仮面ライダーバーサ (キャメル16世)
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世界観

 

様々な地方に分区されているこの地球

かつてはポケモンと呼ばれる生物が生息していたが、ある日を境に絶滅した

絶滅したポケモン達は《メガストーン》へと姿を変え、歴史から忘れ去られた

主人公はその《メガストーン》の力を最大限に発揮する装着、《メガドライバー》と、《メガシンカ》の力を引き出す《メガリング》を用い「仮面ライダーバーサ」へと変身を遂げる

カントー地方を初めとする様々な地方を旅する

 

 

登場人物

 

波山ライト《はやま・らいと》

15歳

常磐中学校の生徒

カントー地方マサラタウン出身、トキワシティ住在

仮面ライダーバーサの変身者

熱い心の持ち主、様々な苦難にも立ち向かう

 

朝堂カズマ《あさどう・かずま》

38歳

波山ライトの叔父

カントー地方トキワシティ住在

ポケモン研究者

家族思い、自称ポケモン博士

 

朝堂レン《あさどう・れん》

15歳

朝堂カズマの息子

カントー地方トキワシティ出身

仮面ライダーレジェンの変身者

冷静沈着、ドライな性格だが、正しい心の持ち主

 

朝堂メグ《あさどう・めぐ》

13歳

朝堂カズマの娘

カントー地方トキワシティ出身

仮面ライダービジオンの変身者

明るい心の持ち主、常に笑顔を絶やさない

 

メガミ・アリス・クラット

15歳

500年後の未来から来た少女

仮面ライダーエンゼルの変身者

お淑やかな心の持ち主、実は気が強い。本性を隠している

密かにライトに心を寄せている?

 

ヒガナ

年齢不詳

ポケヤミーの長

自らを「ノブナガ」と名乗り、ポケヤミーに讃えられている

メガストーンからポケヤミーを生み出す事が出来、「天下統一」を目指している

仮面ライダーをとても憎んでいる

 

ダルス

年齢不詳

ウルトラ調査隊 幹部

500年後の世界にて、ウルトラ調査隊の幹部を担っている

『ウルトラビースト』の力を使う、《ウルトライダー》への変身が可能

非常に冷酷だが、情がある男

世界や歴史の平和を守る為、日々活動している

滅多に笑う事は無い

 

アマモ

年齢不詳

ウルトラ調査隊 幹部

ダルスとタッグを組み、同じく幹部を担っている

《ウルトライダー》への変身が可能

いつもはにこやかだが、一変、隠れていた表情が見える

命を殺める事に抵抗がなく、ウルトラ調査隊では要注意人物として名が通っている

 

 

アイテム

 

《メガストーン》

ポケモンが謎の光に包まれた後に姿を変えたもの

いわばポケモンの魂

存在自体は知られているものの、実態は分かっていない

一部の《メガストーン》は封印されていていて、表面がザラザラしている

封印が解けたものを《バシャーモナイト》というふうに呼ぶ

誰が何の為に姿を変えたのだろうか?

 

《メガドライバー》

仮面ライダーバーサへと変身する際に使用する

《メガストーン》の力を最大限に発揮し、コントロールする事が出来る

しかし、封印された《メガストーン》の力は引き出す事が出来ない

 

《メガリング》

仮面ライダーバーサ、仮面ライダーエンゼル、仮面ライダーリワードへと変身する際に使用する

特定の《メガストーン》に反応し《メガシンカ》の力を引き出す

原動力は《キーストーン》と呼ばれるもの

 

《レジェンドライバー》

仮面ライダーレジェン、仮面ライダービジオンへと変身する際に使用する

伝説のポケモン、幻のポケモンの力を引き出すことに特化したドライバー

半強制的に力を引き出す

 

《マスタードライバー》

闇の力を秘めたドライバー、使用したメガストーンを邪悪化する

また、どんなメガストーンでも使用可能

 

《プロトメガドライバー》

仮面ライダーエンゼル、仮面ライダーフロンズ、仮面ライダーリワードへと変身する際に使用する

メガドライバーと見た目は一緒だが、性能はメガドライバーの3分の2程度となっている

 

《ウルトライザー》

ウルトライダーへと変身する際に使用する

ウルトラビーストと呼ばれるポケモンのメガストーンを使用することにより、力が発揮される

使用できるのはウルトラビーストのメガストーンに限る

 

《デビルドライバー》

仮面ライダーデビルへと変身する際に使用する

自身に眠る悪の部分を増幅させ、力に変換する

 

《ゲンシドライバー》

仮面ライダーアニマス、仮面ライダーマルスへと変身する際に使用する

《ゲンシカイキ》の力で、真の力を解放する

《カイオーガストーン》《グラードンストーン》のみ、使用可能

 

《グランドライザー》

マグマ団が開発した、人体の構造を機械的に変化させる装置

《ドンメルストーン》《バクーダストーン》のみ、使用可能

 

《オーシャンライザー》

アクア団が開発した、人体の構造を生物的に変化させる装置

《キバニアストーン》《サメハダーストーン》のみ、使用可能

 

 

仮面ライダー

 

仮面ライダーバーサ

 

熱き炎の戦士 バシャーモフォルム

波山ライトが、《メガドライバー》と《メガリング》と《バシャーモナイト》を使用して変身した姿。仮面ライダーバーサの基本フォーム

素早い脚と、炎を操る

熱き心に反応し、更なるスピードを得る

特性[かそく]を使う事が出来る

【タイプ】ほのう・かくとう

【技】とびひざげり、ほのうのパンチ、ニトロチャージ、ブレイズキック

【必殺技】バーニングドライブ:身体に炎を纏った状態で相手に渾身のキックを放つ

     フレイムレディエイション:溜めた炎の力を、ビーム状に放出する

 

装甲の戦士 カメックスフォルム

波山ライトが《カメックスナイト》を使用してフォルムチェンジした姿

硬い甲羅は何者にも砕けない

更に両腕に《カメックスバズーカ》からは大量の水を出し、1秒間で約100Lの水を出す

【タイプ】みず

【技】まもる、みずのはどう、アクアテール、ハイドロポンプ

【必殺技】タートルバズーカ:三本の《カメックスバズーカ》から大量の水を放射させて相手を攻撃する

 

幻影の戦士 ゲンガーフォルム

波山ライトが《ゲンガーナイト》を使用してフォルムチェンジした姿

見た目は恐ろしいが、それを克服出来れば更なる力が得られる

額の《ゲンガーアイ》は、相手の心情を悟ることが出来る

また、影に入り込むことが出来、暗い場所での戦闘に長けている

【タイプ】ゴースト・どく

【技】シャドーパンチ、ナイトヘッド、ふいうち、シャドーボール

【必殺技】カースストライク:憎しみなど負の感情を込めた拳を相手にぶつけて攻撃する

 

親愛の戦士 ガルーラフォルム

波山ライトが《ガルーラナイト》を使用してフォルムチェンジした姿

《ガルーラジュニア》が出現し、一緒に戦ってくれる

同じ攻撃をするが、力は半減している

変身者が男であろうと、必ず「ママ」と呼ぶ

【タイプ】ノーマル

【技】ダブルアタック、メガトンパンチ、ピヨピヨパンチ、かみくだく

【必殺技】フレッジツインアタック:親子の力で相手を翻弄する。通常攻撃の2倍のダメージを与えることが出来る

 

信念の戦士 フーディンフォルム

波山ライトが《フーディンナイト》を使用してフォルムチェンジした姿

常に宙に浮き、お気に入りの《フーディンスプーン》を使って攻撃する

気が抜けると、精神年齢が50歳ほど上がる

【タイプ】エスパー

【技】サイコキネシス、みらいよち、スプーンまげ、トリック

【必殺技】スーパーナショナルパワーマジック:大掛かりなマジックと共に敵を翻弄し、最後は巨大なスプーンで相手を叩き潰す

 

牙の戦士 ヘルガーフォルム

波山ライトが《ヘルガーナイト》を使用してフォルムチェンジした姿、《ヘルガーランス》という武器を用いる

変身することで、全身が発熱

吹き出す炎は相手を炭に変えてしまう程の威力がある

【タイプ】あく・ほのう

【技】ほのうのキバ、イカサマ、かみくだく、れんごく

【必殺技】ケルベロススナール:《ヘルガーランス》を三本出現させ、それぞれを牙の形に変化させ、攻撃する

 

開花の戦士 フシギバナフォルム

波山ライトが《フシギバナナイト》を使用してフォルムチェンジした姿、《フシギバナアンブレラ》という武器を用いる

菌などで汚染された大気を洗浄する能力がある

背中の花びらを広げ日光を浴びると体に元気が漲ってくる

【タイプ】くさ・どく

【技】つるのムチ、こうごうせい、はなふぶき、はなびらのまい

【必殺技】グローバルフラワーガーデン:辺り一体を花畑に変化させ、花吹雪を起こさせ大気を洗浄する。菌の汚染などに有効

 

雷轟の戦士 ライボルトフォルム

波山ライトが《ライボルトナイト》を使用してフォルムチェンジした姿、《ライボルトクロー》という武器を用いる

電気で筋肉を刺激するので素早く動ける。筋肉痛も電気でほぐすのですぐ治る

背中の発達した体毛には常に1億Vの電流が流れているらしい

【タイプ】でんき

【技】ほうでん、かぎわける、かみなりのキバ、ワイルドボルト

【必殺技】ライトニングモーメント:《ライボルトクロー》に電気エネルギーを溜め込み、雷のような速さで斬撃を加える

 

飛翔の戦士 ピジョットフォルム

波山ライトが《ピジョットナイト》を使用してフォルムチェンジした姿、《ピジョットアロー》という武器を用いる

《ピジョットアロー》から放たれる矢のスピードはおよそマッハ2。矢1本1本はエネルギーの塊であり、先端は嘴のような形をしている

【タイプ】ノーマル・ひこう

【技】エアスラッシュ、ぼうふう、おうむがえし、つばさでうつ

【必殺技】バードフライングショット:《ピジョットアロー》の矢に力を溜め込み、解き放つ技。追尾の能力もある

 

黄金の戦士 フェニックスモード

波山ライトが《ホウオウストーン》を使用してモードチェンジした姿。仮面ライダーバーサのパワーアップフォーム

伝説のポケモン、ホウオウの力でパワーアップした

七色に輝く翼は永遠の命を与えると言われているが、自分が不死身である訳では無い。しかし、全身が七色に輝く時、亡き者の命を甦らせることが出来るとか…

【タイプ】ほのう・ひこう

【技】だいもんじ、にほんばれ、ゴッドバード、せいなるほのう

【必殺技】エターナルエクスプロージョン:全身を黄金色に輝かせて、黄金色の炎を吐き出す。

 

眼醒の戦士 エルレイドフォルム

波山ライトが《エルレイドナイト》を使用してフォルムチェンジした姿、《エルレイドスラッシャー》という武器を用いる

正義の心が目覚めた時、《エルレイドスラッシャー》が活性化するらしい

【タイプ】エスパー・かくとう

【技】きりさく、インファイト、サイコカッター、つるぎのまい

【必殺技】ナイトズスラッシュ:《エルレイドスラッシャー》を巨大化させることが出来、殺傷能力に長けている。また、相手に絡み付くように斬撃を加える

 

鉄腕の戦士 メタグロスフォルム

波山ライトが《メタグロスナイト》を使用してフォルムチェンジした姿、《メタグロスアーム》という武器を用いる

背中から生える《メタグロスアーム》は実は八本ある

頭脳が発達しており、スーパーコンピュータ並の性能を誇る

【タイプ】はがね・エスパー

【技】アームハンマー、コメットパンチ、バレットパンチ、はかいこうせん

【必殺技】クロスアームドクラッシュ:敵の真上まで飛び上がり、自由落下と同時に、展開していた《メタグロスアーム》を閉じ、相手を粉砕する

 

蜂起の戦士 スピアーフォルム

波山ライトが《スピアーナイト》を使用してフォルムチェンジした姿、《スピアースピア》という武器を用いる

《スピアースピア》に毒の要素はなく、毒が込められているのはお尻にある毒針

攻撃時にはその分泌された毒を《スピアースピア》に塗って攻撃する

【タイプ】むし・どく

【技】ダブルニードル、どくづき、ミサイルばり、こうそくいどう

【必殺技】ニードルトルネード:2本の《スピアースピア》を構え、回転しながら相手を攻撃する

 

激怒の戦士 ギャラドスフォルム

波山ライトが《ギャラドスナイト》を使用してフォルムチェンジした姿、《ギャラドストライデント》という武器を用いる

怒りでパワーが増幅するため、負担が大きい

そのストレスで更に凶暴に暴れまわる

【タイプ】みず・あく

【技】アクアテール、かみつく、ハイドロポンプ、はかいこうせん

【必殺技】オーシャンストリーム:波を作り出し、その荒波に乗って《ギャラドストライデント》で突き刺して攻撃する

 

魚雷の戦士 サメハダーフォルム

波山ライトが《サメハダーナイト》を使用してフォルムチェンジした姿、《サメハダーブレード》という武器を用いる

背中のスクリューで水中を縦横無尽に駆け巡ることが出来る

水中のハンターとは彼の事だ

【タイプ】みず・あく

【技】アクアジェット、こうそくいどう、こおりのキバ、きりさく

【必殺技】バイティングダイブ:水の中に入りこみ、相手の背後から水のオーラを纏った《サメハダーブレード》で切り付ける

 

裂空の戦士 デルタモード

波山ライトが《レックウザナイト》を使用してモードチェンジした姿。仮面ライダーバーサのパワーアップフォーム

レックウザの技、ガリョウテンセイの力を使って変身する

変身者には大きな負担がかかり、変身時には注意が必要

【タイプ】ドラゴン・ひこう

【技】しんそく、りゅうのはどう、げきりん、はかいこうせん

【必殺技】エメラルドブレイク:自身の体を一直線にし、槍のような形になって突撃する

     ドラゴニックドライブ:宇宙の力を発揮し、相手に渾身のキックを放つ

 

 

仮面ライダーレジェン

 

伝説の戦士 ミュウツーフォルム

朝堂レンが《レジェンドライバー》と《ミュウツーストーン》を使用して変身した姿

世界最強のポケモンの力を使う為、ある程度力をセーブしている

その為、常に冷静な心が必要

【タイプ】エスパー

【技】サイコキネシス、サイコカッター、みらいよち、はどうだん

【必殺技】サイコブレイク:実体化した念波で相手を攻撃する、無数の念波の弾丸や、単発のエネルギー弾を放つ

     ジーンディストラクション: 相手を念波で錯乱状態にした後、サイコパワーを纏いながらキックを放つ

 

覚醒の戦士 仮面ライダーメガレジェン Yモード

朝堂レンが、《レジェンドライバー》と、《キーストーンコネクター》と、《ミュウツーYナイト》を使用して変身した姿。仮面ライダーレジェンのパワーアップフォーム

世界最強のポケモンが更にメガシンカした力を使う

以前とは異なり、絆の力も加わるので、かなりパワーアップしている。しかし、それでもある程度力をセーブしている

慎重派らしい

【タイプ】エスパー

【技】サイコキネシス、サイコカッター、みらいよち、はどうだん

【必殺技】レジェンダリーメガエボルーション:実体化した強化した念波で相手を攻撃する、無数の念波の弾丸や、単発のエネルギー弾を放つ。サイコブレイクの強化版

     レジェンダリーアウェイクニング:相手を強化した念波で錯乱状態にした後、強化サイコパワーを纏いながらキックを放つ。ジーンディストラクションの強化版

 

 

仮面ライダービジオン

 

幻の戦士 ディアンシーフォルム

朝堂メグが《レジェンドライバー》と《ディアンシーストーン》を使用して変身した姿

その宝石の輝きは失う事はなく、いつまでも輝き続ける。ピンク色に輝く姿は世界一美しいと言われている

空気中の炭素を圧縮して沢山のダイヤを生み出す事が出来る

【タイプ】フェアリー・いわ

【技】パワージェム、ストーンエッジ、ムーンフォース、ダイヤストーム

【必殺技】グラビティオペレーション:相手の周囲の重力を操り相手の動きを封じ込める。また、そのまま相手を圧力で倒す事も可能

     ジュエリーホリーグロー:相手の上空に巨大なダイアモンドを生成し、そのまま押しつぶす。また、そのダイアモンドからピンク色の光線を発射させることも出来る

 

 

仮面ライダーエンゼル

 

癒しの戦士 タブンネフォルム

メガミ・アリス・クラットが《プロトメガドライバー》と《タブンネナイト》を使用して変身した姿

耳の触覚で相手の体調や、気持ちがわかる

回復能力に長けていて、戦闘ではサポートに向いている

【タイプ】ノーマル・フェアリー

【技】ハイパーボイス、チャームボイス、いやしのはどう、とっておき

【必殺技】ヒーリングハート:巨大なハートを出現させ、それで相手を押しつぶす。また、瀕死になっている者を回復させる

     エンジェルウイングス:背中に純白の翼を生やし、大きく飛び上がり、キックを放つ

 

 

絆の戦士 仮面ライダーフロンズ

サトシが《プロトメガドライバー》と《ゲッコウガストーン》を使用して変身した姿

特性[きずなへんげ]の力で変身する

一心同体から一転、融合した彼らの絆に勝てる者はいない

【タイプ】みず・あく

【技】いあいぎり、みずのはどう、つばめがえし、みずしゅりけん

【必殺技】絆巨大水手裏剣:みずしゅりけんを巨大化させ、投げつける。また、背中に背負ったまま発動でき、その回転力でキックを放つ事も出来る

 

 

不屈の戦士 仮面ライダーリワード

ミツルが《プロトメガドライバー》と《エルレイドナイト》を使用して変身した姿

正義の心が目覚めた時、《エルレイドスラッシャー》が活性化するらしい

目を閉じていても相手の動きを読む事が出来る

【タイプ】エスパー・かくとう

【技】サイコカッター、インファイト、アシストパワー、きりさく

【必殺技】ナイトズスラッシュ:《エルレイドスラッシャー》を巨大化させることが出来、殺傷能力に長けている。また、相手に絡み付くように斬撃を加える

 

 

闇の仮面ライダー

 

復讐の戦士 仮面ライダーダークフロンズ

黒いサトシが《マスタードライバー》と《ダークゲッコウガストーン》を使用して変身した姿

特性[きずなへんげ]の力で変身するが、絆の力より闇の力の方が濃い

全身黒色の体は影に潜むことが出来、神出鬼没

【タイプ】みず・あく

【技】つじぎり、かげぶんしん、ハイドロポンプ、みずしゅりけん

【必殺技】邪悪水手裏剣: みずしゅりけんを巨大化させ、投げつける。また、背中に背負ったまま発動でき、その回転力でキックを放つ事も出来る。闇の力が加わり、とてつもない力を発揮する

 

 

悪の戦士 仮面ライダーアール

サカキが《マスタードライバー》と《ミュウツーストーン》を使用して変身した姿

『アーマードミュウツー』の体を模して作られた仮面ライダー

仮面ライダーアールの「アール」は、ロケット団の「R」から来ている

【タイプ】エスパー

【技】サイコキネシス、サイコカッター、みらいよち、はどうだん

【必殺技】装甲逆襲劇:闇の力を最大限に引き出し、攻撃する技。

 

 

邪悪の戦士 仮面ライダーマトリクス

マトリが《マスタードライバー》と《ルギアストーン》を使用して変身した姿

海の神と呼ばれる存在である為、海のエネルギーを自身に蓄えることが出来る

【タイプ】エスパー・ひこう

【技】ハイドロポンプ、ドラゴンダイブ、ゴッドバード、エアロブラスト

【必殺技】創造神渦激:巨大な渦を出現させ攻撃する技。

 

 

悪夢の戦士 仮面ライダーデビル

ブライン・グリュシュ・クラットが《デビルドライバー》と《ダークライストーン》を使用して変身した姿

深い眠りに誘う力で、人に悪夢を見せる

また、眠らせた相手の夢の中に入り込み、更なる恐怖と絶望を見せる

【タイプ】あく

【技】あくのはどう、ゆめくい、ダークホール、だましうち

【必殺技】デモンズナイトメア:深い眠りに落とさせ、悪夢を見せる技。

 

束縛の戦士 仮面ライダーサマエル

ブライン・グリュシュ・クラットが《デビルドライバー》と《ダークライストーン》と《メガミストーン》を使用して変身した姿

仮面ライダーデビルの強化形態

自身の悪意を最大限に力へと変換し、操る事が出来る

相手の体内へ悪意のオーラを放つことが出来、攻撃を食らった相手は自害したくなるほどの苦しみを味わうという

【タイプ】あく・フェアリー

【技】あくのはどう、ハイパーボイス、いやしのはどう、だましうち

【必殺技】サマエルフィニッシュ:自身の悪意を最大限に力に変換し、攻撃する。攻撃する程効力は高まる

 



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プロローグ

この作品はフィクションであり、実在の人物・団体等とは一切関係ありません。



ポケットモンスター 縮めてポケモン

 

かつてこの星に生息していた不思議な不思議な生き物。

空に、海に、森に、世界中の至る所でその姿を見ることが出来た

 

中には人間達と共に生きる者も

 

 

「ガーディ、かみつく!」

ガゥ!と相手のマダツボミに一撃をくらわした

ここ最近うちの村にポケモンが来る数が頻繁になっている気がする

 

うちの村は民家が約10戸 と小さな村なのに

ここ最近になってマダツボミやガラガラ、その他のポケモン達が群れでこの村を襲ってきている

 

しかしこのマダツボミ、進化した訳でもないのに異様に強い

俺のガーディの体力が消耗しているのもあるがそれにしても打たれ強い

普段のマダツボミならとっくに倒しているはずだ

 

それに、この村を襲う理由はなんだ?

見るからにこの村自体に用があるわけでは無さそうだ

さっきも農作業をしていたら急に襲っきた

 

「ひのこ!」

ガーディの口から小さな火の塊が現れ、マダツボミに向かって放った

マダツボミはその場で倒れ、目を渦巻き状にしている

戦闘不能になった証拠だ

 

「大丈夫か?ガーディ」

『バゥバゥ』

「あぁ、お前もゆっくり休め」

俺はガーディを家まで運び、布団に寝かしつけた

 

整理するとこうだ

ポケモン達がこの村を襲ってきはじめたのは約2ヶ月ほど前

丁度、室町時代が終わったあたりからだ

そこからポケモン達がこの村を襲ってきている

今は安土桃山時代、ということは

 

「大元は、織田信長将軍、ということか?」

この日本を武力で天下統一しようとする織田信長将軍

その力は絶大で一つの戦争を一瞬で終わらせたこともあるとか

彼の相棒は黒いレックウザで一度奴が出たら誰にも止められないらしい

恐ろしい男だ

きっとあの男の考えだ領土拡大のためにポケモンを使ったのだろう

 

そこからしばらくしてからだった

俺はまた農作業をしていたが

襲ってきたのだ、今度はポケモンではなく、光の柱のようなものが地面から放射されていて、的確にポケモンに向かって来ている

これも信長将軍の仕業か?

 

「ガーディ!かえんほうしゃ!」

『バゥバゥバーーーゥ!』

ガーディの渾身の一撃が出たがやむなくガーディはその光の柱に取り込まれた

 

「ガーディ!」

静かだった、とてつもなく静かで怖かった

光の柱が消えたあとガーディの姿はなかった、しかし、

直径三寸程の球状の石がそこには落ちていた

山吹色と淡い白色の石だ

 

「ガーディ?」

それを拾うと、少しだけ温もりを感じる、ガーディの温もりだ

 

それからというもの、町中のポケモン達がガーディ同様

石になっていたという

城下町も、安土城のポケモンも

 

この町から、いや、多分この世界からポケモンは絶滅した

 

 

そこからしばらくしてからのことだった

闇に染ったポケモンが現れたのは

奴らは突然現れ、今度は人間を襲いはじめた

大人から小さな子供まで、奴らは無差別に人間を殺して行った

 

反撃を目論む人間達、戦える者総動員で奴らに立ち向かったが生きて帰ってきたものはいなかった

 

「村長!このままだとこの村が襲われるのも時間の問題です!今すぐ村の者全員で逃げましょう!」

俺は村長にこんな相談をした

「いいや、全員で動いたら奴らが気づいて全滅するのが目に見える、待機だ」

 

確かにそうかもしれない、でも、このまま奴らに怯えながら生活するのか?

いつまでも続くこの地獄の中で生きていくのか?

俺は嫌だ、いつか、ガーディ達がいた頃の時代に戻れると、信じている

 

持てるものは持った

数日間分の食料、武器、そして、

「行くよ、ガーディ」

俺は求める、いつまでも平和を、幸せを、

 

俺は村を飛び出し、暗闇に染る森の中を走っていた

その時だった

 

『ビャァァァ!』

月の明かりに逆光しながらも分かった

奴らが現れた

闇に染ったオニスズメ、体は全体的に黒くなり、目が真っ赤に染まっている

奴らの特徴に当てはまっている

 

「くっ」

くそっここまでか

俺が反射で目を閉じた瞬間だった

 

「変身」

その声の直後、周りが熱くなり、どさっという音がした

そっと目を開けると、そこには焦げた地面に木々、倒れたオニスズメ、そして、

 

「あっ、あんた」

紅色の足に、腕から出た炎の帯、胸部に生えた羽毛に、真っ白の二本の鶏冠を持った二足歩行の者が立っていた

 

「かっ、仮面ライダー、か?」

そいつは何も言わずに目にも止まらぬ速さでその場を去った

 

そいつの名は「仮面ライダー」

人知れず人間を守る者、正体は人間と言われているが、ポケモンと同等の力を引き出し奴らに対抗出来る唯一無二の存在と言われている

またの名を「熱き炎の戦士」

 

結局村に戻った俺は、村のみんなに仮面ライダーについて話した

 

そこから何年かの月日を得て、

奴らは全くと言っていいほど姿を表さなくなった

ようやくこの世界に平和が訪れた、ただ一つ心残りがあるとするなら

 

「やったな、ガーディ」

ポケモン達は元には戻らなかった

でも、ガーディはいつまでも温かかった

俺は、いつまでもガーディと一緒だった

 

 

その後、仮面ライダーを見たものは現れなかったが、世界を救った英雄として今も尚語り継がれている

 




初めまして、今作からハメルーンにて小説の投稿をさせて頂く、キャメル16世と申します。

自分自身これが初めて書く物語ですので情報が不十分だったり、不適切な部分も多々あると思われますが、どうか御支援いただけると幸いです。

今回私が書く物語のテーマはズバリ、仮面ライダー×ポケモンです!
以前から物語の構成は立てており、いつか形にしたいなと思っていたので
実現出来て良かったです

投稿に関しましては、不定期になると思いますので、ご了承ください
なるべく週一で投稿したいと思っています

というわけで、これからもどうぞよろしくお願いいたします


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カントー地方 編
第一話「熱き炎の戦士!仮面ライダーバーサ、誕生!」


ヒーローになりたい

波山(はやま)ライトが幼い頃から抱く夢の一つのだった

昔から正義感が強かったライトは人助けをしていくうちにそんな夢を持つようになった

 

叔父である朝堂(あさどう)カズマの書斎の机の上で一冊の本を読みながらライトはため息をついた

 

ライト「仮面ライダー、か〜」

 

存在しないのはわかっている

ポケモンだって空想上の生き物だってのもこの歳になればわかる

でも、叔父さんの研究を否定はしたくはないし、俺にだって信じたい気持ちはある

なんたってこんな夢を持ってしまったんだから、力を求めるのは当然だ

 

この本は500年程前に起きたことを元に書かれている、だが、その全貌はよく分からない

 

次の瞬間、地下の方から爆発音が聞こえたのと、この家が少し揺れた

叔父さんだ

 

ライト「また失敗?」

カズマ「いいや、成功だ!」

少し黄ばんだ白衣を着て、さっきの爆発の影響だろうか、いつもより髪がチリチリになった三十代前半の男が笑顔で地下室の階段から上がってきた

 

カズマ「見ろライト!これはこの間出張で手に入れた化石なんだか、どうやらポケモンのものらしくてな、復元しようとしたんだ」

ライト「それが成功したの?」

カズマ「いや、ダメだった」

 

ダメだったんかいと、ツッコミたくなった

 

カズマ「だが、そこからポケモンのものと思われる遺伝子の一部が出てきたんだ、そこからようやくできたのがこれ!」

 

叔父さんは待ってましたと言わんばかりに懐から二つの物を出てきた

 

一つは細長い箱のようなもので、上半分は赤色に、下半分は白色になっていて、その境には黒い線が入っていて、その中央が少しだけ窪んでいる

 

カズマ「これは《メガドライバー》、僕が開発した《メガストーン》の力を引き出すことが出来る代物だ」

 

もう一つは、黒いブレスレットみたいなやつで、本体に虹色の丸い石がはめ込んである

 

カズマ「そして、これが《メガリング》、これで《メガシンカ》と同等の力を引き出すことが出来る」

 

ライト「これが、何なの?」

カズマ「これであとメガストーンさえあれば、『仮面ライダー』に変身出来る」

ライト「か、仮面ライダー?」

カズマ「そう、かつて世界を救った英雄、仮面ライダーに等しい力がに入る」

ライト「本気?仮面ライダーとか、ポケモンとか」

カズマ「あぁ、僕は信じてる。ポケモンの存在も、仮面ライダーの存在も」

 

叔父さんはパソコンの方に視線を変えると、パソコンを操作し、ニュースのページを開いた

 

カズマ「最近、人間の仕業では無いであろう怪事件が多発している」

ライト「あぁ、ニュースで見たよ、人がミイラ化する事件だろ?」

カズマ「僕は、これがポケモンの仕業だと推測している」

ライト「え!?でもポケモンって500年前に絶滅したはずじゃ?」

カズマ「あぁ、確かに絶滅したように見えたかもしれない、だけど彼らはまだ生きてる」

パソコンから目を離した叔父さんは今度は本棚から本を五冊ほど抜き出し、その奥にあったのだろう、ジュラルミンケースを出してそれを開いた

そこにはピンポン玉サイズくらいの石が何個か入っていた

 

カズマ「これがメガストーン、ポケモンの魂が宿った石だ」

ライト「ポケモンの魂?」

叔父さんはさっきまで俺が呼んでいた本を持った

 

カズマ「この本によると、ポケモン達は光の柱に飲み込まれメガストーンになった、と書いてある。だが、死んだとは書いていない。現に、このストーン触ってみろ」

叔父さんはジュラルミンケースからメガストーンを一個取り出して俺に渡してきた

 

ライト「温かい…?」

カズマ「そう、温めた訳でもないのに、そのストーンは常に温かいんだ、それは推測によるとガーディのもの、きっとそのストーンは500年前からその状態だ」

これがポケモンが生きている証拠だと、叔父さんは断言した

 

ライト「…これは?」

俺はジュラルミンケースからまた一つメガストーンを取り出した

しかしそれは、まるで本物の石のように灰色で表面がザラザラしている

 

カズマ「それが僕にもわからん、メガストーンであることは間違いないのだけれど、どのポケモンのストーンなのか一切わからん、温もりも感じないし、そのストーンこそ、本当に死んでしまったんだろう」

ライト「…そうかな?」

カズマ「え?」

俺にはこの石が、少しだけ温かく感じた

 

 

カズマ「ところでライト、一つお前に頼みがあるんだが」

少しして叔父さんが口を開いた

 

ライト「何?」

カズマ「大事な話だ。ライト、僕と一緒に旅に出ないか?」

ライト「…は?」

叔父さんはいつも突拍子のない事を言う、だけど今回は

 

カズマ「ここ数ヶ月、同じような怪事件が多数報告されている」

本気だ

 

カズマ「この仮面ライダーの力があれば、ポケモンにも対抗出来る。

一緒に世界を救おう」

ライト「…本気?」

カズマ「僕はいつだって本気だ、僕は世界を救って、世間にポケモンのことをもっと知ってもらいたいんだ。それが僕の夢だ」

 

夢という言葉が俺の耳をぴくりと動かした

叔父さんは俺の肩を優しく掴んだ

 

カズマ「お前にも、夢があるだろう。ヒーローになりたいっていう夢が、これがあれば、世界を救える力が手に入る」

俺は、顔を上げたが叔父さんの手首を掴んで肩から離した

 

ライト「やめてくれ!もうその事は。確かにヒーローにはなりたい!だけど力なんか求めてなんか…」

少し荒く喋ったが、言葉が詰まる

さっきと考えていたことと真逆じゃないか、俺

 

俺が黙り込んでいると

 

カズマ「あっ、す、すまない。お前の気持ちも考えないで、叔父失格だな。何も今すぐ旅に出発する訳じゃない、気持ちが整ったらまた話そう」

そう言うと、叔父さんはまた地下室に戻って行った

俺はしばらくそこに立ち尽くしていた

今日は日曜日だった

 

 

ここ、トキワシティは自然豊かな町だが、決して田舎でもなく、高層マンションや、いくつかのビルも立つ

俺はこのトキワシティの常磐中学校に通っている、だが、それもあと少しだ

卒業したら俺は働くつもりでいる

この窓からの景色もあと一年間の間限定だ、海が見えるこの席は俺の特等席であった

 

俺は本当ならこの町には住んでいない、諸事情により、今は母さんと一緒に隣町の叔父さんの家に居候させてもらってる

 

家に帰ることは苦ではない、帰れば母さんだって居るし叔父さんやユイ叔母さんだっている

だけど今日は

 

ライト「帰りたくねーなー」

その言葉が聞こえてきたのだろう、帰りの挨拶が終わった直後、

担任のジュンコ先生がそばに来た

 

ジュンコ「ライト君大丈夫?何か悩み事でもあるの?」

ライト「あー、ごめん先生、ただの独り言」

ジュンコ「本当に?何かあったらすぐに先生に言うのよ?」

ライト「は、はーい」

ジュンコ先生は、今どき珍しい若くて優しい先生だ、いつも俺を気遣ってくれる

昔にあったことをきっかけに先生は学校をまたいできた

ただ最近は少しだけうざったらしくなってきたのが現状だ

 

ジュンコ「あ、あと、今度の国語の授業でね、作文の授業があるんだけど…。その、テーマが『夢』なのよ、大丈夫かな?」

ライト「……」

ジュンコ「あっ、嫌だったら、テーマは変えられるから安心し…」

ライト「大丈夫?って、何が?」

ジュンコ「えっ?でも…」

ライト「その言葉に関連することがに見当たらないけど?」

ジュンコ「あっ、あらそう?」

先生は少しだけ不思議な表情をした

 

ライト「じゃあ先生、また明日」

ジュンコ「え?えぇ、また明日…」

 

涼しい廊下を歩いていく、もう校舎には誰もいない

《見ろよ!こいつの夢、ヒーローだってさ!》

明日は火曜日か、長い一週間になりそうだな

《なれっこないのに、だっせ〜!》

家に帰ったら何をしようか、まずは叔父さんに謝らないと

《くだらね〜夢だな!》

 

気づけば俺は廊下の壁を思いっきり叩いていた

 

ライト「……くだらなくねぇ…」

独り言をした俺の声はどこまでも続く気がした

 

 

ライト「母さん、ちょっと話があるんだけど」

帰宅してすぐ俺は母さんを呼び止めた

リビングの机に向き合う状態で座った俺は昨日叔父さんに言われたことを伝えた

 

アケミ「そう、旅ねぇ」

ライト「……」

沈黙の中、母さんは深く目を閉じていたが、ふと顔をあげるとある一言を発した

 

アケミ「良いんじゃない?」

ライト「え?」

アケミ「いい機会じゃない?貴方には世界を見に行って貰いたいの」

ライト「え?でも信じるの?叔父さんの言う事」

アケミ「それがカズマ君の夢なんでしょ?だったら、応援しないと」

ライト「そうだけど、そんな叶いっこない夢なんか…」

アケミ「ライト」

俺の言葉を遮るように、母さんは言った

 

アケミ「貴方にも、夢があるでしょ?ヒーローになるっていう偉大な夢が。そんな夢を持った貴方が他人の夢をそんな風に言っちゃ駄目。お母さん、少しガッカリしたな」

いつも優しい母さんだが、今日はなんだか、突き放されてる気がする

まるで、そろそろ独り立ちしろとでも言っているかのようだ

 

席を立ち、コーヒーを作った母さんは、「貴方にも、いずれわかるわ」と言って自室へと向かった

 

部屋に戻った俺は、学校の疲れとさっきのこともあり

ベットに思っきりダイブした

 

薄目で、机の上に置いた叔父さんの発明品を見る

 

ライト「……はぁ」

ふかふかのベットで俺を包んでくれた

気づけば俺は眠ってしまっていた

起きた時はまだ外は明るかった

 

ライト「長い一日だなぁ」

そう、本当に長いのはここからだった

地下室ではなく遠くの外の方で爆発音がした

 

 

急いで家の外に出た俺は、その状況を飲み込むのに少し時間がかかった

俺の家は少し高い位置にあるから町を上から眺めることが出来た

そこはまさに地獄絵図だった

破壊されたマンション、高さが半分以上もないビル

あちこちで燃える民家

一位何が起こっているのか分からなかった

 

カズマ「ライト!」

叔父さんも家から出てきて俺のそばに来た

 

カズマ「何だこれは?……まさか!」

ライト「叔父さん、やっぱりこれって…」

カズマ「あぁ、間違いなく『奴ら』だ…」

俺はその言葉を聞くと急いで家に入り、自室へと向かうと

《メガドライバー》と《メガリング》を持った

 

ライト「これでホントに戦えるんだろうな…?」

独り言を言った俺の目を、一点に集中させたものがあった

それはさっき叔父さんに貰った灰色のストーンだった

俺はそれも握りしめると、颯爽と家を飛び出し、叔父さんと一緒に町へと向かった

 

 

ライト「なんなんだよ、ここ」

まるで戦争にでも巻き込まれたかのような有様だった

ただ、それが間違いだと、俺達はすぐに気づいた

 

ライト「植物の、つる?」

町中に張り巡らされたつると思われるものがあった

俺はその後を辿ると、あるものを見つけた

 

ライト「何だこれ?」

それはつるでぐるぐる巻きにされた『何か』だった

間を縫って解けば何とか中身を見ることが出来る

俺はつるの間に指をかけ思いっきり広げた。するとそこには

 

ライト「これ……人?」

中には完全にミイラ化した人が入っていた

初めて見る死体に俺は吐き気を覚えた

もしかしたら生きているかもと淡い期待を思い、俺はその人の肩を持って少しだけ揺すってみた

 

カサっ、という音とともに見えたのは

その人の腕が取れていたそして揺すってみて気づいた

この人、異様に軽い

 

ライト「う、うわぁぁぁ!」

俺は膝から崩れ落ち、耐えきれなくなって叫んでしまった

俺はこの人を知らない、知るわけが無い

だけどこの人はきっと、何の罪もないのに殺されたんだ

『奴ら』に

 

カズマ「どうした!ライト!」

心配した叔父さんが俺に駆け寄って来てくれた

その死体を見た叔父さんは「なんて惨い」と言った

だが、本当の悪夢はここからだ

 

『あれ〜?ここら辺の人間は全員狩り終わったと思ったのに〜

まだ生き残ってたなんてね〜』

 

俺達の後ろの方から聞こえた声

スリスリと地面を這いずる音と共に緊張感が湧いてくる

ゆっくりとしか振り向けなくなってしまった俺は横目で確認した

その姿はまるで蛇のようで巨大な蔓のような見た目をして、体の所々がローリングしていて、色は緑や黄緑、白色であるが黒ずんでいる

そして目が赤い。ドスの効いた赤で今にも命をえぐり取られそうだ

 

カズマ「やはり貴様らか!ポケヤミー!」

怒りが籠った叔父さんの言葉は、空に消えていった

 

『ん〜?僕のことを知ってるの〜?珍しい人間もいるもんだ』

その言葉が聞こえる度に俺の心の中がメキメキ言ってることに気づいた

 

『じゃあ〜自己紹介をするよ〜、僕の名前は『ジャローダ』、ここら辺の人間は僕の蔓でぐるぐる巻きにして、栄養を全て吸収したんだ〜、ホント人間ってのは

愚かだよ』

ライト「なんで殺した」

『ん〜?』

気づいた時には俺は立ち上がり、『奴』を睨んでいた

とぼける『奴』を目にして俺の沸点は最高潮まで達していた

 

ライト「なんで殺したかって、聞いてるんだァ!」

俺は感情に身を任せ、そこら辺に落ちていた鉄パイプを拾い、『奴』に向かって振りかぶりながら走った

 

次に感じたのは、痛みだった

どうやら俺は、『奴』に凪払われたらしい

コンクリートの壁にぶつかり、そのまま地面に伏せていた

 

『やっぱり愚かだねぇ〜、自分が非力なことに全く気づいてないんだから〜』

ライト「やってみなきゃ、わかんねぇだろ」

俺は痛みを耐え再び立ち上がり、懐から《メガドライバー》と《メガリング》を取り出し、《メガドライバー》を腰に押さえた、するとドライバーの左端から銀色の帯が出てきて俺の腰を巻くように回り、右端にくっ付いた

 

メガドライバー!

 

渋い電子音声が流れた

続いて《メガリング》を左腕の手首辺りにはめる

リングの内側でバッチリハマった感覚があった

 

メガ!リング!

 

またしても電子音声が流れ、少しびっくりした俺

そして最後に、この灰色のストーンをドライバーの中央にはめて…

 

ライト「あれ?はまんない」

何と、ストーンが少しだけ大きくてドライバーにはまんなかったのだ

 

『あれ〜?ど〜したのかな〜?』

あたふたとする俺を煽る『ジャローダ・ヤミー』

すると奴はまたしても俺に蔓を伸ばしてきた

何とか避けることは出来たが、後ろのコンクリートの壁がボロボロになっていた

 

一方、カズマの心の中ではある葛藤が生まれていた

(しまった!あのドライバーのくぼみはガーディストーンをベースに作ったから、灰色の石では寸法が合わないんだ!)

 

ライト「クソ!なんでハマらないんだ!」

そんなことを知らないライトは『ジャローダ・ヤミー』の攻撃を避けながら奮闘していた

 

俺は、やっぱり無力なのか?非力なのか?ヒーローには、なれないのか?

 

『よそ見してる場合〜?』

すかさず『奴』が攻撃をしてくる

だが、体勢を取っていなかったため、俺は『奴』の攻撃をもろに食らった、ストーンは手から離してしまった

 

ライト「がはぁ!」

またしても地面に叩き潰された俺は、意識が遠のくのを感じた

あぁ、俺、ここで死ぬのか

思えば、なんの達成感もない人生だった、夢を叶える事も、親孝行も、友達作りだって、出来なかった

それでも、いい人生だったのかな?

 

『ここまでよく頑張ったよ〜、じゃ、お疲れ様〜』

カズマ「ライトーーー!」

ふと俺は、父さんのことを考えた、母さんの話によると、俺が生まれて間もない頃、突然旅に出たまま、十五年間姿を消したままだと言う。顔も覚えていない。声も聞いたことがない。だけど、

今から逢いに行くよ、父さん

 

……

 

戦え

 

え?

 

戦え!

 

誰だ?渋い男の人の声?

 

戦え!!

 

ライト「ハッ!」

目覚めた俺は『奴』の攻撃を躱し、再び立ち上がった

 

『なに?どうしてまだ動けるの?』

ライト「誰だか知らないけど、俺の目を覚ましてくれたんだ」

『馬鹿な、非力な人間が、僕達に逆らうなァ!』

ライト「あぁ、確かに人間は弱くて非力だ、だけどな!人間は心が強い!どんなに苦しい状況でも、人間同士助け合って、ここまで生きてきたんだ!だから俺は!」

今まで溜まっていたものを全部吐き出すつもりで俺は叫んだ

 

ライト「俺は絶対に!お前らのようなやつには負けない!」

『小癪なァ!貴様!何者だ!』

ライト「俺は波山ライト!ヒーローになる男だ!」

 

突然、地面に落ちていたあの灰色のストーンが浮かび出し、

ものすごい速さで『奴』を一発攻撃して、俺の目の前に浮かんだ

そして、光り輝くと同時にメキメキっと卵の殻が割れるように、灰色のザラザラした部分が剥がれて、その本来の姿を見せた

ガーディストーンとはまた違う色で、薄いオレンジ色の石の内側に濃いオレンジ色と黒色の二色が重なっている

俺はそれを手に取り、ドライバーの中央にセットした

 

セット!!メガシンカヘンシーン!!

メガシンカメガシンカ!メガシンカメガシンカ!

 

軽快な音楽と一緒に

俺は両手を大きく前に出し、両腕を左回りに大きく広げて、一周回して左手を胸の前え、右腕を右側に大きく広げた

 

ライト「変身!」

そして、その右腕を折り曲げ、右手で左手に付いている《メガリング》の虹色のストーン《キーストーン》を押し込む

 

バシャーモ!!

ババッバッバッババッバッバシャーモ!

バッバッバシャーモ!!

 

俺の身体全体を球体の様なものが包み、明らかに俺の身体が強化されていくのがわかる、何か熱いものが俺を包んでいく

 

ライト「ハッ!」

俺を包んだ球体を覇気で割り、力を解放する

赤と黒の脚、胸部から肩にかけて生えている羽毛、緑色の眼に二本の鶏冠、これが、これが仮面ライダー!

 

ライト「熱き炎の戦士!仮面ライダーバーサ!!」

俺は、仮面ライダーバーサへと変身した

 

 

To be continued




次回予告

仮面ライダーバーサへと変身を遂げたライト
世界を救うため朝堂カズマと旅に出ることを決意する
しかし、目の前に現れたのは、二人目の仮面ライダー!?

第二話「決意の先にあるもの」


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第二話「決意の先にあるもの」

登場人物プロフィールのコーナー
波山ライト 15歳
性別 男
趣味 読書
好きな食べ物 卵料理
好きな女の子の髪型 ポニーテール
夢 ヒーロー


ライト「熱き炎の戦士!仮面ライダーバーサ!!」

仮面ライダーバーサへと変身を遂げたライトは、

恥ずかしさで死にそうであった

 

俺なんでこんな事行ったのー?

 

『貴様!その姿は!』

ライト「ふっ!いいか!今から俺は!お前を倒す!!」

 

俺は全身の力を右脚に集中させ、地面を思いっきり蹴った

凄まじいスピードで奴の目の前に移動した俺は、奴の胸を殴った

奴は数メートル飛ばされた

 

『ぐぉっ!』

ダメージは入ったっぽいが、弱い

ジャローダ・ヤミーは自分の蔓を槍のように尖らせ、それをものすごい速さで伸ばしてきた

だが、今の俺には遅く見える

俺はそれを軽やかに躱すと、また奴に飛びかかり、今度は膝で奴を蹴飛ばした

 

ライト「とびひざげり!」

『ぬぉっ!何!?』

奴は今度はもっと遠くに飛ばされた、ダメージもデカいはずだ

 

なるほど、このポケモン、バシャーモはパンチよりもキックの方が強い!

そして、この胸に感じる熱いもの、俺はそれを全身に広げ、奴に回転しながら攻撃しようとした、すると、回転しながら全身から炎が現れ、そのまま突進した

 

ライト「ニトロチャージ!」

攻撃のあと、なんだか身体が軽くなった気がした

 

『ふっ!』

腹部か焦げているが、ダメージは少ない

どうやらこの技は、ダメージが少ない分、炎の力と速さが得られるらしい

 

『ここまでやるなんて、なかなかやるじゃん〜、

これで『あの方』もお喜びになられる』

 

ん?『あの方』?

一体誰のことだ?

 

『僕は君に会うために、蘇ったんだ〜。つまり、僕の役目はもうおしまい。あとは、お前を殺すだけだ!』

 

背中から大量の蔓を伸ばした奴は、それをまた尖らせ、伸ばしてきた

 

ライト「くっ!試してみるか」

俺はメガリングのキーストーンを押し込んだ

 

メガシンカ!ヒッサーツッ

メガシンカメガシンカ!

 

俺はもう一度キーストーンを押し込んだ

 

バシャーモ!!

バーニング!ドライブ!

 

俺は、空高く飛び上がり、全身の力を、そして熱を、右脚に集中させ、奴に向かってキックを放った、全身が燃えだし、俺に触れた蔓は、燃え尽きてしまった

 

『んなっ!』

ライト「バーニングドライブ!ハァァァ!!」

俺の右脚が奴に当たると、『うわぁぁぁぁ!』と、

奴は大きく爆発をしながら消えていった。

 

俺は奴に勝った

 

ドライバーからストーンを取り出し、変身を解除したあと、

それを夕日に照らす、

内部にある模様がはっきりと写り、とても綺麗に見えた

 

カズマ「ライト!やったな!」

叔父さんが俺のところに駆け寄ってくれた

 

カズマ「そうか、これはバシャーモのストーンだったんだな!

きっとポケモン達は、自分が悪用されないように、自らを封印し、力を押さえ込んだのだろう。だが、ライトの熱い心に影響されたバシャーモがお前を認め、力を貸してくれたんだ!」

叔父さんは生き生きと喋っていた

 

カズマ「熱き炎の戦士…。そうだ!このバシャーモのストーンをこれから《バシャーモナイト》と呼ぼう!戦士にふさわしい名前だ!」

 

嬉しそうに笑う叔父さんを見て、俺も思わず笑ってしまう。

今日は本当に長い一日だった

 

 

その週の日曜日

俺は色々考えて、一つの結論を出した。結論というか、決意というべきか。

再び母さんを呼び止めてリビングの机に向き合う状態で座った

 

ライト「母さん、俺、旅に出るよ」

アケミ「…そう、ようやく決断したのね」

ライト「うん、やっぱり俺の夢はヒーローだ、誰にも否定なんてさせない!だから俺は、あの怪物から人々を守りたい!救いたい!俺にその力と資格があるなら」

アケミ「できるわ、貴方なら」

ライト「母さん…」

今日の母さんはいつもの優しい母さんだった

 

ライト「本当に世界を救えるか分からない、いつ帰るかも分からない。だけど、それでも俺を待ってくれる?」

カズマ「えぇ、勿論よ、だって私は、貴方の母親よ?」

母さんの鼻声を聞くと、いつも俺も泣きそうになる

 

アケミ「ただ幾つか、条件があるわ」

ライト「何?」

アケミ「無事に帰って来ること、人を不幸にしない事、そして、

十五年前に姿を消した貴方の父親を探して連れて帰る事」

ライト「え?でも、父さんはもう死んだんじゃ…」

アケミ「そうかもしれない、だけど分かるの。あの人は、生きてる」

 

母さんの直感はいつも当たる。今回は違ったとしても、引き受けない理由はない

 

ライト「分かったよ、父さんを必ず見つけて、全員で生きて帰る」

俺は早速身支度を始めた

俺はもう大人になっていた

 

 

翌日の朝

 

ライト「じゃあ、そういう事だから先生」

ジュンコ『ちょっと待ちなさい!ライト君!』

電話越しの先生の声、これがきっと最後になるだろう

 

ライト「ごめんね、先生。俺、夢を本気で叶えに行くから」

ジュンコ『………』

ライト「だからアイツらに言っといて、『ざまぁ見ろ』って」

俺は、小学生の時に、俺の夢をバカにしたヤツらを思い浮かべた

 

ジュンコ『どうやら、貴方は少し早めの卒業みたいね』

ライト「……」

ジュンコ『ライト君、卒業おめでとう。行ってらっしゃい!』

ライト「あぁ、行ってきます!」

俺は受話器を置くと、涙を必死に堪えた

 

カズマ「よし!じゃあ行くか!ライト」

ライト「うん、夢を叶える為に」

 

ここから俺達の壮絶な物語が始まった

 

 

???「お兄ちゃん、あの人って」

???「あぁ」

とうとうアイツも覚醒したか

さて、お手並み拝見、腕試しと行くか

 

 

旅に出てから約一週間、俺達は、またしても人間の仕業でわないであろう怪事件の真相を確かめく、ハナダシティに足を運んだ

 

カズマ「車やトラックが何者かに破損されていたが、破損の仕方に違和感があり、とても人間の仕業ではない。また、発見当時、証言者によれば車の周囲が雨が降った訳でもないのにずぶ濡れだったという」

ニュースをひと通り読んだ叔父さんは、悔しそうな表情をしていた

 

今回の被害も多数、中には乗車中に被害にあった車もあったらしく、死傷者も続出している

これもきっと、いや、絶対ポケヤミーの仕業だ

絶対に許さねぇ

 

俺らは、まず情報収集のため、町に出た

これといった有力の情報は手に入らなかったが、一つ気になる情報は手に入った

 

「北西にある「名無しの洞窟」から奇妙な叫び声が聞こえるらしいんです。『ガーーメーー!』って」

ライト「名無しの洞窟?」

「えぇ、誰も入ったことがなくて名称も特にないらしいんです」

オシャレなマダムにお礼を言うと俺達はその「名無しの洞窟」に行ってみることにした

 

〜名無しの洞窟〜

真っ暗の洞窟の中、俺達は着々と奥に進んでいた

とある話をしながら

 

ライト「え!?父さんの事知ってるの?」

カズマ「そりゃー知ってるさ、ユイのお姉さんの旦那さんだ、意外と親しかったんだぞ?」

ライト「知ってるなら教えてくれ、父さんがどんな人だったのか」

カズマ「…お前の父さんは偉大な人だった。俺がポケモンの研究を始めたのも、あの人がきっかけだ。なんせ、あの人こそがポケモン研究の第一人者だからな」

ライト「そうなんだ…」

カズマ「だがある時、突然としてお前達親子を置いて家を飛び出した。ライトはまだ一歳にも満たない子供だったのに」

悔しそうに語る叔父さん、なんだか可愛そうになって、背中をさすった

 

カズマ「ふふっ、今のお前をあの人が見たら、驚くだろうなぁ」

ライト「いつか、会えるかな?」

カズマ「…会えるさ、お前が会えるって信じていたらな」

そんな話をしていたら、目の前から足音がしたのに気づく

どし、どし、っと重たい感じだ

 

『俺様の住処に勝手に入った愚か者は…、お前らか?』

洞窟の暗さでよく見えないが真っ赤な眼だけは気づいた

ポケヤミーだ、今度のは亀のような見た目で、両肩から大砲の様なものが生えている。

 

『俺様は『カメックス』、人間が俺様に何の用だ?』

ライト「お前を倒しに来た!ポケヤミー!」

『俺様を倒すだと?馬鹿な真似を、お前、死ぬぞ?』

ライト「やってみなくちゃ、わかんねぇだろっ」

 

俺は《メガドライバー》と《メガリング》を使い仮面ライダーバーサに変身した

 

ライト「変身!」

 

バシャーモ!!

ババッバッバッバッバッバッバッバシャーモ!

バッバッバシャーモ!!

 

ライト「熱き炎の戦士!仮面ライダーバーサ!!」

どうやらこのセリフは俺の口から勝手に出てくるらしい

 

俺は変身した直 直後にカメックス・ヤミーに向かって飛び出した

足元の風が遅れて追いかけてくる

 

ライト「ニトロチャージ!」

俺は奴に強烈なアタックを浴びせたつもりだが、ダメージは少なかった

 

『ふっ!効かんな!』

奴は、空中で怯む俺に向かって、肩の大砲から大量の水を打ってきた

 

ライト「うわぁっ!」

身体は痛くないのに、力が入れずらい。まさか…

ポケモンにはタイプがあって、相性もある?炎は水に弱い。

ということは、この戦い、俺が圧倒的に不利

いや、でも炎が出ないとびひざげりなら!

俺は奴に向かって再び飛び出した

 

ライト「とびひざげり!」

俺が強力なキックを浴びせようとすると、奴は手足や頭を甲羅の中にしまって防御の体勢に入った

当然俺の攻撃が効くはずもなく、俺は弾き飛ばされた

 

カズマ「ライト!大丈夫か!?」

ライト「ちょっと、やばいかも…」

俺が倒れながら、奴に圧倒されていると、どこからともなく声がした

 

???「失せろ」

若い男の声が聞こえたが、次の瞬間俺の視界に驚くべきものが映っていた

 

身体の色は紫がかった白で腹から尻、尻尾の色が紫色の格好をし、後頭部から背中に繋がる臍の緒のようなものが気になった

 

???「聞こえなかったか、失せろと言っている」

背中を向けて、後ろ目で見下しながらそいつは言った。目の色は紫色だった

 

俺と叔父さんは、だいたい二、三メートル位後ろに下がった

少し離れても分かった。まさか、

 

ライト「もう一人の、仮面ライダー?」

俺は思わず声に出ていた

 

『貴様…何者だ?』

???「俺は仮面ライダーレジェン、伝説の戦士だ」

それがアイツとの出会いだった

 

 

仮面ライダーレジェンと名乗った男は、その場に立ち尽くしていた

 

『誰であろうと、俺様の敵ではない!』

奴は、肩の大砲を両方レジェンに向けて、水を放った

ものすごい水圧であっという間にこっちまで届いた

すると、

 

レジェン「サイコキネシス」

左手を前に出したレジェンがそう呟くと、レジェンの周りに辿り着いた水が、中に浮いたままでいた

 

『なっ!何っ!?』

レジェン「はどうだん」

すかさずレジェンは両手を自分の身体の右側に持ってきて、その手の中に変な球体を作り始めた。黒くて紫で、いかにも当たったらひとたまりもない様な

 

レジェン「ふっ!」

手の中で貯めていたものをやつに向かって放つとその球体はゆらゆらと揺れながら、奴に当たり、爆発を起こした

 

『なっ!この俺様が!こんな無様に!』

レジェン「トドメだ」

レジェンは自分のドライバー左側にあった黄色い箱のようなものを右側に移動させた

 

リード!

レジェンド!ヒッサーツッ!

レジェンドレジェンド!レジェンドレジェンド!

 

そして右側にあったボタンを右手で押すと、黄色い箱が再び左側に移動した。すると、中に入っていたであろうメガストーンの様なものが発光した

 

ミュウツー!

サイコブレイク!

 

レジェン「サイコブレイク!」

左手を前に出したレジェンは、奴に向かって何かを打った

レジェンが左手を大きく広げると、洞窟中が明るく光った

これは実態化した念波?が、無数に洞窟内に広がった

今度は左手をグッと閉じると、辺りに広がった念波は、弾丸の様に奴に向かって飛んで行った。念波は、奴の身体を貫きまくった

 

『ぐふっ!がはっ!』

もはや苦しむ声しか出ない奴は、全ての念波をくらうと、膝から崩れ落ち、爆発して消えていった

 

レジェンが爆発の中から飛んできた何かを掴むと、

「今回は収穫アリだな」と、言った

 

ライト「アンタ、一体誰なんだ」

単純な質問

でもどうしても気になった。何かこの人とは、近いものを感じる

レジェンはドライバーからストーンを取り出すと、変身を解いた

 

驚いた、さほど俺と年齢は変わらないだろう。白髪で黒い上着を着た青年がそこには立っていた

 

レジェン「お前が波山ライトか?」

俺の質問に答える前に、問われた。すると

 

???「お兄ちゃん〜!」

今度は俺よりかは年下の赤毛の女の子が走ってきた

 

レジェン「メグ、怪我はないか?」

メグ「うん、大丈夫!お兄ちゃんは?」

レジェン「俺の事は心配すんな」

メグ「えへへー」

見るからに仲のいい兄妹の様だ

 

カズマ「ホント、レンはそそっかしいからな〜」

続いて叔父さんが話に入り込む

 

レン「アンタにはゆわれたくないね」

カズマ「またまた〜、照れ屋なんだから」

見るからに仲のいい親子…

 

ライト「あれ?叔父さん、知り合い?」

カズマ「ん?あぁ、こっちの白髪の男の子が朝堂レン、でこっちの赤毛の女の子が朝堂メグ、二人は兄妹なんだ」

ライト「ん?朝堂?」

カズマ「そう、想像通りこの二人は、俺の実の息子と娘だ」

ライト「え、えぇぇ!」

これが、俺と彼らとの出会いだった

 

To be continued




次回予告

突然二人の目の前に姿を現した 朝堂レン、
その目的とは、そして夢を語るライト、夢を侮るレン。
交わる二つの意見がぶつかる
そして、ライトは新たな“進化”をする!

第三話「伝説の戦士 仮面ライダーレジェン!見参!」


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第三話「伝説の戦士 仮面ライダーレジェン!見参!」

登場人物プロフィールのコーナー
朝堂カズマ 38歳(自称35歳)
性別 男
趣味 ポケモン研究
好きな食べ物 ユイの手料理なら何でも
好きな女性の髪型 ユイと同じショートヘアー
夢 世間にポケモンの存在が知られること



俺達の目の前に突然現れた、謎の青年と少女、その正体は

 

カズマ「白髪の男の子が朝堂レン、赤毛の女の子が朝堂メグ」

ライト「ん?朝堂?」

カズマ「そう、想像通りこの二人は、俺の実の息子と娘だ」

ライト「え、えぇぇ!」

手で彼らを指しながら、叔父さんが紹介してくれた

すると赤毛の女の子、メグが俺のとこに駆け寄ってきた

 

メグ「よろしくね!ライト君!」

ライト「お、おう…」

メグ「へぇ〜、君が私たちのいとこね〜、なんか嬉しいな〜」

ライト「嬉しい?」

メグ「うん、だって私たちこれが初対面だし、想像よりもイケメンだし」

ライト「え?そ、そうかな〜」

俺が調子に乗っていると、白髪の青年、レンが俺に迫ってきた

 

レン「おい、俺の妹に手出す気じゃねぇだろうな?」

ライト「ま、まさかまさか」

赤い目を光らせてこっちを真っ直ぐ見つめてくる

 

レン「まぁいい、それよりも、なんだあの戦いは」

ライト「え?」

レン「なんだったんださっきのポケヤミーとの戦いは!」

ライト「あ〜いや、あそこから挽回するつもりだったんだけど…」

レン「ふっ!お前では無理だな」

ライト「なっ!何を!?」

レン「だってそうだろう、メガシンカの力があるにもかかわらず、あんな無様な戦いをして、恥ずかしくは無いのか?」

ライト「仕方ないだろ!あれが二度目の戦いなんだったんだし」

レン「ではお前は、言い訳をしてまで負けは認めないのか?」

ライト「そ、それは…」

呆れたレンは叔父さんの所に歩いていった

 

レン「親父、今すぐこいつを仮面ライダーの座から引き剥がせ」

ライト「なっ!」

レン「こいつに世界を守る資格は無い」

カズマ「どうしてそう思う?」

レン「あいつは自分の力を過信し過ぎている、あのまま仮面ライダーをやって死ぬより、家で平和に暮らしていた方がやつの為だ」

ライト「俺は別に…!」

振り返ったレンが、俺を睨んだ

 

レン「では試してみるか、俺と、お前で」

ライト「あ、あぁ!望むところだ」

俺と、レンの間にはどうやら大きな壁があるようだ

 

 

少しだけ場所を変え、開けた場所に俺達は移動した

 

カズマ「ライト、気をつけろよ、あまりレンを甘く見るな」

ライト「分かってる、さっきのでよーく分かった、アイツは強い。だからこそ、負けられない」

 

メグ「お兄ちゃん、あんまり厳しくしないであげてね」

レン「それは俺の勝手だ。あいつを見極めるのは俺だ。とりあえず、危ないから下がってろ」

メグ「はーい」

 

俺とレンは少し離れて向かい合うように立った

俺は懐からドライバーとバシャーモナイトを取り出して

ドライバーを腰に当てた

 

メガドライバー!

 

バシャーモナイトをメガドライバーにセットする、この時何か掛け声がほしいな…。そうだ!

 

ライト「行くぜ!相棒!」

 

セット!メガシンカヘンシーン!

メガシンカメガシンカ!メガシンカメガシンカ!

 

俺はお決まりの変身ポーズを決め、叫ぶ

 

ライト「変身!」

メガリングのキーストーンを押し込む

 

バシャーモ!

ババッバッバッバッバッババシャーモ!バッバッバシャーモ!!

 

ライト「熱き炎の戦士!仮面ライダーバーサ!!」

ついでに!

 

ライト「燃えるぜ!」

俺は仮面ライダーバーサに変身した

 

レン「それが仮面ライダーバーサか、メガシンカを司る戦士。なら俺は、伝説を司る戦士だ!」

レンは懐から黒と黄色のドライバーを取り出し腰に当てた

 

レジェンドライバー!

 

メガドライバーと似たような電子音声が流れた

続いて、薄いパープルのメガストーンを取り出した

 

レン「ミュウツー、俺に従え」

そしてそのメガストーンをドライバーの右側にある穴に入れ込んだ

 

ドロップ!

 

続いて左側にあった小さな箱を右側にスライドした

 

リード!レジェンドヘンシーン!

レジェンドレジェンド!レジェンドレジェンド!

 

右手を前に出し俺を睨みつけた

 

レン「変身」

その右手を大きく回すと、右側にあったボタンを押した、すると右側にあったメガストーンが小さな箱に移り、箱も左側に移動した。つまりメガストーンの動きがL字に動いたことになる

 

ミュウツー!

ミュウ!ツー!ミュウ!ツー!ミュウ!ツー!ツー!

 

俺と同じ様に、身体の周りに球体が現れると、レンの身体に変化が起こった

 

レン「ふんっ!」

力を解放したレンは仮面ライダーレジェンに変身した

 

レン「伝説の戦士、仮面ライダーレジェン!」

とてつもないオーラを放ち、俺の前に立ち塞がる

 

レン「さぁ、伝説の始まりだ」

 

 

変身した二人が対峙し、空白の時間が生まれた、洞窟内は静かで落ち着かなかった

 

ライト「はっ!」

先に仕掛けたのはライトだった。膝を前に出し、攻撃の体制に入る。

 

ライト「とびひざげり!」

レン「ふんっ!」

攻撃を受けたレンだが、ダメージは少ない

 

ライト「くそっ」

距離をとったライトはレンの周りを旋回し、レンの様子を伺っていた

 

ライト「はっ!ニトロチャージ!」

岩場の隙間から燃えながら回転して攻撃を仕掛ける、が。

 

レン「サイコキネシス!」

ライト「うっ!」

ライトの動きが完全に止まり、中に浮いた

 

レン「サイコカッター!」

その中に浮いたライトに向かってレンが尻尾を凪いて三日月型の閃光斬を放った

 

ライト「ぐわぁ!」

それが命中したライトは地面に仰向けになった

この状況、ライトが押されている

 

 

くっ!こいつ、強い!

並のパワーだけじゃない、戦術やパターンの見極め、全てにおいて強い!正直、ちょっとやばいかも

 

 

ふんっ、弱いな。パワーはそこそこだが、技が少ないし、しかもそれを使いこなせていない。これじゃ、俺には勝てない

 

レン「お前、いつから旅に出た?」

ライト「…一週間前位からだ」

レン「そうか…。俺は…俺達は、五年前からだ」

ライト「五、五年前?」

レン「そうだ、お前はここ最近になってポケヤミーの存在を知ったから知らなかっただろうが、既に五年前からポケヤミーはこの地に現れるようになった。そこから謎の怪事件が多発するようになった」

ライト「そ、そんな…」

レン「俺達はできる限りの努力をして、世界を守ってきた。だが、救えなかった命だってある。とても儚い生命」

ライト「…」

レンが俺の胸ぐらを掴んだ

 

レン「お前背負えるか?その責任を、力を持った者の末路を」

ライト「俺は…」

レン「……くっ!」

乱暴に胸ぐらを離したレンは俺に背を向けた

 

レン「お前は何のために仮面ライダーになった」

ライト「…え?」

レン「お前は何のために仮面ライダーになったと聞きている!」

声を荒らげてレンは叫んだ

 

レン「何のために故郷を離れ!親元を離れ!奴らを倒す!」

ライト「何の、ために…」

レン「現実はとても残酷だ!お前一人の力だけではどうにもならん!答えろ!波山ライト!!」

ライト「……夢の、為だ」

一呼吸置いて俺は答えた、レンの表情が一層強ばった

 

レン「夢…だと?」

ライト「そうだ、俺は俺の夢の為に旅立った」

レン「……」

ライト「俺の夢は、ヒーローになること!それだけの為に戦ってる」

レン「くだらないな」

ライト「……!」

レン「そんなくだらない夢の為に、お前は他人の命を亡き者にしようとしているのだぞ?」

ライト「そ、そんな事…」

レン「そんな事あるんだよ!夢の為に戦うと、そういう事になる!だから夢を持つやつは弱くなる!夢は人を弱くするだけだ!」

ライト「違う!!夢は人を強くする!」

レン「いいや、夢は人間が生んだ枷でしかない。かつて、俺がそうだった様に…」

ライト「え?」

ライトはその言葉を聞き逃さなかった

 

レン「そして俺は分かった。強くなる為に何を求めるべきか。簡単だった。それは“力”だ!」

ライト「力?」

レン「そうだ、力こそが俺の全てだ!」

ライト「……」

レン「そして俺は手に入れた、伝説のポケモンの力を、世界を守れる力を!」

ライト「じゃあお前はその“力”の為に旅をしているのか?」

レン「…そうだ」

ライト「本当にそれだけか?」

レン「何?」

ライト「確かに俺は夢の為に旅立った。だけど、奴らと戦って、奴らが憎いと思った。死んでしまった全ての命を尊く思った」

レン「……」

ライト「そこまで世界を守りたいと思う“理由”があった。お前にもそういうのがあったんじゃないのか?」

レン「…なにが、言いたい?」

レンの表情は強張る一方だった

 

ライト「お前が世界を守る“理由”が他にもあるんじゃないのか?世界より、例えば、家族を守ろうと…」

レン「うるさい!それ以上何も言うな!!」

レンはライトに顔を向けると同時に、ドライバーのメガストーンが入った箱を右側にスライドした

 

リード!レジェンドヒッサーツッ!

レジェンドレジェンド!レジェンドレジェンド!

 

ライトは立ち上がり、メガリングのキーストーンを押し込んだ

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

メガシンカメガシンカ!メガシンカメガシンカ!

 

レン「どうやら俺とお前は、戦うことでしか、分かり合えないようだな」

レンは右側のボタンを押し込んだ

 

ミュウツー!

 

ライト「……っ!」

ライトはキーストーンを再度押し込んだ

 

バシャーモ!

 

レンは左脚を後ろに移動させ、脇腹の近くで左腕を上に、右腕を下に構えると、その中心で黒くも紫色にも見える、はどうだんにも似たものを生成させたしかし、今回のは大きい

 

ライトは逆に右脚を後ろに移動させ、脇腹の辺りで右腕を上に、左腕を下に構えると、その中心で紅くも橙にも見える炎の球体を生成させた

 

レン「サイコブレイク、バージョンII!ふっ!」

ライト「フレイムレディエイション!ハァァ!」

 

サイコブレイク!

フレイムレディエイション!

 

二人が両腕を前に出すと、レンは黒くも紫色にも見える球体を発射し、ライトは球体だったものをビームの様に伸ばした

それが二人のちょうど中間のところでぶつかり、凄い衝撃が洞窟内に走った

 

ライト「ハァァァァァ!!」

レン「………やはりお前は、俺には勝てない」

ライト「!?」

みるみるうちにレンの球体がライトに迫り、直撃した

 

ライト「うわぁ!」

ライトが吹き飛んだまま転がってきた

身体を起こしたライトはレンを睨んだ

 

レン「分かったか?これがおれの力だ、伝説のポケモン ミュウツーの力だ」

ライト「いや、まだ分からないね。お前の言う力も、夢の惨めさも」

レン「なんだと…」

ライト「覚えとけ!俺は、いかなる理由があろうとも、夢を諦めるつもりはないし、お前も認めない!夢の大切さを教えてやる!」

ライトは声を和らげて煽るように叫んだ

 

レン「くっ!……?」

すると、レンの懐から一つのメガストーンが飛び出し、ライトの目の前に浮いた

 

レン「それは、さっき倒したポケヤミーのメガストーン!?」

メガストーンが光り出すと同時に殻が破かれ、封印が解けた

 

ライト「カメックス、ナイト?」

レン「まさか、お前の屈しない心。いわば、甲羅のように硬い精神がカメックスナイトの封印を解いたのか?」

 

ライトはバシャーモナイトをドライバーから取り出すとカメックスナイトをドライバーにセットした

 

セット!メガシンカヘンシーン!

メガシンカメガシンカ!メガシンカメガシンカ!

 

ライト「フォルムチェンジ!」

ライトは左腕を前に構え、キーストーンを押し込んだ

 

カメックス!

カ!メ!カ!メ! カーメックスー!

 

ライトの周りに球体が現れると、両腕に小さな大砲、背中に大きな大砲が装備され、背中や脚の側面に茶色の甲羅の模様のした物がくっ付いた。全身は前と打って変わって青色になり、少し短めのしっぽも生えた

 

ライト「はっ!」

力を解放し、レンに立ち塞がる

 

ライト「装甲の戦士!仮面ライダーバーサ!カメックスフォルム!!」

ライトは新たな進化をした

 

 

レン「まさか、ここで新たな進化をするとはな」

ライト「俺は、どこまでも進化し続ける!夢を叶えるまで!」

ライトはレンに向かって両腕を前に構えた

 

ライト「ハイドロポンプ!」

すると、両腕の大砲から大量の水が発射され、レンを攻撃した

 

レン「ふっ!くっ!」

レンが水圧に圧倒されていると、近づいていたライトに気づかないでいた

 

レン「何っ!?」

ライト「アクアテール!」

身体を回転して水の力が含まれた尻尾で攻撃をする

 

レン「くっ!」

レンが膝を着いた

さっきの戦いもあってか、体力が落ちていた。息が切れている

 

ライト「よし!これで決める!」

ライトはキーストーンを押し込んだ

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

メガシンカメガシンカ!メガシンカメガシンカ!

 

ライト「くだらない夢なんて、無い!」

レン「……!」

ライトはキーストーンを再び押し込んだ

 

カメックス!

タートル!バズーカ!

 

ライトの背中にあった大きな大砲がライトの頭の上まで移動し、レンに向かって方向を合わせた

両腕を前に構え、全大砲内に、エネルギーが溜まるのが見える

 

ライト「タートルバズーカ!はっ!」

三つの大砲から大量の水が発射され、レンを完全に飲み込んだ

 

レン「ぐわぁ!」

声だけが聞こえたが、ライトは勝利を確信していた、が

 

ライト「なっ!」

ライトの視界に映ったのは身体全身を包む程の大きさのシールドの中にいるレンの姿だった

 

レン「……」

シールドを解いたレンは瞬間移動し、ライトの目の前に現れた

 

レン「ふんっ!」

ライト「ぐっ!」

レンがライトに思いっきり腹パンをした

意識を失ったライトは変身が解け、倒れそうになった

しかしレンがそれを受け取り肩に担いだ

 

レン「安心しろ、気絶させただけだ」

カズマ「わかってるよ」

メグが寝ているライトをつつきながら「大丈夫〜?」とやっている

 

カズマ「どうだった?ライトは」

レン「ふ!弱いな、まだまだ」

カズマ「ほんとにそうか?」

レン「……この短時間で新たな進化をした事は褒めてやる、だが、こいつはまだまだだ」

カズマ「ふっ」

レン「何を笑ってる?」

カズマ「いや、ライトの言うことも一理あるだろ?家族の為にか…」

レン「うるさい、俺は別にあんたの事なんかどうだっていいね」

カズマ「はいはい、分かってるって。これからどうするんだ?」

レン「……」

レンは俺に一つの提案を出してきた

 

 

眩しい陽の光が、起きようとする俺の目を再び閉ざす

それでも目を開けると、目の前には

メグの顔面があった

 

メグ「わぁー!起きたぁ!」

ベッドから降りたメグは、叔父さんとレンを呼びに行った

どうやら俺は朝まで病院で眠っていたらしい

 

カズマ「大丈夫か?ライト。すまんなうちの息子が、少し乱暴にしすぎた」

しばらくして、叔父さんとメグが戻ってきた

 

ライト「大丈夫、でもこれでよーくわかった。俺も、まだまだだな」

カズマ「そんなことない、レンをあそこまで圧倒したのには本人もびっくりしたと思うぞ」

ライト「いや、俺はまだまだ進化できる。その可能性を感じさせてくれた。あいつには感謝してる」

今では戦いの疲れも抜けて、清々しい気分だった

 

ライト「そういや、レンは?」

カズマ「あぁ、あいつなら…」

レン「今戻った」

ドアが開く音と共にレンが入ってきた

 

ライト「レン…」

レン「起きたのか、だったらすぐに出発の準備をしろ」

ライト「え?」

レン「お前の旅に付き合ってやる。お前一人じゃ、親父がいつ死ぬか分からなくなるからな」

ライト「なっ!」

カズマ「まあまあ二人とも、喧嘩はその位で。というわけでライト、新しく旅のお供になったレンとメグだ、よろしく頼むな」

メグ「よろしくね!ライト君!」

レン「せいぜい脚は引っ張るなよ」

ライト「お、おう」

俺たちの旅に新たな仲間が増えた

 

 

ライト「だから!このカメックスナイトは俺が認められたんだから、俺の物だ!」

レン「いいや、俺が倒したポケヤミーからドロップしたものだ。つまりこれは俺の物だ」

メグ「コラ二人ともー!喧嘩はやめなさーい!」

あの日から四人で旅を初めた僕達、これはまた

 

カズマ「楽しくなるな〜」

ライト・レン・メグ「「「楽しくない!」」」

これはまた、仲のいいいとこだ

 

 

「はっ……はっ……」

夜の森を一人の少女が走っていた。その手にはメガストーン

 

「…どうやら逃げ切れたようですね、【彼ら】から」

再び駆け出す少女、その頭上には月が輝いていた

 

To be continued




次回予告

四人での旅を始めたライト達、道中にある館に忍び込むと
そこには幽霊が!?
そして現れる一人の謎の少女、そして
メグが仮面ライダーに変身!?

第四話「恐怖の館と謎の少女」


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第四話「恐怖の館と謎の少女」

登場人物プロフィールのコーナー
朝堂レン 15歳
性別 男
趣味 料理
好きな食べ物 アラビアータ
好きな女性の髪型 三つ編みロング
夢 ???


俺達は旅をやってる際、寝泊まりはテントで行っている、だから朝もテントから透けた日光で起きるし、朝ごはんはレトルトの…

あれ?なんだこのいい匂い

テントを開けて外に出るとレンが朝食の準備をしてくれていた

しっかり四人分

 

ライト「お前、料理出来たんだな」

レン「朝イチの挨拶がそれかよ、とりあえず、顔洗って着替えて来い」

ライト「お、おう」

俺は近くの水道で顔を洗い、寝間着から私服へと着替えた

レンの所に戻ると、眠そうな叔父さんと元気そうなメグがいた

改めて全員におはようの挨拶をする

レン以外は返してくれた

 

ライト「いただきます」

一口食べてわかった

あ、これ美味いやつだ

 

ライト「美味い」

思わず声に出てしまった

 

カズマ「ん〜、相変わらずの腕前だな」

メグ「んふ〜おいひい〜」

レン「ん」

意外だ、いつもつんつんしているレンだが、こんな家庭的な一面があったとは

 

レン「おい」

ライト「ん?」

急にレンが俺を睨んできた、なんだ?

 

レン「貴様…なぜピーマンだけ避けて食べている…」

ライト「あっ…」

レン「好き嫌いするなぁ!」

ライト「う、うわぁぁぁ」

包丁を持って迫ってくるレン、これこの間より怒ってないか?

 

メグ「お兄ちゃん…私、ピーマン、食べれない…」

レン「そうか、なら残していいぞ」

は?

 

メグ「ありがとう、お兄ちゃん…。あと、人参とグリンピースも…」

レン「うんうん、気にするな。好きな物を好きなだけ食べろ」

まさか、こいつ…

シスコン?

 

カズマ「レン…すまん、俺もピーマンだけは…」

レン「は?ピーマンの一つも食べれないの?てゆーかあんた大人だろ?とっくの昔にアラサーになったオッサンだろ?野菜の一つも食べれないってどういうこと?どうせ毎日レトルトの食品ばっか食べてたんだろ?だからメタボ化が進むんだぞ?だから朝起きるのもいつも遅いんだろ?少しはそこら辺のこと考えてから好き嫌いしろよ」

カズマ「………はい」

うわー、精神的にくるやつだー

名ずけるなら、そう

 

メンタルブレイク!

 

レン「とっとと食え!八時には出発するぞ!」

カズマ・ライト「「はーい」」

俺達が嫌々食べてる横でメグだけは美味しそうに食べていた

 

 

俺達の次の目的地はシオンタウン、小さな町で霊園があるため、カントー地方の有名な心霊スポットでもある

ここ最近、おかしな怪奇現象と言うよりも、心霊現象が多発しているらしい

考えるだけでゾッとする

レン「なんだ貴様、ビビっているのか?」

ライト「な!別にそんな事ねぇし!」

レン「そうか?脚がガクガクしているが?」

レンがやたらと煽ってくる

 

メグ「そんなこと言って、お兄ちゃんも脚ブルブルだよ?」

よく見ると本当だった

 

レン「な!余計なことを言うなメグ!」

ライト「えへへー」

レン「なんだその顔は…」

ライト「いや〜、別に〜?」

レン「ふ!これはあれだ!前回の筋肉痛だ!決してビビっている訳では無い!」

すると突然雨が降ってきた。目的地まであと少しだと言うのに

 

カズマ「ひとまず、あそこの家で雨宿りしよう」

叔父さんが見つけた家と言うよりかは、館?に俺達は避難した

玄関の鍵は開いていた

 

メグ「結構降ったね〜」

メグが上着を叩きながら呟く

 

ライト「お邪魔します〜」

レン「ん?この家…」

カズマ「どうした?レン」

レン「いや、なんか異様な空気を感じる」

ライト「ん?そうか?」

俺達はこの館を探索する事にした

一階はロビー、トイレ、書斎、キッチン、浴槽場などがあった

二階に通じる階段もあって二階には寝室が沢山あった

しかもことベッド…

 

メグ「わ〜、ふかふか〜!」

レン「随分と手入れされてるな」

カズマ「誰か家主でもいるのか?」

俺達が探索した限り、そんな人は居なかった

 

カズマ「仕方ない、今日はここで寝泊まりしよう」

雨は強くなる一方だった

 

 

「はぁ…はぁ…」

森を駆ける一人の少女

雨の中を汚れながら走っていた

 

「あっ…」

地面からはみ出た木の根っこにつまづいて地面に転んだ少女は目の前にとある館がある事に気がついた

 

「だ、誰か…」

彼女の声は雨の音でかき消された

 

「助けて……」

 

 

ライト「ん、ん〜」

大きく寝返りしたライト、普段の疲れもあってか、すぐに眠りにつくはものの、寝付けが悪いようだ

 

ライト「ん?今何時だ?」

ベッドから体を起こして時計を確認する

時刻はまだ夜の正午を過ぎたところだった

 

ライト「はぁ、水飲も」

同じ寝室で寝ていた叔父さんを起こさないように、俺は部屋を後にした

ちなみに、レンとメグは別の寝室で寝ている

 

廊下にあった窓から大きな雨の音と、風でガタガタいっているのがわかる

 

階段を降りて、正面にある玄関をちらっと見る、もちろん誰もいない

 

角を曲がって突き当たりにあるキッチンの食器棚にコップの存在を確認する

 

キッチンの電気を付けて、コップに水を入れる

 

「助けて…」

 

え?今何か…

廊下を覗くが、誰もいない

気のせいのようだ

 

俺は水を飲み切ると、コップをシンクに置き、電気を消して、廊下に出て、さっきの角を逆に曲がる

 

俺は、再び玄関をちらっと見る

 

すると、なんという事だろう

 

外に人影が見えた。人のシルエットがいかにも玄関を開けようとしていた

 

ガチャ、キィー

と、音を立てて玄関が開いた

 

???「助けて…」

身体を右半分はみ出した女性がそう呟く

女性の顔はは雷の逆光で見えなかった

 

これは間違いない

 

ライト「うわぁぁぁ!でたぁー!」

幽霊だあああ!!

 

???「食べ物を…」

え?

 

???「何か…食べ物を…ください…」

そう言うと、女性、というより少女がその場に倒れてしまった

白いワンピースを着て、長い明るい金髪の少女

 

これが、俺と、彼女の出会いだった

 

 

???「ありがとうございます…」

レン「即興で作った物だから、口に合うかわからんが」

???「いえ、とても美味しそうです…」

俺の叫び声を聞いて、他の皆が起きてきて彼女を介抱してくれた

 

???「とても美味しいです」

レン「そうか」

少女はレンが作った即興サンドイッチを美味しそうに頬張っていた

きっと、しばらく食べれていなかったんだろう。少し多めにあったサンドイッチも全部食べてしまった

 

???「ありがとうございます…皆さん」

レン「じゃあ、説明してもらおうか?」

???「え?」

レン「どうしてこの時間帯に、この館に、なんの目的で来たんだ?」

メグ「ちょっとお兄ちゃん!そんな威圧的に言っちゃダメでしょ!」

ダメ出しされたレンは少し寂しそうだった

 

メグ「まずは自己紹介ね!私はメグ!この白衣のおじさんが私のお父さんで、この白髪の男の人が私のお兄ちゃん、そしてこの男の人がいとこのライト君だよ!あなた、名前は?」

丁寧に自己紹介してくれたメグ、少女は一呼吸置いてから呟いた

 

???「私の名前は「メガミ」と言います」

レン「女神だと?ふざけているのか?」

メグがレンを睨む、すぐにレンが黙る

 

メグ「そっか!じゃあよろしくね!メガミちゃん!」

 

しばらくして、メグを中心に、メガミとは話せるようになり、いよいよ本題に入った

 

レン「で?どうしてこの館に?」

メガミ「私、探している人がいるんです、その人を探す為に、私は遠くから旅をして来ました」

レンを真っ直ぐ見詰めるメガミ、きっと本心であることを信じてもらいたいんだろう

しかし俺には、その言葉に多少の嘘が混じっている風に思えた

 

カズマ「なんの為に、そこまでやるんだ?僕達がいなければ、きっと君は今頃…」

メガミ「わかっています、危険な事くらい。ですが、命を張る価値のあることだと、私は信じています」

ライト「一体それはなんなんだ?君が命を張る理由って?」

メガミ「…世界を、救う事です」

他の四人は、耳を疑った。この子、今一体なんて?

 

レン「それは一体どういうことだ?」

レンは確認のつもりでメガミに問いただした

 

メガミ「それ以上は、言えません…。ごめんなさい…」

メガミはそれきり黙ってしまった

 

雨は止んでいた

時計を見ると夜の2時をちょうど指していた

すると

 

すごく近いところから、何処かの家が崩れたような音がした

木板が破壊されたような音、俺達の上から

 

レン「二階だ!」

俺達は急いでその館からの脱出した

 

玄関から外に出てすぐに二階部分を目視する

すると、砂埃が屋根からたっていた

 

『人間が吾輩の屋敷に立ち入るな!』

濁った声、ポケヤミーの声だ

頭上を見ると、月に重なり、逆光でよく見えなかったが、明らかに人間ではないシルエットが浮いていた

 

『吾輩は、ヨノワール。この屋敷の支配人なり!』

レン「やはりあの異様な空気、ポケヤミーか」

ヨノワール・ヤミーの見た目は、足のない幽霊のようで、いとつ目だったが、その目はやはり紅い

腹部には黄色いギザギザの亀裂に発達した腕があった

 

『吾輩の屋敷に無断で入ったことを後悔させてやる!ゆけ!吾輩の下僕、ヨワマル!』

そう言うと、ヨノワール・ヤミーは腹部にある亀裂を開き、その中から大量のヨワマル・ヤミーを生み出した

ヨワマル・ヤミーはドクロの仮面のような頭部で同じく紅いひとつ目、短い手を後ろで交差させている

 

メガミ「な、なんですか!?あれは!」

ライト「あれはポケヤミー、闇に染まったポケモンだ!人間を襲う!」

メガミ「ポケモン…?それって…」

カズマ「とにかく、俺と一緒に安全な場所まで避難するんだ」

メグ「そうそう、ここは私達三人でどうにかするから!」

ライト「あぁ!だから叔父さんと大人しく…って、え?三人で?」

レン「ん?言ってなかったか?」

俺が疑問に思っていると、メグは懐からレンと同じドライバーを取り出し、腰に当てる

 

レジェンドライバー!

 

メグ「私だって変身出来るんだよ?」

メグはそう言うと、先に小さい箱を右側にスライドさせた

 

リード!

 

メグ「ただし私は、幻を司る戦士だけどね!」

メグはピンク色のストーンを取り出し、胸の前で構える

 

メグ「行くよ、ディアンシー」

メグはストーンをドライバーの穴に入れ込んだ

 

ドロップ!レジェンドヘンシーン!

レジェンドレジェンド!レジェンドレジェンド!

 

目を閉じ、手で三角を作り、胸の前まで下ろしてくる。

次に目を開ける

 

メグ「変身!」

 

左手を腰に置き、右手でドライバーのボタンを押す

 

ディアンシー!

ディ!ディアン!ディ!ディアン!ディアンシー!

 

俺達と同じく、メグの周りに球体が現れ、下半身が黒のタイツを履いたようになり、膝と足首にピンク色の装飾、上半身は白い短いドレスを着たようになり、首元には大きめのネックレス

頭部は、ピンクのキラキラしたものが髪のようになり、額には大きい丸型の宝石?が飾ってあった

 

メグ「幻の戦士!仮面ライダービジオン!」

メグは仮面ライダーへと変身した

 

 

メグ「ほら!二人も変身して!」

俺の前で、驚くべき変身を遂げたメグは俺達を先導した

 

ライト「あ?あぁ、変身!」

レン「変身」

 

バシャーモ!

ババッバッバッババッババシャーモ!バッババシャーモ!

 

ミュウツー!

ミュウ!ツー!ミュウ!ツー!ミュウ!ツー!ツー!

 

ライト「熱き炎の戦士!仮面ライダーバーサ!!」

レン「伝説の戦士、仮面ライダーレジェン!」

『なっ!貴様ら!仮面ライダーか!?』

ライト「へへっ、燃えるぜ!」

レン「さぁ、伝説の始まりだ」

メグ「これが本物の幻よ!」

俺達仮面ライダーの三人は、大量のポケヤミーに立ちはだかった

 

カズマ「見えるか?メガミ、あれが仮面ライダー。世界を守る者達だ」

メガミ「あれが、仮面ライダー…。世界を守る、【英雄】…」

メガミは戦う仮面ライダー達に心を奪われていた

 

メガミ「私が…探し求めていた人達…」

メガミの持つメガストーンが激しく共鳴していた

 

To be continued




次回予告

大量のポケヤミーの立ちはだかるライト、レン、そしてメグ
三人の力がここに集結!
幻を司る戦士、ビジオンが大活躍!&レジェンが新たな力を披露!&バーサが新たなる進化!
そして、謎の少女「メガミ」の正体とは…

第五話「幻の戦士 仮面ライダービジオン、参戦!」


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第五話「幻の戦士 仮面ライダービジオン、参戦!」

登場人物プロフィールのコーナー
朝堂メグ 13歳
性別 女
趣味 天体観測
好きな料理 オムライス
現在の髪型 三つ編みロング
夢 ???


ライト「まさかメグまで変身できたなんてな!」

メグ「うん!私は幻のポケモンっていう凄く珍しいポケモンの力を使えるんだ!」

レン「ぼそっとするな!来るぞ!」

次の瞬間、大量のヨワマル・ヤミーが襲いかかって来た

 

ライト「とびひざげり!」

俺は向かって来た一匹のヨワマルに蹴りを入れた

だが攻撃はカスる、と言うよりかは全く手応えがない

 

レン「馬鹿が!ゴーストタイプのポケヤミーにかくとうの技が効くはずがないだろ!」

ライト「え?そ、そうなのか!?」

レン「いいか、ゴーストタイプにはノーマルとかくとうの技は効かん!それ以外の技にしろ!」

ライト「わ、わかった!」

 

続いて向かって来たヨワマルに今度はこの間覚えたばっかの技を叩き込む、パンチが弱い分、炎の力を得たパンチ、名ずけて

 

ライト「ほのうのパンチ!」

俺の燃えた拳が直撃したヨワマル、爆発はせずに、その場で消滅した

 

ライト「おぉ、これは良い!」

ライトはその調子で次々にヨワマルを倒して行った

 

一方レンは、以外にも苦戦していた

 

レン「くそっ」

俺の技はエスパー技がほとんどで攻撃には特化していない

サイコブレイクをすれば大量に殺せるだろうが、あれは体力の消耗が激しい

相手はゴーストタイプということは、効果ばつぐんのタイプは同じくゴーストタイプとあくタイプか

 

レン「あいつの力を使うか…」

俺はミュウツーストーンをドライバーから取り出し、懐から赤と灰色のストーンを取り出した

 

レン「イベルタル、俺に従え」

イベルタルストーンをドライバーの穴に入れ込んだ

 

ドロップ!

 

続いて、ドライバーの小さい箱、レジェンスロットを右にスライドする

 

リード!レジェンドヘンシーン!

レジェンドレジェンド!レジェンドレジェンド!

 

レン「フォルムチェンジ!」

俺が右側のボタンを押し込むとレジェンスロットにイベルタルストーンが移動し、レジェンスロットが左にスライドした

 

イベルタル!

イ!べ!ル!タ!ル!イベルタルー!

 

俺の周りに球体が現れ、背中は真っ黒に、首元には灰色のマフラーのようなもの、両腕の内側が真っ赤になり、両手が黒になり、爪が大きく発達する、腰から薄くて広い尻尾が生え、その先端から五本の黒い指のようなものが生える

脚も真っ赤になり、同じく黒い爪が生える

頭部からも、黒い触覚のような物が生える

 

レン「ふんっ!」

力を解放し心を落ち着かせる、コイツを操るには少し苦労をする

 

レン「破壊の戦士!仮面ライダーレジェン、イベルタルフォルム!」

俺は手を胸の前で交差させ、力を溜める

 

レン「バークアウト、はっ!」

俺を中心に黒いオーラが広範囲に広がり、それに当たったヨワマル共は消滅した

俺が求めるのは、いつだって“力”だ

 

 

ライト「レンの姿が変化した!?」

メグ「お兄ちゃんはこの五年の旅の中で、いくつかの伝説のメガストーンを手に入れてるんだ。あれはその力の一つなんだけど、ちょっと危険なんだよね〜」

ライト「危険?」

メグ「うん、かつて世界に破壊をもたらした、破壊の繭って呼ばれてたポケモンの力なんだけど、もしかしたらお兄ちゃん、暴走しちゃうかも」

ライト「……」

メグ「そうなったら、ライト君!お兄ちゃんを…」

ライト「アイツは大丈夫、絶対」

メグ「え?」

ライト「アイツはそんな“力”は求めてないはずだ、アイツの求めるの“力”ってのは破壊の力じゃなくて、守る力だ」

メグ「守る、力?」

ライト「あぁ、多分だけどな」

 

ライト君は笑っていた

不思議だった、ライト君を見てると、何故だかそういう風に感じてしまう

そうだよね、お兄ちゃんは絶対大丈夫

私は自分に頷くと、向かってくるヨワマルに技を仕掛ける

 

メグ「パワージェム!」

不思議な色の岩が空中に現れると、そこからビーム状の物が何体かのヨワマルに直撃し、ヨワマルは消滅していく

 

メグ「まだまだ!ムーンフォース!」

私は、綺麗な月を見つめ、その形を想像する、それを具現化し、それを相手に放つ、それに直撃したヨワマルも次々に消滅した

いつの間にか、放たれたヨワマルは全滅していた

 

ライト「す、すげー」

メグ「エッヘン!どんなもんよ!」

『お、おのれ…仮面ライダー共め…』

ヨノワールは悔しそうにしている

 

ライト「どうだ!これが俺達の力だ!」

『くっ!ふっ、だがこれではどうだ?』

するとヨノワールは指をクイッとし、すると、茂みの中から生き残っていたヨワマルとそれに捕まったメガミがヨノワールの側まで行った。メガミは必死に抵抗している

 

ライト「メガミ!」

カズマ「す、すまんライト、ちゃんと隠れていたはずだったんだが…」

茂みからボロボロになった叔父さんが出てきた

 

『さぁ!どうするのだね?仮面ライダー共よ!』

煽るヨノワールに俺達は、歯を食いしばる事しか出来なかった

 

 

少しだけ時間は遡り───

メガミ「私が…探し求めていた人達…」

メガミがそんな事を言った

 

カズマ「え?今なんと?」

俺が質問しようとしたところ、メガミがワンピースのポケットから何かを取り出したそれを見ると、驚く事にメガストーンだった

 

メガミ「見て下さい!あの人達が仮面ライダーですよ!」

メガミはそのメガストーンを手のひらに乗せ、そのストーンにライト達を見せるように話しかけた

 

カズマ「そ、それは!」

メガミ「これは私が持っていたストーンですが、ここに来るまでに、こんな灰色に変色してしまって」

カズマ「き、君は一体、誰なんだ?」

メガミ「私の名前は「メガミ・アリス・クラット」、この時代から、約五百年先の未来から来ました」

カズマ「五百年後の、未来から…。ん?」

メガミ「?どうされました?」

カズマ「メガミ!後ろ!」

メガミ「え?」

『ヒョヒョヒョヒョ』

メガミの後ろにはヨワマルがいた

 

『ヨ〜ワ〜』

言葉は発していない、知性はないのか?

ヨワマルはメガミを掴んで捕まえようとしているようだった

 

メガミ「わ!きゃぁ!」

カズマ「や、やめろ!」

俺はメガミとヨワマルを引き剥がそうと試みる

 

カズマ「この子から、手を離せ!」

『ヨワーー!』

カズマ「ぐはぁ!」

それ故に、奴の攻撃を避けることは出来なかった

 

メガミ「カズマさん!」

『ヨ〜ワ〜』

ヨワマルはメガミを掴んだまま、茂みから飛び出した

 

必死に伸ばした手は、届かなかった

 

    

 

『さぁ!どうするのだね?仮面ライダー共よ!』

ライト「くっ!」

下手に攻撃を仕掛けると、メガミが危ない

かと言ってやつを倒す方法が見当たらない

だったらどうやって彼女を救う?

 

ライト「くそ!」

俺は地面を叩きつけ、荒れていた

目の前に救える命があるのに、俺は地面に膝をつけて、ひれ伏しているだけだ

これが本当にヒーローと言えるのか?

だが、どんな方法を思い付いても、最悪の最後になる

怖いんだ、単純に

誰かを失うのが、怖いんだ

これ以上、誰かが苦しむ姿を見たくない!

だからこそ!

 

そうだ、だからこそ救うんだ

どんなに危険でも、どんなにリスクを負っても、それでも救う

それが本物のヒーローなんだ

それが、俺に課せられた試練なんだ

だから俺は…

 

俺は立ち上がり、ヨノワールを睨む

 

ライト「救ってみせる!」

メグ「…ライト君。……?」

ライト「俺は今まで怖がっていた。だが、わかった」

メグの懐が光り出す

 

メグ「あれ?このストーンって…」

ライト「恐れ戦くのは、ヒーローじゃない!」

メグの懐がさらに光る

 

メグ「わぁ!」

ライト「だから俺は恐れない!救ってみせる!」

輝くストーンがメグの懐から飛び出すと、封印が解かれながら、俺の目の前まで来た

 

紫色と赤色のそのストーンを俺は掴んだ

 

メグ「それ!私が倒したポケヤミーのストーン!」

ライト「悪いなメグ!ちょっと借りるわ!」

俺はメグの意見も聞かず、ドライバーからバシャーモナイトを取り出し、持っているストーンをはめる

 

セット!メガシンカヘンシーン!

メガシンカメガシンカ!メガシンカメガシンカ!

 

待機音が流れるとすぐに俺は、キーストーンを押し込んだ

 

ライト「フォルムチェンジ!」

 

ゲンガ〜!

ゲンガ〜!ゲンガ〜!ゲンゲン!ゲンガー!!

 

俺の周りに球体が現れ、全身が濃い紫に染まると、額に目が現れ、

両手からは、噴き出したようにギザギザが飛び出し、背中もギザギザ、下半身は真っ黒だ、まるで影のように

 

ライト「幻影の戦士!仮面ライダーバーサ!ゲンガーフォルム!」

『な!なんだその姿は!』

ライト「…燃えるぜ!」

俺はお決まりのセリフを言うと、技を切り出す

 

ライト「ふいうち!」

俺は地面、と言うより影に隠れた

 

『な!どこだ!何処え行った!』

ライト「ここだ!」

俺はヨノワールの真後ろの影から飛び出した

 

ライト「シャドーパンチ!」

俺は無防備なヨノワールの背中に闇を纏ったパンチを繰り出した

 

『ぬわぁぁぁ!』

思ったよりもダメージはあるようだ

 

メガミ「ライトさん…」

ライト「待ってろメガミ、すぐ終わる」

 

俺は奴に近づく、悶えている奴の姿が見える

 

『お!おのれ!おのれ!』

ライト「メガミを返してもらうぞ!」

 

俺はキーストーンを二回押し込んだ

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

ゲンガ〜!

カース!ストライク!

 

ライト「カースストライク!」

右腕のギザギザが倍以上の大きさになり、思いっきり奴を殴った

 

『ぬわぁぁぁ!』

奴は爆発し、悲鳴を上げながら消えていった

俺は、本物のヒーローになれるのだろうか

 

 

メガミ「ライトさん!」

ライト「メガミ…」

メガミ「ダメですよ!こんな無茶しては!」

ライト「あはっ、はははは」

メガミ「なんですか!」

ライト「いや、これが本当の君だろ?」

メガミ「?、なんのことです?」

ライト「君を見てわかったんだ。君は、ポケヤミーに連れ去られているにも関わらず、恐怖の表情が無かった。だから、俺も負けられないって思ったんだ」

メガミ「ライトさん…」

ライト「君は本当は、気が強い人だったんだね」

メガミ「はい。その事で、皆さんに話さなくては行けないことがございます」

 

少ししてからメグや叔父さんが来た

 

メグ「良かった〜、メガミちゃん無事で〜」

カズマ「本当だ。しかし、また新たな進化をするとわな」

メグ「きっと、ライト君の恐れない気持ちが、ゲンガーの心に響いたんだよ!」

カズマ「あぁ。そういえば、レンは?」

ライト「あれ?そういえば…」

 

レン「うおぉぉぉぉぉぉ!」

俺達のすぐ近くで砂埃が舞い、その煙の中には、イベルタルフォルムのレンがいた

 

ライト「な!なんだ!」

カズマ「まさかレンのやつ…!」

メグ「暴走…?」

ライト「な!」

メグの話から聞いていたが、こんな感じだったとは

それよりも意外なのが、レンがこんな簡単に暴走していたことだ

あんなに芯の強いレンなのに、どうして…

 

レン「うぉぉぉ!メグぅぅぅ!大好きだぁぁぁ!」

ライト「……は?」

 

カズマ「まずい!このままレンが暴走し続けたら!レンのイメージが崩壊する!」

ライト「…は?」

 

カズマ「今までは、「かっこよくて凛々しくて強い」というイメージだったのに!あのままでは、ただの「シスコン変態お兄ちゃん」というイメージになってしまう!」

ライト「は?」

 

メグ「お兄ちゃんはね?実は私のことが大好きなんだ!」

うん、知ってる

 

メグ「イベルタルの力はね、そんなお兄ちゃんのキャラを破壊するポケモンなんだよ!」

えぇ〜、破壊するとこそこ〜?

 

カズマ「このままではまずい!メグ頼んだ!」

メグ「もぉー!しょうがないな〜!」

メグは荒れ狂うレンの所へ行った

 

レン「うぉぉぉ!メグぅぅぅぅ!お兄ちゃんと一緒にぃぃ!お風呂に入ろぉぉ!」

メグ「や!」

レンの要求を拒否ると、メグはレンの首を叩き、気絶させた

 

ライト「なんなんだ?これ?」

メガミ「……」

やっと、夜が静かになった

 

 

ライト「五百年後の、未来?」

メガミ「はい、私の本名は「メガミ・アリス・クラット」、世界を救うため、はるばる五百年後の未来から来ました」

シオンタウンに到着した俺達はメガミの話を聞いていた

 

レン「ありえない、五百年後なんて、非現実的だ」

ライト「……」

正気に戻ったレンも一緒に

 

カズマ「詳しく説明してくれ、メガミ」

メガミ「はい、私のいた五百年後の未来は、ポケヤミーによって世界は闇にほおむられてしまいました」

ライト「!」

メガミ「世界は歪み、緑は無く、人口もおよそこの時代の約三分の一強」

カズマ「何!?」

メガミ「私はこの状況を打開すべく、この世界の運命を背負い、ある組織のタイムマシーンを無断で使用し、この時代まで来ました」

メグ「ある組織?」

メガミ「はい、私達の時代で世界の均衡を守る【ウルトラ調査隊】です」

 

 

メガミ「お願いします!ここを通してください!」

「ダメだ!何回も言ったろう!タイムマシーンを用いり、歴史を改ざんすることは許さん!」

白と青の特殊なスーツを来た男がメガミの行く手を阻む

 

メガミ「どうしてですか!私は、世界を救おうと!」

「君のしようとしていることは!世界をもっと悪い方向に持っていくかもしれんのだぞ!」

メガミ「で、ですが……」

???「その辺になさい」

メガミ「?」

「あ、ミリンさん、シオニラさん」

シオニラ「関心しないですなぁ、そんな乱暴に言葉を発してはしけませんよ」

特殊なスーツ、ヘルメットにゴーグルをつけた男の人が腰に手を当て、青いちょび髭を触りながら男に話す

 

ミリン「そこのお嬢ちゃん、こちらへいらっしゃい」

もう一人、同じような格好をした女の人がヘルメットからはみ出た青い髪の先をくるくるしながらメガミに話す

 

ウルトラメガポリスの中に招待されたメガミは応接室にて、説明を受けていた

 

ミリン「いいですか?タイムマシーンを用いたタイムリープは、今までの歴史を大きく変える帰ることとなります。最悪、貴方はこの時代へ戻ることが出来ないかもしれないし、戻ったとしても、貴方が存在するはずがない世界へと変わるかもしれません」

メガミ「構いません、世界が救われるなら、そのくらいの犠牲」

ミリン「…わかりました、ですが、一人での行動を禁止させて貰います」

メガミ「ど、どうしてですか?」

ミリン「貴方が変な真似をしないためです。そうですね、アマモとダルスに行かせましょう」

メガミ「え!?あの二人ですか?」

アマモとダルスとは、ウルトラ調査隊切ってのエリートコンビであり、どちらも無慈悲な判断と決断をする二人で、この時代では誰もが恐れる二人だ

 

ミリン「当然です。過去え行ったらその二人と行動することを絶対条件とします」

メガミ「そんな…」

メガミが拒む理由、それは、その二人がいると、メガミが成し遂げたい“夢”を叶えることが難しくなるからだ

 

メガミ「こうなったら…」

 

 

「ウルトラホール、出現の準備が整いました」

アマモ「りょ〜か〜い!」

ダルス「アマモ、しっかりその女を見張っておけ」

アマモ「うん!」

ダルス「それにしても、なぜそいつはずっと毛布にくるまっている?」

アマモ「う〜ん、寒いんじゃない?それより〜!早く行こうよ〜!」

ダルス「ふん。おい、女」

「……」

ダルス「おい!聞いているのか?」

「……」

ダルス「そろそろ出発だ、しっかり席に座ってシートベルトを…」

毛布を解いたダルスは仰天した

 

ダルス「居ない、だと!」

そこには、本当にぐるぐる巻きになった毛布があるだけだった

 

ダルス「まさか…!」

「あの?ウルトラホール、開けてもよろしいですか?」

ダルス「いや、まっ…」

アマモ「いいよ〜!」

ダルス「な!貴様アマモ!」

アマモ「え?どしたの?」

アマモは状況を飲み込んでいなかった

 

「ウルトラホール、出現します!」

ダルス「ま、待て!」

タイムマシーンがある位置から約百メートル先に、空間に裂け目ができるように、円形にウルトラホールが出現した

それとほぼ同時、ダルス達が乗っているタイムマシーンとはまた別のタイムマシーンが、ダルス達の横を通り過ぎる

ダルスは即座に見えた操縦席に金髪の女が座っていたのが見えた

そのタイムマシーンはウルトラホールのど真ん中を通り、消えて行った

 

ダルス「してやられたな」

アマモ「?」

ダルス「こうなったら…何がなんでも連れ戻す!」

アマモ「うわぁ〜、ダルスこわぁ〜」

 

 

メガミ「こうして私は来ました」

長話を終えたメガミは深呼吸をした

 

レン「となると、その【ウルトラ調査隊】ってのが、追ってくる可能性があるってことか?」

メガミ「はい、その通りです」

メグ「そっか、大変だったんだね、メガミちゃん」

メガミ「いいえ、それほどでは…」

カズマ「ふふん〜、だが安心しろ!今のメガミの周りには、こんなに頼もしい連中がいる!」

ライト「おう!俺達が絶対にメガミを守るよ!」

メガミ「……ありがとうございます、皆さん。ですが、あの二人は強いんです」

メグ「なんのなんの!お兄ちゃんにかかれば、百人力だよ!」

メガミ「はい、その通りなのですが、あの二人はヤバいんです」

ライト「や、ヤバいのか?」

メガミ「はい、特にダルスと言う男、己の強さのために家族でさえ、犠牲の許容範囲だと考えるような人です」

ライト「な!何!?」

レン「……」

メガミ「そして、言いましたよね、私の世界はポケヤミーによって闇にほおむられたと」

カズマ「おう」

メガミ「ですが、非力な私達が生き残っているのは、ダルスがほぼ全てのポケヤミーを倒しているからなんです。しかも一人で」

レン「……」

メガミ「なので、どれだけ皆さんが強くとも、きっと彼には…」

 

ライト「それでも守る」

メガミ「……え?」

ライト「ダルスっていうヤツが悪い奴じゃないことはわかった、だったら俺達が勝つ必要なんてない、ただメガミを守れればいい」

メガミ「ライトさん…」

カズマ「そうだな!」

メグ「そうだね!」

レン「ふんっ!」

メガミ「皆さん…。ありがとうございます…」

俯き涙を流すメガミ、きっと、ずっと一人ぼっちだったのだろう

だが、今のメガミには、「仲間」がいる

俺は、顔をあげて笑顔を皆に見せたメガミを見て、とあることを思った

 

             

ダルス「着いたか」

アマモ「うぅ〜、酔った〜」

ダルス「よし、行くぞ」

アマモ「うぇ〜?早くない?もうちょっと休憩してからでも…」

ダルス「いいや」

普段笑わないダルスが不適な笑みを浮かべる

 

ダルス「徹底的に叩き潰してやる、あの女」

アマモ「あれ?連れて帰るんじゃなかったの?」

ダルス「いいや、連れて帰るさ」

そう、連れて帰ればいいのだ。例え、死体であろうとも

 

To be continued




次回予告

最強の男、ダルス襲来!まさかの変身!?
メガミ、決意の時!!
さらに!レンとメグが新たなる姿を披露!
ライト達は、メガミを守ることが出来るのか!?

第六話「もっと、先へ」


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第六話「もっと、先へ」

登場人物プロフィールのコーナー
メガミ・アリス・クラット 15歳
性別 女
趣味 ???
好きな食べ物 ???
現在の髪型 金髪ロング
夢 ???


一夜明けて、シオンタウンでの調査をした俺たちは、安全を確認し、この町を後にした

実際に何かあったのは、やはりあの館だけらしい

 

メガミ「これはなんですか?」

ライト「それはテレビって言って、この時代の娯楽道具なんだ」

メガミ「ほぉ〜、この中にいる小人たちが、私達を楽しませてくれている訳ですね!」

ライト「ま、まぁそんなとこ」

レン「いいや、これは単なるモニターでしかない、実際は別の場所でカメラという道具を使って映像を撮影し、電波などを伝いながら、そのデータがこのモニターに映し出されている、ただそれだけだ」

メガミ「???」

ライト「ちょっ!レン、今のはメガミには難しいよ!ただでさえまだこの時代に慣れていないのに!」

レン「ふん!まさか五百年後にはテレビもないなんてな。というか、なぜそいつも連れてきた!俺達の冒険には足でまといだ!」

ライト「おい!レン!」

がたっとメガミが椅子から立ち上がり、レンのところに向かい、目の前に立つ

 

レン「な、なんだ」

さすがのレンも少しビビっている

 

メガミ「レンさんは、すごく賢いのですね!」

レン「え?」

メガミ「だって!ライトさんが答えられないようなものも答えられる!レンさんは天才なのですね!」

レン「お?お、おう」

顔を少しだけ赤くして返事をするレン

すぐに顔を逸らしその場から逃げるように立ち去った

 

メガミ「?」

とぼけるメガミ、ちなみに俺達は今、次の街に向かうため、もう一度ハナダシティに足を運んでいた

 

次々に質問してくるメガミの対応をしつつ、俺は例の組織に気をつけながら、街を散策していた

 

【ウルトラ調査隊】、一体どんな奴等なんだろう

メガミ曰く、メガミの時代では、間違いなく最強の男って言っていた

だが、俺がもっと気になるのはそこじゃない

 

それは、五百年後には、世界が闇にほおむられるということ

そして、どうしてメガミは、俺達を探していたのか

本人から直接聞いたわけじゃないけど、叔父さんが教えてくれた

 

メガミは俺達のことを探していて、しかも、メガストーンを持っていた

 

ということは、ポケヤミーはこれから増え続け、世界を闇に染めようとしている

だが…

 

俺は『ジャローダ・ヤミー』が言っていた言葉を思い出す

 

ライト「『あの方』って、一体誰だ?」

奴が言っていた『あの方』

それは、果たしてポケヤミーなのか

はたまた、人間…なわけないか

 

メガミ「見て下さいライトさん!こんなに綺麗な宝石がいっぱいありますよ!」

ライト「これは売り物だからな?勝手につけちゃダメだぞ」

近くにあったジュエリーショップに入ったメガミははしゃいでいた。新鮮なんだろう、この時代が

 

店員「あら、可愛いお嬢ちゃんだこと、せっかくだから何かプレゼントしようか?」

メガミ「え!?いいんですか?」

お洒落な女性の店員は、奥に行くと、箱に一つの石を持ってきた

見覚えのある丸い形

 

店員「これ、ただの石ころに見えるかもしれないけど、私はきっとこれを磨けば、素晴らしい宝石になるに違いないと思ってるわ!だけど、磨き方なんて知らないし、良かったらあげるわ」

メガミ「ホントにいいんですか?」

明らかにそれは、メガストーンだった

メガミは、それを渋々受け取った

 

店を後にし、宿屋に戻る道を歩いていた

 

ライト「まさか店員がメガストーンを持ってたなんて」

メガミ「はい、私もびっくりです」

ライト「でも、ラッキーだったな」

メガミ「はい!」

この子の笑顔を見ていると、何故だか心が安らぐ

俺は立ち止まり、彼女に問うことにした

 

ライト「……メガミ、教えてくれないか?」

メガミ「?」

ライト「君は、どうして俺達を探していたんだ?どうやって俺達の事を知ったんだ?」

メガミ「あぁ、それは…」

ダルス「ここに居たか」

メガミ「!」

白と青のスーツ、ヘルメットにゴーグル、ヘルメットからはみ出た紫色の前髪を揺らしながら、一人の男が茂みの中から歩いてきた

 

メガミ「ダルス…!」

ダルス「さぁ、帰るぞ、お前がこの時代にいる権利はもうない」

メガミ「お願い!もう少しだけ!もう少しだけ時間を頂戴!」

ダルス「天ノ弱な女だ、ならここで」

俺は咄嗟にドライバーを腰に着けた

 

ダルス「死ね」

男は腰にはめていた小型の銃を取り出し、メガミに向かってトリガーを引いた

 

ライト「変身!」

俺は即座に仮面ライダーバーサへと変身し、メガミに被さるように飛び出した

男の銃から出たであろう、閃光弾が俺の左胸に当たり、俺は吹き飛んだ

 

ライト「ぐは!」

メガミ「ライトさん!」

ダルス「ん?誰だその男は?」

メガミ「彼は波山ライトさん、この時代の仮面ライダーです!」

ダルス「仮面ライダーだと?笑わせるな!奴らは千年程前に滅びたはずだ」

メガミ「この時代には既にいたんです、世界を守る英雄が、戦士が!」

ライト「イテテテテ」

メガミ「大丈夫ですか?ライトさん」

ライト「まぁ、なんとかな」

ダルス「……」

ライト「アンタが【ウルトラ調査隊】っていう奴らか?」

ダルス「いかにも、俺がウルトラ調査隊幹部の一人、ダルスだ。大人しくその女を渡せ」

ライト「嫌だね、だって、守るって決めたからな!」

俺はバシャーモナイトをドライバーから取り出し、懐からカメックスナイトを取り出しドライバーにセットする

 

セット!メガシンカヘンシーン!

メガシンカメガシンカ!メガシンカメガシンカ!

 

ライト「フォルムチェンジ!」

 

カメックス!

カ!メ!カ!メ! カーメックスー!

 

ライト「装甲の戦士!仮面ライダーバーサ!カメックスフォルム!」

 

ダルス「ほぅ、姿が変わるのか」

ライト「俺は“進化”って呼んでるけどな!」

ダルス「面白い、ならその力、俺にぶつけて来い」

ライト「…はぁ!」

戦わなくてもわかった

今の俺じゃ、コイツには勝てない

 

 

アマモ「あ〜れ〜?ダルスどこいった?」

もう!ただでさえ身長のない私を置いてくな!

あと、ここどこ?森っぽいけど、森じゃない

奥には街が見える

 

アマモ「ん〜〜、ん?」

町のはずれから見える、建物と建物の間に兄妹が歩いてた

でもアタシが目を引いたのは女の子の方

あの子……

 

レン「メグ、待てって」

メグ「えへへー、お兄ちゃん早く早くー!」

レン「ったく!こんな時あいつらは何やってるんだ?俺がこんなに重たい荷物を持っているのに」

メグ「……」

レン「ん?どうしたメグ?」

メグ「お兄ちゃん、あの子…」

レン「!」

メグ「私にそっくり…」

メグの目の前には、白と青のスーツ、ヘルメットにゴーグル、ヘルメットからはみ出たオレンジ色の三つ編みロングの髪をなびかせたメグのシルエットにすごく似ている女の子が、メグの顔をじっと見つめていた

 

メグ・アマモ「「貴方、誰?」」

二人は瓜二つだった

 

 

ライト「みずのはどう!」

ダルス「ふっ!」

俺の攻撃をいとも簡単に躱すダルス

やっぱりスピード勝負の方が良いのか?

いや、それより…

 

ダルス「ん?どうした、もう終わりか?」

ライト「いや、アンタさ、本気出してないだろ」

ダルス「なに?」

ライト「さっきから避けるだけでちっとも攻撃してこねぇ」

ダルス「……」

俺はトドメの言葉を吐く

 

ライト「ビビってんのか?」

ダルス「……!」

これは効いたな

俺の目的は二つある

一つ目はメガミを守り抜くこと

二つ目は、コイツの本気を見ること

だって気になるだろ?大量のポケヤミーを誰も死なせず一人で倒すヤツなんて、そんなのヒーロー以外の何者でもない

正直俺は、コイツに興味津々だ

 

ダルス「俺が、ビビっているだと…」

ライト「そうだ!腰抜け野郎!」

ダルス「フッ、フハハハハ!」

ライト「?」

ダルス「俺を駆り立てても無駄だぞ、俺にそんなものは不要だ」

ライト「くそっ、お見通しか」

ダルス「そこまで俺と戦いたいのであれば、俺も本気を出そう」

ライト「ホントか?」

ダルス「あぁ、だがお前、死ぬぞ?」

 

ウルトライザー!ガン!

 

持っている小型銃の先に何かをはめると、電子音声が流れる

ダルスは懐から一つのストーンを取り出し、ウルトライザーのグリップからマガジンを引き出し、中央のくぼみにはめて、マガジンをしまった

 

リロード!

レッツ!ウルトライダー!

 

待機音が流れると、ダルスは銃口を俺に向けた

 

ダルス「銃装」

ダルスはトリガーを引いた

 

ベベノム!レッツ!ウルトラポイズン!

 

銃口から何本かの針が出てくると、その針はダルスに向かって刺さる、すると何かが注入され、針が消えた、ダルスの身体はさっきのスーツに、少し紫が増え、ヘルメットの先端に毒針が3本

腰には短いしっぽ、所々ピンクも混じっていた

 

ダルス「毒針ソルジャー!ウルトライダー!ダルス!」

 

ライト「ウルトライダー!?」

 

ダルス「これが、俺の本気だ」

 

 

レン「お前、何者だ?」

俺の目の前には、メグともう一人の少女が立っていた

 

少女は俺とメグの顔を交互に見ると、ニコッと笑った

 

アマモ「あたし!アマモ!」

メグ「アマモ?それって…」

レン「お前か、メガミを追って来たっていう連中は」

アマモ「へぇ〜、メガミちゃんを知ってるんだぁ〜」

これは失言だったかもしれないな

コイツはメガミが言っていた、最も冷酷な二人の内の一人

いつ牙を向いてくるか分からない

 

アマモ「安心して!あたしは君達を襲うつもりはないよ?」

レン「信じられないな、もう一人はどうした?」

アマモ「あぁ〜、ダルスのこと?それがあいつ一人でどっか行ってね〜、あたし迷子なの」

レン「迷子だと?」

アマモ「そうそう、だからさ、案内してよ。メガミちゃんのところに」

レン「ふっ!ハナからそれが目的か」

俺はレジェンドライバーを腰につけ、ミュウツーストーンを懐から取り出す

 

レン「ミュウツー、俺に従え」

ミュウツーストーンをドライバーの穴に入れ込み、レジェンスロットを右にスライドする

 

ドロップ!

リード!レジェンドヘンシーン!

レジェンドレジェンド!レジェンドレジェンド!

 

俺は右手を前に出してアマモを睨みつける

 

レン「変身」

右手を大きく回して、ボタンを押す

 

ミュウツー!

ミュウ!ツー!ミュウ!ツー!ミュウ!ツー!ツー!

 

レン「伝説の戦士、仮面ライダーレジェン!」

 

アマモ「ふ〜ん、あたしの言うことが聞けないんだ〜」

アマモはくすくすと笑い、俺を見た

 

アマモ「じゃあ〜、死のっか」

アマモはベルトから小型の銃を取り出し、それを変形させ、先端に何かをはめると、電子音声が流れた

 

ウルトライザー!ソード!

 

アマモはウルトライザーの下部から何かを引き出し、紫色のストーンを中央にはめて、それをしまった

 

シャープ!

レッツ!ウルトライダー!

 

待機音が流れると、アマモはトリガーを引いた

 

アマモ「剣装!」

 

ベベノム!レッツ!ウルトラポイズン!

 

ウルトライザーから光る刃が飛び出し

それを素振りすると、残像から何本かの針が飛び出し、アマモを刺す、それが消えるとヘルメットから三本の針が飛び出し、短いしっぽが生え、スーツの色が紫色のなり、少々ピンクも混じっていた

というか、さっきよりも身体が明らかに大きくなっている

 

アマモ「毒針ウォーリアー!ウルトライダー!アマモ!」

 

レン「くっ!コイツも変身するのか」

 

アマモ「んふふっ、覚悟は出来てる?」

 

 

ライト「幻影の戦士!仮面ライダーバーサ!ゲンガーフォルム!」

カメックスフォルムからゲンガーフォルムにフォルムチェンジした俺はかなり苦戦していた

 

ライト「シャドーボール!」

俺は、影のエネルギーが詰まった球体をダルスに投げつける

 

ダルス「ようかいえき!」

だが、ウルトライザーから打たれたようかいえきによってかき消される

 

ダルス「ベノムショック!」

さらに打たれる毒針によって俺は倒れてしまう

幸いゲンガーフォルムは毒のダメージは少ないようだが、力で圧倒的に押されている

だがなんだろう、この違和感

 

ダルス「ふんっ!」

ライト「くっ!」

コイツ、攻撃をする度に強くなっている

 

ライト「うわぁ!」

メガミ「ライトさん!」

吹き飛ばされる俺、メガミが心配して駆け寄る

 

メガミ「大丈夫ですか?」

ライト「あぁ、なんとかな。だけど…」

ダルス「どうした?その程度か?」

ライト「アンタ、どんな手を使ってる?」

ダルス「ん?なんのことだ?」

ライト「いくらなんでもおかしい!さっきの攻撃より、強くなっている」

ダルス「あぁ、なるほど。これはベベノムの[特性]だよ」

ライト「特性?」

ダルス「あぁ、ポケモン達は皆、[特性]というものを持っている」

ライト「全てのポケモンに?」

ダルス「これはベベノムの[特性]、[ビーストブースト]。相手を倒す度に俺の一番高い能力、攻撃力がアップする」

ライト「そんなものが…」

わかった、俺がコイツに勝てないと思う理由、それは

 

ライト「俺は、ポケモン達の[特性]を知らない」

ここまで冒険をしてきて、俺はポケモン達の事を知らなすぎる

それが俺がコイツに勝てない理由だ

 

ダルス「知らないのなら、引き出せばいい」

ライト「え?」

ダルス「[特性]は引き出すことが可能だ、そのポケモンと絆を深めることでな!」

ダルスは俺に向かってさらに攻撃を仕掛けてきた

 

 

レン「なるほど![特性]か!」

アマモ「そうそう!君が倒れる度に、あたしの一番高い能力、スピードがアップするんだ!」

レン「へっ!道理でさっきから攻撃が当たらないわけだ」

アマモ「君の[特性]は?」

レン「知らん!ミュウツーは俺には教えない気だ!」

アマモ「どうして?」

レン「ミュウツーと俺との間には、絆なんて無いからな!」

激闘の中、そんな会話が聞こえる

これは、私も参戦した方が良いのかな?

 

メグ「ま、いっか」

私はレジェンドライバーを腰に当て、レジェンスロットを右にスライド、ディアンシーストーンを入れ込む

 

リード!

ドロップ!レジェンドヘンシーン!

レジェンドレジェンド!レジェンドレジェンド!

 

メグ「変身!」

変身ポーズを決めてからボタンを押す

 

ディアンシー!

ディ!ディアン!ディ!ディアン!ディアンシー!

 

メグ「幻の戦士!仮面ライダー!ビジオン!」

私は仮面ライダービジオンに変身した

 

でも、相手のスピードに多分私はついていけない

そうなると

 

メグ「よーし!ゲノセクト!行っくよ〜!」

私はディアンシーストーンを取り出し、再びレジェンスロットをスライドし、ゲノセクトストーンをドライバーに入れ込む

 

リード!

ドロップ!レジェンドヘンシーン!

 

メグ「フォルムチェーンジ!」

 

大きく叫んでボタンを押す

 

ゲノセクト!

ゲノ!ゲノ!ゲ・ノ・セ・ク・トー!

 

身体は紫色になり、目は赤く、機械的なアーマーが身体に装着。背中にも、薄いボックスが装着されている、これは後々使うことになると思う

 

メグ「神速の戦士!仮面ライダービジオン!ゲノセクトフォルム!」

レン「メグ!」

メグ「お兄ちゃん!耳塞いで!」

レン「あぁ!」

アマモ「?」

メグ「きんぞくおん!」

お兄ちゃんが耳を塞いだのを確認すると、私は両手をぶつけて金属音を発した

辺りにキーンと音がなり、アマモが苦しんでいる

 

アマモ「もう!なんなの!?どくづき!」

やけくそになったアマモは私に攻撃をする

だけど

 

アマモ「!?」

メグ「残念、今の私には、どくタイプの技は効かないよ!」

私は無傷だった

 

レン「そうか、はがねタイプのポケモンは毒技が効かない。ナイスだメグ!」

お兄ちゃんはそう言うと、おもむろに懐からメガストーンを取り出し、ドライバーに入れ込んだ

 

レン「フォルムチェンジ!」

 

セット!

リード!レジェンドヘンシーン!

 

ヒードラン!

ヒー!ドッ!ドッ!ヒードラーン!

 

レン「火口の戦士!仮面ライダーレジェン!ヒードランフォルム!」

 

身体の色はまるでマグマのようになり、頑丈そうな顎に、十字の爪、そんな図体の大きさをものに言わない速さで

アマモの目の前まで飛んできた

 

レン「かみくだく!」

アマモ「ぬぅ!」

ダメージを受けたアマモは少しよろけた、今だ!

私とお兄ちゃんは同時にレジェンスロットをスライドして、ボタンを押した

 

リード!レジェンドヒッサーツッ!

ゲノセクト!  ヒードラン!

オールテクノロジー!

マグマボルテックス!

 

メグ「オールテクノロジー!」

レン「マグマボルテックス!!」

私の背中にあった箱が変形し、大砲のようなものが現れ、大型の四色のビームが飛び出した

一方お兄ちゃんは口を大きく開けて、口内からマグマの渦を発射させた

 

アマモ「ぬぁぁ!」

二人の攻撃がアマモに当たり、アマモは建物の壁に当たりクレーターを作った

アマモはそのまま動かなくなった

 

 

ライト「はぁ…はぁ…」

息が切れる俺、余裕の表情のダルス

正直、体力の限界だ

 

ダルス「お前の本気を見せてみろ、波山ライト」

ライト「はぁ…はぁ…、ふっ!」

俺は体勢を整えて、構える

俺は力を振り絞り、呟く

 

ライト「ふっへへ、燃えるぜ」

俺は、もっと先へ、進める気がした

 

To be continued




次回予告

最強の男、ダルスに苦戦を強いられたライト
しかし、新たな力を発揮!
果たして、ライトはメガミを守り抜くことが出来るのか!?

第七話「相棒と、共に」


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第七話「相棒と、共に」

登場人物プロフィールのコーナー②
波山ライト
性格 強気で負けず嫌い、色んなことに果敢に挑戦し、正義感も強い
変身 熱き炎の戦士 仮面ライダーバーサ バシャーモフォルム
   装甲の戦士 仮面ライダーバーサ カメックスフォルム
   幻影の戦士 仮面ライダーバーサ ゲンガーフォルム




ライト「うわぁぁぁん!」

アケミ「よーしよーしライト!泣かない泣かない」

恥ずかしげもなく泣く俺を母さんは慰めてくれた

 

アケミ「悔しなったのよね、かけっこで負けて」

ライト「うん、ぐすんっ」

鼻水を垂らしながら、俺は母さんに抱きしめて貰った

 

アケミ「大丈夫よ、貴方はいつかヒーローになるんだから。きっと足も早くなるわ」

ライト「うん!ぼく、ヒーローになりたい!」

アケミ「そうね、じゃあ今度の運動会、頑張ろうね!」

ライト「うん!」

母さんは半べそをかく俺を抱き抱えると、よしよしと背中をさすり、俺を癒してくれた

俺はいつの間にか寝てしまっていた

 

「続きまして、1年生による徒競走です」

アナウンスが入り、次々と1年生が入場するその真ん中よりかは後ろら辺に、俺は立っていた

 

「一番コース、野崎ケンイチくん。二番コース、野村ミノリちゃん」

次々に呼ばれる名前に「はい!」と答えるみんな

 

「三番コース、波山ライトくん」

ライト「はい!」

俺もそれに続いて大きく返事をした

 

「位置について、よーいドン!」

ピストルの大きな音にビビりつつも、俺はその小さな足を必死に動かした

俺は今3番目、目の前にはケンイチがいた

 

アケミ「頑張れ!ライト!」

母さんの応援する声が聞こえる

俺はその声に応えたいと思った

 

頑張れ、ライト

 

ライト「うぉおおお!」

何故だが、足が早くなった気がした

俺はケンイチを抜かし、1番との差も一気に縮んだ

 

俺は最後の力を振り絞り、見事ゴールした

 

順位は二位だった

 

だが、母さんは言う、

 

アケミ「貴方がどんな順位であろうと、私には貴方が一番カッコ良く見えたわ」

うるうるさせた目を開いて、俺の目をじっと見詰める

 

アケミ「貴方はやっぱり、私“達”のヒーローよ」

 

 

ライト「シャドーボール!」

俺が攻撃するも、やはりアイツには避けられる

 

ダルス「どうした?さっきよりも攻撃が当たらなくなっているぞ」

ライト「舐めんな!ナイトヘッド!」

俺は紫色のオーラをダルスに放つが、攻撃が当たるも、ダメージは遥かに少ない

攻撃力も低下している

 

ライト「がはっはぁ…はぁ…」

膝を地面につけて、俺は立つ気力さえ、なくなってしまった

 

ダルス「そろそろ限界の様だな」

 

メガミ「ライトさん…」

 

力を振り絞り、必死に手を前に出すが、やはり体力の限界なのだろう、俺はそのまま前に倒れ込み、変身も解けてしまった

 

ダルス「……」

メガミ「はっ!ライトさん!」

メガミが駆け寄るが、俺の意識は遠ざかっていた

 

メガミ「ありがとうございます、ライトさん。こんなになるまで戦ってくださって…」

ライト「何言ってるんだよ、守るって、約束…」

霞んだ声で返す

 

メガミ「いえ、でももういいんです」

ライト「な、何を言って…」

メガミは俺に背中を向けると、ダルスに視線を向けた

 

メガミ「私、もう決心が着きました」

ライト「まさか…」

メガミは大きくを広げて、1歩ずつダルスに向かって歩き始めた

 

メガミ「ダルス!目的は私でしょ!私は未来に帰ります!だから、ライトさんにはもう何もしないで!」

ライト「や、やめろ、メガミ…」

叫びたいのに、声が出ない

 

ダルス「確かに俺の目的はお前だ。だがな、連れ戻すことが目的ではない」

メガミ「?」

メガミは足を止めた

 

ダルス「身柄を拘束する事だ」

するとダルスはウルトライザーの銃口をメガミに向けた

メガミは驚いていた、俺も驚いた

 

ダルス「たとえ、屍になってもな」

ライト「やめろぉぉぉぉ!」

ダルスがトリガーを引いたのがわかった、それと同時に俺はメガミの目の前に立っていた

俺とメガミの間にはかなり距離があるように感じたが、そんなことはどうでもいい

俺は目を瞑り、自分の式を悟っていた

が、痛みは感じなかった

目を恐る恐る開けると、目の前にはバシャーモナイトが浮かんで淡く光っている

 

ライト「バシャーモ、お前が俺を、助けてくれたのか?」

バシャーモナイトは頷いた、気がした

 

俺はバシャーモナイトを掴むと、胸に添えた

 

ライト「俺は昔から不器用だった。かけっこも、かくれんぼも、ドッチボールだって…」

ダルス「……」

ライト「そんな俺は、あまり遊びには誘われなかった。それが凄く悔しかった、誰も俺を認めてくれなくて、寂しかった」

メガミ「ライトさん…」

ライト「だけどそんなある時、俺の前に現れたんだ、こいつが」

俺はバシャーモナイトを前に突き出した

 

ライト「こいつが俺を認めてくれた、選んでくれた。そして力が手に入った!ヒーローになる力が!」

ダルス「…ならその力、見せてみろ」

俺は右手の人差し指と薬指でバシャーモナイトを挟み、手の甲は外に向けて、頭の左横に構える

 

ライト「行くぜ、相棒!!」

俺はバシャーモナイトをドライバーにセットした

 

セット!メガシンカヘンシーン!

メガシンカメガシンカ!メガシンカメガシンカ!

 

変身ポーズを決めて、叫ぶ

 

ライト「変身!!」

 

メガリングのキーストーンを押し込む

 

バシャーモ!

ババッバッバッババッバッバシャーモバッバッバシャーモ!

 

ライト「熱き炎の戦士!仮面ライダー!バーサ!」

余裕そうにしていたダルスが構えた

 

ダルス「来い!」

 

ライト「…燃えるぜ!!」

 

 

変身した波山ライトは俺に向かって一直線に走ってくる

エメラルドグリーンの眼が俺をしっかりと見据えていた

 

ライト「とびひざげり!」

膝を突き出し、攻撃を仕掛ける

俺は両手で攻撃をガードし、ダメージを最小限に抑えた

だが、この強さ

本物だ

 

ライト「ほのうのパンチ!」

今度は両手に炎を灯し、連打撃をしてくる

俺はガードに必死だったが、炎はやはり熱い

両腕が燃え尽きそうだ

さぁ、俺もそろそろ反撃だ

 

ダルス「ベノムショック!」

ウルトライザーの銃口から無数の毒針が発射させた

波山ライトはそれを避ける素振りはなかった

だが、毒針は波山ライトをすり抜けるように、命中はしなかった

実体がない訳では無い、考えれるとするなら…

とてつもない速さで移動しているに違いない

背後に気配がする

 

ダルス「後ろか!」

俺は腕を振り回して、後ろの気配に攻撃する

しかし、振った腕は空気を切り、そこには誰もいない

まさか今のは、残像?

 

ライト「ブレイズキック!」

上から聞こえた声に、俺は反応出来なかった

足に炎を灯した波山ライトが蹴りを入れてきた

バシャーモの脚力、炎の力で俺はかなりのダメージを受けた

それにしても、速い

まさか…

 

ダルス「そうか、そういう事か」

ライト「?」

ダルス「とうとう引き出したようだな。[特性]を」

ライト「え?」

ダルス「…自覚無しか。いいか、お前のその速さ、バシャーモの[特性]、[かそく]によるものだ」

ライト「[かそく]?」

ダルス「[かそく]は、相手にダメージを与える度に、スピードが上昇するものだ。本来ポケモンの特性は一つなのだか、ごく稀に、別の特性を持つ者が現れた。それが[隠れ特性]、またの名を[夢特性]と呼ばれた」

ライト「夢特性…」

ダルス「バシャーモがお前を認め直したのだろう。[特性]を引き出せた者は、そのポケモンとパートナーとなって、世界を救う」

ライト「?」

ダルス「波山ライト、俺もお前のことを認めよう。お前は間違いなく、英雄だ」

ダルスはウルトライザーのマガジンを出し入れした

 

リロード!レッツ!ヒッサーツッ!

 

待機音が流れて、ダルスはトリガーを引いた

 

ベベノム!

ポイズン!ビーストショット!

 

ダルス「ビーストショット!」

銃口から無数の毒針が発射され、それらは波山ライトに一直線に向かっていく

 

ライト「かそく!」

だが、それも全て避けられてしまう

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

バシャーモ!

バーニング!ドライブ!

 

上に飛び上がった波山ライトは必殺技を繰り出そうとしていた

 

ライト「バーニングドライブ!ハァァァ!」

炎を纏った波山ライトがキックを放つ

右足が俺の胸に当たり、俺は勢いよく飛ばされた

 

ライト「よし!」

波山ライトは勝利を確信した、だが

 

ライト「なっ!」

攻撃をもろに受けてもなお、自立している俺を見て、波山ライトは絶望していた

 

ダルス「ふっ!」

波山ライトの[かそく]よりも速いスピードで波山ライトの目の前まで来た俺は、波山ライトの腹部にパンチした

 

ライト「がはっ!」

変身が解け、その場に倒れ込む

 

ライト「やっぱりアンタ、強いな」

波山ライトは微笑み、気絶した

 

メガミ「ライトさん!」

傍まで来たメガミは波山ライトを心配そうに見つめている

 

ダルス「この男は、本当に世界を変えるかもな」

メガミ「え?」

ダルス「この男になら、この世界の命運を賭けても、いいかもしれない」

メガミ「それって…」

ダルス「メガミ、お前に時間をやろう」

メガミ「!?」

ダルス「1年だ、1年間でこの男が世界を守れない存在のようなら、今度こそお前を殺す」

メガミ「わ、分かった…」

少し怯えるメガミだが、この表情には、安堵の表情が隠れている

きっと自分の保身ではなく、波山ライトの安否確認の結果が原因だろう

 

何はともあれ、俺はこれ以上の滞在は御免と思い、俺は銃装を解いた

その瞬間だった

 

向こうで大きな爆発と砂埃が舞っているのが分かった

まさか…

 

メガミ「!?」

ダルス「アマモ…」

 

 

俺と波山ライトを支えながら歩いているメガミが現場に着く頃には、もう遅かった

 

生身の少女が、両膝を地面に着け、唖然としていた

その少女の視線の先には

この時代のもう一人の仮面ライダーであろう青年の体を

アマモがウルトライザーの刃で貫いていた

 

刺されたまま、その場に立ち尽くす青年

刺したままニヤッと笑い、狂気に満ちたアマモ

 

アマモは振り向いて俺を見つけるなり、刃を青年から抜き

剣装を解いて、俺の所まで来た

青年は変身が解け、その場に倒れ込んだ

 

少女とメガミは同じ表情をしていた

 

アマモ「ダルス〜、どこに行ってたの〜?探したよ〜」

ダルス「アマモ貴様…、自分が何をしでかしたかわかっているのか!」

アマモ「ん〜?」

ダルス「【ウルトラ調査隊】の掟、過去で未来を変えるような行為を起こしてはならない!」

アマモ「でもでも〜、アイツがあたしを怒らせたのが悪いんだよ〜!」

ダルス「言い訳は無用だ!未来に帰ったら、しっかりと罰を受けてもらう!」

アマモ「そんなこと言ったって、ダルスだってその感じ、メガミちゃんは未来には連れて帰らないつもりでしょ?」

ダルス「くっ、それは…」

アマモ「ダルスも他人の事言えないよ?任務を実行出来なかったら、それ相応の罰が下るよ?」

ダルス「くっ!」

今の俺にアマモを責める権限はない、だが

未来を変える行為は、重罪だ

だが…

 

ライト「2人とも、静かに」

波山ライトは俺とアマモに注意する

 

ダルス「お前、何故動ける?」

見るところ、さっきまでの怪我や、疲労などは感じられない

 

ライト「見てれば分かるさ」

波山ライトはそう言うと、先程の青年へと視線を変えた

 

俺も青年の方を見ると、傍にはメガミが座っていた

 

ダルス「一体、何をするつもりだ…」

 

その瞬間は突然現れる

メガミが深く目を閉じ、何かをギュッと両手で胸の前に添えた

するとメガミの周りに白に近いピンク色のものが現れ

青年の貫通した傷が、みるみるうちに治っていった

 

ダルス「まさか、治癒能力…?」

しかし、その能力の発端はすぐにわかった

メガミの両手には、まだ封印が解かれていないメガストーンが握られていた

 

ダルス「これがクラット家の能力…。どんなメガストーンでも、そのポケモンの能力を一部だけ使うことが出来る能力か…」

青年は傷が完治すると、目が覚めた

 

メガミ「目が覚めましたか?レンさん」

レン「お、俺は…」

メグ「メガミちゃんが、お兄ちゃんを助けてくれたんだよ」

レン「メガミが?」

レンと呼ばれた青年はメガミの顔をじっと見詰めた

 

レン「ふ、ふん!頼んでもないことを!」

青年は立ち上がり、メガミに背中を向けた

 

レン「…だが、助かった。ありがとう…」

歯切れは悪かったが、そういう風に言っていた

 

メガミ「…いえ、このくらい、お易い御用…」

ライト「大丈夫か?メガミ?」

倒れそうなメガミを見て、波山ライトはメガミに寄り、体を支えた

 

メガミ「すみません…。少し、体力を使い過ぎたみたいで…」

メグ「余り無理しないでね?」

メガミ「えぇ、でも、もう大丈夫です…」

ライト「本当か?一度病院で──」

 

もう我々のことなんか眼中にない彼らを見て、そろそろ帰ろうと思った

 

ダルス「アマモ、帰るぞ」

アマモ「ほーい」

ダルス「どうした?やけに素直だな」

アマモ「だって、つまんないんだもん」

ダルス「そうか?俺は…」

俺は再び彼らを見た

 

ダルス「楽しみでしょうがない」

アマモ「…ダルスって、笑うんだね」

ダルス「……気のせいだ」

我々は彼らに、「一年後、またこの場所に来い」とだけ伝え、未来に帰ることにした

 

波山ライト、アイツならきっと勝てる、『闇』に

そして、世界に「光」を齎してくれるだろう

俺は、その可能性に賭けたいと思った

 

 

カズマ「いや〜、すまん!そんなことがあったなんて、気づかなかった!」

メグ「ホントだよ!メガミちゃんがいなかったら、もしかしたらお兄ちゃん、死んじゃったかもしれないんだよ?」

ライト「まあまあ、こうして全員無事で入れたんだから、結果オーライだよ!」

レン「それにしても、メガミの能力にはびっくりだ、まさかあんな事ができたなんて」

ライト「まぁでも、体力の消耗は激しいみたいだな」

俺は病院のベッドですやすや寝ているメガミを見る

 

色々あって疲れていたのだろう、ぐっすり眠っている

俺はまたしても、あの考えが浮かんだ

 

ライト「みんな、相談があるんだけど」

叔父さん、メグ、珍しくレンも俺に耳を傾けてくれた

俺は、俺の提案を皆に話した

皆、満場一致で賛成してくれた

 

 

月がきれいの輝き、真っ暗な世界を照らす

未来にいた時は、暗闇がこんなに綺麗になるんだと思う程に

 

必要最低限の荷物を持って病室を出る

私が眠っていたベッドには置き手紙を置いておいた

迷惑にならないように静かに部屋を出る

 

私が起きた時には、決心が着いてた

大丈夫、皆さんならきっと運命を変えられます

 

レンさん、メグさん、アマモをあそこまで追い詰めたのは凄いです

 

カズマさん、こんな私に優しくしてくれてありがとう

 

そして、ライトさん、貴方なら、最高のヒーローになれます

 

私は私の夢を叶えます。皆さんの迷惑になる訳にはいきません

 

玄関のドアを開けて、外の空気を思いっきり吸う。おいしい

 

夜の森は怖いけど、そんな余裕は、今の私にはない

一刻も早く、ここから──

 

レン「1人で出ていくなんて、水臭いな」

森の入り口まであと少しの所で、後ろから、レンさんの声がした

振り向くと、腕を組んだレンさんは、建物の壁に寄りかかっていた

その建物の影から、メグさんとカズマさんも出てきた

 

メグ「メガミちゃん!どこに行こうとしてたの?」

メグさんは少し怒っていた

 

カズマ「こんな手紙を置いて、一体どこに向かうんだ?」

カズマさんは私が置いた手紙を持って、優しい言葉で私を責めた

 

メガミ「皆さん…、どうして…?」

ライト「決まってんだろ」

私の背後から、今度はライトさんの声がした

 

メガミ「ライトさん…」

振り向いてライトさんの顔を見ると、私は全身の力が抜けたようにか細い声でライトさんの名を言った

 

ライト「メガミ、お前を探してたからだよ」

メガミ「私、を…?」

ライト「あぁ、言いたいことがあってな」

メガミ「…?」

ライト「メガミ、俺たちと一緒に旅に出ないか?」

メガミ「…へ…?」

ライト「旅に出て、世界を観よう!感じよう!俺たちと一緒に」

 

感情が湧き出てくるのが分かる

 

メガミ「私、なんかで、いいんですか…?」

カズマ「メガミじゃなきゃ嫌なんだよ」

 

駄目…

 

メガミ「…でも、皆さんの迷惑になる訳には…」

メグ「迷惑なんかじゃないよ、だって、メガミちゃんと話すの楽しいもん!」

 

やめて…

 

メガミ「…でも……でも…」

レン「まぁ、貸しもあるしな」

 

そんなこと言われたら…

 

ライト「皆、お前と行きたいんだよ」

 

行きたくなるじゃん…

 

私は気付いたら大粒の涙を流していた

 

メガミ「私、怖かったんです。これ以上人々が傷つくのは…」

未来で起きた事を思い返しながら話す

 

メガミ「私のせいで、皆が傷ついてしまうのが、たまらなく嫌で…。だから、迷惑をかけまいと…」

私は俯いて、また涙を流す

 

メガミ「だから私、決めたんです…、誰も傷つかない世界を作ると…、平和な世界にすると…。それが…私の夢です…」

私は顔を勢いよく前に向けた

 

メガミ「だから……私!」

目の前にいたのは、月明かりに照らされたライトさんだった

さっきも見た笑顔、だけど私には、この笑顔が

世界一美しく思った

 

言葉を失った私から涙は引いていた

 

しばらくして、私はクスッと笑ってしまった

だって、皆笑顔で私を見ているんだもの

 

メガミ「ずるいですよ…皆さん…」

頬が痒くなったので、手の甲でそれを拭う

 

涙を吹き終えた私はライトさんの顔をじっと見た

 

ライト「一緒に来てくれるか?」

ライトさんは右手を出していた

 

メガミ「…はい!」

私はその手をガシッと掴んだ

 

ライト「俺達の夢のために」

 

気づけば当たりは日の出の明かりで明るくなっていた

 

希望が見えた瞬間だった

 

To be continued




次回予告

新たに仲間に加わったメガミ!
そして、ライト達は迷子の子供を見つける
親を探すため奮闘するが、ポケヤミーが現れ…
ライト達は迷子を親まで導くことが出来るか!?

第八話「親子の絆!SOS!」


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第八話「親子の絆!SOS!」

登場人物プロフィールのコーナー②
朝堂 カズマ
性格 明るくポジティブ、好きな言葉は「失敗は成功のもと」家族想い
変身 なし


俺の朝は早い

朝は5時には起きて、着替えを済ませ、近くの水道で顔を洗い、エプロンを着て、料理キットを組み立てる

テーブルを出し、箸を並べ、炊きたての飯盒のご飯を皿に盛り付ける

町で買った卵をご飯の上に割り、醤油をかける

ガスコンロに火を付け、フライパンを温める

バターを敷き、ベーコンとほうれん草を入れ、炒める

大体のところまで炒めたら、火を弱火にする

 

さぁ、そろそろだな

 

カズマ「おはよぉー、レンー」

寝ぼけナマコの親父がテントから出てきた

 

ライト「おぉ!今日は朝から贅沢だなぁ!」

朝とは思えないテンションで同じテントからライトが出てきた

あえて返事はしなかった

 

2人が顔を洗っている間、更に別のテントからメグが起きて来た

 

メグ「お兄ちゃんおはよぉー」

こっちも寝ぼけナマコだ

 

これがいつもの光景、だが今日からは違う

 

メガミ「おはようございます、レンさん」

レン「お、おう」

同じテントからメガミが出てきた

 

まるで今まで起きていましたと言わんばかりの有様だ

 

全員が席に着き、箸を持つ

 

「いただきます」と、全員が口を合わせ言う

 

ライト「んん〜!朝からのTKG最高!」

カズマ「見ろ!このベーコンとほうれん草のバター炒めも美味しいぞ!」

メグ「お兄ちゃんが作るものはなんでも美味しいだよ!ね!」

レン「ふん、まぁな」

正直、俺はこの瞬間が1番楽しみでもあった

全員が俺の料理を食べ、口を合わせて「美味しい」という

料理好きとして、これ以上の幸せはない

 

メガミ「ほんとに、美味しいです」

レン「…そうか、おかわりもあるが」

メガミ「本当ですか!?では……」

レン「あぁ」

俺が皿を受け取ろうとした瞬間だった

 

ライト「おかわり!!」

ライトが身を乗り出して言った

 

レン「……自分でよそれ」

ライト「おう!」

大盛りにご飯を盛り付けるライト

 

正直俺は、こいつが嫌いだ

何を根拠にかは知らんが、到底無理なものでも挑もうとする

非合理的だ

もう少し頭を使うことは出来ないのか?

それかただのバカか

 

なんにせよ俺達は次なる事件を追ってニビシティに向かった

 

 

カズマ「ここニビシティでは最近、子連れの親元から子供がさらわれるという怪事件が発生してるらしい」

ニビシティに到着するなり、親父が説明した

 

カズマ「ニビシティの北側には博物館があって、どうやらそこが怪しいらしい」

ニビシティの北側にある博物館、ニビ科学博物館

月の石があると有名な博物館だ

 

俺も昔に親父とメグと来たことがあるが、なんとなくでしか覚えていない

 

早速ニビ科学博物館に着き、入口の自動扉を通った俺達に向けてクラッカーが放たれた

鮮やかな紙テープが宙に舞い、続いて大きなくす玉が割れる

中から出てきた紙には、「祝!来客1000組目!」と書かれていた

 

ライト「な!なんだ!?」

ここにいる全員が驚くと、奥から複数人の人影が見えた

 

「おめでとうございます!あなた方は、この博物館の1000組目のお客様でございます!」

真ん中にいる白髪の中年の男が大きな声で言った

 

「私はこの博物館の館長をしている者です。もしよろしければ、この贈呈品をお送りします」

館長は小さな木箱を出し、この蓋をゆっくりと開けた

 

ライト「あぁ!これは!」

中を見ると、そこにはメガストーンが入っていた

 

「この石は世にも不思議な石でありまして、こんな小さな意思なのに、傷一つ付かない代物です。御守りとしてどうぞ」

 

どうしてメガストーンをこの男が持っている?

メガストーンはポケヤミーを倒さないと手に入らないはずだ

 

カズマ「館長さん、この石、どこで手に入れたんですか?」

「いや〜、地下学の調査をしていた時に、断層から発見されたそうなんですよ」

カズマ「断層?そうか、俺も、ガーディストーンやバシャーモナイトは、化石発掘の時に見つけたんだ」

レン「何?どういう事だ?」

俺は思わず聞いてしまった

 

カズマ「つまり、これが正当なメガストーンの入手ルートなんだ。ポケヤミーを倒して手に入るメガストーンは正当ではない」

レン「つまり、ポケヤミーは本来の姿ではない?」

カズマ「あぁ、何者かがメガストーンに細工をし、怪物化したことで、ポケヤミーは誕生する」

メグ「じゃあ、その何者かって?」

全員が入口で立ち往生していると、ライトがふと口を開いた

 

ライト「あの方…」

レン「『あの方』?」

ライト「あぁ、前にポケヤミーが言ってたんだ、『あの方が喜ぶ』って」

カズマ「つまり、その『あの方』っていうのが、ポケヤミーのボスってことか?」

ライト「多分な」

全員が考え込んでいると今度はメガミが口を開いた

 

メガミ「皆さん、今はそれより事件の捜索をした方が懸命だと」

カズマ「あ、そうだな。皆、手分けして捜索しよう。メグはメガミと、ライトはレンと回って、何かあったら連絡してくれ」

レン「ちょっと待て、なんで俺がこんなやつと一緒に回らなくちゃ行けないんだ」

ライト「まぁまぁ、頑張ろうぜ!」

俺はライトが俺の肩に置いた手を払った

 

やはり俺は、こいつが嫌いだ

 

 

手分けして捜索することになった私は、メグと共に捜索していました

 

メガミ「大丈夫ですかね?あの二人…」

私はライトさんとレンさんの事をメグさんに聞いてみた

 

メグ「大丈夫だよ!あの二人なら」

メガミ「どうしてそう思えるのですか?」

メグ「あの二人は確かに仲は悪い。だけどね、絆はあると思うの!」

メガミ「絆…」

メグ「二人は従兄弟であると同時に、家族のようなものだから」

メガミ「家族…」

メグ「その証拠に、あの二人は喧嘩は良くするけど、仲間割れはしないでしょ?」

私は気付かされた、この言葉に説得力を感じたからだ

 

 

ライト「右だ」

レン「いいや、左だ」

分かれ道に差し掛かった俺たちは不毛な争いをしていた

 

ライト「さっきは左に曲がった、次は右だ」

レン「そんな暴論通用するか、次も左に曲がることによって、壁にそって歩き、いずれ全ての道を歩くことが出来る。すなわち、次も、その次も左に曲がるべきだ」

ライト「むむむ…」

論破されたライトは悔しそうだった

 

こんな事に時間を割いてる暇はない、早くポケヤミーを見つけないと

 

しばらく歩いて気づいた

この博物館、まるで迷路の様だ、今自分がどの辺にいるか正直よく分からない

展示品も飾っていない廊下が永遠と続いているかのようだ

 

そして、もうひとつ

確実にいる、『奴ら』が

このただならぬ緊張感

すぐ後ろにいるんじゃないかと思う

そう思った時だ

 

前方の曲がり角から、のそりのそりと足音が聞こえる

俺たちはもの陰に隠れて様子を伺う

 

『どこ…どこにいるの…』

この廊下の天井に届きそうな程の巨体のポケヤミーが何かを探していた

 

『私の子供は…どこにいるの…?』

ゆっくりと歩くポケヤミーの見た目は全身が茶色で、頭頂部は黒い。耳は黄色い

腹部にはポケットの様な大きな袋があるが、中には何も入っていない

鋭い牙と爪、少しゴツゴツした体。お決まりの目が赤い

 

あんだけ巨体のポケヤミーだ、攻撃力は高くとも、スピードは遅いだろう

今なら仕留められる

 

レン「変身」

俺は仮面ライダーレジェンへと変身し、物陰から飛び出そうとしたが、そんな俺を止めたのはライトだった

 

ライト「ちょっと待て!周りをよく見ろ!」

確かにポケヤミーしか眼中になかった俺は、今一度周りを見た

すると、ポケヤミーのすぐ側に小さな子供がいるのがわかった

 

ライト「今無闇に行って攻撃をすれば、この子が怪我をするかもしれない」

懸命な判断だとは思ったが、今まさにポケヤミーはその子を襲おうとしていた

 

『見つけた…さあ、こっちに…』

ライト「おい!ポケヤミー!」

見ると変身したライトがポケヤミーの気を引き付けていた

いつの間に…

 

ライト「今のうちにあの子を!」

ライトに命令されるのは癪だが、俺はライトの言う通り

ポケヤミーの注意がライトに向かっている間に、子供の方へテレポートした

 

『お前は…私の子ではない!』

そう言うなり、ポケヤミーはライトに攻撃を仕掛けていた

 

レン「おい、大丈夫か?」

俺は子供、5~6歳位の男の子に声をかける

ライトはその攻撃を華麗に撒いていた

 

「う…うん…」

半べそをかきながらその子は返事をした

 

レン「名前は?」

「……たくみ…」

レン「よし、たくみ。逃げるぞ」

俺はたくみと名乗った子供を抱えると、

ライトの側までテレポートした

 

ライト「ナイスだ!レン!」

レン「ったく、逃げるぞ」

ライト「あぁ!」

俺はテレポートで、ライトはかそくで、ポケヤミーを撒いた

 

ライト「迷子?」

レン「そのようだ、どうやら親からはぐれて迷ったらしい」

ライト「そうか、たくみって言ったっけ?お母さんはどんな人?」

「………」

たくみは黙っている

 

レン「放っておけ、そんなガキ」

俺は呆れていた

 

ライト「なんてこと言うんだ!この子は、必ず俺が親元に帰す!」

レン「そんなガキに時間を費やす暇があったら、ポケヤミーを探して倒す方が先決だ」

ライト「そんな事して、この子はどうなるんだ!迷子のままだぞ?」

レン「どうせ親もこの館内にいるはずだ、一段落着いてから探すという手もあると言っているんだ!」

ライト「その間にこの子がさらわれたらどうするんだ!」

レン「その時はその時だ、必ず助ける」

ライト「それこそ暴論だ!」

コイツと話していると、どうも虫唾が走る

俺は何をこんなバカと張り合っているのだろう

 

するとポケットに入っていた携帯が着信音とともに震えた

着信元は親父だった

 

レン「どうした?親父」

カズマ『あぁ、今館長にお願いして監視カメラの映像を見ていたんだが、ポケヤミーの姿を確認した』

レン「それなら、俺達もポケヤミーと1悶着あった、迷子がいたから逃げてきたが…」

カズマ『迷子だと…。レン!その子を死んでも守るんだ!』

レン「なんだ?この子に何かあるのか?」

カズマ『いや、この子に何かがある訳では無いが、あのポケヤミーは迷子を見つけると、自分の子供かどうか確認し、違うと判断すると、問答無用で殴り殺すらしい!』

レン「何!?」

カズマ『更には、親子でいるところにも現れ、子供が違うと、親子共々…』

レン「なんて野郎だ…」

カズマ『レン、今どの辺にいる?』

レン「…そういえば」

ここは何処だ?

逃げてきたのと、口論で場所を把握していなかった

 

レン「わからん…」

カズマ『そうか…。どうやらこの博物館は迷路の様に入り組んでいて、監視カメラも何個もあるそうだが、なんにせよ数が多い、お前達の場所を見つけることも時間がかかるだろう』

レン「そうか、じゃあこの子を死守すると同時に、出口を見つけて脱出する」

カズマ『頼んだ!』

通話を切り、携帯をしまう

 

ライト「どうした?」

レン「作戦変更だ」

ライト「?」

レン「この子を守るぞ、2人で」

俺はライトの顔をじっと見た

何も理解していない顔

俺はやはり、コイツが嫌いだ

 

 

曲がり角の多い廊下を私達は走っていた

一旦止まり、息を整える

 

メグ「大丈夫?メガミちゃん?」

メガミ「えぇ、なんとか…」

さすがはメグさん、変身していなくても体力は劣っていない

平然を装っているけど、正直辛い

もう1時間弱走り回っている

ただ驚くことに、ここまで動いても、別行動しているライトさん達と出くわさない

ひょっとしたら、2人に何かあったのかもしれない

2人に何かあったら、私…

 

メグ「メガミちゃん…」

メガミ「…はい?」

メグ「質問、していい?」

メガミ「はい…」

メグは改めて私の顔をじっとみた

 

メグ「未来って、どんな感じなの?」

メガミ「……」

メグ「あっ、ごめん!やっぱ、忘れて…」

違うんです

いつも明るいメグさんが、そんな質問したのが意外で…

だから……

そんな顔しないで?

 

メガミ「地獄ですよ」

メグ「え?」

メガミ「人々はポケヤミーに脅え、レジスタンスとなり、ウルトラ調査隊に入隊できるのも、有能な人材だけ」

メグ「……」

メガミ「クラット家は現代で言う貴族の様なものなのですが、それはただの建前で、偉くともなんともありません。人より多くの土地を持ったボンボン、そう思われています。毎日のように起こる土地争い、食料争い、まるで世紀末ですよ」

メグ「そんな…」

メガミ「…ですが、私はあの時代が好きでした」

メグ「え?」

メガミ「毎日のように起こる争いの中で、人々は気付いてくれたんです、今は協力するべきだと」

私は、記憶を呼び戻していた

 

メガミ「人が何人もポケヤミーに殺され、争いで死に、恐怖の余り自害する人、沢山の人々がこの世を去りましたが、他の生き残った者同士、互いに助け合い、癒し合い、生きていました。確かに未来は地獄の様なものですが、「光」は、失われていませんでした」

メグ「光?」

メガミ「はい!私には感じるんです!人の「光」が。」

皆さんからも感じる、沢山の「光」が

ですが、ライトさんからは、「光」の他にまた別のものを感じる

これが何なのかは、私にも分からない

 

メガミ「だから、私も「光」を持とうと思いました、そしてこの時代に来ました」

メグ「そっか………!?」

メグさんの表情が、急に強ばり、私は後ろを振り向く

 

『みぃ〜つっけたぁ〜。可愛い我が子〜』

巨体のポケヤミーがそこには立っていた

 

『さぁ、2人とも〜、『ガルーラ』お母さんの所においでぇ〜』

子供をあやすかのように声をあげる『ガルーラ・ヤミー』

メグさんは咄嗟に懐からドライバーを取り出すも、それを見計らった『ガルーラ・ヤミー』に巨大な爪で体を掴まれてしまった

 

最後に聞こえたのは、メグさん、そして私の悲鳴だった

 

To be continued




次回予告

ポケヤミーにさらわれたメグとメガミ
それを知ったライトとレンは、2人を助けに行く!
しかし、ぶつかる2人の意思
2人はメグ、メガミ、そして迷子の少年、たくみを救うことができるか!?

第九話「会いたい」


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第九話「会いたい」

登場人物プロフィールのコーナー②
朝堂 レン
性格 クールで冷静沈着、そのオーラは人を寄せ付けないが、実は家族想いな一面がある、ライトのことは嫌い
変身 伝説の戦士 ミューツーフォルム
   破壊の戦士 イベルタルフォルム
   火口の戦士 ヒードランフォルム


ん、ここは…何処?

目が覚めたら、私は真っ暗な空間の中にいた

何も見えない、暗黒の世界

 

メグ「メガミちゃん、目が覚めた?」

メグさんが小声で話しかける

 

メガミ「はい…」

私も小声で返す

 

起きたばかりだけど、もう目はバッチリと覚めた

 

さて、ここは何処だろう

目が暗さに慣れると、そこに見えたのは

横たわっている小さな子供が数人いたのに気付いた

 

子供たちはキョトン顔をしている

 

メガミ「メグさん、これって…」

メグ「うん、この子達も連れ去られたのね、ポケヤミーに」

 

私は心配になってある女の子の所まで駆け寄った

 

メガミ「大丈夫?怪我は無い?」

「うん…」

安堵する私、メグさんも、子供達のところに駆け寄っている

 

ところで、どうやら私達の身体にも異常はなさそう

ここで疑問に思うのは、あのポケヤミーが何をしたかったのか

私達を拐うや否や、こんな所に閉じ込めるなんて

よく分からない

 

メグ「ねぇ、メガミちゃん」

メガミ「はい?」

メグ「私、気付いちゃったかも」

メガミ「え?」

 

 

ライト「へぇ〜、たくみのママって、採掘現場で働いてるんだ」

たくみ「うん、ママ、いつもいそがしそうで、あそんでくれないけど、きょうは、やすみだからって…」

ライト「そっか、それではぐれちゃったんだね」

たくみ「うん、ママ、どこいっちゃったの?」

ライト「大丈夫、俺達がママを見つけてやるから!」

たくみ「ほんと?」

ライト「あぁ!任せとけ!」

たくみ「ありがと、おにいちゃん」

ポケヤミーを警戒しつつ、俺はたくみについて色々聞いていた

レンも側で聞いていた

 

たくみはこの街に住む5歳の男の子で、母親と二人暮し

父親は早くに亡くし、母親は女手1つで育てているらしい

多忙な母の元、家族との触れ合いは殆どないという

そして、久々の母の休暇に親子でこのニビ科学博物館に来ていたというが、いつの間にはぐれ、今に至るという

あとどうでもいいが、たくみは男の子にしてはまるで美少女のような顔付きで女の子の様だった

こんな顔で、そんな事を言われるのだ、少し照れる自分がいるのもしょうがない

 

たくみ「でも、ぼくはだいじょうぶ」

ライト「どうして?」

たくみ「だって、パパがいるもん」

ライト「?」

たくみの言っていることがよく分からなかったが、とりあえず、たくみの情緒は今のところ安定している様だ

 

少し気になったのは、たくみはそのセリフを言うと、腰に着けていた小さな巾着袋をぎゅっと握り締めていた

 

俺もたくみと話しているうちに、自然と母さんの顔が思い浮かんだ

もう俺が旅に出てから1ヶ月以上は経っている

久しぶりに、会いたいな

 

レン「…おい」

ライト「ん?どうした?」

レン「いや、その、1つ質問がある」

ライト「ん?なんだ、藪から棒に?」

レン「…その、お袋は、元気か?」

お袋?あぁ、きっとユイ叔母さんの事だろう

そっか、レンは5年前に旅に出てから、叔母さんと顔を合わせてないのか

なるほど、そういうことか

 

レン「今、大分イラッとしたが、気のせいか?」

ライト「あはは、気のせいだよ。元気だよ、きっと今も、母さんと元気に過ごしているんじゃないのか?」

レン「……そうか」

ツンとした態度、だがきっと本心では、安堵しているに違いない

俺はここ数日、レンと過ごす中で気付いたことがある、それは

レンは、ツンデレだ!

 

レン「やはり気のせいではないようだな」

ライト「え?」

レン「知っているか?ミュウツーのタイプはな、「エスパー」タイプだ」

あ、悪寒

 

兎にも角にも、俺達はたくみを守りながら、この迷路の廊下を歩いていた

すると、レンの携帯の着信音が鳴った

 

 

メガミ「メグさん、何が気付いたんですか?」

メグ「見て、この部屋にいる子供達を」

メガミ「?」

私は言われるがまま、子供達を一人一人見た

 

花柄のワンピースを着た女の子、うさぎの髪飾りを付けた女の子、丸眼鏡をかけておさげの女の子……

 

メガミ「…全員、女の子?」

そう、この場にいた子供が、私達も含め全員女の子だった

 

メグ「ご名答、きっとあのポケヤミーは、女の子を拐っていく習性がある」

メガミ「じゃあ、男の子は?」

メグ「それは…、もしかして…」

メガミ「……」

 

 

レン「もしもし?」

カズマ『僕だ、大変な事が起こった』

レン「どうした?」

携帯を手に取った俺は、電話に出ると、スピーカーにした

 

カズマ『……メグとメガミが、ポケヤミーに連れ去られた』

レン「な、何!?」

カズマ『監視カメラの映像で、約2時間前の出来事だ、ポケヤミーが、2人を掴んで何処かに消えた』

レン「な、何故直ぐに教えなかった…」

カズマ『すまない、今確認したんだ』

レン「……何故跡を追わなかった…」

カズマ『追ったのだが、撒かれた。だが、あの巨体であそのまでのスピードとは、相手は中々のものだぞ』

レン「……」

カズマ『……レン?』

レン「…そんなの、ただの言い訳じゃないか」

カズマ『そ、それは…』

俺の中で、何かが爆発しそうだった

スピーカーを切り、マイクに向かって言う

 

レン「俺は2人を助けに行く…」

カズマ『ま、待て!レン!少しおち──』

電話を切った俺は、ライトに背を向けた

 

ライト「待てよレン!どうするつもりだ!」

レン「どうするもこうするもないだろ、あの二人の安否が優先だ」

ライト「たくみはどうするんだ?この子をポケヤミーの側に連れていくのは危ない」

レン「関係ない、そいつはここに置いていけ」

ライト「冗談だろ?たくみを見殺しにするつもりか!?」

レン「見殺し?違う、これは犠牲だ」

ライト「……!」

レン「大体、自分の身も守れない弱者を俺は守るつもりなどなかった」

ライト「……!!」

レン「俺が求める力に、そんな弱者は不要だ。だが、あの二人は強い、力を持つ権利がある」

ライト「……!!!」

レン「あの二人を優先する方が、妥当だと思うがな」

ライト「…お前にとって、強さってなんなんだ?」

レン「何?何が言いたい?」

ライト「お前にとって、力ってなんだ!」

レン「…俺にとって、力は全て!俺を高めるものだ!」

ライト「違う!強さは、力は、人を守るためにある!」

レン「…!?」

ライト「お前にとって力が自分の為の物なら、俺の力は、みんなの為の物だ!それが、俺の夢にも繋がる!」

レン「お前の夢など、知ったことか…」

ライト「…夢は、人を強くする。即ち夢は、力だ」

レン「…!!」

ライト「俺は俺の夢で、みんなを強くしたい」

レン「……」

ライト「それが俺の、もう1つの夢だ」

レン「……」

しばらくの間、沈黙が続く

たくみは相変わらずキョトン顔をしている

 

レン「…足手まといにはなるなよ」

ライト「…あぁ!俺は2人も、たくみも救う!」

ライトの能天気な発言を無視して、俺は歩みを進めた

 

どうでもいい

とにかく今は、あの2人に…

 

 

メガミ「どうやら、ここからの脱出は困難のようですね」

メグ「そうだね、私のレジェンドライバーもいつの間にかなくなってるし、助けを待つしかないね」

部屋を散策し、わかったことがある

1つは、ここが地下であること、部屋のドアに「B1」と書かれていた

2つ目は、ドアの向こうには、パトロール的なポケヤミーが数体いて、脱出が難しい事

 

メガミ「ライトさん達、来てくれますかね?」

メグ「分からない、だけど少なくとも私は、会いたい」

メガミ「え?」

メグ「2人に会いたい、なんでかは、分からないけど。家族だからかな?」

メガミ「会いたい…」

ふと、ライトさんの顔が浮かぶ

 

メグ「どうしたの?メガミちゃん。顔、真っ赤だよ?」

メガミ「え?き、気のせいです!」

暑くなった顔を手で扇ぎ、冷静になる

 

なんだろうこの気持ち、今まで感じたことのないような

ライトのことを思い出すと少しだけ胸が締め付けられる

私を旅に誘ってくれたあの日を思い出す

やはり、胸が苦しい

 

 

『なぁに?あなた達』

ライト「なぁに?って、さっき会ったろ!忘れたのか?」

レン「メグとメガミを返してもらう、さっさと場所を教えろ」

『あらあら、勘違いしてるようだけど、私はあなた達のことは知らないわ』

遭遇したポケヤミーに、俺達は直談判していた

 

レン「吐かないなら、力ずくだ」

ライト「あぁ!たくみ、下がってろ!」

たくみ「う、うん」

 

俺はレジェンドライバーを腰に当てた

同時にライトはメガドライバーを腰に当てた

 

ライト「行くぜ!相棒!」

レン「ミュウツー、俺に従え」

ライト「変身!」

レン「変身」

 

俺は仮面ライダーレジェンへ、ライトは仮面ライダーバーサへと変身した

 

ライト「熱き炎の戦士!仮面ライダー!バーサ!」

レン「伝説の戦士、仮面ライダー!レジェン!」

『あなた達、仮面ライダー?』

ライト「そうだ!燃えるぜ!」

レン「さぁ、伝説の始まりだ」

 

『2対1とは、不利ね、じゃあ私も。ガルーーーー!!』

突然ポケヤミーが叫んだ

するとどこからともなく、足音が聞こえ、廊下の両端から奴と同じ姿のポケヤミーが数体現れた

 

レン「何!?」

ライト「ポケヤミーがいっぱい!?」

レン「そうか、コイツらは集団行動が中心のポケヤミーだな!狩りをするものと、それを保管するもの、そこに2人はいる!」

ライト「じゃあ、コイツら全員倒せばいいってことだな!」

レン「そうなるな」

ライト「よし、じゃあここは俺に任せて、そこを探れ!」

レン「いいのか?相手は何体いるか分からないんだぞ!」

ライト「ますます燃えるな!全員俺が引き留める」

レン「わかった、じゃあここは任せた!」

俺はテレポートをして、その場を離れた

 

『あなた、本気?』

ライト「あぁ、仲間が俺を頼ってくれたんだ。ぜってー助ける」

 

 

メガミ「急に、静かになりましたね」

メグ「そうだね、外はどうなってるんだろう」

『ガルーーーー!!』という叫びとともに、ドアの向こうにいたポケヤミー達が颯爽といなくなった

もはやもの家の空、今なら脱出出来る!

 

メグ「みんな!逃げるよ!」

子供達の手を取り、長い廊下を抜ける、階段を上がり、1階にたどり着いた

さらに長い廊下を駆ける、と、全員の足が止まった

 

『何処に行くの?あなた達?』

『ガルーラ•ヤミー』が立ち塞がっていた

万事休す。ここには戦える人はいないし、子供達もいる

無闇に抵抗は出来ない

だけど、ここで引く訳にも行かない

 

レジェンド!ヒッサーツッ!

 

どこからともなく音がした

 

ミュウツー!

ジーンディストラクション!

 

レン「全員伏せろ!」

変身したレンさんが後ろから命令してきた

私達は言われた通りしゃがんだ

 

『な!なんなのあんた!』

 

レンさんは右手を前に翳し、念波を放出させる

 

『グォ!』

 

それが直撃した『ガルーラ•ヤミー』は焦点を失い

混乱状態となった

それを確認したレンさんは高く飛び上がり、紫色のオーラを纏いながら、右足でキックを決める

 

レン「ジーンディストラクション!ふっ!」

 

攻撃を受けた『ガルーラ•ヤミー』は言葉も発さず爆発し、消滅した

メガストーンらしきものが飛んできて、レンさんがそれをキャッチしたが

 

レン「ちっ!」

それは既に粉々になってしまっていた

 

レン「大丈夫か?お前ら」

メグ「お兄ちゃん!」

変身を解いたレンさんにメグさんは飛びかかった

 

レン「無事でよかった」

メグ「うん、うん、ありがと」

メグさんの頭を撫でるレンさん、なんだか和む

 

ところで、さっきのポケヤミーの倒れたところに、何かがある

あれは……

 

メグ「あ!私のレジェンドライバー!」

レンさんを突き飛ばしたメグさんは今度はレジェンドライバーに飛びかかった

 

メグ「よかった〜、これで私も変身出来る!」

レン「……」

置いていかれたレンさんは少しだけ寂しそうだった

 

メガミ「そういえば、ライトさんは?」

レン「戦っている、1人で」

 

 

ライト「ほのうのパンチ!」

炎を纏った拳で、ポケヤミーの腹を殴る

 

『んふ!意外とやるじゃない、坊や』

ライト「なんの!ブレイズキック!」

今度は炎を纏った脚で攻撃する

 

くそっ!数が多い、『ヨノワール•ヤミー』の時よりかは少ないが、こんな巨体のポケヤミーが数体いると、やはり厄介だ

せめて、2人分の力が出せれば…

 

スピードは早くても、こんな狭いところでは、思いどうりには動けない

 

それに、タイプではこちらが有利なはずだ

だから負けられない

 

ライト「ぐはぁ!」

相手のパンチをもろにくらった

やはり、数で押されている

 

たくみ「おにいちゃん!」

ライト「…!たくみ!」

殴り飛ばされた影響で、たくみの所まで来たらしい

 

たくみ「おにいちゃん、ぼく、怖いよ」

ライト「大丈夫だたくみ、俺が守る」

たくみ「やだ、おうちにかえりたい、ママに会いたい」

ライト「たくみ…」

たくみ「パパ…、たすけて…」

たくみはさっきの巾着袋をぎゅっと握り締め、願っていた

俺は気になって、たくみの手を優しく取り、その巾着袋の中身を見た

そこにはメガストーンが入っていた

 

ライト「たくみ!これ!」

たくみ「これ、パパのかたみなんだって、ママがたいせつにしなさいって、そうしたら、パパがまもってくれるからって…」

 

家族、たくみにとっては知らない他人のような人でも、それは家族なのだ。俺だってそうだ、父さんの顔も声も知らないのに、どうして人は、それを家族と呼ぶのだろう。それは、会いたいという気持ちがあるからだ

 

俺は父さんに会いたい、母さんにも会いたい、叔父さんも叔母さんも、メグもレンも、そして、メガミとも

俺が会いたいと思う人がいる場所こそ、俺の居場所なのではないか?

 

会いたいと思う人がいるなら、俺は会わせてやりたい

 

ライト「任せろ!たくみ!」

たくみ「…?」

ライト「俺がお前とママを会わせてやる!」

 

すると、巾着袋の中のメガストーンが光りだし、俺の前に浮かぶ

封印が解け、その黄色と灰色の表面が姿を現した

俺は立ち上がり、無数のポケヤミーの目の前に立つ

 

ライト「よぉし!行くぜ!」

バシャーモナイトをメガドライバーから抜き

このメガストーンをはめる

 

セット!メガシンカ!ヘンシーン!

 

ライト「変身!」

 

ガルーラ!

ガルガル!ガルガル!ガ•ガ•ガルーラー!

 

全身は茶色、頭頂部は黒、黄色い耳と腹部

まるで目の前のポケヤミーと殆ど変わらない見た目をしている

だが、典型的に違うのが

俺のま隣に、全身は灰色、頭頂部は黒、黄色い耳と腹部をしている生命体がいた

やけに小さい、俺の膝下位の大きさしかない

 

ライト「親愛の戦士!仮面ライダーバーサ!ガルーラフォルム!」

???『with!チビガルーラ!』

甲高い声、どうやらコイツは喋れるらしい

 

チビガルーラ『行くぜ!ママ!』

ライト「…燃えるぜ!」

チビガルーラ『燃えるぜ!』

まぁ、敵ではない様だ

 

ライト「メガトンパンチ!」

チビガルーラ『メガトンパンチ!』

俺が一体のポケヤミーに攻撃すると、チビガルーラは別のポケヤミーに攻撃をした

まさか……

 

ライト「ダブルアタック!」

チビガルーラ『ダブルアタック!』

俺は2発連続のパンチを一体のポケヤミーにお見舞いしたが、チビガルーラはやはり、別のポケヤミーに同じ攻撃をしていた

 

まさかこのメガシンカの力は、2人分の攻撃が出来るのでは?

いや、そうに違いない!だとすれば

 

ライト「行くぜ!チビガル!」

チビガルーラ『おう!』

 

俺はキーストーンを押し込んだ

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

 

ガルーラ!

フレッジ!ツインアタック!

 

ライト•チビガルーラ「『フレッジツインアタック!』」

 

俺は右腕で、チビガルーラは左腕で、最後の一体となった『ガルーラ•ヤミー』にパンチを食らわせた

『ガルーラ•ヤミー』は悲鳴をあげながら爆発し、消滅した

 

チビガルーラ『やったぜ!』

 

変身を解くと、チビガルーラは消えた

全く、どうなっているのやら

 

たくみ「おにいちゃん…?」

ライト「大丈夫だったか?たくみ」

たくみ「うん!おにいちゃんがまもってくれたから!」

ライト「よし、じゃあ」

俺はたくみの手を取った

 

ライト「ママ、探そっか!」

たくみ「うん!」

たくみは、満点の笑顔を見せてくれた

 

 

たくみ「ママーー!」

「たくみ!よかった〜無事で!」

ライト「よかったな、たくみ!」

たくみ「うん!ありがとう!おにいちゃん!」

 

館内にいるポケヤミーを全て倒し、メインホールに集まったお客たちは、はぐれてしまった人たちも、合流することができたようです

 

もちろん、私達も

 

ライト「レン!無事でよかった!」

レン「お前に心配されるほどやわでは無い」

ライト「メグ!無事でよかった!」

メグ「えへへ〜、まぁね〜」

一人一人の無事を祝うライトさん

 

ライト「メガミ!無事でよかった!」

メガミ「あっ、はい…」

ライト「ん?どうした、メガミ?」

メガミ「い、いえ!なんでもありません!」

ライト「そんなことないだろ!顔が真っ赤だぞ!病院行った方が…」

メガミ「お、お構いなく!私は、大丈夫ですので!皆さんの無事を祝ってあげてください!」

ライト「そ、そうか?じゃあ…」

傍を離れるライトさん

 

鼓動が早い

身体が暑い

胸が苦しい

本当に、何なのこれ!

これじゃあ、まともにライトさんの顔が見れない!

 

メガミ「はぁ」

メグ「ねぇねぇメガミちゃん」

メガミ「は、はい?」

いつの間にかメグさんが私の傍まで来ていた

 

メグ「メガミちゃんってさ、ライト君のこと、好きなの?」

メガミ「え?」

 

す・き?

 

もしかして、この胸の高鳴り、湧き出る想い

これが、恋?

 

レン「……」

 

メガミ「い、いいえ!違いますぅぅ!」

私は逃げるように、博物館から出ていった

 

メグ「ははーん、そういうこと〜」

 

きっと、ここからなのだろう、私が

心を決めたのは

 

To be continued




次回予告

大都会、ヤマブキシティに到着したライト達
そこで遭遇したのはグリーンと名乗る男
彼の紹介でアルバイトをすることに!?

第十話「大都会で、ハローワーク」


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第十話「大都会で、ハローワーク」

登場人物プロフィールのコーナー②
朝堂メグ
性格 いつも明るく陽気な子、いつも家族のことを気にかけている。コミュニケーション能力が高く、誰とでもすぐに仲良くなることが出来る
変身 幻の戦士 ディアンシーフォルム
   神速の戦士 ゲノセクトフォルム


グゥゥと、腹の虫が鳴く

最近は持ち金も少なくなってきて、食べる量も少なくなっている

これじゃあ飢え死にする

元々大食い体質の育ち盛りの男子には、とてもきつい

 

ライト「レン〜、腹減った〜」

レン「我慢しろ、今日も買い出しに行くつもりだ、食べたかったら付き合え」

ライト「え〜!めんどく…」

レンが凄い顔で睨んでいた

 

ライト「…さくないです!着いてきます!」

メグ「なになに?買い物行くの?私も着いてく!」

メガミ「それでは、私も」

カズマ「じゃあ、僕も…」

レン「あんたはテントで留守番してろ」

カズマ「え?でもひとりじゃ…」

レン「お•と•な、だろ?」

カズマ「……はい」

 

そんなこんなで俺達はヤマブキシティというカントー地方屈指の大都会に来ていた

そのショッピングモールにて

 

メグ「ウィンドウショッピング♪ウィンドウショッピング♪」

メガミ「なんですか?それ」

メグ「買い物だよ〜!洋服とか〜、アクセとか〜、下着とか!」

メガミ「下着、ですか…」

メグ「そう!女にとってファッションは命!メガミちゃんだって…」

メグがメガミに耳打ちをしている

するとメガミは顔を赤らめた

 

メガミ「い、い…今その話は関係ないでしょ〜!」

メグはくすくすと笑っている

てか最近の2人、仲良いな

一体何を話していたのだろう

俺は頭にはてなマークを浮かべる

 

レン「あまり贅沢は出来ないからな、気をつけろよ」

メグ「は〜い!」

メグはメガミの手を引き、走っていった

 

ライト「……」

レン「……」

ライト「…また、2人きりだな」

レン「…そうだな」

ライト「……」

レン「……」

 

気まずい!

ニビシティでのことがあってからか、何故か俺に対する態度が冷たい

というか、拗ねられているような、避けられているような

 

ライト「レン〜、今日の夕飯はなんだ?」

レン「ピーマンの肉ずめ、ナスとピーマンの中華炒め、無限ピーマン」

ライト「全部ピーマン料理じゃないか!」

レン「なにか問題があるのか?そもそもピーマンとは、ビタミンCを多く含む栄養食材だ、その歴史は古く、多くの料理に使用されてきた。ちなみにパプリカもピーマンの1種だ、この間パプリカなら食べていたじゃないか、何が違うんだ?パプリカは熱を加わえずとも美味しいが、ピーマンだって加熱をすれば苦味は軽減される、それゆえ成長につれ食べられるようになる子供だって普通にいる。お前は今いくつだ?15だろ?もう子供じゃないだろ?それでもいいのか?子供のままでいいのか?嫌だったらちゃんと食べろ未熟者が」

ライト「…う、うん」

見事にメンタルブレイクされた俺は論破された

 

???「おい!誰かそいつを捕まえろ!」

向こうの方で男の人がこっちに走りながら叫んでいる

その男の人の約3メートル前方に黒い帽子に青いサングラス、黒い革ジャンにジーパンの男が、緑色のバックを持って、その男の人に追いかけられていた

 

すぐにひったくりだとわかった

 

ライト「レン」

レン「あぁ」

 

レンがひったくり犯の走ってくる延長線上に立つ

腕を組んで立ち尽くす

 

ひったくり犯はポケットからナイフを取り出し、レンに向かって振りかざした

だが、そこには一瞬の隙が出来る

 

俺が一瞬のうちに犯人の懐に入ると、振りかざそうとした腕を掴み、背負い投げをした

 

犯人は床に投げられ戦意喪失していた

 

しばらくして警察が来たので身柄を受け渡して任せることにした

 

???「いや〜助かったよ!お二人さん!」

被害者である例の男の人が俺達に話しかけた

 

ライト「いえ!とんでもない。当然のことをしたまでですよ」

???「ほんとありがとう!このバックには、大切な物が入っていたからね」

レン「貴重品か何かか?」

???「ん〜、ま、そんなとこ」

歯切れが悪い、きっと違うんだろう

とにかく何事も無くてよかった

 

早く夕飯の買い出しをして…

 

次の瞬間、グゥゥと腹がなった

思わず腹を手で抑える

 

???「なんだい?君?腹減ったのか?」

ライト「まぁ、色々あったんで…」

???「それなら俺が奢るよ、さっきのほんのお礼だ」

ライト「え〜!そんな、悪いですよ〜」

レン「おい、ヨダレが垂れてるぞ」

あ、っと急いで拭く

 

???「ハッハッハ!大丈夫!俺、そこそこ持ってるし」

レン「うちとしては助かる。が、その前に自己紹介だ。俺の名は朝堂レン」

ライト「波山ライト!よろしく!」

彼の容姿は、オレンジ色の髪に黒いジャケット、ベージュ色のズボンを履いている

歳は20歳から30歳の間だろう

さっきの緑色のバックを大事そうに抱えていた

 

グリーン「俺の名はグリーン!よろしくな!」

 

 

「お待たせ致しました」

タキシードを来たウェイターがそういうなりテーブルに料理を置く

天井にはシャンデリア、テーブルは円型で白いテーブルクロスも敷いてある

料理の両サイドにはナイフとフォークとスプーン

ワイングラスに入ったただの水

誰がどう見てもここは高級レストランだった

 

レン「ちょっと待て!なんだこの状況は」

グリーン「何って、俺の奢り。言っただろ?結構持ってるって」

レン「でも流石にこれは頂けん」

グリーン「そんな事言っても、彼は欲しそうだよ?」

グリーンさんがそう言うと、2人とも俺を見た

俺は料理をガン見し、ヨダレを垂らしていた

拭いてる余裕なんてない

 

レン「ったく、このバカは…」

グリーン「さぁ!食べた食べた!今日はパーティーだ!」

ライト「いっただっきまーす!」

俺はスプーンを手に取ると、料理を貪るように食った

美味しい

 

グリーン「ハハハ!美味そうに食うねぇ!君!」

レン「あんた、何者だ?」

グリーン「ん?」

レン「ちょっとやそっとじゃこんな高級料理食えないだろ、しかも店をまるまる貸切なんて…」

グリーン「俺が正体を言ったら、食ってくれるの?」

レン「まぁ、そうだな」

グリーン「んふふ〜!聞いて驚け!」

レン「……!」

レンがグリーンさんに食いつく

 

グリーン「俺は…、かの有名なオーキド研究所のオーキド博士の一人息子!グリーン様だ!」

レン「知らん」

グリーン「えぇぇぇぇぇ!」

食い気味にレンが突っ込んだ

 

グリーン「え?知らないの?オーキド博士だよ?あの有名な…」

レン「聞いた事もないな、そもそも何を成し遂げた人なんだ?そのオーキド博士ってのは」

グリーン「んふふ〜!それはな〜…」

この空間に点が3つ出てきた気がした

 

グリーン「あの人何したんだ?」

グリーンさんが独り言を言った

 

レン「ふっ!やはりな。飛んだ野郎だ。自分の親に縋るただのボンボンだったな」

ライト「な!レン!なんてこと言うんだ」

レン「事実だ」

グリーン「くっ!確かにそうだ。俺の家には昔からお金だけはあった。お金とでしか人と渡り会えなかった。今日だって、お礼の方法なんて、分からないから、こんな方法しか思いつかなかったんだ」

そうだったのか、きっとこの人自身、いい人なのだろう

目が潤んでいた

 

レン「……くっ」

レンも少しは罪悪感を感じたのだろう、歯を食いしばっている

 

グリーン「でも!なにかお礼はさせてくれ!なんでもする!」

レン「……なんでも?」

レンが呟く、何かを企んでいるようだ

 

レン「じゃあ一つだけ頼みがある」

グリーン「なんだ!なんなりと言ってくれ!」

レン「俺達は今金に困っている。直球に言うと、金が欲しい…」

ライト「おいレン!それはいくらなんでも…」

レン「…から、アルバイトを紹介してくれ」

ライト「……え?」

俺の頭は混乱していた

 

グリーン「アルバイト?」

レン「そうだ、自分達の金は自分達で稼ぐ、常識だろ?」

グリーン「そんなので良かったら、幾つか紹介するよ!」

レン「助かる」

 

俺達はグリーンさんにいくつかのアルバイトを紹介してもらった

 

 

グリーン「まずは接客業!あそこのファミレスは時給900円で働けるよ!」

俺達がまず紹介されたのはファミリーレストラン

雇用形態は接客と皿洗い

レンは接客を、俺は皿洗いで面接を受け、採用が決定した

 

次の日

 

ライト「チーフー!これどこに置いたらいいですか〜?」

チーフ「お、おいっ、その大量に山積みにした皿をどうするつもりだ…?」

ライト「え?どうするって……あ」

俺はバランスを崩し、同時にガシャーンという音が、厨房に響き渡った

 

一方

 

レン「貴様……誰に指図をしている…!」

客「誰って、あんただろ?早く、お•ひ•や!持ってきてくれ」

レン「……くっ!」

店員「お、落ち着いて!レンくん!ちょ……」

 

結果 2人ともその日のうちにクビ

 

 

グリーン「そうかー、合わなかったか〜。ちなみになんでクビになったかわかるか?」

ライト「だって、一度に多く運べば、効率よくできるだろ?」

レン「あの男…、俺に指図して…!くっ!」

グリーン「うん、2人とも自覚はないんだね」

 

グリーン「じゃあ次は……」

と、俺は次々とアルバイトを紹介してもらったが、結果は何れも惨敗

 

グリーン「まさか、君たち2人に働くセンスが微塵も感じられないとは…」

ライト「俺は精一杯やってるんだけどなぁ」

レン「職種が俺に合わせないのが悪い」

グリーン「はぁ〜」

グリーンさんは頭を抱える、俺達は相当ヤバいらしい

 

グリーン「じゃあ次がラスト、あまりおすすめはしたくなかったけど、この際しょうがない」

と、グリーンさんが次に紹介してくれたのは

ヤマブキシティでもトップの業績を誇る「シルフカンパニー」という会社を紹介してくれた

 

グリーン「俺の知人の親父さんが社長をやってるから、コネを回せば、何かしらの仕事は貰えるだろ」

半分呆れたグリーンさんは、早速俺達をそのビルへと案内してくれた

 

 

社長「おぉ〜!君達がライト君にレン君だね?」

白髪に長い髭、いかにも社長っぽい人が、俺達を出迎えてくれた

 

グリーン「久しぶりだな!爺さん!」

社長「おぉ!相変わらずのデリカシーの無さだな!坊主」

グリーン「俺はもう坊主じゃねえ!立派な大人だ!」

社長「ハッハッハ!それはそうと、彼奴は元気か?」

グリーン「ん?アイツのことか?さぁな、どっかで暇でもしてんじゃねぇの?」

社長「そうか、また彼奴に会ったら伝えといとくれ、再会が楽しみじゃ、と」

グリーン「あぁ、会ったらな」

何か雑談をしているが、誰の話なんだろう?

 

???「社長、17時から会議があります、ご準備を」

程なくして、紅色の衣装を身にまとい、髪は濃い緑のロングで前髪パッツンな綺麗な女性が社長に事務連絡をしてきた

歳はグリーンさんと同じくらいかな?

 

社長「おぉ〜ナツメ!お前にも紹介しよう、本日アルバイトをしてくれるライト君とレン君だ」

ライト「どぅも…」

レン「よろしくたのむ…」

ナツメ「社長秘書のナツメです、本日はどうもありがとう」

冷たい表情で俺達を見た後、ナツメさんはグリーンさんに視線を向けた

 

グリーン「よっ!ナツメ!」

ナツメ「グリーン…、貴方もいたのですか」

グリーン「おぉ、コイツらの付き添いでな、元気してたか?」

ナツメ「別に、いつも通りです」

グリーン「相変わらずつれないなー」

グリーンさんと仲良しそうに話している、一体彼女はどんな人なのだろう

 

社長「そしてライト君、レン君、彼女はわしの秘書であり、娘のナツメじゃ」

娘、つまりグリーンさんの知人って、この人だったんだ

 

社長「うむぅ〜、しかし困ったの〜。アルバイトはありがたいのじゃが、如何せん仕事がなくてな……。そうじゃ!」

社長はナツメさんにキラキラな視線を送ると、口角を上げた

 

社長「ナツメよ!この2人はお前に預ける!」

ナツメ「はぁ、と言いますと」

社長「お前も秘書の仕事は楽ではないじゃろう。この2人には、秘書の助手として働いて貰おう」

ナツメ「いいのですか?自分で言うのもあれですが、激務ですよ?」

社長「大丈夫じゃろ、若い2人じゃ、何とかなる!」

 

なんだか勝手に話が流れてしまった

いつの間にか俺達2人は、ナツメさんの助手として、使い回されることになってしまった

 

社長「じゃあ、あとは頼んだよ、ナツメ」

と、社長は複数人の部下に囲まれながらその場を去っていった

だが、俺にはこの言葉が、意味深に聞こえた

 

ナツメ「さて、ライト君にレン君、だったわね。早速働いて貰うわ」

グリーン「じゃあ俺はここら辺で…」

去ろうとするグリーンさんの首根っこをナツメさんはガシッと掴んだ

 

ナツメ「何を言っているの?あなたもよ?」

グリーン「で、ですよね〜」

 

 

約2時間の労働、だけど俺には一生分働いた気がする

ナツメさん曰く、今日はまだ楽な方だと言う

やはりバリバリのキャリアウーマンは違う

 

ナツメ「さぁ、休憩したらもうひと頑張りするわよ」

グリーン「ぐへぇ〜まだ働くのか!?」

疲れ切っている3人に対し、ナツメさんは余裕そうだった

その時だった

 

どこからともなく女性の悲鳴が聞こえた

 

ライト「!?」

レン「今のは!?」

ライト「行ってみよう」

レンが頷く

疲れを忘れた俺達2人は、全速力でその場を後にした

 

グリーン「おいお前ら!何処に行くんだ!」

ナツメ「ちょっとあなた達!?」

2人の声を俺達は無視した

 

 

現場に着いた時には遅かった

何人かの人達が、『奴』の周りに倒れていた

外傷は無さそうだ、だが目を押えながら苦しんでいる

 

『奴』の見た目は異型だった

赤と青の体、楕円形の物体が集合しているようだ

尻尾のようなもの、翼か腕のようなもの、嘴のようなもの、鶏冠のようなもの

目は黄色と赤が組み合わさったような感じ

 

『マタ、ニンゲンカ』

中に浮いた『奴』は俺達に気づくなりそう言った

でもいつもとは違う、電子音声の様だ

 

『オレハ、ポリゴンZ。ニンゲン、コロス』

『ポリゴンZ』と名乗ったポケヤミーは腕を伸ばし、攻撃してきた

 

俺達はそれを躱し、ドライバーを装着する

 

グリーン「おいおい、これは一体どういう事だ!?」

ナツメ「……」

俺達に追いついたのだろう。グリーンさんとナツメさんが走ってきた

グリーンさんは驚きを隠せず、ナツメさんは絶句していた

 

ライト「2人とも逃げて!ここは危ない」

ナツメ「で、でもあなた達が……」

レン「俺達の心配はするな。早急に片付ける」

俺はバシャーモナイトを、レンはミュウツーストーンを取り出した

 

ライト「行くぜ!相棒!」

レン「ミュウツー、俺に従え」

ナツメ「あなた達、それって…」

ライト「変身!」

レン「変身!」

俺達は仮面ライダーへと変身した

 

ライト「熱き炎の戦士!仮面ライダーバーサ!」

レン「伝説の戦士、仮面ライダーレジェン」

 

グリーン「お前ら…。一体、何者なんだ…?」

 

ライト「…燃えるぜ!」

 

 

『オマエラガ、カメンライダーカ。ヒョウテキヲカクニン、マッサツスル』

荒ぶりながら攻撃をする、『ポリゴンZ•ヤミー』

異型でありながら、攻撃パターンもつかみにくい

 

だが、レンは大分攻撃を躱せているようだ

スピードでは俺が勝っている筈なのに…

 

ライト「かそく!」

俺は思わず特性を使った

 

これなら相手の攻撃を大体は躱せるだろう

 

『ヒョウテキノ、カイヒパターンヲヨソク』

突然動きが止まると、『ポリゴンZ•ヤミー』は何かを仕掛けようとしていた

 

『ダウンロードカンリョウ。コウゲキパターンヲヘンコウ』

いや違う。学習している

 

さっきの『ポリゴンZ•ヤミー』とは別物のような攻撃

計算し尽くされたその動きに俺はついていけなかった

 

ライト「がはぁ!」

レン「くっ!部が悪過ぎる。ここは一旦引くぞ!」

ライト「あ、あぁ」

俺はレンのテレポートで共に何とかやり過ごすことが出来た

 

 

グリーン「なるほど、仮面ライダーにポケモン。ねぇ〜」

ライト「信じてくれる?」

グリーン「まぁ、信じるも何も、本物を見たしな、今更どうこう言うつもりは無い」

レン「俺達は世界中に蔓延るあのポケヤミーという存在を倒している。世界を救う為に」

グリーン「世界を、か。大変なんだな、お前らも」

安全な場所に移動した俺達

ナツメさんはここに着くなり「ちょっと待ってて」と、どこかへ行ってしまった

グリーンさんには全てを話し、納得してもらえた様だ

 

ナツメ「待たせて悪かったわね」

しばらくすると、ナツメさんが戻って来た

すると何かを俺に手渡ししてきた

 

手の感触で分かる。これは…

 

ナツメ「これは私が持っていたお守りのようなものよ。父が、私が小さい時にプレゼントしてくれたの」

まさしくメガストーンだった

封印は解かれてはいないようだ

 

ライト「良いのか?」

ナツメ「えぇ、あなた達が戦っているところを見て、確信したわ、これはあなた達が持っている方が、正しいと」

ライト「ありがとう。じゃあありがたく貰うよ」

グリーン「じゃあ、俺も」

と、今度はグリーンさんがメガストーンを手渡ししてきた

しかも3つ

 

グリーン「これは俺の友人が見つけたもんでな、大切にしてたけど、お前にやる!」

ライト「良いのか!?」

グリーン「なぁに、どうせ俺に使い道は見つからねぇし、いざって時に使え」

俺は計4個のメガストーンを2人から貰った

 

ライト「それにしても、レンはよく奴の攻撃を躱せるな」

レン「あぁ、俺は「みらいよち」を使っていたからな」

ライト「みらいよち?」

レン「相手の攻撃を先読みする技だ。ただし反撃出来るのは相手が2回攻撃してきた後だ」

ライト「でも、さっきは反撃してなかったよな?」

レン「そりゃ、お前を守る為に必死だったからな…」

レンはボソッと言ったが、俺にはちゃんと聞こえた

嬉しかった

 

レン「とにかく!次は勝つぞ」

ライト「あぁ!」

 

 

ナツメ「仲がいいわね、あの2人」

グリーン「そうだな」

ナツメ「…彼は元気?」

グリーン「ん?アイツか?さぁな」

ナツメ「そんなことだろうと思ったわ」

グリーン「アイツだってアイツなりに生きてる。だったら俺も頑張らなくちゃな」

 

15年前、俺達は約束した

とある大事な約束を

今も、あの場所で待っているんだろ?

誰かを

 

なぁ、レッド……

 

To be continued




次回予告

ナツメから貰ったメガストーンの封印を解く鍵は
行方不明になった社長!?
社長を救い出し、ライト達はシルフカンパニーを救うことが出来るのか!?
そして、忍び寄る影…
その正体とは……

第十一話「大都会で、エスパー特訓」


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第十一話「大都会で、エスパー特訓」

登場人物プロフィールのコーナー②
メガミ・アリス・クラット
性格 明るく、お淑やか。誰にでも気を配り、他人が傷付くところは見たくない
密かにライトに好意を寄せている……?
変身 なし


ライト「社長が行方不明!?」

ナツメ「えぇ、上から通達があったわ。会議が始まる前に、社長が姿を(くら)ましたそうよ」

ライト「なんだってこんな時に……」

戦いに行こうとしたさなか、ナツメさんからそんな報告を受けた

 

グリーン「あの爺さん、昔っからそういうところあったんだよな〜」

グリーンさんは呆れている

 

レン「行き先に心当たりは?」

ナツメ「ないこともないですが、この状況では…」

ライト「大丈夫!社長は俺達が必ず守るよ!」

きっとみんなは俺の発言を能天気だと思っているのだろう

だけど、俺は絶対に助ける

たとえ信じて貰えなくても…

 

グリーン「そうだな!お前なら大丈夫だな!」

ナツメ「そうですね、貴方なら信じれます」

ライト「…え?」

レン「ん?どうした?」

ライト「…いや、なんでもない!」

 

みんなは俺を信じてくれてる

だったら俺はそのみんなの期待を裏切りたくない!

 

たまに思う、俺はバカだから周りが見れていない

そのせいで色んな人に迷惑をかけたこともある

 

でも、それでも誰かを救いたいと思った

お節介でもいい

ウザったくてもいい

俺は救われたあの笑顔に救われるから…

 

ライト「レン!絶対助けるぞ」

レン「言われなくてもわかってる。そう何度も言うな」

ライト「へへ、わりぃ」

 

すると、さっきナツメさんに貰ったメガストーンが輝きながら浮かび上がった

封印が解けたメガストーンは黄色いストーンに薄紫色の模様が入っている

 

きっと、このメガストーンは俺を認めてくれたのだろう

 

しかし、そのメガストーンは意志を持つように、俺から離れていく

逃げるようで、誘うように

俺とレンはそのメガストーンを追いかけることにした

 

 

ライト「くっそ、どこ行った?」

レン「まさか、メガストーンが独りでに動くとはな」

俺とレンは逃げ出したメガストーンの跡を追ったが、どうやら見失ってしまったらしい

 

レン「ったく、お前が途中で余所見をしたからだ」

ライト「だって気になるだろ?こんな大都会の真ん中であんな庶民的な家」

俺はメガストーンを追いかけている途中、とてもこの大都会には似つくわない1軒の古民家を見つけていた

でも誰も寄せ付けないような、そんなオーラを放っていた

一瞬の間ではあったが、俺はその家が気になってしょうがなかった

 

ライト「とりあえず、色々聞き回って探してみよう」

様々な家を渡り歩いて、情報収集を行ったが、それらしい話も出てくるはずもなく、途方に暮れていた

 

レン「やはり、残るはこの家か」

レンと俺は先程の古民家の目の前に立っていた

 

ライト「なんでこの家だけ新築じゃないんだ?」

レン「さぁな、さぁ、行くぞ」

ライト「…まさか、ゆゆゆゆゆ幽霊とか、ないよな?」

引き戸の取手に手をかけようとしていたレンの手が止まる

 

レン「そ、そんなわけないだろ。大都会だぞ?」

レンの顔が明らかに青ざめている

 

レン「そ、そんなに怖いのなら、同時に開けてやらなくもないが?」

声にいつもの覇気を感じない

前にも思ったが、レンって、以外とビビり…?

 

両開きの戸、左の戸はレンが、右の戸は俺が開けることになった

息を合わせて深呼吸する

バンッ!と勢いよく開けると、玄関の先はほぼ畳の部屋だった

道場のようなその場所の中央

道着を着た老人が坐禅を組んでいた

ただならぬオーラを感じる

だが、何故だろう

その老人は能面を被っていた

異様に髭の長い能面だ

 

老人「……来たか」

 

 

グリーン「エスパーおじさん?」

ナツメ「…そういえば、貴方は知らなかったわね」

グリーン「なんの事だ?」

ナツメ「…この街の外れにある古民家があるでしょ?そこにいる老人の事よ。正体は、不明」

グリーン「その爺さんが何なんだよ」

ナツメ「…実は私、その人の正体を知っているの」

グリーン「ん?」

ナツメ「あの人は──」

 

 

その老人はまるで何かを待っていたかのように、こちらを見た

沈黙の中、先に口を開いたのはレンだった

 

レン「あんた、何もんだ?」

老人「…儂はエスパー親父」

レン「エスパー親父?なんだそれ」

老人「鈍ったお前達に、エスパーの極意を教えてやる」

レン「エスパーの極意…?」

すると老人は、こっちに来いとジェスチャーをした

 

老人の目の前に正座した俺たちに、金属製のスプーンを見せつけた

 

一見意味のわからない行動

だけど俺達にはさっきの言動を合わせると、(おの)ずと答えはわかった

 

レン「っはん!スプーン曲げ?そんな初歩的なマジックで誰が驚くか…」

レンが絶句した

それもそのはず、その老人が見せたのはスプーン曲げではなかったのだ

 

レン「ス、スプーンを結んだ、だと…」

その老人は、スプーンを蝶蝶結びにしたのだ

さすがに俺も驚きを隠せなかった

 

老人「こんなものは序の口じゃ。本当のエスパーはここからじゃよ」

能面で隠れた顔

その裏の表情は、どんな感じなのだろう

俺達は、その老人に夢中になった

 

 

『ジリ、ジリリリリリリ』

シルフカンパニーの頂上

『ポリゴンZ•ヤミー』は再度の調整をしていた

 

『カメンライダー、ツギ、コソハ…』

???「どうしたんだい?ポリゴンZ君?」

『…マスター』

???「君の能力があれば、仮面ライダーなんて簡単に倒せるさ」

『アリガトウ、ゴザイマス』

???「せっかく君をストーンから解放してあげたんだ。僕の力になってよね」

『モチロンデス、マスター』

???「期待しているよ、僕のかわいい下僕(しもべ)達っ」

『……』

 

 

レン「そろそろ教えてくれ、エスパーの極意ってやつを」

老人がどんどんとネタを見せてくれる中、俺達は思った

それは先程老人が言っていた、「エスパーの極意」というものの正体だ

 

老人「お前達には早すぎる、エスパーの極意は己で見つけるものだ。他人に乞う時点では、まだ極意には程遠い。エスパーは心を通して強くなる、いわば一種の力と言えるだろう」

レンの耳がピクっと動いた

 

レン「ほぉぅ」

するとレンは正座していた足を今度は坐禅に切り替えた

 

老人「儂の言う事を聞いてくれる気になったか?」

レン「まぁな、教えてもらおうじゃねぇか、その力」

老人「ならば問う、お前さんは何を求めてエスパーの極意を身につけようとしている?」

レン「俺が求めるのはいつだって力だ。力こそ正義、力こそ全てだ」

老人「…そうか。ならばその方よ」

老人は俺に意識を向けた

無意識に俺も坐禅を組んだ

 

老人「お前さんは何を求める?」

ライト「俺は、世界の平和です。みんなの笑顔を俺が守りたい」

老人「……」

 

老人が黙ると、すっと立ち上がり、奥の部屋に消えていった

しばらくすると、老人は白い厚紙を2枚持ってきた

厚紙には模様の様な溝が入っていた、これは…

 

老人「1000ピースのジグソーパズルじゃ、お二人さん、これを完成させて見せなさい」

さらに老人は紫と赤のバランスボールを用意した

 

老人「このバランスボールに座りながらな、床に足が着いた時点でリセットじゃ」

これで終わると思ったら、まだまだ甘かった

さらに老人は、何枚かの皿を用意した

 

老人「さらに、この皿を10枚頭に乗せ、落とさぬようにな」

ライト「…はは」

思わず苦笑いが出る始末

だが…

 

レン「やってやろうじゃねぇか」

ライト「おう!俺も!」

ここからが、俺達の勝負だった

 

 

机の上に置かれた1000ピースのジグソーパズル、赤いバランスボールに正座、頭の上に置かれた10枚の皿

もう、あれからどのくらいたった?

 

何度もジグソーパズルをやり直し、足は震え、皿ももう既に5枚は割っている

 

レン「…くっ!」

レンも大分苦戦しているようだ

 

レン「…俺は、何をやっているんだ?」

ライト「…え?」

手は動いているものの、レンは俺に聞こえるように独り言を言った

 

レン「こんなことして、何になる?何の為になる?」

ライト「それは…」

レンの言うとうり、これは何の為の特訓なんだ?

何の為にこんな事をしている?

なんか、馬鹿馬鹿しくなって来た

だが、癖になったのだろう、手は勝手に動く

 

老人「………」

 

いや、そうだ

エスパーの極意だ

ってかエスパーの極意ってなんなんだ?

どんな力なんだ?

どうやったら習得できる?

もし、習得出来たとして

戦いに使えるのか?

……

俺は、何の為に戦っているんだ?

何を血迷って、こんな危険な事をしている?

敵を倒すのが目的か?

俺の力は、倒す為だけの力なのか?

……いや、違う

俺は、助けたい、救いたい、守りたい!

その為に戦っているんだ!

不器用でも良い

我儘(わがまま)でも良い

傲慢(ごうまん)でも良い

あの笑顔を、俺は守りたい

その為に、俺は戦う!

だから……!

 

老人「ライト君よ、ようやったな」

ライト「……え?」

気付いたら、ジグソーパズルは完成していた

 

老人「ライト君よ、君は何の為に戦う?」

ライト「……皆の笑顔を守る為です」

老人「それは本当か?」

ライト「…いいえ」

俺が守りたい笑顔、それは…

 

ライト「ある人の笑顔を見たいからです。その前に、皆の笑顔を守らないと、あの人はきっと笑わない」

老人「そうか…、ライト君よ」

ライト「はい」

老人「…これが欲しいのか!」

老人は右手を勢いよく出して、手を開いた

そこには、さっき俺達から逃げ出したメガストーンがあった

 

レン「……」

この爺さんが、教えようとしたもの

それはエスパーの極意なんて物じゃねぇ

強靭な集中力

それこそが、エスパーの極意の正体だったというのか?

 

ライト「おじさん、これ…」

老人「この部屋にいる時に、突然入ってきてな。これはライト君のものじゃろ?」

ライト「はい!……ん?」

ってか、なんでこの人は俺の名前を知っているんだ?

名乗った記憶は無いはずだけど…

 

老人「いや〜、騙すつもりはなかったんじゃが、この石の意志でね、石だけに」

老人は被っていた能面を外した

そう、その顔には見覚えがあった

つい今朝、俺達と会った

 

ライト「しゃ、社長!?」

なんと老人の正体は、シルフカンパニーの社長だったのだ

 

社長「うむ、週に1度ここに来て鍛錬をしているのじゃが、先程この石が儂の元に飛んできてな」

なんとこのメガストーンがテレパシーで顔を隠して、俺達と接触するよう促したというのだ

 

グリーン「そういう事か」

ナツメ「社長、やはりここでしたか」

社長「おぉ、ナツメ!」

ナツメ「おぉ、じゃありません!」

ナツメさんが社長を叱っている時、外で眩い光が走った

 

レン「奴らが再び動いたようだな」

ライト「行くぞ、レン!」

レン「俺に命令するな」

道場を後にした俺達は、ポケヤミーの所まで急いだ

 

グリーン「ホント、面白い奴等だよな」

ナツメ「そうね、なんだか、昔の貴方達を見ている様だわ」

グリーン「なぁナツメ」

ナツメ「何?」

グリーン「俺、あいつに会いに行くよ」

ナツメ「…そう、気をつけてね」

グリーン「あぁ」

ナツメ「…そういえば、脚の方は大丈夫なの?」

グリーン「あぁ、そっちは大丈夫だ、もう治った」

ナツメ「そう」

グリーン「……」

15年前の約束、お前は覚えてるか?

俺達の約束であり、夢を…

 

 

『…カメンライダー』

ライト「待たせたな、ポケヤミー!」

レン「これ以上好き勝手やらせるか」

 

メガシンカ!ヘンシーン!

レジェンド!ヘンシーン!

 

ライト「変身!」

レン「変身」

 

ライト「はぁ!ブレイズキック!」

変身直後、俺は攻撃を仕掛けた

 

『…ピィィィン』

ライト「うぉ!」

突然『ポリゴンZ•ヤミー』は眩い光を放った

直視は免れたが、眩しい

なるほど、被害にあった人達が目を押さえていたのは、こういうことか

 

レン「おい!新しいメガストーンはどうした!?」

ライト「あぁ、わかってるって!」

俺はメガドライバーからバシャーモナイトを取り出し、さっきのメガストーンを取り出し、メガドライバーにセットした

 

セット!メガシンカ!ヘンシーン!

 

ライト「フォルムチェンジ!」

メガリングのキーストーンを押し込む

 

フーディン!

フー!フーフーフー!フーディン!

 

身体の色は黄色になり、その上から赤紫色のアーマーが被さる

頭部は3つの角が出来、長い髭が生えてきた

 

ライト「信念の戦士!仮面ライダーバーサ!フーディンフォルム!」

俺は仮面ライダーバーサ フーディンフォルムへと進化した

 

ライト「燃えるぜ!」

 

胸から湧き出る闘志

だけど心は落ち着いている

今なら、相手の状況を把握できる

 

『ピリ、ピリリリリリ』

『ポリゴンZ•ヤミー』はビームを打っきたが

俺は簡単にそれを交わした

 

ライト「サイコキネシス!」

俺は『ポリゴンZ•ヤミー』の動きを止めた、が

 

『ダウンロード カンリョウ、 コウゲキ ヲ サイカイ』

やはり荒ぶりながら攻撃する『ポリゴンZ•ヤミー』

猛攻撃の為、俺も少し押されていた

 

ライト「っく!なら!みらいよち!」

突然、脳内にイメージが流れて来た

ありとあらゆるパターンのイメージ

『ポリゴンZ•ヤミー』の攻撃パターンが筒抜けになったと思う程に

 

ライト「ここだ!」

イメージどうりに動いた『ポリゴンZ•ヤミー』に俺は宙に浮いた幾つかのスプーンをぶつけた

 

『ピリ、バグ ガハッセイ、バグガハッセイ、バグガガガガガガ』

さらに荒ぶった『ポリゴンZ•ヤミー』

俺はメガリングのキーストーンを2回押し込んだ

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

フーディン!

スーパーナショナルパワーマジック

 

ライト「スーパーナショナルパワーマジック!」

『ポリゴンZ・ヤミー』の動きを止め、その周囲に6つの巨大なカップが現れ、それがポケヤミーの周りでシャッフルされる

困惑する『ポリゴンZ•ヤミー』

だが、カップが消えても俺の姿はない

 

ライト「ここだ!」

俺は上空から巨大なスプーンを振りかざした

 

ライト「はぁ!」

俺はそのスプーンを振りさげ、『ポリゴンZ•ヤミー』を破壊した

 

 

あとから聞いた話だが、被害にあった人達は軽傷で済んだらしい

ひとまず良かった

 

社長「ありがとう2人とも、おかげでシルフカンパニーも無事で済んだよ」

ライト「いえいえ、それより社長、あまり皆さんを心配させないでくださいね」

社長「ほっほっほ、そうじゃな、程々にしとくよ」

ナツメ「ホントです!」

社長「ハッハッハ、ところでライト君、さっきある人の笑顔を見たいと言っていたが、一体誰じゃ?」

ライト「あぁ、それは…」

レン「……ん?なんだ?」

ライト「…社長が知らない人ですよ」

社長「…そうか、あそうじゃナツメ、あれを」

ナツメ「はい」

ナツメさんは鞄から2つの茶封筒を出して、俺達に渡してきた

中身はお金だった

どうやらお返しのようだ

 

ライト「え!こんなに!流石に貰えないですよ…」

社長「何を勘違いしておる?」

ライト「え?」

ナツメ「バイト代よ、まぁ、ボーナス込だけどね」

レン「……ふっ」

ライト「……へへっ。そういえば、グリーンさんは?」

ナツメ「あぁ、あの人なら……」

 

 

カントー地方とジョウト地方の境にある「シロガネ山」

その山頂付近

 

レッド「……」

1人の青年がそこに佇んでいた

 

グリーン「こんなとこで何してんだ?」

青年の後方、グリーンが雪の上を歩きながら言った

 

レッド「……お前か」

グリーン「おいおい、5年ぶりにあった親友に対する最初の挨拶がそれかよ〜」

レッドはまだ背中を向けている

 

レッド「…何の用だ?」

グリーン「いや〜、ちょっと話があってな。知ってるか?この世にはな、まだまだ面白い奴が沢山いんだぜ?」

レッド「…それがどうした?」

グリーンに耳を傾けようとしないレッド

だがグリーンはある1つの提案をした

 

グリーン「…なぁ、俺と旅に出ないか?」

レッド「……!?」

グリーン「ずっと考えていた、お前の事だから、過去の事をズルズル引きづってんじゃねぇかってな」

レッド「……」

グリーン「だから、これからは前に進むんだ。過去の事を枷にする必要なんてない」

レッド「……俺に、そんな資格はない」

過去に起きた事件、レッドはそれに責任を感じている

 

グリーン「……お前、今でもサッカーはやってるか?」

レッド「……!?」

そのワードに驚いたレッドはグリーンの方を見た

グリーンは緑色のバックを持っていた

 

グリーン「サッカーで世界一になる、15年前約束したよな。覚えてるか?」

レッドは首を縦に振る

 

グリーン「俺達、最強コンビとして高校では名が通ってたよな」

レッドは再び首を縦に振る

 

グリーン「高校生活最後の大会、俺が怪我をするまではな」

レッドは黙り込んだ

 

グリーン「何度も言ったが、あれはお前のせいじゃない。あれは事故だ、たまたまお前の足が俺に当たっただけだ」

レッドとグリーンの高校生活最後の大会

レッドがスライディングしたその方にはグリーンの足があり、衝突してしまったのだ

グリーンは救急搬送、全治6ヶ月の大怪我だった

 

レッド「……だがそのせいで、お前の選手人生を棒に振ってしまった。みんな言っていた、あいつは希望の星だったのにって。世間の誰もが、俺よりもお前が注目されていたことがすぐにわかった。俺はファンの期待も、家族の信頼も、お前の人生も全て奪ったんだ。そんな俺が、お前と一緒にいる価値があると思うか?」

グリーン「…お前って、バカだな」

グリーンは呆れた

 

レッド「……?」

グリーン「俺はそんな事気にしてねぇ、みんな言ってたぞ?俺が怪我した後、サッカー人生から突然足を洗い姿を消した伝説の男として、今でも語り継がれてるぞ?」

レッド「それでも俺は!お前の人生を奪った!取り返しのつかない事をしてしまった!俺に、もうお前と一緒にボールを蹴る資格なんてない!」

レッドは声を荒らげその場にへたれこんだ

 

レッド「だからもう、俺に構わないでくれ…」

グリーン「……」

グリーンはバックからとあるものを取り出し、レッドに見せつけた

 

グリーン「…なぁ、これ、覚えてるか?」

レッド「…お守り?」

グリーンが持っていたのは、画用紙で出来たお守りだった

少し雑な字で、「グリーンへ」と書かれている

 

グリーン「お前がくれたお守りだ、懐かしいな、これも、15年前に貰ったんだよな」

レッド「まさかお前…、それをずっと…」

グリーン「あぁ、肌身離さず持っていた、今までずっと」

レッド「………」

レッドは再び俯く

そして自分のバックを漁ると、グリーンにとあるものを見せつけた

画用紙で出来たお守り

真ん中には「レッドへ」と書かれている

 

グリーン「やっぱり、そんなこったろうと思った」

笑うグリーン

それを見て微笑むレッド

 

グリーン「…もう一度聞く。俺と一緒に旅に出ないか?」

レッド「……俺はもう、サッカーは出来ないぞ?」

グリーン「そんなの関係ねぇ」

グリーンはレッドに近づく

 

グリーン「それに俺は、サッカーをやりたい為にお前と一緒にいたわけじゃねぇ。お前と一緒にいたいから、サッカーをやってたんだ」

レッド「…!?」

グリーン「俺は、お前と一緒にいることで存在価値があるんだ。この5年間で実感した、俺には、お前が必要だ」

レッド「……こんな俺でも、まだお前と一緒にいていいのか?」

レッドの目には涙が浮かんでいた

 

グリーン「当たり前だろ?一緒に来てくれるか?レッド」

レッドに手を差し伸べたグリーン

 

レッド「……あぁ、グリーン」

座っていたレッドはグリーンの手を掴んだ

グリーンはそんなレッドの手を引っ張り立たせた

少しよろけるレッド、満点の笑顔のグリーン

深い握手をした2人

この2人のこれからの物語は、まだ誰も知らない

シロガネ山の山頂からは、綺麗な雲海が見えた

 

 

カズマ「よし!みんなも集合した事だし、早速出発するか!」

ライト「おー!」

メグ「おー!」

メガミ「お、おー」

レン「……」

ライト「ところで、次はどこに向かうんだ?」

カズマ「おう!ちょっと待ってろ〜」

携帯と地図を見比べ、次の目的地を確定する

だが、徐々に叔父さんの表情が悪くなる

 

レン「どうした?」

カズマ「あ、あぁ。次の目的地なんだが…」

ライト「お!」

カズマ「マサラタウンなんだが…」

ライト「………」

メガミ「?どうしました?ライト?」

ライト「…え?いや、なんでもない…」

カズマ「……」

レン「…何かあるのか?マサラタウンに」

ライト「…いや」

カズマ「ライト、俺が言う」

ライト「……うん」

レン「?なんなんだ?」

カズマ「実は、マサラタウンは、ライトの故郷なんだ」

レン「!?まさか……」

カズマ「そう、そのまさかだ、ライトはあの5年前に起こったマサラタウン大規模火災事件の被害者の1人だ」

レン「!?」

ライト「…実はその時、俺の幼馴染が…」

カズマ「ライト、それ以上は…」

ライト「…あぁ、そうだな」

 

 

???「ったく、どこなんだ此処は?大丈夫か?ピカチュウ」

『ピカチュー!』

 

 

???「あ〜あ、ダメだったか〜」

真っ暗な空間

そこに、1人の人間がいた

 

???「今回は行けると思ったんだけどな〜。ま、いっか」

その人間は後ろに視線を変える

 

???「じゃ、後は頼んだよ。君の復讐ってやつ、見せてよ」

その視線の先には、黒と白の帽子

黒と白の襟元が開いた服、紺色のズボンに赤の靴。そして、真っ赤な瞳

 

???「─サトシ君っ」

サトシ『…………』

 

To be continued




次回予告

別の世界から来たと言うサトシと名乗る少年
ライトは彼をかつての親友、サトシと勘違いをしてしまう
そんな彼らの前に現れたのは、もう1人のサトシ
さらに、闇の力で変身!


第十二話「2人のサトシ、炎を前に」


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第十二話「2人のサトシ、炎を前に」

前回のあらすじ

行方不明になる社長
逃げ出すメガストーン
怪しげな古民家
様々な障害がある中、ライトは仮面ライダーバーサ フーディンフォルムに進化!
『ポリゴンZ・ヤミー』を見事撃破!
そして、そんな彼らに、新たな脅威が…


???「なんだい?せっかく生き返らせたのに、その不満そうな顔〜」

サトシ「…俺にどうしろって言うんだ?」

???「別に〜、君がやりたいようにやればいいよ、復讐したいんだろう?彼に」

サトシ「あぁ、あいつは、俺が絶対に許さない」

 

 

マサラタウンまでもう少し、だが

どうも足が動かない

またあそこに行くのが怖い

事故から5年、復興もまだまだらしいのだが

幾分かマシになったはずだ

なら大丈夫

大丈夫な、はずなのに…

 

ライト「…くそっ」

 

足が竦んで動かない

 

ライト「……」

思い出したくはなかった、でも、忘れたくもなかった

あの記憶は、いつも俺の中にあり続けるべきだ

例え最悪な記憶でも

 

 

 

メガミ「一体何があったのですか?あんなライト、初めて見ました」

僕達の後方で立ち尽くすライト

それを見て、メガミはライトには聞こえないように僕に話した

 

カズマ「んー、とても言いにくいが…」

レン「……」

メグ「……」

傍にはレンとメグもいる

 

カズマ「5年前に起こったマサラタウン大規模火災事件、だが事故で亡くなったのは1人という、奇跡のようなことが起こった」

続けて僕は話す

 

カズマ「ライトとアケミさん…ライトのお母さんは、マサラタウン在住だった。その為、事故に巻き込まれた。俺もその日はこっちに来ててな、俺も巻き込まれた。だが、それだけでは終わらなかった」

メガミ「…え?」

カズマ「ライトには幼馴染がいてな、実は、事故で亡くなったのは、その子なんだ」

レン「……」

メグ「…そんな」

カズマ「しかも、ライトの目の前で……」

メガミ「…あんまりです、そんなの悲しすぎます!」

メグ「メガミちゃん!しっ!」

メガミ「あ!ご、ごめん…なさい」

レン「…なるほどな」

 

あの日の記憶は、今でも鮮明に覚えている

ライトがあんな風になるのも、無理はない

だが大丈夫、ライトなら、きっと乗り越えられる

 

 

レン「ここがマサラタウンか…」

 

マサラタウンに到着した僕達

あの日と比べたら、確実に復興は進んでいた

 

マサラタウンを丸々丸焦げにしたあの火災事故

原因は不明

5年経った今でも、原因は究明出来ていないらしい

 

チラッとライトの方に目を配る

ライトの表情は曇ったままだが、さっきよりかは、良くなった気がする

 

そう思ったのも束の間、遠くで悲鳴が聞こえた

 

 

『ケロケロ』

空色のカエルのようなポケヤミーが人々に猛威を奮っていた

 

『ケロケロ、ケロー!』

首に付いた泡のようなものを飛ばし、水爆弾のように爆発させている、辺りには水が飛び散っている

 

ライト「よりにもよってみずタイプのポケヤミーかよ!変身!」

仮面ライダーバーサへと変身した俺は、ポケヤミーが飛ばした泡を蹴り返した

 

『ケロ!』

身軽にそれを交わしたポケヤミーは、口から泡を飛ばしてきた

 

ライト「うお!」

ダメージは少ないが、浴び続けたらマズイ

 

ライト「…くそっ!」

守らないと、この町を、また、あんな風にはさせちゃダメだ

 

ライト「ブレイズ…!」

???「ピカチュウ!10万ボルト!」

『ピーッカー!チュウゥゥゥ!』

次の瞬間、辺りに電気が走った

 

『ケロケロ!』

どうやらポケヤミーに向かって打たれたらしい、攻撃が止んだ

 

構えた腕を解くと、そこには黄色いポケモンがいた

こいつもポケヤミーか?

 

???「大丈夫か?」

すぐ側には人間がいた

赤と白の帽子、顔と白の襟元が開いた服

紺のズボンに赤の靴

顔は逆光で上手く見えない

 

『ケロケロ…』

???「なんでケロマツが人を…、ピカチュウ!エレキボール!」

『ピカピカ!チュウッ!』

黄色いポケモンはその人の指示通り、エレキボールを放った

 

『ケロケローー!』

エレキボールが直撃した『ケロマツ・ヤミー』は

断末魔を吐きながら消え去った

 

それと同時に、太陽が雲に隠れた

そして顔がはっきりと見えた

それは何度も夢の中に出てきた

その夢せいで何度も飛び起きた

あの日、救えなかった、命

 

ライト「……サトシ…、か…?」

サトシ「え?どうして俺の名を?」

『ピカピカ?』

 

 

アケミ「ライトー!そろそろ起きないと、学校遅刻しちゃうよー」

いつもと変わらない朝だった

小鳥の(さえず)りが聞こえて、心地が良かった

 

アケミ「サトシ君も迎えに来てくれたわよー」

サトシ「ライトー!学校行くぞー」

ライト「うーん!」

着替えてランドセルを背負って、朝ごはんを食べる余裕はないからトーストを咥えて玄関を出る

 

ライト「行ってきまーす!」

サトシ「よし!急ぐぞ〜」

ライト「おう!」

ランドセルを弾ませながら、俺達は小学校までの道のりを急いだ

 

カズマ「おー!ライト!」

ライト「叔父さん!」

サトシ「おはようございます!」

カズマ「あぁ、おはようサトシ。ライトもこの位偉いといいんだけどなぁ〜」

ライト「余計なお世話だよ、ってか、今日はこっちに来てたんだ」

カズマ「あぁ、仕事でな。夕方にはそっちに向かうよ」

ライト「うん!待ってる!」

サトシ「ライト!学校!」

ライト「あぁ!そうだった、またね!叔父さん!」

カズマ「あぁ、気を付けて」

 

サトシと俺は幼馴染だった

お互いの家が近く、俺達はすぐに意気投合した

間違いなく、俺達は親友だった

そう、あの日までは

 

学校が終わった俺達は、日課である、川遊びをしていた

あの日は木登りもしたっけ

だが、その直後だった

マサラタウンが一瞬にして、火の海になったのだ

辺りの家々は燃え、周りの林からも火が出ていた

 

ライト「はっ…はっ…」

サトシ「…大丈夫か?ライト!」

ライト「あ、あぁ…」

熱い

初めて感じる炎の熱に、俺は呆気を取られていた

途中、誰かを探しているおばさんを遠くに見つけたが、構っている暇ではなかった

 

急いで町まで逃げ出した俺達は、叔父さんと合流した

母さんとサトシママは無事避難出来たらしい

 

カズマ「よし、俺達も逃げよう!」

ライト「…うん!」

サトシ「…ちょっと待って!」

ライト「…どうした?サトシ」

サトシ「…ないてる」

ライト「……え?」

そう言うと、サトシは走り去ってしまった

 

ライト「ま、待ってよ!サトシ!」

カズマ「…ライト!ここで待ってろ!」

叔父さんもサトシの後を追って走り去ってしまった

俺は、どうしたらいい?

俺は……

 

 

カズマ「サトシ!どうしたんだ!」

サトシ「ないてるんだ!助けなちゃ!」

カズマ「何を言って……!」

信じられなかった、僕にも聞こえたのだ、犬の鳴き声が

 

すると、1件の小さな家の前に付いた

家の前では、1人の中年の女性が、膝を着いていた

 

女性「シンちゃん…」

女性はその名を連呼していた、きっとこの家の中に取り残された犬の名前だろう

 

ライト「叔父さん!サトシ!」

カズマ「ライト!来たのか!」

ライト「俺があそこで黙って待ってると思った?」

カズマ「…ったく、生意気な子だな」

サトシ「ライト!あの中に犬がいる、助けるぞ!」

ライト「あぁ!」

2人は行く気満々だった

 

カズマ「待て!子供の2人では危険だ!」

僕はライトの腕を掴んだ

 

ライト「だったら叔父さんも手伝ってよ!」

だが、ライトはそれを簡単に解いた

いや、僕が力強く掴んでいなかったからだ

 

サトシとライトは近くにあったバケツに水を汲み、自分に水をかけた

どうやら本気で助けるらしい

僕も上着である白衣を脱いで水を被る

女性には逃げるよう促し、3人で突入した

 

ワンワンと鳴き声が響く廊下、既に炎が回っている

 

サトシ「うぉぉぉ!」

ライト「はぁぁぁ!」

その中を駆ける2人、僕も後に続く

 

 

まだ小さい柴犬

生きていたことにまず安堵し、逃げ道を探す

ふと思った、さっきっからこの家、めしめしいっている

マズイ、このままじゃこの家は崩壊する

3人まとめて家の下敷きだ

 

カズマ「逃げるぞ!」

犬を抱えた叔父さん、あとから俺とサトシが着いてくる

家を飛び出す直前、家が崩壊し始めた

大丈夫だ、この距離なら、間に合う!

俺は大丈夫だ!俺は…

サトシはどうなる?

急いで後ろを振り向く

すると、サトシが瓦礫に飲み込まれる瞬間だった

 

ライト「サトシ!」

急いでサトシに駆け寄る俺、瓦礫は重く、とてもじゃないけど、持ち上がりそうにない

 

ライト「サトシ!今助けるからな!」

サトシ「……ライト、…逃げろ」

サトシの声は掠れていた

 

ライト「嫌だ!逃げるもんか!お前がいなくなったら、俺はどうなる!」

カズマ「サトシ!」

叔父さんも駆けつけてくれた

 

サトシ「…カズマ…さん、ライトを…連れて、逃げて」

ライト「叔父さん!早くサトシを助けないと!サトシが死んじゃう!」

カズマ「………」

ライト「くっそ!」

重たい、熱い、逃げたい

だけどそれ以上に

助けなくちゃいけないと思った

サトシを失ったら、俺には何も残らない

だから…

 

ライト「嫌だぁぁ!」

もはや、手の感覚は無くなっていた

家は、どんどん崩壊していく

早くしなくちゃ……

 

カズマ「ライト、逃げよう…」

ライト「……は?何言ってんだよ!叔父さん!早く助け……」

すると、叔父さんは俺の方を掴んだ、さっきとは違い、力強く

 

カズマ「他人の命より!自分の命を優先しろ!」

その目には、涙が浮かんでいた

 

ライト「……叔父さん」

サトシ「……お願いだ…、お前には、生きてて欲しい、だから…」

じゃあなんで、お前は自分の命を優先しないんだ?

 

サトシ「……逃げてくれ」

ライト「……うああああああ!」

俺は涙を流した、場所と時間を間違えた、ここじゃない

だけど、これから起こることを考えると、涙が止まらなかった

 

サトシ「…ライト、○○○○」

サトシが何か言った。だが、炎の音と俺の鳴き声で聞こえなかった

 

カズマ「サトシ、ライト、すまない」

叔父さんは俺を肩に担ぎ、家を飛び出した、と同時に

家が壊滅した

最期に見えたサトシの顔は

笑っていた

 

もう俺は、泣くことさえ出来なくなっていた

それが俺の人生最悪の日だった

 

 

サトシ「俺はマサラタウンのサトシ!こっちは相棒のピカチュウ」

『ピカチュ!』

ニコニコと自己紹介するサトシ、その左肩には黄色いネズミのようなポケモンが乗っていた

 

カズマ「一体、どうなっているんだ?」

ライト「……」

聞きたいことはいっぱいある

どうしてお前は生きている?

どうしてポケモンと共にいる?

そして、どうして俺の事を覚えていない?

ここから導き出せる答えはひとつ

 

メガミ「どうかしました?ライト」

ライト「メガミ、平行世界って信じるか?」

メガミ「え?信じるも何も、存在しますよ、平行世界」

ライト「え?」

メガミ「ウルトラ調査隊の連中も、ウルトラホールを経由して平行世界へと渡っていたようなので、それがどうかしました?」

その話が本当なら…

 

 

サトシ「え!?ポケモンが居ない世界!?」

カズマ「居ないというよりかは、全滅したと言うべきだな」

サトシ「そんな…、まぁここに来た時からおかしいとは思ってたんだ、変な穴に吸い込まれて目が覚めると林の中にいて、町に出てもポケモンを1匹も見かけなくて…」

これでハッキリした

このサトシは別の平行世界から来たサトシ

 

だけど、その顔を見ると、罪悪感が押し寄せて来る

同じ顔、同じ仕草、同じ声、同じ性格

まるで、あのサトシが今まで生きていたかのようだ

5年間、何も変わってない

あのサトシのまんまだ

 

カズマ「ち、ちなみに、他にもポケモンはいるのかな?」

サトシ「あぁ、いるよ!出て来い!ゲッコウガ!」

懐からボールが投げ飛ばされ、それが半分に分裂

中からポケモンが出てきた

というかあのボール、メガドライバーとデザインが似ている

 

『ゲコッ』

青いカエルのポケモン

ピンク色のマフラーをしていて

身体の至る所に十字架のマークがある

 

サトシ「しのびポケモンのゲッコウガ、俺の自慢のポケモンなんだ」

カズマ「おぉ、サトシもそうだが、本物のポケモンを見れるとは…、驚きだ…」

珍しく素が出る叔父さん

ほんとうに嬉しいのだろう

 

だが、次の瞬間だった

ゲッコウガが突然光出し、形を変形させた

その形は正しく、メガストーン

ゲッコウガはメガストーンへと姿を変えてしまったのだ

 

サトシ「ゲッコウガ!」

流石のサトシも驚きを隠しきれない

俺も叔父さんも皆も、この現象には驚いた

 

レン「ポケモンが、メガストーンに…」

カズマ「どういう事だ?」

ライト「ま、まさか!?」

俺は咄嗟に、ピカチュウに目を向けた、まさかピカチュウもメガストーンに…

と、思ったがピカチュウも皆と同じように驚いているだけであって、メガストーンにはなっていなかった

 

『ピカ?』

カズマ「…サトシ、ちょっとピカチュウを借りてもいいかな?」

サトシ「え?あぁ」

サトシに承諾を得ると、叔父さんはピカチュウに「ちょっと着いてきてくれ」と言ってラボに消えていった

ピカチュウは叔父さんの言葉が通じたのだろう、短い足を必死に動かして叔父さんに着いて行った

 

叔父さんがラボにいる間、俺達はサトシにこの世界の事をもっと詳しく教えた

 

サトシ「かめん、らいだー?」

ライト「…そう、ポケモンと人間が融合して、さっき居たポケヤミーを倒して、世界を救うんだ」

サトシ「ふーん、ってかさ、あんたさっきメガストーンとか言ってたよな?」

レン「…あぁ」

サトシ「俺達の世界にもあるんだ、メガストーン」

ライト「え!?ほんとか?」

サトシ「まぁ、俺はメガシンカは使えないからよくわかんないんだけど…」

メガシンカというワードまで…

 

ライト「…って言うか、俺は使えないって、どういうことだ?」

サトシ「メガシンカは、そのポケモンと絆を深める事によって、ポケモンにパワーが送られて、新たな進化をするって、やつなんだ、だけど俺はメガシンカ出来るポケモンゲットしてなくてさ〜」

ライト「なるほど、つまり、メガシンカ出来るポケモンには限りがあるのか?」

サトシ「そうそう、でも似たような事は出来るぜ?俺とゲッコウガはお互いの絆を深めて[きずなへんげ]っていう特性を手に入れたんだ!」

ライト「きずなへんげ?」

サトシ「ゲッコウガの姿が変化して、ゲッコウガの見えている景色が俺にも見えて、俺が見えている景色がゲッコウガに見えるっていうやつ」

レン「…そんな事を習得して何が良いんだ?そっちの世界にはポケヤミーはいないんだろ?」

するとサトシはレンに近づき、目をキラキラさせながら言った

 

サトシ「…ポケモンバトルだよ!」

レン「…ポケモンバトル?」

サトシ「トレーナーがお互いのポケモンを勝負させるんだ!圧巻だぜ!?WCS(ワールドチャンピオンシップス)の出場者なんてすげぇヤツばっかでさ!俺も参加したんだけど…」

レン「もういい!わかった」

半ギレのレン、サトシはまだ目をキラキラさせている

 

サトシ「…俺さ、夢があるんだ」

ライト「…え?」

サトシの夢、別世界のサトシではあっても同じサトシ

そんなサトシの夢に、俺は興味を持った

 

サトシ「俺の夢は!ポケモンマスターになる事!」

ライト「ポ、ポケモンマスター?って何?」

サトシ「ポケモンを極めたポケモントレーナーの頂点、たった1人にしか与えられない称号」

ライト「…なんだそれ?」

よく分からないが、凄い夢らしい

でも、俺にはよくわかる

夢を追いかける気持ち

だから応援したいと思った

 

レン「夢なんて、人を弱くするだけだ」

そこに釘を刺したのはレンだった

 

サトシ「そんなことない!」

レン「いいや、あるね」

サトシ「…じゃあ、お前には夢はないのか?」

レン「……!?」

ライト「…レン?」

レン「…なんでもない」

レンの様子が少しおかしい

そういえば前にも…

 

カズマ「おまたせ!皆」

『ピカピー!』

すると叔父さんとピカチュウがラボから出てきた

 

レン「何かわかったか?」

話を逸らすように、レンは叔父さんに質問した

 

カズマ「うん!何も分からなかった!」

ライト「……は?」

カズマ「調べては見たが、今のところ不明だ。強いていえば、この世界に侵入した副作用みたいな物かな?ウルトラホールを直に経由してないポケモンはいきなりこの世界に放たれて体がバグを起こし、メガストーン化したと考えるのが先決だな」

サトシ「よくわかんないけど、ゲッコウガは生きてるのか?」

カズマ「あぁ、ゲッコウガは魂の様なものになったんだ。姿は違えど、生きてはいる」

サトシ「…良かった〜」

 

みんなで喜んだのも束の間

突然、外で爆発音がした

レン達はただのポケヤミーが来たと思っているようだが、俺には何故か、とてつもない何かが来ている気がした

 

 

現場に行くと、辺りの家が燃えて、草木も焦げていた

まるで、あの日の様な…

誰が、こんなことを…

 

???『待っていたぞ、仮面ライダー』

崩壊した家の瓦礫の上、1人の男が立っていた

黒と白の帽子、黒と白の襟元が開いた服、紺のズボンに赤の靴

服装はサトシと似ていた

いや、服装だけじゃない

顔も、瓜二つだった

 

だが、目が赤かった

 

ライト「……サトシ、か?」

サトシ「…なんで俺がもう1人……」

こっちのサトシも困惑している

2人のサトシが睨み合い、俺は黒いサトシをじっと見た

 

黒いサトシ『この時をずっと待っていた、ライト、お前に復讐するこの瞬間を!!』

ライト「……え?」

声が上手く出ない、一体こいつは、何を言っているんだ?

 

黒いサトシは懐から紫色と白の箱のようなものを出した、メガドライバーとも見えるこの箱には、2つのピンク色の突起物と、真ん中には白くMの字が入っていた

黒いサトシはそれを腰に装着した

 

マスタードライバー

 

カズマ「…あ…あのドライバーは…?」

レン「……」

メグ「……」

メガミ「……」

沈黙の中、雨が降ってきた

 

雨の音が俺の心臓の音と共鳴した

 

黒いサトシは黒と赤のメガストーンを取り出し、ドライバーの中央にセットした

 

セット

マスターヘンシン!

マスターマスター!マスターマスター!

 

黒いサトシ『………闇変化(やみへんげ)

 

黒いサトシはそう言うと、マスタードライバーの2つの突起物を同時に押し込んだ

 

ゲッコウガ!

闇を纏え!

In The Darkness!

 

黒いサトシは闇に包まれ姿を変え、黒いゲッコウガのような姿になった

だがその姿はどことなくサトシにも似ている

背中には大きな水色の手裏剣を抱えていた

 

黒いサトシ『復讐の戦士、仮面ライダーダークフロンズ』

 

雨は一層強くなっていった

 

俺は唖然としていた

 

黒いサトシ『さぁ、復讐の時間だ』

 

To be continued




次回予告

突如現れた黒いサトシ
闇の力で変身した彼はライト達に襲いかかる
『お前が俺を殺した!』
復讐に燃える黒いサトシをライト達は止めることができるのか!?
そして!レンとメグの最強タッグ!
サトシ、決断の時…!

第十三話「最強タッグ!闇を前に」


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第十三話「最強タッグ!闇を前に」

前回のあらすじ

マサラタウンに来たライト達、そんな時ライト達の目の前に現れたのは
かつてマサラタウンで起きた事件で亡くなったサトシにそっくりだったが
別の世界、平行世界から来たサトシだと判明
だが、突如現れた黒いサトシ
2つのサトシが対立したその時
黒いサトシは「仮面ライダーダークフロンズ」へと変身
『さぁ、復讐の時間だ』
ライト達に、復讐の刃を向ける──


黒いサトシ『復讐の戦士、仮面ライダーダークフロンズ』

雨は一層強くなっていった

 

黒いサトシ『さぁ、復讐の時間だ』

黒いサトシはそう言うと、勢いよく俺に襲いかかってきた

だが、体に力が入らない

状況が上手く読み込めていないのだ

やばい、この目は、やばい

 

レン「変身!」

 

次の瞬間レンが俺を庇っていた

 

レン「何ぼさっとしてる!戦え!」

ライト「……え?」

レン「戦えないのなら去れ!邪魔だ!」

ライト「……俺は…」

黒いサトシ『邪魔はお前だ!』

レン「くっ!」

レンを突き放した黒いサトシはレンに向かって攻撃を仕掛けた

 

黒いサトシ『みずしゅりけん!』

背中の大きな水色の手裏剣をレンに向かって投げつけた

 

レン「…サイコカッター!」

レンは尻尾を(なび)かせてサイコカッターを放つ

みずしゅりけんを相殺した

 

レン「はどうだん!」

紫色の球体を出現させたレンは黒いサトシに向かって放った

 

黒いサトシ『ハイドロポンプ!』

黒いサトシは今度は両手から水を噴射した

それはまたもやはどうだんを相殺した

 

どうやらレンと黒いサトシの力は互角のようだ

 

メガミ「ライトさん!逃げましょう!」

ライト「…メガミ」

メガミ「今の貴方は戦える状況に無いはずです!逃げましょう!」

ライト「…あ、あぁ」

メガミ「サトシさんも!」

サトシ「う、うん…」

メガミに促された俺達は黒いサトシから逃げるように走った

叔父さんも着いてきていた

 

黒いサトシ『!待て!』

レン「いいや、お前が待て」

黒いサトシに立ちはだかるレン

その横にはメグもいた

 

メグ「ここからは私たちが相手だよ!」

黒いサトシ『邪魔だ、どけ』

赤い目を光らせてこちらを睨んでくる

 

レン「お前には聞きたいことが山ほどある、行くぞ、メグ」

メグ「うん!お兄ちゃん!変身!」

 

レジェンド!ヘンシーン!

ディアンシー!

ディ!ディアン!ディ!ディアン!ディアンシー!

 

黒いサトシ『俺はお前らには用はない、ライトのところに行かせろ』

レン「じゃあまず聞かせろ、あいつの話からするに、お前がこの世界のサトシだな、ならなぜ生きている」

黒いサトシ『俺は蘇った。闇の力で』

レン「何?」

 

 

メガミ「ライトさん!あの人は…」

ライト「あぁ、サトシだ、間違いなく、あの」

俺達は黒いサトシから逃げながら話していた

 

カズマ「だが何故生きてる?あいつは確かに…」

ライト「あぁ、あいつは死んだ!でも…」

俺は立ち止まる

 

メガミ「ライトさん…」

サトシ「ライト…」

ライト「…あいつは本物だ、偽物でも、別人でもねぇ」

カズマ「なぜ分かる?」

ライト「分かるんだ、何故かは分からないけど、でもあいつは、あいつ(サトシ)だ」

カズマ「ライト…」

ライト「だからあいつは、俺が倒さなくちゃ行けないんだ!」

辺りは暗くなっていた

夜更けだ

 

だからだろう、レン達が近くまで迫っていたのに気が付かなかった

 

レン「おい!何してる!早く逃げろ!」

ライト「……」

黒いサトシ『見つけたぞ、ライト…』

ライト「サトシ…、なんで…?」

黒いサトシ『なんで?当たり前だろ?』

黒いサトシはその赤い目でギロッと俺を睨んだ

 

黒いサトシ『お前に復讐する為だ、お前を殺す』

ライト「…くっ!変身!」

俺は仮面ライダーバーサへと変身し、黒いサトシへ突っ込んで行った

 

ライト「うぉぉぉ!」

黒いサトシ『自分から来るとはな…、みずしゅりけん!』

ライト「うぉぉぉ!ブレイズキック!」

大きなみずしゅりけんと俺のブレイズキックがぶつかり合う

だが結果は明白、俺はみずしゅりけんで吹き飛ばされてしまった

 

ライト「ぐはぁ!」

黒いサトシ『俺はお前に復讐する為に、闇の力で蘇った。ずっとだ、ずっと考えていた!お前を憎み!妬み!何度も心の中で殺した!そんな俺の悪意が、お前に復讐するチャンスを与えたんだ、俺は進化した!俺はお前を殺し!この世界を滅ぼす』

ライト「…な、なんでそんな事を…」

黒いサトシ『言っただろ?これは復讐だ、お前を心身共に苦しめてやる、それが俺の復讐だ』

ライト「……させない」

黒いサトシ『…?』

ライト「……そんな事、絶対にさせない!たとえお前があのサトシだったとしても!俺が止める!」

黒いサトシ『……なら、どうする?』

ライト「……うぉぉぉぉぉぉ!」

俺はキーストーンを2回押し込んだ

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

バシャーモ!

バーニングドライブ!

 

俺は高く飛び掛り、黒いサトシに向かってキックを放った

 

ライト「バーニングドライブ!はぁぁぁ!」

 

黒いサトシ『……』

それを見た黒いサトシは、ドライバーの右の突起物を押し込んだ

 

マスターヒッサーツ!

マスターマスター!マスターマスター!

 

待機音が流れ、今度は左の突起物を押し込んだ

 

ゲッコウガ!

邪悪水手裏剣!

 

黒いサトシは背中の大きなみずしゅりけんをまた出現させ、それを持つと、空に大きく掲げた

するとみずしゅりけんは闇に包まれながら巨大化し、紫色になった

 

黒いサトシ『邪悪水手裏剣!』

黒いサトシはそれを俺に投げてきた

俺はどうにか押されないように頑張ったが、水と闇の力には俺にも勝てない

俺は吹き飛ばされ、変身も解除された

 

ライト「がはぁ!」

 

地面に落ちた俺は雨に濡れていた

 

黒いサトシは俺に迫ってくる

 

ライト「…はぁ…はぁ」

黒いサトシ『…ライト、1つ聞きたい』

ライト「……なんだ?」

黒いサトシ『どうして俺は死ななければならなかった?』

ライト「…いや、お前が死ぬ必要なんて無かった」

黒いサトシ『…そうか、なら、俺は誰に殺された?』

ライト「…そ、それは……」

黒いサトシ『もう答えはわかっている筈だ』

ライト「…いや、俺は…俺は…」

黒いサトシ『そう、お前が俺を殺した!』

ライト「…やめろ、……やめろぉぉぉ!」

黒いサトシ『お前が俺を助けなかったせいで俺は死んだ!つまり!お前が俺を殺したんだ!』

ライト「やめろ、やめてくれ……」

黒いサトシ『…くっくっく』

ほくそ笑む黒いサトシ

そんな彼に話しかけたのは変身を解いたレンとメグだった

 

レン「おい!黙って聞いていれば…」

メグ「…許さない」

黒いサトシ『………』

相変わらず赤い目を、今度はレン達に向けて睨んだ

 

レン「メグ、俺に着いてこれるか?」

メグ「うん、もちろん」

するとレンはメグに1つのメガストーンを渡した

 

赤と白のメガストーン

レンは青と白のメガストーンを持っていた

 

レン「ラティオス、俺に従え」

メグ「行くよ、ラティアス!」

 

ドロップ!

リード!レジェンドヘンシーン!

 

リード!

ドロップ!レジェンドヘンシーン!

 

レン・メグ「「…変身!」」

 

ラティオス!

オス!オス!ラ・ティ・オス!

 

ラティアス!

アス!アス!ラ・ティ・アス!

 

レン「無限の戦士、仮面ライダーレジェン、ラティオスフォルム」

メグ「夢幻の戦士!仮面ライダービジオン!ラティアスフォルム!」

 

レンは全面は白、背面は青で、翼が生えていて、目は赤

メグは全面は白、背面は赤で、レンと同じく翼が生えている、目は黄色だった

とても似ているフォルム、いったいどんな力なんだ?

 

レン「さぁ、伝説の始まりだ」

メグ「これが本物の幻よ!」

 

黒いサトシ『……』

雨はまだ止みそうになかった

 

 

レン「行くぞ!」

メグ「うん!」

一気に飛び立つ2人、一瞬にして上空へと消えた

 

黒いサトシ『……』

 

メグ「はぁぁぁ!」

先に空から戻ってきたのはメグだった

 

メグ「しねんのずつき!」

ジョット機よりも早いと思われるスピードで、メグは黒いサトシに向かって突っ込んだ

 

レン「しねんのずつき!」

レンも同じく黒いサトシに向かって突っ込んだが…

 

レン「…何!?」

2人の同時攻撃を受けても、黒いサトシはダメージを受けていなかった

 

黒いサトシ『無駄だ、俺にエスパー技は効かない』

レン「まさか…、あくタイプも入っているのか」

 

サトシ「ゲッコウガはみず・あくタイプ、エスパー技は効果がない…」

カズマ「そんな…」

メガミ「っ……」

 

メグ「だったら!ドラゴン技で倒す!」

レン「あぁ、その通りだ!」

 

再び飛び立つ2人、しかし今回は、黒いサトシを旋回するように、飛び回った

 

レン・メグ「「りゅうのいぶき!」」

2人は同時に口から紫色の息を吐いた

 

黒いサトシ『…?ぐふっ!』

その息に当たった黒いサトシは、全身から火花が散っていた

さらにその息は、旋回している2人の風の影響で、まるで竜巻のように黒いサトシを追い詰める

 

黒いサトシ『…っく!つじぎり!』

黒いサトシは両手に水色の短剣を出現させ、それを振り2人の動きを止めた

 

レン「…っふん!」

メグ「…っ!」

大きいダメージでは無いものの、2人は攻撃を止めて並んだ

 

黒いサトシ『かげぶんしん!』

黒いサトシは影をのばし、そこから黒いサトシが複数体出てきた

 

レン「あれはただの分身だ、でも油断はするなよ」

メグ「分かってるって!」

今度は真っ直ぐ黒いサトシに向かって飛んだレンとメグ

 

黒いサトシ『みずしゅりけん!』

複数体の黒いサトシはみずしゅりけんを放った

 

レン「はっ!ふっ!」

メグ「えいっ!やっ!」

それを躱しながら進む2人

 

黒いサトシ『何!?』

 

レン・メグ「「はぁぁぁ!」」

 

リード!レジェンド!ヒッサーツッ!

ラティオス! ラティアス!

ラスターミストボールパージ

 

レン・メグ「「ラスターミストボールパージ!」」

 

レンは輝く弾を、メグは霧の弾を出現させ、2人はそれを合成し、黒いサトシに向かって解き放った

ひとつとなったその弾は、みずしゅりけんを粉砕しながら突き進み、黒いサトシに直撃した

と、思われたが、そこにあったのは緑色のぬいぐるみだった

どうやら「みがわり」を使ったらしい

 

黒いサトシ『くっ、ここは一旦引くか』

陰に隠れた黒いサトシは姿を消した

 

レン「待て!」

雨は止んだが、空は曇っていた

 

 

カズマ「どうしてサトシが…」

今現在起きている状況を確認するべく、僕達は一旦テントに戻っていた

 

レン「奴は言っていた、闇の力で蘇ったと」

メガミ「闇の力って、まさか…」

メグ「うん、多分ポケヤミーと関係があると思う…」

ライト「……サトシ…」

ライトは随分と(やつ)れていた

 

レン「奴の目、完全にポケヤミーと類似していた」

カズマ「きっと、ポケヤミー達も、元々メガストーンだった身体を、闇の力で元に戻されたんだ」

メグ「全ての元凶は、ポケヤミーのボスって事ね」

メガミ「一体、誰なんでしょうか?」

皆が相談している中、ライトが急に立ち上がった

 

ライト「悪い、ちょっと外の空気吸ってくる」

ライトはテントから外に出てしまった

 

メガミ「ライトさん……」

サトシ「………」

『…ピカァ?』

サトシ「あぁ、ごめんなピカチュウ、大丈夫」

『ピカァ、ピカ!ピッピッ!』

サトシ「どうした?」

と、ピカチュウも外に飛び出してしまった

 

サトシ「ピカチュウ!待ってくれよ!」

後を追うサトシ

後はあいつに任せておけばいいか

さて、僕も…

 

カズマ「僕も少しラボにいるよ、なにかあったら呼んでくれ」

レン「…あぁ」

 

もう少しで調整が終わる

プロトタイプではあるが、これであいつも…

 

 

ライト「…サトシ」

もうあれから5年も経つのか、早いものだ

俺はテントを出た後、少し歩いたところにある山道を歩いていた

ここはよく2人で遊んだ山道だ

ひっつき虫をくっ付け合ったり

雨の日はカタツムリにちょっかいを出したり

 

そしてこの先にあるのは

少し開けた場所

俺達が見つけた秘密基地のような場所

夜空が綺麗に見えて、よくここで星を眺めたっけ

 

久しぶりのこの場所

落ち着く…

 

『お前が俺を殺した!』

 

違う、俺は助けたかった

 

『お前が俺を殺した!』

 

でも俺には力が無かった

 

『お前が俺を殺した!』

 

これも、言い訳か…

 

『お前が俺を殺した!』

 

だから俺は……

 

『…ライト、○○○○』

 

なんて言ったんだ?教えてくれ

思い出せない、思い出したくない

あんな悪夢、俺は…もう!

 

『ピカァ!』

振り向くと、そこにはピカチュウがいた

 

ライト「ピカチュウ…」

サトシ「へぇ〜、この世界にも、この場所はあったんだなぁ」

ライト「サトシ…」

サトシ「ここさ、俺も小さい時はここで遊んだっけ風が気持ちよくて」

ライト「……あぁ」

サトシ「夜になると星が綺麗でさ!ほら!あれ見ろよ!」

ライト「……あぁ」

サトシ「きっとあの俺も、ここは楽しかったと思うぞ」

ライト「……へ?」

サトシは俺をじっと見ていた

 

ライト「……俺は、どうしたらいいんだ?」

サトシ「え?」

ライト「あの時、戦うと決めた!だけど、いざあいつと戦うと、力が抜けるんだ。俺は本当に、正しいことをしてるのか?って思って」

サトシ「……」

ライト「…俺は、あいつを死なせてしまった。あいつは、死ぬ必要なんて無かったのに…」

サトシ「それは違うよ」

ライト「…え?」

サトシは体育座りをし、語り始めた

 

サトシ「俺さ、色んな所を転々としてさ、何度も死にかけたんだ」

ライト「…え?」

俺も横に座る

 

サトシ「沢山のポケモンの攻撃から、ピカチュウを庇ったり、ポケモン同士の争いに割って入ったり、海の神殿で溺れたり、凍え死にそうになったり…」

ライト「…た、大変だな」

サトシ「でもそれは全部、ポケモン達の為にやったんだ」

ライト「…え?」

サトシ「ポケモン達の為なら、俺はどんなことだってする、たとえ死にそうになっても」

ライト「…サトシ」

サトシ「でもその度に思うんだ。あぁ、これで良かったって」

ライト「……」

サトシ「あの俺も、そんな感じだったんじゃないかな?」

ライト「え?」

サトシ「火事で家が潰れそうになって、俺が1番後ろで走っていて、目の前にあともう少しで助かりそうな命があるのなら、俺なら、その背中を押して、俺が犠牲になる道を選ぶ」

ライト「っ!」

サトシ「それが最善の選択だと思うから」

思い出した

あの時、確かに

家を出る直前、俺の保身の心配をしている時、背中を押された感覚があったんだ、だからあの時、少し足が早くなったと錯覚したんだ

 

サトシ「俺も色んな地方を回ってさ、色んなやつに会ったんだ、だから、今のライトが俺は羨ましいよ」

ライト「え?」

サトシ「今の俺は1人ぼっちだからさ…」

『ピカチュー!』

サトシ「あは!ごめんって、ピカチュウ!うん、だから、自分1人で背負うのは良くないと思う」

ライト「……」

サトシ「みんなで話し合って、相談して、協力し合うのが本当の()()なんじゃないかな?」

ライト「……サトシ…そうだな」

俺は立ち上がり、サトシにお礼を言って、急いで山道を降りた

 

『ピカチュ?』

サトシ「大丈夫だって、ライトは強い。きっと乗り越えられるよ」

 

 

ライト「みんな!」

テントに勢いよく入った俺、みんなは少し驚いていた

叔父さんもラボから出てきた

 

レン「なんだ?」

メグ「どうしたの?」

カズマ「何かあったか?」

メガミ「どうなさいました?」

これが、俺の仲間

この4人は、大切にしなくちゃな

 

ライト「いいや、なんでもない!」

4人は疑問を持つが、俺の笑顔を見ると、みんな笑っていた

 

レン「よし!そろそろ夕飯にしよう、アイツらも呼んでこい」

ライト「あぁ!」

俺はもう一度サトシを呼びに行った

 

 

夕飯も食べて疲れたライト

寄りかかり合いながら寝ているメグとメガミ

腕組みをしながらうたた寝ているレン

その傍ですやすやと寝ているピカチュウ

 

全員寝静まった

ただ、2人を除いて

 

サトシ「カズマさん、こんな時間になんの話ですか?」

カズマ「あぁ、大事な話だ」

テントの外、ラボの近くに2人はいた

 

カズマ「こんな事に巻き込んですまない、だが、1つの聞きたいことがある」

サトシ「…なんですか?」

カズマ「君も、戦ってみないか?」

カズマが手にしていたのは、メガドライバーとそっくりのものだった

 

カズマ「…仮面ライダーとして」

サトシ「……俺が、仮面ライダーに…?」

 

 

黒いサトシ『……』

???「あれれ〜?逃げてきたのかな〜?」

黒いサトシ『黙れ、ドライバーが誤作動を起こした』

???「ん〜、僕が作ったドライバーがご不満?」

黒いサトシ『…ふんっ!』

???「それとも〜、怖くなったのかな〜?」

黒いサトシ『黙れ!俺は恐れてなんかいない!必ず殺す!俺が!あいつを!』

???「ふふふ、頼むよ、僕を楽しませてくれ…」

人間は闇に包まれ、姿を消した

 

黒いサトシ『ライト、お前は、必ず、俺が殺す!』

 

また、雲行きが怪しくなってきた

 

To be continued




次回予告

復讐に燃える黒いサトシ
仲間と共に戦うことを決めたライト
そして、サトシが仮面ライダーに変身!?
「君にきめた!」
ライトと黒いサトシの戦いが、遂に決着!
ライトは過去を振り切ることが出来るか!?

第十四話「仲間と共に!雨の中で」


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第十四話「仲間と共に!雨の中で」

前回のあらすじ

ライト達の前に現れた黒いサトシ
闇の力で変身した彼の力は圧倒的だった
しかし、レンとメグが兄妹の力で黒いサトシを圧倒
サトシとライトが話す中で、ライトは仲間と共に戦うことを決める
そしてカズマは、サトシに1つの提案をし…?


夜が明けて目が覚めると、既に状況は悪化していた

大雨が降っているにも関わらず、辺りの家々は火事になり

森林も燃えている

 

ライト「サトシ…、もうこんなことやめてくれ!」

犯人すぐに黒いサトシだとわかった

黒いサトシを探しながら、俺はそう呟いた

 

カズマ「ライト、あんまり先走るなよ」

メガミ「いざとなれば、私達もいますから!」

メグ「頑張ろうね!ライト君!」

レン「………」

ライト「あぁ!あいつを止める!」

雨の中、俺達は走って行った

 

 

「君も、戦ってみないか?…仮面ライダーとして」

 

サトシは、昨夜カズマに言われた事を思い出していた

サトシは今、ライト達とは別行動をとっている

 

サトシ「仮面ライダー、かぁ」

サトシの手にはプロトメガドライバーが握られていた

 

『ピカァ?』

サトシ「なぁ、どう思うピカチュウ?俺、戦えるのかな?」

『ピカァ!ピカピカ!』

ピカチュウはサトシに頭を擦りつけている

 

サトシ「あはっ、なんだよっ」

ポケモン達は、いつも俺に優しい

色んな地方を回って

色んなやつに会って

色んなポケモンに会って、ゲットして

その度に友達になった

仲間になった

 

今度は別の世界に来た

面白いやつに出会った

これは、偶然か?運命か?

いや、違う

これは、結果だ

俺が選んだ道の結果だ

ポケモンマスターを目指したのも

ピカチュウを相棒に選んだのも

道中だったんだ

じゃあここは?終着点?

いいや、ここも道中だ

俺の旅はまだまだ続くんだ

そしていつか、ポケモンマスターになる!

ポケモン達と、一緒に!

仲間と一緒に!

 

すると、ゲッコウガが光りながら宙に浮いた

どうやら俺の思いが通じたようだ

 

サトシ「ゲッコウガ…」

『ピカ!』

サトシ「ピカチュウ…、よし!行こう!ライトの所に」

 

 

黒いサトシ『………』

ライト「………」

対立する2人、雨の音だけが、辺りに広がる

俺は結局レン達とは別行動をとり、今に至る

 

黒いサトシ『…なぁライト、この雨は、いつになったら止む?』

ライト「…さぁな」

黒いサトシ『…俺も見たいよ、青空を』

ライト「…あぁ、俺もだ。きっと晴れるさ」

黒いサトシ『…どうしたら晴れると思う?』

ライト「……俺がお前を止めることが出来たら、かな?」

俺はメガドライバーを構える

 

黒いサトシ『…いいや、違うな、俺がお前を殺す事が出来たら、だ』

黒いサトシはマスタードライバーを構える

 

メガドライバー

マスタードライバー

 

ライト「……変身!」

黒いサトシ『…闇変化』

 

俺は仮面ライダーバーサへ、黒いサトシは仮面ライダーダークフロンズへと変身した

 

ライト「……はぁ!」

黒いサトシ『……ふっ!』

ほぼ同時に攻撃を仕掛けた2人

 

ライト「ニトロチャージ!」

黒いサトシ『つじぎり!』

炎を纏って突っ込む俺、対して黒いサトシは両手に水色の短剣を持って構えていた

黒いサトシがそれを振りかざした時

 

ライト「かそく!」

俺は特性[かそく]を使い黒いサトシの背後に回り込んだ

 

黒いサトシ『何!?』

ライト「…はぁ!」

俺は黒いサトシにキックを決めた

 

黒いサトシ『くっ』

黒いサトシは一度は地面に叩きつけられたもの、すぐに体勢を直し攻撃してきた

 

黒いサトシ『ハイドロポンプ!』

両手から水を噴射させて攻撃する

 

ライト「ふっ!」

攻撃をガードしつつも、ダメージは激しい

俺は水を払うと、黒いサトシに突っ込む

 

ライト「とびひざげり!」

俺の膝が黒いサトシのみぞおちに激しく入る

 

黒いサトシ『ぐはぁ!』

弾き飛ばされた黒いサトシ

2人とも、息を切らしていた

 

黒いサトシ『…どうしてだ?どうしてこの短期間でそこまで成長した?』

ライト「…わかったんだ、俺は、過去のことを振り返らない!」

黒いサトシ『…ふっ、俺の事は忘れるってか?』

ライト「違う!お前の事は忘れない、絶対に!その上で、俺はその過去を乗り越える!」

黒いサトシ『……』

ライト「復讐に囚われたお前とは違う!」

黒いサトシ『……黙れ!』

黒いサトシは背中に手を回し、みずしゅりけんを手にした

 

黒いサトシ『みずしゅりけん!』

みずしゅりけんが俺に向かって飛んでくる

 

俺は身構えたが、その必要は無くなった

 

サトシ「ピカチュウ!10万ボルト!」

『ピカピカ!チュウ!』

そのみずしゅりけんに向かって電撃が流れたのだ

10万ボルトに直撃したみずしゅりけんは粉砕された

 

ライト「サトシ!」

サトシ「ライト!大丈夫か?」

『ピッカッ!』

ライト「…ありがとう」

メグ「おーい!ライトくーん!」

遠くの方からメグの声がした

その方に向くとメグ、レン、メガミに叔父さんと全員集合していた

 

カズマ「ライト、ここにいたのか」

メガミ「怪我はありませんか?」

メグ「加戦しようか?」

レン「……」

ライト「……みんな…」

今の俺には、仲間がいる

だから、この戦いは負けられない

 

ライト「…あぁ、頼む!」

俺とメグ、レンそしてサトシが前線に立つ

 

ライト「…サトシ?」

サトシ「俺も戦うよ、ライト」

ライト「え?」

サトシ「俺の夢はポケモンマスターになること!そのためにはまずはリーグ優勝!…だけど、バトルを自分でしたこともないやつが、ポケモン達に偉そうに指図は出来ないと思うんだ」

ライト「は、はぁ…」

サトシ「俺はまだ道の途中にいる、この枝分かれした道に、だったら俺は、その道、全て通ってやる!」

ライト「…サトシ」

サトシ「俺はマサラタウンのサトシ!相棒はピカチュウ!ポケモンマスターになる為に!俺も戦う!」

強く胸を張ったサトシ

懐からメガドライバーを取り出し、腰に装着させた

 

メガドライバー

 

レン「…それは!?」

サトシ「カズマさんが貸してくれたんだ、これでゲッコウガの力を解放出来るって」

レン「……親父…?」

レンの殺気を感じた叔父さんは遠くで手を合わせて謝っていた

 

レン「…はぁ、行くぞ」

メグ「うん!」

 

レジェンドライバー

 

レン「ミュウツー、俺に従え」

メグ「行くよ、ディアンシー」

 

レン・メグ「「変身!」」

 

ミュウツー!

ミュウ!ツー!ミュウ!ツー!ミュウ!ツー!ツー!

 

ディアンシー!

ディ!ディアン!ディ!ディアン!ディアンシー!

 

レン「伝説の戦士!仮面ライダーレジェン!」

メグ「幻の戦士!仮面ライダービジオン!」

 

サトシ「ゲッコウガ!君にきめた!」

サトシはゲッコウガストーンをメガドライバーの中央にセットした

 

セット!

キズナヘンゲ!

キ・ズ・ナ!キ・ズ・ナ!

 

サトシ「キズナ変化(へんげ)!」

サトシは中央にハマったゲッコウガストーンを押し込んだ

 

ゲッコウガ!

キズナ!カタメ!

Let's Kamen Rider!

 

サトシは水の渦に囲まれながら姿を変え、黒いサトシとシルエットは同じだが、色が違く

全身は青色になり、体の所々に手裏剣のマークが入っている

やはり何処と無くサトシの雰囲気が残っている

ピンク色のスカーフが雨風に靡いている

 

サトシ「絆の戦士!仮面ライダーフロンズ!」

 

 

メガミ「カズマさん、これは一体……」

カズマ「僕がサトシに聞いたんだ。仮面ライダーとして戦わないかって」

メガミ「サトシさんは、なんと?」

カズマ「もちろん困惑してたさ、ドライバーもサトシの自由にしてたからな」

メガミ「でも、来てくれたんですね」

カズマ「あぁ、あいつなりのなにかの心境の変化でもあったんだろう」

メガミ「…はい」

カズマ「人が何かの選択をする、決断をする、それは(まさ)しく、進化だ」

メガミ「……進化」

ここからだ、ここからだぞ、サトシ、ライト、そして…

僕はメガミに目をやる

メガミ…

 

メガミの持つメガストーンが激しく共鳴していた

 

 

レン「さぁ、伝説の始まりだ」

メグ「これが本物の幻よ!」

サトシ「俺達の絆、見せてやる!」

ライト「……燃えるぜ!」

 

4人の仮面ライダーが並び立ち、サトシ君に立ちはだかる

 

これは、手助けした方がいいかな?

 

???「ってことで、後はよろしくね」

『承知致しました』

犬のようなポケヤミー

全身は黒く、腹部と口は赤い

背面は骨がむき出しになっているよう

そして立派な2本の角

まさに、地獄の番犬だ

そう言うと、『ヘルガー・ヤミー』は現世に向かって行った

 

……そろそろ潮時かな?

 

 

『ぐおぉぉぉ!』

突如現れたポケヤミーに俺達は戸惑っていた

 

ライト「なんでポケヤミーがいきなり!」

レン「あっちは俺達に任せろ、お前達はあいつを」

ライト「あぁ!わかった!」

レンとメグはポケヤミーの方へ

俺とサトシは黒いサトシを睨んだ

 

黒いサトシ『ちっ、余計な事を…』

 

ライト「行けるか?サトシ!」

サトシ「あぁ!もちろん!な!ピカチュウ!」

『ピカピカ!』

ピカチュウはほっぺの電気袋に電気を貯める

 

ライト「よし!行くぞ!ほのうのパンチ!」

サトシ「ピカチュウ!エレキボール!俺!いあいぎり!」

『ピカピカ!チュッ!』

黒いサトシ『くっ』

ピカチュウのエレキボールが黒いサトシに命中した後

俺のほのうのパンチと、サトシのいあいぎりによって黒いサトシは吹き飛ばされた

しかし、黒いサトシも負けてはいない

 

黒いサトシ『ハイドロポンプ!』

両手から水を噴射してきた

 

サトシ「みずのはどう!」

サトシは水の渦を噴射した

 

攻撃が相殺された瞬間

俺は黒いサトシの目の前まで迫っていた

 

黒いサトシ『くっ!何!?』

ライト「ブレイズキック!」

上空に弾き飛ばされた黒いサトシ

 

黒いサトシ『みずしゅりけん!』

すると今度は空から無数のみずしゅりけんを放った

 

サトシ「ピカチュウ!アイアンテール!俺!みずしゅりけん!」

サトシもそれに対抗する

ピカチュウは落ちてくるみずしゅりけんをアイアンテールで去なしていた

サトシはみずしゅりけんで相殺していた

 

一方、レンとメグは…

 

レン「行くぞ!メグ!」

メグ「うん!」

『あの方の(めい)により、お前達を排除する!』

レン「やれるものならやってみろ!サイコカッター!」

三日月形の念波が『ヘルガー・ヤミー』に向かって放たれる

 

しかし、『ヘルガー・ヤミー』に当たった瞬間サイコカッターは消滅した

 

レン「何!?まさか、お前もあくタイプのポケヤミーか…」

『その通り、俺にはエスパータイプは通用しない』

レン「ちっ、厄介だな」

メグ「でもあくタイプなら、いわタイプの技は効くよね!」

そう言うと飛び出したメグ

 

メグ「ストーンエッジ!」

地面に強く手を置いたメグ

すると地面からエネルギーを纏った岩が次々と飛び出し、『ヘルガー・ヤミー』に直撃した

 

『ぬうぉ!』

メグ「お兄ちゃん!今だよ!」

レン「あぁ!」

俺はレジェンスロットからミュウツーストーンを取り出し、白と黄色と緑のストーンを差し込んだ

 

ドロップ!

リード!レジェンド!ヘンシーン!

 

レン「フォルムチェンジ」

俺は側面のボタンを押す

 

レジギガス!

レ・ジ!レ・ジ!レ・ジ・ギ・ガ・ス!

 

全身が白に変色した後、黒く模様が入る肩や手首、胸部には黄色い装飾

足首と背中の一部には緑の苔のような装飾

 

レン「大地の戦士、仮面ライダーレジェン、レジギガスフォルム」

『姿が変わったからなんだと言うのだ!』

『ヘルガー・ヤミー』は、なんの警戒もせず、俺に突っ込んできた

 

『がふっ!』

俺は突っ込んできた『ヘルガー・ヤミー』を片手で握り、そのまま上に掲げた

 

レン「にぎりつぶす!」

俺が手に力を入れると、手の中で『ヘルガー・ヤミー』は爆発した

俺はそのまま奴を投げ飛ばした

 

『ガル!』

メグ「ダイヤストーム!」

すかさずメグが追撃をする無数のピンク色のダイヤを奴にぶつけていた

 

『ガルルルル!』

奴はまだ怯んでいなかった

手強い…

 

 

サトシ「ピカチュウ!でんこうせっか!俺、つばめがえし!」

ピカチュウとサトシは息を合わせながら素早く移動する

なら俺も!

 

ライト「かそく!」

俺もサトシとピカチュウに着いて行った

 

黒いサトシ『くっ』

俺達の素早さに翻弄される黒いサトシ

 

サトシ「はぁ!」

『ピッカッ!』

2人の同時攻撃、そして

 

ライト「とびひざげり!」

俺のとびひざげりでダメージを与えた、と思ったが

 

俺が蹴ったのは緑色のぬいぐるみだった

 

ライト「しまった!」

黒いサトシ『…はぁ!』

俺は背後から蹴られ、吹き飛ばされた

 

ライト「うぉ!」

『ピカチュ!』

ライト「あぁ、大丈夫だ、ピカチュウ」

『ピーカー⤵︎ ︎』

心配そうに見つめるピカチュウ

 

サトシ「ライト!大丈夫か?」

ライト「あぁ!心配ご無用!」

俺とサトシは黒いサトシを見る

黒いサトシは大分体力を消耗している様子だった

 

黒いサトシ『…はぁ、はぁ………来い!』

 

腕を広げて煽る黒いサトシ

余裕は無さそうだ、このままやれば、いける!

 

サトシ「はぁぁぁぁ!」

ライト「はぁぁぁぁ!」

 

 

レン「ヘビーボンバー!」

足を大きく振りかざす俺

しかし、『ヘルガー・ヤミー』は軽々とそれを避ける

この姿は、攻撃力が大きい分、素早さは小さい

 

だから相手を引きつける他ない

 

メグ「パワージェム!」

宝石を出現させ、そこからビームを放つメグ

だが、なかなか当たらない

意外とすばしっこい奴だな

 

長期戦に持っていかれるとまずい

ここは早めに決着をつけなくちゃな

 

レン「メグ!一気に行くぞ!」

メグ「わかった!」

 

リード!

レジェンド!ヒッサーツッ!

 

レジギガス!

ディアンシー!

 

アースガーディアンブロー

グラビティオペレーション

 

レン「アースガーディアンブロー!」

メグ「グラビティオペレーション!」

メグが両手を奴に向けると、奴の周囲の重力が重くなった

 

『なっ、なんだ!これは!』

身動きが取れなくなった『ヘルガー・ヤミー』

 

俺は奴の懐に入り、渾身の一撃を見舞ってやった

 

レン「これで終わりだ」

『ぬわぁぁぁ!』

奴は断末魔を吐いて消滅した

すると1つのメガストーンが飛んできた

封印が解かれていない

あれはメガシンカポケモンのポケヤミーだったのか

これは収穫だ

 

俺はメグに親指を立てる

メグもそれに対し、俺に親指を立てた

 

 

ライト「サトシ!一気に行くぞ!」

サトシ「あぁ!ピカチュウも行くぞ!」

『ピッカッ!』

 

俺はキーストーンを2回押し込み、サトシはゲッコウガストーンを1回押し込んだ

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

 

キズナ!ヒッサーツッ!

 

バシャーモ!

バーニングドライブ!

 

ゲッコウガ!

絆!巨大水手裏剣!

 

ライト「バーニングドライブ!」

サトシ「絆巨大水手裏剣!」

『ピカピカ!チュウゥゥゥ!』

 

俺は空高く飛び上がり、サトシは背中のみずしゅりけんを点に掲げた

するとみずしゅりけんはどんどんと巨大化していった

 

サトシがそれを黒いサトシに投げた瞬間

俺は黒いサトシに向かってキックを放った

 

ピカチュウは渾身の10万ボルトを放った

 

3人の攻撃をどれも直撃した、はずだった

しかし

 

黒いサトシ『…ぬうぁぁぁ!!』

黒いサトシは回転し俺達を薙ぎ払った

 

サトシ「うわ!」

ライト「ぐっ!」

『ピカッ!』

倒れる俺達

 

黒いサトシ『………』

もうこいつはフラフラだ

本当はもう、戦える気力など無いはずだ

なのにどうして…

 

黒いサトシ『……俺は、誓った…』

ライト「…?」

黒いサトシはドライバーの突起物を押し込んだ

 

マスターヒッサーツ!

 

黒いサトシ『……お前を…殺すと…』

 

ゲッコウガ!

邪悪水手裏剣!

 

黒いサトシ『……うぉぉぉ!』

黒いサトシは自暴自棄になり、俺に襲いかかってきた

 

大きな紫色のみずしゅりけんを振りかざしながら、俺に向かって走ってきている

このままだと危険だ、離れなきゃ

離れて反撃しなきゃ

なのに

どうしても体が動かない

あいつのあの目を見ていると、いてもたってもいられない

その憎しみと、怒りと、哀しみに包まれたその瞳から、目が離せない

 

動け!俺!

 

まるで、時間が止まったかのようだった

そのスローモーションの景色には、俺を庇うサトシがいた

 

あいつの攻撃をもろに受けて、身体からは火花が散っている

 

サトシ「ぐはぁ!」

後ろに倒れ込むサトシ

 

ライト「サトシ!」

俺はそんなサトシを抱き抱えた

 

黒いサトシ『…は、あぁぁぁぁぁあ!』

黒いサトシは何故かその場から逃げ出した

 

変身が解けたサトシ、服や体はボロボロだった

意識も朦朧としている様子で、薄目だった

 

ライト「サトシ!しっかりしろ!」

『ピーカー!』

俺も、いつの間にか変身が解けていた

 

サトシ「…ライ…ト」

ライト「あぁ、ここにいる!だから…」

サトシ「…あいつを…止めてくれ…」

ライト「…へ?」

サトシ「……あいつは…俺は、本当は怖いんだ…、ライトを殺すのが……」

ライト「…何を言って…」

サトシ「…助けて…やって欲しい」

ライト「…どうしてこんなこと…」

サトシ「…へへ、言っただろ?」

ライト「…え?」

サトシ「……俺は、ポケモンや、仲間の為なら……、なんでもするって……」

そのままサトシは、目を閉じた

 

ライト「サトシ?…サトシィィ!」

『ピカァ』

ピカチュウも、状況を把握したらしい

 

カズマ「サトシ!」

メガミ「サトシさん!」

2人も駆け付けてきてくれた

 

カズマ「メガミ、治療は出来るか?」

メガミ「やれるだけの事はやってみます!」

メガミが、サトシの傷口に手を添える

メガミが目を閉じると、サトシとメガミは白に近いピンク色のオーラに包まれた

 

サトシはまだ目を開けない

 

ライト「………」

俺は立ち上がり、サトシから離れるようにその場を去ろうとした

 

カズマ「待てライト!何処へ行くつもりだ!」

ライト「……あいつを探す、探して、止める!」

俺は走り出した

誰も、俺を止めなかった

 

いつまでたっても、この雨は止みそうになかった

 

To be continued




次回予告

カントー地方編完結!
黒いサトシとライトの最終決戦
この戦いを見逃すな!
そして、新たな冒険の幕が上がる!

第十五話「キミにきめた!晴れた空に」


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第十五話「キミにきめた!晴れた空に」

前回のあらすじ

再びマサラタウンを襲い始めた黒いサトシ
対峙するライト
そこにサトシ、レン、メグが集結する
すると、サトシが仮面ライダーフロンズに変身!
一方、レジギガスフォルムへと進化したレンはメグと共に『ヘルガー・ヤミー』を撃破
黒いサトシの攻撃を受けて倒れるサトシ
ライトは黒いサトシを求めて立ち上がる


山道を登った先の少し開けた場所

黒いサトシはそこに(うずくま)っていた

 

黒いサトシ『はぁ、はぁ、はぁ』

激しく息を荒らし、自分を問い詰めていた

 

黒いサトシ『俺が…人を…』

俺の攻撃は、もう1人の俺に直撃し

あの後、あいつはどうなった?死んだのか?

だとしたら、俺は…

人を……

 

???「やっぱりね〜」

黒いサトシ『!?』

???「君は恐れている、彼を殺す事を」

黒いサトシ『な!?そんな事は!』

???「いいや、君はだんだん心を取り戻しつつある」

黒いサトシ『俺が…、心を…?』

???「君のように人を生き返らせたケースは珍しくてね〜、僕もよくはわかっていないけど…」

黒いサトシ『……』

???「少なくとも、君が心を取り戻したその時、闇の力が消えて、同時に君も消滅する」

黒いサトシ『…そんな…』

???「だから彼を殺すなら早くした方がいいよ。君の為にもね」

そう言うと、奴は闇と共に消えていった

 

黒いサトシ『俺が……心を……』

思い当たる節はあった

ライトが変身した時

ライトが仲間を連れた時

ライトが俺に牙を向いた時

 

その度に、変な感情が俺を襲う

攻撃に力が入らなくなる

 

俺は空を見た

雨雲に包まれた空を

 

黒いサトシ『この雨は、一体いつになったら止むんだ?』

「俺がお前を止めることが出来たら、かな?」

 

何故、そんな顔が出来る?

俺は、お前を殺そうとしているんだぞ?

お前の言う、止めるとは、なんなんだ?

俺を止める、それは云わば、俺を殺すことになる

 

「お前の事は忘れない、絶対に!その上で、俺はその過去を乗り越える!」

あいつは、いつも俺より先に行く

 

「復讐に囚われたお前とは違う!」

はるかに、俺よりも進化していっている

俺は、そんなお前が……

 

「サトシ!俺たち!いつまでも親友だぞ!」

「あぁ!もちろん!」

 

……一番嫌いだった

 

ライト「懐かしいだろ?ここ」

黒いサトシ『…ライト』

ライト「俺も昨日ここに来てさ、お前の事を思い出してたんだ」

黒いサトシ『……』

ライト「そして決めた!お前を止めるって!」

黒いサトシ『……どうやら、俺の命は長くは持たなそうだな』

ライト「…え?」

どうやら、俺は変えられたようだな

こいつに

俺の……

 

黒いサトシ『ライト、決着をつけよう』

ライト「……あぁ」

 

…親友に

 

俺はマスタードライバーを腰に装着し、ライトはメガドライバーを腰に装着させた

 

マスタードライバー

メガドライバー

 

マスターヘンシン!

メガシンカ!ヘンシーン!

 

ライト「……変身!」

黒いサトシ『……闇変化』

 

バシャーモ!

ババッバッバッババッババシャーモ!バッババシャーモ!

 

ゲッコウガ!

闇を纏え!

In the Darkness!

 

ライト「……燃えるぜ!」

黒いサトシ『…さぁ、復讐の時間だ』

 

 

ライト「はぁぁぁぁ!」

黒いサトシ『はぁぁぁぁ!』

お互いに衝突する俺達

 

殴りかかった俺の腕を黒いサトシは解いてまた殴ろうとする

それを俺がまた防ぐ

こんなことが数秒間続いた

 

黒いサトシ『くっ!』

ライト「は!」

俺が繰り出したパンチが黒いサトシに直撃すると、黒いサトシは後退りをした

隙ができたことを感じた俺は、バシャーモナイトをガルーラナイトに入れ替えた

 

セット!

メガシンカ!ヘンシーン!

 

ライト「フォルムチェンジ!」

 

ガルーラ!

ガル!ガル!ガ・ガ・ガルーラ!

 

ライト「親愛の戦士!仮面ライダーバーサ!ガルーラフォルム!」

チビガル『with チビガル!』

 

ライト「行くぜ!チビガル!」

チビガル『おうよ!』

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

ガルーラ!

フレッジ!ツインアタック!

 

ライト・チビガル「『フレッジツインアタック!』」

俺達の強烈なパンチが黒いサトシに直撃する

 

黒いサトシ『ぐはぁ!』

黒いサトシはダメージは受けたものの、倒れはしなかった

やはり強い

俺はガルーラフォルムからバシャーモフォルムに再びフォルムチェンジした

 

黒いサトシ『はぁ、はぁ、はぁ』

ライト「ふぅ、ふぅ」

黒いサトシ『…はぁぁぁぁ!』

再び黒いサトシは俺に襲いかかってきた

強烈な右ストレート

俺も負けじとパンチを食らわせる

 

黒いサトシの様子を見るに、体力はほぼ残っていないようだ

それは俺も同様

さっきの必殺技でほぼ全ての体力を消耗した

 

ライト「…へっ、こうしてお前と喧嘩すんのも、はじめてだなぁ!」

黒いサトシ『ぐふぅ!……あぁ、そうだなぁ!』

ライト「ぐはぁ!」

お互いに殴り合う俺達

あまりにも不毛だ

お互いに痛いだけ

なんのメリットもない

なのに俺達は一向に殴り合いを辞めようとは思わなかった

理由は簡単だ

 

楽しいからだ

ほとんど素の状態での殴り合い

それは云わば、ただの喧嘩だ

初めての喧嘩に、俺はなんとも言えぬ幸福感に包まれていた

 

()しか黒いサトシの表情も笑っている気がする

 

ライト「はぁ、はぁ、はぁ」

黒いサトシ『はぁ、はぁ、はぁ』

ライト「……覚えてるか?ここでの思い出」

黒いサトシ『…あぁ、ここでよく2人で寝転んでたな』

ライト「どうでもいいことを話して」

黒いサトシ『夢の話もしたな』

今度は笑い合う俺達

 

黒いサトシ『…なぁ、ライト』

ライト「…なんだ?」

黒いサトシ『今のお前の夢ってなんだ?』

ライト「……ヒーローに、なる事だ」

黒いサトシ『…へへっ、変わらないな、お前も』

ライト「……あぁ」

 

沈黙が続き、俺は再びキーストーンを2回押し込んだ

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

バシャーモ!

バーニングドライブ!

 

黒いサトシ『…お前とは、もっとちゃんと話したかった。だが、それでも俺は、お前を殺す』

 

マスターヒッサーツッ!

ゲッコウガ!

邪悪水手裏剣

 

ライト「……はぁ!」

俺と黒いサトシは大きく飛び上がり、お互いにキックを来てた

 

ライト「バーニングドライブ!はぁぁぁぁ!」

黒いサトシ『邪悪水手裏剣蹴り!はぁぁぁぁ!』

俺は炎を纏い

黒いサトシは邪悪水手裏剣を背中に付けながら闇を纏いながらキックを放っていた

 

お互いの足がぶつかり合う物凄い衝撃

あたりの木々が激しく靡いている

 

しかし、お互いの必殺技はお互いに決まらなかった

 

中心で小爆発を起こし、俺と黒いサトシは吹き飛ばされた

 

ライト「がはぁ!」

黒いサトシ『くっ!』

俺は地面に転がったが

黒いサトシは地面に着地し、更に俺に向かって片手に短刀を持ちながら走ってきた

 

黒いサトシ『はぁぁぁぁぁぁぁ!』

俺はよろけながらも立ち上がった

今なら余裕で攻撃を躱せる

でも

やはり黒いサトシは

あの顔をする

あの瞳をする

俺はサトシを止めなくちゃ行けない

でも、止める方法は幾つもある

そう、これがそのひとつだ

 

俺は黒いサトシが短刀を俺に刺してくることがわかった瞬間

その身をあいつに任せた

見事に、俺の腹には黒いサトシの短刀が突き刺さっている

腹から血が溢れ出ているのがすぐにわかった

お互いの変身が解けた

雨が止み始めた

 

黒いサトシ『……!!』

ライト「くっ、ふっ」

黒いサトシ『ライト…お前…』

俺は黒いサトシの首に両手を回し、抱き寄せた

吐血もしている

上手く喋れるかは分からないが、これだけは…

 

ライト「サトシ…すまなかった…」

黒いサトシ『……は』

ライト「この、5年間…ずっと…言いたかった。俺はこのときを…待ってたんだ、お前に謝りたくて…謝りたくて…仕方がなかった。」

黒いサトシ『……ライト…』

ライト「人が犯した罪は、一生消えない…。なら…俺はその罪を…背負って生きて行く!…お前の分も…、俺が生きて、生きて、生き抜いて見せる…。それが俺に出来る、最後の務めだ」

黒いサトシ『…ライト、俺は!俺は!』

黒いサトシの身体が少しづつ消えていっている

 

ライト「サトシ、俺達…、いつまでも…親友、だよな」

黒いサトシ『…あぁ、もちろんだ』

俺は最後にサトシを強く抱きしめた

サトシも同じく、俺を抱きしめた

もうサトシの目は、赤くなっていなかった

 

ライト「…じゃあな、地獄で会おう」

サトシ『…あぁ、生まれ変わっても、親友でいてくれるか?』

ライト「当たり…前だろ?今度は俺から、親友になってみせるよ」

サトシ『…あぁ、楽しみにしてるよ』

ライト「……」

サトシ『ライト…ありがとう』

ライト「…え?」

サトシはそのまま消えていった

サトシの最期の顔は、笑顔だった

あの日とは違う

満点の笑み

あの時、サトシは…

「…ライト、ありがとう」

こう、言ったのか…

何を今更、俺は…

 

ここは、俺とサトシが初めて遊んだ場所

あの日の記憶は、今でも覚えている

もちろん、いい意味で

 

 

サトシ「キミにきめた!」

ライト「……え?」

サトシ「俺の最初の友達!ライト!キミにきめた!」

ライト「とも、だち?」

サトシ「そう!友達!」

ライト「とも…だち、うん!俺、サトシの友達!」

サトシ「へへっ!」

ライト「ははっ!」

サトシ「なぁ!いい秘密基地があるんだ!着いてきて!」

ライト「うん!」

 

 

俺はそのまま寝転び、空を見上げた

雨は完全に止み

青空が見えてきていた

 

ライト「……晴れたよ、サトシ…」

俺は、少しだけ目を瞑ることにした

 

 

目が覚めると、そこは病院だった

生きてるのか?俺は

 

白い天井

太陽の日差しが眩しかった

 

そんな俺の視界に入ったのは、赤と白の帽子だった

 

サトシ「お!ライト!目が覚めたか?」

ライト「サトシ!なんで!」

俺は思わず飛び起きた

この時の俺は、あのサトシがここにいるものだと思っていた

だが、ある者の登場でそれは違う事に気づく

 

『ピカピッ!』

ライト「あ、ピカチュウ…」

カズマ「お、目が覚めたか?」

メガミ「ライトさん!痛いところはありませんか?」

メグ「あ、おはよぉ〜ライト君!」

レン「フッ、手間かかせやがって」

話によれば、黒いサトシを倒したあの後、俺が倒れているところをレンとメグが発見

すぐに病院に運んでくれたの事

一方サトシはと言うと

 

サトシ「いや〜、俺の傷も意外と浅くてさ〜、彼女の治療で一発!あの子凄いな!」

『ピカピカチュウ!』

元気な様子なサトシ、さっきのシリアスさはどこに行ったのやら

 

カズマ「ライト、あの後、サトシは…?」

ライト「…うん、行ったよ、天国へ」

カズマ「そっか…、せめて、明るく逝ってくれたら良いと思っていたが、その様子じゃ大丈夫そうだな」

ライト「…あぁ」

俺は窓から外を見た

外はよく晴れていた

 

カズマ「さて!一段落したところで!打ち上げにしますか!」

サトシ「おぉぉぉ!」

『ピーカー!』

サトシとピカチュウが一番盛り上がっていた

 

レン「……」

ライト「ん?なんだ?レン」

レンは黙って机にメガストーンを1つ置いた

封印が溶けていないメガストーン

 

レン「ヘルガーストーンだ、受け取れ」

ライト「…レンが、俺に…?」

レン「まぁ、退院祝いだ、先払いだがな」

ライト「は、ははっ」

メグ「うふふっ」

レン「な、なんだ!」

ライト「いや〜」

メグ「別に〜?」

レン「…くっ!」

赤面するレン

すぐに顔を逸らしてしまった

 

 

メガミ「……」

やっぱり、良かった

この人達と旅に出て

私の選択、間違っていなかったんですよね?

でも、私もいつか、皆さんと一緒に…

なーんて、ね

 

カズマ「……」

 

 

退院の許可を得た俺、その夜は皆でどんちゃん騒ぎ

そんな中だった

 

サトシ「うおっ!」

急にサトシの持つゲッコウガストーンが光出した

宙に浮いたゲッコウガストーンは光りながら姿を変え

元のポケモンの姿へと戻った

 

サトシ「うぉぉぉ!ゲッコウガ!」

カズマ「ふむ、しばらくこの世界にいた事で、身体がこの世界に馴染んで来たんだろう。良かったな!サトシ」

『ゲコッ!』

 

その次の日の朝

 

ダルス「報告を受けた、別世界に侵入した者がいるとな」

アマモ「ま〜事故みたいだし仕方ないけどね〜」

メガミ「アマモ!ダルス!まだ1年は経っていませんが…」

ダルス「お前ではない、あいつだ」

そう言うと、ダルスはサトシを指刺した

 

レン「どうやら、お別れのようだな」

メグ「え〜!寂しくなるな〜」

カズマ「サトシ!あっちの世界でも、元気でな!」

メガミ「ご武運をお祈りします」

サトシ「みんな…ありがとう!」

ライト「サトシ!」

サトシ「ライト、ありがとう!」

ライト「サトシ、お前の夢、叶うといいな」

サトシ「あぁ、あ!そう言えば、ライトの夢ってなんなんだ?」

ライト「…っ!」

驚く俺

全員がクスクスと笑った

サトシは謎に思っていた

 

ライト「俺の夢は、ヒーローに、なる事さ!」

サトシ「ヒーローかぁ、いいな!頑張れよ!」

サトシは俺に手を差し出した

 

ライト「…あぁ!」

俺はその手を掴んで深い握手をした

 

ダルス達はサトシを連れてウルトラホールに消えていった

 

カズマ「行っちゃったな」

ライト「あぁ、でもこれでいい」

カズマ「え?」

ライト「ポケモンの数だけ別れがあり、ポケモンの数だけ出会いがある、そして、ポケモンの数だけ冒険がある」

俺は振り返り、レン、メグ、メガミ、叔父さんをそれぞれ見る

 

ライト「俺達の旅は始まったばっかだ!」

それを聞いて笑顔になる皆

俺は、必ず夢を叶える

この、仲間と一緒に!

 

 

ダルス「もうすぐで目的地だ」

サトシ「…あぁ」

ダルス「…どうだ?彼らは」

サトシ「…え?」

ダルス「面白いだろ?」

サトシ「あぁ、面白いだけじゃない」

ダルス「?」

サトシ「ライト達は、俺の最高の仲間達だ!」

ダルス「…そうか」

少しだけ笑みをこぼす俺

こいつの未来も、これからだな

 

 

ダルス「さぁ、着いたぞ」

サトシ「おぉ!久しぶりのカロス地方!」

アマモ「気をつけてね〜」

そう言うとダルスとアマモはウルトラホールに消えていった

 

『ピカ!』

サトシ「ん?どうした?ピカチュウ」

ふと気づく、遠くから声がする

 

俺の名前を呼ぶ声

 

セレナ「ちょっとサトシ!今まで何処にいたのさ!」

シトロン「全く、心配しましたよ〜」

ユリーカ「そうそう!ピカチュウも大丈夫?」

サトシ「……」

セレナ「ん?どうしたの?サトシ」

サトシ「いや、なんでもない!」

そうだった、今の俺には、こいつらがいる

俺の信じられる仲間

この世界でも、俺はひとりじゃない

 

 

カズマ「カントー地方にある怪事件はひとまずは解決だな」

ライト「じゃあ、次は…」

カズマ「そうだな、次はジョウト地方に行ってみよう」

レン「ジョウト地方…」

カズマ「歴史ある地方だが、最近怪事件が多発しているらしい。ポケヤミーの仕業に違いない」

メグ「確かジョウト地方には、不死鳥伝説があるんだよね」

メガミ「不死鳥、ですか?」

レン「不死身の鳥、年に1度、巨大な嵐が齎されると同時に現れると言われ、見た者は未だかつて無いという説もあるそうだ」

カズマ「そんなジョウト地方なんだが、どうする?ライト」

ライト「…もちろん、行くさ」

そんなの答えは決まっている

 

ライト「俺達の夢を叶える為に!」

こうして、俺達の新たな冒険の幕が上がった

 

             *

???「あーあ、やっぱりダメだったか〜」

期待してたけど、所詮は非力な人間

こんな程度か

 

これはそろそろ、僕の出番かな?

 

『ご準備が整いました』

僕は闇の番人

ポケヤミーを操りこの世界を闇で満たす

かの戦国武将が成し遂げることが出来なかった悲願

 

『…ヒガナ様』

ヒガナ「僕をその名で呼ぶなと何回行ったら済むの?」

『申し訳ありません!』

かの戦国武将、僕はそんな彼の後継者

 

『……ノブナガ様』

ヒガナ「そうそう」

闇の力でこの天を統一する

天下統一、それが僕の悲願であり、野望

 

ヒガナ「ふふっ、楽しくなってきた…」

 

To be continued




次回予告

ジョウト地方編!開幕!
不死鳥伝説が飛び交うそんなライト達の前に現れたのは
1人の少年、いや、少女だった
ライト達に宣戦布告するヒガナ
ライト達の旅は、更に加速していく

第十六話「新たな地方!ジョウト地方!」


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スピンオフ
仮面ライダーバーサ エピソードZERO


シルフカンパニーにて、俺とライトがポケヤミーを倒した後
社長と話している時だった

社長「そう言えば、1つ聞きたいことがあったのじゃ。お二人さん、お主らは…」
社長が俺達に問う

社長「『ロケット団』という存在を知っておるか?」
レン「!?」
その名称には驚いた
ロケット団
かつて世界でも問題行動を起こして有名になったマフィア団、今は解散し存在はしないが、社長からその言葉を聞くとは…

社長「この会社も昔はロケット団の手駒にされていたのじゃがな、ある日突然リーダーであるサカキという男が姿をくらましロケット団は解散したようなのじゃが、なにか知っておるか?」
ライト「???」
レン「……」
ロケット団、俺にはそいつらとの関わりが深くある
だが…

レン「知らないな、聞いたことも無い」

俺は答えを疎かにした

黒いサトシ『さぁ、復讐の時間だ』
あのドライバーにも見覚えがあった

俺が旅を始めたきっかけとなった日
そして仮面ライダーに初めてなった日
そして、俺が初めて
人を殺した日でもある


『仮面ライダーレジェン』

 

ジョウト地方へ向かう道中、休憩中にレンは考えていた

 

レン「ロケット団……」

その名称には、見覚えしかない

 

メグ「お兄ちゃん?どうかしたの?」

レン「いや、なんでもない」

メグは知らないあの時は、まだ小さかったからな

 

そう、全てはあの日から始まった

 

 

5年前──

 

レン「道場?」

カズマ「そう!どうだ?強くなりたいなら、道場に通うのも、ありだと思うんだが?」

レン「いや、別に俺強くなろうなんて思ってないから」

カズマ「そうか?でも強さは男の象徴、男の全てだ!」

俺は最近しつこくこういった迷惑な勧誘を受けている

 

最初はピアノだのギターだの、次は水泳だのテニスだの

なんだかんだ俺に何かを勧めてくる

で、今度は道場

なんなんだ?一体

 

レン「あの、正直言って迷惑なんだけど…」

カズマ「まぁ、そう言わずに!僕の知人が道場の師範をやっててな、その人からの誘いだ」

レン「師範?」

カズマ「そうそう、この人なんだが…」

親父が見せてくれた写真には、何人かの道着を着ている男の人達がピースサインをしている

親父は付け加えて指を刺した

黒帯の厳つそうな男の人

髪型はオールバックでいかにも強そうだった

 

カズマ「この人が師範だ」

レン「え、絶対やだ」

カズマ「なんでだよぉ!いいじゃん!道場!」

親父がガミガミうるさいので、俺は少し外の空気を吸ってくることにした

 

メグ「お兄ちゃん、どこ行くの〜?」

レン「メグ、散歩だよ」

メグ「じゃじゃ、私も行く〜」

まだ8歳の妹のメグ、

俺が道場に通うようになったら、この子はひとりぼっちになっちまう

仕事で忙しいお袋、研究に没頭する親父

そんな中で俺が道場

そうゆう考えもあって、俺は道場に行くのを渋っていた

 

俺とメグは近くの公園まで足を運んだ

大きな噴水では、噴水から出る水と日光で虹ができていた

メグはそれを見て喜んでいた

手を繋いで歩く俺達、この小さな手を手放すには、まだ早い

 

そんな時だった

少し遠くの方で悲鳴が聞こえた

 

メグ「何〜?」

レン「メグ、行こう」

気になった俺は、メグの手を引連れて、その方向に走っていった

なんで向かったかなんて分からない

でも、何かが俺を呼んだ気がした

 

しばらく走ると、人が密集していた

俺はその人たちをかき分けて中央に向かった

 

その真ん中には、2人の男女がいた

男は全身を黒でかため、覆面を被っていた

片手にはナイフ、もう片手で女性を捕らえていた

女性は20代半ば位で恐れおののいていた

 

男「近づくな!近づいたら…」

男は女性にナイフを向けた

 

男「この女がどうなるか!」

状況はすぐに理解出来た

女性は人質になっている

10歳の俺でも、流石にそれ位はわかる

 

周りの大人達はただの見ているだけだった

何人かは警察に連絡していたが

それ以外はただの野次馬だった

 

何してんだよ!誰か助けろよ!誰か!

 

その時だった

 

男「おい!近づくな!」

犯人の男が声を荒らげた

 

男の視線の先、そこには男性が立っていた

 

あの顔、どこかで…

 

男性「やめないか、こんな事してどうなる?」

男「うるさい!俺にはこの道しかないんだ!とっとと下がれ!」

男はそう言いつつも、自分が後退りしている

 

男性「もうすぐ警察が来る、君に未来は無いぞ」

男「う、うるせぇぇ!」

男は女性を乱暴に払い、男性に襲いかかってきた

 

ナイフを振りかざしたその時

 

男性はその腕を掴み、180度回転

 

男性「…ふんっ!」

男性はそのまま男を背負い投げした

素早い

あっという間に男は地面に叩き落とされた

 

男「ぐはぁ!」

戦意喪失した男はその場に取り残された

 

男性「……チェックメイトだ」

 

周りでは拍手が飛び交っていた

 

レン「…す、すげぇ」

この人は、自分から危険を顧みず

犯人を退治した

俺はどうだ?

あの時俺は、他人任せにしていた

誰かが女性を助けると

そう、俺は腰抜けだ

 

というか、この人…

 

カズマ「レンー!メグー!」

遠くから親父が走ってきた

 

レン「親父……」

カズマ「いや〜、連絡を受けてな、2人がここにいるって」

レン「連絡?」

すると、俺の後ろにさっきの男性が立っていた

近くで見てわかった、さっき親父が見せてけた写真にいた、親父が指さした男性

この人は、親父が言ってた師範の人だ

 

男性「本当、無事で良かったよ」

レン「…え?」

カズマ「いや〜どうも、連絡ありがとうございます!」

男性はベージュ色のスーツを着ていた

 

カズマ「サカキさん!」

厳つくて、オールバック風の髪型

上下ベージュ色のスーツ

この人が……

 

サカキ「君がレン君だよね?はじめまして、私はサカキ」

カズマ「サカキさんはな?会社を経営しつつ、道場で師範をなさっているんだぞ?凄いだろ!」

サカキ「ははは、それ程でもないよ」

レン「あ、あの!」

サカキ「?」

レン「あの、急で申し訳ないんですが、俺を!」

この人の、あのスゴ技

俺はあの時思った

俺も、あんな風になりたい

 

レン「で、弟子に!してください!」

俺は、メグの手を振り払っていた

 

 

レン「や!は!や!は!」

サカキ「もっと気合いだ!レン!」

レン「はい!」

メグ「……」

タマムシシティのサカキ道場に入団した俺は、早速師範の稽古を受けていた

メグは流石に留守番させることは出来ないので師匠の元でお守りしてもらうことになった

 

サカキ「うん、筋がいいな。私の見立て道理だ」

レン「はい!ありがとうございます!」

その日の稽古はすぐに終わった

でも時間はすごく経っていた

 

今日も褒められた

嬉しかった

俺は、どんどん強くなっている

そう考えただけで…

 

レン「…へへっ」

メグ「……お兄ちゃん」

レン「ん?どうした?メグ」

メグ「明日、一緒に遊ぼ?」

レン「悪いなメグ、明日も稽古なんだ、また今度な」

メグ「……」

少し寂しそうなメグ

でも構ってはいられない、俺は強くなる

師範よりも強くなって、もっと褒めて貰うんだ

 

俺は、どんどん強さにのめり込んで行った

 

 

レン「師匠ー!」

道場に到着した俺は、道場の扉を勢いよく開けた

しかし、そこには誰もいなかった

 

おかしい、今日は稽古の日のはずだったけど…

もしかして、このどこかにいるのか?

 

俺はそう思って、道場を縫って歩いた

 

トイレや洗面所

倉庫に床下

色々見たが、やはり師範はいなかった

 

あと残っている部屋は…

 

道場の脇にある扉、しかしここは…

 

「いいか?レン、この扉の先には絶対入るなよ?約束だ」

 

レン「入るなって言われたら、入りたくなるよな〜」

俺は躊躇わず、その扉を開けた

その扉の向こうは、別世界だった

畳の部屋があったとは思えない、全く別の場所

見たことも無い機械が沢山あり、チロチロとLEDが光っている

真ん中にある大きなモニター

そこには、変な球体が映っていた

内側に模様が入っていて、薄い紫色だった

 

そのモニターの前の机の上、そこにはそれらしい石が置いてあった

ただし、この石は本当に石みたいだ、表面が凸凹している

 

レン「なんだ?これ」

ピンポン球みたいな大きさ

石のようにゴツゴツした表面

俺は初めて見るそれに、夢中になっていた

 

だからこそ、気づかなかった

師範が後ろにいた事に

 

レン「し、師匠!」

サカキ「…ダメだろ?約束は守らないと」

一瞬、師匠の目が赤く見えた

 

レン「あはは、ごめんなさい、師匠を探してて」

サカキ「…はぁ」

師範は怒っている様子はなかった

ただの子供のイタズラ、そんなふうに思ったのだろう

 

サカキ「まぁいい、さぁ、稽古を始めるぞ!」

レン「は、はい!」

 

だからこそ、師範も気が付かなかった

俺が、その石を盗った事に

 

 

カズマ「これは…、メガストーンだな」

レン「メガストーン?」

カズマ「ポケモン達の魂のような物だ、だが、こんな状態なのは初めてだな」

レン「……はぁ」

カズマ「メガストーンは本来、美しい模様が見えるはずなんだが…、本当にこれがサカキさんの部屋にあったのか?」

レン「うん、しかも、絶対に入っちゃ行けない部屋に」

カズマ「うーん、これは何か裏があるみたいだな」

レン「え?」

カズマ「サカキさんはポケモン研究には、携わってはいないんだ、なのに、なんでこんなものを持っている?謎だろ?」

レン「…確かに」

カズマ「…そうだ、念の為、これを持って行くといい」

レン「え?」

親父が手渡したのは、不思議な形のものだった

黄色い線が入っている

 

カズマ「俺が発明した《レジェンドライバー》だ、まだ性能は確かめてないが、持っていないよりマシだろう」

レン「息子を人体実験にしようと?」

カズマ「そ、そんなつもりは〜…」

下手くそな口笛を吹く親父

ったく、仕方ない

俺はそのレジェンドライバーとやらを受け取り、自室に向かった

 

2階の突き当たりの部屋、それが俺の部屋なのだが、俺は廊下の中央で止まった

廊下の中央にメグが立っていた

 

レン「メグ…」

メグ「お兄ちゃん、明日は、遊べる?」

レン「わ、悪い、明日も用事があるんだ」

メグ「そっか、うん」

そう言うと、メグは自室に戻って行った

 

薄々気づいていた

メグが寂しがっている

俺が道場に通うようになってから

 

レン「…ごめんな、メグ」

でも、後ちょっとだからな

俺には、謎の確信があった

 

 

ヒガナ「メガストーンを1つ無くした?」

サカキ「あぁ、私の部屋に置いてあったはずなのだが、気づいたら無くなっていた」

ヒガナ「もぉ、頼むよ〜、君をタダで生き返らせた訳じゃないんだよ〜?」

サカキ「わかっている、ところで、例のものは完成したのか?」

ヒガナ「あぁ、《あれ》ね、はい」

ヒガナはサカキにとあるものを手渡したの

 

ヒガナ「《マスタードライバー》、君の闇の力を最大限に発揮出来る。今度こそ頼むよ〜」

サカキ「あぁ、わかっている。それに、メガストーンはまだあるからな」

ヒガナ「ふーん、ならいいけど。あ、そう言えば、マスタードライバーの被験者は君が初めてだから」

サカキ「要するに、俺は人体実験の一貫ということか?」

ヒガナ「うーん、まぁ、そんなとこ」

サカキ「ふんっ、なめやがって」

サカキはヒガナに背を向け言った

 

サトシ「いまいちど、このサカキ様の腕前を見よ」

ヒガナ「…ははっ、楽しみにしているよ!」

 

そう言うと、サカキは闇の空間から消えた

 

ヒガナ「彼の活躍によって、僕の復活も早まるわけだ…。ふふっ、楽しくなってきた!」

 

 

レン「………」

俺は道場に向かう道中考えていた

師範の机の上にあったメガストーン、モニターに映っていたメガストーン

そして、もう1つのモニターに映っていた

『R』の文字

あれはなんなんだ?

 

俺は昨日盗ったメガストーンを見た

 

レン「…お前は、誰なんだ?」

 

そんな言葉も届かず、俺は再び歩き出した

そんな時だった

 

いきなり俺の目の前の道路に亀裂が入った

 

レン「!なんだ!」

俺は目の前を見た

すると、そこには2人の男女の人影と、猫の影が見えた

男の方は青髪のちょいロン毛

女の方は赤髪で超長いストレート

猫は白色で何故かおでこに小判を付けている

そして、男女のどちらも黒のインナーに白い隊服

胸には赤く『R』の文字

 

???「なんだかんだと言われたら」

???「答えてあげるが世の情け」

???「世界の破壊を防ぐため」

???「世界の平和を守るため」

???「愛と真実の悪を貫く!」

???「ラブリーチャーミーな敵役!」

ムサシ「ムサシ!」

コジロウ「コジロウ!」

ムサシ「銀河を駆けるロケット団の2人には!」

コジロウ「ホワイトホール白い明日が待ってるぜ!」

猫「にゃ〜んてにゃ!」

 

………

 

レン「………」

ムサシ「…ちょっと!もう少しは驚きなさいよ!」

コジロウ「かのロケット団だぞ!」

レン「…いや、知らないんだけど…」

ムサシ「…ムキィィ!何よこのジャリボーイ!」

コジロウ「ムサシ落ち着けって、おい!そこのジャリボーイ!」

レン「…?」

コジロウ「お前、メガストーンを持ってるな?」

レン「!?どうしてその事を!」

コジロウ「やっぱりな、俺の見立て道理だぜ!」

ムサシ「あんたのそれは元は私達の物よ!返しなさい!」

レン「…元は?」

俺は1つ疑問に思った

が、ここでは何も言わなかった

 

レン「…嫌だね」

ムサシ「そう、なら、力ずくで奪うまでよ!」

するとムサシの背後から巨大な蛇のようなものが飛んできた

 

ムサシ「行け!『アーボック・ヤミー』!」

『シャー!!』

すると『アーボック・ヤミー』と呼ばれたそいつは俺に襲いかかってきた

 

レン「うおっ!」

俺はそれを間一髪で避けた

 

ムサシ「へ〜、意外とすばしっこいわね、でも、私達の最強の兵器、『ポケヤミー』の敵じゃない」

レン「ポケヤミー?」

コジロウ「そう!闇の力で蘇ったポケヤミーを使って悪事をして、大儲けする!それが我らロケット団のやり方だ!」

『シャー!!』

 

レン「くっ!」

俺は思わずレジェンドライバーを取り出した

これをつけたらどうなるんだ?

俺が最初の使用者

何が起こるかは分からない

でも、俺は

 

レン「強くなるんだ!」

俺はレジェンドライバーを腰に装着した

 

レジェンドライバー

 

レン「なんだ?」

すると、さっきのメガストーンが急に光りだし、俺の目の前に浮いた

パリーンという音がすると、そのメガストーンはあのモニターに映っていた姿になった

 

レン「これは…」

ムサシ「ん?何よそれ?」

コジロウ「『アーボック・ヤミー』!とっととやっつけろ!」

『シーー!!』

奴が再び俺に襲いかかって来る

俺はそれをまだ避けると

メガストーンをレジェンドライバーのレジェンスロットに入れ込んだ

 

ドロップ!

 

何故だろう、全然知らないのに、身体が勝手に動く

 

リード!

レジェンド!ヘンシーン!

 

レン「…変身!」

俺は側面のボタンを押した

 

ミュウツー!

ミュウ!ツー!ミュウ!ツー!ミュウ!ツー!ツー!

 

俺は初めて、仮面ライダーに変身した

 

身体の色は紫がかった白で、腹から尻、尻尾まで紫色だった

後頭部から背中に繋がる臍の緒のようなものもあった

そして、全身に装着されたアーマー

ヘルメットのような物に、鉄の板が胸や、腕にもくっ付いている

 

レン「伝説の戦士!仮面ライダーレジェン!」

 

ムサシ「え!?」

コジロウ「す、姿が変わった!?」

 

レン「はっ、これは…!」

『シャー!』

レン「…!はっ!」

俺は奴にパンチを食らわせた

 

レン「はどうだん!」

俺は手の内側に力を込め、はどうだんを放った

 

奴は相当なダメージを受けていた

 

ムサシ「こ、こんなの聞いてないわよ!」

コジロウ「ポケヤミーは最強の存在じゃなかったのかよ!」

 

レン「サイコカッター!」

『シャ、シシシシ』

 

これが俺

俺の、力

 

ははっ、最高だ…

 

レン「サイコキネシス!」

『シャー!シャー!』

 

俺はどんどん強さに、いや、力にのめり込んで行った

 

 

サカキ「…なるほど」

ロケット団本部

サカキは椅子に座りながら、レンと部下達の戦いを見ていた

 

サカキ「…もう1つのメガストーンはあいつが持っていったのか」

サカキは笑った

1人でありながら、くすくすと嘲笑うかのように

 

まぁいい、切り札はこっちにもある

 

サカキはマスタードライバー、そして、もう1つのミュウツーストーンを見た

 

サカキ「レンよ、次お前に会った時が楽しみだ」

 

 

レン「はぁぁ!」

俺は『アーボック・ヤミー』を圧倒していた

 

ムサシ「ちょっと!もっとちゃんとやりなさいよ!」

コジロウ「このままだと負けちまうよ〜!」

猫「にゃーん」

 

『シャー!』

奴は俺の背後に回り込んで攻撃を仕掛けた

 

ムサシ「よし!これは決まったわ!」

コジロウ「やっちまえ!」

ロケット団達は勝利を確信した

 

レン「みらいよち」

俺はそれを予知し、攻撃を避けて

更に奴にキックを決めた

 

ムサシ「なっ!……」

ロケット団達は唖然としている

 

レン「トドメだ!」

俺はレジェンスロットをスライドさせた

 

リード!

レジェンド!ヒッサーツッ!

 

そして側面のボタンを押した

 

ミュウツー!

ジーン ディストラクション

 

俺は『アーボック・ヤミー』に念波を放つ

奴は混乱状態になった

俺は高く飛び上がった

 

レン「ジーンディストラクション!」

紫のオーラを放ちながら俺は奴にキックを決めた

 

『アーボック・ヤミー』は俺のキックを受けると、ロケット団の2人のところに吹き飛ばされた

 

ムサシ「げっ!」

コジロウ「や、やばっ!」

猫「にゃ〜ん?」

 

ロケット団の2人に直撃した奴は激しく爆発した

その影響か、ロケット団の2人は吹っ飛んで行った

 

ロケット団「「やな感じ〜!」」

猫「にゃ〜〜〜ん!」

 

レン「はぁ、はぁ、」

戦いを終えた俺、空を見上げる

 

俺が、倒した

俺が…

俺は、強い

 

レン「ふふふっ、ははははは!」

俺は笑っていた

その時だった

ドライバーからいきなり火花が散った

 

レン「ぐっ、くっ!」

ドライバーを乱暴に取り外した俺は、変身が解け、地面に跪いた

ミュウツーストーンが転がっている

 

レン「はぁ、はぁ」

親父の発明品…、もう使わねぇ…

 

 

俺は結局道場に向かったが、師匠はいなかった

だろうな、と俺は思った

それは1つの結論を得たからだ

簡単な話だ

俺は、次の目的地に向かった

そんな時、携帯が震えた

着信元は親父だった

 

レン「……もしもし」

カズマ「レン!今、何処にいる!」

レン「なんだよ、藪から棒に…」

カズマ「…メグが拐われた!」

レン「……」

カズマ「犯人は『ロケット団』と名乗っていた!」

レン「……」

俺は黙って携帯を閉じた

 

レン「……ふぅ」

俺は深呼吸して、ゆっくりと歩き始めた

 

 

メグ「……」

ムサシ「サカキ様!御命令道理、ジャリボーイの妹を拐って来ました!」

サカキ「…ご苦労」

サカキは壁にかかった絵を眺めながら言った

高級そうな椅子に座っている

 

コジロウ「…して、何故この子なんですか?」

サカキ「…ふふふ、知りたいか?」

振り返ったサカキ

サカキの表情はいつも読めなかった

 

コジロウ「え?いや…」

サカキ「…私の野望の為だ」

ムサシ「そ、それは昔から仰っている…?」

サカキ「…もういい、下がっていいぞ」

急に不機嫌になったサカキ

 

コジロウ「え?で、では…」

ムサシ「失礼しました…」

部下たちは社長室の扉を静かに閉めた

 

メグ「……」

メグはサカキの顔をじっと見つめた

 

サカキ「安心しろ、お前に危害を加えるつもりはない」

メグ「……」

サカキ「それに、もう少しで来るさ」

メグ「……」

サカキ「…あいつがな」

すると、さっきの閉じたはずの扉が勢いよく開いた

 

レン「…やっぱり、あなただったんですね…」

メグ「……お兄ちゃん…」

サカキ「よく来たな、レン。そして、よく分かったな」

立ち上がるサカキ

扉は反動で閉じていた

 

レン「簡単な話です、パソコンに映っていたあのマーク、そしてロケット団のあの2人の胸のマーク、完全に一致している」

サカキ「……」

レン「それに、あの二人はこのメガストーンは「元は」我々の物だと言っていた。それを取り戻しに来た日は俺がこのメガストーンを盗った翌日」

サカキ「……」

レン「…あの部屋の持ち主が探さしたに違いない」

サカキ「…見事だ」

レン「メグを返してもらう…」

レンの目が変わった

 

サカキ「だが!その前に…」

レン「…?」

片手を前に出してサカキは言った

 

サカキ「お前に提案だ、あの仮面ライダーの力、あれは素晴らしい物だ!そこで…」

レン「……」

サカキ「…お前もロケット団に入らないか?」

レン「……」

レンは悟っていた

サカキは自分をロケット団に誘うつもりだと

 

サカキ「ロケット団に入り、その力を世に知らしめるのだ!お前なら、それが出来る」

レン「……」

サカキ「その力があれば、世界征服なんぞ夢ではない!」

レン「…世界征服?」

サカキ「その通り、この世界を我がものにし、世界を悪人で満たしてやる!それが私の野望だ!」

レン「……野望だと?」

俺はサカキに近づいていく

 

レン「そんなつまらん物に、一体どの位の人間が犠牲になる?」

サカキ「…さぁな」

レン「…メグも、その犠牲のうちの1人になるのか?」

サカキ「…かもな」

レン「ふざけるな!そんな事は!俺がさせない!」

俺はレジェンドライバーを取り出した

 

レン「俺の家族は!俺が守る!」

 

レジェンドライバー

 

ドロップ!

レジェンド!ヘンシーン!

 

レン「変身!!」

 

ミュウツー!

ミュウ!ツー!ミュウ!ツー!ミュウ!ツー!ツー!

 

レン「伝説の戦士!仮面ライダーレジェン!」

 

サカキ「どうやら、私の見立て道理ではなかったようだな」

サカキは懐からマスタードライバーを取り出し、それを腰に装着した

 

マスタードライバー

 

そしてサカキはもう1つのミュウツーストーンを取り出し

マスタードライバーの中央にセットした

 

セット

マスターヘンシーン!

 

サカキ「…変…身!」

サカキはマスタードライバーの2つの突起部を同時に押した

 

ミュウツー!

悪を貫け!

In the Darkness!

 

サカキは闇に包まれ、姿を変えた

全身はレジェンに似ていたが、圧倒的に違うのは、アーマーを装着していた

全身を覆うようにアーマーが装着され、頭部は完全に隠れている

背中からは刀のようなものが八本はみ出ていた

 

サカキ「悪の戦士、仮面ライダーアール!」

 

レン「あなたも変身出来るのか!」

サカキ「ふふふ…さぁ、チェックメイトだ」

 

 

仮面ライダーアールに変身した師匠

 

レン「ミュウツーストーンが、2つ…?」

サカキ「この世に存在する2つのミュウツーストーン、まさかその2つがぶつかり合う日がするとはなぁ!」

真っ赤の複眼を光らせてサカキはレンに攻撃を仕掛けた

 

レン「くっ!」

お互いのアーマーがが干渉する

だが

 

サカキ「はぁ!」

レン「ぐっ!」

あっちの方が多少力は上のようだ

 

レン「くっ!はどうだん!」

少し距離をとった俺は師匠に攻撃を仕掛けた

 

サカキ「はどうだん!」

だが師匠も同じ攻撃をし、俺の攻撃を相殺した

 

レン「くそっ!サイコカッター!」

サカキ「サイコカッター」

またもや相殺された

 

レン「サイコキネシス!」

俺は念力を使って辺りのガラクタを投げつけた

 

サカキ「みらいよち」

だが師匠はそれを全て避けた

 

レン「なっ!」

サカキ「無駄だ、お前は私には勝てない…」

レン「なんで分かる!」

サカキ「…その姿、完全では無いな。本来の力を出し切れていない」

レン「なんの事だ!」

俺は荒れていた

さっきまでの冷静さはもう無くなっていた

当然である

俺は師匠を尊敬していた

そんな尊敬していた男が

裏切ったのだから

 

レン「うわぁぁぁ!」

俺は師匠に殴りかかった

 

サカキ「力任せにやっても無駄だ!」

レン「ぐわっ!」

俺は吹き飛ばされた

 

レン「…くっ!」

 

俺は、強い

そうだ、俺はあの怪物を倒した

1人で

そんな俺が、師匠に負けるわけが無い

この!俺が!

 

レン「はぁ!」

そんな時だった

全身からまた火花が散った

 

レン「ぐはっ!」

俺はそこに倒れ込んだ

 

サカキ「ミュウツーストーンがお前と適合していない。このままだと、確実にお前は死ぬな」

レン「…黙れ!」

 

俺はレジェンスロットをスライドした

 

リード!

レジェンド!ヒッサーツッ!

 

そして側面のボタンを押す

 

ミュウツー!

サイコブレイク!

 

俺は右手に力を込めた

だが力が出ない

更に左手を添えてパワーを込める

 

レン「…はぁぁぁ!」

力を込めた念波を放とうとした瞬間だった

 

レン「…!!」

サカキ「……」

俺は攻撃を止めた

理由は簡単

 

メグ「……」

メグが師匠を庇うように手を広げて俺の前に立ち塞がっていた

 

レン「メグ!何してる!そこから離れろ!」

メグ「…お兄ちゃん!…やめて!」

レン「…え?」

メグ「…この人は…、お兄ちゃんを……」

レン「…何を、言っている?」

メグ「………っ」

メグはそれきり口を閉じてしまった

 

サカキ「…レンよ、お前はなんの為に戦う?」

レン「…は?なんだよ、急に」

サカキ「私は、世界征服をする。その為に戦う」

レン「……」

サカキ「お前はどうだ?何故また私の前に現れた?」

レン「…俺は…」

俺は、強くなりたかった

昔から、謎に強さに憧れていた

 

でも、なんでだ?

理由は分からなかった

俺は、強くなってどうなる?

どうなりたい?

何をしたい?

考えたこともなかった

 

俺は無意識に、メグの顔を見た

メグは泣いていた

目から涙を流し、こっちを見ていた

でも、その涙は、どんな感情だ?

悲しいのか?

嬉しいのか?

怖いのか?

怒っているのか?

 

俺は、分からない

分からないが、俺は

 

俺は、メグに手を差し伸べた

届かないその腕

 

俺は、その命を

 

レン「……守りたい…」

サカキ「…ん?」

レン「…守りたいんだ、あの笑顔を、あの楽しい時間を、あの平和な環境を…」

サカキ「……」

 

お袋と笑い合いながらやった料理

親父と裸の付き合いをした銭湯

メグと遊んだ、あの公園

 

レン「…全部、守りたい…」

その為に、俺は…

 

レン「その為に俺は戦う!」

俺はサカキを睨んだ、その時だった

 

全身に絡み付いていたアーマーのロックが外れ、ボトボトと落ちていった

ヘルメットのような物が、真っ二つに別れると

俺は全貌を露にした

 

その紫眼をサカキに向けて、俺は言った

 

レン「さぁ、伝説の始まりだ!」

 

俺は、本物の仮面ライダーになった気がした

 

 

レン「さぁ、伝説の始まりだ!」

サカキ「いよいよ本気を出したな、レンよ」

サカキはメグを前に立った

 

メグに何かを言うと、メグはこくりと頷き、遠くに離れていった

 

サカキ「…はぁ!」

攻撃を仕掛けたサカキ

だが俺はそれを先読み、サカキの胸にパンチを食らわした

 

サカキ「ぐふっ!…ははは」

サカキは嬉しそうだった

 

レン「……」

俺は構わずサカキに攻撃をする

さっきとは裏腹に、今度は俺が優勢のようだ

さっきのアーマーが外れたことによって、力が格段にアップしたのだろう

 

レン「はっ!」

サカキ「ぐはっ!」

サカキを圧倒する俺

 

サカキ「…はぁ、…ははは、はははははははは!」

レン「なんだ、何がおかしい!」

サカキ「…なに、昔のことを思い出しただけだ、構うな」

レン「…っ!」

俺はサカキに思いっきりパンチした

 

サカキ「ぐはっ!…かはっ」

吹き飛ばされたサカキ

地面に横たわっている

 

レン「…トドメだ」

俺はレジェンスロットをスライドした

 

リード!

レジェンド!ヒッサーツッ!

 

サカキ「…はぁ…いまいちど、このサカキ様の腕前を見よ」

サカキはマスタードライバーの右の突起部を押し込んだ

 

マスターヒッサーツ!

 

そして左の突起部を押し込む

同時に俺は側面のボタンを押した

 

ミュウツー!

ジーンディストラクション!

 

ミュウツー!

装甲逆襲劇!

 

俺とサカキは同時に飛び上がった

 

レン「はぁぁぁぁ!」

サカキ「はぁぁぁぁ!」

 

お互いがキックを決めた

お互いの足が擦れ合い、衝撃が伝わってきた

 

レン「はぁぁぁぁ!」

サカキ「ぬわぁぁぁ!」

レン「俺は、負けられない!この世界は!俺が守る!」

サカキ「私は!世界を征服する!この手で!誰にも邪魔はさせん!」

 

レン「はぁぁぁぁ!」

サカキ「はぁぁぁぁ!」

激闘の末、最後に押し切ったのは

俺だった

俺の足がサカキの体を貫き、俺は着地した

サカキは地面に転落し、横たわった

 

レン「はぁ…はぁ…」

サカキ「……」

 

変身を解除した俺は、サカキの元に駆けつけた

サカキの変身も解けていた

 

レン「…どうして俺に近づいた?」

サカキ「…知りたいか?」

レン「…あぁ」

サカキ「…それはな、私の野望の為だ」

レン「…世界征服の為に?でも、なんで?」

サカキ「…君達を見ていると、心が和んだ。君達兄妹は、平和の象徴のような表情をしていた」

レン「……」

サカキ「…私の創造する世界は、平和な世界だ」

レン「…え?」

サカキ「世界を征服して、平和な世界を創る。それが私の野望だった」

レン「…でも、なんでマフィア団なんて…」

サカキ「闇の力で蘇った私は、いつの間にか本来の目的を忘れていた。でも、君達を見て思い出した。だから私は、君達に近づいた」

俺は気づいた

サカキの身体が、少しづつ消えていっている

 

サカキは俺に何かを渡してきた

それを受け取ると、それはミュウツーストーンだった

 

サカキ「受け取れ、きっと彼も、君を受け入れてくれるだろう」

レン「…師匠」

サカキ「…レンよ、強く、正しい人間に、なるんだぞ…」

そう言うと、師匠は消えてしまった

残ったのは、もう1つのミュウツーストーンだけだった

 

涙は出なかった

でも、そこには罪悪感が残り、駆けつけたメグの顔も、まともに見れなかった

 

この人は、本気で俺を強くしようとした

自分を倒させる為に

自分を、犠牲にして

 

俺も、そんな人間に、なれるかな?

いや、なりたい

そんな人間に

 

俺は顔を上げ、メグを見る

メグはもう泣いていなかった

 

俺はメグの手を握った

 

レン「…メグ、行くぞ」

メグ「…うん」

この手を離す日も、そう遠くないことを、俺は知っていた

 

 

カズマ「…そうか、サカキさんが…」

レン「師匠とは、どの位の付き合いだったんだ?」

カズマ「ん〜、大体2年間位か?でも最初は確かに、この時代に馴染んでない感じが拭いきれてなかったな」

レン「…なるほど、じゃあ師匠は蘇った後、この2年間でロケット団を組織し、世界征服を計画。でも俺達を見ている間に本来の夢を思い出し、俺に近づいた」

カズマ「しかし、まさか蘇った人間がいるとはな…」

レン「師匠は、闇の力で蘇ったって言ってた」

カズマ「ん〜、まだまだ謎は多そうだな」

レン「あぁ、そこで…」

レンはカズマの目をじっと見た

 

レン「旅に出ようと思う」

カズマ「…は、は?た、旅!?」

レン「…あぁ、この事件の真相を、探そうと思う」

カズマ「だ、だが!子供1人では危険だ!」

メグ「だったら!」

と、メグが突然現れた

 

レン「?メグ?」

メグ「私も!一緒に旅に出る!」

レン・カズマ「「…は!?」」

カズマ「な!何を言ってる!余りにも危険すぎる!」

レン「そ、そうだ!俺はともかく!お前は…」

メグ「でもでも!お兄ちゃん1人にするのも私ヤダよ!」

レン「そ、それは…」

話がまとまらない中、口を挟んだ者がいた

 

ユイ「待った!」

レンの母である朝堂ユイだった

 

エプロンを着てお玉を持っている

 

ユイ「…2人とも、行ってきなさい」

カズマ「え!?」

レン「…!?」

カズマ「な、なんでだ!この子達が心配じゃないのか!?」

ユイ「それは心配だけど、こうなったら止められないのを、貴方が1番わかっているでしょう?」

カズマ「…うっ」

ユイ「それに、私は嬉しいわ、2人がそういうことを話してくれて」

今まで厳しい事しか言ってこなかったユイ

そんなユイの最後の親としての務めを果たそうとしていた

 

レン「…分かった、メグ、一緒に行こう」

メグ「え!?ホント!?」

レン「…あぁ」

カズマ「…はぁ、でもなぁ…やはり子供達だけでは…」

ユイ「それより、今晩は何がいい?やっぱり子供達が大人になったという事で赤飯にしようと…」

カズマ「ちょ!勝手に話を進めないでくれます!?」

 

家族で団欒するこの時間

俺の守りたいもの

 

俺は、改めて旅に出る決意をした

 

 

ヒガナ「…は〜あ〜、失敗か〜」

闇の空間にて、ヒガナは全てを見ていた

 

僕は闇の力であらゆるものを蘇させることが出来る

でもそれには限りがある

それは生前に強い未練を持った者に限る

強い未練、すなわち、野望

その野望と闇の力はよくリンクする

ポケモンや、人間

野望を持つものは沢山いる

 

でも今回は失敗

多分僕の力が完全に戻っていないからだろうね

 

僕もまた蘇った存在

 

僕の野望を叶える為に

 

ヒガナ「…ふふっ、楽しくなってきた!」

 

誰か!もっと!もっと僕を満たしてよっ!

 

 

カズマ「はい」

メグ「これは?」

カズマ「メグ用に作ったレジェンドライバーだ、これでお前も変身出来ないこともないが…」

メグ「…ありがと!大事に扱うよ」

カズマ「…あぁ」

 

レン「それじゃ、行くよ」

メグ「行ってきます」

ユイ「えぇ、無事に帰ってくるのよ」

俺達は朝堂家を出発した

でも、気持ちよく見送ってくれないのが、うちの親だ

 

カズマ「何かあったらすぐに連絡しろよ!何処にいても必ず迎えに行くからな!絶対だぞ!世界の果てにいても!必ずだ!」

レン「…うるせぇぇ!!」

遠くから叫んでくる親父に俺は愚痴を言った

メグは笑っていた

 

こうして、俺たちの旅は始まった

 

 

 

ユイ「あら、貴方も出かけるの?」

カズマ「あぁ、1週間程、マサラタウンで調査を行うことにしたんだ」

ユイ「あらそう、じゃあ姉によろしくね」

カズマ「あぁ」

確か、あいつらに会うのも、久しぶりだな

何か悪いことでも起きないといいのだが…

なんて、そんなこと起こりっこないか!

 

この時の俺は、まだ知らなかった

マサラタウンであんなことが起きようとは…

 


 

現在──

 

レン「だから!なぜピーマンばっかり避けて食べる!」

ライト「嫌いな物は嫌いだ!それ以上でもそれ以下でもない!」

カズマ「そうだ!こんな苦い物食べれるか!」

レン「あんたは黙ってろ!」

威嚇し合う3人

 

お兄ちゃんは、乗り越えたんだね

 

でも、私は覚えてるよ

 

 

コジロウ「え?で、では…」

ムサシ「失礼しました…」

メグ「……」

サカキ「メグよ、お前に言っておくことがある」

メグ「……なに?」

サカキ「これから私とレンは戦うことになるだろう。そして、私は負ける」

メグ「……?」

サカキ「その後、レンは何をするか分からん、もし危険なことをしようとしていたら…」

サカキはメグを優しく見詰めた

 

サカキ「お前がレンを守れ」

 

 

うん、守ったよ、私

でも、お兄ちゃんも守った

色んな物を

色んな命を

 

平和な世界を創る

私の夢

 

メグ「…いつか、叶えるよ、師匠」

メガミ「ん?今何か言いました?メグ?」

メグ「…ううん、何も!」

メグはレンの所に向かった

 

メグ「お兄ちゃん、私もピーマン食べれない…」

レン「あぁ、お前は好きなだけ残せ。残りは俺が食べる」

ライト「……テメェェエ!」

 

今日も、楽しい一日が始まった

 

To be continued





いかがでしたか?
思いつきで書いた本編のスピンオフ作品です
いつもより行数が多くてびびった方も多いでしょう
まぁ文字数的には2話分位しか無いんですけどねw

レンの旅を始めたきっかけ
仮面ライダーになったきっかけ
メグの夢
仮面ライダーバーサの前日談として書かせていただきましたが、また設定があやふやになる所も多々あるかもです!
↑それについてはゴメンなさい!

今後もちょくちょくこういった長編スピンオフを出す予定です
もし良かったら見ていってください

今後ともよろしくお願いします
次回からはジョウト地方偏です! byキャメル16世


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ジョウト地方 偏
第十六話「新たな地方!ジョウト地方!」


前回のあらすじ

激闘の末、ライトは黒いサトシを撃破!
回復したサトシはダルス達と共に元の世界へと帰ってしまった
しかし!仲間の大切さを知ったライトは、また仲間と共に立ち上がる!
そして、新たなステージへ!


カズマ「歴史ある地方、ジョウト地方。1目置けるのはやはりジョウト地方のシンボルと言えるスズの塔だな」

従来の電車と違って、衝撃がない

 

レン「かつて、不死鳥が舞い降りたとされる塔だな」

その上とても静かだ

 

メグ「それがジョウト地方に伝わる不死鳥伝説か〜」

 

カントー地方とは隣合う地方、ジョウト地方

俺達はリニアに乗り、コガネ駅に向かっていた

 

メガミ「不死鳥とは、珍しい生き物なのですか?」

ライト「想像上の生き物だよ、本当はいないけど、人間が作り上げた空想の生き物」

カズマ「いや、そうとも言えない。幾度となくこのジョウト地方では、スズの塔の頂上に大鳥の影を見たという情報もある」

メグ「だけど、それが何なのかは謎なんだよね〜」

レン「……」

『まもなく〜コガネ駅〜コガネ駅〜。終点です』

コガネ駅に到着した俺達

ホームから見える景色に、俺と叔父さん、そしてメガミは興奮していた

 

ライト「おぉー!ここがジョウト地方か〜!」

カズマ「紅葉が綺麗だなぁ!」

メガミ「こんな所初めてです!」

初めてのジョウト地方にはしゃぐ俺達

それに対し、レンとメグはツンとしていた

 

カズマ「あれ?2人は嬉しくないのか?」

メグ「ん〜、まぁ、ここに来るのは初めてじゃないしね〜」

レン「3年前にも1回来ている」

カズマ「あ〜、そゆこと」

話によれば、レンたちは既にこの地方に偵察に来たことがあるらしい

他にも、シンオウ地方、イッシュ地方、カロス地方などにも行ったことがあるとか

 

レン「俺達が来た時は、嵐はおろか、不死鳥なんて見たことも無い」

メグ「なかなかシャイなんだよ、その不死鳥は」

嵐が齎されると同時に現れると言われる不死鳥

その正体は不明であり、見た者も、極わずかと言われる

だがその人達はジョウト地方でも変わり者と言われ、信憑性は低いと言われている

 

ライト「ところで、ジョウト地方で起きている怪事件って、一体何なの?」

カズマ「あぁ、今の所では、『全身からキノコが生えた状態でミイラ化した死体事件』、『夢を喰らう化け物事件』っていうのがあるな」

レン「全身からキノコ、夢を喰らう化け物。どちらもポケヤミーの仕業で間違いないな」

メグ「じゃあ早速探す?」

ライト「いや」

ライトが皆の言葉を止め、少し間が空くと、再び口を開いた

 

ライト「まずは、ジョウト観光だ!」

 

 

メグ「お兄ちゃん!コレ見て!」

レン「メグ、余分な物は買うなと言ったろ」

メグ「でもでも!何かヒントになるかもよ?」

メグさんが買ってきたものは木彫りの札だった

不死鳥のような彫刻が施され、とても綺麗だった

 

ライト「メガミ」

後ろから話しかけられた私

少し驚いて振り向くと、ライトさんが何かを持ってその何かを口に運んできた

はむっと、思わず口を開けてしまった私はそれを食べてしまった

それを噛んでみると、もちもちとした食感に…これは、なんでしょう、すごく甘いのに、くどくない…

 

ライト「ジョウト名物の八ツ橋だよ、美味しい?」

メガミ「は、はひ…」

そして私は気づいた

ライトさんの顔が近い

ライトさんは笑顔でこちらを見詰めていた

急に顔が暑くなった私は後ろを向いてしまった

 

ライト「…?」

メガミ「…ゴク…はい、美味しいです!」

振り返った私は、笑顔でそういった

ライトさんは一瞬笑顔になると、何かに気づいた

 

ライト「あ、メガミ、餡子ついてるよ?」

メガミ「…え?何処ですか?」

服のどこかに着いたのかと、私は見渡す

 

ライト「そうじゃなくて、ここ」

と、ライトさんは私の唇に着いていた餡子を親指で取った

それだけではなく、ライトさんはその餡子の着いた指を少し舐めたのだ

またもや顔が熱くなる私

 

カズマ「ライト…、お前も隅に置けない奴だな」

メグ「ホントホント」

ライト「え?何?」

カズマ「…いや、何でもない」

ライト「???」

レン「……」

 

 

しばらくジョウト観光していた俺達

バスや電車を駆使して色んな町に行った

そして俺達はエンジュシティに到着した

 

ライト「あれがスズの塔かぁ」

目の前にある10階建ての塔

いかにもの和風建築で、とても綺麗だった

 

メガミ「ん?あれはなんですか?」

メガミが指さしたのは、スズの塔の左手側にあった建物

まるで焼け焦げたように、2階部分から上がなかった

 

カズマ「あれは…「カネの塔」だな」

ライト「カネの塔?」

カズマ「昔、ジョウト地方にそびえ立ってた2つの塔、だが1つは落雷により火事になってしまったらしい。その後、雨が降り始め、火事は収まったが、ほとんどは焼け焦げてしまったらしい」

ライト「ふぅーん」

カズマ「ここにも伝説はある。かつてそこには3匹のポケモンが住んでいたが、その火事で亡くなってしまった。しかし、不死鳥が現れ、それぞれを落ちた雷に模したポケモン、火事の炎に模したポケモン、鎮火した雨に模したポケモンへと蘇らせた」

ライト「へぇー、意外と詳しいんだな」

カズマ「…ん?」

ライト「あ、いや、何でもない」

改めて叔父さんはポケモン研究者だと実感した

 

そこでしばらく調べ物をしていたら…

 

カズマ「どうやらこのエンジュシティにて、夢喰い事件が多発しているらしい、ポケヤミーが何処に蔓延(はびこ)っているか分からない、注意して捜索しよう」

いよいよ本題に入った俺達

今度は、叔父さんとメガミペア、レンとメグペア

そして俺1人の3手に別れることとなった

 

 

メグ「…ふふふ」

レン「なんだ?メグ」

メグ「え?ん〜ん、メガミちゃんのこと」

レン「…ん?それがどうした?」

メグ「いや〜、ライトくんも鈍感だなぁ〜って」

レン「……そうだな」

 

 

カズマ「……メガミ」

メガミ「はい?」

カズマ「1つ、相談があるんだが…」

メガミ「…えぇ、なんでしょう?」

カズマ「……いや、やっぱり何でもない」

メガミ「…はぁ、そうですか」

まだ早いか、《これ》を彼女に渡すのは…

カズマは《それ》を内ポケットに入れたまま、歩き続けた

 

 

ライト「不死鳥、ね〜」

俺は独り、田んぼの脇道を歩いていた

トンボが飛んでいて、夕焼けに照らされたそのシルエットは綺麗だった

 

ライト「そんなもん、ホントにいるのかね。なぁ、バシャーモ」

俺は意味もなく、バシャーモナイトに話しかけた

 

ライト「…て、答えるはずないだろ?何やってんだ?俺」

俺は空を見上げた

夕陽に照らされた空は橙色で綺麗だった

そんな時だった

 

キーー、と、何かが鳴いた気がした

最初は悲鳴かと思ったが、どうもそうでは無い

 

キーー

 

まただ、なんなんだ?

俺は再び空を見上げた

真上には何もいない

目の前にも、何もいない

俺は後ろを見た

そして、すぐに鳴き声の主は分かった

 

この距離からでも分かる、かなりの大きさ

全身は夕日で照らされ、黄金色に輝いていた

若干赤色の翼を大きく靡かせ、俺の頭上を飛んで行った

夕日に被ったそいつは、どこかに消えてしまった

一瞬の出来事で上手く把握出来なかったが…

 

あれが…

 

ライト「…不死の鳥、鳳凰(ほうおう)

 

俺は無意識に声に出していた

すると、頭上から何かが降ってきた

 

あれは、羽?

それをゆっくりと掴むと、それは光り輝いた

その羽は赤や緑、白、など、色んな色に変色していた

まるで虹色だ

 

ライト「…これは?」

 

よく分からなかったが、俺はその謎の羽を大事に握ると、内ポケットに仕舞い、みんなの所に戻ろうと思った

 

俺が見たものが本物なら…

あれは…

 

 

カズマ「鳳凰を見た!?」

メグ「え!?」

レン「…!」

メガミ「それは、本当ですか!?」

日も暮れたあと

皆を集め、状況を説明した俺

もちろん皆最初はびっくりしていた

 

ライト「あぁ、突然現れて、そして消えた」

レン「…見間違えじゃあないのか?」

ライト「…分からない」

確証はなかった

一瞬の出来事で、あまり覚えていないのだ

 

レン「なんだそれは、嘘を言ったのか?」

ライト「そ、そういうわけじゃ…はっ!」

俺は思い出した

そうだ、あれを見せれば!

 

ライト「ほら!これを……」

内ポケットに手を入れ、さっき落ちてきた羽を取り出した

 

レン「…何だそれは?」

虹色に輝く羽を見て、レンは黙り込んだ

傍らで、メグが「…綺麗」と言っている

 

ライト「あいつが落としていったんだ。きっと、俺への何かしらのメッセージなんだよ」

レン「……お前の妄想に付き合うのも懲り懲りだ」

そう言うと、レンは席を立ち上がった

 

レン「鳳凰なんて居ない。所詮は妄想だ」

レンはそう吐き捨てて去っていった

 

メグ「ちょ、待ってよ!お兄ちゃん!」

メグが後を追う

 

俺は気付かぬ間に落ち込んでいた

 

ライト「…はぁ〜」

メガミ「気にしないでください、レンさんも、疲れているんですよ」

カズマ「そうだ!僕は信じるぞ!お前の見たもの」

ライト「2人とも、ありがとう」

俺は少しだけ救われた

 

でも不思議だった

どうしてこうもレンは、夢物語を嫌うのか

信じたり信じなかったり

情緒が安定していない

 

俺の夢も、神話も

 

カズマ「とりあえず、明日は皆で行動しよう。目撃情報があった家に調査しに行くぞ」

ライト「…あぁ」

 

その夜、羽の色が戻ることはなかった

 

 

メグ「じゃあ、まずは何処に聞き込みに行く?」

カズマ「そうだな、まずは…」

叔父さんとメグ、そしてメガミが目的地を確定しようとしていた時

俺は思い切ってレンに話しかけてみることにした

 

ライト「…なぁ、レン」

レン「…なんだ」

ライト「…レンはなんで、夢を嫌うんだ?」

レン「…夢が嫌いな訳じゃない。夢を持つやつを嫌っているんだ」

ライト「…ど、どうして?」

レン「叶いっこない夢なんて持ったところでどうなる?そいつは、夢を叶えることに必死になり、周りのことを全くもって見ていない。するとどうなる?」

ライト「………」

レン「些細なことで事故が起きて、無様に死ぬ。俺はそういうやつを何人も見てきた」

ライト「…え?」

レン「夢を持つことは、自分の式を縮めるのと一緒だ。無意味だ、それ以上に、枷となる」

ライト「…お前の意見は分かった」

レン「…ん?」

ライト「…でも、俺はそういう人達が大好きだ。人は、夢を追いかけている時が、1番幸せなんだ、そんな中で死ねたのなら、本望だと思うよ。実際俺なら、今死んでも悔やまない」

レン「……」

ライト「なぁ、レン。お前は今、幸せか?」

レン「……!?」

その時だった

雨も降っていないのに、すぐ近くに雷が落ちた

俺達の目の前、少し丘になっている所に、人が膝を付いていた

 

そして隣には、犬型のポケヤミー

 

カズマ「なんだ!?」

全員が身構える

 

チリチリと稲妻を纏わせる人

その人が立ち上がると驚いた

そいつはまだ子供だった

俺たちと同じくらいの、少年のような女の子だった

すると、その少女は俺達を見下すように言った

 

ヒガナ「やぁやぁ、仮面ライダーの諸君」

奴は口を開いて俺たちに話しかけた

 

ヒガナ「僕はノブナガ、初めまして」

レン「…ノブナガ?」

ヒガナ「どうかな?なるべくかっこよく登場したかったんだけど〜。僕的には上出来だなぁ」

ボロボロな服、と言うより、特殊な服とでも言うのか

明らかにこの世界観には合っていなかった

 

ヒガナ「…ちょっと〜!無視〜?」

ライト「…お前、何者なんだ?」

ヒガナ「えへへ〜、よくぞ聞いてくれた!僕はね〜…」

『この方はヒガナ様!世界を統一し、闇へと導くお方だ!』

突然ポケヤミーが喋りだした

 

ヒガナ「あぁ!もう!なんでそっちの名前で呼ぶかなぁ!」

『はっ!申し訳ありません!』

ヒガナ「はぁ、ったく」

ライト「……ヒガナ?」

ヒガナ「…あぁ、もうどっちでもいいよ。とりあえず僕は、今君たちに宣戦布告をしに来たんだ」

レン「何?」

するとヒガナは俺に指をさした

 

ヒガナ「仮面ライダーバーサ、またの名を波山ライト君」

ライト「…!」

ヒガナ「…君を、必ず殺す」

ライト「…!?」

ヒガナ「サトシ君って覚えてる?」

ライト「…忘れるわけ、無いだろ?…まさか!」

ヒガナ「そう、彼は僕が生き返られた」

ライト「…お前が!」

俺は気付かぬ間に、沸点に達していた

 

ヒガナ「僕はね、ポケモンや人間を蘇させることが出来るんだ。そして、蘇らせた人間やポケモン達の記憶を変換して、負の記憶がよく残るようにした」

ライト「……」

ヒガナ「すると、どうなるか。人は、その偽りの記憶だけを頼りにして、野望を叶えようとする。例えば、サトシ君の本当の野望は君に会いたい、だったのに、僕がちょっと記憶を変えただけで君を殺したい、に変わったように」

ライト「………」

ヒガナ「人間って、面白いよね!記憶を変えただけで、野望が変わるんだから!」

ライト「…貴様ァ!」

俺の怒りは頂点に達し、気づけば変身して彼女に突っ走っていた

 

ヒガナ「…ライボルト君」

『はっ!』

するとそばにいたポケヤミーが俺の前に立ち塞がった

 

ライト「…お前だけは!絶対に許さない!」

『ふんっ!』

カウンターも何も考えていない俺は、ポケヤミーにいとも簡単に去なされた

 

ライト「ぐっ!」

変身が解けた俺は地面を這っていた

 

メガミ「ライトさん!」

メガミが駆けつける

 

ヒガナ「…もうすぐこの地方に嵐が齎され、多くの人間が死ぬだろうなぁ」

レン「…何?」

ヒガナ「…ふふ、楽しくなってきた」

ヒガナは小声で言ったがレンの耳にはしっかりと聞こえた

 

ヒガナ「僕の復活も近い…。また会おう、仮面ライダーの諸君」

ヒガナはそう言うと、闇のゲートを開き、その奥へと消えていった

 

ライト「待て!」

俺は立ち上がったが、メガミに止められてしまった

 

『ふっ!貴様はヒガナ様には勝てない!諦めるんだな!』

ライト「…諦める?…ふざけんな…」

『…ん?』

ライト「あいつは…、サトシの仇だ。俺が倒す」

怒りに燃えた俺は、少し熱くなっていた

でも

 

メガミ「ライトさん!落ち着いて下さい!このままでは!貴方が人殺しになってしまいます!」

その言葉を聞いた瞬間、俺の熱が一気に引いた

 

ライト「…ごめん、メガミ。ありがとう」

落ち着いた俺は、メガミを叔父さんの元に連れていき、再びポケヤミーと対峙した

 

レン「どうやらあいつは手強いようだな、俺も加戦しよう」

メグ「それなら私も!」

ライト「2人とも…、ありがとう」

『…何人束で来ようが、私には勝てない!』

ライト「どうかな?俺達3人なら…」

俺はメガミと叔父さんを見た

 

ライト「…いや、俺達5人なら!お前らを倒せる!お前も!ヒガナも!」

『…小賢しい!貴様!何者だ!』

ライト「俺は波山ライト!ヒーローになる男だ!」

 

 

ヒガナ「……ふぅ」

やっぱり現世に行くにはまだ早かったみたいだ

体力をかなり消耗してしまった

長らく動いていないのも原因だろう

まだ不十分だ

でも、確実に僕は復活の一歩を辿っている

 

僕が蘇ってからもう15年が経っているのか、早いものだ

 

これで、ようやく叶えられる

信長様の野望を

僕が代わりに…

 

ヒガナ「……待っててね、殿」

 

僕は懐からひとつのメガストーンを取り出した

黒をベースに、中央には赤と金の模様が入っている

 

ヒガナ「君の力を見る時も近いな」

信長様から受け継いだこのメガストーン

僕はそれを大事にしまった

 

すると、僕のすぐ右側

とてつもない騒音が聞こえた

 

『ギャアァーース!』

ヒガナ「…分かってるって、君も暴れたいんだろ?」

『………』

ヒガナ「……ルギア君」

『ギャアァーース!』

伝説のポケモン、ルギア

たった1回羽ばたくだけで、嵐が40日間も続くとも言われている

こいつを解き放てば、たちまちあの地方は嵐によって滅ぼされる

 

ヒガナ「……ふふ、楽しくなってきた!」

『ギャアァーース!』

 

To be continued




次回予告

『ライボルト•ヤミー』と奮闘する中、ライトは新たな進化をする!
「俺は絶対に諦めない!」

数々の不死鳥の目撃情報を探索すると、その人たちにはある共通点があって…

第十七話「謎を追え!虹色の羽!」


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第十七話「謎を追え!虹色の羽!」

前回のあらすじ

ジョウト地方に到着したライト達
しばらくジョウト観光をしていると、ライトの目に映ったのは、なんと鳳凰の姿が!
虹色に輝く羽を落として去っていったその正体は不明

そして、突如としてライト達の前に姿を表したヒガナ
ライト達に宣戦布告をし、去っていった

闇の空間に戻ったヒガナのもとには、ルギアの姿も──


ライト「…行くぞ!レン!メグ!」

メグ「うん!」

レン「…ふんっ」

ドライバーを同時に装着する俺達

 

ライト「変身!」

メグ「変身!」

レン「変身」

 

仮面ライダーへと変身した俺達は、『ライボルト•ヤミー』と激しい戦いをしていた

 

ライト「とびひざげり!」

メグ「パワージェム!」

レン「サイコカッター」

『…ガルゥ!』

ライト「うわっ!」

3人の同時攻撃

だが、奴が放つ電撃によって全て去なされてしまった

 

ライト「ま、まじかよ…」

メグ「どうしてっ!タイプ相性は悪くない筈なのに!」

レン「どうやら、今までのポケヤミーとは少し違うようだな」

ライト「それじゃあ!一気に決めよう!」

レン「いや、待て」

キーストンを押そうとした俺を、レンは止めた

 

ライト「どうした?」

レン「奴がまだどれほどの実力なのか分からない。無闇に必殺技を出して、体力を消耗したところで追い討ちを掛けられるかもしれない」

メグ「確かに…」

ライト「じゃあどうしろと!?」

レン「……」

『何をコソコソ話しているぅ!』

奴が牙に雷を纏いながら襲いかかった

 

レン「くっ、ひとまずは経過観察だ、相手の出方を見る」

ライト「……っ」

俺は納得していなかった

 

『…なるほど、俺を恐れているのだな。お前たち』

俺達の悶着を理解したのか、奴は突然俺達を煽ってきた

 

レン「…何っ!」

『その気持ち、よく分かるぞ。俺相手じゃ、怖くなるのも当然だ。だからせめて、……苦しまないようにしてやる』

ライト「ふざけんな」

俺は気づいたら声に出していた

 

『……ん?』

『ライボルト•ヤミー』は振り向き、俺に視線を向ける

 

ライト「経過観察だ?そんな事して、更に被害が及んだらどうするんだ?責任取れないだろ!」

俺はポケヤミーに対してでは無く、レンに向かって怒っていた

 

ライト「俺はやる!これ以上被害が広がらないように!」

レン「…あいつ」

ライト「どんだけ相手が強くても、俺は戦う!俺は…」

『……』

ライト「俺は絶対に諦めない!」

すると、俺の懐が光り出した

俺の目の前に浮かんできたメガストーン

封印が溶けると、そこには

黒をベースに赤と灰色の模様が入ったメガストーンが現れた

 

ライト「…これは、ヘルガーナイト…」

俺はそれを手に取り、バシャーモナイトを取り外し、ヘルガーナイトをセットした

 

セット!

メガシンカ!ヘンシーン!

 

ライト「フォルムチェンジ!」

俺はキーストーンを押し込む

 

ヘルガー!

ヘル!ヘル!ヘルヘル!ヘルガー!

 

俺は全身を黒に染め、腹部が赤くなり、手足にも赤い爪が生える

そして胸部と手首に灰色の骨のような装飾が装備された

両肩から出るマンモスの角みたいな奴が少し邪魔だった

頭部からも長い角が生え、牙も生えてきた

 

ライト「牙の戦士!仮面ライダーバーサ!ヘルガーフォルム!」

 

レン「…まるで、地獄の番犬だな」

メグ「お〜〜」

 

ライト「燃えるぜ!」

『姿が変わったからなんだというのだ!』

またしても牙に雷を纏いながら襲いかかるポケヤミー

俺は手に黒い槍を出現させて、両手でその槍を構え、奴の攻撃を防いだ

先端は2つに別れていて攻撃にも適していそうだ、名ずけるのなら、《ヘルガーランス》

 

俺は《ヘルガーランス》を巧みに扱い、奴の攻撃を無効化出来ている

 

ライト「はっ!」

リーチが長いこの武器は、攻撃にも特化している

 

ライト「ほのうのキバ!」

俺は《ヘルガーランス》に炎を灯し、奴に突き刺す

 

『ガルゥ!』

それは見事に命中した

 

ライト「イカサマ!」

奴が攻撃を仕掛けると同時に、俺は《ヘルガーランス》を奴に噛まさせた

《ヘルガーランス》は相手の力を測ると、俺に力が溢れた

 

ライト「…はっ!」

俺は奴を引き剥がし、切りつけた

 

『ガッ!』

ライト「よし!これで決まりだ!」

俺はキーストーンを2回押し込んだ

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

 

ヘルガー!

ケルベロス!スナール!

 

俺は空中に、俺の持っている《ヘルガーランス》以外に2本の《ヘルガーランス》を出現させた

1本は左手に、1本は右手に、もう1本は口に咥えた

すると《ヘルガーランス》は形を変形させ、牙の形になった

 

ライト「ケルベロススナール!はぁぁ!」

俺は両手に持っていた《ヘルガーランス》を交互に奴に投げつけた

それは奴に命中し、怯んでいた

俺はトドメに、自分自身が飛び出し、口に咥えた《ヘルガーランス》を奴に突き刺した

 

『ガァァァ!』

《ヘルガーランス》は奴を貫通し、奴は爆発しながら消えていった

すると、その場所からまたメガストーンが飛んできた

こいつもまた、メガシンカポケモンだったのか…

 

レン「どうやら、俺達の加勢は必要なかったようだな」

メグ「だね〜、でもすごいね、ライト君。どんどん強くなっていく」

レン「……そうだな」

 

変身を解除させた俺達は、叔父さん達の元に戻った

 

カズマ「これで6度目の進化か、すごいな!」

ライト「はは、まぁ、それほどでも〜」

満更でもない俺を、皆は笑っていた

ただ、1人を除いては

 

レン「……」

 

 

カズマ「それじゃあ、ひと段落した所で、夢喰い事件の捜査に入ろう!」

ライト「そうだな、一体どんな事件なんだ?」

カズマ「どうも、まるで人間が人形のように無気力化してしまう事件のようだ」

レン「無気力化?」

カズマ「前日までは元気だったのに、目が覚めると突然何かがすっぽり無くなったかのようになるらしい」

メグ「夢を喰われただけで、人ってそうなるの?」

カズマ「まぁ、調べてみない限り分からない。じゃあまずは…」

と、叔父さんが目的地を調べていると…

 

ライト「……っ!!」

なにか後ろに視線を感じた、不気味な視線

俺は勢いよく振り返ったが、そこには誰もいなかった

 

メガミ「どうかしました?ライトさん」

ライト「いや、なんでもない…」

どうやら、気のせいらしい

 

カズマ「まずは、この場所に行ってみよう!」

叔父さんが定めた場所

小さな小道具屋で、木製の小道具が沢山あった

お土産に買っていきたいところだ

だが

 

店主「いらっしゃいませーー」

素っ気ない接客

奥のレジカウンターでは、中年くらいのおじさんが座っていた

どうやらあの人が店主のようだ

 

レン「あんたがここの店主か?」

店主「あーー」

ライト「ポケヤミーの被害にあったのは本当か?」

店主「あーー」

メグ「怪我はないの?」

店主「あ?あーー」

まるでゾンビのようにうめく店主

本当だ、まるで脳みそが空っぽにでもなったかのようだ

 

カズマ「この人はポケヤミーの被害にあってからずっとこの調子らしい。以前までは、店に対して情熱的だったらしいのだが…」

ライト「ん〜〜。あっ」

俺はあるひとつのことを思い付き、試すことにした

 

ライト「なぁ、おじさん」

店主「あーー」

ライト「あんたにはさ、夢ってある?」

店主「あーー、あ?あ、あぁ、あぁ」

反応が変わった。やっぱり

 

と、その時

 

ライト「…!」

俺の持つ虹色の羽が光り出した

よく見ると、店主さんの懐も、同じように光っている

俺は店主さんに人声掛け、光の元に手を伸ばした

 

そこにあったのは、俺と同じ、虹色の羽があった

 

カズマ「なんでこの人が、虹色の羽を?」

その理由、俺にはひとつ思い当たる節がある

 

共鳴する虹色の羽

 

俺は、次の目的地に向かうことを決心する

 

ライト「叔父さん、次の場所に行こう」

カズマ「え?でもまだ何も…」

ライト「いや、そんな時間はない。俺の推測が合っているなら、まだまだ犠牲者は増え続ける」

俺は1つの推測を思いついた

 

 

次の場所に着いた俺達

今度は和菓子屋さんだった

 

店員「いらっしゃいませー!」

今度はちゃんとした挨拶、だけど、今度の俺達の目的は定員さんじゃない

 

ライト「あの、店長さんっていますか?」

 

事情を説明し、俺達は店主さんのいる和室に案内してもらった

 

店員「ココ最近ずっとあんな感じなんです、つい1週間くらい前は、「新作を出すぞ〜!」って、張り切ってたんですけど、その提案書もビリビリに破かれたんです」

店員はそう言うと、仕事に戻っていた

店主さんは少し老いていて、白髪だった

座布団を枕にしてダラダラとしていた

 

店主「あーー」

ライト「こんにちは店主さん、俺、波山ライトって言います」

店主「あーー」

ライト「突然なんですけど…」

店主「あーー」

俺の推論道理に行けば、この店主もあの人と同じような反応をするはずだ

 

ライト「あなたには、夢がありますか?」

店主「あーーあ?ああ?あーーあ、あ、あーー」

やっぱり、この人もだ

 

すると、今度も俺の虹色の羽が光り出した

この店主さんの懐も

 

俺の推測は、確信へと変わった

 

カズマ「ライト、なんなんだ?そろそろ俺達にも教えてくれ」

ライト「ごめん、説明するよ」

俺は駄菓子屋を後にしたあと、皆に説明した

 

ライト「多分だけど、ポケヤミーの目的は、寝ている時に見る“夢”じゃなくて、人が持っている“夢”が目的なんじゃないかな?」

カズマ「人が持っている夢、それはつまり、ライトで言うと、ヒーロー、的な?」

ライト「そう、今までの被害者は皆、最初は情熱的だった。それはつまり、夢を持っていたからなんだ。でも、ポケヤミーに襲われて、夢を失い、途方に暮れている」

メグ「なるほどね〜」

レン「だからあの時、犠牲者は増え続ける、と言ったのか」

メガミ「流石です!ライトさん!」

ライト「うん、でも、次の被害を未然に防ぐことは難しいかも……!」

と、俺はまた不快な視線を感じた

だが、振り返ってもやはり誰もいなかった

 

カズマ「どうした?ライト」

ライト「え?いや、別に」

ここから少し不安に思った

誰かが、付けて来ている気がする

 

ライト「…あと、もうひとつヒントがあるなら、この虹色の羽」

俺は皆に虹色の羽を見せた

 

ライト「これを持っている人が狙われている可能性は高い」

レン「どういう事だ?」

ライト「よく分からないけど、1つの共通点として。鳳凰の目撃情報って、他にどこ?」

カズマ「…あぁ、えーと、ここだな」

叔父さんが示した場所、そこはまだポケヤミーの被害は無かったが、鳳凰の目撃情報を出したところでもあるらしい

 

ライト「じゃあ、次はそこに向かおう!」

 

 

エンジュシティから遠く離れた小さな町、ワカバタウン

ここにある研究所で、鳳凰の目撃情報があったらしい

 

名前はウツギ研究所

主に、生物学を研究しており、生物の誕生など、多方面において研究しているらしい

 

ウツギと言う人が営んでおり、助手が1人いるという

 

俺達は早速ウツギ研究所に行き、話を聞いてもらうことにした

 

ウツギ「いや〜、君達か!鳳凰について聞きたいと言うのは!」

ライト「はい、動物に詳しい貴方なら、何かわかるんじゃないかと思って…」

本当の目的はそうじゃない

確かにそれもそうなのだが、1番大事なのは

この人の護衛、そして、ポケヤミーの目的

 

客室に招待された俺達はソファーに座って話を聞いていた

 

ウツギ「ん〜、と言われてもな〜。私は鳳凰の存在は否定しているからな〜」

ライト「え?」

どういう事だ?目撃情報を出したのはここのはずだけど…

 

???「博士〜、この資料どうすればいいですか?」

と、俺の後ろ側から若い男の人の声がした

振り向くと、服装は赤いトレーナー、黄色地に黒のラインが入ったハーフパンツを履いた青年が山積みになった紙を持っていた

 

ウツギ「おぉヒビキ、丁度いい」

と、ウツギ博士はヒビキと呼ばれた青年をソファーに座らせた

 

ウツギ「こいつは私の元で助手をやっているヒビキというやつだ」

ヒビキ「ヒビキです、よろしく…」

少々照れながら、ヒビキさんは挨拶をした

 

ライト「俺の名前はライトです、あとは…」

カズマ「カズマです」

レン「レンだ」

メグ「メグでーす!」

メガミ「メガミと申します」

一通り挨拶をし終わった時、俺の虹色の羽が再び光り出した

一体どうしたのだろうかと、胸ポケットから出した時

 

ヒビキ「あ!それ!」

と、ヒビキさんが叫んだ

 

ライト「どうしたんですか?」

ウツギ「あぁすまないね、こいつは今世界中の鳥について研究してるのだが、虹色の羽を探し求めていたらしくてな」

ヒビキ「あぁ!その通りだよ!」

ライト「どうしてこの羽を?」

ウツギ「それはなんせ、こいつが鳳凰を目撃したからな」

ライト「え!?」

驚く一同

ただ、ヒビキさんはひたすらに俺の虹色の羽を見続けた

 

 

ヒビキ「僕も、最初は信じてなかったよ。でも、僕は実際に、この目で見たんだ」

ヒビキさんは俺の虹色の羽を見ながら話した

 

ヒビキ「あれは、丁度1週間位前の話だ──」

 

 

ヒビキ「博士〜、これ知ってます〜?」

ウツギ「ん〜?」

僕が博士に見せたのは、とある新聞の1ページだった

 

ウツギ「スズの塔の頂上に大鳥の影、鳳凰か?だって?」

ヒビキ「なんだかココ最近、そういう情報が出回っているらしいんですよ。どう思います?」

ウツギ「ん〜、迷信だが、調べてみる価値はありそうだな。お前の研究にも、いい成果があげられるんじゃないのか?」

ヒビキ「そうですよね!僕もそう思っていたんです。でも、さすがに鳳凰なんていませんよね、想像上の生き物だし…」

ウツギ「そうだな、生物学上、鳳凰の存在は認められん。4メートル弱ある体長に、不死の体を持っているなんて…」

ヒビキ「まぁ、とりあえず色々調べてみます。何かの間違いの可能性もありますし」

ウツギ「そうだな、頼んだよ」

ヒビキ「はい!」

僕は鳳凰について色々調べるために、街に出た

久々に見たスズの塔は、とても輝いていた

 

ヒビキ「コトネ!」

コトネ「ヒビキ!」

僕は幼馴染であるコトネの所に向かっていた

コトネと僕は元はエンジュシティ出身であり、家も隣同士であった

今日の服装はリボンの付いたキャスケット、赤いトップスにオーバーオール。髪形は茶髪のおさげ髪

とても20代半ばの女性の服装とは思えない

そんなコトネは一昨年結婚して、今は夫婦で暮らしている

 

コトネ「なるほどね〜。つまり、鳳凰についてどう思うか聞きたいってことね?」

ヒビキ「そう、どう思う?鳳凰って本当にいると思う?」

コトネ「ん〜、正直わかんないけど、彼に聞けば何かわかるかも」

ヒビキ「え?彼って、まさか…」

しばらくしてその彼が俺の目の前に現れた

 

シルバー「何の用だ、ヒビキ」

ヒビキ「やっぱりお前か、シルバー」

彼の名はシルバー、僕の幼馴染且つライバル

実は僕とコトネとシルバーの家は隣同士

よく3人で遊んだっけ

こいつとの関係は高校で終わると思っていたが、なんとコトネと結婚する事となった時は、切っても切れない縁になったと思った

シルバーは少し長めの赤毛が特徴だ

いつも黒い服を着ている

 

シルバー「で?鳳凰がどうしたって?」

ヒビキ「あぁ、ココ最近エンジュシティでは鳳凰の目撃情報が出てるって新聞で見て…。シルバー、何か知ってるのか?」

シルバー「んー、俺自身は知らないが、こんな噂を聞いたことがある」

ヒビキ「なんだ?なんでもいいから言ってくれ」

シルバー「鳳凰が頭上を通り過ぎた後、鳳凰は虹色の羽を落とすっていう噂だ」

ヒビキ「虹色の、羽?」

シルバー「厳密に言うと、鳳凰の羽だな」

ヒビキ「んー、なるほど…」

 

コトネ「話がひと段落したんなら、ご飯にしよう!」

シルバー「あぁ、そうだな」

コトネ「ってことでヒビキ!買い物宜しく〜」

ヒビキ「え?あ、あぁ」

僕はコトネからエコバックを受け取り、近くのスーパーに寄って行った

 

その帰りだった

 

ヒビキ「んー、鳳凰に虹色の羽、か〜」

僕は不意に空を見た

夕焼けが綺麗で、雲もオレンジ色になっていた

スズの塔が、夕焼けの逆光で、黒くなっている

その時だった

 

後ろから鈴の音が響いたんだ

 

僕は思わず後ろを振り返った

すると、黄金色に輝いた大きな鳥が、夕日に向かって飛んでいた

僕は見とれていた

その鳥の正体はすぐにわかった

 

世界中の鳥の研究をしている僕も初めて見る鳥

 

その鳥は夕日、ではなく、スズの塔に向かって飛んで行った

 

 

ライト「俺の時とほとんど同じだ…」

ヒビキ「僕には確証があった、あれは鳳凰だ、絶対に!」

レン「でもなぜ、そこまでして虹色の羽に興味がある?」

ヒビキ「簡単だよ」

ヒビキさんは立ち上がり、窓から夕日を眺めた

 

ヒビキ「僕は、虹色の羽を貰えなかったんだ」

 

そんな中、ウツギ研究所の外の木の影

ある者が、赤い目を開いて様子を伺っていた

 

『……ズズズ…』

 

To be continued




次回予告

夢喰い事件の犯人が姿を現し、奮闘するライト達!
しかし、ライトに異変が……
メガミ、決断の時!

第十八話「メガミの告白、夢を失った者」


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第十八話「メガミの告白、夢を失った者」

前回のあらすじ

ヘルガーフォルムへと進化したライト
そして、虹色の羽の謎を解くべく目撃情報のある場所を転々とする
ウツギ研究所ではヒビキという青年が鳳凰を見たという
しかし
ヒビキ「僕は、虹色の羽を貰えなかったんだ」
そんな中、ライト達を伺う者が…


ヒビキ「僕は、虹色の羽を貰えなかったんだ」

夕日に黄昏ながら、ヒビキさんは言った

 

ライト「…え?」

カズマ「鳳凰を見たのに、虹色の羽は貰えなかったのか?」

ヒビキ「そうだよ、鳳凰は僕に姿を現しただけで、それ以外には何も起こらなかった」

ヒビキさんは少し寂しそうだった

 

レン「お前の見た妄想ではなくてか?」

ライト「なっ!レン!」

ヒビキ「いいんだよ、そう言われても仕方ない。誰に言ったって、信じてはくれないんだ」

外はすっかり暮れて夕日が眩しかった

 

ヒビキ「まぁ、そんな事より。君達、ご飯食べていかない?」

ウツギ「あぁそうだな、寝泊まりもここでするといい」

ライト「あぁ、ありがとうございます…」

メガミ「……」

 

ご飯はテーブルを7人で囲んで食べた

ヒビキさんの作る料理はどれも美味しかった

レンも、ヒビキさんの腕は認めたようだ

 

その夜

 

ウツギさんに広いスペースを用意してもらい、俺達は5人はそこで眠っていた

 

俺はその時、夢を見ていた

 

 

何も無い空間

真っ白な空間

俺はそこを歩いていた

 

何処だここは?

 

宛もなく歩く俺、でも不思議だった

足はそのまま止まらなかった

歩き続けていた

どこに向かうでもなく

ひたすらに

 

俺は、今何処に向かっているのだろう

今、何処にいるのだろう

どのくらい歩いただろうか

どのくらい進んだのだろうか

 

分からない

分からない

分からない分からない分からない

 

ここは現実か?

夢なのか?

 

……

 

俺の夢って

 

なんだっけ?

 

 

メガミ「ん、ん〜」

なかなか寝付けない

疲れているはずなのに

 

メガミ「はぁ〜」

私は寝袋から出て、キッチンに向かった

 

不意に、ポケットに入っていたメガストーンを見つめる

 

これは私が未来からもってきた物

母から受け継いだ私の宝物

でも、ウルトラホールを超えた時

このメガストーンは輝きを失い、今のような姿になってしまった

 

カズマさん曰く

このメガストーンも、この世界に入り込んだ事で、状態が変化してしまったらしい

戻る保証は出来ないらしい

 

メガミ「…教えて、私は、どうしたらいいの?」

私はよく、このメガストーンに話しかけていた

そうすれば、戻ってくれる気がしたから

 

私は今悩んでいる

皆が戦っている中、見ていることしか出来ない自分が嫌になる

私はいつも、守られる側にいる

 

やっぱり私は、皆に迷惑をかけていてばかり

無能

 

メガミ「はぁ〜」

メガストーンは答えてくれるはずもなく

私はポケットにメガストーンをしまった

 

先程のスペースに戻ろうとした時

その部屋から物音がした

 

私は入口の縁に隠れ様子を伺った

よく見ると、ライトさんの傍に動物が立っていた

まるで豚のような象のような

でも見た覚えがある、この間図鑑で見た

バクという動物だったような…

でも、体毛は黄色で、首に装飾をまとっている

何故か手には五円玉をぶら下げた紐を持っていた

1番不思議だったのはそのバクは二足歩行だった

図鑑で見たものとは、一遍変わっていた

そう思っていた

 

『へへへ、呑気に寝ていやがる。この『スリーパー』様の催眠効果は絶大だなぁ』

 

私は気づいた

あれはポケヤミーだと

 

『さぁて、仮面ライダーの夢。いっただっきまーす!』

すると『スリーパー•ヤミー』はライトさんの額に手を当てた

すると、ライトさんのおデコから煙が溢れ出し

そこに人の影が映る

全身タイツのマントを羽織った筋肉質な男

ライトさんとは似つかない感じだったが

あれが俗に言う、ヒーロー、なのだろう

 

『うほぉー!デカくて美味そうな夢だぁ!』

『スリーパー•ヤミー』はライトさんの夢を掴むと、綿菓子のようにハムハムと食べていった

 

助けないと

このままじゃライトさんが危ない

動け

動け!私の足!

……

 

なんで…

動かないの?

 

私、怖いの…?

ライトさんが、危ないんだよ?

どうして…

 

ふと、八つ橋を食べた時のライトさんの顔が思い浮かんだ

澄み切った表情

なんの雑念もない

あの笑顔

 

私は…

あの笑顔が…

 

気づけば、私は飛び出していた

 

メガミ「ちょっとあなた!止めなさい!」

『ん?なんだ貴様、俺様の食事の邪魔をするな!』

『スリーパー•ヤミー』が手に持った振り子を降ると、辺りにあった花瓶が宙に浮き、飛んできた

 

メガミ「…っ!」

私が目を閉じた瞬間目の前でバリーン!と花瓶が割れた音がした

でも私自身は傷付いてはいなかった

 

恐る恐る目を開けると、そこには拳を前に突き出したライトさんが立っていた

 

『くっ!おのれ!』

ライト「大丈夫か?メガミ!」

下には割れた花瓶が散乱している

 

メガミ「ライトさん!大丈夫なのですか!?」

ライト「え?何がだ?」

ライトさんにシラを切り、『スリーパー•ヤミー』と対峙する

 

ライト「お前か!今日俺をずっと付けてきたのは!」

『…へへへ、その通り。お前の夢は実に美味かった』

私はその言葉に違和感を感じた

 

ライト「そうかよ!だったらこれ以上のサービスは出来ないな!変身!」

ライトさんはメガリングのキーストーンを押し込んだ

 

ライト「……あれ?」

でもライトさんは変身してはいなかった

 

ライト「…なんで、変身出来ないんだ?」

『へへへ、これ以上お前に用はない!次はあの兄妹の番だ!』

と、言い残し、『スリーパー•ヤミー』は窓から去っていった

 

ライト「なっ!待て!」

ライトさんが悔しがっている最中

私はとある結論に至った

 

メガミ「……まさか…」

ライトさんの夢が、喰われた…?

 

 

カズマ「そうか、昨日の夜そんな事が…」

レン「不甲斐ない、奴の攻撃でぐっすりだった」

メグ「私もぉ…」

昨日の事を皆に話した私

 

『スリーパー•ヤミー』が、ライトさんの夢を喰べていた事

ライトさんが、変身出来なくなっていたこと

そして…

 

ライト「……」

ライトさんが抜け殻のようになってしまった事

さっきから椅子に座り、下を向いている

 

カズマ「まさか、ライトがポケヤミーの餌食になるとは…」

レン「いいや、考えてみれば、こいつの夢ほど大きいものは無い。奴にとっては、絶好のご馳走だ。そんなものをみすみす逃すはずがない」

メグ「ライト君、大丈夫かなぁ?」

メガミ「……」

私はしばらくおいて、話した

 

メガミ「…私の、せいです…」

レン「……」

メガミ「私があの時、咄嗟に飛び出していれば、ライトさんに危害がなかったかもしれないのに…」

レン「いいや、お前がすぐに飛び出していたら、お前に危害が及んでいた。どちらにせよ同じだ」

メガミ「でしたら、私がやられる方が良かったです!ライトさんよりも!この私が犠牲になれば!すぐに奴を倒せていたんです!」

レン「……」

メガミ「…私は、また皆さんに迷惑を掛けてしまいました。申し訳ございませんでした」

私は皆に深々とお辞儀をし、その場を去った

 

 

ヒビキ「……」

カズマ「ヒビキ君…」

ヒビキ「彼女、大丈夫ですか?」

カズマ「…分からん、でも、あの子もあの子で強い。ちょっと話してくる」

ヒビキ「…はい」

ヒビキ君の横を通り過ぎ、メガミを追いかける

ライトが戦闘不能の今、ようやく()()を渡すべき時が来たようだ

 

 

ライト「……メガミ…」

レン「ん?起きたか?」

ライト「…ん?ここは?」

メグ「ウツギ研究所だよ?ライト君、昨日ポケヤミーに襲われて、大変だったんだよ?」

ライト「え?あぁ、そうか…」

するとライトは椅子から立ち上がり、メガドライバーとメガリングを机の上に置いた

 

ライト「じゃあ俺、仮面ライダー辞めるわ」

レン「なっ!貴様!」

俺は思わずライトの胸ぐらを掴んだ

 

レン「…貴様!正気か!」

ライト「あぁ、俺は正気だよ、だから離してくれ」

レン「お前の夢とやらは!そんな程度のものだったのか!」

ライト「俺の夢?なんの事だよ」

レン「……お前…」

ライト「今は外の空気を吸いたい。離してくれ」

レン「……」

俺はライトの胸ぐらを静かに離し、ライトがその場を立ち去るのを見届けた

 

メグ「お兄ちゃん、今のって…」

レン「……あぁ」

あいつは、自分の夢自体を忘れてしまっている

あいつのことだから、何事もなく戦えるであろうと思っていたが

ポケヤミーの力がいかに強いかがこれで証明された

 

レン「…行くぞ、メグ」

メグ「…うん」

俺はレジェンドライバーを片手に、ウツギ研究所を出た

 

 

ヒビキ「……」

僕は、どうしたらいいんだろう

 

 

今日の風は気持ちいい

澄み切った空に

1面緑の地面

小鳥の囀りがよく聴こえる

 

ライト「なんか、もうどうでもいいやぁ」

 

この時の俺は、不思議なくらいに正気だった

にも関わらず、こんな事を口滑らせた

 

仮面ライダー

ポケヤミー

世界の平和

全部

どうでもいい

 

今日の風は気持ちいい

 

 

カズマ「メガミ!待ってくれ!」

メガミ「カズマさん…」

カズマ「話がある」

メガミ「はい…、なんですか?」

メガミを呼び止めた僕は、前にサトシが使っていたプロトメガドライバーを取り出した

 

メガミ「これは…」

カズマ「メガミ、君も戦ってくれ」

メガミ「え?」

カズマ「メガストーンを所持している君なら、仮面ライダーになれるはずだ」

メガミ「そんな…、急に言われても…」

カズマ「分かってる、でも、今ライトが戦えない以上、頼れるのは君しかいないんだ」

メガミ「え?ですが、レンさんやメグさんも…」

カズマ「確かにそうだが、あいつらだけでは奴は倒せない」

メガミ「…何故ですか?」

カズマ「理由が無いからだ」

メガミ「え?」

カズマ「レン達には、ライトを助ける理由がない。確かに、被害を抑える為に戦ってくれるが、それだけの感情では、奴は倒せない」

メガミ「どうして、そんな事がわかるのですか?」

カズマ「一時から、急にポケヤミーの力が倍増した。きっとヒガナが力を取り戻している証拠だ。このままでは、僕達はポケヤミーには勝てない」

メガミ「そんな…」

カズマ「だから…」

僕は再度、プロトメガドライバーをメガミに押し付けた

 

カズマ「戦ってくれ。お前がライトを助けたい理由を見つけろ」

僕はそれだけ言って、その場を去った

 

 

メガミ「……」

私が、ライトさんを助けたい理由…

 

 

レン「ここにいたのか!ポケヤミー」

メグ「観念しなさい!」

『へへへ、待っていたぞぉ!仮面ライダーの兄妹!』

 

レン「変身」

メグ「変身!」

俺は仮面ライダーレジェンへ、メグは仮面ライダービジオンへと変身した

 

『お前らの夢を喰らってやる!』

レン「やれるものならやってみろ!」

メグ「ふっ!」

2対1の圧倒的有利の戦い

だが、俺達は何故か押されていた

 

メグ「くっ!」

レン「くそっ!奴の催眠で動きが鈍る!」

『へへへ、そのまま眠れ!』

レン「くっ!ならば!」

眠くなるのを必死に耐え、俺はミュウツーストーンをとあるストーンと入れ替えた

 

ドロップ!

リード!レジェンド!ヘンシーン!

 

レン「フォルムチェンジ!」

 

クレセリア!

クレセリ クレセリ クレセリア!

 

俺はミュウツーフォルムから姿を変え

全面は黄色に、背面は空色に変化し

頭部は三日月のような形に変形

腕から腰にかけてピンク色の帯が生える

背中から羽衣様な物も生えた

 

レン「三日月の戦士!仮面ライダーレジェン、クレセリアフォルム」

『へへへ、それがどうした!』

奴が催眠術をかける

 

レン「つきのひかり」

だが、俺には聞かない

かけられた催眠をすぐに解除した

 

『なっ!なにぃ!』

レン「オーロラビーム!」

俺は手を前にかざし、エネルギー砲を放った

 

『くっ!』

よし、このまま押し切れる

 

レン「メグ!行くぞ!」

メグ「うん!」

 

リード!

レジェンド!ヒッサーツッ!

 

クレセリア!

クレセントムーンフォース!

 

メグ「ムーンフォース!」

 

俺は三日月の形を想像し、それを具現化

メグの攻撃と違う所は、大きさだ

明らかにこっちの方が大きい

 

レン「クレセントムーンフォース!」

メグ「はっ!」

同時に攻撃した俺達

手応えはあった

だが…

 

『ぐぬぬぅ』

レン「何!」

メグ「今ので倒れないの!?」

『俺様は、ただのポケヤミーでは無い!見くびるな!』

すると、遠くの方で声がした

 

ヒビキ「おぉーい!レン君!メグ君!」

レン「なっ!あいつ!何しにここに来た!」

『ん〜?はっ!』

すると『スリーパー•ヤミー』は突然ヒビキへと身体の方向を変え、飛び付いた

 

ヒビキ「なっ!なんだお前!」

『お前の夢、凄まじい!吟味させて貰う!』

すると『スリーパー•ヤミー』はヒビキの額に手を当てた

すると、ヒビキのおデコから煙が溢れ出し出来た

 

『へへへ、いいぞ!もっとだ!』

ヒビキ「あぁ、あぁ!」

煙はどんどん大きくなる

 

『へへへへへへ……!?』

煙はまだまだ大きくなっていき、ざっと直径10メートルくらいの大きさになった

 

『こんな大きな夢、喰いきれん!』

『スリーパー•ヤミー』はヒビキから手を離し、少し慌てていた

煙はヒビキの元へと戻っていた

 

ヒビキ「はっ!はぁ、はぁ」

 

レン「今だ!はっ!」

俺が奴に攻撃をしたけると、奴はそれを避け、逃げ去ってしまった

 

レン「…ふぅ」

変身解除した俺は、ヒビキの胸ぐらを掴んだ

 

レン「おい!なんであんな無茶をした!」

ヒビキ「…いや、僕にも何か出来ることはないかなって…」

レン「…くっ!死ぬ気か!」

俺は手を乱暴に離した

 

ヒビキ「さっき彼女の所にも行ったんだ、色々話してきた」

レン「…メガミの事か」

ヒビキ「うん。彼女、悩んでた」

メグ「え?何に?」

ヒビキ「それは…」

ヒビキは口を塞いだ

でも、この続きはわかる

あいつが悩んでいるもの

メグが1番最初に気づいたやつだ

 

レン「……」

俺は黙って足を進めた

 

 

レン「こんな所で何やってる」

メガミ「レンさん…」

レン「ポケヤミーが出て大変だったんだ。ったく、あのバカは何やってるのやら」

メガミ「……先程、ヒビキさんが来てくれました」

レン「あぁ、知ってる」

メガミ「…私は、どうしたらいいのでしょうか?」

レン「…親父から言われたらしいな、仮面ライダーになれと」

メガミ「…はい」

レン「余計な事を、あのクソ親父」

メガミ「問題はそこじゃないんです!私なんです!」

レン「……」

俺は気になった

ヒビキとどんな話をしたのか

 

レン「あいつとは、どんな話をしたんだ?」

メガミ「……幼馴染さんの事です──」

 

 

ヒビキ「僕にはね、好きな人がいるんだ」

メガミ「…え?」

ヒビキ「幼馴染なんだけど、家が近くで、男の子っぽいし、子供っぽいけど、そんな無邪気さに、僕は惹かれたんだ」

メガミ「……」

ヒビキ「…でも、その子はもう1人の幼馴染の事が好きで、相手もそうだった。2人は両思いになっちゃったんだ。だから告白する勇気も、タイミングも、権利も失っちゃってさ、結局その2人は結婚して、そのままなんだ」

メガミ「そんな事が…」

ヒビキ「後悔したよ、あの時ああしとけば、こうしとけば、って。でもね、そんなんじゃ決して前には進めないんだ」

メガミ「え?」

ヒビキ「人は後悔する生き物だって博士が言ってた。でも、その分反省する生き物だ、とも言ってた。だから僕は、その経験を活かして、次こそは彼女を作るんだ!って思ってね」

メガミ「……」

ヒビキ「そして気付いた、それこそが、本当の「進化」だって」

メガミ「進化?」

ヒビキ「そう、人は前に進み続ける。それこそが、本当の意味での、「進化」って事なんだよ──」

 

 

メガミ「私、そんな話をされても、動けなくて…」

レン「……」

メガミ「本当に、自分が嫌になります…」

メガミはその場に蹲った

 

レン「……俺は恋だとか、愛だとか、そんなものは分からないが、とりあえず分かることがある」

メガミ「…なんですか?」

レン「…あいつの事が好きなんだろ?」

メガミ「!?」

メガミは立ち上がりこちらを振り向いた

 

本当は、こんな事言いたくなかった

嘘であって欲しいと思った

でもメガミは…

 

メガミ「……はい」

 

本当にあいつの事が好きなんだな

見れば分かる

 

メガミ「私は、ライトさんが好きです」

この目は、本物だ

 

レン「だったら、どうするんだ?」

メガミ「私は……」

レン「……」

メガミ「ライトさんの為に戦います!それが、私がライトさんを救いたい理由だから!」

レン「…そうか」

するとメガミのポケットが光り出した

 

メガミ「これは……」

それがメガミの目の前まで浮かんでくると、封印が解け

その姿を露にした

ピンク色をベースに、濃いピンクと白の模様

 

メガミ「私を、認めてくれるのね」

メガミはそのメガストーンを抱きしめ、俺を見た

 

メガミ「レンさん!ありがとうございます!」

深々とお辞儀をしたその姿は、先程とは違く、凛々しく見えた

 

レン「…あぁ、行ってこい」

メガミ「はい!」

メガミはメガストーンとプロトメガドライバーを持ってその場を去った

 

レン「……」

メグ「……お兄ちゃん…」

レン「…見てたのか、メグ」

メグ「お兄ちゃんは、良いの?」

レン「何がだ?」

メグ「だって、お兄ちゃんだってメガミちゃんの事…」

レン「…なんの事だかさっぱりだな。さぁ、俺達も向かうぞ」

メグ「…うん」

不満そうに返事をするメグ

しかし、俺も不満げだった

 

まるで

心にぽっかり穴が空いたみたいだ

 

 

『ん?今度はなんだ?』

メガミ「ポケヤミー!あなたを倒します!」

『倒す?無理だろ!あの二人でさえ無理だったのだぞ!』

メガミ「いいえ!倒します!ライトさんを救う為に!」

私はプロトメガドライバーを腰に装着した

 

メガドライバー

 

『お前には無理だ!無駄無駄!』

メガミ「私なら出来ます!」

そして、ライトさんが置いていったメガリングを左腕に装着した

 

メガ!リング!

 

メガミ「私は、私を信じます!」

 

私はメガストーンをメガドライバーの中心にセットした

 

セット!

メガシンカ!ヘンシーン!

メガシンカメガシンカ!メガシンカメガシンカ!

 

待機音が流れ、私は両手の指を組ませ、祈りのポーズをとった

 

メガミ「…変身!」

私は目を見開き、手を解き、右手でメガリングのキーストーンを押し込んだ

 

タブンネ!

タブンネ!タブンネ!タ・タ・タブンネ!

 

私の周りに球体が現れ、私の身体が次第に変化していった

白を基調とした神聖な姿に変化した

所々ピンク色が混じり、少し大きい耳が特徴的だった

 

メガミ「癒しの戦士!仮面ライダー!エンゼル!」

 

私は、仮面ライダーエンゼルへと進化した

 

メガミ「私が皆を癒してみせる!」

 

To be continued




次回予告

仮面ライダーエンゼルへと進化したメガミ
レンとメグと合流し、3人でポケヤミーに立ち向かう!
「私が皆を癒してみせる!」

そして、突如現れるゾンビ集団!
一体どうなる!?

第十九話「癒しの戦士 仮面ライダーエンゼル!降臨!」


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第十九話「癒しの戦士 仮面ライダーエンゼル!降臨!」

前回のあらすじ

ライトの夢を喰う『スリーパー•ヤミー』
その影響で、ライトが仮面ライダーを辞めてしまった!
その後、ヒビキとレンの言葉に感化されたメガミは仮面ライダーエンゼルへと進化!
「私が皆を癒してみせる!」


メガミ「私が皆を癒してみせる!」

『ぐぬぬぅ』

メガミ「はっ!おうふくビンタ!」

私は『スリーパー•ヤミー』が攻撃を仕掛ける直前に飛び付いた

 

『ぐふっ!』

メガミ「はぁぁあ!」

『くっ、おのれ!』

メガミ「キャッ!」

私は『スリーパー•ヤミー』の攻撃でなぎ倒されてしまった

 

メガミ「っ!チャームボイス!」

私は口を大きくあけ、鼻歌を歌った

不思議な超音波が『スリーパー•ヤミー』に当たると、『スリーパー•ヤミー』は動きを鈍らせた

 

『ぐぬぬぅ!何だこれは!』

メガミ「…いやしのはどう!」

私は、傷付いた私の体を自分で癒した

傷はみるみる回復し、共に戻った

 

『…ふっ、なかなか弁の立つ小娘だな。そのお前の夢、喰ってやる』

メガミ「……」

『…ひゃぁ!』

『スリーパー•ヤミー』が飛びかかってきた時、私は手の内にエネルギーを溜めた

 

メガミ「…とっておき!」

飛びかかってきた『スリーパー•ヤミー』に対し、私は星型のエネルギー弾を放った

 

『ぐおぅ!』

 

メガミ「私は!ライトさんを救います!あの笑顔を!私は救いたい!」

私は『スリーパー•ヤミー』を睨みつけた

 

メガミ「あなたは!私が許しません!」

俺と同時に、キーストーンを押し込んだ

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

 

タブンネ!

ヒーリング!ハート!

 

私が手でハートを作ると、その形に具現化された

それを宙に放つと、巨大化し、ポケヤミーの真上まで移動した

 

メガミ「ヒーリングハート!はぁぁ!」

私が腕を下にやると

真っ赤なハートがポケヤミーを押し潰した

 

『ぐ、ぐぬぬ!』

『スリーパー•ヤミー』は全身から火花を飛び散らしながら言った

 

『まだだ、これでは終わらんぞ!仮面ライダー!』

メガミ「…?」

『俺が死んでも!俺には奥の手がある!『そいつ』が必ず…!』

メガミ「…一体、何を?」

『……ぎゃぁぁ!』

爆発したポケヤミーからは大量の煙が溢れ出し、飛んで行った

 

良かった、これできっと皆、元に戻る…

 

そう思っていた私は、空を見上げた

 

だけど、不思議に思った

 

大量の煙は宙に浮いたままだった

もくもくと、凝縮されながら

 

メガミ「あれは…?」

メグ「メガミちゃん!」

既に仮面ライダーとなったメグさんとレンさんが私の元にやって来た

 

メグ「メガミちゃんも仮面ライダーになったんだ!すごい!」

レン「……」

メガミ「い、いえ…。ところで、あれなんですが…」

私は宙に浮く煙を指差す

 

レン「ん?ポケヤミーは倒したんだよな?」

メガミ「はい、その筈なのですが…」

メグ「そういえばあのポケヤミー、『俺はただのポケヤミーでは無い!』とか言ってたよね!」

レン「……まさか!」

するとその煙は眩い光を放ち、形成された

 

それはピンクと紫色のバクのようなポケヤミーで

目は閉じ、おデコからピンク色の煙が溢れ出していた

 

レン「あれは!?」

メグ「なになに!?」

メガミ「…新たな、ポケヤミー?」

レン「まさか、さっきのポケヤミーが喰った夢から、新たなポケヤミーを生み出したとでも言うのか!?」

メガミ「分かりませんが、とりあえず戦いましょう!」

とは言うものの、ポケヤミーは一向に攻撃してこない

 

レン「ふんっ、先手必勝だ!サイコカッター!」

と、レンさんは飛び立ち、攻撃を仕掛けた

しかし、攻撃が当たったにもかかわらず、ポケヤミーはピクリともしなかった

でもその代わり…

 

メガミ「煙が、黒くなった…?」

煙が黒くなったその瞬間、ポケヤミーは目を覚ました

 

『ん〜〜、誰?私を起こすのは…』

ポケヤミーはあくびをしながら言った

 

『『ムシャーナ』の睡眠を邪魔しないでちょうだい〜』

『ムシャーナ・ヤミー』は私達の存在を確認すると、眉間に皺を寄せた

 

『あ〜、仮面ライダーね〜!よくも私の夢の邪魔を〜』

すると、おデコの黒煙が増幅した

 

『これは罰よ、報いを受けなさい!』

そう言うと、『ムシャーナ•ヤミー』は黒煙で私達を包んだ

 

レン「むっ、なんだ!」

メグ「何も見えない〜!」

メガミ「…ゴホッゴホッ!」

むせる私

すると、黒煙が晴れた

それと同時、辺りの情景が変わった

まるで荒野の大地

緑がない森

青くない空

 

そう、それはまるで

500年後の未来の景色と変わらなかった

私のいた時代

 

メガミ「はっ…」

そこには子供がいた

まだ小さな子供

でも凄く痩せ細っていた

今にも息絶えそうな程に…

 

メガミ「……やだ」

思い出したくない

あんな

ただの悪夢だ…

 

 

『ふふふ、私の悪夢で苦しみなさい!仮面ライダー!』

 

レン「……」

メグ「……」

ふふふ

上手くかかったみたいね

私の見せる悪夢で苦しみなさい!

 

 

メガミ「…あっ、あぁ」

子供はその場に倒れ、動かなくなってしまった

 

もうやめて!

もうこんな事!

私は!

誰も傷付いて欲しくないの!

 

私はその子供から目が離せなくなっていた

目に涙が浮かぶ

 

すると、また黒煙が現れ、私を包んだ

 

メガミ「あっ!」

今度は現代だとすぐにわかった

ただそこには

血だらけで倒れているレンさんやメグさんやカズマさん

 

そして…

 

ライト「がはっ!」

メガミ「ライトさん!」

ポケヤミーに殴られ、血だらけになって転がってきたライトさん

 

ライト「…メガミ、逃げろ…」

メガミ「嫌です!私も戦います!」

ライト「…駄目だ、逃げろ」

メガミ「でも……」

ライト「……」

メガミ「…ライトさん?」

ライト「……」

メガミ「……ライト、さん…?」

ライトさんの身体は既に冷たくなり始めていた

 

自然と涙が溢れる

私は…、戦える力がありながら、人を、皆を、死なせてしまった

 

……

 

そこで私は、ひとつの結論に至った

 

メガミ「…ライト…さん…」

立ち上がった私は、目の前にしたポケヤミーに向かって飛び出し、蹴りを入れた

 

『ぬっ!』

メガミ「……」

私は『ムシャーナ・ヤミー』に1発蹴りを入れていた

 

『なっ!何故動ける!私の悪夢を見て!』

メガミ「簡単です、あなたの見せる夢は、偽物とすぐにわかりました」

『何故だ!本物そっくりにした筈なのに!何故見破られた!』

メガミ「……ライトさん達が…」

私は私の結論を述べた

 

メガミ「ライトさん達が、簡単に死ぬはずありません!」

レン「はっ!」

すると、レンさんがポケヤミーにパンチを喰らわせた

 

レン「その通りだ、メグが反抗期になる筈ないだろ」

メグ「そうそう!お兄ちゃんがピーマン強制的に食べさせる筈ないじゃん!」

『くっ!おのれー!』

 

私達3人は横に並び立った

 

メガミ「一気に行きます!」

レン「あぁ」

メグ「うん!」

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

レジェンド!ヒッサーツッ!

 

タブンネ!

エンジェル!ウイングス!

 

ミュウツー!

ジーン!ディストラクション!

 

ディアンシー!

グラビティオペレーション!

 

メグさんは手を前に出し、ポケヤミーの周辺の重力を操作し、ポケヤミーの動きを鈍らせた

 

同時に私が両手を合わせると、背中から純白の翼が生えた

 

私達3人は同時に飛び上がり、同時にキックを放った

 

メガミ「エンジェルウイングス!」

レン「ジーンディストラクション!」

メグ「グラビティオペレーション!」

『ぬわぁぁぁぁ!』

3人の同時攻撃に、ポケヤミーは爆発し、撃沈した

 

変身を解除した私達

 

メガミ「はぁ、はぁ」

メグ「やったね!メガミちゃん!」

メガミ「…はい!」

レン「……」

メガミ「…レンさん、ありがとうございました」

レン「…なんの事だ?」

メガミ「…レンさんの一声がなければ、私は弱いままでした。でも、目が覚めました!私は戦います!誰も傷つかない世界を作る為に」

レン「……そうか」

レンさんはそういうなり、レンさんは私に背中を見せた

 

レン「それを言う相手は、俺じゃないんじゃないか?」

メガミ「…え?」

レン「……」

メガミ「……はい」

私は走り出し、()()()を探しに行った

 

 

メガミ「はぁ、はぁ、はぁ」

もういっぱい走った

沢山走った

 

でも、あの人を見つけるまで、私は走り続けた

 

もう汗だくだ

こんな姿、あの人には恥ずかしくて見せられない

でも、そんな事どうでもよくなるほど、あの人に無性に会いたかった

 

メガミ「はぁ、はぁ、はぁ」

私の長い髪が靡いている

少しだけ風が気持ちよく感じた瞬間だった

 

数十メートル先に、ライトさんが現れた

 

ライトさんも同じく汗だくで、息を切らしていた

 

メガミ「……っ!」

私はライトさんを見つけるなり、ライトさんに向かって走って行った

 

ライト「…っ!」

ライトさんも、同じように

 

メガミ「はぁ、はぁ」

ライト「…メガミ、俺…」

メガミ「何も言わないで下さい、あなたは何も悪くありません」

ライト「…でも、皆が戦っている間に、俺は1人で何を…」

メガミ「私は決めました、私も戦います」

ライト「…え?」

メガミ「今日初めて仮面ライダーになって、分かりました。私は戦うべきだと。戦わなくちゃいけないんだと」

ライト「……」

メガミ「誰も傷つかない世界を作る為に、私が皆を癒してみせます」

ライト「…何言ってんだ?メガミ」

メガミ「…え?」

ライト「メガミはもうとっくに、俺達と戦ってくれていただろ?いや、むしろ1人で戦ってくれていた。未来でも、この時代でも、力はなくても、メガミは戦ってくれてたよ」

メガミ「……ライトさん…」

ライト「メガミは強い!俺が保証する!だからこれからも一緒に…」

ライトさんは右手を差し出した

あの日のように

 

ライト「俺達と戦ってくれるか?」

メガミ「…はい!もちろんです!」

それに応える私

私の右手とライトさんの右手は、数秒間離れなかった

 

 

カズマ「そうか!メガミも遂に仮面ライダーになったか!」

メガミ「はい、仮面ライダーエンゼル、というらしいです」

ライト「…仮面ライダーエンゼルね〜。俺も見たかったな〜」

レン「お前は気楽でいいな、俺達は2体のポケヤミーに襲われて大変だったんだぞ?」

メグ「まぁまぁ、皆無事だっただけいいじゃん!」

カズマ「そうだな、情報によれば、エンジュシティのあの人たちも、正気を戻して、立派に働いているらしい」

ヒビキ「そうか〜、それは良かった〜」

ライト「ヒビキさん!」

ヒビキ「いや〜、僕もあの怪物に襲われそうになったからね〜。良かったよ〜」

ふと、ここで思いついたことがある

こいつがポケヤミーに襲われた際、ポケヤミーはこいつの持つ夢を『喰いきれん!』と言っていたが、一体どんな夢だったのか気になった

 

だが、関係ないだろう

俺がこいつの夢を知ろうが知るまいが俺の勝手だ

 

ライト「ところで、なんで叔父さんはメガミにもドライバーを渡したんだ?」

カズマ「ん〜〜、結論から言うと、僕の勘だ。メガミにもきっと仮面ライダーの素質があると思ってな」

相変わらず能天気な発想だ

 

メグ「でも確かプロトメガドライバーって、メガドライバーよりも性能は劣っているんだよね?でも、感覚だと、ライト君とそんなに差は感じなかったけどな〜」

カズマ「それは、プロトメガドライバーの性能をメガミの能力がカバーしているからだと思う。生身の状態でメガストーンの能力を一部使えるメガミの能力と、プロトメガドライバーの性能が合わさることで、仮面ライダーとして進化出来たんだと思う」

ライト「これも叔父さんの計算どうり?」

カズマ「その言い方は癪に障るが、今回はたまたまだな、メガミ、タブンネナイト、そしてプロトメガドライバーが、それぞれマッチしたことにより起こった一種の奇跡みたいなもんだ」

ライト「ふーん」

理解しているのかしていないのかわからん返事

 

ライト「ところでさ、メガリングってどうするの?このままだと、片方しか変身出来ないよ?」

カズマ「そこは心配ご無用!ほら!」

と、親父はライトにもう1つのメガリングを渡した

 

ライト「え!?いつの間に!」

カズマ「キーストーンは少々珍しい石ではあるが、量産出来なくもない。元々キーストーンはポケモンの遺伝子に関係する石だ、昔、発掘調査でも何個か見つけている」

ライト「流石叔父さん!」

メグ「これで4人で変身出来るね!」

メガミ「はい!」

嬉しそうに返事をするメガミ

 

俺は、この空気が嫌いだ

なぜだか、俺の居場所が無くなったと思ってしまう

 

俺はここ最近、心から笑う事が少なく、と言うより

ほとんどない

 

いつからこんな風になってしまったのだろうか

 

俺は、壁に寄りかかりながら、目を閉じた

 

 

ヒガナ「どうしてこう上手くいかないんだ!」

『ライボルト・ヤミー』、『スリーパー•ヤミー』、『ムシャーナ•ヤミー』と、これまで幾度となく倒されるポケヤミーを思い、ヒガナは焦りを感じていた

 

ヒガナ「明らかに僕のポケヤミーは強くなっているはずだ!なのにどうして!あいつらは何の気なしに倒すんだ!」

かなり苛立つヒガナ

 

しかし、ヒガナには次の策があった

 

今度は自信がある

僕の期待を裏切らなければ

 

ヒガナ「君は、ちゃんとやってくれるんだよね?」

『……はい、既に仕込みは万全です…』

ヒガナ「頼んだよ、『パラセクト』」

『……はい、仰せの、ままに…』

ヤドカリのような体に、巨大なキノコが生えたポケヤミー

彼のキノコの能力は絶大だ

 

『…必ずや、ご期待にお答えしますよ…』

そう言うと、『パラセクト・ヤミー』は闇に消えていった

 

ヒガナ「……はぁ」

一息つくヒガナ

さっきの暴走で体力を使ってしまった

 

仮面ライダー、僕の野望を叶えるためには、君たちは邪魔な存在だ

なんとしてでも殺す

 

ここでヒガナはある違和感に気付いた

 

後ろに人の気配がする

 

2人だな

 

ヒガナ「誰だい?君たち」

彼らに背を向ける僕

 

男「お前がヒガナだな」

女「話がある」

ヒガナ「僕は君たちに用はない、死にたくなければ帰れ」

アポロ「俺の名はアポロ、ロケット団の幹部だ」

アテナ「同じくアテナ、あなたにお願いがあるの」

僕の忠告を無視して自己紹介した彼ら

でも嫌いじゃない

自分のペースで話す人間は嫌いじゃない

僕は振り返り、彼らを見る

青の短髪の男、彼がアポロだろう

赤髪の女、彼女がカテナだろう

2人とも白い服に、『R』の文字が入っている

 

ヒガナ「ロケット団か、懐かしいね、まだ組織が残っていたなんて」

アポロ「ロケット団は不滅だ。だが、リーダーがいない今、指揮は下がりっぱなしだ」

ヒガナ「僕にロケット団のリーダーをやれと?」

アテナ「いや、そういう意味ではなく…」

なんだ、ちょっと興味あったのに…

 

アポロ「率直に言うと、サカキ様を復活させて欲しい」

あぁ、そういう事か

 

アポロ「サカキ様が遺したノートから、お前の存在を知った。自分を蘇らせた人間がいると、だから、もう一度サカキ様を蘇らせてくれ」

ヒガナ「無理だよ」

僕は即答した

 

アテナ「なっ!なぜだ!あなたはどんなものでも蘇らせることが出来るのではないのか!?」

ヒガナ「僕が蘇らせられるものには限りがある。生前に深い未練を持った者のみだ」

アポロ「では、サカキ様もきっと…」

ヒガナ「いいや、今の彼に未練は無い。安らかに眠った、とでも言うのかな?」

アテナ「なっ!……」

 

僕は彼らとの会話で改めて分かったことがある

 

僕は彼らが嫌いだ

 

ヒガナ「ところで君たちさ、どうやってここまで来れたの?」

僕がいるこの空間は、普通の人間は入れない筈だった

 

アポロ「サカキ様が遺したこのドライバーを使ってな」

アポロは僕がサカキに渡したマスタードライバーを取り出した

 

ヒガナ「そうか、ご苦労。それ回収するのすっかり忘れてたよ」

と、僕はアポロに近づき、彼の胸に手を置いた

 

ヒガナ「ちなみに、僕は最初から君たちの願いを聞く気はなかったよ」

アポロ「な、何故だ?」

ヒガナ「君達が持っているのは()()ではなく()()だ、そんなものの為に僕は動かない」

アポロ「……」

ヒガナ「あと僕、無断で人のテリトリーに入る奴が、一番嫌いなんだ」

僕が手に力を込めると、アポロは声を発する暇もなく、人間の形から砂のようになった

崩れるアポロ、それを見てアテナは逃げ出した

 

でも、僕から逃げる事は出来ない、この場所じゃあ尚更

 

僕が逃げるアテナの背中に静かに手を置くと、アテナも砂のようになり、崩れ去った

 

ヒガナ「…ふぅ」

僕はマスタードライバーを拾い上げ、こべりついた砂を払った

 

『ギャアァーース!』

闇の空間の奥では、相変わらずルギアが叫んでいた

 

もう少し待ってね、あと少しで……

 

ふふ、楽しくなってきた

 

 

事件が起こったのは次の朝だった

ヨシノシティにて、大量のゾンビが現れたとニュースで流れていた

 

そのゾンビと思われる人間達の全身からは、大量のキノコが生えており、目の焦点が合っていない

 

直ぐに現場に急行した俺達

 

町は既に崩壊が進んでいて、辺りには大量のゾンビが徘徊していた

 

メガミ「なんですかあれ!」

カズマ「まさか、これもポケヤミーの仕業とでも言うのか!?」

レン「それ以外にありえないだろ、こんなこと」

メグ「ととと、とにかく!行こう!」

ライト「…あぁ!」

 

ライト「変身!」

メガミ「変身!」

メグ「変身!」

レン「変身」

仮面ライダーへと変身した俺達は、向かってくるゾンビ向かって言う

 

メガミ「私が皆を癒してみせる!」

メグ「これが本物の幻よ!」

レン「さぁ、伝説の始まりだ」

ライト「…燃えるぜ!」

 

To be continued




次回予告

ゾンビパニックと化したヨシノシティ
大量のゾンビに対応すべく、ライトが新たな進化!

遂に集う4人の戦士
増殖し続けるゾンビ達を止めることは出来るのか!?

第二十話「ウォーキング・バクテリア」


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第二十話「ウォーキング・バクテリア」

前回のあらすじ

変身したメガミによって『スリーパー・ヤミー』を見事撃破!
レン、メグと合流するも、倒したはずの『スリーパー・ヤミー』から新たなポケヤミー、『ムシャーナ・ヤミー』が誕生
悪夢を乗り越え、3人で『ムシャーナ・ヤミー』を撃破!

しかし、新たな事件が発生し、ヨシノシティに大量のゾンビが現れた!


メガシンカ!ヘンシーン!

レジェンド!ヘンシーン!

 

ライト「変身!」

メガミ「変身!」

メグ「変身!」

レン「変身」

 

バシャーモ!

ババッバッバッババッバッバシャーモ!バッバッバシャーモ!

 

タブンネ!

タブンネ!タブンネ!タ・タ・タブンネ!

 

ディアンシー!

ディアン!ディアン!ディアンシー!

 

ミュウツー!

ミュウツー!ミュウツー!ミュウ!ツー!ツー!

 

メガミ「私が皆を癒してみせる!」

メグ「これが本物の幻よ!」

レン「さぁ、伝説の始まりだ」

ライト「…燃えるぜ!」

 

キノコが生えた大量のゾンビがこっちに迫ってきた

でもスピードは遅く、こっちに辿り着くにはまだ時間がかかりそう

 

ライト「とりあえず変身したけどさ!これどうする!?」

レン「人間である以上、無闇に攻撃は出来ない」

メグ「じゃあどうする?」

レン「……逃げるぞ」

颯爽と後ろに振り返り走るレン

なんと無様なんだ

 

メガミ「そうですね!逃げましょう!」

それに便乗したメガミ

 

ライト「ちょっと待ってくれメガミ!」

メガミ「ライトさん…ごめんなさい。今まで隠していたのですが、私…」

ゆっくり振り返るメガミ

 

メガミ「ああゆうの本当に無理なんです!」

再び走り去るメガミ

ああゆうの、とは、きっとゾンビの事だろう

確かに嫌いそうだけど、そこまでか?

 

メグ「全く、しょうがないな〜皆…」

ゾンビ「ウォォォォ」

一瞬ビクッとなるメグ

 

メグ「……ライト君」

ライト「…なんだ」

メグ「……ここは任せた」

と、メグも逃げ去る

 

まじか

 

大量のゾンビを見る俺

俺だってこんな人達とは戦いたくない

 

でもきっと、これが『全身からキノコが生えた状態でミイラ化した死体事件』の続きだろう

ポケヤミーの仕業によって、 死んでしまった人達の死体が蘇り、ゾンビとして徘徊しているのだろう

人の命を無下にするなんて、許さない

 

俺は辺りを見渡して、逃げ遅れた人を見つけた

今にもその人はゾンビに襲われそうだった

 

俺が危ないと、思った瞬間だった

その人はゾンビに首を噛まれてしまった

首から血を吹き出すその人

その人が倒れると、ゾンビはその場を後にした

しばらくして、その場に残った死体がピクリと動いた

すると全身からキノコを生やし、いきなり飛び起き、独りでに動き出した

 

なるほど、ゾンビ達はこうやって増殖したんだ

ざっと見ると、ゾンビの数は恐らく数百体

今までで、一番酷い被害かもしれない

 

俺は死んでしまった全ての人達に手を合わせると、ゾンビ達に向かって飛び出した

 

1人のゾンビの目の前に立ち、手を振りかざす

でもそこで手が止まる

 

俺には出来ない

 

いくら怪物の姿になってでも、人の首をはねることは…

 

ライト「……っくそ!」

俺は後ろに下がり、もう一度辺りを見渡した

 

今度は小さな女の子だった

大量のゾンビに追い詰められていた

でも間に合う

俺はその女の子の目の前に立ちはだかり、今にも噛みそうだったゾンビの口を、右腕で防いだ

 

ライト「…くっ!」

なんて力だ

常人の顎の力じゃない

血が吹き出る腕を払うと、ゾンビは吐き飛ばされた

 

ライト「…フォルムチェンジ!」

 

ヘルガー!

ヘル!ヘル!ヘルヘル!ヘルガー!

 

俺はヘルガーフォルムにフォルムチェンジし、《ヘルガーランス》でゾンビ達を凪飛ばした

 

俺は女の子を抱えると、その場から立ち去った

 

その後知ったことだが、レン、メグ、そしてメガミ達はお互いにはぐれたらしく

つまり、俺達はバラバラになってしまったらしい

 

 

俺は傷付いた右腕を包帯でグルグル巻にすると、女の子に名前を聞いた

 

女の子の名は「ハナ」

地元であるこのヨシノシティでのことは、突然過ぎてあまり覚えていないようだ

ハナはラフなワンピースを着ていて

腕に花で出来たブレスレットをしていた

だいぶしおれている

歳は大体5〜6歳くらい

短めの髪だった

 

ハナ「お兄ちゃん、大丈夫?」

ライト「え?あぁ、大丈夫だよ、これくらい!」

俺は元気に右腕を振る

でも実際めっちゃ痛い

多分これは噛まれただけのダメージではない

でもその事実を俺は認めたくなかった

 

ライト「ハナ、お父さんとお母さんは?」

ハナ「……お父さん…」

この反応

やっぱり何かあったのか、大体予想はつくが今は聞くべきではない

 

ヨシノシティをまるまるゾンビパニックへと陥らせた今回の事件

 

しかもほかの仲間は不在

いつの間にか叔父さんもいなくなっていたし

 

ハナ「…お父さん、きょうはお花を積みに行こうって。私、たのしみにしてたのに…」

ライト「…あぁ、それ以上言わなくていい」

俺は泣きそうなハナの背中をさする

 

ちなみに今俺達2人は、とある小屋に身を潜めていた

 

ゾンビの気配もしないし、なかなか頑丈そうだし

 

ハナ「…お兄ちゃんは、お花ってすき?」

ライト「…え?」

ハナ「私はね、好きなんだ、お花」

ライト「…そうなのか、俺は全然詳しくないからな」

ハナ「じゃじゃ、おしえてあげる!」

ライト「ほんとか?じゃあ教えてくれ」

ハナ「うん!じゃあお兄ちゃんは、好きな色って何?」

ライト「色?ん〜、紫かな」

ハナ「うん!わかった!」

そこから俺は、ハナに色々なことを教えてもらった

紫の花の種類

その花の花言葉

知らないことばかりで、正直すごいと思った

でも、話すことはお父さんと花のことだけで、母親のことは一向に話そうとしなかった

 

気になって俺はハナに聞いてみた

 

ライト「ハナ、ハナにはお母さんっているのか?」

ハナ「……いるよ、ここに」

と、ハナは白い花と菊で出来たブレスレットを見せた

 

ライト「…これは?」

ハナ「クローバーの花で出来たブレスレット。花言葉は、「約束」」

ライト「…約束?」

ハナ「…うん。私、お母さんと約束したんだ、立派になって帰ってくるから、それまで待っててって」

ライト「…それは、お母さんが?」

ハナ「…うん。お母さん、有名な生け花の人なんだって、だから何処かでしゅぎょうするんだって。これは、別れた時につけてもらったの」

ライト「…そうか、お母さん、すごい人なんだな」

ハナ「……うん」

何故か腑に落ちていない様子のハナ

やっぱり何かがあるのだろう

 

ハナ「…また、行きたいな」

ライト「…え?」

ハナ「……あのお花畑に」

ライト「お花畑?」

ハナ「…うん、お父さんがよく連れていってくれた場所、あと、お母さんと最後に別れた場所」

どうやらハナは、母親のことが嫌いなわけでは無さそうだ

 

ライト「…じゃあ、俺が連れて行ってやる」

ハナ「…ほんと?」

ライト「あぁ!ほんとだ!」

ハナ「…お兄ちゃん、ありがとう!」

ハナは素敵な笑顔を見せた

どうやらこの子には、笑顔が一番よく似合うようだ

 

 

やってしまった

俺としたことが、ゾンビのことを見て逃げ出してしまった

 

いや、怖かった訳では無い

俺は安全を第一に考えたのだ

 

誰もいない町を歩く俺

と、目の前に人の影が見えた

 

俺は身構え、戦闘態勢に入る

 

だが、そこに居たのはゾンビではなかった

 

キャリーバッグを引いている、花柄の和服の女性が立っていた

腕には、クローバーの花で出来たブレスレットが着いている

だいぶ萎れているが

 

女性は俺に気づくと、すぐさま向かってきた

 

女性「あの!ここで何があったのですか!?」

少し圧に押される俺

女性は構わず話す

 

女性「娘は!娘は生きているのですか!?」

 

 

ライト「…これは、酷い」

ハナの案内で、花畑に到着した俺達

だが、そこは俺の想像していたお花畑ではなかった

 

既にここはゾンビが徘徊していたのだろう

花はめちゃくちゃに踏まれ、えぐれ、無惨な姿になっていた

 

ハナ「……」

ハナはそこをしばらく歩き、萎れる花を拾った

 

ハナ「……お母さんがね、言ったんだ」

ライト「……」

ハナ「…1年後、ここにはまたキレイなお花が咲く。その時、また会いましょうって」

ライト「…そうか」

ハナ「……約束、守れなかったなー」

ライト「……ハナ…」

ハナは泣いていた

俺はあるお門違いをしていたようだ

 

ハナは母親のことが好きではないと思っていた

話すことはずっと父親のこと

母親のことを話しても、続かない

だから、一親として接しているのかと思ったが

違う

ハナは、本当は母親の事が大好きなのだ

母との約束

母との別れ

それがハナを苦しめている

 

でもそれは、母親も同じ事だろう

自分の夢の為に、自分の娘と離れることは、きっと辛いことだったと思う

 

それでも、2人を繋げていたのは、その約束だ

その約束こそが、2人を常に思わせ続けさせたのだ

 

約束、か

 

ライト「…ハナ、聞いて欲しい」

俺はしゃがみ、ハナの肩に手を置いた

 

ライト「…約束は、無くならない」

ハナ「…え?」

ライト「約束ってのは、誰かと誰かを繋ぐ糸みたいなものだ。でも、その糸は、お互いが切らない限り、切れないんだ。ハナと、ハナのお母さんがお互いに約束を覚えていれば、その約束は、叶えられなくても、無くなりはしない。だからまだ諦めるな、きっとお母さんとまたここに来れる」

ハナ「……」

ライト「だから、俺と約束しよう。絶対に、諦めないって」

俺は右手の小指を差し出した

 

ハナ「……うん!」

ハナは自分の右手の小指でそれを握った

指切りをした俺達

 

すると、俺の懐が光り出した

飛び出したメガストーンの封印が解けると、緑色をベースに濃い緑と赤の模様が入っている

確かこのメガストーンはグリーンさんに貰ったのものの1つ

ようやく俺を認めてくれたらしい

 

俺はそれを掴んだ

何となく、この状況を奪還出来そうな気がして、メガドライバーを装着し、そこにセットした

 

セット!

メガシンカ!ヘンシーン!

 

ライト「変身」

 

フシギバナ!

フシギ〜 フシギ〜 フシギバナ〜!

 

全身が緑色に変化

背中からは森のように葉っぱが生え、それが和服のように俺を覆う

背中の中央に大きなピンクの花が咲いた

額にも花が咲く

頬には濃い緑の痣が現れる

まるで歌舞伎役者のようになった俺

 

そして、俺は右手に違和感を感じて包帯を外した

なんと、さっきまで腐食していた右手が元に戻ったのだ

 

俺はそのまま右手にピンク色の傘を出現させる

それを差すと、背中と同じような花が開花

名付けて《フシギバナアンブレラ》

 

ライト「開花の戦士!仮面ライダーバーサ!フシギバナフォルム!」

 

右手で傘を差し、左手を前に突っぱる俺

少し恥づかしい

 

ハナ「お兄ちゃん、それは?」

ライト「ふふふ、見てろ、ハナ。はなびらのまい!」

俺が《フシギバナアンブレラ》を回転させると、そこから無数の花びらが舞う

それが花畑に風に舞いながら流れる

すると、さっきまで萎れていた花達が元気を取り戻し、あっという間に、元の花畑に戻った

 

ハナ「…お兄ちゃん!すごいよ!」

ライト「そうだろ?」

ハナ「他にも見せて!」

ライト「いいぞ!はなふぶき!」

さらに《フシギバナアンブレラ》を回転させると、さらに花びらが舞う

それがハナを覆うと、さっきまで白かったハナのワンピースが、色鮮やかになったのだ

 

クローバーのブレスレットも、元気を取り戻した

 

ハナ「わぁ!お兄ちゃん!ありがとう!」

ライト「あぁ」

レン「おいおい、なんだそのふざけた格好は」

振り返ると、そこにはレンの姿があった

 

ライト「レン!今まで何処に行ってたんだよ!」

レン「そんな事今はどうでもいい。ところで、その子に客だ」

ハナ「え?私?」

レンの背後から、女性が飛び出し、ハナに抱きついた

 

ハナ「…お母さん?」

ハナの母「…ごめんね、ハナ、ごめんね…」

ハナ「ううん。いいんだよ、私、お兄ちゃんと約束したの、お母さんに会えるまで諦めないって」

ハナの母「…えぇ、そう…」

ハナの母は、相変わらずハナを抱きしめている

 

積極、ハナが「苦しいよ〜」と、言うまで抱きついていた

 

ライト「レン、ここは任せた」

レン「は?なんで俺が…」

ライト「俺はやらなくちゃいけないことがある、ここは頼んだぞ!逃げるなよ!」

レン「……ったく!」

 

俺は試したいことがひとつあった

このフシギバナの力があればもしかして…

 

と、ここでゾンビ集団を発見

うぅぅぅ、と、俺に襲いかかってくる

俺はゾンビ集団の中央付近まで来ると、技を放つ

 

ライト「はなびらのまい!」

また大きく《フシギバナアンブレラ》を回転させる

 

すると、その舞に触れたゾンビ達が、たちまち人の姿に戻っていく

全身のキノコが消え去り、噛み傷も治っている

これがフシギバナの力

なかなか出来る

 

正気を取り戻した人達は、状況が上手く飲み込めていなかった

俺が説明し、今すぐにこの町から逃げるように促した

 

今で戻った人達はざっと20人弱

まだまだ終わってはいない

 

次なるゾンビ集団が現れた

 

ライト「…燃えるぜ」

ここからは、俺の腕の見せ所だ

 

 

へへへ

計画は至って順調

私の菌が蔓延すれば、たちまち世界はゾンビだらけになる!

そうして世界が亡び!闇の世界へと変わる!

さぁ!下僕どもよ!

この菌を世界中にばら撒くのだ!

 

ヒガナ「順調のようだね、パラセクト」

『…はい、ノブナガ様』

ヒガナ「でも気をつけなよ、仮面ライダーはそんなに甘くない」

『…心配ございません、私の菌はまた特殊。ちょっとやそっとやられたくらいで絶えはしません…』

ヒガナ「…ならいいけど、出来るだけ時間は稼いでね」

『…はい、仰せのままに…』

ヒガナはそのまま闇に消えていった

 

時間稼ぎ、ね〜

 

どうやら私達の本気を出す時が来たようだね

 

 

ライト「はなびらのまい!」

俺は次々とゾンビ達を中和していき、逃がす

その動作が永遠と続く

 

今でどの位の人たちを治した?

逃げ遅れている人達を助けながらじゃ、効率が悪い

 

何より!

 

ライト「はなびらのまい!」

キリがない!

無限に湧いてくるゾンビ達に、俺は少々苦戦していた

 

相手は人間

しかも治療すれば治る

そんな人達には、無闇に攻撃は出来ない

 

かと言って、この「はなびらのまい」の欠点も重なる

しばらくこの技を出していてわかった

これは俺の頭をおかしくする

混乱状態というやつだ

 

便利だと思っていたが、こんな欠点があるとは…

 

と、その一瞬だった

俺はゾンビに足を掬われ、倒れてしまった

急いで立ち上がった時には遅かった

 

それを待ってたかのようにゾンビ達が俺を襲った

腕や足、脇腹や肩、首や背中、色んなところが噛まれているのがわかる

痛い、と同時に

俺は式を悟っていた

 

やばい、俺、死ぬ

 

ライト「うわぁぁぁ!」

俺は空を見て叫んだ

死への恐怖

夢を叶えられない悔しさ

守れない命

それを思い、俺は目を閉じた

 

メガミ「ライトさん!」

メグ「大丈夫!フォルムチェンジ!」

 

シェイミ!

シェイシェイ!シェイシェイ!シェシェシェイミ!

 

メグ「感謝の戦士!仮面ライダービジオン!シェイミフォルム!ランド!」

俺の目に映ったのは、全身が白色で、背中に黄緑色の毛を生やし、両腕にピンク色の花を付けたメグがいた

 

メグ「ライト君待ってて!アロマテラピー!」

メグの全身から花びらとオーラが舞い、俺の体にまとわりつくゾンビ達を覆った、ついでに俺も

 

すると、俺を囲んでいたゾンビ達が人間に戻り、正気を取り戻した

俺はと言うと、傷は治らないものの、腐食しかけていた全身が治った

 

メガミ「いやしのはどう」

メガミが俺の全身にピンク色のオーラを放つと、俺の傷はみるみるうちに治った

 

メガミ「ライトさん!ごめんなさい!あの時私、衝動的に動いてしまって、反省してます!」

メグ「私も!」

ライト「……良いって、今こうやって助けてくれたんだし、そうビクビクすんなって!」

と、俺はメガミの頭を撫でた

 

メガミ「…えへへ」

メグ「そうだ、お兄ちゃんは?」

ライト「レンなら、ある親子を守ってもらってる」

メグ「そうなんだ。それにしても、ライト君、また新しい進化してるね!」

ライト「あぁ、フシギバナフォルム。そっちは?」

メグ「うん、シェイミフォルムランド。実力はまだまだあるよ〜!」

メガミ「先程合流して、皆さんを探していたんです」

ライト「そうか、何より、戻ってきてくれて嬉しいよ」

メガミ「はい!」

メグ「うん!」

次の瞬間

後ろに衝撃を感じた

 

振り向くと、そこにはポケヤミーがいた

ヤドカリのようで、背中に巨大なキノコを乗せている

 

『やぁ、仮面ライダーの諸君。私は『パラセクト』』

ライト「お前がこの事件の犯人か」

『そのとーり!私のばらまいた菌に感染した生物はたちまち正気を失い、私の下僕と化すのだ』

メガミ「なんて酷い」

『いわばこれは私の研究、新たな世界を作る為の行為だ!』

ライト「ふざけんな!このサイコパス野郎!」

『マッドサイエンティストと、呼んでもらいたい』

と、『パラセクト・ヤミー』は背中のキノコから胞子を吹き出した

風上だった俺たちはその胞子に包まれてしまった

 

ライト「これ!吸ったらヤバイよな!」

俺は口を抑えながら言う

 

メグ「大丈夫!こういう時にこのメガストーンは役立つんだ!」

メグは背中の黄色い斑点から胞子を吸い取り、その後吸い切ると、両腕の花が黒ずんだ

 

メグ「これがシェイミの最強の技!シードフレア!」

両腕の花が光りだし、そこから勢いよく風が巻き出た

 

『ぐぬっ!なにっ!ぬわぁぁぁ!』

ポケヤミーは吹き飛んでどこかに行ってしまった

 

ライト「おぉ!凄いな!それ」

メグ「でしょ!大分体力使うけど、奥の手だね!」

メガミ「流石です!メグさん!」

そこから暫く、ゾンビは現れなくなった

 

 

レン「……」

ハナ「はい!お兄ちゃん!」

レン「……あぁ」

ハナの母「凄いわねハナ!リースをこんな簡単に作っちゃうなんて!」

ハナ「えへへ!でしょ!」

レン「……」

 

なぜ俺を置いていった、あいつ

ぜってー許さねぇ

 

ハナ「お兄ちゃんも作ろう!」

レン「…あぁ」

まぁ、もう少しだけ付き合ってやるか

 

To be continued




次回予告

『パラセクト・ヤミー』との決着をつけるため、敵陣に乗り込むライト達
そこでは壮絶な企みをしていた!
レン「ポケヤミーも、確実に進化している」
ライト「あんたがこの事件の真犯人だったのか!」

そして、迫る
鳳凰の謎!

第二十一話「浮かび上がる真実」


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第二十一話「浮かび上がる真実」

前回のあらすじ

突如現れたゾンビ集団
それを見て逃げ出すレン、メグ、メガミ
1人で戦うライトは、1人の少女と出会う
「約束」という言葉により、ライトはフシギバナフォルムへと進化
ゾンビ達を治療していく
ピンチになったライトに、メグとメガミが集う
シェイミフォルムとなったメグが同じようにゾンビを治療していく
しかし、この事件はそう簡単には終わらない
事件の真相は如何に!


一度町の外れにあった小屋入った俺達

すると、奥の部屋で叔父さんが怯えていた

 

ライト「叔父さん何してんの?」

カズマ「え、いや…、だって怖いし…」

なんでこうもみんな怖がりなんだ

 

 

カズマ「そうか!新たな進化を!」

ライト「肝心なのはそこじゃない」

カズマ「そうだな、このゾンビ事件の事だな」

メグ「一応、ライト君のフシギバナフォルム、私のシェイミフォルムでゾンビ達を元に戻せることは分かったし、メガミちゃんがいれば回復もできるし」

メガミ「はい!」

カズマ「問題は、どうやってゾンビが誕生したのか」

ライト「うん。多分、この間の『全身からキノコが生えた状態でミイラになった死体事件』の死者たちが、ポケヤミーによって蘇らされ、ゾンビになったんだと思う」

カズマ「それ以前に、その事件自体がポケヤミーの仕業の可能性もあるな」

メグ「まぁ、それ以上に考えられないでしょ」

メガミ「とても可哀想です」

カズマ「でも、それだとおかしな話にある」

ライト「何が?」

カズマ「死体からはキノコが生えていたんだろ?でも、今回のように徘徊はしていない。というか、出来ない」

ライト「何が言いたいの?」

カズマ「つまり、状況が違うんだ。前回はミイラ、でも今回はゾンビ。進化している」

ライト「だから、それはポケヤミーがミイラを蘇らせて…」

カズマ「そのポケヤミーにそんな能力はあったのか?」

ライト「…いや、無かったけど…」

カズマ「やっぱり。つまり、今回のケースでは、また新しい結果が起こったんだ」

メグ「そういえばあのポケヤミー、研究が何とかって言ってた」

カズマ「それじゃあ、その研究が進歩し、ミイラにしかならなかった死体が、ゾンビのように意志を持つようになった」

ライト「つまり、どうゆうこと?」

レン「進化しているという事だ、相手も」

後ろから声がするから振り返ると、レンがいた

 

ライト「レン!」

レン「今戻った」

カズマ「今までどこにいたんだ?」

レン「ある親子の相手をしていた。無事にこの町から避難させた所だ」

ライト「それより、今のは?」

レン「ポケヤミーも、確実に進化している。俺達と同じように」

カズマ「でもそんな事が有り得るのか?」

レン「…それか、他の存在と協力しているか」

ライト「他の存在って?まさか、新しいポケヤミー!?」

レン「いいや、今回大事となるのは、能力ではなく頭脳だ」

メグ「え?」

レン「ポケヤミーは、とにかく賢い奴と手を組んだ筈だ。例えば…」

レンは言葉を溜め、全員に向かって言った

 

レン「人間、とかな」

ライト「は!?」

メグ「ま、またまたお兄ちゃん…」

メガミ「そ、そうです、そんな筈は…」

カズマ「あぁ、人間を滅ぼすために人間と協力する?馬鹿げてる」

レン「では逆に、ポケヤミーに、ゾンビを作り上げるほどの頭脳があると思うのか?」

ライト「で、でもさっき、ポケヤミーが進化しているって言ったのは、レンじゃないか!?」

レン「姿や頭脳が上がるだけが進化では無い。人間と手を結ぶという考えが出たこと自体が、そいつにとっての進化だ」

まさか、ポケヤミーが人間と?

でも、その人間は何を考えているんだ?

人間を滅ぼしてどうするつもりなんだ?

 

謎は深まる

 

しばらくして俺の電話が鳴った

 

相手はヒビキさんだった

 

 

ふふふ、私の研究は最終局面を迎えている

この研究が成功すれば、人類は生まれ変わる!

人類は進化するのだ!

私の手によって!

 

『ふふふ、張り切っているね』

???「当たり前さ、私がこの世界の創造主となる時が迫っているのだから」

『ふふふ、やはり君にして良かったよ、共に世界を作り替えるパートナーに』

???「必ずや成功させる、そして、私自身も進化するのだ!」

 

 

ヒビキ「ライト君!」

ライト「ヒビキさん!」

ヒビキさんとも合流した俺達

 

ヒビキ「一体、ここで何が起きてるんだ!?」

ライト「ここでもポケヤミーが暴れてるんです。でも大丈夫」

メガミ「私達が、何とかします!」

メグ「うん!」

レン「……」

ヒビキ「そうか!…ところで、聞きたい事があるんだけど」

ライト「なんですか?」

ヒビキ「実は、昨日の夕方から、博士の姿が見えないんだ」

ライト「え!?ウツギ博士が!?」

ヒビキ「うん、何度電話しても繋がらないし…」

ウツギ博士が、行方不明?

 

こんな状況で、全く…

 

ヒビキ「でも、一つ気になることがあるんだ」

と、ヒビキさんは切り出した

 

ヒビキ「博士、君達がここに向かった日の深夜、僕が寝付けなくて水を飲みに行った時、でかい荷物を持ってどこかに向かっちゃったんだ」

ライト「え?」

ヒビキ「話しかけようとしたけど急いでたみたいで、すぐに出発したみたいなんだ」

ライト「…んー」

謎は深まるばかりだ

ウツギ博士は連れ去られた訳でもなく、自発的に行方不明になっている

 

ライト「最近、何か変わったことってありましたか?」

ヒビキ「んー、特になかったと思うけどなぁ」

ヒビキさんは首を傾げる

 

ヒビキ「……あ!」

と、ヒビキさんが何かを思い出したようだ

 

ヒビキ「博士、誰かと電話してた!」

俺達はその詳しい話を聞き、全てが繋がった

 

ライト「…なるほど」

メグ「そういう事ね」

メガミ「そんな…」

レン「ふっ!やはりな…」

カズマ「そうか、そうだったのか…」

全てが繋がった俺達は、敵陣に乗り込む覚悟を決める

 

ライト「行こう、みんな」

レン「…あぁ」

メグ「…うん」

メガミ「…はい」

なかなか気が進まない

だが、浮かび上がった真実を処理するには、この方法しかなかった

 

ポケヤミーを倒す

その前に…

 

 

エンジュシティのとある地下通路の奥にある小さな研究所

辺りにはキノコの図鑑や液体に浸かったキノコ

採取された細胞などが置いてある

奥の机でとある人物が研究に没頭していた

 

もうすぐだ

もうすぐで私の研究が完成する

世界を作り替える為に

世界をもっと楽しくするのだ

 

???「イヒヒヒ…!?」

と、研究所の扉が勢いよく開いた

 

レン「そこまでだ」

???「くっ……」

ライト「やっぱり、あんたがこの事件の真犯人だったのか!」

既に仮面ライダーへと変身していたライト君達が立っていた

 

さっきまで消えていた照明が点いた

私の顔が顕になる

 

ライト「…ウツギ博士!」

ウツギ「…どうしてここが分かった」

レン「悪いな、俺は人が信用出来ないタイプでな。予めお前に発信機を付けさせてもらった」

ウツギ「なっ!」

ヒビキ「…博士、どうして…?」

ウツギ「……ヒビキ君…」

ヒビキ「…僕は、貴方を…尊敬していたのに…」

ウツギ「……」

レン「答えろ、お前の目的は何だ」

ウツギ「……私の、野望の為だ」

レン「…野望?」

ウツギ「…イヒッ、イヒヒヒ!」

ライト「!?」

ウツギ「そうさ!私の野望!それは!新人類を誕生させること!」

メグ「新人類?」

ウツギ「そうだ!人類は生まれ変わる!新たな進化を迎えるのだ!」

ヒビキ「…な、何故そんなことを!」

ウツギ「…それはな、他でもない、君の為だ、ヒビキ君」

ヒビキ「!?」

ウツギ「君は以前、鳳凰の姿を見たと言ったな」

ヒビキ「…はい」

ウツギ「でも生物学上、鳳凰の存在を認める訳には行かない。…だが、驚いたよ。君の言っていることは本当だった」

ライト「…え?」

ウツギ「…私も見たのだよ!鳳凰の姿を!」

ヒビキ「……」

ウツギ「でもその事を誰も信じてくれない!だから分かったのだよ!…それなら、不死の能力を人間が得ればいいと!私が鳳凰のようになれば良いのだと!そうすれば君の研究も進むはずだ!」

レン「何!?」

ウツギ「…そうして出会ったのだよ。彼と…」

後ろにいる彼に声をかける

 

『ふふふ、やぁ、仮面ライダーの諸君』

ライト「ポケヤミー!」

ウツギ「彼が私の研究に手を貸してくれた!キノコの不思議なほどの増殖能力を元に、切っても生えてくるキノコの能力を、人間にも応用出来ないかと」

レン「それの成れの果てがあのゾンビか?」

ウツギ「いいや?あれは過程の一つに過ぎない。私の目的は、人類を不死の体にする事。誰も死なない!誰も傷つかない!素晴らしい世界じゃないか!」

ライト「それは違う!」

ライト君は食い気味に叫んだ

 

ライト「人間が老いる事も!傷つく事も!死ぬ事も!人間という儚い命の素晴らしさだ!それがあるから!人間は生きてるって思えるんだ!死ぬ事を忘れた人間は、きっと楽しくない!生きていても楽しくない!…死んでるも同然なんだ!」

ウツギ「…なんだと?」

ライト「あんたは間違っている!人間の命を無下にするあんたを!俺は許さない!」

ウツギ「…うるさい…うるさいうるさいうるさいうるさい!うるさぁぁい!」

ライト「!?」

ウツギ「人類は生まれ変わる!そして、世界も変わる!平和な世界へと!」

すると、隣にあった機械から通知音がなった

完成したようだ

 

私はその機械の中にあったビーカーから注射器でその液体を吸い取った

 

ライト「なんだそれは!?」

ウツギ「これぞ私の研究の集大成。これがあれば!人類は生まれ変わる!…まずは、私がその第一人者へと……!」

私は注射器を構え、腕を狙う

と、私の体全体に激痛が走る

思わず胸を見る

私の胸は、彼のハサミに貫かれていた

 

『ふふふ、よくやってくれた。私のハサミではそんなに細かい事は出来ないからね、人間の手を借りれて良かったよ』

ヒビキ「博士!」

ウツギ「……」

私は膝を付き、そのまま前に倒れた

血が吹き出しているのが分かる

同時に私は思った

あぁ、なんでこんな怪物と手を組んだのだろうか、と

 

『ふふふ、君の研究は素晴らしい。よくぞ私の為に働いてくれた。つまり、君は用済みだ』

彼は私にトドメを刺そうとした

私は目を閉じることも忘れ、彼に身を委ねた

 

だが、私は死んではいなかった

 

ライト「くっ!」

メガミ「ライトさん!」

ライト「メガミ!治療を!」

メガミ「…は、はい!」

ライト君が、彼の攻撃を受けていた

肩に彼の爪が刺さっている

メガミ君は私に近づくと、手を添える

 

なぜ、こんな私を…

 

『ぬっ、なぜ庇う!そいつはお前達を裏切ったのだぞ!』

ライト「悪いな!俺はこの人みたいな人は嫌いだけど!不覚にも、同情しちまった!」

『?』

ライト「思い出したぜ!俺が一番嫌いなのは、お前らみたいな人間の命を平然と奪う奴らだって事をな!」

ライト君は彼を突き放した

 

ウツギ「……ライト、君…」

ライト「ウツギ博士、ちょっと待っててくれ」

ウツギ「……すまな…かった…」

私は反省した

こんな私でも、救ってくれる彼に、私は敬意を表した

 

ライト「いいから、ゆっくり休んでくれ」

と、ライト君は再び彼に目をやる

 

私は、静かに目を閉じた

 

 

ライト「はっ!」

『くっ!ここでは不利だ、ほっ!』

ライト「あっ!待て!」

ポケヤミーは天井に穴を開け、地上に向かって進んで行った

 

ライト「っ!みんな!ウツギ博士は頼む!メグ!付いてきてくれ!」

メグ「オッケー!」

俺はメグを連れてポケヤミーの後を追った

 

地上に出ると、大量のゾンビを連れたポケヤミーが待ち構えていた

 

ライト「メグ!またあれで行くぞ!」

メグ「うん!ライト君!」

ライト・メグ「「フォルムチェンジ!!」」

 

フシギバナ!

フシギ〜 フシギ〜 フシギバナ〜

 

シェイミ!

シェイシェイ!シェイシェイ!シェシェシェイミ!

 

ライト「開花の戦士!仮面ライダーバーサ!フシギバナフォルム!」

メグ「感謝の戦士!仮面ライダービジオン!シェイミフォルム!ランド!」

 

俺は《フシギバナアンブレラ》を構え、言う

 

ライト「燃えるぜ!」

『来い!仮面ライダー共!』

大量のゾンビが俺達に襲いかかって来る

 

ライト「メグ!ここは一気に決めるぞ!」

メグ「そうだね!グラシデアチェ〜ンジ!」

するとメグは、さっきまでの黄緑色だった背中が白くなり、今度は手足が黄緑色になった

髪型はボーイッシュになり、腕にあったピンク色の花は一度しぼみ、スカーフのように首に赤い花びらが付いた

そして背中から白い翼が生える

 

メグ「シェイミフォルム!スカイ!」

ライト「おぉ!」

メグ「シェイミには2つのフォルムがあってね、それを両方活用出来るんだ!」

『ふっ、小賢しい!行け!』

うぉぉぉっとゾンビが走ってくる

 

俺はキーストーンを2回押し込む

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

フシギバナ!

グローバルフラワーガーデン!

 

レジェンド!ヒッサーツッ!

シェイミ!

グレイトフルブーケ!

 

ライト「グローバルフラワーガーデン!」

メグ「グレイトフルブーケ!」

 

メグは高く飛び立ち、ゾンビ達の真上を浮上する

すると、綺麗なピンク色の花の花束を実現させ、それをゾンビ達に放り投げた

するとブーケは花束と一緒に爆発し、そこ一帯にいたゾンビを治療した

俺は、足を踏み出すと足場が花畑に化け

辺りには花びらが舞う

《フシギバナアンブレラ》を大きく振るうと、大きな風が吹き、それに花びらが一緒に舞う

その風に触れるゾンビ達も治療されていく

 

あっという間に、ポケヤミーが連れていたゾンビ達は見事に人間に戻った

 

『くっ!…たが、これでは終わらん!』

と、ポケヤミーはさっきの注射器を取り出し、腕に構える

 

『この力があれば!私は不死身となる!もうあいつに指図される必要も無い!ヒガナを殺し!私がこの世界の王となるのだ!』

と、ポケヤミーが自分に注射器を打つ

すると、どんどんと身体が巨大化し、ざっと10メートル前後まで膨れ上がった

 

メグ「何…?……あれ…?」

ポケヤミーはどんどんと醜い姿へと変化していく

 

『グへへへ!どうだ!これで私は最強だ!これで全ては!私のモノとなる!』

ライト「…そんな事させるか!」

バシャーモフォルムへとフォルムチェンジする俺

 

再びキーストーンを2回押し込む

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

バシャーモ!

バーニング!ドライブ!

 

ライト「バーニングドライブ!」

俺は高く飛び立ち、ポケヤミーにキックを放つ

 

『ヌゥお!そんな筈は!』

ポケヤミーはかなりのダメージを受けた

 

ライト「どうやらウツギ博士が完成させた物は、失敗だったようだな!お前の身体と適合していない」

『ぬぬぬ!そんな!筈は!』

ライト「分かったか!これが人間の命を無下にした者の末路だ!後悔しろ!」

『ち、ちくしょォォォ!仮面ライダーァァァ!』

ポケヤミーは巨大な爆発と共に消え去った

 

 

その後、メガミの必死な治療により、ウツギ博士の傷は治ったものの。その時には既に遅かった

ウツギ博士の意識が戻ることはなかった

 

メガミ「…ウツギさん、最期の最期まで、謝っていました。ヒビキさんへ向けて」

ライト「……」

レン「……」

メグ「……」

ヒビキ「……」

 

 

翌日、全てのゾンビ化した人達が人間に戻った事を知った俺達は、ヒビキさんと共に、再びウツギ研究所へと帰って行った

 

カズマ「そうか、ウツギさんが…」

ライト「…ごめん、守れなかった」

ヒビキ「……」

メガミ「……いえ、ライトさん達は、よく戦ってくれました」

メグ「…そうだよ、やれる事はやったよ」

ライト「…ありがとう」

レン「だから言っただろう、夢を持つとこうなると」

ライト「!!」

俺はレンの方を振り向く

 

レン「夢に囚われた人間は、無様に死んでいく。あの男の様にな。夢を持つとそういう事になる。夢を持つ奴は、周りが見えなくなり、他人の命なんてどうでも良くなるほどだ!人間は、自分の欲望や正義のためなら、どこまでだって残酷になれる」

ヒビキ「……」

ライト「…レン、お前!」

俺は椅子から立ち上がり、レンに向かって歩き出した

今のレンには、一発殴らないと分からないようだ

 

ライト「…!」

俺が殴ろうとした瞬間

レンが殴られた、ヒビキさんに

 

レン「!?」

ヒビキ「…人の夢を…馬鹿にするな!」

ライト「!?」

普段の性格とは裏腹に、こんな乱暴なヒビキさんは初めて見た

 

ヒビキ「人が夢を持つ事がそんなにおかしいか!そんなに哀れなのか!僕は!夢を追う人達が好きだ!…でも、夢を冒涜する人は嫌いだ…」

レン「…貴様の夢がどれだけ大きいか知らんが!所詮俺の知ったことでは無い!」

ヒビキ「いいや、君は知るべきだ!夢の大切さを!」

レン「…では、貴様の夢とはなんなんだ?」

ヒビキ「……僕の夢は…」

前にレンから話を聞いたけど、ヒビキさんは以前夢を喰うポケヤミーと遭遇した時、ポケヤミーが食べきれないほどの夢を持っているらしい

そんなヒビキさんの夢

それは…

 

ヒビキ「…僕の夢は!鳳凰に、会うことだ!」

レン「!?」

ライト「…鳳凰に、会う?……?」

と、俺の虹色の羽が光り出した

 

ライト「虹色の羽が、反応してる?」

 

この時の俺達は知らなかった

まさかヒビキさんが

鳳凰という存在を語るにおいて

とても重大な存在である事を…

 

To be continued




次回予告

虹色の羽と共鳴するヒビキ
そんなヒビキの夢は「鳳凰に会うこと」

鳳凰の謎に迫るべく、いよいよスズの塔に足を運んだライト達
そこでは様々な試練が待っていた!

第二十二話「潜入!スズの塔!壱の階」


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第二十二話「潜入!スズの塔!壱の階」

前回のあらすじ

レン、カズマ、そしてヒビキと合流したライト達
しかしここで、ヒビキからウツギが音信不通になったと報告
直前の電話の会話で、真実が明らかとなった
なんとポケヤミーと協力していたウツギ
新人類を誕生させ、人類を不死身にする計画を立てたが
ポケヤミーが裏切り、ウツギはヒビキに対する謝罪と共に、死去した

ポケヤミーと奮闘し、ポケヤミーの計画は儚く散った
ウツギが死去したことを報告されると、レンはウツギを冒涜した、その時
ヒビキ「…人の夢を…馬鹿にするな!」
大きな夢を持つヒビキは、レンを殴り、口論になる
そんなヒビキの夢は、「鳳凰に会うこと」
すると、虹色の羽が光りだし──


ヒビキ「僕の夢は…鳳凰の会うことだ!」

レン「…鳳凰に、会うだと?」

ヒビキ「そうだよ!あの日、あの瞬間、僕は鳳凰という存在が気になってしょうがなかった!どこから来たのか、どうやって来たのか、そして、次第に僕は思ったんだ、いつか鳳凰に会って、確かめたいって!」

レン「そんな事…、無理に決まっているだろ」

ヒビキ「分かってるさ、無理だって事くらい。だけど、追いかける価値は必ずある!」

レン「……」

ヒビキさんの圧に押されたレンは黙ってしまった

 

ヒビキ「はぁ、はぁ」

早口で話したからだろうか、ヒビキさんも息を切らしている

 

ライト「…俺、ヒビキさんの夢、応援します」

ヒビキ「…え?」

ライト「俺の夢は、ヒーローになる事です。ヒビキさんには到底届かない夢ではあるけど。俺もこの夢は、胸を張って言えます!…だから、ヒビキさんも自分の夢に自信を持ってください」

ヒビキ「…ライト君、ありがとう」

メガミ「私も、応援します!」

メグ「私も!」

レン「……」

メグ「お兄ちゃん」

レン「……俺の知ったことでは無い」

ヒビキ「…みんな、ありがとう」

カズマ「うん!いい事だ!夢は人を進化させる!僕も自信を持っていいと思うぞ!」

ヒビキ「…はい!」

ライト「…!」

と、俺の虹色の羽がさらに光り出す

 

ライト「虹色の羽が、反応してる」

カズマ「きっと、君達の夢に対する情熱が、虹色の羽と共鳴しているのかもしれない」

虹色の羽はさらに光り出し、7色に光り出した

俺は不意に思いつき、外に出た

みんなも付いてくる

 

虹色の羽は太陽の光を浴びると、7色の光を楕円形に伸ばしながらはるか遠くに向かっていた

まるで、虹色の道が出来たようだ

その光の先は…

 

ライト「エンジュシティ……」

やっぱり、あそこに鳳凰が…?

 

 

鳳凰の事をもっと調べようと、俺達とヒビキさんは、共にフスベシティにある図書館に足を運んだ

 

ジョウト地方の歴史から、生物学の本まで

色んな本を覗いたが、それらしい情報はやはり出て来なかった

 

でもその代わり…

 

ライト「風の約束?」

ヒビキ「うん。はるか昔、このフウラシティって所では、年に1度、海の神様との約束を果たす為、「風祭り」っていうのを開催するのが習慣だったようなんだ」

ライト「フウラシティ?」

ヒビキ「今はない街のようだね。何百年か前に、海の神様が激怒し、その街を吹き飛ばしたってここには書いてあるんだ」

ライト「それって…」

ヒビキ「うん。多分君達が言っている、ポケモンって奴じゃないかな?」

ライト「なるほど…」

ヒビキ「更にはね、この本によると、海の神様が現れる数日前から、3匹の鳥が姿を現すらしいんだ」

ライト「3匹の鳥?」

ヒビキ「うん。1匹は、まるで稲妻の様に素早い速さで飛ぶ、雷の鳥。1匹は、まるで全身が燃えながら飛ぶ、炎の鳥。そして、もう1匹は、まるで全身が凍りついたように冷気を放ちながら飛ぶ、氷の鳥。3匹の鳥が姿を現したその時、海の神様は姿を現すらしい」

レン「サンダー、ファイアー、フリーザーの事だな」

ライト「レン、知ってるのか?」

レン「あぁ、その3匹は伝説のポケモンらしいからな」

流石、伝説の戦士

 

ライト「でも、鳳凰には近ずけないな〜」

ヒビキ「…そうだね」

でも、実際俺は気になっていた

サンダー、ファイアー、フリーザー、そして

海の神様

 

一体どんな因果関係があるのだろうか?

 

 

さらに鳳凰について調べる俺達

俺はとある本を見つけた

 

ライト「ホウオウこそ我が人生…?」

そういうタイトルの本だった

中を見ると、鳳凰と思われるであろう動物の謎を追う観察日記のようなものだった

著者は、「ボンジイ」というらしい

内容は以下のようだ

「 この本には、ワシの20年間の探索を記録する。

 1982年、6月27日。ワシは、初めて鳳凰を目にした──

 

 1995年、不思議な羽を見つけた。拾った瞬間、それは7色に光り──

 

 2002年、9月2日。──ワシは追い続ける。鳳凰という夢を…」

 

ライト「この人も、鳳凰を…」

嬉しい半分、俺は少し不安になった

この人は、20年間掛けても、鳳凰に辿り着くことが出来なかった

それはつまり、今から俺たちがやろうとしているのは、とても大変な事だと言っていいだろう

この人は、この後どうなったのだろう?

あとひとつ、気になった事は

最後に書いてある、「鳳凰という夢を…」

というところ

 

ライト「鳳凰が夢、ねぇ」

???「お主も、鳳凰を探しているのか?」

と、突然後ろから老人の声がした

振り向くと、小柄で小太りなおじいさんが立っていた

白い大きく膨れる髭

後ろで結んだ白髪の髪

まるで冒険少年のような服装をしていた

 

???「すんっすんっ、ん?これは…?」

おじいさんは突然鼻を嗅いで俺に目をやる

 

???「お主、虹色の羽を持っているな?」

ライト「え?なんでその事?」

???「ホッホッホ、すまんの。微量ながら、鳳凰の匂いがしたもので」

ライト「…おじいさん、一体何者なんだ?」

ボンジイ「ワシか?ワシはその本の著者。ボンジイじゃ!」

 

 

ボンジイ「鳳凰はな、臆病なんじゃよ」

ライト「…え?」

ボンジイ「ワシが鳳凰を追い始めて約20年。鳳凰は一度ワシの前に現れた時から一度も姿を現してはくれなかった」

ライト「やっぱり、鳳凰を見つけるのは、無理なんでしょうか?」

ボンジイ「そんなことは無いぞ!追い続ける限り、いつか会えるさ」

ライト「…ボンジイさんは、なんで鳳凰を追い始めたんですか?」

ボンジイ「理由なんてないぞ?ただ、あの鳥の存在を追求したくなっての。不思議じゃった。彼奴は唯ならぬオーラを放っていたからの」

ライト「やっぱり、そうですよね!」

ボンジイ「…ん?」

ライト「あ、いえ。俺も、鳳凰を見て、確かめたくなったんです。俺が見たものは本物なのか、一体、俺にどんなメッセージを残したかったのかって」

ボンジイ「…ホッホッホ」

ライト「?」

ボンジイ「…いや、思い出してしまっての。ワシには弟子がいての、ソウジ、と言ってな。彼奴も鳳凰を追っていた」

ライト「……」

ボンジイ「…今は別の研究をしているのじゃが、元気にしているのかの〜」

ライト「……」

ボンジイ「ソウジも、君のような目をしておったよ」

ライト「え?」

ボンジイ「君なら大丈夫じゃ、ワシが保証する。君なら、鳳凰に辿り着けるさ!」

ライト「…そう、ですかね?」

ボンジイ「そうじゃよ!自分に自信を持て!」

ライト「……はい!」

俺はボンジイさんにお礼を言って、その場を後にした

 

 

ボンジイ「……」

鳳凰よ、今もお前を追う者がいる

ワシは胸ポケットから虹色の羽を取り出す

20年たった今でも、光は消えていない

 

ボンジイ「…綺麗じゃのぉ」

頑張ってくれよ、若き冒険者よ

鳳凰を見つけ出し、辿り着き、そして

「虹の勇者」となるのだ

 

 

カズマ「そうか、そんな人がいたのか」

メガミ「20年間も、凄いですね!」

メグ「うんうん!」

レン「……」

ヒビキ「いいなぁ、僕も会いたかったよ」

ライト「うん、あの人のおかげで、少しだけ自信を取り戻した気がするよ」

カズマ「そうか、それじゃあ、次はどうする?」

ライト「……次は…」

 

 

フスベシティを出た俺達の向かう先はただ一つ

エンジュシティだ

さらにその中央にある…

 

カズマ「やはり、ここを調べる方が早いな」

ライト「うん、最初からここに来れば良かったよ」

スズの塔

黄金色に輝くその塔は、まるであの時の鳳凰のように輝いていた

もうすぐ日が暮れる

早く登ろう

そうすれば、なにか分かるかもしれない

 

ライト「待ってろよ!鳳凰!」

俺達はスズの塔に入る前のトンネルに入った

 

 

メガミ「わぁ!」

トンネルを抜けたその場所には、一面に紅葉のトンネルが広がっていた

 

カズマ「綺麗だな!」

ヒビキ「おぉ〜」

メグ「んふふ、皆楽しそうだね!」

レン「……」

ライト「……おっ」

紅葉のトンネルを抜けると、すぐにスズの塔の入口が見えた

 

その大きな扉を、俺は大きく開けた

 

その中にいたのは、鳥のポケヤミーだった

インコのようで、頭は音符のような形をしていた

 

『キーー!何者だ!お前達!』

ライト「ポケヤミー!?」

『何故ここが分かった!』

レン「なんだか知らんがラッキーだな」

メグ「ここにもポケヤミーがいるなんてね!」

メガミ「私達がお相手します!」

『キーー!ここは通す訳には行かない!この『ぺラップ』様が相手だ!』

甲高い声で威圧してくる

 

ライト「そういう訳には行かないな、俺達はここの頂上に用があるんだ!」

俺はそう言いながらドライバーを構え、腰に装着する

他のみんなもドライバーを装着する

 

ライト「変身!」

メガミ「変身!」

レン「変身」

メグ「変身ッ!」

4人の仮面ライダーがポケヤミーに立ちはだかる

 

ライト「熱き炎の戦士!仮面ライダー!バーサ!」

メガミ「癒しの戦士!仮面ライダー!エンゼル!」

レン「伝説の戦士!仮面ライダー、レジェン」

メグ「幻の戦士!仮面ライダー!ビジオン!」

 

『キーー!』

『ぺラップ・ヤミー』は羽をばたつかせて風を送ってくる

 

ライト「…くっ!とびひざげり!」

俺はその風に逆らい、攻撃する

 

メガミ「チャームボイス!」

メガミがアシストする

 

レン「サイコカッター」

メグ「パワージェム!」

次々と攻撃をする俺達

しかし、相手も黙ってはいない

 

『キーー!』

ポケヤミーが叫ぶと、辺りに雑音が響いた

耳が張り裂けそうだ

ガラガラな音楽を聞き、俺達は耳を塞ぐ

 

ライト「な、なんだ!これ!」

メグ「んー!耳がー!」

レン「…くっ!」

メガミ「んー!」

 

『キーー!』

ポケヤミーはその隙に翼で攻撃する

 

『ハハハッ!どうだ!苦しめ!』

ライト「ったく!悪趣味な奴だ!」

メグ「ここは私に任せて!フォルムチェンジ!」

メグはディアンシーストーンと別のメガストーンを入れ替えた

 

レジェンド!ヘンシーン!

メロエッタ!

メロメロ〜メロメロ〜メロエッタ!

 

メグの全身が白に変色

上から黒のショートドレスが羽織られ、全身にフィットする

髪は膝下まで伸び、まるで楽譜の線のような模様になる

右耳に音符のようなヘッドセットを付けている

 

メグ「旋律の戦士!仮面ライダービジオン!メロエッタフォルムボイス!」

レン「そうか、その手があったか」

メグ「あー、あーー」

ライト「…何してんだ?」

レン「発声練習だ、ほっとけ」

メグ「あーー。よし!」

『キーー!なんだ!?』

メグ「全員、耳塞いでてねっ!」

レン「あの技を使うのか、分かった」

ライト「え?なんの事だ?」

メガミ「?」

レン「うるさい、死にたくなかったら耳を塞げ」

ライト「え?あぁ」

俺は言われた通り、耳を塞いだ

メガミも耳を塞ぎ、後ろでは叔父さんとヒビキさんも耳を塞いでいた

一体何をするつもりなんだ?

 

メグ「……○○○○○○!」

メグは深呼吸した後に何か言った。技名だろう

するとメグは目を閉じながら歌い出した

 

メグが歌い終わると、俺達に目配せしてきた

もう大丈夫なようだ

 

『キーー!不愉快な歌だ!』

しかし、ポケヤミーには何も起こっていなかった

 

レン「安心しろ、奴はもう死んだも同然だしな」

ライト「?」

ますます意味が分からん

死んだも同然?

 

『キーー!』

ポケヤミーはメグに攻撃を仕掛ける

 

メグ「ねんりき!」

メグはそれを念力を使って避ける

 

レン「……3」

ライト「?」

 

『キーー!』

メグ「もう一度!ねんりき!」

さらに避ける

なんで攻撃しないんだ?そうしないと倒せないぞ?

 

レン「……2」

『キーー!キーー!』

メグ「…終わりよ!」

メグは軽々ポケヤミーの攻撃を避けると。すっと、立ち尽くす

 

レン「……1」

『キーー!余所見をするなぁ!』

ライト「危ない!」

『……!!』

と、突然ポケヤミーは攻撃を止め、地面に墜落し、爆発した

 

メグ「…イェイ!」

レン「……チェックメイトだな」

ライト「???何がどうなっているんだ?」

レン「今メグが使った技は、「ほろびのうた」」

ライト「ほろびのうた?」

レン「その歌を聞いた者は3ターン経つと滅ぶというものだ」

ライト「な、なんだその技。危な」

メガミ「だから全員耳を塞ぐよう促したのですね」

メグ「そういう事!」

ライト「でも、どんな歌が気になるなぁ」

メグ「……やめた方がいいよ、普通に歌っても身震いがするよ」

ライト「…え?何それ怖っ」

 

しばらくした後、俺達は2階に向かっている階段を見つけた

 

その階段の最中

 

カズマ「鳥のポケヤミーか、初めてだな」

メガミ「でも、何故ここに居たのでしょうか?」

ライト「?どういう意味だ?メガミ」

レン「まるでスズの塔(ここ)に何かあるみたいな言い方だな」

メガミ「いえ、そういう事では…。ただ、あのポケヤミーが、悪事をせず、ずっとここにいたのが不思議で…」

確かに

 

メグ「私達の事も知らないような感じだったよね〜」

カズマ「ふーん、やはりここには何かあるな。重要な何かが」

ヒビキ「……」

 

 

一方

闇の空間では、ヒガナがライト達の様子を伺っていた

 

ヒガナ「なんだ?あのポケヤミー。あんなの蘇らせた記憶ないぞ?」

僕は今のところ、今まで蘇らせたポケヤミーの事は覚えている

みんな僕の大切な下僕だからね

 

でも、あいつは知らない

身に覚えがない

 

うーん…

 

ま、いっか

 

どうであれ、ポケヤミーには変わりない

仮面ライダーを倒してくれるなら、それでいい

 

『ギヤァアーース!』

ヒガナ「はいはい!静かにね〜」

ルギア君も荒れている

 

あともう少しだ

 

そしてこの世界は僕のものとなる…

 

ふふっ、楽しくなってきた!

 

 

スズの塔 弐ノ階

 

『カーー!』

ライト「なんだ!?今度はカラスか?」

レン「真っ暗だな」

メグ「なんにも見えないよ〜」

メガミ「ちょっと、怖いですね…」

カズマ「気をつけろよ、みんな」

ヒビキ「頑張って!」

ライト「あぁ!」

 

『カァーー!』

ライト「何処にいる!姿を現せ!」

 

『カァーー!』『カーー!』『カァー!』

ライト「!?1匹じゃない!」

レン「この数、相当いるな」

『カーカッカ!よく来たな!虹色の羽を持つ者よ!』

どことなく喋り声が聞こえる。ただし場所は分からない

 

『俺は『ドンカラス』!さぁ!俺をこの闇から見つけることが出来れば!ここを通そう!』

ライト「何?」

レン「何故そんなことをする必要がある?とっとと姿を現して俺達と戦え」

『1寸先は常に闇!いつも自分たちの思いどうりに行くと、思うなよ〜!』

 

そう言うと、『ドンカラス・ヤミー』と思われしきポケヤミーは気配を消した

 

闇の中からポケヤミーを探す

俺達の次なるミッションだ

 

レン「ちっ、面倒な事になったな」

ライト「さぁ〜てと、どおすっか」

カズマ「とりあえず進んでみよう」

俺達はそのまま暗闇を進んだ

 

ライト「……痛っ!」

突然何かに当たった

触ってみると、壁のようだ

暗すぎて見えなかった

 

ライト「危ない危ない。皆も気を付けてな!……皆?」

俺は気付いた

いつの間に俺の後ろには、人の気配がなかった

 

 

カズマ「…大丈夫か?メグ、メガミ」

メガミ「は、はい…」

メグ「私は大丈夫だよ」

いつの間にかライト達とはぐれてしまった僕とメガミとメグ

 

カズマ「…困ったな〜」

 

 

レン「…ふっ、よりにもよってお前と共に行動するとはな」

ヒビキ「それってどういう意味?僕じゃ不満?」

レン「…さぁな」

ヒビキ「むむむ…」

 

 

ライト「う〜ん。どうすっかな〜」

完全に迷った俺は、行き当たりばったりに行動した

 

……痛っ!

また壁に当たった

ここもまた迷路みたいだな

俺はニビ科学博物館の事を思い出した

 

たくみ、元気かな〜

 

………

そういえば…

 

俺はそこで館長にもらったメガストーンを思い出し、取り出した

 

封印は解けていない

なんなんだろう、こいつ

 

俺はそのメガストーンを仕舞い、歩き出した

と、俺は再び気付く

目の前に何者かの気配を感じる

 

人ではない、ポケヤミーか?

 

ライト「…変身!」

俺は仮面ライダーへと変身し、構える

 

『……カーー!』

その鳴き声と共に、俺は攻撃をくらった

 

ライト「…くっ!ほのうのパンチ!」

俺は右腕に炎を纏わせ、気配の正体にパンチをくらわす

 

『カーー!』

炎が出たからか、辺りが少しだけ明るくなった

そこに居たのは、まるでシルクハットを被ったようなカラスのポケヤミーがいた

 

『カーー!』

言葉を発さない

もしかして、こいつは『ドンカラス・ヤミー』では無いのか?

 

『…カーー!』

ライト「うおっ!」

 

意表をつかれた俺は後ろに倒れる

と、背中に何かが当たる

 

レン「おい、何をやっている?」

ライト「…レン!」

ヒビキ「ライト君、大丈夫?」

ライト「あ、うん、大丈夫です!」

レン「あれがポケヤミーの正体か?」

ライト「いや、あれは多分『ドンカラス・ヤミー』が生み出した子分だよ。本体じゃない」

レン「…なるほど。ならば…変身」

と、レンは変身すると同時に、瞬間移動しポケヤミーの首を掴んだ

 

『カ!カーー!』

レン「……親分の居場所を教えろ」

『カーー!カーー!』

レン「……無能が」

レンは動きが取れないポケヤミーの腹にパンチをくらわせた

ポケヤミーは木っ端微塵のなった

 

レン「…ふんっ」

ライト「…いつもより不機嫌だな、レン」

レン「…なんの事だか」

ヒビキ「ライト君、彼の事は放っておこう」

と、ヒビキさんは歩いて行ってしまった

 

ライト「え?ちょ…」

俺はレンの顔を伺う

 

今朝の事、まだ気にしてたのか…

 

そんな事を思わせる表情だった

 

でも、俺は確信していた

この戦いが終われば、2人の喧嘩も収まることを

 

 

スズの塔

その頂上

1匹の大鳥が、夕日を眺めていた

 

『ショオォーーッ!』

 

To be continued




次回予告

スズの塔 弐ノ階を突破するため、ライトは新たな進化をする!
ライト「まだまだこっからだ!」
スズの塔を攻略するため、ライト達は手分けをして捜査を行う
陸ノ階のいた者とは?

最後に待ち受けている者は、一体何者なのだろうか

第二十三話「羽ばたけ!スズの塔 陸ノ階」


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第二十三話「羽ばたけ!スズの塔 陸ノ階」

前回のあらすじ

鳳凰のことをもっと調べるため、図書館にやってきたライト達
ライトはそこで、不思議な老人に会う
ボンジイと名乗るその人は、長年鳳凰を追っていた者だった

スズの塔へと足を運んだライト達
そこに居たのは、鳥のポケヤミーだった
何故ポケヤミーがいるのか不安の中、ライト達はスズの塔を登っていく──


カズマ「なんてこった。懐中電灯が使えないとは…。灯りをつけてもほとんど見えない」

メグ「多分、ポケヤミーが何か細工したんだろうね」

メガミ「1寸先は常に闇!とか言ってましたよね」

カズマ「闇のカラスか、まさにポケヤミーだな」

メグ「でもほんと、何でこんなとこにポケヤミーがいるんだろう?」

カズマ「今回に関しては、ポケヤミーがゲームをしている感覚に近いな。いつもは残虐に人を殺すのに、今回は一転、僕達を追い返そうとしている」

メグ「うーん、不思議だねー。ね、メガミちゃん」

………

 

メグ「…あれ?メガミちゃん?」

振り返ったが、そこに人の気配はしなかった

 

メグ「……やば」

 

 

ヒビキ「ライト君、彼の事は放っておこう」

初めて見るヒビキさんの不機嫌姿

 

レン「…ちっ!」

こっちは見慣れたな

 

ヒビキ「ライト君、君は、どうしてヒーローになりたいの?」

ライト「え?」

ヒビキ「ほら、言ってたじゃないか。ヒーローになるのが夢だって」

レン「……」

ライト「あぁー、……どうしてだろう?」

ヒビキ「え?」

ライト「思えば、どうして俺は、ヒーローになりたいんだろう」

ヒビキ「理由が、分からないのかい?」

ライト「んー、人を守りたいなら、警察官とか、自衛隊とか、あったんだろうけど。なんにせよ、かなり昔からの夢だからなぁ〜」

ヒビキ「そうなんだ、凄いね」

ライト「はい?」

ヒビキ「そんなに長く同じ夢を持つことは、凄いことだよ」

ライト「そ、そうですかね」

ヒビキ「そうだよ!」

顔は暗くて見えないけど、笑っていることはわかる

 

ライト「まぁ、こんな夢だから、色んな人に馬鹿にされましたけど」

ヒビキ「…そう、なんだ」

ライト「はい。でも…」

ヒビキ「…でも?」

ライト「……でも、家族のみんなは、俺の夢を認めてくれていました」

レン「……」

ヒビキ「…そんなんだ」

ライト「はい。母さんも、ユイ叔母さんも、叔父さんも、メグも、メガミだって」

ヒビキ「……」

レン「……」

ライト「……そんな人達に囲まれたから、俺はヒーローになりたいって、更に思ったんです。だから、ヒビキさんがあの時、「人の夢を馬鹿にするな!」って言ってくれた時、俺、嬉しかったんです。直接的じゃないけど、ヒビキさんにも俺の夢を認めて貰えた気がして」

ヒビキ「…そうだったんだ。それは、何よりだよ」

ライト「はい!」

俺は、自然と笑顔になった

暗くて見せられないけど、きっと我ながら最高の笑顔だと思う

 

ヒビキ「夢はさ、叶えるまで、無くならないものだよ」

ライト「…え?」

ヒビキ「僕はそう信じてる。僕らはまだ道の途中にいる。発展途上の人間だから。だから、まだまだこれからなんだよ」

ライト「…まだまだ、これから……」

ヒビキ「そう!何事もまだまだなんだ。そして、響かせよう!轟かせよう!僕達の夢を!」

ライト「…はい!」

すると、俺の懐が光りだし、メガストーンが封印を解き始めた

 

ライト「これは、「ライボルトナイト」?」

レン「!」

そのメガストーンは、以前倒したライボルトのものだった

黄色をベースに青と赤の模様が入っている

 

ライト「…!そうだ!閃いた!」

ヒビキ「?」

ライト「まぁ、見ててください!変身!」

俺は仮面ライダーへと変身し、ライボルトナイトを構える

 

ライト「こいつ確か、雷の技使えたよな?」

レン「…そうか、なるほどな」

ライト「そういう事、フォルムチェンジ!」

 

メガシンカ!ヘンシーン!

ライボルト!

ララライ!ララライ!ライボルト!

 

俺の体は少し薄い青色に変色し、頭部から稲妻のような(たてがみ)が生える

手足の爪が赤色になり、手首にも黄色い稲妻の装飾が装着られた

弾けるような髪質

まるで雷に打たれたあとみたいだ

 

ライト「雷轟の戦士!仮面ライダーバーサ!ライボルトフォルム!」

 

ライト「ほうでん!」

俺は全身から放電すると、辺りが少しづつ明るくなった

 

するとびっくり、無数のカラスのポケヤミーが俺達を見下していた

 

ヒビキ「なるほど。電気の力で明るくしたわけか!」

ライト「そういう事!はっ!」

俺は両手の手先に力を入れた

すると、元々赤色だった爪が黄色に変色し、徐々に伸びていき

稲妻のような形の三本爪《ライボルトクロー》が出現した

俺は両手を振りかぶると、烏合の衆に飛びかかった

 

ライト「ワイルドボルト!」

ものすごいスピードで、ポケヤミーを蹴散らしていく

このスピード、まるで雷だ

雷の化身とでもいうのか?

 

ライト「かみなりのキバ!」

両手の《ライボルトクロー》を合わせて、キバのように斬撃をくらわす

 

『カーー!』『カーー!』『カーー!』

無数のカラスのポケヤミーは負けじと俺に襲いかかる

 

ライト「…へへ、まだまだこっからだ!」

もちろん俺は負ける気が無い

 

再び雷鳴が轟いた

 

 

遡ること少し前

 

メグ「お父さん、やばいよね」

カズマ「あぁ、まずいな」

メグ「メガミちゃんどこ行っちゃったんだろう」

カズマ「ひとまず分かったことは、この闇のせいで、灯りが使えないこと、そして声も届かないこと。これだけ呼んでも返事がないんだ」

メグ「そうだね、手探りで見つけるしかないね」

カズマ「あぁ」

 

 

メガミ「うぅぅぅ」

怖い

暗い

寂しい

 

この時代に来て数ヶ月

この時代には慣れてきたつもりだけど、唯一慣れないのが

暗闇の怖さ

未来の暗闇とはまた違う

あれはポケヤミーという怪物が生み出したものだと分かっているから、怖くなかったけど

この暗闇は、ポケヤミーのものではあるけど、何か違う

シンプルに怖いぃぃ!

 

『カーー!』

メガミ「ひぃっ!」

あぁあぁあぁああぁあぁああぁ

ライトさんんんんんん

メグさんんんんんん

カズマさんんんんんん

レンさ……

 

……

レンさんは、何故あんなにも夢を嫌うんだろう

 

夢を持てば、こんなにも世界は美しいのに

美しくなるのに

……

 

メガミ「……はぁ」

なんで皆ともっと仲良くできないんだろ

 

と、遠くの方でピカっと稲光が見えた

同時に物凄い雷鳴

 

これは……

 

 

ライト「かみなりのキバ!」

ポケヤミーを蹴散らしていく俺

壁や天井を蹴りながら屯するポケヤミーを倒して行った

 

ライト「よし!」

これまでは順調だ

あとは、『ドンカラス・ヤミー』を見つけるのみ

 

ライト「かぎわける!」

俺は嗅覚に神経を集中させ、嗅ぎ分けた

 

ライト「……そこか!」

微かだが、一際強いオーラを嗅ぎ取った

 

木製の壁を破壊したその向こうには、胸元が白い毛で覆われ

ハットを被ったようなカラスのポケヤミーがいた

 

『よく見つけたな!だが、やはりここを通す訳にはいかん!私と戦え!』

ライト「言われなくてもそのつもりだよ!かみなり!」

俺は高く飛び上がり、垂直にポケヤミーに飛びかかる

 

『ぐほっ!……いい攻撃だ!』

ライト「行くぜ!」

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

ライボルト!

ライトニング!モーメント!

 

ライト「ライトニングモーメント!」

俺は《ライボルトクロー》を構え、相手を定める

次の瞬間には、俺は相手に斬撃をくらえていた

 

まさに、霹靂一閃

 

『…ぬっ!ぐっ!ぐはぁぁぁ!』

『ドンカラス・ヤミー』は儚く散った

 

ライト「……よし!」

 

すると、暗かったこの階の闇が晴れ、明るくなった

 

メグ「ライト君!」

カズマ「やったな、ライト」

ヒビキ「良かった、皆も無事だったんだね」

レン「……」

 

すると、遠くからメガミが走ってきた

 

ライト「良かった、メガミも無事で…って、うおっ!」

急にメガミが俺に抱き着いてきた

 

メグ「わぁお!」

メガミ「……」

ライト「メガミ?どうした?」

メガミ「…ライトさん!雷の力があるのなら言ってください!」

ライト「え?」

メグ「あ〜、メガミちゃん雷も怖い感じか〜」

メガミ「そ、そういう意味では!…ぐすっ」

ライト「あ〜悪かったよメガミ!さっき手に入れた力なんだ」

メガミ「言い訳は聞きたくありません!」

ライト「いや、言い訳では……」

 

なんやかんやあり、俺達は弐ノ階を後にした

 

 

ライト「この調子だと、毎階にポケヤミーがいるな」

カズマ「そうだな、何か手を打たないとな」

 

〜参ノ階〜

 

カズマ「よし、ここからは手分けしよう。多分だけど、この階も、その先の階もポケヤミーが出てくるだろう。そこで、この階はメグ、4階がレン、5階はメガミが戦って欲しい」

ライト「俺は?」

カズマ「ライトは、ヒビキ君と一緒に6階に向かってくれ」

ライト「分かった」

ヒビキ「はい」

カズマ「メガミ、一応だが、俺が付いておくよ」

メガミ「は、はい!助かります」

メグ「じゃあこの階は任せて!」

レン「承知した」

作戦を立て、メグを置いて4階へと向かった

 

レン「何かあったらすぐに報告しろよ!」

メグ「分かってる!」

 

 

メグ「さぁ〜てと、がんばるぞ〜!」

意気込んで先に進むと、辺りは何故か砂漠のように砂が敷いてあった

 

『1人でやってくるとは、粋な小娘だな』

メグ「出たね!ポケヤミー!」

目の前に現れた鳥のポケヤミー

ガラガラ声で、ハゲワシのような見た目に、骨を彷彿とさせる装飾を身につけている

 

『吾輩は『バルジーナ』!貴様を骨抜きにしてやる!』

メグ「……行くよ!ディアンシー!変身!」

 

レジェンド!ヘンシーン!

ディアンシー!

ディ!ディアン!ディ!ディアン!ディアンシー!

 

メグ「幻の戦士!仮面ライダー!ビジオン!」

 

メグ「これが本物の幻よ!」

 

〜肆ノ階〜

 

『一つ…喜びは世界を狂わし、二つ…悲しみは生き物を狂わし、三つ…怒りは人を狂わせる!……『ドードリオ』様の!お通りじゃ!』

ダチョウのようなポケヤミーだが、頭が3つある

3つの頭がそれぞれ喋りだし、俺達を威嚇する

 

ライト「出たか!ポケヤミー!」

レン「俺が相手だ」

カズマ「レン!あとは任せたぞ!」

レン「心配無用だ、早急に片ずける」

 

 

レン「……さてと、お前はどんな遊びを持ってくるんだ?」

『なんだ?「叩いて被ってジャンケンぽん」でもしたいのか?』

レン「…ふっ、お断りだね!」

 

レジェンドライバー

 

レン「ミュウツー、俺に従え。変身」

 

レジェンド!ヘンシーン!

ミュウツー!

ミュウ!ツー!ミュウ!ツー!ミュウ!ツー!ツー!

 

レン「伝説の戦士、仮面ライダー、レジェン」

 

レン「さぁ、伝説の始まりだ」

 

〜伍ノ階〜

 

メガミ「皆さん、頑張って下さい!」

カズマ「頑張れよ、ライト、ヒビキ君」

ライト「あぁ!」

ヒビキ「はい!」

 

 

少し暗い空間

 

カズマ「さて、ポケヤミーは何処にいるんだ?」

メガミ「まずはそこからですね」

『レディースアンドジェントルマン!』

カズマ「な!なんだ!?」

急にライトアップが行われ、その光の先にいたのは

 

『ご紹介しましょう!我々の名は!『カモネギ』!』

かものようなポケヤミー、手には細いネギを持っていて、マイクのように使っている色は薄茶色

そして、もう一体

先程のポケヤミーと違い、色は濃い茶色で、目力が強く、太いネギを担いでいる

 

喋っているのは薄茶色の方

 

『今宵、勝敗をつけるのは!これだ!』

ライトアップが解け、部屋全体が明るくなると、そこにあったのはキッチンスタジオだった

冷蔵庫やまな板、包丁

キッチンは2つある

 

『ネギ料理対決だぁぁぁ!』

メガミ「え!?」

私はキッチンの前へと立たされ、エプロンを着させられた

もう一体の『カモネギ•ヤミー』もキッチンの前へと立ち、太いネギを置いた

 

カズマさんは、別の席に座らされ、前掛けを掛けられていた

横には薄茶色の『カモネギ•ヤミー』

 

『審査員は!この私!そして!このお兄さん!』

カズマ「え!?僕!?」

 

薄茶色の『カモネギ•ヤミー』は濃い茶色の『カモネギ•ヤミー』に近づき、マイク、もといネギを向けた

 

『意気込みをどうぞ!』

『……ギャモッ!』

『なるほど〜、気合い充分!こちらのお嬢さんは?』

すると、私にもネギを向ける

 

メガミ「あぁ、えっと、頑張ります!」

カズマ「メガミ!大丈夫なのか?奴らは何をしてくるか分からないぞ!」

メガミ「大丈夫です!料理はレンさんに色々と教えてもらいましたから!それに、いざとなったら戦える準備もしてあります!変身!」

 

メガシンカ!ヘンシーン!

タブンネ!

タブンネ!タブンネ!タ・タ・タブンネ!

 

メガミ「癒しの戦士!仮面ライダー!エンゼル!」

 

メガミ「私が皆を癒してみせる!」

『はい!頑張ってください!それでは、対決開始だぁぁぁ!』

カーンッとベルの音が鳴ると、濃い茶色の『カモネギ・ヤミー』は作業に取り掛かった

私も変身状態ではあるものの、料理は出来る

包丁を持ち、ネギをザクっと切った

 

 

ヒビキ「皆、大丈夫かな?」

ライト「大丈夫ですよ!だって……」

俺は振り返り、ヒビキさんを見る

 

ライト「…俺の仲間ですもん!」

ヒビキ「…そうか、うん、そうだね!」

 

〜陸ノ階〜

 

ライト「おいおい、なんじゃこりゃ」

俺が見て驚愕した意味

それは簡単だった

 

ライト「……なんで天井が見えないんだ?」

俺がいた6階、そこには天井がなかった

と、言うより、天井が高すぎて見えなかった

 

ライト「スズの塔は10階建ての筈だけど…」

ヒビキ「もしかしてこの高さ、5階分がそのまま1階分扱いされてるんじゃ?」

ライト「…これもポケヤミーの仕業か」

『その通り!』

ライト「!」

俺は驚いた

見上げたその先には、五体の鳥のポケヤミーがいたからだ

 

『オオスバメ!』

『ムクホーク!』

『ケンホロウ!』

『ウォーグル!』

『ファイアロー!5体揃って!』

『『『『『翽戦隊(はばたきせんたい)!トリンジャー!』』』』』

 

ライト「……」

華麗にポーズを決めるポケヤミー達

 

俺もいつもこんな感じなのかな?

 

想像すると寒気がしてきた

 

ファイアロー・ヤミー『人間よ!ここは通さん!』

(はやぶさ)のようなポケヤミー

赤色と灰色の鳥のポケヤミー

すっげーイケボ

 

ムクホーク・ヤミー『今すぐ出ていかないのであれば…』

(たか)のようなポケヤミー

前髪みたいな鶏冠のポケヤミー

クールな声

 

ケンホロウ・ヤミー『俺達が相手する!』

(きじ)のようなポケヤミー

目元から赤い装飾が施されている

以外にも高い声

 

ウォーグル・ヤミー『観念しな!』

(わし)のようなポケヤミー

荒々しい声をしている

 

オオスバメ・ヤミー『成敗する!』

(つばめ)のようなポケヤミー

ドスの効いた声をしている

 

ライト「なんだか知らないけど!ポケヤミーなら倒すまでだ!」

俺はバシャーモナイトを構えた

 

ライト「行くぜ!相棒!」

 

セット!

メガシンカ!ヘンシーン!

 

ライト「変身!」

 

バシャーモ!

ババッバッバッババッバッバシャーモ!バッバッバシャーモ!

 

ライト「熱き炎の戦士!仮面ライダー!バーサ!」

 

ライト「燃えるぜ!」

 

 

ヒビキ「…ライト君、すごいなぁ。あんな大量の怪物に立ち向かうなんて」

僕はもの陰に隠れ、ライト君の戦いを見ていた

 

「俺、嬉しかったんです」

 

「ヒビキさんにも俺の夢を認めて貰えた気がして」

 

ライト君は、僕が言ったことに対して、喜んでくれた

僕の夢は確かに叶わないかもしれない

でも、追うことは出来る

追いかけることは出来る

そう教えてくれたのは

何者でもない

ライト君だよ

 

ライト「はぁっ!」

 

君のような青年に会えて、僕は良かった

君が僕の夢を応援するって言ってくれた時

僕はたまらなく嬉しくなった

誰かに認められる事が、こんなにも、僕を満たすなんて

知らなかった

 

君に、ただ一言言いたいよ

 

ありがとう

 

ライト「はぁっ!やっ!はっ!」

 

君なら、きっと凄いヒーローになれるよ

最高のヒーローに

 

だから、僕も負けていられない

僕も絶対に、鳳凰に会うよ!

 

……

……

……チャリンッ

 

ん?なんだ?

 

……チャリンッ

 

この音は……

 

……チャリンッ

 

あの日、あの時聞いた…

 

チャリンッ……チャリンッ

 

鈴の音

 

ヒビキ「……鳳凰?」

 

 

……チャリンッ……チャリンッ

 

『…………ショオォーー!』

 

To be continued




次回予告

各階で奮闘するライト達
そこでレンが、超絶大進化!
レン「伝説は、ここから始まる!」
さらに!
ライトも新たな進化!
ライト「俺は悪党じゃねぇ!正義のヒーローだ!」

そして……

ヒビキ「……鳳凰、君なのかい?」
『……ショオォーー!』

鳳凰、降臨

第二十四話「不死の鳥 ホウオウ 降臨」


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第二十四話「不死の鳥 ホウオウ 降臨」

前回のあらすじ

弐ノ階へと足を踏み入れたライト達
暗闇の中、行動を別々にする中、ライトはライボルトフォルムとなってポケヤミーを圧倒
参ノ階ではメグが
『貴様を骨抜きにしてやる!』
肆ノ階ではレンが
『一つ…喜びは世界を狂わし、二つ…悲しみは生き物を狂わし、三つ…怒りは人を狂わせる!』
伍ノ階ではメガミとカズマが
『レディースアンドジェントルマン!』
陸ノ階はライトとヒビキが
『翽戦隊!トリンジャー!』
各階で戦うライト達
そこでは壮絶な戦いが繰り広げられていた!



『シャァァァ!』

メグ「はぁっ!」

『バルジーナ・ヤミー』は、空中から飛びかかってくる攻撃が主

だけど、それが手強い!

 

メグ「わっ!」

『へへへ!どうだ!吾輩の力は!』

メグ「へっ!そうでも!パワージェム!」

『へへへ!そんな攻撃は吾輩には効かぬ!』

ビームを飛びながら躱すポケヤミー

 

『シャァァァ!』

また攻撃してくる

私は身構え、体勢を整えるため、足を踏み込んだ

だけど

 

『シャァァァ!』

メグ「くっ!」

砂場のせいで、足が上手く踏み込められない

私は砂場を転がった

 

『へへへ!無様だな!小娘よ!』

メグ「くっ……、まだまだ!」

私は立ち上がり、手を前に構える

 

メグ「ダイヤストーム!」

無数のダイヤを出現させ、ポケヤミーに向かって飛ばす

しかし、やはりポケヤミーは攻撃を躱す

飛び道具は使えない

そうなれば!

 

私は今度は地面に手を置く

 

メグ「ストーンエッジ!」

地面から巨大な岩石が飛び出し、ポケヤミーを攻撃する

しかし

 

『どうした?届いてないぞ?』

メグ「…くっ」

 

やばい、為す術なし……

 

 

レン「三頭のポケヤミーか、珍しいのがいるもんだ」

『あ!ねぇねぇ今褒められた?』

『違うよ、きっと彼は僕達を貶したんだ、とほほ…』

『どうでもいい!今の俺は不機嫌だ!行くぞ!』

レン「……やかましい奴らだ」

 

『ケェェェ!』

レン「真っ向勝負か、いいだろう。はどうだん!」

俺は手の内にエネルギー弾を出現させ、真っ向に走ってくる『ドードリオ・ヤミー』に放った

 

『ケェ!』

レン「なっ!」

ポケヤミーはそれを躱し、俺の真後ろまで飛んできた

翼はない

脚力の問題か

 

レン「サイコカッター!」

尻尾を靡かせ、閃光を放つ

 

『ケケケ!』

レン「何っ!」

奴は再び俺の攻撃を躱した

後ろを向いていたはずなのに、何故だ?

いや、違う

正しくは奴は後ろを向いていない

後ろを向いていたのはひとつの頭だけだ

ほかの二頭は、こちらを視界に入れていた

だから、躱せたのだ

 

レン「厄介だな」

『あ!今のは褒めたでしょ!』

『厄介って言われたぁ!とほほ…』

『うるせぇ!お前ら!』

レン「……厄介だな…」

ペースが乱れる

どうやら、俺と奴とは、相性が悪いらしい

 

 

まな板に横たわっているネギをリズム良く切っていく

 

対戦相手である『カモネギ•ヤミー』は、人参や玉ねぎを切っていた

一体何を作るのだろう

 

料理をするのは、これが初めてではない

でも、なんなの?

このとてつもない緊張感

今にも包丁を落としてしまいそう

 

私は司会者である『カモネギ•ヤミー』を見る

このポケヤミー、一体何を考えているの?

もし、私がこの勝負に負けたら、カズマさんはどうなるの?

 

もし、もしカズマさんに何かあれば、私は

皆に顔向け出来ない…

 

ネギを切っていた私の手が止まる

 

カズマ「……メガミ…」

 

思い出して、私が何故、料理を始めたのか……

 

 

メガミ「レンさん、おはようございます」

レン「メガミか、早いな」

メガミ「そうですか?いつも通りですよ」

レン「……そうか」

メガミ「はい!」

レン「……」

メガミ「……」

レンさんは料理をしていた手を再び動かし、会話が終わってしまった

 

時々思う

レンさんはもしかして、私の事が嫌いなのかなって

目が合ってもすぐに逸らされるし、会話もろくに続かない

 

何か、レンさんと意気投合できる話題はないか……

 

と、レンさんは何かを掬ったお玉の中身を小皿に移し、それを飲んだ

 

レン「……まぁまぁだな」

メガミ「…なんですか?それは」

レン「これか?今日はなめこの味噌汁にしようと思う」

メガミ「味噌汁、ですか。私、食べた事ありません」

レン「そうか、それじゃあ…」

と、レンさんはさっきと同じ小皿に、再び味噌汁をよそり、私に渡してきた

 

レン「味見だ、試してみろ」

メガミ「……はい…ゴクッ…!」

私は驚いた

美味しい

こんなに少ない量で、しっかりと味がついたお汁に、なめこのヌメヌメ感が少しだけ伝わってきた

 

レン「どうだ?」

メガミ「……お、美味しい、です…」

思わずカタコトになってしまう

 

レン「…そうか」

私はレンさんを見た

レンさんは少しだけ笑っていた

表情には出てはいないが、心の奥で喜んでいるのがわかる

 

……そうだ

 

私は思い至って、レンさんに話しかけた

 

メガミ「レンさんは、何故料理をするのですか?」

少ししてから、レンさんは答えてくれた

 

レン「…キッカケは、お袋だ」

メガミ「……レンさんの、お母様…ですか」

レン「うちのお袋は、天真爛漫な人でな、何かと俺に進めてきた。親父もそうだ」

メガミ「……」

レン「ある時、お袋が体調を崩してな、暫く入院する事になった。その時、お袋が言った──」

 

 

ユイ「ごめんね、レン」

レン「気にしないで、ママ」

ユイ「明日から学校だって言うのに、ほんっと使えない女ね…」

レン「大丈夫だよ!小学校位1人でも大丈夫!」

ユイ「でも…、お弁当はどうするの?」

俺の母校である常磐小学校は、給食制ではなく、持参制だったため、本来はお袋が弁当を作るはずだった

 

レン「じゃあ、僕が作るよ!」

ユイ「…えっ?」

レン「僕がお弁当を作って、ママにも食べさせてあげる!」

ユイ「…そう!楽しみにしてるわね!」

レン「うん!」

そして俺は、家に帰って親父と一緒に弁当作りに励んだ

 

料理は初めてだった

弁当も、最初は色彩がなく、茶色ばっかになってしまった

 

暫くして、お袋が退院した

そこから、お袋に色々なことを教えて貰った

そして、お袋に最初に教えて貰った料理が、味噌汁だった

 

ユイ「味噌汁はね、ママにとっても大切な料理なの。この料理のおかげで、あの人(カズマ)とも結婚出来たのよ?」

 

その後も、俺は色々な料理を教えて貰った

 

 

レン「そして、俺が旅に出る前、お袋がこれを渡してくれた」

レンさんが渡してきたのは、1冊のノートだった

 

メガミ「「これを読めば貴方も☆5コック!ユイのレシピノート!」?」

そこには、そういう風に、黒マジックで書いてあった

中にはぎっしりと料理のレシピが書いてあった

 

そして、1番左のページには、味噌汁のレシピ

 

メガミ「……凄い…」

レン「俺はそれを熟読して、今では完璧に覚えている。それはお前にやる」

メガミ「え!?良いんですか?」

レン「あぁ、またその気になったら教えてやる」

メガミ「はい!ありがとうございます!」

レン「……」

 

私は、それから料理を猛特訓した

でも、まだ誰にも食べさせてはいない

 

レン「何故味見だけなんだ?普通に美味しいぞ」

メガミ「普通じゃダメなんです!とびきり美味しくなければ!」

レン「何故そこまで求める?」

メガミ「……1番に食べて欲しい人がいるので…」

レン「……そうか」

 

私が料理をする理由、それは──

 

 

とびきり美味しい料理を、あの人に1番に食べさせたい!

 

メガミ「…私は!負けない!」

私は残りのネギを全て切り刻み、ステイさせる

 

お湯を沸かし、出汁をとり、ステイさせていたネギを入れる

味噌を溶き、少しだけ火を通す

 

茶碗に移し、完成

 

 

『さぁ!両者とも完成したそうです!では見ていきましょう!』

司会者の『カモネギ・ヤミー』が淡々と喋る

『カモネギ•ヤミー』とカズマさんの目の前には、クロッシュが二つずつ並んでいる

 

『では!カモネギ選手から!』

『……ギャモッ』

対戦相手の『カモネギ•ヤミー』がクロッシュの蓋を開ける

 

カズマ「…ネギ、カレー?」

皿の上には、ご飯と共にキラキラしているルーが乗っかっているカレーと、その上には、図太いネギが乗っかっている

 

『これはまた斬新ですね!では!』

司会者の『カモネギ•ヤミー』とカズマさんは同時にネギカレーを口に運ぶ

 

カズマ「なるほど、カレーのピリッとした要素を、ネギのほんのり甘い要素で緩和させているのか。これは以外にも上手いな」

好評のネギカレー。対戦相手の『カモネギ•ヤミー』は誇らしげにしている

 

『それではお次!メガミ選手!』

メガミ「……はい」

私はクロッシュの蓋を開ける

 

カズマ「……味噌汁?」

『ネギの味噌汁ですか!では!』

同時に口に運ぶ2人

 

カズマ「これは!一見質素に見える外見だが、中にはたっぷりのネギが。そして、そのネギがお味噌の味を引き出している!」

『ん〜〜!』

カズマ「まさに!ユイの味だ!」

メガミ「…はい!」

良かった、気付いてくれた

私はあの日から、この、味噌汁だけを特訓し続けていた

まさかここで成果が出るとは…

 

『さぁ!それではジャッジに移ります!カズマさん!判定をどうぞ!』

カズマ「え!?僕!?」

正直、どちらも美味かった

ネギが少しだけ苦手な僕でも、楽々食べれるくらいには…

これはネギ料理の真剣勝負

でも、僕は…

 

カズマ「申し訳ないが!僕は少しだけ!私情を挟む!美味かったのは!メガミ!君の料理だ!」

メガミ「……!」

『…ギ、ギャモッ!!』

『勝者はメガミ選手でした!それでは!また次回お会いしましょう!さようなら〜〜』

と、2体の『カモネギ•ヤミー』は突然爆発した

 

メガミ「…やった!」

カズマ「あぁ、やったな!メガミ!」

メガミ「はい!」

 

伍ノ階 突破

 

 

メグ「やっ!はっ!」

『へへへ!全然届いてないぞ?小娘!』

メグ「ぐぬぬ!こうなったら!フォルムチェーンジ!」

 

レジェンド!ヘンシーン!

ボルケニオン!

ボル!ボル!ボルケニオン!

 

メグ「爆熱の戦士!仮面ライダービジオン!ボルケニオンフォルム!」

 

私の身体は赤色に変色し、鋼鉄の身体に。爪は黄色に

背中から2本の太いアームが出ており、真ん中で繋がっている

アームの中には水が入っている

 

『姿が変わったからなんだと言うのだ!?』

メグ「今に見てなさい!」

私はアームを2つとも床につけると、叫んだ

 

メグ「スチームバースト!」

すると、床の砂は一気に舞い、辺りを砂嵐にさせた

 

『なっ!なんなんだ!』

 

レジェンド!ヒッサーツッ!

ボルケニオン!

トランセンデンスホットエアー

 

メグ「トランセンデンスホットエアー!」

私は2本のアームを『バルジーナ・ヤミー』に向けた

 

メグ「……ぶっ飛べっ!」

アームの先から大量の熱風が飛び出し、ポケヤミーを包む

次に見えたのは、全身骨になったポケヤミーだった

ポケヤミーは灰のように散っていった

 

メグ「ゴホッゴホッ…ちょっとやりすぎたかな?」

 

参ノ階 突破

 

 

『ケェェェ!』

レン「お前らと遊んでいる暇はない。すぐに終わらせるぞ」

俺は懐からひとつのメガストーンを取り出す

 

ドロップ!

リード!レジェンド!ヘンシーン!

 

レン「……フォルムチェンジ」

 

サンダー!ファイアー!フリーザー!

トライ!フュージョン!

サーファーイザー!

 

レン「大空の戦士!仮面ライダーレジェン!サファイザーフォルム」

全身の色が3色に変色する

真ん中は黄色がかった白に、右は黄色と黒に、左は水色に変化した

右肩には黄色と黒の嘴が長い鳥の頭部が、左肩には、頭から氷が飛び出している鳥の頭部が、胸には、頭から炎が飛び出している鳥の頭部がある

東部は、色が三等分され、右がギザギザして、真ん中が燃え盛り、左は氷がつんつんしている

 

これは3匹の伝説のポケモン

サンダー、ファイアー、フリーザーの3匹の力が融合したものだ

電気、炎、氷の技を同時に使え、現状最強の力だ

 

『ケェ!?』

レン「伝説は、ここから始まる」

ただし、遊んでいる暇はない

この力を扱うには、俺はまだまだ実力が足りない

 

レジェンド!トライ!ヒッサーツッ!

サファイザー!

エレクトリックフレイムブリザード

 

レン「エレクトリックフレイムブリザード!」

俺は全身に、炎、電気、氷を纏わせ、高く飛び立つ

すると背中から6本の翼が飛び出た

それぞれ電気と炎と氷を纏わせている

 

レン「…はっ!」

足を思い切り突き出し、『ドードリオ・ヤミー』にキックを放つ

 

『ゲェェェェ!』

『ドードリオ・ヤミー』は断末魔を吐きながら消え去った

 

レン「…ふぅ」

変身を解く俺

これに慣れるのも、時間がかかりそうだ

 

肆ノ階 突破

 

 

ライト「くっ!ぬっ!」

ファイアロー・ヤミー『フィーー!!』

ケンホロウ・ヤミー『フョーー!!』

ムクホーク・ヤミー『ホーー!!』

ウォーグル・ヤミー『ギャァーー!!』

オオスバメ•ヤミー『ゴォーー!!』

五体の猛攻撃を俺は何とか躱していた

だが…

 

ライト「がっ!」

そういう訳には行かない

 

オオスバメ•ヤミー『ははっ!どうだ!』

ライト「…くそっ!」

俺が攻撃しようとしても、スズの塔の半分がこの階

つまり、5階分の高さがある

鳥である奴らは、その中を自由自在に飛び回れるが、あいにく俺には、2階分までしか飛べない脚力しかない

バシャーモも鳥の筈だけど、この鶏冠。何となくわかる

仕方がない

 

俺が、もっと高く飛べたら…

 

ファイアロー・ヤミー『どうだ!不法侵入者め!』

ケンホロウ・ヤミー『安易に立ち入るからそんな目に遭うのだ!』

ムクホーク・ヤミー『悪党に相応しい最期を向かわせてやる!』

ウォーグル・ヤミー『派手になっ!』

ライト「俺は……」

オオスバメ•ヤミー『ふふ、はぁーーっ!』

 

俺は……

 

ライト「悪党じゃねぇ!正義のヒーローだ!」

すると、俺の懐からメガストーンが飛び出した

そのメガストーンは『オオスバメ•ヤミー』を攻撃し、俺の元に帰ってきた

 

ライト「これは…」

これは、二ビ科学博物館の館長がくれた……

 

ライト「……よし!行くぜ!」

俺はそのメガストーンをメガドライバーにセットした

 

セット!

メガシンカ!ヘンシーン!

 

ライト「フォルムチェンジ!」

 

ピジョット!

ピ!ジョット!ピ!ジョット!ピジョット!

 

俺の身体は白とオレンジ色に変色し、腕が翼のように変形した

翼の先は青色になっている

かろうじて手はある

短めの黄色とピンクの鶏冠の中に、一筋だけ長いピンク色の鶏冠がある

目元が黒くなり、立派な嘴が生える

 

ライト「飛翔の戦士!仮面ライダーバーサ!ピジョットフォルム!」

俺は新たな進化をした

 

ファイアロー・ヤミー『むっ!何だそれは!』

ポケヤミー達は俺を警戒し、上へと飛び立った

 

俺はそれを見て、手の内に弓矢のような武器を出現させた

 

弓は翼のように羽毛があり、先が青色

矢はあるのではなく、生成するようだ

名付けて、《ピジョットアロー》

 

俺は《ピジョットアロー》を構え、思い切り弦を引く

狙いを定め生成した矢を放った

 

ライト「エアスラッシュ!」

ウォーグル・ヤミー『ぐおっ!』

矢は『ウォーグル・ヤミー』に命中し、『ウォーグル・ヤミー』は墜落しながら爆発した

 

ファイアロー・ヤミー『ウォーグル!』

ムクホーク・ヤミー『大丈夫だ!相手はまだ地面にいる!そこを叩けば……』

ケンホロウ・ヤミー『なら俺が行く!』

ライト「……来た!」

急降下してくる『ケンホロウ・ヤミー』

これでは間に合わない

だが、俺はこんな程度ではない!

 

ケンホロウ・ヤミー『フョーー!』

ライト「…っ!つばさでうつ!」

俺は弓に力を込めて叩いた

脳天を叩かれた『ケンホロウ・ヤミー』は爆発した

 

これ意外と使えるな

 

オオスバメ•ヤミー『まだだ!』

今度は『オオスバメ•ヤミー』が攻撃を仕掛ける

 

オオスバメ•ヤミー『ゴァーー!』

嘴に力を込めてつついてきた

 

《ピジョットアロー》でそれを塞いだ俺

 

ライト「オウムがえし!」

俺は嘴に力を込めて、奴と同じ攻撃をした

 

連続で攻撃を受け、『オオスバメ•ヤミー』は爆発した

 

ムクホーク・ヤミー『むっ!あとは我々だけか…』

ファイアロー・ヤミー『ぐぬぬ…』

まだ上空にいる2体のポケヤミー

 

俺は腕をばたつかせ、飛び立った

 

ライト「飛んだ!」

『ムクホーク・ヤミー』の目の前に来た俺

 

ムクホーク・ヤミー『なっ!』

ライト「ぼうふう!」

俺は翼をひたすらにばたつかせ、暴風を生み出した

『ムクホーク・ヤミー』はスズの塔の壁に押さえつけられ、その風圧に負けた

 

ライト「あとはお前だけだ!」

ファイアロー・ヤミー『おのれ!』

空中戦

激しい戦いが繰り広げられた

 

ライト「はっ!これで決める!」

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

ピジョット!

バード!フライングショット!

 

ライト「バードフライングショット!」

俺は床に降り立ち、《ピジョットアロー》を構え、弦をめい一杯引き、矢にエネルギーを溜め込む

 

ファイアロー・ヤミー『させるか!』

急降下してくる『ファイアロー・ヤミー』

俺は限界まで引き寄せ、弦を放った

 

ライト「はっ!」

矢は『ファイアロー・ヤミー』を貫き、奴はその場で爆発した

 

ライト「…よし!」

変身を解除し、ヒビキさんの所に戻る

 

ヒビキ「やったね!ライト君!」

ライト「はい!」

 

陸ノ階 突破

 

 

レン「そうか、陸ノ階より上はなかったか」

ライト「あぁ、でもその代わり、早めに頂上に行けそうだよ」

カズマ「そうだな、何事もポジティブに考えよう」

メグ「うん!」

メガミ「そうですね」

ヒビキ「……」

ライト「どうかしました?ヒビキさん」

ヒビキ「え?あぁ、いや。なんでもないよ」

ライト「…そうですか。…さぁ!頂上に行きましょう!」

ヒビキ「……う、うん!」

俺達は頂上に続くハシゴを見つけ、それを登って行った

ハシゴを登りきると、そこからは空が見えた

夕日に照らされた雲はオレンジ色になっていた

階段があり、そこを登りきると、スズの塔の相輪が金色に輝いていた

 

レン「……何も無いな」

少し開けた頂上だが、そこには何も無かった

 

ヒビキ「やっぱり、いなかったんだよ、鳳凰も……」

ライト「……?」

俺は気付いた

夕日に照らされ、さっきまで気付かなかったが

虹色の羽が光っていた

 

俺は虹色の羽を取り出し、夕日と被せる

すると虹色の羽は虹色に輝きだし、虹色の光を出現させた

その光の先は、相輪のてっぺん

なんとそこには…

 

カズマ「おいおい、嘘だろ…」

メグ「こんな事有り得るの?」

メガミ「……っ!」

ライト「ま、まさか…」

レン「……!!」

 

ヒビキ「……鳳凰、君なのかい?」

黄金色に輝く鳥がいた

身体は真っ赤色で、黄色い尻尾が特徴的だった

体長はおよそ約4メートル

夕日を見つめている

 

『………ショオォーー!』

夕日からこちらに視線を変えたホウオウは、俺達の真上まで飛んできた

 

ヒビキ「……」

ヒビキさんは手を差し伸べホウオウに触ろうとする

だが、その手はホウオウをすり抜けた

ホログラムでは無い

まさか、これは

ホウオウが見せている、幻覚?

 

ライト「ホウオウが、本当にいるなんて……」

カズマ「この姿、この気配。間違いない、ホウオウはポケモンだったんだ!」

レン「…俺には分かる。この気配…伝説のポケモンだな」

伝説のポケモン、ホウオウ

その瞳は、ヒビキさんをじっと目詰めていた

 

ヒビキ「ホウオウ。僕は、君に会いたくてしょうがなかった。だから、こうして僕の目の前に姿を現してくれて、ありがとう。僕の夢が、1つ叶ったよ」

ホウオウは、ヒビキさんを見ている

 

ヒビキ「みんな、信じてくれないだろう。だけど僕は!君をまだまだ追い続けるよ。いつかまた、君が姿を現してくれるまで…」

『………ショオォーー!』

叫ぶホウオウ

するとホウオウは虹色と黄金色に輝きながら、メガストーンの形へと姿を変えた

ホウオウはやはりポケモンだったようだ

 

ホウオウストーンはヒビキさんの手元へと降り立ち、手の中へと収まった

 

 

世間を騒がせた鳳凰の正体

それは伝説のポケモン、ホウオウである事が証明された

スズの塔を後にした俺達は、ウツギ研究所へと帰還した

 

スズの塔は今も尚、輝き続けている

 

To be continued




次回予告

ホウオウストーンを入手したライト
変身しようとするが、何故か出来ない!?

ついに、あいつが動き出す…
ヒビキ「お楽しみは!ここからだよ!」
『ギャアァーース!』

第二十五話「危機迫る!ジョウトの運命!」


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第二十五話「危機迫る!ジョウトの運命!」

前回のあらすじ

スズの塔の各階では、壮絶な戦いが繰り広げられていた
メグ「…ぶっ飛べ!」
カズマ「ユイの味だ!」
レン「伝説は、ここから始まる」
ライト「正義のヒーローだ!」
各階で勝利を収めたライト達
そして、最上階で待っていたものは…

ヒビキ「……鳳凰、君なのかい?」
『………ショオォーー!』



ライト「えぇ!良いの!?」

俺が驚くのも無理もないはずだ

 

ヒビキ「うん、僕が持っていても仕方ないからね。これは、君に預けるよ」

あの日、ヒビキさんはホウオウに選ばれた

だが、その2日後

今俺は、そのホウオウストーンを譲られている

 

ライト「で、でもホウオウはヒビキさんを認めたわけであって、俺は選ばれてない!」

ヒビキ「ホウオウが選んだとしたら、そのホウオウが選んだ人間に選ばれたのがライト君なんだよ?ホウオウも君を認めてくれるよ」

ライト「そういう訳には……」

メガミ「いいじゃないですか!もしかしたら本当に認めてくれるかもしれませんよ?」

カズマ「そうだぞ?ライトはこれまでもいくつものメガストーンに選ばれたじゃないか」

ライト「そうだけど、今回は伝説のポケモンだぞ?」

メグ「行けるよ!私達が扱えてるんだから!」

レン「…ふんっ!何故寄りにもよってこいつなんだ。何故俺に授けない」

ヒビキ「君はホウオウには選ばれないよ」

レン「あ?なんだと……」

メグ「はいはい!喧嘩ストップ!」

メガミ「では!どちらかが扱えたら、そちらの方に授けば良いのでは?」

カズマ「いや、レジェンドライバーは元々、伝説のポケモンのメガストーン専用のドライバーだ。そのため、メガストーンを半強制的に使っている。きっとすぐに扱えてしまう」

レン「だから、それでいいんじゃないのか?」

カズマ「だがな…。これはヒビキ君が選ばれたメガストーンだ、権利は彼にある」

ヒビキ「そういう事!」

レン「……ちっ」

ライト「でも、俺にも扱える自信がないよ」

ヒビキ「そんな事ないって!君なら大丈夫!」

メガミ「私もそう思います!」

カズマ「僕も!」

ライト「…ん〜〜」

悩む俺

理由は簡単

俺は毎回、進化をする度感じる事がある

それはメガストーンの心だ

バシャーモの時も、その他のメガストーン達も、皆心から俺を認めてくれた気がした

だけど今は……

 

赤色と金色に輝くホウオウストーン

そこからは何も感じなかった

いや、正確には、何も感じる取ることが出来なかった

 

今、ホウオウは何を考え、何を思っているのか

謎でしか無かった

 

メガミ「では試しに変身してみましょう!」

カズマ「おう!そうだな!」

ライト「いやそんな簡単には……」

メガミ「ほらほら!お外に出ましょう!」

ライト「あ!ちょっ、押さないで!メガミ!」

外へと移動した俺達

俺の進化を一目見ようと、皆集まって来た

レンは別件か

 

ライト「……はぁ」

あまり気は乗らない

こんな中途半端な気持ちで変身しても良いのだろか

だけど、皆の期待も裏切りたくない

 

ライト「……ふぅ」

集中

 

ライト「……っ!」

俺はホウオウストーンをメガドライバーにセットした

 

セット!

メガシンカ!ヘンシーン!

 

ライト「…変身!」

 

俺はメガリングのキーストーンを押し込む

 

…………………

 

カズマ「……あれ?」

メガミ「どうしたんですか?」

ヒビキ「一体、何があったの?」

メグ「スランプ?」

レン「………」

俺は変身出来なかった

案の定と、俺は思った

俺は、ホウオウに認められていない

 

ライト「……お前、意外とガード硬いな」

俺はホウオウストーンを取り出し、呟く

 

レン「伝説の力を、舐めるな」

レンが口を挟む

 

ライト「…べ、別にそういう訳じゃ…」

レン「いや、お前はメガシンカの力に溺れ、伝説の力を甘く見ている」

ライト「……」

否定出来ない

 

レン「叩き直してやる、その根性」

ライト「……え?」

レン「修行だ。お前に伝説の力を教えてやる」

ライト「…あ、あぁ!よろしく頼む!」

どういう風の吹き回しだろう?

でも、これで光明が見えるかもしれない

伝説を知る

それこそ、俺が知らなければいけないものかもしれない

 

レン「それでは、行くぞ」

ライト「あぁ」

 

メガシンカ!ヘンシーン!

レジェンド!ヘンシーン!

 

ライト「変身!」

レン「変身」

 

バシャーモ!

ババッバッバッバ バッバ バシャーモ バッバ バシャーモ!

 

ミュウツー!

ミュウ!ツー!ミュウ!ツー!ミュウ!ツー!ツー!

 

ライト「熱き炎の戦士!仮面ライダー!バーサ!」

レン「伝説の戦士、仮面ライダー、レジェン」

 

ライト「燃えるぜ!」

レン「さぁ、伝説の始まりだ」

 

 

ヒガナ「……っ……くっ」

これが最後の調整だ

あと少し、あと少しで、僕の肉体は完全に修復する

そうすれば、現実世界にも半永久的にいられる

もうこの場所に留まる理由もない

だから、だから……

 

ヒガナ「……ぐっ!ぐわああああ!」

あと少しの辛抱だ

 

 

ヒビキ「…はぁ、…はぁ、…はぁ」

辛っ

僕が発明したとはいえ、これはきついな

もう少し軽減出来ないのだろうか

まぁ、もう遅いけどね

 

僕は全身が入る程の大きさのカプセルから上半身を起こした

 

ヒガナ「………」

完全に戻っている

あの日のように、あの時のように

 

これで、あの人の悲願を達成出来る

 

天下統一

 

これで、この天下は…

 

ヒガナ「僕の物だ!」

僕は久しぶりの感覚に喜びを覚えた

喜び

悲しみ

怒り

憎しみ

様々な感情

 

ヒガナ「…ははっ、面白くなってきた!」

僕はしばらく笑った

それは喜びからではない

ましてや怒りからでもない

悲しみでもなければ、憎しみでもない

 

答えは、無情

何も感じないからだ

何も考えないからだ

様々な感情

でも僕は、感情が分からない

さっきのはテキトーに思った事を言っただけ

 

これが喜びか分からない

これが悲しみか、怒りか、憎しみか分からない

 

だって、そうやって生きてきたから

そうやって生まれてきたから

 

でも、そうやって生きてきた僕を救ってくれたのが、あの人だった

 

あの人は、いつも野望を語っていた

 

天下を統一し、世界を武力で支配する

 

それが彼の野望

 

でも、あの人は死んだ!

いや、殺された

あの男に……

 

そうして僕も……

 

だけど、何故か僕は蘇った

気づいたら闇の空間にいた

そこから、僕の野望が始まった

様々なポケヤミーを操り、利用し、人間を殺してきた

 

これは予行だ

僕の野望は、まだまだ終わらない

 

その上で、ある存在が邪魔だ

仮面ライダー

君達は僕の枷となる存在だ

 

そういえば、スズの塔にいたポケヤミー

あれは誰が蘇らしたんだ?

 

僕の記憶の中では、やはり彼らの記憶はない

無意識に?

いや、ポケヤミー一体を蘇らせるのに、何時間という時間と労力を費やす

それを一気に11体分

面倒くさくてやりたくもないね

 

では、誰が?

 

……ま、でも結局倒されたわけだし

僕には関係ない

 

どっちにしろ、仮面ライダーは僕にとって邪魔だ

早く片付けないとね

 

『ギャァーース!』

ヒビキ「あぁ、もう行けるよ。さぁ…」

僕はルギア君の真っ赤になった目を見る

 

ヒビキ「この世界の終わりを、見に行こう」

 

 

ライト「はっ!」

レン「ふっ!」

修行を初めて早1時間

一対一の戦いが繰り広げられていた

 

レン「ふっ!…やるな」

ライト「どうだ!俺も進化してるんだ!」

レン「あぁ、だが、まだまだだな」

ライト「…あぁ、そうだな!」

俺はエスパータイプであるミュウツーに相性のいいヘルガーナイトを取り出した

 

ライト「行くぜ!ヘルガー!」

 

セット!

メガシンカ!ヘンシーン!

 

ライト「フォルムチェンジ!」

 

ヘルガー!

ヘル!ヘル!ヘルヘル!ヘルガー!

 

ライト「牙の戦士!仮面ライダーバーサ!ヘルガーフォルム!」

 

久しぶりのヘルガーフォルム

これは、燃えるぜ!

 

ライト「かみくだく!」

俺はレンに向かって牙の形に変形した《ヘルガーランス》を突いたが、レンはそれを避け、後ろに下がった

 

レン「タイプ相性で勝負して来たか。いいだろう。俺はそれに対抗するだけだ」

 

ドロップ!

リード!レジェンド!ヘンシーン!

 

レン「フォルムチェンジ」

 

エンテイ!ライコウ!スイクン!

トライ!フュージョン!

エン!ライ!スイ!

 

レンの身体は3色に変色した

右側は、黄色と、黒の模様が入った、虎のような模様

肩にはサーベルタイガーのような者の顔がある

左側は、茶色と灰色に変色、腕に黒いブレスレットをつけている

肩にはライオンのような者の顔がある。鬣は赤色だ

胸は水色と白に変色し、ヒョウのような者の顔がある

頭にはクリスタルのような装飾がある

白い斑点がある

背中から薄いピンクと、灰色と、紫色の3色のマントが飛び出す

 

あんな姿は初めて見た

 

レン「聖獣の戦士、仮面ライダーレジェン、エンライスイフォルム」

ライト「…その姿は!?」

レン「…伝説は、ここから始まる」

 

カズマ「あれは!?」

メグ「お兄ちゃん、いつの間に!」

メガミ「なんでしょう、凄い迫力です…」

 

レン「これは伝説のポケモン、エンテイ、ライコウ、スイクンの3匹のメガストーンが合体したものだ。言っておくが、強いぞ」

ライト「…あぁ、何となく分かるよ」

レン「…何となくでは、やはりお前はまだまだだ。たっぷり分からしてやる」

と、レンが攻撃を仕掛ける

3匹分の力、それはすなわち…

 

レン「ほのうのうず!スパーク!ハイドロポンプ!」

3匹分の技を同時に放てる!

レンは右腕から電気を放ちながら、左手で炎の渦を、胸からハイドロポンプを放った

 

ライト「くっ!」

3つのそれぞれ異なる攻撃

それが俺を追い詰める

 

ライト「これが!伝説の力か…!」

レン「こんなものではない。遠慮なく行くぞ」

ライト「…あぁ、かかってこい!」

レンがさらに攻撃の威力を増していく

 

早く俺も反撃しないとな

 

ライト「イカサマ!」

レンは俺に攻撃してきたが、俺は《ヘルガーランス》でガードし、イカサマをする

 

レン「…!」

ライト「…はぁっ!かえんほうしゃ!」

一瞬の隙に、俺はレンに火炎放射をする

 

俺は少し離れて様子を伺った

 

少しは怯んだか?

 

レン「……」

ライト「…はっ。まぁ、そりゃそうか」

レンは何事もなかったように突っ立っている

 

レン「…そんな程度か?」

ライト「……」

 

レンの明確な意思が分かったかもしれない

 

 

ヒガナ「……はぁ」

深呼吸するヒガナ

久しぶりの現世を堪能していた

 

ここはアサギシティとタンバシティとを繋ぐ水道にある「うずまきじま」というところに来ていた

岩がいくつも海面から飛び出し、所々で渦巻きが起きている

 

ヒガナ「…ふふっ、さぁ!始めようか!」

『……ギャァーース!』

ヒガナの後ろにそびえ立つポケヤミー

約5メートルの巨体を持ち、全身白で、目元が青い

背中からも何本もの背びれがついている

 

伝説のポケモン、ルギア

かつて「海の神」とも言われたポケモン

その存在はホウオウと共に信じられて来なかった

だが、ポケヤミーとして生き返った彼の力は、この500年の怨念を晴らすだろう

 

ヒガナ「さぁ!行け!ルギア!」

『ギャァーース!』

ルギアは羽ばたいた

何度も、何度も何度も何度も

一瞬にして、ジョウトは熱厚い雨雲に覆われ、嵐が起こった

 

ヒガナ「お楽しみは!ここからだよ!」

 

さぁ!来い!仮面ライダー!

 

 

突然雷が、ジョウトの街に響く

さっきまで晴れていた空が、いつの間にか厚い雨雲に覆われていた

 

レン「奴らが動き出したようだな」

ライト「あぁ。悪いが、この勝負はお預けだな」

レン「…ふっ、そうだな」

鼻で笑うレン

俺を見下している目をしている

 

ヒビキ「あっちは…、アサギシティだ!」

メガミ「アサギシティ?」

ヒビキ「うん、ジョウト一の港町だよ」

カズマ「よし!直ぐに向かおう!」

メグ「うん!」

レン「あぁ」

 

俺は思い出した

ヒガナの事を

 

「…もうすぐこの地方に嵐が齎され、多くの人間が死ぬだろうなぁ」

 

そうはさせない

人の思いを踏みにじるあいつを、俺は絶対に許さない

今度こそ倒す

そして、ジョウトを守ってみせる!

 

             *

 

『緊急速報です!只今、タンバシティ上空に謎の巨大生物が出現!現場では、避難を呼びかける声が留まりません!本日午後3時頃出現した巨大生物は──』

 

カズマ「大変な事になってるな…」

車にてラジオを聞いていた俺達

車の外は、まるで台風が直撃したかのような大雨が降っていた

窓ガラスには雨粒がひっきりなしに当たる

 

ヒビキ「…くそっ、渋滞だ…」

運転席にいるヒビキさんが声をあげた

 

確かに、さっきからほとんど車が動いていない

 

メグ「みんな避難しようとして、混乱してるね」

レン「これも奴の1つの作戦だろう。人間をパニック状態に追い込み、一気に殺す」

メガミ「一体、何が目的で…」

レン「奴は遊び半分でやってるだけだ。奴は言っていた「楽しくなってきた」と」

ライト「………」

メガミ「ライトさん?大丈夫ですか?車酔いですか?」

ライト「…いや、つくづくヤな奴だと思って」

レン「ヤな奴?」

ライト「…あぁ」

俺はそこから深くは話さなかった

でも皆は聞いてこなかった

 

雨を見ると、いつもあの日を思い出す

大丈夫

この嵐もきっと

俺が晴らしてみせる

 

大丈夫だ

俺なら…

ヒガナを倒して、この世界を救うんだ…

そしておれは…

 

カズマ「ライト、あまり気張るなよ」

ライト「……え?」

メガミ「そうです。ライトさん一人の問題ではありません」

メグ「私達も頼っていいんだよ?」

レン「俺の足でまといにならなければ十分だ」

ヒビキ「…皆、君を信じてるんだ。だから、君も皆を、信じてあげて」

ライト「…ヒビキさん」

助手席に座っている俺に、ヒビキさんは優しく問いかけてくれた

 

ライト「……うん。わかりました!」

ヒビキ「…うん。いい返事だ」

カズマ「…もうすぐ着くな…」

メガミ「一体、どんなポケヤミーなのでしょう?」

メグ「どんな敵でも、倒すに越したことはないよ!」

レン「…そうだな」

ライト「……皆、行こう!」

賛同する皆

 

俺は、ヒーローになれるだろうか?

 

 

ヒガナ「………来たか」

嵐と化したタンバシティ

港の高台の上

ヒガナと『ルギア・ヤミー』は仮面ライダーを待ち望んでいた

 

ライト「ヒガナ!!」

6人がヒガナにヘンシーンの前に立ちはだかる

 

ヒガナ「待っていたよ!仮面ライダーの諸君」

レン「…!そいつは!?」

ヒガナ「あぁ、彼は名はルギア。伝説のポケモンさ」

カズマ「伝説のポケモンだって!?」

メガミ「まさか、伝説のポケモンのポケヤミーだなんて…」

ライト「何が目的だ!答えろ!」

ヒガナ「…ふっ、言っただろう。僕はこの世界を統一すると。その前に、君達を始末する。君達は僕の邪魔でしかない」

ライト「そんな事させるか!行くぞ!皆!」

メガミ「はい!」

メグ「うん!」

レン「…あぁ」

ライト「変身!」

メガミ「変身!」

メグ「変身!」

レン「変身」

仮面ライダーへと変身する俺達

ヒビキさんと叔父さんは後ろに下がっていた

 

ヒガナ「そうそう!その意気だよ!そうじゃないと面白くない!」

ライト「……燃えるぜ」

ヒガナ「ふふっ、行け!ルギア!」

『ギャァーース!』

真っ赤な目をした『ルギア・ヤミー』が攻撃を仕掛ける

『ルギア・ヤミー』は飛び上がり、口からハイドロポンプを放った

 

ライト「[かそく]!」

俺は持ち前の速さを活かし、それを躱していく

 

メグ「パワージェム!」

レン「はどうだん!」

『ルギア・ヤミー』が俺に攻撃を集中させている最中

レンとメグが攻撃をする

 

『ギャァーース!』

攻撃は当たったものの、効いてる気がしない

 

ライト「くそっ!」

メガミ「援護します!」

ライト「あぁ、助かる!とびひざげり!」

俺は『ルギア・ヤミー』に突っ込んで行った

 

『ギャァーース!』

メガミ「チャームボイス!」

すると、メガミが音波を放つ

一瞬、『ルギア・ヤミー』に隙ができた

 

ライト「そこだ!」

俺はその隙を突き、とびひざげりを食らわす

 

ライト「どうだ!」

『……ギャァーース!』

ライト「なっ、全然効いてない!」

『ルギア・ヤミー』は生き生きとしていた

 

レン「ちっ、手強いな」

メグ「どうやって倒すの!?」

メガミ「……っ」

ライト「……くっ…」

『…………』

『ルギア・ヤミー』はこちらの様子を伺っている

 

ヒガナ「ルギア君、そろそろ良いよ」

『……ギャァーース!』

ライト「!!」

『ルギア・ヤミー』は顔を上に向け、頭の上に巨大な竜巻を起こさせた

あんなの食らったら、ひとたまりもない…

 

『ギャァーース!』

『ルギア・ヤミー』はそれを俺達に向かって放った

俺はすぐに悟り、皆の方を見た

 

ライト「皆!避けろ!」

そんな俺の声も届かないまま、俺達は竜巻に巻き込まれた

 

ライト「…くっ!」

メガミ「…っ、ライトさん!」

ライト「メガミ!」

竜巻の中、俺達は渦に巻き込まれながら、飛ばされていた

メガミが手を伸ばしている

俺も必死に手を伸ばす

 

ライト「…くっ!」

メガミ「……っ!」

その手も届かないまま、俺達は吹き飛ばされてしまった

 

 

カズマ「皆!」

ヒビキ「…っ!」

ヒガナ「ははは!どうだ!仮面ライダー!」

『ギャァーース!』

ヒガナ「後を追うよ!ルギア君!」

『………』

ヒガナ「ん?どうした?」

『………』

ヒガナ「……ちっ、スタミナ切れか、仕方ない。1度出直すよ!」

そう言うと、ヒガナと『ルギア・ヤミー』は闇に包まれ消えていった

 

カズマ「…くそっ!連絡がつかない!」

必死にライト君達に電話をかけるカズマさん

 

ヒビキ「…ライト君……」

 

 

ライト「………」

???「……おーい

ライト「………」

???「…おーい

ライト「………ん」

???「おーい!」

ライト「…ん?ここは?」

???「やっと目が覚めた!あなた、大丈夫?」

ライト「……ん?あんたは?」

微笑む彼女は、派手な格好をしていた

まるでギャルのような

 

リサ「あたし?あたしはリサ!」

 

To be continued




次回予告

『ルギア・ヤミー』の攻撃により、離れ離れになってしまったライト達
そこでライトが出会ったのは、リサという女子高生
彼女にはどうやら暗い過去があるらしく…

ライト「何も恐れる必要は無い。今やりたい事を、やればいいんだよ」

レン達も個性的な人達と出会い、運命の歯車が動き出す…

第二十六話「動き出す!運命の歯車!」


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第二十六話「動き出す!運命の歯車!」

前回のあらすじ

ホウオウストーンを手にしたライト
皆に促され、変身してみるが、失敗
そこでレンが稽古と言ってライトと決闘を仕掛ける!

一方、ヒガナは世界を混乱へと導く準備を着々と進行中
復活した『ルギア・ヤミー』により、タンバシティを中心にジョウト地方は嵐に見舞われる

現場に向かうライト達
しかし、『ルギア・ヤミー』の攻撃により、ライト達は離れ離れに

目が覚めたライト
そこにいたのは…

リサ「あたし?あたしはリサ!」



ライト「助けていただいて、ありがとうございました!」

深々とお辞儀をする俺

 

リサ「いいっていいって!当然の事!」

ライト「いや、でも…」

リサ「困った時はお互い様!気にしない気にしない!」

ライト「……」

リサと名乗った女性

外見はすごく派手で、金髪に青とピンクのメッシュに入っていて、少し派手目のメイクをしている

赤のサングラスをカチューシャのようにつけている

 

『ルギア・ヤミー』の攻撃の後、俺はここ、アサギシティへと飛ばされてしまったらしい

倒れている俺を、リサは介抱してくれた

見た目からして、俺と同い年位だろう

 

ライト「失礼だけど、いくつ?」

リサ「15よ、高校生」

やっぱり、同い年か

 

リサ「…ってか、あんた名前は?」

ライト「え?あぁ、俺はライト。波山ライト。俺も15歳」

リサ「ふーん、よろしくね、ライト!」

笑顔をこちらに向けるリサ

だけどこの時の俺は、この笑顔に少しだけ違和感を感じていた

 

ライト「じ、じゃあ俺はこれで…」

リサ「え?…あぁ。うん……」

座っていたベンチから腰を浮かし、リサの隣から離れる

 

リサ「……待った!」

すると、リサが声をかけた

 

リサ「……」

ライト「…何?」

ベンチから立ち上がり、俺に迫るリサ

 

リサ「例も無し?ないわー」

ライト「え?」

俺の腕を強引に掴むリサ

 

リサ「…ちょっと付き合いなさい!」

ライト「え?まさか…」

 

 

『プルルルルルルル』

レン「……」

さっきからなんコールも繰り返しているのに出ない

やはり、こんだけ吹き飛ばされていては、無事ではないか

 

レン「…メグ……」

???「なんだ坊主!悩み事か?」

背後から、胡散臭い声が聞こえた

俺はあえて無視する

 

レン「……」

カガチ「困ったらこのカガチ様になんでも話せ!なんたって俺は、なんでも知ってる全知全能の男!だからな!ははは!」

レン「……」

カガチ「おいおい!無視かよ!そりゃぁないぜ!」

レン「…何の用だ」

俺が振り返ると、いかにもなおっさんがたっていた

濃い金髪で、髭を生やしている

ベレー帽を被り、ぽっちゃり体型だ

 

カガチ「お!ようやく話してくれるようになったか!」

レン「……」

 

 

メガミ「…はぁ、また皆とはぐれてしまった…」

ここは何処だろう?

皆は何処だろう?

 

メガミ「…はぁ」

???「しっ!しっ!あっち行きな!」

ん?

お婆さんの声?

 

???「しっ!しっ!」

メガミ「……」

そばまで行くと、白髪のお婆さんがベンチの上で、杖を振り回していた

ベンチの下には、何匹かの犬達

 

???「はっ!そこのあんた!」

メガミ「え?」

???「あたしを助けなさい!」

メガミ「え?あ、あぁ…」

私は言われるがまま、犬達を別の所に避けた

 

メガミ「これで大丈夫かと…」

???「ふっ、誰も助けてくれなんて言ってないよ!」

メガミ「えぇぇ!」

???「…ふっ、なんてね。あんた、名前は?」

メガミ「あ、私は、メガミと申します」

ヒスイ「そうかい、あたしゃはヒスイ。ありがとね、お礼に何か奢らせてもらうよ」

 

 

メグ「…いてて」

まさか森の中に飛ばされるとは

おかげで全身木の枝によって切り傷だらけだよ

 

メグ「…はぁ、お兄ちゃん、何処だろ」

しばらく歩いた私

辺りはまだ明るかった

でも、天気がいい訳では無い

だから気付くことが出来た

 

森の中、一人の少女が佇んでいた

 

赤毛の綺麗な女の子

ボブで黄色いリボンを付けている

私よりも小さい

 

妙な親近感を覚えた私は、彼女に近づいた

 

メグ「…ねぇあなた、どうしたの?」

???「……お姉さん、誰?」

メグ「あぁ、私はメグ!よろしくね!」

ラルゴ「……私は、ラルゴ」

メグ「ラルゴね!よろしく!」

ラルゴ「……」

メグ「ねぇ!ここって何処か分かる?」

ラルゴ「…ここは、私の大切な場所」

メグ「……」

すると、ラルゴは突然歩き出した

そのヒステリックさに、私は魅了された

 

メグ「あ!ま、待ってよ!」

急いでラルゴを追いかける

10歳にも満たないだろう少女の謎の行動

私は、彼女に何かあるだろうと思い、ついて行くことにした

 

 

カズマ「…はぁ、大変なことになった…」

ヒビキ「心配ですか?ライト君達が」

カズマ「当たり前だ、あいつらは、僕の大切な家族だ」

ヒビキ「……家族…」

カズマ「…よし!こうなったら、助けを呼ぼう!」

ヒビキ「え?何か宛があるのですか?」

カズマ「あぁ、ジョウトには、俺と同じ研究者がいるんだ。彼に聞けば…」

 

 

???「…いや、無理ですよ…」

カズマ「そう言わずに!何とか頼むよ!トリト!」

トリト「…そもそも、僕はそのポケモンとやらの研究はしてませんし、ましてや行方不明者の捜索なんて…」

カズマ「そこをなんとか!君にしか頼れないんだ!」

僕の昔からの研究友達

左目に色付きのモノクルを付けている、白衣姿の青年

髪色は緑で、後ろを縛っている

昔から彼とはいい仲を築いていた

なのだが…

 

トリト「無理です、僕なんかには出来ませんよ…」

その内気で臆病な性格が、彼を後ろへと引きづっている

彼の才能は本物だ

彼の頭脳があれば、皆の居場所だってすぐにわかる筈なんだ

 

ヒビキ「彼が、トリトさんですか?」

カズマ「あぁ、本当は良い奴なんだけどな」

ヒビキ「…へー」

 

 

リク「ありがと!お姉ちゃん!」

リサ「いいっていいって!それより、調子はどう?」

リク「うん!だいぶ良くなってきたって!お医者さんも言ってた!」

リサ「そっか!」

ライト「……」

俺がいるのは、病院だ

あの後、リサは弟の見舞いに付き合えと、俺を強引に連れてきた

結果、俺は病室の外で2人の会話を聞く状態となった

 

じゃあ何故連れてきた

 

リサ「…じゃああたし行くね!」

リク「あ、そういえばお姉ちゃん!」

リサ「…ん?」

リク「学校にはちゃんと行ってる?」

リサ「……」

ライト「……」

リサ「…もっちろーん!元気に通学中だよ!」

リク「そっか!良かった!」

リサ「うん!じゃああたし、この後部活があるから!」

リク「うん!」

病室の戸を閉めるリサ

 

さっきの間

そしてリサの表情から、大体分かった

 

 

リサ「……」

ライト「……」

病院のベンチに腰をかける俺達

 

リサ「…あたしさ、本当は学校行ってないんだよね」

ライト「…まぁ、だろうね」

リサ「…リク、気付いてんのかな?」

ライト「…さぁね、少なくとも、リサの事を心配はしてくれているよ」

リサ「…そうなんだけどさー」

ライト「……」

リサ「……」

ライト「…弟さんは、病気?」

リサ「え?まさかまさか!足の怪我」

ライト「…あぁ」

リサ「……」

ライト「……」

リサ「……」

ライト「なんで学校行ってないの?」

リサ「…それ、あんたが言う?」

ライト「……いや…」

リサ「……昔にね、事故ったんだ、あたし」

ライト「……」

リサ「あたし元々陸上やっててさ、その事故で足の怪我して…」

ライト「……」

リサ「…リハビリとかしてたら、なんか知らないけど、走れなくなってて…」

ライト「……」

トラウマってやつか…

 

リサ「それが原因で、休学してんだよね、あたし」

ライト「…なるほどね」

リサ「うん、今でもリハビリはしてるし、走る練習もしてるんだけど…」

ライト「……」

リサ「…全然、走れなくて……」

リサは目に涙を浮かべていた

 

リサ「このままじゃ、リクが退院しても、一緒に走れないし、学校にだって戻れないよ…」

ライト「……無理にやる必要、ないんじゃないかな?」

リサ「……え?」

ライト「何も恐れる必要は無い。やりたい事を、やればいいんだよ」

リサ「…それ、どういう意味?」

ライト「…つまり、怖いものに無理して向かう必要なんてない。自分が、やりたいって思った事を、思う増分やればいいんだよ」

リサ「……」

ライト「俺はやりたい事を思う増分やる。誰にも止められない。だから、リサもやりたい事をやればいい!今出来ることを…」

リサ「……ふ、ふふふ」

ライト「……え?」

リサ「ふふふ、…あんた、いい事言うね」

ライト「…そ、そうかな」

リサ「…そうだよ、ライト」

ライト「……」

リサの笑顔が、少しだけ素になった気がした

でも、違和感は残ったままだった

 

 

カガチ「なるほど!つまりは迷子ってわけだ!」

レン「違う」

カガチ「違かぁねぇだろ。ここが何処か分からねぇ、帰る場所も分かんねぇ、そんなの迷子以外のなんだって言うんだ」

レン「うるさい、お前には関係ないだろ」

俺はカガチと名乗る中年から離れるように去った

 

カガチ「…あーあ、折角教えてやろうとしたのになー」

レン「…何をだ」

カガチ「…お前の知らない事を、さ」

レン「…俺に知恵で勝負とはな、いいだろう、受けて立とう」

この男、何を考えてやがる…

 

リリィ「伯父さぁん!」

カガチ「お!リリィ!」

カガチに向かって走ってきた少女

空色の髪色で、とても小さい

 

カガチ「病院の方はもういいのか?」

リリィ「うん!お医者さんがだんだん良くなって来てるって!」

カガチ「そうか!良かったな〜!」

リリィと呼ばれた少女の頭を撫でるカガチ

 

ミア「兄さん」

カガチ「あぁ!ミア、おつかれ!」

次に現れたのは高身長の女性

リリィと同じく青髪で、ショートヘアーだ

 

リリィ「ねぇねぇ伯父さん!あの話またしてよ!」

カガチ「え、えぇ?」

リリィ「ほら!伯父さんがプロ野球選手だった時の話!」

カガチ「え?あ、あぁ!もちろん!…えっとー…」

少しだけ頭を抱えるカガチ

 

そうか、こいつはそんなに凄いやつだったのか…

人は見かけによらないな

 

カガチ「そうだな!それじゃあ!俺がノーヒットノーランを繰り広げた試合について話そう!」

俺は離れたところから、カガチの話を聞いた

だが、その内容はまるで今作ったかのような出来栄えで、心底胡散臭かった

 

カガチ「そうして誰一人!俺の球を取れはしなかった…」

リリィ「わぁ!凄い凄い!」

カガチ「ははは!そうだろ!叔父さんは凄いんだぞ!」

ミアがカガチに近づき、耳打ちをする

微かに聞こえたそれ

 

ミア「まーた嘘ついて…」

カガチ「う、嘘じゃねぇ。見栄を張っただけだ」

レン「……」

なるほどな

こいつは飛んだ嘘つき野郎だった訳だ

言うならばホラ吹き男

姪であるリリィにいい所を見せる為だけに、ホラを吹き続けている

 

リリィ「……あれ?お兄さん誰?」

と、リリィが俺の事を発見

俺は知らんぷりをする

 

リリィ「今の話聞いてた!?私の叔父さん!凄いでしょ!」

レン「……」

キラキラとした目で俺を見ている

どうやら、カガチの事をよっぽど信頼しているようだ

 

リリィ「あなた誰?伯父さんの知り合い?」

レン「……いや、俺は…」

カガチ「あぁ!そいつは俺の弟子だ!」

レン「……なっ!」

こいつ……

 

リリィ「へぇ!すごい!初めまして!私はリリィ!」

レン「…俺は、レンだ」

リリィ「レン!よろしくね!伯父さんのお弟子さん!」

レン「ぬくっ!……あぁ、ヨロシク」

俺はカガチを睨む

 

一瞬ビクッとなるカガチ

俺から目を逸らした

 

ミア「リリィ!すみません!うちの娘と兄が…」

レン「い、いや…」

リリィ「ねぇレン!」

レン「な、なんだ…?」

リリィ「遊ぼ!」

レン「……」

俺の手を強引に掴むリリィ

やや曇った空を上に、俺はリリィに遊ばれていた

 

何故俺がこんな事を…

 

カガチ「ははは!いいぞ!リリィ!」

こいつは呑気に…

 

ミア「…ねぇ、そろそろやめたら?」

カガチ「あ?何をだ?」

ミア「…ウソを」

カガチ「……」

ミア「これ以上、他人を巻き込むのは…」

カガチ「俺には、これしかないんだ。こうでもしなきゃ、自分を保てない。俺は、空っぽだからな…」

レン「……」

リリィ「レン!こっち!」

レン「あちょ!引っ張るな!」

 

 

メガミ「むぅ!美味しいです!」

ヒスイ「そうかい、そりゃぁ良かったよ」

ヒスイさんに連れていってもらったカフェ

外のテラス席にて、私はパフェを食べていた

 

ヒスイ「ところで…」

と、ヒスイさんは後ろを振り向き、テラスの柵の外にいる先程のワンチャン達を見た

 

ヒスイ「なんでまたあんた達がいるんだい!」

メガミ「…ま、まぁまぁ。いいじゃないですか…」

ヒスイ「…ふんっ!あたしゃは嫌だね!」

メガミ「どうしてですか?」

ヒスイ「あたしゃ、ペットと関わりたくないんだ!」

メガミ「……」

ただの犬嫌いって訳ではなさそう…

 

メガミ「どうしてそんなに嫌うんですか?」

私はパフェのシリアルの部分にスプーンを入れた

 

ヒスイ「…関わる必要がないからだよ。どうせ失うんだ…。だったらあたしゃ、独りの方がいい…」

メガミ「……」

ヒスイ「……食い終わったんなら、さっさと行くよ」

メガミ「…あ、はい!」

カフェを後にする私達

 

しばらく歩いて、気づいた

このワンチャン達、ずっとヒスイさんに着いて行ってる

 

ヒスイ「…どうかしたかい?」

メガミ「あ、いえ…、なんでも…」

ヒスイ「…そうかい」

再び歩き出すヒスイさん

後ろを振り向くと、ゴミ箱の陰に隠れていたワンチャンが顔を覗かせ、こちらを見ていた

 

メガミ「……」

 

 

ヒスイ「……ここだよ」

ヒスイさんが連れてきてくれたのは、ヒスイさんの家だった

小さな家

 

階段を登った先にはベンチがあった

鍵を開け中に入る

 

メガミ「お邪魔します…」

ヒスイ「適当に座ってな」

メガミ「…はい…」

キッチンに向かうヒスイさん

部屋を見渡すと、色々なものが置いてあった

その小さめの棚の上

私はある写真立ての写真を見た

 

メガミ「……これは…」

ヒスイ「コラコラ、人の部屋を勝手に漁るんじゃないよ」

メガミ「あ、す、すいません…」

私はその写真立てを元に戻した

 

メガミ「……」

もしやと思い、私は玄関のドアを開いた

 

メガミ「……!」

案の定、玄関の外にはさっきのワンチャンがいた

 

ヒスイ「あんた!まだいたのかい!」

ワンチャン「ワン!ワン!」

ヒスイ「やかましい!さっさと出ていきな!」

ワンチャン「…ク〜ン」

と、ワンチャンは意外と素直にそこから去っていった

 

ヒスイ「全く!今度来たら容赦しないよ!」

メガミ「……」

ヒスイ「…あんた、今日はもう遅いから、うちに泊まっていきな」

メガミ「え!いいんですか?」

ヒスイ「あぁ、これも何かの縁だ。ゆっくりしていきな…」

メガミ「あ、ありがとうございます!」

玄関を閉めて、ソファに座る

ヒスイさんは紅茶を用意してくれていた

 

 

メグ「あなた、家族は?」

ラルゴ「……」

メグ「大切な場所って?」

ラルゴ「……」

メグ「どうしてここにいるの?」

ラルゴ「……」

むぅ、これもダメか

歩き続ける彼女

行先も分からぬまま、私はラルゴのそばを着いて行ってる

ラルゴは一言も喋らない

 

メグ「…ここは、何処なの?」

ラルゴ「……ここは、私の大切な場所」

それはさっきも聞いたけど…

 

メグ「じゃなくて、名称的な…」

ラルゴ「……」

辺りはすっかり真っ暗

でもその視線の先にある物はすぐにわかった

小さな屋敷

ボロボロに崩れている

 

メグ「…ここは……」

ラルゴ「…ここは、呪いの場所」

メグ「呪い?」

ラルゴ「かつて、この場所にいた生き物が山火事で死んだ。そして、火をつけた人間を憎み、この地に呪いをかけている」

メグ「…それって……」

ポケモン?

 

ラルゴ「彼は人間を憎み、未だにその呪いは解かれてはいない…」

メグ「…あなた、なんなの?どうしてそんな事…」

ラルゴ「……私は…」

メグ「……」

 

 

トリト「……」

カズマ「……」

ヒビキ「……」

さっきから沈黙が続いている

ずっと下を向いているトリトさん

じっとトリトさんを見るカズマさん

それを見守る僕

さっきから話が進んでいない

ライト君達の捜索を願うカズマさんだが、トリトさんは自虐的な発言ばっかで、話に乗る気は無さそうだった

 

カズマ「どうして分かってくれないんだ!君の才能があれば、どんな事だって出来る!自分を信じろ!」

トリト「……そんな事言って、成功した事なんて1度だってないんです。こんな僕に、そんな大それた事は出来ませんよ…」

カズマ「ぐぬぬ……」

ヒビキ「……」

僕は気になった

どうしてそんなに自信がないのか…

こんな自虐的な人、初めて見た

彼はまだ下を向いている

前を見なきゃ、何も始まらないのに…

 

 

『……』

ヒガナ「…どうだい?調子は」

『……ギャァーース!』

ヒガナ「…そうか、治ったか」

闇の空間の水の中で回復するルギア君

 

ヒガナ「それじゃあ行こうか、世界の崩壊は始まったばかりだ…。ふふっ、楽しくなってきた……」

 

To be continued




次回予告

ジョウト編、完結

それぞれの物語を胸に、ライト達は戦う!

リサ「どうしてそんなに頑張れるの?」
カガチ「大切なものを守れんなら!」
ヒスイ「二度と、同じ過ちは犯しはさせないよ!」
トリト「僕にしか、出来ない事…」
ラルゴ「…今度は、私が守る!」

ライト「俺の物語は!俺が紡ぐ!」

そして、決死の覚悟で大変身!

第二十七話「虹の勇者!みんなの物語!」


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第二十七話「虹の勇者!みんなの物語!」

前回のあらすじ

走ることにトラウマを感じるリサ
嘘が辞められなくなったカガチ
ペットを毛嫌いするヒスイ
臆病で自虐的なトリト
森に佇むラルゴ

様々な物語を持つ人達と触れたライト達
ライト達が彼らに関わる時、運命の歯車が動き出す!

そして、更なる迫る危機
ライト達は、ジョウト地方を守る事が出来るのか!?



レン「お前、いつまでこんな事続けるつもりだ?」

カガチ「あ?なんの事だ?」

カガチの背中に、眠ったリリィがいる

 

レン「いつまでウソをつくつもりだ?」

カガチ「…しょうがねぇだろ。こうでもしなきゃ、リリィに見せる顔がねぇ」

レン「…自分の首を閉めているとは思わないのか?」

カガチ「……」

ミア「……兄さん」

カガチ「…うるせぇ。俺は…ただ…」

レン「……」

 

 

メグ「…そ、それは……」

ラルゴが持っていたそれ

 

ラルゴ「彼はゼラオラ、この地の主だった」

黄色と空色のメガストーンだった

 

メグ「…ゼラオラ?」

ラルゴ「…50年前、この地で山火事が起こった。この地に眠る宝を探す人達が、この地を荒らした」

メグ「……」

ラルゴ「…その時、その人達に向けて次々と雷が落ちた。…彼が怒り、ハンターを懲らしめた」

メグ「……もしかしてそのメガストーン…」

ラルゴ「…彼には意思があった。数ヶ月前、この場所で遊んでいた私に向かって、岩が降って来た。目を開けると、粉々になった岩と、宙に浮いた彼を見た」

メグ「…メガストーン、いや、ゼラオラが…」

ラルゴ「…その時、テレパシーで彼の事を聞いた」

メグ「…なるほどね」

この少女、ラルゴはゼラオラに守られ、それ以来時々ここに足を運んでいるらしい

 

ラルゴ「…だから今度は……今度は、私が守る!」

メグ「…何から?」

ラルゴ「…分からない。だけど、彼に危機が迫ってるって事だけは分かってる」

ルギアの事かな?

 

私は、少しだけ怯えるラルゴを見る

本当は怖いのに…

 

メグ「…ラルゴは、強いね」

ラルゴ「…え?」

メグ「誰かの為に動けるのは、そんな簡単な事じゃないよ。私は、いつも自分の事だらけで…。でも、ラルゴを見て分かったよ。私、自分の為じゃなくて、皆の為に戦う!」

ラルゴ「…お姉ちゃん、何者?」

メグ「私は朝堂メグ、またの名を。仮面ライダービジオン!」

 

 

メガミ「…おいで!」

犬「ワンワン!」

私の腕に飛び込んでくる犬

 

ヒスイ「…なんでそんなにその子に構うんだい?」

メガミ「だって、可哀想じゃないですか?」

ヒスイ「…ふっ、なにが可哀想じゃ」

メガミ「誰にも愛されないなんて」

ヒスイ「…!」

メガミ「私、思うんです。ヒスイさん、あなた、本当はペットが好きなんじゃないですか?」

ヒスイ「……なんであたしが…」

メガミ「…部屋にあった写真です」

ヒスイ「…あんた、見たのかい!」

メガミ「…はい、ごめんなさい…」

ヒスイ「…はぁ、やれやれ…」

メガミ「あの写真に映っていたブルドック、ヒスイさんのペットですよね?」

ヒスイ「…そうだよ、あいつはあたしの唯一の相棒だった。でも、50年前に病気でね…」

メガミ「……」

ヒスイ「あたしゃ思ったよ。なんでこんなに悲しまなきゃいけないのか、なんで先に逝くとわかっている命を、わざわざ世話しなきゃいけないのか」

メガミ「……」

ヒスイ「…そうして、誓った。もう、同じ過ちを犯さないと…」

メガミ「…でも、その子は幸せだったと思いますよ」

ヒスイ「…え?」

メガミ「そこまでして愛される事は、その子にとって、とっても幸せな事だったと思います」

ヒスイ「……あんたに何が分かる…」

メガミ「分かります!私は今まで、「愛」という物がわかりませんでした。でも、色んな人達に愛され、愛す事で、私はだんだん、「愛」がなんなのか分かってきました」

ヒスイ「……なんなんだい?それは…」

メガミ「…「愛」は、人を癒す力です!人を、幸せにする力です!」

ヒスイ「……っ」

メガミ「人だけではありません!全ての生き物が、愛されることにより、幸せになれるのです!」

ヒスイ「……」

 

「おー!こっちだよ!ブルー!」

「バウッバウッ!」

 

ヒスイ「……ブルー…」

メガミ「…あなたは、過ちなんて犯していません。あなたは、立派にこの子を愛すことが出来たのだから」

ヒスイ「…あたしゃは今まで、勘違いをしていたのかね」

メガミ「……」

ヒスイ「…大切なのは、ペットの命じゃなく、ペットをどれだけ愛せたか、なのかね」

メガミ「…その通りですよ!」

犬「ワンッワンッ!」

ヒスイ「……」

ヒスイさんは、私が抱えていた犬を抱っこすると、ぺろぺろとほっぺを舐められていた

 

ヒスイ「…ふっ、もう一度、愛してみようじゃないか」

メガミ「…はぁっ!はい!」

ヒスイ「…この子に誓うよ、もう二度と、同じ過ちは犯しはさせないよ!…ペットを見捨てるという過ちを!」

メガミ「……っ!はい!」

ヒスイ「…そういや、あんた珍しい名前じゃな。フルネームはなんと言うんじゃ?」

メガミ「あ、はい!メガミ・アリス・クラットと申します!あと、仮面ライダーエンゼルって肩書きも…」

 

 

カズマ「…君には、夢はあるか?」

トリト「…え?」

カズマ「…いや、僕の甥にはな、立派な夢があるんだ。凄い夢が」

トリト「……」

カズマ「君も研究者なんだろ?だったら、なんの為に研究をしてるんだ?」

トリト「…僕は……」

カズマ「……」

トリト「……沢山の人を、助けたいんです。現地に住んでる貧しい子供達や家族の方が、何不自由なく暮らせるよう」

カズマ「……立派な夢じゃないか!」

トリト「…え?」

僕はトリトの隣に座る

 

カズマ「うん!君にピッタリの夢だ!僕もその夢、手伝うよ!」

トリト「え…で、でも…」

カズマ「でもじゃない!そんな君にも、きっとなにか出来ることがある!必ずだ!いや!君にしか出来ないことだってある!」

トリト「…僕にしか、出来ないこと?」

カズマ「そう!君にしか出来ないこと…」

トリト「……」

僕はトリトの背中に手を置く

 

カズマ「…君になら出来る!」

トリト「……っ!」

さっきまで下を向いていたトリトが、前を向いた

そして徐ろに立ち上がる

 

トリト「…分かりました、そこまで言うなら」

カズマ「本当か!?」

トリト「…はい。ですが、カズマさんも手を貸してください。あと、そこの人も!」

ヒビキ「…え?僕!?」

 

こんなトリト、初めて見た

良かった、僕も皆の役に立てそうだ

そして、きっと彼の事も救えただろう

 

もう彼は大丈夫

自信を取り戻した彼なら、怖いもの無しだ!

 

 

レン「…俺にも、妹がいる」

カガチ「……え?」

レン「俺は、妹を守る為なら、どんな事だってする」

カガチ「…何が言いたい?」

レン「…お前はどうだ?妹や姪の為に何が出来る?」

カガチ「……俺は…」

レン「正解は、ウソをつく事しか出来ない」

カガチ「……くっ」

レン「……」

カガチ「…お前は何が言いたい?俺に何を伝えたいんだ!」

レン「…俺は、曲がった人間が嫌いだ。あと、夢を持つ奴もな」

カガチ「……」

レン「…だがあんたは違うだろ。その善意のウソが、あんた自身を傷つけている」

カガチ「……っ!」

レン「…俺は、どんな手段も問わない。それで大切な物が守れるのなら」

カガチ「…大切な物……」

カガチは眠っているリリィを見た

 

レン「1度嘘をついたら、取り返しがつかない、だったら!」

カガチ「…!」

俺はカガチの胸に、拳を置いた

 

レン「…そのウソ、本物にして見せろ」

カガチ「!」

レン「…嘘をつき続け、そしていつか、本物にして見せれば、あんたは立派な大人になれると思うぞ」

カガチ「……坊主…」

レン「俺の名はレンだ。朝堂レン。またの名は、仮面ライダーレジェン」

 

 

ヒガナ「ここで呑気にお喋りとは!僕も舐められたもんだな!」

ライト「…ヒガナ!」

リサと話している最中、突如ヒガナと『ルギア・ヤミー』が現れた

辺りは厚い雨雲で覆われている

 

リサ「え!?な、なんなの!?」

ライト「あいつらはポケヤミー!人間を襲う奴らだ」

リサ「え!?何でそんなのが……!」

ヒガナ「…さぁ!行け!ルギア!」

『ギャァーース!』

ライト「…くっ!変身!」

仮面ライダーバーサへと変身する俺

リサは唖然としていた

 

ライト「…はぁっ!」

走り出す俺

 

リサ「あ!ま、待ってよ!」

ライト「リサは街の人達に避難を呼びかけてくれ!」

俺は後ろを振り向きながら言う

 

リサ「え!?」

ライト「みんなを助けるためなんだ!急いでくれ!頼む!」

リサ「……そんな事言ったって…あたし、走れない…」

 

『ギャァーース!』

ライト「がはっ!」

俺は『ルギア・ヤミー』の攻撃に圧倒されていた

 

リサ「…どうして…、どうしてそんなに頑張れるの?」

ライト「がはっ!」

リサ「はっ!ライト!」

ライト「…走れ!リサ!」

リサ「……え?」

ライト「今はお前が頼りだ!みんなを頼んだぞ!」

リサ「……」

ライト「リサなら出来る!」

リサ「……分かった!」

リサは徐ろに靴を脱ぎ、裸足になった

手首に着けていた黄緑色のシュシュで網を縛りポニーテールとなる

 

クラウチングのポーズをとる

 

 

リサ「……」

ライトが、あたしに託してくれた

あんな姿になってでも

頑張ってくれた

今度は…

今度はあたしが頑張る番!

 

リサ「…これがあたしの…!」

ライト「行け!リサ!」

私の中で、スタートダッシュのピストルの音が聞こえた

 

リサ「…力だぁ!」

一気に走り出すあたし

 

あたし、また走ってる

あの日のように

あの時のように

 

風が、気持ちいい…

 

林を抜け、大道路に出る

道は既に人で混雑していた

突如現れた怪物に、皆呆気を取られていた

 

リサ「みんな逃げて!ここは危険だよ!」

 

 

外で稲光が見えた

 

カズマ「…ついに来たか!」

さっきよりも規模がでかく、迫ってくるスピードも早い

このままでは、あっという間に嵐になる

 

トリト「…カガチさん!皆さんの居場所!わかりました!」

カズマ「本当か!?」

トリトの調べによれば、ライトはタンバシティ、レンはヒワダタウン、メグがチョウジタウン、メガミがヨシノシティにいる事が分かった

 

カズマ「よし!出来したぞトリト!」

トリト「いえ!皆様のおかげです!」

ヒビキ「これからどうするんですか?」

カズマ「とりあえず、市民の避難を優先しよう!トリト!」

トリト「え?はい…」

カズマ「…頼めるか?」

トリト「…はい、頑張ります…」

そのまま研究所を後にしようとするトリト

しかし、ドアノブに手をかけたまま動かなかった

 

トリト「……」

カズマ「…トリト」

僕はトリトの背中を思いっきり押した

必然的だが、トリトはドアを思いっきり開けた

 

トリト「おわぁっ!」

カズマ「…行ってこい!」

トリト「……カズマさん…はい!行ってきます!」

目の色が変わった

トリトはダッシュで研究所を後にした

 

カズマ「よし!僕らはライト達に連絡できるか試そう!」

ヒビキ「…はい!」

 

 

突如、空が曇りを増し、稲光が見えた

とうとう動き出したか

 

カガチ「…おい坊主!これは一体どうなってんだ!?」

レン「…この街が危ない、あんたらは今すぐ西側へと避難しろ」

カガチ「待てよ!」

カガチは俺の腕を掴む

 

カガチ「お前はどうなるんだ!?」

レン「…俺?」

カガチ「リリィにはどう説明すればいい?こいつはお前が気に入ってたんだぞ?」

レン「……その時は、また嘘でもついててくれ」

カガチ「……っ!」

レン「…ただ、これだけ言わせろ。俺は、あんたの事は嫌いじゃない」

俺は最前に立ち、変身し、サイコキネシスで浮遊した

すると、親父から連絡が来た

 

レン「…分かった、ヨシノシティだな?」

 

 

カガチ「…レン」

ミア「あの子、なんだったのかしら」

カガチ「…さぁな……リリィには、『俺の弟子は妖精だった』って『ウソ』をつくことにするよ」

ミア「…兄さん」

カガチ「俺は嘘つきだ。でも…それで大切な物が守れんなら!」

俺はリリィを見る

 

カガチ「嘘つきでも、何でもなってやるよ!」

 

 

犬「ワン!ワン!」

ヒスイ「どうしたんだい!?」

メガミ「…もしかして……」

雲行きが怪しい

ヒガナが動いたのかも

 

メガミ「……!」

すると、私の携帯がなった

この間カズマさんのお古を貰ったのだ

 

カズマ『もしもし?メガミか!?』

メガミ「はい!」

カズマ『今どこにいるか分かるか?』

メガミ「…あぁ、そういえば…」

カズマ『…メガミは今、ヨシノシティにいる。アサギシティはそこから東側だ!』

メガミ「ライトさんは!?」

カズマ『分からん、連絡がまだつかない。もしかしたら、もう戦っているかもな』

メガミ「…わかりました!すぐに向かいます!」

私はそう言うと、電話を切った

 

メガミ「…ヒスイさん、私…行かなくてはなりません…」

ヒスイ「分かってるよ。それがあんたの役目なんだろ?」

メガミ「…ヒスイさん」

ヒスイ「…行っておいで!あたしらは大丈夫だから。ただし!無事にね!」

メガミ「……はい!」

私は走り出し、ずっと東へと走った

 

レン「そのまま走って向かうつもりか?」

上空から声がする

上をむくと、そこにいたのは変身してサイコキネシスを使って浮遊しているレンさんだった

 

メガミ「…レンさん!」

 

 

ラルゴ「…はい、お姉ちゃん」

メグ「……いいの?」

ラルゴは、ゼラオラのストーンを私に差し出した

 

ラルゴ「…ゼラオラはきっと、お姉ちゃんみたいな人が好きだよ?人間は嫌いかもしれないけど…」

ラルゴは後ろに手を組み言う

 

ラルゴ「ゼラオラもきっと!お姉ちゃんに会えて良かったと思うよ!そうだったら、私、嬉しい!」

さっきまで見せなかった笑顔は、とても明るかった

 

メグ「…うん…ありがとう。ラルゴ」

ラルゴ「…うん!」

 

私はレジェンドライバーを腰に装着する

 

メグ「…変身!」

 

レジェンド!ヘンシーン!

ゼラオラ!

ゼラ・オラ!ゼラ・オラ!ゼラオラ!

 

全身に黄色と黒の毛が生え、腕が発達

後ろの首の付け根から長いスカーフのような毛が生える

額に水色のたてがみが生える

 

メグ「迅雷の戦士!仮面ライダービジオン!ゼラオラフォルム!」

ラルゴ「…お姉ちゃん」

メグ「…私、行かないと…」

ラルゴ「…うん、分かってるよ。みんなの為に戦うんでしょ?」

メグ「…うん。じゃあね!ラルゴ!」

私はそのまま、全身を電気のようにうならせ

高速で移動した

 

ラルゴの事は、決して忘れないだろう

 

 

ライト「はぁっ!」

『ギャァーース!』

ライト「がっ!」

地面を転がる俺

 

ヒガナ「もう諦めなよ〜、仮面ライダー?」

ライト「…ま、まだだ!」

ヒガナ「……」

ライト「…今、みんなが頑張ってるんだ!ここで俺が諦めたら!全部終わっちまう!何もかも!」

ヒガナ「……」

ライト「…人には、その人の人生がある!そして、物語がある!…それを終わらせたりはしない!」

ヒガナ「…なんなんだよ、君は……」

ライト「…俺は波山ライト!仮面ライダーバーサ!俺の物語は!俺が紡ぐ!」

すると、俺の懐が激しく、同時に虹色に輝き出した

 

ライト「……まさか…」

飛び出したストーンは、ホウオウだった

 

ライト「…ホウオウ、俺を認めてくれるのか?」

ヒガナ「…くっ!新しい力か!行け!ルギア!」

『ギャァーース!』

『ルギア・ヤミー』が攻撃を仕掛ける

しかし、俺はすぐさま《バシャーモナイト》を《ホウオウストーン》と入れ替えた

 

セット!

レジェーンド!ライズ!

レッツレジェンド!レッツレジェンド!

 

ライト「…モードチェンジ!」

俺はメガリングのキーストーンを押し込む

 

ホウオウ!

The Phoenix mode!

Let’s KAMENRIDER!

 

俺の全身は黄金色の炎に包まれ、全身が変化する

腕と胴体が赤色に変化、腹部はしろ

足は灰色に、腰には金色の装飾が着いている

頭部は金色の鶏冠と、嘴が生え、目元が黒になる

背中からは大きな翼が生えている

翼の先は緑と白になっている

 

変化が終わると、黄金色の炎が解けた

 

ライト「黄金の戦士!仮面ライダーバーサ!フェニックスモード!」

ヒガナ「…くっ!しまった!」

ライト「…燃えるぜ!」

ヒガナ「…くっ、やれ!ルギア!」

『ギャァーース!』

『ルギア・ヤミー』は俺に渦潮を飛ばしてくる

 

ライト「…はっ!」

俺はそれを華麗に躱した

 

ライト「にほんばれ!」

俺が思いっきり羽ばたくと、嵐は瞬く間に晴れ、青空が見えた

 

『…ギャァーース!』

ライト「だいもんじ!」

『ルギア・ヤミー』が飛ばした渦潮を大の字に広がった炎で相殺

 

ライト「せいなるほのお!」

俺は口から黄金色の炎を放つ

 

『ギャァーー!』

以外にも攻撃が通っている

流石伝説のポケモンの力だ

 

ライト「ゴッドバード!」

俺は『ルギア・ヤミー』に蹴りを入れる

『ルギア・ヤミー』は結構翻弄されてきている

 

メガミ「…ライトさーん!」

レン「……」

すると、遠くからメガミの声がした

見ると、サイコキネシスで浮遊している2人がいた

 

ライト「メガミ!レン!」

地面に着地した俺とレンとメガミ

 

メガミ「すごいです!それ、ホウオウの力ですよね!」

レン「…まさか、本当に使いこなすとはな」

ライト「…あぁ!みんなのお陰だ!」

メグ「いや〜照れるな〜」

ライト「うおっ!メグいつの間に…って、そのフォルムは?」

メグ「今はいいから!ポケヤミーに集中!」

ライト「…あ、あぁ!そうだな!」

『ギャァーース!』

俺は高く羽ばたき、キーストーンを2回押し込む

 

ライト「これで決める!」

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

ホウオウ!

エターナル!エクスプロージョン!

 

俺は全身に黄金色の炎を纏い、翼をめいいっぱい広げる

足を突き出し、『ルギア・ヤミー』に向かって、渾身の蹴りを放つ

 

ライト「エターナルエクスプロージョン!」

『ギャァーース!』

『ルギア・ヤミー』も対抗し、巨大な渦を出現させ、それを俺に放った

 

ライト「…はぁっ!」

だが俺はそれを貫通し、『ルギア・ヤミー』に蹴りを入れた

 

『ギャァーー……』

『ルギア・ヤミー』は巨大な爆発を起こし、消え去った

 

さっきまで天気雨だった天気が

 

 

メガミ・メグ「「やったーー!」」

レン「…ふっ、…?」

トスッと草むらから音がした

そこにあったのは、銀色のメガストーン

これが…

 

レン「これが《ルギアストーン》、海の神の力か…」

 

 

カガチ「…レン、ありがとな…」

リリィ「…んん…お兄ちゃん…伯父さん…大好き…」

カガチ「…ふっ、だってよ」

 

ヒスイ「…ふっ…さぁ、散歩でも行こうかね?」

犬「ワン!ワン!」

 

トリト「…カズマさん…、ありがとうございました!」

 

ラルゴ「…お姉ちゃん。ゼラオラをよろしくね…」

 

リサ「…ライト、やったんだね…」

『プルルルル』

リサ「…ん?もしもし?」

リク『姉ちゃん!無事!?』

リサ「…あ、うん。あたしは大丈夫…」

リク『良かったぁ〜』

リサ「……リク」

リク『ん?』

リサ「…あたし、ひとつ嘘ついててさ…」

 

 

あの後、ヒガナを探した俺たちだったが、ヒガナは行方を晦まし、俺たちの目の前には現れなかった

 

カズマ「いや〜!ライト!よくやった!」

ライト「いや〜!どうもどうも!」

メガミ「ライトさん、今ではジョウトを救ったヒーローとして世間で騒がれてますよ!」

メグ「ホントホント!これで夢が叶ったね!」

ライト「…いや、まだまだだ!」

ヒビキ「……」

ライト「俺達はまだ、戦い続けなきゃいけない。世界を救う為、みんなを守る為」

レン「…そうだな、旅はまだまだ続くぞ」

カズマ「…と、言うと?」

レン「…俺に宛がある」

ライト「…え?何処?」

レン「ホウエン地方だ、そこに何かあると、俺は目論んでいる」

ライト「…ホウエン地方か〜、楽しみだな!」

レン「…これは観光ではない!」

全員から笑いが飛び交う

 

 

そして、旅立ちの日

 

ライト「ヒビキさん!今までありがとうございました!」

ヒビキ「良いんだよ!こちらこそ、このジョウト地方を守ってくれて、ありがとう!」

ライト「…えへへ」

レン「…おい!さっさと行くぞ!」

ライト「あちょ、待ってよ!」

ヒビキ「…レン君!」

荷物を持って歩くレンを、ヒビキさんが引き止めた

 

レン「…なんだ」

ヒビキ「…僕、君に勘違いをしてたよ!君は、嫌な奴なんかじゃない!」

レン「……」

ヒビキ「…君は、良い奴だ!」

レン「……」

レンは後ろにテキトーに手を振り、飛行機の窓口へと足を動かした

 

ヒビキ「…へへ」

ライト「…ヒビキさん…」

ヒビキ「ライト君。君なら、きっと最高のヒーローになれるよ。僕が保証する」

ライト「ヒビキさん…」

ヒビキ「…僕はこのまま、ホウオウについてもっと調べるよ。ホウオウにもっと近付きたい」

ライト「…そうですね!俺、応援してます!」

ヒビキ「…ありがとう!ライト君!」

ヒビキさんは手を差しのべた

 

ライト「…はい!」

俺はその手をギュッと握り締めた

 

俺とレン、メガミとメグ、そして、叔父さんの5人は、ホウエン地方行きの便に乗り、大空の旅が始まった

 

 

ヒビキ「…ありがとう、ライト君。……ありがとう!仮面ライダー!」

僕はライト君達の乗る飛行機に向かって叫んだ

届くといいな

 

 

ヒガナ「…はぁ、はぁ」

まさか、仮面ライダーがここまでやるとは…

甘く見てたよ

 

ヒガナ「…これは、そろそろ僕が天誅を下す時が来たかな?」

黒と赤のメガストーン

信長公が遺した財産

そして、僕の宝物

 

ヒガナ「…僕の野望を満たしてよ、レックウザ」

そのメガストーンは、どこまでも、どす黒かった

 

To be continued




次回予告

ホウエン地方編!開幕!

そこでは、何人もの花嫁が攫われる事件が多発!
ライト達は、花嫁達を救う事が出来るのか!?
そしてメガミは新たな進化をする!

第二十八話「誓いは永遠に」


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スピンオフ 第2弾
仮面ライダーバーサ  エピソード オブ レジェン


俺とメグが旅を初めて2年がたった
カントー地方、ジョウト地方の探索が一段落した俺達は、カントー地方の南にある、「オレンジ諸島」という所に向かっていた

メグ「…どうしたの?お兄ちゃん。船酔い?」
レン「…いや、ここには何があるかってな」
メグ「無理しちゃダメだよ?」
レン「…メグもだろ?変身もまだ出来ないのに…」
メグ「…それは!まだ私を認めてくれるメガストーンがいないだけで…、私もいつか!」
レン「…あ〜、はいはい。分かった」
メグ「むぅ〜!分かってない!」
船長「お嬢さん達〜、そろそろナツカン島に到着するぜ〜!」

オレンジ諸島とは、有人島、無人島、合わせて19もの島の総称である

ここで、俺の新たな冒険が始まった──



『オレンジ諸島』編

 

メグ「…着いたー!」

レン「……結構長かったな…」

船長「気ぃつけてな〜!」

 

元々オレンジ諸島とは、南国の島々として名が通っており、バカンスに来る観光客も多い

フェリーが何隻も港にあるのに対し、金欠の俺達は1隻のボートを借りてここまで来ていた

破格でここまで運んできてくれた船長には感謝してもしきれない

 

オレンジ諸島の中で1番大きい島、ナツカン島

観光客が最も集まる場所

 

そもそも、、何故俺達がここに来たのかと言うと…

 

 

レン「オレンジ諸島?」

カズマ『そうだ、カントー地方の南側には、オレンジ諸島と言われる所があるんだ。そこにもきっと、ポケモンについて何か分かることがあるかもしれない』

ビデオ通話越しに見える親父の顔

相変わらず地下室にいるらしい

 

レン「…なるほど、確かにここは海に囲まれていて、謎も多いいと聞く。何かあるかもな」

カズマ『すまんな。僕も仕事が詰まってて、なかなかお前達に会える気がしない』

レン「気にするな、俺達は何とかやってる」

カズマ『…そういえば、メグはもう変身出来るのか?』

レン「…いや、まだだ。パートナーと巡り会えていない」

カズマ『…そうか。メグも戦えたら、百人力なんだが…』

レン「…おい、俺は千人力だ。メグの力を借りずとも、俺が世界を救ってみせる」

カズマ『…ははっ、そうだな!』

レン「…まぁ、確かに。メグがいれば万力だろうがな」

カズマ『…もし、メグが危険な目にあったら…』

レン「そんな事は俺がさせない。命に変えても、メグは俺が守る」

カズマ『…あぁ、そうだな。お前を信じるぞ!』

レン「…あぁ」

ライト『叔父さ〜ん!!ご飯出来たってよ!

カズマ『あぁ!すぐ行く!』

レン「…?今のは?」

カズマ『…あぁ、お前達にはまだ言ってなかったな』

レン「…?」

カズマ『一昨年からお前の従兄弟である波山ライトが、俺達の家に居候する事になったんだ』

レン「は!?従兄弟!?初耳なんだが…」

そもそも俺に従兄弟がいるとはな…

 

カズマ『とっても良い奴なんだ。今度あったら紹介するよ』

レン「…そうだな。それ以外にも、親父には言いたい事があるしな!」

カズマ『あぁ!!黙ってて悪かったよ!…でもな、ライトにも色々あったんだ…』

レン「…何があったかは知らんが、とりあえず分かった」

カズマ『あぁ、メグにも伝えといてくれ』

レン「…あぁ。…どんな奴なんだ?」

カズマ『ん?とにかく情熱的な男だな。色んな事に果敢に挑戦しては失敗し、挑戦しては失敗する。そんな男だ』

レン「ふっ、なんだそいつ…」

カズマ『…あと、夢を持ってる』

レン「…夢?」

カズマ『…レン、今のお前には、夢があるか?』

レン「……」

カズマ『…急かしたりはしない。でもな、レン。夢を持て』

レン「……」

カズマ『…それだけだ』

と、ビデオ通話が終了した

 

夢…

俺の、夢…

 

考えた事も無い

俺は何になりたいかなんて

ただ俺は

 

メグ「お兄ちゃん!ご飯まだ?」

レン「…あぁ、今作るよ」

メグ「うん!今日は何?」

レン「…じゃあ今日は、メグの好きなオムライスにしよう」

メグ「やったぁー!」

俺はただ、この笑顔を守りたいだけだ

 

本当にただ、それだけ

 

 

レン「…夢、かぁ」

俺らしくない

従兄弟がいたという新事実よりも、俺はそっちの事を考えてしまっていた

 

メグ「どうしたの?お兄ちゃん。やっぱ酔った?」

レン「…いいや。それより、この後はどうする?」

メグ「ん〜、泳ぐ!」

レン「…いやいや、そうじゃなくて。この後はどんな捜査をする?」

メグ「えぇ〜!私泳ぎたい!」

レン「…水着はないが…」

メグ「全裸で良いっしょ!」

レン「待て待て!お前も年頃の女の子だ。それはやめとけ、ってか許さん」

メグ「えぇ〜、分かったよ…」

悲しそうな目

こんな顔をされたら、()()()()断れない

 

レン「…はぁ、ここにも水着屋さんがある筈だ。そこで新調しよう」

メグ「わぁーい!」

帰ってくる答えが分かっていたかのような素振り

全く、小生意気な妹だ

 

 

暫くして、俺達は海に出た

潮風が気持ち良く、泳ぐにはもってこいの天気だ

 

メグ「お兄ちゃ〜ん!」

水着に着替えた俺達は夏の海を堪能していた

海水を掛け合ったり

浅瀬にいるナマコを見つけたりした

 

『オレンジ諸島・ナツカン島にお越しの皆さん!』

と、突然アナウンスが入った

 

『この後は!毎年恒例!真夏の水泳大会を開くぜ!飛び入り参加もオーケー!』

ハイテンションで喋る男性の声は続く

 

『優勝した人にはなんと!オレンジ諸島、秘境の1つ!アーシア島への入場券ペアセットをプレゼント!アーシア島の謎に迫って!皆もこの夏を謳歌しようぜ!今年の夏は!アバンチュールだァ!』

そこでアナウンスはBGMに切り替わる

 

レン「…なんだったんだ?今の」

メグ「…私、出たい」

レン「…え?」

メグ「お兄ちゃん!私!この大会出るよ!」

 

 

『それでは!ルールを説明します!水泳大会と言ってもただの水泳じゃないぜぇ!このフィールド内にばらまかれたこの球体を1番多く集めた物の勝利!制限時間は3分間!ちなみに、歴代の最高記録は64個です!』

俺は今、海水浴場の近くにある会場に足を運んでいる

まるで野球場のような広さの会場には、水が注いであり、だだっ広いプールのようになっている

観客席の1番前、俺は上着だけ羽織り、席に着いていた

 

アナウンスの男が持っている球体

明らかにメガストーンだ

それがこんなに沢山…

 

まるでメガストーンのバーゲンセールだな

 

『それでは!まずは女子の部!選手を紹介します!』

エントリーナンバーと名前がどんどん言われていく

プールサイドに立つ選手達

 

ちなみに、俺が目の前にこんな大量のメガストーンがあるのに焦らない理由は簡単だ

 

『エントリーナンバー9番!メグさん!なんと彼女は!今大会最年少の10歳だァ!』

そう、俺はメグの根気に負け、出場を許してしまった

ただし、条件付きで

それはまた後程分かるだろう

 

『そして最後は!エントリーナンバー10番!去年の今大会の優勝者にして、カントー地方水泳チャンピオン!別名、お転婆人魚!カスミ選手だァ!』

オレンジ色の髪色に水色と白の競泳用水着を着た女性

ショートヘアを左上で結んだ独特のサイドテールにしている

 

派手な演出で観客を湧かせるカスミ

俺も1度テレビで見た事がある

 

???「カスミィー!頑張れー!!」

横の観客が大声で叫ぶ

うるさい

 

 

メグ「……」

カスミ「…緊張してる?」

メグ「え?」

カスミ「最年少なんてとんだ肩書きよね」

メグ「…いや、私はただ興味本位で…」

カスミ「ふーん、でもこれだけは言っておくわ」

メグ「…っ!」

カスミさんは私の胸に人差し指を置いた

 

カスミ「あたし、年下だろうと手加減しないから」

真っ直ぐに私を見つめる目は、ただ挑発しているようには見えなかった

 

カスミ「貴方みたいなお子ちゃまには負ける気がしないの」

メグ「…っ!」

これは単なる挑発じゃない

だったら私は

 

メグ「…私はお子ちゃまじゃない!」

あえてこの挑発に乗る事にした

 

カスミ「…いい目ね、嫌いじゃないわ」

メグ「……っ」

 

『それでは!位置に着いてください!』

髪を解き、スっと体勢に入るカスミさん

私も負けずに体勢をとる

 

『よぉい!』

 

メグ「…私、負けませんから」

カスミ「…ふふ、あたしもよ!」

 

『ドン!』

 

ピストルの音がした瞬間

プールサイドにいた選手達が一斉に水の中へ飛び込んだ

 

プールの中にある無数のメガストーン

深さはだいたい4メートル強

 

メグ「…はいっ!」

集めたメガストーンはプールサイドに立っているスタッフが持っているバケツの中に入れる方式

 

メグ「…っ!」

カスミ「よいしょ!」

なんとカスミさんはこの短時間で10個程のメガストーンを取っていた

 

メガミ「…ん?ニヤァ」

メグ「…っ!」

煽ってくる

これは、私も負けられない!

 

メグ「はぁっ!」

カスミ「ふっ!」

メグ「やっ!」

カスミ「ヘャッ!」

 

残り10秒

 

私の伸ばす手と、カスミさんの伸ばす手が重なる…

 

メグ・カスミ「「はぁっ!」」

 

 

そして、3分間という時間はあっという間に終わった

 

『結果発表です!』

 

メグ「はぁ、はぁ」

カスミ「……ふぅ」

 

『今回はすごい記録が出ました!メグ選手!』

 

メグ「はぁ、はぁ」

カスミ「……」

 

『記録はなんと!65個!歴代最高記録です!』

観客がざわめく

 

メグ「…はぁ…はぁ…」

カスミ「……」

 

『…しかし、そんな記録をも上回る記録が出ています!カスミ選手!』

 

メグ「……」

カスミ「……」

 

『記録はなんと!72個!凄すぎる!よって今年の優勝者は!去年に引き続き!カスミ選手です!』

 

 

レン「…負けた、か」

???「よし!やったぞ!カスミィー!」

レン「…まぁ、これはこれでいいんだ…」

???「お前なら出来ると思ってた!YES!YES!」

レン「うるさい!あんた!もっと静かに観戦出来ないのか!?」

???「え?あぁ、ごめん。ちょっと熱くなりすぎたよ…」

レン「…そんなに彼女が勝ったのが嬉しいか?」

???「え?まぁ、なんたって俺は彼女のマネージャーだからね!」

レン「…は?」

タケシ「はじめまして!俺の名はタケシ!カスミのマネージャーだ」

茶髪の日焼けをした男

目は塞いだように細く、筋肉質だ

 

 

メグ「…負けた」

心底落胆する私

 

カスミ「…メグ!」

前を向くと、髪を再び結んだカスミさんが立っていた

 

メグ「…!」

カスミさんは手を差し出していた

 

カスミ「いい勝負だった!やっぱ貴方は強いわね!」

メグ「え?」

カスミ「私に負けじと迫ってきた。緊張なんて忘れて、思いっきり泳げたでしょ?」

まさかあの挑発の意味は、私の緊張を解すため?

 

メグ「…っ」

カスミさんの手を取り立ち上がる私

身長差は結構あるけど、カスミさんはまるで私を友達のように話しかけた

 

カスミ「ねぇ!良かったらアーシア島、一緒に行かない?」

 

 

『ジーー…、コチラ B-1 オウトウ セヨ』

マトリ「こちらマトリ、状況は?」

『ジーー…、タダイマ アーシアトウ ジョウクウフキン カコウシマスカ?』

マトリ「いや、待て。いずれ時は来る」

『ジーー…、リョウカイ シマシタ ピッ』

通信を切る女

その名はマトリ

紫色のおかっぱ頭で、眼鏡をしている

 

黒い制服に描かれる「R」の文字を胸に、アーシア島をヘリコプターで上空から見ていた

 

ゴズ「リーダー、いよいよですか?」

マトリ「そうだね、サカキ様が消息を絶った今。我々に出来ることはなんだ?」

ゴズ「…いや、何ですか?」

マトリ「…サカキ様に代わり、私達がこの世界を征服するんだ。この「マトリ・マトリックス」がね!」

帽子に着いているMの字のピンバッジ

金色に輝くそれはマトリのトレードマークでもあった

 

マトリ「我々がこの世界の新しい生みの親になるんだ!その為には、まずは…」

マトリは1つの写真を見る

銀色の髪色の少年が描かれた写真に、マトリは思いっ切りナイフを指した

 

マトリ「…仮面ライダーを見つけ出し、抹殺する」

 

 

レン「…んで、なんで俺まで船に乗っている」

俺は今、高速で動くクルーザーに乗っている

 

カスミ「固い事言わないの、全く、お子ちゃまなんだから…」

レン「あ?」

タケシ「優勝者の特権だよ。カスミが何とか言えば、人数くらい何とかなる。ましてや1人だとね」

レン「あんたは?」

カスミ「マネージャー兼側近みたいなもんだからね」

メグ「……」

カスミ「どうしたの?不安?」

メグ「あ…、いえ…」

カスミ「大丈夫!あたしはアーシア島は初めてじゃないから!」

クルーザーは風を切りながら走り、アーシア島に到着した

 

到着するなり、俺は珍しく仰天した

船が到着した港には、部族の仮面を被った島民がそこかしこにいたのだ

今にも吹き矢でも構えてきそうだ

 

???「カスミ!」

と、その先頭にいた1人の女性

仮面を外した女性

これまたびっくり、その女性はサングラスをかけたいかにもな現代っ子だった

長めの赤毛で、ツインテールにしている

 

カスミ「フルーラ!」

フルーラ「まさかまた来てくれるなんて!」

フルーラと呼ばれた女性

フルーラは俺達を見つけると、サングラスを外し、スカートの裾を持って丁寧にお辞儀した

 

フルーラ「紹介が送れました。私はこの島の巫女。フルーラ、よろしくね」

レン「…レンだ」

メグ「…メグです…」

タケシ「タケシです!よろしくお願いします!」

レン「…ん?こいつも初めてなのか?」

カスミ「あぁ〜、前に来た時は別のマネージャーだからね」

するとタケシはフルーラに近づき、手の甲にキスをした

 

タケシ「いやぁ〜、自分はなんて幸せ者なんでしょう!君という存在に出逢えたことを、神に感謝します!どうか自分を、貴方の神主にしてはくれませんか!?」

フルーラ「……」

レン「……」

こいつ、口説き始めたぞ

 

カスミ「てやぁ!」

タケシ「ぐはぁ!」

タケシの首を叩き気絶させたカスミ

 

カスミ「ごめ〜ん!こいつあたし以外の女に目がなくてさぁ〜!」

フルーラ「…カスミ、変わった友達がいるのね…」

レン「……」

メグ「……」

全くだな

 

タケシ「……」

ピクピクと痙攣するタケシを横目に、俺達は島の中へと案内された

 

 

その晩

島に来たお客様として、俺達は宴席に案内された

宴の中、カスミがこう言った

 

レン「アヤツリ人?」

カスミ「そう、この島の仕来りよ。「沖にある三つの島の宝を集め、本島に置く」。これがアーシア島が毎年行っている祭りの内容。アヤツリ人に選ばれた人間が、それを実行する」

レン「それを知らせて俺にどうしろと?」

カスミ「あら?興味無い?」

レン「興味無いな」

カスミ「あらそう…」

含みのある顔だ

すると、会場の明かりが消え、一点にスポットが当たった

 

ステージの上、ドレスアップしたフルーラが、オカリナのような笛を吹きながら登場した

 

そのあまりの可憐さと美しい音色に、俺は目を奪われた

メグも同様、フルーラをじっと見ていた

 

1曲を吹き終わると、フルーラはお辞儀をした

会場にいた島民達が一斉に拍手をする

我に戻った俺は、少しだけ恥ずかしい気持ちになった

 

フルーラ「今宵はアーシア島に集まって頂き、誠にありがとうございます。今年もこの祭りを開催できることに、私は感激しています」

会場が一気に静まり返る

するとフルーラは、俺に近ずいて来た

 

フルーラ「レン、突然ですが。貴方を「アヤツリ人」に任命します」

レン「…は!?」

思考が追いつかん

こいつは今何を言った?

 

俺が「アヤツリ人」に任命された瞬間、島民達がワイワイと騒ぎ始めた

 

カスミ「良かったジャーン」

こいつ…謀ったな

 

レン「おい、どういうつもりだ」

フルーラ「大丈夫!ただの仕来りだから。毎年やってる事よ?怖くない怖くない」

レン「いや…、そういう意味ではなくて…」

近づくフルーラから俺は目を逸らした

俺は完全に目のやり場を見失った

 

メグ「お兄ちゃん!やろう!」

レン「…え?」

やる気満々のメグ

そのキラキラした目に俺は勝てなかった

 

レン「…分かった。引き受けよう」

カスミ「まぁ、任命された時点で確定だけどね?」

レン「…くっ」

つくづくムカつく女だ

俺は台パン仕掛けた手を何とか鎮めた

 

 

マトリ「海の神、破滅を救わんと現れん。されど、世界の破滅を防ぐことならず」

ゴズ「ん?何ですか?それ」

マトリ「アーシア島に古くから伝わる書物の一節だよ。アーシア島の近くにある4つの島、それぞれには神が眠っている。火の神、雷の神、氷の神、そして、海の神」

ゴズ「それが何なんですか?」

マトリ「…バカか君は。海の神の力は絶大だ。その力は、サカキ様が使っていたあの力をも凌駕する」

ゴズ「あの力って、ライダーシステムの事ですか?」

マトリ「その通り。海の神の力を手に入れれば、私もライダーシステムを使えるだろう。そして、サカキ様の理念を、我々が唱えるんだ」

ゴズ「はい!」

そんなマトリの手には、サカキが遺していった《マスタードライバー》が握られていた

 

マトリ「…サカキ様の、意志のままに…」

???「仮面ライダーを倒しちゃ、勿体ないよ〜」

マトリ「誰だ!」

???「まぁまぁまぁ、落ち着いて。僕は君達の敵じゃない」

マトリ「??」

ヘリコプターの中、影の中にそいつはいた

赤い目をしたそいつは、不敵な笑みを浮かべた

 

いつ入ってきた?

全く気付かなかった

 

ヒガナ「僕はノブナガ。よろしくね?」

マトリ「ノブナガ?…ふっ、誰だか知らないが、我々の作戦の邪魔をしに来たのか?」

部下達が拳銃を構える

 

ヒガナ「とんでもない!僕は君達に提案をしに来たんだ」

マトリ「??」

ヒガナ「…敵は、利用してなんぼだろ?」

 

 

レン「…なるほどな」

火の島にて、宝を手に入れた俺

その「宝」とは、他でもないメガストーンだった

 

レン「メガストーンがこんなにも身近にあるとはな…」

メグ「早く取ろうよ〜」

レン「待て、無作為に取ると、後で痛い目にあう」

俺は祭壇に収められたメガストーンを取り出した

 

レン「……」

メグ「……」

レン「…よし、問題ない。行こう」

そう言った瞬間だった

 

火の島全体が熱を発し、火事のように燃え広がった

出口も塞がっている

 

レン「…ちっ、やはりこうなったか」

メグ「どうするの?お兄ちゃん…」

レン「…こうなったら、一か八かだ」

俺は《レジェンドライバー》を取り出し、腰に装着した

 

レン「…変身」

仮面ライダーレジェンへと変身した俺は、サイコカッターで岩場を裂き、出口を無理やり作った

 

レン「サイコキネシス」

俺は自身とメグをサイコキネシスで浮かせ、岸まで飛んで行った

 

海まで来ると、島の炎は消えていった

 

フルーラ「まさか、こんなことになるなんて…」

レン「…ん?いつもこんな感じじゃないのか?」

カスミ「おかしいわね…。例年はこんなこと無かったのに…」

タケシ「…もしかして、怒ってるのかもな」

カスミ「…火の神、ファイヤー…」

レン「ファイヤー?」

タケシ「カントー地方に古くから伝わる鳥の神様だよ。睨みつけた者を骨の髄まで描き尽くすっていう伝説があるんだ」

レン「…なるほど、伝説か…」

カスミ「他にも、雷の神、氷の神っていうのが伝説には残ってるは」

フルーラ「…もしかしたら、この仕来りはただの行事じゃないのかも…」

フルーラはバックから笛を取り出した

 

レン「…だが、結局俺達はこの宝に用がある。どっちにしろ宝は集めるつもりだ」

カスミ「…そう。あんた、意外とやるじゃん」

レン「……」

 

クルーザーに乗り、次は雷の島を目指す

 

タケシ「雷の神の名はサンダー。稲妻の雨を振らせて何者も近づかせないらしい」

フルーラ「ここでも何が起こるかわからない。私達も着いて行くわ」

レン「足でまといになるだけだ。あんたらはここで待ってろ」

フルーラ「……」

 

 

レン「…ここか」

雷の島の祭壇

案の定メガストーンがある

 

レン「…んで、なんで着いてきている?」

フルーラ「レンを「アヤツリ人」に任命したのはこの私。観光客に怪我なんてさせない責任がある!」

カスミ「…あたしにも非があるわ。とことん付き合ってやるわよ!」

タケシ「俺はカスミに着いてくだけだ!」

メグ「…わ、私も!」

レン「…はぁ、じゃあ、取り出すぞ?」

全員が頷く

俺は《サンダーストーン》に手をかける、その瞬間

 

レン「…なっ!くっ」

突然の暴風に襲われた

薄目で上を見上げると、ヘリコプターのプロペラの音と、スポットライトの明かりが見える

 

レン「…だ、誰だ!」

ムサシ「誰だ!と言われたら」

コジロウ「答えてあげるが世の情け」

ムサシ「世界の破壊を防ぐ為!」

コジロウ「世界の平和を守る為!」

ムサシ「愛と真実の悪を──」

マトリ「あんた達の自己紹介なんていらないわよ」

ムサシ「ムキィー!何よ!このおカッパめがね!」

レン「…あ?なんなんだ?」

ヘリコプターから降りてきた人間

どこかで見たことのある二人と、紫髪のおかっぱの女

 

マトリ「はじめまして、仮面ライダー」

レン「…俺の事を知ってるのか?」

マトリ「もちろん。私はロケット団の社長秘書。もとい、「マトリ・マトリックス」のリーダー。マトリよ」

レン「ロケット団だと?サカキは死んだ筈だ!」

マトリ「…そうだね、サカキ様は死んだ。だが、ロケット団は不滅だ!仮面ライダー!君を殺すまで!そして!世界を征服するまでロケット団は滅んだりなんかしない!」

レン「…ちっ、いつになっても!変わらないな!変身!」

マトリ「行け!『ニャース・ヤミー!』」

『ニャァァー!!』

銀色のおでこに小判をつけた猫のポケヤミーが飛び出してきた

 

レン「はどうだん!」

『ニャーァァァ!!』

小判を飛ばして相殺される

 

マトリ「まぁ待て、ここには君の仲間もいるんだぞ?」

レン「…くっ」

あいつらの方を振り返ると、何人かのロケット団の隊員がメグ達を囲んでいた

 

レン「…卑怯な」

マトリ「まぁまぁ、君が私達の言う通りに動けば、彼らに危害は加えないと約束しよう」

レン「…そんな約束、信じられるか」

マトリ「…じゃあ、彼らがどうなってもいいのか?」

レン「…くっ」

迂闊だった

やはり連れてくるべきじゃなかった

 

レン「……」

俺は変身を解除した

 

マトリ「私達の意向に従う、という事で良いのかな?」

レン「…何が目的だ?」

マトリ「まぁそれは、後ほど話すよ。とりあえず、そのメガストーンをとったら話すとしよう」

レン「……」

俺は祭壇に収められた《サンダーストーン》を取り出した

 

すると今度は、島全体が電気を帯び、蒼く光り始めた

 

マトリ「…さぁ、続きはヘリコプターで…」

ヘリコプターへと乗り込むマトリ

拘束された俺達は隊員に連行された

 

 

マトリ「この島の宝は、誰かが触ったり取り出したりすると、島の神が怒り、災いを起こす。島があんなふうになったのは、そのせいだ」

レン「…お前達は何が目的だ?」

マトリ「率直にいえば、この島に眠る『海の神』の力が欲しい。その為には、仮面ライダー。君のことを利用させてもらう」

レン「…何故俺なんだ?自分で宝を盗ればいい」

フルーラ「そう簡単には行かないのよ。島の宝は、1人しか触ることを許されていないの。今レンが持ってしまっているから、3つの宝を本島に収めるまで、他の者は触ることが出来ない」

マトリ「その通り、だからもう暫くの辛抱だよ?でも大丈夫。3つの宝を収めた後に、苦しまないように殺してあげるから」

レン「…それは、気を使わせて悪かったな」

マトリ「…ふふっ」

ゴズ「リーダー!氷の島の上空まで来ました」

マトリ「…さぁ、君の出番だよ?仮面ライダー」

 

 

氷の島の祭壇

凍えるような寒さだが、それどころではない

俺の背後には、銃を構えたマトリがいる

 

マトリ「…さぁ、早く取り出せ」

レン「…お前は知っているか?」

マトリ「…何をだい?」

レン「…サカキが世界を征服させようとした理由を」

マトリ「それは勿論、この世界を征服して、最高権力者になる為だ」

レン「…違う。サカキは、本当は、この世界が好きだった。そして、より良いものにしようとした」

マトリ「…何を、言っている?」

レン「…サカキの意向?意志?知った事か!…今のお前たちは、サカキの願望を叶えようとしている訳じゃない。結局は自分の為にした動こうとしていない」

マトリ「……何が、わかる…。お前に!何が分かる!」

レン「…っ!」

振り返り横目で見たマトリは、酷く取り乱していた

 

マトリ「サカキ様は!この私を救ってくれた!凡人の私を!何も無い、何もなし得ない、何者にも好かれないこの私を!……あの人は救ってくれた…」

レン「……」

マトリ「サカキ様の為なら!何でもすると誓った!…でも!サカキ様が死んで!仮面ライダーが殺したと知った時!君を酷く憎んだよ…」

レン「…悪かっな。俺も、殺すつもりはなかった。ただ、正しい道へと、導きたかった」

マトリ「サカキ様は間違ってなどいない!間違っているのは貴様だ!」

レン「…そう、かもな」

マトリ「さっさと宝をとれ!」

レン「……」

俺は言われるがまま、氷の神の宝、《フリーザーストーン》を手にした

 

島は降雪を一層強め、吹雪の地と化した

 

マトリ「…ふぅ、さぁ、戻るぞ」

深呼吸したマトリは、拳銃を構えながら俺についてきた

 

ヘリコプターへと連行され、再び拘束された

 

ふと外を見ると、さっきまで静かだった空が暗くなり、嵐が起こっていた

火の島は再び燃え上がり、雷の島は電気を帯び、氷の島は吹雪に見舞われている

 

明らかにおかしい

 

まさか、3つの宝を取ったことにより、本当にその神とやらが天誅を下そうとしているのか?

 

ゴズ「リーダー!物凄い嵐です!このままでは本島に着くまでに墜落します!」

マトリ「ここまで来て引き返せん!強行突破だ!」

ゴズ「…くっ、わかりました!」

操縦席にいた隊員がハンドルを強く引く

 

ヘリコプターは嵐の中本島に着陸した

とても荒っぽい運転のせいか、ヘリコプターには物凄い衝撃が走った

 

本島を探索すると、3つの島に向き合うように、祭壇が置いてあった

 

石柱が円状に囲まれたそこは、3つの島が一望できた

 

マトリ「…さぁ、ここに宝を入れろ」

相変わらず拳銃を構えるマトリ

俺は少し高くなっているところにある祭壇の中に、3つのメガストーンを置いた

祭壇には小窓があって、そこからそれぞれの島が見えた

 

レン「……っ!」

3つのメガストーンが共鳴しだした

 

すると、本島が地鳴りを起こし、身の前の海に海水の竜巻ができた

竜巻が解けると、そこには銀色のメガストーンが現れた

 

マトリ「…おぉ…。あれが「海の神」、『ルギア』」

レン「…ルギア?」

マトリ「やれ!あいつを捕らえろ!」

ゴズ「…はっ!」

隊員が《ルギアストーン》の向かって何かを投げた

それはまるでマジックボールのように広がり、《ルギアストーン》を包んだ

《ルギアストーン》を包んだそれは、マトリの元へと飛んできた

マトリはそれを受け取り、《ルギアストーン》を取り出した

 

マトリ「…ははっ!遂に手に入れた!この力があれば!この世界は!私のモノだァ!」

ゴズ「やりましたね!リーダー!」

マトリ「…あぁ、そうだね、君達はよくやってくれた」

ゴズ「……リーダー?」

マトリ「……っ!」

レン「…!!」

マトリはなんと、自分の仲間である隊員を1人づつ銃で打っていった

動揺する俺達

 

マトリ「…世界を変えるのは、この私だ。…神は…1人で十分なんだよ!」

マトリが俺達に拳銃を向ける

 

レン「…変身!」

すぐさま変身して庇う俺

仮面ライダーに変身していれば、拳銃なんて屁でもない

 

マトリ「…仮面ライダー…。やっぱり君は邪魔だ。君の最期は、私が下す」

マトリは《マスタードライバー》を構え、腰に装着した

 

レン「なっ!それは!」

 

マスタードライバー

 

さらにマトリは《ルギアストーン》をセットした

 

セット

マスターヘンシン!

 

マトリ「…変身ッ!」

 

マトリは眼鏡をクイッと上げ、《マスタードライバー》の突起物を両方押し込んだ

 

ルギア!

海を統べろ!

In The Darkness!

 

マトリの体は白色に変色し、腕は翼のように発達

目元は紺色になり、紺色の背鰭が何本も生えた

マトリ「邪悪の戦士!仮面ライダーマトリクス!」

レン「…くっ、お前も変身出来るのか…」

マトリ「…最後の審判は、私が下す!」

 

 

ムサシ「…な、ななな…何が起こってるの?」

マトリが隊員を皆殺しにするところを影で目の辺りにしたムサシとコジロウ

 

コジロウ「知るかよ!とりあえず逃げようぜ!」

ムサシ「無理よ!ヘリだって壊れてんだから!」

コジロウ「じゃあどうすんだよ!このままじゃ俺達まで死ぬぞ!」

ムサシ「あぁー!サカキ様に捧げた命が!あのおかっぱ眼鏡に殺されるくらいなら自分で死んだ方がマシよ!」

コジロウ「はぁ…ん?あれなんだ?」

ムサシ「…何って、救命ボートじゃない。もしもの時にヘリに詰めておいた」

コジロウ「…ムサシ、ちょっとだけ俺を信じてくれないか?」

ムサシ「…え?」

コジロウ「…俺達にも見せ場があるかもだぞ?」

 

 

カスミ「ちょっと!何よあれ!」

メグ「まさかあの人も変身するなんて!」

タケシ「どうにかならないのか!?」

フルーラ「落ち着いて!とにかくここから離れよう!」

メグ「…お兄ちゃん」

お兄ちゃんのそばを離れた私達

 

お兄ちゃん、頑張って

 

 

レン「……」

無事避難できたみたいだな

 

マトリ「……」

レン「……はっ!」

マトリ「フッ!」

ぶつかり合う俺とマトリ

 

マトリ「ハイドロポンプ!」

レン「はどうだん!」

マトリが打つハイドロポンプを俺は相殺する

 

マトリ「くっ…ドラゴンダイブ!」

マトリはドラゴンの形をしたオーラを纏い、俺に突っ込んで来た

 

レン「…ぐっ!」

俺のみぞおちに命中する

 

レン「…サイコキネシス!」

マトリ「…っ」

俺はマトリの身動きを止める

 

レン「サイコカッター!」

サイコカッターで追い討ちをかける

それは命中し、煙がたつ

 

マトリ「……」

レン「…くそっ」

見るからにダメージが入っていない

 

すると3つの島がさらに天候を荒らげた

 

特に氷の島

 

吹雪は海にまで伝わり、凍らせていた

分厚いスケートリンクが出来上がった

 

マトリ「エアロブラスト!」

マトリは渦潮を出現させ、俺に打つ

俺はそれに巻き込まれ、凍った海の上へと飛ばされた

 

レン「…くっ」

マトリ「……」

羽ばたきながら俺の元に来るマトリ

 

レン「…っ!」

マトリは俺の首を掴み、上にあげた

息が上手くできない

 

マトリ「……」

なんて無慈悲な目なんだ

 

…まぁ、俺も変わらないか

 

 

……あぁ、視界が、歪む

寒さが増してきた

抗うことをやめた腕が垂れ下がる

 

レン「……」

ここまでか…

 

 

……

 

………

 

…………ん?

 

なんだ?この音

 

この音色は……

 

フルーラの…笛の音色

 

心地いい

心が安らぐ

まるで……

 

俺に…諦めるなとでも言うようだ

 

メグ「お兄ちゃん!!」

レン「…っ!」

パチッと目を覚ます俺

すかさずマトリのがら空きになった脇腹に蹴りを入れる

 

マトリ「…がっ!な、なぜだ!お前はもう諦めたはずじゃ!?」

レン「…ゴホッゴホッ……。悪いな!俺は諦めが悪い男なんだ。俺は朝堂レン。仮面ライダーレジェンだからな!」

 

 

カスミ「まずい!レンが!」

タケシ「どうしたらいいんだ!?」

メグ「……お兄ちゃん…」

フルーラ「…私にひとつ、心当たりがある」

カスミ「何?教えて!?」

フルーラ「…この笛」

フルーラは宴の時に吹いていた笛を取り出した

 

フルーラ「これはアーシア島に伝わる伝説の中で、神達の怒りを静めるための笛らしいの、私がこれを吹けば、きっと火の神、雷の神、氷の神の怒りが静まってレン君に力を与えてくれるはず…」

タケシ「じゃ、じゃあ早速やってみましょう!」

カスミ「そうよ!フルーラ、頑張って!」

フルーラ「…うん!……メグちゃん」

メグ「…はい」

フルーラ「…レンに力を与える事が出来ても、目を覚ますかは分からないの。だから、メグちゃんが思いっきり声をかけてレン君を起こしてあげて!」

メグ「…はい!」

フルーラ「……」

フルーラは頷き、祭壇の台にたった

 

メガストーンを目の前に、笛を構える

 

フルーラ「……」

フルーラが笛を吹き始めた

すると、祭壇に入っているメガストーンが光だし、台から黄緑色の水が出てきた

石柱が黄緑色の光ると、それは宝石のように輝き、笛の音色に合わせて発光しだした

 

石柱と共鳴しているフルーラはとても綺麗に感じた

 

カスミ「…メグ!今よ!」

メグ「はい!……」

私は深呼吸する

 

メグ「…お兄ちゃん!!」

そして、大声で叫んだ

 

するとお兄ちゃんは目を覚まし、マトリに蹴りを入れた

 

タケシ「やった!」

カスミ「メグ!やったよ!」

メグ「…はい!」

フルーラ「……っ!」

フルーラが笛を吹いている最中

光る3つのメガストーンが祭壇から飛び出し、お兄ちゃんの元へと飛んで行った

 

メグ「…お兄ちゃん…頑張って!」

 

 

レン「ん?これは…」

俺の元に飛んで来たサンダー、ファイヤー、フリーザーのメガストーン

どうやら俺を認めてくれたらしい

 

マトリ「…何故、何故お前なんかが!」

レン「…何故か?簡単だ!それはな…」

マトリ「……っ!」

レン「…俺が強いからだ!」

すると3つのメガストーンは光り輝きながら合体し、3色のメガストーンへと変化した

 

俺はそれをレジェンドライバーへとドロップした

 

ドロップ!

リード!レジェンド!ヘンシーン!

 

レン「……フォルムチェンジ!」

 

サンダー!ファイアー!フリーザー!

トライ!フュージョン!

サーファーイザー!

 

レン「大空の戦士!仮面ライダーレジェン!サファイザーフォルム!」

マトリ「……そ、それは!」

レン「…これがサンダー、ファイヤー、フリーザーの力…。伝説は、ここから始まる!」

マトリに突っ込む俺

 

マトリは飛び上がり、俺はそれを追いかける

空中戦が始まった

 

マトリ「エアロブラスト!」

マトリはエアロブラストを連発してくる

 

レン「フッ!フッ!」

俺はそれを軽々と躱す

 

レン「かみなり!かえんほうしゃ!れいとうビーム!」

3つの技を連発する俺

俺の攻撃はマトリに命中する

 

レン「とっておきのコンボだ!でんじほう!もえつきる!ぜったいれいど!」

3つのオーラを纏う俺

そのままマトリに突っ込む

 

マトリ「がっ!」

かなりダメージがあるようだ

 

マトリ「…くっ…おのれ!仮面ライダー!」

マトリは《マスタードライバー》の右の突起物を押し込む

 

マスターヒッサーツ!

 

俺はレジェンスロットをスライドする

 

レジェンド!トライ!ヒッサーツッ!

 

そしてマトリは左の突起物を押し込む

 

ルギア!

創造神渦激(そうぞうしんかげき)

 

俺は《レジェンドライバー》の側面のボタンを押し込む

 

サファイザー!

エレクトリックフレイムブリザード

 

レン「エレクトリックフレイムブリザード!」

俺は全身に、炎、電気、氷を纏わせ、高く飛び立つ

すると背中から6本の翼が飛び出た

それぞれ電気と炎と氷を纏わせている

 

マトリ「創造神渦激!」

マトリは巨大な渦を作り上げた

 

レン「…はぁぁぁ!」

マトリ「…はぁぁぁ!」

俺はマトリに向かって蹴りを入れた

だが、巨大な渦がガードする

 

レン「…はぁぁぁ!」

俺はそれを突き破り、マトリの胸に命中する

 

マトリ「がァァ!」

衝撃で海の底へ落ちたマトリ

そこから上がってくることは無かった

 

レン「…はぁ、はぁ」

俺は力尽きて、変身が解除された

空にいた俺は海へと真っ逆さまに落ちていった

 

カスミ「レン!」

メグ「お兄ちゃん!」

 

すると、俺の両腕を、誰かが掴んだ

担がれた俺は、岸へと運ばれた

そこからは、あまり覚えていない

 

 

レン「……ん」

タケシ「お!目が覚めたか!良かった!俺の応急処置が間に合って!」

レン「…ここは?」

フルーラ「まだ島よ。レン君、頑張ったね」

レン「…そうか。俺、やったんだな」

メグ「うん!お兄ちゃん!ありがとう!」

抱きつくメグ

 

レン「…あぁ。ありがとう、メグ」

カスミ「……やっぱり、貴方達はお子ちゃまなんかじゃないわね!」

レン「…なんだ?今更」

カスミ「…レン、お子ちゃまなんて読んでごめん!訂正する!レンは私達のヒーローだよ」

レン「…ヒーローだなんて、大袈裟だし無名誉だ」

カスミ「どうして?」

レン「…死亡フラグが立って仕方ない」

フルーラ「…ぷッ!何それ!」

笑い出す皆

 

レン「…ふっ」

ここで素直に笑えないのが、俺の欠点かもしれないな

 

タケシ「…というか、これからどうする?ヘリも壊れて、アーシア島までは結構距離があるぞ?」

フルーラ「…圏外だから連絡もつかないし…」

 

ムサシ「そこの困ったジャリボーイ達っ!」

レン「…?」

コジロウ「俺が改造した船に乗っていくか?勿論ただなんかじゃあないぜ!」

当然現れたムサシとコジロウが指したところには

救命ボートにプロペラが付いたとても簡易的なボートだった

 

レン「…ふ、ふふっ」

ムサシ「…な!何がおかしいのよ!」

レン「…敵役のお前達が、そんな事していいのか?」

コジロウ「うるさいな!さぁ!さっさと乗った!」

 

ロケット団の2人に促されるまま俺達は船に乗りアーシア島へと帰った

 

とても長く感じた戦いは、ようやく終わりを告げた

 

 

ヒガナ「……」

さぁてと、《あれ》はどこかな?

 

海の底、マトリは確かここら辺に…

 

マトリ「…あった」

銀色のメガストーン

伝説のポケモン、『ルギア』のメガストーン

 

《マスタードライバー》は傍にはない

流されてしまったようだ

 

まぁいい

目的は果たした

僕の目的は最初からこのメガストーンだった

マトリと仮面ライダーが見つけてくれたおかげで探す手間が省いた

 

ヒガナ「…さぁ、今度はどんな事をしようかな?」

闇の空間に戻る影

ヒガナの悪巧みはまだまだ続く──

 

 

その晩、アーシア島では再び宴が行われた

「アヤツリ人」ではなく、「救世主」という肩書きを貰いながら

 

夜が開けるまで続いた宴、島民が寝静まった早朝

 

レン「…それじゃあ、色々とありがとうな」

フルーラ「何言ってるの!この島を守った人にそんなこと言われる資格はありません!」

カスミ「そうよ!もっと自信持ちなさい!」

フルーラ「…カスミ、来年からはこの仕来りは中止するわ」

カスミ「…そうよね、じゃあ、次は姉たちも連れて遊びに来るわね!」

フルーラ「…えぇ!」

フルーラに別れを告げ、普通のボートでナツカン島を目指す俺達

ロケット団の2人が隠れていることは、特別に黙っておく事にした

 

 

カスミ「…そう、もう行くのね」

タケシ「短い間だったけど!楽しかったよ!」

メグ「私も!」

レン「…あぁ、色々と世話になった。礼を言う」

カスミ「いいのよ!あたし達の方が世話になったわ!」

タケシ「元気でな!レン、メグ!」

レン「…あぁ」

メグ「はい!」

カスミとタケシにも礼を言って今度はフェリーに乗る俺達

 

2人は最後まで見送ってくれた

 

 

メグ「…お兄ちゃん、次は何処に行くの?」

レン「…そうだな…。カロス地方なんてどうだ?」

メグ「…何か宛があるの?」

レン「…いいや、勘だ」

メグ「…えぇ…」

レン「大丈夫だ、何があっても、お前は俺が守る。俺は強いからな」

メグ「…うん!頼りにしてるよ!お兄ちゃん!」

レン「…あぁ」

潮風に煽られながら海を渡る俺達

 

だが俺達の旅は、ホントに、本当に、始まったに過ぎなかった

 


 

レン「……」

ライト「ん?レン、なんだ?そのストーン」

レン「…海の神、ルギアの物だ」

ライト「ふーん、強そうだな」

レン「……」

ライト「…そういえば、レンってなんで初めて会った時から俺の事知ってたんだ?」

レン「…さぁな、きっかけなんて忘れた」

ライト「…えぇ」

レン「…安心しろ」

ライト「…?」

レン「…直にわかる事だ」

ライト「???」

全く理解出来ていないライト

それもそのはずだ

この事は、俺と親父しか知らない事だからな

 

全く、面白い顔してやがる

 

ライト「…レン、今ちょっと笑ったか?」

レン「…わ、笑ってなどいない」

ライト「いやいやいや!笑ったって!絶対笑った!」

レン「うざい!」

ライト「なんでだよぉー!もっと素直になれよぉー!」

レン「…ふんっ!」

そっぽをむく俺

 

レン「…無駄だ」

ライト「…えぇ?」

 

俺が素直になる事なんて、金輪際無いからな

俺はライトの間抜けな顔を見てそう確信する

 

To be continued




あとがき

いかがでしたでしょうか?
スピンオフ第2弾です
この間「幻のポケモン ルギア爆誕」を見た時
「このネタでやりたい!」
と思い、なんとか実現させました
同時に「みんなの物語」を見た時、このネタは本編で使えると思い、「ルギア爆誕」のネタはスピンオフ行きとなりました…

ここでは「サファイザーフォルム」を手に入れた経緯と《ルギアストーン》の経緯が語られています(そのつもり)

カスミとタケシは絶対出したかったのですが、キャラが少しだけ薄くなってしまいました…(反省点)
でも一応、カスミは海に沈むレンを助けたり、タケシは引き上げられたレンを応急処置したりと、役にはたってるはずなんですよね
ロケット団の2人がボートを作るところも、映画のオマージュですね
上手く出来たかな?

もしよろしければ、感想を書いてくれるとありがたいです!
不満点でも構いません!

さぁ!レン達は次にどんなエピソードを繰り広げるのか!
お楽しみに!

今後ともよろしくお願い致します!
次回からはホウエン地方編です! byキャメル16世


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ホウエン地方 編
第二十八話「誓いは永遠(とわ)に」


前回のあらすじ

様々な物語を意中に宿す者達
それぞれが、決断を下す
そして!再び現れた『ルギア・ヤミー』に対し、ライトは新たな力、《ホウオウ》の力で《フェニックスモード》へと進化!
『ルギア・ヤミー』を倒し、ジョウト地方は平和となった

そして!さらなる冒険を求め、ライト達は歩き出す!



私が未来にいた時、何度も考えた事がある

 

あんな過酷な状態でも、新しい命が生まれる事

誰かと結ばれる事

 

私もいつか、あんなふうに笑って過ごせるのかなと

 

幸せそうなあの夫婦を見て、いつも思う

 

簡易的な結婚式だが、夫婦は口を揃えて言う

 

「誓います」

 

そうして唇を合わせる

 

その風景が

その雰囲気が

私は好きだった

 

いつか私も…

誰かと結ばれるのかな?

誰かとあの言葉を揃えて言うのかな?

 

そして

誰かと唇を合わせる時が来るのかな…

 

そう

誰かと──

 

             *

 

メグ「メガミちゃん!」

メガミ「…ん〜」

メグ「起きて!そろそろ着くってさ!」

メガミ「…何処にですか?」

メグ「ホウエン地方!」

カントー地方とジョウト地方から少し離れた地方、ホウエン地方

私達は今、フェリーに乗ってホウエン地方へと向かっていた

 

今のは、夢だったようだ

 

レン「大きな火山と大海原。地球の歴史に大きく関わるとも言われるこの地にも、きっと何かしらの収穫がある筈だ」

ライト「ホウエンかぁ〜。レンはここには来た事あるのか?」

レン「いや、俺達も初めてだ」

客席の外に出ると、レンさんとライトさんが話していた

潮風が気持ちよく、最高の目覚めだった

 

ライト「お!おはようメガミ!」

メガミ「おはようございます!」

レン「見ろ、向こうに見えるのがホウエン地方だ」

レンさんの指さした先には、大きな火山があった

 

私達が巡る3つ目の地方

今回はどんなトラブルが起こるのか

 

             *

 

カイナシティの港に着いた私達はフェリーから降りて情報収集も兼ねてホウエンの街を散策することにした

 

班は私とライトさん組、朝堂家組と別れ、散策する事となった

 

ライト「へぇ〜、意外と賑わってるなぁ」

メガミ「そ、そうですね…」

ライト「ん?どうした?メガミ」

メガミ「い、いえ!」

この班で行動しようと言ったのはメグさん

魂胆が丸見えである

 

私とライトさんを2人っきりにして…

もう!メグさんのバカ!

 

2人で歩く姿は、さながらカップルの様であった

考えただけで顔が暑くなる…

 

メガミ「くぅ…」

ライト「……」

必死に顔を隠す私に、ライトさんは問いかけた

 

ライト「…メガミってさ、オシャレとかしないのか?」

メガミ「…え?」

ライト「…いや、思えばメガミってさ、いつもそのワンピースじゃん?オシャレとか興味ないのかなぁ〜、って」

ライトさんは私がいつも着ている白のワンピースを指していた

 

メガミ「…あはは…私がオシャレなんて、不向きですよ…」

ライト「…なんで?」

メガミ「…だって私、可愛くありませんから…」

いつも思う

私は、ライトさんの横に相応しい人間なのかと

ライトさんのような強い人の横に立っているのは、私であるべきなのかと

私は、ライトさんには釣り合わない…

 

ライト「そーかな?メガミって、ちゃんと可愛いと思うけどなぁ」

メガミ「…っ!!」

ライトさんは私を見ることなく呟いた

 

たまに出るライトさんのデリカシーの無さ

それを聞いて私は何を言えばいいの!?

 

ライト「……メガミ?」

ライトさんが振り向き私を見る

 

メガミ「……ライトさんの…」

ライト「……?」

メガミ「バカァー!」

私は走り出した

 

 

ライト「……なんだ?今の…」

 

             *

 

カズマ「こうして見ると、家族旅行みたいだな!」

レン「お袋のいない旅行なんて家族旅行では無い」

メグ「そうだよ!お母さんの事1番に考えてるのはお父さんでしょ!?」

カズマ「…そ、そうだが…」

何故そんなに怒る?

 

久々に泣きたくなったぞ…

 

僕達はライト達とは別ルートでカイナシティを巡っていた

 

少し休もうと、こじんまりとしたカフェに足を運んだ

そこでこんな会話を聞いた

 

「…え?また攫われたのか?」

「…あぁ、どうやらな…」

「これで今週3件目だぞ…」

「お前達の息子達の結婚式も近いだろ?気ぃ付けとかなきゃな」

「…そうだな、言っておくよ」

 

カズマ「……」

レン「……」

その客が帰るのを待ち、帰ったところで俺達は話し始めた

 

レン「今の聞いたか?」

カズマ「あぁ、調べたところによると。ココ最近、結婚式中に怪物が現れ、花嫁が攫われるという事件が多発しているようだ」

メグ「怪物ねぇ、完全にポケヤミーだね」

レン「やはりこの地方にもポケヤミーの魔の手がかかっていたとはな」

カズマ「ライト達に連絡するよ。しばらくしたら、また合流しよう」

レン「…あぁ」

メグ「……」

 

             *

 

走り去ったメガミを探して、俺は街中を走っていた

すぐに追いかけたはずだけど、巻かれてしまったようだ

意外と足速いんだな

 

と、道路の真ん中で突っ立っているメガミを見つけた

何かを見ている様子だった

 

メガミ「……」

ライト「メガミっ!」

メガミ「ライトさん…」

ライト「何見てるんだ?」

メガミ「…あれ…」

メガミが指さした先は、結婚式場だった

そして、まさに式の真っ最中だった

協会の外に出てきた新郎新婦に向かって、沢山の人が花弁を撒いている

 

ライト「あぁ〜、あれは結婚式だよ」

メガミ「…この時代から、この文化はあったんですね」

ライト「あぁ、結婚式はただの仕来りじゃない。新郎新婦が、お互いを認め合い、将来を共に過ごすことを誓う式でもあるんだ」

メガミ「…はい」

ライト「…見てよあの笑顔、素敵だよな」

メガミ「…はい!」

 

 

未来で見たこじんまりとした結婚式

それと比べたら、この結婚式はとても壮大で、とても綺麗だった

 

だけど、決して変わらない物、それは2人の笑顔だった

いつの時代だって、この2人の笑顔だけは変わらない

 

メガミ「…綺麗」

私は新婦の着るドレスに見とれて、思わず声に出してしまった

 

ライト「…ん?ウエディングドレスの事?」

メガミ「…はい、未来では、あんな派手な格好は出来ませんから」

ライト「…着てみたいのか?」

メガミ「…え?」

ライト「いいんじゃないかな?ウエディングドレス、似合うと思う!」

メガミ「…そ、そうですか?」

ライト「うん!それに、ウエディングドレスは、女性が一生で最も綺麗になれる服装だとも言われてるんだ。きっと似合うよ!」

目を輝かせて言うライトさんは、一遍の曇りなき眼のようだった

 

ライト「メガミ、可愛いし!」

メガミ「……むぅぅぅう!」

ライト「え?何!?」

メガミ「ライトさんはどうしてそんな恥ずかしい事を赤い顔ひとつせず言えるんですか!?私は恥ずかしくて死んでしまいそうですよ!」

ライト「え?何言ってるの?メガミ…」

メガミ「とにかく!」

と、近くで女性の叫び声がした

 

叫び声の場所はすぐにわかった

さっきまで笑顔で歩いていた新郎新婦の近くに、金髪で赤いドレスを着た紫肌でたらこ唇のポケヤミーがいた

 

『私抜きで幸せを噛み締めるなんて許せない!新婦は、この『ルージュラ』だけで充分なのよ!』

そう言うと、『ルージュラ・ヤミー』は新婦を掴んだ

 

新婦の叫び声が轟く

 

メガミ「ライトさん!」

ライト「あぁ!メガミ!行くぞ!」

メガミ「はい!」

ライト・メガミ「「変身!!」」

ライトさんは仮面ライダーバーサへ、私は仮面ライダーエンゼルへと変身した

 

ライト「はぁっ!」

先に飛びかかったのはライトさん

物凄いスピードで、『ルージュラ・ヤミー』の手首に蹴りを入れた

 

『ぬぅっ!何!?』

衝撃で手から新婦を離した『ルージュラ・ヤミー』

 

メガミ「はぁっ!」

私は落ちていく新婦を地面で受け止めた

 

ありがとう、と一言だけ言われ、私は遠くに離れるよう促した

式場にいた人達が無事避難出来たと思われる

 

 

『もうっ!何なのよ!』

ライト「悪いな!だがお前は俺達が止める!」

『貴方達は…、仮面ライダーね!』

ライト「そうとも!俺は仮面ライダーバーサ!波山ライト!ヒーローになる男だ!」

『やかましい!私の邪魔をしないで!』

すると『ルージュラ・ヤミー』は口から氷の粒を吐いてきた

 

ライト「くっ!」

全身の節々が凍る

上手く動く事が出来ない

 

ライト「…ふふっ」

『?何がおかしいのよ!』

ライト「…お前、俺との相性は最悪みたいだぜ?」

『何を言ってるのよ!?』

ライト「こういう事だよ!ニトロチャージ!」

俺は全身が炎を出す

すると凍っていた体の節々が動いていく

無事氷が溶けたようだ

 

『なっ!』

ライト「お前、こおりタイプのポケヤミーだな?だったら…」

俺は《バシャーモナイト》と《ホウオウストーン》を入れ替えた

 

ライト「モードチェンジ!」

 

ホウオウ!

The Phoenix mode!

Let’s KAMENRIDER!

 

ライト「黄金の戦士!仮面ライダーバーサ!フェニックスモード!」

俺はフェニックスモードへとモードチェンジした

 

ライト「せいなるほのう!」

『ぬうあぁぁ!』

俺の攻撃で怯む『ルージュラ・ヤミー』

 

『くっ!覚えていなさい!』

すると『ルージュラ・ヤミー』は吹雪に包まれ姿を晦ました

 

ライト「あ!逃げやがった!」

メガミ「ライトさん!」

ライト「あぁメガミ!皆は?」

メガミ「全員避難出来ました」

ライト「そうか。俺も逃げられちまった」

メガミ「そうですか…」

すると、俺の携帯がなっている事に気が付いた

見ると、不在着信が5件も来ていた

相手はいずれも叔父さんからだった

電話の内容はポケヤミーの情報に着いてだった

 

ライト「それなら、今俺達が戦ってたよ。逃げられたけど」

カズマ『そうか…、また作戦を寝る必要があるな』

ライト「うん…」

メガミ「……」

ライト「…どうした?メガミ」

メガミ「…ライトさん、私、ひらめきました」

ライト「…え?」

カズマ『…?』

 

             *

 

パパパパーンと、有名な曲が式場全体に響き渡る

参列者は起立し、新郎はその瞬間を待っていた

 

式場の扉が開かれる

白いウエディングドレスをまとい、ベールで顔が包まれた新婦と、少し歳のいった男が腕を組んでゆっくりと歩いてくる

 

新郎はその姿を見届け、新婦は男にの腕に回していた腕を新郎の腕へと回した

 

神父様が、誓いの言葉を読んでいく

 

そして、新郎と新婦、口を揃えて言う

 

「「誓います」」

 

神父「それでは、誓いのキスを…」

 

新郎と新婦が向き合い、少し身長の高い新郎が、新婦のベールをめくり、肩を持つ

 

新婦は顎を上げて、新郎はそれに答えるかのごとく、唇を新婦の唇へと運ぶ

新郎の唇が、新婦の唇に重なりそうになった時──

 

『ちょっどぉ!私抜きで幸せそうにするんじゃない!幸せになるのは!私だけで充分なのよ!』

怪物が式場の扉を思いっきり壊し、新郎新婦に近づく

 

新郎「…ふっ、かかったな!」

新婦「作戦道理です!」

『なっ!』

新郎新婦「「はっ!」」

新郎新婦が『ルージュラ・ヤミー』に蹴りを入れる

 

『なっ!何なのよ!あんた達!…なっ!』

『ルージュラ・ヤミー』は驚いた

そこにいた2人は、先程見たあの仮面ライダーの2人だったからだ

 

ライト(新婦)「どうだ!俺達の作戦!」

メガミ(新婦)「誘導作戦成功です!」

『なっ!…やりやがったわね!』

 

 

遡ること少し前──

 

メガミ「…ライトさん、私、ひらめきました」

ライト「…え?」

カズマ『…?』

メガミ「…あいつを、誘導しましょう!」

ライト「え?」

メガミ「私達が新郎新婦の振りをして、ポケヤミーを誘き出し、そこで一気に倒しましょう」

ライト「…なるほど、メガミなら攫われる心配はないしな!」

メガミ「はい!」

ライト「今の聞こえた?叔父さん」

カズマ『あぁ、面白い作戦だ』

メガミ「…あの、皆さんにもご協力お願い出来ますか?」

カズマ『あぁ!どこかで合流しよう!』

 

 

レン「なるほど。つまり俺は参列者の1人に紛れて、ポケヤミーが現れたら参列者を逃がせばいいんだな?」

メガミ「はい!」

メグ「ねぇねぇ!私は!?」

メガミ「メグさんには、大事な役目を任せたいのです!」

メグ「…??」

 

 

メグ「…へぇ〜、メガミちゃんメイク初めてなんだぁ〜」

メガミ「お恥ずかしながら…」

私は式場の控え室にて、メグさんにメイクをお願いした

 

メグ「てかそれで今まですっぴんだったのか、そう考えると、やっぱメガミちゃんって綺麗だよねぇ」

メガミ「…そんな事は…」

メグ「…ん?どうかしたの?」

メガミ「…あ、いえ。ライトさんにも、同じ事を言われたので…」

メグ「…へぇ〜。じゃあ私のメイクで、もっと綺麗だって言わせてあげるよ!」

メガミ「…はい、メグさん!」

メグ「…ん?」

メガミ「…私を…と、とびきり可愛くして下さい!」

メグ「…うん!私にまっかせっなさーい!」

 

 

カズマ「新郎新婦にとって、式内で1番幸せな瞬間とは、何だと思う?」

ライト「…ん〜」

カズマ「…正解は、誓いのキスだ。あの時こそ、僕の人生のピークと言っても過言ではない!」

ライト「…実体験かよ」

カズマ「…とにかく!ポケヤミーが現れるタイミングとして1番可能性があるのが、キスの直前だ」

ライト「…まさか、メガミとキ…キキキ、キスしろって!?」

カズマ「落ち着け!何もそうは言ってない。まぁしてもいいけど。キスをするふりをすればいい」

ライト「今サラッとやばい事言ったよな?」

カズマ「…ん?」

 

 

ライト「そうやってお前はまんまと罠にかかったわけだ!」

メガミ「さぁ!捕らえた新婦さん達を返しなさい!」

『…嫌よ!私抜きで幸せそうにする裏切り者を私は許したりしないわ!』

メガミ「裏切り者はあなたよ!」

『…!?』

メガミ「私はこの時代に来て、色んなことを学んだ。その中で、女性はみな、結婚式に憧れを持っているという事を知った!華やかな結婚式、静かな結婚式、壮大な結婚式。多種多様な結婚式を望み!そして何より、愛しの人との大切な式を成功させたいと言う思いがある!」

ライト「…メガミ」

メガミ「…私もその1人!未来で結婚式を見て、そしてこの時代の結婚式を見て、改めて実感した!私も、大好きな人と!式を挙げて!そして…「誓います」って!大きな声で言いたい!…私も…1人の女だからぁ!」

すると、メガミの懐が光り出した

 

ライト「…メガミ…っ!」

メガミ「…私はもう!子供じゃないのよ!」

メガミの懐から飛び出したストーンは、白、そして赤と黄緑のストーンだった

メガミはそれに気付き、手に取った

あれは確か、ジュエリーショップのおばさんから貰ったものだが

 

メガミ「…ありがとう、私に力を貸してくれるのね…」

ライト「メガミ!行くぞ!」

メガミ「はい!」

俺は《ホウオウストーン》を、メガミはそのメガストーンをメガドライバーにセットした

 

ライト「行くぜ!ホウオウ!」

メガミ「行きます!」

 

セット!

 

レジェーンド!ライズ!

メガシンカ!ヘンシーン!

 

ライト・メガミ「「変身!!」」

 

ホウオウ!

The Phoenix mode!

Let’s KAMENRIDER!

 

サーナイト!

サー!サー!サーーナーイートー!

 

俺はフェニックスモードに

メガミは姿を変え、手には純白のロンググローブのようなものが装着され、胸にはハートを模よす器官があり、スカート部分がクリノリンを着用したドレスのような膨らみを持つようになった

まるで花嫁、メガミは新たな進化をした

 

ライト「黄金の戦士!仮面ライダーバーサ!フェニックスモード!」

メガミ「誓いの戦士!仮面ライダーエンゼル!サーナイトフォルム!」

ライト「燃えるぜ!」

メガミ「私が皆を癒してみせる!」

 

             *

 

仮面ライダーは確実に進化している

僕の自慢の下僕達を次々と倒していく

 

特に、仮面ライダーバーサ

波山ライト

 

彼の存在は危険だ

僕の邪魔になるのに飽き足らず

僕の計画を壊していく…

 

僕は信長公の相棒である伝説のポケモン、レックウザの魂が宿ったストーンを見つめる

 

ヒガナ「…君はいいよな、何も心配しなくて」

正直、僕は焦っていた

幾度となく破られた作戦

今回の作戦だって、その場しのぎだ

 

…何か策を考えなくちゃ

 

ポケヤミーをさらに強くする方法

 

……

 

ヒガナ「…仕方ない、()()を試してみるか…」

僕は新たな性格を立て、それを実行した

 

ヒガナ「…今度こそ、仮面ライダーを終わらせてやる…」

 

To be continued




次回予告

戦いの末、ライトに異変が起こる…?

ライト達が出会ったのは、不思議なオーラを放った少年「ミツル」
そして、何故か「ミツル」ばかりを狙うポケヤミー
それにあのポケヤミー、何か様子がおかしい!

第二十九話「彼の瞳に映るもの」


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第二十九話「彼の瞳に映るもの」

前回のあらすじ

ホウエン地方へ上陸したライト達
そこでライトとメガミが目にしたのは華やかな結婚式と、花嫁を攫おうとするポケヤミー

しかし、巧妙な作戦の後、メガミは《サーナイトフォルム》へと進化!

ライト達は花嫁を救うことが出来るのか!?



ライト「燃えるぜ!」

メガミ「私が皆を癒してみせる!」

《サーナイトフォルム》へと進化したメガミ

 

メガミ「ミストフィールド!」

メガミは神秘的な霧を発生させ、辺りを霧で満たし

霧のフィールドを作り上げた

 

『それがなんなのよ!』

『ルージュラ・ヤミー』は口から吹雪を吹いた

 

ライト「くっ!」

メガミ「…っ!」

俺達はその吹雪に包まれ、身体全体が凍ってしまった

 

『ははっ!やったわ!』

ライト「……」

メガミ「……」

 

 

レン「しまった!」

メグ「どうしたの?お兄ちゃん!」

レン「今の技は「ふぶき」。高確率で「こおり」状態にする技だ。「こおり」状態になると、しばらく技が出せない!」

メグ「え!?やばいじゃん!」

 

 

『ルージュラ・ヤミー』が喜ぶ一方、俺達は全身の氷が砕ける感触を覚えた

そして氷は綺麗に砕け散った

 

『なっ!』

ライト「残念だったな!」

メガミ「このフィールド内では状態異常にはならないのよ!」

ライト「ナイスだ!メガミ!だいもんじ!」

俺は大の字に広がる炎を放った

 

『がぁぁ!』

 

 

レン「なるほどな、あいつらは「こおり」状態になることを見越してフィールドを作ったのか」

メグ「メガミちゃん、やる〜!」

 

 

ライト「せいなるほのう!」

メガミ「ムーンフォース!」

『ぬぅぅっ!』

相手は相当苦しんでいる

 

ライト「よし!メガミ、一緒に行くぞ!」

メガミ「はい!」

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

ホウオウ!

エターナル!エクスプロージョン!

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

サーナイト!

ブラインズ!オース!

 

ライト「エターナルエクスプロージョン!」

メガミ「ブラインズオース!」

 

俺は高く飛び上がり、俺は全身に黄金色の炎を纏い

メガミはゆっくりと回転しながら地面を草原と変化させ、『ルージュラ・ヤミー』を翻弄する

 

すると草原の花達が蔓を伸ばしながら『ルージュラ・ヤミー』に絡みつく

『ルージュラ・ヤミー』はあっという間に身動きが取れなくなった

 

ライト「はぁぁあ!」

トドメに俺がキックを放つ

 

『がぁぁ!』

『ルージュラ・ヤミー』は断末魔を吐きながら爆発した

式場の椅子が飛んでくる

 

ライト「やったな!メガミ!」

メガミ「はい!」

変身を解除をする俺達

 

ライト「…あ、ウエディングドレス、綺麗だね…」

メガミ「…え?」

ライト「…あ、いや…時間なくて言えなかったから。…綺麗だよ、メガミ」

メガミ「…ありがとう、ございます…」

ライト「…メガミ?」

メガミ「…い、いえ!なんでもありません!」

メガミは走り去ってしまった

 

ライト「あ!メガミ!」

レン「……」

メグ「…ライト君ってさ、ほんと鈍感だよねぇ」

ライト「…え?」

レン「…つまりは、お前はバカってことだ」

ライト「…そ、そうかなぁ…」

レン「…ん?どうした?調子でも悪いのか?」

ライト「…あ、いや…そういう訳じゃないんだけど…」

メグ「…じゃあ《フェニックスモード》の影響かな?あんだけ強いパワーだからね、そりゃぁ疲れるよ」

ライト「…いや、これは変身する前からなんだ…」

レン「…どういう意味だ?」

ライト「…レン、俺、どうなっちまったのかな?」

レン「……」

ライト「…メガミの()()姿()を見てから、()()がバクバク言って仕方ないんだ…」

レン「…まさか…」

メグ「…嘘でしょ?」

ライト「……」

俺が押えていた場所、それは心臓の位置にあたる左胸だった

顔も暑い、熱があるようだ

どうやら体調を崩してしまったらしい

 

でも何故だろう

メガミのあの姿が、頭から離れないのは…

 

             *

 

カズマ「皆のおかげで、花嫁は無事に発見され、ポケヤミーの影響で結婚式を開けなかったカップル達が次々と結婚式を上げてるらしいぞ!」

メガミ「それは良かったですね!」

ライト「あぁ!お手柄だな!メガミ!」

メガミ「はい!」

親父からこの報告を受けたのは事件2日後の事だった

ライトもいつもどうりに戻り、メガミも気にしていない様子だった

 

この間のライト…

 

「俺、どうなっちまったのかな?」

 

あの顔、あの表情

あれは明らかに……

 

いや、考えるはやめよう

結論が出たところで、俺には関係ない

そう、関係ない…

 

メグ「……」

 

 

ライト「ところで叔父さん、この2日間何してたの?」

カズマ「ん?もちろん情報収集だ!」

すると叔父さんは自慢そうにアイパッドを持ってきた

 

この人、この2日間でこれ買いに行ったな?

 

画面にはニュースの記事が書かれていた

 

カズマ「釣り堀に現れる怪物、青い鱗を持つそいつは、水の中にいながら、炎を吹いてくるらしい」

ライト「炎を吹く魚の怪物?」

レン「間違いなくポケヤミーだな」

メガミ「とりあえず、行ってみましょう!」

ライト「あぁ!」

 

 

後日、俺達はニュースにあった釣り堀に訪れた

釣り堀は流石に営業していなかった

ポケヤミーが何度も現れるんだ、無理もない

 

受付にて、事情を説明

しかし、カウンターにいた女性が奇妙な事を言ってきた

 

「今日も疫病神がいるから気を付けて」と

 

ライト「疫病神?」

女性「えぇ、ここのお客さんなんだけど、あの子が来てから急に怪物が現れたの、来る日も来る日も」

ライト「…その子が、今日もいるんですか?」

女性「えぇ。あの子、いつも死んだような目をしてるから、気味が悪い。まるで廃人よ」

ライト「……」

そんな忠告を受け、俺達はだだっ広い野外にある釣り堀に足を運んだ

 

確かに、この広さの釣り堀なら、ポケヤミーが姿を隠すには絶好な場所だ

 

そして、見つけた

 

ライト「…あの子か」

奥の方にいる竿を永遠と持つ少年

歳は、メグと同じくらいか?

シャツに水色のカーディガンを羽織り、黄緑色の髪色に色白の肌

どこか浮かない顔をしていた

 

俺はその子に近づこうとした

しかし、その時は突然来た

 

『ギャァァァ!』

???「わっ!」

少年に向かって、ポケヤミーらしき怪物が飛び出して来た

 

ライト「っ!変身!」

念の為メガドライバーを装着しておいて良かった

俺はすぐさま仮面ライダーバーサへと変身し、ポケヤミーの横顔に蹴りを入れた

 

『ギャァ!』

怯んだポケヤミーは再び水に姿を消した

 

ライト「ふっ、大丈夫か?」

???「…う、うん…」

ライト「…そうか。とにかく逃げろ」

???「……」

ライト「…ああもう!」

俺は少年を抱え、レン達の元へと連れて行った

その間、少年は少しだけ抵抗していた

 

カズマ「今のは何だ!?」

ライト「うん、叔父さんも気付いた?」

カズマ「あぁ、目撃情報によると、ポケヤミーは青い鱗の筈だ!」

メガミ「でも今のは…」

メグ「赤い鱗…」

そう、ニュースの画像に映っていたポケヤミーの色は青

しかし、たった今俺が蹴りあげたポケヤミーの色は、赤

 

レン「…まさか、別個体か?」

カズマ「いや、こんな広さだが、あの巨体を2体も隠せる広さはない」

ライト「それじゃ一体…」

カズマ「…とにかく、今は逃げよう!」

ライト「あぁ!なぁ君」

???「…何?」

ライト「…名前は?」

ミツル「…僕は…ミツル…」

ライト「よし!ミツル、逃げるぞ!」

ミツル「……」

ミツルは頷くことも無く、ただ黙っていた

 

メガミ「とりあえず、ここから離れましょう。ポケヤミーと言えど、魚型では流石に陸地まで上がってくることはないでしょうし…」

メガミがそういった瞬間だった

 

ポケヤミーは水から飛び出し、俺達を飛び越え、陸地に上がってきた

しかもピンピンしてやがる

 

レン「逃げるぞ!」

俺はミツルの手を握り、走った

全員が後に着いてくる

 

『ギャァァァ!』

俺達は釣り堀を後にし、大通に出る

幸い、あのポケヤミーはミツルを狙っており、カウンターの女性に危害は無い様子だった

 

しかし、蛇のように巨体を唸らせ迫ってくるポケヤミーは車をどんどんと破壊しながら進んでいた

俺達はただ走っていた

 

レン「くっ!ここは俺達が食止める、お前達は先に行け!」

ライト「あぁ!頼んだ!」

レン「行けるか?メグ」

メグ「もちろん!」

レン達はレジェンドライバーを構え、腰に装着した

 

『…ギャァ!』

しかし、ポケヤミーはそんな2人を飛び越し、一直線に俺達を追いかけた

 

レン「な!待て!」

後から追いかけるレン達

 

ライト「くそっ!こいつの目的はなんなんだ!」

メガミ「…ライトさん、ミツル君を連れて逃げて下さい!」

カズマ「メガミの言う通りだ!お前には自慢のスピードがあるじゃないか!」

ライト「…でも、皆が…」

メガミ「今その子を救えるのは、ライトさんだけです!」

ライト「メガミ…、分かった!無事でな!皆!」

ミツル「……」

ライト「ミツル!しっかり掴まってろ!」

ミツル「…うん」

俺はミツルを抱き抱え、足を踏み込んだ

 

ライト「[かそく]!」

俺は風を切りながら進んで行った

ポケヤミーはみるみるうちに見えなくなった

 

よしっ!

そう思った瞬間だった

 

ライト「…なっ!」

『ギャァァァ!』

なんと、俺のすぐ後ろにポケヤミーがいた

追いつかれてしまったようだ

 

ライト「う、嘘だろ?」

『ギャァァァ!』

ポケヤミーはその体制のまま口から炎を吐いた

 

ライト「ぐわっ!」

ミツル「……っ」

何とかミツルを守り、俺はひたすら走った

 

ミツル「……」

ライト「…大丈夫だからな!」

ミツル「…何が?」

ライト「……お前は、俺が守る!」

ミツル「……」

 

『ギャァァァ!』

ポケヤミーが炎を吐いてくる

 

ライト「うわっ!」

ミツル「……っ」

俺はその攻撃を防ぎきれず、飛ばされてしまった

 

同時に変身も解けてしまった

 

ライト「…まずいな…」

ポケヤミーが迫ってくる

 

ミツル「……」

ライト「…ミツル!俺の後ろに…っ!」

俺が驚いた理由

それは、何故かミツルが前線に立ったからである

 

俺に背中を見せ、ポケヤミーと向き合っている

 

ミツル「…大丈夫だよ、お兄さん」

ライト「…え?……なんで?」

ミツル「…僕はもう、負けないから」

すると、ミツルが右手を前に出した

ミツルの青い目が、一瞬赤色になった気がした

 

すると、ミツルの持っていた白いショルダーバッグから光り輝く石が飛び出し、ポケヤミーを攻撃し始めた

 

ライト「あれは!?」

ミツル「……っ!」

ミツルが力を込める

 

明らかにあれはメガストーンだった

でも、なんでミツルが?

俺は頭の中に満ちるはてなマークを処理しきれずにいた

 

『ギャァァァ!』

ミツル「…っ!」

ミツルの目が元に戻った

 

『ギャァ!ガッ!』

ライト「…何だ!?」

すると、ポケヤミーの様子がおかしくなった

 

『………』

ポケヤミーはその場に倒れた

倒したのか?

でも倒した後は肉体は残らない筈だ

 

ライト「…ミツル、今のうちに逃げよう!」

ミツル「……う、うん」

ミツルは俺の手を握り、一緒に走って来た

 

 

ヒガナ「……あ〜あ、やっぱり調整が不十分だったか」

僕が蘇らせた『ギャラドス・ヤミー』

元は青い鱗を持っていたが、ある技法を用いて、強化させた

その結果、色が変わり、さらなる強さを得た

だが、やはり不十分だったか

 

この個体に関して、これといって名前は付けていないが

そうだな、見分けが着くから

「色違い」

というカテゴリーにしよう

…少しダサいかな?

 

まぁいい、帰るとしよう

 

ヒガナ「…さぁ、帰るよ」

『…ギャァ……』

ヒガナ「…はぁ、勢いのままに暴れるからだよ?」

僕は『ギャラドス・ヤミー』を連れて、闇の空間へと移動した

 

これが成功すれば、僕もさらなる強さを

いや、進化をするだろう!

 

ヒガナ「…ふふっ、楽しくなって来た!」

 

             *

 

カズマ「…なるほど、ミツルがメガストーンを…」

ライト「…あぁ、しかも、かなり使い慣れてた」

レン「変身したのか?」

ライト「…いや、なんだか…メガストーンとシンクロしてたって感じ、従わせてる感じでもないし、どちらかと言ったら、友達?」

レン「…メガストーンが友達、ねぇ…」

カズマ「…なるほどな」

ライト「…なぁ、どう思う?」

カズマ「…ミツルのこと、もう少し調べてもいいかな?」

ライト「…まぁ、ミツルが良いなら」

メガミ「でも、今はゆっくり休んでますよ?」

ライト「メガミ…ありがとな、手当て」

メガミ「いえ、軽傷でしたし、私の技で1発でした」

メグ「やっぱ頼りになるねぇ」

カズマ「……」

ライト「…どうした?叔父さんらしくないぞ?」

カズマ「…え?あ、いや…」

叔父さんは寝ているミツルを見た

 

カズマ「…もしかしたらミツルは、ライト以上に、仮面ライダーの素質があるのかもしれないと思ってな」

ライト「…仮面ライダーの素質?」

カズマ「…あぁ。仮面ライダーになる素質の高さは、メガストーンとの相性と比例する。ライトのように相棒と呼べるほどの相性があれば、仮面ライダーになれるが。ミツルの場合、メガストーンとの信頼度が違う。ミツルが望めば、メガストーンがミツルを守る。それも当たり前のように、だな?」

ライト「…あぁ、とても初めての感じじゃなかった」

カズマ「やはりな…。もしかしたらミツルは、仮面ライダーになる天才かもしれん」

ライト「…仮面ライダーの、天才?」

俺はミツルを見る

 

あの童顔に、とてもそんな面影はなかった

 

だが、あの時の顔は…

間違いなく本物だった

 

ライト「……」

カズマ「…ライト、お前の意見が聞きたい。ミツルは、仮面ライダーにするべきか?」

ライト「……」

俺には、分からない

ミツルの事情も知らないまま、仮面ライダーなんて重荷を背負わしていいのか?

 

ミツル本人はどう思う?

俺の事を守ってはくれたが、戦うと決まったわけじゃない

 

ライト「……俺には、分からない…」

カズマ「……そうか…」

ライト「……」

 

             *

 

ライト「……」

ミツル「……」

念の為、ミツルの様子を見に来た俺

ミツルは何事もなく、ゆっくりと寝ていた

 

ライト「…ミツル、お前は何者なんだ?なんでメガストーンを持ってる…?」

ミツル「……」

ミツルが答えるはずも無く、俺はミツルそばに座った

 

ミツル「……ん、ん〜」

ライト「……?」

ミツル「……ユウキさん…ハルカさん…」

ライト「…え?」

ユウキ?ハルカ?

一体誰の事だ?

ミツルの知り合いか?

さん付けって事は、家族ではなさそうだけど…

 

ミツル「……」

ライト「……」

寝言で言うくらい、大事な人達なんだな

この事件が終わったら、その人達の元に返してあげよう

ミツルには、その人達が必要のようだ

 

ライト「…ふっ、おやすみ、ミツル」

ミツル「……」

やはり返事をしないミツル

当たり前だ

 

俺はミツルのそばを離れ、自分の寝袋に籠った

俺も今日は疲れた

ゆっくり休もう…

 

 

ミツル「………もっと……もっと…強くならなきゃ…」

 

             *

 

ミツル「ミツルです!改めまして、よろしくお願いいたします!」

ライト「そんな固くなるなよぉ、俺はライト、よろしくな!」

メガミ「メガミと申します、よろしくお願いしますね!」

レン「…レンだ。よ、よろしく」

メグ「はいはーい!メグだよ!同い年同士頑張ろうね!」

ミツル「…あ、はい!」

カズマ「最後に、僕がカズマだ、僕は仮面ライダーじゃないが、こいつらの家族だ。よろしくな!」

ミツル「は、はい!お願いします!…そして彼が…」

ミツルのショルダーバッグからメガストーンがチラッとはみ出る

 

ミツル「彼は僕の友達です、ある時から一緒に行動するようになりました」

カズマ「…やはりな、興味深い」

ミツル「…あ、あの…」

カズマ「…おっと済まない、メガストーンを持っている人物は希少でな、つい癖で…」

ミツル「…はぁ」

レン「…それより、これからどうする?奴はいつ現れるか分からないぞ?」

ライト「そうだなぁ、どこに隠れるかぁ…」

ミツル「…何から隠れるんですか?」

ライト「…何って、ポケヤミーからだよ。ミツルの事を狙ってるみたいだし…」

ミツル「…僕、逃げません」

メグ「えぇ!?なんでぇ!?」

ミツル「…僕が、奴を倒さなくちゃ行けないんです。彼と一緒に」

メガミ「…どういう意味です?」

ミツル「…僕が危険を承知であの釣り堀にいたのは、奴と会うため、いや!奴を倒す為だったんです!」

ライト「…え、えぇ!?」

 

少しだけ、ミツルの事がわかった気がする

 

To be continued




次回予告

ミツルの過去を知ったライトがとった行動とは…
そんなライトの思いに応え、ライトは新たな進化をする!

そして…

ミツル「…僕はもう負けない!」

ミツルが、変身!?

第三十話「彼の内に秘めるもの」


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第三十話「彼の内に秘めるもの」

前回のあらすじ

《サーナイトフォルム》へと進化したメガミは、見事ポケヤミーを撃破!
しかし、ライトの様子がおかしくなる…

不思議なオーラを放つ少年、ミツル
そしてミツルを狙うポケヤミー
ミツルはメガストーンを操り、ポケヤミーを退けた

そして今、ミツルの過去が語られる…




ミツル「…あの日、僕の日常が変わりました」

ミツルのとある発言により、俺達は本人から説明を受けていた

 

ミツル「…ちょうど1週間くらい前、僕には2人の友達がいました」

ミツルはショルダーバッグから写真を1枚取りだし、俺たちに見せてきた

 

写真には3人の男女が映っていた

左には白と黒のニット帽を被り、黒とオレンジの半袖トップス、七分丈と長ズボンを重ね着したようなボトムスといった感じの服装をした男性が立っていた

歳は、俺と同じくらいだ

 

右にはリボン巻にした赤のバンダナに、上着がキャミソール風、ショートパンツを穿き、後頭部の髪の跳ね方が大きく、毛先の丸みが目立つ女性がピースをしていた

同じく歳は、俺と変わらないだろう

 

そして真ん中には、大きな金色の鯉を持ったミツルが笑顔で立っていた

 

まさか、これが…

 

ミツル「…こっちの男の人がユウキさん、こっちの女の人がハルカさんという人です」

寝言で呟いていた人達だ

 

カズマ「この人達が、どうかしたのか?」

ミツル「…あの日、僕達はいつものように釣り堀に行きました──」

 

             *

 

ハルカ「…ミツルー!早くー!」

ミツル「ハルカさんちょっと待ってくださいよー」

ユウキ「そうだそうだ!ハルカは落ち着きがないなー」

ハルカ「そういう2人こそ、マイペース過ぎるよ!」

ミツル「…はは、ごめんなさい…」

ハルカ「…さ!行くよ!」

ミツル「はい!」

ユウキ「あぁ!」

 

そう、いつもどうりの日常だった

 

ユウキさんはセンリ道場の長、センリさんの一人息子

毎日のように鍛錬に励み、空手では地方チャンピオンになるほどの力を持っている

僕の憧れの人の1人

 

ハルカさんはオダマキ研究所、オダマキ博士の一人娘

研究で忙しいオダマキ博士の為にお弁当を作ったり、手伝いをしたりして、とても優しい心の持ち主

僕の憧れの人のもう1人

 

そんな2人は2つ下の僕にも優しくしてくれる

僕は2人のようになりたいと思い、ユウキさんと一緒に鍛錬に励んだり、ハルカさんと一緒にオダマキ博士の手伝いをしたりした

 

2人とも良く面倒を見てくれた

 

そんな僕達はよく釣り堀に行っていた

竿を構えながら3人で話す時間が、僕は好きだった

そしてたまに…

 

ユウキ「お!ミツル、糸引いてるぞ!」

ミツル「おわっ!わわ!」

ハルカ「慌てないの!わっ!これ大物かも!」

ユウキ「よし!ミツル、一緒に引くぞ!」

ミツル「は、はい!」

 

協力して釣り上げるのが、この上なく楽しかった

 

それがこの時の写真

 

そして悲劇は、この写真を受け取った後に起こった

 

ユウキ「やったな!ミツル!」

ハルカ「流石ミツル!」

ミツル「い、いえ!2人が協力してくれたからですよ!」

ユウキ「ははっ、そうか?」

ハルカ「じゃあ皆の大活躍だね!」

ミツル「はい!」

その時だった

 

『ギャァァァ!』

ユウキ「わっ!何だ!?」

突如、青い鱗の怪物が水の中から現れた

 

『人間共!よくも俺様の子分をポンポンと釣りやがって!』

怪物は陸地にあがり、僕に近付いてきた

 

ハルカ「ミツル!」

ユウキ「ハルカ!ミツルを連れて逃げろ!」

ミツル「え!でもユウキさんは!?」

ユウキ「いいから逃げろ!」

ハルカ「…私も残る。ミツルは逃げて!」

ミツル「ハルカさん!」

ユウキ「ミツル!」

ユウキさんは僕に背中を見せながら語った

 

ユウキ「……お前は、生きろよ」

ハルカ「…助けを呼んでくれたら、それでいいから…」

ミツル「…ユウキさん、ハルカさん……っ!」

僕は走った

誰か…

誰か!

2人を…

 

次の瞬間、僕の背中からとてつもない熱を感じた

 

同時に、男女の悲鳴

 

僕は思わず振り返った

 

辺りは炎に包まれていた

 

『はははっ!俺様に刃向かったが運の尽きだったな!』

ミツル「……」

僕は、何を浮かれていたのだろう

 

どうして、誰かの助けを求めたのだろう

 

僕が強ければ、2人を守れたのに…

 

ユウキさん…ハルカさん…

 

ごめんなさい…

 

『次はお前だ!』

 

ごめんなさい…

 

「「気張れ!ミツル!!」」

途端に、男女の声が聞こえる

 

ミツル「…っ!!」

僕は目を開け、右手を出す

 

ミツル「…僕は…僕は!……もう負けない!」

すると、どこからともなく光る石が飛んできて、怪物を攻撃し始めた

 

『なっ!なんだコイツはっ!』

ミツル「……っ!」

 

その石はさらに眩い光を放つ

 

『なっ!目が!目がぁ!』

眩んだ怪物を後に、石が僕の元へ飛んできた

 

まるで、もういいだろう

と言っているかのようだった

 

僕は急いでその場を離れ、九死に一生を得た

そして、2人の大事な人を失った

 

             *

 

ミツル「そしてあの日、僕はあの怪物にリベンジをする為に、あの場所にいました」

ライト「……」

カズマ「…ミツルに、そんな事が…」

メガミ「悲しすぎです…」

レン「……」

メグ「……」

ミツル「…僕は、もっと強くならなきゃいけないんです!ライトさん!僕に、強くなる方法を教えてください!」

ライト「……」

俺はその日、何も答えなかった

ただ、ひとつの結論へと至った

 

ミツルをどうするべきか、俺の答えは…

 

俺はその日の夜、叔父さんに俺の意志を伝えた

 

カズマ「…わかった。お前がそう言うなら」

ライト「…あぁ、頼んだ」

 

             *

 

次の日の朝

 

レン「…ん」

もうこんな時間か

朝飯の準備をしないと

 

俺の朝は早い

これが日課だ

毎日のように、毎日のように

俺は朝早く起きる

 

だが最近は、よく眠れるのに、寝心地が悪く、目覚めも悪い

まるでなにかに呪われたかのようだ

 

それも、ココ最近

 

俺は適当に寝癖を治し、外に出る

 

途端、とてつもない異臭に気付いた

なにかか焦げている匂い

火事か?

俺はそんなことを思ったが、辺りで煙がたっているところはなかった

 

今は風下になっている

つまり、匂いは俺の背後から来ている

 

俺は思い切って後ろを振り返った

 

俺が眠っていたテントの裏、テーブルのそばに、ミツルがいた

 

レン「…お前、こんな時間に何してるんだ?」

ミツル「あ!レンさん!」

ミツルは俺の顔を見るなり、プレートに乗った「なにか」を見せつけた

 

ミツル「僕、朝ご飯作ったんです!味見してもらってもいいですか?」

レン「…ほう、変わった料理だな」

プレートに乗っていたのは、料理のようだ

なんだ、こいつは皿に石ころを乗せる趣味があるのかと思った

まぁ、こんな見た目だが、肝心なのは味だ

一見黒焦げでダークマターのような見た目をしているが、中身はそんな焦げを相殺するほどの美味さが詰まっている筈だ

 

俺はスプーンを持ち、「それ」を掬った

しかし、スプーンに触れた瞬間、それは灰のように散った

 

レン「……」

ミツル「……」

レン「…ちなみに聞いておくが、これはなんという料理だ?」

ミツル「…オ、オムライス、です」

レン「……なるほど」

こいつ、飛んだ料理音痴のようだ

 

ミツル「…はぁ、やっぱり…僕は何も出来ないんだ…」

レン「……そんな事は無い」

ミツル「……え?」

レン「…俺も昔はこんな感じだった。どれだけの卵焼きがまっ黒焦げになったか…。数え切れない」

ミツル「……」

レン「…料理は奥が深い。そう簡単に出来ても困る。…料理ってのは、練習して出来上がったものが一番美味いんだ」

ミツル「…ありがとうございます。僕、すぐ自虐的になっちゃうんです。だから、そんなふうに言っていただけると、嬉しいです!」

レン「……そうか。それじゃあ、皿洗いを手伝ってくれ」

ミツル「はい!」

 

 

ライト「……」

 

             *

 

その日のお昼頃の事だった

 

俺はミツルと一緒に街に偵察に来ていた

2人っきりで

 

理由はミツルの事をもっと知りたいからである

 

ミツル「ライトさん見てください!あれが煙突山です!」

ライト「…デカイなぁ」

ミツル「煙突山の麓のフエンタウンは、火山の地下熱を利用して出来た温泉が有名なんです」

ライト「温泉か〜、俺も入ってみたいな〜」

ミツルに案内されながら俺はホウエン地方見物を楽しんだ

遠くには大きな火山が見える

 

ライト「……」

ミツル「…ライトさん?」

ライト「…ん?なんだ?」

ミツル「…いや、なんか元気がないみたいだったので…」

ライト「……あぁ、そうだな」

俺も自覚していた

ミツルのあの話を聞いてから、俺は元気がない

 

ミツル「…僕、余計な事言っちゃいましたか?」

ライト「…え?いや…」

俺は決心する

同時に思った

 

ミツルの事をもっと知りたいのなら

俺の事を知ってもらおうと

 

俺はミツルにあの話をした

 

ライト「…俺にも、親友がいたんだ」

ミツル「…え?」

 

俺はサトシの事、あいつが生き返って復讐しに来た事

ヒガナの事

そして俺が再びサトシを──

 

ミツル「…ライトさんに、そんな過去が…」

ライト「…でも俺はそれについて悔やんだりしなかった。なぜなら、最期にあいつに、言いたい事を言えて、後悔が無くなったからだ」

ミツル「……」

ライト「…お前にはあるんだろ?後悔が」

ミツル「…はい」

ライト「…本当なら、もっと話せただろうな。ポケヤミーが現れなければ…」

ミツル「いえ、僕が後悔しているのは、そんな事じゃありません」

ライト「え?…じゃあ…」

ミツル「…本当なら、僕もあの時、死んでて、抗う事も、苦しむ事もなかったのにって…」

ライト「…まさか、ミツル…」

ミツル「……」

ライト「…死ぬ気じゃないよな?」

ミツル「……まさか。僕は2人の仇を取ります。その為に強くなりたい」

ライト「……果たして、本当にそれで2人は報われるのか?」

ミツル「…え?」

ミツルは立ち止まり、振り返った

 

ライト「…戦う理由が、そんなものでいいのか?」

ミツル「…何が、言いたいんですか?」

ライト「…仇とか、復讐とか、そんなものは何も生まない。そんなものは滅ぼすだけだ、何物でもない、自分を」

ミツル「…自分を、滅ぼす?」

ライト「俺は、ヒーローになる為に戦って、仮面ライダーになった。夢なんだ。ヒーローになる事が」

ミツル「…ヒーロー…」

ライト「…ミツルは、ポケヤミーを倒せば、2人のヒーローになれるのか?その2人は、ミツルが怪物を倒す事を本当に望んでいるのか?」

ミツル「……」

ライト「…俺は、違うと思うが…」

ミツル「…ライトさんに、何がわかるんですか…」

ライト「…え?」

ミツル「ライトさんに!2人の何が分かるってんですか!僕の!何が!分かるんですか!」

 

ミツルが叫んだ瞬間だった

近くにあった川から、水が吹き出してきた

中には大きな影が映る

 

『ギャァァァ!』

ライト「なっ!ポケヤミー!」

ミツル「はっ!」

『ギャァァァ!』

ポケヤミーは今にも攻撃してきそうだった

 

ライト「変身!」

俺は急いで仮面ライダーバーサへとに変身する

 

『ギャァァァ!』

ライト「うおっ!」

ポケヤミーは口から炎を出す

 

ライト「くっ!とびひざげり!」

俺はポケヤミーに蹴りを入れる

 

『ギャァァァ!』

しかし構わず攻撃するポケヤミー

 

ライト「…ふぅ、…ミツル」

ミツル「…なんですか?」

ライト「…確かに、俺はその2人の事も、お前の事もよく分からない。だけどな、これだけは言える!」

俺はポケヤミーの攻撃を躱しながら話す

 

ライト「…少なくとも俺は、勝つ為だとか、仇だとか、どうでも良い。俺は、救いたい命があるから、戦う。助けたいから、戦う」

俺は振り返り、ミツルを見る

 

ライト「…そんな理由じゃ、駄目か?」

ミツル「……」

『ギャァァァ!』

ライト「今だって!お前を助けたいから戦ってる!お前が大切だからとかじゃない!お前がミツルだから、俺は助けたいんだ!」

次々と攻撃を躱していく

 

ライト「…ほのうのパンチ!」

俺はポケヤミーの腹に攻撃をする

 

『ギャァァァ!』

ライト「くそっ、やっぱダメージが少ないか…」

 

 

ミツル「……」

僕は考えた

ライトさんが戦う理由というものを…

 

僕には、ライトさんが分からない…

 

どうして、僕が僕であるから、戦う必要があるんだ

こんな、全然関係ない僕の為に

よくよく考えたら、ライトさんが僕を助けても、ライトさんにはなんのメリットもない

そんなんで僕を助けても、効率が悪い

だって、僕が死ぬ時は、僕が負けた時なのだから…

 

すると、僕のショルダーバッグから、彼が出てきた

 

僕に何かを訴えようとしている気がする

 

もしかして…

 

ミツル「…君には分かるの?ライトさんの事…」

彼が頷いた気がした

 

そうか、彼には分かるんだ

だったら、僕の出来る事は1つだ

 

こんな僕を守ってくれているライトさんを、手助けする事だ

こうすれば、ライトさんに少しでも近づけるのかな?

 

ミツル「…ライトさんの事を、助けてあげて!」

僕は彼に行った

彼は一瞬光ってから、ライトさんの元に向かった

 

 

ライト「わっ!」

俺の手に、突然ミツルが持っていたメガストーンが飛んで来た

俺はミツルを見る

ミツルは浮かない顔だが、俺を見て頷いた

 

そうか、貸してくれるんだな、この力を

 

ライト「…少しだけ力を借りるぞ?」

俺はメガストーンに言い聞かせた

メガストーンは少しだけ光った

 

ライト「…よし!」

俺は《バシャーモナイト》と、そのメガストーンを入れ替えた

 

セット!

メガシンカ!ヘンシーン!

 

ライト「フォルムチェンジ!」

 

エルレイド!

エールレイド!エールレイド!エルレイド!

 

俺は全身が白色に変化

胸部には赤色の器官が飛び出ている

髪色は緑になり、水色の鶏冠のようなものが生える

肘が発達し、そこから赤色の刃のようなものが生えている

マントのようなものも出現し、まるで本物の戦士になった気分だ

 

ライト「眼醒(めざめ)の戦士!仮面ライダーバーサ!エルレイドフォルム!」

『ギャァァァ!』

ライト「きりさく!」

俺は両肘の刃でポケヤミーを切り裂いた

 

『ギャァァァ!』

ライト「インファイト!」

続いて攻撃する

 

『ギャァァァ!』

少なくともダメージは入っている筈だ

 

あとは、皆が気付いて来てくれるかどうか…

正直、俺一人ではこいつには勝てない

少なくても2人はいなくちゃ…

 

メガミ「ライトさん!」

ライト「メガミ!」

メガミ「アシストパワー!」

メガミは《サーナイトフォルム》になっており、念力を放出した

 

『ギャァァァ!』

ライト「ナイスだメガミ!」

メガミ「ありがとうございます!」

ライト「よし!行くぞ!メガミ!」

メガミ「はい!」

ライト「サイコカッター!」

メガミ「ムーンフォース!」

メガミがムーンフォースを放ち、ポケヤミーに命中する

俺は肘の刃が増幅し、それで切り裂いた

 

『ギャァァァ!』

それでも怯まないポケヤミー

 

ライト「…くそっ」

メガミ「…そういえばライトさん、カズマさんがあれを完成させたらしいです」

ライト「本当か!よし!」

俺は《エルレイドフォルム》から《バシャーモフォルム》へとフォルムチェンジする

 

ライト「叔父さんは今?」

メガミ「…あそこ、ミツル君の側ですね」

ライト「…よし!これでいい…」

 

 

ミツル「……」

僕は、なんの為に強くなろうとしたんだ?

分からない

僕には…

 

カズマ「…ミツル!」

ミツル「…カズマさん…」

カズマ「…ミツル、これを!」

僕がミツルに渡したのは、複製した《プロトメガドライバー》

 

実は、ライトから頼まれていたのだ

 

カズマ「ミツル、仮面ライダーに変身するんだ!」

ミツル「…え?」

カズマ「…これは、ライトが望んだ事だ!さぁ!」

ミツル「…でも僕、戦う理由が分かりません…」

カズマ「…何を言ってるんだ?」

ミツル「…だって、仇をとるだけじゃ、僕は強くなれない!戦っても無駄死にするだけです!」

カズマ「……違うだろ、君が戦う理由はただ1つ」

ミツル「…え?」

カズマ「…報いるためだろ?」

ミツル「……え?」

カズマ「今まで助けてきた人達の為に、死んで行った仲間の為に、君は強くなろうとしたんじゃないのか?もう戻らないとわかっているから、だからこそ、強くなろうとした。違うのか?」

 

 

ミツル「…そうです」

全くもってその通りだった

僕の戦う理由

あの2人を、それ以外の人達の命を、報いる為に…

 

だから、負けたくなかったんだ…

 

ミツル「…僕、戦います!」

カズマ「おう!行ってこい!」

ミツル「…はい!ありがとうございます!」

 

             *

 

ライト「どうやら、覚悟が決まったみたいだな」

砂埃の中から、ミツルの影が見えた

 

ライト「メガミ、君は街の人の避難を優先してくれ。あとは2人で何とかしてみせる」

メガミ「…分かりました!どうか無事で!」

メガミは変身を解除し、叔父さんと一緒に走っていった

 

ライト「…行けるか?ミツル」

ミツル「……はい!」

俺はミツルに《エルレイドナイト》を渡した

 

すると、ミツルの目が赤色に変化した

エルレイドと同じ目の色だ

 

ライト「行くぞ!ミツル!」

ミツル「はい!」

 

ミツルは左腕にメガリングを装着し、プロトメガドライバーに《エルレイドナイト》をセットした

 

セット!

メガシンカ!ヘンシーン!

 

ミツルは掛けていたペンダントのチェーンを左手で掴んだ

 

ミツル「…変身!」

 

そして右手でメガリングのキーストーンを押し込んだ

 

エルレイド!

エールレイド!エールレイド!エルレイド!

 

ミツルの体が変化していく

フォルム自体は俺のエルレイドフォルムと変わらないが、シルエットが少しだけ違う

 

ミツル「不屈の戦士!仮面ライダーリワード!」

ライト「熱き炎の戦士!仮面ライダーバーサ!」

 

ライト「燃えるぜ!」

ミツル「…僕はもう負けない!」

 

ここに、新たな仮面ライダーが誕生した

 

To be continued




次回予告

ミツルが仮面ライダーに変身!
ライトと共にポケヤミーに挑む!

そんな中、ライトとレンが大喧嘩!

2人の絆はどうなってしまうのか…

第三十一話「僕が戦士で仮面ライダー」


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第三十一話「僕が戦士で仮面ライダー」

前回のあらすじ

自分の過去を明かすミツル
ミツルには、信頼する2人の存在がいたが、『ギャラドス・ヤミー』によって殺されている事が判明
ミツルの過去を知ったライトは、ある事を決意する

自分の過去を明かしたライトはミツルの考えに否定的な言葉を発するが、そこに『ギャラドス・ヤミー』が出現

自分の戦う理由を思い出したミツルはライトと戦う事を決意し、仮面ライダーリワードへ変身!



ライト「燃えるぜ!」

ミツル「…僕はもう負けない!」

 

仮面ライダーに変身した僕は、ポケヤミーを睨み続けていた

 

ふと自分の姿を見て驚いた

 

ミツル「…僕、本当に変身した…」

ライト「それがお前の答えなんだ。尊重しろよ」

ミツル「…勿論です。…ライトさん、僕、ライトさんが言ってた事、何となく分かりました」

ライト「…そうか」

ミツル「…はい!…僕は、仇とかじゃなくて、2人の命を報いるために戦います。それが僕の戦う理由です」

ライト「…あぁ、それでいい。お前は、それでいいんだ」

ミツル「……だから僕は、もう負けません!」

ライト「…あぁ!行くぞ!ミツル!」

ミツル「はい!」

そこから僕達の猛攻撃が始まった

 

 

ミツル「サイコカッター!」

ライト「とびひざげり!」

『ギャァァァ!』

俺達の攻撃をものともしないポケヤミー

次々と炎を吐いてくる

 

ライト「はっ!」

ミツル「ふっ!」

同時に攻撃を避け、距離をとる俺達

 

ライト「レンが言ってたな、みずタイプには、電気がよく効く!」

俺は《バシャーモナイト》と《ライボルトナイト》を入れ替えた

 

ライト「フォルムチェンジ!」

 

ライボルト!

ララライ!ララライ!ライボルト!

 

ライト「雷轟の戦士!仮面ライダーバーサ!ライボルトフォルム!」

『ギャァァァ!』

ライト「ワイルドボルト!」

俺は《ライボルトクロー》を出現させ、自らポケヤミーに突っ込んだ

 

雷の斬撃を喰らわし、離れる

ポケヤミーは想像以上に怯んでいた

 

ミツル「なるほど、フォルムチェンジですか!」

ライト「お前もやるか?」

ミツル「…いいえ、僕は彼と戦うと決めました。僕は、この姿で勝ちます!」

ライト「…そうか、それじゃあ、行くぞ!」

ミツル「はい!」

ライト「かみなりのキバ!」

ミツル「きりさく!」

俺は《ライボルトクロー》を上下から挟むようにして攻撃した

ミツルはサイコパワーが溢れる肘の刃、《エルレイドスラッシャー》と名付けよう

《エルレイドスラッシャー》をポケヤミーに切り裂いた

 

『ギャァァァ!』

ライト「くそっ、こいつタフだな…」

ミツル「まだまだ行きます!」

ライト「あぁ、そうだな!」

ミツル「インファイト!」

ライト「ワイルドボルト!」

『ギャァァァ!』

水に潜るポケヤミー

しかし、水中から炎を吐いてくる

もう意味が分からない

 

ライト「もう埒が明かない、一気に決めるぞ!」

ミツル「は、はい!」

俺はキーストーンを2回押し込んだ

ミツルも俺を真似てキーストーンを押し込んだ

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

ライボルト!

ライトニング!モーメント!

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

エルレイド!

ナイトズ!スラッシュ!

 

俺は《ライボルトクロー》を構え、ポケヤミーが姿を現すのを待っていた

ミツルは《エルレイドスラッシャー》を巨大化させ、不思議なオーラを放っていた

 

『ギャァァァ!』

ライト「今だ!ライトニングモーメント!」

俺は一瞬のうちにポケヤミーを貫き、更には上に蹴りあげた

 

ライト「はっ!」

ミツル「…ユウキさん…ハルカさん…僕に、力を貸してください!」

ミツルは高く飛び上がり、回転しながらポケヤミーに向かっていく

 

ミツル「いけっ!ナイトズスラッシュ!」

ミツルはポケヤミーの全体に絡みつくように斬撃を加え、ポケヤミーは抵抗のひとつも出来なかった

 

『ギャァァァ!』

断末魔を吐きながら、ポケヤミーは爆発し、消えた

俺の元にメガストーンが降ってくる

封印が解かれていない

 

ライト「…それにしても、強かったな…」

一体なんだったのか、真相は闇の中だ

 

ライト「…やったな、ミツル!」

ミツル「はい!…ライトさんのおかげです!」

ライト「何言ってんだ、これはお前の実力だ」

ミツル「あはは…。ライトさん」

ライト「…ん?なんだ?」

ミツル「…お世話になりました」

ミツルは深く頭を落としていた

 

ライト「…ミツル?」

ミツル「…明日、この場所に来てください。2人のお墓がある所です」

ミツルは俺に住所の書かれた紙切れを渡してきた

 

ライト「…ミツル…」

ミツル「2人に、紹介したいんです。あと…」

ライト「……」

ミツル「…僕と戦ってください」

 

             *

 

レン「本当に行くのか?」

俺が早朝にテントを出ると、レンが外で待っていた

朝ごはんの時間にしては早すぎる

 

ライト「なんで知ってるんだ?」

レン「あいつの事は俺も多少なりとも理解している、あいつの言いたいことくらい分かる」

そう、俺も薄々感じていた

ミツルの言動の意味

それが、ミツルなりの覚悟の仕方なのだろう

 

レン「…はっきり言っておくが、あいつは弱い」

ライト「なんでそんなふうに思う?」

レン「あいつは、己の強さに気付いていない。根は強かろうが、それが発揮出来なきゃ、強くはなれない」

ライト「分かってるよ、レンの言いたいこと」

レン「…?」

ライト「…あいつは…ミツルは、迷ってるんだ。だったら、俺がその悩みを晴らしてやりたい」

レン「…わかってるならいい…」

ライト「…ふっ」

レン「何がおかしい?」

ライト「俺も、レンの事は少なからず理解してるからさ」

レン「…やかましい。さっさと行け」

ライト「…あぁ」

レン「……」

 

俺が向かった先には、濃い霧に包まれていた

まだ朝方だからだろう

神秘的な景色が、俺を包んだ

 

ミツル「来てくれたんですね」

そこにミツルはいた

俺に背を向け、手を合わせて下を向いている

 

ミツルの目の前には、小さなお墓があった

 

ミツル「ユウキさん、ハルカさん、彼が波山ライトさん…」

ミツルは振り返り、俺を真っ直ぐ見つめた

 

ミツル「…僕の、憧れの人です」

ライト「…ミツル」

ミツル「約束、守ってくれてありがとうございます。僕がここまで来れたのも、ライトさんのお陰です」

ライト「…?」

ミツルは目を閉じた

 

ミツル「…うん。ライトさんの強さが、向かい合うだけでもビリビリ感じます。……だけど…」

ミツルは目を開け、俺を真っ直ぐ見つめた、と言うより、睨んできた

 

ミツル「僕はもう負けない!」

すると、辺りの霧が晴れ、視界が良好になった

そこは彼岸花が咲き誇る場所だった

 

ライト「…ミツル…」

ミツル「僕に勇気と元気をくれた2人のためにも、僕は強くなります!その為には!ライトさん!まずはあなたを超えてみせます!」

ライト「…そうか、お前の覚悟、俺が受け止めてやる」

ミツル「手加減は許しません!本気で来てください!」

ライト「…あぁ、わかってる!」

俺とミツルはメガドライバーを装着した

 

ライト「…行くぜ、相棒!」

ミツル「それでは…行きますよ!」

ライト・ミツル「「変身!」」

 

バシャーモ!

ババッバッバッババッバッバシャーモ!バッババシャーモ!

 

エルレイド!

エールレイド!エールレイド!エルレイド!

 

俺は仮面ライダーバーサへと、ミツルは仮面ライダーリワードへ変身した

 

ライト「熱き炎の戦士!仮面ライダー!バーサ!」

ミツル「不屈の戦士!仮面ライダー!リワード!」

ライト「…燃えるぜ!」

ミツル「…はぁぁぁ!」

ミツルは《エルレイドスラッシャー》を俺に向けたまま突っ込んで来た

 

ライト「くっ!」

手で受け止める俺

 

ライト「はっ!はぁぁぁ!」

手は掴んだまま、蹴りを入れる

ミツルは吹き飛ばされる

 

ミツル「ぐっ!サイコカッター!」

ライト「ぬっ!ブレイズキック!」

ミツルはサイコカッターで遠距離攻撃をする

俺は飛び上がり、脚に炎を纏い蹴りつける

 

ライト「はあっ!」

ミツル「くっ!きりさく!」

ミツルは再び飛び出してきた

俺は腕でガードをするが、押されてしまっていた

 

ライト「くっ!」

ミツル「はぁぁぁ!」

俺を突き放すミツル

 

ライト「……」

ミツル「…どうしたんですか!?ライトさんの強さは!こんなものじゃないでしょ!?」

ライト「…あぁ」

俺は《バシャーモナイト》と《ホウオウストーン》を入れ替えた

 

ライト「俺も本気で行くぞ!モードチェンジ!」

 

ホウオウ!

The Phoenix mode!

Let’s KAMENRIDER!

 

ライト「黄金の戦士!仮面ライダーバーサ!フェニックスモード!」

ミツル「……はぁぁぁ!」

黄金色に輝く俺

 

ライト「せいなるほのう!」

ミツル「くっ!」

俺が吐く黄金の炎に悪戦苦闘するミツル

 

ミツル「くぅ…つるぎのまい!」

ミツルは赤いオーラを放ち、炎を薙ぎ払った

 

ライト「だいもんじ!」

ミツル「サイコカッター!」

俺の攻撃を切り裂き去なすミツル

 

ライト「くっ!…はぁっ!」

俺は背中の羽を羽ばたかせ、飛び上がった

 

ライト「ゴッドバード!」

ミツル「きりさく!」

俺はオーラを放ち、ミツルに蹴りを入れるが、回転しているミツルの刃に当たり効かなかった

 

ライト「…強いな、ミツル!」

ミツル「いえ!でもライトさんも、まだ本気出してないですよね!」

ライト「…バレたか」

ミツル「…全力で来てください!」

ライト「…分かった!」

 

俺はキーストーンを押し込む

ミツルも同様に

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

ホウオウ!

エターナル!エクスプロージョン!

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

エルレイド!

ナイトズ!スラッシュ!

 

俺は高く飛び上がり、羽を広げて黄金色のオーラを放つ

ミツルも《エルレイドスラッシャー》を巨大化させ、力を貯めていた

 

ライト「エターナルエクスプロージョン!」

ミツル「ナイトズスラッシュ!」

ライト「はぁぁぁ!」

ミツル「はぁぁぁ!」

 

気付いた時には、俺はミツルの胸に足を付けていた

同時に、俺のみぞおちに、《エルレイドスラッシャー》がくい込んでいた

 

変身が解かれた俺達は、彼岸花に囲まれながら息をついた

 

ライト「…やっぱり、お前は強いよ」

ミツル「…ありがとう、ございます…」

ライト「…ミツル?」

俺がミツルを見ると、ミツルは目元を腕で隠していた

 

ミツル「…くそぅ…」

ライト「…ミツル…」

ミツル「…ライトさん、ありがとうございました」

ミツルは立ち上がり、俺に手を差し伸べる

俺はその手を握り、促されるまま立たされた

 

ミツル「ライトさんも、ライトさんの相棒も、すごく強かったです。本気で僕と戦ってくれて、ありがとうございました!」

ライト「こちらこそ、ありがとう」

ミツル「…エルレイドも、本当にありがとう……皆さんのおかげで、また1歩進めた気がします」

ライト「……」

ミツル「……今日はライトさんに勝てなかったけど、しばらく修行をつづけて、いつかきっと、追いついてみせますからね!絶対……絶対にまた勝負してくださいね絶対の約束ですよ!」

ライト「…あぁ!約束だ!絶対にな!」

俺とミツルは深い握手をして、その場で別れを告げた

 

荷物もまとめてて、俺と戦ったら旅に出るつもりだったらしい

最後まで話をしながら歩き、見届けた

 

朝日は完全に昇っていた

 

さて、皆にどう説明しよう

 

             *

 

ヒガナ「…んん〜」

僕は少々焦っている

こんな立て続きに僕の自慢の下僕達がやられているんだ

しかも今回は実験とは言え「色違い」の個体を採用した

結果的にまぁまぁ最悪な展開になってしまったが

まぁ後ほど処理すればいい

 

「色違い」個体は力が倍増する代わりに自我を失う

知恵が働かない為、無造作に人を襲う

これは対策しなきゃね

 

これは僕の進化にも大きな影響を与える

しっかりと研究しないとな…

 

             *

 

カズマ「…そうか、これからは仮面ライダーとして、戦士として、戦っていくって事だな?」

ライト「あぁ、それがミツルなりの答えだ」

メガミ「寂しくなりますね」

メグ「また仲間が増えると思って楽しみにしてたのにぃ!」

レン「……」

ミツルとの戦いが終わった後、俺は皆の元に戻り、朝食を食べながら洗いざらい話した

 

カズマ「兎にも角にも、この世界を守る仮面ライダーが新たに1人増えたんだ、喜ばしい事じゃないか?」

メグ「…そうだね、私達以外にも仲間がいる、そう考えただけでも」

メガミ「私達はひとりじゃない、仲間がそばにいます!」

ライト「あぁ、あいつもひとりじゃない、俺達がいつもそばにいる。俺達も、ミツルがいつもそばにいる」

みんなが頷く

ただ、レンは不服そうだった

 

ライト「…どうした?レン」

レン「…綺麗事だな」

ライト「…え?」

レン「あいつは独りで強くなる事を望んだ。もしそんな考えがあったのなら、お前と共に来る筈だ。でも実際は来なかった。お前と共に来る必要が無いからだ」

ライト「そんな事ない!…確かにミツルは、俺を超える為に強くなると言ってた、けど!それは俺とまた会ってくれると約束したからだ!」

レン「それが綺麗事だと言うんだ!…数年もすれば、お前の事なんて等に忘れてるだろう」

ライト「…なっ!」

レン「己の強さを自覚したあいつは強い。そんなあいつが、お前を超える為などとくだらない事に力を使ったりはしない!実際、フェニックスモードの時のお前と互角の勝負だったんだろ?だったら尚更だ!あいつはもっと賢くあの力を使う筈だ」

ライト「……」

レン「…あいつには、もっと自由に生きて欲しい」

ライト「……?」

レン「いいや!自由に生きるべきだ!お前という男に飲み込まれることのないようにな!」

ライト「…レンは、絆って、何かわかるか?」

レン「……絆?」

ライト「そうだ。俺達には、絆があった!だからお互いにトドメを刺さなかった。お互いを高め合う為に…。レン。お前はどうだ?俺は、絆があればなんだって出来るって気がするんだ!皆がいれば、なんだって出来る!それが絆だって思う」

レン「……」

ライト「…レン。俺達にも絆があるって信じてる。だって、あんなに叔父さんやメグを思いやったり、メガミを大切にしたり、ミツルに優しくしたりするお前が、悪いヤツな訳が無い。だから俺は、お前が好きだ。人間として、男として、家族として…」

レン「……」

ライト「…なぁ、レンはどう思う?」

レン「…俺がお前が嫌いな理由が今わかった」

ライト「…え?」

レン「…夢とか、希望とか、絆とか、どうだっていい。ただ、似てるんだ。昔の俺に…。愚かな自分に、嫌いな自分に」

ライト「……」

レン「…お前を見ていると虫唾が走る。…どうやら俺達に絆なんてものは存在しないらしい」

ライト「そんな事ない!きっとある!俺達にも分かり合える事が……っ!」

次の瞬間、俺はレンに右ストレートを喰らわされた

 

レン「もううんざりなんだよ!!」

ライト「!?」

レン「夢だの!絆だの!俺には必要ない!俺に必要なのは力だけだ!…前に言ったな、俺達は、戦う事でしか分かり合えないと!もしお前がこれ以上余計な事を言うなら、家族?友情?絆?全部棄ててやる!!これが俺の答えだ!お前とは絶対に分かり合えない!」

ライト「…レン!お前まさか!」

レン「…もうお前達とは行動しない。俺は俺の道を行く!着いてくることも許さん!」

レンは椅子を立ち、荷物をまとめ始めた

 

カズマ「…レン!落ち着け!自分が何言ってるのかわかってるのか!?」

メグ「そうだよお兄ちゃん!私はこれからどうすればいいの!?」

レン「…勝手にしろ、ただし、俺には着いてくるな」

メガミ「レンさん!」

レン「……」

ライト「…本当に出て行くのか?」

レン「…あぁ、俺はお前と分かり合えない。俺は俺の力で、世界を救う」

ライト「…分かった。…ただ一つ…」

俺はレンの元に行き、右ストレートをお見舞いしてやった

 

メガミ「ライトさん!」

レン「…くっ…」

ライト「1発は1発だ、これで借りはない。自由にすればいいさ」

レン「…あぁ、そうさせてもらう」

レンは荷物をまとめ終わると、そそくさと去っていってしまった

 

メガミ「…どうしてこんなことに…」

メガミがボソッとこれを漏らす

 

ほんとにな

 

ライト「……」

そして俺は気づいた

俺はいつの間にか下唇を強く噛んでいた

同時に右手の拳がジンジンと痛み始めた

痛み始めたと言うよりかは、痛いと気付き始めた

 

痛いなぁ

 

レンも、同じ痛みを感じていたんだな

 

いや、これ以上の痛みを感じていたに違いない

俺はレンを理解しきれていなかった

何も話し合うことも無いまま、終わってしまった

 

メグ「…これから私達、どうなっちゃうんだろ?」

カズマ「……さぁな…」

メガミ「……」

ライト「……」

 

レンの作ってくれた朝食の目玉焼きとベーコンはとっくに冷めていた

 

             *

 

レン「……ふぅ」

勢いに任せて出て来てしまった

本当にこんな事して良かったのか?

 

メグ…親父…メガミ…

 

いや、これでいい

これで良かったんだ

俺はもう、自分の選択に後悔しないと決めたんだ

 

俺は、1人でも生き抜いてみせる

 

???「よぅ!あんちゃん!」

レン「…?」

振り向くと、濃い髭に青のウエットスーツ

マークの書いてあるバンダナに派手なネックレスを付けている男がいた

見た目はまるで海賊だ

 

???「こんな真昼間から散歩か?」

レン「…誰だ貴様」

???「お〜!気の強いタイプか!嫌いじゃねぇ!」

男は俺に近づき、腰に手を当てる

 

アオギリ「俺はアオギリ!このホウエン地方を裏で支配する『アクア団』のリーダーだ!」

 

To be continued




次回予告

アクア団へと勧誘されたレン
アオギリの目的とは?

ライト達はホウエン地方の事をもっと調べるべく、火山の研究をしている『マグマ団』へ話を聞きに行った

『マグマ団』の要求は、『アクア団』を退ける事
『アクア団』の目的は、『マグマ団』の殲滅

相対する2つの存在が、今後の物語を大きく揺るがす事となる!

第三十二話「ホウエンの歴史!閉ざされる未来!」


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第三十二話「ホウエンの歴史!閉ざされる未来!」

前回のあらすじ

仮面ライダーリワードへと変身したミツル
ライトと共に『ギャラドス・ヤミー』を撃破!
そして、決闘を挑むミツル
仮面ライダーとして生きる事を決めたミツルは旅立って行った…

そして、レンと問答になるライト

「もううんざりなんだよ!!」

レンはライト達と決別になり、離れ離れになってしまった…

2人に入った心の亀裂は、治す事が出来るのか!?



アオギリ「俺はアオギリ!このホウエンを裏で支配する『アクア団』のリーダーだ!」

レン「…『アクア団』?」

アオギリ「…あぁ?あんちゃんもしかしてよそ者か?なら教えてやろう!『アクア団』ってのは、表では海底火山の調査をしている組織。だが裏では、この世界の海を拡大させる事を望んでいる組織だ!」

レン「…何を言ってやがる?」

アオギリ「あぁ!信じてないな?なら教えてやる、俺達『アクア団』をな!」

俺はアオギリと名乗った男に促され、アクア団のアジトに案内された

入口は海に続いており、船がないと入れない造りになっている

ボートに乗り、海に繋がるトンネルの中を進む

中には下っ端のような男女がいて、運転をしていた

そこには大きな門があった

扉には特殊なデザインの「A」の文字

 

重厚感のある扉が開き、俺達が通ると再び閉まった

 

奥には陸地があり、ボートから降り、アオギリについて行く

中は洞窟のようになっていて、「A」の文字が書かれた海賊旗のようなものが上に貼ってある

 

湿っぽい

 

アオギリ「この奥がアクア団のアジトだ」

レン「……」

アオギリ「…あ?どうした、立ち止まって」

レン「…なぜ俺をここに連れて来た」

アオギリ「…あぁ?」

レン「…俺なら、今すぐお前を殺す事が出来る。何人束になろうとも、俺を止めることは出来ない。この世界の海を拡大させる?ふざけるな。そんなことをすれば、陸地の生態系は崩れ、世界は壊滅する。人間はそのうち死に絶えるぞ」

アオギリ「…わかんねぇもんかなぁー」

アオギリは俺の方を向き、語り始めた

 

アオギリ「お前はこの海に、どれだけの生物がいると思う?俺達人間が発見した海洋生物の割合を知ってるか?」

レン「…さぁな」

アオギリ「たったの9%だ。残りの91%は新種と言われている。俺が何を言いたいか分かるか?この海には、ロマンが詰まってる!人類には測り知れない生態系がここには眠っている。この地球を支配しているのは人間じゃぁない!海洋生物だ!だったら俺は、海の王になる。海の王、すなわち!世界の王だ!」

レン「……」

アオギリ「それが俺の野望だ。だからどうだ?お前も俺達と一緒に、世界を渡る海賊にならねぇか?」

レン「……俺が、海賊…」

アオギリ「俺には分かる!お前、力を求めているな?」

レン「…!?」

アオギリ「ハハッ!その反応だと、やはりそのようだな。俺の直感は常に正しいから当然だな!」

レン「……」

アオギリ「…お前が世界を怪物から守ってる「仮面ライダー」ってヤツだろ?」

レン「…やはり気付いていたか」

アオギリ「あたりめぇだ!そうだ、いいもんをくれてやる」

アオギリは部下に何かを指示すると、部下がひとつの小さな宝箱を持ってきた

簡単に開くタイプだ

アオギリはその宝箱を開くと、ひとつのメガストーンを取り出し、俺に投げつけた

 

アオギリ「お前にとってなにか大切なものだろう?」

封印は解かれていない

 

レン「…これをやる代わりに、仲間になれと?」

アオギリ「…まぁ、そういう事になるな」

レン「……分かった」

俺は俯きながら呟いた

 

アオギリ「…ほぉぅ…ほんとにいいのか?」

レン「…俺は俺の道を行く。俺がいいと言ったらいいんだ」

アオギリ「…それじゃ…」

アオギリは右手を差し出した

 

俺はその手を握り返す

 

アオギリ「…契約成立、だな」

レン「……」

 

             *

 

ライト「……はぁ…」

大きなため息だ

あの日から2日間、レンは帰ってこなかった

当然と言えば当然である

しかし、俺は少しの期待と大きな不安を胸に、毎朝のようにテントの外で座りながらあいつの帰りを待っていた

 

はっきり言って、今回の事に関しては、俺に問題がありすぎた

レンがそんな事を思っていたなんて…

 

俺は気付いているようで、気付かないふりをしていたのかもしれない

 

これじゃ、俺はヒーローなんてものには程遠い

 

「もううんざりなんだよ!!」

 

ライト「……」

俺はレンに殴られた左頬をさする

いつもはどんな傷でも、意外と直ぐに治るのに

あいつに殴られたここだけは、一向に治る気配がない

 

あんなに取り乱したレン、初めて見た

それは叔父さんやメグもそうだと言う

 

それに…

 

 

メグ「あそこまで本気なお兄ちゃん、初めて見たの。だから多分、ほんとに戻ってくる気はないんだと思う」

カズマ「あいつは芯が強い男だからな。自分の気持ちに嘘をつくことをやめたんだろう」

 

 

ライト「……はぁ…」

俺は再び大きなため息をついた

 

メガミ「…不安、ですか?」

後ろからメガミの声がする

おそらく結構近い

 

ライト「…あぁ」

メガミ「……私もです…」

するとメガミは俺の隣に座って来た

 

メガミ「…不安、と言うより、怖いんですよね」

ライト「…え?」

メガミ「…今まで一緒に旅して来た仲間が、急にいなくなるなんて…。私には怖いです…」

ライト「…あぁ、そうだな」

メガミ「…ライトさんは、怖くないんですか?」

ライト「……怖いよ…」

俺は俯き、涙を堪えていた

 

ライト「…あいつは、確かに俺の事を嫌ってた。でも俺は……」

俺は今までのレンとの旅を思い出した

 

毎朝、当たり前のように食事を作ってくれた

俺が戦いでピンチになれば、駆けつけて来てくれた

そして誰よりも、メグや叔父さんを気にかけていた

俺には決して優しくはなかったけれど、それでも俺は…

 

ライト「…あいつとの旅が、楽しかった…」

メガミ「……」

俺の背中を摩るメガミ

 

ライト「…このままじゃダメだ…」

俺は立ち上がった

昇る朝日を前に、俺は決意した

 

ライト「…レンを連れ戻す。なんとしてでも…」

自然と拳に力が入る

 

メガミ「…そうですね、このままでは終われませんもんね!」

メガミも立ち上がり、風に靡かれていた

 

カズマ「…おーい!2人ともー!」

遠くから叔父さんの声がする

振り返ると、新聞を持った叔父さんが走って来ていた

 

ライト「何?叔父さん」

カズマ「これを見てくれ!」

叔父さんが新聞を広げ、指を指していた

 

指の先には、大きな文字でこう書かれていた

 

『火山で不思議な石を発見!マツブサ氏が会見にて発表』

 

ライト「…これは!」

その記事には何枚かの写真が乗っていた

1枚はローブを羽織り、七三分けで黒縁の眼鏡をかけた男がたくさんの記者に囲まれながら記者会見を開いている写真

もう1枚の写真には、雫のような形の石が映っていた

石の真ん中には、不思議な紋章が浮かんでいた

多分、「Ω」の文字

メガストーンなのか?

 

ライト「これを発見したのは!?」

叔父さんがすかさず指を指す

 

カズマ「火山の研究をしている『マグマ団』のリーダー、マツブサだとさ」

ライト「…マグマ団…?」

もう一枚の写真には、特殊なデザインの「M」の字がペイントされていた

 

             *

 

アオギリ「海は生命の宝庫だ。もっと大切にされるべきだと思わねぇか?」

レン「…そうだな。最近では、人間による環境破壊が進み、海も汚れてきている」

アオギリ「そうだろ!つまり、陸に住む人間は海にとっては敵だ!俺の言いたいことが分かるか?」

レン「…つまり、海の敵である人間は滅ぶべきだと?」

アオギリ「…まぁその通りだな。だが人間が滅んだら困ることもあるだろう。俺がしたいのは、海を広げて、もっと生命が生まれる環境を作る事だ。そうすれば、残り少なくなった人間も俺に従うだろう」

レン「……どうやって海を広げるつもりだ?」

アオギリ「お!よくぞ聞いてくれた!」

アオギリはデスクの引き出しから古い絵巻のようなものを取り出し、机に広げた

その絵巻には、丸い石が描かれていた

真ん中には、「α」の文字

メガストーンなのか?

 

アオギリ「これは、「あいいろのたま」」

レン「あいいろのたま?」

アオギリ「この海を統べる力がある。この海の中心にあるこれは、俺達にとっちゃとんでもない宝だろう?」

アオギリはニヤリと俺を見た

 

アオギリ「これがあれば、俺は海を支配できる!海は俺達のもんだ!」

レン「……」

「あいいろのたま」、そんなものが存在していたのか

 

アオギリ「お前はこの海を手に入れたら、何がしたい?」

レン「…え?」

アオギリ「悪いが海の王の座は既に埋まってる。それ以外には何がしたい?」

レン「……そうだな…」

俺は考えた

もし海が手に入ったら、何がしたいか…

 

レン「…見守っていたいな」

アオギリ「…あ?」

レン「…海がどんな物語を繰り広げるのか、見てみたい」

アオギリ「…ふっ、悪くねぇな」

アオギリは鼻で笑った

 

アオギリ「じゃあ俺が海を手に入れた暁には、お前に海の私有権を半分やろう」

レン「…ふっ、まるで魔王が勇者に放つ言葉みたいだな」

アオギリ「何言ってる?俺達は勇者だ。俺達が正義だ」

レン「……」

団員「リーダー!」

アオギリ「あ!どうした!?」

1人の下っ端であろう男が、新聞を持ってアオギリの元に駆けつけた

 

団員「マグマ団の連中が、「べにいろのたま」を見つけたようです!」

レン「……?」

アオギリ「何!?マグマ団が!?」

レン「…なんだ?」

アオギリ「…マグマ団ってのは、俺達アクア団の敵だ!あいつらは俺達の目的とは逆に、陸地を広げようとしている」

レン「……」

アオギリ「マツブサめ……俺達も一刻も早く「あいいろのたま」を見つけねぇと…」

レン「……」

「あいいろのたま」、「べにいろのたま」

初めて聞くワードだが、俺は困惑しなかった

なぜなら、次なるトラブルが待っているとわかっているからだ

 

このニュースを、あいつらが見逃す筈がない

 

レン「…待ってろよ…」

 

             *

 

「べにいろのたま」の事を追求すべく、俺達はマグマ団のアジトに向かって、アポをとっていた

 

ライト「……?」

と、とある女性と目が合う

大人っぽいというか、子供っぽいというか

腕を組み、全身真っ赤で、短いスカートに黄色い角の生えたフードを被り、紫髪で、冷たい視線をこちらに向けていた

 

しばらく俺を見ると、その女性は去っていってしまった

 

ライト「……」

なんだったんだ?

 

団員「アポが取れました。ご案内致します」

礼儀正しい女性の受付人が、俺達4人を案内した

 

団員「リーダーマツブサ、お客様です」

マツブサ「…入れ」

ドアをノックし、女性が中に話しかけた

中からは渋い男の人の声がした

 

ライト「…し、失礼します…」

マツブサ「…君達が「べにいろのたま」について聞きたいと言う人達かい?」

デスクに座る赤髪の男

新聞で見た通りの見た目で、この人も赤一色で身を固めていた

 

ライト「…はい、波山ライトって言います」

メガミ「私は、メガミ・アリス・クラットと申します」

メグ「朝堂メグです!」

カズマ「保護者の、朝堂カズマと申します」

一通り挨拶が済んだ俺達

 

マツブサ「私がマグマ団のリーダー、マツブサです。どうぞよろしく」

作り笑いかのような笑顔

正直怖い

 

マツブサ「…これが、「べにいろのたま」です」

マツブサが持ち出したのは、新聞でも映っていた石だ

真っ赤に輝き、まるで宝石のようだった

 

でも……

 

やはり、メガストーンとは似ても似つかなかった

 

カズマ「…ハズレか」

叔父さんがそう呟いた

 

すると、マツブサさんが言葉を発した

 

マツブサ「皆さんは、仮面ライダー、なんですか?」

ライト「…え?」

マツブサ「…あぁいやいや。なんせ世間では大きく騒がれていますから…」

ライト「…だったら、なんですか?」

何故か強く当たってしまった

俺なりの防衛本能が働いてしまったのだろう

 

マツブサ「…我々マグマ団と、手を組まないか?」

マツブサの表情が変わった

さっきとは裏腹に、挑戦的な眼差しだった

 

ライト「…手を、組む?」

マツブサ「あぁ、我々マグマ団の目的は、海を枯らし、大地を広げる事だ」

ライト「海を、枯らす?」

とんでもない発言に、俺達は驚きを隠せなかった

 

マツブサ「そうだ。我々人間はどこで進化してきた?それは大地だ。人間だけではない。陸地に住み始めた生き物の大半は、海から這い上がり、陸地で進化をしてきた。つまり、大陸は生物が進化をする上でなくてはならないものだ!そんな大陸を拡大させれば、生物は更なる進化をするだろう!何年、何十年、何千年かかろうが、私は大地を広げ、生物の進化に貢献する!」

ライト「…そんな事したら、海の生き物はどうなる!?水はどうなる!?そんな世界、誰が望む!」

マツブサ「海の生き物は陸地に上がり進化する。水は飲料水があれば十分だ。それに、もしかしたら水を必要としない生物が現れるかもしれん!地球を約3割しか占めていない陸地だ、もう少しあっても誰も文句は言わないだろう!」

ライト「…そんなの、間違ってる…」

マツブサ「…いいや、間違ってなどいない。おかしいのは…」

マツブサは俺の顔をじっと睨んだ

 

ライト「……っ」

マツブサ「貴様の倫理観だ」

顔面が近い

すごい圧だ

 

と、突然俺の体が床に付いた

と同時に、腕を後ろに回され、身動きを取れないようにされていた

 

ライト「…痛っ!」

???「……」

ライト「…!」

俺の体に身を載せているのは、さっき目が合った女の人だ

またしても冷たい視線を向けている

 

???「…あなた…リーダーマツブサに近付きすぎ…」

マツブサ「まぁ待てカガリ、腕を離してやれ」

カガリ「……リーダーが言うなら……」

カガリと呼ばれた女性は、俺の拘束を解き、マツブサの傍に駆け寄った

 

ライト「くくっ…」

メガミ「ライトさん!」

ライト「…大丈夫…」

カガリ「……」

マツブサ「カガリが迷惑をかけたな。さぁ、話を戻そう」

マツブサは自分のデスクに座った

カガリも横に立っていた

 

マツブサ「我々が君達に協力を求める理由は2つ。1つは、我々と対の関係にある組織、アクア団の事」

ライト「…アクア団?」

マツブサ「アクア団は海を広げる事を目的に活動している連中だ。我々とは思想が合わない。そんなアクア団の連中を懲らしめて欲しい。もう1つは、我々の研究で、「べにいろのたま」を扱うには、色々と条件が必要なようでな、それが、超古代生物の力が必要、という事だ」

カズマ「…超古代生物…まさか、ポケモンか!?」

マツブサ「その通りだ、そのポケモンの名は『グラードン』。かつて地球ができた際に、陸地を作り上げたと言う伝説のポケモンだ」

カズマ「伝説のポケモン…」

マツブサ「その『グラードン』と、「べにいろのたま」が何らかの作用を引き起こし、海を枯らすほどの猛暑を作るらしい」

ライト「……」

まさか、この事件にもポケモンが絡んでいたなんて…

 

マツブサ「どうだ?我々と一緒に世界を変えないか?」

ライト「……」

協力は出来ない…

でも、ここで断ったら何をされるか分からない

それに、内部からの方が、何か

掴めるかもしれない…

 

ライト「…くっ…」

苦渋の決断だ

 

ライト「…わかった、協力しよう…」

マツブサ「…いい返事だ、それじゃあ…」

マツブサは自分のデスクに入っていたカプセルを開けると、中に入っていたメガストーンを渡してきた

封印は解かれていない

 

マツブサ「調査中に出てきた代物だ、受け取れ」

ライト「……賄賂ですか?」

マツブサ「…イヤな言い方をするな、交換条件と言ってもらいたい」

ライト「……っ!」

すると、またしても俺は床に地面が付き、さっきと同じ痛みを感じた

 

ライト「痛だだだだ!」

カガリ「だからあなた……リーダーに近付きすぎ…」

メガミ「ライトさん!」

マツブサ「…カガリ…」

カガリ「……ごめん…なさい…」

すぐに拘束を解くカガリ

マツブサには従順らしい

 

メガミ「もう!なんなんですかあの人!」

マツブサの元を離れた俺達

咄嗟にメガミが文句を言った

 

ライト「…確かに、とんでもない考えを持った人だな…」

メガミ「どうしてあんなにライトさんを痛い目に遭わせたいのですかね!」

ライト「…あ、そっち?」

メガミが文句を言っていたのはカガリに対してだった

 

カズマ「…しかし、どうするんだ?ほんとに協力するつもりか?」

ライト「…まさか。協力はできないけど、止めることは出来る。俺達で、マグマ団の陰謀を止めよう」

メグ「だけど、アクア団って人達もいるんだよね?」

ライト「うん、そいつらも止める」

カズマ「本当に出来るのか?レンもいないのに…」

ライト「…出来るか出来ないかじゃない、やるかやらないかだ。なんとしてでも、やるしかないんだ」

マグマ団も、アクア団も止める!

そして、レンも連れ戻す!

 

             *

 

ホムラ「いや〜、それにしてもリーダーマツブサ、「おくりびやま」では大収穫でしたね!」

マツブサ「…そうだな」

カガリ「…これも…世界を変えるリーダーマツブサの…才能…」

マツブサ「……」

マツブサの手元には、紅色に輝く「べにいろのたま」、そして、藍色に輝く「あいいろのたま」が置かれていた

 

マツブサ「大陸を広げる『グラードン』、海を広げる『カイオーガ』、どちらが世界を変えるか、見届けようじゃないか…」

 

3人は不敵な笑みを浮かべていた…

 

To be continued




次回予告

マグマ団のアジトに乗り込むアクア団
争いが勃発!

困惑するライト達の目の前には、レンの姿が…

第三十三話「戦争勃発!アクア団VSマグマ団!」


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第三十三話「戦争勃発!アクア団VSマグマ団!」

前回のあらすじ

ライト達と疎遠となったレンはアオギリと言う男と出会う
アオギリはアクア団のリーダーとして、新たな生物の誕生促進の為に海を広げようとしていた
一方、ライト達はニュースを見てマグマ団のアジトに行き、マツブサと言う男と出会う
マツブサはマグマ団のリーダーであり、人間の進化の為に、陸を広げようとしていた

それぞれが抱える野望
2人はどんな選択をするのか!?



マツブサ「……」

おくりびやまの頂上

マグマ団一行は、ホウエン地方に伝わる伝説の秘宝があると耳にし、おくりびやままで足を運んだ

 

マツブサ「……ついに見つけた…」

祭壇の上にあったのは2つの石

1つは、紅色に輝き、もう1つは藍色に輝いていた

 

これが「べにいろのたま」…

私が探し求めていた物

きっとアクア団もこの「あいいろのたま」を狙っているに違いない

 

私は部下に命令し、先に「あいいろのたま」を回収する事にした

 

カガリ「……リーダーマツブサ…そろそろ…」

マツブサ「あぁ、わかっている」

ここからはエントツ山が良く見える

 

私は視線をエントツ山から「べにいろのたま」に移した

 

美しい…

 

私は「べにいろのたま」を力強く握った

 

マツブサ「…っ!」

と、突然頭痛がした

 

マツブサ「…がっ!」

膝から崩れ落ちる私

 

カガリ「リーダー!」

カガリが駆け寄ってくる

 

マツブサ「…あぁっ!がっ!」

 

…これは、単なる頭痛では無い

 

そう確信したのは、彼の姿を見てからだった

 

私の目に映っていたのは、エントツ山の頂上

火口から巨大な赤い怪物がマグマのようなビームをホウエン中に放っている

腹部は黒く、全身をマグマのようなものが伝っていた

 

マツブサ「……あ…あぁ」

私は自然と手を伸ばした

 

マツブサ「……ゲンシ…グラー…ドン…」

何故だ

私は今何故、知らない言葉を発した?

 

ゲンシグラードン

聞いた事もない

だが、あいつに惹かれる何かが分からない

ただ単純に、あの力が欲しかった…

 

すると、怪物がこっちを向いた

そして口を大きく開けると、こちらにビームを放った

 

マツブサ「ぬぁぁ!」

カガリ「リーダーマツブサ!落ち着いて!」

ホムラ「リーダーマツブサ!しっかりして下さい!」

部下達が私を呼んだ

 

マツブサ「…あ…あぁ、すまない…」

私は立ち上がり、エントツ山の頂上を見た

 

怪物はいなかったし、ホウエンの街も元通り

 

いや、元に戻った訳では無い

 

カガリ「リーダーマツブサ、何があったの?」

ホムラ「大丈夫ですかい!?いきなり喚き出すんです!」

部下達は怪物の姿を見ていなかったようだ

つまり、幻覚

 

マツブサ「……」

私は「べにいろのたま」を見る

 

これは、多分幻覚では無い

記憶だ

「べにいろのたま」が持つ、記憶

 

ゲンシグラードン…

 

あいつが、この世界を変える事になるのか…?

 

             *

 

マツブサ「……」

あの日、私は初めて、グラードンの存在を知った

あの後、「あいいろのたま」にも触れてみたが、何も起こらなかった

ただ、古い資料から

『グラードン』と共に、『カイオーガ』という名前を見た

2匹は地球が誕生した際争い、陸地と海を作り上げた

そんな2匹は、共にこのホウエン地方に封印されているらしい

 

マツブサ「……」

カガリ「……リーダーマツブサ…体調は?」

マツブサ「…あぁ、問題ない」

カガリ「……そう…」

マツブサ「……なぁカガリ」

カガリ「……はい…?」

マツブサ「……もしも、私がお前達を裏切ってたった1人で地球に生きる事を決意したら、どうする?」

カガリ「……」

マツブサ「……」

カガリは私の右腕だ

カガリが幼い時から、私の直属の部下として働いてもらっていた

 

カガリ「……その時は…リーダーマツブサの…意向に従うよ……だってボクは…貴方に一生仕えると…誓ったから…」

その結果、カガリは私に懐くようになり、今では私第一に行動してくれる

カガリは私の服の袖を握った

口ではこう言っているが、本当は…

 

マツブサ「……悪かった…」

私はカガリを抱きしめた

 

カガリ「……リーダーは…何も悪くない……悪いのは…この世界…」

マツブサ「……」

 

             *

 

アオギリ「……」

俺は焦っている

マグマ団…いや、マツブサに先を越されてしまった

 

イズミ「アオギリ、新しい情報が来たわ」

ゴーグルに青いメッシュの入った長い黒髪の女、イズミがパソコンを持って俺の元に来た

 

イズミ「…これを…」

パソコンの画面には、マグマ団が「あいいろのたま」らしき石を運び込んでいる映像が流れていた

 

アオギリ「こ!これは!」

レン「……」

イズミ「どうする?アオギリ」

アオギリ「何がだ?」

イズミ「何って、乗り込むの?それともこのまま見て見ぬふりなの?」

アオギリ「…何を言ってやがる!俺がそんな簡単に物事を諦める男に見えるか!」

イズミ「だってあなた、この間挙げたパズル、3時間で飽きてたじゃない」

アオギリ「それはそれだ!とにかく!アクア団の全員に伝えろ!」

俺は身を乗り出し大きな言葉で放った

 

アオギリ「これよりアクア団は!マグマ団に乗り込み!「あいいろのたま」を取り返す!」

 

 

レン「……」

どうやら、始まるようだな

 

アオギリ「……お前も来るか?」

すると、アオギリが俺に煽るよう問いかけた

 

レン「……」

 

 

アクア団のアジトが騒がしくなった

青と白のシマシマの服を着た下っ端団員達が、せっせと荷物を戦艦に運んでいる

戦艦は青い鮫のような形で、戦闘にはいかついドリルが付いている

 

やっと、この時が来た

「あいいろのたま」…

待ってろよ…

 

団員「リーダー!全戦艦の準備、整いました!」

アオギリ「おう!それじゃぁお前ら!」

俺は整列する団員に言葉を放つ

 

アオギリ「今一度お前達に問う!この地球は誰のものだ!この世界は正しいと思うか!…いいや違うよなぁ!この地球は人間のものじゃねえ!この世界はこの間違っている!だったら俺達が!この世界を!地球を!変えようじゃぁねぇか!…俺に賛同するものは!ここに誓え!そして!命を燃やせ!死ぬ気で行くぞぉ!!」

団員「「「「……うぉぉぉぉ!」」」」

百数名いる団員達が一斉に叫ぶ

 

ウシオ「オウホウ!!」

イズミ「…ふっ」

アオギリ「アッハッハッハッハッ!!」

 

アクア団のアジトから何隻もの戦艦が出港した

 

アオギリ「目指すはマグマ団アジト!待ってろよォ!マツブサァ!」

 

             *

 

ライト「……」

深夜、俺は考え事をしながらマグマ団のアジトを巡っていた

中は常に団員が警備をしていて、一際重厚感のある扉があり、そこには何人も団員がいて、動く様子がない

 

そろそろ寝よう

 

そう思い、用意されていた部屋に戻ると、叔父さんがデスクにいた

 

カズマ「……」

ライト「…叔父さん、何してるの?」

カズマ「あぁ、ライトか…ちょっとな…」

叔父さんが持っていたのは、見た事ないデバイスだった

 

ライト「…それは?」

黒い六角形の土台に、側面にはボタン、一部に凸が出来ていた

何かに差し込むのだろうか

 

カズマ「…あぁ、これはな…」

叔父さんがそのデバイスをひっくり返した

 

ライト「…キーストーン?」

そのデバイスの中央にはキーストーンがハマっていた

 

カズマ「これは、《メガストーンコネクター》。メガリングと同じ機能を持ってる」

ライト「何それ。もしかして、俺に?」

カズマ「…いや、レンに」

ライト「え?」

カズマ「…本来ならな。元々メガストーンとは、そのメガストーンが本人の本質を見極める事で、封印が解ける。レンの話によると、《ミュウツーストーン》も元々は封印されていたらしい」

ライト「…って事は、《ミュウツーストーン》は、レンの事を認めてるって事?」

カズマ「その通りだ。しかし、伝説のポケモンの力はそんな程度では扱えない。だからこそ、《レジェンドライバー》を使えば、使いこなす事が出来る。半強制的にな」

ライト「……」

カズマ「…だがもし、もし仮にレンとミュウツーの中に絆が生まれるのであれば、レンも更なる進化をするんじゃないかと思ってな」

ライト「…更なる進化…メガシンカの事?」

カズマ「あぁ。だが、今のレンでは…」

叔父さんは《メガストーンコネクター》をまじまじと見ていた

 

ライト「…きっとレンなら、大丈夫だよ」

カズマ「…なぜそう言いきれる?」

ライト「…わかんない。ただ、信じたいだけなのかも」

カズマ「…信じたい?」

ライト「…うん、つまりは俺の願望。ただの願いなんだよ。でも、それでいいんじゃない?信じてればさ。いつかきっと、戻っていてくれる…、そんな気がする」

カズマ「…ライト…」

 

気づいたら、夜が明けていた

 

机に突っ伏して寝ていた俺は、外が騒がしいことに気付き目を覚ました

 

俺は寝ぼけナマコでマグマ団アジトを昨夜のように散策した

ただ気付いたことがある

昨日はあんなに沢山いたマグマ団の団員達が一人もいない

警備もしていない

外が騒がしいことに関連しているのだろうか

 

すると、また昨日のように重厚感のある扉が目に入った

扉の前には誰もいなかった

 

すると、廊下の向こう側から、誰かが歩いてきた

俺はもの陰に隠れ、首をのぞかせた

扉の前に、マツブサが立っていた

 

何してるんだ?

 

そう思うと、マツブサは扉の横にある3×3のキーボードに手を伸ばす

番号を入力し、扉が開いた

 

中に入るマツブサ

 

俺はバレないように着いて行った

 

扉の向こうは入り組んだ廊下になっていた

途中、マツブサを見失ってしまった

 

俺は構わずに先を進んだ

 

足音はしない

本当に誰もいないのだろう

 

そう思った瞬間だった

 

カガリ「…こんな所で……何してるの……?」

後ろにカガリが立っていた

 

ライト「…カガリさん…!」

足音はしなかった筈だ

気付かなかった

 

カガリ「……何してるのって……聞いてるんだけど…」

鋭い眼光で俺を睨む

今にも襲ってきそうだ

 

ライト「…ご、ごめんなさい!道に迷っちゃって…」

カガリ「……道?」

ライト「……」

カガリ「……嘘……だよね?」

ライト「……え?」

カガリ「……キミ……リーダーマツブサを止めようとしたんじゃないの?」

ライト「……」

どうやらお見通しのようだ

 

カガリ「……キミの目的は何?…どうしてボク達の邪魔をしようとするの?」

ライト「……マツブサは、こう言った…」

 

「おかしいのは、貴様の倫理観だ」

 

ライト「…確かに、俺は間違っているのかもしれない。人間の進化、それは確かに必要な事だ」

カガリ「……だったら……どうして…」

ライト「でもそれ以上に!他の命だって大切だ!この地球にいるどんな生物も、命は一つなんだ!それを大切に思うのは!おかしいのか!?」

カガリ「……っ!」

ライト「……カガリさん…貴方はマツブサ一人の為に、自分の大切な命を無くすつもりですか?」

カガリ「……リーダーマツブサは…間違ってない…」

ライト「…確かに、マツブサの言っている事も一理ある、でも!もし本当に海を減らそうとしているなら、『グラードン』の力は危険すぎる!」

カガリ「……」

カガリは少しだけ震えていた

 

カガリ「……なんなの…キミ…」

ライト「……」

カガリ「……どうして……」

ライト「……マツブサに合わせてください」

カガリ「……」

俺は頭を抱えるカガリを横目に、先を急いだ

外は騒がしいままだ

 

 

カガリ「……」

なんなの……あいつ…

 

どうして…リーダーマツブサよりも…輝いて見えるの…

 

どうして…ボクの想像を遥かに超える行動をするの?

 

知りたい…

 

もっと…

 

カレのコト…………

 

 

マツブサ「……」

ライト「マツブサ!」

一番奥の部屋にいたマツブサに俺は声をかけた

 

マツブサ「…貴様か…何の用だ」

マツブサは振り向かずに話す

 

ライト「…貴方の事を、止めに来た」

マツブサ「…ふっ、無駄な事を…」

ライト「無駄なんかじゃない!俺のこの行動は、世界を正しい道へ導くと信じてる!」

マツブサ「……それは…私も一緒だ」

振り向いたマツブサの両手には、「べにいろのたま」と、藍色に輝く珠を持っていた

 

ライト「…それは?」

マツブサ「……先程、アクア団が我々マグマ団に攻めて来た」

ライト「……アクア団?それって…」

マツブサ「私達とは相反する組織だ。そして、我々はお互いにいがみ合っている」

ライト「…どうしてアクア団が…?」

マツブサ「彼らの目的はこの「あいいろのたま」、海を統べる伝説のポケモン、『カイオーガ』と関連がある珠だ」

ライト「…あいいろのたま…」

マツブサ「ただいま部下達が交戦中だ、仮面ライダーよ、もし私を止めた所で、アクア団が野望を叶えるぞ、それが嫌だったら、我々に協力しろ」

マツブサの目が、俺は嫌いだ

威圧感がすごい

見られているだけなのに倒れそうだ

 

ライト「…だったら、あんたを止めて、アクア団も止める!」

マツブサ「…無理だな。世界はある一定の方向にしか進まない。そう決まっているのだ」

ライト「…そんなの、やってみなきゃわかんねぇだろうが!」

俺は振り向き、その部屋を後にした

 

カガリの姿はもうなかった

 

 

マツブサ「……」

残されたマツブサは、「あいいろのたま」と「べにいろのたま」を交互に見詰めた

 

マツブサ「……っ!」

またもや始まった頭痛

しかし、やはりただの頭痛では無い

マツブサの頭の中に、「べにいろのたま」が持つ記憶が流れ込んできた

一瞬でフラッシュバックしてきたそれを見終わると、マツブサは足を進めた

 

この世界を変える為に

 

             *

 

出口をやっと見つけて外に出ると、外は地獄絵図だった

 

無数の人々が、殺し合っていた

 

赤い団服を来ているのはマグマ団の団員達だ

その相手は、青と白のシマシマの服を着た海賊のような見た目の人達

もしかして、あれがアクア団か?

 

カズマ「ライト!」

ライト「叔父さん!」

カズマ「一体、どうなってるんだ?こりゃ」

ライト「多分、アクア団が攻めてきたんだ。「あいいろのたま」を奪う為に」

カズマ「あいいろのたま?」

ライト「…急がないと」

俺は叔父さんを置いて、その軍勢の中に割り込んで行った

 

ライト「やめろォ!」

俺は殴り合っている2人の団員の仲に入った

 

2人は後ろに倒れると、そのまま動かなくなってしまった

 

ライト「…くそっ!」

俺は走り続けた

 

どうしてだ!

どうしてこうなった!

どうして人が倒れなきゃならない!

 

ライト「…っ!」

俺は前方から飛んできた何かを避けた

 

大きな等身大の何か

 

振り向くと、マグマ団員の男だった

 

力尽きている

 

ライト「おい!」

俺は男に近づいた

 

マグマ団員「…リーダー…マツブサ…どうか……世界を……っ!」

男は目を閉じ、満足そうに息を引き取った

 

ライト「……っ」

助けられなかった…

 

ライト「……くっ!」

誰だ!誰がこんな事を!

 

俺は男が飛んできた方向に目を向けた

 

ライト「…っ!」

俺は驚いた

 

唖然と立ち尽くすマグマ団員

道が開いたような場所の奥には、一人の男がマグマ団員をパーカーを引っ張り、引きずっていた

 

レン「……」

ライト「……レン…」

男の正体はレンだった

以前の格好とは違く、青色のトレンチコートのようなものを羽織ったレンが、真っ直ぐ俺を見詰めていた

レンは男を離した

 

レン「……」

ライト「……レン…なんで…?」

なんでレンがここに?

 

…そうか、レンもこの戦いを止めに来たのか

俺は自然と口角が上がる

 

マグマ団員「…よくも!」

レン「…ふっ!」

と、マグマ団員がレンに殴り掛かるが、レンは問答無用で殴った

それは女性団員でも関係なかった

しかも、マグマ団員のみを…

 

ライト「……」

俺は口角が上がったままだった

何がどうなっているのか、分からなかった

 

レン「……」

レンはレジェンドライバーを構え、腰に装着した

 

レン「…ミュウツー、俺に従え」

 

ドロップ!

リード!レジェンド!ヘンシーン!

 

レン「……変身」

 

ミュウツー!

ミュウ!ツー!ミュウ!ツー!ミュウ!ツー!ツー!

 

レンは姿を変え、仮面ライダーレジェンへと変身した

 

レン「…伝説の戦士、仮面ライダーレジェン…」

レンは冷たい視線を俺に向ける

 

この目は、完全に好意的なものでは無い

どちらかと言えば、いや、明確にわかる

この目は、敵意丸出しだ

 

俺を、倒そうとしている

 

レン「……お前も変身しろ、波山ライト…」

 

レンは、別人に思える程、物凄いオーラを放っていた

 

To be continued




次回予告

アクア団としてマグマ団を襲撃したレン
ライトとの戦いで、新たな力を見せる

レン「海の神の力を見せてやる」
ライト「俺は絶対に!お前を諦めない!」

そして、「ゲンシ」の力が開放される瞬間が近付く…

第三十四話「裂かれた友情、本当の正義」


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第三十四話「裂かれた友情、本当の正義」

前回のあらすじ

「あいいろのたま」と「べにいろのたま」を所持するマツブサ
一方、マグマ団アジトへの襲撃を決意したアオギリ

戦争が始まった中、ライトは争いを止めようとしていた

その時

レン「……変身」
レンがライトに牙を向ける!



レン「……お前も変身しろ、波山ライト…」

冷たい視線を俺に向けるレン

変身しているから顔はマスクで見えないが、そんな気がする

 

俺は怯えていた

それはレンに対しての怯えでは無い

レンが、本当に俺達を裏切った事に、怯えていた

 

信じたくない

この事を叔父さんやメグ、メガミが知ったらどう思う?

 

3人も、俺と同じようになるに違いない

 

もしかしたら、冗談かもしれない

そんな淡い期待を持ちながら、俺はレンに問う

 

ライト「…冗談…だよな…?」

レン「……」

ライト「…なんで答えないんだ?…こんな事…メグが知ったらどう思う?」

レン「……あいつらは関係ない…これは…俺の問題だ…」

ライト「……なんだよそれ…」

俺は理解出来なかった

もしくは、理解したくなかった

 

すると、レンの背後から、3人の人影が現れた

そして1人男が、レンの肩に手を置いた

 

アオギリ「お前が仮面ライダーバーサ、か?」

ライト「…お前は?」

アオギリ「俺様はアオギリ!アクア団のリーダーだ!」

すると後ろにいた2人も身を乗り出した

 

イズミ「同じくアクア団の幹部、イズミよ。坊や、宜しくね」

ウシオ「オウホウ!俺はアクア団幹部のウシオだ!」

長髪の女性と筋肉質の男

 

ライト「アクア団の…リーダーと、幹部?」

アオギリ「今日俺達がここに来た理由が分かるか?」

ライト「…「あいいろのたま」か?」

アオギリ「その通り!お前も知ってるだろ?あれがどんだけの力を持っているか」

ライト「…あぁ、最悪な力だ」

アオギリ「…いいや、違う。最高の力だ」

ライト「っ!」

アオギリ「考えてみろって!この世界は海から始まったんだぜ?生物の祖、命の源!それが始まりの海だ」

ライト「始まりの、海?」

アオギリ「そんな海を支配出来る力なんて!最高じゃねぇか!」

ライト「…ふざけんな…そのせいで何人もの人が犠牲になるのか!?」

アオギリ「…その通り、だがこれは地球に住む全ての生き物の為だ!俺は決して悪じゃない。正義だ」

ライト「いいや!そんなものは正義でも何でもない!ただの傲慢な野望だ!」

アオギリ「それが正義ってやつじゃないのか?」

ライト「…え?」

アオギリ「正義ってのは、各々が内に秘めている野望だ。自分がそうしたいから、そうして欲しいから、正義と悪という差が生まれる。だがな、悪の野望は、悪の奴にとっては正義だ」

ライト「っ!」

アオギリ「つまり分かるか?この世に正義なんてもんはねぇ。正義のヒーローなんてもんはいねぇんだよ!」

ライト「…くっ」

アオギリ「正義なんてもんはただの建前だ。だからこそ、この世界の水準を1度正す必要がある。そこで俺は、この世界を1から作り直す事を誓った!世界を変えて、人間のひねくれた思想を書き換えてやる!」

ライト「…だから、海を広げようとしたのか」

アオギリ「ふっ、罪のねぇ生き物が死ぬなんて、そんなもんあっちゃならねぇからな」

ライト「…だからって、人間を滅ぼさなくても…」

アオギリ「…ふっ、ここは任せたぞ」

レン「…あぁ」

すると、アオギリは幹部の2人を連れてマグマ団アジトへと行ってしまった

 

ライト「……」

レン「…アクア団と接触し、俺は自由になる事を決めた」

ライト「……自由?」

レン「…今までの俺は、何かに縛られていた。ひとつは使命だ。仮面ライダーとして世界を救わなくては行けない。もうひとつは、お前だ、波山ライト」

ライト「……俺?」

レン「……お前が強くなる度…進化する度に、このままでいいのか不安になった。俺の存在価値がなくなっていく気がした」

ライト「……」

レン「……だが、もう関係ない。俺は自由だ。アクア団と共に、この世界を1からやり直す」

ライト「…っ!」

レン「…海を広げ、ポケヤミーも何もかも忘れて、俺は生きる」

ライト「…その為なら、他の命はどうでもいいのか?」

レン「……」

ライト「…お前、俺に言ったよな……救えなかった命があるって!儚い命だって…」

レン「……」

ライト「…あの時、レンが本当にすげぇ奴だって分かったんだ。今まで、自分一人でその責任を背負って…」

レン「……」

ライト「…確かに俺達は、よく対立した。喧嘩した。でも、それって、似た者同士だからじゃないのか?」

レン「…っ」

レンが少しだけ反応した

 

ライト「…そうだよ、俺達は似てるだ。世界を救いたいと思うところ、家族思いなところ。だからこそ、今までの苦難を乗り越えられたんじゃないのか?」

レン「……俺とお前が…似てるだと…」

ライト「……っ」

顔を上げたレンは激怒の表情だった

 

レン「ふざけるな!お前に俺の何が分かる!今まで苦労してこなかったお前に!俺の!何が!」

レンは俺に襲いかかった

俺が生身であったにも関わらず

 

ライト「っ!変身!」

急いで変身する俺

レンのパンチが胸に強打した

 

ライト「がっ!」

俺は数メートル飛ばされ、膝を着いた

 

レン「…言ったよな。俺達は、戦い会うことでしか、分かり合えないと」

ライト「…そんな事ない!話し合えばきっと…」

レン「いいや!話し合う余地などない!お前はここで倒されればいいんだ!」

ライト「くっ!」

レンの猛攻撃を喰らう俺

 

レン「サイコカッター!」

続く攻撃

 

レン「サイコキネシス!」

ライト「くっ!」

レン「はどうだん!」

ライト「…がはっ!」

俺は吹き飛ばされた

 

うつ伏せになり、消耗していた

 

レン「…何故だ、何故反撃してこない」

ライト「……出来るわけ…ないだろ…」

俺はその体制のまま答える

 

ライト「…今まで一緒に旅をしてきた仲間に…簡単に攻撃出来るわけないだろ…」

レン「…仲間…?」

ライト「…少なくとも、俺はそう思っていた。どんだけ仲が悪くても、俺達は仲間だって…」

レン「……」

ライト「……でも…もういいんだ」

レン「…?」

ライト「…もう、俺は迷わない。こうやって戦う事でしか本当に分かり合えないんだとしたら、戦ってやる」

レン「……」

ライト「…戦って!勝って!レン!お前には俺達の元に帰って来てもらう!」

レン「っ!」

ライト「…お前が勝ったら、俺はお前の言うことを聞くよ」

レン「…なら…」

レンは戦闘態勢に入る

 

レン「…夢を諦めてくれ」

ライト「……」

夢を諦める

ヒーローを諦める

つまりは、仮面ライダーとして俺は世界を救えなくなってしまう

 

ライト「……分かった。でも俺は…」

レン「……」

ライト「夢は諦めても…俺は絶対に!お前を諦めない!」

俺も戦闘態勢に入る

 

レン「…そうか」

しばらくの沈黙が続いた

 

レン「……」

ライト「……」

レン「…はっ!」

ライト「…はぁっ!」

同時にお互いが衝突する

力較べをし、1度距離を持つ

 

ライト「とびひざげり!」

レン「…くっ」

一瞬の隙をつき、俺は攻撃する

 

レン「サイコキネシス!」

ライト「…わわ!」

俺は宙に浮いた

 

レン「サイコカッター!」

そのまま攻撃するレン

 

ライト「ほのうのパンチ!」

俺はサイコカッターを相殺する

拳に若干の痛みが生じる

同時にサイコキネシスが解け、俺はそのままレンに蹴りを入れる

 

ライト「ブレイズキック!」

レン「くっ!」

腕で攻撃を軽減された

 

レン「…はっ!」

その腕が解き放たれると、俺は数メートル後ろに着地した

 

レン「…強くなったな、波山ライト」

ライト「…あぁ、俺だって修行してるんだ!だから負けないって言っただろ?」

レン「…あぁ、そうだな」

するとレンは《ミュウツーストーン》を取り出し、銀色のメガストーンを取り出した

以前眺めていたストーンだ

 

レン「…ならば、海の神の力を見せてやる」

ライト「…っ!」

レン「…ルギア、俺に従え」

レンは《ルギアストーン》をレジェンスロットに装填する

 

ドロップ!

リード!レジェンド!ヘンシーン!

 

レン「…フォルムチェンジ」

 

ルギア!

ルー!ルー!ルルルギアー!

 

レンの体は白色に変色し、腹部が水色になる

目元が紺色になり、そこから複眼が後ろに伸びる

腕は5本指の翼に変化する

背中に何本もの背鰭が生え、尻尾が生えた

 

レン「…白銀の戦士、仮面ライダーレジェン、ルギアフォルム」

 

ライト「…ルギア?」

レン「…さぁ、伝説の始まりだ」

 

             *

 

誰もいないマグマ団のアジトを駆け巡るアクア団の3人

アオギリ、イズミ、ウシオ

 

アオギリ「…くそっ!「あいいろのたま」はどこにある!」

結構走り回っていたが、「あいいろのたま」の気配はどこにも感じなかった

 

イズミ「焦らないの、ここを探索すれば、いずれ見つかるわ」

ウシオ「そうだぞ兄ぃ!急がば回れって言うしな!」

アオギリ「お前はガチムチのくせに頭がいいからムカつくな!」

ウシオ「…そんな…褒めんで下さい///…」

アオギリ「褒めてねぇよ!バカ!」

イズミ「…っ!アオギリ!」

アオギリ「あぁっ!?」

アオギリが振り向いた先

曲がり角から飛び出したマグマ団の幹部の1人、カガリがアオギリにパンチをお見舞いしようとした

 

カガリ「…ふっ!」

次の瞬間、アオギリとカガリの間に、火花が散った

 

イズミが手持ちの件でカガリの拳を受け止めていた

 

アオギリ「イズミっ!」

カガリ「……」

剣から手を離し、距離をとるカガリ

 

イズミ「……」

なんて鋼鉄なグローブ…

あれを常時装備してるの?

 

ホムラ「ウヒョヒョヒョ!これはこれはアクア団のお客様!うちの丁寧な接待対応はいかがでしたか?」

アオギリ「…あぁ、随分と躾がなってるみてぇだな!」

その奥から現れたもう1人のマグマ団幹部、ホムラ

体型はぽっちゃり型で、目が細い

 

ホムラ「それは何より!…では!おかえり頂こう!」

ウシオ「オウホウッ!兄ぃ!こいつはオレっちが相手するぜ!」

ガシッと手を掴み合い、力較べをするホムラとウシオ

 

ホムラ「こう見えても長年リーダーマツブサに従い!即戦力となった男だ!甘く見るな!」

ウシオ「そんな戯言!オレっちに勝ってから言いな!」

 

後方ではカガリとイズミが睨み合っている

 

イズミ「…あんた、随分と可愛いわね」

カガリ「…………」

イズミ「…あっそ、無視ね」

カガリ「…………」

イズミ「…言っておくけど、無口な女はモテないわよ!」

剣を振りかざすイズミ

腕を前に構えてガードしようとするカガリ

 

剣と鋼鉄で出来たグローブが擦れ合い、再び火花が散る

 

カガリ「……リーダーマツブサの命により……あなた達を……デリートします」

イズミ「そう来なくっちゃ楽しくないわ!」

 

アオギリ「イズミ!ウシオ!」

ウシオ「兄ぃ!先に行っててくれ!」

イズミ「後で追いつくわ!」

アオギリ「…あぁ!ここは任せたぞ!」

アオギリは2人を置いて先を急いだ

 

何処だ!

「あいいろのたま」は…何処にある!

 

少し曲線を描くような廊下を走るアオギリ

すると、一際重厚感のある扉を見つけた

 

扉は開いている

 

アオギリは不思議と、その扉の中へと入って行った

吸い込まれるように

(いざな)われるかのように

 

扉の奥は入り組んだ廊下になっていた

だが、不思議と体が勝手に方向転換する

 

ただ、そこに何かあると、確信していた

 

マツブサ「……」

奥に進むと、そこには小さな部屋があった

 

そこにはマツブサが立っていた

アオギリに背を向け、何かを待っていたかのようだ

 

アオギリ「……よぉ、マツブサ…」

マツブサ「…貴様か、アオギリ」

アオギリ「……さぁ、「あいいろのたま」を渡してもらおうか」

マツブサが振り向くと、マツブサの手には「あいいろのたま」と「べにいろのたま」が握られていた

 

アオギリ「……ハハッ」

アオギリはこの上ない満面な笑みを浮かべた

 

             *

 

レン「ハイドロポンプ!」

ライト「くっ!」

レンの猛烈な水攻撃を耐える俺

 

ほのうタイプであるバシャーモフォルムには効果抜群だ

 

レン「ふっ!」

しかもレンは羽ばたき、突風を吹いてくる

目が開けられない

 

レン「…どうだ、これでもまだ戦うか?」

ライト「…あぁ、戦うよ…俺は、絶対に諦めない」

レン「……何故だ、何故そこまでして俺に執着する?」

ライト「……」

レン「…俺とお前は、元々は全くの他人だった。お前が仮面ライダーに変身してさえなければ、俺とお前は出会う事がなかった。でも何故、たかが数ヶ月一緒に旅をした人間の事に、そこまで執着する?」

ライト「……家族だからだ」

レン「……家族?」

ライト「…そうだ!俺とお前は家族だ!確かに、数ヶ月前までは赤の他人だったかもしれない…でも、家族という事実は変わらない!俺とお前が従兄弟である以上!俺達は家族だ!」

レン「……」

ライト「…レン、俺達はもしかしたら、一生いがみ合って生きていくのかもしれない……でも俺は、憎んだりはしない。それがレンの選択なのだから」

レン「……俺の、選択…」

ライト「…俺達は出会った。それは、俺のしてきた選択と、お前のしてきた選択が、俺達を合わせたからだ。これは偶然じゃない、運命なんかでもない。俺達は、自分の意思で出会ったんだ」

レン「……」

ライト「…もし、お互いの選択が、違う方に進んでいたら、未来は変わっていたのかもしれない。それでも、俺達は出会った」

レン「…お前となんか、出会わなければ良かった」

ライト「…そうだったのかもな」

俺は《バシャーモナイト》をドライバーから取り出す

 

ライト「…それでも俺は、前に進み続ける」

そして《ホウオウストーン》を握りしめる

 

ライト「それが本当の意味の、《進化》だと思うから」

 

セット!

レジェーンド!ライズ!

 

ライト「…モードチェンジ!」

 

ホウオウ!

The Phoenix mode!

Let’s KAMENRIDER!

 

ライト「黄金の戦士!仮面ライダーバーサ!フェニックスモード!」

レン「……」

ライト「…燃えるぜ!」

 

             *

 

俺は今までに、色んな奴と出会って来た

お転婆な奴、うるさい奴、妹と瓜二つな奴、金持ちな奴、バカ丸出しの奴、伝説の生き物を信じる奴、恋をする奴、ポケヤミーに魂を売る奴、ホラを吹く奴、海の王になろうとする奴

 

15年という短い年月の中で、色んな奴と対話し、対峙し、関係を作って来た

 

だが、そんな俺の人生の中で、初めてだった

 

ここまで俺を駆り立てる奴は

 

ライト「だいもんじ!」

レン「ハイドロポンプ!」

 

最初はなんでか、分からなかった

どうして俺は、こんなにもこいつの事が嫌いなのか

 

こいつははっきり言って普通の人間だ

 

人並みに傷付くし、人並みに驚くし、人並みに笑う

 

ただ、バカなんだと思う

 

こいつの、先の事を考えない行動と言動は、俺を狂わせる

 

なんでかって

 

みんなこいつの言う事を聞くんだ

 

俺の言葉など聞かず、こいつの言うことに賛同する

 

どうしてだ?

 

俺の方が正しいのに

 

ライト「ゴッドバード!」

レン「ゴッドバード!」

 

そして気付いた

 

こいつと俺の言っている事が、何となく

いや、ほとんど変わらないのだ

 

言っている意味は変わらない

 

こいつには、人を引き寄せる何かがある

 

他人と分かり合える何かがある

 

俺にはない

 

だから欲しいんだ

 

力が

 

他人を納得させられる力が

 

俺は欲しかった

 

ライト「せいなるほのう!」

レン「エアロブラスト!」

 

こいつが持つ力とは違う力が

 

欲しかった

 

いや、それは今でも変わらない

 

欲しい!

 

力が!

 

そして証明する!

 

俺の方が、正しいのだと!

 

ライト「はぁ、はぁ」

レン「はぁ、はぁ」

 

なのに、どうしてお前は…

 

ライト「…はぁっ!」

レン「……」

 

真っ直ぐ向かってくる?

 

レン「……」

ライト「……」

ライトの振りかざした拳は、俺の顔面の目の前で停止した

 

俺はその腕を掴み、背負い投げをする

 

ライト「ぐっ!」

レン「…何故、攻撃を辞めた?」

ライト「…やっぱり俺は、家族を傷付けることは出来ない」

レン「…まだそんな事を…」

ライト「……」

 

すると、マグマ団アジトの方から、アクア団員が一斉に走って来た

 

レン「…何事だ!」

俺は通り過ぎようとするイズミに声をかけた

 

イズミ「撤収よ!仮面ライダー!」

レン「撤収だと?まだ勝負は着いていない!」

イズミ「アオギリの指示よ!さぁ!早く!」

レン「アオギリの…?例の物は手に入ったのか?」

イズミ「…さぁね、酷く慌ててる様子だったから、もしかしたらしくじったのかも…」

レン「……ちっ」

ライト「……レン!」

レン「…勝負は持ち越しだ。次に会ったら、必ず決着を付ける」

俺はそう言い残して、ライトの元を去った

 

すると…

 

メグ「お兄ちゃん!」

後ろからメグの声がした

 

俺は思わず立ち止まった

 

メグ「…お兄ちゃん…嘘、だよね?」

レン「……」

メグ「…お兄ちゃん…私に言ったよね…俺が…世界を救うって…」

レン「……」

メグ「…私、あの時の約束…忘れてないから!」

レン「……すまん、メグ」

メグ「……」

レン「……俺は、ダメな兄だ…」

メグ「…ううん、自慢のお兄ちゃんだよ」

レン「……すまんっ…」

 

俺は再び走った

 

メグから逃げるように

 

逃げ切る事なんて、出来るわけないのに

 

 

潜水艦に戻ると、すぐに出発した

アオギリの様子を見ると、腿に肘を乗せて顔の前で手を組んでいて、何かを決意したように、何かに怯えるように

ただ、一点を見詰めていた

 

そんな浮かない表情をしているアオギリだが

一つ分かった事がある

俺達のこの襲撃作戦は成功した、という事だ

 

見ると、アオギリの真横に、カプセルが置いてある

その中には明らかに「あいいろのたま」が入っている

藍色の光が微妙に漏れだしていた

 

作戦は成功したのに、浮かない表情のアオギリ

 

一体何があったっていうんだ

 

ただ誰も喜ばず、静かな時間だけが、この潜水艦に残る

聞こえるのは、頭の中に残る、メグの声だけだった

 

             *

 

アオギリ「……」

 

「思い…せ、……の使命を…」

 

アオギリ「……」

 

「……には、やるべき事が……だろう!?」

 

アオギリ「……」

 

「…世界を……よう、我……手で」

 

……

あぁ、やってやる

やってやるよ…

 

待っていろ、マツブサ…

 

マツブサ「……」

 

待っていろ!カイオーガ!

 

『……』

 

俺様が!この世界を変えてみせる!

 

To be continued




次回予告

『グラードン』、そして『カイオーガ』の事をもっと知る為
ライト達はある男の元を訪ねる

珍しい石について研究している彼は、超古代生物に興味を持っていた!

「結局、僕が1番強くて凄いんだけどね」

第三十五話「メガシンカの謎」


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第三十五話「メガシンカの謎」

前回のあらすじ

マグマ団アジトへと侵入してきたアクア団
そこにはレンの姿も!

レン「…変身」

ライトもレンと闘うことを決意する

しかし、逃げ出すアクア団から、レンを呼び戻す事は出来なかった…



アクア団が退却し、約1時間が経った

マグマ団員は負傷した団員を手当したり、死体の処理に手こずっていた

 

俺もその中の何人かの顔を見た

でも皆、とても満足そうに死んでいた

 

ライト「…どうしてこんな事に…」

 

きっとマツブサの事を信じているのだろう

マツブサなら、この世界を変えられると

マツブサにしか、出来ないと

 

これじゃまるで洗脳だ

 

ライト「……っ」

俺は自然と怒りの感情が湧いてきた

 

俺は足を動かした

 

ふと上を見ると、アジトの屋上で、日に照らされているマツブサを見つけた

後ろで手を組み、いつまでも日を見ていた

 

ライト「……」

 

俺はアジトにある上り階段を登った

最上階の扉を開くと、屋上に出た

 

マツブサ「……」

ライト「……マツブサっ!」

マツブサ「……」

マツブサは振り返ると、鋭い眼差しを俺に向けた

 

ライト「……ここで、ずっと見てたのか?」

マツブサ「……」

ライト「…部下達が血を流しながら戦ってる中、何してたんだよ…」

マツブサ「……私は、この世界の終わりを見たい」

ライト「…終わり?」

マツブサ「…私は人類の発展と進化の為に、この世界を変える。だが、それはこの世界の終わりを示している。大地を広げ、世界を終わらせる。そして更なる進化のために人類は復興する。それこそが、終わりの大地だ」

ライト「…終わりの、大地…」

マツブサ「……仮面ライダーよ、お前達が我々の手中の中である事を忘れるな。ものの1秒でも我々に楯突こうなら、このマツブサ、容赦はせぬぞ」

ライト「…俺の仲間を、人質に取るのか?」

マツブサ「……いいや、お前の仲間じゃない」

ライト「……?」

マツブサ「……分かるだろう?お前が失って1番悲しむものを…」

マツブサは不敵な笑みを浮かべた

 

ライト「……まさかっ!」

マツブサ「…無能な人間は不要だ。今後邪魔になるからな」

ライト「……なんて事を…」

マツブサ「…世界は変わる。勿論、良い方にな」

ライト「……それは、あんたにとって都合の良い世界だ。この世界は、あんたの所有物じゃない!」

マツブサ「…いいや、これからなるのさ。私のモノに……フッフッフッ……ハッハッハハハハ!」

ライト「……」

俺は笑うマツブサを見て改めて決意した

 

絶対に、止めてみせると

 

             *

 

カズマ「…そうか、レンが…」

メガミ「……」

メグ「……」

ライト「……」

カズマ「…でも、お前から話してくれてありがとう、メグ」

メグ「……私、お兄ちゃんの事、理解してるつもりだった。でも、今のお兄ちゃんが何を考えてるのか、全然分からない…」

メグは自身の両腕の二の腕をさすった

 

メグ「……怖いよ」

ライト「……レンと戦って分かった。多分だけど、レンはまだ迷ってる。でも、決意し始めている。それに、マツブサと話したんだけど、本気だった」

俺はマツブサとの会話の詳細を述べた

 

カズマ「…急がないと、本当に取り返しのつかない事になるな」

メガミ「……」

すると、メガミは椅子から立ち上がり、部屋から出て行ってしまった

 

ライト「……メガミ…」

メグ「…最近のメガミちゃん、元気ないんだ。当たり前だけど」

ライト「……」

レンの事だろう

いくら心が強いメガミでも、今回の事は刺さるのだろう

 

ライト「……」

俺はふと思い出す

ニビ科学博物館の件の時、レンはメガミの事を強いと言った

変身もしていないメガミの事を

 

ライト「……レンにとっての強さって、もしかして…」

メグ「…ん?どうしたの?ライト君?」

ライト「…え?あ、いや…なんでもない…。俺、様子見てくるよ」

カズマ「…あぁ、任せたぞ」

ライト「…うん」

俺は部屋を出た

アジト内をくまなく探したが、メガミは見つからなかった

 

どこいったんだろう

 

俺はアジトを出て、街を歩いてみる事にした

 

             *

 

メガミ「……」

もうすぐ夕方だというのに、町は賑わっていた

 

ミナモシティという、ホウエン地方の観光地に当たる所らしい

マグマ団のアジトは、ミナモシティの外れの海の近くにある

 

アクア団という人達は、そこから侵入してきたのだろう

 

メガミ「……」

でも今は考えたくない

今は、もう……

 

……

私は、どうすればいいのでしょう?

 

メガミ「……お母様……お父…様…」

 

 

気が付けば、辺りは暗くなっていた

私は高台のベンチに座り夜空を見上げて、今更ながら確認した

高台の近くには海があり、波打ちの音が聞こえる

 

帰らないと

 

そう思うが、体が動かない

動く気力がない

 

ずっと、このままでも良いのかもしれないと思った

 

このまま何も変わらなければ…

それが一番平和なのに…

 

メガミ「……」

 

それじゃあ、未来はどうなるの?

 

このまま何も変わらなかったら、未来も変わる筈がない

 

そうだ、私は未来を帰る為にこの時代に来たんだ

 

???「元気が無いのかい?お嬢さん?」

メガミ「…へ?」

私は上を見ていた顔を正面に変えた

 

そこには緑髪で稲妻のような形のもみあげ

白いニット帽の様なものに

ノースリーブで大きな切れ込みの入って襟が少し大きく、マントがある衣装

肌の露出が多く、三連のブレスレットや緑色のショールなど、装飾品を纏った青年が立っていた

 

メガミ「…貴方は?」

ミクリ「私の名はミクリ、水のイリュージョ二ストさ!」

メガミ「…水の、イリュージョ二スト?」

ミクリと名乗る青年は高らかに言った

 

ミクリ「君、名前は?」

メガミ「…私は、メガミと申します」

ミクリ「ん〜、メガミか!いい名前だね!」

メガミ「…ど、どうも…」

ミクリ「元気が無いなら、私のイリュージョン、少しだけ見て行くかい?」

メガミ「…え?」

すると、ミクリさんは私の座っていたベンチを通り越して、フェンスを飛び越え、海にダイブした

 

メガミ「え!?」

後を追う私

フェンスを覗くと、人の姿は見えなかった

 

すると、ザブーーン!と私の頭を超えるほどの大きい水しぶきが立ち、潮水が顔に数滴掛かった

水しぶきの中には、フライボードに乗ったミクリさんが手を広げて笑顔で夜空を見ていた

その姿はとても幻想的で、魅了された

ミクリさんはその場で一回転や水面からのジャンプなど、様々な演技を見せてくれた

 

すると、ミクリさんがいる側のフェンスに、続々と人が集まってきた

 

皆、口を揃えて言った

 

「ミクリさんだ!」

「この町にも来たんだ!」

 

メガミ「……」

私は唖然としていた

 

最後はド派手に、大きな水しぶきが立ち、それを見ていた人達はミクリさんに向かって大きな拍手をしていた

私も追うように拍手をする

 

まだフライボードで空中にいるミクリさん

すると、私の元へとやって来て、手を差し伸べた

 

私をエスコートするように、ミクリさんは優しい目をしていた

 

私はそれに応えるように手を取った

 

ミクリさんは私の手を握り、引き寄せ、私と一緒にフライボードで宙を移動した

 

 

高台にある灯台よりも高い位置

 

そこからミクリさんと私は夜景を見ていた

人々がうごめき、活気のある町

みんな笑顔だった

 

そして何より、視界一面に広がる夜景に、私は心惹かれた

 

自然と笑顔になる

 

ミクリ「…やっと笑ってくれた」

メガミ「…え?」

ミクリ「だって君、ずっと暗そうな顔してたから」

メガミ「……私…」

ミクリ「…私はね、君のような人を見かけると、黙ってられないんだ。だからよくお節介って言われるんだけど、それでも私は、それが一番正しい事だと信じてる。だってほら、やっぱり笑顔の君の方が綺麗だ」

メガミ「……」

ミクリさんは私を見て言う

嬉しくないわけない

だけど…

 

メガミ「…私、帰ります」

ミクリ「…そうかい、でも、もう大丈夫みたいだね」

メガミ「はい!お陰様で、ありがとうございます!」

ミクリ「…うん、やっぱりそっちの方が良い」

 

すると、下の方から私を呼ぶ声がする

 

下を見ると、ライトさんが叫んでいた

 

ミクリ「…お仲間が来たみたいだね」

メガミ「…はい、私の大切なお友達です」

 

ライトさんの元に降りた私は、ミクリさんにお礼を言い、ライトさんには謝罪をした

ライトさんは気にしてないの一点張りだった

やっぱり優しい

 

 

ミクリ「……」

お友達、ねぇ

どうやら、彼がいる限り、彼女の笑顔は守られそうだ

 

すると、私の携帯が鳴った

 

ミクリ「…なんだい?久しぶりじゃないか……あぁ、君が興味がありそうな話があるよ」

私は彼らが左腕につけていた腕輪に着いていた虹色の石を見ながら言った

 

ミクリ「……大丈夫、きっと君も気に入るよ」

 

             *

 

ライト「俺達にメール?」

それは、一通のメールだった

 

カズマ「あぁ、朝起きたらメールが届いてたんだ。宛先は不明。ただ、ムロタウンの北西にある「石の洞窟」に来て欲しいとの事だ。しかも僕達全員で」

メガミ「宛先不明?ちょっと怖いですね…」

メグ「お父さんなんかやらかしたんじゃない?」

カズマ「馬鹿言うな!僕はここ数日アジトから足を運んでないんだぞ?」

ライト「…とにかく、行ってみよう」

俺は謎の自信があり、この人に会ってみようと思った

 

ミナモシティからは少し離れている為、数時間かけてモロタウンまで向かった

 

ムロタウンは離島にある小さな町だった故、渡し船に乗り、現地まで行った

海辺には沢山の釣り人がいて、のんびりした雰囲気だった

 

カズマ「……ここか」

ムロタウンを歩くと、小さな洞窟の入口を見つけた

大分整備はされているようだが、それでも充分暗かった

 

石の洞窟の最深部

大きく拡がった空間に、1人の男がいた

 

銀色の髪と目をし、少々個性的な髪型をしている。

首元に赤いアスコットタイを着けており、紫のギザギザのラインが入った黒のスーツを着ている

腕には鉄製の輪っかのようなものが付いていて人差し指と薬指には指輪をはめていた

 

???「…君達は……この壁画を見て、何を感じる?…数千年の昔、原子の頃、その力を持ってボク達人間の大いなる脅威となっていた伝説の生き物……その力の凄まじさが、壁画を見ているだけで伝わってくるよ」

その男の視線の先、洞窟の奥の壁をじっと見ていた

理由は多分、その壁に描かれた壁画だ

 

2体の怪獣が争うところが描かれている

一方は陸を二足歩行で歩き、手のような前足に、「Ω」の文字が入っている

側の火山は噴火しており、その怪獣自身も炎を吐いている

 

一方は海の上を飛び、翼のような前足には、「α」の文字が入っている

辺りの海は荒れ、大きな波を作っている

 

2体は向き合うように描かれ、同時に争っているように見える

 

2体の真ん中には、遠くで彗星のように飛ぶ三角形の何か

 

もしかしてこの2体……

 

ライト「……もしかしてこれが、『グラードン』と、『カイオーガ』?」

ダイゴ「…その通り。失礼、ボクの名前はダイゴ、珍しい石に興味があって、あちこち旅をしているんだ」

振り向いたダイゴは再び視線を壁画に向けた

 

ダイゴ「…一説では、はるか昔、この2体が戦ったことにより、現在の陸と海が出来たと言われているんだ。その2体は今もこのホウエンのどこかに眠っていると言われ、その絶大な力を押さえ込んでいるらしい」

カズマ「……貴方、何者なんだ?なんでポケモンの事をそこまで知ってる?」

ダイゴ「ボクは珍しい石に興味があるだけだよ、その結果、この2体のポケモンに巡り会った」

メガミ「…珍しい石って、宝石とか、ですか?」

ダイゴ「いいや、今も君達が身につけているだろう?」

ライト「……っ」

珍しい石って、キーストーン、基、メガストーンの事か

 

ダイゴ「これもはるか昔、500年前、この地球に沢山いたポケモン達は皆、光る柱によって「石」に変えられてしまった。そして、突如として闇のポケモンが現れ、人間達を襲った」

ポケヤミーの事だ

 

ダイゴ「…しかし、そんな中、一人の人間が、異形の姿となって闇のポケモンと戦った。闇のポケモンは全滅し、再び世界に平和が訪れた」

仮面ライダーの事だ

俺達では無い、500年前の仮面ライダー

本当に実在したのか?

 

ダイゴ「…ボクが注目したのは、キーストーンと石となったポケモン達が共鳴する事で起こる現象、「メガシンカ」に興味を持った」

そんな事まで知ってるのか

 

ライト「…そういえば、考えた事もなかったけど、メガシンカってなんなんだ?俺達仮面ライダーでしか出来ないことなのか?」

カズマ「メガシンカは謎が多い。それは僕にも分からない…」

ダイゴ「そう。でも少なくとも、500年前の時代では、仮面ライダーとしてではなく、ポケモン自身がメガシンカするというんだ。ポケモンとそのパートナーである人間との深い絆が、ポケモンの姿を大きく変える。それが本来の「メガシンカ」。しかし、ポケモンがメガストーンとなった事で、人間との融合を果たし、新たなメガシンカが生まれたんだ」

メグ「…それが、仮面ライダー…」

1呼吸置くと、メガミが言葉を発した

 

メガミ「…そもそも、どうして貴方は私達の事を知ってるのですか?」

そう、ダイゴが俺達を呼び出した理由

俺達を知った理由

俺達はそれを知る権利がある

 

ダイゴ「…まぁ、それは追追分かる事だよ」

結局、話を逸らすダイゴからは、何も聞き出せなかった

 

カズマ「…マグマ団とアクア団は、こんな危険なポケモンを操ろうとしているのか…」

ダイゴ「…結局、僕が1番強くて凄いんだけどね」

ライト「…え?あ、はい…そうですね…」

訳が分からない発言をしたダイゴは暫くすると、出口の方をじっと見ていた言った

 

ダイゴ「…どうやら、君達の出番みたいだよ?」

ライト「…え?」

出口を見ると、鬼のような形相の丸い体に角が生えたポケヤミー

と言うよりそいつは体がなく、頭だけのポケヤミーだった

途端に冷気が走る

小さな口だが、言葉を発した

 

『また人間が入り込んで来たのか!……まぁいい、どうせ俺様の獲物には変わりない!』

と、浮遊しながらこちらに向かってくる

 

ライト「ここにもポケヤミーが!行くぜ!皆!」

メガミ「はい!」

メグ「うん!」

ライト・メガミ・メグ「「「変身!」」」

 

バシャーモ!!

ババッバッバッババッバッバシャーモ!

バッバッバシャーモ!!

 

タブンネ!

タブンネ!タブンネ!タ・タ・タブンネ!

 

ディアンシー!

ディ!ディアン!ディ!ディアン!ディアンシー!

 

俺達は仮面ライダーに変身し、俺は速攻蹴りを入れる

 

『仮面ライダーか!丁度いい、お前達の肉もたんまりと楽しませてもらう!』

俺は気付いた

俺は確かに蹴りを入れたが、ダメージが入っていない

 

ライト「何っ!」

『俺様の氷は頑丈なんだ。そう簡単には砕けん!』

と、俺は油断していた

ポケヤミーは俺の足を噛み、俺は足から血を流した

 

ライト「がっ!」

『ガハハっ!俺様は『オニゴーリ』!俺様の氷を砕けるかな?』

メガミ「ライトさん!」

ライト「……」

くそ、こおりタイプのポケヤミーなら、ほのう技が効くのに、足がこんなんじゃ攻撃できない

どうしたら……

 

ダイゴ「ライト君!」

ライト「……?」

ダイゴ「困っているようだね!コレを使いたまえ!」

と、ダイゴさんは俺に何かを投げた

ダイゴさんが投げたのはメガストーンだった

俺の手の内に収まると、メガストーンは封印が熔け、水色に金と白の模様が入ったその姿を顕にした

 

ダイゴ「それはボクが最初に見つけたメガストーンだ!役に立つと信じてるよ!」

ライト「はい!ありがとうございます!」

俺はメガドライバーの《バシャーモナイト》とそれを入れ替えた

 

セット!

メガシンカ!ヘンシーン!

 

ライト「フォルムチェンジ!」

 

メタグロス!

クロス!クロス!メ・タ・グ・ロ・ス〜!

 

全身は青色に近い水色に変化

胸部に金色のX字型のアーマーが装着され、肘と膝に下向きに短めの鉄の角が生える

背中から大きな4本の鉄のアームが生え、鉄の爪が発達する

これは《メタグロスアーム》と名付けよう

 

ライト「鉄腕の戦士!仮面ライダーバーサ!メタグロスフォルム!」

『小賢しい!さっさと俺様の獲物になれ!』

突進してくる『オニゴーリ・ヤミー』

俺は上部2本の《メタグロスアーム》で押さえ込み、下部2本の《メタグロスアーム》を地面に食い込ませ、衝撃を抑える

 

ライト「コメットパンチ!」

そのまま上部右の《メタグロスアーム》で『オニゴーリ・ヤミー』の顔面を殴る

まぁ顔面しかないのだが

 

ライト「アームハンマー!」

そして4本のアームを密集させ、一撃を放つ

 

『ぐうっ!』

ライト「よし!メグ!一緒に行こう!」

メグ「う、うん!」

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

メタグロス!

クロスアームドクラッシュ!

 

レジェンド!ヒッサーツッ!

ディアンシー!

グラビティオペレーション!

 

ライト「はっ!」

俺は高く飛び立ち、ポケヤミーの真上まで移動する

 

メグ「グラビティオペレーション!」

メグはポケヤミーの動きを封じ、ポケヤミーは困惑していた

 

ライト「クロスアームドクラッシュ!」

俺は4本の《メタグロスアーム》を展開し、ポケヤミーに向かって落下

当たるスレスレのところで《メタグロスアーム》を一気に収束させポケヤミーの氷は砕け、爆発した

 

爆発の中からメガストーンが飛び出てくる

封印は解けていなかった

 

ダイゴ「エクセレント!流石仮面ライダーの皆だね!」

俺達は変身を解除し、俺達は石の洞窟を後にした

 

ライト「……」

俺は気になっていた

あの壁画に描かれていた三角の正体が

 

ライト「…あの、あの壁画の三角形の正体って何なんですか?」

ダイゴ「あぁ、それはきっと、『レックウザ』だよ」

ライト「レックウザ?」

ダイゴ「…彼も超古代生物の1匹、宇宙に近いオゾン層に住むと言われる彼は、とても欲深かった。だから、同じく欲深い人間を好んだ」

ライト「…欲深い人間?」

ダイゴ「…君は、かつて天下統一を目標にし、戦国時代に名を馳せた男の名前を知ってるか?」

ライト「…織田、信長…」

ダイゴ「…そう。そんな偉大な野望を持つ物はその時代で信長しかいなかった。そしてレックウザは、信長を選んだ」

メグ「確か、ヒガナも自分の事、ノブナガって…」

確かにそうだ

ヒガナと信長

何か関係があるのか?

 

カズマ「でも何故、レックウザがあの壁画に?」

ダイゴ「レックウザは、かつての2匹の争いを静めたとも言われているポケモンだ。だから、あの壁画にもいたんじゃないかな?でも詳しい事は分かっていなくてね、これは憶測なんだ」

ライト「……」

 

ヒガナと信長とレックウザ

新たに出てきた謎は、深まるばかりだった

 

もう一つ気になったのが…

 

ライト「…欲深い、人間…」

 

その言葉が、どうも頭から離れなかった

そしてどこからともなく、視線が感じられた

 

もしかしたら、宇宙から、だったのかもしれない

 

To be continued




次回予告

シーキンセツに眠ると言われる珍しい石を調査する為、ダイゴと共にライト達はシーキンセツへと向かう
そこで、ダイキンセツホールディングスの闇が次々と明らかになる

ダイゴ「ここには、様々な人の怨念が詰まってるんだ」

ライト「…あれ?…いつの間に…」

第三十六話「シーキンセツの闇」


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第三十六話「シーキンセツの闇」

前回のあらすじ

メガミの前に現れた青年 ミクリ
彼はメガミを元気付ける為に、素晴らしいパフォーマンスを見せる

ライト達に接近する ダイゴ
メガシンカの謎を解くカギの1人かもしれない!?
新たな進化をし、小さな町を『オニゴーリ・ヤミー』から救った



ライト「…いだだだだ!」

メガミ「わぁ!ごめんなさい!」

ライト「大丈夫大丈夫!」

正直めっちゃ痛かった

石の洞窟を後にした俺達とダイゴさんは、ダイゴさんの自宅であり、職場でもある「デボンコーポレーション」に来ていた

ダイゴさんはこの「デボンコーポレーション」社長の息子であり御曹司らしい

 

今は脚の怪我を治す為に、メガミに治療をして貰っている

ただ、ムロタウンでも怪我をした人が多数いたらしく、その治療を優先した結果

全員を治療したところでメガミは力尽きてしまった

 

結局、直ぐに起きたメガミは責任を感じ、俺に応急処置をしてくれている

しかし、慣れない事なのでしょうがないが、とてつもなく下手だった

 

ライト「…よし、あとはメガミの体力が回復するのを待とうかな」

メガミ「すみません…戦闘でも役に立たなかったのに…」

メグ「何言ってるの!メガミちゃんがいなかったら、町の人達も怪我したまんまだったんだよ?」

ライト「そういう事、メガミはメガミに出来ることをやればいいんだよ」

メガミ「…はい!」

 

その日一日は、松葉杖をつきながら生活したのだが

ある時、ダイゴさんに全員呼び出された

 

 

ダイゴ「紹介するよ、彼は「デボンコーポレーション」社長であり、ボクの父親でもある、ツワブキ・ムクゲだ」

ムクゲ「初めまして、ワシがムクゲだ。仮面ライダーの皆さん、ようこそいらっしゃいました!」

白髪で少し年老いた男が、社長室の高級そうな椅子に座っている

社長室の長いデスクの内側には、化石やらなんやらが入っていて、ミニ博物館のようだ

 

ムクゲ「いやいや、まさか世界を守る仮面ライダーに会えるとは、こんな光栄なことは無いね!」

ライト「…いえいえ」

ムクゲ「いや〜、ワシの息子のダイゴも、自分が1番強いとか言っていて、困りますな。ダイゴにあの怪物が倒せるのかね?」

ダイゴ「親父…」

ムクゲ「昔は弱虫でね〜、皆で行動するのがものすごく苦手でね、でも1人になると泣き出したりしてね!」

ダイゴ「親父っ!」

ムクゲ「ほっほっほ、でもまぁ、それも彼がダイゴと一緒にいる事で、ダイゴも変わったんだよな」

ダイゴ「そうだな、彼には感謝してもしきれないよ」

誰の事だろう

まぁ俺達には関係ないか

 

ムクゲ「…さて、ライト君達よ、今からワシは、とても思い話をしようと思っているのじゃが、心の準備は出来とるか?」

ライト「え?あぁ、はい…」

ムクゲ「…うむ、我々「デボンコーポレーション」は昔、とある会社とライバル関係にあったんだ。その会社の名は「ダイキンセツホールディングス」。主に地下資源を採取し、エネルギーに変えるという研究をしていた。我々「デボンコーポレーション」も、新たな資源を、エネルギーを開発しようと日々研究を重ねていた。そんな中、「ダイキンセツホールディングス」が、海底資源採掘場である「シーキンセツ」にて、とある『もの』を見つけた。世にも珍しい石で、見た事がないような形と模様をしていたそうだ。しかし、翌日になると、「シーキンセツ」にいた全ての従業員の消息が絶たれ、「ダイキンセツホールディングス」は即座に倒産してしまった…。」

ダイゴ「それは『要石(かなめいし)』と呼ばれていて、今も「シーキンセツ」に眠っていると言われてるんだ」

ライト「『要石』…」

ピンと来ない初めて聞く言葉だ

 

ムクゲ「ここから怖いのが、当時消えた「シーキンセツ」の従業員、108人の魂が、今も「シーキンセツ」をさまよっていると呼ばれているんだ。それに、何度か「シーキンセツ」に調査に行った人達が行方不明になると言う都市伝説もあるんだ」

メガミ「な、なんですかそれっ…」

ダイゴ「親父が言いたいのはつまり、「シーキンセツ」に行って『要石』について調べてきて欲しい、って事だろ?」

ムクゲ「その通り!流石ワシの息子だ!」

なるほど、それは確かに興味深い

 

 

俺達は早速「シーキンセツ」へと向かい、その荒れ果てた船型の建造物に呆気を取られていた

 

ライト「ここが、シーキンセツ…」

ダイゴ「シーキンセツが滑落したのはボクも小さな時だった。まさかこんな荒廃していたとは…」

シーキンセツは半分が海に埋もれていて、なかなか探索が難しそうだ

俺達は小型のボートに乗り、入り口になりそうな場所を見つけ、潜入した

 

懐中電灯を付け、辺りを照らす

 

ダイゴ「…どうだい?なにか感じるかい?」

ライト「…いや、今の所は何も…」

そう、数々のポケヤミーと戦ってきた俺だが、今回はポケヤミーの気配基、なんの気配も感じなかった

ただただ静かな建物だった

もしかしたら、この事件はポケヤミーの仕業ではないのでは?

 

カズマ「…一体何があったっていうんだ…」

メグ「探索しがいがありそうだね…」

メガミ「うぅぅぅぅっ」

 

 

今までの経験上、はぐれると厄介なことになるので、今回は集団で行動する事にした

ダイゴさんと叔父さんは変身出来ないので辺りを充分に警戒しながら…

 

メガミ「……」

ライト「……メガミ?」

メガミ「はっ!はいぃっ!」

ライト「大丈夫か?」

メガミ「…あ…だ、大丈夫ですっ…」

ライト「……あまり無理するなよ?怖いものは怖いでいいんだから」

メガミ「で、ですが…戦いに支障を起こす可能性が…」

ライト「そんな事どうだっていいんだ。いざって時は、俺がメガミを守るから」

メガミ「…ライトさん…」

 

 

メグ「……」

カズマ「……」

ダイゴ「…あの二人は、付き合っているのかい?」

カズマ「しっ!(小声)」

メグ「今いい感じなんだから!(小声)」

ダイゴ「え?あ、あぁ…」

 

 

しばらくシーキンセツを探索した

ここは床抜けていたり、木のボックスが散乱していたり、何年も人が入っていないことが分かる

そして…

 

カズマ「…ん?これは?」

叔父さんが懐中電灯で照らしたものは、看板、というか掲示板だった

掲示板には、かすれた字で『明るく楽しい職場をつくるシーキンセツ10のメッセージ』と書かれている

以下にはこう書かれていた

 

『1 朝のアイサツ腹から声を

 2 職場にポケモン持ちこむべからず

 3 遅刻厳禁 残業上等

 4 安全確認に身体を張れ

 5 チームワークで連帯責任

 6 上司の命には絶対服従

 7 守れ品質 捨てよ理性

 8 崇めよ讃えよ創業者

 9 休みたがりません定年までは

 10 考えるな 働け         』

 

ライト「これって…」

ダイゴ「あぁ、かなり厳しい社訓のようだね」

 

更に別の部屋を見ると、社歌が書かれたカードが置かれていた

色あせている

 

『1.晩照らす 108番水道 目覚めよそびえる 我らがとりで 未来のホウエン創るため 休日出勤上等さ 堀りぬけ取り出せ エネルギィ あぁ シーキンセツ シーキンセツ シーキンセツ

 

 2.日差しもまぶしき 108番水道 まばゆく輝く 我らがとりで 滅私奉公心に刻め 労働組合厳禁だ 堀りぬけ取り出せ エネルギィ あぁ シーキンセツ シーキンセツ シーキンセツ

 

 3.宵闇包む 108番水道 今夜も眠らぬ 我らがとりで 同業他社を駆逐せよ 残業手当返上だ 堀りぬけ取り出せ エネルギィ あぁ シーキンセツ シーキンセツ シーキンセツ』

 

ダイゴ「……」

カズマ「…これは…とんだブラック企業のようだな」

ライト「…『同業他社を駆逐せよ』…」

ダイゴ「…デボンコーポレーションの事だろうね」

 

更に先に進むと、難題に直面した

 

カズマ「…うん、完全に浸水してるね」

シーキンセツの後方は、完全に海に埋もれていて、先に進めなかった

でも、調べたいものはここの先にある

でも、俺に泳げるメガストーンはない

 

メガミ「ど、どうしましょうか…」

メグ「よし!ここは私に任せて!」

と、メグがレジェンドライバーを腰に装着した

と、水色と赤のメガストーンを取り出す

 

リード!

ドロップ!レジェンド!ヘンシーン!

 

メグ「変身!」

 

マナフィ!

マナ!マナ!マママナフィ!

 

メグの体は、水色に変色し、スカートが出現

目の周りが黄色になり、長いまつ毛のようなものが生え、先端が黄色に変色

髪型がポニーテールのようになり、先端が丸くなる

胸の中心には赤いものが埋まっている

 

メグ「海洋の戦士!仮面ライダービジオン!マナフィフォルム!」

新たな姿を見せるメグ

 

メグ「アクアリング!」

するとメグは俺達の周りに水で出来たベールを作り、外部からの干渉を無くした

これで水中も歩ける

 

ライト「ありがとうメグ!さぁ、行こう!」

俺達は歩きだし、海の中を歩いた

 

真っ暗な水中、いかにも何者かが居そうだったが

結局何も現れないまま水面を出た

 

ダイゴ「……」

ライト「……ダイゴさん?」

ダイゴ「…ん?なんだい?」

ライト「…あ、いや…大丈夫かなって…」

ダイゴ「…ダイキンセツホールディングスがデボンコーポレーションを敵視していた事は分かった。でも、どうして急にシーキンセツ内の人間が消えたんだ?」

メグ「…やっぱり、『要石』が関係してるのかな?」

 

先に進む俺達

今度は一室のブリキの缶に入っていた手紙を見つけた

これも大分昔のだろう字も所々掠れている

 

この手紙は「ソライシ タカオ」という少年が

父親である「ソライシ ライゾウ」に宛てて書いたものらしい

 

手紙は全部で7枚あり、最初の手紙は当たり障りのない近況報告に絵を添えたものであるが、途中から父親が休みに帰ってこない事を寂しがったり、父親の身体を心配したり、父親から貰った望遠鏡で星を見ていることや、母親が『おともだちと あそびに いって』いることを報告するようになっていく

 

5枚目の手紙で、タカオ少年は父親に会って遊びに行けたことを喜ぶが、母親が一緒に来なかったことや、父親と母親が喧嘩していることを寂しがるようになる。その手紙で、タカオ少年は『おとなになったら ほしの はかせに なりたいです』とも語っている

 

そして、6枚目の手紙で、タカオ少年はこうつづる

 

『またいつか おとうちゃんと あえるのを

ずっとずっと たのしみに しています

あたらしい おうちにも おとうちゃんが

くれた ぼうえんきょうを もっていきます

ぼくは ほしと おとうちゃんの ことが

ずっとずっと だいすきです 』

 

その写真に添えられた写真(7枚目の手紙)には望遠鏡を 持った男の子とつまらなさそうにしたおばさんが写っていた

これがおそらく「ソライシ タカオ」だろう

 

また、6枚目の手紙の最後には

「ネーコちゃんを おとうちゃんに あげます」とある

 

ダイゴ「「ソライシ ライゾウ」…聞いた事がある。昔、「ダイキンセツホールディングス」に寄贈された貴重な資源を紛失し、会社から追放されたと言われている」

ライト「…この親子、きっと固い絆で結ばれているんだな」

ダイゴ「…そうだね」

メガミ「……親子…」

 

俺達は再び歩きだし、今度は広い空間に出た

中は倉庫のようになっていて、状態がいい物がいくつかあった

 

その中には…

 

カズマ「これは!メガストーンじゃないか!?」

ライト「え!?」

見ると、叔父さんが封印されたメガストーンを持っていた

 

カズマ「…ライト、きっとこれは、お前が持つべきだろうな」

ライト「…そう、かな?」

カズマ「…そうさ、ライトなら、このメガストーンの封印も解くことが出来るさ」

 

またしばらく倉庫内を探索をすると

 

ライト「…これは?」

一つだけ場違いなものが置いてあった

それはピンク色の猫のぬいぐるみだった

タグには、「おとうちゃんへ」と書かれている

 

ライト「…何でこれがここに?」

おそらくこれは「ネーコちゃん」

「ソライシ タカオ」が父親に送ったであろうぬいぐるみだった

 

ダイゴ「…まさか、これが届く前に、「ソライシ ライゾウ」は解雇になったのか?」

そう、「ソライシ ライゾウ」の元にこれが届いていないという事は、「ソライシ タカオ」のメッセージも、届いていなかったことになる

同様に、「ソライシ ライゾウ」も返事を書いていない事になる

なんて可哀想なんだ

 

この親子の絆は本物なのに、それが実っていない…

 

メガミ「…ん?これは?」

メガミが見つけたもの、それはノートだった

表紙には、「ソライシ タカオ」という名前があった

 

俺はそれを勢いよく開く

そこにはズラっと日記のようなものが書いてあった

 

『私がシーキンセツに来て約1年

今日は地下探索を進めるため、海底洞窟に足を運ぶこととなった。今日も成果を得られることを願おう』

 

どうやら「ソライシ タカオ」は星の研究を進める中で、地下資源に興味を持ったらしく、シーキンセツの博士として働いていたらしい

 

『少し資料を得るため、倉庫に行こうとしたら、担当者に「その扉に触るな、幽霊が出る」と言われ拒まれてしまった

正直心外だが、大して良い物も無いのだろう。今回は諦めることとする』

 

『今日、久々に父親の夢を見た

30年前と変わらない、笑顔だった

今思えば、父は私の事を愛してくれてはいなかったのだろう

25年前に送った手紙の返事も無いまま、父はこの世を去った』

 

『今日はいい情報が手に入った

かつて私の父親が紛失した『要石』が見つかったらしい

これで父の念も晴れることだろう』

 

次のページからは白紙になっていた

 

ダイゴ「…『要石』が、この時見つかったのか」

ライト「…つまり、この次の日に、「シーキンセツ」が崩落したのか…」

ダイゴ「…なんて事だ。ここには、たくさんの人の怨念が詰まってるんだ。彼のように」

ライト「……」

カズマ「……探そう、『要石』はまだここにあるのかもしれない」

メガミ「…そうですね、探しましょう!」

メグ「この人達の怨念を晴らす為にも!」

ライト「…あぁ、そうですよ!ダイゴさん!」

ダイゴ「君達…。うん、そうだね!」

 

そこから俺達はシーキンセツを縫って歩いた

なにか情報がないか

何か出来る事は無いかと

 

そして、いよいよ最後の部屋に到着した

 

ライト「多分ここが、最後の部屋だね」

俺はドアノブに手を掛け、押し込む

ドアは簡単に開いた

 

全員が部屋の中に入ったが、嫌な気を覚えた

 

メガミ「……っ!」

メガミが身震いをする

 

メグ「……な、なんかさ…」

そう、俺達が感じ取った違和感

 

メグ「…誰かに見られてない?」

メガミ「メグさん!なんでそんな事言うんですか!?」

メグ「だって…!」

カズマ「2人とも落ち着いて!実害はない、警戒はしよう」

ライト「……」

何処だ…

何処なんだ…

俺は嫌な気を感じてはいたが、それの正体がポケヤミーでない事だけは分かった

この気は、違う

何か、もっと、求められている気がする

 

すると、ドサッと向こうで何かが落ちた

 

メガミ「ひっ!」

ライト「……」

それはファイルだった

古めかしい、汚いファイル

多分今までで1番傷んでいる

 

中を覗くと1枚の紙がファイルから落ちた

黄ばんでいて、字も酷く掠れている

 

『始末書

わたくし …ライシ …イゾ…は

ク……ネ炭鉱 より 寄贈さ…た

かなめいしを 紛… してしま……た 』

 

そこには『かなめいし』の文字があった

 

これは、「ソライシ ライゾウ」の、最後の文

俺は、ふと後ろを向いた

俺の後ろには、ちゃんと4人の人間がいた

視線を下にずらすと…

 

ライト「…あれ?…いつの間に…」

 

俺のすぐ後ろに、台形の形をした直径50cm程のひび割れた石が鎮座していた

 

と、ひび割れた中から紫色の霊魂が現れ、抽象画の如き異質な姿をしており、外周部には緑色の人魂のようなものが常に回転していた

それは緑色のギザギザの口のようなものを広げて叫んだ

 

『ユラーッ!』

 

それはとてもこの世のものとは思えないが、俺は即座に判断した

 

メガミ「ポケヤミー!?」

メグ「いきなり出てくるなんて!」

カズマ「ライトっ!変身しろ!」

ダイゴ「……っ」

『ユラーッ!』

と、そいつは俺に噛み付いて来ようとした

俺は避けながら皆の元に向かった

 

『ユラーッ!』

メグ「ムッ!よし!ライト君!変身だよっ!」

ライト「待ってくれ!」

メグ「…え?」

ライト「…少し待ってくれ、何かがおかしい!」

『ユラーッ!ユラーッ!』

 

少し暗くてわからなかったが、よく見ると分かる

 

ライト「…やっぱり…」

カズマ「どうしたんだライト!」

ライト「…このポケヤミーは、ポケヤミーじゃないんだ」

メグ「え?」

ライト「…こいつは、本物のポケモンだ」

カズマ「何っ!」

本物のポケモンといえば、サトシが連れていたピカチュウを思い出すが、今回は違う

ちゃんとこの世界のポケモンなんだ

見て取れる特徴は2つ

ひとつは、ポケヤミーのように黒ずんでいない事だ

2つ目は、目が赤くない事

見た目こそおぞましいが、こいつは立派なポケモンだ

 

カズマ「待てよ!?こいつが本当に本物のポケモンなら、世紀の大発見だぞ!?」

ダイゴ「ライト君!何とか彼を保護する事は出来ないのか!?」

ライト「…わかりません…、俺にはなんだか…」

メグ「…ライト君?」

ライト「……」

 

俺には聞こえた

最初に目が合った時、こいつの声が

 

『……タ…ス…ケ…テ』

 

ライト「……」

こいつは、助けを求めてるんだ

 

『ユラーッ!』

 

それでも攻撃を続けるこのポケモン

どうすれば……

 

『ユラーッ!』

と、ポケモンは俺に向かって飛び掛ってきた

 

俺は動く事が出来なかった

怖かったからでは無い

何をすればいいのか分からなくなったからだ

 

メグ「メガミちゃん!」

メガミ「はい!メグさん!」

メグ・メガミ「「変身!!」」

変身したメグと、メガミが、ポケモンを突き飛ばした

 

『ユラー……』

ライト「…っ!」

メガミ「ライトさん!貴方は、結論が出るまで考えて下さい!」

メグ「大丈夫!この子は倒さないように何とかするから!」

メガミ「私達は、今私達に出来る事をやります!」

メグ「とりあえず、ここは任せて!」

ライト「…メグ…メガミ…」

2人はポケモンに極力ダメージが入らないように攻撃と、防御を繰り返した

 

考えろ!

どうすればこいつの事をわかることが出来る?

 

ライト「……変身!」

俺は一瞬の隙をつき、ポケモンに触れた

ポケモンというか、出て来ている石に

 

すると、様々な感情が俺に流れ込んできた

 

喜び

悲しみ

哀れみ

怒り

苦しみ

憤り

 

これは…

シーキンセツの従業員の魂達か?

 

中には、「ソライシ タカオ」と思われる人物も見えた

 

そうか、このポケモンは、このシーキンセツの人達の魂を喰らって蘇った、『要石』そのものなのか

『要石』は紛失はせず、このシーキンセツ内で彷徨ってたんだ

 

そして、108個の魂が揃えて言った気がした

 

『……タ…ス…ケ…テ…』

 

ライト「…っ!」

俺は飛び上がりキーストーンを2回押し込む

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

バシャーモ!

バーニング!ドライブ!

 

ライト「バーニングドライブ!はぁっ!」

俺は炎を纏い、『要石』に蹴りを入れて『要石』を破壊した

 

『ユラーッ……!』

 

ポケモンは跡形なく消え去った

 

カズマ「…ライト…一体何を?」

ライト「…言ってたんだ、シーキンセツの皆が」

 

俺が聞こえたもの、それは

 

『……早く…ここから出して!』

 

一同がそう叫んだのだ

 

ダイゴ「…つまり、『要石』は108個の魂を取り込み、ポケモンとして復活した。しかし、シーキンセツの皆の呪縛から、このシーキンセツを離れる事が出来なくなっていた。そして、君を見つけ、中の魂達は解放されることを望んだ」

ライト「それはあのポケモンも同じだよ。あいつも、解放されることを望んでた気がした。…あと、シーキンセツの皆が突然いなくなったのは、多分『要石』が原因じゃないよ」

ダイゴ「…どういう事だい?」

ライト「『要石』は、たまたまシーキンセツの皆が魂になったのを察知して、復活したんだ。あと、皆の記憶を見たんだ。皆共通して、崩壊前夜に料理を振る舞われてたんだ」

カズマ「…料理?」

ライト「…うん、でも、皆それを食べると苦しみ出して…。そして、『要石』が復活した」

メグ「…まさか…毒?」

ライト「多分な。で、その料理を振舞ってた人が、「テッセン」って人だった」

ダイゴ「…テッセン!?」

ダイゴさんが酷く驚く

 

ライト「…ダイゴさん?」

ダイゴ「…テッセンは、ボクが昔からお世話になってる人物だ。彼は父ととても仲が良くて……」

と、ダイゴさんは黙り込んだ

 

ダイゴ「……まさか」

と、ダイゴさんは唖然とする

そして、何かを決意したように、俺を見た

 

ダイゴ「…ライト君、ここからは、ボクの戦いになりそうだよ」

そう言ったダイゴさん

 

 

ダイゴ「……」

テッセンは、かつてシーキンセツで働いていたが、父ともとても仲が良かった

そして、同時に

両方ともシーキンセツを憎んでいた

 

ダイゴ「……親父…まさか…」

 

             *

 

シーキンセツを後にした俺達

シーキンセツの従業員の供養をした後、ダイゴさんは会社に戻ると言って同時にお別れを告げられた

 

ダイゴ「…ライト君。君は、世界の真実を見つけたとしても、決して目を背けてはいけないよ?」

ライト「…はい!」

ダイゴさんは大きく手を振り、俺達の元を離れた

 

カズマ「……デボンコーポレーション、闇が深そうだね」

ライト「…そうだね。ダイゴさん、勝てるかな?」

カズマ「勝つか負けるかじゃないさ、戦うか戦わないか、それが重要なんだ。彼は立派だと、僕は思うよ」

ライト「……うん、俺もそう思う」

メグ「…あれ、結局ダイゴさんが私達の事を知ったきっかけってなんだったんだろ?」

メガミ「…さぁ、世間は狭いですからね」

ライト「…そうだな。そう考えれば、ダイゴさんともきっとすぐに会えるかもな!」

俺達はダイゴさんの向かう方向をじっと見つめ、夕日が沈んでいる事を実感した

 

             *

 

???「…はぁ、はぁ」

赤いランプが光り、高音のサイレンが鳴り響く

 

「待て!待て!」

青と白の特殊なスーツを着た男達が追ってくる

 

???「…はぁ、はぁ」

 

 

ダルス「……状況は?」

『こちらA地点!全ての扉を封鎖しました!』

『こちらB地点!奴が真っ直ぐこちらに向かって来てます!うわっ!やめ───』

ダルス「…ちっ」

アマモ「ねぇ、まだ侵入者捕まらないの?お腹空いた〜」

ダルス「…あの男、一体何をするつもりだ」

 

 

???「…はぁ、どけっ!」

「なあっ!」

タイムマシーンに乗り込み、電源を入れる

 

???「…はぁ、この機種なら、ウルトラホールは自力で開くことが出来るはずだ!」

 

 

ダルス「…まさか!過去への介入を!?」

アマモ「えぇ〜!また〜!?」

ダルス「一体何が目的だ!」

 

 

『ウルトラホール、展開シマス』

???「…待ってろよ…アリス…」

 

To be continued




次回予告

ライト達の目の前に現れた謎の男、その正体は

メガミ「お父様!?」

メガミの父親だっだ!!
しかし、彼には野望があったのだ!

???「未来のテクノロジーは!最高だ!」

第三十七話「未来からの刺客!悪夢の始まり」


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第三十七話「未来からの刺客!悪夢の始まり」

前回のあらすじ

シーキンセツの謎を暴く為、ライト達はダイゴと共に探索をする
しかし、その中にあったのは、かつて「ダイキンセツホールディングス」だった会社の闇がそこかしこに散らばっていた
シーキンセツの従業員108名の魂が宿っているポケモン、『ミカルゲ』が現れ、ライト達に襲いかかる

シーキンセツの謎は消えないままだったが、ダイゴは真実を見つける為、ライト達と別れた

ダイゴ「…ライト君。君は、世界の真実を見つけたとしても、決して目を背けてはいけないよ?」

一方未来では、とある男がタイムマシーンを使って何処かに行くようだ



『ウルトラホール、展開シマス』

???「…待ってろよ…アリス…」

前方数百メートル先にウルトラホールが展開し、私はタイムマシーンをフルスピードで発進させた

 

ダルス「よせ!過去への介入は許されないぞ!」

外にいるはずのダルスが、無線で言ってきた

 

???「…ダルス!貴様に分かるか!私の気持ちが!」

ウルトラホールまで数十メートル

 

ダルス「…よせ!お前が過去へ行けば!過去は大変な事に成りうる!」

???「それでも私は向かう!私の理想の為に!!」

ウルトラホールに入り、無線は切れた

 

目指すは、500年前

 

そこに、あの娘はいる

 

???「…アリス、今行くからな…!」

 

             *

 

ライト「…ふぁぁぁあ」

大きなあくびをしながら歩く俺

シーキンセツの一件が終わったあと、俺達は再びマグマ団アジトに戻っていた

あまり単独行動をとると、奴ら、とことん怪しむからな

 

カガリ「…………」

ライト「うわっ!カガリさん!?」

噂をすれば、曲がり角にカガリさんがもたれかかっていた

 

俺は足の怪我も相まって、躓いてしまった

結果、俺は慣性の法則に負け、カガリさんを押し倒してしまった

 

ライト「わわっ!ごめんなさい!」

カガリ「……」

カガリさんの表情は相変わらず無表情だったが、確実に怒っていた

 

俺は体制を立て直し、カガリさんに手を差し伸べる

カガリさんは俺の手を握る事無く立ち上がった

 

カガリ「……キミ、昨日は何処に行っていたの?」

ライト「…え?あぁ、ある男性に呼ばれて、ちょっとだけ調査に…」

カガリ「……ほんと?」

ライト「…は、はい。証拠もあります」

カガリ「……ならいい、キミ、あまりリーダーマツブサに余計な事しないで。今リーダーマツブサは大事な時なの、邪魔だけはしないで」

ライト「…そう言えば、「あいいろのたま」が盗られたんですよね?大丈夫なんですか?」

カガリ「…分からない…、リーダーマツブサはその事については話してくれない」

ライト「…そう、ですか…。まぁでも、アクア団も動いてないようだし、暫くは安泰か…?」

カガリ「……」

カガリさんは歩きだし、俺を通り過ぎた

 

ライト「……」

カガリさんは、マツブサの事、どう思ってるんだろう

でも多分、本気で信頼してるんだろう

彼女も、マツブサの洗脳から解いてやらないと

 

俺の新たな目的ができた

 

俺が皆のところに戻ると、メガミが起きていた

 

ライト「…おはよう、メガミ!」

メガミ「ライトさん!おはようございます!」

元気ははつらつな笑顔を見せるメガミ

日光が刺して、更に神々しく見える

 

途端に、メガミのウエディングドレス姿を思い出す

 

……

なんか、変な気分だ

 

メガミ「…ライトさん?どうかしました?」

ライト「え?あ、いや!何でもない何でもない!」

なんなんだ、この気持ち

胸が、ドクドクする

顔が熱くなる

 

俺、まだ疲れが取れてないみたいだ

 

ライト「……ふぅ」

メガミ「…ライトさん、少し、お話があるのですが、宜しいでしょうか?」

ライト「……え?」

 

             *

 

レン「……」

椅子に座り、淡々とそれを見つめる

手をこねくり回し、起動を観察する

 

カチンッ

と音がなり、なじりあっていた金属が分解された

 

レン「…簡単すぎるな、もっと難しいのは無いのか?」

ウシオ「うっ!これが1番難しい筈なのに…」

レン「ふっ、こんな程度の知恵の輪、誰の為になるんだ?」

ウシオ「うっ!俺っちは解けなかったのに…」

レン「…ふっ!」

ウシオは俯き、何処かへ行ってしまった

 

朝の頭の体操には丁度いい

少しだけ頭が冴えた気がする

 

レン「……」

マグマ団との戦いから一日が明け、今日を迎えた

 

「あいいろのたま」は取り戻したみたいだが、肝心のアオギリ本人は、あの日から人が変わったように部屋に引きこもってしまった

 

理由は不明だ

戦いに敗れた訳では無い

かと言って戦死者を供養している訳でもない

 

一体あの時、何があったんだ

 

レン「……っ」

イズミ「……あら、仮面ライダーの坊や」

アオギリと会おうとしたと思ったら、アオギリの部屋のドアにイズミが横たわっていた

 

レン「…アオギリに用がある」

イズミ「今はダメよ、なんだか昨日からやけにシリアスになっちゃって…」

レン「…それを究明するんだ」

イズミ「無理よ、私にすら話さないんだもの。アオギリには、アオギリの問題があるのよ」

レン「……」

俺は諦めてその場から離れた

 

ふと、俺は横目でイズミを見た

イズミは目を閉じ、何かを願うように立っていた

 

レン「……そうか、あいつはきっと、アオギリの事が……」

 

俺はアクア団のアジトを少しだけ離れ、街に出た

日が登り、太陽が眩しかった

 

誰もいない、静かだった

 

朝というものは嫌いじゃない

一日の始まりを教えてくれる

 

???「いっちに!さんっし!ごーろく!しっちはっち!」

と、少し開けた場所で、男がラジオ体操をしていた

しかもひとりで

 

???「…ん?君も一緒にするかい?」

レン「…いや、遠慮しておく」

???「そんな事言わないで!朝の体操も気持ちいいものだよ?」

レン「くだらないな、そんな感情的なもの、なんの役に立つ?」

???「…くだらなくなんかないよ。だってさ…」

男は空を見上げた

まだ登りたての太陽に手をかざしていた

 

???「今日はこんなにいい天気なんだもん」

レン「……天気…」

???「ほら、見てみ?空が笑ってるように見えない?」

レン「……あんた、名前は?」

ミクリ「…ん?ミクリ、知らなかったかな?」

レン「…いや、覚えておく」

俺はミクリと名乗る男のそばを離れ、アクア団のアジトへと戻った

 

ミクリの思考が、あいつのものと似ていたことが、どうも気がかりだった

 

             *

 

メガミ「ライトさん!こっちですよ!」

ライト「あぁ!分かってる!」

俺はメガミに連れ出され、カイナシティへと連れていかれた

何やら買いたいものがあるらしく、俺はそれに付き合わされる形となった

 

人が溢れる中に飛び込んだ彼女は、とても素敵な笑顔でいた

引かれる右手は、彼女の左手がしっかりと掴んでいる

 

そんな中、道端で

これまたいかついヤンキーに絡まれている少女を見つけた

髪色は空色で、地味な格好をしていて、丸メガネをかけていた

 

ヤンキーA「お嬢ちゃん可愛いじゃん!」

ヤンキーB「俺達と遊ぼうぜぇ!」

???「……や、やめてください…」

少女は下を向き、困っている様子だった

 

本当は助けたいところだが、実を言うと、俺はあんな感じのヤンキーが本当に苦手で

なかなか近付きがたかった

 

俺が(すまん!)と、心で思っていた途端、メガミが彼らに向かって威勢よく放った

 

メガミ「ちょっとそこ!」

ヤンキーA「あぁ?」

ヤンキーB「なんだテメェ!!」

ヤンキー達は振り返り、メガミにメンチを切る

 

あまりの体格差に、俺は(まずい!)と思った

 

すると、メガミは右手を振りかざし、ヤンキーAにビンタを喰らわした

 

ヤンキーA「いっ!テメェなにしやがんだ!」

メガミ「女の子を無理やり連れ回そうとするなんて最低です!」

ヤンキーB「あぁ!?」

メガミ「なんですか?ヤりますか?はっきり言いますけど、私、強いですよ?」

ライト「……」

 

なんて鋭い眼光なんだ

遠くで見ているはずの俺も鳥肌が立つ

 

ヤンキーA「…クソっ!覚えてろよ!」

ヤンキーB「お、覚えてろよ!」

メガミ「……ふぅ」

ヤンキーが逃げ出し、メガミは深呼吸をする

 

メガミ「…怖かったァ〜」

ヘタレ混むメガミを、少女が受け止めた

 

メガミ「…あ、ありがとうございます…」

???「いえ!こちらこそ!本当にありがとうございました!」

メガミ「私は当然の事をしたまでですよ」

???「…あの!お名前、聞いても良いですか?」

メガミ「私は、メガミと申します。貴方は?」

ルチア「私は!ルチアと言います!…メガミ…さん…」

メガミ「はい」

ルチア「……あの、急なんですけど、「お姉様」って呼んでいいですか?」

メガミ「……え?」

 

 

結局その日は、朝から夕方までずっとメガミといた

 

ちなみにルチアと名乗った少女は急ぎの用事があるらしく、メガミの承諾も得ないまま何処かへ行ってしまった

 

市場を回ったり

釣りをしたり

映画を見たり

食べ歩きなんかしながら過ごした

 

お昼に差し掛かる頃、俺達は人だかりが出来ていることに気付き、その場に行った

 

そこには、青を基調としたヘソ出し仕様のアイドル衣装を身に纏っている少女が、ステージにあがり、皆に手を振っていた

髪型は特徴的なポニーテールで、髪飾りをしている

首回りや腕や足首には白い綿が付いている

 

マイクを持った少女は手を振りながら言った

 

ルチア「キラキラ~!くるくる~? 『突然の出会い!ミラクル☆アイドルスカウト!』 って感じだね! 今日はルチアのイベントライブに来てくれてありがとう!」

スピーカーから大音量で流れる音声に、観客は歓声を上げる

 

客は少女の事を「ルチアちゃん!」と呼んでいた

 

俺は絶句した

メガミは驚いていた

 

すると、ルチアはこちらに気付いたのか、こちらに手を振ってきた

 

ルチア「…あ!お姉様!」

メガミ「え、えぇ〜!?」

ルチア「来てくださったのですね!私!このホウエンでアイドルをしてるんです!」

メガミ「…あ、あぁ…」

ルチア「私!お姉様が笑顔になれるように、精一杯歌いますね!」

メガミ「……うん!」

メガミは大きく頷いた

 

ルチア「…それでは聞いてください…『アピール☆ラブ』!」

 

ルチアが歌い始め、観客を魅了する

しかし、彼女の目線はメガミを捉えていた

 

俺もメガミを横目で見る

 

メガミは嬉しそうだった

手拍子を軽くしながらルチアの歌声を聞いていた

 

ライト「……」

メガミ「……」

ライト「…メガミってさ、すげぇよな」

メガミ「…え?」

ライト「…なんて言うか、最初から気付いてはいたけど、改めて、メガミが強いって事が分かったよ」

メガミ「私がですか?そんな事ないですよ。戦いじゃ、全然戦力には…」

ライト「…違うよ、メガミの強いとこは、そこじゃない」

メガミ「……」

ライト「…俺には分かる、そういう所では、メガミは最強だな!」

メガミ「……あの、実は私、ライトさんに話しておきたい事がありまして…」

ライト「……そういえばそうだったな、何の話だ?」

メガミ「…はい……私の…父の話です」

 

             *

 

ルチア「……皆!今日はありがとう!お姉様も!」

メガミ「うん!じゃあね!」

ルチアは歌い終わると、満足そうに舞台裏に帰って行った

メガミは最後まで手を振っていた

 

ライト「……メガミの、お父さん…」

メガミ「…はい、私の父は、私の時代では大富豪だったんです」

ライト「…それは、メガミは貴族の娘だって…」

メガミ「…はい、でも──」

 

             *

 

私の父、ブライン・グリュシュ・クラットは、この時代では1番の大富豪でした

しかし、その傲慢さ故に、自分の資産を手放したくなかったようなのです

 

その結果、お金が必要な人達は生活が難しくなり、どんどん人口も減って行った

 

メガミ「……」

ブライン「……」

こんなに豪華な料理なのに、まるで手が付かない

とても美味しそうなお肉

でもこれが、あの子達にも食べさせる事が出来たなら…

 

ブライン「…どうした?食べないのか?」

ステーキを口に運びながら、父は問いかけた

 

メガミ「…あ、いえ……」

ブライン「…アリスよ、私達は神に選ばれたんだよ。生きろと」

メガミ「…え?」

父は真っ直ぐこちらを見詰めていた

 

ブライン「お金があると言うことは、幸せがあるという事だ。私達は凡人では無い。だからもっと自信を持て!私達には、生き抜く権利があるんだ」

メガミ「……そんな権利、私にはいりません…」

ブライン「……なんだと?」

私は椅子から立ち上がり、父に向かって言った

 

メガミ「…生き抜く権利なら!皆にだってある筈です!どうして私達だけがこんなに楽をしているんですか!?皆はあんなに苦しんでいるのに!……私は、この時代に生まれた事を後悔しています。……ですが、同時に誇らしくもあります!何故なら、皆の、人間の底力を見れたからです!」

ブライン「……」

メガミ「私が町に忍び込んだ時の事です。人々は、お互いに協力する事で生き長らえる事が出来ていたんです!……お金が無いなら、折半しよう。食べ物がないなら、自力で調達しよう。寒いのならば、寄せ合って寝よう。不安ならば、話し合おう。と!」

ブライン「……」

メガミ「皆笑顔でした。…少なくとも、私やお父様よりは……皆!光を失ってはいませんでした!」

ブライン「……いいや、この世界は闇に頬むられてから以来、光を失った。お前も、私も、人々も。無理をして笑っているだけだ」

メガミ「…どうしてお父様は、他の人達と幸せを共有出来ないのですか?」

父は机を思い切り叩き、私を睨み、怒鳴った

 

ブライン「お前は何も分かっていない!私がどれだけお前の為に努力しているか!これは私の幸せの為じゃぁない!アリス!お前の為なんだそ!」

メガミ「…私の?」

ブライン「…そうだ。生きるっていうのはな、美味いってことなんだ。美味しいものを何不自由なく食べれる。それだけで良いじゃないか?」

メガミ「……だから、他の者の幸せを捨てろと?」

ブライン「…私は私の幸せを捨てている。だがな、アリス。お前はお前の幸せを捨てるなよ?」

メガミ「…だったら私は、生きる為に幸せになるんじゃない!幸せになる為に生きます!」

ブライン「……アリス…」

メガミ「…今は自分の幸せを捨てても!いずれは幸せになってみせます!」

ブライン「…待て、アリス、何をするつもりだ?」

メガミ「…皆の幸せを、守りに…救いに行きます!」

 

             *

 

メガミ「その翌日、私は屋敷から逃げ出し、この時代に来ました。そして、皆さんと出会いました」

ライト「…そうだったのか…」

メガミ「私の父は、強欲で、傲慢で、周りの事が見えていませんでした。…それでも、私の事を1番に思ってくれて…でも、それがダメだったんです」

ライト「…ダメって?」

メガミ「…私は…本当は自由になりたかっただけなのかもしれません……」

 

すると、遠くの方で爆発する音が聞こえた

ヒマワキシティの方向だ

 

ライト「メガミ!」

メガミ「はい!」

俺はメガミと共にヒマワキシティへと向かった

 

             *

 

気が生い茂り、住民はみなツリーハウスで過ごしている町

 

しかし、その一部はなぎ倒され、森の中に空間が出来ていた

 

そこに、彼がいた

 

白い洋風な、タキシードの様な服を着て、赤いマフラーとマントを着た金髪の男

 

あの時から、何も変わっていないその姿に

私は呆気を取られた

 

ブライン「…くそっ、やはり少し乱暴にし過ぎたか」

メガミ「…お父様!?」

私の声に驚き、父は勢い良くこちらに振り向いた

 

ブライン「……アリス…」

メガミ「…ど、どうしてお父様が、この時代に…」

ブライン「……あぁ、会いたかったぞ、アリス…」

メガミ「…お父様?」

ブライン「…あ、あぁ、すまない…」

お父様は、少しだけしょんぼりとした表情をした

 

ブライン「……」

ライト「…貴方が、メガミのお父さん?」

メガミ「あ!紹介します、彼が私の父の、ブライン・グリュシュ・クラットです!」

ブライン「…っ!誰だ貴様は!」

私の背後から現れたライトさんを、お父様は警戒した

 

ライト「お、落ち着いて下さい!俺はメガミの仲間の波山ライトって言います」

ブライン「…仲間?」

メガミ「お父様、私がこの時代に来てから、この時代では沢山の事が起きました。ポケヤミー達が現れ、人間達を襲って来ています」

ブライン「…まさか、あの怪物共が、この時代にも?」

メガミ「はい、ですが…」

私はライトさんへ手を向けた

 

メガミ「ライトさんが、仮面ライダーとなって戦ってくれているおかげで、この世界は平和を保っています」

ブライン「……仮面…ライダー…?」

ライト「…メガミ、多分この人、この時代に来たばっかじゃないかな?反応がメガミとそっくりだ」

メガミ「あ、そっか。ごめんなさいお父様、この時代については、また詳しくお話します」

ブライン「……いいや、その必要は無い」

メガミ「…え?」

ブライン「…アリス、未来に帰るぞ」

 

             *

 

アマモ「……」

私を置いてあいつを追うだなんて…

ダルスの奴〜!

 

アマモ「…私も行きたがっだァァ!」

 

             *

 

メガミ「…未来に、帰る?」

ブライン「そうだ。お前がこの時代にいる意味は無い」

すると、メガミの腕をブラインが掴んだ

 

ライト「ちょっとお父さん!それはいくらなんでも!」

ブライン「……こんな男に誑かされおって…、帰ったらお仕置が必要のようだな…」

メガミ「…っ!ライトさんの事を悪く言わないで下さい!彼は幾多もの危機を乗り越えてきた人なんです!ライトさんは、私が1番に尊敬する人なんです!」

ブライン「……この時代に来てから、おかしくなってしまったらしいな、アリス」

メガミ「…っ」

ブラインはメガミの腕を更にガシッと掴んだ

 

メガミ「…ど、どうしてしまったのですか!?お父様!前はこんな人では無かった筈です!」

ブライン「うるさい!私が何をしようと、私の勝手だ!」

メガミ「…っ!」

ライト「…ちょっと!嫌がってるじゃないですか!離してください!」

ブライン「…全て、貴様が悪い!」

すると、ブラインは俺に鋭い眼光を向けて来た

 

ブライン「…仮面ライダーと言ったな?それが貴様の呼び名か?」

ライト「…そ、そうだ!」

ブライン「…だったら、私の呼び名は、なんだと思う?」

ライト「…え?えっと…」

ブライン「…答えは…『悪魔(デビル)』だ」

ブラインはメガミの手を乱暴に離す

 

メガミ「っ!」

メガミは倒れてしまった

 

ブラインは懐から真っ黒なデバイスを取り出した

左右に窓が空いており、上部にボタンがある

 

ブライン「貴様は未来について何も知らないだろう、未来のテクノロジーの事も…」

ライト「…まさかそれは!」

ブライン「…ハハッ!未来のテクノロジーは!最高だ!」

ブラインはそのドライバーらしきものを腰に装着した

 

デビルドライバー!

 

左サイドから真っ黒なベルトが出てきて、ブラインの腰を一周する

 

ブライン「……その娘は私のモノだ!貴様なんぞに渡してたまるか!!」

 

ブラインは黒に白と赤のメガストーンを取り出し、ドライバーの右側面にある溝にセットする

右の窓から、メガストーンが見えた

 

デビルサイドアップ!

Loading...

 

待機音が流れ、ブラインは右手を左頬に近づけた

 

ブライン「……変身っ」

 

ドライバーの上部のボタンを押し込んだ

 

ダークライ!

Fear!Hopeless!Arrogance!

 

KAMEN!RIDER!DEVIL!

The door of the demon world has been opened.

 

ブラインの体は真っ黒に変化した後、首元が赤くなり、牙のようになる

肩や腰からは、不気味な黒いオーラを放ち、頭部は白く変色し長く伸びる

左目だけが覗く形となり、青い目に赤い瞳孔が開く

 

ブライン「悪夢の戦士!仮面ライダーデビル!」

ライト「…へ、変身した…」

ブライン「…お前に最高の悪夢を見せてやろう!」

ブラインはそう叫ぶのと同時に、黒い砲弾を放った

俺は呆気に取られ、変身出来ずにいた

 

まずい!

そう思うのもつかの間、1人の影が、俺の前に立ちはだかる

爆発が起こり、煙が経つ

 

ライト「……っ!」

ブライン「…ちっ、また貴様か!」

煙の中にいた人物は、ダルスだった

 

ライト「……ダルス!」

ダルス「…やはり来て正解だったな」

ライト「…ダルス、まさかあの人を追って?」

ダルス「…あぁ…手を貸してやる、波山ライト。お前にここで死なれては困るからな」

ライト「…あぁ、助かる!でもメガミを連れていくのは無しな!」

俺はメガドライバーを装着した

 

ダルス「分かっている。俺はこの男に用があるからな」

ダルスはウルトライザーを構えた

 

ライト「行くぜ!相棒!」

ダルス「これより、任務を遂行する」

 

メガシンカ!ヘンシーン!

 

リロード!

レッツ!ウルトライダー!

 

ライト「変身!」

ダルス「銃装!」

 

To be continued




次回予告

ダルスと共闘し、仮面ライダーデビルに挑む2人
ダルスは新たな力を使い、デビルを翻弄する

メガミ「…これは、私が始めた親子喧嘩なんです」
メガミの選択はいかに…

ライト「あんたの好き勝手にさせてたまるか!」
ブライン「悪魔の力を!思い知れ!」
メガミ「ライトさん!」

第三十八話「悪魔(デビル)の悪夢!メガミの決意!」


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第三十八話「悪魔(デビル)の悪夢!メガミの決意!」

前回のあらすじ

突如として現れた謎の男
その正体はメガミの父親であるブライン・グリュシュ・クラットだった

メガミやライトと話すブラインだが、態度が豹変して

ブライン「… 答えは、『悪魔(デビル)』だ」
仮面ライダーデビルへと変身!?

そこに現れたのは、未来からブラインを追ってきたダルス

2人はブラインを止める事が出来るのか!?



ライト「行くぜ!相棒!」

ダルス「これより、任務を遂行する」

ライト「変身!」

ダルス「銃装!」

 

バシャーモ!

ババッバッバッバ バッバ バシャーモ!バッバ バシャーモ!

 

ベベノム!

レッツ!ウルトラポイズン!

 

ライト「熱き炎の戦士!仮面ライダーバーサ!」

ダルス「毒針ソルジャー!ウルトライダーダルス!」

ライト「燃えるぜ!」

ダルス「実力を行使する!」

ブライン「…ふっ…たった2人で、私を停められるかな?」

ライト「止めてみせるさ!そして!メガミは絶対に連れていかせねぇ!」

俺はブラインに飛びかかり、拳に力を入れる

 

ライト「ほのうのパンチ!」

ブライン「…ふっ」

ブラインは軽々とそれを避ける

 

ライト「くっ!とびひざげり!」

ブライン「ふっ…ふははは!」

またもや避ける

俺のスピードに完全に追いついている

 

ブライン「あくのはどう!」

ライト「ぐっ!」

ブラインのあくのはどうが直撃し、飛ばされる

 

ブライン「ふふっ」

ダルス「ベノムショック!」

ダルスはブラインの後ろに回り込んでいて、銃口をブラインに向けていた

銃口から毒が塗りたくられた針が飛び出す

しかし、

 

ブライン「ふんっ!」

ブラインはその針を掴み、攻撃を防いだ

 

ダルス「…なんて動体視力だ」

ダルスは続けて技を放つ

しかし、その全てをブラインに防がれてしまう

 

ライト「くっ!だったら!」

俺は《バシャーモナイト》と《ピジョットナイト》を入れ替える

 

ライト「フォルムチェンジ!」

 

ピジョット!

ピ!ジョット!ピ!ジョット!ピジョット!

 

ライト「飛翔の戦士!仮面ライダーバーサ!ピジョットフォルム!」

 

俺は《ピジョットアロー》を出現させ

弦を引く

 

ライト「エアスラッシュ!」

弦を放つと、エネルギー体で出来ていた矢が三日月形の光線に変化

マッハ2のスピードでブラインに向かって行く

 

ブライン「ぬっ!」

油断したブラインに攻撃が当たる

攻撃が当たる影響で煙が経つ

 

ライト「どうだ!」

ブライン「……ふっ」

煙が避けてもブラインは余裕そうだった

 

ライト「くっ!エアスラッシュ!」

俺は続けて攻撃する

 

ブライン「何度やっても無駄だ!私にそんな攻撃は通用しない!あくのはどう!」

ライト「ぐわっ!」

俺はブラインの攻撃に当たってしまった

俺はダルスの真横の壁に打ち付けられた

 

ダルス「波山ライト!…ようかいえき!」

ダルスも攻撃する

 

ブライン「ふんっ!」

しかし、やはり効かない

 

ブライン「無駄だ!全て無駄なんだ!さっさと諦めて、アリスを渡せ!」

ライト「……確か、前にもこんな事があったな」

ダルス「……そうだな」

ライト「……ダルス、今度は一緒に戦ってくれ」

ダルス「…お前の覚悟は、決まったようだな」

ブライン「……まだ抗うつもりか?何度言ったら分かる!お前達では私は倒せん!無意味だ!無駄だ!」

ライト「……っ!」

俺はブラインを睨みつける

 

ライト「…確かに、無駄かもしれない。あんたを倒す事は無理なのかもしれない。だけど、それを諦める言い訳には出来ない!俺は戦う!たとえ無駄だったとしても!守りたいものを守る為に!」

すると、俺の懐が光り出した

 

ライト「……」

俺は光るメガストーンを手にし、力強く握る

 

ライト「俺は諦めない!足掻いて突き進む!」

俺は封印が解けたメガストーンをメガドライバーにはめ込む

 

ダルス「…お前の覚悟、しかと受け止めた。俺も、全力で行かせてもらう」

ダルスは白と紫のメガストーンをウルトライザーのマガジンにセットする

 

俺とダルスは横に並び、ブラインを捉える

 

セット!

メガシンカ!ヘンシーン!

 

リロード!

レッツ!ウルトライダー!

 

ライト「フォルムチェンジ!」

ダルス「超銃装!」

 

スピアー!

スピ!スピ!スピスピ!スピアー!

 

アーゴヨン!

レッツ!スーパーウルトラポイズン!

 

俺の身体は黄色に変色し、下腹部からしたが黒とのシマシマ模様になり、つま先からは白い爪が生え、背中からは虫の羽が生える

複眼は赤の平たい形に、触覚も生える

右手には大きな針を模した槍が現れる

名付けて、《スピアースピア》!

 

ライト「蜂起の戦士!仮面ライダーバーサ!スピアーフォルム!」

 

ダルスはさっきの体から、背中からは大きな特殊な形の翼が生え、複眼の上が少しだけ発達

虫の顎のようなものも生える

 

ダルス「毒針ジェネラル!ウルトライダー!ダルス!」

ライト「…燃えるぜ!」

 

             *

 

メガミ「……」

ライトとダルスの2人と、ブラインの戦いを見守り続けるメガミ

 

メガミ「…お父様…どうして……」

その変貌した父親を想い、過去の事を思い出していた

 

 

メガミ「……やぁぁ!」

ブライン「来い!アリス!」

メガミ「やぁぁ!」

竹刀を持ってブラインに突っ込むメガミ

その姿はとても弱々しく、体格差でも、父親に勝るとは到底思えない

 

ブライン「…ほっ!」

メガミ「あぁ!」

竹刀を離してしまったメガミ

 

ブライン「ふふふ、これでパパの勝ちだな」

メガミ「…むぅぅ」

ブライン「拗ねてもダメだぞ?アリス。この時代では、常に命を守らなければならない。それも自分でな」

メガミ「……」

ブライン「私はお前が死にそうになっていても助けん、何故か分かるか?」

メガミ「……お父様は、私が嫌いだから?」

ブライン「……いいや、愛しているからだ」

メガミ「え?」

ブライン「…愛しているから、信頼しているからこそ、お前ならそこから這い上がれると思っているから、私は助けない。実際は分からないけどな」

メガミ「……」

ブライン「…どうした?」

メガミ「…愛する気持ちとは、そういう物なのですか?」

ブライン「…お前はまだ5歳だ、今からそんな事考えても仕方がないぞ。でもそうだな、お前に愛する者が出来れば、きっと分かるだろう。お前は、私の娘なのだから」

………

 

 

メガミ「……」

ライトさん、頑張ってください

きっと、貴方が勝てると、信じています…

 

             *

 

ライト「どくづき!」

ダルス「ベノムショック!」

ブライン「ぬっ!」

俺とダルスはブラインの死角をつき、次々と攻撃を仕掛ける

 

ライト「ミサイルばり!」

俺は《スピアースピア》をブラインに向かって投げ飛ばす

 

ブライン「くっ!」

ライト「ダブルニードル!」

すかさず俺は《スピアースピア》を2本出現させ、交互に投げ飛ばす

 

ブライン「くっ!ぬっ!」

ライト「よし!」

大分効いているみたいだ

 

ダルス「喰らえ!りゅうのはどう!」

ダルスは銃口から紫色のビームを放つ

 

ブライン「くっ!おのれ!」

ブラインはダルスに手をかざす

 

ライト「させるか!」

何をしてかすかは分からなかったが、俺は自然と身体を動かしてしまった

 

ブライン「…ダークホール」

ライト「うっ!」

すると、突如として眠気が襲って来た

まさか、催眠術を覚えていたなんて…

 

ブライン「…ゆめくい!」

ブラインは意識が朦朧としている俺の頭を掴んだ

 

ライト「グッ!がはっ!」

なんだか、身体の中がえぐられる感覚だ

こんな攻撃、今まで感じた事がない

 

ライト「くっ!」

なんとか腕を解いた俺はよろけながらもブラインの元を離れる

 

ライト「…こりゃ一気に決めた方が良さそうだな」

ダルス「…よし、行くぞ」

ライト「あぁ!」

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

スピアー!

ニードルトルネード!

 

リロード!

レッツ!ヒッサーツッ!

アーゴヨン!

ポイズン!スーパービーストショット!

 

ライト「ニードルトルネード!」

ダルス「スーパービーストショット!」

 

俺は高く飛び上がり、《スピアースピア》を2本装備しブラインに向けて構え、回転

ダルスは銃口にパワーを溜め込む

 

ライト「はぁぁ!」

ダルス「ほぁぁ!」

ブライン「…ふっ、そんな程度では、やはり私は倒せん!」

ブラインはデビルドライバーの上部のボタンを押し込んだ

 

Devil ! Special Move !

Demons Nightmare !!

 

ブライン「…悪魔の力を!思い知れ!」

ライト「…っ!」

 

             *

 

ライト「……ん」

気付いたら、俺は机に突っ伏して寝ていた

黒板にチョークを擦り付け文字を書いている事に必死の先生には気付かれていなかった

 

窓から見えるこの景色が、俺は好きだ

綺麗な水平線

どこまでも続く青空

 

すると、チャイムがなった

授業が終わった合図だ

 

俺は机の上に拡がった白紙のノートと教科書をしまい、弁当箱を取り出す

 

すると、横から俺の名を呼ぶ声がした

 

俺は声の主に顔を向ける

 

レン「今日はどこで食う?メグは屋上がいいと言ってるぞ」

ライト「……」

暫くの沈黙の後、俺は椅子が勢いよく下がるように立ち上がった

 

ライト「レン!戻ってきたのか!?」

レン「……な、何を言っている。俺は元々ここにいたぞ」

ライト「……え?……あ、いや……そうだ、よな…俺、何言ってんだ?」

レン「疲れてんのか?少し休んだ方が…」

ライト「…いや、大丈夫。なんだか……」

 

悪い夢でも、見てたみたいだ

 

『……』

 

メグ「あはは!何それ!」

レン「本当だ、こいつ、とうとう頭がいかれちまったぞ」

ライト「だから!寝ぼけてただけなんだって!」

レン「寝ぼけてたにしてはリアル感あったぞ?」

ライト「リアルな夢でも見てたんだよ」

屋上で団欒をしながら弁当を食べる俺達

いつもの風景だったけど、少しだけ新鮮に感じた

 

俺はこの時間が好きだ

3人で話すこの時間が

 

『……』

ライト「……ん?」

レン「…どうした?」

ライト「…いや、なんか誰かに見られてる気がして…」

メグ「気のせいじゃない?ここには私達以外誰もいないし」

ライト「…そうか、そうだよな」

 

『……』

 

ライト「…そうだレン、今日お前っち行っていいか?」

レン「なんだ改まって、いつも無断でのこのこ来てるだろ?」

ライト「まぁ、そりゃそうなんだけどさ、カズマさん今日はいるんだろ?」

メグ「え!?カズマおじさん今日はいるの?」

レン「…まぁな、でも数時間だけだと」

ライト「それでも久しぶりに会いたいな〜」

 

すると、西の方から大きな爆発音が聞こえた

 

ライト「……なんだ?」

メグ「あっちの方だね」

レン「…行ってみるか」

すると、レンとメグはダッシュで向かってしまった

 

俺も追いつこうとしたが、どうしても追いつけない

どんどん影が小さくなっていく

いくら走っても、その場に留まっている

 

なんでだ

なんで身体が動かない!

あの二人に何かあったら!

 

『……』

ライト「……っ!」

まただ

また誰かに見られてる

 

ライト「なんなんだ…なんなんだよぉ!」

俺は走った

今度はしっかりと走る事が出来た

しかもいつもより早く

 

ライト「……なんだよあいつ…」

現場に着くと、そこには巨大な蛇のような怪物がいた

目が紅く、ツタのような見た目

その周辺には、何体もの死体が広がっていた

 

そこには、見覚えのある人影も

 

ライト「……レン?」

レン「……」

ライト「……メグ?」

メグ「……」

ライト「……どうして…どうしてこうなるんだよォ!」

怪物が俺を見下した

見つかった

俺も死ぬんだ

レンや、メグみたいに

 

俺は絶望した

そして恐れた

膝から崩れ落ち、地面を見ている

 

ライト「……」

嫌だ

まだ…

 

ライト「…俺はまだ死ねない!」

俺は怪物を睨み返す

 

ライト「俺は!ヒーローにならなきゃいけねぇからな!」

立ち上がり、叫ぶ

俺は飛び上がり、怪物の身長を越した

 

ライト「はぁぁ!」

俺はいつの間にか身体が変化し、仮面ライダーバーサへと変わっていた

そして『ジャローダ・ヤミー』に向かって蹴りを入れる

 

あの日のように

 

             *

 

ライト「はぁぁぁぁ!」

ブライン「ぬぅぁ!」

俺はブラインに蹴りを入れると、バシャーモフォルムへと戻た

 

ブライン「…ば、馬鹿な!何故私の攻撃が!」

ライト「…悪魔だかなんだか知らねぇけどな!そんなもの!」

俺はブラインに指を指した

 

ライト「俺の夢の前じゃ、勝てないって事さ!」

ブライン「…っ!」

ライト「この世界を!あんたの好き勝手にさせてたまるか!」

ブライン「…私の悪夢が、貴様の夢ごときに負けただと!?」

ダルス「夢を馬鹿にするな!」

ダルスはブラインにパンチした

 

ダルス「夢は人間の糧となる。夢を持つ事で人間は進化し続ける。この男のようにな!」

ライト「……ダルス…」

ブライン「…ふざけるな!そんなものに、私が負ける筈はないのだ!」

ブラインは全身からオーラを放つ

 

ブライン「はぁぁぁぁ!」

そして全身からあくのはどうが飛び交う

俺達はそれに巻き込まれ、変身が解けてしまった

 

ライト「うわっ!」

ダルス「ぐっ!」

ブライン「ふははは!…消えろ!」

ブラインは手の中で黒いオーラを放つ砲弾を生成した

それを俺達に向けて放つ

 

メガミ「はっ!」

俺達の前に立ちはだかり、変身したメガミが、その攻撃を跳ね返した

 

ライト「メガミ!」

メガミ「ライトさん、ここからは私にお任せ下さい!」

ライト「…メガミ」

メガミ「…これは、私が始めた親子喧嘩なんです!ツケは私がはらいます!」

ブライン「…お前も変身出来たのか、アリス」

メガミ「……お父様、貴方はかつて、そんな人ではなかった。でも今私が、貴方の洗脳を解いてみせます!」

ブライン「……私は私の意思で行動している。邪魔をするなら、お前であっても容赦はしない…」

メガミ「……はぁぁ!」

 

メガミはブラインに立ちはだかり、交戦した

俺達は地面に倒れたまま、それを見ている事しか出来なかった

 

ライト「……メガミ…」

メガミ「はぁぁ!」

ブライン「ふっ!」

メガミ「ぐっ!…ハイパーボイス!」

ブライン「あくのはどう!」

エネルギーの波が互いにぶつかり合う

 

メガミ「きゃっ!」

ブライン「はぁっ!」

ブラインが押している

 

メガミ「…っ!私は負けない!お父様、貴方を越えてみせる!」

メガミはブラインに殴り掛かる

それを の拳をブラインは掴んで去なした

 

ブライン「私を越えるだと?笑わせるな!」

その手を振り払い、メガミは転がり倒された

 

ブライン「忘れたのか!私がお前と手合わせをした時、たった一つだけ変わらぬ結果があった。それは、お前が私に勝ったことなど、たった1度でも無いという事だ!」

ブラインは倒れているメガミの腹部を蹴り、メガミはそのまま転がる

 

メガミ「ぐっ!」

ブライン「……」

徐々に歩み寄るブライン

メガミの首を掴み、身体が浮くまで持ち上げた

メガミは苦しそうに暴れている

 

メガミ「…っ!」

ライト「メガミ!」

ブライン「波山ライト!…見ていろ、私が本当に成し遂げたかったことを!」

メガミ「……っ」

ライト「……え?」

ブライン「私がこの時代に来たのは、アリスを連れて帰る事では無い!アリス自体に用があったのだ!」

メガミ「…っ!」

ブライン「…だが、計画変更だ。私はこの時代にて、私の野望を叶えるとする。アリスに秘める力で、私は!神となる!」

ライト「…か、神だと…」

ブライン「……ふんっ!」

ブラインはメガミの首を掴んでいる右手に力を込めた

 

メガミ「ぐっ!がはっ!」

ライト「メガミ!!」

ブライン「ふんっんんん!!」

メガミ「がっ!あぁぁぁぁ!」

メガミの全身から火花が飛び散る

変身が解け、脱力状態となった

 

ライト「…はっ!」

メガミ「……ライト…さん…」

ライト「……っ」

メガミ「……後は…頼みます…」

ライト「…メガミ」

メガミ「……必ずや…この世界の…平和を…未来を…自由を…愛を…守ってください…」

ライト「…ダメだ…メガミ!」

メガミ「……いつまでも…貴方を見守っています…」

ブラインは右手を離した

メガミは地面に落ち、淡い光を発していた

 

メガミ「……っ…ライト…さん…最期に…貴方に…伝えたい事が…」

ライト「……」

メガミ「……私は……貴方の事を……」

ライト「……」

メガミ「……最高の…ヒーローだと…思っております…」

ライト「……メガミ…」

メガミ「……さようなら……ライトさん…」

次の瞬間、メガミは淡い光と共に消滅した

そこに残ったのは、2つのメガストーンだけだった

 

ライト「……メガミィィィ!!」

変身を解いたブラインはそこに残ったメガストーンの1つに手を取ると、不敵な笑みを浮かべた

 

ブライン「……ふふふふ…ふははは!素晴らしい!これぞ私が求めていたもの!」

ライト「……それは…」

ブライン「…これは、アリスの生命エネルギーが詰まったメガストーン、《メガミストーン》とでも呼ぼう。これで私は!神になれる!」

ライト「……メガミの生命エネルギー…て事は、メガミはまだ生きてるのか!?」

ブライン「残念ながら、ここにあるのは純粋なエネルギーだけだ。魂など存在しない!…つまり、アリスは!死んだと言う事だ!ふはははははははは!」

ライト「……この…悪魔め!」

ブライン「…だから言っただろう?…私は、神だと!」

 

ブラインはデビルドライバーに、再び《ダークライストーン》を入れ込んだ

 

デビルサイドアップ!

Loading...

 

そして《メガミストーン》を反対側の穴に入れ込んだ

 

エンゼルサイドアップ!

Complete!!

 

ブラインは両手を広げ、天を仰いで叫ぶ

 

ブライン「……変身!」

 

デビルドライバーのボタンを両手で押し込んだ

 

ENZEL! Absorb!

Ruin! Aggression! Malicious!

 

KAMEN! RIDER! SAMAEL!

That malice gives birth to God.

 

先程の姿とは異なり、右半身は黒い悪魔のような魔王のような姿になり、左半身は白い天使のような女神のような姿になった

全身羽で覆われたような見た目で、紅い複眼がこちらを見据えていた

 

ブライン「束縛の戦士!仮面ライダー!サマエル!」

ライト「……っ!」

ブライン「…崇めよ!讃えよ!我こそが!この世界の全知全能の神!仮面ライダーサマエルだ!」

 

To be continued




次回予告

メガミ、死す━━。
仮面ライダーサマエルの圧倒的な力に、ライトは死の境地へと立たされる

ライト「…メガミ!俺は!お前の事が!」
ライトの告白に、メガミの魂が反応する!?

ライト「メガミの夢は!俺が受け継ぐ!…その前に!あんたを倒す!」
ブライン「神に!逆らうなぁ!」

第三十九話「二人の愛!ライト、決死の告白!」


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おまけ編① 夏を満喫するライト達

ホウエン地方、マグマ団とアクア団との交戦後、ライトは究極の選択を迫られていた

メグ「やっぱり夏といえば海だよね〜」
カズマ「いいや!夏は山でサマーキャンプだ!お前もそう思うよな!ライト!」
ライト「え!?俺は…」



メグ「ん〜〜!風が気持ちいい!!」

カズマ「うむ!海も案外悪くないな!」

メグ「でしょでしょー!ライト君ナイス判断だよ!」

ライト「…あぁ…センキュ」

メガミ「……」

俺は海を選んだ

理由はない

 

ただ、何処かにレンがいるかもしれないと思ったからかもしれない

 

 

夏!

それは、男と女が欲望のままに満喫する季節!

海!プール!花火!流しそうめん!!

 

そして!水着!浴衣!クールビズ!!

 

今日は、そんな夏を思いっきり堪能するライト達の様子を見て頂こう!

 

 

ライト「……今誰か喋ったか?」

カズマ「いいや、それより!見ろよあれ!」

メグ「…大きな滑り台?」

ライト「あれはウォータースライダーだよ。仮建設みたいだけどね」

メグ「いいねいいね!みんなで乗ってみようよ!」

カズマ「あぁ!それじゃ、みんな水着に着替えて集合だ!」

 

脱衣所に向かう俺達

 

よく考えたら、海なんて初めてだ

泳げるかなんてわからん

 

でもそれよりも……

 

 

メグ「はぁ〜!海!久しぶりだな〜!」

メガミ「私は初めてですね」

メグ「大丈夫?海ってちょっと怖いよ?」

メガミ「大丈夫ですよ!泳げない事はないですから」

私はバックから新調した水着を取り出した

 

ライトさん、私の水着姿、可愛いって言ってくれるかな?

 

……

いや、ライトさんの事だから、言わないでしょうね

 

メグ「…ん〜」

メガミ「…な、なんですか?」

ワンピースを脱いだ私の事を、メグさんはじーっと見てきた

 

メグ「…思ったんだけどさ、メガミちゃん、15歳にしては大きいよね」

メガミ「……え?」

 

 

カズマ「お!メガミ達も来たぞ、ライト」

ライト「…あ、うん」

メグ「お待たせ〜!」

ワンピース型の水着を着たメグ

後ろではメガミが大きなバスタオルを羽織って来ていた

 

メグ「…メガミちゃん、バスタオル外したら?」

メガミ「…む、無理です!不特定多数の人々にこの姿を見られる訳には…」

メグ「…う〜ん、普通に可愛かったんだけどなー」

ライト「……」

メガミ「……」

そんなこんなで、俺達は海に入ったり、ビーチバレーをしたり、浜辺でヤドカリを見つけたりしたが…

 

メガミ「……」

メガミは一向にパラソルから出る気配がなく、且つ、バスタオルを羽織っていた

 

メガミ「……ムゥ」

しかもなんだか不機嫌そうだった

 

カズマ「よぉし!次はスイカ割りするぞ!」

メグ「おぉ〜!」

ライト「……」

 

3人でスイカ割りをし、結果はメグが割ることに成功した

そして気付いた

 

ライト「……あれ?メガミは?」

メガミがパラソルからいなくなっていたのだ

 

メグ「飲み物でも買いに行ったんじゃない?」

カズマ「すぐに戻ってくるだろう」

ライト「……っ!」

俺は叔父さんの言葉を無視し、走り去った

 

 

メガミ「……はぁ」

今の私、嫌な女…

 

せっかく皆が楽しんでいるのに、どうして素直になれないのか…

…せっかく水着も新調したのに

 

私は、ライトさんが好きだ

多分、物凄く

 

1人の女として見られていない事は分かっている

見てもらわなくても構わない…

でも、私はそれでも女だ

 

メガミ「……」

可愛い位は、言って欲しい…

 

チンピラA「あれ〜?お嬢ちゃん1人〜?」

チンピラB「見るからに子供だけど、ご両親は?」

メガミ「……な、何なんですか?あなた達…」

私は後ずさりしてしまう

 

チンピラA「…1人なら、俺達と遊ぼうよ!」

チンピラB「俺達と楽しい事しようぜ〜!へっへ!」

メガミ「…や、やめ…きゃっ」

チンピラAは私の腕を掴んだ

勢いよく掴んだものだから、羽織っていたバスタオルも落ちてしまった

 

チンピラB「おっ、意外といい体してんな〜」

チンピラA「ますます遊びたくなったぜ、ほら!こっちに…」

と、今度はチンピラの腕を誰かが掴んだ

 

メガミ「…っ!ライトさん!」

ライト「…やめてくれますか、嫌がってるじゃないですか」

チンピラA「あぁ!?んだガキィ!」

ライト「…いいから…」

ライトさんの目が変わった

 

ライト「離せって言ってんだろうが!」

ライトさんは私の腕を掴んでいたチンピラの顔面に思いっきりパンチした

 

チンピラA「いって!お前!覚えてろ!」

チンピラ達は走り去って行った

 

ライト「…ふぅ、メガミ大丈夫か?」

メガミ「…あ、ありがとうございます…あの…!」

ライトさんは謝ろうとした私の口にフランクフルトを突っ込んだ

 

メガミ「モゴッ!」

ライト「…上手いだろ!」

メガミ「……」

私が頷くと、ライトさんは満面の笑みを浮かべた

 

ライト「よし!皆も心配してるから戻ろう!次はさっき言ってたウォータースライダーに行くんだってさ!」

ライトさんは走りながら私にそう言った

 

メガミ「……はい!」

私も後を追って行く

やっぱり、ライトさんだけは、憎めない

 

             *

 

日も落ち、街では屋台が出るようになった

わたあめ、じゃがバター、チョコバナナ

焼きそば、たこ焼き、お好み焼き

射的に金魚すくい

俺達は浴衣に着替えて、夏祭りを楽しんでいた

 

メグ「むぅ〜!りんご飴美味しい〜!」

メガミ「この、わたあめというのは、何なのですか?雲のようにも見えますが…」

ライト「これは、飴が繊維状になってるんだよ、ほら、1口食べてごらん?」

メガミ「はい!…ハムッ…甘い!」

ライト「ほらな?」

機嫌がすっかりと良くなったメガミは、俺達と一緒に屋台の料理を楽しんでいた

メガミはひまわり柄の浴衣を着て、髪を一つに束ね、お団子にしていた

 

ライト「…あれ、そういえば叔父さんは?」

メグ「向こうで型抜きやってるって、最高難易度クリアするまで帰って来ないってさ」

ライト「…そ、そうか…」

叔父さんもある意味楽しんでるみたいだ

 

すると、夜空が急に光り出した

まるで、花が咲いたように

 

メガミ「なな!なんですか!?」

ライト「落ち着いて!花火だよ、花火」

メガミ「花火?」

ライト「夏祭りのフィナーレには、必ずと言っていいほど花火っていう行事があるんだ。火が花のように広がるから、花火」

メガミ「……綺麗です」

ライト「…だろ?こういう時に言う言葉があるんだよな」

メガミ「…なんですか?それ」

俺は耳打ちをしてメガミに教える

メガミは理解した上で、俺に一緒に言って欲しいと言った

俺は承知したところで、口の前に両手を添えて2人で叫んだ

 

ライト・メガミ「「たーまーやー!!」」

 

             *

 

メガミ「…こんなものもあるんですね」

ライト「あぁ、これも、あれと見比べると目移りするが、綺麗だろ?」

メガミ「……はい」

メガミは俺を見ながら笑顔で言った

 

メグ「これもお父さんが景品で取ってくれたおかげだね!」

カズマ「もちろん!僕に型抜けられないものはないからね!」

型抜きの景品で手持ち花火セットを獲得した叔父さん

花火大会終了後、俺達の元に来てこれをやろうと言ってきた

 

メガミ「……」

ライト「…線香花火は、揺らすと芯の部分が落ちちゃうから気をつけてな」

メガミ「…は、はい」

しかし、集中したのも束の間

線香花火は地面に落ちて消えてしまった

 

メガミ「あっ…」

ライト「…はっは!ドンマイ!メガミ」

メガミ「……私、未来に帰ったら、皆さんから忘れ去られてしまうのでしょうか…」

ライト「…え?」

メガミ「…この花火のように、いずれは消える存在です。だったら私は…今のままがいい…」

ライト「……それは違うよ」

メガミ「…え?」

俺は線香花火に火をつけた

 

ライト「…確かに俺達は、いずれ別れる運命なのかもしれない。でも、今っていうかけがえのない時間を過ごせば、その思い出は消えない。この花火みたいに、今、この瞬間を楽しむんだ。そうすればきっと、この時の思い出は決して消えない。もしこの花火が消えても、俺は必ず、この花火の輝きを忘れることは無いよ」

線香花火は全ての火薬を使い果たし、消えていった

 

ライト「……一瞬で咲いて、儚く散る。でもその記憶は、いつも心に残るものさ」

メガミ「…ライトさん…」

カズマ「おーい2人とも!」

メグ「もうすぐ帰るってよ〜!」

メガミ「はーい!ライトさん…」

ライト「…だから、忘れる前に言っておきたい」

メガミ「え?」

立ち上がるメガミを、俺は引き止めた

 

ずっと言えてなかった、あの言葉を言う為に

 

ライト「……あのさ、ずっと言えなかったけど…」

メガミ「…っ」

ライト「……今日着てた水着、とか、その浴衣とか、すっげぇ可愛いよ」

メガミ「………え?」

ライト「…あ、やっぱ無し!今のなし!忘れて!」

俺は自然と顔が暑くなり、そっぽを向いた

 

メガミ「……ぷっ」

ライト「……」

メガミ「ふふふふ」

ライト「…わ、笑うなよ…」

メガミ「…ライトさんがそんな風になるの、初めて見ました」

ライト「…なんか、照れくさくて…」

メガミ「…はい、ありがとうございます。でも…」

ライト「……」

メガミ「今の言葉、絶対に忘れません!」

ライト「えぇ!?ちょっとメガミ!!」

メガミ「ライトさんが言ったんですよ?今を忘れることはないって」

ライト「そうだけど!今だけは違う!忘れて!」

メガミ「忘れませーん…ふふふ!」

ライト「あ!メガミ!ちょっと待てよ!」

走り去るメガミを追いかける俺

振り返った彼女は、最高の笑顔を浮かべていた

 

おまけ編① おわり




本編とは何ら関係の無い話を入れてみました
どちらかといえばラブコメ要素を入れたかった
メガミに水着や浴衣を着て欲しかった
ライトに照れさせたかった
ってのが本音

今後もこういうおまけがあるかもです
これからも宜しくお願い致します  By キャメル16世


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第三十九話「二人の愛!ライト、決死の告白!」

前回のあらすじ

仮面ライダーデビルとの戦いの中で、ライトはスピアーフォルムへと進化!
ダルスも超本気の姿へと進化するが、デビルの悪夢の攻撃が勃発する

しかし、デビルの悪夢を乗り越え、反撃に挑むライト達であったが…

ブラインに捕らえられたメガミは、ブラインの手によりメガストーンにされてしまった…

そして!そのメガストーンで、ブラインは仮面ライダーサマエルへと進化した!



ブライン「崇めよ!讃えよ!我こそが!この世界の全知全能の神!仮面ライダーサマエルだ!」

仮面ライダーサマエルへと変身を遂げたブラインは、俺達を見下した

 

ライト「……くっ…よくも…メガミを…」

 

メガミが、死んだ

 

守れなかった

 

救えなかった

 

よくも……

 

ライト「……お前だけは…絶対に許さない!!」

ブライン「……ふっ」

ライト「……変身っ!」

俺は再び仮面ライダーへと変身し、サマエルを見据える

 

ライト「はぁぁぁぁ!」

無闇に突っ込んだ俺

殴り掛かるも、目にも留まらぬ速さで反撃された

 

ライト「ぐわっ!」

ブライン「ふははは!その程度か?」

ライト「…くそっ!」

ダルス「落ち着け!波山ライト!」

俺に声をかけるダルス

 

ライト「うるさいっ!」

しかし、俺はその声を無視した

 

ライト「あいつは俺を怒らせた!何がなんでも!俺があいつを倒す!」

俺の懐が光る

メガストーンが飛び出し、俺はそれを思いっきり掴む

 

セット!

メガシンカ!ヘンシーン!

 

ライト「フォルムチェンジ!」

 

ギャラドス!

ギャラ!ドス!ドスドス!ギャラドス!

 

俺の体はみるみる変化し、巨大魚のような見た目となる

背中には大きな2つの背鰭があり、額からは3つに枝分かれした黒い角が生える

全身は青と赤の硬いアームが装着され、腰には黄色いマントが着いた

手には巨大魚を彷彿とさせる顔面が着いている槍のようなものを持っており、白い髭がとぐろを巻くように持ち手部分に巻きついている

矛先は3つに別れていて、黒い

名付けて、《ギャラドストライデント》

 

ライト「激怒の戦士!仮面ライダーバーサ!ギャラドスフォルム!」

ダルス「……怒りの力で進化したか…しかし…」

ブライン「……」

ライト「……うぉぉぉお!」

俺は《ギャラドストライデント》を構え、ブラインに突撃する

 

ブライン「…ふっ!」

それをまるでたかったハエを払うかのように、俺をなぎ倒した

 

ライト「がっ!」

ブライン「…今のお前のその様子では私には勝てない」

ライト「舐めるな!アクアテール!」

俺は《ギャラドストライデント》に水のオーラを纏わせ、ぶん回しながらブラインに攻撃しようとした

 

ブライン「ふっ、甘いな」

ブラインは《ギャラドストライデント》を掴み、止めた

 

ライト「…っ!」

ブライン「……ふんっ!」

ブラインは右手に悪のオーラを纏わせ、俺の胸にパンチした

 

ライト「だぁぁ!」

吹き飛ばされる俺、地面に仰向けで伏せていた

 

ライト「……くっ」

ブライン「…どうした?私を倒すのではなかったのか?」

ライト「…くっ……あぁぁぁあ!」

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

ギャラドス!

オーシャンストリーム!

 

ライト「オーシャンストリーム!」

俺が飛び立つと、下半身が魚のように変化

さらに身体全体が水に覆われる

尾ビレを使い、泳ぎながら水の軌道をブラインを囲うように作り上げる

 

ブライン「……っ」

ライト「はぁぁぁぁあ!」

最後に上から大量の水と一緒に、《ギャラドストライデント》をブラインに向けて放つ

攻撃は見事に命中し、確かに攻撃は成功した

 

ライト「よしっ」

しかし…

 

ブライン「いやしのはどう」

ブラインは自身を癒しのベールに包むと、あっという間に先程の傷が癒えた

 

ライト「…な、何…」

ブライン「…私はアリスの力を使う事が出来る…貴様の攻撃など効かん!」

ライト「……っ」

ブライン「どうだ?これで私は不死身も同然、貴様の攻撃など!痛くも痒くもないのだ!」

ライト「…ぐっ!」

超高速で俺の首を掴み、後ろにあった木に叩きつける

 

ライト「がはっ!」

ブライン「貴様もすぐに、あの娘の元に送ってやろう…」

ライト「…っ!」

ブラインは《デビルドライバー》の上部のボタンを押し込んだ

 

Samael! Special Move !

Samael Finish !!

 

ブラインは全身に悪のオーラを纏わせ、それを右手に集中させる

 

ブライン「…はぁっ!」

ライト「がっ!」

悪のオーラを、一気に俺の体内へと流し込んでくるブライン

それに伝導して、後ろの木から発火現象が起き、燃え盛る

 

ライト「がぁぁぁあ!」

ブライン「…ふふははは…ふはははははは!」

ライト「がぁぁぁあ!あぁぁぁあ!」

最後に全身に衝撃が走り、俺は変身が解けてしまい、意識を失ってしまった

 

             *

 

気付いたら、俺は病院のベッドの上にいた

 

目が覚めた時には、もう次の日の朝だった

 

ダルス「……起きたか」

ライト「……ダルス…」

ダルス「…命に別状は無いそうだ。俺の応急処置が効いて良かった」

ライト「……ブラインは?」

ダルス「……あの後…」

 

 

ライト「……」

ブライン「…くくくっ…ふはははははは!」

ダルス「……」

ブライン「…さぁ、次はお前の番だ、ダルス」

ダルス「……っ!」

ブライン「ふふふ……ん?」

ブラインが気が付くと、変身が解け、《デビルドライバー》から《メガミストーン》が飛び出した

 

ブライン「…ふぅ、まだ力のコントロールが出来ていないか…ダルスよ、お前はいずれ死ぬ事になるだろう…私の手によってな…」

ブラインはそう言うと、一瞬にして消え去った

 

ダルス「……っ」

俺は波山ライトの元に駆け寄り、脈を確認した

……

弱っているが、微かに残っている

こいつはまだ生きている

俺は応急処置を済ませ、病院へ運ぶ為に抱え込む

 

ダルス「……?」

俺はそこに落ちていたとある石を見つけた

虹色のような、色々のような、まるでプラチナのような輝きをしていた

俺はそれを拾うと、急いで病院へと向かった

 

 

ダルス「……それがこれだ」

ダルスは右手に収まっているメガストーンを取り出し、俺に見せた

 

ライト「……これは…」

ダルス「…あの女の一部だろう」

そう、メガミが死んだ時、2つのメガストーンが残っていた

それは《タブンネナイト》と《サーナイトナイト》ではなく、これと、《メガミストーン》だったのだ

 

ライト「…これは、メガミなのか?」

ダルス「…分からない…だが、生きていない事は確かだ…」

ライト「……そうか…」

ダルス「……っ!」

ダルスに着信が入る

 

ダルス「…なんだ」

アマモ『ダルス!そっちで何やってんの!?』

ダルス「…どうした、アマモ」

アマモ『どうしたもこうしたも無いよ!今未来が大変な事になってんの!?』

ダルス「…何?」

アマモ『ポケヤミーとは違う、なんか悪魔みたいな奴らがうじゃうじゃといるんだよ!』

ダルス「…どういう事だ…まさか、あいつが過去への介入を果たしたせいで、未来に干渉が生じてしまったのか!?」

ライト「…どういう意味だ?」

ダルス「…あいつがこの時代に来たことによって、そして、仮面ライダーサマエルへと進化を遂げたことによって、未来は、あいつによって支配された、という事だ」

ライト「何っ!?」

ダルス「…アマモ、すぐにそちらに向かう。足止めを頼んだぞ!」

アマモ『今やってるよ!』

ダルス「…波山ライト、俺は一度未来へと帰る。しかし、ブラインはまだこの時代にいる。お前に、あいつを止められるか?」

ライト「…わかんねぇよ、もう」

ダルス「……」

アマモ『ダルス!早く!』

ダルス「……波山ライト、お前が、お前を信じないでどうする?」

ライト「…え?」

ダルスは走り去り、病室を後にした

 

ライト「……」

1人になった俺は、窓の外を見ていた

ヒマワキシティでは、今も消火活動が続いている

 

カズマ「ライト!」

メグ「ライト君!」

俺の病室に走り込んできた叔父さんとメグ

 

何があったのかと、叔父さんに聞かれた

俺は全てを話した

 

カズマ「…そんな…メガミが…」

メグ「……メガミちゃん…」

ライト「……ごめん、俺が力不足のせいで…」

カズマ「…ライトは、悪くない」

メグ「そうだよ…自分を責めないで…」

ライト「……」

俺は頭を静かに横に振った

 

俺は、正直絶望していた

 

 

夜、俺は病院を抜け出し、どこかの公園のベンチに座っていた

 

ライト「……はぁ…」

すると、前方から誰かが歩いてくる気配がした

 

レン「……」

ライト「……レン…」

レン「…こんなところで油を売っているとはなぁ…」

レンはレジェンドライバーを構えながら向かってきた

 

ライト「…丁度いい、ここで殺してくれ」

レン「……っ」

俺がそう言うと、レンは立ち止まった

 

レン「……ここで決着をつけようと思ったが、お前がその様子じゃ、倒そうにも倒せん」

ライト「……」

レン「……何があった」

ライト「……メガミが………死んだ」

レン「…っ!?」

ライト「……守れなかった…」

レン「…相手は?」

ライト「……未来から来た、ブラインって奴で、メガミの父親だ」

レン「……そうか」

レンはそう言うと、体の向きを変え、歩き出した

 

ライト「何処に行くんだ?」

レン「…決まっている、そいつの元だ」

ライト「……でも、あいつは…」

レン「…強いんだろうな、だが、関係ない」

ライト「……」

レン「…俺は俺の道を行く、俺が潰したいものは、何がなんでもぶっ潰す!」

ライト「……レン…」

レン「…貴様は、悔しくないのか?」

ライト「……悔しいさ…めちゃくちゃ悔しいさ!」

俺はベンチに拳を叩き付けた

 

ライト「……でも…怖いんだ……死ぬのが…」

レン「……」

レンは俺の左頬を殴った

 

ライト「…っ!」

レン「…貴様の覚悟はその程度か!!」

ライト「……っ」

レン「…俺は戦う、死を背負ってもな…」

レンはそのまま歩いて行ってしまった

 

ライト「……」

俺はダルスから預かったメガストーンを見つめた

 

ライト「……メガミ…」

俺は一体、どうすれば…

 

「…私は…」

 

ライト「……」

 

「本当は自由になりたかっただけなのかもしれません…」

 

ライト「……自由に…」

俺の中で、何かが変わったのが分かった

 

             *

 

ブライン「ふはははははは!この力も完全に使いこなした!今の私に!勝てる者などいない!」

レン「…そいつはどうかな?」

ブライン「…何者だ?」

レン「…名乗る必要な無い…変身っ」

仮面ライダーレジェンへと変身した俺

 

ブライン「…そうか、確かに名乗る必要など無い。今から貴様は死ぬのだからな!」

黒いオーラを飛ばしてくるブライン

 

地面がえぐられる中、俺はブラインに向かって走って行った

 

レン「サイコカッター!」

ブライン「ふっ、そんな攻撃など効かん!」

レン「…だろうな、だったら!はどうだん!」

俺は連続ではどうだんを打つ

不規則に向かうはどうだんはブラインを翻弄していた

 

ブライン「ふっ、はっ!」

レン「サイコキネシス!」

俺はそのはどうだんをサイコキネシスでブラインに手繰り寄せた

 

レン「…よし」

ブライン「…ふははっ…この程度か?」

レン「…やはり、タダでは行かないか…」

メグ「お兄ちゃん!」

レン「…メグ」

メグ「私も行くよ!変身!」

レン「……よし、一気に決めるぞ」

メグ「うん!」

 

リード!

レジェンド!ヒッサーツッ!

ミュウツー!

ジーンディストラクション!

 

リード!

レジェンド!ヒッサーツッ!

ディアンシー!

グラビティオペレーション!

 

レン「ジーンディストラクション!」

メグ「グラビティオペレーション!」

レン「はっ!」

メグ「ふっ!」

俺は高く飛び上がり、メグはブラインに向かって手を添え、重力を操作する

 

ブライン「ぬっ!…ふははっ!いいぞ!もっと来い!」

レン「はぁぁ!」

紫のオーラを纏い、ブラインにキックを放つ

 

レン「……っ!」

 

Samael! Special Move !

Samael Finish !!

 

ブライン「ふははは!…はぁっ!」

レン「ぬわっ!」

メグ「きゃぁっ!」

ブラインの後ろ回し蹴り攻撃と、その衝撃波により、俺とメグは変身が解けてしまった

 

レン「……くっ」

メグ「……っ」

ブライン「…はぁ、つまらん。実につまらん」

レン「…くっ…貴様…絶対に…許さん…」

メグ「……お兄ちゃん…」

レン「……」

メグ「……もしかして、あの人の事、考えてるの?」

レン「…うるさい、俺はもう、あの日のような事は繰り返させない。俺は屈しない!」

メグ「……お兄ちゃん…」

ブライン「…ふっ!これで私の邪魔をする者はいない。この世界を、思う存分楽しんでやる!……この世界は!私のモノだ!」

空に向かって高々と叫ぶブライン

 

ライト「……そうはさせるか!」

すると、向こうから歩いてくるあいつの姿があった

 

ブライン「……貴様、生きていたのか…」

ライト「……俺は正直、死ぬのが怖いよ」

ブライン「……」

ライト「…だけどな、死ぬのが怖いから、痛みがわかるから、皆を守りたいって思うんだ!」

レン「……」

ライト「…俺は生きる!…もっと!自由に生きてみせる!」

ブライン「……」

ライト「…それに、失って始めて気付いた。この大切な気持ちに…」

ライトは右手の中に入っていたメガストーンを見つめる

白金のような、虹色のメガストーン

 

ライト「たとえ俺が間違った選択をしたとしても!俺は、後悔しない生き方をするだけだ!…だから言うよ……メガミ!俺は!お前の事が!……お前の事を、家族のように思ってるぞぉ!!」

レン「……」

メグ「……え、えぇ〜」

ライト「……メガミ、一緒にあいつを倒そう!」

すると、メガストーンが光りだし、ライトの全身をくるくると回る

 

そして、メガリングのキーストーンに触れると、そこから眩い光が立ち上り、光が止むと、真っ黒だったはずのメガリングが、真っ白になっていた

 

ライト「…メガミの力を、魂を宿したメガリング、その名も!《メガミリング》!」

ネーミングセンスはともかく、ライトは意気揚々と言った

 

ブライン「…まさか、そちらの方にはアリスの魂が微かに残っていたのか…?」

ライト「……メガミの夢は!俺が受け継ぐ!…その前に!あんたを倒す!」

俺は《バシャーモナイト》をメガドライバーにセットした

 

セット!

メガシンカ!ヘンシーン!

 

ライト「……変身っ!」

 

ライトは《メガミリング》の《メガミキーストーン》を押し込んだ

 

バシャーモ!

エンゼル! フュージョン!

燃える癒し! 自由の戦士! 異色のコンビ!

フューチャリング!バ〜サ〜!

 

仮面ライダーバーサの面影を残しつつ、全身の羽毛が白色に、赤色の部分は多少残っていて、黄色い線も入っている

腰からは白いマントが付く

まるで自由の女神のようだった

 

ライト「自由の戦士!仮面ライダー!フューチャリングバーサ!」

ブライン「……っ」

ライト「…俺が皆を、癒してみせる!」

仮面ライダーフューチャリングバーサが、ここに誕生した

 

             *

 

ライト「……」

ブライン「……」

ライト「……はぁぁぁあ!」

ブライン「…はぁぁぁあ!」

互いにぶつかり合う俺達

さながらそれは、天使と悪魔の戦いだった

 

ブライン「波山ライト!貴様はつくづく私の気に障る男だな!」

ライト「俺はただ…守りたい物を守りたいだけだ!」

ブライン「ぐはっ!」

少しながら、俺が押している

 

ライト「ほのうのパンチ!」

俺は両腕に炎を宿し、ブラインに向かう

 

ブライン「あくのはどう」

ブラインも両腕に悪のオーラを纏い、俺に向かってくる

 

ライト「はぁぁ!」

ブライン「はぁぁあ!」

拳がぶつかり合う

そして、互いに弾き合う

 

ライト「くっ!ブレイズキック!」

俺は今度は両足に炎を宿し、蹴り技を連続で繰り出す

 

ブライン「ふんっ!」

ブラインは押されながらもガードしていた

 

ライト「チャームボイス!」

ブライン「ハイパーボイス!」

衝撃波がぶつかり合う

 

俺もメガミの力を使うことが出来る

 

ライト「はぁぁ!」

ブライン「ぬっ!」

押し負けたブライン

 

ブライン「…な、何故だ!なぜ神である私が!こんな男ごときにぃ!」

ライト「…あんたは神でもなんでもない!ただの独裁者だ!」

ブライン「…神に!逆らうなぁ!」

ブラインは《デビルドライバー》の上部のボタンを押し込む

 

Samael! Special Move !

Samael Finish !!

 

ライト「…っ!」

 

メガミ、見ていてくれ

 

俺は《メガミキーストーン》を2回押し込む

 

フューチャリング!ヒッサーツッ!

バシャーモ!

エンゼルフューチャリングフィニッシュ!

 

ブライン「サマエルフィニッシュ!」

ライト「エンゼルフューチャリングフィニッシュ!」

俺とブラインは高く飛び上がり、ブラインは漆黒の翼を広げキックを放ち、俺は純白の翼2枚と、紅色の翼2枚、合計4枚の翼を広げ、ブラインにキックを放つ

 

ライト「はぁぁぁぁあ!」

ブライン「ふぉぁぁぁあ!」

ライト「……悪意に満ちたあんたは、愛情ってもんを知らないだろ…」

ブライン「…あ、愛情…だとぉ!?」

ライト「…あぁそうだ!…これが!俺達の(ちから)だ!はぁぁ!」

最後には、俺がブラインの胸を突っ切り、ブラインは変身が解け地面に落下した

俺も変身を解き、地面に着地した

 

ブライン「ぐわぁぁあ!」

ライト「……はぁ…はぁ」

ブライン「……」

地面に仰向けになるブライン

 

ブライン「…かハッ…はは…ははははは」

ライト「…はぁ…はぁ…」

ブライン「…ようやく、目が覚めたようだよ」

ライト「……っ」

俺はブラインを見る

ブラインは何かが吹っ切れたように、清々しい表情だった

 

ブライン「…私は、力が欲しかった。絶対なる力が」

ライト「……」

ブライン「…しかし、結果的に私は、悪魔に魂を売ってしまったようだ」

ライト「……」

ブライン「……そのせいで、アリスまで…」

ライト「……罪は消せない、今更後悔したって、メガミは帰ってこない」

ブライン「……そうとも限らない」

起き上がるブライン

手には《メガミストーン》が握られていた

 

ブライン「元々《メガミストーン》と、《メガミキーストーン》はアリスの一部だ、その2つをそのドライバーにセットすれば、奇跡が起こるかもしれん」

すると、ブラインは淡い光を発し始めた

 

ライト「…っ!」

ブライン「…私も、とうとうあの世に行くらしい」

ライト「……」

ブライン「……ライト君よ」

ライト「……」

ブライン「……もし、アリスが戻ったら、こう伝えてくれ…「愛してる」と…」

ライト「……ブライン…」

ブライン「…娘を、そして、この世界を頼んだぞ…」

そう言うと、ブラインは淡い光に包まれて消えてしまった

 

ライト「………」

レン「……」

メグ「ライト君!」

ライト「…ありがとう、2人が足止めしてくれたおかげで、俺も覚悟が出来たよ」

レン「……ふっ!」

レンはそのまま歩き出した

 

ライト「……レン!」

レン「……」

ライト「……次会ったら、絶対決着付けような!」

レン「……」

レンは頷くことも無く歩いて行ってしまった

 

メグ「お兄ちゃんなら大丈夫だよ、それより!」

ライト「……あぁ」

俺はメガドライバーに、《メガミストーン》をセットした

 

セット!

メガシンカ!ヘンシーン!

 

ライト「……メガミ、戻って来てくれ」

 

俺は《メガミキーストーン》を強く押し込んだ

 

スペシャル!

エンゼル!フュージョン!

スペシャル!ラーイズ!

 

本当にこれで何かが起こるのだろうか

 

ライト「…っ!」

メグ「っ!」

《メガミストーン》、そして《メガミキーストーン》が強く光りだし、俺達の斜め上のところに移動した

 

まるで磁石のように2つがくっ付くと、光が人の形を作った

白に光るそのシルエットは、正しく…

 

その人影はゆっくりと地面に降り立ち

光が晴れた

 

メガミは目を閉じていたが、やがて目を開き、俺達を見た

 

ライト「…メガミ」

メガミ「…ライトさん…私は、一体…」

ライト「……メガミっ!」

俺は思わずメガミを抱き寄せた

 

ライト「……」

メガミ「えっ!?ちょっ…ライトさん!?」

ライト「……おかえり!」

メガミ「……はい…た、ただいま…?」

メグ「……くふっ…もぉ、ライト君!メガミちゃんが困ってるでしょっ!」

ライト「…あ、あぁ…そうだな…」

俺はメガミの背中に回していた腕を解いた

 

メガミは困惑の表情を浮かべていたが、やがて笑顔になった

 

 

レン「……ふっ」

ことの経緯を見守り、俺はアクア団のアジトに戻る事にした

しかし、アクア団アジトであんな事が起きていたなんて…

 

             *

 

アオギリ「……」

あの日から、3日が経った

 

アオギリ「……っ」

俺もやっと、覚悟が出来たぜ

 

椅子から勢いよく立ち上がり、部屋のドアを開ける

 

イズミ「…っ!」

外にはイズミがいた

壁によりかかり、俺を見て驚いていた

 

イズミ「アオギリっ!」

アオギリ「……イズミ…始めるぞ…」

俺の右手には、「あいいろのたま」が握られていた

 

 

マツブサ「……さぁ、終わらせようか」

カガリ「……?」

マグマ団アジトにて自身の部屋に座っている私

私は、まるで何かを待っていたかのように発した

カガリは不思議そうに見ている

 

マツブサ「……」

私の手元には、「べにいろのたま」が置かれていた

 

 

マツブサ「…全てを」

アオギリ「…全てを」

 

To be continued




次回予告

アクア団とマグマ団!いよいよ最後の戦いが始まる!
伝説のポケモン!カイオーガとグラードンの真実とは!?

レンとの最終決戦!勝つのはどっちだ!?

第四十話「大戦の幕開け」


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第四十話「大戦の幕開け」

前回のあらすじ

仮面ライダーサマエルへと進化したブラインはライト達を圧倒し、ライトを瀕死に追い込む

しかし、2人の愛情が、ライトを進化させる
仮面ライダーフューチャリングバーサへと進化し、ブラインを圧倒する

《メガミストーン》と、《メガミキーストーン》をメガドライバーで使うと、メガミは肉体をもどし、生き返った!

一方、アクア団アジトやマグマ団アジトでは、アオギリとマツブサが動き出そうとしていた…



メガミ「…そう、ですか…お父様が…」

ライト「…ブラインは言ってた、メガミを愛してるって」

メガミ「…そうですか…私、てっきりお父様に嫌われたと思っていました」

ライト「……」

ブラインを倒した後、俺はメガミに事の全てを話した

メガミは静かに俺の話を聞いていた

 

メガミ「…それにしても…どうしてお父様は、あんな風になってしまったのでしょうか…」

ダルス「それはあのドライバーのせいだろう」

突如、後ろからダルスの声がした

 

ライト「ダルス!お前、いつ未来から帰ったんだ?」

ダルス「ついさっきだ、ちなみに「未来から来た」だがな。お前がブラインを撃退したことにより、未来に対する干渉も無くなり、世界は元に戻った。まぁ、ポケヤミーは相変わず徘徊しているがな」

ライト「…でも、俺はブラインを殺してしまった」

ダルス「それがあいつの運命だったのだろう」

メガミ「…ところであのドライバーって、《デビルドライバー》の事?」

ダルス「あぁ、《デビルドライバー》とは、自身にある悪意を増幅、力に変換する物だ。しかし、ブラインはその悪意をコントロールする事が出来なかったのだろう…未来であいつがドライバーの実験を行ったことにより、性格が一変した」

ライト「…それにしても、なんでこの時代に来たんだ?」

ダルス「…きっと性格が変わったとしても、娘に会いたかったのだろう。本能的にな」

ライト「……」

メガミ「…お父様…」

ダルス「…父親が死んで悲しいか?」

メガミ「…分からない…悲しいような、嬉しいような」

ライト「…嬉しい?」

メガミ「……私は、今までお父様に縛られて生きてきました…お父様の言う事は絶対。でもこの時代に来て、そうじゃないんだと、確信しました。もっと、自由にいていいのだと…」

ライト「……」

メガミ「…でもやっぱり…悲しいのかもしれませんね」

メガミは寂しそうな顔で俺を見た

 

ダルス「…誰だって、身内が死ねば悲しむものだろう」

メガミ「…あなたは家族すら犠牲の範疇でしょ?」

ダルス「…犠牲の範疇と言っても、死ねば悲しいものさ」

メガミ「……どうだか…」

ライト「……まぁまぁ、とにかく!メガミが戻って来てくれて本当に良かった!未来も元に戻って本当に良かった!今回の戦いは俺達の勝ち!ってことでいいだろ?」

俺は身体の前に拳を突き出した

 

メガミ「……そうですね、私達の勝利です!」

メガミは俺の拳に自分の拳を当てた

 

ダルス「……ふっ…そうだな」

ダルスは軽く俺の拳にタッチした

 

メグ「あぁ〜!私を仲間外れにしないでよぉ〜!」

買い物から帰ったメグは急いでそこに拳を当てた

 

ライト「……次は、レンか…」

メガミ「そうですね、アクア団が厄介ですが…」

メグ「…うん、でも私は信じてるよ!お兄ちゃんなら帰ってくるって」

ライト「…そうだな、今はそれを信じて頑張ろう!」

メグ・メガミ「「おぉ〜!」」

メグ「……ところで、今何の話してたの?」

ダルス「……帰るとするか…」

カズマ「…ライトぉ!」

すると、叔父さんがドアを勢いよく開けた

 

ライト「…叔父さん…どうしたの?」

カズマ「……マグマ団が…動き出したぞ!」

ライト「…っ!」

 

             *

 

俺達が部屋から出ると、マグマ団員達が列を作りながら走っていた

何かの準備をしているようだ

 

俺達は急いでマツブサの元を訪れた

 

マツブサ「……」

マツブサは自身の部屋の窓から海を眺めていた

 

ライト「…やるのか?遂に…」

マツブサ「……今更止めるつもりか?」

マツブサはゆっくりと振り返った

 

ライト「……あぁ、なんとしてでも止めてみせるさ、あんたの野望」

マツブサ「……前にも言ったが、私を止めたところでアオギリが自身の野望を叶えるぞ」

メガミ「…それなら、私達が止めます!」

メグ「そうだよ!」

メガミとメグが食い気味に言う

 

マツブサ「……いいや、お前達如きが私達を止められる筈がない」

ライト「…そんなの、やってみなくちゃ分かんねぇだろ」

マツブサ「…綺麗事だな、ならば競うとしよう。お前達が世界を救うか、それとも、私が世界を終わらせるか…」

ライト「……絶対に勝つっ!」

マツブサ「…ならば、海底洞窟に行くがいい…だが、場所はアオギリが知っている。知りたかったら奴の所に行くんだな……まぁそれも、ここから出られたらの話だけどな…」

ライト「……っ!」

すると、マグマ団員達が一斉に部屋に入って来た

カガリとホムラが先頭に立つ

 

ホムラ「ウヒョヒョ!俺達の邪魔をする奴は!誰であろうと許さないぜぇ!?」

カガリ「……デリートします」

すると、そこにいたホムラとカガリを含む全てのマグマ団員が真っ赤なデバイスを取り出し、左腕に装着した

 

ライト「…っ!」

 

グランドライザー!

 

ホムラ「…ここはひとつ、大人の恐ろしさを教えてやる!」

マグマ団員はそこに黄色と黄緑のメガストーンを装填し、ホムラとカガリはオレンジと灰色のメガストーンを装填した

 

マグマ団員「「「「変身!」」」」

ホムラ「変身!」

カガリ「…変身」

 

全員がデバイスの傾いていた部分を垂直になるように動かす

 

グランドラーイズ!

ドンメル! バクーダ!

We are ! Team MAGMA!!

 

マグマ団員達は全身が黄色と黄緑のアーマーに覆われ、機械兵士のような見た目になる

ホムラとカガリもオレンジ色の機械兵士のような見た目になり、腕には大きなグローブをはめていた

 

マツブサ「これは我々が開発した《グランドライザー》。さぁ、グランドトルーパー達よ、世界を終わりへと導くのだ!」

ホムラ「リーダーマツブサの仰せのままに!!」

カガリ「……」

ライト「…くっ!変身!」

メグ「変身!」

メガミ「変身!」

俺達も仮面ライダーへと変身し、カガリ達の相手をしながら別の場所へと移動する

 

マツブサ「……」

 

             *

 

ライト「はぁぁ!」

カガリ「…ふんっ!」

ライト「なっ!」

かなり低い位置の攻撃だが、避けられた

なんて柔軟性をしているんだ

それに…

 

カガリ「…ふっ!」

ライト「くっ!」

物凄いパンチだ

 

ライト「くっ!…ほのうのパンチ!」

カガリ「…だいちのちから」

地面から化石が埋め込まれた岩が飛び出し、カガリの腕にくっ付く

それを構えて俺の攻撃を受け止めた

 

ライト「…なっ!」

カガリ「……ふっ!」

振り下ろしたパンチは強烈だった

 

 

ホムラ「ははぁ!さぁ来い!」

メガミ「やぁっ!」

メグ「はっ!」

ホムラ「ウヒョヒョ!か弱いチルドレンだなぁ!そんな攻撃では、俺は倒せんぞ!!」

メグ「くっ!…メガミちゃん…こいつ意外と強いよ…」

メガミ「…はい…そのようですね」

ホムラ「…行け!我が軍団!」

マグマ団員「「「「うぉぉぉ!」」」」

無数のマグマ団員が攻めてくる

 

メグ「…メガミちゃん…一か八か、やってみる?」

メガミ「…この状況を打開出来るのなら…」

メグ「おっけぃ!じゃあ、私に付いてきてね!」

メガミ「…はい!」

メグさんは黄色と黄緑のメガストーンを構え、ドライバーにセットした

 

ドロップ!

レジェンド!ヘンシーン!

 

メグ「フォルムチェンジ!」

 

ジラーチ!

ジージー!ジラ!ジラーチ!

 

メグさんの体は黄色い布のようなものに包まれ、頭部は星のようになり、緑色の短冊が3つ着いていた

体の布がはだけると白い体が顕になった

 

メグ「願望の戦士!仮面ライダービジオン!ジラーチフォルム!」

メグさんはジラーチフォルムへと進化した

 

メグ「メガミちゃん!私が力を貯めるから、その間時間稼ぎよろしく!」

メガミ「はい!」

メグ「コスモパワー!」

メガミ「ハイパーボイス!」

マグマ団員「ぐっ!」

メグ「コスモパワー!」

メガミ「チャームボイス!」

メグ「コスモパワー!」

メガミ「…どうですか?」

メグ「…よし!行くよ!はめつのねがい!」

メグさんの腹部にあった筋が開き、第3の目が開いた

そこにパワーが集中していく

 

メグ「…ぐっ…」

メガミ「…メグさん?」

メグ「…ごめんね、これ結構負担あるんだ…ほぼ自滅するみたいなもんだから、あとはよろしくね…」

メガミ「…わかりました!」

メグ「…うん、いい返事!……行けぇ!」

第3の目から青いビームが発射される

 

メグ「…くっ!はぁっ!」

マグマ団員「うわっ!」

ホムラ「くっ!」

マグマ団員達の目の前で大爆発が起こる

 

メグ「…ぐふっ…」

メガミ「お疲れ様です…行きますよ!」

変身が解除されたメグさんを、私は背負ってその場所を離れた

 

ホムラ「くっ!逃げたぞ!追え!」

 

 

カガリ「……ボクは…キミに興味が尽きないよ」

ライト「……え?」

カガリ「…教えてよ…どうしてキミ達は…リーダーマツブサの邪魔をするの?」

ライト「……それは…世界の皆を守る為に…!」

カガリ「ボク達は…人類の為に動いてるんだよ?…人類の進化……この世界には滅ぶべき文明だってある…そんなの…人類の進化の妨げになる」

ライト「……っ」

カガリ「…だからこそボク達は…世界を終わらせて…人類を新たなステージへと導こうと……」

ライト「それは違う!」

カガリ「…っ」

ライト「…人類は、誰かに促されて進化したわけじゃない!…人類が…人類であろうとしたから、進化したんだ!…それが人間という奇跡なんだ!…進化ってのは、そんな単純なものじゃない!」

カガリ「……っ……キミは…いつもそうだ…」

ライト「……?」

カガリ「…分からない…分からない……だからこそ…知りたい…キミを……もっとシリタイ!!」

カガリが襲いかかってくる

目が笑っていない笑顔を浮かべながら、俺に殴りかかって来た

 

ライト「…くっ!」

俺はそれを拳で受け止めた

 

カガリ「……キミ……ターゲットロック……したから…」

ライト「…っ!」

メガミ「ライトさん!」

メガミが駆けつけ、カガリは少し下がった

 

ライト「メガミっ!」

メガミ「ライトさん、逃げましょう!…彼等は、強いです!このままではライトさんまで怪我をしてしまいます!」

よく見ると、変身が解け、顔に痣を作ったメグがメガミに抱え込まれていた

 

ライト「…あぁ、でもカガリさんが…」

カガリ「いいよ……逃げても」

ライト「…え?」

カガリ「…でも…キミはボクから逃げる事は出来ないけどね…」

ライト「……行こう…」

俺は二人を抱え、[かそく]で遠くに走って行った

 

 

カガリ「……」

ホムラ「…はぁ、はぁ、くそっ!すばしっこいチルドレンだな!」

カガリ「…ボクも逃げられたよ」

ホムラ「…はぁ、リーダーマツブサになんと説明しようか…」

カガリ「でも大丈夫……カレは次期に来るよ…」

カガリは少しだけ笑っていた

 

             *

 

ライト「…まさか、マグマ団の連中が変身するとは…」

メガミ「これは予想外でしたね…」

メグ「はぁ…あんなにやられたの、久しぶりだよ…」

メガミ「…これからどうしましょうか…」

ライト「……あそこに戻ることは出来ない。であると…」

メグ「アクア団、だね?」

ライト「…うん、レンの事もだけど、海底洞窟って場所も気になる。なんかとても大事な場所な気がするんだ」

メガミ「…兎にも角にも、まずは皆さんの体を元に戻さないとっ」

ライト「あぁ、助かるよ」

俺はその後、叔父さんと連絡をとった

叔父さんはかろうじてマグマ団アジトを抜け出し、今は誰にもバレない場所に隠れているらしい

叔父さんが隠れたところで何も起こらんけど…

 

アクア団アジトらしき場所を見つけた俺達

 

メグ「…あの船は完全に海賊船意識してるよね」

ライト「…洞窟といい、船といい、アクア団はなんか分かりやすいよな」

そんな事を言いながら裏の入口を見つけ、中に潜入した

 

アクア団が動いている様子はまだなかった

 

ライト「……おかしい…」

メガミ「…何がですか?」

ライト「…静か過ぎる」

メグ「…確かに、誰一人として気配を感じない…」

ライト「……っ!」

 

突如、俺達の足元から火花が飛び散った

 

レン「…それは、もうここにアオギリがいないからだ」

ライト「……レン…」

振り返ると、レンが歩いてきていた

 

ウシオ「おぅほぅ!潰しがいがありそうだな!」

アクア団員「「「……」」」」

レンの横にウシオが立ち、後ろには大量のアクア団員

 

するとアクア団員とウシオは青いデバイスを右腕に装着した

 

オーシャンライザー!

 

アクア団員らそこに紺と赤のメガストーンを、ウシオは紺と黄色のメガストーンをセットした

 

アクア団員「「「変身!」」」

ウシオ「変身!」

デバイスの傾いていた部分を垂直に動かす

 

オーシャンラーイズ!

キバニア! サメハダー!

We are! Team AQUA!

 

アクア団員は紺と赤の海賊のような見た目に変化し、ウシオは紺と黄色の海賊のような見た目になり、腕からは白い牙が飛び出していた

 

レン「…変身」

レンも仮面ライダーレジェンへと変身した

 

ウシオ「我がオーシャントルーパーズの力を見ろ!」

ライト「こいつらも変身出来るのか!?」

メガミ「まずいですよ…もしマグマ団のような強さを持っていたら…」

メグ「さっきの二の舞だよ…」

ライト「……」

レン「……行け!」

アクア団員「「「うぉぉぉ!」」」

ウシオ「おぅほぅ!」

アクア団員達が攻めてくる

 

ライト「…くっ!変身!」

急いで俺達も変身する

施設の壁が破壊され、外で戦う形となった俺達

 

ウシオ「おぅほぅ!」

ライト「ほのうのパンチ!はっ!」

ウシオ「ふっ!効かぬわっ!」

ライト「くっ!…こいつ、みずタイプか?」

 

 

メガミ「……」

メグ「……」

背中を預け合う私達

 

メガミ「…メグさん…どうしますか?」

メグ「…どうするって…」

アクア団員「はぁっ!」

メガミ「…くっ!」

メグ「……そうだ!メガミちゃん!こいつらおびき寄せられる?」

メガミ「…え!?…はい!わかりました!」

私はメグさんの言われた通り、アクア団員をおびき寄せながらメグさんに着いて行った

 

 

ウシオ「あいつら…逃げる気か!そうはさせん!」

ライト「あ!ちょ!」

俺をすっぽかしてメガミ達を追いかけたウシオ

 

ライト「……っ」

レン「……」

残ったのは俺とレンだけだった

 

レン「……さぁ、決着を着けるぞ…」

ライト「…あぁ、俺も覚悟は決まってる!」

レン「……はあぁ!」

ライト「……はぁっ!」

互いに向かって走る

俺とレンは拳を振り探し、互いに互いの頬を殴る

 

ライト「…はっ!」

レン「ふっ!」

互いが互いの攻撃を受け止め合う

 

ライト「…はぁっ!」

レン「ぐはっ!」

わずかの隙間から、俺はレンの頬にパンチを喰らわした

 

ライト「……」

レン「……強くなったな…波山ライト…」

ライト「…いいや、俺もまだまだだ」

レン「…俺もだ」

今度はレンが俺の頬を殴った

 

ライト「がっ!」

レン「……俺はもっともっと強くなって、力を得る!」

ライト「……っ」

レン「…その為なら、あらゆる犠牲も拒まない!」

ライト「……だったら俺は…いかなる犠牲も出さずに、俺の夢を叶える…」

レン「……っ」

ライト「綺麗事かもしれないけど…でも!これが俺だ!」

俺は拳に炎を纏わせ、腹部に向かってパンチした

 

ライト「…っ!」

レンはそれを受け止め、俺に視線を送った

 

レン「くっ……強さこそが正義だ!だが…俺には正義も悪もない!…そこにあるのは…純粋な願いだけだ!」

ライト「がはっ!」

俺の顔面にパンチした

 

ライト「くっ…」

レン「……お前の夢なんてどうでもいい…今はただ…俺と戦え!」

レンが回し蹴りで攻撃してきた

俺はバク転しながら避ける

 

レン「…俺に集中しろ…」

ライト「……はぁぁぁあ!!」

俺は高く飛び上がる

 

ライト「ブレイズキック!」

レン「サイコカッター!」

振り下ろした足はサイコカッターの衝撃を受け、簡単に止められ、レンに掴まれた

 

ライト「くっ…」

レン「…はぁっ!」

ライト「うわっ!」

レンは俺をぶん回し、吹き飛ばした

 

ライト「…くっ!」

地面に転がる俺

 

レン「……はぁぁぁぁあ!」

 

             *

 

メガミ「…はぁ、はぁ…」

メグ「…こっちだよぉ〜!」

ウシオ「待てぇー!」

アクア団員をおびき寄せながら走る私達

 

メガミ「…メグさん…一体どこに向かうんですか?」

メグ「ふふーん、行けば分かるよ!」

メガミ「えぇ!?」

ウシオ「待てぇー!」

暫く走ったけど、一体どこに向かっているのやら…

でも、なんだか見覚えのある景色…

 

まさか……

 

メグ「気付いた?そう、そのまさかだよ!」

メガミ「…本当にやるんですか?私達もかなりリスクが高いですが…」

メグ「大丈夫!こいつらなら、何も考えずに…」

すると、大量の人影が私達の前にそびえ立った

 

ホムラ「ノコノコと戻って来たのか?欲しがりなチルドレンだな!」

メグ「やっぱり!メガミちゃん!こっち!」

メガミ「はい!」

私達はそこを離れた

そう、私達はマグマ団のアジトに向かって走っていたのだ

その目的は…

 

ホムラ「…ん?」

ウシオ「おぅほぅ!何処に行った!?」

ホムラ「なっ!?アクア団!?」

ウシオ「む?マグマ団!?」

ホムラ「お前達がここに何しに来た!」

ウシオ「さっきのガキを追ってきたんだ…だが丁度いい、ここでアクア団とマグマ団の決着を着けるとしよう…」

ホムラ「…面白い…我々が勝ったら、「あいいろのたま」を返してもらうぞ!」

ウシオ「それは残念!もうここには無い!」

ホムラ「…なら、貴様の命と交換だぁ!」

変身状態に変わったホムラとマグマ団員がアクア団に向かって攻めて行った

 

それはまるでこの間の風景を思い出させるが、そんな悠長な事を言っている暇ではない

 

私達は暫くその様子を見る事にした

 

             *

 

ライト「…本当の強さって、なんだと思う?」

レン「……何?」

ライト「俺はお前と別れて色々考えたんだ…レンが思う力って何なんだろうってな…」

レン「……」

ライト「…お前の強さの基準を…ずっと考えてた」

レン「……はっ!」

レンは俺に殴りかかって来た

 

レン「…な、何っ!?」

俺はそれをいとも簡単に受け止め、否した

 

ライト「…そして、やっと気付いたんだ…本当の強さに…」

レン「…くっ!」

レンはレジェンドライバーのレジェンスロットをスライドする

同時に側面のボタンを押す

 

レジェンド!ヒッサーツッ!

ジーンディストラクション

 

俺はキーストーンを2回押し込んだ

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

バーニング!ドライブ!

 

俺とレンは高く飛び上がり、キックを放つ

 

レン「はっ!」

ライト「はぁっ!」

レン「…くっ!…ぐはっ!…な、なぜだ!」

俺が押し切り、レンは地面に叩き落ちた

 

レン「…くっ…お前にとって、本当の強さとは何だ?」

ライト「…本当の強さとは、力が強い事じゃない…心が強い事だ!」

レン「…!?」

ライト「…メグも、メガミも、心が強いんだ…だからお前は、あの二人が強いと言った!…あの二人の強さに気付いていたから…」

レン「……」

ライト「…俺達も、強くなれる…何処までも、進化出来る!」

レン「……っ」

俺はレンの目をしっかりと見た

 

ライト「…だって、俺達は仮面ライダーだろ?」

レン「……っ」

ライト「…俺は、お前から敗北を知った…そして、強さを知った」

レン「……」

ライト「……今の俺があるのは、お前のおかげだ…ありがとう」

レン「……やめろ…」

ライト「…だからこそ言う、レン…俺と一緒に強くなろう。俺と共に来い!そうすれば、きっと強くなれる!」

レン「…やめろ…それ以上口を開くな!」

ライト「……っ!」

すると、マグマ団アジトの方向から、大きな爆発が見えた

 

ライト「…待ってるからな…レン」

レン「……」

俺はレンを置いてそこに向かって行った

 

メガミ「…ライトさん!」

ライト「メガミ!どうなってるんだ!?」

メガミ「マグマ団とアクア団が混戦しています…でもこのままでは、この街に影響が出そうで…」

ライト「…分かった、俺が停める!」

マグマ団アジトに到着した俺は、状況を把握した

 

ホムラ「…ぬ!?」

ウシオ「おぅほぅ!さっきのガキじゃねぇか!」

ライト「…もう辞めろ!これ以上争ったって何も変わらない!」

ホムラ「…いいや?変わるさ!アクア団を倒せば、マグマ団の時代が来る!」

ウシオ「それはこっちのセリフだ!」

ライト「……もういい…だったら、俺が両方共止める!」

ホムラ「やれるものならやってみろ!」

ウシオ「おぅほぅ!」

2人が俺に向かって走ってくる

俺は神経を集中させ、2人の攻撃を避け続けた

 

だが反対に…

 

ライト「ほのうのパンチ!」

ホムラ「…ふっ!」

ウシオ「…はは!」

俺の攻撃が効かない

 

ライト「うわっ!」

俺は吹き飛ばされ、変身が解けてしまった

 

ホムラ「ほらほら!さっきの威勢はどうした!」

ウシオ「そんな程度では、我々アクア団は倒せんぞ!」

ライト「…くそっ…」

大分まずい

このままじゃ、本当に世界が終わっちまう

 

ライト「……っ!」

俺は驚いた

以外にも、あいつが来たからだ

いや、だが信じていた

信じてたぞ…

 

レン「……」

レン……

 

ウシオ「おぅ?お前か、丁度いいあいつの相手を…ぶっ!」

生身のレンはウシオの顔面を殴った

 

レン「……ふっ!」

ホムラ「ぼふっ!」

ホムラの顔面も殴った

 

レン「……俺は、お前が何を言っているのか分からなかった…夢の大切さ、夢が持つ力、お前みたいな無神経で無鉄砲のやつの言うことが、俺には分からなかった」

ライト「……」

レンは俺に向かって話している、と思う

 

レン「…でも違った、分からかったんじゃない…理解しようとしてなかったんだ…お前の言う事に耳を傾けず、いつも自分の事しか考えてなかった…。でもお前は、夢の為とか言いながら、いつでも他人の事を考えていた…」

ライト「……レン…」

レン「…俺は大バカ野郎だ!…だが、お前と同じ類のバカだったなら、俺は拒まない。そんなバカを、俺は受け入れる」

ライト「……」

レン「…だから俺は、俺にしか出来ないことをする。もっと俺らしく生きる!力とか、強さとか、関係なく。お前と共に、未来を作りたい!」

ライト「……くっ…ふぅ…」

俺は立ち上がった

レンはそんな俺を見た

 

レン「……俺には夢がない…だが、夢を守る事は出来る…そして見つける、俺の夢を…」

ライト「……あぁ…」

レン「…生きとし生きる全ての命と、平和と、未来と、夢を守る!…それが俺、朝堂レン…又の名を…仮面ライダーレジェンだ!」

すると、レンの懐が光りだした

ミュウツーストーンと、あれは…

 

ライト「キーストーンコネクター?」

レン「…あの後、親父が俺に託したんだ、今のお前なら大丈夫だってな」

ライト「……そうか」

レン「…共に戦ってくれるか?相棒」

ライト「…あぁ!勿論だ!」

俺は自然と笑顔になる

レンも笑顔になった、初めて見る、素の笑顔だ

 

ウシオ「くそっ!貴様!よくも俺達を裏切ったな!」

ホムラ「これは死を持って償ってもらおう!」

ライト「…レン!」

レン「…あぁ、ライト!行くぞ!」

俺は《ホウオウストーン》を構える

レンはレジェンドライバーとキーストーンコネクターを構える

 

レジェンドライバー

 

レジェンドライバーを装着し、キーストーンコネクターのボタンを押し込む

 

キーストーンコネクター!

 

そして左側面にあった溝に、キーストーンコネクターの凸の部分をはめ込んだ

 

ドッキング!

 

ライト「行くぜ!ホウオウ!」

レン「…ミュウツー、俺と共に来い!」

 

セット!

レジェーンド!ライズ!

 

ドロップ!

レジェンド!メガ!ヘンシーン!

 

レンは右腕を前に出し、そして右側に動かした

 

ライト・レン「「…変身!!」」

 

ホウオウ!

The Phoenix mode!

Let’s KAMENRIDER!

 

ミュウツー! Y!

Dreams awaken me. Evolution!!

仮面ライダー!メガ!レージェーン!

 

ライト「黄金の戦士!仮面ライダーバーサ!フェニックスモード!」

俺はフェニックスモードへと変身した

 

レンの姿は、太い尻尾が消え、後頭部からそれとほぼ同様の形状をした触手状の器官が伸びている。

首にあった管もなくなったが、頭頂部の方にアーチ状の管が生じている。また、瞳の色が紫から赤に、指先が紫色に変化している

 

レン「覚醒の戦士!仮面ライダー!メガレジェン!Yモード!」

ここに、仮面ライダーメガレジェンが誕生した

 

ライト「…燃えるぜ!」

レン「…俺は、伝説となる!」

 

             *

 

マツブサ「……」

計画は順調だ

 

グラードン、そしてカイオーガ…

世界を終わらせる大戦が、いよいよ始まる…!

 

To be continued




次回予告

仮面ライダーメガレジェンへと進化したレン!
ライトと共に、マグマ団とアクア団を圧倒する!

しかし、海底洞窟では、大変な事が起こっていた!

ヒガナ「よくやったよ、君達…」

第四十一話「覚醒のレジェン!終わりの始まり」


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第四十一話「覚醒のレジェン!終わりの始まり」

前回のあらすじ

ブラインとの一波乱が過ぎ去り、今度はマグマ団が遂に動き出した
マグマ団員はグランドライザーでグランドトルーパーに変身!
ライト達の脅威となった

一方、アクア団員もオーシャンライザーでオーシャントルーパーへと変身
レンとの最終決戦が始まった

ライトやカズマの言葉により、レンが覚醒!
仮面ライダーメガレジェンへと覚醒したレンは、ライトと共に、脅威に立ち向かう!



ライト「…待ってるからな…レン」

レン「……」

あいつは戦いを終えた後、俺を置いて現場に向かって行った

 

レン「……くっそぉ!」

俺は地面を殴り、荒れていた

 

なぜ負けた!

この俺が!

 

レン「……」

あいつ程度の人間に負けたようでは、俺には存在価値など無い

ここで死ぬのが得策か?

 

そうだ、俺に勝ったところで、あいつがアクア団の連中の野望を止められるわけが無い

 

もう終わりなんだ、この世界は…

 

俺は全てに脱力した

そして俺に残ったものは無かった

 

レン「……メグ…結局俺は、何も成し得ない、クソみたいな人間だったよ…」

カズマ「…そんな事ないぞ」

俺は驚いて前を見た

親父が遠くから歩いて来ていた

 

レン「……親父」

カズマ「…レン…僕は、お前を仮面ライダーに選んだ事を、誇りに思ってる。僕達家族と、そして色んな人々を救ったんだ。例えそれが力の為だったとしても、お前は勝ちを信じて戦い続けた」

レン「……」

カズマ「…でも今のお前は、敗北を知った…ライトと同じだ。レンは敗北を知って、どう思った?」

レン「……あいつを、越えたいと思った…だが、俺には何が足りない?」

柄にも無いことを言ってしまった

 

カズマ「…それは、弱さだ」

レン「…っ!」

カズマ「自分の弱さを知れば、人は強くなれる」

レン「……」

カズマ「…今のお前なら大丈夫だ」

親父はキーストーンが埋め込められたデバイスを俺に手渡した

 

カズマ「…レン…お前には夢があるか?」

レン「……」

俺は首を横に振る

 

カズマ「…ならば見つけろ、お前の夢を」

レン「……見つける?」

カズマ「…夢が見つかれば、強くなれる。同時に、人生が楽しくなる!…それは、ライトを見てれば自ずと分かることだろ?」

レン「……あいつは、いつも楽しそうだった…親父や、メグや、メガミと話すあいつは、いつも楽しそうで、同時に親父達も楽しそうだった……そんな中、だんだん俺の存在価値が無くなって行った気がした…俺は、それが怖かったんだ…」

俺は瞳に涙を浮かべる

 

レン「…だから俺は、あいつを恨んだ、妬んだ!…そうでもしなきゃ、俺は俺を保つことが出来なかった……だがあの日、あいつに殴られた時、俺はいらない存在だと悟った」

カズマ「……ライトが一度でも、お前を諦めた事があるか?」

レン「…っ!?」

カズマ「…あいつは、いつだって全力なんだ。夢に対しても、家族に対しても…そんなアイツが、お前を諦めるわけないだろ…お前はあいつにとって、いや、僕達にとって、家族なんだから……レン、お前が戦う理由を思い出せ…お前は、一体何の為に戦うんだ?」

レン「……っ!」

俺はキーストーンコネクターを強く握ると、ライトが走り去った方向に走った

 

             *

 

俺は忘れていた

俺が仮面ライダーを志した理由を…

 

レン「…俺は、伝説となる!」

俺は、皆を守る為に仮面ライダーになったんだ!

 

ホムラ「姿が変わったからといってなんだと言うのだ!?」

ウシオ「裏切りは許さん!」

ウシオとホムラが迫ってくる

 

レン「行くぜ!相棒!」

ライト「あぁ!」

俺はライトと息を合わせ攻撃を避け、俺はウシオを、ライトはホムラの相手をした

 

ウシオ「貴様!なぜアクア団を裏切った!?」

レン「…俺は俺の道を行くと言っただろ!…その道が、最終的にここに辿り着いただけだ!お前達はただの通過点でしかない!」

ウシオ「ぬおっ!」

新たな進化をした俺はウシオを圧倒していた

 

レン「俺の、俺達の旅はまだまだ続く…俺はその旅を、あいつと共にしたいと思ったんだ!」

俺は右手を前にかざした

 

レン「サイコキネシス!」

以前よりもはるかに強化されたサイコキネシスは、ウシオを圧倒した

 

ウシオ「ぐおっ!」

レン「はぁぁぁ!」

俺はウシオの左頬にパンチをした

 

ウシオ「ぐっ…おのれ!オーシャントルーパーズよ!行け!」

無数のアクア団員が攻めてくる

 

レン「…はぁぁぁ!」

俺はその軍勢に突っ込み、アクア団員を無双した

 

レン「サイコカッター!」

アクア団員「うわぁぁぁ!」

レン「…ふっ!はっ!」

アクア団員「ぐへっ!」

レン「…はどうだん!」

アクア団員「ぐわぁぁ!」

レン「……」

粗方のアクア団員は倒した

あとはウシオと残りの奴らだけだ

 

ウシオ「…お、おのれ…」

レン「…俺は世界を守るヒーローなんかじゃない…その素質があるのは、ライト(あいつ)だ。だったら俺は、あいつの夢を見守っていたい…あいつの物語を見てみたい…ライトは、俺に夢と希望を与えてくれた、俺にとってのヒーローなんだよ!」

俺はレジェンスロットをスライドする

 

リード!

レジェンド!メガ!ヒッサーツッ!

 

レン「…あいつの夢は終わらせないっ!」

 

ミュウツー!Y!

Legendary Awakening!

 

俺は高く飛び上がり、紫色のオーラを放つ

 

ウシオ「…くっ!お前達!殺れ!」

アクア団員「「「「ふっ!」」」」

アクア団員はオーシャンライザーのデバイス部分を押し引いた

 

オーシャン!アタック!

 

アクア団員「「「「はぁぁ!」」」」

アクア団員が一斉に水のオーラを俺に向かって放つ

 

レン「レジェンダリーアウェイクニング!」

念波を脚に集中させ、アクア団員に向かってキックを放つ

水のオーラは簡単に消え、その集団を俺は鎮圧した

 

ウシオ「うっ…おのれ!」

レン「……」

メグ「お兄ちゃん!!」

レン「…メグ」

メグ「…おかえり!」

レン「……あぁ、一緒に行くぞ!」

メグ「うん!」

 

リード!

レジェンド!メガ!ヒッサーツッ!

レジェンド!ヒッサーツッ!

 

ミュウツー!Y!

Legendary Mega Evolution!

 

ディアンシー!

ジュエリーホリーグロー

 

ウシオ「おのれ!」

 

オーシャン!インパクト!

 

ウシオはオーシャンライザーを押し引き、俺とメグは体制を構える

 

ウシオは両腕の牙に水のオーラを纏わせこちらに向かって来た

 

レン「レジェンダリーメガエボルーション!」

メグ「ジュエリーホリーグロー!」

俺は両手の間に波動で出来た紫色の砲弾を生成し、メグは両手の間にピンク色のダイヤのようなものを生成した

 

レン「はぁぁぁ!」

メグ「はぁぁぁ!」

両手を前に突き出して、強化版のサイコブレイクを放った

メグも無数のダイヤをウシオに向かって放つ

 

ウシオ「ぬおっ!ぐわぁぁ!」

俺達の攻撃に直撃したウシオは爆発しながら変身が解除された

 

レン「……よし」

メグ「…やったね!お兄ちゃん!」

レン「あぁ」

 

             *

 

ライト「はぁぁぁ!」

ホムラ「くっ!」

ライト「せいなるほのう!」

ホムラ「ぬっ!ぐわっ!」

俺の攻撃を受けたホムラは転げ倒れた

 

ホムラ「くっ!何故だ!何故これほどの力を!」

ライト「…今の俺にはな、今のあんたには無いものを持ってる!」

ホムラ「……っ」

ライト「…それは仲間だ!信じ合える仲間がいるから、俺は強くなれる!お前らみたいなのは友情でも信頼でもない!ただ従わされている存在だ、そんなものに、俺が負ける筈がない!」

俺は飛び立つ

 

ライト「ゴッドバード!」

ホムラ「ぐわぁ!」

ライト「ふっ!」

降り立った俺は、周りを見渡した

レンとメグがウシオを撃破していた

あっちは順調のようだ

 

ホムラ「はぁ、はぁ…」

ライト「あとはお前らだけだ、マグマ団!」

ホムラ「俺達は負けない…世界を終わらせるまで!」

ライト「っ!」

マグマ団員達がホムラを取り囲む

なんのつもりだ?

 

メガミ「ライトさん!」

ライト「メガミ!よし、この陣営を片付けるぞ!」

メガミ「はい!」

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

ホウオウ! タブンネ!

 

エターナルエクスプロージョン

 

エンゼルウィングス

 

俺達は高く飛び上がり、キックを放つ

 

ライト「エターナルエクスプロージョン!」

メガミ「エンゼルウィングス!」

マグマ団員「「「「うわぁぁぁ!」」」」

ホムラ「くっ!おのれ…!」

向かい合うようにキックを放ち、ホムラの周りにいたマグマ団員を一掃した

 

レン「ライト!」

ライト「レン!よし、行くぜ!」

レン「あぁ、俺達の(ちから)、見せてやる!」

ホムラに向かって俺達は走った

 

ホムラ「くっ!」

ホムラはグランドライザーの銃口から燃える岩石を飛ばしてくるが、俺達には当たらなかった

 

ライト・レン「「はっ!」」

俺達のダブルライダーキックを決め込む

 

ホムラ「ぐっ!…ここで負ける訳には、行かないのだ!」

 

グランド!インパクト!

 

ホムラは無数の燃える岩石を空へと飛ばした

それは、隕石のように落ちてくる

 

ライト「なっ!」

レン「サイコキネシス!」

それをサイコキネシスで止め、ホムラに向かって放った

 

ホムラ「なにっ!?」

ダメージを受けるホムラ

地面に膝を付き、ほとんど戦闘不能となっていた

 

ライト「……」

レン「……」

俺とレンは徐々にホムラに迫って行った

 

その瞬間だった

 

ライト「…っ!」

レン「何だ!?」

ホムラ「ぎょえ!?」

 

空から何かが物凄い勢いで降ってきた

というか落ちてきた

その衝撃で砂埃が発生し、その正体が分からなかった

 

地面にはクレーターが出来上がり、確実にとてつもない物が落ちてきたに違いない

 

段々と砂埃が晴れてきて、見えたのは青い線で「α」の文字

 

まさか…

 

ライト「…っ!」

レン「…あれは…!」

砂埃が晴れたそこに居たのは

全身が藍色をし、青い線が浮かび上がり、黄色い複眼に大きく発達した前腕と爪

踵から飛び出す4本のヒレのようなもの

胸部には、特殊な字体の「A」の文字

腰には、ドライバーが装着されており、藍色の球体と、青と赤、そして白のメガストーンがはめられていた

それは、石の洞窟の壁画に描かれていた、「カイオーガ」を彷彿とさせる見た目だった

 

???「……」

レン「…お前、まさか…」

ライト「…アオギリ、なのか?」

アオギリ「…いかにも、俺様が世界を始まりへと導き、海の覇者となった存在…」

突然、大雨が降り始めた

 

アオギリ「…俺様の名は…仮面ライダー…アニマス!」

ライト「…仮面ライダー…アニマス…」

レン「…まさか、「カイオーガ」の力を、手に入れたのか…?」

アオギリ「…そうさ、お前らが醜い争いをしている間に、俺様は「カイオーガ」の力を、手に入れた!」

アオギリは手を上へ掲げた

すると、雨粒が集まり、いくつもの水の塊が出来上がった

 

アオギリ「…今、全てが終わり…全てが始まる……はぁぁぁ!」

アオギリが手を俺達に向けると

水の塊から水のビームが飛び出し、俺達に命中した

 

ライト「がはっ!」

レン「ぐわっ!」

アオギリ「…レン…お前には失望した…だがな、もうそれもいい…」

レン「…なにっ…」

アオギリ「…ウシオ、行くぞ…」

ウシオ「…わ、分かった、兄ぃ…」

アオギリとアクア団は消えるようにそこから去って行った

ホムラはいつの間にか居なくなっていた

 

雨は止んだが、俺達の気は晴れなかった

 

             *

 

カズマ「かんぱぁぁい!」

メグ「カンパーイ!」

メガミ「か、カンパーイ…」

ライト「……」

レン「……」

カズマ「…ほらほら!どうした2人とも!」

ライト「…だって、今はこんなことしてる場合じゃ…」

レン「その通りだ、アオギリがカイオーガの力を手に入れてしまった…このままじゃ、本当に世界が大変な事になる」

カズマ「…こんな時、だからじゃないか?」

ライト「え?」

カズマ「…世界が危険、そんな事は分かってる…だけどな、こうしてまた5人が揃って、美味しい飯を食える!…今まではそれが当たり前だと思ってた…でも、今は違う…だからこそ、今は美味しく食べて!騒いで!いざって時に備えるのが、得策だと、僕は思うよ?」

メグ「うんうん!お兄ちゃんも帰ってきた事だし、今夜くらいはいいんじゃない?」

メガミ「そうですよ!こんな事、滅多に無いですから!」

ライト「…皆が、そう言うんなら…」

レン「…仕方ない、今夜だけだぞ?」

カズマ「そう来なくっちゃ!でも主役はお前だけどな、レン!」

レン「…まぁ、今まで悪かった…これからは、お前達と一緒に、皆の夢を守る為に戦うよ…」

ライト「…あのレンが…」

メグ「そういう事を言うようになったんだねっ…!私嬉しいっ!」

レン「…や、やめろ!恥ずかしい!」

メガミ「でもほんと、ビックリです」

レン「…親父に気付かされた…ライト」

ライト「…ん?」

レン「…俺を、諦めないでいてくれて、ありがとう」

ライト「…お、おう…こちらこそ…」

レン「…ふっ」

ライト「…今、笑った?」

レン「……」

ライト「…笑っ…たよな?今笑ったよな!?」

レン「…ああ、もう、うるさい!」

ライト「……」

レン「…笑った」

ライト「……」

カズマ「…ぷっ…くくく」

メグ「…んふふ」

メガミ「…ふふ」

ライト「…へっ…」

レン「……ふっ」

俺達は盛大に笑い、パーティーを楽しんだ

 

 

レン「……」

皆が寝静まり、静かになった夜に、俺は夜空が綺麗に見える所に来ていた

 

メガミ「…眠れませんか?」

レン「…メガミ…」

メガミ「…ここ、星が綺麗に見えますね…」

レン「……すまなかったな、色々と」

メガミ「…え?…私は…」

レン「いいんだ、ただの自己満足だ…」

メガミ「…そう、ですか…」

レン「…これもただの自己満足だが…聞いてくれるか?」

メガミ「はい、何ですか?」

俺は立ち上がり、メガミに体を向けた

 

レン「…どうやら俺は、お前が好きみたいだ」

メガミ「……え」

レン「……」

メガミ「えぇぇぇえぇえ!!?」

レン「お、落ち着け!」

メガミ「…レンさんが…私を?」

レン「…安心しろ、俺は別にお前と付き合いたい訳じゃない。それに、お前にも、本命の相手がいるだろ?」

メガミの顔が赤くなる

 

レン「…全く、ライトも隅に置けない奴だな」

メガミ「ラララ、ライトさんにはその話は…」

レン「言うわけないだろ?…言っておくが、あいつは言葉にしないと分からない超鈍感野郎だぞ?いや、言葉にしても分からない可能性もある」

メガミ「……」

レン「…俺が言いたいのは、お前にも、自分らしく生きて欲しいって事だ。俺は俺に正直に生きる、だから今告白した…だから後悔はない…未練もない……お前は、後悔なく生きて欲しい」

メガミ「……」

メガミは頭を下ろした

 

メガミ「…ありがとうございます…」

レン「……」

メガミ「…私は、ライトさんが好きです…」

レン「…だろうな」

メガミ「……でも、告白はしません」

レン「な!何故だ!」

メガミ「…私、人を好きになったのって、これが初めてで…」

レン「……」

メガミ「…この気持ちをどう処理したら良いのか、どう向き合えば良いのか、わかりませんでした…」

レン「……」

メガミ「…でも、これだけは分かります。好きな人には、幸せになって欲しい」

レン「…っ」

メガミ「…好きだからこそ、ライトさんには幸せになって欲しいんです…私は世界中の皆の幸せを願っていますが…やはり、1番幸せになって欲しいのは…ライトさんなんです…」

レン「…そうか、だからお前は、あいつが選んだ道を尊重したいと…」

メガミ「はい!ライトさんが誰を選ぶかは、ライトさんの自由ですから!」

レン「…そうか、お前がそれでいいなら、それでいい」

メガミ「…はい!」

レン「……」

まぁ、ライトが選ぶのは、十中八九お前だろうがな

 

メガミ「…なにか?」

レン「…いや、何でもない。寝るぞ…明日は…」

メガミ「マグマ団アジトに行くんですよね」

レン「…あぁ、決戦の日が近付いてきてる…」

 

             *

 

赤いサイレンが点滅し、サイレン音が所狭しと鳴り響く

 

監視カメラの映像を、手持ちのモニターで確認するホムラ

4人の侵入者(仮面ライダー)共がグランドトルーパーズを撃破する瞬間を目撃する

 

ホムラ「ウヒョヒョ!侵入者は第1層をブレイク!」

マツブサがマグマ団員を率いり、足を運んでいた

 

ホムラ「第2層へ入ったとの報告が」

マツブサ「……」

足を運んだ先は潜水艇がある場所

 

そこにはカガリが待ち伏せていた

 

マツブサ「…カガリ」

カガリ「……行くんだ…リーダーの夢を叶いに…」

マツブサ「…うむ…これよりマグマ団は!海底洞窟へ向けて出発する!」

マツブサがマグマ団員に呼びかける

 

ホムラ「そこの下っ端達!スタンバイ!」

マグマ団員「「「「はっ!」」」」

マグマ団員達が潜水艇に乗り込む

続けてカガリも乗り込もうとするが

 

マツブサ「……待て」

カガリ「…っ?」

マツブサ「…カガリ…お前はここに残れ」

カガリ「……え?」

マツブサ「……侵入者はもうすぐここに来る。お前は奴らを、ここから1ミリたりとも進めるな」

カガリ「……うん、分かった…リーダーマツブサ」

カガリはにこやかに言う

 

マグマ団員「侵入者!第4層を突破しました!」

マツブサが潜水艇に乗り込む

 

ホムラ「リーダーマツブサ、ささ、ズズズズいーと…」

マツブサ「……っ」

マツブサは振り返り、カガリを見た

 

カガリ「…祈ってる、人類の発展…」

マツブサ「…作戦完了後、また会おう」

マツブサとホムラが潜水艇に乗り込み、潜水艇の重いドアが閉じる

 

カガリ「……変えて…世界を…リーダーマツブサ…」

 

             *

 

ライト「…海底洞窟?」

レン「…カイオーガやグラードンが封印されているのは、海底洞窟にある…だがしかし、カイオーガの封印がとかれたと言うことは…」

ライト「…グラードンの封印も、簡単に解かれる可能性があるって事か!」

メグ「それってやばくない!?」

メガミ「…急がないと」

 

             *

 

マグマ団員「推進機関、全て異常なし!」

マグマ団員「全通信回路オープン。総受信状態良好です!」

マグマ団員「レーダーシステム、異常なし!」

マグマ団員「艦種ドリル管制システム、異常なし!」

ホムラ「…リーダーマツブサ…発進準備!オールクリーン!」

マツブサ「…機関!始動!」

潜水艇がある所に水が張られる

 

 

カガリ「…綺麗…赤いサイレン…」

カガリは点滅するサイレンを見た

 

カガリ「…見えるよ…夢叶うビジョン…」

カガリに見えた物

それは、見たことも無い怪物が、マツブサ達を襲う瞬間だった

 

カガリ「っ!」

水を張る水道管から水の量が減って行った

 

カガリ「……なに?…このビジョン…っ」

カガリは横に振り返った

 

ライト「…カガリさん!」

レン「……」

メグ「……」

メガミ「……」

カガリ「…あはっ!やっぱり来た…でも残念…終わっちゃったよ?潜水艇の改造…」

ライト「…っ!」

横にあったのは、巨大な潜水艇だった

先端には3個のドリルが装填してあり、もう発射されそうな雰囲気だった

 

メガミ「見てあのドリル!あれなら海底洞窟の封印だって、イチコロだよっ!」

ライト「…まさか、あれで海底洞窟に突っ込むつもりか!」

すると、潜水艇は動き出し、海底洞窟に向けて行ってしまった

 

ライト「あっ!」

レン「…まずい!」

カガリ「…残るボクのお仕事…キミを止めること…」

メガミ「……」

カガリ「……でも…今はただ…したい……キミと…エンゲージしたいっ…」

カガリはグランドライザーを腕に填めて変身した

 

グランド!ラーイズ!

バクーダ!

We are! Team MAGMA!

 

カガリ「……キミを…アナライズしたいっ!…うふっ!」

その眼光は、確実に俺を捉えていた

不敵に笑うカガリは、嬉しそうだった

 

メガミ「……ライトさん、レンさん…先を急いでください…」

メグ「ここは私達が食い止めるから!」

ライト「…でも!」

メガミ「…いいんです!…ライトさん…この世界をお願いします…」

ライト「……分かった、行こう!レン!」

レン「…あぁ、メグ!無茶はするなよ!」

メグ「うん!お兄ちゃん達こそ!」

俺はメガミとメグを置いて先を急ぐ事にした

 

 

カガリ「…な〜に?キミなんかお呼びじゃないんだけど…」

メガミ「私もお呼びじゃありません!!」

カガリ「……っ」

メガミ「黙って聞いていれば…ライトさんとエンゲージとか…アナライズとか…意味分かって言ってるんですか!?それ!!」

メグ「メガミちゃん落ち着いて!顔が真っ赤だよ!?」

カガリ「……」

メガミ「…ライトさんは、この世界を救う英雄になるんです!…邪魔はさせません!」

カガリ「…いいや、リーダーマツブサこそ、この世界の英雄だよ…」

メガミ「変身!」

メグ「へ、変身!」

カガリ「…邪魔はキミ達だよ!」

2人に攻撃を仕掛けるカガリ

 

メガミ「はぁっ!」

メグ「やぁっ!」

ライトさん…必ずや…世界を…

 

             *

 

ライト「…って、やばい!俺泳げるメガストーン持ってねぇ!」

レン「《ギャラドスナイト》は違うのか?」

ライト「…いや、あれはなんか…俺がキレてないと使えないみたいで…」

レン「…はぁ全く…ほら、餞別だ」

ライト「わわっ」

レンは俺に封印が解かれていないメガストーンを渡して来た

 

レン「アオギリから貰ったものだが、何かの役に立つかもな」

ライト「…あぁ、サンキュ!」

俺はメガストーンに気持ちを送った

 

頼む!今、お前の力が必要だ!

俺に力を貸してくれ!

 

すると、思いが通じたのか、メガストーンは光り輝き、封印が解けた

それはアクア団のウシオが使っていた、《サメハダー》の物と似ていた

 

ライト「フォルムチェンジ!」

 

サメハダー!

サメ!サメ!ハダ!ハダ!サーメハーダー!

 

俺は見た目が紺色になり、黄色い線が入る

まるで「オーシャントルーパー」みたいなカラーリングだ

背中にはスクリューが付いている

手には青の剣に、白い牙みたいなのがギザギザに付いてる、《サメハダーブレード》が握られていた

 

ライト「魚雷の戦士!仮面ライダーバーサ!サメハダーフォルム!」

レン「よし!後を追うぞ!」

ライト「あぁ!ダイビング!」

俺は水に潜り、レンはメガレジェンへと変身し、体にシールドを纏わせマグマ団の後を追った

 

             *

 

マツブサ「……」

ライト「マツブサ!」

レン「…っ」

マツブサ「…来たか、仮面ライダー」

ライト「……」

マツブサがいたのは、洞窟の最深部だった

近くにはマグマがあるのか?すごく暑い

 

マツブサ「…見ろ!あれを!」

ライト「…っ!」

レン「あれは!」

俺とレンは仰天した

マツブサが視線を送らせた先には、全長3メートルくらいの怪物が、まるで石像のようになって佇んでいた

 

ライト「…あれが…グラードン…」

レン「…封印されたままの姿なのか?」

マツブサ「…そう、そして…今こそその封印が解かれるのだ!」

マツブサが持っていたのは「べにいろのたま」

それをグラードンに向けて投げ込んだ

 

ライト「やめろ!」

レン「そうはさせるか!はどうだん!」

レンが「べにいろのたま」に向けて攻撃するが、謎の攻撃によって相殺された

 

レン「なにっ!」

すると、「べにいろのたま」は紅色に光り輝き、同時に石像のようになったグラードンの体にヒビが生じ、その肉体が崩壊した

残ったのは、赤と灰色のメガストーン

 

《グラードンストーン》と「べにいろのたま」はマツブサの手元へと戻って行った

 

マツブサ「……ははは!遂に手に入れた!グラードンの力!」

ライト「……」

レン「……っ」

マツブサ「…これも、お前の協力のおかげだ…」

レン「……?」

ライト「…一体…誰の事だ…?」

マツブサ「……アオギリ」

アオギリ「…へっ!」

ライト「なに!」

レン「アオギリ!?」

俺達の背後に、変身したアオギリが立っていた

 

レン「…そうか、今の攻撃、貴様か!」

ライト「…でもなんで…っ!」

すると、洞窟の奥の方に闇のオーラが発生した

 

ライト「……ヒガナ!」

ヒガナ「……ふふ」

そこに居たのはヒガナだった

何故ここにヒガナが?

というか、何故アオギリとマツブサが協力関係に!?

 

ヒガナ「…よくやったよ、君達…」

マツブサ「…ふっ」

アオギリ「ははっ!」

ライト「……っ」

レン「…何が、どうなってんだ…」

 

3人の不敵な笑い声が、洞窟内で響いた

 

To be continued




次回予告

グラードンの力を手に入れ、仮面ライダーへと変身するマツブサ!

マツブサ「…世界は終わり行く、私の手によって…」

実はマツブサとアオギリには、壮絶な過去があった!

アオギリ「この世界にはな!失っちゃいけねぇもんがあんだよ!」

ヒガナ「これがゲンシカイキの力…思う存分楽しませてくれ!」

第四十二話「終わり行く世界 ゲンシカイキの力!」


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第四十二話「終わり行く世界 ゲンシカイキの力!」

前回のあらすじ

ライトから敗北を知り、全てを告白したレン
マグマ団やアクア団と激戦を繰り広げる
そんな中現れたのは、「カイオーガ」の力を手に入れてしまったアオギリ
仮面ライダーアニマスへと変身しレンやライトに襲いかかる

マグマ団アジトへと侵入したライト達はマツブサの野望を止める為、海底洞窟へと向かうマツブサの後を追った

そこにはなんと、マツブサ、アオギリ、そしてヒガナが待っていた



ライト「…一体、何がどうなってんだ?」

どうしてここにアオギリが?

そして……

 

ヒガナ「……ふふ」

どうしてここにヒガナが…

 

ヒガナ「…驚いてるね、波山ライト君っ」

ライト「……どうしてお前がここに!」

ヒガナ「…どうしてって、決まってるだろ?」

ライト「……っ?」

レン「……」

ヒガナ「……ここの2人は、僕が蘇らせたからさ」

ライト「…え!?」

レン「…この2人もか!?」

ヒガナ「…まぁ、正確には?この2人の魂を、蘇らせたってわけ」

ライト「…魂?」

ヒガナ「…そう、そのせいで過去の記憶は無くなったんだけど、でもとある条件で、その記憶が戻る仕組みになってるんだ!」

レン「……どういう事だ!詳しく説明しろ!」

ヒガナ「……この2人が元々生きていたのは約千年前…ポケモンが絶滅するより前の話さ。当時、ポケモンと共に世界の均衡を守っていた組織、それがマグマ団」

ライト「……っ」

ヒガナ「…マグマ団には、バトラーという研究者がいて、研究に失敗した彼はマグマ団を追い出されたが、マグマ団を見返す為に超古代ポケモンである、『グラードン』の復活を目論んだ──」

 

             *

 

地球上の自然エネルギーを集め、『グラードン』を復活させる計画

しかしそれは、世界中のポケモンの命を危険に晒すこととなった

陸も、海も、空も、何よりこのホウエン地方が危険に晒された

 

当時もリーダーであったマツブサは、彼とよく話していたそうだよ

彼を止める為に

 

マツブサ「バトラー!」

バトラー「……マツブサ…見ていろ!私の研究の成果を!」

マツブサ「…お前は何を考えているんだ!お前の研究で、何体ものポケモンが犠牲になったのだぞ!」

バトラー「……仕方の無いことだ…だがもう暫くで、グラードンが復活する!」

マツブサ「お前の研究はこの世界中のポケモンの命を奪うんだぞ!」

バトラー「…何っ!?」

 

きっと、バトラーも想定はしていなかったんだろうね

世界中のポケモンが犠牲になる事実

そして

 

『ぐらぐらぅるぅぅぅ……ッ!!!』

バトラー「…なんだ…あれは…」

マツブサ「……あれは…グラードンなのか…?」

 

彼が復活させたのは、グラードンとは全く異なる怪物

『メタグラードン』だった…

メタグラードンは地球上のあらゆるポケモンや生き物の命を体内に飲み込んで行った

 

そこで現れた救世主

それがアオギリ

当時はマツブサとアオギリは友人だったみたいだね

アオギリは1000年に一度目を覚まし、何でも一つだけ願いを叶える力を持つという幻のポケモン、『ジラーチ』を連れてメタグラードンに立ち向かった

 

結局、メタグラードンは消滅したものの、ジラーチ共々、マツブサとアオギリには壮絶な野望と魂が残り、現代までその野望は残っていたって訳さ

 

             *

 

ヒガナ「…バトラー、マツブサ、アオギリ、そしてメタグラードンやジラーチ、その事については、僕も詳しくは知らないが、これだけは分かる…この2人の野望はとてつもない。この世界を闇に葬る力を持つ」

マツブサ「……」

アオギリ「……」

ヒガナ「…納得してくれたかな?」

ライト「する訳ないだろ!」

レン「…説明も曖昧だが、しかしお前は、最初からそんな事しか考えていなかったんだな!」

ヒガナ「…ふふふ!…なんでもいいさ…最後に勝つのはこの僕なんだから…」

すると、ヒガナは闇の空間に消えて行った

 

ライト「待て!」

マツブサ「……ふっ」

アオギリ「……へっ」

レン「……まずはこの2人を片付けなきゃか…」

アオギリ「どうするマツブサ?俺様が殺るか?」

マツブサ「……いいや、ここは私が引き受けよう」

マツブサは前線に立つと、黒と赤と青のドライバーを取り出し、腰に装着する

 

ゲンシドライバー!

 

マツブサは右サイドにあった溝に、《グラードンストーン》をはめ込んだ

 

リゲイン!

ゲンシカイキ!

 

マツブサは「べにいろのたま」を取り出す

上に掲げ、叫ぶ

 

マツブサ「……変身!」

 

「べにいろのたま」をゲンシドライバーの大きな溝にはめ込む

 

Ω…マグマ…オメガ!!

仮面ライダー!マリス!

 

マツブサの体は少し大きくなり、全身がマグマのようなものに覆われる

そこから紅色のアーマーが被さる

隙間からマグマが見える

前の部分は黒くなり、腕が発達

肘の辺りにマグマで出来た「Ω」の文字

爪が大きく発達し、口から湯気が出る

 

マツブサ「断崖の戦士…仮面ライダー…マリス!」

 

まるで仮面ライダーアニマスの対となる見た目

これがグラードンの力を持った仮面ライダーの姿…

 

マツブサ「…これが『ゲンシグラードン』の力…素晴らしい……さっさと貴様らを倒して、『目覚めの祠』へ行くとするか…」

ライト「…目覚めの祠?」

マツブサ「……だんがいのつるぎ!」

マツブサは力を込める

すると、地面から無数の鋭利な岩石が飛び出した

俺達に向かって迫って来た

 

ライト「ぐわっ!」

レン「がはっ!」

マツブサ「…ふふふ、さぁ、これで終わりだ!」

マツブサはゲンシドライバーから「べにいろのたま」を一度抜き出した

 

オメガ!グランドフィニッシュ!

 

待機音が鳴り、マツブサは再び「べにいろのたま」をドライバーにはめ込む

 

ガイアボルケーノ!

 

マツブサ「ガイアボルケーノ!」

マツブサは地面に手を置く

すると、肘の「Ω」の文字が強く光った

すると…

 

ライト「…うわっ」

レン「…な、何だ!?」

地面が揺れだし、地割れが生じた

更にはその地割れの隙間からマグマが飛び出した

 

レン「…くっ…まずい…このままじゃここが崩壊する!」

ライト「一体どうすれば…うわっ!」

レン「…逃げるしかない!」

ライト「…くっ」

苦渋の決断だが、仕方がない

 

マツブサ「……死ね!」

ライト「…う、うわぁぁぁ!」

レン「がぁぁぁ!」

次の瞬間、俺達はマグマに飲まれてしまった

 

マツブサ「ふははは!」

アオギリ「…やはり凄まじいパワーだ…」

マツブサ「……さぁ、アオギリよ…」

アオギリ「…あぁ、ルネに向かうとするか…」

 

             *

 

ライト「……はぁ、はぁ、平気か?レン」

レン「…あ、あぁ。なんとかな…」

やっとの思いで沖に到着した俺達2人

あの時、ギリギリでレンがシールドを貼ったことでマグマから逃れ、俺のサメハダーフォルムのダイビングでここまで来たが…

 

レン「…それにしても…日差しが強いな…」

ライト「……あれ?」

レン「…どうした?」

ライト「…さっきまで海にいたのに、もう体が乾いてる…」

レン「…日差しの影響か?それにしては暑すぎる」

変身を解いた俺達は地面を見た

 

ライト「…レン、これ…」

レン「……あぁ、川魚だな」

ライト「…なんでこんなところに?」

レン「……打ち上がったんじゃないのか?」

ライト「…それに、なんでこんなに地面が割れてんだ?」

レン「……もしかしたら、これも、この日差しも、マツブサによる力なのかもな…」

ライト「…え?」

レン「…グラードンは陸を作ったポケモンと言われているが、陸を登場させるのではなく、海を干からびさせて陸を作っているのかもな…」

ライト「…でも、カイオーガは…」

レン「…あぁ、大量の雨を降らせることで、海の水位を上昇させ、海を作る」

ライト「…それって矛盾してないか?」

レン「……あぁ、あいつらは協力関係になっているはずなのに、目的や手段が全く別だ…一体本来の目的はなんなんだ…」

ライト「…それが、マツブサとアオギリの野望…」

レン「……っ!」

レンと俺は海を見た

なんと、海の中から変身したアオギリが飛び出して来たのだ

同時にマツブサも海から出てきた

体の表面に海水が当たり水蒸気が立っていた

 

アオギリ「……」

アオギリはこちらに気づいた様子だが、マツブサと共に海を渡っていた

向かう先は…

 

レン「…ルネシティだな」

ライト「…ルネ?」

レン「…確かルネは、かつて隕石が衝突した後に出来たクレーターに出来た街だと言われている」

ライト「……隕石…」

レン「…でも何故、奴らはルネに向かってる?」

ヒガナ「想像力が足らないよ」

ライト「っ!?」

レン「なっ!」

気が付くと、俺達の真後ろにヒガナが立っていた

俺達は身を構える

 

ヒガナ「やめときなって、今の君達に戦う気力はないだろ?大丈夫、そんな君達を襲う気なんてとうにないよ」

レン「……ちっ」

ライト「……」

悔しいがぐぅのねも出ない

 

ヒガナ「……さぁ、さっきの話の続きをしようか…」

俺達は大人しくヒガナの話を聞く事にした

 

ヒガナ「……君はさっき、ルネについて話してたね?」

レン「…あぁ、アオギリにホウエン地方について色々聞いたからな…」

ヒガナ「…その話は事実。数千年前、このホウエン地方に隕石が衝突し、クレーターが出来上がった。でも人々はそのクレーターに町を建造した。なぜだか分かる?」

ライト「……」

ヒガナ「…答えは、その場所に溢れる自然エネルギーを欲した為さ」

ライト「…自然エネルギー?」

ヒガナ「自然エネルギーは言わば、この地球全体のエネルギーだ…水の中のミネラル、土の中の栄養、まぁ簡単に言えばそんな感じ。そして、その自然エネルギーは、人間やポケモンにも力を与えた」

ライト「……」

ヒガナ「…そしてある人物は見つけたんだよ。ポケモンの可能性を…」

ライト「…ポケモンの可能性?」

ヒガナ「…それが、グラードンの復活」

ライト「…っ!」

ヒガナ「バトラーは当時、膨大に自然エネルギーが溢れる場所を探し、グラードンを復活させようとした。そしてこのホウエン地方に来て、メタグラードンを生み出した。でも、彼は間違ってしまったんだ。彼が使ったのは、自然エネルギーではなく、ジラーチに眠る1000年分のエネルギーだった。だからあんな怪物が生まれたんだ。もし、彼が自然エネルギーを使っていたら、グラードンを甦らせることが出来たかもしれない」

レン「……つまり、グラードンやカイオーガには、自然エネルギーが必要という事か?」

ヒガナ「…まぁ、そんなとこだね。今彼等がルネに向かっている理由は、ルネに眠る自然エネルギーで更に力を得る、というか、本来の力を取り戻す為さ」

ライト「…本来の力?」

ヒガナ「…ゲンシカイキとは、本来の力を取り戻す事を言うんだ。つまり、彼等の本当の姿は、ゲンシカイキした姿ってわけ。彼等は退化することによって、強化したんだ」

ライト「…もし、奴らが本来の力を完全に取り戻したら、この世界はどうなる?」

ヒガナ「…何もかも終わる。全て」

ライト「…くっ!」

ヒガナ「地球の半分は灼熱の日光で海が干からび、反対では大量の大雨が降り洪水なんてレベルじゃない。陸を飲み込む」

レン「……」

ヒガナ「…でも本当に分からないんだ…彼のしたい事が」

ライト「…?」

俺は疑問に思ったが、話がひと段落したようだ

 

俺とレンは歩きだし、ヒガナの元を離れた

 

ヒガナ「…行くのかい?」

ライト「…マツブサとアオギリは、俺達が止める」

ヒガナ「…出来るかな?ゲンシカイキの力を甘く見ない方がいいよ?」

レン「出来るか出来ないかじゃない。やるかやらないか、だ」

ヒガナ「…じゃあ、そんな君達にヒントをあげるよ。彼等はルネの目覚めの祠に向っている。そして、それに対抗するには、メガシンカの力を大きく上回る力が必要だよ?」

俺達はヒガナの言葉を横耳で聞き、ルネシティに向かった

 

 

ヒガナ「…ふぅーん……」

僕は海の上を進む彼等を見た

 

ヒガナ「…これがゲンシカイキの力…思う存分楽しませてくれ!仮面ライダー達っ!」

どうやら楽しみは、これからのようだね

 

             *

 

俺達は急いでルネシティ行きのフェリーに乗った

しかし、ルネからは何隻ものフェリーが出航していた

どうやらルネに向かうマツブサ達を見て避難しているのだろう

 

レン「……ここがルネか」

ライト「…ホントだ、なんかここ、力が溢れる気がする!」

レン「…そうか?俺はいつもどうりだが…」

すると、また後ろから声を掛けられた

何処かで聞いた事のある声

 

ミクリ「おーい!君達ー!」

ライト「…あ、貴方は!」

レン「…ミクリか」

ライト「え?レン、ミクリさんの事知ってるの?」

レン「…まぁ、ちょっとな」

ミクリ「いや〜、びっくりだよね!ここでまた会うなんて」

ライト「あの!あの時はメガミがお世話になりました!」

ミクリ「ははは!君あの子の父親なの?面白いね〜」

レン「どうしてあんたがここにいる?」

ミクリ「なんでって、私は目覚めの祠を守る者だからね?ここから離れる訳にはいかないんだよね」

ライト「…目覚めの祠…」

レン「早く逃げた方がいい、あんたも死ぬぞ?」

ミクリ「…それは君達も一緒だろ?」

レン「…っ」

ミクリ「…だったら私は、ルネの為に全てを尽くすよ。死ぬなら、ルネ(ここ)ここが最適だ」

ライト「…いいや、死なせませんよ。貴方には借りもある」

ミクリ「…そうかい…だったら私は、君を信じてみようかな!私は君を気に入ってるし。ダイゴも君を気に入ってくれたみたいだし」

ライト「はい!…ん?…ダイゴ?」

ダイゴ「呼んだかい?ライト君」

と、また後ろにダイゴさんが立っていた

 

ライト「ダイゴさん!」

ミクリ「やぁ!待ってたよ!」

ライト「え?なんでミクリさん、ダイゴさんの事知ってるんですか?」

ダイゴ「ミクリは僕の友だからね」

ミクリ「そう、私達は古くからの親友なんだ」

 

             *

 

ダイゴ「…なるほど、あれがマグマ団のマツブサと、アクア団のアオギリねぇ…」

双眼鏡でマツブサ達を見たダイゴさん

 

ダイゴ「…彼等はここに向かって来ているのか」

ミクリ「そう、目覚めの祠にね…」

ライト「…あの、目覚めの祠って一体何なんですか?」

ミクリ「目覚めの祠は、この地球で1番自然エネルギーが充満している場所さ」

レン「…なるほど、マツブサやアオギリは、その自然エネルギーで、更に力を得るつもりか…そしてこの世界を…」

ライト「…何とか、食い止める方法はないのか?」

レン「……メガシンカを大きく上回る力…一体何なんだ…」

ミクリ「…もしかして、あの事じゃないかな」

レン「…なんだ?何か知ってるなら教えてくれ!」

ミクリ「いや…前にダイゴも言ってただろ?この2匹を鎮めたポケモンがいるって…」

ライト「……それって」

ダイゴ「レックウザの事か?」

ミクリ「そう!それ!」

ライト「…レックウザって、あの?」

俺はあの壁画の三角の模様を思い出した

 

すると、地震が発生した

 

ライト「な、何だ!?」

ミクリ「…まさか…彼等がルネに到着したのか?」

ダイゴ「……確かに…彼等の姿が見えない!」

双眼鏡で再び確認するダイゴさん

 

ミクリ「…まさか、直接目覚めの祠に向かったのか?」

ライト「…っ!」

レン「…急がないと…ミクリ!目覚めの祠はどう行けば行ける!?」

ミクリ「…人使い荒いなぁ…付いてきて!」

俺達はミクリさんに道案内され、ルネに中心にある大きな扉の前まで来た

 

ミクリ「この先が目覚めの祠…頼む、この世界を守ってくれ」

レン「勿論だ」

ライト「…行こう、レン!」

レン「あぁ」

俺達は扉を開け、暗い廊下を走って行った

 

 

ミクリ「……」

ダイゴ「…不安か?」

ミクリ「…いいや」

ダイゴ「……」

ミクリ「…信頼しているよ」

ダイゴ「…僕もだ」

 

             *

 

暫く歩くと、広い空間に出た

そこには、洞窟の天井から突き出るように生えている紅色の宝石と、藍色の宝石

どちらとも眩い光を放っている

 

マツブサ「……死に損ないが…」

ライト「マツブサ!」

マツブサは紅色の宝石から俺達に視線を動かした

 

マツブサ「…世界は終わり行く…私の手によって…」

レン「…何故そこまでして、世界の終わりに拘る!?お前も昔は、世界の均衡を守っていたんだろ!?」

マツブサ「…そうさ、だからこそ、人類は進化するべきなのだよ!」

ライト「…っ」

マツブサ「…あの日、バトラーが生み出したメタグラードンは、人類の劣った進化の果てに出来上がったものだ。もし、人類がもっと進化していれば…あの日のような事は起こらなかった…バトラーが教えてくれたのだよ。人類はもっと進化するべきだと!」

レン「……」

マツブサ「…しかし、私は忘れていた…本当の野望を」

ライト「…?」

マツブサ「…あの日、「べにいろのたま」に触れて、全てを思い出した。人類の進化などどうでもいい…私はただ、この世界の終わりを見たい!世界の終焉を!」

ライト「…っ!」

マツブサ「…「べにいろのたま」に刻まれた記憶は私の記憶そのもの!さぁ!ゲンシグラードンの力よ!この世界を!全てを終わらせようぞ!」

マツブサは仮面ライダーマリスに変身した

 

すると、藍色に光るメガストーンが、マツブサを攻撃した

 

マツブサ「…な、なんだ!?」

メガストーンはひとりでに動き、近くにいたアオギリの手元に戻った

 

マツブサ「…アオギリ!」

アオギリ「…マツブサ…俺はな、あの日を後悔している…お前と、あいつを救えなかった」

レン「……」

マツブサ「……」

アオギリ「…あの日、「あいいろのたま」に触れた時、お前、言ったよな」

 

             *

 

アオギリ「……さぁ、「あいいろのたま」を渡してもらおうか」

マツブサ「……」

アオギリ「……ハハッ」

マツブサ「…アオギリよ、お前は忘れているだけだ。私達の使命を」

アオギリ「あぁ!?何言ってやがんだ!」

マツブサに殴りかかった俺

マツブサは簡単にそれを避けた

 

アオギリ「…いいからそれをこっちによこせ!」

マツブサ「…全てを知る事になるぞ…お前に、それを耐える術があるのか?」

アオギリ「…だから、さっきから何言ってやがんだ?」

マツブサ「……」

マツブサは俺に「あいいろのたま」を投げ付けた

 

アオギリ「おっと!…なんだ?降参したのか…うっ!」

突如として、俺は頭痛を起こした

 

なんだ!?これは…

見える…あの日の光景が…

 

マツブサ「……アオギリよ、思い出せ、我々の使命を!」

 

あいつは…ジラーチ!

 

マツブサ「私達には、やるべき事があるだろう!?」

 

やめろ…ジラーチ…それだけは…

 

マツブサ「…世界を変えよう、我々の手で」

 

ジラーチ!死ぬな!

 

アオギリ「……がァ!」

もがく俺

また別の光景が見えた

 

巨大なシャチのような怪物が、大雨を降らし、世界を終わらせようとしている

 

アオギリ「…ゲンシ…カイオーガ…」

なんだ?

何なんだ?ゲンシカイオーガって…

 

全てを記憶を見て、俺は我に返った

 

アオギリ「…マツブサ…俺達は、死んだのか?」

マツブサ「…あぁ、あの日、バトラーが生み出したメタグラードンを押さえ込む為に、ジラーチが真実の眼を開いたことにより、私達も巻き添えになったはずだ」

アオギリ「…ジラーチは、死んだのか?」

マツブサ「……さぁな」

アオギリ「…俺の…せいだ…俺は…あいつが住むあの場所を守りたくて…あいつの住める場所を作りたくて…なのに…俺があいつの力に頼ったせいだ…」

マツブサ「……アオギリよ、ゲンシカイオーガの力を手に入れるのだ。そうすれば、お前の野望は叶えられる」

アオギリ「…俺の、野望…」

マツブサ「…そうだ」

 

俺の野望…そんなの決まってる

あいつが生きれる世界を、環境を汚した人類に、制裁を加える!

 

 

アオギリ「…イズミ…始めるぞ……全てを」

あの日、海底洞窟に行き、俺はカイオーガの力を手に入れた

 

ヒガナ「……ふふふ」

イズミ「…っ!貴様!誰だ!?」

アオギリ「……」

ヒガナ「…落ち着いて?僕はただ、君の事を応援したいだけなんだ…アオギリ」

アオギリ「…俺を?」

ヒガナ「…この、《ゲンシドライバー》を、君とマツブサに授けるよ。これを使えば、世界を終わらす事が出来る」

イズミ「…世界の終わり?何を言ってるの!?アオギリ!なんとか言ってよ!」

アオギリ「…すまねぇな、イズミ…」

イズミ「……アオギリ?」

アオギリ「…俺様はもう、以前の俺ではない」

俺はイズミの首を掴み、持ち上げた

 

イズミ「…くっ!」

アオギリ「…この世界はな、もっと美しくあるべきなんだ…だから、俺は人類を根絶やしにする!人間がいるから!世界が壊れていくんだ!…そして…大切なものまで失ってしまう!そんなの…耐えられねぇ!」

イズミ「……貴方にとって……私達は……大切…じゃないの…?」

アオギリ「…っ!」

俺は手から力を抜いた

 

イズミは咳をしながら地面に落ちた

 

アオギリ「……」

イズミ「……アオギリ…貴方にとって…本当に大切なものって何?」

アオギリ「……俺は…」

 

 

俺にとって大切なもの…それは、ガキの頃、あの日だけ一緒に遊んだあいつだった

ジラーチは、馬鹿みたいな俺の事を受け入れてくれた

あいつだけは…

 

「ははは!アオギリ!お前はいつも面白い話をしてくれるな!」

 

いや、あいつだけじゃない

俺を受け入れてくれたのは…

 

「でしょ?マツブサ兄ちゃん!」

「コラコラ、私達は友達みたいなもんだろ?マツブサでいいよ」

「…分かった!マツブサ!」

 

アオギリ「……」

 

「願望の戦士!仮面ライダービジオン!ジラーチフォルム!」

 

そしてあの日、あの小娘がジラーチの力を使ったところを見た

メガストーンは、ポケモンの魂が宿っているものだと、マツブサから聞いた

 

あいつは生きていた

 

…なら、今度こそ俺は、あいつが生きて行ける世界を作りたい

 

大切なものを守る為に

 

あとは…あいつだけだ

 

             *

 

アオギリ「……俺は、あの日守れなかったものを、救えなかったものを、今度こそ救いたい!マツブサ!お前は必ず、俺が救ってみせる!この世界にはな…失っちゃいけねぇもんがあんだよ!」

 

ゲンシドライバー!

 

アオギリは左サイドにあった溝に、《カイオーガストーン》をはめ込んだ

 

リゲイン!

ゲンシカイキ!

 

アオギリは「あいいろのたま」を取り出す

上に掲げ、叫ぶ

 

アオギリ「変身!」

 

「あいいろのたま」をゲンシドライバーの大きな溝にはめ込む

 

α!アクア…アルファ!

仮面ライダー!アニマス!

 

アオギリ「…例え悪に加担したとしても!これが俺の正義だ!」

 

To be continued




次回予告

正義へと目覚めたアオギリ!
マツブサの野望を止める為、ライト達と共闘する!

しかし…

ヒガナ「……つまらないよ…君達…」
ヒガナの魔の手が、すぐ側に迫っていた

マツブサ「……カガリ!」
『ぐらぐらぅるぅぅぅ……ッ!!!』

第四十三話「繰り返される悲劇」


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第四十三話「繰り返される悲劇」

前回のあらすじ

ライトとレンに驚異的な強さを見せるマツブサ
何とか逃げ込んだライトとレンは、ヒガナと対峙した

ルネの地下にある目覚めの祠に侵入したマツブサとアオギリを止めようとした2人だが、なんとアオギリがマツブサと対峙した

アオギリ「……俺は、あの日守れなかったものを、救えなかったものを、今度こそ救いたい!マツブサ!お前は必ず、俺が救ってみせる!この世界にはな…失っちゃいけねぇもんがあんだよ!」



リゲイン!

ゲンシカイキ!

 

アオギリ「変身!」

 

α!アクア…アルファ!

仮面ライダー!アニマス!

 

アオギリ「…例え悪に加担したとしても!これが俺の正義だ!」

アオギリはマツブサに向かって言い放つ

 

アオギリ「根源の戦士!仮面ライダーアニマス!」

マツブサ「……アオギリ…私を裏切る気か…」

アオギリ「…悪いなマツブサ…でも俺は、世界の終わりよりも、もっと大切なものに気付いた!…それは、かげがえのない存在、俺の親友である、お前だ!」

マツブサ「……私の野望を邪魔する時点で、貴様は私の友ではない!」

ライト「…アオギリ…」

レン「…っ」

アオギリ「…ガキンチョ共!一緒にマツブサを止めてくれ!頼む!」

アオギリは俺達に頭を下げた

 

ライト「……寝返り作戦だったら容赦しねぇぞ」

レン「……まぁ、アクア団でも世話になったからな」

アオギリ「……お前ら…」

ライト「…行くぞ!」

レン「…アオギリ!足引っ張るなよ!」

アオギリ「……あぁ!」

マツブサに向かって行く3人の仮面ライダー

 

ライト「はぁぁぁ!」

レン「はぁぁぁ!」

アオギリ「はぁぁぁあ!」

マツブサ「…おのれ…だんがいのつるぎ!」

地面から飛び出す岩石を俺達は避けた

 

マツブサ「なにっ!?」

ライト「ブレイズキック!」

マツブサの胸にキックを食らわせる俺

しかし、巨体となったマツブサには、そこまで効いてはいなかった

 

マツブサ「…ふんか!」

突如発熱するマツブサ

まるで噴火したかのように熱風を放った

 

ライト「熱っ!!」

アオギリ「ハイドロポンプ!」

マツブサにハイドロポンプを放つアオギリ

 

しかし、マツブサに直撃する水は全て蒸発してしまった

 

レン「…はどうだん!」

不規則な動きのエネルギー弾を放つレン

マツブサに直撃するも、やはりあまり聞いていない様子だった

 

ライト「…やっぱり、タダでは行かないか…」

マツブサ「……」

レン「…今あいつの体には、水を蒸発させるほどの熱を持ってる…みず技は効かないか」

ライト「じゃあどうするんだ?アオギリの攻撃も効かないじゃないか」

アオギリ「慌てるなガキンチョ。要は、攻撃が当たるようにすればいいんだ」

ライト「…?」

レン「…そうか、奴の許容を超えるほどの攻撃をすればいいのか」

ライト「…なるほどな!」

俺は《バシャーモナイト》と《サメハダーナイト》を入れ替えた

 

ライト「フォルムチェンジ!」

 

サメハダー!

サメ!サメ!ハダ!ハダ!サーメハーダー!

 

ライト「魚雷の戦士!仮面ライダーバーサ!サメハダーフォルム!」

俺は《サメハダーブレード》を構える

 

レンは《メガストーンコネクター》を取り外し、《ミュウツーナイトY》と《ルギアストーン》を入れ替えた

 

レン「フォルムチェンジ!」

 

ルギア!

ルー!ルー!ルルルギアー!

 

レン「白銀の戦士!仮面ライダーレジェン!ルギアフォルム!」

マツブサ「…私にそんな力は通用しない!」

アオギリ「…しおふき!」

アオギリはマツブサに向けて潮を吹いた

 

レン「ハイドロポンプ!」

レンが追うようにハイドロポンプを放つ

 

マツブサ「…くっ…なにっ」

段々とマツブサの腹部の装甲が硬直していく

 

ライト「アクアジェット!」

《サメハダーブレイド》に水のオーラを纏わせ、瞬速の速さでマツブサの懐に入る

 

マツブサ「なっ!」

ライト「…はっ!」

俺は硬直した腹部に斬撃を喰らわしたら

 

マツブサ「なっ!」

ライト「…よし!」

腹部の装甲は脆くなっていて、一部が砕けた

 

やっぱり、続けて撃てば、マツブサは水に弱い!

 

ライト「みんな!このまま押し切るぞ!」

レン「あぁ!」

アオギリ「おう!」

マツブサ「舐めるな!だんがいのつるぎ!」

マツブサが叫ぶと、地面から岩石が飛び出しながら迫ってくる

 

アオギリ「こんげんのはどう!」

アオギリは水の球体を出現させ、そこから一気に水のビームを岩石に向けて放った

アオギリの攻撃は岩石を砕いた

 

マツブサ「おのれ!」

ライト「こうそくいどう!」

俺はマツブサの周りを旋回する

 

マツブサ「ぬっ…くっ…」

レン「エアロブラスト!」

竜巻を発生させ、マツブサに攻撃をする

 

マツブサ「…くっ」

ライト「いけ!こおりのキバ!」

旋回していた俺はマツブサに、氷を纏わせた《サメハダーブレード》で斬撃を喰らわした

 

マツブサ「ぬおっ!」

傷口から徐々に凍っていくマツブサ

仕舞いには完全に氷に覆われた

 

ライト「よし!このまま一気に…」

すると、マツブサを覆っていた氷が溶け始めた

 

ライト「なっ!」

マツブサ「……ふんっ!」

熱風を放ち、氷を完全に溶かしたマツブサ

 

マツブサ「この程度で、私が苦戦する筈がないだろ!」

 

オメガ!グランドフィニッシュ!

ガイアボルケーノ!

 

マツブサ「…ガイアボルケーノ!」

マツブサは口内のマグマに力を溜める

 

ライト「くっ…まずい」

アオギリ「任せな!」

 

アルファ!オーシャンフィニッシュ!

タイダルストーム!

 

アオギリはひとつの水の塊を出現させる

 

アオギリ「タイダルストーム!はぁ!」

マツブサ「…ぬおぉ!」

マツブサはマグマのビームを、アオギリは水のビームを放ち、2つのビームがぶつかり合った

 

水蒸気を発しながら、お互いの攻撃は続く

 

マツブサ「…はあぁぁぁ!」

アオギリ「…なっ!」

マツブサが押し切り、アオギリはダメージを負った

 

アオギリ「…くそっ!」

ライト「…っ!」

すると、なんと驚く光景が見えた

 

イズミ「アオギリ!」

ウシオ「兄ぃ!」

アオギリ「…お前ら…!」

イズミ、ウシオ、そして無数のアクア団員…そして

 

ホムラ「…リーダー…マツブサ…」

マツブサ「…ホムラ…お前達…」

無数のマグマ団員を率いたホムラ

 

ホムラ「…リーダー…これは一体…」

マツブサ「…私は世界を終わらなせなくては行けないのだ…それはお前達も分かって…」

ホムラ「…冗談じゃない…俺達にとっての世界の終わりは、人類の進化そのものだ!こんな物じゃない!」

マツブサ「……」

ホムラ「…リーダー…貴方は我々が止める!」

 

グランド!ラーイズ!

オーシャン!ラーイズ!

 

ホムラ「変身!」

マグマ団員「「「「変身!」」」」

ウシオ「変身!」

イズミ「変身!」

アクア団員「「「「変身!」」」」

 

バクーダ!ドンメル!

サメハダー!キバニア!

We are! Team MAGMA!

We are! Team AQUA!

 

無数のグランドトルーパーズ、そしてオーシャントルーパーズが揃った

 

ホムラ「仮面ライダー!リーダーを止める為!我々も戦う!」

イズミ「私達はアオギリと仮面ライダーのサポートを!」

ウシオ「オゥホゥ!」

アオギリ「…お前ら…」

ライト「…皆……」

レン「…ふっ」

ライト「…よし!行くぞ!」

全員が「おう!」と返事をした瞬間、全員でマツブサに突っ込んだ

 

マツブサ「……ぬおおおお!」

マツブサは全員が攻撃の範囲内に入った瞬間、熱風を放ち、俺達を突き飛ばした

 

ライト「くっ…アクアジェット!」

俺は洞窟の壁や岩などを駆使し、マツブサに連続で斬撃を加えた

 

ウシオ「きりさく!」

イズミ「きりさく!」

アクア団は切り裂く攻撃をマツブサを攻撃した

連続で来る攻撃に、マツブサも動揺を隠しきれなかった

 

ホムラ「いわなだれ!」

マグマ団はいわなだれの攻撃でマツブサの足場を不安定にし、体勢を崩させた

 

マツブサ「くっ…おのれ…」

ライト「今なら行ける!」

レン「あぁ!」

マツブサ「…そうはさせん!」

マツブサは「べにいろのたま」に手を伸ばす

 

マツブサ「…っ!」

すると、マツブサの手が止まった

よく見ると、マツブサの腕を、後ろに立ったアオギリが拘束している

 

アオギリ「今だ!いけ!仮面ライダー!」

マツブサ「アオギリ…よせっ!」

ライト「…アオギリ…分かった!」

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

サメハダー!

バイティングダイブ!

 

レジェンド!ヒッサーツッ!

ルギア!

インスタント!サイクロン!

 

ライト「バイティングダイブ!」

レン「インスタントサイクロン!」

レンは飛び上がり、勢いよく羽ばたいた

すると、謎に雨が降り出し、豪雨となった

 

俺はほんの僅かに溜まった水溜まりの中にダイブし、マツブサに近付いて行き、目の前に来たとこで、《サメハダーブレード》を振りかざした

 

マツブサ「やめろォォォ!」

ライト「はぁぁ!」

マツブサ「…ぐわぁぁあ!」

一撃を喰らったマツブサは変身が解け、地面に突っ伏した

俺達も変身を解いて、マツブサに寄って行った

 

マツブサ「…そんな…私の…野望が…」

ライト「…マツブサ…あんたは悔い改めるべきだ」

マツブサ「……」

ライト「…あんたは、友情や絆って物を踏みにじった…裏切られた人の気持ちを、分かってあげられるような人間になるんだ」

マツブサ「…しかし、今更私には、人の気持ちなんて理解出来ない!だからこの方法しか無かったんだ!」

ライト「…人の気持ちを分かることは無理でも、思いやる事は出来るだろ?」

マツブサ「…っ!」

ライト「…マツブサ…あんただって、アオギリだってやり直せるさ…2度目の人生を」

マツブサ「……」

アオギリ「そうだぞマツブサ!俺と一緒に、2度目の人生を楽しもうぜ!」

マツブサ「…アオギリ…」

アオギリ「俺はお前を諦めない。俺達はいつまでもダチだ!」

マツブサ「……ダチか…今更私にそんな資格があるのか…」

アオギリ「関係ねぇよ!」

マツブサ「…ふっ…馬鹿な男だな…お前は」

マツブサは笑を浮かべていた

ホムラやマグマ団員達がマツブサに駆け寄り、体を支えていた

 

マツブサ「…お前達にも…済まないことをした…どうか、詫びさせてくれ」

ホムラ「…リーダー…貴方の失態はマグマ団の失態…皆でカバーして行きましょう」

マグマ団員達が頷く

 

マツブサ「…私は…大切なものを…見失っていたのだな…」

ライト「……そういえば、カガリさんは?」

レン「…確か、メガミとメグと交戦中の筈だが…」

すると、背後から唯ならぬ気配を感じ、俺とレンは振り返った

 

ヒガナ「…つまらないよ、君達…」

ライト「ヒガナ!…っ!」

ヒガナは3人の女性を連れていた

紛れもなくメガミ、メグ、そしてカガリさんの3人だった

3人とも酷く負傷していて、立っているのもやっとな感じだった

 

メガミ「…ライトさん…」

メグ「…やばいよ…こいつ…強すぎ…」

2人は倒れ込んでしまった

 

ライト「…っ!」

レン「……貴様!」

ヒガナ「おっと落ち着いて、彼女を見てよ…」

カガリさんは両腕をヒガナに拘束され、身動きが取れていなかった

 

マツブサ「…お前、カガリを人質に取るのか…」

ヒガナ「…人質?…違う、彼女はそんなものじゃない」

カガリ「……あっ」

カガリさんはヒガナに押し倒された

 

カガリ「…リーダー…マツブサ…」

マツブサ「……カガリ…」

ヒガナ「…マツブサ…どうして彼女が…君にこんなに従順なのか分かるか?」

マツブサ「……なに?」

ヒガナ「思い出してご覧よ…かつて君に従順だった人物を…そして…その人物の末路を…」

マツブサ「…バトラー…?」

ヒガナ「そう!正解さ!」

マツブサ「…どういう意味だ!バトラーはあの時…」

ヒガナ「…彼は生きていたのさ…あの日、ジラーチの攻撃に巻き込まれたと思われたが、奇跡的に生き残り、子孫を繁栄して行った」

マツブサ「……まさか!」

ヒガナ「そう!彼女こそ、バトラーの子孫なんだよ!」

マツブサ「…カガリが…バトラーの子孫…」

ヒガナ「だからこそ彼女は、君に従い、崇拝した…そして今、彼と同じように裏切られた…」

マツブサ「……っ」

ヒガナ「……あの時、彼を見限ったのは君らしいね、そして君は、人類、そして何より仲間であったはずのマグマ団を見限った!」

マツブサ「……違う…」

ヒガナ「…そして今日この時、メタグラードンが復活する…」

マツブサ「…何っ!?」

ライト「どういう事だ!ヒガナ!」

ヒガナ「あの日、メタグラードンの遺伝子がバトラーに組み込まれたんだよ、それは遺伝して行って、彼女にその細胞が集中した」

レン「メタグラードンの、遺伝子…」

ヒガナ「…そして、膨大に増幅した負の感情、そしてここに充満する自然エネルギー!この2つが組み合わさることで、メタグラードンが復活する!」

マツブサ「……まさか!」

ヒガナ「……ふっ!」

カガリ「…ぐっ」

ヒガナはカガリさんを踏みつけ、カガリに問いかけた

 

ヒガナ「…見てよ、彼が今君や人類を裏切り、この世界を終わらせようとした人間だよ?」

ライト「やめろ!」

俺はヒガナに向かって走った

 

ヒガナ「…ふっ!」

ライト「だぁ!」

ヒガナが俺に手をかざすと、衝撃波が走り、俺は押し戻された

 

ヒガナ「邪魔だよ、波山ライト君」

ライト「……くそっ」

カガリ「……リーダー…ウソ…だよね?」

マツブサ「……」

カガリ「……いや…ウソ……」

マツブサ「…カガリ…私は…」

カガリ「…イヤだ!もう何も信じたくない!!」

カガリは叫んだ

 

すると、目覚めの祠の紅色の宝石と藍色の宝石が光だし、それぞれの色のオーラがカガリに集中した

 

カガリ「ああぁぁあぁあぁあああ!」

マツブサ「……カガリ!」

カガリさんは緑色のヘドロのようなものに包まれ、それはどんどん大きくなって行った

 

ライト「…どうなってんだ?」

カガリさんは洞窟の天井を破って行った

 

             *

 

ダイゴ「……っ!」

ミクリ「…なんだあれは…」

ダイゴ「……っ」

 

『ぐらぐらぅるぅぅぅ……ッ!!!』

 

             *

 

ライト「まずい!このままじゃここが崩れる!」

レン「逃げるぞ!」

ヒガナ「……ふふ」

ヒガナは闇の空間へと消えて行った

 

ライト「メガミ!メグ!」

メガミ「…ライトさん…すいません…」

ライト「ここを出るぞ!」

俺達全員は九死に一生を得た

目覚めの祠を脱出した俺達は、あの怪物を見た

 

マツブサ「……あれは…」

アオギリ「……間違いねぇ」

 

全長100メートルはある

グラードンのような見た目だが、全体的に黒ずみ、体の側面から緑色のヘドロのようなものが流れ込んでいる

 

『ぐらぐらぅるぅぅぅ……ッ!!!』

 

アオギリ「……メタグラードンだ」

ライト「…あれが…メタグラードン…」

レン「……」

ダイゴ「ライト君!」

ミクリ「……っ」

ライト「ダイゴさん!」

ダイゴ「あれは?」

ライト「…メタグラードン…いや、あれはカガリさんです」

ダイゴ「……?」

ライト「カガリさんがあんな怪物に…」

マツブサ「……カガリ…」

 

『ぐらぐらぅるぅぅぅ……ッ!!!』

 

すると、メタグラードンのヘドロが蛇のように伸び始め、こっちに向かって来た

 

ダイゴ「ぬぁ!」

ミクリ「わっ!」

ライト「ダイゴさん!ミクリさん!」

蛇はダイゴさんとミクリさんを飲み込み、メタグラードンへと戻って行った

 

レン「…あいつ…人間を攫っていくのか?」

ライト「……くそっ」

マツブサ「…メタグラードンは、地球の自然を壊す怪物だ。人間やそのほかの生物を襲い、自分の糧として行く」

アオギリ「…どうする?」

ライト「…助けます…ダイゴさんもミクリさんも、カガリさんも!」

俺は変身した

 

レン「そうだ、全員助ける!」

レンも続けて変身した

 

アオギリ「…イズミ…」

イズミ「…なに?」

アオギリ「お前達はルネの人達を避難させるんだ」

イズミ「え?」

アオギリ「やつは俺達が止める。あの日みてぇな悲劇はもう起こさせねぇ!」

マツブサ「ホムラ、お前達もだ」

ホムラ「…分かりました!リーダー!」

マグマ団員、そしてアクア団員は一斉にその場から離れた

 

『ぐらぐらぅるぅぅぅ……ッ!!!』

 

しかし、メタグラードンはさらにヘドロの蛇を伸ばしてくる

 

イズミ「やっ!」

ウシオ「うぉっ」

アオギリ「イズミ!ウシオ!」

ホムラ「ぎょえ!」

マツブサ「ホムラ!」

イズミ、ウシオ、ホムラはメタグラードンに飲み込まれてしまった

 

それで終わると思ってた

 

メガミ「キャッ!」

メグ「メガミちゃん!」

ライト「…っ!メガミ!」

メガミ「ライトさん!あとは頼み…」

なんとメガミまでもがメタグラードンに飲み込まれてしまった

 

『ぐらぐらぅるぅぅぅ……ッ!!!』

 

ライト「…カガリさん…もうやめてくれ!」

俺はメタグラードンに向かって行った

 

『ぐらぐらぅるぅぅぅ……ッ!!!』

 

俺の事を見たメタグラードンはヘドロの蛇を伸ばしてくる

 

ライト「かそく!」

俺はそれを何とか避ける

仕方なく俺はレン達の元に戻った

 

でも、収穫はあった

 

ライト「…あの中に、皆がいる」

メタグラードンに近付いた時に気付いた

メタグラードンの腹部

気泡の中に眠っている皆を見つけた

そして、奥にはカガリさんもいた

近くにメガミもいる

 

ライト「全員であそこに突っ込めば、何とかなるかも!」

レン「…よし、一か八かだ!」

アオギリ「乗ったぜ!」

マツブサ「…これは私の失態だ、責任は私が取ろう」

ライト「…よし!皆…行くぜ!」

俺とレン、アオギリとマツブサはメタグラードンに突っ込んで行った

 

ライト「行け!」

 

バーニング!ドライブ!

Legendary Awakening!

ガイアボルケーノ!

タイダルストーム!

 

ライト「はぁぁぁ!」

レン「はぁぁぁ!」

アオギリ「はぁぁあ!」

マツブサ「はぁぁあ!」

俺は炎を、レンは紫のオーラを、アオギリは水を、マツブサはマグマを纏わせ、メタグラードンの腹部に向かってキックを放った

 

『ぐらぐらぅるぅぅぅ……ッ!!!』

 

ライト「……」

メタグラードンの体内は水が貼ったようになっていて息が出来なかった

 

ライト「…っ!」

奥にいるカガリさんとメガミを見つけた

でも息が続かない

どっちを助ける?

今ならどっちかなら助けることが出来る

 

ライト「……」

カガリ「……」

メガミ「……」

いや…

 

ライト「……っ!」

どっちも助ける!

俺は2人の手首をつかみ、思いっきり引っ張った

 

メタグラードンの体内から脱出した2人

俺は体内に残された

 

ライト「……」

アオギリやマツブサ、レンは無事に外に出られたらしい

 

メタグラードンの叫びが聞こえる

 

今外はどうなってる?

 

ライト「……」

息が出来ない…

やばい…このままじゃ…

 

いや…俺は生きる…

強くなるんだ…

仲間を……世界中の皆を…守る為に…

 

俺は…ヒーローになるんだ!

 

ライト「…っ!」

突如、俺は緑色に輝いた

 

なにか物凄いパワーが与えられたかのようだ

 

俺は勢いのまま、メタグラードンの体内から抜け出した

 

『ぐらぐらぅるぅぅぅ……ッ!!!』

 

メタグラードンは断末魔を吐きながら、ヘドロになって消えて行った

 

ライト「…はぁ…はぁ…」

レン「…やったか…」

アオギリ「…あぁ、これでこの世界は救われた…」

マツブサ「……終わったのか…」

ライト「……」

結局、あの力は謎のままだった

 

 

カガリ「……う…うぅん…」

マツブサ「……カガリ…」

カガリ「…リーダー…マツブサ…」

マツブサ「…カガリ…私は罪を犯した。お前の信頼を、思いを踏みにじった…どうか、償わせてくれ」

カガリ「……大丈夫…もう…大丈夫だから…」

カガリを抱え込むマツブサ

カガリは笑っていた

 

マツブサ「…ライト君よ」

ライト「…なんだ?」

マツブサ「…我々マグマ団は、これからは世界の均衡を、そして自然を守る為に、これからも活動するつもりだ。これで私の罪が晴れたとは言わない…だが、少しでも罪を償いたい…」

ライト「…あんたはあんたにしか出来ないことをすれば良い。それがあんたにとっての償いだ」

マツブサ「……ふっ…そうだな」

アオギリ「ライト!」

ライト「うわっ、びっくりした…」

アオギリ「俺達アクア団は、海の自然を守る組織として行くつもりだ、俺もマツブサと同罪だからな。マツブサと一緒に償って行きたい!」

ライト「…うん、いいと思う」

アオギリ「…へっ!」

レン「…一件落着だな、ライト」

ライト「…あぁ」

 

ホウエン地方に、ようやく平和が訪れた

 

と、思っていたのだが…

 

メグ「…いや、多分まだあるよ」

ライト「…どうした?メグ」

メガミ「…ライトさん…実は、私達とカガリが戦っている時、急にヒガナが現れたんです」

メグ「…一見、カガリを連れ去るのが1番の目的と考えるけど」

ライト「……」

メガミ「…あの時ヒガナはこう言っていました…」

 

「メタグラードンはさほど強くない。多分仮面ライダー達は簡単に倒すだろうね…でも時間稼ぎにはなる。これで僕の野望が叶えられる…」

 

メガミ「…そう言って、私のメガリングからキーストーンを奪って行ったんです」

ライト「…キーストーンを?」

見ると、メガミのメガリングには虹色の輝きがなかった

 

レン「……キーストーンを盗んで何をする気だ?」

ライト「……」

謎は深まるばかりだった

 

それよりも、俺はさっきの力が気になってしょうがなかった

理由は、一瞬頭の中に、宇宙が見えたからだ

 

             *

 

ヒガナ「……ふふふっ」

まずは一個

僕はあの娘から盗ったキーストーンを眺めた

 

そうだな、あと三個

彼の力を呼び覚ますには、大量のキーストーンが必要だとわかった

その位は必要だろう

 

僕は《レックウザ》の魂が宿ったメガストーンを眺める

 

もう少しだ

 

もう少しで、僕の野望が…

 

殿…

 

待っててね…

 

ヒガナ「…ふふふ…フハハハ……ハハハハ!」

さぁ!楽しくなって来た!

 

To be continued




次回予告

  最終章

    開幕──

第四十四話「キーストーン争奪戦」


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ノブナガの野望 編
第四十四話「キーストーン争奪戦」


前回のあらすじ

正義へと目覚めたアオギリ!
ライト達と共闘し、遂に、マツブサを撃破!

しかし、全てを見ていたヒガナは、カガリにメタグラードンの遺伝子がある事を明かす
そして復活したメタグラードンはライト達を追い詰めたが、ライト、レン、アオギリ、マツブサの攻撃により、撃破!
ホウエン地方は守られた

しかし、ヒガナの本来の目的はこれではなかったのだ
メガミのキーストーンを盗み、何かを企んでいた



ヒガナ「ふんふふーん♪」

『ご機嫌ですね、ノブナガ様』

ヒガナ「あったり前だろー?こうすれば仮面ライダーの変身能力を無くせるだけでなく、レックウザを復活させる為に必要なキーストーンも揃う!一石二鳥でいい事づくめ!」

『そうですねぇ』

キーストーンを片手にはしゃいでいる僕を、『ボーマンダ・ヤミー』は見守っていた

 

ヒガナ「…ふふふ…あと3個…ふヒヒヒ!」

 

             *

 

ライト「……」

あの一件の後、俺達は引き続きマグマ団のアジトで居候させてもらう事にした

マツブサは、ほんの気持ち程度だと言っていた

本当に人が変わったようだ

俺が嫌いだったマツブサの目はいつの間にか優しくなっていた

今なら目を見続けられる自信がある

 

でも、今でもちょっと苦手な人はいる

 

ライト「……わっ」

カガリ「……」

カガリさんだ

 

俺が1人になると、何かと遭遇する確率が多い

そしていつも、俺を待ってるかのようだ

 

カガリ「…………あの…」

ライト「……あー…はい?…」

カガリ「…………」

いつもこうだ

あっちから話しかけてきたにも関わらず、黙ってしまう

それがカガリさんだ

 

ライト「…あー…用がないなら、急ぎますね。待ち合わせがあるんで…」

カガリ「…あっ…」

俺は申し訳ないと思いながらも、カガリさんを無視してマグマ団アジトを抜け出した

 

カガリ「……」

 

メガミ「……………ムゥー…」

 

             *

 

ダイゴ「……」

ライト「ダイゴさん!」

ダイゴ「ライト君…」

俺が待ち合わせしていた相手はダイゴさんだった

ダイゴさんはホウエンの空を見ながら俺を待っていた

どこまでも続く青空

 

ダイゴ「…君は、明日世界が終わるとしたら、どうする?」

ライト「…なんですか?急に…」

ダイゴ「…その驚異はポケヤミーではなく、人間の悪意でもない。例えば、隕石、とかだったら?」

ライト「…明日隕石が来たら、どうするかって事ですか?」

ダイゴさんはゆっくり頷いた

 

ライト「……できる限りの事はしますよ、だって俺は仮面ライダーですから…でも、なんで急にそんな話を?」

ダイゴ「……実は、ミクリから聞いたんだ。ルネに伝わる、とある民族の話を…そして、その民族が予言した物を」

ライト「……?」

ダイゴ「…このホウエンには過去2回、隕石が落下したらしい。その内の1回で、ルネのクレーターが出来上がった」

ライト「…はい」

ダイゴ「……そして、その予言によれば、もうすぐココに、隕石が来る。それも、過去最大規模の」

ライト「……もうすぐっていつですか?」

ダイゴ「分からない…でも、近い将来だ」

ライト「……」

ダイゴ「…きっと、マツブサやアオギリなんかよりも、地球を危険に晒す存在だ。どうなる事やら…」

ライト「……止めますよ、何がなんでも」

ダイゴ「……」

ライト「…だって、マツブサやアオギリ、そして、メタグラードンを、俺達は止める事が出来た。今度も自分を信じて、戦います」

ダイゴ「……自分を信じて、か…君らしいね」

ライト「…はい」

それはダイゴさんの目をじっと見た

 

ライト「……それより、ルネに伝わるとある民族って、何なんですか?」

ミクリ「それは私が教えよう」

俺達の後ろからミクリさんが歩いて来ていた

 

ミクリ「ズバリ、それは『流星の民』…古くから、隕石の接近や衝突の予知を行っていた民族さ。まぁ、今は全滅して、誰もその血を受け継いでいる者は居ないと聞くけどね」

ライト「流星の民…」

ダイゴ「流星の民はそれこそ、『レックウザ』を崇拝していたとされる」

ライト「…レックウザを…」

ダイゴ「レックウザは宇宙に住まうポケモン、そしてその主食は、隕石だ」

ライト「…え」

ミクリ「だから流星の民は、レックウザを呼び出し、隕石の衝突を阻止しようとしたが、いずれにせよ失敗したんだろうね」

ライト「…そうなのか」

ミクリ「まぁ、あくまで諸説ありだから、この事実を知っている人間は少ないと思うよ」

ライト「…そうですか…」

俺は少しだけ、レックウザに近付けた気がした

 

すると、俺の携帯が鳴った

 

相手は叔父さんだった

ちなみに身を隠していた叔父さんはメタグラードンの一件の最中、ラボに籠ってとある物を開発していたらしい

 

そのとある物とは…

 

 

メグ「え!?私に!?」

カズマ「そうだ、お前のパートナーである『ディアンシー』も、もしかしたらメガシンカするポケモンかもしれないからな」

そう言うと、叔父さんはメグにもうひとつの《キーストーンコネクター》を渡した

 

メグ「……」

メグは《キーストーンコネクター》をじっと見た

 

ライト「ディアンシーも、最初は封印されてたのか?」

レン「さぁな、俺はメグが初めて変身した場にはいなかった」

ライト「…そうなんだ」

メグ本人に聞こうともしたが、何となく止めといた

さっきのレンの反応も悪かったし

 

 

俺は電話に出た

 

ライト「もしもし?」

カズマ『あぁ!ライト!今何処にいる!?』

ライト「…アジトの近くだけど…」

カズマ『今すぐに戻って来てくれ!』

ライト「どうしたの?」

カズマ『…奴だ、ヒガナが来たんだよ!』

ライト「え!?」

俺は全速力でアジトに向かって行った

 

 

アジトに着くと、既に満身創痍なメグ、レン、そしてヒガナがいた

ヒガナはトンボのようなドラゴンのようなポケヤミーを連れて来ていた

 

ライト「ヒガナ!」

ヒガナ「お?やっと来たかライト君」

ライト「皆に何をした!?」

ヒガナ「何って、分からないかい?君達を倒しに来たのさ」

レン「……こいつ、キーストーンを狙ってやがる」

ライト「え?」

そういえば、メガミのキーストーンも、ヒガナに盗られたんだった

 

レン「俺のは何とか阻止したが、メグの物が…」

メグ「ごめんライト君…取られちゃった…」

ライト「安心しろ、俺が取り戻す!変身!」

 

バシャーモ!

ババッバッバッババッババシャーモ!

バッババシャーモ!

 

俺は仮面ライダーバーサへと変身した

 

ライト「熱き炎の戦士!仮面ライダー!バーサ!」

ヒガナ「言っておくけど、今度は手加減しないよ?」

ライト「…燃えるぜ!」

 

             *

 

ライトさんとカガリがまた話している

 

ライトさんは急いでいるようだったけど、カガリはずっとモジモジしている

 

ライトさんは待ち合わせがあると言ってカガリの元を離れた

よっしゃ

 

カガリはしばらくした後、ため息をついた

 

徐ろに体をこっちに向けた時、私と目が合った

 

メガミ「あ…」

カガリ「……」

カガリは私の目をじっと見ながら距離を縮めて来る

 

カガリ「……今の……見てた?」

メガミ「……は…はい…」

正直に言うしか無かった

 

カガリ「……はぁ〜…」

メガミ「……」

カガリさんのこの反応

もしかしたら…

 

カガリ「……ボク…こんなの初めてだよ…」

ライト「…え?」

カガリ「……リーダーマツブサとは違う…彼と会うと、特別な気持ちになるんだ…ここがドクドク言って、言う事を聞かない」

カガリは胸の辺りを抑えながら言う

 

カガリ「……これって…何なのかな?」

メガミ「……」

はっきり言えば、多分、いや絶対に

カガリはライトさんに恋をしている

 

彼女のこの表情

以前のようなものではなく、とても可愛らしい、乙女のような表現

私は答えた

 

メガミ「……病気じゃない?風邪とか」

カガリ「……そう…かな…」

でも忘れてはいけないのは

私は…悪い女なのだ

ライトさんは、誰にも盗られたくない

 

すると、後ろからメグさんが走って来ていた

 

メグ「メガミちゃーん!」

メガミ「どうかしました?メグさん」

メグ「見て見てー!これー!」

メグさんは《キーストーンコネクター》のようなものを持って走って来ていた

 

そういえば、メグさんにもカズマさんが作ったというのをライトさんから聞いたのを思い出した

でも見せてもらうのはのは初めてだった

 

次の瞬間

 

メグ「……っ!?」

メグさんがいた廊下の壁に亀裂が走り、穴が空いた

そこからドラゴンのようなポケヤミーに乗ったヒガナが手を伸ばして突っ込んで来た

 

メグ「…あっ!?」

ヒガナ「…ふふ」

ヒガナはポケヤミーの背中から降りた

その手にはメグさんの《キーストーンコネクター》が握られていた

 

メグ「それ!私の!」

ヒガナ「…これが《キーストーンコネクター》か、君のキーストーン、貰ったよ」

メグ「ちょっと!返してよ!」

 

リード!

ドロップ!レジェンド!ヘンシーン!

 

メグ「変身!」

 

ディアンシー!

ディ!ディアン!ディ!ディアン!ディアンシー!

 

メグ「幻の戦士!仮面ライダー!ビジオン!」

ヒガナ「…そうか、君達はキーストーンがなくても変身できたんだっけね…」

メグ「これが本物の幻よ!」

ヒガナ「…まぁ、彼の力を見てみてよ。行っておいで、『フライゴン』君」

『承知致しました、ノブナガ様』

 

メグさんの前に、『フライゴン・ヤミー』が立ち塞がる

 

レン「…どうやら、リベンジのチャンスが来てみたいだな。変身!」

レンさんは仮面ライダーメガレジェンへと変身した

 

メグ「行くよ!お兄ちゃん!」

レン「あぁ!」

ヒガナ「…行け」

『……はぁあ!』

 

             *

 

ライト「ほのうのパンチ!」

『ふぅん!』

俺は『フライゴン・ヤミー』の胸に攻撃をした

しかし、その素早い動きで避けられてしまった

 

ライト「…わっ!」

更に背後からの攻撃

 

ライト「くっ…とびひざげり!」

俺は屈せず攻撃するも、飛び回るポケヤミーに当たることは無かった

 

ライト「速ぇ…だったらこれだ!」

 

ホウオウ!

The Phoenix mode!

Let’s KAMENRIDER!

 

ライト「黄金の戦士!仮面ライダーバーサ!フェニックスモード!」

俺はフェニックスモードへとモードチェンジし、羽ばたいた

 

ライト「ゴッドバード!」

俺は空から一撃を喰らわした

 

ライト「…くっ」

『……』

しかし、結果は同じだった

 

ライト「…強い」

『ふふふ…私のスピードについて来られるかな?仮面ライダーよ』

ヒガナ「このポケヤミーは僕の自信作だ。君達に勝てるわけがない」

レンがボロボロになるのも納得だ

こいつは強さの次元が違う

 

ライト「……どうしたら…」

俺は悩んでいた

相手は強い

それに多分タイプ相性も悪い

 

このままではこいつには勝てない

 

ライト「……っ」

俺は思い出した

暴走したマツブサと戦った際

マツブサのマグマを水で硬直させたあと、粉砕したあの戦法を

つまり……

 

ライト「…着いてこい!ポケヤミー!」

『…フッ、何をしようと無駄だ!』

俺は外に出て、一気に空へ飛び上がった

そのまま大気圏スレスレのところまで来た

 

『空中戦か?私も空中戦は得意だぞ?』

予想通り着いてきた『フライゴン・ヤミー』

しかし、俺の目的はそうじゃない

 

ライト「……まぁ見てなって…」

俺はそこで戦いを始めた

『フライゴン・ヤミー』は気にすることなく俺の攻撃を受け流し続ける

 

『これ以上やっても無駄だぞ?』

ライト「それはどうかな!?」

俺は一瞬の隙をついて『フライゴン・ヤミー』を上に蹴りあげた

 

そろそろか?

 

『…フッ、やはり無駄だな…そろそろ殺して差し上げ…むっ!?』

ライト「よし」

『……か、身体が…言う事を聞かない…』

ライト「違う!お前の身体は凍り始めてるんだ!」

『……なん…だと…』

ライト「今のお前は大気圏外にいる。気付かなかっただろうがな!大気圏外に入った生物は段々と身体が硬直していくんだ」

『…貴様…何処でそのような知識を…』

ライト「……義務教育だ!」

『……おのれ…』

表面が凍った『フライゴン・ヤミー』は真っ逆さまに落ちていく

 

今の奴は身体が硬い

つまり、脆い

硬いは脆いと、中学で教わった

 

ライト「喰らえ!エターナルエクスプロージョン!」

 

エターナルエクスプロージョン

 

『ぐわぁぁぁあ!』

脆くなった『フライゴン・ヤミー』の身体を突き破り、俺は地面に着地した

 

 

ライト「……ヒガナ!」

ヒガナ「……フッ」

アジトに戻った俺は、すぐにヒガナの元に戻った

ヒガナは気絶したレンの身体を漁り、笑った

その手には《キーストーンコネクター》が握られていた

 

ライト「…それを返せ」

ヒガナ「冗談言わないでよ、僕はこれが目的で来たんだから」

ライト「…キーストーン?」

ヒガナ「そう!君のも頂きたいところだけど、あと1個は別の仮面ライダーから頂くとするよ。それにしても、『フライゴン・ヤミー』を倒すとは圧巻だね。敵ながら感動だよ」

ライト「……」

ヒガナ「…ハハッ…そんな怖い顔しないで?」

ライト「……それを!返せ!」

俺はヒガナに突っ込んだ

 

ヒガナ「ふっ!」

ヒガナは俺に手をかざし、衝撃波を送ってきた

前と同じように

 

ライト「…くっ…」

ヒガナ「…じゃぁね、波山ライト君っ」

ヒガナは闇と一緒に消えて行った

 

ライト「……くそっ!」

また負けた

生身のヒガナに

あいつにはどんな力が眠っているんだ?

 

「君のも頂きたいところだけど、あと1個は別の仮面ライダーから頂くとするよ」

 

俺はヒガナの言葉を繰り返した

 

ライト「……まさかっ!」

ヒガナの次のターゲットが分かった

 

ライト「……ミツル!」

 

             *

 

カズマ「大丈夫か!?ライト!」

ライト「…叔父さん…俺は大丈夫…それよりもミツルが…」

カズマ「ミツルが?どうかしたのか?」

ライト「ヒガナに狙われてる。助けに行かないと」

カズマ「…わかった、こっちは僕とメガミに任せてお前はミツルのところに行け」

ライト「……あぁ、そうさせてもらう」

俺はアジトを急いで出た

しかし、肝心なミツルの居場所が分からない

俺はとりあえず海辺まで来た

 

どうすれば…

 

ウシオ「困ってるみたいだな!」

ライト「…ウシオ!?」

すると、小型船に乗ったウシオが声を掛けてきた

 

ウシオ「乗ってくか?」

 

 

海を駆けながら、俺達はホウエン地方の周りを走っていた

 

ライト「…助かった…ありがとう…」

ウシオ「…なぁに、困った時はお互い様だろ?まぁ、兄ぃがなるべくお前らの手助けをしろってうるさくてなぁ」

ライト「…そうか」

ウシオ「…まぁ、俺はそんな兄ぃを信頼してるから、兄ぃが信頼してるお前らも信頼せずにはいられんのよ」

ライト「…ウシオ…」

ウシオ「……」

ライト「…俺も、お前達を信頼するよ」

ウシオ「…おぅ!」

ライト「……ふっ」

すると、俺達の上空で衝撃波が起きた

 

ライト「…まさか!」

俺は何とか肉眼で確認した

青いからだに赤い翼を持つドラゴンのようなポケヤミーと戦っている人間

あれは正しく仮面ライダーリワードとなったミツルだった

 

もうヒガナがミツルのところに来たのか!

 

ライト「ウシオ!ここで大丈夫だ!ありがとう!」

俺は変身し、ミツルの所へと向かって行った

 

 

『…フッ…無駄な抵抗はよせ!』

ミツル「…くっ…なんなんだこいつ」

ライト「ミツル!」

ミツル「…ライトさん!?」

ライト「久しぶりだな、でもまずは目の前のこいつだ!」

ミツル「…そうですね、感動の再会はこいつを倒してからです!」

『どいつもこいつもしゃしゃり出やがって!』

ポケヤミーはりゅうのはどうらしき技を打ってきた

 

ライト「かそく!」

俺はかそくを使い、ポケヤミーの真後ろまで来た

 

ライト「喰らえ!ほのうの…!」

『フッ…その程度の不意打ちなど効かんわ!』

ライト「うわっ!」

ポケヤミーは尻尾で俺を薙ぎ払った

 

ミツル「ライトさん!…インファイト!」

ミツルもポケヤミーに突っ込んで行く

 

『…はぁっ!』

ミツル「ぐわっ!」

ミツルだった同じようになぎ倒される

 

ライト「…くっ…こいつも強い」

ミツル「……くっ…」

すると、ポケヤミーの後ろの方からヒガナがゆっくり拍手をしながら現れた

 

ヒガナ「お〜、やっぱり来るのが早いねぇ、ライト君〜」

ライト「……っ」

ヒガナ「でもどうだい?僕が蘇らせた『ボーマンダ・ヤミー』の力は?『フライゴン・ヤミー』みたいに手強いだろ〜?」

ライト「…あぁ、そうみたいだな…」

ヒガナ「…僕は元々ドラゴンタイプ使いだったからね、ドラゴンタイプのポケヤミーだと格段に強さが倍増するみたいだ」

ライト「……っ」

ヒガナ「…さぁてと、君とのお遊びもこれで最後かもね。君の無様な姿を見られるなんて最高だねぇ。そして無様な人間達が死んでいく様を見るのも、これまた一興」

ライト「…ふざけんな…お前の目的は何だ…どうしてキーストーンを集める…?」

ヒガナ「…じゃあヒントをあげるよ…僕がかの織田信長の意思を受け継ぎ、天下統一を果たそうとしているのは知ってるよね?」

ライト「……」

ヒガナ「それにはとある伝説のポケモンの力が必要不可欠なんだ。かつて織田信長が愛用していた、彼の名は…」

ライト「……レックウザ…?」

ヒガナ「正解!そしてそのレックウザの魂は…僕に受け継がれた…」

ヒガナは黒をベースに黒と赤の模様が入ったメガストーンを見せた

 

ヒガナ「これが《レックウザ》、だが力が弱まっている、だから大量のキーストーンを使って彼の力を取り戻すのさ」

ライト「…そんな事…させるか…」

ミツル「…そうですよ…」

ライト「…ミツル…行くぞ!」

ミツル「…はい!」

2人で『ボーマンダ・ヤミー』に突っ込む

 

『…へやぁ!』

ライト「ぐっ!」

奴の攻撃に翻弄される俺

 

ミツル「サイコカッター!」

『……っ』

ミツルが攻撃し、命中するも、やはり致命傷には程遠い

 

『ひゃぁあ!』

ポケヤミーはミツルにビームを打つ

 

ミツル「うわぁあ!」

攻撃が命中するミツル

変身が解け、地面に仰向けになった

 

ライト「ミツル!」

『貴様の相手は俺だ!』

ライト「くっ…」

首を掴まれて俺は抵抗できなくなった

 

ヒガナ「……ふふ」

ヒガナがミツルに近付いていく

 

ライト「ミツルっ!」

ミツル「…くっ…」

ヒガナ「……ふふ」

ミツルのメガリングに手を伸ばすヒガナ

 

俺は気付くと、ヒガナの目の前にいて、右腕を構えていた

 

ヒガナ「っ!」

ライト「はぁあ!」

俺はヒガナの顔面目掛けて殴った

しかし、ヒガナが手で否した事により、かすってしまった

ヒガナの頬にかすり傷が出来る

初めて攻撃出来た

 

ヒガナ「…君…その眼は…」

ライト「……がはっ…」

突然の激しい動悸

俺は胸を抑えて倒れた

 

ミツル「ライトさん!」

ヒガナ「……へぇ…面白くなってきたじゃん…」

ミツル「…ライトさん…」

ライト「…大丈夫か?…ミツル…」

ミツル「…はい…僕は大丈夫です…でも…」

ヒガナ「まぁ、目的は達成だ…波山ライト君…僕を止めたければ、『空の柱』という所に来るといいよ…ただし…君一人でね…」

ヒガナはそう言うと、『ボーマンダ・ヤミー』と一緒に闇に消えて行った

 

俺はそのまま気を失った

 

             *

 

ライト「……ん…」

目が覚めると、目の前にはカガリの顔面があった

同時に後頭部に感じる温もり

 

カガリ「……起きた…」

ライト「…カガリさん…これは?」

カガリ「……膝枕…」

ライト「…あぁ…そうですか…」

俺は状況を飲み込むことが出来なかった

 

カガリさんはすんなり俺を起こしてくれた

まだ少しだけ温もりを感じる

 

カガリ「……やっぱり…変だよ…」

ライト「……え?」

カガリ「……なんでもない…」

カガリさんはそう言うと立ち去ってしまった

 

ところで俺は、またマグマ団アジトへと戻ってきたみたいだ

同室のベッドには怪我をしたメグとレンが寝ていた

メガミも生身で治療を行ったのだろう

また別のベッドで寝ていた

 

ライト「……イテテテ」

俺も体が痛む

ポケヤミーと2連ちゃんで戦ったからな…

 

ミツル「…あ、ライトさん」

ライト「…ミツル」

ミツルは部屋に入ってくるなり、小声で話した

 

ミツル「身体の方は?」

ライト「あぁ…なんとかな…」

俺は肩を回しながら言う

 

ミツル「あの後、ウシオさんって方がここまで送ってくれたんです」

ライト「…そうか…ありがとう…」

ミツル「…大丈夫ですか?」

ライト「…いや…お前のキーストーンを盗られた事が悔しくて…」

俺は拳に力を入れる

 

 

寝ていた3人が目覚め、叔父さんも来て会議が始まった

すると

 

ダイゴ「ライト君!大丈夫なのかい?」

ミクリ「これまたド派手にやられたねぇ」

ダイゴさんとミクリさんも加わった

 

カズマ「…なるほど…ヒガナがレックウザの力を…」

ライト「…奴は、『空の柱』で待ってるって言ってた…俺一人で来いって…」

ミクリ「……空の柱…」

ミクリさんがボソッと言う

 

ダイゴ「…何か知ってるのかい?ミクリ」

ミクリ「……いや…『空の柱』は、ホウエン地方にある秘境の一つだ…でも、あそこはルネの民が所有し、ルネの民が守護している」

ライト「……」

ミクリ「…君を行かせる訳には…」

カズマ「…どうしてだ!?」

叔父さんが食い気味に言う

 

メガミ「ライトさんじゃなきゃダメなんですよ?」

メグ「私達だって変身出来るのにぃ!」

レン「……今奴を止められるのはライトしかいないんだ」

ライト「…お願いですミクリさん…俺を行かせてください…」

ミクリ「……どうして君は、そこまでして世界の命運を預かる?君はまだ子供だろ?君は何の為にそこまでして命を張るんだ?」

レン「……ぷっ」

すると、レンやメグ、叔父さんやメガミが笑いだした

 

ミクリ「…何がおかしいんだい?」

レン「…愚問だな、ミクリ」

メグ「うんうん」

メガミ「そうですねぇ」

カズマ「あぁ、ライトがここまでする理由はひとつしかない。そうだよな、ライト」

ライト「……あぁ!」

ミクリ「……?」

 

             *

 

ホウエン地方の中央にそびえ立つ大きな塔

上から見ると三角形という奇抜な塔だが、とても年季が入っていて今にも崩れそうだった

 

ミクリさんに案内してもらい、入口付近まで入らせてもらった

 

俺は《バシャーモナイト》を見つめる

 

ライト「……行くぜ…相棒…」

夕日に反射した光は俺を入口へと歩かせた

 

             *

 

ダイゴ「……良いのかい?本当に行かして」

ミクリ「…何を言っても無駄だよ…彼は本当にバカだ」

ダイゴ「……ふっ」

ミクリ「……」

 

 

ミクリ「……?」

ライト「…俺は、俺の夢を叶える為に、世界を守ります」

ミクリ「…夢?言っている事がめちゃくちゃだ…」

レン「当たり前だろ…だってこいつは、波山ライトだぞ?」

ミクリ「……っ」

私は彼らの顔を見た

なんて自信に満ちた顔

きっと、ライト君ならやってくれると、この4人は本気で思っているのだろう

 

ライト「……俺の名は波山ライト…」

ミクリ「……っ」

ライト「…ヒーローになる男です!」

彼なら大丈夫

私も、不覚にもそう思ってしまった

 

To be continued




次回予告

遂に、ヒガナの正体が明かされる──
彼女は何者なのか
何の為に天下統一を志すのか

今、全ての謎が解ける

第四十五話「伝承者ヒガナ」


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第四十五話「伝承者ヒガナ」

前回のあらすじ

遂にヒガナが動き出し、メグやレンを襲い始めた
強敵の『フライゴン・ヤミー』に苦戦しながらも、何とか撃破!

ヒガナが次に狙ったのはミツル
ウシオの協力もあり、ミツルと合流したライト

しかし、更に強力な『ボーマンダ・ヤミー』に悪戦苦闘していた

ヒガナがミツルのキーストーンを奪い、逃走
垣間見えるライトの謎の力

最後の戦いが始まろうとしていた──



俺が空の柱の入口を入るなり、床がひび割れる音が鳴り響いた

 

ライト「うわっ!」

床が抜け、入口から出る事は困難となった

 

すると、どこからともなく拍手の音が響いた

 

ヒガナ「あっははは!来てくれたんだねぇ!ありがとう〜」

軽くお辞儀をするヒガナ

 

ヒガナ「そんなグッドな君には、僕の取っておきをあげるよ」

ライト「遠慮しておくよ、それより、そんな高いとこに立ってないで、降りてこいよ!」

敵意むき出しな発言だが、ヒガナは笑っていた

ヒガナが立っているのは2階部分の床

吹き抜けになっていて、ここからでも十分見えた

 

ちなみに内装はとても荒れていて、崩壊寸前とでも言おう

さっき床が抜けたのも納得出来る

 

ヒガナ「まぁそう言わずに…見て!」

ヒガナが俺に見せたのは、空の柱の奥の壁に描かれた巨大な壁画だった

 

 

【挿絵表示】

 

 

ヒガナ「これは…とある民族が語り継いできた物語」

ヒガナは3回へと続くハシゴへと足をかけた

 

ヒガナ「それじゃ君に、その歴史を伝承するよ」

ライト「……」

俺は2階続くハシゴへと足をかけ、登った

 

壁画を見ると、石の洞窟にあったようなもので、カイオーガと思われる物と、グラードンと思われる物、そして荒れた海と大地、そこへ目掛けて落ちていく隕石の壁画だった

それが最下層に描かれていた物

 

その上には、大きなメガストーンのようなものが隕石のように降ってきて、大きなクレーターができ、俺を大勢の人間が囲むようなデザイン

 

ヒガナ「数千年前、原始の頃……地上には自然エネルギーが満ちあふれていた……ゲンシカイキしたグラードンとカイオーガはそのエネルギーを奪い合い、激しい衝突を繰り返していた……ゲンシカイキしたグラードンとカイオーガの力を前に人々のなす術はなく、ただその脅威が過ぎ去るのを待つしかなかった……そんな中、天空の更に上…漆黒の宇宙から数多の隕石が降りそそぐ」

ライト「……隕石?」

ヒガナ「隕石はドラゴンポケモンを使う一族が住んでいた滝を直撃したのだった……」

ライト「……」

ヒガナはどんどん上を目指していた

俺も後についていく

 

ヒガナ「隕石はまるで生命を宿したかのように七色に輝きだした…するとその輝きに反応したかのように、*1萌葱(もえぎ)色の輝きを纏うポケモンが、天空から舞い降りた」

ライト「……」

ヒガナ「……かのポケモンはレックウザ」

ライト「……レックウザ…」

ヒガナ「レックウザはゲンシカイキした2匹さえもその力で圧倒し、世の中に平穏を取り戻した」

更に上に進むヒガナ

 

俺は壁画を見ながら進んだ

戦意は既になかった

いや、単純に気になったのかもしれない

レックウザの事が

 

ヒガナ「ホウエンの人々はレックウザを救いの神として崇めた。それから千年後、再び宇宙から隕石が落下してきた。一回目よりも更に巨大な隕石は海さえもえぐり、巨大なクレーターを作った。この時出来た場所は後にルネと呼ばれるようになる……」

ライト「……」

ダイゴさんがした話は本当だったのか

 

ヒガナ「巨大隕石に続いて人々を更なる災厄が襲う。隕石直撃によってホウエンの大地はひび割れ、奥底に溜まっていた自然エネルギーが溢れ出した」

ライト「……」

ヒガナ「そのエネルギーを求めてゲンシグラードン、ゲンシカイオーガが目覚めてしまったんだ。人々は願った…千年前を思いだし……あの萌葱色の輝きを纏った伝説のポケモンが現れることを……。そのときルネの中心に落ちた巨大な隕石が溢れんばかりの輝きを放つ。それはまるで巨大なキーストーンのようだった」

ライト「……っ」

ヒガナ「すると、再び天空より舞い降りるレックウザ。降臨した レックウザに人々は更なる祈りを捧げた。するとレックウザの姿に変化が現れる。眩い光に包まれた後に現れたその姿は人々の知るレックウザとは違った。更に神々しく、更に圧倒的な生命力に満ちていたんだ」

ライト「…?」

ヒガナ「……」

 

             *

 

大分登ってきた

多分半分以上は登れただろう

 

ヒガナ「人々の祈りと七色の石に反応して姿を変えたレックウザ……祈り……目に見えない不確かなもの…人とポケモンが祈りによって結ばれポケモンの姿が変化する……なんだろうね、なにかに似ていない?」

ライト「……メガシンカ…?」

ヒガナ「その通り!」

 

もしかして、あの壁画に描かれた逆三角の模様

あれがレックウザなのか?

 

ヒガナ「ゲンシグラードン、ゲンシカイオーガと再び相まみえる レックウザ。その体からのびる金色(こんじき)のひげが空を覆うと、周囲には萌葱色の輝きが照りつけ、すさまじい風が吹きあふれた。光と風はみるみるうちにゲンシグラードン、ゲンシカイオーガの力を奪っていった。そしてゲンシの力を失った2匹は大地と海の彼方に姿を消した……それを見届けたレックウザは通常の姿に戻ると再び天空へと舞い戻った。この光景を目のあたりにした背の高い異国の男はこう言った。『世の揺らぎよ 生まれし もの即ちΔ(デルタ)。人の祈りと石の絆にて世界に生まれし揺らぎを平らかにする』……と」

背の高い異国の男?

一体誰の事だ?

 

ヒガナ「その後レックウザとその力の源になった七色の石をまつるため、また少しでも天空に住むレックウザに近づくため、そのの民族は巨大な塔を建造した。そして自らが体験してきた歴史と レックウザの偉業を後世に伝えようと、その壁画に絵画を書き記した……それから千年の間平和な時が続いた。その民族はこれまで繰り返してきた歴史の流れから、再び宇宙より隕石が降りそそぐことを予言した」

ライト「……え?」

それって……

 

ヒガナ「次にやってくる隕石は過去2回よりも更に巨大で、世界そのものを消滅させるほどの規模であると……星の危機を阻止する為に、歴史に裏打ちされた知恵を持つ者たちは考えた。隕石の 落下より先に救いの神……レックウザを降臨させ、その力で世界を救う計画を……」

いよいよ壁画を見下ろせる程の位置まで来た

ちなみに壁画の1番上には、空の柱であろうものと、その上で空に向かって祈りを捧ぐ人達の絵が描かれている

 

ヒガナ「…はい、これでおしまい。もう分かったかな?これが何の民族の物語なのか」

ライト「…もしかして…流星の民?」

ヒガナ「そう、正解」

ヒガナは俺の目をじっと見て言う

 

ライト「……でも何で、お前が流星の民についてそんなに知ってるんだ!?」

単純に気になった

ミクリさんでもここまでは知らない筈だ

 

ヒガナ「……それは…僕が流星の民の1人だからさ…」

ライト「…え?」

ヒガナは最上階へと登った

 

             *

 

ライト「……うっ…」

最上階とはいえ…やっぱり高いな

高所恐怖症の俺にとっては、恐怖でしかない

 

それよりも…

 

ライト「お前が流星の民の1人って、どういう意味だ?」

ヒガナ「…そのまんまの意味さ、僕は約500年程前までは、流星の民だった……あの日までは…」

ライト「……」

ヒガナ「僕は500年前に死んだのさ、とある事故に巻き込まれて…いや、事故じゃないか…」

ライト「……」

ヒガナ「……僕はね、かの織田信長の家臣だったんだ」

ライト「…え!?」

ヒガナ「驚いたかい?元々彼とは遠い親戚みたいでね、その流れで彼が武将になった際に、僕も彼の家臣となったんだ。昔から縁のある僕には、殿はとても優しく、厳しくしてもらった」

ライト「……」

ヒガナ「…そんな中、殿はとあるポケモンに選ばれた」

ライト「…レックウザ」

ヒガナ「そう、その日から殿は人が変わったようになり、僕へのあたりもキツくなった…」

ライト「……」

ヒガナ「……彼が天下統一を目指し始め、世界は戦国時代へと変貌して行った」

ライト「…レックウザのせいで、信長は豹変したのか…」

ヒガナ「……そして、あの日に事件は起きた」

ライト「……」

ヒガナ「…家臣の1人が謀反を起こして、殿を暗殺した。そして、僕もその謀反に巻き込まれた」

ライト「…本能寺の変…」

ヒガナ「……僕は、殿をお守りする事が出来なかった…同時に、彼の天下があいつの手に渡ってしまった…それが許せなかった…」

ライト「……それで、この時代に蘇ったのか…」

ヒガナ「…そうさ…僕の野望は信長公の野望…彼の成し得なかったことを…僕がするんだ…」

ヒガナは屋上へ続くハシゴを登った

 

ヒガナにそんな過去があったなんて…

 

俺も屋上へと向かった

 

             *

 

あたりはいつの間にか夜になっていた

屋上は祭壇のようになっていた

とても風が強く、星空が綺麗に見えた

 

 

ヒガナ「流星の民でもあり、信長公の家臣でもある僕…複雑だろ?」

ライト「…あぁ、正直頭がパンクしそうだよ」

ヒガナ「…じゃあここからは、僕の物語だ…流星の民である僕の物語──」

 

             *

 

僕はルネの生まれだ

幼い頃から流星の民としての仕来りなんかを教わっていた

 

レックウザの存在

隕石の脅威

グラードンやカイオーガの事

 

そしてもうひとつ、メガシンカの事

 

耳にタコができるくらい聞かされたよ

 

そんなある日だ

 

信長「ほぉう、この子がヒガナか」

ヒガナ「…おじちゃん、だれぇ?」

信長「…ん?はっはっは!わしにだれとな!?面白い小娘じゃのォ!」

ヒガナ「…?」

そう言うと、信長公は僕の頭を撫でた

 

そう、信長公も流星の民の1人だったんだ

 

 

信長「いやぁ〜、今日の戦も疲れたのぉ〜」

ヒガナ「お疲れ様です!信長様!」

信長「おぉ〜ヒガナかぁ!なんか知らぬうちに大きくなったかのぉ!?」

ヒガナ「いえいえ、私もまだまだこれからです!」

信長「そうかぁ!…そうじゃヒガナ、ひとつ提案なんじゃが…」

 

ヒガナ「……」

信長「よし!これからよろしく頼むぞ!?ヒガナ!」

ヒガナ「はい!」

この日から、僕は信長様の家臣となった

 

その日は、戦の戦略会議だった

信長公はとても悩んでいたが、他の家臣が自分の意見を言って埒が明かない

 

ヒガナ「…想像力が足らないよ…」

僕はその場を抑えるほどの名案を唱えた

 

信長「…なるほど!その戦略で行くぞ!」

家臣も納得

僕は頭脳要員で大活躍した

 

次第に信長公の野望は大きくなって行った

 

信長「…いずれは、わしがこの天下をとる!」

ヒガナ「よ!殿下!」

この頃はまだ良かったよ

 

でも、あの日から変わった

 

天から舞い降りた伝説のポケモン、レックウザ

でも、彼から萌葱色の輝きは見えず、漆黒の体に赤いラインが入ったとても救いの神とはとど遠い見た目だった

巷では『黒いレックウザ』と呼ばれ、同時にその圧倒的な強さから、最強のポケモンとも呼ばれた

 

信長「……」

ヒガナ「お疲れ様です!信長様!」

信長「……あぁ」

ヒガナ「……信長様?」

信長「なんじゃ!?わしは忙しいのじゃ!お前もそこでモタモタせずに早く作戦を考えろ!」

ヒガナ「……は…はい」

その日から殿は人が変わったようになってしまった

そしていつの間にか、殿の野望は天下統一という、今まで誰も成し得なかった事をしようとしていた

 

ヒガナ「信長様!無茶です!」

信長「わしがやると言ったらやるのだ!レックウザ…行くぞ…」

『……』

ヒガナ「…信長様…」

 

そして、しばらくしてからだった

 

突如現れた光の柱によって、ポケモン達がメガストーンへと変化して行った

勿論、黒いレックウザも

 

しかし、信長様の野望は止まらなかった

次々と戦に勝利し、天下統一は目前まで来ていた

 

ヒガナ「…信長様…どこへ?」

信長「…ジョウトの本能寺じゃ…丁度いい、お前も来い」

ヒガナ「…わたしも?」

信長「お前がいなければ、作戦が立たんだろう!」

横暴な殿

でも、少しでも必要とされているのが、嬉しかった

だから、あんな事が起こるとは思ってもいなかった

 

ヒガナ「……信長様!」

信長「……ヒガナ…」

本能寺が燃え始め、崩壊して行った

 

信長「…ヒガナ…逃げろ…」

頭を打った信長様はもう満身創痍だった

 

ヒガナ「嫌です!私は貴方と共に生涯を共にすると誓ったんです!」

信長「……ヒガナ…すまんな…」

ヒガナ「……え?」

信長「…わしは…この世界から戦を、争いを無くしたかったのだ…争いがあるから人が死に、自然は汚れていく…それを見て見ぬふりは出来なかった…」

ヒガナ「……信長様…」

信長「……お前達家臣や民が幸せに暮らす世を作りたかったのじゃ…」

ヒガナ「……もう…いいよ…」

信長「……だが、これだけは言わせてくれ…」

信長公は僕に《レックウザ》のメガストーンを渡してきた

 

信長「……流星の民の血を、決して絶やしては行けない…お前が受け継ぐのじゃ…お前は…この時代に生きる…最後の伝承者なのだから…」

ヒガナ「……信長様…」

信長「……」

ヒガナ「……信長様ぁぁぁあ!」

 

本能寺が崩落し、僕は死んだ

次に目を覚ました時には、既に闇の空間にいた

 

ヒガナ「……私は…死んだのか…?」

???「…そうだ…お前は死んだ…」

ヒガナ「誰だ!?」

僕が振り返ると、そこにあったのは、『影』だった

『闇』では無い

『影』としかいいようがない

 

僕はその『影』に力を受けた

メガストーンからポケヤミーを生み出すことが出来る力

 

???「…この力があれば…お前の野望も叶えられる…」

ヒガナ「……私の…野望…」

???「……」

ヒガナ「……私の野望は…」

 

             *

 

ヒガナ「そこから約15年間、僕はポケヤミーや人間を闇の力で蘇らせ、「天下統一」への道を歩んでいた。世界中の民が幸せに暮らす。信長様が望んだ世界を作る為に、僕は闇の力を使う事しか出来なかった…そうでもしなきゃ、世界を救えなかった…」

ライト「……」

ヒガナ「……「天下統一」を達成し、この世界を守る…それが僕の…いや、僕達の使命……君にも分かるだろ?君も世界を守る仮面ライダーなんだから…」

ライト「……俺は、そんな方法認めない……使命だとか、野望だとか、関係ない…」

ヒガナ「……」

ライト「……俺は、誰かの笑顔を守る為に戦う。誰かの笑顔を守る為に、誰かを犠牲にするなんて間違ってる!」

ヒガナ「……綺麗事だよ!…そんな事不可能だ!」

ライト「不可能なんかじゃない!」

ヒガナ「…っ!」

ライト「……俺が願えば…俺が最後まで信じれば!…きっと叶えられる……」

ヒガナ「……」

ライト「……そういう風に思わないと、本当に世界なんて守れないからな!」

ヒガナ「……」

ライト「……人の心に漬け込んで弄んだお前を、俺は許せねぇ…例えそれが、皆の幸せを願った事だとしても、人の想いを踏みにじるお前は…」

ヒガナ「……」

ライト「……お前は、俺が止める…」

 

セット!

メガシンカ!ヘンシーン!

 

ライト「……人々の想い…人々の願い……俺はそれに応えられるように、戦う。メガシンカという…みんなで作り上げた絆の力で……変身」

 

バシャーモ!

ババッバッバッバ バッバ バシャーモ

バッバ バシャーモ!

 

ヒガナ「……」

ライト「…熱き炎の戦士…仮面ライダー…バーサ…」

ヒガナ「……君なら分かってくれると思ったけどね…」

ライト「…お前の考えは間違ってはいない…俺はお前の考えを受け止める」

ヒガナ「……だったら…」

ライト「でも、受け入れる事は出来ない」

ヒガナ「……そうか」

 

ヒガナは塔の中央に立った

 

ヒガナ「…ここは竜召の祭壇…流星の民が祈りを捧げた場所さ」

ヒガナは皆から奪った4つのキーストーンを握った

 

ライト「……それは?」

気付かなかったが、右脚に青色のとぐろを巻いたような装飾がしてあり、先端にはキーストーンが付けられていた

 

ヒガナ「…これはメガアンクレット…これを使って《レックウザ》に祈りを捧げるのさ…」

ヒガナは手を合わせ、目を瞑り、祈った

 

ヒガナ「……さぁ、始めるよ…信長様…」

ライト「……」

俺はヒガナの邪魔をしなかった

確かに、この儀式を止めれば、ヒガナを止める事が出来る

でも、これがヒガナのケジメの付け方なんだ

それを邪魔出来るほど、俺の性根は腐ってはいない

たとえ敵でも、それが奴の生き方なんだ

止めるのは、その後でもいい

俺は、この期に及んで、ヒガナを救おうとしていた

 

ヒガナ「……数多の人の御霊を込めし宝玉に……我が御霊をも込め申す…」

すると、メガアンクレットが萌葱色に輝き出し、キーストーンも共鳴するように光る

 

ヒガナ「…汝…我が願いを何卒叶えたまえ…」

ヒガナは体に力を入れる

キーストーンが激しく光る

 

ヒガナ「……叶えろ!レックウザァァァ!」

ヒガナの全身が萌葱色に輝く

同時に《レックウザ》のメガストーンがヒガナの真上へと浮遊した

来る!

俺はそう確信した

自然と身構える

 

ライト「……っ」

ヒガナ「……がはっ!」

ライト「っ!」

突如、ヒガナが何者かにビームで腹部を貫かれた

ヒガナは仰向けで倒れた

 

『……フッ』

ライト「…お前は!?」

そいつはさっきまでヒガナ共に居た『ボーマンダ・ヤミー』だった

 

『…迂闊だったな…ノブナガ様…』

ヒガナ「……お…お前…」

『…残念ながら、その力、私に取り込ませて頂く!』

ヒガナ「…よせ…やめろ…」

 

ヒガナや《レックウザ》のメガストーンに蓄積したパワーを、『ボーマンダ・ヤミー』は吸収した

 

『……おぉ…これが…最強のドラゴンポケモンの力…』

『ボーマンダ・ヤミー』の身体が変化していく

黒いオーラに包まれ、それがひび割れるように力が解放させる

その様は、まるでメガシンカのようだった

 

体色が少し濃くなり、頬周りの突起がより鋭く大きなものへと成長。 更に背中の翼が融合し、一つの巨大な三日月状へと変化した

『メガボーマンダ・ヤミー』が誕生した

 

『…ふははは!これで私は!最強だぁ!はははは!』

ライト「……お前…ヒガナを慕ってたんじゃないのか!?」

『…あぁしてたさ…でも利用させてもらった…「天下統一」?くだらない!もっと世界を面白くしなきゃ意味が無いだろぉ!』

ライト「……くっ…」

俺は拳に力が入る

 

『…これで私を縛るものは無くなった!手始めにお前から処刑し、この世界を混沌の渦に巻き込んでやる!』

ライト「……お前は…」

『……ん?』

ライト「……お前は俺が倒す!」

俺は許せなかった

確かにヒガナは悪い奴だ

でもそれ以上にこいつは、ヒガナの心に漬け込んだ

こいつは、俺が一番許せない事をした

 

俺は『メガボーマンダ・ヤミー』に突っ込んで行った

 

ヒガナ

待ってろ

今こいつを倒してやる

 

             *

 

ヒガナ「……」

まさか…僕も部下に裏切られるとはね…

 

そっか

信長様も、同じ気持ちだったんだ

 

この気持ち…

 

あとは任せたよ…波山ライト君…

基、仮面ライダーバーサ

 

ヒガナ「……」

星空が綺麗だなぁ

こんな綺麗な星空を見るのは、何年ぶりだろう

いつの間にか忘れていた

 

小さい頃から空を見上げるようにしていた

 

不安がいっぱいで心が押し潰されそうな時も

 

悲しくて寂しくて心が折れそうな時も

 

絶対、涙を流さないように

 

でも…もう

 

泣いて…いいよね…

 

私も…心から笑いたいよ…

 

ねぇ…信長様……

 

To be continued

*1
萌え出る葱(ねぎ)の芽のような緑色のこと




次回予告

ヒガナの想いを受け継ぎ、ライトは戦う
メガシンカした『ボーマンダ・ヤミー』に抗え!

そして目覚める…レックウザの魂!

第四十六話「エピソードΔ(デルタ)


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第四十六話「エピソードΔ(デルタ)

前回のあらすじ

空の柱にて、「流星の民」の歴史をライトに伝承するヒガナ
なんと、ヒガナはかつて、流星の民の末裔だった!
織田信長と深い繋がりがあるヒガナ
そして、もっと関わりが深いのが、伝説のポケモン、レックウザ
全ての歴史を語り終えたヒガナは、竜召の祭壇でレックウザを甦らせる…
しかし、『ボーマンダ•ヤミー』がヒガナを裏切り、そのパワーを吸収して行く…
『メガボーマンダ•ヤミー』は世界を混沌の渦にすると宣言する

物語は、最終局面を迎えていた!



ライト「がはっ!」

『ふははは!』

メガシンカした『ボーマンダ・ヤミー』の力は絶大だった

今までのポケヤミーの力を遥かに凌駕し、俺も悪戦苦闘していた

 

ライト「ほのうのパンチ!」

『フッ!』

ライト「うわっ!」

攻撃しても聞いてる様子もなく、更に反撃される

 

ライト「……くっ…」

俺は倒れているヒガナを見る

 

ヒガナはこいつに裏切られた

 

こいつだけは許せない

 

俺は『メガボーマンダ・ヤミー』に対する憎悪だけで戦っていた

 

ライト「はぁぁ!」

『フッ!それで攻撃しているつもりか?』

『メガボーマンダ・ヤミー』は口からビームを吐いてくる

 

ライト「うわぁぁあ!」

攻撃は俺に命中した

 

更に『メガボーマンダ・ヤミー』は飛び立ち、物凄いスピードで空から攻撃して来た

 

ライト「うわぁぁ!」

俺は空の柱の床に叩きつけられる

 

床にはヒビが入り、今にも崩れそうだ

 

ライト「……くくっ…」

『フフフ…』

強い

尋常ではない強さだ

やはりメガシンカしただけでもこんだけ変わるのか…

 

『…お前がどれだけかかって来ても…私に勝つ事は出来ない…』

ライト「…やってみなくちゃ…分かんねぇだろ!」

 

メガシンカ!ヘンシーン!

 

ライト「フォルムチェンジ!」

 

カメックス!

カ!メ!カ!メ! カーメックスー!

 

ライト「装甲の戦士!仮面ライダーバーサ!カメックスフォルム!」

俺は《カメックスバズーカ》を構える

 

ライト「ハイドロポンプ!」

《カメックスバズーカ》から大量の水が溢れる

 

『フッ!』

『メガボーマンダ・ヤミー』は軽々避ける

俺は後を追うように《カメックスバズーカ》を向けながら攻撃をする

 

『…フッ!』

奴は方向転換をし、こちらに向かって来た

 

ライト「まもる!」

俺は咄嗟に構えて攻撃を防いだ

 

ライト「フォルムチェンジ!」

 

俺は続いてヘルガーフォルムにフォルムチェンジした

《ヘルガーランス》を構える

 

ライト「ほのうのキバ!」

《ヘルガーランス》に炎を纏わせ、旋回して向かってくる奴に投げた

攻撃は当たったものの、ダメージは少ない

《ヘルガーランス》は刺さったままだ

 

ライト「かみくだく!」

このまま《ヘルガーランス》は変形し、キバの形状になると、『メガボーマンダ•ヤミー』を噛み砕く

 

『…くっ…』

『メガボーマンダ•ヤミー』は《ヘルガーランス》を振るい払う

 

ライト「フォルムチェンジ!」

俺はフシギバナフォルムにフォルムチェンジする

《フシギバナアンブレラ》を展開する

 

ライト「つるのムチ!」

《フシギバナアンブレラ》の先端からつるが伸びる

 

『…くっ!』

空を飛ぶ『メガボーマンダ•ヤミー』を拘束する

 

ライト「はなふぶき!」

《フシギバナアンブレラ》を回転すると、辺りからピンク色の花弁が空を舞い、『メガボーマンダ•ヤミー』を攻撃する

 

『…くくっ…』

ライト「フォルムチェンジ!」

 

続いてメタグロスフォルムにフォルムチェンジする俺

 

ライト「アームハンマー!」

怯む『メガボーマンダ•ヤミー』に4つの《メタグロスアーム》で一撃を喰らわせる

奴が床に叩きつけられた影響で床に更にヒビが生じる

 

ライト「バレットパンチ!」

《メタグロスアーム》で連続で攻撃をする

 

『…くっ!はぁ!』

反撃をする『メガボーマンダ•ヤミー』

俺は突き放される

 

ライト「…くっ…フォルムチェンジ!」

続いてスピアーフォルムにフォルムチェンジする

 

ライト「こうそくいどう!」

俺は高速で動きながらその距離を縮める

《スピアースピア》を2本出現させ、構える

 

ライト「ダブルニードル!」

背後に回り込み、攻撃する

 

『ぬっ…はぁ!』

ライト「くっ…」

旋回する『メガボーマンダ•ヤミー』に再び距離を取られる

 

俺は再びバシャーモフォルムにフォルムチェンジする

 

『ヌゥ!はぁぁ!』

『メガボーマンダ•ヤミー』は俺にビームを放つ

 

ライト「…っ!」

すると、何者かの攻撃で相殺される

 

レン「待たせたな!」

メグ「お待たせ!」

ライト「レン!メグ!」

レンとメグはそれぞれラティオスフォルム、ラティアスフォルムに変身していて、空を飛びながら攻撃をしていた

 

レン・メグ「「しねんのずつき!」」

レンとメグは連携攻撃で『メガボーマンダ•ヤミー』を翻弄する

 

『…くっ…ぬっ!』

レン「はぁ!」

メグ「はぁ!」

『…ぐわっ!』

攻撃を受けた『メガボーマンダ•ヤミー』は突き飛ばされる

 

レン「大丈夫か?ライト!」

ライト「…二人とも…どうして!?」

メグ「仲間を1人で行かせるほど、私達は落ちぶれちゃいないよ!」

レン「…変身は出来るからな、存分に暴れさせてもらうぞ!」

ライト「…よし…行くぞ!」

レン「あぁ!」

メグ「うん!」

俺達は横に並ぶ

 

ライト・レン・メグ「「「フォルムチェンジ!」」」

俺はゲンガーフォルムに、レンはレジギガスフォルムに、メグはメロエッタフォルムに、一斉にフォルムチェンジする

 

ライト「…シャドーボール!」

『…くっ…はぁあ!』

攻撃を受け止めた『メガボーマンダ•ヤミー』

すかさず反撃をして来る

 

レン「ふん!」

俺をレンが受け止める

ドシドシとその距離を縮めるレン

右手を振りかざす

 

レン「ギガインパクト!」

『メガボーマンダ•ヤミー』はそれを間一髪で避ける

 

メグ「…っ」

『…っ!』

避けた先にメグ

 

メグ「ハイパーボイス!」

メグは衝撃波を発生する

 

『ぐっ!』

『メガボーマンダ•ヤミー』は思わず上に飛び上がる

 

ライト「フォルムチェンジ!」

続いてピジョットフォルムにフォルムチェンジする俺

《ピジョットアロー》の弦を引き、『メガボーマンダ•ヤミー』を狙う

 

ライト「…エアスラッシュ!」

《ピジョットアロー》から放たれる矢が三日月型に変化し、『メガボーマンダ•ヤミー』に向かって行く

 

『…くっ…させるか!』

それも避けられる

 

メグ「いにしえのうた!」

メグは歌うと同時に、髪が茶色くなり、頭の上で渦巻く

スカートがせり上がり、バレエダンサーのような見た目となる

 

メグ「メロエッタフォルムステップ!」

『…!?』

メグ「ふっ!」

メグは『メガボーマンダ•ヤミー』の更に上に飛び上がる

なんて脚力だ

 

メグ「アクロバット!」

メグは空で連続キックを放つ

 

『…くっ!小賢しい!』

『メガボーマンダ•ヤミー』はメグに反撃する

 

メグ「くっ!」

床に着地するメグ

 

レン「……やはり強いな」

メグ「そう簡単には行かないよね…」

ライト「でも、このまま行けば何とかなる!いや、何とかする!」

レン「…あぁ、その通りだ!」

メグ「一気に行くよ!」

ライト・レン「「あぁ!」」

俺達は基本のフォルムに戻る

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

レジェンド!ヒッサーツッ!

 

バシャーモ!

ミュウツー!

ディアンシー!

 

フレイムレディエイション

サイコブレイク

ジュエリーホリーグロー

 

ライト「はぁぁ…」

レン「はぁぁ…」

メグ「はぁぁ…」

『…っ!』

俺は炎のエネルギーを、レンは念波のエネルギーを、メグはダイヤのエネルギーを、手中に貯める

 

ライト・レン・メグ「「「はぁぁぁあ!!!」」」

3人で一気に放つ

3種のエネルギーのビームは、『メガボーマンダ•ヤミー』を包む

 

『ぐわぁぁあ!』

爆発が起こり、俺達は勝ちを確信した

 

ライト「…っ!」

『……今のはいい攻撃だったぞ…』

しかし、甘かった

 

『ふんっ!』

ライト「うっ!」

『メガボーマンダ•ヤミー』は俺の首を掴み、空へと連れ去る

 

ライト「…くっ!」

そして急行落下

空の柱の屋上へと叩きつける

 

ライト「がはぁっ!」

床のヒビが更に広がり、いよいよ滑落した

 

俺は瓦礫と一緒に落ちて行き、最下層まで落下した

 

レン「ライト!」

メグ「ライト君!」

『…ふふふ…次は貴様らだ…』

レン「…っ」

 

 

ライト「……」

最下層まで落下した俺…

上ではまだレン達が戦っている…

 

ライト「……」

身体が動かない…

頑張っても指先だけしか…

 

ライト「……っ」

動け…

動け…俺の身体…

 

ライト「……」

 

……動けぇ!

 

ライト「……」

 

…どうして…こんな時に…

 

「……俺は…」

 

…思い出すんだ……

 

「…俺は波山ライト!ヒーローになる男だ!」

 

初めて戦ったあの日…

 

「母さん、俺、旅に出るよ」

「ただ幾つか、条件があるわ」

「よし!じゃあ行くか!ライト!」

 

旅に出る決意をした日…

 

「では試してみるか、俺と、お前で」

 

レンと初めて会って、戦った日…

 

「私だって変身出来るんだよ?」

 

メグと初めて共闘した日…

 

「ずるいですよ…皆さん…」

 

メガミが、仲間になった日…

 

「ライト…ありがとう」

「……晴れたよ、サトシ…」

 

サトシが蘇り、最期の時を一緒にした日…

 

「…人の夢を…馬鹿にするな!」

 

他にも沢山…

 

「僕はもう負けない!」

 

「……お前も変身しろ、波山ライト…」

 

「…ライト君。君は、世界の真実を見つけたとしても、決して目を背けてはいけないよ?」

 

「ものの1秒でも我々に楯突こうなら、このマツブサ、容赦はせぬぞ」

 

「罪のねぇ生き物が死ぬなんて、そんなもんあっちゃならねぇからな」

 

「…生きとし生きる全ての命と、平和と、未来と、夢を守る!」

 

「……「天下統一」を達成し、この世界を守る…それが僕の…いや、僕達の使命……君にも分かるだろ?君も世界を守る仮面ライダーなんだから…」

 

本当に沢山…色んな事があった…

 

その全ての人が、俺と関わってきた…

 

皆…こんな俺の夢に付き合わされた被害者だ…

 

この旅は、ただ俺が夢を叶えたいが為に始まったんだ…

 

でも皆…

 

「ライト!」

「…ライト」

「ライト君!」

「ライトさん!」

 

こんな俺について来てくれた…

 

ライト「……っ」

俺は目から涙を流す

拭うことは出来ない

ただ、泣くしかなかった

 

嬉しかった

楽しかった

 

俺はこの先ずっと、この仲間で生きて行くんだと…

 

ずっと…

 

ライト「……っ」

 

そう…ずっとだ…

 

ライト「……ぐっ…!」

 

ここで…

 

ライト「…う…うぅ!うおぉぉ!」

 

ここで諦める訳には行かない!

 

俺は…

 

ライト「…ヒーローに…なるんだぁぁあ!!」

 

俺は勢いよく起き上がる

 

すると、気付いた

 

空の柱の壁画が淡く光始めた

 

ライト「……え?」

 

 

レン「はぁぁあ!」

メグ「でやぁあ!」

『ふははは!』

突如、空から緑色のビームが空の柱目掛け現れた

 

レン「何だ!?」

『…!?』

 

すると、空の柱内部から、見た事もない仮面ライダーが姿を現した

その仮面ライダーは神々しく、舞い降りた

 

大きく前に突き出した顎

その角から伸びる長い金色の髭

腕や脚にある流線型の羽

身体はまるでエメラルドのように輝き、光沢を持っていた

 

なんとなくだが、三角形を彷彿とさせる姿だった

 

これはまさか……

 

ライト「……」

レン「…ライト…なのか?」

『…ん?なんだその姿は…』

ライト「…見て分からないか?」

『…分からんなぁ!』

『メガボーマンダ•ヤミー』はライトに向かって行く

 

レン「ライト!」

ライト「……しんそく」

『…うっ!』

ライトは目にも止まらぬ速さで、『メガボーマンダ•ヤミー』を攻撃した、ようだ

 

『…なんだ…今何をした!?』

奴もついていけてない

まさかこの力は…

 

ライト「……」

ライトは振り向き、『メガボーマンダ•ヤミー』を睨む

 

『…はぁぁあ!』

理性を失った『メガボーマンダ•ヤミー』はライトに突っ込む

 

ライト「……っ!」

ライトはまた見えぬ速さで攻撃を避け、背後に移動する

 

ライト「…りゅうのはどう!」

『ぐわぁぁあ!』

ライトはがら空きになった『メガボーマンダ•ヤミー』の背中にビームを放つ

 

『…なんだ…とてつもない力が…私の動きを鈍らせる…』

ライト「……いいや…」

ライトの動きは強者そのものだった

 

『……っ!』

ライト「……お前が鈍くなったんじゃない…」

レン「……」

ライト「……俺が強いんだ」

ライトは問答無用でパンチを連続で繰り出す

『メガボーマンダ•ヤミー』はただ受け身になるだけだった

 

『ぶくっ…がふっ!』

ライト「……はぁ!」

『メガボーマンダ•ヤミー』は竜召の祭壇の壁に突き飛ばさせる

 

ライト「……」

レン「……おい…どうしたんだよ…ライト…」

ライトは強者になったと同時に…

 

ライト「……っ」

レン「…っ!」

物凄く冷たい視線を送って来るようになった

 

メグ「…あれ…本当にライト君なの?」

レン「…分からねぇ…ただ…」

 

『…ぐ…くぐっ…』

ライト「……はぁぁ!」

 

レン「…あれは…俺達が知ってるライト(あいつ)じゃねぇ」

 

ライト「げきりん!」

『…ぐわぁ!』

ライト「…そろそろ終わりにしてやる…」

 

メガ!レジェンド!ヒッサーツッ!

レックウザ!

エメラルドブレイク

 

ライトは大空へと飛び上がる

 

ライト「…エメラルドブレイク…はぁぁあ!」

ライトは三角形の形となり、『メガボーマンダ•ヤミー』に向かって行く

足を前に出し、キックを放つ

 

『ぐわぁぁあ!』

ライト「……」

舞い降りたライトの手には、封印の解かれていない《ボーマンダストーン》が握られていた

 

すると、攻撃の影響だろうか

 

ライト「……」

ライトの表面のエメラルドグリーンの身体が、どんどん剥がれ置いていく

まるで、メッキが剥がれていくように

エメラルドグリーンの身体の下には、真っ黒と赤いラインの身体が見えた

全身の色が落ちると、ライトはこちらを見た

 

ライト「……うわぁぁあ!」

ライトは俺達を襲い始めた

 

レン「おい!どうしたライト!」

メグ「落ち着いて!」

ライト「うわぁぁ!うわぁぅ!わぁぁ!」

レン「……この感じ…」

メグ「…まさか…暴走?」

ライト「うわぁぁぁぁあ!」

ライトは俺達にりゅうのはどうを放った

 

レン「…くっ…だぁ!」

メグ「きゃぁ!」

俺達は変身解除まで追い込まれた

しかし、ライトは迫って来る

 

ライト「…うぅぅうぅぅ…」

唸りながら迫って来るライトの目は、焦点が定まってなかった

でもわかる

ライトは苦しんでいる

 

ライト「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!…うっ…っ!」

最期の一撃を話そうとしたライトを止めたのは

 

ヒガナ「…はぁ…はぁ…」

ヒガナだった

腹部に穴の空いたヒガナは、ライトのメガドライバーから《レックウザナイト》を取り出す

 

ライト「がはっ…はぁ…はぁ…」

変身が解けるライト

 

ライト「…俺は…一体何を…」

そばにいるヒガナを抱え込む

 

ライト「ヒガナ!」

ヒガナ「…やぁ…無事で何よりだよ…」

ライト「しっかりしろ!」

ヒガナ「…ふふ…こんな僕でも、まだ見捨てないんだね」

ライト「……」

ヒガナ「…ありがとう…この世界は…君に託すよ……ただ…3つ言うべきことがある…」

ライト「…なんだ?」

ヒガナ「…1つは…ポケヤミーは…滅んでない…僕が死んでも…ポケヤミーは蔓延り続ける」

ライト「…え?」

ヒガナ「元々ポケヤミーとは、メガストーンに宿った負の感情が具現化し、進化したもの…僕はそれを促進していたに過ぎない…」

レン「……」

ヒガナ「…だから、君達には、まだまだ戦ってもらう必要がある…」

ライト「…あぁ、わかった…もう2つは…」

ヒガナ「…レックウザの力は…危険だ…」

ライト「……」

ヒガナ「…さっきのように…レックウザの野望の力が強すぎて…自我を失う可能性がある…何より…ライト君…君の身体が…彼に蝕まれて行くんだ…」

ライト「…え?」

ヒガナ「…レックウザに溜まった負の感情を…払って欲しいんだ…そうすれば、彼も救われる…」

ライト「…わかった…」

ヒガナ「…何もかも、君に任せてごめんね…じゃあ最期に…」

ヒガナはライトに手をかざし、不思議なオーラを与えた

 

ヒガナ「…君が、流星の民の新たな伝承者だよ…波山ライト君…」

ライト「…俺が…」

ヒガナ「…君が…後世に伝えてくれ…かつて…「天下統一」の1歩手前まで及んだ人物がいた事を…そして…」

ライト「……」

ヒガナ「…その人物は…いつまでも世界の平和を願っていたと言うことを…」

ライト「…あぁ、任せろ…」

ヒガナは淡い光に包まれ始めた

 

ヒガナ「…任せたよ…仮面ライダー…」

ヒガナは光に包まれ消えて行った

闇の住人である彼女が…

皮肉なもんだ

 

ライト「…レン…メグ…大丈夫か?」

ライトは俺とメグを抱える

メグは既に気絶していた

 

帰ろうか

そんな風に考えていた

 

しかし、ライトの携帯が鳴った

 

 

ダイゴ『ライト君!来たよ!あれが!』

ライト「…え?」

ダイゴ『…隕石だ!しかも、とてつもなくでかい!』

ライト「…隕石…」

俺はダイゴさんの言葉、そしてヒガナの言葉を思い出した

 

ライト「…ヒガナが言ってた…世界を終わらせる程の威力だって…」

ダイゴ『流星の民の予言は本当だったんだ!』

ライト「どうするんですか!?」

ダイゴ『分からない…こちらも出来る事がないか模索中なんだが…』

ライト「……」

俺は考えた

 

ライト「…俺に…一つだけ策があります」

レン「…まさか…」

ダイゴ『なんだい?』

ライト「……俺が、隕石を止めます」

俺は電話を切った

 

俺が至った結論

 

宇宙に住んでいた《レックウザ》の力で、宇宙まで行き、隕石を破壊する

 

これは、俺にしか出来ない事だ

 

だが…

リスクも背負う事になる

 

レン「…待て…レックウザの力は…危険だ…」

レンは横腹を抑えながら言う

 

レンとメグは暴走したレックウザの力を知ってる

 

レンがこんな事を言うんだ…とてつもなかったに違いない

でも…

 

俺がやるしかない

 

ヒガナが託してくれた…俺の使命を…

この世界を…

 

ヒガナが遺した皆から盗んだキーストーンをレンに渡す

 

ライト「…レン…俺になにかあったら、頼む」

レン「…何を言って…」

ライト「…大丈夫…必ず戻る…でも、こんな事お前にしか頼めない…」

レン「……断る…俺も一緒に…うっ!」

俺はレンの腹部を殴り、気絶させた

 

レンの最後の言葉は、嬉しかった

 

でも…

 

ライト「……行っくるよ」

俺は《レックウザナイト》を構える

 

ライト「…レックウザ…力を貸してくれ…」

《レックウザナイト》をメガドライバーにセットする

 

セット!

メガ!レジェンド!ヘンシーン!

 

ライト「……変身!」

 

To be continued




次回予告

次回…最終回

ライト「…これが…メガシンカの真の力だ……」

ライト「…皆…今までありがとう…」

ライト「……燃えるぜ!」

最終話「メガシンカ」


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最終話「 メガシンカ 」

ライト「……」
俺が目を覚ますと、そこは異空間だった
真っ暗な世界
先が何も見えない

何処だ此処は…

すると、俺の背後を何かが通った

ライト「…っ!」

空気の流れは感じない

それでも、確実にそこにいる

ライト「……っ!」

また通った

なんなんだ…?

ヒガナ「…やぁ、波山ライト君…」
すると、どこからともなくヒガナの声が聞こえた

ライト「ヒガナ!生きてたのか!?」
ヒガナ「…残念ながら、私はもう死んでいる…でも、最期の力で、君の脳内に直接話しかけている」
ライト「…そんな事が出来るのか…」
ヒガナ「…ここは君の頭の中…精神世界さ…ここが…君と彼を繋げる場所となる…」
ライト「……彼?」
すると、背後に気配

ライト「…っ!」
振り向くと、今度ははっきり見えた
龍のようなポケモン
体は黒く、赤いラインが入っている

ライト「…レックウザ…」
『……』
攻撃してくる様子はない

ヒガナ「…私は最期に、君と彼が繋がる事が出来る力を君に授けた…私の力…無駄にしないでよ?」
ライト「…あぁ」
ヒガナ「…それじゃあ、これでホントに最後だ…お別れだよ…」
ヒガナの声が少しだけ遠のく気がした

ライト「…ヒガナ!…幸せになれよ…」
ヒガナ「……うん、あの世で会おう…ライト君…」
ライト「……」
ヒガナの気配が消えた
今度こそ逝ったようだ

ライト「……っ」
『……』
目の前にいる黒いレックウザは、俺の目をじっと見つめる

『……』
ライト「…レックウザ…聞いてくれ…」
『……』
ライト「…俺は…ヒーローになりたい…」
『……』
ライト「…色んな人を救いたい…」
『……』
ライト「…色んな人の笑顔が見たい…」
『……』
ライト「…色んな人が幸せになる世界を作りたい…」
『……』
ライト「…お前は…何がしたい?」
『……きりゅりりゅりしぃぃ!』
レックウザは俺の周りを飛び回る

ライト「…っ」
『…きりゅぅぅしぃ!』
レックウザは俺にむかってりゅうのはどうを放つ
俺はそれを避ける

ライト「…っ…戦って見極めるってことか…っ!」
メガドライバーを装着する

あの日…俺は咄嗟に仮面ライダーになった

メガドライバー

《バシャーモナイト》を構える

俺はたまたま仮面ライダーになれた

ライト「…行くぜ…相棒!」

セット!
メガシンカ!ヘンシーン!
メ ガシ ン カ ! メ ガシ ン カ !

でも…いまでは違うと確信している

ライト「…変身!」

『きりゅりりゅりしぃぃ!』

バシャーモ!
バッバッバッバッバ バッバ バシャーモ!
バッバ バシャーモ!

俺は…

ライト「…熱き炎の戦士!…仮面ライダー!…バーサ!」

なるべくして…仮面ライダーになったのだと…



ライト「はぁぁあ!」

『きりゅりりゅりしぃぃ!』

レックウザは構わず俺に突っ込む

 

ライト「…くっ…」

『きりゅりりゅりしぃぃ!』

流石は伝説のポケモン

力の差が格別だ

 

ライト「…ほのうのパンチ!」

俺はレックウザの顔にパンチを喰らわす

 

『きりゅりぃぃ!』

ダメージは少ないが、攻撃は出来る

 

『きりゅりりゅりしぃぃ!』

レックウザは上へ登り、オーラを纏いながら一気に下降してくる

まるで隕石のようだ

 

ライト「ぐぉっ!」

もろに攻撃を受ける俺

 

ライト「…くくっ…」

『……』

レックウザは俺の事を待っていた

 

レックウザは、やはり俺を見極めるつもりだ

 

ライト「…はぁぁ!」

俺は屈せず攻撃を続けた

 

『……』

どれだけ避けられ続けても、攻撃し続ける

 

ライト「うわっ!」

『……』

どれだけ傷付いても

 

ライト「…はぁぁあ!」

立ち上がり続けた

 

『……』

ライト「…ブレイズキック!」

脚に炎を纏わす

 

ライト「…はぁぁ!」

レックウザは攻撃を受け続ける

 

『……』

ライト「はぁぁぁあ!」

 

レックウザは俺をなぎ飛ばした

 

ライト「うわっ!」

 

地面にうつ伏せになる俺

 

ライト「…くっ…」

ゲンシカイオーガとゲンシグラードンを抑え込み、更には戦国時代に絶大な力を見せた伝説のポケモン、レックウザ

 

なんて力だ…

 

ライト「…くくっ…」

俺は顔を上げる

 

レックウザはずっとこちらを見ていた

 

ライト「お前は俺に何を求めてる…俺の何が知りたい…」

『……』

ライト「……ふっ…」

俺は軽く吹き出す

レックウザが、『お前は?』と聞いたような気がしたからだ

 

ライト「…俺はな…」

俺はレックウザの目を見る

 

ライト「…お前の全てを知りたい…」

『……』

ライト「…お前がどこから来て、何をしたかったのか…」

『……』

ライト「…そして、今何がしたいのか…」

『……』

ライト「俺は知りたい…」

『……』

ライト「…それが…今の俺の野望だ」

『…っ』

レックウザが反応した

 

野望がキーワードか?

 

ライト「…お前の野望はなんだ?」

『……きりゅりりゅりしぃぃ!!』

レックウザは叫ぶ

空間が波打つ

 

ライト「……ふっ…そうか…」

『……』

ライト「……なら俺は…お前に俺の全てをぶつける!」

『……』

ライト「…これが…メガシンカの真の力だ…」

俺はキーストーンを押し込む

 

メガシンカ!ヒッサーツッ!

 

ライト「…それこそが…絆の力……俺と…相棒の…」

 

バシャーモ!

バーニング!ドライブ!

 

ライト「………燃えるぜ!はっ!」

俺は飛び上がる

 

炎を身体に纏わせ、力が込み上げてくる

 

『きりゅりりゅりしぃぃ!!』

ライト「バーニングドライブ!はぁぁあ!」

レックウザに向けてキックを放つ

レックウザはりゅうのはどうを放ってくる

 

俺の脚とレックウザの攻撃がぶつかり合う

 

ライト「…はぁぁあ!」

『きりゅりりゅりしぃぃ!!』

ライト「…闇の力も…!」

『……』

ライト「…野望の力も…!」

『……』

ライト「…全部…絆の力に変えてやる!!」

『…きりゅりりゅりしぃぃ!!』

ライト「…はぁぁあぁぁあぁぁあぁああぁあ!!」

 

そこで大爆発が起こる

 

ライト「……っ」

着地した俺は、変身が解け、かなりボロボロになっていた

 

ライト「……っ…あっ…」

思わず後ろに倒れそうになる

 

しかし、そんな俺を支えたんだ

 

『……』

レックウザが

 

ライト「…レックウザ…」

『…きりゅり…』

ライト「…ふっ…ありがとう…」

『……きりゅりりゅりしぃぃ!』

レックウザは上に飛び上がる

真っ暗な空間に消えたが、輪郭は見える

 

ライト「…っ」

『きりゅりりゅりしぃぃ!』

突如、空間が光り出す

真っ黒な空間から、真っ白な空間へと変化した

 

ライト「…っ!」

『…きりゅりぃぃ…』

ライト「…レックウザ…」

舞い降りたレックウザは、体の色が変化していた

真っ黒だった体は萌葱色に変化していた

これが、ヒガナの話していたレックウザ…

 

ライト「……」

『…久しぶりだったぞ…ここまで楽しいと思ったのは…』

ライト「…っ!」

喋った!

 

『……彼奴が大いなる野望を持っていた時、我は彼奴について行きたいと思った』

信長の話だろう

 

ライト「…もしかしてお前…時々俺に力を貸してくれたのか?」

俺は何度か、不思議な力が芽生えていた

でも、全部レックウザの仕業と考えれば、納得出来る

 

『…お主の野望は彼奴に匹敵していた…彼奴と同じものを感じたのだ』

信長と、同じものを

 

でもそれより気になったのは…

 

ライト「…野望じゃないよ」

『……?…野望じゃないなら、なんだと言うんだ?』

ライト「…夢さ!」

『……夢?』

ライト「あぁそうさ、俺の夢はヒーローになる事、それが俺の全てだ」

『……ふははは…やはり面白いな、お主は…』

ライト「…レックウザ…俺に力を貸してくれ…」

『……』

ライト「…俺は世界を救いたい…ヒガナが遺した使命を、俺は果たしたい」

『……ならば問う…お主のその夢を志した理由はなんだ?』

ライト「…え?」

俺が、ヒーローを志した理由…

 

どうしてヒーローになろうと思ったのか…

 

俺は幼い頃からヒーローになりたいと思っていた

 

カッコイイから…?

違う

 

褒められたいから…?

違う

 

勧められたから…?

違う

 

俺は……

 

……戦え…

 

…え?

 

……戦え…

 

これは……あの時の…

 

戦え!!

 

ライト「……誰かが、言ったんだ…戦えって…」

『……』

 

あの声を聞いたのは、あの時が初めてではない

だいぶ昔、かなり昔に、同じ声を聞いたことがある

 

それがいつなのかは、分からない

でも、あの日がきっかけで、俺はきっとヒーローになりたいと思ったんだ

 

『……』

ライト「…あの日がきっかけで…俺は…」

『……不思議なものだな…理由は忘れるものの、志は忘れない…それが人間なのだな…』

ライト「……」

『……面白い!ならばその夢とやらに、我の力を分けてやろう!ただし!』

ライト「……っ」

レックウザは俺の真上に飛び上がる

 

『…我の力を使い切る事が出来たらな!』

ライト「…っ!」

レックウザは真上から俺に突っ込んで来た

 

視界は緑色に包まれ、力が溢れてきた

 

 

「…ライト…強くなれ…お前が……ヒーローになるんだ」

 

 

セット!

メガ!レジェンド!ヘンシーン!

 

ライト「……変身!」

俺はキーストーンを押し込む

 

レックウザ!

ガリョウ!テンセイ!

スーパー!ハイパー!バーサ〜!

仮面ライダ〜!バ〜サ〜!

デルタモード!

 

俺の身体はエメラルドグリーンに変わり、金色の髭が生える

今回はしっかりと自我がある

 

ライト「裂空の戦士!仮面ライダーバーサ!デルタモード!」

俺は空を見上げる

 

ライト「……ふぅ…」

かなり重い

やっぱりかなりのパワーだ

俺が耐えきれてない

 

ライト「……いや…耐える…レックウザの思いも、ヒガナの思いも、そして…」

俺は気絶しているレンとメグ、そしてメガミや叔父さんの事を想った

 

ライト「…皆の思いが…俺を強くさせる…」

 

メグ……いつも俺を笑わせてくれてありがとう

 

メガミ……いつも俺に勇気を与えてくれてありがとう

 

レン……いつも美味しい料理をありがとう

 

叔父さん……俺を…旅に連れて行ってくれてありがとう

 

ライト「…皆…今までありがとう…」

空を見上げて、改めてこの世界に危機が迫っている事を悟った俺は、空に飛び上がり、宇宙へと向かった

 

大気圏を抜け、真っ暗な空間に出た

辺りには光輝く星たち

 

ここが宇宙…

 

ライト「……っ!」

目の前から迫ってくる巨大な岩石

それが無数に迫ってくる

その中央には一際でかい隕石

あれが地球に衝突すれば…

大災害どころじゃない

地球そのものがなくなってしまう

 

ヒガナやダイゴさんが言っていた通りだ

このままじゃ地球が危ない…

 

だからこそ…俺が止める!

 

ライト「…っ!」

俺は両手を添えてエネルギーを蓄える

 

ライト「りゅうのはどう!」

紫色のビームが、小さい方の隕石を破壊していく

 

ライト「しんそく!」

隕石を渡りながら破壊していく

数は減っていってる

 

粗方片付けた…あとはこいつだけだ…

 

巨大な隕石は大気圏に突入したようで、先端から炎が吹き出る

 

ライト「…くっ…時間が無い…りゅうのはどう!」

俺は隕石の中心に攻撃する

 

しかし、隕石に攻撃は効いていなかった

勢いを保ったまま…いや、更に加速しながら地球に向かって行く

 

ライト「……やるっきゃない!」

 

メガ!レジェンド!ヒッサーツッ!

レックウザ!

エメラルドブレイク!

 

ライト「…はぁぁぁ…」

俺は萌葱色のオーラを纏う

 

ライト「…エメラルドブレイク…はぁぁ!」

隕石に向かってキックを放つ

 

ライト「はぁぁあぁああぁぁああ!」

俺は隕石を貫いた

隕石からは日々が割れ、粉々になった

勢いが収まり、その場にとどまった破片

 

ライト「…はぁ…はぁ…?」

その中で、一際歪な破片が浮いていた

 

まるで空間に形ができたかのように、そこには真っ黒な三角形が浮いていた

 

ライト「……なんだあれ…」

『……』

その三角形からは触手から伸びだし、俺に向かってくる

 

ライト「っ!しんそく!」

攻撃を薙ぎ払った俺

俺はその正体を知った

 

三角形が形を変え、人型のポケヤミーとなった

オレンジ色と水色で、腕は両腕から2本の触手が螺旋状に生えている

胸の中心には紫色の珠

顔の真ん中には紫色のライン

『デオキシス・ヤミー』は、俺達に向かって来た

 

なんで奴の名前が分かったかと言うと、レックウザが俺に教えてくれた

デオキシスは、幾度もレックウザと戦ったことがあるらしい

そんな奴の特徴は…

 

『……』

隕石に触れるとフォルムチェンジする事だ

 

ライト「……っ!」

『……っ』

スピードフォルムとなった『デオキシス・ヤミー』は俺に突っ込んでくる

 

ライト「しんそく!」

攻撃はするものの、避けられる

 

ライト「…がっ!うわっ!」

『……っ!』

連続で攻撃する『デオキシス・ヤミー』

 

ライト「…りゅうのはどう!」

迫っくる『デオキシス・ヤミー』に攻撃をする

 

『……』

『デオキシス・ヤミー』は攻撃に当たる瞬間に隕石に触れ、ディフェンスフォルムになった

両腕を前に出し、身を守った

 

ライト「…くっ…」

『…っ!』

更にフォルムチェンジし、アタックフォルムになった

4本の触手を集中させ、エネルギーを溜め込む

 

一撃を喰らわせようとしていた

 

ライト「……この地球に何しに来たか知らないけど…ここで倒す!」

 

メガ!レジェンド!ヒッサーツッ!

レックウザ!

ドラゴニック!ドライブ!

 

俺は宇宙の果てへと飛び出した

目で追う『デオキシス・ヤミー』

 

ライト「ドラゴニックドライブ!はぁぁあぁああぁぁああ!」

俺はそこから流れ星のごとく

奴にキックを放つ

萌葱色のオーラを纏わせ、無数の槍の流れ星を連れて奴に突っ込んだ!

 

『……っ…っ…』

俺は『デオキシス・ヤミー』を貫き、隕石の破片へ乗った

 

ライト「…はぁ…はぁ…」

疲れた

レックウザの力を使いこなすには、相当なパワーがいる

今回でよーく分かった

 

とにかく、世界は救われた

これで俺は…この世界の…ヒーローに…

 

俺は真後ろに倒れた

重力に従い、真っ逆さまに落ちていく

いつの間にか変身も解けていて、俺は為す術なく落ちていく

 

 

どこまでも広い空を…

 

 

目を開けると、太陽が燦々と輝いていた

眩しい

 

『…呆れた奴だな…お主は…』

ライト「……レックウザ…」

レックウザの幻か…

いよいよだな…

 

『他人の為に己の命を犠牲にしようとは…とんだうつけ者だな』

ライト「…いいんだ…それが…俺のサガ…だからな…」

『……ふぅむ』

ライト「…俺が居なくても…あいつらなら大丈夫だ…俺達の絆は…永遠だからな…」

『……その絆とやらは、お主が死んでも残る物なのか?』

ライト「…それは分かんねぇけど…でもきっと…俺が死んでも…きっと皆なら世界を救ってくれるさ」

『…本当に呆れるのぉ…お主もそう思うだろ?』

ライト「……え?」

レックウザが視線を移した先は、俺の後方

俺が振り向くと、空の柱が見えたと同時に

人型の、鳥のようなポケモンが後ろ向きで佇んでいたのが分かった

仮面ライダーバーサに似ているが、違う

もしかして…

 

ライト「……お前…バシャーモ…なのか…?」

『……』

顔だけ振り返ったメガバシャーモは、少しだけ頷いた気がした

すると、再びレックウザが話しかけてきた

 

『……どうやらお主らの絆とやらは、無くなるような…そんなヤワなものではないようだな…』

ライト「……え?」

レックウザは、空の柱の屋上を見て言った

 

同時に

俺もそれを確信した

 

 

レン「……くっ…くくっ…」

くそっ…腹痛てぇ…

顔をあげると、そこにライトの姿は無かった

 

レン「……くそっ…変し…がはっ!」

俺は立ち上がったが、ダメージがデカすぎた

 

どうやら、地球の命運は、やつに託すしか無くなったようだ

 

レン「……ライト…っ!」

すると、空の向こう

宇宙で、爆発が起こったのが伝わって来た

隕石が破壊されたようだ

 

メガミ「レンさん!」

カズマ「レン!メグ!」

レン「…親父…メガミ…」

空の柱の屋上まで来たメガミと親父

親父はメグの介抱をしていた

 

メガミ「レンさん!ライトさんは!?」

レン「…宇宙(うえ)だ」

俺は空に指を指しながら言う

 

メガミ「……ライトさん…」

メグ「……ごほっ…無事かな…?」

カズマ「大丈夫だ…ライトならきっと戻って来る」

レン「…あぁ、信じよう…今の俺達にはそれしか出来ない…」

カズマ「……」

メグ「……」

メガミ「……」

レン「……」

 

俺達は(そら)を見上げる

どこまでも広がる青空が、俺達を包んだ

 

すると、宙から光が降って来た

 

キラキラと光りながら、いくつかは地面に落ちて行った

 

すると、一際大きな光が、俺達に向かって来た

 

レン「……ライト!」

光に包まれたライトが、笑顔で宙から降って来た

 

ライト「みんなぁ!」

メガミ「ライトさん!」

メグ「ライト君っ!」

カズマ「ライトっ!」

ゆっくり降り立ったライトはボロボロだったが、笑顔だった

 

カズマ「ライト!よくぞ戻った!」

メグ「一時はどうなるかと思ったよぉ〜!」

ライト「うん、ありがとう!」

レン「…ったく…世話の焼ける野郎だな」

ライト「ははっ…ごめん…」

メガミ「ライトさんっ!」

メガミは、ライトに抱き着いた

ライトは動揺していたが、自然に両腕をメガミの背中に回す

 

メガミ「…心配したんですよ!?」

メガミは抱きつきながら言う

 

ライト「…ごめん…心配かけて…」

メガミ「……」

メガミは抱き着くのをやめ、ライトの顔を見た

 

メガミ「…おかえりなさい!」

ライト「…っ…ただいま!」

 

ライトは俺達全員の顔を見て言った

 

大きな声で、どこまでも響きそうな声で

 

その声は、宇宙をも越えるかもな

 

 

ダイゴ「ありがとうライト君…君のおかげで世界は救われたよ」

ルネシティに戻った俺達は、ダイゴさんとミクリさんの元を訪れた

 

ダイゴさんはデボンコーポレーションにて策を念じていたが、結局俺に託したらしい

それでも、信じられてる証拠だ

ありがたい

 

ダイゴ「今回の件を受けて、僕は旅に出る事にしたよ」

ライト「…え?」

ダイゴ「…世界は未知だ…不思議な事が沢山のある…そんな世界を…僕は知りたい…」

ライト「…いいと思います…旅、楽しいですよ」

ダイゴ「……」

ライト「…仲間と一緒なら、もっと楽しいです!」

ダイゴ「…うん…ありがとう…ライト君…」

すると、ダイゴさんの背後からミクリさんが姿を表した

 

ミクリ「…寂しくなるね…」

ダイゴ「…君も来るかい?ミクリ」

ミクリ「…いや、私はルネを守るという使命がある…それに…」

ミクリさんは俺を見た

 

ミクリ「…この町には…まだ希望があるよ」

ライト「…え?」

ミクリ「…出ておいで」

ミクリさんがそう言うと、木の影から1人の女の人が出てきた

 

ライト「…っ!」

俺は驚いた

その女の人は、どこからどう見ても

ヒガナに酷似していた

 

服装は違うが、顔は瓜二つだった

 

ライト「…ヒガナ!」

俺に警戒心はなく、どちらかといえば喜びを感じていた

 

ミクリ「…?ライト君…彼女は、『ヒガナ』という人物ではないよ?」

ライト「…え?」

女の人は俺に叫ばれて動揺していたが、微笑んで言った

 

シガナ「私の名前はシガナ…流星の民の末裔です」

ライト「え!?…でも…流星の民は絶滅したんじゃ…」

ミクリ「私も最初はそう思ってたんだけどね…調べたら、彼女が流星の民の正式な末裔だったんだ」

ライト「…そうだったのか…」

シガナ「…ん?」

俺はシガナを見た

 

この表情

この声

間違いなくヒガナだ

まるでヒガナが今も生きているよう

 

そうか…そういう事なのか…

 

ライト「…ごめん…俺の知り合い…いや、仲間にヒガナって奴がいて…そいつに似てたからつい…」

シガナ「…そうなんだ……それにしても…」

ライト「……」

シガナ「…いい名前だね、ヒガナって!」

ライト「……っ…うん、俺もそう思う」

シガナの純情無垢な表情は、俺の心を痛めつけた

 

でも、同時に思い出させてくれた

 

俺はヒガナの意志を背負ってる事を…

 

 

マツブサ「……そうか…遂に旅立つのだな…」

アオギリ「寂しくなるなぁ!でもまぁ!このホウエン地方は俺達に任せな!」

ライト「…うん、頼みました!」

ルネを後にした俺は、マグマ団アジトまで戻り、丁度来ていたアオギリにも挨拶をした

 

ホムラ「生意気なチルドレンだったが…嫌いじゃなかったぜ」

イズミ「坊やならきっとこの世界を救えるわ」

ウシオ「オゥホゥ!」

ライト「…皆…ありがとう」

他のメンバーにも労いの言葉を貰う

 

マツブサ「…ライト君よ、もし旅の中で困った事があったら、我々マグマ団…そして…」

アオギリ「俺達アクア団も頼れ!困ったらお互い様だ!」

ライト「…マツブサ…アオギリ…お世話になりました!」

俺は皆に頭を下げる

 

ライト「…そういえば…カガリさんは?」

ホムラ「…そういえば…さっきから姿が見えませんねぇ」

マツブサ「きっと何処かで油でも売っているんだろう…」

ライト「…俺、探してきます…本当に今までありがとう!さよなら!」

お別れは簡潔に

俺はマグマ団アジトを後にした

 

 

カガリ「……」

ライト「…ここにいたんですか…カガリさん…」

カガリ「……キミは…」

俺はミナモシティの海岸で黄昏てるカガリさんに話しかけ、旅立つ事を伝えた

 

カガリ「……そう…」

ライト「…カガリさんはこれからどうするんですか?」

カガリ「……ボクは…リーダーマツブサに着いてくよ…リーダーマツブサなら……いや…」

カガリさんは俺を見た

 

カガリ「…ボク達マグマ団なら…きっとこの世界をより良く出来る…と思う…」

ライト「……っ」

見たことも無かった

カガリさんの、心からの笑顔

ただ微笑んでいるだけだが、それでも十分素敵な笑顔だった

 

カガリ「…これも…キミのおかげ…ありがとう…」

ライト「…いやいや!そんな…」

カガリ「……だから…これは……ただのお礼……」

カガリさんは俯き、モジモジし始めた

 

ライト「……カガリさん?」

カガリ「…っ!」

ライト「!?」

カガリさんは突然俺の頬に唇を付けた

 

ライト「!?…!!??」

かなり動揺する俺

そんな俺を見て、カガリさんは口を抑えてまた笑う

 

 

メガミ「……ムキィ!」

メグ「…お、落ち着いてメガミちゃん!」

レン「……ったく、あの女たらしめ」

メグ「…お兄ちゃんもアタックすれば?」

レン「……」

 

アタック、か…

 

何故だか、過去の記憶がフラッシュバックする

あの日を、俺は忘れはしないだろう

最悪な出会いと、最悪な別れ

俺は、この話をライト達に話す気になった

特に、メガミには聞いて欲しいとも思った

 

 

カズマ「…さぁ!行こうか!」

メグ「…それにしても…私達が巡り会ってもうすぐで半年だね!」

メガミ「早いですね…もう半年ですか…」

ホウエンを出る準備が出来た俺達…

 

あの後、ミツルとも会いキーストーンを渡し別れを告げた

ミツルはこれからも変わらず仮面ライダーとして旅をするらしい

 

ライト「…うん、行こう!」

レン「次は何処に行くんだ?ライト」

ライト「……さぁ、何処だろうな?」

レン「…は?」

ライト「…ふっ…俺達が向かう先はただ1つだ!」

メガミ「……」

メグ「……」

レン「……」

カズマ「……」

ライト「…夢に向かって突き進む!…それが俺達…仮面ライダーだ!」

カズマ「…ふっ…いいな!それ!」

メグ「うんうん!凄く良い!」

メガミ「カッコイイですね!」

レン「…ふっ…悪くないな!」

ライト「…へへっ」

すると、どこからともなくポケヤミーが飛び出す

ヒガナが言っていた言葉は本当のようだ

ポケヤミーが滅びる事は無い

 

メガミ「……っ!あれって!」

レン「ポケヤミー!」

メグ「よぉーし!行っくよー!」

ライト「…みんな…行くぞ!」

カズマ「みんな!頑張れ!」

 

だからこそ、俺達が戦わなくちゃ行けないんだ

 

俺達…仮面ライダーが…

 

 

ポケットモンスター

縮めて、ポケモン

 

かつてこの世界にいた、不思議な不思議な生き物

 

この少年、波山ライトは

相棒の《バシャーモナイト》と共に、ヒーローになる為に旅をしている

そして、メガシンカの力で《バシャーモ》と融合し、戦士として闘っている

 

その名も、「仮面ライダー」

 

仲間のレン、メグ、メガミ、カズマと共に旅を続けている

 

ポケモンの数だけの冒険があり…

ポケモンの数だけの出会いがあり…

ポケモンの数だけの夢がある!

 

彼等の物語は

 

まだまだ!

 

まだまだ続く!

 

ライト・レン・メグ・メガミ「「「「…変身!!」」」」

 

 

お わ り

 


 

???「……」

 

やはりエネルギーが足りないか

 

もっと沢山のエネルギーが必要だ

 

もっと…沢山のキーストーンの力が…

 

???「……必ず、お前を蘇らせてみる…」

 

お わ り

 

???「………ジガルデ…」

 

To be continued...



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エピローグ

2XXX年

既に闇のポケモンにより世界が闇に葬り去られた世界

 

ウルトラメガロポリス

独自の研究で異世界に自在に行く事ができる時空の穴、ウルトラホールを発見し、様々な世界や時間を移動している

そのウルトラメガロポリスを所有しているのは

そんな世界の均衡を守る為に結集された近未来組織

『ウルトラ調査隊』

 

ミリン「……」

そんなウルトラメガロポリスの最上階

光の無いこの世界を部屋の窓から

ウルトラ調査隊幹部のミリンが見下ろしていた

ここはミリンの仕事部屋でもあり、自室でもある

 

その為、ミリンはよく他の隊員を呼び出す事もある

 

ダルス「……呼んだか?ミリン」

ミリン「…お疲れ様、ダルス」

部屋の自動ドアが開き、フル装備のダルスが部屋にはいる

 

ウルトラ調査隊はいつ出動するか分からない

その為常に装備してないといけない

 

ミリン「……見て…この世界…」

ダルス「……暗いな」

ダルスはミリンの横に立ち、ミリンと同じように世界を見た

 

ミリン「…美しいと思わない?」

ダルス「…どういう意味だ?」

少しミステリアスなミリンは、いつも意味深な発言をする

 

ミリン「…こんな暗い世界でも、人々は協力し支え合っている…まさに理想の世界じゃない?」

ダルス「…危機的状況だと、人々はお互いを尊重するのだな…」

ミリン「…それって、この世界が闇に葬り去られたからなのかしら?」

ダルス「…それは違うぞ」

ミリンは時々危険な思想が垣間見える

それもダルスは理解していた

 

同時に

ミリンのその思想は、善意から来ているのだと知っていた

だからこそ…

 

ダルス「…危機的状況じゃなくとも、お互いを尊重し合う人間はいる」

ミリン「……」

ダルス「…そういう奴らが、本当に世界を救うんじゃないのか?」

ミリン「…過去に行って変わったわね、ダルス」

解ってくれる事も理解出来ていた

 

ダルス「…確かに、変えられたのかもな…あいつらに…」

ミリン「…私も行くべきだったかしら?」

ダルス「…気が向いたらな」

ダルスはミリンの部屋を出て行く

 

入れ替わりでシオニラが入ってくる

 

シオニラ「…ん〜?…」

ミリン「…どうしたの?」

シオニラ「…あの男…笑うような感じだったっけ?」

 

 

ダルス「……」

アマモ「ダルスゥ!」

資料室の扉からアマモが顔を出す

 

ダルス「…なんだ?」

アマモ「これ見てぇ!」

アマモは俺を資料室に連れ出し、1冊の本を俺に見せた

 

ダルス「……これは……仮面…ライダー…?」

 

その本の表紙には『Kamen Rider』

と書かれていた

 

アマモ「中も!」

ダルス「……」

俺は言われるがまま

表紙をめくり、ページをめくって行った

 

 

ポケットモンスター 縮めてポケモン

 

かつてこの星に生息していた不思議な不思議な生き物。

空に、海に、森に、世界中の至る所でその姿を見ることが出来た

 

しかし、光の柱に飲み込まれ

その全てが「メガストーン」という異形の形に変化した

 

時は流れ、その《メガストーン》と《キーストーン》の力

すなわち、《メガシンカ》の力を用いり

《戦士》として戦う者が現れた

 

彼の名は「仮面ライダー」

 

"英雄"の名を持つ彼は

世界を渡り、戦い続けた…

 

 

ダルス「……」

一通り読み終えた俺は、アマモを見た

 

アマモ「…頑張ってるみたいだね」

ダルス「…あぁ、俺達も一肌脱がなきゃな」

すると、資料室に息を切らした隊員が入ってくる

 

隊員「ダルスさん!アマモさん!怪物が出ました!!」

ダルス「…行くぞ…アマモ」

アマモ「うん!暴れちゃうよぉ〜!」

俺達は資料室を急いで出た

 

ウルトラメガロポリス外には、幾多もの怪物がいた

 

俺達の戦いも、まだまだ続くようだ

 

こんな未来も、いつかは変える事が出来るのだろうか

 

それもこれも、俺はあいつらに託した

 

頼んだぞ…仮面ライダー…

 




あとがき

ご無沙汰しております
キャメル16世です

このエピローグにて、『仮面ライダーバーサ』本編の連載を終了致します
1年間、お世話になりました!

ここで告知です
近日、スピンオフ第3段の投稿を致します
レンの過去編、最終章となります

カロス地方に来たレン達が出会ったのは…「世界の破壊者」!?
ディケイドを巡る新たな物語!
乞うご期待!!

そして、
『仮面ライダーバーサ Season2』の連載を決定致しました!
こちらもご期待ください

まだしばらくお世話になるかと思います
今後ともよろしくお願い致します  by キャメル16世




この作品はフィクションであり、実在の人物・団体等とは一切関係ありません。


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スピンオフ 第3弾
仮面ライダーバーサ エピソード オブ レジェン×ディケイド


???「……はぁ…はぁ…」
どのくらい走っただろう
後ろに結んだ薄紫の髪がなびく

真っ暗な空の下、雨が強く降っていてよく前が見えない
建物の物陰に身を隠す
ここまで来たら大丈夫だろう

???「…はぁ…はぁ……はっ!」
甘かった
やっぱり「あいつ」から逃げ切ることは出来ない

???「……」
逆光でシルエットしか見えないが、顔面はシマシマの模様に大きな緑色の複眼
胸には白と黒の十字の模様
体の側面はマゼンタ色のアーマーに身を包んでいる超人がそこに立っていた
腰にはマゼンタカラーのカメラのような見た目のドライバー

???「…………ディケイド…」
奴の名は仮面ライダーディケイド
世界の破壊者と呼ばれ、数々の世界から恐れられている
今回の標的は私

ディケイド「無駄な抵抗はよせ、大人しく俺に着いてこい」
???「…誰があんたみたいな悪魔に着いてくか!」
ディケイド「…またそれか…いい加減に…っ!」
すると、私の背後に銀色のカーテンのようなオーロラが現れた
これは世界を移動できる不思議なオーロラ
私はこの存在を知っていた

???「…っ!」
私は咄嗟にその中に入って行った
オーロラは私が入った瞬間に消えた
これで私がどの世界に行ったのか分からない
ざまぁみろ


ディケイド「……」
逃がしたか
俺がたった今逃がした女
彼女を逃がす訳には行かない

ディケイド「……逃がさないぞ……シオン…」



『破壊の繭と世界の破壊者』編

 

 

ここは、カロス地方

カントー地方やジョウト地方とはかなり遠い場所に位置する地方だ

地方全体が星のような形をし、大きく3つに別れているのが特徴だ

長い飛行機旅の末、俺達はミアレシティに辿り着いた

ミアレシティはカロス地方屈指の大都市

円形にビルや大きな建物が連なり、真ん中には大きなタワーが立っている

 

メグ「おぉー!見て見て!お兄ちゃん!でっかいタワー!」

レン「あれがプリズムタワーか、想像よりデカイな」

メグ「はぁ〜!ずっと来たかったんだ〜!カロス地方!」

レン「…そうか、それは良かった」

 

カントー地方のオレンジ諸島の事件の後、俺達はカロス地方へ行く計画を始めた

メグがずっと来たがっていたのは俺も知っている

俺は勘でこの地方に来たが、ここに着くまでに、色々なことを調べた、そして気になるの記事を見つけた

 

レン「……」

メグ「…お兄ちゃんどうしたの?」

レン「……いや、何でもない。さてと、カロス観光でもするか」

メグ「うん!」

 

新聞に載っていた記事

そこには

『プロジェクトYの真相 フラダリ氏は黙秘』

そこには大きく書かれた文字

そして沢山の記者に囲まれながら車に乗り込む男

髪型はオレンジ色でライオンのたてがみのような感じだった

ファー付きの黒と赤を基調としたスーツを着ていた

どうやら彼はカロス地方で知らない人は居ない程の有名人で、この新聞でも大々的に載っていた

 

レン「……プロジェクトY」

このカロス地方にも、魔の手が?

真相は分からない

もしかしたらただの商品計画かもしれない

でもただ、俺はこの「フラダリ」という男に興味を持った

 

それにしても、海外だけあって

周りは鼻の高い奴らばかりだ

なんか調子狂うな

 

メグ「……」

レン「…どうした?」

メグが何かを見つめている

目線の先には、男女がベンチでパフェの食べさせ合いをしているところだった

 

メグ「…ムグッ!」

俺はメグの目を手で隠した

あれはメグには早すぎる

 

メグ「……お兄ちゃんってさ、彼女作らないの?」

レン「…は?いきなりなんだ?」

いきなりなんだ?

咄嗟に心の声が漏れる

 

メグ「いや〜、お兄ちゃんってさ、全然女っ気ないよな〜と思って〜」

レン「俺はまだ13だぞ?彼女なんか作るわけないだろ」

メグ「そぉ〜?丁度思春期に入った頃じゃないの〜?」

レン「余計なお世話だ。それに、仮面ライダーの活動で忙しいからな、そんな暇はないんだよ」

メグ「…ふーん」

俺はバッサリ言った

メグは腑に落ちない表情をしていた

 

そんな時だった

 

遠くの方で爆発音、そして沢山の悲鳴が聞こえた

奴らが現れた

 

 

『ガルルルル!』

レン「ライオンのポケヤミーか、この地方はライオンが好みみたいだな!」

街で暴れていたのは、たてがみが炎のように燃え盛るライオンのポケヤミーだった

 

『ガルゥ!俺様は『カエンジシ』!ここは俺様の縄張りだァ!失せろ!』

レン「悪いがここは人間が住む街なんだよ…ご退場願いたいな」

俺はレジェンドライバーを構え、腰に装着した

 

レジェンドライバー

 

???「……」

 

ドロップ!

リード!レジェンド!ヘンシーン!

 

レン「変身」

 

レジェンドライバーの側面のボタンを押す

 

ミュウツー!

ミュウ!ツー!ミュウ!ツー!ミュウ!ツー!ツー!

 

俺の体は薄紫色のアーマーに包まれ、紫の尻尾が出現する

俺は目を見開き力を解放する

 

レン「伝説の戦士!仮面ライダー!レジェン!」

 

???「……」

 

『ガルゥ!』

レン「…さぁ、伝説の始まりだ…はぁ!」

俺は炎を吐く『カエンジシ・ヤミー』に突っ込む

 

レン「はどうだん!」

紫のエネルギー弾を発射すると、炎を相殺した

 

『ガルゥ!?』

レン「サイコキネシス!」

サイコキネシスで『カエンジシ・ヤミー』を持ち上げる

手に力を入れると、サイコキネシスが強まり『カエンジシ・ヤミー』が苦しみ出す

 

レン「…はぁ!」

地面に叩きつける

どうやらこの勝負、俺の勝ちのようだ

 

レジェンド!ヒッサーツッ!

ジーンディストラクション

 

レン「ジーンディストラクション!」

俺は高く飛び上がり、紫のオーラを放ちながら『カエンジシ・ヤミー』にキックを放った

 

『ガルゥ!!』

ポケヤミーは爆発し消え去った

 

レン「……ふぅ」

俺は変身解除すると、気が付いた

周りに人が集まっていた

 

中には俺を蔑むように

中には俺に興味を持つように

その何人かは手持ちの小型機器で俺の事を撮影していた

 

はぁ、この地方の民度はこんなものか

俺はメグの手を引いて去ろうとしたその瞬間

どこからともなく1つの拍手の音が聞こえてきた

 

???「……」

振り返ると、先程新聞に載っていた男

フラダリが俺達に向けて拍手をしていた

 

フラダリ「…素晴らしい…今のは、どんな技術ですか?」

レン「……あんたは…」

この男の笑顔

まるで作り笑いだ

本当に俺達に興味があるなら、こんな目はしない筈だ

 

フラダリ「いや、そんな事はどうでもいい…この街を救ってくれてありがとう…君がいなければ今頃この街は……皆さんも、この方に大きな拍手を!」

すると、驚く事に周りのほとんどの人間が拍手し始めた

この男の影響力は半端じゃない

 

レン「…あんたがフラダリか…」

フラダリ「私の事をご存知で?これは光栄だ!」

レン「……」

フラダリ「ご紹介が遅れました。私、このカロス地方で皆様のこの美しい街を守る為に活動しています…フラダリと申します」

フラダリは丁寧に頭を下げる

 

レン「…レンだ」

メグ「メグでーす!」

フラダリ「レン様にメグ様…これはこの街を守ってくださったほんのお礼です…お納めください…」

フラダリが俺達に渡してきたのは周りの人達も持っていた小型機器だった

 

フラダリ「最新の技術で作り上げた《ホロキャスター》です。役に立つことを祈っています」

すると、フラダリの後ろからSPらしき人が耳打ちした

 

フラダリ「…失礼、私は予定が入っているのでここで失礼します」

フラダリは再度頭を下げると、SPと一緒に車に乗り込み去ってしまった

 

聞きたいことは山ほどあった

でもまぁ、あちらも俺達のことを認識しているからそんなに苦ではないかもな

 

そんな事を思いながら、俺はフラダリから貰った《ホロキャスター》をいじっていた

一度解体し、怪しくないかも調べた

結果、これはただのホログラムメールを受信出来る装置らしい

まぁ十分凄い技術だが

 

メグが「使ってみてよ」と言うので、俺は仕方なく、ホロキャスターのボタンを押す

でも何も起こらなかった

解体した時に壊したみたいだ

 

俺は何度か色んな方向に向かってホロキャスターのボタンを押した

道路に向かって押した時だ

押した瞬間

突然目の前に銀色のカーテンみたいなオーロラが現れた

 

なんだ、ちゃんと動くのか

俺は内心ほっとした

 

すると、その中から薄紫の髪をした女が出てきた

特徴的な服装で、とてもこの世界観に合っていなかった

これは何かの映画のワンシーンか?と俺は思った

これがホログラムか、と感心もしていた

しかし、その女は前を見ることも無く、俺に向かって一直線で走ってきた

猪突猛進とは、この事を言うのか

 

シオン「きゃっ!」

レン「うおっ!」

その女には実体があり、俺はその女に押し倒された

 

レン「……だ…誰だお前…」

シオン「ご…ごめん!」

レン「……」

逆光で上手く見えないが、とても整った顔をしている

髪を後ろで結び、うなじが丸見えだった

歳は俺より少し上のようだった

 

シオン「…はっ…まずい!」

レン「なっ…なんだ!?」

女は俺の背後に隠れた

 

レン「なっ…」

シオン「私の名前はシオン!突然だけど私を庇って!」

レン「はっ!?何を言って…」

シオン「『悪魔』に追われてるの!」

レン「…悪魔?……ん?」

すると、またもやオーロラが歪みだし、中から誰かが出てきた

人間とはまるでかけ離れた姿、胸は黒を基調に白の二重線で出来た十字

股は白く、体の側面はマゼンタ色だ

顔はマゼンタと黒いシマシマ

大きな緑色の複眼

腰にはマゼンタのベルト

これが…悪魔か?

 

レン「……」

ディケイド「…ほぉう…ここが新しい世界か…」

レン「…誰だお前…」

ディケイド「…俺は世界の破壊者…ディケイド…」

レン「…ディケイド?」

ディケイド「…シオン…いつまで逃げるつもりだ?」

シオン「ずっとよ!」

ディケイド「……そうか…ならばここで…」

男は白黒の四角い銃を構え、銃口を向けてきた

 

ディケイド「…くたばれ」

トリガーを引く

 

レン「変身!」

俺は咄嗟に変身し、銃弾を受け止めた

 

ディケイド「……お前がこの世界の仮面ライダーか…?」

レン「…いきなり打ちやがって…危ないだろ!」

俺はディケイドに向かって突っ込んだ

 

シオン「……彼は?」

メグ「…仮面ライダーレジェン…伝説の戦士だよ!」

 

レン「お前があいつが言ってた『悪魔』か!?」

ディケイド「…またそれか…もう悪魔はうんざりだ!」

レン「ぐわっ!」

ディケイド「…ふっ!」

ディケイドが銃、《ライドブッカー》のトリガーを引く

 

レン「…くっ」

何発も打たれ、火花が散る

 

レン「お返しだ!はどうだん!」

ディケイド「…っ!」

俺の攻撃は命中した

 

ディケイド「…面白い戦い方をするんだな…」

レン「…ふっ」

ディケイド「……だったらこれでどうだ?」

ディケイドはライドブッカーから1枚のカードを出し、ひっくり返して、マゼンタ色のドライバーに差し込んだ

カードにはディケイドが銃を乱射する姿が描かれていた

 

アタックライド!

ブラスト!

 

ライドブッカーから大量かつ強力な弾丸が発射される

 

レン「ぐわっ!」

流石にダメージがデカい

 

レン「…だったら…」

 

ディケイドは更に剣を振りかざす姿が描かれているカードを差し込んだ

 

アタックライド!

スラッシュ!

 

ライドブッカーを展開し、剣状態にしたあと、俺にライドブッカーを振りかざした

剣の残像が残り、とても早く見える

しかし

 

レン「…みらいよち」

俺は寸前でその攻撃を避けた

 

ディケイド「……ほぉう」

ディケイドも俺の動きに感心したようだ

 

ディケイド「…超能力を使えるのか…だったらこいつだ」

ディケイドは黄金の角に紅い複眼をした顔のカードを差し込んだ

 

カメンライド!

アギト!

 

すると、ディケイドの身体は黒を基調としたアンダースーツに、黄金色のアーマーに包まれた仮面ライダーへと変化した

ただし、ドライバー以外

 

レン「フォルムチェンジした!?」

ディケイドアギト「…フォルムチェンジ?なんだそれは」

レン「くっ…サイコカッター!」

俺は遠距離から攻撃した

 

ディケイドアギト「はっ!」

ディケイドはサイコカッターを軽々飛び越え、俺の目の前に来た

突然のパンチ

俺は避ける事が出来なかった

 

ディケイドアギト「…ふっ」

レン「……くっ…」

ディケイドアギト「…こんなのはどうだ?」

今度はオレンジ色の頭に黒い複眼、脳天から角がはみ出す仮面ライダーのカードを差し込んだ

 

カメンライド!

ゴースト!

レッツゴー!覚悟!ゴ・ゴ・ゴ!ゴースト!

 

黒い身体に、黒とオレンジの線が入ったパーカーが被さる

まるで憑依するかのように

フードを脱ぎ、カードと同じ仮面ライダーに変化した

 

ディケイドゴースト「…ふっ」

レン「…なっ…何だこの感じは…」

俺は何故か攻撃を躊躇った

この不思議な動き

脱力したようなフワッとした動き

 

まるで幽霊だ

 

ディケイドゴースト「…ふっ!」

レン「だぁっ!」

俺が躊躇っていると、すかさず攻撃してきた

 

ディケイドゴースト「……はぁっ!」

レン「ぬわっ!」

ディケイドゴースト「…終わりだ」

今度は金色の縁に、特殊なクレストが描かれたカードを差し込んだ

 

ファイナルアタックライド!

ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!

 

すると、ディケイドの背後にオレンジ色の紋章が現れる

その紋章が右足に吸い寄せられる

そして飛び上がるディケイド

 

これまた凄い技が出ると思い、俺はレジェンスロットを押し引いた

 

レジェンド!ヒッサーツッ!

ミュウツー!

サイコブレイク

 

レン「サイコブレイク!」

俺は紫の大きなエネルギー段をディケイドに向かって放った

 

ディケイド「……でやぁぁ!」

それに構わずディケイドは俺に向かってキックを放った

 

レン「…うわぁ!」

ディケイド「……ふっ」

俺の攻撃はすぐに否され、俺はディケイドの攻撃を受け倒れ、変身解除まで追い込まれた

 

レン「……くっ…」

ディケイド「……」

ディケイドはマゼンタのドライバー

《ネオディケイドライバー》からカードを抜き出した

変身が解除され、そこには茶髪の高身長な男が立っていた

首にはマゼンタ色のトイカメラをぶら下げている

 

レン「……」

士「…俺の名は門矢(かどや) (つかさ)、仮面ライダーディケイドだ」

レン「…門矢…士…?」

聞いたことも無い…なのに何だこの強さは…

 

士「…大人しく彼女を渡してもらおうか?」

レン「…突然襲ってきて…彼女に何の用だ…」

士「……っ」

レン「…?」

士が俺から視線を外した

視線の先にはメグの首に腕をまわし、メグの(こめかみ)に銃口を当てるシオンだった

 

レン「…なっ…メグ!」

メグ「お兄ちゃん落ち着いて!」

レン「…え?」

シオン「……」

士「…どういうつもりだ?シオン」

シオン「…どうしたもこうしたも…あんたのせいで全部めちゃくちゃよ!」

レン「……」

シオン「……せっかく…」

メグ「……っ」

シオン「……せっかく化粧したのに…何よこの写真!」

レン「……は?」

シオンは懐から1枚の写真を取り出した

その写真は酷いほどにピンボケや歪みを生じてて、とてもじゃないが写真とは言えなかった

 

シオン「あんたが写真撮ってあげるって言ったから、私はモデルになったのよ!?」

士「お前の世界が俺を嫌ってるだけだ。俺は悪くない」

シオン「はい出た!お得意の!自意識過剰発言!」

レン「…ちょ…ちょっと待て!」

シオン「……どうしたの?」

レン「…状況が上手く飲み込めない…今なんの話ししてるんだ?」

シオン「……だから、士が私を撮ったけど、こんな酷い写真だと思わなくて…」

士「撮影代を貰おうとしたら、逃げたんだ。写真泥棒だ」

レン「……」

ダメだ…全然分からない…

 

レン「…つまり俺は、たかが写真1枚でこんな怪我をしたのか?」

シオン「……あ…それはごめん…」

レン「……はぁ〜」

俺は倒れ込んだ

安堵と呆れ

そして…

 

レン「……」

シオン「……てへっ」

謎の感情

 

 

レン「……世界を、旅行?」

士「あぁ、俺には世界を渡る力がある。この力で、今までいくつもの世界を渡って、その全てを破壊してきた」

そう言うと、士は俺のスープに人参を入れてきた

 

レン「…破壊…やっぱりお前、悪いヤツなのか?」

好き嫌いをする奴は好きじゃない

俺は人参を倍にして返してやった

 

シオン「士が言ってる破壊ってのは、世界の壁を破壊してるの。だから正確には、世界の壁を壊して、世界どうしを繋げてきたの。全てを破壊し、全てを繋ぐ、そんな奴。だから悪いヤツじゃないよ?」

士「その通りだ…痛っ」

シオン「好き嫌いする所は!悪い所だけどねぇ〜」

シオンは俺のスープに人参を入れる士の頭をどついた

 

レン「その通りだな」

メグ「お兄ちゃんもだよ!」

レン「ま、待てメグ!俺は…」

シオン「まぁまぁ、こうして仮面ライダーが2人揃っ事だし、お祝いでもしよう!」

そう言って俺と士のスープに人参を大量に追加するシオン

 

レン「……はぁい」

士「……はぁい」

メグ「……あの…失礼ですけど…2人の関係って?」

それは俺も気になっていた

恋人、兄妹、親子、色んな説が出てくる

見たところ士は20代だ

 

士「俺が旅をしている最中、こいつに会ったんだ」

シオン「…実は私、家出中で…士と出会って、色んな世界を旅したんだ」

士「…ふっ」

レン「……シオンは、どこの世界の人間なんだ?」

シオン「……言えない…というか、言いたくない…」

シオンの服装といい、さっきの拳銃はなんだ?

でもシオンの目はとても悲しそうだった

これは悪い事をした

 

レン「……ていうか、ここは?」

俺は話を無理やり切り替えるように話しかける

俺達はシオンと士に連れ込まれ、一軒の家の中で喋っていた

まるでスタジオのようだ

 

シオン「光写真館!ここで士はカメラマン兼仮面ライダーとして活動してるの」

レン「…でも、お前は世界を渡るんだろ?なんでこの世界にお前達の世界の物があるんだ?」

士「それに関しては知らん。いつの間にか光写真館の外装や俺の服装が変わるんだ。こっちとしてもお手上げだ」

レン「……そうなのか」

士「ただ分かっているのは、その世界に渡る度、俺にはやるべき事があるという事だ」

メグ「やるべき事?」

士「今まで旅して来た世界、その世界には必ず仮面ライダーがいた。そしてその仮面ライダーと関わり、大きな困難を乗り越える事で、世界の壁を破壊出来る」

レン「…じゃあ、お前がこの世界でやるべき事って?」

士「…知らん。俺はそこまで万能じゃないんだよ」

士は俺の皿に人参を全部入れると、スープだけ飲みほして外に行ってしまった

 

シオン「あちょっ!士!」

シオンも後を追う

 

世界を繋げるために旅をする士

旅人同士、何となく既視感があった

俺は士に興味を持った

 

レン「…俺達も追うか…メグ…」

メグ「……お兄ちゃん…逃げる気でしょ」

レン「……さぁ、なんの事だか…」

メグ「……」

ジーッと見つめるメグ

 

レン「……帰ったら…ちゃんと食べます…」

メグ「……はぁ、まぁさっきの戦いで疲れてるだろうし、今回は見逃すよ」

レン「……あぁ…ありがとう…」

まぁ好き嫌いのジャンルで言ったらメグの方が多いけどな

 

メグ「…何?」

レン「…いや、何でもない」

怖い

11歳とは思えない眼光をしている

 

 

  カシャ

 

俺は写真が撮るのが好きだ

デジカメなどは嫌いだ

カメラはフィルムで撮るからロマンがある

 

  カシャ

 

今まで色んな世界を点々としてきた

ジリジリと、側面のヒンジをひねる

 

士「……」

シオン「……ん?」

士「……」

 

  カシャ

 

たとえ世界が俺を拒絶しても

俺は写真を撮り続ける

 

レン「……なんだ」

メグ「…?ピース!」

 

今あるこの世界を

記憶に刻み込むために

 

 

レン「…記憶喪失?」

シオン「…だったの、彼」

メグ「だった?」

シオン「…彼は…記憶をなくしてしばらくした時、ディケイドの力を手に入れた。そして、世界を渡って、探し続けた…」

レン「…何を?」

シオン「…士の世界よ」

レン「……士の世界」

シオン「…彼はいつもこう言ってる、人は誰でも、自分がいるべき場所(せかい)を探している。そこは偽りのない、陽のあたる場所。そこに行く為に人は旅を続ける。その旅を汚したり、利用したりする権利は誰にもないってね」

メグ「……」

シオン「……でも、彼の世界は…」

すると、ホロキャスターに通知が入った

 

どうやらフウジョタウン付近にて、怪人達が暴れているらしい

 

士「おしゃべりは後だ!行くぞ!」

レン「……あぁ」

 

 

フウジョタウンに着くと、辺りは混乱の渦になっていた

町の人達が逃げ惑う中、フウジョタウンの奥の方

謎の軍団が行進していた

 

全身黒タイツで、骸骨のような模様が入っている者達や、青と赤のトカゲのような怪人や、イカのような怪人

そしてその中央には、白のタキシードに黒い革手袋をした男が立っていた

 

士「……お前は…」

レン「……」

黒タイツの男達が「イー!」と言いながら歩を止めない

 

すると、男が立ち止まり、最前列へ移動し、俺達に姿を表した

士は驚いてはいなかった

 

士「……ガイ…生きてたのか…」

ガイ「……久しぶりだな…仮面ライダーディケイド…言ったはずだ…私は宇宙で最も迷惑な奴として蘇ると」

レン「…誰だお前…」

ガイ「……私の名はガイ…大ショッカー大幹部……又の名を…アポロチェンジ!」

ガイと名乗った男はワインレッドの仮面がかぶさり、白いマントが被さる

盾や剣を構える

怪人のような、英雄のような、そんな見た目

 

ガイ「…アポロガイスト!」

士「ガイ…どうしてお前がここに…」

ガイ「……言っただろう…我々は闇の力で蘇ったのだ…ある者の手によってな…」

レン「…闇の力…蘇った?…サカキと同じだ…」

ガイ「貴様に復讐するため、幾多もの怪物を集めて来た!」

士「…どうでもいい…ツケを払わせてやる…」

士は《ネオディケイドライバー》を腰に装着し、取っ手を開閉する

ディケイドの顔が描かれたカードを見せつける

 

士「変身!」

 

カメンライド!

ディケイド!

 

士の目の前に20体の灰色の分身が現れ、それが全て士に重なる。顔面にカードが刺さり、シマシマ模様を作り出す

身体の側面がマゼンタカラーになり、緑の複眼が光る

士は仮面ライダーディケイドへと変身した

 

レン「変身」

俺も仮面ライダーレジェンへと変身し、士と並ぶ

 

ガイ「……ふっ…殺れ」

ガイはショッカー戦闘員や怪人達に指示した

 

『イーッ!』

士「はぁっ!」

『イーッ!』

レン「はっ!」

『ガンガラッ!』

士「ふっ…はあぁ!」

『ゲソーッ!』

レン「たァっ!」

大量の怪人達を相手にする俺達

 

士「……こいつで行くか…」

士はロケットのような見た目の顔面をした仮面ライダーのカードを差し込んだ

 

カメンライド!

フォーゼ!

 

士はまるで白い煙に包まれ、宇宙服のようなアーマーに身を包んだ仮面ライダーに変身した

 

士「さらにこうだ」

士は更にカードを差し込んだ

 

アタックライド!

ロケット!

 

士の右腕にオレンジ色のロケットが装着される

 

士「でゃぁ!」

ロケットから出る炎で勢いの増したパンチを『ガラガランダ』にお見舞する

 

『ガラッ!』

 

士はまたもやカードを差し込んだ

今度は武将の兜のような見た目の仮面ライダー

 

カメンライド!

ガイム!

オレンジアームズ!花道 オン ステージ!

 

今度は、ミカンのようなものが頭にハマると、それが展開

オレンジ色のアーマーと紺色を基調とした武将のような仮面ライダーへと変身する

 

アタックライド!

大橙丸!

 

ライドブッカーとは別にオレンジ色の刀が現れる

二刀流となった士はショッカー戦闘員を無双した

 

俺も負けていられない

 

ドロップ!

リード!レジェンド!ヘンシーン!

 

レン「フォルムチェンジ」

俺は側面のボタンを押す

 

レジギガス!

レ・ジ!レ・ジ!レ・ジ・ギ・ガ・ス!

 

レン「大地の戦士、仮面ライダーレジェン、レジギガスフォルム!」

『ゲソッ?』

レン「ベビーボンバー!」

俺は足を振りかざし、思いっきり地面を蹴った

地震が起こったような地響きが生じ、『イカデビル』はコミカルに飛び上がった

 

『ゲソーッ!』

レン「ギガインパクト!」

空中で無防備になっている『イカデビル』に渾身の一撃を喰らわす

 

『ゲーソー!』

『イカデビル』は断末魔を吐きながら爆発した

 

レン「…よし」

 

粗方の敵は倒し、残るはアポロガイストだけとなった

 

士「あとはお前だ…ガイ」

ガイ「…それはどうかな?」

アポロガイストはギザギザの盾を投げ飛ばしてきた

 

士「くっ…」

レン「…なっ…」

ガイ「ふふふ…てやっ!」

鋭い剣で突かれる

まるでフェンシングのように

 

レン「…くっ…強いな」

士「……前よりも強くなってる…」

ガイ「当たり前だ、私は闇の力で蘇ったのだ…そして、これがその力の真骨頂…」

ガイはアポロチェンジを解除すると、懐から真っ黒で青色の窓があるディケイドライバーそっくりなものを取り出した

 

士「…それは…」

ガイ「私を蘇られせた者が授けたのだ…その名も、《ダークディケイドライバー》」

レン「《ダークディケイドライバー》?」

ガイはそう言うと、《ダークディケイドライバー》を腰に装着し、真っ黒で複眼が青色のディケイドが描かれたカードを差し込んだ

 

カメンライド!

ディケイド!

 

ガイ「……変身…」

ガイの周りに20体の真っ黒な影が現れ、それがガイに重なり、カードが顔面に入りシマシマ模様を作り出す

複眼は青く、白だった胸の十字の模様は金色に

 

正しく、闇のディケイドだった

 

ガイ「…仮面ライダー…ダークディケイド…」

士「…ダークディケイド…」

レン「…なんなんだあれ…なんでディケイドが…」

 

アタックライド!

スラッシュ!

 

ガイ「ふんっ!」

レン「がぁっ!」

士「だぁっ!」

ダークディケイドの攻撃に圧倒される俺達

 

レン「…くっ…」

士「……くっ…」

ガイ「…素晴らしい…これが闇の力を兼ね備えたダークディケイドの力!」

士「…なるほどな…大体分かった…」

レン「…何がだ?」

士「……ダークディケイドは、元々存在しては行けない物だ…だがこうしてガイと共に蘇ってしまった…」

レン「……すると、どうなるんだ…」

士「…世界が本当に破壊されてしまう」

レン「え!?」

士「…俺は世界の壁を破壊する存在として生まれた。だがダークディケイドは、世界そのものを破壊するために生まれた殺戮兵器だ」

レン「…そんな…」

士「……俺はかつて、あいつと戦った事がある」

レン「…え?」

士「…でも、勝つ代わりに、その世界を犠牲にするしか無かった…」

レン「……その世界って?」

士「……俺の世界だ」

レン「え!?」

士「…やっと見つけた俺の世界…でもそこは、俺だけの世界じゃなかった…言うなれば、ディケイドの世界」

レン「…ディケイドの世界」

士「…ダークディケイドは本物だ…俺達が適う相手じゃない…」

レン「…だったらどうするんだ!」

士「……この世界を…犠牲にするしか…」

レン「ふざけるな!そんな事俺がさせない!」

士「…じゃあどうしろって言うんだ!」

レン「……戦うんだ。それしかないだろ…」

俺は立ち上がった

 

レン「……はぁぁあ!」

ダークディケイドに向かって走っていく

 

アタックライド!

ブラスト!

 

レン「だぁぁぁあ!」

攻撃を受ける俺

 

レン「……くっ…くくっ」

立ち膝で何とか耐える

 

ガイ「……愚かな…」

レン「……あぁ…確かに俺は愚かだ…だがな…」

士「……っ」

レン「…最後の最後まで、俺はこの世界を見捨てない!」

士「……っ!」

ガイ「…くだらん。死ねぇ!」

 

ファイナルアタックライド!

ディ・ディ・ディ・ディケイド!

 

ダークディケイドはダークライドブッカーの銃口を向ける

同時に俺に向かって何枚もの巨大なカードが現れる

トリガーを引くと、ダークライドブッカーからは金色のビームが発射され、カードをすり抜けながら俺に向かって来た

 

ここが俺の死に場所か

そう思った時だ

 

ファイナルアタックライド!

ディ・ディ・ディ・ディケイド!

 

士が同じ攻撃で相殺し、ダメージを軽減してくれた

 

レン「……士っ!」

ガイ「……無駄な抵抗を…」

士「…こいつは死なせる訳には行かない…こいつには俺が持っていないものを持ってる……それは、決して諦めない心だ!」

レン「……」

士「俺はかつて世界を諦めた…だがこいつは、世界を守る為に、自分を犠牲にしようとした…たとえ自分が死んでも、大切なものを守る為に…」

ガイ「それも全て私が破壊する!世界は私のモノだ!」

士「それは違う!人には、必ず居場所がある…こいつにも、きっとある…」

レン「……っ」

士「そんなこいつの居場所を…お前みたいなただの死に損ないに渡すもんか…この世界は…こいつの居場所は俺が守る!」

ガイ「……なんなんだ…何者なんだ貴様は!」

士「…忘れたのか?…通りすがりの仮面ライダーだ!覚えておけ!」

士は懐からディケイドっぽい見た目をしたタッチパネル、『ケータッチ』を取り出した

 

クウガ!アギト!リュウキ!ファイズ!

ブレイド!ヒビキ!カブト!デンオウ!キバ!

ファイナル カメン ライド!

ディケイド!

 

クレストを順番にスライドしていき、ディケイドは姿を変化させた

両肩、そして胸には9枚の仮面ライダーが描かれたカードを、そして額には『ディケイド コンプリートフォーム』のカードが取り付けられている

全体的に銀色が増え、複眼がマゼンタカラーになる

仮面ライダーディケイド コンプリートフォームが完成した

 

ガイ「どんな姿になろうと…私には適わない!」

士「それはこっちのセリフだ!レン!行くぞ!」

レン「…あぁ!」

俺はミュウツーフォルムにフォルムチェンジした

 

レン「サイコキネシス!」

ガイ「ふっ!」

簡単に去なすダークディケイド

 

士「はぁっ!」

ガイ「くっ…」

士が斬撃を加える

 

ガイ「…無駄だ!」

士「…っ」

士はドライバーからケータッチを取り出し、ドラゴンのようなクレストを押し、Fのボタンを押す

 

リュウキ!

カメン!ライド!

サバイブ!

 

士の横に、赤龍の騎士のような仮面ライダーが現れる

同時に胸のカードも全てそいつの顔に変わる

 

ファイナルアタックライド!

リュ・リュ・リュ・リュウキ!

 

ライドブッカーに炎を纏う士と、龍騎サバイブ

 

ガイ「はぁっ!」

ダークディケイドの攻撃とぶつかり合い、衝撃波が生じる

 

レン「はどうだん!」

俺は隙をつき、ダークディケイドにダメージを与える

攻撃終了後、龍騎サバイブは消えた

 

カブト!

カメン!ライド!

ハイパー!

 

士は続いてメカメカしいカブトムシのような仮面ライダーを召喚させた

 

レン「…よし!行くぞ!」

 

ファイナルアタックライド!

カ・カ・カ・カブト!

 

レジェンド!ヒッサーツッ!

サイコブレイク!

 

士はライドブッカーを、カブトハイパーフォームはパーフェクトゼクターを構え、力を貯える

俺はエネルギー弾を生成する

 

士「はぁぁあ!」

レン「サイコブレイク!」

ガイ「がぁぁあ!」

ダークディケイドにはかなりのダメージが入ったようだ

 

ガイ「な…何故だ!私は…今度こそ世界を私のモノに…」

士「お前は見逃してたんだ」

ガイ「…なにっ?」

レン「……」

士「…こいつの存在をな!」

 

続いて士は古代文字のようなクレストを押した

 

クウガ!

カメン!ライド!

アルティメット!フォーム

 

士の横に、漆黒の体に金ラインが入った赤眼の仮面ライダーが召喚させた

 

ファイナルアタックライド!

ク・ク・ク・クウガ!

 

レジェンド!ヒッサーツッ!

ジーン!ディストラクション!

 

士とアルティメットクウガ、そして俺は高く飛び上がり、士はマゼンタのオーラを、アルティメットクウガは黄金のオーラを、俺は紫のオーラを、脚に纏わせながらダークディケイドに向かってキックを放った

 

士「はぁぁぁあ!」

レン「はぁぁぁあ!」

ガイ「がぁぁぁぁあ!」

トリプルライダーキックを受けたダークディケイドは叫んだ

全身から火花が飛び散っている

 

ガイ「……お…」

士「……」

ガイ「……おのれディケイドォォォ!」

大爆発を起こし、ダークディケイドは消え去った

そこに残ったのはダークディケイドのカードだけだった

 

士「……」

レン「……」

変身を解除し、お互いに支え合う

 

士「……ふっ」

レン「…ふっ」

やはり俺達は似たもの同士かもしれない

 

シオン「やったね!2人とも!」

メグ「すごいすごい!」

レン「…ふっ…あぁ」

士「……当然だ」

 

戦いの傷を癒す為、俺達は光写真館に戻った

その時、俺達は士達に今までの俺達の旅について少しだけ話をした

 

士との絆を、少しだけ感じた日だった

 

 

フラダリ「……」

カロス地方では知る人ぞ知る有名人

各地の病院や支援学校等に多額の寄付金を送るなど、善良な人柄で有名だ

 

フラダリ「……プロジェクトYの進行状況は?」

フレア団員「問題ありません、順調です」

その正体は、カロス全土で暗躍する謎の赤スーツの集団

『フレア団』のボス

 

フラダリ「…後はあいつの帰還を待つだけだな」

フラダリのデスクの上

ホロキャスターから映し出されているのは、破壊を司る伝説のポケモン、『イベルタル』のメガストーン

通称『破壊の繭』

フラダリはこれを探していた

そして…もうひとつ…

 

フレア団員「代表…『例の物』の回収に成功したそうです」

フラダリ「……そうか」

さぁ、プロジェクトYは最終局面を迎えている

 

後はどうやって《イベルタルストーン》を回収するか…

 

フラダリ「……フッ」

ここに丁度いいのがいるではないか…

 

 

レン「……」

シオン「……」

気まずい

よくあるやつだ、多人数で話をすれば盛り上がるのに

2人っきりになった途端、無言になる瞬間

そこ組み合わせがまさかの俺達とは…

 

レン「……ゔんっ」

シオン「……?」

言っておくが俺は…

 

レン「…あー…シオン」

シオン「何?」

レン「……好きな食べ物ってなんだ?」

シオン「……は?」

人とのコミュニケーションが大の苦手だ

 

レン「……」

シオン「…好きな食べ物か〜…そうだな〜…」

レン「……」

シオン「…お父さんが作ってくれるハンバーグ…かな」

レン「…は…ハンバーグ…」

シオン「…それがどうかしたの?」

レン「……いや…そうだ、台所を借りれるか?」

シオン「…うん…いいと思うけど」

レン「……」

俺は自前のエプロンを身に付け、料理を始めた

 

ちなみに、どうして今光写真館(ここ)に俺達しかいないかと言うと…

 

 

レン「……ピンクのダイヤ?」

メグ「うん!カロス地方の山の洞窟には、いくつものダイヤがあって、とても珍しいピンクのダイヤがあるんだって!」

レン「……それを摂りに行きたいと…」

メグ「うん!」

休養中、そんなことをメグから言われた俺

 

ポケヤミーがいつ現れるか分からない

俺はなるべく行かせたくなかった

 

士「だったら俺がついて行ってやろう」

レン「え?」

メグ「ほんと!?士さん!」

士「あぁ」

レン「大丈夫か?」

士「安心しろ、妹の扱いはもう慣れた」

妹、というのはメグのことではないだろう

さっきシオンから士にも妹がいる事を教えてもらった

またしても共通点が増えた

士にメグを任せ、俺はここにシオンと残る事にした

士は自前のバイク、《マシンディケイダー》に2人乗りをして光写真館を離れた

 

その結果こうなった

 

シオン「…何してるの?」

レン「見て分からないか?料理してるんだよ」

シオン「…なんで?」

レン「…そろそろ夕飯の時間だからな」

シオン「まだ昼の3時だけど…」

レン「……」

俺はそのまま料理をした

 

レン「……いっ…」

シオン「…痛むの?」

レン「……少しな」

シオン「無理しないで?」

レン「…いや…」

シオン「…貸して?私も手伝うから…これをこねればいいの?」

レン「……あぁ」

シオンは具材が入ったボオルに手を突っ込む

時々手が当たる

そして近い

シオンは俺より少しだけ身長が高く、胸元が空いた服装に目のやり場を奪われた

 

シオン「…もしかしてこれって…」

レン「…あぁ、ハンバーグだ」

完成した料理

それはハンバーグだ

 

シオン「…いただきます…」

シオンは箸をとり、ハンバーグを一口だけ食べた

 

シオン「……これは…」

レン「どうだ?俺なりの作り方だが…」

シオン「…お父さんの味だ…」

レン「……」

俺はここでひとつ疑問に思った

 

レン「…なんで家出なんてしたんだ?」

シオン「……」

シオンの箸が止まる

 

レン「……」

シオン「…君には関係ないよ」

レン「…いや、関係ある」

シオン「……」

レン「……」

人には人それぞれの事情がある

だが、こいつの事情は…

なにか裏がありそうだ

 

シオン「……私のお父さんはね、凄い人なの…色んな物を開発して、それを売って…まぁ、簡単に言えばお金持ち」

レン「……」

シオン「…でもそんな生活を送る前のお父さんは、いつも人の為になる事をして来た…皆この星に生きる命、正しく家族だって言って」

レン「……」

シオン「…でも現実は甘くなかった…この広い世界には、様々な人間がいる…横暴で強欲で身勝手な人間達ばっか…そんな現実を目の辺りにしたお父さんは…」

そこで話は途絶えた

理由は光写真館に客が来たからだ

 

フラダリ「失礼します」

その客とはフラダリだった

 

レン「…フラダリ…どうしてお前がここに…」

フラダリ「レン様、お久しぶりです…突然ですが、貴方にどうしても頼みたいことがございまして…」

レン「…なんだ?」

フラダリ「…とある物の、回収を…」

 

 

オルアースの森

かつて「大破壊」という災害を起こした場所らしい

 

フラダリ曰く、「大破壊」の根源である《イベルタル》がこのオルアースの森に眠っているらしい

 

レン「…よし…行くか…」

シオン「……」

レン「…どうした?」

シオン「…え?ううん…何でもない…」

何でもないと首を振るシオン

俺は特に気にせず森の奥に進んで行った

 

途中、シオンが木の根に躓いた

 

シオン「…きゃっ」

レン「…おっと…大丈夫か?」

シオン「…あ、ありがとう…」

レン「…気をつけろよ」

シオン「…うん」

レン「…どうした?さっきから変だぞ?」

シオン「……いや…その…」

 

すると、奥の茂みからポケヤミーが飛び出してきた

上半身を覆うように大きな鎧のような殻を有しており、そこから大きくトゲが突き出ている

トゲが甲羅や腕にあり、丸い頭をしている

どことなくアルマジロに似ている

 

『こんなところに人間が来るとはな…この『ブリガロン』様が相手してやる!』

レン「…そう易々と行かないか…変身」

俺は仮面ライダーレジェンへと変身し、『ブリガロン・ヤミー』の相手をした

 

 

シオン「……っ?」

レンが怪物と対峙している中、私は不思議なものを発見した

 

シオン「……大きな木…」

それは一際大きな木だった

とてつもない生命力を感じる…

 

私はその気を手を当てた

 

シオン「……?」

回り込むと、その木には一部だけ穴があった

私は恐る恐る手を突っ込み

手に感触を覚えた

 

シオン「……これって…」

 

 

レン「はぁぁぁあ!」

『ぐわぁぁあ!』

『ブリガロン•ヤミー』を倒し、俺はシオンを探した

 

シオンは木の影に潜んでいた

俺は変身を解き、シオンが来るのを待った

 

レン「……さて、《イベルタルストーン》を探すぞ」

シオン「……待って!」

レン「……?」

シオン「…実は私…っ!」

すると、突然近くの崖が崩れ始めた

さっきポケヤミーと戦っていた所だ

 

シオン「…危ない!」

崖から崩れた岩が、俺に向かって降っていく

 

レン「…っ!」

シオン「…っ!」

シオンは俺に飛びかかり、俺の上に重なった

 

しかし、銃撃音がすると思ったら、その岩石は砕け散り、俺達に被害は加わらなかった

 

士「…まったく…世話が焼ける…」

ライドブッカーを持った士が助けてくれたみたいだ

 

メグ「シオンさん大丈夫?」

シオン「…うん私は大丈夫…レンは?」

レン「…あぁ、大丈夫だ…ありがとな…」

シオン「良いの良いの!」

レン「……」

シオン「……」

士「……なんだあれは…」

士が崩れた崖の方を見た

崖の中には、黒と灰色で、白い模様が入った、歪な形をしたものが見えた

それは突然ひび割れ、灰色と黒、そして赤い模様が入ったメガストーンが現れる

 

レン「……まさか、あれが…」

《イベルタルストーン》

そんな気がする

 

すると、空からヘリコプターの音が聞こえた

同時に強い風

どうやら真上にいるようだ

 

逆光に照らされたヘリコプターの側面には、オレンジ色の模様が印字されていた

 

フラダリ「よくやった!仮面ライダー!」

レン「…その声…フラダリか!?」

フラダリはヘリコプターから飛び降りた

フラダリは着地し、俺に拍手する

 

フラダリ「やはり君に頼んで正解だったよ!」

レン「…どういう事だ…」

フラダリ「…これが欲しかったのだよ…世界を破壊するこの力を…!」

レン「……っ!」

フラダリは崖から《イベルタルストーン》を取り出した

 

フラダリ「……私は元々、人々が平和に、幸せに暮らす世の中を作りたくて…様々な援助や支援をして来た」

士「……」

フラダリ「……しかし、世界は醜く、残酷だった…」

メグ「……」

フラダリ「…限りある資源を浪費し、奪い合い…明日という日を食い潰している」

レン「……」

フラダリ「……これ以上…世界が醜く変わって行くのは耐えられない…だから私は、イベルタルの力を使い、この世界を破壊し、この世界の美しさを永遠の物とするのだ!」

レン「……っ!」

フラダリ「……私はフレア団のボス、フラダリ。これで…プロジェクトYが完成する…」

プロジェクトY…やはりとてつもない計画だったか

 

そういえば、どうしてフラダリ達は俺達の居場所を正確に見つけたんだ?

 

フラダリ「お前達に渡したホロキャスター…それには発信器とマイクが付いている」

レン「……くっ…」

俺とした事が…迂闊だった

フラダリは最初っから俺達を利用していたのか…

 

フラダリ「…遂に私達の計画が実を結ぶのだ…」

ん?私()

 

士「どうでもいい!やっとこの世界で俺がやるべき事がわかった…お前を破壊してやる…」

シオン「…滅びるのは貴方の方よ、士」

士「…シオン…どういうつもりだ?」

レン「…っ!」

シオンは士の背中に拳銃を当てていた

 

本当にどういうつもりだ?

どうして士を脅す?

まさか…!

 

フラダリ「……シオン…例の物は?」

シオン「…えぇ、お父さん…」

レン「…なっ…」

俺は全てを理解した

同時に全てに絶望した

 

シオンが話していた父親の話、フラダリの過去と一致する

更に、フラダリが光写真館に来た時から、シオンの様子が変だった

そうか…シオンの父親とは、フラダリの事だったのか…

 

シオンはフラダリのそばまで行き、とあるものを渡した

シオンは俺にとても冷たい視線を送ってくる

 

士「…それは!」

フラダリ「…ふふふ…よくやった…シオン…」

シオン「……」

それはダークディケイドのカードだった

 

フラダリ「…ふふふ…ははははは!」

士「…まさか…ダークディケイドの力も使う気か!?」

フラダリ「…その通り…破壊を司る伝説のポケモン《イベルタル》…そして数多の世界を破壊した《ダークディケイド》…この二つが組み合わさることで、私は破壊の神となるのだ!」

メグ「…っ」

フラダリはダークディケイドライバーに似たドライバーを腰に装着した

しかし真ん中に窓はなく、代わりにくぼみがあった

丁度メガストーンがハマりそうな

 

フラダリ「フレア団が総出で開発した《フレアドライバー》…その力…とくとご覧あれ」

 

フラダリはフレアドライバーのくぼみに《イベルタルストーン》をセットした

 

セット!

 

更にダークディケイドカードを差し込む

 

カメンライド!

ディケイド!

 

フラダリ「……変身!」

 

フラダリの前方にダークディケイド、そしてイベルタルと思われるポケモンの影が現れ、それがフラダリに重なる

 

胸の十字の模様は両胸にでき、首周りには羽毛が生える

両肩からも爪が生える

マントが腰から生え、先端は爪のような鋭いものが生えている

フラダリはイベルタルとダークディケイド、二つの要素が備わった仮面ライダーへと変化した

 

フラダリ「…仮面ライダー…イベルタルディケイド…」

仮面ライダーイベルタルディケイドが誕生した

 

士「変身!」

士は仮面ライダーディケイドへと変身し、フラダリに立ち向かった

 

かと言って、俺はまだ絶望していた

地面に膝をつき、現実逃避してしまった

 

レン「……」

メグ「…お兄ちゃん…」

レン「……うわぁぁぁぁぁあ!!」

俺は叫んだ

柄でもない

でも、叫ばずにはいられなかった

 

レン「…変身っ!」

仮面ライダーレジェンへと変身し、士と共にフラダリに立ち向かう

 

フラダリ「ふははは…」

士「でやぁ!」

レン「はぁ!」

俺達の攻撃には動じず、フラダリはずっと笑っていた

 

フラダリ「……」

士「…くそっ…ならばこいつだ」

 

カメンライド!

オーズ!

タ・ト・バ!タトバ!タ・ト・バ!

 

士は頭、胴、下半身が3色で分けられた仮面ライダーに変化した

 

フォームライド!

オーズ! サゴーゾ!

サゴーゾ…サゴーゾ!

 

すると、士の周辺にメダルのサークルが現れ、これが上から3枚白と黒のメダルになる

士は白、灰、黒の3色の姿になった

腕がゴリラのように発達している

 

アタックライド!

ゴリバゴーン!

 

士は両腕をフラダリに向けた

 

士「…せいやぁ!」

発達した両腕がフラダリに向かって飛んで行った

まるでロケットパンチ

 

フラダリ「……ふふふ」

士の猛攻撃を受けてもなお、フラダリは平気のようだ

 

レン「俺の番だ!はどうだん!」

フラダリ「……」

レン「…くっ…サイコカッター!」

フラダリ「……効かないな…はっ!」

レン「うわっ!」

フラダリが発した衝撃波だけで、数十メートル飛ばされた

 

メグ「お兄ちゃん!」

レン「…くっ…」

俺は地面に倒れる

 

フラダリ「……カロス地方は美しい…人々が笑いで満ち、まさに完璧な世界…」

士「だったらどうしてこの世界を破壊する!?」

士はライドブッカーで攻撃しながら問いかける

フラダリには全く効いてる気がしなかった

 

フラダリ「美しいからこそ、その美しさを、その若さを、永遠のものとするのだ……それでこそこの世界は完成する…この世界は美しくあるべきなのだ!」

士「ぐわぁ!」

フラダリは士の攻撃を薙ぎ払い、士の胸を殴った

士は数メートル吹き飛ばされ、変身が解かれ、俺の近くまで来た

 

レン「…最初から…ホントに最初から…俺達のことを騙してたのか…?…シオン…」

シオン「……」

レン「……答えろぉ!!」

俺の声が森に響く

 

シオン「……」

フラダリ「…私がプロジェクトYを計画したのは約二年前…その時にイベルタルの存在を知り、そして同時期に、ダークディケイドの存在も知った…」

シオン「…その時、私はディケイドである門矢士を探すために旅に出た」

フラダリ「シオンにはダークディケイドの力の源の回収をさせ、私はこの世界でイベルタルを探し求めた」

シオン「奇跡的に士と私はこの世界にたどり着き、ダークディケイドもこの世界で蘇った…」

フラダリ「計画は至って順調…お前達のような邪魔者がいるのは少し不安だったが…」

フラダリは俺達を見下した

 

レン「……くっ…」

フラダリ「…その必要も無さそうだ」

シオン「あなた達のおかげで、お父さんは計画を進める事が出来る…良くやったわね、士…レン…」

レン「…黙れ…黙れェ!」

士「…俺達のせいで…」

俺達は絶望した

風が止んだ

 

レン「……お前は…俺達を何だと思ってたんだ…」

シオン「……」

レン「…仲間じゃなかったのか!?」

士「……レン…」

俺はシオンとの短い時間を思い出すが、思い浮かぶのはシオンの悲しい表情ばっかりだった

 

レン「……あの目は本当に嘘だったのか…?本当は何処かで苦しんでたんじゃ無いのか!?」

シオン「……利用出来るものはとことん利用する…私はそうやって育ってきた…」

レン「じゃあ!どうしてあの時俺を助けた!?」

シオン「…っ」

レン「……俺達は仲間じゃなかったのか…」

シオン「……私はあなた達を裏切った…もうこれで終わりなのよ!」

レン「そんな事ない…この世界は破壊させない…お前達が生きるこの世界を!」

俺はシオンを睨む

 

レン「…はぁぁあ!」

俺はフラダリに突っ込んだ

 

フラダリ「…フッ!」

レン「ぐわっ…はぁぁ!」

フラダリ「くっ…しつこい…」

レン「…俺は諦めない…この世界を!」

シオン「…っ!」

フラダリは俺を薙ぎ倒す

 

フラダリ「私は世界の様々な人間と関わってきた…醜い人間の為に…私が尽くす必要は無い…貴様も次期にわかる事だ…この世界の心理を…」

レン「人間は確かに愚かで醜い…争いは耐えないし…無駄な事をする…」

士「……」

レン「…でも人間は、争いを繰り返し、それを乗り越えで来た…世界をより良くする為に……皆思いは一緒だ…」

フラダリ「……」

レン「…一見無駄な事でも、意味はある…人はそれを信じてるんだ…」

シオン「……」

レン「…俺はフラダリ、お前とは違う…俺は人の醜さを…世界の醜さを受け入れて…戦い続ける」

フラダリ「……貴様に何が分かる…私の気持ちがァ!」

レン「ぐっ!」

俺はフラダリのパンチを受け止める

 

レン「……くっ…」

フラダリ「なにっ…」

レン「……あんたは闇に落ちるべき人間じゃない…必ず俺が救い出してみせる…」

フラダリ「…うるさぁい!」

フラダリは反対の手で俺を殴った

 

レン「ぐわぁぁ!」

俺は吹き飛ばされ、変身が解けてしまった

 

フラダリ「……っ」

フラダリは黒いライドブッカーを構え、俺に銃口を向ける

 

レン「…っ」

トリガーが引かれ、俺は死を覚悟した

 

しかし、俺に攻撃が当たる事はなかった

 

シオン「……うっ…」

俺を庇ったシオンの胸からは血が垂れる

 

レン「…はっ…」

後ろに倒れるシオンを、俺は受け止めた

シオンはゆっくりと俺を見た

 

レン「……シオン…」

シオン「……ごめんね…レン…」

レン「……」

シオン「…私は…お父さんの力になりたくて…こんな事をしてしまった…」

シオンは息が切れるように話す

 

レン「……」

シオン「…私は…あなたが思うより強い人間じゃないから…貴方に釣り合う人間にはなれなかったけど…」

レン「……」

シオンは俺の頬に手を添える

 

シオン「…レン…貴方をずっと見ているわ…」

レン「……おい…」

シオン「……ありがとう…レン…」

シオンは笑みを浮かべていた

 

レン「……どうして…」

シオン「……」

レン「……どうして…俺を…」

シオン「……だって私達は…」

レン「……」

シオン「……仲間…なんでしょ?」

レン「…っ!」

俺の眼から涙が流れるのがわかった

涙はシオンの腕をつたる

 

シオンは俺に何かを手渡した

シオンの手には、メガストーンが握られていた

 

シオン「……これ…森の中で見つけたの…」

レン「……俺に?」

シオン「……きっとこれが…貴方を助けてくれる…そんな気がするの…」

レン「……」

シオン「……お願い…お父さんを止めて…」

レン「……」

シオン「…貴方ならきっと……」

レン「……もちろんだ…俺は必ず……」

俺はシオンに話しかけるのを止めた

シオンは静かに目を閉じ、身体が冷たくなってきたのが分かった

 

レン「……」

俺はシオンを静かに地面に置いた

閉じた眼は開くことは無かった

 

レン「……っ!」

そしてフラダリを睨む

 

フラダリ「……」

レン「……娘が死んで…平気なのか…?」

フラダリ「…どの内死ぬ運命なのだ…それが少しだけ早くなっただけ…そこに感情は無用だ」

レン「……くっ…」

俺は拳に力を入れる

 

レン「……感情が必要ないだと…」

フラダリ「…そうだ…いずれ無くなる物に…必要価値などない…」

レン「……いいや…必要のないものなんてない…全てのものに意味がある…」

士「……」

レン「……いずれ無くなるからそこ…人間は大切にしたいと思うんだ…人の命だって一緒だ…いずれ無くなる命だからそこ…大切にしたいんだ!」

フラダリ「……」

レン「…俺は守ってみせる…例え必要の無いものだとしても…人間の中にあるそれを、守ってみせる…」

士「……レン…」

レン「……大丈夫か?士」

士「…あぁ」

レン「……それが世界そのものなんだ…だからこそ守る!それが…俺の使命だ!」

フラダリ「…なんなんだ…なんなんだ貴様は!」

レン「……俺は…俺達は…」

俺は士を見る

そして再びフラダリを睨む

 

士「……」

レン「通りすがりの仮面ライダーだ!覚えておけ!」

シオンが託したメガストーンが眩く光る

 

フラダリ「…それは…《ゼルネアス》の力!」

レン「士…行けるか?」

士「…あぁ、勿論だ」

俺と士は横に並んだ

 

ドロップ!

リード!レジェンド!ヘンシーン!

 

俺は右手を前に出す

士はカードをフラダリに見せつける

 

レン・士「「変身っ!」」

 

カメンライド!

ディケイド!

 

ミュウツー!

ミュウ!ツー!ミュウ!ツー!ミュウ!ツー!ツー!

 

レン「伝説の戦士!仮面ライダーレジェン!」

士「…仮面ライダーディケイド!」

レン「…さぁ、伝説の始まりだ!」

俺と士はフラダリに向かって行く

 

フラダリ「…貴様らなど…これで十分だ」

 

アタックライド!

デスウイング!

 

フラダリ「ふぅあぁぁあ!」

フラダリは飛び上がり、どす黒い鈍い色のビームを俺達に放つ

 

フラダリ「…フッ…ん?」

レン「…はぁぁあ!」

士「…はぁぁあ!」

レン・士「はぁぁ!」

俺達はそのビームを避け、フラダリに向かってパンチを喰らわした

 

フラダリ「ぬわっ!なっ…なぜだ!」

士「…俺達を強くしてるのは理屈じゃない…心だ…」

レン「…心があるから…思いがあるから…強くなれる」

士「…それが…」

レン・士「「…仮面ライダーだ!」」

士はケータッチの黒かった部分が灰色で、「21」とマゼンタの文字が書かれている、《ケータッチ21》を取り出し、俺はシオンが託した《ゼルネアスストーン》を取り出す

 

ダブル!オーズ!フォーゼ!ウィザード!

ガイム!ドライブ!ゴースト!エグゼイド!

ビルド!ジオウ!ゼロワン!

ファイナル カメン ライド!

ディケイド!Complete!21!

 

ネオディケイドライバーから無数のカードが飛び出し、士を囲んでいく

胸部装甲は分厚く、左肩、胸部、右肩に19枚のカードがあり

額に2枚のカードが上下にある

マゼンタのマントには70枚ものカードがあり、様々な仮面ライダーの顔が見える

 

仮面ライダーディケイド コンプリートフォーム21が登場した

 

ドロップ!

レジェンド!ヘンシーン!

 

レン「フォルムチェンジ!」

 

ゼルネアス!

ゼル!ゼル!ゼルネアス〜!

 

俺の体は上半身が青く、下半身が黒くなり、頭の上から何本もの角が生えてくる

まるで鹿のような見た目だ

 

レン「生命の戦士!仮面ライダーレジェン!ゼルネアスフォルム!」

俺はフラダリを見る

 

レン「…一緒に戦ってくれ…シオン…」

士「…行くぞ!」

レン「あぁ!」

 

アタックライド!

スラッシュ!

 

レン「…ムーンフォース!」

士はフラダリに斬撃を加える

続けて俺はフラダリにムーンフォースを放つ

 

フラダリ「ぐっ…まだだ!」

フラダリは闇のオーラを放つ

 

士「…闇には…光だ!」

 

エグゼイド!

カメン!ライド!

ムテキ!ゲーマー!

 

士の横に、黄金に輝く長髪の仮面ライダーが現れる

 

ファイナルアタックライド!

エ・エ・エ・エグゼイド!

 

士のライドブッカーが光り輝き、ムテキエグゼイドも剣を構える

 

士「…はぁぁ!」

フラダリ「ぐわぁぁ!」

闇のオーラを放つフラダリを刻む

 

レン「…ジオコントロール!」

俺は生のエネルギーを放つ

 

フラダリ「…ぐっ…ぐぐっ…」

フラダリはその攻撃を拒んだ

 

フラダリ「…ゼルネアスの力が…私を…!」

 

ゼロワン!

カメン!ライド!

ゼロツー

 

士はネオンイエローや銀色、首元に赤で「02」と書いてある仮面ライダーを召喚した

 

ファイナルアタックライド!

ゼ・ゼ・ゼ・ゼロワン!

 

士「…はぁぁあ!」

士とゼロツーは飛び上がり、フラダリにキックを放つ

 

フラダリ「ぐわぁぁあ!」

レン「……っ」

フラダリ「…破壊の力が…上手く出ない…」

レン「……創造は破壊からしか生まれない…でも」

フラダリ「…っ!」

レン「…破壊を止められるのは、創造の力だけだ!」

俺はレジェンスロットを移動させる

 

リード!レジェンド!ヒッサーツッ!

 

ファイナルアタックライド!

 

レン「…っ」

士「…っ」

俺と士は向き合い、頷き合う

 

ゼルネアス!

バイタリティーオーラ!

 

ディ•ディ•ディ•ディケイド!

 

俺は全身から虹色のオーラを放つ

 

俺と士は飛び上がる

 

ファイナルアタックライド!

ディ・ディ・ディ・ディケイド!

 

フラダリ「…ふぅぁあ!」

フラダリも飛び上がり俺達にキックを放つ

 

士「…はぁぁあ!」

レン「はぁぁあ!」

士の周りには21枚のカードが7枚が円形に並び、それが3層に現れる

その真ん中を貫くようにキックを放つ

俺は虹色のオーラを放ちながらキックを放つ

 

フラダリ「…はぁぁあ!」

士「はぁぁあ!」

レン「はぁぁあ!はぁ!」

フラダリ「…ぐっ…ぐわぁぁあ!」

俺達は押し切り、フラダリを倒した

変身が解けたフラダリは地を這っていた

 

士「…はぁ…はぁ…」

レン「…はぁ…はぁ…」

士「……ふっ」

レン「……やったな」

士「…あぁ」

俺達は基本フォームに戻った

これで終わると思っていた

 

しかし、敵は想像以上にしぶとかった

 

フラダリ「…ぐふっ…ぐぅ…うぅ…」

フラダリは《イベルタルストーン》とダークディケイドのカードに手を伸ばす

 

フラダリ「…私は…全てを破壊する…それが…」

レン「……っ!」

士「……っ」

フラダリ「……私の…夢だァ!」

フラダリは《イベルタルストーン》とダークディケイドカードを上に掲げる

そのまま手を放し、その二つはフラダリの口に入る

フラダリはそのまま飲み込んだ

 

レン「なっ!」

士「飲み込んだ…だと!」

フラダリ「……ぐっ…がァ!…ああぁあぁあああぁああぁああぁあぁあぁああぁぁああぁあぁあ!」

レン「なんだ!?」

フラダリの体は内側から膨張するように巨大化する

フラダリは苦しみもがいていた

 

巨大な赤い翼に尾

身体中にディケイドのようなシマシマ模様

胸にある十字の模様

目は青く大きくなり、歪んだ形になる

 

イベルタルディケイド(激情態)が誕生した

 

『ギャァァア!』

レン「…あれは…」

士「…力が暴走してるな」

 

イベルタルディケイドは森にデスウイングを放ちまくって森を枯らして行った

奴の攻撃は俺達のことも襲う

 

レン「うわっ!」

士「…くっ…」

レン「…どうすれば…」

続けて攻撃してくる

 

レン「…くっ…このままじゃ森が…」

士「…今の奴には自我がない…だが、俺はああいう奴には慣れてる」

レン「…え?」

士はレジェンとメガストーンが描かれたカードを取り出した

 

士「…これが、俺とお前の力だ」

 

ファイナルフォームライド!

レ・レ・レ・レジェン!

 

士「…ちょっとくすぐったいぞ」

レン「…な、なんだ!」

士は俺の背中に手を当てる

俺の体はみるみる変化して行って、薄紫と紫の巨大なメガストーン、『レジェンストーン』へと変化して行った

宙に浮いたまま、俺は戸惑う

 

レン「…俺が…メガストーンに…」

士「…行くぞ…あいつを倒す」

 

ファイナルアタックライド!

レ・レ・レ・レジェン!

 

士「ふっ!」

士は高く飛び上がる

俺は士について行く

 

士「はぁぁあ!」

士は空中で俺を奴に向かって蹴り飛ばす

物凄い速さで奴に向かって行く

 

レン「はぁぁ!」

俺は通常の姿に戻ると、士に蹴られた速度を保ちながら

奴に向かってキックを放つ

 

『ギャァァア!』

イベルタルディケイドは大爆発を起こし、消えて行った

フラダリの姿は無かった

きっと奴自体があいつだったのだろう

助けられなかった

 

着地した俺の元に《イベルタルストーン》が降ってくる

 

士の元にはダークディケイドカードが降って来た

士は何も言わずにカードを握りつぶした

 

これでダークディケイドの力が利用される事は無いだろう

 

これで全て終わった

ただ、俺の気は晴れなかった

シオンの身体は、完全に冷たくなっていた

 

 

レン「……」

メグ「……お兄ちゃん?」

レン「……夢を持つと、人はあんな風になるのか?」

メグ「……」

士「…場合によるが…まぁ、珍しくは無いんじゃないか?」

シオンの墓を作った俺達

手を合わせたあと、俺は切り出した

 

レン「……だったら俺は…」

夢を持つと、人はあんなに惨めになるのか…

だったら俺は…

 

「レン…夢を持て…」

 

レン「……夢などいらない…」

俺はシオンの墓を離れる

 

士「……」

メグ「……」

その日から俺は、夢物語が嫌いになった

いや、拒絶するようになった

 

 

レン「……行くのか?」

士「あぁ、俺がこの世界でやるべき事は済んだ…だが…」

レン「……ん?」

士「…こいつの存在は今でも謎だな」

士は灰色のモヤがかかった仮面ライダーのカードを見詰める

まるで鳥のようなシルエットだ

 

士「…もしかしたら、いずれこの世界で誕生する仮面ライダーのものかもな」

レン「……」

士「……レン…お前がいれば、この世界は大丈夫だ…俺はそう確信している…」

レン「……あぁ」

士「…この世界を頼んだぞ?」

レン「…お前こそ、これからも世界を繋いで行ってくれ」

士「…あぁ、それが俺の使命だからな…俺達はいつまでも旅の途中だ…これからも世界を繋いで見せる…」

レン「……」

士「……また何処かの世界で逢おう」

士は手を差し出す

 

レン「……あぁ、お前の事は忘れない…」

俺はその手を握り、握手をした

数秒間、その時間は続いた

 

 

士は銀色のオーロラを出現させ、旅立った

 

レン「……」

メグ「…行っちゃったね」

レン「…あぁ…さて、俺達も行くか」

メグ「…うん!」

レン「…そういえば、ピンクのダイヤってやつは見つけたのか?」

メグ「うん!これ!」

メグはカバンから本当にピンク色のダイヤを取り出す

この輝き…本物だな

 

レン「……」

メグ「これを摂るのも意外と大変だったんだよ?」

レン「……そうか、大切にしろよ」

メグ「うん!」

メグの笑顔を見ると、シオンの事を思い出す

 

レン「……」

 

「貴方をずっと見ているわ…」

 

レン「……」

あぁ、いつまでも見守っていてくれ…

シオン…

 

 

光写真館の現像室

 

赤いライトに照らされながら、俺は撮った写真を現像していた

 

士「……ふっ」

現像し終わった俺は、スタジオまで来て、机に写真を置く

 

窓を開け、深呼吸をする

 

夏海「…何してるんですか?士君」

士「…ナツミカン…夢って、なんだと思う?」

夏海「…なんですか急に?…それは…」

俺は俺のカメラを持った光夏海を見る

 

夏海「……人生を掛けて…追うもの…ですかね」

士「……そうだな」

笑うナツミカン

俺も自然と口角が上がる

 

栄次郎「…おや、士君…帰ってたのか?…ん?これは…」

ナツミカンの祖父である光栄次郎は、さっき現像した写真を見た

 

栄次郎「…これはまた…いい写真だねぇ…」

士「…上手く撮れてないがな」

栄次郎「いやぁ?ほら…この2人…いい感じじゃないか」

士「……」

写真は毎度の如くピンぼけや、歪みがあるが

その写真には、レンとメグ…そして、レンと背中合わせに立っている半透明のシオン

空を見上げ、まるでレンに背中を任せているように見える

 

夏海「いつの間に世界を渡ったんですか?」

士「…まぁな」

栄次郎「いや〜これは額縁に飾って…あぁ!」

窓から風が吹き、写真が風に流される

栄次郎は柱にぶつかり、鎖がジャラジャラと動き、スタジオの絵が変化する

 

士「…人生を掛けて追うもの…か」

夏海「…?」

士「…俺は悪くないと思うな」

夏海「……??」

絵が完全に入れ替わり、絵が淡く光る

世界を渡った証拠だ

 

士「……夢を持つ事と、旅をする事は、似てる事なのかもな」

夏海「…そうですね」

士「……俺達の旅は終わらない…」

俺はその絵を見ながら言う

 

士「…これからも…いつまでも…」

俺は世界の破壊者、ディケイド

そして、通りすがりの仮面ライダー

数々の世界を旅し、全てを破壊し、全てを繋ぐ

 

ナツミカンの言葉…あいつにも伝えたかったな

 

士「……」

夏海「士君、次は何処に向かうんですか?」

士「……未来…だな」

ディケイドの旅は…門矢士の旅は…ここから始まる

 


 

メガミ「へぇ〜、そんな事があったんですね!」

レン「…あぁ、それが俺が夢を嫌ってた理由だ」

ライト「なるほどなぁ〜…納得だわ〜」

レン「…ちゃんと聞いてたか?」

ライト「え?あぁ、ちゃんと聞いてたよ…?」

ライトはまたもや能天気な顔を見せる

 

レン「…まぁいい…飯を作るぞ」

ライト「お!待ってました!」

レン「…お前…最初からその事しか考えてなかっただろ…」

俺は料理を始めた

ライトはウキウキしながら待っている

 

メガミ「手伝いますよ、レンさん」

レン「…あぁ、助かる」

メガミ「……ふふっ」

レン「…何がおかしい?」

メガミ「…いや、昔はレンさんにも、ちゃんと仲間がいた事を考えると、少し安心して…」

レン「……」

メガミ「…それに、今は夢を見つけると言ってたじゃないですか…やっぱりライトさんが貴方を変えてくれたんですね…」

レン「……」

メガミ「…私…前のレンさんよりも、今のレンさんの方が…好きですよ?」

レン「…っ」

メガミ「……ふふっ」

メガミは、ライトと同じような表情をする事がたまにある

 

似た者同士で、お似合いのふたりじゃないか…

 

レン「……」

メガミ「ふ〜んふ〜ん♪」

 

シオン…

今俺は、恋をしている

それは、絶対叶うことの無い恋

でも、見守っていて欲しい…

 

お前達親子が望んだ、その世界が実現出来る日が来る…

その時まで…

 

レン「……」

俺はふと、ヨシノシティで出会ったあの女の子の言葉を思い出した

 

紫苑(しおん)って花もあるんだけどねぇ!その花言葉は…」

 

レン「……」

 

「君を忘れない」

 

お わ り




あとがき

いかがでしたでしょうか?
スピンオフ第3弾です
前々から自分のオリジナルキャラであるレンには何処か既視感がありました
犯人は門矢士でした…
おのれディケイドォォォ!

やりたかった事を詰め込んだ結果、こんな長さになってしまいました…

ちなみにこの世界線の士は、ディケイド館のデスゲームより少し前の世界線の士です(未視聴)
ところでゼロワンの力ってどうやって手に入れたんでしょうね?

『破壊の繭』の別名を持つイベルタルと『世界の破壊者』の別名を持つディケイド
クロスオーバーせずにはいられませんでした(クオリティ低かったらごめんなさい)

今回の作品は《イベルタルストーン》の入手経路、夢を嫌う理由の説明
サマエル戦で言っていたあの人とはシオンの事でした

さて、まだまだ続く仮面ライダーバーサの物語
これからも何卒よろしくお願いいたしますm(_ _)m

感想や不満な点があったらもし良かったらお願いします

これからもよろしくお願いいたします byキャメル16世


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