きな体に複乳、肌の色は青紫に近い色になっているが、首から上にはまた上半身が生えており、その上半身は腕が二の腕までしかなく、眼が複眼になっている。ちなみに上半身と首の間からは触手が生えている。

 …ぶっちゃけ文字の説明ではわかりづらいので各自画像を調べてほしいが、(ニッチすぎるが)ツボにはまる人にはハマるデザインになっている。

 

 が、デビチルになると蛇がまとわりついているのは変わらないがそれ以外が大幅に違っている。メカクレ、(たぶん)ボンテージ、そして鎖がまとわりついている。メカクレボンテージチェーン地母神。属性マシマシである。

 

 いろいろ性癖にヒットしてしまったのか、唯が青年から報酬でデビチルデザイン化したティアマットを見た瞬間、冒頭での死んでる判定されたのはこのせいである。

 

「…はっ」

「いや気を取り戻した風にしてるけど脈止まってたよね?」

「大丈夫、カロンには袖の下渡してきたからね」

「ガチで死んでるじゃねーか」

 

 さらっと自力で黄泉がえった唯はさておき。

 仲魔になったのはいいものの、性格が媒体で違っており、メガテンやデビダスでは残酷で短気と書かれているが、神話上では優しく寛大であったと書かれており(ちなみに怒ったあとは同じである)、この世界ではどちらなのかと思いビクビクしながらも話しかけてみることにした。

 

「あの…」

「ああ、先ほどは申し訳ございません。怒りが収まらず、周りに当たってしまいまして…」

 

 申し訳なさそうにするティアマットを見て寛大な方だとほっとする青年。話した感じだとダウナー系敬語お姉さんである。さらに追加された要素で唯は死ぬ。カロンに再び会いに行った唯をしり目に青年は話を続ける。

 

「ああ、お気になさらず…とは言えないですが、なんとか死者もでなかったですし。ちなみに怒った原因をお聞きしても?」

「いえ、召喚した者があまりにもあれだったものでつい…」

「なるほど…?」

 

 あれってなんだよと思ったけど、掘り起こしてまたぶちギレられたらたまらないと思い軽く流した。

 そこからは契約について説明をしつつ、ついでに家にたびたび襲撃をかける唯の変態性も説明しつつ青年の家へと戻ることになった。

 

 

 

 

 

「…なんで田中さんもいるんですか」

「あ、お帰りなさい」

 

 家に帰りついた青年を待っていたのは、すんごいいい顔で作り置きのバステト特製カレーをほおばっていた田中だった。服装は外着ではなく高校時代のジャージである。

 

「ん?お帰りなさい?」

 

 青年が田中のジャージ姿と言動に違和感を覚えると同時に電話がかかってくる。名前を見ると葛葉の使者からだった。

 

「お疲れ様ですこの前の件なのですが何回も繰り返されており注意だけという訳にもいかないので申し訳ないのですが田中さんを預かってもらうことになりました監視役として頑張ってくださいちなみに依頼ではなく半ば命令に近いものなのでお金も発生しませんごめんなさいそれじゃ!」

 

 一息で言い切られて呆気にとられ、反論する前に電話を切られた青年は「…ひどくない?」とぼやいた。まぁ使いの人も上からのお達しを伝えるしかないだろうしあの人に言い返してもしょうがないか、と思いため息をつく。

 

「という訳でよろしくお願いします。Wifiのパスを教えてください」

「家主に対しての一言目がそれかてめぇ」

「イベントが始まる前にアプデしたいんですよ!」

 

 青年はもう一度、今度は深いため息をついた後、パスワードの書かれた紙を渡すと田中はすぐに入力しソシャゲのアップデートを始めた。

 

「…なかなか特徴的な家ですのね」

 

 今回の仕事に赴いたのにも関わらず家事をしようとするバステト、そんな彼女を気遣い代わりに家事をしようとするウィンディーネ、予想外の激闘だったので青年からの臨時報酬としてもらったケーキを食べるピクシーと酒を飲むヤマタノオロチ、遊びに来たついでに田中の横で一緒にカレーを食べている一般人…に見えるアルケニーなどなど。悪魔たちが思い思いに過ごしている。ティアマットは用事のある時以外は召喚されてなかったのでこの光景は意外であった。

 

「最初は家事を手伝う代わりに召喚してたんだけど、いつの間にかこうなったんですよ。まぁ自分の召喚は特殊なんでマグネタイトを喰わないですし。とりあえず暇なときは自由にしていいんで。あ、カレー食べます?ついでに入れてきますけど」

「…食べたことないので、物の試しに少し入れてもらえるかしら」

「了解っす」

 

 はー腹減った、とぼやきながら台所へ向かう青年と入れ違いに、ウィンディーネに家事を任せることにしたバステトがティアマットに近づいてきた。

 

「ええと、先ほどの戦闘ではどうも」

「あっ、はい」

 

 第一声に困ったのか若干詰まりつつもバステトは話しかけ続ける。

 

「あなたと彼との契約も成ったことですし、そこらへんは水に流しまして…、よければお話しませんか?」

「…分かりました。さてなにから話したものか…」

 

 上目づかいで話しかけてくるバステトを見て、気遣う様子で敵意はなかったので、了承し、戸惑いつつも話題を探すティアマット。そんな2人の様子(若干のキマシタワー)を見て、青年は邪魔しない様に少し離れて様子を見ることにし、唯はメカクレ×カタメカクレの尊さのオーバーフローで本日三度目のカロンと邂逅を果たすのであった。




メカクレとカタメカクレはそれぞれからしか得られない栄養素があると思うんですよ(マガオン)

戯言はさておき、久々の投稿になりました。ほぼ1年ぶりの投稿とか本当に申し訳ねぇ…っ!今度はなるはやで書けたらいいな…。


直近の筆者のメガテン事情なのですが、ソウルハッカーズ2をプレイしました。賛否両論あると思うのでふわっとした感想に留めますが、自分は楽しめた側でした。ただソウルマトリクスは絶許。

とりあえず積みゲー消化も勧めつつ、この作品の筆の方も進めていきます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。