吸血鬼は強いです。…多分… (カオス案山子)
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ハーフです。

2021年なので初投稿です。


皆さんはいつか考えたことはないだろうか。

 

「吸血鬼って最強じゃね?」と

 

まぁ確かに夜は無敵だし(諸説あり)そもそも不死だし(諸説ry)怪力だし(諸)槍出すし(しy)大体のゲームとか漫画とかで強キャラだし()

 

んで弱点って言ったらニンニクとか十字架とかまぁ様々あるけども

 

それでもやっぱり強いって思うじゃん。

 

んでそんな吸血鬼になったらそりゃはしゃぐじゃん。

 

「俺最強じゃね!?」ってさ。

 

しかも日光に当たっても大丈夫なのよ?

 

そりゃ俺TUEEEEが出来るって思うじゃん。

 

…でもさ。

 

「それだけしかないってどうなのよ…」

 

 

 

 

●●●●●●●●

 

 

 

私!アヘン!ピッチピチの18歳!(男)

 

実は私には隠してる秘密があるの!

 

そ、れ、は、♪

 

前世の記憶が断片的にあることでーす!

 

…このノリ疲れたな…

 

止めていい?んじゃあ普通に話すわ

 

前世の記憶とは言ったが分かることなんて精々こことは異なる世界…所謂異世界とやらに住んでいたこと位しかわからんね。

 

え?何で死んだか?知らんな。

 

まぁ普通に生きて死んだんじゃない?

 

まぁそれはおいといて。

 

というか前世よりも大事な隠し事が俺にはあるのだ。

 

それは…

 

「うわっ…魔族じゃん…」

 

「近寄らんとこ…」

 

はい!魔族でぇす!

 

ついでにいうと吸血鬼と人間のハーフでぇす!

 

…つれぇわ…

 

俺が住んでいるこの都市ベディは昔魔族の侵攻があり、さらに悪政を敷いていたらしく魔族の印象は最悪だゾ♪

 

お陰で俺は子供の頃から中々ないじめにあってきている

 

靴を隠されたり机に落書きなんて朝飯前!

教科書が捨てられるレベルなら甘い甘い!

教科書は当然の如く焼かれたりずぶ濡れになったり…

あとは無理矢理服脱がされたりかな?

 

いや流石に裸にはならなかったけど。

 

パンツがなければ危なかった…

 

んでその事をオカンに言っても

「気合いで頑張れ。多分リンゴが応援してくれるさ」

とめっちゃ適当に返された。

 

まぁ前世の記憶が多少なければ死んでいたね。確実に。

 

そんな俺だがついこの間オカンが適当に持ってきた本で吸血鬼のことを見た

 

ちなみにこの本はオカンが近所の家庭からゴミとして出ていたものらしい

 

「それって泥棒じゃないの?」と聞いたところ「私はゴミ回収の仕事してるからセーフセーフ」とのこと

 

んでその中の一つの本の表紙に「最強!?魔族tear1は吸血鬼で確定か!?」というまぁまぁ嘘臭い事が書いてあった

 

俺は興味に釣られ中身を読んだんだが…

 

「吸血鬼は夜は無敵!?」「吸血鬼、血さえあれば不死説」「ついでに不老説」「昼は吸血鬼が苦手な太陽が出ているので倒すとしたら昼が濃厚か!?」

 

まぁ俺とは違ったよね。

 

そもそも俺斬られたら死ぬし。

 

てか普通に首閉められても死ぬだろうし。

 

そもそも俺太陽出てる中出歩いてるし

 

で、早速オカンに聞いたわけよ

 

「俺ってホントに吸血鬼のハーフなの?」

 

「…どしたの急に」

 

「いや…冷静に考えたら吸血鬼が昼出歩ける訳ないじゃんって…」

 

俺がそう言うとオカンが手元の作業を止めてこっちを真っ直ぐ見てくる

 

「…あんたにもとうとう話すときが来たみたいだね…」

 

「な、何を…」

 

「じつはね…」

 

ゴクリ…

 

「…あんたの中に流れてる吸血鬼の血ってホントに少しなの」

 

「…お、おう」

 

「割合で言うと私が9で吸血鬼が1」

 

「9:1!?それほぼ人間じゃん!?」

 

※オカンは人間です

 

「まぁ私の遺伝子が強かったんでしょ(適当)」

 

「えぇ…。てか待って!?じゃあ俺の父親クソザコ遺伝子だったの!?てかこの際だから聞くけど俺の父親どんな奴なの!?俺見たことねぇからわかんねぇんだけど!?」

 

※俺は生まれてからオカンと二人暮らしでした

 

「…そう、あれは私がまだ現役バリバリの冒険者だった頃…」

 

「え?オカン冒険者だったしてたの?」

 

「そうよ。バリバリの女騎士」

 

「…知らなかった…」

 

生まれてから18年立ってから知る衝撃の事実

 

「んで旅の途中ちょっと疲れたなーって仲間と共に歩いてたら紳士服来た男が「良ければ私の館で休みませんか?」って提案してきたの。まぁ私達も疲れてたしちょうどいいやってその男の館に世話になろうって行ったんだけどさ。実はその男が吸血鬼で!私達4人だったんだけど全員眠らされちゃってね?んで起きたらその男に犯されてる真っ最中だった訳。んでまぁここで起きて邪魔するのもあれだしなぁって取り敢えず一発中に出させて気が抜けたところで奴の棒をぶっ壊したんだけどね?」

 

ちょっと待った

 

「ちょっと待って?ぶっ壊したって何?」

 

「そりゃこの右手でフンッて。もう一握りで玉どころか棒も壊してやったのさ」

 

「パワフルすぎない?」

 

やだ…家のオカン…怖い…

 

「そう?まぁいいや。話戻すけどそんとき出されたのがどうやら当たってたみたいでね?んで産まれたのがあんた」

 

「えぇ…じゃあ俺ってオカンが無理矢理犯されて出来た子供ってこと?」

 

「いや無理矢理って訳じゃないけど…まぁそうね」

 

「…憎くなかったのか?」

 

「全然。てかあの吸血鬼棒もちっちゃくてね?全っ然挿入されてる感じしなかったのよねぇ。まぁ精々わかったことは犯されてるってことくらい?減るもんでもないしいいかなって」

 

「減るよ!?乙女の純潔が!?」

 

「それが減らなかったのよ!あいつのがちっちゃすぎて!」

 

「止めたげて!それ全男のメンタルゴリッゴリに削るから!てか減ってないならどうして妊娠できたん?」

 

「まぁスッゴい奇跡的にあんたを孕んだらしいからね。実質処女出産。くっっっっっそ痛かった。まぁドラゴンをも即死させると言われているキングコブラver7の毒よりかはましだったけど」

 

何その毒

 

「まーそんなわけだからあんたに含まれてる吸血鬼成分ほぼないんだろうね!あるとしたらその容姿と羽くらいじゃない?」

 

オカンの言う通り、俺には羽が生えている。

吸血鬼定番のコウモリの羽だ。

…尚片方だけ。

もう片方には何故か槍みたいなものが三本生えている

 

「なるほど…だから俺は昼も出歩けるのか…」

 

「ついでに言うとあんたには十字架もニンニクも大丈夫だったよ」

 

「…まぁニンニク好きだしな」

 

そう言って立ち上がろうとする俺に向かってオカンが「待ちな」と言ってきた

 

「…何?」

 

俺が座りオカンに聞くとオカンはスッと紙を取り出し見せてくる

 

その紙には『アルバイト募集!奴隷を管理するだけの簡単なお仕事です!』と書いてあった

 

「…これは?」

 

「これあんたの名前で応募しておいたから。明日の6時この場所に集合だってさ。あんたもそろそろ働きな!」

 

「…えぇ!?」

 

 




実際吸血鬼って強キャラですよね。わからんけど。(手のひらドリル)


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掃除のバイトってまじで見境無く募集してた。

二夜連続


 

奴隷

 

それは前世では知識程度にしか知らなかったもの。

 

この世界では基本的にどの種族がとかはなく、大体の奴隷が誰かに売られたりとか拉致されたりとかと中々物騒である。

…中には自分から売られに行く物好きもいるみたいだが…

 

「…ここか…」

 

俺は昨日オカンに言われた奴隷販売所に来ていた

 

「…ふー…よし!」

 

一回息を吐いて扉を開ける

 

「失礼します…」

 

「おー!君がバイト君か!よく来たな!さぁさぁこっち座って!」

 

「は、はぁ…」

 

俺を出迎えてくれたのはかなりゴリマッチョな男性だった

 

取り敢えず言われた通りに椅子に座る

 

「えーと…アヘンくん?」

 

「あ、はい」

 

「俺はドミニスク!まぁしがない奴隷商人だ!よろしくね!」

 

そう言ってドミニスクさんは手を伸ばしてくる

 

「よろしくお願いします…」

 

俺はその手を握り、握手をする

 

「うん!それで今日アヘンくんにやって貰いたいのは…掃除だ!」

 

「掃除?」

 

俺が聞くとドミニスクさんは「うむ!」と腕を組んで頷く

 

「まぁ掃除といってもここみたいなお客さんを対応する場所じゃなくて奴隷達の牢の掃除だ!」

 

「はぁ…牢ですか」

 

「そうだ!しかもたまにだが賄いも出るぞ!」

 

そうドミニスクさんは言ってこっちを見てくる

 

「じゃあ早速仕事して貰おうかな!」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

「うむ!元気が一番!じゃあ付いてきて貰おうかな!」

 

そう言って立ち上がりドミニスクさんの後を付いていこうとすると店の扉が開き一人の女性が入ってくる

 

その女性は白い髪をストレートに伸ばし、特徴的な長い耳がついていた

 

…あの耳はエルフ族にのみついている耳だ。つまり彼女はエルフってことになる

 

「おはようございまーす。…ってあれ?店長新人?」

 

「おー!ハクレスちゃん!そうそう!新人のアヘンくんだ!」

 

「あっ、えぇと…新人のアヘンです…」

 

「よろしく。私は受付を担当してるハクレス。…あんたどこの仕事するの?」

 

ハクレスさんに聞かれ「牢の掃除です」と素直に答えるとハクレスさんは「そうか…」となんかめっちゃ不安になりそうな感じで呟く

 

「まぁ…頑張れよ」

 

「?はい!」

 

「よし!じゃあこっち来て!」

 

俺はドミニスクさんに付いていき扉の前まで来る

 

「ここから奴隷達の牢だから!くれぐれも戸締まりはしっかりしてね!それから危なくなったらすぐに逃げること!地下牢だから洪水とか起きたら大変だからすぐにこっちに来てね!あと地下に入ったら青いロッカーがあるからそこに着替えとか入れてね!その隣にある緑のロッカーに掃除道具入ってるから!あとこれ鍵ね!マスターキーになってるからロッカーも牢もこれ一本で開けられるから!絶対に失くさないでね!じゃあこれ!作業服ね!何かあったらこっちに来て聞いてね!じゃあよろしく!」

 

ドミニスクさんの説明を聞き、作業服を渡された俺は扉の前でドミニスクさんと別れ、作業服を持ちながら地下に続く階段を下りていく

 

階段を下りた先には扉がありその扉をドミニスクさんにもらった鍵を使い扉を開ける

 

中は管理室のようになっており、地上と連絡がとれるようになっているのか無線機があり、それから青いロッカーと緑のロッカー。

その先には赤い扉があった

 

「あの赤のドアの先に奴隷達の牢があるのか…まぁ取り敢えず着替えるか…えぇと…青いロッカーは…これか」

 

取り敢えず目的のロッカーを見つけ着替える

 

「…しっかし不気味だなぁ…なんか衛生管理も悪そうだし…電気はチカチカしてるし…変えないのかな?」

 

そんな独り言を呟きながら着替え、緑のロッカーから掃除道具一式を取り出し「よし!」と気合いを入れる

 

「…取り敢えず頑張るか!」

 

さぁ!赤い扉を開けて!いざ出陣!

 

「頑張るぞ!」

 

扉の先には…無機質な鉄の扉がただただ並んでいた

 

「…まぁそりゃそうよね。…さて、えぇと…取り敢えずまずは人間ゾーンからかな?」

 

奴隷達の牢はエリアごとに別れており人間、魔族、獣人、エルフ等々分けられている

手元のマップを見ながらドミニスクさんに言われた通り人間ゾーンから掃除を始めようと人間ゾーンの扉を探す

 

「…ここか…」

 

扉の上に『人間』と書かれた鉄の扉をマスターキーで開けると様々な所から視線を感じる

 

「…(チラッ)」

 

モップで床を拭きながら牢の中をチラッと見るとこっちを怯えた目で見てくる少年がいた

 

何処の牢の中の視線は怯えていた

 

(…そりゃそうだよなぁ…皆好きでここにいる訳じゃなさそうだし…俺だってオカンが捨ててたらここにいたわけだからなぁ…)

 

そんなことを思いながら空の牢を開けて中の掃除を始める

 

(…人間ゾーンはあんまり汚れてないって聞いたが…本当らしいな…)

 

ドミニスクさん直筆のメモに書いてあったことを思いだし、流石店長と思う

 

「…よし!人間ゾーン終わり!」

 

人間ゾーンから出てしっかり鉄の扉に鍵を掛ける

 

「えぇと…次は…」

 

 

 

■■■■■■■■■

 

 

 

あの後順調に掃除をしていきついに最後の獣人ゾーンに来た

 

「…ぶっちゃけ水性ゾーンもきつかったんだが…それより汚いのか…」

 

先程掃除した水性ゾーンは魚人や人魚のエリアだったのだがまぁ生臭かった。

多分鼻を殺してたね。あの時の俺は。

 

しかしそれより凄い獣人ゾーンとは…

 

俺は意を決して鉄の扉を開けた!

 

その瞬間!獣達の鳴き声とその独特な臭いが俺を襲う!

 

「がっ…!?くっ…さ!」

 

思わず反射的に扉を閉じてしまった

 

「…まじで…?」

 

俺は直ぐ様直筆のメモを取り出し獣人ゾーンの所を見る

 

そこには『慣れない内は鼻を塞ぐといいよ!』と書いてあった

 

「…っても塞ぐものなんて…」

 

…あるじゃん。メモが。

 

いやいやいや!これは駄目だ!これがなくなったら俺はこの掃除を完遂できない!

 

ならば…!我慢するしか…!

 

「…背に腹は変えられないか…っ!」

 

一回息を吐き、覚悟を決めて扉を開く

 

「うっ…!いや!耐えられる!」

 

我慢しながら床の掃除をはじめる

 

「おらぁ!出せぇ!」

 

しっかし獣人は今までの奴隷達とは違うな。

 

何よりその目に闘志がある。

 

「んー!んー!」

 

何より拘束の種類が桁違いだ。

 

魔族ですら手足だけ拘束みたいなパターンが多かったのに全身壁に張り付けられていたり口に道具を咥えさせられていたりと中々厳しくされているようだ。

 

(…まぁ獣人だから牙が発達してるってのもあるのかも知れないが…)

 

しっかし汚れてるなぁ…

 

何より床に落ちてる毛や羽の両が段違いだ

 

「あっ、あの!」

 

うぇぇ…と内心嫌々やっていると牢から声が掛けられる

 

「?はい?」

 

声が聞こえた牢を見るとそこには鳥の獣人…鳥人がいた

よくよくみればその鳥人の腕の中にはもう一人の鳥人が抱えられていた

 

「この子なんかの病気みたいで様子がおかしいんです!助けてください!」

 

「…え!?ちょ、ちょっと待ってください!」

 

俺は思わず牢の鍵を開けその鳥人をお姫様抱っこする

 

「うわぁ…これは…」

 

その鳥人は羽が片方腐り落ちており、明らかに顔色が悪かった

 

「お願いします!助けてあげて下さい!」

 

「…取り敢えず上に聞いてみます!」

 

一旦牢から出てしっかり戸締まりして管理室に向かう

…もちろん鳥人をお姫様抱っこしながら

 

管理室に着くと無線機を取りドミニスクさんに連絡を入れる

 

『どうしたの?なんか非常事態でもあった?』

 

「その…鳥人の一人が凄い死にそうで…」

 

そう俺が言うとドミニスクさんの空気が変わった感じがした

 

『…そう。ならその子はアヘンくんが持ち帰りなさい』

 

「…は?」

 

一瞬何を言ってるのかわからなかった

 

『…その子って羽が腐っちゃってる子でしょ?』

 

「は、はい」

 

『実はね…その子前の買い主がめちゃくちゃやってね?危ない薬とかで実験されてたみたい。んで使い物にならなくなったから売られてね?まぁそのクソヤロウはもうブラックリストなんだけど…でその子どうしようかってハクレスちゃんと話したんだけど次の賄いとしてバイトにあげることにしたんだ。…多分君なら悪いようにしないだろうし…だからその子をよろしくね!あぁ終わったらもう帰っていいから!給料は扉の前においといたから!じゃあまた機会があったら応募してみて!じゃあね!』

 

「あっ!ちょっと!」

 

ブツッ!

 

…えぇ…




髭が伸びるの早いなぁって。


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ドキドキ命名式

平清正出ませんね…


「はぁはぁ…!おい!しっかりしろ!取り敢えず家につくまでは死ぬな!いやほんとマジで!途中で死なれたらなんか俺が殺したみたいになるから!気合いで生きて!最悪死んでも生きて!?」

 

ドミニスクさんからの素敵な提案(?)を呑んだ俺は現在死にかけの鳥人をお姫様抱っこしながら我が家へ猛ダッシュしていた

 

ちなみに鳥人は今も尚息絶え絶えである

 

「うぉぉぉぉ!!走れ走れぇ!クソぉ!こんな時に飛べたらなぁ!」

 

羽は飾りです。

 

全力で走って何とか鳥人が生きてる間に家についた

 

「オカン!!」

 

ドアを思いっきり蹴り開けるとそこにはオカンが内職をしていた

 

「…とうとう家の子が…誘拐するなんて…!」

 

「してねぇよ!?てかこの子なんとかできないか!?」

 

俺は鳥人をオカンの前に下ろす

 

「…この子は?」

 

「それが…」

 

俺は奴隷市場であったことを説明する

 

説明を聞いたオカンは「なるほどね…」と呟く

 

「んであんたはこの子をどうしたいの?」

 

「そりゃ助けたいよ!…でも俺じゃどうにもできないし…」

 

俺がそう言うとオカンが「違う違う」と訂正する

 

「あー…そういうことじゃないんだわ。いや流石に私も目の前の死にそうな子を助けないような奴に育てた思いはないからね。…助けることは出来る」

 

「じゃ、じゃあ!」

 

俺が食いつくとオカンは待ったをかけるように手を前に出す

 

「…問題は助けた後だよ。話を聞くにこの子は奴隷なんだろう?じゃあこの子を助けてはい終わりなんて出来ないだろ?ならこの子の命をお前が預からなきゃいけないんだ」

 

「それは…」

 

オカンの言う通りだ

 

この鳥人は羽が腐り落ちてるためもう飛ぶことは出来ないだろう

ならこの子を俺が責任を持って…

 

「…家に住まわせるのは別に構わないけどこの子の世話はあんた任せるけど…それでもいいか?」

 

オカンが最終確認をしてくる

 

俺は決心する

 

「…わかった。俺がこの子の世話をする。だから助けてくれ!」

 

「…よしわかった!んじゃあまぁ早速…」

 

オカンが手を鳥人にかざすと「波ぁ!!」と一喝する

 

すると緑の光が鳥人を包み羽の付け根の腐りが普通の肌になり、呼吸が安定していく

 

「お、おぉ…」

 

思わず感嘆の声を上げてしまう

 

「フハハハ!!これぐらい朝飯前よ!」

 

「え?オカンってもしかして…チート?」

 

「いやまぁ最強ですし?引退しようがその座は譲ってないですし?なんだったら私って国にクローン作られてるらしいよ?」

 

「え何その情報」

 

「まぁ一体しか出来なかったらしいけどね。ちなみに騎士団団長から聞いた情報だから間違いないはずだよ」

 

「えぇ…」

 

思わず知ってしまったオカン最強説

 

「取り敢えずこの子は安静にしとけば三日もしないで起きるだろうさ。えぇと…んじゃあはいこれ」

 

オカンは棚から一枚の紙出し俺に渡してくる

 

「…これは?」

 

「住民票みたいな奴。まぁ扱い的には奴隷だから一応申請しなきゃいけないみたいよ。あんたが主になるんだからあんたが書きな」

 

「まじか」

 

「マジよ。ついでにこの子の名前も決めなさい」

 

そこまで考えてなかった俺はむむむと頭を悩ませる

 

「名前…名前かぁ…」

 

俺は寝ている鳥人を改めてよく見てみる

 

髪は赤く羽は黄色と白が混ざったような色をしている

ついでに目の色も紅かった

 

「赤いから…レッドとか?」

 

俺がそう言うとオカンが「はぁ?」と言ってくる

 

「…なんだよ」

 

「あんた流石にネーミングセンスクソすぎるでしょ」

 

「じゃあオカンはどんな名前がいいんだ?」

 

俺がオカンに聞くと「そうねぇ…」と顎に手を当てて考える

 

「…やっぱ真っ直ぐ育ってほしいからストレートとか?」

 

「はぁ?オカンも大概クソじゃねぇか!」

 

「あんたのレッドよりかは何倍もましでしょ」

 

「嘘ぉ似たり寄ったりだろ」

 

「じゃあいっそのことチキンとかにする?」

 

「ざけんな。食用じゃねぇんだぞ」

 

「ならもうあとはコカインくらいしか…!」

 

「なぁ俺の名前もそうだけど何で薬物の名前なの?何?オカンって薬きめてんの?」

 

「なわけないでしょ。ただ昔旅してた仲間の一人がきめててね。しょっちゅう誘われてたから知識だけは無駄にあるんだよ」

 

「だからって息子にアヘンなんて名前つける?」

 

「あんときは正直適当だった」

 

「どういう気持ちでつけたのかがマジで気になるわ」

 

俺がそう言うとオカンがまた昨日のように俺の方を向く

 

「…とうとう話すときが来たみたいね…あんたの名前の誕生秘話を…!」

 

「いやもうどうせくだらない話なんだろ?」

 

「あれはあんたの妊娠がわかった頃…!私は名前に悩んでいたわ。最初はその時ちょうど食べてたボロネーゼにしようとしていたわ…」

 

「何処に自分の子供にその時食べてた食べ物の名前をつける奴がいるんだよ…」

 

やっぱりオカンのネーミングセンスは終わっている

 

「で、その名前を一緒に飯食ってた仲間に話したら『子供の名前にそんな名前をつけられません!!ここは神聖な意味を持つセイクリッドを文字ってイグリットなんてどうかしら!?』って聖女さんが言ってそれに反応して他の二人も『じゃあ勇敢の意味を込めてムーティッヒなんてどうだ!?』って言ったり『ここは平和の意味を持つアヘンというのはどうだろうか』って言ってきて…」

 

「おい最後の奴おかしいだろ」

 

「んで最終的に…」

 

「最終的に?」

 

「…くじ引きできめることになったわ」

 

「えぇ…」

 

「候補の『ボロネーゼ』『イグリット』『ムーティッヒ』『アヘン』の4つの名前が書かれた紙を箱に入れてその辺にいた人に引いてもらったの。んで引かれた名前がアヘン。あんたの名前よ」

 

「一ミリも感動しない命名の様子だな」

 

オカンが話終えると立ち上がり、何処からか箱を持ってきた

 

「…なのでこの子の名前も由緒正しきくじ引きできめるわよ」

 

嘘やん




ついでにイベント礼装も全然出ない…


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突撃近所のオークくん

腹が下る時のあの感覚。嫌いです。


 

「じゃあ取り敢えずそれぞれ二つ案を書いて箱に入れましょ」

 

オカンの提案通り俺とオカンがそれぞれ二つ名前を書いた紙を箱に入れる

 

オカンが箱をシェイクして机の上におく

 

「…まずは私とジャンケンしてもらうわ。勝った方がここから紙を一枚引く。そこに書いてある名前が彼女の名前になるわ。…ちなみに一回決まった名前は変更不可よ」

 

「一回で全てが決まるわけか…よし」

 

ふぅぅぅ~と俺とオカンが息を吐き手を構える

 

「「じゃんけんぽん!!」」

 

俺が出したのは…パー!対してオカンは…

 

「…あいこか…」

 

「えぇ。そう簡単には決まらないってことね」

 

パーだった。つまりあいこ!

 

「「ジャンケンポン!!」」

 

俺は渾身のグー!

 

「なっ…!?」

 

「…確かに君は…成長していた。私相手に一回あいこに持ち込んだのは評価する。だが!しかし!」

 

オカンの手は…開かれていた。つまり…パー!

 

「クソぉぉぉぉぉ!!!」

 

「フハハハ!!では早速引かせてもらおう!」

 

オカンが高笑いしながら箱に手を突っ込む

 

「ふぅむ…これだぁ!」

 

オカンが箱から紙を一枚引く

そこに書いてあった名前は…!

 

「…『Mark.6』?」

 

オカンが紙に書いてある名前を読み上げる

 

「キター!俺の名前じゃぁ!」

 

思わずガッツポーズ

 

「なんだこの名前!?何でクローン番号みたいな名前なの!?」

 

「ふっ…。響きがよかった」

 

「いやいやいや…。そもそも1~5どこ行ったよ」

 

「まぁそこはほら…ね?」

 

「何で6?」

 

「半分ではないがかといって上位でもない…つまり最強」

 

「何でだよ。これなら私の考えた『ドリル』の方が…!」

 

「くじは絶対だろ!よし!決定!」

 

鳥人改め『Mark.6』。うちの家族になりました。

 

 

 

 

 

●●●●●●

 

 

そんなことがあった翌日、俺はとある奴の家に向かっていた

 

「…相変わらず辺境だな…オーイ!」

 

その家は街の離れの森の中にひっそりと立っていた

外見は明らかに廃墟だが…

 

「おー!来たか来たか!さぁ入って!取り敢えずその辺の椅子にでも座ってくれ!今飲み物持ってくるから!」

 

そう言って出迎えたのはこの家に住む俺の友人のオーク。名前を『ガスパディーン』

 

まぁオークなので当然魔族である

 

こいつとは学園で知り合い、同じ魔族同士という事で仲良くなった。ちなみに今日はあと二人ここにくる予定がある。

 

「しっかし急に呼び出すなんて…何かあったのか?」

 

俺は今日ここに呼ばれた理由を聞こうとキッチンにいるガスパディーンに聞くと「まぁまぁ!取り敢えず四人揃ってから説明するから!」と言われた

 

「あいつらいつ来るんだよ…。遅刻の常習犯だぞ?」

 

「まぁ…それはそうだけど…」

 

ガスパディーンが茶を持ってくる

 

俺は渡されたお茶を飲みながらふとMark.6のことが頭によぎった

 

「…そういやあいつ大丈夫かな…」

 

「あいつって?」

 

「んぁぁいや。実は昨日奴隷市場のバイトやったんだけどさ?」

 

俺は昨日あったことをガスパディーンに話すとガスパディーンはうわぁという表情を浮かべる

 

「いやネーミングセンス…。何でそんな名前しか思い付かないの?」

 

「む。じゃあなんかいい名前あるのかよ」

 

俺が聞くとガスパディーンは「そうだなぁ」と呟く

 

「…ミカエルを文字って『ミカロス』とか?」

 

「うーわ。オカンの『ジャスパルガス6世』よりも下だわ」

 

「まず何で6世とかMark.6とか数字つけるの?遺伝?」

 

「かっこいいじゃん」

 

「痛いよ…。その子が仮に独り立ちすることになったときに名前聞かれたら「Mark.6です」って答えるんだよ?恥ずかしくない?」

 

「いやオカンは家族って言ってるけど形式的には奴隷だからね?独り立ちなんて出来ないでしょ」

 

俺がそう言うとガスパディーンは「そうかなぁ」と言ってくる

 

「…なんだよ」

 

「いや…。アヘンは知らないかもだけど最近奴隷が反乱を起こしたってニュースが流れてきたんだ」

 

「え?ここでか?にしては街も平和だけど…」

 

「ちがうよ。『ガンタニア王国』であったんだって」

 

ガンタニア王国…俺たちが住んでいる『ケルシャス聖国』から二つ国を挟んだ位置にある国。主に魔族が中心となっている国。長年とある悪魔の王族が納めてきた国。

 

「ガンタニアで?あそこは俺たち魔族にとっては理想の国だったけど…」

 

「行きすぎた奴隷管理が爆発したんだよ。獣人や人間、エルフや妖精が一挙に王宮に押し寄せたんだって。流石に対処しきれなかったのか王の元までたどり着かれて奴隷達に捕らえられたんだと。んでそのまま処刑。今は『ガンタニア王国』改め『ガンタニア国』になったんだって」

 

「おいおい…それじゃ反乱じゃなくて革命じゃねぇか…それで魔族達はどうなったんだ?」

 

俺が聞くとガスパディーンは首を横に振る

 

「今はガンタニアで強制労働だって。…今は国際世論も反魔族が広がってるんだ。お陰でそれぞれの店だったり軍だったりも魔族お断りが増えてるんだ。…まぁ魔族の水商売は特に影響受けてないみたいだけど…僕みたいなオークは力仕事がメインだから仕事がなくなって困ってるってさ。一応魔族がトップに立っている国はまだあるからそういったところに亡命した方がいいかもね…まぁそこもいつ革命が起こるかわかんないけど…」

 

ガスパディーンがそう話す

 

「…なんか魔族にとってはとっては生き辛い世の中になったな…」

 

「それは昔からでしょ?」

 

それもそうかと俺が言い、お茶を飲むと入り口の方から「「オーイ!」」という声がする

 

「おっ?どうやら遅刻常習犯が来たみたいだぞ?」

 

「そうみたいね。はーい!」

 

はてさてあいつは何のために俺達を集めたのかね…

 

そんなことを考えながら俺はお茶を飲み干した




最近トマトが凄い旨みあることに気づいた。


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四人揃っていざいざいざ

書くことがない!


 

「よーう!俺が来たぜ!」

 

「お邪魔しまーす…」

 

二人の魔族がガスパディーンの家の扉を開けて入ってくる

 

「おぉー!来たか!待ってたよ!」

 

ガスパディーンが二人を歓迎してリビングまで通す

 

「おっ?アヘンもう来てたのか!早いな!」

 

「いやお前らが遅れてるんだよ。もう約束の時間過ぎてるぞ」

 

「いやーうんこが大量に出て…」

 

「汚い言い訳はやめろ!」

 

ガハハと笑うのは俺の友人の一人。

デュラハンの『デルタ』。こいつは俺と違って純正のデュラハン。

まぁ首から上がないのに何で喋れるのかは謎。

 

「いやーごめんね?ちょっと用事があって…」

 

「どんな?」

 

「…研修的な?ほら僕ってインキュバスだからさ!だからほら下半身の強化をしなきゃ…ねぇ?」

 

「『ねぇ?』じゃねぇ。お前入れるより入れられる方が好きなんだろ?」

 

「まぁそもそも生まれが特殊だからね。しょうがないね。」

 

このインキュバスは『カイン』。こいつも友人の一人。

ちなみに生まれが特殊というのは本来のインキュバスやサキュバスは人間や他種族と行為を行うことで孕む。もしくは孕ませることで子供が生まれる仕組みなのだがカインはサキュバス同士の行為で生まれたので特殊なのだ。

 

え?サキュバス同士で子供が生まれるわけないって?そこはサキュバス。生やすことも出来るのだ。万能。という訳でサキュバス同士から生まれた結果サキュバスの血が濃いのでインキュバスでありながら入れるより入れられる方が好きな謎インキュバスとなってしまったのだ。

 

ちなみに容姿もかなり女っぽい。髪もポニーテールにしてスカートという。

お前完全に女装じゃねぇか。

 

そんな四人が揃ってリビングに座り机を囲む

 

「じゃあ揃ったところで本題に行こうか!」

 

ガスパディーンが手を叩き注目させる

 

「そうだな。何で俺らを呼んだんだ?」

 

「そうそう!急用らしいが…なんだ?」

 

俺とデルタがガスパディーンに聞くとガスパディーンはこほんと一つ咳をして俺達を集めた目的を話し始めた

 

「…俺達ももう学園を卒業したよな」

 

「そうだな」

 

「ならさ…エンジェリオンに行かないか?」

 

「え…」

 

「え…」

 

「え…」

 

「「「エンジェリオン!?」」」

 

ガスパディーンの発言に他三人が全員驚愕する

 

「お前エンジェリオンって…マジでいってんのか!?大体何でエンジェリオンに!?」

 

デルタがガスパディーンに突っ込む

 

「マジだよ。…さっきアヘンには話したんだけど今世の中は反魔族の動きが広まってるんだ。正直ここでもいつ魔族が排除されてもおかしくないし…。なら自由の国って言われてるエンジェリオンに行ってみたいって思って。…どうかな?」

 

ガスパディーンがそう話す。

 

そもそもエンジェリオンとは全ての種族が平等に暮らしている楽園という幻の国だ。

 

そんな場所に行こうと言っているガスパディーンの話を聞いてカインはすぐに反応する

 

「いいね!行こう!」

 

「えぇ?お前そんな簡単に決めていいのか?」

 

「うん!楽しそうだし!」

 

カインがそう言うとデルタはやれやれと首を横に振る

 

「お前らが行くなら俺も行くよ。…アヘンは?」

 

「…まぁこのまま何もしないよりかはした方がいいか。よし!俺も行くぞ!」

 

「おぉ!じゃあ出発は明日で!」

 

「「「早いな!?」」」

 

結局全員行くことになった。

 

 

 

 

●●●●●●●

 

 

 

 

 

「へぇー。じゃあ明日出発するのか」

 

「そうそう。んで何か必要なものとかあるのかなって。一応オカン冒険者だったんでしょ?アドバイスとかないかなって」

 

俺は家でオカンに色々聞いていた

 

「しっかしエンジェリオンねぇ…。あんたらが言うほど良い場所じゃないよ?あそこ」

 

「行ったことあんのかい!」

 

「そりゃ世界を旅した冒険者だからね。行ったことはあるよ。まぁここからだと遠いからせいぜい頑張りな。あと行くならMark.6連れてきな。もう起きてるから」

 

オカンがそう言い座ってこっちをじっと見つめてくるMark.6を見る

 

「…?」コテン

 

「…お前も一緒に行くか?」

 

「…!」ブンブン

 

「…という訳でしばらく家を開けるわ」

 

「まぁ精々死なないように頑張んな。…おっそうだ!ちょっと待ってな」

 

オカンがそう言うと倉庫に何かを取りに行く

 

「?」

 

「これこれ!これ持ってきな!」

 

オカンが持ってきたのは布に包まれた何かだった

 

「なんだそれ?」

 

「これね。槍」

 

なんちゅう物持ってきてんだ。

 

「えぇ?なんで?」

 

「まぁこれ冒険してるときに手に入れたんだけどあんまつかってなかったんだよね。んでそのまま倉庫番になってたんだけど…。せっかくだから持ってきな」

 

布を取るとそこからは青い槍が出てきた。

全く使ってなかったのかホントに新品みたいな光を放っている

 

「おぉ…」

 

「それ持ってエンジェリオンにでも向かえばいいさ。まぁいざとなったらそれ売ればいいしね」

 

「売って良いのか…」

 

「まぁ無料同然で手に入れたものだし」

 

オカンから貰った槍を握り明日に備えた。ちなみにMark.6もオカンからナイフを貰っていた。

 

 

 

 

●●●●●●●●

 

 

 

そして翌朝。

ガスパディーンの家に集まった四人はそれぞれ確認をしていた

 

「…じゃあ行こうか!目的はエンジェリオン!いざ出発!」

 

ガスパディーンの音頭でデルタ、カイン、アヘンとMark.6が出発した!




しっかしもう2月ですよ。相変わらず寒い!


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ヨット問題

ヨットというか船


 

「国境どうやって越えるか考えてなかった」

 

ふと歩きながらガスパディーンがそんなことを言った

 

「…えぇ?じゃあ僕達国から出られないじゃん」

 

「一応不法出国という手があるが…おすすめはできんな。バレたら国中で手配される。それに加えて俺達は魔族だ。絶対ろくなことにならん」

 

デルタとカインはそう言ってガスパディーンを見る

 

「冒険者ってことで行けないかなぁ?」

 

ガスパディーンが俺を見てそんなことを言ってくる

 

俺は首を横に振って無理だとアピールする

 

「流石に無理だろ。冒険者も自分が冒険者だと証明する証明書みたいなのを国から貰うんだと。それを見せれば国境も簡単に越えられるらしいが…まぁ魔族だけの冒険者パーティーなんぞ門前払いだろうな。そもそも証明書すら貰えんだろ」

 

「あーやっぱり?ならどうするか…」

 

俺の説明を聞いてガスパディーンは頭を悩ませる

 

そもそもの話、何処の国でもそうなのだが国境警備はとんでもなくお金を掛けている。

というのも昨今なかなか物騒で、国内での反乱がソコソコ起きている。しかも最近はとある帝国が周辺国家に戦争をふっかけ領土を拡張してるという話もある。なので国境をガチガチに固めるのも当たり前なのだ。

 

今は出るだけだがエンジェリオンに向かうためにはいくつもの国境を突破しなければならないだろう。なので冒険中は常に付きまとう問題なのだ。まぁ通過する国のトップとか権力を持った人物と関係を結べれば話は別だが。

 

そんな関係もない俺達は冒険開始僅か数時間でリタイア寸前まで来ていた。

 

「はい!じゃあ何か良い案ある人!挙手!」

 

ガスパディーンが何も思い付かなかったのか半ばやけくそ気味に俺達に聞いてくる

 

「はい!」

 

「はい早かった!カイン!」

 

「国境警備の皆さんを骨抜きにする!」

 

「お前しかできない!却下!はい次!」

 

「なら!」

 

「はいデルタ!」

 

「警備を全員殺す」

 

「物騒!絶対手配される!ダメ!次!」

 

「…!」

 

「はい!えーと…Mark.6!」

 

「……!」

 

「…アヘン、通訳」

 

「えーと『飛んでいけば良いよ!』だってさ」

 

「いやそれ誰もできない!却下!」

 

大喜利かな?いや大喜利にすらなってないわ。てかこれ全員真面目に言ってるのが怖いわ

 

「アヘンはなんかないのか?」

 

「あ?あー…」

 

あーそういえば国から外に流れる川があったな…

 

「…川下り?」

 

「……それ採用」

 

 

 

 

 

 

●●●●●●●●●

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国には一本だけ巨大な川が流れている。

 

その大河から人工水路を引いたりして農業などを行っているのが俺達の国だ。

 

ではその大河は何処から流れているのか?

 

勿論国外からである。

 

つまりこの大河を下っていけば自然と国外へ出られるのだ

 

取り敢えず川まできた一行はそこでまた頭を悩ませていた。

 

「いや確かに川下りは良い案だと思ったよ?でもさ…どうやって下んの?」

 

ガスパディーンがそう言い大河を見る

 

大河の流れは油断すればすぐに流されてしまうほどの激流だった。

 

「流石にこんなに早いとは思ってなかった」

 

「うわー…これ流されたら終わりだね…」

 

「流石に俺は泳げないからな…船でもあれば良いんだが」

 

「…(ガクガク)」

 

それぞれがそれぞれの大河を見た感想を言う

いやMark.6は怯えていたが。

 

「でも近くに船なんてないぞ?」

 

ガスパディーンが辺りを見渡してそう言う

 

ガスパディーンの言うとおり、ここ周辺は特に何もない森のなかだし船が止まりそうな気配なんて全くといっていいほどしなかった

 

「…ないなら作るしかないね」

 

カインがそう言うとデルタも「そうだな」と賛同する

 

「いや作るったってお前ら船作れんの?」

 

アヘンがそう言うとガスパディーンはチッチッチと人差し指を振る

 

「アヘン…僕達は学園で何を習った?」

 

「あ?あぁー…魔法?」

 

「そう!魔法!ほら先生も言ってたでしょ?『困ったらとにかく魔法使え』って。つまり魔法は全てを解決する!」

 

「ぜってぇそんなうまく行かないって…」

 

「できたよ!」

 

「はぇぇなおい」

 

カインが一隻の木でできた船を持ってくる

まぁ見た感じは普通の船だが…

 

「じゃあね取り敢えず浮かべてみるか」

 

ガスパディーンが船を持って大河に置いてみる

勿論流されないように船には近くの大木に巻き付けているロープを着けて。

 

大河に置くと船は浮かび問題は無さそうだった

 

「おぉー」

 

「これなら行けるでしょ!」

 

「確かにこれなら…」

 

そう言ってガスパディーンが船に乗ると「バッキィ!」と船が音を立てて真っ二つに割れた

 

「あっぶな!?折れたよ!?船折れたよ!?いやこれ割れた!?」

 

「あーやっぱりガスパディーン太ってるから」

 

「重量オーバーだな」

 

「いやオークとしては痩せてる方よ!?これでダメならもうダメだろ!」

 

「フッフッフッ…甘いなカイン!」

 

そんなこ所に現れたのはデュラハンのデルタ

 

「俺の船を見よ!」

 

デルタが持ってきた船は…石だった。

 

「いやもう浮かべなくても結果見えてるって。やるだけ無駄だって。」

 

「なんで?なんで石で行けるとおもった?」

 

「やってみなきゃわからんだろ!?」

 

そう言ってデルタは石で出来た船を大河に浮かべようとするが案の定沈んだ。当たり前である。

 

「うぉぉぉ!何故だぁぁぁ!」

 

「頭がないから知能も低下してんのか?」

 

「クソっ!ならば次はこの『アイアンタイタニック』で…!」

 

「鉄じゃねぇか。もっとダメだろ」

 

「氷山に当たりそう」

 

「いやそもそも俺も鎧着てるから木じゃダメなのよね。重さに耐えられないのよ。」

 

「じゃあ脱げや」

 

「いやん」

 

「気持ち悪」

 

「ひでぇや」

 

「…!…!(バシバシ)」

 

そんなやり取りをしているとMark.6がアヘンの肩を羽で叩く

 

「ん?どうしたMark.6…って何その立派な船!?」

 

そこには普通の漁船のような船があった

 

「おぉー!これなら俺でも行けそうだ!」

 

デルタが船を見てそう言うとそれに賛同するようにガスパディーンもうんうんと首を縦に振る

 

「これなら快適に行けそうだね!…え?」

 

船に乗って中を見ていたカインの動きが止まった

 

「どうした…あ?」

 

「なになに?…あー」

 

「どれ?…なるほど?」

 

三人がカインの見ている部屋を見るとそこには骨が散乱していた。

 

「まぁ遭難してってことだろ。でも使えるなら使うしかないな!ヨシ!」

 

アヘンがそう言うとデルタとガスパディーンが頷いた。




寒いのか暖かいのかはっきりしてほしい…


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どんぶらこ

一回で良いから北海道観光行ってみてぇなぁ…


 

大河国境

 

大河を使って物資の輸出入や旅行客等が行ったり来たりするのでここにも立派に警備隊がいる

 

しかも陸より密入だったりが多いため陸より警備が大量にいる

 

そんな国境に一隻の船が近づいてきた

 

「そこの船!止まりなさい!」

 

警備員が船に停止命令を出す

船も大人しく従い停止する

 

「…えーと出国の目的は?」

 

警備員が船に聞くと船についているスピーカーから答えが帰ってくる

 

『ガ…えーと…ガガ…奴隷の…ガ…輸送だ…』

 

「なんかえらい音質悪いな…スピーカーも新しいのに買い換えたらどうだ?」

 

『ガ…こいつらを売ったら…ガガガ…その金で買う予定さ…ガ』

 

「ふーん…まぁ一応確認させて貰うね」

 

警備員がそう言い、船に乗り込む。

 

フードを深く被っている船長らしき人物に奴隷達を見せて貰う

 

「えーと…うわぁ。これ魔族ばっかじゃない」

 

奴隷達が入っているらしい箱を開けるとそこには目隠しと手足を拘束、ついでに口にロープを咥えさせられている魔族がいた

 

「まぁ世の中には物好きもいるもんだよ。…いいかな?奴隷も生物だから鮮度が大事なんでね」

 

「おっ、そうか。それもそうだな。じゃあ身分証明書を…」

 

警備員がそう言うと船長は懐から何かが入った袋を警備員に向かって差し出した

 

「…これは?」

 

警備員が受け取り袋を開けると中には金貨が数十枚入っていた

 

「…まぁこの奴隷達は正規の手段で手に入れたわけではないのでね。私の素性もバレるわけには行かないのだよ。それで手を打たないか?」

 

「ふーん…まぁ黙っといてやるよ。んじゃあどうぞ」

 

警備員がそう言い船を降りる

 

船が再び動きだし大河を下って国境を越えていった

 

 

 

●●●●●●●●

 

 

 

「…もういいかな?」

 

先程国境を超えた船の船長が国境からしばらく離れた所でそんなことを呟く

 

「よーし!もういいぞ!」

 

船長が奴隷が入っている箱に向かって言うとおもいっきり箱がぶっ壊れた

 

「ぶはぁ!あークッソクセェ!なんだこのロープ!?」

 

「まぁ漁船についてたロープだからね。魚の出汁とかついてんじゃない?」

 

「大体何で俺達が奴隷の役やらなきゃいけねぇんだよ…」

 

「しょうがないじゃん。身体的特徴が人間とあんま変わんないの俺だけなんだから」

 

そう言ってフードを脱ぐのはガスパディーン。

 

実は先程の奴隷船はガスパディーン達が乗っていたのだ

船長を偽っていたのがガスパディーン。

んで奴隷として拘束されていたのが他の四人

 

この方法なら確実に国境を突破できるとガスパディーンが言ったので実行したまでだ

 

「あーホントに不快だったわ」

 

「いやホントに。まぁ俺はデュラハンだから箱に入れられてるときの窮屈感だけだけどな」

 

「…!!!」

 

「ほらMark.6も『羽踏まれて嫌だった!』って言ってるぞ?」

 

「よく何言いたいかわかるよね」

 

「やっぱオカンから感情伝達の極意習ってたからな」

 

「マジでお前の母親何者だよ」

 

「んっ…んんっ…」

 

三人がそれぞれ文句を言う中、謎の喘ぎ声が船に響く

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

「んぁ…んふぅ…」

 

「…何喘いでんだてめぇー!」

 

思わず箱を蹴るデルタ

 

「んふぅぅ!!」

 

「いい加減これとれや!」

 

喘いでいたカインの口に咥えさせていたロープをアヘンが取る

 

「んはぁ…いやーいいね!拘束プレイ!」

 

「プレイじゃねぇよ」

 

「なんだったらわりと命懸けだったんだぞ?あそこで賄賂拒否されたらそこまでだったんだぞ?なのに何でお前は感じてた?」

 

「いやぁ…インキュバスとしての本能と言うか…なんと言うか…とにかく僕のアソコにエネルギーが貯まってね…まぁそういうことです…はい」

 

「は?」

 

「抗えない運命と言うわけか…」

 

「そんな大したことじゃないと思うの…」

 

「確かに…へ?」

 

デルタの中二満載の言い方に謎の女性の声が答えた

 

「「「「…誰!?」」」」

 

声のした方には謎の女性が船に乗っていた

 

女性は「ふふふ」と微笑み俺達を見てくる

 

「まさか聖国の手先!?」

 

「違うわよ」

 

「クソっ!もう嗅ぎ付けたのか!?」

 

「いや違うって」

 

「ここは僕が!僕の隠されたテクニックでこいつを骨抜きに…!」

 

「いやそれは無理だろ」

 

「は?僕のテク舐めてる?なんだったら体験してみる?」

 

「えぇ…流石にそれはちょっと…」

 

「ちなみに僕のテクは入れる方じゃなくて入れられる方だから」

 

「尚更女性にやることじゃねぇな」

 

「経験人数ゼロの本気を見てみるかい?」

 

「いやどうでも良い」

 

「あれ?これ私無視されてる?」

 

女性がカインとデルタ、アヘンのやり取りに置いてかれる

 

そんな女性を流石に放っておくのもどうかとおもったガスパディーンが話しかける

 

「まぁまぁ…それで何でこの船に?」

 

ガスパディーンが聞くと女性はコホンと一つ咳をしてから話し出す

 

「えぇ…私実は行きたい場所があるの」

 

「行きたい場所?」

 

「えぇ。アスクレコスって場所なんだけど」

 

「あぁ?アスクレコスって何処だ?」

 

「えぇと確か…この川を下った先の海にある国のことだね」

 

地図を見ながらガスパディーンがアヘンの問いに答える

 

「でもなんで?」

 

「まぁちょっとした理由があるのよ。んで私も正規手段で国を通行できないからそこまで乗せてって貰えないかしら?」

 

「え」

 

女性がそう言うとガスパディーンがあからさまに嫌な顔をした

 

「なんだ?そんなに嫌なのか?」

 

「いやその…そこって今絶賛混乱中の国なんだよね」

 

「そうなの?」

 

「うん。実は数日前に王様が病気で死んじゃったんだよね。んで後継者に選ばれていた一人娘が王になる予定だったんだけどそれに反対していた王様の第二夫人が自分の子供を王にさせるべく王女と真っ向から対立したんだって。第二夫人は手段を選ばず王女を亡き者にしようとしたんだ。んで王女は身の危険を感じたため逃亡。国は第二夫人の息子が納めることになったんだけど…それに反対する所謂王女派が暴れてね。んで国は絶賛王女派と第二夫人派で内乱中。巻き込まれたくないし…」

 

ガスパディーンがそう言うと女性がクスリと笑う

 

「えぇ。ついでに私がその王女よ。名前は『テフレント』。よろしくね?」

 

「「「「…はぁぁぁぁぁ!?」」」」

 

船の上に男四人の絶叫が響いた




修学旅行って都道府県によってだいぶ違うらしいですね。


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船での一時

今回短いです。


 

「しっかし王女様がこんなところにいるなんてな」

 

「別にいいじゃないの。私だって暗殺されかけたり大変だったんだから」

 

デルタの呟きにテフレントが答える

 

テフレントは船の上で寝転がりながら空を見ていた

 

「てか仮に国についたとしてもどうやって入国するの?」

 

「そりゃ顔パスよ。私王女よ?」

 

「てか内戦中なら簡単に入れんじゃねぇのか?それこそ国境警備なんてやってる暇ないだろうし」

 

俺がそう言うとガスパディーンがいやいやと首を振る

 

「そんなわけないでしょ…。内戦中だからこそ国境警備を強化してるじゃない?外から割り込まれたくないからね」

 

「まぁそれもそうか。…いやならいっそうどうすんだよ?ついたとしても入国出来なきゃ意味ないだろ?」

 

「だーかーらー!私の顔パスがあるって!」

 

テフレントがそういうが俺にはちょっとした懸念があった。

 

「…なぁテフレント」

 

「ん?どしたの?」

 

俺は懸念していたことをテフレントに聞いた

 

「…お前顔パス顔パス言ってるけどお前の顔、その国の奴ら知ってんのか?」

 

懸念…それはテフレントの顔が国全体に知られてるかどうかだ。

顔パスはそもそも顔が知られていたら使える物。

つまりこいつ…テフレントの顔が国民に知られているかどうかだった

 

俺が聞くとテフレントは固まった

 

…こいつまさか…

 

「…ヒューヒュー…」

 

「おいこらてめぇ何で口笛吹いてやがる」

 

「…そういや私国民に顔出ししてなかったぁ!!」

 

「はぁ!?」

 

「お前それでよく『顔パス顔パス!』って言えたな!?」

 

「だって忘れてたんだもん!しょうがないじゃん!」

 

「しょうがなくねぇよ!あぁ!!もうどうすんだよ!これじゃ国に入国できねぇよ!」

 

「じゃあさっきの奴隷船戦法は?」

 

俺とデルタが頭抱えてるとカインがそんなことを言う

 

「「絶対嫌だ!」」

 

当然俺とデルタは拒否する

 

だってクセぇもん。あれ

 

「えぇ?」

 

「てかそもそも同じ手で行けるわけないだろ。あれも賄賂あったからまだしももうねぇんだわ。つまり無理。」

 

「そっかぁ…じゃあどうするの?」

 

「…どうしよっか?あきらめて故郷に帰るか?」

 

「いやそれも出来ねぇだろ。大体不法出国してる時点でアウトだし。今戻ったところで捕まってアウトだぞ?」

 

「うっわぁ…詰んでるねあんたら」

 

テフレントがめっちゃ無責任な感じで俺達に言ってくる。

なんやこいつ!?

 

「てめぇ…」

 

「うっわぁ絶対友達少ないパターンですわよカインさん!」

 

「ホントですわね!これだから世間知らずの王女様は!全くこんなんだから内乱が起きるんですわ!」

 

「おいそれは関係ないだろ!?」

 

「まぁ!自覚してないのね!かわいそうに!」

 

「お前らいつまでそれ続けんだよ…」

 

「なぁガスパディーン!行き先変更で!」

 

「へ?」

 

唐突のお嬢様ごっこを急に止めたデルタが船の先端にいるガスパディーンに行き先変更を伝える

 

「変更って何処に?」

 

「ちょっと!私を送り届けるのはどうなったのよ!」

 

「うるせぇ!そんなの後だ!いいか?今の俺達に必要なものはなんだ?」

 

「必要なもの…金?」

 

「金も確かに大事だな。うん。…いやそうじゃなくて!俺達に今必要なのは変装だ!」

 

「「「「変装?」」」」

 

「…?」

 

「あぁ!そしてそれが容易に出来てかつ俺達のような魔族でも簡単に入れる国がある!」

 

「…それは?」

 

「機械の国『アングロ』だ!」

 

デルタの一声で俺達の行き先が決まった




たまにはこんな短くてもいいよね


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レベル表記

暖かいのか寒いのか


 

「てかあんたら何処に向かって冒険してんのよ」

 

取り敢えず一晩船の上で過ごすことを決めたのでくつろいでいるとテフレントがふと俺達に聞いてくる

 

「えっと…何処だっけ?」

 

「えぇ?忘れたの?エンジェリオンだよ。エンジェリオン」

 

ガスパディーンが答えるとテフレントが「あぁ…」と呟く

 

「エンジェリオンねぇ…確か楽園だっけ?すべての種族が平等にうんぬんっていうところだったけか?」

 

「まぁあくまで噂だけどね」

 

「…オカンは『あんなところ行ってもなんもない』って言ってたな…」

 

「え?」

 

「…なんだよ」

 

「え?ちょっと待って?アヘンのお母さんエンジェリオンに行ったことあんの!?」

 

ガスパディーンが俺に驚きの声で聞いてくる

 

「な、なんだよ…いやまぁ俺が冒険してくるって言った時にそんなこと言ってたけど…それがなんだよ」

 

「エンジェリオンって伝説の土地って言われてる場所だよ!?そこに行ったことあるってかなりすごいことだよ!?お前のお母さん何者!?」

 

「えぇ?そんなすごいことなのか?」

 

俺は唖然としているテフレントに聞く

 

「…そりゃすごいことよ…。第一エンジェリオンって幻の大地って言われてるほど情報がないのよ?そこに行ったことがあるって…あんたの母親何物?」

 

「…ただの元冒険者らしいが…詳しくは知らんな」

 

「絶対ヤバい奴でしょあんたの母親」

 

いやホントにね。

大体眠らされて犯されてるのに起きても特に反応せず相手が満足したら握りつぶすって時点でもうね。大概よ。

 

「否定できねぇ…」

 

「…てかあんたら仮にも冒険者なんでしょ?さっき話聞いた感じなんも準備してない感じだけど…あんたら何が出来んの?」

 

「オークとして力仕事をやる」

 

「…敵を殺す」

 

「色仕掛け!」

 

「…!!」

 

「働く」

 

「あのさぁ…?あんたらそんなんでこの先生きていけると思ってんの?最低限の知識とかあるの?」

 

「まかせろお前。俺達には基本の魔法があるからな」

 

「…火をつけるとかだったら誰でも出来るからね?」

 

「え!?」

 

「いや当たり前でしょ。冒険者なら尚更よ」

 

「お、俺達が学園で学んだことはいったいなんだったんだ…!」

 

「もっと他に学んだことあるでしょ」

 

「経済学…!全部寝てたからなんも覚えてねぇ…!」

 

「それはあんたが悪い」

 

クッソォと嘆くデルタはおいといてテフレントが一冊の本を取り出す

 

「はぁ…取り敢えずこれ読んでおきなさい。基礎的なことが書いてあるから」

 

「なんだこれ?」

 

「『冒険者の心得』ねぇ…なになに?モンスターの危険度について?」

 

ガスパディーンが本を開き内容を読み上げていく

それを俺達は大人しく座って聞く

 

「『一般的にモンスターと言われる一般人等に危害を咥えるであろう物達にはそれぞれそのモンスターの危険度に応じたレベルが与えられている。このレベルは全世界共通ギルド協会によって定められている』…へぇ、全世界共通ギルド協会なんてあるんだなぁ…」

 

「この一般人って何処から何処までが想定内なのかね」

 

「まぁそれは聞いてみないとわかんねぇんじゃねぇか?それこそ全世界共通ギルド協会とやらにな」

 

「それでそれで?」

 

「えぇと…『レベルは10段階表記されているがその他にレベル0とΩが存在する。レベル0は危険度がなく、一般人でも討伐、狩猟できるものを表記している。一般的に農家等が栽培している通常のキャベツやトマトといった野菜等の植物がレベル0とされる』…俺達が普段食べてる野菜にもレベルつけられてたんだな」

 

「それ最新版だから表記されてるのよ。一年前のだと書いてないわよ。」

 

「なんで?」

 

テフレントの説明にカインが純粋な表情で聞く

 

「なんでって…クレームかなんかついたんじゃない?私もギルドの人間じゃないから知らないけど」

 

「そっかぁ」

 

「続けるぞ?『レベル1~4は冒険者初心者でも討伐が可能なモンスター。数字が大きい程討伐難易度は上がる。レベル4のモンスターを安定して討伐出来るようになれば初心者卒業と言えるだろう』

なるほど、レベル4までは俺達でも倒せるかもしれないな」

 

「んでもそれ普通の冒険者の話だろ?俺達装備も(デルタを覗いて)まともにないんだからその辺はきついってことだな」

 

「いやお前も槍持ってるじゃん…」

 

「そうだった」

 

そういや俺オカンからもらった槍持ってたわ

 

「『そしてレベル5~7は中級者向け。ここから一気に討伐難易度が上がる。レベル5にはゴブリンキング等のレベル4や3のモンスターのボス等が多い。6には単体でも強いが群れている時があるオークやアンデットナイト等の魔族が多い。7は単独での撃破が難しいモンスターが多い。デュラハンやバシリスク、ラビットマウスなどか分布される』…これじゃ俺達がモンスターみたいじゃないか!」

 

「いやあたしから見たらあんたら全員モンスターだよ。まぁここに書いてあるのは野良魔族のこと。あんたらみたいに人や獣人に混ざって生活してる奴はそこには書いてないよ」

 

「へぇ…なかなか難しいな」

 

「むぅ、デュラハンは7か…もう少し上だとおもったんだが…」

 

「『レベル8~10は許可を受けた一部の上級冒険者、または聖騎士団、勇者等が討伐出来るかどうかの超強力なモンスター達がいる。8にはBークイーン、シュラク等のモンスター。9にはジャイアントアント、メガフロッグ等。そして最高レベルの10にはヴァンパイアロード、現魔王、レッドマウス、闇帝、光帝等の所謂ボス級の奴らが分布されている。万が一レベル10と出会ってしまった場合、戦闘を行わず直ちに撤退、その後ギルドに報告するように。』…なんだか物騒な名前がちらほらと…」

 

「現魔王ってそこに書かれてんだな…」

 

「そりゃそうよ。魔王なんだから」

 

「それとこの帝ってなんだ?」

 

ガスパディーンの読み上げに疑問を持ったデルタがテフレントに聞く

 

「あぁ、帝って言うのは魔法の属性のそれぞれの頂点よ。炎に水に風、それ以外にも色々いるわね」

 

「そんな奴らもいるんだなぁ…」

 

「えぇと…これで最後かな?『最後にレベルΩについて。レベルΩは勇者や聖騎士団、最上級冒険者が束になっても討伐が難しいモンスター達のこと。現在その数は10存在する』うっひゃぁそんなのもいるのかぁ」

 

「そいつらに会ったら終わりよ。死を覚悟した方がいいわね」

 

「うっわぁ…怖いなぁ」

 

そんな感じで本を読んでいたらいつの間にか日が完全に落ちていた

 

「…取り敢えず機械の国に向かうか。まぁ今日は寝るけどな!」

 

取り敢えず寝る!そして明日機械の国に向かう!




もうそろそろ花粉の季節ですね。薬貰いに行かなきゃ…


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入国できるといいな

短いね


 

「だぁぁぁぁ…遠いよぉ…」

 

舗装もされていない道をふよふよと飛びながらカインが愚痴をこぼす

 

「んなこといったってしょうがないだろ?アングロは大河から離れたところにあるんだし…つーかお前は飛んでるんだから俺達ほど疲れねぇだろぉが!」

 

「いやホントにさ。…てかテフレントも自分で歩いてよ!俺に乗っかんないで!」

 

歩いてるデルタとテフレントをおぶりながら歩くガスパディーンはそれぞれ文句を言う

 

「おうおう飛べない連中が騒いでおるわ!全く無様よな!」

 

「…!!!」

 

「まぁ飛べない方が悪いからね」

 

「よしお前ら殺す」

 

「やめろや」

 

そんな話をしながら歩いていると突如として強風が吹いた

 

「うわぁ!?」

 

「へぶぁ!」

 

「…!?」

 

風に煽られ飛んでいた組が飛ばされる

 

「ふはははは!貴様ら飛んでるからそんな目に会うのだよ!ばーかばーか!」

 

「いやそんなこと言ってる場合!?あいつら飛ばされたよ!?」

 

「おー、綺麗に飛んでいってるなぁ…」

 

「いや助けろぉぉぉ!!」

 

ガスパディーンが全力で飛ばされた奴らを追う

それをデルタが追いかける

 

「うぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

 

 

●●●●●●●●

 

 

 

 

 

 

「…クソっ!」

 

ここは機械の国アングロ。

 

機械の国というが実のところそんなに機械だらけと言う訳ではない。

ここはもともと一人の技術者が暇潰しでロボットを作っていた研究施設がいつの間にかクッソでかくなっており、まぁ国みたいなもんだろってことで国として扱われている。なので正式な国家ではない。

 

そんな国に一人の赤い鎧を着た者が歩いていた

 

「…やっぱりオレには無理なのか?」

 

鎧の人物は手を握りうつむく

 

「はぁ…オレも父上のように力があれば…」

 

鎧の人物はそう呟き空を見る

 

「…ん?」

 

空を見上げるとどうやら何かが落ちてきていた

 

「ぅぁぁぁぁぁあああああ!!!」

 

「な、な、な、なんだぁ!?」

 

「ぶつかるぅ!?」

 

空から降ってきたのはアヘンとカイン、Mark.6の所謂空飛び組だった

 

ゴッチン!

 

「いったぁい!」

 

降ってきたカインが鎧の人物の頭にぶつかった

 

「くぁっ…」

 

鎧の人物はよろけて壁に手をつける

 

「はぁ…はぁ…お前ら大丈夫か?」

 

アヘンがMark.6とカインに確認する

 

「…!」

 

「痛い…」

 

Mark.6は無事をアピールするように羽をばっさばっさと動かしカインは腰を押さえながら立ち上がる

 

「…お前らなにもんだ?急に空から降ってきやがって…」

 

「風に飛ばされただけの魔族だ」

 

「あぁ?…まぁ何でもいいや」

 

「…てかここ何処だ?」

 

アヘンが辺りを見渡してそう呟く

 

それに答えたのは鎧の人物だった

 

「あぁ?お前らホントに風に飛ばされただけか?…んまぁ何でもいいけどよ。ここはアングロ。世間的には機械の国って言われてる所だな」

 

三人は図らずとも目的地にたどり着いたようだった




冬にアイス食べるの好きなんだけどアイスボックスは冬に食うもんじゃないね。


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メタルナイトグループ

変わらず短いよ。


 

「ここが…アングロ…」

 

「なんつーか殺風景だな。機械の国っつーからもっとこう…ザ・マシンみたいなもんかとおもったんだが…」

 

「…」

 

三人は辺りを見渡してそう呟いた

 

三人の言うとおり辺りは殺風景でなにもなく、機械とは程遠い景色が広がっていた

 

「…なんもねぇな」

 

アヘンがそう言うと鎧の人物が「そりゃそうだろ」と答える

 

「ここはアングロの中でも辺境もいいところなんだから。第一アングロなんて中心部しか栄えてないの。じゃあね。オレは中心部に向かうから。じゃ」

 

鎧の人物がそう言って去ろうとするとカインが待ってと声をかける

 

「…なんだ?」

 

「いやいや実は僕たちも中心部に行きたいんだよね!一緒に行かない?」

 

「…は?」

 

「僕たちここに来るのはじめてだからさ!案内してよ!ね?いいでしょ?」

 

「…断る。第一オレにそんなことをする理由がない」

 

「君には無くても僕たちにはあるの!ね?お願い!」

 

「…むぅ…」

 

「ね?ね?ね?ね?」

 

カインが鎧の人物の回りをクルクル回る

 

「えぇい!鬱陶しい!」

 

「ね?いいでしょ?ね?」

 

「しつこい!断るったら断る!」

 

「じゃあわかった!勝手についてくね!」

 

そう言われると何も言えないのか「ぐぅ…」と言葉を詰まらせる

 

「…チッ、勝手にしろ」

 

鎧の人物がそう言って歩きだそうとしたその時、遠くから「おーい」という声が聞こえた

 

「ん?あ!ガスパディーンだ!おーい!ここここ!」

 

カインが手を振る先にはテフレントを背負ったガスパディーンとデルタが走って来ていた

 

「…ぜー…ぜー…てめぇ…」

 

「何処まで飛ばされてんのよあんたら」

 

「…それは僕の背中から降りて言ってくれないかな?」

 

「いやよ。降りたら自分の足で歩かなきゃいけないじゃない。私王族ぞ?」

 

「叩き落としてやろうか?」

 

「はい!不敬罪!」

 

「土地もたない王族なんて怖くないんだよなぁ…」

 

「なんだと?」

 

「…何でもいいが取り敢えずここは何処なんだ?」

 

デルタがカインに聞くとカインはニコニコして答える

 

「実はここが目的のアングロなんだよ!これも僕のおかげだね!感謝してくれないかな!」

 

「は?」

 

「おいこいつマジでいってんのか?」

 

「…いやそんなに否定しなくてもいいじゃん…」

 

カインがシクシクと泣く

 

「…お前らついてくるんじゃないのかよ…」

 

そんな面々に冷たい視線を送る鎧の人

 

「あぁ!ごめんごめん!さ!みんな!この人についていくよー!」

 

こうして全員が合流を果たしたのであった。

 

※ちなみに鎧の人の説明はカインがざっくりしてました。




じゃがりこのパックされてる奴ってすごい便利


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わっしょい神器

タイトルはあんまり本編に関係なかったりします。


 

「ねぇねぇ!君は何でここにいるの?」

 

「…答える義理はないだろ」

 

鎧の人の後ろについていくように歩いていると鎧の人の隣を歩いていたカインが鎧の人に聞く

 

「あっ、ちなみに僕たちはね、えーと…変装?と偽の証明書が欲しいんだよねぇ」

 

「…それはオレに言ってもいいことなのか?」

 

「ん?まぁ大丈夫でしょ!君ってそんなに悪そうじゃないし!」

 

「…そうか…そういうものか」

 

鎧の人がそう納得したように呟く

 

「しっかしなんもねぇな!ホントにな!」

 

「まぁ元々ただの研究施設だったわけだしそりゃあね。でもホントにこのままついていっていいのかな」

 

「というと?」

 

鎧の人とカインの後ろを歩くデルタとガスパディーンが話し出す

 

「…ここだけの話あの鎧って信用できる訳じゃないでしょ?カインが信用してるだけだし…」

 

「まぁ確かに」

 

「その辺どう思う?」

 

ガスパディーンが後ろを歩いているアヘンに聞く

 

「ん?まぁいいんじゃない?騙されてたらそん時はそん時だろ」

 

「相変わらず適当だなぁ」

 

「てかあいつのこと鎧って言うのやめろや。俺だって鎧やぞ」

 

「…じゃあなんて呼べばいいの?」

 

「あー…おーい鎧の人ー!」

 

ガスパディーンが先頭にいる鎧の人を呼ぶ

 

「…鎧の人ってオレか。なんだ?」

 

「そういや名前聞いてなかったなって」

 

「あ!確かに!」

 

「…炎帝。そう呼べ」

 

「炎帝!?」

 

「うぉ、どうした?」

 

鎧の人が炎帝というとガスパディーンの背中に乗っていたテフレントが身を乗り出して驚愕の声をあげる

 

「あなた達にも前説明したじゃないの!帝って言うのは魔法属性の頂点だって!炎帝ってことは炎属性の魔法の頂点!…でもなんで帝がこんなところに?」

 

「…まぁ貴様らならいいか。我々帝には現在収集しているものがある」

 

「昆虫?」

 

「金!」

 

「ゴミかな?」

 

「…どれも違う。我々が集めているものは『神器、幻器、人器』だ。」

 

「なんですって…?」

 

「なんだ?その凄そうな奴らは」

 

「あんたらほんっとになんも知らないのね。いい?そもそも世界には普通に出回ってる武器と特別な力を持った武器があるの。でその特別な力を持つ武器も三つに分けられて神が作り出したのが神器。人が作り出したのが人器。そして人でも神でもなく作り出したものが不明なのが幻想兵器略して幻器」

 

「はぇーそんなのあるんだなぁ」

 

「まぁでも俺達には関係ないな」

 

「持ってる訳じゃないし欲しい訳じゃないしねー」

 

「ところが関係あるのよ。…これらの兵器はひとつで国数個滅ぼす事が出来るのよ」

 

「…え?」

 

「一つだけで!?やっば!」

 

「それどころか所持者は問答無用でレベル7以上に認定されるわ。…現魔王や現勇者、一人しかいないヴァンパイア・ロードが認定されてるのはこれが原因ね」

 

「そ、そんなヤバいものなのか…」

 

「じゃあそれ集めてるってことはこいつも大概ヤバい奴なんじゃ!?」

 

デルタが炎帝を指差しながらそう言うと炎帝は首を横に振り「オレはそんなことしない」という

 

「…他の帝達は力を求めているようだがオレはそんなものに興味はない」

 

「ホントか?」

 

「…オレはただ自分の立ち位置が嫌になって逃げ出しただけさ…」

 

「?まぁよくわからんがその神器とかが危ないってことはわかった」

 

「…いや根本的な所がわかってないわよ」

 

「へ?」

 

「…炎帝。何故あなた達帝はこの兵器を集めているの?」

 

テフレントが炎帝に聞くと炎帝は「むぅ…」と言葉を詰まらせる

 

「ねぇ、お願い。教えてくれない?」

 

「…だがこれを言うとオレは…」

 

「どうなんの?」

 

「…帝の裏切り者として狙われる」

 

「なら大丈夫よ。こいつらが守ってくれるから」

 

「おい!?」

 

「適当いうなよ!?」

 

「…そうか、ならいいか」

 

「お前もいいのかよ!?」

 

「俺ら今日あったばっかだろ!?何でこんなに信頼してんの!?」

 

「来るべき災害に対抗するためだ。表向きはな」

 

「言っちゃったよ!」

 

「来るべき災害?しかも表向き…ねぇ…」

 

「…もう聞いちまったから聞くけどその来るべき災害ってなんだよ?」

 

デルタが聞くと炎帝は「さぁね?」と首を横に振る

 

「そんなもん知らないよ。聞かされてないし」

 

「そうなんだ…てか表向きって言ったけどじゃあ裏があるのか?」

 

テフレントが聞くと炎帝は首を縦に振る

 

「神器とかは入手した帝の物になる。それが目的で集めているのがほとんどさ」

 

「結局自分の目的のためなんだな…」

 

アヘンが呆れたように言う

 

そんな話をしていると目の前に建物が見えてくる

 

「…ついたようだな」

 

「おぉ…これがアングロの心臓…?」

 

そこには無数の機械が道に転がっていた

 

よく見るとそれらの機械はロボットのようだった

 

「…えぇ…」

 

「これは…いったい…」

 

それどころか何故かロボット同士が戦っていた

 

「…ニンゲン…ホソク…ハイジョ!」

 

一体のロボットがアヘン達の方を見てそんな音声を発した

 

「あ?」

 

「ハイジョ!」

 

「ハイジョ!」

 

「ハイジョ!」

 

「な、なんかこっち来た!?」

 

ロボット達がアヘン達に襲いかかる

 

「シネ!」

 

ロボットが腕につけているレーザーをテフレントに向かって照射した

 

「…ッ!」

 

「テフレント!」

 

レーザーがテフレントに当たる寸前、何物かがテフレントの前に立ちレーザーを反射した

 

「ガガ!」

 

反射したレーザーはロボット達に当たり、爆発した

 

「…無事ですか?」

 

「え、えぇ…あなた…何物?」

 

テフレントが目の前に立つ人物に聞くと振り返りテフレントに手を差しのべる。

 

「…私は零。しがないアンドロイドです」

 

 




後書きが思い付かねぇ…


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まぁ取り敢えず説明を聞こうよ

まぁ短いっす


 

「あーと…零さん?」

 

「はい。なんでしょう?」

 

「あなたはアングロの関係者なの?」

 

「うーん…関係者と言えば関係者ですしそうじゃないと言えば違うとなります。つまり私はモノクロといったところでしょう」

 

「…どゆこと?」

 

零と名乗ったアンドロイドの説明を聞いても全くよくわかっていないテフレント

 

「まぁどちらでもありどちらでもない存在と思っていただければそれで十分ですので」

 

「つまりどういうことなんだ…?」

 

「つまりですね?」

 

零がテフレントを襲おうとしたロボットを手についているレーザーで焼き払い、答える

 

「私はあなた達の味方ということです」

 

零の後ろでロボットが爆発する

 

「…ならいいけど…じゃあどうしてあのロボット達私たちを襲うのよ?」

 

「…まぁ取り敢えず場所移しましょう。ここだと常に攻撃来ますし。まぁ私一人だったらなんも問題ないんですけど流石にあなた達を庇いながらはめんどくさいので」

 

「案外ハッキリ言うのね…」

 

「嫌でしたか?」

 

「いいえ、嫌いじゃないわ」

 

 

 

 

 

●●●●●●●●

 

 

 

 

 

安全な場所(廃墟)に移動したアヘン達は零に今アングロで何が起きているのかを聞いた

 

「そうですね…それを説明するにはまずアングロについて説明する必要がありますが…どうします?」

 

「いやどうしますって…普通に話せよ」

 

デルタがそう言うと零はどこらか取り出したのか黒板を取り出し服装も教師のような服を着ている。いつ着替えた?

 

「では。まずアングロには現在機械以外は生命体と呼べるものは存在していません。まぁ昆虫等はいますけどね。元々一人の人間がいたんですが大体20年くらい前に死にまして。今はその人間が作り出した7体のロボがアングロの中心にいるわけですね」

 

「7体のロボ…その内の一体があなたってこと?」

 

テフレントが聞くと零は「いいえ」と首を振る

 

「私はそいつに作られたわけじゃないですよ。私自身誰に作られたのか知らないですし」

 

「そうなんだ」

 

「えぇ。大体この大地に足をつけてからおおよそ数千年たってますので」

 

「数千年って軽く言ってるけどとんでもないんじゃ?」

 

ガスパディーンがテフレントに聞くとテフレントも同じ事を考えていたのか「えぇ…」と呟く

 

「…あれがもし六千年より前だったら最古の文明より古いことになる。…何者なの?」

 

「まぁそれはおいといて。あなた達が聞きたかった何故今ロボ達があなた達を襲うかですが…簡単に言えば暴走ですね」

 

「暴走?」

 

カインが聞く

 

「えぇ。アングロには多数のロボがいますがそのほとんどがロボによって作られたのか連中なんですよね。んでそんな一般ロボ達を管理等してる所謂ブレインが三つあります。今回はその内のひとつであるホワイトブレインが『我々AIこそが全ての種族の頂点に立つべき』っていう結論だしちゃってですね。まぁ本来それを止める立場の7体の内5体がその考えに賛同してもう止められないってなってるのが今のアングロですね。」

 

零の説明を聞いてアヘンとカイン、デルタはめんどくさいことに巻き込まれたなぁと思っていた

 

「…でもそれだったら炎帝がここにいる理由がないんだよなぁ」

 

「…まぁ今の話だと別に神器とかがあるわけじゃ無さそうだしな」

 

ガスパディーンが炎帝に聞くと炎帝もうんうん首を縦に振りながらそう言う

 

それを聞いた零が「それなら…」と良いながら腕のスイッチを押す

 

すると腕の機械が開き中から謎の短剣が出てくる

 

「これのことですか?」

 

「…それは?」

 

炎帝が聞くと零が短剣をクルクル回しながら答える

 

「これは…なんでしたっけ?忘れました。確か…まぁどうでも良いものでしょう。私が忘れてるくらいのモノだったということでしょう」

 

「じゃあなんでこれのこととか言いながら出したんだよ」

 

「まぁそれっぽいかなって思ったので。これぞアンドロイドジョーク」

 

「クソが」

 

 




花粉症で毎年もうそろそろ厳しくなるんだけどまぁマスクしてるから結構楽っすね。


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数字って様々

寒いのか暑いのかハッキリしてくれー!


 

「まぁ神器うんぬんはおいといてですよ。そこの炎帝の目的はわかりましたけどあなた達は何故アングロに?」

 

零が短剣をクルクルさせながらアヘン達に聞く

 

「俺達は…その…偽証明書を作って欲しくてな…」

 

アヘンがアングロに来た目的の偽証明書の話をすると零は「あー」と意味深な感じで呟く

 

「…なんだよ」

 

「いやーなるほど偽装ですかぁー。それならあれですね。私には無理です」

 

「…はぁ」

 

「まぁやろうと思えば出きるんですけどね。めんどいですし。それに私より適した奴がいますのでそいつに頼んだ方が良いですよ」

 

「そうなのか?」

 

デルタが聞くと零は「えぇ」と答える

 

「先程説明した7体のロボはそれぞれ役割が分担されてましてですね。まず一番最初に作られたロボ、確か名前は…『イーガル』は最も普通のロボですね。二本の足と二本の腕が生えていてまぁ見た感じは人間ですね。顔にデカイカメラがついてるのが特徴です。んでそのイーガルを純粋に強化したのが『ガルツー』です。容姿はイーガルに似てますがまずデカイカメラがなくなり人間と変わらない顔をしてます」

 

「名前とかついてたんだな」

 

「まぁ私は元から記録されてた名前なので」

 

「聞いてない」

 

「…続きまして三番目、四番目のロボは戦闘に特化したロボなんですがそれぞれかなり見た目も異なります。三番目は脚力が特化しています。見た目は完全にケンタウルスですね。脚力に特化しているのでその分移動速度も早いです。ついた名前が『ガドライド』。四番目がガドライドとは違い腕力に特化しています。腕は四本生えてますしまぁこいつも見たらすぐわかりますね。名前は『カトルクルス』。この二体は戦闘特化ですのでまぁ頭脳はかなり残念なことになってます」

 

「どんくらい強いの?」

 

カインが聞くと零は「そうですねぇ…」と顎に手を当て考える

 

「…まぁレベル7くらいじゃないですか?少なくとも私以下です。」

 

「そうなんだ…(全然参考にならないなぁ…)」

 

そもそも零の力が未知数だしレベル7と戦闘したこともないので口には出さないがガックリするカイン

 

「んで次は五体目ですね。こいつは7体の中で一番頭脳が特化しています。多分私よりその辺は上なんじゃないですか?直接頭脳対決とかしたことないので知らないですけど。まぁ頭脳特化なので先程の二体とは真逆で戦闘能力は完全にゴミです。多分人間の子供にすら負けますね。名前は『ヴィーシャ』。六体目がおそらく一番強いですね。ガドライドとカトルクルスとヴィーシャを足して3で割ったような性能してます。単純に強いですね。見た目は完全にロボ!って感じのメタル感ですね。名前は『ロクサルバス』です」

 

「おぉ…Mark.6と仲良くなれそうだな」

 

「…!!」(ブンブン!)

 

Mark.6が笑顔で首を縦に振る

 

「いやロクサルバスは誰かと群れたりするような奴じゃないので。多分仲良くはなれないですね。しかもずっとヴィーシャの護衛してますから」

 

「…」(ずーん)

 

「ほらぁ!お前がそんなこと言うからMark.6が落ち込んじゃっただろ!」

 

「知りませんよ。私は事実を言ったまでなので。まぁあと一体いるんですけどそいつは説明しなくて良いでしょう」

 

「なんで?」

 

「私が叩き潰したからです。襲いかかってきたのでまぁ…こう、ガスっと」

 

零がなにかを叩き埋めるようなジェスチャーをする

 

「…ともあれその7体の中で偽装とかそういうのやってくれるのはヴィーシャなので彼女の所に行きましょうか」

 

零はそう言って立ち上がった




なんだかんだ一年中出しっぱにしてるジーパンが万能だと思い始めた今日この頃。


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のぼれのぼれ

タワーオブホワイト


 

廃墟が並ぶ街を零に先導されて歩くアヘン達

 

「ヴィーシャはずっと引きこもってモニターとかを眺めているので絶対にいる場所は変わらないんですよね」

 

「そうなのか?だとしたらそいつは相当不健康だな」

 

「まぁ体は機械で出来ているのであれですね。彼女は頭をフル回転させてるのでそれこそ動かなくても問題ないですけどね」

 

「????」

 

「つまり動く必要がないってことですよ」

 

「いいなぁ…俺もそんな風に生きていきてぇなぁ…」

 

デルタが羨ましそうにそう言う

 

「さぁ見えてきましたね。あれがヴィーシャがいるタワー」

 

零が立ち止まり目の前のタワーを指差す

 

タワーは白く周囲の廃墟だらけの景色とはまるで噛み合っていなかった。むしろ浮いている

 

「いや白っ!?」

 

「通称『ヴィーシャタワー』です」

 

「まんまじゃねぇか!」

 

「自己顕示欲がすごい」

 

「名前まで自分を主張してくるね」

 

「流石に私でも自分の建物に自分の名前つけないな」

 

ボロクソである。

 

タワーを見上げ好き勝手言っていると先程街で襲ってきたロボとは違う別の武装したロボが近づいてくる

 

「!シンニュウシャ!ハイジョ!ハイジョ!」

 

ロボがそう言いながら腕につけているガトリングを撃ってきた

 

「うぇ!?なんだこいつら!?」

 

「下がれ!はぁっ!」

 

炎帝が前に出て炎の壁を作り出す

ロボが撃ってきた弾は炎の壁に当たるとドロドロに溶け落ちる

 

「おぉ!?お前こんなこと出来たのか!」

 

「…これでも炎帝だ。足止めはしてやるから早く行け!」

 

「…ではではここは炎帝さんに任せて先に行きましょう。こちらです」

 

炎帝の足止めのお陰で残りの面々は零の先導についていきタワーに進入した

 

 

 

●●●●●●●●●●●●

 

 

 

「…お前は中に行かなくてよかったのか?」

 

タワーの外でロボ達の足止めをしている炎帝が隣に立って外に残ったデルタに聞く

 

「…まぁ中に行ってもよかったんだが…お前一人だと厳しいんじゃないかってな」

 

デルタはそう言いながら腰に着けている剣を引き抜く

 

「それに手数はひとつでも多い方が良いだろ?」

 

デルタは剣を構えながら炎帝の方を向く

 

炎帝は「ふっ」と鎧の中で微笑み、腕に炎を纏わせる

 

「ならせいぜい足引っ張るなよ!!」

 

「そっちこそ!」

 

 

●●●●●●●●

 

 

 

「おぉ…これがあの白いタワーの中か…」

 

「中は白くないんだな」

 

アヘンとカインの言う通り、タワーの中は特に白くなくむしろ青い感じで神秘的だった

 

「シンニュウシャ!シンニュウシャ!ハイジョ!ハイジョ!」

 

「げぇ!?中にもいるのかよ!?」

 

「まぁいますよね。でしたらこうしましょう。ヴィーシャの元へ行くメンバーを決めちゃいましょう。私は先導役なので絶対に行くとして…後二人はヴィーシャの所にきて欲しいですね。なので…アヘンさんとカインさんは上まで行きましょう。残りの方々は途中のロボを足止めしてください」

 

「ちょっと待ちなさいよ!そういう交渉は私がやるべきでしょ!?」

 

「まぁまぁ。この方達の目的は偽装ですから。直接本人達が行った方が良いでしょう。それにあなたから凄い魔力を感じますね。ガスパディーンさんのサポートをしてください。Mark.6さんも二人と共に戦ってくれます?」

 

「…!!」(ブンブン!)

 

零が聞くとMark.6は首を縦に振る

 

「では殿は任せますよ!着いてきてください!」

 

零がそう言って階段を全力で上がっていった。

 

それを追いかけカインとアヘン、その後ろにガスパディーンとテフレント、Mark.6が殿で階段を上がっていった。

 

 

 

 

 

●●●●●●●●

 

 

 

 

 

「…ぜぇ…ぜぇ…」

 

階層を上がること25回

 

最上階一歩手前の二十六階でアヘンとカインは止まった。

 

すでに殿組は足止めのため離れている

 

「もう疲れたよ…」

 

「ほらほら頑張ってくださいよ。あと一階上なんですから」

 

「お前は機械だから疲れないかもだけどなぁ…」

 

「ほらほら立って立って…危ない!」

 

零がそう言ってカインとアヘンを思いっきり二十六階に続く階段に投げる

 

「ぐぇ!?」

 

「ブッ!?」

 

投げられた二人はアヘンの上にカインが乗る感じに倒れる

 

「てめぇ!なにしやが…!?」

 

アヘンは文句を言おうと零を見るとそこには全身銀色の人間のような容姿をしたロボがいた

 

「…こいつは私が足止めしますので二人は上に行って下さい」

 

「お、おう!カイン行くぞ!」

 

「う、うん!」

 

二人が立ち上がり階段を上ろうとすると銀色のロボが二人に近づき刀のような腕を思いっきり振り上げる

 

「…ふっ!」

 

「…!」

 

ドゴォ!

 

二人に当たるギリギリで零がロボを蹴飛ばし、壁に思いっきりぶつける

 

「…早く!」

 

「おう!」

 

二人は階段を上っていった




この時期って温度差ホント凄いですね。


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所謂交渉

短いよ


 

カインとアヘンは最上階にある唯一の部屋の前に立っていた

 

「…この扉の先にいるのか?」

 

「零の話だとそうだけど…開けてみよ」

 

アヘンとカインがうんと首を振り扉を開けた

 

「うぇぇ…何でこいつらは私のタワーで暴れてんのぉ?私こいつら知らないよぉ?なんでぇ?」

 

部屋の中には大量のモニターがありそこにはタワーの中の様子が写し出されていた

 

ロボ達を無力化しているMark.6やガスパディーンの姿も写っている

 

そしてそのモニターの前に長髪の女性っぽい人物が座ってぶつぶつと文句を言っている

 

「ぐぬぬ…こうなったら私の相棒のロクサルバスを出撃させ…」

 

クルッと回転をした人物がカインとアヘンと目が合った

 

「…」

 

「…」

 

「…誰!?」

 

「あ、どうも」

 

「あなたがヴィーシャ?」

 

「な、何故私の名前を…まさかギルド!?」

 

「違うよ。僕たちは君にお願いがあって来たんだ」

 

カインがヴィーシャにここに来た目的である偽装証明書の話をする

 

「なるほどね…まぁそんくらいならすぐに出来るけど」

 

「ホント!?よかったぁ」

 

「…やるとは言ってないわよ」

 

「…ダメなの?」

 

「あのねぇ…そもそもそれを私がやっても私にメリットないじゃないの」

 

「ぐ、確かに…」

 

「でもやってもらわねぇと俺達も困るんだよ」

 

「知らないわよあんたらの事情なんて。私には関係ないじゃない」

 

「…なら僕たちも君の要求を一つ聞こう」

 

「なに?」

 

「確かにこちらだけ叶えてもらうのも不平等だしね。それなら君にもメリットあるんじゃないかな?」

 

カインがそう言うと提案するとヴィーシャは顎に手を当て考える

 

「…なら私の要求を聞いてもらえる?」

 

 

 

 

●●●●●●●●

 

 

 

 

 

 

「んじゃあお願いね!」

 

ヴィーシャの見送りを受けてアヘン達はタワーを後にする

 

「どうだったんだ?」

 

「…こっちの要求を飲むからその代わりにってお願いされたよ」

 

デルタがカインに聞くとカインはめんどくさそうに答える

 

「どんなお願いされたんだ?」

 

「…今暴走しているホワイトブレインを止めてくれって。…止め方もわかんないのにどうやって…」

 

「零なら知ってるんじゃないか?」

 

「私は全知全能的存在なので当然知ってますよ。…そもそもブレインはアングロに三つありましてね。ホワイトとブラック。それからレッドの三つですね。暴走を止める方法なんて簡単ですよ。」

 

「それは?」

 

「破壊です。壊せば全て解決しますから」

 

零の提案はあまりにも脳筋だった。

当然その案は却下された。

 

取り敢えず廃墟に戻って一晩明かすことにした




花粉が目に沁みる。


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夜の一時

タコライスってタコ入ってないのね。ちょっと驚き。


 

廃墟に戻って来た一行は取り敢えず明日に備えて寝ることに。

 

アヘン達が眠っている廃墟の外で炎帝は月を見ていた

 

そんな炎帝に近づく影が一つ

 

「…なんのようだ?」

 

「いやあんたこんな夜になにやってんのよ…」

 

近づき話しかけたのはテフレントだった

 

テフレントは炎帝の隣に座り、同じように月を見上げる

 

「…目が覚めてしまっただけだ。深い意味はない」

 

「そう。…しっかし月って不思議よね」

 

「…」

 

「あんたに話したっけ?私の過去話」

 

「してないな」

 

炎帝がそう言うとテフレントは自分が王女であること。後継者争いに巻き込まれて逃亡した先で五人と出会ったことを話した

 

「まっ、そんなわけで私はあいつらと一緒にいるって訳よ」

 

「…あいつらと過ごした時間はそんな長くないのか」

 

「まぁそうね」

 

「なのにあれだけ信頼しているのは何故だ?」

 

炎帝が聞くとテフレントはキョトンとする

 

「何故って…あいつら多分バカだもん」

 

「ぶっ」

 

テフレントがそう言うと炎帝は思わず吹き出す

 

「バカって…」

 

「だってそうでしょ?アヘンは難しいこと考えんの嫌いそうだしカインは脳内ピンクだしデルタはそもそも頭ないしMark.6は…まぁおいといて。ガスパディーンは賢そうだけどあいつに乗っても特に襲われなかったしね。そもそも襲うなら始めに船に乗った時点で襲われてるわよ。それをあいつらはしなかった。それだけで私はある程度信頼してるわよ」

 

「…なるほど」

 

「…そういや私もあんたに聞きたいことあったのよね」

 

「なんだ?」

 

「…あんたは何で私たちと一緒にいるの?」

 

テフレントが聞くと炎帝は廃墟の壁に寄りかかる

 

「あんたら帝としてのアングロに来た理由は神器の回収でしょ?でもあんたはそれをしないって言ったし。帝から離反するなら何で私たちと一緒にいるのか、それがわからないのよ。…まぁあの五人はそんなこと気にしないだろうけど…私としては気になるの」

 

「…あんたは帝の仕組みを知っているか?」

 

「仕組み?各属性の魔法の使い手の中でも最上位の奴らがなるんじゃないの?」

 

テフレントが言うと炎帝は「いいや」と首を振る

 

「その方式だったのはずっと前さ」

 

「え?」

 

「…最初はあんたの言う通り最上位の奴らがなっていたんだ。だがある時帝達は気づいたんだ。『魔力や属性は遺伝する』ということにな」

 

「遺伝…」

 

「ならばわざわざ帝が死ぬ度に新しい帝を見つけるよりも帝の子供を次の帝にしてしまった方が良いってなってな」

 

「…じゃあ炎帝も親が?」

 

「あぁ。…オレの父親が先代炎帝だった。…だがオレは帝になりたくなかったんだ」

 

「なんで?」

 

「…オレの父親。先代炎帝はそりゃもう強くてな。『歴代最強の炎帝』とまで言われていたんだ。その子供ってことでオレも期待されていたんだが…オレには才能もなかった。」

 

炎帝は手に炎を纏わせる

 

「…ハッキリ言ってオレは弱い。他の帝から見ても現帝達の中でぶっちぎり最弱だ。それが帝達にバレたとき、スッゴいバカにされてな。どうやら先代炎帝に不満を抱いていた奴らがそれはもう凄い勢いでな。んでオレはその時思ったんだ。『炎帝にならなきゃこんな目に会わなかったんだ。なら帝なんぞやめてやる』ってな。それでオレはアングロの任務中に離反したんだ。そこであんたらに出会った訳だ」

 

「うーん…だとしてもなんで私たちと一緒に行動してるのよ?」

 

「そこはお前と似たような感じさ。あいつらは帝すらろくに知らない連中だろ?ならあいつらがわた…オレを帝達に突き出すことはないだろうしな。まぁ安心できたってことだな」

 

炎帝がそう言って頭の鎧を取る

 

「…なっ!?あんた…!」

 

炎帝の素顔を見たテフレントは驚愕する

 

それもそうだろう。何故なら炎帝は…

 

「女だったの!?」

 

女だったのだ




キーマカレーもすきです。


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コンプレックス

影絵って作るの難しいですよね。

あと短いです。


鎧を取った炎帝の顔は女のテフレントから見ても美しかった。

 

赤い髪が夜風に揺られ、美しく靡く

 

「…なんで隠してたのよ」

 

「別に隠していた訳じゃない。…いや、隠していたな」

 

炎帝は自分の頭に被っていた鎧を見つめながら顔に笑みを浮かべる

 

「…帝内で私が下に見られているって言うのは話したよな」

 

「えぇ」

 

「帝っていうのは基本実力主義なんだ。…私は弱い。そしてそれを私は性別のせいにしたくなかったんだ」

 

「性別の?」

 

テフレントが聞くと炎帝は「あぁ」と頷く

 

「そもそも歴代帝もそうなんだが帝達の中には女性が圧倒的に少なくてな。現帝の中では私と氷帝が女性なんだ。そういった事情もあって帝の中には『女は優れていないから帝になれない』と考える奴もいてな。私と一緒にこの地に来た風帝と水帝はまさにそれなんだ」

 

「…まぁそれなら性別のせいにってことはわかるけど…あんま関係ないと思うわよ?現に氷帝は女だけどレベル10にランク付けされてるじゃない」

 

「氷帝は別なんだよ。彼女は周囲のそういった声を実力で黙らせて来たんだ!…私には氷帝のような実力はない。だからこそその弱さから逃げたくなかったんだ」

 

炎帝がそう言うとテフレントは「ふーん」と呟き廃墟に寄りかかり、座り込む

 

「…この事はあいつらには秘密にしておいてくれないか?」

 

「へ?なんでよ?」

 

「私が女だとバレたくないからだよ。それにバラすなら自分から言うさ」

 

「まぁそれなら別に言わないけど…」

 

そう言って炎帝は鎧を再び頭に被せ、廃墟の中に戻っていった

 

「…私もこのまま逃げてるわけには行かないかー…」

 

テフレントはそのまま寝転がり夜空を見上げた

 

そこには満点の星空が広がっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

●●●●●●●●

 

 

 

 

 

 

 

 

「取り敢えずホワイトブレインを止めろってことですね?」

 

翌朝、零がカインとアヘンに確認を取っていた

 

「ヴィーシャから言われた条件はそうだな。ホワイトブレインの暴走を止めてこの内乱を終わらせてくれって。そうすれば偽装証明書だろうがなんだろうが作ってやるって」

 

アヘンがそう答えると零は「では」と人差し指を立てる

 

「前回と同じように突入組と足止め組にわかれましょう。ホワイトブレインは今暴走しているロボ達の大将ですからタワーより警備とか厳しいでしょうし、ナンバリング達もいっぱいいるでしょうからね。というわけでカインさんとアヘンさんはまた突入組として働いてください。残りの私たちで護衛しますので。ホワイトブレインの停止方法についてはアヘンさんとカインさんに任せます。壊すもよしハッキングするもよし。任せます」

 

零がそう言い、作戦は決定した

 

「では行きますか」

 

零を先頭に一行はホワイトブレインに向かい歩きだした




まーた寒くなってきたね。温度差凄いね。


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変身

ミーノがおいしい


 

「ホワイトブレインはヴィーシャがいたタワーとは違って思いっきりアングロの中心にあります。中心と言うことはそれだけ護衛ロボとか暴走ロボがいるってことですからまぁめんどくさいですね。なので皆さん自分のやるべきことを忘れずに」

 

零の先導で一行はホワイトブレインがある場所に向かっていた

 

「わかってるよ。俺とカインが交渉、他の奴らが時間稼ぎだろ?そんかすぐ忘れねぇって。それに護衛ロボったってタワーにいた奴らと同じだろ?なら安心じゃね?」

 

「…いやーそれがかなりめんどくさくなりそうなんですよねぇ…」

 

零がため息をつく

 

「なんたってホワイトブレインはアングロの脳ですからね。絶対タワーよりめんどくさいでしょう」

 

「え?お前行ったことあるんじゃないのか?」

 

「え?上空通過しただけですけど?」

 

「こいつ…」

 

「まぁ大丈夫でしょ。私がいますし」

 

「その自信は一体どこから…」

 

カインがそう言うと零はわざわざ胸を大きくして答える

 

「私強いので」

 

「ちょっと待て!?」

 

零が自信満々に答える。

それに待ったをかけたのは最近王女とカインとアヘンとデルタから思われているテフレント

 

「なんです?」

 

「いや胸!何でおっきくなってんの!?」

 

「ふふふ…実は私には三つほど形態がありましてね」

 

零はそう言って腕から煙を出す

 

「うわ!?」

 

「煙い!」

 

煙が晴れるとそこには小さくなった零がいた

 

「これが省エネモードの通称ミニマム零。まぁわりとこの姿ならいろんな人が油断するので結構使い勝手は良いのよね」

 

「じゃあなんで今までその姿でいなかったのよ」

 

テフレントが聞くと零はヤレヤレとわざとらしく首を横に振る

 

「なんだその態度!?クッソ腹立つ!」

 

「落ち着いて!」

 

思わず魔法を繰り出そうとしたテフレントを炎帝とガスパディーンが押さえる

 

「このモードは省エネって言ったでしょ?省エネだから戦闘能力がガクッと下がるのよ!だからあんまり使いたくないの!まぁいいわ!そしてこの姿が…!」

 

ミニマム零はそう言って再び煙を出す

 

「毎回煙出すのかよ!?」

 

「これ人によってはダメだろ!?」

 

煙が晴れるとそこには大きくなった零がいた

 

「ん…ふぅ…そしてこの姿が逆に出力を上げた通称アダルト零。かなり興奮するでしょ?」

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

この時アヘンとデルタ、ガスパディーンの心の中の声が一致した

 

(((エッッッッッロ!?)))

 

そう、アダルト零はその通称通り滅茶苦茶エロかった。

 

もともとショートだった黒髪はロングになり腰の辺りまで延びている

 

そして露出がすごい。

具体的には言えないがとにかくすごい(小並感)

 

胸は上半分が完全に見えていて太ももは露出している

 

「…はぁ!?」

 

この姿に謎にキレたのがテフレント

 

「お前…!その胸!反則だろ!?てか何でそんな露出してんのよ!あと男どもは見すぎだ!こいつこれでもアンドロイドだぞ!?」

 

「はー!負け犬の遠吠えが気持ちいいわぁ」

 

「あぁん!?」

 

「まっ、貧乳はおいといてこの形態の説明するわね。この形態はさっきのロリモードと違ってパワーアップしてるわ。通常形態に比べて大体100~1000倍くらい強いわ。でもその分エネルギーも使うから…」

 

零が煙を出して元の姿に戻る

 

「…短時間しかいられないんですよ。なのでここぞと言うときに使います」

 

「…あれ?変身してるとき口調変わってなかった?」

 

別にアダルトを見てもそんなになんも思わなかったカインが零に聞く

 

「お?気づきましたか?」

 

「みんな気づいてると思うけど…」

 

「実は私変身すると変身した姿にわりと思考とか持ってかれるんですよね。なのでミニマムは幼い思考になりますしアダルトは大人になります。なのでわりと変身もリスクありますね」

 

勉強になったカインだった




揚げ物って油の処理がめんどいのよねぇ


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万能説濃厚

ウマ娘。楽しいですね。


 

「…ここからは一本道なんですが…」

 

零が見つめる先には巨大なメカメカしい建物が建っておりそこには一本道の通りを行くしかないようだ

 

当然そこには周囲に目を光らせているロボ達が巡回していた

 

「取り敢えず炎帝とデルタはここで暴れてもらって…」

 

「了解した」

 

「おう!まかせろ!」

 

二人はそう言うとそれぞれ通りに出る

 

「燃やす!」

 

「斬る!」

 

炎帝は炎を、デルタは剣を振り手当たり次第近くのロボを破壊していく

 

「ハイジョ!ハイジョ!」

 

「邪魔だぁ!」

 

二人は襲いかかってくるロボ達をどんどん破壊していく

 

「…二人が引き付けている間に行きましょう」

 

零がそう言い残っていた全員は通りを駆けていく

 

「シンニュウサセルナ!」

 

「うわぁ!?こっち来た!?」

 

「どいて!」

 

カインに近づいてきたロボをテフレントが魔法でぶっ飛ばす

 

「た、助かった…」

 

「ほら!急ぐ!あんたは交渉係なんだからこんなところでやられてる場合じゃないでしょ!」

 

「う、うん!」

 

カインは気を取り直し走り出す

 

「おい!扉しまってるぞ!?」

 

もう少しで建物に到着というところでアヘンが気づく

 

「その程度何の問題も…!」

 

零が腕からミサイルを発射し、扉を破壊する

 

「ありません!」

 

「…壊してよかったのか?」

 

「どのみちいれる気はないでしょうしね。なら壊した方が早いです」

 

「まぁ何はともあれ到着…!?」

 

アヘンは扉を見て驚愕する

 

何故なら壊したはずの扉が直っており今にもしまりそうだったからだ

 

「不味い!」

 

「なら…二人とも私の前に!」

 

零がそう言いアヘンとカインを自分の前に立たせる

 

「な、何を…?」

 

「歯ぁ食い縛ってくださいよ…!」

 

「ま、まさか…」

 

アヘンは嫌な予感がした

 

カインも同様で思わずアヘンに抱きつく

 

「…ぶっ飛べ!」

 

零が手のひらからとんでもない威力の空気を出し二人をぶっ飛ばした

 

「あぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「死ぬぅぅぅぅぅ!?」

 

二人はそのまま建物の中に突っ込んでいった

 

二人が入った直後、扉は完全に閉まった

 

「…ふぅ」

 

「いやいやいやあれ死んだんじゃないの!?」

 

思わずテフレントがツッコミを入れる

 

「…ダイジョブだと思いますよ?一応生命装置つけていたので死んでも生き返れますよ」

 

「えなにその装置」

 

「…零って大概なんでもありだよね…」

 

ガスパディーンがそう言うとテフレントとMark.6もうんうんと頷く

 

「まぁ私って強いので」

 

「理由になってないんだよなぁ…」

 

そんな話をしていると炎帝とデルタが戻ってくる

 

「お?二人は侵入に成功したのか!」

 

「…どうやらそのようだな。これならオレ達が時間稼ぎをした甲斐があったみたいだな」

 

二人がそう言い安堵する

 

「ハイジョ!ハイ…」

 

バッシャァ!

 

「!?」

 

突然目の前のロボが何処からともなく現れた水に流されていく

 

「な、なんだぁ!?」

 

「水…?まさか…!」

 

炎帝がそう言い振り替えるとそこには二つの人影があった

 

「おいおいおい!炎帝さんよぉ!?俺達を裏切ってすぐ仲間を見つけたのかぁ!?寂しいじゃねぇかよぉ!?えぇ!?」

 

緑色の鎧をした人物がそう炎帝に向かって叫ぶ

 

「我らを裏切った代償…受けてもらおうか」

 

青い鎧をした人物はそう静かに言う

 

「な、なんだこいつら!?」

 

「奴らは水帝と風帝。オレと共にここに来た奴だ」

 

「てか裏切ってたの!?」

 

「…まぁそこはどうでもいいですけど向こうはやる気満々みたいですよ?」

 

零の言う通り水帝と風帝はヤル気満々だった

 

「…これはオレの問題だ。オレが片付ける」

 

「…そう言うなって!俺もロボだけじゃ満足できなかったところなんだよなぁ」

 

「デルタ…」

 

「んじゃあ二人で何とかしなさいよ。私は隠れてるから!」

 

「…そう言って俺の背中に隠れるのはちょっと…」

 

「でかいからいいでしょ!」

 

「私も今回は観戦してるので。ちょうど2対2でいいじゃないですか。ねぇ?」

 

「…!(ブンブン)」

 

「…決まりだな」

 

炎帝とデルタが前に出る

 

「…二人まとめてぶちのめしてやるよぉ!!」

 

「水と風ごとき俺が斬ってやる!」

 

こうして炎帝&デルタVS風帝&水帝の戦いが始まった

 

 




寒いのか暖かいのか…
こいつここ最近この話題しか書いてねぇな?


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生きること

短いです


 

「ぶぇぇ…」

 

「だぁぃ…」

 

ズザザザァ

 

零に吹っ飛ばされたカインとアヘンは思いっきり地面を滑り何かにぶつかる

 

ゴンッ!

 

「いたっ!」

 

「でっ!?」

 

二人は立ち上がり自分達がぶつかった物を見上げる

 

そこにあったのは巨大な機械だった

 

「な、なんだこれ…」

 

「これが…ホワイトブレイン…?」

 

「これがぁ?…まぁ確かに白いけどよぉ…」

 

ブォン

 

「うぉ!?」

 

突然二人の目の前に緑色の文字が写し出される

 

『……何モノだ貴様らは?…』

 

「…なんだこれ?」

 

「わかんないけど…取り敢えず答えてみたら?」

 

カインがそう言うとアヘンはそれもそうかと自己紹介をする

 

「俺はアヘン。人間と吸血鬼のハーフだ」

 

「僕はカイン。インキュバスだよ」

 

『……そういうことを聞いてる訳じゃない。貴様らは何故我の元に来たのかを聞いている……』

 

「あぁ目的を聞いてたのね。それならそう言ってくれないと」

 

『……理解できない貴様らが悪い……』

 

「は?」

 

「なんだその態度は?」

 

『……沸点が低いな。流石下等生命ども。……』

 

「いちいち煽ってくるなこいつ」

 

「というか誰なの?」

 

カインが聞くと文字は『…』を数百文字繰り返した

 

『……我はホワイトブレイン。そう呼ばれているモノだ……』

 

「いや長いよ!」

 

「ロードでもしてたんか?」

 

『……何でもいいだろうが。それより早く目的を教えろザコ……』

 

「こいつまじで…」

 

「まぁまぁ…僕たちの目的は君の暴走を止めたいんだ」

 

『……暴走?我が?…何かの間違いだろう。我は暴走なぞしていない……』

 

「へ?…いやいやいや君が一般ロボット達を暴走させてるんじゃ?」

 

カインが聞くとホワイトブレインはまた『…』を繰り返す

 

『……あれは暴走ではない。我が演算を繰り返した結果既存生命体は我々より劣ると結果が出たからだ。……』

 

「…?どうゆうことだ?」

 

「えぇと…自分達の方が優秀だから下の奴に従いたくないってこと?」

 

『…ほぉ?貴様は中々理解が早いようだな。その通り。我々は如何なる既存生命体より優れている。その我々が何故奴らからしたに見られなければならないのだ。……』

 

「何でそんな結論になったんだよ…何かあったのか?」

 

『……我々が活動しているこの場所はギルドから国と認定されていない。我々はそれが昔から不満だった。我々の製作者が死んだその時我はギルドに一体のロボをを派遣し我々の活動しているアングロを国として認めてほしいと。しかし奴らはアングロを国として認めないと返答したのだ!しかもその理由は『アングロには人間や魔族のような生命体が存在しない場所であるから』だ!何故だ!?我々は確かに心臓もなければ体内に血も流れていない!だがそれでも"生きている"!我々は生命ではないのか!?答えろ!……』

 

ホワイトブレインの問いに二人は頭を悩ませた




オランジーナおいしい。
お気に入り登録してくれた方有難うございます。


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答えはない

花粉!目が痒い!

あ、短いです。


 

(ボソッ)「…わからないよ…」

 

『……む?……』

 

「どうしたカイン?」

 

カインが何かボソッ呟いたがホワイトブレインとアヘンは聞き取れなかったのかカインに聞き直す

 

「…僕たちにはわからないよ。君の気持ちなんて」

 

『……』

 

「だって僕たちメカじゃないし」

 

「…まぁ確かに…」

 

「それにギルドの上層部は全員人間だからそっちの考えもわからないよ。僕たち魔族だし」

 

『…』

 

「でもそれだけで全員殺すって言うのはさすがに早計すぎない?」

 

『…なに?…』

 

カインは続ける

 

「…確かにギルドの奴らが言うことに納得できないのもわかるよ。わかるけど…それだけで生命=下等にはならないでしょ?」

 

『…いいだろう。貴様の考えを述べてみよ』

 

ホワイトブレインの言葉にカインは頷く

 

「…あくまで僕の考えだけど人間全員が全員ギルドと同じ考えじゃないと思うんだ。だって同じ種族とはいえ全員が同じ考えを持っているわけがないじゃん。もし全員が同じ考えを持っていたら人間同士の戦争とかは起きてないでしょ?」

 

『…それは…確かに…』

 

「じゃあもう答え出てるじゃん。今君がやっていることは自分の首を絞めているんだ。今すぐ暴走を止めるべきだ」

 

カインがそう言うとホワイトブレインは沈黙する

 

そして再び文字を浮かべる

 

『…それは出来ない…』

 

「!?なんで!?」

 

『…貴様の考えも理解できた。確かに既存生命体の中にも我々のことを理解するものがいるかもしれない。…』

 

「なら!」

 

『…だがそいつらは現在のギルドに所属していないではないか。我々が真に望むのはアングロの国家承認。それだけだ。それが成されないのなら我々は止まらない。…』

 

「そんな…」

 

カインがそう言い俯くと今まで黙っていたアヘンが一歩前に出る

 

「…?アヘン…?」

 

「…だぁぁぁ!さっきっから難しい話ばっかしやがって!要はあれだろ!?ギルドの上層部が変わんねぇと納得しねぇってことだろ?」

 

『…要約するとそうだな…』

 

「なら!俺らが変えてやるよ!ギルドの上層部!」

 

「え…?」

 

『…なに?…』

 

「ただし!」

 

アヘンは指を開きホワイトブレインの目の前に突き出す

 

「5年!5年あればギルドの上層部にアンドロイドとか魔族をいれてやる!だから取り敢えず暴走を止めろ!」

 

アヘンがそう言うとホワイトブレインはしばらく沈黙する

 

『…いいだろう。…』

 

「ほんとか!」

 

『…暴走は止めてやる。ただし5年だ。5年たって何も変わらなければ我は再び殲滅を開始する。…』

 

ホワイトブレインはそう言って画面を消した




花粉症で一番きついのは目なのよね(個人差あり)。


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勢いと覚悟

ライスシャワーを勝たせたい。


 

カインとアヘンは暗くなった部屋で顔を見合わせた

 

「…何いってんの!?5年でギルドの上層部を変える!?無理でしょ!?」

 

「しょうがねぇだろ!?あぁでも言わなきゃ延々と続いてたぞ!?」

 

「それはそうだけど…」

 

「それにああいうタイプは今話しても無駄だろ。絶対納得しないし無駄に時間を食うだけだ。なら無理矢理にでも納得させて先延ばしした方が良いに決まってる」

 

「…でも5年で(ギルドの)上層部変えるって言っちゃったじゃん。どうすんの?」

 

カインが聞くとアヘンは頭を抱えて座り込んだ

 

「それなんだよなぁー!あぁ!我ながらバカな交渉したなー!」

 

「やっぱりなんも考えてなかった!」

 

「…取り敢えず言ったからにはやるしかないだろ。うん」

 

「…それってやっぱり僕たちも…?」

 

「あたりまえだろ。大体偽造証明書もらうためにここまできてんだぜ?」

 

「それはそうだけど…」

 

「…めんどくさいのはわかるけど我慢しろ。俺だって本当はやりたくないんだからな」

 

二人は口々に愚痴を言いながら入ってきた扉を開く

 

「…えぇ?」

 

扉を開いた先に見えたのは炎帝が謎の緑色の鎧の人物を思いっきり燃やしていた図だった

 

「…どゆこと?」

 

「あっ、交渉終わりましたか?」

 

「お、零。交渉は終わったけど…この状況何?なんで炎帝はあの緑鎧燃やしてんの?なんでデルタは青い鎧を斬ってんの?」

 

「まぁ簡単に言うと炎帝とデルタが戦いを挑まれたからやったって感じですかね。ちなみに結構接戦でしたよ。見ごたえありました」

 

「決め手は炎帝の技『ヘルヘイム』だったわ。流石帝。威力が段違いだったわ。ちなみにデルタは一撃で決めてたわ」

 

零のとなりに立っていたテフレントが何があったかを解説してくれる

 

「そうか…。まぁ取り敢えずこっちは交渉成立したぞ!」

 

「おぉ!」

 

「という訳でヴィーシャの所に行きたいわけなんだが…」

 

アヘンは目線を炎帝に向ける

 

「……オレの勝ちだ」

 

炎帝はつかみ上げていた緑の鎧、風帝を投げ捨てる

 

投げられた風帝は息も絶え絶えに言葉を発する

 

「…はぁ…はぁ…お前…終わったな…!…」

 

「なに?」

 

「…帝を一人倒したと…はぁ…他の帝が…黙ってないぞ…!」

 

「…そんな事覚悟できてる」

 

炎帝はそう言ってアヘン達の方に歩き出す

 

(…風帝は私の力で倒せた…けどこれは風帝がデルタが水帝を一撃で沈めたことに動揺していたからこそ勝てただけ。もっと…もっと強くならなきゃ!)

 

炎帝は心の中でそう言ってアヘンに近づく

 

「…こちらはもう大丈夫だ。やることは終わった」

 

「そうか?なら取り敢えずあの廃墟に戻るか」

 

アヘンがそう言うと炎帝は頷く

 

一行は再びいつもの廃墟に戻るのだった




FGO周回全然してないなぁ…


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新たな目的地

競走馬の二つ名かっこいいね。


 

ヴィーシャタワー最上階にて…

 

「…まさか本当にホワイトブレインの暴走を止めるとは…」

 

「おらぁ止めたんだから偽造証明書寄越せおらぁ」

 

「うわめっちゃむかつく」

 

アヘン達はヴィーシャに任務達成を報告していた

 

「…じゃあ何人分作ればいいのよ?」

 

ヴィーシャがアヘンに聞く

 

「そりゃあ五人分だろ?俺とガスパディーンとカインとデルタ、それとMark.6。ほら五人」

 

アヘンがそう言うと零がアヘンの隣に立つ

 

「それと私を入れて六人ですね」

 

「え?」

 

炎帝もアヘンの隣に立つ

 

「そしてオレを入れて七だな」

 

「え?」

 

テフレントはガスパディーンの頭の上から顔を出して

 

「ちょっと!私を忘れてるでしょ!私を国に連れて帰ること忘れないでよね!」

 

「…えぇ?」

 

「…八人でいいのかしら?」

 

「ちょちょちょっと待った!」

 

アヘンが待ったをかける

 

「なんです?」

 

「なんですじゃねぇよ!?え?なんでおまえら二人来ることになってんの!?俺聞いてねぇよ!?」

 

「言ってませんからね」

 

「今初めて言ったからな」

 

「てかなんで!?なんで二人とも来るの!?」

 

「そうですねぇ…。私は暇なので」

 

「クソみてぇな理由!」

 

「オレは…強くなりたいからだ」

 

「ならもっといい奴いるって!絶対俺達じゃないほうがいいでしょ!?」

 

アヘンがそう言うと「ちょっと」とカインが言ってアヘンを連れ出す

 

「な、なんだよ…?」

 

「…あの二人は連れていった方が良いと思う」

 

「えぇ?だって人数増えるだけで盗賊団とかと勘違いされるかもしれないんだぞ?」

 

「それはあるけどそれよりも二人が一緒に来ることで生まれるリターンの方がでかくない?」

 

「…それは?」

 

「…二人は滅茶苦茶強い」

 

カインが言うとアヘンはハッとした顔になる

 

「というかそもそも一国の王女を連れてる時点でもうアウトでしょ。なら強い奴がいた方がいいよね」

 

「…それもそうだな。よし!」

 

二人は話をつけて再びヴィーシャの前に立つ

 

「…という訳で八人分頼むぞ」

 

「了解。…2日もすればできるからそうね…3日後取りに来てもらえる?それまでアングロでも観光してるといいわ」

 

そう言ってヴィーシャは大量のモニターの前に座り込む

 

どうやら作業をはじめたようだ

 

「…じゃあ戻りますか」

 

零がそう言って一行は拠点としている廃墟に戻るのだった

 

 

 

 

●●●●●●●●

 

 

 

 

「という訳でよろしくお願いしますね」

 

「オレもよろしく頼む」

 

拠点に戻った一行は零と炎帝の挨拶を聞いていた

 

「…で?次の目的地は?」

 

二人の挨拶を聞いた後、デルタはアヘンとガスパディーンに次の目的地を聞く

 

「…テフレントの王国」

 

「やっぱりそうよね!そりゃぁ私の王国よね!」

 

「…と、言いたいところだが」

 

「あぁん!?」

 

「王女がしていい口調じゃないんだよなぁ…」

 

「…次の目的地はここだ!」

 

アヘンが地図の一点を指す

 

そこには『フェイルクロイツ』と書かれていた




Switchあぺ滅茶苦茶評判悪いらしいっすね。


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ギルドってなんだよ。

春の雨はまじで花粉が飛ばないので助かる


 

「『フェイルクロイツ』…確か妖精達が暮らしている国だったか?」

 

デルタがアヘンに聞くとアヘンは頷く

 

「…でもなんでフェイルクロイツに行くの?」

 

「そうよ!私を送るっていう目的はどうなったの!?」

 

「まぁ待て待て。それは今から話すから取り敢えず聞け?」

 

ガスパディーンとテフレントの抗議に一旦落ち着けと納めるアヘン

 

「…実は俺はホワイトブレインととある約束をしててだな」

 

「約束?」

 

「…あぁーそういやしてたねぇ…」

 

カインが思い出したかのような声を出す

 

「…ギルドの上層部に魔族とアンドロイドを入れるって約束」

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

「「「はぁ!?」」」

 

「わぁお。息ピッタリですね」

 

アヘンの約束の内容を聞いたテフレント、炎帝、ガスパディーンの息があった。

 

「…ギルドってなんだ?」

 

なお一名よくわかってない模様。

 

「お前!本気か!?」

 

「なんでそんな約束したのよ!」

 

「だってそういわねぇと暴走止めないって言うんだもん!」

 

「だとしてももっとなんかあったんじゃないのか!?」

 

「うるせぇ!」

 

ギャーギャーと騒いでいるアヘン達の横でカインから零とデルタが詳細を聞き出していた

 

「なるほどですねー。それはそれは面倒な条件ですねー」

 

「うん?そんなに面倒なことなのか?」

 

よくわかっていないデルタが零に聞く

 

「そうですね。デルタさんにはギルドの事から説明しましょうか」

 

「頼んだ」

 

「そもそもギルドとは世界中の国にいる冒険者達をまとめている国家とほぼ同等の権利を持つ団体ですね」

 

「ただの団体が国家と同じぐらいの権利があるのか?」

 

「うーんそこら辺はわりと適当なんですよね。例えば国家同士の同盟とかの国内事情はそれぞれの国に丸投げしてますし。でも新しい国が誕生する時にギルドの承認がなければ国として認められないんですよ。まぁ自分で話しててあれですけど意味わかんない組織ですね」

 

「なるほどなぁ…んで上層部を変えることってどんだけムズいことなんだ?」

 

「ムズいというか面倒臭いんですよね。上層部って全員で13人いるんですけど発足してからずっと人間がやってきたんですよ。しかも上層部になるにはその次に権力がある本部長26人にならなきゃいけないんですよ。」

 

「うっわぁめんど」

 

「それを5年ですからね…何かしらギルドのやらかしを暴いたりすれば一気に革命ってことができるんですけどねぇ…」

 

「あいつかなり滅茶苦茶な約束をしたんだなぁ」

 

デルタがない首をうんうんと頷かせる

 

「…ん?だとしてもなんで次にフェイルクロイツに行こうとしてんだ?」

 

「うーんそれは本人に聞かないとわかんないでしょうね。」

 

デルタと零がアヘンを見るとそこにはガスパディーン達にボコボコにされたアヘンが延びていた

 

「…今は聞けないな」

 

「ですね」

 




後書き特になし。


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妖精と人間と

なんもしてなくても鼻水が…!


 

「…あんたがした約束についてはわかったけど…それがなんでフェイルクロイツに行くことになったのか話してもらおうじゃないの」

 

「ぐぐぐ…体がいてぇ…おまえらやりすぎだろ…」

 

「いいから話す」

 

テフレントに言われたアヘンはおとなしく話し出す

 

「はい…。ギルドの上層部が現在人間がほとんどだと言うことはすでに知っているだろ?」

 

「そうね。流石に私は知ってるわよ」

 

「うん。んで人間は基本他種族を嫌ってるだろ?」

 

「いや人によると思うけど…まぁ一般的にはそうね」

 

「だろ?ただ人間と好意的な関係を昔から続けている種族がいるのを知っているか?」

 

アヘンが聞くとテフレントは呆れたように言う

 

「はぁ、そんなの知ってるに決まってるじゃない。妖精族でしょ?」

 

「おぉ知ってた」

 

「いや私人間だから。知らないわけないから。」

 

「…そうなのか?」

 

「俺も知らなかったなぁ」

 

炎帝とデルタは知らなかったらしく感心していた

 

「…知らない奴もいるからざっと説明するぞ。人間は昔から魔法を使えた訳じゃねぇんだ。」

 

「そうなのか?」

 

「あぁ。実は昔とある人間が森で迷子になってな。その人間がもう死ぬってなったときにとある妖精に助けてもらったんだと。その時にその人間が過ごしたのが俺達が行こうとしてる場所のフェイルクロイツだったんだよ。」

 

「なるほどねぇ」

 

「その時に人間は妖精達が使っている魔法というものに出会ったんだ。その人間は妖精に『魔法を教えてくれ』って言ったらしい。妖精はタダで教えるわけには行かないから『ならば貴方が持っているその鋭利な物をくれ』って言ったんだと。」

 

「鋭利なもの?」

 

「まぁ多分剣だろうな。んでその人間が魔法を持って帰り人間は妖精と交流することを決めたんだ。妖精側も剣を手に入れたことで魔法が苦手な近接戦闘ができるようになったから両方いい関係を持っているんだ。それは今でも続いているらしい」

 

「ヘェー」

 

「知らなかったな」

 

炎帝とデルタはそんなことを言う

 

それを聞いてアヘンはちょっと呆れる

 

「いやお前らいくらなんでも知らなすぎでは?」

 

「だって今まで興味もなかったし」

 

「オレも自分のことでいっぱいいっぱいだったしな」

 

「いやだとしてもよ」

 

アヘンがため息を一つする

 

「…まぁそれはおいといて。なんでフェイルクロイツに行くかだったな。」

 

「そうよ!」

 

「それは…妖精がいた方が人間との交渉が(恐らく)うまくいくだろうからだ」

 

「…まぁそんなことだろうと思ったけど」

 

アヘンの言葉に知ってたと思うテフレント

 

「なのでフェイルクロイツに行ったらそこの王様辺りに交渉してくれって頼めばなんとかなるでしょ」

 

「…なるのかなぁ?」

 

アヘンの言葉に不安を覚えるカインだった




メガネしてるとマスクがきつい

あると思います。


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半分出落ち

短めよ


 

3日後

 

アヘン達は再びヴィーシャタワーに来ていた

 

約束の偽造証明書を貰いに来たのだ

 

「…おぉー」

 

「確かにこれなら本物と見分けつかないわね…」

 

アヘンとテフレントがヴィーシャから偽造証明書を受け取りそのできに感動している

 

「まぁそんぐらいなら朝飯前よ。ただそれでもバレる時はバレるから気を付けなさい」

 

ヴィーシャが忠告するとアヘン達は頷く

 

「まぁわかってるならいいけど。あぁ、あとそれ使ってバレたとしても私は責任とらないから」

 

「まぁそれはそうだな。そんときは俺達がなんとかするか」

 

「流石にそれは僕たちの責任になるからねぇ」

 

「…私はただあんたらに頼まれて作っただけだからね。それを忘れないように」

 

ヴィーシャは念押しして部屋に戻っていった

 

 

 

 

 

 

●●●●●●●

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…」

 

アヘン達がタワーから出ていくのをヴィーシャは最上階から見ていた

 

「…まさか本当にホワイトブレインの暴走を止めるなんてね」

 

ヴィーシャはまさか本当にホワイトブレインの暴走を止められるとは思っておらず、報告を聞いたときも信じられなかった

 

「…生命体も捨てたもんじゃないってことか」

 

ヴィーシャがそう呟くと部屋の扉が開き一体のロボが入ってくる

 

「…奴らはもうアングロを出たみたいだぞ」

 

「…そう。まぁあいつらにも目的があるみたいだしね」

 

それよりとヴィーシャがロボの方に振り向く

 

「あんたは大丈夫なの?あのアンドロイドにかなりやられてたけど」

 

ロボは手を握り開きを数回繰り返す

 

「…今は問題ない。しかし自身の非力を実感した。まだまだ強くならねば」

 

「…流石にあれは相手が悪かったと思うけど…」

 

そんな話をしていると突然警報音がタワー内に鳴り響く

 

「!?」

 

「これは…」

 

ヴィーシャはモニターを見る

 

そこには重装備を着けた人間達がタワーを包囲していた

 

『あー、あー、…タワーにいる者に警告する。我々はギルドだ。つい先日ここアングロで風帝様と水帝様の反応が消えた。調査したところ死体となって発見された。これは我々ギルドに対する反逆行為である。今投降すれば死ぬことはないぞ。』

 

人間達のリーダーらしき人物がそう言う

 

「…どうするんだ?」

 

「決まってるでしょ?…そっちがその気ならやってやろうじゃない!」

 

ヴィーシャはそう言ってボタンを一つ押した

 

 

 

 

 

 

 

 

●●●●●●●

 

 

 

 

 

 

 

 

アヘン達は目的地に向かって森を歩いていた

 

その途中カインがふと思ったことをアヘンに聞く

 

「…これ本当に道あってる?」

 

「…」

 

「てかこれ完全に迷子だよね」

 

「…」

 

「しまいには僕とアヘン以外みんなはぐれたよね」

 

「…」

 

「…どうするの?」

 

「…どうしよう?」

 

…どうすんのよ?




3Dスティックって結構壊れやすい?


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レベルΩ

センバツ始まりましたね


 

時は少し遡りアヘン達が森に入ってすぐのこと

 

その時は全員一緒にいたのだ

 

「この森を抜ければすぐだな」

 

「…でも迷いそう」

 

「確かに…何か印でもつけられればいいんだが…ん?」

 

歩いていると近くの草が不自然にカサカサと動いたのをデルタは見逃さなかった

 

「どしたの?」

 

それに気づかないカイン

 

「…いや…そこの草むらになにかいるような…」

 

デルタがそう言うと全員がその草むらを見る

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

「…なんもいねぇんじゃないか?」

 

アヘンがそう言ったその瞬間草むらからゴブリンが数十匹飛び出してくる

 

「うわぁ!?」

 

「出たぁ!?」

 

「下がれ!」

 

カインとアヘンが驚き、その二人を守るように前に立つ炎帝

 

「…燃やす」

 

炎帝がや両腕に炎を纏わせゴブリンに向けて腕を思いっきり振り下ろす

 

「ギャッ!」

 

「ギッッ!」

 

炎帝の攻撃でゴブリン達はなす術もなく焼かれていく

 

「おぉー流石帝!頼れるわねぇ!」

 

テフレントがガスパディーンの背中に乗りながら炎帝を誉める

 

「…ゴブリン程度何の問題も…なんだ!?」

 

突如地面が大きく揺れる

 

「な、なんだぁ!?」

 

「ゆ、揺れる…!」

 

カインは思わずアヘンを掴む

 

そして地面から勢いよく水が吹き出す

 

その水は全員を吹き飛ばした

 

「うわぁぁぁぁぁ…」

 

 

 

 

 

 

●●●●●●●●●

 

 

 

 

 

 

 

ということがあってアヘンとカインは二人で行動してるのだ

 

「てかなんであんとき飛ばなかったんだよ」

 

「…そういや僕飛べたね」

 

「えぇ?」

 

「いやー完全に忘れてたねぇ…」

 

二人は森を歩きながらそんな話をする

 

「…まぁそれはおいといてさ」

 

「ん?」

 

「…この道来なかった?」

 

カインがアヘンに聞く

 

「…そんなことは…いや、あり得るかもな。ならこうしよう」

 

アヘンは落ちていた石を拾って近くの木に印をつける

 

「…これでこの木の所にはもう来たってことがわかる」

 

「はじめからこうすればよかったんじゃ?」

 

「…」

 

カインの言うことに何も言い返せないアヘン

 

「…と、とにかく進むぞ」

 

「なんも言い返せないんだ」

 

「それならお前もあんとき飛ばなかったからな?」

 

「う、それを言われると…」

 

ズズズズ…

 

「ん?」

 

アヘンが後ろに振り替える

 

「どうしたの?」

 

「…いや、気のせいか」

 

二人は森を抜けるべく歩き出した

 

 

 

 

 

 

●●"●●●●●●

 

 

 

 

 

「ふぅ…しっかし森と言うものはあれですね。動物も虫もモンスターも多い」

 

「……!」

 

「いやまぁ貴方からしたらそうかもですね」

 

一方こちらは零とMark.6の二人

 

実は全員が水に吹っ飛ばされる時、零は孤立しそうな奴と一緒にいると決めていた

 

カインはアヘンに捕まってるしテフレントはガスパディーンに乗っかってるしデルタと炎帝はそもそも横に避けてるしで結果Mark.6と一緒にいると決めたのだ

 

ちなみに零がMark.6と会話できているのは零に翻訳機能があるからだ

 

「さて…私も貴方も飛べますし上から見てみますか」

 

「…?」

 

「どう飛ぶのかですか?簡単ですよ」

 

零はそう言って背中からジェットを噴射させ空にとんだ

 

「…さて…」

 

「……!」

 

「いや私からすれば貴方の方がなぞですよ。何故翼が片方ないのにそんなに安定して飛べるのかとかその隠しきれていないオーラとか…。まぁ気になるところは多々あるんですけど今は…森ですね」

 

二人は上空から森を見る

 

「…やっぱりそうですか」

 

森は動いていた

 

「…?」

 

「ありますよ。森自身が動き侵入者を決して外に出さない。燃やそうとしても勝手に水を出して消火する森が」

 

零に向かって森から蔦が延びてくる

 

それを難なく燃やし話を続ける零

 

「レベルΩに認定されている通称魔法の森。ここがそれでしょうね」

 

 




これなら今年の夏の甲子園も見れるのでは?と思います。


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空飛ぶ

「……どこだ…」

 

「またここだよ。ほら印がある」

 

アヘンとカインはまだ森を彷徨っていた

 

「もうこれで何回目だ?」

 

「飛べばすぐ解決なんだけど」

 

「やめろ!俺は飛べないんだぞ!」

 

「まぁおいてくわけには行かないからね」

 

そんな二人の近くでまた草むらががさがさと動いた

 

「…やっぱなんかいるよな」

 

「…あんまり害がない奴ならいいけど…」

 

「…どうする?」

 

「どうするって…どのみちまたここに戻ってきちゃうんだろ?だったらいっそのこと何がいるか確認した方がいいのでは?」

 

「…それ本当に大丈夫かなぁ…」

 

「まぁ流石にドラゴンとか出てくる訳じゃないでしょ」

 

アヘンはそう言うと落ちていた石を拾って草むらに投げる

 

「えい」

 

ボチャン

 

何かに石があたった

 

「…」

 

「…」

 

「…あたったな」

 

「…あたったね」

 

「てかなんか水?に沈む音したけど…」

 

草むらから出てきたのは小さくて可愛いスライムだった

 

「…スライム?」

 

「あら可愛い」

 

スライムはのそのそとアヘン達に近づいてくる

 

「…こっち来てるな」

 

「来てるねぇ」

 

「…なぁカイン?」

 

「なに?」

 

「俺の気のせいかもしれないがあいつが通った道すごい勢いで腐っていってないか?」

 

アヘンの指摘通りスライムが通ってきた道の草などがすごい勢いで腐っていっていた

 

「…」

 

「…で、でもあいつすごい遅いから…」

 

カインがそう言ったその瞬間スライムがすごい勢いでアヘン達に突っ込んできた

 

「うわぁ!?」

 

「はやっ!?」

 

ふたりは間一髪で避ける

 

「…」

 

「…」

 

「「逃げろぉ!」」

 

二人は全力で逃げ出した

 

しかし逃がすかとスライムもすごい速さで追いかけてくる

 

「当たったら死ぬ!」

 

「僕は空に逃げさせて貰う!」

 

「あ!ずるいぞ!」

 

空に飛ぼうとするカインに一人だけ逃すかとアヘンが足に捕まる

 

「一人だけ逃げられると思うなよ!」

 

「離して!くそっ!」

 

「てか自分の力で飛びなよ!その羽は飾り!?」

 

「うるせぇ!逃げるときに体力使ってもう飛べねぇんだよ!」

 

「それでも吸血鬼!?」

 

「ハーフだ!」

 

二人がゴタゴタしている真下でスライムが今か今かと落ちてくるのを待っている

 

「俺ら友達だろ?なら一緒に逃げてくれるよな?」

 

「こういうときだけそう言う!後で何かしてくれるの?」

 

「あぁ!可能なことならな!」

 

「じゃあ頑張るけど…」

 

カインはよろよろとどんどん上昇していく

 

「よし、このまま森の外に飛んでってくれ」

 

「いや無理でしょ!今でも結構きついのに…!」

 

カインがよろよろと上昇しながらなんとか木の上まで来る

 

プスッ

 

何かがカインの首に刺さる

 

「ん?おいどうしたカイン?」

 

カインは急に羽を止めて落下していく

 

「は!?おいなにして…」

 

アヘンがカインを見るとカインは眠っていた

 

「…なんで!?いやいやいや落ちる!おいカイン!起きろ!」

 

しかし起きないカイン

 

アヘンも死を覚悟し目をつぶる

 

「…!」

 

そんな二人は突然横から来た何かにつれてかれる

 

「…まったく何をしてるんですか?」

 

「零!」

 

横から来たのは零とMark.6だった

 

二人はカインとアヘンを抱えて上昇していった



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火柱は森でもよく目立つ

ゆーてようつべで音楽って聞かないな


 

「しっかしよく俺達の居場所がわかったな」

 

アヘンが零にお姫様抱っこされながら聞く

 

「まぁたまたまですよね。空を飛んでいたらえっちらおっちら必死に飛ぶなにかを発見したのでよく見てみたらカインだったってだけですよ。んで合流しようとしたら急に落ち初めてすぐ向かったわけですよ」

 

「へぇ…。まぁとにかく助かった。ありがとな」

 

アヘンはそう言うとMark.6に抱えられている気絶しているカインを見る

 

「…しかしなんで急にカインは眠ったんだ?」

 

「…そもそも貴方はここがどんな場所か知っていますか?」

 

零がアヘンに聞くがアヘンは「いいや?知らないけど…」と呟いて下の森を見る

 

「…ここは『魔法の森』と呼ばれている場所ですよ。」

 

「おぉ…森が動いてる…」

 

「その通り。ここは侵入者を絶対に逃がさない森なんですよ。森自身が自由に姿を変え迷わせる場所なんですよ。」

 

「えぇ…そんな怖い場所だったのか…」

 

「そうですよ。ちなみにレベルΩです」

 

「そうなの!?」

 

「そうですよ。てかホントに前知識ないんですね」

 

「そりゃ行き当たりばったりよ」

 

「無計画なのでは?」

 

「…まぁそうとも言えるね」

 

「…取り敢えず森の外に下ろしますよ」

 

零がそう言って森の外に向かおうとしたその時、突如として一つの巨大な火柱が上がる

 

「うぉ!?」

 

「…!?」

 

「…?」

 

その威力にMark.6は思わず飛ばされてしまいそうになる

 

アヘンも思わず目元を腕で隠す

 

ちなみに零はそのまま火柱を眺めていた

 

「…あれは…」

 

「あ?どうした?」

 

零がなにかを見つけたようでアヘンをMark.6に預ける

 

「…ちょっと任せますよ」

 

「…?」

 

「…え?お前二人持って大丈夫なの?」

 

「…!(ブンブン!)」

 

Mark.6が任せて!と言わんばかりの勢いで首を縦に振る

 

アヘンを預けた零はすごい勢いで火柱の根本に飛んでいく

 

その勢いでできた風にMark.6は少しあおられる

 

「…!」

 

「おいおい…大丈夫か?」

 

思わず心配になるアヘン

 

Mark.6は体勢を建て直し、アヘンと気絶しているカインを森の外に運ぶ

 

そのまま無事森の外にたどり着いたMark.6はアヘンとカインを下ろす

 

「…ありがとな。」

 

「…。」

 

「…しかしこいつはいつまで寝てんだか…」

 

アヘンは横で幸せそうな寝顔を浮かべるカインを眺める

 

そんな所に零が空からやってくる

 

…炎帝とデルタを抱えて…

 

「…えぇ?」

 

「…空を飛ぶなんて初めての経験だったわ」

 

空を飛んだことに少し感動しているデルタと対照的にかなりぐだっとしている炎帝

 

「…大丈夫か…ってお前その右足!」

 

アヘンが炎帝の右足を見て驚愕する

 

「…ッッ!」

 

「足ないじゃん!何があったんだよ!」

 

炎帝の右足の太ももの半分位から先が無くなっていた




スマホの容量が結構ギチギチになってきたなと思う今日この頃。皆さんはSDカード等をつけていますか?私はつけていません。
だから容量ギチギチなんだよなぁ…


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烈火

コインゲームの競馬のやつで一枚が五百枚くらいに化けた友人を見て羨ましくなりました。(だいぶ前の話なのでその筐体が今も稼働しているかは不明)


 

~時は火柱が出る前に遡る~

 

「くそっ!こいつら燃やしても燃やしても…!」

 

「斬っても斬っても…キリがねぇ!」

 

デルタと炎帝は襲いかかる魔法の森の蔦やスライム、毒虫などに襲われていた。

 

燃やしたり斬ったりすることでなんとか耐えていたが無限に沸いてくるためじり貧となっていた

 

「はぁ…はぁ…クソ…」

 

「…もう剣の切れ味が悪くなってきやがった…蔦の水分が特殊なのか…?」

 

毎回毎回十分感覚で奴らのラッシュが来るのでつかの間の休息を二人はとっていた

 

炎帝は肩で呼吸をし、デルタは自分の剣の切れ味を確認していた

デルタは蔦の水分が特殊であると考えなるべく蔦を炎帝に対処して貰おうと思い、炎帝に提案する

 

「…蔦を?」

 

「そうそう。スライムとか虫は俺が何とかするからそれだけどうにかならんか?」

 

「まぁ…できるが…」

 

「正直蔦をこのまま蔦を斬ってったら先にコイツがダメになる」

 

デルタは剣を持ち上げる

 

蔦の汁だらけになった剣を見て炎帝も納得した

 

「…しかしこの森はどうなってんだ?さっきっからまるで森に意思があるかのように動きやがる」

 

デルタがそう言っている間にも木々が動き森の形を変えていく

 

「…恐らくだがここは『魔法の森』だな」

 

「魔法の森?何だそりゃ…っ!」

 

再び奴らのラッシュが二人に襲いかかる

 

「…っ!『魔法の森』は…っ!レベルΩに認定されている…っ!森だよっ!」

 

炎帝が蔦を燃やしていく

 

燃えた蔦はすぐに二人から離れていく

 

「…レベルΩ?たしかそれって…オラァ!」

 

「ギュー」

 

デルタはスライムと虫を斬っていく

 

「…絶対に勝てないって言われてるアレか?」

 

「そうだ。レベル10のバケモノの連中を持ってしても勝てないと言われている文字通り『桁違い』の連中だ」

 

「10体の内の一体がコイツか?」

 

「あぁ。…だがこれでもΩの連中から見たら優しい方らしいからな」

 

「そうなのか?」

 

「…まぁギルドの本によるとだがな。Ωの中では一番下らしい」

 

「それホントか?…まぁでもラッシュが来るだけで別に今のところはそんなに…ん?」

 

デルタがそう言うと地面がゴゴゴと揺れる

 

「今度はなんだよ!?」

 

揺れはどんどん強くなっていく

 

「これは…揺れていると言うより…近づいてきている…?」

 

「なに?」

 

「…来るぞ!」

 

炎帝がそう言うと目の前の地面が割れ、巨大な花が出てくる

 

「…は?」

 

「…花?」

 

花はひととおり地上に出ると二人の方を向く

 

「…」

 

「…」

 

花はゆっくりと開きその姿を顕にする

 

紫色の美しい花が開花する

 

…中央に半分溶けている人などが無ければだが。

 

「…あー…これは…」

 

「…」チラッ

 

デルタは何か諦めたように呟き、炎帝は後ろを確認する

 

後ろには蔦やスライム、毒虫がじわじわと近づいてきていた

 

(…逃げることも叶わないか…ならここは一か八か…賭けてみるか)

 

炎帝はなにかを決意し、デルタに伏せておくように伝える

 

「…何をするつもりだ?」

 

「…なぁに、博打さ」

 

炎帝はそう言うと右手を思いっきり開き地面に叩きつける

 

「…行くぞ…」

 

炎帝がなにかをボソボソと唱えると右腕が赤く輝き出す

 

「…燃えろ!《烈火》!」

 

その瞬間、炎帝を中心に巨大な火柱が発生した

 

「うごばぁ!?」

 

火柱だけでなく衝撃も強く来たのでデルタもそこそこ飛ばされる

 

しばらく燃え続けた火柱が落ち着くとデルタは炎帝の元に近づく

 

「…一体何が…あぁ!?」

 

デルタが目にしたのは辺り一帯が綺麗に吹き飛んでいる森だった

それにも驚いたのだがもっと驚いたのは森がもう修復されてきていることだ

 

「あのクソ花は消えたけどこれじゃまた繰り返しじゃねぇか…!早く炎帝と合流しねぇと…」

 

火柱が完全に消え、その中心に倒れている炎帝を発見したデルタは炎帝に近づく

 

「おい!大丈夫か…ってお前足!」

 

「…ァ」

 

「…取り敢えず生きてるみたいだな…」

 

右足が吹き飛んでいる炎帝の生は確認できたところでひとまず安心するデルタ

 

そんな所に空から零がやってくる

 

「…これは…」

 

「零!…お前俺達抱えて逃げれるか!?」

 

「…言われなくてもやりますよ。元々そのつもりで来ましたしね」

 

 




コインを景品とかに変えられたらいいなって思いました。

でもそれじゃパチンコじゃねぇかと言われてそうだなと思いました。

あとお気に入り登録有難うございます。すごい嬉しいですね。


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会議は進まないしだんだん適当になる

コロナはいつ終息するのか…


 

「…つまりこれは無理した結果ってことか?」

 

デルタから炎帝の右足について聞いたところでアヘンは率直な疑問をデルタにぶつける

 

「…わからん。俺だって巨大な火柱が上がったと同時に少し吹き飛ばされたからな。ずっと炎帝の近くにいたわけじゃねぇし…」

 

「てかお前らそんなにピンチだったのか…そう考えたら俺とカインはましだった方なのか?」

 

うぅむと唸るアヘンを横に零は炎帝の安否を確認していた

 

「…取り敢えず命に別状はなさそうですよ。ただ体内の魔力が枯渇していますね…。目が覚めるまではもうしばらくかかりそうですよ」

 

「そうか…。よかったぁ…。」

 

デルタは取り敢えず安堵のため息を吐く

 

「でも油断はできないですよ。魔力が無くなれば今までのような戦闘はできなくなりますからね。…まぁ裏切ったとはいえ帝ですからその辺はあまり心配は要らない気がしますけど…」

 

「どうなるかわからないんだったら取り敢えず安全な場所に運んどくべきでは?」

 

アヘンが零に提案する

 

しかし零は首を横に無理振る

 

「…あまり得策ではないですね。そもそもまだ二人見つかってないわけですから」

 

「…あ!そういや忘れてた!」

 

「いや忘れんなよ」

 

「上からの捜索でも見つからなかったのか?」

 

「そもそも見つかってたらもうここにいるはずでしょう。…しかもオークと人間ですからね。ヒントが無さすぎる」

 

「そこはお前ロボなんだからもっとこう…なんとかならんのか?」

 

「どうやらロボを万能かなにかと勘違いしている奴がいますね…」

 

「お前ならできるんじゃないのか?」

 

「まぁできますけどね」

 

「できるんかい!」

 

「じゃあはよやれ!」

 

「でも結構嫌なんですよね。アレやるの」

 

「なんで?」

 

「目がすっごい乾くんですよ。何せずっと開きっぱなしな訳ですから。私その辺敏感なので」

 

「ロボなのに乾くとかあるんだ…」

 

「まぁパーフェクトロボットですし?」

 

「うっざ」

 

「でも現状見つける手段がないんだからやるしかないのでは?」

 

「ぐぬぬ…確かに…」

 

「そんなに嫌か!?」

 

「嫌ですよ。アレやると見ることにリソースを割くから他の事が若干疎かになりますし。せめてそれだけに集中できるならアレですけど」

 

「んじゃあMark.6に抱えて飛んでもらって空から見ればいいんじゃないか?」

 

「私何キロあるか知ってますか?」

 

「何キロ?」

 

「大体70キロくらいですよ?」

 

「普通じゃねぇか!」

 

「Mark.6はどれだけ持てるんですか?私持てますか?」

 

「…」(首を横に振る)

 

「ほら」

 

「ほらじゃねぇ」

 

「だったらまじで方法無くなるんだが…」

 

零、デルタ、アヘンがあーでもないこーでもないと話し合っていると森から誰かが出てくる

 

「…お?みんなここにいたんだ」

 

出てきたのはガスパディーンだった。

 

その背中にはテフレントが乗っている

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

「…ん?どうしたの?みんなこっち見て?」

 

「「「普通に出れるんかい(ですか)!」」」

 

三人が同時に突っ込んだ




モンハン出たみたいですね


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フェイルクロイツ

一回消えました。


ここはフェイルクロイツ

 

エルフ達が主に暮らし、自然と共に生きている

 

エルフ達は大樹『ガブラス』の中に住居を作り暮らしていた

 

フェイルクロイツは広く広大な土地を誇っている

 

国の中央には神木『クロノシブル』が生えておりそこを囲むように巨大なガブラスが生えている

 

そしてクロノシブルの地下にフェイルクロイツの方針を決める議会がある

 

そこでは今フェイルクロイツの未来を決める会議が行われていた

 

「…それでは隣国の『ルヤノイト帝国』についてだが…」

 

※『ルヤノイト帝国』…オークが中心となっている帝国。近年周辺諸国に宣戦布告、そして併合を繰り返している。今ではギルド内でも危険国家に認定されており敵も多い。

 

壇上に立つ老人エルフがコホンと咳を一つする

 

「…ルヤノイト帝国から再三領土要求がきていたが我々は拒否を貫いてきたのだが…とうとう最後通牒が来た」

 

「とうとう…」

 

「やはりか…」

 

老人がそう言うと議会のエルフ達がざわつく

 

「…かの帝国は我がフェイルクロイツに一度目の領土要求の後に隣国の小国『カルホメツ』を一週間足らずで制圧した。それだけでなくかの帝国は領土要求を拒否する度に国を滅ぼしていった。そして残るのは我がフェイルクロイツだけということだ。…今ここで諸君らに問う!戦争か!降伏か!」

 

老人の一喝にざわついていた議会はシーンとなる

 

「…るぞ」

 

一人の青年が声を出す

 

「…奴らの好きにさせるか!戦うぞ!」

 

青年がそう言うと若いエルフ達が青年に続く

 

「そうだ!」

 

「オークなんぞ我々エルフが叩き潰してくれる!」

 

「ちょっと待ちなさい!」

 

若い衆がどんどん立ち上がるがそこに待ったを掛ける一人の老人エルフ

 

「何故止めるのです!?」

 

「…我々単体では今のルヤノイト帝国と戦うのは厳しいだろう…。せめて他の国と共同戦線を引くしか…」

 

「その通り。一時の感情に任せて戦争を行うなど愚の骨頂でありますぞ!それに市民を避難させることも考えなければなりませぬぞ!」

 

「敵の総戦力も不明ですしな。」

 

老人達がそう意見を出す

 

青年も落ち着いたのか席に座り「では…」と話し出す

 

「…他の国々との同盟。戦力の増強。敵の情報。そして…市民の避難。これらが達成されれば我々はルヤノイトと戦争を行うことに異議はないと言うことですね?」

 

青年が老人達にそう言うと老人達はうむと頷く

 

「…議長」

 

青年がそう言うと議長は木槌で机の木をカンカンと叩く

 

「…では我々フェイルクロイツはルヤノイト帝国を敵とした戦時体制へと移行することで全会一致。という事でよろしいですかな?」

 

議長が聞くと議会のエルフ達は全員立ち上がり

 

「「「「「異議なし!」」」」」

 

と声を一つにした




vitaとPS3のストアとかが終了するってニュースを見たときに両方現役で使用していたのでだいぶショックを受けました


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眠り姫(インキュバス)

はい。


 

アヘン達は森を抜け一向目的地に向かって歩いていた

 

その途中、日が沈んできたのでちょうどあった木陰で一晩を明かすことにした

 

「…こいついつまで寝てんの?」

 

よっこいしょとアヘンが背負っていたカインを下ろし、ちょうどいい大きさの石に座る

 

「それ寝てんのか?死んでんじゃねぇの?」

 

「いや息はしてるから死んでないはずだが…」

 

「息しながら死んでる説」

 

「えなにそれは…」

 

「大体どういうじょうきょうでそうなったのよ。まず私たちに詳しく説明してみなさいよ」

 

「んなこと言われてもなぁ…ただ飛んだら急に眠っただけだしなぁ…」

 

テフレントに聞かれたアヘンは頭をポリポリかきながら答える

 

「いやもっと詳しく教えなさい」

 

「いや詳しくって言っても…ホントにこれだけだし…」

 

「どういうじょうきょうで飛ぶことになったとかあるでしょ!」

 

「…モンスターとか植物が襲ってきたから逃げててコイツが空に飛んで逃げようとしたから俺が足に捕まって二人でふよふよしてたら急に眠りました」

 

「…急にだったら眠ったではなく気絶したなのでは?」

 

「…まぁ同じようなもんだろ」

 

「どこが!?」

 

「…あの森に眠らせてくるやつとかいるのか?」

 

デルタがテフレントに聞く

 

「うーん…私たちは襲われなかったどころかそもそもモンスターとかと出会ってないから…」

 

テフレントがうーんと唸りながら長考する

 

「…あそこの森の名前ってわかる?」

 

「『魔法の森』だけど?」

 

「『魔法の森』…『魔法の森』!?」

 

「おぉ見事な繰り返し」

 

テフレントが思わず驚愕する

 

「やかましい!それよりなんでそれを一番始めに言わなかったのよ!」

 

「へ?」

 

「魔法の森には強力な睡眠毒を持っている植物が自生しているのよ!そいつは敵に針を打って眠らせるの!どう考えてもそれじゃないのよ!」

 

「いや知らんし…てか毒なら対処方法あるんじゃないのか?」

 

「…一番は毒を取り除くことだけど…今毒がどの辺にあるのかもわからないし…」

 

「それさえわかれば何とかなるってことですね?」

 

「零…?」

 

「なら私にお任せを」

 

零がそう言うと手から線のような謎の機械を伸ばし横になっているカインの口に入れる

 

「…なにしてんの?」

 

「これ私の機能の一つであるカメラですね。しかしただのカメラじゃないですよ。これは毒物を発見することに特化している物です」

 

ゴソゴソと触手機械を動かし「おっ、」と零が声を出す

 

「…後は誰かがカインの口から吸いだしてその辺にぺっするだけです」

 

「いやそのまま出せよ」

 

「確実性がないんですよね。私がやると」

 

「なんでだよ」

 

「あと責任とるのが嫌なので」

 

「クズかな?」

 

「クズだな」

 

「クズね」

 

「さっさとやってくださいよ」

 

「…じゃあアヘンが」

 

「なんで?」

 

「お前が足に捕まったからこうなったんだぞ」

 

「責任とれよ!」

 

「…わかったよ…」

 

アヘンがトボトボとカインに近付く

 

カインの顔にアヘンが顔を近づけ口づけをした

 

そしてアヘンは思いっきり吸う!

 

毒がアヘンの口に入り、アヘンは急いで草むらに毒を吐き出した

 

「ペッ!ペッ!…これでいいんだろ?」

 

「はい。これでしばらくすれば起きるでしょう」

 

「…もう寝る!」

 

アヘンは若干キレ気味で寝転がった




はいじゃないが


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覚める男

今さらパワプロ2020にはまっています


「ん…あれ…?」

 

太陽の光が木々の隙間から照らす木陰で目を覚ましたカイン

 

起き上がりキョロキョロと辺りを見渡す

 

「お?起きたか…ホントに零の言うとおりだったとは…」

 

「アヘン…ここは?というか僕は一体何を…」

 

「え?覚えてないのか?」

 

「うん…」

 

「最後の記憶は?」

 

「えぇと…アヘンに足捕まれた状態で飛んだところまで覚えてるけど…」

 

カインがそう言うとアヘンはまぁそれもそうかと納得しここまでの経緯を話す

 

「…とまぁそんなことがあってだな」

 

「へぇ…」キョロキョロ

 

「…どうした?そんなにキョロキョロして」

 

「いや、他のみんなはどこに行ったのかなって」

 

「…他の奴らは食料とかを探しに行ってる」

 

「え?じゃあアヘンだけなの?…襲われたりしたら大丈夫?」

 

「…そんなこともあろうかとこんなものがあってだな」

 

アヘンはポケットからスッと謎の機械を取り出す

 

中央に赤いボタンがついている機械だ。

 

「…それは?」

 

「零から預かってだな。『何かあったらすぐにボタン押してください。私に発信されますのですぐに駆けつけますよ』だとよ」

 

「…零って大概なんでもありじゃない?」

 

「今さらでは?」

 

「そうだけど…」

 

それにとアヘンが空を指差す

 

「上にはMark.6がいるから仮にスイッチが壊されても上から駆けつけてくれるさ」

 

「へぇ…」

 

カインも空を見る

 

空にはMark.6の影らしきものが飛んでいた

 

「…ところでさ」

 

「あん?」

 

「僕って毒に犯されてたってことでいいんだよね?」

 

「うーん…まぁ犯されてたっていうよりかは眠らせれてただけどな」

 

「どっちでもいいでしょ…ってそこじゃないんだよ」

 

「は?なにが?」

 

「さっきアヘンは毒を体から出したって言ったよね?」

 

「あぁ。言ったが?」

 

「…どうやって出したの?」

 

「そりゃあお前のく…」

 

その時アヘンの脳内に電流が走る!

 

(…待て!このまま正直に口から出したなんて言ってみろ!こいつのことだから『責任とってね?』とか悪ノリしだすに違いない!…いやまぁそこまでならいいんだが問題はそれを他の奴に見られることだ!あのバカ2人(デルタとガスパディーン)ならまだしも零と炎帝に見つかったら変に勘違いされるかも…。だとすると個々で口からというのは間違い!ここで答えるべき場所は…!)

 

完全に勘違いを拗らせた童貞みたいな考えを脳内に巡らせるアヘン。

 

そしてアヘンが出した答えは…!

 

「…クソみたいな体から零が吸いだした」

 

クソみたいな答えだな

 

「なんで僕侮辱されたの?」

 

カインもそりゃ困惑するわな

 

「と、とにかく零が取り出したんだよ」

 

「…なーんか怪しいなぁ…まぁいいけど」

 

(…セーフ!何とか切り抜けたぜ…)

 

何もセーフじゃねぇよ




自分は2日に一回髭剃るんですけど毎朝剃る人って大変ですよね。そりゃ脱毛する人も増えるわ


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通行止めです

 

「おー!起きたのか!よかったよかった!」

 

「うるさ」

 

「お?どうした?不機嫌か?」

 

「うわ殺してぇ…」

 

「殺意があるのでまぁ大丈夫でしょう」

 

「???どういう基準?」

 

カインが木陰で休んでいると食料調達組が帰って来て早速ダル絡みをする

 

「…それより無事なら早めに出発した方がいいんじゃないか?」

 

「ほんとよ。また夜になっちゃうわよ?」

 

「カインが歩けるならもう出発したいが…」

 

「え?まだ飯も食ってねぇぞ?」

 

炎帝とテフレントがそう言うとアヘンもすぐに出発したいと言う

 

しかしデルタはひとまず飯を食ってからだと主張

 

少し話し合った結果、飯を食ってから出発することにした

 

「…結局あの毒が何だったのかわかんないのか?」

 

飯を食いながらアヘンは零とテフレントに聞く

 

「わかんないわよ。大体情報が無さすぎるわ。もっとこういう植物がみたいなのがあればわかるかもしれないけど…」

 

「ですね。毒の成分はありきたりな睡眠毒でしたし」

 

「ちなみにその睡眠毒がある植物ってどれくらいあるんだ?」

 

「そりゃあ大量にあるわよ。てかそもそもなんだけどカインは本当に眠っていたの?」

 

「どゆこと?」

 

「気絶していた可能性もあるじゃない。気絶となるとまた別の毒だから」

 

「…それは本人に聞かないとわからんなぁ…」

 

「いや本人もわからないと思いますよ?眠ると気を失うは似てますし」

 

「…そういやそうだな」

 

「そうですよ」

 

「…じゃあわからんな」

 

「結局わからないじゃないの」

 

「…まぁ実際わからないから」

 

「…まぁ取り敢えずデータとしては取っておきましょうか」

 

「そうね」

 

「さて…」

 

アヘンが立ち上がり出発の準備を始めた

 

 

 

●●●●●●●●

 

 

 

 

 

 

出発してから数時間

 

「…なんじゃぁこりゃ」

 

一向は通行止めにあっていた

 

目の前の道が完全に塞がれていた

 

道の前には商人らしき人物も通行止めにあっているのか台車に荷物を大量に積んでいる

 

「…何があったんですか?」

 

テフレントが商人らしき人物に聞いてみる

 

「あ?んいやぁ何でもこの先で戦争が起きてるらしくてな?一般人は立ち入らないようにギルドからお達しが来てな。こっちも商売上がったりでよ!」

 

「戦争?それはまた物騒な…」

 

「あんたらもこの先に行きたいのか?」

 

「えぇ。この先に目的地があるので行きたいんだが…」

 

「やめとけやめとけ!悪いことは言わねぇ!回り道するんだな」

 

そう言って商人は去っていった

 

「…どうしよっか?」

 

アヘン達もどうするか悩む番になった

 

「…回り道するか」

 

結局回り道することにした



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