三玖を愛する転生者の話 (音速のノッブ)
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登場人物紹介(ネタバレ注意)

そー言えば、登場人物紹介ってもっと前に投稿しますとか言ってたような……………うん。気のせいって事にしておこう!

林間学校より先の本編ももうすぐ開始予定です。幕間の物語は、次の出番四葉かぁ……………どーしよっかなー。

ある程度この小説を読んでいる方向けです。






火野 総悟

 

身長 162cm

 

体重 53kg

 

誕生日 8月8日

 

血液型 O型

 

得意教科 全科目(前世では文系科目。学年トップクラスの成績だった)

 

苦手科目 特になし(前世では理系科目。苦手と言ってもテストでは平均よりちょい上の点数を取っていたが)

 

趣味 アニメ、漫画、ライトノベルの鑑賞や聖地巡礼

 

 

《概要 》

 

前世では、子供を庇ってトラックに轢かれて死んだ大学生の18歳だった。転生して大好きな漫画『五等分の花嫁』の世界で第2の人生を歩む。前世の記憶は引き継いでいるが『五等分の花嫁』に関する情報の大部分は神様に削除されている。アニメや漫画、ライトノベルが趣味の自他誰もが認めるオタク。転生前は小学生時にクラスのリーダー的存在をぶん殴った事が原因で、友達と呼べる人はおらず一匹狼状態だった。兄弟又は姉妹がいたが─────?性格は基本的にはフレンドリーでノリが良い(前世では一匹狼だったのでその性格が表に出る事はなかった)。ヘタレ要素も少なからずあったりする。そしてドSの愉☆悦部員。趣味関連の話となるとテンションがとても高くなる。身体能力・戦闘能力は神様のアドバイスを受けて幼少期から運動したり、武術などの色々な習い事をさせて貰っていたので高い。勉強分野も高校までの膨大な時間を使って、得意な文系科目と比べて劣っていた理系科目を得意にした為、完璧と断言できる。三玖の事は大好きだが、他の4人の事も嫌いではないので4人に困ったことがあれば協力したりする。

 

転生特典

①金持ちの家に産まれる

②専属の使用人メイドがつく

③あらゆるアニメや漫画、ライトノベルを見たり読んだり出来る(※総悟の前世でアニメ等の最新話が更新されたりするとタブレットにも反映される)

 

・神様特製のタブレット………総悟の宝具。このタブレットでありとあらゆるアニメ等が見れる。普通のスマホやタブレットのような機能は持ち合わせていない。漫画、ラノベはタブレットモードから紙媒体のペーパーモードにして読むことも出来る。基本的に見えないように魔術が掛けられているが、総悟の任意で切り替えは可能。いかなるモードであっても、核でも傷付かないようなとんでもない強度を持っている。

 

 

 

 

神様(真名:????)

 

《概要》

 

総悟を転生させた張本人。かつて人間だった。人間だった頃は世界を救いまくったらしく、その功績で神の座についており、天界の序列第1位。要は1番偉い。基本的には総悟の行動を天界から見守っていて特に手出しをするつもりはないが、たまに様子を見に顕現して総悟と話したり弄ったりする。戦闘能力は作中最────否。ありとあらゆる平行世界のいかなる人物でも彼に勝てる者はいないので、作中と言うより全世界最強。ただし、弱点は一応ある。

 

 

 

 

白水 星奈

 

身長 167cm

 

誕生日 11月11日

 

血液型 A型

 

体重 55kg

 

趣味 読書

 

総悟の専属の使用人のメイド。総悟が産まれるよりも前に、使用人メイドとして働いていた。綺麗な顔立ちで巨乳と、ルックスに関しては完璧に近い。人間離れした身体能力を保持していたり、武術に秀でているので戦闘能力は総悟以上にとても高い。仕事面では苦手が存在せず、完璧な仕事振りで家事をこなしている。仕事の関係で総悟の両親がともに家にいないことが多かったので、総悟とは幼少期の頃から一緒に過ごす事が多かった。その為、互いに絶大な信頼を置いている。今の総悟にとっては姉みたいな存在で、彼女にとっては総悟は弟みたいな存在である。しかし、信頼している総悟にも話していない、ある秘密が存在している─────。




……………気のせいではないですね、すいません。大分遅れました。まぁ色々と裏であったんです、はい。

ここに載っていた 総悟の兄弟又は姉妹、星奈さんの秘密、神様の真名については本編や幕間の物語で判明していく予定です。ただ、この小説の状況次第では神様の真名については途中でヒントが示されるかも…………しれないし、示されないかもしれません。まぁ、でも真名とかは気にせずいつも通り楽しく神様を見ていてやってください!もちろん、総悟や星奈さん達の事も!

今日も読んでいただき、ありがとうございました。



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プロローグ

五等分おもろいな→三玖可愛いな→五等分の転生もんの小説少ないな→じゃあ転生モン書くか

こんな感じの経緯で生まれたのが当作品。見切り発車はしてる、だが後悔はないッ!反応が良かったり、気がのったら続きをやります。

それではプロローグをどうぞ。


「ん…………………は??どこだ、ここは……………?」

 

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!目を開けたらよく分からん西洋造りの部屋に立っていた。な、何を言っているのか分からねぇと思うが…………俺も分からん……………。

 

「そ、そうか!夢かこれは!そりゃそうだよな、目を開けたら知らん場所に立ってるなんて夢しかあり得ないよな!そりゃそうだ!ハハハハ!」

 

「………………おーい、1人でぶつぶつ喋ってるそこの君ー、そろそろ良いかーい?」

 

「ん?」

 

後ろを振り向くと─────玉座にふんぞり返っている白いスーツの偉そうな男がいた。ああ、これはアレだ。結構横暴でわがままなめんどくさいタイプの

 

「だーれが、横暴でわがままなめんどくさいタイプだっつーの」

 

「なっ…………思考を読まれた、だと………!?」

 

「まー、僕は神様だし。そんくらい朝飯前だからねー」

 

「は?」

 

神様?GOD?俺の前で座ってるこいつが?

 

「そうには見えないけどな…………俺の中だと神様って言ったらもっとじーさんみたいなイメージなんだけど」

 

「君は縄文時代レベルの時代遅れだね」

 

「あぁ!?」

 

変な言い回しだが、イラッとさせるには充分の悪口だ。

 

「夢の中でもイラッとさせるな!現実では膨大な大学の課題でストレスが溜まってるんだから、せめて夢の中ではストレスフリーにさせろや!」

 

「……………ああ、君大学生だっけ?」

 

「おうよ!彼女歴無し=実年齢の童貞大学生だ!」

 

フッ、決まったぜ。俺の定番の自己紹介の台詞が!

 

「で、名前は?」

 

「スルーすんなよ!つっこめ!無視されるのが1番恥ずかしいだろうが!…………………名前?火野 総悟だよ」

 

「じゃ、総悟君。君、死んだんでよろしくねー」

 

「おう!………………………ん?シンダ?」

 

「そう、シンダ」

 

「……………………いやいやいや!夢の中だからって冗談きついぜ!俺がそう簡単に死ぬわけないだろ!」

 

俺は安全第一な主義だ。信号も守るし、曲がる時も左右の確認も徹底するし、未成年飲酒もした事がない。

 

……………まあ、正直守るのが当たり前の事だが。

 

「…………………やれやれ。どうやら事故のショックでど忘れしてるようだね……………」

 

そう言うと自称神様は指をパチンと鳴らすと視界から消え、辺りは真っ暗になると、目の前に映像が写し出される。

 

「あ?………………これは……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=================

「はー、いつも通り課題が大量……………頭にきますよ!」

 

大学からの帰路を歩きながら、講義で配られた鬼のような内容の課題の資料を見て教授に対して悪態をつく。あー、マジめんどい。

 

「こりゃ至福のアニメタイムはお預けか。五等分の花嫁見返したいってのに」

 

俺はアニメやラノベ、漫画が大好きなオタク大学生だ。数あるお気に入りの漫画の中でも現在ダントツで好きなの五等分の花嫁。内容も面白いし、ヒロイン5人がマジで可愛い。異論は認めぬ。その中でも俺が大好きな推しは三久だ。俺のハートはデレた時の可愛さと魅力、そして成長していく様子に心奪われた。

 

「俺もあんな可愛くて魅力的な女の子との出会いがあればなー。しかし、悲しいかな現実はねぇ…………」

 

そんなことを考えながら歩いていると、俺の目先をボールが転がって、それを取りに来たと思われる小学生位の子供が道路に出て行くのが見えた。

 

「俺もあれ位の頃は課題だの復習だの考えずに楽で良かったのになー。あー、羨ましい!…………っと、いけね。早く帰って課題やらねぇ…………………ん!?」

 

その時、俺は子供のいる道路の向こう側からかなり早い速度で走ってくるトラックに気づいた。運転手が居眠りでもしているのか道路にいる子供に気づいていないらしく、スピードを維持したまま子供に迫っていた。

 

「ま、マジか!?くそっ!」

 

何もしなければ間もなく起こる大惨事が頭の中を過った瞬間、俺は背負っていたリュックを放り捨てて無我夢中で走り出していた。

 

「間に合え───────!」

 

間一髪、俺は子供を大きく突き飛ばした。これで轢かれる事はないと安心する間もなく、鈍い音と伴に大きく吹き飛ばされた。頭を何度も打ち付け、50メートル程飛ばされた所で漸く止まったが、俺は恐らく助からないのを何となく感じていた。

 

(…………クソ………まだ……………完結まで見届けたい作品が何個もあるのに……………………)

 

そして俺の意識はプツッと途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………そう、だった……………俺、子供を庇って助けた後に轢かれて……………死んだ、のか…………?」

 

「そう、君は死んだ。漸く思い出したようだね?」

 

「お、おう……………それじゃあ、あんたもガチの神か?」

 

「うん、ガチの神だよ。神様って言っても色々といるんだけど、その中でも僕は序列第1位の神様─────要は1番偉くて最強の神様なんだけどね。まっ、何はともあれ信じて貰えたようで何よりな事で。毎回信じて貰う為に当人しか知らない黒歴史とか暴露してるんだけど、その手間が省けてラッキーだね」

 

「やり方がえぐいな!」

 

もっと他にやり方は無いのかよとは思うが─────嘘を言っているようには見えないし、状況的にどうやら本当に神様のようだ。

 

「…………そ、そうだ!あの子供は!?」

 

「君が突き飛ばしたときに擦りむいた位で命に別状はないよ。埋葬された集合墓地にもお参りに来て君にお礼を言っていたよ」

 

「そ、そうか…………無事なら良かった………」

 

「ちなみに君が助けた子供、50年後の日本の内閣総理大臣になるんだよねー」

 

「へー………………って、総理大臣ッ!?」

 

「うん。世界から戦争を無くした男として歴史に刻まれる事になるよ」

 

「さらっと言ってるけど、めっちゃ凄い事してんじゃん!!」

 

話が一段落ついた所で神様はさて、と話を切り出す。

 

「君のこれからについて話そうか」

 

「俺のこれから?」

 

「そう。選択肢は色々とあってね。天国に行くか別の世界に『転生か!?』…そ、そうだけど」

 

もしかしてと思って言ってみたが…………喜べ、オタク達よ。転生は実在したぞ!空想だけの存在ではなかったのだッ!!

 

「どうやら転生を君はお望みのようだね?」

 

「おう!転生ってどんな世界にでも行けるのか?例えば」

 

「漫画やアニメの世界も行けるよ」

 

「よっしゃあ!あんた最高だぜ!!」

 

「て、テンション高いな。ちょいと落ち着け」

 

おっと、思わず気持ちが高ぶっちまった。だが、転生と聞いて落ち着いてられるのが無理な話だ。何故なら全オタクにとって転生は悲願だからな(違う)

 

「それで、何の世界に転生したいの?」

 

「五等分の花嫁の世界で!」

 

勿論他にも転生してみたい世界もあるが、どうせ転生するなら俺が大好きな三玖のいる世界に転生してみたい。

 

「オッケー。あと、転生特典を3つ何か決めてね。乖離剣でもエクスカリバーでも、何でもOKなんで」

 

五等分の世界にいらねぇだろ、そんな物騒な兵器………いつ使うんだっつーの…………。

 

「そうだな……………じゃあ、1つ目は金持ちの家の子になる、だ。今までずっと貧乏生活だったから、第2の人生は金持ちを体験してみたい」

 

「なるほど。じゃあ1つ目はそれで」

 

「2つ目は…………俺専属のメイドがつくようにしてくれ!」

 

「…………………」

 

神様から生暖かい視線が送られてくるが…………気にしねぇ!メイドは男の夢なんだよ!

 

「それで3つ目がかなり重要なんだが──────好きな時にあらゆるアニメや漫画、ラノベを見れるようにしてくれ!」

 

3つ目を聞くと神様は苦笑する。

 

「君はオタクの鑑だね」

 

「まーな。その自覚はあるぜ?でもまぁ、人の趣味なんてそれぞれだろ?」

 

「あぁ、その通りだとも。それに、僕も人間だった頃からアニメとか漫画は好きだったから変だとは思わないよ」

 

へー、神様でもアニメとか漫画好きなんだ……………………ん?ちょっと待て。今、何か結構重要そうなワードが飛び出てきたぞ!?

 

「人間だった頃からって………………え、神様って元は人間だったの!?」

 

「まーね。死んだ後に何か現世での功績のせいか神様の役職を与えられたんだよねー」

 

「へー、そうなのか。現世での功績って具体的には?」

 

「まー、世界一の金持ちになったり、大国同士の戦争を丸く納めたり、地球に降ってくる隕石を破壊して地球滅亡の危機を救ったり、後は宇宙からの侵略者を撃退したりとか色々と」

 

「いや、規格外過ぎるだろ!特に後半の2つ!」

 

そりゃ序列第1位にもなりますわ!この神様、人間の頃から俺tueeeの領域を超えてやがる!つーか、本当に人間だったのかも疑わしく感じるぜ…………。

 

「うん…………こりゃアレだ、絶対あんたを敵に回さない方が良い気がするな」

 

「気分次第で世界の1つや2つ、1秒で消せるからねー」

 

よーし、気がするじゃなくて絶対敵に回さないようにしよう!

 

「あ、でも普通にタメ口で良いからね。そっちの方が楽でしょ?」

 

「タメ口で良いのか?そりゃありがてぇ。正直、敬語とか面倒だからな」

 

「同感だよ。……………よーし、話してる間に準備完了。そうだ、言い忘れてたけど初期キャラクター以外の知識は殆ど封印させて貰うからね」

 

「え、なんで?」

 

「だって、この先何が起こるか分かってるとつまらないだろ?」

 

「んー、それもそうか。分かった。それで、どうやって転生するんだ?」

 

「ついて来てくれ」

 

神様につれられて西洋風の部屋から出て少し長めの廊下を抜けると、虹色に光る扉があった。

 

「この扉の先へ行けば、転生開始さ」

 

「へー。何か魔方陣とか出てくるのかと思ってたが…………何か呆気ないと言うか」

 

「じゃ、もうちょっと面白いバージョンにしようか」

 

そう言うと神様は扉を2回ノックする。

 

「ほい、変えたよ」

 

「扉に特に変化はなさそうだが……………まぁ、良いや。それじゃ、世話になったぜ神様!」

 

「じゃ、第2の人生楽しんでねー」

 

「おう!」

 

そう返事して俺は扉を開ける。そして扉を潜り抜ける。扉を抜けた先には新たな世界が────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………え?」

 

─────何故か宇宙にいた。え、何で?どゆこと?

 

「………………って、宇宙服着てねぇ!ちょ、これ死ぬ!!窒息して死ぬ!!」

 

「いや、もう死んでるじゃん」

 

「あ、そっか。それなら大丈夫………………って、言うとでも思ったか!何で宇宙にいるんだよ!?」

 

「君が呆気ないとか言うから、もっと面白いverにしたんだけど?」

 

唐突に俺は嫌な予感がした。目の前に見える青くて丸い惑星が転生先の地球だろう。と、言うことは………………

 

「…………も、もしや……………ここから地球へ落下して転生………?……………やっぱ普通のにし」

 

「行ってらっしゃーい!」

 

神様なのに悪い笑みを浮かべた神様の光り輝く拳のパンチで、俺はとてつもない速さで地球へと飛ばされて行った。

 

「ギャァァァァァァァァァァ──────!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後の事は恐怖の余りよく覚えていない。大気圏突入寸前の辺りでもう記憶がない。気付いたら生まれた赤ちゃんが入れられる病院の新生児室らしき部屋にいた。産まれたてだからか余り目も耳も見えないし聞こえないが、何となく分かった。

 

(あのドS神、次会ったらぶん殴ってやらぁ…………!)

 

こうして俺の第2の人生が始まった。

 

to be continue……




こんな駄文を読んでくれてありがとうございます!次回やるとしたら……………修学旅行の話かな?

まぁ、次回があればその時にお会いしましょう!


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修学旅行での出会い

2話目です。修学旅行のお話です。個人的には修学旅行は高校しか良い思い出がありませんね。小中はお察しの通りです。転生してやり直せるなら色々とやり直したい黒歴史がつまってるのも小中時代を何とかしたいですねー………。

今回も他作品のネタ満載。全部分かったあなたは良いことあるかも?

さぁ、三玖との初めての顔合わせなるか……?


転生してなんともう11年目。時が過ぎるのは早いなー。早く高校生にならないかなー、なんて思ってたが何だかんだで2度目の幼稚園や小学校も楽しかった。友達も数人程度は出来た。前世では0に等しかったので数人だけでも中々の進歩だ。

 

「にしても、てっきりうちの小学校に風太郎もいるかと思ったらいなかったなー」

 

原作主人公は別の学校だった模様。高校まで遭遇出来ない運命なのかもしれないな。

 

「やぁ、総悟君!久しぶりだね!」

 

「げっ!出たな、このドS神が!」

 

この神様は大体3ヶ月に1回位のペースでやって来やがる。暇かよ。

 

「開幕早々暴言かーい……………で、僕が座る椅子は?用意してないのー?」

 

「え?あー………………オメーの席ねぇか「星ごとぶっ潰すぞ」どうぞ、こちらへ!」

 

俺は自分の座っていた椅子を差し出す。まだ三玖に会ってもいないのに地球ごとデッドエンドはごめんである。俺は三玖に会うまでは絶対に死ねない。三玖に会うためなら例え火の中、水の中、もしくはスカートの中でも潜り抜けるつもりだ。ついでにスカートの中は色々と絶景(意味深)あるし。

 

「………………取り敢えず、君が中々変態なのは分かった」

 

「おい!勝手に人の頭の中のプライバシーを侵害するな!」

 

「あー、はいはい分かった分かった」

 

返事適当すぎか!絶対分かってないだろ!

 

「つーか、結局何しに来たんだよ?」

 

「暇潰し」

 

「仕事は?」

 

「部下に全部押し付けてきた☆」

 

「クソ上司じゃねぇか!」

 

「まー、それは置いといて。どうだい、最近の調子は?」

 

「普通に元気だよ。神様に提案された事も継続してるし」

 

生まれてから1年位経った時に訪ねてきた時に、神様から

 

『君は前世でちゃんと勉強してたし、勉強面では多分心配はいらないだろうけど運動面とかそれ以外ではダメダメだったね。なら、この人生では運動能力や武術を磨くと良いんじゃない?勉強に対して時間を割く必要がないから時間を持て余すだろうし、いつか出来るかもしれない、大切な人を守る為にもね(・・・・・・・・・・)

 

と、アドバイスをしてくれた。最後の言葉に後押しされる形で前世では余りしてこなかった外遊びや運動をしたり、5歳からは習った事すらない空手などの武術を親に頼んで習わせて貰った。正直、心の中ではめんどくさい、やりたくない気持ちもあったが、それでも続けていく内に前世では出来なかった事が出来るようになっていくとだんだん楽しくなって、今に至るまで継続する事が出来た。

 

「そりゃ何よりだ。タブレットの調子は?」

 

「こいつは相変わらず完璧だ。ほんと最高だね」

 

ベットに置いてあるタブレットに触れながら即答する。このタブレットは転生してから初めて神様が来たときに貰ったタブレットで、これがあればありとあらゆる漫画やアニメ、ラノベが見れる。俺にとっては大切な宝具だ、わりとマジで。特殊な魔法が掛けられてるらしく、俺と神様以外には見えないらしい。ただ、俺の任意で解除も出来る。

 

「そうかそうか。まっ、それは僕が作ったものだから完璧で当然か!色々と便利すぎる機能もつけてあげてるんだから、もっと感謝してくれても良いんやで~?」

 

「めんどくさぇ神様だな!今まで散々言っただろ!」

 

「分かってないなぁ。褒め言葉ってのはね、なんぼあってもいいんだよ……………ん?何かカレンダーに二重丸がつけられてる日があるね?」

 

フッフッフ。よくぞ訊いてくれた!

 

「この日から3日間は修学旅行なんだぜ!京都だぜ、京都!京都に行くんだぜ!!」

 

「そ、そうなんだ……(謎にテンション高いなー)」

 

「しかも、この日から他の幾つかの学校も修学旅行らしいんだよ!これが何を意味するか答えられるか!?三玖に会えるかもしれないんだよ!そんくらい分かるだろ!」

 

「ああ、そう言うことね………(道理でテンション高い訳だ)」

 

非常に残念ながら、三玖を含めた五つ子は俺の通ってる小学校にはいなかった。あの5つ子の通ってる学校が判れば高校まで待たなくとも会えるかもしれないが、その考えを読んでいたのか前に神様が『君から会いに行こうとするのはやめた方が良いよ。結ばれるエンドを望むならね。君を転生させた身としても、ハッピーエンドを迎えて欲しいからね』とかいつになく真面目なトーンで言ってた。宇宙から突き落とすような神様だが、何だかんだで俺の事を案じてくれてるのは素直に嬉しかったが。

 

「なぁ、神様よ。前に俺から会いに行くのは止めた方が良いとは言っていたが、『修学旅行中に偶然とラッキーが重なって会った』なら俺からは会いに行ってないから悲惨なエンドにはならないよなぁ?」

 

「ま、まぁそうね…………君の言葉から執念深い何かを感じるのは気のせいとしておこう」

 

失礼な。俺の第一目的はクラスメート達と京都を回る事なんだからな!決して三玖と会うことが1番ではない!

 

「どうだかねぇ………………さて、そろそろ帰るか。いい暇潰しになったし。じゃーね、総悟君。また明日!」

 

「はいはい、また明…………………は?いや、来んな!部下に仕事押し付けてないで自分でやっとけ!」

 

そう叫んだが、果たして聞こえていたかどうか。さて、進〇の巨人の続きを読むとしよう。

 

「お、名言きた!──心臓を捧」

 

「総悟様、よろしいですか?」

 

「(クッ、タイミングが悪い!)……あ、良いですよ」

 

そう言うと扉を開けて入って来たのはメイド姿の美しき美女。俺専属のメイド兼付き人の星奈さんだった。俺の今の両親は共働きで、夜遅くまで仕事をしている事が多いため平日は殆ど一緒に夕飯を食べることはないし一緒に過ごす時間自体も少ない。その分休みの日は色んな所に連れて行ってくれたりして一緒に楽しい時間を過ごしてるし、どちらも俺を大切に思ってくれてるいい人なのでそれ自体は全然構わないのだが。まぁ、そう言う訳で平日は星奈さんと過ごす時間が多い。

 

「どうかしたんですか?」

 

「夕食の準備が出来たのでお呼びに来ました。今日はオムレツでございます」

 

「おおっ!星奈さんのオムレツは超美味しいから楽しみですよ~!」

 

まぁ、オムレツに限らず星奈さんの作る料理は何でも美味い。料理人としてでも働けるんじゃないかと個人的には思う。

 

「いやー、星奈さんはほんと凄いね。家事は完璧でスタイルも良くて美人ですし。モテますよね?」

 

「フフッ、そんなことはありませんよ。それに、誉めても何も出てきませんよ?」

 

そう言いながら星奈さんは笑う。笑った時の表情はマジでいつ見ても可愛い。S・M・T!星奈さん・マジ・天使!

 

ありがとう、転生特典その2。あなたが会わせてくれた天使のメイドは最高です!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時は過ぎて修学旅行前日。俺は三玖に会える可能性に期待で胸を膨らませ、中々寝付けなかった。当日は眠い目を擦りながら集合場所に向かい、新幹線での移動中もワクワクしていた。そして、京都に着いてグループで回ってる間も辺りを見回していた。

 

「さーて、三玖はいるのかなー?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……って、なる筈だったのに……………………………ど゛う゛し゛て゛な゛ん゛だ゛よ゛お゛お゛ぉ゛お゛!゛!゛!゛

 

「落ち着いて下さい総悟様。お身体に障ります」

 

※タイトル詐欺のお知らせ

 

どうしてカ〇ジ(藤〇竜也ver)のように叫んでいるかと言うと、前日になって高熱でぶっ倒れて修学旅行を欠席する事になってしまったのだ。クソッ!!運命様は俺を嫌っているのか!?

 

「今は早く風邪を直す事が優先ですよ。ほら、冷えピタシートを変えますよ」

 

「くっ……………折角の機会だったのに…………うぅっ……………冷えピタがキンキンに冷えてやがる………!」

 

「だ、大丈夫ですか?高熱のせいか口調が少し変ですが……………?」

 

熱と言うよりも、悔しさの余り俺の中の藤〇竜也が出てるだけだと思います…………。

 

「それにしても、本当に残念でしたね。総悟様が修学旅行をとても楽しみにしていたのは私も知っていましたから」

 

「…………今頃皆、京都で色々と見てるんだろうなぁ………俺が何をしたって言うんだ…………世界は俺を嫌っているのか…………ど゛う゛し゛て゛な゛ん゛だ゛よ゛お゛お゛ぉ゛お゛!゛!゛!゛

 

「お、落ち着いてください総悟様!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………すみません。取り乱しました」

 

「いえいえ、大丈夫ですよ。それほど楽しみにしていたのでしょう?」

 

「えぇ、まぁ色々と」

 

「色々と、ですか…………フフッ」

 

女の勘で何かを察したのか、星奈さんは笑みを浮かべる。あなたのように勘のいい女は──────嫌いじゃないね!S・M・T!星奈さん・マジ・天使!(2回目)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、取り敢えず暫く寝るようにと言って星奈さんは出ていった。そしてそれを見計らったようにサボり魔(神様)が音もなく現れる。

 

「なー、神様。願いを叶えてくれる聖杯くれない?それで風邪治したいんだけど」

 

「願いがしょぼいな…………あるけど、人間には絶対使えないよ」

 

あるにはあるのかよ。

 

「いや、俺一度死んでて超越者みたいな感じだから大丈夫でしょ、うん(適当)」

 

「あー、熱で頭がやられちゃったかな?」

 

至って正常ですぅ。今のも半分冗談ですぅ。

 

「あー、マジで行きてぇ。ここから脱走してでも行きてぇ。三玖に遭遇できたかもしれないのによぉ………」

 

「安心しろ。大サービスで教えてあげるが、仮に行けてても遭遇は出来なかったぞ」

 

「じゃ、別に行かなくても良いか」

 

「(変わり身早ッ。僕じゃなきゃ見逃しちゃうね)え、でも友達とかと行きたくなかったの?」

 

「それがなー、俺の班は俺が嫌いな自己中タイプの人間しかいなくてよ。だから、実質三玖に会える可能性の為に行くようなもんだったから、会えないならもうどうでも良いわー。どーぞ勝手に楽しんで来て下さいって感じ……………なぁ、神様。暇だし1つ聞きたいんだけど」

 

「ん?」

 

「………………これから高2になるまでに三玖と遭遇できる機会ある?」

 

「ない(無慈悲)」

 

熱が悪化した(確信)。後5年間の焦らしプレイなの!?ウソだ……僕を騙そうとしている……(宝生M風)

 

「ところがどっこい…………ウソじゃありません……………!」

 

「ウゾダドンドコドーン!(嘘だそんなこと!)」

 

おっと、動揺の余りオンドルゥ語が出ちまったぜ。

 

「…………あと、前に自分から会いに行くのは止めた方が良いとか言ってただろ?もし仮に会いに行ったらどうなるんだ?」

 

俺の質問に対して神様はどうしよっかなー、みたいな表情で悩んでいる様子だったが、すぐに『まぁ、いっか』と呟いた。

 

「一言で言うと、ロードローラーに潰される」

 

「いや、何だそりゃ!」

 

Dead endかよ!

 

「もれなく子安〇人似の声で『ロードローラーだッ!』の声もついてくる。ちなみにその声はロードローラーの運転手のおっちゃん。良かったな」

 

「よくねーよ!死ぬ直前に似てるとは言えど、知らない

おっさんの声のサービスはいらんわ!……………じゃあ、高2まで待つしかないのか……………はぁ」

 

「まぁでも、高校までに楽しいことは沢山あるから退屈はせんよ。それだけは保証しておこう」

 

……………まぁ、神様がそう言うならほんとに退屈しないんだろうけどよ。でも、会いたいけどなぁ。

 

「あぁ、そうだ。ついでに史上初となるタブレットの新機能実装のアップデートに来たのも忘れてたわ」

 

「アップデート?」

 

そんなの初めてだな。アップデートせずとも不満な点は一切無い完璧なものだったけどな。神様は俺の机の上に置いてあるタブレットを手に取ると、何故かそのまま頭に乗せた。

 

「みょん みょん みょん みょん みょん みょん…………よし、終わり」

 

「何だそのアップデートの仕方…………ヤバい奴にしか見えねぇぞ…………」

 

「もー、うるさいなぁ。パソコンとか使うよりも手っ取り早く済むんですー」

 

「そーですかい…………それで、新機能って?」

 

「まず、タブレットからスマホに変形できるようになった」

 

「……………あぁ、そう…………」

 

うん……………何か思ってたのよりはしょぼい。確かにコンパクトにはなるけども。

 

「2つ目は………………まぁ、直々に見せた方が良いか」

 

そう言うと神様はラノベを画面に表示する。表示されたのはソー〇アート・オンラインだった。

 

「え、まさか画面の向こうからキ○トがスター○ースト・スト○ームでも放ってくるの?フルボイスで」

 

「何でそうなる……………ペーパーモード」

 

神様がそう呟くと、タブレットが瞬きした一瞬で表示されていたSAOのラノベに変化した。

 

「フアッ!?」

 

「こんな感じで紙媒体でも読めるようにした」

 

「おぉ…………この機能は中々良いな」

 

確かに紙で読むのも良いからな。紙の質感とか楽しめるし、イラストも電子書籍で見るのと紙で見るのとでは違った風情がある。

 

「他人から見えないようになってるのも、可視・不可視の切り替えはタブレットの時と一緒だ。それと耐久力もね」

 

「耐久力なんて初めて聞いたな。と、言うと?」

 

「言ってなかったっけ?要はどちらのモードでも、どんな攻撃が直撃しても無傷って事だ。核でもこれを傷付ける事は出来ない」

 

「いや凄ッ!」

 

「なので、決して破れたりしない」

 

あ、ほんとだ。どんなに力を込めてページを破こうとしても破れねぇ。とんでもねぇ耐久力だな……………。

 

「中々良いアップデートだな、特に2つ目。ありがとよ、神様」

 

「どーいたしまして。さーて、やることは終わったし帰るわ。ほんじゃ、またなー」

 

来た時と同じように音もなく神は消えていった。……………よし!早速紙でラノベ読むか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────それから約5年後。高校2年生

 

「今日の授業はここまで。課題と復習を怠らないように」

 

授業が終わると、俺は財布を片手に学食へ向かう。今日は何を食おうかなー、と迷っていると知り合いとばったり会った。

 

「お、上杉だ」

 

「火野じゃないか。今日の数学のテストはどうだった?」

 

「(会って最初にテストの点数を尋ねるガリ勉の鑑…………)100点だったな」

 

内心苦笑いだが、目の前の上杉はそれを知るよしもない。

 

「流石だな。まぁ、俺も100点だったが。だが、最後の問題はすぐに閃かなくて焦ったな。時間ギリギリだったぜ」

 

「実はあれには10秒で解ける別解があるんですよねぇ」

 

「10秒だと!?飯を食いながら是非とも教えてくれ!」

 

「はいはい」

 

そしてこの日、漸く長年の焦らしプレイを経て本編が始まりだしたのだった。

 

to be continue……




こんな駄文を読んでくれてありがとうございます!

えー、そしてすいませんでしたァ!前書きで『散々三玖と会えるのかなー』みたいな感じで煽っておいてタイトルと内容が全然違う、タイトル詐欺をしてしまって。反省はたぶんしていますが、後悔はしていません。

次回から漸く原作開始です。しかし、10年以上律儀に待つ総悟も偉いですね。感心しますわ。自分が同じ立場だったら『時間を飛ばせやゴラァ!』とか言ってそうです。そして神様にうざがられて消されるのが定めか…………。

それと、1巻の内容が終わる位にキャラ設定とか出しますね────失踪してなければ。

それでは、次回でまたお会いしましょう。


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第1巻
五つ子の声優は豪華過ぎる


総悟が既に知っている原作の知識について。

・一花~五月、上杉兄妹のcv

・高2の2学期の何処かのタイミングから上杉と五つ子の家庭教師をする事になる。

・一花→長女。からかい上手の小悪魔的な性格だけど面倒見のよいお姉さん気質。ちなみに、呼び名は一花姉さん。

・二乃→ 二女。勝気でヒステリックな毒舌家。料理好きでオシャレに気を遣うなど女子力が高い。

・三玖→三女。超絶大好きな推し。口数の少ないクールな性格。社交的でなくミステリアスな部分がある。

四葉→四女。運動能力が高い元気の子。お人好しな性格。

五月→五女。真面目な性格。よく食う。

らいは→ 風太郎の妹。明るく素直で社交的。

風太郎→ガリ勉。

上杉「俺だけ極端に短くね!?」

神様「うっせぇ、ぶっころすぞ」

こんな感じです。それでは、原作第1巻突入!




「焼肉定食、焼肉抜きで」

 

「味噌ラーメン」

 

「はいよ」

 

それにしても……………もう散々聞いてきたが、上杉の焼肉のない焼肉定食の注文を聞くたびに虚しさを感じるぜ。慣れないもんは慣れん。そんな事を考えている間に注文した料理が乗った盆を受け取っていつもの席へと移動する。

 

「あー、眠い」

 

「夜まで勉強してたのか?流石だな」

 

いいえ、夜までポプ〇ピピックとか言うクソアニメ(褒め言葉)を見てました。全く、あのクソアニメは声優の無駄遣いで草が生えるぜッ!

 

心の中で呟きながら、俺達がいつもの席に盆を置こうとするのと同時に、もう1人料理の乗った盆を置く者が。その正体は────────

 

(フアッ!?い、五月!?今日がその日(原作開始)なのか!?)

 

「あの!」

 

おぉ、cv.水〇いのりだ……!生で聞くと感動的だな。

 

「私の方が先でした。隣の席に移って下さい」

 

「は?ここは俺達がいつも使ってるんだ。あんたが移れ」

 

「早い者勝ちです!」

 

うん…………俺的には正直どうでも良いんでどっか別の所に座って早く飯食わん?麺伸びるし。そう上杉に提案しようとした矢先

 

「早い者勝ち、か。じゃ、俺の方が早く座ったから俺の席だな!」

 

「ちょっ!」

 

お前は子供か(呆れ)

 

「火野も早く座って食おう、って!?」

 

あら、五月さんが座っちゃったよ。良いのか、男子と相席で。カップルに見えなくもないのだが。

 

「ちょ、そこ火野の」

 

「席は空いていました。それに、さっきも言った通り早い者勝ちです」

 

「まぁ、俺的にはどうでも良いけどね。いただきまーす」

 

隣の席に座って俺はラーメンを食べ始める。

 

「くっ、じっくり別解を聞こうと思ったのに………仕方がない、先に復習を済ませておこう」

 

上杉は食べながらテストの紙を取り出して復習を始める。

 

「行儀が悪いですよ、食事中に」

 

「テストの復習してるんだ、ほっといてくれ」

 

100点のテストを復習する意味とは(哲学)

 

「食事中に勉強だなんて、相当追い込まれているんですね。何点だったんですか?」

 

「あ、おい勝手に見るな!」

 

「えっと……………上杉風太郎君ですか。点数は…………ひゃ、100点………わ、わざと見せましたね!」

 

「何の事だかさっぱりだな」

 

わざとだろ(確信)

 

「おいおい、女性に対してそんな意地悪してちゃ恋とか出来ないぞ」

 

「恋?あれは学業からかけ離れた最も愚かな行為だ!いいか、火野もするなよ!学力が下がり、人生のピークを迎え、絶対後悔するからな!」

 

「……………この人はかなり拗らせてるようですね」

 

「この拗らせ方はダメみたいですね(諦め)」

 

とか言いつつ、上杉は五つ子の誰かとどうせ結ばれるんだろ。誰とかは分からんが。あ、でも三玖は俺と結ばれる約束を既にしてあるので(大嘘)そこら辺はよろしく。

 

「………それにしても、羨ましいです。勉強は余り得意ではないので。あ、私良いことを思い付きました!折角相席になったんですし、勉強教えて下さいよ」

 

「断る。ごちそうさまでした」

 

「ええっ!?」

 

即答で断りやがった。俺じゃなきゃ見逃しちゃうね!……………いや、そうじゃなくてだ。

 

「上杉、教えておいた方が後で色々と良いことがあるぞ」

 

「例えば?」

 

「好感度が上がる」

 

「別に上がらなくて良いわ。どうせもう関わることはないんだし」

 

ところがどっこい、後で家庭教師と生徒の関係で関わることになるんだなぁ。流石に未来の事を話すのはタブーだし訊かれたら面倒だから言わないが。

 

「ご飯、それだけで良いんですか?私の分を少し分けましょうか?」

 

「満腹だね。むしろあんたが頼みすぎなんだよ。太るぞ(・・・)

 

「オイィィィィィィィ!それ女性に対して絶対に言っちゃダメな禁句!!」

 

前々から思ってはいたが、無神経にも程があるだろ!!ほら、五月も動揺してるし!!

 

プルルル~♪

 

「ん?メールか…………悪い火野、らいはに電話する用事が出来たから先に行くわ。また放課後にでも教えてくれ。じゃ!」

 

「いや、待て!妹よりも先に取り敢えず謝っとけ!じゃないと後悔す…………行っちまった」

 

俺は言ったぞ、警告したぞ。後で後悔しても俺のせいじゃないからな。恨むなら自分の愚かさを恨むが良い!

 

「な、な、何なんですかあの人は!無神経にも程があります!」

 

うん、でしょうね。星奈さんでも多分言われたら不機嫌になって頭をぐりぐりされますわ。

 

「取り敢えず、悪いな。うちの上杉が無神経のアンポンタンで」

 

「え?……………そう言えば、いたのを忘れていました」

 

ぴえん。俺、そんなに存在感薄かったっけ……?

 

「あなたは彼の友達ですか?」

 

「まーね。あいつは独りよがりで社交性は皆無だし、他者に対して高圧的な態度を取ることが多いし、思ったことを口走っては周りから反感を買うことがしばしばある。……………が。まぁ、悪い奴ではない」

 

「……………そうには見えませんが」

 

「まぁ…………確かに。だが、本当に悪い奴なら俺は友達にはなってないけどなー」

 

知り合って1年近くの付き合い。確かに苦笑するような1面も色々とあったが、良い面も色々と見れた。だから、今も友達としての関係が続いている。

 

「……………ん?」

 

スマホの振動を感じて画面を覗くと、知らない番号から電話が掛かっていた。

 

─────────まさか。

 

「悪い、急用が出来た!またな!」

 

「え?あ、ちょっと!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食堂からすぐ近くの人気の無い場所に移動して、俺は電話に出た。

 

「も、もしもし」

 

『はじめまして。君が火野 総悟君かい?』

 

「そうです。それでご用件は?」

 

「単刀直入に言おう。君に娘の家庭教師の依頼をしたい。私は君の父親と付き合いがあって、彼から君を紹介されてね。こちらでも調べさせて貰ったが、今通っている高校の入学試験を首席で合格したそうだね?」

 

「えあ、まぁ………」

 

まぁ………高校受験は2度目だし?だからと言って油断せずちゃんと勉強もしておいたから余裕だった。

 

『1年の時の成績もとても優秀なのも君のお父さんから聞いてはいる。その実力を見込んで家庭教師の依頼をしたいのだがどうかね?アットホームで楽しい職場。給料は相場の5倍だ』

 

最後のだけ聞くと怪しい仕事にしか聞こえないな。そして勿論答えは──────

 

「分かりました。その依頼、お引き受けしましょう!」

 

三玖とお近づきになれるチャンスを逃す訳がないっ…………!!

 

「あ、ちなみに家庭教師って自分だけですか?」

 

『ああ、言い忘れていたね。家庭教師は君とは別にもう1人いる。上杉風太郎と言う名前で、君と同じ高校に通っているのだが』

 

「(まー、やっぱいるよな原作主人公(上杉)は)彼とは友達です」

 

『それなら一緒に家庭教師をする上で好都合だろう。期待しているよ。早速明日から頼みたいのだが、構わないかい?』

 

『無論です!』

 

『では、場所については後で君のお父さん経由で送ろう。では、失礼する』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(来たぜ来たぜ、俺の時代が!)

 

意味の分からん事を心の中で呟きながら俺は興奮を隠せなかった。いよいよ好きな漫画の、好きな推しのいる漫画の本編に俺が介入するのだ。楽しくない訳がないッ!!

 

(ほんとここまで長かったけどよ、待った甲斐もあって、オラわくわくすっぞ!!)

 

ニヤニヤ顔が見られないように俯きながら、どこぞのサイヤ人みたく嬉々としながら心の内で呟いていると、授業開始のチャイムと伴に先生が入ってくるのを音で感じていた。

 

「えー、授業を始める前に今日からこのクラスに転校生が来たので軽く自己紹介して貰う」

 

!!そう言えば五月の制服は別の高校のだった!!なら、後の4人もこの高校に転校して来たに違いない!!

 

てことは………………あぁ、もう既に確信した。あの神様の事だ。俺と三玖が一緒のクラスになるように配慮してくれてるに違いないッ!!さっすが神様、気が利くゥ!!

 

「それじゃあ、自己紹介を頼む」

 

さぁ、cv.伊〇美久の声を聞かせてくれッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「中野一花です。皆、よろしくね~」

 

ガチャン!!

 

俺は思わず椅子ごと床に倒れてしまう。当然ながら教室にいる全員からの注目を浴びるのは言うまでもない。

 

「お、おい大丈夫か、総悟?」

 

「だ…………大丈夫です………シリアスな雰囲気だったら確実に怪我してましたが、問題ありません!」

 

「意味はよく分からんが、大丈夫なら良い。気を付けろよ。と、言うわけで転校生の中野さんだ。皆、仲良くしろよ。それじゃあ席は今倒れた総悟の隣が空いてるからそこで」

 

フアッ!?しかも俺の隣!?マジか……………ちょ、心の準備が!胸がドキドキなんですけども!

 

「よろしくね。さっきは大丈夫?」

 

「よ、よろしくです…………え、えっと………ま、まぁ大丈夫…………です?」

 

「あはは、そんなに固くならなくても良いよ。改めてよろしくね」

 

「よ………よろしくー」

 

ふー、何とか挨拶できた。まぁ、別に一花姉さんも嫌いじゃないし、1年間花〇香菜ボイスを1年堪能出来るので良しとしよう。

 

「今度、cv.花〇香菜のキャラの名台詞でも言って貰おうかのー」

 

「??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このコーラ、キンキンに冷えてやがるっ………!」

 

放課後、帰る前に自販機で買ったコーラを堪能していると息を切らした上杉がやって来る。

 

「こ、ここにいたのか……………随分探したぞ…………ハァ……………ハァ……………聞いたぞ、火野。お前も家庭教師をやるって……………!」

 

「うん。そう言う訳だから、明日から頑張ろうねー。所で、お前のところにも転校生来た?」

 

「………………ああ………………しかも、知ってる相手だった…………」

 

知ってる相手(五月)だったとは、運が良いんだか悪いんだか。

 

「太るとか言っちゃった矢先、明日行けば即座にクビにされるかもね~」

 

「そ、それはまずい!相場の5倍なんて職場をみすみす逃すわけにはいかん!明日にでも謝らないと………」

 

「まー、頑張れ。言っておくが、明日の昼は教室で弁当食いながら漫画を読むのに忙しいから自分の失態は自分でカバーしろよ」

 

「あぁ、任せろ。既に完璧な作戦は考えてある」

 

完璧な作戦とか言う失敗しそうなフラグが立った気がするが、黙っておこう。気のせいだと良いのだが………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後

 

「ダメだった……………」

 

「綺麗にフラグ回収したな」

 

待ち合わせの校門の前で俺は上杉から結果を聞いた。どうせそんな所だとは思ってたが。

 

「昨日は完璧な作戦を考えてあるとか自信満々に言ってたのは一体誰なんですかねぇ…………?」

 

「う、うるさい!友達と飯を食ってたから機会がなかったんだよ!…………しょうがない、帰り道なら1人になるだろう。五月はもう行ったのか?」

 

「ちょっと前に校門を出ていくのを見た。早めに歩いて追い付くとしますかねー」

 

指定された場所へ地図アプリを見ながら早歩きで進むとすぐに五月には追い付いた。だが、コンビニで買った肉まんを頬張る五月の他に二乃と我が推しの三玖がいた。

 

「どうする上杉…………って、なにやってんの?」

 

何故か上杉は顔出しパネルから五月達を眺めていた。遂に気でも狂ったか。

 

「いや、普通に見てたら変質者に思われるだろ?だから、顔出しパネルを利用して見ていれば怪しまれないと思ってな」

 

いや、逆に怪しさ倍増したと思うんですがそれは……(困惑)

 

………………つーか、五月が肉まんを食ってるの見てたら俺も食いたくなってきたな。

 

「コンビニで肉まん買ってくるわ」

 

ついでに上杉の分も買ってやるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほらよ、俺の奢りだ」

 

「に、肉まん!恩にきる!」

 

俺の手から受け取ると同時に肉まんにかぶりつく上杉氏。日頃焼肉のない焼肉定食を食べてるから肉に飢えているのであろう。1分も経たずして完食してしまった。

 

「あれ、五月達はもう行ったの?」

 

「お前がコンビニから出てくる30秒くらい前に行った。よし、肉まんでエネルギー補給した所で追い掛けるぞ!」

 

「へいへい」

 

俺も肉まんを頬張りながらどこぞのアンパン戦士のように元気100倍になった上杉の後を追い掛ける。

 

「ここら辺は金持ちの住んでるエリアだな……………あのマンションの最上階の部屋に住んでるのか。マジもんの金持ちだな。羨ましい」

 

ちなみに、俺もこの金持ちエリアに住んでいる。あのマンションには歩いて10分程の距離なので案外近かったりする。そして、マンションの入り口の曲がり角を曲がると───────

 

「なに君たち?ストーカー?」

 

「げっ!」

 

cv.竹〇彩奈!そして三玖も!

 

「お前……………」

 

「五月には言ってない」

 

よく分からんが俺が肉まんを買ってる間に上杉と三玖な間で何かしらのやり取りがあったのだろう。クソっ、俺の嫁(違う)と話しやがって、けしからん!

 

「五月に用があるならアタシらが聞くけど」

 

「お前達じゃ話しにならん。どいてくれ」

 

「しつこい。君らモテないっしょ。早く帰れよ」

 

見事な罵詈雑言。しかし、cv.竹〇彩奈だと傷付かないのが不思議に思う。ちなみに、俺は暴言を受けて悦ぶドMではない(ここ重要)

 

「帰るも何も、僕らの家はここですけど」

 

「え、マジ!?ゴメン…………」

 

「…………焼肉定食、焼肉抜き。ダイエット中?」

 

聞かれてんじゃん。

 

「あ、逃げるな!」

 

上杉、2人を振り切って逃走。取り敢えず無事に謝れることを心の片隅で祈っているとだけ言っておこう。

 

「あんたは逃がさないわよ、ストーカー男その2!」

 

「…………………」

 

「黙ってないで何とか言いなさい!」

 

ふむ、そうだな。

 

「いや、君の声聞いてたら何かアニメ見たくなってきたなー」

 

「何でそうなるのよ!?」

 

そりゃあ君の中の人が有名な声優さんだし…………ねぇ?今日の夜にでも『けい〇ん!』でも見るか。

 

「あれ、二乃と三玖に…………ソウゴ君?」

 

「どうかしたのー?」

 

ここで一花姉さんとcv.佐〇綾音の四葉も来たァ────!!

 

「一花、こいつと知り合いなの!?」

 

「うん、同じクラスで席も隣だよ」

 

「一花と同じクラスの人でしたか!私は中野 四葉です!」

 

「俺は火野 総悟。よろしくー」

 

「それで、どうしたのソウゴ君?もしかして私達に何か用があるの?」

 

流石一花姉さん、話が早くて助かるぜ!

 

「その通り。まぁ、その内容は中で話そうか。上で俺の友達も待ってるだろうしね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と言うわけで、4人とエレベーターに乗って最上階へ。扉が開くと、何故か絶望気味の五月と上杉がいた。

 

「あれ、優等生君!五月ちゃんと何してるの?」

 

「いたー!ストーカーよ!」

 

「ええっ、上杉さんストーカーなんですか!」

 

「二乃、早とちりしすぎ」

 

「よー、上杉。謝れた?」

 

「ま、まぁ一応……………って、それよりも!何でこいつらがここに…………?」

 

「なんでって、一緒に住んでいるからに決まってるじゃないですか」

 

上杉の視線の先には『NAKANO』の表札が。

 

「し、シェアハウスか…………仲が良いんだな………ハハハ……………(震え声)」

 

「違います。私達、五つ子の姉妹です」

 

「なっ……なんだと……!?」

 

「(かなり前から知ってます………)」

 

こうして遂に俺と言うオリジナル要素を加えた原作が始まった。

 

to be continue……




自分は銀魂がジャンプ作品の中でもかなり上位に入る程大好きなので、銀魂の最後の映画を昨日見てきましたが、面白かったですね。最後まで銀魂らしい映画でしたわ。ちなみに、特典は煉獄さんでした。もう1回行こうかな。

それではまた次回で。ぐだぐだな駄文でしたが、読んでいただきありがとうございました!


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お宅訪問 中野家の場合

冒頭のとあるシーンは半沢直樹の宮野〇守さんの例のシーンをそっくり輸入しました。面白かったなぁ、顔芸。


おっす、オラ総悟!

 

取り敢えず中にお邪魔させてもれぇ、上杉がどうしても五つ子の父親に確認を取りてぇってしつけぇから、ベランダでオラのスマホ電話している所だぞ!

 

「ほ、本当なんですね…………娘さん達が五つ子なのは………………」

 

『あぁ。正真正銘、一卵性の五つ子だ。君達には五人を卒業まで導いて貰いたい。無論、報酬は5人分払おう』

 

「そ、それはちょっと自信がなモガァ!?」

 

オラは上杉の急所を掴んでノックダウンさせ、スマホを奪い取る。

 

「お任せ下さい!!娘さんを全員笑顔で無事に卒業させてみせます!オラ…………じゃなくて、俺と上杉で!」

 

『期待しているよ。ところで、娘達はそこにいるのかい?』

 

「えぇ、事情を話して部屋に集まって貰うように頼んで……………いま、す…………?」

 

中に戻ると、まさに『そして誰もいなくなった』と言うべき状況だった。さっき『ちょっくら電話してくるから待っててくれよなー。頼むよ~』って言ったのに!この短時間で逃げられた!

 

『どうかしたのかい?』

 

「な、なんでもありませんッ!それでは、今から早速家庭教師としての職務を全うするので失礼します!」

 

ボロが出る前に通話を終えた。

 

「ふー………………何とか無事に終わったな」

 

「…………いや、お前のせいで俺は無事じゃないんだが…………」

 

「安心しろ。そんな強くやってねぇから、おめぇの2つのドラゴンボールは無事だ。………それにしても、自信がないとか馬鹿正直に言う奴があるかっての。こんなに良いバイトの話を白紙にされるぞ」

 

「うぐっ…………そ、それもそうだな。借金を返す為にも、自信があるとかないとか言ってないでとにかくやるしかないな」

 

「まぁ、安心しろ。ここには無数の修羅場を潜り抜けてきた頼れる人生の先輩がいるからな」

 

「先輩って、俺と年は変わらないだろ……………さて、あいつらはどこに」

 

「皆は自分の部屋に戻りましたよ」

 

あら、cv.佐〇綾音さんだ。いたんだ。

 

「お前は…………四葉だっけ?0点の………」

 

「マジか…………すげぇな、テストで0点取る奴とかほんとにいるんだな」

 

「えへへ、誉めても何も出てきませんよ?」

 

少なくとも誉めてはいないんだが。

 

「と言うか、何でお前は逃げてないんだ?」

 

「心外です!上杉さんと火野さんの授業を受ける為に決まってるじゃないですか。怖い先生が来るかと思っていましたが、同級生の上杉さんと火野さんなら楽しそうです!」

 

「………………四葉。抱きしめても良いか?」

 

「おい、バグったか?」

 

普段絶対言わない事を言いやがったぞ、こいつ。

 

閑話休題(それはさておき)

 

先ずは残りの4人を集める所からスタートである。

 

「私達の部屋は手前から五月、私、三玖、二乃、一花の順です」

 

「じゃ、取り敢えず五月から行ってみるか。ちゃんと、謝ったんだよなぁ?」

 

「ま、まぁ一応は…………ただ、俺達が家庭教師って事を言ったら軽く絶望されたんだが………」

 

…………………。

 

「大丈夫ですって!五月は凄く真面目な子ですから、余程の事がない限り協力してくれますよ」

 

四葉がフォローしてくれるが、俺的にはもう嫌な予感しかしない。

 

「嫌です」

 

「あれー」

 

ほらねー。

 

「そもそも、何故あなた達なのですか?この町にはまともな家庭教師はいないのですか?」

 

「酷い言われよう……………良いじゃない、俺ら学力に関して言えば首席だし」

 

「それに、昨日は勉強教えて欲しいとか言ってたろ」

 

「気の迷いです!」

 

あ、扉閉められた。

 

「あはは…………5人いれば1人くらいこうなりますよ!次は三玖です!三玖は私達の中で一番頭が良いですから、お2人と気が合うと思いますよ!」

 

5人の中で一番頭が良いとは、流石は俺の推し(何様)

 

「ふっふっふ。2人とも俺に任せておけ。三玖に関しては俺に絶大的な自信がある」

 

俺の推しであると言う補正で何とか説得できる気がするぜ!

 

「よく分かりませんが頼りになります!」

 

「とにかく頼むぞ、火野」

 

大船に乗ったつもりで任せておきな!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嫌」

 

ダメでした(絶望)

 

「どうして同級生なの?この町にはまともな(以下略)……………早く出て行って」

 

「「「ハイ…………」」」

 

こんな筈では…………あれ、おかしいな…………補正はどこに行った………見えない……涙で何も見えないよ…………?

 

「二乃はとても人付き合いが上手なんです。友達も多いのですぐに仲良くなれますよ!」

 

俺が凹んでいる間にも説得は続く────────が。

 

「部屋にもいないってどういう事!?」

 

説得以前の問題。そんでもって、最後は一花姉さんな訳だが。

 

「驚かないでくださいね…………」

 

そう断って四葉が部屋の扉を開けると、ごみ屋敷が目の前に広がっていた。とんでもなく不清潔極まりない。キレイ好きなのでこんなごみ屋敷を見ると無性に殺意が湧いてくる。

 

「な、なんだこれは……………ここに人が住んでるとでも言うのか?」

 

「もー、フータロー君。人の部屋を未開の地扱いして欲しくないなぁ~」

 

布団に籠ってるのは一花姉さん。学校から帰って早々寝てるんだが。

 

「片付けしないの、この()部屋」

 

「この前一緒に綺麗にしたばかりなんですけどね………」

 

おいおい、四葉の協力をすぐに無駄にするなっての。

 

「よーし、勉強の時間なのでさっさと布団とおさらばして貰うぞー」

 

「ダメダメ、ソウゴ君。服着てないから照れる」

 

「フアッ!?早く服着なさいよ!」

 

危なッ!あと少しで生まれたての姿を拝む事になっていた。……………なんか、嬉しいようなホッとしたような複雑な気持ちだな。

 

「はぁ……………一体最後にこの汚部屋で勉強したのはいつなんですかねぇ」

 

「もー勉強勉強って。折角同級生の女の子の部屋に来たのにそれで良いの?」

 

…………………………。

 

「よーし、上杉。ベッドにダイブしていただいてしまえ」

 

「何をだよ!?と言うか、絶対通報されるだろ、それ!」

 

まぉ、確実に通報されるだろうな。五月あたりに。

 

「取り敢えず早く服を着て、どうぞ」

 

「もー、しょうがないなぁ。えーっと、服は何処に…………」

 

着替え始めるのに部屋にいると通報されるので、俺と上杉は一花姉さんの部屋から退散。気のせいだろうか、部屋を出てから空気が美味しい気がする。

 

「フータロー」

 

あ、三玖。だが、俺には用事はなさそうだし……………と言うか、今話すと傷が悪化しそう…………。

 

「………先に下に言ってるぞー」

 

そう言って階段を降りると同時に、良い匂いが漂ってきた。思わず匂いの元を辿って行くと

 

「あんたは……………火野とか言ったかしら」

 

あ、二乃見っけ。

 

「むむむ、これは美味しそうなクッキー…………手作り?」

 

「そうよ。私が作ったの。食べてみて」

 

そう言って渡されたので、取り敢えず食べてみると

 

「美味い!見た目可愛いし、味も丁度良いじゃん」

 

これだけのものを作るとは、ほんと女子力高いな。感心していると、二乃は上にいる上杉と三玖らに話し掛ける。

 

「ねー、クッキー作りすぎちゃったから皆で食べない?」

 

「二乃、今それどころじゃ……………何で私のジャージ着てるの?」

 

よーく見たら、二乃が着てるジャージに三玖の名前がありますやん!

 

「自分の着れば良いのに」

 

「だって、調理で汚れたら嫌じゃない」

 

「他人………いや、姉妹のは良いのかよ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーし、五月はいないがこれで4人揃った。先ずは実力を測る為にも小テストをしよう!!」

 

「「「「いただきまーす!」」」」

 

悲しいかな、上杉の言葉に誰も反応すらせずおやつタイムがスタート。上杉の目も流石に死にかけていやがる。

 

「上杉さん、火野さん!私はもう始めてます!」

 

四葉はテストを始めてくれてるみたいだな。えらいえらい。

 

「どれどれ……………って、名前しか書いてないじゃん!やる気があるだけまだ良いけども!ほれ、1問目の答えは?」

 

「分かりません!」

 

「即答ッ!」

 

この歴史の問題、覚えてれば余裕で出きるサービス問題ってやつなんだけどなぁ…………。

 

「ねぇ、クッキー嫌い?」

 

「いや、今はそう言う気分じゃ………」

 

「別に毒なんか盛ってないわよ。なら、こうしましょう。これ食べてくれたら勉強しても良いわよ」

 

謎の取引を上杉に持ち掛ける二乃。正直、裏がありそうな予感しかしない。が、誠意を見せる為か上杉はクッキーを食べ始める。

 

「うわっ、どんどん減ってる!そんなに美味しい?」

 

「あ、あぁ。うまいな…………」

 

「そっかー。あ、そうだ。パパとどんな約束したの?」

 

「……………!……特に何も……」

 

「5人揃って笑顔で卒業させてみせるって約束したぞー」

 

代わりに俺が正直に告げた。ここは誤魔化すより正直に言った方が得策だと思ったからだ。

 

「ふーん…………笑顔で卒業、ね。ぶっちゃけ、笑顔で卒業するだけなら家庭教師なんていらないんだよねー」

 

「むむっ……………」

 

金銭的な面から見れば、俺は別に金に困ってる訳ではないからクビになっても生活に支障はない。ただ、三玖と仲良くなれる機会がほぼゼロになる点で痛恨の大ダメージだが。しかし、上杉には借金がある。こんな高い報酬のある職場をクビにされるのはかなり痛手だろう。

 

「……なんてね。はい、お水」

 

「お、おう………サンキュ…………」

 

「あ、どうもー」

 

丁度水が飲みたかったのでありがたい。この水、うめぇ!キンキンに冷えてやがるッ!一瞬で飲み干してしまった。

 

「ばいばーい」

 

「んぁ?何を………………zzzz」

 

上杉が突然眠りに堕ちた。それを見て一瞬で何が起きたか察した。

 

「ま、まさか水に…………睡眠薬かっ……………よもや、ここまですると、は……………」

 

鬼〇の刃のどこぞの鬼(cv.平〇大輔)の台詞で言うところの、あれか。

 

堕ちていく─────夢の中へ─────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「煉獄さぁぁぁぁぁ…………………ん?知ってる天井だ………………」

 

無限〇車編の夢を見ていたが、良い所で目が覚めてしまった。あと少しだったし、もうちょっと見てたかったんだけどなー。

 

「お目覚めになりましたか、総悟様。うなされていたようでしたが大丈夫ですか?『炎の呼吸 一の型』や『禰豆子ちゃんは俺が守る』などと呟いていましたが……………」

 

えぇ…………どんな寝言だっつーの…………。

 

「ん?てか、何で俺は家で寝てるの!?いや、待てよ……………あ!二乃に薬を盛られたのか!」

 

「思い出したようですね。薬を盛られて寝てしまった総悟様を連れて私がタクシーで家に連れ帰った次第です」

 

そう言うことか………………あれ?星奈さんの口振りからしたら─────

 

「え、星奈さんは二乃が薬盛った事とか知ってるんですか?と言うか、星奈さんにあのマンションの住所言ったっけ……………?」

 

「総悟様がどんな仕事振りをしているのか私も見てみたくなったので、あなたのお父様から住所を聞いてサプライズで訪ねてみました。そしたら何故か総悟様とご友人の上杉君がぐっすり寝ておられまして。真面目な総悟様と上杉君が家庭教師の仕事の最中に寝るとは思えませんし、怪しいと直感しました」

 

「なるほど」

 

「それで、適当に鎌を掛けてみたら二乃と言う方が動揺の反応を見せまして。問い詰めてみたらあっさり自白しました。その後、キツくお灸を据えてから帰りました。睡眠薬を盛るのは下手したら犯罪になりますからね。本人もこれで懲りたと思いますよ。ああ、上杉君の方は五月さんが一緒に同行して帰りました。何でも、上杉君の財布の中にはタクシー代すら入ってなかったそうなので」

 

まぁ、あいつの財布の中は常に風通しが良いからな。

 

…………それにしても、二乃にはドンマイと少し同情しなくもない。星奈さんが怒るとマジで怖いからだ。俺も小学生の頃、雨が降ってたので部屋の中で剣道の練習をしていたら竹刀が手からすっぽ抜けて窓ガラスを盛大に割って怒られた事がある。怒鳴るわけでもなく静かに怒られたのだが、目に見えぬ圧力がマジで怖くて涙と小便が少し出かけた。ちなみに、ガラスは親が10万円☆PON☆と払って直してくれた。

 

「どうしますか、家庭教師の仕事は。総悟様のお父様に言えば今からでも辞めれると思いますが?」

 

「まさか。まだ始まってすらいないのに辞めるなど言語道断!絶対に5人揃って笑顔で卒業させてやる!(そして三玖とも付き合う!)」

 

聞こえてるか、二乃!こう見えても俺は骨のある男でな。命ある限り諦めんから覚悟しておけよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へっくし!…………誰かに噂されてるのかしら………」

 

to be continue………




余談

めちゃくちゃ怖い説教をされた二乃は星奈さんの事がトラウマになる程苦手になりました。まぁ、でも軽犯罪になる可能性があったからキツく怒られてもしょうがないね。

今日もヒャッハーな駄文を読んでいただきありがとうございました!

上杉君、ドラゴンボールをお大事に。



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屋上の告白

え?タイトルが原作のまんま?あー……………正直言うと、良いのが思い付かなかったのでまんまです。これからも思い付かなきゃまんまのスタイルで行きます。

では、どうぞ~。


「昨日の悪行は心優しい俺がギリギリ許すとしよう。今日はよく集まってくれた」

 

翌日、上杉から『昨日と同じ時間に来てくれ』とメールが来たので、マンションに行ったら5人全員揃っていた。 一花姉さんは寝てるし、二乃はスマホをいじって見向きすらしてないが。

 

「さて、今日集まって貰ったのは「待ちなさい」…………何だ、二乃?俺に聞きたいことでもあるのか?」

 

「あんたじゃなくて、隣のこいつよ」

 

ビシッと指差してきたのは俺の方だった。

 

「俺?」

 

「そうよ。…………昨日の………あんたの使用人の星奈とか言ってた人…………来てないでしょうね………?」

 

……………ははーん。相当星奈さんがトラウマになったのか。

 

「安心しろ、今日はお休みだからな。ついでに言っておくと、星奈さんは家庭教師関連については何も口出しする気はないぞ。立場的には部外者だからな」

 

昨日は誰かさんが犯罪になり得るとんでもない手段を用いたから怒っただけの話である。

 

「ホッ……………」

 

「だが、お望みとあらば電話して5分で来るぞ」

 

「呼ばなくて良いわよ!」

 

即答だな。

 

「話を戻すぞ。二乃、お前は昨日家庭教師はいらないと言っていたな。なら、それを証明してくれ」

 

「証明?」

 

「これは昨日できなかった小テストだ。このテストの合格ラインを超えた奴には金輪際近付かないと約束しよう。勝手に卒業して行ってくれ」

 

ふむ………………なるほど。馬鹿正直に5人教えるんじゃなくて赤点候補のみに絞って教えれば良い的な考えか。まぁ、悪くない考えと言えばそうだが………。

 

「………なんでそんな面倒な事をやらなきゃ」

 

「分かりました、受けましょう」

 

「は?五月、本気なの?」

 

合格すれば(・・・・・)良い話です。これでもう関わらなくて済みますから」

 

……………何かフラグが立った気がするのは気のせいだろうか。

 

「そう言うことならやりますか」

 

「頑張ろー!」

 

「合格ラインは?」

 

「60………いや、50あれば良い」

 

まぁ、このテストでその点数位あれば卒業は何とか出来るか。成績の中身が輝いているかはさておき。

 

「別に受ける義理はないけど…………あんまりあたし達を侮らないでよね」

 

他の4人の様子を見て、二乃もやる気になった模様だ。

 

「ところで、上杉。制限時間は?」

 

「そうだな…………30分って所か」

 

「30分…………それだけあれば、15分の短編アニメを2本見れる!」

 

「ふーん、あんたオタクなんだ。見た目はまぁまぁなのに、中身は陰キャね」

 

「よーし、星奈さん呼ぶか」

 

「え?!ちょ、冗談よ!だから呼ばないで!」

 

暫くは弄って楽しめそうだな(ゲス顔)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『衛〇さんちの今日のご飯』を見て唐揚げとサンドイッチ食いてー、とか考えている間に30分経過。その後、手分けして5人の採点を終えた。

 

「採点終わったぞ!100点だ!全員合わせてな!!」

 

上杉の顔が引きつってやがらぁ。しかし、三玖が1番点数が高いな。流石は俺の(以下略)

 

「お前ら…………まさか………」

 

「逃げろ!」

 

「あ、待て!」

 

自分達の部屋に逃走を図る五つ子。と言うか、何故に四葉も逃げるんだよ。その場のノリか?家庭教師が上杉1人なら今日は逃げられて終了だったろう。

 

──────────だが。

 

「げっ!」

 

「ところがぎっちょん、問屋はそう簡単に卸しませんッ!」

 

もう1人(オレ)いるんだなぁ、これが!こんな事になろうかと思って、階段の前でスタンバっておいて正解だったぜ。

 

「テスト終わってそれで終了!お疲れイエーイで終わっちゃダメでしょうが!これから間違えた所みっちり叩き込むぞ!喜べ、少女達。君達の学力はようやく上がる。………………何か麻婆豆腐食いたくなってきたな」

 

「何でそうなるのよ!?」

 

二乃はツッコミが上手いなー。原作でもツッコミキャラだったのだろう(適当)

 

それから2時間、何度も逃げられそうになりながらも上杉と一緒にたっぷり勉強させた。すんごく疲れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2日後の週明け

 

「ハァ、ハァ……………ギリギリセーフ…………」

 

「朝からお疲れだな」

 

HRの時間まで暇だったので散歩がてら校内をぶらぶら歩いてたら息を切らした上杉と遭遇した。

 

「お…………お前は辛くないのか……………家庭教師と自分の勉強の両立が…………俺は徹夜してたから眠くてしょうがないぜ……………」

 

「んー、別に」

 

上杉と違って体力あるんで(どや顔)

 

そんな話をしていると1台の黒いリムジンが俺達の近くに停車する。

 

「おお、見たこともないカッコいい外国の車だ………100万くらいはするだろうな………」

 

「お前の車の相場はどうなってやがる…………多分1000万円は超えてるぞ」

 

「なん、だと……………!?一体どこのどいつだ、こんな金持ちしか乗れない車に乗ってるのは……………って!」

 

「あっ!フータロー君にソウゴ君!」

 

「またあんた達?」

 

「…………………」

 

「おはようございます!」

 

「なんですか、ジロジロと不躾な」

 

あらー、誰かと思えば中から出てきたのは五つ子ちゃん達ではありゃせんか。車登校とは贅沢な気がしなくもない。

 

「おい、逃げるな!見ろ、俺達は手ぶらだ!害はないぞ!」

 

「騙されないわよ」

 

「参考書とか隠し持ってない?」

 

「油断させて勉強教えてくるかも」

 

二乃、一花姉さん、三玖の反応からどれだけ勉強嫌いなのかよーく伝わってくる。勉強に親友でも殺されたんか?

 

「私達の力不足は認めましょう。ですが、自分の問題は自分で解決します」

 

「1人でも出来る」

 

「そうそう、要は余計なお世話って事よ。じゃ」

 

「あっ、おい待てぃ(江戸っ子)」

 

五月、三玖、二乃がそう主張して去ろうとするのを俺は止める。

 

「そんなに自信があるなら、この前の小テストと同じ問題出されても答えれるよなぁ?」

 

「「「「「…………………」」」」」

 

何故誰も視線を合わせようとしない。おい、こっち見ろ。

 

「………厳島の戦いで毛利元就を破った武将を答えよ」

 

数秒の間の後、背を向けていた五月が振り返る。お、答えれるかと期待したのもつかの間。

 

「…………………(プルプル)」

 

無言ッ………………!この前2時間の時間を掛けた意味とは()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………火野……………あいつらは大の勉強嫌いで………ついでに俺達の事も嫌いらしい」

 

「うーん、悲しいかなそのようだね」

 

今も前を歩く五つ子達と物理的、そして精神的に距離がある。

 

「先ずは1人ずつ信頼関係を築く所からか……………俺の苦手な分野だ…………代わりに火野がやってくれないか?」

 

「俺だけ信頼関係を築くんじゃ駄目だろ、お前も家庭教師を続けるなら」

 

「はぁ…………やっぱりそうだよな……………ん?」

 

「どったの?」

 

すると上杉は『五つ子卒業計画』と書かれたノート を見せてくる。

 

「……………………むむっ。さっき俺が出した問1の問題、三玖は正解してるじゃん。あれ、じゃあ何で」

 

「さっき答えなかった、って事だよな」

 

うーむ……………総悟君的にこれは何か裏があるとみた。

 

「昼飯のタイミングにでも聞いてみるか…………だが、上杉。お前は何も言うな。俺が訊く」

 

「え?まぁ、別に良いがなんでだ?」

 

「だってお前、社交性とか無いやん。そんなお前が話してさらに関係が拗れたら面倒でしょうが」

 

「うぐっ……心当たりが有りすぎてぐうの音も出ない………」

 

─────とまぁ、表面上はそう言っているが実際は三玖と話したいだけだったりする。

 

三玖と2人で話すのに………上杉。お前は邪魔だ(無慈悲)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休み

 

「いたいた……………やっほー、三玖」

 

「?」

 

食堂で三玖を発見した俺は話し掛ける。後ろには一応上杉がいる。

 

「ちょっと聞きたいことが……………何これ、抹茶ソーダ?何か面白い味がしそう…………」

 

三玖の好物か?元々覚えていた原作の知識にはなかったから初めて知った。

 

「……………意地悪するソウゴにはあげない」

 

ぴえんを通り越してぱおん。あと上杉、後ろで逆に味が気になるとかうるせぇ!

 

「えっとですね……………今日の朝の問題についてなんだが」

 

「上杉さん、火野さん!お昼一緒に食べませんか?」

 

ギャァァァァァァァ!

 

「な、なんだ四葉。それに一花もか。まったく、四葉。お前はいつも突貫だな。驚かせやがって…………」

 

「上杉の言う通りだ!急に来たから心臓止まるかと思ったぞ、もう……………」

 

「あはは、朝は逃げてすみません!それより見てください!英語の宿題、全部間違ってました!」

 

それを笑いながら言うのだから若干頭が痛くなってきた気がする。

 

「ごめんねーソウゴ君、邪魔しちゃって」

 

「一花も一緒に見て貰おうよ」

 

「うーん、パスかな。私達バカだしね」

 

「自覚はあるんだ……………なら普通は見て貰いたくならんのか?」

 

我ながら俺の声には純粋に呆れの成分がみっちり入っていた。

 

「そもそも、折角の高校生活を勉強だけってどうなの?もっと青春をエンジョイしようよ!例えば恋とか!」

 

「恋?」

 

あーもう。また後ろの上杉がスイッチ入っちゃったよ。

 

「アレは学業から最も掛け離れた行為だ。したい奴はすれば…………ッ!?」

 

俺がドラゴンボール(隠喩)潰しの構えに入ると察しの良い上杉は口を閉じる。以降もこうして強制シャットダウンさせよう。

 

「恋愛したくても先ず相手がいないんですけどね。三玖はどう?好きな男子とかできた?」

 

「えっ…………い、いないよ」

 

あ、行っちゃった。つーか結局訊けなかったし。

 

「あの表情、姉妹の私には分かります!三玖は恋をしています」

 

「え。………………だ、誰に?」

 

「うーん、それは流石に分かりませんが…………気になりますね!」

 

「うん、めっ──────────────ちゃ気になる!!」

 

誰だ?クラスの男子か?いや、しかし転校してきたばかりだし……………だが、可能性的に無くはない。くそぅ、誰だ?どいつを消せば良い(過激思想)

 

「ソウゴ君は三玖の好きな人が気になるの?」

 

「え……………うん、まぁ…………そりゃ」

 

クッ、痛いとこを一花姉さんは突いてきやがったな………流石に正直に言うのはちょっとまだ覚悟がなぁ…………。

 

「そりゃ気になるだろうな。勉強して貰わなきゃ困るのに、恋なんかされたらたまったもんじゃない!だろ、火野?」

 

「……………うん。まぁそんな所だ」

 

ナイスゥ、上杉!!今度ピザまん2個奢ってやるよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふー、にしても危なかった。まったく、一花姉さんは痛いとこを突いてきやがる。女の勘って奴は中々の脅威だな……………うん?

 

「手紙?誰から………………ッ!?」

 

まさかの三玖だった!!

 

『放課後に屋上に来て。ソウゴにどうしても伝えたい事がある。どうしてもこの気持ちが抑えられないの』

 

…………………………………え、マジ?これ……………………ラブレター?いやいや、マジ?!え、ちょ………………マジ!?(語彙力低下)

 

「あれ、ソウゴ君どうしたの?顔赤いし、ニヤついてるけど何か良いことでもあったの?」

 

「ちょ、話し掛けるな花〇香菜!俺は今とんでもない事態に直面していて精神的に生きるか死ぬかの瀬戸際のレベルなんだよ!」

 

「え!?て言うか、花〇香菜って誰!?」

 

「お前の中の人だよ!!」

 

「中の人ってどういう事!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後

 

「くそっ、静まれ俺の胸のドキドキ…………静まれってんだよ!…………あぁ、クソ!やっぱ無理だ!」

 

放課後になった瞬間に俺はダッシュで屋上に来たが、三玖はまだ来ていなかった。

 

「ヤバい、意識すればする程胸のドキドキが…………こんな状態じゃまともに話せる気がしない!こうなったら、別の事に意識を集中させるしかねぇ!ガチャ引くぞ!!」

 

どういう思考回路でスマホゲームのガチャを引くことにしたのか後になっても未だによく分からない。

 

「ハァ、ハァ……………引くぞ、俺は引く!☆5キャラを引く!引かなきゃ誰かの養分……………!行けッ………………来た、確定演出!!さぁ、吐き出せ!!お前らが喰らってきた課金ユーザーの金、命、魂、希望、絶望、その全てを吐き出せ!!行けェェェェェェ………………いや、ど゛う゛し゛て゛ダ゛ブ゛リ゛な゛ん゛だ゛よ゛お゛お゛ぉ゛お゛!゛!゛!゛

 

床を転がりながら、俺の中のカ〇ジ(藤〇竜也)が久しぶりに復活。まぁ、緊張を紛らわす目的もあったが純粋に欲しかったキャラでもあるので普通に悔しい。

 

「悪魔…………このド悪魔め!クソっ、この悲しみはTwitterに書き込んでや………………らぁ?」

 

その時、俺は漸く気が付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前に三玖がいた事に。

 

「……………………」

 

「……………………」

 

「…………い、いつから見てた?」

 

「……………引かなきゃ誰かの養分、辺りから」

 

……………………。

 

俺はスマホをポケットにしまう。そして、床を転がった時についた汚れを軽く払って、咳払いをする。

 

「………………安心しなよ。そんなに待ってないから」

 

「…………何事もなかったかのように進めるのは無理があると思う」

 

ですよねー!!あー、もう恥ずかしい所を見られちまったよ、畜生!!熱中しすぎて気づかなかった!!今日は何て日だ、厄日だ!!

 

「うん……………まぁ、見られちまったものはしょうがない。全部説明すると、ちょっとゲームのガチャでお気に入りの強いキャラを引こうとしたら全然欲しくないダブリが出てきて発狂するほど悲しんでたってだけ。取り敢えず、他の皆には言わないでくれると助かるなーとかお願いしてみたり…………?」

 

「……………分かった」

 

それを聞いて取り敢えずホッとした。

 

「さて、気を取り直してだ………………あの手紙について、なのだが……………」

 

「…………食堂で言えたら良かったんだけど、誰にも聞かれたくなかったから」

 

え。やはりまさか?

 

「ソウゴ、あのね。ずっと言いたかったの………」

 

フーッ………………良いぜ、俺も覚悟が決まった。どんとカモン!

 

「……………す………す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「陶 晴賢!」

 

クゥゥゥゥッ!!!来たぁ、告白!勝った!五等分の花嫁、完!!出会って3日しか経ってないけど、まぁ良いか!!その言葉をずっと聞きたかったんだよ、陶晴賢って言葉…………………を?

 

陶晴賢?

 

「陶晴賢……………すえはるたか…………………あ、1問目の答え…………。え、それを言いに来た系?」

 

「そうだけど」

 

「………………………」

 

あぁ………………………ほんとに。告白されると思い上がっていた自分が恥ずかしい。『くっ、殺せ!』の台詞しか今の俺の頭にはない。つーか、冷静に考えたらまだ出会って3日目じゃん!世の中、そう簡単に物事が全て思い通り運ぶわけがないだろ!それは転生しようとも変わらないのがこの世の摂理なんだよ、クソが!(半ギレ)

 

「よし、言えてスッキリした。それじゃ」

 

「あ、うん……………って、ちょっと待って!!」

 

このまま俺が恥かいただけで終われるか!せめて少しでも仲良くなって信頼を勝ち取らないと!

 

そう考えて去ろうとする三玖の肩を掴んだ衝撃で三玖の手からスマホが落ちる。

 

「わーっ」

 

「あ、ごめん!」

 

慌てて拾うとその衝撃で電源かついたのか画面が見える。ホーム画面には『風林火山』の武田菱────。

 

「見た?」

 

ヒッ…………こ、怖っ!

 

「…………み、見ました…………」

 

「………だ、誰にも言わないで………戦国武将、好きなの…………」

 

フム…………三玖は歴女だったのか。それならあの問1が正解できたのも納得できる。

 

「それにしても戦国武将かぁ…………切っ掛けは何だったの?」

 

「切っ掛けは四葉から借りたゲーム。武将達の野心に惹かれて本も沢山読んだ。でも、クラスの皆が好きなのはイケメン俳優や美人なモデル。それに比べて私は髭のおじさん………………変だよ」

 

……………………………。

 

「別によくない?」

 

「え?」

 

「仮にその趣味が人から見て変だとしてもよ。俺から言わせれば、人と変わったものを好きになって何が悪いって話よ。趣味なんて人それぞれバラバラで当たり前だろうし、周りがどうとかなんて気にしないで、三玖は自分が好きになったその趣味に対して自信と誇りだけ持ってれば良いんだよ。変とか言う奴がいても気にすんな。殴って黙らせときゃ良いんだよ………ってのは流石に冗談だけどな」

 

「…………………!」

 

……………あぁ、そう言えば。前にも────前世でもこんな事を言っていたな…………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

==============

 

俺は小学生の頃からラノベが好きだった。切っ掛けは………………まぁ、正直に言うと本屋に行った時にたまたま視界に映ったラノベの表紙の女がエロ可愛いかったからだ。ちなみにそのラノベ、内容はめっちゃ感動的で涙腺がやられて本屋で大泣きして周りからドン引きされたり、見かねた店員さんからテイッシュを貰ったのは今となっては良い思い出。そのラノベを読み終わる頃には俺はすっかりラノベに夢中になり、そこから派生して漫画やアニメにも興味を持ち始めた。

 

少ない小遣いを貯めては買って、学校でも読み始めたりした。当時、友達はいなかったから別に俺がラノベとか読んでても特に何も言われなかった

 

小5までは。

 

小5になってクラス替えをすると、今まで同じクラスになった事のない奴とクラスが一緒になったのだが─────そいつが厄介者だった。そいつは陽キャでクラスのリーダー的な奴だった。だが、どうもラノベばっかり読んでる俺が気に入らなかったらしい。俺の事を馬鹿にしだしたり、悪口を言いふらしたりしやがった。リーダー的な奴が言い始めるとクラス全体の雰囲気もそう言う感じになって、クラスの居場所がなくなっちまった。

 

ただ、俺は関わるのも面倒だし正直どうでもよかったから何の反応もしなかった。それが奴にとっては面白くなかったのか、ある日呼び出された。

 

『んだよ、わざわざ呼び出して。俺はさっさと帰って今日発売の新刊を買いに行きたいんだが』

 

『安心しろ、お前が素直に従えばすぐ終わる』

 

『(こいつは相変わらずの上から目線の馬鹿だな)』

 

『お前もいい加減意地を張るのをやめろよな?余裕ぶっこいてるけど、ほんとは影口とか悪口を言われて、誰も味方がいなくて悲しく思ってんだろ?家で泣いてんだろ』

 

『(いや、どうでも良いと思ってますー。まぁ、家では(感動的なラノベを読んで)泣いてはいるが)』

 

『ほんと、お前って変な趣味を持ってるよな。お前みたいな何が面白いのか分からない変な本を読んでる陰キャがいるとクラス全体のイメージが汚れるんだよ。だから、2度と学校で読むんじゃねぇ』

 

『変な趣味、ね……………』

 

『あ?』

 

『いーや、何でも……………約束しろよ。止めれば、陰口とかなくなるんだな?』

 

『ふんっ……………あぁ。約束してやるよ。陰口とかはなくなる。さぁ、俺の前で2度とその下らない本を持って来ませんって言えよ』

 

『………………………』

 

『何を黙ってやがる!早く言え!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『だが断る』

 

『は!?』

 

『この岸辺ろ………じゃなくて、この火野 総悟の最も好きな事のひとつは自分が偉いと勘違いしてる上から目線の馬鹿に『NO』と断ってやることだ』

 

『て…………てめぇ……………良いぜ。なら、俺に歯向かった罰だ。こうしてやるよ!』

 

『あ、おい!』

 

奴は突然手に持っていたラノベをひったくると、そばにあったゴミ箱の中に捨てた。急いで拾うが、ラノベはゴミで汚れていた。

 

『ざまぁみろ!俺に歯向かうからこうなるんだ!』

 

『…………………』

 

『どうした?悔しかったら何とか言い返してみろよ、あ?あ、ごーめん!変な本ばっかり読んでる陰キャには無理か!ハハハハッ!』

 

『ふーっ…………………よし、お前に一言だけ言い返そう』

 

『お?何だ、言ってみろよ。どうせ大した事もな』

 

『オラァ!』

 

『グベラ!?』

 

不意打ちパンチが奴の顔面にクリーンヒット。咄嗟の事で防御もしなかった為、かなりの距離を吹っ飛んでそいつは倒れる。

 

『さっき一言だけ言い返すと言ったな。あれは嘘だ。一発だけ殴るの間違えだったわ。だが、お前には言いたい事が山ほどあるから、全部吐き出させて貰うぞ』

 

俺は奴の頭を掴んで未だに状況が呑み込めてなさそうな奴の目を真っ正面から見る。

 

『1000歩譲って俺の趣味が変だとしてもだよ、それの何が悪い。人と変わってるものを好きになって何が悪いってんだよ。俺はこの趣味を持ってる事に対して自信と誇りを持ってる。お前からどう思われようとも俺はこの趣味を捨てるつもりはねぇし、そもそも俺の趣味について他人のお前らからあーだこーだ言われる筋合いもねぇんだよ。笑いたきゃ勝手に笑ってろ。こっちも読んでもないくせにラノベを変だ、面白くないだの言ってるお前の滑稽さを逆に笑ってやるからよ。だが、また今みたいな事をやってみろ。暫く学校に来れなくなるかもな』

 

『ヒッ……………………!』

 

『おい、さっきまでの威勢はどうした?所詮は自分が強いとでも勘違いしてた頭お花畑のイキり野郎か?……………チッ、馬鹿馬鹿しい。時間の無駄だし帰るか。じゃーな、アホ陽キャ。また明日なァ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(………その後、あいつが何を言ったのかは知らないが、学校中で俺がヤバい奴みたいな噂が広まって、あいつも含めて避けられるようになったんだよなぁ…………しかも最悪な事に、あいつと同じ中学校と高校だったから、その状況が高校を卒業するまで続くと言う、あまり良いとは言えないオチなことで…………)

 

「…………………ソウゴ?」

 

「…………ごめんごめん。前にも似たような事を言ったなーって考えてただけだから……………そうだ!三玖が知ってる戦国武将の事を問題にして出してみてくれないか?」

 

「え?」

 

「こう見えてもですね……………俺、結構歴史好きなんですよねー。ワンチャン、三玖より詳しかったりして」

 

「………じゃあ問題ね!信長が秀吉を猿って呼んでたって話は有名けど、この逸話は間違ってるの!本当はなんて呼ばれてた?」

 

急にめっちゃ喋りますな……………まぁ、本当に好きな事を話すなら誰しもそうか。

 

「簡単ですねぇ。答えは禿げ鼠」

 

「せ、正解…………!」

 

そこから三玖もヒートアップしたのか、いわゆるマシンガントークと言うやつで喋ってくる。

 

「上杉謙信が女だったって説もあってね」

 

ありましたね、そんな説。昭和43年に小説家の八切止夫が提唱したんだっけ。

 

「三成は柿を食べなかったんだ。その話を聞いたときは感動したなぁ」

 

その逸話は石田三成の往生際の悪さとして紹介される事があるらしいが、個人的にはいい話だと思うぞ。

 

「信長が頭蓋骨にお酒を入れたとか………」

 

浅井久政と長政、朝倉義景の頭蓋骨に漆を塗ったやつね。

 

────そしてトークはまだまだ続き、1時間後に三玖が喋り疲れてか終了した。

 

「ほ、ほんとに…………詳しいんだね…………」

 

「まーね」

 

にしても、三玖の知識は中々のものだ。戦国武将にしか興味はなさそうだが、教え方次第では日本史とかすぐに好きになりそうな気もするな。

 

「暗くなってきたな……………そろそろ帰るとしようかね」

 

「え?……………あ、ほんとだ。いつの間にこんな暗くなってたんだ……………気付かなかった」

 

「熱中してたしね。楽しかったよ」

 

三玖がとても楽しそうに話してるのを見ると、こっちも無性に楽しかった。

 

「ありがとう、ソウゴ。私も楽しかった……………そ、それでね…………」

 

ん?

 

「あ、明日……………もし予定とかないなら……………また一緒に話さない…………?」

 

なにぃ!?三玖様からのお誘い、だと…………!?

 

「もっちのろんよ!俺で良ければ、いつでもどうぞ!」

 

断るわけがねぇでしょ!仮に予定が入っていたとしても、その予定を爆☆殺するわ!!

 

「!…………………じ、じゃあ明日…………放課後に校門の前で………………またね」

 

そう言って三玖は屋上から去って行った。それから暫く俺は何も言わずに立っていた。そして屋上から三玖が学校から出ていくのを確認した瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イ゙ェアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア───!!」

 

それから5分間、俺氏は狂喜乱舞の雄叫びをあげてたとさ。

 

ちなみにこの後、声を聞き付けて駆けつけた先生にめっちゃ怒られた。

 

to be continue………




三玖「(……………変な叫び声が聞こえたような…………不審者?夜道には気を付けよう……)」

全部見ていた神様「(その不審者、ついさっきまで君と話していた男です)」


今日も駄文を読んでいただきありがとうございました!


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5人で100点

シンエヴァを見に行くか迷ってます。1月になって既に銀魂で4000円位使っちゃってるんだよなぁ………。


「あー…………………マジで眠い」

 

昨日は誘われた嬉しさの余り遅くまで寝付けず、その結果睡眠不足である。そんな俺の様子を見てか隣の一花姉さんが話し掛けてくる。

 

「珍しいね、君が寝不足なんて。ちゃんと夜は寝なきゃダメだよ?」

 

「説得力に欠けるぞ」

 

授業中、隣でよく寝てるじゃねーか。そっちこそ夜にちゃんと寝て授業中は起きてなさいよ…………。

 

「授業中に寝るような性分だから勉強が出来ん訳だ………」

 

「もー、学校に来てまで勉強の事を持ち出さないでよー」

 

「………………ダメだこりゃ」

 

学校は勉強の場ではなかったのだろうか(困惑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『行くぞ、英雄王。武器の貯蔵は十分か』

 

『思い上がったな、雑種!』

 

放課後、授業が終わってすぐに校門の前でイヤホンを付けながらメイドin神様のスマホでアニメ(音声だけ)を楽しみながら、この前の確認テストの成績表の分析を行っていた。

 

(一花姉さんは数学、二乃は英語、三玖は社会(特に日本史)、四葉は国語、五月は理科が得意なのか……………もっとも、強いて言うならのレベルだが。にしても、得意科目が綺麗にバラバラだな。ほんとに五つ子かよ、なーんて思ったりして………………あ、もうすぐ死ぬな、AUO)

 

さらば慢心金ぴか、と心の中で呟きながら俺は背伸びをする。

 

(しかし、何かモヤモヤするような…………さっきの表を見て何か引っ掛かるんだよなぁ……………)

 

あと少しで答えが出かけているのに、出てこないもどかしさを味わっていると

 

「ソウゴ」

 

「!……………み、三玖か」

 

「待たせてごめん……………フータローに足止めされてた」

 

「へー、上杉から……………?」

 

「……………フータローはソウゴよりは大した事なかった。同じ首席でも全然違うね」

 

ああ、なるほど(察し)

 

大体分かった。………だが、奴の事だ。めっちゃ勉強してまたリベンジしてくるな。その内果たし状でも届く希ガス。

 

「ふーっ……………じゃあ、行きますか…………?」

 

「……………うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特に目的地もなく、俺は三玖と歩きながら武将トークをしていた。主に俺は聞き手側だったが。戦国武将の事を得意気に話している三玖は本当に楽しそうだった。それを見ていると俺も自然と笑みが浮かんでいた。

 

1時間くらい歩いていると、たまたま公園があったので休憩もかねて公園に寄ることを提案すると三玖も首を縦に振ったので寄ることにした。

 

「ほい、俺の奢りだ」

 

俺は自販機で買った抹茶ソーダを渡す。

 

「あ、ありがとう」

 

「鼻水は入ってないよ、ってね」

 

「!………………今度私が言おうと思ってたのに」

 

頬を膨らませて不満そうにする三玖────尊い。

 

「なら、俺が一本取ったって事で。よっこらせ……………いやはや、ほんとに三玖は物知りだね。俺も聞いてて楽しいわー」

 

「うん。私もいっぱい話せて楽しい。ありがとう、ソウゴ。私の話に付き合ってくれて」

 

そう言うと三玖はとてつもなく可愛い笑顔を見せてくれる。まずいな……………このままじゃ尊死しそう(小並感)

 

「…………昨日思ったんだけど、普通にその話を他の姉妹にしてあげれば良いのに。何で話さないの?」

 

「………………姉妹だから言えないんだよ」

 

「…………?」

 

「だって、私が5人の中で1番落ちこぼれだから」

 

………………ふむ。どうやら三玖は自分の好きな事に自信が持てないんじゃなくて、自分自身(・・・・)に自信が持てないようだ。

 

「1番落ちこぼれではないでしょ。現にこの前のテストでは三玖が1番出来が良かったよ」

 

………まぁ、正直に言ってしまえばどんぐりの背比べではあるが。

 

「ソウゴは優しいね…………でも、なんとなく分かるんだよ。私達は五つ子。私程度に出来ることは他の4人も出来る(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)に決まってるよ」

 

──────!今の三玖の言葉で頭の中で何かが弾け、ある仮説が頭を過った。先程のテストの表を確認してみると───やはりその通りだった。

 

「だからソウゴも私なんて諦めて」

 

「諦めるのはまだ時期尚早ってやつだと思うぜ」

 

「え………………?」

 

「自分に出来ることは他の4人にも出来る──────なら、言い換えれば他の4人に出来ることは三玖にも出来る、って事だろ?」

 

「そ、それは……そうかもしれないけど……」

 

俺は三玖に例の確認テストの分析表を見せる。

 

「ほら、何かに気付かないか?」

 

「…………………あ。正解した問題が1問も被ってない……………!」

 

「そう言うことだ。1人が出来ることは全員出来る───── 一花も、二乃も、四葉も、五月も…………そして勿論三玖も!皆には100点の潜在能力があるって事だ。そして……………その潜在能力を引き出す手伝いを俺達にさせて欲しい、って訳だ」

 

「……何それ。屁理屈……………五つ子を過信しすぎ」

 

「まぁ、確かに屁理屈だ。けどまぁ、鬼がかった屁理屈だと思うぜ」

 

鬼がかった、の言い回しがおもしろおかしかったのか三玖はクスッと笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

「ライスはLじゃなくてRだ!Liceはシラミだぞ!」

 

「あわわわわ………」

 

翌日、図書館で上杉に四葉がしごかれている隣で俺は暇なのでボーッとしていた。しかし、ライスをLとRで間違えるのは致命的だな。最近は小学生でもriceは知ってるぞ。

 

「四葉、怒られてるのに何でニコニコしてるんだ?」

 

「家庭教師の日でもないのに上杉さんと火野さんが宿題を見てくれてるのが嬉しくて」

 

「と言っても、四葉の宿題の面倒が上杉だけで余裕で出来ちゃってるから、今の俺の仕事は脳内で上杉をからかうしか仕事がないんだが」

 

「どんな仕事だよ!」

 

「あーあ。誰でも良いから来て、俺の出番を作ってくれないかねー……………」

 

「声は掛けたんですけどね……………あ!火野さんの出番が来ましたよ!ね、三玖?」

 

お!!嬉しさの余り椅子を倒す勢いで立ち上がった。

 

「三玖、来てくれたのか……………って、あれ?」

 

声を掛ける上杉を盛大にスルーすると、三玖は俺の前に立つ。ど、ドキドキしますよ~…………。

 

「ソウゴに言われてほんのちょっとだけ考えちゃった。私にも出来るんじゃないかって…………だから、責任取ってよね」

 

「勿論、そうさせて貰うぜ」

 

喜んで、ばっちり最後まで責任を取らせて貰いますよ~!

 

「もしかして三玖の好きな人って…………火野さん?」

 

「!…………ないない」

 

「?」

 

四葉と何の話してるのかはよく分からんが─────何はともあれ、三玖からの信頼を勝ち取ったぜ!勝った!これを以て五等分の花嫁は完結!次回作にご期待下さい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勿論嘘です。まだまだ続くんよ~。

 

to be continue………




余談

凄くどうでも良いが、この翌日に上杉は三玖の信頼を獲得出来たらしい?

上杉「凄くどうでも良いってなんだよ!?つーか、何で疑問形で書いてんだ!ちゃんと獲得出来たわ!そもそも、描写はカットかよ!」

総悟「ツッコミの嵐だな…………いや、だって原作とほぼ同じ流れだし?書くの面倒だって作者が」

上杉「フアック!」


えー、今日もマッドな駄文を読んでくれてありがとうございました!


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キーアイテム=杏仁豆腐

神様「キーアイテムが杏仁豆腐?今回の話で杏仁豆腐で世界を救うんか?」

総悟「食ってこの話は終了だろ」

※実際は杏仁豆腐を食って終了のオチではありません。


今日は家庭教師の日である。家を出た後、約束の時間よりも早く着きそうなのでコンビニにでも寄って雑誌でも見て時間を潰そうとしていた………………のだが。

 

「新発売の杏仁豆腐かぁ…………何か美味しそうだし買っていくか」

 

「ゼリーどら焼き、だと!?くそぅ…………味が気になる!」

 

「何だこの新種のカップラーメンは…………グラタン味だと?良いだろう、その味を試させて貰おうか!」

 

「このジュース、Twitterでバズってたやつ!乗るしかないですよね、このビックウェーブに」

 

………………こんな感じで次々と買っていった結果、財布にあった野口3枚が綺麗に消えていた。『コンビニに寄ると、ついつい色々と買いすぎる事ってよくあるよね』とはまさにこの事。

 

「何やってんだ俺は………………これなら3000円分課金した方が良かったじゃねぇか……………それに、甘いの多すぎだろ…………」

 

レジ袋の中身は9割が甘いものを占めていた。

 

「はぁ………おやつには暫く困らないって事でよしとしよう。星奈さんにも後で何かあげよ。さて、そろそろ」

 

「ソウゴ?」

 

その声──────姿を見なくても、俺にはもう分かるぜ。

 

「お、三玖。買い物帰り?」

 

「うん。これ」

 

何々……………三玖さん定番の抹茶ソーダ2本に和風系のお菓子ですか。

 

「ちょうど良かった。これ、あげる。鼻水は入ってないよ」

 

なるほど、1本は俺用か。そして、よっぽどその台詞を言いたかったのだろう。言えて誇らしげな表情をしている。

 

「ありがと、三玖………………苦ッ!だが、悪くないだろう」

 

「ふふっ、良かった。じゃあ、行こ?勉強、教えてね」

 

「ああ、勿論」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三玖と一緒にマンションに着くと、何故か上杉が監視カメラに向かって喋っていた。

 

「何やってんだおめー?それ、オートロックだぞ?」

 

「ひ、火野!?………………べ、別に知ってたからな!ハハハハ!」

 

嘘つけ。

 

「じゃあ、どう使うの?」

 

「…………………………」

 

三玖の問いに冷や汗を流しながら視線をあちこち彷徨わせる上杉。見てる側としてはちょっと面白い。

 

「………………ここで私達の部屋番を入れてくれたら繋がるから」

 

「だ、だから知ってるからな、元々」

 

嘘つけ(2回目)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはようございます!私は準備万端ですよ!」

 

「私も見てようかな」

 

「私はここで自習してるだけなので勘違いしないで下さい」

 

四葉はやる気満々、一花姉さんは観戦、五月は自習……………でもまぁ、前と比べれば部屋に籠ってないだけ良い方だ。やはり最初の頃とはほんの少しだけ変わったのかもしれない。

 

「なーに?また懲りずに来たんだ?」

 

二乃を除いて。

 

「前みたいに途中で寝なきゃ良いけどね?」

 

怒られたのを懲りてなさそうな台詞を聞いた瞬間、無性に少しだけイラッとしたので一芝居する事にした。

 

「久しぶりにキレちまったよ……………星奈さんに1ミリも懲りてないって言ってもう3発雷落として貰うぞコラァ!」

 

「ッ!?……じ、冗談よ!ちょっとしたジョークだっての!それくらい察しなさいよ!」

 

「……なーんだ。それなら良いんだよ。察しが悪くてすまんのー」

 

ブラックジョークとして受け取っておこう。にしても、我ながら迫真の演技だったな(自画自賛)

 

「ど、どうだ二乃も一緒に」

 

「それは死んでもお断り」

 

残念、上杉の誘いは一瞬ではね除けられた。まぁ、前みたいな手段で妨害してこないならまだ良い。

 

「しゃーない。今日は4人でやりますか」

 

「…………そうだな。よし、じゃあやるか」

 

「はーい!」

 

早速始めようとする………………が。

 

「…………そうだ四葉。バスケ部の知り合いが大会の臨時メンバーを探してるんだけど、あんた運動出来るんだし今から行ってあげれば?」

 

「い、今から……!?で、でも………」

 

「5人しかいない部員の一人が骨折しちゃったらしくて、このままだと大会に出られないらしいのよ。頑張って練習してきたのに、かわいそう」

 

「……………お二人ともすみません!困ってる人を放ってはおけません!」

 

「嘘だろ…………」

 

上杉は呆然としているが、二乃が言い出した時点で俺はこうなる予感がしていた。四葉はお人好しだからなぁ……………これで3人に減っ

 

「そうだ、一花。あんた、2時からバイトじゃなかった?」

 

「あー、忘れてた」

 

……………2人に減っ

 

「五月も、こんなうるさいとこより図書館とかに行ったほうがいいんじゃない?」

 

「………それもそうですね」

 

……あれ?このままだと三玖だけになるんじゃね…?それはそれで三玖と話せる機会が増えるし、個人的には好都合なんじゃ……………。

 

(………いやいやいや!俺は家庭教師をしに来てるんだぞ!個人的な事は二の次だ!五月がいなくなるのを阻止するには………………!)

 

俺はコンビニ袋からあるものを取り出すと、五月の目の前にドンと置く。それを見た瞬間、五月の目の色が変わる。

 

「こ、これは…………!新発売の特製杏仁豆腐!」

 

「取引しようじゃないか、五月。別に俺らの授業を受けろとは言わん。ただ、ここで勉強してれば良い。そしたら、こいつはユーのもの。杏仁豆腐と引き換えのギブアンドテイクだ…………!」

 

だが断るな!断らないでくれっ……………!

 

「くっ…………良いでしょう、取引成立です」

 

や っ た ぜ

 

「ちょ、待ちなさい!五月、そんなの私が明日にでも買ってあげ」

 

「明日まで待てません!今日食べたいんですッ!」

 

これはどんなに説得してもこれは揺るぎそうにありませんな(勝ち確)

 

「くっ……………そうだ、三玖。あんた、間違えて飲んだアタシのジュース、買ってきなさいよ」

 

「もう買ってきた」

 

「え……………って、何これ!?」

 

抹茶ソーダですね。

 

「悪い、火野……」

 

「心配するな、杏仁豆腐(324円)は大した出費じゃない。とりま、2人残っただけでも良しとしよう」

 

それに………杏仁豆腐と引き換えに残留させた五月は上杉よりは好感度が高い(多分)俺が何とか出来る作戦がある。

 

「そうだな………よし、切り替えて行くとしよう」

 

「うん」

 

三玖もやる気充分そうですし、やりますかねー。

 

「俺ちゃん、今日の授業の為に日本史を最初から一通り勉強してきたんだよねー」

 

「そうなんだ。流石はソウゴ。フータローとは大違いだね」

 

「お、俺だって勉強したわ!」

 

「えー?ほんとにござるかぁ?」

 

「その煽りうざ過ぎる!」

 

そんな会話をしていると、またも二乃が口を開く。

 

「へー…………三玖。いつの間に仲良くなってたんだ。特にあんたと」

 

ん?あんたって俺の事か。

 

「こう言う冴えない顔の男が好みだったんだ。ま、こいつ(上杉)よりは良い方だとは思うけど」

 

「…………ソウゴは冴えない顔じゃない。冴えないのはフータローの方。二乃は相変わらずのメンクイだね」

 

「………お前ら、俺に酷い事言ってる自覚ある?」

 

上杉…………強く生きろよ!

 

「メンクイで何が悪いかしら?イケメンに越した事はないでしょ?なーるほど、外見を気にしないからそんなダサい服で出掛けられるんだ」

 

「この尖った爪がおしゃれなの?」

 

「あんたには一生分からないかなー」

 

「一生分かりたくもない」

 

「これが第5次姉妹戦争(シスターズウォー)と言うやつか……………いいぞ、もっとやれ」

 

「いや、煽ってないで止めろよ!」

 

しゃーないのー。

 

「もー、姉妹なんだから仲良くしろよ。外見とか中身とか今は良いでしょーが」

 

「……………そうだね。もう邪魔しないで」

 

やれやれ………………これで漸く始められ

 

「キミら、お昼食べた?」

 

突然二乃がそんな事を訊いてきた。

 

「俺は食ったが」

 

「そういや俺はまだ食ってない…………グゥ」

 

タイミング良く上杉の腹から空腹の音が鳴る。

 

「じゃあ三玖の言う通り中身で勝負しようじゃない。どっちが家庭的か料理で勝負よ!私が勝ったら今日は勉強なし!」

 

えぇ………そこまでやるぅ?

 

「すぐ終わらせるから座って待ってて」

 

「お前が座ってろ!」

 

上杉の叫びも虚しく、2人の料理対決はスタートした。

 

「……どうしてこうなった…………」

 

「これは上手く乗せられちゃったな。しょうがないから勉強でもしてな」

 

「そうさせて貰うぜ…………はぁ………」

 

ため息をつきながら上杉は参考書を取り出して自分の勉強を始めた。

 

「………………ん?」

 

ふと、後ろを向くと五月が何やらワクワクした表情でキッチンの方を見ていた。

 

(ああ…………食う気満々なのね…………)

 

「………………!」

 

俺の呆れの視線に気付いたのか、五月は前を向いて再び勉強を再開した。俺はスッと立ち上がってさりげなく後ろを通り過ぎつつ、勉強してる内容を確認する。

 

(今やってるのは化学の問題集ね…………次辺りの応用問題でつまづきそうだな……よーし!)

 

俺は持参していたノートとシャーペンとボールペンを取り出すと、超高速で問題の解き方とヒントを示した解説を作った。そして解説を書いたノートの1ページを切り取り、その紙を折って紙飛行機を作る。

 

「えっと………………この問題は……………」

 

予想通りその問題で悩んでいたので、紙飛行機をスッと投げる。投げた紙飛行機は五月の目の前に静かに落ちた。

 

「!?………これは……………」

 

五月がこちらをジーッと見つめてきてるのを背中で感じるが、『ナンノコトカサッパリダナー』と言った雰囲気を出しながら俺は口笛を吹いて誤魔化す。俺は今日教えない設定だからね、しょうがないね。数十秒後にチラッと見ると、五月の視線は俺ではなく紙の方へと向けられていた。

 

「…………………な、なるほど………この問題文が重要なヒントだったのですね。そしてこの法則を使うのですね。そう言えば前に教科書で見た気が……………なら答えは…………あ、出来ました!」

 

おー、良かったじゃん。その後、料理が出来上がるまでの時間に俺は紙飛行機をあと4つ程飛ばすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃーん!旬の野菜と生ハムのダッチベィビ~」

 

「お………………オムライス…………」

 

うん……………見た目だけだと二乃の圧勝になる。いかに推しと言えど、見た目は三玖の方が良いと言うのには流石に無理があるな。

 

「や、やっぱり自分で食べる…………」

 

「折角作ったんだから食べて貰いなさいよ~」

 

ニヤニヤ笑みを浮かべやがって、こん畜生め……………女であることと三玖の姉妹であることに感謝するんだな、二乃。そうじゃなかったらお前の髪にタバスコをぶっかけてたぜ。

 

「じゃー、審査員の上杉氏。食って、どうぞ」

 

「い、いただきます」

 

上杉は一口ずつ双方の料理を口にする。さて、その感想は………………

 

「うん、どっちも美味いな」

 

そう言うと思ったわ。貧乏舌な奴ですからな。

 

「はぁ!?そんなわけ……………あんた!一口で良いから食べなさい!」

 

おやおや、指名がきましたか。どれどれ……………

 

「………………………」

 

「さぁ!どっちが美味しかったのか正直に言いなさい!」

 

「良いだろう…………俺はベーコン派なので、生ハムを入れてやがった二乃は強制失格。つー訳で、三玖の勝利」

 

「ぶん殴るわよ!!」

 

こわいこわい、そんなに睨むなっての。それに、女の子がぶん殴るとか物騒な言葉を使っちゃ駄目だぞ?取り敢えず落ち着けって。ほらお手!

 

「犬みたいな扱いをするんじゃないわよ!!」

 

おっと、心の内で留めておくつもりが何故か出ちゃったかー(棒読み)

あれー、幻覚かな?二乃が唸って威嚇してる犬に見えなくもないぞー?

 

ちなみに、三玖の料理は正直に言うと不味い訳でもないけど超絶美味しい訳でもなかった。もし時間があれば練習して上達して欲しいな。やっぱ料理の出来る女の子は魅力的だしね!何なら、二乃が大好きな(笑)星奈さんを呼ぼうかな。三玖にその気があるなら、料理めっちゃ得意な星奈さんに教わるのもアリかもね。

 

「二乃、どこに行くの?」

 

「誰かのせいでストレス溜まったから自分の部屋でウサギの可愛い動画でも見て発散してくるのよ!」

 

一体誰のせいなんですかねぇ…(すっとぼけ)

 

「あの……………その料理、一口しかまだ手をつけてないですし私にもくれますか?」

 

そしてこいつ(五月)はぶれない!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、双方の料理の8割は五月が食べ、残りの2割ずつは上杉が昼飯として食べた。そして後片付けをしてるとすっかり時間が経っていた。

 

「うーむ、結果的に二乃の目論み通りになっちまったな。今回は出直しとするか」

 

「ごめん…………」

 

「三玖は悪くないから謝んなっての」

 

俺でも三玖の立場だったら勝負に乗ってるだろうし。

 

「にしても、あいつとは分かり合える日が来るとは思えん」

 

うーん、でもまぁその内分かり合えると思うけどね。大方、原作ではクリスマスか大晦日のビックイベントにでも何とかなったんでしょ(適当)

ただ、ここに原作にはいなかった俺と言う存在がある。この存在によって二乃の件は来年に持ち越しとか、最悪のケースとして和解無し√とか出てこなきゃ良いんだけどなぁ……………。

 

「2人がちゃんと誠実に向き合えば分かってくれるよ」

 

「誠実って……………どうやって?」

 

「それを考えるのがフータロー達の仕事でしょ?と言うか、私も分からない」

 

分かんないんかーい!………………でもまぁ、確かにどうするのかを考えるのが俺達の仕事か。

 

「そうさな……………それは今後の俺達の課題だ。漫画を読む合間にでも考えとこっと」

 

「あくまで最優先は趣味の方なんだな…………」

 

そりゃ当たり前だよなぁ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しまった、財布を忘れてきた……」

 

「おいおい」

 

エントランスを出ていざ帰ろうとした時、上杉が忘れ物に気付いた。

 

「悪い、先帰ってて良いぞ」

 

「あー………暇だしここで待ってるから早く取ってきな」

 

「すまん、すぐ取ってくる」

 

そう言うと上杉は今日覚えたてのオートロックを使って入って行った。取り敢えず俺は壁に寄り掛かって座る。………………にしても、二乃はどうしてあそこまで俺らに悪意を持っているのやら。

 

「むむむむ…………これはどんなに考えても直ぐには答えは出んな…………」

 

「そんなに難しい問題なのですか?総悟様でも分からないような」

 

「正直『年頃の乙女心?これもう分かんねぇな』的な感じで…………………って、うぉ!?いつの間にいたんですか!!忍ですか!?」

 

「残念ながら忍ではありませんね」

 

そこにいたのは星奈さんだった。

 

「コンビニからの帰りに通り掛かったのですが、何故か総悟様が座り込んでていたのが見えたので、あの五つ子達からいじめにでもあったのかと心配になって来た次第ですが……………その様子ではそんな事はなさそうなので安心しました。もし本当にいじめにあったら絶対に相談して下さいね。私が物理的に天誅を下します!」

 

そしたら家庭教師のバイトも物理的に消滅しそうな気もするけど………………まぁ、俺の事を思ってくれてるのはありがたい。

 

「もしほんとにそうなったら相談しますよ……………つーか、今相談しても良いですか?いじめじゃないですけど」

 

「勿論です。私に答えれる事ならば何でもお答えしましょう」

 

そう言うと星奈さんは俺の隣に座る。ふむ………………付き合いもかなり長いが、めっちゃ美人さんである星奈さんが隣に来ると相変わらず緊張するな……………。前から思ってたが、星奈さんってほんとに年取ってるのかね?出会った頃から全然美しい美貌が変わってない気がするが。

 

「それで、何をお悩みなのですか?」

 

「星奈さんもかーなーり知ってる人物の事なんですが………………あ、ちょっと失礼」

 

話そうとした矢先にメールの通知音が横槍を入れる。サイレントモードにしようと電源をつけると、そのメールの差出人の名前が見えた。その名は上杉。気になったので中身を見てみると───────

 

『助けてくれ』

 

この1文だけ記されていた。

 

「……………………はい?」

 

to be continue………




神様「えー、ここいらでお知らせです。次回は2巻のお話に行くかと思って人、残念でした。次はFGOで言う幕間の物語でーす」

上杉「何の話をするんだ?」

神様「上杉君がストーカーになる話でーす」

上杉「いや、そんな話やらないからな!?」

神様「え、ガチでやるらしいけど」

上杉「え?」

神様「え?」

早くて明日、遅くても2日以内に多分投稿します。ストーカーになるのかならないのか、お楽しみに!

この駄文を読んでいただき、誠に陳謝!


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第2巻
扉を開けて(切実)


タイトル考えるのめんどくせぇよ。

て言うかもう、何もかもがめんどくさい。

チーズ蒸しパンになりたい。

総悟「銀魂の原作者のひとりごとのパクリじゃねーか」

おふざけタイムは終了、ではどうぞ。


「裁判長、ご覧ください」

 

そう言って五月はスマホの写真を見せる。

 

「被告は家庭教師と言う立場にあるにも関わらず、ピチピチの女子高生を前に欲望を暴発させてしまった…………この写真の男は上杉被告本人でまちがいありませんね」

 

「…………え、冤罪を主張する…………」

 

どうしてこうなった……………。上杉からのSOSを受けて行ってみれば、何故か裁判に巻き込まれた件について。ちなみに、俺は上杉被告の弁護人である。星奈さんは傍聴人的な感じ。

 

「裁判長」

 

「はい、原告の二乃くん」

 

「この男は一度マンションから出たと見せかけて、私のお風呂上りを待っていました。悪質極まりない犯行に、我々はこいつの今後の出入り禁止を要求します」

 

「お、おい!いくらなんでも!」

 

上杉にとってそりゃ不味いだろうな。

 

「異議あり!これは不慮な事故であると私は主張します!証言者の三玖さん!」

 

「忘れ物を取りに来たって言うから私がインターホンで通した。録音もある」

 

「以上より、私は被告人の無罪を主張します!」

 

帰って漫画読みたいので、さっさと冤罪を晴らして帰りたい。

 

「こいつはハッキリ撮りに来たって言ったの!盗撮よ!」

 

「違いますぅ。忘れ物を取りに来たと言う意味ですぅ。そもそも!この上杉風太郎と言う男は悪人顔ではあるがその心は完全なる悪では…………………いや、若干の悪かもしれないが!それでも、こいつは二乃を襲うような奴じゃない!!何故ならこいつは女を襲うような度胸のないチキン野郎だからだ!それは1年間一緒に過ごしてきた俺が保証するッ!!」

 

「…………おい、火野。俺への擁護が悪口に聞こえるのは気のせいで良いんだよな?…………おい、何で目を逸らす?」

 

「……………でも、こんな体勢になるかな?」

 

うーむ、一花姉さんから無罪判決を貰うまでには至らんかったか。

 

「一花、やっぱあんた話が分かるわ!こいつは急に私が覆い被さってきたの!」

 

「………………切腹」

 

「じゃあ、切腹で。これにて閉廷!お疲れ!」

 

「おい!」

 

だって三玖さんがそう言うんだし……………ねぇ?

………………って言うおふざけはさておき。どうすればチェックメイトに持ち込めるもんか。

 

「ちょっと良いですか?」

 

その場の全員がその声に注目する。声の主は星奈さんだった。その手には借りたのか五月のスマホが。

 

「この写真、棚から落ちた本を守ったように見えません?」

 

「うーん、確かに言われてみれば」

 

「そう見えなくもない」

 

「可能性としてはあり得なくないですね」

 

「可能性じゃなくて!そ、その通りなんですよ!」

 

星奈さんの指摘に一花姉さん、三玖、五月が賛同を示し、上杉も慌てたように言う。

 

「感情論にはなりますが、私も彼の事は少しばかりですが知っています。先ほど総悟様が述べられた通り欠点はありますが、女の子を襲うような方ではないと思います。何でも恋人が勉強のような人ですから」

 

「………………やっぱり、フータロー君にそんな度胸はないかな」

 

「さすが星奈さん!我々に出来ない事件の解決を平然とやってのけるッ!そこにシビれる、あこがれるゥ!」

 

よし、一花姉さんもそう言ってることだしこれにて閉廷!さっさと帰って飯食った後に『ジの奇妙な冒険(第1部)』でも見るとしよう!

 

「って、待ちなさい!何解決した感じ出してんの!?」

 

「二乃、しつこい」

 

あーあー、また二乃と三玖の間でバチバチ火花が散ってるよ。昼の時と言い、仲良くしなさいよー。

 

「まぁまぁ、そうカッカしないで。私達、昔は仲良し五姉妹だったじゃん」

 

「ッ………………昔はって…………私は…………!」

 

勢いよく二乃は飛び出してしまった。

 

「良いのか、追い掛けなくて?」

 

「放っておけば良いよ。その内戻ってくるだろうし」

 

「ふーむ………………」

 

三玖はそう言うものの、俺は少しばかり心残りだった。だが、いつまでもここにいる訳にもいかないので帰ることにした。

 

「……………あの、火野君」

 

帰る直前に話し掛けて来たのは五月だった。

 

「えーっと………何か…………不味いことしたっけ?」

 

「いえ、そうではなくて……………今日はその、あのヒントに助けられたのでお礼を言わなくてはと思いまして……………」

 

……………………。

 

「にゃんのこと?」

 

「え?で、ですから」

 

「俺は杏仁豆腐のギブアンドテイクの取引の時に言ったぜ?教えたりしない、って。だから五月を助けたヒントをくれたのは……………まぁ、学問の神様みたいなもんでしょ(適当)」

 

お礼を言ってくれたのは嬉しいが、悪いな五月。俺は設定を最後まで貫き通す男なんだッ!そんな俺はなんてカッコいいのだろうか(自画自賛)

 

「……………ふふっ。確かにそうでしたね。では、お礼はその学問の神様に言わなくてはいけませんね」

 

「そーだな。後で手を合わせて言っておくと良い。チョロい神様が会いに来てくれるかもしれない『誰がチョロいって?ぶっ〇すぞ?』………ぜ?」

 

………………今一瞬、声が聞こえた気がしたのは気のせい、だよね?と言うか、気のせいであって!まだ死にたくない!

 

「どうかしましたか、火野君?」

 

「い、いや何でもない…………そ、それじゃお邪魔しましたー」

 

…………神様!チョロいとか言ってすみません!許して下さい!何でもしますから!(何でもするとは言ってない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「漸く帰って勉強が出来る…………」

 

「さすが、恋人が勉強の男だ」

 

「それは誉めてるのか?」

 

「半分誉めて、半分呆れてる」

 

軽口を叩き合いながらマンションのエントランスを出ると、エントランスの側で二乃が体育座りしていた。何とも微妙な雰囲気が漂う中、二乃は自動ドアに向かって走り出す。だが自動ドアは既に閉じてしまい、開くことは無かった。

 

「チッ、使えないわね」

 

俺らのせいなんですかねぇ……(困惑)

大方、鍵も持たず飛び出してしまったのだが、中の3人に開けてもらうのもバツが悪いと考えているのだろう。

 

「何見てんのよ。さっさと帰ったら」

 

「はいはい」

 

本人がそう言うんだし、さっさと帰って第1部を見ましょうかねー。

 

「……………………………」

 

………………とは言ったものの。やっぱり放っておくのはなぁ………………。このまま帰るともやもやして帰って純粋に漫画を楽しめない気がするし……………………やれやれ、しょうがない………………。

 

「上杉、星奈さん。先に帰ってて貰えますか?」

 

「総悟様を置いて帰るなんてとんでもない。近くで待ってますよ」

 

「待て、火野。俺も行く」

 

何か思うところがあったのであろうか、上杉と一緒に俺はエントランス前にリターンして二乃の側に座り込む。

 

「な…………何してるのよ?」

 

「どうしても解けない問題があってな。解いてから帰らないとスッキリしない」

 

「俺はまぁ……………漫画見る前のナイトルーティンを済ませてから帰ろうかと」

 

「どんなナイトルーティンよ……………」

 

いやまぁ、適当に言ったんで特にないんだけど。今考えたのだと全裸で『エクスプロ──────ジョン!』って叫ぶとかどうですかね?え、却下?

 

「………………馬鹿ばっかで嫌いよ。あんたらも……………姉妹の皆も」

 

「姉妹が嫌い?それは嘘だな」

 

上杉か確信を持った声で呟く。

 

「!……………嘘じゃない!あんたらみたいな得体の知れない男達を招き入れるなんて、どうかしてるわ」

 

「……………『私達5人の家にあいつらが入る余地がない』。あの時お前はそう言ったな」

 

「!」

 

ほーう、財布を取りに行った時に二乃がそんな事を言ってたのか。それを聞いて俺は理解した。

 

「二乃は姉妹の事が嫌いじゃなくて、むしろその逆──────姉妹の事が大好きって事か。それで、部外者の俺達が気に入らないって訳だ。なるほどねぇ」

 

「何それ…………見当違いも甚だしいわ。人の事分かった気になっちゃって。そんなのありえない。キモ」

 

ドMなら歓喜している罵言雑言の連続。だが

 

「……………悪い?」

 

「……………俺は羨ましいよ、正直」

 

「え?」

 

「姉妹を大好きと思えるのが、だよ…………俺は」

 

─────最後まで()を好きになれなかった。

 

「俺は、何よ?」

 

「─────俺は独りっ子だからな。上杉の方が二乃の気持ちは良く分かるんじゃない?」

 

「まぁ、そうだな。俺にも妹がいるから二乃の気持ちは良く分か」

 

「そうよ!私、悪くないよね。よくよく考えたら何で私が落ち込まなきゃいけないわけ?」

 

……………あれれ?

 

「やっぱ、私はあんたらを認めないわ。それであの子達に嫌われようともね」

 

「うっ…………」

 

「えー…………」

 

何か逆に心の扉を閉ざされたんだけど!余計信頼を得るのが難しくなったやんけ!どうしてこうなった………。

 

「二乃、いつまでそこにいるの?早くおいで」

 

あ、三玖。何だかんだで二乃を回収しに来たのか。優しいですなぁ。

 

「あ、ソウゴ。丁度良かった。明日」

 

「帰るわよ、三玖!」

 

「え、でも…………」

 

「いいから!」

 

オイィィィィィィ!!俺のメインヒロインの言葉を最後まで聞かせろよ!!

 

「……………………やれやれ、これだから過度な干渉は嫌いなんだ………取り敢えず今日のところは帰ろうぜ」

 

「そうだな。俺もすぐ帰って二乃がタンスの角に小指をぶつけやすくなる呪いを編み出す必要が出来た。大罪を犯した事を身を以て教えてやらればなるまい…………!」

 

「急にどうした!?」

 

ちなみに、帰って『ジの奇妙な冒険(第1部)』見てたら呪いの事はさっぱり頭から消えたとさ。

 

to be continue………

 




シンエヴァ延期になっちゃいましたね。残念。公開できる日を楽しみにしています。

そして、総悟の前世にも関わる情報が1つ開示されました。どうやら彼には兄弟or姉妹がいたが、仲は良くなかったのが読み取れますね。だから、姉妹の事が大好きな二乃が眩しく、そして羨ましく映ったのかもしれませんね。まぁ、この辺の話しはもっと先にします。

今日も読んでいただき、ありがとうございました!


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今日はお休み

特に言うことないんで今日の前書きはパスで。


日曜は家庭教師の仕事はなく、要はお休みと言うやつである。と、言うわけで朝っぱらからこの世界オリジナルのアニメの主題歌を耳コピしてピアノでひたすら弾く男、総悟です。オーディエンスは星奈さんただ1人。日曜日は星奈さんはお休みなのだが、親の出張が長引いて家に不在なので臨時で来てくれた。

 

「朝から好きなアニソンをピアノを弾くとか、スゲーッ爽やかな気分だぜ。新しいパンツをはいたばかりの正月元旦の朝のよーによォ~~~~~~~~~~~~ッ」

 

「何とも独特で面白い言い回しですね……………そして、それを思い付くのも流石です」

 

「と、どうも…………」

 

まぁ、俺が考えたんじゃなくてジの奇妙な冒険(第4部)の名言からパクリ輸入しただけなので誉められても素直に喜べないんですけどね。本当に流石なのは原作者の荒◯先生である。

 

「それだけの才能を持ちながらもピアノのコンクールに出たりしないのも勿体無い気もしますね」

 

「俺は別にコンクールで賞を取るとかに興味は無いですよ。ただ、アニソンをピアノで弾きたいだけですわ。さーて、次は何の曲を弾こうかな」

 

スマホで何か弾き応えのある曲を調べていると、インターホンの鳴る音がした。星奈さんがいち早く応答する。

 

「はい……………ああ、三玖さんですか」

 

「ぬぁに!?」

 

三玖が来ているだと!?家庭教師のない日に、わざわざこの家に!!

 

「総悟様に渡すものが?分かりました。少しお待ちくださいね。………聞いての通りです。私はお茶を用意するので総悟様はお迎」

 

「行ってきますッ!!」

 

星奈さんが言い終わるのを待てずに、俺は勢いよく部屋を飛び出して行った。

 

「ふむ………………もしや三玖さんの事が…………これは楽しみですね」

 

星奈さんがそんな事を呟いていたのは当時の俺は知るよしもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……………はぁ………………や、やぁ…………三玖……………」

 

「だ、大丈夫………?息切れしてるけど…………」

 

そりゃ嬉しさとかで爆走しちゃったからネ!2回くらい同じ通路を通った気もしたけど、多分気のせいだな!

 

「外で立ち話するのも悪いし…………入って、どうぞ」

 

「じゃあ…………お邪魔します」

 

「十 悔い改めて 十(ボソッ)」

 

「え?何か言った?」

 

「ん?言ってないよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と言うわけで、三玖を連れて先程の部屋に戻って椅子に座らせる。ピアノの上に置いてたスマホとヘッドフォンを片付けていると、三玖が話し掛けてくれた。

 

「ピアノを弾いてたの?」

 

「あぁ。休日のモーニングルーティンと言うやつだ」

 

「凄い…………ソウゴは何でも出来るんだね」

 

「俺は完璧人間じゃない。俺にだって出来ないことはあるさ」

 

──────君の心を盗むとか、ね………………少なくとも今は。

 

いつかどこぞの警部の名台詞のように『奴はとんでもないものを盗んで行きました。あなた(三玖)の心です』みたいに盗んでやる!今から予告状でも送っておこうかな。

 

「……………あ!そのヘッドフォン………」

 

「ん?ああ、三玖の使ってるのと一緒だね。趣味が合いますなー」

 

そうなんです、俺の使ってるヘッドフォンは三玖のと一緒のなんですよねー。発売当日に即購入した思い出がある。傷が付いたら嫌なので、学校には持っていかずに家でしか使わないとヘッドフォンを買った電気屋の店員に誓ってる。

 

「お茶をお持ちしました」

 

星奈さんが温かいお茶を持って来た。それを3人で堪能しつつ、三玖が本題に入る。

 

「はい、これ。ソウゴの家庭教師のお給料」

 

「初給料ですね、総悟様」

 

「初給料と言うのは何か感慨深いな」

 

まぁでも、2回しか行ってないし諭吉×1かなー、なんて予想しながら中身を確認する。中から出てきたのは……………………諭吉×5だった。

 

「…………………あのー、三玖さん。諭吉が4人、じゃなくて4枚多い気が……………何かの手違いなんじゃ…………」

 

「手違いじゃない。1人5000円を5人分。それが2日分で計5万円。全部ソウゴのもの」

 

ま、マジ!?5万円あればゲーム機とソフトを買ってもお釣りは来るし、ラノベや漫画も何冊買える事やらじゃねぇか………………………いや待て。でも冷静に考えるとなぁ……………。

 

「……………受け取れないな」

 

「え?」

 

「俺はこの額に見合う程の勉強を教えられてないし、成果も出してない」

 

流石にこんな大金を受け取るのは気が引けた。俺は前世で色々とあってお金の価値やありがたみを痛感している。大した事もしてないのにこんな大金を貰うのはおこがましいにも程があると思ったのだ。

 

「そんな事ないと思う」

 

「え?」

 

「うまく言葉では言えないけど、ソウゴとフータローは私達5人の何かを変えつつある。それだけでも充分な成果だと私は思う」

 

「…………………」

 

「だから、返金は受け付けない。自由に使って」

 

「三玖がそこまで言うなら……………」

 

しかし、5万円か。何に使うかね……………。

 

「………………やっぱゲームに課金?」

 

「「……………………」」

 

「じ、冗談だから!流石に5万円をぶち込む程の廃課金じゃないから!」

 

星奈さんのみならず三玖からも呆れの視線が突き刺さった気がするので慌てて撤回。

 

……………まぁ、1万円位はぶち込むかもしれないけど……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、何やら予定でもあるのか三玖は帰って行った。そして星奈さんも何か頼んでおいたものを取りに行く予定があるらしく1時間前に出掛けて行った。取りに行くその何かについては『秘密です』と言って教えてくれなかったが。なので、現在家には俺1人だ。

 

「…………………ん?へー、今日は祭りがあるのか。そういや、この時期にいつも花火も打ち上げられてたような」

 

スマホでネットニュースを見ていると地元のニュース欄にてそんな記事を見つけた。

 

「ま、行かないけど。人混み苦手だし。家でアニメとか漫画見てた方が有意義だし」

 

「君は相変わらずのインドア派だね」

 

出ました、神様。

 

「全く、口には出さなかったが祭りがやってるのに君は毎年家で漫画やアニメとかでゴロゴロして。折角なんだしお祭りに行って来なさいよ。僕は君を引きこもりに育てたつもりはないぞ」

 

「別にあんたは育ての親じゃないでしょーが……………祭りとか関係なく、俺は人混みが多いところが苦手なんだよ」

 

「なら、人混みが苦手と言うのがどうでも良くなるほどのスペシャル情報を教えてあげよう」

 

スペシャル情報だぁ?

 

「勝手に教える分には構わないけど、多分俺の意思は変わらないぜ」

 

「今日のお祭りに三玖が来ると言っても?」

 

「行きますねぇ!」

 

人混みが嫌いと言ったな。あれは嘘だ。ちょろい?うっせぇ、ぶっ○すぞ。

 

「星奈さんに家から会場までの案内をお願いして、彼女に付いて行けばすぐ会えるよ。そんじゃ、あでぃおす!」

 

「ただいま戻りました」

 

神様が消えるのと同タイミングで、後ろから星奈さんの声が掛かる。

 

「あ、戻ってきたんですね。用事は終わっ……………た………」

 

振り返った俺は言葉を失う。何故なら星奈さんの姿は可愛らしい浴衣姿で髪飾りもつけてとても綺麗な姿だったからだ。

 

「どうでしょうか?似合っていますか?」

 

「えっと……………その、似合いすぎて語彙力が3歳児レベルに低下しました」

 

「ふふっ、それは良かったです」

 

何だこの美しき天使は……………危うく悩殺される所だった。危ない危ない。

 

「もしかして、今日のお祭り用のですか?」

 

「その通りです。奮発してレンタルしました」

 

「…………俺も来年行く時はレンタルしようかな」

 

「……………おや?その口振りから察するに今日の祭りに行く気満々のようですね。誘う手間が省けましたが……………休日はほとんど家で過ごすインドア派の総悟様が外出に積極的となると急に雨が降って中止にならないか心配になりますね」

 

失礼な!時と場合(三玖関連)によってはアウトドア派になるんですぅ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

身支度を済ませた俺と星奈さんは家を出た。そして神様に言われた通り会場までの案内をお願いし、承諾した星奈さんに俺は付いて行った。

 

(取り敢えず言われた通りにしたが……………これで会えるのか?)

 

半信半疑だったが、それはすぐに確信へと変わった。ゲーセンの近くに見知った顔である三玖も含めた五つ子と上杉兄妹の7人がいたからだ。

 

「あれ、上杉?お前が休日に勉強せず外出なんて珍しい。何してんの?」

 

「火野!丁度良かった。こいつら宿題もせずに祭「あ、火野さんと星奈さんだ!お二人もお祭りに行くんですか?」…………ら、らいは?」

 

上杉を遮って妹のらいはちゃんが話し掛けてくる。いやー、いつ見ても可愛い妹だ。上杉が羨ましい。

 

「うん、そうだよー」

 

「じゃあ、火野さん達も私達と一緒にお祭りに行こー!」

 

「ま、待て!こいつらの宿題が終」

 

「ダメ?」

 

「……………も、もちろん良いさ………」

 

相変わらず妹には弱いな。シスコンだからね、しょうがないね。

 

じゃけん、祭りに行きましょうね~。

 

to be continue………

 




今日も読んでいただきありがとうございました!

幕間の物語のその2とキャラ設定は執筆中ですので、もう暫くお待ちを!


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今日はお休み②

ちなみに、作者はもう2、3年以上花火を生で見てませんねー。彼女でも出来たら行きたいなぁ、なんて思いながら書きました。書き終わったとき、謎の虚しさが残ったが気のせいとしておきましょう。


「もう花火大会始まるのに………何で家で宿題やってるのよ!」

 

これも全て、『祭りに行くのは良いとは言ったが、宿題をすっぽかすのは良いとは言ってねぇ!』と主張する上杉風太郎って奴の仕業なんだ。この5人は祭りに行く途中で勉強星人の上杉に会ってしまったのが運の尽きだったな。まぁ、花火大会で楽しんだ後に(5人が)大嫌いな勉強なんて気分的にしたくもないだろうし、お楽しみの前に厄介事を済ませておくのが良いだろう。

 

「いいかお前らー。1人でも逃げる素振りを見せてみろ。二乃が再び星奈さんの雷の犠牲になるぞー」

 

「何で私だけなのよ!」

 

「次は地下行きですかね」

 

「地下!?」

 

こんな感じでギャーギャー騒ぎつつも、二乃も含めて反抗もなく案外すんなりと宿題に取り掛かっていたので1時間もしないで宿題は終わらせた。

 

と言うわけで、今度こそ…………じゃけん、祭りに行きましょうね~。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと終わったー!」

 

「花火って何時から?」

 

「19時から20時まで」

 

「じゃあ、その間に屋台に行こー!」

 

宿題を終わらせて晴々とした表情を浮かべてる四葉、二乃、三玖、一花姉さんの4人。それと対称的に隣の上杉はどんよりとしている。

 

「おい、祭りに来てまでどんよりとした空気出すなっての」

 

「折角の日曜だってのに……………俺はなんて回り道をしてんだろうな………」

 

「良いじゃねぇか、たまには回り道もよ。普段見れない景色が見れてさ」

 

「そんなもんかね……………」

 

と、そこへ。

 

「何ですか、その祭りにそぐわない顔は」

 

むむっ。髪型が変わってるが─────。

 

「……………五月、だよな?」

 

「!…………意外です。火野君は私達の見分けがつくようになってきたのですね」

 

「……まぁ多少はね?」

 

ホットドッグを食ってたと言うのが決定的な証拠になったのは黙っておこう。

 

「火野はよく分かるな。つーか、顔が同じでややこしいんだから髪型変えるなよ」

 

「なっ……………どんな髪型にしようと私の自由でしょ!」

 

あーあ、怒らせちゃったよこの勉強バカ(上杉)は。デリカシーないのー。

 

「女の子が髪型を変えたら褒めなきゃ。もっと興味を持ちなよ~」

 

「そうなのか…………?」

 

いやはや、ほんと一花姉さんの言う通りでございますよ。

 

「ところで2人とも。浴衣は本当に下着を着ないか興味ない?」

 

「え」

 

「それは昔の話だ」

 

「ほんとにそうかな~?」

 

なっ、なにぃ…………!?なら是非とも見せ

 

「なーんて、冗談でーす!ドキドキした?」

 

…………み、見せてとか言うわけないじゃないですかーアハハ!つーか、見るなら三玖の方を…………って、なに言っとるんじゃ俺は!!完全に変態の発言じゃねぇか!!最低だ……………俺って…………。

 

「………………星奈さん。俺を殴ってくれ」

 

「いや、流石にそれはちょっと……………ほら、行きますよ」

 

星奈さんに促されて俺も歩き始める。何処に向かって歩いてるのかはさっぱりだが。

 

「あれ?一花姉さんは何処に行った?」

 

「少し離れた所で電話で話してますよ。…………それと総悟様。これ、いりますか?」

 

星奈さんから手渡しされたのは金魚がパンパンに詰まった袋×4。

 

「な、なんですかコレ………?」

 

「四葉さんと『どちらが大量に金魚を救えるか競争』をした結果、こうなりまして…………四葉さんも似たようなものでしたので、お店の方は涙目でした」

 

「来年から要注意人物として出禁にならなきゃ良いですが………らいはちゃんにあげるのは?」

 

「もう既に四葉さんがあげてまして…………」

 

あ、ほんとだ。らいはちゃんの手にも袋×4が。てか、反対の手に花火セットがあるんですが、それ今日いるんですかね………(困惑)

 

「この金魚はさておき……………皆さん何処へ向かっているのですかね?」

 

「俺に訊かれても分かりませんよ。あ、丁度良い所に。三玖に訊いてみますわ」

 

俺達は少し先を歩いていた三玖の元へ行く。

 

「なぁ、三玖。1つ聞きたいんだけども、皆は何処へ向かってるんだ?」

 

「二乃が予約したお店。そこの屋上から花火を見るの」

 

「ブルジョワですね……………しかし、そこなら人もいないでしょうし快適なのは間違いなしですね」

 

すると、側にいた二乃から声が掛かる。

 

「そう言えば、祭りに来たのにアレも買わずに行くわけ?」

 

アレ、とは?

 

「そういえばアレ買ってない……」

 

「アレやってる屋台ありましたっけ」

 

「あ、もしかしてアレの話してる?」

 

「早くアレ食べたいなー」

 

アレ、とは?(食い気味)

 

「せーの………」

 

「「「「「かき焼き氷そばリンゴ人形飴焼きチョコバナナ 」」」」」

 

バラバラじゃねぇか!!

 

「全部買いに行こう!」

 

「…………なぁ、火野。あいつらがほんとに五つ子なのか怪しく思えてきたんだが…………」

 

「奇遇だな、上杉。俺もだ。うーむ…………もしや、本当は三つ子で、残りの2人は宇宙人説もあり得るんじゃ…………」

 

「それはないだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それぞれの欲しいものを買い終わり、人混みを歩いている。その中でも二乃は誰よりも先に先頭を歩いていた。

 

「あんた達遅い!」

 

「…………二乃の奴、張りきってるなー。勉強もあれくらい張りきってくれりゃ良いのに」

 

俺のぼやきに星奈さんと三玖はクスッと笑う。そのまま三玖は花火に対する想いを話し始める。

 

「花火はお母さんとの思い出なんだ。お母さんが花火が好きだったから毎年皆で見に行ってた。お母さんがいなくなってからも毎年見に行ってる」

 

……………そうか、三玖らのお母さんはもう亡くなってたのか。そう言えばお母さんを見たことなかったな。そして、家族の大切な思い出ならば姉妹の事が大好きな二乃が張りきるのも納得だ。

 

「私達にとっては花火ってそういうもの」

 

「なるほどね」

 

「家族の大切な思い出と言うわけですか……………おや、わたあめの屋台が良いところに。ちょっと買ってきますね」

 

好物なのか反対側にあるわたあめの屋台の方へ行く星奈さん。俺も何か買おうかなー、と思って屋台を見回していると。

 

『大変長らくお待たせいたしました。まもなく花火大会を開始します』

 

そのアナウンスが掛かった瞬間、大勢の人々が一斉に動き始めて俺は人のビックウェーブに飲み込まれた。

 

「もう、物売るってレベルじゃねーぞ、オイ!これだから人混みは苦手なんだよォォォォォォ!」

 

前世でのP3の販売時の光景を思い出しながら、そのまま俺は流されて行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………あー、酷い目に遭った……………………」

 

漸く人の波から抜け出した俺氏。幸いにしてキッズに何回か足を踏まれた以外に被害はない。

 

「つーか、三玖や星奈さん達とはぐれちまった…………そして花火も始まっちまった」

 

周りに三玖、星奈さん、上杉らの姿は何処にもない。先程のビックウェーブのせいなのは明白だ。

 

「困ったな……………こういう時は………テッテレー!スマートフォンー!」

 

青いネコ型ロボットみたくひみつ道具を出すと思った?残念、ただのスマホでーす。

 

「これで電話すれば…………………って、電池が切れてるじゃねぇか!クソッ、ゲームしてないでちゃんと充電しとけば良かったな……………」

 

過去の行為を後悔してもどうしようもない。モバイルバッテリーもないので電話路線は諦めることにした。

 

「そうなるとこの大量の人の中から辺りを歩き回って探すしか…………ん?」

 

辺りを見回していると、少し離れた所にベンチに座り込む三玖の姿が。慌てて転びそうになりながら駆け寄る。

 

「三玖!」

 

「そ、ソウゴ?他の皆は…………?」

 

「三玖が1人目。あとの4人は何処にいるのやら………あ、そうだ!誰かに電話とかした?俺のスマホは電池がきれて眠りに着いちゃってよ」

 

「さっきしてみたけど、二乃しか出なかった。二乃は四葉とらいはちゃんを迎えに行くって」

 

二乃が四葉を回収するとして…………残るは一花と五月か………。

 

「よし、じゃあ2人で手分けして探すとしようか」

 

「あ、待って!足が…………」

 

三玖の足を見ると、赤く腫れていた。

 

「誰かに踏まれたのか?」

 

「うん…………」

 

三玖の足を踏みやがって、こん畜生め……………俺がその場にいたら死罪ものだぞ!!

 

「私の事は良いからソウゴは先に行ってて」

 

…………………………………。

 

「いや、それは俺には無理だな」

 

怪我してる女の子を放っておくなんて俺には無理だねっ!!

 

ちょっと待ってて、と断って俺は目先にあったコンビニで包帯を購入してすぐに三玖の元へカムバック。掛かった時間は僅か90秒。

 

「一旦草履を脱がさせて貰うぜ」

 

「う、うん…………」

 

「(………いやー、綺麗な足な事で。スベスベ…………って、おい!!んな事より応急処置だっつーの!!)」

 

暗黒面に堕ちる寸前で自分を取り戻し、手早く包帯を足に巻いた。

 

「これでよし、っと。少しは楽になるでしょ」

 

「う、うん…………あ、ありがとう」

 

「良いってことよ。じゃあ、三玖はここで休んでなよ。俺は一花と五月を探してくるぜ」

 

「………うん。気を付けてね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………と、カッコつけたのは良いものの。やっぱり見つけるのはかなり面倒だな…………」

 

この会場に1000人位は来てるのだろうか?その中から2人を探すのはかなりハードだな。

 

『知人ですけどー!?』

 

…………この声を俺は知ってるな。声のした方へ急ぐと予想通りの人物がいた。

 

「やっぱり上杉か」

 

「誰かと思えば火野か。よく俺を見つけれたな」

 

さっきの声で目立ってたもんですから。

 

「で、お前はなにしてんの?」

 

「さっき一花を見つけたんだが、何故か逃げやがってな…………」

 

「に、逃げたぁ?」

 

「一花を見つけて話し掛けようとしたら謎の髭のおっさんに遮られてな。『一花ちゃんとはどんな関係?』って訊かれて、その答えに悩んでいる間に逃げられちまった」

 

「その髭のおっさんも気になるが、何で逃げたんだ?……………いや、今それを言ってもしょうがない。早く探さないとな」

 

「……なぁ、火野。あのアホ毛の女、五月じゃないか?」

 

上杉が指差した方向を見ると、確かにアホ毛の女がいた。あの髪型は多分五月だ。俺達はダッシュで距離を詰めて五月に声を掛ける。

 

「五月見っけ」

 

「!!……………なんだ、あなた達ですか」

 

「悲しいかな、残念そうな表情をされちゃったよ……………これで後は一花姉さんだけか。取り敢えず、五月と上杉はひとまず三玖と合流してろ。ここを真っ直ぐ行った所にあるベンチで三玖が休んでる。一花姉さんは俺が引き受けた」

 

「探しに行くなら俺も」

 

「体力なしのお前が無理すんな。歩きすぎで既に足が少し震えてんぞ。残りのお1人はスピードに優れた俺がとっとと探してくるわ」

 

「………分かった」

 

「分かりました。……………火野君」

 

探しに行こうとすると五月から呼び止められた。

 

「……………一花の事を、よろしくお願いします」

 

「…………ああ、任された」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっそー…………何処に行きやがった!」

 

360度くまなく探すが中々見つからない。ったく、何故逃げたんだ?お母さんとの思い出の花火を5人で見るんじゃなかったのか?

 

「あとは一花姉さんだけだってのに……………!」

 

「………そっか。よかった、他の皆とは合流出来たんだね」

 

背後を勢いよく振り返ると捜索対象(一花姉さん)がいた。つーか、何処から現れやがった。

 

「こっち来て」

 

「は?ちょっ!?」

 

何故か俺の手を掴んで駆け出す一花姉さん。

 

「花火見た?凄く綺麗だよね」

 

「ちょ、何処に行くんだっての!?5人で見るんじゃ」

 

「はは。いーから、いーから」

 

「…………………」

 

どこか陰りのあるようにも見える笑顔で言う一花姉さんに引っ張られて路地裏まで連れてこられる。

 

「フータロー君から聞いてる?」

 

「聞いてるって……………髭のおっさんの事か?」

 

正解と言わんばかりに一花姉さんは頷く。そして───────唐突に壁ドンされた。

 

「その事は皆に秘密にしておいて。私は皆と一緒に花火を見れない」

 

「なん、だと………?」

 

to be continue……




おまけ

一花姉さん 「前から思ってたけど、ソウゴ君って私だけ呼び名が違うよね?姉さんってついてるけど、何で?」

総悟「長女だってのもあるし、一花姉さんって呼び方が何故かしっくりくるからな」

一花姉さん「へー、そうなんだ。まぁ、確かに私ってお姉さん気質だからしっくりくるのも無理はないよね!」

総悟「ハッ!」

一花姉さん「あー!今、馬鹿にしたでしょー!」

今日もこんな駄文を読んでくれてありがとうございました!


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今日はお休み ③

事前に言っておきますが、明日投稿したら区切りも良いし1日お休みをいただきます。予定があるのとストックを貯めたいので、そのつもりで。


「遅い………ソウゴ、大丈夫なのかな………」

 

一方その頃、三玖は独りでソウゴを待っていた。何気なく鏡に映る自分を見つめていると、先程の一花の言葉を思い出す。

 

『女の子が髪型変えたらとりあえず褒めなきゃ』

 

「………………………」

 

三玖はヘッドフォンとお面を置くと、長い髪を纏めるのだった。

 

「……………ソウゴは褒めてくれるのかな……………?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「急なお仕事頼まれちゃって。だから花火は見に行けない。ほら同じ顔だし一人くらいいなくても気づかないよ」

 

「それは無理があろうかと思われます、なんだが…………」

 

「あっ、ごめんね。人を待たせてるから」

 

「ちょ待てよ!せめて何でかは説明してくれ!」

 

「なんで?」

 

「へ?」

 

なんで、とは…………?

 

「なんでお節介焼いてくれるの?家庭教師だから?」

 

「ちげーよ、花◯香菜」

 

「だからそれ誰!?」

 

中の((ry

 

「何で俺がお節介を焼くか?そりゃあ、ユーが俺の大切な友達だからよ。お節介を焼くのにそれ以外にまだ理由がいるか?」

 

「……………そっか。ありがとね。でも、私は……」

 

「あ、ちょっと!?」

 

路地裏から出ていこうとするのを慌てて止めようとするが

 

「あ、やば」

 

出ていった瞬間にすぐ戻ってきた。そして身を引いて様子を伺っている。俺も顔だけ出して一花姉さんが見ている方向を見てみると、髭のおっさんがいた。

 

「上杉が言ってた髭のおっさんか?」

 

「うん。あの人、仕事仲間なの」

 

「ユーを探してる説が濃厚だな………って、こっちに来たし!」

 

慌てて俺と一花姉さんは顔を引っ込める。

 

「どうしよう………抜け出してきたから怒られちゃう!」

 

「どうしようって……………奥から逃げれば良いんじゃね?」

 

「あーもう!間に合わないよ!………あ、そうだ!」

 

何かイカしたアイデアを思い付いたのかと思いきや、一花姉さんは俺に抱きついてきた。

 

「フアッ!?」

 

「ほら、もっと近くに来て!」

 

「え、あ、はい…………」

 

一花姉さんに言われるがままに密接し、手も回して抱きしめた。そしてやって来た髭のおっさんがこちらを見る。角度的に一花の顔は見えていない。…………あのおっさんからしたら抱き合ってるリア充カップルに見えてんのか?

 

「よっこいしょ」

 

そこに座るのか………。

 

「あの~一花姉さん?我々はいつまでイチャイチャしてれば良いんですかね?」

 

「ごめん、もうちょっとだけ」

 

よもやよもやだ。人生初のハグを捧げる相手が一花姉さんになるとはな。

 

「私達、傍から見たらカップルに見えるのかな?」

 

「そりゃそーだろ。俺には聞こえるぜ。『爆発しろ』、『イチャイチャしてんじゃねーぞ』、『リア充、タヒね』とか呪詛の声がな」

 

「あはは…………本当は友達なのに悪いことしたみたい」

 

「まぁ、別にこれくらい良いんだけどよ……………」

 

そんな会話をしていると、路地の出口にいるひげの男の声が聞こえてくる。

 

「もしもし………少しトラブルがあって………撮影の際は大丈夫ですので………」

 

撮影?

 

「そういや仕事って…………?」

 

「あの人はカメラマンなの。私はそこで働かせてもらってる」

 

「カメラアシスタント的な?」

 

「…………うん、まぁそんな感じ。いい画を撮れるように試行錯誤する。今はそれがとても楽しいんだ」

 

はえー、カメラアシスタントの仕事か。

 

「何か面白そうだね、カメラアシスタントって。どんな事するの?」

 

「えっ……………と…………それは………」

 

「一花ちゃん見つけた!!」

 

なっ!?しまった、油断したかっ!……………と、思ったのも束の間。

 

「こんなところで何やってるの!言い訳は後で聞くから、早く行こう!」

 

「えっと…………えっ?」

 

おっさんに手を引かれていたのは───────。

 

「「三玖!?」」

 

髪を結んでイメチェンした三玖だった。

 

「まさか、私と間違えて………」

 

「つーか、上杉と五月は何やってんだ!?三玖と合流してたんじゃ…………って、んな事は後回しだ!さっさと止めないと!」

 

俺と一花姉さんは慌てて路地裏を飛び出す。するとジャストタイミングで上杉と五月が現れる。

 

「ひ、火野君に一花!大変です、三玖が変な人に連れ去られました!私がたこ焼きを買いに行った隙に!」

 

「俺も歩き回って疲れたから飲み物を買おうと離れた隙に……………すまん」

 

確かに2人の手にはそれぞれたこ焼とただの水(¥90)があった。

 

「ったく……………取り敢えず、止めてくるわ」

 

そう言って俺は急加速して全力で走り出す。前世ではこんな速度で走るなんて不可能だったなー、なんて考えながら人混みをスピードを殆ど落とさず駆け抜け、素早くおっさんの前に回り込む。そのまま三玖の手を掴む男の手を払うと、三玖を自分の方に引き寄せる。

 

「な、なんなんだ君は!?」

 

「通りすがりの仮面ラ……………じゃなくて、俺の大切な友達だ!おっさん、よく見ろ!彼女は一花じゃない!」

 

「その顔は見間違える筈がない!さぁ、うちの大切な若手女優を離しなさい!」

 

「だが断…………る?若手女優?」

 

え、まさか……………撮る側じゃなくて…………

 

「と、撮られる側?」

 

俺の間の抜けた問い掛けに一花は俯いたまま無言で頷くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、まさか一花ちゃんが五つ子だったとは…………ほんとに3人ともそっくりだ…………」

 

事情を説明された髭のおっさんは驚いたように一花、三玖、五月の顔を眺めていたがすぐに一花の手を取る。

 

「行こう、一花ちゃん!車で行けばまだ間に合う!」

 

「あ、おい!」

 

「止めないでくれ。人違いをしてしまってのは申し訳なかった。だが、これから一花ちゃんには大事なオーディションがあるんだ」

 

「なっ………………一花!花火は良いのかよ!」

 

「…………皆によろしくね」

 

上杉の問い掛けに笑顔でそう言うと髭の男と行ってしまった。

 

「そ、それにしても…………一花が女優だったなんて…………」

 

「前にあのおじさんを見たことあったけど…………あれは仕事終わりに送って貰ってたんだ…………」

 

五月は知らなかったらしいが、三玖は少しだけ心当たりがあった様子。

 

「ところで三玖、足の方は大丈夫か?」

 

「うん。それよりも、一花の方に行ってあげて」

 

「私からも…………改めて、一花の事をお願いします」

 

「…………おう!」

 

三玖と五月の後押しを受けて俺は駆け出す─────その前に。

 

「三玖」

 

「?」

 

「あー…………そのイメチェンした髪型に似合ってるぜ」

 

「!……………ふふっ、ありがとう」

 

三玖の嬉しそうな顔を記憶に刻んで、俺は駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここにいたか。あのおっさんは?」

 

「ソウゴ君………………今は車を取りに行ってるとこ」

 

「逃げるなら今の内だぜ」

 

俺の言葉には何も答えず、一花姉さんはタブレットを差し出す。画面に映ってるのは台本だった。

 

「半年前に社長にスカウトされてこの仕事に就いたの。ちょくちょく無名の役をやらせてもらってたんだ。それでさっき、大きな映画の代役オーディションがあるって知らせを貰ったところ。いよいよ本格デビューかも」

 

「……………それがやりたい事か」

 

「そうだ!折角だし練習相手になってよ」

 

そう来ましたか。

 

「まっ、面白そうだし良いけど」

 

「やった!じゃあ、お願いね」

 

そう言うと一花姉さんのスイッチが切り替わる音がしたかと思えば、真剣味の帯びた表情を浮かべていた。………………よし、俺も真剣にやるとしよう。

 

「…………卒業おめでとう」

 

「先生、今までありがとう」

 

ちなみに、ベタな学園ものドラマの感動シーンのようだ。

 

「先生。あなたが先生で良かった。あなたの生徒で良かった」

 

「………………………」

 

「あれ?もしかしてジーンと来ちゃった?」

 

「…………いや、脚本の台詞がベタ過ぎんか、って思っただけ。俺の方が良い台詞考えられそう」

 

「そっちかい!」

 

「まぁ、それはさておきだ。中々うまいじゃん」

 

「そ、そうかな?褒められるとお姉さん照れちゃうなー」

 

───────ただし。

 

「今の演技では100点はあげれないねぇ。見え透いた作り笑いをしてるようじゃ」

 

「……………え?」

 

「笑って自分の本心を押し殺す─────俺は現実でもアニメとかでもそう言う奴を見てると少しイラッとするぜ」

 

「っ……………」

 

「少々話が逸れるが、さっきなんでお節介を焼くかって訊かれて友達だから、と俺は答えたが勿論それは本当だ。だが、特に言う必要はないと思って言わなかったが、もう1つ別の理由もある。上杉でも同じことを思うだろうが、大して勉強を教えてないのにかなり高額な給料を貰ってしまった。課金したらそれこそガチャが200連位出来る程のな。だから、貰った分の義理はきっちり果たしたいってのもある。これが俺の本心の全てだ」

 

「………………」

 

「お前も本当の所はどうなんだよ。さっきも余裕ぶってたくせに、さっきイチャイチャ&ラブラブ抱き合ってた時に震えてたじゃん」

 

「イチャイチャもラブラブもしてなかったと思うけどね………………」

 

そう苦笑しつつも、一花姉さんは漸く本心を語り始めた。

 

「…………この仕事を始めてやっと長女として胸を張れると思ったんだ。1人前になるまでは皆には言わないって決めてたの。だから、花火の約束があるのに最後まで自分の口からは言えなかった…………これでオーディション落ちたら、ますます皆に会わす顔がないよ……………花火、もうすぐ終わっちゃうね………」

 

フィナーレに突入したからか、連続で咲く花火を見て寂しそうな表情を浮かべる一花姉さん。

 

「やっぱ花火は見たかったか?」

 

「………………うん」

 

やっぱな。

 

「それにしても、私の細かな違いに気づくなんてね。お姉さんびっくりだ」

 

「いや…………白状すると、会って日が浅いから細かい違いなんてまだ分からん。ただまぁ……………他の4人と笑顔がなんか違った。そんだけだ」

 

「……………まいったな。ソウゴ君1人を騙せないようじゃ、自信がなくなるなぁ」

 

演技ってある意味人を騙すようなもんだからな。

 

「俺も別に演技の経験があるわけじゃないから大したアドバイスは言えんが……………取り敢えず笑うときは作り笑いをするんじゃなくて、楽しい事とか嬉しい事があった時に笑うみたいに、いつも通りの笑顔で笑えよな」

 

そう言って俺もニッと笑みを浮かべる。スマイル一丁!

 

「いつも通りの………笑顔で…………」

 

その時、車が俺達の前に停まったと思えば、窓が開いておっさんが声を掛ける。

 

「一花ちゃん、早く乗って!」

 

「は、はーい!」

 

「……………まっ、上杉はかなり反対するだろうが、説得する時は俺も付き合うぜ」

 

「!」

 

「はいはい、早く乗った乗った!」

 

こちらを振り返ろうとしていた一花姉さんを俺は車に押し込んでドアを閉める。その瞬間、車は急発進して行った。

 

「ふぅ……………ん?そういや何か忘れてるような……………あ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういや星奈さんって何処にいるんだ!?」

 

漸く星奈さんの存在を思い出した俺氏。我ながら遅すぎる。

 

「すっかり忘れてたし!星奈さんは何処にいるんだ?!」

 

「後ろにいますよ」

 

若干の不機嫌さが滲み出た声が聞こえた瞬間に振り向けば、確かに探し人(星奈さん)はいた。

 

「………わ……………忘れてたとか言っていましたが、あれは嘘」

 

「完全に忘れてましたね?」

 

「ハイ、スミマセン」

 

「まったく、連絡も取れませんし心配しましたよ………………まぁでも、色々と奔走していたのは先程会った三玖さん達から聞いたのでそこまでツーンとしてませんけども」

 

えー、ほんとにござるかぁ~?そうには全然見えないんですけど。と言うか、ツーンって言って拗ねる人始めて見ましたよ………………。

 

「あぁ、それと。上杉君から伝言を預かっていまして。『用が終わったら一花を連れて祭り会場の近くの公園に来い。花火(・・)を諦めるにはまだ早い』とのことで」

 

「!………………そう言う事か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

================

 

「では最後の中野一花さん」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

場所は変わってオーディション会場。一花の審査が始まった。 

 

「卒業おめでとう」

 

審査員が台本を読み上げ、一花は台本通り答えていく。

 

「先生、今までありがとう」

 

──────上手く笑えてるかな。こんな時…………皆ならどうやって笑うんだろう。

 

四葉なら。三玖なら。五月なら。二乃なら。

 

そして─────────

 

『ちげーよ、花◯香菜』

 

『…………いや、脚本の台詞がベタ過ぎんか、って思っただけ。俺の方が良い台詞考えられそう』

 

『笑うときは作り笑いをするんじゃなくて、楽しい事とか嬉しい事があった時に笑うみたいに、いつも通りの笑顔で笑えよな』

 

──────(総悟)なら。  

 

「……………先生。あなたが先生でよかった。あなたの生徒でよかった」

 

そうして見せた笑顔は作り笑いでもない、嘘偽りでもない、心からの笑顔だった。 

 

to be continue……




Q.総悟とはぐれている間、星奈さんは何をしてたか?

A.

男「そこの姉ちゃん!花火よりも俺とイイことしない?」

星奈さん「……………(無言の圧力)」

男「…………お、俺と」

星奈さん「ポキッポキッ(指を鳴らす音)…………俺と、なんです?」

男「す、すみませんでしたァ!!」

こんな感じの事が何回かあった。


星奈さん「(法律がなければ次来たら半〇しにするんですけどね………)」

読んでいただきありがとうございました!


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今日はお休み ④

最近、ギャグマンガで一番好きなのが銀魂だと気付きました。今日の前書きはそれだけです。


「お疲れさん。終わったみたいだな」

 

「う、うん……………何やってるの?」

 

「見たら分かるだろ。ジェンガだよ」

 

暇なので近くにあったド◯キで買って、星奈さんと対決なうでござる。

 

「次は俺の番か……………俺は勝つ、勝たなきゃ誰かの養分……………いけっ……………ああっ!ど゛う゛し゛て゛な゛ん゛だ゛よ゛お゛お゛ぉ゛お゛!゛!゛!゛

 

「……………一花ちゃんの友達は少し………いや、かなり変わってるね………」

 

「あはは…………」

 

仕方ないだろ、俺の中のカ◯ジ(藤◯竜也ver)が暴れだすんだから。それはさておき、星奈さんとジェンガを片付けて一花姉さんに向き合う。

 

「で、どうだった?」

 

「うーん、どうなんだろう………」

 

「どうも何も最高の演技だった。私は問題なく受かったと見ている。まさか一花ちゃんがあんな表情を出せるとは思わなかったよ……………それを引き出したのは恐らく君だ」

 

「そうか?大したアドバイスはしてないんだけどな」

 

「どうだかね…………私も個人的に君に興味が湧いてきたよ」

 

見るな…………俺をそんな目で見るな!いや、ほんとマジでやめて(切実)

 

「…………用事も終わったようですし、一花さんをお借りして失礼しますよ」

 

「あ、ちょっと!?」

 

星奈さんナイスぅ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だあのおっさん……………危うくおホモだちになるとこだった」

 

「また色っぽい目で見たら総悟様のお父様に頼んで事務所ごと潰す事も考えた方が良いかもしれませんね」

 

「いや、そうすると私の働く場所がなくなっちゃうんだけど……………」

 

安心しろ、冗談だ。

 

「ところで、何処に向かってるの?」

 

「近くの公園だ。もう皆集まってるぜ」

 

「…………やっぱり皆怒ってるよね。花火を一緒に見れなかったこと」

 

「さーな。だけどまぁ、花火を諦めるのはちょいとばかし早いんじゃねーか?」

 

「!」

 

一花姉さんの目に花火をする4人の姿が映った瞬間、驚愕の表情を浮かべた。

 

「迫力では劣りますが、中々風情があって良いですね」

 

全くもって、星奈さんの言う通りでございますよ。

 

「あ、一花に火野さんと星奈さん!我慢できずおっ始めちゃいました!」

 

お、四葉だ。必要性のない花火セットをらいはちゃんに買っていたらしく、そのお陰で5人で花火をする事が出来たので、今回のMVPである。

 

「勿論、俺達の分は残してるよなぁ?」

 

「当然です!」

 

「良かったー。もし無かったら上杉に八つ当たりしてましたよ~」

 

「何で俺!?」

 

あれ、上杉いたの?てっきり帰って勉強してるのかと思ってたが。

 

「あんた!一花に変な事しなかったでしょうね!」

 

「心外だな、二乃。上杉じゃあるまいし、セクハラ紛いの変なことは一切してないと誓おう」

 

「あれは事故だろ!」

 

「……………まっ、それもそうね。あいつじゃあるまいし」

 

「納得するな!」

 

上杉もツッコミキャラと化してきたなー。

 

「とにかく、あんたには一言言わなきゃ気が済まないわ!

 

お!つ!か!れ!」

 

「アッハイ」

 

文句言われると身構えてたのに、紛らわしくて草が生えるぜッ!

 

「五月……」

 

「一花も花火をしましょう。三玖、そこにある花火持ってきてください。星奈さんと………ついでに火野君と上杉君の分も」

 

あくまで男2人はついでなのか……(悲哀)

 

「うん……………はい、どうぞ」

 

「ありがとうございます、三玖さん」

 

「ありがと、三玖!」

 

「さ、サンキュー……」

 

「さぁ、本格的に始めましょう!」

 

四葉の声掛けで花火を本格的に始める雰囲気になったその時

 

「みんな!ごめん!私の勝手でこんなことになっちゃって…………本当にごめんね」

 

そう言って一花姉さんは頭を下げた。

 

「一花、そんなに謝らなくても」

 

五月がフォローするが二乃が割って入ってくる。

 

「全くよ。なんで連絡くれなかったのよ。今回の原因の一端はあんたにあるわ。…………けど、目的地を伝え忘れてた私も悪い」

 

「私は自分の方向音痴さに嫌気がさしました…」

 

「私も今回は失敗ばかり」

 

「よく分かりませんが、私も悪かったということで!」

 

フッ、何と美しい姉妹愛であることか。ああ、ほんと…………羨ましい。

 

「みんな…………」

 

「はい、あんたの分よ」

 

一花姉さんは二乃から花火を受け取り、5人で花火を始めた。その様子を見ながら五月は口を開く。

 

「昔、お母さんがよく言ってましたね。誰かの失敗は五人で乗り越えること。誰かの幸せは五人で分かち合うこと。喜びも、悲しみも、怒りも、慈しみも、私たち全員で、『五等分』ですから」

 

5人の楽しそうな声を聞きながら、少し離れた所で俺と星奈さん、上杉の3人も花火を静かに楽しんでいた。

 

「ん?待てよ……………あいつらは花火を楽しんでる。らいはは満足して寝てる……………これ、帰って良いんじゃね?漸く自習を再開できるな」

 

「えぇ………(困惑)」

 

「ここまで勉強に執着してると恐怖すら感じますね………勉強に親友でも殺されたんですか?」

 

「人をヤバそうな奴みたいな目で見ないでくれます!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後何だかんだで上杉は残る事となった。そして5人は最後の5本の花火を選んでいる最中のようだ。

 

「そーいや、俺も日曜日が丸々潰れたな。あーあ、いつもならぐだぐだしながらアニメでも見てたのにねぇ」

 

「口ではそう言っておりますが、中々楽しそうでしたよ?」

 

……まっ、星奈さんの指摘通りだ。人混みは相変わらず苦手だったが、確かに楽しかった。また来年行くのも悪くないだろう。

 

「けど、俺は五つ子探しに奔走してたから打ち上げ花火をゆっくり楽しむ暇もなかったぜ。それだけが少し心残りだったなぁ……………」

 

「ならばその願い、この花火の神様(・・)が叶えてやろう」

 

後ろを振り向くと、サングラスを掛け、はっぴを着て祭り用の鉢巻きを巻いた謎の男(棒読み)がいた。何故か肩にはバズーカを背負っている。

 

「おい、何してんの神さ」

 

「神様ではない!お祭り男だ!」

 

さっき花火の神様とか言ってたじゃねぇか!!

 

「人前で神様とか言うなっての。変な奴に見られるでしょ!」

 

と、小声で言ってますが………はっぴ姿にサングラス掛けて極めつけにバズーカ持ってれば変な奴にしか見えないのは俺の気のせい?俺の目が曇ってるだけ?

 

「総悟様、このお方は?」

 

「えーっと………………」

 

何て説明すりゃ良いんだよ!馬鹿正直に神様なんて言えないし!

 

「はじめまして。僕は火野君のお友達の…………お祭りを愛する男、宮野◯守です」

 

何で宮野◯守の名前を出したんだよ!?確かに高身長なのは共通してるけども!!つーか、お祭り男って言ったら宮◯大輔じゃないのかよ!!

 

「おい、何する気だっての!?」

 

「何って、君が花打ち上げ火見たかったなー、って言うからガチのやつを打ち上げに来てやったんだよ。安心しろ………俺ァはただ、この花火バズーカで壊すだけだ────この腐った世界を」

 

「目的が変わってるじゃねーか!そしてお前は鬼〇隊の晋助君じゃねーだろ!つーか、声真似上手ッ!お前実は本人さんじゃないの!?」

 

「……………何をヒソヒソ話してるの?」

 

「!」

 

いつの間にか三玖が目の前にいたァ!つーか、三玖だけでなくて他の4人もいるし!

 

「え、えっとねー!こいつは俺の友人の宮野◯守って言ってね!声優のオーディション行ってたら打ち上げ花火見れなかったらしくて、だから自分で花火バズーカで打ち上げに来たらしいよー!ねー?」

 

「まー、そんな感じかな!」

 

ふー、危ない危ない。何とか誤魔化せた。

 

「よーし、早速打ち上げるとしようか。何なら、ユー達も見ていきなよ。まぁ、火野君からは鑑賞料を取るけど」

 

ふざけんな。

 

「じゃあ、お言葉に甘えて見させて貰おうかな」

 

「ま、どでかい花火で締めるのも悪くないんじゃないかしら?」

 

「動画撮る…………」

 

「はっぴまで着て気合いが入ってますね!」

 

「それにしても、お腹がすきました…………」

 

一部関係のないコメントが流れた気がするが、それはさておき。

 

「よし、行くぜ!」

 

そう言うと宮n……………神様は少し距離を取って花火バズーカを空に向けて構える。つーか、ガチの打ち上げ花火をやるときって市とか消防に許可を取んなきゃいけないんじゃなかったっけ?そう言う決まりだった気がする。

 

─────は?何で神様が人間のルールに従わなあかんの?僕がルールだっつーの。

 

こいつ、直接脳内に…………!つーか、言ってる内容がAUOじゃねーか。もう神様って言うか暴君じゃね?

 

「よーし、じゃあ3つ数えたら打ち上げるぞー。いーち」

 

ドォン!

 

「まだ1しか数えてねぇじゃねぇか!」

 

「うっさいなー。男は『1』と『0』。これさえ覚えておけば生きていけるんだよ」

 

「おお!何か名言な気がします!」

 

「僕が作り出した名言だぜ!」

 

嘘つけ!騙されるな、四葉!それ銀◯のだから!

 

「それよりも、もうそろそろだな。ほら、たーまやーって。せーの!」

 

「「「「「「たーまやー!」」」」」」

 

そして次の瞬間、パーンと言う音と伴に夜空に1発の綺麗な花火が咲いた───────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃ、バズーカの処分は君が頼むわ。ダンボールのゴミの日に出しておいて」

 

「何で俺!?お前が処分しろや!え、てかこれダンボール!?花火バズーカ、ダンボールだったの!?…………って、もういねぇ!逃げやがった!」

 

くそっ、人にバズーカの処分を頼むとかとんでもねぇ野郎だ!つーか、このまま出したら通報されかねないな。『ごみ捨て場にバズーカが置いてあります!』みたいに。それも面倒だし、帰ったら解体しないとなぁ……………。

 

「ソウゴ君」

 

声を掛けてきたのは一花姉さんだった。

 

「私は先に失礼してますね」

 

空気を読んでか星奈さんは公園から退散して行った。

 

「どうした?他の皆は?」

 

「先に帰ってて貰ったよ。まだお礼を言ってなかったからさ。応援してくれた分、私も頑張らなきゃね。女優も……………勉強も」

 

「!」

 

それってつまり………!

 

「これからよろしくね、せんせー?私は一筋縄ではいかないよ?」

 

「………… 勿論だっつーの」

 

これで3人。信頼を勝ち取れた、かな。良かった良かった。だが、ここで終わればノーマルエンド。真のトゥルーエンディングに辿り着く為には──────

 

「…………一筋縄では行かないと言えば…………あの勉強界のラスボス(上杉風太郎)の説得も一筋縄ではいかなそうですな」

 

「あー………確かにそうだね………」

 

ベンチに腕を組んで俯きながら座っている上杉はラスボスに見える…………見えない?

 

「取り敢えず、成績下がるからヤメレとか言うだろうから…………勉強と仕事を絶対両立させるから、とか授業受けるからー、とかそんな感じの事を言えば良いんじゃね?俺もサポートするけど」

 

「うん、分かった」

 

と言うわけでラスボスの討伐もとい説得に向かう俺と一花姉さん。目の前に立っても上杉は何も言わない。

 

「えっと…………フータロー君。知っての通り、私駆け出しの女優やっててさ」

 

「………………………」

 

「寄り道とかじゃなくて、これが私の目指してる道なの。これからは授業も受けるし勉強も頑張るから、両立を認めて欲しいなー、って思うんだけど…………」

 

「そう言う訳だ、上杉。授業を受けてくれる気にもなったし、本人も頑張って両立させるって言ってるから俺からも頼むわ」

 

…………てか、これアレだな。これ、『お父さん、娘さんを僕に下さい!』って、実家のお父さんを訪ねて結婚を認めて貰うような感じだな。いつかガチで三玖のお父さんに『三玖を僕に下さい!』って言う日が来るのだろうか………………。

 

「…………つーか、静か過ぎね?」

 

「うん、私もそう思ってた…………もしかして」

 

2人同時に上杉の顔を覗き込むと─────

 

「zzzzz………」

 

「「…………」」

 

目を開けながら寝てやがりました、こん畜生。つーか、目を開けながら寝てるの怖すぎだろ。そもそも、こんな芸当出来るの初めて知ったんだけど。

 

「……………どうする?」

 

「……説明は明日にしようかな。空振っちゃったし」

 

「そーね……………けどさぁ」

 

このままじゃ何か締まらないんで………。

 

「ねぇ、一花姉さん。さっきジェンガと一緒に家で使う油性ペンを買ったのよ。そして、目の前には無防備に寝てる上杉が…………もう分かるよなぁ?」

 

「………ははーん、そう言うことかぁ………」

 

俺が言いたいことを察したのか、一花姉さんも小悪魔のような笑みを浮かべる。

 

「折角だ。花火大会での思い出をもう1つ作るとしようかねぇ………!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だこりゃ────────!?」

 

その夜、上杉家から落書きされた自身の顔を鏡で見た上杉の怒りの叫びが聞こえたとか聞こえなかったとか。

 

ちなみに、お風呂でしっかり洗って落としたらしい。

 

to be continue…………




感想

一花姉さん「途中で起きないかのスリルとの隣り合わせを味わいながら落書きするのはとっても楽しかったー!」

総悟「まさに愉☆悦!」

※子供とかいい子は真似しないで下さい。

今日も読んでいただき、ありがとうございました!


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アドレス交換

どうも、お久しぶりです。いつの間にかお気に入り登録者が100人を突破しましたね。まだ10話程度しか投稿してないのに非常に嬉しいですね、これは。これからも頑張るのでよろしくお願いします!


「どーした上杉?少し不機嫌そうに見えるが」

 

「昨日、油性ペンで顔に落書きされたんだ。俺が寝てる間にいたずら好きの子供にでもやられたんだろうがな。お陰で親父やらいはに爆笑されちまったぜ」

 

「ドンマイダネー」

 

一体誰なんでしょうね、俺の友達にそんなことをするいたずら好きの子供は(すっとぼけ)

 

「2人ともおっはー」

 

おや、いたずら好きの子供(一花)だ。今日から冬服か。

 

「朝から何のようだ、一花」

 

「学校まですぐだけど一緒に登校しようと思って。フータロー君、何か不機嫌だね?」

 

「昨日、寝てる間にいたずら好きの子供に顔に落書きされて家族から盛大に笑われたからな」

 

「酷いことする子もいるもんだねー」

 

平然とそう言いつつ俺の方を向いてニッと笑う一花姉さん。可愛いな。

 

「昨日、皆に仕事の事を打ち明けたんだ。皆ビックリしてたよ」

 

「そりゃそうだわな」

 

駆け出しとは言え女優なんだし。

 

「でも、スッキリした」

 

「そりゃ良かった……………ところで上杉」

 

昨日は空振ったが、今日は説明せなアカンなー、と思って長期戦覚悟で声を掛けるが意外な言葉が返ってくる。

 

「……………勉強と両立させれるんだろうな?」

 

「え?あ、うん。そのつもり。だからこれからは授業も受けるつもりだよ」

 

一花姉さんの答えを聞いて風太郎は軽くため息をついた後─────

 

「…………そうか。それなら俺からは特に何も言うことはない。精々仕事の方も頑張ってくれ」

 

あれれー、おかしいぞ~?あっさりOK出ちゃったよ。

 

「お姉さん、もっと反対するかと思ってたけど………」

 

「俺も長期戦を覚悟してたんだがのー」

 

「別に全面的に賛成してる訳ではないが…………その、俺達は協力関係にある『パートナー』なんだから、勉強意外の事も少しは応援する必要があると考えただけだ」

 

…………そう言えば、何か髭のおっさんにどんな関係と訊かれてたんだっけ。それに対して上杉なりの答えが『パートナー』って事か。なるへそ。

 

「……………あ、そうだ。はい、これ」

 

突然、一花姉さんは俺達に向けてスマホを差し出す。

 

「くれるのか?」

 

それは流石にないやろ(即答)

 

「もー違うよフータロー君。2人とメアド交換しよってこと!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後

 

「メアド交換、大賛成です!」

 

上杉が四葉にメアド交換について話した結果としては大賛成でした。にしても、そう言えばメアド交換してなかったなぁ。三玖のメアド、欲しいなー(直球)

 

「その前に、これを終わらせちゃいますね」

 

先程から四葉は千羽鶴を生産中。誰かにあげるのかね?

 

「一応聞くが何やってるんだ?」

 

「友達の友達が入院したそうなので千羽鶴を作ってます!」

 

「勉強しろー!」

 

今日も上杉のツッコミが炸裂。平和なことで。つーか、友達の友達の分を作るとか、マジでお人好しだな四葉は。程々にした方が良いぞ、ほんと。いつか悪い大人に利用されんぞ。

 

「半分寄越せ、俺もやる!」

 

「パパッとやって、終わりっ!にしますよ~」

 

千羽鶴を折るのとか何年振りですかねぇ…………あれ、折り方どうだっけ…………これもう、わかんねぇな(迫真)

 

「お、中野。ちょうど良いところにいた。ノートを皆の机に配っておいてくれ」

 

「はーい!」

 

流石はお人好し、一言で快諾ぅ。上杉もイライラしてきてるのが目に見える。

 

「…………そもそも、俺は別にお前達の連絡先なんて…………」

 

おーっと、そんなネガティブ発言を言うのは総悟君は予測済みでございますよ。

 

(………つー訳で、一花姉さんよろしくー)

 

目配せで合図すると、一花姉さんはスマホを操作する。数秒後、ガラケーの着信音が鳴って上杉が確認した瞬間、奴に動揺の表情が浮かぶ。

 

「………みんなのメアド知りたいなー」

 

一花姉さんを睨みつつ言うが、当の姉さんは涼しい顔で笑っている。まっ、何はともあれその気になってくれたので何よりだ。ちなみに、送られたのは例の写真である。落書きしておいて写真に納めない訳がない。ちゃんと連写しました☆

 

「協力してあげる」

 

最初にメールアドレスを見せてくれたのは三玖だった。

 

「あっ、そうだ(唐突)足の方はもう大丈夫?」

 

「う、うん。もう平気」

 

そりゃあ良かったですわ。もし悪化でもしようもんなら切腹もんでしたよ~、ほんと。さて、残りは四葉と二乃と五月ですか。

 

「二乃と五月は食堂にいますよ!帰らない内に聞きに行きましょう!」

 

じゃけん、行きましょうね~。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お断りよ。お・こ・と・わ・り」

 

「私達にあなた達の連絡先を聞くメリットはありません」

 

四葉と上杉と共に行って貰ったのがこの返答……………うん、まぁこうなるとは思ってた。

 

「くっ…………ならばこれはどうだ!俺と火野のを交換すれば、らいはとの連絡先もセットでお買い得だ!」

 

「…………背に腹は変えられません」

 

ちょろいな(直球)

 

「二乃姉貴は教えてくれないんスか?」

 

「当たり前よ。……………あと、あんたに姉貴呼ばわりされる筋合いはないわ」

 

「しょうがねぇな(悟空) 二乃抜きで楽しいお話でもしましょうねー」

 

「…………書くものを寄越しなさい」

 

や っ た ぜ

 

「…………おっと、書くもんの持ち合わせがなかった。上杉、何かない?」

 

「書くもの…………なら、俺の生徒手帳に書いてくれ」

 

上杉は二乃に生徒手帳を渡す。よーし、これで後は1人だ。

 

「な、四葉?」

 

「へ?何で私なんですか?」

 

えぇ……(呆れ)

 

「………俺と上杉がアドレス交換した人物を順番にあげてみ?」

 

「えーっと…………一花、三玖、五月、二乃……………あー!私、してませんでした!」

 

上杉が内心『こいつアホだわー』って思ってるのが目で分かる。かく言う俺も少しそう思ってるが。

 

「こちらが私のアドレスです!」

 

そう言って見せた瞬間、四葉のスマホ画面に着信表示とそれを知らせる音が出る。

 

「……………あ、そう言えばもう1つ頼み事があったんでした。失礼しますね」

 

「ふぇ?」

 

行っちゃった。何だろうね。一瞬見えた着信画面にはバスケ部部長とか書いてあったような………。

 

「バスケ部ってまさか…………!」

 

「どーした上杉氏?」

 

「入部でもして勉強しない理由を作る気なんじゃ…………!」

 

そうか?ほんとに勉強する気ないなら、初日の時も他の姉妹と同じく逃げてたと思うけどな。

 

「悪い、ちょっと行ってくる!」

 

上杉も四葉の後を追って行ってしまった。大方入部を誘われたんだろうが、断るんじゃねーのか、多分。特に根拠もないがそんな希ガス。

 

「おっ、二乃姉貴書き終わりましたか」

 

「だから姉貴って呼ぶなっての!」

 

はいはい(空返事)

 

上杉の生徒手帳に書かれたのをパパッと登録して、終わり!

 

「……………よーし、これで全員分登録終了っと。二乃には夜に1人でトイレに行けなくなる程の怖い画像でも送…………嘘だから、安心しろ。そんな睨むな。ソウゴ君ジョークだ。じゃ、俺は戻るわ。え?上杉の生徒手帳?ここに戻ってきた時にでも渡しなよ。俺はめんどいからパス」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たらいはー」

 

「お帰りソウゴ君。全員と交換出来た?あと、フータロー君は?」

 

「お陰さまで何とか。上杉は死にました(適当)」

 

本人がいたら『勝手に殺すな!』とか言ってるんだろうが、生憎今はツッコミが不在である。

 

「ソウゴ、ここを教えて」

 

「どれどれ………おや?これ英語じゃん」

 

いつもはお得意の日本史ばかりなのに苦手な英語とは珍しいな。今日は雪でも降るんじゃ………………って、失礼でしょうが三玖に!!

 

「……………少し頑張ろうと思っただけ」

 

「!……………うんうん、その調子でございますよ。えーっと、これはね…………」

 

これはかなり良い変化と言えるんではないだろうか。この調子で皆もどんどん変わってくれれば良いのだが。

 

「ねぇ、ソウゴ君」

 

「どーした、一花姉さん?」

 

「私に因数分解されてみない?」

 

「フアッ!?」

 

「…………一花」

 

「あはは、冗談だよー」

 

三玖のたしなめる視線を受けて一花姉さんは笑いながらそう言う。まったく、とんでもない事を言いやがりますよこの姉さんは。

 

「そー言えばお2人さん。もうすぐ何があるか知ってます?」

 

「……あ!林間学校だね」

 

「楽しみ」

 

うん、まぁ…………それもそうなんだけども。三玖の言う通り俺も楽しみなんだけども!

 

「その前に中間テストとか言う壁があるでしょーが」

 

「あー……………」

 

「憂鬱」

 

良い反応は当然ながら皆無である。

 

「まっ、中間試験で退学になる訳じゃないからそんな焦る必要はないけど、だからと言って中間テストを疎かにするつもりも毛頭ない。少しでも良い点を取って自信を持てるようにしないとね。俺も上手く教えられるように頑張らないと」

 

「ソウゴは自分の勉強は大丈夫なの?」

 

「当然です、プロですから」

 

「自分で言っちゃうんだ…………」

 

「一花姉さん。俺にも自画自賛してみたい時だってあるんですぅ。…………って、そんなことは良いんだよ。ほれ、手と頭を動かせぃ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

==================

 

その日の夜、食事をしている五つ子達。彼女らの携帯が一斉に鳴る。

 

「!…………ソウゴからだ」

 

「私もです!」

 

「一斉送信でしょうか」

 

「何だろうねー?」

 

「どーせあいつの事だから、しょうもない事でしょ」

 

様々な反応を見せる五つ子ら。中身を見てみると

 

『まさか初メールが宿題の送信になるとはなー。これも全部上杉風太郎って奴の仕業なんだ。え?宿題を誰が送るのかを決めるじゃんけんで負けたお前が悪い?違う違う、じゃんけんで勝つあいつが悪いんです。俺は1ミリも悪くない。

 

と、言う訳でこの課題を3日以内に終わらせておいて下さい。3日後に解説します。終わらせてない人が1人でもいたら二乃が星奈さんに筋肉バスターされます!手筈は整えました☆ けどまぁ、俺はそこまで鬼畜ではないから問題は少し簡単にしてある。なので、頑張れば絶対出来る筈。では、諸君の健闘を祈ってまーす。二乃は筋肉バスターされないと良いネ!俺はされるのを見たいけど。

 

ps.ゲームのガチャで☆5キャラじゃなくて☆2キャラしか出なかった』

 

「どんだけ私を弄ってるのよ!!」

 

「まぁまぁ、二乃落ち着いて」

 

「何で1人でも終わってなかったら私だけ筋肉バスターとか言うよく分からない罰ゲーム受けなきゃならないのよ!?それに見たいって言う本音が洩れてるじゃない!あと、最後のpsの部分はどう考えても私達に言う必要ないでしょうが!」

 

ちなみに、『何か二乃って弄りたくなるんだよねー。そう言うキャラで安定してるからかなー?あ、でも愛のある弄りなんでそこんとこは忘れないでや~』と、後に総悟は語るのだがそれは別の話。それにしても、『送った課題をやっておいて』の一言で済むのに大量の蛇足で長文にする男は如何なものか。

 

「…………不本意だけど、ほんとに筋肉バスターってのを喰らわされたくは無いし、今回だけはやるしかないわね………い、言っておくけど別に私はあいつらを認めた訳じゃないんだからね!私は筋肉バスターを回避する為にやってるだけなんだから!」

 

「二乃、ツンデレの発言にしか聞こえない」

 

「ッ~~~~~~!ほんと調子狂わせてくれるわね、あいつ!覚えてなさいよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ、唐突に寒気が…………誰かに宣戦布告されたような気が…………夜道には気を付けよ………」

 

to be continue……




おまけ

上杉「これで写真は消したな?」

一花姉さん「消したよー(バックアップしてあるから消しても意味ないんだけどね)」

総悟「この際だから俺も消しておいたぞ(バックアップしてあるけどねぇ………)」

上杉「お前も犯人かよ!」


















神様「ちなみに、この次の話で上杉は生徒手帳を二乃から取り返しに行くんだけど、めんどいし原作とほぼ変わらんからまたカットするってばよ!」

上杉「俺の出番をもっとくれよォォ!!」

こんな駄文を読んでくれて誠にありがとうございます!次もぜってぇ見てくれよな。


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第3巻
積み上げたもの


次回は幕間の物語です。もしかしたら明日は投稿は無理かも知れないのでご了承を。


「来週から中間テストです。今回も赤点は30点以下とするので、各自復習を怠らぬように」

 

教科書を盾にして漫画を読んでいる俺の耳に定期テストの到来を知らせる先生の声が入ってくる。ページを捲る手を止めて隣をチラリと見ると、爆睡している一花姉さんの姿があった。

 

「…………こんな調子で大丈夫かねぇ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

休み時間、暇潰しに上杉の教室に行ってみると、丁度五月と話してる真っ最中だった。

 

「休み時間なのに予習してるなんて偉い!家でも自習してるんだってな?それに無遅刻&忘れ物もしたことない!お前は姉妹の中で一番真面目だ!」

 

ふむ、あれか?勉強会に参加させようと誉めまくって口説いてる最中だろうか。

 

「そ、そうでしょうか」

 

「そうだ!ただ、馬鹿なだけなんだ!」

 

「いや、馬鹿はどう見てもお前だろうが!」

 

思わずツッコミながら俺も教室へ入って行った。

 

「なんだ、火野か。お前からもガツンと言ってやってくれ」

 

「いや、五月じゃなくてお前にガツンと言いたいわ!」

 

そんな口説きで参加する訳ないでしょうが!こいつ、勉強は出来てもやはりある意味馬鹿だ!

 

「………………そうですね。私も1人では限界があると感じてました。この問題を教えて貰っても良いですか─────先生」

 

「分かりました、後で職員室まで来なさい」

 

ほらー、言わんこっちゃない。さらに参加しなくなったじゃん……………。こいつ、某アーサー王の如く人の心が分からないんじゃないの、ガチで。

 

「どうしてこうなった………」

 

「(オメェのせいだよ)」

 

「兎に角、次だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お次は二乃である。

 

「二乃、中間試験は」

 

「みんな行こー」

 

おそろしく速いスルー。俺じゃなきゃ見逃しちゃうね!

 

「あの人、二乃の事呼んでなかった?」

 

「あいつら私のストーカー」

 

「おい待て!上杉はストーカーでも変態でも何でも良いが、俺はどう考えてもストーカーじゃないだろうが!」

 

「何で俺は良いんだよ!…………二乃!俺は諦めないぞ!祭りの日は一度付き合ってくれただろ!もう一度考え直してくれないか!」

 

こ、こいつ………よりを戻そうと説得しているように聞こえる事に気付かないのか。だが、面白そうなのでもう暫く放っておこう……(ゲス顔)

 

「なんならお前の家でも良いぞ!あと1回だけで良いんだ!お前の知らない事をたくさん教えてやるよ!」

 

だ、ダメだ………笑いを堪えられそうにねぇ…………完全に(ピー)したい人の発言じゃねぇか………このままだと上杉がビースト(意味深)と誤解されかねないのでここいらで止めますかねー。

 

「おっ、おい………ブフッ………上杉…………フフッ、ちょいとそこいらで止めとけって………グフフ………誤解を生むからよ………」

 

「は?誤解?何を言ってんだよ。なっ、に…………二乃?」

 

上杉の目の前には羞恥で顔を赤くしている二乃が。ここで漸く上杉が何かまずかった事に気付いた時にはこの説得の結末は決まっていた。

 

「誤解されるでしょうが────!!」

 

「ブヘッ!?」

 

二乃の ビンタ こうげき!

 

こうかは ばつぐんだ!

 

あいての 上杉は 倒れた!

 

二乃は 去って行った!

 

「あーあ、真っ赤な紅葉が出来ちゃったね」

 

「き、今日はなんて厄日だ………どうして俺がこんな仕打ちを…………」

 

ほぼお前のせいだけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局五月と二乃を除くいつメンで勉強会をする事に。2人の事は取り敢えず一旦忘れる事にした。

 

「上杉さん、火野さん!問題です!今日の私はいつもとどこが違うでしょうか!」

 

「お前ら、もうすぐ何があるか知ってるな?」

 

「無視!」

 

上杉はスルーの呼吸 二の型(適当)で完全に無視。 しょうがないから代わりに俺が解いてやんよ~。

 

「………………………あ、分かった!リボンが違う!」

 

「火野さん、大正解です!最近の流行はチェックだと聞いて変えてみました」

 

へー、そうなんだ。ファッションの流行とかあんまり気にしないからよく知らんが。そんな四葉のチェック柄のリボンを上杉が鷲掴みする。

 

「良かったな、四葉。お前の答案用紙も流行りのチェックでいっぱいだ」

 

「わ~~~、最先端~~~…………」

 

「そのチェックは流行るとまずいですぞ…………うーん、このままテストを向かえると嫌な予感しかしませんな」

 

「火野の言うとおりだ。このままでは試験を乗り切れない!だからこそ、この1週間で国数英理社を徹底的に叩き込むぞ。だから三玖も日本史ばかりやってな…………み、三玖自ら苦手な英語を勉強している、だと…………!?」

 

当の三玖は日本史ではなく英語をやっていた。俺からすればデジャブだけどね。

 

「ね、熱があるなら帰って」

 

「スパーン!」

 

「痛ッ!」

 

俺氏の こんぼう(丸めた教科書)叩き こうげき!

 

こうかは ばつぐんだ!

 

上杉は あたまをおさえた!

 

「熱なんかねーぞ、上杉。三玖は変わったんだよ。もう今まで勉強から後ろ向きだった頃の彼女はもういないのだ!」

 

「そ、そうなのか……?よく分からんが良い方向に変わったのなら何よりだ………………てか、今叩かれる必要あったか?」

 

「それはノリで」

 

「どんなノリだよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー疲れた!」

 

「早く帰りたい………」

 

俺も四葉と三玖ど同意見だわ。疲れたし早く帰りたい。

 

「不味いぞ、火野。放課後だけでは全然時間が足りない。週末にどれだけ詰め込めれるかが重要だな………」

 

「……少しは肩の力を抜けよ、上杉。ずいぶんと根詰めてるが、別に俺らの目的は中間テストで赤点回避する事じゃない。卒業させる事だ」

 

「そ、それは……………確かにそうだが………」

 

ここで一花姉さんから援護射撃が入る。

 

「ソウゴ君の言うとおり、フータロー君は根詰め過ぎだよ。中間試験で退学になる訳じゃないんだし、私達も頑張るからじっくり付き合ってよ。ね?」

 

「………………確かに、2人の言う通りそんなに焦らなくても良いのかもな」

 

そうそう。そんなに気を張り過ぎるのも身体に毒だしな。

 

「あ、でもご褒美あればもっと頑張るかなー」

 

「駅前のフルーツパフェが良いです!」

 

「私は抹茶パフェ」

 

「ああ^〜、いいっすねぇ^〜。………てか、今食いてぇ」

 

「じゃあ、今から行きましょう!」

 

「早く帰りたいんじゃなかったのか…………」

 

確かにそう言ったな。あれは嘘だ。

 

「よし、行くぞ上杉!甘いもん食って消費した分の糖分補給じゃぁ!」

 

「上杉さーん!置いてっちゃいますよー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファミレス

 

「……………そして、俺と四葉の誘いを勉強するからと断って帰るのがガリ勉の鑑の上杉氏。いやぁ、もうほんと尊敬しちゃうネ!」

 

「言葉とは裏腹にそうには聞こえないけどね…………」

 

よく分かってるじゃないか、一花姉さん。クラスで隣だから俺の事も分かってきたようだ。しかし、今更だが女子3人の中に男が1人いると何か気まずいな。気のせいか、妬む視線があちこちから突き刺さってるような気がするし。帰り道、後ろからグサッと刺されたりしないか心配だな。

 

「フータローはいつもあんな感じなの?」

 

「大体の誘いを勉強で断るぞ、奴は。そこまで勉強する理由ってなんなんだろうね」

 

尋ねてみたことはあるが、適当な理由で有耶無耶にはぐらかされてしまい、真の理由を俺は知らない。

 

「火野さんはどう言った経緯で上杉さんと友達になったんですか?」

 

「どう言った経緯?あー、それは」

 

その時、俺のスマホから電話が鳴る。3人に断ってから俺は電話に出る。

 

「誰だ誰だ、幕間の物語の話をしようとしてる最中に電話を掛けてくる輩は!!」

 

『…………火野君。娘が世話になっているね』

 

「(お…………お父様かよォォォォ!!)…………ど、どうも。こんにちは………何か、すみません………」

 

『構わないさ。顔を出せなくて済まないね。家庭教師の調子はどうだい?』

 

「あー、カテキョに関してはちゃんとやってますよ」

 

『上杉君も君と同じことを言っていたが、君もそう言うのなら本当なのだろう。順調そうで何よりだ。ところで、近々中間試験があると聞いてね』

 

「………………そう、ですね」

 

……………嫌なよーかんがする。

 

『少々酷だが、ここで君達の成果を見させて貰おう。一週間後の中間試験、五人のうち一人でも赤点を取ったら、君には家庭教師を辞めてもらう』

 

……………………え。ヤメテモラウ?

 

「………そ、そう来ましたか…………」

 

『この程度の条件を達成できなければ安心して娘たちを任せておけないからね。上杉君にもこの事はつい先程通達しておいた。それでは健闘を祈るよ』

 

それだけ言い残して電話は切れた。通話を終えた俺氏の心境はと言いますと─────

 

(あ…………あと1週間で全員赤点回避、だと……………!?とんでもねぇ難易度のハードルじゃねぇか!!目の前の3人は可能性がまだあるとしても、未だに教えを拒んでる残りの2人はかなりまずいだろ!特に二乃!勉強も嫌い、俺らも嫌い!最悪のスーパーベストマッチじゃねぇか!!しかも、これを知られたらさらに勉強しなくなるに決まってる…………!)

 

「……………ソウゴ?」

 

脳裏に無理ゲーと言う文字が浮かび上がってきた俺氏は三玖の声に引き戻された。

 

「(言えば逆にプレッシャーになりかねないか…………)な、何?」

 

「さっきの電話、多分お父さんからだよね?」

 

「ま、まぁね」

 

「何を話したの?」

 

「た、大した事ない………そう!せ、世間話さアハハ!」

 

「世間話だけでそんなに汗かくの…………?」

 

やめろ、一花姉さん!そこにつっこむな!

 

「緊張したんですぅ!声的にあの人何か怖そうだし!マジでそれだけだから!……………す、すみませーん!ジャンポパフェ1つお願いしまーす!」

 

「はーい」

 

話題を強制的に打ち切る為に、糖尿病になると言う都市伝説(?)で有名なジャンポパフェを注文。そして届いたパフェを5分で完食した。もう少し年取ってれば一発で糖尿病確定か?今はそんなことはどうでもいいが。

 

「あの量を1人で全部食べきっちゃった…………お姉さん、すごくびっくり」

 

「ソウゴって五月と同じく大食いなんだね」

 

「大食い対決すれば、五月といい勝負になるかも知れませんよ!」

 

「そ、そーかい…………なら、今度やってみるのも悪くないかもな……………」

 

ジャンボパフェのせいで甘いのは暫くもう良いやと思いながら、糖分を補給したからか冷静になった頭で覚悟を決めた。

 

(クビにされたら三玖といい関係を構築させる機会も減るし、何より5人を笑顔で卒業させると宣言したんだからこんな志半ばで終わりたくねぇ!こうなったら上杉と協力して何とかするしかねぇ!上等だ、やってやらぁ……………!)

 

俺は静かに闘志を燃やし始めたのだった。男は根性なんだよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたからは絶対に教わりません!」

 

「お前にだけは絶対教えねー!」

 

そして、勉強馬鹿(上杉)がハードルの難易度をさらに上げてしまったのをすぐに知ることになる──────。




神様「(あれ……………オリ主より原作主人公の方が足を引っ張ってね?)」

上杉「(何か失礼な事を言われた気が………)」

今日もありがとうございました!


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いじっぱりの似たもん同士

五等分の花嫁の2期でスクランブルエッグがカットされるかも知れないのでと言う噂を聞いて『えぇ………(困惑)』な状態になってます。


家庭教師の時間の15分前。上杉から話しておきたいことがあると言うのでマンション前に集合。そして話を聞いている内に俺の顔は般若の如くこわーい表情を浮かべる。お陰でマンションから出てきた子供は全員怯えて走り去る始末であるが、そんな事は知ったことではない。

 

そして、話を聞き終わった次の瞬間────

 

「…………んだと、この勉強馬鹿がぁ!!」

 

「すみませんでしたァ!!」

 

総悟は激怒した。必ず、かの目の前で土下座している上杉を粛清しなければならぬと決意した。総悟にはテスト前に五月と一悶着起こす上杉の心がわからぬ。総悟は、ただの勉強も出来るオタクである。漫画やラノベを読み、アニメと共に暮して来た。けれども三玖と会える機会を減らそうとする悪に対しては、人一倍に敏感であった。

 

「このバカチンがぁぁぁぁぁぁ!!全員赤点回避しなきゃクビだってのに、その可能性を高める事をしでかす奴があるか!!………………マジでどうすんだよ……………」

 

「ほ、ほんとにすまん!つい動揺と勢いで……………必ず何とかする……………」

 

「3秒以内にやれ。でなきゃぶっ〇す」

 

「それは無理があるだろ!!」

 

その後

 

・二乃にはクビの事は伝えない。

 

・上杉は五月と和解する。

 

・とにかく頑張る

 

上杉との話し合いでこの3点を決めた後、俺達はマンションの中へ入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後、勉強しまくったので休憩と言うことで俺は上杉、一花、三玖、四葉と人生ゲームを楽しんでいた。1回だけな筈だったのに白熱してか結局3回も遊んでしまった。ちなみに、五月と話す機会は無かったのはお察しして。

 

「いえーい、勝ったー!」

 

「うーん、あと少しだったんどけどね………」

 

「ソウゴ、強すぎ……」

 

「3回やって3回とも火野さんが1位で上杉さんが最下位です!」

 

「何故三回連続で最下位なんだ……………」

 

「俺の別名『 』(くうはく)に敗北はあり得ないのさ。ゲームは始める前に終わっているが信条なのでね」

 

うん、まぁ…………何かかっこよく決めてるけど実際はノーゲー〇・ノー〇イフの最強ゲーマー兄妹からパクっただけなのだが。ガチでご本人いたらこてんぱんにされるんだろうなー。流石にあのチートレベルまでゲームは強くない。

 

「なんだー、勉強サボって遊んでるじゃない」

 

ここで家庭教師アンチの二乃が登場。

 

「ほー、挑戦者か。言っておくが、『 』に敗北はあり得ないぜ?」

 

「は?何カッコつけてるわけ?キモ」

 

あ?

 

「テメェ、榎〇祐先生に謝れゴラァ!俺を侮辱するのは構わんが、『 』と言うより、ノ〇ノラを侮辱するのは許さんぞォ!映画化もしてるのに!円盤もかなり売れたのに!」

 

「何を言ってるのかよく分からんが、落ち着け火野!」

 

離せ、上杉!羽交い締めにすんな!

 

「あんたも混ざる?五月」

 

!………い、いつの間に…………ステルス性能高すぎィ!だが、今がチャンス!行け、上杉!

 

「き、昨日は……」

 

「私はこれから自習があるので失礼します」

 

「あ、おい!」

 

ダメみたいですね(諦め) …………こりゃ、相当怒らせたようだな。

 

「……………ほら、あんたらもカテキョーは終わったんでしょ?帰った帰った!」

 

「へいへい」

 

「あ、ああ…………」

 

あーあ、取り敢えず今日はここまでかぁ……………もう不安しか残らん。

 

…………と、思いきや。

 

「…………もー、2人とも。何言ってるの?約束と違うよ?」

 

「「「え?」」」

 

「今日は泊まり込みで勉強教えてくれるって話でしょ」

 

「「ええーっ!?」」

 

「ファッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………と、言うわけでよく分かりませんが泊まる事になりました」

 

「よく分からないのですか…………」

 

俺は枕が変わると寝れない系男子なので、枕とかその他諸々を取りに帰るついでに星奈さんも説明しておいた。正直なところ、一花姉さんが助け船出してくれたのは助かった。これだけ時間があれば上杉も五月に謝る機会を見いだせるかもしれないし、何より赤点回避の可能性が少しでも増やせるだろう。

 

「………………まぁ、ご両親には私が説明しておきます。ですが、くれぐれも欲をスパーキングさせて新たな生命を誕生させないで下さいね」

 

「し、しませんわ!誰が(ピー)とか(見せられないよ!)みたいな事したり、(自主規制)的な事をするもんですか!」

 

「そこまでは言ってないのですが………」

 

「………………あ」

 

…………よーく考えたら今の俺、放送禁止用語やR18指定を喰らいそうなワードを連発したヤベー奴じゃん!最悪だよ、星奈さんの前で何やってるんだ俺はァ!せ、せ、星奈さんのせいなんだからね!(責任転嫁)

性よ…………じゃなくて欲をスパーキングさせないでとか柄に合わない事を言うから動揺しちゃったからなんだからね、ほんと!!…………あぁ、もう!言い訳してたら余計恥ずかしくなってきた!

 

「………これがエロ動画をこっそり見てたのが親に見つかって死にたくなるほど恥ずかしくなるような気分ってやつか……………中々に最悪だな……」

 

「? 何か言いましたか?」

 

「何でもないです、それでは!!」

 

そのまま走り去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戻ったぜー。あれ、上杉はどうした?」

 

「先にお風呂に入ってるよ。ソウゴ君も一緒に入ってきたら?」

 

「死んでも嫌だね!」

 

男2人で風呂とか誰得だよ。

 

「ソウゴ、荷物多いね。何を持ってきたの?」

 

「えーっと……………まず枕でしょ?後はパジャマとかアイマスクに耳栓で、他にも水鉄砲に木刀、けん玉にゲーム機とかその他諸々」

 

「それ殆どいらなくない………?」

 

一花姉さんから何か聞こえた気がするが空耳としておこう。何も聞こえませーん。

 

「火野さん!この木刀に書いてある洞爺湖って何ですか?」

 

「あー………………代々、俺の家系は木刀に洞爺湖って彫るしきたりなもんで。男のロマンみたいなもんでいいでしょ?」

 

「はい!よく分かりませんがカッコいいと思います!」

 

まぁ、このロマンはSF人情なんちゃって時代劇コメディーの銀〇を読んでないと分かるまい。

 

「で、二乃と五月は相変わらず部屋に引きこもってるのか?」

 

「五月ちゃんは部屋にいるけど、二乃は…………あ、ちょうど帰ってきた」

 

噂をすれば二乃が来た。そして俺を見ると何故か不敵な笑みを浮かべる。

 

「二乃、何かあったのー?嬉しそうに見えるけど」

 

「ええ。とっても良い事(・・・)が聞けたもの。嬉しいに決まってるわ」

 

………………あっ(察し)

 

俺は二乃にこっそり駆け寄って小声で話し掛ける。

 

「なぁ、二乃」

 

「…………何よ」

 

「例の条件を聞いたな?」

 

「…………ええ。言っておくけど、私は」

 

「違う違う、そうじゃなくて。お前にばらしやがった上杉を木刀でぶっ〇してきても良いか?」

 

「良いわけないでしょ!私達の家を殺人の現場にするつもり!?」

 

「ちぇ。分かったよ。じゃ、俺もお風呂入って来るわ」

 

「木刀持って殺る気満々じゃない!置いてきなさいよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「頭を垂れてつくばえ。平伏せよ」

 

「は、はい………」

 

丁度お風呂から出た上杉を突撃。俺の顔を見て全てを察したのか、全裸で素直に平伏する。

 

「す、すまない火野………だがこれには深い訳が」

 

「誰が喋って良いと言った?」

 

「す、すみません…………」

 

はぁ…………まぁ、大方騙されたのだろう。自ら暴露するとは思えんし。パワハラ上司鬼のパワハラ会議パロはここまでにしておこう。

 

「取り敢えずだな、上杉。二乃に知られたからと言っても別に俺達のやることは何も変わらん。赤点回避を目指して教えるだけだ。出来る事は全てやるぞ!良いね?分かったら返事ィ!!」

 

「は、はい!!」

 

「よし、じゃあ俺も風呂に入るからさっさと出ていけ」

 

「ちょ、待ってくれ!せめて髪を乾かせて!いや、それよりも服を着させてくれ!」

 

「さっさとそのはしたないものをしまえ。もいで新しい仕事場としておかまバーに送るぞ」

 

「怖ッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふー、さっぱり。待たせたな」

 

マジで広い風呂だったな。5人でも入れそう。

 

「…………火野。何だこれ?」

 

「『星砕き』と呼ばれる木刀や。んな事より、さっさとやるぞ」

 

木刀をしまって4人を座らせる。何故か二乃が離れた所にいるが気にしない気にしない。

 

「はーい、詰めて詰めて」

 

「!?」

 

み、三玖が俺の近くに…………!お、落ち着け火野総悟!スパーキングさせるな!

 

「三玖が分からない所があるって」

 

「い、一花……っ!」

 

「何でも教えるぞー、この上杉がな!あとよろしくー」

 

「人に全部任せるなよ!……………ああ!何でも答えてやる!分からないところがあったらなんでも聞け!」

 

「上杉さん!討論する、って英語でなんて言うんでしたっけ!」

 

「debate!デバテと覚えるんだ!確実に今回のテストに出るから覚えておくんだぞ!」

 

「だってよ、二乃」

 

「…………………」

 

俺の振りに一切反応せず無視。スルーされるのは少し悲しい。せめて反応してくれ(懇願)

 

「教えてほしいこと…………好きなタイプは?」

 

「「!?」」

 

え、マジですか三玖さん。

 

「ちなみに、上杉が好きなのはらいはちゃんだよ。こいつ、ロリコン&シスコンだし」

 

「誰がロリコンだ!」

 

シスコンは否定しないのか……。

 

「………俺は恋愛なんて興味がない。そう言うスタンスなんだよ」

 

「………………じゃあ、ソウゴは?」

 

「そうだねぇ……………」

 

…………折角だ。勉強に繋げるか。

 

「じゃ、ノートを3ページ埋めたら教えま…………って、もう取り掛かってるし…………」

 

単純と言うかなんと言うか。まぁ、やってくれてるんだし良いか。

 

「終わった」

 

「終わったよ~」

 

「終わりました!」

 

「いつになくやる気だしてたな……………俺の好きなタイプは──────細かいことは抜きにすれば、シンプルに優しくていい人、かな(流石にこの場で三玖とは言えん……………)」

 

「…………あ、もしかしてお姉さんの事かなー?」

 

「部屋が汚いので論外」

 

「酷いッ!」

 

意外と潔癖性なんで。ま、確かに一花姉さんはいい人だけどね。

 

「少なくとも我々に対しては優しくないし、二乃もあり得んかなー」

 

「こっちから願い下げよ」

 

両者、意見が一致。

 

「二乃は女としては見れないな。俺の中ではただの弄りキャラだ」

 

「誰が弄りキャラよ!」

 

「そう怒るなって。今も弄られて楽しそうじゃん?」

 

「あんたの目は節穴か!」

 

そんな感じでギャーギャー騒いで楽しんで(?)いると

 

「騒がしいですよ。勉強会はもっと静かなものだと思ってましたが」

 

誰かと思えば五月だった。

 

「悪いな、二乃が突っ掛かってくるもんだから」

 

「突っ掛かって来たのはあんたでしょーが!もういいわ!」

 

そう言って二乃は部屋に籠ってしまった。やれやれ、誰のせいでこうなったのやら()

 

「三玖、ヘッドホンを貸してもらえますか。1人で集中したいので」

 

「いいけど………」

 

「…………お前の事、信頼して良いんだな?」

 

「…………足手まといにはなりたくありません」

 

上杉の問いにそう短く返すと五月は自分の部屋へ戻って行く。結局謝れてないし。やはりいざ顔を合わすと謝まりづらいのかね。うーん、このままの状態を維持するのはまずいだろうし…………どうしたもんかね。

 

「……………ねぇ、2人とも。星が綺麗だよ。少し休憩しない?」

 

「俺は良いぞー。教えすぎてそろそろ暇になってきたしな」

 

「そこまでやってないだろ……………まぁ、良い。三玖と四葉も少し休憩……………は、必要なさそうだな」

 

三玖が四葉に歴代の将軍の名前を教えていた。こうやって教えあうのも悪くないだろうな。もっと成長したらお互いの得意科目を教えあえるようにしようかな。

 

さて、外に出て上を見上げると満天の星空が広がっていた。取り敢えず無言で連写する。

 

「そう言えば、オーディション受かったよ」

 

「おー、良かったじゃん。いつからやるの?」

 

「テスト後だよ。だから安心しなよ、フータロー君?」

 

「……………まぁ、それなら良いが」

 

………………さてさて。

 

「で、本題は?それだけを伝えにわざわざ寒い外に呼び出したのではないだろ?」

 

「鋭いね、ソウゴ君。……………フータロー君、五月ちゃんと喧嘩しちゃった?」

 

「……………気付いてたか。まぁ、いつもの事だ」

 

「そうだな。いつも通り、9割5分はお前が原因かなー……………」

 

「うぐっ…………」

 

「こらこら、ソウゴ君もそんなに意地悪を言わないの」

 

へーい。

 

「今日はいつもと違う気がしたよ。2人には、仲良く喧嘩してほしいな」

 

「仲良く喧嘩って……矛盾してるだろ」

 

要は喧嘩するほど仲が良い的な喧嘩って事かな、多分。

 

「あの子も意地になってるんだと思うよ。小さい頃から不器用な子だったからね。素直になれないだけなんじゃないかな?きっと今も一人で苦しんでる。私も出来る限りの事はするけど、フータロー君やソウゴ君にしか出来ない事もあるから。そこはお願いね?」

 

「上杉に出来ることか………………丸刈りにして全裸で土下座の謝罪?」

 

「何だよそりゃ!余計避けられるだろうが!」

 

ヌルフフフ。冗談はさておき。

 

「つーか、感心したぜ。ほぼ同時に生まれたとは言え、長女の責務を全うしてるんだな」

 

「あれ?ソウゴ君、やっぱりお姉さんに惚れちゃった?」

 

「ハハハ、こやつめ。俺を惚れさせるにはハリウッド女優になるか汚部屋を清潔な状態に一生保てるようになってから言えい」

 

そう言って俺はからかい目的で頭をわしゃわしゃ撫でる。

 

「もー、子供扱いしてるでしょ!」

 

「俺からすりゃ、どいつもこいつもガキみたいなもんよ」

 

一応前世の分も足せばもう30年以上は生きてるからな。……………まぁ、精神的には未だに高校生位な気がしなくもないが。永遠の高校生か?

 

「それにしても秋なのに暑いねー」

 

「俺ちゃんはいい加減寒いんですが…………戻らんと寒くて凍え死ぬぅ…………」

 

「いい加減戻るぞ。そろそろ再開しないとな」

 

上杉の後に続いて俺も中に戻って行った─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「寒い…………かなぁ………?」

 

──────頬をほんのり赤く染めて白い息を吐いている一花姉さんに気付かずに。




そう言えば、Fate HF最終章のBDとDVDがもうすぐ発売ですね。早くまた見たいなー。

今日も読んでいただき、ありがとうー!


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2人きりの夜食

夜食は太るんでやめましょう。五月みたいにな…………おっと、誰か来たようだ


取り敢えず今日はここまでと言うことで寝ることに。

 

『ソウゴは私のベットを使って良いよ』

 

『じゃあ、上杉さんは私のベットを使って下さい!私と三玖は一花の所で寝ますので!』

 

と、言う訳で三玖のベットなうです。布団から三玖の匂いがしますが…………夜の運動(意味深)はしないように理性が自制しておりまする。三玖の匂いで(ピー)とかあり得んだろ………そこまで暗黒面に堕ちてないわ。つーか、三玖がわざわざベットを提供してくれたのに、流石にそう言うのはまずいだろ!

 

「しかし、三玖の部屋は和風テイストですな………あの木刀もここに飾れば画になるんじゃね?」

 

違和感/zero説濃厚だったりして。

 

「…………って、下らない事考えてないで寝るか」

 

布団を掛けて俺は目を閉じるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間後

 

「………くっ…………ね、眠れねぇ………!」

 

だ、ダメだわ!やっぱり三玖の使ってるベットで寝てるからか興奮が収まらず、理性はデンジャラスビーストモード寸前。このままでは1人で夜の大運動会(意味深)を開催しかねない…………!

 

「ふ、ふざけるな!エ○ァの旧劇みたく『最低だ……俺って……』になってたまるか!アニメでも見て発散じゃあ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに1時間後

 

「ふー、何とか冷静になれたな…………」

 

リビングにてOPの主題歌が1億再生されて話題となったアニメ『ダ○ベル何キロ持てる?』を静かに笑いながら見てたらデンジャラスビーストモードはとっくに引っ込んでいた。

 

「やれやれ、30年近く生きてても俺の頭は思春期の考える事と同じってか?成長してるんだかしてないんだか、これもう分かんねぇな。………にしても、何か腹減ったな」

 

時刻は12時近くだった。飯を食べたのはかなり前だから腹が減っても多分不思議じゃない。

 

「確か夜食に適したミニカップラーメンを2つ位持ってきたっけ。お湯でも沸かして食うか。えーっと、カップ麺はどこだ?無駄に物を持ってきたから探すのも面倒だな…………」

 

ゲーム機や黒ひげ危機一髪などを掻き分けてカップラーメンを探す。

 

「お、あった」

 

数分後に探し当てると同時に扉が開く音がする。振り返った俺の視界に入り込んできたのは────

 

「……………誰かと思えば火野君ですか」

 

「何だ五月か…………こんな夜遅くまで勉強か。偉いな」

 

「…………足手まといにはなりたくないだけです。火野君は何をしているのですか?」

 

「まぁ………色々とあって寝れなくてよ。腹でも減ったから小腹を満たし『グー』……………ん?今何か鳴ったよね?」

 

「き、気のせいです!」

 

「いや、今完全に鳴ったよね?つーか、五月の方から鳴ったよね?」

 

「な、鳴ってません!火野君の気のせ『グ───』………き、気のせいですよ………

 

顔を真っ赤ながら消え入りそうな声で言われても説得力が皆無なんですがねぇ…………。

 

「………2つあるけど………食う?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「…………」」

 

沸かしたお湯を入れて3分間待ってる間、五月は俺から少し距離を置いて目も合わせてくれない。ついでに無言の状態も続く。

 

「(き、気まずい……………何とかこの状況を打破せねば…………)う、上杉ってシスコンなの知ってたー?」

 

「………………」

 

話し掛けた結果、反応すらしてくれない結果だけしか残らなかった。何て虚しいんだ…………。

 

「(こんな気まずい空間で食うとかちょっとした地獄ですやん!この際だから贅沢は言わないから二乃でも良いからどうにかしてくれー!)」

 

心の中で他力本願していると、遂に五月が沈黙を破ってくれた。

 

「…………火野君は知っていますか?私と上杉君が諍いを起こしてしまった事を」

 

「………あー、うん。まぁ、一応」

 

「…………どうも彼とは馬が合いません。些細なことでむきになってしまいます……………私は一花や三玖のようにはなれません」

 

「そうか?そのアホ毛をぶち抜いて髪を整えれば三玖になれるんじゃね?一花の場合はばっさり切らないとダメだろうけど」

 

「そう言う事ではありません!真剣に言ってるんですよ!」

 

すまんすまん、おふざけが過ぎた。

 

「無理に一花や三玖みたいにする必要はねーよ。少しずつ信頼を築けば良いと俺は思うぜ。そもそも、別に五月が気に病む必要はねーよ。悪いのはあのガリ勉野郎だし」

 

「…………そうでしょうか」

 

「そうに決まってるだろ」

 

……………まぁ、全面的に擁護する訳ではないが上杉が五月に思わずああ言う風に言ってしまったのも理解出来なくはない。突然クビの件を聞いて焦りや動揺してしまうのは無理もないだろう。

 

そう話してる間に3分が経ち、2人で静かに麺をすすっているとまた五月が話し掛けてくる。

 

「1つ火野君に聞きたかったのですが………火野君はどうして私達の家庭教師を引き受けたのですか?」

 

「へ?」

 

「三玖に聞きましたが、火野君も私達と同じく余りお金に困っている訳でもないそうですね?それなら、どうしてなのかと気になりまして……………」

 

「あー……………まぁ、先生みたいに誰かに教えたりするのに憧れていてね。良い機会だからやってみたいなーって………」

 

─────まぁ、決して嘘と言う訳ではないが、1番の理由は『三玖とお近づきになって良い感じの関係を築きたいから』なのだがそれは黙っておこう………今はね。

 

「では、将来は先生に?」

 

「……………かーもね」

 

その可能性は微レ存かなぁ…………。

 

「…………ごちそうさまでした」

 

「ん。……………まー、これはただの独り言なんだが。もし上杉の奴が素直に頭を下げてきたらそん時は許してやって欲しいなー…………って思ったりして」

 

「……………………」

 

五月は一瞬立ち止まったが、何も言わずに部屋へと戻って行った。

 

「ま、後はあいつに任せるか…………あー、眠い。さっさと歯磨きして早く寝よっと」

 

腹も膨れたからからか、現に三玖のベットに入ってもデンジャラスビーストモードは発動せず、数分で眠りについたのだった。睡眠欲>> 欲になった瞬間である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふー、(自主規制)しなかったか………総悟君が(見せられないよ!)したらこの小説にR18タグつけなきゃいけなくなるから危なかったよー。この小説はそういう系じゃないんだから」

 

メタい事を呟く男は無論、神様。仕事終わりに転生者をリアルタイムで見れるテレビで総悟の様子を見てみると、何やら子供には刺激が強すぎる事をしそうだったので面白さ半分、ひやひや半分で見ていたのである。

 

「これ五月ちゃんともワンチャンあるんじゃね?三玖ちゃん一筋縄なのも良いが、五月√…………いや、三玖ちゃん以外の√も見てみたい気もするなぁ……………まぁ、俺は誰と結ばれようが祝福するけどね。さーて、僕も寝るとし…………ん?」

 

リモコンで消そうとする神様の手はドアが開かれる音で止まる。

 

「あ、三玖ちゃんだ…………お、総悟君の布団の中に入って寝始めちゃった。客観的に見たらナニとは言わないけど、事後のカップルみたいに見えるな……………うん、明日の総悟君の反応に期待だネ!」

 

これを他の姉妹に見られたら総悟の立場が危ういのだが、神様にあるのは心配ではなく総悟のリアクションに対する期待。神様と言うか、ただの愉快犯もどきじゃねとかは言ってはいけない。

 

果たして、隣に推しの三玖がいた時の総悟の反応はいかに!次回へ続く!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、でも…………これで総悟君が目覚めて野獣と化して(ピー)し始めたら確実にR18じゃん…………大丈夫かな…………」

 

to be continue………




次に投稿する時にR18タグが付いてたら…………まぁ、そう言う事です。

あと、何で朝っぱらの5時に投稿したかと言いますと、五月の回であるからとか『5時に投稿したら何人アクセスするかなー?』って、実験的な面もあったりなかったり。

本日も読んでいただき、ありがとうございました!


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朝からハプニング

誤ってこの話の次のを投稿しちまったよ、あぶないあぶない。見れちゃった人はある意味ラッキー(?)ですね!


「ふぁ~………朝か。完全に寝坊したな」

 

時刻は8時を過ぎた所。いつもならこの時間はアニソンを2時間位ピアノで弾いてるか。

 

「まー、良いか。たまに寝坊すんのも。さーて、起きて上杉と作戦会……………ぎ?」

 

布団から出ようとして俺は気付いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三玖(・・)隣ですやすや寝ている事に(・・・・・・・・・・・・)

 

「……………。そ、そっか!これも夢か!そ、そうだよね!まさか俺と三玖がヤった後みたいに一緒に寝てるなんてあり得ないよな!まったく、ビックリするなー、アハハ!……………ゆ、夢だよね………?だから、自分で自分に平手打ちしても痛くないよね!?オラァ!!」

 

─────バチーン!!

 

「痛ァ!!……ってことは、夢じゃないのか…………」

 

冷静でいられたのもこの時までだった。俺の頭の中は混乱と興奮とかその他諸々で満タン。アドレナリンも大洪水だった。

 

「(オィィィィィ!!何で!?どゆこと!?何でいるの?!まさか……………昨日、俺は無意識の内にヤってしまったのかぁ!?)」

 

ま、マジでヤってしまったのか!?デンジャラスビーストモードは鎮まった筈じゃ!?

 

「(う、嘘だろ……………確か三玖は一花の部屋で四葉と一緒に寝てた筈じゃ…………連れ出してヤったってのか……………?)」

 

コンコン

 

「!?は、はいはい!今開けますよー!」

 

取り敢えず三玖には頭まで布団を被せる。どうしてこうなったのかはよく分からんが、こんなのを見られたらヤバい!取り敢えず今は隠すしか道はねぇ!!

 

「どうし……………ファッ!?」

 

あれ、三玖ゥ!?どうしてここ……………いや、待て。何か違うな。この三玖は──────

 

「い、五月でござるか…………?」

 

「……………分かるんですね。と言うか、ござる………?」

 

「そこは気にするな!………ま、まぁ多少はね?」

 

…………正直に言えば、三玖じゃない事しか分からなかった。誰なのかとか考えてられる程の余裕なんてねーわ!当てずっぽうで言ってみたら当たってたってだけの話だ。

 

「起きたか、火野。お前が1番寝てたぞ」

 

う、上杉か…………。

 

「………上杉もやられたのか?」

 

「いや、俺はもう起きてたからな。そこで五月が一花や二乃に髪型をいじられて三玖にされてるのも全部見ていただけだ」

 

「そ、そうなん『ゴソ…』だぁ!?

 

「「?」」

 

「じ、じゃあ俺は着替えるんで失礼するぜ!アディオス!!」

 

「待て、今日の予『バタンッ!!』」

 

上杉の台詞を強制的に遮って俺は扉を勢いよく閉める。予定なんて後回しで良いんだよ、俺にとっては!!多少の不自然さは残ったが、何とかしのげたか………?いや、しのげたと信じたい。

 

「み、三玖さーん………」

 

小声で身体を揺らしながら三玖を起こす。

 

「………………ふぇ?」

 

「お、おはようございます………」

 

「お、おはよう………………え!?ソウ」

 

「シー!静かに!」

 

危ない危ない。ここで聞かれちゃゲームオーバーだった…………………。

 

「………………あ。そうだ、私…………トイレから戻って来たらこっちに…………そのままソウゴと一緒に………うぅ…………」

 

「そ、そう言う事だったのね…………」

 

いや、マジで良かったァ!どうやら俺はとんでもない事をヤらかして無かったようだ。取り敢えずは一安心。一安心したら一緒に寝た事実に悶えてる三玖の顔にキュンとしてきたわ。

 

「ご、ごめんね」

 

「あ、いや別に特に迷惑は掛けてないし………俺も迷惑とか顔とかに色々と(意味深)かけてなくて良かったわ………

 

「?」

 

「な、何でもないよ」

 

…………よーし。漸く平常心に戻ってきた。頭も冴えてきたぜ。

 

「さてさて、三玖」

 

「?」

 

「元々一緒に寝てた一花姉さんとか三玖がいなくなった事に気付いてるじゃん?で、このまま2人で外に出たら色々と疑われて面倒じゃん?何があったと言うより、ナニがあった、って」

 

「た、確かに…………」

 

「なので、俺はイカしたアイデアを思い付いた。俺はこれから部屋を出て皆にさりげなーく近くにある図書館で勉強するように提案する。何とかして言葉巧みに図書館へ誘導させるから、皆が出て行ってから時間差で三玖もここから出て図書館で合流してくれる?それまでは待機って事で」

 

「わ、分かった……」

 

「まー、二乃とか五月はワンチャン行かないかもしれんが、見つかったら忘れ物取りに来たとかで誤魔化しておいてくれ。じゃ、俺は先に行くわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、ソウゴ君?着替えるんじゃなかったの?」

 

「いや、腹減ったんで朝ごはん食べてからにしようかなーって(三玖がいる前で着替えられるかっつーの!)…………あれ、俺の分は?」

 

「生憎だけど、あんたらの分のご飯の材料はないから」

 

二乃ェ……………。

 

「チッ、二乃の分際で生意気な………まぁ、言うと怒るだろうし黙っておこう」

 

「全部聞こえてるわよ!」

 

おっと、またもや心の声が洩れてしまったか。

 

「そう言えば、三玖がどこに行ったか知らない?私が起きたらいなくてさー」

 

「……あー、何か図書館行くとか言ってたけど………俺らも行く?」

 

「そうだね、たまには気分転換で別の場所で勉強しようかな。探しに行ってる四葉が帰ってきたら一緒に行こっと。2人はどうするの?」

 

「私は勿論パスよ」

 

「………私も家で自習するので」

 

つーか、上杉は五月にまだ謝ってないみたいだな。折角昨日、良い感じにセッティングしておいたのに。もう散々言ってるし、本人も言われなくても分かってるだろうから言わないけど。まぁ、図書館行きがすんなり決まったので良しとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「三玖はどこにいるのかなー?」

 

「どこでしょうねー」

 

まぁ、三玖はまだ図書館にはいないのだが。

 

「……………なぁ、四葉」

 

「はい!何でしょうか、上杉さん?」

 

「もしもの話なんだが……………5人の誰かが成績不良で進学できなかったとしたら、どうする?」

 

「私ももう1回2年生をやります」

 

当然です、と言わんばかりの即答だな。

 

「…………まぁ、私が1番可能性が高いんですけどね。でも、上杉さんと火野さんがいればそんな心配ありませんね!」

 

おおぅ、俗に言う期待と言う名の重圧(プレッシャー)ですな…………。

 

「…………フータロー君。私、うっかり筆箱忘れちゃった。私たちだけで先に始めてるから、忘れ物とってきてくれる?」

 

「……ああ。忘れ物(・・・)を取ってくる」

 

無論、その忘れ物とは筆箱ではない。それ位は俺でも分かる。漸く決心がついたか。

 

「……………じゃ、2人はお先に席を取っておいてよ。俺は三玖を探してくるからさ」

 

「おっけー」

 

「了解です!」

 

2人が席の方へ行ったのを見送ると、俺は図書館のエントランス付近で待つ。待つこと数分、三玖が若干息を切らせてやって来た。

 

「お、来たか。誰かに遭遇した?」

 

「フータローに遭遇しかけたけど、隠れてやり過ごした」

 

「そっか……………一応聞くんだけど、どこか痛かったり、だるかったりとかしない?」

 

「?ないけど……………どうして?」

 

「いや、特に深い理由はないから気にしないで良いよ」

 

………と、口先では言っているが────実際はナニとは言わないが、してないかの最終確認だったりする。

 

「そ、それよりもだ。一花と四葉が待ってるから行こうか」

 

「う、うん……………ソウゴ」

 

「!?……………な、なに?」

 

え、まさか一緒に寝てしまった事で嫌われたとか────

 

「今日も勉強、教えてね?」

 

おっふ…………いや、良かったわー!嫌われたりしてたら病みルート突入する所だったわー。流石にヤンデレみたいなのにはなりたくない。Scho○l Daysみたいな展開はマジでごめんだから!死ぬのは誠だけで充分だから!

 

「もっちのろんよ!」

 

何だかんだで、今日も平和です。

 

to be continue……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蛇足だが、上杉と五月の方は何とかなったらしい。

 

上杉「蛇足って言うな!つーか、俺の所もカットせずに書けよ!」




上杉「俺のこの小説内での待遇改善を求める」

神様「要求は分かった。だが断る

今日も読んでいただき、ありがとうございました。


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中間テストとツンデレの機転

間違ってフライング投稿してしまった今回のお話。すぐに消したので誰も見てない…………と、信じたい。


テスト前日

 

『はぁ!?今日も泊まり込みで勉強するの!?この間したばっかりよ!?』

 

『明日が試験なんだ!効率度外視で一夜漬けだ!』

 

『参加しない奴がいたら、二乃が星奈さんから十字固めさせられまーす』

 

『なっ!?そ、そんなの卑怯よ!』

 

『フハハハ、何とでも言えい!今日くらいは二乃にも勉強して貰うぞ!その為にはどんな手段でも用いてやる!』

 

『くっ…………五月、あんたも何か言いなさいよ!』

 

『今日くらい、いいじゃないですか』

 

『『『『『え』』』』』

 

『……勝った……計画通り…!』

 

…………とまぁ、デス○ートの名言をかます俺氏だが、実際はちょっと驚いてたりする。と言うわけで、五月の擁護を得られず二乃にとっては不服ではあるだろうが、2度目のお泊まり勉強会が開かれたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日のテスト当日 AM 7:00

 

五つ子と上杉の6人はリビングで寝ていた。昨日は日付が変わるまで勉強していたからかぐっすり寝ている。しかし、このまま放っておけば遅刻しそうなのでそろそろ起こすとしよう。既に手筈は整っていた。

 

「すいませんねー、星奈さん。荷物運びと組み立てを手伝って貰って」

 

「それは良いのですが……………ただ、何故にこれを?」

 

「目覚ましドッキリにこれほど最適な物はないでしょう。じゃ、行きまーす」

 

「やれやれ…………」

 

星奈さんと俺は耳栓を装着。そして撥(ばち)を軽く振りかぶり────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グワァァァァァァーン」

 

「「「「「「!?」」」」」」」

 

くっ─────そうるさい銅鑼(どら)の音に6人は一瞬で飛び起きる。しかも、一花、二乃、三玖、四葉、五月の産まれた順に起きると言うミラクルが起こった。

 

「わぁ!?」

 

「誰よ、朝っぱらからうるさいわね!」

 

「………あれ………天守閣でのデートは………?」

 

「な、何事ですか!?」

 

「うぅん…………あれ、大盛りのカレーは………?」

 

「…………うん、100点はないな」

 

中々面白い反応ですな。つーか、三玖はデートって言ってたな?後で誰とデートしてたか聞かないとな。もし夢の中でのデート相手が俺以外ならそいつをぶっこ(以下略)

 

「おはよう、諸君!今日は雲ひとつない快晴で中間テスト日よりだな!」

 

「ちょっと、あんた!なんでうちにそんなの持ってきてるのよ!」

 

「なんでって、そんなの決まってるだろ二乃。お前らを確実に起こす為しかないだろ。高かったんだぞー、これ。送料含めて5万円だったんだからな」

 

「普通に起こしなさいよ!」

 

「でもこれ、俺の家にはいらないから二乃にあげるわ。良かったな」

 

「いらんわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、朝からお騒がせしたと言う理由で俺が朝飯を全員分作る事に。おかしいな、俺はただ善意(笑)で銅鑼を用意しただけなのにどうしてこうなったのやら。まぁ、別に料理が嫌と言う訳ではないので、中野家に残ってた食材を使っておにぎりと目玉焼きにサラダ、味噌汁を20分足らずで作った。ちなみに、皆の前に出す時に『おあがりよ!』って言ってみたのだが、反応は薄かった。俺的には上杉は中の人繋がりでツッコミをいれて欲しかったのだがなー。

 

「凄く美味しいです!火野君は料理が得意なのですね!」

 

と、五月が目を輝かせながら申しております。

 

「………………意外と美味いわね」

 

二乃もすんなり賞賛の言葉をくれた。『私と比べたら大した事ないわね!』とか言うと思ってたから少し意外。

 

「機会があれば今度はもっと凄いのを作ってやるよ。おそまつ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

AM 8:00

 

身支度を終えて余裕を持って出発。結局銅鑼は俺の家に星奈さんが担いで持って帰って行った。星奈さんには朝から申し訳なかったな。今度埋め合わせをしないと。

 

ついに当日か……………二乃には昨日しか教えることは無かったが、何とか回避すると信じるしかないな。

 

………まぁ、最悪の場合は────

 

「あれ、あの子…………」

 

「泣いていますがどうかしたのでしょうか?ちょっと話を聞いてきます!」

 

一花姉さんが泣いている子供を発見し、そのまま四葉と駆け寄るのに俺も続く。

 

「ふーむ。俺氏の推測だと迷子ですかね?」

 

「ママとはぐれちゃったのかなー?ボク~、お姉さん達に話を聞かせてくれる?」

 

笑みを浮かべる一花姉さん。だが

 

『I wanna meet my mother……』

 

「「……」」

 

英語に固まる一花姉さんと四葉。ヘルプを求めるように後ろの三玖と五月の方を見るが、揃いも揃って目を逸らす。おいおい…………。

 

「ど、どうしましょう?」

 

「どうするもこうするも、簡単な話だろ四葉。英語でコミュニケーションを図れば良い話だ。よし、丁度良いから2人で自らの英語力を駆使して何とかしてくれ。俺は手を貸さんぞ」

 

「そんな~!」

 

「むむむ………」

 

四葉は嘆くが一花姉さんは既に考え始めてる模様。その様子を一歩離れた場所で俺は見守る。

 

「………ちょっと男子2人。こっちに来なさい」

 

「あ、ああ……?」

 

「へ?」

 

突然、二乃に呼ばれて上杉と俺は三玖と五月から少し離れた場所に誘導される。

 

「あらかじめ言っておくけど、私は真実をそのまま伝えるから。…………あの子達も頑張ってるみたいだけど、果たして結果はどうなのやら」

 

「……………限られた時間で俺達2人でやれる事はやったつもりだ。二乃、お前も頼んだぞ」

 

「俺も上杉と同意見だな」

 

短い会話を済ませ、元いた場所に戻って見守りを続けると、進展があった。

 

「あ!一花、今ホスピタルって言わなかった?ホスピタルって確か…………病院だよね?」

 

「四葉、ナイス!それなら………ゴホン。Did you go to the hospital with your mother?」

 

一花姉さんの英語による問い掛けに子供はコクンと頷く。

 

「私、この子と近くの病院に行ってきます!」

 

四葉が子供と一緒に小走りで病院の方へ去って行った。チラッと後ろを見ると、二乃は少し驚いた表情を浮かべていた。

 

「通じて良かったぁ………」

 

「お疲れー、一花姉さん。これは英語も期待出来たりして」

 

「ど、どうだろうねー」

 

その後、帰ってきた四葉から母親に届けた事を聞かされた後、登校時間の5分前に学校に到着した。

 

「じゃ、努力した自分を信じて頑張れよ」

 

「まっ、赤点とか気にせずインプットした事をアウトプットしてきなさんな。よーし、頑張ろうぜい!」

 

「「「「おー!」」」」

 

「………お、おー……」

 

二乃もマジで頼むよ~。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

================

 

社会

 

「(難しい問題ばかり…………でも、歴史なら分かる…………ソウゴより良い点数取ったらどんな反応するかな?)」

 

国語

 

「(うーん……)」

 

『選択問題は正解を探すんじゃなくて、間違ってるものを消して行く戦法もある。え?それでも分からんかったら?……………好きな数字で良いんじゃね?』

 

「(火野さんもそう言ってましたし、4で!)」

 

英語

 

「(討論…………分かんないや、次)」

 

『デバテと覚えるんだ!』

 

『だってよ、二乃』

 

「(……………ふん)」

 

数学

 

「(こんもんかなー。それじゃ、お休みー)」

 

「ンンッ!」

 

隣から聞こえてきた咳払いで一花は言われていた事を思い出す。

 

「(一花姉さんは計算ミスをする時が度々ある。見直しは忘れるなよ。忘れたらハラキーリだから)」

 

「(…………見直そっと)」

 

理科

 

『1人でも赤点を取ったら辞めて貰うと、先日は伝えたんだ』

 

『本当ですか、お父さん………』

 

五月は己の父との会話を思い出しながらシャーペンを走らせる。

 

「(あなた達を辞めさせません!上杉君に辞められるとらいはちゃんが悲しみます!火野君は…………えーっと…………そ、そう!辞められると2度とあの美味しい料理を味わえなくなる可能性があります!念のため!)」

 

──────そして、全てのテストが終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1週間後のテスト返却日。

 

「よーし、全員集合っと。悪いね、集まって貰って」

 

「どうしたの?改まっちゃって」

 

「水臭いですよ」

 

「間違えたところ、また教えてね」

 

「…………まずは………答案用紙を見せてくれ」

 

「はーい。私は………」

 

上杉の言葉に一花姉さんが喋ろうとする。が、

 

「見せたくありません」

 

五月の拒否の言葉が遮る。俺はこの言葉で全てを察した。

 

「テスト結果なんて他人に教えるものではありません!断固拒否します!」

 

「……………ありがとな。だが、覚悟は俺も火野も出来てる。だから見せてくれ」

 

「っ……………!」

 

五月も観念して自身のテスト結果を見せる。結果として、一花は数学。二乃は英語。三玖は社会。四葉は国語。五月は理科。それが赤点を回避出来た科目だった。それ以外は人によってはギリギリだったり惨敗だったりするが赤点だった。

 

「うーむ…………俺ちゃん的にはかなりやった感じだったのだが………」

 

「改めてこいつらの頭の悪さを実感して、落ち込みそうだわ………」

 

「うるさいわね」

 

上杉の酷評に二乃がムッとした表情で言葉を返す。

 

「……………だがまぁ、俺的には1科目だけでも全員赤点回避出来てるのは褒めても良いか。つーか、合格した教科が全員違うのは5人らしいな。ねー、上杉?」

 

「…………そうだな。最初の頃と比べれば確実に成長できてるな」

 

そう。5人で100点の時よりは大きな進歩だ。このまま行けば次回のテストには全員赤点回避も夢じゃない。ただ、そうする為の手助けをもうしてあげれない─────俺は(・・)

 

「…………三玖。偏ってはいるが、今回の難易度で68点は普通に凄い。姉妹にも教えられる箇所は自信を持って教えてやってくれ」

 

「えっ?」

 

俺の言葉に何かを感じ取ったのか不安そうな表情を浮かべる三玖。その顔を直視出来ずに俺は視線を逸らす。

 

「四葉はイージーミスが目立つぞ。焦らず、慎重にな」

 

「了解です!」

 

上杉の言葉に四葉は笑顔で答える。

 

「一花姉さんは一つの問題に拘らなさ過ぎ。最後まで粘れよ。あと、テスト中に寝ようとしたな?」

 

「あはは………まぁ、結局寝ずに見直したからチャラって事で」

 

「そう言う事にしておこう」

 

次は上杉から二乃への一言である。

 

「二乃…………結局、最後まで俺達の言うことを聞かなかったな。いや、でも前日だけは聞いてくれたか……………」

 

「…………あれ(星奈さん)は不可抗力よ」

 

「そうか………きっと俺らは他のバイトで今までの様に来られなくなる………俺達がいなくても、油断すんなよ」

 

「ふん………」

 

「ま、待って!」

 

ここで三玖が会話に入ってくる。

 

「………他のバイトって、どういうこと?来られなくなるって…………なんでそんなこと言うの?」

 

「………それは………」

 

「…………三玖。今は聞きましょう」

 

どう伝えるべきなのかを悩んでいると、五月が助け舟を出してくれた。

 

「………サンキュー。それでだ、五月」

 

「……………はい」

 

「後で筋肉バスターの刑な?」

 

「はい…………って、ええ!?名前的に痛そうですし嫌ですよ!」

 

ジョーダンです。

 

「1問に時間かけすぎて、最後まで解けてないですやん。これはまずいですよ!」

 

「は、反省点ではあります………」

 

「次から頼むよ~」

 

「………でも、あなた達は………『♪~』………父からです」

 

「来たか………俺に貸せい」

 

上杉が手に取るよりも早く俺は五月のスマホを取って電話に出る。

 

「どーも、火野です」

 

『ああ、五月君と一緒にいたか。個々に聞くよりも君の口から聞こう。嘘は分かるからね』

 

「そのつもりは1ミリもないのでご安心を…………ただ。上杉は(・・・)クビにしないで貰いたい」

 

「なっ!?おい、何を言ってモガァ!」

 

上杉をいつぞやの掴み技でダウンさせて俺は通話を続ける。

 

「(…………まっ、2人クビにされるより1人だけの方が良いだろ?それに、お前には借金の事もあるしな)あいつは優秀です、俺よりもよっぽど。だからまぁ、クビにするなら俺だけにすることをお勧めしますよ」

 

『…………つまり結果は?』

 

「結果はですね、赤点回避は「貸しなさい」………へ?」

 

突然二乃がスマホを奪い取った。突然の事に俺も困惑している中、二乃は電話を変わる。

 

「パパ、二乃だけど。なんであんな条件出したの?」

 

『僕にも娘を預ける親としての責任がある。だから、高校生の彼等が君達の家庭教師に相応しいのか試させて貰っただけさ』

 

「私達の為って事ね。ありがとう、パパ………でも。数字だけじゃ相応しいかなんてわからないわ」

 

『それが1番の判断基準なんだよ』

 

「……………そう。じゃあ、教えてあげるわ。私達全員で5教科全ての赤点を回避したわ」

 

なっ……………!?

 

『…………それは本当かい?』

 

「嘘じゃないわ」

 

『………二乃君がそう言うのなら間違いないだろう。これからも上杉君と火野君と励むといい』

 

そうして通話は終わった。

 

「………二乃、お前…………」

 

驚いたように呟く上杉だけではなく、俺も素直に驚いていた。我々のアンチ的存在の二乃が嘘をついてまでグヒを回避させてくれたのだから。

 

「私は英語で、一花は数学、三玖は社会、四葉は国語、五月は理科。5人で5科目クリアよ。嘘はついてないわ」

 

「…………まぁ、屁理屈な気もするが、嘘でもないのか…………?つーかお前のお父さん、ほんとは勘づいてたんじゃね?」

 

「かも知れないわね。多分2度と通用しないわ。だから、次こそ実現させなさい」

 

「…………言われなくてもそのつもりだっての。やれやれ………よりにもよってツンデレ姉様にデカい借りを作っちまうとはな」

 

誰がツンデレ姉様よ、って声はスルー。

 

「………ねぇ、ソウゴ。これからも勉強、教えてくれるよね………?」

 

「…………さっき来られなくなると上杉が言っていたな。あれは嘘だ」

 

それを聞くと三玖は不安そうな表情から一転、嬉しそうな表情を浮かべる。俺も三玖と同じく嬉しいですよ~!

 

「じゃあ、このまま復習しちゃいましょー!」

 

「良いねー!…………と、言いたい所だが」

 

頑張った奴には頑張った分だけ報酬がないと我慢ならないって、とある原作エロゲーのヒロインも言ってた事ですし────

 

「喜べ、少女達。復習の前に今から俺の奢りで駅前のファミレスでパフェを食いに行くぞ」

 

「おー!ソウゴ君も太っ腹だねー」

 

「仕方ないわね、奢られてあげるわ」

 

「抹茶パフェ、楽しみ………!」

 

「良いんですか!?やったー!」

 

「では、私は特盛で!」

 

「特盛でもてんこ盛りでもなんでも頼め。臨時収入が入ったからな。上杉はどうする?」

 

「そんなの決まってるだろ。人の金で食うものほど美味いものはないからな!ハッハッハ!!」

 

懐が痛まないからかキャラ崩壊寸前のレベルでテンションが高い上杉氏。何かムカつくので激辛料理でも食べさせてやる事にしよう…………。

 

………………今回は運良く救われたが、次こそ二乃が言っていた通り全員赤点回避を実現させてやらぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えば、上杉さんと火野さんは何点だったんですか?」

 

「うわっ、やめろ!見るな!」

 

「えーっと、上杉さんは………ひゃ、100点!?」

 

「あー、めっちゃ恥ずかしい!」

 

「その流れ、気に入ってるのですか………?」

 

「しょーもねー………奢るのやめようかなー」

 

「えっ……」

 

いや、そんな世界の終わりみたいな表情されると逆に困るんですが…………分かった分かった、意地悪言った俺が悪かった。と、言うわけで8000円の出費となりました。

 

それと、俺もオール100点ですよ?当然です、プロですから(ドヤ顔)

 

to be continue……




五月「ちなみに、火野君が言っていた臨時収入と言うのは?」

総悟「例の銅鑼をめっちゃ綺麗に磨いてオークションに出したら6万円で売れてね。1万円の儲けがあったって訳よ」

五月「…………と言うか、いるんですね。銅鑼を6万円も出して買う人が」

総悟「まぁ、人の趣味は様々ですからね。…………ちなみに、残額は全部ゲームのガチャに溶かして爆死したんだよね…………あはは………」

五月「………そ、そうですか………………すみません、こう言う時に何と言えば良いのか思い付かなくて………」

総悟「……………笑えば良いと思うよ」

ここまで読んでいただきありがとうございました!

シン・エヴァ、見たい!!早く公開してくれェェェェ!!


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暗黒物質(ダークマター)と林間学校

明日はお休みなのでそのつもりで。次の話は早くて2日後に投稿です。手放せない用事があるのでね、すみませんー!


「何これ?」

 

「いやいや、四葉さんよ。この料理はどう見ても暗黒物質(ダークマター)でしょ」

 

「いや、おはぎじゃないのか?」

 

「コロッケだけど…………と言うか、暗黒物質(ダークマター)って何…………?」

 

…………それは知らない方がよろしいかと。

 

「味には自信がある。3人とも食べてみて」

 

と言う訳で、俺と上杉と四葉の3人で試食。味の方はと言うと

 

「………ま、まぁ……良いんじゃないですかね?」

 

「美味いな!」

 

「あまり美味しくないー!」

 

俺は素直には言えずに濁したが、上杉と四葉は直球を投げる。

 

「何だ、四葉はグルメだな」

 

「上杉さんが味音痴なだけなんですよー!」

 

四葉が大正解。そして勉強もこの調子で大正解してくれ(切実)

 

「よし、じゃあ試験の復習を…………」

 

「待って。3人が満場一致で美味しいって言うまで作るから食べて」

 

「「「え」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「上杉が死んだ!この人でなし!」

 

「勝手に殺すな……………」

 

あれからコロッケ…………いや、暗黒物質(ダークマター)?…………本人の名誉の為にもコロッケで良いか。コロッケを食べまくった結果、俺は胃が丈夫なので何とかなってますが、上杉はそうではなかった模様で、胃もたれでダウン。

 

「何してんのあんた。ひとんちで昼寝?」

 

「二乃か。あれの食い過ぎで上杉が死んで、この人でなし!って感じなんだよ」

 

「え………何あれ?おはぎ?」

 

「コロッケ」

 

「コロッケはあんなに黒くないわよ!」

 

三玖に対する二乃のツッコミはごもっとも。あれはコロッケに似た別の何かだ……………。

 

「レシピ通り作っても全部これになって…………ちなみに、ソウゴが作ったのがこれ」

 

さっき、三玖にお手本を見せる為に作った。そして三玖も見る限り手順通り作っていたのだが、何故か全て暗黒物質(ダークマター)になった。解せぬ。

 

「あ、あのー…………火野君のコロッケ、食べても良いですか?美味しそうです!」

 

「どうぞー」

 

五月がぶれないのはもうツッコまん。毎回ツッコんでたらきりがない。

 

「ん~!美味しいです!今まで食べたコロッケの中でもかなり上位の方に入る美味しさです!二乃が作るのといい勝負になりますよ!」

 

──────この五月の感想が、とあるツンデレの闘争心に火をつけた。

 

「へぇ…………私のといい勝負、ね。なら、ここではっきりと勝敗をつけるわよ!決闘よ、決闘!」

 

「良いだろう、闇の決闘(デュエル)の始まりだ……!」

 

推奨BGM:熱き決闘者たち

 

こうして五月を審査員として、急遽闇の決闘(デュエル)もとい、どっちのコロッケが美味しいか選手権が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=================

 

「見てれば何かを学べるかも…………!」

 

三玖はメモ帳を取り出してキッチンの方へ駆け寄る。

 

「……………完全に俺達の事は忘れ去られてるな」

 

「置いてきぼりですね…………」

 

さて、取り残されたのは上杉と四葉。もう誰も彼等が眼中にない。

 

「キングオブコロッケは俺だ!」

 

「いいえ、私よ!」

 

「凄い手捌き……!」

 

「早く食べたいです~!」

 

総悟と二乃の白熱した声、三玖の感心した声、五月の完成を期待する声を聞くと上杉はため息をつく。

 

「これは、今日1日潰れるな…………」

 

「あはは…………そう言えば上杉さん。二乃が上杉さんと火野さんがいるのに家から追い出そうとしなかったのに気付きましたか?」

 

「え?あー……………偶々だろ」

 

「そうでしょうか?…………見てください、上杉さん!皆、楽しそうですよ!皆が楽しそうな様子を見てると私も嬉しくなります!これも上杉さんと火野さんが家庭教師として来てくれたお陰ですね!」

 

「……………俺としてはコロッケ選手権で楽しむよりも勉強して欲しいんだがな…………四葉、次こそはお前も赤点回避するぞ」

 

「はい!頑張ります!」

 

四葉の元気な返事を聞いた上杉はフッ、と笑みを浮かべる。

 

「どうかしたんですか?」

 

「いや……………お前みたいな素直でまっすぐな奴が味方でいてくれて助かった、って思っただけだ」

 

「………………。どうして私が上杉さんの味方をするか分かりますか?」

 

「どうしてって………………」

 

「好きだから」

 

「…………え?」

 

見たこともない真面目な顔で言ってくる四葉の顔に上杉の目が見開かれる。頬が赤く見えるのは窓から入りこんで来る陽の光のせいか、それともあのコロッケのせいで視力が低下したのだろうか。

 

「………上杉さん。今、私は好きって言いましたよね?」

 

「は?いや………ちょ………?」

 

「あれは嘘だ、です」

 

「……………………」

 

無言で呆けた表情を浮かべる上杉に対して四葉はいたずらっ子のような笑みを浮かべて立ち上がった。

 

「やーい!引っ掛かりましたね!火野さんに上杉さんをからかう面白いやり方を教えて貰ったので、実践してみたらかなりの効果がありました!」

 

「あの野郎………もう誰も信用しない………」

 

「おあがりよ!」

 

「さぁ、召し上がりなさい!」

 

そして遂に両者完成した模様である。

 

「おお!どちらも美味しそうです!上杉さん、少し貰ってきましょうか?」

 

「俺が食い過ぎでダウンしたのを覚えてるか………?」

 

上杉の胃もたれは数時間後に解消したとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

================

 

数日後

 

「似合ってるじゃん、上杉。金髪ピエロも悪くはないが……………お前はペ〇ルギウスなんだよなぁ」

 

「いや、誰だよペ〇ルギウスって!?」

 

脳が震えたり、怠惰ですね~、とかの魔女教の奴です。上杉は知る由も無いだろうがね。

 

「そろそろ四葉辺りが来そうだし、試しに驚かしてみれば?」

 

「…………試しにやってみるか」

 

と、言うわけで待つこと5分。

 

「もうすぐ林間学校ですよ、上杉さん!」

 

「四葉」

 

「うわあああああああああ!!」

 

「ペニーワ〇ズの劣化版だァァァァァァ!」

 

「図書館では静かに!!!」

 

「「「すみません」」」

 

調子に乗りすぎました。

 

「こんなに仮装道具持ってきて、どうしたんですか?」

 

「ソウゴと一緒に肝試しの実行委員になったんだって」

 

「珍しいですね。上杉さんにしては珍しく社交的です」

 

「俺もやりたくてやってる訳じゃない。クラスの奴等に俺が自習してる間に、面倒な役を押し付けられただけだ。とびっきり怖がらせて、一生忘れられない夜にしてやろう………」

 

「ノリノリだね。…………ソウゴは何で立候補したの?無理を言って実行委員にしてもらったって言ってたけど」

 

「え?だって、人を怖がらせるのってめっちゃ愉☆悦じゃん」

 

「ドS…………」

 

「火野さんはどんな衣装を着るんですか?」

 

「それは当日のお楽しみで。ちなみに、衣装とかはオーダーメイドでその他色々と注文してね。俺の今の財布の残高は5円だ。……………早く給料とお小遣いくれないかなぁ…………課金できない………」

 

「………フータローより気合い入ってるね」

 

まぁ、好きな事には金を惜しまない性分ですからね。

 

「私のお友達から聞いた林間学校が楽しみになる話をしましょう!曰く、最終日に行われるキャンプファイヤーのダンスのフィナーレの瞬間に踊っていたペアは、生涯を添い遂げる縁で結ばれるというのです!」

 

「ええー?ほんとにござるかぁ?」

 

「ほんとにござるですよー!」

 

最近、四葉もノリが良いな。……………じゃあ、三玖と踊れば結ばれるのか?夢がありますな~!

 

「非現実的でくだらないな」

 

「うん」

 

「冷めてる!」

 

「現代っ子ェ………」

 

三玖まで否定的なの!?むぅ……………確かに非現実的と言えばそうかもしれないが。あくまで伝説で、100%結ばれる訳ではないだろうし。

 

「学生カップルなんてほとんどが別れるんだ。時間の無駄遣いだな」

 

「学生カップルからゴールインした奴に謝れ」

 

「そうですよー!」

 

四葉と共にブーブー文句を言っていると、三玖がポツリと言葉をこぼす。

 

「……なんで好きな人と付き合うんだろ」

 

「「え」」

 

何故好きな人と付き合うか………(哲学)

 

「うーむ…………俺のアンサーとしては『特別扱い』したいから、とか?」

 

「うんうん、火野君のアンサーは正解だね」

 

おやおや、誰かと思えば一花姉さんではないですか。

 

「三玖も心当たりあるんじゃない?」

 

「ないよ!」

 

「?」

 

何を話してたんだ?小声で聞き取れなかったが。女子トークってやつか?

 

「一花遅いぞ!今から勉強始めるぞ!」

 

「ごめん、フータロー君。今日は撮影入ってるからパスね」

 

「意外と忙しいんだなー、女優って」

 

「あのオーディション以来、仕事が軌道に乗ってるんだ。人気者は辛いね~」

 

ハッ!まだ駆け出しでしょーが。心の中でツッコミを入れた瞬間、一花のスマホから着信音が鳴る。

 

「あー、ヤバ………ごめん、三玖。林間学校の決め事がまだあったみたいで呼び出されちゃった。私は仕事に行かなくちゃいけないからいつもの頼んで良い?」

 

「うん。フータロー、ウィッグ借りるね?」

 

「あ、ああ………」

 

いつもの…………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何で上杉もついて来てるんだよ!」

 

「お前がついて来たんだろうが!

 

四葉には『しおりを熟読しといてー』と課題(?)を出して、『いつもの』が気になった男2人で三玖の後を追跡なう。

 

「あ、トイレに入った……………と、思ったらすぐに出てきた…………んん?一花!?」

 

「違うな、火野。あれは三玖が変装した一花だ」

 

「…………なるほど。そうして事を済ませようと言う魂胆か」

 

……………しかし。俺が見たり読んできたアニメやラノベでも、嘘をついた奴は大抵痛いしっぺ返しを喰っていると言う法則がある。大丈夫かね…………?

 

そんな不安とは裏腹に一花姉さん、もとい俺のクラスの教室に一花(三玖)が入る。

 

「な、中野さん。来てくれてありがとう」

 

この声は………前田だっけ。あんまり俺と絡みはないけど。

 

「えーっと、他の皆は?」

 

「わ、悪い………君に来て貰う為に嘘をついた」

 

ほぉ?……………にしても、三玖は演技うまいなぁ。今だけはcv.伊藤〇来じゃなくてcv.花澤〇菜に聞こえる。

 

「そ、それでですね…………お、俺とキャンプーファイヤーで踊って下さい!」

 

「私と?何で?」

 

「それは…………好きだからです」

 

なんと!告白キタァ!!その瞬間を立ち会ってしまったよ、我々。かなりレアじゃね?

 

「あ、ありがとう。返事はまた今度に」

 

「今答えが聞きたい!」

 

「えっ………まだ悩んでるから」

 

「じゃあ、可能性はあるんですね?」

 

「えっと……………」

 

「やれやれ、時間を無駄にしたな…………俺は先に戻って四葉をしごいてるわ。お前も早めに戻ってこいよ」

 

「えー、見ていかないの?まぁ、良いや」

 

と言うわけで、上杉離脱。俺は残ってこっそり見守っていると、案の定不安は的中した。

 

「おっ?…………中野さん、雰囲気変わりました?」

 

「「!」」

 

「髪…………いや、なんだろ…………そう言えば、中野さんって五つ子でしたよね。もしや………」

 

………………どうやら、残って正解だったらしい。そう心の中で呟いて俺も教室へ足を踏み入れた。

 

「ここにいたか、一花姉さん」

 

「そ、ソウゴ……君?」

 

「4人が探してたぜ。早く行って来いよ」

 

「おいコラ火野。何勝手に登場してんだよコラ。つーか、気安く中野さんを下の名前で呼んでんじゃねーぞコラ。………お、俺も名前で呼んでいいのかコラ」

 

「それは自分で決めろっての…………告白されれば動揺する人もいるでしょーが。返事くらい待ってやるのがハードボイルドってもんだろ」

 

「は、ハード……なんだ?」

 

…………どうやらハードボイルド知らないらしい。ただの知識不足のようだ。

 

「つーか、お前関係ないだろ!」

 

「ところがぎっちょん、大アリだね!」

 

「お、落ち着いて!」

 

「一…………中野さん。邪魔者をすぐ片付けるんで暫しお待ちを」

 

「ほーう?この東方不敗に勝負と来たか。良いだろう、この右手から放たれる爆熱ゴッドフィンガーを見せてやろう………!」

 

「上等だコラ!」

 

「ま、待って!」

 

ガン〇ムファイト、レディーゴー!しそうになった瞬間に一花(三玖)が間に入り、思いもよらぬ事を口にした。

 

「わ、私…………この人と踊る約束してるから!」

 

「(ファッ!?)」

 

「あ」

 

反応を見る限り、どうやら咄嗟に言ってしまったらしい。

 

「嘘だ!こんな奴が中野さんに釣り合う訳がない!」

 

「ぶっ飛ばすぞ」

 

「そ、そんなことない!………そ、ソウゴ君は………カッコいいよ………

 

「つ、付き合ってるんですか………?」

 

…………えーい、ままよ!

 

「そ、そうなんですよねー。実は我々そう言うラブラブな関係にありまして。ねー?」

 

「う、うん!それじゃ、仲良くラブラブ帰ろうねー!」

 

ふー……………これだけ言えばもう引き下がるだろ。

 

と、思いきや

 

「ま、待て!恋人なら…………手を繋いで帰れるだろ」

 

うっ…………そう来たか……………。

 

「(嫌だったら後で謝るから今は許してねー……)そんなの当たり前だよなぁ?」

 

「!……………えっと、その…………とにかく、はじめてじゃないから…………本当にごめんね」

 

「…………くそー!林間学校までに彼女作りたかったのにー!」

 

ふー……………漸く諦めてくれたようで何よりだ。にしても、ヤバい………三玖と手を繋いじゃってるよォォォォォォ!!幸福感と嫌がってないかどうかの不安で心拍数が限界突破しそう~~~~~~~~!!

 

「あの………私が聞くのも変だけど、何で好きな人に告白しようと思ったの?」

 

「中野さんがそれを言うか…………そーだな。好きな人を独り占めにしたい、に尽きるな」

 

……………ああ、そりゃそうだな。俺も手を握ってる彼女を独り占めしたいわ。

 

「ったく、中野さんを困らせんじゃねーぞ」

 

「アッ、ハイ」

 

「ソウゴ君、行くよ」

 

ファッ!?そんなにくっつくとナニがとは言わないが当たってる!!当たってるから!!し………鎮まれ、俺のビースト………………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室を出て人目につかない所に着くと、俺も変装を解除した三玖も壁に寄りかかって座り込む。

 

「「つ……疲れた………」」

 

両者ともにこの感想である。

 

「………ソウゴ、ありがとう。来てくれなかったら危なかったかも………」

 

「良いってことよ………………それよりも、良いのか?勝手に一花姉さんと踊る約束しちゃったけど………三玖が一花姉さんに変装して踊るか?」

 

「!………い、いいよ。私が言っておくから、本物の一花と踊って(…………私は大丈夫)」

 

「(………結ばれる伝説………三玖や上杉も非現実的とか言ってたし…………)そっか。三玖がそう言うならものほんと踊るとしよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして遂に林間学校前日

 

「よー、上杉。今何やってんの?」

 

『今は一花達に連れられて服を買ってた所だ。奢ってくれるらしい』

 

「へー、気前の良い事で。いいか、明日は絶対来いよ。お前が最初に驚かせた後に俺が驚かす手筈なんだからな。勉強したいとかでサボったら許さんぞ。引きずってでも連れて行くからな!」

 

『分かった分かった!さっき四葉にもうるさく言われた所なんだ。ちゃんと行く』

 

「そうか、それなら良いんだ」

 

マジで『勉強したいから林間学校休むわ』とか言いかねないからな、この勉強大好き男は。これくらい言っておけば大丈夫か。

 

「じゃ、また明日なペ〇ルギウス」

 

「だから誰だそいブチッ」

 

通話終了。

 

「頼んでいたものもAmzonから届いて準備万端!オラ、ワクワクすっぞ!早く明日にならないかな~!」

 

そんな楽しみでワクワクしている俺氏は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………もしもし。………え?らいはが倒れた!?」

 

────上杉にそんな一報が届いた事を知らない。

 

to be continue………




選手権結果:五月が優勝を決められずドロー

総悟「命拾いしたようだが、次は俺が勝つ」

二乃「いいえ、勝つのは私よ。じゃ、次はカニクリームコロッケをどちらが美味しく作れるかで良いかしら?」

総悟「望むところや!」

上杉「何でコロッケに拘る…………?」

本日もありがとうございました!


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『6人』じゃなくて『7人』で

今日で山場を用事面での山場を一通り越えました。ふー、しんどかった。これからは無理のないペースで投稿していきますのでよろしくおねがいします。


それと、お気に入り登録160人超え&評価バーに黄色が点灯しましたね!登録&高評価してくれた方、ありがとうございました。


「あれ、あいつどこにいるんだ?」

 

余裕と荷物を持って集合場所にやって来た俺氏。上杉と明日の肝試しの確認でもしとくかと思い立って探しているのだが、一向に見つからない。

 

「おっ、あそこにいるのは…………おーい、五月ー」

 

「火野君?どうかしたのですか?」

 

「ガリ勉星人を見なかった?」

 

「ガリ勉星人?…………ああ、上杉君ですか。そう言えば見てませんね。もうすぐ出発の時刻の筈ですが…………」

 

と、そこへ。

 

「ここにいたか、火野!」

 

「先生?どうしたんですか?」

 

「肝試しの事なんだが………お前1人でもいけるか?さっき、上杉から林間学校を休むとの連絡が来たんだが………」

 

「「!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=================

 

「らいは!生きてるか!」

 

本編では9話にして漸く初登場の上杉の父、勇也が焦り声をあげながら家のドアを開ける。

 

「親父、静かにしてくれ。らいはがまだ寝てる」

 

そこにいたのは自分の息子だった。本来なら林間学校のバスに乗っている筈なのだが………。

 

「看病してくれてたのか…………って、もう林間学校のバス出てんじゃないのか!?」

 

「そうか?どーでも良すぎて忘れてたぜ。まぁ、これで3日間勉強出来るな」

 

「……………風太郎。忘れ物だ」

 

「…………………」

 

風太郎は勇也から渡された付箋たっぷりのしおりを複雑そうな目で見る。

 

「早く帰ってやれなくて悪かったな。今からでも行ってこい」

 

「…………いや、でもバスはもう発車して「あー!お腹空いたー!」ら、らいは!?熱は………?」

 

「もう治った!」

 

ここで熱で倒れていたらいはが復活。もうピンピンしている。

 

「あれ、お兄ちゃん何でここにいるの?私はもう大丈夫だから、ほら早く行った行った!」

 

「俺の気遣い返せ!!…………いやだから、もうバスは行っちまったんだ。今からじゃどうにも」

 

「バスについてはもう大丈夫。何故って?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私が来た!!!

 

声がした方を3人が振り向くと、そこにいたのは身長2メートル超えの『平和の象徴』とされるNO.1ヒーローのオー〇マイト………………などでは当然なく、総悟だった。

 

「つーか鍵開けっぱでしたけど、泥棒とかに入られますよ?」

 

「おお、そういや閉めるの忘れてたな。だがまぁ、うちは貧乏だし盗む価値のあるもんなんて置いてないから、泥棒が来てもガッカリして帰るのが目に見えてるな!ガハハハ!」

 

「そう言う問題なんですかねぇ……(困惑)

…………って、それよりもだ。らいはちゃんは大丈夫?」

 

「うん!この通りピンピンしてるよ!」

 

「それならよし!行くぞ、馬鹿兄貴!じゃ、行ってきまーす!」

 

「行ってらっしゃーい!お土産話、楽しみにしてるねー!」

 

「気を付けて行けよー!」

 

「お、おい!?」

 

らいはと勇也の声を背中に受けながら荷物を持った風太郎は総悟に連行されて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、待てよ火野!お前、バスは…………?」

 

「バス?あー、バスね。DETROIT SMASH(デトロイト・スマッシュ)で破壊してきた」

 

「は!?」

 

「まぁ、勿論嘘ですけど。………お前が来ないと肝試しで皆を怖がらせて愉☆悦する俺のプランの質が下がるからな」

 

「……………だが、今からどうやって」

 

「俺が何の考えもなくここに来たとでも思ったか?ほれ、代車なら既に用意済みだ」

 

「!」

 

上杉の目に映ったのは高級リムジン。そして───

 

「おそよー、フータロー君」

 

「ったく、何してんのよ」

 

「フータロー、やっと来た」

 

「こっちですよ、上杉さーん!」

 

「遅いですよ、上杉君」

 

────自分の生徒である五つ子達だった。

 

「お、お前ら…………」

 

「勘違いしないで貰える?別に私はあんたが休もうがどうでも良かったんだけど、こいつ(火野)がどーしてもって言うから仕方なくよ」

 

「ねー、聞いた三玖?もう完全に二乃の発言がツンデレそのものなんだけどー?」

 

「ソウゴの言う通り二乃はツンデレ」

 

「あんた達、聞こえてるわよ!!」

 

二乃がギャーギャー騒いでいるのを総悟が笑いながら軽く流しているのを見て上杉はやれやれ、と俯きながらため息をつく。だが、その俯いた顔には笑みが浮かんでいた。

 

「……………仕方ない、行くとするか。………おい、二乃と火野もそこまでにしろ。近所迷惑だ」

 

「しょうがねぇなぁ(悟空)」

 

「…………それもそうね。こんな下らない事で道草食ってないで、さっさと行くわよ」

 

と、言うわけで7人はリムジンに乗車。

 

「上杉さん、火野さん、乗り心地はどうですか?」

 

「ああ!ふわっふわだな!」

 

「俺んちの車と同じくらい良いですねー」

 

「それなら良かったです!それじゃあ、しゅっぱーつ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

===================

───────遡ること約15分前。取り敢えず肝試しは1人で頼んだぞ、と声を掛けて先生は去っていく。その姿が見えなくなった瞬間、総悟は地面に膝をつく。

 

「そんな………上杉が来れないなんて………あいつがいないとダメなんだよ………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あいつがいないと、肝試しの時に皆を恐怖のどん底に突き落として怖がる姿を見て愉☆悦出来ないじゃないかー!!」

 

「ええ…………」

 

ドSな目的を聞いて五月は若干引く。

 

「…………ですが、怖がらせるだけなら火野君だけでも…………」

 

「違うんだよ、五月。先ず上杉が怖がらせて精神的に揺らがせた後に、俺がトドメを刺しに行く予定だったんだよ…………これじゃ怖さは半減だな…………」

 

「そ、そうなのですか………(よくよく考えれば、逆にこれはラッキーなのでは?肝試しの怖さが半減するようですし………)」

 

怖いのが苦手な五月にとっては上杉の欠席は少々嬉しい誤算のようだ。

 

「……………あ、そうだ。何なら、五月が肝試し手伝ってくんない?トゲ付きの鉄球を持ってメイド服姿で襲いかかるとか」

 

「ええ!?嫌ですよ!暗闇で待機してなくちゃいけないなんて無理です!!断固拒否します!!」

 

「ちぇ、弱虫!」

 

「弱虫で結構です!!」

 

「ぐぬぬぬぬぬ……………ヴっ!」

 

突然、火野は頭を押さえてしゃがみこむ。

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

「な、何か………マイクのハウリング音みたいなのが頭に響いてきて………」

 

「は、ハウリングとは………?」

 

残念、知識不足のようだ。

 

『……………あ、あー…………悪い、ハウリング直ったかな?おーい、総悟君。聞こえるかーい?』

 

頭の中に響いてきた声。その声は総悟にとって聞き覚えのある声だった。

 

「(か、神様!?なんだよ、今それどころじゃないんだって)」

 

『まー、聞きなって。折角いい情報を提供しようとしてるんだから』

 

「(情報?)」

 

『上杉君が林間学校を休もうとしてる理由は、昨日熱で倒れたらいはちゃんを看病する為なんだ。でも、らいはちゃんの熱はもう完全に治って今は寝てるだけだから、上杉を連れ出してもOKって事よ!』

 

「(マジか!ほんとに良いんだな?)」

 

『この偉大な神様が言うのだから間違いない!』

 

「(よっしゃ!これで計画通りに行ける!…………あ、でもバスが出るまであと5分か………今から電話して来させるとかにしても確実に間に合わないだろうし…………俺の親は仕事に行ってるし、今日は星奈さんも有給で何処かに出掛けてるから、上杉を車で拾って貰ってバスに追い付いて貰うってのも無理だし…………)」

 

『そこはまぁ、隣にいる彼女の力を借りれば良いんじゃない?』

 

「(!………そう言うことか。サンキュー、神様。恩にきるぜ)」

 

『まぁ、僕も君らが肝試しで恐怖のどん底に突き落とすのを見たいから手を貸したまでの事さ。そんじゃ、後は頑張ってー!』

 

……………どうやら、神様も総悟と同じくドSの愉☆悦民族のようだ。

 

「ひ、火野君?具合が悪いなら先生に」

 

「いや、大丈夫。五月、悪いが1つ頼みがある。上杉を連れて行くぞ。どーせサボりだろうし」

 

「え、ええ!?(そ、そんなことされたら肝試しが本来の怖さに逆戻りじゃないですか!)」

 

「けど、今から奴の家に迎えに行くにしても、電話して来させるにしてもバスが確実に行っちまう。そこでだ…………あのリムジンを今から呼び出せない?」

 

「い、今からですか!?………で、出来なくはないかもしれませんが、しかし…………」

 

「(あとひと押し………!)ダメ元でも良いから!やるだけやってくれたら今度五月が食べたこともないようなカレーでも作るから!」

 

「!!(私が食べたこともないようなカレー………!?どんな味なのか是非食べてみたいですが…………しかし、肝試しの怖さが……………いえ、やはりここはカレーです!!)わ、分かりました。取り敢えずは連絡してみます」

 

五月の中で

 

カレー>>>>越えられない壁>>>>肝試し

 

になった瞬間である。

 

五月はすぐに電話を掛け、案外すぐに通話を終えて総悟の方を向く。

 

「構わないそうですよ。20分程で上杉君の家に着くそうです」

 

「よっしゃあ!マジで恩にきるぜ、五月!約束通り今度カレーを作るわ!じゃ、俺は先にあいつの家に行ってくるわ!」

 

「あ、ちょっと!?」

 

五月が止める間もなく総悟は去って行った。

 

「かなり仲良さげだったね~、五月ちゃん?」

 

「ひゃあ!?」

 

唐突に聞こえた後ろからの声に変な声を出す五月。振り返ると、一花、二乃、三玖、四葉が勢揃いしていた。

 

「き、聞いてたんですか…………?」

 

「……………最初らへんから聞いてた」

 

少し不満気に三玖が呟く。

 

「折角だから私達も上杉さん達と一緒に行こうよ!その方が絶対楽しいよ!」

 

「賛成」

 

「確かにそっちの方が楽しそうだし、そうしようか?」

 

「…………そうね。あいつらだけに私達の車を独占させるのも気にくわないし。五月、あんたはどうするの?」

 

「…………そうですね、皆が行くのでしたら私も行きます。先生にバスを見送ると言っておきますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────こうした経緯で、7人で目的地へと向かう事になったのである。

 

「(この3日間を上杉さんの思い出の1ページに絶対にしてみせます!無論、火野さんもです!)」

 

「(…………この前のテストでお2人の必要性は感じましたが、私が理想とする教師像からはかけ離れています。…………まぁ、火野君は上杉君よりは良いですが。料理も美味しいですし。とにかく、この林間学校でお2人の家庭教師としての覚悟を見せて貰います)」

 

一方で四葉と五月にはそんな思惑があるのは誰も知らず、林間学校はまだ始まってすらいない─────。

 

to be continue…………




おまけ

総悟「(……でも正直言うと、五月にリ〇ロのレ〇の恰好して欲しかったけどなぁ‥‥)」

ちなみに、ごとぱずでメイド服姿の五つ子が見れます。猫耳メイドの三玖は可愛すぎんよー。

今日も駄文を読んでいただきありがとうございました。

次もぜってえ見てくれよな(悟空風)


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第4巻
結びの伝説 Day1


ちなみに、この小説のタグにある『たまにシリアス』のタグが使われるのが今回の林間学校編です。原作の流れの事を指してる訳ではないですよ?
このタグは林間学校編ともう少し先の巻の話で使われます。つまり使われるのは実質二回(の予定)。度合いで言えば林間学校編よりもう少し先のやつの方が断然シリアスです。

さて、それでは林間学校編開始です。


総悟が上杉を連れてくるのを待っている間、一花は三玖に小声で話し掛ける。

 

『三玖。キャンプファイヤーの話、本当に私でいいの?』

 

『うん。私がその場しのぎで決めちゃったことだから』

 

『そっか。ならソウゴ君の相手をしてあげようかな』

 

ふと、三玖の脳裏に前田が言っていた事が思い返される。

 

─────相手を独り占めしたい。

 

『(………そんな事はしない。私達は五等分…………それに、一花なら心配ない)』

 

『(…………三玖が言うなら良いよね)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

====================

 

「暇だー……………」

 

大雪のせいで大渋滞が発生したので、1時間以上足止めをくらってる一行。『五つ子ゲーム』などをしていたが、長く続かず暇になった。

 

「二乃ー、何か面白い話しでもしてくれー。でなきゃ暇で死ぬー」

 

「じゃあ死になさい」

 

「ひでー」

 

二乃も暇すぎてか対応が雑。辛辣なのは変わらんが。

 

「じゃあ、ソウゴ君が面白い話をしてくれない?」

 

「えー……………じゃあ、こわーい怪談話でもするか」

 

「…………え?」

 

五月がマジで?みたいな顔をしているがスルーしてスタート。暗闇ではないが雰囲気だけでも出そうと懐中電灯で顔を下から照らしてスマホで怖い系のBGMを流す。

 

「あるところに女神を守る5人の少年がいたアル」

 

「何でアル…………?」

 

そこは気にするな、三玖さんよ。

 

「でも、あるとき女神は敵の矢に胸を射ぬかれて少年たちは女神の命を救うため敵の本拠地に乗り込むことになったアル」

 

ここでBGM切り替え。曲名はペガサス幻想 -PEGASUS FANTASY-(俺氏による再現)

 

「それから少年たちはクソ長え十二宮殿へ続く階段を延々と上り続けて夏休みも吹っ飛んだアル。終わり」

 

「かいだん違い!怪談話じゃなくて階段話じゃない!!」

 

「おお、二乃のツッコミにキレが戻ってきてホッとしたぜ」

 

「ホッ………」

 

五月が怪談話じゃなかったからかめっちゃホッとしてらァ。

 

「もー、折角怖い怪談話をしてくれるかと思ったのに」

 

一花姉さんは意外にも聞きたかったらしい。

 

「やるなら夜の暗闇でやった方が雰囲気的に面白いだろ。機会があったらとびきりのを話すと約束しよう。つーか怪談話よりも、映画でも見よーぜ。面白いのあるからよ」

 

この後、例のタブレットで1時間ほど(勿論この世界の)アニメ映画を見て過ごした。ちなみに、かなり好評だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおっ!いい感じだな!」

 

「はえー、すっごい大きい」

 

ドライバーの人が午後から用事で帰らなければならないと言うことで、俺らは近くの宿を急遽予約して泊まる事になった。まぁ、降ろされて目的地まで歩いていくのも無理がある距離なので妥当な判断だな。

 

「ねぇ、本当にこの旅館に泊まるの?こいつらと同じ部屋は嫌なんだけど!そもそも、4人部屋に7人って狭すぎでしょ!」

 

「団体のお客さんが急に入ったとかで一部屋しか空いてなかったんだもん。仕方ないよ」

 

「…………あ、外にもう一部屋あったわよ」

 

「犬小屋だろうが。俺らを殺す気か」

 

それで死んだら化けてでも出てやる。…………にしても、まさか男2人と女5人で一緒の部屋に泊まる事になるとはな。前世では絶対あり得なかったな、こんなシチュエーションは。

 

「よもやよもや、だな」

 

「見ろ、火野!窓から雪の綺麗な景色が眺めるぞ!」

 

「おー、すげ。にしても、お前いつもよりテンション高いな。まっ、林間学校だしそりゃそうか」

 

「旅館で外泊なんて久しいからな!今日は誰も俺を止められないぜ!ハッハッハ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

==================

 

「女子、集合よ」

 

高笑いする上杉を見て二乃が他の4人に集合を掛ける。

 

「不本意だけど、ご覧の有り様よ。各自気をつけなさい」

 

「気をつけるって何を…………?」

 

「一晩同じ部屋で過ごすわけだから………あいつらも男だって事よ」

 

「大丈夫だって。俺は紳士だし、上杉は襲う度胸のないチキン野郎だから」

 

「分からないわよ。男ってのはいつ欲望を爆発させ……………って!何であんたがしれっと混ざってるのよ!」

 

二乃がビシッと指さすとそこにはあぐらをかいた総悟が。会話に自然に入ってきたものだから二乃も気づくのに一瞬遅れた。

 

「だって呼んだじゃん」

 

「あんたはお呼びじゃないわよ!」

 

「それよりも…………やらないか?」

 

「「「「「!?」」」」」

 

総悟のとんでもない(?)発言に5人は一斉に総悟から離れる。

 

「え、何で離れた…………上杉がトランプを持ってきたからやんないって事なんだけど………」

 

「………そ、そう……………って、紛らわしい言い方するんじゃないわよ!」

 

「……………あー、ヤるの方か。つまりユー達が想像してたのはセッ」

 

「シャラップ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すげぇ料理だな。タッパーに入れて持って帰りたい…………」

 

「帰る頃には腐ってるぞ…………にしても、こんなのを食べたら明日のカレーが見劣りしそうな希ガス」

 

「三玖、あんたの班のカレーを楽しみにしてるわ」

 

「うるさい、この前練習したから」

 

二乃の奴め……………それ以上言ってみろ。明日のお前の班のカレーにわさびとか辛子をぶち込んで悲惨な目に遭うぜ?班の奴等も巻き添えだな、可哀想に(無慈悲)

 

「そういえばキャンプファイヤーの伝説の詳細がわかりましたよ」

 

「そんなの関係ないわよ。そんな話したってしょうがないでしょ。どうせこの子たちに相手なんていないんだから。ま、伝説なんてどうでも良いけど」

 

……………あー、そう言えば。四葉と二乃の会話で思い出したが、俺は一花姉さんと踊る約束してたんだっけ?まぁ、三玖も伝説は非現実的って言ってたし、別に良いか。

 

………………………良いよね?

 

「あ、そうそう。この宿、温泉があるらしいよ。えーっと、確かここら辺に書いてたような…………え、混浴…………?」

 

「ファッ!?」

 

宿のパンフレットを見ていた一花姉さんから飛び出した衝撃発言。全米が震えたこと間違いなし。

 

「おおおおおお、落ち着け!とととと、取り敢えず温泉の源泉を皆で堀りに行くぞ!」

 

「先ずはあんたが落ち着きなさいよ!」

 

「源泉を堀りに行くなんて楽しそうですね!準備して皆で掘りに行きましょう!」

 

「いや、行かないわよ!?」

 

動揺しまくりの俺氏に源泉掘りにノリノリの四葉。場がカオスになりかけていたが、その後一花姉さんが温浴を読み間違えたのに気付いてカオス化は避けられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、上杉と温泉を満喫し部屋に戻ると5人はまだ戻って来てなかった。上杉はもう寝るらしいが、夜型人間の俺にとっては『まだまだこれからだぜヒャッハー!』的な感じなので、何をしようかなーと考えた結果、『押し入れに隠れて5人が帰ってきたら出てきて驚かすか』と言う結論に至った。そのまま10分位、狭さが妙に落ち着く押し入れで寝っ転がっていると扉が開いて5人が帰ってきた音がした。

 

「…………もう寝てるわね」

 

「皆平等にしたけど、多分する必要なかったかもねー」

 

「…………あれ?ソウゴは………?」

 

「ここでーす」

 

押し入れを勢いよく開けると5人はビクッと体を震わせて驚いた。予想通りの反応である。上杉が寝てなかったらもっとオーバーに行ったんだけどね。今回は省エネです。

 

「なんで押し入れなんかに入ってるのよ!」

 

「やることなくて暇だったからよ。こうなったら押し入れにでも入るしかないって結論に至るだろ」

 

「そうはならないと思いますが……………」

 

なるんですぅ。五月とは思考回路が良くも悪くも違うんですぅ。

 

「つーか、髪型変えたな。そういや、平等とか一花姉さんが言ってた気がするが………まぁ、んなことはどうでも良くてだ。上杉は寝ちまったが、全員揃ったし始めようじゃないか」

 

「始めるって………何を?」

 

「おいおい、鈍いな一花姉さん。今は夜。部屋は電気をつけてないから暗闇。アレ(・・)を話すには絶好のコンディションじゃないかッ……………!!」

 

「………も、もしかして………?」

 

五月の顔が青ざめるのを尻目に俺は懐中電灯を取り出す。

 

「さぁ、諸君。お待たせしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

階段話じゃなくてガチの怪談話をしようじゃないか……!

 

to be continue………




そう言えば、暗殺教室の作者の最新作が連載開始しましたね。めっちゃ面白そう。期待大ですね。ファンサで前作キャラとか出てきませんかねぇ‥‥。いや、流石に時を超えて出てくることはないか(笑)

本日もこんな駄文を読んでくれてありがとうございました。


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結びの伝説 Day2

今回の話だけで色んなネタやパロをやってます。明日は可能だったら投稿する予定なのでよろしくお願いします。


「懐中電灯よーし、BGMよーし、やる気よーし…………それでは、総悟君プレゼンツのおふざけ無しの怪談話をおっ始めま~す」

 

「ほ………本当にやるのですか火野君………?今日は早めに寝た方が…………」

 

「安心しろ、五月。5分も掛からんからな。終わったらすぐ寝れるさ……………幽霊に怯えず寝れれば、ね?」

 

「誰かこの人を止めてください~!」

 

五月の声も虚しく響くだけ。 残念ながら誰も俺を止められない!

 

「全く、五月もビビり過ぎよ。どうせ十二宮殿の

階段の続きを話すだけよ」

 

「少年達は女神様の命を救えるのでしょうか?」

 

ちげーよ、もう 聖闘〇星矢………じゃなくて、階段話じゃないわ。つーか、四葉は半日前に言ってたことをよく覚えてたな。その記憶力を勉強にも是非とも活かしてくれる事を切に願う。

 

「ええい、静粛に!……………ごほん。それでは始めます」

 

懐中電灯を下から照らし、怖いBGMを流して、低い声で語り出す。

 

「あるところに夫と妻、その娘の3人家族がいました。しかし夫婦の仲は険悪。夫は外に女を作り、いつしか妻の存在を邪魔に感じるようになっていました」

 

「「「「「……………」」」」」

 

五月はガクブル、それ以外は今のところは黙って聞いている。

 

「その時は、来るべくして来たのかもしれない。いつもの夫婦ゲンカのさなか、夫は激情にかられ妻を殺害してしまったのです…………」

 

「「「「「…………!」」」」」

 

ついに物騒な話題が出てきて皆の顔に緊張が走る。五月はさらにガクブル。

 

「夫は娘が起きる前に、妻の死体を担ぎ夜中の山中へ死体を埋めた。妻から解放されたという思いとは裏腹に夫の足取りは重くなるばかり。殺人を犯した罪悪感もありましたが、何より娘のことが気がかりでした。そんな心中を知るはずもなく、朝起きてきた娘の顔は…………『笑顔』。母がいないことにも触れず、笑顔を振りまいていた……………」

 

「「「「「………………!!」」」」」

 

クライマックスに差し掛かり、二乃や四葉も震え始める。一花姉さんと三玖も互いに身体を寄せ合って手を繋いでいる。五月は超絶ブルブル((( ;゚Д゚)))。

 

「夫はその笑顔に安堵すると言うよりも違和感を感じていた。どうしてそんなに機嫌がいいのか?それを尋ねると『だってお父さんとお母さんいつもケンカばかりしてたのに仲直りしたみたいだから』と。お母さんなら実家に帰っていないよ、と思わず父がついたウソに娘はこう返しました」

 

ここで敢えてBGMを中断。

 

「何言ってるのお父さん。お母さんならお父さんの背中に抱きついてるよ。………そう、お母さんは……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前の後ろだァァァァ!!」

 

「わぁ!?」

 

「ヒッ!」

 

「ひゃあっ!」

 

「お、お化け────!!」

 

「もう嫌ですぅぅぅぅ!!」

 

背後から懐中電灯を下から照らした上杉の叫びに5人は悲鳴をあげながら一斉に飛び退いた。

 

「何すんのよ、あんた!心臓が飛び出るかと思ったじゃない!」

 

「ハッハッハ!いつぞやの睡眠薬の仕返しだ!」

 

「あー、びっくりした…………ソウゴ君と打ち合わせ済みだったの?」

 

「いや、全然。俺も少し驚いたわ」

 

「まぁ、()………じゃなくて、俺は天才だからな」

 

………ん?

 

「じゃ、俺は寝るぜ………zzz」

 

「寝るの早っ…………まぁ、取り敢えずビビってくれて俺的には大成功だったね。どうだった?」

 

「結構怖かった…………でも、楽しかった」

 

「私も面白かったです!火野さんは怪談話で将来食べていけますよ!」

 

三玖と四葉には好評。だが、食っていくのは多分無理。

 

「かなり良かったとお姉さんも思うよ」

 

「…………まぁ、怪談話としては及第点かしら」

 

二乃は上から目線。いや、いつもの事か。

 

「五月は………………聞くまでもないか」

 

一番ビビってた五月は涙目で二乃に抱きついてる。怖かったのはもう聞くまでもない。

 

「もう2度と火野君の怪談話は聞きません!怖すぎます!」

 

まぁ、こんな感じで良かっか悪かったかは人それぞれの怪談話の会は終了。全員就寝についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=================

 

翌朝

 

「………んー」

 

窓から差し込む光を受けて、一花は寝返りをうって目を開くとそこには総悟の寝顔があった。

 

「Zzzzzz…………」

 

「(そ、ソウゴ君!?あれ、でも昨日寝るとき隣はソウゴ君じゃ……………って、みんなめちゃくちゃ…………私もだけど)」 

 

一花が起き上がって総悟の顔を覗き込んで見ていると、寝言が総悟の口から飛び出す。

 

「………澤さん、椅子いる…………?俺、椅子になろうか…………?」

 

「………ふふっ。どんな夢を見てるのかな?」

 

そう笑うと一花は胸に手を当てる。センサーは平常──────少なくとも今の所は。

 

「………友達なんだから、これくらい平常心でいられなきゃ…………大丈夫だよね……………」

 

言葉とは裏腹に心臓の鼓動が早まっていく─────果たして本当にセンサーは平常なのだろうか────?

 

「もう朝ですよ。朝食は食堂で」

 

だがその時、外に出ていた五月が部屋の扉を開けて、その光景が目に入ってしまう。五月は反射的に扉を閉め、それに気付いた一花も反射的に寝たフリをしようとするが─────

 

「……北京ダック!!!」

 

それよりも前に、予兆もなく総悟の意識が覚醒して上体をかなりの早さで起こす。残念ながら一花は回避する事が出来ず総悟の頭突きを喰らって倒れる。

 

「(ッ~~~~~~~~~!)」

 

声を出さずに痛みに耐え、一花は寝たフリをする。

 

「…………夢か。全く、ざーさんが北京ダックって言うと同時に目が覚めるとはな………………お、五月?扉を少しだけ開けてこっちを見てどったの?てか、起きるの早いなー。俺は第2位か」

 

実際は2番目に起きたのは一花である。即ち───

 

「「(……気付いてない?)」」

 

どうやら顔を覗き込んで見ていた一花に気付いてなかったようだった。寝たフリをしている当人はそれを聞いて一先ずホッとした。意外な所で女優の演技力が活かされた………のか?

 

「中野、ここで何やってるんだ!」

 

「せ、先生………?」

 

その後、偶然雪による足止めで同じ宿に泊まっていた学校の皆と合流出来たのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

================

 

部屋のチェックアウトを済ませた俺達はクラスごとにそれぞれ別れてバスに乗り込む。そして偶々一花姉さんと隣になった。

 

「いやー、まさか学校の皆も泊まってたとはね。会わなかったなのが逆に凄いな。ね、一花姉さん」

 

「(……………頭突されるのは流石に予想外だったよ…………幸いなのが触ったら痛い程度で済んだ事かな…………)」

 

「おーい、一花姉さん?」

 

「え?う、うん。そうだね……………そう言えば、ソウゴ君。今日頭をぶつけたりしなかった?頭痛んだりとかしてない?」

 

「?…………全然痛くないし、ぶつけたりもしてないけど……………何で?」

 

「………皆、寝相悪かったりしたからぶつかってないかなー、って思っただけだよ(石頭なんだなぁ………)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遂に林間学校スタート。先ずはカレー作りからである。俺は料理が得意なので野菜を切ってる。

 

「見える………見えるぞ!私にも野菜が見える!……………おーい、二乃!動いてないから当たり前だろってツッコミ入れろやー!!」

 

「私はあんた専属のツッコミ担当じゃないわよ!!班の人にでもやってもらいなさい!!」

 

少し離れた所から二乃の声が帰ってくる。いやぁ、でも班の人はツッコミの経験値が足りなさそうだし、やっぱ二乃なんだよなぁ。

 

「火野君って二乃ちゃんと仲が良いんだね?」

 

「そうか?」

 

少なくとも今は(・・)ボケとツッコミの関係とか教師と生徒の関係としか思ってないのだけどね。友達と呼ぶにはまた早いだろ。まぁ、別に嫌いじゃないんだけどね。根は姉妹想いだし。

 

「よーし、これで全部か」

 

「じゃあ、これを鍋に入れてくるね」

 

「サンキュー」

 

一花姉さん気が利くぅ。さーて、少し時間が出来たし他の所がどんな感じか見てくるか。

 

…………おや、あそこにいるのは三玖………って、何か入れようとしてるけど!?とんでもないものを入れるんじゃないだろうね!?

 

「三玖ちゃん、何入れようとしてるの!?」

 

「味噌。隠し味」

 

………なーんだ、味噌か。三玖と同じ班員の子もそこまで驚くもんじゃないゾ?入れると和風カレーになるし。

 

「三玖、味噌は最後に入れると良いよ。煮込む段階で入れると風味とか飛んじゃうからね」

 

「そうなんだ………分かった」

 

「………いや、でも入れるのは自分のだけにして!」

 

ちなみに、俺はカレーの隠し味はマヨネーズ派です。でも、マヨラーではない(どうでもいい)

 

「おいコラ、火野」

 

誰かと思えば前田氏。

 

「一………中野さんとは順調なんだろうな?」

 

「まーね」

 

「くそっ、結局独り身で林間学校を迎えちまった。お前は良いよな、中野さんと踊れて。そりゃあ、俺は喧嘩に明け暮れてたし見た目も怖いかもしれねぇが、俺だって恋の1つや2つしてみたいんだけど、どうすれば恋人…………」

 

「(長い………)恋人をワンチャン出来るかもしれない方法を教えてやろうか?」

 

「そ、そんな方法があるのか!?」

 

「吊り橋効果ってのがあってだな。まー、要は不安や恐怖を強く感じる場所で出会った人に対し、恋愛感情を抱きやすくなる現象だ」

 

「なるほどな………」

 

「つー訳で、今日の肝試しにクラスの女子でも誘ってこい。そうすれば、後は肝試しの実行委員隊長である俺が吊り橋効果を発動させるからよ」

 

「そ、そうか……………なら、ちょっと声でも掛けて誘ってみるとするか」

 

「がんば~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

===================

 

そして、遂にやって来た夜。三玖は一花、二乃は五月と行くことになっている。四葉は肝試しの応援に行った。

 

『─────ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!』

 

「す、凄い悲鳴だね…………」

 

「うん………」

 

遠くから聞こえてくるのは悲鳴。それを聞いた一花の呟きに三玖が同意する。果たしてこの悲鳴は風太郎によるものなのか、それとも総悟によるものなのかは身をもって体感しなければ分からないだろう。

 

「よし、次のグループ行って良いぞー」

 

「あ、私達の番だ」

 

「い、行こう」

 

果たしてどんな仕掛けがあるのやら、と2人は楽しみ3割ドキドキ7割で森に入って行く。そして歩いて3分、最初の関門に突入した。

 

「う、うらめしやー!」

 

「食べちゃうぞー!」

 

「「………………」」

 

…………まぁ、残念ながら上杉に関してはもうネタバレしてるので驚きも何も無かった。

 

「………何だ、ネタがバレてる2人か」

 

「わぁ、びっくり!」

 

「ばればれの嘘でもお気遣いをどーも…………だが、忘れるな。この先には本命が控えている事をな!ハッハッハ!」

 

敗北者の捨て台詞みたいな言葉を残して上杉と四葉は引っ込んで行った。何とも言えぬ空気にはなったが、2人は先を進む。少し歩くと、看板が立っていた。もしやその看板から飛び出してくるのかと2人は警戒していたがそんな事はなく、ただイラストが描かれた紙が貼ってあるだけだった。

 

「何々…………『恐怖を味わう前に可愛い鬼のメイド少女のイラストで和んでください♪』だって」

 

「凄い完成度…………ソウゴは絵も上手いんだ。写真取っておこ」

 

「あ、私もそうしよっと」

 

イラストは複数枚あり、中には鬼の角が生えた形態で棘付きの鉄球を振るっているものや、髪を長くして子供を抱えているのもあった。

 

さて、2人はパシャパシャ写真を取り終わって再び歩き始めて早々、恐怖の時間がスタートした。

 

『フォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッ──────』

 

「「!?」」

 

後ろを2人は振り向くが、そこに誰もいない。

 

『フォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッ──────』

 

声は今度は前から。だが、向いても誰もいない。そして右、左、さらには上からも声はするが姿はどこにもない。

 

「な、なにこの声…………?」

 

「さ、さぁ…………色んな方向から聞こえるから、いつどこから来てもおかしくないね…………気を引き締めて行こっか」

 

姿は見えずに不気味な声だけ響く。いつどこから来るか分からない恐怖に2人は少し怖がりつつも歩き進める。ある程度歩くと唐突に謎の声もピタリと止まり──────

 

「なるほど~これはこれは確かに興味深いですね~。あぁなぁた、もしや傲慢ではありませんですかね」

 

先程よりも不気味な天の声が彼女等に響き渡る。

 

「ソウゴ……………?」

 

「ここで仕掛けてくるのかな…………にしても、本当にソウゴ君?何かフータロー君に声が似てるような気が…………?」

 

一花が言っていることは概ね正解である。ソウゴが仮装しているのはフータローの中の人の迫真の演技で人気キャラとなった400歳の男なのだから。

 

「あぁなぁたですよ、ショートカットの少女……………お訊きするのデスが…………何故花〇香菜などと呼ばれているのデス?」

 

「(いや、それ私が1番聞きたいんだけど…………)」

 

「……あぁ、無視は寂しいデスね! こんなにも、ワタシはアナタに好意的に接しているというのにのにのにのにににににに!」

 

まさに狂気と言うべきか。ここまで来ると一花らは演技に感心するのを通り越して恐怖を感じていた。

 

「………あぁ、そうデスか。ワタシとしたことが、ご挨拶をしていないではないデスか。ワタシは魔女教、大罪司教『怠惰』担当、ペテルギ〇ス・ロマネコンティ……デス!

 

間髪入れず総…………いや、ペテルギ〇スは続ける。

 

「さて、さて、さてさてさてさてさてててててて………そこの長髪の少女」

 

「わ、私?」

 

今度は三玖である。

 

「その体から漂ってくる濃密なまでの寵愛。実に、実に実に実に実につにつにつにつにぃ、興味深い……デス!

 

「………………一花。私、臭くないよね?」

 

「う、うん全然大丈夫…………それに、多分そう言う事じゃないと思うよ………」

 

真に受けて自分の身体を嗅ぐ三玖に一花は静かにツッコミを入れる。そんな中、遂にクライマックスを迎える。

 

「あぁ、濃密に漂う濃密な寵愛……………脳が、

 

一花と三玖は背後から肩をトントンと優しく叩かれる。反射的に振り返った次の瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

脳が震えるるるるるるるるるっ───!!」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「…………………」

 

いつの間にか背後にいた、深緑の髪をおかっぱみたいな長さで切り揃えたとんでもない面で叫ぶ男を間近で見た瞬間、一花は絶叫。三玖は無言だったものの、腰が抜けてその場にへたり込んでしまった。

 

「……………………あー、疲れた」

 

マスクを外してスッキリした顔を見せる総悟。未だに顔が引きつっている一花と腰を抜かしてへたり込んでいる三玖を見て満足そうにニヤリと笑う。

 

「あー、もうびっくりした…………」

 

「……………………」

 

未だにドキドキしている一花が気が抜けたように呟くが、三玖は未だに言葉が出ないようだった。

 

「ソウゴ君、そのマスクは自分で作ったの?」

 

「自分で作ったイラストを業者に持って行ってオーダーメイドで作って貰った。かなりの額だったなー。あとはマスクの中に付けるボイスチェンジャーと衣装を自作したり、スピーカーとかも何台も買ったりしてね………………半分本気で言うんだけど、お金くれない?マジで金欠」

 

「えー?」

 

「女優でかなり稼いでるだろ。貯蓄は何桁だ?8?それとも9?」

 

「流石にそこまではないかなー………」

 

「………………ハッ!」

 

「あー!今、馬鹿にしたでしょ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………………」

 

胸が苦しくなるような気がした。一花は家庭教師であり、友達でもあるソウゴと話しているだけなのに。それだけなのにその光景を私は直視出来なかった。

 

「玖──────三玖?」

 

「!…………な、なに?」

 

「この先、崖があるからルート通り進むんだよ。まぁ、俺が念には念を入れてテープで規制をしてるから大丈夫だとは思うけど」

 

「…………分かってる。行こ、一花」

 

「え?あ、うん……………」

 

胸の苦しさを紛らわすように早足で歩く。 そんな私に一花が話し掛けてくる。

 

「三玖、早いよ~。…………それにしても、折角だからもう少し一緒にいれば良かったのに」

 

「…………………私、変かも」

 

「?」

 

「ソウゴは皆の家庭教師なのに……………一花は、ソウゴの事をどう思ってる……………?」

 

to be continue…………




林間学校終了後の会話

総悟「上杉に取り憑いてただろ、あんた」

神様「バレてたか…………ドSの血が騒いでな。つい来ちまった!」

総悟「…………神様とは良い酒が飲めそうだ!成人が楽しみだネ!」


《肝試し概要》

第一関門 『ペニー〇イズ(劣化版)ゾーン』…金髪ピエロの上杉と助っ人のミイラ四葉が脅かしてくるゾーン。ポジション的には前菜ではあるが意外と怖い。ハァイジョージィ

第二関門『バル〇ン星人ゾーン』…某光の国の巨人と戦った、じゃんけんでチョキしか出せない星人の声(総悟制作)が色んな方向から聞こえてくる。声だけで何も襲っては来ないが、夜の森から聞こえてくる姿なき不気味な声は中々の恐怖。

第三関門『怠惰ゾーン』…今回の肝試しのラストに待ち構える大本命。顔の気色悪さと総悟の迫真の演技で恐怖のどん底に突き落とす。彼の前では男も女も大絶叫不可避。

今回も読んでいただきありがとうございました。

…………五月は肝試しで死ななきゃ良いが…………。


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結びの伝説 Day2 その2

すみません、今日(2/10)はバイトの面接があるため、次の投稿は明後日になる可能性があるますのでよろしくお願いします!


次にやって来たのは二乃と五月のペアだ。

 

「うぅぅぅぅ…………やはり参加しない方が良かったのかもしれません…………」

 

「ちょっと、離れなさいよ。そんなに怖がることないでしょ………………それにしても、林間学校ってもっと楽しいと思ってたんだけどなぁ」

 

「え?まだ始まったばかりじゃないですか」

 

「その始まりでもう躓いてたでしょ!あいつらと同じ部屋に泊まることになるし……………何もなかったから良かったけど………」

 

「!……………と言うことは、昨日のは二乃じゃないんですね」

 

「え?」

 

そしてちょうど、2人に第一の刺客が襲来する。

 

「勉強しろやァ──────!」

 

「食べちゃうぞォ─────!」

 

上杉は木に足を紐で結びつけて上から襲来し、四葉は近くの茂みから襲来した。

 

「も、もう嫌ですぅぅぅぅぅぅ!!」

 

「ちょ、待ちなさい!走ると危ないわよ!」

 

五月、泣きながら通常の3倍の早さで逃走。だがしかし、残念ながら恐怖はまだ終わらない。五月の中の人繋がりの可愛い青鬼のイラストに目もくれず、五月はバル〇ン星人ゾーンに突入。

 

『フォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッ──────』

 

「ひいっ!?こ、来ないで下さいぃぃぃぃぃ!!」

 

ネタバレすると声だけで誰も来ないのだが、暗闇から聞こえる不気味な声に五月はさらにパニック。通常の4倍まで加速した所でクライマックスである。

 

「脳が震えるるるるるるるるるっ───!!」

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ────!!」

 

蜘蛛のように這って(しかも意外と速い)五月を追いかけるとんでもない形相の緑のヤバそうな人を見て五月は通常の5倍を越えて、通常の3倍のさらに2倍の6倍で走って行った。

 

「……………あれ?そういや二乃がいないな。まだ後ろか?」

 

起き上がった総悟が振り返ると、丁度二乃が走って来ていた。

 

「おお、来た来た。…………ワタシは魔女教、大罪司教『怠惰』担当、ペテルギ〇ス・ロマネコン「五月、待ちなさいよ!」…………へ?」

 

総悟の事は眼中になしか、二乃は完全スルーして走って行った。

 

「えー、行っちゃったよ。二乃はギャフンと腰を抜かしてやろうと思ったのにぃ。つまらんなー………………ん?」

 

総悟は規制テープが無くなっている事に気が付いた。そして五月がとんでもないスピードで駆けていた事を思い出す。

 

「……………まさか…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……………はぁ……………つ、疲れました…………」

 

恐怖の余り通常の6倍のスピードで走っていた五月も流石に疲れて大きく息を吐きながら立ち止まる。

 

「ま、まったく…………上杉君に四葉も本気で怖がらせに来すぎです!特に火野君のあれは何なんですか!気合いが入りすぎです!もうトラウマになりましたよぉ…………二乃も大丈夫でしたか………?」

 

そう尋ねながら五月は振り返る。しかし、後ろにいると思われていた二乃の姿は──────何処にも無い。

 

「に………二乃…………?何処にいるんですか…………?」

 

そう問いかける五月の声に答える者はない。五月の頭の中には迷子の二文字が浮かぶ。

 

「…………そ、そうです!スマホで今いる位置を確認すれ……………ば………」

 

五月はポケットを探るが、スマホは何処にもない。

 

「(そ、そう言えばスマホは必要ないと思って部屋に置いてきていたのを忘れてました!ど、どうしましょう!?それに、森に入ったきり行方不明になった人の幽霊が出ると言う噂もありますし…………早く抜け出したいのですがどっちに向かえば良いのでしょうか……………取り敢えずこっちでしょうか?)」

 

こう言った森で迷子になった場合、むやみに動かずに見つけて貰うのが定石なのだが…………悲しいかな、知識不足なので五月はそれを知らない。かくして、五月は何となくの方向で歩き出す。

 

「うぅ……………どうしてこんな目に遭わなくてはいけないのでしょうか…………悪いことはしてないのに………二乃ぉ………どこに行ったんですかぁ……」

 

半べそをかきながら二乃の名前を呼ぶが、当然応える声はない。

 

「せめて懐中電灯でもあれば良か「カサッ」ヒッ!」

 

音がした方をとんでもない早さで向く五月。恐怖の余り音に鋭敏になっているのか。音のした茂みから出てきたのは──────

 

「ホロ?」

 

「……………り、リスでしたか…………まったく、驚かさないで下さいよ……………わぁ!?」

 

警戒心がないのか、そのリスは五月の足を登って肩に乗って来る。そして、つぶらな瞳で五月を見つめる。

 

「わぁ……………こんな近くで見るのは初めてですが、可愛いくて癒されま「─────ァァァァ!」すぅ!?」

 

癒しタイムから一転、遠くから聞こえてきた悲鳴に五月は脱兎の如く走り出す。どういう訳か、リスも離れようとせず必死に肩にしがみつく。そして、そんな彼女を木から木へとフリーランニングで跳び移る影があった。五月の姿を認識すると一気に加速して抜かし、木から飛び降りて五月の前に現れる。

 

「ひゃ!?こ、来ないで下さい!!私は美味しくないですぅ!!」

 

「いや、誰が食うかっての………」

 

その声を五月は知っていた。当然であろう、彼は───

 

「ひ…………火野君…………?」

 

「よー、五月。まったく、ここまで手間を掛けさせやがって」

 

─────同級生であり、家庭教師でもあるのだから。

 

「うぅぅ………よ、良かったですぅ…………幽霊じゃなくて火野君でぇ……………」

 

「おいおい、泣くなっての。………お?そのリスはどうした?シマリスか?」

 

「え?…………ああ、実は先程会って早々懐かれまして…………」

 

「へー、野生なのに懐かれたんだ。変わったリスなことで。ほれ、こっちにカモン」

 

総悟が手を出すとリスは跳び移る。そのまま総悟はリスを近くの木の側に降ろしてあげた。

 

「よし、行くぞー」

 

「あ、待ってください。申し訳ないのですが、写真を取って貰っても良いですか?可愛いので写真に収めたいところなのですが、スマホを持っていなくて…………」

 

「お安いご用よ…………わーお、めっちゃカメラ目線。はい、ちーず」

 

総悟は写真が取れていることを確認してスマホをしまう。

 

「んじゃ、後で送るよ」

 

「ええ、お願いします。少し別れが惜しいですが…………」

 

「バイバイ~」

 

2人はリスに別れを告げると、総悟と伴に歩き始める。

 

「さーて、最後は二乃か」

 

「……………すみません、ご迷惑をお掛けして。この森は出ると噂を聞いていたので、過剰反応してしまいまして…………」

 

「……………ああ、ごめん。白状すると、その噂の出本は俺だわ」

 

「えぇ!?」

 

思わぬ所から噂を広めた犯人が発見された。

 

「そう言う噂をしときゃ肝試しの怖さが増すかなー、って広めてたんだよねー。ちなみに、実際はそんな噂は一切ございません。アレは出ません」

 

「…………も、もう!ほんとに怖かったんですからね!」

 

「めんご めんご、MNG」

 

手を合わせて軽く謝ってくる総悟を見て五月はため息をつく。

 

「はぁ………それを聞いたら全然怖くなくなりました」

 

「お、いつもの調子に戻ったみたいで何よりでありま……………あ、二乃じゃないの、あれ」

 

「……………あ、ほんとです!二乃ー!」

 

五月が声を掛けると二乃もすぐに気が付いた。

 

「五月!まったく、どこ行ってたのよ!」

 

「すみません、迷惑を掛けて…………二乃はよく1人で平気でしたね」

 

「違うわ、私はこの人……………あれ?」

 

二乃の視線に釣られて総悟と五月も見るが、その先には誰もいなかった。

 

「誰もいないじゃん。………ははーん、さては恐怖の余り頭の中で生み出した妄想の人物と一緒だったと言う訳ですな?」

 

「違うわよ!!もう、どこに行っちゃったのかしら…………まぁ、良いわ。………待ってるから

 

「「?」」

 

そんな彼等の近くの木の陰に金髪の男がいたのだが、彼等は知る由もない。総悟は二乃と五月を順路へ帰した後、再び愉悦を再開したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ソウゴ君の事をどう思ってるのかって……………一言で言えば、ソウゴ君は普通に良い人って感じだけど…………あ、でも少し変わってるかな。私の事を何故か花〇香菜って呼んでくる事があるからね。そんなに似てるのかな、その人と」

 

「……そう………」

 

そんな三玖の様子を見た一花は1つ提案をする。

 

「……………ソウゴ君との最終日のダンス、変わろうか?心配なんでしょ?」

 

「……………平等。一花が相手をしてあげて」

 

「……………後悔しないようにね。今がいつまでも続く訳じゃないから」

 

─────こうして、初日最後のイベントの肝試しが終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、疲れた疲れた」

 

道具を全部回収して上杉と一緒に宿泊施設に戻る最中、どうも肝試しで怖がらせ過ぎてか恨みの視線を感じた気がするが、多分気のせいだろう。

 

「上杉、肝試しはどうだったかー?」

 

「まぁ、楽しくなかった訳ではないが…………1つ厄介な事になっちまってな………」

 

「と、言いますと?」

 

「実は、かくかくしかじか………」

 

上杉が話した内容を簡単に要約すると、俺に二乃と五月を探すのを手伝ってくれと頼まれ、金髪のカツラをつけたまま探しに行った先で二乃を発見。そこで色々とあって二乃に惚れられたらしく、最終日のキャンプファイヤーで踊ってくれないかと頼まれたらしい。

 

「要は、遂にモテ期が来たって事か」

 

「何でそうなるんだよ!…………前に色々とあって二乃に昔の頃の俺を見られたんだ。その時にタイプとか言われていたのをすっかり忘れてたぜ。覚えてたらカツラを取ってたんだがな……………」

 

「ま、今更言ってもしょうがない。明日、再びキンタローになって踊るんだね。どうせやること無いだろうし、丁度良いだろ」

 

「はぁ…………面倒だが、二乃に真実を打ち明けて弱みを握られるのもなぁ…………仕方ない、踊るとするか」

 

「…………そもそもお前、ちゃんと踊り方分かる?」

 

「……………………………」

 

ダメみたいですね(諦め)

 

…………まぁ、勉強しか興味ないような奴だからどうせ知らんとは思ってたけど。

 

「頼む、火野!俺に踊り方を教えてくれ!」

 

「しょうがねぇな(悟空)」

 

1つ貸しだぞ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と言う訳で、『ほんとは自分の部屋でアニメでも見てたいけど、俺ちゃんは優しいから(自画自賛)教えるかぁ』と思っていたのだが、同じクラスの男子にキャンプファイヤーの準備を手伝ってくれと頼まれた。断るのも気が引けるので、上杉にはダンスの件を後回しにして貰って丸太運びを手伝う事に。

 

「お、四葉じゃん」

 

「火野さん!お手伝いに来てくれたんですか?ありがとうございます!」

 

「いえいえー。まぁ、肝試し手伝ってくれたお礼って事で…………よっと」

 

おー、意外と軽いな。でも、前世の俺なら持ち上げるのも一苦労だったのかな。てか、四葉も1人で持ち上げてやがりますよ。女の子なのに凄いなー。そのまま四葉と運びながら肝試しの事で会話を咲かせる。

 

「来年から肝試しとか廃止になったりしてねー」

 

「ええ!?どうしてですか?」

 

「『怖すぎ!』『ビックリ死させる気か!』とか苦情殺到して廃止とかになりそうな予感がしてな。五月も泣いちゃったし、少し罪悪感があったりなかったり………」

 

「五月は昔から怖いのは苦手ですからね。まぁ、流石に廃止にはならないと思いますよ」

 

「それなら良いんだけどな…………つーか、来年もやりてぇ。恐怖のどん底に突き落として愉☆悦してぇなぁ…………!」

 

「火野さんが悪い顔を浮かべてます………!」

 

そんな会話をしながら俺と四葉でポンポン運んでいく。

 

「中野さん、ちょっと良い?」

 

「あ、はーい!」

 

大分運んだ所で、四葉は同じキャンプファイヤー係の人に呼ばれてそちらに行く。倉庫の中を覗くと、残り1本だった。

 

「あれ、ソウゴ君?」

 

持ち上げようとするところにやって来たのは一花姉さんだった。あれ、姉さんはキャンプファイヤー係だったっけ?

 

「私も頼まれてお手伝いに来たんだ。ソウゴ君と一緒かな?」

 

なるほど。

 

「じゃ、あと1本は俺が運んどくわ」

 

「え、でも折角来たんだし私も片側持つよ。その方が楽でしょ?」

 

「そう?じゃ、よろしくー。せーの………っと」

 

あー、らくちん。

 

「……………そう言えば、さ。なんか踊るみたいだね、私達」

 

「…………あー………」

 

肝試しの愉悦に浸っててすっかり忘れてたぜ。明日踊るんでしたね。

 

「どうする?練習でもしとく?」

 

「えー…………練習してる暇があったら、ラノベとかアニメでも見たいんですがねぇ………」

 

「あはは、ソウゴ君はぶれないなぁ」

 

まーね。ダンスなんてYou〇ubeで『フォークダンス』って検索して1番上に出てきたのを見とけば何とかなるだろ(適当)

 

「しかし、女子とダンス踊るなんて初体験だな」

 

「へー、そうなんだ。まぁ、私も初めてだけどね」

 

「ほう……………つまり、お互いの初めてを奪っちゃう訳ですなぁ」

 

「言い方が完全に別のナニかに聞こえるのはお姉さんの気のせいかな……………?」

 

キノセイ、キノセイ。

 

「よーし、全部運んだわね」

 

唐突に声が聞こえてきた瞬間、俺は丸太を音も立てずに壁に立て掛け、一花姉さんの手を掴んで丸太の陰に隠れる。この間、僅か4秒の早業である。

 

「あはは………前にもこんな事があったね…………と言うか、隠れる必要あった………?」

 

「……………確かにぃ…………」

 

考えるよりも先に反射的に隠れてしまったが、確かに隠れる必要なかったな。エロゲーのように『倉庫内で2人きりでチョメチョメしてました』みたいなやましい事なんて1ミリもしてないし。やれやれ、さっさと出るとしま

 

ギィィィ───ガシャン、ガチャ。

 

「…………ガシャン?」

 

「…………ガチャ?」

 

ま、まさか……………扉を押してみるがびくともしない。

 

「あのー、まだ中に2名いるんですけどー!?」

 

へんじがない……

ただのしかばねのようだ………。

 

……………って、こんな状況でドラ〇エの名台詞を思い浮かべてるんじゃねぇ!!完全に閉じ込められましたやん!!

 

「ヤバイ!!鍵を閉められた倉庫に2人きりとかもう完全にエロゲーのシチュエーションじゃねぇか!!誰か助けてー!!このままじゃNTR・不倫で小〇賢章に殺される!!ゴールドエ〇スペリエンス・レク〇エムによって永遠の死を味わう事になる!!」

 

「お、落ち着いて!と言うか、小〇賢章って誰!?」

 

「お前が結婚してる相手!!」

 

「いや、結婚してないよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺氏が落ち着いたのは3分後でした。頼むから

世界を超えて小〇賢章さんは来ないで下さい、お願いします()

 

to be continue………




五月「(そう言えば、森を1人で迷っている時に聞こえたあの悲鳴はなっだったのでしょうか………?)」

神様「(それ、総悟君が捜しに行ってていない間に僕が脅かしてた時の生徒の悲鳴です)」

ちなみに、当然神様はマスクなしでペテ公を完全再現可能。声も勿論つくつぐボイスを100%再現。もはやただのペテ公本人。

本人も読んでいただき、誠にセンキュー!


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結びの伝説 Day2 その3

神様「おっす、おらGOD。作者がこの林間学校編でオリジナルのシリアス要素入るとか言ってただろ?そのシリアス要素を没にする事になったみてぇでよ。理由としては何か『興が乗らん!』って中〇悠一がcvの生き恥をさらした男の台詞を丸パクリして言ってたぞ。要はつまんなかった訳だ。これを投稿すれば評価も駄々下がり、お気に入り登録者が離れてくのを懸念して没にする判断になったらしいぞ」

総悟「ちなみに、どんな話だったん?」

神様「五月と何かピンチになる話だったらしい」

総悟「ふーん。なら、没で正解だな。そんな話をしてる暇があったら三玖との幕間の話でもしろって話だ。あ、つー訳で今日のお話どうぞー」




「ふー‥‥……悪かったな。動揺のあまり暴走しちまった」

 

「もー、暴走しずぎだよ。小〇賢章って人と私が結婚してるとか訳の分からない事とか言い出すし」

 

正確には中の人同士、でしたね。いやぁ、あのお2人が結婚したって報告を聞いたときは『エンダ─────!』って叫びましたよ。

 

「マジですまん。俺のせいでこんな事になっちまって。今度タピオカでも奢りますわ」

 

「お、言ったね?絶対忘れないでよ?……さてと。どうしよっか?」

 

「この丸太で突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)して脱出、そしてハピエンとしよう」

 

一花にとっては意味が分からないワードが一部出てきたが、取り敢えず扉を壊そうとしているのは何となく分かった。

 

「待って!あれ、ドアを壊したら警備員が飛んでくる系の防犯センサーじゃない?」

 

「………あー、そうみたいね。でもまぁ、逆に見つけてもらえるしラッキーってことでいきまーす」

 

「そ、そんなことすると林間学校が台無しになっちゃうよ!壊すのは最終手段にしておこ?(…それに、三玖に知られたら…)」

 

「‥‥まぁ、一理あるな。じゃ、突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)は最終手段ってことで」

 

取り敢えず丸太の投擲を止めてくれたので一花はホッとする。

 

「そ、そうだ!ダメもとで解除出来るかセンサーを見てみない?」

 

「んー………まぁ、良いけど。しかし、随分と高い位置にあるな。脚立とかないもんかね?」

 

2人はあたりを見回してみるが、残念ながら脚立は見当たらない。

 

「しゃーない。ここは肩車と行くか」

 

「(っ‥‥!)」

 

一花の脳裏に三玖がよぎるが、これは確認に必要な行為でやましいことは何もないと言い聞かせる。

 

「おーい、早く乗れい」

 

「………お、重いとか言わないでよー?(平常心…平常心………)」

 

心の中で言い聞かせながら肩に乗り、乗ったのを確認すると総悟は立ち上がる。一花がセンサーをチェックしていると、突然総悟が『ムフフッ』と笑う。

 

「ど、どうしたの?」

 

「あ、いや何でもないです」

 

慌てたように言う総悟。その怪しい態度を見て女の勘が働いた。

 

「あ、もしや太ももを堪能してるね!?」

 

「し、してませんけど?『ギュム』って全然堪能なんてしてませんけど?」

 

「してるじゃん!コラ、堪能禁止!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

================

 

調べた結果、解除には鍵が必要なことが分かった。だが、それは即ち誰かを待つと言う選択肢しか穏便に済ますには無い事も同時に示していた。あーあ、こう言う時に限ってスマホを両者とも部屋に置いてきてしまうとは…………。

 

「なー、マジで突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)しない?人が来るまでに寒さで参っちゃうんじゃね?」

 

「男の子なのに弱気だなぁ。女の私ですらこれくらいの寒さなんてへっ……………ちゃ…………クショッ!………やっぱ無理かも」

 

前言撤回早すぎィ!全然へっちゃらじゃないやん!

 

「……………しゃーないなー」

 

俺は羽織っていた上着を一花姉さんに掛けてあげる。

 

「そ、ソウゴ君…?」

 

「まー、俺はレディファーストの紳士ですから。遠慮無く使いたまえ」

 

「あ、ありがとう………ふぅ、あったかい」

 

一花姉さんの顔が綻んでて何よりで……………………うう。カッコつけ半分、善意半分で貸したのは良いが、やっぱ寒い。暖炉もないし………ここにあるのは木だけだし……………いや、待てよ。木か………………俺は倉庫にあった材料で道具を作って木を摩擦し始める。

 

「…………あのー、ソウゴ君?何をしてるの?」

 

「火をおこそうと思ってな。ま、昔の人も出来たんだから俺にも出来るだろ、多分。スクリンプラーも見たところ無さそうだから問題ないだろうし、さっさと付けましょうねー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5分後

 

「おい、全然付かねぇぞ!どうなってんだ!ふざけんな!(憤怒)」

 

「いや、私に言われても…………」

 

そりゃそうなんだけどね……………昔の人は凄いなぁ。

 

「じゃあ、作業用BGM的な感じでお姉さんが楽しい話をしてあげようか?」

 

「そりゃあ良いね。是非とも頼む」

 

「そうだね…………じゃあ、あのお話にしようかな。私達が小学生の頃の話なんだけどね────」

 

と言う訳で一花姉さんの楽しいお話を聞きながら作業続行。一花姉さんは姉妹との思い出のエピソードを色々と話してくれた。姉妹の面白エピソード、皆で遊んだりしたこと、皆で旅行に行ったこと等々……………どれも楽しそうなお話ばかりだった。他にも一花姉さんの主に仕事での愚痴や苦労話なども聞いたりした。

 

「……………やっぱ駆け出しでも女優って大変なんだな」

 

「ほんと、大変だよー。でも、その分やり甲斐もあるけどね………………あ、ごめんね?すっかり私の愚痴話に付き合って貰っちゃって」

 

「そんな事は気にすんなっての。俺は一花姉さんの先生でもあるからな。愚痴とか相談を聞いて生徒の悩みを解決するのも先生の役割だろ」

 

「…………………………」

 

……………あれ?急に黙り込んでどうしたんだろ?何かいけないことを言ってしまったのだろうか………?

 

「あ、あのう…………何か不味いことを言っちゃったなら謝るけど…………」

 

「あ、いやいや!全然そんなことないよ!ただ、相談に乗って貰おうかどうか迷ってただけだから」

 

「何かお悩み事があるなら、YOU、言っちゃいなよ!俺で良ければ力になるZOY?」

 

「………………じゃあ、相談しちゃおうかな」

 

良いぜ、ドンとカモン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

==================

 

「私、学校辞めるかも」

 

「なーんだ、そんなこ………………へ?」

 

ソウゴ君は思わず2度見してきた。それ程に衝撃的だったし、予想外だったのかな。にしても、彼のこんな驚いてる表情は初めて見たかも。

 

「今までも何度か学校を休んで仕事に行ってて。私と同じ年齢の子らも留年覚悟で休んだり、芸能活動に肯定的な学校に転校したりしてるの」

 

「………………………」

 

「私は知っての通り馬鹿だし…………高校に未練はないかなーって、思ったり…………思わなかったりして(それに、私がいなくなれば三玖も…………)」

 

何となくそう濁しながらチラッと彼を見ると、いつになく険しい表情を浮かべていた。これは……………ちょっと旗色が悪いかな…………?

 

「ごめん、やっぱり忘れ」

 

「良いんじゃないの、別に」

 

「………………え?」

 

軽いノリで言っているようにも聞こえる口調で、それでも真剣味のある口調で彼はサラッと言ってのけた。

 

「女優活動が本当にやりたいこと、好きなことなら学校を退学したりして専念する価値はあると俺は思うけどね」

 

「ソウゴ君…………」

 

「でもまぁ、君のいる界隈ってのは声優界みたいに成功出来るのは一握りの世界だからね、多分。現実的な事を言って悪いが、正直失敗する可能性も高い。だが、たとえ失敗しても得られた経験や努力する過程で得られたものはきっと人生の糧になるだろうね。まぁ要するにだ…………何事もチャレンジ精神がインポータント、ってね!…………ついたぁ!」

 

彼が先程まで摩擦していた木から煙が出始めた。

 

「ちょっと息を吹いてて!小さい板を取ってくる!」

 

「う、うん!フーッ、フーッ…………!」

 

──────そして数分後には、私達は焚き火で温まっていた。ソウゴ君も随分と幸せそうな表情をしている。

 

「……………ソウゴ君」

 

「お?」

 

「ありがとね、相談に乗ってくれて。もう少し考えてから最終的な結論は出すよ」

 

「………‥…そっか。まぁ、俺の長い人生経験からのアドバイスが役に立ったなら、ちょっと嬉しいかな。ま、仮に失敗して無職になるような事態になっても安心しろ。俺の親のコネを使って声優業につかせてやるわ。芸名は花〇香菜で4649」

 

「アハハ!じゃあ、その時はよろしくね」

 

本気なのか、おふざけののか分からない口調で言うから私も思わず笑ってしまう。……………やっぱり、彼と『友達(・・)』になれて良かったな。色々と話せたし。

 

「しかし、これでいよいよやることがなくなったなー……………あっ、そうだ(唐突)」

 

「どうかしたの?」

 

「踊らね?」

 

「え?」

 

「さっき『練習しとく?』とか言ってたじゃん。暇だしやらね?」

 

「……………うん、やろっか。今夜は2人だけのキャンプファイヤーだよ」

 

───────センサーに異常無し。彼とは『友達』の関係。これ位は大丈

 

「そーいや、一花姉さんはこのキャンプファイヤーの伝説って知ってるか?」

 

────ドクッ。

 

「………伝説、って………?」

 

「四葉が言ってたけど、要はキャンプファイヤーで一緒に踊ったペアは結ばれるらしいぜ」

 

「!…………それ、三玖も知ってるの?」

 

「ああ。その場で聞いてたな。まぁ、本人はあまり気にしてなかったみたいだけど。俺も最初はマジかー、なんて思ってたけど、よくよく考えたら100%じゃないし………………一花姉さん?」

 

「(…………違う、三玖の様子を見る限り気にしてなくなんかない………そ、そんなつもりじゃ…………三玖にとってキャンプファイヤーは………それなのに私は……………!)」

 

「?………………って、一花後ろ!」

 

彼が初めて『姉さん』付けしないで叫んだ時にはもう遅かった。足を丸太にぶつけてしまい、丸太が私の方へ倒れてくる。ぶつかる────と、思った矢先にソウゴ君の手が私の腕を掴んで引き寄せてくれて、そのまま彼の胸に収まってしまった。

 

「あ、危なかったぁ……………一花姉さんって案外ドジって言うか抜けてるところあるなぁ、全くー」

 

───────ビー!ビー!ビー!

 

心のセンサーのブザーが鳴り響いて止まらない。だ、だって!至近距離に彼の顔があって、しかも抱き寄せられたら平常心なんて保てる訳がないに決まってるでしょ!

 

「………………って、すんませんでしたァ!!」

 

彼も自分の行為に恥じらいを感じたのか、後ろにジャンプすると同時に別のブザーが鳴り響く。

 

『衝撃を感知しました。30秒以内にアンロックしてください。解除されない場合直ちに警備員が駆けつけます』

 

「ファッ!?まずいですよ!逃げないと!」

 

「う、うん!………って、冷たっ!」

 

突然、上から冷たい水が降ってきた。

 

「あ、マジ!?スクリンプラー見落としてた!?」

 

「火を消さないと!あと、センサーも何とかしよう!」

 

「その為の鍵がないんですけども!ええい、こうなったら突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)しかねぇ!!」

 

その時だった。スクリンプラーもブザーも止まったのは。

 

「鍵ならここにありますよ」

 

「「!!」」

 

「一花。2人して、こんなところで何をしていたんですか」

 

扉が開いて、そこにあったのは2人の影。

 

「い、五月ちゃん……それに………!」

 

「…………み、三玖………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────後に、ソウゴ君はこの時の心情を私にこう語っていた。『あ、これ死んだな(色んな意味で)』と……………。

 

to be continue……




上杉「出番カット組同士で仲良くしようぜ、五月」

五月「私は今回カットされた代わりに幕間の物語の出番を頂いたのでチャラです。あなたと同じにしないで下さい」

上杉「」

えー…………シリアスを楽しみにしてた方は申し訳ないです。シリアスタグが本編で使われるのはまだ先の話ですが、幕間の物語でもしかしたら使われるかもしれません……………もしかしたらね。

ちなみに、五月の幕間の話はガチです。林間学校が終了した後の話を投稿する予定です。

本日もこんな駄文を読んでいただきありがとうございました。


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結びの伝説 Day3

すみません、ミスって一回消しちゃったので再投稿しました。


あの後、一花姉さんと三玖と五月に『事故で閉じ込められただけで何もふしだらな事はしてません!』と軽く説明はした……………半信半疑だったが。そして先生にも説明してからの大目玉のコンボを喰らい、散々な目に遭って解放された後、自分の部屋に戻ってすぐ寝た。

 

え?上杉に教える約束?んなもん、頭から抜け落ちたわ(上杉すまん)

 

(……………三玖と五月への詳しい弁明は明日の俺に丸投げしよ……………zzz)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つー訳で翌日。起きて早々若干憂鬱な気分になってしまうのは無理もないだろう。

 

「あーあ…………どうしてこうなった…………」

 

昨日は先生に怒られるし、三玖と五月からの信頼度は絶対下がったし、不幸の2コンボ…………ほんと、マジでどうしてこうなった………………いや、落ち込んでる場合じゃねぇ!!どうにかして信頼回復に努めなければ!!

 

「そうと決まれば行くしかねぇ!!……………って、三玖や五月がどれを選んでるか分からねぇ!!」

 

気合いを入れた矢先に詰む綺麗なオチ……………とか言ってる場合か!!今日は自由選択で『川釣り』、『山登り』、『スキー』の3つに分かれているのだが、一体2人はどれを選ぶのやら………………。着替え終えて頭を悩ませながら取り敢えず自分の部屋を出てロビーに行くと、スキーウェアの四葉と上杉に遭遇。

 

「おはようございます、火野さん!」

 

「…………四葉と上杉はスキーか?」

 

「はい!二乃と三玖もスキーですよ!残念ながら一花は体調を崩して休んでいて、五月はその看病をしていますが」

 

……そーいや、四葉はキャンプファイヤー係でしたねぇ。よし、四葉だけ今度の宿題4倍だな(ゲス顔)

 

閑話休題(それはさておき)

 

取り敢えずスキーを選べば三玖には弁明できそうだな。五月は一花姉さんの看病に付きっきりだろうし、後にしておこう。

 

「俺もスキーにしようかな。滑ったことないけど」

 

「大丈夫です、私が教えますから!」

 

「そりゃありがてぇ。スキーグッズ一式借りてくるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、言うわけで俺もスキーウェアと棒とか板(名前が分からん)をレンタルしてスキー場にやって来ました。一般客もいるから意外と人が多いな。

 

「さぁ、滑り倒しますよー!」

 

「さ、寒っ……………滑れんし、ふつーに寝かして欲しいんだが…………」

 

「……………ははーん。さては、夜中に勉強してたから寝不足って訳か?まったくー!」

 

「もー、林間学校の時くらい勉強の事なんて忘れましょうよ!どうしても滑れない時はご安心を。私が手を引いて滑ります!」

 

「何かやる気出てきたぞー!」

 

上杉のやる気が強制着火させられたが…………二乃と三玖はどこに?四葉に聞いてみると────

 

「二乃はもう滑っていて、三玖は…………あ、来ました!」

 

お、スキーウェア姿の三玖でございますよ。可愛いな、おい。よし、ここは先ずは軽く『そのスキーウェア似合ってるね』って言っておきますか。

 

「……………」

 

「……………」

 

‥……………ダメだ、話そうと思ってはいるんだが何か気まずくて話せん!完全にコミュ障になってるじゃねか!!

 

「さぁ、びしばし教えますよー!」

 

「………おー……………」

 

「(何か急にテンション低くなったな、あいつ……)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20分後

 

「スキーはかなり上手くなったな‥…大本命の方は全然上手く行かないが」

 

三玖の方は全然話せんかった。こう言う時にガンガン話しかけられる性格なら良かったのになぁ……………30年近く生きててもヘタレ成分は少なからず残るものらしい…………。溜息をついていると、ぎこちない滑りで上杉がやって来る。

 

「どうした火野。いつもよりテンションが低いな。何かあったのか?」

 

「どうもこうも、昨日から散々な目にあってよ。実は昨日」

 

「お、フータロー君にソウゴ君だ」

 

やって来たのは…………フード被ってるし、ゴーグル付けててマスクのせいで声がくぐもってるから分からんが、この呼び方的に………。

 

「……一花姉さん?」

 

「当ったりー」

 

あれ、休んでたんじゃ……?

 

「体調は良くなったのか?」

 

「まだ万全じゃないけど大丈夫。あと、五月ちゃんは顔を合わせづらいから1人で滑ってるってさ」

 

「顔を合わせづらい?火野、五月と喧嘩でもしたのか?」

 

「…………まぁね………」

 

……取り敢えずこのスキー場内にはいるのか。見つけ次第、ちゃんと弁明しなければな。

 

「一花ー!この二人、全然言ったとおりに覚えてくれないー!」

 

四葉さんよ、それが普段我々が思ってることなんだよなぁ…………(しみじみ)

 

「じゃあ、楽しく覚えようよ。そうだなぁ……おいかけっこしよう!四葉が鬼ねー」

 

「はーい!いーち……」

 

そう提案すると一花姉さんは滑って行き、四葉は数を数え始めた。

 

「(……………これ、誘ったりすれば三玖と一緒に滑れるし、弁明するチャンスなんだが……………上手く話せる自信がなぁ………………)」

 

───────何事もチャレンジ精神がインポータント、ってね!

 

「(…………………いや。一花姉さんにそう言った本人がチャレンジ精神を怠ってどうするって話だよな……………よし!覚悟を決めろ、火野 総悟!お前も男ならな!)………三玖、一緒に滑らな…………って、もういねぇ!!つーか、誰もいねぇ!!」

 

折角覚悟を決めたってのに!クソ、このままいても捕まるだけだし、取り合えず俺も滑り出すしかねぇ!!俺も慌てて勢いよく滑り始める。

 

「……………おお!風と一体化したようで気持ちええええええええええええ!!」

 

懸念事項は色々とあるが、純粋に滑りを楽しんでいる俺氏に近づく人物が1人。一瞬、四葉がもう追いついてきたのかと思ったが、その人物は一花姉さんだった。

 

「確認したいんだけど…………昨日の事は誰にも言ってないよね?」

 

昨日の事……………ああ、学校辞めるかもの事か。

 

「言うわけないだろ。つーか、周りにペラペラ話すような案件じゃないでしょうが。完全に取り扱い注意レベルの案件ですやん」

 

「!!それって…………「…………そういやこれってどうやって止まるんだ…………?」……………え」

 

「…………………ちゃんと教えろや四葉ァァァァァァァァァァ!!」

 

「ひ、火野君───────⁉」

 

総悟君、大加速。一花姉さんからどんどん距離が離れていく。『もう誰にも止められない』とはまさにこの事か。そういや、ワン〇ースのイン〇ルダウン編の523話のタイトルも『もう誰にも止められない』だったような────────

 

「……………って、んなことはどうでも良いわ!!」

 

今この状況で世界、いや宇宙一どうでも良い事だわ!!どうやって止まるかを考えねぇと!!それと、ちゃんと教えなかった四葉は宿題8倍だ!!

 

「おいおい、どうすりゃ良いんだ!?このままじゃあの小屋に激突するぞ!…………そうだ!俺が今まで見た漫画やアニメとかにスキー回のとかあった筈!それを参考にすれば……………!」

 

思い出せ、火野 総悟!お前は今まで幾多の漫画・アニメを見てきた!その蓄積されたデータを今こそ解き放ち、魔王にトドメを刺すのだ(?)

 

「………………………………あ、そうだ!銀〇にスキー回あったじゃん!将ちゃん回の!」

 

──────そう、確かあの回も今の俺みたいに止まれなくなっていた。その時に天パ侍が考案したブレーキ方法があった筈だ──────確かその名は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「前(自主規制)ブレーキだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………いや、ダメだ!!そういやあの回はスキーじゃなくてスノボだったから参考にならねぇ!そもそも前(見せられないよ)ブレーキなんてしたら公然わいせつ罪で逮捕されて信頼を取り戻す所じゃないし、事故ったらワンチャン、オ(ピー)とかセ(×××)出来なくなるじゃん!!」

 

放送コードに余裕で引っ掛かりまくる発言をかましているが、もう小屋は目の前に迫ってきていた。

 

「あー、もうアカン!最終手段や!神様ー!止まり方を教えてくれー!!」

 

人頼み、いや神頼み!もうこれしかねぇ!

 

『………ガッ………ザザッ…………』

 

無線の雑音みたいなのが頭の中に聞こえてきた!来てくれたって事で良いんだよな!やっぱ神様は頼りにな

 

『…………おかけになった電話をお呼びしましたが、お出になりません。現在、神様はシン・エ〇ァンゲリオンと銀〇 THE FINALとヴァ〇オレットエヴァー〇ーデンを見に行っていますので、5時間後位にもう一度おかけ下さい』

 

「何か留守電サービスに繋がったんですけどおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?って、ぶつかるぅ!?ンアーッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3分後

 

「ふぅ……………何とか逃げきったかな…………?」

 

三玖はボーゲンのハの字の角度を広げて止まる。こちらはちゃんと止まりかたを教わっていた。上杉と総悟は四葉が教えるのを忘れていた為、犠牲となったのだ(死んでないけど)

 

「……………そう言えば、さっきソウゴがもうスピードで叫びながら抜かして行ったような…………」

 

本人は抜かしている事にすら気付きもしなかったが(つーか、それ所じゃなかった)、三玖は気付いていた。何処かにいるのかなと考えていると、同じくスキーをしていた子供が何人か集まって話しているのに気付いた。

 

「この人、雪の上で寝てるー」

 

「何やってるんだろー?」

 

「変な人ー」

 

三玖も気になって見てみると─────倒れてる人物は知り合いだった。

 

「そ、ソウゴ!?」

 

まさか頭でも打ったんじゃ、と三玖が駆け寄るとソウゴは意識があった。そして無言で指を指す。指した方向を向くと、人がぶつかった跡が刻まれている巨大雪だるまがあった。

 

「『そのときふしぎな事が起こった』って感じで……………まぁ、無我夢中でよく覚えてないが曲がったんでしょうな…………そんで、壁じゃなくて雪だるまにぶつかって事なきを得たって感じ…………」

 

「そ、そうなんだ………災難だったね」

 

「全くだ。四葉め………ちゃんと教えないから………今頃上杉も衝突して雪に埋まってるんじゃね?」

 

書くのがめんどいから省くけどソウゴの予想は大正解である。

 

「ねーねー」

 

「んあ?どうした子供達よ」

 

「お兄さんとお姉さんって恋人?」

 

「ファッ!?」

 

「え!?」

 

予想外の子供の質問に2人は動揺する。

 

「そそそそそそそそそそそ、そんな事ないですよ!!!ねねねねねねぇ、三玖さん!?」

 

「え、あ…………う、うん!こ、恋人とかじゃなくて………と、友達だから!」

 

「あー、やっぱり恋人なんだー!お母さんが、恋人って訊かれて焦りながら友達って答えたら大体カップル成立してるって言ってたー!」

 

「何を余計なことを言ってんだ、お母さん!!つーか、見世物じゃないんだし、さっさと散れい!」

 

「わー、雪だま投げてきたー!」

 

「逃げろー!」

 

「お幸せにー!」

 

「はいはい、どうもー!………じゃねーよ!」

 

走って逃げていく子供達。総悟は肩で息をしていたが、子供の姿が見えなくなるとやれやれ、と言いたげにため息をつく。

 

「ったく、最近の子供ってのは案外侮れねぇと言うかなんと言うか。俺と三玖が恋人とか……………ねぇ?まだ出会って1年すら経ってないのに……………ねぇ?」

 

「う、うん………」

 

三玖の顔は未だに少し紅かった。その顔を見られないように三玖は少し俯く。まぁ、顔が紅かったのは三玖だけではないのだが。

 

「………おっと、あそこにかまくらがあるな。…………ちょっと寄っていかない?四葉から隠れて休むには最適だろ」

 

「………そ、そうだね。隠れるには最適だと思うし………」

 

to be continue……




次もぜってぇ見てくれよな!


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結びの伝説 Day3 その2

明日はワンチャンお休みになるかも知れませんので、ご了承を。


「はえー、すっごい狭い…………けど、意外と暖かいな」

 

「ちょっと意外かも………」

 

取り敢えず俺と三玖はシットダウン。……………ちょっと狭すぎませんかね。けど三玖とほぼ密着状態です、ありがとうございます!

 

……ふー……………よし、チャレンジ精神!

 

「あ、あのさ。昨日の話なんだが……………昨日は軽くしか言えなかったけど、詳しく説明するとですね……………」

 

緊張の余り少し噛みそうにもなりながら、俺は昨日の件についての詳しい経緯を包み隠さず話した。その間、三玖は終始黙って聞いていた。

 

「─────と言う訳でして。要するにだ………………一花姉さんとは何も変な関係とかマジで何もないから!!ふしだらな事とかマジでしてないから!!…………って事です………何か、ほんとごめん。許してください、何でもしますから!もう土下座なら幾らでもするし靴でも何でも舐めま」

 

「い、良いよそんなことしなくて…………閉じ込められたのは事故だったんでしょ?それに、何もなかったならそれで良いし、怒ったりもしてないから…………もうこの話しはこれで終わり。ね?」

 

「………ああ……………三玖様ァ……………!!」

 

若干泣きそうになりながら言う俺が面白かったのか、三玖はクスッと笑う。久しぶりに尊いが突き刺さってきたァ!

 

「よ、良かったぁ……………って、喜ぶのもまだ早かったりするんだよねー…………」

 

「五月の事?私と同じ事を話せば分かってくれるよ」

 

「そうかな…………『問答無用です』とか言ってトゲの付いた鉄球で殺しに掛かってきたりしないかな…………」

 

「それは絶対に無いと言い切れる…………と言うか、本気でそう思ってたの?」

 

「正直に言うとですね。9割そんなことは無いと思ってるけど、1割だけガチであり得そうと思ってる……………大丈夫かなぁ………」

 

「ふふっ。じゃあ、私も一緒に五月に言ってあげる。それなら絶対大丈夫でしょ?」

 

「…………あ、ちょっと待って。三玖の優しさにガチで泣きそう」

 

『それでも男か(呆れ)』、とか『涙腺緩すぎィ!』とか思われるかも知れないけどさぁ!!もう優しさの塊の天使過ぎてヤバイんだよぉ……(小並感)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何とか涙は堪えた俺氏。男の面目は保てたと信じたい。

 

「そーいや、三玖から昨日の肝試しの感想とか聞いてなかったね。どうだったよ、肝試しは?」

 

「一言で言うと…………ソウゴはやり過ぎ。切腹」

 

「あはは……………」

 

そりゃすんません。反省はしているが、後悔はしてない。

 

「しかし……………もう今日で最終日か。早いな」

 

「初日の予定が丸々潰れちゃったからね」

 

「でもまぁ、その初日も濃かったけどね」

 

振り返ってみれば、初日は7人で泊まって階段話(聖〇士星矢)や怪談話をしたり…………2日目はカレー作ったり、肝試しで愉☆悦したり、一花姉さんと閉じ込められるハプニングやらがあったり…………そして最終日はスキーで雪だるまに衝突して、今はこうして三玖と一緒にお喋りしてる。

 

…………うん。初日だけじゃなくてこの3日間が濃すぎるネ!(白目)

 

「いやー、ほんと楽しかっ『キンタロー君、待ってよー!』………今の声って」

 

「………二乃?」

 

さらに───────

 

『あ、上杉さんみーっけ!』

 

四葉の声も聞こえてきた。どうやら挟み撃ちのようだ。

 

「(ここで四葉に捕まったらキンタローが上杉ってバレるな。中に収まると良いが………)悪いけど、さらに狭くなるぞ」

 

「まさか………」

 

そう、そのまさかよ。俺はかまくらから飛び出すと、上杉のスキーウェアを掴んでかまくらに押し込み、入り口をスノーボードの板で隠した。この間、僅か5秒の早業である。我ながらすげー。

 

『あ、二乃見っけ』

 

『って、四葉?!ねぇ、金髪の男の子をみなかった!?』

 

『見てないよ。二乃こそ上杉さんを見なかった?』

 

『あいつなんて見てないわよ。おかしいわね…………まだ近くにいる筈よ。探してくるわ!』

 

『あ、捕まったのに逃げないでよー!』

 

そんな会話と伴に2人が遠ざかって行くのをスノーボードの板の隙間から確認し、一先ずホッとする。

 

「ひ、火野…………それに三玖………助かったぜ。これ、かまくらか?お前ら2人で作ったのか?」

 

「いんや、元々作ってあった」

 

「そうか…………意外に中は暖かいな」

 

「ふ、フータロー………余り動かないで………」

 

あ!上杉の肩に三玖のボール(意味深)が当たってやがる!!……………………今からでも二乃か四葉に付き出して来ようかな。え、裏切り?ナニソレ、オイシイノ?

 

「……………悪い。暑いし少し外の空気を吸ってくるわ」

 

「そうだ、とっとと出てけ。外でネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲でも作っとけ」

 

「何だそりゃ……」

 

てかアーム2回言わなかったか、とぶつぶつ言いながら上杉は出て行った。上杉が出て行ったので俺も元いた位置(三玖の隣)に戻る。

 

「ふー……………にしても、四葉って結構運動出来るん?」

 

「うん。姉妹のなかでは1番出来る。無尽蔵のスタミナ持ち」

 

「わーお。うーむ…………どうやって逃げきろうかね」

 

俺も努力の甲斐あってかなり運動は出来るんだが………………四葉相手だとどうなんだろう?

 

「……………そうだ。四葉にはハンデを貰おうよ」

 

「ハンデ?」

 

「何か荷物を持ってもらって、足の早さを『平等』に!」

 

………ふむ。確かにそちらの方が盛り上がるだろう………………だが。

 

「…………『平等』を全否定するつもりはないけど、俺的には『公平』の方が好みだね」

 

「…………『公平』?」

 

「そう、『公平』。五つ子なんだから、三玖達の身体能力は恐らく一緒だったのだろうよ。なら、四葉のずば抜けた身体能力は恐らく本人が後天的に身に付けたものだろ?遊びまくってたとか、走りまくってたとか………まぁ、色々と全部含めて要は『努力』して」

 

「それは……そうだけど……」

 

「だからまぁ……………四葉に重しのハンデを付けるとその『努力』を否定するような気がしてな。それはちょっとなーって…………無論、全員平等が悪いとは言わない。ただ、時には『公平』だ。皆一緒の『平等』じゃなくて、各々の努力に応じた『公平』にでも行きましょうぜ?」

 

「…………………!!」

 

「つーか、ハンデなんて俺的にはいらないね。身体能力が優れてるなら頭を使って逃げ切ってやろうじゃないの、って考えると俺は超絶燃えるね!」

 

そう言ってニヤッと笑い掛けると、三玖も笑みを浮かべる。

 

「…………ソウゴらしいね。鬼がかった考え、かな?」

 

「!…………だろ?」

 

cv伊〇美来から鬼がかった、と言う言葉を聞けるとはな。中々レアじゃありやせんか?あれ、てか五等分からリ〇ロに変わってないよね?cv.石〇彰のあいつとか出てこないよね?

 

……………なーんて、冗談はさておき。

 

「そろそろ狭い空間にも飽きてきたし、外に出るか」

 

「あ、じゃあ先に外に出てて。私も電話してから行くね」

 

「オッケー。外でネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲を作ってるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

==================

 

「…………ソウゴが言ってたネオアー…………何だっけ?…………まぁ、良いや」

 

ネオなんとかも気になるけど、それよりも先にやることがある。私は電話帳から一花の名前を選択して電話を掛ける。

 

「(『平等』じゃなくて『公平』…………そう言う考え方は思い付かなかった。やっぱり、ソウゴは凄いや)……もしもし?」

 

『どうかしたの、三玖?』

 

「…………一花。話したい事がある」

 

to be continue………




総悟「え、パンドラのcvがくぎみー!?………くぎゅうううううううううううううううう!」

神様「(あ、また釘宮病を発病しやがった。治療法はないし、こいつはもうダメみたいですね)」

いやぁ、危うく作者も発病しかけましたよ、マジで。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


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結びの伝説 Day3 その3

眠いんで今日の前書きはパスで。


三玖が一花に電話を掛ける2時間前、風邪で寝込んでいる一花に五月は付き添っていた。

 

「あーあ、最終日に体調崩すなんてついてないなぁ…………」

 

「不注意が招いた事故です。日中は大人しくして反省していてください」

 

「はぁい…………五月ちゃんは私に付き合ってないでスキーしてきなよ。私も体調が回復したら行くからさ」

 

「ですが…………」

 

「…………ソウゴ君と顔合わせづらい?」

 

「………………………」

 

核心を付かれた五月は黙ってしまう。そんな五月を見ながら一花は話を続ける。

 

「まぁ、あんな事があったら無理もないか。それに五月ちゃん、あの旅館からずっとソウゴ君を警戒してたよね」

 

「………あれは一花でしたか…………まだ出会って3ヶ月しか経っていないのに、こんな事になるとは思いもしませんでした…………」

 

「ソウゴ君が悪い人に見える?」

 

「そう言う訳では…………」

 

「ソウゴ君が変わってる人に見える?」

 

「…………それは見えます」

 

やっぱそうだよねー、と一花は心の中で苦笑しながら呟く。

 

「男女の仲となれば別問題です。私は火野君の事を知らな過ぎる……………………………………………あ、それと上杉君の事も」

 

「(………あれ、もしかしてフータロー君の事忘れてた…………?)」

 

一花にフータロー忘れ去られてた疑惑を掛けられている事を当人はいざ知らず、五月は今は亡き人物(母親)が言っていた台詞を復唱するかのように呟く。

 

「男の人はもっと見極めて選ばないといけません─────」

 

「……………。確かにそうかもね。でも大丈夫だよ、五月ちゃん。あの2人は………お父さんとは違うよ」

 

一花は2人の背中を思い浮かべながらそう断言するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミニ版だが、見ろよ上杉。ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲じゃねぇか。完成度高けーな、オイ」

 

「すぐに壊せ!」

 

え、なんで?

 

「何を不思議そうな顔してんだ!どうみてもアレだろうが!」

 

「アレじゃない。ネオアームストロングサイクロンジェット………って、ああ!」

 

上杉によってネオア(以下略)は破壊された。棒(意味深)と玉(意味深)は雪へと還ってしまったのだ。

 

「あーあ…………そんなにヤバいものに見えるか?言っておくが、宮城県の仙台市の小学生が作ったNSA砲が夕方のゴールデンタイムの時間に放送されていたとある番組の提供バックで紹介されてんだぞ?」

 

「嘘付け!こんな規制や苦情殺到間違いなしの大砲が提供バックで紹介されてたまるか!」

 

いやいや、とある世界線にこんな大砲をゴールデンタイムで流したアニメがあったんだよなぁ。遠くを見ながらそんな事をしみじみと思っていると、かまくらからスマホを持った三玖が出てくる。

 

「電話終わった?」

 

「違う。スピーカー、っと………」

 

『…………ソウゴ君、フータロー君、聞こえる?』

 

この声は一花姉さんか。

 

「おう。今どこにいるの?」

 

『私も滑ってたんだよねー。そしたら少し咳が酷くなっちゃって』

 

「病人は寝てろっての…………」

 

『三玖にも言われたから、もう今から戻る所だよ。………三玖とソウゴ君が一緒にいるなら、ちょっと安心………かな

 

「え、何て?」

 

『何でもないよ。………じゃあ、3人にお願い。1人でいる五月ちゃんを見つけてあげて。ほんとは寂しい筈だから』

 

「りょーかい。心当たりがある」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれれー、おかしいぞー?」

 

「食堂に五月がいないとはな…………」

 

「2人とも失礼………」

 

うーむ。自信あったんだけどなぁ。渾身の予想が外れて少しガックリしつつも外に戻る。

 

「そういや、五月の姿を1度も見てねぇな。三玖と上杉は?」

 

「私も見てない」

 

「…………俺もだ………もしかしたら上級者コースに…………ッ…………」

 

突然上杉がクラっとして壁に手をつく。

 

「フータロー、大丈夫?汗凄いけど………」

 

「………って、お前!凄い熱じゃねぇか!!おでこめっちゃ熱いぞ!?」

 

「…………どうやら、らいはから貰ってたか………」

 

…………思い返せば、寝たいとか言って体調不良のサインを出してたな…………クソッ、気付いてやれれば良かったのに、不覚……………!

 

「すぐに戻って休んだ方が良いよ。五月は私達が」

 

「3人とも見っけ!」

 

背後から三玖に四葉が抱きつき、三玖は顔面から雪にダイブ。そういや、すっかり忘れてたな。

 

「これで後は五月だけです!」

 

四葉も五月を見付けてないのか………。

 

「おーい、こっちこっち!」

 

「まったく、私も人捜ししてるってのに………」

 

四葉に呼ばれて来たのは二乃と一花姉さん。これで五月以外は全員揃ったって訳だ。

 

「つーか、一花姉さんは何故コテージに戻ってないんですかねぇ………」

 

「ごめんごめん、四葉に捕まっちゃって」

 

「ったく……………一花姉さんとフータローはさっさとコテージに戻って休め。上杉、歩けるか?」

 

「………ちょっと待ってくれ……………四葉。五月には逃げ切られたのか?」

 

「いえ、見かけすらもしませんでした」

 

「……………事態は………思ったよりも深刻かもな…………」

 

「…………遭難か?」

 

「ああ…………その可能性がある」

 

上杉の言葉に三玖ら4人も険しい表情を浮かべる。広いゲレンデとは言え、確かにこれだけ動き回って姿すら見ないのは何かあったとしてもおかしくない。俺は懐からゲレンデのマップを取り出して広げる。

 

「五月は他のを選択したとかないの?」

 

「一花、五月はスキーに行くって言ってたんだよね?」

 

「え………うん。もしかしたら上級者コースにいるんじゃないかな?」

 

「そこは私が行ったけどいなかったわ」

 

ふむ。と、なると───────

 

「……………ここはどうだ?」

 

「え、ここって…………先生が整備されてなくて危険だから進入禁止って………」

 

「三玖の言う通り。真面目な五月に限ってその話を聞いてないと言うのは無いとは思いたいが─────ここまで見かけてないと、ここで滑った結果、事故って動けなくなってる可能性もあり得るな」

 

「!………コテージにいないか見てくる」

 

「私は先生に言ってくるよ!」

 

俺も上杉を連れてコテージに行くか、と決めた矢先に一花姉さんがマスクに覆われた口を開く。

 

「ちょっと待って。もう少し捜してみようよ」

 

「なんでよ。場合によってはレスキューも必要になるのよ」

 

「えっと………五月ちゃんもあんまり大事にしたくないんじゃないかな、って」

 

「大事って…………五月の命が掛かってるのよ!」

 

「っ…………ごめんね」

 

マジで五月はどこに行ったんだ………………さっきはああは言ったものの、真面目な五月が話を聞いていないとは考えづらいし、やっぱ何処かで俺は見掛けてたとかあるんじゃねーのか?

 

……………今日の出来事を振り返ってみるか。四葉、上杉と一緒にスキー場に来て、遅れて来た三玖と気まずい空気になって、さらに遅れて来た一花姉さんの提案で鬼ごっこをする事になって、逃げてる最中に一花姉さんから昨日の件について訊かれて、止まり方が分からなくて────待てよ?そう言えばあの時、一花姉さんは俺の名前を─────

 

『ひ、火野君─────⁉』

 

─────あの時はどうやって止まるかしか頭に無くて何とも思っていなかったが、どうやら答えはもうとっくに出ていたようだ。…………やれやれ、名探偵のコ〇ン君なら大分前に気付いてたのかね?

 

「もういいわ、私が先生を呼んでくる」

 

二乃が歩き出そうとするのを、俺は肩を掴んで止める。

 

「ちょっとあんた!まさかあんたも一花みたいな事を言うわけ!?」

 

「まさか。体は子供、頭脳は大人の小学生名探偵に遅れて、五月の居場所が分かっただけさ!」

 

「「「「「!?」」」」」

 

「後は全部俺に任せろ。皆は上杉を運んでやってくれ。さっさと五月を見付けて来るわ」

 

「………………信じて良いのよね?」

 

「とある名探偵の座右の銘を借りて言えば、『僕が良ければ全て良し』ってね」

 

「………………なら、さっさと行ってきなさい。こいつは私達で運んでおくわ」

 

「よろしくな。…………ああ、そうだ。名探偵の助手として一花姉さん。ちょっと一緒に来て手伝ってくれ」

 

「!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

====================

 

「高いのー」

 

「確かにかなりの高さだけど…………もしかして、ここから見つけるの?」

 

「そゆこと」

 

一花と総悟の2人はリフトに乗っていた。

 

「にしても、腹減ったな…………夏ならスキー場の雪にシロップをかけてかき氷で食うのにな。五月も食いそうな希ガス」

 

「…………。いや、流石にそれはないと思うけど………」

 

一花がそうツッコミを入れて前を向くと、前に乗ってるリフトのペアが肩を寄せあってイチャイチャしているのが目に入った。

 

「…………や、やっぱり止めな「あ、いたわ」………ど、どこ?」

 

総悟は下の方を指差す。

 

「ほれ、今真下を通過してるのだよ。絶対そうだろ」

 

「そ、そうかなぁ………」

 

「ほら、よーく見てみ」

 

「うーん………あれは違うような」

 

「ああ、違うね。どう見てもおっさんだし」

 

「…………え?」

 

総悟は一花の頭に手を置くと、髪の毛─────いや、カツラを取る。

 

「かくれんぼは俺の勝ちだな、五月」

 

「………………!!」

 

一花──────いや、五月は何も言わない。しかし、驚いていた。隣にいる男に変装が見抜かれるとは考えてもいなかったからだ。

 

「五月は眼鏡がないと遠くとかよく見えないだろ?」

 

「…………………」

 

「にしても、大事になっちゃったな。後で二乃辺りから怒られるだろうが、それは我慢してクレメンス」

 

「………………怒って、ないんですか」

 

「別にそうでもない。俺は懐の深い男ですからな」

 

「……………1つ、聞かせてください…………いつから気付いていたんですか…………?」

 

「最初から………………なーんて言えたら名探偵っぽくてカッコ良かったんだけどね。気付いたのはつい先程。だが切っ掛けは時を遡ること、俺が止まり方を分からず暴走する少し前─────俺を『火野君』と呼んだ事だ」

 

「!!」

 

「あの時はどうやって止まるかで頭がいっぱいだったから気付かなかったけどな。一花姉さんは『ソウゴ君』って俺を呼ぶ。あと一歩、つめが甘かったな。上杉が俺と同じ立場でも見抜かれてただろうね。いくら他人に関心が薄いあいつでも、それくらいは皆の事を絶対に知ってる」

 

「っ……………すみま、せんでした……………私、どうしても確かめたくて……………」

 

「………………………」

 

「………ひ、火野君?」

 

総悟の雰囲気が変わった事に気付き、五月は声を掛ける

 

「…………確かめる……………ああ、そう言うことね……俺って信用されてなかったのね…………」

 

「ち、違います!そう言う訳では!」

 

ネガティブな雰囲気が流れ出した総悟に五月は慌てて言うが、総悟のネガティブ化は止まらない。

 

「そうだよね、俺ってうるさいドS陰キャだもんね…………それに、昨日の肝試しだって五月を泣かせてるもんね…………女の子を泣かせるような奴を信用できないなのは当たり前だよね…………あはは…………」

 

「(火野君のネガティブ化が止まりません………!)そ、そんな事無いです!火野君の事は信頼してますよ!だって、その………………り、料理が美味しいですし!」

 

「…………そっか……………俺は料理の腕だけしか信頼されてなかったのね…………衝撃の新事実……………」

 

「誰か助けて下さいー!ネガティブ化が止まりませんー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リフトの終点に総悟と五月は到着した。

 

「おー、まだ人がたくさん滑ってるな。この中に強い奴が滑ってると思うとオラ ワクワクすっぞ!」

 

「あれ………全然ネガティブと言うか落ち込んでない…………?」

 

「当たり前だろ。この総悟君が落ち込むのはよっぽどの事態か、アニメとかの趣味が関連しないと無理だな。え?じゃあさっきのは何、だって?……………つい、からかいたくなってな。要は『からかい上手の火野さん』ってね♪…この滑ってる人混みの中にcv.梶〇貴の西片いねーかな(笑)

 

「『からかい上手の火野さん』ってね♪………じゃ、ありません!もう!」

 

「フハハ!人に散々心配を掛けたんだ!ささやかな仕返しだ!」

 

五月は頬を膨らませてからかわれた事に対して不満そうな表情を浮かべ、総悟はささやかな仕返しが出来た事に満足そう。そんな2人に話し掛けてくる影が。

 

「あ!さっき雪で倒れてた人だー!」

 

「ほんとだ~!」

 

「何してるのー?」

 

「げっ、あん時のキッズ達…………」

 

「知り合いですか?」

 

「うん…………まぁ色々と訳あり…………」

 

散々面倒な目に遭わされたキッズとの再会に、総悟はまたもや嫌な予感に襲われる。そして、すぐにその予感は的中した。

 

「あ!さっきのお姉さんと違う女の人を連れてるー!」

 

「あ、ほんとだー!」

 

「てことは……………お兄さん、浮気だー!」

 

「違うわ!!!」

 

お兄さん(総悟)、全力で否定。周りの目もあるので超全力で否定。

 

「いけないんだー!浮気をする男は最低って、お母さん言ってたー!」

 

「うん、まぁそれは確かにお母さんの言う通りなんだけども!でも、別に浮気じゃないから!!そもそも付き合ってないからね!?」

 

「そ、そうです!私は彼と付き合っていません!!」

 

「……………あ!付き合ってないって事は、結婚してるんだー!」

 

「「!?」」

 

逆転の発想とでも言えば良いのだろうか。取り敢えず、予想外の発言に2人は反応できず絶句。

 

「じゃあ、あのさっきの女の人も結婚相手なのかなー?」

 

「結婚相手が2人いるんだー!」

 

「僕知ってるー!お兄さんみたいなのをハーレムとか女たらしクソ野郎って言うんだって、お父さんが言ってたー!」

 

「おのれお父さんッ!余計なことを教えやがって!子供にはまだ早いでしょうが!」

 

「どんな教育をしてるんですか!」

 

総悟と五月で息ピッタリのダブルツッコミを入れる。

 

「息ピッタリだからやっぱり結婚してるんだー!」

 

「ハーレムだー!」

 

「女たらしクソ野郎だー!」

 

「やろぉぉおぶっくらっしゃぁぁぁ!!(野郎オブクラッシャー!!)」

 

「雪だるまを持ち上げてこっちに来たー!」

 

「潰されるぞー!」

 

「逃げろー!」

 

「ひ、火野君!?落ち着いて下さいー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、遊んでくれた(?)と言うことで3人の親と何だかんだで仲良くなって連絡先を交換してから2人はスキーで滑ってコテージに帰ったとさ。おしまい。

 

to be continue………




次回で林間学校編は完結です。長かったような希ガス。
五月の幕間の物語も絶賛執筆中です。お楽しみに。

次もぜってえ見てくれよな。


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結びの伝説 Day3 その4

林間学校編、終了です。


「……………そうですか。上杉君は安静にしているのですね」

 

「……………………」

 

色々とあってあのキッズらの親と仲良くなって連絡先を交換して滑ってコテージに帰ってきた後、上杉の部屋で荷物をまとめていた四葉から俺達がいなかった15分間の話をしてくれた。

 

「………私のせいだ………」

 

「「!」」

 

「具合が悪いのに気付かないで上杉さんを振り回して……林間学校を台無しにしちゃった……………こんなに楽しみにしてたのに…………」

 

四葉が見せてくれたのは付箋でびっしりの上杉の林間学校のしおり。これだけであいつがどれだけ楽しみにしていたのかが一目瞭然で分かった。

 

「四葉だけのせいじゃないだろ。上杉の側にいたのに体調不良に気付いてやれなかった俺にも責任がある」

 

「そ、そんな!火野さんのせいじゃありません!上杉さんに林間学校を楽しんで貰おうとして…………私が余計なことをしたから…………」

 

目に涙を浮かべて今にも消えてしまいそうな声で呟く四葉を見ていると胸が締め付けられる気がした。どうしたものかと考えていると、五月が四葉の持っているしおりを取るとページを捲る。

 

「結局のところ、上杉君がこの林間学校をどう感じてたのかは聞かないと分からないでしょう…………ですが」

 

「「!」」

 

五月はページの間に挟んでいたメモ帳を見せてくる。そこに書いてあったのは『らいはへの土産話』と称した林間学校の感想だった。そこには楽しくなかった等のネガティブな事など何処にもなく、むしろ楽しかったと書いてあるものしかなかった。

 

「『四葉と火野とやった肝試し。火野が愉悦とか言ってる意味が分かった気がする。楽しかった』…………ハハハッ、あいつもドSの要素があるな」

 

「『四葉が教えてくれたスキー。だが、四葉が止まり方を教えそびれてて色々と大変だったが楽しかった』………そう言えば上杉さんに教えてませんでした」

 

ええ、ついでに俺にもな。そーいや、五月を探す時にしおりに何か書いてたのを見たが、あれは四葉が読んだスキーの事についてだったのか。

 

「これ、本当なのかな………?上杉さん、楽しかったのかな……………?」

 

「楽しかったに決まってるだろ。こんなに『楽しかった』って連発してるんだし。四葉は余計なこと、って言ってたけどよ────ここに書いてある通り、あいつにとっては良い思い出になっていた。無駄じゃなかったって訳だな。ま、それでも不安なら今度本人でも訊いてみな」

 

「…………じゃあ、今訊いてきます!」

 

気がはえーな、おい。

 

「いや、上杉の部屋には先生がいるんじゃなかったか?さっき四葉が言ってたような」

 

「こっそり行けば大丈夫ですよ!……………あ、危うく伝え忘れるところでした。火野さんに一花から伝言があります!」

 

一花姉さんから俺への伝言?

 

「『約束(・・)、忘れないでね』だそうです」

 

「…………………ああ、その事(キャンプファイヤーのダンス)ね。ちょっと行ってくるわ。伝えてくれてありがとよ、四葉」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一花は独りでキャンプファイヤーに盛り上がっている生徒らを見つめていた。すると、後ろから『抹茶ソーダ(ホット)』が差し出される。

 

「風邪は水分補給が大事」

 

「そ、ソーダなのにホットなんだ………まぁ、ありがとね三玖……………あと、ごめんね」

 

「?」

 

「ソウゴ君とのダンス、断るべきだった。伝説のこと、三玖の思いにもっと早く気付いてあげられれば良かったのに………(そしてこの気持ちにも…………)」

 

三玖は暫く黙っていたが、やがて無言で一花を抱きしめる。一花が困惑していると三玖は自分の心中を語り始める。

 

「ずっと思ってた。私だけ特別なのはだめ。『平等』じゃないといけないって」

 

「そんなこと…………」

 

「でも、ソウゴに言われて『平等』はやめた」

 

──────『公平』にでも行きましょうぜ?

 

三玖はそう言ってくれた男の顔を思い出して微笑を浮かべながら一花に『宣戦布告』する。

 

「私はソウゴが好き。だから好き勝手にする。でも、一花達もお好きにどうぞ。……………これで『公平』だね」

 

「!」

 

「けど、私は負けるつもりはないから」

 

一花はその言葉を聞くと自然と笑みが浮かんだ。妹の力強い成長を喜ぶかのように。意図してなかったとしても、自分の想いさえも肯定してくれた事を嬉しく思うように。一花はホットな抹茶ソーダを開けて1口飲む。

 

「…………絶妙に不味い………けど、効力は抜群だね。ありがと」

 

「どういたしまして」

 

「……………お、きたきた」

 

「!」

 

「待たせたな(ス〇ーク風)」

 

やって来たのは誰であろう、三玖が好きな人物(ソウゴ)だった。

 

「もー、遅いよソウゴ君。てっきり来ないのかと思ってたよ。でも、これで約束通り三玖(・・)と踊れるね、ソウゴ君?」

 

「………………え!?」

 

「ファッ!?」

 

「ほら、だってダンスの約束は私の格好をした三玖(・・)としたんでしょ?だったら三玖と踊らなきゃ、ね?」

 

そう言うと一花はスッと立ち上がる。

 

「それじゃあ、私はフータロー君の様子を見てくるから後はお2人でごゆっくり~」

 

「ちょ、お姉さん!?」

 

総悟の声をスルーして、一花はコテージに戻って行った──────

 

「(…………上手くやりなよ、三玖)」

 

──────心の中で妹に一言エールを呟いて。

 

彼女が本格的に動き出すのは、まだまだ先のようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

===================

取り敢えず、前田氏に見つかると面倒なので三玖を連れてキャンプファイヤー場から少し離れた人目のつかない所へ移動。

 

「(てかさ………一花姉さんに俺が三玖の事を好きなのバレてね?くっつけさせられたよね、これ…………)」

 

さっきの口調的に絶対そうだろ、完全に。三玖LOVEな空気を一花姉さんの前で出した覚えはないのだが──────まぁ、良いや。一花姉さんと踊る筈が三玖と踊る状況にcv花〇香菜によって作られちまったが、ありがとよ姉さん。姉さんが作り出したこの状況を無駄にはしないし、このご恩は一生忘れないぜ。

 

「ふーっ…………………み、三玖さん?」

 

「…………うん」

 

「………俺と…………踊ってくれない………か?」

 

「……………!」

 

「え、えっと………そ、その……………や、約束してたし!?元はと言えば三玖と約束してたし!?俺は一度交わした約束を守る男だし!?あと、ダンスとかやった事ないから踊ってみたいし!?ででで、でも、伝説とか気になってたりするとか、俺と踊るのが嫌なら別に断っても良いからね!?全然落ち込んだりしないからね!?だって俺、結構長生きしてるし!?結構精神的なメンタル強いし!?あ、あとは、えっと、その………」

 

「お、落ち着いてソウゴ…………」

 

「──────はっ!?俺は何を言ってたんだ…………?」

 

好きな子をダンスに誘うとか、前世含めてもやった事がないから緊張し過ぎて、自分でも何を言っていたのか思い出せん……………一花姉さんの時はふつーに『踊らね?』って言えてたのに。一花姉さんが『like』で、三玖が『love』だからなのかなぁ…………?

 

「取り敢えず、深呼吸して」

 

「アッハイ……………スーゥ………ハァー……」

 

深呼吸を5セット繰り返すと、スーパー緊張モードから完全にいつも通りの感じに戻った。

 

「……………よーし、オケオケ。あー……………それで、アンサーを聞かせて貰っても?」

 

「う、うん…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………よ、喜んで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=================

「モキュモキュ…………楽しそうですね~、お2人とも」

 

コテージの屋根の上から、映画館で余ったポップコーンの残りをおつまみにして総悟と三玖が踊るのをGOD様は見ていた。

 

「まぁ、これで三玖ちゃんと結ばれる……………なーんて展開も王道的で良い。けど、僕の見立てでは他の子と結ばれる可能性(・・・・・・・・・・・)が現時点ではまだあるんだよねぇ」

 

神様は残っていたポップコーンを一気に自分の口に流し込んで飲み込むと、ポップコーンの入っていた容器を消滅させて立ち上がる。それと同時にフィナーレのカウントダウンの声が聞こえてくる。

 

「結びの伝説なんて関係ない。恋なんてものは伝説が決めるんじゃなくて、自分の手で切り開かれるものだからね。前世からの推しの三玖と結ばれるのか、それとも心変わりがあって別の子(・・・)に惹かれていくのか──────どちらにせよ、君の恋路のゴールがどうなるのか楽しみだネ!」

 

ニヤリと不敵な笑みを残して神様はその場から消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

==================

《ダンス終了後》

 

「あー、楽しかった!何かアレだな。最初の方は『女子と手を繋いでダンスしちゃってるー///』的な感じの事を考えてたけど、慣れりゃ大した事はないな、うん」

 

「うん。私も同じことを思ってた。楽しかったし、また機会があったらやりたい」

 

「そっか」

 

意外と乗り気ですな。あれ、と言うか……………………結びの伝説によるとこれで結ばれる確定…………………?

 

「…………いや、そりゃないか」

 

「え?」

 

「いーや、何でもないよ」

 

ロマンではあるけど、やっぱり改めて考えてみると三玖や上杉も言っていたように非現実的だし、恋ってのは自分の手で切り開いていくもの。三玖と付き合えるかどうかは、今後の俺の行動次第か。伝説を非現実的と言っていた三玖は今回踊ったところで俺に恋心的なのは抱かないだろうし、猛アタックあるのみだな!

 

「……………月が綺麗だね」

 

「え?あ、うん。そうだね」

 

……………残念、知らなかったかぁ。

 

to be continue…………




別に一花は総悟が三玖の事を好きなのを知らないのに、総悟が盛大に勘違いしてます。正確には一花は三玖が総悟の事を好きなことしか知らないんですけどねぇ。まぁ、言い方的にそう思っても仕方あるまい。許してやってくれ。

さぁ、漸く三玖が総悟の事が好きなのを自覚。改めて、互いに互いの事が好きな状態になりましたね。ここからくっつくのにどんくらい時間が掛かるのやら。あらかじめ言っておきますけど、そんなにすぐにはくっつかんですよ。すんませんね。

そして一花姉さん含めた他の4人達との恋の発展はあるのでしょうかねぇ……………?

今回もこんな駄文を読んでいただき、ありがとうございました!

明後日、五月の幕間物語を投稿です。幕間は54321の順で行く予定ですのでお楽しみに。


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第5巻
そうだ、お見舞い行こう


お待たせしやしたー。シン・エヴァ、公開日決まりましたね。夏だと予想してたんで外れて嬉しいですわ。



林間学校も終わり、授業のあるいつもの日常に戻った。上杉は入院する事になってしまったので、その間は俺1人で5人の面倒を見ていた。

 

「いやー、1人減っただけでここまで大変になるとは……………上杉、早く戻って来てくれー」

 

上杉がいなくても授業の質が落ちないようにする為に結構頑張ってるので、俺はお疲れなのだ。

 

「星奈さんに手伝って貰うとかは出来なかったの?」

 

「それがですねー、三玖。星奈さんは今、有給で旅行に行ってて不在なんだよねー……………二乃、今ホッとしただろ?」

 

「………べ、別に何とも思ってないわよ」

 

うん、ホッとしたな(確信)

 

「……………そーいや、明日は俺がいつも買ってる漫画雑誌の発売日か。上杉が入院してる病院の中にコンビニがあったし、そこで買うついでにちょっと顔を見せてくるか」

 

「…………あ、私達も明日フータロー君の入院してる病院に予防接種を打ちに行くから、そのついでに私達もお見舞いに行こうかな」

 

「よ、予防接種!?」

 

「明日なんですか!?」

 

予防接種と聞いて二乃と五月が動揺する。

 

「何だ、2人とも高校生にもなって注射がそんなに怖いんか?痛みは一瞬だろ。今時は小学生でも『注射?なにそれ、おいしいの?』的な感じで怖がらない奴もいるってのに」

 

「だとしても、痛いのは嫌なのよ!」

 

「うぅ…………どうにかして回避する方法はないのでしょうか…………」

 

「(回避する方法なんて)ないです」

 

ちなみに俺は予防接種を受けると、逆に風邪とかインフルに掛かりやすくなる法則があるので打たない男である。この2人と違って断じて別に注射が嫌いとかではない。一緒にすんじゃねぇぞ(辛辣)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後

 

5人と一緒に病院に来た俺は中にあるコンビニで漫画雑誌を買った後、上杉の部屋に早速お邪魔に行くかー、と考えていたら三玖がやって来た。

 

「ソウゴ、二乃と五月を見てない?」

 

「見てないけど…………一緒にいたんじゃないのか?」

 

「…………逃げられた。不覚」

 

「えぇ…………(困惑)」

 

注射が嫌すぎて逃げ出す奴なんて始めて聞いたぜ。2人はほんとに高校2年生なんですかねぇ………?

 

「私は一花と四葉と一緒に探してるから、見つけたら教えてね」

 

「オッケー」

 

見つけ次第、容赦なく通報してやんよー………と、無慈悲に考えていたが、上杉の部屋に着くまでの道程で探してみたが何処にもいなかった。

 

「案外こいつの部屋にいたりしてな………失礼すっぞ、上杉ー」

 

「ん?何だ火野か。見舞いに来てくれ………いや、その雑誌を買いに来たついでか」

 

背中に隠したが時既に遅しだったかぁ。

 

「あっ、そうだ。忘れない内にお前が休んでいる最中の学校のプリントを渡しとくわ。お前と唯一の友達なんだろって事で預けられたからよ」

 

「サンキュ」

 

にしても、学校のティーチャーはよく知ってんな………教師の情報網、恐るべし。

 

「で、調子はどうよ?」

 

「もう少し入院が必要らしい」

 

「そうかー……………あ、そういや1つ聞きたいんだが、ここに「上杉さん!ここに二乃と五月が来ませんでしたか?」……四葉ェ………」

 

四葉に台詞を奪われました。何か屈辱ぅ。その後ろには一花姉さんと三玖もいた。

 

「やっほー。久しぶりだね」

 

「意外と元気そうだね」

 

「一花に三玖も…………ったく、誰が来いって言ったんだっての………」

 

と、言いつつ何処か嬉しそうに見えるのは気のせいですかねー。

 

「む!この部屋から二乃の臭いがします!くんくん………」

 

「あいつ、そんなに体臭キツいのか。かわいそうに」

 

………………おびきだしてみるか。

 

「お前は完全に包囲されているー。大人しく出てきなさーい。いつまでゴリラみたいなおっさんの体臭をこの部屋に撒き散らすつもりだー」

 

「誰がゴリラみたいなおっさんの体臭よ!香水の臭いだっての………あ」

 

自分の失態に気付いた時にはもう時既に遅し。バカめ、スルーすれば良かったものを思わずツッコミを入れに出てきて自爆するとは草が生えるぜッ!

 

「二乃、発見ー!」

 

「し、しまった………!」

 

「ツッコミキャラだからね、反応しちゃうのもしょうがないね」

 

「ツッコミキャラじゃないわよ!」

 

「じゃあ、二乃が見つかったところで私達も行くね」

 

「フータロー、早く元気になると良いね」

 

二乃を連行しながら 、一花姉さん、三玖、四葉は部屋から出ていった。滞在時間は2分。早えーな、おい。

 

「…………ったく、嵐のように来て嵐のように去っていきやがった…………ん?」

 

「どったの?」

 

「いや、何か……………熱がいつの間にか下がったような…………」

 

「俺らがお見舞いに来てくれた嬉しさの余り治ったんじゃね(適当)」

 

「…………さーな。もしくは、今来たお前らに風邪を移したから治っただけだったりしてな」

 

「ハッハッハ!もしそうだったら、ぶっとばすぞ?」

 

「笑いながら物騒な事を言うのはやめろ!入院期間をさらに延長させる気か!…………ちょっと、診て貰いに行ってくるわ。明日で退院出来たりしたら良いんだが」

 

そう言うと上杉は診察室の方へと向かって行った。暇だし診察結果を聞いてから帰るかー、と決めて漫画を読んでいると10分後に何故か看護師に押されて上杉が帰ってきた。

 

「ほら、安静にしておく!そうしないとまた悪化して明日に退院出来なくなるぞ!」

 

「あ、はい…………裏切り者ってどう言うことだ………?」

 

ちょっとそれについてはよく分からんが、まぁ良いや。

 

「それよりも、明日退院だって?」

 

「ああ。これで漸く学校に行ける。…………にしても、まさか予防接種のついでだったとは、あいつら………」

 

「ははは。ま、何はともあれ良かったな」

 

その後、考え事でもしてるのか暫く上杉はベットで目を瞑っていた。明日退院するのが分かったし帰ろっかなー、なんて思ったが漫画があと少しで全部読み終わりそうなので、読み終えてから帰ることに決めた。ラスト1個の漫画を読もうとした時、上杉が口を開いた。

 

「…………にしても、どこかで見覚えがあるんだよな、あの人………」

 

「あの人?」

 

「俺を診てくれた先生の事だ」

 

「へーそーなんだー」

 

「全然興味なさげだな………」

 

「前に俺がアニメの話をした時、お前もこんな感じの対応だったぞ」

 

まぁ、人間ってのは興味ない事に対してはそんなもんだろ。……………よし、読み終わったし帰ろ………って!

 

「……………おい、上杉。左見ろ」

 

「へ?……………あっ!」

 

そこにいたのは五月────別にさほど驚くことではなのだが、何故か上杉は驚いていた。まるで、唐突に初恋の人(・・・・)とか恩師に再会したような反応をしていたように感じたが───────

 

「……………なんだ、五月か。驚かすなよ」

 

「そ、それはこっちの台詞です!そもそも、お2人は何故私に気付かないんですか!」

 

──────気のせいか。

 

「俺は漫画を読んでいたから1ミリも気付かなかったわー。てか、四葉達が捜してたが?」

 

「な、何の事でしょうか…………」

 

おい、しらばっくれんじゃねぇ。

 

「そ、それよりも!今日は上杉君に尋ねたいことがあって来ました」

 

あ、話題を強制的にすり替えやがった。

 

「教えて下さい──────あなたが勉強をする理由を」

 

「勉強は学生の性分だから。終わり」

 

嘘つけ、絶対他に理由があるゾ。それだけの理由だけで、異常に思えるほどあんな熱心に勉強に取り組むとは思えないゾ。

 

「ジーッ─────」

 

五月は上杉をジーッと見つめている。これは─────

 

「あれか?話してくれるまで見つめます作戦的な?」

 

「ええ、その通りです!」

 

「なら、俺はお前が諦めるまで見つめるとしよう!」

 

上杉も対抗してか五月を真っ正面から見つめ合う。はたから見れば仲良しカップルに見えなくもない。と、そこへ看護婦2人が通り掛かる。

 

「熱いね~」

 

「恋人同士なのかな~?」

 

「そうだよ(肯定)」

 

「やっぱり!」

 

「お幸せに~!」

 

「いや、違いますから!」

 

「火野君!」

 

めんご めんご。そして観念したのか、上杉はついに語り始めた。

 

「…………はぁ…………あれは5年前の京都での事だ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上杉の話を原文のまま話すとこうだ。

 

小学校の修学旅行の自由行動の時、色々とあって独りになって黄昏てたら盗撮犯と間違えられてたところ、色々とあってカメラを渡すのを躊躇してたら知らない女の子が無実を証言してくれた直後、将棋星人が攻めてきて地球は爆発したとかしなかったとか。

 

「……………こうして、俺の修学旅行は終わった」

 

「なんですかそれ!」

 

「所々誤魔化しすぎだろ!色々とあってを2回も使って面白そうな場面を省いてんじゃねーか!」

 

「は、話すと長くなるから省いて良いんだよ(言えねぇ………初恋の同級生を盗撮してたとか絶対に言えねぇ………)」

 

「地球はどうなったんですか!?将棋星人は!?と言うか、その先を知りたいのに!」

 

「いや、何で五月は将棋星人を信じてんだよ…………」

 

ガチで将棋星人が攻めて来てたとしたら、ワンチャンお前らはここにいないぞ。

 

「話すとは一言も言ってねー。つーか、話したくない」

 

「と言いつつ、全部が嘘には聞こえなかったが?」

 

「……………代車のお礼だ」

 

…………なるほどな。

 

「とにかく、今のあなたと昔のあなたが大きく違うことは分かりました。その子との出会いがあなたを変えたんですね」

 

「さぞロマンチックな出会いがあったんですな」

 

「そんなもんじゃねーよ」

 

「……………私も、あなたみたいに変われるでしょうか………もし出来るなら、変わる手助けをして欲しいです」

 

そして、五月は俺の事も見据えながら言った。

 

「あなた達は、私達に必要です」

 

五月からはっきり俺達が必要と言ってくれるとは。最初の頃は絶対に言わなかっただろうに。そう言う意味では、五月はもう変わったな。

 

「…………俺達に教わってどうにかなるのか?平均29.6点」

 

「うっ……………どうにかします!見てください、昔持っていたお守りを引っ張り出してきました!」

 

「まさかの神頼み…………」

 

…………おーい、神様。頼まれてんぞー。何とかしてやればー。

 

『You〇ube見るのに忙しいから自分で何とかしてー』

 

動画見たいから却下らしい。断る理由がしょうもない……………。

 

内心呆れていると、上杉が体を起こして五月の持つお守りを指差す。

 

「…………それって何処で買ったんだ?」

 

「これですか?買ったのか貰ったのかは記憶が曖昧ですが……………京都で5年前に」

 

京都で5年前──────上杉がその子と出会ったのも京都で5年前──────あれ?これって偶然?もしかして?

 

「まさか……実は出会「あ、五月!ここにいたんだー!」……また四葉ェ………」

 

今度は台詞を遮られましたよ…………。ついでに、五月の逃〇中もゲームオーバーのようだ。

 

「五月!どうせ打たれるなら、あんたも道連れにしてやるわ!」

 

「い、嫌ですぅぅぅぅぅぅぅ!」

 

五月、道連れ狙いのハ〇ター(二乃)によって確保。連行されて行った。捕まったので賞金は0円だ(元からないけど)

 

「……5年前…………京都…………偶然だよな………?」

 

「…………さーね」

 

恐らく上杉が5人の誰かと会っていたのは確定だろう。幾多の漫画やラノベ、アニメを見てきた俺の第六感がそう告げている!これは原作でも謎解き要素だったのだろう。

 

「(けど、今までの5人の対応を見る限り京都で出会った子…………略して京都の子は上杉と会ったことを忘れてる…………もしくは忘れたフリをしてるのか?)」

 

忘れたフリをしてるなら、何故そんな事をしてんのって疑問は残るが──────まぁ、いずれ全てが分かる時が来るのだろう。漫画とかで言うなら伏線回収ってやつだ。

 

「……………よし、俺は帰るわ。ああ、それと。もし俺に風邪をうつしてたらぶっ〇す」

 

「さっきよりも過激になってるじゃねぇか!」

 

to be continue………




おまけ

お見舞い4日前

五月「教えて下さい。あなたが勉強する理由を」

総悟「うーん………まぁ、アニメとか漫画ばっかり見てても飽きるから、気分転換にかなー」

五月「……………どうしてでしょうね。不思議とそんな理由な気がしてました……………」

総悟「テヘッ♪」

本日も読んでいただきありがとう!


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火野少年の事件簿

元々、タイトルは『名探偵(?)と5人の容疑者達』ってやつだったんですけど、投稿直前に思い付いたのが上のタイトルです。


退院した翌日から上杉が家庭教師に復帰する事になったので、今は俺と一緒にマンションに向かってるなうである。

 

「いやー、良かった良かった。マジで1人で5人見るのは中々にキツかった…………」

 

原作ではたぶん上杉1人で面倒を見てるんだろうし 、ほんと凄いよな。

 

「俺がいない間、ちゃんと教えてたんだろうな?まさかずっとアニメや漫画を仲良く鑑賞してたとかはないだろうな??」

 

「お前は俺をなんだと思ってるんだ」

 

給料を貰ってる以上、そんな事をする訳がないだろうが!

 

「安心しろ。お前がいない間、この総悟君はめっちゃ頑張ってたんだからな。事件も何もなく家庭教師の使命を全うし…………………いや、強いて言うなら1つ事件があったな。もう解決済みだけど」

 

「事件?」

 

「お前が退院する3日前の出来事なんだが─────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

==================

 

「あー眠い…………久しぶりにとある科学の超〇磁砲を寝落ちするまで見てたから眠くてしょうがねぇ………」

 

玄関で靴を脱ぎながら呟く俺氏。昨日は何時に寝たのかすらもう分からん。ただ、明日は家庭教師の仕事があると言うのに見たのは失敗だったな。まぁ反省はしてるが、後悔はしてない。

 

「ふあぁぁぁ…………やー、諸君。頼りがいのある学園都市第1位の男が来……………ま」

 

「………………!」

 

バスタオル姿のお風呂あがりの誰かに遭遇。ふむ……………これはアレだな。良いものを見させて貰いま

 

「変態!」

 

「ペプシ!?」

 

テレパシーで心の内を読まれたかのように、そう罵られながら持っていた紙袋を投げつけられて顔面直撃。学園都市第1位じゃないので反射しなかったのは言うまでもない。紙袋が顔面に当たって床に落ちると、中から紙が5枚出てくる。

 

「ん?………って!?」

 

紙を見た俺はさっきの誰かがいた方を向くが、もうそこには誰の姿もなし。逃げられた後、と言うやつだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10分後、俺は5人を緊急招集。さっきの事を全部話した。

 

「────と、言うわけだ。この中の誰かが俺の顔面にぶん投げた袋の中に入っていたのは、先日俺が課題で出した、しかもご丁寧に名前の破られた小テストだった。採点してみると5教科全部0点と言うね」

 

バスタオル姿だったのに加え、声も聞き逃してたので誰なのか分からなかったんだよなー。声をちゃんと聞いてれば分かる自信があったんだけどなぁ…………べ、別に良いもの(意味深)を見るのに夢中だったから聞きそびれたとかじゃないからな?(震え声)

 

「さぁ、犯人は素直に自首しなさーい」

 

「「「「「……………」」」」」

 

…………無言。誰も名乗り出ない。

 

「名乗り出ないなら、犯人は四葉って事で、適当に見繕うぞー」

 

「当然のように私が疑われてる!私は全教科0点なんて取ってないですって!適当に見繕わないで下さいー!」

 

本当ですかねぇ……………はっきり言うと、四葉が1番勉強が出来てないので犯人の最有力候補なんだが。

 

「あの時に見分けられてればもう解決だったんだが、出会ってまだそこまで経ってないからか、顔だけじゃまだ見分けられないんだよなぁ…………ユー達はよく判別がつくな」

 

「そりゃそうよ。こんな薄い顔なんて三玖しかいないわ」

 

「こんなうるさい顔は二乃しかいない…………薄いってなに?」

 

「うるさいってどういう事よ!」

 

「ええい、喧嘩はやめい!」

 

にしても、三玖が薄いとは失礼しちゃいますよ。まぁ、二乃がうるさいのは否定しないが(おい)

 

「火野さん、良いことを教えますよ。お母さんが言ってました。『愛』さえあれば自然と分かると!」

 

「『愛』ね…………」

 

俺はまだ『愛』が足りないって事なのかー。なら───────大地よ、海よ。そして生きている全てのみんな………。このオラに、ほんのちょっとずつだけ『愛』を分けてくれ…………!!

 

『元〇玉』ならぬ『愛玉(ラブボール)』──────つまらんジョークはさておき。

 

「あ、そうだ。ほくろで見分けられるよ」

 

おお!三玖さん、そりゃお手軽ですな。

 

「どこにあるんだ?」

 

そう尋ねると、何故か三玖はソファーに寝転がる。

 

「え、えっと…………ソウゴになら見せても………」

 

え。まさか、ほくろがあるのって────?

 

「ダメです!そもそも犯人のほくろを見てないと意味がないでしょう!」

 

「…………確かにぃ」

 

五月が余計なゲフゲフン………正論で止めてくれた。確かに姉妹がいる所では色々と不味いからね、しょうがないね……………………はぁ………。

 

「ソウゴ君、実はね………私たちには隠された6人目の姉妹…………六海はいるんだよ。彼女が犯人かも」

 

「……………へぇー。で、どこにいんの?」

 

「それはこの家の誰も知らない秘密の部屋に!…………そ、ソウゴ君?指を鳴らしながらどこに行こうとしてるのかな……?」

 

「秘密の部屋ってのは壁をぶち抜いた先にあるのが鉄板だからな。今から一花姉さんの部屋の壁をぶち抜いてくるわ」

 

「ま、待って!六海なんていないから私の部屋を穴だらけにしないで!」

 

閑話休題(茶番はさておき)

 

「結局、有力な手掛かりはこの答案か」

 

一花姉さんならもっと雑だろうし、二乃はファイリングしてるらしいから四つ折りにはしないだろうし、三玖よりは字が上手くなくて、四葉より漢字が書けていて、五月なら消ゴムで誤字を消すだろうし…………うーん、一貫性が皆無。あー、もう!

 

「犯人捜しが面倒になったので、元々今日やる予定だった確認テストで犯人を見繕う事にしたっ!内容はこの小テストから全部出てるから、これが解けなかった奴を犯人に認定&罰ゲームとする!」

 

「ば、罰ゲーム!?」

 

「そんな無茶な!」

 

四葉と五月が何か言ってるが、知らん!

 

「ついでに解くのが一番遅かった奴も犯人に認定!はい、スタート!」

 

「わーっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

================

 

「(ふっふっふ…………追い詰められたね、ソウゴ君)」

 

五つ子たちがテストを解いている中、心の中で笑っている人物がいた。その人物────否、犯人は一花。バスタオル姿を見られて袋を顔面に直撃させたのも彼女である。

 

「(あの時はびっくりして追い返しちゃったけど………逆にそれが功を奏したみたいだね。みんなに悪いけど、さっさと終わらせよっかな)」

 

テストを解いている姉妹たちを見ながら、一花は答案を5人の中で1番の速さで埋めていく。

 

「(小テストの時は油断しちゃったけど、私だってやればできるんだから)」

 

そして最後の答えを埋めようとした時、一花は鋭い勘で総悟の意図に気が付いた。

 

「(…………そうか、筆跡!何食わぬ顔で筆跡を比べようとしてるんだ!危ない危ない…………)」

 

一花は消ゴムで消してから筆跡を変えて答案を書き直した。これで完璧、と一花は確信して声を挙げる。

 

「はーい、一番乗り!(あの短時間で髪を乾かせるのは私だけ。服を着る余裕はもう少し欲しかったけど…………君はフータロー君よりはちゃんと女の子を見ているけど、今回は君の敗けだね)」

 

「ふむふむ………」

 

総悟は渡された答案を眺めて頷く。そして次の瞬間、とんでもない速さで自分のリュックの中に手を突っ込み─────

 

ピコッ

 

「犯人見っけ」

 

一花はピコピコハンマーで頭を叩かれていた。

 

「な、なんで…………?筆跡だって変えたのに…………」

 

「こ↑こ↓」

 

総悟が指差したのは数学の問題のb=5と書いてある所だった。

 

「筆記体でbと書く生徒が(一花)いるのはちゃんと知ってましてねぇ……………筆跡を変えたようだが、ここを直さなかったのは爪が甘かったな!」

 

「や、やられた~!」

 

「アーッハッハ!」

 

勝ち誇った総悟はピコピコハンマーで肩を叩きながら高笑いをあげた。

 

「あのー、私達も終わりました」

 

「お疲れさん。一応見ておきましょうねー」

 

総悟は渡された答案を眺める。見ている内に何かに気付いていった総悟の顔がひきつっていく。

 

「…………五月の平仮名の書き方、三玖の『4』…………二乃の門構え…………四葉の送り仮名の間違い…………犯人のと同じですねぇ…………?」

 

先程、犯人は一花と述べたが────正確に言うなら一花は犯人の1人である。即ち

 

「オイィィィィィィ!!1人ずつ0点の犯人じゃねぇか!!」

 

「「「「「……………」」」」」

 

総悟のツッコミに5人は一斉に目を逸らす。

 

「何してんのよ一花、こいつが来る前に隠す約束だったでしょ」

 

「ごめーん」

 

「隠そうとすんな!成敗!」

 

ピコッ、ピコッ、ピコッ、ピコッ、ピコッ!

 

何故か一花もまた叩かれ、残りの4人にも総悟による超高速ピコピコハンマー叩きによる罰ゲームが執行された。ちなみに、三玖だけこっそり他の4人よりは優しくしていた。何らかの補正()が入ったのだろう。

 

「よくも0点のテストを隠したな!怒ったかんな~、許さないかんな~!今日はみっちり復習だかんな~!」

 

「何かキモいわね」

 

「シャラップ!!」

 

ピコッ!!

 

二乃のストレートな───でもまぁ、あながち間違いとは言えない発言が刺さった総悟はさっきより少し強めにピコピコハンマーで頭を叩くのだった。

 

その後、総悟によって全員まとめてみっちりスパルタ指導で復習させられたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

==============

 

「────とまぁ、そんな事があった訳よ」

 

「ったく、あいつら………」

 

「ま、みっちり復習したからもう大丈夫だ。と、そんな話をしてる間に到着っと」

 

オートロックで中に入り、エレベーターで最上階まで上がって突撃する。今日もちゃんと全員揃っていた。

 

「喜べ、今日から上杉が復帰だぞー」

 

「上杉さん!もう大丈夫なんですか?」

 

「心配するな、四葉。もう完全に治った。じゃあ授業を始める………………前にだ。お前らに1つ聞きたいことがある」

 

お、何かなーと注目していると、上杉は予想外の質問を繰り出した。

 

「この中で、昔俺に会ったことがあるって人ー?」

 

「「!」」

 

この前の病院での話を知っている俺と五月はその質問の意図がすぐに分かった。さぁ、誰か手を─────

 

…………しーん。

 

──────挙げない。多分いる筈なんだけど。会ったことを忘れてるのか、それとも忘れたフリ(・・)をしてるのか─────。

 

「…………そりゃそうか。そんな都合よく近くにいる筈がない。そもそも、お前らみたいな馬鹿があの子な訳ねーわ」

 

「ば、馬鹿とはなんですか!」

 

辛辣ぅ。五月がそう言うのも分かる。ストレート過ぎるからね、しょうがないね。

 

「間違ってねーだろ。火野から聞いたが、全員テストで0点を取って隠そうとしてたらしいな?」

 

「「「「「……………」」」」」

 

あ、また目を逸らした。俺にとってはデジャブな光景だが。

 

「俺が復活したからにはもう0点なんて取らせねーぞ。次の期末試験に向けて、授業を始めるぞ!」

 

教師2人に生徒5人─────久しぶりにいつもの光景が戻ってきた。うん、やっぱいつもの光景ってのは良いもんだネ!

 

to be continue………




おまけ

総悟「ジッチャンの名に懸けて、美食王に!!!俺はなる!!!!」

神様「色々と混ってんなー」

今日もこんな駄文を読んでいただき、ありがとうございました!

シン・エヴァがもうすぐ公開!やったやったー!


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勤労感謝ツアー 総悟の場合

花粉が……………花粉症が辛い…………。


「明日は勤労感謝の日………星奈さん、喜んでくれると良いけどなー」

 

いつも色々とお世話になっている星奈さん。趣味が読書なので、1週間前に面白そうな小説を調べてポチっとネット注文で買っておいた。既に品物は届いており、後は明日渡すだけ。

 

「明日、星奈さんは10時から上杉の家でらいはちゃんとクレープ作りをするらしいから、その時にサプライズで行って渡『~♪』……おっと、電話が。誰から………だ!?」

 

画面に出てきていたのは三玖の名前だった。ちょっと待って、電話に出る前に深呼吸を2回させて………………………………………………………よし。

 

「………もしもし?三玖、こんな夜にどったの?」

 

何か解けない問題でもあってそれを訊いてきたのかなー、なんて予想していたのだが──────

 

『ソウゴは明日って何か予定入ってる?』

 

「明日は午前中にいつもお世話になってる星奈さんにサプライズでプレゼントを渡す以外は特にないかなー」

 

『……じゃあ………明日、それが終わったら一緒に出掛けない?』

 

フアッ!?マジですか!

 

『明日は勤労感謝の日だから、いつもお世話になってるソウゴに何かお礼が出来ないかと思って……………』

 

ああ、なるほど…………。人からお礼をされるのは普通に嬉しいが、三玖からのお礼となると超スーパーウルトラダイナミックアルティメットメテオスターバースト(以下略)嬉しいッ!!

 

「……じゃあ、明日は何処かに出掛けよっか」

 

『!…い、良いの?』

 

「全然ええでー」

 

寧ろ大歓迎ですッ!!そもそも断る理由もないッ!!

 

「じゃあ、明日は10時半に駅の近くの公園に集合って事で良いか?」

 

『うん、大丈夫。それじゃあ、おやすみ』

 

こうして通話終了。通話が切れた瞬間、俺はベットにダイブして足をバタつかせる。

 

「アカン!!マジか!!明日、三玖とお出掛けやー!!今日寝れるかなー!!ヒャッハー!!ホワチャー!!」

 

以上、くっそうるさい咆哮をあげながら悶えて騒ぐ俺氏でした。ほんと楽しみすぎてよく寝れんかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(さ………誘えちゃった!明日は2人きりでデート………!今日、ちゃんと寝れるかな………?そうだ、寝る前に何処に行くか決めておかないと…………何処が良いんだろう?ソウゴが好きそうな所……………)」

 

後に聞いたのだが、咆哮はあげずともこちら(三玖)も同じくベットで足をバタつかせて悶えていたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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翌日AM10:20

 

「………ふー、着いた着いた」

 

どうやら公園には俺が1番乗りのようだな。三玖は………まだ来てないか。

 

「よし、来るまで昨日買った新刊のラノベを読むとすっかー」

 

それにしても、心地よい風が吹く公園のベンチに座りながら本を読むのも、たまには悪くないだろう。ヒュ~。

 

「さて…………………あれ、出だしの文見覚えあるぞ……………って、このラノベ最新巻じゃない!」

 

………三玖とお出掛けすることに気を取られて珍しいミスをしてしまったらしい。それほどお出掛けが楽しみすぎたのだな、俺は。

 

「やれやれ………しょうがない男だなー、総悟君は」

 

そう言いながらベンチの背もたれに深く寄っ掛かりながら延びをした。その拍子にベンチの足が地面から浮き──────―

 

「アラー!?」

 

どこぞのハンバーガーチェーン店のピエロ道化師のような声をあげながらベンチごと後ろに転倒した。公園にいた子供が笑っているような声が聞こえる気がするが、幻聴ってことにしておくZE☆。

 

「だ、大丈夫……?」

 

俺の顔を覗き込んできたのは俺を笑ってた子供―――――――――――などではなく。まぁ正直言うと子供であって欲しかったのだが、残念ながら覗き込んでいたのは三玖だった。

 

「…………どこから見てた?」

 

「…………叫びながらベンチごと倒れるところから」

 

………うん…………あのー……………俺は三玖に恥ずかしい醜態を見せやすい呪いでも掛けられてんの!?前回は藤〇竜也で、今回は某D社じゃない方のド〇ルド!!どんだけ三玖に恥ずかしい所を見せなきゃならんのだ!!マジで近いうちにお祓い行こうかな!!

 

「ふーっ…………………まーた、みっともない姿を見せちまったがこれは無かったって事でよろぴく………………それで、何処に行く?」

 

「………ソウゴって肩とかこってたり、疲れとか溜まってない?」

 

「んー…………確かに肩こりとか疲れはあるかもねー。まぁ、カテキョが原因と言うより漫画やアニメの見すぎなだけな気がするが………」

 

「(………やっぱり。予約して正解だった)………じゃあ、着いてきて」

 

何処に行くんだろう?肩こりとか疲れとか言ってたが…………温泉とかかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=================

 

「ソウゴ、どう?気持ち良い?………あと、こっちは見ちゃダメだからね(………流石にちょっと………まだ無理………)」

 

「あ゛あ゛………効゛く゛う゛…………」

 

小さなランプの暖かい光が照らす部屋で私達はスパのマッサージを受けていた。ソウゴは初体験らしく中年男性のような声をあげていた。

 

「ああ……最高か………ここが全て遠き理想郷(アヴァロン)だったのかぁ…………グランドなクソ野郎のお兄さんが塔から手を振ってるよう……………」

 

ふふっ。よく分からない言葉が出てきたけど、喜んでくれてるのは伝わってきたので何より。

 

「…………三玖はここの会員だっけ?」

 

「うん。ここのスパはお気に入りなんだ」

 

「良いところを見つけたねぇ………あ゛あ゛……また来たいのう……………」

 

「(中年からさらに老けて、おじいさんみたいな口調になってる………)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、マジで疲れが取れたぁ!危うく途中で幽体離脱するかと思ったぜい!」

 

「良かった、喜んでくれて」

 

「マジでありがと!今ならマッハ20で上海まで行けそう………………お、もうお昼時かー。時間が経つのは早いことで」

 

お昼……………ソウゴはどんなご飯が好きなんだろう?それを尋ねてみると───────

 

「好きなご飯?んー……………正直に言うと、『美味しければ何でも良いネ!』的な感じでして」

 

……………なるほど。その点、五月と似てる気がする。じゃあ、昨日ネットで調べておいた男の子が好きそうなご飯とか、ここら辺のお店の評価を統合して決めた所に予定通り行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やって来たのはラーメン屋さん。私とソウゴは2人席に案内された。

 

「ほおー……………こんな所にラーメン屋さんがあったんだ。全然知らんかった。しかし、人気だねー」

 

「まだ開店してから2週間しか経ってないんだけど、口コミで広まって人気が凄く出たらしいよ」

 

「へー………五月とか開店初日に来てたりして」

 

「あり得そう」

 

そう言って2人で笑い合う。まぁ、後に本当に開店初日に来ていたことが判明するけど、それは別の話。私は醤油ラーメン、ソウゴは味噌ラーメンを注文した。届くまでの間、私達は雑談話に花を咲かせていた。

 

「もうすぐ11月が、と言うか今年が終わるねー」

 

「うん。今年は色々とあった」

 

学校を転校したり、ソウゴが家庭教師になったり…………あ、フータローもだった。林間学校も楽しかったな。楽しい思い出を沢山作れたし。

 

「あと1ヶ月でクリスマスか………クリスマス=性なる夜(ボソッ

 

「え?何か言った?」

 

「………何でもないですぞー (リア充爆破しろ!………なーんて、言えるのも今の内だったりして。三玖と付き合いだしたら言われる側になるもんなー……)」

 

何か言ってたような気がしたんだけど…………気のせい?

 

「クリスマスと言えば…………去年は南の島で弾丸冬忘れツアーだった」

 

「クリスマス感を微塵も感じないな………」

 

「一昨年は北の島で超ホワイトクリスマス」

 

「修行にでも行ったんか………」

 

「……………でも、場所とかはそこまで重要じゃない。お母さんが言ってた。『大切なのはどこにいるかじゃなく、5人でいること』って」

 

「5人でいること、か。良いこと言うじゃん、お母さん」

 

そこへ注文したラーメンが来たので、いただきますと手を合わせて私とソウゴも食べ始める。ラーメンはそこまで頻繁に食べないし、大好物と言うわけでもないけど、とても美味しかった。………ソウゴと一緒だからかな?

 

「うまい!うまい!うまい!うまい!うまい!うまい!うまい!うまい!うまい!うまい!うまい!うまい!…………ちなみに、今俺は12回言いました」

 

「そ、そうなんだ………」

 

ちゃんと数えてるんだ…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、美味しかった。替え玉を3つも頼んじゃったし、満足満足。でも、奢られちゃったけど良いの?流石に昼飯代位は全然払うけど…………?」

 

「今日は私の奢り。いつものお礼だからソウゴは奢られて良いの」

 

「……じゃあ、お言葉に甘えてごちになりまする!」

 

正直、私にとってはそこまでの出費じゃない。スパに昼飯の出費があったけど、財布の中はまだ全然潤ってる。よし、次のプランは───

 

「ソウゴは映画とか見に行く?」

 

「映画?まぁ、よく見に行くねー(主にアニメ映画をだけど)」

 

「じゃあ、これ見に行かない?一花が出てるんだって」

 

2週間前、一花から私達4人に映画の前売り券のチケットをくれた。『私も出てるし、絶対面白いから見に行ってみて!』って言ってたから少し気になってたし、そして映画デートも出来るから一石二鳥と思ってプランに組み込んでいた。

 

「へー、一花姉さんがか!そりゃ気になるね。名も無きモブなのかな?それとも物語の鍵を握る重要キャラ?」

 

「それは聞いてないから分からないけど…………どうなんだろう?」

 

一花も駆け出しとは言え、演技もかなり上手いし…………実力が認められてかなりの大役を任されてる可能性もあるかも?とにかく、見に行ってみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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100分後

 

映画の上映が終わり、シアターに電気がつく。隣を見ると、三玖はハンカチを手に持っていた。少し泣けたのかな?

 

「どうだった、三玖?」

 

「ラスト15分の展開はとても感動して泣けて良かった。……………けど」

 

「…………一花姉さんは序盤であっさり死んだな。ゾンビになって仲間に撃たれ、そのまま瀬戸内海に落ちて退場。モブだったかぁ…………」

 

しかしこの映画─────内容は良かったけど、バ〇オハザードの臭いがプンプンしたぜ。俺の前世でこの映画をやったら、バ〇オハザードの劣化版とか叩かれてネットで炎上しそう(小並感)

 

「ソウゴは映画の本編では全然泣かなかったね。泣いてたの…………本編前のアニメ映画の予告でだったね」

 

「いやぁ、遂に完結かと思うとつい感極まってな………あんなヘタレだった主人公が立派に主人公やってたからよ…………」

 

本編ではなく本編上映前の予告で泣く男、総悟です。本編も後もう一押しで泣けたかもしれないんだけどなー。

 

「それと…………休日なのに、見に来てる人が俺と三玖しかいなかったね…………」

 

まぁ、それはそれで三玖と2人きりだし良かったんだけどネ!

 

「………言われてみれば確かに………今日、公開初日だからもっといると思ってたけど(…………まぁ、ソウゴと2人きりだったし良いけど………)」

 

……………他の映画館も調べてみたけど、結構がら空きですやん!一花姉さんが出てるんだし、もっとヒットして欲しいんだけどなぁ。新〇誠監督の『君〇名は』とか『天〇の子』位ヒットしないかなー。ワンチャン、口コミで大ヒットし……………いや、普通に考えてこの映画があの2つの作品レベルの大ヒットは絶対無理だと断言できるわ(無慈悲)

 

心のなかでそう結論付けていると、いつの間にか映画館の外に出ていた。もう夕方の4時か……………。

 

「三玖は時間とか大丈夫なの?もう夕方だけど」

 

「7時までに帰れば大丈夫。ソウゴは?家の用事とかがあるなら今日は解散にするけど………?」

 

「予定とか何もないから全然大丈夫」

 

「!……………そうだ。折角だし、ソウゴは何処か行きたいとかある?」

 

「俺が行きたいところ?」

 

「うん」

 

そーねぇ…………。

 

「あー…………電車で30分位の所なんだけど良いか?」

 

そう確認すると三玖はコクッと頷くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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電車+徒歩で移動すること30分。ソウゴが行きたい場所に到着した。

 

「ここは…………?」

 

「セントラルパークの広場」

 

「何でここを?……………ああ、もしかして聖地巡礼って言われてるやつ?」

 

「三玖のように勘の鋭い女は嫌いじゃないネ!」

 

思い付きで言ったら当たっちゃった。それからソウゴは色んな場所で写真をパシャパシャ撮っていた。何のアニメの聖地かは分からないけど、相当思い入れがあるのか時折懐かしむように風景を見つめていた。

 

「………なぁ、三玖。 良かったら一緒に写真撮らんか?」

 

「え?」

 

「ここだと名古屋テレビ塔をバックにいい写真が撮れそうだし……………ど、どうですかね?い、嫌なら別に全然断ってくれても」

 

「と、撮るっ!」

 

この後、沢山連写した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

折角だし名古屋テレビ塔から夜景でも見ようと言うことでお金を払って入場。スカイバルコニーでソウゴと夜景を眺めていた。

 

「ソウゴも知ってると思うけど、愛知県で有名な戦国武将に織田信長がいるでしょ?」

 

「ああ、ノッブね」

 

「の、ノッブ………?まるで信長と友達みたいな言い方だね……………えっと、何だっけ…………あ、思い出した。もし信長がこの夜景を見たら何て言うんだろうね」

 

「うーん…………『こんなキラキラしている町を見下ろしてたら敦盛したくなるのも是非もないよネ!』とか?」

 

「…………口調以外はあり得るかもね」

 

「いや、もしかしたら何処かの世界線にロリボディでそんな口調の女信長がいるかもしれないぞー?」

 

「とんでもない世界線………」

 

そんな信長がいたら色んな意味で凄い。

 

「……………そーいや、信長の残した名言にこんな言葉がある。『絶対は絶対にない』ってね。信長は無謀や不可能な事柄に対しても、最初から諦めたり、無駄だと考えたりはしなかったらしい」

 

「…………初耳。知らなかった。何だか悔しい」

 

「あはは…………信長が言いたいのは、『最初から無理や不可能は事は存在しない。存在してると思ってしまうのは自分が勝手に一線を引いているからで、諦めなければ道は開けるだろう』的な感じ?まぁ、あくまで総悟君の解釈だけどさ」

 

「………………」

 

………思い返せば、『私なんかじゃ勉強なんて無理だ』って私は勉強に対して一線を引いていたのかもしれない───────ソウゴに出会うまでは。

 

『1人が出来ることは全員出来る───── 一花も、二乃も、四葉も、五月も…………そして勿論三玖も!皆には100点の潜在能力があるって事だ』

 

そう言ってくれた(ソウゴ)がいたから、私は勉強を無理や不可能って一線を引いて諦めるのではなく、私にも出来るんじゃないかって諦めずに今も頑張れてるのかもしれない。

 

「さて、そろそろ時間も時間だし帰るとするか…………三玖、今日は楽しい時間をほんとありがとな」

 

「どういたしまして。私の方こそソウゴと出掛けられて凄く楽しかった。こちらこそありがとう」

 

───また一緒にどこか行こうね、私の初恋の人(ソウゴ)

 

to be continue………




はい、と言うわけで勤労感謝ツアー 総悟編でした。わざわざ総悟編って表記すると言うことは、勿論風太郎の場合もあります。お楽しみに。

ネタバレすると、原作とは殆ど展開が異なりますッ!

今日も読んでいただき誠に感謝!


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勤労感謝ツアー 風太郎の場合

今日は………………特にないんで前書きはパスよー。


AM10:10

 

「ふふふ、今日は休日!勉強せずして何をすると言うのだ!」

 

そう呟くのはキング・オブ・ガリ勉の上杉しかいない。

 

「もー、お兄ちゃんたら。折角の勤労感謝の日なのに、勿体ないよ。あ、クレープの試作品第1号が出来たけど食べる?」

 

「おお、サンキュ。………うん、うまいな!」

 

まぁ、この男は貧乏舌なので『うまいな!』の言葉がいまいち信用性に欠けるのだがそれはさておき。

 

「…………そうだ、らいは。いつも働いてくれてるお前に贈り物を作ったんだ。ミサンガのお礼も兼ねてな」

 

「プレゼント!?なになに?」

 

「自作ですと、マフラーとかでしょうか?」

 

「いや、俺にそこまでの裁縫能力はないですから……………これだ!『ガチで見やすいテスト対策問題集!』」

 

「いらない」

 

「ほあーっ!?」

 

差し出して1.4秒で受け取り拒否。流石の上杉も若干落ち込む。

 

「別に私は働いてるつもりはないからいいけど、それよりも四葉さんにお礼をしてきなよ」

 

「四葉?何でだ?」

 

解せぬとでも言いたげな表情の兄に妹は長いため息をついてから喋り出す。

 

「お土産話によれば、林間学校は四葉さんにスキーを教えて貰ったりとか色々とお世話になったんでしょ?」

 

「………た、確かに………肝試しも担当じゃないのに手伝ってくれたしな…………」

 

「だったら、お礼の1つもあってもいいんじゃない?」

 

「し、しかし……」

 

「まぁ、お兄ちゃんに四葉さんへの感謝の気持ちがないなら良いけどね」

 

良心に刺さる言葉がトドメとなり、上杉は財布を持ってきて中身を確認する。

 

「財布の中は1652円…………これであいつが喜びそうな贈り物か……………」

 

何を送るのが良いのか上杉が考え込んでいると、突然家のチャイムが鳴る。らいはが玄関をあけると、そこにいたのは────

 

「やっはろー」

 

「あ、火野さんだー!お兄ちゃんに用事ですか?」

 

「兄貴じゃなくて星奈さんに用事があってな。あがらせて貰っても良いか?」

 

らいはは勿論快諾し、総悟は上杉宅にお邪魔する。

 

「総悟様、どうかされたのですか?私に用事と聞こえましたが……………?」

 

「えー………星奈さんにはいつも色々とお世話になっているので、その感謝の意を込めてこれをどうぞ、と思いまして」

 

「!………これは私のお気に入り作家の新作ですね。とても嬉しいです。ありがとうございます、総悟様」

 

「いえいえ、こちらこそいつもありがとうございます。………良かったー、喜んでくれて。上杉は日頃お世話になってるらいはちゃんに何か渡したか?」

 

「…………これだ。即座に返品されたが」

 

「………そりゃそうだわな。誰が感謝の印にこれを渡されて喜ぶんや」

 

「うっ………そ、そうだ。火野、四葉が喜びそうなものを知らないか?」

 

これ以上、傷に塩を塗り込まれるのはごめんな上杉は話題転換も兼ねて総悟にそう尋ねる。

 

「四葉?何で急にそんなことを?」

 

「………実は─────」

 

上杉は包み隠さず全てを話す。

 

「なーるほど………そう言えばお前が入院してる最中にだな………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

================

それは家庭教師がお休みの日。5人用の課題プリントを作成し終わり、気分転換がてら総悟は最寄りのデパートに出掛けていた。

 

「秋と言えば食欲の秋…………秋が旬の食材が色々と揃ってんなー」

 

何気なく食品売場をぶらつく総悟。果物のコーナーを通り掛かると、袋詰めされているある果物が総悟の視界に映った。

 

「お、みかんだ。ラスト1袋か。旬は冬だからこいつは早生か。12個入りで600円…………美味しそうだし買うかー」

 

総悟が買おうとみかんの袋を掴んだ瞬間、同じタイミングで横から袋を掴む手が。その手の人物は──────

 

「火野さん……?」

 

「四葉……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=================

 

「そん時に四葉がみかん好きって聞いたんだよねー。見た目的にみかんに親近感があるらしいぞ。ちなみに、この後お金を半分ずつ出しあって買って、互いに6個ずつ持ち帰った」

 

「なるほど、みかんか………よし、安いのを買ってくる」

 

「おっ、待てい(江戸っ子)」

 

財布を持って出て行こうとする上杉の服の首もとを掴んで止める。

 

「何だよ火野。言っておくが、俺の財力的にそんなに高いのは」

 

「まぁ、話を聞け。そんなに金も掛からず、ただ買うよりももっと良い案がある。えーっと、確か…………あった」

 

総悟はスマホに表示されているとあるHPを表示

する。上杉だけでなく、らいはと星奈もその画面を見る。

 

「………これは………」

 

「これ良いと思うよお兄ちゃん!絶対楽しいし、四葉さんも喜ぶよ!」

 

「ただみかんを買うよりも、下手すればこちらの方が金銭的にお得だと思いますよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20分後

 

「え………?みかん狩りに行かないか、ですか…………?」

 

目をぱちくりさせながら、四葉は上杉の口から飛びだした提案を動揺しながら復唱した。

 

「や、やっぱり風邪が治ってないんじゃ…………」

 

「治ってるわ!……………今日は勤労感謝の日だろ?四葉には林間学校で肝試しの手伝いをして貰ったからそのお礼に、と思っただけだ」

 

………手伝って貰ったんだからお礼をするのが当たり前だろ的な感じで言っているが、実際は妹に言われて動き出しただけである。

 

「それで、行くのか?行かないのか?行かないなら俺は帰って勉強するが(……帰ったら帰ったでらいはに色々と小言を言われるんだろうが………)」

 

「わー、行きます行きます!今から身支度してきます!」

 

「駅から出てる無料のシャトルバスが30分後に発車らしいから、さっさと済ませてこい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四葉の身支度が終わり、2人は駅から出ている無料のシャトルバスに揺られること30分。目的地に到着した。

 

「想像してたよりもでかい果樹園だな…………もっと小さいのかと思ってたが」

 

「上杉さん、ぼーっとしてないで早くみかん狩りしましょうよ!みかんが私を呼んでいます!」

 

「分かったから引っ張るなっての!」

 

上杉は四葉と自分の分の計800円を支払って入園。これで園内のみかんは食べ放題である。さらに貰ったビニール袋に入る分は持って帰っても良いらしい。

 

「(やれやれ………折角天気も良くて、しかも休日で勉強し放題だってのに…………)」

 

「さぁ、上杉さん!今日はみかんを沢山収穫し、食べまくって元を取りますよ!」

 

そう言いながら笑みを浮かべる四葉。上杉は一瞬その笑顔が京都で出会ったあの子に重なって見えた─────ような気がした。

 

「(………未練がましいぞ、俺…………いい加減折り合いをつけろってんだ。京都で出会った子はあいつらの中には………………。折角勉強日和の休日だが、あいつが楽しそうな事に免じて良しとするか)」

 

そう結論付けて上杉は借りたハサミで茎を切って収穫したみかんの皮を剥いて、口に入れる。

 

「どうですか、上杉さん?自分で収穫したみかんのお味は」

 

「甘くてふつーに美味いな」

 

「どれどれ…………うーん、少し酸っぱくないですか?私のと比べてみて下さい!」

 

「モグモグ…………そんなに変わるか?」

 

「……そう言えば上杉さんは味音痴でしたね…………折角ですし、私が美味しいみかんの見分ける4つのポイントを教えて差し上げましょう!題して『四葉の美味しいみかんの見分け方講座』です!」

 

と、言う訳で突然四葉によるみかん講義が開始された。

 

「1つ目のポイントは色ですね。色がオレンジのものは完熟していますが、黄色とか黄緑のはまだ熟しておらず酸っぱい可能性がありますのでスルーしましょう!」

 

「…………じゃあ、こいつはスルーか」

 

「そうですね、このみかんはまだ収穫には早いでしょう。さて、2つ目のポイントは形です。品種によっては異なりますが、基本的にみかんは横から見て平らなのが美味しいらしいですよ!理由は知りませんが」

 

「知らないのかよ」

 

「3つ目のポイントはみかんの皮の表面のぶつぶつです!このぶつぶつが小さい方が美味しいそうです!何でかは知りませんが」

 

「そうだと思った」

 

「4つ目のポイントは軸の細さです。この軸が細ければ細いほど甘くて美味しいそうですよ!逆に太いと甘さが下がるそうです。何ででしょうね?」

 

「……………俺も知らないが、たぶん太いと水分が多く送られるから甘さが薄まって、細いと逆に甘さが濃くなるんじゃないのか?」

 

「そうなんですか?流石は上杉さんです!」

 

ちなみに、上杉はこれまで勉強した知識を元に何となくの予想で言っているが何気に正解だったりする。

 

と、言う訳で上杉は四葉から習った4つのポイントを元に収穫したみかんを食べてみると─────。

 

「…………確かにさっきのよりも甘い気がするな」

 

「ししし!講座の効果は絶大ですね!誉めてくれても良いんですよ?」

 

そう言って四葉は嬉しそうに笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、2人はみかんを堪能しつつ持って帰る分のみかんも収穫していた。

 

「ふぅ…………かなり収穫したが、50個以上は取ったか?らいはと親父が食い過ぎに注意すれば2、3週間は持つな。……しかし…………重い…………」

 

上杉の袋の重量は約5kg。物で例えるならスイカ1個分の重さである。収穫中は地面に置いていたが、いざ持つとなると運動不足で筋力のない上杉にとってはかなり肉体的にキツい。

 

「お待たせしました、上杉さん。ついつい選ぶのに時間が掛かってしまってすみません」

 

四葉も上杉と同じ位パンパンにつまっていて、重量もさして変わらないのだが余裕そうに片手で袋を持っていた。

 

「上杉さん、腕がプルプル震えてますけど大丈夫ですか?私が代わりに持ちますよ?」

 

「………だ、大丈夫だ………これ位何とも………」

 

男の意地故か、上杉は両手で袋を持って足を踏み出す。だが、意地だけではどうにもならず数歩ですぐに袋を下ろしてしまう。

 

「えっと……やっぱり持ちますね」

 

「………お願いします……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

停留場に着くがそこにバスの姿はなく、時刻表を見ると次のバスは30分後だった。すると、果樹園のスタッフが『みかんは預かってるからバスの時間まで近くをぶらりとしてな』と心遣いを貰ったので、上杉と四葉は果樹園の近くをぶらりと歩いていた。

 

「いやー、それにしても自然豊かだからか空気が美味しいですね!」

 

「確かに、こんな環境で勉強したらはかどりそうだな」

 

「何でも勉強に繋げるあたり、上杉さんらしいですね……………あ、小さいですけど公園がありますね。ブランコもありますし、少し乗って行きませんか?」

 

「ブランコなんて久々に見たな………まぁ、良いか。暇潰しにもなるだろう」

 

上杉はブランコを立ち漕ぎをしながら四葉の方を向く。

 

「(何か……良い庶民感だな) 久々だけど結構行けるな。凄いだろ、四葉!」

 

「もー、子供みたいに。私がお手本を見せてあげましょう!」

 

四葉も立ち漕ぎを始める。上杉と同じかそれ以上のスピードてブランコを揺らし、そして勢いよくブランコからジャンプして着地する。

 

「あまり広くないので本気では飛べませんが、こんな感じですかね。たまに行く公園のブランコなら本気で行けるのですが」

 

「たまに行く公園?」

 

「落ち込んだりした時はそこの公園に来てブランコでギコギコしたりしてるんです。勢いよく漕ぐと心暖かくなるほっこりした景色が見れるんですよ。……さぁ、上杉さんはここまでジャンプして来れますか?」

 

「………フッ、俺を舐めて貰っては困る。うおぉぉぉ!」

 

さらに勢いよく漕ぎ始める上杉。そして次の瞬間、四葉の側に着地する音がして、四葉が顔を向けると─────

 

「え」

 

─────靴のみがそこにはあった。当の上杉は勢いをつけすぎたのかブランコのてっぺんを通って1週。その後、激しく揺れる。四葉は上杉のブランコの勢いが落ち着くまで言葉が出なかった。

 

「…………ハッ!う、上杉さん大丈夫ですか…?」

 

「……ハッ、ハハハハハ!何が起きたんだよ!ハハハハハ!」

 

無邪気な子供のような笑みを浮かべる上杉。それは今日見せた中でも、100点満点の笑顔だった。

 

「────そう言えば、まだお礼を言ってませんでしたね。上杉さん、今日は楽しい思い出をありがとうございました」

 

「お、おう……みかん狩りを楽しんでくれたなら俺としても来た甲斐があったってもんだ」

 

「みかん狩りも勿論そうですが………今も思い出(上杉さんの笑顔)を貰いました」

 

「?そう、なのか…………?」

 

上杉はいまいち分かっていなそうだったが、気にせずに微笑を浮かべながら四葉は雲のない青い空を見上げる。

 

「またみかん狩りに来ましょうね。今度は皆も一緒に!」

 

「……………ま、それも悪くないな。だが、五月と火野が来たら園内のみかんが全部食べ尽くされそうだな。火野の奴も意外と食うし」

 

「……ぷっ。あははは!」

 

2人によってみかんが食べ尽くされる光景を想像した四葉は吹き出して笑う。四葉の顔に浮かぶ笑顔は先程上杉が見せたものと同じように100点満点の笑顔だった。

 

to be continue………




この話を書こうと思った切っ掛けは作者も四葉と同じくみかん好きだってのも理由の1つにあります。ちなみに、みかん狩りには行ったことないので色々と調べたりしました。意外と大変だった………。

本日もこんな駄文を読んでいただき、ありがとうございました。


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リビングルームの告白

7つのさよならまであと少しやな……………そしてアニメ二期も終盤。まぁ…………SW編は原作でも色々と荒れてましたね。内容が内容なだけにしょうがないけどさ。まぁ、残りも楽しみにしてます。


明日から期末試験のテスト週間。二乃から貰ったチャンスを無駄にしない為にも、俺も頑張らなければ。無論、本人たちが1番頑張らなければならないのだが───────

 

「と、と言う訳でして…………」

 

「……………………」

 

「あ、あのー…………怒ってますか?」

 

「顔見れば1発で分かるやろ?」

 

「で、ですね………」

 

次の瞬間、 俺は四葉のリボンを掴んでブンブン揺らす。

 

「四葉ァァァァ!!なぁぜ断らんのだァァァァ!!お前は部活よりも勉強優先だろうがァァァァ!!」

 

「す、すみませんー!」

 

何故か四葉がジャージ姿でどこかに行こうとしてたので問い詰めると、陸上部で近い内に駅伝があるらしいが突如として欠員が発生した為に、バスケ部での活躍を聞き付けてか四葉に白羽の矢が立ったらしい。それで今日は練習だとか。

 

「あのねのね!四葉は部活やってる場合じゃないでしょうが!自覚あるだろうけど、四葉が1番勉強出来ないんだからな!」

 

「わ、私も勉強を理由に何度も断ったのですが…………『あと1人いないと駅伝に出られないからお願い!』って何度も必死に頼まれて…………」

 

「それで折れた訳か…………」

 

「で、でも明日からはテスト週間ですよね?駅伝はテストの後ですから、今日の練習が終われば部活動もテストが終わるまで休みになると思いますので………」

 

………ほんとかぁ?『駅伝あるからテスト週間でもやるよ、てへぺろ☆』的な事とか普通にあり得そうなんだが。

 

「…………まぁ良い。だが、もしテスト週間中に練習するような事になったら『どうしても外せない用事があるのですみません!自主練しておきます!』とでも言うんだぞ!絶対だかんな!返事は!!」

 

「は、はい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………つー訳で、四葉はお休みなんだが…………二乃と五月は?」

 

「……………映画を見に行くらしい」

 

「「………はぁ」」

 

────上杉とため息のシンクロ率が400%(完璧)を超えています!

 

そんなフレーズが唐突に浮かんだ。しかも、あんまり面白くない。くそつまんねー。

 

「ソウゴ、フータロー、元気だして」

 

「まぁまぁ2人とも。ため息ついてると幸せが逃げちゃうよ?」

 

「確かにぃ……それはよろしくないな………」

 

「………それもそうか。はぁ、仕方な………って、ため息ついちまった。いかんいかん………仕方ない、今日は一花と三玖の2人だけでやるか」

 

「あ、私は用事があるから帰るね。事務所の社長の娘さんの面倒を見なきゃいけないから」

 

俺を何かヤバそうな目つきで見てきた社長に子供?……うーむ、何か想像できないな。結婚してそうな雰囲気では無かった気がするけど。

 

「おい待て。勉強をサボりたいが為に適当な事を言ってるんじゃないのか?あの髭のおっさんに娘がいるとか想像出来ないぞ!」

 

「ほ、ほんとだってばー!」

 

上杉も同じことを思ったのか、去ろうとする一花を止めて問い詰める。

 

「そんな娘がいるんなら連れてきてみやがれ!」

 

と、上杉が言うので──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「菊ちゃん、おとなしくしてて偉い」

 

「マジで連れてきやがった………」

 

「たまげたなぁ」

 

────一花姉さんがガチで連れて来ました。

 

「だからそう言ってたじゃん…………急な出張が入った社長の代わりに面倒を見ることになったんだ」

 

「へー…………じゃあ、俺は菊ちゃんにお勧めの漫画とかラノベを布教してくるわ」

 

「布教してないで家庭教師の仕事をしろ!」

 

……………ちぇ。つーか、よーく考えたらまだ漢字とか読めないだろうから無理があるな。

 

「ったく…………子供は静かに遊ばせておいて今は勉強す」

 

「おい。アタシの遊び相手になれ」

 

何か…………上から目線やな。まぁ、子供だし大目に見よう。

 

「お遊びって何をするんだ?」

 

「最近のトレンドはおままごとだ。お前はアタシのパパ役。そこのアホ毛のお前はパパの部下」

 

「ほーう…………つまり俺は上杉を顎で使えるわけですなぁ…………」

 

「嫌な上司の予感しかしねぇ…………」

 

「あ、じゃあ私はママ役をやる!」

 

「うちにママはいない。ママは浮気相手と家を出て行った」

 

そこはリアルなのか…………しかし、とんでもねぇ母親だな。ポプ〇ピとか言うクソアニメのキャッチフレーズを借りて言うなら、『どうあがいても、クソ』がお似合いの母親だぜ。

 

「ほら、早く始めろ」

 

「はいはい…………菊、幼稚園で友達できたかー?」

 

「ガキばっかしかいない」

 

「そうかー。お父さんの部下もクソガキでよ。仕事は出来て優秀なんだが、何か顔を見てるとむしゃくしゃするんで、来月からカンボジアに飛ばす事にした」

 

「飛ばす理由がとんでもないな…………むしろクソガキはお前の方だろ」

 

あれ、何か恨み節聞こえたような。気のせいかなぁ(すっとぼけ)

 

「ガラガラ。へー、ここがパパの会社なんだ」

 

ああ、会社に来たって事ね。

 

「そこの2人はパパの事務員」

 

「え、私たちも?」

 

「事務員さん?」

 

「そう。パパに惚れてる」

 

ほーう…………中々面白い設定じゃないの。

 

「社長、いつになったら2人きりでご飯に連れていってくれるの?今夜行こうよ、今夜」

 

「…………コフッ!!」

 

近い!!めっちゃ近い!!そしてめっちゃ可愛い!!吐血しそう!!

 

「(本当に素直になったね、三玖…………けど、演技なら負けないよ)菊ちゃん、新しいママ欲しくなーい?」

 

「あ、ずるい。私がママになる」

 

「三玖になれるかなー?」

 

「………じゃあ、2人ともパパの好きなところを言え」

 

お!!いいぞ、ドンとカモン!!

 

「えーっと………少し変わってるけど男らしくて……………あと、ドSな所とか?」

 

「頭が良い、頼りがいがある、背も高い、カッコいい」

 

いやぁ、よしてくれよ三玖。お世辞とかだったとしても、照れるゾ。………それと、一花姉さんよ。あなた、ドsな所が好きな所としてあげてたけど、それじゃ姉さんがドМって事に認定されかねないが、それでええんか……?

 

「菊ちゃんはどっちが良いと思った?」

 

三玖だろ(断言)

 

「私は…………ママなんていらない」

 

あら、まさかの第三の選択肢『どちらも選ばない』ですか。

 

「どうして?」

 

「‥‥‥…寂しくないから。ママのせいでパパはとっても大変だった。パパがいなければ寂しくない」

 

………………。

 

「……ったく、大人ぶって強がっちゃってやんの。パパはそんな子に育てた覚えはないぞー?」

 

「な、何をする!」

 

「お母さんがいなくて寂しくないわけないだろ、お前さんはお母さんに甘えたりしたい年頃だってのに。大人ぶろうとしないで、子供はわがまま言ってる方が可愛いもんなんだよ。………ママが欲しいか?」

 

「…………………………………欲しい」

 

「なんだ、素直に言えるじゃん。そうだなぁ‥‥‥…菊ちゃんは通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きか?」

 

「いや、どんな質問だよ!?子供に意味の分からん質問をしてんじゃねぇ!」

 

「何だようっさいなー。カンボジアじゃなくて北極に左遷させるぞ、パンツ一丁で」

 

「殺す気か!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

==================

 

─────ソウゴのこう言う所だ。目の前の人をちゃんと見て、真っ正面から向き合ってその心に寄り添う─────そんな温かい心をソウゴは持っている。

 

(ああ、そっか……………ソウゴは私にも優しく寄り添ってくれてた…………だから惹かれたんだ…………もしかして一花も、なのかな?)

 

『仮にその趣味が人から見て変だとしてもよ。俺から言わせれば、人と変わったものを好きになって何が悪いって話よ』

 

『三玖は自分が好きになったその趣味に対して自信と誇りだけ持ってれば良いんだよ』

 

───そして、気がつけば私の思いを口にしていた。

 

「ソウゴ…………私と付き合おうよ」

 

「!?」

 

………………あ。

 

「(い……………言っちゃった!ど、どうしようどうしよう!?ソウゴも凄く驚いてるのが顔を見て分かる!何かこう、もっと告白するのに良い感じの雰囲気とかあるのに!あーもう、私の馬鹿馬鹿!)」

 

「(………………あ、そゆことか)なーにを仰ってるのだ三玖」

 

「え、えっとね…………」

 

「ここは結婚しようだろ?」

 

そ、そっか。そうだよね。付き合おうじゃなくて結婚しようって言った方が良いよ……………え?

 

「け…………………結婚?!えぇ!?」

 

急展開についていけない!!と言うか、高校生同士で結婚なんて出来るの!?あれ、でも前にどこかで出来るって聞いたことあるような…………え、てことはやっぱり本気なの!?ほんとに私と結こn

 

「菊、やったぞ!俺は三玖と結婚するからママができたな!通常攻撃がクリティカル攻撃で………三玖だから、3回行動出来るママが出来たぞー!まぁ、おままごとの中だけどね」

 

「(………え)」

 

………………あ、そう言えばおままごとの最中だったのを一瞬忘れてた…………ソウゴの中で私の告白はおままごとの中での事として処理されてしまったみたい。状況が状況だったから仕方ないけど………………残念なような安心したような………はぁ。

 

小さくため息をついていると、他の3人も帰ってきた。

 

「ただいまー!ってあれ?可愛い女の子だ!」

 

「何してんの?」

 

「おままごとだ。先程三玖と結婚してな。そして今から上杉の身ぐるみ剥がしてパンツ一丁にし、コンテナに閉じ込めて北極に送ろうと思ってな」

 

「上杉君は何をしたんですか………」

 

「顔がムカつくから北極に送られるらしい」

 

「んなことより、菊ちゃん。残りの3人にも配役を決めてあげな」

 

「……………じゃあ、うちのワンちゃん」

 

「ワンワン!」

 

「そこの2人はおば……何だ?」

 

あ、ソウゴが菊ちゃんに何か耳元で囁いてる。何だろう?

 

「……………じゃあ、そこの星形の方は面倒見の良いおばちゃん。長い髪の方はヒステリックで面倒くさいおばちゃん」

 

「あんた、余計なことを吹き込んだわね!」

 

「記憶にございません」

 

……………………。

 

「………一花」

 

「………ん?」

 

「ソウゴを独り占めしたいはずなのに、こんな風に7人で一緒にいるのも嫌いじゃないんだ…………変かな?」

 

一花は変じゃない、と言葉には出さずに首を横に振る。

 

「………………私もそう思うよ。このまま皆で楽しくいられたら良いね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、おままごとはフータローと、ついでに二乃が北極送りにされて幕を閉じた。めでたし、めでたし。

 

to be continue……………




二乃「いや、ふざけんじゃないわよ!なんで私がついで扱いなのよ!」

上杉「いや、怒るとこそこ!?」

えー、シンエヴァが公開しましたね。作者も来週見に行きます。今週は予定がハイパーつまってるので。投稿もワンチャン出来ない可能性がありますが、ご了承を。

本日も読んでいただきありがとうございました!

さーてこの次も、サービスサービスゥ!


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7つのさよなら その1

お 待 た せ

最終話放送後に投稿だよーん。



「…………遅いですね」

 

五月は玄関前で正座待機をしていた。今日は家庭教師の日なのだが、その家庭教師の2人が何故か時間になっても来ないのだ。

 

「折角皆集まっていると言うのに、一体何をしているのでしょうか…………?」

 

五月は玄関の扉を開けてマンションの廊下を覗く。そして彼女が見たのは──────

 

「………おや、タイミングが良いですね」

 

「あなたは…………星奈さん、でしたよね?」

 

「ええ。五月さんとは祭り以来ですね。…………ああ、そうでした。寝ている教師のお届けものです」

 

そう言って星奈は両手で抱えている男2人(総悟と風太郎)を差し出した。取り敢えず反応に困ったが、五月は星奈を中に入れて2人は床に置く。

 

「し、死んだように寝てますね…………」

 

「揺らしたりしても起きないので仕方なく担いでここまで走ってきました」

 

「………そ、それは凄いですね」

 

五月の頭の中で星奈が2人を米俵のように担いでい疾走する姿が浮かぶ。

 

「この2人は夜更かしでもしたのですか?」

 

「ええ。これを徹夜で作ってました」

 

星奈は上杉の背負っているバックからとんでもない厚さの紙の束を五月に渡す。

 

「…………こ、これは………」

 

「今回のテスト範囲をカバーした問題集だそうで。今日の課題が終わったら取り組んで貰うとか昨日言っていましたね。これを解けばかなりレベルアップするそうですよ」

 

「……………………」

 

「……………流石に多すぎて受け取りたくないとか思ってません?」

 

「!?」

 

「顔に出てます」

 

図星を付かれて驚く五月に星奈はスマホでとある動画を何枚か見せる。

 

「!………これは………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁ~……………良く寝たぁ……………って!?何でマンションにいんの!?」

 

まさか、ついに孫〇空みたく瞬間移動を身に付け

 

「私が運んだのですよ、総悟様。揺すっても起きないので取り敢えず必要そうな物を詰め込んでここに運んできた次第です」

 

「……………ああ、そう言うことですか…………迷惑を掛けてすみません」

 

「いえいえ、この位良いんですよ。それよりも、いい加減上杉君を起こした方が良いのでは?」

 

「おお、そうですな……………グッドモーニング、起きろ上杉!!」

 

「…………んだよ、耳元で騒がしいな……………って!?何でマンションにいるんだ!?」

 

おい、俺と台詞が大分被ってんな。そう思いながら説明すると上杉も星奈さんに一言お礼を言った後にため息をつく。

 

「にしても…………貴重な時間を失っちまったな。俺らいつまで起きてたんだ?」

 

「取り敢えず4時までは起きてた事を覚えてるんだが」

 

「よくそんな夜遅くまで…………いえ、朝までやりますね」

 

「まーね」

 

「お前達だけにやらせるのもフェアじゃないからな。俺達が『お手本』にならないとな」

 

「…『お手本』……………」

 

「よーし、じゃあカテキョをやるか。今日の俺は一味違うぜ。睡眠不足ですぐぶちギレる気がするZE☆」

 

「も、揉め事は起こさないで下さいね?時間は限られているんですから、皆仲良く協力し合いましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リモコンを渡しなさい!今やってるバラエティに好きな俳優が出てるの!」

 

「この時間はドキュメンタリーがやってる。しかも今日は戦国武将の特集なの!」

 

仲良くしようと五月が言った矢先、二乃と三玖の間でリモコンの争奪戦争が繰り広げられてんだけど………。

 

「この2人はよく喧嘩するな………」

 

「まぁ、でも喧嘩する程仲が良いとも言うからね。取り敢えず、平和的にささっと俺が止めてくるわ…………おーい、やめろ2人とも!喧嘩すな!」

 

俺は2人の間に割って入る。

 

「まー、落ち着け。2人の言い分は分かった。そこでだ……………バラエティとドキュメンタリーの間をとってアニメを見ると言うのはどうかな?」

 

第3勢力(アニメ派)として参戦してるんじゃねぇ!こいつに任せた俺が馬鹿だった!勉強中はテレビは消しまーす!」

 

あ、上杉がリモコンを取り上げてテレビを消しやがった!

 

「もー、上杉。折角俺がシリアスな空気を破壊しようとしたのにぃ」

 

「いや、全然破壊できてないんだが!」

 

ほんとだ、まだバチバチしてる。

 

「一花姉さんよー。あの2人って仲悪いのか?」

 

「まぁ、犬猿の仲って感じかな?特に二乃は繊細な子だから、結構衝突が多いんだよね」

 

へー………………。

 

「はーい、皆再開するよ。それじゃあ、ソウゴ君、フータロー君。これから1週間、私達の事をお願いします」

 

「ああ。リベンジマッチだ」

 

「いっちょやってみっか(悟〇風)」

 

口調とは裏腹に何事もなければ良いんだけどなー……なんて不安を俺は抱えていた。そして、その不安はすぐに的中することを俺はすぐに知ることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

===================

星奈も『面白そうなので見ていたい』と言うわけで少し離れた所で見学。見ているだけなので何をしようが特に口出すつもりはないと言うことなので、二乃も渋々と言った表情で黙認していた。

 

さて、開始から10分。早速また二乃と三玖の間で諍いが発生した。

 

「ちょっと、それ私の消しゴムよ!」

 

「借りただけ………………あ、それ私のジュース」

 

「借りただけよ…………って、まずっ!」

 

生憎、三玖のジュースは抹茶ソーダだったので二乃の口には合わなかったようだ。

 

「まずいぞ、火野。このまま放置しておけば仲違いして赤点回避どころじゃなくなる……」

 

「それはよろしくないな…………どーすっかなー…………誰か、アイデアくんない?」

 

総悟のアイデア募集に真っ先に手を上げたのは四葉だった。

 

「きっと慣れてない勉強でカリカリしているんですよ!だから、良い気分に乗せてあげたら喧嘩も収まるはずです!」

 

「なるほど…………いっちょやってみ「待て火野。俺がやる」…………えぇ……(困惑)」

 

先程の1件が原因か、火野ではなく今度は上杉が作戦を実行することになった

 

「はっはっは!いやー、いいねぇ!」

 

「「?」」

 

「素晴らしい!」

 

「「…………」」

 

「いや、2人ともいい感じだね。なんというか凄く良いしっかりしてて………健康的で………うーん………偉い!」

 

「(誰か時を戻してー!俺の方が絶対上手くやれるからー!!)」

 

総悟の心の叫び通り時が戻る訳もなく、作戦は失敗に終わった。

 

「あえて厳しく当たることで2人にヘイトを集める『第3の勢「却下」……もー!せめて最後まで言わせてよー!」

 

「あはは…………(三玖に厳しく当たって嫌われでもしたらたまったもんじゃないっての…………)」

 

総悟の思惑もあって一花の作戦は却下された。

 

「五月は何かあるか?」

 

「そ、そうですね……………何も言わずに無言の圧力を掛けるのはどうでしょうか?そしたら2人も何かを察して喧嘩をせずに出来るかも…………」

 

「ふーむ………それなら上杉にでも出来るな。よし、やってみたら?」

 

「ああ」

 

と、言うわけで『無言作戦(総悟命名)』がスタート。

 

「……………」

 

「……………」

 

「……………」

 

「……………」

 

「……………」

 

「……………」

 

「さっきから黙って何見てるのよ!」

 

無言の空間に耐えられず、二乃が叫ぶ。どうやらあまり効果はなかったようだ。

 

「あ、いや別に……………そ、それより課題は終わったか?」

 

「あんたに言われなくても、もう終わるところよ。ほら!」

 

「………………ん?ここ、テスト範囲じゃないぞ」

 

「あれぇ!?やば…………」

 

「二乃。やるからには真面目にやって」

 

「っ………こんな退屈な事なんてやってらんないわ!部屋でやるから放っておいて!」

 

10分も持たず、早速1名離脱。

 

「くそっ、セットが1つ無駄になった…………」

 

「…………いやいや、俺らこれを作るのにどんどけ時間使ったと思ってんねん!こんな所で離脱されてたまるかっての!」

 

「火野君の言う通り、まだ諦めないでください。頼りにしてますから」

 

五月の応援も受けて、総悟と風太郎は階段を上っている二乃に説得を試みる。

 

「ちょ、待てよ二乃!まだ始めて10分も経ってない。アニメで言えばAパートも終わってない」

 

「どんな例えだよ…………だが、火野の言う通りまだ始まったばかりだ。もう少し残ってくれよ」

 

「……………………」

 

総悟と風太郎の言葉に二乃は何も言わない。

 

「ただでさえお前は姉妹の中でも出遅れてるんだ(・・・・・・・・・・・・・)。しっかり勉強して追い付こうぜ?」

 

─────無論、上杉に悪気はない。色々とされた身ではあるが、意地悪をしたかった訳でもない。だが、彼の発言は彼女の地雷をしっかりと踏んでいた。二乃の表情は冷徹なものに変わる。

 

「うるさいわね、何も知らない部外者のくせに。あんたらみたいな雇われの家庭教師にとやかく言われる筋合いはないわ!」

 

「……………二乃」

 

そこへ割って入ったのは三玖。その手には彼等が作った問題集が。

 

「これ、ソウゴとフータローが私達のために作ってくれた問題集。受け取って」

 

「……問題集作ったくらいで何だってのよ。そんなの、いらないわ!」

 

二乃は三玖の手を振り払う。その拍子に三玖の手から階段にパラパラと落ちる。黙って見ていた星奈も流石にその行為を不快に思ったようで眉をひそめると同時に自分の主の方を見る。恐らく彼女の主も思うところはあったに違いないが、それでも何も言葉には出さなかった。

 

「ね、ねぇ………2人とも落ち着こ?」

 

「そうだ、お前ら」

 

「二乃」

 

仲裁に入ろうとする一花と風太郎を遮って三玖は二乃の名前を呼ぶ。

 

「…………拾って」

 

静かながら明らかに怒気の含まれた三玖の声と蔑むような視線を感じ取った二乃は怒りの余り────

 

「こんな紙切れに騙されてんじゃないわよ…………今日だって遅刻したじゃない!こんなもの渡して………いい加減なのよ!それで教えてるつもりなら大間違いだわ!」

 

────拾った1枚の問題集を破り捨てた。

 

「……………おい」

 

ここで漸く総悟が一言だけ発する。その一言だけで近くにいた風太郎と星奈も総悟が完全にキレているのにすぐに気が付いた。最も、キレているのは総悟だけでなく隣の彼女(三玖)もだったが。

 

「(…………………まずい予感しかしないですね…………)」

 

「(このままだとこいつらの仲が修復不可能になる………!)」

 

風太郎は三玖と総悟の間に割って入ろうとし、星奈も止めようと小走りで近付こうとしたその時だった。

 

──────パチン!

 

乾いた音がリビングに流れた。

 

「二乃。謝って下さい」

 

その音とは五月が二乃にビンタした音だった。キレていた総悟と三玖も五月の行動に思わず毒気が抜かれたようで驚愕の表情を浮かべていた。

 

「………………ッ!」

 

二乃も呆然としていたが、すぐに怒りの表情を露にして五月と同じようにビンタを─────

 

「!」

 

「……………」

 

─────寸前で星奈が無言で二乃の腕を掴んで止めていた。星奈の力は強く、びくともしなかった。不本意ながら二乃はビンタをしようとした手を下ろし、その代わりに口を開く。

 

「五月、あんた………!」

 

「この問題集は火野君と上杉君が私達の為に作ってくれたものです。粗末に扱っていいものではありません。彼らに謝罪を」

 

「………まんまとこいつらの口車に乗せられたってわけね。そんな紙切れに熱くなっちゃって。いつの間にこいつらの味方になったのやら」

 

「………………星奈さん。申し訳ありませんが、二乃にあの動画を見せていただけませんか?」

 

「………………」

 

星奈は無言でスマホを取り出して操作すると、二乃に画面を向けて再生する。

 

「…………!」

 

画面に映っているのは総悟の家にある大量の参考書に囲まれた上杉と総悟。映像と同時に音声も流れ出す。

 

『おい、火野。二乃の問題集の英語の問題はこんな感じで良いんじゃないのか?』

 

『どれどれ…………んー、二乃は英語のここら辺のは多分出来るからカットして良いと思うよ。あ、でも他の姉妹のはカットすんなよ』

 

『分かった…………お、この参考書の数学の問題はかなり良いんじゃないのか?』

 

『………ああ^~いいっすね^~。よし、その問題も追加しておくか。あー、でも一花姉さんは案外すんなり解けそうだから、姉さんだけこっちの似た系統のもう少し難し目のやつを選ぶとすっかなー』

 

ここで動画は終わった。

 

「………呆れました。この問題集、私達ひとりひとり問題が違うんです」

 

「「「「!!」」」」

 

五月の言葉を受けて、一花と四葉は渡された問題集の1枚目の数学の問題を見てみると────。

 

「……あ………ほんとだ………」

 

「………私と四葉の数学の問題、問1から既に違ってる……」

 

四葉の方は基礎系の、一花の方は少しばかりの応用力が試される問題から始まっていた。無論、他の科目も同様に1人1人問題が彼女等の実力に合わせて微妙に違っているのは言うまでもない。

 

ここで漸く星奈が二乃に向けて口を開く。

 

「…………二乃さん。あなたが寝ている間も彼等は眠い眼をこすりながらこの問題集を作っていたのです────他でもない、あなた達の為に。その問題集を破り捨てるのが作った彼等に対して最大の侮辱であることが、あなたにも分かるでしょう?」

 

「…………………」

 

言葉の端々に怒りが滲んでいながらも冷静に諭す星奈に二乃は何も言わない────否、言い返せない。

 

「二乃。私達も彼等に負けないように真剣に取り組むべきです。彼等が自分達の時間を私達の為に費やして、ここまでしてくれたのですから」

 

「…………………」

 

二乃はチラリと姉妹の方を見る。自分の事を擁護でもして貰いたかったのかもしれないが────

 

「二乃…………」

 

「いい加減受け入れて」

 

─────二乃に注がれる視線は困惑や心配、そして責めるようなものだけ。姉妹達からすらも擁護は何もない。

 

この空間に二乃の味方は誰もいなかった。

 

「…………分かったわ。私よりこいつらを選ぶってわけね………いいわ。こんな家、出て行ってやるわ!!」

 

二乃による緊急家出宣言が発令された。

 

「冷静になれ、二乃」

 

「いや…………何も家出まですることは無いだろ………」

 

「そうです、そんなの誰も得しません!」

 

「損とか得とか、そんなの知ったことじゃないわ。それに、これは前から考えてた事なのよ」

 

風太郎、総悟、五月が順に説得するが二乃は聞かない。

 

「こんなのお母さんが悲しみます!」

 

「…………いつまでも未練がましくその演技を続けるのはやめなさい!あんたはお母さんじゃないのよ!」

 

「(…お母さん…………)」

 

総悟が心の中で呟くなか、一花や四葉も仲裁に入る。

 

「二乃、早まらないで」

 

「そ、そうだよ!話し合おうよ!」

 

「話し合う必要なんてないわ。先に手を出したのはあっちよ。あんなドメスティックバイオレンス肉まんおばけなんかと一緒にいられるわけないわ!」

 

大食いの五月にとってその暴言はクリティカルヒット。怒りの余り、りんごの如く顔を真っ赤にさせる。

 

「そ……………そんなに邪魔なら、私が出ていきます!!それに肉まんおばけとは失礼な!!五人の体重も五等分ですよ!?」

 

「五等分ですって?誤魔化してるくせに何言ってるのよ。いいわ、この際だから言ってやるわよ。あんたの本当の体重は「わー!!わー!!」」

 

五月は大声を出してネタバレキャンセル。その後、2人は言い争いを始めてしまい、もう誰にも手を負えなくなってしまった。

 

「ど、どうしたら…………」

 

「なんだよこの展開………」

 

結局その後、今日はもう勉強どころではないのと2人がいてもどうにもならないので星奈と共に3人で帰る事に。帰路につく彼等の間に会話は殆ど無く、重苦しい雰囲気だけが広がっていた─────────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総悟は家に帰るとすぐに部屋に籠ってしまう。この件で落ち込んでいるのではないかと思った星奈は部屋をこっそり覗いてみるが、当の総悟は寝不足でただ寝ているだけだった。一先ずホッとして星奈は扉を閉じる。

 

「……まさか、あんなことになるとは……………本当に家出する事態にならなければ良いのですが…………」

 

────星奈の懸念はすぐに的中することになるのを、総悟はまだ知らない。

 

to be continue………




そう言えばシンエヴァンゲリオン見てきました。ネタバレ無しで言うと……………………何か色々と凄かった(小並感)

僕は新劇場版からエヴァンゲリオンを見始めた男なんですよね。ちなみに、エヴァのパイロットの中でも綾波とマリが特に好きです。

この駄文を読んでいただきありがとうございました。……………………ん?Fate HFの再上映だって?行くしかないっしょー!!Foo!!


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7つのさよなら その2

映画化とは……………………たまげたなぁ。

反応薄いけど、これでもかなり驚いてるんです。

以上、どうでもいい前書きでした。


翌日

 

「…………………」

 

昨日ぐっすり寝た後、夕方に三玖に連絡してみたのだが喧嘩は一花の仲裁の甲斐もあって収まったらしい。昨日はあんな事があったからか何もする気が起きず、さっさとやることを済ませてベットに入った。夕方まで散々寝てたのだが、案外すんなりと寝れた。

 

「……大丈夫かねぇ……………」

 

不安を紛らわすかのようにスマホをいじっていると、三玖からの着信が来た。

 

「………………まさか」

 

無性に嫌な予感がした。その予感が外れる事を願って電話に出る。

 

「………もしもし?」

 

『もしもし、ソウゴ?朝から電話を掛けてごめん。実は二乃と五月が─────』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=================

急いでマンションに駆けつけると、ちょうど上杉も同タイミングで到着した。

 

「2人ともごめん。日曜日なのに呼び出して」

 

「気にすんな、暇だったからよ…………それよりも」

 

「2人揃って家出って本当か!?」

 

「お、落ち着いてフータロー。全部話すから」

 

「…………わ、悪い。それで、何でそんなことになった?」

 

「えっとね………」

 

三玖の話によると、昨日俺に連絡したとおり喧嘩は一度収まったのだが再び夜に再勃発。何故か2人とも出ていく事になったらしい。

 

「一花と四葉が説得したんだけど、お互いに意地を張って先に帰ったら負けみたいになってて…………」

 

「えぇ……(困惑)」

 

個人的にはそんな家出までする事じゃないと思うんだけどね、しかも2人揃って。

 

「……………それで、その2人は?」

 

「外せない用事があるって。一花は仕事だと思うけど」

 

──────ん?まさか四葉は…………?

 

電話を掛けてみるが応答なし……………これ絶対部活やろ!!あのリボン、事情聴取決定や!!

 

「こんな時に…………試験勉強はどうするんだよ…………」

 

「ほんとそれな。あーあ…………昨日までは5人一緒だったのになぁ…………」

 

「…………こんなに部屋が広く感じたのは久しぶり」

 

ほんと三玖の言う通り────こんなに広かったんだな、ここは。

 

「………だが、こんなところでボーッとしててもしょうがない。上杉、三玖。二乃と五月を探すぞ」

 

「……ああ、そうだな」

 

「うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2時間後

 

「つ、疲れた……………」

 

「はぁ…………はぁ………」

 

三玖も体力切れのようで、上杉と共にお疲れ。俺?勿論まだまだ余裕。

 

「しっかし、全然2人とも見つからないなー」

 

公園とかデパートとかその他諸々、いそうな場所に行ってみたのだが見つからなかった。二乃の友達には三玖が電話して聞いてみたのだが、手掛かりはなし。五月の方は同じクラスなのに上杉が五月の友達が誰なのか知らないので詰んだ。同じクラスじゃない俺はしょうがないとしても、何で同じクラスの上杉も知らないんですかねぇ……………(呆れ)

 

「となると…………後はホテルぐらいか。」

 

「………確かに………二乃が野宿とか考えられない………」

 

いるとしたらどこのホテルかなー、とスマホで調べていると通り掛かったおばちゃんが三玖の顔を見て、『あら』と声をあげる。

 

「さっき似たような子をホテルで見たねぇ。もしかして姉妹かい?」

 

「間違いねぇ、そいつが二乃だ!」

 

おばはん、マジでナイス!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

====================

3人は二乃の泊っているホテル前に到着。

 

「はえ~、すっごいおおきい(迫真)」

 

「まさに金持ちが泊まるような高級ホテル「な、なんであんた達がここにいるのよ!?」……え?」

 

後ろを振り向いていたのはまさかの二乃。どうやら手に持っているタピオカを買いに外に出ていたようだ。

 

「三玖と似た子を見掛けたっておばはんの情報提供があってな。あー、それでですね」

 

「…………二乃。昨日の事は」

 

「帰って!私たちはもう無関係の他人なの!」

 

「待て待て待て待て!」

 

ホテルに入る前に慌てて上杉が二乃の手を掴む。

 

「二乃、どうしたんだ……お前は誰よりあいつらが好きだったはずだ。なのにどうして…………」

 

「……だから、知ったような口きかないでって言ったでしょ!こうなったのは全部あんたらのせいよ!」

 

二乃はさらに決定的な言葉を畳み掛ける。

 

「あんたらなんか来なければ良かったのに!!」

 

「「……………」」

 

二乃の口から放たれた決定的な拒絶の言葉─────2人はそれに対して何も返さなかった。

 

「…………返しなさい!このミサンガは私のよ!」

 

「あ」

 

上杉が身に着けていたミサンガを二乃は奪い返す。このミサンガはらいはが作ってくれた物をキンタロー(上杉)が二乃にお守りとしてあげて、その後熱で倒れた上杉に二乃が貸していた代物で──────要は元を辿れば風太郎のものなのだが、二乃はそれを知るよしもない。

 

「あんたじゃなくてキンタロー君が家庭教師だったらよかったのに…………彼はどこなの?会わせてよ」

 

「それは………出来ない」

 

「……………あっそ。じゃあ、もう用はないわ」

 

「ま、待ってくれ!他に出来ることなら何でもする!」

 

ホテルに入って行った二乃を風太郎が追うが──────

 

「お客様以外の立ち入りはご遠慮願います」

 

ホテルマンに止められる。当然の流れだ。

 

「二乃!お前、試験」

 

「………フータロー。今日はもう諦めよ?」

 

「三玖……………けど」

 

「今は何を言っても聞かないだろうしそれに、どうせ学校でまた会うんだから説得する機会は幾らでもある。今日は居場所が分かっただけ良しにしよ?」

 

「………そう、だな」

 

風太郎は背を向けてホテルから去ろうとする─────が、勢いよく二乃の方を振り向く。丁度二乃はエレベーターに乗っていた。

 

「二乃!俺は諦めねぇからな!」

 

「…………………………」

 

扉が閉まる直前になっても二乃からの返事は当然なく、彼等を隔てる─────拒絶するように扉は閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「二乃は見つかったが、五月の方は手掛かりなしか…………まぁ、あいつもホテルに泊まってるだろ」

 

「それが……………あの子、財布を忘れてるみたいで…………」

 

「……………マジか」

 

風太郎の脳裏にダンボールを布団にして公園のベンチで寝ている姿が思い浮かぶ。

 

「…………いや、流石に誰か友達の家に行ってるよな。火野もそう思うだろ?」

 

「……………………」

 

「……おい、火野?」

 

「え?…………ああ、うん。そうだね。流石に友達の家に泊まってるだろうから大丈夫だろ」

 

「………どうかしたの、ソウゴ?……………もしかして二乃に言われたことを気にしてる?」

 

「ん?別に落ち込んだりなんかしてないぞ。こう見えてもメンタルは強いからな(30年近く生きてりゃメンタルも強くなるもんだからな。ま、前世の頃から既に強かった自覚はあるけど)」

 

内心そう呟いた後、総悟は2人に語り始める。

 

「ちょいと考え事をしててよ。二乃って俺らの事を本当に嫌ってんのかなー、って」

 

「いや、どう見ても嫌ってるだろ。さっきのホテルでも」

 

「だったらさー……………何で中間テストの時、嘘をついてまで俺らを庇ったのかな、って」

 

「「!」」

 

─────そう。本当に2人の事が嫌いならそのまま突き放せば良かったわけで。にも関わらず、二乃は2人に助け舟を出した。それは何故なのか──────。

 

「……………まぁ、何でも良いや。俺が考えたところで答えは当人しか知らないんだし。ぶっちゃけ考察するのは漫画やラノベ、アニメの謎だけで充分だし。そもそも、俺らがめっちゃ頑張って作ったプリントを破りやがった二乃の真意を何で考察せにゃあかんのだ」

 

考えるのが面倒くさくなったのか、総悟は考察放棄。ついでに昨日の件をかなり根に持っている模様。そして、時間的に今日はこれで解散と言うことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃

 

「(……まさか財布を忘れてきてしまうとは…………)」

 

家出少女その2こと五月は公園のベンチでため息をついていた。家出をしてから1時間後に財布を部屋に忘れてきた事に気がついたのだが、意地からか家に帰らず公園のベンチで寝て過ごした。起床してからも特にやることなく、暇潰しに辺りをぶらついていたのだが─────

 

「(うぅ………お腹がすきましたぁ…………)」

 

───────エネルギー切れである。

 

「(はぁ……もう家に帰りま…………い、いえ!今回は二乃が先に折れるまで帰らないと決めているんですから!皆にもそう言っている以上、帰るわけには……………ですが、お腹がすいて力が…………)」

 

どこぞのアン〇ンマンみたいな台詞をかます五月。と、そこへ。

 

「…………五月さん?何をしているんですか?」

 

「……せ、星奈さん!?」

 

そこに現れたのはたい焼きを手に持つ星奈だった。たい焼きを見て五月の腹が鳴ったのはもはや言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「モグモグ……………たい焼きってこんなに美味しかったんですね!ありがとうございます、星奈さん!」

 

星奈にたい焼きを半分分けて貰った五月は3分も掛からず完食。

 

「それにしても、まさか本当に家出をしたとは……………しかも財布を忘れると言う致命的なミスをして………はぁ……」

 

五月から事情を聞いた星奈はやれやれと言いたげにため息をつく。

 

「い、言っておきますがたい焼きをくれたとは言え、星奈さんに帰れと言われても絶対に帰りません!二乃が折れるまでは絶対に!」

 

「それ、めっちゃハードじゃん」

 

「わぁ!?」

 

後ろからの声に五月がびっくりしてベンチから飛び退く。後ろにいたのは呆れ顔の総悟だった。

 

「私がメッセージを送って呼びました」

 

「たまたま近くにいたから来た。……………マジで野宿してたとは…………けど、今夜は昨日よりもかなり寒いらしいけどどーすんの?流石に耐えられんと思うぞ?」

 

「……………あ、そうです!上杉君の家に」

 

「ただでさえ家計が厳しいのに、五月まで居候したらさらに負担が増えるぞ(………特に食費)」

 

「た、確かに…………」

 

「私は1人暮しですので、色々と用意がないのでちょっと……………(取り敢えず食料が足りないのは断言出来ますね………)」

 

2人に心の中で遠回しに食いすぎと言われているのだが五月本人は知る由もない。

 

「……………し、仕方ありません。そこら辺に落ちているダンボールなどで寒さを何とか耐え抜くとします…………」

 

再び野宿を決意する五月。それを見かねたこの男(総悟)は──────

 

「………………しょうがねぇなぁあああ!五月は俺の家に来い!」

 

「え?」

 

「泊まるところないようだから泊めてあげようと言う総悟君のお心遣いなんですー!来んのか来ないのか、どっち!?」

 

「………すみません、暫くお世話になります!」

 

と言う訳で、五月の火野家への滞在が決定した。

 

to be continue…………




《悲報》火野家、五月の食費で破産決定ww

五月「そんなに食べませんっ!!」

今日も読んでいただきありがとうございました。


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7つのさよなら その3

今日はちょっと短めです。SAOの映画の特報見たけど、五月のcvの水瀬いのりさんがご出演されるそうで。

……………………行くしかない(使命感)




星奈さんと別れ、俺は五月と共に歩いて自宅に到着した。

 

「ここが火野君の家…………大きいですね………………」

 

「まーね。入って、どうぞ」

 

「お、お邪魔します……」

 

「十 悔い改めて 十(ボソッ)」

 

「え?何か言いましたか?」

 

「ん?言ってないけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えー、実は」

 

「まさか、彼女が出来たの!?」

 

「貴様、うちの息子を誑かしやがったな!!」

 

「違う、そうじゃない」

 

取り敢えず五月の事を親に話しておこうと思ったら、第一声がこれだよ。人の話を聞けとはまさにこの事。この後、一旦宥めて事情を全部説明した。

 

「なーんだ、お前の生徒さんか。彼女かと思ってびっくりしたぜ。にしても、家出とは思いきったな。しかも昨日は野宿とは中々やるじゃねえか!気に入った!」

 

「幾らでも滞在してもらって良いわよ。自分の家だと思ってくつろいでいってね」

 

許可はあっさり出た。夕飯が出来るまではまだ時間があるとの事なので、俺の自室にご案内した。

 

「良いお父さんとお母さんですね」

 

「まーな」

 

「それにしても、綺麗に整頓されていますね」

 

当然です、潔癖症のプロですから。

 

「一花の部屋とは大違いですね…………」

 

「よくあんなお部屋で生活できるよな。ゴキブリが湧きそう」

 

「……………年に数回は一花の部屋から出現して大騒ぎになります」

 

やっぱねー。いや、逆に数回で済んでるのは凄いな。しかし、大騒ぎになってる光景は見てる分には面白そうだから見てみたい気もするな(ゲス顔)

 

「ちなみに、五月はゴキブリは絶滅した方が良いと思うか?」

 

「それはまぁ…………見るだけで鳥肌が立ちますし」

 

「まぁがゴキブリ大好き人間以外は、そう思うだろうな。だが、ゴキブリが絶滅すると生態系が崩れたりして温暖化や砂漠化が進行する可能性がある。五月は理科が得意だから何となく分かるだろ?」

 

「確かに…………何となく分かります」

 

「さらにゴキブリは医学や科学の発展にも寄与している。生命力が高いから実験に使われる事もあるし、何と奴らは体内で抗体成分をを作る事が出来る。その成分やメカニズムを利用して病気に対抗する研究が進められている。だから、意外とゴキブリって重要な役割を果たしてたりするんだよね」

 

「そうなんですね…………でも、やっぱり家には出てきて欲しくないです………………」

 

それは完全同意。

 

「思い出の中で…………あ、違うわ。森の中でじっとしててくれって感じだよな」

 

え?ファイ〇ルファンタジーのシリーズの中でどれが一番好きかって?……………………興味ないね(クラ〇ド風)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PM9:30

 

夕食の後(五月がおかわりしまくってたのは言うまでもない)、ぐだぐだしていると五月が学校の制服等々を家に忘れていた事が発覚。まぁ丁度あの家に、もっと言うと四葉に用事があったので俺が取りに行くと言うことでレッツラゴー。インターホンに出た一花姉さんに事情を話して上がらせてもらった。さて、四葉の部屋に突撃──────しようと思ったのだが。

 

「え、四葉もう寝てんの?」

 

「うん。爆睡してるよ」

 

マジかー……………俺からしたらまだ9時半なのにもう寝てるのって感じだけど。部活で疲れたのかね。

 

「起こした方が良い感じかな?」

 

「あー…………………いや、そこまでしなくて良いや」

 

流石に叩き起こしてまで事情聴取したいとは思わん。明日にすっかなー。

 

「ソウゴ、これ。五月の荷物」

 

「あ、サンキュー三玖」

 

「……………ごめんね、ソウゴ。ソウゴの家族にも迷惑を掛けて」

 

「三玖が謝る事じゃないだろ。それに五月を家に招き入れたのは俺だから良いんだよ。流石にあのまま野宿させるのは俺の良心が黙ってないからね、しょうがないね」

 

「…………ドSなソウゴ君にも良心があったんだね」

 

「は?(憤怒)」

 

「じ、冗談だよ~、あははー」

 

まぁ、冗談だってのは知ってたけど。つーか、一花姉さんもからかい好きのドSじゃね?まぁ良いや。

 

「じゃ、俺は帰るわ」

 

「ソウゴ君、五月ちゃんをよろしくね」

 

「はいよー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほい、荷物」

 

「何から何まですみません………それと、お先にあがりました。私の家のと同じ……いえ、それ以上に大きかったですね」

 

だろー?にしても、お風呂から出た直後の五月は何か新鮮だな。何か……………うん、何て言って良いのか分からんけど、何か良い。三玖のお風呂上がりも見てみたいなー(直球)

 

「で、今は誰かお風呂に入ってる?」

 

「火野君のお母さんが入ってますよ」

 

マイマザーは意外と長風呂だから、30分位は出ないな。その間何すっかなー。今日はアニメとかないし…………。

 

「五月ー、暇だし何か面白い話をしてくれねーか?林間学校初日の旅館でしてあげたんだから、そのお返しに」

 

「あれは面白い話じゃなくて怖い話ですっ!……………今日は月が綺麗に見えますね。暇なのでしたら、少し近くを歩きませんか?」

 

と、言いう訳で、池のある公園にやって来た。上着は着てきたが、それでも少し寒いな。まぁ12月だからね、しょうがないね。

 

「………………あ、月が雲で見えなくなってしまいました」

 

「ありゃ。ま、その内見えるようになるだろ(たぶん)……………にしても、今日めっちゃご飯おかわりしてたな。うちの親も驚いてたぞ」

 

「し、仕方ないでしょう、ご飯を食べるのは1日ぶりだったのですから………」

 

「いや、ほんと上杉の家に行かさないで正解だったわ。食費がとんでもない事になるし、つーかリッチな生活してたお嬢様に上杉家での生活は流石に耐えられんやろ」

 

「…………わ、私達はお嬢様ではありません」

 

へ?

 

「実は………数年前まで私達も上杉君の家と同じような生活をしていたんです」

 

「あ、そうなの………?」

 

それは初耳。てっきり産まれたときから金持ち生活なのかと思ってたわ。

 

「今の父と再婚するまでの私たちは極貧生活を送っていました。私達5人を女手1つで同時に育てていたのですから、当然です。けれど、私達の世話と仕事での疲労が重なってか母は体調を崩して入院してしまい……………」

 

「………………」

 

「だから私はお母さんの代わりになると決めたんです……………けど、中々うまく行かない現状で…………」

 

なるほどね……………あのビンタも母を真似てか。にしても、五つ子にそんな過去があったとは。ほんと彼女らのお母さんは凄いな。女手1つでよく5人を育てたもんだ。さぞ立派なお母さんだったのだろう。

 

「母親代わりねぇ……………なら俺は父親の代わりになろうかな、なーんて……………おい、何で露骨に嫌そうな顔をしてんだ」

 

「………火野君が父親だと、皆が影響されてドSになってしまう気がするのでちょっと………………」

 

た、確かにドSな三玖とか見たくねぇ!…………………いや、でもどうなんだろう。ドS女王様みたいな三玖……………………案外悪くないのか?これはじっくり考える必要がありますね。姉妹喧嘩の解決や期末テストよりよっぽど重要案件だな(おい)

 

「あ、見てください!雲が晴れて月が見えてきました。本当に今日は月が綺麗ですね」

 

「……………………。それ、告白の際に用いられたりする言葉なの知ってた?」

 

「……………………え?」

 

「有名な夏目漱石の話でI love youを『月が綺麗ですね』って訳した逸話があってだな。だから、相手への告白の際に用いる言葉として有名なんだが知ってたか?」

 

五月の顔がお風呂上りみたいに真っ赤に染まっていく。もっと紅くなれば美味しいりんごになるぜ(意味不明)

 

「……………………五月はもっと勉強した方が良いな、うん」

 

「そ、そうですね……………………そ、それと…………さっきの言葉はこ、告白とかじゃなくて、その………………こ、言葉通り純粋に月が綺麗と言う意味ですので……………」

 

「はいはい、分かってるよ。……………そろそろ帰るか」

 

この後、家に帰るまで何か少し気まずかった。

 

to be continue………




……………………えー。皆さんお気づきでしょうか。四葉ですよ、四葉。流れが原作とは違います。気づいた方は鋭い……………………ってことにしてやんよ(上から目線)

この小説の四葉は原作のとは少し違うよん……………多分。

あ、四葉の幕間の物語はつい最近思いついたので執筆開始すんよー。笑いはほぼ無しのシリアス寄りの予定。お楽しみに。

今日もこんな駄文を読んでくれてありがとうございましたっ!



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第6巻
7つのさよなら その4


今日は後書きで言い訳と言うか解説と言うか……………………取り敢えずそんな感じのが載ってます。アニメでも京都の子の正体がバラされてるから、心置きなく解説できますねぇ!


翌日の月曜日、俺は上杉と一緒に登校していた。五月は朝飯で毎度のごとくおかわりしまくったせいで学校に行く準備が出来てなかったので、本人に断って先に出ていた。

 

「……………四葉が昨日部活に行っていた可能性があるだと!?」

 

「多分と言いうか、ほぼ確定な気がする」

 

「テスト期間中は部活はないんじゃなかったのか……………あいつにはあとで話を聞く必要があるな…………!」

 

リボンを掴みの刑の執行が確定。

 

「2人も行く必要はないだろうし、話を聞くのはお前に任せるわ」

 

「分かった…………ったく、こんな時に限って面倒なことになっちまったもんだ………………」

 

それは激しく同意。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、一花姉さん、三玖、五月(家に帰ってこいと言う一花姉さんの説得には首を縦に振らず)に勉強を教えていると上杉が30分以上遅れて合流。曰く、四葉に関しては俺の予想通り部活だったらしい。上杉は辞めるようには言ったが、四葉は例の問題集を部活と並行して進めているようで、勉強と部活を両立させるつもりらしい。ちゃんと両立させてくれるなら俺としては特に言うことはないのだが。四葉が部活の方行った後、上杉は学校に来ていた二乃と会って説得を試みたらしいが、結果は残念賞だったらしい。試験なんてどうでも良いと拒絶されているとか。

 

「………………火野」

 

「うん?」

 

「明日から放課後の勉強会での3人の面倒は途中までお前に任せて良いか?俺は二乃や四葉の説得をするから今日みたいに後で合流する」

 

…………確かに2人とも説得側に回るよりもそうした方が良いか。四葉は兎も角、二乃は何とかしないとな。

 

「分かった。勉強面は俺に任せな」

 

「ああ。頼む」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな会話から3日後の水曜日。この3日で上杉による二乃への説得は成功する事はなかった。四葉はともかく、正直二乃の説得は無理なんじゃないかと思ったりした───────上杉が諦めてないようなので言わないが。さぁ、今日も教えるとすっかな………………ん?

 

「…………お、四葉」

 

「あ、火野さん。実は、あの問題集は明日で全て終わる予定なんです!」

 

「!」

 

マジか!あの量のプリントを部活と平行してやってたのか。ちゃんと両立出来て………………いや、でもちゃんと出来てるのか?あの問題集には暗記系の問題とか結構入っている。用語とかごっちゃになって覚えてたりしてなければ良いんだが。

 

「(…………ちょっと問題出して確かめてみるか)四葉、少し確」

 

「中野さーん。練習行くよー」

 

「あ、はーい!それでは火野さん、今日は別の場所で走り込みですので失礼します!」

 

「あ、ちょ……………早いな、オイ………」

 

バックを持って電光石火のごとく行っちまったよ……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

==================

 

それは偶然だった。上杉さんが走り込みしている公園にいたのは。いつもタイミングを見計らっていたけど、忙しそうだった事や私自身も部活があったので中々実行するタイミングがなかった──────あの思い出と、この想いを消すタイミングが。

 

けど──────今がその時だ。

 

最後尾を走っていた私は前を走ってる先輩達にバレないようにこっそり離れて、そのまま荷物が入ってるバックを取ってきて茂みに隠れる。誰もいないのを確認してバックの中に入っている服装に着替える。この服はいつその時が来ても良いように出来る限り常備していた。

 

私は嘘をつくのが下手だ。姉妹のふりを演じるのもあまり上手く出来ない。けど、今回は違う。

 

────昔の私(・・・)を演じれば良い。上杉さんと京都で会った頃の私を。私にとっては姉妹のふりをするよりもよっぽど容易いことだ。

 

「─────また落ち込んでる」

 

風が吹く。帽子が飛ばされないように私は手で押さえる。

 

「やっぱり君は変わらないね、上杉風太郎君」

 

「……………お前は…………」

 

「久しぶり。イメチェンしたのかな?5年前に京都で出会った頃とは見違えたね」

 

上杉さんはハッとした表情で生徒手帳から写真を取り出す。─────多分、あの写真だ。確か清水寺で撮ったんだっけ。

 

「もしや…………京都の…………元気そうでなにより……………じゃ!」

 

「え!」

 

まさか逃げるとは思いもせず、慌てて上杉さんの服を掴む。

 

「放してくれ!俺はまだお前には会えない!…………あっ」

 

「こ、これを返して欲しかったら言うこと聞いてね」

 

上杉さんの手から生徒手帳を奪って人質……………いや、これは物だから……………って、そんなことは何でも良くて。

 

「じゃあ…………逃げられないようにあのボートに乗ろうか。池の真ん中まで行ったら返すよ」

 

「くっ…………」

 

仕方なくと言った表情で、上杉さんは私とボートに乗る。

 

「………そう言えば、俺はお前の名前を知らない」

 

「私は……………………零奈」

 

………ごめんなさい、お母さん。ほんの少しだけ名前を借ります。

 

「えっと…………あれから勉強して学年一位になって、家庭教師もしてるんだって?」

 

「……誰から聞いたんだ?」

 

「……か、風の噂で…………」

 

危ない…………何とか咄嗟に誤魔化せた。…………誤魔化せたよね?

 

「風の噂………?まぁ、確かに俺は家庭教師をしてる。同じ学年1位の奴とな。しかも五つ子の家庭教師をな」

 

「うんうん…………………あっ。す、凄いね五つ子って!漫画の話みたいだなー、あはは!」

 

「お、おう…………だが、そいつらは困った馬鹿ばかりなんだ」

 

「…………………」

 

「長女は夢追い馬鹿。女優を目指してるんだとよ。成功するかは分からんが、まぁ根気だけはある。だが馬鹿だ」

 

「次女は身内馬鹿。姉妹贔屓ですぐ噛みつく…………だけかと思っていたんだが、今はよく分からん。だが馬鹿だ」

 

「三女は卑屈馬鹿。初めは暗くて覇気のない顔をしてたが…………火野と仲良くなってから生き生きしてるように見える。あ、火野ってのは俺と学年1位の奴の事な。だが馬鹿だ」

 

「四女は脳筋馬鹿。やる気もあって頼りになるが、1番の悩みの種だ。けど、姉妹の中で1番素直かつお人好しな奴だ。だが馬鹿だ」

 

「五女は真面目馬鹿。あいつとはまず、相性が悪いが、本当はやればできる奴だ。このままじゃもったいない。だが馬鹿だ」

 

……………………。上杉さん、私達の事をそんな風に思っててくれてたんだ…………本来の目的も一瞬忘れて素直に嬉しかった。

 

「…………ひとりひとり、真剣に向き合ってるんだね。きっと君はもう必要とされる人になれてるよ」

 

「……………同じことを俺は五女───五月に言われた。だが………………俺はあの日から何も変われてない」

 

「……………そっか。なら、君を縛る私は消えなきゃね」

 

「…………え?」

 

その時、水が吹き出して私達に水がかかる。

 

「……噴水だ!逃げろー!」

 

「また俺に漕がせるのかよ……!」

 

「もー、遅いよ風太郎君(・・・・)!」

 

…………………あ。つい名字じゃなくて名前で呼んじゃった。でも……………それくらいは神様がいたら許してくれるよね。だって………………私が名前で呼ぶのはこれで最後になるんだからっ………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

==================

 

「お疲れ様」

 

「はぁ…………はぁ………」

 

乗り場のところまで2人を乗せたボートは帰ってきた。結局1人で漕いだので、体力のない上杉は息切れを起こしているが。零奈は先にボートからあがる。

 

「約束通りこれ(生徒手帳)は返してあげる。でも……………これ(写真)は返してあげない」

 

「は…………?どうして…………」

 

「………私は…………………もう君と会えないから」

 

上杉にとっては意味が分からなかった。突然現れたかと思えば、突然もう会えないと告げられる─────意味が分からないのは当然だ。そんな上杉の心情を知らずなのかは零奈は去ろうとする。

 

「………ま、待ってくれ!どういう事なん…………!?」

 

急いで追おうとして焦ったせいか、上杉はボートから足を踏み外す。水面に顔面から落ちる寸前───────

 

「……………さよなら」

 

──────悲しそうにも見える零奈からの別れの言葉が上杉に告げられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………………」

 

零奈──────否、四葉は変装を解いてすぐにジャージ姿に着替えて茂みから出てくると、丁度部長と遭遇した。

 

「あ、中野さん。何処に行ってたの?途中から姿が見えなかったけど」

 

「その…………トイレに行ってまして。すみません」

 

「なーんだ、それなら良かった。てっきり帰っちゃったのかと思ったよ」

 

「………あのー、私そろそろ帰って勉強したいのですが…………」

 

「何言ってるの、3年の先輩も受験があるのに来てくれてるんだよ?」

 

「うっ……………そ、そうですよね。帰ったら先輩に悪いですよね……………」

 

四葉は横目でチラリと上杉が陸に上がって何処かに去っていくのが見えた。

 

「(……………上杉さん、ごめんなさい。でも、私だけが特別であっちゃダメだから…………)」

 

「ほら、中野さん。止まってないで走るよ」

 

「………………はいっ!」

 

切り替えるように無理に明るい声を出し、四葉は走り出す。別れを告げたのにも関わらず、釈然としない気持ちを抱えたまま───────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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PM 6:30

 

家に帰って俺の自室にて五月の勉強の面倒見ていると、何故か今日は遅れても勉強会に来なかった上杉が家を訪ねてきた。二乃のホテルから帰るついでに寄って来たらしい。上杉の奴、何か髪がいつもよりサラサラしてね?気のせいか?とりあえず 自室に招き入れて話を聞くと──────────

 

「え?二乃がプリントを破った事を謝ってた?」

 

「ああ」

 

上杉によると、今日は何故か二乃が部屋に入れてくれたらしく、色々と話した時に謝っていたとか。正直、謝ってくるとは思ってなかったので少し驚きだ。

 

「…………にわかに信じがたいです。二乃がそんなにすんなりと謝るとは思えません」

 

五月は二乃に対して疑心暗鬼らしい。まぁ、その気持ちも分からなくはないが。

 

「本当だ!お前もいつまでも意地を張ってるんじゃねーよ。ほら、この前二人で映画行ってたんだろう?また……」

 

「そうは言いますが、上杉君。あの後観たい映画の話で揉めたんですよ、『恋のサマーバケーション』と『生命の起源〜知られざる神秘〜』のどちらが面白そうかで。昔に比べて好みが変わってしまったのです。絶対に『生命の起源〜知られざる神秘〜』の方が面白いですよ!」

 

「いや、こっちの来年1月公開のこのアニメ映画の方が100倍面白いに決まってるだろ(断言)」

 

「別にお前も張り合わないで良いわ!」

 

「………………思ったけど、今なら俺も二乃の部屋に入れて貰えるんじゃね?上杉が行けたなら」

 

「どうだかな…………明日また行くつもりだが、お前も来るか?」

 

「……………そーね。久しぶりに二乃と話せるかもしれないし。五月、悪いが明日の勉強会は最初は各自自習ってことで。そんなに長居はせずにすぐに学校に戻って来るつもりだけど」

 

「はい、分かりました」

 

後で一花姉さんと三玖にも伝えとこっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、放課後。予想通り二乃の部屋に入れた。ちなみに、四葉に確認テストをしようと思ったのだが………………授業の間の休憩やお昼は一花姉さんと三玖に問題集の質問をされまくったので訊きに行く時間もなく、ならば放課後にと思って行ったらもうどこにも姿はなし。今日の最後の授業が体育(ちなみにバレーボール)だったから片付けとかで遅くなったので、グラウンドに陸上部自体の姿が見えないのでまた何処か別の場所に走り込みでも行ってしまったみたいだ。今日はお疲れだろうと夜に電話で確認テストをすることを決めて俺は二乃の部屋に上杉と来ていた。

 

「つーか、いい部屋泊ってんなー。にしても2人とも、喉渇いた………喉渇かない?(迫真)」

 

「確かに、何でも良いから飲みたいな。学校からここまで意外と遠いから喉が渇いた」

 

「じゃあ、ルームサービス呼ぶけど何頼む?」

 

「俺はアイスティー」

 

「俺も火野と同じのでいい」

 

「アイスティーね」

 

二乃は部屋にある電話でルームサービスを呼ぼうと受話器を手に持ち――――――そして元あった場所に戻した。

 

「……………………よくよく考えたら、何で当たり前のようにいんのよ‼しかも今日はこいつ(火野)もいるし‼」

 

「おいおい、何を今更のようにツッコんでるんだ。少し会わないうちにツッコミの熟練度が低下したか?練習するか?」

 

「しないわよ!」

 

つーか、俺らを部屋の中にいれたの二乃やろ。なのに何で『当たり前のようにいんのよ‼』って言われなくちゃいけないんですか(正論)

 

「にしても、昨日のしおらしさは何処に行ったのよ。寝たらリセットされてずうずうしくなったわけ?」

 

「……………昨日の1件は勿論ショックだった。だが、零奈から1つ学んだ事もある。それは「あっ、おい待てぃ(唐突)」……なんだよ、火野」

 

「零奈って誰の事だゾ?」

 

「あんた、こいつに昨日の事を話してないの?」

 

(聞いて )ないです。

 

「簡単に言うとね──────」

 

二乃によると、昨日上杉は5年前に出会った女の子────『京都の子』に再会したらしい。だが、真意を明かさず『もう会えないから』と言い残して別れたらしい。

 

折角会えたのに、それは残念だな…………にしても、彼女の言葉の真意も気になるなー……………。

 

「こいつ、昨日はかなり落ち込んでたわよ。あんな表情を見たことがなかったもの」

 

………………………ふむ。

 

「……………それを見た二乃は放っておけなくて部屋に入れたのか」

 

「!?………べ、別にそう言う訳じゃないわよ!ただ、その…………暇潰しに話し相手が欲しかったから入れただけよ!」

 

「oh…………This is Japanese ツンデレ! 」

 

「追い出すわよ!」

 

…………ふっ。久しぶりな感じがするなー、この二乃との漫才みたいなやり取り。

 

「さて、茶番はさておき。その…………零奈さんから何を学んだのよ?」

 

「脱線から漸く戻ってきた…………………俺は零奈から、人が変わっていくのは避けられない。過去に執着するのではなくて、今を受け入れていかなきゃならない─────って事を学んだ。だから二乃。お前も仲直りして帰ろう」

 

──────それは正しい。人は色んな経験をして成長─────変わって行く生き物だ。過去に執着せず、受け入れるのも人生において必要な場面は必ず出てくるだろう。

 

「…………そんな簡単に割り切れないわよ。これは独り言だけど…………」

 

二乃は俺達に語り始める。『過去』を───────言い換えれば『弱さ』とも言えるのかもしれない。

 

「私たちが同じ外見で、同じ性格だった頃は全員の思考が共有されているようで居心地がよかった」

 

「…………でも。それは五年前から少しずつ変わっていった。外見も変わって、好きな事もバラバラになった─────五つ子なのに『同じ何か』が共有されなくなっていった」

 

「皆は五つ子から巣立っていった──────私だけを残して。私だけが未だに殻を破れていない。あの頃を忘れられないでいる。だから……………髪の長ささえ変えられずにいるの」

 

「……………だけど、無理やりにでも巣立たなくっちゃ(変わらなくちゃ)ならない。私一人だけが取り残されたままは嫌だから」

 

───────なるほどね。漸く理解した。姉妹への愛が誰よりも強く、そして過去への固執故に巣から飛び立てていない二乃にとっては変わっていく姉妹が寂しかったのかもしれない。それと同時に自分だけが取り残されて───────自分だけが変われていないのかと苦悩していたのかもしれない。

 

「……………まぁでも、俺から言わせれば変わらずにいることも大切だと思うぜ」

 

「……………どういう意味?」

 

「二乃が自分でも分かってる通りお前は変わらなくちゃならない。けど、二乃が過去―――昔から抱いていた『姉妹が大好き』って思いは無理やりにでも変わったり、忘れたりする必要はないだろ?」

 

「それは……………………そうね」

 

「過去から変わらなくても良い事は突き通し続ければ良い。『変わらなければならないこと』と『変わらなくていいこと』の区別はちゃんとしておけよ。『変わらなければならないこと』が変われれば、二乃はもう巣から飛び立ててると思うぜ」

 

「「……………………」」

 

………………あれ?何か変な事を言ったか?

 

「……………ドSの癖にこういう時だけ良い感じの事を言ってて、無性にムカつくわね」

 

「いつものお前からは想像も出来ない言葉だったな……熱でもあるのか?」

 

「しばくぞ」

 

人が折角真面目にアドバイスしてるってのに、失礼な!

 

「『変わらなければならないこと』と『変わらなくていいこと』、ね………………ま、確かにその通りだし覚えておくわ。……………そうだ上杉。丁度良いから頼みがあるんだけど」

 

「なんだ?」

 

何だろう…………?

 

「あんたの従弟のキンタロー君に会わせてくれないかしら」

 

「「!?」」

 

実を言うともう目の前にいるんですが、それは…………。

 

「林間学校の時、しっかりお別れできなかったの。だからもう一度会ってちゃんと一区切り付けたいのよ。どんな結果になろうと、今の関係のままじゃ嫌だから」

 

――――――さっきの俺の言葉で表せば、二乃の中では『変わらなくていいこと』じゃなくて『変わらなくちゃいけないこと』って訳か、キンタロー(もう1人の上杉)との関係は。

 

……………………どうする、上杉?選ぶのはお前自身だ。

 

「……………………分かった。あいつもお前に話したいとか言ってた気がするし………………1時間後に会う約束を取り付けておけば良いか?」

 

「ええ、それで良いわ。私も色々準備したいから」

 

――――――やる気(変装する)のようだ。

 

to be continue‥…




と、言う訳で原作とは違って四葉自らがさよならを告げる展開にしてみました。この展開を後に活かせる……………ようにストーリー構成を頑張ります。

そこまで原作と会話を変えなかったのは、五つ子は昔は同じ性格だったので『昔の五月』=『昔の四葉』と言えて、原作で五月が零奈への変装を頼まれたときに『昔の五月のままでいい』と四葉が言っていたじゃないですか。なので原作の零奈は『昔の五月』≒『原作の零奈』とも言えなくもない訳で、そうすると『この小説の零奈』ともイコール関係を結べる気がします、多分。

図にすると 

『原作の零奈(五月)』≒『昔の五月』=『昔の四葉』=『この小説の零奈(四葉)』 → 『原作の零奈』≒『この小説の零奈』

的な感じで会話は大きくいじらなかった訳です。ガバガバ理論じゃない事を祈るが、もしそうだと感じたら……………………目を瞑ってください(震え声)

何で演技が苦手な四葉が『零奈』が上杉に四葉とバレずに完遂出来てるかどうかに関しての理由付けとしてはまぁ、上の図が頭にある前提として述べると本編でも触れた通り四葉の中で

昔の自分を演じる>>>>姉妹に(を)変装する/演じる

的な感じのがあったわけです。姉妹のフリを演じるのがゲームのレベルで言う『ハード』なら昔の頃の自分を演じるのが『ノーマル』的なレベルの差がある感じです。だからギリギリだった訳じゃないけどバレなかったみたいなもんです。

……………………作者は現実世界においてもこう言ったのも含めて誰かに説明するのがあまり上手じゃないんです。なので、これで納得してくれたなら嬉しいのですが腑に落ちないとか、『ガバガバ理論で草』とかだったらすみません。つーか、逆に誰か分かりやすく説明して欲しいくらい(他力本願)

『俺のこの説明の方が分かりやすいですよ的』な人がいれば感想とかで書いてくれたら採用して書き換える可能性が微レ存…………?

取り敢えず理由とか理屈とかは放っておいて、原作とは違って『京都の子』の四葉が自分自身でさよならを告げたって事だけ覚えておけばおkです。500字も使って理屈とか説明しないで最初からそれだけ言えばよかったのかなー、なんて気もしますが総悟が一花姉さんに言っていたように『何事もチャレンジ精神』なので理屈の説明に思い切って挑戦してみた感じです、うん。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。よし、寝よ……………………。


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7つのさよなら その5

Fateの再上映を見に行ったら特典のポスターが意外と大きかった……………………。どうするかお悩みなう。


『じゃ、俺は勉強会に戻るんで』と断って俺も二乃の部屋から上杉と共に撤収。そのまま学校に向けて歩く。

 

「つーか、お前どーすんの?今から金髪に染めるんか?」

 

「そんな訳あるか。学校に戻って林間学校で使ったカツラを取ってくる。何処にしまってあるかも知ってるから問題ない」

 

「そうか……………で、どうすんの?正体明かすの?」

 

「………………今後の事を考えるとキンタローを演じ抜くのが良いと思ってるが……………」

 

「……………ま、そこら辺はお前が選べ。悔いが残らんように、な」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上杉と学校で別れた後、俺は図書館で自習をしている一花姉さんら3人の元へ。

 

「待たせたな(ス〇ーク風)」

 

「あ、ソウゴ。二乃とは話せた?」

 

「まーね。いつものツンデレツッコミウーマンで何よりなことでしたわ」

 

「それで、フータロー君は?」

 

「あいつは二乃の心残りのケリを付けるのを手伝ってる。所でユー達の方はどうよ?進捗率は」

 

「ふっふっふ…………じゃーん!3人揃って問題集を解き終わりましたー!」

 

「あ、マジ!?よくやったぞ、3人とも!」

 

俺の想定よりも少し早くて驚いた。やっぱ成長してんすね~。

 

「よし。この問題集を解いた君達にこれを渡そう。持ってきておいて正解だったな」

 

「お、もしかしてプレゼント?」

 

「カレーですか?」

 

(カレーでは)ないです。プレゼントとは─────

 

「ほい。問題集その2」

 

「「「…………」」」

 

3人は石化したかのように固まっている。まぁ、こんな反応をするだろうとは思っていた。

 

「問題集を終えた人から渡そうと思って作った、いわゆるボーナスステージだ。これは俺氏1人で1日で作ったのだ。見て分かる通りその1よりは分厚くはない。けど、内容はその1を踏まえた上での内容となってるから少し難しめかな?」

 

厚さとしてはその1の1/5位ですかね?

 

「火野君…………ちなみにですが、これが終わったらその3もあるんですか……………?」

 

「その3はない。………………今、全員ホッとしたろ?」

 

あ、全員目を逸らした。これは確定演出ですね。

 

「つー訳で、最終下校時刻までやるぞー!」

 

「………よーし、皆頑張ろう!」

 

「うん!」

 

「はい!」

 

何か…………自分の生徒が頑張ろうとしている光景を見てると、ポカポカしますね。ポカポカと言えば……………エ〇ァンゲリオンのぽか波が思い浮かびますネ!

 

「……………………いや、んなことは今はどうでも良いわ!」

 

「「「!?」」」

 

「…………あ、こっちの話だから気にするな。続きをやって、どうぞ(………テストが終わったら『序』から『シン』まで一気見するか)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PM8:00

 

最終下校時刻を過ぎて学校前で解散した後、家に帰ってから飯食って、自室で気分転換にソシャゲをやっていると上杉から着信が。

 

「もすもす?終わったか。どうだったよ、二乃はケリを付けれたか?」

 

『……………………………』

 

――――――まさか。

 

「………………失敗したか?」

 

『………………キンタローが俺だったことがバレて二乃を怒らせちまった。そしてまた睡眠薬で眠らされてて、その間に二乃はあのホテルから出て行っちまった…………』

 

うーむ………………林間学校の肝試しの時は暗かったことが幸いしてバレなかったのかもしれないが、今回はバッチリ顔が見えたからバレたのかもしれないな。

 

「………………ま、気にすんな。起きてしまったことにあーだこーだ言ってもしょうがない。居場所が分からない以上、もう後は信じて待つしかやる事はないな」

 

『………そう、だな………悪い、迷惑掛けて』

 

「あんま気にすんな。じゃ、また明日」

 

上杉との通話は終了。と、そこへお風呂から出た五月が部屋に顔を見せる。

 

「火野君、お風呂空きましたよ」

 

「はいよー」

 

よし、俺も入ってくるかー。

 

「(………………そういや、何か忘れてるような………………まぁ良いや。今はお風呂だ、お風呂!Foo↑)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

pm10:00

 

「ふー、スッキリしたぁ」

 

長風呂し過ぎたな。まぁ、たまには良いだろ。…………べ、別に前に五月が入ってたからって残り湯を堪能する為に長風呂したわけじゃないからな、ほんと!?

 

「あ、火野君。長かったですね」

 

「ま、多少はね?で、どったの?」

 

「この問題集その2に分からない所があって…………」

 

「どれどれ…………あー、こいつはですね―――――」

 

かくかくしかじかで分かるやすくヒントを出して答えに導く。

 

「――――――なるほど!つまり答えはこうなる訳ですね!」

 

「そうだよ(同意)」

 

うーん…………この問題はノーヒントじゃ少し難しかったか。後で一花姉さんと三玖と四葉にヒントでも送っ………………四葉?

 

「ああっ!」

 

「!?………ど、どうしたんですか急に大声なんて挙げて………………?」

 

「四葉に確認テストの電話をするのすっかり忘れてた!!………………まぁ、でもまだ10時だし起きてるべ。あっぶね、あっぶねー」

 

ギリギリ、いやふつーにセーフって事で四葉に電話しまーす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ただいま電話に出ることが出来ません。ピーっと鳴りましたら――――――』

 

………………訂正。セーフじゃなくてアウトだったかも。3回掛けて3回とも留守電に繋がった。

 

「もしかしたら、もう寝てるのではないですか?」

 

「………そういや、前に行った時もこの時間帯は寝てたな。すっかり忘れてた……………『~♪』…………………四葉じゃなくて一花姉さんからだった。もしもしー?」

 

『ソウゴ君、今時間良いかな?』

 

「良いけど………………その前に、四葉は今どうしてる?」

 

『四葉?ちょっと待って………………部屋でぐっすり寝てるよ』

 

電話に気づかない位爆睡してるらしい。部活と勉強でお疲れなのだろう。

 

『もしかして四葉に用事でもあったの?起こした方が良い?』

 

「まー、そうだけど…………………………………………あー、やっぱ叩き起こすのも何か罪悪感あるし明日で良いや!そんで要件は?」

 

『えーっとね、丁度四葉の事なんだけど。何か明日は朝練もあるらしくて』

 

「…………は?まじでブラックじゃねーか」

 

テスト期間中だってのに、ついに朝にもやるようになったか。朝練を決めたであろう人物の部長はマジで駅伝の事しか眼中にないみたいだな。テストについては無関心か。

 

『当事者同士で解決するのが1番だと思ってたんだけど、そうも言ってられないみたい。四葉はかなり無理をしているようにお姉さんには見えるんだよね。本人はそう言うことは言ってないけど』

 

「そうか…………四葉はあの問題集は全部終えてるのか?」

 

『うん。今日で全部終えてたよ』

 

「…………取り敢えず、俺は明日陸上部に行って四葉が両立できてたのか確認しに行くけど、一花姉さんも来るか?」

 

『あー、ごめん。私、明日は朝から仕事で学校は休むんだ』

 

「そうか…………なら、上杉と…………暇そうだし五月もつれて一緒に行くわ。「暇そうってどういうことですか!」ジョークだ、ジョーク…………じゃ、一花姉さんも早めに寝ろよ。仕事に支障が出ないようにな」

 

『うん。それじゃ、おやすみ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

「起きろ五月ー!今日は早めに行く約束だろうがー!」

 

「あ、あと5分…………」

 

昨日、『さっきはああは言ったけど別に行かんでもええで?』と言ったのだが、四葉の事が気になるのか結局行く事に。なお、上杉はすぐに承諾した。

 

「ダメですぅ。早く起きてくださいー」

 

「いいじゃないですか二乃…………あっ。いや、その…………」

 

二乃の名前を出す辺り、何だかんだで結局は大切に思ってるみたいねー。目が覚めたところでさっさと朝飯を食べて(勿論五月はおかわりしてた)準備して家を出た。上杉とは学校前で合流。さぁ、と言う訳で四葉の所へ凸しよう!

 

「悪いが2人とも、四葉の前に二乃の所に行っても良いか?」

 

─────と、上杉が申しているので先に二乃の所へ。だが

 

「二乃?今日は休むらしいよ」

 

「「「…………」」」

 

《悲報》二乃、遂に学校にすら来なくなる。……………こりゃ完全にご立腹か。前にも上杉にも言った通り、もう信じて来るのを待つしかない。

 

気を取り直して、今日の本題(四葉)へ。グラウンドに行くと丁度休憩中のようだった。

 

「来週は高校駅伝本番だね。あなたがいなければ参加できなかった!中野さん、走りの天才のあなたを頼りにしてるよ!」

 

「お前が天才とは世も末だな」

 

「運動は出来るからね、しょうがないね」

 

「う、上杉さんに火野さん…………」

 

「……………君達は?」

 

「あんたが部長か。期末テスト前ってのに練習とはご立派じゃねぇか」

 

「ブラック企業…………いや、ブラック部活ェ…………」

 

「ブラックとは失礼しちゃうなぁ。大切な大会があるから練習してるだけだよ。試験なんかよりよっぽど大切だからね」

 

「………あ?試験なんて?」

 

ヤバイヤバイ、上杉キレそうやんけ!

 

「わー!大丈夫です、ちゃんとやれてますから!」

 

だが、部長と上杉の間に四葉が割って入った事で何とかキャンセルされた。

 

「四葉、無理をしてませんか?」

 

「ちゃんとやれてのか?」

 

「大丈夫です、ちゃんとやれてます!あの問題集は昨日で全部終わらせて、両立もさせてます!」

 

「!」

 

俺は昨日の時点で承知だが、上杉は知らなかったので少し驚いているように見えた。

 

「もう良いかな?もう少し走っておきたいから」

 

「まぁ、四葉がそう言うなら止めねぇよ」

 

「おっ、待てい(江戸っ子) まだ話は…………え、良いの?」

 

「ちょっと、良いんですか?」

 

あっさり引くの、と思いきや上杉は上着を脱ぎ捨てる。

 

「俺も一緒に走りながら四葉がどれくらい出来てるのか確認しよう。それなら邪魔じゃないだろう?」

 

………………え?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5分後

 

「戻ったぞー。…………この様子ならスポドリ買ってきて正解だったな」

 

「ゼェ………!ゼェ…………!し、死ぬ…………」

 

何周したのかは知らないが、体力がない男だからどうせ死にかけると思ってスポドリを買いに行ってる間に上杉はベンチに寝そべって大きく息を吐いていた。スポドリを渡すと、すぐに半分を飲み干す。

 

「で、何周出来た?あと四葉は出来てたか?」

 

「さ…………3だ…………そんなことよりもだ。四葉の奴、全部微妙に間違って覚えていやがった。だが、本気で部活と両立させようとしてたんだな……………」

 

「…………そうか。『させようとしてはいた』が、厳しい言い方になるけど『出来てはいなかった』か。あと2日で間違った知識を何とか叩き直さないといけないんだが………………もしこの土日も部活を入れられたらたまったもんじゃないな」

 

はっきり言うと、陸上部は勉強の邪魔でしかない。

 

「…………どうする、火野?」

 

「…………部活をやめさせるにしても、部外者である俺らがいくら騒いだ所で無意味だ。本人の口から辞めたいと言わないとな。…………俺としては本人の意思を尊重したいのだが、四葉はどうしたいのやら」

 

「………………………………」

 

一花姉さんは無理をしていると言っていた。だとしたら、本当は四葉は部活を辞めたい可能性があるが、それはあくまで可能性────────実際の所は言葉にしてくれなきゃ分からない、とはまさにこの事か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、いつもの図書室での勉強会に一花姉さんも合流。あの社長に車で学校まで送ってくれたらしい。取り敢えず、姉さんに朝の事を報告した。

 

「そっか………………よし。じゃあ、後で私が四葉の本心を探るよ」

 

「そんなこと出来るのか?」

 

「フータロー君、私は四葉のお姉ちゃんだよ?一緒に過ごしてきたあの子の事は何でも知ってる。それくらい簡単な事だよ」

 

流石は姉さん。頼りになるぅ。

 

「四葉については本心を聞いてからどうするか決めるとして、後は二乃か……………」

 

説得するにも居場所から特定せにゃあかんのかぁ……………三玖に『私と似たツンデレ臭のする女を見ませんでしたか』的な事をやって貰うか?

 

「…………あ、そうだ。私、二乃の居場所を知ってた」

 

「あー、そうなんだ。三玖は二乃の居場所を知っ……………………ファッ!?マジでか!?」

 

「ソウゴ君、声が大きいって!」

 

あ、ヤバいヤバイ。怒られちゃう怒られちゃう……………。

 

「…………三玖は何で知ってるの?」

 

「一昨日、二乃が泊まってるホテルに行ったらキャリーバッグを持って出ていく二乃を見掛けたから、こっそりついて行って泊まってるホテルを特定しておいた」

 

おお!流石は三玖……………いや、三玖さん!

 

「二乃の説得は私に任せて。だから皆は」

 

「待った。二乃の説得には俺も行くわ」

 

「ソウゴ?」

 

「殴り合いのキャットファイトが起きた場合にストッパーの保険が必要だろ?」

 

………………まぁ、色々と聞いたり話したいって言うのもあるけどね。

 

「じゃあ、三玖とソウゴ君が二乃の所へ。四葉は場合によってはフータロー君と五月ちゃんで何とかするよ」

 

「おっけい。先ずは四葉の本心を探るのは任せたよ。…………よし、取り敢えず切り替えて勉強するか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

===============

 

『上杉さんすみませんでした。私本当は』

 

そこまで打って、四葉の指が止まった。

 

案の定と言うべきか、何と土日で合宿をすることになってしまった。流石に四葉も断ろうとしたのだが、周りも予想外な事に肯定的でしかも部長から本人も無自覚であろう圧力を加えられて断れなかった。

 

結局、心に蓋をするかのようにメールを消す。すると後ろからひょっこり現れる女が1人。

 

「送らないの?」

 

「うわあっ!?」

 

その人物は一花である。

 

「し、心臓に悪いよー。一花は何しに来たの?」

 

「私も歯磨きだよ」

 

「そ、そっか。じゃあ、私はうがいし」

 

「待って。歯ブラシ据えてただけで磨けてないじゃん。やってあげるよ」

 

「え?…………で、でも子供じゃないん……もごご………に、苦い~」

 

「私の使ってる歯磨き粉。これが大人の味なのだ。四葉にはまだ早かったかな~?」

 

「よ、余裕のよっちゃんだよ!」

 

売り言葉に買い言葉の容量で思わず四葉はそう言い返す。

 

「身体だけ大きくなってもやっぱり変わらないね。1人じゃ辛いことは、無理しないで言ってくれたらいいのに」

 

「む、無理なんて」

 

「どれだけ大きくなっても四葉は妹なんだから。こういう時は素直にさ――――――お姉ちゃんを頼ってくれないかな」

 

長女として、頼れるお姉ちゃんとして出た言葉のジャブは――――――四葉が本心を思わず零してしまう程の威力があった。

 

「私………………部活 辞めちゃダメかな………………………」

 

――――――四葉の口からかぼそい声で出た本心。その場にいる長女と3人(・・)は聞き逃さない。

 

「辞めてもいいんだよ」

 

「………ハッ!や、やっぱだめだよ!陸上部の皆んなに迷惑がかかっちゃう!そ。それに勉強と両立出来てるんだから……………一花がお姉さんぶるから変なことを言っちゃった」

 

まぁ、実際は出来てるとは残念ながら言い難いのだがそれはさておき。一花は洗濯機からあるものを取り出す。

 

「こんなお子様パンツ履いてるうちはまだまだ子供だよ」

 

「わーっ!そ、それ上杉さんと火野さんには見せないでよ!…………明日も部活があるからもう寝るね」

 

「はーい」

 

四葉が部屋に入ったタイミングで一花姉さんは隠し持っていたスマホを2台取り出す。一つは自身の。もう一つは三玖の。一花の携帯越しに聞いていた上杉と三玖の携帯越しに聞いていた総悟、五月に一花は呼びかける。

 

「聞こえてた?」

 

『お子様パンツ』

 

『やっぱお姉さんなんだなぁ……(しみじみ)』

 

「それじゃあ………私たちのするべきことは決まったね、五月ちゃんにフータロー君」

 

『ええ』

 

『四葉を解放するぞ!』

 

『よーし……………明日で全て終わらせるぞ』

 

家出騒動に部活騒動。この2つの問題に終止符を打つ為に5人は動き出す――――――。

 

to be continued………




今日は少し真面目(?)と言うかこの作品を書き始めた背景の話を。

当作品はノッブじゃない真名の名義で書いていた処女作の続編を書いてる内に何か面白くなくてモチベも下がって消去して2か月後に、五等分の漫画を読んでたらこの作品を思いついて特訓も兼ねて書き出したと言う背景があります。『あっそ』と思ってる方もいるかもしれませんが、まぁ『ふーん』って感じで結構です。そしたらかつて書いてた続編や処女作の評価やお気に入り登録者を約2か月で上回ってびっくりドンキーです……………………何だ今のギャグ。くっそつまんな。

………………ごほん。ここまで書いてこれたのも読んでくれる皆様の存在があってこそです。とても感謝しています。そしてこれからもこの作品を読んでいただけると幸いです。よろしくお願いします。

あー、ちなみに近い内に自分で課したノルマと言うか条件が満たされて作者の真名が解放されると思います。解放された所で特に何もないんですが。あ、メッセージが送れるようになるとかありますね。ちなみに、コラボとか結構好きなんで話を頂ければリアルの忙しさ等を吟味してOKだすかも知れなかったり。まぁ、そもそもとしてそう言う話は真名解放されてからですね。

今日もここまで読んでいただきありがとうございました。


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7つのさよなら その6

もうその6か。早いなー。ここら辺の五等分はマジでお気に入りの回が多くて『FOO↑』ってなりながら書いてます。楽しいなー。そういやもう三月終わりですね。一月は行く、二月は逃げる、三月は去るとじゃこの事じゃな。


「お邪魔します」

 

「おはやっぷー☆」

 

「…………私にプライバシーはないわけ?」

 

ホテルを変えてもまさかやって来るなんてね。そして三玖の変装でセキュリティも突破されてるし。もっと遠くのホテルにしておけば良かったかしら。

 

「…………言っておくけど、何を言われようと帰らないから」

 

「お茶淹れるけど飲む?」

 

「ここ私の部屋なんだけど!?」

 

図々しい妹ね…………三玖も火野や上杉の悪影響を受けたのかしら。

 

「二乃は何か飲むか?俺は心優しいから三玖の分とついでに淹れてやろうじゃないか」

 

「あっそ。じゃあ、紅茶。砂糖は2つ分入れといて」

 

「へいよー、 かるでらっくす」

 

変な返事ね。まぁ、これがあいつの通常運転かしら。

 

「そんなに砂糖をいれてたら病気になる」

 

「私の勝手でしょ。その日の気分によってカスタマイズできるのが紅茶の強みよ」

 

「よくわかんない。無駄に甘そうだし………」

 

「そんなおばあちゃんが飲むようなお茶が好きなあんたには一生分からないわよ」

 

「あの渋みが分からないなんてお子様」

 

「誰がお子様よ…………って、こんな時にあんたとまで喧嘩してらんないわ」

 

「(二乃も少しは大人になったのか………これはたまげたなぁ)」

 

「……………あんた、何か失礼な事を考えてなかった?」

 

「いや、全然(こやつ、エスパータイプかよ……………)」

 

火野はそう言いながら私と三玖に紅茶と緑茶を出す。

 

「これ飲んだら帰りなさいよ。ていうか、どうやってここを見つけたのよ?」

 

「一昨日に前のホテルに行って、そこで飛び出す二乃を見つけて尾行した」

 

「ガチのストーカーじゃない」

 

「いや、ガチのストーカーは天井裏とか軒下とか電柱の陰に常時いるもんだぞ」

 

「…………………あんた……………ストーカーでもされてた経験でもあるの?やけに詳しいって言うか、言葉に重みがあるって言うか」

 

「漫画の話だけど」

 

「……ああ、そう」

 

…………よくよく考えれば、このドSオタクにストーカーする程好きな物好きな奴はいないか。

 

────いや。もしかしたら三玖とか一花は好きなのかしら?一花は同じクラスで隣らしいから好きになるとかあり得るだろうし、三玖はこいつといると楽しそうに見える気がするし。

 

「………………ま、人の好みはそれぞれだから別に良いんだけど」

 

「「?」」

 

「なんでもない。こっちの話よ」

 

「そう………………二乃。一昨日、フータローと何かあったの?何だか様子がおかしかったからあの時は声をかけられなかったけど………」

 

………………この際だ。全部ぶちまけてしまおうか。

 

「あいつは絶対に許されない事をしたのよ…………聞いて驚きなさい!!あいつ、変装して騙してたのよ!!」

 

「なんだ」

 

「そう……(無関心)」

 

…………………。

 

「いや、反応薄ッ!」

 

「だって俺は一昨日上杉から聞いてたし」

 

「変装なんて私達がいつもやってる事でしょ」

 

「それは……………そうかもしれないけど…………」

 

…………いやいや。私の心を奪ったのが、変装したあいつ(上杉)だったなんて。許せる筈がない。

 

「それだけ?」

 

「それだけよ!……それだけだわ」

 

「ほんとに?」

 

「嘘つけ、絶対にまだ何かあるゾ」

 

………………勘の鋭い2人ね。

 

「…………5人でいてほしいって言われた。試験とかどうでも良いって」

 

「!………………勉強大好き男の上杉が『試験なんて』とはね。…………あいつもお前らと出会って変わったらしい」

 

「……私の都合を聞いた上で勝手な事を言ってくれるわよ、ほんと」

 

「二乃は帰りたくないの?」

 

「なんで帰らなきゃいけないのよ。 …………私達はもう一緒じゃない。好き嫌いも変わって、すれ違いも増えたわ。だからストレスも溜まる。そんなバラバラの私達が一緒にいる意味なんて」

 

「家族だから。………それだけじゃダメ?」

 

「それだけで充分やろ(断言)」

 

「…………。そうね」

 

火野の言う通り、それだけで充分過ぎるわね。

 

「まったく、そんなことも分からんとは…………あんたバカァ?」

 

「うっさいわね!」

 

この男は私に対してはいつも一言余計だっての!ストレートに言ってくれるわよ、ほんと。…………まぁ、バカなのは全否定出来ないかもしれないけど。

 

「それに、私からすれば二乃も十分変わってるよ」

 

「…………何がよ」

 

「昔は紅茶を飲まなかった。以上」

 

「…………いや、それだけ!?」

 

「冗談。………料理やお洒落が出来るようになって、社交的になって頼れるお姉ちゃんになった」

 

「……………そ、それはどーも」

 

面と向かって言われると何か照れるわね…………。

 

「私たちは1人20点の5分の1人前。……………あの問題集の問3。正解は長篠の戦い」

 

「……………な、何よ急に。自慢のつもり?」

 

「ううん。元々好きだから…………戦国武将」

 

「!」

 

三玖の言葉を聞いて何故か火野は驚いた表情を浮かべた。そして微笑を浮かべながら口を開く。

 

「……………少し前まで姉妹には言えないって言ってたのに、今は笑顔すら浮かべて誇らしげに言うとは…………三玖、変わったな。勿論、良い方向へ」

 

「うん。これも全部ソウゴのお陰。屋上と公園で言ってくれたから、今の私がある」

 

………………良く分からないけど、私の知らない所で色々とあったみたいね。

 

「これが私の持つ20点。そして」

 

「あっ…………」

 

三玖が私の紅茶を飲んだ。

 

「…あ、甘過ぎる…………」

 

「何やってんのよ…………」

 

「………でも、この味は二乃がいなければ知れなかった」

 

「!」

 

「確かに昔は5人そっくりで、諍いもなくて平穏だった。でもそれじゃあ、皆んな同じ20点のままだよ。笑ったり、怒ったり、悲しんだり─────5人各々が違う経験をして、足りない(80点)ところを補いあって私達は1人前(100点)になろう」

 

「……………」

 

「だから、違ってていいんだよ」

 

「……………」

 

………………違ってていい、か。

 

「二乃。前に自分は昔から変われてない的な事を言っていたな。でも、さっき三玖が言っていたように、昔の二乃にはなかったもの、要は『個性』がある──────実際は変わっていたって訳だ。本当は気づいていたんじゃないのか?」

 

──────火野の言う通りだ。私は昔の頃とはもうとっくに違っていた。変わっていた。『個性』と言う名の羽は得ていたが巣から飛べずにいた。それは居心地の良かった昔に執着するあまり、自分も含めて姉妹(みんな)が変化していく=違っていく事を受け入れる事が出来なくて。あるいは受け入れる事を恐れて。

 

けど、この子(三玖)は私が『変わっている』、そして『違ってていい』と言ってくれた。単純な話、私は誰かにそう言って欲しかっただけなのかもしれない。飛び立つための最後の一押し(勇気)が欲しかった。ただ、それだけだったのかもしれない。

 

妹に最後の一押しをされるとは………………本当に大きくなったわね、三玖。心の中でそう呟きながら私は三玖の緑茶を飲む。これは三玖の20点だ。

 

「……苦い。これでハッキリしたわ。紅茶の方が美味しいわね」

 

「紅茶だって元は苦い」

 

「こっちは気品な苦味よ。きっと高級な葉から抽出されてるに違いないわ」

 

「緑茶は深みのある苦味。こっちの方が良い葉を使ってる」

 

「………ふっ」

 

私達の会話を聞いていた火野が笑い声を漏らす。

 

「何よ、急に。今の会話に何か面白い所なんてなかったと思うんだけど」

 

「いいや、バッチリあったぞ」

 

「………………分かった。二乃が言ってたことが間違ってたからだ」

 

「どうだか。実際は緑茶がそこら辺の雑草を使ってて、あんたの方が間違ってるんじゃないかしら?」

 

だけど、実際はと言うと――――

 

「紅茶も緑茶も『カメリアシネンシス』って言う同じ樹からできてるんだよなぁ」

 

「「…………」」

 

「違うのは発酵度合いとかよー」

 

───────どっちも不正解だった。三玖と同じく私も思わず笑ってしまう。

 

「ふふっ」

 

「ハハハハハ、何よそれ!こんな面白い話、皆んなにも、教えてあげ………あ」

 

……………我ながら、姉妹への想いは誰よりも強いらしい。これは一昨日に火野が言ってた『変わらなくてもいい』事。そして『変わらなければならないこと』は───────もう見えている。変わる覚悟も三玖のお陰で出来た。私は荷物から鋏を取り出す。

 

「え?………ちょ、二乃さん?」

 

「な、何を…………?」

 

「三玖、火野。あんたらも覚悟しなさい」

 

「「!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

====================

場面は変わって四葉解放チーム。突然、一花のスマホに総悟から着信が。

 

「もしもし?どうかしたの総悟君?」

 

『ヤバい!二乃が遂に頭がイカれたァァァァ!今、風呂場に三玖と籠ってる!『誰の頭がイカれたよ!ちょっと、早く出てきなさい!』……一花、お願いだから早く来て何とかして……もうダメかも…………』

 

「!そうだ、丁度良い。一花、三玖を連れてきてくれ!」

 

「!…………そう言うことね、分かった!2人とも、今から急いでそっちに向かうね!あ、それと五月ちゃん!念のため、変装用のリボンの予備を1つを預けておくね!」

 

「は、はい!」

 

『マジで殺される前に早めに頼むわ!『いや、違うわよ!私はただ』ブツッ』

 

二乃が何か言おうとしていたが途中で通話は切れた。今一状況は把握できてないが、一花はホテルに向けて駆け出す。

 

「上杉君、もしかして」

 

「そうだ。四葉が断れないならお前達が断れば良い…………入れ替わり作戦だ」

 

「やはりですか…………私は入れ替わりは少し苦手でして…………前に一花の真似をした時も心臓バクバクで」

 

「そうには見えなかったが…………まぁ、良い。だから変装の名人の三玖を呼んだんだ。一花が連れてきたらお前のジャージを着て貰う。そして俺が……………って、もう陸上部の奴ら出発してやがる!駅に着く前になんとかしないと………やりたくもない部活で貴重な土日を潰されてたまるか!」

 

取り敢えず上杉と五月は距離を取って尾行。ただ、このまま尾行してるだけでは意味がない。

 

「…………やむを得ん。五月、三玖が来るまでお前が四葉の代わりをやるんだ」

 

「え!?」

 

「早くリボンを付けろ!駅に着いちまう!」

 

「………わ、分かりました!」

 

半ば上杉に強引に押される形で五月はリボンを付けて星形のアクセサリーは外す。

 

「え、えっと……………嫌です!こんな役目もう辞めたいですー!……………みたいな感じで良いですか?」

 

「そうだ、そのアホっぽさのある喋り方はまさに四葉だ!見た目も完璧だし、これで行けるぞ」

 

「そんなにうまくいくでしょうか………」

 

五月の中に一抹の不安が残るなか、上杉は作戦を説明する。

 

「俺が四葉を何とか陸上部から引き剥がす。そして何気なくお前が四葉のフリをして戻って退部を申し込んでくれ。頼んだぞ」

 

どうやって四葉を引き剥がすのかと言う疑問が浮かんだ五月は尋ねようとするが、それよりも早く上杉は息を大きく吸い込み───────

 

「痴漢だー!痴漢が出たぞー!」

 

陸上部の面子にも聞こえるくらいの大声で叫んだ後、近くの階段を駆け上がる。

 

「そこの人、止まりなさーい!」

 

そして声に釣られた四葉も上杉を追って階段を駆けていく。なんともまぁ捨て身な作戦である。

 

「(信じますよ………私は四葉、私は四葉…………)」

 

五月は内心でそう呟きながら陸上部の元へ─────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「捕まえましたー!」

 

「グエッ!」

 

誰の目からも分かりきっていた結末ではあるが、上杉はあっさりと四葉に捕まった。

 

「あれ、この匂い…………う、上杉さん!?ど、どうして…………痴漢なんて………」

 

「嘘!痴漢なんて嘘!……これはお前を誘き寄せるための作戦だ」

 

「誘き寄せる………?」

 

「今、五月がお前の代わりに退部を申し込んでる」

 

「!……………わ、私はへっちゃらですから!」

 

「いい加減にしろ!へっちゃらな訳があるか!昨日、お前も辞めたいって言ってただろ!四葉、お前が本当に大切にしたい物は何だ!?」

 

「!…………そ、それは…………」

 

「…………隠れろ!」

 

四葉の口を押さえて柱の陰に隠れる。様子がおかしいことに気が付いたからだ。

 

「わ、私は四葉ですよー。ほら、リボン」

 

「うん。似てるけど違うよ。髪の長さが違うし」

 

「くっ、何て鋭い観察眼なんだ…………!」

 

早速バレた。

 

「上杉さんはもっと他人に興味を持ってください………私のためにすみません……………でも!」

 

「ま、待て!」

 

四葉は陸上部の元へ走り出してしまう。このまま戻られてはもう万事休す─────。

 

「お待たせしましたー!ご迷惑おかけしました、皆さん!」

 

「よ、四葉の奴…………もう陸上部に戻って……………ない?」

 

上杉の目の前にちゃんと四葉の姿はあった。当の四葉は陸上部の元にいる自分自身を見て固まっている。

 

「中野さん!」

 

「今度は本物ですよね………?」

 

「あはは。ちょっとしたドッキリでした。五つ子ジョーク!」

 

「なんだ、冗談だったんだね。でも笑えないからやめてよ。中野さんの才能を放っておくなんてできない。私と一緒に高校陸上の頂点を目指そうよ!」

 

「……………まぁ、辞めたいのは冗談じゃなくて本当なんですけどね」

 

部長の言葉を笑顔で切り捨てる四葉(?)。四葉(?)の発言に部長と五月は驚いていた。

 

「な、中野さん?なんで………」

 

「なんでって、そんなことも分からないんですか。とあるドS野郎の言葉を借りて言えば『あんたバカァ?』ですね。………………調子のいいこと言って私の事は何も考えてくれないし、前日に合宿を決めるなんてありえません」

 

トドメとばかりに四葉(?)は部長に一歩近づいて普段の四葉なら絶対出さないようなナイフのように鋭いかつ冷たい声で一言叩きつける。

 

─────マジありえないから

 

「ヒッ……………………ご………ごめんなさい………………」

 

そのまま力が抜けたのか部長は地面に崩れ落ちてしまう。用は済んだとばかりに四葉(?)は去っていき、五月も慌てて付いて行く。

 

「で、出た……………ドッペルゲンガー!うわーん、死ぬ前に皆とみかん狩りに行きたかったですー!」

 

「ふっー………………何とか間に合ったか」

 

そこへ息を切らした一花と総悟が戻ってきた。

 

「つ、疲れたぁ…………」

 

「陰から見てたけど、すげぇスカッとしたなー」

 

「一花に総悟………三玖を連れてきてくれてありが」

 

「あれは私じゃない」

 

「………………え?」

 

総悟の後ろから三玖がひょっこり姿を見せ、上杉は間の抜けた声をあげてしまう。そこへ五月と四葉(?)が5人の元へ戻って来る。

 

「三玖、間一髪でした。ありが………………あれ!?」

 

「一、三、四、五…………まさか…………」

 

上杉の頭の中に浮かんだ答えを肯定するように総悟はニヤリと笑みを浮かべながら笑う。

 

「そう言う事だ、上杉。喜べ諸君、第2の姉さまのお帰りだ」

 

四葉(?)はリボンを取って蝶の髪飾りを付ける。長かった髪はバッサリ切られてもうない。だがそこにいたのは紛れもなく─────二乃だった。

 

「私もホテルに着いて二乃の部屋に入った時は驚いたよ。そんなバッサリいくなんて、もしかして失恋ですかー?」

 

「……………ま、そんなところね」

 

「いやー、にしても最初に二乃が鋏を持って迫ってきた時はぶっ〇されるかと思いましたよー。すぐに誤解が解けたから良かったけどさぁ」

 

「ほんと、こっちもあんたらが急に風呂場に籠って一花に電話して騒ぎだした時は驚いたわよ」

 

「にしても、『あんたバカァ?』を勝手に使いやがったな?」

 

「ふん。どうせあんたが作り出した台詞じゃないんだろうし、好きに使おうがあんたにとやかく言われる筋合いはないでしょ」

 

「確かにぃ………(正論を言い返されちまった………これも〇ーレのシナリオ通りか………………)」

 

次に二乃は四葉の方を向く。

 

「四葉。私は言われた通りやったけれど、本音で話し合えばあの子達もわかってくれるわ。あんたも変わりなさい。辛いかもしれないけど、きっと良いこともきっとあるわ」

 

「……………。うん、行ってくる」

 

「1人で大丈夫?ついてこうか?」

 

「ありがとう、一花。でも、1人で大丈夫だよ」

 

一花の気遣いに感謝をしつつ、四葉は1人で陸上部へと戻って行った。さて、残る課題はこの2人(二乃と五月)についてだ。

 

「「………………」」

 

「…………お、おい2人と」

 

「はいはい、邪魔者は退散するぞ。…………あの2人はもう大丈夫だ」

 

「火野…………そうだな」

 

「腹減ったし、コンビニで何か買うかなー」

 

「私も抹茶ソーダ買う」

 

「あ、私はフラペチーノにしよっと」

 

4人が去ってその場は二乃と五月の2人きりに。先に話を切り出したのは五月からだった。

 

「二乃、その…………先日は」

 

「待って、謝らないで。あんたは間違ってない。今回は全部私が悪かったわ。……………強いて言うならビンタが強すぎた事くらいよ」

 

「二乃ぉ……!」

 

五月の瞳にはたっぷりの涙が浮かぶ。仲直り出来たのが相当嬉しかったのだろう。二乃も涙は浮かべなかったものの、内心は嬉しかった。

 

「そ、そうです。お詫びをかねてこれを─────この前二乃が見たがってた映画の前売り券を渡そうと思ってたんです」

 

そう言って五月は『恋のサマーバケーション』のチケットを取り出す。それを見た二乃は一瞬目を丸くしたが、すぐに口元に笑みを浮かべる。

 

「全く…………思い通りにいかないわね」

 

二乃は差し出そうとしていた映画の前売り券─────『生命の起源〜知られざる神秘〜』の前売り券を後ろに隠す。

 

同じではなくとも/変わってしまっても─────やっぱり彼女等は姉妹と言う事である。

 

to be continued…………




今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

三月に去られると忙しい4月がやって来るよー。やだー。


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7つのさよなら その7

次回で7つのさよなら編終了です。既にお気づきかと思いますが、この7つのさよなら編だけは何となくノリで毎日連続投稿でやらせて貰いました。これが終わったらまたマイペースに投稿します。今回は4000字程度。そして次回は10000字程度。まぁ、文字数増えたからと言って特に何か内容がスペシャルなわけでもないのですが。いつも通りです。ちなみに、次回のパロはつい最近アニメ二期が終わった小説のがメインです。ロリ推しが増えたかなー。

では、どうぞー。


かくして無事に懸念事項は全部解決。一行はマンションに戻って来た。自宅の玄関に入る直前、四葉は廊下に何とも美しいジャパニーズ土下座をする。

 

「この度は、ご迷惑をおかけして」

 

「ぬわああああん疲れたもおおおおん」

 

こいついつも疲れてんな

 

「朝から大変だったね〜」

 

「早朝だったのでご飯を食べ損ねてしまいました」

 

…………誰か四葉に反応してさしあげろ。

 

「全ては私の不徳の致すところでして」

 

「飲み物以外にも買ってくればよかったな〜」

 

「今日はシェフ(二乃)がいる」

 

「シェフ、何か高級なコース料理を作ってくんない?」

 

「姉妹の分だけなら良いわよ」

 

「は?(威圧)」 

 

誰も四葉に対して反応しない。四葉は思春期症候群を患って誰からも見えてない可能性が微レ存………?取り敢えずバニーガール姿で藤沢の図書館をうろつこうか(悪魔の誘い)

 

「大変申し訳なく」

 

「その前に」

 

一花は最後尾の2人(二乃と五月)を振り返る。

 

「おかえり」

 

「「ただいま」」

 

2人はそう言った。だが、両者共に玄関から先に入ろうとしない。

 

「早く入りなさい」

 

「お先にどうぞ」

 

「じゃあ同時に入るわよ。せーの………」

 

「「………」」

 

─────────動かない。 

 

「なんで動かないのよ!」

 

「二乃だって!」

 

「早く入って、どうぞ(迫真)」

 

「わぁ!?」

 

「ちょ、押さないでよ!」

 

めんどくさいので総悟が押して同着で家に入れさせた。 

 

「久々に賑やか」

 

「うん。よーし、じゃあこのまま」

 

「問題解決を祝って夜までパーティーをやりますねぇ!(食い気味)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、試験勉強だろうが!!」

 

パーティーになりかけた所で上杉からのストッパーが入った。

 

「明後日から期末試験なのを忘れたか?全ての問題が解決したんだから、勉強に全振りだ。文句ある奴いるか?」

 

「も、もちろん、そう言おうとしてたよー」

 

「そういや試験をすっかり忘れてたわ。朝から色々あったからね、しょうがないね」 

 

一同が話している中、空気の如く扱われている四葉は痺れを切らして顔を上げる。

 

「もー、皆聞いて」

 

「あ?いつまで気にしてんだ?早く入れ」

 

「じゃあ四葉が食事当番」

 

「おにぎりプリーズ」

 

「さっ行こ!」

 

「………うん!」

 

姉妹たちや教師達の優しさに少し涙を浮かべる四葉だが、拭ってすぐに家に入って行った。残念、バニーガールは永久にお預けかぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、何か言い訳はありますか?」

 

「……あ、ありません………………」

 

ソファに座っている私服姿の星奈さんの目の前では二乃が正座をしていると言う、何とも面白い光景が広がっていた。俺的には中々見れないであろう光景が見れて愉☆悦。

 

「言いましたよね?睡眠薬を盛るのは下手したら犯罪になると」

 

「は、はい…………」

 

何故こうなっているかと言うと、どうも二乃が上杉に対して睡眠薬を使ったのが如何なる経路かは不明だが(上杉は話してないらしい)星奈さんにバレて、一花姉さんに許可を取ってここで帰って来るのを待っていたらしい。星奈さんを認識した時の二乃の『ああ、死んだわこれ』的な絶望の表情は一生忘れられない思い出(?)になった。二乃本人も思い出になるかトラウマになるかはさておき一生忘れられないだろう。

 

「ほんとに話しを聞いてたんですか?散々お灸を据えたつもりだったのですがね」

 

「そ、その………騙されてた事が分かって怒りの余りすっかり忘れてて…………も、申し訳ありませんでした…………こ、今後は二度とやらないので…………」

 

「謝る相手は私じゃないと思うんですがね?」

 

二乃は上杉の方へ方向転換。そして頭を下げる。

 

「また睡眠薬使って………ご、ごめん…………」

 

「……お、おう………………ま、まぁ星奈さん。二乃を騙した俺も悪かった訳ですし、俺も全然ピンピンしてるんで……………」

 

「…………………………」

 

そ、そのー………………これくらいで勘弁してあげては如何かと思うのですが………ど、どうでしょうか………

 

「………………」

 

星奈さんの無言の圧故か声が小さくなる上杉。気持ちはすんごく分かる。

 

「………………はぁ」

 

星奈さんは小さく息をつくと、フッと場の空間を支配していた無言の圧力が跡形もなく消え去るのを感じた。

 

「………………まぁ、上杉君がそう言うのならば私からはもう言う事はありません。本人も今回はちゃんと反省しているようですし。もう次は無いですからね」

 

「!………………は、はい!」

 

少し離れた所で見守っていた姉妹たちも張りつめていた空気が漂う時間が終わって漸く安心したかのようにホッと息をつく。

 

「では私は帰りますね。この後、買ってきた本を読む予定があるので。………………あ、四葉さん。このおにぎりを1つ食べてもいいですか?美味しそうですね」

 

「勿論です!」

 

「………………あ、美味いですね。では、総悟様に上杉君。最後の追い込み、頑張ってくださいね」

 

「勿論です」

 

「はい」

 

「………………二乃さん」

 

「!?………………な、何ですか…………?」

 

「試験勉強、頑張ってください。勿論、他の皆さんも」

 

「「「「「…………はい!」」」」」

 

5人の揃った声を聞いて星奈さんは微笑を浮かべた後に去って行った。と言う訳で、腹も減ったしモグモグタイム開始。

 

「で、陸上部とはどうなった?」

 

「あの後ちゃんとお話しして、大会だけ協力してお別れする事にしました」

 

「大会も断ればよかったのに。まぁ、大会は期末試験後だから別に良いか」

 

あの部長、諦め悪そうな感じだしなー。

 

「また何か言われたら教えなさい。今度こそ教育してやるわ」

 

「あぁ^〜いいっすねぇ^〜。今度は徹底的にやりますかねぇ…………」

 

「SとSが手を組んでSSになってる…………」

 

面白いことを言うねー、三玖───────さて。本題に移ろうか。

 

「一花姉さん、三玖、五月の3人は問題集その2に取り掛かっていて、四葉と二乃はその1は終えてる、と。取り敢えずその1は全員終わってる訳だ」

 

「お前、いつの間にその2なんて作ってたのか…………………」

 

まーね。

 

「私達ちゃんとレベルアップしてるのかな?」

 

「元が村人レベルだからな。ようやくザコを倒せるようになったくらいだ」

 

つまり、スライムレベルが倒せるようになった訳か。だが、期末試験は中ボスレベルだからなぁ。この2日でどこまで経験値稼ぎをしてレベルアップ出来るかどうか。

 

「そこでだ。俺は秘策のチートアイテムを持ってきた………………カンニングペーパ!これがあればボス(期末試験)を倒せるぞ!」

 

ファッ!?ちょっと、まずいですよ!

 

「あ、あなたはそんなことしないと思ってたのに…………」

 

「そんなことして点数取っても意味がないですよ!」

 

「なら、もっと勉強するしかない!カンペなんて使わなくてもいいようにこの2日でみっちり叩き込むぞ!覚悟しろ!」

 

…………なるほどな。5人のやる気を焚きつけるためのカンペだったわけか。

 

「……と、いう感じで進めていきますがよろしいでしょうか二乃様」

 

「えぇ…………(困惑) 何で家出少女その1にそんなことを聞く必要があるんですか(正論)」

 

「………………全くよ。今まで好き勝手にやってたくせに。今まで通り、そのまま好き勝手にやればいいじゃない。………………やるわよ。よろしく」

 

………………漸く5人揃った。ここに至るまで3か月。最初は四葉だけで、次に三玖、そして一花姉さんに五月……………最後に二乃。これで全員集合。ある意味、ここからがスタートラインだ。

 

「…………ふぅ」

 

「どうかしたの、ソウゴ?」

 

「いや…………ここまで長かったような短かったような気がするなー、って」

 

「………ふふっ。良かったね」

 

「ああ……………よーし、やりますかね上杉氏!」

 

「………………………」

 

「…………もしもーし?オートパイロット状態になってんぞー?」

 

「!……………悪い、少し考え事をしてた。………よし、やるか」

 

何を考えてたんだ?………まぁ、何でも良いや。じゃけん、さっさと教えましょうねー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2日後の試験当日。五月は俺の親がもっと泊っていけとか言ったせいで結局土日も泊まっていった。特に泊る必要性はないのにねー。マイペアレントは五月を相当気に入ったらしい。

 

「火野君、これをご両親に渡しておいてくれませんか?諸々のお礼です」

 

「お金か……………あー、その事なんだけど。五月がこれを渡してくる事を父さんは予想していたらしくて、渡して来たら伝えるように言われてた伝言があってな」

 

「伝言、ですか?」

 

「『別に金はいらん。特に困ってないし。金の代わりにこれからも総悟と友人でいてくれれば、それでいい。今度は姉妹全員で遊びにでも泊りにでも来な。1週間、楽しかったぜい』だってよ………………でもまぁ、それとは別に俺個人への感謝って事でそのお金をくれてもええんやで?そしたらかなりの額をゲームに課金出来るしネ!」

 

「……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局くれなかった。色々やってあげたのに、解せぬ。まぁ、どうせもうちょっとで給料とかお小遣いが入るから良いか。そう結論付ける頃には学校に到着。皆揃っていた。

 

「ついに試験当日かぁ………」

 

「土日にあれだけやったとは言え少し不安はあるわね……」

 

「やれることはやった。私達もソウゴとフータローも」

 

「あれ、上杉さんはどこに行ったんだろう?」

 

「らいはちゃんに電話ですって。さっきこっそり私の所に来て電話を借りてまで行ったのですから、今じゃなきゃいけない用事だったのでしょう」

 

へー、いつの間に。全然気付かなかったわー。何だろうね、らいはちゃんに用事って。今日のご飯はオムライスが良いとか?………まぁ、いいや。取り敢えず俺もテスト頑張るか。テストが終わったらペル〇ナ3の映画でも見るかなー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本日を持って家庭教師を退任させていただきます」

 

──────俺がそんな呑気な事を考えている裏で上杉がそんな決断をしていた事を知るのはもう少し先の話である。

 

to be continued………




今日もこの駄文を読んでいただき、圧倒的感謝ッ……………………!


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─────ゼロから

毎日投稿期間終了ー。タイトルを見て分かる通り、今回はリゼロの名シーンを盛大にパク……………………パロるゾ。あとはエヴァの台詞もちょいとね。

ではでは、どうぞー。


試験から4日後、結果が返却された。隣の一花姉さんのを他の姉妹よりも先行公開で見せてもらうと、赤点回避(30点以上)出来ていた科目は3つ。前回は回避出来てたのは数学だけだったので中々の進歩だと思う。

 

「数学にソウゴ君の問題集その2に出てきてた問題とほぼ同じのが何個あったのに気付いたときは内心しめしめと笑っちゃったよー」

 

「俺も解いてる時、『あ、これ俺がその2で出したやつやん!出来てると良いなー』なんて考えてたんだよねー」

 

いやー、解けてて良かった。一花姉さんの場合、後は国語と社会科目か。まぁ、これもあと数点なので次の試験では全科目回避は出来る希ガス。

 

「ソウゴ君はどうだった?」

 

「プロですから」

 

「あはは、やっぱ流石だね~」

 

俺がオール100点なのは約束された勝利の結末なので(どや顔)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の放課後、家庭教師の日なので上杉と共にマンションに行こうかと思いきやその姿がなし。先に行ったのかと自己完結して俺もマンションへゴー。

 

「どーも、お久しぶりでーす」

 

「あ、火野さん!…………あれ、上杉さんと一緒じゃないんですか?」

 

「おろ?」

 

あいつ来てないの?てっきりもう来てるのか思ってたが。

 

「まぁ、その内来るか。よし、取り敢えずテストの結果を見せてくれ」

 

どれどれ………………フム。三玖が前回と続いて1番の成績か。赤点なのも英語のみと。

 

「三玖、やるねぇ………前回よりもさらに出来るようになってる」

 

思わずそう呟くと三玖は嬉しそうな表情を浮かべた。尊い…………。

 

「えっとー、次に点数が高いのは五月か」

 

赤点回避出来たのは3科目か。やっぱり理科がずば抜けて高いな。

 

「………………ちなみに五月さんよ。あなた、この数学の問題に見覚えない?」

 

「え?………………………………あっ!その2で見たのと同じです!うう………」

 

「じゃけん、次同じのが出てきた時は完璧に解けるようにしましょうねー」

 

と言うわけで次。

 

「えー、二乃は………………何かムカつくな」

 

「なんでよ!?」

 

2日間しか指導してないのに、1週間鍛え上げた一花姉さんらを差し置いて英語で1番の成績を取ったからですぅ。

 

「最後に四葉は……………まぁ、一桁の科目がなくなってるから少しは成長してるって、はっきりわかんだね」

 

「ありがとうございます!」

 

これでも、上杉だったら褒めないでリボンを掴んでブンブン揺らしてそう(偏見)

 

「そう言えば、ソウゴはテストはどうだった?」

 

「あー、俺はですね」

 

「どうせ満点でしょ」

 

「……………君のような勘のいいガキ(二乃)は嫌いだよ」

 

そう呟くと笑いが起こる。皆につられて思わず俺も笑ってしまう。その時、来客を知らせるチャイムが鳴った。漸く上杉が来たのか。インターホンに出た五月が上杉の到着を知らせる─────かと思いきや。

 

「………上杉君じゃありませんでした」

 

「え?」 

 

じゃあ誰やねん、と言う疑問はすぐに解消した。やって来たのは前に林間学校の時にお世話になったリムジンの運転手の江端さんだった。

 

「失礼いたします、お嬢様方。それと火野総悟様」

 

「なんだー、江端さんか」

 

「あ、こんにちは。それと、林間学校の時はありがとうございました」

 

「ホホホ、どういたしまして」

 

「今日はお父さんの運転手お休み?」

 

「小さい頃から江端さんにはお世話になってるけど家に来るとか初めてだよね」

 

「私から見たら、まだまだ皆様は小さなお子様ですよ」

 

「江端さんはどうしていらしたのですか?」

 

「本日は上杉様の代わりとして参りました」

 

………………………………………………。

 

「上杉の代わり、ですか?………………上杉の奴、勉強のし過ぎでぶっ倒れたのか?」

 

「あいつならあり得そうね」

 

「頭がパンクしたのかなー」

 

ここまでは大方体調不良で休んでるのかと思った。ここまでは

 

「……………お嬢様方と火野様にはお伝えすることがございます」

 

「「「「「「?」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「上杉風太郎様は家庭教師をお辞めになられました」

 

………………………………は?辞めた?上杉が?家庭教師を?

 

「新しい家庭教師が見つかるまで私が上杉様の後任を勤めさせて」

 

「待て待て!待ってください!あいつが家庭教師を辞めたって……………まさか」

 

こんな時でも俺の頭は冴えてると言うか。期末試験当日の日、五月のスマホを借りてらいはちゃんに電話していたと言う話を思い出す。まさか……………………あの時電話していたのはらいはちゃんじゃなくて

 

「もしかして…………………期末試験の日に」

 

「………………旦那様から連絡がありました。期末試験の当日を以て上杉様の契約を解除したと」

 

─────やはりか。もしかして土曜には、いやそれ以前から辞めるつもりだったのかもしれない。

 

「本当なの………………?」

 

「事実でございます」

 

三玖の問いに冗談でした、と言う答えを何処かで期待していた──────────ただ、頭ではそんな答えは返ってこないと分かっていた。これがドッキリでもない事が分からない程、馬鹿じゃない。無論、他の5人も。

 

「え……………つまり、フータロー君はもう来ないの……………?」

 

一花姉さんの問いに改めて江幡さんは無言で肯定の意を示す。場の空気はさっきとは打って変わって重苦しいものに変わっていた。

 

「やっぱり……………赤点の条件は生きてたんだ」

 

「二乃、どういうこと?」

 

「試験の結果のせいよ。あいつは無いって言ってたけどやっぱりパパに言われてたんだわ」

 

「………そりゃないな。もしその条件が生きてたなら俺も今この場にいないだろうよ。つーか、今回はマジで言われてないぞ」

 

「火野様の言う通り、今回旦那様はノルマを課しておりません。上杉様はご自分からお辞めになったそうです」

 

「自分からって…………上杉さん、どうして……………」

 

「……………そんなの急に言われても納得いきません。彼を呼んで直接話を聞きます」

 

そう言って五月はスマホを取り出す。だが

 

「申し訳ありませんがそれは叶いません。上杉様のこの家への侵入を一切禁ずる。旦那様よりそう承っております」

 

「いや……………普通そこまでやる……………?」

 

侵入禁止とかは流石に解せぬ。

 

「なぜそこまで……………それならばお父様に電話して「もういいよ五月」……………ひ、火野君?ですが……………」

 

「電話した所で解除するとは思えない」

 

「なら、直接あいつの所に行くわよ!」

 

……………………俺は二乃の前にスッと立ちふさがる。

 

「どきなさいよ、あんた!」

 

「……………家庭教師の立場的に(・・・・・・・・・)ここでお前が行くのを見過ごして、それが江端さん経由でバレたら家庭教師失格の烙印を押されて俺までも消える事になりかねないんだが」

 

「「「「「……………………」」」」」

 

当然、俺だって今すぐにでも上杉の所に行って色々と聞いたり言ってやりたい事が山ほどある。ただ…………………今の俺は家庭教師として来ている。しかも雇い主の側近的な立場の人がいて、あちらに素行が伝わる可能性がある以上、ここで見過ごしちゃうのはマズい。

 

─────だから、さっさと終わらせて行く。

 

「…………今から家庭教師の時間だ。今日は前に没にした今回の試験問題の範囲をカバーしたテストを復習って事で解いてもらう。…………すんなり終われば今日はこれで終了だ」

 

「「「「「!」」」」」

 

俺の意図が伝わったみたいだな。皆がさっさと終わらせれば行けるって事だ。

 

「では、火野様。もしすんなり行かなければ補習授業と言う事でよろしいですな?」

 

「え…………………………あ、そうですね……………………」

 

二乃から『何で断らないのよ!』的な視線が刺さってるけどさぁ…………ここでノーとか言うとやる気無しと見なされてクビとかあり得そうだからしょうがないだろ。つーか、全部解けば良い話!

 

「時間は今から30分でよろしく。…………悪いが江幡さん。俺は少し外で頭を冷やしたいので数分間彼女等を見ていて貰ってて良いですか?」

 

「分かりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

==================

 

「全く、あいつどういうつもりよ」

 

「私はまだ信じられないよ、上杉さんが自分から辞めたなんて……………」

 

「本人の口からちゃんと聞かないとね。誰か終わった?」

 

「私はもうすぐです」

 

「私も」

 

一花の問いに答えたのは期末試験でNo.1&No.2の座を取った三玖と五月。とは言え、他の3人も順調に進んでいる。

 

「ソウゴの作ったこの問題を解いてると、私達成長したんだなって感じるね」

 

「そうね。前の私達なら危うかったに違いないわ。自分でも不思議なほど問題が解ける……………悔しいけど、全部あいつらのおかげだわ」

 

彼等の存在が自分達が思っていたよりも大きかった。改めて5人はそれを実感する。戻ってきた総悟にも見守られながら問題を解き進める。そして────────

 

「あと1問………あと1問なのに………!」

 

「私もあとは最後だけです…………時間も残り僅か…………」

 

「ホホホ。その程度も解けないようであれば補習は確定ですな」

 

このままでは補習確定で上杉の元へ行くのがさらに遠ざかってしまう─────。

 

「こ、これ前にやったよね?」

 

「うーん…………」

 

「なんだっけなー」

 

「…………………………」

 

最後の問題で姉妹たちが頭を悩ませる中、五月が意を決したように言葉を切り出した。

 

「あのー………カンニングペーパーを見ませんか?全員筆入れに隠してた筈ですが…………」

 

「「「「「!」」」」」

 

真面目な五月から不正しようと言う提案が出たことに皆は少し驚く。

 

「え、でも…………良いのかな…………」

 

「今は有事です。なりふり構ってられません」

 

「五月が上杉さんみたい!」

 

「あんた変わったわね……………」

 

そう呟きながら二乃はチラリと総悟の方を見る。彼女等の思惑を察したのか、わざとらしく『水でも飲みましょうねー』と言って台所の方へ向かう。江端の方も5人のお茶でも作るのかお湯を沸かしているので今がチャンス。五月はカンニングペーパーを開け─────

 

「…………あれ?」

 

「どうしたの、五月?」

 

「何と言うか…………私のはミスがあったみたいです」

 

「じゃあ、私の使おう」

 

一花が自分のカンニングペーパーを開ける。が

 

『安易に答えを得ようとは愚か者め』

 

そこに記載されてたのは答えなどではなく、その一言だけだった。

 

「…………あいつ、初めからカンニングさせるつもりなかったのね」

 

「フータローらしい」

 

「ほんと、フータロー君らし…………待って。何か続きが書いてある…………②?」

 

「②…………私のかしら?」

 

次に二乃がカンペを開く。 

 

『カンニングする生徒になんて教えてられるか→③』

 

「…………次は私」

 

三玖のカンペには────────── 

 

『これからは自分の手で掴み取れ→④』

 

そして四葉

 

『やっと地獄の激務から解放されてせいせいするぜ→⑤』

 

「…………あはは。やっぱり上杉さん、辞めたかったのかな?」

 

「…………最後は五月ちゃんだけど……………五月ちゃん?」

 

黙っていた五月は一花に言われて最後の文を読み上げた。

 

「『だがそこそこ楽しい地獄だった。じゃあな。ps 後は頼んだ。お前なら出来る』」

 

「「「「「…………………………………」」」」」

 

最後のpsが誰に向けてのメッセージなのかはもはや言うまでもない。

 

「………あの野郎……………買いかぶり過ぎだっての………………」

 

いつの間にか五月の背後に来ていた総悟が上杉からのメッセージを見て一言呟く。そして次に声をあげたのは四葉だった。

 

「……………私、まだ上杉さんに教えて貰いたい…………7人で勉強したいよ………」

 

「四葉……………」

 

「けど、あいつはここに来られない。もうどうしようもないわ」

 

「二乃、諦めが早い」

 

「じゃあ、あんたは何か名案でもあるわけ?」

 

「………………皆。私から提案がある。また7人で勉強できる案が。耳を貸して」

 

二乃と三玖が軽く口論になりそうになった所で、一花が声をあげる。 5人は一花の提案を小声で聞く。さりげなく総悟も身体を傾ける。

 

「…………ファッ!?」

 

「一花、本気なのですか?」

 

「うん、本気。どうかな?」

 

「……私は良いわ」

 

「私も。皆と一緒なら大丈夫な気がする」

 

「わ、私も!」

 

「私も構いません」

 

賛成の意志を述べる5人。総悟は彼女等の目を見て本気である事、そしてどんなに言おうと覆さない意思を感じ取った。

 

「ここでの生活を捨ててまでの覚悟、か。…………………良いぜ。客観的に見れば正しくない──────────間違ってるのだろう。だが、その『間違ってること』に俺も付き合おうじゃないか。…………これで俺も悪だくみの共犯で、6等分ってか?」

 

総悟の言葉に5人は笑みを浮かべる。そして5人は立ち上がると丁度お茶を持って行こうとしていた江端の前へ。

 

「おや、どうなされました?」

 

「江端さんもお願い。協力して欲しい事がある」

 

「!」

 

江端の目に映っていたのは小さなお子様などではない。何か強い決意を瞳に浮かべた──────────大きくなった5人の姿だった。江端は変わった彼女等を見て微笑を浮かべる。

 

「─────大きくなられましたな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

================

12月24日。性なゲフゲフン………聖なる夜のクリスマスの前日のクリスマスイブ。昨日で全ての準備が完了した。さぁ、1日早いが奴に驚きと言う名のクリスマスプレゼントを渡そうか。星奈さんと伴に上杉がバイトしている店へ凸を開始。

 

「メリークリスマス!ケーキはいかがですかー?」

 

…………いたいた。事前に調べておいた通り、ケーキ屋で働いてますねぇ。

 

「すいませーん」

 

「はい!……って、火野と星奈さん…………」

 

「ケーキを1ホールと、エクレア2つプリーズ」

 

「………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ^~うめえなぁ!(迫真)おかわり、オナシャス!」

 

「どんだけ食うんだよ……………」

 

「次で最後よー」

 

俺のテーブルの上にはお皿の山が。甘いもの好きだからね、しょうがないね。

 

「…………………で、何をしに来たんだよ」

 

「何をしに、ねぇ………………それはお前が1番分かってるだろ?」

 

「……………………」

 

上杉は目を逸らす。分かりやすい反応な事で。

 

「店長ー、ここ配達って出来ます?上杉にケーキの荷物持ちをさせたいんですけどー?」

 

「は!?いや、配達なんてやってな」

 

「ああ、そんなことなら構わないよ」

 

「店長!?」

 

「もう店も閉める。こっちはいいから、友達の方に行ってあげなよ」

 

店長がそう言いながら最後のエクレアを持ってきてくれる。

 

「まぁ、男2人で華がないかも知れないけど…………メリークリスマス!」

 

「(この職場、辞めようかな………)」

 

「(見るな……………俺達をそんな憐れむような表情で見るな!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=================

 

「走れそりよ~♪ 風のように~♪ 特異点を~♪ パドルパドル~♪」

 

どこぞの黒サンタ王の歌を口ずさみながら、雪が降りしきる中を総悟は歩く。その後ろを星奈と上杉がついていく。

 

「さっきまで雪が降っていなかったのに、急に降り始めましたか。ホワイトクリスマスイヴになりましたね」

 

「そうですね……………あ、ここを左か」

 

「……………ん?おい、お前の家はこっちじゃ」

 

「あってるぞー」

 

「(──────わざと遠回りしてるな…………)」

 

仕方なく、上杉も総悟らに着いて行く。

 

「……………あのさ、火」

 

「上杉」

 

上杉が話そうとするのを振り返らずに総悟が遮る。

 

「俺から聞きたいのは1つだけだ─────なぜ辞めた?本当はすぐにでも訊きたかったが、生憎俺も色々と忙しかったもんでな」

 

「…………………」

 

上杉は俯いて視線を下にしながら簡単な話だ、と続ける。

 

「……………家庭教師を始めて3ヶ月。三玖や一花、五月が参加してくれるようになったのはお前の尽力のお陰だった。前回の中間テストでは五月と仲違いを起こしたり、二乃に赤点の条件をバラして足を引っ張った。今回の家出騒動も二乃の説得には失敗して、結局二乃が家に戻ったのはお前と三玖のお陰だった…………」

 

「…………………」

 

「お前に助けて貰ったり、足を引っ張るばかりで俺自身(・・・)は何も出来なかった。……………………あいつらに必要な家庭教師はあいつらの気持ちをしっかり考えてあげられる奴だ。……………勉強しかしてこなかった俺にはそれが出来なかった。だが……………お前ならそれが出来る────いや、既に出来ている。だからお前に後任を任せた。……………これが俺が辞めた理由の全部だ。俺は………………『不要だ』」

 

「……………『不要』ね」

 

「……………そうだ。俺はお前らにとって

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不要な」

 

「あんたバカァ!?」

 

上杉の発言を一蹴するように大声をあげる総悟。1年からの付き合いの上杉でも総悟が大声をあげる所は初めて見た。そして総悟は少し呆れた様子で言う。

 

「あのねぇ……………………まぁ、上杉の言う通りお前は確かに色々とやってくれたよ。けどな………………………………俺がお前を『不要』なんて言ったことある?」

 

「………それは…………………」

 

「ないだろ?だからお前は不要じゃない。Q.E.D.証明完了」

 

「…………どんな理論だよ…………」

 

何とも強引な理論を押し付けてくる総悟に思わず上杉も苦笑してしまう。

 

「それに、お前は俺を買い被りすぎだっての。林間学校の後にお前が入院してた時、上杉がいなくて俺1人で5人の面倒を見てただろ?もうあの時はマジで大変だったんだぞ、猫の手も借りたい程にな。2度とごめん被るね、1人で見るのは」

 

「…………………」

 

「それと、大した成果を出せてない的な感じに言ってたけどよ。俺1人だけじゃあんなに凄く良い問題集は生まれなくて、それに関連して皆も期末試験のテストも今よりも悪かっただろうし、二乃が家に戻ったのもお前があいつの所へ毎日諦めずに行ってたからあいつと話せる機会が出来て、そこから解決に向かったんじゃねぇか。なのに成果を出してない的な事をほざきやがって………………ぶっ〇すぞ」

 

「………はっ………お前の口の悪い暴言も久しぶりに聞くとなると懐かしく感じるな」

 

それを聞いた総悟はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

 

「自分ではそうは思ってないかもしれないけど、お前の存在はデカい──────────色々言ったが要するにだ。俺はお前を『不要』なんて思ったことなんて1度もねぇ。俺からすりゃ、家庭教師をするに当たってお前は必要って事だよ。6人(・・)じゃ物足りない。7人(・・)じゃないと面白くないんだよ」

 

「……………!」

 

「………………俺から言いたいことは以上。ほれ、選手交代だ」

 

「!」

 

俯き気味だった視線をあげると──────────

 

「やっほー、フータロー君。久しぶりだね」

 

「やっと来たわね。まったく、か弱い乙女をこんな寒い外で待たせるなんていい度胸してるじゃない」 

 

「二乃がか弱い乙女……………?」

 

「お待ちしていました、上杉さん!」

 

「火野君、ケーキは…………?」

 

「ありますあります」 

 

─────そこにいたのは元教え子の5人。同じクラスの五月以外とは会う機会が殆どなかったので、数週間ぶりとは言え上杉は懐かしさを感じてしまう。最初に話を切り出したのは二乃だった。

 

「あんた、ほんとにこれで良いわけ?5人揃って笑顔で卒業させるって言ったのに、あんただけ私達を見捨てる気?」

 

「…………だがこれ以上、俺の身勝手にお前らを」

 

「そうね。あんたらはずっと身勝手だったわ。したくもない勉強をさせられて、必死に単語や公式を暗記して…………………でも、勉強して問題が解けるようになったら嬉しくなっちゃって。…………こうなったのは全部あんたらのせいよ」

 

かつてホテル前で遭遇して彼等を拒絶した時と同じ言葉。たが─────────続きの言葉はあの時とは違う。

 

「最後までこいつと身勝手でいなさいよ!謙虚なあんたなんてらしくないわ!」

 

「ッ……………………悪い。俺は戻れない。もう家に入ることも禁じられているんだ」

 

「ああ、それなら問題ないよ。言うのが遅くなったけどケーキの配達ご苦労様」

 

「………………ん?いや、お前らの家はまだ先じゃ」

 

「ここだよ。ここが私達の新しい家」

 

高層マンションとは似ても似つかない、古びたアパートを指差しながら一花はそう告げた。

 

「私が借りたんだ。私って女優でしょ?それなりに稼いでるからね」

 

「借りたって………………いや、でも…………未成年だから契約は」

 

「契約は別の人に頼んだよ。お父さんにも事後報告だけどもう言ったから」

 

「………はあぁぁぁぁ!?」

 

「いい反応ね。サプライズ大成功かしら」

 

「………計画通り」

 

上杉の驚きっぷりに二乃と総悟はニヤリと笑う。

 

「これでもう障害は無くなったね、フータロー」

 

「………………嘘だろ。それだけのためにあの家を手放したのか…………?馬鹿か、今すぐ前の家に戻れ!こんなの間違ってる!」

 

「いいえ。上杉さん、私は─────私達は戻りません。だって、私達は上杉さんと火野さんの2人に勉強を教えて貰いたいですから。勿論、ここでの生活がとても大変なのになるのは分かっています。──────でも、皆覚悟は出来ています。星奈さん、お願いします!」

 

四葉に名前を呼ばれた星奈は懐からカードを5枚取り出す。

 

「それは…………お前らのマンションのカードキー………」

 

「最終確認ですが………………本当にやっていいんですね?」

 

「はい!月に届かせる位の勢いでやっちゃってください!!」

 

「………………では、遠慮なく!」

 

「ちょ、待」

 

何をしようとしてるのかを察した上杉が制止しようとした時には既に遅し。星奈はカードキーを持った手を月に向けて大きく振るった。

 

そして次の瞬間には星奈の手にカードキーの姿は何処にもなかった。

 

「あー、たった今大気圏を突破しましたねー(適当)」

 

「え、本当ですか!?」

 

「なっ…………カードキーを…………!?」

 

総悟の適当な大嘘を四葉が真に受けている中、上杉は空を見上げていた。尤も、カードキーの姿は空の何処にもないが。

 

「これが彼女等の覚悟だ──────さぁ。君はどうする?上杉風太郎」

 

「……………………………………」

 

上杉はまだ迷いがあるのか何も言わない。すると、上杉に対してまだ何も言っていなかった五月が前に出て総悟の隣で語り掛ける。

 

「前に言った筈ですよ、上杉君。私達にはあなたが『必要』ですと」

 

「!」

 

「だから、またこの場所から始めまし…………え、何ですか火野君?……………はぁ。まぁ、私が言おうとしていた事と同じなので構いませんが………………」

 

途中、総悟が五月に何かを囁いたので中断されたが、気を取り直してテイク2がスタート。

 

「……………上杉君。ここから始めましょう、イチから──────いいえ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロから!

 

『演出してやんよ』とでも言いたげに五月の上空を川に立っていた白い鳥が飛び去る。どこぞの異世界生活アニメの名シーンのオマージュを見れた総悟は内心ガッツポーズ。当然五月は総悟が何故この台詞をリクエストしたのかよく分かってなかったが。

 

「……はっ……………はははっ!」

 

五月の台詞に対してなのかは分からないが、上杉は笑った。そして最初に目の前の2人に向けて口を開く。

 

「……………先ずは素直に礼を言うぜ、火野と五月。俺を『必要』と言ってくれてありがとう」

 

「よせやい、照れる」

 

「どういたしまして」

 

そして今度は全員に向けて語り掛ける───────吹っ切れた表情で。

 

「俺はお前らの事を考えて家庭教師を辞めたんだが……………………何だかお前らの事を配慮するのも馬鹿馬鹿しくなった。だから、俺もやりたいようにやらせてもらう。俺の──────いや、俺達(・・)の身勝手に最後まで付き合えよ!」

 

「………漸く帰ってきたか、いつもの上杉が」

 

上杉の家庭教師復帰宣言に総悟は嬉しそうにニヤリと笑う。5つ子達も、星奈も同じく笑みを浮かべる。

 

「よーし、それじゃあフータロー君の復帰とクリスマスイヴのお祝いを兼ねて、皆でケーキを食べよう!」

 

「俺も良いのか?」

 

「勿論ですよ、上杉さん!」

 

「じゃけん、俺も食いましょうねー」

 

「え……………お前、散々店で食ってたのにまだ食うの…………?」

 

「当たり前だよなぁ?……………でも、皆良いのー?俺らが入ると五等分出来んぞー?」

 

────5人は弾けたように笑った。

 

to be continue………




パーティー終了後

星奈「ポイ捨ては環境に悪いと思ったので、一応投げるふりをしておいたのですが……………………このカードキーはどうしましょうか?」

総悟「んー……………………星奈さんが持っててくれますか?あの5人もいつか元のマンションに帰る時が来るでしょうし。それに、俺が持つより安心ですからネ!」

星奈「了解です」

ちなみに、江端さんがイメチェンしたかどうかはご想像に任せます(放り投げ)書いてから『あ、そういや…………まぁ、別に支障はないし良いか』って感じです。けど、次回に描写を入れれば何とかなるかもだな……………………まぁ、どうするかは考えておきます。

あ、少し前の話になりますがシンエヴァンゲリオンの興行収入が60億突破だそうですね。おめでとう(パチパチ)

さてさて、今回も読んでいただきありがとうございました。この次も、サービスサービスぅ!


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第7巻
Re:ゼロから始めるアパート生活


昨日リゼロの第一期の18話を見てたら上のタイトルが思いつきました。ダサいとかの異論は認めます。

あ、それと近い内に真名解放します。自分に課してた条件をクリアしたので。お楽しみに………………で良いのか…………?


パーティーの前に俺は外で五つ子のお父様に電話。どうせその内あっちから来るでしょうし、ならこっちから行ったれ的な感じである。

 

『連絡を待っていたよ、火野君。それで、どういうことか説明してもらおうか』

 

怒ってるな(確信)

 

「簡潔に説明するとですね。あの5人は俺と上杉の7人で勉強したいから家出しました。ほら、上杉はあなたが出禁にしたじゃないですか」

 

『ああ。僕は彼が嫌いだからね』

 

直球ぅ。

 

「新住所は江端さんから聞いてると思うんで説得するも差し入れするもご自由にって感じなんですが……………ちなみに、上杉は家庭教師として復活したんですが出禁解除の見通しはありますか?」

 

『ないね』

 

即答ェ……………。

 

「あー……………………じゃあ、暫く娘さん達絶対に帰ってこないと思いますよ」

 

『…………そうかい』

 

「と言うか、何でそんなに上杉を嫌ってるんですか?『この馬鹿野郎が!』的な事でも言われたんですか?」

 

『……………………』

 

…………あ、これ図星だろ。電話越しでも分かるやつやん!

 

「…まぁ、その話はさておき…………………どうせバレるのも時間の問題だと思うんで、自白すると俺も家出にかなり協力しました。あと父親も」

 

パソコンで物件探しに夢中になってたら後ろから覗かれてることに気づかずバレました☆ 仕方なく事情を話したら『そう言う理由なら協力してやんよ~』的な感じで物件探しとかその他諸々でめっちゃサポートしてくれたわ。ちなみに、あのアパートは父親の知り合いの不動産から紹介してもらった物件です。

 

『……………そうかい。家出が実行されてる時点で何となくそう予想していたがやはりか』

 

「反対派ならあなたに密告してますからね……………と言う訳で、家庭教師的に素行不良だと思うので責任を取って俺も今日で家庭教師を辞めます」

 

これで俺も上杉と一緒だ。俺だけ金貰うのも不公平だし。つーか、どうせクビにされるだろうから潔くこちらから辞めまーす。

 

『………………そうかい。こちらから言う手間が省けたよ』

 

「あ、でも今月分のお支払いはちゃんとしてくださいね。ちゃんと並行して家庭教師の仕事もやってたんで(正月ガチャとかあるしな)」

 

『…………良いだろう。今月分の給料は君の父親の口座に振り込んでおこう。では、失礼する』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=====================

 

「お待たせしました、ケーキです」

 

星奈さんが8等分にカットしたクリスマスケーキを持って来る。断面を見て分かるけど、切り方が上手いなー。

 

「これ、凄く綺麗に切れてますけど何かコツとかあるんですか?」

 

「包丁を温めてあるんです。冷たいと刃がクリームが絡んで、断面が汚くなりやすいので。あとは一気に垂直に下ろすのではなく、押す・引くの前後の動きで切るとこのように切れます」

 

「なるほど……………」

 

料理好きの二乃はフムフムと頷く。

 

「それじゃあ……………………フータロー君の家庭教師復活とクリスマスのお祝いを祝して、乾杯!」

 

「「「「「「「乾杯!」」」」」」」

 

一花姉さんの乾杯の音頭で飲み物の入ったグラスを合わせる。

 

「う、うめぇ……………このコーラ、キンキンに冷えてやがる………!それにこのケーキもうまいのー」

 

「お前、店で甘いものを食いまくってたのによく食うな……………」

 

上杉は総悟に呆れ気味。本人は構わずモキュモキュと食べ進める。

 

「モキュモキュ………………それにしても、家具とかはまだ殆ど無いんだな」

 

「まぁ、必要な物から順次揃えていくつもりなんだよねー。ちなみに、アレはネットで買って明日に届く予定なんだよね」

 

「アレとは?」

 

「こたつ」

 

「………もっと他に優先して買った方がいいのとかあるんじゃね…………?」

 

総悟のツッコミはごもっともなのだが、どうせ明日こたつはやって来る運命なので今更それを言ってもどうしようもない。

 

「ソウゴって1人暮らしした事とかあるの?」

 

「……………どうしてそう思った?」

 

「手続きについてとかやけに詳しかったから、何となくそう思った」

 

「……………ふふっ。面白いことを言うね、三玖。別に1人暮らしはしたことはないぞ。今のご時世、ネットで調べれば色々と出てくるからな」

 

少しの間を置いてそう答えると総悟はコーラを飲み干す。そして今度は星奈がそれにしても、と話し始める。

 

「まさか5人の住む場所がここになるとは………………これから皆さんとは会う機会が増えそうですね」

 

「…………あー、確かにそうなりますねー」

 

「これも何かの縁ですね」

 

星奈と総悟の会話を聞いて他の6人はすぐにある仮説が頭に浮かぶ。代表して五月が尋ねてみる。

 

「その口振りからして、もしかして星奈さんはここの近くに住んでいるのですか?」

 

「近くと言うか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()のここよりは綺麗なアパートです」

 

「「「「「隣!?」」」」」

 

予想は大的中である。しかも徒歩1分(たぶん)の隣のアパート。日本に激震が走るほどの衝撃(?)の新事実である。

 

「星奈さんがご近所とか超幸運やな。星奈さんはめっちゃ強いし何でも出来てとんでもなく可愛くて頼れる女性だからね」

 

「そ、総悟様…………そう言ってくれるのはとても嬉しいのですが、皆さんの前で言われると……………て、照れます…………」

 

恥じらう姿を見て五つ子はこう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────か、可愛い…………と。

 

「(ヤバい!反則級に可愛い!)」

 

「(い、今ので百合に目覚めた子いそうね……………)」

 

「(………世の中に百合とかが実在する訳が分かった気がする)」

 

「(星奈さん、可愛すぎますー!)」

 

「(こ、これは……………ギャップ萌えと言うものでしょうか……………?)」

 

それぞれ感想を抱く5人。なお、百合に目覚めてる者はいない……………………よね?話の展開的に目覚めるのはやめてくれよ(震え声)

 

「…………………おーい?皆戻ってこーい」

 

「急にボーっとしてどうした?」

 

「「「「「…………はっ!」」」」」

 

総悟と五つ子と違って特に何とも思わなかったシスコンの呼びかけで5人は自分の世界から帰って来る。

 

「別のユニバースの人間と交信でもしてたんか?…………まぁ、良いや」

 

「ちなみに私は1人暮らしですので、遊びに来てもらっても構いませんよ。あと、困った事があれば頼ってくれても構いません。可能な限り協力しますよ」

 

「星奈さん、マジでいい人過ぎんよー」

 

総悟の呟きはこの場の全員が同意だったりする。まぁ、実際にいい人だしね。

 

「よーし、明日は学校も家庭教師もないし……………………朝まで飲むぞー!」

 

「いや、帰れ!飲み会じゃないんだから!」

 

誰のツッコミであるかはもはや言うまでもない。それから1時間後にお開きとなったとさ。総悟はまだ物足りなさそうな様子だったけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上杉の家庭教師復帰宣言から3日後の夕方。今日は家庭教師の日じゃないけど様子を見にとアパートを訪ねた。上杉はあのケーキ屋で年内最後のバイトらしいのでいない。と言う訳でピンポーン。

 

「俺が来たぜ、ヒャッハー」

 

『あ、火野君ですか。今開けますね』

 

出迎えてくれたのは五月。手にはおやつのあんぱんが。ちなみに、俺は白あんぱんが結構好き。取り敢えず中に入れてもらって…………はえー、すっごく狭い(迫真)

 

「家にいるのは……………三玖と五月だけか」

 

「いらっしゃい、ソウゴ」

 

「今日はどうかしたのですか?家庭教師の日ではないですが」

 

「様子見にね。この後、本屋で雑誌を買ってくるからそんなに長居はしないけど。まだ住み始めて3日しか経ってないけど、どうよ新居生活は」

 

「色々と慣れてない事も多いですが、何とかやっていますよ」

 

「布団を敷いて皆で一緒の部屋で寝るのは久しぶり……………ただ、四葉の寝相が悪くて………」

 

「もうロープで縛って固定すれば(鬼畜)………………お?」

 

こたつがあるじゃーん。

 

「………そういや頼んでたとか言ってたな」

 

「あまり贅沢は出来ないので安物ですが………」

 

「ソウゴも中に入りなよ」

 

あ、じゃあ遠慮なく………………ふぁー、あったけー。安物でも暖かいもんはあったけー。

 

「ソウゴの家にはこたつはないの?」

 

「うちは全部屋床暖房」

 

「流石はお金持ちですね…………」

 

まぁ、ユー達もつい数日までお金持ちの家で暮らしてたんですけどね。

 

「けど、こたつはこたつで床暖房とか違う感じがして良いなー…………………今更聞くけど、他の3人はどうしたの?」

 

「一花はお仕事。二乃と四葉は買い出しとその荷物持ち。そろそろ帰ってくると思う」

 

「なぁーるほど」

 

その内荷物持ちとかやらされそう(未来予知)

 

「そう言えば星奈さんとは何かあった?」

 

「昨日、『魚釣りしたらアジが大漁だったのでいりますか?』ってお裾分けしてくれた」

 

「しかも事前に内臓の処理や水洗いをしていてくれてまして。夕食でシンプルに塩焼きにして美味しくいただきました!」

 

「そりゃ良かったのー」

 

わざわざ下処理をしておいてあげる人間の鑑こと、星奈さん。流石ですわぁ………………。

 

「ただいまー………………って、何であんたがいるのよ」

 

「火野さん、いらっしゃいませー!」

 

あ、二乃と四葉が帰ってきたわ。

 

「皆が無事に過ごしてるかどうかの様子見」

 

「私達のこたつでぐだぐだしているようにしか見えないんだけど」

 

「……気のせいだよ(震え声)…………ま、二乃も相変わらずのツッコミだし大丈夫そうか」

 

「ツッコミを判断基準にしてんじゃないわよ」

 

「じゃ、俺は帰るわ。明日も家の大掃除で色々と忙しいぞー」

 

「ソウゴの家は広いから大変そうだね。私達は今は家具とかそんなにないから楽だけど」

 

ほんと楽で羨ましいわー。こっちは2、3日も掛かるくっそデカイ家だから大変で仕方がない。年末になって大掃除が近づくとマジで憂鬱ぅ。

 

「1日じゃ終わらないとか言うちょっとした地獄なんだよなぁ………………では、サラダバー」

 

『199X年、世界は核の炎に包まれた!』の北〇の拳のアニメ最終話の台詞の空耳を残して俺はアパートを出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────そして月日は流れ。

 

『あーあーあーあーああああー♪』

 

「Foo!↑ UN〇CORN(再現版)で年越しィ!ハッピニューイヤー!」

 

完 全 勝 利 しながら総悟は年を越した。

 

「今年はどんな1年になるかなー。つーか、去年は家出騒動とか家出の準備とかで時間がなくてデートとか全然出来んかったな………………よーし、来年は三玖ともっとデートして付き合えるように頑張ろう!………………取り合えずあけおめメッセージを送っておくか」

 

to be continued……………

 




おまけその1

総悟父「案の定、クビになったな総悟」

総悟「まぁ、家出に協力した時点でこうなるとは思ってたけど。中々高収入だったから少し惜しい気もしたが……………………まぁ、しょうがない。切り替えて行こう」

総悟父「つーかお前、俺が協力したのをあいつにバラしやがって。さっき電話が掛かってきてめっちゃ言われたぞ。面倒だから途中で『あー地下で電波がー』って切ったけど」

総悟「正直に言うと、俺への矛先を少しでも和らげようと思ってばらした」

総悟父「はっはっは、正直な奴め!その正直さに免じて許す!」


おまけその2

総悟「あー……………………じゃあ、暫く娘さん達絶対に帰ってこないと思いますよ」

マルオ「…………そうかい(………やっぱり出禁解除も視野に入れておこう………)」

おまけその3

《昨年の総悟の年越し》

総悟「Foo!↑誠が死んで年越しィ!や っ た ぜ」

Scool Daysの最終話を見て、年越しした瞬間に誠がタヒんで清々しい新年を迎えたとか迎えなかったとか。



今日も読んでいただき、誠にありがたい……………デス!(ペテルギウス風)

ちなみに、作者は毎年UNICORNで年越ししてます。


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初春とお年玉

はいー、と言う訳で真名解放~。ノッブ改め音速のノッブです。

……………………まぁ、誰もがそんな変わってないじゃんと思うでしょう。経緯としては、『ノッブ』って名前で書いてたら何か気にいったので元の名前とか色々と混ぜてこうなったって感じです、はい。

ちなみに、課していた真名解放の条件としては『お気に入り登録者が333人を超える』でした。3のぞろ目にした理由は恐らく語るまでもないでしょう。圧倒的ヒロイン(三玖)なのですから。……………………ただ、これが予想よりも早く達成してしまったのが想定外でして。解放するにあたって(しかも名前も変えるので)色々な後始末とかに準備に時間がかかってしまった訳です。すんません。

まぁ、そんな訳ですが今後ともよろしくお願いします。えー、ちなみに真名解放したのでお分かりかと思いますが、私の処女作は暗殺教室のです。ただ、この作品のよりも超絶駄文です。正直リメイクしたいような気がしなくもないような……………………現時点ではする気はないですが。読もうが読まないかはご自由に。読んだら何か良い事がある……………………とは保障しませんが。あ、ちなみに処女作とこの作品は(『同じ世界線』では)ないです。この作品は処女作の『続編』ではないのでそのつもりで。主人公、違うしねー(事実)

まぁ、処女作本編の最終話でも語ってる通りかつて処女作の続編を書いてました。ただ、書いてるうちにモチベーションが下落した結果、削除して白紙に戻って無期限の延期中です。いつか書きだす予定ですが今のところは未定です。それでまぁ、少しこのサイトとも離れてたのですが、どういう風の吹き回しかこの作品の構成を思いつきまして。病みのリハビリって程でもないですけど書いてみるかー、って感じでいつやめても良いように匿名で書き始めて今も続いてる感じです。

いつぞやの後書きか前書きで書いた通り、これは読んでくれている読者のお陰です。本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします!

さて、前書きが長くなりましたが……………………それでは本編をどうぞ!


「ぬわああああん疲れたもおおおおん」

 

新年早々、朝から俺は家族と共に親戚の家に挨拶回りをしていた。漸く回り終わって、帰りの車の中でくっそうるさい叫び声をあげていた所である。

 

「まったく、若いのにだらしないな。俺なんてまだ余裕なのによ」

 

「疲れるものは疲れるんですぅー。あー、もう帰ったらぐだぐだしたい……………」

 

「その前に、最後に神社に寄ってお参りをしなくちゃね」

 

締めとして最後に近くの神社に寄る。車を近くの駐車場に止めてレッツラゴー。にしても、やっぱ人が多いなー。あそこに上杉みたいな奴とかいるし…………

 

「…………って、上杉じゃーん!それにらいはちゃんにお父さんもいるし」

 

「お、総悟もここに来てたか!」

 

「火野さん、あけましておめでとー!そして今年もよろしくー!」

 

「おー、らいはちゃんも明けましておめでとう!今年もよろしくね!」

 

あー、可愛い。らいはちゃんはやっぱ可愛い(再確認)

 

「誰かとも思えば火野か。取り敢えず今年もよろしくな」

 

「おう。よし、じゃあ折角だし皆でお参りすっか」

 

と言う訳で、皆でお参り。それが終わって後におみくじ(1回100円)を引く事になった。俺の両親は共に中吉。どっちも同じの引くとか、ある意味運良すぎィ!上杉パパは末吉。本人は納得がいかずもう1回引こうとしてらいはちゃんに止められていた。

 

「……………お、大吉!やったやったー!」

 

思わず喜びのダンスを始めてしまう。嬉しいな~。

 

「……………あ!やった、私も大吉だ!お兄ちゃんはどうだった?」

 

「……………………大凶だ(まぁ、引かなくてもなんとなく分かっていたが……………………あいつらと出会ってからずっと大凶だし)」

 

あれま、マジか。ちなみに、前に何かのネット記事で見たことがあるが大凶が出てくる確率は1.2%(※諸説あり。神社によって異なる可能性アリ)らしいから、逆に上杉は運が良いとも言えるのかも……………?

 

何て事を考えていると、神社の階段を上って来た晴れ着姿の6人の美女の姿が。うわー、超可愛い。1番前にいる人は星奈さんにそっくりだし、あのヘッドホンを付けている女の子は三玖にそっくりだなー…………………………………………いや、待て。

 

「………………おや、総悟様もここに来ていたのですか。あけましておめでとうございます。そして今年もよろしくお願いします」

 

そっくりじゃない、ものほんじゃん!

 

「星奈さん、こちらこそあけましておめでとうございます。そして今年もよろしくお願いします」

 

「あけましておめでとう、ソウゴ。今年もよろしくね。あと、フータローも」

 

「おー、三玖もあけましておめでとう!今年もよろしくネ!」

 

「ああ、よろしく」

 

「つーか、何でいつもあんた達がいるのよ!」

 

「運命の赤い糸で結ばれてんだろ(適当)」

 

「それだけは絶対に嫌よ!」

 

まぁ、結ばれてるかはさておき。近場だから遭遇するのもあり得る話しだからなー。

 

「………にしても、凄いですねその晴れ着」

 

「前に花火大会で着物を借りた所でまた借りまして。後ろの5人もそうですよ」

 

「へー……………でも、これ高そうな希ガスだけど…………?」

 

めっちゃ豪華だからさぞレンタル料も高いのでは?一花姉さんの貯蓄が死にそうな気が……………。

 

「彼女等のレンタル料は私持ちです。去年のボーナスが安めの一軒家やマンションも買えたりする程の額だったので、これ位痛くも痒くもないです」

 

すんごいな(白目)

 

まぁ、星奈さんはうちの両親にもめっちゃ気に入られてるからなー。

 

「そうだ!よかったら皆さん、うちに寄っていきませんか?」

 

「あ、いいの?なら行くわー」

 

「いや、悪いが新年初勉強が」

 

「いくー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

====================

その後、総悟と上杉は了承を得て親と別れて中野家にお邪魔していた。星奈と五つ子達は晴れ着を脱いで普段着に着替えて録画していたドラマを見ていた。そして丁度キスシーンへ突入。

 

『僕も君が好きだ』

 

「わっ…………キ、キスしました…………」

 

「ロマンチックだわ」

 

「録画してよかったね!」

 

五月、二乃、四葉は恋愛ドラマに釘付け。

 

「ガチャ大爆死…………燃え尽きた…………燃え尽きたよ、真っ白にな…………」

 

一方、総悟はガチャ大爆死で燃え尽きて真っ白になった模様。なお、ジーと違って生死はしっかりと判明している模様。

 

「何のために俺を呼んだんだよ…………帰るぞ、らいは」

 

「まぁまぁ、フータロー君。折角の正月なんだからゆっくりしてきなよ」

 

「フータロー、おせち作ったけど食べる?」

 

「!?…………い、いや大丈夫だ」

 

「じゃあソウゴはいる?…………と言うか、大丈夫?燃え尽きてるような………」

 

三玖が総悟を優しく揺する中、らいはは何処か落ち着かない様子で周りを見渡していた。それに気づいた四葉が話し掛ける。

 

「どうかしたんですか、らいはちゃん?」

 

「えっと………私、勘違いしてたみたい。中野さんのお宅はお金持ちだって聞いてたから…………」

 

「去年、色々とあってこうなったんだよ」

 

三玖のおせち(?)の味で燃え尽き症候群から速攻で復活した総悟が四葉の代わりに言う。

 

「今は必要なものから揃えてる段階です!」

 

「いや、それならテレビは後回しだろう」

 

「確かに今はアプリとかで見れるしなー」

 

「アプリだと期間限定が多いじゃない。だからテレビはあって正解よ。録画もできるし」

 

「まぁ、とにかく自分の部屋だと思ってくつろいでいってよ」

 

一花の言葉もあって上杉は総悟の隣に腰を下ろす。すると、炬燵に入っている二乃から声が掛かる。

 

「ちょっと、何でそこに座んのよ。寒いし炬燵に来なさいよ」

 

「……………じゃあ、二乃の隣は上杉がどうぞ(俺は三玖の隣が良いんで)」

 

「いや、らいはが」

 

「いや、上杉が」

 

「いや、らいはが」

 

「いや、上杉が」

 

人に押し付けあう情けない(?)教師2人に今度は一花が話し掛ける。

 

「ほーら、2人とも遠慮しないで………………あ、そうだソウゴ君。マッサージしてあげるよ。肩とかこって疲れてるでしょ?」

 

「へ?」

 

「一花だけズルい」

 

「早い者勝ちだよー」

 

「じゃあ、私は上杉さんの腕を!」

 

「仕方ないわね」

 

「私は足をもませてもらいます」

 

そして次の瞬間、らいはと星奈の瞳には上杉が二乃と四葉の2人に、総悟は一花と三玖、五月の3人にモミモミ揉まれている光景が広がっていた。

 

「お兄ちゃんに………………モテ期が来た……………!後でお母さんに報告しないと!」

 

「……………一夫多妻を認めてる国はどこでしたっけ?」

 

「いい!調べないで良いですから!………………急にどうしたん?」

 

「なんのつもりだ?」

 

「日頃の感謝だよねー?」

 

「嘘つけ!」

 

いつもならしないであろう行動なので、上杉がそう言うのも無理もない。

 

「いつもお疲れ様」

 

ニコニコ笑みを浮かべる二乃。怪しい。

 

「私のですがよければ食べてください」

 

あの五月が自分のお菓子を差し出す。二乃以上に怪しい。

 

「五つ子バージョンの福笑いを作りました」

 

四葉がとんでもない難易度の福笑いを差し出す。

 

「え、ちょ……………………あの二乃がお礼を言ったり、あの五月がお菓子を差し出したりと、マジでどうしたんだ?ゲイ・ボルクの魔槍の雨が降りそそいで地球が滅ぶ前兆か?」

 

「あの二乃ってどう言う意味よ!」

 

「あの五月ってどう言う意味ですか!」

 

総悟に対して二乃と五月がぷんすかしていると、三玖が口を開く。

 

「えっと………………2人に渡したいものが」

 

「三玖、それはまだ早いよ!皆、隣の部屋に行こっか!」

 

一花の鶴の一声で5人は隣の部屋に引っ込んで行った。それをよく分かってない表情で見送る上杉が首を捻る。

 

「………………何を企んでやがるんだ?」

 

「さぁ……………渡したいものって、お年玉か?……いやぁ、でも今の中野家の財政的にそんな余裕はないかぁー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、中野家のファイブシスターズはと言うと。

 

「どうする?」

 

「あいつら全然気にしてなさそうだったけど」

 

「でも、このままじゃ上杉さんと火野さんに悪いよ。クビになった2人に仕事でもないのに家庭教師を続けてもらうんだから」

 

そう。四葉の言う通り、今の2人は中野父に雇われている家庭教師ではない為、時給0のボランティア状態。ちなみに、総悟のクビは彼自身が全員へ一斉送信したメッセージで伝えられた。本人は『別に借金とかないし気にすんな』と5人が罪悪感等を感じさせないように気遣いの一言を添えてくれていたが。今日の行動もそれが理由だったのだが、5人は揃ってアレだけでは足りないと感じていた。

 

「何かしてあげたい……………」

 

「でも、お父さんにはできるだけ頼りたくないね」

 

「とは言っても、私達があいつらにやってあげられることって何かしら」

 

5人が悩んでいると、先ほど自分達がいた部屋から総悟とらいはの声が聞こえてくる。

 

『わー!ちゅーした!アニメのちゅーもロマンチックだね!』 

 

『だろー?俺的にはアニメの方がなんかイイんだよな』

 

『ニヤニヤして気持ち悪いな………………』

 

『あ、そうだ(唐突)おい上杉ィ!お前さっき俺がらいはちゃんにキスシーンを見せてる時画面をチラチラ見てただろ(因縁)』

 

『興味ないから見てない』

 

『嘘つけ絶対見てたゾ。………………あとお前、クリーム付いてるぞ』

 

そんな会話が耳に入って来たせいか……………………5人の頭の中には先ほどのドラマでのキスシーンが共通して思い浮かんだ。

 

「ふ、不純です!!」

 

「あんたも同じことを考えてたでしょうが!」

 

「き、キスがお礼はちょっとハードルが高いと言うか……………………」

 

五月と二乃に続いて、四葉も顔を真っ赤にして呟く。

 

「けど、あいつらも男なんだから案外喜ぶかもしれないわよ。一花は女優だしほっぺにくらいなら出来るんじゃない?」

 

「じ、女優を何だと思ってるの!……………で、でもそう言う事なら三玖の方が適任じゃないかな!」

 

「え?わ、私が……………………」

 

三玖の頭の中でシミュレーション、一言で言えば妄想が展開される。

 

『ソウゴ……………ちゅっ』

 

『……………三玖!』

 

次の瞬間、キスした相手(総悟)は目つきは獲物を品定めするかのように鋭く─────『野獣の眼光』が三玖の瞳を射抜く。

 

『俺をその気にさせたな?もう誰にも俺を止められないぜ?』

 

『ええっ!』

 

『勿論、このままキスだけじゃ終わらねーよ?その先もイキますねぇ!』

 

『えええええええっ!?だ、ダメだよソウゴ……私達まだ高校生だし………………止めて………………………やっぱり止めないで……………………ソウゴになら……………………』

 

「あんたが止まりなさい!三玖、現実に帰ってきなさい!」

 

「……………………はっ!………私は何を…………」

 

三玖が現実に帰還したところで、五月が別の案を出す。

 

「無難にお菓子とか料理でいいのではないでしょうか?二乃も得意ですし」

 

「!……………………だめ。折角忘れてきたんだから……………」

 

「?」

 

二乃の脳裏にはキンタロー──────────いや、ホテルでフータローとシュークリームを作ったことを思い出してしまう。それを知らない五月はクエスチョンマークを浮かべていたが。

 

「やっぱり…………予定通りこれにしようか」

 

一花が取り出したのはお金の入った2つのお年玉袋。そこまでの金額は入ってないが、状況が状況なので仕方がない。

 

「ですね、彼らも一番喜ぶと思いますよ」

 

話が纏まり、5人はドアを開けて部屋に戻る。すると扉の前には総悟が。

 

「あ、ソウゴく「動くな」…えっ?ちょ…………」

 

総悟の顔が急接近。どんどん近づいて来る。 

 

「な、何を………………やめっ……………………んっ……………っ…………」

 

「……………………ウム!」

 

キスするのかと身構えてた矢先、総悟は満足そうな声を上げるとさっさと上杉兄妹の元へ戻った。

 

「やっぱこれじゃないかねー」

 

「火野もそう言うなら間違いないな」

 

「えー、こっちだと思うけどなー」

 

残念、ただ福笑いで遊んでただけでしたー。緊張の糸が切れたのか一花が床にへたりこんでしまうのを三玖と五月が慌てて支える。その拍子で一花が手に持っていたお年玉が床に落ちる──────────寸前に星奈がキャッチ。

 

「……………………ああ、なるほど。そういう事でしたか」

 

星奈は完全に理解。その後、改めて5人は総悟らに説明した。

 

「…………なるほど、そゆ事ね。別に気にすんなとは言ったけど、やっぱ気にしてたか」

 

「ええ……ですから、せめてこれだけでもと思いまして」

 

五月は2人にお年玉を差し出す。総悟と上杉の2人は顔を見合わせると、揃って突き返した。

 

「別にいらねーよ。俺はやりたくてやってんだ。給料の事は気にすんな」

 

「そうそう。俺の場合は親戚からのお年玉ですでに潤ってますから。このお金は自分たちの生活に充てな」

 

「2人とも…………………」

 

場が良い感じの雰囲気になった中、次の瞬間上杉から衝撃的な言葉が放たれる。

 

「給料は出世払いで結構だ」

 

「「「「「………え」」」」」

 

「ちゃんと書いとけよ!一人一日五千