■■■■■■■ ■■■■■■■■■■ ■■ノ章 (八咫鏡光)
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prologue
序章 まだタイトルが無き物語


どうも、八咫鏡光です!!いつかは投稿したいと思っていたオリジナル小説、その序章を投稿することが出来ました。まだ中盤後半からの部分とか未完成なプロットとかがありますが、出来るだけどんどん投稿していけるように頑張りたいと思います。よろしくお願いします!!


 テレビに映る砂嵐のような空間の中で、無慈悲な電子音と声が聞こえる。僕はその空間の中で、ゆっくりと落下していく。一体、僕は何処へ行くのだろう?

 

《貴方には、心の底から失望しました》

 

《もう、貴方には何も期待しないし、何も望みません》

 

 ああ‥‥‥そうか‥‥‥。そう言われてもしょうがないか‥‥‥。おそらくこれは、何もかも投げ捨てた僕への、■■■からの()()()()()だ。

 

《今更後悔しても遅い。お前は何もかも諦めた。一瞬でもそう望んでしまったのだから》

 

 一体、僕は何を望んでいたのだろうか?僕?ボク?ぼく?あれ‥‥‥?■は誰だっけ?一体■はなんだったっけ?私でも違う‥‥‥はずだ。俺でもなかった‥‥‥はずだ。じゃあ‥‥‥。

 

《もう()()()すら思い出せずにいたとは‥‥‥。哀れ‥‥‥。いや、呆れともいうべきか?それほどお前は自身を磨り減らしたのだ。同情はしないよ?()()()()だと罵倒するだけさ‥‥‥》

 

 ■へ心の底から冷ややかな声を送る声の主。そうとう嫌われるようなことをしたということか‥‥‥。

 

《ああ‥‥‥嘆かわしい。実に嘆かわしいわ。こんなのが、■■■だなんて‥‥‥。改めて心の底から御免被りたいわね》

 

 別の方から、さっきまでとは違う口調の声がする。声色は同じだけど‥‥‥。

 

《君は何かをすることを恐れた。たかが失敗の恐怖に怯え、怠惰を貪りつくした。君は何もしてこなかったんだ‥‥‥。何も‥‥‥ね?》

 

 そうかもしれない。微かに残る記憶から、■はそう思った。これまで、■は()()()()()()()()からずっと何もしてこなかった。ただ■は言いつけを守っただけ。そこからは、ただ流れに任せるだけ自分の時間と人生を費やした。砂嵐の空間の中から聞こえるいくつもの罵詈雑言。ゆっくりと落ちていく。落下していく先で、光を見た。白い光は■がどんどん落ちていくごとに広がっていく。なんだろう?あそこは、どこよりも一際暖かい‥‥‥いや、文字の意味で表すならそれは温かい、っと表すのが正しいか。

 

《どうしたの?なんで、貴方は泣いているの?》

 

 その光の中から声が聞こえた。さっきまでの冷ややかな声とは違う、どこか優しげな声。気づけば■の頬から涙が伝うのを感じた。分からない。一体、どうして泣いているんだろう?罵倒されたことにか?それもそうかもしれない。でも■は何もしてこなかったこと、■の人生を後悔の一文字のまま終わらせてしまったこと、何も出来なかったことに泣いているのだ。出来ることがあったのなら、■にだってあった。家族と、友達と、色んな人と何気ない日常を送りたかった。くだらない会話でも、今日のご飯はなんだろう?とか、明日の天気は晴れるといいね、とか‥‥‥。普段皆がやっていることを■にだってやりたかったんだ。それは、普通の人なら何の変哲もない人生の一部。でも■は、■にとっては、いくら手を伸ばして望んでも出来なかったこと。

 

《そうか‥‥‥。ごめんね‥‥‥》

 

 どうして?どうして貴方が謝るんだ?

 

《貴方は何も覚えていないから分からないと思うけど、うん。でも、いつかは思い出してくれると信じているから》

 

 気づけば■は、さっきとは違う空間にいた。あの光と同じ、どこか温かな白い空間に■は立っていた。

 

《貴方が、今までの人生を()()しているなら‥‥‥。もう一度、一から始めてみない?》

 

「え?それは‥‥‥」

 

 出来ることなのだろうか?でも、今まで出来なかった■にもう一度やり直せることが出来るのだろうか?同じ失敗を繰り返すのではないか?とその不安が頭から離れない。

 

《ダメだよ。それを知っているからこそ、心からやり直そうと強く思わなきゃ。自分の今までの行いを、本当に後悔しているのなら‥‥‥貴方ならきっとやり遂げられるはずだから》

 

「そうか‥‥‥。そうだよね。うん」

 

 ■はそう納得させるように、心臓に握り拳を当てて答えた。あの後悔を知っているから‥‥‥■はやり直したいと願ったんだ。もし、その後悔からやり直せるのなら、■はその後悔に向き合いたい。

 

《良かった‥‥‥。貴方が考え直してくれて‥‥‥》

 

「貴方はどうするの?このまま‥‥‥」

 

《私はもう手遅れだけど、大丈夫。私はずっと貴方を見守っているから》

 

「そうか‥‥‥」

 

 光の粒子が舞い上がるのを目にする。ふと、自分の両手を見た。どうやらその光の粒子は■から出ているようだ。だんだん、指先から足先から■の体が消えていく。

 

《旅立つ準備は出来たようだね。それじゃあいってらっしゃい‥‥‥。後悔のない人生を》

 

「あっ、待って!」

 

 もう首から上までしか残っていない■は、声がするほうへ改めて声をかける。

 

「今まで‥‥‥この言葉をずっと言えないまま、ここに来ちゃったんだ。だから貴方にこの言葉を伝えるよ。()()()()()‥‥‥()()()()()()

 

 ■がそういうと、それはゆっくりと微笑んだ‥‥‥そんな感じがした。

 

《そうだ‥‥‥。これから貴方はこう名乗りなさい。コウ‥‥‥。光と書いてコウ。誰かのための、貴方自身のための光となるために‥‥‥》

 

 これから、■の新たな人生が始まる。それは一体どんな人生になるのだろうか‥‥‥?それはまだ分からない。でも、その後悔に向き合えることが出来たのなら‥‥‥。後悔からやり直せることが出来たのなら‥‥‥。これはまだ名も何もない、そんな人間が様々な人と出会い、様々な後悔と向き合い乗り越え、自分の人生を掴んでいく物語である。




序章、いかがだったでしょうか?
タイトル名はこの通り伏せ字まみれですが、話が進むごとに少しずつ解放されていく感じにしていきます。まだどんな物語か分からない感じだと思いますが、少しでも皆さんが面白いと言っていただけるよう、一生懸命に頑張りますので、最後までよろしくお願いします!!感想や質問を送っていただくと尚嬉しいです。


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序章 awakening
序章 0,5話 ある魔法使いの話


どうも、八咫鏡光と申します。『序章 0,5話 ある魔法使いの話』を投稿しました。まだまだ本編が始めるのは先ですが、これも重要な話なので、ぜひ読んでいただけると嬉しいです!


魔法使い‥‥‥。

 本来は『神秘使い』という名で呼ばれている人たちで、その名の通り普通の人間では実現できない不思議な力を持つ存在。あらゆる世界で、その人達は一般社会に紛れ潜んでいる。彼らは星の大気の中で満ちる()()と呼ばれるものを借り、炎を生み出したり、傷を癒したり出来ることは基本何でも出来る。ただ、その力は内容によってはあらゆる事象を変えたりすることも出来る分、危険性も孕んでいる。その戒めとして()()が使えない人間にみだりに見せるのは禁忌とされている。もし、それを破るものならその違背者を()()()()()()()へ連れていかれるのだという。

 

 *****

 ある朝、目覚めるとキューキューと動物に似た鳴き声が聞こえた。声は家の裏庭だった。まだ肌寒い季節なのに■は急いでサンダルを履いて、その鳴き声がする裏庭へ向かった。

 鳴き声の正体は黄金色の子狐だった。見た感じかなり弱っている状況だった。体は瘦せ細り、ほぼ骨が見えている状態だった。親や兄弟ともはぐれて、ここまで彷徨っていたのだろうか?なんにせよ生きているのなら助けなくては‥‥‥。■は急いで両親の方へこのことを話すが、なかなか聞き入れてもらえなかった。両親は動物が苦手で金魚でも『絶対に飼わない』と強く言われていた。とはいえ■としては、弱っている狐を放置するわけにはいかなかった。 

 

 ”森の中には魔法使いがいる”

 

 ふと、小さい頃よく眠れない時に父がよくその話を聞かされていた。自分が住む小さな町の隣には、大きな森がある。その森に家がぽつんと一軒あって、そこに()()使()()がいるのだと。

 ■はすぐに弱っている子狐を抱えて森に入った。寒さで指先と足のつま先が痛い。それでも、ひたすら森の中を駆けて行った。どれくらい森の中へ入っただろう。途中でやけに開けた所を見つけた。そこに、如何にも崩れそうなボロボロの木の家を見つけた。

 

「もしかして‥‥‥()()使()()さんの家?」

 

 すると、ギィと音を立て扉が開いた。中からはこのボロボロの家に住んでいるとは思わない顔が整った好青年が出てきた。青年は■に気づくと柔らかな笑みを浮かべ、

 

「どうしたんだい?」

 

 ‥‥‥と優しく声をかけてきた。ハッと我に返った■はその青年に事情を話した。

 

「なるほど‥‥‥。その子を君は助けたいんだね?」

「はい」

「なら、お安い御用だ」

「え?」

 

 返ってきた答えはただそれだけだった。普通の人間なら、すぐに病院にでも連れていけ。面倒なものを持ち込むなと両親のように突っぱねられるものかとビクビクしていたが、彼はそれを受諾した。青年は少し深呼吸をするとこちらを振り向き、

 

「今からその子を助ける御呪いをするから、あそこの部屋で待っていなさい」

 

 そういって、■を指さしたほうの部屋へ行くよう指示した。

 

「これからすることは誰にも明かしてはいけないものなんだ。バレてしまったら、()()()()()()()()()()()()()()()()。だから、あそこの部屋で待ってて。僕が合図するまで、決して覗かないように‥‥‥」

 

 ■は黙って頷き、言われた通り部屋で待った。半時間も経たないうちに『終わったよ』という合図がやってきた。部屋を出ると、さっきまでガリガリに痩せていたのが嘘のように、しっかり肉がついて元気になった子狐がいた。キューキューと可愛らしい鳴き声を上げて■のほうへ駆け寄ってくる。

 

「すごい‥‥‥。こんなに早く元気になるなんて」

「言っただろう?お安い御用だ‥‥‥って」

「お兄さん。一体誰なの?」

「う~ん。そうだな‥‥‥」

 

 青年はしばらく考えた後、■に顔を向いてこう答えた。

 

「僕はねぇ‥‥‥。()()使()()なんだ」

 

 噂は本当だったんだ。■は魔法使いに出会えたことが嬉しくて、その後両親や友人にそのことを話してしまった。自分のした事が一体どれほどの重罪であるか、■は知る由もなかった。

 それから、その青年の姿を見ることはなかった。そして、彼が居たという記憶も誰一人残ることは無かった‥‥‥。




『序章 0,5話 ある魔法使いの話』でした。次回こそ第一話が始まります。第一話もお楽しみに(*^-^*)


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