ありふれるはずのないホムンクルスが世界最強 (オーシャンビューバー太郎)
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1話 また転生

ろくに美遊兄のほう書いてないのに申し訳ございませんw

あ、ちょっと謝りますのでエアとかエクスカリバーとか抜かないで…


突然だが、話をしよう。あ、いや、俺は金髪ではないぞ…

 

オホン、とりあえず、俺の名前はジーク・ムジーク。聖杯大戦に参加した、のだが、ルーラーとの思い出と、ライダーとのしっちゃかめっちゃかな出来事以外はよく覚えていない。なんかシロウ属の英霊にこの世界に送られており、一応こちらで友達はできたのだが…

 

「おはよう、ハジメ。」

 

「ああ、おはようジーク。」

 

「おはよう、香織、雫。」

 

「おはよう、ジーク君。」

 

「おはよう、いい朝ね、ジーク。」

 

そして…

 

「ジーーークーーー!」

 

「わっぷ!急に飛んでくるなんて危ないぞ、イリヤ。」

 

「えへへー。可愛い美少女とハグ出来て幸せでしょう、ジーク。」

 

 

彼女はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。銀髪赤目の美少女。髪色以外似ているため、俺と兄妹と間違えられることもあった。正直、17歳の割にかなり小学生に見える。我が家の事情を色々理解してくれている魔術師の家系だ。ちなみに転校(そういうことになっている)した初日、イリヤが苛められているのを止めたところ、イリヤの父親、確かキリツグさん?だったか。に、トンプソン・コンテンダーと言う銃を持たせ?てもらっている、うん。因みに弾は20発分。うん…

母親のアイリスフィールさんにはイリヤのことをよろしく頼むと言われている。あとメイドさんが2人いる時点で大体普通ではないのはわかる。

 

南雲ハジメは、その小学6年の頃に入ったのだが、今でも仲良くしている幼馴染だ。父がげーむ?会社の社長で母親は少女漫画を描いているとかなんとか。本人もかなりその影響を受けているため、オタクの部類である。仕事を手伝っているらしく、かなり凄い。因みに俺はその影響を多少受けている。

 

八重樫雫は、八重樫流という剣術を教えている道場があり、俺はそこに中学1年生の頃から通わせてもらっている。雫に対して思ったことは、強いのだが、割と可愛い所もある少女、と言ったところだろうか。因みに一度部屋を見たことがあるのだが、結構人形やぬいぐるみで埋め尽くされている。

 

白崎香織は簡単に言えば、雫繋がりで知り合い、今では友達だ。因みに香織はハジメに惚れているらしく、正直愛が重い。うん、すごく。

 

まぁそんなことは置いといて、このクラスで1つやばいなと思うのは…まぁイジメだろう。そう、ハジメへのだ。理由はどうせイリヤ、雫、香織という学校の3大美少女の一人である香織に好意を向けられている事に対しての嫉妬であろう。そんなことを思った矢先、

 

「よぉ、キモオタ!また、徹夜でゲームか?どうせエロゲでもしてたんだろ?」

 

「うわっ、キモ〜。エロゲで徹夜とかマジキモいじゃん。」

 

一体何が面白いのかゲラゲラ笑い出す男子生徒達。確か檜山を筆頭にした、斉藤、近藤、中野だったか。

 

「やめておけ、檜山。俺の親友を馬鹿にするのは許さない。」

 

「チッ…」

 

と言っていつも逃げ出す。小物だ。

 

その後も色々あり、そして時が過ぎ、昼休みになった。

 

「ジーク、一緒に食べましょう。」

 

とイリヤに笑顔で誘われたので、もちろん、

 

「ああ、もちろん構わない。そうだ、ハジメも一緒にいいか?」

 

「うん、いいよ。」

 

そしてハジメを誘うと、すぐに承諾された。そのハジメのご飯は…

 

「さ、流石に10秒チャージだけは少ないか…?」

 

と言うと、それをそばで聞いていた香織が、

 

「えっ!お昼それだけなの?ダメだよ、ちゃんと食べないと!私のお弁当分けてあげるね!」

 

そしてその後、この地域で1番のイケメンであり、思い込みの激しく、八重樫道場で知り合った天之河光輝という人物が参戦し更に渾沌を極めたその瞬間、

 

白銀に輝く幾何学的な紋様が現れた。25才の割にはイリヤよりも身長が低いと言う珍しい我がクラスの担任、畑山愛子が統率を取ろうとするが、紋様が光り、

 

全てが終わった。

 

 

 

 

 

 

 




人気無けりゃ終ります。


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2話 召喚直後

あ〜!脳みそ溶ける〜


両手で顔を庇い、目をギュッと閉じていたハジメとジークは、ざわざわと騒ぐ無数の気配を感じてゆっくりと目を開いた。そして、周囲を呆然と見渡す。

 

 

 

 まず目に飛び込んできたのは巨大な壁画だった。縦横十メートルはありそうなその壁画には、後光を背負い長い金髪を靡かせうっすらと微笑む中性的な顔立ちの人物が描かれていた。

 

 

 

 背景には草原や湖、山々が描かれ、それらを包み込むかのように、その人物は両手を広げている。美しい壁画だ。素晴らしい壁画だ。だがしかし、ハジメはなぜか薄ら寒さを感じて無意識に目を逸らした。

よくよく周囲を見てみると、どうやら自分達は巨大な広間にいるらしいということが分かった。

 

そして、おそらくこの状況を説明できるであろう台座の周囲を取り囲む者達への観察に移った。

 

 

 

 そう、この広間にいるのはハジメ達だけではない。少なくとも三十人近い人々が、ハジメ達の乗っている台座の前にいたのだ。まるで祈りを捧げるように跪き、両手を胸の前で組んだ格好で。

 

 

 

 彼等は一様に白地に金の刺繍がなされた法衣のようなものを纏まとい、傍らに錫杖のような物を置いている。その錫杖は先端が扇状に広がっており、円環の代わりに円盤が数枚吊り下げられていた。

 

 

 

 その内の一人、法衣集団の中でも特に豪奢で煌びやかな衣装を纏い、高さ三十センチ位ありそうなこれまた細かい意匠の凝らされた烏帽子のような物を被っている七十代くらいの老人が進み出てきた。

 

 

 

 もっとも、老人と表現するには纏う覇気が強すぎる。顔に刻まれた皺や老熟した目がなければ五十代と言っても通るかもしれない。

 

「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」

 

 

 

 そう言って、イシュタルと名乗った老人は、好々爺然とした微笑を見せた。

 

 

 

そしてこの世界の説明があった。

 

要約するとこうだ。

 

 

 

 まず、この世界はトータスと呼ばれている。そして、トータスには大きく分けて三つの種族がある。人間族、魔人族、亜人族である。

 

 

 

 人間族は北一帯、魔人族は南一帯を支配しており、亜人族は東の巨大な樹海の中でひっそりと生きているらしい。

 

 

 

 この内、人間族と魔人族が何百年も戦争を続けている。

 

 

 

 魔人族は、数は人間に及ばないものの個人の持つ力が大きいらしく、その力の差に人間族は数で対抗していたそうだ。戦力は拮抗し大規模な戦争はここ数十年起きていないらしいが、最近、異常事態が多発しているという。

 

 

 

 それが、魔人族による魔物の使役だ。

 

 

 

 魔物とは、通常の野生動物が魔力を取り入れ変質した異形のことだ、と言われている。この世界の人々も正確な魔物の生体は分かっていないらしい。それぞれ強力な種族固有の魔法が使えるらしく強力で凶悪な害獣とのことだ。

 

 

 

 今まで本能のままに活動する彼等を使役できる者はほとんど居なかった。使役できても、せいぜい一、二匹程度だという。その常識が覆されたのである。

 

 

 

 これの意味するところは、人間族側の〝数〟というアドバンテージが崩れたということ。つまり、人間族は滅びの危機を迎えているのだ。

 

 

 

「あなた方を召喚したのは〝エヒト様〟です。我々人間族が崇める守護神、聖教教会の唯一神にして、この世界を創られた至上の神。おそらく、エヒト様は悟られたのでしょう。このままでは人間族は滅ぶと。それを回避するためにあなた方を喚ばれた。あなた方の世界はこの世界より上位にあり、例外なく強力な力を持っています。召喚が実行される少し前に、エヒト様から神託があったのですよ。あなた方という〝救い〟を送ると。あなた方には是非その力を発揮し、〝エヒト様〟の御意志の下、魔人族を打倒し我ら人間族を救って頂きたい」

 

 

 

 イシュタルはどこか恍惚とした表情を浮かべている。おそらく神託を聞いた時のことでも思い出しているのだろう。おぞましい。天草でももう少しましだ。

 

 

 

 イシュタルによれば人間族の九割以上が創世神エヒトを崇める聖教教会の信徒らしく、度々降りる神託を聞いた者は例外なく聖教教会の高位の地位につくらしい。

 

 

 

 ハジメが、〝神の意思〟を疑いなく、それどころか嬉々として従うのであろうこの世界の歪さに言い知れぬ危機感を覚えていると、突然立ち上がり猛然と抗議する人が現れた。

 

 

 

 愛子先生だ。

 

 

 

「ふざけないで下さい! 結局、この子達に戦争させようってことでしょ! そんなの許しません! ええ、先生は絶対に許しませんよ! 私達を早く帰して下さい! きっと、ご家族も心配しているはずです! あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」

 

 

 

 ぷりぷりと怒る愛子先生。彼女は今年二十五歳になる社会科の教師で非常に人気がある。百五十センチ程の低身長に童顔、ボブカットの髪を跳ねさせながら、生徒のためにとあくせく走り回る姿はなんとも微笑ましく、そのいつでも一生懸命な姿と大抵空回ってしまう残念さのギャップに庇護欲を掻き立てられる生徒は少なくない。

 

 

 

 〝愛ちゃん〟と愛称で呼ばれ親しまれているのだが、本人はそう呼ばれると直ぐに怒る。なんでも威厳ある教師を目指しているのだとか。

 

 

 

 今回も理不尽な召喚理由に怒り、ウガーと立ち上がったのだ。「ああ、また愛ちゃんが頑張ってる……」と、ほんわかした気持ちでイシュタルに食ってかかる愛子先生を眺めていた生徒達だったが、次のイシュタルの言葉に凍りついた。

 

 

 

「お気持ちはお察しします。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です」

 

 

 

 場に静寂が満ちる。重く冷たい空気が全身に押しかかっているようだ。誰もが何を言われたのか分からないという表情でイシュタルを見やる。

 

 

 

「ふ、不可能って……ど、どういうことですか!? 喚べたのなら帰せるでしょう!?」

 

 

 

 愛子先生が叫ぶ。

 

 

 

「先ほど言ったように、あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えませんのでな、あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様の御意思次第ということですな」

 

「そ、そんな……」

 

 

 

 愛子先生が脱力したようにストンと椅子に腰を落とす。周りの生徒達も口々に騒ぎ始めた。

 

 

 

「うそだろ? 帰れないってなんだよ!」

 

「いやよ! なんでもいいから帰してよ!」

 

「戦争なんて冗談じゃねぇ! ふざけんなよ!」

 

「なんで、なんで、なんで……」

 

 

 

 パニックになる生徒達。

 

未だパニックが収まらない中、光輝が立ち上がりテーブルをバンッと叩いた。その音にビクッとなり注目する生徒達。光輝は全員の注目が集まったのを確認するとおもむろに話し始めた。

 

 

 

「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放っておくなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……イシュタルさん? どうですか?」

 

「そうですな。エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい」

 

「俺達には大きな力があるんですよね? ここに来てから妙に力が漲っている感じがします」

 

「ええ、そうです。ざっと、この世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょうな」

 

「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!」

 

 

 

 ギュッと握り拳を作りそう宣言する光輝。無駄に歯がキラリと光る。

 

 

 

 同時に、彼のカリスマは遺憾なく効果を発揮した。絶望の表情だった生徒達が活気と冷静さを取り戻し始めたのだ。光輝を見る目はキラキラと輝いており、まさに希望を見つけたという表情だ。女子生徒の半数以上は熱っぽい視線を送っている。

 

 

 

「へっ、お前ならそう言うと思ったぜ。お前一人じゃ心配だからな。……俺もやるぜ?」

 

「龍太郎……」

 

「今のところ、それしかないわよね。……気に食わないけど……私もやるわ」

 

「雫……」

 

「え、えっと、雫ちゃんがやるなら私も頑張るよ!」

 

「香織……」

 

 

 

 いつものメンバーが光輝に賛同する。後は当然の流れというようにクラスメイト達が賛同していく。愛子先生はオロオロと「ダメですよ~」と涙目で訴えているが光輝の作った流れの前では無力だった。

 

 

 

 結局、全員で戦争に参加することになってしまった。おそらく、クラスメイト達は本当の意味で戦争をするということがどういうことか理解してはいないだろう。崩れそうな精神を守るための一種の現実逃避とも言えるかもしれない。

 

因みにイリヤは呆れており、流石親友であるハジメは冷静だ。ただし俺は、竜告令呪についての心配をしている。因みにこの世界に来ておかしくなった1つ、それがこの竜告令呪だ。1日1画回復するという化物じみた能力が付与されたのだ。とりあえず赤のランサーレベルの敵が現れないことを願う…

 

 

 

 




結構引用しました。はい…


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3話 竜剣士

美遊兄の方、もう書き終わるから待ってちょ…


戦争参加の決意をした以上、ジーク達は戦いの術を学ばなければならない。(まぁ聖杯大戦で嫌というほど経験したが。)いくら規格外の力を潜在的に持っていると言っても、元は平和主義にどっぷり浸かりきった日本の高校生だ。いきなり魔物や魔人と戦うなど不可能である。

 

 

 

 しかし、その辺の事情は当然予想していたらしく、イシュタル曰く、この聖教教会本山がある【神山】の麓の【ハイリヒ王国】にて受け入れ態勢が整っているらしい。

 

その後、王家との謁見があり、更にその後は親睦会の意を込めた晩餐会を行い、そのままその日は眠りについた。

 

翌日から早速訓練と座学が始まった。

 

 

 

 まず、集まった生徒達に十二センチ×七センチ位の銀色のプレートが配られた。不思議そうに配られたプレートを見る生徒達に、騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明を始めた。

 

 

 

 騎士団長が訓練に付きっきりでいいのかとも思ったハジメやジークだったが、対外的にも対内的にも〝勇者様一行〟を半端な者に預けるわけにはいかないということらしい。

 

 

 

 メルド団長本人も、「むしろ面倒な雑事を副長に押し付ける理由ができて助かった!」と豪快に笑っていたくらいだから大丈夫なのだろう。もっとも、副長さんは大丈夫ではないかもしれないが……

 

 

 

「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」

 

 

 

 非常に気楽な喋り方をするメルド。彼は豪放磊落な性格で、「これから戦友になろうってのにいつまでも他人行儀に話せるか!」と、他の騎士団員達にも普通に接するように忠告するくらいだ。

 

 

 

 

「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。 〝ステータスオープン〟と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ? そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」

 

「アーティファクト?」

 

 

 

 アーティファクトという聞き慣れない単語に光輝が質問をする。

 

 

 

「アーティファクトって言うのはな、現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。まだ神やその眷属達が地上にいた神代に創られたと言われている。そのステータスプレートもその一つでな、複製するアーティファクトと一緒に、昔からこの世界に普及しているものとしては唯一のアーティファクトだ。普通は、アーティファクトと言えば国宝になるもんなんだが、これは一般市民にも流通している。身分証に便利だからな」

 

 

 

 なるほど、と頷き生徒達は、顔を顰しかめながら指先に針をチョンと刺し、プクと浮き上がった血を魔法陣に擦りつけた。すると、魔法陣が一瞬淡く輝いた。ジークも同じように血を擦りつけ表を見る。

 

 

 

 

 すると……

 

===============================

 

ジーク・ムジーク 17歳 男 レベル:1

 

天職:魔術師(竜剣士)

 

筋力:30

 

体力:45

 

耐性:90

 

敏捷:40

 

魔力:180

 

魔耐:120

 

技能:強化魔術・錬金術・竜告令呪・ガルバニズム・天の杯・魔力操作・言語理解

 

===============================

 

と表示された。正直すごい方なのか分からない。ということで、イリヤとハジメのを見させて貰うことにした。

 

最初にハジメのは、

 

 

 

 

===============================

 

南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1

 

天職:錬成師

 

筋力:10

 

体力:10

 

耐性:10

 

敏捷:10

 

魔力:10

 

魔耐:10

 

技能:錬成・言語理解

 

===============================

 

と、表示されていた。非戦闘職はこんなものでは?と言ったところ、ハジメは、こちらのカードを見て、目を見開いている。何故だろうか?因みにイリヤは、

 

===============================

 

イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 女 レベル1

 

天職:魔術師(聖杯)

 

筋力:10

 

体力:30

 

耐性:10

 

敏捷:60

 

魔力:190

 

魔耐:130

 

技能:全属性適性・錬金術・銀糸操作・天の杯・大令呪・騎乗・英霊召喚・英霊契約・魔力操作・言語理解

 

 

===============================

 

 

「むむむ…ジーク、ずるい…」

 

とジト目を浴びる。何故だろうか…?魔力と魔耐は負けているのに…?

 

 

 

 

 

メルド団長からステータスの説明がなされた。

 

 

 

「全員見れたか? 説明するぞ? まず、最初に〝レベル〟があるだろう? それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルは、その人間が到達できる領域の現在値を示していると思ってくれ。レベル100ということは、人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということだからな。そんな奴はそうそういない」

 

 

 

 

「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法や魔法具で上昇させることもできる。それと、後でお前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者御一行だからな。国の宝物庫大開放だぞ!」

 

「次に〝天職〟ってのがあるだろう? それは言うなれば〝才能〟だ。末尾にある〝技能〟と連動していて、その天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが……百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いな」

 

 

ジークは自分のステータスを見たのだが…

 

 

 

 

 

「後は……各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな! 全く羨ましい限りだ! あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」

 

「メルドさん、質問です。あ、因みに名前はジークです。」

 

「おう!なんだ?ジーク?」

 

「俺とイリヤの天職のところに()がついてるんですけど…?」

 

「………は?」

 

大体この反応で分かる。原因はあれか。元も魔術師だからか…

 

何やら自分の中でジークフリートが謝ってる気がする…

 

「ま、まぁそういうことも異界の勇者御一行であればこそなのかも知れないしな。はははははは…」

 

と言って他の勇者達のを見に行った。

 

 

============================

 

天之河光輝 17歳 男 レベル:1

 

天職:勇者

 

筋力:100

 

体力:100

 

耐性:100

 

敏捷:100

 

魔力:100

 

魔耐:100

 

技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

 

==============================

 

 

 

 まさにチートの権化だった。

 

 

 

「ほお~、流石勇者様だな。レベル1で既に三桁か……技能も普通は二つ三つなんだがな……規格外な奴め! 頼もしい限りだ!」

 

「いや~、あはは……」

 

 

 

 団長の称賛に照れたように頭を掻く光輝。ちなみに団長のレベルは62。ステータス平均は300前後、この世界でもトップレベルの強さだ。しかし、光輝はレベル1で既に三分の一に迫っている。成長率次第では、あっさり追い抜きそうだ。

 

 

 

 ちなみに、技能=才能である以上、先天的なものなので増えたりはしないらしい。唯一の例外が〝派生技能〟だ。

 

 

 

 これは一つの技能を長年磨き続けた末に、いわゆる〝壁を越える〟に至った者が取得する後天的技能である。簡単に言えば今まで出来なかったことが、ある日突然、コツを掴んで猛烈な勢いで熟練度を増すということだ。

 

その後は檜山がステータスの低さを罵ったり、それを止めたり、メルドさんがイリヤやジークの魔力と耐魔を見て卒倒したりエトセトラ。

 

更にその後、この二週間ですっかりクラスメイト達から無能のレッテルを貼られたハジメは知識で補おうとしたらしい。俺もその後色々教えてもらった。

 

そして今は、俺と光輝の立ち会いだ。

 

観戦者は雫、イリヤ、香織達と騎士団の人達だ。

因みに理由はジークの方にある。それは、ジークのステータスにある。

 

============================

 

ジーク・ムジーク 男 レベル:10

 

天職:魔術師(竜剣士)

 

筋力:40

 

体力:50

 

耐性:100

 

敏捷:70

 

魔力:250

 

魔耐:200

 

技能:強化魔術・錬金術(+理道/開通)・竜告令呪(+英霊化)・ガルバニズム・天の杯・魔力操作・言語理解

============================

 

そう、この英霊化を試したい。とメルドさんに言うと、

 

「ならば光輝と戦って見るといい。いい練習になる!」

 

と言ったため始まった。

 

「俺の我儘に付き合って貰ってすまない。」

 

「いや、構わないよ。友達のお願いだからね。けど、手加減はしないよ!」

 

「あぁ構わない、いくぞ!」

 

そして、

 

「令呪をもって我が肉体に命ずる!」

 

その時、訓練所(外)は青い光で包まれ、そこから現れたのは……!

 

「「だ、誰⁉」」

 

灰色の長髪で胸元と背中部分が思いっ切り開放された剣士が現れた。

 

「すまない…中身は俺だ。ジークだ。紛らわしくてすまない…」

 

「お、おう…じゃ、じゃあいくぞ!」

 

「……来いっ!!」

 

そして始まった地獄の練習試合。初手のジーク(?)の魔力放射で、光輝はギリギリ躱す事になんとか成功したものの、ジークの強化魔術とガルバニズムの複合による超高速移動による間合いを詰め、小競り合いになっているのだが…

 

「セイッ!ハァッ!ウォォォォ!!」

 

と言う裂帛に明らかに技量で押している。だが、そこは勇者たる光輝。天翔閃などで押し返してくる。そしてジークが、

 

「そろそろお前の本気が見たいな。詠唱は待とう。」

 

「……あぁいいだろう!」

 

そして光輝が詠唱を始め、ジークも魔力を開放し、

 

「神威!」

 

幻想大剣 天魔失墜(バルムンク)

 

と技名を言った瞬間、恐ろしい爆発が起こった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はぁ〜疲れた〜

中途半端ですまない

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4話 オルクス大迷宮

平行して書くの辛いな〜

テストあるので一旦これで区切ります。来月からまた頑張るどん!

次は美遊兄の方に成りそうです…


そして煙が消え、立っていたのは…

 

どちらも無傷だった。

まぁ理由はあれだ。本気の神威対連射型バルムンクだった為、互いに少ししか攻撃を浴びないのだが、更にそこで、光輝の勇者専用の聖鎧が少しのダメージ、を0にしたのである。そしてジークの方は、宝具である、悪竜の血鎧(アーマーオブ・ファヴニール)があった為、かすり傷→無傷になったのである。

 

「かなり、近づけただろうか?」

 

「あ、あぁ凄いな、ジークは。」

 

その時、イヤな予感がした。大急ぎで室内の練習場へ急いだ。

 

そこには…

 

檜山達による、ハジメへのリンチだった。

 

 

その光景を見て、カッとなったジークは、

 

「……理道/開通(シュトラセゲーエン)

 

その瞬間、檜山達の足元が爆ぜた。

 

 

「………おい。俺の親友に何をしている。」

 

「ひっ…!…いや、俺達は稽古をつけてやってただけで…」

 

「お前達は人に教えれるほど強くなったのか。それは凄いな。よければ俺もその稽古を受けたい。」

 

正直かなり慣れない皮肉ではあるものの、それが1番の選択だと思ったからだ。

 

「ちょっ…ジーク君!足、速すぎ!」

 

「ほんとよまったく急に、加速して!」

 

「あ…すまない。香織、ハジメを回復してくれ。雫、今から連戦だがこいつらと試合をする。審判を頼む。」

 

「あ…南雲君!大丈夫!」

 

「あ、ああ大丈夫だよ白崎さん…それよりもジーク。ちょっと耳貸して。」

 

「ん…?あぁ………分かった。そうする。」

 

「なんかゴメンね?」

 

「構わないとも。むしろ親友なのだからもっと頼ってくれ。」

 

「あ、ありがと…」

 

「それで、そちらは用意できたか?檜山達。4対1だぞ?良いと言ったとはいえかなり有利な話だぞ?」

 

「あ、あぁやってやるぞ‼お前ら!」

 

「「「お、おう!!!!!」」」

 

「……え、えと…か、開始!」

 

と、ヤケクソで雫が手を振った瞬間、ジークの普通(仮)の剣がたちまちバルムンクに変わり、そして体全体に、ガルバニズムと強化魔術をかけ、超高速移動し、馬鹿みたいに固まっている奴達に向けて、魔力放射をしながら斬りかかる。

 

が、向こうもヤケクソで魔法を打ってきたが、地面を、ゲーエンで破壊し盾代わりにする。そして壁(元地面)ごと断ち切る。

そして更に、壁(元地面)の欠片を足場にし、思い切り地面を削りながら高速移動をし、

 

そして寸止め。

 

「………所詮これくらいなら、むしろ誰かに教わるべきなのでは?」

 

「チッ…」

 

そう舌打ちをして逃げていった。

 

「うっ…」

 

と呻きながら倒れる。のをイリヤが支えてくれる。

 

「まったく…無理しすぎよ、ジーク。あんな奴らなんかにバルムンクを使うのは、ジークフリートへの冒涜よ?」

 

「ああ、すまない。だが、ジークフリートなら、親友を助けるために振ったなら、その相手がどれだけ低俗でも許してくれるはず、と言うのは卑怯だろうか?」

 

と微笑むと、

 

「はあ~まったく…ジークったら。私もそう思うわ。」

 

と微笑み返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌朝、実戦練習のため、オルクス大迷宮に向かった。

 

その道すがら、

 

「ねえ?そういえば竜告令呪ってものすごく貴重な物じゃなかったっけ?」

 

「あぁ、実はこっち…ああ少し語弊があるが…まあ1度目の転生だな。あのとき、とある宿敵級の神父にもらったものの一つに一日二画の令呪回復機能という、チート?能力をもらったのだが…」

 

「お、恐ろしいわね…」

 

とイリヤは諦めてる。

 

そしてオルクス大迷宮中-

 

ここでは色々な魔物がいた。無論この程度あの神父と戦ったのと比べれば余裕なのだが…

 

ちなみにジークは宝物庫(仮)の解放の時に防具の類いを一つももらわなかった。ただし毎回バルムンクを使う訳にはいかない(実は普段時は持ってる剣に魔力を流すことでバルムンクに変えているのでどっちにしろ剣はいるのだが)のでとりあえず相性が良さそうなオーラ(?)をまとったアスカロン?とかいう剣を手にしただけだった。

 

補足しておくと、アスカロンの力で剣が当たった瞬間相手は竜属性がのり、ジークフリートの加護で普段から竜特攻が刺さるという、チート状態なのだが、それは誰も知らないことだった…

 

そうしてしばらくはゆうゆうと進んでいると…

 

「……あれ、何かな? キラキラしてる……」

 

 

 

 その言葉に、全員が香織の指差す方へ目を向けた。

 

 

 

 そこには青白く発光する鉱物が花咲くように壁から生えていた。まるでインディコライトが内包された水晶のようである。香織を含め女子達は夢見るように、その美しい姿にうっとりした表情になった。

 

 

 

「ほぉ~、あれはグランツ鉱石だな。大きさも中々だ。珍しい」

 

 

 

 グランツ鉱石とは、言わば宝石の原石みたいなものだ。

 

 

 

「素敵……」

 

 

 

 香織が、メルドの簡単な説明を聞いて頬を染めながら更にうっとりとする。そして、誰にも気づかれない程度にチラリとハジメに視線を向けた。もっとも、雫ともう一人だけは気がついていたが……

 

 

 

「だったら俺らで回収しようぜ!」

 

 

 

 そう言って唐突に動き出したのは檜山だった。グランツ鉱石に向けてヒョイヒョイと崩れた壁を登っていく。それに慌てたのはメルド団長だ。

 

 

 

「こら! 勝手なことをするな! 安全確認もまだなんだぞ!」

 

 

 

 しかし、檜山は聞こえないふりをして、とうとう鉱石の場所に辿り着いてしまった。

 

 

 

 メルド団長は、止めようと檜山を追いかける。同時に騎士団員の一人がフェアスコープで鉱石の辺りを確認する。そして、一気に青褪めた。

 

 

 

「団長! トラップです!」

 

「ッ!?」

 

 

 

 しかし、メルド団長も、騎士団員の警告も一歩遅かった。

 

 

 

 檜山がグランツ鉱石に触れた瞬間、鉱石を中心に魔法陣が広がる。グランツ鉱石の輝きに魅せられて不用意に触れた者へのトラップだ。美味しい話には裏がある。世の常である。

 

 

 

 魔法陣は瞬く間に部屋全体に広がり、輝きを増していった。まるで、召喚されたあの日の再現だ。

 

 

 

「くっ、撤退だ! 早くこの部屋から出ろ!」

 

 

 

 メルド団長の言葉に生徒達が急いで部屋の外に向かうが……間に合わなかった。

 

 

部屋の中に光が満ち、ハジメ達の視界を白一色に染めると同時に一瞬の浮遊感に包まれる。

 

 

 

 ジーク達は空気が変わったのを感じた。次いで、ドスンという音と共に地面に叩きつけられた。ジークは強化していたので倒れることなく、少し遅れて来たイリヤをキャッチする。

 

どうやら橋がある。

 

 

橋の両サイドにはそれぞれ、奥へと続く通路と上階への階段が見える。

 

 

 

 それを確認したメルド団長が、険しい表情をしながら指示を飛ばした。

 

 

 

「お前達、直ぐに立ち上がって、あの階段の場所まで行け。急げ!」

 

 

 

 雷の如く轟いた号令に、わたわたと動き出す生徒達。

 

 

 

 しかし、迷宮のトラップがこの程度で済むわけもなく、撤退は叶わなかった。階段側の橋の入口に現れた魔法陣から大量の魔物が出現したからだ。更に、通路側にも魔法陣は出現し、そちらからは一体の巨大な魔物が……

 

 

 

 その時、現れた巨大な魔物を呆然と見つめるメルド団長の呻く様な呟きがやけに明瞭に響いた。

 

 

 

「まさか……ベヒモス……なのか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




因みにシトナイは引けました!

しかも宝具2だって!

ヒャッホウ!

次はジーク君の覚醒ですね〜

あと美遊兄にはまた感動の再会してもらうから覚悟しろよ()


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5話 幻想大剣 天魔失墜

ジーク、覚醒。今のとこ出そうとしてるのは
カルナ(なんかジムリーダーみたいな感じで)
アキレウス(カルナと同じ感じで)
モーさん(悩んでます)
アストルフォ(不明)
ジャンヌ(ついて来る)(確定)
アタランテ(ついて来る)

でやろっかな…

アポ勢“は”


橋の両サイドに現れた赤黒い光を放つ魔法陣。通路側の魔法陣は十メートル近くあり、階段側の魔法陣は一メートル位の大きさだが、その数がおびただしい。

 

 

 

 小さな無数の魔法陣からは、骨格だけの体に剣を携えた魔物〝トラウムソルジャー〟が溢れるように出現した。空洞の眼窩からは魔法陣と同じ赤黒い光が煌々と輝き目玉の様にギョロギョロと辺りを見回している。その数は、既に百体近くに上っており、尚、増え続けているようだ。

 

メルド団長が呟いた〝ベヒモス〟という魔物は、大きく息を吸うと凄まじい咆哮を上げた。

 

 

 

「グルァァァァァアアアアア!!」

 

「ッ!?」

 

 

 

 その咆哮で正気に戻ったのか、メルド団長が矢継ぎ早に指示を飛ばす。

 

 

 

「アラン! 生徒達を率いてトラウムソルジャーを突破しろ! カイル、イヴァン、ベイル! 全力で障壁を張れ! ヤツを食い止めるぞ! 光輝、お前達は早く階段へ向かえ!」

 

「待って下さい、メルドさん! 俺達もやります! あの恐竜みたいなヤツが一番ヤバイでしょう! 俺達も……」

 

「馬鹿野郎! あれが本当にベヒモスなら、今のお前達では無理だ! ヤツは六十五階層の魔物。かつて、“最強”と言わしめた冒険者をして歯が立たなかった化け物だ! さっさと行け! 私はお前達を死なせるわけにはいかないんだ!」

 

 

 

 メルド団長の鬼気迫る表情に一瞬怯むも、「見捨ててなど行けない!」と踏み止まる光輝。

 

 

 

 どうにか撤退させようと、再度メルドが光輝に話そうとした瞬間、ベヒモスが咆哮を上げながら突進してきた。このままでは、撤退中の生徒達を全員轢殺してしまうだろう。

 

 

 

 そうはさせるかと、ハイリヒ王国最高戦力が全力の多重障壁を張る。

 

 

 

「「「全ての敵意と悪意を拒絶する、神の子らに絶対の守りを、ここは聖域なりて、神敵を通さず――〝聖絶〟!!」」」

 

 

 

 二メートル四方の最高級の紙に描かれた魔法陣と四節からなる詠唱、さらに三人同時発動。一回こっきり一分だけの防御であるが、何物にも破らせない絶対の守りが顕現する。純白に輝く半球状の障壁がベヒモスの突進を防ぐ!

 

 

 

 衝突の瞬間、凄まじい衝撃波が発生し、ベヒモスの足元が粉砕される。橋全体が石造りにもかかわらず大きく揺れた。撤退中の生徒達から悲鳴が上がり、転倒する者が相次ぐ。

 

 

 

 トラウムソルジャーは三十八階層に現れる魔物だ。今までの魔物とは一線を画す戦闘能力を持っている。前方に立ちはだかる不気味な骸骨の魔物と、後ろから迫る恐ろしい気配に生徒達は半ばパニック状態だ。

 

 

 

 隊列など無視して我先にと階段を目指してがむしゃらに進んでいく。騎士団員の一人、アランが必死にパニックを抑えようとするが、目前に迫る恐怖により耳を傾ける者はいない。

 

その内、一人の女子生徒が後ろから突き飛ばされ転倒してしまった。「うっ」と呻きながら顔を上げると、眼前で一体のトラウムソルジャーが剣を振りかぶっていた。

 

 

「あ」

 

 

 そんな一言と同時に彼女の頭部目掛けて剣が振り下ろされた。

 

死ぬ――女子生徒がそう感じた次の瞬間、翡翠色の雷が舞い降りた。そして…

 

開通(ゲーエン)!」

 

と詠唱が唱えられた瞬間、トラウムソルジャーは砕けた。もちろん少女を救ったのは…

 

「大丈夫か?」

 

と手を差しのべたジークだった。

 

 

 

 

「ハジメ!天之河を頼む!」

 

と言う一言に対して、

 

「分かった!」

 

と答えた。ただ一言言っただけで全て理解したようだ。やはりこういう時に活躍するタイプらしい。

 

ハジメが統率のため天之河を説得してる間に、

 

「イリヤ!援護を頼みたい!」

 

「それくらい、分かってるわよ!」

 

と、トラウムソルジャーの大群を、銀の糸を大量の剣に変えて一掃しながらそう返した。

 

「メルドさん!俺にこいつを、ベヒモスをやらせてください!勝つ可能性があります!」

 

それはベヒモスが竜系統に入る気がしたからだ。それを聞いたメルドは、

 

「………分かった。必ず、倒せ!」

 

「…はい!」

 

場は整った。

 

「令呪をもって我が肉体に命ずる!」

 

その詠唱とともに、体が輝き、髪は灰色、銀色の鎧を纏い、胸に蒼い紋様が浮かび、手には大剣が、という剣士の見た目に変身した。

 

そして、ハジメに、

 

「ハジメ、時間稼ぎを頼む。」

 

「……もちろんだよ!」

 

「イリヤ!」

 

「ここにいるから!準備出来たら言いなさい!」

 

「フッ…任せろ!」

 

「錬成!」

 

と言うと、ベヒモスの足元が封じられた。

 

聖絶が破られるのも時間の問題か、と思い、剣を構え、

 

「     邪悪なる竜は失墜し、

 

 

      世界は今、落陽に至る!

 

 

        撃ち落とす!       」

 

 

その剣の、その輝きの名は、

 

 

「   幻想大剣 天魔失墜(バルムンク)!  亅

 

 

その詠唱と共に、蒼く輝いたその剣は、光を放ち、ベヒモスに穿たれる。

 

ただしレベル制になったせいか、これでも倒せない。なら、

 

「令呪をもって我が肉体に命ずる!俺に勝利の光を!亅

 

その言葉に答えるように左手が光り、そして剣もさっきの倍ほど輝く。そして………

 

「ジークのバカ!私の魔力もめいっぱい使いなさい!!」

 

と肩にイリヤの手を置かれ、そこから大量の魔力がパンクするほど注がれる。

 

「ウォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!」

 

その裂帛と共に、周囲が光りに満ちる。その光が収まった時…

 

ベヒモスはもう、死にかけていた。否、あと数十秒で死ぬだろう。ジークはイリヤにもたれかかっていた。

 

その時、魔法組が、しなくても良いのだが、トドメを刺す為に放った。ジークは流石に久しぶりの宝具に疲れたので、まぁいいかと思っていたのだが…

 

その内1つが、方向を変え、ハジメに向かった。

 

 

そしてハジメは、橋の下に、奈落の底に落ちようとしていた。

 

「なっ……!クッ!強化!」

 

と追いつこうとするも、自分も橋から落ちてしまう。

 

「まず―」

 

その時、イリヤの頭から、ジークと離れる自分を想像した。この世界には、キリツグも、母もいない。セラとリズもいない。そんなのは…

 

「嫌ーーーーー!」

 

誰か、助けて!と言う心の声に、体中の魔力が、暴走し、そしてその願いに答えるように、頭の上に知らないけど懐かしい大きな手(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)が乗せられた。

 

 

「ーーーーーえ?」

 

「■■■!」

 

その黒い背中は、途端、見えなくなり、もう手しか見えていないジークの手を掴み、そしてイリヤの元に放り投げた。

 

「ふべっ!」

 

もちろん激突。

 

そして、

「ジーク!」

 

「……あ、イリヤ…すまない…」

 

「バカバカバカバカバカ!なんで貴方まで、自ら行くの!ジークが居たから私は笑える!貴方が私を悲しませるの!」

 

「…ッ!あ、あぁ…すまない…」

 

そしてイリヤはジークの袖をぎゅっとつまみ、

 

「もう、絶対、絶対離さないんだから!」

 

と泣きついてしまう。ジークはそれにできるだけ応えるために、抱きしめる。

 

その後、香織はやはり、ハジメへの愛情があったため、救おうとするが、雫とメルドによって眠らされた。イリヤをジークが背負い、そのままクラスのみんなと帰ることになった。その帰路は、とても、静かだった。だが、ジークは、ハジメが生きている気がする。どうしても。だから自分は更に強くなって、この背中にいる少女と親友の為に、生き抜くことを、決意した。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「まったく…彼の行動は危険ですね。あのイリヤスフィールと言う名のホムンクルスの縁を用い、彼を送れたことが奇跡ですね。本当に、まったく、愚かなホムンクルスだ。まぁ少しはマシになりましたね…」

 

そして手元の紅茶を少し口に流してから、

 

 

その白髪褐色の神父服の姿をした男は(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

「私はここで3回失敗しました(・・・・・・・・・・・)から、ある意味褒めてあげても良いのでしょうね。」

 

と、ため息をつき、

 

「さて、私も肌を白くしてから、…いや、彼がいなくなってから、応援に、行きますか…」

 

ともう一度ため息をつくと、カップを置き、その場を去る。

 

「まぁ精々死なないようにお願いしますよ、」

 

フッ…と微笑み、

 

ジーク(・・・)。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       

 

 

 




因みにジークを助けたのはもちろん彼です。そして彼の設定はおそらくガバガバ設定になりそうです…すまない…

これからもよろしくお願いします!


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幕間1 シロウ・コトミネ 

幕間ですね〜結構短いどす…すまない…

まぁダイジェスト程度なので流し見で結構です。

天草四郎時貞復刻記念&テスト終わりました

ちょっと?ガバガバ設定があります…


私は言峰四郎。本当は天草四郎時貞という名前だったりするんですが、知ってる人います?

 

という話は置いておいて、本来であればあのホムンクルスに殺されて私の人生は終わっていたのですが、どうやら抑止力の届かない世界が危険ということで、なぜか強制的に私が選ばれてしまいました。本当に何故でしょう?簡単に言えばそこで暮らせば、自動的にその危険な世界にたどり着くと言うことです。

 

肌は白い方がいいとのことで魔術で変えたりしたのは良いのですが、何かこっちで同じ名字の麻婆神父と出会ったり、しかも大体の事を見抜かれ、表向きは養子になったり(ならされたり)、八極拳を習わせられたり…

 

魔術をある程度研鑽したり、何やら体験程度で行った剣術道場にスカウトされたり、そうこうしてるうちに2年経ち、言われていた日が来た。前触れは啓示でしたね。

 

(これが、か…)

 

と目を向けると、幾何学的な紋様が浮かんだ。

 

そしてそれが光ったその日、その教室にいた人が消えた。

 

転移すると、イシュタルと言うこちらの聖職者がおり、ものすごく胡散臭い。その上、神とやらが危険ですね。分かりやすい程に。そして馬鹿な奴が戦争をしようなど、覚悟もなく良く言えましたね、と思いながら、自分の役目として今は静観する。

 

因みに翌日もらったステータスプレートによると、私は、

 

 

==================================

 

言峰 四郎 17歳 男 レベル1

 

天職:裁定者

 

筋力:120

 

体力:100

 

耐性:90

 

敏捷:150

 

魔力:200

 

魔耐:150

 

技能:黒鍵生成・能力付与・神明裁決(偽)・真名看破・啓示・全属性適性・洗礼詠唱・天の杯・八極拳・■■■■の祝福(偽)・右腕・悪逆捕食(ライトハンド・イヴィルイーター)左腕・天恵基盤(レフトハンド・キサナドゥマトリクス)・言語理解

 

==================================

 

「はぁ…」

 

大方、四角に赤の英霊の祝福とかそんなのが入るのだろうと思いながら、

 

 

「ん…?どうしたの?」

 

「おや…八重樫さんですか…ご心配お掛けして申し訳ございません。気にしなくていいですよ。」

 

「そう?貴方は思慮深い人だものね。何か考え事?」

 

「…まぁそんなとこです。」

 

と言っていると、自分の見せる番がやってきた時、メルドにものすごく問い詰められたのは言うまでもない…

 

よくは覚えていないが、確かその後、天之河とひと悶着あったが、天草四郎にとっては些事だった。

 

因みに技術面等で、天之河に勝った事も両者の関係を険悪にしたのも関係あるらしい。

 

そうこうしてオルクス迷宮に突入。

 

シロウは…

 

告げる(セット)!」

 

ひたすら無双。縦横無尽に飛び交う黒鍵。

 

そして“祝福”の、燃費の悪いカルナの力や、右腕・悪逆捕食(ライトハンド・イヴィルイーター)などでひたすら敵を葬る。

 

「凄まじいな!勇者に引けを取らんな!」

 

と、メルドが褒める。

 

「そんなことはありません。ただその瞬間の最善を尽くすだけですよ。」

 

と微笑む。実はこの世界には刀の概念が無い為、三池典太が使えない。いや、使うことは出来る。が、不審に思われても仕方ないということだ。

 

そんなおり、名前も覚えていないが、南雲ハジメをいじめていた(?)人間の筆頭がトラップを発動させたらしい。

 

「まさか…ベヒモス、だと…」

 

そして大量に湧き出すトラウムソルジャー。これらに戸惑うクラスメート達。そして天之河はベヒモスを倒そうとするが、無理なのは分かっている。だから最後の手段として、

 

「八重樫さん、」

 

「えっ?何!」

 

「突然ですが、私を信じますか?」

 

「えっ!ちょっ!分から…?」

 

その時のいつもの温和な表情ではなく、焦った表情を見て、少し冷静になる。

 

「…分かった。」

 

「ありがとうございます。では…」

 

(八重樫さんはこのクラスでもそこそこの統率力、人望がある。ならば、彼女を通した信用を、この世界ではサーヴァントがいないこと、そして真名開放後の自分の微弱なカリスマスキルをも、それらをすべて利用する!)

 

「聞け!同胞たちよ!我が真名はルーラー、天草四郎時貞!ルーラーの名において、令呪をもって命ずる!錬成師南雲ハジメはベヒモスの足止めを!それ以外のものは全て、トラウムソルジャーを倒せ!」

 

「な、なんだ!この感覚は!」

 

「体が、言うことを聞かない!」

 

と言いながらも、次々とトラウムソルジャーを倒していく。天之河もそちらに行ったようだ。そして…

 

「ねぇ…言峰君。いや、天草君?なんで僕にこんな役目を?」

 

「おや?真名を隠していたことには何も言わないのですか?」

 

「いいよ別に。誰だって猫を被るのは普通だし。むしろ君はものすごく胡散臭かったし、少し安心したくらいだ。天草四郎がそんな人かどうかは置いといて…ッ!あと質問の答えは?」

 

と、錬成をしている南雲ハジメ。

 

「ええ。あなたなら、私が言わなくてもやりましたよね?」

 

「……凄いね、天草君は。」

 

「そちらも相当ですよ。」

 

と笑い合う。

 

「では、私の出番です。告げる(セット)

 

 

 

天の杯(ヘブンスフィール)起動。万物に終焉を。霊脈強制接続!」

 

そして、右腕に黒い魔力が、左手に白い魔力が集い、

 

双腕・零次収束(ツインアームビッグクランチ)‼」

 

その2つの魔力がベヒモスに当たった瞬間、視界が消える。そして見えたときには、ベヒモスは絶命していた。

 

 

「今はここまでしか思い出せませんね…

 

あ、彼の攻撃は一つ一つ迷惑なものですし、私の黒鍵関連の力くらいなら、あげておきますか。精々上手く活用してくださいね。」

 

 

 

 

 

 




何かすまない…

かなり遅くなってすまない…


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6話 旅の始まり

因みに正直なとこ会話のネタなら美遊兄の方よりこっちのほうがある

あと遅くなって物凄くすまない


ハジメがいなくなってから5日が過ぎた。令呪の上限は5画ということを最近知った、という今はどうでもいい事を思い出しながら左手を見た。前みたいに侵食はないらしい。

 

そして昨日見た<夢>を思い出し、ハジメを探す旅に出る準備はしているのだが少し気になったことがあった。

 

理由はジークのステータスにある。

 

===============================

 

ジーク・ムジーク 17歳 男 レベル35

 

天職:魔術師(竜剣士)

 

筋力 800

 

体力 750

 

耐性 750

 

敏捷 900

 

魔力 5000000

 

魔耐 4800000

 

技能:強化魔術・錬金術(理道/開通)・竜告令呪(+自動回復)

 

(+英霊化)(+限定宝具開放)(+魔力装填)(+魔力放射)・剣術

 

・ガルバニズム(+身体強化)(+魔力放出(偽))・天の杯・魔

 

力操作・黒鍵生成(+能力付与)・言語理解

 

==================================

 

まぁベヒモス倒してレベルが馬鹿みたいに上がったとはいえ普通に化け物である。(特に魔力関係。まぁホムンクルスだしネ。仕方ない。)これをみたイリヤは、

 

「魔力と魔耐は同じ、筋力は少し負けてるけど、敏捷は少し勝ってるわね!」

 

と、可愛い顔でドヤ顔をしてる。(彼女もひたすらトラウムソルジャーを一掃してたため、かなりレベルが上がっている。)

 

しかし、問題はそこでは無い。それは…

 

「あれ?ねぇジーク、この黒鍵生成ってあるけど、ジークって黒鍵使ったことあったっけ?」

 

「いや…見たことならあるのだが…あ、黒鍵を投げられたことがあるが…」

 

「それ誰よー!」

 

「それは確か、………あ、」

 

「あ?」

 

「天草四郎時貞…」

 

「……ほへ?…」

 

「すまないな、説明は得意ではないんだ…」

 

「あ、イリヤ。そういえば英霊召喚は出来るのか?」

 

「えぇ!出来るわよ!すっごく強いんだから!もしかしたらジークよりもね?」

 

と茶化すように言ってくる。

 

「はは…そうかもしれないな…あ、そうだ。旅に出ること、一人くらい言っておいたほうがいいかもしれないな。」

 

「そうね。誰にするの?天之河?」

 

まさか、と言う。

 

「雫が一番妥当だろう。信憑性も高く、一番の常識人だ。それに隠し事も残念ながら得意だ……イリヤ?」

 

とイリヤの方を見るとジト目を向けてきた。

 

「……?」

 

まぁジークはそんな事わからない超天然級鈍感だったりするのだが…

 

とまあそんなことはさておき。雫に対してハジメが生きてて迷宮攻略している可能性があること、そして他の全てを話したのだが…

 

「ねぇそれ、私もついて行くのは駄目かしら?」

 

と言うと、イリヤがベッドに寝転がったまま、

 

「駄目ね。あなたじゃジークの足を引っ張るわよ?それに、貴女はまだ、」

 

ここで一度きって、雫に向き直ってから、

 

「貴女はまだ殺す覚悟を持ってないでしょう?」

 

「…ッ!それは…!」

 

「だから…」

 

「待って欲しい。」

 

「「何?」」

 

そう言ったジークは雫の両手を握り、顔を近づけた。

 

無論、雫が惚れた男(ジークは当たり前だが自覚なし)そんなのされたら耐えられるわけも無く、顔が真っ赤だ。

 

「雫。」

 

「ひゃ、ひゃあい!」

 

「覚悟が決まったなら、俺がお前を迎えに行こう!…強く

ならなくてもいい。覚悟があるなら、その想いに対して最低限の返礼として、俺が守ろう。」

 

少し捉え方を変えればただの告白である。それに対して、少し冷静になってから、

 

「………わ、分かったわ。ちゃんと、迎えに来て!」

 

「…ああ。もちろんだ!」

 

ーそして2日後

 

「雫、また、迎えに行こう。あとは頼んだ!」

 

「えぇ任せなさい!」

 

と静かに外に出た。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「やっと外に出たか。ジーク。夢に侵食してまで声をかけたかいありましたね。」

 

と目を細め、

 

「貴方にも外を出た報酬を与えなければ。まぁ3日後くらいに分かりますよ。精々頑張るように。」

 

と少し微笑み、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天の杯(ヘブンスフィール)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アストルフォは出してほしいですか?まだ決めかねてます…


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7話 聖女との再会

評価バーがオレンジになってて驚きました!割と多くの人に読まれていたのが分かって嬉しいです!これからもよろしくおねがいします!




告げる(セット)!」

 

「■■■■■■■■■ーー!!」

 

斧剣が振り下ろされ、

 

「くっ!令呪をもって我が肉体に命ずる!」

 

そして、

 

「バルムンク!!」

 

「■■■■■!!」

 

「ウォォォォ!」

 

彼らは何をやっているかというと…

 

まぁなんだ。彼らはちょっと(?)命懸けの模擬戦闘をしていたのだ。脱走(仮)をしてから2週間ほどが経ち、彼らはひたすら研鑽していった。イリヤの呼んだヘラクレスは、12の試練と言う死んでも11回復活できる宝具があり、(しかも魔力を流せば残機回復)それを使ったレベリングだ。因みに言い出しっぺばヘラクレスからであった。(正直してもらってる側としては物凄く気まずい。)

 

因みに今は吠えているだけにしか見えないのだが、戦闘時以外は普通に喋る。そしてそのヘラクレスは、

 

「なかなか強くなっているな、ジークよ。」

 

「あぁ。貴方ほどの大英雄のおかげだ。感謝してもしきれない。」

 

そんなことを話していると、

 

「ジーク!早く支度して!行くよ!」

 

とイリヤが呼んでいた。ヘラクレスはすでに霊体化したらしい。

 

 

「あぁ!行こう!」

 

 

 

 

 

 

「どう?黒鍵の扱いには慣れた?」

 

「あぁ。少し前の敵の武器を使うのはかなり微妙な気持ちなのだが、そこそこ使いこなせてきた自信がある。」

 

「そう?良かった!」

 

とイリヤの表情が優しく感じる。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「そろそろライセン大渓谷?だっけ。」

 

「あぁ。……あそこで何か騒ぎがおきているようだ。」

 

そこでは、

 

 

 

 

 

「……お前か。異端なる教えをこの者達に教えたと言うのは。」

 

 

「はい。私が主の在り方を教えました。」

 

そこには金髪碧眼の美少女がいた。そう、かの聖女、ジャンヌ・ダルクである。

 

「そうかよかろうこの異端者めが!お前はここで処刑される。最後に言い残す事はあるか?」

 

と処刑具のような剣を持ち、

 

「分かったか!貴様ら!お前たちに教えられた異端なる神の教えは偽物、そして醜悪なるものだ。以後信じた者はこいつと同じ運命を辿る事になる。今まで通り、エヒト様を信じれ…ってうぉあ!!!な、何者だ!貴様も異端者か!!」

 

突然、処刑人の側に、緑色の雷を纏った銀髪紅目の少年が来たのだ。それも柄の真ん中に青い崩玉の入った大剣を携えて、

 

予想出来るだろう彼だ。

 

「え……ジーク君…?」

 

「久しぶりだな、ルーラー。」

 

とジャンヌの方を向き無邪気な笑顔で再会を喜ぶと、パッと処刑人の方に向き直り、

 

「お前は彼女を殺そうとしたのか?」

 

「あ、当たり前だ!エヒト様を信じず、あろうことか訳も分からぬ偽神の事を布教したのだ…」

 

「もういい。黙れ。ルーラーの想いを否定するなら、ここで…!」

 

と言っていると、ふいに背中に手が置かれた。そちらを振り返ると、ジャンヌがいた。

 

 

「ジーク君。私の為に怒ってくれて、ありがとうございます。もう、大丈夫ですよ。」

 

「ルーラー」

 

と微笑みかける。それに気が緩んだ瞬間、捕らえていた人間や周りの者たちは逃げていった。そしてジークに抱きつく。

 

「ジーク君。ただいま。そしておかえりなさい!」

 

「あぁ。おかえり。そして、ただいま!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次は善良な一般神父の回です!よろしくです!


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幕間2 神父のおしごと(偽)

だいぶ遅れてすまない…

アンケートの結果、全員出します!


「えぇ。そういうことで。お願いしますよ?」

 

「あ、あぁ!分かった!わかったから!」

 

「はい。では、また会いましょう。」

 

落ちていた黒鍵をしまうと、

 

「さて、これで準備完了だ。あとは…」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ジークとイリヤが失踪して二週間が経ったある日、

 

「ねぇ聞いた?なんか新しい神父さんが来るんだって」

 

と言う八重樫雫。それに対して、

 

「うーん、イシュタルさんみたいな人じゃなかったらいいなー」

 

となかなかに酷いことを言う白崎香織。

 

そんな感じで話をしていると、

 

「すみません。少し隣よろしいですか?」

 

と声をかけてきた白髪に琥珀色の瞳を持ち、肌の白い、見た目の年齢に合わない雰囲気が滲み出ている青年が現れた。

 

「え?あ、どうぞ…」

 

「失礼します。」

 

「あの〜どなたでしょうか?」

 

「申し遅れました。私の名前はシロウ・コトミネ。よろしければ貴女達の名前をお伺いしても?」

 

「あ、ハイ。私は八重樫雫と言います。こっちは…」

 

「えっと、白崎香織と言います!」

 

「ふふ。元気でいいですね。少々お話を伺っても?」

 

「あ、はい!」

 

と5分程話していると、

 

「……すみません。そろそろ時間ですね。ありがとうございました。またお会いしましょう。」

 

と微笑みながらシロウは歩いていった。

 

「あ、行っちゃった…」

 

「不思議な人だったね…」

 

とそこに、リリアーナ王女が入ってきた。

 

「雫さん、香織さん。新しく追加で来た神父様の紹介がありますので、ついてきてください。」

 

「分かったよ、リリィ。香織、行こう。」

 

「う、うん。」

 

「さっきの人とまた会えたらいいわね。」

 

「そうだね。」

 

何やらフラグ臭い会話だが果たして…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

―広間―

 

「ようこそ、勇者様方。では早速、紹介させていただきます。こちらが…」

 

「はい。シロウ・コトミネと言います。これからよろしくおねがいします、皆様方。」

 

「「って居るじゃん!」」

 

フラグ回収、乙

 

「おや?先程の少女達ですか。確か名前は…雫さんと、香織さんでしたか。またお会い出来て嬉しいです。」

 

と微笑む。

 

「えっと…」

 

「あぁすみません、勝手に話し込んでしまって。」

 

「あ、いや、お気になさらず…そういえば、何かしたい事があると言っていませんでしたか?」

 

「あ、はい。それは……貴方達勇者一行と少々手合わせさせて頂きたく。」

 

と不敵な笑みを浮かべる。

 

とそこで声を上げたのが、

 

「ああ!皆もやってやろう!俺達の実力、ジーク(・・・)やイリヤがいなくなっても俺達は戦える!」

 

と言うのはやはり、勇者(笑)こと天ノ河光輝である。だが雫が気になるのは…

 

(ジークの名前が出た時反応した…?)

 

そう。ジークの名前が出た瞬間なんかこう、顔が思いっきり歪んでいた、というか引き攣っていた。香織も察したようだ。

 

だが、

 

「もしかしてジーク君について知ってるんですか?」

 

「いいえ、知りませんよ?」

 

と先程までの抱擁力に溢れた笑顔に戻る。そして深呼吸をしてから、

 

「では…」

 

「全員纏めてかかって来るといい。どちらにせよ私が勝つ。そうでなくては意味が無い。」

 

と彼は珍しく不敵な笑みを浮かべた。

 

「行くぞ!皆!」

 

と言うこの光輝の宣言により、この模擬戦の火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

   勇者一行 VS シロウ・コトミネ

 

    勝負、開始

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最近忙し過ぎて遅れてしまいました!

これからも応援、よろしくおねがいします!


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幕間3 神父のお遊戯

すみません…本編は次です。投票を締め切りました。全員出ます!

因みに今回オリ魔術(仮)入ってます…


初手は光輝の天翔閃だった。が、シロウはそれを黒く煌めく右手で(・・・・・・・・)

 

(制限部分解除。霊脈制限接続…)

 

右腕・零次集束(ライトハンド・ビッグクランチ)!」

 

の言葉で黒い魔力の塊ができ、吸収。そして爆発を巻き起こす。更に広がる様に黒鍵を6本投げる。が、そこは仮にも勇者一行。何とか回避して魔法の詠唱をするが、

 

告げる(セット)。」

 

という言葉と共に魔法式に向かって黒鍵が飛んでいき、破壊する。

 

その中、雫が接近に成功し、剣を振る。だが、

 

(とった…!)

 

と思ったが、

 

「惜しい惜しい。少し、詰めが甘かった様です…ね!」

 

と“エンチャント”された黒鍵に受け止められ、更にダメージを負わせる。そして間合いを取ると、左腕に魔力を多量流し込み、半径10メートル一帯の魔力を、洗礼詠唱の応用で3分間の間、完全に昇華した。そこへ龍太郎、重吾の2人組が突っ込んでくるが、黒鍵を盾にされ不発。そこに無理矢理覚えさせられた八極拳を使い、もう一人を黒鍵の連続5本投射で後ろへ下がらせ、移動。

 

そして光輝がまたもや天翔閃を打ちそうなので、ガンドを放ち、怯ませる。そして黒鍵をエンチャントし、斬りかかってきた雫と打ちあう。更にそこに遠藤浩介が忍び寄っており、ナイフを振るうが、

 

(啓示のおかげで助かりましたね…!)

 

とギリギリ避けられ、更には手加減したとはいえ、崩拳を打ち込まれ、壁まで吹き飛ばされる。

 

だがそのタイミングで一斉に高火力の魔法を放つ準備をしていたので、

 

「乱暴なことはしたくないですが…すみません!」

 

というと共に雫を強化した足で10メートルも蹴っ飛ばし、

 

(宝石魔術、使ってみますか!)

 

と宝石を限界まで強化しつつ、

 

Neun,Acht,Sieben――――!(九番 八番 七番)Stil,sciest,Beschiesen(全財投入  敵影、 一片)ErscieSsung――――!(一塵も残さず……!)

 

(あ、強化し過ぎました…)

 

只でさえ、任務のために世界からグランドクラス5歩手前の様な強化を貰っているのに、そこで強化してしまっては…

 

「「「「何じゃそりゃあ!!」」」」

 

只魔法を撃ち落とそうとしただけで、宝石の地面着弾と同時に、(まぁ向こうも結界を張っていた為、大きな死傷者は出なかったが)闘技場の半分を、全属性の嵐で埋め尽くしたのだ。

 

(普通の天草四郎としてならここまではいかなかったのですが…)

 

全員がこの惨状を見て、

 

((((本当に神父なのか!?この人!?))))

 

と思うのは当然だろう。

 

「シロウさん、覚悟!」

 

とそんな中、光輝が健気にも切り札、“神威”を打つ準備をしていた。

 

(では試してみますか…)

 

「いいだろう!その全力、“俺”の全力で打ち消してやろう!」

 

その言葉と共に、シロウから魔力が溢れ出す。更には両腕から右腕は黒、左腕は白に輝き、余波だけで何人かが吹き飛ばされる。

 

告げる(セット)!」

 

「右腕・悪逆捕食(イヴィルイーター)、左腕・天恵基盤(キサナドゥマトリクス)。」

 

魔力が加速して貯まり、

 

「我が夢に光明を。霊脈接続!」

 

そして魔力の塊が両腕に貯まり、球体を帯びる。

 

「世界に穴を穿て!そして万物に終焉を!」

 

 

双腕・零次収束(ツインアーム・ビッグクランチ)!」

 

「神威!」

 

両者の切り札が放たれた。そしてそれは空中でぶつかり、二つの球体が一体化し、大爆発が起こる。そしてその爆風のまま、ブラックホールのようなものに変わり、神威を止める。光輝は、

 

「うおおおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

という裂帛と共にそのブラックホールに抗っているが、

そのブラックホールが収束し、そして、カァァン!という音と共に、吸い込んだ魔力と共に闘技場全体を埋め尽くす爆発を起こし…

 

「私の、勝ちですね。」

 

とほほえむ神父がいた。

 

 

勇者一行 VS シロウ・コトミネ神父

 

結果 シロウ・コトミネの圧勝

 

 

 

 




皆さんにこの作品を気に頂いて貰って感謝しております!

これからもがんばります!


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特別幕間 ヘラクレス(オリジナル)

あまりにもテストなどで忙しく、せめてこれくらいは投稿した方がイイかなと…すまない。


本当にガバガバな気がしますが暖かい目で見てください…


クラス: ???

 

真名 ヘラクレス

 

性別 男性

 

属性 渾沌 善

 

身長:2メートル(バーサーカー時よりもほんの少し縮んだ(?))

 

 

 

筋力 A++

 

敏捷 A+

 

耐久 A++

 

魔力 A

 

幸運 D

 

宝具 EX

 

ステータスは複数の事情が絡み合い、強化されている。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

○プロフィール:

 

今作のヘラクレス。その根源はイリヤがジークを失いかけた際、別の世界線において自分を救った“ヘラクレス”。

更にその時無意識に願ったのが、超分かりやすく言えば、「わたしのかんがえたさいきょうのへらくれす」であり、それが具現化したため、本来あり得ない程の「最強の英霊」となっている。

それに加え、彼が送られる際、抑止力の加護を浴びている事が加わり、セイバーとして召喚された場合の能力、アーチャーとして召喚された場合の能力、バーサーカーとして召喚された場合の能力等を持つ。

 

因みに使用武器は別の世界線で触媒に使用された神殿の柱。それを弓見たいな感じにしたもの。作者の絵が下手で描けないのだが、要するに、「殴れる弓」といったところだろうか。あと今作オリジナルの武器である。

 

蛇足かもしれないが、二大ギリシャ大英雄のもう一人であるアキレウスよりも今回は強い(普通であれば同等である)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

○スキル:

 

◎狂化 D+

 

・バーサーカーの時よりランクは下がるものの、やや残る。戦闘時のみ、一時的に狂化するが、バーサーカー時よりも普通に技術で動く。

 

◎神性 A

 

・文字通り神に通ずる為保持している。ゼウスという主神クラスの子である為、神としてのランクが異常に高い。

 

◎騎乗 EX

 

・ライダークラスで召喚されていた場合、ケルベロスに乗るとされる。ほぼどんな乗り物でも初見で乗りこなすことができる。

 

◎千里眼(射手) EX

 

・弓を使う時限定で発動するスキル。アーラシュ程ではないとはいえ、常人を遥かに凌ぐ射程を持ち、その射程を見渡せる千里眼。最大最強の英雄であり、弓兵において最強である証明でもある。

 

◎気配遮断 D

 

・アサシンにも一応適正があり、所持出来るスキル。ただし、適正はライダーやアーチャー、バーサーカーと比べ低い為、最低限のランクを持つ。だがそれでもアーチャーとして動く場合、千里眼を組み合わせる事で最強の弓兵にも為りえる。

 

◎対魔力 B+

 

・後述される 勇猛(特殊) により実質対魔力もEX、もしくはA++級になる。基本的にはセイバーとして召喚された場合のみ持つスキル。魔術は殆ど効かない。

 

◎勇猛(特殊) A++

 

・威圧、混乱、幻惑といった精神干渉を無効化する。また、敵に与える格闘ダメージを向上させる。今回に限り、「誰かを守る為」と言う精神が強く、+を二つ持つ。

 

◎心眼(偽) A

 

・数々の冒険で磨かれた直感・第六感による危機回避能力。視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ。狂化によって理性を奪われても、本能に近いこのスキルは有効に働く。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

○宝具

 

十二の試練(ゴッド・ハンド)

 

ランク:B

 

種別:対人宝具

 

レンジ:-

 

最大捕捉:1人

 

・神話においてヘラクレスが生前踏破した十二の偉業の具現化、そして生前の偉業で得た祝福であり呪い。

現界中致命傷を負っても11回まで蘇生する事が出来る、究極の鎧と化した彼の肉体そのもの。

それに加えてこの宝具はあらゆる攻撃を無効化し、超一流(Aランク以上)の攻撃でなければ、どのようなモノであろうと彼の肉体には通用しない。

故に、傷を負う事など希で神話の時代、偉業を為しえた後の彼に傷を負わせた者はいない。

十二の試練のBランク以下の攻撃からヘラクレスを守る“理”は、物理的な法則外の概念である。

ちなみに相手に合わせる時には「Bランク以下」という文言を一時的に無くすことも可能。ただし、技術等は変わらないため、普通に最強である。

 

射殺す百頭(ナインライブス)

 

ランク : A+

 

種別 : 不明

 

レンジ : 臨機応変

 

 

万能宝具と呼ばれるヘラクレスが所持する中でも最高の宝具。手にした武具、あるいは徒手空拳により様々な武を行使する。1個の兵装というよりひとつの流派であり、いわば『無差別格闘流派・射殺す百頭』という技能そのものが宝具化したもの。武具の力を最大限に引き出し、対人から対軍、城攻めに至るまで状況に合わせて様々な形を見せる。ヘラクレスが長い戦いの末に編み出した戦闘方法。またの名を『流派・ヘラクレス』

 

弓を用いた”射殺す百頭”、剣を用いた”射殺す百頭”といった具合に剣、槍、斧、弓と武器が何であろうと使え、武器に収まらず盾といった防具でも発動することが出来る。

 

今作では弓を用いた「射殺す百頭」が主流。

 

天つ風の簒奪者(リインカーネーション・パンドーラ)

 

 

ランク:EX

 

種別:?

 

レンジ:?

 

第三宝具。

端的に言えば相手の宝具を奪う宝具だが、ランスロットの騎士は徒手にて死せずが手にしたあらゆる武器を宝具へと染め上げたり敵の武器の宝具を奪略したのに対して、こちらは逸話由来の宝具を奪うことが可能。

(例として、「我が神は此処にありて」などを一度見れば(受ければ)、その効能を1ランク下げて自分に浴びせる等。)

 

 

 

 

因みに十二の栄光(キングス・オーダー)も使えるが、さすがに抑止力も完全にはバックアップ出来ない為、十二のうち、4つまで使える。

 

 

 

 

 

 

 

 




やっと解放されたので、これから頑張ります‼️


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8話 奈落に落ちた少年はやがて死神になる 1

これ先に入れないとやべぇなと思ったので…

先に言っておくと、今回は引用が多いです。


時はジーク達が出発して2日後。奈落の底には…

 

冷たい微風が頬を撫で、冷え切った体が身震いした。頬に当たる硬い感触と下半身の刺すような冷たい感触に「うっ」と呻き声を上げてハジメは目を覚ました。

 

 

 

 ボーとする頭、ズキズキと痛む全身に眉根を寄せながら両腕に力を入れて上体を起こす。

 

 

 

「痛っ~、ここは……僕は確か……」

 

 

 

 ふらつく頭を片手で押さえながら、記憶を辿りつつ辺りを見回す。

 

 

 

 周りは薄暗いが緑光石の発光のおかげで何も見えないほどではない。視線の先には幅五メートル程の川があり、ハジメの下半身が浸かっていた。上半身が、突き出た川辺の岩に引っかかって乗り上げたようだ。

 

 

 

「そうだ……確か、橋が壊れて落ちたんだ。……それで……」

 

 

 

 霧がかかったようだった頭が回転を始める。

 

 

 

 ハジメが奈落に落ちていながら助かったのは全くの幸運だった。

 

 

 

 落下途中の崖の壁に穴があいており、そこから鉄砲水の如く水が噴き出していたのだ。ちょっとした滝である。そのような滝が無数にあり、ハジメは何度もその滝に吹き飛ばされながら次第に壁際に押しやられ、最終的に壁からせり出ていた横穴からウォータースライダーの如く流されたのである。とてつもない奇跡だ。

 

 

 

「よく思い出せないけど、とにかく、助かったんだな。」

 

 

 

 地下水という低温の水にずっと浸かっていた為に、すっかり体が冷えてしまっている。このままでは低体温症の恐れもあると早々に川から上がるハジメ。ガクガクと震えながら服を脱ぎ、絞っていく。

 

 

 

「ここどこなんだろう。……だいぶ落ちたんだと思うけど……帰れるかな……」

次第に不安が胸中を満たしていく。

 

 

 

 無性に泣きたくなって目の端に涙が溜まり始めるが、今泣いては心が折れてしまいそうでグッと堪える。ゴシゴシと目元を拭って溜まった涙を拭うと、ハジメは両手でパンッと頬を叩いた。

 

 

 

「やるしかない。なんとか地上に戻ろう。大丈夫、きっと大丈夫だ」

 

 

 どの階層にいるのかはわからないが迷宮の中であるのは間違いない以上、どこに魔物が潜んでいてもおかしくない。

 

 

 

 ハジメが進む通路は正しく洞窟といった感じだった。

 

 そうやってどれくらい歩いただろうか。

 

視界の端で何かが動いた気がして慌てて岩陰に身を潜める。

 

 

 

 そっと顔だけ出して様子を窺うと、ハジメのいる通路から直進方向の道に白い毛玉がピョンピョンと跳ねているのがわかった。長い耳もある。見た目はまんまウサギだった。

 

 

 

 ただし、大きさが中型犬くらいあり、後ろ足がやたらと大きく発達している。そして何より赤黒い線がまるで血管のように幾本も体を走り、ドクンドクンと心臓のように脈打っていた。物凄く不気味である。

 

 

 

 明らかにヤバそうな魔物なので、直進は避けて右か左の道に進もうと決める。ウサギの位置からして右の通路に入るほうが見つかりにくそうだ。

 

 

 

 ハジメは息を潜めてタイミングを見計らう。そして、ウサギが後ろを向き地面に鼻を付けてフンフンと嗅ぎ出したところで、今だ! と飛び出そうとした。

 

 

 

 その瞬間、ウサギがピクッと反応したかと思うとスッと背筋を伸ばし立ち上がった。警戒するように耳が忙しなくあちこちに向いている。

 

 

 

(やばい! み、見つかった? だ、大丈夫だよね?)

 

 

 

 岩陰に張り付くように身を潜めながらバクバクと脈打つ心臓を必死に抑える。あの鋭敏そうな耳に自分の鼓動が聞かれそうな気がして、ハジメは冷や汗を流す。

 

 

 

 だが、ウサギが警戒したのは別の理由だったようだ。

 

 

 

「グルゥア!!」

 

 

 

 獣の唸り声と共に、これまた白い毛並みの狼のような魔物がウサギ目掛けて岩陰から飛び出したのだ。

 

 

 

 その白い狼は大型犬くらいの大きさで尻尾が二本あり、ウサギと同じように赤黒い線が体に走って脈打っている。

 

 

 

 どこから現れたのか一体目が飛びかかった瞬間、別の岩陰から更に二体の二尾狼が飛び出す。

 

 

 

 再び岩陰から顔を覗かせその様子を観察するハジメ。どう見ても、狼がウサギちゃん(ちゃん付けできるほど可愛くないが)を捕食する瞬間だ。

 

 

 

 ハジメは、このドサクサに紛れて移動しようかと腰を浮かせた。

 

 

 

 だがしかし……

 

 

 

「キュウ!」

 

 

 

 可愛らしい鳴き声を洩らしたかと思った直後、ウサギがその場で飛び上がり、空中でくるりと一回転して、その太く長いウサギ足で一体目の二尾狼に回し蹴りを炸裂させた。

 

 

 

ドパンッ!

 

 

 

 およそ蹴りが出せるとは思えない音を発生させてウサギの足が二尾狼の頭部にクリーンヒットする。

 

 

 

 すると、

 

 

 

ゴギャ!

 

 

 

 という鳴ってはいけない音を響かせながら狼の首があらぬ方向に捻じ曲がってしまった。

 

 

 

 ハジメは腰を浮かせたまま硬直する。

 

 

 

 そうこうしている間にも、ウサギは回し蹴りの遠心力を利用して更にくるりと空中で回転すると、逆さまの状態で空中を踏みしめて・・・・・・・・地上へ隕石の如く落下し、着地寸前で縦に回転。強烈なかかと落としを着地点にいた二尾狼に炸裂させた。

 

 

 

ベギャ!

 

 

 

 断末魔すら上げられずに頭部を粉砕される狼二匹目。

 

 

 

 その頃には更に二体の二尾狼が現れて、着地した瞬間のウサギに飛びかかった。

 

 

 

 今度こそウサギの負けかと思われた瞬間、なんとウサギはウサミミで逆立ちしブレイクダンスのように足を広げたまま高速で回転をした。

 

 

 

 飛びかかっていた二尾狼二匹が竜巻のような回転蹴りに弾き飛ばされ壁に叩きつけられる。グシャという音と共に血が壁に飛び散り、ズルズルと滑り落ち動かなくなった。

 

 

 

 最後の一匹が、グルルと唸りながらその尻尾を逆立てる。すると、その尻尾がバチバチと放電を始めた。どうやら二尾狼の固有魔法のようだ。

 

 

 

「グルゥア!!」

 

 

 

 咆哮と共に電撃がウサギ目掛けて乱れ飛ぶ。

 

 

 

 しかし、高速で迫る雷撃をウサギは華麗なステップで右に左にとかわしていく。そして電撃が途切れた瞬間、一気に踏み込み二尾狼の顎にサマーソルトキックを叩き込んだ。

 

 

 

 二尾狼は、仰け反りながら吹き飛び、グシャと音を立てて地面に叩きつけられた。二尾狼の首は、やはり折れてしまっているようだ。

 

 

 

 蹴りウサギは、

 

 

 

「キュ!」

 

 

 

 と、勝利の雄叫び? を上げ、耳をファサと前足で払った。

 

 

 

(……嘘だと言ってよママン……)

 

 

 

 もしかしたら単純で単調な攻撃しかしてこなかったベヒモスよりも、余程強いかもしれない。

 

 

 

 ハジメは、「気がつかれたら絶対に死ぬ」と、表情に焦燥を浮かべながら無意識に後退る。

 

 

 

 それが間違いだった。

 

 

 

カラン

 

 

 

 その音は洞窟内にやたらと大きく響いた。

 

 

 

 下がった拍子に足元の小石を蹴ってしまったのだ。あまりにベタで痛恨のミスである。ハジメの額から冷や汗が噴き出る。小石に向けていた顔をギギギと油を差し忘れた機械のように回して蹴りウサギを確認する。

 

 

 

 蹴りウサギは、ばっちりハジメを見ていた。

 

 

 

 赤黒いルビーのような瞳がハジメを捉え細められている。ハジメは蛇に睨まれたカエルの如く硬直した。魂が全力で逃げろと警鐘をガンガン鳴らしているが体は神経が切れたように動かない。

 

 

 

 やがて、首だけで振り返っていた蹴りウサギは体ごとハジメの方を向き、足をたわめグッと力を溜める。

 

 

 

(来る!)

 

 

 

 ハジメが本能と共に悟った瞬間、蹴りウサギの足元が爆発した。後ろに残像を引き連れながら、途轍もない速度で突撃してくる。

 

 

 

 気がつけばハジメは、全力で横っ飛びをしていた。

 

 

 

 直後、一瞬前までハジメのいた場所に砲弾のような蹴りが突き刺ささり、地面が爆発したように抉られた。硬い地面をゴロゴロと転がりながら、尻餅をつく形で停止するハジメ。陥没した地面に青褪めながら後退る。

 

 

 

 蹴りウサギは余裕の態度でゆらりと立ち上がり、再度、地面を爆発させながらハジメに突撃する。

 

 

 

 ハジメは咄嗟に地面を錬成して石壁を構築するも、その石壁を軽々と貫いて蹴りウサギの蹴りがハジメに炸裂した。

 

 

 

 咄嗟に左腕を掲げられたのは本能のなせる業か。顔面を粉砕されることだけはなかったが、衝撃で吹き飛び、再び地面を転がった。停止する頃には激烈な痛みが左腕を襲う。

 

 

 

「ぐぅっ――」

 

 

 

 見れば左腕がおかしな方へ曲がりプラプラとしている。完全に粉砕されたようだ。痛みで蹲りながら必死で蹴りウサギの方を見ると、今度はあの猛烈な踏み込みはなく余裕の態度でゆったりと歩いてくる。

 

 

 

 ハジメの気のせいでなければ、蹴りウサギの目には見下すような、あるいは嘲笑うかのような色が見える。完全に遊ばれているようだ。

 

 

 

 ハジメには、尻餅をつきながら後退るという無様しか出来ない。

 

 

 

 やがて、蹴りウサギがハジメの目の前で止まった。地べたを這いずる虫けらを見るように見下ろす蹴りウサギ。そして、見せつけるかのように片足を大きく振りかぶった。

 

 

 

(……ここで、終わりなのかな……)

 

 

 

 絶望がハジメを襲う。諦めを宿した瞳で呆然と掲げられた蹴りウサギの足を見やる。その視線の先で、遂に豪風と共に致死級の蹴りが振り下ろされた。

 

 

 

 ハジメは恐怖でギュッと目をつぶる。

 

 

 

「……」

 

 

 

 しかし、いつまで経っても予想していた衝撃は来なかった。

 

 

 

 ハジメが、恐る恐る目を開けると眼前に蹴りウサギの足があった。振り下ろされたまま寸止めされているのだ。

 

 

 

 まさか、まだ遊ぶつもりなのかと更に絶望的な気分に襲われていると、奇妙なことに気がついた。よく見れば蹴りウサギがふるふると震えているのだ。

 

 

 

(な、何? 何を震えて……これじゃまるで怯えているみたいな……)

 

 

 

 〝まるで〟ではなく、事実、蹴りウサギは怯えていた。

 

 

 

 ハジメが逃げようとしていた右の通路から現れた新たな魔物の存在に。

 

 

 

 その魔物は巨体だった。二メートルはあるだろう巨躯に白い毛皮。例に漏れず赤黒い線が幾本も体を走っている。その姿は、たとえるなら熊だった。ただし、足元まで伸びた太く長い腕に、三十センチはありそうな鋭い爪が三本生えているが。

 

 

 

 その爪熊が、いつの間にか接近しており、蹴りウサギとハジメを睥睨していた。

 

 

 

 辺りを静寂が包む。ハジメは元より蹴りウサギも硬直したまま動かない。いや、動けないのだろう。まるで、先程のハジメだ。爪熊を凝視したまま凍りついている。

 

 

 

「……グルルル」

 

 

 

 と、この状況に飽きたとでも言うように、突然、爪熊が低く唸り出した。

 

 

 

「ッ!?」

 

 

 

 蹴りウサギが夢から覚めたように、ビクッと一瞬震えると踵を返し脱兎の如く逃走を開始した。今まで敵を殲滅するために使用していたあの踏み込みを逃走のために全力使用する。

 

 

 

 しかし、その試みは成功しなかった。

 

 

 

 爪熊が、その巨体に似合わない素早さで蹴りウサギに迫り、その長い腕を使って鋭い爪を振るったからだ。蹴りウサギは流石の俊敏さでその豪風を伴う強烈な一撃を、体を捻ってかわす。

 

 

 

 ハジメの目にも確かに爪熊の爪は掠りもせず、蹴りウサギはかわしきったように見えた。

 

 

 

 しかし……

 

 

 

 着地した蹴りウサギの体はズルと斜めにずれると、そのまま噴水のように血を噴き出しながら別々の方向へドサリと倒れた。

 

 

 

 愕然とするハジメ。あんなに圧倒的な強さを誇っていた蹴りウサギが、まるで為す術もなくあっさり殺されたのだ。

 

 

 

 蹴りウサギが怯えて逃げ出した理由がよくわかった。あの爪熊は別格なのだ。蹴りウサギの、まるでカポエイラの達人のような武技を持ってしても歯が立たない化け物なのだ。

 

 

 

 爪熊は、のしのしと悠然と蹴りウサギの死骸に歩み寄ると、その鋭い爪で死骸を突き刺し音を立てながら喰らってゆく。

 

 

 

 ハジメは動けなかった。あまりの連続した恐怖に、そして蹴りウサギだったものを咀嚼しながらも鋭い瞳でハジメを見ている爪熊の視線に射すくめられて。

 

 

 

 爪熊は三口ほどで蹴りウサギを全て腹に収めると、グルッと唸りながらハジメの方へ体を向けた。その視線が雄弁に語る。次の食料はお前だと。

 

 

 

 ハジメは、捕食者の目を向けられ恐慌に陥った。

 

 

 

「うわぁああーー!!」

 

 

 

 意味もなく叫び声を上げながら折れた左腕のことも忘れて必死に立ち上がり爪熊とは反対方向に逃げ出す。

 

 

 

 しかし、あの蹴りウサギですら逃げること敵わなかった相手からハジメが逃げられる道理などない。ゴウッと風がうなる音が聞こえると同時に強烈な衝撃がハジメの左側面を襲った。そして、そのまま壁に叩きつけられる。

 

 

 

「がはっ!」

 

 

 

 肺の空気が衝撃により抜け、咳き込みながら壁をズルズルと滑り崩れ落ちるハジメ。衝撃に揺れる視界でどうにか爪熊の方を見ると、爪熊は何かを咀嚼していた。

 

 

 

 だが、一体何を咀嚼しているのだろう。蹴りウサギはさっき食べきったはずである。それにどうして、食はんでいるその腕は見覚えがあるのだろう。

 

 

 

 ハジメは理解できない事態に混乱しながら、何故かスッと軽くなった左腕を見た。正確には左腕のあった場所を……

 

 

 

「あ、あれ?」

 

 

 

 ハジメは顔を引き攣らせながら、なんで腕がないの? どうして血が吹き出してるの? と首を傾げる。脳が、心が、理解することを拒んでいるのだろう。

 

 

 

 しかし、そんな現実逃避いつまでも続くわけがない。ハジメの脳が夢から覚めろというように痛みをもって現実を教える。

 

 

 

「あ、あ、あがぁぁぁあああーーー!!!」

 

 

 

 ハジメの絶叫が迷宮内に木霊する。ハジメの左腕は肘から先がスッパリと切断されていた。

 

 

 

 爪熊の固有魔法が原因である。あの三本の爪は風の刃を纏っており最大三十センチ先まで伸長して対象を切断できるのだ。

 

 

 

 それを考えれば、むしろ腕一本で済んだのは僥倖だった。爪熊が遊んだのか、単にハジメの運が良かったのかはわからないが、本来なら蹴りウサギのように胴体ごと真っ二つにされていてもおかしくはなかったのだ。

 

 

 

 ハジメの腕を咀嚼し終わった爪熊が悠然とハジメに歩み寄る。その目には蹴りウサギのような見下しの色はなく、ただひたすら食料という認識しかないように見えた。

 

 

 

 眼前に迫り爪熊がゆっくりハジメに前足を伸ばす。その爪で切り裂かないということは生きたまま食うつもりなのかもしれない。

 

 

 

「あ、あ、ぐぅうう、れ、〝錬成ぇ〟!」

 

 

 

 あまりの痛みに涙と鼻水、涎で顔をベトベトに汚しながら、ハジメは右手を背後の壁に押し当て錬成を行った。ほとんど無意識の行動だった。

 

 

 

 無能と罵られ魔法の適性も身体スペックも低いハジメの唯一の力。通常は、剣や槍、防具を加工するためだけの魔法。その天職を持つ者は例外なく鍛治職に就く。故に戦いには役立たずと言われながら、異世界人ならではの発想で騎士団員達すら驚かせる使い方を考え、クラスメイトを助けることもできた力。

 

 

 

 だからこそ、死の淵でハジメは無意識に頼り、そして、それ故に活路が開けた。

 

 

 

 背後の壁に縦五十センチ横百二十センチ奥行二メートルの穴が空く。ハジメは爪熊の前足が届くという間一髪のところでゴロゴロ転がりながら穴の中へ体を潜り込ませた。

 

 

 

「グゥルアアア!!」

 

 

 

 咆哮を上げながら固有魔法を発動し、ハジメが潜り込んだ穴目掛けて爪を振るう。凄まじい破壊音を響かせながら壁がガリガリと削られていく。

 

 

 

「うぁあああーー! 〝錬成〟! 〝錬成〟! 〝錬成ぇ〟!」

 

 

 

 爪熊の咆哮と壁が削られる破壊音に半ばパニックになりながら少しでもあの化け物から離れようと連続して錬成を行い、どんどん奥へ進んでいく。

 

 

 

 後ろは振り返らない。がむしゃらに錬成を繰り返す。地面をほふく前進の要領で進んでいく。既に左腕の痛みのことは頭から飛んでいた。生存本能の命ずるままに唯一の力を振るい続ける。

 

 

 

 どれくらいそうやって進んだのか。

 

 

 

 ハジメにはわからなかったが、恐ろしい音はもう聞こえなかった。

 

 

 

 しかし、実際はそれほど進んではいないだろう。一度の錬成の効果範囲は二メートル位であるし(これでも初期に比べ倍近く増えている)、何より左腕の出血が酷い。そう長く動けるものではないだろう。

 

 

 

 実際、ハジメの意識は出血多量により既に落ちかけていた。それでも、もがくように前へ進もうとする。

 

 

 

 しかし……

 

 

 

「〝錬成〟 ……〝錬成〟 ……〝錬成〟 ……〝れんせぇ〟 ……」

 

 

 

 何度錬成しても眼前の壁に変化はない。意識よりも先に魔力が尽きたようだ。ズルリと壁に当てていた手が力尽きたように落ちる。

 

 

 

 ハジメは、朦朧として今にも落ちそうな意識を辛うじて繋ぎ留めながらゴロリと仰向けに転がった。ボーとしながら真っ暗な天井を見つめる。この辺は緑光石が無いようで明かりもない。

 

 

 

 いつしかハジメは昔のことを思い出していた。走馬灯というやつかもしれない。保育園時代から小学生、中学生、そして高校時代。様々な思い出が駆け巡るが、最後の思い出は……

 

 

 

 月明かり射し込む窓辺での香織との時間。約束をした時の彼女の笑顔。

 

 

 

 その美しい光景を最後にハジメの意識は闇に呑まれていった。そして…

 

 

 

ただ一言声が聞こえた。

 

「生きてる、生きてる!」

 

そして頬に一粒の水滴が落ちる

 

 

 それはまるで、誰かの流した涙のようだった。

 




因みに明日までに2を出します。知らんけ(ry


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9話 奈落に落ちた少年はやがて死神になる 2

急がなきゃ…


水滴が頬に当たり口の中に流れ込む感触に、ハジメは意識が徐々に覚醒していくのを感じた。そのことを不思議に思いながらゆっくりと目を開く。

 

 

(……生きてる? ……助かったの?)

 

「君が生きているのはそこの水溜まりにある“神水”と呼ばれる秘薬級の物を君が摂取したからだ…良かった。生きてて本当に…良かった。」

 

「だっ、誰‼️」

 

フードをしていて分からないが、その声は少し冷めきった、けれどどこか寂しそうな声だった。少なくとも、ハジメが生きてたことを喜んでくれているようだ。

 

「僕は…そうだな。たいした名前は無いからね。無銘と、名乗っておくよ。それにしても…」

 

「抑止力の守護者として呼ばれたにも関わらず、魔力の供給が切断されるとはね。」

 

「え…?」

 

 

「ああ今の事は気にしなくていい。そして君に聞くことがある。」

 

「な、何でしょうか?」

 

「こんな奈落の底、地獄のような世界、生還の確率は絶望的。それでも君は、生きたいか?」

 

(そんなの…決まっている。僕は、いや、)

 

この状況は分からない。この人物が何者かも分からない。もしかしたら自分を殺すかもしれない。けど…

 

()は生きたい。生きて見せる!それを邪魔する奴は全員ブッ殺す!」

 

そんなハジメの答えを聞いた彼は…

 

 

 

 

 

「ああ…安心した…」

 

と、まるで自分が救われたかのような表情をしていた…気がする。

 

「は?」

 

と言うとすぐに仕事人のような雰囲気を取り戻し、

 

「取引をしよう。君はこの奈落の底から生還したい。そう言ったね。」

 

と聞かれ力強く頷く。

 

「よし、では君にこの地獄から出る為の、力をやる。だがタダでやるわけにはいかない。僕も聖人ではない。だから試練だ。」

 

「試練?」

 

 

 

「ああ安心してほしい。試練といっても、これから君の知恵を見るだけだ。君がこの状況を超えるのに、どこまで狡猾になれるか、確実に壁を越えるかだ。…まぁ最低限の力もつけてもらうがな。…覚悟はいいな?」

 

「……ああ、やってやろうじゃねぇか‼️」

 

此処に、異様な師弟が生まれた。

 

そしてハジメは…

 

決意をした日から飢餓感も幻肢痛もねじ伏せて、神水を飲みながら生きながらえ、魔力が尽きないのをいいことに錬成の鍛錬をひたすら繰り返した。

 

 

 

 より早く、より正確に、より広範囲を。今のまま外に出てもあっさり死ぬのがオチである。神結晶のある部屋を拠点に鍛錬を積み、少しでも武器を磨かなければならない。その武器は当然、錬成だ。

 

 

 

 ねじ伏せたと言っても耐えられるというだけで苦痛は襲ってくる。しかし、飢餓感と幻肢痛は、むしろ追い立てるようにハジメに極限の集中力をもたらした。

 

 

 

 その結果、今までの数倍の速さでより正確に、三メートル弱の範囲を錬成できるようになった。もっとも、土属性魔法のような直接的な攻撃力は相変わらず皆無だったが。

 

 

 

 そして、神水を小さく加工した石の容器に詰め、錬成を利用しながら迷宮を進み、標的を探した。

 

 

 

 そうして見つけたのが四頭の二尾狼だ。そいつらをドリルのようなもので突破し、食料を確保。そしてそれを食べると…

 

「アガァァァァ‼️」

 

そんな絶叫と共に、神水によって死ぬことができず、苦しみ続けるが、その内に体に変化が現れた。髪は白くなり、服の下から赤黒い線が何本か走った姿へと変貌した。そして強化されたステータス。果てには見つけた鉱石とハジメの最大の武器である錬成を利用し、銃である“ドンナー”を作った。これには無銘も感心したようで、遂には丸一日掛けられた銃の講義により更に質が良くなり、そして最終試練である、爪熊を瀕死に成りながらも打倒した。

 

達成感に地面に背を預けていると、パチパチと拍手が聞こえてきた。

 

「上出来だ。僕の思った以上だ。では約束通り、君に報酬をやろう。そのまま倒れていろ。」

 

と言われるがままにそのままになっていると、

 

「告げる。我が霊核は少年に譲り渡される。」

 

その言葉により、風が起こる。そして隠されていた顔が現れた。それは、朽ち果てた白髪に、目はとうの昔に死んでいると言わんばかりの腐り果てており、褐色の風貌だった。

 

更に光が巻き起こり、男の手に心臓の様な物が現れる。そしてそれをハジメの胸にその心臓を重ねられ、幾つものの詠唱が唱えられた。そして消えかかっている男は最後に、

 

「これで僕も君が死ぬまで解放され君は君の望むままに生きれるだろう。完全な等価交換だ。頑張れよ、南雲ハジメ。僕の得られなかったものを味わえ。後悔の無いように生きろ。」

 

ハジメの意識は心臓と言う霊核からの多大な情報量により、気絶した。最後、男の記憶だろうか?気を失う直前、言葉を聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ケリィはさ、どんな大人になりたいの?」

 

 

 

 

 

=====================================

 

南雲ハジメ 17歳 男 レベル:35

 

天職:錬成師

 

筋力:800

 

体力:3500

 

耐性:800

 

敏捷:5500

 

魔力:1000

 

魔耐:800

 

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・風爪・気配感知・気配遮断・単独行動・固有時制御(タイムアルター)・抑止の力(+時のある間に薔薇を摘め(クロノス・ローズ))(+神秘轢断(ファンタズム・パニッシュメント))(+■■■■■■)・言語理解

 

=====================================

 

 

 

 

 

 

 




因みにこの後はだいたい原作通りに進みます。樹海にも行きますし、残念ウサギとも会いますし、中二病ウサギの集団に心を殺されます。唯一違うとすれば、彼の戦い方に、固有時制御が追加されたりするくらいです。何故でしょうね~?(すっとぼけ)


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特殊幕間(二番煎じ) ジーク編

テスト期間が異様に長いため、繋ぎとして、ヘラクレスの時と同じような感じですが、一応今回はありふれ風です。

あまり気にしないでください ()


==============================

ジーク 17歳() 男 レベル 63

 

天職 : 魔術師(竜剣士)

 

筋力 : 7500(+60000)

 

体力 : 8500(+80000)

 

耐性 : 11500(+100000)

 

敏捷 : 13000(+55000)

 

魔力 : 測定不可(1000000000を超えた為)

 

魔耐 : 7800000(+100000)

 

技能 :成長促進(極致)・強化魔術・錬金術(+理道/開通(シュトラセ/ゲーエン))・騎乗・仕切り直し・竜殺し(極致)・■■■■■■・■■■■■・竜の心臓(+全状態異常耐性)(超高速回復)・竜告令呪(デッドカウント・シェイプシフター)(+自動回復)(+部分英霊化)(+英霊化)(+限定宝具解放)(+魔力転換)(+魔力装填)・幻想大剣 天魔失墜(バルムンク)(+魔力放射)・悪竜の血鎧(アーマー・オブ・ファブニール)磔刑の雷樹(ブラステッド・ツリー)・■■■■(+灼熱竜息・万地融解(アガフィローガ・アルグリーズ))・剣術・弓術・ガルバニズム(+身体強化)(+魔力放出(偽))・天の杯(ヘブンズフィール)・魔力操作・黒鍵生成(+能力付与)・言語理解

 

 

 

 

 

==============================

 

身長 170cm 体重 55㎏

 

 

・騎乗、仕切り直し、竜殺し、弓術

 

ジークフリートの能力。変身を五回以上使ったのでジークにも身に付いたもの。剣術に関しては最初はジークフリートの剣術だったが、ジーク本人が研鑽し、完全になった。

 

騎乗スキル ジークフリートの愛馬である、駿馬グラニを乗っていた事に由来し、付属してきたスキル。ある程度の乗り物は乗りこなせるが、上位クラスは乗りこなせない。

 

弓術 ジークフリートの生前強弓の使い手だった伝承から。ジークのものになってランクが下がったが、ヘラクレスにも教えられているので、そこそこ使える。

 

仕切り直し ジークフリートの英霊としての固有のスキル。戦闘から離脱、あるいは状況をリセットする能力。技の条件を初期値に戻し、同時にバッドステータスの幾つかを強制的に解除する。

 

竜殺し 同じくジークフリートの英霊としての固有のスキル。竜種を仕留めたものに備わる特殊スキルの一つ。竜種に対する攻撃力、防御力の大幅向上。これは天から授かった才能ではなく、竜を殺したという逸話そのものがスキル化したといえよう。

 

・成長促進

 

これは天草四郎や抑止力側が一番最初に渡したチート能力。エヒト方を殺す為だけに渡された。

 

効果は、戦うと、普通の3倍以上、レベルとステータスが上昇する。(チート)

英霊と戦うと、更に倍程上がると言うある意味最大級の技能。

 

 

(FGOで例えるなら100%大成功が出て、英霊と戦うと100%極大成功が出る。そんな感じです。強っ!?)

 




成長促進に関しては最初に入れるつもりだったのだ…すまない。見直したら入ってなかったので…

これでベヒモスだけで異様にレベル上がったのも証明出来たかな?

他に質問があれば感想まで!!


今後とも、宜しくお願いします!


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10話 信念

わーい月1投稿だー

お い

改めまして、テスト等に加え、二部6章、そしてソロモンによってめっちゃ遅れてしまいました…

本当にすまない…

ついに彼女ですね…不安なって来た。

あ、ジーク君の新イラスト作ってあらすじのところに置いてあります。そんなにセンスに自信があるわけではないですがぜひ見てください‼️(見た目はできるだけ近づけました)


突然だが、今俺はピンチに陥っている。

 

悪いのは俺だというのは分かっているつもりなのだが、

 

「何故こうなった…」

 

まぁ縛られているのだ。そして縛った本人たちは…

 

「全面的にジーク君が悪いです!」

 

とジャンヌ、

 

「そうね、ジークが悪いわ!それで…」

 

そしてイリヤ。

何が起こってるかというと…

 

「「どっちが正妻なの(ですか)⁉」」

 

「どっちもじゃ駄目なのか……?」

 

「「駄目です!」」

 

「あ、はい…」

 

困った。そしてそこですかさず助けの船を出してくれたのは…

 

「イリヤ、そしてジャンヌ・ダルクよ。その辺にしておけ。」

 

「あ、ヘラクレ…ふみゅ!」

 

と声を上げたと思えば、ヘラクレスがイリヤの頭に軽く拳を落としていた。(筋力 A++)

そしてそんな中、そろ~りとジークに近づこうとして、

 

「…貴女もだ、ジャンヌ・ダルク。」

 

とこちらもヘラクレスに拳骨が落ちる。

 

「ふみゅ!」

 

呆気なくイリヤと仲良く撃沈している。

 

「はぁ、マスター、そしてジークらよ。次はフェアベルゲン?と言ったな。そろそろ行くぞ。」

 

「あぁ。すまない、迷惑をかけてしまって。」

 

「気にするな……実はかなり落ち着け無くなってしてしまってな。」

 

「…それはまたなぜ?」

 

「なんとなく昔馴染みに会いそうな、困った奴に会いそうな…」

 

「ま、まぁその…俺が言うのも何だが…頑張れ…」

 

「あぁ…」

 

 

 

ー一行、フェアベルゲンへー

 

ジーク達の目にはなかなかに美しい、絶景が広がっていた。

 

「ここが…フェアベルゲンか…」

 

その感嘆に気を良くしたのか、フェアベルゲンの長老のアルフレリックが、こんな依頼をしてきた。

 

「実は…」

 

それはこんな内容だった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

少し前、化け物の様な人間がこの村を訪れ、帝国軍とかいろいろぶっ倒したり、めっちゃくちゃに掻き回した後風の様に去っていったと言う。とか言っても安泰は一日だけだった。

 

その後、怪物が居なくなったのを知り、帝国軍の一部がフェアベルゲンの少年少女が集う、保育園みたいなところを襲撃し、誘拐しようとしたが、

 

「ちっ…!大人しく従えy「黙れ」ブギャ‼️何奴だ…ヒッ!」

 

そこには獅子の耳と尻尾を持ち、矢を番えている女がいたと言う。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「そんなことが…」

 

ジャンヌはなにやら俯いているが、アルフレリックは話を続け、

 

「その後は本当に凄かったです。そこにいた帝国軍全てを射ぬいていったのですからな。」

 

「なっ…」

 

 

「最初は帝国軍を追い払って貰い、私達も感謝をしていたのですが、如何せん我ら亜人族に似ているため、我らの方にも攻められてしまい…それに…」

 

「それに?」

 

「彼女はいつも苦しそうに子供達を救うのです。どうしても彼女を責めることかもできず…」

 

ジークは軽く深呼吸してから、少し想いを馳せた。救って貰った命(ジークフリート)の生き方に、憧れたのだ。その道が地獄だとしても―

 

 

「貴方は俺たちに何を願う?」

 

「彼女を、苦しそうな彼女を助けてやってほしい。そして、村の者達に安心と安寧を与えてほしい。身勝手だというのは百も承知。どうか、よろしくお願いします。」

 

と頭を下げた。

 

 

 

 

―答えは決まっている―

 

 

「その願い、この心臓(誇り)にかけて、叶えよう。」

 

その誓いにアルフレリックは

 

「ありがとうございます、ありがとうございます。」

 

と感謝した。

 

 

 

そして皆で準備をしていたのだがジャンヌが…

 

「私は此処に残ります。ヘラクレスも着いていくのなら霊体化を。」

 

「………承知した。」

 

とヘラクレスは霊体化した。

 

「…?」

 

とジークは首を傾げる。その仕草に苦笑しながら、

 

「私と彼女には因縁がありますから。私はあまり気にしていませんが、向こうはそうでもいかないと思うので…」

 

「…そう言うことなら仕方ない。分かった。では、俺とイリヤと霊体化したヘラクレスでいく。」

 

「私からも、どうか彼女を救ってください。因縁はありますが怨恨はありませんから。少なくともこちらは。」

 

その言葉に微笑みながら、

 

「ああ、勿論だ。」

 

 

 

 

 

 

 

そして居るとされる森の中に入り…

 

「この辺りで使うか。」

 

左手が光輝き、

 

 

 

「令呪をもって我が肉体に命ずる‼️」

 

 

その言葉が発された瞬間、彼の姿はジークから英雄(ジークフリート)になり、

 

「よし、イリヤ、行こう。」

 

その声に答えるかのようにフフッと笑いながら、

 

「ええ、やっちゃいましょ、正義の味方?」

 

 

さらに進んでいくと…

 

「止まれ‼️」

 

と木の上から聞こえた。上手く隠れているらしく、此方からは見えない。

 

「…‼️イリヤ、下がれ。」

 

「うん…」

 

そうして辺りを見渡していると、

 

「その子は?」

 

「……俺の大事な親友だ…ん?どうしたイリヤ?何故不服そうな顔をしているんだ?」

 

「…………別に。」

 

「そ、そうか…」

 

軽く咳払いして、

 

「言いたいことは色々あるがまず、貴女の名と、願いを聞かせて欲しい。」

 

「……何?」

 

「願いに善悪は無い。だがそれでも、これを聞くのは俺のエゴだ。」

 

「ハッ‼️」と彼女は鼻で笑い、

 

「良いだろう。言ってやる。私の名はアタランテ。願いは、この世全ての子供が愛される世界だ。」

 

と、雑木林の中から、黒い少女が現れる。

 

「そう…か…」

 

「お前も、願いを阻むのか…?」

 

「いいや…貴女の願いは美しく、間違っている訳ではない。」

 

「なら、何故剣を構える‼️」

 

「決まっている‼️」

 

「…何?」

 

「貴女がその道を、そのやり方で進むのは、貴女自身が後悔する!!」

 

「黙れ…‼️黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ‼️お前を殺してでも私はこの願いを叶える‼️」

 

「なら、俺は死んででも貴女を救う‼️そう願われて、そして何より、俺が願ったことだ‼️ ―アタランテ‼️」

 

「行くぞ…‼️黒のセイバー、いや、ジークフリート‼️」

 

「来い‼️」

 

「殺す…殺してやる…これ以上失う訳には…いかない‼️闇天の(タウロ)(ポロス)!!」

 

「ッ…!幻想大剣 天魔失墜(バルムンク)!!」

 

上から大量の黒い矢が降り注ぐ。が、なんとか宝具で頭上の分は撃ち落とす。しかし、向こうはがら空きになったジークに次々と降る大量の黒い矢を自身に纏い、竜巻を起こしながら、突進して来る。

 

「クッ…!ウオォッ…!」

 

吹き飛ばされてしまったが、何とか10合ほど撃ち合いながら耐え直す。本来アーチャーの彼女であれば、ジークフリートの力が使える限り、近距離戦では確実に勝てるが、

 

(呪いと言うヤツか…!後ろからイリヤの解呪はあるものの、アタランテ自身、近接戦のスペックが上がっている…?)

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇヘラクレス、貴方は止めないの?たしか知り合いでしょう?」

 

と解呪しながら自身のサーヴァントに問いかける。

 

「ああ…共に船旅をした、家族のようなものだ。だが、いや、だからこそ私では彼女を、止めることは出来ない。」

 

「そう…」

 

 

 

 

「ハアァァァァ‼️」

 

と跳躍し、向かって来る矢を打ち払い続ける。が、そのうち一本が手に当たり、バルムンクを取り落としてしまう。それに追い討ちをかけるように、限界が近づいてきた。

 

そしてジークが取った手段は…

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉ‼️」

 

それは 素手 だった。

 

フランの力をフルで使い、超高速移動をし、

 

「アァタランテエェェェェェ‼️!!」

 

その叫びと共に、強化した拳を、―

 

 

 

 

 

 

 




ちょっと中途半端ですが、ここがキリがよかったので…すまない…いやほんとすみません…


あともうひとつ謝罪を。モーさん出せそうに無い…( ;∀;)

あ、雫ちゃん強化しなきゃ











あとアタランテかわいい。




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幕間4 雫編  英雄

雫の強化クエスト?です。

あと出す英雄はアポ勢だけとは限りません。(まぁすでにヘラクレスが出てるけど)

今回は新しく二基の英雄が出ます。(一応)

あと恒例になってしまいましたが、


遅れてすまない…


今日の夢の中はずっと真っ白な空間だった。

 

「気がついたか?」

 

私は取り敢えず聞こえてくる声に対応することにした。現実逃避も少し含めて。

 

「えっと…貴方は?」

 

「とうほ…俺の名前はシグルド。一応、竜殺しの英雄と呼ばれている。」

 

姿を表したシグルド(自称)がいた。

幻覚かな?いや、幻聴か。いや、そうじゃなくて、

 

「北欧神話の時代にメガネってあったっけ…?」

 

「否、これはメガネ?等ではなく、ファブニールを倒した際に手にいれた叡知の結晶である。」

 

もう何がなんだかわからない…

 

「あ、当方、今回はあくまでもメッセンジャーとして来ているのでな。サクッと要件だけ伝えて戻るとしよう。

 

本日昼前、王城を出て、店の並びの横にある小道の抜けた先にある東洋の家屋に行くといい。とのことだ。

夢の中でのことはこの要件以外忘れるらしい。ではまた。失礼した。」

 

「え、ちょっ…」

 

 

 

 

 

「ハッ…なんかスゴい夢見た気がする…」

 

「おはよう~雫ちゃん。」

 

よかった。香織は南雲君が居なくなって取り乱してたけど、本当に立ち直れているみたいで良かった…

 

「ええ。おはよう香織。……今日のお昼前、暇?」

 

「え…?うん。そうだけど…」

 

「ちょっとついてきて欲しいの。」

 

「うん。分かったよ!」

 

ただ、感に任せて道を進む…と、

 

 

 

 

 

 

 

「「なぁにこれぇ?」」

 

スゴい武家屋敷みたいなのがあった。

 

「と、取り敢えず入ってみよう!!」

 

「う、うん。」

 

入ってみると…

 

 

 

 

カンカンカン、と鳴り響く、暑い部屋だった。所謂鍛冶場という場所だ。

 

「おう!嬢ちゃん達か?儂んとこに来るって聞いてたがよ!」

 

カンカンカン‼️

 

出迎えた(?)のは声音に似合わず若い髪日本風の人だった。

 

「あの…私達はなんで呼ばれたのでしょうか…?」

 

カンカンカン‼️

 

「あぁ⁉️聞こえねぇよ‼️もっと声を張り上げろ‼️」

 

「あのー‼️私達は!!なんで呼ばれたんです‼️かー‼️」

 

「んなもん儂が知りてぇよ‼️抑止力が何か言ってやがると思ったらこんな辺鄙な所に流されるし、既に住む場所用意してやがったしで訳が分からん‼️仕事も『来た奴に合った武器を作れ。必要と思えば稽古をつけてやれ。』だぁ?阿保。儂ァ野武士経験や依り代の剣技は持ってても只の刀鍛冶だつってんだろ!!」

 

んー物凄い鬱憤の溜まり様。

 

「だがなぁ…」

 

「?」

 

「これでも外道働き以外の仕事を請け負うのが儂の流儀ってヤツだ。…おい嬢ちゃん。そこにある刀を適当に握れ。別に振っても構わねぇぞ。合った大きさの刀を造る。そのつぎは握ったヤツで庭に出ろ。」

 

と言って不敵な笑みを見せた。

 

なんというか…根は優しいおじいちゃん、という感じだ。この人なら…

 

「はい!」

 

「其処の剣持たねぇ方の嬢ちゃん!お前さん、職業だったか?はなんだ?」

 

「ふぇ!?ち、治癒師です…」

 

香織は呼ばれると思わず怯んでいる。

 

「お前さんはこの嬢ちゃんの訓練中の治癒を頼む。」

 

「は、はい…」

 

「まぁ、」

 

パン、とそのおじいちゃん(青年)は

 

「まずは腹ごしらえだ!腹が減っては戦は出来ぬ、ってな。」

 

そして無駄に美味しく洗練された和食を食べ、香織が彼の料理の弟子になり…(因みに米を持ち込んだのは秘密にしてくれということで…皆には悪いけど…)

 

「せあっ‼️」

 

「フッ…!!」

 

キンッ‼️カンッ‼️ と金属音が響く。

地獄の訓練が始まった。

 

ただこの場では流儀もなく、生きる為に打ち合う。

 

相手は二刀流。一太刀流せば、もう一太刀も流さねばならない。

 

 

そして最後には…

 

カランカラン…と刀が落ちる。

 

「負けました…」

 

「ま、仕方ねぇな。寧ろ良く戦ったぞ。儂も何回もヒヤッとしたぜ。…まぁ来れるときは何時でも来い。其まではお前さんの剣を鍛えておくぜ。」

 

「はい‼️ありがとうございます‼️」

 

「そっちの治癒師の嬢ちゃんもな。週一程度で教えてやる。」

 

と笑顔で送り出してくれた。ジークに合う女になれるように、八重樫雫、頑張ります‼️

 

…誰に言ってるのかしら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本当にすいません…このあとの展開を考えたり、寝込んだり、プリヤ観に行ったりで…

本当にすんません…


あとアンケートをお願いします。モーさんとかもずっと考えた結果、何とか行けるんですがやや賛否両論の展開になりそうなので…

これからもよろしくお願いいたします…


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幕間英霊紀 公よ、何を見る

本編纏まらんのなんででしょうね?


ここは王城。そこでは今、訓練を行う者による剣戟が響く。

 

「ハアァッ!」

 

かたや勇者である光輝、鋭い一閃が入る、が、

 

「シッ…!」

 

もう片方は雫、最早絶技に至る剣閃は、勇者の剣技を軽々とカウンターして見せた。

 

「敗けだ。流石だな、雫。そういえば…」

 

と、そこにパチパチ、と手を叩きながら近づいてきた男が…

 

「ご苦労様です。お見事ですね。…私の訓練()受けているだけあって、目覚ましい成長ですね。技術だけでは負けてしまいそうです。私も精進しなければ、ですね。」

 

と微笑を浮かべながらシロウ・コトミネが現れる。いつもより饒舌なのは、光輝に雫の技術がバレることのめんどくささ故か、この先にあることへのめんどくささの表れか。

 

「既に連絡があったと思われますが、帝国からのお客様です。……あと、ちょっとした辺境公国からも、来てます。」

 

「「へ?」」

 

「あれ?ご存じ無い?実はこの王国、ほんの一部だけ独立してる(・・・・・)んです。」

 

(まぁ、正確に言えば私が独立させたんですけどね…)

 

い☆き☆さ☆つ

 

「取り敢えず神に対して注意は引けるだろうが、さすがに私にばかり気を向けるほどあちらも物好きじゃないでしょう。となれば…」

 

ふと右を見ると、便利な便利な魔方陣があったそうな。

 

「……よし。しかし次は誰を召喚するかという問題だが…」

 

セミラミス →召喚したいのは山々だが、既にタイミングは考えているから今じゃない。

 

カルナ →こちらも既に予定は入れている、というか切り札はここで見せれない。

 

モードレッド →………うーん

 

スパルタクス →さすがにこの戦いにおいては悪手だろうか。無論注意は引けるだろうが。となれば…

 

 

 

「………彼、か」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「では、手筈通りお願いします。」

 

「ほう、()に命じるか?」

 

「いえいえ、これはお願いですよ。それに条件は良いものでしょう?この部分だけ旧ワラキア領の顕現、貴方に付与した黒鍵等の全聖具の耐性(・・・・・・・・・)、それだけでなく、領地外での耐久強化付与、領地内では今まで通りかそれ以上。貴方は今、文字通り最強ですよ?」

 

「………ふん。乗ってやる。ただし…」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「で、今ここに…か」

 

と頭を抱える。

 

「なんかシロウさん、相当お疲れみたいね?」

 

「ええ、全然元気ですよ、ええ。」

 

(空元気…)

 

「と、とにかく移動しましょう!」

 

 

 

そこからは予想(物語)通り進んだが…

 

災厄は少し遅れて来た。カツン、カツン、と靴の音を鳴らし、

 

「ほう。余を前にしてこの体たらく、貶しているのかね?にしても此れが勇者とは、やはりこの国も余の物にしておくべきだったかね?」

 

それは王を感じさせる“威圧”である。誰もが、そして皇帝すらもそれに恐れ戦く中、

 

「お久しぶりですね?竜公、いえ(今は)キュリア・カズィグル公王でしたか?」

 

やはり神父だった。

 

(((ちょ!?)))

 

「ふむ、貴様かエセ神父。あの領土に入る虫もおらんでな、此方から来てやったのだ。」

 

「それはそれは、ご苦労様です。…勇者に関してはまだ戦い慣れていないだけです。もう少しお待ち下さい。」

 

「はっ。つまらん、期待し損だったな。」

 

「何を!?」

 

「落ち着いて光輝!」

 

その反応に公は、

 

「ほう?余に楯突くか?先程まで足を震わせていたのにか?」

 

「それが何だ!俺は勇者だ!」

 

「では…」

 

持っていた槍をコツンと地面で鳴らし、

 

ザザッ!!!

 

光輝と公王、そしてシロウを囲う様に杭が立てられた。

 

「では自称勇者よ、余を倒して見せろ。」

 

それは、一種の死刑宣告でもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アンケート…お願いします…本編はもう少しお待ち下さい…


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11話 ひとつ、上へと

めっちゃ久しぶりの投稿、めっちゃ久しぶりのジーク君。ほんとすまない。


 

「お前は…」

 

普段の状態へと戻ったアタランテ。正気を取り戻したようだ。

 

彼女の視線の先には剣で体を支えている少年の姿。

 

「…アタランテ、俺は、貴女の願いを美しく思う。だから、貴女の夢を、俺なんかでは不安と思うかも知れないが、俺に手伝わせて欲しい。一度は明確な悪となった俺でも、やり直したいんだ。」

 

そう言って彼は手を伸ばす。肩で息をしながら言うことではない。

 

「全く…韋駄天小僧も、お前も、…」

 

そして、彼女はその手をとった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「アタランテ。」

 

「なんだ?ジーク?」

 

「その…すまない…」

 

「む…?なんのことニ ゛ャッ!!」

 

とひとつの拳がアタランテの上に落とされ呻く。

 

 

「何奴!?って、あ…」

 

その彼女の真後ろには…

 

「何を、やっているのだ?アタランテ。」

 

何やら顔をひきつらせたヘラクレスが後ろに立っていた。

 

「いや…これには深い、深い訳があってだな…」

 

そして彼は溜め息を吐き、

 

「お前のその在り方は私も肯定するし、そう言うところを見てあの旅を共にしていた。…まぁ、今回はこの拳骨(筋力A)で許してやる。」

 

「ハハハ…サスガハダイエイユウ…」

 

流石のアタランテも同郷の知人には弱いようだ。

 

「何はともあれ、被害を最小限に抑えられてよかっt…」

 

言葉の途中でジークの足がふらつき、

 

「ジーク!?」

 

「…ふむ、疲れて気を失っただけの様だ……安心しろ。マスター。私が運ぶ。」

 

「よかった~お願いね、ヘラクレス。アタランテも行くよ?」

 

「あ、ああ。」

 

(アルゴノーツ以来だが、案外、この旅も、楽しいものかもな。)

 

アタランテは微笑みながら、彼らに着いて行く。今寝ている彼にまたお礼をしなくては、なんて思いながら。

 

…まぁ彼女にとって頭を抱える事態は少し控えていたりするのだが…これはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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(ここは…)

 

美しいオーロラの景色。色とりどりの星が瞬く美しい空。

 

「気が付いたか。」

 

その声の男は、オーロラの下に佇んでいた。

 

「貴方は…ジークフリートか?」

 

男はそれを首肯し、微笑み、

 

「ああ。元気そうで何よりだ、ジーク。」

 

英雄。百人に聞けば百人そう答えるであろう、勇ましき立ち姿。

 

竜殺しの英雄 ジークフリート

 

奇跡の再会だった。

 

「剣を振るう理由は、願いは見つかったか?」

 

あの時とは違う。

 

「ああ、俺は…」

 

大切なものが増えすぎたかもしれない。けれど、俺は、あの時よりも成長した。心も、体も。あの時は、ただ必死に、”誰かを守るための力を”と答えた。だが、俺はもう決めた。この信念を、通す。

 

「俺は、大切な人たちの為の“正義の味方”になる!それが辛い道だなんて分かりきっている!あなたの望むものにならないかもしれない!それでも、こんな子供じみた願いを持ったとしても、この心臓に、貴方に誓う!”守るための英雄”になってみせる!」

 

「…そう言うと思ったさ。ああ、それでいい。……すまない。お前に、苦労をかけさせてしまうな。」

 

「そんなことは無い。これは、俺の願いだ。俺の誓いだ。最初はただの義務を感じてやっていただけだが…色んな人と触れ合い、話し、笑いあって、今、俺はここにいる。…貴方の恥にならない英雄に、なってみせるさ。」

 

「お前は、俺の誇りだ。…テストも合格だ。この力は余すことなく、お前に渡そう。他の英雄達も力を貸してくれるらしいがな。……正直物凄く面白そうな旅なので時々顔を出しに行くかもしれないが、」

 

英雄は、ちょっとだけ軽口を叩きながらも、次の英雄に手を差し出し、

 

「では、頼んだぞ。神を名乗るものを殺すことになるだろうが、お前ならきっと俺よりも上手くいくさ。…良き旅路を。」

 

そして新たな英雄は、その手を取る。

 

「俺は、もう、迷わない。止まったりなんかしないから。見ていてくれ。たとえ、本質が邪竜だとしても、正義を翳す!…万が一間違えていたら止めてくれるとありがたいが。」

 

「はは、そうするとしよう。あの時、君を助けていて、本当に良かった。……行ってらっしゃい。」

 

 

「ああ、行ってきます!!」

 

美しい空に、邪竜が正義を抱えながら羽ばたく。明日へと、愛しい人たちを、救うために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




感想乞食してます。何でもいいので。よろしくお願いしまぁぁぁす!


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