ウルトラマンティガ THE ULTIMATE MAGICIANS (naogran)
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##破天荒な英雄編##
プロローグ「光を受け継ぐもの」


光を受け継ぐもの



遥か昔・とある都に突如現れた闇が多くの魔物を生み出した。

 

しかし、それを駆逐するべく立ち上がった魔法使い達が闇から誕生した魔物達を撃破し、平和を取り戻した。

 

だが、遥か地下の遺跡に幽閉されていた6つの罪深き女神達が解き放たれ、魔法使いの中に眠る闇の心を目覚めさせ、世界を支配しようと進撃を開始させた。何時しか、闇の魔法使いと光の魔法使いの戦争が勃発した。

 

戦争は魔法使い同士の滅亡により終止符が打たれた。罪深き女神達が魔法使いが居ない都を支配した。その内1人の若者が生き延びたが、女神達に服従するしか運命はなかった。だが、その若者が突如現れた神子の手によって光の戦士へ覚醒され、罪深き6つの女神達を封印し、若者は戦士と共に凡ゆる世界を救った。

 

それから戦士は若者と分離し、石像と化し、若者は自らの天寿と自由を死ぬまで全うした。

 

巫女は罪深き女神達の復活を妨げる為、自らを石像と化し、女神達を封印する。

 

それから、約500年の幾年が流れた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠く離れた辺境の森を歩く1人の男が居た。

 

タクト「結構深く入ったな・・・」

 

彼の名はタクト=クリスティ。実は彼は現代世界で飛行機墜落事件に巻き込まれて死亡し、この異世界へ転生した。

 

タクト「旅を始めてから1ヶ月・・・クリッターに旅客機ごと消されて転生してから1ヶ月になるのか・・・それに・・・」

 

ジャケットの内ポケットから、ある物を出した。それは・・・

 

タクト「これは一体何なんだ・・・?」

 

スパークレンスの化石だった。

 

 

 

 

 

 

時は遡り、3日前。

 

タクト『へぇ〜。賑わっているなぁ〜。』

 

彼は、とある国の小さなマーケットに来ていた。

 

タクト『何か珍しい物とかないかな〜?』

 

???『よう!そこの兄ちゃん!』

 

タクト『ん?』

 

ある骨董店の店主がタクトを呼び止めた。

 

店主『兄ちゃん見ない顔だね。旅人さんかい?』

 

タクト『あ、あぁそんな所だ。』

 

店主『そうかそうか。ちょっと見て行かないかい?色んな代物が揃ってるぞ?』

 

タクト『ほうほう。結構歴史的な物が多いなぁ・・・ん?』

 

その中で、スパークレンスの化石に目が止まった。

 

タクト『(あれは・・・?)店主、この品って何処で見付けたんだ?』

 

店主『これか?これはな、3年前に近くの山で見付けたもんでな。でも買う人は誰も居なくてずっとここに並べてるんだ。買ってくれる人が来てくれるまでね。』

 

タクト『(何か不思議な力を感じる。)・・・店主、これ、俺に売ってくれ。』

 

店主『本当かい!?毎度あり!』

 

代金を払い、スパークレンスの化石を買った。因みに金は、今まで盗賊退治の報酬として手に入れた報酬金。

 

店主『また何時でもおいでな〜!』

 

 

 

 

 

 

そして今に至る。

 

タクト「まあ考えるのは後だ。まずはこの森を抜けねえとな。」

 

"ヒュン"

 

タクト「ん?」

 

突然森の右から何かの気配を感じた。

 

タクト「何かあるのか?」

 

右の方へ進んで行く。

 

 

 

 

しばらく進むと。

 

タクト「ん?」

 

???「助けて〜〜!」

 

壁に埋められてる女が。

 

タクト(・・・壁から尻が生えてる・・・)

 

???「ん!?人の気配!そこの人!助けて下さ〜い!」

 

タクト「ま、待ってろ。今抜いてやるから。せーのっ!」

 

強く引っ張って、女を助けた。

 

???「痛たたた・・・」

 

タクト「大丈夫か?」

 

助けた女に手を差し伸べ、女はタクトの手を握って立ち上がった。

 

???「助けてくれてありがとう。私はグレア。あなたは?」

 

タクト「俺はタクト。タクト=クリスティだ。それでグレアとやら。何であの壁に埋められてたんだ?見た所、蝶々みたいな衣装を着ているが・・・」

 

グレア「私ね、蝶々の精霊なの。」

 

タクト「へぇ〜。」

 

グレア「向こうにある石像を目指そうととしたんだけど、実体化の魔法使っちゃって・・・テヘ☆」

 

タクト「随分なうっかり屋さんだな・・・ん?石像?その石像って何だ?」

 

グレア「何でも、大昔から存在する戦士の石像って噂だよ。」

 

タクト「戦士の石像・・・ちょっと俺も見てみたい。興味が湧いた。」

 

グレア「そうなの?なら一緒に行こ?」

 

タクト「あぁ。」

 

2人は戦士の石像を目指して森の奥深くへ行く。

 

 

 

 

 

 

森の奥深く。

 

タクト「まだなのか・・・?」

 

グレア「この辺りにあるって噂なんだけど・・・」

 

???「な、何なのアンタ達!」

 

タクト・グレア「ん?」

 

奥を見ると・・・

 

 

 

 

6人の少女が盗賊達に襲われていた。

 

盗賊A「嬢ちゃん達、ここで何してんだい?」

 

少女A「何って・・・アンタ達に関係あるの?」

 

盗賊A「関係あるさ。嬢ちゃん達も石像に興味あるんだろ?」

 

少女A「盗み聞きとか最低ね・・・」

 

盗賊B「何とでも言え!命が欲しけりゃ俺達に石像を譲ってくれないか?」

 

少女B「何の為にだ?」

 

盗賊C「もしかしたら、その石像は高く金になるらしいぞ。」

 

少女C「お金にするとか・・・卑劣ですね・・・」

 

盗賊D「黙れ!さぁどうする?」

 

少女D「クッ・・・!」

 

タクト「卑劣にも程があるな。」

 

そこにタクトが乱入した。

 

盗賊A「アァ?何だテメェ!」

 

タクト「俺?石像に興味がある者だけど。」

 

盗賊A「ハッ!石像は俺達のモンだ!興味があるって言うなら俺達がぶっ殺してやるよ!」

 

タクト「そうか・・・なら!!」

 

横にある木に勢い良くキックした。すると大量の落ち葉が盗賊達に落ちた。

 

盗賊達「ギャアアアアーーーー!!!」

 

タクト「その落ち葉は濡れてるから、かなり重量があるぞ。アンタ達、ここから逃げるぞ。」

 

少女A「え?あ、うん!」

 

急いでその場から逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

タクト「・・・ここまで来れば大丈夫だろう。」

 

少女D「えっと・・・あなたは?」

 

タクト「そうだ、自己紹介がまだだったな。俺はタクト=クリスティ。ただの歴史好きの風来坊かな?」

 

フェオン「助かったわタクト。私はフェオン。こっちは妹のイザベラ。」

 

イザベラ「ありがとうございます。」

 

エミリー「私はエミリーだ。」

 

ヒナ「ヒナです。」

 

レア「私はレアだ!」

 

アンナ「アンナです。助けてくれてありがとうございます。」

 

グレア「私はグレア!タクトの仲間で精霊だよ!」

 

イザベラ「精霊さん!?可愛い〜!」

 

グレア「え?エヘヘへ。照れちゃうよぉ〜。」

 

タクト「アンタ達、俺と同じく石像を探してるのか?」

 

フェオン「そうなのよ。この辺りのはずなんだけど・・・」

 

ヒナ「ん?」

 

エミリー「どうした?ヒナ。」

 

ヒナ「彼処から気配を感じます!」

 

フェオン「え?」

 

気配がした方を見ると、ピラミッド型の神殿があった。

 

タクト「ピラミッド?いや、神殿か?」

 

フェオン「何かあるかも知れないわね。行ってみよう!」

 

8人はその神殿へ向かう。

 

???(タクト・・・タクト・・・)

 

タクト(え?)

 

彼の頭に、謎の声が聞こえた。

 

 

 

 

神殿前に着いた。

 

フェオン「入口は?」

 

イザベラ「何処にもない・・・」

 

タクト「・・・まさか。」

 

ゆっくりと神殿に触れると、すり抜けた。

 

タクト「!」

 

そのまま神殿へ入って行った。

 

レア「タクト!?」

 

グレア「入っちゃった!?」

 

彼女達も恐る恐る神殿へ入って行った。

 

 

 

 

神殿内。

 

ヒナ「タクトさん?」

 

タクト「・・・」

 

彼はある物を見詰めてる。

 

フェオン「あれって・・・!!」

 

そこにあったのは・・・

 

 

 

 

 

 

ウルトラマンティガの石像だった。

 

 

 

 

 

 

タクト(ウルトラマンティガの石像・・・何でこの世界に・・・!?)

 

エミリー「あれが戦士の石像・・・」

 

ヒナ「エミリーちゃん、遂に見付けましたね!」

 

レア「噂の石像だ!」

 

ティガの石像にタクトが触れると、何かを感じた。

 

タクト(これは・・・)

 

彼が知らない間に、内ポケットに仕舞ってるスパークレンスの化石が微かに光った。

 

盗賊A「ほう?あれが戦士の石像かぁ。」

 

落ち葉に埋もれていた盗賊達が追い付いて来た。

 

フェオン「アンタ達!?」

 

盗賊A「貴様!よくもやってくれたな!!その石像を渡せ!!じゃないとぶっ殺すぞ!!!」

 

タクト「・・・」

 

盗賊B「アアアアアーーー!!!!」

 

突然盗賊の1人が炎に包まれてしまった。

 

盗賊A「な、何だ!!おい!大丈夫か!?」

 

盗賊C「あ、兄貴!あれ!あれ!」

 

そこに現れたのは・・・

 

 

 

 

 

 

ドラゴンの災害級だった。

 

 

 

 

 

 

盗賊A「ド、ドラゴンの災害級だと!?」

 

盗賊D「た、助けてくれーーーーー!!」

 

更に1人の盗賊が、巨大な鳥に捕まれてしまっていた。

 

盗賊A「た、鷹の災害級!?」

 

盗賊D「ウワアアアアアーーーーー!!!!」

 

上空から放り投げられた盗賊が、木の天辺に串刺しにされた。

 

盗賊C「こ・・・この野郎!!!」

 

盗賊A「よくも!!!」

 

ドラゴン『ーーーーーーー!!!!!』

 

災害級が炎を吐き、森を焼き始めた。

 

盗賊達「アアアアアーーー!!!」

 

その炎に盗賊達が巻き込まれ、燃やされた。

 

 

 

 

森があっと言う間に焼き尽くされてしまった。

 

グレア「危機一髪だったね・・・」

 

フェオン「な、何なのよ一体・・・!?」

 

アンナ「災害級が居るなんて・・・!」

 

8人はグレアが張った魔力障壁のお陰で助かった。

 

エミリー「森が・・・」

 

タクト「このままじゃマズい・・・!!」

 

鷹『ーーーーーー!!!』

 

ドラゴン『ーーーーーーー!!!』

 

2つの災害級がティガの石像に向けて猛ダッシュした。

 

タクト「ッ!!止めろーーーー!!!」

 

咄嗟の判断でタクトが災害級ドラゴンの顔に飛び蹴りした。

 

フェオン「タクト!!」

 

鷹『ーーーーーー!!!!』

 

タクト「なっ!?」

 

後ろから鷹の災害級に掴まれた。

 

イザベラ「タクトさん!!」

 

グレア「タクト!!」

 

 

 

 

この森は断崖絶壁の上にあり、タクトは鷹の災害級に掴まれて外へ。

 

鷹『ーーーーーー!!!!』

 

タクト「止めろ!!!」

 

そのまま断崖絶壁へ放り投げられてしまった。

 

タクト「クッ!!このままじゃ!!」

 

???(タクト・・・受け取って・・・)

 

タクト「あの声・・・!?」

 

その時、タクトの身体が眩しい光に包まれた。

 

タクト「これは!?・・・っ!!」

 

ジャケットからスパークレンスの化石を取り出すと、化石から本物のスパークレンスへ変わった。

 

タクト「ティガの石像と共鳴したのか・・・!!」

 

???(スパークレンスの光を開放して・・・)

 

タクト「スパークレンス・・・よし!!」

 

スパークレンスの光を解放させた。すると光となったタクトが急上昇した。

 

 

 

 

フェオン・レア「ヤアアアァァァァ!!!」

 

上では、フェオン達が災害級ドラゴンと戦っていた。だが、ドラゴンが翼を羽ばたかせた。

 

フェオン・イザベラ・エミリー・アンナ「キャアアアアアア!!」

 

レア「おわああああ!!!」

 

吹き飛ばされた3人が壁に激突した。

 

ヒナ「エミリーちゃん!!フェオンさん!!イザベラちゃん!!」

 

グレア「レア!!アンナ!!」

 

そんな中、ティガの額のクリスタルが密かに光っていた。

 

ドラゴン『ーーーーーー。』

 

石像を壊そうとするドラゴンが足を下ろした。だが、ティガの両腕がクロスしてドラゴンの足を防いだ。

 

ドラゴン『ーーーーーー?』

 

そして、次の瞬間・・・

 

 

 

 

 

 

ティガ「タッ!!」

 

 

 

 

 

 

ドラゴン『ーーーーーー!!』

 

両腕で押し上げられたドラゴンがバランスを崩して倒れ、ウルトラマンティガが蘇った。

 

 

 

 

ヒナ「戦士が!戦士が蘇りました!!」

 

エミリー「でも、どうやって!?」

 

 

 

 

断崖絶壁から転落しようとする危機一髪の瞬間、タクトの身体は光となってティガの体内に溢れた。タクトの生命を得る事で、ティガは永き眠りから目覚めたのである。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ジャンプしてドラゴンの頭部にチョップし、そのまま回転して首元にチョップした。怯んでる隙に首元に膝蹴りをした。

 

鷹『ーーーーーーー!!!』

 

後ろから鷹の災害級が迫って来るが、ティガがマルチキックで退けた。

 

ドラゴン『ーーーーーーーー!!!』

 

激怒した災害級ドラゴンが口に炎を集める。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

それを見たティガがドラゴンの口を閉じた。

 

鷹『ーーーーーーー!!』

 

その隙に鷹の災害級が翼を広げて飛翔し、ティガの背中に体当たりした。

 

ティガ「アァッ!!」

 

体当たりされたティガが地面に倒れた。

 

ドラゴン『ーーーーーー!!』

 

災害級ドラゴンが口から火炎放射を吐いた。ティガが火炎放射を側転して避けた。

 

鷹『ーーーーーーー!!!』

 

突進して来る鷹の災害級を受け止めた。災害級ドラゴンがティガの後ろに火炎放射を吐いた。

 

ティガ「ウワアアア!!!」

 

鷹『ーーーーーー!!!』

 

火炎放射を受けたティガが右翼で殴り飛ばした。

 

ティガ「アァッ!!」

 

2対1となる状況。するとティガの額のティガクリスタルが赤く光った。ティガクリスタルの前で両腕をクロスする。

 

ティガ「ーーーーーハァ!!」

 

両腕を下ろすと、ティガがマルチタイプから赤色のパワータイプへタイプチェンジした。

 

ドラゴン『ーーーーーー!!!』

 

鷹『ーーーーーーー!!!』

 

災害級ドラゴンの火炎放射と鷹の災害級の風起こしをウルトラシールドで防いだ。

 

ティガ「タァッ!!」

 

走り出し、災害級ドラゴンの胴体にタックルした。そしてそのまま災害級ドラゴンの首を両腕で掴んで締め上げた。

 

ドラゴン『ーーーーーーー!!!』

 

首を締め上げられた災害級ドラゴンが苦しむ。

 

ティガ「タァッ!!」

 

そのまま災害級ドラゴンの頭部を掴んで背負い投げ。

 

鷹『ーーーーーーー!!!』

 

走って来る鷹の災害級をパワーキックで攻撃しようとしたが、鷹の災害級が飛翔した。

 

ティガ「ッ!!」

 

その隙にドラゴンの災害級が逃げ出した。ティガが追おうとしたが、鷹の災害級が風起こしで怯ませた。

 

ティガ「ウワァッ!!」

 

”ピコン”

 

胸のカラータイマーが赤く点滅し始めた。すると再びティガクリスタルに異変が。今度は紫色に光った。両腕をクロスして、紫色のスカイタイプへタイプチェンジし、高速ジャンプで鷹の災害級の顔面にスカイキック。

 

鷹『ーーーーーーー!!!』

 

スカイキックを受けた鷹の災害級が墜ち、ティガが着地した。

 

鷹『ーーーーー・・・!!!』

 

怯んでる隙に、両腕を胸の前で交差させ、瞬時に左右に伸ばしてから上にあげてエネルギーを集める。

 

ティガ「タァッ!!」

 

右腕を突き出して放つランバルト光弾で、鷹の災害級を撃破した。

 

ティガ「タァッ!!」

 

空の彼方へ飛び去った。

 

 

 

 

フェオン「す・・・凄い・・・!」

 

グレア「これが戦士の力・・・!」

 

イザベラ「あ!お姉ちゃん!タクトさんは!?」

 

フェオン「そうだった!タクト!!」

 

エミリー「返事してくれー!」

 

ヒナ「タクトさーーん!!」

 

レア「タクトーーーー!!」

 

アンナ「何処に居るんですかーーー!!」

 

タクト「・・・っ!」

 

崖からタクトが登って来た。

 

グレア「タクト!!!」

 

フェオン「タクト!!」

 

 

 

 

崖からタクトを引き揚げた。

 

タクト「心配させてすまなかったな。」

 

フェオン「まさかここまで登って来たの?」

 

タクト「あぁ。俺身体能力高いからな。」

 

 

 

 

 

 

その後。

 

フェオン「色々と巻き込んじゃって悪かったね。」

 

タクト「いや、何だかんだで一件落着して良かったよ。」

 

フェオン「ねぇタクト、グレア。もし良かったら一緒に旅しないかしら?」

 

タクト・グレア「え?」

 

フェオン「私達は旅するハンターで、見ての通り女の子だけなんだけど。もしまた危険な事に絡まれたら助けてくれるかなって。」

 

レア「お前達が居ると楽しめそうだし!」

 

タクト「・・・」

 

グレア「良いね!私賛成!タクトは?」

 

タクト「・・・良いぞ。仲間に入れてくれるなんて嬉しいな。」

 

イザベラ「宜しくお願いします。タクトさん。グレアさん。」

 

エミリー「宜しく頼むぞ。2人共。」

 

タクト「此方こそ。」

 

ヒナ「それでは皆さん、タクトさんとグレアさんが仲間に入った事で、旅を続けましょう!」

 

こうして彼等は、長い旅を歩み始めた。

 

タクト(まさか俺が、ティガになれるなんて。)

 

ジャケットの内ポケットに隠してあるスパークレンスを見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして3年後。

 

タクト「・・・・」

 

???「タクト?」

 

タクト「・・・・」

 

???「タクト!」

 

タクト「ん?あぁ、何だシン?」

 

シン「何って、何上の空状態になってんだよ。」

 

タクト「悪い悪い。今までの旅の思い出がフラッシュバックしててな。フェオン達の思い出と。」

 

一緒に居る男は『シン=ウォルフォード』。今タクトはアールスハイド王国に来ている。

 

 

 

 

この街は王城を中心に区画分けされている。王城、貴族や豪商達の区画、平民達の区画と3つに分けてある。マーリン達の家は丁度貴族・豪商と平民達の区画の間辺りにある。

 

 

 

 

シン「それだけ良い思い出だったんだろう。」

 

タクト「まぁな。さて、観光再開するか。」

 

シン「あぁ。」

 

 

 

 

 

 

観光を再開。

 

シン「ん?」

 

タクト「何?」

 

シン「何か行列がある。」

 

ぞろぞろ並んでる行列を発見。

 

タクト「劇場があるな。」

 

シン「あの、これ何の列ですか?」

 

平民「舞台さ!賢者マーリンと導師メリダの物語!」

 

シン「ええ〜〜〜〜〜!?」

 

タクト「ワオ。」

 

シン(ぶ・・・舞台までなってんのかよ・・・!!どんだけリスペクトされてんだ?祖父ちゃんも祖母ちゃんも・・・)

 

 

 

 

観光再開。

 

シン「祖父ちゃんも祖母ちゃんもリスペクトされ過ぎだろ・・・」

 

タクト「流石賢者様と導師様だぜ。お2人の活躍が舞台化されるなんて。」

 

シン「嬉しいのか、嬉しくないのか・・・」

 

タクト「自慢の祖父母持ってるんだぞ?もっと誇らしくしろ。」

 

シン「そう言われてもなぁ〜・・・」

 

マーリンとメリダは、嘗てアールスハイド王国に出現した魔人を討伐した英雄として讃えられている。その孫こそ、そこに居るシン=ウォルフォードである。

 

 

 

 

するとその道中。

 

タクト・シン「ん?」

 

 

 

???「イヤ!!止めて下さい!!」

 

???「あんた達、好い加減にしなさいよ!!」

 

3人の男達に絡まれてる2人の少女を発見した。

 

男A「おぉコワ。そんな怒んなよぉ。一緒に遊ぼうって言ってるだけじゃん。」

 

男B「いい事教えてやっからさぁ。気持ちい〜い事をよ。」

 

 

 

路地で2人の少女が3人のチンピラ達にナンパされていた。

 

シン(おおぉ!この世界にもこんなテンプレな展開が・・・凄ぇ。)

 

タクト(困ったナンパが居るな。)

 

 

 

男C「いいから来いっつってんだよ!!」

 

強引に連れて行こうとする。

 

???「きゃあっ!!誰か!!」

 

 

 

周りは見て見ぬ振りをするばかり。

 

タクト「シンどうする?俺は行くが。」

 

シン「俺も行くよ。困ってる所を助けないとな。」

 

タクト「じゃあ行くか。」

 

2人は少女達の助けに行った。

 

シン「あーーー、そこのお嬢さん方、お困りですか?」

 

タクト「困り事があったら思いっ切り叫んでくれ。」

 

チンピラ達はタクトとシンを睨む。

 

???「はい!!超お困りです!!」

 

シン(どんな返事だよ。)

 

タクト(良い返事だ。)

 

男B「何だぁガキ共!!何か用か!!正義の味方気取りかあぁ!?俺らは何時も魔物狩って此奴らを守ってやってんだ!!正義の味方は寧ろ俺らの方だろ!!」

 

男達「ひゃっはっはっはっはっは!!!」

 

シン「お兄さん達、魔物を狩るのは正義の味方かも知れないけど、女の子まで狩っちゃったら悪人だよ?」

 

タクト「少しは理解しろ。」

 

この言葉を聞いた男達がブチンと切れた。

 

男B「んだとガキゴルァ!!死ねや!!!」

 

殴ろうとしたが。

 

シン(えぇ〜〜〜何これ・・・!!遅!!)

 

殴り掛かろうとする男の腕をシンが掴んで、そのまま地面に叩き落とした。

 

シン(あれ!?受け身取らないの!?タクト、これって死んでないよね?)

 

タクト(かなり筋肉があるから死んでねえだろ。見ろ。腹抱えて痛んでる。)

 

男B「ぐおぉぉぉ・・・!!」

 

シン(なら安心だね。)

 

男A「て・・・てめぇ!!」

 

タクト「ハァッ!」

 

襲って来る男Aの攻撃を避け続ける。

 

男A「この野郎!!調子に乗んじゃねえ!!」

 

激怒して剣を握って斬り掛かる。

 

タクト「よっと。」

 

しかしタクトが回し蹴りで男Aを倒す。

 

男A「いってぇ・・・!!」

 

タクト「これ以上止めろ。」

 

男C「く・・・この野郎!!」

 

ナイフを持ってタクトを刺そうとするが。

 

タクト「ほいっ。」

 

ジャンプして、ナイフの刃の上に着地した。

 

男C「う・・・嘘ーん・・・!?」

 

タクト「あらよっと!」

 

腹キックして倒し、男達を見事に成敗した。

 

タクト「テメェ等、女の子と遊ぶ暇があったら魔物でも狩って来いやゴルァ!!!」

 

男達「ひえええええええ!!!ごめんなさーーーい!!!」

 

恐怖心が舞い上がった男達が一目散に逃げ出した。

 

タクト「あ〜終わった終わった。」

 

シン「ミッシェルさんの修行に比べれば、遊びみてーなレベルだな。)大丈夫?怪我してない?」

 

???「あ、はい平気です!あなた達こそ大丈夫!?」

 

タクト「何が?」

 

???「だって彼奴ら、剣まで抜いて・・・しかもナイフの刃の上に乗るなんて・・・」

 

シン「(へー、結構可愛い子だったんだ・・・)平気だよ。」

 

タクト「俺の結構軽量だから。」

 

???「え、結構鋭いと思ったんですけど・・・」

 

シン「・・・・・っ!!」

 

するとシンに雷が落ちた。何故なら・・・

 

 

 

 

 

 

可憐な青髪の少女に見惚れてしまったからだった。

 

 

 

 

 

 

???「どうかしましたか?」

 

シン(か・・・可愛過ぎる・・・!!)

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

グレア:高橋李依
フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希

男:増岡大介

盗賊:佐久間元輝
   田所陽向
   橘龍丸




次回予告

入学試験日。シンは圧倒的な力の差により、首席で入学する事となった。楽しい学院生活にあの男が押し寄せた。

次回ウルトラマンティガ

常識破りの新入生

お楽しみに


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第1話「常識破りの新入生」

常識破りの新入生



3人のチンピラ達を退治、2人の少女を助けたタクトとシン。

 

???「どうかしましたか?」

 

シン「え!?ああいや、何でもないよ!」

 

???「ビックリしたぁ・・・急に黙るから何かあったかと思ったよ。」

 

シン(ヤベェ・・・完全に見惚れてた・・・)

 

タクト「じゃあここではあれなんだし、何処か移動する?」

 

???「近くにカフェあるよ。」

 

タクトとシンは、2人の少女と一緒に近くのカフェへ向かった。

 

 

 

 

 

 

近くにある大通りカフェ。

 

???「改めてお礼を言うね。助けてくれてありがとう!」

 

???「あ、ありがとうございました。」

 

シン「構わないよ、大した相手でもなかったし。」

 

タクト「そうそう。気にすんなよ。」

 

マリア「あ、そう言えば自己紹介もまだね。私はマリア。こっちはシシリー。」

 

シシリー「あ、シシリーです。」

 

マリア=フォン=メッシーナとシシリー=フォン=クロード。

 

シン「俺はシンって言うんだ。」

 

タクト「タクトだ。宜しくな。」

 

マリア「もぉ魔法さえ使えたら、あんな連中簡単にやっつけられたのに!」

 

シシリー「ダメだよマリア。街中で攻撃魔法を使うのは禁止されてるんだよ?」

 

シン「所で、マリアは魔法を使うみたいだけど、高等魔法学院の生徒なのか?」

 

マリア「来月の入試に合格出来ればね。シシリーも一緒に。」

 

シン「へぇ!2人も入試受けるんだ!」

 

タクト「凄え偶然!」

 

マリア「も?」

 

シン「うん。俺とタクトも受けるからね。」

 

マリア「嘘!?あれだけ体術使えるのに魔法使い!?」

 

シシリー「てっきり騎士養成学校の生徒さんかと思ってました・・・」

 

タクト「あんまり好みじゃないな。彼処は。」

 

シン「試験に受かったら同じ学院生だね。お互い頑張ろう。」

 

マリア「私、主席目指してるからね。負けないわよ?」

 

シン「はは、まあ俺はボチボチやるよ。」

 

マリア「何よ、張り合いないわね。」

 

2人は握手を交わす。シシリーにも。

 

シシリー「あ、えっと・・・あの・・・」

 

シン(いけね、初対面でいきなり握手とか、馴れ馴れしかったかな?)

 

マリア「どうしたのシシリー?具合でも悪いの?」

 

シシリー「え!?ううん何でもないよ!!が・・・頑張りましょう!!」

 

恥ずかしがりながら握手する。

 

タクト「俺も頑張るからな。」

 

マリア「ええ。」

 

シシリー「よ、宜しくお願いします。」

 

2人も握手を交わした。

 

マリア「そう言えばシンとタクトって何処の中等学院?同い年の割に見た事ないけど。」

 

シン「ああ、実は俺、今日王都に来たばかりなんだ。」

 

タクト「俺も。色々旅をして来たからな。」

 

マリア「へー、そうなんだ。あ!王都に来たと言えば知ってる!?賢者様と導師様も王都にお戻りになられたらしいわよ!」

 

シン「あ、ああ・・・聞いた事、あるかな・・・」

 

マリア「何よあなた!興味ないの!?稀代の魔法使い、勇猛果敢なマーリン様!!魔道具を操り、苛烈に魔物を狩る美しき導師メリダ様!!この国・・・いえ、この世界に生きている限り最高の憧れ生ける伝説よ!?」

 

シン(うおお・・・ヤバイ、悶死しそう・・・)

 

タクト(オタク特有の早口・・・)

 

シシリー「あの、大丈夫ですか?」

 

マリア「何よ、変な反応して。」

 

シン「あ、いや・・・」

 

タクト「気にするな。マリアは賢者様と導師様の熱烈なファンなんだな。」

 

マリア「当然でしょ!!賢者様と導師様、その御二人の御孫さんが今度、魔法学院の入試受けるらしいのよ!!」

 

シン(ギクッ!?)

 

タクト(おっと!?)

 

マリア「ああ、どんな方なのかしら!?その方と同い年であった幸運に感謝したいわ!!」

 

シン(マジか・・・そんな話まで広がってんのか・・・)

 

タクト「じ、じゃあそろそろお暇するか。シン行くぞ。」

 

シン「お、おう・・・」

 

伝票を持って会計へ向かう。

 

マリア「あ!私達の分は払うわよ!」

 

シン「気にしないで。今日は格好付けさせて。」

 

タクト「2人共じゃあな。」

 

 

 

 

その後2人と別れた。

 

シン(あのシシリーって子、可愛かったな・・・)

 

タクト(凄えなマリア、御二人のファンだったとは・・・)

 

シン「あ、しまった!連絡先聞いてねえ!!今更戻るのも格好悪いし・・・こうなりゃ魔法学院で再会出来る事を祈ろう!」

 

タクト「また会えるさ。分からんけど。」

 

 

 

 

 

 

同じ頃シシリーとマリアは。

 

マリア「何て言うか、格好良い奴らだったねえ。」

 

シシリー「うん・・・」

 

マリア「顔も良いし、強いし、魔法も使えるみたいだし、おまけに押し付けがましくないし。」

 

シシリー「うん・・・」

 

マリア「去り際も格好良かったね?」

 

シシリー「うん・・・」

 

マリア「ねえ、チュウして良い?」

 

シシリー「うん・・・」

 

するとマリアにピーンと来た。

 

マリア「ねえ、タクトは私が貰っても良い?」

 

シシリー「うん・・・」

 

マリア「じゃあ、シンも私が貰っても良い?」

 

シシリー「う・・・え・・・あ・・・ダメ!!はっ・・・!」

 

マリア「くっくっく。」

 

シシリー「も・・・もう!!マリアったら!」

 

マリア「あっはっはっ!いやゴメン!シシリーのそんな様子初めて見たからさぁ!で?何?まさか助けられて一目惚れとか、ベタな展開じゃないわよね?」

 

シシリー「そ・・・そんなんじゃ・・・ない・・・と思う・・・けど・・・」

 

マリア「え?ちょ、ちょっと本当に?」

 

シシリー「分かんないよ・・・でも・・・あの・・・彼、シン君の顔見てると、凄く緊張しちゃうと言うか・・・胸が・・・ドキドキするって言うか・・・か、体が・・・熱くなるって言うか・・・」

 

マリア(ちょっとちょっと、マジですか・・・)

 

心の中で唖然としてしまったマリアだった。

 

 

 

 

 

 

お屋敷に戻ったタクトとシン。

 

スティーブ「お帰りなさいませシン様、タクト様。」

 

執事長のスティーブが迎えてくれた。

 

シン「ただいまスティーブさん。」

 

イザベラ「あ!タクトさんおかえりなさい!」

 

タクト「ただいまイザベラ。皆は?」

 

イザベラ「部屋に居ますよ。」

 

タクト「後で行くわ。」

 

スティーブ「高等魔法学院よりこれが。」

 

2枚の封筒を2人に手渡す。

 

シン「何これ?」

 

スティーブ「入学試験受験票ですね。」

 

タクト「お、遂に来たか。」

 

イザベラ「学院、楽しそうですね。」

 

タクト「入学したら色々話してやるよ。」

 

シン(マリアの話からすると、英雄の孫って事で既に注目されてそうだし、目立ちたくはないけど、爺ちゃんやディスおじさんの顔に泥を塗る訳にもいかない。よし、試験は全力でやるか。)

 

タクト(いよいよ試験か・・・魔法は、大丈夫だろう。俺の超能力で。)

 

 

 

 

 

 

入学試験当日。

 

タクト「準備完了っと。」

 

メリダ「忘れ物はないかい?」

 

導師メリダ=ボーウェン。英雄の1人で、シンの祖母。

 

フェオン「もう1度確認して。」

 

シン「筆記具あるし、受験票も、そして市民証!ようやく手に入った!」

 

タクト「これで準備万端だな。」

 

フェオン「オーケー!」

 

メリダ「それは個人の魔力パターンを認識して、本人以外には起動出来ないものだからね。色々便利な機能も付いてるし、大事に扱うんだよ。」

 

タクト「分かってるよ。よし行くか。」

 

シン「ああ。」

 

フェオン「行ってらっしゃい!」

 

 

 

 

 

 

アールスハイド・高等魔法学院。

 

シン「凄い人数だな・・・これ全部受験生か?」

 

タクト「まぁそれだけこの高校が人気があって、歴史がある証拠だな。会場を探すぞ。」

 

シン「そうだな。合格すれば、またあのシシリーって子に会えるよな。」

 

タクト「合格出来た前提で言うなよ。」

 

 

 

ここアールスハイド王国には、王国が運営する特別な学院、三大高等学院が存在する。

 

 

 

『高等魔法学院』

魔法使いを育成し輩出する

 

『騎士養成士官学院』

卒業後はそのまま軍隊に入隊する

 

『高等経法学院』

将来の官僚や商会の幹部を育成する

 

 

 

この三大高等学院に入学出来るのは、中等学院で大きな成績を収めた学院生だけが入試を合格し、入学を許される。タクトとシンは、国王ディセウム=フォン=アールスハイドの交渉により、入試を許されている。それに合格すれば、晴れて高等魔法学院の生徒となる。

 

 

 

 

掲示板を見る。

 

シン「よし、試験は全力でやろう!」

 

タクト「まずは会場探しだな。」

 

シン「うーんと・・・会場は・・・」

 

タクト「何処だ何処だ〜?」

 

その後ろから、1人の受験生が。

 

???「おい貴様ら、そこを退け。」

 

シン「お、あったあった!タクト、あったよ。」

 

タクト「あった?」

 

だがこの2人はその受験生の命令を聞く気無し。

 

???「おい!聞こえないのか!」

 

タクト「えっと・・・この廊下を通った所の教室だな。」

 

シン「じゃあ早速行くか。」

 

???「この無礼者が!!」

 

後ろから肩を掴まれたシンが、自分の肩を掴んだ受験生の腕を捻る。

 

???「ぐあっ!!貴様何をする!!離せ!!」

 

シン「さっきから何なの?いきなり人の肩を掴んでさ。」

 

タクト「退かなかった俺らも悪いが、それが初対面の人に挨拶する態度か?」

 

この2人は、この受験生の命令を聞いていたのだった。

 

カート「貴様ら!!俺はカート=フォン=リッツバーグだぞ!!」

 

シン「はい。俺はシンです。」

 

タクト「俺タクト。」

 

受験生「ぷっ。」

 

後ろの4人の受験生が2人の素っ気無い自己紹介に笑う。タクトがその受験生達に軽く手を振って、受験生達もタクトに軽く手を振る。

 

カート「っ・・・!!俺はリッツバーグ伯爵家の嫡男だぞ!!」

 

シン「へぇ〜、そうなんだ。」

 

タクト「ほうほう。」

 

カート「俺に逆らって、只で済むと思ってるのか!?」

 

シン「あ。(ひょっとしてさっきから・・・)」

 

タクト(厳禁な言葉を使ってやがる。)

 

シン「ええと、カート君だっけ?学院で貴族が権力を振り翳す事は厳禁じゃなかったっけ?」

 

タクト「それは、この国に対する叛逆行為じゃねえの?」

 

カート「たかが魔法学院の教師なんぞに、この俺を裁ける訳ないだろうが!!」

 

タクト「それって、自分が正しいと思ってるのか?」

 

カート「ああそうだ!!」

 

 

 

 

???「そこまでだ!!」

 

 

 

 

1人の人物が割り込んだ。

 

???「学院において権力を振り翳し、他人に害する事は優秀な魔法使いの芽を刈り取る行為であり、これを破った者は厳罰に処する。学院の校則ではなく、王家の定めた法であったはずだ。」

 

カート「あ・・・あなたは・・・!!」

 

???「それともまさか、先程の発言は王家に対する叛意か?」

 

カート「い・・・いえ!!決してそんな事は!!」

 

タクト・シン(どちら様?)

 

???「ならばこれ以上騒ぐな。ここは入学試験会場だ。皆の心を乱す様な事をするな。」

 

カート「は・・・はっ!」

 

彼はタクトとシンを強く睨みながら会場へ向かった。

 

???「フフッ、さっきの自己紹介を返したのは傑作だったな。聞いた通りの世間知らずの様だ。」

 

シン「え?」

 

タクト「ってか、あんたは?」

 

???「そうだ、自己紹介がまだだったな。私の名はアウグスト=フォン=アールスハイドだ。親しい者はオーグと呼んでいる。シン、君の事は父上から色々聞いているよ。」

 

タクト「アールスハイドって事は・・・」

 

シン「もしかして、ディスおじさんの息子!?」

 

その言葉で、周囲の受験生達がどよめいた。

 

アウグスト「フフフッ、ディスおじさんの息子かぁ。そんな風に言われたのは初めてだな。そして君はタクト=クリスティだな?君も父上から話を聞いているよ。」

 

タクト「あ、そうなの。」

 

アウグスト「しかし、私が王子だと知ると、途端に媚び諂ってくる奴らばかりなのだが。」

 

シン「だって、おじさんの事ずっと親戚だと思ってたからさぁ、おじさんの息子って言われても従兄弟?って感じしか。」

 

アウグスト「ん?くっくっくっ・・・あははははははは!」

 

タクト「何だ突然笑い出して?」

 

アウグスト「そうかそうか、従兄弟か。」

 

シン「何か喜んで貰えたようで何よりだよ。」

 

アウグスト「それじゃあ、お互い頑張ろうではないか。」

 

タクト「あんたから何かユニークな雰囲気出てるな。」

 

アウグスト「そうか?これが普通だが。」

 

タクト「そうか。」

 

 

 

 

 

 

遠くからシシリーとマリアが。

 

マリア「何でシンとタクトがアウグスト殿下と親しげに話してんの?」

 

シシリー「シン君とタクト君って、何者なのかな・・・」

 

マリア「それより、問題はアイツの方だね。まさかこの学院に来てるとは・・・」

 

彼女はカートを密かに睨んでる。

 

シシリー「・・・・・」

 

マリア「いい?もしアイツに何かされたらすぐに言うんだよ?」

 

シシリー「うん・・・」

 

マリア「そうだ!シンに相談してみたら良いじゃん!!」

 

シシリー「え・・・ええ!シン君に!?」

 

マリア「きっと力になってくれるよ!!」

 

シシリー「でも・・・絶対迷惑だよ・・・」

 

マリア「大丈夫だって。シンは困った女の子を見捨てるような奴じゃない。寧ろ進んで守ってくれるんじゃない?」

 

シシリー「でも何か・・・シン君の優しさに付け込むみたいで・・・」

 

マリア「付け込んだって良いのよ。聞いてシシリー。確かにシンは良い奴だけど・・・私はアンタの方が大事なの。」

 

シシリー「マリア・・・」

 

マリア「それに一緒に居れば、仲が進展するかも知れないし〜。」

 

顔がかーっと赤くなったシシリー。

 

シシリー「も〜〜マリア!!」

 

 

 

 

シン「へくしっ!」

 

タクト「ん?」

 

 

 

 

 

 

試験は筆記と実技に分けて行われる。

 

筆記試験会場では、受験生達が問題を解いてる。そんな中タクトとシンは余裕で解いてる。

 

 

 

実技試験は、学院の室内練習場で、それぞれが魔法を披露する形式である。

 

試験官「次の6人中へ!!」

 

シンとタクトを含んだ6人の受験生が入った。

 

試験官「では1人ずつ自分の得意な魔法を見せて貰います。目標は設置してあるあの的!破壊出来れば良し!出来なくても練度が基準に達していれば良し!では1人目!」

 

受験生A「はい!」

 

シン(おお・・・初めて見る同世代の魔法だ!!一体どんな・・・!!)

 

タクト(受験生達の魔法。これは見ものだな。)

 

受験生A「全てを焼き尽くす炎よ!!」

 

シン(はい!?)

 

タクト(ほえ!?)

 

受験生A「この手に集いて敵を撃て!!ファイヤーボール!!」

 

ファイヤーボールが的に命中。

 

シン(うおおおおお!!!恥ずかしい!!何今の!?何か昔想像した通りの展開じゃねーか!!詠唱!!いるかあれ!?ファイヤーボールって!!せめて名前捻れよ!!これはマズイ・・・あの威力でドヤ顔してるし・・・周りも「おお」とか言ってるし・・・これは全力出したら絶対マズイ事になる・・・!!)

 

タクト(あの子達って、中二病か?)

 

試験官「はい、宜しい。では次!」

 

タクト(あれで良いんだ。)

 

受験生B「荒れ狂う水流よ!集い踊りて押し流せ!ウォーターシュート!」

 

シン(何だよあれ・・・詠唱って・・・あんなんなのぉぉぉ!?)

 

タクト(聞いてらんねぇ・・・)

 

受験生C「風よ踊れ!風よ舞え!全てを凪ぎ払う一陣の風を起こせ!ウインドストーム!」

 

シン(派手な割に効果がしょぼいよ!!)

 

タクト(ギャップの激しい魔法だ・・・)

 

受験生D「母なる大地よ力を貸して!敵を撃ち払う礫となれ!アースブラスト!」

 

シン(何処の厨二病発表会だよ・・・聞いてられない・・・)

 

タクト(聞いてるだけで腹が痛え・・・)

 

試験官「君の番ですよ。」

 

タクト「あ、俺か。」

 

次はタクトの出番。

 

タクト(えっと・・・此奴を使うか。)

 

右手にエネルギーを集める。

 

受験生A「え・・・詠唱無しで!?」

 

タクト「ハァッ!!」

 

右手を前に突き出してハンドスラッシュを放った。ハンドスラッシュが的のど真ん中に命中した。

 

タクト「こんな程度か。」

 

試験官「(先程の魔法は、陛下の仰った通りね・・・)では、次は君の番ですよ。」

 

シン「あ、はい。」

 

やっとシンの出番。

 

試験官「む?そうですか、君が陛下の言っていた・・・君は力をセーブして放つ様に。くれぐれも練習場まで破壊しない様。」

 

シン(ディスおじさん・・・一体どんな説明を・・・的の強度はまあそこそこって所か・・・だったら、あれで良いか。)

 

右手から炎の玉を出した。全員が驚いた。

 

受験生A「おい・・・彼も今詠唱なしで!?」

 

タクト「行け行け。」

 

ファイヤーボールを放って的に直撃すると、練習場が揺れ、全ての的が焼き尽くされた。

 

試験官「ち・・・力をセーブしろと言ったはずですが・・・」

 

シン「え?先生が練習場を破壊するなって言うから、相当抑えて撃ちましたけど。」

 

試験官「(それであの威力・・・!!)そ、そうですか・・・試験はこれで終了です。皆さん、お疲れ様でした。」

 

シン(良かったぁ、怒られずぬ済んだ・・・あれでもやり過ぎ・・・?)

 

タクト(もうちょい手加減しろよおい・・・)

 

 

 

 

 

 

夜の高等魔法学院の会議室。

 

教員A「そんなに凄かったのか?賢者の孫は。」

 

試験官「本人が軽く撃ったつもりの魔法で練習場が壊れるかと思いました。的は残らずチリになってましたが。」

 

教員A「そ、そんなに・・・?」

 

試験官「しかも無詠唱で撃ち出すまでも一瞬です。」

 

校長「なあ・・・それワシらが教える事あるのか?寧ろワシらが教わりたいんだが・・・」

 

試験官「同意です。元々人付き合いを覚える為に入学させると陛下がおっしゃってましたから。研究室を作ってそこに人を集め、人付き合いを教えれば良いのでは?」

 

教員B「そりゃ良いな。研究室なら教師も自然に出入り出来るし。」

 

試験官「所で、入試順位はどうなったんですか?」

 

教員C「採点中ですが、彼はほぼ満点だった様です。」

 

教員B「となるとこれは・・・」

 

教員C「ええ、今年の入試主席は決まりですね。」

 

 

 

 

 

 

数日後、合格発表の日。

 

シン「お。」

 

ディセウム「久し振りだな、シン君。タクト君。」

 

国王のディセウムとアウグストが豪邸に来た。

 

タクト「陛下にオーグ。」

 

マーリン「よく来たの。2人共。」

 

賢者マーリン=ウォルフォード。偉大なる英雄の1人で、シンの祖父。

 

シン「久し振り、ディスおじさん。」

 

アウグスト「お初にお目にかかります、賢者マーリン様。今日はこの日に英雄様にお会い出来た事を心より感謝致します。」

 

マーリン「ほっほっ。」

 

シン(おお、感動してる・・・)

 

タクト(流石のオーグも賢者様に見惚れてるな・・・)

 

レア「お!新しい客人か?」

 

アウグスト「ん?シン。彼女達は?」

 

タクト「俺の仲間達だ。3年前から一緒だ。」

 

アンナ「初めまして。」

 

タクト「ってかレア。初対面の人に馴れ馴れしく接するな。彼は王子だぞ?」

 

レア「ま、マジか!?」

 

アウグスト「そんなに怖がる必要はない。私はアウグスト=フォン=アールスハイド。気軽にオーグと呼んでくれ。」

 

エミリー「気さくなお方だな。」

 

アウグスト「では行くかシン、タクト。」

 

シン「あれ?護衛とかは居ないの?オーグ。」

 

アウグスト「お前以上の護衛がこの世に居るなら紹介してくれ。」

 

タクト「見付かったら紹介するぞ。」

 

アウグスト「楽しみにしてるぞ。」

 

タクト「じゃあ皆、行って来る。」

 

グレア「行ってらっしゃ〜い!」

 

シン「・・・いやいや!何で2人が付いて来てんの!?」

 

何故か付いて来るマーリンとディセウム。

 

マーリン「そりゃ、シンとタクト君の結果が気になるし・・・」

 

シン「爺ちゃん来たら学院パニックになるよ!!」

 

ディセウム「そうか、ならば私だけでも・・・」

 

アウグスト「父上、同じ事になります。」

 

タクト「お2人方はフェオン達と留守番を宜しく。」

 

しょんぼりしながら留守番する事になってしまった。

 

 

 

 

 

 

街中。タクトとシンとアウグストは串焼きを食べ歩きする。

 

アウグスト「父上はマーリン殿の御自宅へ何度かお邪魔していた様だな。」

 

シン「そりゃもうちょくちょく来てたよ。」

 

タクト「もう完全に家族ぐるみみたいにな。」

 

アウグスト「公務で忙しい身だぞ。」

 

タクト「まぁ国王だしな。」

 

シン「グチ聞いて欲しかったんだって。」

 

アウグスト「はぁ・・・父上・・・」

 

シン「お互い苦労してるみたいだね。」

 

タクト「陛下も面白い一面あるな。」

 

シン「でも、オーグとタクトに会えて良かったよ。同世代の知り合い誰も居なくてさ。」

 

タクト「俺も。」

 

アウグスト「実は私もだ。」

 

シン「・・・」

 

アウグスト「・・・似た者同士だな。」

 

 

 

 

 

 

高等魔法学院・合格発表。

 

シン「あ、あった!」

 

アウグスト「私もあったぞ。」

 

タクト「俺もあるぞ。」

 

3人はハイタッチを交わした。

 

 

 

 

受付「合格した人はこちらに並んで下さーい!」

 

合格者が並び、制服と教科書を貰う。

 

シン「お願いします。」

 

受付「はい、受験票を確認します。・・・あら?あなたがシン=ウォルフォード君ね。教科書と制服。制服は市民証のデータを参考にしてるからサイズは合ってるはずだけど、色々防御魔法が付与されてるから、合わないからと言って自分では直さないで下さいね。」

 

シン「ウチの婆ちゃんに頼むのは?」

 

受付「メリダ様ですか?なら全く問題無いですね。」

 

シン(じゃあ俺でも大丈夫だな。よし、魔改造してやろう。)

 

タクト(あ、此奴何か企んでるな?)

 

受付「ウォルフォード君とクリスティ君とアウグスト殿下は共に『Sクラス』となります。それと、ウォルフォード君は入試主席ですので、入学式で新入生代表の挨拶をお願いしますね。」

 

シン「・・・は!!??新入生代表挨拶!?」

 

受付「はい!」

 

シン「いやいやいやあの・・・新入生にはオーグ・・・アウグスト殿下が居るんですよ?どう考えても挨拶は殿下でしょう・・・?」

 

アウグスト「おいおい、何を言ってるんだ入試主席君!アールスハイド高等魔法学院において主席の代表挨拶は最早伝統!謂わば完全実力主義の象徴だぞ!私のワガママ1つで、それなりに覆るはずがなかろう!」

 

ニヤニヤしながらシンに激励を送る。

 

シン(此奴・・・絶対性格悪いし面白がってやがる・・・!!)

 

タクト「頑張れよ。シン入生代表。新入生だけに。」

 

シン「おい!変な洒落言うんじゃねえよ!」

 

アウグスト「面白い洒落だったぞタクト。」

 

タクト「いやいやどうもどうも。」

 

漫才師みたいなノリ。

 

シン「お前らな・・・!」

 

アウグスト「精精頑張って、挨拶を考えてくれたまえ。」

 

タクト「当日まで期待してるぜ。」

 

シン「お前なぁ!!(マジかぁ・・・そう言やシシリー達も見当たらないし・・・急に凹んできた・・・)」

 

 

 

 

 

 

マリア「あーあ、主席はダメだったかぁ。チッ、シンの奴。」

 

シシリー「凄いよねシン君。体術も魔法も凄いなんて。」

 

マリア「シンに声掛けなくて良いの?」

 

シシリー「あ、うん・・・何話して良いのか分かんないし・・・」

 

マリア「いや、試験合格って絶好の話題があるじゃない。」

 

シシリー「・・・・そうだった!何してたんだろう私・・・・」

 

マリア「何やってんのかねえ。」

 

シシリー「はぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

一方シンは、タクトとアウグストと一緒に帰って来た。

 

シン「はぁ・・・」

 

溜め息しながら。

 

マーリン「何じゃその溜め息・・・ま、まさか落ちたのか!?」

 

タクト「いや、シンは主席で合格。それプラス新入生代表として挨拶しろってさ。」

 

マーリン「ほう主席か!よく頑張ったのうシン!」

 

メリダ「私らが教えたんだから当然さね。でも、よくやったよ。」

 

ディセウム「にしても、挨拶1つでそこまで落ち込まんでも・・・」

 

シン「いや・・・知り合いも試験受けてたはずなんだけど・・・見当たらなくてさ・・・」

 

タクト「女。」

 

アウグスト「女か。」

 

ディセウム「女だな。」

 

シン(此奴ら・・・!!)

 

マーリン「ほっほ、王都に来て色々経験しとるのう。結構結構。」

 

メリダ「シン、その娘はちゃんとウチに連れて来るんだよ。私が見定めてあげるから。」

 

シン「はぁ・・・(シシリー・・・受かってると良いけど・・・)」

 

 

 

 

 

 

その夜、リッツバーグ家のカートの部屋では。

 

カート「俺がAクラス・・・!?Sではなく・・・Aだと・・・!?そんなバカな・・・!!その上俺に恥を掻かせた彼奴らが・・・主席と第2位だと・・・!?巫山戯るな・・・!!何かの不正を働いたに違いないんだ・・・!!学院の教師もグルなんだ・・・!!でなければ俺が・・・こんな・・・許せない・・・!!許せない・・・許せない・・・ユルセナイ・・・!!!!」

 

部屋が荒らされており、黒いオーラが漂っている。

 

 

 

 

 

 

同じ頃ウォルフォード邸のシンの部屋では。

 

シン「えーと・・・制服に付与されてる魔法は、『魔法防御』、『衝撃緩和』、『防汚』。中々上級の魔道具だな。だが書き換える!」

 

”コンコン”

 

メリダ『入るよシン。』

 

シン「婆ちゃん。」

 

部屋にメリダが入って来た。

 

メリダ「上手く行きそうかい?」

 

シン「うん、丁度今から書き換える所。」

 

 

 

 

書き換え開始。まずは付与されてる魔法を浮かばせる。

 

シン「お次はっと。」

 

鉛筆型の魔道具で、制服に付与してある魔法効果を無効にする。この鉛筆型の魔道具は、消しゴムが魔法効果を無効にし、鉛筆の芯が魔法効果を有効に付与する物である。

 

メリダ(全く、とんでもない子だね。魔力を通して浮かび上がる元々付与されていた文字を、魔力を無効化する魔道具によって、剥がした上で再び新たな魔法を付与する。そんな発想が出来るのが、そもそもアンタ位だよ。)

 

シン(この制服の場合、付与可能文字数は最大で20文字・・・新たなに付与するのは・・・『絶対魔法防御』、『物理衝撃完全吸収』、『防汚』、『自動治癒』、問題は此奴だ。『絶対魔法防御』。全ての魔法を防ぐ事が前提だが、火と水じゃ防御方法も違ってくる。付与する文字にイメージが追い付かなきゃ魔法は発動しない。何かないか・・・全てを防ぐ具体的なイメージは・・・!!)

 

 

 

 

しばらくして。防汚、自動治癒、絶対魔法防御、物理衝撃完全吸収、この4つを付与された最強の制服が完成した。

 

シン「出来たーーーー!!あ〜〜〜すっげー集中した〜〜〜!!」

 

メリダ「(この時点でシンの制服の価値は既に・・・)シン。」

 

シン「ん?」

 

メリダ「制服の事、絶対に人に言うんじゃないよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝。いよいよ入学式当日。

 

スティーブ「マーリン様、メリダ様、シン様、タクト様、王宮から馬車の迎えが来ております。出立の御準備は宜しいですか?」

 

シン「準備は出来てるけど・・・コレ、こんな感じで良いのかな?」

 

タクト「緊張するなぁ。」

 

メリダ「バッチリだよ。よく似合ってるじゃないか。」

 

ヒナ「そうですよ。今日からお2人は学生なんですから。」

 

高等魔法学院の制服を身に纏った2人は、マーリンとメリダと一緒に馬車に乗り学院へ。

 

 

 

 

 

 

学院前に到着。

 

御者「学院に到着致しました。」

 

マーリン「さて行くかの。」

 

馬車から降りた瞬間。

 

男性「おい、あれ・・・国から勲一等と共に送られるマントだぞ・・・!」

 

女性「2人共それを羽織ってるって事は・・・あれは・・・まさか・・・!!」

 

「賢者様ーーーーー!!」

「マーリン様ーーー!!」

「導師メリダ様ーー!!」

 

マーリン「ぬあっ!またか!」

 

シン「あっ!?ちょっ!まっ!」

 

タクト「ギャー!!」

 

2人は群衆から放り出されてしまった。

 

教師「マーリン様!メリダ様!入学式場まで御案内致します!ウォルフォード君とクリスティ君は集合場所に・・・あれ?居ない?」

 

マーリン「スマンのう、シンとタクト君の晴れ舞台なのにこんな騒ぎになって・・・おや?シンとタクト君は?」

 

メリダ「ええい、離れな!!」

 

シン「ほっといて行こう・・・」

 

タクト「2人で頑張れ〜・・・」

 

 

 

 

 

 

2人が集合場所に到着。

 

シン「はぁ・・・」

 

タクト「熱烈なファンが多過ぎるぜあのお2人方・・・まぁ英雄だし、そこはしゃあない。」

 

アウグスト「やあシン、タクト。緊張してないか?」

 

タクト「ようオーグ。」

 

シン「いや・・・まあ大丈夫だけど・・・」

 

アウグスト「今日は生徒以外にも国王である父上やこの国の貴族・重鎮が勢揃いしてるが、何も緊張しないで良いんだぞ?」

 

シン「いや・・・だから・・・」

 

アウグスト「主席君はさぞ素晴らしい挨拶をするんだろうな。楽しみだ。」

 

シン「テメェ!!喧嘩売ってんのか!!」

 

アウグスト「ははは、おいおい何の事だ?」

 

シン「主席取られたのは実は根に持ってんだろ!!」

 

タクト「賑やかな2人だな。」

 

教師「コラ!もうすぐ式だろ、何騒いでる!整列しろ!」

 

シン「この野郎・・・初日から怒られたじゃねえか・・・!」

 

アウグスト「くくく、まあそう言うな。お陰で緊張が解れただろう?」

 

シン「え?(オーグ・・・俺の為にわざと・・・?)ありが・・・」

 

アウグスト「まあ偶然だけどな。」

 

シン「てめーなあ!」

 

タクト「おいおいシン、落ち着けよ。」

 

???「あ・・・あの・・・シン君、お、お久し振りです。」

 

シン「ん?」

 

そこに、シシリーとマリアが来た。

 

シン「シシリー!君も合格したんだね!後マリアも!」

 

マリア「序でみたいに言うな!」

 

タクト「いやぁ、2人が合格発表の時に見当たらなかったから、ずっと心配してたんだぞ。シンが。」

 

マリア「え?そうなの?」

 

シン「まぁそんな所だ。それより2人共ここに並んでるって事は・・・」

 

マリア「そ!私達もSクラスよ。主席さん。」

 

シシリー「はい。一緒のクラスです。」

 

アウグスト「シン、お前が捜していた女性とは彼女の事か?」

 

シン「ギクッ!!」

 

アウグスト「おや?確か君達は・・・」

 

マリア「ご無沙汰しておりますアウグスト殿下。メッシーナ伯爵家のマリアでございます。」

 

シシリー「クロード子爵家のシシリーでございます。」

 

タクト「初耳だな。2人が貴族とは。」

 

シン「シシリーは兎も角マリアも!?」

 

マリア「何それどう言う意味!?」

 

シシリー「くすくす。」

 

シン「何で言ってくれなかったのさ?」

 

マリア「だって貴族の娘なんて言ったら、急に態度が変わる人が多いんだもん。」

 

シン「ふーん・・・そんなもん?俺は別に・・・」

 

アウグスト「お前が特殊なだけだ。2人共、此奴には権威とか世間の常識とか通用しないから気軽に接して良いぞ。」

 

シシリー・マリア「?」

 

教師「静かにしろ!入場だぞ!」

 

タクト「そろそろ行くぞ。」

 

マリア(それはそうと・・・例の賢者様のお孫さんは何処に・・・!?)

 

 

 

 

 

 

入学式が始まった。新入生が入場し、席に座る。

 

 

 

そして校長の挨拶と、在校生代表の挨拶が続き、そして。

 

試験官「それでは、続きまして新入生代表挨拶です。今年度、入学試験主席合格者、シン=ウォルフォード君。」

 

シン「はい!」

 

すると周囲がざわついた。

 

「ウォルフォード・・・!?」

「と言う事は・・・彼が・・・賢者マーリン様の・・・!?」

 

この話を耳にしたシシリーとマリアが驚いた。

 

マリア「え!?え!?どゆ事!?まさかシンが・・・!?」

 

シシリー「・・・!?」

 

アウグスト「何だ、聞いてなかったのか2人共。彼奴が例の英雄の孫だよ。」

 

タクト「賢者マーリン様のお孫さんだ。」

 

そんな中カートは、シンを強く睨んでいる。

 

 

 

 

壇上に立つシン。そして挨拶が始まった。

 

シン『ご紹介に与りました新入生代表、シン=ウォルフォードです。今日この良き日に皆様に見守られ、このアールスハイド高等魔法学院に入学出来た事を大変嬉しく思います。私は幼い頃より、祖父母や知人から様々な事を学んで参りました。しかし共に暮らす祖父が森の奥に隠居していた為、私は世間を知らずに育ってしまいました。そんな折、とある方に言われたんです。『学院に入って常識を学んで来い』と。王都に来てから私の環境は劇的に変わりました。既に何人かの友人も出来ました。私にとって人との出会いこそ、大切で重要な事です。ですので皆さん!世間知らずだからと言って、仲間外れにはしないで下さいね?そんな事されると泣いてしまうかも知れません。そして保護者及び御来賓の皆様そして在校生・教師の皆様何卒、3年間御指導御鞭撻の程宜しくお願い致します。新入生代表、シン=ウォルフォード。』

 

挨拶が終わり、拍手喝采が起こった。

 

 

 

 

席に戻るシン。

 

アウグスト「くっくっくっ、あっはっはっはっ!」

 

シン「何だよ、何笑ってんの?」

 

アウグスト「くく・・・だってお前、代表挨拶に冗談を交えるなんて前代未聞だぞ?他の挨拶見てなかったのか?」

 

シン「え!?そうなの!?」

 

シシリー「あまり聞いた事ないですね・・・」

 

マリア「あまりって言うか、私は初めて聞いたわ!」

 

タクト「良いジョークだったぜ。」

 

シン(マジか〜〜〜またやっちまった!?確かに前世じゃ挨拶はユーモアを交えた方が良いって聞いたから・・・)

 

マリア「でも生徒にはウケてたし、良かったと思うよ。」

 

シン「え?」

 

タクト「俺にとっては良かったぜ。」

 

マリア「それより!何で自分がマーリン様とメリダ様の孫だって教えてくれなかったの!?」

 

シン「ああゴメン・・・入学早々目立つのもどうかと思って・・・」

 

マリア「・・・ま、言われてみれば納得だったけどさ。」

 

 

 

次は国王ディセウムの挨拶。

 

ディセウム『今年は英雄の孫と言う規格外が紛れ込んでいる。同級生達は彼から色々と学ぶと良い。きっと皆の固定観念を吹き飛ばしてくれる事だろう。』

 

シン「国のトップも冗談ブッ込んできたけど・・・」

 

アウグスト「流石父上。早速取り込むとは。」

 

タクト「本当、陛下も面白いお方だな。」

 

ディセウム『皆が大きく成長してくれる事を切に願っている。』

 

 

 

こうして入学式が終わり、生徒達が退場する。

 

シン「やっと入学式終わった〜・・・」

 

タクト「次は教室へ移動だな。Sクラスどんな感じかな〜?どんな生徒が居るのかな〜?楽しみだ。」

 

シン「っ!」

 

タクト「っ?」

 

誰かの気配を感じた。その気配の正体はカートだった。彼は2人をギロリと睨んでいる。

 

タクト「カートか?」

 

シン「タクト、カート君のあの表情って・・・」

 

タクト「あぁ、多分・・・」

 

シン「まさか俺が挨拶で冗談なんか言ったから怒ってるんじゃ・・・!?」

 

タクト「そっち!?いやいやいや、俺から見たら不気味なオーラを醸し出してやがる。しかし、彼奴に何があったんだ?」

 

シン「・・・後で彼に尋ねてみる?」

 

タクト「大変そうだけど、そうしてみるか。」

 

 

 

 

 

 

この学院のクラスは学年毎にS・A・B・Cの4つに分かれており、A〜Cは30人。Sクラスのみ11人の少人数クラスで、入試上位11人がそのままSクラスに入れる。

 

教師「ここがお前達Sクラスの教室だ。」

 

この11人がクラスメートになる。

 

 

 

 

『入試順位』

 

主席

シン=ウォルフォード

 

第2位

タクト=クリスティ

 

第3位

アウグスト=フォン=アールスハイド

 

第4位

マリア=フォン=メッシーナ

 

第5位

シシリー=フォン=クロード

 

第6位

アリス=コーナー

 

第7位

トール=フォン=フレーゲル

 

第8位

リン=ヒューズ

 

第9位

ユーリ=カールトン

 

第10位

トニー=フレイド

 

第11位

ユリウス=フォン=リッテンハイム

 

 

 

 

Sクラス教室。

 

アルフレッド「入学おめでとう。Sクラス担任のアルフレッド=マーカスだ。元魔法師団所属だ。宜しくな。今日は授業はないから、学院を見て回るなり他の生徒と交流するなり好きにしろ。明日の午前中は学院案内、午後からは実技講習に入る。では解散!」

 

タクトとシンは、資料や教科書等を異空間収納に収めた。

 

マリア「シン、タクト、ちょっと良い?」

 

タクト「どうした?」

 

マリア「シシリーの事で相談があるの。」

 

シン「何か困り事?」

 

マリア「うん。」

 

 

 

 

廊下で困ってる事を2人に話す。

 

マリア「実は・・・シシリーに付き纏ってる男が居るの。」

 

シン「なっ!」

 

タクト「何だと?何時からだ?」

 

マリア「シンとタクトに初めて会った後位からかな・・・シシリーは何度も断ってるのに、そいつ、実家の権力を笠に着て脅しまで掛けて来てるの。」

 

シン(シシリーを脅すだと・・・!?許せん!!)

 

タクト「権力を振り翳してか。」

 

マリア「えぇ。でもシシリーが自分の思い通りにならないのが相当頭にキテるらしくて・・・そろそろ無茶な手段に出て来そうなのよ。」

 

タクト「最低な野郎だな。それで、そのストーカー男は何処に居るんだ?」

 

マリア「その男って言うのが・・・この学院に居るの。」

 

タクト「何だと?新入生か。」

 

シシリー「ごめんねシン君、タクト君・・・こんな話聞かせて・・・」

 

シン「何言ってんだ。寧ろ知らせてくれて良かったよ!」

 

タクト「それに、困ってる人を見過ごすなんて俺達には出来ねえよ。なぁ?」

 

シン「そうそう。」

 

シシリー「(やっぱり・・・シン君がそう言うと・・・)ごめんなさい・・・」

 

シン「ん?」

 

タクト「権力を笠に着てシシリーを脅す・・・あ!シシリー、マリア、俺そいつの名前知ってるぞ。」

 

シシリー「え?」

 

マリア「本当に?」

 

タクト「ああ。そいつの名前は・・・本人から聞こうか。」

 

マリア「え?」

 

後ろからある人物が。

 

 

 

 

 

 

カート「おいシシリー!!貴様、俺の婚約者でありながら他の男と話すとは何事だ!!!」

 

 

 

 

 

 

ストーカー男の正体は、カートだった。

 

シン「カート!?」

 

タクト「やはりな・・・カート=フォン=リッツバーグ。」

 

マリア「シン、タクト、彼奴よ!彼奴がずっと付き纏って、勝手に自分の婚約者だって言い触らしてるの!」

 

怯えるシシリーがシンの後ろに隠れる。カートがカッとした。

 

カート「こっちに来い!!」

 

シシリーを無理矢理連れて行こうとしたが、シンに腕を掴まれた。

 

カート「グアッ!!」

 

シン「懲りねえなお前も!」

 

タクト「自分が何をしてるのか分かってるのか?」

 

カート「無礼者めが・・・!!いいか!!そこの女は俺の婚約者だ!!貴様なんぞに話をする権利はない!!引っ込んでろ!!」

 

シシリー「っ・・・!!」

 

タクト「それって、親公認か?」

 

カート「何だと!?」

 

タクト「シシリーがお前の婚約者なら、お前がシシリーの両親に会ってるはずだろ?なぁ?」

 

マリア「そうよ!」

 

カート「黙れ!!!貴様らが口答えする権利は無いと言ったはずだ!!!」

 

タクト「はぁ・・・」

 

聞く耳を持たないカートに対して溜め息した。

 

シン「あんな事言ってるけど、どうなの?」

 

震えるシシリーに対し、シンが彼女の肩に手を置いて落ち着かせる。

 

シン「大丈夫だよ。何かあっても、俺が守ってやる。だから、思った事を言ってみな。」

 

シシリー「シン君・・・」

 

だがどうすれば良いか分からないシシリーに、今度はタクトが。

 

タクト「シシリー、正直に言うんだ。彼奴に恥を掻かせてやれ。」

 

シシリー「タクト君・・・」

 

深呼吸して、勇気を出してカートに刃向かう。

 

シシリー「あなたからの求婚をお断りしました!付き纏われるのも!!勝手に婚約者と言われるのは迷惑です!!」

 

シン(震える位怖かったのに・・・よく言ったぞシシリー。)

 

カート「貴様・・・この俺に逆らうと言うのか!!」

 

シシリー「逆らいます!!私はあなたの言いなりになるつもりはありません!!」

 

逆らったシシリーの両肩をガッと掴んだカート。

 

カート「何様のつもりだ・・・!!貴様ら女は男の傍で愛嬌でも振り撒いてりゃいいんだ!!!!しかもこの俺の傍に侍らせてやろうと言うのに!!巫山戯るなバカ女が!!!!」

 

タクト「ッ!!」

 

激怒したタクトがカートをシシリーから離した。

 

カート「っ!?」

 

タクト「お前!そんな事を言って自分の思い通りになれると思ってんじゃねえぞ!お前がシシリーの婚約者になったんなら、素直に婚約者の言う事に従えば良いだろ!」

 

カート「ぐぎぎ・・・貴様ら・・・・!!!く・・・くくく・・・そんな事言って良いのか?」

 

タクト「何だと?」

 

カート「シシリー、貴様の父親は財務局の管理官だったな?」

 

シシリー「っ!」

 

カート「俺の父は財務局の事務次官だ!!俺が父に一言掛ければ・・・くく・・・どうなると思う?」

 

シシリー「っ!!」

 

シン(此奴・・・何処まで!!)

 

怒りが頂点に達したが、タクトがカートの胸元を掴んだ。

 

カート「ま、まだ何か言いたいのか・・・?くくく・・・何度言っても無駄だぞ!!だったらお前の行為も父に告げ口してやるよ!!そうすれば貴様はこの国から永久追放だ!!はははははは!!!」

 

余裕で笑うカートだが、タクトがカートに打撃を与える言葉を発した。

 

タクト「それって、()()()()()()()じゃねえのか?」

 

カート「っ!?何だと・・・!!!」

 

彼を後ろに突き飛ばす。

 

カート「があっ!!」

 

静かに怒りを燃やすタクトが、カートに打撃を与える。

 

タクト「権力の笠と親で彼女を物にしようなんて、現実はお前が思ってる程甘くねえんだよ。それに、財務局のリッツバーグ事務次官と言えば、公明正大で不正や圧力などを最も嫌う堅物の人物として有名。お前の我が儘など聞く気無いと見えるがな。」

 

カート「ぐっ・・・!!」

 

タクト「お前も貴族なら貴族らしく正々堂々とちゃんとした生活しやがれ。自分の親と権力に過信するなんて、それじゃあただのじゃじゃ馬にしか過ぎねえんだよ。テメェなんかより、シンとシシリーとマリア達の方がこの国の常識を持ってんだよ。」

 

シシリー「タクト君・・・」

 

シン・マリア「タクト・・・」

 

カート「き・・・貴様・・・!!!」

 

タクト「さて、ここで白黒付けるか。シシリー。」

 

シシリー「・・・?」

 

タクト「もし付き合うとしたら、俺とカート。どっちが良い?勿論正直に言ってくれ。」

 

カート「それは勿論俺だよなぁ!?」

 

シシリー「私は・・・タクト君が良いです!」

 

カート「なっ・・・!?」

 

タクト「よし、正直に言ってくれた。」

 

正直に言ったシシリーを笑顔で撫でる。

 

シシリー「っ・・・」

 

カート「シシリー・・・貴様・・・!!!」

 

タクト「どうだ?これでお前の婚約者は無くなったぞ。」

 

カート「黙れ・・・黙れ・・・!!」

 

タクト「カート、これ以上俺達に関わるな。そうしないと、自分がどうなるか分かってるのか?」

 

カート「黙れ!!何が自分が弱いだ・・・!!俺はお前より強いんだよ!!!!」

 

タクト「今まで魔人や魔物を討伐し続けた俺より強いのか?」

 

カート「嘘を吐くな!!!貴様のそんな嘘など信じるものか!!!」

 

タクト「だったら、俺を殴ってみろよ。」

 

シシリー「っ・・・!?」

 

シン「おいタクト!?」

 

タクト「さぁ来い。全力で本気で殴ってみろ。」

 

カート「良いだろう・・・後悔しても知らねえぞおおおおお!!!!!」

 

拳でタクトの顔を本気で殴った。

 

シシリー「っ!」

 

シン「っ!」

 

マリア「っ!」

 

カート「どうだ・・・これで懲りたか!?」

 

タクト「・・・そんな程度か?」

 

カート「っ!?」

 

タクト「お前のパンチはそんな程度か?」

 

拳を払う。

 

タクト「お前のパンチは、魔人や魔物に比べたら精々蚊に刺されたレベルだ。」

 

カート「何だと・・・・!!!」

 

タクト「お前少しは筋トレしたらどうだ?そんなパンチじゃ例えシシリーでも守れねえぞ?このリッツバーグ家の恥晒しが。」

 

カート「貴様・・・!!俺を侮辱するなあああああああ!!!!!」

 

拳でタクトをもう1度殴ろうとしたその時。

 

 

 

 

アウグスト「いい加減にしろ!!」

 

 

 

 

丁度そこにアウグストが仲裁に入った。

 

アウグスト「カート=フォン=リッツバーグ。」

 

カート「ア・・・アウグスト殿下・・・!!」

 

アウグスト「先日の私の言葉を忘れたか?」

 

カート「そ、それは・・・!!」

 

アウグスト「しかも、親の圧力を振り翳す事は言語道断、王国貴族にあるまじき行為だ。この事は父上を通して財務局長に伝えておく。万が一にも可笑しな行動を取らんようにな。」

 

カート「そ・・・そんな・・・!!」

 

アウグスト「異論は認めん。もう行け。」

 

カート「くっ・・・分かりました・・・!!」

 

怒りを我慢しながら去って行った。

 

シシリー「ありがとうございました殿下!」

 

タクト「助かったぜオーグ。」

 

アウグスト「何。お前達がどうするか先程から見ていたんだがな。妙な方向に話が進みそうだったから介入させて貰っただけだ。シン、お前がキレたらどうなるか見てみたかったがな。」

 

シン「さっさと入って来いよ!!」

 

右手でアウグストの頭をグリグリする。

 

アウグスト「まあ怒るな。お前が居ればクロード達に危険は無いと確信していたからこそだ。『大丈夫、何かあっても俺が守ってやる。』だろ?」

 

シン「っ!?」

 

アウグスト「格好良かったじゃないか。なあクロード?」

 

シシリー「えぅっ!?・・・あ・・・その・・・・・・・・・か・・・・・格好良かった・・・です・・・・」

 

アウグスト「だそうだ。良かったなシン!」

 

シン(あぁもう、可愛いなチクショウ!!)

 

またまたシシリーに見惚れてしまったシンであった。

 

タクト「ふぅ・・・」

 

制服の襟を直してる。

 

アウグスト「タクト、お前の行動は流石だな。リッツバーグを彼処まで追い詰めるとは。」

 

タクト「いや、俺は彼奴に当たり前な事を言っただけだ。学院内で権力と親を振り翳すのを見て怒りが爆発したからな。けどオーグが来て助かった。流石殿下だな。」

 

アウグスト「おいおい、お前も私を使って権力を振り翳すよ?」

 

タクト「分かってるよ。けどもし彼奴がまた絡んで来たら頼めるか?」

 

アウグスト「そうだな。その時になったら私に言ってくれ。」

 

タクト「ありがとう。」

 

シシリー「あの、タクト君・・・」

 

タクト「ん?」

 

シシリー「さっきは、ありがとうございました・・・その・・・頬のお怪我は・・・」

 

心配しながらタクトの顔を触る。タクトは笑顔でシシリーの手を離す。

 

タクト「良いって事よ。あんな奴がまた来たら俺達がお前を守ってやるからさ。俺が、君の光になってやるからな。」

 

シシリー「私の光・・・?」

 

タクト「ああ。俺が君の光だ。」

 

シシリー「?」

 

タクト「あ、それともし付き合うならシンがピッタリだぞ?」

 

シン・シシリー「え!?」

 

マリア「これでもう彼奴シシリーを諦めたと思う?」

 

シン「いや、あの様子だとまだ気は抜かない方が良いと思うよ。」

 

タクト「あのまま彼奴が大人しくなるなんて考え難い。恨みを抱えたまま、また来るかもな。」

 

マリア「やっぱり?」

 

シン「その事で俺、ちょっと思い付いた事があるんだけど、皆この後、ウチ来ない?」

 

マリア「え!?」

 

シシリー(シン君の家って言ったら・・・)

マリア(シンの家って言ったら・・・)

 

シン「もし用事があるなら・・・」

 

シシリー・マリア「行く!!すぐ行く!!絶対行く!!」

 

シン(・・・よっぽど爺ちゃん達に会いたいんだな・・・)

 

アウグスト「では私も行くか。どうせ父上もシンの家へ行くだろうしな。」

 

タクト「決まりだな。」

 

???「ならば、自分達も御一緒します。」

 

トールとユリウスが来た。

 

シン(確か2人共、同じSクラスの・・・)

 

アウグスト「トール。ユリウス。」

 

シン「ん?知り合い?」

 

アウグスト「ああ。2人共私の護衛だ。」

 

トール「殿下の身に何かあれば大事ですから。」

 

ユリウス「その通り!拙者も伺うで御座る!!」

 

シン(何この人!?武士!?御座る!?)

 

タクト(武士の用語がこの異世界にも!?)

 

マリア「兎に角私達、両親に報告だけして来る!」

 

シン「ああ。騒ぎにならない様に爺ちゃん達来賓室に居るみたいだから、そこで待ってるよ。」

 

 

 

 

 

 

来賓館に行くと、マーリンとメリダとディセウムが待っていた。

 

マーリン「遅かったのう。何かあったかと心配しとったぞ。」

 

ディセウム「全くだ。私は君がまた何かヤラかしたかと・・・」

 

タクト「悪い悪い。」

 

シン「ゴメン爺ちゃん、ディスおじさん、それヒドい。あ、紹介しておくよ。クラスメートのシシリーとマリア。」

 

タクト「そしてトールとユリウスだ。」

 

シン「ちょっとシシリー達も家へ連れて行きたくて。」

 

マリア「っ!?ははは初めまして!!シン君と同じクラスのマママリア=フォン=メッシーナです!!」

 

シシリー「あのその・・・・は、初めまして!!シシリー=フォン=クロードです!!」

 

トール「トールです!」

 

ユリウス「ユリウスで御座る!」

 

タクト「あ、2人にはまだ言ってなかったな。俺シンの家で同居中。」

 

マリア・シシリー「っ!?」

 

ディセウム「フム・・・さてはその青い髪の子がシン君が捜していたと言う・・・」

 

タクト(鋭い。)

 

メリダ「ほう、アンタがそうかい。」

 

シシリー「??!?」

 

緊張するシシリーをじっと見る。

 

シン「だ〜〜〜もういいから!!早く家行こう!早く!!」

 

レア「おいシ〜ン?何たじろいてるんだぁ〜?」

 

後ろからレアが顔を出した。

 

シン「うわああ!?レアお前!!」

 

タクト「シシリー。マリア。紹介しよう。彼女達は俺の仲間だ。」

 

シシリー「は、初めまして!」

 

フェオン「宜しくね。」

 

タクト「それと、フェオンは俺の妻だ。」

 

そう言って左手のマリッジリングを見せた。

 

シシリー・マリア「ええ!?」

 

 

 

 

 

 

帰宅&招待。

 

メリダ「成る程、式の後にそんな事があったのかい。」

 

マーリン「ディセウム、この国の貴族にはまだそんなのが居るのか?」

 

ディセウム「一部選民意思の強い者がまだ居りますが、我が国の貴族の意識改革は順調に進んでいるはずです。それに、財務局のリッツバーグ事務次官と言えば公明正大で有名・・・その息子がそんな事になっているとは信じられません・・・」

 

タクト「じゃあ、カートの身に何かあったと言う事なのか?」

 

ディセウム「フム、それしか考えられない。」

 

タクト「今度徹底的に彼奴を尋問するか。」

 

イザベラ「あの、カートさんって何者なんですか?」

 

タクト「カート=フォン=リッツバーグ。リッツバーグ家の嫡男で、親の権力を使ってシシリーを強引に婚約者にしようとしたんだ。」

 

エミリー「学院で振り翳してるのか?」

 

タクト「ご明察。」

 

シン(そんな立派な父親が息子の勝手な都合を聞き入れるはずないのに・・・何でカート君はあんな事言ったんだ?)

 

アウグスト「まあそれはそれとしてシン、思い付いた事とは何だ?」

 

シン「あ、そうそう。婆ちゃん、俺この間制服の付与書き換えたじゃない?同じものをシシリーの制服にも付与してあげたいんだけど・・・良いかな?カート君の件でまだ不安があるし、彼女の守りを固めておきたいんだ。」

 

シシリー「え?」

 

マリア「付与!?」

 

アウグスト「どう言う事だ!?」

 

シン「凄いよこの記事。20文字も付与出来たし。」

 

タクト「本当に凄いもんだ。」

 

メリダ「そうさねぇ・・・シシリーと言ったね?」

 

シシリー「は、はい!」

 

メリダ「シンの言ってる付与魔法とは、とんでもない代物だ。それにお前さんの制服にも付与しようとしている。この子は本気でアンタを守ろうとしてるって事さ。アンタはその守護を受け取る”資格”があると思うかい?」

 

シシリー「資格・・・」

 

シン「大袈裟だよ婆ちゃん。俺がやりたいだけなんだから・・・」

 

メリダ「お黙り。アンタの制服、今どんな状態か分かっているのかい?」

 

シン「どんな状態って・・・」

 

メリダ「それは既に国宝級の宝具だよ。」

 

全員「国宝級!?」

 

マーリンとメリダとディセウムを除いた全員が驚いた。

 

タクト「国宝級・・・」

 

フェオン「そ・・・そんなに・・・?」

 

メリダ「この子がまたハッチャけてとんでもない効果を付与しちまったのさ。価値にしたら、一体幾らの値が付くか分からない。そんな処理をこの子はアンタの制服に施そうとしてる。それを受け入れる資格は、覚悟はあるのかい?」

 

シシリー「・・・・・」

 

 

 

『大丈夫だよ。何かあっても、俺が守ってやる。』

 

 

 

シシリー(シン君・・・)

 

あの言葉を思い出して、勇気を出してメリダに言う。

 

シシリー「私・・・には・・・その資格は・・・ありません。」

 

メリダ「ん?どう言う事だい?」

 

突然シシリーが涙を流し始めた。

 

シン「シシリー!?」

 

タクト「っ!?」

 

シシリー「私は・・・シン君の優しさに付け込みました・・・シン君に私の事情を話せば・・・私に同情してくれる・・・助けてくれる・・・そう期待して、私の事情を話しました・・・」

 

マリア「違うの!!これは元々私が・・・!!」

 

シシリー「マリアは悪くない!聞いて貰うと決めたのは私だから・・・!!」

 

メリダ「まあ、この子は強いからね。頼りになるのも分からんでもないさね。」

 

シシリー「でも・・・!!でも・・・シン君には関係ないのに・・・やっぱり助けてくれて・・・守ってやるって言ってくれた事が嬉しくて・・・期待して・・・全部自分の勝手な都合なのに・・・!!」

 

シン(あの時の言葉は・・・そう言う事か・・・)

 

あの時シシリーが『ごめんなさい』と言った理由を把握した。

 

シシリー「メリダ様!!お孫さんを利用しよとして申し訳ございませんでした!!!この後の事は自分で何とかします!!!」

 

謝罪して、立ち去る。

 

シン「シシリー!!」

 

しかし。

 

メリダ「お待ち!!」

 

後ろからメリダに止められた。

 

メリダ「シシリー、よく正直に話したね。シンを利用しようとしてるのはすぐに分かったよ。もしそのままシンの付与魔法を受けようとしたなら、叩き出してる所さね。」

 

シシリー「・・・うう・・・ひっ・・・うぐっ・・・」

 

メリダ「でもアンタは正直に話した。付与された宝具の価値を知った後にだ。それを手にするチャンスを自分で放棄する事は、誰にも出来る事じゃない。」

 

シシリー「でも・・・でも・・・わた・・・私・・・シン君・・・騙して・・・」

 

泣きじゃくるシシリーの頭をメリダが撫でる。

 

メリダ「女が男を騙して何が悪いんさね。アンタのした事なんざ可愛いもんさ。シンを見てごらん?気付いてもいないよ。寧ろ可愛い女の子に頼られたもんだから張り切ってる位じゃないかい。」

 

シン「悪かったな!!・・・シシリー、俺は騙されたなんて思ってないよ。シシリーを助けようと思ったのは俺の意思だよ。だからさ、俺の意思を否定すんなよ。」

 

シシリー「・・・・」

 

シン「利用してくれて大いに結構だよ!寧ろ事情を聞かされないでシシリーに何かあった方が後悔するわ!」

 

シシリー「シ・・・シン・・・君・・・!」

 

するとメリダがシシリーを優しく抱擁した。

 

メリダ「試す様な事をして悪かったねぇ。シンが付与する防具を渡すには、どうしても確認しなきゃいけなかったから、悪かったね。」

 

シシリー「う・・・うぅ・・・うわああああん!!!」

 

大いに泣いた。

 

 

 

 

その後シシリーが落ち着いた。

 

メリダ「付与については、一切他言無用だからね。」

 

シシリー「は・・・はい!」

 

シン「じゃあ早速付与しようか。シシリー、服とスカートを・・・」

 

シシリー「こ、ここで・・・?」

 

シン「はっ!」

 

タクト「馬鹿!」

 

後ろからタクトにビンタされた。

 

メリダ「おいでシシリー。私の服を貸してあげる。」

 

シシリーを別室へ連れて行く。

 

マーリン「のうシン。」

 

シン「何?爺ちゃん。」

 

マーリン「ワシ、あの子がシンを利用しとるなんて全く気付かなんだわい・・・」

 

シン「何だよ爺ちゃん・・・俺もだよ・・・」

 

マーリン「メリダの奴、よく気が付いたのう・・・」

 

シン「女としての年季なんじゃない?」

 

マーリン「もし事実を打ち明けずに効果を付与しておったら、罪悪感であの子の心は押し潰されていたかも知れんの。」

 

シン「だからさ、そんな大事なの?」

 

タクト「自覚無しめ。」

 

マーリン「それよりもう・・・」

 

シン「何?」

 

マーリン「あの婆さん、ここの権限握っとらんか?ワシ、さっき完全に空気じゃった・・・」

 

イザベラ「私達もですマーリン様・・・」

 

シン「頑張れ!爺ちゃん!」

 

タクト「頑張れ!皆!」

 

タクト、アウグスト、マリア、ディセウム、トール、ユリウス、フェオン達もさっきまで空気だった。

 

 

 

 

 

 

別室。

 

メリダ「それにしても、よく正直に言ったもんだね。だって国宝級だよ?私の若い頃なら絶対黙ってたね。」

 

シシリー「私じゃどうしようもない状況なのは、確かなんですけど・・・それでも黙ってるのは・・・やっぱり苦しくて・・・」

 

メリダ「(成る程ねえ、良い娘じゃないか)所でシシリー。」

 

シシリー「何でしょうか?」

 

メリダ「アンタ、シンの事はどう思ってる?」

 

シシリー「え・・・ええ!?」

 

メリダ「アンタみたいな良い娘に、シンの事を頼みたいんだけどねえ。」

 

シシリー「たたた頼むって!?」

 

メリダ「その様子じゃ、満更でもないんだろ?」

 

シシリー「そ・・・それは・・・その・・・嫌いではないです・・・絶対・・・でも、す・・・好きかって言われると・・・シン君の事は・・・優しいとか・・・なのに・・・強いとか・・・か・・・格好良いとか知りませんし・・・良く分かりません・・・」

 

メリダ「・・・それで十分な気もするけどねえ・・・」

 

シシリー「え?」

 

メリダ「いや何でもないよ。(この娘は何とか確保したいねえ。)」

 

何かを企んでるメリダだった。

 

 

 

 

その後。

 

メリダ「自分の常識外れを知る良い機会だシン。皆の前で付与しな。」

 

シン「はいはい。」

 

付与を開始。複数の文字が浮かび上がった。

 

ディセウム「な・・・何だこれは!?文字が浮かび上がって・・・魔法防御・・・衝撃緩和・・・まさか・・・制服に付与された文字・・・!?」

 

ユリウス「この様な光景を初めて見るで御座るな・・・」

 

更に杖を使って、不要の付与魔法を消す。

 

シシリー「文字が・・・消えていく・・・!」

 

マリア「まさか・・・付与魔法を削除してんの!?」

 

メリダ「はぁ・・・何回見ても非常識な光景さね・・・」

 

マーリン「ほっほっ。誰も考え付かん事を平気でやりよる。成長したのう。」

 

メリダ「アンタがそんなんだからシンはぁ!!」

 

怒ってマーリンの首を絞め上げる。

 

タクト「まあまあお2人共。」

 

シン「・・・じゃあ新しい魔法を付与していくよ。」

 

そしてシシリーの制服に魔法を付与した。

 

ユリウス「同じ付与を・・・続けて3つ別々の物に・・・!?」

 

トール「普通は1つでも大変なのに・・・」

 

ディセウム「見慣れん字だが・・・どんな効果を付与してるんだい?」

 

シン「絶対魔法防御、物理衝撃完全吸収、自動治癒、防汚・・・の4つ。」

 

アウグスト「何やら不穏な単語が聞こえたな。」

 

ディセウム「絶対・・・魔法防御・・・!?そんな事が可能なのか・・・!?」

 

シン「俺も相当苦労したよ。そのイメージを作り上げるのにね。全ての魔法を防ぐ為に『堅い壁』をイメージしてたんだけど・・・上手くいかなかったんだ。火は防げても、電撃が防げなかったり。・・・っで、発想を転換してみた。服を包むように魔力の障壁を展開させて・・・発動した魔法が、その障壁に触れると魔力が霧散するイメージを付与してみたんだ。」

 

マリア「魔力の霧散・・・!?魔法使いの存在意義に関わる付与ね・・・」

 

シン「衝撃吸収の方は、服に向かって働いている運動エネルギーを消失させるイメージだよ。」

 

ユリウス「ぶ・・・物理攻撃も効かないで御座るか・・・!!」

 

シン「よし!出来た!!」

 

付与完了。

 

アウグスト「もう何でもありだな・・・」

 

ユリウス「そもそも付与の書き換えって・・・」

 

メリダ「本当、常識を疑うわ・・・」

 

シン「あれ?」

 

タクト「引いてるなあの四人衆。」

 

シン「でも、飽く迄これ魔法道具だから、魔力を通さないと発動しないでしょ?だから不意打ちとか防げないんだよね。それに制服以外の所はカバーされないから、手足と頭は無防備なんだよ。」

 

ディセウム「いやしかし・・・それを補って余りある魔法効果・・・メリダ師の仰った事がよく分かった。」

 

アウグスト「しかし父上、これは・・・」

 

ディセウム「分かっている。シン君、その付与は素晴らしい物、いや素晴らし過ぎる。しかし、これが世に出回ったら大変な事になる。絶対に他言していけないよ。」

 

シン「分かってるけど、そこまで念を押す様な事?」

 

ディセウム「そこまでの事なんだよ。もしその付与の事が軍部に伝わったら・・・周辺国に宣戦布告を望む声が上がる可能性が高い!」

 

シン「宣戦布告・・・!?」

 

タクト「要は、武力に取り憑かれる可能性か。」

 

ディセウム「ウム。考えてもみてごらん。魔法も物理攻撃も効かず、怪我もすぐ治る。そんな防具を着た兵士が揃っていれば、他国の軍勢など圧倒出来ると思わないかい?人間は誘惑に弱い。他国より圧倒的に有利な状況で戦争を始められるとなれば、この誘惑に負けてしまう者は・・・確実に出る。」

 

シン「そ・・・そんな・・・!(俺は・・皆の身を守られたと思っただけなのに・・・戦争の道具にされるとか考えもしなかった・・・これも、この世界の現実なんだ・・・)ごめん、俺・・・そんな事まで全然考えてなかったよ・・・」

 

メリダ「っ!!ああ・・・シンが・・・シンが初めて自分の非常識を反省してくれたよ!!」

 

マーリン「ほっほっ。」

 

ディセウム「分かってくれれば良いんだよ、シン君。」

 

シン「本当はオーグの制服にも付与しようと思ってたけど・・・これ以上広まるのはマズイよね。」

 

ディセウム「え?シン君!?ちょっと待・・・」

 

シン「オーグごめんな。お前の制服には付与してやれないわ。」

 

ディセウム「ちょっと待とうかシン君!確かに口外はマズイが・・・運用さえ間違えなければ良いと思わないかい!?」

 

シン「そりゃそうだけど・・・」

 

ディセウム「そうだろう!!身を守る手段としてこれ以上の物はない!!そしてやっぱり王族にはそれなりの守りは必要だと思うんだよ!!うん!!だから息子には・・・はは・・・ダメ?」

 

タクト「ダメに決まってんだろ!!あんたそれでもこの国の王か!!」

 

ディセウム「あ・・・あれ?」

 

仕方無くアウグストの制服にも付与してあげる事にした。

 

 

 

 

 

 

その後の外。

 

シン「結局追加で付与したのはオーグとトールとユリウスの3人分か。」

 

トール「僕らは護衛ですから必須です。」

 

ユリウス「辱いで御座る。」

 

タクト「一応フェオン達にも与えてやろうと思ったけど、大丈夫だったな。」

 

フェオン「国宝級だなんて、恐縮しちゃいもの。」

 

タクト「だな。マリア、お前はいいのか?」

 

マリア「いい。そんな国家機密の塊みたいなの着たくない。」

 

シン「じゃあシシリー、明日から俺とタクトがまず家に迎えに行くからマリアと待ってて。それで登下校中の心配はないよね?」

 

シシリー「シン君・・・ありがとう。まだちょっと怖い・・・でも、シン君が本気で守ってくれてるのが分かります。凄く嬉しいです!」

 

シン「・・・・」

 

タクト「・・・・」

 

シン「あ、後2日目からはゲートの魔法での移動になるからね。俺が1回行った場所にしか移動出来なくてさ。」

 

マリア「ん?ゲートって何?」

 

シン「こう言う事。」

 

ゲートを出した。

 

マリア「っ!?」

 

シン「中入ってみて。」

 

ゲートに入る。

 

 

 

 

 

 

出た場所は、古い民家の前。

 

タクト「何と懐かしい場所だな。」

 

マリア「えーと・・・ここ・・・何処?」

 

シン「俺と爺ちゃんが前に住んでた家。」

 

アウグスト「ちょっと待て!お前は森の奥に住んでたって言ってたな!?」

 

シン「ここがそうだよ。」

 

マリア「まさか転移魔法!?」

 

シン「転移とはちょっと違うんだけどね。場所と場所を繋げると言うか。」

 

マリア「いや、ちょっと意味分かんない・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

戻って来た。

 

シン「ゲートは1度行った場所にしか作れないから、家まで馬車で送って開通させるよ。」

 

シシリー「は、はい・・・」

 

マリア「色々驚き過ぎて頭痛くなってきた・・・」

 

トール「皆が言う程の常識知らずではないと思ってましたけど・・・」

 

ユリウス「魔法の常識知らず・・・」

 

アウグスト「主席殿も一般常識は落第だな・・・」

 

シン「そんなに非道くはないだろ?」

 

全員「え・・・?」

 

シン「え?エヘヘ・・・あれぇ?」

 

アウグスト「シン・・・お前常識を学ぶ前に、自分の行動見直した方が良いと思うぞ。」

 

シン「・・・な・・・何だよ皆して・・・」

 

タクト「オーグの言う通りにするんだな。」

 

シン「何だよタクトまで・・・」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
グレア:高橋李依

カート=フォン=リッツバーグ:増岡大介
アルフレッド=マーカス:駒田航

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
スティーブ:伊原正明
ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭

試験官:八木侑紀
受験生:市川蒼
     松田修平
    狩野翔
     難波佑香
受付:水谷麻鈴





次回予告

護衛の為、シシリー、マリアと一緒に登校するタクトとシン。一方、様子の可笑しいカートは、中等生の頃怪しい先生の研究室に通っていた経歴があった。

次回ウルトラマンティガ

戦士と緊急事態

お楽しみに


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第2話「戦士と緊急事態」

戦士と緊急事態
カート=フォン=リッツバーグ 登場



ある日。

 

シン「それじゃあ、行って来ます。」

 

マーリン「あぁ。頑張ってのう。」

 

メリダ「良いかい?くれぐれも自重するんだよ?」

 

シン「分かってるよ、婆ちゃん。」

 

タクト「じゃあ行って来る。」

 

 

 

 

4人が登校中。

 

シン(今の所、索敵魔法には何も引っ掛かって来ないなぁ。)

 

索敵魔法で何か来るかを調べる。

 

タクト(カートの奴、何処から来るんだ?)

 

密かに目を光らせて周囲を警戒する。

 

シシリー「ごめんね、シン君・・・」

 

シン「え?」

 

シシリー「私の為に、わざわざ家まで迎えに来てくれて・・・」

 

シン「わざわざって、ゲートを使えばすぐだし、またシシリーを危ない目に遭わせる訳には行かないからね。」

 

ナルシストでシシリーを口説いた。

 

シシリー「シン君・・・!」

 

マリア「あぁ・・・朝から胸焼けしそう・・・」

 

タクト「朝から熱いねぇ〜・・・」

 

 

 

 

 

 

高等魔法学院・Sクラス。

 

アウグスト「おはようシン、タクト。」

 

タクト「よう。」

 

アウグスト「入学早々女連れで登校とは、いやはや流石だな。」

 

シン「五月蝿いぞオーグ。理由は知ってるだろ。」

 

アウグスト「あぁ、知ってはいるがからかわずにはいられなかった。」

 

タクト「ブレないなぁ。」

 

トール「おはようございます、シン殿。タクト殿。」

 

ユリウス「おはようございまする!」

 

シン「お、おはよう。」

 

タクト「よう。トールにユリウス。」

 

するとそこに。

 

アリス「だぁー!間に合ったー!」

 

滑り込んだアリスが登校した。

 

タクト「びっくりするだろアリス。そんなに滑り込んで。」

 

アリス「おはようタクト君!ねぇ!間に合ってるよね?大丈夫だよね!?」

 

タクト「あぁ。時間ギリギリ。」

 

マリア「間に合ってるけど、授業初日でギリギリ登校ってどうなの・・・?」

 

アリス「いやぁ、今日の授業が楽しみで寝付けなくてさぁ・・・寝坊しちゃった。」

 

入試順位第6位・アリス=コーナー。

 

マリア「子供か!」

 

タクト「そう言うなマリア。俺も少し寝不足だ。」

 

マリア「お前もか!」

 

シン(えっと・・・この世界だと15歳ってもう大人だよね・・・?)

 

タクト「ほらアリス、机から降りろ。」

 

机に乗ってるアリスを降ろす。丁度そこにアルフレッドが来た。

 

アルフレッド「皆揃ってるな?」

 

マリア「あ、先生。」

 

アリス「おはようございまーす!」

 

アルフレッド「あぁ、おはよう。皆席に着け。ホームルームを始めるぞ。それが済んだら、校内を案内するからな。」

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王国は、貴族平民の差別が解消され、国民に教育を施している三大大国の1つだ。この国には、専門高等学院と呼べる特別な学院が3校存在する。その3校の内の1つが、ここアールスハイド王国高等魔法学院だ。

 

Sクラスとは、高等魔法学院の中でも、卓越した魔力を有する学生のみ許される11人の少数精鋭からなる最上級クラスである。

 

 

 

 

 

 

校内を回った後の中庭。

 

アルフレッド「ざっと一回りしたが、学院の校舎は大きく分けて2つ。1つは授業で使う校舎。もう1つは職員室・生徒会室・実験室・研究室等に使われる校舎だ。研究室は、研究会を作った連中が放課後に使用してる。」

 

シン(研究会?部活みてーなもんか。)

 

タクト「研究会って、何があるんだ?」

 

アルフレッド「例えば、放出系魔法を研鑽する『攻撃魔法研究会』。付与魔法での魔道具制作を目的とする『生活向上研究会』。身体強化魔法を極める『肉体言語研究会』等がある。」

 

シン(って何だよ最後の・・・魔法使いとしての生き方を間違えてるよ。)

 

タクト(肉体言語研究会・・・シュワちゃん?)

 

ユリウス「肉体言語研究会・・・殿下の護衛任務がなければ、是非とも参加させて頂きたいで御座るが!」

 

アウグスト「なんだユリウス、私の事は気にせず入って良いぞ。寧ろ入れ。」

 

ユリウス「はっ!いえ、そう言う訳にはいかぬで御座る。」

 

アウグスト「ここは高等魔法学院。王族としての権威はここでは通用しない。お前を私に縛り付けるものなど無いのだぞ!」

 

ユリウス「殿下・・・!!辱のうございます・・・!!」

 

嬉し泣きした。

 

シン(此奴・・・護衛が鬱陶しいから自分から遠ざけるつもりだな・・・?)

 

アリス「ねぇ、シン君は入りたい研究会とかある?」

 

シン「いや、特には・・・」

 

アウグスト「まぁそうだな、お前にとってはどれも物足りないか。」

 

シン「いや、そう言う訳じゃ・・・」

 

アウグスト「一層の事、自分で研究会を立ち上げてみるか?」

 

シン「おう?」

 

タクト「シンの研究会?」

 

アウグスト「そうだ。」

 

アルフレッド「ほう?ウォルフォードの作る研究会か。それは興味深いな。」

 

アウグスト「そうですよね先生。シンがどのような研究会を作り、活動するのか興味があります。」

 

リン「確かに興味深い!」

 

入試順位第8位・リン=ヒューズ。

 

アリス「作るなら私も入りたい!」

 

ユーリ「私も入りたいかもぉ。」

 

入試順位第9位・ユーリ=カールトン。

 

トニー「良いね。僕もそこに入ればずっとSクラスに居られそうだ。」

 

入試順位第10位・トニー=フレイド。

 

タクト「リンにアリスにユーリにトニーも入るのか。」

 

アウグスト「先生、どうすれば研究会は作れるんですか?」

 

アルフレッド「5名以上の会員と顧問の教師、後は申請書が受理されれば立ち上げられるぞ。本当にやるなら、俺が顧問をしてやろう!」

 

Sクラス「おおー!」

 

シン「ねぇ、ちょっと待って皆!」

 

シシリー「シン君が研究会を作るなら、私も入らないといけないですね!」

 

シン「へっ!?」

 

マリア「だってほら、帰りも送ってくれるなら一緒に行動した方が良い訳だし。」

 

シン「いや・・・まぁそれは・・・」

 

タクト「俺もお前の研究会に入るか。他のはあんま面白くなさそうだし。」

 

シン「タクト?」

 

トール「シン殿が会長だとすると、何をするのが良いですかねぇ・・・」

 

シン「やるって言ってねえよ!!」

 

タクト「もう諦めろ。皆が賛同してる訳だし。」

 

シン「何言ってんだよお前!!」

 

アリス「英雄研究会ってのはどう?」

 

シン「はぁ!?何だそりゃ!?」

 

アリス「シン君に、マーリン様とメリダ様の事教えて貰うの!」

 

シン「えぇ・・・!?」

 

タクト「それシンが入る意味あるか?」

 

アルフレッド「残念だが、賢者様と導師様の事績を辿る研究会はもうあるな。」

 

タクト・シン「あんのかよ!!」

 

リン「だったら、ウォルフォード君を中心に凡ゆる魔法を極めるって言うのは?」

 

シン「は?」

 

タクト「その研究会の名前は?」

 

リン「名付けて、究極魔法研究会!」

 

タクト「うわぁ痛い。」

 

シン(痛々しい・・・痛々しいよリンさん・・・)

 

アウグスト「成る程、究極魔法研究会か。シンにはピッタリかもな。」

 

シン「へ?」

 

アリス「良いね!究極魔法研究会!めっちゃ凄そうじゃん!」

 

シン「いやいや、待って!?待って!?」

 

アルフレッド「活動内容は授業後に決めるか!」

 

シン「えええ!?」

 

アルフレッド「参加希望者は手を挙げろ!」

 

全員「はーーい!!」

ユリウス「はいで御座る!!」

 

シン「究極は無いわ・・・」

 

落ち込むシンの左肩にタクトの手が置かれた。

 

タクト「シン、こうなってしまった以上やるしか無い。何なら俺が副会長をやってやる。」

 

シン「タクト・・・」

 

こうして、究極魔法研究会が立ち上げられたのである。

 

 

 

 

 

 

放課後のウォルフォード邸。

 

フェオン「究極魔法研究会?」

 

タクト「俺のクラスのSクラスのみで設けられた研究会だ。主にシンの魔法を中心に研究する研究会だ。」

 

レア「何だそれ!めっちゃ楽しそうだな!」

 

アンナ「でも魔法ですよね?私達みたいな近接攻撃系とかはないんですか?」

 

タクト「魔法を中心だからな。近接攻撃やアンナのボウガンはちょっと無理あるかもな。」

 

ヒナ「でも楽しそうですね。もし私が入学してたら是非入ってみたいですね♪」

 

タクト「ヒナお前、危なそうな魔法を取得しそうだな。」

 

 

 

 

 

 

夕方のアールスハイド王国・王城の会議室では。

 

ディセウム「さて次は、軍務局の月例報告だが・・・どうしたドミニク?何か問題でもあったのか?」

 

軍務局・騎士団総長のドミニク=ガストールが黙り込んでいる。

 

ドミニク「単刀直入に申し上げます・・・陛下。魔物の出現件数がここ1年で大幅に増えている事が判明しました・・・!」

 

ディセウム「何!?」

 

高官「どう言う事です!?そんな情報全く聞いていないが・・・魔物が増えれば国中騒ぎになるはず・・・しかしそんな話は何処にも・・・」

 

ドミニク「間抜けな話だが・・・我々も気付かなかったのだ・・・気付かない程度に少しずつ・・・だが確実に増えていたのだ・・・今はまだ対応出来る範囲だが・・・しかし何れは・・・個人的な意見を述べますが・・・私はこれが人為的に行われている印象を受けます。」

 

高官「バカな!人為的に魔物を増やせると言うのか!?」

 

ドミニク「陛下・・・これは異常事態です!早急な大規模調査の許可を頂けませぬか?」

 

ディセウム「ウム・・・分かった。各団、魔物ハンター協会も使って徹底的に調べろ!ただし、この事は極秘事項だ。」

 

ドミニク「御意!」

 

 

 

 

 

 

その夜、リッツバーグ邸では。

 

???「カート!!カートは居るか!!」

 

事務次官のラッセル=フォン=リッツバーグ伯爵が息子のカートを探している。

 

カート「何でしょうか?父上。」

 

ラッセル「何でしょうかでは無いわ!今日陛下に呼び出しを受けたぞ。理由は分かるな?」

 

カート「チッ・・・」

 

激怒したラッセルがカートの胸元を掴む。

 

ラッセル「貴様何を考えている!?高等魔法学院において、身分を持ち出す事が厳禁である事は分かっているだろう!!」

 

だがカートが自分の父に反論する。

 

カート「お言葉ですが父上、それは法が可笑しいのです。我々は選ばれた民です。平民などと同列に扱われる事の方が可笑しいのです!」

 

ラッセル「・・・!?カート・・・お前・・・何を言っているのだ・・・!?一体どうしたと言うのだ・・・!?お前はこんな異常な事を言う息子ではなかったはずだ・・・!」

 

カート「私は選ばれた特別な人間なのです!!なのに皆が私をこけにし逆らう!!そんな事が許されて良いはずがない!!」

 

ラッセル「なっ・・・・!!」

 

カート「そうだ彼奴らだ・・・彼奴らが出て来てから可笑しくなった・・・」

 

全てタクトとシンのせいだと言った。

 

カート「女も思い通りにならないし・・・それに殿下も何時も邪魔を・・・!!彼奴らの味方をする様なら殿下も一層・・・」

 

この言葉でラッセルがキレた。

 

ラッセル「カートォッ!!!!」

 

自分の息子を殴り飛ばした。

 

ラッセル「その発言を看過する事は出来ん!!お前への処分を検討する!!誰か!!カートを部屋に閉じ込めておけ!!」

 

2人の使用人がカートを部屋へ連れて行く。

 

ラッセル「どうしてしまったんだ・・・カート・・・?」

 

 

 

 

 

 

翌日のSクラス。

 

シン「カートが自宅謹慎?」

 

アウグスト「あぁ。今朝、学院に『暫く自宅謹慎とし反省を促す』とリッツバーグ家から連絡があったそうだ。」

 

タクト「・・・」

 

シン「なあ、ちょっと聞きたいんだけど、カートは何であんな態度を取るんだ?貴族の専横が許されていない事は分かってるだろうし・・・」

 

タクト「第一、王族のオーグの注意を聞いても一向に改めねえって、何か矛盾してねえか?それにあの様子だと、何かに取り憑かれてる様にも見える。」

 

アウグスト「・・・・・」

 

ユリウス「正直、戸惑っているで御座るよ。」

 

トール「自分達は、貴族や富裕層の通う中等学院に通っていたのですが・・・」

 

ユリウス「実はそこに、カートも居たので御座る。」

 

タクト「何だと?」

 

アウグスト「それに彼奴は確かに自信家であったが、今程身分を笠に着た態度は取っていなかった。だから我々も戸惑っているんだ。カートに何があったのか・・・とな。」

 

トール「変わった所と言えば、シュトローム先生の研究室に入ってた事ぐらいで。」

 

アウグスト「そう言えば、そうだな。」

 

シン「シュトローム?」

 

タクト「どんな先生なんだ?」

 

トール「中等学院3年の時に、帝国から亡命した来たと言う触れ込みで魔法の先生として赴任して来たんです。」

 

アウグスト「私やトール、それなりに魔法を使える者に片っ端から声を掛けられていた様だ。」

 

 

 

 

『君達には、素晴らしい才能がある。私達の研究室に来なさい。』

 

 

 

 

ユリウス「拙者は声掛けられてない・・・」

 

シン「カートはその研究室に参加したのか?」

 

アウグスト「あぁ。胡散臭かったから私達は断った。研究室に通いだしてから、カートの魔法の実力が上がったのは確かだ。」

 

マリア「って事は、それなりに実力のある先生だったのね・・・」

 

アウグスト「人気はあったが、胡散臭い見た目だったが。」

 

シン「見た目?」

 

タクト「どんな風貌していた?」

 

トール「目が見えないらしくて、両目を覆う様に眼帯していたんです。それでも普通に行動していて、魔力を持たない無機物を感知出来る特殊な魔法を使っていたのかも。」

 

シン「帝国から亡命して来た、両目に眼帯の魔法使いかぁ・・・何者だろうなその先生・・・」

 

タクト「それで、帝国って何処なんだ?」

 

トール「ブルースフィアから来たと聞いています。生活の苦しい平民が帝国から王国へ亡命して来る場合は多いですが・・・実力者だけにそうと思えず・・・」

 

アウグスト「だから胡散臭いんだ。」

 

シン「そればっかだなオーグ。」

 

タクト(ブルースフィア・・・彼処はもう・・・)

 

 

 

 

 

 

同じ頃リッツバーグ邸では。

 

リッツバーグ夫人「ああ・・・!シュトローム先生!!来て下さったのですね!」

 

シュトローム「お久し振りですリッツバーグ夫人。人伝にカート君の話を聞きましてね。我々元教師として彼の身を案じ参じさせていただきました。」

 

リッツバーグ夫人「先生・・・先生だけが頼りなんです!主人は・・・カートを処罰しようとしています!息子を・・・何とか正気に戻してあげて下さい!!」

 

シュトローム「分かりました。微力を尽くしましょう。」

 

両目に眼帯をしている。この男が、オリバー=シュトローム。

 

 

 

彼はカートの部屋に入った。

 

シュトローム「どうしたカート。随分と情けない格好をしているじゃないか。」

 

カート「シュトローム先生・・・!」

 

するとシュトロームは、部屋に防音結界を張った。

 

シュトローム「私達は言ったな?君は特別な人間だと。ついこの間も言ったじゃないか。君は身分も実力も全て特別だ。手に入らないモノなど無いんだよ?」

 

カート「しかし・・・女は手に入りませんでした!!彼奴らが・・・彼奴らが邪魔をしたから・・・!!」

 

シュトローム「フム、そうか。そいつらは君にとって邪魔な存在だな?良いかい?邪魔なそいつらに思い知らせてやろう。君は特別なんだからね。」

 

カート「があああ・・・!!!!」

 

彼はカートにある魔法を掛けた

 

 

 

 

その後。

 

リッツバーグ夫人「先生!どうでしたか!?」

 

シュトローム「宜しくはないですね。時間を掛けて快復を待つしか・・・リッツバーグ伯爵には私達からも進言しましょう。心神喪失状態の彼を処罰する事は有益な事ではない。」

 

リッツバーグ夫人「ああ・・・ありがとうございます・・・!」

 

 

 

外に出ると、シュトロームが不気味に微笑んだ。

 

シュトローム「フフフ。カート君、精々頑張って踊ってくれよ?」

 

不気味に微笑みながら、リッツバーグ邸を後にした。

 

 

 

 

 

 

昼になり、学院食堂へ。

 

アウグスト「シン、これから登下校の送り迎えはどうするんだ?」

 

シン「どうするって?」

 

アウグスト「カートが自宅謹慎になったなら・・・学院や街中でも、危険は無くなった訳だが。」

 

タクト「シシリーに危険が無くなったしな。」

 

シン「まぁ、そうだな・・・護衛はもう必要ないかもな。」

 

シシリー「え!?そう・・・ですよね。護衛・・・ですもんね。」

 

シン「けど護衛じゃなきゃ一緒に通学しなきゃいけないって事はないだろ。家、同じ方向なんだし。」

 

シシリー「ダメじゃないです!!」

 

シン「へ?」

 

シシリー「そ、そうですよ!!同じ方向ですもん!!一緒に通学したって可笑しくないです!!・・・・・・あっ!すみません・・・」

 

マリア「もう、シシリー興奮し過ぎ〜〜〜。」

 

恥ずかしくなってしまったシシリーが赤面した。

 

シン「マリアも一緒に通学するんだろ?」

 

マリア「お邪魔じゃなければね〜!」

 

シシリー「おお邪魔な訳ないでしょマリア!!なな何言ってるの!?」

 

アウグスト「くっくっくっ、動揺し過ぎだクロード。」

 

タクト「俺も。大人数の方が盛り上がるし。」

 

マリア「そう?」

 

アウグスト「しかし流石だなシン。皆の前で『俺と一緒に居ろ』とか、私には真似出来ん。」

 

シン「ぶっ!」

 

シン「何時俺がそんな事言った!?」

 

シシリー「一緒に・・・・」

 

マリア「シシリーが変な所に引っ掛かってまーす。」

 

Sクラスが笑う。

 

マリア「そう言えばシンって、移動中も索敵魔法使ってるよね。あれ何で?」

 

シン「何でって、こっちに害意向けられたら分かるだろ?」

 

トール「ん?シン殿、害意が分かるんですか?」

 

シン「あぁそうか、えーと・・・トールは魔物狩った事ある?」

 

トール「ある訳ないじゃないですか。この前まで中等学院生ですよ?」

 

シン「魔物の魔力って、禍々しいって言うか、気持ち悪いって言うか、普通じゃないんだよ。敵意とか害意をモロにこっちに向けてくるからね。そう言うのって、人間にも少なからずあって、それを察知してる訳。」

 

リン「ウォルフォード君って魔物を狩った事あるの?」

 

シン「あるよ。」

 

トニー「因みに・・・初めて魔物を狩ったのって何歳?」

 

シン「確か・・・10歳の時。」

 

全員「10歳!?」

 

シン「確か、熊だったかな?」

 

全員「熊ああ!?」

 

タクトを除いたSクラス全員が驚いた。

 

シン「3メートルくらいあったけど、首落として倒したよ。」

 

全員「・・・・・」

 

シン「(また俺何かやっちゃいました?)え?何皆、何処に驚いてんの?」

 

全員「全部にだよ・・・」

 

マリア「ってかタクト、あんた驚かないの・・・?」

 

タクト「その話聞き飽きた。今回で3回目。」

 

アウグスト「さあ、もう行くぞ。午後から研究会の説明会だ。」

 

シン「お、もう時間か。」

 

 

 

 

 

 

食堂を出て外に出る。

 

マリア「午後から研究会の説明かぁ・・・」

 

アリス「私達、もう究極魔法研究会立ち上げるって決めっちゃったのに・・・」

 

ユーリ「入る気もない研究会の説明、聞かされるなんて無駄な時間よねぇ。」

 

ユリウス「そう仰るな。拙者達だけ参加しなければ反感を持たれるで御座るよ。」

 

シン「会場は?講堂?」

 

マリア「じゃ、グラウンド横切った方が早いよ。」

 

するとタクトとシンが何かを感じた。

 

タクト(っ?何だ?)

 

シン(害意を向けられてる!!何処だ!?)

 

茂みの奥から害意を感知した。

 

タクト(あれは!?)

 

2人の目に映ったのは・・・

 

 

 

 

 

 

自宅謹慎処分を受けてるはずのカートだった。

 

 

 

 

 

 

シン「カート!?」

 

全員「っ!?」

 

タクト「彼奴、自宅謹慎のはずだろ・・・!?」

 

カートが両手で魔力を集めた。

 

タクト「マズイ!!」

 

 

 

 

カート「ーーーー!!!!」

 

 

 

 

炎をシン達に向けて放った。

 

シン「くっそ!!」

 

魔力障壁で炎を防ぐ。

 

シン「シシリー!!オーグ!!制服に魔力を通せ!!!!」

 

アウグストとシシリーがすぐに制服に魔力を通す。カートは炎を最大まで引き出した。

 

タクト「シン!!!!危ない!!!!」

 

シン「っ!!」

 

カートが片手で最大威力の炎を放った。

 

タクト「ハァッ!!!」

 

ハンドスラッシュを放ち、片方のカートの炎を防ぐ。シンが抑えていた炎が大爆発を起こした。

 

タクト「クッ・・・!!」

 

さっきの爆発音を聞き、全校生徒が集まって来た。

 

トニー「魔法障壁・・・!!」

 

シン「クッ・・・!!」

 

炎を防いだシンの両手が火傷を負ってる。

 

シシリー「シン君!!手が!!」

 

シン「大丈夫・・・!自動治癒が発動するから・・・!」

 

アウグスト「どうして奴がここに・・・!?」

 

マリア「何で!?謹慎中じゃなかったの!?」

 

シン「オーグ・・・これはもう、ダメだろ!?今の完全に殺す気だったな!?」

 

アウグスト「ああ・・・これは完全に殺人未遂だ!到底見過ごす事は出来ん!!」

 

 

 

 

カート「貴様・・・きさま・・・キサマ・・・キサマキサマギザマーーーー!!!!!」

 

魔力が更に増幅した。

 

 

 

 

タクト「この魔力・・・!!」

 

シン「なあオーグ・・・」

 

アウグスト「何だ・・・?」

 

シン「あれ、魔力の制御出来てると思うか・・・?」

 

アウグスト「思わんな・・・」

 

シン「マズくね・・・!?」

 

アウグスト「マズいな・・・・!!」

 

 

 

 

カート「キサマ・・・キサマ・・・キサマ・・・キサマ・・・キサマ・・・!!!」

 

”ドクンッ!!”

 

カート「ガアアアア・・・!!!」

 

 

 

 

全員「っ!!」

 

タクト「まさか・・・!!」

 

シン「マジかよ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

カートが、魔人と化してしまった。

 

 

 

 

 

 

シン「魔人化しやがった・・・!!」

 

タクト「・・・!!!」

 

後ろの野次馬の生徒達を発見した。

 

タクト「おい皆逃げろ!!奴は魔人化した!!ここに居ると巻き添え喰らうぞ!!」

 

生徒達「・・・ま・・・魔人・・・!?」

 

「うわあああああああ!!!!」

「きゃあああああああ!!!!」

「助けてええええええ!!!!」

 

生徒達がパニックになって逃げる。

 

シン「オーグ、お前達も逃げろ。」

 

タクト「ここは俺達に任せろ!!」

 

アウグスト「っ!?シン、タクト・・・お前まさか・・・!!バカな!!お前達も逃げろ!!」

 

シン「此奴を王都に放つ訳にはいかないからな!!俺が食い止める!!」

 

アウグスト「ならば私達も!!」

 

シン「魔物や魔人を狩った事ない奴が何言ってんだ!!」

 

アウグスト「シン・・・タクト・・・私達は邪魔か?」

 

シン「・・・ああ、邪魔だな。」

 

タクト「すまないが・・・逃げてくれ・・・!!」

 

アウグスト「そうか・・・分かった!全員直ちにこの場を離れろ!!私達が居てもシンとタクトの足手纏いになるだけだ!!」

 

シシリー「そんな・・・シン君とタクト君だけ残してなんて!!」

 

マリア「・・・・!!」

 

アウグスト「メッシーナ!!引き摺ってでもクロードを連れて行け!!」

 

マリア「は・・・はい!!シシリー!!」

 

強引にシシリーを連れて行く。

 

アウグスト「皆も早く!トール!!ユリウス!!教師に連絡して対処を急げ!!」

 

トール・ユリウス「はっ!!」

 

全員がすぐに避難する。

 

 

 

 

タクト「行ったか。」

 

シン「あぁ。そろそろ行くぞカート!」

 

タクト「お前を止めてやる!!」

 

カート「ゴアァアアアア!!!!」

 

走り出して、最大火力の炎を投げた。

 

タクト・シン「っ!!」

 

すぐに横に避けた。

 

タクト「おいおい火力強過ぎだろあれ!?」

 

シン「(流石に魔力は魔物化した動物とは比べ物にならないな・・・!)タクト!!」

 

タクト「ああ!」

 

両手からハンドスラッシュを連射し、カートの足元に連続で直撃して煙幕を張った。

 

タクト「これで周りが見れないだろう!シン!」

 

シン「あぁ!」

 

ファイヤーボールを連射する。カートにダメージを与えた。

 

シン(今のでダメージあるの!?足止め程度のつもりだったのに・・・!?)

 

カート「ウォルフォードォォ!!クリスティィィ!!キサマラァァァ!!」

 

シン「魔人が・・・言葉を発した!?」

 

タクト「魔人の中には、ああやって言葉を持つ奴等も居る・・・つまり、理性が少しだけ残ってる!」

 

シン「そう、なのか・・・」

 

カート「コロス!!コロシテヤルゾ!!ウォルフォード!!クリスティ!!」

 

暴走したカードが衝撃波を起こした。

 

タクト「何!?」

 

そしてファイヤーボールを放つ。

 

タクト「クッ!!」

 

すぐにウルトラシールドで防ぐ。

 

タクト「シン!!」

 

大ジャンプしたシンが、電撃をカートに向けて落とした。

 

カート「ゴアアアアアアアア!!!!」

 

シン(やはり効いている・・・タクトの言う通り、完全に魔人になっていない・・・だったら、元に戻す方法が!)

 

両手を前に出した。

 

タクト「シン!?」

 

シン「ちょっと我慢しろカート!!」

 

ファイヤーボールがカートに直撃して爆発した。

 

カート「ガァッ!!」

 

怯んでる隙に、カートの腹にパンチを入れ込む。

 

タクト(彼奴まさか・・・カートを正気に戻す気か!?)

 

シン(カートの体に俺の魔力を流し込んで、魔人の魔力を何とか中和出来れば!!)

 

魔力を流し込んで元に戻す作戦に出た。しかし。

 

カート「ゴゥアアッ・・・アアッ!!」

 

突然カートが苦しみ始めた。

 

シン「逆に苦しんでる・・・!?どうなってんだ!?」

 

カート「ハァ・・・!!」

 

シン(くそっ・・・何か方法はないのか・・・!?何か!!カートの魔人化は恐らく完全じゃない・・・何か・・・ないのか!?戻す方法は・・・!!でも、魔物を元に戻す方法なんて聞いた事がない・・・そもそもそんな事が出来るのか・・・!?)

 

カート「ウォルフォォドォォオオ!!!!!」

 

右手に魔力を集める。

 

タクト「させるか!!」

 

ハンドスラッシュ連射してカートが集めてる魔法を粉砕した。

 

タクト「シン、大丈夫か!?」

 

シン「あぁ、すまない!」

 

カート「クリスティィィィィィィ!!!!!!!」

 

更に魔力が増幅して暴走してしまい、理性を失った。

 

シン「まさか・・・自分に魔力を集めて爆発させる気か!?」

 

タクト「自爆!?」

 

シン「させるか!!」

 

光輪を飛ばす。

 

タクト「カート!!!」

 

ハンドスラッシュ連射する。しかし、魔力が干渉を引き起こしており、2人の攻撃が砕かれてしまった。

 

シン「くそっ!あんな量の魔力・・・学院ごと吹き飛んでしまう!!」

 

カート「オワリダ!!!」

 

シン「どうする・・・どうすれば良い!?」

 

タクト「っ・・・!!」

 

異空間収納魔法を発動した。

 

シン(時間はもうない・・・!!やるしかない!!)

 

そこからバイブレーションソードを取り出した。

 

タクト「これ以上は無理か・・・!!」

 

シン「やるしかない・・・カートを!!」

 

タクト「シン!!」

 

高速でカートに接近する。

 

シン「許せ・・・カート!!」

 

擦れ違い状でカートを斬った。

 

タクト「どうだ・・・!?」

 

そして魔力が収まり、カートの首が斬り落とされ、カートが倒れた。

 

タクト「終わった・・・か・・・」

 

カートを倒したが、シンは悔しんでいた。

 

シン「くそっ・・・何だよ・・・何なんだよ!!(本当にこんな形でしか・・・他に方法はなかったのか・・・!?俺・・・初めて・・・人を・・・)」

 

タクト「シン・・・お前の気持ち、俺も分かる・・・」

 

 

 

 

そこにアウグストとシシリーが戻って来た。

 

アウグスト「大丈夫かシン!?タクト!?」

 

シシリー「シン君!タクト君!怪我は!?怪我はしてませんか!?」

 

シン「ああ・・・大丈夫だよ・・・」

 

タクト「心配させてすまない。」

 

倒れてるカートを見る。

 

シシリー「シン・・・君・・・」

 

シン「カート・・・彼奴・・・シシリーの事付け狙ってたし・・・魔人にまでなっちまったけど・・・それでも俺・・・討伐するしか・・・出来なかった事が悔しくて・・・絶対に可笑しい・・・!!こんな事・・・何かあるはずなんだ・・・こんな事になった理由が・・・!!」

 

シシリー「シン君・・・」

 

アウグスト「シン・・・」

 

タクト「シン・・・」

 

今度はマリア達も戻って来た。

 

マリア「信じられない!カートが魔人化した時はもうダメかと思ったのに・・・」

 

トール「自分も死を覚悟しました・・・!」

 

リン「ウォルフォード君凄かった。」

 

アリス「ね!!ね!!魔法も凄かったけど、剣で魔人のお腹をスパッて!」

 

ユリウス「天晴れで御座る。あれなら、騎士養成士官学院でも主席狙えるで御座らんか?」

 

トニー「うちは代々騎士の家系だけど、あんな綺麗な剣筋は見た事ないねぇ。」

 

ユーリ「ウォルフォード君ってぇ、やっぱり凄い人?」

 

シン「お前ら・・・見てたのかよ・・・」

 

アウグスト「校舎内まで避難したんだが・・・途中で振り返ってみたらお前が魔人を圧倒し始めててな。そのまま見学させて貰った。それにしても・・・シン、お前これから大変だな。」

 

シン「何が?」

 

アウグスト「歴史上2回目の魔人が現れたんだぞ?それをこんなアッサリ・・・」

 

兵士「殿下ーーーーー!!ご無事ですか!?魔人は何処に!?我々が全力を以って・・・」

 

アウグスト「もう終わった。」

 

兵士「えええええ!?」

 

アウグスト「彼処に倒れているのがそうだ。」

 

兵士「っ!?ま・・・まさか魔人を・・・討伐したのですか・・・!?」

 

アウグスト「ああ・・・私じゃないがな。」

 

兵士「・・・?こんな・・・ただの魔法学院の生徒が・・・?」

 

アウグスト「こんなとは何だ。彼はシン=ウォルフォード。魔人討伐の英雄、マーリン=ウォルフォードの孫だぞ!」

 

兵士達「け・・・賢者様の御孫様ですかーーーーー!?」

 

シン(御孫様って・・・)

 

 

 

「お・・・おい・・・魔人は・・・どうなったんだ・・・」

「もう大丈夫なの・・・!?」

「誰か彼処に倒れてて・・・」

「やだ・・・!!首が・・・!」

 

 

 

シン「すみません、マント借りても?」

 

兵士「え?あ、ああ。」

 

 

 

「ちょっと・・・何が起きたのよ・・・!?」

「だ・・・誰か死んだのか・・・!?」

 

 

 

状況が読み込めない生徒達。するとその時。

 

 

 

 

 

 

首を切断されたカードの胴体に埋め込まれてる石が光った。

 

カート「コロス・・・!!」

 

 

 

 

 

 

タクト「何!?」

 

首が元に戻り、死体となったカートが立ち上がった。

 

カート「コロスコロスコロス!!!!」

 

タクト「カート!?」

 

シン「っ!?な、何!?」

 

アウグスト「どうなってるんだ!?」

 

タクト「首が戻って・・・生き返った!?」

 

カート「グオアアアアアア!!!」

 

 

 

「うわあああああああ!!!!」

「きゃあああああああ!!!!」

 

 

 

マリア「ちょっと・・・何あれ・・・!?何で彼奴が!?」

 

シン「カート・・・!?」

 

タクト(仕方無い・・・!!)

 

懐に手を当てて何かを握った。

 

兵士「全員戦闘態勢!!魔人を討伐だ!!」

 

兵士達「ウオオオオオオ!!!」

 

突撃する兵士達を、タクトが止めた。

 

兵士「え?」

 

タクト「ここは俺に任せろ。シン、良いよな?」

 

シン「・・・あぁ、やってくれ。もうこうするしか無い。」

 

その言葉にタクトが頷き、タクトがゆっくりとカートの方へ歩く。

 

アウグスト「タクト!何をする気だ!?」

 

シシリー「タクト君!!」

 

シン「いや、タクトなら大丈夫だ。」

 

 

 

 

蘇生されたカートの前にタクトが立った。

 

カート「クリスティィィィ!!」

 

走り出してタクトを襲うが。

 

タクト「ダァッ!!」

 

右パンチでカートを後ろへ飛ばした。

 

カート「グゥゥゥ・・・!!」

 

タクト「何故生き返った?」

 

カート「オマエヲ・・・ココカラケシテヤル!!」

 

タクト「話は通じないか・・・」

 

懐からスパークレンスを出した。

 

 

 

 

ユーリ「あれは・・・?」

 

トール「魔道具・・・?」

 

 

 

 

タクト「俺がお前を止める。」

 

両腕をクロスし、腕を大きく回してスパークレンスを空に掲げた。スパークレンスのレンズから放たれる光がタクトを包み込んだ。

 

カート「ッ・・・!!」

 

眩い光にカートが怯む。そして光が晴れると、タクトがウルトラマンティガに変身していた。

 

 

 

 

 

マリア「な、何あの姿!?」

 

シシリー「タクト君・・・!?」

 

アウグスト「あれは・・・」

 

シンとアウグストを除いた全員が、ティガを見て驚く。

 

 

 

 

カート「グゥゥ・・・!?」

 

ティガ「ハッ!!」

 

ファイティングポーズを取るティガ。

 

カート「ウオオオオオオオ!!!!」

 

懐から剣を持って、ティガに向かって走る。

 

ティガ「ハァッ!」

 

剣を避けたティガが、剣を掴んでカートの腹部と顔にマルチパンチした。

 

カート「グオオオ!!」

 

殴り飛ばされたカートが起き上がる。

 

カート「ウオオオオオオオ!!!」

 

襲い掛かるカートの攻撃を避けて、ハンドスラッシュを連射。

 

カート「ガアアアア!!」

 

ティガ「チャァッ!!」

 

ジャンプからのマルチキックで、カートの胸部に直撃。

 

カート「クリスティィィィ!!!」

 

降り掛かる剣を前宙してカートの後ろに着地した。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

すぐにカートの背中にマルチキックで攻撃した。

 

カート「グアアアアア!!!」

 

 

 

 

アリス「す、凄い・・・!!」

 

リン「クリスティ君・・・!!」

 

 

 

 

カート「キザマアアアアアアア!!!!」

 

激怒し、魔力を増幅させてティガに向かって突進する。

 

ティガ「ーーーーーーハァッ!!」

 

両腕をクロスし、マルチタイプからパワータイプへタイプチェンジした。

 

 

 

 

ユリウス「色が変わったで御座る!」

 

シン「いや、特性が変わっただけだ。」

 

 

 

 

カート「グオオオオオオオオオ!!!」

 

再びカートが、ティガに向かって突進する。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

突進するカートの顔を掴んで動きを止めた。

 

カート「ッ!?」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

そのまま回転するよう投げて飛ばした。

 

ティガ「ーーーーーハァッ!!」

 

再びマルチタイプへ戻った。

 

ティガ「フッ!!」

 

両腕を前に突き出し交差させてから大きく横に広げてエネルギーを溜め、両手を胸に添えた。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

カート「グアアアアア・・・・・!!!」

 

ゼペリオン光線・セルチェンジビームでカートを浄化し、首を斬られた状態に戻した。その時にカートの体内から謎の石が出て来て、その石は跡形もなく消滅した。

 

ティガ「・・・」

 

 

 

 

「うおおおおおおおおお!!!!」

 

全員が一気に歓声を上げた。

 

 

 

ティガが光となり、タクトに戻った。

 

マリア「ちょっとタクト!さっきの3色の人!」

 

アリス「凄いよタクト君!さっきの何だったの!?」

 

タクト「・・・シン、彼を鎮めた。もうこれで・・・」

 

シン「ああ・・・彼を楽にさせてくれ。」

 

ウルトラマンティガとシン=ウォルフォードが魔人化したカートを討伐したのだった。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭
ドミニク=ガストール:小山剛志
アルフレッド=マーカス:駒田航

フェオン:内山夕実
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈

カート=フォン=リッツバーグ:増岡大介

ラッセル=フォン=リッツバーグ:土田大
リッツバーグ夫人:れいみ
高官:島田岳洋
兵士:今川柊稀

オリバー=シュトローム:森川智之





次回予告

新たに設立された究極魔法研究会の活動が始まった。そして、カートを魔人化したオリバー=シュトロームにタクトとシンが立ち向かう。

次回ウルトラマンティガ

黒幕の名は

お楽しみに


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第3話「黒幕の名は」

黒幕の名は
オリバー=シュトローム 登場



学院から遠くの建物の上、オリバー=シュトロームが学院のSクラスを傍観していた。

 

シュトローム「まあ、実験は成功したと言う事で良しとしますか。」

 

 

 

 

学院・Sクラス教室。シンが落ち込み、タクトは無表情で外を見る。

 

アウグスト「どうした?いきなり英雄に祭り上げられて気疲れしたか?」

 

シン「それもあるけど・・・」

 

タクト「気になる事があってな。」

 

シン「あんなに簡単に魔人化するものなのか?」

 

アウグスト「確かに・・・」

 

アリス「え?え?ど、どう言う事?」

 

トール「嘗て魔人化したのは、皇位の魔法使いで、超高度な魔法の行使に失敗し、魔人化したと伝えられています。」

 

アウグスト「リッツバーグは、高等魔法学院に入学したばかり。例え魔力の制御に失敗しても、暴走するだけだ。それで魔人化するなんてな・・・」

 

マリア「けど実際に魔人になってたし・・・」

 

シン「人為的・・・って事は考えられないかな?」

 

リン「まさか!?誰かが魔人を作った!?」

 

シン「俺は爺ちゃんから、『魔人は完全に理性を無くし、吠える事しか出来なかった。』って聞いてる。」

 

タクト「それに比べてカートは、魔人化したにも関わらず、言葉を発していた。」

 

シン「それも、実際戦ってみたら案外弱くて・・・」

 

全員(魔人が弱いって・・・)

 

タクト「だが復活した時は、あの時と比べて若干強くなっていた・・・」

 

アウグスト「本当なのか?」

 

シン「それらを踏まえて考えると・・・カートは人体実験に利用されたんじゃないかと思っている。」

 

全員「っ!?」

 

タクト「俺もそう思ってる。アールスハイドに来る前は旅をしていた。そこで人体実験などの噂が流れていたんだ。」

 

アウグスト「そう言えば、タクトのあの姿はティガか?」

 

タクト「オーグ、知ってるのか?」

 

アウグスト「父上から聞いた事があってな。遠い国に存在する超古代の戦士の石像が蘇ったと。まさかタクトだとは。」

 

マリア「私も聞いた事があるわその話・・・まさかそれがタクト、あなただったのね。」

 

タクト「まぁな。」

 

アリス「ねぇねぇ、あのティガってどんな力があるの?」

 

タクト「あぁ。俺はティガの体に宿っている力で戦えるんだ。それと、ティガが色を変えたのを見ただろ?赤と紫が基本となるマルチタイプ。赤色が剛力のパワータイプ。紫色が俊敏のスカイタイプ。それとこれだ。」

 

机の上にスパークレンスを置いた。

 

アリス「これがティガになれる魔道具?」

 

タクト「スパークレンス。ティガに変身出来るアイテム。まぁ神器と言った方が良いかもな。」

 

学院の外で、シュトロームがずっと見ている。

 

 

 

 

 

 

その後皆を連れて、ウォルフォード邸に帰ると。

 

イザベラ「あ、おかえりなさい。」

 

タクト「ただいま皆。」

 

シン「あれ?ディスおじさん?」

 

ディセウム「やあシン君達、丁度良い所に帰って来たか。」

 

タクト「陛下?」

 

シン「何でまたうちに?」

 

フェオン「ちょっとね。話もせずにお邪魔して来てね。」

 

ディセウム「事が事だけにな。私自らシン君とタクト君とマーリン殿とメリダ師に話をしておきたかった。」

 

メリダ「・・・・」

 

ディセウム「だがその前に、おい、例の通知を。」

 

官僚「はっ!!シン=ウォルフォード殿!!タクト=クリスティ殿!!貴殿達は魔人の出現と言う国難に際し、自らの危険を顧みずこれを討伐するに至りました!!就きましては、アールスハイド王国よりその行為に対し、感謝の意を表し、勲一頭の勲章を授与する事になりました!!」

 

シン「く・・・勲章!?」

 

タクト「俺達が!?」

 

シン「それって勲章くれるって事!?」

 

レア「凄いなタクト!!」

 

グレア「勲章だなんて良いな〜!」

 

エミリー「いや、私達も以前に他国から貰ってるからな。」

 

この話にマーリンとメリダが割って入った。

 

マーリン「ディセウム、タクト君に勲章を授与するのは結構だが、以前にお主は言ったな?シンを政治利用するつもりはないと。なのにこの扱いは何じゃ?」

 

メリダ「私も聞きたいねえ。これはどう言う事だい?」

 

一触即発の空気になってしまった。

 

ディセウム「そう言われると思ったからこそ、私が来たのです。今回数十年振りに魔人が出現しました。過去に1度魔人が現れた時、王国は滅亡の危機に瀕しました。その脅威をこの国の人間は決して忘れません。その脅威がまた現れた。この事は既に多くの国民の耳に入っております。そしてそれが直ぐ様討伐された事も。この国にとって、魔人の出現と討伐は隠しておけない事柄なのです。」

 

マーリン「そんな事は分かっておる!!勲章の授与とはどう言う事かと聞いておるんじゃ!!!」

 

ディセウム「マーリン殿とメリダ師、お2人の魔人討伐の際に授与した勲章を、同じ功績を残したシン君とタクト君に授与しない訳にはいかないのです。」

 

マーリン「・・・・・」

 

シン(そりゃやった事は爺さん達と同じだけど・・・同じ功績かって言われるとなぁ・・・)

 

メリダ「それはそうだろうけど・・・」

 

ディセウム「勿論それを利用しようと言う輩が居るでしょうが、それは私が全力を持って阻止します。何なら授与式で宣言しても良い。ですから何卒お許し願えませんか?私の為ではなく、国民の為に。お願い致します!!」

 

マーリン「はぁ・・・分かったディセウム、その言葉を信じよう。もしその言葉を間違えれば我々はこの国を出る。それで良いな?」

 

ディセウム「分かりました。それで結構です。肝に銘じます。」

 

マーリン「それと、一国の王が簡単に頭を下げるでない。」

 

シン「ほっ・・・」

 

メリダ「それにしても次から次へと、よくもまあトラブルを起こすもんだよ。」

 

シン「俺のせいじゃないし!」

 

メリダ「良ければ詳しく話を聞かせてくれるかい?」

 

あの時の事を話した。

 

ディセウム「人為的に魔人化させられた!?それは確かなのかい!?」

 

タクト「あくまで推測だ。」

 

ヒナ「フェオンさん、人為的に魔人化だなんてあるんでしょうか?」

 

フェオン「いや、私も初耳よ。」

 

ディセウム「むぅ・・・」

 

 

 

 

ドミニク『私には、これが人為的に行われている印象を受けます。』

 

 

 

 

ディセウム「シン君、タクト君、アウグスト、トール、ユリウス、シシリー、マリア、君達に命ずる。この事は箝口令を敷く!決して口外してはならない!分かったね?それとフェオン君達も。この事は口外しないように。」

 

エミリー「分かりました。」

 

アンナ「はい!」

 

シン「Sクラスのクラスメイトと担任の先生には話したよ?」

 

ディセウム「それはこちらで対処しよう。至急、各人に使者を派遣通達を。」

 

官僚「はっ!!」

 

ディセウム「では私は、これで失礼させてもらうよ。」

 

 

 

 

 

 

夕方。

 

タクト「オーグ、カートの家族はどうなんだ?」

 

アウグスト「カートの父親の処遇はまだ決まっていないそうだ。内容だけ見ればカート自身の暴走だが、責任を負わない訳にはいかないだろうな。財務局を辞任するのは・・・間違いないだろう。」

 

シン「そうか・・・」

 

全員「・・・・・」

 

アウグスト「話は変わるがシン、それにタクト。どちらにしろクロード達とは通学を続けた方が良さそうだな。」

 

シン「え?」

 

タクト「つまりそれは・・・」

 

アウグスト「あぁ。箝口令が敷かれたのは飽く迄カートの件。お前達が功労者である事は世間では周知の事実だ。言い方は悪いが、露払いでもいなければ、真面に街も歩けないぞ。」

 

シン「マジか・・・」

 

タクト「参ったなぁ・・・」

 

マリア「そりゃそうよねぇ。」

 

シシリー「魔人と魔物を倒したんですから!」

 

アウグスト「しかもそれが英雄の孫と戦士となれば尚更だ。近付いて来る者は際限ないだろう。」

 

シン「ま・・・また面倒な事に・・・」

 

タクト「はぁ・・・」

 

アウグスト「くっくっ。覚悟を決めろよ?新英雄殿方。」

 

 

 

 

 

 

翌日、4人と登校中に。

 

「ほらほら見て!シン様とタクト様よ!」

「あれが魔人を討伐した新しい英雄!」

「はぁ・・・格好良いなぁ・・・」

「一緒に居るのは誰なのかしら?」

「やっぱり、シン様とタクト様程の方になると、既に決まった人が居るのよ。」

「羨ましいわぁ・・・」

 

アウグストの言葉が的中した。歩くだけで国民達から注目されるばかりだった。

 

タクト「おいおい、完全に注目の的だな・・・」

 

シン「もう思いっきり広まってるじゃん・・・」

 

マリア「何言ってんのよ。シンとタクトが魔人を倒した事は隠しておけないって陛下が仰っていたじゃない。」

 

タクト「まぁな・・・」

 

シシリー「けど、それ以上の詳細については他言無用って事でしたね。」

 

タクト「まぁそうだな、人体実験とか公表したらパニックになる恐れがあるし。」

 

「一緒に居るのは誰なのかしら・・・?」

「やっぱり、シン様やタクト様程の方となると、既に決まった方がおるのよ!」

「じゃあ、もしかして婚約者!?」

 

シシリー「・・・!」

 

婚約者と言われたシシリーが赤面した。マリアは笑いながら少々赤くなってる。

 

シン「シシリー、何かごめん・・・」

 

シシリー「いえ、気にしないで下さい。」

 

シン「でも・・・」

 

シシリー「シン君と一緒に居るのは私の意思なんです!私の意思を無視しないで下さい!」

 

シン「あっ!それを言うか・・・」

 

シシリー「フフ、言いますよ?」

 

マリア「何この除け者感・・・」

 

タクト「仲の良いな。」

 

マリア「私外れて良い?」

 

シン「何言ってんだ!」

 

シシリー「そうよ。除け者になんてしてないよ。」

 

マリア(此奴ら・・・!)

 

タクト「お前らマリアを思ってんだ?」

 

 

 

 

 

 

高等魔法学院。

 

「あ!ねえあれ・・・!」

 

勿論生徒達からの注目の的でもある。

 

 

 

 

Sクラスに到着。

 

タクト「やっと着いた・・・」

 

シン「ん?」

 

アリス「昨日、うちに国の使いの人が来たんだけど・・・」

 

リン「私の家にも来た。」

 

トニー「僕の所もだねぇ。」

 

アリス「街の様子見てたんだけどね、皆浮かれてたよ?新しい英雄が生まれたって。」

 

トニー「それは僕も見たね。でも昨日の話を聞いてしまうとねぇ・・・」

 

リン「素直に喜べない。」

 

ユーリ「私も家族に訊かれたわぁ。話せる範囲で話したら皆凄く興奮しちゃった。」

 

タクト「え?何?お前達も注目され中?」

 

アリス「うん。昨日国の使いの人が来てさ。」

 

アルフレッド「ほら皆、席着けー。」

 

シン(ほっ・・・この教室だけは何時も通りだな・・・)

 

 

 

 

ホームルームが始まった。

 

アルフレッド「昨日の騒ぎで、学院中が浮ついてる。ウォルフォードとクリスティはなるべく1人になるな。出来れば女性陣の誰かと一緒に居ろ。男だけで居ると女に囲まれるぞ。」

 

アウグスト「よく知りもしない女に囲まれてみろ。面倒臭いぞ。」

 

タクト(俺に言っても・・・)

 

シン「(矢鱈実感籠もってるな・・・)困ったな・・・」

 

アウグスト「諦めろ。今度叙勲を受けると更に騒ぎが大きくなるぞ。」

 

タクト・シン(まだそんなのもあった・・・!!)

 

 

 

 

研究会説明後(魔人騒動の為1日延期)。

 

「ウォルフォード君!!クリスティ君!!是非!!是非とも我が『攻撃魔法研究会』へ!!」

「何言ってんのよ!!メリダ様から直々に付与魔法を教えて貰ってるのよ!?彼は『生活向上研究会』が相応しいわ!!」

「いいや!!彼らの身体強化魔法は『肉体言語研究会』でこそ生かされるものだ!!」

「英雄様のお孫さんは『英雄研究会』に入るに決まってるでしょ!?」

 

2人だけで外に出てしまった結果、多くの研究会の勧誘を受けてしまってる。

 

 

 

 

Sクラスに戻った。

 

シン「ぜー・・・はー・・・マジで出歩けない・・・」

 

タクト「どうしろってんだよ・・・」

 

トール「今度は我々『究極魔法研究会』に入りたいって1年が殺到してますけど・・・」

 

廊下から生徒達が押し寄せ中。

 

アルフレッド「参ったなぁ、全員入れる訳にもいかんしな。『異空間収納』の魔法が使える事を最低基準とするか。」

 

 

『異空間収納』とは。

魔法で作り出した異空間に道具・武器等を出し入れする魔法。

Sクラスのメンバーは全員使用可能。

因みに授業等で使用する道具もここに収納されており、彼等は手ブラで登下校出来る訳である。

 

 

アルフレッド「黙れ!審査するから全員並べ!」

 

アウグスト「やっぱり騒ぎになったな・・・」

 

シン「実感した・・・」

 

タクト「俺も・・・」

 

アウグスト「まあ、これが落ち着けば取り敢えず叙勲まで騒ぎにはならないだろう。明日からは通常の授業のみになるしな。後は、お前達が気を付ければ良い。」

 

タクト「だと良いけどな。」

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王国・王城。

 

ドミニク「何ですと!?魔人が人為的に発生させられた可能性があると言う事ですか!?」

 

ディセウム「ウム。直接魔人と魔物と戦ったシン君とタクト君の感想だからな。それまでの経緯を考えると、強ち間違いではない様に思える。」

 

ドミニク「ではもしや、最近急増した魔物も・・・!?」

 

ディセウム「ウム。」

 

デニス「これは、大変な事態になるやも知れませんな・・・」

 

警備局長のデニス=ウィラー。

 

ディセウム「そうはさせてなるものか!ドミニク!!デニス!!軍務局と警備局は連携して今回の件を徹底的に調査せよ!!何1つ見落とすなよ!!」

 

デニス・ドミニク「御意!!」

 

ドミニク「カート=フォン=リッツバーグの周辺を捜査すれば何か出るだろう!!」

 

デニス「絶対にその悪事を暴いてやる!!」

 

 

 

 

 

 

放課後の研究室棟・究極魔法研究会。

 

シン「今更だけどさぁ、俺達の『究極魔法研究会』って何を研究すんの?」

 

アウグスト「ノリで決まった感じだからな。何をするかまでは知らん。」

 

シン「ノリかよ!」

 

タクト「リンはどうだ?お前発案者だろ?」

 

リン「私もノリで言った。後悔はしてない!」

 

タクト「お前もか!」

 

リン「ウォルフォード君なら色んな魔法を極めそう。私も、それに協力したいし極めたい。」

 

シン「んじゃ、皆で魔法を極めましょうって事で良いのか?」

 

アウグスト「それで良い。」

 

タクト「じゃあ俺副代表な。」

 

するとそこに。

 

???「失礼します!!」

 

2人の男女の生徒が入って来た。

 

???「お疲れ様っス!!」

 

???「お、お疲れ様です。」

 

シン「君らがAクラスから研究会に入る事になった2人だね。どうぞ中へ。」

 

 

 

 

究極魔法研究会が始まった。

 

シン「えーと・・・何時の間にかこの『究極魔法研究会』の会長になってた・・・シン=ウォルフォードです。宜しくね。」

 

タクト「同じく究極魔法研究会の副会長のタクト=クリスティだ。」

 

Aクラスの2人はぽかんとした。

 

???「き・・・究極魔法研究会?」

 

???「そんな名前だったの?」

 

シン(知らずに入ったのかよ!!)

 

タクト「じ、じゃあ2人共自己紹介してくれるか?」

 

マーク「自分はマーク=ビーンです!!家は鍛冶屋をやってます!!『ビーン工房』って御存知ないっスか!?」

 

トニー「へぇ!『ビーン工房』と言えば有名な所じゃないか!」

 

シン「知ってるのか?トニー。」

 

トニー「ウチは騎士の家系だって言ったろ?僕はあの男女比に耐えられずに魔法学院に来たけど、ビーン工房の武器は切れ味も良いし、憧れだったんだよねぇ。」

 

タクト「ほうほう。」

 

マーク「入り用の物があれば言って下さい!サービスするっス!」

 

トニー「それは嬉しいねぇ!」

 

シン(トニーって、ただのチャラ男じゃなかったんだ・・・!)

 

タクト「次は君。」

 

オリビア「あ、はい!えと・・・オリビア=ストーンです。マークとは幼馴染みです。家は『石窯亭』って言う食堂をしてまして、店の手伝いの為に魔法を覚えました。」

 

アリス「石窯亭!?超有名店じゃん!!彼処の石窯グラタンが最高なんだよねぇ!」

 

マリア「学院の合格祝いを『石窯亭』にしてたんだけど、凄く美味しかったんだから!」

 

トニー「それは羨ましいね、僕の家は予約が取れなかったんだよ。」

 

オリビア「あ、あの良かったら皆で来て下さい。お持て成しします。」

 

アリス「本当に!?やったねシン君!タクト君!これは凄い人材だよ!」

 

シン「失礼な誉め方すんな!」

 

タクト「グラタン食いたいだけだろ!」

 

シン「マークは鍛冶屋の息子って事だけど、何か作れたりするの?」

 

マーク「あぁ・・・多少は・・・でも1番下っ端なので、最近ようやくナイフを作れたくらいッス。」

 

シン「そっかぁ、何か作れるなら俺の武器の新調しようと思ってるんだけど、頼めない?」

 

マーク「ええ!?イヤイヤ!ウォルフォード君の剣って魔人を倒した剣ッスよね!?それに代わる剣なんてそうそうないッスよ!?」

 

シン「・・・っ!じゃあ俺の剣ちょっと見てくれる?」

 

異空間収納からカートを斬った剣を取り出した。

 

マーク「・・・っ!!普通の・・・鉄製の剣じゃないっスか・・・!!しかも薄くて耐久性もあまり・・・本当にこれで魔人を斬ったんスか・・・!?」

 

アウグスト「見せてくれ。」

 

剣をアウグストに見せる。

 

アウグスト「確かにこれは・・・」

 

シン「剣は普通だけど魔法付与してあるんだ。魔力を通してみろよ。」

 

魔力を通すと、超音波振動が発動した。

 

アウグスト「っ!これは・・・刃が微細に振動している・・・!?」

 

タクト「んじゃこれ切ってみ?」

 

異空間収納から丸太を投げた。

 

マリア「何で丸太が収納されてんの!?」

 

剣を振ると、いとも簡単に丸太が綺麗に斬れた。

 

アウグスト「な・・・何だこれは・・・!?全く力を加えずに・・・」

 

シン「バイブレーションソード。刃に超高速な振動を加えるとそう言う風に物が斬れる様になるんだ。」

 

マーク「薄い刃・・・そう言う条件だけで良いなら自分でも打てます!後はウォルフォード君と相談しながらになるっスけど・・・」

 

シン「助かるよ!今までは人伝に頼んでたから細かい調整とか出来なくてさぁ。」

 

トニー「こんな物まで作っていたんだねぇ・・・」

 

ユーリ「凄いわよねぇ。私も付与魔法得意なつもりだったけど、これ見ちゃうと自身無くしちゃうなぁ・・・」

 

シン「ユーリだってその内出来る様になるよ。何なら、婆ちゃんに付与魔法を教えてくれるように頼んどこうか?」

 

ユーリ「ええ!?メリダ様にぃ!?やぁん!超嬉しい!」

 

嬉しくなってシンの手を握った。シンはユーリの豊富な胸にドキッとした。

 

シシリー「むぅ・・・」

 

マリア(おやおや。)

 

タクト(相変わらずスゲェ胸・・・)

 

ユーリ「私の家、ホテル経営してるの〜。お泊まりしたい時は何時でも言ってねぇ。お礼にサービスするからぁ。」

 

シン(ホ・・・ホテル!?・・・で、サービス・・・!?)

 

シシリー・マリア「ぷぷ・・・!」

 

タクト「ラブホ・・・?」

 

シン「・・・それにしても叙勲が終わったら益々気軽に外を出歩けなくなりそうだ・・・」

 

タクト「じゃあ姿を消して歩くか?」

 

トール「・・・姿を消すって何ですか?」

 

シン「いやこうやって。」

 

突然シンが消えた。

 

全員「っ!?」

 

シンが消えた事で全員が驚いた。

 

シシリー「え!?シン君、何処ですか!?」

 

マリア「嘘!?急に消えた・・・!?」

 

シン「いや、そんなに驚かなくても・・・」

 

一瞬でシンが出て来た。

 

マリア「な・・・何今の!?どうやったの!?」

 

シン「俺のは光学迷彩の魔法を使ったんだよ。人間の目って光が反射したものを見てるだろ?だから俺の周囲に魔法で干渉して光を歪めてやると、俺の周りの風景に反射した光が、俺を迂回して前に居る人間に見える。結果、俺が消えた様に見えるって訳。」

 

説明したが、タクト以外全員理解出来てない。

 

シン「(あ・・・これ・・・誰も分かってねぇ・・・)ここは『究極魔法研究会』なんだから、これくらい驚いてどうする?」

 

全員「いきなり究極過ぎる!!」

 

マリア「これはあれね・・・シンが究極の魔法を開発していくの生温かく見守る会になりそう・・・」

 

リン「そんな事ない。私は少しでもウォルフォード君から学び取る。」

 

シシリー「陛下が仰っていたシン君が魔法の固定観念を壊してくれるって・・・こう言う事ですね。」

 

ユリウス「ちょっと壊し過ぎな気がするで御座る・・・」

 

シン(感想はそれぞれだけど・・・ま、初めての研究会の活動としてはこんな感じで良いか。)

 

タクト「シン。あの2人を見ろ。」

 

シン「ん?」

 

マーク「む・・・無詠唱っスか・・・!?」

 

オリビア「流石Sクラスね・・・」

 

シン(ああ!付いて来れてない!!)

 

究極魔法研究会は、新たな一歩を踏み出した。

 

 

 

 

 

 

リッツバーグ邸。警備局捜査官のオルト=リッカーマンが、カートの父親ラッセル=フォン=リッツバーグ伯爵に尋ねる。

 

オルト「息子さんの事、心中お察ししますリッツバーグ伯爵。奥様は?」

 

ラッセル「心労から寝込んでいる。私も寝込めるものなら寝込みたいが、そうもいくまい。事情徴収だろう?始めてくれ。」

 

オルト「失礼を承知しでお尋ねしますが、息子さんは昔から横柄な性格だったのですか?」

 

ラッセル「バカを言うな!多少気位は高かったが、『民は守るもの』と言う意識は持っていたはずだ!あの様な態度、先日が初めてだった。」

 

オルト「(中等学院時代の評判とは一致する・・・が、そこまで唐突に考えが一変するものか?まるで別人・・・高等魔法学院に入ってからの言動はまるで・・・っ!)帝国貴族。」

 

ラッセル「何?」

 

オルト「いえ、失礼。最近の息子さんに対し私が受けた印象です。」

 

ラッセル「確かに帝国貴族にとって国民は搾取の対象・・・貴族でない者は人間ではないと言い張る様な輩だからな・・・」

 

オルト「(そう・・・まるでカートの変化は帝国貴族の洗脳を受けたかの様な・・・)息子さんが、帝国の者と接触した事は?」

 

ラッセル「カートが通っていた中等学院の教師が元帝国の人間だったな。カートはその教師の研究会に参加していたはずだ。受験の為、一時家庭教師に来て貰った事がもあった。」

 

オルト「・・・・」

 

ラッセル「そう言えば、妻に聞いたが・・・カートが死んだ日にも、その教師がカートを尋ねて来ていたらしいが・・・」

 

オルト「っ!伯爵、その教師の名は?」

 

ラッセル「オリバー=シュトロームだ。」

 

 

 

 

馬車内。

 

カルロス「カートが魔人化した日に訪れていた中等学院の教師か・・・」

 

オルト「調べてみる価値はありそうだな。」

 

 

 

 

 

 

オルトとカルロスは、その教師が居る中等学院へ赴いた。

 

校長「シュトローム先生ですか?今なら多分自室に居られるかと。」

 

 

 

 

中等学院・シュトロームの部屋。

 

オルト「シュトローム先生、失礼します。」

 

そこにオリバー=シュトロームが居た。

 

オルト「警備局捜査官のオルト=リッカーマンです。」

 

カルロス「同じく、カルロス=ベイルです。」

 

シュトローム「初めまして。オリバー=シュトロームです。」

 

オルト「お忙しい所、すみません。」

 

シュトローム「いえ良いですよ。紅茶でも?」

 

オルト「いや、お構いなく。」

 

紅茶を淹れるシュトロームを見て、オルトが違和感を覚えた。

 

オルト「感知系の魔法ですか?」

 

シュトローム「ん?」

 

オルト「いえ、両目を眼帯で覆っているのに、動きに迷いがないので、視覚の代わりとなる魔法を使われているのかと。」

 

シュトローム「まぁ、そんな所です。」

 

オルト「不躾な質問ですが、その目は?」

 

シュトローム「恥ずかしい話ですよ。私は帝国貴族の家に生まれたのですが・・・」

 

オルト「っ!?」

 

シュトローム「ですが、実家の跡目争いに敗れましてね。私を亡き者にしようとする親族から命辛辛逃げ出したのですよ。この目もその時の襲撃によって。」

 

オルト「そうでしたか。失礼な事を聞いてしまってすみません。」

 

シュトローム「いえ、よく聞かれる事ですから。所で、今日はどう言った御用件で?まさか私の目の事を聞きに来られた訳ではないでしょう?」

 

オルト「えぇ、シュトローム先生はこの学院の研究会で優秀な魔法使いを育成されているようですね。」

 

シュトローム「それが、何か?」

 

オルト「多くの生徒を研究会に誘い、随分熱を入れておられると聞きましたが。」

 

シュトローム「私は元帝国貴族ですからね。この国では風当たりは結構強いんですよ。私を学院内で認めさせるには目に見える功績が必要だったんです。」

 

オルト「成る程、それで。」

 

シュトローム「私の生徒の中には高等魔法学院に合格した子も居たんです。」

 

オルト「そうなると、先生達にとっても・・・今回の事は残念でしたね。」

 

シュトローム「そうですね。カートがまさか・・・こんな事になるとは・・・」

 

何かの違和感をオルトが察した。

 

オルト「シュトローム先生。」

 

シュトローム「何でしょう?」

 

オルト「実は今魔人化した彼の遺体を、各所の専門家が検分している最中なんです。出来れば先生方にも是非意見を聞かせて頂きたい。」

 

シュトローム「教え子の遺体を検分するのは気が進みませんね・・・」

 

オルト「どうかそこをお願いします。」

 

シュトローム「分かりました。伺いましょう。有益な話が聞ける事を期待していますよ。」

 

 

 

 

 

 

高等魔法学院・食堂。

 

タクト「今日の研究会は無事終了。」

 

シン「・・・・」

 

シシリー「シン君、考え事ですか?」

 

シン「え?あ、あぁごめん。改良する剣の事を考えててさ。なあマーク、今から君の家行っても良いか?」

 

マーク「え?ウチッスか?」

 

シン「さっき言った武器の新調の事で色々聞きたいんだけど・・・」

 

マーク「ああ、良いッスよ!」

 

トニー「僕も行って良いかい?」

 

シン「トニー。騎士になるのは嫌でも、やっぱりビーン工房は気になるのか?」

 

トニー「騎士養成士官学院が嫌なのであって、騎士や剣士が嫌いな訳じゃないよ。やっぱり剣を見るとワクワクするからねぇ。でも、Sクラスから落ちると騎士養成士官学院に強制連行だからね僕は。あまりそう言ってられないけどね。」

 

シン「意外と苦労してんだな・・・」

 

マーク「それでウォルフォード君は、どう言う剣を考えてるんスか?」

 

シン「薄い刃ってのが大前提だけど、それじゃ折れ易くてさか、替えを沢山用意するのもお金掛かるし・・・」

 

トニー「賢者様の孫でもお金に困るのかい?」

 

シン「そうはいかないんだよ。小遣いしか貰ってないからね。」

 

トール「え!?そうなのですか!?」

 

シン「婆ちゃんが、常識的な金銭感覚を身に付けさせる為にそうしろって爺ちゃんに・・・」

 

ユリウス「流石は導師様!節制と鎧は身に付けておいて損はないで御座る!」

 

シン「それはそうだけど・・・」

 

マーク「持ち手まで一体型の剣を大量に鋳型で作るのはどうッスか?柄の加工も幅けるし、コストも抑えられるッスよ。」

 

シン「それは俺も考えたけど、柄まで一体型だと振動がね・・・」

 

タクト「そうなっちまったら手まで振動し・・・ブッ!!」

 

トニー・マーク「ブッ!」

 

振動するシンを想像して吹いた。

 

シン「想像して笑うなよ!!」

 

タクト「シンがシン動・・・!」

 

シン「上手い事言うな!!」

 

トニー「じゃあ、刃だけ簡単に交換出来るようにすれば良いんじゃないのかい?」

 

タクト・シン・マーク「それだ!!!」

 

シン「出来ればワンタッチで交換したいんだけど・・・」

 

マーク「それはそれで開発にコスト掛かるッスね・・・」

 

トニー「普通刃の柄はブレない様しっかり付いてるけど・・・振動する事が前提だからねぇ。外れなければ装着も簡単で良いんじゃないのかい?」

 

タクト・シン・マーク「それだ!!!」

 

シン「いやぁ、トニーが居てくれて助かったな!!」

 

タクト「冴えてる〜!」

 

マーク「早く工房行きましょう!!試してみたいアイデアが止まんないッス!!」

 

マリア「ねぇねぇシン、タクト。」

 

シン「ん?」

 

タクト「何だ?」

 

マリア「シン達が工房行ってる間、私達はオリビアの店に居ても良い?」

 

シン「ん?」

 

マリア「もっと色々聞きたいんだよね!新しいメニューの事とか、新しいメニューの事とか!」

 

タクト「メニュー目当て!」

 

オリビア「お手柔らかにお願いします・・・」

 

シン「良いよ。工房に居ても女の子はつまらないだろうし。」

 

タクト「工房は五月蝿いからな。」

 

 

 

 

 

 

同じ頃練兵場では、シュトロームがオルトに連れてかれた。

 

シュトローム「ここは?」

 

オルト「警備隊の詰所の中にある練兵場です。ここで検分をしようと思いまして。」

 

シュトローム「こんな所で?」

 

オルト「ええ。」

 

”パチッ”

 

指を鳴らすと、大勢の騎士達が現れ、シュトロームを取り囲んだ。

 

シュトローム「遺体の検分をすると言う雰囲気ではないようですね。」

 

オルト「しますよ。あなたの検分をね。」

 

シュトローム「私の?何故?」

 

ルーパー「ようオルトォ!お前ん所の隊員に呼び出し食らったけどよ、これは一体何なんだ?」

 

魔法師団団長のルーパー=オルグランと騎士団総長のドミニクが顔を出した。

 

オルト「今から説明しますよ、ルーパー様。」

 

シュトローム「私は何故この様な仕打ちを受けているのでしょうかオルトさん?やはり元帝国貴族にはこの様な扱いが相応しいと?」

 

オルト「そんな理由ではありませんよシュトローム先生。シュトローム先生、あなたの証言は見事でしたが、1つだけミスを犯しましたね。ドミニク局長、魔人化したのは誰でしょうか?」

 

ドミニク「カート=フォン=リッツバーグだろ?」

 

オルト「そうです。ここに居る皆は当然知っている。しかしここに居る人間以外は知らないはずなんですよ。”魔人化したのはカート”だと言う事実は。」

 

シュトローム「ほう?」

 

オルト「ウォルフォード君とクリスティ君から話を聞いた陛下は、直ぐ様箝口令を敷かれました。魔人化した人間の名を口外してはならぬと。今回の魔人及び魔物出現には幾つか不可能な点があり、そのせいでカートの家族が不当な扱いを受けぬ様に。あなた達に会う前にリッツバーグ邸に伺いましたが、物静かなものでしたよ。魔人に対し脅威を感じる国民性から言って・・・魔人化したのがカートだと知れれば人が殺到するでしょう。箝口令が機能している証拠です。『高等魔法学院に魔人が出現し、偶々居合わせた英雄の孫シン=ウォルフォードと、超古代の戦士タクト=クリスティがそれを討伐した。』王都に広まっているのはその話だけです。知っているのは、軍部と警備隊の一部・魔法学院の関係者だけ。さて、ではあなた達は、何処でカートの件を知っていたのですか?」

 

 

 

 

シュトローム「クク・・・ハハ・・・アハハハハハハ!!!!」

 

 

 

 

黙秘していたシュトロームが突然嗤い始めた。

 

シュトローム「まさか箝口令が敷かれているとは思わなかったですねぇ。そうですか。騒がれているのはウォルフォード君とクリスティ君だけですか。」

 

するとシュトロームから魔力が増幅した。

 

ルーパー「舐めてんじゃねえぞ!!!」

 

魔法をシュトロームに向けて放った。しかしシュトロームが障壁を張って防いだ。

 

ルーパー「チッ!!これを防ぐか・・・テメェ何モンだ!?」

 

シュトローム「答える義務はないですね!」

 

魔法を放った。

 

ドミニク「離れろルーパー!!」

 

2人はすぐに魔法を避けて、地面に飛び降りた。

 

シュトローム「さて・・・」

 

浮遊したシュトローム。

 

「う・・・浮いている・・・!?」

「そんな魔法見た事も・・・」

 

ルーパー「絶対に逃がすな!!奴らを逃せば、また犠牲者が出るぞ!!!」

 

周囲の魔法騎士と騎士達が一斉射撃を開始し、シュトロームに全弾命中した。

 

 

 

 

シュトローム「さて、ここでの実験は全て終わりました。そろそろ失礼させて頂くとしますね。」

 

しかし障壁で全弾防いだのだった。

 

 

 

 

オルト「実験だと・・・!?カートを実験に使ったと言うのか!!未来ある少年の命を!!お前達の身勝手な目的の為に!!」

 

シュトローム「そうですね。まあ、私達に目を付けられた時点で、彼には運が無かったんですよ。」

 

激怒したオルトが剣を抜いて走り出す。

 

オルト「彼の家族がどれだけ傷付き、苦しんでいるのか分からないのか!!!!」

 

ドミニク「オルト!止せ!!!」

 

シュトローム「正義感は鬱陶しいですね・・・」

 

剣を避け、シュトロームが魔法でオルトを消そうとした。

 

ドミニク「オルト!!!」

 

しかしドミニクがオルトを助け、魔法が練兵場の壁に向かう。

 

 

 

 

 

 

数分前、タクト達が外に出てビーン工房へ向かう。

 

マリア「え!?マークと付き合ってるの!?」

 

オリビア「マークとは幼馴染みで、その自然と・・・」

 

シシリー「そこ、詳しくお願いします!」

 

オリビア「詳しくですか!?」

 

”ドガーーーン!!”

 

タクト「っ!?」

 

シュトロームが放った魔法によって壁が破壊された。

 

シン「な、何だぁ!?」

 

タクト「壁が・・・!?」

 

急いで壊された壁の奥を見ると。

 

 

 

 

シュトローム「おや。」

 

シン「何の騒ぎだこりゃ・・・!?(大勢で1人を取り囲んで・・・それに、この巨大な魔力は・・・)」

 

タクト「両目に眼帯・・・オーグ、まさかあれって前に言っていた中等学院の・・・」

 

アウグスト「間違いない、オリバー=シュトロームだ!!」

 

シュトローム「これこれは、アウグスト殿下に英雄シン=ウォルフォード君にタクト=クリスティ君ではないですか。」

 

シン(俺達の事を知ってる・・・!?いや・・・そもそも彼奴には目が見えていないのに何で・・・!?)

 

タクト(もしや彼奴は・・・)

 

ドミニク「お逃げ下さい殿下!!奴らは魔人騒動の首謀者です!!!」

 

アウグスト「・・・っ!?」

 

シン(って事は・・・此奴らが・・・!!)

 

タクト(・・・!!)

 

2人の怒りが爆発した。

 

シン「お前がカートに何かしたって事か!?カートの今までの不自然な行動も、魔人化したのも・・・!!」

 

タクト「全てお前の仕業か!!」

 

シュトローム「そうですよ。いやぁ面白い程思い通りに踊ってくれましたねぇ。とは言え、魔人化したにも拘らず、彼処まで弱かったのは計算外でしたけどねぇ。」

 

タクト・シン「っ!!!!!!」

 

シン「此奴が全ての元凶か!!」

 

シュトローム「おや、あなた達も私が許せませんか?」

 

シン「ああ許せねーよ!!」

 

異空間収納から剣を握り、左手に魔法を集める。

 

タクト「首謀者の前で黙ってる俺達じゃねえ!!」

 

懐からスパークレンスを出した。

 

タクト「未来ある若者を魔人化にさせた罪は重いぞ!!」

 

スパークレンスを掲げて光らせ、ウルトラマンティガへ変身した。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ウルトラフィックスでシュトロームの動きを封じた。

 

シュトローム「っ!!」

 

しかしシュトロームが魔力を増大させてそれを無効化した。

 

シュトローム「もう少し魔力が薄かったら抜けてましたね・・・っ!?奴らが消え!?」

 

2人の姿が消えたと思いきや、真後ろにシンが回り込んで来た。

 

シュトローム「っ!!」

 

剣を振ったシンだが、シュトロームが間一髪避けた。

 

シン「タクト!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

胸のプロテクターから発するエネルギーを光の刃に変えたティガスライサーを飛ばしたがシュトロームが避けた。

 

シュトローム「その力、光の刃ですね」

 

シン「さあね!」

 

ティガ「どうかな!」

 

シュトローム「やはり君達は、危険ですね!」

 

左手から黒い電撃を放つ。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

ウルトラシールドで電撃を防いだ。

 

シン「これならどうだ!!」

 

地面を強く踏むと。

 

シュトローム「っ!!」

 

地面から棘が生成され、シュトロームに迫る。

 

ティガ「ハァッ!」

 

再びウルトラフィックスを放ち、シュトロームの動きを封じた。

 

シュトローム「っ!?」

 

ティガ「チャァッ!!」

 

シン「ハァッ!!」

 

シュトローム「ちっ!!」

 

ティガのマルチ・スペシウム光線とシンの疾風の魔法が同時にシュトロームに命中して爆発した。

 

 

 

 

 

 

だが、シュトロームは無傷だった。

 

 

 

 

 

 

シン「なっ・・・」

 

ティガ「ウルトラフィックスを無効化したか。」

 

シン「宙に浮かぶとか反則だと思うんですけど?(浮遊魔法・・・?そんなの流石に俺でも使えねーぞ・・・)」

 

シュトローム「今のは焦りましたよ。流石は英雄の孫と超古代の戦士。魔人を討伐するだけの事はある。」

 

ティガ「ーーーーーーハァッ!!」

 

紫色のスカイタイプへタイプチェンジした。

 

シン「そりゃどうもっ!!!」

 

ジェットブーツの噴射で飛び。

 

ティガ「チャァッ!」

 

飛翔する。

 

シュトローム「何!?」

 

シン「一瞬なら、俺でも飛べるんだよ!!」

 

ティガ「俺は自由に飛べる!!」

 

ハンドスラッシュを連射する。

 

シュトローム「ぐあっ!!」

 

シン「タクト!もう一丁!」

 

ティガ「あぁ!」

 

両腕を胸の前で交差させ、瞬時に左右に伸ばしてから上にあげてエネルギーを集める。

 

ティガ「チャァ!!」

 

右腕を突き出してランバルト光弾を放ち、シンも風の魔法を放つ。

 

シュトローム「ぐっ・・・!!」

 

眼帯にヒビが入り・・・

 

シュトローム「調子に・・・乗るなああああああ!!!!」

 

怒りが頂点に達し、周囲に強力の魔力を放射した。

 

ルーパー「うおっ!!」

 

ティガとシンが着地した。シュトロームの眼帯が取れた。すると全員が驚いた。その理由は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シュトロームの両目が赤いと言う事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シン「赤い目・・・!?」

 

ティガ「魔人・・・!!」

 

 

 

 

ドミニク「そんな・・・まさか・・・!!」

 

ルーパー「嘘だろ・・・!!」

 

 

 

シュトローム「やってくれましたねぇ。ウォルフォード君、クリスティ君。」

 

シン「完全に理性を保ったままの・・・魔人!?」

 

ティガ「・・・」

 

シュトローム「出来れば、正体を隠したまま去りたかったんですけどねぇ・・・」

 

 

 

ドミニク「そんな事がありえるのか・・・!?理性を失った魔人でさえ国を滅ぼし掛けたんだぞ・・・!」

 

オルト「それが・・・意識を保ったまま・・・!?」

 

「ひ・・・!」

「マ・・・マジかよ・・・!」

 

 

 

シン「理性があるって事は、好き勝手暴れ回るって訳じゃなさそうだな。」

 

ティガ「カートよりはマシって言う証拠だな。」

 

シュトローム「無秩序に力を使えば討伐に来るでしょう?そんな面倒で愚かな事はしませんよ。」

 

シン「っ!?人間に害を与える気はないって事か?」

 

ティガ「だが彼奴はカートを・・・」

 

シュトローム「何を期待しているのですか?君は!!この身体になってから、私にとって人間なんて心底どうでもいい存在ですよ!!利用しようが!騙そうが!殺そうが!!この身体になってから何とも思わくなったんですよ!!」

 

シン(狂ってる!カートと違って此奴は真に魔人だ・・・!人類の敵になる存在だ・・・!!此奴はここで仕留めなければいけない!!)

 

ティガ(奴の考えがサイコパスなら、ここで討つ!)

 

シン「タクト!」

 

ティガ「あぁ!!」

 

ハンドスラッシュとシンの光弾が軌道を変え、シュトロームの上の天井に穴を開けた。

 

シュトローム「フフ、あらぬ方向に魔法を放ってどうしました?恐怖で手元が狂いましたか?これだから人間は。」

 

2人は何もせずにそのままで立ってる。

 

シュトローム「何時まで何のつもりですか!?」

 

ティガ・シン「っ!!」

 

シュトロームが急接近する。

 

シシリー「シン君!!危ない!!」

 

マリア「タクト!!逃げて!!」

 

ティガ・シン(っ!!間に合った!!)

 

シンがジャンプし、シュトロームに接近する。

 

ティガ「ーーーーーハァッ!!」

 

スカイタイプから再びマルチタイプに戻った。

 

シュトローム「またそれですか!!」

 

魔法でシンを殺そうとしたが、シンがジェットブーツで後ろに下がった。

 

シュトローム(何!?)

 

シン「そこでじっとしてろ!!俺の魔法は既に完成してるんだよ!!」

 

ティガ「行くぞ!」

 

飛翔して外へ飛び出し、シュトロームの真上に浮いた。

 

ティガ「ハッ!」

 

両腕を前に突き出し交差させ、大きく横に広げてエネルギーを集める。

 

シュトローム「何だ?」

 

天井の穴の奥の外では、魔力と集中した。

 

シュトローム「っ!?上か!!そうか・・・先程の魔法・・・わざと天井に・・・!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ゼペリオン光線と、無数の熱線魔法がシュトロームに全て命中した。熱線魔法が竜巻に乗り、シュトロームに一点集中した。

 

シュトローム「グゥ・・・アァ・・・アアッ!!!」

 

2つの必殺技を受けたシュトロームが大爆発を起こした。

 

 

 

ルーパー「おぁあ!」

 

 

 

シン(っ!?今のが・・・)

 

爆煙が少しづつ晴れる。

 

アウグスト「奴は!?やったか!?」

 

シン「それを言うなよ!!」

 

魔力探査でシュトロームを探すが。

 

シン(魔力探査にも引っ掛からない・・・倒したのか!?)

 

ティガ(だが、この違和感は何だ・・・!?)

 

「お・・・おお・・・魔人を・・・それも理性を保ったままの魔人・・・討伐してしまうなんて・・・!」

「うおお!!やったぞーーーーー!!!」

「流石賢者様の御孫さんと超古代の戦士だ!!」

 

ティガ「・・・・」

 

光となってタクトに戻った。

 

シシリー「シン君!!」

 

マリア「タクト!平気なの!?」

 

タクト「大丈夫だ、問題無い。」

 

シン「ああ、俺は大丈・・・夫・・・って、え!?」

 

シシリー「ほ・・・本当ですか!?け・・・怪我とかは・・・?」

 

ぺたぺたとシンの身体を触って傷を確かめる。

 

シン(ん?な・・・何かシシリーがやたらと・・・)

 

シシリー「し・・・心配させないでくださ・・・ごにょごにょ。」

 

アウグスト「?」

 

横を見ると、ドミニクとルーパーが膝を付いていた。

 

ドミニク「ご無沙汰しておりますアウグスト殿下。一体何故このような所に?」

 

アウグスト「何、学校帰りに友人と街を歩いていただけだ。」

 

ドミニク「危のう御座います。お立場をお考え下さい。」

 

ルーパー「固ぇ事言うなよドミニク。護衛に加えて彼らまで付いてたんだぜ。見たろ?魔人を討伐しちまう程だぞ。」

 

シン「討伐・・・ですか・・・」

 

タクト「ちょっと褒められてもなぁ・・・」

 

ルーパー「何だぁ?浮かない顔してよ。魔人とは言え、人を手に掛けるのは気が滅入るか?胸を張りな。君達のお陰で魔人と相対しながら生き延びる事が出来た。改めて礼を言うぜ、ウォルフォード君。クリスティ君。」

 

笑顔で2人に感謝した。

 

ルーパー「にしても、噂通りスゲェ強ぇな!」

 

オルト「新英雄と言われるだけありますね。」

 

ドミニク「ウォルフォード君の剣の腕も一流だ。ミッシェル様に聞いていた通りだな。」

 

タクト「ミッシェル=コーリング?」

 

シン「ミッシェルおじさんを知ってるんですか?」

 

ドミニク「ああ、自己紹介が遅れたな。私はドミニク=ガストール。ミッシェル様の後任の騎士団総長でね。将来が楽しみな少年が居るとよく聞いていたんだよ。」

 

シン「そうだったんですか・・・(若作りだったんだ・・・ミッシェルおじさん・・・)」

 

ルーパー「俺はルーパー=オルグラン。魔法師団の団長だ。俺もジークフリードに聞いていたがな。常識外れな魔法を使う子だと。」

 

シン(ジークフリード?誰だその格好良い名前の人は?)

 

魔法師団長のルーパーは、ジークフリードの上司にあたる。

 

ルーパー「それにしても、最後のあれは一体何をしてたんだ?」

 

シン「何って、太陽光を収束して熱線にしたものを撃ち込んだだけですよ。天井壊してすいません。」

 

ルーパー「太陽光?それで何であんな威力になる?」

 

シン「太陽の光って1種類だけじゃないんですよ。色んな種類の光の内、熱を感じる光を集めるイメージをしたんです。」

 

ルーパー「・・・・スマン、俺にはよく理解出来ん。」

 

ドミニク「・・・同じく。心配するなオルグラン。ここに居る皆が理解出来ていない。」

 

ルーパー「聞けば賢者殿にも理解出来なかった魔法があると言う話だからな。」

 

アウグスト「此奴の頭の中は可笑しいんだ!」

 

きっぱりと断言した。

 

シン「それは流石に非道くね!?」

 

タクト「それにしても、さっきの違和感は何だったんだ?」

 

シン(そう、撃ち込んだ魔法を超高熱の熱線、そしてタクトが撃ち込んだ光線・・・これを喰らってシュトロームが無事で居られる訳がない。ただ・・・熱光線で今まであんな爆発・・・起きたか・・・?何か違和感が・・・)

 

オルト「・・・それにしても、これで2体目の魔人討伐ですが、勲一等でも割に合わない位ですね。」

 

アウグスト「まあ、これで今度の叙勲式にも箔が付くと言うものだ。益々騒ぎにはなるだろうが・・・」

 

シン「いい加減諦めついたわ・・・」

 

タクト「もう止めてくれ・・・」

 

2人の活躍で、シュトロームの撃墜に成功した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別の場所では。

 

シュトローム「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

まだ彼は生きていた。

 

シュトローム「クク・・・やはり厄介な存在ですねぇ・・・シン=ウォルフォード君にタクト=クリスティ君・・・」

 

あの時シュトロームは、咄嗟の判断で自ら爆発魔法を発動させて爆風で逃げたのだった。しかしこれは、浴び続ければ身体が消滅すると言う危険がある。

 

シュトローム「よもやここまでの深手を負わされるとは・・・まぁ、お陰で良いデータが取れましたよ。私の計画を指を咥えて見ているがいいでしょう・・・」

 

すぐにアールスハイド王国から姿を消した。

 

 

 

 

シュトローム「フフフ・・・アハハハハハ!!!!!」

 

彼の陰謀は、まだ始まったばかりだった。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭
ドミニク=ガストール:小山剛志
ルーパー=オルグラン:保村真
デニス=ウィラー:島田岳洋
オルト=リッカーマン:狩野翔
カルロス=ベイル:松田修平
アルフレッド=マーカス:駒田航

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
グレア:高橋李依

ラッセル=フォン=リッツバーグ:土田大
女子:難波佑香
    水谷麻鈴
    八木侑紀

オリバー=シュトローム:森川智之





次回予告

オリバー=シュトロームが姿を消してから数日後、タクトとシンが王国の叙勲式に出席された。そして帝国に新たな動きが。

次回ウルトラマンティガ

破天荒な新英雄

お楽しみに


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第4話「破天荒な新英雄」

破天荒な新英雄



ある日、マリアはウォルフォード邸のトイレのウォシュレットをしていた。

 

 

 

トイレ終了。

 

マリア「ふぅ〜、やっぱりこの家の洗浄機付きトイレは最高ねぇ〜。文化の極みだわぁ〜。」

 

メリダ「ちょいとマリア、こっちに来な。」

 

マリア「はい?何でしょうか導師様。」

 

メリダ「その導師様ってのは止めとくれ。メリダで良いよ。それより、アンタに訊きたい事がある。」

 

マリア「あ、トイレなら素晴らしいですよ!ここのトイレを知ってから家のトイレが物足りなくって。」

 

メリダ「それには完全に同意するけど、そんな事じゃないよ。タクトを除いたあの2人、特にシシリーの方はどんな様子だい?」

 

部屋で話し合ってるシンとシシリーをこっそり見る。

 

マリア「様子・・・あっ!そう言う事ですか。一目も憚らずにイチャイチャしてますよ。」

 

メリダで「そうかい!じゃあもう付き合ってるんだね!?」

 

マリア「それが・・・そう言う訳じゃないんです。」

 

メリダ「っ!?どう言う事だい?」

 

マリア「何て言うか・・・お互い好意を持っているのは間違いないんですよ。でもシンの方はシシリーが優しいからそう言う態度を取ってると思ってますし、シシリーに至っては自分の気持ちが恋心だと気付いてないですね。」

 

メリダ「何だいそれは?」

 

マリア「シシリーってあの容姿にあの性格ですからね。昔から男子にモテたんです。告白もたくさんされてたんですけど、受けた事がないんです。その感情が解らないって・・・」

 

メリダ「って事は・・・」

 

マリア「これが、初恋でしょうね。」

 

シシリーは恋に自覚が無く、これが彼女にとって初恋だと言う。

 

 

 

 

 

 

ある日タクト達は、マークの家のビーン工房へ向かっている。

 

マリア「ビーン工房はここから近いの?」

 

ユリウス「もうすぐそこで御座る。」

 

マリア「トニーは用事があるんだっけ?残念だったわね。行きたがってたのに・・・」

 

そんな中、タクトとシンは考え込んでいる。

 

アウグスト「さっきからどうしたシン?タクト?」

 

シン「オーグ、シュトロームは多分、生きている。」

 

アウグスト「っ!?どう言う事だ!?」

 

タクト「見ただろ?シンの熱光線の魔法の跡と俺の光線の焼き焦げた跡を。」

 

アウグスト「ああ・・・あの窪みと光線の跡の事か。」

 

シン「普通はああやって凹みが出来るだけで、爆発なんて起きないはずなんだ。」

 

アウグスト「っ!!つまり、あの時爆発を起こしたのは・・・」

 

タクト「紛れもない。シュトロームだ。」

 

シン「警戒は・・・しておくべきだと思う。」

 

タクト「今後、奴が何を仕出かすか分からない。」

 

アウグスト「シン、作りたい物を発注しろ。資金は王家が出す。」

 

シン「え?」

 

タクト「オーグ、良いのか?」

 

アウグスト「今の話を聞いてしまうとなぁ・・・シュトロームと対等に戦えるのはお前とタクトだけだ。装備は充実させておこう。」

 

 

 

 

ビーン工房に到着。

 

マーク「ビーン工房にようこそ!!歓迎するっス!!」

 

オリビア「お、おはようございます皆さん。」

 

マークの後ろからオリビアが顔を出した。

 

シン「おはようマーク、オリビア。」

 

タクト「2人一緒なのか?」

 

オリビアを見て、シシリーとマリアがきゅぴーんと来た。

 

マリア「おはようオリビア。では早速♡」

 

シシリー「ええ、これはお話を伺わせて頂かなければ♪」

 

オリビア「うう・・・お手柔らかにお願いしますぅ・・・」

 

3人は工房を後にした。

 

タクト「おーい!あんまりオリビアを困らせるなよ〜!」

 

 

 

 

工房内。

 

マーク「父ちゃん!とーちゃーん!」

 

ハロルド「何だバカ野郎!!デケェ声で呼びやがって!!工房ん中じゃ親方って呼べって言ってんだろうが!!!」

 

工房主のハロルド=ビーン。

 

タクト「おぉ・・・威厳あるなぁ・・・」

 

アウグスト「忙しい所をスマンな。私はアウグスト=フォン=アールスハイドだ。」

 

ハロルド「ア・・・ア・・・アウグスト殿下ぁぁぁ!?」

 

全員が土下座した。

 

タクト「媚び諂った。」

 

アウグスト「ああ、手を止めさせてすまない。工房主に話しがあるだけだ。作業を続けてくれ。」

 

ハロルド「は・・・話しって言うのは?」

 

アウグスト「実は、ここに居るシンの武器開発を手伝って欲しいのだ。」

 

ハロルド「このボウズ・・・いや、坊ちゃんの武器ですか?」

 

アウグスト「紹介しておこうか。彼はシン=ウォルフォード。賢者マーリン様の孫だ。」

 

ハロルド「っ!!!!って事は彼が魔人を討伐したって言う・・・!?」

 

アウグスト「頼めるか?」

 

ハロルド「そりゃ願ってもねえ!!新英雄様の武器を作れるとなりゃこれ以上の誉れはねえ!!それで、どんな武器を作るんですか?」

 

アウグスト「シン。」

 

シン「あぁ。」

 

 

 

 

 

 

ブルースフィア帝国領にある帝城。

 

ヘラルド「ゼスト、貴様の持っていたアールスハイドの情報を何処から仕入れて来たのだ?」

 

皇帝のヘラルド=フォン=ブルースフィア。

 

ゼスト「王国内に協力者が居りましてね。魔物の増加で国中が混乱していると報告があったのです。」

 

???「対して我が国の魔物は急激に減っている。王国が魔物の手を焼いている今・・・確かに攻め入る好機か。フン、お前如き平民の意見。本来ならば聞く耳を持たぬが、まあ今回は我々帝国貴族が有意義に使ってやる。光栄に思え。」

 

ゼスト「はい。ありがたき幸せ。」

 

この男は一体、何を企んでいるのか。

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王国・ビーン工房。

 

シン「じゃあ親父さん、後はお願いします。」

 

ハロルド「おう任しとけ!試作が出来る頃にまた来てくれ!」

 

 

 

 

待っているシシリー達と合流。

 

マリア「あ、あっちも終わったみたい!」

 

シシリー「お話済みましたか?」

 

シン「あぁ。そっちは?」

 

マリア「まぁ一応。」

 

満足の2人とボロボロになってるオリビア。

 

タクト「オリビア、大丈夫か?」

 

オリビア「は・・・はい・・・」

 

シン「所でマークの店って、他に何を売ってるんだ?」

 

マーク「2階は生活用品で、3階はアクセサリーとかッスね。」

 

シン(アクセサリーか・・・防御魔法を付与して制服と併用すれば更に防御効果を高められるな・・・)

 

シシリー「どうかしましたか?」

 

シン「いやぁ。ねえシシリー、何か欲しいアクセサリーない?」

 

シシリー「え!?ア・・・ア・・・ア・・・アクセサリー・・・ですか!?えと、あの・・・ゆ・・・指輪とか・・・?でもいきなりそんな!と・・・取り敢えずネックレスとかブレスレットも捨て難いし・・・あ、ピアスも嬉しい・・・」

 

シン「そ、そんなに沢山欲しいの?」

 

シシリー「あ・・・いえ!そう言う訳じゃなくて!シ、シン君に貰うなら何が良いかなって・・・」

 

シン「いや、実はアクセサリーの魔法付与について考えてて・・・付与して皆に渡すなら何が良いかと思ってさ・・・」

 

シシリー「あ、そうですよね・・・」

 

シン「あれ!?」

 

全員がシンに責める。

 

アウグスト「お前それはないだろう・・・!」

 

トール「上げて落とす・・・鬼ですか!?」

 

マリア「シシリー可哀想・・・!」

 

タクト「少しは空気読めこのKY野郎が・・・!」

 

シン「え!?え!?・・・あっ!!(そうか、さっきの聞き方じゃまるで・・・)あ〜〜・・・シシリー?」

 

シシリー「何ですか・・・・・・?」

 

シン「ちょっと・・・良い?」

 

 

 

 

 

 

ビーン工房3階。

 

シシリー「シン君、ここは・・・」

 

シン「うん、ビーン工房の3階がアクセサリー売場になんだって。」

 

シシリー「ご・・・ごめんなさい・・・そんな、催促するつもりじゃ・・・」

 

シン「いいからいいから。落ち込ませちゃったお詫びに。それに、俺自身がシシリーにアクセサリーを買ってあげたいなって。」

 

シシリー「はぅ・・・」

 

シン「付与は俺がしてあげるから、どれが良い?」

 

シシリー「えと・・・うぅ・・・あの・・・シン君が・・選んでくれませんか・・・?」

 

シン「え?好きなの選んで良いんだよ?」

 

シシリー「あの・・・その・・・自分じゃ決めきれないので・・・」

 

シン「そうだなぁ・・・(だったら値段や付与文字数は置いといて一番似合いそうなものを・・・)」

 

1つのリングに目を付けた。

 

シン「これ、どう?シシリーの髪と同じ色の青い石。」

 

シシリー「わぁ・・・!!」

 

店員「お嬢様にお似合いと思いますよ。」

 

シン「これお願いします。」

 

店員「畏まりました。」

 

リングを購入。

 

シン「じゃあ、シシリー・・・」

 

おずおずしてるシシリー。

 

シン「あっ。」

 

ドキドキしながらシシリーの薬指にリングを嵌める。

 

シシリー「シン君・・・ありがとうございます!」

 

シン「喜んで貰えて良かったよ。これがシシリーを守ってくれる。」

 

シシリー(シン君が・・・守ってくれる・・・)

 

 

 

 

 

 

そして数日後の叙勲式の日。

 

 

 

王城でタクトとシンが控えていた。

 

タクト「この日が来ちまったな。叙勲式本番。」

 

シン「キ・・・キンチョーするなぁ・・・」

 

タクト「なぁシン、今の心境はどう?」

 

シン「緊張しかねえよ・・・タクトは。」

 

タクト「何度も受けてるから慣れっこ。」

 

係員「ウォルフォード殿、クリスティ殿、お待たせしました。」

 

タクト「来た。」

 

シン(いよいよだな・・・うぉぉ帰りてぇ・・・早く終わんねーかな・・・)

 

 

 

 

開かれた扉の奥から。

 

儀仗官「救国の勇者!!新たなる英雄!!シン=ウォルフォード様とタクト=クリスティ様御入場!!!!」

 

玉座の間で大勢の方達が2人に握手する。

 

シン(マジかよ・・・)

 

タクト(多いな。)

 

2人はディセウムの前で畏る。

 

ディセウム「シン=ウォルフォード、タクト=クリスティ。此度の働き、誠に見事であった。その働きに敬意を表し勲一等に叙する。」

 

シン「つ・・・謹んでお受け致します。」

 

タクト「謹んでお受け致します。」

 

そして2人に勲一等を叙する。

 

ディセウム「見事であった。」

 

シン「あ、ありがたき幸せ・・・」

 

タクト「恐悦至極にございます。」

 

シン(や・・・やりづれーよディスおじさん・・・!!)

 

 

 

ディセウム「皆の者よく聞け!このシン=ウォルフォードは我が友、賢者マーリン=ウォルフォードの孫であり、我にとっても甥の様な存在だ!彼がこの国に居るのは彼の教育の為であり、決して我が国に利を齎す為ではない!!彼を我が国に招く際、賢者殿と約束した事がある!彼を政治利用も軍事利用もしない事だ!!勿論これはタクト=クリスティも同じ事だ!!その約束が破られた際、英雄の一族はこの地を去る!その事努々忘れるな!!」

 

 

 

 

シン(約束してくれた事・・・本当に言ってくれたんだ・・・こう言う所はカッケーな、ディスおじさん。)

 

タクト(流石陛下、色々考えてんだな。)

 

ディセウムは密かにタクトとシンに笑顔を見せた。

 

儀仗官『それでは、これにて叙勲式を終了致します。』

 

シン「ほっ・・・」

 

タクト「これで帰れる。」

 

儀仗官『この後大ホールにてパーティーが催されます!皆様ご参加下さい!!』

 

タクト・シン(終わってなかった〜〜〜〜〜!!!!)

 

 

 

 

大ホールでパーティーが行われた。タクトとシンは色々話を聞かさせたり、女性達からキャッキャされたりもした。

 

 

 

 

落ち着いた後のバルコニー。

 

シン「ふぅ・・・」

 

タクト「怠い・・・」

 

メリダ「お疲れのようだねシン、タクト。」

 

タクト「マーリン様、メリダ様。」

 

メリダ「私らが傍に居なきゃ、今頃囲んでた女にお持ち帰りされてたんじゃないのかい?」

 

シン「流石にそれはないよ・・・」

 

タクト「想像するだけでゾッとするわ・・・」

 

メリダ「どうだかねぇ、婚期を逃し掛けてる貴族の女相手に逃げ切れるかね?マーリンだって昔・・・」

 

マーリン「その話は止めんか?シン、タクト君、明日も学院あるし、そろそろ自宅へ戻った方が良いと思うぞ!」

 

シン「そうだね、帰って早目に休むよ。」

 

マーリン「うんうん!それが良いじゃろ!」

 

タクト「じゃあメリダ様、さっきの話はまた今度で。」

 

メリダ「いいよ。」

 

マーリン「それはよくないじゃろ!?」

 

 

 

 

 

 

翌日のウォルフォード邸。

 

シン「ふぁ〜・・・」

 

タクト「疲れが抜け切れてない・・・」

 

シシリー「お疲れみたいですね。」

 

タクト「あぁ・・・」

 

1回転すると瞬時に制服に着替えた。

 

マリア「それ便利ね・・・」

 

タクト「まぁな。」

 

シン「昨日の叙勲式の後、パーティやら何やらでバタバタして・・・」

 

タクト「じゃあ行くか。」

 

玄関を開けた瞬間。

 

 

 

「おお!シン様とタクト様が出て来たぞ!!」

「キャア!シン様ー!」

「シン様こっち向いてー!」

「タクト様!握手して下さーい!」

 

 

 

国民達が護衛を放り飛ばしてタクトとシンへ向かって走る。タクトがすぐに玄関を閉めた。

 

シン「何で!?」

 

タクト「どうなってんだ!?」

 

マリア「叙勲はしたけど、陛下のご配慮で国民へのお披露目はされなかったから。家に押し掛けて来たんじゃない?」

 

タクト「もう面倒臭ぇ・・・」

 

シン「これじゃ学院へ行けないなぁ・・・しょうがない、今日はゲート使うか。」

 

 

 

 

ゲートを通ってSクラス。

 

シン「うわっ!?」

 

ユーリ「わぁ!びっくりしたぁ!」

 

目の前に立ってるユーリにびっくりした。

 

タクト「悪いなユーリ。」

 

トニー「何だいこの魔法は!?」

 

リン「信じられない!どう言う事!?」

 

ゲートを見て一部の生徒が驚く。

 

シン「いやぁ、家の前に人が凄い集まってて、出られなくなったから・・・」

 

タクト「大行列だったぜ・・・」

 

アウグスト「ああ、それでゲートで来たのか。」

 

タクト「うん。」

 

リン「ゲート!?何それ!詳しく教えて!」

 

シン「これゲートって魔法でね、任意の場所と場所を繋ぐんだ。」

 

リン「凄い!もしかしてウォルフォード君は転移魔法が使えるの?」

 

シン「正確には転移じゃないよ。移動魔法ではあるけど。」

 

リン「どう言う事?」

 

シン「転移って物体そのものを移動させる魔法だろ?」

 

リン「これは違うの?」

 

シン「これは場所と場所の距離を縮めただけ。」

 

リン「ん〜・・・」

 

シン「まあ、解らなくてもしょうがないよ。この魔法は爺ちゃんも理解出来なかったからね。」

 

リン「賢者様も!?」

 

シン「まぁ、訓練すればリンもその内使えるようになるさ。究極魔法研究会の一員だろ?魔力の暴走には気を付けろよ?」

 

リン「ん!頑張る!」

 

タクト「良い返事だ。」

 

シン(リンもやる気を見せてるし、やはりここは1つ・・・近々合宿でもやって全員を扱き上げる・・・!!ふっふっふっふっふっ!)

 

リン・トニー・ユーリ「っ!!」

 

後ろからのシンの気迫にゾクッとした。

 

アウグスト「お前絶対何か企んでるな最近。」

 

 

 

 

放課後の究極魔法研究会。

 

タクト「今日はお前達のレベルアップを行う。」

 

アリス「私達のレベルアップ?」

 

アウグスト「何か思い付いた顔をしていたが、それだったか。」

 

シン「ここの所異常な事件続きで、まだ何か起こる可能性は十分に考えられるので、それに備えて皆のレベルアップを図ります!」

 

アウグスト「成る程、想像していたより変な考えではなかった。」

 

シン「おい!」

 

タクト「まぁシンならマヌケな考え仕出かす事あるからな。」

 

シン「おいタクト!」

 

アウグスト「そのレベルアップとは何をするつもりだ?」

 

シン「皆がある程度の攻撃・防御魔法を使えるようになる事と、アクセサリーの防御魔法の付与。」

 

タクト「そうすれば、今後の事件にとって有利になれる。」

 

マリア「あぁ、シシリーの指輪みたいな?」

 

シン「おほん、まずは、どの位の魔法が制御出来るか調べさせて貰えるかな?」

 

アウグスト「魔力制御?何故だ?」

 

シン「何故って、高度の魔法には似合った魔力制御が必要だろ?」

 

トール「高度な魔法に必要なのは、詠唱の工夫と、明確なイメージじゃないんですか?」

 

シン「いやいや、そもそも魔法を使うには、燃料となる魔力が必要で、高度な魔法を使うには、それなりの魔力制御が出来ないと・・・」

 

全員が理解出来てない。

 

シン「これは一から認識を改めないとダメだな・・・」

 

タクト「おい集まれ。」

 

全員が集まる。

 

シン「マリア、魔力障壁を展開してみて。」

 

マリア「え?いいけど・・・ほい!」

 

魔力障壁を展開。

 

シン「フム。」

 

魔力障壁を突っ突く。

 

シン「ダメだね。障壁が薄い。これじゃ殆ど魔法を防げないぞ。」

 

マリア「ええ!?」

 

シン「じゃ今度はシシリー。この前付与したアクセサリーの防御魔法を展開してくれない?」

 

防御魔法を展開。すると魔力障壁が二重になった。

 

アリス「わぁ!!凄い魔力障壁!!」

 

トニー「壁が二重に!?」

 

ユーリ「あ、物理障壁も付与されてるぅ!」

 

シン「これには俺の魔力制御のイメージが付与してある。そのイメージに沿って付与してある魔法が、必要な魔力を集めて魔力・物理障壁を展開してるんだ。」

 

アウグスト「確かに制御されている魔力が凄い・・・」

 

シン「この前、シュトロームがタクトの攻撃を防いだだろ?あれ、魔力障壁だったんだぜ?」

 

アウグスト「何だと・・・!?」

 

アリス「魔力障壁って、純粋な魔力だけで壁を作る一番簡単なものだよね?」

 

トール「もっと別の強力な防御魔法とばかり・・・」

 

シン「魔力が大きければ、魔力障壁だけで十分防げる。じゃ、俺が制御出来る魔力の一部を見せようか。」

 

タクト「ビビるなよ?」

 

教室内だけ魔力を集中させた。タクト以外の全員が”ぞわっ”と恐怖心が上がった。

 

アウグスト「・・・・っ!!」

 

トール「凄い密度です・・・!!」

 

ユーリ「嘘・・・こんなに濃いの・・・!?」

 

魔力を解除し、ユーリの膝が崩れ、アリスが尻餅付いた。

 

全員「はぁ・・・はぁ・・・」

 

シン「こんな感じで魔力制御出来ないと、話にならないんだ。と言う訳で、これから毎〜日魔力制御の練習な!サボんなよ?」

 

全員「こくんこくん!」

 

マリア「タ、タクトは平気なの・・・?」

 

タクト「最初俺が実験台になったが、魔人に比べたらな。」

 

 

 

 

 

 

再びブルースフィア帝国領のシュトロームの部屋では、シュトロームが包帯姿でベッドに座っていた。

 

シュトローム「ほう、それでは王国も戦争の準備に入ったと。」

 

???「はい、帝国軍の動きがあからさまですから、すぐに気付いたようです。」

 

シュトローム「ゼスト君は上手くやってるみたいですねぇ。さて、どうなると思います?ミリアさん。」

 

謎の美女のミリア。

 

ミリア「私には分かり兼ねます。シュトローム様。包帯を取り替えを。」

 

シュトローム「私自身の魔力で回復を図っていますし、直動けるようになりますよ。」

 

傷が自己治療で治る。

 

シュトローム「皆さん、ちゃんと踊って下さいよ?フフフ・・・アハハハ!!」

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王国・高等魔法学院。

 

学院を出ると。

 

「あ!来たぞーーーー!!」

「シン様ーーー!!」

「タクト様ーーー!!」

「ウォルフォード君一言ーー!!」

「クリスティ君抱っこしてーーー!!」

 

シン「げっ!!」

 

タクト「また!?」

 

シン「学院まで押し掛けるか・・・」

 

タクト「もう嫌だこんなの・・・」

 

マリア「凄い執念・・・って言うか私達学院から出られないじゃん!!」

 

シン「しょうがない、ここはまた・・・」

 

 

 

 

 

 

ウォルフォード邸。

 

メリダ「おやシン、タクト。」

 

シン「ただいま。」

 

ゲートで全員と来た。

 

アリス「はわあっ!!けけ、賢者様だよ!!」

 

リン「導師様も!!本物!!」

 

ユーリ「感激〜〜!!」

 

マーリン「どうかしたかの?沢山友達を連れて来て。」

 

タクト「皆Sクラスのクラスメートだ。」

 

シン「下校しようと思ったら、校門前も凄い人集りでさ・・・仕方無いから皆連れて来た。騒ぎ過ぎだよ全く・・・」

 

マーリン「ほっほっほ!その内収まるじゃろうって。」

 

タクト「だと良いんだが・・・」

 

フェオン「あらタクト?もう帰ったの?」

 

タクト「いや、国民が押し掛けて来やがって。今日はゲートで帰った。」

 

エミリー「そうか。お疲れだな。」

 

オリビア「あの、何方ですか?」

 

イザベラ「あ、私達は。」

 

タクト「皆、紹介しよう。俺の仲間のフェオン、イザベラ、エミリー、ヒナ、レア、アンナ、グレアだ。」

 

リン「クリスティ君の仲間?」

 

レア「そうだぞ!レア達はタクトの仲間だぞ!」

 

アンナ「は、初めまして。」

 

ヒナ「以後、お見知り置きを。」

 

グレア「初めまして〜!」

 

その後タクトとシンとアウグストとシシリーとマリアがソファーに座り、他の皆は用意された椅子に座る。

 

 

 

 

そして研究会の内容を2人に話した。

 

マーリン「ほう、シンとタクト君の指導で魔法の練習を始めたか。」

 

トール「はい、早速扱かれてしまいましたけど・・・」

 

イザベラ「一体どんな研究をしているんでしょうか?」

 

アリス「シン君に魔法を教えたのって賢者様だよね?それじゃあ私達は、賢者様の孫弟子!?」

 

ユリウス「賢者様の孫の弟子でもあるで御座るなぁ。」

 

リン「何だかややこしい・・・」

 

マーリン「まぁ、確かに最初に教えたのはわしじゃが、シンはイメージの仕方が特殊での。」

 

リン「どう言う事ですか?」

 

マーリン「そこはワシとも違っていてのう。シンは魔法の『結果』ではなく『過程』をイメージしとる。皆は、何故火が燃えるのか知っておるか?」

 

アリス「えっと、それは・・・火を点けるから?」

 

オリビア「そう言う事じゃないと思うんですけど・・・」

 

アウグスト「何故かと聞かれると、明確には答えられません・・・」

 

マーリン「わしもよく分からん。」

 

全員「ズコー!!」

 

フェオン「痛たた・・・派手に転んじゃったじゃないの・・・!」

 

アリス「じ、じゃあタクト君は分かるの?」

 

タクト「大抵はな。(まぁ、俺と此奴は元日本人だからな。)」

 

マーリン「じゃがシンはそこに疑問を持つんじゃ。『火とは何か?』『何故燃えるのか?』結果としての事象を思い浮かべるのではなく、その仕組みを理解する事で、これまでに無かったイメージを作り上げ、より強力な魔法を生み出しておる。例えば、この様に。」

 

横にゲートを展開した。

 

シン「あ!!爺ちゃんそれ!!」

 

マリア「シンのゲートの魔法・・・!!」

 

タクト「何時の間に!?」

 

マーリン「ほっほっ、苦労はしたがの、紙を使った説明でようやっと理解出来たわい。シンの魔法はシンしか使えない訳ではない。仕組みを理解し、それに沿ったイメージと、魔力の制御が出来れば皆使えるんじゃ。シンは規格外であっても、決して理不尽な存在ではないよ。」

 

シン(爺ちゃん・・・ありがとう・・・)

 

マリア「そう言えば、タクトの魔法ってシンとは違うの?」

 

タクト「俺か?全然違ぇよ。俺の場合ティガの力の一部が使える。ティガの時は全ての力を発揮出来るけどな。」

 

 

 

 

 

 

その夕方。

 

メリダ「マーリン、アンタも偶には良い事をするじゃないか。」

 

マーリン「偶にとは何じゃ?」

 

メリダ「アンタがゲートを覚えたのは、シンの為だろう?」

 

マーリン「何の事じゃ?」

 

メリダ「シンは魔法を使う度に規格外だの無茶苦茶だの言われてるみたいだねぇ・・・」

 

マーリン「その様じゃのう・・・」

 

メリダ「でもアンタがシンと同じ魔法を使えれば、シンは特別じゃないって言えるからね。他の子達にとっても良かったじゃないかい?皆、シンの様に魔法が使えるかもって、目を輝かせてたからね。あの子が孤独で感じる様な事もないさ。」

 

マーリン「そうかの?」

 

メリダ「そうさ。」

 

マーリン「フフ。」

 

 

 

 

廊下からタクトがこっそり聞いてた。

 

タクト(シン、良い爺さんを持ったな。)

 

 

 

 

 

 

次の日、リンが顔に絆創膏を貼られた状態で登校した。

 

シン「リン、それどうしたんだ・・・?」

 

タクト「怪我したのか・・・?」

 

リン「魔力制御の練習をしてたら暴走した。」

 

タクト「大丈夫かよ!」

 

リン「よくある事。問題無い。」

 

タクト「慣れっこか。」

 

シン「でも結構周りにも被害あるだろ!?」

 

タクト「髪焦げてるし絆創膏貼ってあるし・・・」

 

リン「お父さんは宮廷魔法師!家に暴走させても大丈夫な練習場がある!」

 

タクト「あ、そうなの?なら安心・・・かも?」

 

シン「でもしょっちゅうやらかしてるだろ?飛んだ暴走魔法少女だな。」

 

タクト「どんなあだ名だよ。それ言ったらリンが怒るんじゃ・・・」

 

リン「それ良い!これから暴走魔法少女と名乗る!」

 

タクト「気に入った!?」

 

アリス「おはようリン!」

 

リン「違うわ!暴走魔法少女よ!」

 

アリス「え?」

 

タクト「気にすんなアリス。リンは今自己満足中だ。」

 

 

 

 

 

 

放課後のビーン工房。

 

ハロルド「お!来たな?試作品出来てるぜ!」

 

出来上がった剣を見せた。

 

シン「流石本職!仕事が早い!」

 

ハロルド「当たり前ぇよ!」

 

試作品の剣を握る。

 

タクト「良い剣だな。」

 

ハロルド「んじゃ、柄のトリガーを押してみな?」

 

タクト「これか?」

 

柄にあるトリガーを押すと、刀身が簡単に射出された。

 

タクト「抜けた!凄え!」

 

射出された刀身が床に突き刺さった。

 

トニー「これは凄いね!僕はビーン工房の新製品開発の現場に立ち会ったんだね!」

 

シン「何言ってんだよトニー。元はお前のアイデアだろ?」

 

トニー「あ、あはは。」

 

タクト「結構効率良いな。」

 

突き刺さった刀身を持つ。

 

アウグスト「・・・・」

 

その後3階のアクセサリーショップでアクセサリーを購入。

 

 

 

 

その後女性陣達と合流。

 

マリア「用事終わった?」

 

タクト「あぁ。」

 

シン「これお土産。待たせたお土産。」

 

アリス「え!何何!?」

 

シン「皆の分のアクセサリーだ。」

 

シシリー「っ!」

 

シン「後で防御魔法の付与して渡すから。」

 

リン「あぁ、前に言ってた。」

 

オリビア「けど、皆の分って事は・・・」

 

 

 

 

『あはは、ありがとうシン君。』

 

 

 

 

男4人が笑ってるイメージが浮かぶ。

 

シン「いや男子は指輪じゃないから・・・」

 

トール・トニー・ユリウス・マーク「うっ。」

 

タクト「俺はもう持ってるけどな。」

 

首元のネックレスを見せる。

 

アウグスト「シン、先程の剣だが、軍に採用を進言しようと思うんだが。構わないか?」

 

シン「え?婆ちゃんが『うん』って言わないんじゃないかな?」

 

 

 

 

メリダ『何だって!?』

 

 

 

 

タクト「バイブレーションソードをか?」

 

アウグスト「いや、シンのバイブレーションソードではなく、一般兵用として採用したいんだ。改良は必要だが、大量生産すれば、経費を抑えつつ、武装を強化出来る。」

 

シン「あの剣のアイデアはトニーだから、トニーが良いんなら俺は良いけど。」

 

タクト「何でその話になるんだ?」

 

アウグスト「実は、戦争が近いかも知れないんだ。」

 

シン「え?」

 

タクト「戦争?」

 

オリビア「やっぱり・・・うちのお客さん達もよくそんな噂をしてます。」

 

シン「戦争って、何処と?」

 

アウグスト「ブルースフィア帝国だ。」

 

タクト「ブルースフィア帝国・・・!?本当なのか・・・!?」

 

アウグスト「あぁ。」

 

シン「でも何で?」

 

アウグスト「そんな事は向こうに聞いてくれ。帝国では、大規模な出征の準備がされているらしい。」

 

トール「もし戦争が始まって長引けば、自分達学生にも動員が掛かるかも知れませんね・・・」

 

タクト「俺達が徴兵される事か。」

 

トール「はい。」

 

徴兵。つまり戦争経験が皆無な学生でも出兵されるかも知れない。不穏な空気が漂った。

 

アウグスト「ま、まぁ、まだ始まってもいないんだ。気にしても仕方あるまい。特にシンにタクト。魔人の襲来なら兎も角、戦争にお前達を駆り出す事は絶対にしない。軍事利用になるからな。」

 

その時、シンとタクトが口を開いた。

 

シン「確かに徴兵されないかも知れないけど、皆に危機が迫ったら俺は戦場に出るよ。」

 

タクト「俺も戦場に出る。」

 

シシリー・マリア「え?」

 

シン「ここで出会った皆は、掛け替えのない友達だからな。」

 

シシリー「シン君・・・」

 

タクト「俺もシンに賛同する。仲間の危機に立ち向かわないなんて俺のプライドが許せないからな。危険に遭遇した場合は、俺にも頼ってくれても良いぜ。俺が皆の光になって守る。」

 

マリア「タクト・・・」

 

シン「さっ!何かあっても身を守れる様にアクセサリー用意したんだから!選んで選んで!」

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王国・王城。

 

ディセウム「そうか、帝国軍が我が国に向けて進軍を始めたか。降り掛かる火の粉は払わなければな。ドミニク。」

 

ドミニク「はっ!」

 

ディセウム「全軍に出撃命令を出せ!」

 

ドミニク「御意!!」

 

新たな動きが始まろうとした。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭
ドミニク=ガストール:小山剛志
ハロルド=ビーン:坂口候一

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
グレア:高橋李依

係員:市川蒼
儀仗官:松田修平

ミリア:大原さやか
ゼスト:津田健次郎

ヘラルド=フォン=ブルースフィア:家中宏

オリバー=シュトローム:森川智之





次回予告

ブルースフィア帝国が魔物達によって壊滅させられてしまった。そしてアールスハイド王国では、魔法学院と騎士学院の合同訓練が始まったのだが。

次回ウルトラマンティガ

開戦と合同訓練

お楽しみに


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第5話「開戦と合同訓練」

開戦と合同訓練
魔物 登場



ブルースフィア帝国兵舎。

 

ヘラルド「どう言う事だ!!!」

 

皇帝ヘラルド=フォン=ブルースフィアが激怒して、ワイングラスを投げた。彼の右目には眼帯があった。

 

ヘラルド「ゼストの情報では、王国が大量発生した魔物の討伐に追われ・・・軍を出せた頃ではなかったのか!?何故王国軍は・・・我らを国境で待ち構えていた!?」

 

重臣「待ち伏せを受けた我が軍の被害は甚大・・・ここは一旦引いて、体制を立て直すべきかと・・・」

 

ヘラルド「それより!ゼストはどうした!?奴は何処に居る!?」

 

重臣「それが・・・昨夜から奴の率いていた斥候部隊諸共、居所が掴めてません・・・」

 

ヘラルド「っ!?・・・そうか!そう言う事か!!」

 

全てを理解したヘラルドが玉座から立ち上がった。

 

ヘラルド「ゼストめ、薄汚い平民の分際でよう謀りおったな!今度会ったら・・・必ず八つ裂きにしてやる!!!」

 

そこに1人の兵士が。

 

兵士「申し上げます!!!」

 

ヘラルド「あぁ!?何だ!!こんな時に!!」

 

兵士「は、はい!魔物が・・・帝都に魔物が大量に出現したと!!」

 

ヘラルド「バカな!!!帝国領の魔物は少なくなっていたのではないのか!?」

 

幕僚「へ・・・陛下!これは戦争所ではありません!!一刻も早く帝都に戻らなければ!!」

 

ヘラルド「くっ・・・!!全軍に告げよ!!急ぎ帝都に引き返し、魔物共を駆逐しろと!!」

 

重臣・幕僚・兵士「はっ!!」

 

 

 

 

 

 

そして、アールスハイド王国兵舎では。

 

ドミニク「帝国軍は引き始めたかぁ。愚直に突撃を繰り返し、兵を擦り減らした挙句に撤退とはぁ。」

 

ルーパー「どうする?一層帝都まで追い掛けて行くか?」

 

ドミニク「この際、徹底的に叩いておくのも悪くないな。」

 

そこに兵士が。

 

兵士「ご報告します!」

 

ルーパー「ん?」

 

ドミニク「どうした?」

 

兵士「帝国軍と戦闘中、我が軍の先鋒が魔物に襲われました!!」

 

ドミニク「何だと!?」

 

兵士「魔物に行く手を阻まれて・・・これ以上の追撃は不可能かと・・・!!」

 

ルーパー「どうなってんだ!?魔物が帝国軍の退却を助けたのか!?」

 

 

 

 

 

 

そして、ブルースフィア帝国では、突如大量発生した魔物によって、帝国民達が惨殺されていた。その中に、平然と歩くオリバー=シュトロームとミリアが居た。

 

シュトローム「どうですか?ミリアさん。魔人になった感想は。」

 

何とミリアも魔人化にされていた。

 

ミリア「はい。これまで感じた事が無い程、力が溢れて来ます。」

 

シュトローム「それは良かった。さて、出兵した帝国軍が戻って来るまで2〜3日程ですが、その間に、ゼスト君達も戻るでしょうし、帝国軍を迎え撃つ準備でもしましょうか。」

 

ミリア「はい、シュトローム様。」

 

 

 

 

 

 

数日後、ブルースフィア帝国が壊滅寸前状態されてしまった。帝国の帝城では。

 

ヘラルド「おのれぇ・・・魔物如きが余の帝都を踏み躙りおって!!」

 

幕僚「先行して帰還した部隊が、既に魔物の討伐を始めております。この騒ぎも、何れその内・・・」

 

ヘラルド「今日中だ!!陽が落ちるまでに片を付けろ!!!」

 

幕僚「た、直ちに!!」

 

ヘラルド(何としても奴らを片付け・・・あの男に、この目の恨みを晴らしてやる!!!!)

 

2人の高官が走って行った後、ヘラルドが部屋に戻ると。

 

シュトローム「お待ちしておりましたよ。皇帝陛下。」

 

玉座に座っているシュトロームがヘラルドを待ち構えていた。

 

ヘラルド「き・・・貴様は・・・!?オリベイラ!?」

 

”パチン”

 

シュトロームが指を鳴らすと、ドアが勝手に閉まった。

 

ヘラルド「っ!?」

 

シュトローム「あなただけは、どうしても私自身で始末しておきたくて。」

 

両目を赤く光らせた。

 

ヘラルド「っ!?」

 

するとヘラルドの真下に魔法陣が出現し、ヘラルドが束縛された。

 

ヘラルド「ぐぅぅ・・・!?」

 

彼がパニックになっているのを他所に、シュトロームが左手に魔力を集めていた。そして集めた魔力で魔法弾を生成し、ヘラルドに向けて放った。

 

ヘラルド「うわあああああああああああああ!!!!!!!」

 

魔法弾を受けたヘラルドが消し炭にされてしまい、大爆発を起こした。

 

 

 

 

 

 

そして3日後、ドミニクとルーパーが兵隊を率いて帝国内を歩いていた。

 

ルーパー「一体何がどうなっているんだ・・・!?」

 

ドミニク「斥候部隊からの情報では、大量の魔物に襲われたとの情報だが、その報を受けて慌てて引き返した帝国軍もこのザマって事か・・・」

 

するとその時。

 

 

 

 

シュトローム『ようこそ、お待ちしていましたよ?王国軍の皆さん。』

 

 

 

 

突然シュトロームの声が響き渡った。

 

ルーパー「此奴は・・・!」

 

ドミニク「何者なんだ!名を名乗れ!」

 

 

シュトローム『オリバー・シュトローム。』

 

 

ドミニク「貴様が王都を騒がせた魔人!」

 

 

シュトローム「随分到着に時間が掛かった様ですね。」

 

 

ルーパー「そうか、あれはテメェの差し金か!!」

 

 

シュトローム『あなた達が帝国軍の数を減らしてくれたお陰で、楽に奴らを全滅させられましたよ。』

 

 

ドミニク「まさか・・・この戦争自体・・・貴様が仕組んだとでも言うのか!?」

 

 

シュトローム『流石、騎士団総長にして軍務局長のドミニク殿。察しが良いですねぇ。』

 

 

するとドミニク達の前に複数の人影が現れた。

 

ドミニク・ルーパー「っ!?」

 

ルーパー「な・・・何なんだ彼奴ら・・・!?」

 

ドミニク「全員が・・・魔人!?」

 

それは、魔人化された人間達だった。

 

 

 

 

 

 

数日後のアールスハイド王城。

 

ディセウム「まさか・・・シュトロームが生きていたとは・・・」

 

ドミニク「我らだけでは勝ち目が無いと・・・止む無く撤退致しましたが・・・」

 

ディセウム「いや、それは懸命な判断だ。攻めはせん。」

 

高官A「しかし・・・魔人が十数人とは・・・」

 

高官B「陛下、如何致しましょう・・・」

 

ディセウム「・・・・・」

 

 

 

 

 

 

高等魔法学院に1つの報せが入った。

 

アルフレッド「既に公表された様に、帝都でシュトロームの生存が確認された。奴の目的は不明なので、具体的な法則は定められないが、戦力を増強しておく必要がある。軍人達は勿論、万が一に備え、学生のレベルアップを図るよう通達があった。今の内から、騎士と魔法使いの連携を取れるよう騎士学院との合同訓練を行う事になった!」

 

 

 

 

報せを受けた後。

 

タクト「やはり生きていたか。シュトロームの奴。」

 

シン「にしても合同訓練かぁ。確かに騎士との連携は将来的に必要だからなぁ。・・・ん?どうしたんだよ?変な顔して。」

 

女子達がどよ〜んとしてる。

 

アウグスト「そうか、シンは知らないのか。」

 

シン「何が?」

 

マリア「あのねシン、魔法学院は魔法をメインで強化するから身体をあまり鍛えないでしょ?」

 

シン「みたいだな。」

 

マリア「逆に騎士学院は身体を鍛えるのがメインなの。」

 

シン「正反対って訳か。」

 

マリア「んで、騎士学院の生徒は魔法学院を”モヤシ”ってバカにしてるの!」

 

トール「まぁ、魔法学院の生徒も、騎士学院の生徒を”脳筋”ってバカにしてはいるんですけど・・・」

 

タクト「犬猿の仲だな。」

 

シン「だけど今は非常事態だろ?そんな事言ってる場合じゃ・・・」

 

アリス「それは分かってるんだけどさあ!何よもやしって!」

 

リン「彼奴らにモヤシと言われるのはガマン出来ない!」

 

ユーリ「そうねぇ、確かにイラッとするわねぇ!」

 

トニー「そう言われると辛いねぇ・・・僕も、ちょっと前までアッチ側だったからねえ。」

 

ユリウス「拙者も・・・」

 

シン(そうかぁ、トニーとユリウスは騎士の家系だっけ?)

 

マリア「戦力って言ったら魔法の方が絶対強いのにさぁ・・・なのに彼奴ら!!自分達の方が強いって態度を取るんだから!!!」

 

シン「に、人間に得て増えてってのがあるだろ?だから、互いに補い合って・・・」

 

マリア「けど!!シンは魔法も剣も、タクトもティガに変身出来るじゃない!!」

 

シン「いや、まぁそうだけど・・・」

 

タクト「俺まで巻き込むな。」

 

シシリー「もしかして、どなたか騎士の方に教えを受けてたんですか?」

 

シン「あぁ、ミッシェルさんって言って、この人の訓練が厳しいも何も・・・」

 

全員が震えた。

 

シン「あれ!?あ、あれ?俺また何か変な事言っちゃった・・・?」

 

トニー「ミッシェルさんって・・・あのミッシェル=コーリング様かい!?」

 

シン「そ、そうだよ?」

 

ユリウス「前の騎士団総長のあのミッシェル様で御座るか!?」

 

シン「あぁ・・・そんな事言ってたな・・・」

 

ユーリ「賢者様に魔法を教えて貰って・・・導師様に魔道具作りを教えて貰って・・・剣聖様に剣を教えて貰ってたなんてぇーーーーー!!!!」

 

シン「剣聖様!?」

 

トール「シン殿、知らなかったんですか!?ミッシェル=コーリング様と言えば、剣で右に出る者は居らず、剣聖と呼ばれているんですよ!?」

 

シン「俺にとってはただの鬼教官だよ・・・」

 

アリス「でも、剣聖様に剣を教えて貰ってたのなら、シン君に騎士学院の生徒に何か言われる事無いよね!」

 

アウグスト「分からんぞ?魔法学院の癖に、剣聖様に教えを受けやがって!と妬まれるかも知れん。」

 

タクト「それな。」

 

シン「おいおい・・・まぁ、どっちにしろ合同訓練は必要な事だと思うぞ?ちゃんとした目的があるんだから、何言われたって気にしなきゃ良いじゃん?」

 

タクト「彼奴らの暴言なんか無視だ無視。」

 

マリア・アリス「それは無理!!」

 

シン(こりゃあ、面倒な事になりそうだ・・・)

 

タクト「さて、それまで準備進めておくか。」

 

 

 

 

 

 

合同訓練当日・王都外門前。

 

シン「両学院から4名ずつ、計8人に組んで森の魔物退治かぁ。」

 

タクト「そして俺は数が合ってなかったと言われて、シンの所へ入る事になっちまった。まぁ補欠だな。」

 

アウグスト「増えた魔物の討伐も兼ねた実践訓練だな。」

 

シシリー「魔物と戦うなんてドキドキしますけど、シン君と一緒なら安心ですね。」

 

シン「いや、訓練だからシシリーも頑張らないと。」

 

タクト「そうそう。この先何があるか分からねえからな。」

 

シシリー「あっ!そ、そうでした。」

 

 

 

 

彼らを遠くから見ている4人の騎士学院の生徒が居た。

 

クライス「あれが英雄の孫と超古代の戦士か。」

 

ノイン「所詮は魔法使いとただの戦士だろ?」

 

ミランダ「どうせもやしよ。もやし。」

 

ケント「足手纏いにならないと良いがな。」

 

4人はタクトとシンに暴言を吐いた。

 

 

 

 

マリア「ね?やな奴らでしょ?」

 

タクト「小物感あるな。」

 

シン「あはは・・・」

 

 

 

 

 

 

馬車内。ピリピリする空気の中。

 

タクト「んで、あんたらの名前、教えてくれるか?」

 

クライス「騎士学院1年主席のクライス=ロイドだ。」

 

ミランダ「次席のミランダ=ウォーレスよ。」

 

ノイン「ノイン=カーティス。」

 

ケント「ケント=マクレガーだ。」

 

シン「(よりによってさっきの奴らかよ・・・)シン=ウォルフォードです。」

 

タクト「タクト=クリスティだ。」

 

アウグスト「アウグスト=フォン=アールスハイドだ。」

 

マリア「マリア=フォン=メッシーナよ。」

 

シシリー「シシリー=フォン=クロードです。宜しくお願いします。」

 

シン「なぁ、訓練が始まる前に訊いて良いか?」

 

クライス「何だ?」

 

シン「君ら魔物と戦った事はある?」

 

ミランダ「何!?ちょっと自分が魔人を倒したからって自慢してんの!?」

 

シン「そうじゃなくて、これから俺達は実際に魔物を討伐しに行くんだ。騎士がどうとか魔法使いがどうとか、そんな下らない事言ってると・・・」

 

ミランダ「言ってたら何よ!?」

 

シン「死ぬぞ?」

 

騎士生徒がビクッとした。

 

ミランダ「五月蝿いわね!本当なら騎士学院生だけで魔物の討伐くらい出来るのよ!!」

 

クライス「ミランダの言う通りだ!精々足手纏いにならない様にするんだな!」

 

タクト「そんな事言ってると、痛い目見るぞ?」

 

ミランダ「何よアンタ!!偉そうに!!」

 

タクト「偉そうとは失礼な。優しく忠告してあげただけだぞ。」

 

アウグスト「お前達、そんな認識でこの訓練に参加していたのか?」

 

クライス「あぁいえ!別に殿下が邪魔とか、そう言う事を言った訳ではなく・・・」

 

アウグスト「そんな事を言っているのではない!この訓練は、騎士学院生と魔法学院生の連携を強める為の訓練だ。先程タクトが言った様に、そんな余裕な言葉を言ってると痛い目見るぞ。」

 

クライス「そ、それは・・・」

 

アウグスト「分かってはいるが、納得は出来んかぁ。なら仕方ない。シン、タクト、お前達はこの訓練で魔物を討伐する必要は無い。」

 

シン「え?」

 

タクト「そう言う事?」

 

アウグスト「そうだ。一度、魔法使いの援護無しで魔物を討伐してみろ。この訓練の意義が分かる。」

 

クライス「っ!・・・殿下がそう仰るなら・・・」

 

騎士学院生4人が渋々了解した。

 

 

 

 

暫くして、目的の森に到着。

 

シン「随分森の奥まで来たなぁ・・・」

 

タクト「最深部に近い場所だな。」

 

アウグスト「実力に応じて、危険度の高い場所で訓練する事になっているからな。」

 

マリア「強い魔物が出る確率が高い場所でって訳ね。」

 

タクト「じゃあここが強い奴らの縄張りか。」

 

シシリー「各組み毎に、指導教官の方が来られると言う事でしたけど・・・」

 

タクト「その教官はまだ来てないのか?」

 

???「ようシン!タクト!」

 

シン「あーーーーー!!!」

 

タクト「おぉ!!!」

 

 

 

 

 

 

ジークフリードとクリスティーナだった。

 

 

 

 

 

 

クリスティーナ「今日は宜しくお願いしますね。」

 

シン「ジークにーちゃんとクリスねーちゃん!?」

 

タクト「ジークにクリス!久し振りだな!」

 

シン「2人が指導教官なんだ・・・頼むから喧嘩しないでよ?」

 

ジークフリード「此奴が絡んで来なかったらな。・・・あぁ!?」

クリスティーナ「此奴が絡んで来なかったらね。・・・あぁ!?」

 

シン「だからそれは止めろって言ってんだよ!!」

 

タクト「頼むから冷静に!冷静に!」

 

マリア「私!シンとタクトの同級生のマリアです!ジークフリード様!あ・・・握手をして貰えませんか!?」

 

ミランダ「ズ・・・ズルいぞお前!ア・・・私も良いですか・・・?」

 

クライス「俺・・・いえ!私はクライス・ロイドと言います!」

 

ノイン「俺はノインです!今日は俺の勇姿を見ていて下さい!」

 

ケント「ケ・・・ケントです!」

 

シン「ナニコレ??」

 

シシリー「お2人は、どちらの学院の生徒にも人気者なんですよ。」

 

シン「はぁ?」

 

アウグスト「何しろ、父上の護衛を任される程の魔法使いと騎士だからな。」

 

シン「ジークにーちゃんはチャラ男だからモテても違和感ないけど・・・クリスねーちゃんは意外だったな・・・」

 

クリスティーナ「む?意外とは何ですか!失礼な!」

 

タクト「聞こえちゃった。」

 

 

 

 

行動を開始し、森の最深部へ。

 

ジークフリード「はぁ?最初は騎士学院生だけで魔物を討伐する?」

 

アウグスト「あぁ、彼らの希望でな。言葉だけでは、この訓練の意義が分からないらしい。」

 

クリスティーナ「軍に入ったばかりの騎士や魔法使いには、よくある事です。」

 

ジークフリード「自分達だけで戦える。支援は無用って奴か。」

 

タクト「彼奴ら、イメージの中で魔物に勝ったとしか浮かんでねえかもな。」

 

ジークフリード「それも同じだな。」

 

クリスティーナ「実践を経験すれば、すぐにそれが間違いだと気付くもの。今回の訓練で、彼らがそれを学んでくれれば良いのですが。」

 

ジークフリード「学生時代に鼻っ柱をへし折られといた方が、後で面倒は無いか。君達はそう言う事言わないんだな?」

 

アウグスト「1人納得してなさそうなのが居るがな。」

 

マリア「な、何ですか・・・?」

 

アウグスト「いや、メッシーナはこの訓練の意義を理解しているのかと思ってな。」

 

マリア「理解してますよ!シンとタクトが魔人と戦ったのを2回も見せられたら・・・とてもじゃないけど、あんな風には出来ない・・・私の力じゃ、騎士や剣士の支援がないと強い敵とは戦えないって・・・」

 

ジークフリード「マリアちゃんだったかな?」

 

マリア「は・・・はい!!」

 

急にジークフリードがマリアに顔を近付けた。

 

ジークフリード「そうやって、今の自分の実力を認識出来ているのは良い事だ。君は強くなれるよ。」

 

マリア「・・・・・!!!」

 

口説かれて赤面したマリア。

 

シン(珍しいな、こう言うマリア・・・)

 

タクト(結構な乙女だな・・・)

 

ミランダ(ジークフリード様にあんな事言われるなんて悔しい・・・!)

 

 

 

 

しばらく進むと、騎士学院生が構えながら進み始めた。

 

シン「彼奴ら、何警戒してんだ?索敵魔法には何も引っ掛かってないのに。」

 

ジークフリード「警戒っつーより、あれは緊張だな。」

 

クリスティーナ「無理もないですね。初めて魔物と戦うのですから。」

 

シン「っ!」

 

タクト「っ!」

 

索敵魔法と気配に何かが引っ掛かって。

 

シン「ジークにーちゃん!」

 

タクト「此奴は!」

 

ジークフリード「分かってる。よし、騎士学院の諸君!もうすぐ魔物が現れる!戦闘態勢を取れ!」

 

騎士学院生が剣を握る。

 

 

 

 

 

 

そして遠くから、イノシシの魔物が出現した。

 

 

 

 

 

 

マリア「イノシシ!?」

 

シン「くそ!魔物化してなきゃ美味そうなのに!!」

 

アウグスト「お前・・・」

 

タクト「ハントすんなよ・・・?」

 

 

 

 

イノシシ『ウオオオオオオオオ!!!』

 

ミランダ「ビビるんじゃないわよ!!私達騎士学院のトップの実力を見せ付けてやるのよ!!」

 

騎士学院生「おう!!」

 

引き寄せてから剣を振り下ろすが、イノシシが避けた。

 

ミランダ「っ!!は・・・速い・・・!!」

 

イノシシがミランダに向かって突進した。

 

ミランダ「うわあっ!!!」

 

そしてそのまま他の3人に向かって突進した。

 

騎士学院生「ぐあああああああ!!!」

 

クライス「ぐっ・・・!!これが・・・魔物・・・!!」

 

ケント「がっ・・・!!」

 

ノイン「う・・・腕が・・・!!」

 

ミランダ「はぁ・・・はぁ・・・!!」

 

イノシシの目を見て恐怖心が上がった。

 

ミランダ「ちょっと・・・何なのよ・・・たかがイノシシなのに・・・魔物化する事でこんなに身体能力が上がって・・・!?」

 

イノシシが再び突進を仕掛ける。

 

ノイン「ひぃっ!!」

 

ミランダ「きゃああ!!」

 

 

 

 

 

 

だがタクトがハンドスラッシュを連射して煙幕を張った。

 

 

 

 

 

 

タクト「シン!」

 

イノシシの前に着地したシンが、バイブレーションソードを振り上げてイノシシの首を両断した。イノシシの首がタクトに向かって落下する。

 

タクト「ハァッ!!」

 

ハンドスラッシュで、イノシシの首を粉砕し、粉砕されたイノシシの破片が騎士学院生の周りに飛び散った。

 

ミランダ「ひいいっ!!」

 

タクトがシンとハイタッチする。

 

ケント「い・・・一撃・・・!?」

 

クライス「ウォルフォード・・・クリスティ・・・何時の間に・・・!?」

 

タクト「こんなもんか。」

 

クリスティーナ「不様ですね。この魔物は、中型でも弱めの部類ですよ?大言壮語を吐きながらあの程度の魔物にこの有り様。騎士学院のトップと煽っていた様ですが、所詮戦場を知らない学生の中の話だと分かりましたか?軍に入ればアナタ達は1番弱い。それこそ去年入った新兵よりも。だけどもし今魔法で魔物を足止めて出来ていたら?動きを鈍らす事が出来ていたら?アナタ達にも魔物を討伐する事が可能となるのです。自分達の無力さをその身に刻みながら、残りの訓練に挑みなさい。」

 

ミランダ「は、はい・・・」

 

シシリー「あ・・・あの、回復魔法を掛けるのでじっとしていて下さいね?」

 

回復魔法で騎士学院生を治療する。

 

ミランダ「ア・・・アンタ・・・」

 

クライス「す、すまん・・・俺達はお前達を見下していたのに・・・」

 

シシリー「そんなに気にしてないですよ。今は同じパーティなんだから、これくらい当たり前です。」

 

クライス「君・・・!!」

 

騎士学院男子がシシリーに惚れた。

 

タクト「シシリーちゃん天使。」

 

シン「ぐぬぬぬぬ・・・・!!」

 

アウグスト「どうどう。」

 

タクト「まあまあ。」

 

怒ってるシンを落ち着かせる。

 

 

 

 

その後も訓練は続き。

 

クライス「シシリー!!大丈夫か!?怪我は無かったか!!」

 

シシリー「え?あ・・・あの私別に何も・・・」

 

クライス「さあシシリー、気を付けて通れ。」

 

シシリー「はあ・・・」

 

ノイン「シシリー、手を。」

 

ケント「疲れてないか?シシリー。」

 

 

 

タクト「シシリーモテモテだな。」

 

シン「ムカムカ。」

 

アウグスト「そうイライラするな。」

 

シン「別にイライラなんか・・・!!」

 

アウグスト「してるだろ?」

 

タクト「イライラしてると、免疫力が下がるぞ?」

 

マリア「そんなにイライラするなら言っちゃえば?『シシリーは俺の女だから手を出すな』って。」

 

シン「ばっ・・・!!何言ってんだよ!!」

 

マリア「あの手の男はね、自分に優しくしてくれる女に簡単に惚れるのよ。」

 

タクト「女への免疫が無いのが玉に瑕だなぁ。」

 

マリア「か弱い魔法学院の女ならここにも居るのにね・・・!!」

 

ミランダ「私なんか彼奴らにあんな事されたの一度も無かったのにね・・・!!」

 

マリア・ミランダ「私らの何が悪いってのよーーー!!!」

 

ジークフリード「おーいお前らー!また魔物が来るぞー!じゃれてないで準備しろー!」

 

シン「っ!」

 

タクト「っ!」

 

シン「ジークにーちゃん・・・これちょっと数が多くない?」

 

ジークフリード「ああ・・・かなりの数だな。」

 

クライス「シシリーは私の後ろに居ろ!!」

 

シシリー「あの・・・それでは訓練の意味が・・・」

 

クライス「シシリーは俺が守る!!」

 

シン「イラッ!!」

 

タクト「おいおい。」

 

するとそこに。

 

女性教官「ああ!ジークセンパイ!!クリスお姉様!!逃げて下さい!!」

 

男性教官「大量の魔物が此方に向かってます!!」

 

別のパーティが逃げて来た。

 

ジークフリード「規模は?」

 

男性教官「少なくとも100は居ます!!」

 

クライス「100・・・!?」

 

ノイン「そんな!?」

 

シン「ジークにーちゃん。」

 

ジークフリード「ん?」

 

シン「それ、俺がやるよ。」

 

タクト「俺もやる。」

 

ジークフリード「そうだな。」

 

シシリー「そんな!シン君にタクト君2人でそんな数・・・!!」

 

ジークフリード「シンとタクトに任せておけば大丈夫だよ。」

 

クリスティーナ「正直、我々よりブッチギリで強いですからね。」

 

ジークフリード「ほらお前らも下がれ!シンとタクトの邪魔だ!」

 

大量の魔物が迫る中、タクトとシンが冷静に立つ。

 

シン「久々に爆発系行くか。」

 

タクト「俺もやってやるか。」

 

スパークレンスを掲げて、光に包まれてウルトラマンティガへ変身した。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

マルチタイプからパワータイプへタイプチェンジした。

 

両腕を左右から上にあげ、胸の前に集めた超高熱のエネルギーを光球にした。

 

シン(まずは、生成した水素を高濃度で圧縮!そんで酸素も!わりーけど、ちょっとイラついてるんで憂さ晴らしするぞ?)

 

ジークフリード「来た!!」

 

大量の魔物が迫って来る。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

シン「滅びろおおおおおおお!!!!!」

 

ティガ「チャァッ!!!!」

 

デラシウム光流と高濃度圧縮した魔法を同時発射して、迫り来る大量の魔物を消し炭にした。

 

シン「ふー、スッキリしたー!」

 

それを見ていた騎士学院生が言葉を失った。

 

女性教官「な・・・な・・・何ですかこれぇ・・・!!」

 

ジークフリード「・・・なぁ・・・タクトは兎も角、シンの奴前に見た時より凄くなってねぇか?」

 

クリスティーナ「あの時も相当抑えてたんでしょうね・・・」

 

シシリー「シン君!タクト君!平気なんですか!?」

 

シン「へ?何が?」

 

シシリー「だって・・・だって・・・こんな・・・地形が変わる位凄い魔法使ったのに・・・!!」

 

ティガ「問題ない。」

 

シン(ちょっとイラついて匙加減間違えたけど・・・)

 

クライス「これが・・・シン=ウォルフォード・・・タクト=クリスティ・・・!?」

 

ノイン「賢者の孫にして・・・新たなる英雄の力と・・・超古代の戦士・・・」

 

ジークフリード「それはそうと・・・一体何があったんだよ?」

 

女性教官「あ、あの・・・私達、もっと浅い所で訓練してたんですが・・・き・・・急に索敵魔法の探知外から大量の魔物が近付いて来て・・・!!」

 

シン(索敵外から急に?・・・って事は・・・)

 

ジークフリード「彼奴ら、お前らを追ってたんじゃねえよ。何かから逃げてたんだ。」

 

ティガ「そう言う事か。」

 

クライス「な・・・何かからって・・・」

 

ケント「さっき熊も混じってたよな?そ・・・それ以上の魔物って・・・」

 

ティガ・シン・ジークフリード「っ!!」

 

何かを感じ、その方向に顔を向ける。すると何かが近付いて来る。

 

ジークフリード「全員動くな。」

 

現れたのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巨大なトラの魔物が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミランダ「災害級・・・!?」

 

クライス「嘘だろ・・・何でこんな所に・・・!?さっきの奴らはあれから逃げて・・・!!」

 

シン「ジークにーちゃん、俺とタクトが魔力で威圧して足止めしてるから、皆の避難を。」

 

ジークフリード「・・・分かった。」

 

クリスティーナ「急いで逃げますよ!!早く!!」

 

クライス「シシリー!!早くこっちに来い!!」

 

シシリー「放して下さい!!私は残ります!!シン君とタクト君が怪我した時の為に・・・!!」

 

クライス「バカ言うな!!相手は災害級だぞ!!ウォルフォードとクリスティでも勝てるものか!!」

 

シシリー「シン君とタクト君を知らない人は黙っていて下さい!!!」

 

クライス「っ!!」

 

クリスティーナ「さあクライス。」

 

クライス「ウォルフォードとクリスティがやるなら・・・私も・・・!!」

 

クリスティーナ「ダメです。彼らとの実力差は分かっているでしょう?ただの足手纏いです。」

 

クライス「くっ!」

 

シシリー「シン君・・・無茶はしないで下さいね?」

 

シン「おうっ!チャチャっと討伐するからちょっと待ってて!」

 

シシリー「はい。タクト君も。」

 

ティガ「あぁ。ハァッ!!」

 

パワータイプからマルチタイプに戻った。

 

ティガ「行くぞシン!」

 

シン「ああ!」

 

最初にシンが、魔法を飛ばして災害級の魔物を足止めしようとしたが、災害級の魔物が避けた。

 

 

 

 

クリスティーナ「躱された・・・!!」

 

 

 

 

ティガ「チャァッ!!」

 

ハンドスラッシュで災害級の魔物の前右足を負傷させる。

 

シン(身体強化!!)

 

身体強化したシンがジャンプして災害級の魔物に迫る。

 

災害級の魔物「グルルルル!!!!」

 

シン「ニャーニャー五月蝿え!!」

 

膝蹴りで災害級の魔物の顎を蹴り上げた。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ティガスライサーで災害級の魔物に切り傷を刻んだ。着地した災害級の魔物が震え始め、ティガとシンが止めを刺そうとしたが。

 

災害級の魔物「グル・・・!!」

 

2人の後ろのシシリー達に向かって走り出す。

 

シン「あっ!!てめっ!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

左手からウルトラフィックスを放ち、災害級の動きを封じた。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

大ジャンプして災害級の前に着地し、そのまま持ち上げて前へ投げた。

 

ティガ「ハァッ!!!」

 

プリテクターからティガスライサーを放ち、災害級の魔物の胴体を真っ二つにし、シンの剣が災害級の魔物の頭部を斬り落とした。

 

シン「ふぅ。」

 

ティガ「・・・」

 

光となってタクトに戻った。

 

 

 

シシリー「は・・・わ・・・」

 

ジークフリード「瞬・・・殺・・・じゃねぇか・・・」

 

 

 

シシリー「シン君・・・訊いて良いですか?」

 

シン「へ?何?」

 

シシリー「虎の魔物って・・・ああやって倒すんですか?」

 

シン「そうそう。虎って素早いから物理攻撃で倒すのが効率良いんだ。身体強化の時間稼ぎに魔法撃ったけど・・・大体避けられるからね。」

 

シシリー「ひ・・・膝蹴りも?」

 

タクト「まあ俺にとっては問題無いけどな。」

 

ジークフリード「タクトは兎も角・・・膝蹴りは・・・普通ねーよな・・・」

 

クリスティーナ「怖いもの知らずにも程が・・・」

 

アウグスト「危険を犯して首飛ばす必要あるか?何時もだが・・・」

 

シン「え?そりゃ確実に倒す為にな・・・」

 

怒ったシシリーが”ぷう”と頬を膨らます。

 

シシリー「もう!無茶はしないで下さいって言ったじゃないですかぁ!!」

 

シン「わぁ!ごめん!あれが無茶だとは思ってなくて・・・」

 

タクト「お前結構場合は無茶だぞ。」

 

シン「ええ!?」

 

シシリー「でも、無事で良かったです・・・」

 

シン「うん。」

 

 

 

 

その後。

 

クリスティーナ「改めてここに居る皆に言っておきますが、本来災害級の魔物は我々軍が決死の覚悟で挑んで漸く倒せる存在・・・シンが以上なのであって『虎の魔物は弱い』などと勘違いだけはしないように。」

 

騎士学院生・女性教官「はい!!」

 

ジークフリード「何でお前まで指導されてんだよ。」

 

シン(異常・・・)

 

ジークフリード「はぁ〜〜〜・・・しかしシンがここまでのモンになってるとは・・・プライド捨てて俺もシンに教わろっかな・・・」

 

アウグスト「軍事利用になるからダメだぞジークフリード。お前は軍人だろう。」

 

ミランダ「あ・・・あの・・・ウォルフォード君・・・そ・・・その・・・散々失礼な事言って・・・ごめんなさい。」

 

シン「え?」

 

ミランダ「ウォルフォード君って・・・凄く恵まれた環境に居るから・・・羨ましくて・・・絶対負けたくないって・・・」

 

シン(羨ましいって・・・)

 

ミランダ「勝手に思っちゃって・・・でも、・実際に見てみて、これは次元が違うなって・・・やっと分かったわ。」

 

シン「ミランダさん・・・」

 

ミランダ「えっと・・・シシリー・・・さんも・・・その・・・彼氏に突っ掛かってしまって申し訳無かったわ。」

 

シシリー「ふぇっ!?か・・・彼氏!?」

 

タクト「見事なカミングアウト。」

 

ミランダ「お2人はそう言う関係ではないのか?」

 

シン「ええええ・・・!?いいいやその・・・・」

 

シシリー「わわわわ私達はまだ・・・そそそその・・・」

 

ミランダ「まだ?」

 

タクト「ほらほら言っちゃいなよ。お付き合いしてますって。」

 

シン・シシリー「ええ!?・・・・・・・」

 

クライス「あ・・・あのリアクションは・・・」

 

ケント「どう見ても・・・」

 

ジークフリード「鼻っ柱を折ってやるつもりだったが。」

 

クリスティーナ「他の所が折れてしまったようですね。」

 

こうして和解したパーティであった。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭
ドミニク==ガストール:小山剛志
ルーパー=オルグラン:保村真
アルフレッド=マーカス:駒田航

ジークフリード=マルケス:金子誠
クリスティーナ=ヘイデン:古賀葵

ミランダ=ウォーレス:吉七味。
クライス=ロイド:松田修平
ノイン=カーティス:新祐樹
ケント=マクレガー:濱野大輝

ヘラルド=フォン=ブルースフィア:家中宏

オリバー=シュトローム:森川智之





次回予告

騎士学院生との連携が高まった魔法学院生。後日、究極魔法研究会はシンの提案でクロードの街で合宿する事となった。

次回ウルトラマンティガ

合宿へ行こう!

お楽しみに


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第6話「合宿へ行こう!」

合宿へ行こう!



魔法学院と騎士学院の合同訓練で和解したタクト達のパーティ。しばらく進むと、熊の魔物が姿を現した。

 

ミランダ「熊の魔物・・・」

 

クライス「くっ・・・怯むな!」

 

アウグスト「クロード!メッシーナ!」

 

シシリー・マリア「はい!」

 

3人が同時にファイヤーボールを飛ばし、熊の魔物に命中した。熊の魔物は炎で焼かれ苦しみ始めた。

 

クライス「ウオオオオオオオ!!!」

 

走り出したクライスだが、熊の魔物が爪でクライスを引き裂こうとしたが、シンの魔力障壁のお陰で無傷で済んだ。

 

ミランダ「ウォルフォード君!」

 

アウグスト「止めを刺せ!!」

 

タクト「行けェ!!!」

 

ノイン・ケント「ハアアアアアア!!!」

 

同時に走り出し、熊の魔物の左足を剣で突き刺した。クライスもそれに続いて熊の魔物の右足を突き刺した。

 

ミランダ「ハアアアアアアアア!!!!」

 

そして最後にミランダがジャンプして、熊の魔物に向かって剣を振り下ろして討伐成功。

 

 

 

 

討伐後。

 

シシリー「皆さん!お怪我はありませんか?」

 

ケント「擦り傷です・・・」

 

ノイン「問題無い・・・」

 

シシリー「回復魔法で治療します!」

 

回復魔法で騎士学生を回復させる。

 

クリスティーナ「様になってきましたね。」

 

ジークフリード「ようやく、剣と魔法の連携の何たるかが分かってきたって所か。それにしてもシン、タクト、お前達は兎も角、殿下達の上達振りは何だ?現役の魔法師団の上位者と変わらない、と言うか、上回ってないか?」

 

タクト「あぁ、それはだな。」

 

シン「学院で新しい魔法研究会を作ってさ。3人も所属してるんだ。」

 

タクト「シンが会長で、俺が副会長をやってる。」

 

ジークフリード「何か特殊な訓練でもしてるのか?」

 

シン「別に?俺が爺ちゃんに教えて貰った練習法をやってるだけだよ?」

 

ジークフリード「ふぅ〜ん、それだけか?他には?」

 

シン「後は・・・俺が魔法を使う時のイメージを教えてるぐらい?」

 

ジークフリード「シンの魔法イメージ・・・それか!つまり、シンの魔法を教えて貰ってるのと同じだろ?マーリン様の教えで基礎を学び、その上で!」

 

シン「どうなのかなぁ・・・?イメージなんて人それぞれだし、厳密に俺の魔法かって言われると違う様な・・・」

 

ジークフリード「その研究会でやっている魔法を、俺に教えて貰えないか?」

 

タクト「本気?」

 

ジークフリード「あぁ、本気だ!」

 

シン「別に良いけど・・・」

 

アウグスト「待てシン。」

 

シン「ん?」

 

そこにアウグストが割って入った。

 

アウグスト「ジークフリード。お前は軍の人間だ。それはシンの魔法の軍事利用になる。それはタクトの力と同じだ。下手をすれば、外交問題に発展するぞ?」

 

ジークフリード「そ、それは・・・」

 

アウグスト「今ですらギリギリだ。この力が周辺国に拡散すれば、魔人ではなく、人の手で世界が滅びるぞ。」

 

シン「そこまでの事かよ・・・」

 

タクト・アウグスト「はぁ・・・」

 

アウグスト「まだ自覚してなかったのか?」

 

シン「俺がやってる事は問題なのか?」

 

タクト「無論だ。」

 

アウグスト「まぁ、一概にそうとは思えん。今は緊急事態だからな。魔人の大量出現と言う。」

 

シン「・・・・」

 

アウグスト「研究会の皆も、この力を世に拡散させないよう言ってある。力の独占と言われようが構わん。だからシン、これ以上自分の魔法を拡散させるな。」

 

シン「分かったよ。」

 

ジークフリード「ではせめて、マーリン様の練習法だけでも!」

 

タクト「懲りねぇな・・・」

 

アウグスト「恐ろしく地味だぞジークフリード・・・お前に出来るか?」

 

ジークフリード「勿論やってみせますよ!それで、その方法とは?」

 

アウグスト「魔力制御の練習だ。毎日毎日、少しずつ制御出来る魔力の量を増やしていく。それだけだ。」

 

ジークフリード「たったそれだけですか・・・?」

 

アウグスト「何だ?疑ってるのか?」

 

タクト「なら、論より証拠を見せてやる。シシリー!マリア!ちょいと来てくれ!」

 

シシリー・マリア「ん?」

 

マリア「何タクト?」

 

タクト「オーグ。」

 

アウグスト「あぁ。クロード、メッシーナ、今ここで魔力障壁を展開してみてくれ。私達がシンにやらされたように。」

 

シシリー「はい!」

 

マリア「分かりました!」

 

同時に魔力障壁を展開する。シシリーは二重に展開した。

 

ジークフリード「な、何だ・・・!?この分厚い魔力障壁は・・・!」

 

アウグスト「私達も、シンやマーリン殿に教わるまでは知らなかった。制御出来る魔力の量が増えるとこれ程にもなる。」

 

マリア「シンとタクトの障壁に比べれば、全然薄いですけどね。」

 

ジークフリード「こ、これで薄いのかよ・・・?」

 

マリア「技術的な事はまだまだなんです。」

 

ジークフリード「いや!」

 

マリア「ん?」

 

ジークフリード「自信を持って良いよマリアちゃん。実際、君の魔力は凄い威力だった。」

 

口説かれたマリアが惚れてしまった。

 

タクト「おーいマリアー?マリアちゃーん?おーい?」

 

ジークフリード「俺も、魔力障壁の練習をしよう!訓練は終了だ!集合場所に戻るぞ!」

 

全員「はい!」

 

ミランダ「ありがとう。あなたのお陰で、熊の魔物は倒せた。剣と魔法の連携の意味が分かったわ。」

 

シン「それは良かった。」

 

タクト「他の奴らはどうなってんだろうな?」

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、トニー・ユリウス・マーク・オリビア班では。1人の騎士学院生がトニーを強く睨んでいる。

 

ユリウス「何やらトニーを睨んでいるで御座るな。」

 

トニー「あはは・・・」

 

マーク「トニーさん、彼に何かしたんスか?」

 

トニー「いやぁ〜、中等学院からの知り合いなんだけど・・・」

 

フリオ「トニー=フレイド・・・魔法学院に逃げた軟弱者め!!」

 

騎士学院生のフリオがトニーに恨みをぶつけた。

 

トニー「って事みたい・・・」

 

ユリウス「拙者も騎士の家系で御座るが、特にその様な事は・・・」

 

その時、茂みの中から狼の魔物が現れた。

 

オリビア「魔物です!!」

 

ユリウス「まずは拙者達が魔法で・・・」

 

フリオ「必要無い!!」

 

マーク「待つッス!!」

 

剣を持ったフリオが魔物に向かって走る。

 

フリオ「実戦では、剣こそが物を言う!!」

 

教官「馬鹿者!!連携の訓練だぞ!!」

 

騎士学院生「俺達も行くぞ!!」

 

それに続いて他の騎士学院生が走り出す。

 

教官「お前ら!!!」

 

しかし他の魔物が現れ、騎士学院生がびっくりした。

 

 

 

 

狼の魔物がフリオの右腕に噛み付いた。

 

フリオ「がぁっ!!こ、この・・・!!」

 

するとトニーが氷柱の魔法を飛ばし、狼の魔物の頭部を串刺した。それに続いてユリウス達がファイヤーボールで狼の魔物達を討伐した。

 

 

 

 

教官「っ・・・・!?」

 

その光景を見た教官が言葉を失った。

 

フリオ「くっ・・・!」

 

トニー「大丈夫かい?」

 

フリオ「余計な事を・・・!!」

 

マーク「助けて貰ってそれは無いッス!」

 

フリオ「フンッ!」

 

ユリウス「余程トニー殿に負けたくない様で御座るなぁ。」

 

トニー「ずっと仲が良かったんだけど、最近は断る毎に突っ掛かって来るんだよねぇ。」

 

マーク「何かしたんでしょ?」

 

トニー「う〜ん・・・ひょっとして・・・昔彼が好きだった子が僕に告白して来てさ、お付き合いする事になったんだよ。そー言えばその頃から彼が冷たくなった様な・・・」

 

マーク・オリビア・ユリウス(絶対それだ・・・)

 

トニー「・・・あの時は悪かったよ。だけど僕にとっても君はライバルなんだ。昔みたいにお互い認め合ってやっていきたいと思ってる。」

 

フリオ「フレイド・・・!・・・くそ。彼女がお前と仲良くしてるのを想像して・・・俺はそれが許せなくて・・・どうせちっぽけだよ俺は・・・」

 

トニー「ああ、その点なら大丈夫!割とすぐ彼女とは別れたから!!キスまでしかしてないし。安心してフリオ!」

 

この言葉でフリオが怒った。

 

フリオ「テメェやっぱり殺す!!」

 

トニー「ええ!?何でだい!?」

 

マーク「この恨みは深そうッスね・・・」

 

 

 

 

 

 

その頃、アリス・トール・リン・ユーリ班。4人は怒っていた。何故なら・・・

 

騎士学院生A「怖いんなら、俺の後ろに居ても良いぜ?」

 

アリスはそう言われた。

 

騎士学院生B「君達は毎日机に向かってりゃ良いんだよなぁ〜?」

 

リンはそう言われた。

 

騎士学院生C「君みたいな可愛い子、こんな訓練よりも花嫁修行でもした方が良いんじゃねえの?」

 

ユーリはそう言われた。

 

騎士学院生D「女子の前だからって、良い所見せようなんて思うなよ?もやし君。」

 

トールはそう言われた。この4人は騎士学院生に愚痴を言われてイライラ中。

 

教官「訓練中ですよ!私語は慎みなさい!」

 

 

 

 

”アウウウウウン!!”

 

 

 

 

遠くから狼の遠吠えが聞こえた。

 

騎士学院生E「っ!来るぞ!」

 

騎士学院生A「出やがったぜ!」

 

騎士学院生D「大人しく見てな。」

 

彼らは4人を笑って見下す。

 

 

 

 

格好良い所を見せようとするが、油断するばかり。

 

アリス「良い所見せようとしてる・・・」

 

ユーリ「うん、気持ち悪いわねぇ。」

 

リン「イライラが・・・」

 

 

 

しかし騎士学院生は小さい魔物に苦戦中。

 

「いだだだだ!!」

「おのれこの・・・!!」

「魔物風情が!俺を誰だと・・・!!」

 

 

 

更にイライラが増したアリスが痺れを切らせた。

 

アリス「もういい!!アンタ達邪魔!!!」

 

超特大のファイヤーで魔物を消し炭にした。

 

ユーリ「固く凍らせてあげるわ!!」

 

氷で魔物を凍結させる。

 

リン「あ・・・制御・・・し切れないかも・・・」

 

トール「皆さん後ろに!!」

 

そして遂に。

 

 

 

 

”ちゅどーーーーーん!!!”

 

 

 

 

爆発してしまい、リンと騎士学院生4人が焦げた。

 

アリス「あーあ、やっちゃった・・・」

 

トール「教官だけでも守れて良かったです・・・」

 

魔力障壁で何とか回避した。

 

教官「き・・・君達、勝手にやり過ぎです・・・」

 

騎士学院生達は、アリス達の魔法を見て唖然としていた。

 

 

 

 

 

 

そして夕方、訓練終了後。

 

アウグスト「様子からして、他の班の連携は上手くいったみたいだな。」

 

シン「ああ・・・それに比べて、何でお前らの班は・・・」

 

アリス達が焦げて、髪がアフロみたいになっていた。

 

タクト「何でそうなったか教えろ。」

 

アリス「いやぁ・・・思いの外威力が上がってたから、バンバン使ってたら・・・」

 

ユーリ「騎士学院生さん達が落ち込んじゃって・・・」

 

リン「ちょっと調子に乗った・・・」

 

落ち込んでる騎士学院生達をジト目する。

 

タクト「完全に陥落してるな・・・」

 

シン「・・・だからあれ程力を抑えろって言ったのに・・・」

 

タクト・アウグスト「お前が言うか。」

 

シン「毎日の魔力制御の訓練で既に相当威力が上がってんだよ。」

 

タクト「じゃああれは?」

 

トニーに恨みをぶつけ中のフリオを指差す。

 

マーク「思春期男子の亀裂ッス。」

 

タクト「ほえ?」

 

ユリウス「結局、拙者達が魔物の討伐を進めたので御座る。」

 

タクト「そうか、ご苦労さん。」

 

オリビア「クリスティ君の所はどうでした?」

 

タクト「そうだなぁ・・・あ!シンとシシリーがずっとイチャイチャしてたなぁ〜。」

 

シン「はぁ!?」

 

シシリー「あわわわ・・・イチャイチャなんて・・・!!」

 

アウグスト「あれがイチャイチャでないのなら、お前等のイチャイチャがどの様なものか見てみたいものだぁ〜。」

 

タクト「ヒューヒュー!」

 

シン「お前等なぁ!!!」

 

マリア「冗談抜きにすれば、シンとタクトがフォローに回ってくれたお陰で、ちゃんと連携の訓練が出来たわ。」

 

アウグスト「珍しく、シンがブレーキになってたな。」

 

シン「珍しくって・・・(やっぱりそうなのか・・・)」

 

アリス「あれ?シン君落ち込んでる?」

 

マリア「シンってば、自分の所為で私達に責任感じてるのよ。」

 

ユーリ「責任?」

 

トニー「何のだい?」

 

アウグスト「良い機会だ。皆にも言っておこう。私達究極魔法研究会は、卒業後シンとタクト以外、国の管理下に置かれ、恐らく私直轄の特殊部隊になる。それでも、各国の監視が付くのだろうがな。」

 

シン「皆ごめん・・・俺・・・皆の人生変えちゃった・・・?」

 

全員「・・・・・」

 

アリス「違うよシン君!!」

 

シン「え?」

 

アリス「これって将来安泰じゃん!!超エリートコースだよ!!これって!!」

 

トニー「異例の特別扱いだよねぇ。」

 

リン「凄い!」

 

マーク「凄いッス!自分もその一員になれるなんて!!」

 

ユーリ「家族に話したら大喜びだねぇ!」

 

シン「あれ・・・?皆喜んでる・・・?」

 

後ろからアウグストがシンの肩に手を置く。

 

アウグスト「気にするな。使い方さえ間違えなければ、我々の力は世界を救う希望にもなる。」

 

タクト「俺達が皆の光になってやる。」

 

シシリー「はい!シン君はきっと・・・世界の希望になりますよ!」

 

リン「特殊部隊になるのなら、もっと色んな事を教えて欲しい!」

 

シン(そうだよなぁ!世界の危機を救う為なら、もっと強くならないとダメだよな!)

 

アウグスト「おい、言っておくが私が制御するのにも限度はあるからな?変な事は考えるなよ?」

 

シン「最近のオーグは俺の心を読めるんじゃないかと思ってる。」

 

アウグスト「フフッ。」

 

シシリー「いえ、シン君の場合は・・・」

 

マリア「顔に出るから分かり易いのよ!」

 

シン「あはは・・・バレバレですか・・・」

 

タクト「今後はポーカーフェイスも鍛えておくんだな。」

 

こうして合同訓練は無事終了し、魔法学院と騎士学院に連携が深まった。

 

 

 

 

 

 

数日後のとある荒野。究極魔法研究会のメンバーが魔法演習を行う。

 

オリビア「ハアアアアア!!」

 

ファイヤー発射。

 

アリス「とりゃああ!!」

 

ファイヤー発射。

 

ユーリ「リン!」

 

アイスを生成

 

リン「了解!」

 

電撃。リンがアイスの上で転んだ。

 

 

 

 

遠くから3人が見ている。

 

タクト「結構派手だな。」

 

アウグスト「研究会での魔法演習の場を変えたのは正解だったな。丸で一国の魔法師団の火力演習だ。学院の練習場でこんな光景見せられん。」

 

シン「ここならどれだけ魔法をブッ放しても平気だからな。俺が昔から使ってた場所だし。」

 

 

 

 

演習終了。

 

ユーリ「大丈夫?」

 

リン「いてて・・・」

 

転んだリンにタンコブが出来ていた。

 

アウグスト「皆、少し話がある!集まってくれ!」

 

一旦全員を集合させる。

 

アウグスト「魔人達の動向について情報に新たな進展があった。一般には公表されていない話だがな。」

 

シン「それって・・・国家機密って事?」

 

タクト「ホイホイ言ってくるなぁ。」

 

マリア「あの・・・殿下?シンとタクトだけじゃなく・・・私達も居るんですけど・・・」

 

アウグスト「そうだ、皆に聞かせると言っている。この研究会の面子は、今や相当な実力者集団になりつつある。今後、魔人との戦闘が起こった際に重要な対抗戦力となる可能性が高い。それならば、魔人の動向は知っておくべきだ。」

 

マーク「・・・・」

 

オリビア「魔人・・・」

 

アリス「こう言う話を聞くと、自分達が特別な存在だって自覚するね・・・」

 

マリア「本当に特殊部隊になっちゃうのね・・・」

 

リン「やっぱり、ウォルフォード君にもっと魔法を教わらないと・・・」

 

タクト「そんで、新しい進展は?」

 

アウグスト「話を戻すぞ。旧帝国領から戻った諜報部隊からの報告だ。現在、魔人達は帝国領内にある町や村を襲い回っている。襲われている町や村の様子は悲惨の一言らしい。町を治めている貴族は例外なく皆殺し、平民達も殆どが殺されている。相手が相手だけに迂闊に手を出せない。数ヶ国の連合を組まないと、とても太刀打ちなど出来ない状況だ。」

 

シン「参上はしつつも、指を咥えて見ている事しか出来ないと言う事か。」

 

アウグスト「そうだ。加えて魔人の数も更に増えていると言う情報も入っている。」

 

全員「っ!」

 

アウグスト「何らかの手段で、魔人に変えているのだろう・・・」

 

シン「カートの様にか・・・」

 

アウグスト「恐らくな・・・」

 

シン「(マジかよ・・・1体の魔人ですら国を揺るがす程の脅威なのに・・・一体何を考えているんだシュトローム・・・!!よし、こうなったらここは!)ちょっと良いかな?」

 

アウグスト「どうした?何か思い付いたのかシン?」

 

シン「もうすぐ夏休みだろ?提案があるんだ。」

 

アウグスト「ん?」

 

シンは皆に提案を言った。それは・・・

 

 

 

 

全員「合宿!?」

 

 

 

 

アリス「良いね!やろう!賛成!!」

 

シン「もうすぐ夏季休暇に入るだろ?」

 

アウグスト「成る程、強化合宿か。」

 

マリア「そうね、魔人を相手にするとなると、もっと力を付けたいわ!」

 

リン「朝から晩まで魔法漬け!楽しみ!」

 

ユーリ「えぇ!何処でやるのぉ?」

 

アリス「やっぱり夏らしく海とか?」

 

シン(良いなぁ・・・海・・・)

 

水着姿の女子達を想像する。

 

シン「実際の魔法演習は例の荒野でやるとして・・・何処か皆で泊まれる所があれば良いんだけど・・・」

 

アウグスト「ここに居る誰かの領地で良いんじゃないか?」

 

シン「領地?」

 

アウグスト「貴族は基本、領地を持っているからな。」

 

タクト「領主か。」

 

マリア「うちは港街ね。」

 

トール「自分の所は職人街ですね。」

 

ユリウス「拙者の実家はリゾート地で御座る。」

 

タクト「リゾート地!?スゲッ!!じゃあこの3つの中を決めるか。」

 

マリア「うちは練習後にゆっくり出来る様な所じゃないわよ?」

 

トール「自分も同じく・・・」

 

シン「だったらユリウスの所で決めるか。」

 

アウグスト「ユリウスの所は止めておけ。魔人騒動の渦中でリゾート地へ行くなど、何を言われるか分からん。」

 

ユリウス「実際、予約のキャンセルが相次いでいるみたいで御座る・・・」

 

タクト「可哀想・・・騒動が収まったら俺が一番客な?」

 

ユリウス「辱いで御座る・・・」

 

マリア「あ!だったらシシリーの所が良いんじゃない?」

 

タクト「シシリー?何故?」

 

マリア「シシリーの実家は温泉地よ!」

 

シン「え?本当に?」

 

シシリー「はい!皆さんさえ良ければ!」

 

シン「じゃあ、是非頼むよ!」

 

シシリー「はい!!お役に立てて嬉しいです!!」

 

シン「資金は皆で集めるとして、どれ位掛かりそう?」

 

シシリー「え?いいですよ。うちの領地にある家を使って頂ければ・・・」

 

シン「いや、それにしたってこの人数だし、マーク達も居るし・・・」

 

シシリー「いえ、うちの屋敷を使えば宿泊費は要りませんし、何よりお友達からお金を頂く訳にはいきません!」

 

シン「シシリー・・・」

 

タクト「優しいな本当。」

 

シシリー「それにシン君は私達に・・・無償で制服の付与や、アクセサリーをくれたじゃないですか。それに比べたら安いものですよ。それに、これは世界の危機を救う為の行為なんですから・・・!」

 

マリア「じゃあ今回はシシリーの好意に甘えるとして・・・今後は私達の所を廻るって事でどう?」

 

シン「ああ、良いねそれ!じゃあ次は・・・」

 

 

 

 

 

 

夜のウォルフォード邸、マーリン達に夏合宿の事を話す。

 

メリダ「ほう、合宿ねぇ。」

 

マーリン「ほっほっ、良いじゃないかの。こんな事態じゃ。皆の実力を上げておいて損はないじゃろう。」

 

フェオン「良いわね。私達も行っても良いかしら?」

 

シン「うん。勿論。」

 

タクト「んじゃ決まりだな。」

 

メリダ「所で、保護者はどうするんだい?」

 

シン「保護者?」

 

メリダ「当たり前さね。年頃の男女が同じ屋根の下で一緒に寝泊まりするんだよ!!成人しているとは言え、学生達だけで行かせる訳ないね!!」

 

シン「あ、あぁそっか・・・特にオーグは王族だしね・・・」

 

メリダ「やれやれ・・・研究会の子達の親御さんは皆忙しいだろう?今回は特別に私が行ってあげるよ!」

 

タクト「良いの?」

 

マーリン「なら、ワシも行くぞい!」

 

シン「え!?良いの!?」

 

メリダ「私らは正直暇だからねぇ。」

 

マーリン「このままだとボケてしまいそうじゃ。」

 

シン「助かるよ!」

 

タクト「じゃあフェオンはイザベラ達の保護者として。」

 

フェオン「ちょっと!私はお母さんじゃないわよ!」

 

タクト「でも振る舞いはお母さんみたいだし。」

 

フェオン「私は!女子力が高いアンタの妻なのよ!?」

 

タクト「はいはい。」

 

メリダ「それに、アンタは目を離すとロクな事をしないからねぇ。」

 

ギロリとシンを睨む。

 

シン「さ、最近は自重してる・・・よ?」

 

メリダ「本当かねえ?」

 

マーリン「スマンのうシン、流石にワシにはフォロー出来んわい・・・」

 

メリダ「アンタは自重しない元祖だからね!!」

 

マーリン「フォッ!?」

 

タクト「元祖自重しない祖父。嫌な肩書きだな。」

 

 

 

 

 

 

そして学院は2ヶ月間の夏期休暇を迎え、究極魔法研究会がウォルフォード邸へ集合した。

 

全員「おはようございます!」

 

アリス「賢者様!導師様!」

 

マーリン「ウム。おはよう。」

 

メリダ「宜しくね。」

 

全員「はい!宜しくお願いします!」

 

タクトとシンを除いた全員が一礼する。

 

 

 

 

一行はシシリーの実家、温泉地へ向かう。フェオン達は愛用してる馬車に乗って出発。

 

 

 

馬車内。

 

タクト「王都から馬車で休まず走って2日位か。」

 

シン「馬の休憩とかいるだろ?」

 

タクト「夏だから、暑さに疲労するんじゃねえのか?」

 

アウグスト「大丈夫だ。馬には沢山馬具が付いていただろ?」

 

マリア「あれって、疲労回復とか身体強化とか色々付与されているのよ。」

 

シシリー「その馬具のお陰で、長距離の移動時間が短縮されたんですよ。」

 

シン「へぇ〜。」

 

マリア「それを開発した人は誰かくらい知ってるでしょ?」

 

シン「いや?」

 

マリア「呆れた・・・」

 

アウグスト「他ならぬ、メリダ殿だ。」

 

シン「えぇ!?婆ちゃんが!?」

 

タクト「流石導師様!」

 

シシリー「元々魔道具は戦闘用が主流だったんですけど、メリダ様が生活に役立つ物の開発に力を注がれて、私達の暮らしを大いに向上させて下さったんです。」

 

アウグスト「民衆をより良い生活に導いた者として、皆経緯を込めて、メリダ殿を『導師』と呼ぶのだ。」

 

シン「へぇ・・・」

 

メリダ「何だいシン?ジッと見て・・・」

 

シン「いや、婆ちゃんって凄い事してたんだなあって思って。」

 

メリダ「な、何言ってんだい!古い話だよ!」

 

照れながら否定する。

 

シン「照れなくても良いのに〜。」

 

マーリン「昔から誉められても素直に受け取らんのじゃよ。」

 

シン「あははっ!何か想像出来る!」

 

メリダ「アンタ達いい加減におし!!」

 

 

 

 

 

 

夕方、寝ていたシンが突然起きた。

 

シン「っ!皆、気付いたか!?」

 

マリア「えぇ、魔物の反応!」

 

アウグスト「これは・・・中型か。」

 

馬車から降りる。複数の狼の魔物が一行を囲んでいた。

 

御者「み・・・道を塞がれている・・・!」

 

タクト「腹減ってんのか?彼奴等。」

 

トール「どうします?これ位なら1人で大丈夫そうですけど。」

 

タクト「じゃあ俺が全て片付ける。」

 

ハンドスラッシュを連射しようとした瞬間。

 

アリス「待ってタクト君!」

 

タクト「ブフォッ!?」

 

後ろからアリスに体当たりされて止められた。

 

タクト「おいアリス!何で止めるんだよ!?」

 

アリス「タクト君ズルい!!私!私やりたい!」

 

ユーリ「私もやりたいわぁ!」

 

トニー「僕もやりたいね!」

 

タクト「やりたいんかい。」

 

シン「じゃあクジ引きだな。」

 

タクト「クジかよ!」

 

異空間収納からクジを出す。

 

マリア「シンの異空間収納の中身どうなってんの?」

 

シン「用意が良いだろ?」

 

研究会のメンバーがクジ引きする。

 

御者「ま・・・魔物が居るのに、何してんだあの人達・・・」

 

クジ引きで当たったのは・・・

 

 

 

 

リン「やった。当たり。」

 

 

 

 

ユーリ「ああん、ハズレちゃったぁ・・・」

 

マリア「じゃあリン、お願いね。」

 

タクト「遠慮なくやれ。」

 

リン「分かった。任せて。」

 

バトル開始。リンVS狼魔物。

 

アリス「ブェクション!!」

 

タクト「FIGHT!!」

 

リン「うりゃああああああ!!!」

 

風の魔法を放つ。

 

アリス・オリビア「キャアアアアア!!」

 

スカートを抑える。その間に狼達は風で遥か上へ飛ばされた。リンの勝ち。

 

リン「楽勝。」

 

タクト「YOU WIN!」

 

シン「大分魔法の起動が早くなったね。」

 

タクト「レベルアップした証拠だな。」

 

シン「でももう少し魔力が少なくても倒せたかな?そうすればもっと起動が早くなるよ。」

 

リン「そっか、次からは気を付ける。」

 

狼達は落下して、サンドイッチの様に積み重ねられた。

 

マリア「次は私ね!」

 

ユーリ「ダメよ。次もクジを決めましょ?リンを除いて。」

 

リン「非道い、私もやる。」

 

マリア「アンタ今やったじゃない!!」

 

御者「中型の魔物数匹を・・・一瞬で・・・!?」

 

マーリン「皆、実力が上がっとるのう。」

 

メリダ「合宿前でこれかい・・・他所様の子をこんなにしちまって・・・」

 

エミリー「究極魔法研究会はレベルが高いのか・・・」

 

ヒナ「恐らく、強豪な魔法使いが既に入っているとか・・・?」

 

 

 

 

 

 

2日後、遂にシシリーの故郷・クロードの街に到着した。

 

 

 

 

領主館。

 

シシリー「皆さん、ようこそクロードの街へ!」

 

タクト「着いたー!!」

 

シン「おぉ、温泉街って感じだなぁ〜!彼方此方温泉街が上がって。」

 

ユーリ「後で入るの楽しみだわぁ!」

 

 

 

 

クロード邸に到着。

 

シシリー「皆さん、着きました!ここです!」

 

使用人達「お帰りなさいませ、シシリーお嬢様。」

 

シシリー「お久し振りです!」

 

カミーユ「アウグスト殿下、賢者様、導師様、お目にかかれて光栄です。」

 

執事長のカミーユ=ブランド。

 

カミーユ「ご学友の皆様も、ようこそいらっしゃいました。」

 

シンを見る。

 

カミーユ「新たな英雄、シン様。使用人一同貴方様のお越しを心よりお待ちしておりました。シシリーお嬢様の事末長く、宜しくお願い致します。」

 

シン「どゆこと!?」

 

シシリー「も・・・もう!!皆さん何の話をしてるんですか!!」

 

カミーユ「御両親からお話を伺っておりますよ。最近、お嬢様はシン様のお話ばかり・・・」

 

シシリー「なな何言ってるんですかぁ!!」

 

シン「くすっ。」

 

シシリー「な・・・何で笑ってるんですか?」

 

シン「あはは、ゴメン。珍しくシシリーが慌ててるんで可愛くって。」

 

シシリー「・・・か・・・可愛い・・・」

 

タクト「ニヤニヤ。」

 

全員「ニヤニヤ。」

 

シン「はっ!!・・・長旅で皆疲れてるし、活動の明日からにしようか。」

 

タクト「って事でまずは!!」

 

 

 

 

 

 

大浴場・男子。

 

シン「うは〜・・・やっぱ温泉サイコ〜・・・」

 

タクト「あぁ〜〜〜良いお湯〜〜〜・・・」

 

シン「にしても凄まじい広さだな・・・」

 

アウグスト「クロード子爵家の本気が見えるな。」

 

タクト「泳いでも良いくらい広いな。」

 

マーリン「あぁ〜〜〜〜生き返るのう〜〜・・・」

 

シン(偶然とは言え、爺さん達を温泉に連れて来てあげられて良かったな・・・喜んでくれてるみたいだし・・・)

 

マーリン「皆、シンに付き合ってくれてありがとう。」

 

シン「爺ちゃん?」

 

マーリン「成人するまで山奥の暮らしでこの子には同世代の友人がおらなんだ・・・ワシはそれが申し訳なくてのぅ・・・シンにとって、こんなにも心許せる友人が出来た事は、ワシにとっても嬉しいんじゃ・・・本当にありがとう。」

 

アウグスト「いいえ、マーリン殿。お礼を言うのは寧ろ私の方です。第一王子である私には対等な友人など1人も居なかった。それも立場上仕方無い事だと諦めていました。しかし、シンは従兄弟みたいだと、立場など関係なく対等に話してくれた。それは私にとって予想外の嬉しい事だったのです。」

 

シン(へぇ・・・初めて聞いたな、オーグの本音・・・)

 

マーク「ウォルフォード君には自分の父ちゃんもお世話になりっぱなしッス!此方こそずっと友人で居て欲しいッス!」

 

トール「シン殿と一緒に居るのは呆れる事も多いですが、楽しいですから。」

 

ユリウス「拙者は他の貴族から異端の目で見られる事の多いで御座るが、普通に接して下さるし。」

 

トニー「シンは人を色眼鏡で見ないからねぇ。女の子も好きだけど、男の友人が出来るのも嬉しいよねぇ。」

 

シン(皆・・・ゴメン、心の中ではちょっと思ってた・・・節だとかチャラ男だとか・・・)

 

タクト「どした?」

 

シン「俺は感謝してるよ爺ちゃん。爺ちゃんが鍛えてくれなかったら、きっと今の俺は居なかった。そのお陰でこんなに一杯友達も出来たんだからさ!!ありがとう爺ちゃん!!」

 

マーリン「・・・・シン・・・・うぅ・・・・」

 

大泣きした。

 

タクト「おいおい、マーリン様泣いちゃってるぞ。」

 

 

 

 

大浴場・女子。

 

オリビア「凄ーい!広いですー!」

 

マリア「さぁ行こー!」

 

アリス「ふわぁぁ!気持ち良い〜〜〜〜!!」

 

イザベラ「温か〜い・・・」

 

レア「うっほほ〜!良い湯だなぁ〜!」

 

アンナ「久し振りの温泉ですぅ〜!」

 

エミリー「はぁ〜・・・疲れが溶けていくなぁ〜・・・」

 

ヒナ「エミリーちゃん。後でお背中流しますね♪」

 

メリダ「骨身に沁み渡るねぇ・・・」

 

ユーリ「疲れも飛んでいきますねぇ〜。」

 

シシリー「フフ、喜んで貰えて嬉しいです。」

 

リン「さいこー。」

 

グレア「良いなぁ〜。私精霊だから浸かれないなぁ〜。」

 

アリス「グレア!湯に入ってる自分を想像すれば良いよ!」

 

グレア「湯に入ってる自分・・・んふふ〜!良いね〜!」

 

マリア「それにしても、メリダ様はお歳を召しても良いスタイルですねぇ!」

 

アリス「普段から何かされてるんですか?」

 

メリダ「そうさねぇ・・・シンが作った運動用の魔道具を毎日使ってる位かねぇ。」

 

以前にシンが作ったランニングマシンを使って運動していると言う。

 

アリス「その器具、使わせて頂けませんか!?」

 

リン「私も使いたい!」

 

メリダ「別に構わないけど、身体を鍛えたって、胸は大きくならないよ。」

 

アリス・リン「ガーーーーン!!」

 

メリダ「大きくなりたいのなら、その2人に訊いた方が良いんじゃないかい?」

 

胸の大きいシシリーとユーリをギランと見る。

 

アリス「ちょっと揉ませろーーーーー!!!」

 

シシリー「ああんもう!!」

 

一方ユーリはオリビアの後ろに避難してる。

 

アリス「おお!!これは凄い!!」

 

シシリー「あっ!!やっ!!アリスさ・・・ん!!そ・・・そこは・・・!!」

 

リン「シシリーは感度も良好!」

 

シシリー「あっふ・・・リンさんまで・・・あん!!」

 

ユーリ「危なかったわぁ・・・」

 

しかし。

 

マリア「逃がすかーーーー!!!」

 

ユーリ「ひゃあん!!」

 

後ろからマリアに揉まれた。

 

マリア「いっつもこれ見よがしに爆乳晒しやがって、イヤミかこんにゃろ〜〜〜〜!!!」

 

ユーリ「あ・・・ちょっとぉ・・・マリ・・・あ〜〜〜〜〜〜!!」

 

付いて行けてないオリビアはおろおろしてる。

 

メリダ「胸も脂肪で出来てるからねぇ。運動し過ぎても逆に胸が小さくなっちまうんだよ。ってシンが言ってたねぇ。」

 

マリア「何でシンはそんな事知ってるんですかね?」

 

メリダ「昔から何にでも疑問と興味を持つ子でねぇ。幼い頃から森の中で色々実験してたみたいだよ。シンの異常は魔法の数々は殆どがその経験によって生まれたもんじゃないのかねぇ。自由であったけど、友達と呼べる相手は作ってやれなかった。だからこそ、今こうして皆がシンの友達で居てくれる事が嬉しくてねぇ・・・」

 

シシリー「メリダ様、私の方こそシン君に出会えて本当に良かったと思ってるんです!」

 

マリア「友達になれて良かったのは、寧ろ私達です!」

 

アリス「魔法もいっぱい教えてくれるし!」

 

ユーリ「得をしているのは私達です!」

 

リン「超ラッキー!」

 

オリビア「ですね!」

 

メリダ「アンタ達・・・・・よしっ!!本当は保護者に徹して口を出さないつもりだったけど、今回の合宿は、私達もアンタ達を鍛えてあげる事にするよ!」

 

女性陣「ええ!?メリダ様とマーリン様が!?」

 

メリダ「その代わり、ビシバシ行くから覚悟しなよ!!」

 

女性陣「はい!!」

 

リン「望む所!」

 

メリダ(フフッ、楽しくなりそうだね。)

 

 

 

 

風呂から上がり、豪華な夕食を頂き、夜はベッドの上でぐっすり寝る。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
カミーユ=ブランド:大泊貴揮

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
グレア:高橋李依

ジークフリード=マルケス:金子誠

クリスティーナ=ヘイデン:古賀葵

ミランダ=ウォーレス:吉七味。
クライス=ロイド:松田修平
ノイン=カーティス:新祐樹
ケント=マクレガー:濱野大輝
フリオ:安田陸矢

騎士学院生:石谷春貴
     市川蒼
     狩野翔
      福原かつみ

教官:松田修平
   八木侑紀





次回予告

合宿が続く究極魔法研究会。アウグストの婚約者と妹も参加し、星空の夜にシンがシシリーに伝えたい言葉とは・・・

次回ウルトラマンティガ

星空の誓い

お楽しみに


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第7話「星空の誓い」

星空の誓い



クロードの街での合宿2日目。今日はマーリンによる魔力制御の指導。

 

マーリン「トール君。制御が少し乱れとるよ。」

 

トール「は、はい!!!」

 

マーリン「シシリーさんは今ので十分制御出来とるから、少し魔力を上げてみようか。」

 

シシリー「はい!」

 

魔力を少し上げる。

 

マーリン「うむ。」

 

すると横から電気が。

 

マーリン「うおっ!?」

 

魔力を集め過ぎたリンが暴走寸前。

 

マーリン「それは集め過ぎじゃ!暴走するぞい!!」

 

リン「あれ?間違えた!」

 

すぐに魔力解除。

 

ユーリ「もぉ!また髪の毛大変になるじゃなぁい!」

 

シン(やっぱり爺さんの指導は的確だな。ギリギリを見極めるのが上手い。)

 

 

 

 

次はメリダによる魔道具制作の講義。

 

シン(2人が協力してくれてるお陰で、この合宿は思った以上になるぞ。)

 

 

 

 

 

 

そして荒野でシンによる魔法の実践練習。全員がタクトに向かって無詠唱で魔法の放ち続ける。

 

タクト「ハッ!タッ!」

 

アクロバットに躱し続ける。

 

メリダ「よくもまあこれだけの魔法を無詠唱でポンポン撃つもんだねぇ・・・ジークが焦るのもよく分かるよ。魔法師団も立つ手がないじゃないか・・・」

 

シン「でも、これでも魔人相手には厳しいと思うんだ。」

 

マーリン「そうじゃな・・・」

 

メリダ「全く・・・本当に世界の危機じゃないか・・・」

 

シン(俺は学院の魔法使いのレベルしか知らないけど、俺達の魔法に対するジークにーちゃんや軍の人達の反応からして、大凡の魔人との戦力差は予想が付く。恐らく今の状態じゃ、相当厳しい。下手をすれば、一国の戦力を持ってしても、魔人1人ですら相手にならないかも知れない。このままじゃ、魔物が跋扈している旧帝国領で、シュトロームに辿り着く事など到底出来はしない!何としても皆が・・・それに俺自身がこの合宿で強くならなきゃ!」

 

全員「え!?」

 

彼の言葉で全員が引いた。

 

シン「え?」

 

タクト「言葉に出たぞ。」

 

 

 

 

実験開始直後に、一部が魔力障壁を展開した。

 

シン「・・・・・」

 

マリア「いい?全力で魔力障壁を展開するのよ!」

 

シン「いや、多分大丈夫かと・・・」

 

アリス「多分!?」

 

多分の言葉で全員が魔力障壁を展開。

 

シン「えぇ!?」

 

アウグスト「皆、メッシーナの言う通り!(シンへの)警戒を怠らない様に!タクトはその場で待機しろ!」

 

タクト「はぁ!?」

 

シン「大丈夫だって言ってるだろ。」

 

タクト「おい何で俺だけ!?」

 

フェオン「アンタなら大丈夫そうだし。」

 

タクト「どう言う意味だそれ!!」

 

シン(少し前から思い付いてたアイデアがある。まずはよく燃える可燃性のガスをイメージ。)

 

可燃性のガスをイメージして炎の魔法を出す。

 

シン(よし、いける!言ってみれば、これは『ガス爆発』を利用した魔法だ。次に空気による玉を作り、さっきイメージしたガスを閉じ込める。密閉空間に充満したガスに引火させると、ガスが一気に膨張・・・ガスの逃げ場がなくなり、密閉空間が破綻すると・・・)

 

火の玉が完成。

 

トニー「そ、それが新魔法かい!?」

 

シン「いや、重要なのはここからだ!」

 

全員「ビクッ!!」

 

マリア「皆!衝撃に備えて!」

 

タクト「おいおいおいおいおい・・・」

 

シン(イメージするのは『指向性』!これまで使ってきたのもそうだったが、爆発系魔法はどうしたって、衝撃波が広範囲に広がり、威力が削がれてしまっていた。その衝撃波を今度は前方にのみ向かう様にイメージする!!発射!!)

 

超特大ファイヤーボールをタクトに向かって飛ばす。

 

タクト「マジかよーーーー!?」

 

両手を前に出してウルトラシールドを張り、圧縮した超特大ファイヤーボールを防いだ。

 

タクト「・・・・・!!!」

 

爆煙から無傷のタクトが現れ、地面が抉られている。

 

ヒナ「す・・・凄まじい・・・です・・・!」

 

トール「ま・・・!!」

 

マリア「またやらかしたよあの人・・・!!」

 

シン「やった成功だ!!」

 

メリダ「このお馬鹿!!!!何だいこの威力!!!」

 

アリス「あはは・・・私夢見てるのかな・・・?」

 

リン「現実・・・」

 

シン「いやぁ・・・ここまで予想してなかったっと言うか・・・」

 

メリダ「っ!!!」

 

ハリセンを構える。

 

シン「ごめん!」

 

トール「しかし、これ程の威力なのに、全く衝撃が来ませんでしたね・・・」

 

アウグスト「爆風を一方向に向けて、威力を高めた・・・?」

 

マーリン「恐らくのう・・・」

 

マーク「もしこれがこっちに来てたら・・・ゾッとするッス!」

 

シン「だから大丈夫だって・・・」

 

マリア「あんたが多分なんて付けるからでしょ!!!もう危なっかしいんだから!!!」

 

タクト「ま、全くだ・・・」

 

ガクガクしながらタクトが戻って来た。

 

トニー「タクト、大丈夫だった?」

 

タクト「大丈夫なんてもんじゃねえよ・・・!!下手したら死ぬレベルだぞ・・・!!ヒ、ヒナ・・・!!和らげる魔法を・・・!!」

 

ヒナ「は、はい!」

 

魔法でタクトのガクガクを和らげた。

 

メリダ「今日の魔法演習はここまで!館に戻るよ!」

 

全員「はーーい!」

 

タクト「あぁもう、あんなのもう味わいたくねぇ・・・」

 

イザベラ「ご苦労様でしたタクトさん。」

 

アウグスト「シン、タクト、ちょっと良いか?」

 

タクト「ん?」

 

アウグスト「シン、悪いがこの後1度ゲートで王城まで送って欲しい。」

 

シン「王城?」

 

アウグスト「合宿中は王都を離れる為、魔人達の情報が入り辛い。1日に1度王城に戻り、定期報告を受ける事になっているんだ。」

 

シン「成る程、分かった。」

 

タクト「んで俺も同行しろって事か?」

 

アウグスト「そんな所だ。」

 

タクト「おい皆、俺ちょっと王城へ戻るから先行っててくれ。」

 

エミリー「分かった。」

 

ゲートでアールスハイド王国へ戻る。

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王国。

 

アウグスト「ん?」

 

兵士「あ!!殿下!!」

 

王城の兵士達がアウグストを見付けた。

 

アウグスト「ん?様子が可笑しいな。何かあったのか?」

 

兵士「あ・・・いえ・・・何か・・・と言うか何と言うか・・・」

 

アウグスト「ハッキリしないな!まさか魔人達に何か動きがあったのか!?」

 

兵士「いえ・・・それは特に・・・ですがその・・・あっ!」

 

アウグスト「では一体何だ!?」

 

???「何だではありませんわ!アウグスト様!!」

 

後ろから声が聞こえた。振り向くと・・・

 

 

 

 

 

 

1人の女性が立っていた。

 

 

 

 

 

 

アウグスト「エ・・・エリー・・・!?」

 

シン「ん?誰?」

 

タクト「恋人か?」

 

アウグスト「私の婚約者だ・・・」

 

タクト・シン「っ!!こ・・・婚約者〜〜〜〜!?」

 

シン「どう言う事だよ・・・!?聞いてないぞ・・・!?」

 

タクト「俺も初耳だぞ・・・!?」

 

アウグスト「そりゃあ話してないからな・・・」

 

タクト「それもそうか・・・」

 

エリザベート「何を仲良くコソコソお話していますの?」

 

彼女はエリザベート=フォン=コーラル。コーラル公爵の令嬢で、アウグストの婚約者である。

 

兵士「で・・・では我々はこれで・・・」

 

アウグスト(そう言う事か・・・)

 

エリザベート「初めまして、英雄の御孫様にして新しい英雄、シン=ウォルフォードさん。そしてタクト=クリスティさん。私、コーラル公爵家が次女でアウグスト殿下の婚約者でもある、エリザベート=フォン=コーラルと申します。以後、お見知り置きを。」

 

シン「ご、ご丁寧にどうも・・・」

 

タクト「初めまして・・・」

 

シン(公爵令嬢・・・てっきりこう言うイメージかと・・・)

 

高笑いする悪の令嬢をイメージする。そんなイメージをしてると、エリザベートがシンをジッと見始めた。

 

シン「え?」

 

アウグスト「それよりエリー、何故こんな所に?」

 

エリザベート「どうもこうもありませんわ!折角長期休暇になってアウグスト様と一緒に居られると思っていましたのに!研究会だが合宿だがに早々に向かわれてしまって!!本当に私の婚約者だと自覚してらっしゃるのかしら!?」

 

アウグスト「い・・・いや・・・その・・・ん?」

 

タクト・シン「ニヤニヤ。」

 

アウグスト「何だシン、タクト、何を笑ってる?」

 

シン「いやー別に〜〜〜。」

 

タクト「お前のそう言う反応するの珍しいな〜って。」

 

エリザベート「何時も何時も私やメイを放ったらかして!何故わざわざお1人でお出掛けになられるの!?」

 

シン「メイって?」

 

アウグスト「妹だ。」

 

???「そうです!」

 

後ろから1人の少女が。

 

メイ「酷いです!!話は聞かせて貰ったです!!」

 

後ろから登場したのは、アウグストの妹のメイ=フォン=アールスハイド。

 

アウグスト「何だメイ、居たのか。」

 

メイ「居たのか?じゃないです!!酷いですお兄様!!合宿にはメリダ様もご一緒だと聞いたです!!私がどれだけメリダ様に憧れてるか知ってるのに・・・置いて行くなんて・・・!!!」

 

アウグスト「いや何、そうやって悔しがるお前が面白くてな。」

 

タクト・シン(酷っ・・・)

 

メイ「意地悪です!!ズルいです!!私もメリダ様にお会いしたいです!!!」

 

ポカポカ叩くが、アウグストは反応しない。

 

シン「婆ちゃんに?」

 

タクト「メリダ様に?」

 

メイ「はっ!」

 

見ていたタクトとシンの方を振り向く。

 

メイ「あわわわわ!ごめんなさいです・・・!シン様・・・タクト様・・・メイ=フォン=アールスハイドです・・・アウグストお兄様の妹です・・・!え、えと・・・メリダ様の大ファンです!」

 

シン「そっかぁ・・・宜しくねメイちゃん。」

 

タクト「宜しくな。」

 

シン「オーグとは従兄弟みたいな感じだから、メイちゃんもそうしてくれると嬉しいな。」

 

メイ「じゃ・・・じゃあ、シンお兄様?」

 

シン「あはは、様なんていらないかな?俺は王族じゃないんだから。」

 

メイ「シンお兄ちゃん・・・?」

 

シン「うん!」

 

タクト「俺もシンと同じ様に接しても構わないぞ。」

 

メイ「じゃあ・・・タクトお兄ちゃん・・・?」

 

タクト「あはは、可愛いな。」

 

微笑んでメイを撫でる。

 

メイ「エヘヘ、意地悪じゃないお兄ちゃんが出来たです!」

 

アウグスト「んで、何故こんな場所に?」

 

エリザベート「私達も、合宿先に同行させて頂きますわ。」

 

メイ「です!」

 

アウグスト「馬鹿を言うな!!合宿と言っても遊びじゃないんだぞ!!同行許可など降りる訳無いだろ!!」

 

 

 

 

すぐにディセウムへ話をしに行くと。

 

ディセウム「連れて行ってやれば良いではないか?」

 

アウグスト「父上!?」

 

タクト「あっさりOK?」

 

メイ「流石お父様です!」

 

ディセウム「マーリン殿とメリダ師もいらっしゃるし、移動はシン君の魔法だ。何の問題も無い。温泉街に滞在させておけば、良い息抜きにもなるだろう。」

 

エリザベート「私も、お父様に快諾させて頂いておりますわ。」

 

アウグスト「・・・・・」

 

タクト・シン「プークスクス。」

 

密かに笑ってる2人。

 

 

 

 

クロードの街。

 

シン「エリーさん!メイちゃん!こっち来て大丈夫だよー!」

 

ゲートで2人を連れて来た。

 

メイ「わぁっ!!さっきまで城に居たのに、もう着いたです!」

 

タクト「ようこそ、クロードの街へ。」

 

アウグスト「メイ、はしゃぎ回って逸れても知らないぞ。」

 

メイ「はわ!うぅ・・・」

 

シン「ホラ、メイちゃん、逸れたら大変だからね。」

 

メイ「あっ・・・!ハイです!」

 

手を繋いで歩く。

 

タクト「メイちゃん、俺も手を繋いであげようか?」

 

メイ「ハイです!!」

 

アウグスト「メイ、逸れないようにシンとタクトの言う事を聞くんだぞ?」

 

メイ「コクコク。」

 

アウグスト「エリー、この合宿は魔法の実戦訓練だ。お前達に構ってる時間は無いぞ。」

 

エリザベート「邪魔は致しませんわ。ただ、アウグスト様に悪い虫が付かないようにしないと!」

 

シン「あぁ成る程、合宿には女子が参加してるからな。」

 

タクト「オーグが他の娘に取られない様にか。」

 

エリザベート「いえ、そうではありませんわ。私が1番関係を疑っているのは・・・」

 

タクト・シン・アウグスト「いるのは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エリザベート「あなたですわ!!シンさん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シン「えええええええええ!?」

 

メイ「はわわ!」

 

シン「だってアウグスト様ったら、口を開けばシンシンシンシン・・・少しでも時間があればシンさんのお家へ行かれてしまうし!疑うのも無理はありませんわ!!」

 

シン「いやいやいやいや!無理があるでしょ!?俺とオーグなんて考えたくもない!!!」

 

メイ「はわわ・・・大人の話です!!」

 

タクト(もしや・・・BL!?)

 

アウグスト「まあ・・・確かにシンと言う気兼ねしない友人が出来て、浮かれてしまったのは事実だな・・・」

 

エリザベート「アウグスト様は私と居ると気を遣われますの!?」

 

アウグスト「そんな事はないぞエリー。お前と居るのは心が安らぐ。」

 

エリザベート「っ・・・!!」

 

アウグスト「男同士だとバカな事も出来る。私にとって初めての体験だったから、ついはしゃいでしまったのだ。分かってくれエリー。」

 

エリザベート「そ・・・そうでしたの・・・」

 

アウグスト「それに、シンにはもう彼女が居るからな。」

 

エリザベート「そうなのですの!?」

 

シン「オーグ!お前何言って・・・!?」

 

アウグスト「事実だろ!!」

 

シン「・・・」

 

アウグスト「シン、良い機会だ。お前そろそろハッキリしろ。」

 

シン「ハッキリって・・・?」

 

アウグスト「その態度をだ。お前達が互いに好意を持っているのは確かだろう。」

 

シン「(お互いって・・・シシリーは俺に優しいけど、それはシシリーが優しいからであって・・・)向こうが好意持ってるだなんて何で分かるんだよ!?」

 

アウグスト「見ていれば分かる。」

 

シン「何で言い切るんだよ!」

 

タクト「言葉通りだ。」

 

シン「タクト!?お前も知ってたのか!?」

 

タクト「シシリーと最初に会った時からずっとな。」

 

シン「でももし間違えたら・・・これからどうするんだよ・・・?」

 

アウグスト「では、このままで良いのか?相手の気持ちが分からないなんて当たり前だ。」

 

タクト「それともシン、シシリーから言わせるつもりか?」

 

アウグスト「自分にはその勇気が無いのを言い訳にして。」

 

シン「それは・・・・」

 

アウグスト「幼い頃からずっと一緒に居て、婚約者になったと言うのに、未だにこんな誤解を受ける事もあるのだからな。」

 

エリザベート「そこで私を引き合いに出さないで頂けます・・・!?」

 

アウグスト「まあ、決めるのはお前だがな。」

 

タクト「お前がシシリーにどう言うか、どう行動するのか俺達は文句は言わん。お前の自由だ。」

 

シン「・・・・・」

 

 

 

 

領主館に戻った。

 

ユーリ「メリダ様、素晴らしい講義でしたぁ!ウォルフォード君の付与はちょっと意味が分からなくてぇ・・・」

 

メリダ「あの子は何もかも異常だからね。」

 

講義を終えた女性陣が部屋から出て来た。

 

シシリー「え!?シン君!?それに・・・エリザベート様にメイ姫様まで!!」

 

エリザベート「お久し振りですわシシリーさん。」

 

メイ「お久し振りです!」

 

シシリー「お2人も合宿に!?」

 

アウグスト「成り行きでな。すまないがクロード、合宿中この2人も世話してやってくれないか?」

 

シシリー「勿論構いませんけど・・・」

 

エリザベート「訓練のお邪魔はしませんわ。」

 

シン「っ・・・!」

 

シシリー「どうかしたんですか?」

 

シン「え!?ど、どうって・・・べ、別に普通だよ!」

 

シシリー「そうですか?」

 

タクト(そろそろガツンと言え!男だろ!)

 

エリザベート「ああ、さっきの話はシシリーさんの事でしたのね。」

 

メイ「シンお兄ちゃんとシシリーさんお似合いです!」

 

シシリー「・・・・?」

 

シン「うわあああああ!!何でも無あああああい!!!!」

 

 

 

 

 

 

その後2人にマーリンとメリダの元へ連れて行く。

 

エリザベート「エリザベート=フォン=コーラルと申します。」

 

メイ「ア・・・アウグストお兄様の妹の・・・メイです・・・!あの・・・あの・・・!」

 

メリダ「おやまあ、殿下の婚約者と妹さんかい。」

 

シン「メイちゃんは婆ちゃんのファンなんだってさ。」

 

タクト「ずっと会いたがってたんだって。」

 

メリダ「おやおや。こんなお婆ちゃんでがっかりしたろ?」

 

メイ「そ、そ、そんな事ないです!私のお婆様より全然若いし・・・綺麗だし・・・後・・・後・・・とっても綺麗です!!」

 

褒められたメリダが笑顔を見せた。

 

タクト(メイちゃん健気だなぁ。)

 

メイ「あの・・・宜しければ握手を・・・・!」

 

メリダ「ウフフ、良いよ。」

 

握手して貰った。

 

メリダ「夕食前に温泉に行こうって言ってた所さ。アンタ達も来るかい?」

 

エリザベート「ご一緒しますわ。」

 

メイ「ハ、ハ、ハイです!」

 

メリダ「やっぱり女の子は何とも可愛らしくて良いわねぇ。シンとは大違いだよ。」

 

マーリン「ホッホッホ。」

 

シン「悪かったな・・・それでも小さい頃はよく手を繋いでただろ?」

 

メリダ「本当だよ。アンタは目を離すと何をしですか分からなかったからねぇ。小さい頃手を繋いでたのは、アンタを拘束する為だったからね。」

 

シン「マジで!?」

 

タクト「ブッ!」

 

女性陣「ぷっ!」

 

タクトと女性陣が笑う。

 

シン「そうだったのか・・・」

 

タクト「俺はメリダ様に賛同だな。手錠でも繋げば良いかも。」

 

マリア「メリダ様とタクトの気持ち分かるわ〜〜。」

 

シン「え!?」

 

アリス「シン君みたいな子供じゃ拘束しとかないと、心配でしょうがないよね!!」

 

リン「確かに、その方が効率的。」

 

ユーリ「ゴメンねぇウォルフォード君、それは仕方無いかもぉ。育てる方は大変よねぇ。」

 

オリビア「私の子供は普通である事を祈ります・・・」

 

シシリー「あ・・・あの・・・えと・・・私は・・・」

 

シン「いいんだシシリー・・・気を遣わなくても・・・」

 

シシリー「そ、そんなんじゃないです!!」

 

するとシシリーが衝撃の言葉を発した。

 

 

 

 

シシリー「シン君との子供なら可愛いでしょうし、私は喜んで手を繋ぎますよ!!」

 

 

 

 

全員が固まった。

 

シシリー「あ・・・あれ・・・?私・・・今何て・・・?」

 

マリア「シシリー・・・アンタ・・・」

 

アリス「ヒューヒュー!」

 

ユーリ「わぁ大胆!」

 

リン「盛大な自爆。」

 

タクト「凄え爆弾発言・・・」

 

イザベラ「シシリーさん、今の発言の撤回は不可能だと・・・」

 

シシリー「あ・・・あく・・・あぅ・・・やあああああああ!!!!」

 

パンクして逃げ出した。

 

タクト「シシリー!?」

 

マリア「はは・・・」

 

アウグスト「シン、分かってるな?」

 

シン「あぁ・・・彼処まで言われて、分からない程鈍感じゃないよ・・・」

 

アウグスト「彼処まで言われないと分からない鈍感なんだよ。」

 

タクト「言えてる。」

 

シン「うぐっ・・・」

 

アウグスト「まあ、頑張れ。」

 

タクト「ファイト。」

 

シン「お、おう・・・」

 

 

 

 

 

 

その夜、シンは屋敷の庭に居た。

 

シン(へぇ、屋敷の庭にこんな池が・・・)

 

庭に池があり、空には無数の星が輝いている。シンは前世の記憶を思い出した。

 

シン(見慣れた星座が1つもない・・・本当に地球じゃないんだなぁ・・・ん?)

 

 

 

 

ガーデンベンチにシシリーが座っていた。

 

 

 

 

シンがシシリーに歩み寄る。

 

シシリー「シ、シン君・・・?どうしたんですか?こんな所で・・・」

 

シン「いや、温泉上がりで少し涼もうかと思って・・・シシリーは?」

 

シシリー「わ、私も、温泉で、火照っちゃって・・・」

 

シン「隣・・・良い?」

 

シシリー「は、はひ!」

 

シン(まださっきの気にしてたんだ・・・)

 

2人がベンチに座って、顔を赤くする。

 

シシリー「あ・・・あの・・・その・・・さっきは・・・すみませんでした・・・」

 

シン「あ・・・ああ別に気にしてない・・・って言うか、俺嬉しかった。」

 

シシリー「え!?」

 

シン「シシリー、初めて会った時の事・・・覚えてる?」

 

シシリー「お、覚えてますよ。マリアと2人で男の人達に囲まれ困ってて・・・」

 

シン「俺が『お困りですか?』って訊いたら・・・」

 

シシリー「マリアが『超お困りです』って!」

 

シン「あはは、どんな返事だよって。」

 

シシリー「それから、あっと言う間にシン君とタクト君が男の人達をやっつけちゃって、その後もシン君が紳士的に接してくれて、シン君にはずっと助けて貰ってばかりで・・・」

 

シン「俺さ、あの時シシリーを見て、頭に雷が落ちたんだ。」

 

シシリー「え・・・?」

 

シン「なんて可愛い娘なんだろうって・・・」

 

シシリー「え!?あ・・・あ!そ・・・その・・・私も思いました・・・なんて格好良い人なんだろうって・・・」

 

シン「え、本当に!?」

 

シシリー「はい・・・」

 

シン「・・・シシリー。」

 

シシリー「ハ・・・ハイ!!」

 

 

 

 

 

 

シン「好きだよ。」

 

シシリー「っ・・・!」

 

 

 

 

 

 

自分から告白成功。するとシシリーが涙を流した。

 

シシリー「う・・・嬉しいです・・・シン君は優しいから・・・だから私にも優しくしてくれてるだけだって・・・ずっと・・・」

 

シン「そんな風に思わせちゃってたか・・・」

 

シシリー「でも!でも!そうじゃないって今言ってくれました!私も・・・私も好きです・・・大好きですシン君!」

 

遂にシシリーも告白成功。

 

シン「シシリー・・・」

 

シシリー「はい・・・?」

 

シン「俺と・・・俺の彼女になってくれる?」

 

シシリー「はい!シン君の彼女にして下さい。」

 

そしてシシリーが、シンにキスを求める。

 

シン・シシリー「・・・・・」

 

そして両者がキスをしようとした。

 

???「ちょっ・・・ちょっと押さないで!」

 

???「あっ!あわわっ!!」

 

”ガサガサ!!”

 

シン・シシリー「っ!?」

 

 

 

 

 

 

ガーディアンベンチの周囲からマリア達が転んで顔を出した。

 

 

 

 

 

 

全員がすぐに笑顔を作った。

 

タクト「ほんじゃね〜・・・ぶへっ!?」

 

逃げようとするタクトだが、シンに掴まれた。

 

シシリー「なななななななな・・・!?」

 

シン「皆さん揃って覗き見ですか!?」

 

マリア・アリス「だって、こんなビッグイベント見過ごせる訳ないじゃない!!」

 

タクト「見ずに居られるか!」

 

シン「逆ギレすな!!」

 

アウグスト「私はシンを焚き付けた張本人だからな。責任を持って見守る必要がある。」

 

エリザベート「私はアウグスト様の婚約者ですから、同じく責任が。」

 

メイ「はわわ・・・大人の事情ですぅ!!」

 

メリダ「シン!よく言った!!よくやったよ!!」

 

マーリン「ホッホッホ!!」

 

シン「はぁ・・・まあ・・・そんな訳で、シシリーと恋人同士になりました。」

 

タクト「おめでとう!」

 

周りから拍手喝采。

 

カミーユ「これは早速明日お祝いしなければいけませんね!!」

 

茂みから執事長のカミーユが出て来た。

 

シン(あんたまで居たんかい!!)

 

マリア「付き合う前からあれだけイチャついてたし?この先どうなっちゃうのかしらね〜〜〜♪」

 

アリス「これはきっとアレだね!モザイクがいるね!」

 

シン「誰がモザイク案件か!!」

 

アウグスト「シン、取り敢えずおめでとうと言っておく。だが、今は非常事態の最中だ。付き合いに感けて訓練を疎かにしないようにな。」

 

シン「だったら何でこのタイミングで焚き付けたりしたんだよ・・・」

 

アウグスト「だってお前、物語なんかじゃ『この戦いが終わったら告白するんだ』って言った奴は大抵死ぬだろ?その前にと思ったんだ。」

 

シン(死亡フラグ回避かよ・・・)

 

 

 

 

 

 

翌日の訓練は、ビーチへ訪れた。

 

アンナ「ん〜!良い日差し!」

 

レア「おーいアンナ!一緒に遊ぼうぜー!」

 

アンナ「待ってよ先輩〜!」

 

ヒナ「エミリーちゃん!こっちですよ〜!」

 

エミリー「あぁ!今行く!」

 

 

 

 

海でフェオン達が遊んでいる中。

 

シン「じゃあ、良いかい皆?これから新しい魔法の訓練をやるよー!」

 

アリス「え?訓練?」

 

ユーリ「水着でこんな所まで来て?」

 

シン「あぁ。この特製ボールを使ってね。」

 

タクト「シン、コート出来たぞ。」

 

ビーチボールのコートが完成した。

 

 

 

 

エリザベート「何が始まるんですの?」

 

メリダ「心配だねぇ・・・」

 

マーリン「ホッホッホ。」

 

 

 

 

全員にルールを教えた。

 

シン「ルールは以上だ。質問は?」

 

リン「魔法は自由に使って良い?」

 

シン「あぁ。ただしボールに対してのみ。それ以外はルール通りにやる事。」

 

まずはチーム分け。

 

 

 

 

アウグスト・マリア・リン・アリスチーム。

 

トニー・ユーリ・オリビア・トールチーム。

 

 

 

 

チーム分け完了。

 

シン「無茶して怪我すんなよー!」

 

タクト「程々になー!」

 

アリス「はーい!」

 

タクト「レディー・・・ゴー!」

 

 

 

 

アリス「よーし、行くぞ!!」

 

ボールを高く上へ投げた。

 

 

 

 

シン「え!?」

 

タクト「高!?」

 

 

 

 

するとアリスが高くジャンプした。

 

 

 

 

シン(そうか!魔法以前の話、身体強化してるから、通常のバレーより遥かに・・・!!)

 

 

 

 

そしてアリスが相手のコートに向けてサーブ!!

 

オリビア「任せて!!」

 

しかしオリビアが魔法を使ってレシーブ。

 

トール「ナイスですオリビアさん!」

 

ボールをトス。

 

トニー「ウインドトルネード!」

 

風魔法をボールに巻き込んでアタック!!

 

アウグスト「させるか!!!」

 

風の魔法でボールをレシーブした。

 

 

 

トニー(上手い!風圧をクッション代わりに・・・!!)

 

 

 

マリア「リン!!」

 

トスして、リンが。

 

リン「了解!!フレイムアタック!!!!」

 

炎の魔法をボールに巻き込んでスパイク!!

 

ユーリ「っ!!」

 

しかしユーリが水魔法でボールを相殺!!しかし、ボールが徐々に加速した。

 

ユーリ「あぁんダメェ!!」

 

相殺出来ず弾かれてしまい、ボールが地面に落ちて爆発した。

 

リン「あぁんもう悔しいぃ!!」

 

トニー「やるねぇ・・・」

 

リン「ふぅ・・・」

 

マリア「ナイスリン!!」

 

リン「グッ!」

 

アウグスト「ふむ、中々熱くなる。」

 

 

 

 

シシリー「皆凄い!」

 

ユリウス「魔法にこんな使い方があるとは!」

 

マーク「流石ウォルフォード君!発想が違うッス!」

 

シン「いやぁ、あはは・・・(何で皆熱くなってんの!?)」

 

 

 

 

メイ「うぅぅ・・・私も参加したいです!」

 

エリザベート「お止しなさい。あんな中に混ざったら・・・」

 

 

 

 

リン「わああ!!危ない!!」

 

 

 

 

フレイムスパイクがエリザベートとメイに向かって急接近。

 

エリザベート・メイ「きゃあああああああ!!!!」

 

マーリン「ッ!!」

 

しかしマーリンが前に出て、魔力障壁でフレイムスパイクを防いだ。

 

アリス「ごめーーん!」

 

リン「手元が狂った・・・!」

 

エリザベート「あ、危ないじゃありませんの・・・!ん?」

 

下を見ると、メイが自分の胸に押し潰されていた。

 

メリダ「あんた達!!全く何て無茶苦茶な訓練なんだい!!」

 

アリス・リン「ごめんなさい・・・」

 

マーリン「ホッホッホ。無事で何よりじゃ。それに、これはこれで中々理に適っておるよ。魔力の出力と制御、同時に行われねばならん。さぁ!訓練再開じゃ!」

 

全員「はい!」

 

マリア「スパイラルフレイムバースト!!」

 

シシリー「ライトニングサンダートルネード!!」

 

シン(中二病発表会・・・)

 

タクト(見てらんねぇ・・・)

 

 

 

 

 

 

夜、皆の部屋にタクトが来てる。ベッドが少ない為、タクトだけ別室を用意されてる。フェオン達もタクトの部屋。

 

シン「そう言えば、シシリー達は何時オーグとエリーと知り合ったんだ?」

 

シシリー「5歳の時です。」

 

マリア「王族や貴族は、5歳になるとお披露目会があるのよ。」

 

タクト「じゃあここに居る貴族達は皆幼馴染みみたいな関係か?」

 

アウグスト「そんな所だ。」

 

ユリウス「あの頃のトールは、よく女の子に間違えられていたで御座る。」

 

トール「黒歴史を抉らないで下さい!」

 

タクト「まぁでもトールは今でも女の子みたいな容姿だけどな。」

 

トール「止めて下さいタクト殿!」

 

タクト(彼奴にそっくりだ。)

 

シン「良いなぁ〜、俺が5歳の頃は森で鹿狩りしてたなぁ。」

 

トール「それはそれで凄い気が・・・」

 

タクト「俺なんてアールスハイドへ来る前は、前の仲間達と一緒に旅してたからな。」

 

シシリー「タクト君の前の仲間ですか?」

 

タクト「あぁ。今は別の旅をしている。」

 

マリア「お披露目会かぁ〜、懐かしい〜!アウグスト殿下の周りは女の子達でいっぱいだったな〜。」

 

アウグスト「うぅ・・・あれは最悪だった・・・初めて会う令嬢達に様々なアピールをされ続けて・・・」

 

シン「王族だもんなぁ。」

 

タクト「アピールされるなんて当たり前だもんなぁ。」

 

エリザベート「私はアウグスト様に近付けませんでしたの・・・」

 

タクト「え?何で?公爵の令嬢なのに?」

 

 

 

 

5歳の頃。

 

アウグスト『おい、お前。』

 

エリザベート『はい?』

 

アウグスト『お前、私と一緒に居る事を許すぞ。』

 

エリザベート『結構ですわ。』

 

アウグスト『え!?』

 

エリザベート『だって、殿下と一緒に居ると色々面倒そう。』

 

 

 

 

タクト「面倒そうって・・・それだけの理由で?」

 

アウグスト「あの中でエリーだけが、媚に売りに来なかったからなぁ。」

 

タクト「オーグもそれは流石にショックしただろ?何でエリザベートを諦めなかったんだ?」

 

アウグスト「それで興味を持ったんだ。」

 

エリザベート「っ!」

 

タクト「興味?」

 

アウグスト「あぁ。他の騒がしい令嬢を、冷めた目で見ていたのが印象的だった。」

 

エリザベート「ア、アウグスト様・・・皆さんの前ですわ・・・」

 

アウグスト「フッ。」

 

タクト「オーグがエリザベートを婚約者にした理由が分かる。」

 

マリア「はぁ・・・何で私は選ばれないのかなぁ・・・?殿下と言い、英雄の孫と言い、目の前のチャンスを悉く・・・」

 

アリス「私なんかチャンスすら無かったよ・・・?」

 

リン「私は魔法が恋人!」

 

マリア「うっ・・・ユ、ユーリはどうなの?彼氏の1人や2人は居そうじゃない!」

 

ユーリ「う〜ん、それはぁ・・・ヒ・ミ・ツ♪」

 

マリア「ユーリズル〜い・・・」

 

全員「あははははは!」

 

シン「っ!シッ!」

 

 

 

 

廊下に響く足音。それはメリダである。

 

 

 

 

皆が居る部屋を開ける。

 

メリダ「あんた達!いい加減におし!明日もまた・・・おや?」

 

しかし全員が寝静まっていた。

 

メリダ「声がすると思ってたけど・・・気のせいだったかね・・・?」

 

実際は皆、布団やベッドの裏などに隠れていた。しかしその中で。

 

 

 

 

シシリー「っ・・・・!」

 

布団の中でシンと2人きりとなったシシリーが。

 

シン(シ、シシリー・・・?)

 

シシリー(は、はい・・・)

 

シン(ごめん、重い?)

 

シシリー(そ、そうでは無いんですけど・・・あぁ!)

 

シン(っ!?シ、シシリー・・・!?)

 

シシリー(そ、その・・・手が・・・)

 

シン(手?)

 

今彼の手は、シシリーの胸を触っていた。

 

シシリー「きゃああああ!!」

 

シン「えぇ!?うわああああ!!ごごご、ごめん!!!そんなつもりは・・・!!」

 

ビックリして布団から出た。そしてその後ろから。

 

メリダ「あんた!!何やってんだい!!付き合いだして早速一線越える気かい!?」

 

シン「いや、これはそのぉ・・・」

 

メリダ「言い訳するんじゃないよ!!」

 

シン「えぇぇぇ・・・・・!?」

 

リン「ウォルフォード君のエッチ〜。」

 

マリア「もう・・・シシリーが・・・シシリーがどんどん先に行っちゃう・・・」

 

ここに全員が居る事に気付いたメリダが。

 

メリダ「あんた達!!全員起きてここにお座り!!」

 

全員「ごめんなさーーーい!!!」

 

シン「あ、あれ!?タクトは!?」

 

 

 

 

 

 

そんなタクトは今。

 

タクト「大丈夫みたいだな。」

 

誰にも気付かれずにミクロ能力で自分を小さくしてから部屋に戻っていた。

 

フェオン「うわあタクト!」

 

タクト「よう皆。ただいま。」

 

グレア「あれ?シン達と一緒だったんじゃないの?」

 

タクト「メリダ様が来る寸前に逃げた。今頃ビシバシ叱られてるだろう。」

 

ヒナ「お、鬼ですか・・・?タクトさん・・・」

 

タクト「皆には悪いが、俺は一足先に寝るぜ。おやすみ〜。」

 

皆がメリダに説教されてるのを他所に、ベッドに潜りぐっすり眠った。

 

タクト「ムニャムニャ・・・」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭

エリザベート=フォン=コーラル:南雲希美
メイ=フォン=アールスハイド:雛乃木まや
カミーユ=ブランド:大泊貴揮

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
グレア:高橋李依





次回予告

合宿も終わりの日を迎えた。そして、シンはシシリーの両親に会ってシシリーとの婚約を懇願する。

次回ウルトラマンティガ

孫と魔道具と婚約披露

お楽しみに


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第8話「孫と魔道具と婚約披露」

孫と魔道具と婚約披露



翌朝のクロード領主の館。

 

シン「ふぁあ・・・」

 

朝に起きたシンだが、目の下にクマが出来てる。

 

シン(昨日のアレが目に焼き付いて・・・あんま眠れなかったなぁ・・・おまけにタクトの奴・・・1人だけ逃げやがって・・・後で覚えとけよ・・・)

 

昨晩にシシリーの胸を触り、挙句の果て、タクト以外の全員がメリダの説教を受ける羽目になった。

 

シシリー「あ・・・」

 

シン「お・・・」

 

途中でシシリーとバッタリ会った。お互いに赤面した。

 

シシリー「お、おはようございます・・・!」

 

シン「お、おはよう・・・あの・・・えっと・・・食堂行こうか・・・?でないと、朝食冷めちゃうし・・・」

 

シシリー「そ、そうですね・・・あ、あのシン君!」

 

シン「え?」

 

シシリー「今、ちょっと良いですか?一つ、お願いがあるんですけど・・・」

 

 

 

 

 

 

しばらくして、クロード邸の前にゲートが出現し、シンとシシリーが出て来た。

 

シシリー「ごめんね、シン君。こんな大事な事、朝からお願いしちゃって・・・早くしないとお父様、お仕事に出掛けてしまうから・・・」

 

シン「やっぱ、ご両親が揃ってる所でちゃんと報告しないとな。」

 

シシリー「はい!」

 

 

 

 

 

 

クロード邸に入り、シシリーの両親と会う。父のセシルと母のアイリーン。

 

シン(とは言ったものの・・・いざとなると・・・)

 

セシル「それで、折り入って話と言うのは?」

 

アイリーン「合宿の途中で、わざわざウチに来るなんて、余程大事なお話のようね。」

 

シン(ゴクリ・・・)

 

息を飲んで、勇気を出して行った。

 

シン「ご・・・ご報告が遅くなって申し訳ございませんが・・・この度シシリーさんとお付き合いをさせて頂く事になり・・・今日はその承認を頂きたく・・・お呼びしました。」

 

自分の娘とお付き合いすると言う言葉に静かに驚き。

 

アイリーン「・・・・」

 

セシル「シン君。」

 

シン「は、はい・・・・・」

 

殴られると思い、覚悟を決めたシン。すると・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セシル「ありがとうシン君!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

急に両手を握られ、お礼を言われた。

 

セシル「ありがとう!!シシリーを選んでくれて・・・本当にありがとう!!」

 

シン「へ・・・!?」

 

シシリー「・・・・」

 

セシル「ああ・・・今日は朝から何て素晴らしい日なんだ!!こんな報告を聞けるなんて!!」

 

シン(な・・・殴られるかと思った・・・)

 

内心ホッとした。

 

セシル「いやぁ・・・娘から君の話を聞く度そうなる事をずっと願っていたよ・・・!」

 

アイリーン「アナタ。」

 

セシル「な、何だ?」

 

アイリーン「いいから、お座りなさい。」

 

セシル「あ、はい。」

 

アイリーン「シシリーとのお付き合いを認める前に、訊いておきたい事があるのだけれど。良いかしら?」

 

シン「あ、はい・・・何でしょう・・・?」

 

アイリーン「当家は子爵位の貴族です。シシリーが三女とは言え、その先も視野に入れて貰う事になります。」

 

シン「その先・・・・と言うと・・・・」

 

アイリーン「結婚です。」

 

シシリー「け、け・・・結婚!?」

 

アイリーン「今すぐと言う訳ではないわ。でも、子爵家の娘を婚約せずにお付き合いせずに居られないの。その様子だと・・・どうやら覚悟は出来ていたみたいね?」

 

シン「はい!」

 

シシリー「シン君・・・」

 

アイリーン「おめでとうシシリー。漸く念願が叶えたね。」

 

シシリー「ありがとう・・・お母様・・・はっ!ってそんなシン君の前で言わないでーーー!!!」

 

”パチパチパチ”

 

タクト「ヤッホーお2人さん。」

 

拍手しながらタクトが入って来た。

 

シシリー「タ、タクト君!」

 

タクト「2人が何処かへ行ってるのを見て付いて来ちまった。シン、おめでとう。」

 

シン「ありがとう、タクト。・・・ってそうだった!!お前だけ逃げるなんてズルいぞ!!」

 

タクト「悪い悪い。」

 

シン「それにお前、婆ちゃんの説教受けた事あるのか?」

 

タクト「皆無。」

 

シン「この野郎・・・それなのにすぐ逃げやがって・・・」

 

セシル「君がタクト=クリスティ君だね?君の事もシシリーからよく聞いているよ。」

 

タクト「クロード子爵様、ご婦人様。光栄です。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食後、荒野でトールとトニーが魔法で競い合ってる。

 

トニー「やるねトール!」

 

トール「トニー殿こそ!」

 

エリザベート「な、何ですの!?皆様のこの魔法!」

 

シン「準備運動は、こんなもんで良いかな?」

 

タクト「こんなもんだな。」

 

エリザベート「ええ!?」

 

マーリン「ホッホッホッ。どうじゃな?折角見学に来とるんじゃ。お嬢様方も少しやってみんかね?」

 

メイ「え?」

 

エリザベート「わ、私は遠慮させて頂きますわ・・・魔法の素質が無いのは分かっておりますから・・・」

 

メイ「私やりたいです!!」

 

マーリン「では、基本の魔力制御からやってみようかのう。」

 

魔力制御を始めてみる。

 

メイ「わっ!わっ!凄いです!!こんなに魔力が!!」

 

マーリン「おぉ!これは凄いのう!」

 

メリダ「その歳でやるじゃないかぁ!メイちゃんには魔法使いの素質があるようだねぇ!」

 

メイ「えへへ・・・」

 

アリス「もしかしてメイ姫様、凄い魔法使いになっちゃうかも・・・」

 

リン「負けてられない!頑張る!」

 

マーリン「ホッホッホッ、メイちゃんが良い刺激になっとるのう。」

 

負けじとリンも魔力を集めるが。

 

マーリン「リンさん!それは頑張り過ぎじゃ!」

 

リン「え?」

 

”ボカーーン!!”

 

リン「ギャアアーーー!!!」

 

爆発してしまい、黒焦げになってしまった。

 

リン「ゲホッ・・・」

 

メリダ「あっはっはっ!」

 

マーリン「言わんこっちゃない・・・」

 

メリダ「アンタ達は、将来メイちゃんに色んな所を追い抜かされない様に頑張るんだね!」

 

アリス・リン「色んな所・・・」

 

自分達を追い抜いたメイを想像して。

 

アリス・メイ「ギロッ!!」

 

メイ「はわわっ!!」

 

怖がってシンの後ろに隠れる。

 

タクト「アリス、リン、メイちゃんを怖がらせんな。」

 

アウグスト「む?そこで兄ではなく、何故シンの後ろに隠れる?」

 

シン「え?」

 

アウグスト「これはお仕置きが必要だな。」

 

メイ「はわわわわ!シンお兄ちゃん助けて下さいです!!」

 

シン「揃いも揃ってお前等は・・・」

 

アウグスト「冗談だ。」

 

シン「本当かよ?」

 

タクト「冗談には聞こえないが。」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、ブルースフィア帝国の帝都では。

 

シュトローム「ミリアさん、進捗はどうですか?」

 

ミリア「街道を通る商隊を襲う事で、帝国各地の都市は食料不足に陥り、日々不満が高まっています。」

 

シュトローム「では、そろそろ頃合いかも知れませんね。」

 

 

 

 

 

 

荒野では。タクトとシンを覗いた全員が魔力障壁で己達を守ってる。

 

シン「何でまたそんなに警戒してんの・・・?」

 

タクト「何で俺がここで待機なんだ・・・?」

 

ユーリ「だってウォルフォード君・・・新しい魔法の実験するんでしょ・・・?そこにクリスティ君が居れば何とかなりそうだし・・・」

 

マリア「巻き込まれて・・・吹っ飛ばされたら敵わないし・・・」

 

トニー「当然の措置だね。」

 

アウグスト「メイ、今度は私の後ろにちゃんと隠れてろ?」

 

メイ「はいです!」

 

フェオン「早く始めなさい!」

 

タクト「はぁ・・・シン、始めてくれ。」

 

シン「分かった。今回はそんなに危なくないから。」

 

足元の石ころを持つ。

 

アウグスト「本当か?」

 

魔力障壁を倍に増やす。

 

シン「攻撃魔法じゃないから、大丈夫だって!」

 

タクト「俺が保証する!安心しろ!」

 

アウグスト「そうか。なら。」

 

魔力障壁を解除し、シンが魔力を集める。

 

トール「集まってる魔力の量が、尋常じゃないですね・・・」

 

エリザベート「ほ、本当に危なくないものでしょうね!?」

 

タクト「俺が保証するって。」

 

更に魔力を集めると、持ってた石ころが浮遊した。

 

シン「おっ!やった!!成功したー!!」

 

全員が目を疑い、目をゴシゴシするが、幻ではなかった。

 

エリザベート「これって・・・一体何の魔法ですの・・・?」

 

シン「浮遊魔法だよ。石に反重力の・・・あぁえっと、物が落ちるのと反対のイメージを込めてみたんだ。」

 

マリア「あ、相変わらず何なのかよく分かんないけど・・・また凄いのやってのけたって事はよく分かるわ・・・」

 

タクト「因みに俺の場合は。」

 

ウルトラ念力で5キロある石の重力を操り、軽々と浮遊させた。

 

全員「・・・・・・」

 

レア「相変わらず凄いよなお前。」

 

タクト「まぁな。」

 

マリア「タ、タクトもまだまだ凄い魔法を持ってるのね・・・」

 

タクト(魔法ってより、超能力だけどね。)

 

シン「凄いのはこれからかもね。」

 

魔力を再び集めると、今度はシン自身が浮遊した。

 

全員「え・・・?」

 

タクト以外の全員が驚いた。

 

シン(上下移動の浮遊魔法を自分にかけて、左右には風の魔法を応用すれば!!)

 

更に魔力を加えると。

 

 

 

 

シン「お!!おっほっほっほ!!こりゃ楽しいわ!!ヒャッホー!!」

 

空を自由に飛び回ってる。

 

タクト「楽しそうだな〜。」

 

 

 

 

シン「こっちの実験も成功っと!」

 

着地したが、タクトを除いた皆が引いてる。

 

アウグスト「お前・・・またとんでもない事を・・・」

 

タクト「飛ぶだけに?」

 

寒い空気が漂う。

 

シン「そう?シュトロームも使ってたし、対抗する為だよ。」

 

タクト「この先彼奴とどう戦うのかがポイントだ。だろ?」

 

シン「そう言う事。」

 

タクト「因みにフェオン達も。」

 

フェオン「えぇ!」

 

彼女達も浮遊して空を飛ぶ。

 

イザベラ「私達も飛べるんですよ〜!」

 

全員「・・・・!」

 

フェオン達が着地した。

 

アンナ「驚きました?」

 

シシリー「シン君・・・タクト君・・・フェオンさん・・・凄い!!」

 

メイ「シンお兄ちゃん!タクトお兄ちゃん!私も空を飛びたいです!教えて下さいです!」

 

マリア「だ、駄目ですよメイ姫様!!」

 

メイ「何でですか?」

 

マリア「だって、今飛んだら・・・」

 

メイ「飛んだら?」

 

マリア「パンツ丸見えになっちゃうじゃないですか!!」

 

メイ「あう!忘れてました!」

 

タクト(ドロワーズが必要かな?)

 

 

 

 

 

 

その夜、シンはマーリンとメリダにシシリーと婚約した事を報告した。

 

マーリン「何!?婚約したじゃと!?」

 

シン「爺ちゃん、婆ちゃん、先に言っとかなくてごめん・・・!」

 

タクト「許して貰えないか?俺からも頼む。」

 

シシリー「私が悪いんです!両親に、お付き合いする報告を早くしたいって・・・」

 

マーリン「あ、いや、別に責めてる訳では・・・」

 

メリダ「何れ、こうなるだろうと思ってたから、別に驚きやしないさ。」

 

シン・シシリー「え?」

 

タクト「と言うと?」

 

メリダ「ただ、婚約を公にする前に、カタを付けなきゃなんない事がある。」

 

タクト「それってまさか・・・」

 

メリダ「そうよ。シシリー、夜分にすまないけど、お宅に伺わせて貰うよ。」

 

シン「ば、婆ちゃん・・・もしかして・・・」

 

メリダ「うん。」

 

タクト「じゃあ行くか。」

 

 

 

 

 

 

クロード邸。

 

セシル「いやぁ、まさか賢者様と導師様が我が家に足を運んで頂けるとは・・・」

 

メリダ「日を改めようと思ったんだけど、早い方が良いと思ってね。2人に話しておかなきゃならない事がある。」

 

2人にシンの事情を話した。

 

メリダ「っとまぁ、事情は話した通りさね。」

 

セシル「それでは、シン君は・・・」

 

マーリン「わしらの本当の孫ではない。」

 

シシリー「・・・・・!」

 

シン「・・・・・」

 

タクト「・・・・・」

 

メリダ「あんた達が、シンとの婚約を許したのは、こう言っちゃ何だけど・・・私達の孫だからってのは大きいだろう・・・でも、この子と私達に間に血の繋がりはない。本当の両親も誰かも分からない。私もマーリンも、本当の孫だと思って接してはきたけどね。それでもシンを・・・シシリーの婚約者だと認めてくれるかい?」

 

セシル「・・・メリダ様、マーリン様、正直私はガッカリしました。」

 

シン「・・・・・・」

 

メリダ「やっぱり・・・そうかい・・・」

 

マーリン「しょうがないのう・・・・」

 

タクト「婚約は無しか・・・・・」

 

婚約の約束は無かった事になったと誰もが諦めた。だがセシルから。

 

セシル「お2人共私達を、見縊らないで頂きたい!!」

 

マーリン・メリダ「え・・・?」

 

セシル「私達がシン君を婚約者と認めたのは、『あなた達の孫だから』ではありません。シシリーを何より大事に考えて、守ろうとしてくれている。そんな彼だからこそ、シシリーとの婚約を認めたのです!娘を思っての決断です!」

 

アイリーン「主人の言う通りです。シン君が何処の誰かなど関係ありませんわ。」

 

マーリン・メリダ「!!」

 

メリダ「変な気を回してすまなかったね・・・この通りだよ・・・」

 

セシル「あぁ、いや・・・」

 

アイリーン「頭をお上げ下さい・・・導師様・・・」

 

シシリー「シン君、私も同じですよ・・・シン君だから好きなんです!だって、初めて会った時には、お2人のお孫さんなんて知りませんでしたし。」

 

シン「・・・・セシルさん、アイリーンさん、ありがとうございます!期待を裏切らないよう、全力でシシリーの事を守ります!!」

 

セシル「うん、宜しく頼むよシン君。」

 

アイリーン「シシリーを宜しくね。」

 

シン「爺ちゃん・・・前にも言ったけど・・・もう1回言わせて?俺を拾ってくれてありがとう。俺・・・爺ちゃんの孫になれて幸せだよ。」

 

マーリン「シン・・・・・・・」

 

シン「婆ちゃん、俺の婆ちゃんになってくれてありがとう。いっつも怒られてるけど・・・俺、婆ちゃんの孫でいられて幸せだよ。」

 

メリダ「何・・・言ってんだい・・・もう・・・!」

 

2人が嬉し涙を流した。

 

 

 

 

 

 

翌日。アウグスト達に戦闘服を与えた。

 

シン「うん、皆似合ってるじゃん!」

 

タクト「おお!サイズバッチリ!」

 

アリス「凄い!シン君何時の間に!?」

 

ユーリ「これって、ウォルフォード君の付与した防御魔法があるのよねぇ?」

 

タクト「それだけじゃない。姿を消す光学迷彩に、体感温度を一定に保つ快適温度も施してある。俺とシンで考えた。」

 

アリス「えっと、国宝級に更にプラスしてあるって事?」

 

シン「あぁ。」

 

タクト「国宝級の更に10倍だ。」

 

マリア「はぁ・・・遂に国家機密満載の服を着る事になるのかぁ・・・」

 

タクト「元気出せよ。俺なんてお前等が着てる戦闘服着てないぞ?」

 

マリア「タクトはこう言うの着てないからそう言えるんでしょ・・・?」

 

その中でタクトは普段着のまま。

 

シン「あ、因みにブーツは何もしてないよ?俺のと同じジェットブーツにする事は出来るけど、あれは扱うのにコツがいるからね。」

 

アウグスト「この服と、以前貰ったアクセサリーで、防御は完璧と言う訳かぁ。と言う事は今日の訓練は、相当危険な物になりそうだな。」

 

シン「へへ、当たり〜。」

 

タクト「オーグ、ご名答。」

 

アウグストを除いた全員が驚く。

 

シン「皆に実戦訓練をして貰おうかなって。」

 

アリス「実戦?」

 

タクト「そりゃあ、なあ?」

 

シン「ああ。・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「災害級の討伐!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実戦訓練の内容は、災害級の魔物の討伐だった。

 

マーク「ささ・・・災害級!?」

 

オリビア「無理ですそんなの!!」

 

シン「大丈夫だって!皆そのくらい出来るようになってるから!」

 

タクト「それにお前らには防御万全の戦闘服を着用している。精々蜜蜂に刺された程度で済むからな。」

 

ユーリ「それはそれで痛いんじゃぁ・・・」

 

タクト「フェオン達も行くか?」

 

フェオン「いえ。これはあなた達の合宿だから。」

 

グレア「皆で行って来てね。」

 

タクト「そっか。んじゃそろそろ行こうか。」

 

メイ「置いて行くなんて酷いです!!どうして一緒に行っちゃ駄目なんです!?」

 

タクト「今日は実戦訓練だ。僅かでも危険がある所に連れては行けん。」

 

メイ「ム〜〜〜!!」

 

マリア「メイ姫様は、お部屋でお待ち下さい。」

 

メイ「で〜〜〜も〜〜〜〜〜!!!!」

 

駄々を捏ねる。

 

エリザベート「お止しなさいメイ。」

 

タクト「メイちゃん。俺達に付いて来て、もし逸れて災害級に襲われたらどうするの?」

 

メイ「でもでも〜〜〜!!」

 

シン「・・・そうだ!」

 

ある魔道具をメイにあげた。

 

シン「はいメイちゃん。これ。」

 

メイ「何ですか?これ。」

 

シン「これは、遠距離通信の魔道具。音声送受信が付与してあるんだ。」

 

糸電話型の魔道具。

 

シン「会話する時はこんな感じ。」

 

耳に当てて会話出来る。糸は魔物化した大蜘蛛の糸を使ってる。

 

シン「さぁ、メイちゃんやってみようか。」

 

早速試用してみる。メイは自分の部屋から通話してみる。

 

シン「もしも〜し。聞こえる?メイちゃん。」

 

メイ『はい!聞こえたです!』

 

全員「おぉ〜!」

 

トール「これはまた、とんでもないものですね・・・」

 

トニー「うん、情報収集が容易になるね・・・」

 

タクト(このまま行ったら受話器型になりそうだな。)

 

シン「メイちゃん、皆が帰って来るまでに使える様にしとこっか。魔道具が使える良い練習になるよ。」

 

メイ『はいです!』

 

アウグスト「やれやれ・・・」

 

メイ『あ!メリダ様!シンお兄ちゃんが凄い物を作ってくれたです!』

 

タクト「あ。」

 

シン「ゲッ!ヤベ!」

 

メリダ『あんたはまた変な物を作って!!!遠くに声を届ける魔道具は付与魔道具の夢とまで言われてるんだよ!!!それをこんなにアッサリ作っちまって!!!』

 

するとシンが、銅像を見て何かをして、こっそり皆を連れて訓練へ向かった。

 

メリダ『それにこんなものがあるって知れたら、利権を巡って争いが起きても不思議じゃないんだよ!!!何でアンタはこう・・・』

 

”バタン”

 

ドアを閉めた音。

 

メリダ『ちょっとシン!!!聞いてるのかい!!?』

 

銅像に通信魔道具を持たせていた。

 

 

 

 

 

 

究極魔法研究会一同は、森林の中を歩いている。

 

アウグスト「しかし、災害級なんて早々見付かるものか?」

 

シン「旧帝国から魔物が流れて来てるから、以前のようにずっと各地で増えてるんだよ。」

 

タクト「迷惑な話だけどな。」

 

シン「さあ、索敵しながら行動開始!」

 

 

 

 

森林を索敵行動中、何かを感じた。

 

シシリー「あ、これ・・・この先・・・」

 

シン「気付いた?シシリー。」

 

シシリー「はい・・・」

 

マリア「本当だ・・・魔力の大きさがまるで違うのが1匹・・・」

 

オリビア「こんなに遠いのに・・・シシリーさんよく気付きましたね。」

 

シン(支援系魔法が得意なだけあって、索敵はシシリーが1番上手いな・・・)

 

タクト「見えたぞ。」

 

 

 

 

 

 

ライオンの魔物が見えた。

 

 

 

 

 

 

アウグスト「獅子の魔物か・・・!」

 

タクト「ライオンの魔物か。にしてもデケェ。(そう言や彼奴ら、どうしてんだろうな?)」

 

シン「獅子は虎と違って動きは鈍いけど力は強い。なので近付く事はなるべく避けた方が良い。」

 

シシリー「じゃあ、遠くから魔法攻撃ですね?」

 

シン「うん、正解!」

 

シシリー「はう・・・!」

 

急に撫でられてびっくりした。

 

シン・シシリー「はっ!」

 

女性陣達から嫉妬の目線を向けられ、すぐに落ち着く。

 

シン「よし、まずはメンバー半数で挑んでみようか。ユリウス、シシリー、ユーリ、マーク、オリビア。この5人で行こう。」

 

タクト「支援系メインのメンバーばかりだな。ユリウスは放出系が苦手だし・・・」

 

トール「大丈夫ですかね・・・」

 

シン「これでも十分過ぎると思うよ?」

 

オリビア「・・・・・」

 

不安になるオリビアだが、マークが宥める。

 

マーク「大丈夫。ウォルフォード君を信じよう!」

 

オリビア「・・・うん!」

 

タクト「んじゃ、始めるか。」

 

”パチン”

 

指で音を鳴らした。

 

 

 

 

獅子の魔物「ゴアアアアアア!!!」

 

 

 

 

音に気付いた獅子の魔物が咆哮を上げた。

 

シン「来たぞ!皆用意して!」

 

5人が魔力を集める。獅子の魔物はゆっくりと5人に近寄る。

 

シン「撃て!!!」

 

魔法を一斉発射。大爆発が起こり、獅子の魔物が跡形も無く消えた。

 

シン「あはは・・・やっぱりやり過ぎたか・・・」

 

タクト「これじゃクレーターだな・・・」

 

シシリー「え?あの・・・えと・・・獅子の魔物は・・・?」

 

シン「倒したよ。完全に粉々。」

 

タクト「消し炭になっちまったよ。」

 

マーク「マジッスか!?」

 

ユリウス「せ・・・拙者達が災害級を・・・!?」

 

シン「支援系のメンバーでこれだからねぇ。攻撃魔法の得意なそっちの6人は、単独で討伐出来るんじゃない?」

 

 

 

 

次は無数の虎の魔物。

 

アリス「フッ!!」

 

マリア「ハァッ!!」

 

トール「ヤァッ!!」

 

リン「ハァッ!!」

 

アウグスト「フッ。」

 

5人は得意の攻撃魔法で5体の虎の魔物を討伐。

 

トニー「フッ!!」

 

バイブレーションソードを握ったトニーが、最後の1匹に挑む。

 

トニー「ハアアアアアアア!!!」

 

ジャンプからの振り下ろしで討伐完了。

 

 

 

 

虎の魔物の屍達が転がってる。

 

シン「な?出来ただろ?」

 

マリア「あぁ、うん・・・出来たと言うか、出来ちゃったと言うか・・・」

 

アリス「特にトニーは凄かったね!!バイブレーションソードでパサーって!!」

 

ユーリ「けど、何時の間にバイブレーションソードを?」

 

トニー「シンがね、剣が使えるならって、一振り譲ってくれてね。」

 

ユリウス「ズルいで御座る!!拙者も!!」

 

トニー「シ、シンに頼んで?」

 

シン「よし、皆次の段階に進んだ様だな。」

 

アウグスト「次はお前の番だな。」

 

シン「え?あ、あぁ・・・」

 

アウグスト「婚約披露パーティでの晴れ姿、楽しみにしているぞ。」

 

タクト「ん?おい皆、まだ1匹残ってる。」

 

全員「え?」

 

さっきの倍の大きさがある虎の魔物が現れた。

 

全員「デカッ!!」

 

虎の魔物を見たタクトが前に出る。

 

 

 

 

タクト「俺の出番だな。」

 

スパークレンスで光の柱を出現させ、ウルトラマンティガに変身した。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ハンドスラッシュで虎の魔物の胴体に直撃させた。

 

虎の魔物「ゴアアアアアアア!!!!」

 

ティガ「チャァッ!!」

 

マルチ・スペシウム光線を放ち、虎の魔物を倒した。

 

 

 

 

光となって、タクトの姿に戻った。

 

トール「やっぱり、タクト殿も凄いですね・・・」

 

アリス「ねぇねぇタクト君!あのティガの姿って、私達にも出来るの?」

 

タクト「悪いが、あれは俺だけの特権だ。」

 

 

 

 

木の陰からマーリンとメリダが見ていた。

 

メリダ「やれやれ、こりゃ本当に・・・とんでもない集団になりそうだねぇ・・・」

 

 

 

 

 

 

着々と準備が進み、結婚披露パーティーの日が訪れた。

 

 

 

王都にあるクロード邸では、多くの貴族達や人々が集まっていた。

 

タクト「いやぁ〜、大勢居て賑やかだね〜。」

 

するとそこに、シシリーの兄のロイス=フォン=クロードと2人の姉のセシリア=フォン=クロードとシルビア=フォン=クロードが来た。

 

ロイス「あっ!やあシシリ・・・ぶっ!?」

 

セシリア・シルビア「あーんシシリー!久し振りー!」

 

しかし後ろからセシリアとシルビアに押されて踏み台にされた。

 

セシリア「また可愛くなったわねえ!」

 

シルビア「急に婚約だなんて・・・お姉ちゃん達寂しいわよ!!」

 

シシリー「セシリアお姉様・・・シルビアお姉様・・・」

 

シン(そう言やシシリーは三女だって・・・あれが上のお姉さん達か・・・)

 

タクト(めっちゃシシリーを撫で撫でしてるな。)

 

セシリア・シルビア「アナタがシン君ね?」

 

じろじろとシンを見る。

 

シン(うわぁ・・・凄い値踏みされてる・・・これ『アンタなんかうちの妹に相応しくない!!』ってパターン?)

 

しかしそうではなかった。

 

セシリア「えーと・・・賢者様と導師様の御孫さんで・・・?」

 

シルビア「そこに居るタクト=クリスティ君と共に叙勲を受けた英雄で?将来性も十分期待出来て・・・」

 

セシリア「イケメン。文句の付け所は?」

 

シルビア「ふぅ・・・無いわね、残念ながら。」

 

セシリア・シルビア「最高の相手を見付けたわねシシリー!!」

 

シシリー「お姉様達ったら・・・」

 

タクト「えと・・・お2人さん、そこに倒れてるお方は?」

 

セシリア・シルビア「あ。」

 

倒れてるロイスにやっと気付き、シシリーが起こす。

 

シシリー「ロイスお兄様です。」

 

ロイス「や・・・やっと気付いてくれた・・・頼れる義弟が出来て嬉しいよ。君なら安心してシシリーを任せられそうだ。」

 

シン(シシリー・・・家族皆に愛されてるんだな・・・それは兎も角・・・何かクロード家の上下関係が見えてきたような・・・シ・・・シシリーも何時かそっち側へ行ってしまうんだろうか・・・)

 

 

 

 

遂に婚約披露の時間が来た。新郎控え室では。

 

シン「こ、こんな感じで良いのか・・・?」

 

タクト「あぁ、似合ってるぞ。」

 

”コンコンコン”

 

シン「あ、はい!」

 

ドアが開くと、ウエディングドレス姿のシシリーが立っていた。

 

シン「っ・・・!!」

 

タクト「オォ・・・!!」

 

シン「・・・・・」

 

シシリー「ん?あの、シン君?」

 

シン「あっ、ああゴメン!か、可愛過ぎて見惚れてた・・・」

 

シシリー「あ、ありがとうございます!シン君こそ、格好良いですよ!」

 

シン「本当に・・・?」

 

シシリー「本当です!私の方こそ本当ですか?」

 

シン「あぁ、可愛過ぎてドキドキするよ。」

 

シシリー「シン君・・・」

 

シン「シシリー・・・・」

 

お互いが見詰め合ってると。

 

アイリーン「コホン!」

 

シン・シシリー「っ!?」

 

タクト「アイリーンさん。」

 

アイリーン「仲が良いのは分かりましたから、もう少ししたらダイニングにいらっしゃいね。」

 

タクト「んじゃ俺、アイリーンさんと先行ってるからな。」

 

シン「ああ。」

 

シシリー「はい。」

 

シン「行こうか、シシリー。」

 

シシリー「はい。」

 

2人は手を繋いで会場へ。

 

 

 

 

婚約式会場に入場し、全員が盛大な拍手で迎えた。

 

ディセウム「皆、グラスは行き渡っているな?シン=ウォルフォード、シシリー=フォン=クロード。2人の婚約を、ディセウム=フォン=アールスハイドが見届け人となり、これを承認するものとする。」

 

 

 

セシリア(なな何で陛下がわざわざ・・・!?)

 

 

 

これはアールスハイド王国国王としての宣言である。善とある若者の素晴らしい門出に乾杯!!」

 

全員「乾杯!!」

 

こうしてシン=ウォルフォードとシシリー=フォン=クロードはめでたく婚約した。

 

 

 

 

 

 

パーティーが始まった。

 

タクト「お2人共お似合いだぜ!将来良い家族になりそうだぞ?」

 

シン「ありがとうタクト。」

 

シシリー「何だか、恥ずかしいです。」

 

タクト「何言ってんだよシシリー、お前はもうシンの正式の妻になったんだぞ?妻なら妻らしく、夫であるシンを心の底から愛し続けるんだぞ?」

 

シシリー「はい。」

 

フェオン「シン。シシリーを幸せに出来なかったらタダじゃおかないからね?」

 

シン「分かってるって。」

 

ジークフリード「よう!やっぱり付き合ってたかお前達。」

 

クリスティーナ「おめでとうシン、シシリーさん。」

 

シン「ジークにーちゃんにクリスねーちゃん!来てくれてありがとう!」

 

???「久し振りだなシン。タクト君。」

 

シン「あ!ミッシェルおじさん!トムさんも!!」

 

タクト「ミッシェル!トム!」

 

嘗て剣聖と呼ばれた元騎士団長のミッシェル=コーリングと、ハーグ商会代表のトム=ハーグも招待された。

 

ミッシェル「あの小さかったシンが婚約とは、私も歳を取る訳だ。はっはっ。」

 

トム「本当早いものですよ。ついこの間まで買い物の仕方を知らなかったのに。」

 

シン「あ、それ言う?・・・何か、懐かしい面子が集合したね。」

 

ジークフリード「お前が王都に来て、集まる機会が減っちまったからな。」

 

 

 

 

アルフレッド「ウォ〜〜ル〜〜フォ〜〜ド〜〜!!」

 

 

 

 

後ろから担任のアルフレッドが来た。

 

シン「わ!ビックリした、どうしたのアルフレッド先生?」

 

アルフレッド「どうしたも何もあるか!・・・・何で俺がウォルフォード家の招待客なんだ!?お前、この面子と一緒に並べられる俺の気持ちにもなれよ・・・」

 

国王、ハーグ商会代表、剣聖、騎士団&魔法師団のアイドルと言うエグい面子が揃ってる。

 

アルフレッド「さっきから周りの視線が痛いんだよ・・・せめてクロード家の招待客として呼んでくれ・・・!」

 

シン「あははゴメンなさい、俺知り合い少なくて・・・」

 

タクト「まぁ分かるぞ先生、その気持ちよく分かる。」

 

ジークフリード「あっれぇ!?これはこれは!ウォルフォード家招待のアルフレッド先輩!流石先輩程になると当然のように呼ばれるんですね!」

 

アルフレッド「おまっ!デカい声で言うなジークフリード!・・・ワザとだな?あ?喧嘩売ってんだな?」

 

ジークフリード「やだなぁ先輩!堂々としてりゃ良いじゃないですか!」

 

シン「もー、折角ジークにーちゃんが何時もの相手と喧嘩してないのに・・・」

 

クリス「何か言いました?」

 

シン「何でもないです・・・」

 

ユーリ「ドンマイ先生。」

 

マリア「これからこれから。」

 

タクト「すぐに慣れるさ。」

 

アルフレッド「止めてくれ・・・余計虚しい・・・」

 

 

 

 

 

 

パーティ真っ只中のバルコニー。

 

シン「ふぅ〜・・・終わったぁ・・・」

 

シシリー「お疲れ様ですシン君。」

 

 

 

 

タクト「よう、お2人さん。」

 

 

 

 

シン「タクト。」

 

シシリー「フェオンさん。」

 

バルコニーにタクトとフェオンが来た。

 

タクト「シン、シシリー、おめでとう。」

 

フェオン「婚約を祝福するわ。」

 

シン「ありがとう2人共。」

 

シシリー「ありがとうございます。」

 

フェオン「私達に続いて、あなた達も結ばれるなんてね。」

 

タクト「まぁ俺達は既に結婚してるけどな。」

 

シシリー「シン君、これで一段落着きましたね。」

 

シン「いや、まだ大事な事が残ってる。」

 

シシリー「え?」

 

シン「シシリー。」

 

シシリー「はい。何ですか?」

 

ポケットからある物を出した。

 

シン「順番が逆になっちゃったけど・・・」

 

小箱を開けると、指輪が入ってた。

 

シシリー「シン・・・君・・・これ・・・」

 

シン「もう婚約披露パーティは終わっちゃったけど・・・シシリー・・・俺の・・・お嫁さんになって下さい!」

 

シシリー「はい・・・私を・・・シン君のお嫁さんにして下さい!」

 

指輪をシシリーの左手の薬指に嵌める。

 

シシリー「シン君・・・私・・・幸せです!」

 

シン「シシリー・・・・」

 

2人は唇と唇を重ねた。タクトとフェオンが小さく拍手する。

 

タクト「最高だぜ。2人共。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、森林では。

 

???「酷いわね・・・」

 

???「あぁ、奴らは容赦無く殺し続けるからな。」

 

ここに1人の男と3人の女が居た。

 

???「スイード王国が見えたよ。」

 

???「あれか。行ってよう。」

 

4人はスイード王国へ向かった。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭
セシル=フォン=クロード:田坂浩樹
アイリーン=フォン=クロード:岡本麻弥
エリザベート=フォン=コーラル:南雲希美
メイ=フォン=アールスハイド:雛乃木まや

アルフレッド=マーカス:駒田航

ジークフリード=マルケス:金子誠
クリスティーナ=ヘイデン:古賀葵

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
グレア:高橋李依

ミッシェル=コーリング:川原慶久
トム=ハーグ=最上嗣生

ロイス=フォン=クロード:岸尾だいすけ
セシリア=フォン=クロード:佐藤利奈
シルビア=フォン=クロード:小澤亜李





次回予告

その男は、何故帝国を憎むのか。何故魔人として君臨したのか。今明かされる、オリバー=シュトロームの過去とは。

次回ウルトラマンティガ

滅亡する帝国

お楽しみに


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第9話「滅亡する帝国」

滅亡する帝国
オリバー=シュトローム、魔人集団 登場



旧ブルースフィア帝国・帝城では。

 

シュトローム「そうですか、最後の街が滅びましたか。」

 

ゼスト「はい。これで帝国の版図にある街や村は全て消え去りました。」

 

ミリア(ゼスト率いる魔人部隊が、街道を通る対象を襲い、食糧の供給をストップさせる。そんな中で贅沢を続ける貴族達に、餓えた平民達が恨みを募らせた所に誘いをかけ、彼らを魔人化。魔人となった平民達は、積年の恨みを晴らすべく、領主を血祭りに上げ、更に街や村を蹂躙。シュトローム様は帝国貴族を憎んでおられる。だがこのやり方で、多くの平民までもが犠牲になった。シュトローム様、あなたは何故そこまで・・・?)

 

 

 

 

帝城・謁見の間。

 

シュトローム「皆さんの働きで、帝国を滅亡に追い込む事が出来ました。大変に喜ばしい事です。」

 

魔人達「ウオオオオオオオオーーーーーー!!!!」

 

盛大な歓声を上げる魔人達。しかしシュトロームから、驚きの言葉が。

 

シュトローム「さて、この後どうしましょうか?」

 

魔人達「?」

 

シュトローム「帝国を滅亡させる事が、私の目標でしたからね。もうする事が無いんですよ。」

 

魔人A「何を仰っているのですか!!」

 

魔人B「そうです!この勢いで次は隣国を攻め取り、そのまま世界を統一し・・・」

 

シュトローム「世界統一?何の話です?何故そんな面倒な事をしなければいけないのです?」

 

魔人B「め、面倒・・・?一体何を・・・!?」

 

魔人C「これだけの魔人が居れば、魔人の国を創る事も・・・まさか、何もしないおつもりで・・・!?」

 

魔人A「だったら何故!?何故私達を魔人にしたのですか!?」

 

シュトローム「何故?帝国を滅する為の手駒を増やしたかったからですよ。」

 

魔人A「駒・・・だと・・・!?」

 

シュトローム「私は”貴族打倒の力を与える”と言っただけですよね?一体何処からそんな話に?」

 

彼の目的は、ブルースフィア帝国の貴族達の滅亡。それ以外の目的には興味を持たない。そして”手駒が欲しい”。魔人達はこの言葉に激怒した。

 

魔人D「き・・・貴様!!!!」

 

魔人E「そんな事の為だけに俺達を魔人に変えたのか!!!許さ・・・!っ!?」

 

激怒してシュトロームを殺そうとするが、ゼスト率いる斥候隊達に妨害された。

 

シュトローム「面倒ですね。」

 

右手を振ると、魔人達の魔力が一瞬で消えた。

 

魔人D「なっ・・・!?」

 

魔人E「集めた魔力が消え・・・!?」

 

シュトローム「あなた方がどう言う野望を抱こうとも自由ですけど、そこを私に押し付けないで頂けますか?迷惑ですから。」

 

 

 

 

 

 

ある日の荒野。

 

アリス「ウッヒョー!気持ち良い〜!」

 

ユーリ「まさか空を飛ぶ日が来るなんてねぇ〜!」

 

マリア「まっ、こうやって空を浮いて居られるのは、シンがかけてくれた浮遊魔法のお陰なんだけどね〜!」

 

トール「自分達は、風の魔法を操って移動してるだけですからね。」

 

戦闘服に付与された浮遊魔法で空を飛んでいる。

 

 

 

 

タクト「お〜、もう使いこなせたか。」

 

シン(うん、大分様になってきたな。)

 

メイ「シンお兄ちゃん、タクトお兄ちゃん、私も早く飛びたいです!」

 

タクト「え?でも飛んだら・・・」

 

メイ「大丈夫です!ちゃんとこれを穿いて来たです!」

 

ドロワーズを見せる。

 

男性陣「・・・ハッ!!」

 

エリザベート「ハッ!!メイ!はしたない!!」

 

メイ「え?でも、これは見せても良いんじゃないのです?」

 

エリザベート「い、良いと言えば良いですけど・・・いけません!!」

 

タクト「ま、まあ穿いて来たのなら良いとして。」

 

通信機に接続したスピーカーで皆を呼ぶ。

 

シン「おーい!そろそろ降りて来ーい!」

 

アリス「えぇ〜?折角調子出て来たのに〜。」

 

シン「交代の時間だぞー!」

 

タクト「飛びたいなら他の時間で飛べよなー!」

 

 

 

アウグスト「あの魔道具、色々使えそうだな。」

 

トール「殿下の立太子の儀式で、使ってみても良いかも知れませんね。」

 

マリア「そう言えばもうすぐでしたっけ?」

 

アウグスト「あぁ。」

 

 

 

メイ「皆さーん!早く代わって下さいです〜!」

 

 

 

 

 

森林の中では。

 

???「リオ!後ろ!」

 

リオ「ダァッ!!」

 

魔物達を惨殺したリオが静かに佇む。

 

リオ「ケイティ。そっちは?」

 

ケイティ「倒したよ〜!」

 

???「これで全部ね。」

 

リオ「あぁ、スイード王国までもうすぐだ・・・行くぞ。」

 

彼らはスイード王国へ向かった。

 

 

 

 

 

 

ブルースフィア帝国・帝城。

 

魔人A「そうですか・・・分かりました!ならば俺は俺の好きにやらせて貰う!」

 

シュトローム「どうぞ。っと言うか最初からそうして下さい。彼の考えに賛同する方はどうぞ。一緒に行って頂いて結構ですよ。」

 

斥候隊と一部の魔人達がここに残り、他の魔人達はここを出て行った。

 

シュトローム「一体何を考えているのやら。」

 

ゼスト「宜しいのですか?彼らをあのまま放置しておいて。」

 

シュトローム「構いませんよ。既に帝国を滅ぼすと言う目的は達したのです。好きにやらせておけば良いでしょう。」

 

ミリア「あの、どうしてそこまで帝国を憎まれておるのですか?元は帝位継承権を持つ帝国の公爵だったとお伺えしましたが・・・」

 

シュトローム「そう言えば、話した事が無かったですね。それでは、お聞かせしましょうか。私がまだ、オリベイラと呼ばれていた時の事を。」

 

 

 

 

 

 

今から2年前、嘗て帝国にはストラディウス領と言う領地があった。

 

領民A「オ、オリベイラ様!」

 

領民B「我々の仕事を、ご領主自ら・・・」

 

オリベイラ「なに、構わんさ。土も肥沃な状態を保っているし、作物も元気に育っている。これは、今年の収穫高も期待して良さそうだね。」

 

領民A「はい!何処の畑も大豊作です!」

 

彼の名はオリベイラ=フォン=ストラディウス。ストラディウス領の領主で帝国の公爵。彼は領民達から厚い信頼を得ている。

 

オリベイラ「ここも大分人が増えたねぇ。」

 

領民A「オリベイラ様の領地改革により、柵付き面積も増えましたから。人出が足りなくて、他領から流れて受け入れた人達も居るようです。」

 

オリベイラ「へぇ〜。じゃあもっと増えるかな?」

 

領民A「それでも街では、人出不足が深刻化している業種もある様です。」

 

オリベイラ「何処もかしこも人手不足かぁ。」

 

領民A「以前からお聞きしたかったのですが、オリベイラ様は何故ここまで平民優遇の政策を?」

 

オリベイラ「私も子供の頃は、何の疑問も無く貴族優遇の世界を受け入れていたよ。だが、若い頃旅をした時、ある国で衝撃を受けてね。その国は帝国と違い、奴隷制度も無く、平民達までもが活気に溢れた生活をしていたよ。搾取されている帝国の平民達との違いを知った時、帝国の未来はこうあるべきだと思い知らされたんだ。」

 

領民A「その国とは・・・?」

 

オリベイラ「アールスハイド王国だよ。」

 

実は彼は、アールスハイド王国へ訪れた事があった。アールスハイド王国に衝撃を受け、ブルースフィア帝国を変えようと努力している。

 

 

 

 

その夜のストラディウス公爵邸。書斎でオリベイラが読書をしていると、誰かがノックして入って来た。

 

???「あなた、そろそろお休みになったら?」

 

1人の女性だった。名前はアリア。オリベイラの最愛の妻である。

 

オリベイラ「この地域の収穫高が少なくてね、どうにか出来ないかと思って居たんだ。」

 

アリア「民達の為に働くのは良いですけど、あなたの身体も心配ですわ・・・」

 

オリベイラ「アリア、君の方こそ身体には気を付けてくれよ?漸く授かった私達の宝なんだからね。」

 

2人の間に、もうすぐ子供が誕生しようとした。しかし、彼の幸せは長く続かなかった。

 

 

 

 

 

 

帝国にあるリッチモンド公爵領。

 

???「貴公らに頼みがある。オリベイラを帝都に呼び出して欲しいのだ。」

 

ヘラルド=フォン=リッチモンド。後のブルースフィア帝国の皇帝。

 

貴族A「ストラディウス公爵をですか?」

 

ヘラルド「奴の事、目障りだと思わんか?」

 

貴族B「それは勿論!!」

 

貴族C「我らの領から、奴の所へ移住する平民は増える一方!!」

 

貴族D「我々は腸が煮え繰り返っております!!」

 

ヘラルド「奴は帝国の上納金を増やし、貢献代として、このまま行くと次期皇帝の座に就いてしまう。」

 

貴族B「奴が皇帝になってしまったら、平民優遇の政策を執るでありませんか!!」

 

自分達が私腹を肥やそうとしても、平民達が優遇されるのを許さないと言うクズな貴族達。

 

ヘラルド「そこでだ。貴公らはストラディウスを帝都に呼べ。その間に私が失脚を図ってやろう。」

 

貴族D「それは真ですか!?」

 

ヘラルド「奴を出来るだけ長く帝都に止まらせろ。理由は何でも構わん。」

 

貴族A「歓迎会と称して!」

 

貴族B「平民優遇政策について聞きたいと言えば!」

 

貴族C「そして何度も勉強会を開いて!!」

 

ヘラルド(オリベイラ、お前はもう終わりだよ。)

 

 

 

 

 

 

翌日、ストラディウス公爵邸に。

 

オリベイラ「やった!やったぞアリア!!貴族達が、他の貴族達が私の考えに賛同すると言って来たんだ!!」

 

アリア「おめでとうございます!でも、突然どうして・・・?」

 

オリベイラ「最近思うように税収が上がらなくてね、このままだと帝国の上納が厳しいらしい。上納金の遅れは貴族達の剥奪だ。自分達の特権を守る為ならば、何だってやるつもりだったんだろう。手紙には、近い内に帝都で会合を開き、そこで領地経営の指南をして欲しいと書いてある。」

 

アリア「帝国へ・・・?本当に大丈夫なんですの・・・?」

 

オリベイラ「え?」

 

アリア「皇帝選挙で、あなたが優位に立っていると見て、良からぬ事を企む貴族達が居るとか・・・」

 

オリベイラ「心配無いさ!私の魔法の腕は知っているだろ?」

 

アリア「それは・・・確かにあなたは、帝国有数の魔法使いだと言われてますけど・・・」

 

オリベイラ「これでも若い頃は、魔物ハンターとして過ごしていた次期もあるんだ。見す見す刺客の手にかかったりはしないさ。」

 

アリア「けどあなたが、魔物ハンターとして過ごしたのは1ヶ月だけだったでしょう?」

 

オリベイラ「ははっ、これは手厳しいなぁ。」

 

だがこの行動が、彼をどん底に突き落としてしまう要因になる。

 

 

 

その後馬車が来て、オリベイラが乗って帝都へ目指す。

 

 

 

アリア(どうかあの人の身に、何も起こりません様に・・・)

 

するとそこに。

 

執事「奥様、お客様がいらっしゃっております。」

 

アリア「お客様?どなたなのですか?」

 

執事「奥様にお話をしたいお方です。」

 

彼女はお客様が居る部屋へ。そこには、1人の男が座っていた。

 

???「これはこれは公爵夫人。お初目にかかります。」

 

アリア「あの、あなたは・・・?」

 

???「少し、お話を伺いたいのです。」

 

 

 

 

 

 

数日後、ストラディス領にある噂話が広まった。

 

領民C「神隠し・・・?」

 

領民D「女、子供ばかりもう3人目・・・?」

 

領民E「聞いた話じゃ、他の所でも同じ様な事が起きているらしいよ?」

 

???「ちょっと良いかね?」

 

領民D「な、何でございますか・・・?」

 

???「私は、帝都から来た憲兵団の者なのだが・・・」

 

憲兵と名乗るこの男。

 

憲兵「この辺りで人攫いが起こして・・・」

 

領民C「人攫い!?」

 

憲兵「しっ。声が大きい。しかも攫われた者は奴隷として売り飛ばされていた情報を入手したのだが。」

 

領民D「奴隷・・・!?」

 

憲兵「それについて、何か知らないかね?」

 

この男、密かに不敵な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

酒場では。

 

領民E「え!?人攫いは領主様の仕業!?」

 

領民F「あのお方は俺達平民にもお優しい領主様だぞ!!」

 

領民G「ウチの女房が聞いた話じゃ、自分の領地に平民を集め、その中から奴隷として売り飛ばしてるって。」

 

領民E「あのオリベイラ様が・・・?」

 

領民G「帝国貴族の領主が、こんなにも平民を優遇するなんて可笑しいと思わねぇか?」

 

領民F「確かに・・・・」

 

 

 

 

遠くの道路にある馬車。

 

帝国兵士A「上手く行っているみたいだな。」

 

帝国兵士B「俺達が偽憲兵とは知らず、そんな話を鵜呑みにしてやがる。」

 

帝国兵士A「まぁ、所詮は乙後の悪い平民って訳だ。」

 

これは帝国貴族の策略だった。

 

 

 

 

 

リッチモンド公爵邸では。

 

ヘラルド「オリベイラが領地に戻る?」

 

使用人「歓迎会に経営指南など、何かと引き止めには尽くしましたが、妻の出産が迫っているからと。」

 

ヘラルド「フム・・・奴を帝都へ誘き出して二月。仕上げにかかる頃合いか。」

 

 

 

 

 

 

数日後。

 

憲兵「我々は遂に、人攫いの足取りを掴んだ!!」

 

領民達「おぉ!」

 

憲兵「そいつを取り押さえるのに、協力して欲しいのだ!」

 

 

 

 

森の中の道を進む馬車。

 

憲兵「止まれ!!止まれぇー!!」

 

御者が馬車を止め、領民達が馬車を囲む。

 

憲兵「荷を改めさせて貰うぞ!」

 

御者「これは公爵様の馬車ですよ?そんな事が許されるとでも・・・」

 

1枚の令状を御者に見せる。

 

憲兵「これは公爵様直筆の取り調べ令状だ。口答えは許さん!!」

 

馬車の荷を確認するとそこには・・・

 

 

 

 

 

 

5人の若い女性が縛られて、檻に閉じ込められていた。

 

 

 

 

 

 

憲兵「攫われた娘達だ!!」

 

これが証拠となり、領民達の怒りが爆発し、オリベイラへの復讐心が湧いた。これがヘラルドの考えた策略だとは知らずに。

 

 

 

 

ストラディウス公爵邸では、アリアが編み物をしていた。

 

アリア「何だか、外が騒がしいですね・・・」

 

カーテンを開けて外を見ると、怒りに満ち溢れた領民達の姿が。1人の領民が公爵邸に松明を投げた。

 

アリア「っ!!」

 

すると彼女の後ろから・・・

 

 

 

 

 

 

その頃オリベイラは、公爵邸へ急いでいた。

 

オリベイラ(アリア、大事な時に長い間1人にしてすまない。もうすぐ君の元へ。)

 

すると馬車が急停車した。

 

オリベイラ「っ!?どうした!?」

 

御者「お、お屋敷が・・・!!」

 

オリベイラ「え?・・・なっ!?」

 

炎に包まれた屋敷を見て、オリベイラが戦慄した。

 

 

 

 

シュトローム『屋敷から火の手が上がってるのを見て、私は急ぎましたが・・・既に屋敷は暴徒に蹂躙されていてね・・・漸く妻の部屋に辿り着いた時にはもう・・・・』

 

 

 

 

火事になった公爵邸。アリアの部屋へ行ったが、アリアの部屋は既に炎に包まれていた。

 

オリベイラ「な・・・何故です・・・!?何故・・・こんな・・・酷い事を・・・」

 

領民A「惚けるな!!」

 

領民B「こっちは全部知ってんだ!!」

 

領民C「お前が娘を攫って、奴隷にして売り飛ばしているのをな!!!」

 

オリベイラ「わ・・・私がそんな事をする訳がないじゃないですか・・・・!!!」

 

領民A「しらばっくれるな!!!」

 

領民B「俺達は見たんだぞ!!!」

 

領民C「公爵家の家紋が付いた馬車を憲兵団と共にな!!!」

 

オリベイラ「憲兵団が一般人と同行させる訳にはいきませんよ・・・・・!!!」

 

領民達「っ!?」

 

オリベイラ「私の家紋が付いた馬車で攫って来た人間を運ぶ・・・!?違法な奴隷をそんな馬鹿な方法で運ぶとでも・・・・!?」

 

領民達「っ・・・!!」

 

 

 

 

シュトローム『私は、気付いたんです。貴族達を使って私を帝都に引き止め、その間に貶める噂を流す・・・こんな大掛かりな事が出来るのは誰か。そして私を陥れて一番得をするのは誰か。』

 

 

 

 

全てはヘラルドの策略だと知ったオリベイラは。

 

オリベイラ「フッ・・・フフフフ・・・・フフフフフ・・・」

 

狂った様な笑い声を発した。

 

領民C「オ・・・オリベイラ・・・様・・・?」

 

オリベイラ「あぁ・・・私は何て愚かなのでしょうか・・・こんな恩を仇で返すような愚かな人間の為に・・・こんな下らない事を画策するような貴族をのさばらせる帝国の為に・・・!!」

 

彼から黒い魔力が溢れ出た。

 

オリベイラ「今まで尽力していたとは・・・・・!!!」

 

領民A「り・・・領主様・・・お許しを・・・!!」

 

ヘラルドの策略だと知った領民達がオリベイラに謝罪するが。

 

オリベイラ「許す・・・?こんな事を仕出かした愚か者を許す・・・!?一体何を巫山戯た事を言っているのですか・・・!!許す訳無いだろうが・・・!!!お前らを・・・お前らを・・・唆した貴族達も・・・そんな奴らをのさばらしている帝国も・・・全部・・・全部・・・許すものかあああああああああ!!!!!!!!!!!!」

 

彼の絶望が爆発し、衝撃波が周囲に響き渡り、領民達と死んでしまったアリア諸共消し炭にした。ストラディウス領に大規模な爆発が起こった。

 

オリベイラ「ハハ・・・ハハハハハハ・・・・待っていて下さいね・・・ブルースフィア帝国・・・全てを・・・皇帝から貴族・・・平民にまで・・・全てを滅ぼしてあげますからね・・・・・!!!!!」

 

これが、魔人・オリバー=シュトロームの誕生の切っ掛けだった。

 

 

 

 

 

 

そして現在。ゼストと斥候部隊のローレンスがシュトロームの話を聞いた後、廊下を歩く。

 

ゼスト「ローレンス、シュトローム様の話を聞いてどう思う?」

 

ローレンス「どうって・・・あれだけの事をされれば、貴族も平民も、纏めて帝国を滅ぼしたくなる気持ちも分かるな、と。」

 

ゼスト「だがシュトローム様は目的を果たされてしまわれた。今のシュトローム様には新しい目的が必要だ。そう思わんか?」

 

ローレンス「それは、まぁ・・・無いよりはあった方が・・・」

 

ゼスト「そこでだ。お前は出て行った魔人達に紛れて、スイード王国に攻め込む様に仕掛けろ。」

 

ローレンス「ん?」

 

ゼスト「スイード王国は、アールスハイド王国と国境を接する小国だ。そこに魔人の集団が現れたとなれば、必ず奴らが飛んで来る。」

 

ローレンス「奴らとは・・・」

 

ゼスト「シン=ウォルフォードと、タクト=クリスティだ。」

 

ローレンス「っ!?シュトローム様を追い詰めたと言う、あの・・・!?」

 

ゼスト「そうだ。だからこそシュトローム様の次の標的に相応しい。」

 

ローレンス「分かりました!来る日に備え、奴らの力を確かめようと言う事ですね!」

 

ゼスト「フッ、分かりが良いな。ローレンス、お前なら出来ると信じている。期待しているぞ。」

 

 

 

 

 

 

夜のスイード王国では、リオと3人の女が居た。

 

リオ「ナージャ、周辺の気配は?」

 

ナージャ「・・・いや、反応は無いわ。」

 

???「おまたせ!」

 

リオ「ケイティ、どうだった?」

 

ケイティ「周辺の捜索したけど、何も居ないわ。」

 

リオ「それじゃ、ここで野営するか。」

 

テントを張ってキャンプする。

 

 

 

 

 

 

一方その頃、元ブルースフィア帝国のとある廃都では。

 

魔人A「全くよぉ!シュトロームの腰抜けにはガッカリしたぜ!」

 

魔人B「魔人の力を存分に使わずどうしろってんだ!?まぁ代わりに俺達が世界を支配してやるから良いけどな!」

 

離反したシュトロームの手駒の魔人達が喚いてる。そんな中、魔人のローレンスは。

 

ローレンス(あーやだやだ、こんな低俗な連中にしばらく付き合わなきゃならんとは・・・こりゃ早めに・・・)

 

魔人A「んで、次は何処を攻める?」

 

魔人B「そりゃあ、帝国の次はアールスハイド王国だろう!!」

 

ローレンス「なぬ!?いやー、こんなのはどうです?まずは周辺の小国を落とし、我々が大国並みの規模となってからアールスハイドに挑むと言うのは?」

 

魔人A「あ?」

 

ローレンス「大国同士、対決する方がロマンがあって良いかなーって。ね?(くそ・・・ロマンって何だ?アホか俺は・・・いや、それより、帝国を滅ぼせたのはシュトローム様の力があったからこそだって分かってんのか?此奴ら・・・)」

 

魔人A「フム、周辺国を制圧して、我々の戦力を増強するのも悪くないか。魔人を増やす事は出来ないが、捕虜や俺達に従う者は出て来るだろうしな。」

 

考え込む魔人を他所に、ローレンスが地図を開いた。

 

ローレンス「(近隣諸国が魔人に襲撃されたとなれば、恐らく国がウォルフォードとクリスティを動かそうとするはず・・・とは言え、あまり距離があったり、小国過ぎると、ウォルフォードやクリスティが現れる前に此奴らが国を制圧し兼ねない。)アールスハイドに脅威を与える意味でも、次の狙いは・・・帝国と王国の国境を接するスイード王国でどうです?」

 

魔人A「良いんじゃないか?スイードならここからそんなに距離も無い。」

 

ローレンス(ウォルフォードやクリスティがもし現れなければ、此奴らにまた別の国を襲わせれば良い。)

 

魔人A「次の標的はスイード王国で決まりだ!!」

 

魔人達「オオオーーーー!!!!」

 

だが彼らは知らなかった。スイード王国にはリオ達4人が居ると言う事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、アールスハイド王国では、立太子の儀式の日が訪れた。

 

「いよいよアウグスト殿下も王太子か!」

「おめでたい日ね本当に!」

「魔人騒動で落ち着かない日々が続いてるからな・・・」

「無事、この日を迎えられて何よりだ!」

 

 

 

 

王城内では。

 

エリザベート「お似合いですわ、アウグスト様。」

 

シン「おお・・・!オーグが王子様っぽい!」

 

マリア「いや王子様だし。」

 

タクト「どうだオーグ?今の心境は。」

 

アウグスト「うーむ・・・心境か・・・皆の前でこう言う格好をするのが恥ずかしくなってきたぞ・・・」

 

エリザベート「シンさんの影響を受け過ぎですわ。・・・やっぱり怪しい。」

 

シン(しつけぇ・・・)

 

タクト(腐女子め・・・)

 

アリス「今日は私達もステージに上がるんですか?」

 

アウグスト「ああ、研究会の面々もこの場を借りて紹介しようと思ってな。」

 

マリア「うぅ・・・キンチョー・・・」

 

 

 

 

そしてステージにアウグストとディセウムが立った。

 

「お!いらっしゃったぞ!」

「アウグスト殿下ーーー!!」

「陛下ーーー!!」

 

 

 

儀式が始まった。

 

ディセウム「我が息子アウグスト=フォン=アールスハイドよ、汝は王太子となり、国の為、国民の為に身を粉にして邁進する事を誓うか?」

 

アウグスト「私は、この国の為、国民の為に、命を捧げる事を誓います。」

 

ディセウム「うむ、よく言った。アウグスト、汝を王太子として認めよう。国民の為一層務める事を期待する。」

 

アウグスト「畏まりました。」

 

周囲が拍手喝采。

 

兵士A「はっ・・・はっ・・・!」

 

しかし駆け付けたこの兵士の言葉によって、彼らは試練に赴く事になる。

 

兵士「ご・・・御報告申し上げます!!スイード王国に魔人が多数出現!!現在、スイード王都に向かって進行中との事です!!」

 

タクト「っ!?」

 

兵士B「馬鹿者!!大切な儀式の最中に、そのような報告をするとは何事だ!!」

 

アウグスト「よい!その者を咎めるな!」

 

兵士2人「殿下・・・?」

 

アウグスト「よく知らせてくれた。魔人出現の情報は、何より最優先される。」

 

シン(遂に動き出したか・・・!!)

 

タクト(奴らか・・・!!)

 

「ま・・・魔人が出現って言わなかったか・・・!?」

「や・・・やだ、ちょっと・・・大丈夫なの・・・!?」

 

国民がパニックになる中、アウグストが国民に宣言する。

 

アウグスト「皆、落ち着いて聞いて欲しい。たった今隣国スイード王国に魔人が現れたとの報告が入った。」

 

シン(おいおい、そんな不安を煽るような事をわざわざ・・・!?)

 

アウグスト「だが心配するな!魔人に対抗する手段を我々は既に持っている!!シン!!タクト!!」

 

シン(っ!そうかオーグ・・・国民に希望を持たせる為にわざと・・・)

 

タクトとシンが前に出る。

 

アウグスト「彼らはシン=ウォルフォードとタクト=クリスティ。周知だと思うが、新たな魔人と魔物討伐の英雄だ!我々は彼らと共に研鑽を続け、遂に魔人に対抗するだけの力を得た!これよりスイード王国に、魔人共の討伐に向かう!!」

 

国民達「おおおおおお!!」

 

そしてアウグストがマントを脱ぎ捨てた。

 

アウグスト「我々はすぐにスイード王国へ向かう!!安心するが良い!!」

 

シン(下に着込んでたのかよ!?アイドルの早着替えか!)

 

タクト(流石オーグ、準備が早いぜ。)

 

回転して私服に瞬時に着替える。

 

マリア「これ、私達も脱ぐトコロ?」

 

アリス「予定と違うけど・・・ここしかないっしょ!」

 

そして究極魔法研究会のメンバーもマントを脱ぎ捨てた。勿論シンから貰った戦闘服を着込んでいた。

 

アウグスト「シン、タクト、お前らも何か言え。」

 

シン「お、俺も!?」

 

タクト「何故!?」

 

アウグスト「これは国民の不安を払拭する為のパフォーマンスだ。決めてみせろ。」

 

シン「・・・・・」

 

タクト「成る程、そこまで考えてたか。」

 

アウグスト「それと今すぐ何かチーム名を決めろ。研究会の名前じゃ、国民に不安が残る。」

 

シン「今ぁ!?うおい無茶振りし過ぎだっての・・・!!」

 

タクト「じゃあ俺から言う。」

 

まずはタクトが国民達に宣言する。

 

タクト「俺は、シン=ウォルフォードと共に魔人を討伐したタクト=クリスティだ!またの名を、超古代の戦士・ティガを受け継いだ男だ!俺達は必ず魔人達を討伐し、スイード王国を守る!!俺が、世界を守る希望の光になる!!」

 

国民達が歓声を上げた。

 

タクト「よしシン、お前も言え。」

 

シン「マジかよ!」

 

動揺する中、シンが宣言する。

 

シン「えーーーーー・・・俺を始め、ここに居る仲間達は魔人に対抗出来る力を十分に持っています。だから安心して下さい・・・(チーム名!?えーと・・・えーと・・・究極魔法・・・研究会・・・究極・・・あぁぁダメだ!!これしか浮かばねえ!)俺達は、必ず討伐して来ます!!」

 

そして決まったチーム名がこれだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シン「アルティメット・マジシャンズが!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チーム名「アルティメット・マジシャンズ」。

 

全員(アルティメット・マジシャンズって!?)

 

 

 

国民達「うおおおおおおおおおおお!!!!」

 

 

 

シン「ゴメン・・・やっちゃった・・・」

 

タクト「もうちょい考えて名付けろよお前・・・!!あ〜腹痛ぇ・・・」

 

アウグスト「くくくくくくくくく・・・!!」

 

マリア「これ明日には国中が浸透してるよ・・・」

 

リン「良い名前!私は気に入った!」

 

アリス「リンが言うと余計にヤバいから。」

 

アウグスト「くっく・・・それより派手に出陣するぞ・・・くくっ・・・」

 

シン「笑うな!!」

 

ディセウム「アウグスト、シン君、タクト君、それに皆も。スイードには我が国から魔人対策の手段を幾つか提供しているが、実戦ではやはり心許ない。我々もすぐに出来る限りの対処をする。どうかそれまで・・・頼むぞ!」

 

エリザベート「お気を付けて・・・アウグスト様。」

 

アウグスト「ああ。」

 

タクト「じゃあ出発しようぜ。」

 

スパークレンスを掲げてウルトラマンティガへ変身。

 

 

 

 

そしてアルティメット・マジシャンズが宙に浮いた。

 

「・・・!!これ・・・は・・・!?」

「アルティメット・マジシャンズが宙に・・・凄え・・・!!」

 

 

 

シン「アルティメット・マジシャンズ、出陣!!」

 

全員「おお!!」

 

ティガ「チャァッ!!!」

 

そして、隣国スイード王国へ向かった。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか

ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭

エリザベート=フォン=コーラル:南雲希美
メイ=フォン=アールスハイド:雛乃木まや

ゼスト:津田健次郎
ミリア:大原さやか
ローレンス:杉山紀彰

アリア=フォン=ストラディウス:坂本真綾

???:堀内賢雄

ヘラルド=フォン=リッチモンド:家中宏

魔人:野瀬育二
憲兵:佐久間元輝
領民:松田修平
    所河ひとみ

オリバー=シュトローム:森川智之





次回予告

スイード王国に襲来した魔人軍団を討伐すべく出動したアルティメット・マジシャンズ。そこで出会ったタクトの仲間達。この国を救えるのか・・・

次回ウルトラマンティガ

史上最強の魔法師集団

お楽しみに


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##史上最強と天下無双の魔法師集団編##
第10話「史上最強の魔法師集団」


史上最強の魔法師集団
ミリア、ローレンス、ゼスト、魔人集団 登場



シン「俺達は、必ず討伐して来ます!!アルティメット・マジシャンズが!!」

 

全員(アルティメット・マジシャンズって!?)

 

 

 

シン「ゴメン・・・やっちゃった・・・」

 

タクト「もうちょい考えて名付けろよお前・・・!!あ〜腹痛ぇ・・・」

 

アウグスト「くくくくくくくくく・・・!!」

 

マリア「これ明日には国中が浸透してるよ・・・」

 

リン「良い名前!私は気に入った!」

 

アリス「リンが言うと余計にヤバいから。」

 

アウグスト「くっく・・・それより派手に出陣するぞ・・・くくっ・・・」

 

シン「笑うな!!」

 

ディセウム「アウグスト、シン君、タクト君、それに皆も。スイードには我が国から魔人対策の手段を幾つか提供しているが、実戦ではやはり心許ない。我々もすぐに出来る限りの対処をする。どうかそれまで・・・頼むぞ!」

 

エリザベート「お気を付けて・・・アウグスト様。」

 

アウグスト「ああ。」

 

タクト「じゃあ出発しようぜ。」

 

スパークレンスを掲げてウルトラマンティガへ変身し、スカイタイプへタイプチェンジした。

 

 

 

 

そしてアルティメット・マジシャンズが宙に浮いた。

 

「・・・!!これ・・・は・・・!?」

「アルティメット・マジシャンズが宙に・・・凄え・・・!!」

 

 

 

シン「アルティメット・マジシャンズ、出陣!!」

 

全員「おお!!」

 

ティガ「チャァッ!!!」

 

そして、隣国スイード王国へ向かった。

 

 

 

 

 

 

スイード王国では、赤い信号弾が打ち上げられていた。

 

兵士A「国境沿いより、赤い信号弾!」

 

兵士B「魔人襲撃の合図だ!」

 

隊長「王城へ報告!全住民を避難させろ!」

 

兵士達「はっ!」

 

兵士C「見えました・・・!魔人の襲来です!!規模は凡そ・・・100!」

 

兵士D「魔人が・・・100体・・・!?」

 

隊長「総員配置に就け!!防御魔道具を配置せよ!!直ちにアールスハイドへ救援要請を!!」

 

兵士A「はっ!!」

 

隊長「(だが・・・要請受けて援軍到着まで何日掛かるか・・・)総員!城壁を死守せよ!!国民への被害は出させるな!!」

 

 

 

 

魔人「へっ!城壁を破壊しろ!!!ん!?」

 

目の前に誰かが立っていた。

 

 

 

 

隊長「魔道具!起動!!」

 

防御魔道具を起動させる。

 

 

 

リオ「ヤァッ!」

 

襲来した魔人達を双剣で蹴散らすリオの姿があった。

 

 

 

ナージャ「早く逃げて!」

 

ケイティ「こっちよ!!」

 

その間にナージャとケイティが国民達の避難誘導をしている。

 

 

 

リオ「おい!殺したいなら僕からにしろ!!」

 

魔人「チッ!此奴は後廻しだ!!先にスイードを狙え!!」

 

リオ「しまった!!待て!!」

 

魔人達「うおおおおおおお!!!!!」

 

魔力弾を一斉発射したが、防御魔道具で防がれた。

 

魔人「チッ!魔力障壁って奴かぁ。だが!!」

 

リオ「待て!!」

 

彼は高速ダッシュで魔人達を追う。

 

 

 

 

 

 

 

アルティメット・マジシャンズは、スイード王国へ向かっていた。

 

シン「にしてもアルティメット・マジシャンズって・・・」

 

アウグスト「いや、ククッ・・・良いチーム名だと思うぞ?」

 

シン「急に考えろとか言うから!!」

 

ティガ「完全なる中二病チーム名・・・俺もう腹筋崩壊・・・」

 

シン「何時まで笑い堪えてんだお前は!!言っとくけどお前らもチームの一員だからな!!」

 

リン「実際良い名前!私は気に入った!」

 

シン「もう国中に浸透したんだろうなぁ・・・諦めるしか無いか・・・」

 

トール「シン殿、タクト殿、そろそろ国境です。」

 

シン「あれもう!?」

 

ティガ「そうか!」

 

アリス「流石に速いね!馬車だったら何日も掛かるのに!」

 

アウグスト「早く着くのは良い事だ。提供している魔道具も恐らく長くは持たんからな。」

 

シン「大量に作らされたと思ったら、スイードに貸してたのかよ・・・」

 

マリア「でも魔人かぁ・・・何時か来るとは思ってたけど・・・いざ対峙するとなるとやっぱり緊張するなぁ。」

 

シン「大丈夫だ!もうマリアは魔人より強い女だぞ!自身持て!」

 

マリア「それはそれでどうなのよ!?」

 

ティガ「俺は今まで魔物や魔人らを倒して来たからな。」

 

シン「シシリーは、少なからず負傷者が出てると思うから・・・探して診てあげてくれないか?」

 

シシリー「分かりました!1人でも多く助けられるように・・・頑張ります!」

 

シン「確認するぞ。俺とタクトは遊撃、シシリーは負傷者の治療、他のメンバーは2人1組で魔人討伐。」

 

オリビア「マーク。私、出来る限りフォローするから・・・無茶しないでね?」

 

マーク「ああ!信じてるよ!」

 

マリア「ったく、あっちもこっちもイチャイチャしやがって・・・!!」

 

アリス「ウチの男子はリア充多過ぎだよね〜。」

 

ユーリ「本当よねぇ・・・」

 

シン「確かに。相手が居ないのはタクトとトールとユリウスだけ?」

 

ティガ「まあな。」

 

トール「自分婚約者居ますよ。」

 

ユリウス「拙者も許婚が居るで御座る。」

 

マリア「全滅じゃないのよ!!」

 

トニー「僕も特定の相手は居ないけどねぇ。」

 

マリア「アンタは1番タチが悪い!!くそぅ・・・見てろ魔人共・・・私の鬱憤全部ぶつけてやる!!」

 

シン「うん、緊張解れて結果オーライ。」

 

ティガ「遠慮せずに奴らを叩きのめしてくれ。もしかしたら、更なる不吉な予感がすると思う。」

 

アウグスト「冗談はその位にしとけ。スイード王国が見えてきたぞ!!」

 

遂に王都が目に映った。

 

アウグスト「数箇所城壁が破られてる!周辺に魔人が居るはずだ!!」

 

シシリー「・・・彼処!誰か襲われています!!」

 

下を見ると、誰かが魔人に襲われている。

 

ティガ・シン「ッ!!」

 

それを見たティガがティガ・スカイダッシュで、シンと共に急降下を始めた。

 

アウグスト「シン!!タクト!!」

 

 

 

 

 

 

 

王都内では。

 

リオ「ダァッ!ハァッ!!」

 

魔人達と交戦中のリオ。

 

リオ「キリが無い・・・!」

 

魔人「どうしたチビ?その程度か?」

 

すると、リオの頭で何かがキレた。

 

リオ「あぁ・・・!?」

 

魔人「あ?」

 

リオ「チビだと?俺の事を言ってんのかゴルァ!!」

 

魔人「な、何だこの気迫は・・・!!」

 

リオ「テメェら全員皆殺しにしてやるよ!!!」

 

 

 

 

 

 

別の場所では。

 

母親「はぁ・・・!はぁ・・・!」

 

魔人A「アハハハハ!!ホラホラァ!」

 

魔人B「ちゃんと逃げないと当たっちゃうぜ!?」

 

1人の女性が、自分の娘を抱えながら2人の魔人から逃げていた。しかし魔人達の魔力弾が行く手を塞いでしまった。

 

女の子「ああん!ママ〜〜〜〜〜!!」

 

母親「お願い・・・もう止めて・・・!!」

 

魔人A「あれぇ?追い駆けっこはもうお終いぃ?」

 

魔人B「だったらそろそろ殺し・・・グヘア!?」

 

真横からのシンの飛び蹴りが、魔人の頭部に直撃した。

 

女の子「え・・・!?」

 

蹴られた魔人が遠くへ飛ばされた。

 

トール「シン殿!いきなり無茶はしないで下さい!」

 

シン「悪い、我慢出来なかった。」

 

魔人B「こ・・・この野郎・・・!!」

 

ティガ「チャァッ!!!!」

 

しかしティガのティガ・スカイダッシュが魔人を一撃粉砕した。

 

ティガ「シン、大丈夫か?」

 

シン「あぁ、無傷だ。」

 

ティガが宙返りして、シンの横に立つ。

 

魔人A「テメェ等・・・自分が何をしたか分かってんのか!?」

 

シン「それはこっちの台詞だ!」

 

ティガ「弱き者を襲うとは極悪非道!それ以外の存在でもねぇなお前達魔人は!」

 

魔人A「ヘッ!少しは出来る様だが、高高人間如きに俺達魔人とやり合えると思うなよ!!ハアアアアアア!!」

 

魔力を高めるが。ティガが両手を広げてエネルギーを溜め、シンが魔力を最大まで溜め込む。

 

魔人A「な・・・なぁ・・・!?何だ・・・!?それは・・・!?」

 

ティガ「ハァッ!!!」

 

ランバルト光弾と最大魔力が魔人を貫いた。

 

魔人A「ウワアアアア!!!!」

 

シン「高高人間と超古代の戦士に討伐される気分はどうだ?」

 

ティガ「トール!そこにも居るぞ!」

 

隠れていた別の魔人を討伐。

 

トール「終わりました!」

 

シン「グッジョブ!大丈夫ですか?」

 

母親「は・・・はい・・・」

 

女の子「お兄ちゃん達・・・誰・・・?」

 

トール「自分達は、アールスハイド王国からの援軍です。」

 

ティガ「俺は戦士だ。さぁ、早く逃げろ。」

 

母親「は、はい!」

 

ティガ「トール、同行してやれ。」

 

トール「はい。」

 

母親と女の子と一緒に避難場所へ向かうトール。女の子はティガとシンに手を振り、ティガとシンも手を振った。

 

ティガ「無事で良かった。それよりも・・・」

 

荒れ果てた周囲を見る。

 

シン「酷い事を・・・!!」

 

ティガ「残酷だ・・・これは・・・!!」

 

2人は密かに怒りを露わにした。

 

 

 

 

城壁の上にアウグストとマリアが立った。

 

兵士「何だ!?城壁の上を何かが・・・」

 

アウグスト(風の魔法を応用すれば声を拡大出来るか・・・)

 

風の魔法で拡声する。

 

アウグスト『スイード王国民及び魔人共に告ぐ!!私はアールスハイド王国王太子、アウグスト=フォン=アールスハイドだ!!スイード王国の民よ安心せよ!!我々は魔人を打倒するだけの力を手に入れ、この地に参った!!王国兵と協力し、必ずや魔人共を撃退してみせよう!そして魔人共よ、絶滅するがいい!我々の中には、彼の賢者マーリン=ウォルフォードの孫であり、自ら魔人を退けた英雄シン=ウォルフォードと彼に続く英雄である超古代の戦士・ティガの力を受け継いだタクト=クリスティが居る!万が一にも勝ち目があると思うな!!!』

 

国民達「うおおおおおおお!!!!」

 

 

 

 

国王「アウグスト王太子殿下に、新英雄かぁ・・・」

 

 

 

アウグスト「さて・・・行くかメッシーナ。」

 

マリア「はい!」

 

 

 

 

それぞれの組みに分かれた。

 

アリス・リン組

トニー・ユーリ組

マーク・オリビア組

トール・ユリウス組

 

シン「シシリーは、救護所で負傷者に治療を。」

 

シシリー「はい!1人でも多く助けます!」

 

シン「頼む!」

 

シシリー「はい!」

 

救護所に向かうシシリーが、途中で止まった。

 

シン「ん?」

 

ティガ「シシリー?」

 

シシリー「シン君、タクト君、気を付けて下さいね!」

 

シン「あぁ、シシリーも!」

 

ティガ「気を付けろよ!」

 

 

 

 

近くの建物の中から、ローレンスが覗いていた。

 

ローレンス「シン=ウォルフォードにタクト=クリスティ。どの程度の実力か見せて貰おうか。」

 

 

 

 

シン「覚悟しろよ魔人共・・・!1体残らず討伐してやるからな・・・!!」

 

ティガ「俺は別の奴らを討伐する。その後にお前と合流する。」

 

シン「分かった。」

 

ティガ「行くぞ!!」

 

 

 

 

別の場所では。

 

リオ「ダァッ!!」

 

斬撃で魔人の首を斬り落とした。

 

リオ「そこでお寝んねしてやがれ!」

 

ナージャ「リオ!」

 

避難誘導を終えたナージャとケイティが駆け付けた。

 

リオ「ナージャ、ケイティ。さっきの声聞いたか?」

 

ケイティ「えぇ。タクトも来てるらしいわよ。ってかまた禁句言われたのね・・・」

 

リオ「彼奴が来てるのは心強いな。デイジーは?」

 

ケイティ「デイジーは負傷者の手当てをしているよ。」

 

リオ「よし。ケイティは引き続き避難誘導。ナージャは救護所の負傷者の手当て。」

 

ナージャ・ケイティ「えぇ!」

 

リオ「よし!行くぜ!」

 

 

 

 

 

 

同じ頃アリス・リン組は。

 

アリス「索敵魔法!!展開!!」

 

索敵魔法を発動し、周辺の魔人を捜す。

 

アリス「居た!行こうリン!」

 

リン「うん!」

 

 

 

 

その魔人は既に数人の兵士達を殺していた。

 

魔人「ヘッヘッヘ!幾ら何でもだらしねぇなぁ!」

 

アリス「魔人発見!!」

 

リン「確認した!」

 

そこに現れたアリスとリンを見た。

 

魔人「あぁ〜?何だぁ?幼女?」

 

するとアリスに異変が。

 

アリス「あぁ〜!?幼女ぉ!?」

 

魔人「あぁ!さっき王太子らが言っていたのはテメェ等か!ガキ2人か、舐められたもんだぜ!お飯事でも付き合って欲しいってか!?」

 

色々言われて怒り爆発。

 

アリス「ガキ・・・!?お飯事・・・!?じゃあたっぷり付き合って貰おうか!!!」

 

両手に炎を持ってぶっ殺そうとしたが、リンが後ろから高圧水流の魔法でアリスをびしょ濡れにした。

 

アリス「び・・・びっくりしたぁ!何すんのリン!?危ないじゃん!って言うか思いっきり水掛かったし!」

 

リン「熱くなってる場合じゃない!アリスは興奮すると隙が出来る!相手は魔人!」

 

アリス「そ、そうだよね・・・ごめん・・・頭冷えた・・・うん、冷静に戦うよ。」

 

リン「もう倒した。」

 

アリス「へ!?」

 

魔人が倒れると、真っ二つに切断された。

 

リン「高圧水流に砂を混ぜてぶつけてやった。綺麗に真っ二つ。」

 

アリス「ま・・・魔人って言っても、人の形をしてるから・・・結構キツいね・・・」

 

周囲を見ると、あの魔人によって無残に殺された屍が転がっている。

 

リン「私は平気。彼奴らは魔人。例え元が人間でも今は違う。」

 

アリス「そうだけど・・・そうなんだけど・・・」

 

リン「彼奴らは魔物。ううん、知能があって、弱者を甚振って愉悦を感じるようなクズに成り下がってる。放置すれば犠牲が増える。アリス、躊躇わないで覚悟を決めて。」

 

アリス「・・・うん!」

 

「ぐああ!!!」

「ぎゃあ!!」

 

遠くから悲鳴が聞こえた。

 

 

 

 

魔人に踏まれている兵士が。

 

兵士「貴様等・・・貴様等なんかに・・・ガハッ!!」

 

魔人「貴様等何かに、何なんだよ!!!」

 

そのまま兵士を蹴り飛ばした。

 

魔人「へへへ、次は足だぜ。ひゃはははははは!!楽しいなぁ!!これが魔人の力か!!どんな人間でもゴミクズ当然だ!!俺は人間を超越した存在になったんだ!!さあ、もっと遊んでくれよ!!」

 

生き残ってる兵士を消し炭にしようとしたが、駆け付けたアリスとリンが魔力障壁を張った。

 

魔人「あ!?」

 

アリス「お前えええ!!!何してるんだ!!!!!!」

 

更にまた激怒したアリスが炎の魔力を限界まで集める。

 

魔人「女の・・・ガキ?」

 

リン(またキレてるし。)

 

アリス「どいつもこいつも・・・私は子供じゃなぁい!!!!!」

 

魔人「な・・・何だこれは・・・!?グアアアアア!!!!」

 

両手から炎の魔法を放ち、魔人を跡形も無く消し炭にした。

 

アリス「ふぅー・・・ふぅー・・・」

 

リン「結局キレてるし。まーいーか、倒せれば・・・」

 

アリス「歩ける?兵士さん。」

 

兵士「あ・・・ああ・・・何とか・・・君達は・・・?」

 

アリス「アールスハイドから派遣された・・・あ〜〜〜〜〜・・・と、アルティメット・マジシャンズだよ。救護所にも仲間が来てるから急いで向かって!」

 

兵士「た・・・助かったよ、情けないが、そうさせて貰う・・・君達は命の恩人だ。でも大丈夫だ、1人で行ける・・・本当に・・・ありがとう。」

 

2人にお礼を言って救護所へ向かった。

 

アリス「何かくすぐったい。」

 

リン「でも助けたのは事実。」

 

アリス「よぉーし!次行くよ次!どんどん倒してスイードを救うぞ!」

 

リン「どっちが多く魔人を狩れるか競争!」

 

アリス「あ!ズルイよ待って!!」

 

 

 

 

 

 

トールとユリウスは、現在2体の魔人と交戦中。

 

魔人「ハッハーーーー!!!!」

 

逃げるトールを殴り飛ばそうとしたが、ユリウスが魔人の拳を掴んだ。

 

ユリウス「させぬで御座る!!」

 

魔人B「オルァ!!消えろ!!」

 

別の魔人がトールに向けて魔力弾を飛ばす。

 

トール「ハァッ!!」

 

魔力障壁で防ぎ、左手で風の魔法を飛ばして魔人の右肩を斬り落とした。

 

魔人B「ガハッ・・・!!」

 

トール「話し合いになるとは思いませんが、シュトロームに言われてこんな事を?」

 

魔人B「お喋りに付き合う気はねぇよ!!!」

 

魔力弾を放ったが、無効化。

 

 

 

ユリウス「魔人とはこの程度で御座るか!!」

 

魔人A「野郎・・・・!!!」

 

 

 

魔人B「がはっ・・・!!ぐぅっ・・・!!」

 

右足と頸動脈を斬り裂かれた。

 

魔人B「ははは、何だよ・・・魔人だからって何もかも無敵って訳でもねーんだな・・・100人も居るからこんな国簡単に陥せると思ったのによ・・・」

 

トール「察するに、あなた方は元帝国の平民でしょう?何故、こんな酷い事が出来るんですか!!」

 

魔人「・・・勿論、魔人になった連中はどいつもこいつも好戦的って訳じゃないが、根っこの所じゃ皆一緒なんだよ。・・・奪われ続けた怒りや恨みは魔人になっても増すばかりだ・・・!そんな国があるとは知らず、平和に生きてる奴等なんか見ると余計にな!・・・ま、貴族の坊ちゃんには分かりゃしねぇさ・・・」

 

ユリウス「だからと言って、無関係な人間を殺めて良いはずが御座らん!!我々が絶対に阻止するで御座る!!」

 

魔人「(この国に来て俺はもう何人もの命を奪ってる・・・結局薄汚ねぇ貴族と同じ事やってる訳か・・・)アンタらの名は?」

 

トール「トール=フォン=フレーゲル!」

 

ユリウス「ユリウス=フォン=リッテンハイム!」

 

魔人「そうかい・・・(俺達は・・・シュトローム様は腐り切った帝国の息の根を止めた。ならば俺達魔人も・・・何れは誰かに滅ぼされる運命なんだな・・・)止めてみろ!!」

 

 

 

 

 

 

別の場所では、2人の魔人が兵士達を追い詰めていた。

 

魔人A「ホラホラどうした!!後が無いぜ〜?」

 

魔人B「勇敢な王国兵諸君〜?」

 

するとこの魔人の足元に水色の魔法陣が出現し、そこから水玉と冷気が溢れ出た。

 

魔人B「なっ!?」

 

魔人A「あぁ?」

 

魔人B「何だこれは!?」

 

真上から冷気が降り注ぎ、一瞬で魔人が凍結された。

 

魔人A「なっ!?・・・き、貴様等!!」

 

屋根の上にティガとユーリが居た。

 

ユーリ「あらー?気付かれちゃったぁ?」

 

ティガ「察知能力が高いな。」

 

魔人A「テメェ等の仕業か!!!!」

 

両手に魔力を集めるが。

 

トニー「ハァッ!!!」

 

そこに現れたトニーのバイブレーションソードが炸裂。

 

魔人A「嘘・・・だろ・・・!?」

 

斬り裂かれた2人の魔人が両断された。

 

トニー「やっぱり良く斬れるねぇ!」

 

兵士達「うおおおおおおお!!」

 

ティガ「ユーリ、トニー、後は頼む。」

 

ユーリ「クリスティ君も、無茶は禁物よぉ?」

 

トニー「タクトも早く他の魔人を。」

 

ティガ「チャァッ!」

 

飛翔して他の魔人を討伐しに向かった。

 

 

 

 

 

 

そして救護所の近くの屋根の上に2人の魔人が。

 

魔人A「ヘッへ、見っけ。救護所一番乗り!」

 

魔人B「弱い人間いっぱい居そうだぜ。」

 

救護所前に着地。

 

魔人B「よぉ〜。」

 

マーク「こ・・・ここは通さないぞ!」

 

魔人A「ゲヘヘヘ!彼奴、ビビってんじゃねぇ?」

 

魔人B「その首貰いーー!!」

 

魔人A「あ、ズルい!」

 

ダッシュしてマークに挑むが、横からオリビアが押した岩の下敷きにされた。

 

マーク「オリビア!!」

 

オリビア「マークは私が守る!!」

 

魔人A「テメェ!!!」

 

ジャンプしてオリビアを斬り裂こうとしたが、マークの炎の魔法で黒焦げにされた。

 

マーク「オリビアは俺が守る!!」

 

魔人A「テメェ・・・剣士じゃ・・・!?」

 

マーク「剣士なんて一言も言ってねぇし!!」

 

魔人A「ギャアアアアアア!!!!」

 

2人の合体魔法が魔人を跡形も無く消した。

 

魔人B「ウオオオオオオオ!!」

 

だが岩の下敷きになっていた魔人が起き上がった。

 

魔人B「ガキ共!!ぶっ殺してやる!!!」

 

2人を襲う魔人だが、そこに。

 

???「ホワチャーーーー!!!!」

 

マークとオリビアの後ろから1人の少女が現れ、魔人を蹴り飛ばした。

 

魔人B「ガハッ!!!」

 

蹴り飛ばされた魔人が、瓦礫の角に頭をぶつけた。蹴り飛ばしたのはケイティだった。

 

ケイティ「もう、2人の仲睦まじい光景を壊しちゃダメじゃない。お姉さん怒るよ?プンプン。」

 

マーク「き、君は?」

 

ケイティ「あ!私はケイティ=グレイス!剣豪者を夢見る少女!2人共もしかしたら、タクトの仲間だね?」

 

オリビア「え・・・クリスティ君を知っているんですか?」

 

ケイティ「そりゃあ勿論だよ!私、彼奴の仲間だから。よっと!」

 

ナイフを後ろに投げた。そのナイフが蹴り飛ばされてから起き上がった魔人の眉間に突き刺さった。

 

ケイティ「そこでお寝んねしてね?」

 

 

 

 

 

 

救護所では。

 

女性「シシリー様!どうかこの子を!」

 

シシリー「はい!」

 

負傷した少女を治療する。

 

シシリー「・・・!重傷の方を最優先でお願いします!」

 

???「ねぇ、手伝ってあげるよ。」

 

シシリー「え?」

 

そこに、1人の少女が寄って来た。ナージャだ。

 

シシリー「あ、あなたは?」

 

ナージャ「私はナージャ=オブシディアン。あなた、タクトの仲間ね?」

 

シシリー「タクト君・・・?知ってるんですか?」

 

ナージャ「その話は後。今は治療が先よ。」

 

ブローチに埋め込まれてるオブシディアンから光が溢れ、重傷を負った兵士を治療する。

 

ナージャ「呼吸が落ち着いたわ。後は安静にすれば大丈夫。」

 

女性「ありがとうございます・・・!」

 

シシリー「・・・・!」

 

ナージャ「どうしたの?重症者を治療するわよ。」

 

シシリー「は、はい!」

 

???「ナージャ!」

 

そこに1人の少女が駆け付けた。

 

ナージャ「デイジー。」

 

デイジー「遅くなってごめんなさい。」

 

シシリー「あなたは・・・?」

 

デイジー「私はデイジー。タクトの仲間の1人よ。」

 

シシリー「あなたも・・・?」

 

ナージャ「デイジー、これ。ケイティのは既に渡してあるから。」

 

腰の小型ポーチから傷薬を出して、それをデイジーに渡した。

 

デイジー「ありがとう。」

 

 

 

 

 

 

同じ頃シンは、合流したティガと共に魔人を討伐中。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

スカイタイプからパワータイプへタイプチェンジした。

 

シン「っ!」

 

魔人達「オルアアアアア!!!」

 

ティガ「チャァッ!!」

 

両手からティガ・ホールド光波を放ち、魔人達の魔力を封じた。

 

魔人「ま・・・魔力が・・・!!」

 

ティガ「シン!!」

 

シン「ああ!」

 

魔力を封じられた魔人達を消し炭にした。

 

魔人「野郎!!!」

 

後ろの魔人達には。

 

ティガ「ハァッ!!!」

 

エネルギーを溜めてティガ・電撃パンチで粉砕した。

 

魔人達「オルアアアアア!!!」

 

上から迫る魔人達には。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ミラクルバルーン光線でシャボン玉で封じ込め、シンの爆裂魔法で粉砕。

 

魔人「野郎!!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

迫り来る魔人を両手で受け止め、そのまま上へ持ち上げる。

 

ティガ「チャァッ!!!」

 

ウルトラヘッドクラッシャーで魔人の頭部を粉砕した。

 

シン「どうした!!こんなもんか魔人共!!暴れたい奴は掛かって来い!!」

 

ティガ「相手になるぞ!!」

 

魔人A「な・・・何だよ此奴等!?」

 

魔人B「聞いてねェぞこんな・・・!!」

 

魔人C「俺達は魔人だぞ・・・!!カス共を排除し、何れは世界を統一する存在・・・!!」

 

魔人D「死ね!!人間がぁーーーーー!!!」

 

後ろからシンを串刺そうとしたが。

 

 

 

 

 

 

リオ「それは俺達の台詞だ!!!」

 

 

 

 

 

 

魔人達「グアアアアア!!」

 

後ろからリオが斬撃で、魔人達の頭部を斬首した。

 

リオ「気持ち悪い妄想してんじゃねえよ。」

 

シン「お、お前は?」

 

ティガ「リオ!?」

 

リオ「ようタクト!久し振りだな!」

 

シン「知り合い、なのか?」

 

ティガ「リオだ。過去に一緒に旅をした仲だ。お前、どうしてここに?ってかその気迫お前まさか・・・」

 

リオ「あぁ。旅をしてる最中にこのスイード王国に来てみたら、魔人達が襲来しやがってな。おまけにチビって言いやがってよ・・・!」

 

ティガ「ナージャとケイティとデイジーは?」

 

リオ「ケイティは避難誘導、ナージャとデイジーは救護所で負傷者の治療をしている。」

 

ティガ「そうか。」

 

アウグスト「っ!シン!タクト!」

 

そこにアウグストとマリアが合流した。

 

アウグスト「大丈夫か?」

 

シン「ああ・・・魔力の使い方を知らないような連中だからな。魔人化したカートの方がずっと強かった。」

 

マリア「って、誰この人?」

 

ティガ「リオ。俺の仲間だ。」

 

アウグスト「仲間?」

 

リオ「あぁ。タクトが世話になったな。俺はリオ。」

 

索敵魔法を展開したマリアが周辺を調べる。

 

マリア「・・・殿下、この周辺は粗方片付いたみたいです!」

 

アウグスト「あぁ、だが油断は・・・」

 

ティガ「ッ!!」

 

すると、巨漢の魔人が現れた。

 

魔人「何だぁ!?テメェ等、街の侵略が進んでねェと思ったら何遊んでやがる!!」

 

シン「他より若干魔力が凄いな・・・」

 

リオ「ここは俺がやる。」

 

アウグスト「だったらシン、タクト、お前達は他へ行け。ここは彼と我々がやる。」

 

シン「平気か?」

 

アウグスト「私を誰だと思っている?他でもないアルティメット・・・マ・・・ぷふっ!マジシャンズだぞ。」

 

シン「笑うな!!」

 

ティガ「オーグ、マリア、リオ、任せたぜ。シン行くぞ!」

 

シン「任せたぞ!」

 

2人は先へ向かう。

 

魔人「お前、その声さっき聞いたな。アールスハイドの王太子か。はっ!折角のお仲間を逃してしまって良かったのか?王子様よぉ。」

 

アウグスト「何、問題ない。お前が魔人の部隊を率いてるリーダーか?」

 

魔人「あ!?だったら何だ!?」

 

アウグスト「だったら助かる。”頭”を叩けば残党の繊維を纏めて削げるからな。」

 

魔人「やってみろや!!帝国を潰した程度じゃ俺達の怒りは収まらねえ!!1人残らずぶっ殺してやる!!」

 

アウグスト「それが貴様達の言動力か。だが討伐するのみ!存分に掛かって来るが良い!!」

 

リオ「やってやるよ!!」

 

魔人「引き裂いてやる!!!」

 

マリア「殿下もあまりシンの事が言えませんよ!もっと自分のお立場を!!」

 

炎の魔法で魔人を爆破させた。しかし。

 

 

 

 

魔人「不意打ちかぁ?喰えねェ嬢ちゃんだな。」

 

 

 

 

死んでる仲間の死体を盾にしてやり過ごした。

 

マリア(仲間の死体を盾に・・・!!)

 

アウグスト「・・・ゲスめ。」

 

リオ「クズだな・・・」

 

魔人「らぁっ!!!」

 

崩れた壁を持って投げるが、アウグストとマリアとリオが避けた。

 

アウグスト「!」

 

ジャンプ中に魔法を飛ばすが、魔人がジャンプする。

 

リオ(あの野郎ジャンプしやがった!)

 

アウグスト(やはり身体強化済み・・・並の魔法では避けられるか・・・)

 

ジャンプした魔人がマリアに向かって突進して大打撃を与えたが。

 

魔人「っ!?(この手応え・・・!!)」

 

マリア「最っ低・・・相手でもエンリョなしなの?(実戦じゃやっぱり物理防御は必須・・・!戦闘服じゃなかったら多分骨ごと折られてる・・・)」

 

戦闘服の物理防御のお陰で無傷で済んだ。しかし、魔人がマリアの腕を掴んだ。

 

マリア「え!?」

 

魔人「ヘヘヘヘへへ!!!」

 

マリア「ちょ!?きゃああああああ!!!!」

 

そのまま投げ飛ばされたが。

 

リオ「デアッ!!」

 

すぐさまリオがマリアを受け止めた。

 

リオ「大丈夫か?」

 

マリア「あ、ありがとう!助かったわ!」

 

魔人「大した度胸だ、気に入った!世界を手に入れたらこのファブロ様の女にしてやろうか?」

 

マリア「いやー、彼氏は募集中だけど、アンタだけはないわーこのっ!!!」

 

拡散魔法を一斉発射し、ファブロに全弾命中。

 

アウグスト「何だ、ちゃんとモテるみたいじゃないか、良かったなメッシーナ。」

 

マリア「止めて下さいよ!怒りますよ?」

 

リオ「アンタ等、呑気に言ってる場合か?」

 

 

 

 

 

ファブロ「へっへっ・・・効かねェなぁ・・・」

 

 

 

 

アウグスト(攻撃力に長けたメッシーナの魔法を無傷で・・・!?)

 

ファブロ「解せねェってツラだなぁ。ネタを見せてやろうか?」

 

杖のような道具を出した。

 

マリア「・・・!?魔道具・・・!?」

 

リオ「ステッキ?」

 

アウグスト(あれは・・・!!)

 

ファブロ「城壁辺りで矢鱈此奴で魔法を防がれてなぁ、便利そうだったんで拝借して来たぜ。・・・最も、持ってた連中は全員首をブチ折ってやったんで返却は出来ねェがなぁ。」

 

マリア「アールスハイドの防御用魔道具・・・!!」

 

アウグスト「つまりシンの魔力障壁・・・!!」

 

ファブロ「あぁ!?さっきまでの威勢はどうした!!ホルァ撃って来いよ!お得意の魔法をよ!!」

 

アウグスト・マリア「・・・・・」

 

リオ「だったらそうさせて貰うぜ!」

 

両手に剣を握り、ファブロに向かって突進する

 

リオ「ウオオオオオオ!!」

 

突進するファブロを押し込む。

 

ファブロ「ヘッ、その程度で俺を押し通す気か?」

 

リオ「甘く見てると痛い目見るぜ!!」

 

力強く押して、ファブロを後ろへ飛ばす。その隙にアウグストとマリアがファブロの左右を囲んだ。

 

アウグスト「メッシーナ!」

 

マリア「はい!!」

 

右手に魔力を集め、氷の魔法を飛ばした。アウグストも電撃魔法でファブロに攻撃する。

 

ファブロ「チッ!!」

 

しかし杖の持つ魔力障壁の力で防いだ。

 

ファブロ「効かねぇっつってんだろォ、ガキ共がよォ!!」

 

リオ「だったらこれはどうだ!!」

 

高く飛び上がり、急降下蹴りが張った魔力障壁に激突する。

 

ファブロ「くっ!!」

 

杖の魔力障壁で防いだが、魔力障壁が粉砕されそのまま急降下蹴りを受けた。

 

ファブロ「ぐあっ!!」

 

更にアウグストが雷の魔法を放った。

 

ファブロ「ぐっ・・・ぬっ!!」

 

その後も3人は魔法と大打撃を止めずに連続で叩き込む。

 

ファブロ「(ちぃっ・・・!此奴ら・・・一瞬で油断も出来ねェような強烈な魔法と打撃を・・・・絶え間なく・・・!!)ぬうっ!!」

 

だが魔力障壁が強制的に消滅した。

 

ファブロ「・・・何・・・だ・・・?急に・・・防御が発動しなくなって・・・」

 

マリア「魔力制御の訓練もしてない人間が、魔人になったからって自在に魔法を使える訳じゃない!制御に集中出来ない状況まで追い込まれれば、自ずと魔法は発動しなくなる!残念だったわね、借り物の力じゃそこが限界よ!!」

 

ファブロ「ガキ共が!!!!!」

 

リオ「ダァッ!!!」

 

超高速接近からの斬撃と、アウグストの電撃魔法がファブロの胸部を貫いた。

 

ファブロ「・・・・か・・・・この・・・俺が・・・・」

 

倒れたファブロが爆発した。

 

リオ「精々良い夢を見とけ!」

 

アウグスト「よく私の意図を理解してくれたな、メッシーナ。」

 

マリア「そりゃもう、魔力制御に関しては嫌と言う程シンやマーリン様から散々学びましたからね!」

 

アウグスト「リオと言ったか。先程の連携、中々だったぞ。」

 

するとリオが何時もの口調に。

 

リオ「光栄だよ。じゃあタクト達と合流しよう。」

 

アウグスト「お前、さっきより雰囲気違くないか?」

 

リオ「え?」

 

 

 

 

ファブロ『俺達が味わって来た屈辱・・・全ての貴族や王族共に知らしめて・・・』

 

 

 

 

アウグスト「帝国ではなく、アールスハイドに生まれていればな・・・それも、もう叶わぬか・・・もし生まれ変わったらアールスハイドに来てみろ。恐らく少しは考えが変わる。」

 

 

 

 

王城。

 

スイード国王「ふぅ・・・どうやら、戦闘が収まったようです。」

 

そこにマーリンとメリダも来ていた。

 

マーリン「ワシ等の出番は無さそうじゃのう。」

 

メリダ「今回は良くやったと誉めてやろうかね?」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、ティガとシンの戦いを見ていたローレンスに戦慄が走った。

 

シュトローム『彼等には随分と痛い目遭わされましてね。』

 

ローレンス(冗談じゃねぇ・・・何だあの魔法の威力!?それだけじゃなく剣の腕も・・・それにあの宝石を象った姿は・・・!魔人共が・・・強さを測る物差しにすらなってぇ・・・!!あれはマジだ・・・!!シン=ウォルフォード・・・タクト=クリスティ・・・弱点・・・!?弱み・・・!?あんのか!?奴等にそんな物・・・!!それに奴ら以外の救援部隊も相当の実力・・・!!このままじゃ全滅は時間の問題・・・!!ここで全ての手駒を失うのはマズイ・・・!!くそっ!でもこっちには最善の策が!!)

 

 

 

 

 

 

この国にあの人物達の姿が。

 

ゼスト「この展開は予想出来ませんでしたね。シン=ウォルフォードとタクト=クリスティを誘い出し、実力を測るつもりでしたが、あの桁外れの力、彼らの評価を見直す必要がありますね。捨て駒の魔人達とは言え、見す見す全滅させるのは惜しい。撤退させるにしても、ローレンス1人では荷が重いでしょう。ですので、お願い出来ませんか?ミリアさん。」

 

彼の後ろにミリアが居た。

 

 

 

 

隊長「魔人達の攻撃が収まったが、警戒を怠るな!」

 

兵士達「はっ!!」

 

しかしゲートが爆破されてしまった。

 

兵士達「うわああああああ!!!」

 

兵士A「な・・・何だ!?」

 

ミリア「来なさい。人間共。」

 

そこに現れたミリア。

 

 

 

 

遠くからシュトロームがスイード王国を見物していた。

 

シュトローム「やれやれ、手を出すなと言ったのに。酷いじゃないですかゼスト君。こんな楽しそうな事を、私に内緒で始めるなんて。」

 

果たして、スイード王国の運命は・・・

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:綾瀬有

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅

ローレンス:杉山紀彰

ゼスト:津田健次郎
ミリア:大原さやか

スイード国王:沢木郁也

ファブロ:稲田徹

魔人:野瀬育二
    増岡大介
    田所陽向
    橘龍丸

隊長:松田修平

兵士:狩野翔
    市川蒼

オリバー=シュトローム:森川智之





次回予告

スイード王国に魔人ミリアが現れた。シシリーは救護所でナージャ達と共に負傷者の手当てを続ける。スイード王国の運命は・・・

次回ウルトラマンティガ

そして、世界へ・・・

お楽しみに


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第11話「そして、世界へ・・・」

そして、世界へ・・・
オリバー=シュトローム、ミリア、ローレンス、ゼスト 登場



救護所。

 

女医A「シシリー様!此方をお願いします!」

 

シシリー「はい!」

 

女医B「ナージャ様!お願いします!」

 

ナージャ「任せて。」

 

次々と搬送された負傷者達を治療し続けるナージャとシシリー。

 

男性「ありがとう・・・」

 

シシリー「いえ。さぁ、安静に。」

 

ナージャ「シシリー、こっちも終わったよ。」

 

シシリー「ありがとうございます。」

 

女性「シシリー様!!!」

 

そこに1人の女性が駆け付けた。

 

女性「どうか・・・どうか・・・私の夫を!」

 

 

 

 

その夫が居る所へ向かった。

 

医療班長「くそっ!血が止まらん!」

 

女医C「シシリー様!」

 

腹の皮膚が抉られ、内臓が見えてる状態の大重傷を負っている。

 

シシリー「これ・・・は・・・」

 

ナージャ「抉られてる・・・酷い・・・」

 

女性「夫を・・・助けて下さい・・・!何でもしますからぁ!」

 

ナージャ「抉られた箇所を治療するのは初めてだけど・・・やるしかないね。シシリー。」

 

シシリー「はい!」

 

急いで夫の治療を始める。シシリー魔法陣を展開して治療を始め、ナージャがオブシディアンから溢れる光で治療を始める。

 

 

 

 

 

 

外では、ティガとシンが佇んでいた。

 

シン「何だ・・・?この魔力・・・?」

 

ティガ「今までの魔力とは桁違いだ・・・」

 

 

 

 

別の場所では、ミリアが兵士達を殺し続けていた。

 

隊長「今までの奴らとは・・・桁違いだ・・・!」

 

するとミリアが巨大な魔力を兵士達に向かって放った。しかし。

 

アリス・リン「やあああああああああ!!!!」

 

真上から現れたアリスとリンが魔力障壁で魔力を防いだ。

 

アリス「皆!下がって!」

 

隊長「し、しかし!」

 

リン「悪いけど足手纏い!」

 

隊長「わ、分かった!」

 

兵士達が下がる。

 

ミリア「あなた達は?」

 

アリス・リン「アルティメット・マジシャンズ!」

 

 

 

 

 

 

魔人ミリアとの激突。

 

リン「はあああああああ!!!!」

 

電撃魔法を放射。しかし、ミリアが姿を消した。

 

リン「消えた!?」

 

姿を消したミリアが時計塔の屋根の上に。

 

ミリア「また無詠唱?厄介ね。」

 

アリス「喰らえ!!!」

 

今度はアリスが真上から攻撃を仕掛ける。しかしミリアが魔力障壁で防いだ。

 

アリス「テイヤ!!!」

 

着地して再び魔法を放つ。時計塔が崩れ落ちた。

 

兵士達「おおおおお!」

 

アリス「ちょっとやり過ぎたかな?」

 

リン「アリス!!後ろ!!」

 

アリス「え?」

 

ミリア「フッ!!」

 

アリス「ぐあっ!!」

 

後ろからミリアがアリスを突き飛ばした。

 

アリス「フゥ・・・」

 

傷口が瞬時に回復した。

 

ミリア「魔道具?」

 

アリス「こんの!!」

 

魔力弾を連続で飛ばす。

 

ミリア「フンッ!!」

 

此方も魔力弾を飛ばした。アリスが魔力障壁を展開して防いだが、ミリアが高速移動してアリスを転ばせた。

 

アリス「うわあああああ!!」

 

リン「アリス逃げて!!」

 

上を見るとリンが魔力を集めていた。

 

リン「っ!?」

 

しかし、ミリアがアリスを人質にした。

 

アリス「ぐあっ・・・!凄い力・・・・!!」

 

リン「くっ!!」

 

ミリア「戦い方は素人ね。」

 

リオ「ダアァァァーーーーー!!」

 

ミリア「ッ!?」

 

後ろからリオが飛んで来たが、ミリアがリンを投げて避けた。

 

リオ「避けた。」

 

アリス「だ、誰あの人・・・?」

 

リン「男の子・・・?」

 

ミリア「何者?」

 

リオ「僕はリオ!!僕が相手するよ!」

 

 

 

 

 

 

別の場所ではローレンスが索敵魔法を発動していた。

 

ローレンス(援軍!?まさか・・・ゼスト様か!何方にせよこれは好機!)

 

すぐ他の魔人に知らせる。

 

ローレンス『全員退却だ!!命令だ!!リーダーが殺られた!!全員直ちに退却しろ!!』

 

 

 

 

魔人A「あ?退却だと?」

 

魔人B「暴れ足りねえ!!」

 

魔人C「何だ人間如き・・・」

 

何処からか炎が飛ばされ、魔人を燃やした。

 

ローレンス『この場は分が悪い!!一度退いて立て直す!!』

 

そこに現れたのは、ティガとシンだった。魔人達は全力で逃げるが。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

1人の魔人が後ろからティガスライサーを喰らって首を切断された。

 

魔人A「オルア!!道を開けやがれ!!」

 

負傷者を運んでる兵士達を突き飛ばして屋根の上へ逃げる。

 

シン「っ!?」

 

ティガ「ーーーーーハァッ!!」

 

スカイタイプへタイプチェンジ、シンと一緒に浮遊する。空から見ると、魔人達が撤退して行く光景が見えた。

 

シン「簡単に逃げられると思うなよ!タクト!」

 

ティガ「あぁ!」

 

両腕を広げてエネルギーを集め、ランバルト光弾・散弾バージョンで複数の魔人を粉砕した。

 

ティガ「シン!!」

 

シン「指向性爆発魔法!!」

 

指向性爆発魔法が魔人達を消し炭にした。

 

兵士達「うおおっ!!」

 

しかし一部の魔人が運良く脱出して逃げ出した。

 

ティガ「何!?」

 

シン「逃がすか!!」

 

城壁の上ティガとシンが着地し、城壁の向こうを見ると魔人達が逃げて行くのが見えた。

 

シン「くそっ・・・何体か逃したか・・・」

 

ティガ「すまん、逃がしちまった。」

 

シン「いや、大抵は討伐出来た。皆は・・・っ!?」

 

遠くを見ると、巨大な爆発が起こっていた。

 

 

 

 

 

 

爆発地点。

 

リオ「くそっ!!」

 

そこではリオがミリアの魔法を避け続けていた。

 

リオ「ダァッ!!」

 

斬撃でミリアを攻撃する。

 

ミリア「フッ!!」

 

魔力障壁で斬撃を防ぐ。

 

リオ「負けるかああああああ!!!!」

 

ミリア「無駄だ!!」

 

右手に魔力を集める。

 

リオ「しまった!!」

 

すぐに横に躱してミリアが放つ魔法を避けた。

 

リオ「こりゃあ・・・骨が折れそうだね。」

 

 

 

 

 

 

物陰にユーリとトニーが隠れている。

 

ユーリ「何なの彼奴!?」

 

トニー「マズい状況だね・・・!!ユーリ!援護を!!」

 

ユーリ「後ろから行くわ!!!」

 

巨大は炎をミリアに向けて飛ばした。

 

ミリア「無駄だ!」

 

高速移動し、ユーリを転ばせた。

 

ユーリ「きゃあああ!!」

 

トニー「ユーリ!!」

 

ミリア「フンッ!!」

 

トニー「くっ!!はああああ!!!」

 

バイブレーションソードを振るが、ミリアが避けた。

 

ミリア「はぁっ!!」

 

キックでバイブレーションソードを蹴り上げて、トニーが展開した魔力障壁を破壊した。

 

トニー「ぐああああああ!!!・・・なっ!し、しまった!!」

 

ミリア「フフッ。」

 

目の前でミリアが魔力を最大まで集めていた。放とうとしたその時。

 

リオ「やらせるかあああああああああ!!!!!」

 

ミリア「しつこい!!!」

 

真上から迫るリオに向けて最大魔力を放った。

 

リオ「くっ!!これでも食らえ!!!」

 

右手に握ってる剣を投げた。

 

ミリア「フフッ。」

 

両手に魔力を集めて放ち、剣を粉砕して、後ろに居るアリス達にも魔力を放った。

 

リオ「何!?」

 

アリス達「うわあああああああああ!!!!」

 

ユーリ「皆!!」

 

リオ「この野郎!!!」

 

ミリア「本当しつこいですね。あなたから始末してあげますよ。」

 

 

 

 

タクト・シン「待て!!」

 

 

 

 

ミリア「ん?」

 

後ろに振り向くと、タクトとシンが立っていた。

 

ユーリ「ウォルフォード君!」

 

リオ「タクト!!」

 

タクト「皆、待たせてすまない。」

 

シンは怪我をしてるアリス達を治療する。

 

ミリア(此奴らが・・・シン=ウォルフォード。そしてタクト=クリスティ。またの名を超古代の戦士・ティガ。)

 

タクトとシンは静かに怒りを燃やした。

 

リン「うっ・・・ウォ・・・ウォルフォード君・・・クリスティ君・・・彼奴素人じゃない・・・」

 

シン「大丈夫。俺もだよ。ユーリ!皆を!」

 

ユーリ「え、えぇ!」

 

タクト「リオ!皆を頼む!」

 

リオ「おう!」

 

リオがアリス達を運び、ユーリが治癒魔法でにアリス達を治療する。

 

ミリア(ローレンスの方は上手く行ったみたいね。)

 

シン「よくもやってくれたな!」

 

タクト「この罪は重いぞ!」

 

ミリア(さて、彼らが実際どの程度か、知りたいわね!)

 

いきなり炎を飛ばしたが、タクトが炎を蹴り返した。

 

ミリア「何!?」

 

すぐに炎を避けた。その隙にタクトがスパークレンスを掲げて光の柱で自分を包んだ。光の柱からウルトラマンティガが現れた。

 

ミリア(あれがティガ・・・)

 

ティガ「シン、行くぞ!」

 

シン「あぁ!」

 

ミリア(彼から溢れる強力な力・・・見せて貰うわ!!)

 

先手でミリアが行動する。

 

シン「フッ!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

バイブレーションソードとマルチキックでミリアに攻撃するが、ミリアが軽々と避ける。

 

ミリア「フンッ!!」

 

ティガにキックをしたが、ウルトラクロスバリヤーで弾かれた。

 

ミリア「ハァッ!!」

 

地面を踏んで2人を岩で閉じ込める。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

ティガスライサーとバイブレーションソードで岩を斬り裂いた。その隙にミリアがシンに突進するが、シンの魔力障壁で防がれた。しかし魔力を集めてシンに放った。だがシンが二重魔力障壁で無傷で済んだ。

 

ミリア(2つ同時に!?)

 

ティガ「ハァッ!!」

 

上からハンドスラッシュを連射する。ミリアが避けるが、ティガは高速連射する。

 

ミリア(何だこの速さ!?っ!?)

 

隙を突かれ、シンのバイブレーションソードを掠った。服と左胸に切り傷が生じた。

 

ミリア(後少し遅かったら・・・)

 

アウグスト「シン!タクト!」

 

マリア「大丈夫!?」

 

そこにアウグストとマリア、トールとユリウスが合流した。

 

ユリウス「加勢するで御座る!!」

 

ミリア(そろそろ引き時かしら?)

 

不敵に微笑んだ。

 

ティガ「っ!!」

 

ウルトラフィックスを放つ。だがミリアがジャンプして避けた。

 

ローレンス「今だ!!周囲に爆発魔法を!!」

 

屋根の上のローレンスの指示を受け、浮遊して爆発魔法の魔力を最大まで収束させる。

 

シン「何!?」

 

彼は、負傷してるアリス達を見た。

 

ティガ「そうはさせるか!!」

 

ミリアに向かって飛翔する。

 

シン「タクト!!」

 

アウグスト「タクト!!」

 

 

 

 

ティガ「チャアァァァ!!!!」

 

全身を光のエネルギーで覆って敵に突っ込むフラッシングアタックでミリアに迫る。

 

ティガ「チャァッ!!!!」

 

収束した爆発魔法を押し出す。

 

ミリア「くっ!!」

 

押される爆発魔法を押し返す。

 

 

 

 

シン「タクト!!!!」

 

アウグスト「タクト!!!」

 

マリア「タクト!!!」

 

 

 

 

ティガ「ハァッ!!」

 

するとティガが高速回転のティガトルネードで威力を上げた。

 

ミリア「何!?」

 

ティガ「チャァッ!!!!」

 

ミリア「ッ!?」

 

フラッシングトルネードが爆発魔法を貫き、空に大爆発が起こった。シン達が魔力障壁で爆風を防いで被害を抑える。

 

 

 

しばらくして黒煙が晴れた。

 

シン「き・・・消えた・・・?」

 

アウグスト「シン!」

 

シン「皆!」

 

リン「ウォルフォード君・・・!」

 

シン「良かった・・・無事だったか。っ!タクトは!?」

 

アウグスト「降りて来るぞ。」

 

上空からティガがゆっくりと着地し、光になってタクトの姿に戻った。

 

シン「タクト!大丈夫か?」

 

タクト「あぁ。」

 

シン「彼奴は?」

 

タクト「手応えが無かった。爆発寸前に消えたんだろう。」

 

リオ「結構無茶したねタクト。」

 

タクト「悪いな。」

 

アリス「ねぇタクト君、この人誰?」

 

タクト「此奴か?俺の仲間のリオだ。」

 

リオ「リオです。タクトが世話になっています。」

 

シン「皆ごめん・・・魔人を逃がしてしまった・・・」

 

タクト「後一歩の所で・・・」

 

リン「ううん、私こそ・・・」

 

アウグスト「シン、タクト、あの女の魔人は?」

 

シン「あぁ、かなりの強さだった。」

 

タクト「彼奴の魔力は桁違いだった。」

 

トール「恐らく、元兵士か、ハンターでしょう。」

 

トニー「そんな奴まで・・・」

 

アウグスト「しかし、この襲撃に何の意味が・・・?シュトロームの意図が読めん・・・」

 

タクト「けど彼奴は姿を現していない。仮に奴が来たら、この被害で終わるはずが無い。」

 

トール「それでも・・・これだけの被害を出してしまいました・・・」

 

ユリウス「悔やむより、今出来る事をやるで御座る。」

 

シン「シシリーの方が心配だ。」

 

アウグスト「そうだな。皆はもう一度魔人の警戒を頼む!だが無理はするな!」

 

全員「了解!」

 

 

 

 

 

 

スイード王国の外では、魔人達がイライラしながら歩いている。

 

 

 

 

別の場所では。

 

ローレンス「何?ゼスト様が?」

 

ミリア「えぇ。あなた達の脱出の機会を作って欲しいと。」

 

ローレンス(しかし・・・想定外のウォルフォード達の力・・・貴重な駒を失い過ぎた・・・!)

 

 

 

 

上空には。

 

シュトローム「勇んで攻め入り返り討ち・・・尻尾を巻いて撤退とは、滑稽ですねぇ。帝国を滅ぼしてしばらく退屈でしたが、シン=ウォルフォード君、そしてタクト=クリスティ君。君達が居ると少しはそれを忘れられそうですね。」

 

 

 

 

 

 

スイード王国では、タクトとシンとアウグストとリオがシシリーの居る救護所へ飛んで来た。

 

兵士A「そ・・・空を飛んで来た・・・!!ま・・・まさか魔人!?」

 

アウグスト「シン、お前のせいで私とタクトとリオまで魔人扱いだ。」

 

シン「別に俺のせいじゃねえだろ。」

 

アウグスト「落ち着け。我々はアルティメット・マジシャンズだ。」

 

兵士A「アッ・・・アウグスト殿下!?これはとんだご無礼を!!」

 

リオ(ア、アルティメット・マジシャンズって何だ・・・?)

 

タクト(後で話す・・・)

 

シン「救護所は?大丈夫か?」

 

兵士A「シシリー様とナージャ様とデイジー様が、中で怪我の治療を・・・」

 

アウグスト「ナージャ様?デイジー様?」

 

タクト「俺の仲間達だ。」

 

アウグスト「そうか。」

 

兵士B「しかし・・・」

 

タクト「通してくれるか?」

 

兵士A「あ、はい。」

 

 

 

 

救護所内。神子達が負傷者の治療をしている。

 

タクト「酷いな・・・」

 

マーク「あ!」

 

オリビア「殿下!ウォルフォード君!クリスティ君!」

 

タクト「マーク!オリビア!」

 

アウグスト「ビーン、魔人の襲撃は?」

 

マーク「オリビアとケイティさんと討伐したッス。」

 

タクト「ケイティ?何処に居るんだ?」

 

マーク「彼処に居るッス。」

 

負傷者に薬を塗ってるケイティを指差す。

 

タクト「ケイティ!」

 

ケイティ「ん?あ!タクト!元気そうで良かった!」

 

タクト「久し振りだな。」

 

リオ「ケイティ、デイジーは?」

 

ケイティ「今呼ぶよ。デイジー!」

 

デイジー「ん?」

 

呼ばれたデイジーが来た。

 

デイジー「リオ!大丈夫だった?」

 

リオ「うん。何とかね。」

 

デイジー「タクト。久し振りね。」

 

タクト「デイジー、元気そうだな。ん?グレア達は?」

 

デイジー「まだ会ってないの。」

 

タクト「まぁ何れ会えるだろう。それ、傷薬か?」

 

ケイティ「うん。ここに来る前に他の国で大量に買い占めてたのを思い出して、今負傷者の皆にこれを塗ってるんだ。」

 

タクト「そうか。ナイスだケイティ。デイジー。」

 

シン「オリビア、シシリーは?」

 

タクト「ケイティ、ナージャは?」

 

オリビア「奥の部屋で治療してます。」

 

ケイティ「ナージャもそこに居るわ。」

 

デイジー「懸命に治療しているよ。」

 

シン「そうか。」

 

タクト「ありがとな。」

 

アウグスト「我々だけでは人手が足りん。皆も呼んで治療に当たらせよう。シンはクロードを。」

 

シン「分かった。」

 

タクト「俺はナージャの所へ行く。ケイティ、リオ、デイジー、負傷者達に傷薬を塗ってくれ。」

 

ケイティ「OKよ。」

 

リオ「分かった。」

 

デイジー「えぇ。」

 

 

 

 

 

 

奥の部屋では。

 

シシリー「くっ・・・!!」

 

ナージャ「シシリー、無茶は駄目よ!」

 

夫「ごはっ!!」

 

全力で治療するが、夫の容体は悪化するばかりだった。

 

ナージャ「傷が治らない・・・この治療、私も初めてよ・・・・」

 

医療班長「くそっ!どうすれば・・・」

 

治療に集中していたシシリーが止まってしまった。

 

医療班長「シシリー様?」

 

ナージャ「どうしたの?何で止めたの?」

 

シシリー「ごめんなさい・・・私達ではもう・・・手の施し様が・・・」

 

女性「そんな・・・・・・」

 

ナージャ「シシリー!何弱気になってんのよ!この人を助けるって約束したじゃない!!」

 

シシリー「治療魔法も・・・万能ではないんです・・・・」

 

ナージャ「万能じゃなくても、救いたい気持ちがあれば救える!タクトから言われた言葉よ!」

 

シシリー「・・・・・でも・・・・・」

 

女性「うああああああああ・・・・・!!」

 

ナージャ「・・・っ!!」

 

再びナージャが治療を始める。

 

ナージャ「何とかして傷を治さないと・・・・この人の命が・・・・・」

 

決心したシシリーが戦闘服を脱ぎ始めた。

 

医療班長「シシリー様!?」

 

ナージャ「何してるの!?」

 

シシリー「この服には自動治癒魔法が付与されています!!これを着せれば!!」

 

戦闘服を夫に着せようとした時。

 

シン「シシリー!」

 

後ろからシンに抱擁された。

 

シシリー「シン君・・・!?」

 

ナージャ「・・・っ!タクト!」

 

タクト「ナージャ。」

 

シン「幾ら付与された魔法でも、この傷は治せない。」

 

シシリー「そんな・・・この人は・・・もう・・・」

 

タクト「心配するな。俺が助ける。」

 

両腕をクロスして、ゆっくりと前に出して治癒能力を降り注いだ。

 

タクト(抉られた箇所の修復。血の巡りを正常。体温を平常。)

 

しばらくして、夫の抉られた傷や複雑骨折などが完治され、体温が平常に戻って眠った。

 

タクト「よし、呼吸が安定した。傷も体内も止血も治った。後はこのまま安静にすればすぐ良くなる。」

 

女性「ありがとうございます・・・・・!本当に・・・ありがとうございます・・・!何とお礼を言ったら良いか・・・・」

 

タクト「いや、お礼はいらない。旦那さんと幸せに暮らしてくれ。」

 

ナージャ「相変わらず凄いわねタクト。」

 

タクト「いや、ナージャもよく頑張った。慣れない治療なのに。」

 

ナージャ「うん、私は一刻も早く助けたかったから・・・」

 

タクト「じゃあ戻るか。」

 

シン「うん。」

 

戻ろうとすると、シシリーがタクトの腕を掴んだ。

 

タクト「シシリー?どうした?」

 

シシリー「タクト君はやっぱり凄いです・・・私には・・・とても真似出来ません・・・」

 

タクト「そんな事ねえよ。お前も色々頑張ってるし。なあ?」

 

シン「そうだよ。そんなに落ち込まなくても・・・」

 

シシリー「何時も私・・・シン君やタクト君に・・・助けられてばかりで・・・何も出来なくて・・・そんな自分が・・・情けなくて・・・」

 

シン「そんな事ないよ。あの人が助かったのは、シシリーのお陰だし。何人もの怪我人を治療したじゃないか。」

 

シシリー「でも・・・!」

 

自信を無くすシシリーの頭に、タクトが優しく撫でた。

 

シシリー「え・・・?」

 

タクト「何でそうやって自分を責めるんだ?俺達がシシリーのお陰だって言ってるんだ。だから俺達を信じろ。」

 

シシリー「・・・?」

 

シン「ほら、見て。」

 

シシリー「え・・・?」

 

周りを見ると、国民達がシシリーにお礼を言った。

 

少女「ありがとうございます!」

 

老人「本当に、ありがとう!」

 

医療班長「皆、あなた方に救われた方々です。」

 

シシリー「・・・・!」

 

シン「この人達を助けたのは、紛れもなく君だよ。よく頑張ったね。」

 

タクト「お前は皆に貢献出来たんだ。ナージャもな。」

 

ナージャ「止してよ。」

 

男性「シシリー様、あなたは聖女様だ・・・!」

 

女性「聖女様・・・」

 

国民達はシシリーを聖女と呼び称えた。

 

シシリー「え・・・えぇぇ!?」

 

シン「フフッ。」

 

タクト「これで分かっただろ?お前のお陰で尊い命が救われたって。」

 

シシリー「・・・はい!」

 

 

 

 

 

 

スイード王国・王城。

 

スイード国王「おお、アウグスト殿下!!此度の事、アールスハイド王国には本当に世話になった!借り受けた緊急要請の為通信用魔道具・・・そして防御用魔道具・・・何より殿下達が駆け付けてくれなければスイードは今頃灰燼に帰していただろう!!本当にありがとう・・・!!」

 

アウグスト「魔人は世界の脅威です。この世界に住む者として、当然の事をしたまでです。」

 

スイード国王「殿下だけではない・・・君達も・・・お陰で被害も最小限で済んだよ。」

 

シン「・・・・・・」

 

アウグスト「所でスイード王、報告しなければならない事があります。今回の襲撃・・・腑に落ちない点が幾つかあるのです。1つは帝国襲撃時に確認された魔物の姿が全く見えなかった事。」

 

スイード国王「確かに・・・」

 

アウグスト「もう1つは魔人の首魁であるオリバー=シュトロームの姿が無かった事。」

 

スイード国王「オリバー=シュトローム・・・」

 

アウグスト「これまでの斥候からの報告と照らし合わせても、今回の件は少し異質です。この襲撃は陽動で、他に狙いが・・・とも考えましたが今の所、他国に何か起きたと言う報告はありません。」

 

スイード国王「むぅ・・・」

 

アウグスト「彼らは、嘗てシュトロームと相見え、追い詰めた事があります。奴にとってシンとタクトは脅威のはず。今回も、我々アールスハイド、シンとタクトの介入を予測出来なかったと考え難い。」

 

メイド長「つまり・・・」

 

アウグスト「正直、意図が読めないのです。魔人達の内部で何が起こっているのか・・・」

 

スイード国王「そうなると、警戒を緩めるべきではありませんな。」

 

アウグスト「その通りです。スイード王!各国と連合を組み、共同戦線を張りたいと考えています。どうかご賛同願えませんか?」

 

スイード国王「連合かぁ・・・その連合に、アールハイド王国も参加すると?」

 

アウグスト「はい!」

 

シン「え?」

 

スイード国王「そうですな、確かにこれは各国がそれぞれで対処するには重過ぎる案件。勿論スイード王国はその連合に参加させて貰うよ。」

 

アウグスト「ありがとうございます。近い内に各国首脳との首脳会議も考えています。」

 

スイード国王「承知した。決まり次第連絡を頼みます。」

 

 

 

 

シン「世界連合・・・か。色々ちゃんと考えてるんだな、オーグ。」

 

アウグスト「どー言う意味だ。」

 

シン「なあオーグ。」

 

アウグスト「何だ?」

 

シン「俺・・・今回の件、最初からずっと後悔してる事があるんだ。スイード王はああ言ってくれたけど・・・襲撃の犠牲になった人は少なくない。可能な限りの対処は出来たと思うけど・・・もし”ゲート”で移動出来てたら・・・確実にもっと多くの人を救えたはず・・・」

 

タクト「俺も後悔したくない。これ以上の犠牲を増やさない為に。」

 

マリア「でもゲートって、一度行った場所にしか開けないんでしょ?」

 

シン「ああ。だから、頼む。」

 

アウグスト「偶然だなぁ。私もお前達に頼もうって思った事がある。シン、タクト。」

 

タクト「ああ。」

 

シン「ああ。」

 

タクト・シン・アウグスト「共に各国を回ろう!!」

 

シン「皆も協力してくれるか?」

 

アリス「勿論!!」

 

 

 

 

柱の陰から、マーリンとメリダが見守っていた。

 

 

 

 

 

 

魔人領では。

 

ローレンス「・・・・・・」

 

ダンテ「どうしたローレンス?帰って来るなり、塞ぎっぱなしじゃないか。」

 

アベル「お前らしくないな。」

 

ローレンス「異常だ・・・シン=ウォルフォードとタクト=クリスティの力・・・あれはヤバい・・・俺達1人1人じゃ手を出すべき相手じゃない・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王国・王城。ゲートで戻ったアルティメット・マジシャンズを待っていたのは。

 

シン「へ!?」

 

「おお!!戻られたぞ!!」

「お帰りなさいませアルティメット・マジシャンズ!!」

「魔人撃退おめでとうございます!!」

「アルティメット・マジシャンズ!!」

「アルティメット・マジシャンズ!!」

 

夜空に花火が咲き乱れ、お祭り騒ぎになっていた。

 

シン「連呼するのは止めてくれ・・・」

 

アウグスト「どうやらスイードから通信で情報が伝わったようだな。」

 

タクト「ってか中二病過ぎて腹痛え・・・」

 

リオ「確かに・・・腹痛い・・・」

 

アリス「この様子だと、国中知ってそうだよね。」

 

そこに、エリザベートとメイが。

 

エリザベート「アウグスト様!!」

 

メイ「お兄様!!」

 

エリザベート「心配しましたわ!!」

 

メイ「ムギュッ!!」

 

アウグスト「エリー!?メイ!?ここはお前達の来る所ではない!」

 

ディセウム「よい。私が許可した。」

 

アウグスト「父上!」

 

シン「爺ちゃん!婆ちゃんも!」

 

フェオン「タクト!!」

 

タクト「皆!」

 

イザベラ「無事だったんですね!」

 

タクト「まぁな。」

 

デイジー「フェオン!皆!」

 

レア「おぉ!リオ!デイジー!ナージャにケイティじゃないか!!」

 

ケイティ「わぁ〜皆〜!久し振り〜!」

 

アンナ「お久し振りです!」

 

グレア「元気だった?」

 

ナージャ「あら?レオンとソフィーは?」

 

ケイティ「カサンドラとティオは?」

 

ヒナ「レオンさん達はまだ会ってません。」

 

エミリー「まだ何処かで旅の最中じゃないのか?」

 

マーリン「お前達、ようやったのう。」

 

メリダ「訓練の成果が出たみたいだねぇ。」

 

アリティメット・マジシャンズ「はい!」

 

ケイティ「わお!賢者様と導師様!」

 

ナージャ「凄い、生で見るの初めて・・・!」

 

リオ「本物だぁー!」

 

デイジー「興奮しないの。リオ。」

 

マーリン「ん?彼らは?」

 

タクト「マーリン様、メリダ様、この4人は過去に旅をした俺の仲間達だ。」

 

ナージャ「ナージャ=オブシディアンよ。」

 

ケイティ「剣術者のケイティ=グレイス!宜しくね!」

 

リオ「リオです。こっちは幼馴染みのデイジーです。」

 

デイジー「宜しくお願いします。」

 

アウグスト「おいエリー。メイがグッタリしてるぞ。」

 

エリザベート「っ!?」

 

自分の胸とアウグストでサンドイッチ状態のメイが気絶してる。

 

エリザベート「ああ、メイ!何時の間に!?」

 

アウグスト「最初から挟んでたぞ。」

 

メイ「エ・・・・・」

 

エリザベート「エ?」

 

メイ「エリー姉様の胸は・・・凶器・・・!」

 

エリザベート「ちょっとぉ!?」

 

リン「確かにアレは前々から危ないと思ってた。」

 

アリス「危ないね。」

 

リン・アリス「もいどく?」

 

エリザベート「捥がないで下さいまし!!」

 

アウグスト「そんな事より父上、今回の件の報告です。」

 

ディセウム「ええ・・・も・・・もうちょっと親子の会話をしても良いんじゃ・・・」

 

シン(身内に対してはドライだなオーグ・・・)

 

ディセウム「このアールスハイド王国の国王だ。ではアウグスト、話の続きを。」

 

アウグスト「はい。」

 

 

 

 

王室で、スイード王国で起こった出来事を話した。

 

ディセウム「・・・そうか、スイード王国は連合に協力してくれるか。」

 

アウグスト「恐らくそれ以外にも帝国に国境を接する国は協力してくれるでしょう。」

 

ディセウム「・・・となると問題は・・・エルス自由商業連合と・・・イース神聖国か・・・」

 

シン「エルス?」

 

タクト「イースか。」

 

マリア「エルス自由商業連合国は、世界で唯一共和制を敷いている国よ。貴族や王族が存在せずに、商人の中から知事や大統領が選出されるの。元々商人だった人が国を治めてるから、交渉が非常に難しいって言われてるわ。」

 

シシリー「イース神聖国は創神教の総本山です。創神教の教皇が国家元首となって、今も国を治めています。その2ヶ国にアールスハイドと帝国を合わせて、元々”四大大国”と呼ばれていて・・・」

 

マリア「帝国が滅んだから今は”三大大国”ね。」

 

ディセウム「仮にも”大国”と称される国々・・・連合を組むとなれば・・・どちらも主導権を取りに来るか・・・」

 

アウグスト「・・・父上、各国との交渉役、私に一任して頂けませんか?私はアールスハイドの王太子であると同時に、魔人に直接対決出来るアルティメット・マジシャンズのメンバーです。誰よりも交渉の主導権を握り易い立場です。」

 

ディセウム「そうだな・・・頼めるか?アウグスト。」

 

アウグスト「お任せを!人類存続の為に必ずや交渉を成功に導いて参ります!!」

 

シン「爺ちゃん、婆ちゃん。」

 

マーリン「分かっておる。この旅にはお前も行かねばならんじゃろう。」

 

メリダ「世界を見ておいで。」

 

シン「ありがとう!」

 

タクト「ナージャ、ケイティ、リオ、デイジー、協力してくれるか?俺からの頼みだ。」

 

ナージャ「勿論、あなた達に同行するわ。」

 

ケイティ「うん!魔人達から世界を守ろう!」

 

リオ「僕に出来る事なら何でも!」

 

デイジー「この事態、見過ごす訳にいかないしね。」

 

メイ「でしたら!私も行きたいです!!」

 

エリザベート「勿論私も御一緒致しますわ!!」

 

アウグスト「お前達!遊びではないのだぞ!」

 

メイ「分かってるです!でも外国の王様達とお話するのはお兄様です!!その間シンお兄ちゃんとタクトお兄ちゃん達はおヒマです!一緒に観光出来るです!!」

 

エリザベート「それに皆さんが居るなら、護衛もいりませんしね。」

 

マリア「殆ど国家レベルの戦力だもんね・・・」

 

アリス「って言うかフツーに全員行く流れなんだ・・・」

 

シン「まあ良いじゃん。夏休み入って、ずっと特訓ばっかだったし・・・一時中断して皆息抜きする意味でもさ。」

 

アウグスト「この2人は遊んでただけだろ・・・」

 

トール「お2人は、自分達がお守りします!」

 

ユリウス「このメンバー以上に、優秀な護衛は御座らんでしょう!」

 

アウグスト「やれやれ・・・」

 

アリス「移動は浮遊魔法ですか?」

 

アウグスト「まあそうだろうな。エリーは私が抱えて飛ぶとして・・・」

 

シン「メイちゃんは誰かが手を繋いで補助すれば行けそうだよね。」

 

メイ「ハイです!」

 

アウグスト「出発は早いに越した事はない。準備が整い次第各自に連絡を入れよう。もう夜も遅い。今日は皆御苦労だった。しっかりと休んでくれ。」

 

全員が解散した。

 

アウグスト「シン、クロード。」

 

シン「ん?」

 

アウグスト「・・・休めよ?」

 

シン「・・・はっ!!」

 

シシリー「ん?・・・っ!!」

 

理解した2人が赤面した。

 

シン「オーグお前なあ!!!」

 

タクト「まあ仲が宜しい事で。」

 

 

 

 

 

 

旧ブルースフィア帝国・帝城。

 

シュトローム「中々の見ものでしたよ。」

 

ゼスト・ミリア・ローレンス「っ!」

 

シュトローム「だから忠告したじゃないですか。シン=ウォルフォード君とタクト=クリスティ君には手を出さない方が良いと。」

 

ゼスト「とんだ醜態を晒してしまいました・・・」

 

シュトローム「いえ、十分楽しめましたよ。まぁ欲を言えば、もう少し盛り上がって欲しかったですけどねぇ。」

 

両目を光らせ、3人を震えさせる。

 

ゼスト(シン=ウォルフォード・・・タクト=クリスティ・・・主人の新たな目的となりうる存在に感謝すべきか・・・それとも手を打つべきか・・・何方にせよ、あの規格外の強さ・・・無視は出来んな・・・)

 

 

 

 

旧ブルースフィア帝国・帝城の廊下。

 

ゼスト「所でミリア殿、例の実験の様子は?」

 

ミリア「っ!まだ、ハッキリとは・・・もう少し検証する必要があるかと・・・」

 

ゼスト「そうですか、それは失礼しました。」

 

ミリア「では、私はそれについて、シュトローム様とまた。」

 

ゼスト「えぇ、上手く行くよう祈ります。(その結果次第で、私達魔人の将来が決まるのですから・・・)」

 

この2人が機密にしている実験とは一体・・・

 

 

 

 

その後、ゼストの部屋。

 

ゼスト「ん?」

 

そこに、1人の魔人が。

 

魔人「ゼスト様、お話宜しいでしょうか?」

 

ゼスト「何だ?」

 

 

 

 

 

 

その後ローレンスは、平民魔人達が巣食う廃墟へ行った。

 

魔人A「くそっ!!何なんだよ彼奴等!!」

 

魔人B「城壁内に侵入した連中はほぼ全員殺られちまった!!国を落とす所じゃねえよ!!」

 

ローレンス(大きな計算違いは2つだ・・・1つはシン=ウォルフォードとタクト=クリスティを始めとする部隊の力が予想より遥かに大きかった事。もう1つは平民魔人が想定より全く使えなかった事。やった事と言えば、兵士や一般市民を甚振って遊んだだけだからな・・・、ああ元々此奴らはただの捨て駒、後は如何に効率よく・・・)

 

魔人A「おいお前!!」

 

考え込んでると、平民魔人達に囲まれた。

 

ローレンス「はい?」

 

魔人A「元はと言えば、お前がスイードに攻め込もうって言ったのが原因じゃねえか!!」

 

魔人B「どう責任取ってくれんだ!?あぁ!?」

 

ローレンス「はぁ・・・被害がこれだけで済んだのは、狙いをスイードにしたお陰でしょう?」

 

魔人A「どう言う意味だ!?」

 

ローレンス「アンタ達、最初はアールスハイドを攻める気で居たでしょ?救援に現れた連中は、正しくアールスハイドの王太子とその一味なんですよ。予定通り、彼らの本拠地に攻め入ったら、今頃我々はとっくに全滅だ。そうならなかっただけでも儲けモンだと思いますがね。違いますか?」

 

魔人達「・・・・・・」

 

ローレンス「ただ、アールスハイドの隣国を狙ったのが裏目に出てしまったのは事実です。ならば次は・・・」

 

魔人A「そうか!奴らがすぐに来れないような遠い国から狙えば良い!!」

 

ローレンス「まぁ、そう言う事ですね。例えば・・・」

 

遠くから話を聞いてる1人の魔人が不快感を抱いている。

 

 

 

 

その後ローレンスが廃墟から出ようとすると。

 

魔人「おい!お前よ、何企んでる?」

 

ローレンス「何の話です?」

 

魔人「気付かねえと思ってるのか?お前、シュトロームに従ってた軍の1人だろ!」

 

ローレンス「へぇ、低能な連中ばかりかと思ってたら・・・」

 

激怒した魔人がローレンスの胸元を掴む。

 

魔人「何だとてめェ!!やっぱりシュトローム側のスパイか!!だったら今すぐ他の連中と袋叩きにして・・・・」

 

だが、ローレンスの雷撃で消し炭にされてしまった。

 

ローレンス「マヌケな方が長生き出来る事もあるぜ。覚えとけ。」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭
エリザベート=フォン=コーラル:南雲希美
メイ=フォン=アールスハイド:雛乃木まや

スイード国王:沢木郁也

兵士:松田修平
   市川蒼

医療班長:狩野翔

女性:難波佑香

ローレンス:杉山紀彰
アベル:古川慎
ダンテ:柳田淳一

魔人:清水健佑

ゼスト:津田健次郎
ミリア:大原さやか

オリバー=シュトローム:森川智之





次回予告

世界各国を回って連合締結の交渉を臨むアルティメット・マジシャンズ。アールスハイド王国では、潜伏した斥候魔人がシンの秘密を探っていた。

次回ウルトラマンティガ

いざ各国へ!

お楽しみに


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第12話「いざ各国へ!」

いざ各国へ!
オリバー=シュトローム、ミリア、ゼスト、斥候魔人 登場



数日後。

 

シシリー「そう言えばお爺様、お婆様、留守中ですがクロードの街の屋敷や温泉は御自由に使って下さい。」

 

メリダ「おや、良いのかい?」

 

シシリー「勿論です。シン君と婚約して・・・お2人も親族になる訳ですから。宜しければ、使用人の方々も御一緒にどうぞ。」

 

メリダ「それはありがたいねぇ。」

 

マリーカ「お心遣い感謝致します。若奥様。」

 

シシリー「わ、若・・・奥様・・・!?」

 

ヒナ「あの、シシリーさん。私達も温泉を利用しても宜しいでしょうか?」

 

シシリー「は、はい!フェオンさん達も是非!」

 

 

 

マリア「良いなぁ。私も早く若奥様とか呼ばれてみたい。」

 

シン「マリアって伯爵家だろ?婚約者とか決まってないの?」

 

マリア「ウチは結婚相手は自分で見付けるってのが家訓だから・・・」

 

タクト「何だその家訓?」

 

丁度そこに、馬車が到着した。

 

メイ「おはようございます!」

 

エリザベート「今日からまた暫くお願い致しますわ。

 

タクト「お、皆が来たか。」

 

シン「おはよう皆。メイちゃん、エリー、早速だけどこれ。」

 

マントをエリザベートに渡す。

 

エリザベート「何ですのこれは?」

 

シン「温度調整出来るマントだよ。空を飛ぶと、相当体温を奪われるからね。」

 

マリア「それがなきゃこんな日にわざわざ戦闘服着なくて良いんだけどね。まあ、現地で着替えれば良いだけだけど。」

 

シン「ナージャとケイティ、リオとデイジーもこれ。」

 

同じマントをナージャとケイティとリオとデイジーにも渡す。

 

ナージャ「ありがとう。」

 

ケイティ「やっぱり着心地良いね。」

 

リオ「暖かい!」

 

シシリー「タクト君の分は?」

 

タクト「俺は大丈夫。」

 

シン「それじゃあ行って来るよ!」

 

メリダ「皆、気を付けるんだよ!」

 

マーリン「頑張っておいで!」

 

アルティメット・マジシャンズが空を飛ぶ。タクトはウルトラ念力を自分に流し込んで飛んでる。

 

 

 

 

上空。

 

メイ「わあ!気持ち良いです!」

 

シン「メイちゃんも一緒に練習した甲斐があったね。」

 

ナージャ「やっぱり気持ち良いわね!」

 

ケイティ「ヒュー!」

 

リオ「気持ち良い!」

 

デイジー「快適ねぇ〜!」

 

エリザベート「・・・・」

 

アウグスト「どうしたエリー?」

 

恥ずかしがりながらアウグストに抱えられてるエリザベート。

 

エリザベート「いえ、その・・・私だけ飛べないので仕方無いとは言え・・・アウグスト様に抱えられているのが恥ずかしいと言うか・・・」

 

アウグスト「何だそんな事か。気にするな。」

 

エリザベート「・・・アウグスト様、シンさんと出会われて・・・変わられましたね。」

 

アウグスト「おいエリー、まさかまだ妙な疑いを?」

 

エリザベート「分かってますわよ、最初から。シンさんがシシリーさんにしか興味ない事は。」

 

アウグスト「そうなのか?だったら何故何時も・・・?」

 

エリザベート「それでもやっぱりシンさんが羨ましいんですわ。アウグスト様を、そんな風に変えられるんですもの。ですから、ちょっと悔しくて・・・お2人を困らせて差し上げようかと。ごめんなさい、アウグスト様。」

 

アウグスト「・・・お前も少し変わったな。エリー。」

 

今回の日程で訪問する国は3つある。それぞれが旧帝国と国境を接するダーム王国・カーナン王国・クルト王国の3つ。スイード王国の時は緊急の救援要請だった為、国境は素通りしたが、今回は事前に通信でオーグが訪問する事を伝えた上で、正式な手順で入国する事にした。

 

 

 

 

 

 

ダーム王国の国境付近。ここからは王国まで歩いて行く。

 

アリス「出発してから言うのも何ですけど殿下、スイードでの手応えからして、魔人って私達だけでも討伐出来る気がするんですけど、連合組む必要ってあるんですか?」

 

アウグスト「寧ろ、魔人に対抗出来るのは私達だけだろうな。」

 

アリス「じゃあ何の為に?」

 

アウグスト「我々だけ魔人を討伐したとなると、アールスハイドの功績があまりにも大き過ぎる。前に一度話しただろう?仮に世界を救えたとしても、今度は我々が他国から驚異の対象として見られ兼ねないんだ。」

 

タクト「もしそうなっちまったら、アールスハイドが他国から敵として見られてしまうって事か?」

 

アウグスト「そうだ。魔人が居なくなった事で、今度は人間同士の争いを招く事になる可能性が出て来る。」

 

シシリー「・・・・」

 

マリア「それって、アールスハイドが一人勝ちすると、他国の国が面白くないから、戦功を分け与える為の連合って事ですか?」

 

アウグスト「第一は各国を守る為だ。そこは履き違えるなよ?」

 

アリス「魔人は人類共通の驚異なのに!何でそんな考え方になるのかな!?」

 

アウグスト「それが国であり、人間と言うものだ。」

 

トール「・・・自分も頭では分かっているのですが・・・」

 

ユリウス「感情では承服しかねるで御座る・・・」

 

シン「まあ、まずその前に魔人達の全容は全く分かってない訳だし、魔人を舐めて掛かるのは禁物だよ。国単位で同時に攻め込まれたら、やっぱり俺達だけじゃ対処出来ないし。」

 

マリア「そりゃ、まあそうか。」

 

アウグスト「そう言った意味も含めて”大国”であるエルスとイースとの交渉が必要なんだ。後々、最も争いの火種になり兼ねない国々だからな。」

 

タクト「大変な事になりそうだな。」

 

リオ「あ、門が見えたよ。」

 

 

 

 

ダーム王国・正門。

 

門番「ようこそダームへお出で下さいましたアウグスト様。馬車の御用意が出来ております。皆様で王城にお出でになられますか?」

 

アウグスト「いや、今回は私だけでお会いしよう。一応護衛の2人は連れて行くが。」

 

門番「畏まりました。」

 

アウグスト「では皆、また後程な。それまで観光を楽しんでくれ。」

 

 

 

 

ダーム王国内。

 

ケイティ「賑やかだねぇ〜。」

 

リオ「とっても楽しそぉ〜。」

 

シン「所で、ダーム王国ってどんな所なの?」

 

マリア「小さいけど、歴史的にはかなり古くて重要な国よ。何せイース神聖国が出来る前は創神教の総本山があった所だからね。今でも当時の大聖堂とか残ってて、観光名所になってるわ。他に有名なのは・・・やっぱり殉教者イースの生家だよね。」

 

 

 

殉教者イースの生家。

 

トニー「へぇ、ここがイースの・・・!」

 

ユーリ「わぁ、実際見ると感激ねぇ・・・」

 

タクト「歴史を感じるな。」

 

エリザベート「とても趣きがありますわ。」

 

シン(そうか、殆ど皆創神教の信者だから・・・)

 

するとメイが驚きの言葉を出した。

 

メイ「意外とショボイです!」

 

タクト「メイちゃん!?」

 

ナージャ「メイ・・・それはちょっと・・・」

 

 

 

 

次は創神教旧総本山のダーム大聖堂へ。

 

アリス「わぁ!結婚式!」

 

ユーリ「何処かの貴族ねぇ。」

 

丁度結婚式が行われていた。女性陣がうっとりしている中。

 

オリビア「素敵・・・私もこんな式挙げられたらなぁ・・・」

 

リン「頑張れマーク。」

 

リオ「ファイトだよ。」

 

マーク「む、無茶言わないで下さいリンさん!リオ君!金銭的にも立場的にも無理ッス・・・」

 

デイジー「エリザベートさん、オーグさんとの式は何処で挙げる予定なんですか?」

 

エリザベート「アールスハイド王家は代々、アールスハイド大聖堂で挙式をするのが決まりですわ。此方に劣らず素晴らしい教会ですのよ。」

 

タクト「ほう。」

 

シン「シシリーもこう言う所で結婚式したい?」

 

シシリー「え!?いえ・・・その・・・はい・・・やっぱり憧れると言うか・・・羨ましいと言うか・・・」

 

シン「そっか。じゃあ、頑張って世界を救ったら、こう言う所で式を挙げようか。」

 

シシリー「えっ!?」

 

嬉しくなったシシリーがシンに寄り添った。

 

マリア「はぁ・・・リア充が・・・」

 

アリス「良いなぁシシリー。」

 

ユーリ「私達は式を挙げる場所以前に、相手探してからよねぇ・・・」

 

 

 

その後別行動する事に。

 

マーク「すみませんッス。じゃあ俺達も少しだけ。」

 

オリビア「夕方には合流します。」

 

タクト「ああ、気を付けてな。」

 

トニー「僕はちょっと街の娘と遊んで来るよ。なるべく夜には戻るから!」

 

タクト「女好きだなぁ全く。」

 

ナージャ「私達も行くわ。夕方頃に戻るわ。」

 

ケイティ「じゃあね。」

 

リオ「僕とデイジーも行って来るね。」

 

デイジー「楽しんで来るわ。」

 

タクト「逸れたりしたら容赦しねぇぞ。」

 

 

 

 

残ったのはタクトとシンとシシリー達女性陣。

 

シン(何時の間にか男が俺とタクトだけになっちゃった・・・うーむ、珍しくハーレム状態・・・)

 

タクト(こんなハーレム、初めてだぜ・・・)

 

「お・・・おい見ろあれ・・・」

「何だ彼奴ら・・・可愛い女の子ばっか連れて歩きやがって・・・」

 

周囲から嫉妬の目線で見られている。

 

タクト(ふむ、周囲の嫉妬目線が痛いな。)

 

アリス「リン。」

 

リン「了解した。」

 

何か閃いた2人。アリスはタクトの腕に抱き付き、リンがシンの腕の抱き付いた。

 

シン「っ!?」

 

タクト「はっ!?」

 

シン「な・・・お前ら急に何して・・・!?」

 

タクト「おい抱くな!腕が痛えよ!」

 

アリス「だってぇ、周りの反応が面白いんだもんね〜〜!!」

 

リン「周りの期待に応えるのは常識。」

 

タクト「この野郎が・・・!!大体俺にはフェオンと言う妻が居るんだぞ!!」

 

「ぐぬぅ・・・更にイチャイチャだと・・・!?それにあの男に妻だと・・・!?」

「許せん・・・!爆発して死ねば良いのに・・・!!ああ言う奴らが居るから俺達は・・・!!」

 

タクト「うわぁ・・・リア充へ対する嫉妬心が増えている・・・」

 

アリス「にひひ〜。ねぇ、ちょっと屈んでよタクト君!ほっぺにチューしてあげるから!あ、フェオンには内緒にしとくから!」

 

タクト「もういい加減にしろ!」

 

アリス・リン「っ!?」

 

後ろから邪悪なオーラが・・・

 

 

 

 

 

 

シシリー「アリスさん、リンさん、お巫山戯はその辺にして下さいね?」

 

 

 

 

 

 

笑みを浮かべてるシシリーだが、その裏では激怒中。

 

アリス・リン「・・・・!!!!」

 

恐怖した2人。恐怖に怯えたリンのメガネに罅が入った。

 

アリス「ひぅっ!!わ、分かりました!!!」

 

リン「ふ・・・巫山戯過ぎた・・・反省してる・・・!!」

 

シン(シ・・・シシリーが怖い・・・)

 

タクト(これ以上に無い激怒・・・)

 

この2人も怯えてる。

 

シシリー「タクトさん、大丈夫でしたか?」

 

タクト「あ、ああ・・・ありがとうシシリー・・・」

 

シシリー「行きましょうかシン君。」

 

シン「はい!!(な・・・何か早くも・・・クロード家の女に近付いて来てる予感が・・・)」

 

タクト(実際のシシリーの家族ってこんな感じなのか・・・?)

 

 

 

 

 

 

同じ頃、旧ブルースフィア帝国のとある丘陵地帯では。

 

シュトローム「生物の魔物化ですか・・・人間相手ではないならそう難しい事ではありませんが、そんなものを覚えてどうするのですか?」

 

ゼスト「シュトローム様がこの先、新たに目標を定められた際、我々もそのお力になりたいと思っております。手駒の魔物を増やす事も、その一環になるかと愚考した次第でございます。」

 

シュトローム「目標ねぇ・・・まあ別に構いませんが。」

 

1匹の羊に近寄る。

 

シュトローム「動物が魔物化するのは、魔力が制御出来ずに暴走するからです。なので制御し切れない量の魔力を流し続けてやれば、簡単に魔物化します。」

 

右手を添えると、羊が一瞬で魔物化した。

 

全員「おお・・・」

 

シュトローム「これが人間の様に魔力を制御出来る生物だと、一気に難易度を跳ね上がるんですけどね・・・」

 

ゼスト「成る程、では私から。・・・・・・む?これは・・・意外と・・・」

 

ダンテ「ゼスト様、魔力が外に漏れ出すばかりの様ですが・・・」

 

ゼスト「見れば分かる・・・真顔で言うな・・・」

 

シュトローム「人間で言う基礎魔力量を掴んでやるんですよ。」

 

ゼスト「むぅ・・・魔力が少な過ぎて判別し辛いですな・・・」

 

他の魔人達もやってみる。

 

「おお?」

「くっ・・・確かに・・・」

「あ、待てコラ!」

「難しいな・・・」

 

再びゼストが挑戦。すると。

 

ゼスト「っ!お、おお!」

 

羊が魔物化した。

 

ダンテ「初の成功ですね。」

 

他の魔人達が拍手する。

 

ゼスト「いい、一々拍手するな・・・」

 

「お、こっちも出来たぞ!」

「俺もだ!」

 

ミリア「あ・・・」

 

そんな中ミリアは、上手く出来ていない。

 

ミリア「ん?ん?(どう言う事・・・?自分の魔力も、上手くコントロール出来ない・・・?)」

 

そこでシュトロームに相談してみる事に。

 

ミリア「シュトローム様。」

 

訳を話す。

 

シュトローム「ほう、これは・・・ミリアさん、以前からの実験・・・第1段階は成功のようですよ!」

 

ミリア「本当ですか!?」

 

シュトローム「フフ・・・実に興味深い実験結果だ。」

 

ミリア「・・・・」

 

サイクス「なぁ、離反した連中に付いてるローレンスは兎も角、アベルとカインはどうした?」

 

魔人「ああ・・・例の潜入捜査だとよ。直接情報聞き出すなら彼奴ら適任だからな。特に女相手には。」

 

「・・・所で、コレやり過ぎじゃね・・・?」

「つい夢中になったな・・・」

 

夢中し過ぎて全部の羊を魔物化してしまってた。

 

 

 

 

 

 

同じ頃、アールスハイド王都では。

 

店主「シン=ウォルフォード様とタクト=クリスティ様?そりゃアンタ、この国じゃ今一番の有名人だよ!魔人討伐に勲一等の叙勲!アルティメット・マジシャンズの発足にスイードの魔人撃退!兎に角常に話題に事欠かない方だからねぇ!あぁ〜、一度で良いからお会いしてみたいわぁ!」

 

???「お話ありがとうございます。旅の途中でして、どうしても噂の英雄について知りたかったものですから。」

 

店主「あはは、何時でもおいで!アンタみたいなイケメンなら大歓迎さ!」

 

この男の後ろでは。

 

???「ははっ、ありがとう。うん、また機会があれば。」

 

1人の男が若い女性と話していた。

 

女性A「やっぱり皆、シン様に興味津々なのね!」

 

女性B「でも私、シン様も良いけどタクト様も結構・・・」

 

 

 

 

???「どうだカイン?」

 

カイン「奴らの通っている学院は夏季休暇中らしいよ。更に調べるなら、別の所からだね。」

 

???「奴らの関係者が多く居るアールスハイドの王城か、自宅である賢者マーリン=ウォルフォードの屋敷かぁ。」

 

カイン「ははっ、どっちにしろリスク高いなぁ。」

 

アベル「リスクは承知の上だろ?」

 

カイン「ま〜ね。」

 

アベル「魔人の気配を気取られるなよ。極力魔力を落として行動しろ。」

 

 

 

 

 

 

一方クロードの街では。

 

フェオン「やっぱり温泉は素晴らしいわねぇ〜。」

 

イザベラ「気持ち良いね〜。お姉ちゃん。」

 

レア「アンナ〜。レア眠たくなったぞ〜・・・」

 

アンナ「だからって、私に乗って寝ないでよ。」

 

グレア「飛び込み〜!」

 

エミリー「グレア。飛び込むな。危ないだろう。」

 

ヒナ「大丈夫ですよエミリーちゃん。グレアさんは精霊ですから。」

 

グレア「そうそう!飛び込んでも支障は出ないよ〜!」

 

 

 

 

 

 

その頃。

 

シン「ダームでの会談は無事終了か?」

 

アウグスト「スイードでの件が情報として既に入っていたからな。私の提案に飛び付いて来たよ。この文だと、まあ他の2ヶ国も同じ様な対応だろう。」

 

マリア「次はカーナン王国。」

 

アリス「牧畜が盛んで、織物が有名な国だよね。」

 

シシリー「特に魔物化した羊の毛で作った生地が注目されていますよね。」

 

タクト「魔物化した羊の毛だと?」

 

シン「それ、手に入らないなかな・・・」

 

シシリー「え?どうしてですか?」

 

シン「魔物由来の素材って、普通の素材より付与文字数が多くなるんだよ。」

 

マリア「え!?そうなの!?全然知らなかったよ。」

 

ユーリ「学院ではまだ習ってないものねぇ。よっぽど付与魔法について興味がないと知らないわよねぇ。因みに家畜化されている羊は魔物化しやすいのよぉ?」

 

タクト「マジで!?」

 

ユーリ「野生が薄くなってるからって言われてるけど・・・詳しくは分かってないのよねぇ。」

 

トール「凄いですねユーリさん!」

 

リン「流石付与魔法マニア。」

 

ユーリ「別にマニアじゃないわよぅ。」

 

リオ「それで、その魔物の素材でどうするの?」

 

シン「スイードの一件で、シャツだけじゃなく”マント”にも”自動治癒”を付与したいと思ってさ、やっぱり他人に着せる事で、その他人の傷を治せるってのはメリットだろ?男は兎も角・・・女の子が人前でそうそう裸になれないしさ。」

 

タクト(あの救護所の事か・・・)

 

シン「そう言う訳で、マントの素材になる生地が・・・お?」

 

メイ「わぁ!!羊さんです!!」

 

牧場へ行くと、下に大量の羊が居た。

 

マリア「うわ〜〜〜〜・・・流石に人口よりも羊が多いって言われるだけあって・・・っ!?ねぇ、ちょっとアレ、言ったそばから・・・」

 

 

 

1匹の羊が魔物化した。

 

 

 

シン「オイオイ魔物化したぞ!早い所討伐しないと・・・」

 

アウグスト「大丈夫だ。近くに羊飼いが居る。」

 

 

 

牧場に羊飼いが現れた。

 

シン「何が大丈夫なんだよ!?余計に危ないじゃねーか!」

 

タクト「討伐するぞ!!」

 

 

 

 

”ズバン!!”

 

 

 

 

タクト「ほえ!?」

 

その羊飼いは、魔物化した羊の首を斧ですっ飛ばした。

 

シン「え!?嘘?」

 

タクト「あれが羊飼い!?」

 

リオ「そうには見えないよ!?」

 

アウグスト「家畜の魔物化が頻繁に起こるこの国では、中型程度を討伐出来ないと羊飼いは務まらんからな。自然とそう言った人物が職に就く訳だ。」

 

ユリウス「確かに、この国の羊飼いはゴツイと言うか・・・マッチョなイメージが強いで御座る。」

 

ケイティ「マッチョな羊飼い。」

 

リン・デイジー「ぶふっ!」

 

ツボにはまった。

 

羊飼い「お?旅の人か?危なかったな。今丁度羊の1匹が魔物化した所だぞ。」

 

その後。

 

羊飼い「夏休み中の旅行って所か。目的はやっぱり魔物化した羊の素材かい?」

 

シン「はい、それもあります。」

 

羊飼い「だったら、カーナン王都の『シェパード服飾店』がオススメだぞ!旅人向けの服や装備が揃ってるからな。何を隠そう、俺はそこの・・・」

 

「ガランさん!!た・・・大変だ!!」

 

そこに2人の羊飼いが来た。

 

羊飼い「魔物化した羊が大量に押し寄せて来てる!恐らくブルースフィア方面で発生した奴らだ!!」

 

ガラン「んだと!?ったくメーワクな国だな相変わらずよ!男連中集めとけ!!俺もすぐ行く!!ボウズ達はさっさと街へ避難しとけ!!羊とは言え魔物だ!!ナメると痛い目見るからな!!」

 

急いで魔物化した羊の場所へ向かう。

 

タクト「リオ、行くか?」

 

リオ「うん。」

 

 

 

 

 

 

大量発生した魔物化した羊が居る場所では。

 

羊飼いA「い・・・異様な光景だな・・・ここまで数の魔物は初めて見た・・・」

 

羊飼いB「サイズも通常よりデカくなってやがる・・・!!」

 

ガラン「1匹足りとも通すんじゃねえぞ!!街に入れたら必ず犠牲が出る!!」

 

羊飼いC「くそぅ・・・流石に死ぬかな・・・こりゃ・・・」

 

ガラン「行くぞ野郎共!!!!」

 

 

 

 

 

 

タクト「ハァッ!!」

 

 

 

 

 

 

後ろからハンドスラッシュが現れ、羊達を倒した。

 

ガラン達「・・・っ!?」

 

後ろを見ると、タクトとリオが立っていた。

 

羊飼い達「・・・?・・・?」

 

タクト「もう一丁!」

 

羊飼い達の前に着地したタクトが右手にエネルギーを集める。

 

タクト「ハァッ!!」

 

突進する羊を右手で受け止め、そこからエネルギーを流し込んで羊を燃やした。

 

タクト「12匹目ゲット!」

 

リオ「余裕だね!」

 

アウグスト「タクト!リオ!羊毛は商品だぞ!やるなら極力傷を付けるなよ!火や爆発系は避けて仕留めろ!」

 

タクト「OK!」

 

リオ「分かった!」

 

 

 

ユーリ「一応私達も行っとくぅ?」

 

マリア「倒すだけじゃ面白くないし・・・どっちが綺麗に討伐出来るか競争ね。」

 

ユリウス「トニー殿、行かんで御座るか?」

 

トニー「普段の相手が虎や獅子だったからねぇ。今回はタクトとリオに譲るよ。」

 

 

 

タクト「リオ!」

 

リオ「うん!」

 

ハンドスラッシュで羊の眉間を貫き、リオの斬撃が羊を斬首した。

 

 

 

 

羊飼い「ガランさん・・・な・・・何者だい?ありゃ・・・」

 

ガラン「いや・・・ただの旅行中のグループ・・・な訳ねーなこりゃ・・・」

 

その後もタクトとリオが羊を狩りまくる。

 

 

 

 

 

 

その頃、アールスハイド王国のウォルフォード邸では。

 

スティーブ「当家に何か御用で?」

 

アベル「かの有名なシン=ウォルフォード殿とタクト=クリスティ殿にお目にかかりたかったのですが、聞く所によると、暫く家を空けておられるかと。せめて近しい方にお話を伺えればと思い参りました。」

 

スティーブ「ご足労頂いたのに申し訳ありませんが、御存知の通り、当家は名前の通った者が多く居ります。安全面からも、当人とのお約束でない限り、お通しうる事は出来ない決まりで御座います。失礼ですが、お引き取りを。」

 

アベル「そうですか、分かりました。仕方ないですねぇ・・・」

 

するとそこに。

 

マーリン「何じゃ?客人か?」

 

スティーブ「マーリン様!」

 

マーリン「庭を散歩しとったら、話し声が聞こえたものでの。」

 

スティーブ「シン様とタクト様に会いに来られたそうですが、お約束はないそうですので。」

 

マーリン「ほぅ、そうかそうか。」

 

彼はアベルをジッと見る。

 

マーリン「良いわい良いわい!ワシが代わりに話しを聞かせてやるわい!

 

アベル「本当ですか!?かの御高名な賢者マーリン様に直接お話を伺えるとは・・・光栄の至りで御座います!」

 

スティーブ「マーリン様、タクト様は兎も角、孫自身は程々に・・・」

 

マーリン「ほほっ、分かっとるわい!スティーブ、茶を用意してくれんか?」

 

スティーブ「分かりました。」

 

後ろでアベルが敵意を剥き出しにした。彼がウォルフォード邸へ入ろうとした時。

 

アベル「っ!?(これは・・・!?)」

 

正面ゲート前で結界に足止めされた。

 

マーリン「そう言えば、1つ言い忘れとったが・・・ウチには優秀な魔道具制作の第一人者が居ての、絶えず屋敷に”侵入防止”の結界が施してあるんじゃ。何、心配はいらん。侵入を拒むのは、飽く迄”敵意”や”害意”のある者だけじゃからの。遠慮なく入って来るが良い!入れるものならな!」

 

アベルが右手を出し、マーリンも右手を出して、両者顔面スレスレまで右手を止めた。

 

スティーブ「マーリン様!!」

 

マーリン「大したタマじゃ。命を狙われる事は幾度となくあったが、ワシを相手に僅かも腰が引き取らん。お主、本当に人間か?」

 

アベル「っ!」

 

後退りして、高くジャンプして姿を消した。

 

スティーブ「何者でしょうか・・・?」

 

マーリン「さての、大方、シンとタクト君の噂を聞き付けて調査に来た他国の者か。(或は魔人の手先か・・・考えたくはないがの・・・)スティーブ、やはり茶じゃ。ちとハッスルし過ぎたわい。」

 

 

 

 

遠くの砦の上でアベルが。

 

アベル「あれが噂に名高いマーリン=ウォルフォード・・・やはり近付く相手としては危険が過ぎたか・・・”認識阻外”を付与したレンズを入れている以上に、魔人だとは確信を持たれていないだろうが・・・これ以上の滞在は危険だな。一度カインと合流するか。」

 

 

 

 

その数分前、カインはアールスハイド王城に居た。

 

カイン(王城への侵入者自体は出来なくもないが・・・情報収集が目的である以上、騒ぎになるのは避けたいな。せめて、ウォルフォードとクリスティと関わりがある人間と接触出来れば・・・)

 

???「お前、そこで何してる?王城に何か用か?」

 

騎士団と魔法師団の一行が後ろからカインに尋ねた。

 

カイン(手前の2人・・・確かブルースフィア帝都で一度見た・・・恐らくは軍部のトップ・・・!)

 

ドミニク「おい。」

 

ジークフリード「いやいや、もういいじゃないですか局長?それより早く城へ戻りましょうよ。騎士団との合同訓練なんてそうそうやるもんじゃねーや。クタクタですよもう・・・」

 

魔法使い「先行きますよ、先輩。」

 

クリスティーヌ「文句ばかりは一人前ですね。あなたが真面目に取り組んでいたようには見えませんでしたけどね。」

 

ジークフリード「口煩いのが居るから余計に疲れるんだよ。ったく、シン達の気持ちが分かるってもんだ。」

 

カイン「!」

 

ドミニク「まあいい、用が無いなら早くここから・・・」

 

何かが閃いたカインが。

 

カイン「あの、あなた方はもしや騎士団・魔法師団の団長殿では?実は私、入団希望でここに来たのです。」

 

ドミニク「入団?見た所学生ではないなぁ。一般からの希望者か。」

 

ルーパー「秋期の募集分、ギリギリ間に合うんじゃねぇか?」

 

ドミニク「だったら、まず詰所で入団申請をして手続きを取ってくれ。」

 

ルーパー「後、どちらを選ぼうと入団試験はあるが。」

 

ドミニク「騎士団と魔法師団!どちらの希望だ?」

ルーパー「騎士団と魔法師団!どちらの希望だ?」

 

ジークフリード「勿論魔法師団だよな?何つっても時代の流行りは魔法師だろ?」

 

クリスティーヌ「チャラ付いた人達が何を偉そうに。騎士道を重んじる心こそが、時代を常に支えているんですよ?」

 

カイン「何方も構いません。私は何方も使えますから。」

 

全員「!」

 

ドミニク「頼もしい事だな。クリスティーヌ、ジークフリード、詰所まで案内してやれ。」

 

クリスティーヌ「了解しました。」

 

ドミニクとルーパーは2人に任せてここを去った。

 

 

 

 

2人はカインを詰所へ案内する。

 

カイン「シン=ウォルフォード殿とタクト=クリスティ殿とお知り合いなのですか?」

 

ジークフリード「ああ、まーな。何だかんだで長い付き合いだよ。タクトはティガって言う戦士の力を受け継いだ”超古代の戦士”。それにシンは弟みてーなモンだと思ってたのに、まさか先に婚約者まで作っちまうとは・・・」

 

カイン(っ!!)

 

クリスティーヌ「ジーク。」

 

ジークフリード「あ?何だよ?」

 

クリスティーヌ「シンとタクトの事に興味が?」

 

カイン「興味を持たない人間は居ないでしょう。」

 

クリスティーヌ「そうですね。ならば先日に婚約したシンのお相手、マリア=フォン=メッシーナの事もご存知かしら?」

 

カイン「・・・・・・・ええ、勿論。ただ名前までは存知上げませんでした。マリアさんと言うのですか。婚約された事は聞いていたのですが・・・」

 

クリスティーヌ「!」

 

ここでクリスティーヌがカインの言葉に違和感を覚えた。

 

ジークフリード「マリアちゃん?何言ってんだ?シンが婚約したのはシシ・・・」

 

言ってる最中にクリスティーヌに口止めされた。

 

ジークフリード「ってぇ!何すんだ!!」

 

鞘から剣を抜いたクリスティーヌが、剣先をカインに向ける。

 

カイン「あ、あれ?どうしました?」

 

クリスティーヌ「警戒して引っ掛けを避けたのは見事ですが、残念でしたね。シンの婚約の報は公式に世間に発表された事実ですよ。勿論、婚約者の名もね。シンとタクトに興味ある人間がその名を知らない?妙ですね。もし、あなたが何らかの理由でシンとタクトを調べに来た他国の人間。だったら仕方無いですけどね?」

 

カイン「・・・やれやれ、流石はアールスハイドの軍人。切れ者も多い訳かぁ。悪いが、あまり目立ちたくないんだ。迅速にお前ら2人の息の根を止めて、この場を立ち去る事にするよ!」

 

左手から煙幕の魔法を地面に落として目眩ましさせた。

 

クリスティーヌ(目眩まし!?)

 

煙幕からカインがダガーでクリスティーヌを殺そうとするが、クリスティーヌが間一髪でダガーを防いだ。

 

ジークフリード「2対1で勝てる気か!?舐めんじゃねえよ!!」

 

後方からジークフリードが魔法で援護するが、カインがダガーから発した魔力障壁で防いだ。

 

カイン「言ったよな?両方使えるんだよ。」

 

ジークフリード「ちくしょう!面倒臭ぇ!」

 

クリスティーヌ「気を付けて下さい。かなり強いですよ。」

 

ジークフリード「お前、よく気付いたな。あの野郎の目的。」

 

クリスティーヌ「そうですか?入団希望者が軍務局長と魔法師団長の顔を知らない時点でもう既に可笑しいでしょう?まあそんな事は、そちらのお2人方も当然気付いていたようですが。」

 

カイン「!」

 

後ろからドミニクとルーパーが来た。

 

ドミニク「よくやった、クリスティーヌ。」

 

ルーパー「オルトの時と言い、若いのは証言引き出すのが得意だねぇ。感心するぜ。シュトロームって野郎を知ってるか?そいつも単純に引っ掛けに引っ掛かりやがってよぉ、お前らも少し他国のお勉強しといた報が良いんじゃねぇか?」

 

カイン(此奴、シュトローム様の事を・・・!)

 

ジークフリード「さあ選べ!大人しく捕まって洗いざらい吐くか、俺ら4人を相手するか!」

 

カイン(手練れのようだが、魔人の力を使えば訳は無いが、それで魔人の存在がバレちゃ、元も子もない。仕方無い。)

 

異空間収納にダガーを収めた。

 

カイン「だったら選択肢その3だ!!」

 

両手に魔力を集める。

 

ドミニク「おいおいマジか!!!」

 

ルーパー「下がれドミニク!!!」

 

ジークフリード「お前も死にたくなきゃ俺の後ろへ行け!!」

 

2人が魔力障壁を展開したと同時に、カインが集めた魔力を爆発させた。

 

兵士「おい、あれ・・・!!」

 

爆発した方へ兵士が駆け付ける。

 

兵士「うわっ!これは・・・!?あ!局長!師団長も!」

 

ジークフリード「あんの野郎、自爆しやがった。」

 

クリスティーヌ「自爆?あれだけの使い手が自ら死を選ぶとでも?」

 

ジークフリード「お前、その前に礼の一つも言え!助けらといてよ。」

 

ドミニク「緊急配備だ!賊が1名。城内もしくは近辺に潜入。総力で調査に当たれ!」

 

ルーパー「まぁ十中八九既に逃げた後だろうが。」

 

 

 

 

アベルとカインが合流し、王都の少女2人にシンの婚約者について尋ねた。

 

少女A「シン様の婚約者?勿論知ってるわよ!シシリー様よ!シン様とタクト様とは学院のクラスメートで、何と彼女もアルティメット・マジシャンズのメンバーなの!」

 

少女B「スイードで魔人を撃退した際に、多くの人の命を救ったって言う事で”聖女様”って呼ぶ人も居るわ!」

 

アベル「じゃあ、タクト殿に婚約者は居るの?」

 

少女A「いえ、フェオンさんと言うお方とご結婚されております。」

 

アベル「そうか、ありがとう。」

 

 

 

 

2人はアールスハイド王国から出た。

 

アベル「ウォルフォードの婚約者か。確かに奴の弱みとなる可能性はあるな。」

 

カイン「可能性?」

 

アベル「英雄としてはやされる人間だろ?女なんか掃いて捨てる位居るんじゃないのか?」

 

カイン「本当に弱みとなる存在かどうか、まずはその確認か。」

 

アベル「そうだな。クロードも舞台の一員とならば、まず間違い無く今もウォルフォードに帯同している。けどまだクリスティの弱みは分からない。ゼスト様に報告した後、一度ローレンスと落ち合おう。次の奴らの訪問先で仕掛けるぞ!」

 

 

 

 

 

 

ガーナン王国のシェパード服飾店。

 

ガラン「がっはっはっ!まさかボウズ達があんなに強ぇとは思いもしなかったぜ!お陰でこっちは労せずに魔物の素材が大量に手に入っちまった!礼と言っちゃ何だが、店にある生地や素材何でも使ってくれて良いぜ!」

 

シン「本当ですか!?」

 

タクト「ってかあんたは?」

 

ガラン「おう、名乗るの忘れてた!!俺ぁガラン=シェパード!!れっきとした『国家羊養家』の資格を持ったこの店のオーナーだ!!」

 

アリス「えええ!?オーナー!?」

 

シン(っぽくねぇ・・・)

 

 

 

 

早速付与をお願いする事にした。

 

店員「左様で御座いますか。マントに追加で付与を・・・見た所表も裏もとても良い生地を使ってらっしゃるので・・・付与可能な中綿を増やすのが宜しいかと思います。ただ、夏場のこの時季、とても暑くなってしまうので・・・」

 

シン「あ、それは大丈夫です。エアコン機能付いてるんで。」

 

店員「っ??左様で御座いますか。加工は明日には完了するかと思います。それまでどうぞ、ごゆるりとカーナンを観光して下さいませ。」

 

 

 

彼らはカーナン王国を観光する事にした。

 

男性陣は街を歩き。

 

女性陣は服選び。

 

そしてアウグストは国王と会談。

 

 

 

 

その日の夜。

 

シン「あぁ〜〜〜食った食った!腹一杯だ〜〜〜!!」

 

タクト「流石に食い過ぎたけど、美味かったなぁ。」

 

リオ「ん〜!美味しかった〜!」

 

マリア「何か当然の如く、夕食も羊肉が一杯だったわね・・・美味しいけど、どうにも癖が・・・」

 

アリス「私も、しばらく羊はいいや・・・」

 

ケイティ「ん〜、また食べたいね〜。」

 

デイジー「太っちゃいそう・・・」

 

トール「まあ何にせよ、今回も無事会談が終わって良かったです。」

 

アウグスト「そうだな、残るはクルトのみだ。明日も早い。各自早めに休めよ。」

 

全員「はーーーい。」

 

 

 

 

廊下。

 

シシリー「あの・・・シン君、ちょっと良いですか?」

 

アウグスト「休めよ?」

 

シン「五月蝿いわ!」

 

ドアを閉めたアウグスト。

 

シン「どうしたの?シシリー。」

 

シシリー「えと・・・これ・・・」

 

異空間収納から出したのは、ジャケットだった。

 

シシリー「今日、お買い物の途中で見付けたんです。シン君に似合うかなって思って・・・」

 

シン(シシリー・・・やっべ・・・超嬉しい・・・!!)

 

早速着てみる事に。

 

シン「ぴったりだよ、格好良いし!ありがとうシシリー。」

 

シシリー「喜んで貰えて良かったです。」

 

シン「実は俺も・・・本当は明日出発前に渡そうと思ってたんだけど・・・」

 

シシリー「え?」

 

異空間収納から、スカーフを出した。

 

シシリー「わぁ・・・綺麗なスカーフ!ありがとうございますシン君!嬉しいです!」

 

シン(お互い示し合わせた訳でもないのに、相手の物を・・・何かこう言うの・・・心が通じ合って感じするな・・・)

 

右手でシシリーの顔に優しく触れる。

 

シシリー「シ・・・・」

 

ドキドキしながら、シンとキスしようとする。

 

 

 

 

 

 

しかし皆に見られてしまった。

 

 

 

 

 

 

皆は2人が振り向くタイミングですぐにドアを閉めた。

 

シン「よぉ〜〜〜〜しお前ら、ちょっとそこに並べ!!!」

 

アウグスト「シン・・・まあ1日位なら休まなくても良いぞ。」

 

タクト「遠慮なくやってくれ。」

 

シン「喧しい!!!」

 

 

 

 

 

 

同じ頃ブルースフィア帝城では。

 

ゼスト「成る程、ウォルフォードの婚約者か。」

 

アベル「その女が使えるかどうかを、まず判断するのが先決かと思います。」

 

ゼスト「フム、奴らは今日にもカーナンを発ち、来るとに入るのではないかと言う情報が別働隊から入っている。奴らの来ると到着に合わせて、離反した連中を攻め込ませるようローレンスに師事を出そう。」

 

アベル「我々もクルトに向かいます。」

 

ゼスト「(ウォルフォード程ではないにしろ、突出した力を持った連中が10人前後。ウォルフォードの動向を見極めるには、やはり奴と婚約者のみを隔離するのが理想だな。どうしてもクリスティを含んだ周りの連中を遠避ける為の手練れが数名必要だ。離反した連中では時間稼ぎにもならんしな・・・)仕方無い。お前達も手を貸してやれ。」

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

シン「おお!見渡す限りの穀倉地帯!!ここがクルト王国か!!」

 

ナージャ「とても綺麗!」

 

アウグスト「食料自給率が300パーセントを超える麦の大生産地だからな。」

 

マリア「世界中の国々がクルトから麦を輸入してるって授業で言ってたわね。」

 

リオ「良いね!」

 

マーク「ウォルフォード君、この国ではメリダ様が大人気なんスよ!」

 

シン「婆ちゃんが?何で?」

 

マーク「これだけ広大な土地を、人の手だけで耕したり、収穫するのは無理ッスよね?だけど、メリダ様がそれらを補助する為の魔道具を開発したお陰で、収穫高が劇的に増えたんス。だから、クルトでは今でも賢者様より導師様の方が英雄視されてるんス。」

 

リオ「やっぱ導師様は格好良いね!」

 

ユーリ「民の為になる魔道具を創る・・・流石はメリダ様よねぇ!益々尊敬しちゃうわぁ!」

 

トニー「導師様は何時でも『市民の味方』って言うイメージが強いよねぇ。」

 

 

 

 

クルト王国。買ったパンを食べ歩きする。

 

シン「ん〜〜〜〜!流石にパンが美味い!」

 

シシリー「偶には食べ歩きも良いですね。」

 

タクト「このホットドッグ美味え!」

 

リオ「今まで食った中でも凄く美味しい!」

 

デイジー「本当!美味しいわね!」

 

ナージャ「美味しい〜!」

 

国民「あ!賢者様と導師様だ!」

 

シン「え!?」

 

2人がここに来てるのかと思われたが・・・

 

 

 

 

実際はマーリンとメリダの若い頃の絵だった。

 

 

 

 

シン「何だ絵か・・・」

 

タクト「うわぁ、お2人方若えなぁ・・・」

 

アリス「格好良いなぁ。」

 

マーク「お2人に関する本もいっぱい売ってるッス。」

 

リオ「賢者様の創作に、導師様の小説。」

 

シン「いっぱい?爺ちゃん達の本って一種類じゃないの?」

 

マリア「な訳ないじゃない。今でも毎年数冊ずつ新刊出てるわよ。オリジナルを始め、お2人の活躍の裏話を書いたものだったり、完全な二次創作だったり、イメージ画集だったり、教本だったり、ありとあらゆるジャンルが世に出てるわよね。」

 

シン(と・・・とんでもない事になってるよ爺ちゃん、婆ちゃん・・・そりゃ街を離れて隠居したくもなるわ・・・)

 

ユーリ「今のお2人も良いけど、当時の物語もやっぱり興味深いものねぇ。」

 

国民A「ん?アンタ達、賢者様と導師様を見た事あるのかい?」

 

マリア「あ・・・はい、えーーと・・・私達、アールスハイドから来たんです。」

 

国民A「あらまあ、アールスハイドから!」

 

国民B「え?何?」

 

国民C「あの人達賢者様と導師様の知り合い?」

 

国民D「お2人の事を知ってるんですか!?」

 

国民E「羨ましい!私もお目に掛かりたいわ!」

 

国民F「是非お話をお聞かせ下さい!」

 

シン(うお・・・この人気っぷり・・・何か恥ずかしい・・・)

 

しかしそこで、またメイが口走った。

 

メイ「あはは、シンお兄ちゃん照れてるです。」

 

国民G「ん?何でにいちゃんが照れるんだい?」

 

メイ「だって、シンお兄ちゃんはマーリン様とメリダ様のお孫さんです!!」

 

全員「あ・・・」

 

タクト「あの・・・メイさん・・・?」

 

国民H「え?孫?嘘だろ?」

 

国民I「いや待てよ?確か最近お2人が孫を連れて王都に戻ったって・・・」

 

国民J「名前・・・何て言ったっけ・・・えーと・・・」

 

国民K「確か・・・シン=ウォルフォード・・・」

 

メイ「シンお兄ちゃんです!!」

 

国民H「本物かぁ!!」

 

国民A「マジでお2人のお孫さん!?」

 

国民G「あ・・・握手して下さい!!」

 

国民B「サイン!せめてサインを〜〜〜!!!」

 

シン「おわっ!ちょ!」

 

タクト「おい逃げるぞ!!」

 

シン「あ、ああ!!」

 

急いで逃げる。

 

エリザベート「もう!!メイがあんな事言うから!!」

 

メイ「ゴ・・・ゴメンなさいです〜〜〜!!」

 

デイジー「メイ姫様何でバラしたの!?」

 

タクト「無意識に口走っただけだ!!兎も角逃げろ!!」

 

国民H「あ!居た!お孫さんとお連れの人達!!」

 

曲がり角から大勢の市民達が。

 

マリア「ひえええ!!」

 

シン「異常だろこの国の執着っぷり!!お・・・おい、ちょっと身体強化してマジで逃げるぞ!!」

 

エリザベート「ぜぇ・・・ぜぇ・・・わ・・・私は・・・ここまでですわ・・・もう置いて行って下さいまし・・・どうせ身体何とかも出来ないし・・・」

 

シン「エリー!」

 

しかしそこでアリスが。

 

アリス「もう仕方無いなあ!!」

 

エリザベート「きゃあっ!?ちょっとアリス!?」

 

アリス「さぁ行くよ!!」

 

小柄なアリスがエリザベートを抱えてダッシュした。

 

マリア「一番小柄なアリスがエリーをお姫様抱っこ・・・」

 

ユーリ「不思議な光景ねぇ・・・」

 

逃げてる最中にアリスが不機嫌。何故なら、エリザベートの豊富な胸が揺れてるからだった。

 

アリス「さっきからポヨポヨポヨポヨと!!嫌味か!!」

 

エリザベート「わざとじゃありませんわよ!!」

 

アリス「もぐぞ!!」

 

エリザベート「捥がないで下さいまし!!」

 

タクト「こうなったら!!」

 

右手を前に出して、ゲートを出した。

 

タクト「彼処に逃げろ!!」

 

全員がゲートに飛び込む。

 

 

 

 

 

 

一方クルト王国の遠い所にある丘の上では。

 

ローレンス「さーて皆さん、クルトに到着しましたよ。」

 

魔人達を率いるローレンスが居た。

 

ローレンス「1つ、スイードに現れた例の連中が、現在クルトに居ると言う情報が入っています。」

 

魔人A「お・・・おい何だそれ!!今になって・・・意味ないじゃねぇか!何の為にわざわざこんな遠国まで・・・」

 

魔人B「前の二の舞はゴメンだぞ!」

 

魔人C「アールスハイドから離れれば問題ないって言ったのはお前だろうがよ!」

 

ローレンス「(それ、俺が言ったんだったか?)大丈夫ですよ。奴らの戦力を削ぐ術は既に考えてあります。あなた方には標的を1名に絞って攻めて欲しいんです。奴らは強力ですが、あなた方の力を結集すれば、人間1人訳ないはず。他の連中は私が何とかしましょう。」

 

魔人A「よく分からねえが、1人を襲えば良いんだな?・・・まあ1人位なら・・・」

 

ローレンス(やれやれ、弱くになったもんだ。アテにならねぇな・・・何とか此奴らを奮起させねぇと・・・くそ、何でこんな下らん事ばかりに頭を・・・)

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
スティーブ:伊原正明
エリザベート=フォン=コーラル:南雲希美
メイ=フォン=アールスハイド:雛乃木まや

ジークフリード=マルケス:金子誠
クリスティーナ=ヘイデン:古賀葵

ドミニク=ガストール:小山剛志
ルーパー=オルグラン:保村真

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
グレア:高橋李依

ガラン:竹内良太

ローレンス:杉山紀彰
アベル:古川慎
カイン:井上雄貴

ゼスト:津田健次郎
ミリア:大原さやか

国民:難波佑香
   八木侑紀
   市川蒼
   松田修平
    狩野翔

魔人:野瀬育二

オリバー=シュトローム:森川智之





次回予告

クルト王国に現れた魔人集団。その中に斥候魔人が複数紛れ込んでいた。アルティメット・マジシャンズを圧倒する彼等の力は・・・

次回ウルトラマンティガ

襲来者を撃て

お楽しみに


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第13話「襲来者を撃て」

襲来者を撃て
斥候魔人、魔人集団 登場



ゲートで何とか逃げ切れたシン達は、人気の無い路地裏に。

 

シン「逃げ切れたか・・・?」

 

タクト「ナージャ、追っ手の反応は?」

 

ナージャ「・・・大丈夫。周囲に居ない。」

 

シン「ふぅ・・・」

 

メイ「ごめんなさいですシンお兄ちゃん・・・私がうっかり・・・」

 

シン「いいよ、俺は気にしてないから。メイちゃんも気にしないで?」

 

メイ「ハイです・・・」

 

タクト「だけど、公の場で口走っちゃダメだよ?今度から気を付けようね?」

 

メイ「タクトお兄ちゃん・・・ハイです・・・」

 

???「おい。」

 

全員「うわぁ!?」

 

アウグスト「何しているんだお前達は?こんな路地裏で。」

 

シン「な・・・何だオーグ達か・・・びっくりした・・・」

 

タクト「急に呼ぶなよ・・・心臓に悪いわ・・・」

 

シン「クルト王との会談は終わったのか?」

 

アウグスト「ああ、滞りなくな。後は日を改めてエルスとイースとの交渉を行うだけだ。」

 

シン「よし、じゃあこれ以上騒ぎになる前に早いとこ・・・」

 

 

 

 

”カンカンカンカン!!”

 

 

 

 

突然警告の鐘が鳴り始まった。

 

タクト「何だ!?」

 

リオ「・・・まさか!」

 

ケイティ「これって!」

 

兵士「緊急警報発令!!総員速やかに避難せよ!!魔人襲来!!繰り返す!!速やかに避難せよ!!」

 

「魔人だって!?」

「嘘だろ!?」

「うわ・・・逃げろ!!押すなおい・・・!!」

 

マリア「え?何?魔・・・!?本当に!?」

 

トール「自分達が偶々居る時に攻めて来たって事・・・ですか!?」

 

デイジー「嘘でしょ!?」

 

アウグスト「偶然とは思えんな。・・・まあいい、無視は出来ん。迎撃するぞ。エリーとメイは住民と共に避難していろ。」

 

エリザベートとメイがすぐに避難する。

 

ナージャ「・・・・来る!!」

 

リオ「ナージャ、何処から?」

 

ナージャ「平原から!」

 

 

 

 

”ドガーーーーン!!!!”

 

 

 

 

タクト「っ!?」

 

シン「爆発!?何であんな場所で・・・!?」

 

 

 

「北東側の城壁か!?おい確認を急げ!!」

「はっ!!」

 

 

 

マリア「一体何よ!?奴らまだあんな遠くに居るのに・・・」

 

アウグスト(別働隊か?しかも監視には引っ掛からずに?)

 

ナージャ「まだ来る!」

 

アウグスト「何!?」

 

 

 

 

”ドゴーーーーーーン!!!”

 

 

 

 

兵士「ほ・・・北東に続いて4箇所で爆発です!!正面を除く計5箇所にも敵が居ると思われます!!」

 

 

 

タクト「マジかよオイ!?」

 

シン「完全に裏を掻かれた!!」

 

マリア「ねぇどうすんの!?」

 

アウグスト「規模が分からん以上、迂闊に兵を送るべきじゃないな。我々だけで対処しよう。止むを得ん!!スイードの時と同様ペアで迎撃しろ!各々の討伐が完了次第、別メンバーに合流しろ!!」

 

全員「了解!!」

 

 

 

 

 

 

正面の城門。

 

アウグスト「シン!お前はクロードとタクトと共に正門を死守しろ!!」

 

シン「任せろ!」

 

タクト「リオ!他を頼むぞ!」

 

リオ「任せて!」

 

タクト「ナージャ!ケイティ!お前達も避難しろ!」

 

ナージャ「気を付けてね!」

 

ケイティ「頼むわね!」

 

タクト「デイジーも!」

 

デイジー「分かった!気を付けてね!」

 

 

 

 

魔人A「ひゃっはっ!!俺が一番乗りだ!!見てろよあの野郎!!」

 

魔人B「俺もやるぜ!!」

 

シン「撃って来た!!っ!?シシリー!!」

 

魔人が飛ばしたファイヤーボールがシシリーに向かってる。

 

タクト「させるか!!」

 

しかしタクトのウルトラシールドで防いだ。

 

タクト「シシリー!大丈夫か!?」

 

シシリー「大丈夫です!助かりました!」

 

魔人A「はっはぁ!!!」

 

真横から魔人が現れ、シシリーを殺そうとしたが。

 

タクト「殺らせるか!!」

 

ジャンプしてスパークレンスを掲げて光に包まれ、ウルトラマンティガとなって着地して魔人を受け流した。

 

ティガ「シシリーを狙うとは良い度胸してんな!!」

 

受け流した魔人にティガスライサーで胴体を切断した。

 

「先陣が殺られた!!」

「どんどん行け!!」

 

ティガ「シシリー、大丈夫か?」

 

シシリー「タクト君・・・ありがとうございます!」

 

シン「敵の数が多い、気を付けてシシリー!タクト、全力で行くぞ!」

 

ティガ「勿論だ!」

 

 

 

 

同じ頃アウグスト・マリア組は。

 

アウグスト「ここか。爆破地点は。」

 

マリア「敵は何処に!?」

 

アウグスト「街が騒ぎになっている様子はないな・・・となると。」

 

そこに、1人の魔人が現れた。

 

ダンテ「お初にお目に掛かる。アウグスト=フォン=アールスハイド王太子殿下。並びに、アルティメット・マジシャンズの一員、マリア=フォン=メッシーナ殿。魔人シュトローム様の配下・・・このダンテが一時のお相手させて頂こう。」

 

アウグスト「(此奴ら・・・既に我々の情報を・・・)わざわざ名乗って貰って恐縮だが、そちらが魔人である以上、討伐するのに僅かな躊躇いも持つ訳にはいかん。手段を問わず、向かわせて貰うが、構わんな?」

 

ダンテ「勿論だ。」

 

 

 

 

トール・ユリウス組は、魔人のリオネルと交戦。

 

アリス・リン・リオ組は、魔人のカインと交戦。

 

トニー・ユーリ組は、魔人のアベルと交戦。

 

マーク・オリビア組は、魔人のサイクスと交戦。

 

 

 

 

異空間収納からスピアを取り出したダンテ。

 

アウグスト「メッシーナ、スイードでの経験は一度全て忘れろ。恐らく此奴こそが魔人だ!」

 

突進からのスピアの突き攻撃をしたが、アウグストとマリアが間一髪避けた。

 

ダンテ「まだだ!」

 

右手を振り上げて砂嵐を飛ばした。

 

アウグスト「ちっ・・・!!」

 

間一髪、魔力障壁で防いだ。

 

アウグスト(魔法も使えるのか・・・!!)

 

後ろからマリアがダンテを溶かそうと炎を集めるが。

 

マリア「っ!?(敵の後方に殿下が・・・!!これじゃ魔法が・・・!!)」

 

アウグスト「(わざと槍の攻撃で分断したのか・・・!!)構うなメッシーナ!!こっちは障壁で防げるんだ!!」

 

ダンテ「その通り!だが戦場では、その一瞬の躊躇いが命取りだ!!」

 

スピアでマリアの腹部を突き立て、そのまま後ろに放り投げて地面に叩き落とした。

 

アウグスト(くそっ・・・!!常に2人の間に位置を取る・・・!!)

 

マリア(一撃目は物理防御が働いたけど・・・逃げ決めでそのまま流された・・・!!)

 

アウグスト(スイードでの連中とはまるで違う・・・此奴・・・戦い慣れてる・・・!!)

 

 

 

 

そしてアリス・リン・リオ組は。

 

カイン「魔法使いの大きな弱点だ。」

 

後ろに回ったカインがアリスに攻撃しようとしたが。

 

リオ「アリス!!」

 

アリス「わっ!!」

 

リオが剣でカインのダガーを防いだ。

 

アリス「リオ君!!」

 

リオ「危なかった!」

 

カイン「接近戦に対し、兎に角脆い。お前らの魔法発動までの速度は驚異だが、飽く迄それは魔法使い同士の戦いでの話。剣を振るう速度を超える事は絶対に出来ない!!」

 

ダガーでリオを斬ろうとしたが。

 

リオ「ダァッ!!」

 

右足でダガーを蹴り上げた。

 

カイン「手応えがまるでねーや・・・!」

 

後ろからリンが水流魔法を放水するが、カインが避けた。

 

カイン「邪魔だ。」

 

ダガーをリンに投げると、リンの顔面にダガーが命中した。

 

アリス「リン!!!」

 

ブーメランのように戻って来るダガーをキャッチし、リンが倒れた。

 

リオ「ヤアアァァァァ!!!」

 

高速斬撃を駆使しながら攻撃する。

 

カイン「ぐっ!(此奴・・・やるな・・・!!)」

 

 

 

 

そしてトニー・ユーリ組は。

 

トニー「君の言う理屈は分かったけどさぁ、それって、でも僕らが接近戦でもイケるなら弱点はないって事だよねぇ?」

 

ユーリ「トニー君・・・」

 

トニー「ユーリさん、悪いけど今回は、後方支援に徹してくれるかな?久し振りだよ、こっちメインで戦うのは。」

 

騎士の剣を握る。

 

トニー「生憎、ウチにもちゃんと居るんだよねぇ。接近イケるの何人か!」

 

両者が一斉に飛び、剣で鍔迫り合う。そして何度も弾き合う。

 

アベル「ウォルフォードがお前達に何を施したか知らないが・・・確かに魔法使いとしての力を驚嘆ん値する。だが、剣の腕は大口を叩く程じゃないな。」

 

トニー「っ!そりゃ傷付くなぁ(まー確かに、ブランク長いけど。)」

 

するとアベルが、真下に向かって風を放ち土煙を撒き散らす。

 

 

 

ユーリ「トニー君!!」

 

 

 

トニー(くっそ・・・まさかあんな至近距離で土煙を・・・!)

 

後ろからアベルが、剣をトニーの首に向ける。

 

アベル「覚悟が足りんな。自らの命を危険に晒さず勝てるつもりか?物理防御を解け。一撃で楽にしてやる。」

 

ユーリ「くっ・・・!」

 

トニーを助けようとしたが、アベルが妨害した。

 

ユーリ「わっ!!」

 

アベル「動くな女。撃ち抜くぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

トール・ユリウス組は。

 

リオネル「柔いなぁ。潰し甲斐がないぜ。」

 

ユリウスがリオネルに滅多打ちにされてる。トールが魔法を放つが。

 

リオネル「あぁん?」

 

魔力障壁を伸ばして弾いた。

 

トール「・・・!!」

 

リオネル「仲間が離れるの待ってから撃ってんじゃねぇよ。不意打ちにもなりゃしねぇ。」

 

ユリウス「ぐっ・・・!!拙者以上の怪力には初めて会ったで御座る・・・!!」

 

トール「身体強化同士で戦ってこの実力差・・・魔人とはいえ・・・地力からしての差があり過ぎる・・・!!」

 

リオネル「身体強化だぁ?そりゃこれの事かよ?」

 

身体強化を発動した。

 

ユリウス(まさか、今まで魔法無しで!?)

 

トール「化物め・・・!!」

 

 

 

 

 

 

マーク・オリビア組は。

 

マーク「はぁ・・・はぁ・・・」

 

オリビア「マーク!!」

 

サイクス「おいおい何だよ。ちっとは使えるかと思ったら、てんで素人の剣じゃねーか。魔法で戦えないからって、取り敢えず出してみただけかぁ?浅はかだぜ。」

 

マーク(悔しいけど、彼奴の言う通り・・・苦し紛れの戦法が通じる相手じゃない・・・!!くそ・・・何とか時間を稼いで他のメンバーが来てくれるのを待つしか・・・!?)

 

後ろに振り向いてオリビアを見る。

 

オリビア「マーク?」

 

マーク「(バカか俺は・・・守らなきゃいけない女の前で何考えてんだ・・・!!時間を稼ぐ!?誰かを待つ!?時間を掛けたらそれだけオリビアが危険だって事だろうが・・・!!)全く嫌になるッス・・・!!どうして俺は、こう何時も・・・!!・・・・・・二番手・・・下っ端・・・周りがすげー人ばかりだったからって・・・何時から当然のように受け入れてたんだそんな立場・・・」

 

オリビア「マーク・・・」

 

マーク(自分の事、最初から諦めて強くなんかなれるか!!ウォルフォード君・・・ゴメン・・・!!)

 

彼は覚悟を決めて服を脱ぎ捨てた。

 

オリビア「マーク!?何してるの!?」

 

マーク「守られてばかりじゃ、何時まで経っても覚悟が決まらない・・・!!ここからは・・・!!俺自身で相手してやる・・・!!」

 

サイクス「良い度胸だ坊主。死んでも恨むなよ?」

 

 

 

 

再びトニー・ユーリ組は。

 

トニー「覚悟かぁ・・・確かにすかもねぇ。暫くシンの傍に居たせいで、何となく彼と同様に自分も最強になったって家臣してたかも知れない。僕はシンとは違うのにねぇ。・・・あーあ、皮肉だなぁ。そんな事に気付いた直後でも・・・やっぱり彼に助けられるんだから。」

 

アベル「何の話だ?」

 

トニー「こう言う事だよ。」

 

ジェットブーツを発動し、アベルの剣を弾いた。

 

アベル「何・・・!?」

 

剣に罅が入った。

 

ユーリ「トニー君!大丈夫!?それってウォルフォード君の・・・!?」

 

トニー「嫌になるなぁ、奥の手使ってもノーダメージか・・・シンに対する劣等感ってのはさ、男なら少なからず感じてると思うんだよ。殿下なんか特にそうじゃないかな?スイードの時、シンとタクトに替わって魔人のリーダーの討伐を買って出たらしいけど、まさしくそれを払拭する為の行動でしょ。近くて遠い存在だけどさ、シンってやっぱり少しでも近付きたくなるんだよねぇ。」

 

 

 

 

アウグスト・マリア組は。

 

ダンテ「フッ!!」

 

スピアでアウグストを突き刺そうとしたが、アウグストが軽々と掴んだ。

 

ダンテ「むっ!?(優れた身体強化だ・・・魔人である私と同等の力・・・)しかしここからどうするつもりだ?ここまで接近していては、魔法による攻撃も下手には・・・」

 

アウグスト「悪いが、形振り構ってられん。他の方法が浮かばん故・・・許せ。」

 

電撃の魔法を発動し、ダンテと共に自分も直撃した。

 

マリア「ちょ・・・殿下!?」

 

ダンテ「ぐぬっ・・・!?(自らの体ごと電撃を・・・!!)」

 

すぐに後ろに離れた。

 

マリア「止めて下さいよ!危ない事するの!王太子でしょうが!」

 

アウグスト「気にするな、この装備ならば滅多な事じゃダメージを受けん。だが・・・それはあちらも同様か。」

 

ダンテ「捨て身の戦法・・・恐れ入る。王族に連なる人間にしては、中々肝が据わっているな。我等魔人の相手はそうでなくては。」

 

 

 

 

そして正門を死守しているティガ達は。

 

ティガ「次から次へとシシリーばっか攻撃するとはな!」

 

魔人「ごぁっ!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

スカイタイプへタイプチェンジした。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

素早い攻撃で魔人と戦う。

 

魔人「ごはっ!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

更にティガフリーザーで魔人を凍結して、ハンドスラッシュで粉砕した。

 

ティガ「シシリー!」

 

シシリー「タクト君!」

 

ティガ「奴等お前を狙ってる!俺達が護衛する!その隙に攻撃を!」

 

シシリー「はい!」

 

ランバルト光弾・散弾バージョンで魔人達の頭部を貫いた。

 

魔人達「ウオオオォォォォ!!!!」

 

ティガ「まだ来る!一気に片付ける!」

 

パワータイプへタイプチェンジし、シシリーに迫る魔人達を蹴散らす。

 

シン(此奴等・・・!!)

 

魔人「さっさと死ね女ああああ!!」

 

ティガ「させるか!!!」

 

魔人「っ!?」

 

後ろからシンが現れ、魔人の頭部を地面に減り込ませる。

 

ティガ「シン・・・!?」

 

シン「おい・・・意図的に俺とタクトじゃなく、シシリーを狙ってるな?」

 

彼から黒い魔力が広範囲に広がった。

 

 

 

 

アウグスト「シン・・・!?」

 

 

 

 

シン「どう言うつもりだ?お前ら!!!!」

 

彼の怒りが頂点に達した。

 

 

 

 

ローレンス「っ!?」

 

 

 

サイクス「オイオイマジかよ・・・何だこの魔力は・・・!?」

 

 

 

リオネル「奴か・・・!?」

 

 

 

カイン「聞いてた通りの怪物だなぁ・・・」

 

 

 

アベル「成る程、賢者にもまるで引けを取らん・・・」

 

 

 

ダンテ「ローレンスが恐れる訳だ・・・」

 

 

 

シン「タクト、手伝え!!」

 

ティガ「あ、あぁ!!ハァッ!!」

 

シンが魔力を最大限まで圧縮させ、ティガがエネルギーを集める。

 

 

 

「や・・・ヤバい!!あれはヤバい!!」

「お・・・俺はもう抜けるぞ!!」

「なっ!おい!ちょっと待て!!」

「ひぃっ!俺もゴメンだ!!か・・・勝てる訳ねえ!!!」

 

 

 

シン「散々シシリーを危険に晒しておいて逃げる・・・だと?逃す訳ねえだろ・・・このクズヤロー共があああああああ!!!!!」

 

ティガ「チャァッ!!!!」

 

圧縮した魔法とデラシウム光流で魔人達を大爆発させた。

 

 

 

 

ローレンス「はぁ・・・はぁ・・・危なかった・・・集団から離脱していなかったら・・・間違いなく死んでた・・・!!」

 

 

 

ティガ「ハァッ!!」

 

スカイタイプへタイプチェンジして飛翔し、上空からランバルト光弾・散弾バージョンで他の魔人達に放った。

 

 

 

 

ダンテ「ぐああああ!!」

 

リオネル「ぐおおおお!!」

 

カイン「がああああ!!」

 

アベル「ぐああああ!!」

 

ランバルト光弾が魔人達に直撃した。

 

 

 

 

ローレンス「タクト=クリスティ・・・やはりあの力は侮れんな・・・!!」

 

右手を上に挙げて、信号弾を発砲した。

 

 

 

 

アリス「あ!待て!何処へ・・・」

 

リオ「逃げる気!?」

 

カイン「悪いな、合図だ・・・機会があったらまた闘おうぜ・・・じゃあな・・・」

 

負傷しながら去った。

 

アリス「・・・・」

 

リン「う・・・」

 

アリス「リン!」

 

リオ「大丈夫?って無傷!?」

 

リン「前にウォルフォード君がくれた防御付与アクセサリー・・・これで服以外の箇所をガード出来てたから助かった。衝撃で気は失ったけど・・・」

 

リオ「そうか、良かった・・・」

 

 

 

 

ダンテ「ここまでだな・・・」

 

マリア「っ!?」

 

アウグスト「どう言う意味だ?」

 

ダンテ「目的は達成した・・・これで失礼する。」

 

アウグスト「目的!?(実力は向こうが上だが、こちらに完璧な防御付与がある故の均衡状態・・・まるでそれが分かった上で時間を稼いでいたかの様な・・・)お前達はクルト侵攻の為に来たのではないのか!?」

 

ダンテ「・・・答える義務はない・・・」

 

彼も退散した。

 

 

 

 

他の魔人達も撤退した。

 

 

 

 

正門。

 

ティガ「・・・」

 

光となってタクトに戻った。そして他の皆が合流した。

 

マリア「皆、無事・・・あ!?」

 

アリス「うわ、ちょ・・・麦畑が・・・」

 

ナージャ「無くなってる・・・」

 

ケイティ「それに何この抉られた地面は!?」

 

リオ「流石にやり過ぎなんじゃ・・・」

 

デイジー「酷いわねこれ・・・」

 

シン「ゴメン!やっちゃった!」

 

アウグスト「お前何回目だ?その台詞・・・」

 

シン「いや、何と言うか・・・シシリーを狙われて・・・ブチ切れたと言いますか・・・」

 

タクト「俺もやっちまった・・・すまん・・・」

 

アウグスト「タクトもかよ・・・まあいい、小麦の方は王家で買い取るとして・・・それより・・・ん?どうした?何か全員様子が・・・」

 

 

 

皆が訳を話した。

 

 

 

シン「そうか、魔人側にもまだそんな奴らが・・・」

 

マリア「街に被害がなかったから良し・・・って気分じゃないわよね・・・」

 

アウグスト「私の采配ミスだ。シンとタクトを正面の城門に据えていなければ、数体撃退出来ていたかも知れん。」

 

アリス「シン君の言う通りだったよ。魔人をナメてた。まだ奴らの底は知れない。」

 

トニー「強いよ彼奴ら。恐らくずっと、生死の境ギリギリに身を置いてきた人間だ。自分の命を削る事にすら微塵も躊躇いがない。」

 

ユリウス「今の拙者では、まず勝てんで御座る・・・」

 

リオ「今後も奴らは強くなりそうだね。」

 

マーク「でもいいッス。これからまた強くなる理由が出来たッス。」

 

アウグスト「スイードでの経験も踏まえて、感じた事がある。月並みな表現になるが、奴ら魔人は帝国の運だ亡霊だ。帝国の長い歴史の中、不遇な扱いを受けて来た者達が呪いとなって世界に放たれようとしている。不遇な環境で培われた思想は必ず、新たな不遇を生む。奴らの狙いが何であれ、事実そうなれば、ブルースフィアの思想・・・つまりは帝国が世界を支配する事と動意だ。」

 

タクト「帝国が世界を支配・・・」

 

アウグスト「阻止せねばならない。我々で・・・絶対にだ!」

 

シン「ああ!その為にも強くなろう!今よりももっと!」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
グレア:高橋李依

エリザベート=フォン=コーラル:南雲希美
メイ=フォン=アールスハイド:雛乃木まや

ローレンス:杉山紀彰
アベル:古川慎
カイン:井上雄貴
ダンテ:柳田淳一
サイクス:興津和幸
リオネル:内匠靖明

魔人:野瀬育二
   松田修平





次回予告

再び強化合宿を提案し、今度はユリウスの領地・リッテンハイムリゾートで強化合宿。その夜、シンはシシリーにある約束をした。

次回ウルトラマンティガ

合宿バケーション

お楽しみに


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第14話「合宿バケーション」

合宿バケーション



アウグスト「魔人襲撃で予定より1日延びてしまったが、これよりアールスハイドに帰還する。・・・シン。」

 

シン「ん?」

 

アウグスト「不遜な言い方だが、お前のお陰で私達は随分力を付けた。だが、まだお前と私達の間には大きな隔たりがある。」

 

シン(何でちょっと不機嫌そうなんだ?)

 

アウグスト「・・・だが、何時か必ず・・・」

 

マリア「?」

 

タクト「オーグ?」

 

アウグスト「兎も角、お前達はもう少し力の振る舞いを知れ。」

 

シン「っ!む、麦畑の話か!?」

 

タクト「いや、あれは確かにやり過ぎだと自覚してるよ!」

 

シン「スマン!」

 

マリア「まあ、気持ちを分かるけどね、シシリーを目の前で狙われたら・・・私だって黙ってられないし。」

 

トール「ただ、シン殿とタクト殿の場合、レベルが違い過ぎるんですよね。うっかり間違って、魔法1発で街1つ消し飛ばし兼ねないですから。」

 

オリビア「ウォルフォード君、クリスティ君、うっかり世界を滅ぼさないで下さいね?」

 

タクト「・・・はい!?」

 

シン「俺達は魔王か!?流石にそこまではしねえよ!昨日だって魔力探知で一般人を巻き込まないの分かった上で・・・え?」

 

皆がひそひそ話してる。

 

タクト「お、お前ら何ひそひそしてんだ?」

 

マリア「魔王・・・言い得て妙ね・・・」

 

リン「魔法使いの王・・・ウォルフォード君とクリスティ君にぴったり。」

 

ユリウス「”魔王”シン殿とタクト殿で御座るか・・・」

 

アウグスト「フム、シンとタクトの二つ名は決まったな。」

 

タクト・シン「・・・止めろ!!!」

 

シン「魔王ってもっとあれだろ!?世界を支配したり、悪さの限りを尽くしたり・・・イメージ悪過ぎだろ!!え!?まさか魔王の概念無いの!?」

 

アウグスト「何言ってるんだお前?」

 

ユーリ「格好良いわよねぇ。魔法使いの王で魔王!寧ろ、これ以上のものは浮かばないよねぇ。」

 

シン「思い浮かぶってぇぇぇ!!何かあるってぇぇぇぇ!!!」

 

タクト「俺は普通にティガで十分だ!!」

 

アウグスト「それよりそろそろゲートを開いてくれ。騒ぎは避けたいから、今度は詰所以外の場所でな。」

 

シン「だから俺達を虫して話進めんなって〜〜〜〜!!!!」

 

リオ「魔王の称号とは、タクト嬉しい?」

 

タクト「嬉しくねえよ!!俺はティガで十分だっての!!」

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王都。

 

「ねえ聞いた!?アルティメット・マジシャンズがまた他国で魔人を撃退したって!しかも今回は未然に防げたから犠牲者は全く居なかったんだって!」

「やっぱりシン様は凄いわよねぇ!」

「タクト様も格好良いわよねぇ!」

「私はシシリー様やマリア様に憧れちゃうわ!」

「私はやっぱりアウグスト様ね!・・・トニー君も良いけど。」

「あ〜〜浮気者〜〜!」

「国中の憧れよね〜!アルティメット・マジシャンズ!」

 

王国の女性達から絶大な人気を誇ってるアルティメット・マジシャンズ。

 

 

 

 

そんな中王城では。

 

ルーパー「お!」

 

ゲートで帰還したアルティメット・マジシャンズを見て驚いた。

 

ルーパー「おかえり・・・なさいませ。」

 

ドミニク「何故こんな場所に・・・」

 

アウグスト「む、休憩中だったか。スマンな。」

 

シン「騒ぎになるから、人の多い場所は避けようって事で、テキトーな所にゲート繋ぎました。」

 

ルーパー「そ、そうか。賢明だな。」

 

アウグスト「既にクルト防衛の街も広がって街中大騒ぎだ。全員しばらくは街に出ない方が良い。」

 

アリス「ええ!私達も!?」

 

ケイティ「あちゃ〜・・・」

 

アリス「クロードの街もきっと同じような状況だよね?しばらく何しよう・・・」

 

デイジー「ずっと家でゴロゴロするとか?」

 

ナージャ「体力が怠るよ?」

 

リオ「鈍っちゃうよぉ。」

 

ドミニク「そう言えば殿下。殿下が他国を回っている間に、エルスとイースとも連絡が付きました。」

 

アウグスト「っ!」

 

ドミニク「今の所、調整を経て三国会談を行う予定ですが・・・時期は学院が休暇明けになりそうです。」

 

タクト「会談は夏休み明けか。」

 

アウグスト「旧帝国に変化は無いか?」

 

ドミニク「今や帝国領は魔物の巣窟ですからな・・・正直他国の力を借りねば諜報活動すらままならん状況です。」

 

アウグスト「結局の所三国会談待ちか・・・」

 

ドミニク「ん?何か気に掛かる事が?」

 

アウグスト「強力な魔人が複数居た。恐らくは個々で国を落とせるレベルの手練れだ。クルトではそいつらを1体足りとも討伐出来ていない。」

 

ドミニク「っ!何と・・・」

 

ルーパー「くそ・・・やっぱ油断ならねぇな、魔人共・・・」

 

ドミニク「殿下、此方でも一つ気掛かりが。推測ですが、ウォルフォード君の調査に来たと思われる賊が1人王城に現れましたが・・・我々の失態で取り逃がしてしまいました・・・申し訳御座いません。」

 

シン「俺を?」

 

アウグスト「どんな奴だ?」

 

ドミニク「こう言っては何ですが・・・かなりの美形で、少年の様な男です。見た所、魔人共とは関係無いようでしたが・・・」

 

マリア「美形?」

 

アリス「どんな奴だろう?見てみたいね。」

 

アウグスト「何にせよ、今暫く動くべき時ではなさそうだな。合宿の続きで腕を磨きたいのも山々だが・・・人目を避けてとなるとそれも難しいか・・・」

 

タクト「合宿の続きは何処でやる?」

 

シン「うーん・・・」

 

そこにユリウスが提案を言った。

 

ユリウス「それならば全員で、拙者の実家に来ると良いで御座る。今なら魔人討伐や殿下の王太子就任で世間も浮かれている故、リゾート地に言っても何も言われんで御座ろう。」

 

マリア「ええ!?リッテンハイムリゾートに!?」

 

ケイティ「マジで!?」

 

リオ「本当に!?」

 

アリス「良いの!?やったぁ!!」

 

シン「ああ、前に言ってた武士のリゾートか。」

 

タクト「武士言うな。」

 

ユリウス「海でも山でも何でもあるで御座る。皆、特訓やら魔人やらで疲れも溜まっているで御座ろう。」

 

マリア「夏休みの締めにも丁度良いわね!」

 

シン「割り切ってバカンスってのは良いと思うけど、俺山育ちだし、山は取り敢えずいいかな・・・」

 

ユリウス「そう言えば、そうで御座ったな。」

 

シシリー「じゃあ海にしましょう。それならシン君も楽しめますよね?」

 

マリア「おっと、やるわねシシリー。」

 

シシリー「何が?」

 

マリア「海って事は水着よねぇ?シシリーったら、シンに水着を見せてどうするつもりなのかしらぁ?」

 

シシリー「あぅっ!そ、そんなつもりじゃ!た、ただシン君が楽しめた方が良いと思って!」

 

シン「分かってるよシシリー。」

 

シシリー「シン君・・・」

 

シン「水着楽しみにしてる。」

 

笑顔で言われてかぁっと赤くなった。

 

シシリー「もう!もう!」

 

怒ってポカポカ叩く。

 

シン(可愛いなぁ〜。)

 

ユリウス「そうで御座る。折角だし、都合が合えばご家族も連れてくると良いで御座る。幸か不幸か魔人騒ぎでキャンセルが多く出たで御座るからな。」

 

アリス「本当!?ユリウス君太っ腹ぁ!」

 

 

 

 

 

 

リゾート行きが決まった数日後、参加出来る家族が一同に集まり、リッテンハイム領まで大体2日の旅程で、何台かの馬車に別れて王都を出発した。

 

セシリア「家族揃ってリッテンハイムリゾートなんて最高ね。シン君に関わると素晴らしい事ばかりだわ。」

 

シルビア「本当ですねセシリアお姉様。」

 

シシリーの姉のセシリアとシルビア。

 

アイリーン「フフ・・・2人共、シシリーからシン君を取っちゃダメよ?」

 

シシリー「はぅっ!だ、駄目ですよ!」

 

セシリア「取らないわよ。魔法師団もお休み貰ったし、私達もしっかり満喫しちゃお。」

 

シン「え!?お2人は魔法師団なんですか!?」

 

セシリア「そうよ。ルーパー師団長やジークフリード様と同じね。」

 

シン(てっきり何処かのお嬢様学校にでも通ってんのかと・・・しかし濃い面子だな魔法師団・・・)

 

わいわいガヤガヤの中、シシリーの兄のロイスとマーリンは。

 

ロイス「マーリン様、僕の存在って認識されてます?」

 

マーリン「安心せい。ワシも大してされとらん。」

 

 

 

 

 

 

暫くして、リッテンハイムリゾートに到着。

 

シン「おお!海だ!」

 

タクト・リオ「海キターーー!!」

 

アリス「凄ーい!広ーい!」

 

 

 

 

王城。

 

マルコ「皆様、ようこそおいで下さった。拙者ユリウスの父、マルコ=フォン=リッテンハイムで御座る。」

 

シン(1ミリも武士関係ねぇじゃねーか!!ってツッコんだらマズイかな・・・)

 

マルコ「お久し振りで御座るアウグスト殿下。そして、お目に掛かれて光栄で御座る賢者様、導師様。それに・・・シン君、タクト君。君達はユリウスに出来た対等の友人だ。拙者、そう言った関係は何より大切に思う。皆と共にゆっくりと寛いでいってくれ。」

 

 

 

 

ビーチ付近のコテージ。

 

シン「え?シシリー、うちのコテージに泊まるの?」

 

シシリー「お母様が今から慣れておきなさいって・・・」

 

タクト「流石アイリーンさんだ。」

 

メリダ「歓迎だけど、寝室は別だよ。あんたら先に浜行っといで。私らも着替えて行くから。」

 

シン(ば・・・婆ちゃんも水着着る気だ・・・!!)

 

 

 

 

男性陣は水着に着替えてビーチへ。

 

シン「おお・・・白い砂浜!(前世でもこんなリゾート来た事ないなそう言えば・・・)」

 

タクト「青い空に白い雲!そして・・・」

 

水着姿のフェオン達を見る。

 

タクト「超絶美女の集団。」

 

フェオン「あらタクト?私の水着姿に惚れたかしら?」

 

タクト「ん〜・・・」

 

フェオン「何か言いなさいよ!」

 

タクト「なぁアンナ。ヒナ。」

 

アンナ「何です?」

 

ヒナ「どうしました?」

 

タクト「その胸、引っ込めないか?」

 

アンナ「はいぃ!?」

 

レア「えぇ〜?レアにとっては偉大な巨峰だぞ!?」

 

タクト「巨峰って言うの止めなさい。」

 

ヒナ「タクトさん?調子に乗ってると、どうなるか。」

 

タクト「す、すまん。冗談だ。・・・」

 

今度はレアとヒナを見比べる。

 

タクト「やっぱレアはその方が似合うな。」

 

レア「何だとお前!?」

 

エミリー「喧嘩は止めろ2人共。」

 

メイ「シンおにーちゃーん!タクトおにーちゃーん!」

 

タクト・シン「ん?」

 

メイ「お待たせー!」

 

水着に着替えた女性陣が到着した。

 

メイ「エヘヘ、どうですか?」

 

シン「可愛い可愛い。よく似合ってるよ。」

 

そしてユーリとエリザベートは。

 

タクト「お前らはもう少し自重してくれ・・・胸の露出多過ぎ・・・」

 

ユーリ「そぉ?」

 

エリザベート「だ・・・だってアリス達と買い物行ったらコレが良いって・・・あ・・・あまり見ないで下さいまし。」

 

タクト「アリスの野郎・・・」

 

リオ「それで、皆は無難にそれを選んだの?」

 

リン「心外。これが私達に1番似合う。」

 

アリス「そう、お子様水着がね!」

 

お子様水着を着てる2人がすぐに”しくしく”と泣き崩れた。

 

タクト「自爆したな・・・」

 

アリス「なあっ!!」

 

オリビアの水着姿に驚愕した。

 

アリス「お・・・温泉の時は見落としてた・・・こんな所に思わぬ伏兵が・・・」

 

タクト「お前ら元気だな。親御さん達はどうした?」

 

マリア「気にせず友達と遊んで来いってさ。」

 

グレア「優しいんだね。」

 

シシリー「あの・・・シン君、お待たせしました。」

 

漸く水着に着替えたシシリーが到着した。

 

シン「・・・!!」

 

シシリー「や・・・やっぱり少し恥ずかしいですね・・・」

 

シン「・・・・・・・・」

 

タクト「おい、何か言えよ!」

 

後ろから背中を叩かれた。

 

シン「あの・・・えと・・・可愛い・・・す・・・凄く似合ってる・・・」

 

シシリー「あ・・・ありがとうございます・・・」

 

アリス「さあ泳ごう!!」

 

 

 

 

女性陣が大いに海で遊ぶ。

 

 

 

 

トニー「いやー眼福眼福。僕らは幸せ者だねぇ。」

 

マーク「刺激が強いっス・・・」

 

ナージャ「ケイティ!行こう!」

 

ケイティ「待ってよ〜!」

 

リオ「デイジー!僕達も行こ!」

 

デイジー「走ると転ぶわよ!」

 

だがリンが止まって、何かを思い出した。

 

タクト「リンどした?」

 

リン「今思い出した、泳げない!」

 

グレア「カナヅチだね。」

 

シン「しょうがねーな、ちょっとバンザイしてみ?」

 

異空間収納から何かを出し、リンがバンザイすると、何かがすぽっとリンに入った。

 

リン「これ何?」

 

タクト(浮き輪?)

 

シン「こんな事もあろうかと作っといた。それ着けて海入ってみな。」

 

それは浮き輪だった。リンが浮き輪を持って海に入ると。

 

リン「お、お、おお!おおお〜〜〜〜!!!」

 

テンションMAXのリンが向こうへ泳ぎ始めた。

 

タクト「テンション高いな。」

 

マリア「ちょっとシン!あれ何!?」

 

シン「魔物化した大型のカエルの皮って、水を弾くし尚且つ軽いんだ。それでカナヅ・・・泳げない人用に浮き輪を作ってみたんだよ。」

 

アリス「凄い何それ画期的!!」

 

メイ「私も欲しいですシンお兄ちゃん!!」

 

 

 

 

”ドゴーン!!”

”チュドーン!!”

 

 

 

 

嘗てクロードの街の合宿でやったマジカルバレーのバトルをやっている。

 

シン「シシリー、暇だしちょっと俺爺ちゃん達の様子見てくるよ。」

 

タクト「じゃあ俺も。」

 

シシリー「え、あ、じゃあ私も一緒に・・・」

 

シン「大丈夫大丈夫。シシリーもやりたいでしょ?マジカルバレー。」

 

シシリー「え、・・・はい・・・少しだけ・・・で・・・でも何かシン君とタクト君が仲間外れにしてるみたいで・・・」

 

マリア「シシリー!順番回って来たよー!」

 

シン「気にせず楽しんで!すぐ戻る。」

 

タクト「じゃあな。」

 

2人はマーリン達の様子を見に行く。

 

シシリー「・・・・」

 

ナージャ「ケイティ!行くよ!」

 

ケイティ「全力で来て!」

 

リオ「デイジー!遠慮無しだよ!」

 

デイジー「行くわよ!」

 

 

 

 

 

 

シン「ん?」

 

タクト「マーリン様?」

 

釣りをしてるマーリンを発見した。

 

シン(爺ちゃん・・・見なかった事にしよう・・・)

 

タクト(何泣いてんだお前?)

 

セシリア「あらシン君にタクト君。」

 

シルビア「2人でどうしたの?」

 

シシリーの2人の姉、セシリアとシルビア。

 

シン「いえ、俺の提案した遊びに皆すっかりハマっちゃって・・・」

 

タクト「ワイワイして楽しんでる模様だ。」

 

セシリア「へぇ、そうなんだ。」

 

シルビア「暇してるって訳ね。」

 

メリダ「丁度良かった。だったらコレ塗っておくれシン。」

 

渡されたのはオイルだった。

 

シン「オイル?日焼け止めじゃなくて?若いなー。」

 

メリダ「海に来て焼かないとか、私の選択肢にはないさね。」

 

その場で水着を脱いだ。

 

タクト「ブハッ!?」

 

セシリア「ど、導師様!!そんな大胆な!!」

 

水着を脱いで、ビーチチェアの上で俯せになる。

 

シン(うーん、肩揉みレベルの面倒さ・・・何が悲しくて婆ちゃんにサンオイルを・・・・)

 

セシリア「・・・シルビア。」

 

シルビア「ええ、セシリアお姉様。」

 

セシリア「シン君、ちょっと良い?私達も日焼け止めまだなの。」

 

シルビア「塗っていただけない?」

 

シン「え!?・・・いやでも・・・そ・・・それは色々とマズいんじゃ・・・!!」

 

セシリア「フフ、大丈夫よ。シシリーには内緒にしておいてあげる。」

 

シルビア「それにこれはただの医療行為よ。疚しい事なんて何もないわ。」

 

シン「(何か物凄〜〜〜くダメな気がするけど・・・)そ・・・そう言う事なら・・・わ・・・分かりました・・・」

 

タクト「じゃあ俺はじっくり海でも眺めるか。」

 

セシリア「ねぇタクト君、私達の背中をマッサージしてくれない?」

 

タクト「え?」

 

シルビア「魔法師団で色々と疲れてるから、身体が少し凝ってるの。」

 

タクト「いや、そこはシンに頼めば?」

 

シン「おいタクト!」

 

セシリア「でも、シン君は日焼け止め塗ってくれるから、タクト君しか頼める人居ないの。」

 

シルビア「だからお願い。」

 

タクト「はぁ・・・分かった、良いだろう。」

 

 

 

 

水着を脱いで、ビーチチェアの上で俯せになる。

 

タクト「じゃあ、行くぞ。」

 

2人の背中をマッサージする。

 

タクト「結構硬いな・・・出来るだけ解すか。」

 

力を入れて背中を解す。

 

セシリア「あぁん・・・!」

 

シルビア「ひゃぁん・・・!」

 

タクト「あのぉ、喘ぎ声止めてくれませんかね・・・?」

 

 

 

 

数分後。

 

タクト「はぁ・・・はぁ・・・ど、どうだ・・・?」

 

セシリア「ありがとう、楽になったわ。」

 

シルビア「私達の専属マッサージ師にでもしてあげたいわ。」

 

タクト「勘弁。」

 

セシリア・シルビア「じゃあ、お願いねシン君。」

 

シン「(やっぱり絶対ダメな気がする!!)あ・・・あの・・・やっぱり・・・俺・・・!」

 

するとセシリアが。

 

セシリア「くしゅん!」

 

シルビア「ねえお姉様・・・何か寒くない?」

 

タクト「な、何だ?真夏とは思えないこの寒波は・・・!?」

 

シン(本当だ、何だこの冷気・・・)

 

後ろから謎の冷気を感じた。

 

???「シン君・・・・」

 

シン「っ!?」

 

 

 

 

 

 

シシリー「何・・・してるんですか・・・?」

 

 

 

 

 

 

真後ろからハイライトが消え、氷を発生させながら歩いて来るシシリーの姿が・・・

 

シン「シ・・・シシ・・・リー・・・・何・・・・でここに・・・・・!?」

 

シシリー「・・・いえ、シン君とタクト君を除け者にしたみたいで・・・やっぱり申し訳ない気がして・・・追い掛けて来たんですが・・・これは一体・・・どう言う事でしょうか?」

 

氷が徐々に増し、ビーチパラソルが凍結された。

 

タクト「さ・・・さびぃ・・・」

 

メリダ「・・・・」

 

シン「ち・・・」

 

セシリア・シルビア「違うのよシシリー!!」

 

シシリー「はっ!!」

 

シルビア「私達が彼にお願いしたのよ!!」

 

セシリア「そう!導師様に凄く上にオイル塗ってたから!!」

 

セシリア・シルビア(て言うか、シン君に塗って貰ったら何か運を分けて貰えそうな気がして・・・)

 

シン「ちょ・・・おね・・・」

 

シシリー「っ!!シン君!!見ちゃダメーーー!!」

 

シン「ぷわっ!?」

 

咄嗟にシンを抱いた。

 

タクト「・・・・・・」

 

そしてタクトは後ろに向いてる。

 

シシリー「もうお姉様!!ちゃんと水着着て下さい!!」

 

セシリア・シルビア「え?あ!」

 

シシリー「はっ!きゃああああごめんなさい!!」

 

シン「ぷはっ・・・」

 

メリダ「やれやれ、騒がしい子達だねぇ。」

 

シシリー「お婆様・・・」

 

メリダ「心配いらないよシシリー。この娘達の言ってる事は本当さ。寧ろシンはアンタの事を気にして躊躇してたしね。」

 

シシリー「そう・・・だったんですか・・・ごめんなさいシン君・・・私・・・早とちりして・・・」

 

シン「いやいや!俺も・・・誤解されるような子音してて・・・ごめん!」

 

タクト「本当賑やかなご夫婦だな。ってかシシリー、真後ろからフリーザーを起こすの止めろよ。怒るのは分かるが、まずは素直にシンがどうしてあんな事をしてるのか尋ねろよ。」

 

シシリー「は、はい・・・」

 

シン「一緒に戻ろう!折角海に来てるんだし!」

 

タクト「じゃあ泳ぐか!」

 

異空間収納から、前にシンに作って貰ったサーフボードを出して、波に乗る。

 

タクト「ヒャッホー!」

 

シシリー「・・・だったら・・・あの・・・シン君・・・」

 

シン「ん?」

 

シシリー「私にも・・・その・・・塗って欲しいです・・・日焼け止め・・・」

 

シン「っ!も・・・勿論!」

 

シシリー「えと・・・横になれば良いですか・・・?」

 

ビーチチェアに案内して、シシリーが水着を脱いで俯せになる。

 

シルビア「そう言えば。」

 

セシリア「私達、まだ塗って貰ってないわね・・・」

 

メリダ「安心おし。私が塗ったげるよ。」

 

セシリア「ひゃああああ!!ど、導師様冷た!」

 

シルビア「で・・・出来れば人肌ぐらいに温めてから・・・」

 

メリダ「はあ!?知るかいそんなの。」

 

 

 

 

 

 

ビーチバレーでは。

 

アリス「おりゃあああ!!フレイムトルネード!!!」

 

エリザベート「ちょ!待っ!ヤダヤダヤダヤダ!!」

 

パニックになって逃げれないエリザベートの前にトニーが出た。

 

トニー「任せてエリーさん!ウォーターブロック!!」

 

水魔法で相殺した。

 

アリス「ちくしょ〜〜〜〜!!やるなぁ!!」

 

マリア「あ、お帰り。」

 

タクト「ただいま。」

 

シン「な、何かまた痛過ぎる技名聞こえてくるんだけど・・・何?」

 

タクト「どうした?」

 

マリア「アリスが炎を纏わせたボールをフレイムアタックとか言い出して、何時の間にか皆して技名を付け出してるわね。」

 

フェオン「見てるこっちが恥ずかしくなると言うか。」

 

シン「マジすか・・・」

 

タクト「相変わらず腹痛ぇ・・・」

 

マリア「慣れると気持ち良いわよ!」

 

シン「マジすか・・・」

 

タクト「腹痛ぇ・・・」

 

ユリウス「殿下の雷神撃が止められないで御座る。」

 

マリア「リンの風神撃も中々厄介よね。シンとタクトも何か技名叫んでみたら?」

 

シン「ムリっす・・・」

 

タクト「腹が止まらねえ・・・」

 

 

 

 

 

 

時間が過ぎて夕方。

 

シン「はぁ〜〜〜遊んだ遊んだ!くたくただ〜〜〜!」

 

タクト「いやぁ〜〜汗だらけだぜ〜〜!早く風呂に入りてぇ〜〜!」

 

リオ「お腹減った〜〜〜!!」

 

トール「魔物の討伐よりよっぽど疲れましたね・・・」

 

アリス「お腹すいたよ〜〜〜!」

 

ケイティ「ナージャ、まさか私に勝っちゃうなんて凄かったよ!」

 

ナージャ「えへへ〜。」

 

リオ「もう容赦ないよデイジー!」

 

デイジー「どう?私の実力に恐れ入ったかしら?」

 

マリア「じゃあシシリー、シン、タクト、また夕食の時にね。」

 

シン「おう。」

 

タクト「じゃあな。」

 

マリア達が着替えに行った後。

 

セシリア「あら、あっちも丁度戻って来たわよ。」

 

シン「あ。」

 

タクト「セシリアさんにシルビアさん。」

 

シン「お2人も今お戻りですか?」

 

セシリア「ついついゆっくりしちゃったわ。」

 

シルビア「一生に一度あるかないかの経験ですものね。」

 

セシリア「あ〜あ、帰りたくな〜い!ずっとここに居た〜い!」

 

アイリーン「あら?何か聞き捨てならない事が聞こえたわね。」

 

セシリア・シルビア「!!」

 

タクト「アイリーンさん。」

 

アイリーン「休暇で腑抜けになって職務を疎かにしたら、承知しませんよ?」

 

シルビア「わ、分かってますよお母様!」

 

アイリーン「なら良いけど、その点シン君はそう言った心配はなさそうね。所で2人共、提案なんだけど。魔人の騒動が終わったらもう式挙げちゃいなさいよ。」

 

シン「あーはい。それは別に・・・え!?!」

 

シシリー「え!?!」

 

タクト「急だな。」

 

アイリーン「この世界規模の危機を解決したとなれば、シン君達は世界の英雄として扱われるでしょう。各国に協力を要請しているとは言え、やはり作戦の中心となるのはシン君やタクト君やアウグスト殿下のはず。そんな人がお相手なんだから、わざわざ卒業を待つ必要もないでしょう。」

 

シン「・・・で、でも学院は・・・?」

 

アイリーン「通えば良いわ。在学中に結婚するケースは確かに稀だけど、シン君の場合、経済的な心配もなさそうだし、危惧する事はなにもないもの。」

 

シン(確かに、軍用装備のアイデア料やら通信用魔道具の使用料やらで、口座がエラい事になってたような・・・)

 

タクト(印税が毎日入りそうだな・・・)

 

軍用に作った剣や、クロードの街で糸電話を模して作った通信用魔道具を思い出す。

 

アイリーン「最も、シン君の通学は『常識を知る』事も兼ねているそうだから、寧ろ退学されては困るしね?」

 

シン「はい!!(あ、マジだこの人!)」

 

アイリーン「それでね、急で悪いんだけどシン君は教会の希望とかある?」

 

シン「早い内に決めておきたいんだけど・・・あ、実は前々からオーグにお願いして決めてる所があるんです。」

 

アイリーン「あら関心。何処の教会?有名な所?」

 

シン「アールスハイド大聖堂です。」

 

アイリーン「ああ成る程、そこなら・・・」

 

急に3人が驚愕した。

 

アイリーン・セシリア・シルビア「えええええええ!?ア、ア、アールスハイド大聖堂ーーー!!?」

 

セシリア「嘘!マジ!?嘘でしょ!?」

 

アイリーン「コラ!セシリア口調!!ほ・・・本当なのシン君!?」

 

シルビア「だって彼処は代々王族しか式を執り行わないのに・・・」

 

タクト「やっぱ凄いんだな、アールスハイド大聖堂。」

 

シン「本当です・・・日程が決まったら教えてくれって言ってました。オーグと仲良くてラッキーでしたね。」

 

シシリー「シン君・・・」

 

シン「約束したろ?」

 

シシリー(嬉しいです・・・シン君・・・)

 

 

 

 

 

 

そして夕飯のバーベキュー。

 

シン「ひゃ〜〜〜美味そう!!頂きま〜〜す!!」

 

バーベキューは大賑わいを見せている。

 

タクト「いやぁ〜〜久々のバーベキューだぜ!!」

 

リオ「お肉美味しい!野菜も美味しい!」

 

デイジー「本当に美味しいわ!」

 

シン「グレたの爺ちゃん?」

 

グレア「シン、呼んだ?」

 

シン「グレアじゃない。」

 

タクト「誰かと喧嘩?」

 

マーリン「違うわい!1日釣りしとったら真っ黒になってしもうた。」

 

セシル「け、賢者様。何かお悩みでしたら私共が・・・」

 

マーリン「だからグレとらんわい!」

 

レア「ん〜!どれもこれも美味いぞ〜!」

 

フェオン「このお肉絶品ねぇ〜!」

 

イザベラ「お姉ちゃんとレアさんが頬張ってる・・・」

 

皆が賑わう中、あの人物が。

 

???「皆、楽しんでおるようだな。」

 

 

 

 

セシル「へ・・・陛下!?」

 

ロイス「それに・・・王妃様まで何故ここに・・・!?」

 

 

 

 

アウグストの親が来た。

 

ディセウム「おや?今日の招待は親子同伴でと聞いたが、私達が来るのは可笑しいかな?」

 

セシル「いえそんな事は・・・し・・・しかし・・・」

 

 

 

マリア「お・・・お2人は何時からいらしてたの・・・!?」

 

シン「ついさっきだよ。定期連絡にゲートで王城行ったら待ち伏せされてた。」

 

タクト「陛下も王妃様も面白いお方だな。」

 

 

 

メイ「お母様!!」

 

アウグスト「母上、遅いお着きで。」

 

ジュリア「余計な事言わなくていいの、アウグスト。」

 

彼女はジュリア=フォン=アールスハイド。アウグストとメイの母親で王妃様。

 

ジュリア「折角シン君の『ゲート』と言う便利な魔法があるんだから・・・私達王族の人間まで危険な馬車の旅するする必要はないでしょう?」

 

アウグスト・メイ「・・・本音は?」

 

ジュリア「馬車の旅はシンドい!」

 

周囲がしーーーんとした。

 

ジュリア「ぷっ・・・ほほほほほほ!冗談よ冗談!」

 

笑って誤魔化す。

 

 

 

 

シン「随分砕けた人だよな・・・」

 

マリア「・・・まぁ、そこが国民に好かれる所なんだけどね。」

 

タクト「オーグのご家族は面白い人ばかりだ。」

 

マリア「でも実際、ジュリア王妃様は福祉なんかにも凄く力を入れていて・・・お金を出すだけじゃなくて、自ら養護施設や孤児院に足を運んだりして、国民とのふれあいも大事にする方よ。」

 

タクト「へぇ〜。」

 

 

 

 

ジュリア「堅苦しいのは抜きにして下さいね皆様。折角のリゾートなんだから、気にせず羽を伸ばしてちょうだい。」

 

ディセウム「ウム。我々も今だけは休ませて貰うぞ。」

 

メイ「お母様!お母様!」

 

ジュリア「あらどうしたのメイ?」

 

メイ「見て下さいです!マジカルバレーの合間にシンお兄ちゃんとタクトお兄ちゃんとお魚釣ったんです!」

 

突然異空間収納を発動し、中から魚を取り出した。

 

ディセウム・ジュリア「・・・・・・」

 

メイ「どうしたです?お魚にそんなにビックリしたです?」

 

ディセウム「い・・・いやメイ・・・その前に・・・い・・・何時の間に異空間収納の魔法なんて・・・」

 

ジュリア「普通大人だってそうそう使えないのに・・・」

 

メイ「シンお兄ちゃんに教えて貰ったんです!とっても便利です!」

 

ぐいぐいとシンを引っ張って来た。

 

ディセウム「困るよシン君・・・君の非常識を娘にまで植え付けられては・・・」

 

シン「へ?俺5歳で普通に使ってたけど?」

 

ディセウム「だって君は異常だろ?」

 

シン「それ本人に言うセリフか?」

 

ディセウム「あまり出鱈目な魔法使いになられても、娘の貰い手がだね・・・」

 

メイ「別にお嫁に行かなくても良いです。シンお兄ちゃん達と魔物狩るです!虎とか獅子の魔物とかいっぱいいっぱい狩るです!!」

 

ディセウム「シ〜〜〜〜ンく〜〜〜〜ん!!」

 

 

 

 

リオ「あらま賑やかだねぇ。」

 

ケイティ「まだ幼いメイちゃんにまで異空間収納を教えるなんて・・・」

 

ナージャ「凄いって言うか、引いちゃう・・・」

 

デイジー「でもそこが彼の良い所ね。」

 

タクト「まぁそうだな。」

 

 

 

 

メリダ「久し振りだねぇジュリア。元気にしてたかい?」

 

ジュリア「あらメリダ様、お久し振りですわ!」

 

メリダ「お互いこれから大変だねぇ。まさかこの歳になって読めにあれこれ指南する立場になるとは、思ってもみなかったけどね。」

 

ジュリア「まだまだお若いのに何仰いますか。私達ですらまだまだ御教授頂きたい位ですのに。」

 

メリダ「シシリー!エリー!こっち来て話に入りな!」

 

シシリー・エリザベート「は・・・はは・・・はい!!」

 

 

 

 

暫くしてディセウムから。

 

ディセウム「おおそうだそうだ!ここに来た一番の目的を忘れる所だったよ。アルティメット・マジシャンズはこれまでに2度も他国を魔人から救った。その際にかなりの数の魔物を倒しただろう。そこでだ!鉱石があまりにも大きい為、新しい勲章を作り、全員にそれを授与する事になった。」

 

オリビアの父「ウチの子が勲章!?そ・・・そりゃ凄い!!」

 

トニーの母「トニーが魔法学院行くって言い出した時は絶望を感じたものだけど・・・」

 

トニーの父「ウム。これなら認める他ないな。」

 

トニー「大袈裟だなぁ。」

 

ディセウム「近い内に叙勲式を執り行うから、皆そのつもりでいてくれ。」

 

アリス「うわぁ・・・メッチャキンチョーしそう・・・」

 

シン「今回は・・・良いの?」

 

メリダ「まぁ良いさね。チームとしての鉱石だから、私らが口出す事でもないし(それに、恐らくこれによって、シンやタクトや殿下以外のメンバーにも、より自覚が生まれるはず。自分達が世界を救う立場にあると言う自覚が・・・)」

 

 

 

 

 

 

その夜、コテージで海を眺めているシンの元に。

 

シシリー「シン君、どうかしたんですか?」

 

シン「あ・・・俺何か変な顔してた?」

 

シシリー「変と言うか・・・心配事があるみたいな顔してましたよ。」

 

シン「・・・・実は少し前からなんだけど、偶に街で気になる話を聞くんだよ。」

 

シシリー「?」

 

シン「俺達・・・スイードとクルトで魔人を撃退しただろ?多分そのせいだと思うけど、一部で『魔人なんか大した事ない』って噂が広がってるらしいんだ。」

 

シシリー「・・・・!」

 

シン「・・・まあ、街の噂で済んでる内は良いんだけど、もしそんな話が国全体に広がっちゃったらマズい事になる気がしてさ。」

 

シシリー「確かに・・・不用意に魔人に手を出す人達が現れても可笑しくないですね。」

 

シン「そう、必ず犠牲者が出ると思う。それにもう1つ・・・他国でもそんな話が出たとしたら、もしかして三国階段にも影響するんじゃないか?」

 

シシリー「可能性はありますけど・・・でもきっと、殿下なら何とかしてくれそうな気もしますけどね。」

 

シン「オーグ頼みか・・・まああの腹黒さなら確かに上手くやってくれそうだけど・・・何か先々色々と心配だなと思ってさ・・・どうしたら良いんだろうな・・・」

 

シシリー「・・・シン君、そんなに自分1人で背負い込まなくても良いんじゃないですか?」

 

シン「え?」

 

シシリー「適材適所ですよ。皆それぞれ役割があると思うんです。例えば、剣の扱いだったらトニーさん。魔道具制作だったらユーリさん。攻撃に長けたメンバーが居れば、サポートが得意なメンバーも居る。他国との交渉だったら勿論殿下が適任ですし、シン君には敵わないまでも、それぞれに得意な分野がありますから。シン君からしたら・・・私達は特別に秀でた存在だとは思えないかも知れないですけど・・・」

 

シン「そんな事ないよシシリー!」

 

シシリー「え!?」

 

シン「俺は、アルティメット・マジシャンズは今のメンバーじゃなきゃ出来なかったと思ってる。ただでさえ名門の魔法学院の中で、トップクラスに在籍する11人と限りなくそこに近い2人。そこに位置出来るのは、やっぱりそれぞれの弛まない魔法に対する研鑽と才能の賜物で、だからこそ俺や爺ちゃん達の指導や訓練に付いて来れるんだ。この18人だからこそ、俺達はここまで出来たんだ。他の誰にも同じ事はきっと出来ない。」

 

シシリー「シン君にそう言って貰えると皆喜びますよ。表には出さなくても・・・何れはシン君に頼って貰えるようにって皆頑張ってますから。私も何時かは、治療の事なら私に頼って欲しいと思いますし。」

 

シン「・・・非常識だの規格外だのって言われてた頃と・・・俺も少しずつ自分の事が分かってきて、ひょっとしたら心の何処かで『自分がやらなきゃ誰がやる』って思っちゃってた部分もあるかも知れないな・・・」

 

するとシシリーがシンに寄り添った。

 

シシリー「大丈夫ですよシン君。そんなに気負わないで下さい。私達が居ますから。」

 

シン「ありがとうシシリー。」

 

シシリー「いえ、シン君の心の負担が軽くなったのなら良かったです。」

 

シン「・・・心を治してくれた?」

 

シシリー「フフ、そうですね。シン君の心を癒すのは私の役目です。誰にも渡しませんよ?」

 

シン「うん・・・お願いします。」

 

シシリー「はい、任されました。」

 

シン(そうだよな・・・俺にはシシリーが居て・・・皆が居る。だからきっと・・・大丈夫。)

 

2人はキスを交わした。

 

 

 

タクト「寝室は別だぞ。」

 

 

 

シン・シシリー「!!!」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
グレア:高橋李依

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭
ジュリア=フォン=アールスハイド:矢島晶子
エリザベート=フォン=コーラル:南雲希美
メイ=フォン=アールスハイド:雛乃木まや

セシル=フォン=クロード:田坂浩樹
アイリーン=フォン=クロード:岡本麻弥

ロイス=フォン=クロード:岸尾だいすけ
セシリア=フォン=クロード:佐藤利奈
シルビア=フォン=クロード:小澤亜李

ドミニク=ガストール:小山剛志
ルーパー=オルグラン:保村真





次回予告

アルティメット・マジシャンズが叙勲式で勲章と魔石を授与された。一方、斥候魔人達がタクトとシンを利用した計画を練っていた。

次回ウルトラマンティガ

新たなる動き

お楽しみに


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第15話「新たなる動き」

新たなる動き
オリバー=シュトローム、ローレンス、ゼスト 登場



瞬く間に3日間の休暇が過ぎた。

 

 

 

 

そして王都に戻った数日後に、王城での叙勲式が行われた。

 

司会「アールスハイドのみならず、各国を救った英雄達・アルティメット・マジシャンズ!!」

 

盛大な拍手が巻き起こった。

 

ディセウム「アールスハイドに誕生した英雄達を讃える事が出来、誠に嬉しく思う。更に、此度の功績は過去に類を見ないものだ。そこで、この度は特別な勲章を用意した。」

 

周囲がざわつく中、名前が上がった。

 

ディセウム「シン=ウォルフォード!タクト=クリスティ!アウグスト=フォン=アールスハイド!マリア=フォン=メッシーナ!シシリー=フォン=クロード!アリス=コーナー!トール=フォン=フレーゲル!リン=ヒューズ!ユーリ=カールトン!トニー=フレイド!ユリウス=フォン=リッテンハイム!マーク=ビーン!オリビア=ストーン!リオ!デイジー!ナージャ=オブシディアン!ケイティ=グレイス!以上17名からなる『アルティメット・マジシャンズ』に、”金龍特別勲章”を授与する!!」

 

「おおおおおおおおお!!!」

 

マリア「ひええ・・・こりゃまた凄いわね、金龍って・・・」

 

タクト「へぇ〜。金龍とは光栄だなぁ。」

 

シン「え?何?それ凄いの?」

 

マリア「呆れた、まさか知らないの!?金龍はアールスハイドの国旗にも描かれてるシンボルじゃない!つまり私達も国のシンボルとして扱われるって事でしょ!」

 

トール「はぁ・・・自国の国旗も知らない英雄が2つ目の叙勲ですか・・・」

 

ユーリ「世も末よねぇ。」

 

そして彼らに金龍特別勲章が授与された。

 

ディセウム「おめでとう。」

 

シン(因みにさ、実際居るの!?ドラゴンって。)

 

アウグスト(居ないだろ。目撃談はあるが、どうせ眉唾だ。)

 

シン(何だぁ・・・)

 

ちょっと期待したこの男。

 

ディセウム「立派になったアウグスト。これならば安心して国を任せられる。」

 

アウグスト「何を仰います。父上ならば、まだまだ御活躍出来るでしょう。これからも我が国を牽引していって下さい。」

 

ディセウム「アウグスト・・・」

 

タクト(本音はどうだ?)

 

アウグスト(もう暫く自由で居たい。)

 

タクト(抜け目ない。)

 

ディセウム(タクト君、リオ君、デイジー君、ナージャ君、ケイティ君、グレア君。皆の前へ出てくれ。)

 

6人が前に出る。

 

ディセウム「タクト=クリスティ、リオ、デイジー、ナージャ=オブシディアン、ケイティ=グレイス、グレアは、過去に旅をした者達。タクト=クリスティは超古代の戦士・ティガの力を受け継ぎ、魔人や魔物を討伐して来た!そしてこれまでに幾多の魔人を討伐して来た!彼等の功績に讃えよ!」

 

周囲から拍手が巻き起こった。

 

タクト「何か照れるな。」

 

リオ「えへへ。恥ずかしいねぇ。」

 

グレア「にゃはは〜!どうもどうも〜!」

 

ディセウム「そして、シン=ウォルフォード。僅かな期間に2回目の叙勲は王国の歴史上初めての事だ。素晴らしい功績である。」

 

シン「ありがたき幸せ。」

 

ディセウム(シン君、皆の前へ。)

 

前に出たシン。そしてディセウムから言葉が。

 

ディセウム「シン=ウォルフォードは、最早この世界に敵う者のない”魔法使いの王”と呼んで差し支えない存在だ。よって我により『魔王』二つ名を与える!!皆讃えよ!!」

 

シン「!!??」

 

ディセウム「魔王シンの誕生である!!!」

 

魔王シン・・・魔王シン・・・魔王シン・・・

 

かなり恐怖心が舞い上がったシンがアウグストを見ると・・・

 

 

 

 

アウグスト「くっくっくっくっくっ・・・・・」

 

 

 

 

笑い堪えてる。

 

シン(てめぇかやっぱり!!!!)

 

「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

「魔法使いの王!!魔王シン!!」

「その歳で二つ名を授けられるとは!!」

「魔王!!」

「魔王!!」

「魔王!!」

 

周りから魔王コールが響き渡る。

 

シン(う〜〜〜〜そ〜〜〜〜だ〜〜〜〜!!!)

 

ディセウム「夏期休暇が開ければ間もなく三国会談だ。これ以上魔人の被害を広げない為にも、必ず成功させねばならない。連合が結成されれば、魔人制圧に動き出す事が出来る。皆・・・共に力を合わせて頑張ろうではないか。」

 

アウグスト「ええ。」

 

 

 

 

 

 

スイード王国。

 

兵士「国王!アールスハイドより伝達が。我が国に続き、ダーム・カーナン・クルトも連合に加わったと。残る2ヶ国・・・エルスとイースとは近々会談を行い、交渉するそうです。」

 

国王(実際、魔人による襲撃を受けた国でなければその脅威を直接感じる事は出来ん・・・ましてやエルスとイースはアールスハイドと並んで力を持つ国々・・・易々と提案に応じるとは思えん。しかし、魔人制圧には協力が必要不可欠な国々である事に違いない。お手並み拝見しますぞ・・・アウグスト殿下。)

 

 

 

 

 

 

そして旧ブルースフィア帝国・帝都では。

 

シュトローム「おやおやこれは、名演出家のゼスト君ではありませんか。」

 

ゼスト「シュトローム様。」

 

シュトローム「クルトの一件・・・聞きましたよ。離反した魔人達はまた手痛い目に遭わされたようですね・・・フフフフ。」

 

ゼスト「私には優秀な部下達が居りますからね。知のない連中を操るのは造作もない事です。」

 

シュトローム「そこまで彼らを利用して、一体何を目論んでいるのでしょうねぇ?」

 

ゼスト「作戦の途中段階故、今はまだ何とも・・・ですが近い内に必ず・・・良い報告が出来るかと思います。」

 

シュトローム「では、それを楽しみに待つとしますか。」

 

彼が去った後。

 

ゼスト「そこに居るな?忙しくなるぞ。アベル、カイン、ローレンス、ダンテ、リオネル、サイクス。シン=ウォルフォード攻略の為に・・・次の作戦へ移行する。」

 

 

 

 

 

 

そしてウォルフォード邸では。

 

シン「はぁ〜〜〜〜・・・何でこんな事になったかなぁ・・・・・・」

 

シシリー「だ、大丈夫ですよシン君。すぐ慣れますよ!」

 

シン「気持ちは嬉しいけど慣れたくない・・・」

 

タクト「魔王シン・・・ブッ!!」

 

シン「おいそこ、何笑ってんだよ!!」

 

タクト「いやぁ〜、魔王になったお前の姿を見ると・・・ツボった・・・」

 

シン「はぁ・・・もうじき学院も始まるのに・・・」

 

メイド「失礼しますシン様、タクト様。お客様がいらしております。」

 

 

 

 

そのお客様とは。

 

オルト「お久し振りです。シンさん、シシリーさん、タクトさん。いや、シンさんは魔王様とお呼びした方が良いのかな?」

 

シン「お呼びしないで下さい。えーと確か、オルトさんでしたよね?練兵場の時の・・・」

 

タクト「あぁあんた、警備局の捜査官だよな。」

 

オルト「覚えててくれましたか。」

 

メリダ「今日は一体どうしたんだい?」

 

オルト「実は・・・・他でもない、シシリーさんの事で伺いました。この後彼女の御実家にも伺うつもりでしたので、丁度良かった。」

 

シン「シシリーの事?」

 

タクト「彼女に何かあったのか?」

 

オルト「スイードでの一件で彼女を『聖女』として崇め救いを求める者が増えているのはご存知でしょう。それはスイードのみならず、アールスハイドや他国でも同じです。シシリーさんは今最も影響力の強いアルティメット・マジシャンズの一員・・・当然と言えばそれまでですが・・・」

 

シン「今の様子じゃ、1人で街に出たらあっと言う間に囲まれそうだもんな。」

 

シシリー「私、神子でも聖職者でもないんですけどね・・・」

 

オルト「救いを求められるだけならまだ良いのですが、容姿の事もあってか、中には不埒な事を考える輩まで居るそうなんです。」

 

シン「っ!」

 

タクト「不埒?」

 

メリダ「そりゃ聞き捨てならないねぇ。」

 

オルト「同じく影響力の強いシンさんが同行していればまず心配はありませんが、暫くは1人で出歩く事は避けた方が賢明でしょう。」

 

タクト「もしシンが居ない場合、俺が同行しても良いのか?」

 

オルト「はい、タクトさんも影響力が強いですから、シシリーさんと同行しても問題ありません。どうも聖女と言うイメージが先行して、癒しに特化していると思われている為、攻撃能力は無く、力付くでどうにか出来ると思っている連中も多いようですから。」

 

タクト「中身を知らない輩共か。」

 

メリダ「そうね、救いようのない連中だねぇ。単独で魔人すら撃退する娘相手に。」

 

シン「万死に値する!」

 

メリダ「アンタちっとは懲りな!クルトの件を忘れたのかい!」

 

”ゴチン!”

 

シン「あだっ!」

 

オルト「取り敢えず警戒しておいて下さい。何かあれば警備局まで御一報を。」

 

 

 

 

ウォルフォード邸・玄関。

 

シン「オルトさん、わざわざありがとう。」

 

オルト「あなた達を利用して悪事を働こうとする連中も居ます。その捜査の一環で訪れたまでなので、お気になさらずに。と言うのが建前で、やはり僕にとってもあなた達は憧れですから。何かしら力になりたいんです。それが本音ですね。」

 

タクト「オルトさん、もしそっちでも何かあったら俺達が力になってやる。俺が人類を救う光になってやるからな。」

 

オルト「ありがとうございます。では、僕はこれで。」

 

 

 

 

 

 

一方その頃マリアは。

 

男A「ねえねえ、ちょっとで良いからさ。ほら。」

 

男B「すぐそこに良い店知ってんだ。行こうよ一緒に。」

 

男A「俺達君のファンなんだよ。」

 

2人組の男にナンパされ中。

 

男B「な?ホラ、金なら俺達が・・・」

 

肩を掴まれた瞬間!!

 

”ゴスッ!!!”

 

裏拳で成敗した。

 

マリア「ナンパは嫌いなの。」

 

成敗した男を見下す。

 

男B「なっ!て、てめぇ!!調子に乗ってんじゃ!!」

 

”ゴッ!!!”

 

今度はストレートパンチで呆気なくダウン。

 

マリア(街での攻撃魔法を使うのは禁止だけど、身体強化だからセーフよね。多分・・・)

 

 

 

 

そしてウォルフォード家。

 

マリア「って事が最近また増えてさ、嫌になっちゃうわよ本当。シンやシシリーの家に来るだけでも一苦労だわ。」

 

タクト「マリアは彼氏とか欲しいんじゃねえの?人気者になったんだし。」

 

マリア「だからナンパは嫌いなの!!私が求めてるのはもっとこうドラマティックな出会い!!そう、まるで乙女の危機に駆け付けた王子様のような。」

 

シン「俺等の仲間以外でマリアより強い男、この国に居ないんじゃ・・・」

 

タクト「彼氏出来なさそう・・・」

 

マリア「何か言った?」

 

タクト「何も?」

 

シン「(シシリーと言い、マリアと言い・・・これからは自分で身を守らなきゃいけない場面が増えそうだな・・・)よし!皆にもゲートの魔法教えるよ!」

 

マリア「本当に!?それは助かるかも!」

 

シシリー「他の皆も街に出る度に騒がれて困るって言ってましたし、喜ぶと思いますよ。」

 

シン「夏休み終了まで後1週間!学院が始まるまでに叩き込んでやる!ゲートだけなら何処でも出来るし・・・まあ場所は学院の研究室で良いか。じゃあすぐオーグ達にも予定を確認して・・・」

 

 

 

 

 

 

そして旧帝国の帝城では。

 

アベル「うんざりする量だな。」

 

リオネル「これ全てに目を通すのか?」

 

魔人のアベルとリオネルが大量の資料の中から何かを探してる。

 

アベル「実働部隊の連中もすげーな。短期間でよくもまあこれだけ・・・」

 

リオネル「・・・お前、魔人になって何か変わったか?」

 

アベル「・・・特別変わらないな。意識ははっきりしてる。魔人化前に聞いていた通り・・・生命活動に影響しない欲求はあまり感じなくなったが・・・お前はどうだ?帝国への憎しみは。」

 

リオネル「・・・何も変わらねえよ。何一つ許す気になれねえ。恩師を家族を仲間達を奪ったこの国を・・・帝国無き今、一体何にこの怒りを向けりゃ良いんだ?帝国の惨状を知りながら放置していた他国への平和ボケ共か?」

 

アベル「・・・我らが主がそれを望むならな。」

 

リオネル「どうだかなあ。あれ全くやる気ねぇだろ今。」

 

アベル「・・・所で少しは絞り込めそうか?」

 

リオネル「さあな、気が遠くなる。ったく、聖女ってのは人気者だな。邪な感情を抱いてる奴が多過ぎる。」

 

アベル「取り敢えず、全ての情報を精査して、それなりの地位に付いている者をピックアップだ。はぁ・・・魔人になっても事務仕事か。」

 

リオネル「情報収集には魔人の力を存分に使えるから良いよな。兵役時にこの力があればもっと楽に・・・」

 

ローレンス「それで帝国に助力して満足出来たと思うか?」

 

リオネル「ローレンス。・・・タイミング悪い部分だけ聞いてんじゃねえよ。」

 

ローレンス「捗ってるか?」

 

リオネル「冗談だろ。この規模の作業を一部隊でやれって方が無茶だ。お前も少しは手伝えよ。」

 

ローレンス「無理だね。次に飛ぶ国は決まってる。」

 

???「飛ぶ必要はないかも知れないぜ。」

 

そこにサイクスが来た。

 

ローレンス「どう言う意味だサイクス?」

 

サイクス「お望みの大物だよ。これ以上のターゲットは居ないだろ。」

 

渡された資料に書かれていたのは。

 

リオネル「此奴は・・・」

 

アベル「マジかよ・・・」

 

サイクス「ゲスは何処にでも居るが、大国も例外じゃないらしい。」

 

ローレンス「希望通りだな、決まりだ!すぐに報告して来る。隊ちょ・・・ゼスト様も今回は直々に動くらしいからな。他の連中にも伝えといてくれ!情報整理は中断!次の指示を待て!」

 

アベル・リオネル「助かった・・・・」

 

 

 

 

 

 

一方その頃研究室では。

 

シン「うし!久々に学院で全員集合した所で、ゲートについてに授業を始めるぞ!!」

 

全員「よっしゃああ!!」

 

シン「まずはゲートを起動させる為のイメージを伝えるけど、あくまでこれは俺のイメージだから、皆には別のイメージが合うかも知れない。そこは各自で調整な。」

 

黒板にAとBを書く。

 

シン「さて質問。この地点Aから地点Bまでの最短距離ってどう行けば良い?」

 

アリス「そんなの簡単だよ!AからBまで一直線に行けば良いんでしょ?」

 

シン「ブーーー。そのイメージじゃ直接歩いて移動するのと変わらない。転移にはならないだろ?」

 

マリア「えー?」

 

オリビア「他に何か方法ある?」

 

アリス「何これ謎かけ?」

 

シン「まあ黒板じゃ正解に辿り着き難いよな。各自紙を配るからこっちで考えてみて。」

 

全員に紙とペンを渡した。

 

アリス「・・・ダメ!さっぱり分かんない!」

 

リン「ギブ!答え教えて!」

 

シン「んじゃ正解。まずAとBが丁度重なり合うように紙を折る。これでAとBが内側で接した状態になるな。この紙を空間、Aを自分の居る場所。Bを行きたい場所とすると、紙を折り曲げた時点で距離がゼロになる。つまりこれが最短距離であり・・・」

 

タクト「ほいっと!」

 

ペンでAとBに穴を開けた。

 

シン「この穴がゲートだ。以上が俺のゲートのイメージだよ。」

 

マリア「成る程ねえ・・・それは思い付かなかった。以前マーリン様が『紙に書いて貰ったら理解出来た』って、この事だったのね。」

 

シン「後は、このイメージを踏まえた上で異空間収納の要領で2点の穴を開けるように魔法を起動すると・・・ゲートが開くって訳だ!」

 

 

 

 

マーリン「どわあ何じゃい!?」

 

ゲートの先に入浴中のマーリンが居た。すぐにゲートを閉めた。

 

マーリン「・・・!?」

 

 

 

 

シン「じゃあ各自で練習開始!」

 

練習開始。

 

アリス「あり?異空間収納開いちゃった・・・」

 

マリア「私も・・・」

 

リン「絶対一番にモノにする!」

 

シン「リンは最初から興味津々だったもんな。」

 

皆が練習してる最中。

 

シン(集中してるなー皆・・・じゃあ俺はその間に・・・)

 

1人で何かを考えてる。

 

アウグスト「お前らは何をしているんだ?」

 

タクト「考え事か?」

 

シン「ああ暇だからね。魔道具の構想を練ってるんだ。」

 

アウグスト「魔道具?」

 

シン「ああ、前に通信機作ったろ?あれの無線版をね、作れないかと・・・」

 

クロードの街で作った糸電話型の通信機の無線版を構想中。

 

アウグスト「!?」

 

シン「うおビビった!何だその顔!?」

 

タクト「顔怖えよ!」

 

アウグスト「あの通信機でも世界の情報技術に革命を齎したんだぞ!!その上で無線!?情報戦争でも起こす気かお前らは!!」

 

タクト「落ち着けオーグ。実際まだ何も目処すら立ってねえよ。」

 

シン「有線と違って無線の場合、受信側が常に魔道具を起動させておかないといけないだろ?でも何時来るか分からない受信の為に、ずっと魔力を流しておく訳にもいかないし・・・結論として、まだ無線の開発は不可能かな・・・と。」

 

アウグスト「それはつまり、常時魔力を流す手段があれば実現可能と言う事か?」

 

シン「え?ああ・・・まあな。」

 

アウグスト「・・・おい、シンはまだ『あれ』の存在を知らんのか?」

 

マリア「・・・どうもそんな様子ですね・・・メリダ様の事だから意図的に伏せているかと。」

 

アウグスト「だな、この件はシンには内密にな。」

 

シン「おーい、ゲートの練習しろー!」

 

 

 

 

 

 

一方リオ達は、王城付近の湖の畔でディセウムが手配したコテージで暮らしている。ここの湖は魚が多く生息している。

 

リオ「これから色々大変な事態になりそうだね。」

 

ケイティ「えぇ、あの魔人達の目的すら掴めてないからね。」

 

ナージャ「うん。」

 

グレア「あの2ヶ国、結構手強そうよ。」

 

デイジー「そうね。一筋縄じゃいかなさそうね。」

 

リオ「そしたら、何度も何度も交渉すれば良いんじゃない?」

 

ナージャ「それって相手の逆鱗に触れそうね。」

 

グレア「世も末だね。」

 

 

 

 

 

 

それから三日後。

 

アリス「やったあ!成功したよ!!」

 

リン「なっ・・・!!」

 

一番乗りはアリスだった。

 

アリス「わーーいわーーい!これで遅刻しなーーい!!」

 

リン「負けた・・・アリスに・・・」

 

シン「おー意外。」

 

マリア「ど・・・どうやったの?アリス・・・」

 

アリス「えーっとねぇ、こう空間をグニャア!・・・ってやって、そこにエイヤ!・・・ってやって、ブワッって広げるの!」

 

マリア「全く参考にならないわ・・・まあ魔法には相性があるから・・・」

 

トニー「頑張ろう、自分達で・・・」

 

アリス「わーーいわーーい!」

 

タクト「めっちゃご機嫌だな。」

 

シシリー「あの・・・私も出来ました・・・」

 

何時の間にかシシリーも出来てた。

 

マリア「ええ〜〜〜!?シシリー何時の間に!?そんなぁ!!」

 

シシリー「エヘ、ちょっとズルいかもと思ったんですが・・・実は・・・マーリンお爺様にコツを聞いたんです。」

 

シン「シシリー、何で俺じゃなくて爺ちゃんに訊いたんだろう・・・」

 

タクト「お前空気読めよ。」

 

シン「え?え?」

 

タクト「だぁもうこの鈍感魔王が!シシリーはこっそり頑張って魔法を完成させてお前に褒められたかったんだよ!少しは理解しろ!」

 

マリア「そうよ!ちゃんと乙女心も勉強しなきゃ!」

 

シン「・・・・・・」

 

シシリー「あ・・・シン君。」

 

シン「よ・・・よく頑張ったねシシリー。凄いぞ。」

 

なでなでと撫でる。

 

シシリー「エヘへ・・・ハイ!」

 

ユーリ「う〜〜〜〜〜ん・・・・・」

 

オリビア「どうしたんですかユーリさん?」

 

ユーリ「私、どうもこう言う魔法は苦手みたい〜〜・・・ウォルフォードくぅん、ちょいとこっち〜〜〜ヘルプ〜〜〜。」

 

シン「ん?」

 

ユーリ「もっかい紙に書く所から教えてぇ。」

 

シン「いいよ。まず・・・ん?」

 

ユーリが自分の豊富な胸を机に乗せてこっちを見てる。

 

シン「(こ・・・この配置は・・・)こ・・・この点が、自分の居る所で・・・」

 

ユーリ「んん?どこ?」

 

 

 

シシリー「ピク。」

 

タクト「お。」

 

 

 

シン「(色々ヤバい・・・!)いや・・・だから・・・その・・・」

 

マリア「ユーリが厄介なのは・・・天然で魔性な所よねぇ・・・」

 

シン「点・・・E・・・いや・・・F・・・はあるか・・・あれ?」

 

タクト(バスト測ってる・・・)

 

”ジジッ!!”

 

シン「いでっ!?」

 

タクト「ががっ!?」

 

シン(何だ?急に体が痺れ・・・)

 

何処からか電気が起きた。

 

 

 

 

それは怒りのシシリーから起こった。

 

 

 

 

シシリー「シン君、随分楽しそうですね。うふふ。」

 

シン「そ・・・そんな事は・・・御座いませんけど・・・」

 

タクト「シシリー。嫉妬するのも大概にしろ。シンは他の女を取る男じゃねえよ。」

 

シシリー「そうですね。ユーリさん、ユーリさんもマーリンお爺様にゲートのコツをお訊きしては?」

 

ユーリ「え!?良いのぉ!?訊きたい!訊きたぁい!」

 

マリア「何よ!ユーリが行くなら私も行くわよ!」

 

アリス「私も!行きたい!」

 

オリビア「アリスさん、もうゲート覚えたんじゃ・・・」

 

 

 

 

その後全員がマーリンの指導のお陰でゲートを無事習得完了。

 

 

 

 

夏季休暇の最終日。

 

アウグスト「全員ゲートを覚えられて何よりだ。だがシンの魔法はどれも使い途を誤れば簡単に開くの途に落ちてしまう危険なものだからな。これまで以上にそれぞれ高いモラルを持って行動するように。メッシーナ。」

 

マリア「はい!」

 

アウグスト「ナンパしてきた男共をいちいち吹っ飛ばすな。」

 

マリア「なっ!何で知ってんですか!?」

 

アウグスト「トニー、もう少し女関係大人しくしろ。」

 

トニー「うーん・・・分かりました。何とか・・・絞ります。2人・・・いや1人に・・・」

 

アウグスト「コーナー、ゲートがあるからと言ってうっかりパジャマで学院に来るなよ。」

 

アリス「き・・・来ませんよ!!」

 

アウグスト「最後にシン。お前はやはり行動をのものを自重しろ。」

 

シン「最近は自重してんじゃん。」

 

アウグスト「ほう、所で例の無線通信機はどうなった?」

 

シン「基本的は構造は出来たんだよ。後はやっぱり前言った魔力供給の問題だけ・・・あ。」

 

アウグスト「全く自重してないだろお前は!!」

 

シン「ああ!誘導尋問に引っ掛かった!!」

 

タクト「オーグ落ち着け!!」

 

こうして長くて濃い夏季休暇は終わりを迎えた。

 

 

 

 

 

 

そして学院再開初日。

 

「あ!見て!魔王様と聖女様よ!」

「きゃ〜魔王様〜!」

「聖女様〜!」

「お似合いですよ〜!」

 

タクト「・・・・・」

 

シン「何かすっごい恥ずかしいんだけど・・・」

 

シシリー「わ・・・私も少し・・・」

 

シン(でもオルトさんの言うように、こうやって敢えて連れ立って見せる事がシシリーを守る事に繋がるなら・・・まあ仕方ないか・・・それにしても・・・)

 

シシリー「どうしたんですか?シン君。」

 

シン「いや・・・護衛だったり露払いだったり・・・色んな形で一緒に登校してきたけど・・・今じゃシシリーと本当の恋人として一緒に登校する事が出来るようになったんだなあって・・・ちょっと感動してた。」

 

シシリー「私も嬉しいです!」

 

ぎゅっとシンの腕を抱く。

 

タクト「お前等本当にお似合いだな。」

 

 

 

 

 

 

高等魔法学院に来ると、周りの生徒が少し距離を置いてひそひそと会話する。

 

シン「何か・・・周りの様子が可笑しい・・・か?」

 

シシリー「休み中の叙勲で少し距離を置かれてしまったんでしょうか・・・」

 

タクト「マーク達が心配だな。」

 

シン「ああ、クラスで浮いてなきゃいいけど・・・」

 

 

 

 

 

 

Sクラス。

 

アリス「あ!おっはよ〜〜3人共!」

 

トール「おはようございます。」

 

シン「おはよう。ゲート組は早くていいなおい。」

 

アリス「いや〜〜〜お陰で助かっちゃうよ!」

 

タクト「ようアリス、初日からパジャマとはどう言う事だ?」

 

アリス「うぇ!?やだもぉ!私のバカぁ!!何で初日からぁ〜〜〜!!」

 

ゲートを展開してすぐ家へ戻った。

 

マリア「アリスにはゲート教えない方が良かったんじゃ・・・」

 

シン「マリアもゲートでの登校で良かったのか?別に俺達と一緒でも・・・」

 

マリア「冗談よしてよ。そこまでピエロになる勇気ないわよ。」

 

シシリー「ごめんねマリア・・・騒ぎが落ち着いたらまた登校しようね。」

 

マリア「気にしないでシシリー!今更こんな事くらいで私らの友情には影響ないわよ!」

 

タクト「ん?何か机の並び変わってね?」

 

シン「変わってるっつーか、増えてる?」

 

タクト「しかも2つ。」

 

アルフレッド「おはよう皆。」

 

シン「アルフレッド先生、おはようございます。」

 

アルフレッド「あ〜皆そのままで良い。先に紹介させてくれ。マーク=ビーンとオリビア=ストーンだ。今日からこの2人もSクラスの一員となった。」

 

何とマークとオリビアがSクラスに入ったのだった。

 

アルフレッド「実力的にはSクラスと比べても遜色ない・・・と言うかAクラス内ではどうも差が出過ぎるものでな。特例でこの学年だけSクラスは13人とする事になった。」

 

タクト「ええ!?」

 

マーク「宜しくお願いするッス!」

 

オリビア「お願いします。」

 

アリス「おお〜〜!!宜しくぅ〜〜〜!!」

 

アルフレッド「今日は初日だから始業式とホームルームだけだが・・・お前達は始業式で表彰されるからな。」

 

シン「表彰?」

 

 

 

 

 

 

体育館。

 

教員「それでは!2度の魔人襲撃を阻止し、この度叙勲まで受けた皆さん御存知の・・・アルティメット・マジシャンズの表彰です!!」

 

”パチパチパチパチパチ!!!”

 

シン「あれ!?皆喜んでんじゃん。避けられてるような空気だったのに・・・」

 

タクト「除け者扱いされたと心配したんだぞ?」

 

アウグスト「知り合いが突然有名人になったんだ。どう接して良いか分からなかっただけだろ。」

 

タクト「え何?マークとオリビアは?」

 

マーク「Aクラスにも挨拶してきましたけど、皆『頑張れ』って言ってくれたッス。学院の皆はちゃんと分かってくれてるッスよ。」

 

タクト「そうか。お前等は呼ばれて来たのか?」

 

リオ「うん。僕達もアルティメット・マジシャンズのメンバーだし。」

 

ナージャ「同じ仲間だしね。」

 

リオ「そう言う事だね!」

 

タクト「凄えな。」

 

教員「彼らの活躍によって、アールスハイド高等魔法学院の名は広く世間に知れ渡る事となりました。よって本来、卒業時成績優秀者のみに贈呈している品を特別に授与し、今日の表彰とします。」

 

校長「おめでとう。」

 

授与されたのは、白い小箱。

 

タクト「小箱?」

 

シン「へー・・・一体何だろう?」

 

マリア「殿下・・・まさかコレ・・・」

 

アウグスト「・・・嫌な予感がするな・・・」

 

教員「それでは、アルティメット・マジシャンズ代表シン=ウォルフォード君。一言挨拶をお願いします!」

 

シン「うぇぇぇ!?またかよ!」

 

挨拶する事になった。

 

シン「えっと・・・俺達は別に、英雄になりたいとか表彰されたいとか思って活動してる訳じゃありません。魔人を野放しにする事は世界の破滅に繋がると・・・そう思ったからです。チームの皆も同じだと思います。世界を・・・自分達の国を、大切な友人や家族を、自分達の力で守る為に・・・頑張ってるんだと思います。まあウチなんかの場合、爺ちゃんと婆ちゃんがアレなんで、守られるどころか、寧ろ自分達で攻め入りそうですけど・・・」

 

タクト(また冗談言った。)

 

シン「まだ魔人の脅威が去った訳じゃありません。いえ・・・事実ここからが本番です。総力戦になれば、ここに居る皆にも招集が掛かるかも知れません。その時に自分を・・・そして大切な人を守れるように、世界の危機に立ち向かえるように・・・頑張りましょう!!!!」

 

「ワアアアアア!!!!」

「魔王様ーーーー!!!」

「魔王様素敵ーーー!!」

「いいぞ魔王ーーー!!」

 

シン「魔王はもういいってぇ・・・」

 

アウグスト「ニヤニヤ。」

 

タクト「魔王ファイト。」

 

 

 

 

 

 

表彰式の後。

 

シン「何だこれ?」

 

小箱に入ってたのは、小さな石だった。

 

シン「誰か知らないの?贈呈されたこれ・・・天然石?貴重品なのか?」

 

ユーリ「あれぇ?ウォルフォード君知らないのぉ?魔石だよぉ。」

 

シン「魔石?」

 

アウグスト・マリア(やっぱりかぁ・・・)

 

タクト「まさかの魔石・・・」

 

ユーリ「これはねぇ・・・」

 

マリア「ちょい待ちユーリ。」

 

アウグスト「いいかシン?詳しくは家に戻ってメリダ殿に訊け。」

 

シン「婆ちゃんに?何で?」

 

アウグスト「いいから、余計な詮索はせずにまず訊け!その後の判断はメリダ殿に任せる!」

 

シン「ん?ん?」

 

 

 

 

 

 

帰宅後。

 

メリダ「おや、おかえりあんた達。」

 

シン「婆ちゃん、ちょっと訊きたいんだけど・・・魔石って何?」

 

突然メリダがびっくりした。

 

メリダ「なあ・・・!?い・・・一体何処でそれを・・・!?」

 

シン「な・・・何だよ、そんなに驚く事なの?」

 

タクト「実は学院から贈呈品として授与されたんだ。」

 

シン「オーグ達が口を揃えて婆ちゃんに訊けって言うから・・・」

 

メリダ「・・・まあ・・・何時かはバレる事だし・・・仕方ないさね。観念するか・・・魔石ってのはね・・・魔道具に使うものさ。普通の魔道具は魔力を込めないと起動しないだろう?」

 

シン「そりゃ・・・まあ。」

 

メリダ「魔石はね、魔道具に必要な魔力をずっと供給してくれる物なのさ。」

 

シン「それって・・・誰かが魔力を込めて起動しなくても、魔道具が作動し続けるって事?」

 

メリダ「まあね。森にあるマーリンの家に使った魔道具・・・覚えてるかい?」

 

シン「え〜〜〜〜〜と確か・・・侵入防止とか状態維持の効果の・・・そうか!今まで全然気付かなかったけど・・・あの魔道具が効果を持続出来るのは魔石を使ってるからか・・・!!」

 

メリダがコクンと頷く。

 

シン「・・・そ・・・それで?」

 

メリダ「それでって何だい。それだけだよ。」

 

シン「何だぁ!もっと凄いパワーとか秘められてるのかと思った!そんな事ならもっと早く教えてくれれば良かったのに!」

 

メリダ「冗〜〜〜〜〜〜〜談じゃなよ!!アンタに魔石の事を早々に教えてご覧!!どんなとんでもない魔道具を作り出すか分かったもんじゃないよ!!!!」

 

タクトとシシリーとマリアが頷く。

 

メリダ「まあ・・・幸い魔石は鉱石の採掘場なんかで、時折偶然見付かる程度のものだし・・・流通させるには無理がある。使い方位教えてあげるよ。」

 

タクト「偶然?」

 

シン「魔石の生成条件は分かってないって事か?」

 

メリダ「歴史上の謎の1つなんだよ。地中深くで生成されるって程度しか解明されてないのさ。」

 

シン「・・・・・・あーーーーーーーーーー!!!!」

 

タクト「うおっ!?」

 

メリダ「な、何だい!?」

 

シン(そうだ・・・!魔石を使えば通信機は常に起動した状態を保てる・・・!電池と同じだ!・・・ただ、問題はやはり魔石の数が少ないって事・・・数がなきゃ実用化は・・・)

 

マリア「ありゃりゃ、本格的に考え込んじゃった。」

 

タクト「魔道具の事になると何時もこうだ。」

 

シン「(生成条件が分からないのに、探して掘り出すには無理がある・・・地中深くで採掘・・・ダイヤなんかと同じなのか?そう言えば、前世でダイヤは人工的に製造されてたような・・・確かあれは・・・)高音・・・高圧・・・?」

 

タクト「ん?」

 

シン(地中深く・・・つまり高圧な所で生成される・・・?魔石とは・・・魔力が地中深くで高圧掛けられ結晶化した物・・・?)

 

ゲートを開いた。

 

シン「婆ちゃん、ちょっと何時もの荒野に行って来る。」

 

メリダ「ちょ、ちょいとお待ち!アンタ何をする気だい!?」

 

シシリー「・・・・・・」

 

マリア「絶・・・対また何かやらかすわよあれ・・・」

 

 

 

 

 

 

荒野。

 

シン「悪いけど、何が起きるか俺にも分からないから、念の為全力で魔力障壁を張っていてくれる?」

 

マリア「ちょ・・・ちょっと止めてよ!シンがそんな事言うと、マジでとんでもない事起きそうじゃない!」

 

タクト「ある程度勘弁してくれよね?」

 

 

 

 

シン(容量は指向性爆発魔法と同じ・・・ただ今回は、魔力自体に高圧を掛けて圧縮していく・・・出来る限り小さく・・・)

 

魔力を小さくして集める。

 

 

 

マーリン「こりゃまたとんでもない量の魔力を集めとるのう・・・」

 

 

 

魔力が集まり、徐々に小さくなる。

 

シン(よし・・・ゆっくりと・・・圧縮を解除・・・)

 

しかし、魔力が割れた。

 

シン「ああ!ダメか・・・だったら次は・・・」

 

もう1度魔力を集める。

 

シン(高熱を加えつつ、同じように圧縮・・・もっと小さく・・・もっと熱く・・・!!)

 

魔力が徐々に小さくなり、そして・・・

 

 

 

 

 

 

魔石が生成された。

 

 

 

 

 

 

シン「やったあああああ出来たああああああ!!」

 

メリダ「な・・・何なんだい・・・一体何が出来たって・・・」

 

シン「婆ちゃん!ホラ!!見てよコレ!!」

 

生成した魔石を見せる。

 

メリダ「それ・・・わ・・・」

 

シン(驚くのも無理ないよな!大発見だし。これなら婆ちゃんも・・・)

 

 

 

メリダ『凄いねえシン!大した孫だよアンタは!』

 

 

 

褒められると期待したが、メリダはその場で膝を崩した。

 

シン(あ・・・あれ?)

 

シシリー「シン君・・・これ・・・」

 

マリア「まさか・・・魔石・・・!?」

 

マーリン「紛れもない・・・本物じゃ・・・!!」

 

タクト「自力で作っちゃった・・・!」

 

メリダ「何てこった・・・まさか・・・自分で魔石を作っちまうとは・・・」

 

シン「(何・・・この反応・・・ま・・・また俺何かやっちゃった・・・の?)えーと・・・ここは喜んでくれる所では・・・」

 

メリダ「バカ言うんじゃないよ!!人の手でま石を作れるなんて知れたら・・・世界が混乱に陥る事になるよ!!」

 

 

 

 

その後。

 

メリダ「成る程ねえ、熱と圧力が魔石生成に必要な条件か・・・」

 

シン「多分だけど・・・魔石が発掘される鉱山って、近くに火山とか断層があるんじゃないかな?自然界にある魔力が少しずつ集まって、圧縮されて生成されるんだろうから・・・本来の魔石は途方もなく長い時間を掛けて作られるんだろうけどね。」

 

メリダ「シン・・・言っとくけど・・・」

 

シン「他言無用でしょ婆ちゃん。人口の魔石が作れるなんて知られたら確かに世界のバランスを崩し兼ねないもんね。必要な分しか作らないって。」

 

マーリン「ああ・・・分かってるなら・・・」

 

メリダ(必要な分?)

 

 

 

 

 

 

その後ディセウムとアウグスト達にだけ魔石生成の事を伝える。

 

ディセウム「魔石を作ったぁぁ!?」

 

アウグスト「メリダ様でも止められなかったか・・・」

 

 

 

 

 

 

翌日の午後に、ビーン工房へ訪れた。

 

工房主「はあ〜・・・通信機の無線版・・・またとんでもねェモンを考えたもんだな。」

 

シン「個々に固有番号を付与しておけば、特定の相手を通話出来るはずなんです。共有の番号も付ければ一斉送信も恐らく可能に・・・」

 

 

 

 

その後。

 

シン「色んなリスクを想定して、何とか三国会議まで間に合わせたいんです。時間が短くてすいませんが・・・」

 

工房主「他でのねェシンの頼みだ!何とかするさ!」

 

シン「あ・・・と。」

 

工房主「ん?」

 

シン「出来れば、もう1つだけ・・・お願いが・・・」

 

 

 

 

 

 

ウォルフォード家へ帰宅。

 

シシリー「あ、お帰りなさいシン君、タクト君。」

 

シン「ただいまシシリー。」

 

タクト「シシリー、もう家に慣れたもんだな。」

 

シシリー「相変わらず、お母様が此方に慣れておきなさいって言うので・・・」

 

タクト「まあそうだな。シシリーはシンの婚約者だしな。」

 

シン「皆もシシリーと仲良くしてくれてありがとう。」

 

マリーカ「とんでもございません。当然の事でございます。若奥様は、普段からシン様を支えて頂いてるだけでなく、世界を救う”聖女”として評判も高い御方。そんな御方をウォルフォード家に奥様としてお迎え出来るのです。これ程誉れな事はございません。」

 

シシリー「マリーカさん・・・」

 

マリーカ「若奥様の事は我々が全力でサポート致しますので、シン様はどうぞ御安心を。」

 

シン「うん。」

 

シシリー「ありがとうございます!私も頑張りますね!」

 

マリーカ「はい。そして何れは若奥様、頑張って立派なお世継ぎ!」

 

シシリー「お・・・およ・・・!?およ・・・およ・・・」

 

タクト「おいシシリー!?しっかりしろ!おーい!」

 

シン「き、気が早いってマリーカさん!シ・・・シシリー!タクト!リビング行こう!」

 

 

 

 

リビング。

 

メリダ「何だか盛り上がってたねぇ。世継ぎがどうとか。」

 

シン「聞こえてたのかよ・・・」

 

タクト「地獄耳持ってんの?」

 

メリダ「何処行ってたんだい?シン、タクト。」

 

シン「ビーン工房だよ。シシリー。」

 

シシリー「およ・・・あ、はい!?」

 

シン「これ、プレゼント。」

 

異空間収納から、ペンダントを出した。

 

シシリー「え!?ネックレス・・・ですか?」

 

シン「そう。ビーン工房で特別に作って貰ったんだ。実はそれ『異物排除』の魔法が付与してあってね、身体に侵入した毒物や異物を身体に吸収させないで排除するんだ。三国会談・・・連合と組んだ国々との連携、それから魔人との本格的な戦い・・・これから先、俺達にはどんなリスクが待っているか分からない。何か起きてから後悔はしたくないから、だからどうしても・・・シシリーには用意してあげたかったんだ。」

 

シシリー(シン君・・・)

 

シン「因みにそれ、常時発動してるから、身に付けるだけで大丈夫だよ。毒物だけじゃなくて、風邪なんかも引かなくなるし。」

 

タクト「おまけにどんな重い病気の死滅も可能。」

 

シシリー「常時発動!?・・・と言う事はまさか・・・」

 

シン「そう、魔石を使ってる。」

 

シシリー「こんな・・・貴重なものを・・・」

 

シン「シシリーを狙ってる連中が居るって聞いた時からずっと考えてたんだ。何か対処する方法はないかって・・・シシリー、俺が着けてあげても良い?」

 

シシリー「え!・・・は、はい勿論!」

 

後ろからシシリーにペンダントを着ける。

 

シン(願わくは・・・この先シシリーの身に何事も起こりませんように・・・)

 

シシリー「シン君の気持ち・・・凄く・・・凄く嬉しいです・・・」

 

 

 

 

タクト「何時までやってんだ?」

 

 

 

 

シン・シシリー「あ。」

 

タクト「イチャイチャしやがって。」

 

シン「そうだ、タクトの分もあるよ。」

 

タクト「え?俺にも?」

 

ペンダントを貰った。

 

タクト「シンありがとよ。」

 

シン「後、爺ちゃんと婆ちゃんの分もあるよ。」

 

マーリン「ワシらにも?別にワシらそんなに危険を感じる事は・・・」

 

シン「2人も歳だし、身体には気を付けて欲しくてさ。」

 

メリダ「シン・・・」

 

マーリン「良い子に育ったのう・・・」

 

シン「後、マリーカさん達にも。皆のお陰でこの家は支えられてるから、そのお礼って事で。」

 

マリーカ「シン様・・・!何と言う優しいお心遣い・・・!」

 

メリダ「にしても、よくこんなもの思い付くもんだねえ・・・異物排除・・・かい。ん?異物・・・異物?これを身に付けてるシシリーなら・・・シンの・・・異物・・・も排除・・・されて・・・はっ!!アンタまさかコレその目的で!!」

 

シン「うおい!!何をとんでもない誤解してんだ!!」

 

シシリー「え?え?何の話ですか?」

 

メリダ「だから、シンのアレも異物扱いされるからアンタの中に出しても・・・」

 

シン「すんな!!解説すんな!!」

 

シシリー「・・・・・」

 

シン(言われてみれば確かにそうじゃん!!全然気付かなかった・・・!!こんな事なら『異物』じゃなくて『毒物』とかにしとけば・・・やばい、軽蔑される・・・)

 

ちらっとシシリーを見ると・・・

 

 

 

 

シシリー「シン・・・君・・・そんなに・・・私・・・と・・・その・・・」

 

 

 

 

完全に誤解してる。

 

シン「(うわああ!!違うんだシシリー!!違うんだけど・・・そんな反応されたら・・・俺もう・・・)シシリ・・・」

 

メリダ「こんな所で盛ってんじゃないよおバカ!!」

 

シシリー「・・・・・・」

 

タクト「?」

 

するとシシリーがタクトに抱き付いて、タクトが優しく撫でる。

 

タクト「シン、もうちょい自重した方が良さそうだな。」

 

シン「お前まで!!!」

 

 

 

 

 

 

ブルースフィア帝国では。

 

ローレンス「現状、これ以上細かな計画は立てられませんが、まあ予定通り進むでしょう。ただ、ウォルフォードのあの怒りを抑える事は我々には出来ませんよ。」

 

ゼスト「構わん。何もこの一件で奴を倒せるとは思っていない。直接打撃を与える事だけが成果ではないからな。もし奴が怒り狂い、婚約者に危害を加えた者を害したとしたらどうなる?しかも、それがその国にとって重要なポストに就く者だったとしたら?」

 

ダンテ「成る程。今は英雄として称えられていても、怒りに任せて暴れれば、奴に対する評価は途端に”危険人物”に変わると。」

 

カイン「世間なんてそんなモンだよな。」

 

アベル「ましてや魔人以上に力を持つ存在。畏怖と畏敬は紙一重だからな。」

 

ゼスト「加えて、そうなれば奴は戦場の最前線に立つ事は難しくなる。連合を組もうが何だろうが、その指揮を執る事など到底無理だろう。それに、もう1つ起こりうる可能性がある。」

 

斥候隊「?」

 

ゼスト「シュトローム様が魔人となった経緯を思い出せ。」

 

全員がシュトロームが魔人になった経緯を思い出す。すると全員に戦慄が走った。

 

アベル「まさか・・・・!」

 

ダンテ「本当の狙いは・・・シン=ウォルフォードの・・・魔人化!?」

 

そう、ゼストの目的はシン=ウォルフォードの魔人化だった。

 

ローレンス「正気ですかゼスト様・・・!?理性があろうとなかろうと・・・そんなものがこの世に誕生してしまったら・・・」

 

リオネル「誰の手にも負えん・・・明白だ!そうなれば間違い無く・・・この世界は終焉を迎える・・・!!」

 

サイクス「冗談で言ってんのかお前ら、だからどうした?そもそも人間に取って代わって頂点に立とうって言う俺達魔人が、今更世界の心配か?魔人と敵対する怪物が1人居るか、全ての生命を脅かす悪魔を作るのか。あるのは最初からその2択のみだろうが。」

 

ゼスト「そう言う事だ。どう転ぼうとシン=ウォルフォードはこの世界の行く末を左右する存在なのだ。勿論あのタクト=クリスティもだ。だが奴の弱みはまだ不明だが、可能であれば奴を魔人化する何かを見付けれるはずだ。」

 

シン=ウォルフォードのみならず、タクト=クリスティの魔人化を計画している。

 

ゼスト「まあ、どんな結果が出るにせよ、一先ずやってみるしかない。出発するとしよう。」

 

斥候隊「はっ!!」

 

ゼスト(フフッ・・・)

 

密かに不敵な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

その頃、イース神聖国・聖都では。

 

神子「フラー大司教様、あ、あの、教皇猊下がお呼びです。至急会議室に来るようにと・・・」

 

不敵な笑みを浮かべて神子をじっくり見る男、彼がイース神聖国の大司教アメン=フラー。

 

フラー「わざわざ通達ご苦労。所で今晩、私の自室に・・・」

 

???「フラー大司教!何をしておられるか!」

 

後ろから1人の男に呼び止められた。司教のハミル・マキナだ。

 

フラー「ちっ・・・何だマキナ。司教の分際で私の話を遮るとはどう言う・・・」

 

マキナ「確かに私はただの司教ですが、我々を招集したのは、敬愛すべき教皇猊下ですぞ。」

 

フラー「我々?」

 

マキナ「私も呼ばれております。」

 

フラー「はぁ・・・」

 

マキナ「さあ君、もう行きたまえ。」

 

神子「あ・・・ありがとうございます。」

 

フラー「(ちっ。)やれやれ、私だけなく、お前まで呼んでいるなら大した用件ではなさそうだな。全く、教皇猊下にも困ったものだ。私に全てをお任せ下されば良いものを・・・」

 

 

 

 

 

 

そして、エルス自由商業連合国では。

 

大統領「おい、誰かナバルを呼んで来たってんか。」

 

しばらくして。

 

ナバル「スイマセン、ナバルですけど。」

 

外交官のウサマ=ナバルが大統領に呼ばれた。

 

大統領「おお、ちょっとそこ座れ。お前、アールスハイドから提案されとる用件知っとるな?」

 

ナバル「そら私、外務局の人間でっせ。当然ですやん。」

 

大統領「向こうさん・・・アールスハイドな、国王やのうて、王太子をその階段に出席させるそうや。」

 

ナバル「王太子って・・・確かこないだ16になったばかりでっせ?そんな子供を国の代表にするんでっか?」

 

大統領「そうらしいで。何でも齢16にして、王国始まって以来の傑物や言うて評判らしいわ。」

 

ナバル「はあ・・・で、それがどないしたんですか?」

 

大統領「ナバル、お前がその会談へ行って、アールスハイドから利権取って来い。」

 

ナバル「は?」

 

大統領「せやからお前を、今回の会談の代表にする言うてんねん。」

 

ナバル「・・・・・ホナ、そこで私が自分の利権もろても宜しいんですか?」

 

大統領「おお。出来んねやったら何ぼでも毟り取って来い。」

 

ナバル「そう決まったら早速アールスハイドとの詰めの作業に入りますわ!ホナ失礼しまっせ!」

 

大統領「おう、しっかりやれよ。」

 

ナバル(アールスハイドなんちゅう大国相手に利権を取る!あかん、元商人の血が騒いでならんわ!くはははは!)

 

やる気が出たナバルが大統領の自室から出た。

 

大統領(アールスハイド国王陛下と・・・あのひとには悪いが・・・これも国家の繁栄の為や・・・堪忍したってや・・・ふ、ふふ・・・大丈夫・・・大丈夫・・・やろうか・・・?もし、あの人が怒らしたらと思うと・・・震えが止まらんけどな・・・)

 

彼は、あの人物との深い関わりがあるらしいが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、Sクラスにネックレスと無線通信機をプレゼント。

 

マリア「何コレ?ネックレス・・・は分かるけど、こっちは?」

 

ユーリ「見慣れない形ねぇ・・・さっぱりだわぁ。」

 

タクト(受話器型とは、シンプルだな。)

 

シン「皆揃ったな?じゃあそれぞれ一セットずつ受け取ってくれる?新作の魔道具なんだ。」

 

リン「へえ・・・異物排除・・・」

 

アリス「これ着けれてば、風邪引かないの!?凄いじゃん!」

 

トニー「(異物排除・・・)っ!シン!コレもう1個貰え・・・いや!売ってくれないかい!?だってこれ着けてれば安心して・・・」

 

シン「おい!絶対違う目的で使う気だろトニー!!つーかそれに気付くの早えよ!!」

 

シシリー「・・・・・」

 

マリア「(ん?何でシシリーが赤くなって・・・異物・・・で、トニーがそんなに喜ぶ・・・って)ああ!!シン!!まさかその目的で!?サイテー!サイッテー!!」

 

シン「ああホラ!!マリアまで気付いちゃった!!」

 

トニー「あはははは!」

 

マリア「ひそひそ。」

 

オリビア「ひそひそ。」

 

シン「待て!誤解だって〜〜〜!!」

 

タクト「あ〜あ。」

 

ユーリ「ねぇねぇ、っで?こっちはぁ?どうやって使うのぉ?」

 

シン「それぞれ固有番号を付与してあるから・・・通信したい相手の番号に合わせてダイヤルを回して、通話ボタンを押すだけだよ。一応タクトとテストはしたけど、まだ試作品だから皆に使って貰って改良点を教えて欲しいんだ。連合の発足も含めて、今後は色々役立つ場面も出て来ると思うし・・・頼むよ皆。」

 

マリア「分かった。」

 

アリス「任せてシン君!」

 

アウグスト「・・・まあ、そう言う目的ならば魔道具開発が間に合って良かったと捉えるべきか・・・」

 

シン「ん?」

 

タクト「どした?」

 

アウグスト「ああ、三国会談の日程が決まったぞ。」

 

シン「マジか!」

 

タクト「場所は何処なんだ?」

 

アウグスト「場所はスイード王国。今回唯一、魔人の襲撃による被害を出した国で、魔人討伐についての会談を行う事になった。お前達には護衛も兼ねてスイードまで同行して貰う。第三国での会談は、エルス、イース共に譲らない最低条件だったが、スイードなら反撃の狼煙を上げる場所としては最適だろう。」

 

シン「それで・・・会談は何時?」

 

アウグスト「1週間後だ。ゲートで移動出来れば良かったが、今回は公式な外交会談だ。国力を見せる意味でも、大掛かりな馬車での移動となるだろう。移動時間を考えて、3〜4日後の出発になる。各々しっかりと準備を頼むぞ。」

 

全員「了解!」

 

タクト「リオ達にも伝えておくか。後一応グレアも一緒に。フェオン達は留守番を。」

 

シン「タクト、いよいよか。」

 

タクト「ああ。」

 

 

 

 

 

 

夜のイース神聖国では。

 

フラー「グフッ、グフフ・・・良いぞ!実に良い展開だ!まさか教皇がこんな好都合な仕事を任せて下さるとは・・・これで近い内に必ず・・・」

 

”コンコン”

 

フラー「む?(こんな時間に神子の女か?丁度良い。)ああ、ちょっと待て。フン、何だやっぱりその気になって・・・」

 

ドアを開けると立っていたのは・・・

 

 

 

 

神子ではなく、ゼストとローレンスとダンテだった。

 

 

 

 

ゼスト「やあこんばんは。イース神聖国大司教、アメン=フラー殿。」

 

フラー「なっ・・・誰・・・!!」

 

突然ゼストに口を塞がれた。

 

フラー(何だ此奴等・・・!!警備は何をして・・・っ!!)

 

警備は他の魔人に殺害されていた。

 

ゼスト「安心して良い。今殺す気はない。」

 

彼はフラーに魔力を流し込んだ。

 

ゼスト「お前は大事な生贄だからな。」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子
グレア:高橋李依

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
マリーカ:難波佑香
ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭

オルト=リッカーマン:狩野翔

ローレンス:杉山紀彰

ゼスト:津田健次郎

大統領:内田直哉
ハミル=マキナ:高橋広樹
ウサマ=ナバル:田中敦子
アメン=フラー:中博史

オリバー=シュトローム:森川智之





次回予告

遂に訪れた三国会談の日。アウグストが代表2人に連合締結を交渉する。その裏で、謎の陰謀が蠢く。

次回ウルトラマンティガ

狙われた聖女

お楽しみに


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##狂瀾怒濤の三国会談編##
第16話「狙われた聖女」


狙われた聖女
アメン=フラー、斥候魔人 登場



スイード王国・王都。

 

 

 

大勢の馬車が到着し、アルティメット・マジシャンズが降りた。

 

「キャアアーーーー!!アウグスト様ーーー!!」

「魔王様ステキーー!!」

「聖女様!!こっち向いてくれーーー!!」

「ようこそ!アルティメット・マジシャンズ!!」

 

周囲から黄色い歓声が響く。

 

マリア「凄い歓迎っぷり・・・」

 

リオ「凄えなぁ・・・」

 

トニー「魔人を撃退したのは、ついこの前の話だもんねえ。」

 

シン「ま・・・魔王の二つ名が既に広まってる・・・」

 

デイジー「残りの2ヶ国代表は来てないの?」

 

アウグスト「夕方頃には到着するはずだ。会談は明日早朝から始まる。」

 

トール「何としても、主導権を握れると良いのですが・・・」

 

ユリウス「そうで御座るな。」

 

シン「オーグもそうだけど・・・やたらアールスハイドが主導権を握る事に拘るな・・・」

 

アウグスト「・・・実際の所、主導権など何処が握っても良いんだ。結果として問題が解決するならな。しかし、こと魔人に関してはそうはいかん。実際に魔人の脅威を身を以て理解している立場でなければ、正しい判断を下す事は出来ん。犠牲が出てからでは遅いんだ。」

 

シン「・・・成る程、たしかにそうだな。」

 

アウグスト「円滑に話が進めば良いが、時折耳にする世間の”魔人軽視”の風潮を考えても・・・簡単にはいかんだろうな。」

 

タクト「エルスとイースの代表さんが良心だったら良いな。」

 

エドガー「ようこそおいで下さいました。スイード王国軍指揮官のエドガー=フランネルです。宿泊施設の迎賓館まで御案内致します。」

 

そして夕方、イースとエルスの代表が到着した。

 

 

 

 

 

 

そして遂に、三国会談当日。

 

シン「頼んだぞオーグ。」

 

タクト「しっかりな。」

 

アウグスト「ああ。」

 

ユーリ「会議は別の場所で行うのよねぇ?私達はこっちで待機?」

 

アリス「あっちにもいっぱい敬語の人達がいるだろうからね。」

 

アウグスト「・・・・・・・」

 

トール「落ち着いてますね、殿下。」

 

アウグスト「そうか?」

 

ユリウス「殿下は昔から緊張しないタチで御座る。」

 

トール「尊敬しますよ、そう言うトコ。」

 

アウグスト「らしくないぞトール。昔のお前だったら『もっと緊張感を持て』とか言ってるトコだろ。」

 

トール「成長しましたから。殿下も、自分も。頼りにしてますよ。」

 

アウグスト「ああ。行って来る。」

 

タクト「頼んだぜ。」

 

彼は会談へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会議室。ここに、3つの国の代表が揃った。

 

エルス自由商業連合国代表・ウサマ=ナバル。

イース神聖国代表・アメン=フラー。

アールスハイド王国代表・アウグスト=フォン=アールスハイド。

 

アウグスト「エルス、イース共に遠方までよく来てくれた。国を代表して礼を言う。」

 

ウサマ「お初にお目に掛かりますアウグスト殿下。エルスで外交を担当させてもろてますウサマ=ナバルと申します。どうぞよろしゅう。」

 

密かに奇妙な笑みを見せた。

 

アウグスト「(イヤな笑みだな・・・)アウグスト=フォン=アールスハイドだ。こちらこそ宜しく頼む。(自分の欲を隠す気がまるでない。そう言うタイプだ。)」

 

フラー「初めまして、私はアメン=フラー。創神教総本山において大司教の地位についております。」

 

アウグスト「・・・・・・(総神教の聖職者は清貧を美徳とし、自らを厳しく律する事で有名だが・・・)」

 

フラー「ん?どうかしたかね?」

 

アウグスト「(大司教の地位を利用し、私腹を肥す生臭坊主・・・と言った所か。)・・・いや、宜しく頼む。(世界の危機に対する会議に・・・どう見ても自らの出世や利益を目的とする者達を送り込んで来るとは・・・魔人の脅威を知らぬ2ヶ国の危機感のなさが見て取れるな。)」

 

彼はこの2人の心を完全に読み取った。

 

アウグスト「・・・魔人が出現してから各街道にも魔物が増えた。エルスは流通にも影響しているのではないか?」

 

ウサマ「そうですなあ、どうないしても護衛の数を増やさなあきませんよって、コストが増えたのが痛いですなあ。」

 

アウグスト「イースではどうだ?何か影響は?」

 

フラー「・・・フム、不安がって教会に救いを求めて来る信者は増えておりますな・・・」

 

密かに不気味な笑みを浮かべた。

 

アウグスト「・・・?・・・さて、我が国が貴国らに声を掛けた件だが、担当直入に言おう。旧帝国領を支配し、遂には周辺国にまで進出して来た魔人タチからの各国の防衛・・・そしてこれから旧帝国領へと侵攻する為に同盟を結びたい。」

 

2人はこの言葉を聞いて黙り込んでる。

 

ウサマ「タダで・・・と言う訳にはいきまへんなあ。」

 

アウグスト「何?」

 

ウサマ「エルスは商業国家でっせ?そんな損しか産まん利がない事に参加する理由がおまへんなあ。」

 

アウグスト「利がない・・・か。」

 

ウサマ「そうでっしゃろ?よしんば魔人を討伐出来たとして、それに掛かった軍事費用は誰が負担してくれますの?魔人に賠償請求でもせぇと、そう仰るんですか?」

 

アウグスト「・・・・たしかに賠償金を請求する先はないな。」

 

ウサマ「それともアールスハイド王国が負担を?」

 

アウグスト「一国の軍事費用をか?まさかそんな事が出来るはずもない。」

 

ウサマ「そりゃ困りましたな。しかし、そもそもこの話はそちらが持ち掛けて来た話ですやろ?それに・・・聞きましたで?ホンマやったら魔人程度アールスハイドのみで対処出来る問題らしいやないですか?」

 

アウグスト(攻め所は調べ尽くして来たつもりなのだろうが・・・まさかここまで認識が甘いとは・・・)

 

ウサマ「実際アールスハイドだけで事に当たるには、負担が大きいからウチやイースに声を掛けたんですやろ?そしたらウチが損をせんような話を持って来てくれんとねえ・・・話になりませんわ。」

 

アウグスト「・・・・具体的には何が望みだ?」

 

ウサマ「確か・・・アールスハイドとその周辺国の間では、遠距離通信が出来る魔道具があるらしいですね。その無償提供でどないです?・・・ああ勿論、こちらの希望する数を揃えて貰いますよって。」

 

アウグスト「・・・イースは?まさかそちらにもこの世界の危機に何か要求があるのか?」

 

ウサマ「・・・・・」

 

フラー「はっはっはっ!私共は創神教の聖職者ですよ?要求などあるはずもない!エルスのような強欲の要求など全く・・・ね。」

 

ウサマ「何やと!?」

 

フラー「世界の危機に自国の利を優先するとは・・・考えられませんな。」

 

ウサマ「・・・・!!」

 

アウグスト「ではイースは、この同盟に参加してくれると?」

 

フラー「そうですなあ・・・参加するのは吝かではありませんが・・・」

 

この言葉でアウグストが理解した。

 

アウグスト「(やはりか。)望みは?」

 

フラー「いえ、先程も伝えましたでしょう?信者に不安が広がっていると。この状況を何とかしたいのですよ。」

 

アウグスト「・・・・つまり?」

 

フラー「聖女。」

 

アウグスト(っ!?)

 

聖女、つまりシシリーの要求である。

 

アウグスト「聞き間違いか?今・・・何と?」

 

フラー「今アールスハイドには”聖女”と讃えられる少女が居るらしいですな。噂によると治癒魔法に優れ、大変美しいとか・・・その少女をこちらに引き渡して頂きたい。イース神聖国にて、民の不安を取り除く象徴となって貰いたいのですよ。」

 

ウサマ(何が民の象徴や。自分の欲の為ですと、顔に書いてあるわ。この化け狸が・・・)

 

アウグスト(自分でも驚きだ・・・親友の幸福を奪おうとする輩に、ここまで怒りを覚えるとは・・・!)

 

彼の心の中は怒りに満ち溢れてる。

 

フラー「どうしたのかね殿下?お答えを。」

 

アウグスト「エルスとイース、双方の要求なのだが・・・」

 

彼が出した答えは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アウグスト「両方共、呑む事は出来ない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウサマ「・・・・・・と言う事は何ですか?ウチらに無償で戦争に参加しろと、そう仰るんですか?」

 

アウグスト「・・・・・」

 

フラー「やれやれ、何も分かっておらん。世界の民の不安を取り除く為の提案であると言うのに・・・」

 

ウサマ「やはり、お若い殿下ではこう言う高度な交渉は出来ませんか!!ガッカリですわ!!」

 

フラー「全くだ!!まるで話にならん!!」

 

アウグスト「・・・・・・」

 

ウサマ「意地を張ったって交渉は進まんのですよ殿下!!」

 

フラー「今からでも代表者を替わられては如何か!?もう少し融通の利く者にな!!」

 

ウサマ「そや!何なら・・・!?」

 

フラー「っ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アウグスト「何も分かっていないのは、お前らの方だろう!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の異常な威圧感に、ウサマとフラーが恐怖心を覚えた。

 

フラー(ぐぬ・・・何だこの威圧感・・・!!高高16やそこらの若造がここまでの・・・)

 

ウサマ(忘れとったわ・・・王太子であると同時にアルティメット・マジシャンズとか言う魔法師団集のトップに近い実力者やったな・・・!!こりゃアカン・・・ウチの大統領以上の迫力やわ・・・!!)

 

アウグスト「エルスに利がない?その程度の認識で、よくもまあ代表としてこの場に来られたものだな。」

 

ウサマ「な・・・何やて!?」

 

アウグスト「それからフラー大司教。何故聖女を引き渡さねばならない?」

 

フラー「だ・・・だから民の不安を取り除く為と・・・」

 

アウグスト「聖女と呼ばれているとは言え、聖職者になる為の修行を行っていない者をか?」

 

フラー「っ!?」

 

アウグスト「それにアルティメット・マジシャンズの聖女と言えば、戦場では魔人を倒す力を持ちながらも、傷付いた者を無償で治すと言う評判だったはずだ。それ故に民衆の人気は高く、その存在自体が皆の希望になっている。わざわざイースに引き渡さなければならない理由など何もあるまい。」

 

フラー「・・・・!!」

 

アウグスト「聖女を戦場から離脱させる事は、逆に民衆の不安を煽る事になると思うがな。違うか?」

 

フラー(・・・魔人を・・・倒す程の実力者・・・だと・・・!?まさかそれ程の・・・)

 

アウグスト「それとも・・・何か他の目的が?」

 

フラー「そ・・・そんな事は!」

 

ウサマ「おやぁ?大司教ともあろう御方が、まさか御自身の為の邪な欲求だったんですかいな?」

 

フラー「黙れ!!この守銭奴が!!」

 

ウサマ「何やと!?この生臭坊主!!」

 

フラー「何だと!?」

 

ウサマ「何や!?」

 

言い争う2人に対し、アウグストの怒りが爆発した。

 

アウグスト「いい加減にしろ!!!!!」

 

机を強く叩いて言い争いを制止させた。

 

アウグスト「エルスもイースも一体何を考えている?今我々が行っているのは、世界の危機を共に協力して乗り越える為の会議だと理解しているのか?」

 

ウサマ「そうは仰いますけどね殿下。先程も言ったように、ホンマやったらアールスハイドだけで対処出来る問題を何故ウチらまで・・・」

 

アウグスト「はあ・・・それすら分からんのか・・・」

 

ウサマ「な・・・何ですのん?」

 

アウグスト「まず訊くが、一体何の根拠があって魔人の対処が我が国だけで出来ると考えている?」

 

ウサマ「・・・そ、そりゃ・・・他国からの情報で・・・」

 

アウグスト「市井に流れる噂を何の根拠もなく信じ込んでいるのか?一度スイードに掛け合って被害の規模を確認してみるといい。犠牲者の数もな。それにもう一つ・・・これは混乱を避ける為、他には出ていない情報だが、クルトの防衛戦において、我々は自分達の実力を上回る魔人達と遭遇している。それも複数のな。」

 

フラー「・・・!?」

 

ウサマ「ホ・・・ホンマかいな・・・!?」

 

アウグスト「状況は既に変わってきているのだ。貴国らの協力なしに魔人を包囲する事は、既に叶わんと言っても過言ではない。」

 

ウサマ「だ・・・だったら、さっさと精鋭部隊組んで攻め込んだったら・・・」

 

アウグスト「仮にそうしたとして、我々が帝国領に攻め込んでいる間に、奴らが対応する事なく他国へ散開したら?個人で国を滅せるような者達が世界へ散ったら一体どうなる?情けない話だが、今現在、奴らが帝国内に身を潜めていてくれる事は、我々にとって救いである事に他ならないのだ。・・・話を戻すが、それでも何とか貴殿らの言うように、我々アールスハイドのみで魔人を滅ぼしたとしよう。周辺国は我が国に多大な感謝をしてくれるだろうな。・・・しかしその時に、この人類の危機に何もしようとしなかった2つの大国にはどんな評価が下ると思う?」

 

ウサマ「はっ!(そう言う事か・・・!!宗教国家であるイースも同様やが・・・商業を主流とするエルスは民衆の評判に大きく左右される・・・アールスハイドがそれだけ巨大な功績を立てれば・・・何もしなかった2つの大国が失う信用はあまりにもデカい・・・!!)」

 

アウグスト「今回のこの会議は、エルスとイースに『お願い』している訳ではない。世界のパワーバランスを保つ為、終戦後の功績を二国にも分けましょうと言う『利益共有の提案』だ。それを、こうまで欲に濁った思考で応対されるとは・・・正直失望した。勿論貴殿らにではない。そんな人間を代表として送り込んだ、エルスとイースと言う2つの国に・・・だ。」

 

2人は黙り込んだ。

 

アウグスト「そもそもナバル外交官。貴殿の言う通信機は個人が発明したもので、国に所有権はない。各国がきちんとその個人から購入し、通信料を払っているのだ。それをエルスにだけ無料で提供してみろ。他国の反感を買うのは目に見えるだろう。」

 

ウサマ(その通り・・・や。信用第一のウチが・・・信用失う訳には・・・)

 

アウグスト「それからフラー大司教。聖女には現在婚約者が居る事は御存知か?」

 

フラー「それは・・・勿論、知ってはいる・・・が。」

 

ウサマ「魔王シン=ウォルフォード・・・でっしゃろ?仲睦まじい事でも有名やがな。」

 

アウグスト「魔人を苦もなく討伐し”魔法使いの王”とまで呼ばれる男の婚約者相手によくもそんな要求を・・・全くもって貴殿の勇気には感服する。」

 

ウサマ「そんな仲を引き裂くようなマネ、ウチにはよう出来ませんわ。恨まれて何かされても良いって言う愚かモンなら別やけどな・・・」

 

アウグスト「脅しにしか聞こえんかも知れんが、貴国の為の思って忠告する。彼奴の怒りを買って地図上から『イース神聖国』を消したくなければ・・・聖女には手を出すな。」

 

この言葉でフラーが密かに怒りを覚える。

 

アウグスト「・・・何せよ、こんな状態ではこれ以上の会談は無理だな。明日また改めよう。ナバル外交官、フラー大司教、私は何も無償で協力しろとは言っていない。この騒動が収まった後、どんな利があるのか考えてみるんだな。」

 

席から立ち上がって退室する。

 

ウサマ「・・・ホナ、私も失礼しまっさ。」

 

彼女も退室した。

 

 

 

 

しかしフラーは。

 

フラー「生意気な小童に・・・強欲な商人風情が・・・この大司教に何と言う口を・・・!!」

 

アウグスト『聖女には婚約者が・・・』

 

フラー「一魔法使い如きが、私に栄えるなどと本気で思っているのか・・・!?くっふっふっ・・・見ているがいい・・・私は・・・欲したモノは必ず手に入れてみせるからな・・・!!」

 

とてつもない黒いオーラが溢れ出た。

 

 

 

 

 

 

その後アウグストはシン達の元へ戻った。

 

シン「お?もう帰って来たぞ。オーグの奴。」

 

タクト「結果はどうだ?」

 

アウグスト「ああ、残念ながらエルスもイースも自分達の要求を呑ませようとして来たからな。」

 

タクト「やはりな・・・もしや会談は中止か?」

 

アウグスト「いや、一旦落ち着いて明日また改める事になった。」

 

シン「オーグ、要求って?」

 

アウグスト「その事で話がある。シン、クロード、それとタクトにリオも少し良いか?」

 

タクト・シン・シシリー・リオ「?」

 

 

 

 

 

 

離れた場所で、アウグストが会談での事を話した。

 

シン「聖女を・・・差し出せ・・・!?」

 

タクト「それってまさか・・・シシリーをか!?」

 

アウグスト「ああ。」

 

リオ「それって、冗談か何かでしょ?」

 

アウグスト「冗談ではない。事実だ。」

 

リオ「シシリーを欲する大司教・・・」

 

タクト「見過ごせない事案だな・・・」

 

聖女、つまりシシリーを差し出せと言う言葉を聞いて、シンが怒りを覚える。

 

アウグスト「落ち着け。心配しなくても、その要求は突っぱねた。」

 

シン「当たり前だろ!!何考えてんだそいつは!?創神教ってのはそんな事する奴らなのか!?」

 

アウグスト「誤解するな。そんな要求は勿論、そいつの個人の欲の為だけだ。大方、世渡りが上手いだけでのし上がった人間なんだろう。」

 

タクト「自分の欲の為にシシリーを要求・・・フラー大司教め、クズな野郎だ。」

 

アウグスト「エルスの代表は、私の話にある程度納得していたようだが、イースの代表は相当頭にきていた様子だった・・・自分の思い通りにいかない事が許せないのだろう。」

 

シン「・・・何が言いたいんだ?」

 

アウグスト「クロードがここに居る事は当然承知しているはず。聖女を手にいれる為に強硬手段に出る可能性があると言う事だ。」

 

タクト「つまり、奴は何処からどんな手段でシシリーを奪いに来るか分からんと言う事か。」

 

アウグスト「そうだ。」

 

シン「・・・・・・・!!」

 

タクト「シシリーを奪う為ならば手段を選ばないってか・・・」

 

アウグスト「クロードから目を離すな。言いたい事はそれだけだ。タクト、リオ、もしクロードがシンと離れたらお前がクロードに付いて行ってやれ。」

 

タクト「当たり前だ。」

 

リオ「勿論だよ!」

 

その場から離れるアウグスト。シンがシシリーを抱き寄せた。

 

シシリー「っ!シ・・・シン君・・・!?」

 

シン「絶対離さないからな、シシリー!俺が必ず守ってやる、何があっても!」

 

シシリー「はい・・・!」

 

シン「タクト、リオ、お前達もシシリーを守ってくれるか?」

 

タクト「あぁ、そのつもりだ。」

 

リオ「僕もそんな奴等を許さないしね。」

 

シン「ありがとう。皆。」

 

シシリー「タクト君、リオさん。ありがとうございます。」

 

 

 

 

 

 

そしてフラーは。

 

聖徒「お呼びですか?フラー大司教様。」

 

フラー「・・・よく来てくれた。お前達を有能な創神教信者と見込んで頼みがある。”聖女”を”魔王”の手から救い出して貰いたいのだ。」

 

彼は、シシリーを奪おうと企み始めた。

 

フラー「聖女を魔王の手から、救い出して貰いたいのだ。」

 

「救い出す・・・?聖女とは、アールスハイドの聖女様の事ですか?」

 

フラー「信頼に於けるお前達にだから話すが、先程の会談でアウグスト殿下に相談された事があってな。魔王の事は知っているか?」

 

「は、はい。噂位は・・・」

 

フラー「その魔王だが実は、強力な力と権力を使って、アールスハイドの王宮を乗っ取ってしまったらしいのだ。」

 

「ま、魔王が・・・王宮を・・・!?」

「まさか・・・」

「ほ・・・本当なのですか・・・!?」

 

勿論これは嘘話。しかしフラーは信者達に信じ込ませる為嘘を言った。

 

フラー「ああ、その上聖女も無理矢理婚約者にさせられてしまったと言われていた。嫌がる聖女は、毎晩辱めを受けているのだとか・・・」

 

「っ!?」

「お・・・おのれ鬼畜め・・・!!」

 

 

 

この信者達の中に、ダンテとアベルが居た。

 

ダンテ「笑う所か?」

 

アベル「ローレンスが居たら、多分吹いてる。」

 

ダンテ「自分に都合の良い嘘が、よくもまあつらつら出るものだ。」

 

アベル「それだけゼスト様の魔力操作が効いていると言う事だ。」

 

 

 

フラー「魔王から王国を奪取する為の協力も要請されたら・・・それより何より、まずは救国の象徴たる”聖女”様を救って欲しいとアウグスト殿下は言われた。力を貸してくれるか?」

 

「も・・・勿論です!」

 

フラー「都合の良い事に、聖女も今回の使節団に参加されておる。勿論魔王も帯同はしているが、危険を伴うが、早急に対処したい。」

 

「我々にお任せを!!必ずや聖女様を救い出してみせます!!」

 

フラー「頼んだぞ、勇敢なる神徒達よ。」

 

「はっ!ではすぐに、作戦会議に取り掛かります!!」

 

神徒達が出て行くタイミングを見て、アベルとダンテも出て行く。

 

フラー「グフッ、グフフフ・・・これで・・・聖女が・・・我が手に・・・ふひっ、ふひひひ・・・何が魔王だ・・・魔王は正義の名を騙る悪党・・・そうに違いない・・・(多少の強硬手段に出ようが・・・悪党の手から聖女を救い出したとなれば、誰も咎めはしない。聖女も喜んでその身を差し出すだろう。)ひひひひひひ・・・」

 

その後ろに。

 

ゼスト「上々な出来じゃないか。己の欲望に忠実な者は実に操りやすい。」

 

ローレンス「我々じゃ、まだここまでは出来ませんよ。ゼスト様の洗脳が優秀なんでしょう。」

 

そう、フラーはゼストの魔力操作で洗脳されているのだった。

 

リオネル「洗脳か、俺はまた此奴を魔人化させて、ウォルフォードに嗾けるモンかと思ってたぜ。」

 

ローレンス「それじゃ結局、『魔人化した大司教を、ウォルフォードが討伐しました』で済まされちまう。今回のキモは、いかに俺らの存在を表に出さないかだ。」

 

ゼスト「第一の目的は、ウォルフォードの評判を地に落とす事。その為には此奴は自らの意思で動いている事にしておかねばならん。『フラー大司教は哀れな犠牲者』。『イースに非はなく、ウォルフォードのみが批判を受ける状況』・・・それが目指す所だ。(まあ、飽く迄理想は・・・だがな。)」

 

ローレンス「さっきの連中は洗脳しとかなくて良いんですか?」

 

ゼスト「あまり不自然な状況になるのは避けたいからな。それに元より、あの連中の働きになど期待はしていない。」

 

彼らが部屋から出た。

 

 

 

フラー「・・・・・・・」

 

彼から、異様なオーラが溢れ出た。

 

 

 

 

 

 

迎賓館の作戦会議室、シンはシシリーを離さないようにしてる。

 

マリア「・・・ゴメン、えーと・・・あれは放置・・・?で良いのかしら・・・?」

 

アリス「し・・・正直こっちが恥ずかしいんだけど・・・」

 

タクト「まあ彼奴の事だからそのままにしてやれ。オーグ、話を。」

 

アウグスト「ああ。今から今後の対策を練ろう。幾ら何でもこの迎賓館を襲撃するなどと言うバカな事はしないと思うが・・・様子からしても絶対ないと言えん。」

 

マリア「この大事な会談の交換条件に、個人的な欲望を押し出して来るような奴ですからね。」

 

アリス「よっぽどシシリー・・・”聖女”に固執してる証拠だよね。」

 

アウグスト「・・・・敢えて警備の手を緩める・・・か。」

 

オリビア「?」

 

リオ「どう言う意味?」

 

アウグスト「警備を強化して、襲撃を起こさない事は可能だが・・・そうなると今後も何かに付けて”聖女”を付け狙って来るかも知れん。危険の芽は早めに摘んでしまった方が良い。そんな人間には、表舞台から早々に退場して頂こう。」

 

トール「い・・・何時になく過激ですね殿下・・・」

 

アウグスト「あくまでそんな人間ならだ。何もないならそれが一番良い。」

 

ユーリ「ただそれだとぉ・・・」

 

トニー「うん。」

 

ユーリ「シシリーが囮になるって事よねぇ。」

 

シシリー「私なら全然平気ですよ。シン君や皆さんを信じてますから、例え何が起きたとしても、私が不安になる要素は何もないです。それに・・・この御守りがあれば、どんな事が起きても大丈夫だって思えるんです。」

 

シン「シシリー・・・」

 

マリア「何よぉ、シシリーのペンダントにだけ特別な付与でもしてある訳?」

 

シン「そうだな、シシリーのだけには皆のには無い付与がしてあるよ。」

 

マリア「え!?何それズル〜〜い!!」

 

アリス「私にも同じ付与してよシン君!!」

 

ケイティ「シシリーだけズルイ!」

 

リオ「僕も欲しいよぉ!」

 

アウグスト「で?何を付与したんだ?」

 

 

 

 

 

 

シン「愛情・・・かな?」

 

 

 

 

 

 

全員がしーんとし、理解したシンが我に返った。

 

シン「い・・・今のはなかった事に・・・言うんじゃなかった・・・」

 

マリア「訊くんじゃなかった・・・」

 

アリス「やらかしたねシン君。」

 

リン「今までで一番盛大にやらかした。」

 

デイジー「完全な爆弾発言ね・・・」

 

アウグスト「くく・・・よ・・・よし・・・では・・・警備にあたるスイード王国軍には・・・つ・・・通達しておく・・・く・・・くく・・・き・・・基本的に我々に対する護衛は不要・・・と・・・くく・・・くっくっ・・・!」

 

シン「笑うか話すかどっちかにしろ!」

 

タクト「まあまあ。」

 

グレア「シン、落ち着いて。」

 

 

 

 

 

 

夜、各自で警備にあたる。無線通信機で連絡を取り合う。

 

アリス「こちらアリス。A地点に異常なし。」

 

 

 

アウグスト「了解。・・・もう夜も更けてきた。予定通りクロードは自室に戻り、残りのメンバーは持ち場に着け。」

 

 

 

 

シシリーの自室前。

 

シン「じゃあシシリー、俺達索敵魔法で監視を続けるから、無線通信機はオープンチャンネルにして起動しておいてね。」

 

シシリー「シン君・・・あの・・・このペンダント・・・愛情を付与してくれたって・・・本当ですか?」

 

シン「っ!・・・・・本当だよ、勿論。」

 

するとシシリーがシンにキスした。

 

シシリー「ありがとうございます。じゃあ部屋戻りますね。」

 

自室に戻った。

 

シン(は・・・初めてシシリーから・・・キスされちゃった・・・)

 

ドキドキしたが、落ち着きを取り戻して行動を開始する。

 

シン(オーグの話だと、”聖女”を要求する表向きの理由は、『魔人の騒動で不安がる民衆の為、イースにて神輿になって貰いたい』と言う事らしい。絶対に認められないけど、理由としては理解出来ない事もない。いや・・・寧ろそれは国民の為を想っての発言なんだろう。だけどもし、それがただ単に個人の欲望を満たす為だけにシシリーを狙っているのだとしたら・・・俺は絶対に、そいつを許さない!)

 

 

 

 

その頃タクトとリオは。

 

リオ「何処から現れるか分からないね。」

 

タクト「油断は禁物だ。常時気配を感知するよう目を見開けよ?」

 

 

 

 

 

 

真夜中、オリビアが徘徊してる。

 

オリビア「もう真夜中か・・・シシリーさん寝ちゃったかな・・・っ!」

 

索敵魔法で何かを感知した。

 

オリビア「索敵に複数の反応!!方向は・・・裏門から東へ約20メートル地点・・・!!塀を乗り越えて中へ・・・!!」

 

無線通信機で全員に連絡する。

 

オリビア「侵入者です!!」

 

シン「マジで来やがった・・・!!待ち構えておいて何だが・・・何考えてやがんだ・・・!!」

 

 

 

 

アウグスト「こちらアウグスト!無線機のチャンネルをクロードに合わせろ!我々の警戒に気付かれないように現場に近付き過ぎるなよ!」

 

マリア(今捕らえても罪状は不法侵入程度・・・)

 

アリス(目的と黒幕をはっきりさせなきゃ意味がない・・・!!)

 

シン(索敵魔法と部屋に置いた無線機が拾う物音で・・・大凡その動きの予想は付く!!)

 

 

 

 

 

 

裏では、イース聖徒達が侵入していた。

 

聖徒A「この先の部屋だ。」

 

聖徒B「時間が時間だ。流石にお休みになられているはず。」

 

聖徒C「いやに警備が薄くないか?王族が宿泊しているのに・・・」

 

聖徒A「薄くもなるだろ。中に居るのは魔人にも勝る鬼のアルティメット・マジシャンズとその筆頭、シン=ウォルフォードだぞ。こんな事情じゃなきゃ、誰が侵入なんて目論むかよ。」

 

聖徒B「お咎めの覚悟とは言え、下手すりゃ死罪だよな。」

 

聖徒A「それでも大司教の言葉が事実であれば、見過ごす訳にはいかん。神聖なるイースの聖徒としてな!」

 

しばらく進み。

 

聖徒A「待て、ここだ。」

 

部屋を覗くと、ぐっすり眠ってるシシリーを発見した。

 

聖徒達(う・・・美しい・・・!!)

 

シシリーの寝顔を見て見惚れ中。

 

聖徒A「おっと、見惚れてる場合か。睡眠香を使うぞ。」

 

聖徒B「手荒な真似は避けたい。」

 

聖徒A「聖女様には悪いが、より深い眠りに落ちて貰おう。」

 

窓を少し開けて睡眠香を投げると、シシリーの部屋に睡眠香の煙が蔓延した。

 

聖徒A「・・・よし、もう充分だろう。行け!!」

 

部屋に入ると、驚きの光景が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シン「こんな夜更けに窓から侵入か?何処の不埒者だ?」

 

タクト「悪いが、お楽しみタイムは終わりだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲートからタクトとシンが現れた。

 

聖徒A「なっ!!何だ此奴らは・・・!?」

 

聖徒B「バカな!!何時の間に現れた!?」

 

聖徒C「周囲には全く気配は・・・!!」

 

タクト「おバカさんだな。」

 

聖徒A「くっ!お前らは此奴らを押さえろ!!俺は眠っている聖女様を!!」

 

シン「シシリー、もういいよ。」

 

 

 

 

するとシシリーがひょこっと起きた。

 

 

 

 

聖徒達「!!!???」

 

全員ビックリ。

 

聖徒A「バ・・・バカな!睡眠香が効いて・・・いない・・・!?」

 

シシリー「すみませんけど、私先日から、毒・・・効かないんです!」

 

ペンダントに付与してある解毒の効果のお陰である。

 

タクト「グレア。出て来い。」

 

グレア「はいはーい!」

 

シシリーの横にグレアが姿を現した。

 

聖徒A「ゆ、幽霊だと!?」

 

グレア「幽霊じゃなくて精霊でーす!私には吸引魔法も備わってありまーす!残念だったねぇ〜。」

 

聖徒B「・・・・!?どうするんだよ!?と言うかひょっとして此奴・・・魔王なんじゃ!?」

 

聖徒A「無理だ!退避するぞ!!」

 

タクト「逃げられると思うなよ!」

 

 

 

 

 

 

無数のゲートから、アルティメット・マジシャンズが現れた。

 

 

 

 

 

 

アウグスト「さあ、尋問を始めようか。」

 

聖徒達(お・・・終わった・・・!!)

 

尋問開始。

 

アウグスト「お前達は何処の者だ?何故クロードを狙った?」

 

聖徒A「(身分は明かせん・・・理由はどうであれ、こんな事を画策したのがイースの者だと知れれば・・・我々の立場は・・・だが・・・もし大司教様の言葉通りなら・・・)ア・・・ア・・・アウグスト殿下・・・わ・・・私・・・我々は・・・」

 

 

 

 

 

 

「あなたと・・・アールスハイドの為にここに来ました・・・我々は味方で御座います・・・」

 

 

 

 

 

 

タクト「はぁ?味方だと?っ!?」

 

ウルトラシールドで何かを防いだ。それは・・・

 

 

 

 

 

 

聖徒に紛れ込んだアベルの剣だった。

 

 

 

 

 

 

聖徒A「ひぃっ!?」

 

タクト「お前、何しようとした!?」

 

アベル「裏切り者は死ぬ。だがお前に邪魔された。」

 

タクト「口封じか・・・!」

 

デイジー「あなた、大丈夫?」

 

聖徒A「あ・・・ありがとうございます・・・」

 

タクト「お前、何者だ!」

 

アベル「我々はイース神聖国の者である!!大人しく”聖女”を渡すつもりがなければ、此方も手段は問わん!!」

 

タクト・シン・アウグスト「!?」

 

するとその聖徒が魔力を集め始めた。

 

シン「全員構えろ!!一帯を吹き飛ばす威力だぞ!!」

 

全員が魔力障壁を張る。

 

聖徒達「ひいっ!!」

 

アウグスト「(証言者を消させる訳にはいかん・・・!!)来い!」

 

聖徒達「わあっ!!」

 

タクト「くっ!!」

 

 

 

 

 

 

”ドゴーーーーン”

 

 

 

 

 

 

爆発が起こったが、全員無事だった。

 

デイジー「危ないわねぇ・・・」

 

アウグスト「警戒しろ!!狙いはクロードだぞ!!」

 

シン「(くっそ・・・!!とっさの事だからガードするのが精一杯で・・・)シシリー!!何処だ!?」

 

シシリー「ここですシン君!!」

 

シン「ほっ・・・良かった、シシリー!手を掴め!!一度ゲートで他の場所に・・・」

 

 

 

 

 

 

だがシシリーの後ろにダンテが現れ、シシリーを連れ攫って屋根の上へ。

 

 

 

 

 

 

シン「!!!!」

 

タクト「何!?」

 

アベル「今日から此奴はイースの人間だ。”聖女”としてか愛人としてかは知らないがな。」

 

アウグスト「挑発に乗るなよシン!!トール!スイード王国軍に要警戒を伝えろ!!」

 

トール「はっ!!」

 

アウグスト「ただし不用意に手を出させるな!!恐らく向こうも精鋭だ!!」

 

アベルとダンテがシシリーと共に姿を消した。するとリオが気配を感じた。

 

リオ「・・・別の魔人!?皆、ここを頼むよ!」

 

タクト「気を付けろよ!」

 

 

 

 

 

 

同じ頃スイード王国軍は。

 

エドガー「アウグスト殿下より伝令!!イースの手の者と思われる数名が迎賓館を襲撃!!聖女殿を攫って逃走中の事だ!!」

 

騎士A「聖女・・・シシリー様を!?」

 

騎士B「何のつもりだイースは!?」

 

騎士C「シシリー様にはこの国を救っていただいた御恩がある!!」

 

騎士D「必ず我々の手で賊を捕まえて・・・!!っ!?」

 

目の前に2人の聖徒が現れ、騎士達を斬ろうとしたが。

 

 

 

 

 

 

リオ「ダアアアァァァァァ!!!!」

 

 

 

 

 

 

真上からリオが現れ、カインの剣を白刃取りした。

 

リオ「随分楽しそうだね!」

 

カイン「お前、邪魔するなよ。チビ。」

 

リオ「アァ!?誰がチビじゃゴルァ!!」

 

チビと言われたリオがブチギレた。

 

騎士「うおおおおお!!」

 

リオ「行くな!!」

 

そこにサイクスが現れ、騎士達を斬り裂いた。

 

サイクス「・・・つー事で、プランは『B』に変更。イースに罪を着せた上でウォルフォードの暴走を狙う。」

 

エドガー「な・・・何者だお前ら・・・!?」

 

カイン「神聖なるフラー大司教の遣い・・・イースの聖徒!」

 

サイクス「よく口に出来るなそんな台詞。」

 

カイン「言っててヘドが出そうだ。」

 

リオ「お前等の相手は俺だ!掛かって来い!!」

 

カイン「良いだろう、来い!!」

 

両者がぶつかり合う。

 

 

 

 

 

 

そしてシン達は、シシリーを連れ戻しに走る。

 

 

 

 

無線通信機で連絡を取り合う。

 

マリア「こちらマリア!現在、王都北東方面探索中、索敵に反応なし!!」

 

リン「同じく反応なし!」

 

マーク「反応ないッス!」

 

タクト「完全に見失った!」

 

シン「こっちも反応なしだ・・・くそっ!!」

 

 

 

 

一方アウグストは、イース使節団の宿泊施設に居た。

 

司教「フラー様?・・・そう言えば、夕方頃からお姿を見ておりませんね。」

 

アウグスト「(やはり場所を変えた後か・・・まあ当然だろうな。襲撃者が『自分はイースの人間だ』と名乗っておいて、本拠地に戻っていたんじゃマヌケ過ぎる。何にせよ、この時点で国際問題決定だ。)・・・シンか、こちらアウグスト。やはりこっちも蛻の殻だ。スイード側には、街から一切人を出さんよう徹底させている。だが、日が昇れば、それも難しくなるだろう。今晩中に必ずクロードを取り戻さねばならん。」

 

 

 

シン「・・・・・・・今晩中シシリーに何もないと言う保証は・・・!?」

 

 

 

アウグスト「気休めを言っても始まらん。保証はない。やるべきは一刻も早く見付け出す事だけだ。」

 

 

 

シン「シシリー・・・!!」

 

タクト「まだ近くに居るかも知れない。隈なく探すぞ!」

 

シン「あぁ!」

 

シシリーの居場所を探す。

 

 

 

 

 

 

古い教会。

 

ダンテ「入れ。」

 

攫われたシシリーが2人の聖徒と入る。

 

シシリー(教会・・・随分古い・・・後ろ手に縛られているせいで・・・隙を見てゲートを発動するのも恐らく難しい・・・)

 

 

 

 

2階のある部屋。

 

アベル「ここだ。」

 

扉を開けると、そこに誰か居た。

 

 

 

 

 

 

フラー「ようこそ聖女殿。おおこれは、噂に違わず美しい。」

 

 

 

 

 

 

シシリー「っ!!」

 

大司教のフラーだった。

 

フラー「聞くがいい聖女殿。其方を助けてに来てやったぞ。さあ、私と共に・・・イースへ行こうではないか。」

 

シシリー「お断りします!あなたが今している事は・・・国家間の関係を・・・最悪なものにする行為ですよ・・・!」

 

フラー「・・・・ふぅ、余程”魔王”に強く躾けられているのだな・・・なぁに・・・魔王の事なら心配いらん。私は大司教だ。魔法使いの1匹や2匹何も口は出させんよ。」

 

シシリー(この人・・・さっきから一体何の話を・・・)

 

密かに異空間収納から無線通信機を出して起動する。

 

フラー「っ!何をしている!?」

 

肩を掴まれ、無線通信機を落とした。

 

シシリー(いけない・・・!!)

 

フラー「ん?何だ・・・?これは。初めて見るな・・・」

 

シシリー(そうか・・・あれが通信機だと分かるのは私達だけ・・・チャンネルを1つ回して通信するのが精一杯だった・・・最初のチャンネル・・・シン君に繋がっているはず・・・気付いて下さい・・・シン君・・・!!)

 

 

 

 

 

 

その頃タクトとシンは、シシリーの居場所を探している。

 

タクト「くそっ・・・何処に消えた?」

 

するとシンの無線通信機に通信が。

 

シン「・・・!?(通信中・・・!?何時の間に・・・誰が・・・まさか・・・)シシ・・・!」

 

タクト「待て!」

 

シン「え?」

 

タクト(その着信、まさかシシリーか?)

 

シン(あぁ、多分そのはずだ。通信がシシリーからとして・・・敵は誰も通信機の存在を知らないはず・・・もし敵がシシリーの近くに居たとしても、上手く使えば・・・)

 

タクト(なら気付かれないような合図を出せ。そうすれば騙せる。)

 

シン(合図・・・そうか!)

 

指で無線通信機を軽く叩く。

 

 

 

 

 

 

古い教会。

 

”コッコッ”

 

フラー「む・・・?何やら音が・・・」

 

シシリー(!!)

 

フラー「異国のおもちゃか何かか。ふん。」

 

無線通信機を投げた。

 

フラー「聖女と言えど、やはりまだ子供だな。」

 

シシリー(シン君・・・!!)

 

合図がシンのだと理解したシシリーが、フラーに問う。

 

シシリー「フラー・・・大司教、ここは・・・何処なんですか?」

 

フラー「場所など知ってどうするのかね?まあいい・・・ここは・・・古くて既に使われておらん教会だよ。事前に手を回して買い取ってある。ぐふふ、大声で出そうと誰も来んぞ。諦めたまえ。」

 

 

 

 

 

 

タクト(それで充分だ!)

 

シン(ナイスだシシリー!!)

 

チャンネルを切り替えた。

 

シン「オーグ!!」

 

 

 

 

アウグスト「シン!どうした!?」

 

 

 

 

シン「大至急スイードに掛け合って調べて貰ってくれ!!王都の中に最近買い取られた古い教会!!そこにシシリーは居る!!」

 

 

 

 

 

 

古い教会の外では。

 

ダンテ「この後は?大司教任せか?」

 

アベル「あれなら”聖女”に手を出すのも時間の問題だろう・・・だが、ウォルフォードの暴走を狙うならもう少し時間を稼ぎたい。・・・・・・」

 

ダンテ「・・・万が一奴が予想より早く現れたら?」

 

アベル「勿論止める。俺達でな。」

 

ダンテ「魔人の力を使わずにか?自殺行為だな。」

 

アベル「しかし、ここが重要な局面だ。」

 

ダンテ「私達でクロードを始末して、奴に死体を見せ付けられれば話が早いんだがな。」

 

アベル「確かに奴が怒りで暴走する可能性は高いが、怒りの矛先が何処へ向くか分からん。魔人化しようがしまいが・・・奴の怒りはイースへ向く方が我々にとっても都合が良い。」

 

すると茂みからリオネルが出た。

 

リオネル「隊長からのお達しだ。こっちをフォローしてやれってな。」

 

 

 

 

 

 

その頃リオは、カインとサイクスと交戦中。

 

リオ「ダァッ!!」

 

高速で斬撃波を連射する。

 

カイン「フッ!」

 

サイクス「ハッ!」

 

斬撃波で全て破壊した。

 

リオ「ダァッ!!」

 

飛び蹴りをしたが、魔力障壁で防がれた。だがリオの斬撃が魔力障壁に罅を入れられて破壊され、2人にダメージが入った。

 

カイン「くっ!」

 

サイクス「うおっ!」

 

カイン「お前、中々やるじゃないか。」

 

リオ「お前らもな、良い腕してやがるぜ。」

 

サイクス「こんなに強い奴と戦うのは初めてだ。」

 

リオ「俺も同じさ。さぁ、本当の戦いはこれからだぜ!!」

 

 

 

 

 

 

すると真上からマリアが現れた。

 

 

 

 

 

 

リオ「マリア!?」

 

更にユーリがステッキを振ってサイクスに魔法を飛ばす。

 

サイクス「くっ!」

 

魔力障壁で防いだ。

 

マリア「何それ新作?」

 

ユーリ「そうよぉ!振るだけでお手軽魔法ステッキ〜!」

 

リオ「お前達、来たのか?」

 

マリア「ゴメンユーリ、リオ、私既にキレてるから巻き添えに気を付けてね。」

 

ユーリ「大丈夫よぉ。私も結構怒ってるからぁ〜〜〜。」

 

リオ「分かった、行くぞ!」

 

マリア「ボコボコにして、シシリーの居場所を吐かせてやる!」

 

リオ「一気に行くぜ!!」

 

 

 

 

 

 

その頃タクトとシンは。

 

アウグスト『シン!!』

 

シン「どうだ!?」

 

アウグスト『王都南西部の街外れにある教会が最近何者かに買収されている!記録にある限り、該当箇所はそこだけだ!これから私も・・・』

 

”ブツッ”

 

すぐに切った。

 

シン「タクト、聞いたか?」

 

タクト「ああ、バッチリだ!急ぐぞ!」

 

急いで南西部にある古い教会へ向かった。

 

 

 

 

 

 

古い教会では、リオネルが座っている。そこにタクトとシンが歩いて来て、リオネルが立ち塞がる。

 

リオネル「ここは通さん。進むなら殺す。」

 

タクト・シン「退け!!」

 

2人のダブルパンチがリオネルの腹部に命中した。すると上からダンテが現れ、シンを拘束した。

 

タクト「シン!!」

 

助けに行こうとしたが、アベルが剣を握って前に立った。

 

タクト「ッ!」

 

 

 

 

リオネル「フンッ!!」

 

剛力パンチがシンに命中したが、戦闘服の防御付与で防がれた。

 

ダンテ(やはり物理防御が働く内は・・・!)

 

 

 

アベル「フッ!」

 

タクト「デリャ!!」

 

迫る剣をエルボーで折った。

 

アベル(ちぃ・・・っ!?)

 

目の前にタクトのパンチがアベルの顔に接近したが、横に間一髪避け、タクトのパンチが壁に激突した。

 

 

 

 

そしてシンは、ダンテの腹部に肘打ちして怯ませ、振り返ってダンテの顔にキックした。

 

ダンテ「ガハッ!!」

 

 

 

 

タクト「ドルアアアァァァ!!!」

 

アベル「クッ!!」

 

飛び蹴りを魔力障壁で防ぐが。

 

タクト「ハァッ!!」

 

エネルギーを右足に集中して威力を高める。

 

アベル「何!?」

 

エネルギーキックが魔力障壁を破り、アベルの腹部に減り込む。

 

 

 

 

リオネル「ウオオオォォォォ!!!!」

 

後ろからリオネルが襲うが、シンが振り返って右パンチで顔に強く大打撃を与えた。

 

リオネル「ぐっ・・・む・・・」

 

怯んでる隙に、タクトがアッパーカットでリオネルの顔に大打撃を与えて倒した。

 

シン「もう止めとけ。じっとしてりゃ後で治してやる。」

 

タクト「邪魔したら容赦なしだ。」

 

ダンテ(人間相手だからか、致命傷を避けた攻撃ばかり・・・つまりまるで本気を出していないと言う事・・・)

 

アベル「(やはり魔人の力を抑えて戦える相手じゃない・・・流石の実力だ・・・)・・・2階奥の部屋だ・・・行け!」

 

 

 

 

 

 

2階の奥の部屋に入ると、シシリーが性的行為を受ける寸前だった。

 

タクト「シシリー!!」

 

フラー「ちっ、何だ良い所で・・・」

 

シン「・・・お前・・・何を・・・」

 

シシリー「シン君!!タクト君!!」

 

走ってシンに飛び込む。

 

タクト「よっと!」

 

縛ってるロープを引き千切った。

 

フラー「お前が”魔王”か・・・ぐふふ・・・聖女を誑かす悪の王が・・・一体何をしにここへ来た・・・!?知ってるぞぉ・・・ひひ、お前がアールスハイドを乗っ取り・・・剰え・・・聖女を我が物にし、好きにしている事もなぁ・・・!!」

 

 

 

 

教会の1階にアウグストが。

 

アウグスト(シン・・・タクト・・・クロード・・・!!)

 

 

 

 

教会の外では。

 

ゼスト「さて、どう転ぶか・・・」

 

 

 

 

2階の部屋。

 

シン「何を・・・言ってんだ・・・?お前・・・?」

 

タクト「アールスハイドを乗っ取る?何バカ言ってんだ?」

 

フラー「私は大司教だぞ・・・全てお見通しだ・・・皆が見ぬフリをしようとも・・・貴様の犯して来た数々の悪行・・・私が断罪してやる!!!王国を・・・聖女を・・・世界を貴様などに渡してなるものか・・・!!それを守護するのは私の使命なのだ・・・!!貴様では聖女を幸福には出来ぬ!!力に任せて世を脅かす悪魔め!!!貴様の様な存在を!!私は絶対に許さんぞ!!!!!」

 

怒りが頂点に達したシンが魔力を解放した。アウグストが駆け付け、タクトが止めに行ったその時・・・

 

 

 

 

 

 

”パアン!!”

 

 

 

 

 

 

何とシシリーがフラーの頬を平手打ちした。

 

シン「っ!?」

 

タクト「シシリー・・・!?」

 

彼女に涙が溢れ、怒りをフラーにぶつける。

 

シシリー「いい加減にして下さい・・・何を勝手な事を!!シン君が悪魔!?巫山戯ないで!!シン君程の周りの皆の安全を!!幸せを!!この世界の平穏を願っている人は居ないのに!!私の大切な人を!!愛する人を!!それ以上悪く言わないで!!!」

 

彼女の強い言葉で、シンの目に涙が出た。

 

シン「・・・・・!!!」

 

タクト「シシリー・・・・」

 

アウグスト「フラー大司教、貴殿がどの様な経緯を持ってこんな行動に及んだ事は存じ上げないが、今のこの2人を見てまだなお・・・その仲を引き裂く勇気がおありか?」

 

2人が抱き合ってる光景を見て、フラーが戸惑う。

 

 

 

 

 

 

しかし物陰に潜んでいた謎の光が、彼の心に眠ってる怒りを爆破させた。

 

 

 

 

 

 

フラー「そんな事・・・絶対に認めんぞおおおおおお!!!!!!」

 

シン「っ!?」

 

シシリー「っ!?」

 

アウグスト「何だ!?」

 

タクト「これは・・・!!」

 

フラー「うおおおおおおおおお!!!!!」

 

彼から黒いオーラが溢れ出て、両目が赤くなった。

 

シン「魔人!?」

 

フラー「キサマラ・・・!!!」

 

 

 

 

外に居たゼストとローレンスは。

 

ローレンス「魔人化したか。」

 

ゼスト(フフッ・・・)

 

 

 

 

フラー「マオウメ・・・ワタシカラセイジョヲウバウナド・・・ユルサンゾオオオオオ!!!!!!」

 

タクト「逃げろ!!」

 

全員「っ!!」

 

魔力を暴走させたフラーが教会を崩壊した。

 

 

 

 

 

 

同じ頃。

 

カイン「これは?」

 

ダンテ「この気配は・・・あの時と同じか。」

 

カイン「時間切れの様だな。じゃあな。」

 

2人が撤退した。

 

マリア「待ちなさい!!」

 

リオ「っ!誰か来る。」

 

タクト達がゲートを通って来た。

 

マリア「シシリー!」

 

シシリー「マリア!」

 

マリア「無事だったんだね!」

 

ユーリ「何かあったの?」

 

タクト「気を付けろ、奴が暴走した・・・」

 

ユーリ「え?」

 

 

 

 

そこに魔人化したフラーが姿を現した。

 

 

 

 

マリア「フラー大司教!?」

 

リオ「魔人化しやがってる!?」

 

ナージャ「皆!」

 

タクト「お前等!!」

 

他の皆も合流した。

 

ケイティ「ねぇ、あれってフラー大司教だよね?」

 

フラー「シン=ウォルフォード・・・キサマヲコロシテセイジョヲイタダク!!!」

 

シン「チッ!」

 

タクト「フラー大司教、これ以上は止めろ。」

 

フラー「ダマレ!!セイジョヲヨコセ!!!」

 

口から魔力弾を吐き、街を破壊した。

 

アリス「ちょっと何あの威力!?」

 

マーク「マズイッス!!」

 

タクト「お前達は下がれ。」

 

 

 

 

フラーの前にタクトが立つ。

 

タクト「これ以上シシリーに近寄るな。」

 

フラー「ジャマダ!!ソコヲドケ!!」

 

タクト「止むを得ない・・・お前を阻止する!」

 

スパークレンスを掲げて光らせ、光の柱に包まれてウルトラマンティガへ変身した。

 

ティガ「タッ!」

 

フラー「スガタガカワッタコトデ、ワタシヲタオスコトハデキナイ!!」

 

突進するフラーをティガが受け止めた。

 

ティガ「タァッ!ハァッ!」

 

そのまま両脇腹に膝蹴りを与える。

 

ティガ「タァッ!」

 

後ろへ投げた。

 

フラー「キサマアアアアア!!!」

 

口から魔力弾を吐いた。

 

ティガ「フッ!!」

 

ウルトラクロスバリヤーで魔力弾を防いだ。

 

フラー「グゥゥゥ・・・・!!!」

 

身の危険を感じたのか、フラーが逃げ出した。

 

 

 

 

アウグスト「逃げたぞ!!」

 

 

 

 

ティガ「タァッ!!」

 

マルチキックでフラーの背中に直撃して、フラーの前に着地した。

 

ティガ「フッ!」

 

フラー「ガ・・・ガァァ・・・!!」

 

怒りが爆発したフラーが口に魔力を最大まで集める。

 

ティガ「フッ!」

 

両腕を前に突き出し交差させ、大きく横に広げてエネルギーを集める。

 

ティガ「タァッ!!」

 

L字に組んでゼペリオン光線。

 

フラー「ガアアァァァァァァ!!!!」

 

ティガ「・・・・・・」

 

ゼペリオン光線がフラーの腹部を貫き、フラーが爆発した。

 

 

 

 

光となってタクトに戻った。

 

タクト「オーグ、フラー大司教はもう・・・」

 

アウグスト「いや、よくやってくれた。これ以上放置し続ければ、スイードを滅ぼすだろう。」

 

タクト「オーグ・・・」

 

アウグスト「腑に落ちない点は幾つかあるが・・・取り敢えず・・・落着だ。」

 

暴走して魔人化してしまったフラー大司教は、ティガに敗れてしまい、この世に存在しなくなった。

 

 

 

 

 

翌朝の迎賓館前。

 

アウグスト「死者12名、負傷者26名。実行犯数名はフラー死亡後に逃走・・・現在も行方は追っているが、以前手掛かりはなし。迎賓館にて捕らえた侵入者数名は、フラーの私設兵だった事は確認済み。”聖女”誘拐に加え、これだけの被害を出した以上、本来ならば連合結成の候補国からの除外は勿論の事。国際問題として取り上げざるを得ない状況だが・・・今回の件は完全にフラー個人の目論みである上、今は世界連合結成の為の会合の最中、各国の情勢の為にもあまり事を荒立てたくはない。よって、スイードとも協議した結果、イースの無条件の協力と、代表の交代で今回の件を収めようと思うが、いかがか?」

 

ハミル「(大司教の立場であの男・・・何と言う事を・・・)恥ずかしながら、まだ状況を飲み込めておりませんが・・・仰られる事に間違いはないのでしょう。そのような取り計らいで収めていただけるのであれば・・・これ以上の感謝は御座いません。代表の件ですが、今後は次席である私、ハミル=マキナが務めさせていただきます。宜しいでしょうか?」

 

アウグスト「ああ。フラーは魔物化されたが・・・タクト=クリスティとの戦いの時に敗れて討伐されてしまった。」

 

ハミル「・・・はっ・・・フラー大司教の私設兵は有能ですが、まだ若い者達ばかり・・・彼らからすれば、大司教は教皇同様、神にも等しい存在です。おそらくは、いいように情報を吹き込まれ利用されたのでしょう。若い信者達を扇動して、犯罪に加担させるなど・・・それだけで重罪です。」

 

アウグスト「・・・侵入者達に少し話を聞きたいのだが。スイード出向の直前、急遽私設兵に加えられた数名の人間がいたらしいが、何か知らないか?」

 

ハミル「・・・推測ですが、”聖女”誘拐の為にフラーが呼び寄せた者達・・・と考えるのが妥当でしょう。真の実行犯は、恐らくその連中でしょう。ひょっとしたら他国の者なのか・・・そこまで過激派の連中が紛れていたとは・・・」

 

アウグスト「何か分かれば報告を頼む。」

 

ハミル「はっ!この度の非礼は必ず改めて謝罪させていただきます。早朝から御足労いただき、ありがとうございました。」

 

 

 

 

 

 

一方、迎賓館のシシリーの部屋では。

 

シシリー「・・・・ん・・・・っ!?!」

 

小鳥の鳴く声を聞いたシシリーが目を開けると、横に何故かシンが添い寝していた。

 

シシリー(え?ええ!?シン君!?え?なな何で!?な・・・な・・・何このシチュエーション・・・え!?まさか・・・私・・・でも全然記憶が・・・えと・・・えと・・・昨日の夜・・・あの後、シン君のゲートで迎賓館に戻って・・・私、泣きじゃくってて・・・確か・・・メイドさんが着替えを手伝ってくれて・・・)

 

 

 

 

昨晩、シシリーが着替えた後、シンが自分の部屋に戻ろうとしたが、シシリーは泣きながらシンの服を掴んでそのまま眠った。シンはそのままシシリーを添い寝するように眠った。

 

 

 

 

シシリー(そっか・・・私多分、シン君の服掴んだまま寝ちゃって・・・シン君仕方無く・・・ずっと・・・一緒に居てくれたんだ・・・初めて見るなぁ・・・シン君の寝顔・・・)

 

布団をシンの方へ寄せた。

 

シシリー「ありがとうございます、シン君・・・」

 

シン「・・・う・・・ん・・・あっ!」

 

眠りからシンが目覚めた。

 

シシリー「お・・・おはようございます・・・」

 

シン「お・・・おはよう・・・ゴ、ゴメンねシシリー。そ、添い寝しちゃって・・・な・・・何か昨日1人にしておけなかったっって言うか・・・あっ!ち、誓って何もしてないから!!」

 

シシリー「ちょっとビックリしたけど・・・シン君が居てくれて・・・凄く嬉しかったです。それに・・・シン君だったら、何されたってイヤじゃないです。」

 

そう言われたシンが真っ赤になった。そして2人がキスしようと顔を近付けたその時。

 

 

 

 

 

 

マリア「入るわよシシリー!」

 

 

 

 

 

 

ドアからマリアが入って来た。

 

マリア「もう大丈・・・ぶ・・・?」

 

2人がキスする寸前の光景を見たマリアが。

 

マリア「・・・あ・・・ご・・・ゴメンなさい!!!」

 

すぐにドアを閉めた。

 

シン「うわああああ違う!!マリア!!」

 

シシリー「わ・私達まだ何も・・・」

 

シン「わ・・・悪いシシリー!ちゃんと誤解を解いて・・・」

 

すぐにマリアを追ってドアを開けたが。

 

シシリー「あ!シン君待って!開けちゃ・・・」

 

シン「へ?」

 

 

 

 

廊下に女性陣が立っていた。

 

 

 

 

アリス「あれ?何でシン君、こんな朝からシシリーの部屋に居んの?」

 

シン「(あああああ!!そう言やここは女子部屋の真っ只中・・・!!)いや!!違・・・その・・・!!」

 

ユーリ「あらぁ、昨夜はお楽しみでしたぁ?」

 

シン「違ぁ〜〜〜〜〜〜う!!!」

 

 

 

 

タクト「どうしたお前ら?」

 

 

 

 

そこにタクトが来た。

 

アリス「あ!タクト君!おはよう!」

 

リン「おはよう。」

 

タクト「ん?シン、お前何あたふたしてんだ?」

 

シン「タクト!!助けてくれ!!誤解を解きたいんだよ!!」

 

タクト「誤解?・・・ああ昨晩の事か?」

 

 

 

 

 

 

会議室では、ウサマが2人を待っていた。

 

アウグスト「・・・早いなナバル外交官。」

 

ウサマ「っ!おはようございます殿下。・・・おや?そちらは?」

 

ハミル「フラーに代わって代表を務める事になりました、ハミル・マキナです。」

 

ウサマ「ん?何かあったんですか?」

 

ハミル「・・・ええ・・・まあ・・・少々・・・いや、大きな問題を起こしまして・・・」

 

ウサマ「(何となく察しは付くけどな・・・)・・・まあエエですわ。では会議を始めましょうか?」

 

アウグスト「所でどうした?凄い隈だな。」

 

ウサマ「そらもう、一晩かけて戦後の利益について考えてきましたわ。」

 

ハミル「出会って早々に何ですが、利益の追求ばかりでは多方面に敵を作り、何れ身を滅ぼしますよ。そうなる前に行動を改めた方が宜しいのでは?」

 

ウサマ「ホンマに創神教の神子さんは皆同じ頃言いよんな・・・残念やけど、エルスは資本至上主義の国や。富こそが何よりの正義ですよって。」

 

アウグスト(代表が変わろうが、両国の仲の悪さは変わらず・・・か。まあ、商業国と宗教国と言う性質を考えれば無理もない・・・が。)

 

 

 

 

会談を再開した。

 

アウグスト「・・・・これが、ここまでで確認出来ている旧帝国の現状だ。数十万居た帝国民達はほぼ全滅・・・現在存在するのは、無数の魔物と魔人達のみだ。・・・この際”魔人領”としておくか。」

 

ハミル「魔人領・・・」

 

ウサマ「つまり、それらを駆逐出来たとすれば、残るのは支配者の居ない広大な土地・・・」

 

アウグスト「皮算用になるが・・・土地については周辺国へ均等に分配される事になっている。エルス・イースは飛び地になってしまうから・・・そこは了承してくれ。」

 

ハミル「・・・」

 

ウサマ「・・・しゃあないでんな。」

 

アウグスト「ここからが本題だ。土地が増えれば、当然そこで人間が生産行動を取る事になる。元々あった帝国の街がどうなっているか分からんが・・・施設や設備等、相当な復興が必要となるだろう。まず、資材の調達・建設・・・それから復興に関しての事だが・・・」

 

彼はウサマに目を向けて。

 

アウグスト「その大部分を、エルスに一任する事で各国の了承を得ている。」

 

ウサマ(っ!そらとんでもない大商いやがな・・・!!)

 

アウグスト「どうだ?十分エルスに利のある話だと思うが。」

 

ニヤリと笑う。

 

ウサマ「勿論ですわ!そないな話、不意に出来る訳おまへん・・・!!是非頼みますわ!!」

 

アウグスト「・・・さて、次にイースだが。旧帝国での創神教とはどう言うものだった?」

 

ハミル「・・・はっきり申し上げましょう。私達は彼らを、同じ創神教の教徒とは認めておりません。宗派は多々あれど、創神教の本質は、戒律を守り善行を積む事で、神の御下へ導かれると言うもの。所が彼らの教会は・・・”我らは神の子。故に自信の行動を素直に報告し、教会に空すればその行動は全て赦される”などと・・・とんでもない事を教えておりました。」

 

ウサマ「・・・アホくさ。そんなんどんな悪事働いても、金払えば赦して貰えるって事やがな。まー、ある意味ウチと通じるモンもあるが・・・」

 

アウグスト「多額の寄付が必要だから、貧しい平民達には浸透しなかったらしいな。むしろ『創神教』の名を嫌う者達も多かったようだ。」

 

ハミル「そのせいで貴族達は、まるで自分達が神になったかのように勘違いし、神の子ではない平民には、何をしても良いと考えるようになってしまったのです。本当に・・・愚かな話です。」

 

ウサマ「・・・ま、図らずも、そちらの言う悪しき教会は魔人達が残らず粛清してくれた訳や。」

 

ハミル「・・・言い方をお考えなさい。犠牲になった罪のない人々も数多く居るのですよ。」

 

アウグスト「願わくば新たな土地には、ただ式教義の教会を築いて欲しい。帝国の濁り切った歴史を二度と繰り返さない為にもな。」

 

ハミル「畏まりました。教会が増えるのは我々にとっても喜ばしい事。これ以上の『利』は御座いません。」

 

アウグスト「さて・・・仮定の話ばかりしてきたが、勿論それら全ては魔人領に蔓延る魔人や魔物を討伐した後の話。まずは各国魔人達の脅威に立ち向かう事に目を向けてくれ。」

 

ハミル「目前の困難から目を背ける事は教義にも反します。協力致しましょう。」

 

ウサマ「将来の利益の為や。今は身銭を切らせて貰いましょ。」

 

アウグスト「宜しく頼む。」

 

3人は共に握手を交わした。

 

 

 

 

こうしてこの日、アールスハイドとその周辺国にエルス・イースが加えた、世界連合が発足した。

 

 

 

 

その頃迎賓館では。

 

シン「上手くやってるかな、オーグの奴・・・」

 

デイジー「大丈夫でしょう。」

 

グレア「オーグだもん。きっとね。」

 

マリア「・・・ねえシシリー。」

 

シシリー「ん?なぁにマリア?」

 

マリア「・・・痛かった?」

 

突然シシリーがお茶を吹いた。

 

シシリー「な・・・何の話してるのマリア!?だ・・・だからまだ・・・何もしてないってば!!」

 

マリア「うそ!だってあ・・・朝からベッドでキスしてたじゃん!!」

 

シシリー「そ、そ・・・それは・・・」

 

マリア「ほらぁ!やっぱり!」

 

タクト「マリア、これ以上追求するのは止めろ。さっき俺が誤解を解かせてあげただろ?」

 

マリア「だ、だって!!」

 

ケイティ「まあまあマリア、少し落ち着いて?」

 

リオ「冷静になろうよ。冷静に。」

 

アリス「良いじゃんリオ君、マリア。そんなに誤解を解かせてあげなくても。シシリーは皆より先に大人・・・になれたんだし。」

 

シシリー「も・・・もう!違うってば〜〜〜〜!!」

 

タクト「アリス、お前な・・・」

 

オリビア「マリアさん、アリスさん、シシリーさんは多分まだ経験されてないですよ。」

 

シシリー「オリビアさん・・・!」

 

アリス「え〜?」

 

マリア「何でそんな事分かんのよオリビア。」

 

オリビア「だってシシリーさん、朝から普通に歩いてるじゃないですか。」

 

タクト・リオ・マリア・アリス「・・・・どゆ事?」

 

オリビア「え?だって初めての時ってホラ、真面に歩けないじゃ・・・ない・・・です・・・か?」

 

タクト「おい?オリビア?大丈夫か?」

 

アリス「それ、オリビアってもう経験済みって事!?」

 

マリア「何よぉ!大人しい顔してちゃんと進んでんじゃん!!」

 

オリビア「ええ!?いや!あの!し・・・しまったぁ!」

 

リオ「マリア、アリス、オリビアが混乱してるよ。」

 

シシリー「そ・・・そうなんですか!?オリビアさん!」

 

オリビア「ひええっ!何ですかシシリーさん!?」

 

タクト「何でシシリーまで食い付くんだ?」

 

シシリー「やっぱり初めての時は・・・で・・・手順は・・・から・・・?それから・・・は・・・し・・・下着とかは・・・」

 

オリビア「ちょ・・・ストップ!落ち着いてシシリーさん!ここでそんな事言えないです!」

 

シシリー「あ・・・す、すみません私ったら・・・」

 

オリビア「くすっ。シシリーさん、本当にウォルフォード君の事が好きなんですね。」

 

シシリー「はぅ・・・」

 

ユーリ「照れなくなって良いわよぉ。好きな人とそう言う関係になりたいって思うのは自然な事だよ。」

 

マリア・アリス(この女は間違いないな・・・)

 

リン「・・・・・」

 

この話に興味ないリンはアイマスクで爆睡中。

 

シン「おーい!オーグ達帰って来たぞ!」

 

ケイティ「来た!」

 

 

 

 

会談からアウグスト達が帰って来た。

 

タクト「会談の結果は?」

 

アウグスト「ああ、エルスもイースも加盟を決めてくれたぞ。正式な調印はまた後日になるがな。」

 

シン「おお!マジか!凄え!」

 

リオ「やった!」

 

シシリー「おめでとうございます殿下!!」

 

ナージャ「ん?オーグ、その人は?」

 

アウグスト「イース使節団の次席であるマキナ司教だ。」

 

するとハミルが。

 

ハミル「この度は・・・誠に申し訳御座いませんでした!!」

 

突然土下座して謝罪した。

 

アラタ「ちょ!?」

 

ハミル「我が国の愚か者が・・・魔王様と聖女様に対し、とてつもない非礼を働いてしまいました!!赦される事では御座いませんが、平に・・・平に御容赦を!!」

 

シン・シシリー「・・・・・」

 

 

 

マリア「あのポーズ、前にシンもやってたけど・・・何なの?」

 

ユリウス「土下座を知らんで御座るか?」

 

 

 

アウグスト「その件に関しては、私も2人に謝らねばならん。クロードを囮にする策を提案したの他でもない、私だからな。」

 

シシリー「私なら全然きにしてません。昨日も言ったように・・・皆さんを信じて受け入れたのは私ですし。」

 

シン「・・・・シシリー自身がこう言ってるし・・・実際俺達はそこまでの被害を受けた訳じゃないですから。謝罪であれば、犠牲が出てしまったスイード側にすべきだと思います。」

 

ハミル「はっ・・・!それは承知しております・・・!しかし元はと言えば、あの様な者を放置していた我々の責任・・・!!神子としては最低の男ですが・・・資金運用を得意とし、イースの財務を大部分掌握していたので・・・手も出せず・・・」

 

シン「・・・まあ、俺達からしれも、本当なら創神教の方と揉めたくないですからね。アールスハイド大聖堂での挙式も予定している訳だし・・・」

 

ハミル「・・・では、せめてもの謝罪の証として・・・魔王様と聖女様の御婚礼は、我が国の教皇猊下に執り行って頂けるよう取り計らいましょう。」

 

ケイティ・シシリー・マリア・アリス・ユリウス「き・・・き・・・教皇猊下ぁ〜〜〜〜〜〜!?」

 

シン「え?何?教皇?・・・が執り行うって・・・それ凄い事なの?」

 

マリア・アリス「当たり前だ!!!」

 

タクト「まさかの教皇猊下とは、彼奴幸せもんだな。」

 

グレア「全くだね。」

 

 

 

 

 

 

その後、彼らは迎賓館から出た。

 

マリア「後は、連合締結のお祝いの晩餐会に出席して終わりよね?スイード側の被害を考慮して控えめにはするみたいだけど・・・」

 

トニー「もう明日には帰国かぁ。」

 

ユリウス「早々に済んだのも、全て殿下の手腕のお陰で御座る。」

 

マリア「あれ?殿下とシンは?」

 

アリス「タクト君は?」

 

トニー「先行っててくれってさ。」

 

グレア「遅れて来るって言ってた。」

 

リオ「あ〜、お腹減った〜。」

 

ケイティ「何か美味しい物あったら良いなぁ〜。」

 

 

 

 

その3人は今、遅れて晩餐会へ向かってる。

 

シン「わざわざ遅れて出発して・・・大事な話でもあるのか?」

 

アウグスト「・・・フラーの行動が、あまりに腑に落ちなくてな。”聖女”に近付く機会だったとは言え、国と国との会談の真っ最中にあんな事を仕出かすか?仮に”聖女”を国に連れて帰れたとして、その後の弁解はどうするつもりだったんだ?」

 

シン「確かに・・・俺に対して行ってた言葉も相当意味不明だったな・・・」

 

タクト「彼奴、思い込みの激しいサイコパスじゃねぇのか?あの時シンの事を悪魔だって言ってたしな。」

 

アウグスト「祖国での行動は確かに、目に余るものだったようだが・・・それでも一応は大司教としての振る舞いをしてきた訳だろう。所が今回、奴が目論んだのは完全な犯罪行為だ。表沙汰になれば、奴だって立場所の話ではなくなるはず。」

 

タクト「じゃあ、彼奴の身に何かが起こったって事か?」

 

アウグスト「あぁ。人が唐突に変わる・・・何か思い出さないか?」

 

タクト・シン「っ!カートの時か・・・!!」

 

アウグスト「フラーに関しては魔人化した。確証はないが・・・もし、これが魔人共の仕業だったとしたら・・・」

 

シン「(奴らの魔の手は・・・俺達が思ってる以上に、近くまで伸びて来ている・・・)俺が気になった事と言えば、シシリーを直接攫った連中だな。」

 

アウグスト「やはりか。」

 

シン「一聖職者が呼び集めたにしては、あまりにレベルが高かった。あの身のこなし・・・魔法の精度・・・魔人を相手している様だった。」

 

タクト「・・・」

 

アウグスト「魔人の魔力が感じなかったのか?」

 

シン「完全に頭に血が上ってたし、見た目は普通の人間だったからな。」

 

アウグスト「・・・何にしても油断は出来んな。狙いは恐らくお前だぞ、シン。」

 

シン「ああ・・・」

 

タクト「必ず奴らの目的を阻止してやる。」

 

するとシンが、誰かとぶつかった。

 

 

 

 

ゼスト「おっと、これは失礼・・・」

 

 

 

 

斥候隊を率いるゼストだった。ローレンスが同行してる。

 

シン「・・・!」

 

タクト「・・・」

 

シン「・・・いえ、此方こそ、すみません。」

 

タクトとシンは2人を密かに睨む。

 

 

 

 

ローレンス「暴走は失敗・・・ですね。あの男が魔人に変貌しまいましたね。」

 

ゼスト「いや、構わん。魔人側としても損失は何もないんだ。いや・・・寧ろ得られた要素が大きい。」

 

ローレンス「っ?」

 

ゼスト「まず、魔力操作の実用性が高い事は証明された。これは今後も使える。それにやはりクロードの存在だ。あの女がウォルフォードに及ぼす影響は想定以上に大きい。そしてウォルフォード自身だが、強いとは言え、やはりまだ若造だ。精神的に付け入れる隙は大いにある。何れにせよ、これで連合は結成された。ここから先は、相手を滅ぼすか、滅ぼされるかの全面戦争だ。」

 

 

 

 

 

 

その夜のパーティ会場。

 

アウグスト「この世界の危機を救う為、そしてお互いの国が発展する為、重要な連合が基本合意出来た事を大変喜ばしく思う。それでは、我々の未来に乾杯!」

 

乾杯して、晩餐会が開かれた。

 

ウサマ「これは初めまして魔王さん!私、エルス代表のウサマ=ナバルと申します!噂は予々伺っておりますがな!!」

 

急にウサマがシンにグイグイ寄る。

 

ウサマ「特にアレですねん!国と国との間で使われとるっちゅう・・・例の・・・ね!アレの都合、幾らか付けて貰われへんやろうか!?勿論料金は支払うよって・・・」

 

商人A「ちょおナバルさん!抜け駆けはズルいですわ!!」

 

商人B「ウチら、他の商人も来てるのに忘れんといてや!」

 

ウサマ「喧しいわ!!早いモン勝ちや!!」

 

シン(こ・・・これがエルスの商人か・・・凄え・・・)

 

タクト「面白そうな奴らだな。」

 

シン「まぁ・・・」

 

ウサマ「おぉ!これはこれは戦士タクト=クリスティさん!」

 

シシリー「大人気ですねシン君・・・」

 

ウサマ「お!こりゃ聖女さん!流石にお美しい!!」

 

商人B「魔王さんが羨ましいわぁ・・・ウチのも昔は可愛かってんけどなぁ・・・」

 

ウサマ「あのトドが?」

 

商人B「トドちゃうわ!どっから見てもキュートなゾウアザラシちゃんやろが!」

 

ウサマ「何が違うねん!!」

 

2人のやり取りに周囲が爆笑。

 

シン(えええ・・・何このちょっと親しみのある空気・・・)

 

タクト(中学生みたいなノリのやり取りだな・・・)

 

商人B「ホラ見てみ?若い子達に大ウケ。ホンマの事言うた甲斐がありましたわ。」

 

ウサマ「ネタやないんかい!」

 

商人B「聖女様に笑って貰えるとは光栄ですわ。普段は酒場のネーチャンしか笑わせれんよって。」

 

ウサマ「お前は一度『愛想笑い』って辞書引け!それ酒場のネーチャンの得意技やから!」

 

シシリー「ふふっ・・・」

 

周囲「あははは!」

 

タクト(くそ・・・叫びてえ・・・!)

 

シン(ダメだ・・・もう我慢出来ん・・・!)

 

痺れを切らせた2人が叫んだ。

 

 

 

 

 

 

タクト・シン「漫才師か!!!!」

 

 

 

 

 

 

2人のデカイツッコミが炸裂した。

 

ウサマ「おお!何ちゅう鋭いツッコミ・・・!!流石は魔王に戦士!尊敬しますわ!!」

 

シン「ツッコミに魔王カンゲーあるかぁ!!」

 

タクト「ボケしか居ない空間を作んなボケェ!!」

 

全員「おお〜〜〜!!」

 

リオ「流石だよタクト、シン!君達のデカイツッコミが炸裂した!」

 

グレア「将来良い漫才師になれそうだよ!」

 

タクト・シン「嬉しくねえ!!」

 

 

 

 

ハミル「・・・・」

 

アウグスト「どうしたマキナ司教。」

 

ハミル「殿下・・・いえ・・・魔王シン=ウォルフォード殿を始めとするアルティメット・マジシャンズの面々・・・こうして見ると普通の青年達にしか見えないのに・・・連合を組んだにも関わらず、戦争の重大な局面は彼らに任せるしかないと言うのが・・・大人である私には少し歯痒くて・・・」

 

エドガー「私はそうは思いませんよ。」

 

ハミル「エドガー指揮官。」

 

エドガー「身近で何度も彼らに助けられた身としては・・・彼らの力は疑う余地のないものとしか思えません。待ち受ける困難や障害・・・それらを全力で排除し、道を作るのが我々の役目です。辿り着いたその先・・・恐らくは人類の存亡を賭けた局面が必ず来る。」

 

アウグスト「そこで魔人を倒すのが、我々の役目だ。」

 

この先に、新たな戦いが待ち受けている。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子
グレア:高橋李依

ローレンス:杉山紀彰
アベル:古川慎
カイン:井上雄貴
ダンテ:柳田淳一
リオネル:内匠靖明

ゼスト:津田健次郎

エドガー:間宮康弘
ハミル=マキナ:高橋広樹
ウサマ=ナバル:田中敦子

アメン=フラー:中博史





次回予告

アールスハイド王国で新たにオープンしたウォルフォード商会。そして、タクトが新しく雇ったメイド、エスタ。彼女にはある経歴があった。

次回ウルトラマンティガ

ウォルフォード商会へようこそ

お楽しみに


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第17話「ウォルフォード商会へようこそ」

ウォルフォード商会へようこそ



アールスハイド王国軍務局・庁舎。

 

ジークフリード「げっ!何でお前がここに居んだよ?」

 

クリスティーナ「直属の上司が務めている場所に私が居て可笑しいですか?寧ろアナタこそどうしてここに?」

 

バッタリ会ったこの2人。

 

クリスティーナ「悪事がバレて呼び出しでも受けたんですか?」

 

ジークフリード「なっ!バ、バレてねえよ!」

 

クリスティーナ「つまり、バレてマズい事はあると。」

 

ジークフリード「うぐっ!」

 

2人は同じ廊下を歩く。

 

クリスティーナ「付いて来ないでもらえます?」

 

ジークフリード「るっせー、お前が俺の前歩くの止めろ。」

 

 

 

 

2人は上司の部屋の前まで来た。

 

ジークフリード「やっぱりお前もここかよ。」

 

クリスティーナ「揃って呼び出しですか。正直嫌な予感しかしませんね。」

 

”コンコン”

 

クリスティーナ「クリスティーナ=ヘイデン、参りました。」

 

ジークフリード「ジークっス。」

 

ルーパー「おう、入れ。」

 

部屋に入ると、ドミニクとルーパーが居た。

 

ドミニク「勤務中にスマンな2人共。座ってくれ。」

 

ジークフリード「団長も居たんすかっで、どうしたんです?」

 

ルーパー「今度、軍の方で部隊を編成して近隣の魔物の討伐に出るのは知ってるな?」

 

ジークフリード「え?そうなんですか?」

 

クリスティーナ「ちゃんと掲示板に告知してあったでしょう?」

 

ルーパー「テメー、さては見てねえな?はっ!まさかテメー、今度幹部飲み会の幹事お前がやるって分かってんだろうな!?」

 

ジークフリード「はい!?今度は俺の番でしたっけ!?」

 

ルーパー「巫山戯んなよテメーよォ!ちゃんと告知しといたろうが!」

 

ドミニク「巫山戯てるのはお前だ!ルーパー!!」

 

ルーパー「ああ!?飲み会、石窯亭だぞ!予約なしじゃ入れねぇだろうが!!」

 

ドミニク「この場でそんな話をするなと言っているのだ!!そもそも掲示板をそんな下らん事に使うなバカタレが!!」

 

クリスティーナ「あの、私達お2人の漫才を見る為に呼び出されたんですか?」

 

ルーパー・ドミニク「漫才言うな!!」

 

ドミニク「っで、だ。その魔物討伐なんだが、アルティメット・マジシャンズにも同行して貰うよう話を付けてきてくれないか?」

 

ジークフリード・クリスティーナ「?」

 

ドミニク「軍人に混じって魔物討伐するのではなく、彼らには独自に動いて貰って構わんのだが、お前達2人には、彼らの傍に付いて具体的な戦力の分析を頼みたいのだ。」

 

ジークフリード「戦力って、全員が魔神を倒せるレベルの連中を今更・・・」

 

ドミニク「それ以上の事細かな情報が欲しいんだ。誰が何処まで出来て、何を得意とするのか。本人達に訊くより第三者の目で判断したい。正直、殿下ですらどの程度の力を秘めているのか我々も知らんからな。」

 

ジークフリード「それってつまり・・・」

 

クリスティーナ「旧帝国・・・”魔神領”へ攻め入る為の戦力の確認と言う事ですか。」

 

ドミニク「その通りだ。エルス・イースを加えた世界連合が発足した今、早急に魔神討伐に向けた作戦を立てねばならん。当然そこで、最も重要な点となるのがアルティメット・マジシャンズの配置だ。最前線で戦うのか、兵を率いて立ち回るのか、後方支援に当たるのか。実力があるのは分かる。だが、その全容が未知数では作戦に組み込めん。」

 

クリスティーナ(確かに・・・)

 

ジークフリード(シンレベルやタクトレベルの化け物揃いだもんなぁ・・・)

 

クリスティーナ「そう言う事なら了解しました。彼と一緒と言うのは不本意ですが。」

 

ジークフリード「それはこっちの台詞だっつーの。」

 

また喧嘩が始まった。

 

ドミニク「お前達、学生の前でそんな醜態晒すなよ・・・?」

 

ルーパー「手遅れだろ、この様子だと。」

 

ジークフリード・クリスティーナ「だって此奴が!!」

 

ルーパー「仲良いなお前ら。」

 

ジークフリード・クリスティーナ「良くない!!」

 

 

 

 

 

 

同じ頃アルティメット・マジシャンズは。

 

マリア「もうじきアールスハイドの到着ね!」

 

リオ「やって帰れるね。」

 

シン「はぁ・・・にしても、まさかナバルさん達まで付いて来るとは・・・」

 

後ろの馬車にウサマが乗っている。

 

 

 

 

晩餐会の日。

 

ウサマ『商会を設立!?魔王さんがでっか!?』

 

シン『はあ・・・まあ俺が個人で進めてきた話じゃないんですけど、通信機やら、他の便利な魔道具やら、世間に出回るようになるとお金の管理が大変だから、作るべきだって婆ちゃんに言われまして・・・』

 

ウサマ『って事は、その商会に発注すれば通信機が手に入るんですな!?』

 

タクト『まあそんな所だ。』

 

ウサマ『オープンは!?何時ですの!?』

 

シン『店舗自体は前々から探して改装を進めてたみたいなんで、多分国に戻って少ししたら・・・』

 

ウサマ『ホンなら我々、アールスハイド寄ってから国に戻りますわ!』

 

商人『こんなチャンス目の前にして、手ぶら国に帰れませんよって!!』

 

 

 

 

そして今に至る。

 

シン(エルスって確かスイード挟んで反対方向だったような・・・行動力あると言うか商魂逞しいと言うか・・・どの世界も商売人は同じだなぁ・・・)

 

 

 

 

商人「いやぁエエ外交になりましたなぁ!」

 

ウサマ「ホンマですな!これで夢の遠距離通信が我が国にも・・・」

 

”ガタン”

 

ウサマ「っ!?」

 

護衛「さ、索敵に反応!!近辺の崖下から魔物が多数此方に向かっています!!」

 

ウサマ「ま、魔物!?ホンマかいな!?ま、まあでもこんだけ護衛が居れば・・・」

 

護衛「こ、これは・・・さ、災害級の反応もあります・・・!!」

 

ウサマ・商人「な・・・な・・・何やてーーーーーー!?」

 

シン(わー、お約束。)

 

アリス「この反応、熊か何かだね。」

 

リン「しかもかなりの大物。」

 

タクト「じゃあ早速片付けるとするか。」

 

トニー「シン、タクト、悪いけど大物だけ譲ってくれるかな?」

 

シン「トニー。」

 

タクト「珍しいな、お前にしては。」

 

トニー「何度か実践重ねて思ったんだけど、僕はやっぱり魔法で牽制しつつ、剣をメインに戦う方が向いてる気がしてさ。シンに付与して貰ったアレを含めてちょっと色々試してみたいんだよね。」

 

ケイティ「トニー、私にもやらせて。」

 

リオ「僕も。」

 

トニー「え?」

 

ケイティ「最近避難指示ばかりでちょっと体が鈍ってるからね。」

 

リオ「美味しい所は譲ってあげるから。」

 

トニー「それは良いね。シン、タクト、災害級以外は任せるよ!」

 

ケイティ「じゃあね!」

 

リオ「行って来まーす!」

 

3人はジャンプして災害級へ向かう。

 

マーク「俺も狩りたかったッス。災害級は素材も高く売れるから。」

 

オリビア「私も。お店に新しい窯入れてあげたかったなぁ。」

 

ユーリ「ウチの宿にもウォルフォード君所のトイレ導入したかったわぁ。」

 

洗浄機付きのトイレの事である。

 

シン(人気だなぁ災害級・・・)

 

マーク「クリスティ君、ケイティさんとリオさんは大丈夫なんッスか?」

 

タクト「あの2人の事だ。心配ない。」

 

 

 

 

災害級の前にトニーとケイティとリオが現れた。

 

ケイティ「ヤッホー!私達と一緒に遊ばない?」

 

リオ「鬼さんこーちら!」

 

 

 

 

ウサマ「ちょ!殿下!!少年と少女だけで!?無謀な!!何とかせな!!」

 

アウグスト「ん?まあ大丈夫だろ。」

 

 

 

 

災害級が左手で攻撃しようとしたが。

 

ケイティ「よっと!」

 

剣で上へ弾かれた。今度は右手で攻撃しようとしたが。

 

トニー「っ!」

 

ジェットブーツで弾かれた。

 

リオ「よいしょー!」

 

真上からリオが災害級の顔に切り傷を刻んだ。

 

 

 

 

シン(上手くなったなぁ、ジェットブーツの使い方。)

 

タクト(流石だケイティ、腕は落ちていねえな。)

 

デイジー(流石リオね。)

 

 

 

 

ケイティ「ほらほらどうしたの?もっと遊んでよ!」

 

リオ「こっちだよー!ホラホラー!」

 

注意を引き連れてる間に、トニーが異空間収納からバイブレーションソードを出した。

 

トニー(シンと同じ事をやってちゃ、何時まで経っても追い付けやしない。僕は僕なりの戦い方を探っていかなくちゃねえ。)

 

ケイティ「よっ!ほっ!」

 

軽々と災害級の攻撃を避け続ける。

 

リオ「そこだ!」

 

懐からナイフを出して投げて、災害級の両手に全て突き刺した。

 

トニー(溜め込め風を、もっと!もっと!!)

 

ジェットブーツに風を溜め込んで突進する。

 

トニー「(ジェットブーツと風魔法による、超高速斬撃!!)ケイティさん!リオ!」

 

ケイティ「ん?おっと!」

 

リオ「危ない!」

 

後ろにジャンプして着地。それと同時に災害級の胴体が、トニーの超高速斬撃によって真っ二つにされた。

 

 

 

 

マリア「何今の!?風の魔法で自分を撃ち出したの!?」

 

トール「それに加えて、トニーさん自身も風を纏って威力を増してますよ!!」

 

 

 

 

トニー「体が吹っ飛ぶかと思ったぁ〜〜〜!!」

 

ケイティ「凄いじゃんトニー!」

 

リオ「格好良い!」

 

 

 

 

ウサマ「は、速過ぎて何も見えんかったわ・・・!!」

 

タクト「良いコンビネーションだ。」

 

シン(あれは俺も試した事なかったな!!剣と魔法・・・両方使い慣れてるトニーだからこそ出来る戦術!!)

 

アウグスト「しかし両断してしまっては、素材の価値は低くなってしまうな。」

 

トニー「改良の余地ありですね。」

 

シン(素材の価値、か。)

 

タクト「よし、ここは俺達も実験といくか。お前らは少し離れてろ。残りは俺達が片付ける。」

 

ウサマ「魔王はん!!戦士はん!!無茶や!!2人でどうやってそないな数!!」

 

 

 

 

シン(森で狩りをしていた頃、獲物を逃さない為によく使ってたマーカーの魔法!まずは索敵魔法と同様に薄く魔法を広げ、そこに触れた範囲内全ての標的の眉間にロックオン!!)

 

全ての魔物の眉間にロックオンした。

 

シン「後は!!」

 

水の弾を生成した。

 

 

 

 

マリア「何アレ・・・!?」

 

シシリー「水の弾・・・!?」

 

 

 

 

シン「タクト!」

 

タクト「言われなくても!!」

 

シン「行け!!」

 

水の弾とハンドスラッシュを同時に連射した。ハンドスラッシュが水の弾に重なり、全ての魔物の眉間に全弾命中した。残りが逃げようとしたが。

 

タクト「おっと、逃げがすかよ!!」

 

ハンドスラッシュを再び連射して、魔物達の眉間を後ろから貫いた。

 

 

 

 

ウサマ「な・・・な・・・な・・・なああ!?」

 

 

 

 

シン「オッケー!殲滅完了!!」

 

タクト「こんなものか。」

 

 

 

 

グレア「相変わらず凄いねタクト。」

 

ユリウス「見事で御座るな!全て狂いなく眉間に一撃・・・」

 

トール「不自然な軌道で魔法が飛び交ってましたけど・・・どうやったらこんな魔法思い付くんですかね・・・」

 

トニー「確かにこれなら素材を一切無駄にしないねぇ。流石だよ。」

 

シン「森での狩りは殆ど食糧の確保が目的だったからなるべく傷付けたくなかったし。」

 

タクト「特に逃げ足の速い奴に対してはこれが最適だしな。」

 

シン「それに意図的に魔力でマーキングを妨害出来る一部の魔物や人間相手にはあまり使えないけど。」

 

アウグスト(彼奴の獲物の仕留め方はそこに由来したのか。)

 

シシリー「凄いですシン君・・・」

 

マリア「止まる事を知らないわよねぇ、シンの魔法は。タクトもだけど。」

 

ウサマ「・・・・・」

 

アウグスト「どうした?ナバル外交官。」

 

ウサマ「い、いえ・・・魔王さん・・コレ・・・世界征服も可能なレベルの強さちゃいますの・・・?」

 

アウグスト「(驚きより恐れが勝ったか。)フム、ならば本人に訊いてみようか。シン!彼が世界征服する気はないかと訊いているぞ!」

 

ウサマ「ちょ、ちょお!止めてや殿下!!」

 

シン「征服?俺が?何で?」

 

ウサマ「何でって、それだけの力があれば楽に・・・」

 

シン「力があるから全てを支配しようなんて俺は思いませんよ。それってつまり、帝国や魔神の考え方でしょ?」

 

タクト「まあ確かに今のシンの実力なら世界征服も夢ではない。けど此奴は違う。な?」

 

シン「うん。俺には爺ちゃんが居て、婆ちゃんが居て、沢山の友人や知り合いや、何より恋人が居て。そんな人達を守る事だけに力を使えれば充分です。俺が知る限り、本当に力を持ってる人達は、皆大切な今を守る事だけの為に力を使います。それ以上求めるのは殆どが『力を持った気でいる人間』だけなんですよ。俺がそう思えるのは、身近に正しい人達が居たお陰だと思います。支配とかに興味はありません。」

 

ウサマ(英雄、シン=ウォルフォード・・・か。)

 

アウグスト「だそうだ、安心したか?」

 

ウサマ「お若いのに、立派なモンですな・・・殿下も・・・魔王さんも・・・戦士さんも・・・」

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王国に帰国。アウグストは王城へ向かった。

 

タクト「やっと着いた俺の故郷!」

 

シン「ナバルさん、ほかの商人さん達も。商会がオープンする日取りが決まるまで、取り敢えず何処かで宿を取られては?」

 

タクト「ここで野宿する訳にはいかねえだろ?」

 

リオ「野宿なら僕のコテージへようこそ!」

 

ウサマ「そうですな・・・こっちの商売相手にも挨拶回ろ思ってますし、何日かは滞在する事になりそうやしな。何処か良い宿ご存知で?」

 

リオ「スルー!?」

 

シン「宿・・・(そー言や俺、この国の宿って今まで1度も・・・)」

 

ユーリ「アールスハイドと言えばカールトンのお宿、オススメですよぉ!」

 

グレア「そっか!ユーリの家はホテルだったね!」

 

ユーリ「エルスのお偉いさん一行の宿泊なら大歓迎ですよぉ!それに、商会のオープン日決まったら、ウチにも真っ先に教えて欲しい欲しいぃ!」

 

シン「?」

 

タクト「ああ、トイレの事か?」

 

ユーリ「そうそう。例のトイレよぉ。アレも商品として出すんでしょお?ウチの宿、近い内に全部アレに切り替えたいらしいのよぉ。だからぁ、早めの情報よ・ろ・し・くぅ。」

 

シン「っ!!」

 

ユーリの胸がシンの腕にくっ付いた。シシリーは怒りを抑え中。

 

タクト(ユーリ、また勧誘的な攻撃しやがって。)

 

ユーリ「じゃあ皆さん御案内致しますぅ!」

 

ウサマ「は、はあ。それより例のとかアレとか・・・何の話ですの?」

 

ユーリ「うふふ、それはぁ・・・見てからのぉ、お・た・の・し・みぃ♡」

 

 

 

 

 

 

翌日のウォルフォード邸。

 

シン「じゃあタクト、宜しくな。」

 

タクト「ああ、婚約同士水入らず楽しんで来いよ。」

 

シシリー「はい、行って来ます。」

 

今日はタクトが留守番中。

 

タクト「シンとシシリーは今日もデートで、マーリン様とメリダ様は久々に森の奥へちょっとした帰省。今ここに居るのは俺か。あ〜暇だ。お、そうだ。あの子はどうしてるかな?」

 

彼は、その子が居る庭へ向かった。

 

 

 

 

ウォルフォード邸の庭に、1人のメイドが居た。

 

タクト「お、居た居た。おーいエスタ!」

 

エスタ「あ、タクト様。」

 

タクト「どうだ?ここの仕事は上手くやってるか?」

 

エスタ「はい。私を雇って頂きありがとうございます。」

 

タクト「良いって事よ。ここの仕事がピッタリで良かった。」

 

メイドの少女・エスタ。彼女と出会ったのはあの時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、スイード王国での晩餐会の翌朝の出発前の事だった。

 

タクト「シン、俺ちょっと周辺を散歩して来る。」

 

シン「ああ、分かった。」

 

 

 

 

彼は来賓館から出て、王都を散歩する。

 

タクト「今日も賑やかだな。ん?」

 

周囲がタクトを見てる。

 

タクト「アルティメット・マジシャンズがこの地に現れた魔人を討伐したお陰で、注目の的が続いているな。スイードに何かあるかも知れねえな。一応周囲に目を光らせるか。」

 

注意深く周囲を見渡す。

 

 

 

 

近くの公園。

 

タクト「ふぅ〜・・・ん?」

 

何らかの気配を感じた。

 

タクト「誰か居るのか?こっちか。」

 

 

 

 

裏路地。

 

タクト「ん?あの子?」

 

倒れてる少女を発見。

 

タクト「しっかりしろ!おい!」

 

彼女の首に、首を絞められた跡が残ってる。

 

タクト「絞殺の跡か?・・・でもこの子、少し息してる。よし!」

 

無線通信機能を搭載したパディブレスでシンを呼ぶ。

 

タクト「シン!タクトだ!」

 

シンを呼んで、少女をすぐに来賓館へ運ぶ。

 

 

 

 

来賓館。

 

マリア「この娘なの?」

 

タクト「ああ。裏路地で倒れていたんだ。」

 

オリビア「・・・首に跡がありますね。」

 

タクト「だが少し息している。まだ助かるかも知れん。」

 

回復能力を使った。徐々に首の跡が消えた。

 

少女「ん・・・・ん・・・・?」

 

タクト「お、気付いたか!」

 

少女「あ・・・あなたは・・・?」

 

タクト「君が裏路地で倒れてる所を助けた男だ。俺はタクト=クリスティだ。」

 

少女「タクト・・・クリスティ・・・っ!アルティメット・マジシャンズ!?」

 

タクト「お、おいどうした?大丈夫か?」

 

少女「す、すみません・・・」

 

タクト「いや、気にするな。少し落ち着かせよう。シシリー。」

 

シシリー「はい。」

 

 

 

 

彼女を落ち着かせた。

 

シン「それで、君の名前は?」

 

少女「エ、エスタと申します・・・」

 

タクト「エスタ、君は何であの裏路地で倒れてたんだ?」

 

エスタ「その・・・私にも分かりません・・・」

 

アウグスト「分からない?心当たりとかは?」

 

エスタ「ありません・・・私は大司教様に暴行を受けた後の記憶がありません・・・」

 

タクト「フラー大司教?ちょっと待て、君もしかしてイースの人間か?」

 

エスタ「はい・・・」

 

タクト「・・・暴行を受けるまでの事を話してくれないか?話せる範囲で構わない。」

 

エスタ「・・・・」

 

彼女は、あの事を話した。

 

 

 

 

 

 

以前のイース神聖国・聖都。

 

フラー「遅い!!まだ食事の用意は出来んのか!!」

 

エスタ「も、申し訳ございません!今すぐ!」

 

フラー「全くグズ共が!!」

 

エスタ「お・・・お待たせ致しました、大司教様・・・」

 

食事を持って来ると、フラーが彼女を見た。

 

エスタ「ひっ!」

 

フラー「お前、見ない顔だな?・・・悪くない。どうだ?今から・・・」

 

エスタ「わ・・・わた・・・私!その・・・本日配属になったばかりで・・・その・・・」

 

フラー「まあいい、腹減った。さっさと用意しろ。」

 

エスタ「は、はい!ただいま!」

 

食事をテーブルに置いた。

 

エスタ「そ、そう言えば・・・御存知ですか大司教様?」

 

フラー「あん?」

 

エスタ「先日から打診が来ているアールスハイド王国に・・・まさしく創神教の教えを体現したような・・・聖女と呼ばれる少女が居るそうです・・・」

 

フラー「少女?」

 

エスタ「噂によると、まだ成人したばかりのようですが・・・とても見目麗しい少女らしいですよ・・・わ、私などではとても及ばない程の・・・」

 

フラー「(聖女・・・聖女ねぇ。)打診の件、教皇猊下は?」

 

エスタ「はっ・・・勿論御存知かと・・・」

 

フラー「(聖女・・・成人したばかりで、汚れを知らぬ・・・欲しいなぁ〜!)くふ、くふふふ。」

 

彼に、聖女つまりシシリーを欲しがる欲望が湧いてしまったのだった。

 

フラー「おい。」

 

エスタ「はい?」

 

フラー「気が変わったぞ。」

 

エスタ「っ!?」

 

彼女はフラーに暴行を受けてしまった。

 

 

 

 

 

 

そして今。

 

エスタ「その後の記憶が思い出せなくて・・・」

 

タクト「彼奴、どんだけ欲望に取り憑かれたんだ?」

 

エスタ「それでその・・・大司教様は今何処へ・・・?」

 

アウグスト「フラーはもう居ない。」

 

エスタ「え・・・?」

 

アラタ「彼奴は魔人化してしまい、そこに居るタクトによって討伐されたんだ。」

 

エスタ「そう・・・ですか・・・」

 

タクト「エスタ、早速だけど、脳内を見せてくれないか?」

 

エスタ「え?」

 

タクト「俺は人の過去を読み取る事が出来るんだ。協力してくれるか?」

 

エスタ「は、はい・・・」

 

タクト「それじゃあ、目を閉じてリラックスしろ。」

 

目を閉じてリラックスするエスタの頭に右手を優しく触れて脳内の記憶を見る。

 

 

 

 

 

 

エスタの記憶。

 

タクト(ここが彼女の過去の記憶・・・)

 

フラーに暴行を受けてるエスタの記憶を見付けた。しかし途中で途切れてしまった。

 

タクト(ここまでか。だが、身体は覚えてるだろう。)

 

途切れた記憶を出現させ、フラーがエスタに暴行し続ける記憶が。

 

タクト(何処まで外道なんだ彼奴?)

 

すると何者かがエスタを救出した。

 

タクト(ん?)

 

彼女を助けた男の姿を見て、タクトが驚いた。

 

タクト(彼奴・・・!?)

 

その男は、不気味な笑みでフラーを見て、窓を突き破って逃げ出した。

 

タクト(彼奴、イースに来てたのか・・・)

 

 

 

 

そしてその男は、外でエスタに薬を飲ませて安静させると、イースの施設兵が現れた。彼はエスタを抱え、全速力で逃げ出す。

 

タクト(彼女を助ける為に?)

 

その男は何日もフラーの施設兵から逃げ、ようやくイースを脱出してスイード王国へ逃げ込み、あの裏路地で身を潜める。その間に男は、ある物を食って腹拵えした。

 

タクト(昨日ここに着いたって訳か。そして奴は俺がを来る寸前にスイードを離れたって訳か。ちょっと悪いが、記憶を消すぞ。)

 

先程の記憶を消去させた。

 

 

 

 

 

 

現実世界。

 

タクト「ふぅ・・・」

 

シン「どうだった?何か分かったか?」

 

タクト「ある男が彼女を助けてここまで来た、としか無かった。」

 

シシリー「ある男?」

 

タクト「それは言えない。」

 

エスタ「あ、あの・・・」

 

タクト「君がどうしてここに居る理由が分かった。まぁ話す内容ではないが。」

 

エスタ「そうですか・・・」

 

マリア「それで彼女をどうするの?」

 

タクト「マーリン様とメリダ様に頼んで、ウォルフォード家に雇おうと思う。良いよな?シン。」

 

シン「ああ。雇用場所が無いならウチで雇おう。」

 

エスタ「え!?よ・・・宜しいのですか・・・!?」

 

シン「うん。俺から爺ちゃんと婆ちゃんに話しておくよ。」

 

 

 

 

 

 

そしてアールスハイド王国へ帰国し、マーリンとメリダに話してエスタを雇う事になった。初めてながらテキパキ仕事をやりこなしてる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在。

 

エスタ「もしタクト様が助けてくれなかったら、私はもう死んでいたかも知れません。」

 

タクト「あの時散歩してて良かったぜ。エスタ、君はもうイースに戻らないのか?」

 

エスタ「いえ、私はここが天職だと思ってますので。」

 

タクト「そうか。今後もしっかり頑張れよ。何かあったら俺達に相談しろよ?」

 

エスタ「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更にその翌日。

 

マリア「ええ!?例の商会、今日オープンなの!?」

 

フェオン「ウォルフォード商会?」

 

シン「ああ、もう朝から販売始まってるはずだよ。俺は婆ちゃんに学業優先しろって言われたから立ち会ってないけど。」

 

マリア「シンの商会なのに、良いのそれ?」

 

シン「一応俺の肩書きは『取締役会長兼開発責任者』だってさ。」

 

タクト「因みに俺は『取締役会長補佐』と勝手に肩書き入れられた。」

 

ヒナ「格好良いじゃないですか。」

 

タクト「俺にとっては子供染みた肩書きだけどな。」

 

マリア「何か凄いわね。じゃあ今から皆で行ってみましょうよ!」

 

シン「良いよ。俺は元々そのつもりだったし。」

 

ユーリ「ウチのお父さんは開店前から並ぶって言ってたわぁ。」

 

 

 

 

と言う訳で、皆で商会へ。

 

ナージャ「あれ?こんなに人多かったけ?」

 

トール「いえ、商会の多い地域とは言え、ここまでは・・・」

 

グレア「いっぱい並んでいますなぁ〜。」

 

レア「大行列だぞ〜!」

 

アリス「さっきから気になってるんだけど・・・この行列ってまさか・・・」

 

マリア「嘘でしょ?シンの商会ってまだ1区画先よ・・・?」

 

タクト(アイドルライブの大行列並みだなこれは・・・)

 

そして。

 

マリア「うわぁ!」

 

タクト「此奴は凄え・・・」

 

 

 

 

ウォルフォード商会に大行列が並んであった。

 

「いらっしゃいませー!!列の最後尾この先になりまーす!!」

「押さないで!順にお入り下さーい!!」

「ウォルフォード商会へようこそーーーー!!」

「整理券・購入許可証をお持ちの方は此方へ!!」

 

 

 

 

トニー「大盛況だねぇ。」

 

リオ「こんなに大行列とは・・・」

 

アウグスト「何せ”魔王”がオーナーだ。国中から人が集まるだろう。」

 

イザベラ「それ聞くと笑っちゃいます・・・」

 

マリア「実際何売ってんの?」

 

シン「一般販売しているのは洗浄機付きのトイレとか、氷の魔法を利用した冷蔵庫とか、後ビーチバレー用具とか、ジェットブーツとか。」

 

トム「ああ!シン君にタクト君やっと来た!!朝から引っ切り無しのお客さんでもう大忙しだよ!!」

 

ハーグ商会のトム=ハーグが居た。

 

シン「トムさんも手伝いに来てくれたんですか!」

 

タクト「わざわざすまないな。」

 

トム「代表のグレンから連絡が来てすっ飛んで来たよ!」

 

グレン「いやぁ、私もシン君とタクト君にこんな大役を任せれるなんて思いもしなかったからね!ハーグ商会でトム代表に話を聞いた時は正直震えたよ!」

 

彼はウォルフォード商会代表のグレン=コーナー。元ハーグ商会経理でアリスの父親。

 

アリス「お父さん大出世だもんね!経理からいきなり代表って!」

 

タクト「良かったなアリス。」

 

グレン「わははは!これもアリスとシン君とタクト君のお陰だよ!」

 

シン「グレンさんもロイスさんも、色々本当にありがとうございます。俺とタクトは経営に関してはさっぱりなもので・・・」

 

シシリーの兄のロイスも来ていた。今はウォルフォード商会の専務を担当している。

 

ロイス「いやいや!此方こそありがとう!こんなやり甲斐のある仕事を任せてくれて!」

 

シシリー「うふふ、こんな溌剌としたお兄様初めて見ます。」

 

ウサマ「あ!!魔王さん!!戦士さん!!ちょ・・・コレ何ですのん!?」

 

シン「ナバルさん。」

 

タクト「それ?トイレだけど。」

 

ウサマ「通信機だけで満足しとったらこのトイレ!!カールトンさんが言っとったのコレかいな!!とんだトイレ革命やがな!!是非コレもウチの商会に卸したってや!な!?」

 

商人「また抜け駆けかいなナバルさん!!」

 

シン「えーと、詳しくはそこに居る方々に・・・」

 

ウサマ「よっしゃ了解や!!スンマセーン!!」

 

シン「今の内に中入ろう・・・」

 

タクト「他人に任せんなよ。」

 

エミリー「私達も回ろうか。」

 

ヒナ「良いですね!行きましょう!」

 

レア「おーいアンナー!こっちだー!」

 

アンナ「逸れたら危ないよ!」

 

 

 

 

店内では。

 

シン「うわー、中も凄え人・・・!」

 

タクト「これだけ人気があるって事は確かだな。」

 

その道中。

 

ジークフリード「お!」

 

シン「あ!」

 

タクト「ジーク、クリス、ルーパー団長。」

 

シン「ジークにーちゃん達も来てくれてたんだ!」

 

ジークフリード「そりゃ、お前んちのトイレ事情知ってて来ねぇ奴は居ねーよ。」

 

店員「洗浄機能付きトイレ売り切れでーーす!!」

 

トイレが売り切れてしまった。

 

ジークフリード「何いいいいい!?そりゃねえよ!!じゃあ俺ら一体何の為にここに来たんだよ!?」

 

クリスティーナ「例の件を伝える為でしょう。」

 

ジークフリード「あ、そうだった。」

 

クリスティーナ「でも確かに、あのトイレが手に入らないのはショックですね・・・」

 

2人がショックしてしまった。

 

ルーパー「大袈裟だなお前ら。次入荷した時に買えばいいじゃねえか。」

 

ジークフリード「団長はアレ使った事ないからんな事言えるんスよ!!あの清らかに全てが流されていく感覚!!(水魔法だけど。)」

 

クリスティーナ「えも言われぬ心地良さ・・・」

 

ジークフリード「それを自宅で体験出来ると思ったのに!!」

 

シン「そ、そんなにか・・・?」

 

タクト「やっぱ人気だな、あのトイレは・・・」

 

ルーパー「陛下もそんな事言ってたが、まだ一部の王室にしか導入されてないしな。」

 

シン「(仕方ない、ここは一肌脱ぐか。)タクト。」

 

タクト「おう。」

 

異空間収納から、洗浄機付きトイレを出した。

 

シン「ジークにーちゃん、クリスねーちゃん、はいコレ。」

 

ジークフリード「ちょ!お前らそれは・・・!!」

 

タクト「予備のトイレだ。2人分あるから使ってくれ。」

 

ジークフリード「・・・イヤ!イカンイカン!!弟分から施しを受けてどうする!ここは兄貴分として我慢を・・・!!」

 

シン(相変わらずチャラい癖にプライド高っけーなぁ・・・)

 

タクト「ジーク、素直に受け取れよ。」

 

クリスティーナ「ありがとう、流石はシンですね。お姉ちゃんは嬉しいです。」

 

笑顔でシンを撫でる。

 

クリスティーナ「タクトもありがとうございます。」

 

今度はタクトを撫でる。

 

クリスティーナ「でも貰うのはダメです。ちゃんと料金は支払います。」

 

タクト「毎度あり。」

 

ジークフリード「お前はぁ・・・何あっさり受け取ってんだ!?」

 

クリスティーナ「何って、可愛い弟とその親友がお姉ちゃんの為に用意してくれたんですよ?行為をありがたく受け取って何が悪いのですか?バカですか?」

 

ジークフリード「んだとコラァ〜〜〜!!!」

 

タクト「ルーパー団長も。開発者の知り合いの特権って事で。」

 

ルーパー「いやぁ悪ぃな!まあそう言う事ならエンリョなく!」

 

ジークフリード「団長まで!!くっ・・・シン!!タクト!!俺には!?」

 

シン「だからあげるって言ってんじゃん。」

 

タクト「素直に受け取れよ。」

 

クリスティーナ「全く、何1つシンに勝てる要素もないのに何を意地張ってるんですか?」

 

ジークフリード「何をぅ・・・!!」

 

クリスティーナ「魔法は勿論財力まで。おまけにこんなに可愛い婚約者が居て。」

 

シシリー「はうぅ・・・」

 

クリスティーナ「フフ、可愛いですねぇ。シシリーさんも私を『お姉ちゃん』と呼んで良いですよ。」

 

シシリー「え・・・お、お義姉様・・・?」

 

”ズキュウウウン!!!”

 

シン「・・・?」

 

タクト「クリス?どした?おい?」

 

クリスティーナ「な・・・何でしょう?『お義姉様』なんて呼ばれ慣れてるのに・・・このくすぐったい感覚・・・何かに目覚めてしまいそうな・・・」

 

シン「クリスねーちゃん?ちょ、変な気起こすの止めてよ!?」

 

タクト(まさか、百合に目覚めたのか!?おっ!今度何か魔道具作って売ろうかな?)

 

ルーパー「おい。」

 

クリスティーナ「あっ!そうそう、大事な事を伝えるのを忘れてました。」

 

シン「大事な事?」

 

タクト「その様子だと、重大らしいな。」

 

クリスティーナ「はい。実は、軍の方で定期的に討伐隊を編成して、魔物狩りを行っているのですが、今度の魔物狩りにあなた達、アルティメット・マジシャンズにも是非参加して欲しいんです。」

 

タクト・シン「魔物狩り?」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
グレア:高橋李依

ロイス=フォン=クロード:岸尾だいすけ

ジークフリード=マルケス:金子誠
クリスティーナ=ヘイデン:古賀葵

エスタ:島袋美由利
ウサマ=ナバル:田中敦子

トム=ハーグ:最上嗣生
グレン=コーナー:小杉十郎太

ドミニク=ガストール:小山剛志
ルーパー=オルグラン:保村真

アメン=フラー:中博史





次回予告

魔物狩り。アルティメット・マジシャンズが連携を極める為の訓練。次々と迫る魔物を連携して倒せるのか。

次回ウルトラマンティガ

魔物大乱闘

お楽しみに


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第18話「魔物大乱闘」

魔物大乱闘
魔物大群 登場



ウォルフォード邸・タクトの部屋。

 

タクト「魔物狩りかぁ。もうそんな事態にまで舞い降りて来たか。これからが正念場と言っても過言ではないな。」

 

 

 

 

 

 

翌日の高等魔法学校。

 

マリア「軍の魔物狩りにっ!?参加すんの!?私達も!」

 

シン「ああ。と言っても俺達は俺達で勝手に動いて良いみたいだけど。」

 

マリア「何それ!」

 

アリス「じゃあ一体何が目的でうわっち!同行すんのよ!?」

 

タクト「それは知らん。」

 

マリア「はっ!!とりゃああ!!」

 

強烈スパイクが決まった。

 

アリス「ああ!!」

 

マリア「にひひ〜、1点追加〜!」

 

アウグスト「甘いぞメッシーナ。」

 

ボールに雷神撃を纏わせ、相手のコートにシュート!

 

ユーリ「きゃああ!!もぉ!」

 

マーク「殿下の雷神撃は反則ッス。止めようがないッスよ。」

 

ユーリ「雷撃って、何で相殺したら良いのぉ?」

 

マリア「土魔法とかかな?」

 

ユーリ「室内でぇ?」

 

現在Sクラスは、体育館でアリスが希望したマジカルバレーをしている。

 

 

 

 

尚、タクトとシンとアルフレッドは見学中。

 

アルフレッド「なあ、お前達夏休みにどれだけ高みに上ってんだ?」

 

タクト「どれだけか分からん。」

 

アルフレッド「授業中にこんな物見せられて、教師の立場無いじゃないか?」

 

シン「はは・・・」

 

 

 

 

アリス「へへん!驚くのは早いよアルフレッド先生!私が授業でマジカルバレーを希望した理由をまだ見せてないよ!」

 

 

 

 

アルフレッド「ん?自分が楽しいからじゃないのか?」

 

シン「彼奴まさか・・・」

 

タクト「アレ使う気か・・・」

 

 

 

 

アリスが「先日ウォルフォード商会で購入した、コレの出番だね!!」

 

以前ウォルフォード商会で買ったジェットブーツを履いてる。

 

 

 

ユリウスがスパイクする。

 

 

 

しかしアリスがジェットブーツを噴射させ、ボールを落下ギリギリでレシーブした。

 

 

 

ユリウス「むぅっ!!」

 

マーク「流石に機動力は相当上がってるッスね!!」

 

 

 

アリス「トス上げてシシリー!思いっきり高く!!」

 

シシリー「ええ!?でも、そ・・・それはマズいんじゃ・・・」

 

アリス「良いから早く!!」

 

シシリー「し、知らないですよ!」

 

言われるがままにトスをした。ボールが高く上がった瞬間アリスが。

 

アリス「とりゃあああああ!!!!」

 

ジェットブーツのジェット噴射で大ジャンプ。しかし、全員が唖然とした。

 

アリス「ん?」

 

その理由は・・・

 

 

 

 

アリスのスカートの中が見えてしまったからだった。因みにアリスの下着は猫マーク。

 

 

 

 

そのまま着地し、ボールが床に落ち、男性陣全員が外方向いてる。

 

アリス「ぎ・・・ぎ・・・ぎにゃああああああああ!!!!!」

 

下着を見られてしまってパニックになったアリスが、体育館を出て行ってしまった。

 

アルフレッド「彼奴だけは変わらんなぁ・・・」

 

タクト「もうちょっと考えて使えよ・・・」

 

シン(制服で使ったらそうなるに決まってるじゃん・・・)

 

シシリー「だから言ったのに・・・シン君、見てませんよね?」

 

シン「モチロン!!」

 

すぐに外方向く。

 

アルフレッド(にしても魔物狩りか・・・軍が絡んでる上にタイミングを考えると、恐らく目的は・・・)

 

タクト「アリス、あれでトラウマにならなければ良いんだけど・・・」

 

アルフレッド「魔物狩りは来週だったか?」

 

シン「あ、はい。」

 

タクト「そうだが。」

 

アルフレッド「災害級の討伐も苦にしないお前らが、今更苦戦する事は無いだろうが、わざわざ俺の授業潰してまで参加させられるんだ。ただ軍のお手伝いしてやるだけじゃ癪だな。」

 

タクト「どう言う意味だ?」

 

アルフレッド「そうだなぁ、例えばただ狩るだけじゃなく、魔物の素材の価値を落とさず狩るってのはどうだ?」

 

タクト「価値を落とさず?」

 

シン(素材の価値・・・この前も・・・)

 

アルフレッド「最小限の攻撃で、標的を絶滅させる。当然それには、精密な魔力操作に加えて、冷静な判断力、集中力、身のこなし全てが求められる。制御不可な魔力量が増えても、効率良くそれが使えなきゃ意味が無い。コーナーやヒューズなんかまだまだ大雑把過ぎる。カールトンやクロードは即座の判断力に欠ける。レベルアップの余地は大いにある。」

 

シン「(確かにそれが身に付けば、実戦にも全て反映されてくるな。)意外とちゃんと見てるんですね。さすが先生。」

 

アルフレッド「喧しい。たまには教師ヅラさせろ。近い内に戦いに駆り出されるんだろう。俺は教え子の為にやれる事をやるだけだ。お前らの教師としてな。」

 

タクト「先生・・・」

 

シン「ありがとう先生。任せて下さい!」

 

アルフレッド「所で、この何とかバレーも良い訓練になるな。」

 

タクト「マジカルバレー?」

 

アルフレッド「そうだ。今後授業にも組み込むぞ。」

 

シン「はい!?」

 

アルフレッド「って言うか俺も交ぜろ。」

 

 

 

 

 

 

一週間後。魔物狩り当日。

 

リオ「遂に来たね。魔物狩りの日。」

 

ケイティ「今回は私も参加するからね。」

 

軍は別行動。

 

アリス「本当に軍の人達とは完全に別行動なんだね。」

 

ジークフリード「まあ細かい事はいいじゃねーか。」

 

タクト「だな。そっちの方が効率的に良い。」

 

シン「どうでもいいけど、また2人が付き添いなの?」

 

ジークフリード「俺ら以外にお前らのお守りが出来るか!他じゃ自身無くすわ。」

 

タクト「色々ご苦労だな。」

 

 

 

 

 

 

目的地。

 

シン「分かってると思うけど、今更魔物を普通に討伐するのは、俺達にとって何の意味もない。そこで今日は、この機会を利用して、精密な魔法技術の向上を目指す訓練をするぞ!まずは何時ものペアに分かれて!精密な魔法ってのは、要するに威力や範囲を最小限に抑えて、極力獲物を傷付けずに倒すって事な!自ずと急所へのピンポイント攻撃が必要になってくる!当然、討ち漏らしが出て来るだろうから、ペアの片方はそのフォローに回って欲しいんだ。」

 

ユリウス「ピンポイント?」

 

トニー「例の猿に使ったシンの魔法が、その究極系だろうね。」

 

シン「それとタクトとリオとケイティは単独で好きに魔物を狩ってくれ。ナージャは定期的に魔力供給を頼む。」

 

タクト「分かった。」

 

リオ「よし!」

 

ケイティ「はいはーい!」

 

ナージャ「うん。」

 

デイジー「皆頑張ってね。」

 

 

 

 

前衛組・アウグスト、トール、シシリー、アリス、マーク、トニー。

 

後衛組・シン、リン、マリア、オリビア、ユーリ、ユリウス、ケイティ。

 

単独組・タクト、リオ。

 

供給者・ナージャ

 

 

 

 

タクト「それでシン、狩り場はどうすんだ?散開して森に入るのか?」

 

シン「いや、それじゃあ遭遇率低いし、訓練にならないから。」

 

アリス「ん?じゃーどうするの?」

 

シン「まあそれは俺に任せといて!取り敢えずは全員配置に着いてくれる?こんな感じでね。」

 

 

 

 

 

シシリー   タクト    トール

   ↖︎         ↗︎

    シン    ユリウス

       ジーク

アリス←リン     マリア→アウグスト

       クリス

    オリビア  ユーリ

   ↙︎         ↘︎

マーク     リオ    トニー

 

 

 

 

 

ナージャ「私が何処に立つの?」

 

シン「ナージャは真ん中から魔力供給をお願い。ケイティも真ん中で待機しておいて。」

 

ナージャ「分かった。」

 

ケイティ「ラジャー!」

 

グレア「皆頑張ってー!」

 

シン「放射状に広がったこの陣形の外側から魔物が集まって来るから、前衛組は自分で魔物を討伐する事。単独組は好きなように魔物を狩る事。後衛組は取り零しが出たら素早くドローするようにな。」

 

アリス「間違って私に魔法当てないでよ?リン。」

 

リン「保証はし兼ねる。」

 

アリス「そこは保証しようよ!」

 

シン「因みに後衛組まで突破されるような事態が起きた場合・・・ジークにーちゃん達が襲われます。」

 

ジークフリード「全力でやれよお前ら!!」

 

タクト「んじゃ行くか。」

 

スパークレンスの光がタクトを包み、ウルトラマンティガへ変身した。

 

シン「さて、準備は良いか?」

 

リン「うん!何時でも良いよ!」

 

シン「じゃあ、魔物共を呼ぶぞ!!」

 

 

 

彼は膨大な魔力を集め始めた。

 

 

 

ケイティ「な、何!?」

 

マリア「ちょっとシンそれって・・・!?」

 

クリスティーナ「魔力を集めてるんですか・・・!?」

 

ジークフリード「それも膨大な量のな・・・成る程、魔物が集まるってそう言う事か。」

 

クリスティーナ「何がです!?」

 

ジークフリード「魔物は魔力を感知して寄って来る修正があるだろ?この魔力量、森中に報せるには充分だろうな・・・集めた魔力をとっとと魔法に変換して放出しちまえば問題無いが、シンはただ魔力を集めてるだけだ。」

 

クリスティーナ「それってつまり・・・」

 

ジークフリード「ああ、わんさか来るぞ!!」

 

 

 

 

 

 

すると森の奥から魔物の大群が現れた。

 

 

 

 

 

 

マーク「来たッスよ!!」

 

アリス「こっちもだよ!!」

 

ケイティ「色々来てる!」

 

アリス(ピンポイント威力を調節して・・・強過ぎず、弱過ぎず・・・)

 

トニー(狙うならやっぱり眉間か首・・・くそっ、狙いが定め辛い!!)

 

前衛組が魔法で魔物達を狩り続けるが、ピンポイントが上手く出来ず、流れ弾が他の魔物に命中するばかり。

 

シン「ジークにーちゃん!クリスねーちゃん!指示を頼む!」

 

ジークフリード「お、おう!!」

 

クリスティーナ「トニー!!魔法発動が遅い!!次の獲物が通過してます!!」

 

ジークフリード「アリス!!威力が強過ぎだ!!別の魔物まで被弾してるぞ!!」

 

前衛組が2人の指示に従いながら魔物達を狩る。

 

ユーリ「やり過ぎたぁ!両断しちゃったぁ!」

 

オリビア「際限なく出て来るから、どうしても集中力が・・・!」

 

トール「すみませんユリウス!逃がしました!」

 

ユリウス「任せるで御座る!!」

 

ジークフリード「マーク!トドメ刺せてねーぞ!!」

 

リン「イライラする・・・デカいのカマしたい!!」

 

シン「我慢しろ!それじゃ何時も通りだ!!」

 

 

 

 

ティガ「皆頑張ってるな。」

 

魔物達が次々と迫って来る。

 

ティガ「チャァッ!」

 

迫り来る魔物達をティガスライサーで首を切断した。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

マルチタイプからパワータイプへタイプチェンジした。

 

 

 

 

そしてリオは、斬撃で魔物達の首を切断し続ける。

 

リオ「どんなもんだい!」

 

だがイノシシの1頭がリオに突進した。

 

リオ「おっと!危ないじゃない!」

 

避けられたイノシシが再びリオに突進するが、リオが受け止めてそのまま持ち上げた。

 

リオ「ヤァッ!!」

 

そのまま真下へ叩き付けた。

 

 

 

 

ケイティ「ほらほら!こっちこっち!」

 

煽りながらナイフを投げて魔物達の頭部に突き刺した。

 

ケイティ「もうどうしたの?そんなんじゃ私を倒せないよ?よっと!」

 

後ろから突進する魔物をジャンプで避けて、宙を舞いながら剣で脳天を斬り裂いた。

 

ケイティ「やったー!」

 

 

 

 

グレア「流石だ!経験が違うね!」

 

デイジー「でも、他の皆は連携が少し乱れているわ。」

 

 

 

 

しばらくして、魔物達が全滅した。

 

マリア「はぁ・・・はぁ・・・」

 

ユーリ「やっと収まったぁ・・・」

 

ジークフリード「予想以上に難しいなこれは・・・」

 

オリビア「はぁ・・・」

 

ナージャ「皆大丈夫?ポーション!」

 

回復魔力を皆に供給した。

 

マリア「ありがとうナージャ。」

 

ティガ「まぁ、こんな感じか。」

 

ジークフリード「ん?」

 

そんな中シンは、また魔力を集めていた。

 

シン「ホイ!前衛と後衛交代!すぐ次が来るぞ!」

 

ユリウス「次?」

 

再び魔物達が迫って来た。

 

マリア「えええ!?ちょ、もう!?」

 

ユーリ「まだ心の準備が・・・!!」

 

アリス「わたっ・・・リンチェンジ!!」

 

クリスティーナ「ジーク、これはシンが・・・?」

 

ジークフリード「さっきしれっと呼んでたな。」

 

ティガ「チャァッ!」

 

リオ「行くよ!」

 

ケイティ「ほらほらこっちこっと!」

 

魔法を飛ばすが、当たらない。

 

ユーリ「ああんもう、当たんないぃ!!」

 

トニー「落ち着いてユーリさん!!」

 

シン「全員集中集中!!」

 

シシリー(シン君が前衛だと取り零ししないなぁ・・・)

 

 

 

 

数分後。何とか全滅成功。

 

マリア「ひえぇ・・・ダメだぁ・・・」

 

ユーリ「全然綺麗に討伐出来てない〜〜〜!」

 

マリア「もお!急にシンが魔物呼ぶから!!」

 

ユーリ「酷いよぉウォルフォード君〜〜〜!!」

 

クリスティーナ「やっぱりまだまだお子様ですね。アナタ達は敵が『今から攻めますよ』とでも言ってくれると思っているのですか?」

 

ジークフリード「わざと間を空けずに魔物を集めたんだろう。本当の敵は魔物じゃなく魔人。戦場で心の準備なんかさせてくれる相手じゃねーだろうからな。」

 

マリア(そうよね・・・これから先、私達が相手するのは、こんなレベルの相手じゃない!!)

 

シン「厳しいと思われるかも知れないけど、俺はこの先誰も失いたくはない。(俺だけじゃない、アルフレッド先生や、チームに関わる多くの人達の為にも。)」

 

ティガ「俺もだ。仲間を失いたくない。」

 

シン「その為に出来る事は、何でもやっておくつもりだよ。」

 

アウグスト「フッ、そうだな。」

 

マリア「よっしゃ!」

 

トニー「甘えられる状況じゃないよねぇ。」

 

ケイティ「彼奴らと戦うの怖いけど、内心楽しみにしてるよ。」

 

シン「その意気だ!頑張れ!次の魔物そこまで来てるぜ!」

 

しれっと魔力を集めた。

 

マリア「うえええええ?ちょ!えええ!?」

 

ユーリ「今ぁ!?もうちょっと空気読んでよぉ!!」

 

シン「ん?魔人は空気なんか読んでくれないぞ?多分。」

 

ティガ「チャァッ!」

 

ジークフリード「配置替え急げお前ら!!」

 

マーク「ひゃあ!!」

 

シン「あ、シシリーはこの後ずっと前衛ね。」

 

シシリー「え!?」

 

シン「だって、俺が前衛だと訓練にならないでしょ?大丈夫!ちゃんとフォローしてあげるから!」

 

シシリー「ふえええ!」

 

ジークフリード「うわぁ・・・此奴Sっ気あるぜ。」

 

クリスティーナ「意外でしたね。」

 

シン「五月蝿いよそこ!」

 

ナージャ「シン酷い。」

 

シン「ナージャも五月蝿い!」

 

クリスティーナ「っ!漸く来ましたよ、大物達が!」

 

 

 

 

災害級の魔物達が現れた。

 

 

 

 

マリア「さ、流石にちょっとこれは・・・」

 

アウグスト「災害級を恐ろしいと思ったのは久々だな・・・」

 

ケイティ「ワオ!楽しくなりそうだね!」

 

マリア「何でケイティはそんな上機嫌なの!?」

 

シン「あちゃあ・・・思ったより集まっちまったなぁ・・・」

 

そんな中クリスティーナが後ろに目を向ける。

 

 

 

 

崖の上に騎士団達と魔法師団達が見物していた。

 

シルビア「ひゃあ〜〜〜、色々学べるから見てろって言われてたけど、本当とんでもない訓練してるわねぇ!」

 

女性団員「災害級まで来てるけど、平気なんですかね・・・?」

 

セシリア「討伐条件なければ余裕だろうけど、あのやり方だとちょっと苦労しそう・・・ん?」

 

崖の下で手招きしてるクリスティーナを見た。

 

シルビア「ま・・・まさか・・・」

 

女性団員「ク、クリスお姉様・・・?」

 

 

 

 

クリスティーナ「来なさい、アナタ達も。今すぐに。」

 

 

 

 

彼女の威圧に怯えた。

 

 

 

 

クリスティーナ「一部預かりますよシン。」

 

シン「何で?」

 

ジークフリード「ちゃっかり見学してたのかよ彼奴ら!」

 

そう言いながら魔力を集め。

 

ジークフリード「フッ!!」

 

押し寄せる災害級に向けて投げて爆破させた。

 

シン「おお!?ジークにーちゃん無詠唱!?」

 

ジークフリード「お前に魔力制御による訓練法教わったお陰でな!!制御出来る魔力量が増えて使えるようになったんだ!今じゃ魔法師団全員、訓練に組み込んでるぜ!!」

 

シルビア「ええい!やりますかセシリアお姉様!!」

 

セシリア「妹達に格好悪い所見せられないものね!」

 

魔法師団と騎士団も参入し、災害級の討伐を開始する。

 

シシリー「セシリアお姉様!シルビアお姉様!」

 

シン「へぇ!マジで軍の人達もレベルアップしてんじゃん!」

 

 

 

 

ティガ「ハァッ!!」

 

デラシウム光流を地面に放って爆風を起こした。

 

 

 

 

リオ「おりゃりゃりゃりゃ!!」

 

高速回転して、突進する災害級を何度も斬り裂く。

 

 

 

 

ケイティ「こっちこっち!」

 

避けながら災害級達の脳天にナイフや剣で突き刺す。

 

ケイティ「こっちよ!おいで!」

 

 

 

 

一方クリスティーナは、熊の災害級に向けて剣の刃を射出させた。刃が熊の災害級の眉間に突き刺さった。

 

シン「うお!クリスねーちゃん何それ!?カッケー!」

 

クリスティーナ「射出用のバネを一番強力にした特製の剣です!これで刃の交換時の隙も無くなるでしょう!」

 

シン「でもそれ、装着時もかなり力いるんじゃ!?」

 

すぐに他の刃に交換した。

 

クリスティーナ「そんな柔な鍛え方していませんよ!!」

 

その後も災害級の魔物達を討伐し続ける。

 

 

 

 

しばらくして全滅させたと思われたが。

 

シン「ん?」

 

森林から、5メートルを超える災害級の熊が現れた。

 

マリア「ちょっとあれデカイんですけど!?」

 

シン「あれ?あんな奴も居たんだ。」

 

マリア「あんたが呼んでおいて何言ってんのよ!!」

 

ジークフリード「全員構えろ!!一気に討伐するぞ!!」

 

しかしティガが前に出た。

 

ティガ「悪いが俺にやらせてくれ。」

 

2人が飛翔した。

 

 

 

 

ティガ「チャァッ!!」

 

ハンドスラッシュが災害級の両目を潰した。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

災害級に向かって突進する。ティガ・スカイダッシュが、災害級の腹部を貫いた。

 

ティガ「・・・」

 

 

 

 

 

 

夕方。

 

アリス「も〜〜〜〜〜おクッタクタ・・・・これ以上1匹も魔物狩れない・・・」

 

マーク「流石に・・・限界ッス・・・」

 

殆どが疲れ果ててる。

 

クリスティーナ「他の討伐隊の方も引き上げる時間です。ここまでにしましょう。この量、我々での素材回収は無理ですね。ハンター協会に連絡して直接回収して貰いましょう。」

 

ジークフリード「相当な価値になるだろうなコレ。」

 

シン「でも最終的には皆、技術向上してたしやって良かったよ。」

 

トニー「ヘロヘロだけどねぇ・・・」

 

マリア「立つのがやっとよ・・・今までで最も鬼のような訓練だったわ・・・」

 

 

 

そんな中タクトは。

 

タクト「ん?」

 

先程討伐した3メートル超えの災害級の首筋を見ていた。

 

タクト「お前等、これ見てくれ。」

 

ナージャ「どうしたのタクト?」

 

リオ「何があったの?」

 

タクト「此奴の首筋を見てくれ。」

 

ケイティ「首筋?・・・っ!!」

 

首筋に人間の歯型のような跡があった。

 

デイジー「歯型・・・!?しかもこれって・・・」

 

リオ「間違い無い。彼奴が近くに来てるね。」

 

タクト「彼奴、此奴までやりあったのか・・・」

 

 

 

 

シン「シシリー。」

 

シシリー「はい・・・?」

 

シン「背中乗って。シシリーには無理させちゃったから。」

 

シシリー「っ!!」

 

リンを除いたアルティメット・マジシャンズ女性陣がピクンと反応した。

 

シシリー「え・・・で、でも・・・その・・・あの・・・えと・・・」

 

シン「あれ?お姫様抱っこのが良かった?」

 

シシリー「あ・・・背中乗ります!」

 

オロオロしながらシンの背中に乗った。

 

ユリウス「消耗しているのであれば、ゲートで戻れば良いのでは?」

 

ジークフリード「バーロー。空気読め。歩くのも鍛錬だ。」

 

 

 

 

全員が帰る。

 

シン「キツかったよね?ゴメンシシリー。シシリーは皆とは別に治癒魔法の練習もあるから、戦闘技術が身に付く機会を無駄にしてほしくなかったんだ。本番の戦場に立った時、何か起きて後悔したくないし。」

 

シシリー「気にしてませんよ私。治癒魔法だって私が志願した事ですし、私を想っての事だってちゃんと分かってます。だから、頑張って強くなりますね。これからも宜しくお願いします。」

 

シン「で、でも無理だけはしないでね!?辛かったらちゃんと言ってね!?」

 

シシリー「そ、そんな事言いません。だって・・・な・・・君に・・・」

 

シン「へ?」

 

 

 

 

シシリー「大好きなシン君に、いっぱい褒めて貰いたいですから。」

 

 

 

 

マリア(ホラね。分かりやすいなぁシシリーも。)

 

アウグスト「やれやれ、どう転んでもイチャイチャするんだな彼奴ら。」

 

ジークフリード「青春だなぁ!」

 

グレア「青春だねぇ!」

 

ジークフリード「はぁ、俺もそろそろ身を固めるかな?」

 

クリスティーナ「アナタが?嘘でしょう?」

 

ジークフリード「お堅い誰かと違って、相手の1人や2人は居るんでね。」

 

クリスティーナ「失礼な、私も相手の当てくらい・・・・・・」

 

ジークフリード「居ねぇんだろ?どーせ。」

 

クリスティーナ「五月蝿い!刺しますよ!」

 

シシリー(勿体無かったかなぁ・・・お姫様抱っこ・・・)

 

 

 

 

 

 

遠くの崖から、謎の人影があった。その人影は崖を飛び降りて、森林の中へ姿を消した。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子
グレア:高橋李依

ジークフリード=マルケス:金子誠
クリスティーナ=ヘイデン:古賀葵

アルフレッド=マーカス:駒田航

セシリア=フォン=クロード:佐藤利奈
シルビア=フォン=クロード:小澤亜李





次回予告

不敵な笑みを浮かべ続ける不気味な男。思考すら読めないこの男は、何を企んでいるのか。

次回ウルトラマンティガ

迫る不笑(ほほえ)

お楽しみに


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第19話「迫る不笑(ほほえ)み」

迫る不笑(ほほえ)
ジェレミー=ダンクルク、斥候魔人 登場



魔人領、ここは旧ブルースフィア帝国の帝都。

 

???「ん?」

 

ここに、ある男が佇んでいた。

 

???「フッ。」

 

彼は魔人領を見て、不敵な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王国・王城。

 

ジークフリード「しっかしシンの奴、よくまあこのタイミングで生まれてきてくれたもんですよねぇ。シンが居なかったら、マジな話この世界は終わってたかも知れないッスもんね。それにタクトもここによく来てくれたんッスから。」

 

ドミニク「意思を持つ魔人、オリバー=シュトロームを始め、大量に出現した魔人や魔物、それに対抗し得る人類唯一の希望だからな。一部じゃウォルフォード君の事を”神の使い”だって呼ぶ人間も出てきているみたいだしな。とても創神教の神子さんには聞かせられん。まぁ、ウォルフォード君やクリスティ君に関しては、元より危惧する事は何も無い。っで、他のメンバーの様子はどうだった?」

 

クリスティーナ「実力を見ると言う体で、アルティメット・マジシャンズに付き添いましたが、そもそもあの程度の状況で誰1人として全力を出す者は居ません。」

 

ドミニク「一応災害級も多く生息する危険区域なんだがな。」

 

クリスティーナ「寧ろ、それすら利用して、自分達の訓練に組み込んでしまってますから。精神的な未成熟さや甘えさはまだまだ見られますが、個々人の戦力は既に一国の軍隊にも匹敵するでしょう。故にシンやタクト以外のメンバーも、独立した戦力としてカウントすべきだと思います。」

 

ジークフリード「後衛向きだったり、治癒に秀でてたり、魔道具の扱いに長けてたり、魔力供給が出来てたり、って特徴はありそうなんで、まあその辺は臨機応変に動いて貰いつつ・・・」

 

ドミニク「基本は災害級や魔人の討伐に専念して貰う、と言う所か。」

 

ジークフリード「まぁ、同盟国には既にゲートによる移動手段が確保されてるみたいなんで、何かあったら各国に派遣して、フォローに回って貰えば良いんじゃないですかね。」

 

ドミニク「陛下も『アルティメット・マジシャンズは世界の共有戦力』と提言しているからな。恐らく各国ともその案え納得はしてくれるだろう。」

 

ルーパー「まあ何にせよ、現段階で決められるのはそんな所じゃねぇか?連合会議はその方向で進めろよ。」

 

ジークフリード「そうッスね。そもそも味方以上に敵の情報も不足し過ぎてますしね。」

 

クリスティーナ「殿下達すら苦戦した相手、それが何人居るのか。それによって戦力もまるで変わってきてますからね。」

 

ドミニク「そればかりはフタを開けてみんと分からんか・・・仕方あるまい。(ブルースフィアで見たあの連中・・・あの全員がそんな実力者だとは考えたくはないが・・・)」

 

以前にブルースフィア帝国で目撃したゼスト率いる斥候隊を思い出した。

 

ルーパー「俺達、軍人の戦力の底上げも必須だな。」

 

クリスティーナ「魔法師団の実力アップは、シンとタクトのお墨付きを貰いましたよ。」

 

ルーパー「ほう、そりゃ何よりだ。」

 

ドミニク「クリスティーナ、騎士団の様子は最近どうだ?少しは訓練の成果は出ているのか?」

 

ジークフリード(あ。)

 

クリスティーナ「実力は上がってます。・・・が、魔法師団程の急激は戦力アップかと言うとそれは・・・」

 

ジークフリード(始まった、面倒臭〜のが・・・)

 

ルーパー(嘘でもそこは強くなったって言っとけよ・・・)

 

ドミニク「魔法師団に後れを取っている場合か!!何かないのか!!ウォルフォード君やクリスティ君の戦術で我々にも応用出来そうなものは!!」

 

ジークフリード(いちいち対抗心燃やすなよ・・・)

 

クリスティーナ「そうですね。これは昔、シンに貰った物なんですが。」

 

懐から、1つのナイフを出した。

 

ドミニク「ナイフ?」

 

ジークフリード「あ!それ俺も貰ったわ!懐かしーな!」

 

クリスティーナ「懐かしいって、まさか無くしたんじゃ?」

 

ジークフリード「いや、な、な訳あるかよ!大事に部屋に仕舞ってあるっつーの!多分・・・」

 

ドミニク「何だ?大層な武器なのか?」

 

クリスティーナ「魔力を通します。」

 

ナイフに魔力を通すと、刃が高速で振動した。

 

ドミニク「そ、それは・・・!!」

 

ルーパー「ウォルフォード君の剣と同じ!?」

 

クリスティーナ「バイブレーションソードのナイフ版です。ですが殺傷力は同等です。単純び全騎士団員に持たせれば、容易く戦力アップに繋がるでしょう。」

 

ドミニク「おお!では・・・!」

 

クリスティーナ「ただし、それは騎士でない者も同様です。魔法使いだろうと、剣の素人だろうと、子供が使っても同じ殺傷力を得られるのです。」

 

ドミニク「・・・・・」

 

クリスティーナ「超振動による攻撃に力はいりません。技もいりません。ただ、手っ取り早く強くなれる。しかし、私達騎士がそれで良いのでしょうか?」

 

ドミニク「技術を必要としない”強さ”か。それは即ちそれまでの技術を捨てると言う事・・・それで胸を張って『強くなった』と言えるかは甚だ疑問だな。」

 

クリスティーナ「これに頼り切れば必ず剣の技術は衰退する。なので私もこれは奥の手として所持しているだけです。お守りみたいなものですね。容易く手に入れる力に意味はありません。私はそう思います。」

 

ドミニク「・・・そうだな、ウム。口惜しいが、その通りだ。やはり地道は訓練しかないか、我々は。」

 

ジークフリード「オメーもよぉ、案が無いなら回り諄い言い方しねーで・・・」

 

クリスティーナ「今のは前提の話です。」

 

ジークフリード「?」

 

クリスティーナ「それを踏まえた上で、我々の技術を無駄にせず、尚且つ、早急に戦力アップが出来るある道具を、先日ウォルフォード商会で発見しました。此方はすぐにでも導入すべきです。我々だけでなく魔法師団も。御三方もご存知の『アレ』ですよ。」

 

ジークフリード・ルーパー「まさか・・・トイレか?」

 

クリスティーナ「はぁ・・・・」

 

 

 

 

 

 

その頃コテージでは。

 

タクト「・・・・」

 

リオ「まさか、こんな大きいのとやりあったなんて。」

 

以前に魔物が生息する区域で討伐した3メートルを超える災害級の人間の歯型が残ってる首筋を切り取って貰い、6人で会議をしている。

 

ナージャ「流石にあの災害級でも危険過ぎだと思うけど・・・」

 

ケイティ「でもあんなデカイ災害級でも戦えるなんて凄いよね?」

 

タクト「ちょっとこれは皆にも注意しておかなきゃな。彼奴がどれだけ残酷かを。」

 

 

 

 

 

 

そして魔人領となった旧ブルースフィア帝都では、夥しい数の災害級が徘徊している。

 

 

 

 

城では。

 

フィン「隊長〜。ゼスト隊長〜?」

 

魔人の1人・フィンがゼストを探している。

 

フィン「あれェ?何処行っちまったんだろう・・・ん?」

 

灯りが点いてる部屋を覗くと、アベルとカインとサイクスが退屈していた。

 

フィン「あ。アベルさーん、他の方々も、隊長見てないッスか〜〜?」

 

しかし3人は。

 

アベル・カイン・サイクス「あぁ?」

 

切れ気味状態だった。

 

フィン「何か怖いなぁ・・・何怒ってんです?」

 

そこにダンテが顔を出した。

 

フィン「ダンテさん。」

 

ダンテ「気にするな。全力で暴れ足りずフラストレーションが溜まっているだけだろう。無論、私も同様だが。」

 

フィン「・・・・・」

 

ダンテ「ゼスト様に用事か?」

 

フィン「ああ、はい。シュトローム様に言われた魔物達の生態報告纏めたんで、先に隊長に確認して貰おうかと思ったんですけど。」

 

ダンテ「ゼスト様はシュトローム様の所だ。人間達の連合締結の件の報告でな。」

 

フィン「うぇ、マジすか!?大目玉食らうんじゃないですか?」

 

ダンテ「さあな。それ兎も角フィン、何時まで”隊長”と呼ぶのも考えものだぞ。実質我々の部隊は解散し、今や主人はシュトローム様ただ1人。魔人となった時に決めたはずだ。」

 

フィン「解散っつったって、メンバー変わった訳じゃないし、僕らにとっちゃ、やっぱりあの人は”隊長”でしょ?リオさんとかも呼び方変えられてないじゃないですか。」

 

ダンテ「まあ良いさ、主に大使忠義の心があるならな。」

 

フィン「忠義すか・・・正直な話、魔人化して帝国を滅ぼした時、僕達隊員の全てがシュトローム様に中世を誓っていた訳ではなかったと思いません?」

 

ダンテ「ん?どう言う意味だ?」

 

フィン「憎き帝国を滅させた事、その為に力を与えてくれた事、『感謝』はしても、それは『忠義』じゃなかったはずだ。僕らが本当にシュトローム様に中世を誓ったのって、やっぱりシュトローム様に御自身の過去を聞かされた時だと思うんですよ。あの人が他の腐った貴族共と同様なら、誰も付いていかなかった。今はどうあれ、嘗てのオリバー=シュトロームはこの国の愚かさに気付き、平民にまで手を差し伸べ、この国を変えようとしていた。それを知ったからこそ、僕らは改めて、あの人に付いて行く気になったんでしょ。」

 

ダンテ「・・・そうかもな。」

 

フィン「仮にですよ。もしあの人が、あの時この国の皇帝になられていたら、僕らの未来も、何か変わっていたんですかねぇ。」

 

”ガシャン!!”

 

怒りが爆発したサイクスが、持っていた瓶を壁に投げて割った。

 

サイクス「仮定の話に興味はねぇ。耳障りだ、失せろ。」

 

ダンテ「フィン、お前の意見には概ね同意するが、だからと言って、今更何が変わる訳でもない。我々は何があろうと、シュトローム様の『駒』として動く。それだけだ。殺せと言われれば、赤子をだろうと殺す。狂えと言われれば、喜んで狂うまでだ。」

 

フィン「えぇ、まあ。そこには僕も概ね同意します。」

 

 

 

 

外から先程の会話を盗み聞きしたあの男が不敵な笑みを浮かべた。

 

???「これは、面白くなりそうだ。」

 

彼は王城へ向かった。

 

 

 

 

 

 

ブルースフィア王城。

 

シュトローム「ほう、いよいよ人間達が世界連合を組みますか。」

 

ゼスト「申し訳御座いません。そうなる前に、ウォルフォードを何らかの形で貶めるのが理想だったのですが。」

 

ローレンス(要するに、失敗報告だよなコレ・・・大丈夫なのかよ・・・)

 

不安がいっぱいのローレンス。しかしシュトロームは。

 

シュトローム「まあ良いんじゃないですか。特に問題もないでしょう。」

 

ゼスト「・・・・」

 

ローレンス「え?」

 

シュトローム「人間達の動向に興味はありません。ここまで攻めて来たのならば、何からの対処をすれば良いだけの話。せめて、その報告を面白可笑しく聞ける事を期待していますよ。」

 

ローレンス(ホッ・・・)

 

ゼスト「恐縮ですが、1つだけ確認させて頂いて宜しいですか?」

 

シュトローム「どうぞ。」

 

ゼスト「奴らがこの国に攻め入った場合、迎え撃ちますか?それとも躱しますか?」

 

シュトローム「その判断はゼスト君、君に任せます。」

 

ゼスト「人間達を倒す事が、シュトローム様、あなたの新たな目標にはなりませんかな?」

 

ローレンス(おいおいゼスト隊長・・・一体何を・・・?)

 

シュトローム「私にとっては、どうだって良い事ですね。わざわざここを動くつもりもありません。」

 

ゼスト「承知しました。では、この件につきましては私にお任せ下さい。」

 

シュトローム「ああそうだ、ゼスト君。活動報告だけの期待して待つのも何なので、良い物を貸してあげましょう。どう言った対処をするにしても役には立つはずです。フフ、ここには良い実験隊が沢山居るのでね。」

 

 

 

 

王城・通路。

 

ローレンス「っで、どうするつもりです?ゼスト様。」

 

ゼスト「戦うつもりも、逃げるつもりもないと言われれば、出来る事は1つしかあるまい。」

 

ローレンス「?」

 

ゼスト「ローレンス、離反した魔人達の残党は今どうなっている?」

 

ローレンス「俺が操ってた連中は、大半がクルトでウォルフォードとクリスティに片付けられちまいました。更に別の場所ではあの男が全滅させてしまいましたが、一部生き残った奴らは、恐らく国に戻ってるはずです。ただ、あれだけ痛い目に遭ってる以上、流石にもう動かすのは無理でしょう。俺もやだし。なので今残っているのは、離反した上で当初から平民魔人とは別行動を突堤る。例の少々面倒な連中です。ただ、奴らは平民魔人とは違う海で動かし難いですからね。そこそこ腕が立つ上に独自に動き回ってるんで、正確な所在も掴めてないし・・・」

 

ゼスト「(しかし、我々がシュトローム様の元を離れる訳にはいかない以上、利用出来るとしたらそいつらだけ・・・となるとどうやって・・・)まあ良い、少し考える。それと離反した中の彼奴はどうしてる?」

 

ローレンス「今も消息不明です。」

 

ゼスト「そうか。私は寄る所があるから、お前は自室に戻れ。」

 

ローレンス(寄る所?城ん中で?)

 

 

 

 

 

 

王城のとある部屋。ゼストがドアをノックする。

 

ゼスト「私です。ゼストです。」

 

ドアを開けると、そこに居たのは・・・

 

 

 

 

ミリア「ああ、ゼスト。お久し振りですね。」

 

 

 

 

紅一点のミリアがソファに座っていた。ここはミリアの部屋だった。

 

ミリア「色々と動きがあったみたいですね。あなたの部下から聞きましたよ。」

 

ゼスト「えぇ、まあ。中々思うようにはいきませんが・・・その後どうです?実験の経過の方は?」

 

ミリア「経過は順調です。ですが、こればかりは結果が出てみないと成功したかどうかは分からないですが。」

 

ゼスト「それは、まあ、そうでしょうな。」

 

ミリア「ただ、その実験のせいで、体調があまり宜しくありません。シュトローム様のお役に立てないのは心苦しいですね。」

 

ゼスト「その・・・シュトローム様は、此方にお顔を見せに?」

 

彼女は悲しい表情をした。

 

ミリア「いえ・・・結果がすぐに出ない実験には、あまり興味がないようで・・・此方足を運ばれる事はないです。それに、シュトローム様にとって、私など居ても居なくてもいい存在でしょうから・・・」

 

 

 

 

部屋を出たゼスト。

 

ゼスト(シュトローム様は我々とちがい、人間らしい感情は全て欠落してしまっている。今は怒りや憎しみすら感じない。あるのは、せいぜい僅かな愉悦を感じるこころだけ。目的意識をはっきり持つ我々や、感情を色濃く残すミリアさんとは確実に何かが異なっている。自ら魔人に至った者と、そうでない者との違いなのか・・・?何にせよ、ミリアさんにとっては、希望を見出せない状況が続く事に違いはない。せめて実験が成功して、彼女にとっての救いに繋がれば良いのですが・・・)

 

先程の会話とゼストの心を盗み聞きしたあの男が、密かに王城を出て、1匹の狼犬を連れてブルースフィア帝国から脱出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の荒野。魔法の訓練の休憩中。

 

シン「じゃあ、あのデカイ災害級に歯型を入れた奴が近くに居るのか?」

 

タクト「あぁ。彼奴は色々残酷だからな。」

 

アリス「色々残酷って、どんなの?」

 

リオ「そこは自分達の目で確かめないとね。」

 

ナージャ「っ?」

 

グレア「っ!」

 

突然、ナージャとグレアが何かを感じた。

 

アウグスト「ナージャ?グレア?」

 

ナージャ「静かに。」

 

グレア「来るよ。」

 

この荒野に、1人の人物が現れた。

 

マリア「ねぇ、あれは誰?」

 

グレア「来たわね。」

 

 

 

 

???「よぉ〜タクト、それにお前等も。」

 

 

 

 

以前ブルースフィア帝国に潜伏していた不気味な笑みの男だった。

 

シン「何だ彼奴?」

 

ユリウス「タクト殿の敵で御座るか?」

 

タクト「ここまで来たのか、ジェレミー。」

 

彼の名はジェレミー。

 

ジェレミー「あぁ、お前らに久々に会いたくてさ。いきなりだが、相手してくれ。」

 

すると彼の両手の爪が伸びた。

 

シシリー「爪が・・・!?」

 

そして左手を顔に翳すと、両目が赤色に変わった。

 

トニー「両目が赤い・・・!?」

 

アウグスト「あの目・・・魔人か!?」

 

タクト「皆下がってろ。俺がやる。」

 

ゆっくりと歩き、ジェレミーと睨み合う。

 

マーク「だ、大丈夫なんッスか・・・?」

 

オリビア「クリスティ君・・・」

 

デイジー「大丈夫よ。タクトを信じなさい。」

 

 

 

 

タクト「・・・」

 

スパークレンスを掲げて、ウルトラマンティガへ変身した。

 

ジェレミー「フッ。」

 

不敵な笑みを見せる。

 

ティガ「ハッ!!」

 

ティガが走り出すと、ジェレミーが横にある岩を片手で持ち上げて、ティガに向けて強く投げた。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

前宙で岩を避けた。

 

 

 

 

シン「危ない!!」

 

飛んで来る岩を魔力障壁で防いだ。

 

トール「彼奴・・・大きい岩を軽々と・・・!?」

 

 

 

 

ジェレミー「おるあ!!」

 

ティガ「ッ!!」

 

手刀と爪がぶつかり合い、ジェレミーがティガを押してる。

 

ティガ「フッ!!」

 

しゃがんでマルチキックで横に蹴るが、ジェレミーがジャンプして避けた。

 

ジェレミー「フンッ!!」

 

着地して爪でティガを押す。

 

ティガ「ッ!!」

 

爪を掴んでジェレミーを押す。

 

ジェレミー「ハァッ!!」

 

押されたジェレミーがキックでティガを蹴り飛ばす。

 

ティガ「アァッ!!」

 

ジェレミー「ハァッ!!」

 

そしてジェレミーが右手で地面を殴り、無数の石を宙に舞い上がらせる。

 

ジェレミー「ウオオオオオオオオ!!!」

 

石をラッシュで無数の石を殴り飛ばす。ティガが連続バク転で避ける。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

ハンドスラッシュで、ジェレミーの顔に直撃させた。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

怯んでる隙にティガスライサーで、ジェレミーの両手の爪を破壊した。

 

ジェレミー「なっ!?」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

マルチキックでジェレミーを遠く蹴り飛ばした。

 

ティガ「・・・」

 

ジェレミー「中々だな。」

 

起き上がったジェレミーが、折れた首を自分で元に戻した。

 

 

 

 

リン「首を戻した・・・」

 

トニー「結構危なそうな奴だ・・・」

 

 

 

 

ジェレミー「フッ。」

 

また不敵な笑みを浮かべ、右手の折れた爪を引っこ抜いて、また新しい爪を伸ばした。

 

 

 

 

ユーリ「再生した!?」

 

マリア「何なのよ彼奴!?」

 

 

 

 

ジェレミー「ウオオオオ!!!」

 

ティガ「ハアァァァ!!!」

 

同時に走り出し、手刀と爪で鍔迫り合う。

 

ティガ「ハアアァァァァ!!!」

ジェレミー「ウオオオオオオオ!!!」

 

そのままお互いの武器を円を描くように1回転した。すると荒野の地面に亀裂が起き、ティガとジェレミーが立ってる箇所以外の地面が崩れた。

 

ティガ「ジェレミー、これで決着だ。」

 

両腕を前に突き出し交差させ、大きく横に広げてエネルギーを集めてゼペリオン光線。

 

ジェレミー「フンッ!!」

 

右手の爪でガードする。

 

ティガ「ハァッ!!!」

 

威力を高めたゼペリオン光線がジェレミーを貫いた。

 

 

 

 

シン「っ!」

 

 

 

 

ティガ「・・・」

 

しかし、ゼペリオン光線を受けたジェレミーはまだ生きていた。

 

ジェレミー「危ねえなぁ。」

 

ボロボロになった両手の爪を引っこ抜く。

 

 

 

 

シシリー「そんな・・・まだ生きてるなんて・・・!」

 

アウグスト「やはり、我々も行くぞ!」

 

グレア「ちょ、ちょっと!」

 

シン達がティガの援護に向かった。

 

 

 

 

ティガ「・・・・」

 

ジェレミー「・・・・」

 

ティガとジェレミーが同時に走り出す。

 

ティガ「ジェレミーーーーー!!!」

 

ジェレミー「タクトーーーー!!!」

 

そして同時に右手を振り上げた。

 

”ガッ!!”

 

シン「・・・え!?」

 

全員「っ!?」

 

シン達が驚愕した。その理由は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何とティガとジェレミーが握手をしたからだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティガ「ジェレミー、相変わらずだな。」

 

ジェレミー「フッ、タクトもその強さは変わらねぇな。」

 

マリア「え、何何?何なの一体?」

 

ティガが光となって、タクトに戻った。

 

タクト「ん?何が?」

 

マリア「何が?じゃなくて!そいつタクトの敵じゃないの!?」

 

タクト「え?此奴が俺の敵?おいおい、ジェレミーは俺の敵だって何時言ったんだ?」

 

マリア「はぁ!?」

 

シン「じ、じゃあそいつはタクトの・・・?」

 

タクト「あぁ。俺の隠し仲間さ。」

 

シン(隠しキャラみたいに言うな・・・)

 

ジェレミー「改めて宜しくな。俺はジェレミー=ダンクルク。ジェレミーで構わねえ。」

 

アウグスト「ジェレミー、お前は魔人なのか?」

 

ジェレミー「まぁそうだな。説明する前に、俺のファンが来やがった。」

 

後ろに、2人の魔人が現れた。

 

魔人A「ようやく見付けたぞ!」

 

魔人B「俺達の縄張りに入って、無事に帰れると思ってんじゃねえぞ!!」

 

ジェレミー「俺が逃げ出す場面を見やがったな?」

 

タクト「お前、ブルースフィアへ行ったのかよ?」

 

ジェレミー「まあな。彼奴等の親玉の行動とか盗み聞きしたからな、まぁ良いや、ちょっくら遊んで来るぜ。」

 

 

 

2人の魔人の前に立つ。

 

ジェレミー「ここまで俺を追うとは、中々度胸あるじゃねえか。」

 

魔人A「黙れ!!縄張りに入ったお前にはここで消えて貰うぞ!!」

 

ジェレミー「ヒュー格好良いね〜。何れ俺もそんな台詞言ってみたいもんだ。」

 

魔人B「巫山戯た野郎だ!!ん?お前、魔人か?」

 

ジェレミー「そうだな。お前らの仲間を殺しても良いのか?」

 

魔人B「黙れ!!俺達の敵であると変わりは無え!!ここで死ね!!」

 

ジェレミー「フンッ。」

 

右手で顔を翳すと、ジェレミーの目が赤から青へ変色した。

 

魔人B「なっ!?おい・・・彼奴の目・・・」

 

魔人A「き、聞いてねえぞ!?世界に1人しか居ない魔喰人(ましょくじん)が此奴だなんて!!」

 

 

 

 

アウグスト「魔喰人・・・やはりそうか!」

 

 

 

 

魔人A「でもまぁ・・・ここでお前を殺せば俺達の名が上がる!!死ねええええ!!!!」

 

2人の魔人が剣と斧を持ってジェレミーを襲う。しかしジェレミーが一瞬で避けた。

 

魔人A「ど、何処だ!?」

 

ジェレミー「ここだよ。」

 

魔人A「っ!?」

 

ジェレミー「頂くぜ。」

 

後ろに回ったジェレミーが、魔人の首を噛み始めた。

 

魔人A「ぐあああああああああああ!!!!!」

 

そしてそのまま首の肉を食い千切り、魔人を殺した。

 

 

 

 

シン「っ・・・!?」

 

タクト達を除いたアルティメット・マジシャンズに戦慄が走った。

 

 

 

 

食い千切った首の肉をそのまま食べる。

 

ジェレミー「悪くねえな、此奴の肉。折角だから他の部位も。」

 

殺した魔人の肉も喰す。

 

魔人B「テ、テメェ!!」

 

ジェレミー「お前はそこで待ってな。俺は飯喰うのに忙しいんだよ。」

 

魔人B「おい!!巫山戯んじゃねえぞ!!」

 

ジェレミー「ごちゃごちゃ五月蝿えな。ローランド!」

 

 

 

 

”アウウウウウウウン!!!”

 

 

 

 

遠くから1匹の狼犬が現れ、魔人に飛び付いた。

 

魔人B「ぐあああああ!!は、離せ!!離せこの犬が!!」

 

ジェレミー「ローランド、そいつを譲るぜ。」

 

ローランド「ガァウ!!」

 

狼犬のローランドは、魔人の腕を引き千切った。

 

魔人B「ぎゃあああああああ!!!あああ!!!あああ!!!痛ええ!!!痛ええ!!!」

 

惨めに痛がる魔人。ローランドはそのまま魔人の顔を噛み千切った。

 

 

 

 

シン達はその光景をただ怯えて見るしか出来ない。

 

 

 

 

ジェレミー「あぁ〜美味かった。ローランド、お前もどうだった?」

 

ローランド「ワン!」

 

ジェレミー「そうか美味かったか。おいタクト、終わったぜ。」

 

タクト「はは・・・相変わらず残酷だなお前。」

 

ジェレミー「これが俺なんだから仕方無えだろ。」

 

リオ「でも腕は落ちてないみたいだね。」

 

タクト「皆見たか?俺が言った此奴の残酷を。」

 

シン「残酷過ぎるだろ!」

 

アウグスト「まさかお前が、魔喰人だったとはな・・・」

 

シン・シシリー「魔喰人?」

 

デイジー「魔人や魔物を喰い荒す存在。世界にたった1人しか存在しないわ。」

 

ケイティ「その魔喰人こそ、このジェレミーなのよ。証拠としては、彼の両目が青くなる事。」

 

ジェレミー「ローランド、挨拶しろ。」

 

ローランド「初めまして、ローランドと申します。」

 

マリア・アリス「喋ったーーー!?」

 

ジェレミー「ローランドは俺の親父が飼っていた狼犬で、元魔物だ。」

 

ローランド「僕がこうして喋れるのは、ジェレミー様のお父上様の魔法のお陰です。」

 

アリス「わー!可愛い!」

 

ローランド「く、くすぐったいですよ・・・」

 

アリス「もふもふしてるー!」

 

タクト「ローランド、撫でられて嬉しそうだな。」

 

ナージャ「ローランド、もふもふ。」

 

グレア「本当にモフモフ〜!」

 

ローランド「も、もうナージャさんにグレアさんまで・・・」

 

 

 

 

 

 

ウォルフォード邸・タクトの部屋。

 

タクト「成る程、やはりあの災害級はお前がやったのか。」

 

ジェレミー「ああ、美味そうだったからつい。けど後一歩の所で逃げやがった。」

 

タクト「そう言う所は変わんねえな。」

 

ジェレミー「それが俺さ。」

 

タクト「ジェレミー、エスタって子を知ってるか?」

 

ジェレミー「エスタ?」

 

タクト「フラー大司教のメイドだ。」

 

ジェレミー「あぁ、あの子か。」

 

タクト「彼女を助けたのはお前だったんだな?」

 

ジェレミー「あぁ。あのクズ男の性的暴行を見てられなかったもんだからついな。」

 

タクト「それで、何か情報とか掴めたのか?」

 

ジェレミー「とっておきかどうかは分からねえが。」

 

ブルースフィア帝国で盗み聞きした事を全て話した。

 

タクト「実験?」

 

ジェレミー「あぁ。何の実験かは知らねえが、とてつもないデカイ実験に違いないと思う。」

 

タクト「もしそれが世界に何らかの影響を齎す場合は、全力で阻止しなきゃな。」

 

ローランド「はい。魔人達もどう動くかはまだ未知です。」

 

タクト「ジェレミー、ローランド、協力してくれるか?ここまで来たんだったら。」

 

ジェレミー「だな。両親の仇討ちもまだまだ物足りねえからな。」

 

ローランド「ジェレミー様を守るのが、私の使命です!」

 

タクト「助かる。それとお前、後でエスタに顔合わせとけよ?」

 

ジェレミー「OK〜。」

 

 

 

 

 

 

数日後、魔人領攻略作戦に向けた世界連合閣僚会議当日。

 

連合国のほぼ中央に位置する国、ダーム王国。この地にて、連合会議が行われる事となった。

 

 

 

 

ダーム王国・会議室。

 

ドミニク「『人類存亡の危機に際し、各国が協力し、事態の収拾に当たる。なお、連合締結中は、1つの集団として機能し、その行動に対し、何ら見返りを求めないものとする。』以上が、連合の調印内容となります。」

 

ここに、7カ国の代表が揃った。

 

 

 

アールスハイド王国代表・ドミニク=ガストール。

 

イース神聖国代表・ハミル=マキナ。

 

エルス自由商業連合国代表・ウサマ=ナバル。

 

スイード王国代表・エドガー=フランネル。

 

カーナン王国代表・ガラン=シェパード。

 

クルト王国代表・エンリコ=ベーカー。

 

ダーム王国代表・ラルフ=ポートマン。

 

 

 

ドミニク「アールスハイド王国軍務局長のドミニク=ガストールであります。現在、我々人類は魔人の大量出現と言う人類の存続すら危うい状況に置かれております。しかし!我々に希望が無い訳ではありません。大まかな作戦内容は既に作成しております。まずは、それを纏めた書類に目を通して頂きたい。」

 

作成した書類を各国の代表達に配った。

 

ラルフ「各国軍は大型までの魔物の討伐を担当・・・災害級の魔物と魔人は、アルティメット・マジシャンズが担当する・・・!?ドミニク局長・・・!本気ですかこれは・・・!?」

 

ドミニク「無論本気です。最善であると確信した上での立案です。」

 

ガラン「国家養羊家のガランだ。場違いに思われるかも知れないが、ウチの国じゃ養羊家の国家権限は軍より上でな。アルティメット・マジシャンズとはちっと面識があるんで、俺が代表に選ばれた次第だ。彼らの力は本物だぜ。俺はこの案で文句は無え。」

 

ラルフ「・・・・」

 

ウサマ「エルスの外交官ウサマ=ナバルや。ウチらはこの作戦、どっちかと言うと資金繰り中心に関わらせて貰いますよって。軍のお偉いさん差し置いて、ウチが出しゃばらせて貰いましたわ。あの子らなら作戦に掛かる資金に見合う働きをしてくれますわ。そこは間違いなく保証しますよって。」

 

エドガー「同意見です。」

 

エンリコ「同じく。」

 

ハミル「・・・」

 

ドミニク「目の前で災害級の魔物や魔人を討伐する姿を見た者は皆賛成のようですな。」

 

皆が賛成の中、ラルフは反対を示す。

 

ラルフ「正気ですか!?強いとは言え、高々15〜16歳の子供ですよ!?私は反対だ!!魔人討伐の実績があるとは言え、年端も行かない子供達にその様な重大任務を任せるなど、私は納得出来ません!!」

 

全員が黙る中、ウサマは。

 

ウサマ「(何やな、その言い方、あの子らを心配してると言うよりは・・・)ラルフさん言いましたかいな?ホンなら、何ぞ代替案でもあるんですか?」

 

ラルフ「我々が一致団結して立ち向かえば、必ずやどんな困難も打開出来るはずです!!」

 

全員「・・・・・?」

 

ウサマ「いや精神論やのうて、具体的な作戦案を訊いとるんです。」

 

ラルフ「そ、それは・・・そもそもそこまで力を持った集団など、魔人以上に世界の脅威となる可能性も!!」

 

エドガー「彼らは『世界の共有戦力』です。ディセウム陛下の提言をお聞きになりましたか?」

 

ラルフ「それは国家間で取り決められた単なる表向きの協定でしょう!!彼らが結託して暴動や反乱を起こさない保証などありますまい!!それにあの中には世界に1人しか居ない魔喰人と言葉を持つ魔物が居る!!その2つが暴動を起こせば!!」

 

エリンコ「安全な城壁の上に兵を待機させ、自分達のみが危険な死地に赴く彼らが、そのような事を企む輩だとは思えませんなぁ。」

 

ラルフ「そうやって周りの信頼を得ようとしているのですよ!その内化けの皮が!!」

 

しかしガランが発言を止めさせた。

 

ガラン「軽率な発言は控える事を勧めるぜ。」

 

今のドミニクは激怒寸前である。

 

ドミニク「アルティメット・マジシャンズには我が国の誉れ叩き第一王子アウグスト=フォン=アールスハイド殿下も属していると知っての発言ですかな?ラルフ=ボートマン長官!」

 

ラルフ「っ!し、失礼致しました・・・言葉が過ぎたようです・・・」

 

ハミル「ラルフ君、あなたがそこまで彼らを認めないのは何か理由が?」

 

ラルフ「マキナ様・・・?」

 

ハミル「彼らは信頼に値する人物ですよ。三国会談の時の一件を知っているでしょう。魔物と化した大罪人フラーの仕出かした事を彼の責任のみに留まり、イースの罪まで言及しなかった。本来国同士が敵対関係になっても可笑しくなかった程の事件なのにです。それにアルティメット・マジシャンズと言えば、民衆の間で”聖女”と呼ばれるシシリー=フォン=クロードさんや、今や”神の御使い”とまで言われているシン=フォルフォード君や、ティガ言う姿に変身して戦う”超古代の戦士”のタクト=クリスティ君が居るのですよ。彼らを信じ、人類の運命を託すのにまだ何か不満が?」

 

ラルフ(そ・・・それが気に食わないのだ!!”聖女”だと!?それは現教皇が今の地位に就く前に呼ばれていた呼称!!神子でもない人間が、敬愛する教皇の嘗ての名で呼ばれて良いものか!!それに”神の御使い”だと!?創神教にとって神とは絶対なる存在!!一個人が!!魔法使い風情が!!軽々しく口にして良い称号ではない!!創神教の信徒として、容認出来ん!!それだけは!!)

 

ドミニク「他に案が無ければ、このまま続けさせて頂きます。宜しいか?」

 

ラルフ「・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

会議終了後、ラルフはイライラしながら帰って行った。

 

ドミニク「ダーム王国は決議に不服なようですな。」

 

ハミル「いえ、そう言う訳ではありませんよ。」

 

ドミニク「?」

 

ハミル「創神教内、特に宗教国家であるイースやダームでは現在、”聖女”や”神の御使い”の存在の容認派と否定派に分かれているのです。ダームの民もその多くは容認派なのですが、ボートマン長官個人は、完全に否定派の様です。先程の反応ではっきりしました。」

 

ドミニク「信心深過ぎるのも考えものですな。っと失礼、これはあなたに言う言葉ではないな。」

 

ハミル「フッ。(些細な事かも知れないが、この事が作戦に影響しなければ良いが・・・)」

 

彼は心の中でそう願っている。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子
グレア:高橋李依

ジークフリード=マルケス:金子誠
クリスティーナ=ヘイデン:古賀葵

ドミニク=ガストール:小山剛志
ルーパー=オルグラン:保村真

ジェレミー=ダンクルク:前野智昭
ローランド:山本和臣

ローレンス:杉山紀彰
アベル:古川慎
カイン:井上雄貴
ダンテ:柳田淳一
サイクス:興津和幸
フィン:市来光弘

ゼスト:津田健次郎
ミリア:大原さやか

エドガー:間宮康弘
ガラン:竹内良太
ハミル=マキナ:高橋広樹
ウサマ=ナバル:田中敦子
ラルフ=ポートマン:小上裕通





次回予告

世界首脳会議に訪れた教皇猊下・エカテリーナ。そしてタクトは、英雄リチャードに案内されてある人物と対面を果たす。

次回ウルトラマンティガ

教皇猊下が来る

お楽しみに


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第20話「教皇猊下が来る」

教皇猊下が来る
ゼスト、ラドリー 登場



世界連合閣僚会議の数日前、ジェレミーは自分が助けたエスタに会っていた。

 

エスタ「私を助けて頂き、ありがとうございます・・・!」

 

ジェレミー「気にすんなよ。俺はあんたがクソ大司教から性的暴行を受けてるのを見てムカムカしたからな。」

 

エスタ「あの・・・その・・・何とお礼をすれば良いのでしょうか・・・?」

 

ジェレミー「いや、礼は結構だ。あれは俺が勝手にやっただけだからな。エスタと言ったか?」

 

エスタ「あ、はい。」

 

ジェレミー「良い天職を見付けれて良かったな。今後も頑張れよ。」

 

エスタ「はい!」

 

 

 

 

その後。

 

タクト「どうだったか?」

 

ジェレミー「あぁ、凄く喜んでたぜ。」

 

ローランド「良かったです。」

 

タクト「なぁジェレミー、ローランド、お前ら寝床はどうすんだ?もし無かったらウォルフォード邸の余った部屋を使っても良いが。」

 

ジェレミー「いや、俺達はリオ達のコテージを寝床にするわ。」

 

ローランド「夜に不審者が現れないか心配なので。」

 

タクト「そうか、あんまり寝不足になんなよ?」

 

ジェレミー「魔喰人に睡眠時間は皆無だ。まぁでも、寝るのも悪く無いけどな。」

 

 

 

 

 

 

世界連合閣僚会議の後。アルティメット・マジシャンズはリオ達を呼んで会議をしている。

 

アウグスト「まず、戦力分配としては、アールスハイドを除く魔人領周辺4国に、エルス・イースから等分して兵力を分ける。アールスハイドは他に比べて軍事力が強大な為、戦力増員はされない見込みだ。我々アルティメット・マジシャンズも、同じ4班に分かれ、周辺国の軍隊に合流する。正確な時期やメンバー分けはまだ未定だがな。」

 

マリア「でも殿下、それって少しアールスハイドが不利じゃないですか?軍は今のままで、私達も他国へ散っちゃうんじゃ?」

 

アウグスト「その点は心配ない。シンの『魔力制御による魔法の制度アップ』については、魔法学術院を通して徐々に世界に広まりつつあるが、今の所我が国だけが結果が出せているからな。」

 

トール「実質、アールスハイド王国軍が突出している訳ですか。」

 

アウグスト「そう言う事だ。加えて騎士団も最近になって新たな手法で戦力アップを図っているらしいな。練兵場で極秘の特訓中だそうだ。(何となく予想は付くが。)」

 

シン(あぁ、アレの発注がやたら増えたのって、そう言う事か。)

 

アウグスト「そして、またシンとタクトの元に莫大な金が転がり込む訳だな。」

 

アリス・リン「?」

 

シン「変な言い方すんな。」

 

タクト「俺まで巻き込むな。」

 

シン「どうせ使い道が無いんだよ。」

 

アウグスト「贅沢な話だな。」

 

するとアウグストが何かを閃いた。

 

アウグスト「それだけの資産があるなら、どうだ?愛人でも囲ってみては?」

 

その言葉を聞いたシシリーが”ピクン”と反応した。

 

シン「ちょ!?おま!!滅多な事言うな!!」

 

全員がシシリーを見ると。

 

シシリー「シン君。」

 

周囲に風が巻き起こった。

 

マリア「えーと・・・・・」

 

リン「今回のコレは・・・」

 

シシリー「愛人さんを囲うんですか?」

 

彼女からとてつもない風が吹き荒れていた。

 

アリス「わ〜〜〜〜〜〜〜・・・・・」

 

マリア「風魔法だーーー・・・・・・」

 

タクト「・・・」

 

アラタ「さびぃ・・・」

 

シン「ま、まさか!!そんな事、微塵も考えた事ないよ!!!」

 

シシリー「そうですか?」

 

シン「そうそう!!」

 

シシリー「なら良いです。」

 

風が収まった。

 

シン(寿命縮む・・・・・)

 

そんな中アウグストは笑い堪えていた。

 

シン「てんめぇ・・・!!お陰で大惨事になる所だぞ!!」

 

アウグスト「落ち着け、今のは忠告だ。」

 

シン「忠告?」

 

アウグスト「世界一の魔法使いで、使い切れない程の富を持ち、おまけに聖女が婚約者だぞ。どれだけの人間が羨んでると思うんだ?」

 

ケイティ「私は別に羨んではないけど?」

 

ナージャ「余計な事言わないの。」

 

アウグスト「油断してると、火の無い所で煙を立たせる者が出て来るからな。そうなる前にお前の良識を少し試してみただけだ。」

 

シン「そうだったのか・・・(俺の為に・・・)」

 

トール「騙されてますよシン殿。何時もの殿下の悪巫山戯です。」

 

シン「はっ!!てめぇ!!」

 

怒って逃げるアウグストを追い回す。

 

マリア「シンって、案外単純よね。」

 

オリビア「ですよね。」

 

ジェレミー「弄り甲斐がありそうだな。」

 

ローランド「ジェレミー様、程々に。」

 

アウグスト「ちょっと待て、今ので思い出したぞ。」

 

シン「は?」

 

アウグスト「お前に伝える事があった。例のお前の本な、来週発売だからな。」

 

シン「嘘ぉ!?」

 

アリス「あ〜、そう言えば前に言ってましたね。シン君の物語が本になるとか何とか。」

 

シン「す、すっかり忘れてた・・・マジかよ、発売直前じゃねえか・・・」

 

タクト「んで、そのタイトルは決まったのか?」

 

アウグスト「あぁ。『新・英雄物語』。前作のマーリン殿とメリダ殿を描いた『英雄物語』の続編に当たるものになる。」

 

ユーリ「殿下ぁ、私達先に読めたりしないんですかぁ?」

 

アウグスト「そう言うと思って、人数分用意して来た。昼休みの間に読むといい。」

 

異空間収納から新・英雄物語の本を出して皆に配り、皆が読む。

 

全員「ぷっ・・・あはははははははは!!あっはっはっはっはっ!!」

 

読んだ瞬間、全員が一斉に爆笑喝采。

 

 

 

内容としては。

 

『お爺様、僕はこの力を世界の平和の為に役立てたく思います。』

 

『アウグスト、僕の力で良ければ何時でも貸そう。僕らの友情は永遠だ!』

 

『私は貴方に出会う為に生まれて来ました。この心と身体は全て貴方のものです。』

 

『たとえ何者であるとも、僕らの愛を引き裂く事など出来はしない。この剣と魂に誓って、君を守り抜くと約束するよ。』

 

っとまぁこんな感じ。

 

 

 

アリス「お爺様って・・・って言うか僕って〜〜〜・・・!」

 

マリア「”僕らの友情は永遠だ”〜〜〜〜・・・誰よこれ〜〜・・・!」

 

シシリー「わ・・・私・・・こんな事言ってません・・・」

 

アリス「剣と魂〜〜〜〜〜〜!何時の間に誓ったのシン君〜〜〜〜〜〜!」

 

ナージャ「ちょっとこれ・・・面白過ぎるんだけど・・・・・」

 

ケイティ「あっはっはっはっはっ!!可笑しい!!可笑し過ぎる〜〜〜!!」

 

リオ「あはははは!」

 

デイジー「これは・・・ちょっと・・・!」

 

グレア「ぎゃはははは!」

 

ジェレミー「これはもう・・・腹が保たないな・・・・・!」

 

ローランド「僕もです・・・・ニヤニヤが止まりません・・・・・!」

 

タクト「ぷっくくくくく・・・・腹痛え・・・・・!!」

 

アリス「ちょっ、この台詞!言ってみてよ!お願いだから〜〜〜〜!!」

 

シン「完全に創作じゃねえか!!!良いのかよおい!!こんなある事ない事!」

 

アウグスト「いや、内容自体に嘘は無いぞ?若干の脚色はあるが。」

 

シン「これで若干!?」

 

アウグスト「まぁ、これをみて笑えるのはお前の知り合い位のものだ。その他は殆どの人間はこれを読んで感動し、お前の事を心優しい英雄だと認識するだろう。」

 

シン「これまさか、俺の印象を良く持たせる為にわざとこんな話にしたのか・・・?魔人討伐後も周囲に脅威を感じさせない為に・・・?」

 

アウグスト「いいや、ただの作家のセンスだ。」

 

シン「やっぱり創作じゃねえか!!」

 

アウグスト「因みにこの本、世界同時発売だからな。」

 

グレア「お!世界中にシンの新の話題が更に広まるね!」

 

シン「デカいよ規模が!!実感沸かねーから!!後グレアも変な駄洒落止めろ!!」

 

アリス「ねー!ここの台詞言ってみてよー!」

 

シン「黙れ!!」

 

ケイティ「あ!ここも!ここも言って!」

 

シン「言わねえよ!!」

 

 

 

 

トール「殿下。殿下もお人が悪い。読み手がシン殿に悪印象を持たないような文章にしろと指示したのは殿下でしょう?」

 

タクト「俺達知ってるんだぜ?」

 

アウグスト「何の話だ?」

 

トール「シン殿に知られると恥ずかしいんでしょう?」

 

アウグスト「五月蝿いぞトール。勝手な事言うな。・・・・・」

 

ユリウス「殿下も素直じゃないで御座るなぁ。」

 

アウグスト「お前ら、最近遠慮が無さ過ぎるぞ。」

 

ユリウス「おや、ダメで御座るか?」

 

アウグスト「・・・・別に構わんが。」

 

タクト「何だよ、オーグも可愛い所あるじゃねえか。」

 

アウグスト「タクト、それを言うなよ・・・」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、イース神聖国では、枢機卿の男が何処かへ向かっていた。

 

枢機卿「教皇猊下、私で御座います。」

 

教皇猊下「あら、あなたね。開いているわよ。」

 

枢機卿「失礼します。」

 

扉を開けて、教皇猊下の部屋へ入る。

 

枢機卿「おや、読書中で御座いましたか。」

 

教皇猊下「ええ。あなたこれ知らない?最近港で有名なのよ?」

 

枢機卿「そちらでしたら、私も購入しました。」

 

教皇猊下「あらそう、面白かったでしょ?」

 

枢機卿「ええ。何せ今話題の”神の御使い”と呼ばれる者の話ですからな。」

 

教皇猊下「新・英雄物語かぁ・・・」

 

枢機卿「そちらを読む限りでは、彼は正しく”神の御使い”と呼ばれるに相応しい人物であるようですな。」

 

教皇猊下「確かにそうね。この本が正確に事実を書いているのであればね。」

 

枢機卿「事実ですか?しかし、ここに書かれている事に疑う余地はないように思いますが。」

 

教皇猊下「行いわね。でも、人物像まで正確に書かれているかは疑問だわ。だって、あの”賢者”の孫なのよ?とても真面な人物だとは思えないじゃない。」

 

枢機卿「猊下?賢者殿ですよ?世界の英雄の孫なんですから、それは立派な・・・」

 

教皇猊下「あなたは賢者の本当の顔を知らないのよ。」

 

枢機卿「??」

 

教皇猊下(私は”賢者”の本当の顔を知っている。そして”導師”の事も。)

 

賢者マーリンと導師メリダと教皇猊下は深い関わりを持っている。

 

枢機卿「恐れ入りますが猊下、本日参ったのはその本の話をする為ではありません。例の世界首脳会議の日程が決まりましたので、お知らせに参ったのです。」

 

教皇猊下「あらそう、早かったわね。アールスハイドから紹介された通信機を導入したお陰で、各国との交信がスムーズになりましたからな。」

 

枢機卿「猊下、この度開催される世界首脳会議に、アルティメット・マジシャンズも来るそうです。気になるようでしたら、一度彼に直接お会いしてみては?」

 

教皇猊下「そうね、良い案だわ。」

 

枢機卿「それでしたら、丁度良い訪問理由が御座います。先日マキナ司教から直接嘆願が御座いまして。」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、魔人領にある北西部の海岸沿いでは、1人の魔人が弓矢で1羽の鳥を一発で射抜いていた。

 

”パチパチ”

 

そこに拍手の音が。

 

ゼスト「お見事。ベテランハンターの腕前は健在のようだな。捜したよラドリー君。」

 

ラドリー「アンタ、確かシュトロームの所に居た幹部の?どうしてここが分かった?」

 

彼はラドリー。魔人領を離反した魔人でハンター。

 

ゼスト「情報収集と偵察は得意分野でね。お仲間はまた別の場所かな?」

 

ラドリー「(そう言や、此奴ら斥候部隊だったな。)さあね、今更俺達に何の用だ?」

 

ゼスト「少しばかり君達の力を借りたい。」

 

ラドリー「?」

 

ゼスト「人間達が世界連合を組んだ件はご存知かな?どうやら近々、奴らはこの国を攻め入って来る様子でね。此方も戦力増強を図っておきたいのだよ。勿論相応の謝礼は用意するつもりだ。」

 

ラドリー「お断りだね。アンタらに感謝はしているが、それとこれとは話が別だ。俺達ハンターを手前勝手に利用しやがった帝国の腐れ貴族共に復讐は出来た。俺達の目的はそれで終わったんだ!魔人になろうが何だろうが、それ以上を求める気はない!」

 

離反した魔人達の目的は、飽く迄ブルースフィア帝国の貴族達の復讐。それ以外の目的など無かった。

 

ラドリー「俺達は自由に生きたい。これ以上何に縛られるのもゴメンだ!」

 

ゼスト「自由にかぁ・・・残念だが、それは難しいぞ。人間達、連合軍の侵攻が始まれば、何処に居ようと君達は追い詰められる。当然”魔人”である君達は奴らからすれば討伐対象だ。人間相手とは言え、魔人数人で太刀打ち出来る規模ではない。揃って犬死にを選ぶなら無理強いはしないが。」

 

ラドリー「・・・・・・・」

 

ゼスト「人間達を掃討出来た暁には、君達が安全に暮らせる地を用意しよう。勿論、莫大な資金もな。魔人になろうが、金の価値が変わらないのは、ハンターである君達がよく知っているはずだ。」

 

ラドリー「勝算はあるのか?」

 

ゼスト「勿論だ。君達と共に城を出た平民の魔人達も、今我々が招集している所だ。君達に合流させて少しでも戦力を・・・」

 

ラドリー「いらねぇよあんな奴ら!戦闘技術も無い連中の頭数をどれだけ集めたって、役に立ちゃしねぇよ!余計な事をするな!」

 

ゼスト「まぁそう言うな。何なら捨て駒にでも囮にでも使えば良い。」

 

ラドリー「仲間と相談する。言っておくが、最終的に判断するのは俺達だ!」

 

彼も、人間達との戦争に参加する事となった。

 

 

 

 

そして、魔人領の帝都では。

 

???「奴等め、余計な事を。」

 

1人の魔人が同じ魔人達を憎み、静かに去った。

 

 

 

 

 

 

更にウォルフォード邸では。

 

スティーブ「マーリン様、メリダ様、お客様です。」

 

メリダ「おや、もう来たのかい?」

 

マーリン「通してくれ。」

 

そこに入って来たのは・・・

 

マーリン「よく来てくれた。」

 

メリダ「こんな時間にすまないねぇ。」

 

ある2人であった。

 

 

 

 

 

 

数日後のダーム王国で、遂に世界首脳会議の日が訪れた。

 

 

 

 

ダーム大聖堂では、アルティメット・マジシャンズが外の様子を見ていた。

 

シン「世界首脳会議かぁ。流石に凄い厳戒態勢だなぁ。」

 

タクト「こりゃ凄えなぁ。」

 

アウグスト「連合7国の国家元首が勢揃いだからな。万が一何か起きたら、それこそ魔人以前の大問題だ。」

 

マリア「歴史上初よねぇ、こんな事態。」

 

ナージャ「何か胸騒ぎがする・・・」

 

デイジー「ナージャ、大丈夫?」

 

アウグスト「今後の流れを確認しておくぞ。今日明日にかけて行われる首脳会議では、世界連合の調印式を魔人領攻略作戦の出陣式が同時に行われる。その声明は通信機を通じて連合国中に同時に配信される。声明を聞いた後、各国で出撃準備をしている軍が魔人領に侵攻を開始する。目標は、魔人達の拠点を見付け出し、殲滅する事。無論、魔人達も我々の動きは察知しているはずだし、ただ手を拱いて待ち受けているとは思えんがな。」

 

タクト「そして奴らの中には、クルト王国襲撃時とフラー大司教を仕組んだあの魔人達が居る。奴らはどんな戦法で俺達と戦うのか分からない。油断は禁物だ。」

 

アウグスト「タクトの言う通りだ。」

 

ジェレミー「そうだなぁ。まぁどんな魔人共が来ようと、俺達が一瞬で喰い荒らしてやるからな。」

 

ローランド「ジェレミー様、油断は禁物ですよ?」

 

ジェレミー「承知してる。だがその時はローランド、お前が頼りだ。期待してるぜ。」

 

ローランド「はい!」

 

するとそこに、1人の兵士が。

 

兵士「あ、あの!失礼します!調印式の前に、ア・・・アルティメット・マジシャンズの皆様にご挨拶したいと言う御方が参られております!!」

 

アウグスト「フム、どなたが参られた?」

 

兵士「そ、そ、それが・・・イ、イース神聖国の・・・エ、エカテリーナ教皇猊下で御座います!!」

 

アウグスト「っ!?」

 

マリア「はい!?きょ・・・教皇猊下が今からここに!?ちょっと待ってよ!!急にそんな!!」

 

アリス「あ、私髪大丈夫!?乱れてない!?」

 

リン「大丈夫。何時ものアホ毛だけ。」

 

ユーリ「どうしよう!私ったらこんな服でぇ!失礼じゃないかしらぁ!?」

 

シン「いや、それ俺に失礼じゃね?」

 

タクト「教皇猊下・・・いきなり来るとは・・・」

 

グレア「一体何をお考えに・・・?」

 

シン「な、なあ、何で皆そんなに緊張してんの?」

 

マリア「だって創神教の教皇猊下よ!?国王や王族より更に雲の上の存在なのよ!!」

 

シン「そ、そんなもんなのか・・・(あんま宗教的なものに関わってこなかったせいか・・・ピンと来ないな・・・)」

 

アウグスト「全員兎に角落ち着け!くれぐれも失礼のないようにな!」

 

全員「は・・・はい!!」

 

タクト「お前ら、教皇猊下の前では冷静にな?」

 

ナージャ・ケイティ・リオ・デイジー・グレア「うん。」

 

ジェレミー「ああ。」

 

ローランド「はい。」

 

アウグスト「お通ししてくれ。」

 

兵士「畏まりました!」

 

扉を開け、教皇猊下をお通しした。

 

エカテリーナ「お初にお目にかかります。アウグスト殿下。そしてアルティメット・マジシャンズの皆さん。イース神聖国代表にして、創神教で教皇の地位に就いております、エカテリーナ=フォン=プロイセンと申します。」

 

彼女がエカテリーナ=フォン=プロイセン。イース神聖国の教皇猊下である。全員がエカテリーナの美しい姿に見とれている。

 

シン(この人が・・・)

 

アウグスト「これはご丁寧に、お初にお目にかかります。アールスハイド王国王太子、アウグスト=フォン=アールスハイドで御座います。そして此方が・・・」

 

シン「(お、俺も名乗るの!?さ・・・流石に冗談言える雰囲気じゃないな・・・)ア・・・アルティメット・マジシャンズ代表、シン=ウォルフォードです。」

 

エカテリーナ「そう、あなたが・・・”神の御使い”、そして”魔王”シン=ウォルフォード君ね。そして、あなたがあの戦士の?」

 

タクト「あ、はい。アルティメット・マジシャンズ副代表で”超古代の戦士・ティガ”のタクト=クリスティです。」

 

エカテリーナ「貴方の事は噂で聞いているわ。」

 

タクト「光栄です。」

 

彼女はシンをジッと見る。

 

シン「!?」

 

エカテリーナ「今回の魔人出現は正に世界の・・・人類存亡の危機です。そんな時代に人類の歴史上、至上とも言える実力を持ったウォルフォード君とクリスティ君が現れた。私達は、ウォルフォード君貴方が神が遣わされた御使いだと思っているわ。」

 

シン「か、買い被り過ぎですよ・・・」

 

エカテリーナ「そう?何か心当たりはないのかしら?」

 

シン(っ!?こ・・・この人まさか・・・俺が前世の事や・・・転生した事を分かって言ってるのか・・・!?)

 

エカテリーナ「貴方の使う魔法は随分と特殊だそうね。それで、もしかしたらと思ったのだけれど・・・」

 

シン「は、はは・・・違いますよ俺・・・僕は神様の指示は受けてませんから・・・」

 

エカテリーナ「それから、貴方がシシリーさん?」

 

シシリー「は・・・はい!」

 

緊張するシシリーに歩み寄ると。

 

エカテリーナ「まあ!やっぱりそう!ずっと会いたかったわ!貴方が昔の私と同じ”聖女”と呼ばれてると聞いて、ず〜〜〜っと気にしてたのよ!!」

 

冷静から突然気さくキャラに豹変してシシリーの両肩を掴んだ。

 

全員「!?」

 

エカテリーナ「ねぇ、貴方は大丈夫!?周りから五月蝿く言われてない!?『聖女の癖に』とか『聖女らしく振る舞え』とか!!」

 

シシリー「え・・・ええ・・・特には・・・」

 

タクト・ナージャ・ケイティ・リオ・デイジー・グレア・ジェレミー・ローランド(教皇猊下のキャラが変わってる・・・)

 

エカテリーナ「なら良かったわぁ。私の時は兎に角周りが五月蝿かったから。フラーの件では、貴方達にも随分迷惑掛けちゃったし、色々責任感を感じてたの。ごめんなさいね。」

 

リン(何と言うか・・・)

 

アリス(意外と結構気さくな人・・・?なのかな??)

 

エカテリーナ「それで、貴方達の結婚式の話も聞いたの。私が貴方達の式を執り行う事が正式に決まったから、それを伝えに来たのよ。ただ、貴方達だけで結婚式を挙げちゃうと、色々言う人が居るかも知れないから・・・アウグスト殿下達との合同の挙式になるけど、そこは了承してね?」

 

シシリー「は・・・はあ。」

 

リン「序でにオリビア達も一緒にお願いしたら?」

 

ケイティ「私とマークの結婚式もお願いしますって。」

 

オリビア「やや、止めて下さい・・・」

 

エカテリーナ「明日は世界連合の調印式と出陣式。世界に平和が戻るように頑張りましょう。」

 

彼女は部屋から出た。

 

 

 

 

一段落した部屋。

 

アウグスト「ふう・・・まさか教皇猊下が直接来られるとは・・・」

 

シン「お?流石のオーグも緊張したみたいだな。」

 

アウグスト「相手が相手だぞ。緊張するなって方が無理だ。」

 

タクト「確かに。」

 

マリア「って言うか、シンこそもっと緊張感持ちなさいよね?」

 

ナージャ「教皇猊下の前だとあんま緊張感を感じなかったけど。」

 

シン「うーん・・・俺創神教徒じゃないから、イマイチ教皇さんの偉大さが実感出来なくてさ。何かフレンドリーそうだし。」

 

全員がビクッとした。

 

マリア「ちょっと!それ絶対教皇猊下に言っちゃダメよ!!いやいや、他の神子さんの前でも言っちゃダメ!!」

 

トール「礼儀を弁えて下さい礼儀を!!」

 

オリビア「教皇さんって何ですか!さんって!」

 

シン「ぉわっ!?わ、分かったって!!」

 

ジェレミー「おいシン、今度教皇猊下に変な態度取ったら、ローランドに襲わせるぞ。」

 

ローランド「覚悟していて下さいね?」

 

シン「分かったって!そんな笑顔でこっち見るな!怖えよ!」

 

ユーリ「殿下や陛下への態度を見てるとどうもねぇ・・・」

 

トニー「普通に『エカテリーナさん』とか言い出しそうだよねぇ。」

 

シシリー「コホン。兎に角、人前ではちゃんと教皇猊下と呼んで下さいね?シン君。」

 

シン「分かりました。」

 

ローランド「その時はお覚悟を。」

 

シン「だから分かってるって!」

 

マリア(この男、その内シシリーの尻に敷かれると見た。)

 

 

 

 

 

 

その頃エカテリーナは。

 

エカテリーナ「?」

 

枢機卿「如何でしたかな?かのシン=ウォルフォードは?」

 

エカテリーナ「そうねえ、例の本は彼のイメージを保つ為、人間性の表現にかなりの補正が加えられているのではないかと思ったのだけれど・・・そんな事はなさそうね。言葉遣いは兎も角、彼に野心は無いわ。」

 

枢機卿「左様で御座いますか。」

 

エカテリーナ「それより、気になった事があるわ。」

 

枢機卿「は?」

 

エカテリーナ「彼に『神から遣わされた御使いではないか?』と言ったら・・・彼、否定はしたけど、明らかに動揺したのよ。」

 

枢機卿「で・・・ではまさか・・・彼は本当に神の御使いで・・・」

 

エカテリーナ「まだそれは分からないわ。神の指示は受けてないと言ってたしね。」

 

枢機卿「指示は受けていない・・・ですか。」

 

エカテリーナ「そう。ひょっとしたら彼は、神の存在には触れたのか・・・或いは、それに準じる何らかの力の導きで、この世に生まれた可能性はあるわね。」

 

枢機卿「・・・・猊下。」

 

エカテリーナ「ええ、ウォルフォード君には悪いけれど、これも世界平和の為。人類の心を一つにする為の神輿になって頂きましょう。」

 

枢機卿「・・・ただ、アールスハイドの定めた彼に関する協定・・・そこに反する事になるのでは?この後の調印式前の最終会議。協定を定めた当人であるディセウム陛下も居られます故・・・」

 

エカテリーナ「承認して貰うわよ。一個人の立場と、全人類の平穏・・・秤などかけるまでもないのではなくて?」

 

 

 

 

 

 

そして翌日、遂に調印式及び出陣式の日が訪れた。

 

重臣「通信機と拡声機の準備は万全か?」

 

兵士「問題ありません。」

 

通信機と拡声機の準備は万全。そして、連合国の兵士達が集まり、更に連合国に拡声機が設置された。

 

シン「いよいよだな。」

 

アウグスト「ああ。今、神殿内で行われている調印式が終わり次第、すぐに出陣の合図だ。我々も一旦解散だな。」

 

そして神殿の扉が開き、エカテリーナ教皇猊下、ディセウム陛下、スイード国王、各国の国王達が出て来た。エカテリーナが前に達、こっそりとシンを見て笑みを浮かべた。

 

シン(何だ?今の・・・)

 

エカテリーナ「お集まりの皆さん・・・そして、この通信を聞いている連合国の皆さん、いよいよ時は満ちました。我々人間が、この世界に脅威を齎す魔人に対し、打って出る時が来たのです。ですが、皆さんの中には、本当に魔人を討伐出来るか不安に思ってる人も多い事でしょう。しかし、皆さん安心して下さい。我々には蘇った超古代の戦士の力を受け継いだ者が居ます!それが彼、タクト=クリスティです!」

 

群衆「うおおおおおおおおお!!!!」

 

エカテリーナ「そして私達には、神が付いています。その証拠に神は・・・彼を!!シン=ウォルフォードを遣わして下さったのですから!!」

 

 

 

群衆の後ろに居るシン。シンが後ろをちらっと見る。

 

アウグスト「いや、お前だお前。」

 

群衆「うおおおおおおおおおお!!!!」

 

アリス「凄い!シン君って神の使いだったの!?」

 

シン「んな訳あるか!!」

 

タクト「どんでん返しな大嘘吐きやがった。」

 

 

 

エカテリーナ「私は確信します!神の御使い、そして指輪の魔法使いが居る限り!我々の勝利は揺るぎないものであると!!さぁ皆さん!!彼らと共に!!世界に平和を取り戻す戦いを始めようではありませんか!!」

 

ドミニク「出撃!!!」

 

エドガー「全軍出撃ーーーーー!!!!」

 

遂に、連合全軍が出陣した。

 

エカテリーナ「・・・」

 

彼女はシンを見ると、てへっとした。

 

シン(あ、確信犯だ、あの人・・・)

 

タクト「おーい陛下ー、民衆の前で何発言させちゃってんだー?」

 

シン「そうだよ!!何で俺がこんな事に!!」

 

アウグスト「諦めろシン、タクト。あれは既にやり込められた顔だ。」

 

シン「マ・・・マジかよオイ・・・か・・・”神の・・・御使い”・・・?お・・・俺は兎も角・・・こんなの絶対納得しない人達も居るんじゃ・・・」

 

ナージャ「その可能性はあるわよ。」

 

 

 

 

”ガン!!!”

 

ナージャの言葉が的中した。ラルフが壁を殴って怒りを爆発させていた。

 

ラルフ「バカな・・・!!教皇猊下であろうお方が・・・何を血迷った事を・・・!!」

 

 

 

そしてアールスハイド王国・王城では。

 

メリダ「やりやがったねぇ・・・!!あんの小娘ェェ・・・!!!!」

 

何故かメリダも怒りを爆発させていた。

 

ジュリア「お、落ち着きになってメリダ様。今のは世界の非常事態・・・各国がシン君とタクト君の力に頼るのは仕方無い事では・・・?」

 

メリダ「そんな事は百の承知だよジュリア!シンとタクト自身に『世界を救う』と言う明確な意思がある以上、私だってそれ以上の事を言うつもりはない。しかしだ!!創神教の教皇と言う実質、この世界のトップが各国に向けて『シンは神の御使いだ』だって宣言しちまったんだ!これじゃ間違い無くシンは創神教の重要人物だと認識する者が出て来ちまう!!そうなれば、他国でもシンを政治利用する輩が現れ兼ねない。勿論、シン自身の意思と無関係にね。」

 

マーリン「確かにそれは、ワシらにとって最も許し難い事じゃな。」

 

???「私もお前達2人に賛同する。」

 

メリダ「くっくっくっくっくっ・・・・・!!」

 

突然メリダが笑い狂った。

 

メリダ「これはちょいと、お灸を据えてやらないといけないねぇ・・・」

 

メイ「メリダ様怖いです・・・」

 

エリザベート「しいっ!メイ!聞こえたらどうするんですの!」

 

メリダ「悪いが、ちょいと用事が出来た。私らはこれで失礼するよ。ホレ、マーリン。ゲートを開けとくれ。」

 

マーリン「ダーム大聖堂じゃったな。若い頃行った事があって良かったわい。」

 

???「マーリン様、私達も宜しいでしょうか?」

 

マーリン「分かった。お前達も来るが良い。」

 

ジュリア「あ、あの・・・程々にしてあげて下さいね・・・」

 

マーリン、メリダ、そしてある2人がゲートを通ってダーム大聖堂へ。

 

ジュリア「生きて帰れるかしら・・・あの人達・・・」

 

エリザベート・メイ「?」

 

 

 

 

 

 

ダーム大聖堂では。

 

アーロン「いやぁ、エライ盛り上がっとりましたなぁ。」

 

彼はアーロン=ゼニス。エルス自由商業連合国の大統領。

 

ディセウム「ウム・・・まあ・・・シン君を”神の御使い”と認定する事で・・・民衆が希望を持てるのは確か・・・か・・・(ただやはり・・・手離しでそれを喜んで良いものかどうか・・・)」

 

心の中で不安を抱えてる。

 

エカテリーナ「ウフフ、久し振りに良い仕事をしましたわ。」

 

アーロン「しかし兄さんも、よく宣言を許可しましたなぁ。」

 

ディセウム「・・・なあアーロン、それなんだが・・・」

 

そして彼らの近くに1つの影が・・・

 

 

 

 

メリダ「小娘ええええええええ!!!!!!」

 

 

 

 

後ろを向くと、怒りが頂点に達したメリダの姿が。

 

騎士長「な・・・何者だ貴様!!」

 

するとメリダから強力な魔力が溢れ出た。

 

騎士長「このただならぬ魔力・・・猊下!皆様方も・・・急ぎ退避を・・・っ!?」

 

エカテリーナ、ディセウム、アーロンがメリダを見て驚きを隠せなかった。

 

アーロン「ア・・・ア・・・アカン・・・アカン・・・!!何で・・・ここに・・・!?」

 

ディセウム(ああ・・・やはりなぁ・・・)

 

メリダ「小娘・・・よくもやってくれたねぇ・・・」

 

エカテリーナ「し・・・し・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「師匠!!!???」

 

 

 

 

 

 

彼女はメリダを師匠と叫んだのだ。

 

騎士長「枢機卿・・・ま・・・まさかあのお方は・・・」

 

枢機卿「あぁ、猊下の師と言えばただ1人・・・少女期、神子としての修行の旅を、とあるパーティと共にしていたと聞いたが・・・間違いない・・・あれは・・・その時猊下を鍛えあげられたその人・・・”導師”メリダ殿だ・・・!!」

 

怯えるエカテリーナに迫るメリダ。そして・・・

 

 

 

 

 

 

”ごちん!!!”

 

エカテリーナ「あだぁ!!!!」

 

 

 

 

 

 

強烈なゲンコツがエカテリーナの脳天にクリティカルヒット。

 

騎士長(げ・・・猊下に・・・ゲンコツ・・・)

 

エカテリーナ「な、何するんですかぁ!!!」

 

メリダ「何するんですかじゃない!!!うちの孫をこんな事に利用したんだ!!それなりの覚悟は出来ているんだろうねえ!?」

 

彼女はメリダの言葉で察した。

 

エカテリーナ「緊急事態なんですよ・・・!?世界の・・・し・・・仕方無いじゃないですか・・・!!に・・・兄さん!!何とか言ってやって下さい!!」

 

ディセウムに向かって兄さんと叫んだ。

 

騎士長(兄さん?)

 

枢機卿(元々導師殿のパーティにディセウム陛下も同行していてな。そこに加わる形で、猊下やアーロン大統領も参加したらしい。つまりは、兄弟子に当たる訳だ。)

 

ディセウム「いや確かに・・・”神の御使い”と認定する事で、『シン君は人類の敵ではない』と皆に喧伝出来る・・・そう思って昨日は納得したが・・・やはり、それは同時にマーリン殿とメリダ師の意向に反する事であるのも事実で・・・」

 

エカテリーナ「そ・・・そんな・・・!兄さん・・・今更酷い・・・」

 

アーロン「あ・・・あの・・・お久し振りですお師匠さん・・・その・・・もうその辺で許してやってもエエんとちゃいますやろか・・・」

 

メリダ「あぁ!?」

 

アーロン「ヒッ!!」

 

メリダ「ああ、何だい小憎かい。」

 

アーロン「い・・・いややなぁ・・・四十過ぎのオッサン捕まえて小憎はないでしょ・・・」

 

メリダ「小憎は何時まで経っても小憎だよ。それとも何かい?エルスの大統領になった自分を敬えって言ってるのかい?アンタがそこまで上り詰める為の元手は、誰が出してやったと思ってるんだい?私の開発した魔道具の権利を幾つか譲ってやったのを忘れたのかい!?」

 

アーロン「そ・・・そら分かってますわ・・・敵わんなぁ・・・相変わらずやお師匠さん・・・(ああ〜〜もう・・・だから下手に怒らしたくないんや・・・この人・・・)」

 

彼はメリダを人一倍恐怖している。

 

メリダ「正座。」

 

アーロン「・・・・・・え?」

 

メリダ「正座しな。」

 

アーロン「は・・・はい!!!」

 

周囲がぽかん・・・とする中、3人を正座させて説教を始める。

 

メリダ「さて、小娘。シンについての、ディセウムの提言した協定の内容は知っているよね?」

 

エカテリーナ「・・・・はい。」

 

メリダ「アンタのした事はまさしく、それに反する『政治利用』だ。違うかい?」

 

エカテリーナ「それは・・・・・はい。」

 

メリダ「シンの力を人類の為に役立てる事に反対なんざしないよ。でもねぇ・・・これは違うだろう?」

 

エカテリーナ「・・・・はい・・・・」

 

メリダ「ディセウム。」

 

ディセウム「は・・・はっ!!」

 

メリダ「アンタなりに考えて、小娘の宣言を了承したんだろうけど、その結果、どんな影響が出るのかまでは考えなかったのかい?」

 

ディセウム「考えが至らなかった事実です・・・すみませんでした・・・」

 

メリダ「シンがイースや創神教とは関係無い事はアンタが証明するんだよ。良いね?」

 

ディセウム「はっ!」

 

メリダ「小憎。」

 

アーロン「は、はい!!」

 

メリダ「何でアンタまで正座してんだい?」

 

アーロン「へ・・・!?あははははは、つい昔の癖で正座してしまいましたわ!」

 

メリダ「全くアンタ達は・・・何時まで経っても手が掛かるったらないねぇ。」

 

アーロン「あ、あははははは・・・」

 

エカテリーナ(しばらく会わない内に、心の何処かで師匠の事を甘く見ちゃってたのかな・・・やっぱり勝てないや・・・)

 

???「お前達は本当、相変わらずだな。」

 

エカテリーナ「え・・・え!?」

 

アーロン「あ・・・あなたは・・・!!」

 

ディセウム「も・・・もしかして・・・」

 

 

 

 

 

 

「リチャード大司祭様!!!!」

 

 

 

 

 

 

リチャード「久し振りだな。」

 

この男の正体は、マーリンの幼馴染みで、今は大司祭と称えられているリチャード=ラドクリフだった。

 

???「私も居ますよ。」

 

エカテリーナ「レ・・・レイチェル様まで!!」

 

アーロン「天士様!!」

 

何と、リチャードの妻のレイチェル=ラドクリフも居た。今は天士と称えられている。

 

リチャード「お前達と来たら、絶対何か騒動とか起こしそうだからな。」

 

レイチェル「クスッ、そう言う所は変わりませんね。」

 

 

 

 

マーリン(三大大国のトップをあっさり正座させよる・・・間違い無く・・・メリダがこの世界のゴッドババアじゃの・・・)

 

 

 

 

リチャード「おいマーリン、聞こえてんぞ。」

 

マーリン「あれ!?ワシ、声に出してた!?」

 

リチャード「心の声なんてお見通しだ。」

 

メリダ「アンタ、何か言ったかい?」

 

マーリン「い、いや何も・・・」

 

エカテリーナ「先生!?お久し振りです!!」

 

アーロン「オヤッさん!元気そうで何よりです!!」

 

マーリン「うむ、お主らも元気そうで何よりじゃ。」

 

エカテリーナ「え?先生・・・何ですか、優しいフリなんかして・・・!?」

 

アーロン「じょ・・・冗談止めて貰えませんかオヤッさん・・・ブキミやわ・・・」

 

ディセウム「シン君に育てていく上で、段々と丸くなって行ったんだよ。昔の姿からは想像も付かないだろうがね。」

 

エカテリーナ「はあ・・・彼がそんな影響を・・・」

 

マーリン「も・・・もういいわい。用は済んだんじゃろう?帰るぞメリダ。」

 

リチャード「ほら戻るぞ。」

 

メリダ「アンタら3人共、もうそれなりの立場なんだから、くれぐれも責任持って行動しとくれよ。おいたが過ぎるようなら、またすぐ飛んで来るからね。」

 

ゲートでアールスハイド王城へ戻った。

 

枢機卿(世界のトップに『それなりの立場』とは・・・やはり”導師”恐るべし・・・)

 

 

 

 

 

 

王城に戻ると、リチャードが。

 

リチャード「マーリン、以前から私に話した彼の事なんだが。」

 

マーリン「ん?タクト君がどうかしたのかい?」

 

リチャード「その子に会わせてくれないか?少し話しがしたいんだ。」

 

マーリン「フム、お前に何かあったのか?」

 

リチャード「まあな。」

 

 

 

 

 

 

その頃タクトは、出発の準備を進めていた。

 

タクト「さて、そろそろ行動を始めるか。」

 

フェオン「気を付けてよね。」

 

タクト「あぁ。それと異常事態が起こったら対処出来るか?」

 

レア「あぁ。レア達に任せろ。」

 

イザベラ「私達がやっておきますので。」

 

エミリー「魔人領攻略かぁ。彼は何処に居るんだろうな。」

 

タクト「分からねえな。だが会えるかも知れない。」

 

ヒナ「タクトさん。くれぐれも慎重に。」

 

アンナ「私達は不参加ですけど、頑張って下さい。」

 

タクト「分かってる。グレアも一緒だから心配するな。じゃあ行って来る。」

 

 

 

 

廊下を歩いていると、目の前にゲートが現れ、マーリンが出て来た。

 

タクト「マーリン様?どうかしたのか?」

 

マーリン「タクト君、少し良いかの?」

 

タクト「俺に話?ああ、良いけど。」

 

マーリン「実は君に話したいとリチャードに頼まれてね。」

 

タクト「リチャードが?分かった。」

 

 

 

 

アールスハイド王城。

 

マーリン「リチャード、連れて来たぞ。」

 

リチャード「タクト君。久し振りだな。」

 

タクト「久し振りだなリチャード。レイチェルも。」

 

レイチェル「お久し振りです。」

 

リチャード「早速だがタクト君。君に協力して欲しいんだ。」

 

タクト「協力?一体何の?」

 

リチャード「案内しよう。」

 

ゲートを出した。

 

レイチェル「さぁ、行きましょう。」

 

タクト「あ、ああ。」

 

3人がゲートを通る。

 

 

 

 

 

 

着いた場所は、ラドクリフ教会の横のお屋敷。

 

タクト「ここは?」

 

リチャード「私の家だ。」

 

タクト「あ、ラドクリフ教会だ。」

 

リチャード「ここに会わせたい人が居る。」

 

タクト「俺に会わせたい人?」

 

レイチェル「行けば分かります。さぁ。」

 

 

 

 

ラドクリフ邸へ入る。

 

タクト「結構古風あるなぁ・・・」

 

レイチェル「貴賓室に、貴方に会わせたいお方が居ります。」

 

貴賓室前に立つ。リチャードがノックをする。

 

???『どなたですか?』

 

リチャード「リチャードです。宜しいでしょうか?」

 

???『どうぞ。』

 

ドアを開けると、そこに居たのは・・・

 

タクト「?」

 

 

 

 

 

 

1人の女性だった。

 

 

 

 

 

 

タクト「この方が、俺に会わせたいと?」

 

リチャード「ああ。紹介しよう、アリア=フォン=ストラディウスさんだ。」

 

タクト「アリア=フォン=ストラディウス・・・」

 

レイチェル「アリアさんは、オリベイラの奥様であるんです。」

 

タクト「オリベイラ?一体誰なんだ?」

 

リチャード「オリバー=シュトロームだ。」

 

タクト「っ!?シュトローム!?」

 

彼は、オリバー=シュトロームの妻、アリアと出会ったのだった。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子
フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
グレア:高橋李依

ジェレミー=ダンクルク:前野智昭
ローランド:山本和臣

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高橋雅羅
リチャード=ラドクリフ:堀内賢雄
レイチェル=ラドクリフ:白鳥由里
ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭
ジュリア=フォン=アールスハイド:矢島晶子
エリザベート=フォン=コーラル:南雲希美
メイ=フォン=アールスハイド:雛乃木まや
スティーブ:伊原正明

エスタ:島袋美由利

アリア=フォン=ストラディウス:坂本真綾

枢機卿:広瀬淳

アーロン=ゼニス:内田直哉
ラルフ=ポートマン:小上裕通

騎士長:松田修平
兵士:狩野翔

ゼスト:津田健次郎
ラドリー:小林竜之

エカテリーナ=フォン=プロイセン:斎藤千和





次回予告

ラドクリフ家でタクトが出会った、オリバー=シュトロームの妻アリア。そして、魔人領攻略作戦でいよいよ魔人領へ赴く。

次回ウルトラマンティガ

突入の日

お楽しみに


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##豪勇無雙の英雄再臨編##
第21話「突入の日」


突入の日
斥候魔人、離反魔人 登場



説教された後の3人。

 

エカテリーナ「あ痛たたた・・・たん瘤になってるわ・・・」

 

あの時のメリダの拳が効いたのだった。

 

アーロン「相変わらずやったなぁお師匠さん!カーチェが頭ド突かれた時、俺もケツがキュッってなったわ!」

 

ディセウム「ははは、アーロンは一番メリダ師に叩かれてたからなぁ。」

 

アーロン「そんなん、思い出さんといてくれる?兄さん。」

 

ディセウム「懐かしいなぁ・・・我々3人が揃うのも何年振りの事かな?」

 

エカテリーナ「・・・師匠が本気で怒るのは何時だって、自分ではなくて誰かの為だわ。シン君の事、本当に大事にしてるのね。」

 

アーロン「・・・」

 

ディセウム「まるで、本当の孫のように思っているよ。メリダ師も・・・マーリン殿も。」

 

エカテリーナ「・・・私、謝った方が良いかしら?シン君にも。」

 

ディセウム「そうだな。この作戦が無事完了したらな。」

 

アーロン「そう言や、部下から聞いたで兄さん。シン君は兎も角、息子さんも立派にやっとるそうやないか。」

 

ディセウム「奇遇だなアーロン。私も息子から聞いているぞ。三国階段じゃ、エルスは随分横暴な交換条件を出して来たそうじゃないか。」

 

アーロン「っ!!い・・・いややなぁ・・・アレは部下の独断やで!俺は無関係や!なははははは・・・」

 

ディセウム「使者の選出した当人のお前が無関係?面白い冗談を言うようになったな。」

 

アーロン「ぎくっ!?筒抜けですかいな・・・全部・・・?参ったわこりゃ・・・」

 

ディセウム「まあ、結果的にはこうして作戦実行に至った訳だし、今更どうこう言う気はないがね。」

 

アーロン「はぁ・・・危うかったわ・・・俺まで虎の尾踏む所や・・・」

 

エカテリーナ「タクト君やシシリーさんやアウグスト殿下。それに他の多くの仲間達。私達がそうであったように、シン君も多くの素晴らしい出会いに恵まれているのね。」

 

ディセウム「その通りだよ。神の力や導きなど、そこには一切関係ない。信じようじゃないか。”神の力”ではなく、彼自身を。そして共に戦おう。」

 

 

 

 

 

 

ラドクリフ邸でタクトは、オリバー=シュトロームの妻・アリアと出会った。

 

タクト「オリバー=シュトロームの・・・妻・・・」

 

リチャード「そうだ。シュトロームは嘗てオリベイラ=フォン=ストラディウスの名前を持ち、ブルースフィア帝国の公爵だった。」

 

タクト「シュトロームが、元公爵?」

 

リチャード「あぁ。だが彼は、ある男によって人生を狂わせてしまったんだ。その話は、アリアさん、話せますか?」

 

アリア「はい・・・」

 

タクト「俺に話してくれアリアさん。シュトローム・・・いや、オリベイラに何があったのかを。」

 

アリア「主人は、帝国にあるストラディウス領で、帝国民達に優遇を与え、領地改革までもお考えを持っていました。」

 

タクト「領地改革・・・確かにブルースフィア帝国は、貴族達が自分達の私腹を肥やすだけのクズにしか過ぎなかった。」

 

アリア「でも主人は違ってました。あの人は嘗てアールスハイド王国に訪れた事があったんです。」

 

タクト「それって、本当なのか?」

 

アリア「はい。アールスハイド王国を訪れた後に、ブルースフィア帝国の領地改革と、帝国民達に優遇を与え続けたんです。」

 

タクト「それだけ立派な考えを持ってたのに、何故魔人になってしまったんだ?」

 

アリア「事の発端は、当時公爵だったヘラルド=フォン=ブルースフィア皇帝です。」

 

タクト「ヘラルド!?彼奴が・・・」

 

アリア「ご存知なんですか?」

 

タクト「1年前にブルースフィア帝国へ訪れた時、そこで奴に会った事があるんだ。憎たらしい奴で、史上最低のクズだと今でも思っている。」

 

アリア「ヘラルド皇帝は、他の貴族達と暗躍を企てたんです・・・それは、主人を失脚させようと・・・」

 

タクト「っ!?」

 

アリア「ヘラルド皇帝は、主人に招待状を送って、帝都へ向かわせました・・・主人が帝都で会合を行ってる間に、皇帝の手下達が、領民達に嘘の情報を流し、自作自演で信頼を失わせました・・・」

 

タクト「酷い奴らだ・・・それで、奴らはどうやって失脚を?」

 

アリア「女性や子供達の人攫い・・・」

 

タクト「・・・・・」

 

アリア「憲兵団と名乗る者が領民達に嘘の情報を流したんです。そして領民達は主人の仕業だと思い込んでしまい・・・ストラディウス家に襲撃を始めてしまったんです・・・」

 

タクト「嘘の情報を流すとは・・・でも憲兵団は、一般人と同行なんて出来ないはずじゃ・・・まさか、それを知らない一般人達に協力を!?」

 

アリア「そうです・・・」

 

タクト「聞いて呆れるぞ・・・!?」

 

アリア「ストラディウス家は、領民達によって燃やされてしまったんです・・・」

 

タクト「でも、どうやって助かったんだ?」

 

アリア「私達は、リチャード様に助けられたんです・・・」

 

タクト「リチャードが?」

 

リチャード「ああ。アリアさん、ありがとうございました。ここからは私が話そう。アリアさん達を助けた経緯を。」

 

タクト「・・・」

 

リチャード「私はあの時、偶然にもストラディウス領を通り掛かったんだ。そして、彼が教えてくれたんだ。」

 

タクト「彼?」

 

???『私だ。』

 

そこに現れたのは、1人の幽霊だった。

 

タクト「ウェイド。そっか。アンタは予知を持っていたんだな。」

 

リチャード「ウェイドがアリアさんに危機が迫っていると知らせてくれたんだ。それを聞いた私は、ストラディウス邸に訪れた。そしてアリアさん達に、『あなた方の命が狙われている』と伝えたんだ。」

 

タクト「だから助かったのか。」

 

リチャード「その日以来、私はストラディウス邸で襲撃の備えをしていた。そしてウェイドの予知が的中し、アリアさん達を避難させたんだ。あの後今すぐに戻ろうかと思ったが、大爆発が起こってしまって。その爆発はもしかしたら、オリベイラが魔人化になってしまったかと。」

 

タクト「そうか・・・」

 

リチャード「その後に、彼女達を我が家に匿う事にした。」

 

タクト「その間にオリベイラが魔人化し、オリバー=シュトロームとして君臨したのか・・・酷い話だ・・・あのクズ皇帝の自作自演が彼を狂わせてしまうとは・・・ん?」

 

部屋の小さなベッドを見付けた。

 

タクト「アリアさん、あのベッドは?」

 

アリア「実は、ここで子供を産みまして・・・」

 

タクト「マジで!?うわぁ〜おめでとうございます!」

 

アリア「クスッ、ありがとうございます。」

 

ベッドの赤ん坊を見る。

 

タクト「ワオ!可憐な女の子。この子の名前は?」

 

アリア「はい。メアリーです。」

 

タクト「メアリー。良い名前だなぁ。って、喜ぶのは早いか・・・リチャード、俺に出来る事は何か無いか?」

 

リチャード「うん。オリバー=シュトロームを、元の人間に戻して欲しいんだ。」

 

タクト「え?」

 

リチャード「その為に、君の力を貸して欲しい。君の力ならば、シュトロームを元に戻す事が出来るだろう。これはアリアさんの願いでもあるんだ。勿論、私達も協力する。」

 

タクト「・・・・・」

 

アリア「タクトさん・・・」

 

タクト「分かった。俺が必ずシュトロームを人間に戻して、オリベイラを救ってみせる!」

 

リチャード「ありがとう。」

 

レイチェル「タクトさん、頼みましたよ。」

 

タクト「ああ。アリアさん、安心して。俺が彼を元に戻してみせる。」

 

アリア「タクトさん・・・」

 

タクト「そうだ。アリアさんにこれを。」

 

ティガのカラータイマーを模したペンダントをアリアの右手の中指に嵌めた。

 

アリア「これは・・・?」

 

タクト「お守りだ。あなたを守ってくれる。」

 

アリア「綺麗・・・」

 

彼はアリアの両手を優しく握る。

 

タクト「アリアさん、俺があなたを救う光だ。必ずオリベイラを取り戻す。」

 

アリア「・・・はい・・・ありがとうございます・・・」

 

涙を流してお礼を言った。

 

 

 

 

廊下。

 

リチャード「そうだタクト君、君に伝えたい事がある。」

 

タクト「何?」

 

リチャード「ダーム王国とイース神聖国には”聖女”や”神の御使い”の容認派と否定派に分かれているんだ。」

 

タクト「シシリーとシンをか?確かにあの2ヶ国にはそう言った2つに分けられているな。」

 

レイチェル「否定派の中には、シンさんとシシリーさんを殺そうと企む者が居る可能性があります。」

 

タクト「過激派か。」

 

レイチェル「ですから、何かあったらタクトさん、あなたがお2人を守って下さいね。」

 

タクト「そう言う事なら任せとけ。それで、否定派の中に知ってる奴とか居るのか?」

 

リチャード「私達が知ってる時点だと、ラルフ=ポートマンだ。」

 

タクト「ラルフ=ポートマン・・・ダーム王国の長官だな。分かった。忠告ありがとう。」

 

リチャード「それと、エカテリーナの事だが。」

 

タクト「教皇猊下?」

 

リチャード「実は彼女、メリダの弟子だったんだ。」

 

タクト「え、マジで!?メリダ様の弟子!?」

 

レイチェル「はい。そして、アーロン様もメリダさんの弟子の1人です。」

 

タクト「アーロン=ゼニス。エルスの大統領か。」

 

リチャード「だから今後、彼女の事は普通に接してくれて構わない。」

 

タクト「そ、そうか。猊下がメリダ様の弟子とは初耳だぜ・・・っと、そろそろ時間だな。それじゃあリチャード、レイチェル、俺は魔人領へ行って来る。」

 

リチャード「あぁ、気を付けろよ。」

 

レイチェル「健闘をお祈りします。」

 

ゲートを開いて、シン達の元へ向かった。

 

リチャード「よし。レイチェル、私達も戻って準備するぞ。」

 

レイチェル「はい。」

 

 

 

 

 

 

遂に、魔人領出発の時が来た。

 

ダーム・イースの混合軍では。

 

兵士A「いよいよ魔人領に向けて出発か・・・気を引き締めて掛からねばならんな・・・」

 

兵士B「何せ魔人領は、今や魔人や魔物の巣窟。生きて帰れるかも分からんからな・・・」

 

 

 

 

別の馬車では。

 

ラルフ「何と言う事だ・・・よりにもよって教皇猊下が、かのシン=ウォルフォードを”神の御使い”とお認めになられてしまうとは・・・」

 

高官A「ポートマン長官・・・」

 

高官B「長官!私も納得出来ません!創神教徒でもないのに”神の御使い”などと!」

 

騎士長「剰え、教皇猊下自らが奴の結婚式を執り行うそうではないですか!」

 

高官B「どうにか教皇猊下に”神の御使い”の二つ名を取り下げていただかねば・・・」

 

ラルフ「・・・我々が功績を挙げて・・・シン=ウォルフォードなど不要であると、教皇猊下にお見せするのだ・・・”御使い”などまやかしであると、御目を覚まして差し上げようではないか・・・!!」

 

彼はシンが神の御使いだとまだ勘違いしていた。

 

高官A「幸か不幸か、奴は我が軍に合流して現在、魔人領を目指しております。奴以上の功績を目に見えて挙げられる絶好の機会ですな。」

 

ラルフ「フム・・・これこそがまさしく神の御導き!神は我らにこそ慈悲を与えて下さっている・・・!!(シン=ウォルフォード・・・!!貴様の思い通りにはさせんぞ・・・!!)」

 

 

 

 

そして、シン達の馬車では。

 

マリア「タクト、さっきまで何処行ってたの?」

 

タクト「いやぁ、ちょっとトイレ。」

 

グレア「長いトイレだったんだね。」

 

シン(今頃、他のメンバーも他国の軍に合流してる頃か。次に集合するとしたら・・・恐らくは魔人の拠点を発見した時だな。)

 

 

 

 

アウグスト・トール・ユリウス・リオは、クルト王国軍に合流。

 

アリス・リン・ユーリ・ナージャ・デイジー・ローランドは、スイード王国軍に合流。

 

トニー・マーク・オリビア・ケイティ・ジェレミーは、カーナン王国軍に合流。

 

 

 

 

シン(皆、無事に作戦を進められると良いけど・・・)

 

シシリー「皆の心配してるんですか?シン君。」

 

シン「あ、俺また顔に出てた?」

 

シシリー「フフ。」

 

タクト「お前ってそう言うの多いよな。」

 

シシリー「それにしても”神の御使い”ですか・・・凄いですね。」

 

グレア「二つ名がまた増えたなんて凄いよね。」

 

シン「全く・・・何時も何時も俺の知らない所で勝手に二つ名が・・・」

 

マリア「良いじゃない!二つ名って言うのは、実力が認められた人にしか贈られないんだから!」

 

タクト「俺は”超古代の戦士”もしくは”ティガ”だな。」

 

マリア「タクトの奴って響きが良いし格好良いよねぇ〜。私も何か欲しいなぁ〜。」

 

シン「人の気も知らずに呑気な事を・・・よし、だったら俺が付けてやる。」

 

マリア「え!?本当!?何何!?」

 

シン(マリアのイメージと言えば・・・)

 

 

 

 

『私は彼氏が欲しいのよ!』

 

『何で私には出会いがないのかなぁ・・・』

 

『はぁ・・・リア充が・・・』

 

 

 

 

シン「”愛の求道者”とかかな・・・」

 

グレア「あ、地雷踏んだ。」

 

マリア「表出なさいシン。喧嘩売ってると見なしたわ。」

 

強引にシンを引っ張る。

 

シン「ええ!?何で!?結構マジで考えて・・・」

 

シシリー「もう、馬車で走ってる最中だよマリア。」

 

シン「大丈夫だって!マリアにもすぐ良い人が見付かるって!!」

 

マリア「何よ、その上から目線。」

 

シン「え!?何!?マジで外出るの!?」

 

グレア「マリア、外に出て怪我でもしたら危ないよ?」

 

マリア「大丈夫よグレア。此奴なら無傷で済みそうだし。」

 

グレア「それだけの理由?」

 

兵士「報告!!前方に多数の魔物が現れました!!」

 

シン「いや魔物じゃなくて!!・・・って、え?」

 

 

 

 

前方に、山羊の魔物の大群が道を阻んでいた。

 

 

 

 

グレア「ヒャー、お客様が多いねぇ。」

 

マリア「命拾いしたわねシン。」

 

シン「へ?」

 

マリア「アレで我慢してあげるわ。」

 

馬車の屋根の上に立つ。

 

シン「いや、でも大型の魔物までは軍の人が対処するって・・・」

 

マリア「あ”?」

 

シン「お、怒んなよそんなに・・・」

 

タクト「マリア。」

 

馬車の屋根の上に立つ。

 

タクト「俺との初めての共同作業と行こうか?」

 

マリア「そうね、一気に行くわよ。」

 

タクト「んじゃ。」

 

右手にエネルギーを集める。

 

 

 

シン「すみません。」

 

兵士「はっ!何でしょうか御使い様!」

 

シン「み・・・御使い様・・・魔物の討伐ですけど、初手だけ任せて貰って良いですか?えーと・・・兵士の皆さんを鼓舞する意味でも・・・」

 

兵士「分かりました!!すぐに指揮官に確認を取って来ます!!」

 

指揮官に確認を取りに行った。

 

 

 

 

ラルフ「何?魔物の討伐をアルティメット・マジシャンズが?」

 

騎士長「出しゃばりおって!作戦内容にも目を通しておらんのか!」

 

高官B「・・・しかし、魔人領に近付いた途端にこれか・・・」

 

ラルフ「(何のつもりか知らんが・・・まあ奴らの実力をこの目で見ておいて損はないか・・・あの数・・・幾ら奴らでもそう容易くは片付けられんだろうしな・・・)良かろう。初手のみ許可する。」

 

騎士長「フン!勝手な奴らだ。どうせ手こずって我らにすがり付いて来るのが目に浮かぶは。」

 

彼らはアルティメット・マジシャンズの力を見た事が無い。

 

騎士「ダーム王国軍!イース神聖国軍!それぞれ戦闘準備!先頭のアルティメット・マジシャンズの両脇にて陣形を固めよ!!」

 

 

 

左右に両軍の陣形が固まった。

 

兵士「それでは初手!お願い致します!!」

 

マリア「了解。」

 

タクト(ダーム共め、目にもの見せてやる。)

 

 

 

 

魔物達「オオオオオオオオ!!!!」

 

 

 

 

タクト「マリア!行け!」

 

マリア「えぇ!」

 

風の魔力を集めた。

 

兵士「っ!?うわ!!何だ!?突風が!!」

 

 

 

 

突風が山羊の魔物達を囲み、魔物達が突風魔法により上へ浮いた。

 

 

 

 

兵士「な・・・何なんだありゃ・・・」

 

この光景を見たラルフが言葉を失った。

 

 

 

 

マリア「喰らえ!!」

 

タクト「ハァッ!!」

 

 

 

 

マリアの竜巻と共に魔物達を全て両断し、タクトのハンドスラッシュが風で軌道を変えて魔物達を一網打尽にした。

 

 

 

 

魔物達はバラバラになり、大半を討伐した。

 

タクト「ふぅ。」

 

マリア「あの、初手終わりましたけど。」

 

兵士「・・・え、あ・・・はい!」

 

騎士「ぜ、全軍進めーーーー!!魔物の残りを掃討せよーーー!!!」

 

残った魔物は両軍が討伐する。

 

シン「まぁ、大半今ので片付いちゃったっぽいけどな・・・」

 

マリア「本当は爆発魔法でドカーンと行きたい所だけど、地形壊しちゃ後に続く兵士さん達に悪いしね。」

 

タクト「だから敢えて風でやったって訳か。」

 

シン「い、意外と冷静だったんだな・・・」

 

 

 

 

数分後、魔物全滅。

 

兵士A「終わりか?これで・・・」

 

兵士B「ああ。殆ど俺達の出る幕無しだな・・・」

 

兵士C「魔人領攻略作戦・・・正直不安も大きかったが・・・圧倒的じゃないか・・・アルティメット・マジシャンズ・・・!!」

 

彼らは、馬車の屋根の上に立つタクトとマリアに見惚れた。

 

兵士A「”ティガ”と・・・”戦乙女”・・・戦場にして凛々しく先頭に立ち、圧倒的な力で魔物を蹴散らす・・・まさしく”戦乙女”・・・!!」

 

兵士達「うおおおおおおおおおお!!!!」

 

マリア「え!?」

 

タクト「何だどうした!?」

 

兵士達「ティガ様ーーーー!!タクト=クリスティ様ーーーーー!!!戦乙女!!マリア=フォン=メッシーナ様ーーーーー!!!」

 

タクト「戦乙女?マリアの事か?」

 

マリア「あ、私!?」

 

兵士達「マリア様ーーーー!!戦乙女様ーーーー!!メッシーナ様ーーーー!!」

 

急に称えられたマリアが”かちーん”と固まった。

 

シン「マリア!もういいだろ!!降りて来いって!!」

 

マリア「はぇ!?あ・・・うん・・・」

 

赤面しながら馬車に戻る。

 

 

 

 

馬車の中。

 

グレア「マリア、良かったじゃない。」

 

マリア「え!?」

 

タクト「お前の望み通りの二つ名を頂戴出来たみたいで。戦乙女さ・ま。」

 

マリア「タクト!!アンタねぇぇぇ!!!」

 

怒ってタクトの背中にマウントポジション。

 

タクト「うわああああ!!ごめんごめん許してくれーーーー!!!」

 

マリア「でも・・・シン達の気持ちが少し分かったわ・・・コレ・・・すっごく恥ずかしい・・・」

 

タクト「二つ名ってのは、あんまり関心するもんじゃねえな。俺は構わんけど。さてと。」

 

馬車から出て周囲を見る。

 

 

 

 

後ろの馬車では。

 

高官A「な・・・何なのだあの大魔法は・・・!!」

 

高官B「桁違いではないか・・・!!」

 

高官A「あれ程の魔法をウォルフォードとエステンド以外でも使えるのか・・・」

 

騎士長「つ・・・つまり・・・ウォルフォードとクリスティとはあれを超える実力者・・・!?」

 

ラルフ「っ・・・・!!!!」

 

イライラするラルフに視線を感じた。

 

ラルフ「っ・・・!?」

 

 

 

それは、タクトの視線だった。

 

タクト「・・・・・」

 

彼はラルフを冷静に睨んだ。

 

 

 

 

ラルフ(おのれ超古代の戦士め・・・・・!!!我々を虚仮にしおって・・・・!!)

 

 

 

 

 

 

その頃魔人領では、斥候隊が何かを探していた。

 

ローレンス「この辺りか?」

 

魔人「ああ。放っていてもすぐ出て来る。ここらが奴の縄張りだ。」

 

すると後ろから、巨大な狼の魔物が現れた。

 

ローレンス「あれか・・・デカいな・・・」

 

フィン「そりゃそうですよ。無気力なあの方が唯一好奇心を持って育て上げた”とっておき”ですから。」

 

ローレンス「魔人の意志通りには動かせるんだな?」

 

フィン「ええ。コイツにとっての主人はシュトロームですが、同様の魔力を受けて魔人化している我々の事も仲間だと思い込んでますからね。コイツと同じ”変異種”が帝国領各地に、後数体身に潜めています。」

 

ローレンス「各地に侵攻して来る人間達の軍隊にぶつけるには持って来いだな。」

 

魔人「そこらの災害級よりは遥かに戦力になる。相当数奴らの数は削れるはずだ。・・・もっとも、ウォルフォード達に太刀打ち出来る程とは思えないがね。」

 

ローレンス「構わんさ。それはコイツらの仕事じゃない。隠しの”変異種”も、他の連中が誘導を始める頃だ。人間達が帝国領に入り次第、即投入するぞ。」

 

 

 

 

 

 

そして、魔人領北東部のとある砦では。

 

ラドリー「・・・以上が奴らからの提案だ。意見は?」

 

離反した魔人のラドリーが、同じく離反した他の魔人達にゼストが提案した事を全て話した。

 

ヒース「お前はどう思ってんだ?ラドリー。」

 

ラドリー「殆ど信用出来ん。人間達の侵攻は確かな情報だが、その対抗策は何一つ口にしなかったからな。」

 

離反魔人A「要するに、こっち方面に侵攻して来た人間を対処してくれって話だろ?」

 

離反魔人B「信用も何もあるかよ。」

 

離反魔人C「それで報酬を得られるんなら、そんな良い話ないじゃねーか。魔人になった俺らに敵う人間なんていやしねーだろ。」

 

ヒース「報酬なんざ口約束で何とでも言える。要は、俺らがどう動くか・・・そこだろ。」

 

ラドリー「人間達の・・・魔人に対抗出来る集団が居るって話は聞いたか?ヒース。」

 

ヒース「噂でちらっとはな。アルティマ・・・何とかだっけ?巫山戯た名前の連中だぜ。」

 

ラドリー「それに、その中にあの超古代の戦士が居るって事は聞いたか?」

 

ヒース「あぁ、確かティガって言ってたな。彼奴が、あのクソ皇帝の右目を失明させたのはスカッとしたな。」

 

ラドリー「もし仮に、そいつらを俺達にぶつけるのが目的だったらどうする?」

 

ヒース「・・・・そんときゃとっとと逃げりゃいーじゃん。何で俺らが相手しなきゃならねーんだよ。」

 

これにはラドリーもニヤついた。

 

ヒース「狩れる時は確実に狩る。無理そうなら迅速に退く。ハンターの基本だぜ。」

 

ラドリー「アメリア。」

 

アメリア「・・・そんな事よりさ、帝国周りの国の軍隊が大半出払ってこっちに向かってんなら、それって他国を落とすちゃんなんじゃないの?侵攻して来る人間なんか無視してさ。私らで今の隙に大国をモノにするってのどう?」

 

ラドリー・ヒース「はぁ・・・・」

 

アメリア「な、何よそのため息・・・?」

 

ラドリー「また、お前の何時ものソレか・・・」

 

ヒース「そうシンプルな話じゃねーのよアメリアちゃん。幾ら人間達が本腰を入れて侵攻して来るからって、国に兵を残してないワケねーし。あのクソ皇帝じゃあるまいし。当然、そんな事態も想定して対策は取ってるはずさ。」

 

ラドリー「奴らにとっても今はただならぬ事態。情報も得辛いし、行動も読めん。迂闊に手を出すべき時期じゃない。」

 

アメリア「むぅ・・・アンタらって何時もそうよ。つまんない。」

 

ヒース「そんなに国落としに拘るなら、あの平民連中に付いてきゃ良かったじゃねーか。」

 

アメリア「嫌よ。彼奴ら頭悪そうだもん。私、バカは嫌いなの。自分がバカだから。」

 

離反魔人A「んで?結論としてはどーすんだよ?」

 

ラドリー「当面は、あのゼストって男の言う通りにしてやれば良いさ。敵意を持って俺達に近付く奴は全て狩る。隙を見て他国へ逃げるのか、それともこの地に留まってやり過ごすのか。ここに居ればどちらも可能だ。その後の事は状況を見て判断しよう。」

 

ヒース「決まりだな。よし、ちょっと偵察に出て来るわ。」

 

 

 

 

 

 

国境付近。

 

シン「今日はここで野営か。どの辺りに居るんだろう今?」

 

シシリー「国境付近らしいですよ?予定通り進んでいるそうです。」

 

兵士A「ここに置くぞ。」

 

兵士B「了解。じゃあこっちはこの先に。」

 

魔道具を設置する。

 

シン「あれは?」

 

マリア「魔物避けの魔道具でしょ。」

 

タクト「それも、魔力遮断して魔物達に感付かれないようにする便利な物だ。」

 

兵士「失礼します。御使い様、聖女様、戦乙女様、ティガ様、グレア様。野営の準備が整いました!」

 

タクト「おう、ご苦労様。」

 

シン(御使い様・・・魔王様のがまだマシだったような・・・)

 

マリア(い・・・戦乙女様・・・)

 

 

 

 

テントに到着。

 

兵士「それでは、此方のテントが御使い様と聖女様。彼方の2つの1人用が戦乙女様とティガ様のテントになります。」

 

シン「・・・・はぁ!?ちょっと待てぇ!!俺とシシリー同じテント!?」

 

兵士「はい・・・あ。それからその・・・独り者も多いので、出来れば防音の魔道具を・・・」

 

シン「そんな状況でそんな事するかぁ!!!って言うか、一緒のテントにも泊まらないですから・・・!!」

 

兵士「え?そうなんですか?」

 

シン「俺もタクトもグレアと同じ1人用。シシリーとマリアは大きい方のテント。それで結構です。」

 

兵士「畏まりました。はぁ良かった・・・もし一晩中声が聞こえてたらどうしようかよ・・・」

 

タクト(此奴、それを分かってて準備したのか?)

 

 

 

 

女子の浴槽テント。

 

マリア「はぁ〜〜〜疲れが取れるわ〜〜〜!野営なのにお風呂入れるって最高よねぇ!これも嘗てメリダ様が開発した給湯の魔道具のお陰よねぇ!」

 

魔物の革で作った浴槽。(ビニールプール的なもの。)

 

グレア「ん〜!良い気持ち〜!」

 

女性兵士『聖女様、戦乙女様、グレア様、お湯加減は如何ですか?』

 

マリア「あ、丁度良いです!ありがとうございます!・・・本当はシンと同じテントが良かったんじゃないの?シシリー。」

 

シシリー「ふぇ!?・・・シン君と同じテントに泊まって、朝皆の前に出て来る勇気が無いよ・・・」

 

グレア「おやおや?照れちゃってる〜?」

 

マリア「あははは!まあそうよねぇ。アンタら見てると、これから戦場に向かうって事忘れそうになるわ!」

 

シシリー「もう・・・マリアにグレアさんったら・・・」

 

 

 

 

男子浴槽の入浴後。

 

シン「お風呂ありがとうございます。お先にすみません。」

 

兵士A「いえいえ!簡素なもので申し訳ありません。」

 

タクト「いや、簡素で十分だ。贅沢はあんまり好みじゃない。」

 

兵士A「ありがとうございます。それにしても凄かったですね。昼間の戦乙女様とティガ様の力。アルティメット・マジシャンズの方々は皆あのような魔法が使えるのですか?」

 

シン「そうですね・・・まあマリアは元々学院でも成績も優秀だし、攻撃魔法を得意としてるってのもありますけど。」

 

タクト「でも一応メンバーは全員あれに近い魔法を使えると思うぞ?」

 

兵士A「そ・・・そうなのですか・・・」

 

兵士B「飛び抜けて凄いのは御使い様とティガ様だけだと思っていたが・・・どうやら他の方々も同じように人間離れした力の持ち主のようだな・・・」

 

 

 

 

女子浴槽。

 

マリア「ん!?」

 

シシリー「どうしたのマリア?」

 

グレア「何かの気配を感じた?」

 

マリア「う〜〜〜〜〜〜ん・・・何か今あらぬ扱いを受けた気が・・・」

 

 

 

 

外。

 

兵士B「そこまでの実力者がそれだけ揃っていて・・・この作戦・・・俺ら必要なのか・・・?」

 

タクト「あらま変な自暴自棄になりそうな展開だ。どうする?」

 

シン「う〜〜ん・・・あ。仮に俺達だけで魔人を殲滅しようとした場合。恐らくは何ヶ月・・・下手すれば何年掛かりになります。奴らが真っ向から俺達を相手取るとも思えませんし、つまりその間・・・民衆はずっと不安を感じ続ける事になる。」

 

タクト「だがそれだけじゃない。時間を掛けている間にスイードやクルトのように襲撃を受ける国が出るかも知れない。勿論それは犠牲者も増えてしまう事でもある。それを避ける為には、早急に事態を収拾する必要がある。その為にも皆の、世界の力が絶対に必要なんだ。」

 

兵士A「・・・!!」

 

兵士B「そうか・・・そうだよな・・・民衆の為・・・俺達にもやれる事が・・・!!すみませんでした御使い様・・・!ティガ様・・・!我々の覚悟が足りていませんでした・・・!!」

 

タクト「分かれば良いんだ。そして俺達がこの世界を守る光になってやる。」

 

兵士A「はい!やってやる!!なあ皆!!」

 

兵士B「おお!!それに俺達には御使い様とティガ様が・・・!!アルティメット・マジシャンズが付いてる!!やるぞーーーーー!!!」

 

兵士達「おおおーーーー!!!!」

 

 

 

 

 

 

遠く離れた森林では、巨大な狼の魔物が熊達を喰い荒らしていた。

 

 

 

 

 

 

そんな事を知らない彼らは。

 

マリア「あ〜〜〜さっぱりした〜〜!ついつい野営だって事忘れちゃいそう!」

 

グレア「ん〜また入りたいねぇ〜!」

 

シシリー「衛生面も大事さし、他の兵士さん達も喜んでたね。」

 

シン「おーいシシリー。マリアー。グレアー。戻ってるかー?俺達のテント狭いからこっち来たよ。入って良い?」

 

シシリー「はい、良いですよ。」

 

 

 

 

テントで報告会。

 

シン「よし、じゃあ報告会だ。」

 

タクト「その前にこれだ。音を遮断する防音の魔道具を使ってからだ。」

 

マリア「無線通信機の存在はまだトップシークレットだもんね。私もついうっかり街中で使いそうになるわ。」

 

タクト「よしOK。後は。」

 

パディブレスを起動する。

 

タクト「シン。」

 

シン「ああ。着信音を鳴らしてっと。」

 

”チリンチリン”

 

着信音の鈴を鳴らす。

 

アウグスト『こちらクルト班。タクトか?こちらは皆揃っているぞ。』

 

アリス『タクト君?こちらスイード班!準備OKだよ〜!』

 

トニー『カーナン班。こっちも準備出来てるよ。』

 

タクト「OK。一応確認だが、リオ達返事してくれ。」

 

リオ『聞こえるよ!』

 

ナージャ『私も居るわ。』

 

デイジー『聞こえるわよ。』

 

ローランド『僕も同じく。』

 

ケイティ『聞こえるよ〜。』

 

ジェレミー『防音の魔道具も展開済みだ。』

 

タクト「よし。」

 

マリア「こっちは国境に着く前に一戦交えたわ。結構な大群だったわね。」

 

シン「ま〜殆どタクトとマリアが片付けてたけど。」

 

タクト「他の皆は襲撃とかあったか?」

 

 

 

アウグスト『こちらは魔物の襲撃は無かったぞ。別方面から出発したクルトの舞台は、もしかしたら遭遇しているかも知れないが。』

 

 

 

アリス『私達の所はちょっとだけ出たよ!』

 

ユーリ『中型ばっかりだったから、私達の出番は無かったんだけどねぇ。』

 

リン『退屈だった。』

 

ナージャ『何言ってんのよリン。その分負担が少なくて済んだでしょ?』

 

ローランド『そうですよ。』

 

 

 

トニー『こっちも少しだけ出たねぇ。でも兵士さん達だけで何事も無く討伐出来てたし問題無しだよ。』

 

 

 

タクト「皆それぞれ遭ったんだな。」

 

シン「恐らくだけど、どれも魔人領から発生した魔物だよな。何でダーム方面だけこんなに魔物が出たんだ?」

 

アウグスト『シンとタクトが居るからだろ。』

 

シン「何だよそれ!」

 

タクト「俺達をトラブルメーカーみたいに言うな!」

 

アウグスト『いや、これは真面目な話だ。シンとタクトの基礎魔力量は常人と比べて圧倒的に多いだろう。それに引き寄せられているのではないか?』

 

タクト「あぁ、一理あるな。」

 

アウグスト『今にして思えば、合同訓練の時と言い、三国会談の帰りの時と言い、あんなに大量の魔物と偶然遭遇するなんて考えられんからな。』

 

シン「言い方変えただけで、結局トラブル体質だって言ってるよな?」

 

アウグスト『ははは。』

 

シン「笑って誤魔化しやがって・・・!」

 

シシリー「でもそのお陰で、マリアも”戦乙女”って呼ばれるようになりましたからね。」

 

マリア「っ!!ちょ!?いいのよシシリー!!そんなの言わなくても!!」

 

アウグスト『ほう?何やら楽しそうな事になっているではないか。くっくっくっ。』

 

タクト「ご名答。正にその通り。」

 

マリア(バレちゃいけない人にバレた気が・・・)

 

シン「明日からはどの軍も魔人領に進軍か。腹を括り直した方が良さそうだな。」

 

タクト「オーグ、当面の目的は全軍が帝都へ目指すんだったよな?」

 

アウグスト『まあ、そこを拠点としている可能性が最も高いからな。実際ドミニク達は帝都でシュトロームの存在を確認しているしな。ただ、魔人達の全てが帝都に居るとは限らないし、拠点を移動させている可能性もゼロではない。場合によっては、向こうから此方に進軍して来る事もあり得る。』

 

タクト「その為に、ローラー作戦を立案したと。」

 

アウグスト『そうだ。各方面から部隊を複数に分け、索敵を併用して進軍すれば、例え帝都以外に拠点を移していたとしても、必ず奴らの根城は発見出来るだろう。皆、決して気は抜くなよ。明日、我々が足を踏み入れるのは正しく、魔人達の支配域なんだからな。』

 

全員が頷く。

 

 

 

 

 

 

同じ頃、ラルフ達は。

 

高官A「ラルフ長官、如何致しますか?」

 

高官B「あんな規模の魔法・・・始めて目にしたぞ・・・チームメンバーであの実力・・・”魔王”の使う魔法は一体どんなものなのだ・・・」

 

高官A「あれに後れを取らず手柄を立てる必要があるのか・・・一体そんな方法が何処に・・・?」

 

ラルフ「手柄の話ではない!偽りの”御使い”の名を暴く為に我々は動いているのだ!!仮に”神の御使い”と呼ばれる者が居るのならば!当然にして真摯に神を敬っている人間でなければならない!!聖職者どころか、創神教徒ですらない者など話にならん!!」

 

高官A「そうですな・・・その通りです。信仰心もない人間が”御使い”などと・・・思い上がりも甚だしい。我々にはそれを証明する義務がある。」

 

彼らはまだ、シンが賢者の孫である事を知らない。

 

ラルフ「奴らより先に・・・魔人を討伐するのだ!!1匹でも多くのな!!」

 

そんな中、ダーム王国の副官が。

 

副官(ラルフ長官・・・いや・・・他の者達もそうだが・・・敬虔な創神教徒の意見として間違っているとは思わないが・・・シン=ウォルフォードを”神の御使い”とお報せになったのは他でもない創神教の頂点に在らせられる教皇猊下だぞ・・・それを否定するなど・・・考えられん。一体どうしたと言うのだ・・・?)

 

彼は、ラルフ達の考えに違和感を抱いている。

 

副官「ん?・・・おい、あの男は何処へ行った?」

 

騎士長「はい?どうしました?副官殿。」

 

副官「馬車での移動中、長官の隣に居た男だ。黒髪で・・・ええと・・・狐目をした・・・てっきりこの作戦の参謀か何かだと思っていたが・・・」

 

騎士長「ん?さあ?居ましたか?そのような男。」

 

副官「・・・?」

 

 

 

 

 

 

誰も見覚えの無いその男は今、外に出て何処かへ向かっていた。

 

男(魔物除けか。くくっ、馬鹿馬鹿しい。こんな物が通用するのは魔力を頼りに寄って来るカモのだけだろう。・・・さて、確かこの辺り・・・)

 

彼は、謎の人物と会った。

 

???「順調か?エミール。」

 

エミール「おやおや。わざわざ伝令すみませんね。此方はほぼ予定通りですよ。若干効き目の弱い者も居ますが。思考の偏りが顕著な者は実に操作しやすいですから。」

 

???「それでも、お前の魔力操作の腕が優れているのは確かだろう。」

 

 

 

 

 

 

「我ら魔人の中ではな。」

 

 

 

 

 

 

謎の人物の正体は、斥候隊のダンテだった。このエミールは魔人で、ダーム王国の兵士としてスパイをしていたのだった。

 

エミール「ふっくっくっくっくっ。(人間共、お前らが外側から攻め入って来るのなら、我々は内側からそれを崩壊させてやろうじゃないか。)例の変異種はどうです?」

 

ダンテ「もう目と鼻の先だ。明日には各国軍とぶつかる事だろう。」

 

エミール「そうですか。ふっくっくくく。それは楽しみだ。」

 

ダンテ「人間達の動きはどうだ?」

 

エミール「予想通りですね。それぞれの軍が帝都に向かって進軍するようです。」

 

ダンテ「此方も大凡は上手く事を進められている。引き続き頼むぞ。」

 

エミール「了解。では私はそろそろ戻ります。」

 

ダンテ「慎重にな。何せシン=ウォルフォードとタクト=クリスティがすぐ傍に居るんだからな。」

 

エミール「そのスリルが楽しいんじゃないですか。(我々魔人を追い詰めているつもりなんだろうが・・・ふっくっくっくっくっ・・・お前ら人間は、魔人の手の平で踊らされているだけなのさ。)」

 

だが彼らは、あの存在が近くに居る事を知る由も無かった。

 

 

 

 

 

 

 

崖の上に立っている謎の男が。

 

???「これ以上、奴らの好きにはさせん・・・!!」

 

 

 

 

更に別の崖の上では、謎の姉妹が。

 

???「お姉ちゃん、いよいよだね。」

 

???「えぇ。彼奴らの心配でもあるからね。」

 

???「でも彼なら何とかなりそうかもね。」

 

???「他人任せにするんじゃないよ。」

 

???「魔人領攻略開始まで・・・もう少しだね。」

 

この姉妹達は一体・・・

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子
グレア:高橋李依
ジェレミー=ダンクルク:前野智昭
ローランド:山本和臣

ジークフリード=マルケス:金子誠
クリスティーナ=ヘイデン:古賀葵

ミランダ=ウォーレス:吉七味。
クライス=ロイド:手塚ヒロミチ

リチャード=ラドクリフ:堀内賢雄
レイチェル=ラドクリフ:白鳥由里
ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭

ウェイド=ワトソン:中村悠一

アリア=フォン=ストラディウス:坂本真綾

ローレンス:杉山紀彰
ダンテ:柳田淳一
フィン:市来光弘
エミール:高梨謙吾

ラドリー:小林竜之
ヒース:山本祥太
アメリア:佳村はるか

アーロン=ゼニス:内田直哉

謎の男:福山潤

謎の姉妹:伊波杏樹
     鈴木絵里
     奥野香耶
     楠田亜衣奈
     藤田咲

騎士長:松田修平
兵士:狩野翔

ラルフ=ポートマン:小上裕通

エカテリーナ=フォン=プロイセン:斎藤千和





次回予告

魔人領へ突入する各王国軍。しかし、その先に立ちはだかるのは常識を覆した巨大な魔物だった。

次回ウルトラマンティガ

行く手を阻む者

お楽しみに


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第22話「行く手を阻む者」

行く手を阻む者
離反魔人、超大型災害級 登場



アールスハイドと魔人領の国境付近。ここに、アールスハイド王国軍第一班の野営地があった。

 

ミランダ「・・・」

 

そこに、ミランダ達騎士学院生達の姿があった。

 

クライス「落ち着いているな。ミランダ。」

 

ミランダ「クライス。」

 

クライス「例のマリアとかって子と修行したのが自身になったか?」

 

ミランダ「そう言うアンタは緊張気味ね。眠れそうにないんでしょ?まさか作戦参加に志願したの後悔してる?」

 

クライス「そ、そんな訳あるか!世界規模の作戦なんで少し落ち着かないだけだ!」

 

ミランダ「心配しなくても、私達の立場はオマケみたいなもんよ。アルティメット・マジシャンズに比べればね。(そう・・・今はまだオマケ。だけどきっと何時かは・・・)」

 

両手を握り締め、心の中でそう誓う。

 

ジークフリード「いやだからよ、王族警護専門の俺らが、何でこんな戦場に来てんだよ?」

 

クリスティーナ「学生の合同訓練や、アルティメット・マジシャンズを引率した実績を買われての事らしいですよ?間違っても参加した学生を死なせる訳にはいきませんからね。」

 

ジークフリード「結局またお守り役かよ。明日も早えーし、俺もう寝るわ。」

 

するとミランダがクリスティーナの方へ歩く。

 

クライス「ミランダ?」

 

ミランダ「クリスティーナ様。」

 

クリスティーナ「あら、あなたは。」

 

ミランダ「・・・・・・・」

 

クリスティーナ「?」

 

ミランダ「強くなりたいです!どうしたら良いですか?」

 

クリスティーナ「何かあったのですか?」

 

そう言われると、ミランダが1本の剣をクリスティーナに見せた。

 

クリスティーナ「っ!それは、軍の正式装備の?」

 

ミランダ「先日、アルティメット・マジシャンズのマリアの勧めもあって、ウォルフォード商会で購入しました。この剣で・・・マリアと共に1ヶ月間魔物狩りを重ねて来ました。今回んお作戦参加を決めた時点で、ある程度の事は覚悟したつもりでしたが・・・マリアの側で戦う事で・・・より彼女達との実力差を思い知らされました。実力だけじゃない。彼女達はこの作戦の要であり、連合軍を率いる中心的存在。それに比べて私は・・・『作戦に参加している』と言うだけで、最後衛で軍の人達に守られているだけ・・・自分が・・・不甲斐なくて仕方無いんです・・・マリアと少し友好を深める事は出来ましたが・・・このままじゃ胸を張って彼女の友人だなんて言えません・・・だから・・・」

 

クリスティーナ「・・・・・」

 

黙ってるクリスティーナが口を開き、ミランダに言った。

 

クリスティーナ「私達がこうしている今、殆どの学生達は温かいベッドで眠りに就いている事でしょう。過酷な作戦参加を選んだ時点で、あなたの心は人より遥かに強い。・・・ただそれでも、まだあなた自身が納得出来ないと言うのなら・・・私と共に前線に出なさい。私が直に鍛えてあげましょう。」

 

ミランダ「・・・・・・!はい!お願いします!」

 

クリスティーナ「フフッ、あなたなら何時かマリアさんと肩を並べられますよ。」

 

ミランダ「は・・・はい!」

 

クライス「・・・・・」

 

ジークフリード「彼奴ら、あんな事ばっかやってっから、ちっとも春が来ねーんだよ。」

 

クライス「うわっ!ジ、ジークフリード様!い、居たんですか!?」

 

ジークフリード「・・・もう寝ろよクライス。明日起きれねーぞ。」

 

クライス「・・・・・」

 

 

 

 

夜の崖の上に立つ謎の姉妹達は、崖から飛び降りて森林へ入って行った。

 

 

 

 

 

 

翌日。ダーム・イース混合軍。

 

兵士A「馬車での山越えはリスクも高いし、時間も掛かります。裾野の森林を迂回して山向こうを目指しましょう。」

 

シン「了解です。じゃあ引き続き後方の索敵を怠らないようお願いします。」

 

兵士A「畏まりました!」

 

シン「どう?シシリー、タクト。」

 

シシリー「今の所、前方に大きな反応はありません。」

 

タクト「こっちもだ。魔人と魔物らしき魔力も感じない。」

 

シン「実際問題。それが一番厄介なんだよなぁ・・・魔人とは言え、極限まで魔力落とされると、人間と見分け付かないし・・・まあどっち道、索敵には引っ掛かるだろうけど・・・」

 

マリア「充分じゃない。それで。」

 

シン「え?」

 

タクト「どう言う意味だ?」

 

マリア「言っちゃ何だけど、今更魔人領には”人間”は居ないでしょ。人間の反応が複数あれば、それは間違い無く魔人よ。」

 

シン「そりゃまあ・・・そうか。」

 

タクト「確かに。あのブルースフィアの人間での唯一の生き残りはケイティだけだもんな。」

 

 

 

 

 

 

後ろの馬車では。

 

兵士B「魔人領中心部を目指して進んでいるのに、わざわざ後方の索敵を行う必要なんてあるのか?」

 

魔法使い「おい、黙っててくれ。索敵に集中出来ない。(小さいのが・・・我々の魔力で・・・あれ?)」

 

索敵魔法に、巨大な何かが浮かんだ。

 

魔法使い(我々のすぐ後ろにある反応・・・何だ・・・これ?)

 

巨大な何かが、後方の馬車に接近している。

 

魔法使い「おいちょっと。そこ開けて後方確認してくれ。」

 

兵士B「ん?一体何・・・」

 

”メキャッ!”

 

兵士B「っ!?何だ今の音!?」

 

兵士C「後方からか!?」

 

彼らの目に映ったのは・・・破壊された馬車だった。

 

兵士B「おいちょっと待て!な、何だあれ!?急に!」

 

兵士C「伝令ーーーーーー!!ラルフ長官と御使い様に至急伝えろ!!最後尾の馬車が突然・・・!!!」

 

だが、後方から巨大な影が迫って来た。

 

兵士D「た・・・直ちに・・・!!」

 

”ゴシャ!”

 

兵士D「っ!?」

 

後ろを見ると、巨大な何かが馬車を破壊していた。

 

 

 

 

ラルフ「何だ今の音は!?後方の馬車か!?」

 

高官「お・・・恐らく・・・!」

 

ラルフ「進軍を止めよ!各自戦闘態勢を取れ!!」

 

 

 

 

シン「シシリー!タクト!マリア!グレア!災害級だ!後方から襲撃されているぞ!」

 

タクト「何!?」

 

すぐに馬車を降りた。

 

タクト「襲われたのは最後尾か!よりによって隊列が一直線になってる時に襲撃しやがるとは!」

 

マリア「それに、何でわざわざ後方に回って・・・!?」

 

災害級を探しに後方へ向かうと。

 

シシリー「っ!?」

 

タクト「なっ!?」

 

シシリー「待って下さい!移動してます!」

 

タクト「後方に反応が無いぞ!」

 

シン「え・・・!?(何だ・・・!?此奴・・・一体何してやがる・・・!?わざわざ俺達の反対側に回り込んで・・・)」

 

 

 

 

兵士D「ぎゃああああああ!!!」

 

 

 

 

シン「っ!?」

 

タクト「っ!!」

 

 

 

 

兵士B「お・・・おい!こ・・・今度は前方の部隊が・・・!!」

 

 

 

 

タクト「後方の馬車を襲撃し、すぐに前方の馬車を襲撃・・・!?」

 

マリア「な・・・何なの!?2匹敵が居るの!?」

 

タクト「待て!感じてるのは1匹だけだ!」

 

マリア「え!?どう言う事なの!?」

 

タクト「っ!まさか!シン、これは!!」

 

シン「ああ、間違い無い!俺達を避けて攻撃してやがるんだ・・・!!」

 

シシリー「そんな・・・!!」

 

マリア「災害級とは言え、そんな知能が・・・!?」

 

タクト「災害級の中に高い知能を持ってる奴が居る噂を聞いたが・・・ここに来やがるとは・・・それにこの速さは・・・狼だ!」

 

シン「四手に分かれるぞ!見付けたら即足止めを!」

 

タクト「OK!」

 

シシリー・マリア「了解!」

 

タクト「グレア!来い!」

 

グレア「うん!」

 

四手に分かれて災害級を探す。

 

 

 

 

兵士B「ちくしょう・・・!!一体何処から・・・!!」

 

付近の森林から。

 

兵士A「あ・・・あっ・・・!!」

 

災害級が姿を現した。

 

兵士A「うわああああああ!!!!」

 

姿を現した災害級が兵士を喰おうとしたその時。

 

災害級「ッ!」

 

上空から何かが災害級へ迫る。災害級がそれに気付いて避けた。

 

タクト「ふぅ・・・」

 

それは、タクトのハンドスラッシュだった。

 

兵士A「テ・・・ティガ様・・・!!」

 

シシリー「皆さん!大丈夫ですか!?」

 

兵士A「せ・・・聖女様・・・!!」

 

シシリー「タクト君。グレアさん。」

 

タクト「シシリー、気を付けろよ。」

 

グレア「見えたよ。」

 

破壊された馬車の上に立つ狼の災害級。

 

災害級『グルルルル・・・・』

 

シシリー(初めて見る・・・!何て巨大な・・・狼・・・!)

 

タクト「グレア、下がってろ。」

 

スパークレンスを天に掲げ、ウルトラマンティガへ変身した。

 

 

 

シン「っ!!」

 

 

 

ティガ「ハァッ!」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、アールスハイド王国軍の方は。

 

ルーパー「っ!おい。」

 

ジークフリード「お出ましッスね。」

 

セシリア「出番みたいね。」

 

シルビア「頑張りましょうお姉様!」

 

ドミニク「魔物が多数接近中!!総員戦闘態勢!!」

 

イノシシの魔物が群れで接近中。

 

ルーパー「魔法師団!!撃て!!」

 

最初の魔法師団の攻撃で、イノシシの魔物達を討伐。

 

騎士「凄えなぁ・・・!!全員が無詠唱で魔法使ってやがる・・・!!」

 

ドミニク「さぁ、次は我々騎士団の番だ!!訓練の成果を見せ付けろ!!」

 

騎士達が構え、そして足に装備してるジェットブーツを噴射させて魔物達に挑む。

 

セシリア「うひゃあ!!何あれ!?」

 

シルビア「お姉様ホラ!ウォルフォード商会で売ってたシン君の『ジェットブーツ』ですよ!!」

 

ドミニク「訓練開始時は全く方向を定まらず、自分達は一体何をしようとしてるんだと呆れたものg¥だが!使いこなせば見よ!!この突進力!!魔物など恐れるに足らん!!」

 

騎士達が次々と魔物を斬り続ける。

 

クリスティーナ「さぁ次行きますよミランダ!!」

 

ミランダ「は・・・はい!!」

 

 

 

ノイン「す・・・凄え・・・これが・・・プロの軍人か・・・」

 

唖然としている騎士学院生達にジークフリードが。

 

ジークフリード「君らはここに見学に来たのか?戦いに来たのか?どっちだ?学生諸君。」

 

ノイン「え・・・?」

 

ジークフリード「学生の身でありながら、戦場に赴く覚悟は立派なもんだが、本番の戦場で『さあ、もう安全だから君達も戦いに参加して来なさい』なんて誰も言ってくれないぞ?覚悟をどう見せるかは自分達次第だ。ここには居ないシンやタクトやアルティメット・マジシャンズは、今も自分達の意志で最前線で戦ってる。そしてそこに追い付こうと、必死に足掻いている人間だって居る。戦う意志を持ってここに来たのなら、何時踏み出すかなんて迷ってるヒマなんか無いぞ。」

 

クライス「・・・俺は・・・行くぞ・・・!!うおおおおおおお!!!!」

 

ノイン「お・・・俺だってやってやる・・・!!おお!!!」

 

彼の言葉で覚悟を決めた学院生達が戦いに挑む。

 

ジークフリード(・・・あれ!?何か俺、本格的に引率っぽくなってねーか!?)

 

 

 

するとその時。

 

”ズズン!!!”

 

ドミニク「な・・・何だこの地響きは・・・!?何か来てるぞ・・・!!」

 

突如発生した地響き。徐々に大きくなっている。

 

ドミニク「ルーパー!!索敵を・・・!!」

 

ルーパー「いいやドミニク。必要無え。」

 

ドミニク「っ!?何故だ!?」

 

ルーパー「・・・見りゃ分かる。」

 

そこに巨大な影が現れた。この影は・・・

 

 

 

 

 

 

体長10メートルは超えている巨大なサイの魔物の影だった。

 

 

 

 

 

 

騎士A「な・・・!?」

 

騎士B「何だありゃ・・・!?」

 

ドミニク「サイ・・・!?・・・の魔物・・・!?そのようなもの聞いた事も・・・・・」

 

ルーパー「いや・・・まあそれ以前に・・・あんなサイズの生物見んの初めてだけどな・・・何にせよ、魔人共の差し金で間違い無えだろう・・・」

 

サイの魔物が後ろ足で地面を蹴る。

 

騎士C「・・・お・・・おい・・・!!」

 

サイの魔物が目を大きく見開いた。

 

ルーパー「突っ込んで来るぞォーーーーーーー!!!!進路から離れろーーーーーー!!!!」

 

サイの魔物が高速で突進し、逃げ遅れた騎士達と魔法使い達を殺した。

 

クリスティーナ「総員!!ジェットブーツを起動!!一旦離脱しなさい!!」

 

残った騎士達がジェットブーツでサイの魔物の進路から離れた。

 

クリスティーナ「はっ!!ミランダ!!」

 

逃げ遅れたミランダ。だが彼女がジェットブーツで間一髪回避した。

 

ミランダ「わっ!!とおっ!!ってえ!!」

 

回避出来たものの、ジェットブーツのコントロールが出来ず地面に落下してしまった。

 

クリスティーナ「大丈夫ですか!?ミランダ!!」

 

ミランダ「・・・お金借りてでも、コレ買っといて正解でした。マリアに感謝ですね。」

 

クリスティーナ「・・・・」

 

ドミニク「救護班!!負傷者の救助を急げ!!災害級の出現で他の魔物の集中が途切れている!!今なら無視して構わん!!」

 

ジークフリード「無事かお前ら?」

 

クリスティーナ「ジーク。とんでもないものが出て来ましたね・・・どうします?あれ。」

 

ジークフリード「元々皮膚の分厚い生き物だからなぁ。シン達なら兎も角、俺らの魔法じゃ通るかどうかも怪しいな。」

 

クリスティーナ「関節狙いでの剣の攻撃に賭けてみますか。」

 

ジークフリード「ま・・・やってみる価値はありそうだなぁ。」

 

ミランダ「・・・?」

 

ジークフリード「急所の首を集中的に狙え。足止めは俺がしてやる。団長!!」

 

ルーパー「ああ!?何だジーク!?」

 

ジークフリード「ちょっとの間、災害級以外の魔物引き付けといて貰えます?本命はこっちで何とかしてみるんで。」

 

ルーパー「・・・ちゃんとやれるんだろうなぁ?ジークよォ。」

 

災害級のサイの魔物がジークフリードに向かって突進し始めた。

 

ミランダ「ジークフリード様!!危ない!!」

 

彼は一歩も動かず、両手を前に翳した。すると地面から土壁が生成された。

 

 

 

セシリア「土壁!?」

 

女性団員「そんなもので災害級が止まる訳が・・・!!!」

 

 

 

災害級が突進で土壁を破壊した。

 

 

 

ミランダ「ああっ!!」

 

クリスティーナ「やっぱり・・・!!」

 

 

 

だが、災害級に異変が起こった。

 

 

 

クリスティーナ「っ!?」

 

 

 

それは、巨大な落とし穴に落ちたのだった。

 

災害級『バオオオオオオ!!!!』

 

 

 

ミランダ「落とし穴!?」

 

クリスティーナ「(そうか・・・手前の土を盛り上げる事で、穴を作るのと同時に目眩ましを・・・!!)災害級の動きが止まりました!!一斉に行きますよ!!!」

 

騎士達「うおおおおおおお!!!!!」

 

身動きを失った災害級に立ち向かう。

 

 

 

 

 

 

同じ頃ダーム・イース混合軍の方は。

 

ティガ「ッ!!」

 

シシリー「ハァッ!!」

 

ハンドスラッシュで狼の災害級と戦うが、災害級は避け続けていた。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ウルトラフィックスで動きを止めようとしたが、災害級が避ける。

 

ティガ「ッ!?」

 

シシリー(速い・・・!!恐らく私とタクト君だけでは動きを捉え切れない・・・!!)

 

そこにシンとマリアが駆け付けた。

 

シシリー「シン君!!」

 

ティガ「マリア!!」

 

シン「タクト!!シシリー!!マリア!!奴の両サイドに魔法を!!」

 

異空間収納からバイブレーションソードを取り出した。

 

 

 

兵士A 「け・・・剣であの災害級を・・・!?」

 

兵士B「む・・・無茶です!!御使い様!!」

 

ラルフ(ウォルフォード・・・!!)

 

 

 

シシリー・マリア「ッ!!」

 

同時に魔法弾を発射した。

 

災害級「ッ!!」

 

シシリーとマリアの魔法弾を避けた。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

そのタイミングを見計らったティガが、マルチ・スペシウム光線を放った。

 

災害級『ギャワァン!!』

 

マルチ・スペシウム光線を受けた災害級が怯んだ。

 

マリア「っし!!流石に3方向からの攻撃は避け切れないっしょ!!」

 

シシリー「狼の動きが止まりました!!」

 

シン(チャンス!!)

 

バイブレーションソードで災害級を斬り裂こうとしたが、災害級が噛んで受け止めた。

 

シン「マジかよ!!嘘だろオイッ!!」

 

シシリー「ああ!!シン君!!」

 

マリア「あ・・・あれじゃタクトは力使えないし・・・!!シンの剣の振動が止まって・・・!!」

 

シン「・・・悪いね。俺が剣士だったとしたら、お前の勝ちだったかもな。」

 

右腕を災害級の口に突っ込んで狙いを定める。そしてシンの炎が災害級の体内を燃やし尽くした。災害級が体内を燃やされた。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

光の手刀で切り裂くスラップショットで災害級の首を切断して討伐完了。

 

シシリー「た・・・体内から炎の魔法で焼き尽くして・・・手刀で首を斬り落とした・・・!?」

 

マリア「えげつなっ!」

 

2人はこの戦い方に恐怖した。

 

 

 

兵士C「おおおーーーーー!!」

 

兵士D「災害級の狼を・・・討伐したぞーーーーー!!!」

 

 

 

ティガ「・・・」

 

光となってタクトに戻った。

 

マリア「あり得る?こんなサイズの狼。」

 

タクト「普通だとこんなサイズはあり得ねえだろ。」

 

シン「ああ。かなりレアだけど、災害級に至った狼なら見た事はある。・・・まあ、こんなデカくなかったけど。」

 

マリア「魔人側が何か手を加えた可能性は?」

 

シン「充分あり得る。シュトロームは魔物や魔人の研究をしてた訳だしな。」

 

タクト「それに、俺達を無視して他の奴らを襲ってた。手際良く育てられたと考えられる。」

 

シシリー「あの・・・負傷者は?」

 

兵士D「数名程です。ですが直接襲撃された馬車に乗っていた者達は・・・恐らく既に全員・・・」

 

タクト「もう手遅れか・・・」

 

シン「・・・くそっ・・・負傷者はすぐに俺達で治療します。帰還を望む人が居れば、ゲートの魔法を開くので申し出て下さい。」

 

騎士達「・・・・・」

 

タクト「シン。」

 

シン「何だ?」

 

タクト「あの災害級が魔人達の手先だとすれば、恐らく魔人達は他の所にもそいつらを送り込んでると思う。」

 

シン「っ!確かに・・・そう考えると・・・」

 

タクト「となると、オーグ達が心配だ。グレア。」

 

グレア「何?」

 

タクト「周囲を探索してくれ。何か来たら知らせるように。」

 

グレア「分かった!」

 

周囲を警戒しに行く。

 

シン(マズイな・・・この作戦・・・恐らく時間を掛ければ掛ける程・・・目的の達成率は下がって行く・・・!!)

 

魔人領到着が少しずつ迫って来る。

 

 

 

 

 

 

同じ頃、アールスハイド王国軍では。

 

ジークフリード「うぇっ!ぺっ、ぺっ。」

 

災害級が落とし穴に落ちた衝撃で周囲に砂煙りが蔓延し、ジークフリードの口に砂が入った。

 

ジークフリード「どうやら上手く行ったが・・・口ん中に砂でジャリジャリだ・・・べっ!」

 

セシリア「ジークフリード様!」

 

シルビア「もう!無茶して!これで口を漱いで下さい。」

 

ジークフリード「がぼぼっ!」

 

生成した水で口を漱ぐ。

 

ジークフリード「ぺっ!サンキューシルビア。」

 

セシリア「よくあんな事を思い付きましたね。」

 

ジークフリード「いやまあ、昔シンが狩りでやってたって方法を試してみただけだけどな。」

 

シルビア「シン君が!?」

 

ジークフリード「さーて、問題はこの先だ。任せたぜ、騎士団。」

 

 

 

 

騎士A「うおおお!!」

 

穴に嵌った災害級に剣を突き刺したが。

 

騎士A「うおっ!か・・・硬え!!」

 

騎士B「くそっ!全く刃が・・・!」

 

サイの皮膚は硬く、剣では全く刃が立たない。

 

クリスティーナ「穴がから這い出て来るのは時間の問題ですよ!早くトドメを・・・っ!!」

 

”バオオオオオ!!!”

 

巨大な咆哮を上げた災害級が暴れ出す。

 

騎士達「うおああっ!!」

 

ジェットブーツで災害級から遠去かる。

 

クリスティーナ(乗れる程の巨体とは言え、当然足場は安定しない・・・!ダメージを与える所か、これでは剣を振るうのも難しい・・・!)

 

ミランダ(私より遥かに筋力の高い騎士団ですら刃が立たない・・・これじゃ私がどうやったって・・・はっ!)

 

 

 

 

あの時を思い出した。それは、マリアと一緒に森へ入ると、猪の災害級と遭遇した。

 

マリア『うわぁ、こりゃまたでっかい猪が出て来たわねぇ。ミランダ、あんたこれ1人で相手してみたら?』

 

ミランダ『冗談言わないでよ!私の力だけじゃ、とても彼奴の急所に届かないって!』

 

マリア『いやだから、漸く昨日買えたソレの出番って事よ。』

 

ミランダ『?』

 

ウォルフォード商会で買ったジェットブーツ。

 

 

 

 

ミランダ(そうだ!アレなら・・・!!)

 

何かが閃いたミランダが走り出す。

 

クリスティーナ「ミランダ!?」

 

そして、ジェットブーツで高くジャンプした。

 

ミランダ(もっと・・・!!)

 

更に高くジャンプ。

 

 

 

騎士C「あ・・・彼奴!あんな上空から何を・・・!?」

 

クリスティーナ「まさか・・・!」

 

 

 

空中で回転して剣を前に突き出して、ジェットブーツの噴射力で災害級目掛けて急接近する。

 

 

 

 

クリスティーナ「離れなさいあなた達!!」

 

災害級の上に乗ってる騎士達に避難を指示する。

 

騎士D「うおお!無茶すんじゃねぇえ!!」

 

 

 

 

ミランダ(いっけぇえええ!!!)

 

剣先が災害級の首の付け根に突き刺した。

 

災害級『バオオオオオオ!!!!』

 

騎士A「おお!!剣先が魔物の体に・・・!!」

 

騎士B「待て!でも・・・!」

 

ミランダ(くっ・・・!!この程度じゃ致命傷には・・・!!もう1回・・・っ!?)

 

剣を抜こうとしたが、抜けない。

 

ミランダ「剣が抜けない・・・!!くっ・・・!!うぅっ!このぉっ!!・・・あ!外せば良いのか。」

 

柄のグリップを引いて刃を外した。

 

騎士C「嬢ちゃん!!もう充分だ!!」

 

騎士D「危ないから一旦降りて来い!!」

 

ミランダ「っ!」

 

刺さってる刃を見て、ミランダが何かを閃いた。ジェットブーツで刃を踏む。

 

ジークフリード「っ!!」

 

クリスティーナ「っ!!」

 

騎士達「っ!!?」

 

ミランダ「うりゃああああああ!!!!」

 

ジェットブーツの噴射力で刃を災害級の体内へ押し込み、致命傷を与えた。

 

災害級『バオオオオオ!!!!』

 

騎士A「ジェットブーツで剣を・・・押し込んだ!!効いているぞ!!俺達も続け!!」

 

騎士達「うおおおおおおお!!!!」

 

致命傷を負った災害級に一斉に剣で突き刺した。魔法師団が魔力弾を一斉発射した。そして、サイの災害級を見事討伐した。

 

魔法使い「災害級・・・沈黙!討伐・・・確認しました!」

 

”オオオオオオオ!!!!”

 

周囲に歓声の声が響いた。

 

ミランダ「はぁ・・・はぁ・・・やった!!」

 

ルーパー「野郎共!喜ぶのは早ぇぞ!!まだ魔物は残ってんだ!!最後まで気ぃ緩めんな!!」

 

騎士達が残りの魔物達を討伐する。

 

ミランダ「くっ・・・私も・・・」

 

倒れそうになったが。

 

ドミニク「おっと」

 

ミランダ「!」

 

後ろからドミニクが支えた。

 

ドミニク「お前は行かなくて良い。少し休め。」

 

ミランダ「きょ・・・局長・・・」

 

彼はミランダを褒める。

 

ドミニク「見事だった。お前のお陰で災害級・・・いや、これはそれ以上の存在か。それを討伐出来た。胸を張って良い。」

 

褒められたミランダの顔が赤くなった。そこにジークフリードとクリスティーナが寄って来た。

 

クリスティーナ「マリアさんの特訓がしっかりと活かされたようですね、ミランダ。少し無茶はし過ぎですが。」

 

ドミニク「ほう。アルティメット・マジシャンズの知り合いだったのか。」

 

クリスティーナ「強くなりますよ、彼女は。私が保証します。」

 

ジークフリード「だったら尚の事、今は体を休めとかなきゃな。」

 

ひょいっちミランダをお姫様抱っこした。

 

ミランダ「!?」

 

ジークフリード「功労者は俺が安全な場所までお連れしますかね。」

 

ミランダ「・・・・・・じ・・・じじじ・・・じーくふりーど・・・さ・・・さま・・・」

 

お姫様抱っこされたミランダがパニックになった。

 

ジークフリード「顔が赤いな。大丈夫か?少しの間じっとしてな。」

 

ミランダ(にゃうううう!!う・・・嬉しいけど・・・恥ずい〜〜〜〜〜!ゴ・・・ゴメンマリア〜〜〜〜〜!)

 

心の中でマリアに謝った。

 

 

 

 

 

 

一方その頃、魔人領北西部のクルト・エルス混合軍は。

 

リオ「デアッ!!」

 

斬撃で現れた虎の魔物達を討伐していた。

 

アウグスト「終わったぞ。そっちは?」

 

トール「此方も討伐完了です。」

 

リオ「こっちも終わったよ。」

 

アウグスト「やれやれ、虎の魔物ばかり。何体目だこれで?」

 

リオ「1・・・2・・・3・・・もう6体目。」

 

トール「その内シン殿に”虎狩り王子”だとか呼ばれそうですね。殿下。」

 

4人の活躍を見ていた兵士達は。

 

兵士F「さ・・・災害級を瞬殺・・・これがアルティメット・マジシャンズかいな・・・」

 

兵士G「ああ・・・エルスの方々は彼らの戦闘を見るのは初めてですか。」

 

兵士F「こちとら災害級を目にすのも初めてやっちゅうのに・・・最早何処に驚いて良いのか分からんわ・・・にしても・・・川にぶち当たってしまうとは、運が無いですな・・・」

 

兵士G「元々帝国とは国交が盛んだった訳ではありませんから・・・道中の正確の地形までは計算に入れ難いのです。」

 

ユリウス「一層の事川の水を凍らせて、その上を渡るのはどうで御座る?」

 

トール「小隊規模なら行けるでしょうけど、この大部隊ですからね。渡り切る前に凍らせ切れない部分の水が反論し兼ねませんよ。」

 

ベーカー「現在早馬で調査させていますが、川から離れる形で進軍を続ければ、恐らく何処かで渡る事は可能でしょう。」

 

アウグスト「仕方あるまい。多少遠回りになるが、川沿いに足を進めよう。」

 

兵士H「アウグスト殿下!!ベーカー部隊長!後方部隊から報告!!索敵に反応です!!」

 

ユリウス「何だ?また虎で御座るか?」

 

リオ「位置は?」

 

兵士H「か・・・川の中です!」

 

トール「川?水中に入居るって事ですか?」

 

ユリウス「魚か何かが魔物化したで御座るかな・・・」

 

リオ「川の中は恐らく小さい魚ばかりだと思う。ピラニア系ならまた別だけど。・・・オーグ。」

 

アウグスト「ああ。念の為部隊を水辺から遠避けろ。今すぐにだ。」

 

兵士H「は、はっ!!」

 

ベーカー「魔物に気を配りつつ進軍を進めますか?それとも討伐を優先に?」

 

リオ「決まってるよ。討伐優先だよ。オーグ、良いよね?」

 

アウグスト「ああ、リオに賛同しよう。何せここは魔人領。我々の想像も及ばん生物が居ても可笑しくは無い。」

 

兵士H「総員戦闘準備!!敵の姿はまだ未確認!!水辺に注意を払え!!」

 

部隊を水辺から遠避ける。

 

トール「・・・居ますね。確実に我々の動きを感知しています。襲う気満々って所ですかね。」

 

リオ「サイズは・・・かなりデカそうだね。」

 

アウグスト「先手を取るか!リオ!」

 

リオ「うん!」

 

アウグスト「魔法師団!撃ち方用意!!水中に向かって魔法を放て!!」

 

リオ「ダァッ!!!」

 

斬撃波と魔法弾の一斉発射が水中に着弾した。

 

アウグスト「反応はあるか?」

 

トール「数発被弾してるとは思いますが・・・今の所動きに変化は・・・」

 

リオ「トール、このまま索敵を続けて。奴の動きを見逃さないで。」

 

トール「はい。」

 

 

 

中央辺りに居る部隊の方は。

 

兵士I「・・・なあ、どうせ水の中の生物なんだろ?無視して進んじゃマズイのか?」

 

兵士J「それもそうだよな・・・」

 

兵士I「殿下も何をそんなに慎重になって・・・」

 

”ザパ・・・”

 

水の中から出て来たのは・・・

 

 

 

 

ワニの魔物の災害級だった。

 

兵士達「う・・・うわあああああああ!!!!」

 

 

 

 

トール「殿下!!」

 

ユリウス「部隊中央辺りで御座る!!」

 

アウグスト「どうやら釣れたようだ!!」

 

リオ「正体を現したようだね!!」

 

アウグスト「よし!!行くぞ!!」

 

トール・ユリウス「はっ!」

 

災害級討伐に向けて走り出す。

 

 

 

 

兵士達「ぐああああああああ!!!」

 

水の中から現れたワニの災害級に、複数の兵士が喰い千切られてしまった。

 

兵士「ひぃっ!・・・く・・・くそっ!!!」

 

災害級に挑んだが、ワニの硬い皮膚で槍が折れてしまった。

 

兵士I「ダメだ!!丸で槍が通らん!!」

 

兵士J「ワニの鱗板は鎧同様の硬さだぞ!!他の箇所を狙え!!」

 

すると災害級が尻尾を大きく振った。

 

兵士達「がはぁっ・・・!!」

 

壁に叩き付けられた兵士達が命を落とした。そこにビースト達が駆け付けた。

 

ユリウス「ぬう!!丸焼きにしてやるで御座る!!」

 

リオ「デアッ!!」

 

斬撃波と、ユリウスの魔法弾が同時発射したが、災害級がそれを一瞬で避けた。

 

リオ「何!?」

 

ユリウス「避けた・・・!!あの図体で早い反応で御座るな!!」

 

トール「温度完治の機能を有する生物ですから・・・魔法に対する反応も敏感なんでしょう!」

 

災害級がそのまま水中へ姿を消した。

 

ベーカー「マズイですな・・・水中に逃げられては打つ手が・・・また同様に襲撃されたら・・・」

 

アウグスト「・・・・」

 

 

 

 

 

 

魔人領・南部。スイード・イース混合軍。

 

アリス「ねーねー、あれって・・・災害級?」

 

ユーリ「んー・・・その表現じゃちょっと物足りないかもぉ。」

 

ローランド「何にしても、かなりのデカさですね。」

 

目の前に、巨大な猿の災害級とその子分らしき猿の魔物が佇んでいた。

 

アリス「超災害級・・・とか?」

 

リン「ただのデカい猿。」

 

エドガー「な・・・な・・・何とかなりそう・・・ですか!?」

 

ユーリ「んー多分。大猿以外にも魔物居るけど・・・取り敢えず手出ししない方が良いかもぉ。どうせ、あの子達が片付けちゃうと思うしぃ。」

 

挑むのはアリスとリンとローランド。

 

ナージャ「・・・・」

 

そんな中ナージャに少し頭痛が走っていた。

 

デイジー「ん?ナージャ、どうしたの?」

 

ナージャ「え?・・・いえ、大丈夫よ。(何なのこの感覚・・・彼奴を知ってるの・・・?)」

 

 

 

 

リン「アリス、ローランド、細かい連中任せて良い?」

 

アリス「あっ!ズルいよリン!自分がデカいのと戦いたいからでしょ!」

 

ローランド「まぁどの道、邪魔だからやります!!アリスさん!!」

 

アリス「そうだね!!」

 

最初にアリスが拡散魔法弾を発射し、猿の魔物を半数討伐する。

 

ローランド「アウウウウウウウン!!!」

 

咆哮と同時に両目を赤くさせて魔物化した。

 

ローランド「ガァウ!!」

 

そのまま魔物達を喰い荒す。

 

 

 

 

エドガー「おお!大量の魔物を一瞬で・・・!!」

 

兵士K「流石アリス=コーナー様!!ローランド様!!」

 

兵士L「いやまあ、本来あれ俺らの役目だけどな・・・」

 

だが彼らに猿の災害級が。

 

兵士達「はっ・・・!!ぐああああ!!」

 

右手で押し潰されてしまった。

 

 

 

 

リン「っ!!」

 

魔力を収束させて、災害級に魔力弾を投げた。だが災害級がそれを右手で弾いた。

 

リン「っ!!(水+土の複合魔法!!ウォーターカッター!!)」

 

ウォーターカッターで斬り裂いた。

 

災害級『ギキィ!!!』

 

右肩を斬り裂いたが、浅かった。

 

リン「ちっ!(浅い!仕留め損ねた!)」

 

すると災害級が、油断したリンを捕まえた。

 

アリス「ああ!!リン!!」

 

ローランド「リンさん!!」

 

リン「失敗(しく)った・・・!!ぐむ・・・!!まずい・・・戦闘服の唯一の弱点を突かれた・・・捕まってゆっくり握り潰されると・・・魔法防御も物理防御も発動しない・・・」

 

アリス「猿に解説してる場合かーーー!!!ああもう退けお前ら!!むきーっ!!」

 

ローランド「貴様ら邪魔だ!!」

 

押し寄せて来る魔物達を喰い荒し続ける。

 

 

 

 

兵士K「ああっ!アルティメット・マジシャンズが・・・!!」

 

兵士L「やはりあんな化け物・・・相手では彼女達でも・・・!!」

 

ナージャ「ユーリ、どうする?」

 

ユーリ「んー、もぅ。仕方無いわねぇ。ど〜れ〜に〜し〜よ〜う〜か〜なっ・・・と。」

 

異空間収納からステッキを取り出した。

 

デイジー「ステッキ?」

 

ユーリ「ナージャ、頼むわねぇ。」

 

ナージャ「分かった。」

 

オブシディアンから溢れる光が、ユーリの持つステッキに収束させた。

 

ユーリ「そ〜〜れっ!!」

 

 

 

 

ステッキから放たれた魔法カッターが、災害級に複数の傷を与え、リンを解放させた。

 

リン「ナイスユーリ!ナージャ!恩に着る!」

 

 

 

 

ユーリ「お次は〜〜〜っと!」

 

ナージャ「ハァッ!」

 

ユーリ「えいっ!」

 

取り出したステッキに光を収束させ、ステッキを振った。

 

 

 

 

災害級『?』

 

地面から光が出現し、そこから石の槍が飛び出した。災害級に全て命中した。

 

ローランド「ガァウ!!」

 

隙を見たローランドが、災害級の両目を噛み付いた。

 

災害級『ギキィィィィィ!!!!』

 

ローランド「アリスさん!リンさん!ガクさん!今です!!」

 

アリス・リン「うん!そのまま寝てろ!!」

 

2人の爆裂魔法で、災害級を大爆発した。

 

 

 

 

兵士K「う・・・うおお・・・」

 

兵士L「た・・・倒しちまった・・・あの超大型の魔物を・・・」

 

 

 

 

リン「余裕。」

 

アリス「死に掛けた癖に・・・」

 

ローランド「ん〜・・・これも中々美味ですね。しかもこんがり焼けて尚美味しいです。」

 

討伐された猿の災害級の肉を喰べてる。

 

アリス「ねぇ、それって美味しいの・・・?」

 

ローランド「僕とジェレミー様しか分からない味ですからね。皆さんは喰べないで下さいね?」

 

アリス・リン「喰べるか!」

 

ナージャ「・・・・・」

 

アリス「ん?ナージャ、どうかしたの?」

 

ナージャ「ちょっと少し頭痛が・・・でもすぐに治るよ。」

 

 

 

 

 

 

そして、クルト・エルス混合軍の方は。

 

トール「どうします殿下・・・?奴がもう一度此方へ来たら・・・」

 

リオ「その前に僕が水中に潜って彼奴を倒す?」

 

アウグスト「安心しろリオ。彼奴が陸に上がる事はもう無い。」

 

トール「え・・・!?な・・・何故です?」

 

リオ「何か策があるの?」

 

アウグスト「ああ。私がやる。下がって見てろ。」

 

トール「電撃の魔法・・・まさか殿下・・・!!」

 

電撃を落雷のように水中へ落とした。水中の中に潜むワニの災害級が電撃に苦しむ。

 

 

 

 

兵士F「な・・・!!ああっ!!水に電撃を伝わらせて・・・!!」

 

 

 

 

水には電気を伝わらせれる為、水中のワニの災害級がそれに耐え切れず討伐されてしまい、水面に死体が浮き上がった。

 

兵士F「で・・・電撃ちゅーか・・・完全に巨大な落雷やがな・・・!!一瞬でワニが黒焦げに・・・ホ・・・ホンマにこれが一国の王子の力かいな・・・!!雷の神・・・そう・・・丸で雷神の如き力・・・”雷神”・・・アウグスト=フォン=アールスハイド王太子殿下・・・!!」

 

アウグスト(これは・・・マズい流れ・・・!!)

 

雷神と呼ばれ、気不味くなったアウグストだった。

 

 

 

 

 

 

夏期合宿中・クロードの館にて。

 

メリダ『ほう!もう付与が済んだのかい!ユーリと言ったね。アンタ中々筋が良いよ!』

 

ユーリ『本当ですかぁ!?私、元々メリダ様に憧れてて、昔からずっと付与魔法の練習して来たんですぅ。』

 

ユリウス『ぬぅ・・・』

 

後ろでユリウスが悩んでる。

 

ユーリ『ウォルフォード君に会うまでは、付与に関しては誰にも負けないつもりで居たんですけどぉ・・・』

 

メリダ『ああ、あの子だったら物の数に入れる必要は無いよ。あの子の頭の中は私にだって理解不能だしね。』

 

シン『聞こえてるぞ!』

 

タクト『言えてるなメリダ様。』

 

メリダ『自身持ちな。アンタは才能があるよ。』

 

ユーリ『・・・!』

 

メリダ『アンタが望むなら、私のとっておきのを色々仕込んであげるけど、どうだい?』

 

ユーリ『是非〜〜〜〜!!お願いしますぅ!』

 

 

 

 

 

 

現在。クルト・エルス混合軍。

 

ユーリ「・・・・」

 

エドガー「それにしても・・・皆さん以前より更に魔法が洗練された印象を受けますな。」

 

アリス「あれからまたいっぱい訓練したもん!」

 

リン「血ヘド吐いた。」

 

デイジー「嘘言わないの。」

 

エドガー「はは・・・」

 

ナージャ「・・・・・」

 

ローランド「焼けた肉も美味ですね。」

 

焼けた魔物の肉を美味しそうに食べてる。

 

エドガー「ユーリ殿は・・・三国会談の時の騒動でも魔道具を使われていましたが・・・それらはやはり魔王殿が作製を?」

 

ナージャ「違うわ。ユーリが作った物よ。でしょ?」

 

ユーリ「えぇ。私達の合宿にメリダ様も同行して頂けてぇ、その時色々と教わったんですぅ。」

 

エドガー「ほう!成る程、導師様から!」

 

アリス「講義の後もユーリだけ残ってずっと教えて貰ってたよね〜。」

 

リン「あれはズルい。」

 

ナージャ「文句言わないの。」

 

アリス「でも〜。」

 

エドガー「”魔王”シン殿の魔道具を取り揃える商会の話は我が国にも伝わっていますからな・・・てっきりそう言った付与も彼がしたものとばかり。」

 

ローランド「ですが、メリダ様がシンさんに教えたのは基礎的な事だけだとメリダ様が仰っておりました。その後はシンさん自身が完全にオリジナルで魔道具を作ってるらしく。そのお陰でメリダ様も常に驚いておりました。」

 

エドガー「そうだったのですか・・・では導師様の技術は魔王殿ではなく、主にあなたに引き継がれていると・・・つまり現状・・・あなたが正式な”導師様の後継者”と言う事ですな!」

 

ローランド「メリダ様の後継者ですか。」

 

デイジー「良いじゃないそれ!」

 

ユーリ(導師様(メリダ様)の後継者・・・!)

 

こうしてユーリに、導師様の後継者と二つ名を与えられた。

 

ユーリ「ええ〜〜!そんなぁ〜〜〜〜!!私なんてぇ〜〜〜〜!!うふふふふふふ!」

 

ナージャ「凄く照れてるね。」

 

リン「すっごい嬉しそう・・・」

 

アリス「ユーリだけズルい!私にも何か二つ名!!付けて下さいよ!!」

 

エドガー「ええーー・・・(ふ・・・二つ名のつもりで言った訳ではないのだが・・・)」

 

さっきの戦いを思い出しながら考えた。

 

エドガー「・・・せ・・・殲滅魔法・・・幼・・・あ、いや・・・少女・・・とか・・・」

 

アリス「そ、そ、そんあ二つ名欲しくな〜〜〜い!!」

 

エドガー「え・・・ええー、駄目ですか・・・」

 

アリス「つーか今、『幼女』て言いかけなかった?」

 

エドガー「は・・・!」

 

ナージャ「じゃあ、私に何か二つ名はあるかしら?」

 

ローランド「僕もお願い出来ますでしょうか?」

 

エドガー「ええー・・・そうですなぁ・・・ナージャ殿は・・・」

 

オブシディアンから溢れる光で力を与えたり、傷を癒す場面を思い出しながら考えた。

 

エドガー「こ、黒曜の女神・・・とか・・・」

 

ナージャ「黒曜の女神・・・何か良いわね。」

 

エドガー「それと、ローランド殿は・・・」

 

魔物化になって災害級を喰い荒す場面を思い出しながら考えた。

 

エドガー「狼魔(ろうま)・・・とか。」

 

ローランド「狼魔(ろうま)・・・凄く響きが良い二つ名ですね!気に入りました!」

 

デイジー「響きが良いじゃない。ローランド。」

 

ローランド「ありがとうございます!」

 

アリス「もお!2人共ズルいよ!」

 

 

 

 

 

 

魔人領・東部。カーナン・エルス混合軍。

 

ガラン「ぬぅりゃ!!!!!」

 

養羊家のガランが仲間達と共に斧を振り下ろして魔物達を討伐してる。

 

ガラン「さーて魔物共・・・細切れになる覚悟があんなら掛かって来なぁ・・・」

 

彼の威圧に押された犬の魔物達が、一目散に逃げ出した。

 

ガラン「何だ、あの根性無し共が・・・」

 

 

 

兵士N「ホンマごっついわ・・・あれがカーナン養羊家かいな・・・正規軍の出る番無しやがな・・・」

 

兵士O「気合で魔物追っ払っちまったし・・・」

 

兵士P「もうどっちが獣だか・・・」

 

ガラン達の戦いに兵士達が少々引いてる。

 

 

 

 

馬車には、トニー、マーク、オリビア、ケイティ、ジェレミーが居た。

 

ジェレミー「もう終わったのか。早いもんだ。」

 

トニー「アレなら大型の魔物位までなら余裕でイケそうだねぇ。」

 

マーク「流石ッス!ガランさん。」

 

トニー「実戦は何よりの修行の場だ。僕らも負けてられないねぇ。マーク。」

 

マーク「・・・ウス。もう誰にも負ける気は無いッス!」

 

ケイティ「あ〜あ・・・」

 

トニー「ん?ケイティ、どうかしたのかい?」

 

オリビア「もしかして、出番無くて退屈なのですか?」

 

ケイティ「違う違う!何でローランドがここに居ないのよ!もふもふしたくて我慢出来ないのよ!」

 

ジェレミー「何時もの事か。合流するまで我慢するんだな。」

 

ケイティ「むぅ・・・」

 

トニー「マークはオリビアの事も守らなきゃいけないしねぇ?」

 

マーク「いやぁ・・・今じゃ俺とコイツの実力はどっこいどっこいだし別に・・・」

 

オリビア「何よ!?私は普通の街の食堂の娘なんだからね?守ってよ。」

 

マーク「雑談しながら魔物を討伐出来る女を普通とは言わねぇそ!」

 

ぎゃあぎゃあと2人が揉める。

 

トニー「良いねぇ。羨ましいよ。2人みたいな関係。」

 

ジェレミー「全くだ。ん?」

 

そこに1人の兵士が駆け寄って来た。

 

兵士Q「失礼します!!魔物が現れました!!と・・・討伐をお願いしても宜しいでしょうか!!」

 

トニー「出番みたいだねぇ。」

 

ケイティ「待ってました!!」

 

マーク「災害級ッスか?種類は?」

 

兵士Q「・・・し・・・鹿です!」

 

ケイティ「鹿!?」

 

トニー「えーと・・・確か大型までは軍の人達が対処するって・・・」

 

兵士Q「いえ!そ・・・それがその・・・と・・・兎に角一度見て頂ければ・・・」

 

ジェレミー「おいお前ら、ただの鹿じゃなさそうだ。」

 

マーク「え?」

 

 

 

 

巨大な影が現れた。

 

兵士R「や・・・や・・・ヤバい・・・!!」

 

兵士S「またアレが来るぞ・・・」

 

兵士達「に・・・逃げ・・・ぐああああああああ!!!!!」

 

 

 

 

ケイティ「っ!!」

 

トニー「マズいね!急ごう!」

 

ガラン「おぉい!何事だぁ!?」

 

マーク「ガランさん!!」

 

叫び声がした方へ向かう。

 

ジェレミー「っ!!」

 

ガラン「うおっ・・・これは・・・!!」

 

彼らが目にしたのは・・・

 

 

 

 

 

 

体長10メートルは超える巨大な鹿だった。

 

 

 

 

 

 

ガラン「鹿!?オイオイオイオイ・・・冗談みたいなサイズだな・・・!!」

 

マーク「あり得ないッス・・・こんなデカさ・・・」

 

ジェレミー「野生動物は魔物化すると体組織の変化から、徐々に巨大化する例があるんだ。けどあのデカさは限界を遥かに超えてやがるぜ。」

 

トニー「魔人側が何か施したとか思えないねぇ。」

 

ジェレミー「確かに、奴らならやりそうな手口だ。」

 

マーク「これを放置したら後の被害が計り知れないッス!討伐しましょう!」

 

ケイティ「ガランさん、これ使って。」

 

腰のポーチから傷薬を出した。

 

ケイティ「これで負傷者の手当てをやって。後で私達が治療するから。」

 

ガラン「お・・・おう!そりゃ良いが・・・な・・・何でこんなに黒焦げになってんだ・・・!?オイお前ら!何があった!?」

 

すると鹿の角に電気が溢れ出た。

 

ケイティ「角が青白く光ってる・・・これって電気!?」

 

ガラン「角に・・・帯電してんのか・・・!?」

 

鹿が首を振ると、辺り一面に雷撃が落ちた。だが彼らは間一髪避けれた。

 

マーク「・・・っ!!危なかったッス!!何スか今の!?」

 

トニー「こりゃあ、不意を突かれたねぇ・・・!」

 

オリビア「大気中の電気を角に纏わせて・・・魔力とブレンドさせて放ってるんだと思います。多分・・・」

 

ガラン「自然界の魔法ってトコか!」

 

すると鹿の角が青白くなった。

 

ジェレミー「来るぞ!」

 

顔に右手を翳すと、両目が青くなり、両手から長い爪を伸ばす。

 

ケイティ「トニー!」

 

剣とナイフを握る。

 

トニー「うん!!すぐ次が来る!!僕とケイティとジェレミーが突っ込むから、マークとオリビアは援護を!!」

 

マーク・オリビア「了解!!」

 

ケイティ「行っくよーーー!!!」

 

すると鹿が雷撃を発動した。

 

ジェレミー「おっと!!」

 

超高速で迫り、両手の爪で雷撃を斬り裂いた。

 

マーク・オリビア「はっ!!」

 

援護魔法を同時に放ち、鹿の足元に命中した。

 

ケイティ「トォッ!!」

 

3人が同時にジャンプした。

 

 

 

 

ガラン「相変わらず凄え威力だな・・・魔法とほぼ同スピードで突っ込むトニーとケイティとジェレミーの奴らも凄えが・・・」

 

マーク「何言ってんスかガランさん。4人の本気の速さはあんなもんじゃないッスよ!」

 

ガラン「!?」

 

 

 

 

トニー、ケイティ、ジェレミーが超高速でジャンプした。それと同時に鹿の右の前脚が切断されていた。

 

 

 

 

ガラン「なあぁっ!!い、何時の間にか鹿の脚が切れてやがる!?跳び上がる前に脚を切ったってのか・・・!?全く目で追えなかったぞ・・・!!」

 

 

 

 

ジェレミー「なぁ、此奴倒したら喰っても良いか?」

 

ケイティ「うん!」

 

鹿の角に電気が帯電し始めた。

 

トニー「っ!!」

 

だが、オリビアの炎で角が破壊された。

 

オリビア「これ以上電撃は使わせない!」

 

マーク「うぅらっ!!!!」

 

バイブレーションソードで左前脚を斬り落とした。

 

ケイティ「よいしょー!!!」

 

剣とナイフで左後ろ脚を斬り落とした。

 

ジェレミー「ドルァアア!!!」

 

右後ろ脚を噛み千切った。

 

 

 

 

ガラン(トニーが初撃直後に敵の注意を引き付け、その隙にマークとケイティとジェレミーが突く・・・!!オリビアもそれを理解してフォローを・・・!!個人の戦力としても凄ぇのに、しっかり連携も取れてやがる・・・!!)

 

 

 

 

トニー「流石に全部の脚を失って立ってる事は出来ないよねぇ!」

 

バイブレーションソードに風魔法を収束させて、鹿の魔物の頭部を斬り落として討伐した。

 

ケイティ「やったー!倒したー!」

 

マーク「お疲れッス、トニーさん!斬撃に風の魔法を乗せる事で間合いが倍位に伸びてるッスね。」

 

ジェレミー「大したもんだ。」

 

トニー「色々研究中だよ。2人もナイスフォロー。」

 

ガラン「・・・言葉もねぇや・・・あの鹿の化け物をこうもあっさり・・・」

 

兵士S「ア・・・アルティメット・マジシャンズが居なければ・・・下手したら我々はここで全滅してたんじゃ・・・」

 

兵士T「はは・・・」

 

トニー「ねぇジェレミー、それ美味しいの?」

 

ジェレミー「んあ?」

 

討伐した鹿の魔物の肉をもぐもぐ喰ってる。

 

ジェレミー「此奴中々の美味だぜ?お前らは喰うなよ?」

 

マーク「いや食べれないッスよ・・・」

 

ガラン「剣と魔法を同時に扱う・・・宛ら物語の中に登場する”魔剣士”だな。お前さんは。」

 

トニー「ま、魔剣士!?僕が!?」

 

羊飼い「相応しい称号だと思うぜ。」

 

兵士T「魔剣士トニー=フレイド殿・・・か。」

 

マーク「確かに『剣の使い手』ってイメージはウォルフォード君より、トニーさんの方が強いッスね。」

 

トニー「・・・いやまあ・・・嬉しくはあるけど・・・やっぱ少し恥ずかしいよねぇ。」

 

ケイティ「あ〜あ・・・ローランドもふもふしたぁ〜い・・・」

 

ジェレミー「我慢しろ。合流すれば人一倍もふもふしてやっても良いぞ。」

 

ケイティ「・・・でも我慢出来ない!!こうなったら・・・それ!!」

 

オリビア「え?」

 

ケイティがオリビアに飛び込んでギューっと抱き締めた。

 

オリビア「ひゃっ!?」

 

ケイティ「やっぱりオリビアのもふもふもサイコーね!!」

 

オリビア「ケ、ケイティさん!!またですか!?」

 

ケイティ「お願いオリビア!ローランドと合流するまでもふもふさせてよ〜!もふもふ〜♪」

 

オリビア「ひゃああああああ・・・・!!!」

 

マーク「あ、あの・・・ケイティさん・・・」

 

ケイティ「マーク!私がオリビアをもふもふするのを邪魔しちゃダメだよ!もふもふもふもふ〜♪」

 

オリビア「ひゃああああああ・・・・!!!マーク!ジェレミーさん!助けて下さ〜い!」

 

ジェレミー「オリビア、ローランド合流まで辛抱だ。」

 

オリビア「そんなぁ・・・・!」

 

マーク「オリビア・・・・ごめん・・・」

 

トニー「あはは・・・仲良いね。さぁ、それより先に進みましょう。本当の敵はまだまだ先に居るんですから。」

 

兵士S「本当の敵・・・魔人か・・・魔物より・・・災害級よりも恐ろしい存在・・・」

 

兵士T「災害級にすら太刀打ち出来ない我々が・・・一体何処まで戦力になれるのか・・・正直・・・足取りが重いな・・・」

 

こうしてトニーに、魔剣士の二つ名を得た。

 

 

 

 

 

 

別の場所では、5人の謎の姉妹が魔物を討伐していた。

 

???「此奴等しつこいよ!」

 

???「ハンナ!後ろ!」

 

ハンナ「キャッ!!」

 

???「テッサ!右!」

 

テッサ「よっ!」

 

???「カーラ!まだ来るぞ!」

 

カーラ「まだ来るの!?」

 

ハンナ「ウェンディお姉ちゃん!イルゼお姉ちゃん!そっち行った!」

 

イルゼ「これで何体目なの!?」

 

ウェンディ「ざっと100体は超えてる!」

 

 

 

 

 

 

魔人領・北東部にある砦。

 

ヒース「人間達は多方面から帝都に向かって進軍を続けるつもりらしく、今の所足取りは順調。このまま行けば数日でクルト方面辺りから出発した部隊がこの砦を発見するはずだ。さて、どうする諸君。」

 

サイード「そのクルト軍の中に例の連中は居んのかよ。あー・・・と、何つったっけ。」

 

ヒース「ああ、アルティマか。デカい魔力が幾つかあったが、恐らく・・・としか言えねーな。奴らの索敵に引っ掛からない遠目からの死人が限度だったんでな。」

 

サイード「何だそれ、意味ねぇじゃねーか。そこが一番重要事項だろ。」

 

ヒース「文句あんなら次はてめーが行けよ。尻尾掴まれて、ここまで敵を連れて来ねーように精々気を付けてな。」

 

サイード「何だとてめぇ!」

 

ラドリー「止めろ。仲間内で争ってる時か。」

 

サイード「仲間?勘違いすんなよラドリー。俺らがつるんでんのは、飽く迄()()()()が共通してるからであって、何も仲良く同じ目的の為に動いてる訳じゃねーんだぞ。」

 

ラドリー「それぞれの目的が何だろうが、今この状況を切り抜ける事が最優先な事に違いは無いだろう。人間達の包囲網を抜けた後はお前の好きにしろ。サイード。」

 

サイード「ちっ。」

 

そこに報せが入った。

 

離反魔人「おい!客だぞ。それも団体だ。」

 

ヒース「あ?」

 

 

 

 

砦に入って来た客とは、魔人達だった。

 

魔人A「オイオイ何だよこのチンケな砦はよぉ。城でも用意してんのかと思ったぜ。」

 

魔人B「本当にここに居りゃ、()()()()()の襲撃から身を隠せるんだろうなぁ。」

 

 

 

 

ヒース「ありゃ、帝都の城に居た平民魔人共の生き残りだろ。何だってこんな所に集まって来てんだよ。」

 

ラドリー「さあな。ゼストって男が誘導して来た事に違いは無いだろうな。(どう言うつもりだ、あの男・・・)」

 

離反魔人A「ウゼーなぁ、俺の方が砦に出たくなってきたぜ。」

 

離反魔人B「どの道、今回の件が終わればすぐ出られるさ。」

 

サイード「・・・・」

 

 

 

 

魔人A「よう、お前らだろ?ここを寝ぐらにしてる連中ってのは。しばらく世話になるぜ。」

 

魔人B「早速だけど、何か食いモンねーか?後酒もよ。」

 

そんな魔人共にヒースは苛立ってる。

 

魔人C「共に帝国を滅ぼした仲だろぉ〜〜〜〜。仲良くしようぜェ。」

 

 

 

 

ヒース「戦力になんのか?此奴ら。」

 

ラドリー「噂じゃ、二度程アルティマの連中に負けて逃げ帰ってんだろ。」

 

ヒース「何か、ここに避難して来たみたいな口振りだし。」

 

ラドリー「腐っても魔人だ。普通の人間程度なら問題無く戦えるだろう。」

 

ヒース「哀れな連中だねぇ。魔人になる前もなった後も、結局流されるだけの人生か。」

 

アメリア「アホらし。ちょっと外の空気吸って来る。」

 

外に行こうとするアメリアに、2人の魔人が。

 

魔人D「おい。」

 

魔人E「ああ。」

 

2人がアメリアにナンパする。

 

魔人D「ようネェちゃん。今から俺らと一緒に遊ぼうぜェ。」

 

魔人E「丁度俺らも外行こうと思ってたんだよ。」

 

アメリア「・・・良いよ。私も色々()()()()()し。」

 

 

 

 

2人の魔人と一緒に外に出て、森林に入った。

 

魔人D「なあ、もうこの辺で良いだろう。何処まで・・・」

 

アメリア「アンタら、何しにこの砦まで来た訳?」

 

魔人D「あ?ああ・・・人間共が総力上げてこっちに攻め込んで来てんだろ?」

 

魔人E「アルティメット・・・何とかって連中は帝都の方で引き付けるから、こっちにもし人間共が来たら応戦してくれって話だ。」

 

アメリア(・・・どうもやっぱり、話が色々と可笑しいよねぇ・・・)

 

魔人D「さぁ、もう良いだろ?こんな時だ。楽しめる時は楽しまなきゃ・・・」

 

彼女に触れてヤろうとしたその時。

 

 

 

 

左腕が斬り落とされた。

 

 

 

 

魔人D「あ?あ”ぁあああああ!!!!な・・・・う・・・・腕が・・・・何で・・・・!!!!」

 

アメリア「ん?どしたの?自慢の技巧(テク)でもあんなら早く見せてよ。」

 

魔人D「てっ・・・てめぇがやったのか!!この野郎!!!!」

 

今度は身体中がバラバラに斬り落とされた。

 

アメリア「最も・・・私に触れる時、まだ腕が残ってんならね。」

 

魔人E「なっ・・・一体何しやがっ・・・」

 

彼女は、魔力で生成した目に見えない針金の魔法でもう1人の魔人を斬り落とした。

 

アメリア「雑魚の上に下衆とか、救いないよアンタら。私はラドリーやヒース程辛抱強くないからさぁ、溜まってんのよねぇ・・・()()()()。」

 

彼女が溜まっているのはストレスだった。

 

アメリア「大国で踏ん反り返ってる連中にすぐにでも目にもの見せてやりたいのにさぁ。軍の精鋭だろうとアルティマだろうと、バラバラに斬り刻んで返り討ちにしてやるわ。」

 

 

 

 

 

 

無残に魔人をバラバラにしたアメリアを、1人の男が崖の上から見ていた。

 

謎の男「派手にやってるな。」

 

ジャンプして崖を飛び降りる。

 

 

 

 

 

 

ダーム・イース混合軍のテント。タクトのパディブレスで通信してる。

 

シン「雷神?それがオーグに付けられた二つ名なの!?」

 

アウグスト『お前ら・・・何でわざわざ報告するんだ・・・』

 

リオ『いやぁ〜、何か面白いから。』

 

アウグスト『面白くもあるか・・・!!』

 

シン「何だよそれ、随分格好良いじゃないか。」

 

タクト「オーグにピッタリだ。」

 

アウグスト『・・・てっきりからかわれるかと思ったが・・・』

 

マリア「何でですか!良いじゃないですか格好良くて!私も”風神”とかの方が良かったです!”戦乙女”って・・・私は何時まで乙女で居れば良いのよ・・・!!」

 

シン(あ、()()()を気にしてたんだ・・・)

 

タクト「それで、他の皆に何か二つ名は付いたのか?」

 

 

 

魔剣士トニー=フレイド

 

導師の後継者ユーリ=カールトン

 

黒曜の女神ナージャ=オブシディアン

 

狼魔(ろうま)ローランド

 

殲滅魔法少女アリス=コーナー

 

 

 

アリス『ちょっと待てえぇぇぇ!!!私のは二つ名じゃな〜〜〜〜〜〜い!!!!!』

 

デイジー『良いじゃない。似合ってそう。』

 

アリス『似合わないよ!』

 

ユーリ『ウフフ・・・導師の後継者。ウフフフフフフフ。』

 

シン「いや・・・ユーリは一応後で婆ちゃんに確認しとこうな。」

 

ジェレミー『ローランド、お前の二つ名中々だぞ。』

 

リオ『うんうん。』

 

ローランド『光栄です!ジェレミー様!』

 

ケイティ『ねぇローランド!!会ったら人一倍もふもふさせてよ〜!!』

 

ローランド『うわっ!!びっくりしたぁ・・・』

 

シン「気になるのはやっぱり・・・各地に現れた『異常な災害級』の存在だよなぁ・・・」

 

タクト「まさかお前らの方にも出現したとは・・・俺の予感が当たったな・・・」

 

アウグスト『アールスハイド王国軍からの報告によると、向こうにも出現したらしいぞ。犠牲は出てしまったが、どうやら討伐には成功したらしい。』

 

マリア「で・・・殿下!!!」

 

タクト「おわっ!?」

 

マリア「その犠牲者の中に・・・まさか学生は居ませんでしたよね!?」

 

アウグスト『各国軍とも既に犠牲は出てしまっているが・・・何れも軍に在籍する者達だと言う事だ。お前の友人のミランダ=ウォーレスは無事だぞ、メッシーナ。』

 

マリア「・・・!知ってたんですか・・・」

 

アウグスト『無事所か、彼女の機転のお陰で災害級を討伐出来たそうだ。お前にも伝えておいてくれと、ドミニクから頼まれたぞ。』

 

マリア「・・・あの子ったら、きっと無茶したのね・・・」

 

シン「ミランダって確か・・・」

 

タクト「合同訓練の時で一緒になった騎士学院生の子だ。今はマリアと仲睦まじくなってる。」

 

シン「何時の間に・・・」

 

マーク『まあでも、各国とも災害級を討伐出来て良かったッス。けど・・・』

 

トール『ここは魔人領。今更何が出て来ても自分達は驚きはしませんが・・・』

 

アウグスト『・・・ああ。』

 

タクト「災害級(あんな物)がもし世に放たれていたら、各国の被害は計り知れない。楽観出来る事態じゃねぇ・・・」

 

シン「オーグ、話は変わるが。その災害級や犠牲者の事も含め、軍の人達の様子は今どうだ?」

 

アウグスト『・・・どう・・・とは?』

 

シン「この作戦・・・この先も大丈夫だと思うか?」

 

アウグスト『・・・ああ・・・恐らくは・・・な。』

 

シン(お前ならもう気付いているはずだろ、オーグ。今の所順調に見えるが、この先・・・想定出来る最悪の事態がもし幾つか重なってしまった場合・・・容易く作戦の全てが瓦解してしまう可能性に・・・)

 

アリス『あ、そうだ!ナージャが何か言いたいって言ってたよ!』

 

全員「?」

 

タクト「どうしたナージャ?」

 

ナージャ『皆、私・・・災害級を見た瞬間に頭痛がしたの・・・』

 

アウグスト『頭痛だと?』

 

ナージャ『何で頭痛がしたか分からないの・・・でも何か不吉な予感がすると思うの・・・』

 

シン(ナージャが災害級を見て頭痛?そんな事今まで無かったようだが・・・)

 

 

 

 

 

テントを出た4人。

 

タクト「グレア、また見張っててくれ。」

 

グレア「任せて!」

 

周囲を見張りに行った。

 

シン「日を追う毎に少しずつ連合軍(こっち)の被害も増えて来てる・・・分かっていた事とは言え・・・辛いよな・・・」

 

タクト「きっと・・・亡くなった兵士達の家族も悲しんでるだろうな・・・」

 

シシリー「シン君・・・タクト君・・・」

 

タクト・シン「・・・・」

 

シシリー「この作戦が始まる少し前に・・・お姉様達が帰省して来たんです。」

 

タクト「セシリアさん達が・・・!?」

 

シシリー「これで・・・最後になるかも知れないからって・・・お姉様達が覚悟してました。国を守る軍人の一人として、命を懸けて戦う事を・・・誉に思うと・・・」

 

シン「・・・」

 

シシリー「シン君とタクト君や私達だけでなく、きっと誰もが自分達の力でこの危機を乗り越えたいと思っているはずです・・・その為の犠牲は・・・本人も・・・その家族も・・・覚悟の上だと思います・・・だから・・・シン君が・・・気に病む必要は・・・」

 

涙を流すシシリーを、シンが優しく自分に寄せた。

 

シン「・・・ありがとうシシリー。・・・終わらせよう。一刻も早くこの作戦を。」

 

タクト「ああ。これ以上の犠牲を止める為にな。」

 

シシリー「・・・はい・・・えへ、ダメですね・・・私・・・シン君やタクト君を励まそうとしたのに・・・お・・・お姉様達の事を想像したら・・・自分で落ち込んじゃって・・・」

 

タクト「いや、それでもシシリーは俺達を励ましてくれてる。だから気にするな。俺がお前達の最後の希望だ。」

 

シシリー「はい・・・」

 

 

 

 

 

 

その2日後。タクト達の想いを他所に、1つの驚くべき報告が齎される事になった。クルト方面の連合軍が、魔人の拠点と思われる砦を発見したのだ。

 

 

 

 

それをすぐにドミニクへ報せる。

 

兵士「局長!!情報処理隊から緊急の報告です!!」

 

ドミニク「何だこんな早朝に・・・また災害級でも出たか・・・?」

 

起きたドミニクに魔人の拠点の発見を報告。

 

ドミニク「・・・!!魔人の拠点を発見しただと・・・!?」

 

 

 

 

魔人領・北西部の砦付近。クルト・エルス混合軍の野営地。

 

トール「間違いありませんね。このまま街道をしばらく進んだ先にある砦に、数十体の魔人が居ます。」

 

アウグスト「シュトロームやその配下の魔人達の姿は確認出来たか?」

 

トール「自分とユリウスとアラタ殿で慎重に索敵を続けましたが・・・残念ながら目視出来る場所に魔人は現れませんでした。」

 

アウグスト「・・・部隊長。悪いが少し人払いを。」

 

ベーカー「はっ。」

 

部隊長のベーカーに頼んで人払いさせた。アウグストは異空間収納から無線通信機を取り出した。

 

アウグスト「全員聞いているな?クルト方面(こっち)で魔人の拠点が見付かった。当初の作戦通り、各国軍を此方に集結させてくれ。作戦開始から4日。多少のバラつきはあるが、各国軍同士の距離は縮まりつつある。移動に然程の日数は掛かるまい。」

 

アリス『でも殿下、魔人が複数居る以上、アルティメット・マジシャンズ(私達)が集まるのは仕方無いとして・・・軍の人達までそちらに向かう必要があるんですか?』

 

アウグスト「本来なら避けたい所だが、魔人を取り逃さず包囲する名目で連合を組織した以上、魔人の拠点を発見したのに『各国軍がその場で待機』と言う訳には行かないだろう。それに、我々が不在時に先日のような災害級に軍が襲撃されてみろ。その被害は計り知れん。」

 

トニー『どっちにしろ()()は集まるしか無い・・・けど、何となくコレ・・・敵の陽動の可能性も考えちゃうの・・・僕だけかなぁ?』

 

 

 

 

ダーム・イース混合軍。

 

マリア「軍が1箇所に向かうって事は、その分他の隙が出来るって事だもんね・・・」

 

アウグスト『その我々が隙を突いて、シュトローム達がコソコソ動くと言うのか?魔人共がそんな逃げの一手を取ると?』

 

シン「・・・あり得ないな。絶対に。」

 

たか「だな。そもそも逃げるつもりなら、半年の間にとっくに逃げてるはずだ。彼奴がこの魔人領から動こうとしないのには何か理由があるはず。それにもしこの拠点が・・・・・」

 

アウグスト『・・・どうした?』

 

タクト「いや、何でも無い。」

 

アウグスト『兎も角、此方で一度落ち合おう。以上だ。』

 

タクト「・・・OK。」

 

シン(分かっていながら、誰もその可能性を口にしないのは・・・その後に起こり得る問題を無意識に見まいとしているからだろう・・・)

 

兵士「失礼します!長官が今後の確認をしたいと。」

 

タクト「長官が?」

 

 

 

 

4人はラルフ達が居るテントへ。

 

ラルフ「真面に話をするのはこれが初めてですな。()()()()()()()()()()殿。ダーム王国軍総指揮官のラルフ=ポートマンと申します。」

 

シン「・・・どうも。報告が来ていると思いますが、各国軍共、これからクルト方面へ向かう事になります。(この人は俺の事を”御使い様”とか言わないんだな。)」

 

タクト(ラルフ=ポートマン・・・)

 

 

 

 

リチャード『無関係な話だが、ダーム王国とイース神聖国には”聖女”や”神の御使い”の容認派と否定派に分かれているんだ。』

 

レイチェル『否定派の中には、シンさんとシシリーさんを殺そうと企む者が居る可能性があります。』

 

リチャード『私達が知ってる時点だと、ラルフ=ポートマンだ。』

 

 

 

 

タクト「・・・」

 

イース指揮官「問題はクルトから最も距離のあるアールスハイド軍ですね。アルティメット・マジシャンズの同行が無い以上、状況によって到着前に戦闘を開始する事も視野に入れては?」

 

シン「迅速に事態を終結させる意味でも、その方が良いでしょうね。被害を最小限に抑える為、魔人は俺達だけで相手します。連合軍は1体の魔人も逃さないよう、徹底した包囲をお願いします。」

 

その言葉でラルフに怒りが。

 

ラルフ「それは、我々ではどうやっても魔人は討伐出来ないと。そう言っておられるのか?」

 

タクト「・・・」

 

シン「?」

 

シシリー・マリア「・・・・?」

 

イース指揮官「・・・・」

 

タクト「待てよ。シンは軍の力を見縊る奴じゃねぇ。スイードの一件からも各国軍だけで魔人の対処が出来るとは思えないって言ってるだけだ。」

 

シン「そうです。俺達だけで魔人の討伐に当たるのは、これまでの実績を踏まえて決定された事項だったはずでは?」

 

ラルフ「・・・フン!傲慢な事だ!」

 

愚痴を言ってテントから出て行った。

 

マリア「ちょっと何アレ!?」

 

シシリー「シン君にあんな態度・・・酷いです!!」

 

タクト「・・・・」

 

シン「俺・・・何かマズい事言いました?」

 

イース指揮官「いえ・・・特には・・・どうしたのでしょうね・・・普段の彼らしくもない・・・」

 

そんな中、ダーム王国軍の副官が

 

副官「も・・・申し訳ございません!!長官の非礼・・・代わってお詫びします!!!」

 

シン「えーと・・・あなたは・・・」

 

副官「ダーム王国軍の副官です。長官は・・・本来あのような事を仰る方ではないのですが・・・非常に申し上げ難いのですが・・・長官は・・・」

 

タクト「否定派。だろ?」

 

シン・シシリー・マリア「?」

 

副官「・・・はい。教皇猊下がお決めになられたシン様の”御使い”の名や・・・シシリー様の”聖女”の呼び名に納得が行かないようなのです・・・」

 

シシリー・マリア「・・・・」

 

シン(ホラ見ろ、言わんこっちゃない・・・)

 

タクト(人一倍の否定派か。)

 

副官「魔人の討伐は1体でも大きな功績です・・・今の長官は・・・恐らくそれをアルティメット・マジシャンズに独占されるのが・・・悔しいのではないかと・・・」

 

マリア「何よそれ!?この世界の危機に何考えてんの!?」

 

イース指揮官「誰もが力を合わせるべき時に・・・嘆かわしい・・・」

 

タクト「魔人を討伐して手柄を取りたいって言う欲か。」

 

副官「どうか、寛大な心でお許し頂きたい・・・作戦決行に支障が出ぬよう、私も長官を説得しますので・・・」

 

タクト「気にするな。何かあったら俺が何とかする。」

 

副官「・・・・ありがとうございます。で・・・では、失礼致します。」

 

彼もテントから出て行った。

 

タクト(リチャード・・・厄介な事が一つ増えちまったぜ・・・)

 

 

 

 

 

 

クルト・エルス混合軍。

 

リオ「いよいよ本拠地突入が近付くね。けど・・・」

 

ユリウス「兵の疲労も少しずつ見えて来たで御座るな・・・」

 

トール「精神面も同様でしょう。ただでさえ緊張を解く事が許されない魔人領と言うこの場所・・・加えて襲って来るのは、見た事もないような化け物達・・・少しずつ倒れて居なくなって行く仲間・・・不満や不安は溜まって当然の状況ですから。」

 

アウグスト「まさしくそれが、シンの懸念していた事だろう。例えそのような状況だろうと、敵が現れれば剣を取って前へ進まねばならん。不安を払い、重い足を引き摺り、仮に最終目的地に辿り着いたとしても・・・そこで待つのは、それまでの化け物すら従えるような更に上を行く怪物共。時間を掛ける程、道程が遠のく程、包囲網は削られ薄くなって行く。」

 

リオ「まさにスピード勝負だね。」

 

アウグスト(こう言っては何だが・・・理想は何事もなく帝都に辿り着き、そこで全て片付ける事だった。だが、こうして道程の途中で拠点を見付けた以上、それはもう仕方無い。問題は発見した砦にシュトロームが居なかった場合、即ち・・・それが魔人達の拠点の一つに過ぎなかった時・・・)

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子
グレア:高橋李依
ジェレミー=ダンクルク:前野智昭
ローランド:山本和臣

メリダ=ボーウェン:高島雅羅
リチャード=ラドクリフ:堀内賢雄
レイチェル=ラドクリフ:根谷美智子

ジークフリード=マルケス:金子誠
クリスティーナ=ヘイデン:古賀葵

ドミニク=ガストール:小山剛志
ルーパー=オルグラン:保村真

セシリア=フォン=クロード:佐藤利奈
シルビア=フォン=クロード:小澤亜李

ミランダ=ウォーレス:吉七味。
クライス=ロイド:手塚ヒロミチ
ノイン=カーティス:新祐樹

エドガー:間宮康弘
ベーカー:横島亘
ガラン:竹内良太

ラドリー:小林竜之
ヒース:山本祥太
アメリア:佳村はるか
サイード:村田大志

謎の男:福山潤

ハンナ:伊波杏樹
カーラ:鈴木絵里
テッサ:奥野香耶
イルゼ:楠田亜衣奈
ウェンディ:藤田咲

騎士:松田修平
   狩野翔
   石谷春貴

兵士:大泊貴揮
   安田陸矢

魔人:野瀬育二
    佐久間元輝
   田所陽向
   橘龍丸

ラルフ=ポートマン:小上裕通





次回予告

遂に魔人領が目の前に見えた。シシリーはタクトから彼の過去を聞いた。その裏で、ラルフ=ポートマンが予想だにしない行動に移ってしまった。

次回ウルトラマンティガ

魔人領攻略前編=攻略始動=

お楽しみに


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第23話「魔人領攻略前編=攻略始動=」

魔人領攻略前編=攻略始動=
離反魔人 登場



ダーム・イース混合軍は、他の混合軍との合流へ向かう。

 

シン「急げば2日位でクルト王国軍に合流出来るってさ。」

 

タクト「その間に襲撃が無ければ幸いだけどな。」

 

マリア「発見した砦に、シュトロームやクルトで戦った連中は居るのかしら?」

 

タクト「どうだろうな・・・」

 

シン(どちらにせよ、そこでの戦いがこの作戦の1つのポイントになりそうだ。)

 

マリア「っ!」

 

シシリー「どうしたのマリア?」

 

マリア「街だわ・・・!」

 

見付けたのは、廃墟と化した街だった。

 

タクト「酷えなぁ・・・」

 

マリア「当たり前だけど・・・人一人居ないわね・・・」

 

シシリー「こんな小さな街まで・・・襲撃に遭って、残らず全滅させられてしまったんですね・・・」

 

マリア「っ?」

 

彼女の目に映ったのは、左足が失くなった少女のぬいぐるみ。

 

マリア「・・・・!」

 

タクト「っ。」

 

グレア「・・・」

 

そして彼の目に映ったのは、白骨化した遺体達だった。

 

タクト「災害級や魔人に襲われた者達が無残に遺されてる・・・殆どは喰われてしまったようだ・・・」

 

マリア「私には・・・理解出来ない・・・魔人って言ったって・・・少し前まで私達と同じ人間だったはずでしょ・・・それが何で『魔人になった』って言うだけで・・・ここまで非情になれるの・・・!?例え命令だったとしても・・・どうして・・・小さな子供や、罪の無い人達まで・・・!」

 

タクト「マリア、お前の言ってる言葉、俺達も理解している。」

 

シン「俺だって、魔人=悪だなんて、安直に決め付ける気は無かったけど・・・こんな光景を見せられたら・・・そんな事も言ってられないよな・・・」

 

タクト「あぁ。戦争や反乱・・・更に革命行為とは真逆。正義の元で行われている訳じゃない。完全な虐殺行為だ。奴らは自らの意志で、本当の意味での、人類の敵となる道を選んでしまったんだ。」

 

 

 

 

同じ頃ラルフの乗ってる馬車では。

 

ラルフ「・・・・・」

 

 

 

 

タクト『待てよ。シンは軍の力を見縊る奴じゃねぇ。スイードの一件からも各国軍だけで魔人の対処が出来るとは思えないって言ってるだけだ。』

 

シン『そうです。俺達だけで魔人の討伐に当たるのは、これまでの実績を踏まえて決定された事項だったはずでは?』

 

 

 

 

ラルフ「調子に乗った若造共が・・・!(しかし・・・どうする・・・?このままでは連合軍が集結し、次第に奴らが一気に魔人共を殲滅してしまう・・・それでは奴らの二つ名の撤回所か、ますます名声が確かなもに・・・どうする・・・)」

 

彼は此方を見ているエミールに目を向けた。

 

ラルフ(・・・そうか!簡単な事ではないか!奴らより先に戦功を挙げれば良いのだ!)

 

不敵に笑うラルフに対し、副官は。

 

副官「・・・」

 

チラッとエミールを見る。

 

副官「あの・・・失礼ですが・・・そちらは・・・何処の所属の・・・」

 

エミール「・・・長官。」

 

ラルフ「彼は今回の為に、他国から派遣された作戦参謀だろう。今更何を言っている?」

 

副官(・・・!?不審がる者も特に居ない・・・私だけ知らされていなかった・・・のか・・・?)

 

エミール(ふっくっくっくっ・・・御し易い御し易い。欲に強い者、迷うのある者、意志の弱い者、衝動で動く者、手に取るように洗脳が出来る。)

 

実は副官を除いた全員が、このエミールに洗脳されていたのだった。

 

エミール(さぁ、奴は一体何を仕出かしてくれるかな?人間よ、シン=ウォルフォードよ、タクト=クリスティよ。精々恐れ慄け。慌てふためけ。シュトローム様を楽しませる駒として、我々魔人の手の上で舞い踊るが良い!)

 

 

 

 

その近くに、1人の男が潜んでいた。

 

男「・・・・・」

 

彼は茂みに隠れながら進む。

 

 

 

 

 

 

2日後。

 

マーク「あ!来たッスよ!」

 

漸く、ダーム・イース混合軍と合流。

 

アウグスト「ダーム王国軍到着か。久し振りだなシン、タクト。」

 

シン「あぁ。皆取り敢えず無事で何よりだな。」

 

タクト「相当大変だったそうだな。」

 

リオ「うん。大きいワニの災害級が襲って来たんだ。」

 

ジェレミー「こっちはでかい鹿の災害級だ。そのお陰で良い肉が手に入った。」

 

異空間収納から鹿の災害級の肉を取り出した。

 

タクト「相変わらず抜け目無ぇなジェレミー・・・ん?どうしたオリビア?何かぐったりしてるが。」

 

オリビア「あ・・・あのぉ・・・」

 

ケイティ「もうオリビアったら凄くもふもふなんだよ?ローランドが居ない間にもふもふしたのよ〜♪」

 

タクト「またオリビアをもふもふしただと・・・?」

 

ケイティ「ねぇオリビア!また今度ローランドと一緒にもふもふさせてね!」

 

オリビア「も・・・もう止めて下さい〜・・・」

 

タクト「オリビア、すまないな。」

 

シン「っで、アリス達は?」

 

マーク「明日には到着する見込みみたいッスよ。」

 

アウグスト「移動の休息や、軍との細かな連携の確認に1日程掛かるとして、恐らくその直後、砦に攻撃を仕掛ける事になる。砦はここからしばらく行った先の山間だ。お前達も後で現場を確認しておいてくれ。」

 

グレア「OK。」

 

シン「連合軍の動きは勘付かれてないか?」

 

アウグスト「五分五分だな。奴ら一度も砦の外に出ないから何とも言えん。物資の調達等どうしているんだか・・・」

 

シン「まあ包囲して叩くだけだから。極論、バレてもあまり関係無いと言えば関係無いか・・・」

 

 

 

 

翌日の昼頃に、アリス達スイード王国軍も合流した。

 

ケイティ「ローランドーーーーー!!!」

 

ローランド「うわああああ!?」

 

ケイティ「ずっと会いたかったよぉ〜!!!もふもふもふもふもふもふもふもふ〜♪」

 

ローランド「ケ・・・ケイティさーーーーん!!止めて下さいーーーー!!」

 

ジェレミー「諦めろローランド。ケイティに思う存分もふもふさせてやれ。」

 

ローランド「そ、そんなぁ〜〜〜〜!!!!」

 

デイジー「あはは・・・」

 

ナージャ「・・・・・」

 

シン「ナージャ、大丈夫?」

 

ナージャ「え、えぇ・・・」

 

マリア「大丈夫?まだ頭痛する?」

 

ナージャ「でも少しすれば大丈夫だから・・・」

 

ユーリ「ナージャ、あの日からずっとこうなのよぉ。」

 

リオ「とても辛そう。」

 

タクト「あの災害級達と何か関係がありそうだな。それも少しずつ調べる必要があるな。」

 

 

 

 

作戦開始まで少しの間は、各自体を休める事になった。

 

兵士「此方が、アルティメット・マジシャンズの皆様で御利用になれる天幕になります。男女別で御用意出来ております。」

 

マーク「おお!広い!」

 

シン(これだけの広さがあれば・・・)

 

アリス「どうしたのシン君?」

 

シン「いや〜、他の兵士さん達にはちょっと悪いけど、実働部隊は俺達だけだから、ちょっと贅沢させて貰おうかなって。」

 

アリス「??」

 

 

 

 

そして彼が用意したのは、高級なベッドである。

 

マーク「や・・・野営にベッド!?ウォルフォード君が用意したんスか!?」

 

シン「ああ。異空間収納でね。ちょっと野戦病院っぽいけど・・・」

 

アウグスト「不自然この上無いな。」

 

タクト「何だこのミスマッチ感・・・」

 

シシリー「シン君、この寝具って・・・」

 

シン「ああ。家で使ってるのと同じ奴だよ。」

 

シシリー「わあ!」

 

マリア「え?何?何か特別なものなの?」

 

アリス「きゃあああ!!凄ぉい!何この布団!下も上もフワッフワでフッカフカ!!」

 

ケイティ「本当だ!!凄く気持ち良いよ!!」

 

タクト「あ、俺の使ってる奴と同じだ。」

 

リオ「ベッドが寝心地が良い〜!」

 

マリア「本当だ、凄く柔らかい・・・何なのこの素材・・・」

 

シン(フッフッフッ。この世界の寝具は羊毛メインだからな。俺が密かに自宅で俺とタクトに開発した羽毛布団と、木の皮を利用した低反発マットレスの威力を思い知るが良い!)

 

ユーリ「これならあっと言う間に熟睡出来そうねぇ♡疲れもすぐ取れそう♡」

 

アリス・リオ「くー・・・」

 

リン「アリスとリオもう寝てる。」

 

デイジー「疲れてるんでしょうから、寝かせてあげなさい。」

 

アウグスト「準備が良いと言うか何と言うか・・・」

 

シン「はは。使う機会があって良かったよ。」

 

ジェレミー「ローランド、お前はナージャと一緒に寝てくれ。彼女の気分を少しでも和らげろ。」

 

ローランド「分かりました。ナージャさん、ご一緒に。」

 

ナージャ「ありがとうローランド・・・」

 

シン(魔人とまだ相対するんだ。皆きっと表に出さなくてもプレッシャーを感じてる。少しでもそれを和らげられればと思って用意したけど、喜んで貰えたようで良かったな。)

 

 

 

 

 

 

その夜、アルティメット・マジシャンズが熟睡していると。

 

シシリー「・・・っ?」

 

1人だけ起きたシシリー。

 

シシリー「・・・ん?」

 

だが、その中にタクトは居なかった。

 

 

 

 

毛布を羽織って天幕を出ると、タクトは地面に座って星空を見上げていた。シシリーはタクトへ歩み寄る。

 

シシリー「タクト君。」

 

タクト「シシリーか。眠れないのか?」

 

シシリー「いえ、先程起きちゃって・・・タクト君も?」

 

タクト「いや、眠れる気配すら無い。」

 

シシリー「・・・あの、良かったら少しお話でも。」

 

タクト「良いのか?」

 

 

 

 

 

 

近くの森の中。

 

男「あれが合流地点か。ん?」

 

天幕からラルフ達が出て行く様子が見えた。

 

男「彼奴ら、こんな時間に何処へ・・・?」

 

誰も居ない事を確認し、天幕へ入る。

 

男「っ!?おい!」

 

その中に、血を流して倒れている人物を発見した。

 

男「おい!しっかりしろ!どうしたんだ!?」

 

その人物は、ダーム王国の副官だった。

 

男(この男・・・ダームの副官か・・・!?まさか・・・彼奴が!?)

 

 

 

 

 

 

一方、タクトの隣にシシリーが座っている。

 

タクト「俺とシシリーだけの話って、新鮮だな。」

 

シシリー「フフッ、そうですね。」

 

タクト「シシリー、魔人領攻略は間近に迫ってるけど、何か不安とかあるか?」

 

シシリー「・・・少しだけありますよ。でもシン君や皆さんと一緒なら怖くないかなって今でも思っておりますし。タクト君は?」

 

タクト「俺は不安より・・・恨みが人一倍あるな。」

 

シシリー「恨み?」

 

タクト「皆には話してないけど、シシリーにだけ話してやる。俺はシンに出会う5ヶ月前、フェオン達と共にブルースフィア帝国へ訪れた事があるんだ。」

 

シシリー「え・・・?」

 

タクト「俺はそこで、その国の残酷さや無慈悲さを、隅から隅まで見渡し続けたんだ。飢えていて、苦しんで、挙句の果てに殺し合って、殺した人間を喰うと言う光景を目にしたんだ。」

 

シシリー「・・・・・」

 

タクト「俺達は密かに帝国の平民達に食糧とか与え続けたんだ。肉や野菜や菓子などを与え続けたんだ。皆は凄く喜んでくれたんだ。皆は俺達の事を『救いの神』と讃えてくれたんだ。」

 

シシリー「それって、タクト君とフェオンさん達の二つ名の一つですか?」

 

タクト「いやいや。・・・だけど、俺は貴族達から危険視されたんだ。」

 

シシリー「え?」

 

タクト「貴族達は平民達に食糧を与えてくれる俺達を、強制的に指名手配したんだ。それも懸賞金は肉1年分だった。」

 

シシリー「・・・!?」

 

タクト「俺は貴族達に色々反発したんだ。そしたら奴等は『平民達は貴族の糧として生きるのは当たり前』、『平民達に食糧を与えているお前は我々に対する死神』だとほざいたんだ。」

 

シシリー「どうして貴族がそんな考えを・・・?」

 

タクト「貴族は貴族らしく、平民達を従い奴隷として命令するってのが彼奴等の考えなんだ。逆らった者は無条件で殺すと多々ある。」

 

シシリー「酷い・・・」

 

タクト「俺はそいつ等を許さなかった・・・平民達の中には俺を捕まて肉を欲する奴等も多かった。俺は必死に奴等から逃げ続けると、1人の男に助けられて、地下へ逃げ延びたんだ。その地下にあったのは、貴族達に対抗するレジスタンスの隠れ家だったんだ。」

 

シシリー「レジスタンス・・・」

 

タクト「そのレジスタンスの中に、まだ幼い子供達が居たんだ。俺はその中でラスティーって言う男と出会ったんだ。彼は両親と共にレジスタンスに参加していて、勇敢な奴だった。周りからとても信頼されていたんだ。俺達はそのレジスタンスに参加して、貴族達と戦ったんだ。」

 

シシリー「そうだったんですね。」

 

タクト「けど・・・」

 

シシリー「?」

 

タクト「隠れ家が明るみに出てしまったんだ。」

 

シシリー「え?隠れ家なのに・・・どうして!?」

 

タクト「裏切り者が居たんだ。そいつは貴族達に『情報を教えてくれたら食糧を与えてやる』と買収され、隠れ家を教えてしまったんだ。貴族達は隠れ家を壊し、必死に抵抗するレジスタンスを次々と容赦なく皆殺しにしたんだ。中には子供達まで居た・・・」

 

シシリー「・・・・・」

 

あまりの衝撃で、シシリーは言葉に出来なかった。

 

タクト「生き残ったのは、俺達とラスティーだけだった。そこで俺は皇帝ヘラルド=フォン=ブルースフィアと対面した。奴は非情で残酷で、俺の目の前で平民達を次々と殺したんだ。更にはラスティーを人質にしたんだ。俺は怒りを爆発させて。」

 

異空間収納からスパークレンスを出した。

 

タクト「ティガに変身して、ラスティーを人質にした兵士達や貴族達を殺し、更にはヘラルドの右目を潰したんだ。解放されたラスティーと共にブルースフィアから逃げ出したんだ。」

 

シシリー「そうだったんですね・・・・タクト君も人殺しを経験したんですね・・・・」

 

タクト「俺は前から魔人を討伐してるから経験してるよ。だから何の躊躇いも無かった。・・・その後にラスティーに食糧と金を与えて別れたんだ。彼奴等は今頃、何処かで働いているかもな。」

 

シシリー「・・・」

 

タクト「けど、あの時もっと早く気付いていたら・・・ラスティーだけじゃなく、他の皆も助けられたかも知れねえのに・・・」

 

あの時を思い出して悔しがるタクトを、シシリーが優しく抱き締めた。

 

タクト「シシリー?」

 

シシリー「私、タクト君がこんなに苦労しているなんて初めて聞きました。」

 

タクト「・・・俺はシン達以上に苦労してるよ。だからそれを糧として今も戦い続けているんだ。レジスタンスの敵討ちの為と、この世界を守る光となる為にね。」

 

シシリー「そうですね。私も攻略に不安を抱えてちゃダメですね。私も、皆さんと一緒に皆を救える光として頑張ります。」

 

タクト「まぁその時は俺達がフォローしてやるからさ。自分のやれる事を精一杯やる事が大切だ。」

 

シシリー「はい!」

 

タクト「それとさっきの話、皆には内緒な?」

 

シシリー「分かってますよ。」

 

 

 

 

 

 

その頃、魔人領の砦では。ヒースが望遠鏡で此方を見張っている兵士達を覗いている。

 

ヒース「はっ。魔力も抑えずに。アレで隠れてるつもりかねェ?」

 

アメリア「バレても別に構わないんじゃないの?ここまで来たら、どっちが先手を取るかって程度の話でしょ。」

 

ヒース「動きに今まで以上の強張りがあんなァ。そろそろ()()かもな。奴らが砦を発見して数日間、一体何を待っていたと思う?アメリアちゃん。」

 

アメリア「そりゃ増援でしょ。」

 

ヒース「だよなぁ。気配は極力殺してるが、デカい魔力も幾つか行き来してる。此奴らがきっとアルティマだな。」

 

アメリア「妙だと思わない?ヒース。」

 

ヒース「何がよ?」

 

アメリア「平民魔人(チンピラ)共曰く、アルティマの連中は帝都に引き付けるって聞いてるらしいのよ。それが何で(こっち)に来てる訳?」

 

ヒース「計算通りなのか、計算外なのか・・・ズル賢そうなツラしてたからなァ、あのヒゲメガネ。・・・ま、砦に居る以上、アドバンテージはこっちにある。深追いはすんなよ。」

 

アメリア「・・・・・」

 

ヒース「オーイ。」

 

アメリア「先に言っとくけど、この件が片付いたら私はすぐに大国の襲撃に向かうよ。例え一人だろうとね。」

 

ヒース「・・・訊いて良いか?」

 

アメリア「言いたくない。」

 

ヒース「・・・まぁ良いや。気が向いたら何時か教えろよ。お前が帝国貴族だけでなく、大国まで憎む理由をさ。」

 

 

 

 

 

 

魔人達が潜む砦付近で、”ザッ・・・”と足音が聞こえた。

 

ラルフ(よし、行け。)

 

それは、ラルフ率いるダーム軍の一部だった。彼らは先にここを攻略して戦功を上げようと企んでいる。

 

兵士A(っ!長官!)

 

ラルフ(どうした?)

 

兵士A(夜には閉じていた門が開いています・・・!)

 

ラルフ(・・・索敵で敵の位置は把握出来ているな?)

 

魔法使いA(はっ。まずはこの先の広間に数体居ます。)

 

ラルフ(構わん、行け・・・!不意を突けば、奴らなど恐るるに足らん・・・!)

 

慎重に奥へと進む。その様子を、偵察へ向かっていたグレアに見られているのを知らずに。

 

 

 

 

広間前まで着いた。広間を覗くと、2人の魔人を発見した。

 

兵士B(居たぞ・・・魔人共だ!)

 

ラルフ(・・・隙だらけだな。)

 

兵士C(恐らく下っ端の見張りでしょう。どうします?)

 

ラルフ(先制して少しでも数を仕留める為にも、まだ他の魔人共に感付かれたくない。魔法の使用は避け、剣での奇襲を仕掛けるぞ。)

 

 

 

魔人2人「はははは。」

 

 

 

兵士A(今だ・・・!!!)

 

チャンスを見た兵士が、魔人2人に急接近する。

 

兵士A(貰った・・・!!!)

 

後ろから剣を振り下ろした。だが。

 

魔人B「はいよ、ご苦労さん。よく勇気を出して斬り掛かって来れましたぁ〜。」

 

もう1人の魔人が剣を掴んで受け止めた。

 

兵士A「なっ・・・!!」

 

 

 

ラルフ「っ!?」

 

 

 

魔人A「待ち草臥れて欠伸が出るかと思ったぜ。()()()の動きなんざお見通しなんだよ。」

 

既にラルフ達の行動に気付いていた。

 

兵士A「長官!!我々の動きは既に補足されています!!すぐに逃げ・・・」

 

だがもう1人の魔人がその兵士の首を殴り落とした。

 

魔人B「遅ェよ今更。後ろ見てみろや。」

 

 

 

後ろを見ると。

 

魔人C「よ〜〜〜う、人間共。」

 

魔人D「ようやく自分達の立場が分かって来たかぁ?」

 

兵士D「・・・と・・・取り囲まれてる・・・!!」

 

ラルフ「バカな・・・!!」

 

魔人C「よし・・・報告通り、今の所アルティメット何とかって奴らは居ねぇようだな。」

 

魔人D「へへ、ビビって損したぜ。」

 

魔人C「屈辱だよなぁ・・・()()のせいでこんなひ弱な連中にまでナメられてんだ。きっちり教育してやろうぜぇ。お前らが相手してんのは、人間とはまるで格が違う魔人だって事をなぁ。」

 

 

 

 

 

 

その頃合流地点では、タクトとシシリーはまだ起きていた。

 

タクト「なぁシシリー。」

 

シシリー「何ですか?」

 

タクト「俺、引っ越す予定なんだ。今自分の家を建築中なんだ。」

 

シシリー「お家ですか?」

 

タクト「毎日ウォルフォード邸で暮らすのも良いが、自分の家が欲しくなってな。陛下に頼んで建築して貰ってる。勿論費用は自腹。」

 

シシリー「完成は何時頃ですか?」

 

タクト「最近建築始まったばかりだからなぁ・・・もう少し先かな?完成したら招待するよ。」

 

シシリー「楽しみにしてます。」

 

グレア「タクトーーーーー!!」

 

そこに偵察へ行ったグレアが大急ぎで戻って来た。

 

シシリー「グレアさん?」

 

タクト「ようグレア。周囲はどうだ?」

 

グレア「大変なんだよ!さっきラルフ長官が!!」

 

タクト「長官がどうしたんだ!?」

 

すると兵士達が騒ぎ始めた。

 

タクト「っ!?」

 

シシリー「何ですか?」

 

 

 

シン『オーグ!!起きろ!!』

 

アウグスト『む・・・どうしたシン・・・?』

 

シン『今、微かにだが戦闘音が聞こえた!!魔人達の砦の方だ!!』

 

 

 

起き上がったシン達が天幕から出た。

 

タクト「シン!!」

 

シン「タクト!シシリー!」

 

タクト「お前の言ってる言葉、グレアと同じだ!周囲を見ろ!」

 

シン「っ!!」

 

アリス「ねぇ、何この騒ぎ!?」

 

タクト「シシリー!」

 

シシリーの毛布を借りてシシリーに被せる。すぐに布を外すと、シシリーが戦闘服へ一瞬で着替えた。

 

ジェレミー「何だ何だ?」

 

ケイティ「何が起こってるの?」

 

ローランド「これは・・・!」

 

そこに、1人の兵士が慌てて駆け寄った。

 

兵士E「殿下!!アルティメット・マジシャンズの皆様!!大変です!!魔人の砦にて、何者かが戦闘を開始しております!!」

 

ジェレミー「何だと!?」

 

アウグスト「どう言う事だ!!刻限まで一切動くなと指示を出してあっただろう!!くそっ・・・!一体誰が・・・!!」

 

シン(・・・まさか・・・!!)

 

タクト(彼奴が・・・!!)

 

2人は、この事態を起こしたのがラルフだと察した。

 

タクト「おい!ダーム王国軍のラルフ長官は何処に居るんだ!?」

 

兵士E「え!?えと・・・すみません、この混乱で何とも・・・」

 

タクト「やはり・・・」

 

アウグスト「タクト、心当たりがあるのか!?」

 

タクト「あぁ。ラルフ長官は俺達よりも先に魔人を討伐して、戦功を自分の物にしようとしていた節がある。この事態の元凶は恐らく彼奴だ!」

 

アウグスト「・・・この期に及んで、またそんな考えを持った輩が居たのか・・・!!確認しているヒマは無い!!我々は今すぐ砦へ向かう!!長官の所在についてはそちらで確認を頼む!!」

 

兵士E「はっ!!」

 

アウグスト「各国軍指揮官に告ぐ!!予定より早まったが、闘卒が取れ次第砦周辺への配備に移れ!!!」

 

指揮官一同「はっ!!!」

 

タクト「俺は先に行く!」

 

スパークレンスを天に掲げて光に包まれ、ウルトラマンティガへ変身した。

 

ティガ「チャァッ!」

 

飛翔して砦へ向かう。

 

シン「俺達も行くぞ!!」

 

アルティメット・マジシャンズが飛翔し、砦へ向かった。

 

ジェレミー「ローランド!ナージャ!ケイティ!俺達も行くぞ!」

 

ローランド「はい!」

 

ナージャ「うん!」

 

ケイティ「OK!」

 

ジェレミー「ヴオオオオオオオオ!!!」

 

両目が青くなって魔喰人化し、猛ダッシュで砦へ向かう。

 

ローランド「アウウウウウウウン!!!」

 

咆哮と同時に魔物化し、ナージャとケイティを乗せて猛ダッシュで砦へ向かう。

 

リオ「デイジー!乗って!」

 

デイジー「うん!」

 

兵士から借りた馬に乗って砦へ向かう。

 

 

 

 

兵士E「あった・・・!!ダームの天幕・・・!!」

 

ダームの天幕を発見。

 

兵士E「長官!!ポートマン長官!!中に居られますか!?」

 

だが返事は無い。

 

兵士E「緊急時だ、仕方無い・・・失礼します!!」

 

中に入ると、ダーム副官が殺されていた。

 

兵士E「うっ・・・!?こ・・・これは・・・!?ダ・・・ダームの・・・副官殿・・・!?(・・・他には誰も居ない・・・一体・・・何が・・・!?ポートマン長官・・・まさか・・・本当に・・・)」

 

 

 

 

 

 

場所が変わって、砦では。

 

ラルフ「はぁ・・・はぁ・・・」

 

魔人C「気ぃ済んだかぁ?無力だなぁ、人間てのは。」

 

魔人D「それだけ束になっても俺ら魔人に傷ひとつ付けられねえんだもんなぁ。」

 

ラルフ(し・・・信じられん・・・!!我々は・・・戦闘のプロだぞ・・・!!魔人とは言え・・・向こうには、どう見ても素人・・・何故ここまで・・・!!災害級以上の・・・存在・・・くそ・・・何と言う事だ・・・!!まさか・・・事実だったと言うのか・・・!!)

 

魔人D「なあどうよ?俺等やっぱ最強じゃねェか!」

 

魔人C「違いねェ!此奴等片付けたら、改めて世界征服を狙おうぜ!」

 

サイード「バカかテメェ等!戦闘訓練も戦術のカケラも知らねぇお前達が魔人になって能力が上昇した程度で調子乗ってるから、毎度痛い目見てるんだろうが。せめて、それを学ぶアタマぐらい持っとけよ。」

 

魔人C「は・・・はは、サイードさん・・・」

 

魔人D「すいません・・・へへ・・・」

 

サイード「けどまあ心配すんな。それらを補えるこの俺が上手くお前達を使えば、間違い無く国の一つや二つ手中に出来る。(くく・・・思った通り動かねぇラドリー達より()()()の方がよっぽど使えるぜ。手駒は多いに越した事はねぇ・・・ようやく動ける時が来たって訳だ。)

 

魔人A「へへ、頼んますよサイードさん。」

 

魔人B「俺らで世界を統一しましょうや。」

 

ラルフ(くそ・・・更に・・・明らかに格上の魔人が・・・)

 

サイード「さて、勇敢なる軍人諸君。出来れば死ぬ前に答えてくれるとありがたい。連合軍と、それを率いるアルティマの面々は、この砦周辺に一体どれだけ集まっている?悪いが、さっさと片付けて俺達は他国へ進出してぇんだ。教えてくれねぇか?」

 

ラルフ「・・・・・」

 

兵士F「ちょ・・・長官・・・」

 

兵士G「長官?」

 

ラルフ(ア・・・アルティメット・マジシャンズによりスイードやクルトでの魔人討伐数は・・・軽く80を越えていた・・・こ・・・こんな連中を・・・苦も無く討伐したと言うのか・・・!?シン=ウォルフォード・・・!!タクト=クリスティ・・・!!”神の御使い”を名乗るなど・・・やはり私は許せん・・・!!そして指輪の魔法使いめ・・・その力で多くの魔人を討伐しおって・・・!!だが・・・その実力は・・・本物だったと言う事か・・・!我々は・・・恐らくここで全滅する・・・)

 

サイード「さあどうした?」

 

ラルフ「・・・・この場にどれだけの人間が居るか・・・だと?」

 

彼が魔人達に口を出した。

 

 

 

 

ラルフ「連合7ヶ国全軍だ!!無論アルティメット・マジシャンズも含めてな!!」

 

 

 

 

サイード「・・・何だと!?」

 

魔人A「オ・・・オイマジかよ!!聞いてたと話しが違うじゃねェか・・・!!」

 

ラルフ「一部の戦力を割いてここへ寄越したとでも思っていたか?くく、残念だったな・・・我々は総力を以って貴様らを叩き潰すつもりだ!!神に背き魔人などに堕ちた愚か者共が!!貴様らは一匹たりともここから逃げる事など出来んぞ!!!」

 

だが、サイードが投げた剣がラルフの心臓に突き刺さった。

 

サイード「余計な事まで喋んなバカが!不愉快だぜ!」

 

兵士B「ああ・・・長官・・・!!!」

 

ラルフが殺され、兵士達の怒りが爆発した。

 

兵士達「うわああああああああ!!!!!」

 

だがその時。

 

魔人E「フンッ!!!」

 

突如現れたフードを被った魔人が、兵士の剣を掴んだ。

 

兵士B「き、貴様!!!」

 

魔人E「手を出すな。」

 

その魔人は、兵士が持つ剣を砕き、兵士に向かって拳を振り翳す。

 

魔人A「チャンスだ!!このまま細切れにしてやる!!」

 

1人の魔人が兵士達を襲う。

 

魔人E「ハァッ!!!」

 

拳を振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

魔人A「がはっ・・・!?」

 

 

 

 

 

 

魔人達「っ!?」

 

サイード「っ!?」

 

兵士B「・・・!?」

 

魔人E「あの魔人達は俺の獲物だ。人間は手出しするな。」

 

何と、拳を魔人の腹部に貫通させた。

 

魔人A「テ・・・テメェ・・・!!気が狂ったか・・・!!」

 

魔人E「狂ってるのは、テメェらの方だ。」

 

彼は、魔人の脊髄を掴んで、そのまま打っこ抜いて殺した。

 

魔人B「テ、テメェ!!!」

 

激怒した魔人が、彼に襲うが。

 

魔人E「フンッ!!」

 

右手の人差し指と中指で魔人の両目を潰した。

 

魔人B「がああああああああああ!!!!!」

 

魔人E「人間共にも手を出すな。」

 

そのまま親指を魔人の口に突っ込み、3つの指で魔人の顔面を握り締める。

 

魔人B「ああああ!!あああああああああああ!!!!!!」

 

握り締められた魔人の顔の骨がバラバラになった。

 

魔人C「テメェ!!同じ魔人の俺達を裏切る気か!!」

 

魔人E「当然、仇を討つ為と、償いをする為だ。」

 

フードを脱いで顔を見せる。

 

サイード「やはりお前だったか・・・デリック!」

 

その魔人は、デリックと名乗る。

 

サイード「離反したお前が、何故ここに?」

 

デリック「俺は離反したお前達を離反した魔人だ。何をしようがお前らには関係無い。だからお前達をあの世へ逝かせてやる!!」

 

 

 

 

 

 

砦・屋上。

 

ヒース「オーイオイオイ・・・見ろよマジかアレ・・・2カ国3ヶ国の規模じゃねェぞ・・・」

 

ラドリー「・・・恐らくほぼ全軍だ。」

 

ヒース「なーにが『こっち方面の人間達を対処する』だよ・・・丸々砦に集まって来てんじゃねェか、くそっ・・・」

 

ラドリー「・・・最初からこれがゼストの狙いか。」

 

アメリア「どゆ事?」

 

ラドリー「人間達はシュトローム一派が帝都に身を潜めている事は知らない。侵攻途中で魔人達の気配があれば、当然そこが拠点の可能性も考える。」

 

ヒース「なァ〜〜〜〜〜るほど。その為に平民魔人共(チンピラ)をここへ寄越した訳か・・・」

 

アメリア「?」

 

ヒース「元々の俺達6人だけなら、ここが拠点だとは思わねェだろ。精々戦力の一部で対処しようとしたはずだ。所がそこに数十の魔人が加わってみろ。途端に”見せ掛けの拠点”の出来上がりだ。当然、俺らは人間達を対処するしか無い。少なからず連合軍の戦力は削れ、シュトローム一派(奴等)は苦も無くそれを眺めて居られるって寸法さ。」

 

ラドリー「俺達がここでくたばろうが、連合軍を全滅させようが、シュトローム一派(奴ら)にはプラスしにしかならない訳だ。」

 

アメリア「・・・あのオヤジ・・・」

 

ヒース「さて・・・で、どうする?俺らにはまだ()()()()()()()がある訳だが。人間達の動きを見る限り、砦に来るのは少数精鋭・・・恐らくはアルティマだけだろう。」

 

ラドリー「奴らを倒せば、その後はどうとでもなる。」

 

アメリア「決まりね。私、先に下行って来るよ。」

 

ラドリー「!」

 

ヒース「おっと、言った側からか。メインゲストの御到着だ。」

 

 

 

 

 

 

アルティメット・マジシャンズが砦に迫る。

 

アウグスト「砦周囲に連合軍が配備されているとは言え、魔人達はこの場で殲滅する事が大前提だ!各々肝に命じろ!クロード!ストーン!カールトン!砦の出入口を探して魔人達の逃亡を阻止しろ!!」

 

シシリー・ユーリ・オリビア「はい!!」

 

ティガ「ナージャとローランドとデイジーとグレアもシシリー達と一緒に奴らの逃亡を阻止しろ!」

 

ナージャ「分かった!」

 

ローランド「お任せを!!」

 

デイジー「分かったわ!」

 

グレア「気を付けてね!」

 

ユーリ「ナージャ、あんまり無理しないでね?」

 

ナージャ「分かってるわ。」

 

ローランド「行きましょう!」

 

7人が砦の出入口を探しに向かう。

 

シン(流石、ナイス判断だぜオーグ、タクト。あの3人は「攻め」より「守り」で力を発揮するタイプだ。おまけにナージャとグレアの魔力共有や、デイジーの剣術、ローランドの魔物の力で逃した魔人を倒す戦法だ。)

 

アウグスト「残りの13名は散開して魔人達を討伐!!」

 

ティガ「リオはアリス!ジェレミーはトニー!ケイティはトールと同行だ!」

 

リオ「うん!」

 

ジェレミー「任せろ!」

 

ケイティ「オッケーよ!」

 

ティガ「攻略作戦!行くぞ!!」

 

全員「了解!!」

 

シン「オーグ!俺は正面扉から攻め込むからな!」

 

ティガ「俺も行く!オーグ!その間に他の奴らを頼むぜ!」

 

アウグスト「ああ!気を付けろよ!!」

 

ティガ(シュトロームは何処だ?見付け出して説得してやる!)

 

 

 

 

 

 

砦の遠くでは。

 

ガラン「頼むぜェ・・・お前ら・・・!!」

 

 

 

 

 

 

リオ・アリス組。

 

アリス「っ!!リオ君!!見付けたよ!」

 

リオ「了解!!」

 

正面に魔人達を発見。

 

魔人F「っ!?何だオイ・・・ガキが紛れ込んでんぞ!」

 

魔人G「オイオイお嬢ちゃん、()()()()すんなら場所間違えてんぜェ。ここは魔人の・・・」

 

だが1人の魔人が2人を見て怯え始めた。

 

魔人H「ちょ、ちょ・・・ちょっと待て・・・そいつらは確か・・・!!」

 

アリス「前と同じ事言うなぁ!!!!!」

 

リオ「誰がガキだゴルァ!!」

 

ママゴトと言われ激怒したアリスとリオが魔人の顔面に強烈キックを浴びせた。

 

魔人G「げべら!!」

 

魔人F「な・・・何だこのガキャあ!?」

 

魔人H「ちょっと待てェーーーーー!!そいつら・・・アレだぞ!!!」

 

魔人F「・・・ま・・・まさかてめェら・・・!?」

 

アリス・リオ「アルティメット・マジシャンズ・・・!!!!」

 

 

 

 

 

 

ジェレミー・トニー組。

 

魔人I「き・・・き・・・来たぞォーーーーーーー!!!!奴等だぁ!!!!」

 

3人が魔人達を発見した。

 

ジェレミー「テメェら美味そうだな。少し食わせろよ。」

 

魔人J「ビビッてんじゃねェぞテメェ等!!たかが人間2人に何が出来るってんだ!!!俺ら魔人の恐ろしさを見せてやれ!!!」

 

ジェレミー「だったら、こっちは魔喰人の力を見せてやるよ!!」

 

両手の爪を伸ばした。

 

ジェレミー「さぁ、来やがれ!!」

 

魔人I「魔喰人・・・あの噂の・・・!?」

 

魔人J「き・・・聞いてねえぞ!!そんな奴と一緒だなんて・・・あれ!?」

 

言ってる最中に、両手の爪とバイブレーションソードで一刀両断された。

 

ジェレミー「何だよ、雑魚で面白くねえなぁ。」

 

殺した魔人達の肉を喰う。

 

トニー「まぁ、腕は成長してないみたいだねぇ。君らはあんまり。それじゃ結果は変わらないよ。」

 

ジェレミー「でも味の結果は上々だな。」

 

するとトニーに何がが迫って来る。

 

ジェレミー「ッ!!」

 

迫り来る炎に包まれた何かに気付いたジェレミーがそれを掴んだ。

 

トニー「ジェレミー!?」

 

ジェレミー「トニー、危なかったな。」

 

彼が掴んだのは、1本の矢だった。

 

トニー「矢・・・!?」

 

ジェレミー「飛び道具にも魔法にも警戒してたつもりだが、僅かな気配すら感じなかったぜ。」

 

握ってる矢を握って折った。

 

ジェレミー「トニー、気を付けた方が良いぞ。」

 

トニー「そうみたいだね。どうやら居るねぇ、()()()なのが・・・!」

 

ジェレミー「行くぞ。」

 

トニー「うん。」

 

 

 

 

遠くにラドリーが潜んでいた。

 

 

 

 

 

 

ケイティ・トール組。

 

魔人達「うがああぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

ケイティ「よいしょー!!」

 

魔人達「ぎゃああぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

爆裂魔法と回転斬りで魔人達を討伐していた。

 

ケイティ「やるじゃんトール!」

 

トール「いえ、ケイティ殿も中々で。よし、次行きましょう!」

 

ケイティ「よぉし!でもその前に・・・」

 

急にトールの方へ急接近する。

 

トール「ケイティ殿!?」

 

”ガキンッ!!”

 

彼女は、トールの後ろから彼を斬ろうとした離反魔人の剣を防いだのだ。

 

ケイティ「もう、不意打ちなんて卑怯だよ?ぷんぷん!」

 

トール「倒し切れなかった・・・!?」

 

ケイティ「いや、始めから近くに潜んでたみたいだよ?」

 

トール「え?」

 

離反魔人A「素人だなぁ。小娘みたいにトドメ刺すまで獲物から目ェ離すものじゃないぜ?更に言うなら。」

 

ガク「ッ!!」

 

今度はトールの横から迫るマッチョな離反魔人の腕を剣で防いだ。

 

ケイティ「トール、目に見えない場所の殺気にも配る事だね。そうでしょあなた?」

 

離反魔人B「小娘、中々分かってんじゃねぇか。狩り場においてはな。」

 

トール「両者共に接近戦闘の使い手・・・!!ケイティ殿・・・!」

 

ケイティ「分かってる。トール、無理しないように、ね!」

 

彼女は両手に剣を握り締めて離反魔人2人に接近する。

 

離反魔人A(っ!?この小娘・・・まさか・・・!?)

 

彼はケイティを見て何かを感じた。

 

 

 

 

 

 

正面扉から侵入したティガとシンは。

 

ティガ「ッ。」

 

入ると、兵士達の亡骸があった。

 

シン「っ!!ラルフさん!!」

 

その中にラルフ=ポートマンの亡骸があった。

 

ティガ「・・・・」

 

シン「どうだ?」

 

ティガ「駄目だ・・・手遅れだ。」

 

シン「まさか本当に行動に移すなんて・・・」

 

ティガ「あぁ、余程俺達を憎んでたんだろう。(誤解を解く前に死ぬなんて憐れだ・・・この戦いが終わったらリチャードに言わねえと・・・)」

 

周囲にはバラバラ死体までもあり、シンは怒りを覚える。

 

ティガ「っ!シン!」

 

シン「どうした?」

 

ティガ「あれを見ろ。」

 

シン「ん?・・・っ!」

 

隅にあったのは、魔人達の亡骸だった。

 

シン「魔人・・・!?」

 

魔人達の亡骸を調べる。

 

シン「ラルフさんが率いる兵士達に殺られたのか?」

 

ティガ「いや、それにしては違和感がある。」

 

シン「え?」

 

ティガ「見ろ。この魔人の腹部に穴が空いてる。おまけに脊髄まで抜かれてる。」

 

シン「本当だ・・・」

 

ティガ「それに此奴は、眼球が刳り抜かれ、顔の骨がバラバラになってる。」

 

シン「此奴らもしかして、ジェレミーが?」

 

ティガ「いや、ジェレミーはトニーと同行してる。それに彼奴は殺した魔人を喰う。このまま放置するなんて可笑しい。」

 

シン「確かに・・・」

 

ティガ(もしかして・・・誰かが殺ったのか?)

 

シン「ッ!」

 

ティガ「ッ!」

 

2人は後ろから放たれる気配を感じ取った。

 

シン「誰だ?」

 

ティガ「居るなら出て来い。」

 

奥から魔人達がゾロゾロとやって来た。

 

魔人E「へ・・・へへ・・・」

 

魔人C「久し振りだなぁ・・・つっても、そっちは俺らの顔なんか覚えちゃいねぇか。」

 

ティガ「・・・」

 

魔人C「・・・安心しろよ。闘う気ははねぇ・・・今更お前らに勝てるなんて思っちゃいねぇさ。」

 

シン「・・・・」

 

ティガ「おい、ここに居るのはお前らだけか?オリバー=シュトロームや配下の連中は何処に居る?」

 

魔人D「シュトローム・・・?へっへっ・・・誰だっけそれ?」

 

魔人E「居たなぁ、そんな腰抜け。」

 

シン「・・・!?(何言ってんだ此奴ら・・・!?シュトロームの指示で砦に居た訳じゃないのか・・・!?)」

 

テレパシーでシンと会話する。

 

ティガ(シン。恐らく奴らは、誰かに隠蔽するように言われてるかも知れない。)

 

シン(じゃあ、此奴らは知らないフリをしてるって言うのか・・・?)

 

ティガ(かも知れない。)

 

シン「お前ら一体・・・」

 

近付こうとしたが。

 

魔人C「おおっと!それ以上こっちへ来るんじゃねぇ!言ったろ?闘う気はねぇんだ。お前らだって無抵抗の相手を殺すのは嫌だろ?」

 

ティガ「まぁそうだな。俺も無抵抗な奴を殺すのは性に合わん。」

 

魔人C「そうだろ?だからよ・・・へへ。」

 

目を上に小さくチラッと見る。

 

魔人C「もう少しだけそこに居てくれや。」

 

ティガ「まぁ良いだろう。色々話でもしようか。」

 

2人の背後からサイードが剣を振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”ガキンッ!!”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だがサイードの剣を、ティガのハンドスラッシュで弾いた。

 

ティガ「此奴を駆逐した後にな。」

 

サイード「ちっ・・・!!」

 

シン「彼奴等、視線がずっと俺達の背後向いてんだ。奇襲するってバレバレだよ。」

 

ティガ「少しは頭でも使え。」

 

サイード「(くそっ!役に立たねぇ奴等だぜ・・・)気を悪くすんなよ。職業柄、正々堂々()るのはガラじゃなぇんだよ。元ハンターなんでな。」

 

シン(元ハンターの魔人・・・!!戦闘技術に長けている分、平民魔人より格上・・・!)

 

魔人C「背中ガラ空きだぜコラァーーーーーーーー!!!!!!」

 

背後からシンに剣を振り下ろそうとしたが、シンの指向性爆発魔法で消し炭にされた。

 

サイード(背後から襲うなら黙ってやんのが基本だ!バカ!)

 

魔人達「てめぇーーーーー!!!!!」

 

大勢の魔人達が襲って来る。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

ティガスライサーで魔人達の頭部を斬り裂いた。

 

シン「勘違いしてるようだから言っとくぞ。無抵抗の人間の命を散々奪って来たお前らを討伐するのに、今更微塵の迷いもねぇよ!!」

 

彼は怒りを燃やし、魔人達に指向性爆発魔法を何度も放ち続ける。

 

魔人E「な・・・何だよこの強さ・・・!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

シン「ハァッ!!」

 

サイード「ッ!?」

 

ゼペリオン光線とシンの指向性爆発魔法の同時攻撃が魔人達に炸裂して、砦の壁に大穴を開けた。

 

 

 

 

”ドゴオォォン!!”

 

 

 

 

魔人達は一瞬で討伐され、ここに残ったのはサイードだけになった。

 

サイード(こりゃあ驚いた・・・想像以上の大物だなぁ、此奴らは・・・)

 

ティガ「ッ?」

 

するとティガが何かを感じた。

 

ティガ「(この気配・・・)シン、ここ任せて良いか?」

 

シン「分かった。」

 

ティガが先へ行った。

 

サイード(1人居なくなったか。ちょっとマシになったかもな。)

 

 

 

 

 

 

同じ頃、アウグストの方は魔人達を既に何体か討伐して先へ向かう。

 

アウグスト(然程の広さはない砦に数十の魔人・・・制圧に時間は掛かるまい。警戒すべきはクルトで戦った魔人達だが・・・今の時点の様子や気配から見ても、恐らく奴らはここには居ない。しかし万に一つの可能性でも、ここにシュトロームが居るのなら・・・)

 

”キラッ”

 

アウグスト「!!!!」

 

暗闇に光った何かに気付き、襲って来る何かを魔力障壁で防いだ。襲って来たのは無数のナイフだった。

 

アウグスト(投擲!?一体何処から・・・?いや・・・まずそれよりも・・・自身で張った物理障壁を抜かれた・・・!)

 

戦闘服が先程のナイフの投擲で破れてしまっていた。

 

アウグスト(戦闘服の障壁と併用しなければ無傷では済まん・・・!)

 

先へ急ぐと、前方に光が。

 

アウグスト(敵は前方・・・!!)

 

このまま全速力で前へ進む。だが。

 

???「分かってて敢えて前進か。勇気ある判断だねェ。」

 

アウグスト「ッ!?」

 

今度は真後ろから無数のナイフが迫る。

 

アウグスト(前後から同時射撃!?障壁の発動が間に合わん!!)

 

前後からナイフが迫り来る。

 

”ガキンッ!!”

 

アウグスト「・・・!?」

 

だが、アウグストは無傷だった。

 

???「無茶すんじゃねぇよ。」

 

アウグスト「っ!?」

 

彼を助けたのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正面扉で魔人達を殺したデリックだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アウグスト「魔人・・・!?」

 

目の前に立つデリックを見たアウグストが構える。

 

デリック「勘違いすんな。俺はお前と戦う気はない。」

 

アウグスト「何?どう言う事だ?」

 

デリック「そんな事より、奴が来るぞ。」

 

現れたのはヒースだった。

 

デリック「ヒース・・・」

 

アウグスト「お前が手品師か。」

 

ヒース「はは。気になるなら()()を見せてやっても良いぜ。別に分かってどうこう出来るモンじゃねぇし。」

 

デリック「おいヒース!エミールは何処だ!」

 

ヒース「彼奴なら何処かへ行ったぜ。まぁ居場所が分かっても裏切り者のお前に教える気はねぇし。」

 

アウグスト(裏切り者・・・?彼が・・・?)

 

ヒース「初めまして。アルティマの魔法師殿。そして裏切りのデリック。ハンターの根城へようこそ。」

 

 

 

 

 

 

同じ頃マリアの方は。

 

マリア「待ちなさいよォ〜〜〜〜〜!!!!」

 

魔人F「冗談じゃねえ!!お前らなんか相手してられるか!!」

 

魔人G「クソがっ!!何であの化け物共がここに来てやがんだ!!」

 

マリア「化け物って、アンタらねェ〜〜〜〜・・・・」

 

全速力で逃げる魔人達を追っていた。すると魔人達の前に2人の影が現れた。

 

魔人達「ッ!?」

 

???「化け物って、私達まで含まれてるのかしら?」

 

???「それは聞き捨てならないわね。」

 

その影の正体は、イルゼとテッサだった。

 

マリア「誰?」

 

魔人F「おい女!!そこ退け!!」

 

魔人G「退かねえと・・・え?」

 

怒鳴ってる最中に2人の魔法で粉砕された。

 

イルゼ「そんな程度?」

 

テッサ「片腹痛いわね。」

 

イルゼ「あ。あなたね?マリア=フォン=メッシーナって子は。師匠から聞いてるよ。」

 

マリア「師匠?えっと・・・あなた達は?」

 

テッサ「話すのは後よ。まずは彼奴らを片付けてから。」

 

魔人H「く、来るんじゃねぇ!!!!」

 

そこに、魔人のアメリアが現れ、彼女の一振りが残った魔人達を引き裂いた。

 

アメリア「邪魔よ。()()は私の獲物だっての。」

 

イルゼ「テッサお姉ちゃん、彼奴・・・」

 

テッサ「一振りで魔人達を・・・」

 

マリア(魔人が一瞬でバラバラに・・・!!魔法!?いや・・・でも、魔力の反応は今・・・)

 

考えてる最中にアメリアが腕を振り上げた。

 

イルゼ「ッ!!危ない!!」

 

マリア「え?」

 

咄嗟にイルゼがマリアを押し、自分の長い髪が切られた。

 

マリア「え・・・!?」

 

更に足元が崩れ始めた。

 

イルゼ「ッ!!」

 

マリア(何かで斬られた!?しかも周囲の建物ごと・・・!?)

 

3人は下に落ちて着地した。

 

イルゼ「今のは・・・」

 

アメリア「よく躱したね。何百って言う魔物を狩って来たけど、初見で避けられたのは初めてだよ。」

 

テッサ「それはどうもね。」

 

マリア「魔法じゃないわね・・・アンタのそれ。糸・・・いや・・・何かもっと強度のある・・・」

 

アメリア「凄いね。そこまで気付いたの?じゃあヒントをあげようか。()()・・・魔道具よ。」

 

マリア・テッサ・イルゼ(それ?)

 

糸が急接近して来たが、マリアは風を起こして飛び、テッサとイルゼは大ジャンプで間一髪避けたが、服が少々破れた。

 

マリア「参ったわねぇ。国宝級防具が台無しだわ。」

 

テッサ「不意打ちを仕掛けるとは中々ね。」

 

イルゼ「もう、服が破れちゃったじゃない。」

 

アメリア(・・・!?あの一瞬で・・・自分の周囲に風とジャンプで無理矢理回避を・・・アルティマ・・・やっぱり只者じゃない・・・!!)

 

テッサ「ねぇ。あなたの魔道具って、もしかして鋼線かしら?目には見えない方の。」

 

アメリア「ご名答。”不可視”の付与がされた特別製の鋼線。それが私のハンター時代からの武器よ。」

 

マリア「元ハンターの魔人かぁ。道理で他の連中と戦術がまるで違うと思ったわ。怖いわねぇ。(あの切れ味・・・恐らく鋼線自体も魔力でコーティングしてる・・・!不可視の魔道具・・・!厄介だわ・・・!理屈上は戦闘服に付与された『光学迷彩』と同様に魔力完治で看破出来るはずだけど、鋼線が纏う魔力が僅か過ぎてとても目で追えない・・・!!)」

 

アメリア「安心しなよ。気付く間もなく、アンタ達の首を刎ねてあげるから。」

 

イルゼ「望む所よ。」

 

テッサ「あなた、無茶はしないでよね?」

 

マリア「分かってますよ。」

 

 

 

 

 

 

その頃ジェレミーとトニーは。

 

トニー「あの後は追撃が来る事もなく、すぐに気配が消えた。」

 

ジェレミー「恐らく狙撃専門の魔人だろう。殺気や気配を頼って矢を避け続けるのは無理がありそうだ。」

 

トニー「けど、何時何処から攻撃されるか分からない相手に、常に障壁を張り続ける訳にも・・・」

 

”ドゴォ!!”

 

目の前の壁から爆発が起きた。壁からリンが出て来た。

 

リン「トニー!ジェレミー!」

 

ジェレミー「リンか!」

 

トニー「リン!気を付け・・・」

 

”チリ・・・”

 

トニー「ッ!!」

 

高台から気配を感じた。その気配はラドリーだった。ラドリーは3人に向けて矢を放った。だがその矢はジェレミーとトニーではなく。

 

ジェレミー「狙いはリンか!!」

 

トニー「離れろリン!!矢だ!!」

 

リン「ッ!!」

 

彼の声で矢に気付いたリンが矢を避けた。

 

トニー「ほっ・・・」

 

だが、矢に異変が起こった。

 

ジェレミー「ッ!!リン!!」

 

リン「きゃあ!!」

 

それに気付いたジェレミーがリンを押し、矢から溢れ出た電撃を喰らった。

 

ジェレミー「グウゥゥ・・・!!!!!」

 

電撃が収まり、ジェレミーは膝を付いた。

 

リン「ジェレミー!?」

 

トニー「どうしたジェレミー!?あの矢に何が・・・!?」

 

ジェレミー「おい!来るぞ!」

 

 

 

 

ラドリー「逃すと思うか?その隙を。」

 

再び矢を放った。

 

 

 

 

ジェレミー「させるか!!!」

 

前に出たジェレミーが両手の爪で矢を防ぐ。

 

ジェレミー「くっ!!」

 

トニー「ジェレミー!!」

 

ジェレミー「かなり強力だな・・・!!俺を押してやがる・・・!!」

 

だが両手の爪に異変が。

 

ジェレミー「ッ!?」

 

するとそこにマークが駆け付け、ジェレミーを押してる矢を斬り落とした。

 

マーク「大丈夫ッスか3人共!?」

 

トニー「マーク!!」

 

ジェレミー「マーク!剣を捨てろ!」

 

マーク「え?」

 

突然剣が炎に包まれていく。

 

マーク「うおっ!?な・・・何スか!?剣が・・・!!くっ・・・ダメだ!」

 

捨てられた剣が燃え尽きた。

 

トニー「恐らく矢に付与された追加効果だ。」

 

ジェレミー「けど矢に当たれば致命傷。当たらずとも付随する魔法効果で動きを止められる二段構えも付与してあるな。」

 

燃えていく両手の爪を引っこ抜いて、新しい爪を伸ばした。

 

トニー「・・・やはりもう居ない。とことんヒット&アウェイに徹する気か。」

 

ジェレミー「こりゃあ、一筋縄では行けなそうだな。」

 

 

 

 

力押しだけの平民魔人や、純粋の戦闘技術で正面から攻めて来るクルトの魔人達とは違い、確実に獲物を仕留める事に特化した戦闘集団。それが元ハンターの魔人達。

 

 

 

 

その頃アウグストとデリックは。

 

ヒース「どうだい?魔法のスペシャリストのアンタならよく知ってる魔法だろ?俺には魔法の才能なんて大してありゃしねーからさ。使えるのはこれ位なんだよ。」

 

自分の周囲に無数の異空間収納を出現させた。

 

アウグスト(これは・・・異空間収納魔法・・・!?)

 

異空間収納から無数のナイフを出した。

 

ヒース「ふっ!!」

 

ナイフを異空間収納に全て投げた。すると異空間収納が2人を囲んだ。

 

アウグスト(何!?)

 

デリック「クッ!!」

 

先程ヒースが投げたナイフがその異空間収納から飛び出した。

 

アウグスト「ぐっ・・・!?」

 

デリック「クソッ!!」

 

魔力障壁で防ぐアウグストと、高速回転でナイフを弾くデリック。

 

アウグスト(放り込んだ異空間とつながる発射口をほぼ同時に開き、自在に多角攻撃を可能にしている訳か・・・!!)

 

デリック「・・・ヒース。やっぱりそのやり方は流石だな。」

 

ヒース「それはどうも。けど、身に付けた魔道具の防御障壁と高速回転で辛うじてダメージは防げるようだが、何時まで持つかねぇ?何しろこっちは手数だけは自信があるんでね。」

 

アウグストが着ている戦闘服を調べる。

 

ヒース(どう言う原理(カラクリ)か知らねぇが、魔道具に付与された障壁は物理・魔法共にハンパねェ。・・・だが、それに対し、コイツら自信は魔法防御の性能こそ驚嘆に値するものの、物理防御のそれは然程の物じゃねぇ。物理戦闘の経験が少ない魔法使いの特徴が露骨に現れてる。分は確実にこっちにあるぜ。)

 

 

 

 

他の所でも、彼等は元ハンターの魔人達と戦ってる。だがケイティとトールの所は。

 

ケイティ「ねぇどうしたの!もっと私を圧倒してみてよ!」

 

煽りながら圧倒してるケイティに、ハンター魔人達は。

 

ハンター魔人A(この娘・・・!!やはり彼奴の・・・!!)

 

ハンター魔人B(まだ生き残ってやがったのか・・・!!)

 

一体ケイティは何者なのか。

 

 

 

 

場所は戻ってアウグストとデリックの方。

 

デリック「お前、あのヒースは強力だ。どうする?」

 

アウグスト「・・・先に礼を言おう。」

 

デリック「え?」

 

ヒース「あん?」

 

アウグスト「久々に傷を負ったお陰で改めて腹を括れた。ここからは全力でお相手する。」

 

両手に電気が帯電した。

 

アウグスト「ああ・・・その前に一つだけ言っておくが、我々の名はアルティメット・マジシャンズだ。勝手に略すな。」

 

ヒース「・・・そりゃ失礼。」

 

 

 

 

 

 

数年前。

 

アメリア『街道付近に出没していた大型の魔物数匹。討伐完了したわ。ハンター協会には報告済みよ。』

 

まだ人間だった頃のアメリアが、貴族の男に魔物討伐の報告をしていた。

 

貴族『そうか。御苦労。君らと専属の契約を結んだのは正解だったようだねェ。しかし、君のような美人がハンターをやってるなんて・・・珍しいねェ。ハンターだけやらせておくには勿体無い。』

 

チラチラとアメリアの胸を見る。

 

アメリア『・・・失礼するわ。』

 

貴族『ああ・・・ちょっと待て。序でにもう1つだけ頼まれてくれないかねェ。他所の貴族連中から回って来た()()()()にそろそろ飽きてきててねェ。序でに処分しといてくれないか?無論、協会には通せない仕事だからこの場で金は払うよ。』

 

ハンターA『・・・そんなのは俺達ハンターの仕事じゃ・・・』

 

ハンターB(オイ!下手な事言うな。)

 

貴族『地下室の突き当たりの部屋に幾つか転がってる。競売に出すなり動物のエサにするなり好きにしてくれ。』

 

 

 

 

地下室へ向かう。

 

ハンターA『胸糞悪い。アメリア、お前は見るな。先帰ってろ。』

 

アメリア『良いよ。汚れ仕事には慣れてる。』

 

地下室の扉を開けるとそこには・・・貴族達に弄ばれた美女達が転がっていた。そしてアメリアの目にある人物が写った。

 

 

 

 

 

 

現在・魔人領。

 

アメリア「アンタ達、アールスハイドの学院生だけで組織された部隊なんだって?凄いわねぇ。知識も教養もあって、才能にも恵まれて、まるで別世界のお話だわ。」

 

マリア「アンタも定刻に恨みを持って魔人になったってクチなの?ハンターって立場を得られていたなら・・・ある程度の生活は保証されてたんじゃない訳?」

 

アメリア「帝国のハンター協会は完全に国営だからね。全ての情報は国に握られて徹底して管理されてる。元平民がハンターになったからって待遇が変わるはずない。それでも僅かな収入は得られる。身を守る技術も身に付く。そんな程度よハンターを始めた理由は。ただ・・・そこが本当に救いようのない国だと悟ったのは、ハンターになった後の話だったけどね。アンタ達、名前訊いても良い?」

 

テッサ「私はテッサ。」

 

イルゼ「イルゼよ。」

 

アメリア「そう。じゃあアンタ・・・名前訊いても良い?」

 

マリア「っ?・・・マリア=フォン=メッシーナよ。」

 

アメリア「っ!!あはっ!あははははっ!ははははっ!!」

 

突然アメリアが笑い始めた。

 

イルゼ「何が可笑しいの!」

 

アメリア「やっぱりねぇ・・・口振りからひょっとして・・・とは思ってたのよ。他国の貴族の娘かぁ。・・・嬉しいわ。」

 

マリア「?」

 

アメリア「アンタを殺す為の明確な理由が出来た。」

 

すると3人の周囲に風が巻き起こった。

 

マリア「はっ!!」

 

テッサ「なっ!?」

 

イルゼ「ちょっ!?」

 

マリア(マズい・・・!!何時の間にか周囲を・・・!?)

 

アメリア「喋ってる間も戦闘中よ。覚えといてね。」

 

マリア(相手のモーションだけじゃ鋼線の動きが予測出来ない・・・!動きを読めない限り・・・攻撃に転じられない・・・!!)

 

アメリア「その2人共々輪切りにしてあげる!!」

 

風が3人を輪切りにしてしまった。

 

 

 

 

 

 

その頃ケイティ・トール組。トールが離反魔人に向けて強烈な魔法を飛ばした。ケイティはもう1人の離反魔人と対峙中。

 

離反魔人A「スゲー魔法だな。感心するぜ。帝国でもそこまでの使い手は見た事ねぇぞ。(違う。これじゃ間合いを詰めさせない為の単なる威嚇射撃だ。)」

 

ケイティ「あっ!!」

 

もう1人の離反魔人が標的をトールに変えた。

 

トール(動きに撹乱されて、狙いが定まっていない!シン殿やタクト殿程の魔力量が無い自分には広範囲を攻める魔法は使えない!一点集中で片方を仕留めようとすれば・・・当然、もう片方に間合いを詰められてしまう!)

 

彼の後ろに離反魔人が迫った。しかし。トールの戦闘服の防御力が防いだ。

 

離反魔人B「魔人の攻撃を防ぐ障壁は大したモンだが、それじゃ防戦一方になるばかりだな。」

 

ケイティ「魔人にそれを教えられるとはね・・・」

 

離反魔人A「俺らは5年間2人でハンターやって死線を潜って来てんだ。コンビネーションにミスは出ねェぜ!さぁ〜〜〜、何処まで持つか見せてくれよ!!」

 

2人がトールを囲んだ。

 

トール(くそっ!!)

 

ケイティ「ちょっと〜〜〜〜〜!!!!」

 

そこにケイティが割り込んだ。

 

ケイティ「ちょっと君君!私を置いていくなんて酷過ぎるよぉ!」

 

離反魔人B「フンッ!俺達平民の裏切り者の娘が口を挟むな!」

 

トール(平民の・・・裏切り者の娘・・・?)

 

ケイティ「でも私と遊んでくれないと駄目だよ?」

 

離反魔人A「そうかい。だったら先にテメェから始末してやる!!」

 

2人の離反魔人がケイティに急接近する。しかし。

 

 

 

 

 

 

何者かが現れ、1人の離反魔人の顔面に強烈パンチして殴り飛ばした。

 

 

 

 

 

 

離反魔人A「がはぁっ!!!」

 

ユリウス「そこまでで御座る!!」

 

トール「・・・・!!」

 

ケイティ「ユリウス!!」

 

その正体は、ユリウスだった。

 

ユリウス「我が相棒トールと、我が友のケイティ殿にこれ以上手は出させんで御座る!!」

 

トール「ユリウス・・・!!助かりましたよ!」

 

ケイティ「もしかして、私達がピンチだって事に気付いたの?」

 

ユリウス「いや、道に迷って偶々発見しただけで御座る。」

 

トール「・・・」

 

ケイティ「ありゃま。」

 

離反魔人B「巫山戯るなよ!接近タイプの戦力が増えた所で何か変わると思ってんのか?」

 

ケイティ・トール・ユリウス「・・・・・」

 

離反魔人B「・・・!?な・・・何だよ?」

 

トール「何か変わるって・・・いや、大違いでしょ?」

 

離反魔人A「くそ・・・油断したぜ・・・ナメんな人間のガキ共が!!!」

 

猛ダッシュで3人に急接近するが、トールが足元に魔法弾を飛ばした。

 

離反魔人A「笑わせる!!仲間が来た所で狙いは定まってねェぜ!!」

 

だが周囲に煙幕が蔓延した。

 

離反魔人B(いや・・・狙いは別だ!煙幕か・・・!!)

 

ユリウス「魔法で足を止めて接近で仕留める!基本中の基本で御座る!!」

 

飛び出したユリウスが特大パンチで離反魔人を殴り飛ばした。

 

離反魔人B「がはっ!」

 

ケイティ「これで終わりだよ!!」

 

離反魔人B(何!?)

 

飛ばされる方向にケイティが立っていた。

 

ケイティ「そりゃあ!!」

 

離反魔人B「がっ・・・!!」

 

彼女が振るう剣が離反魔人の胴体を両断した。

 

トール「狩り場における心得は大変参考になりましたけど、元ハンターのあなた方は少し獣を相手にするのに慣れ過ぎていたみたいですね。シュトローム配下の魔人であれば、恐らくこんな単純な手に引っ掛からないでしょう。」

 

離反魔人A「っ!!黙れガキがーーー!!!!!」

 

ケイティ「そうはさせないよ!!!」

 

前に出たケイティが離反魔人を高く蹴り上げた。

 

離反魔人A(う・・・嘘だろ・・・!?)

 

ケイティ「これで終わりだよ!!」

 

ジャンプして剣を振り、離反魔人を一刀両断した。

 

離反魔人A(バカな・・・!!)

 

一刀両断された離反魔人が落ちた。

 

ケイティ「終わったよ!」

 

ユリウス「お疲れで御座る!」

 

トール「・・・5年間コンビを組んでたって言いましたっけ?共に居た年月が全てだとは思いませんけど。僕らこれでも物心付いた時から10年以上の付き合いですよ。腐れ縁ですけど。」

 

ケイティ「やっぱり小さい頃から一緒に居るとコンビネーションの経験が違うね。」

 

トール「ケイティ殿。先程彼が言っていた平民の裏切り者の娘とは?」

 

ケイティ「う〜ん・・・それはこの戦いが終わったら話すよ。次行くよ?」

 

トール「分かりました。それは兎も角ユリウス・・・こんな程度の場所で迷わないで下さいよ?」

 

ユリウス「はは!次からはもっと早く駆け付けるで御座る!」

 

トール「何で迷う前提なんですか?」

 

ケイティ「だったら今度は私達が駆け付けるで御座るよ?」

 

ユリウス「おぉ!ケイティ殿頼もしいで御座る!」

 

トール「ケイティ殿も何ユリウスの真似してるんですか・・・」

 

ケイティ「何か面白くて。」

 

 

 

 

 

 

同じ頃アウグストとデリックの方は。

 

”ドゴオオオン!!!!”

 

巨大な落雷が、ヒースの真横に落ちた。

 

ヒース「うっはぁ〜〜〜すっげェなあ・・・!こんな魔法初めて見たぜ・・・」

 

デリック(とてつもない魔力・・・!これが彼奴の魔法か?)

 

アウグスト「威力重視すると狙いがブレる傾向があるな。うむ、改善しよう。次は当てるぞ。

 

ヒース(・・・こりゃアレだな・・・うん。想定外って奴だ。どうやら寝ている虎を起こしちまったかな?・・・ただ・・・攻撃魔法発動時はそっちに魔力を変換する必要があるせいで、魔道具によるガードが出来ていない。逆に言えば此奴らは普段の戦闘時、攻めと守りで瞬時に魔力を使い分けるなんてとんでもねー事をしてる訳だ。しかし当然そこが『穴』になる・・・!!無敵に見える此奴らの弱点・・・!魔法使用時に無防備な状態を狙い撃つ・・・!!)

 

するとアウグストがヒースに向けて巨大な稲妻を飛ばした。

 

ヒース「うおっとォ!!」

 

避けてから魔法弾6発飛ばす。アウグストが魔力障壁で防ぎ、デリックが両手で弾いた。

 

デリック「クッ!!」

 

アウグスト(障壁では貫かれる以上仕方無いが、いちいち戦闘服のガードを発動させねばならんのが煩わしいな。)

 

ヒースが再びナイフを投げた。

 

アウグスト(避けられる攻撃は単純に避けた方が・・・)

 

デリック「っ!おい気を付けろ!!」

 

アウグスト「?」

 

彼が投げたナイフが異空間収納へ放り込まれた。

 

アウグスト「何!?」

 

後ろに異空間収納が現れ、そこからナイフが飛んで来た。

 

アウグスト(ちゃちゃなフェイントを・・・!!)

 

後ろのナイフを防御してると、ヒースの姿が消えていた。

 

アウグスト(消え・・・)

 

デリック「来るぞ!」

 

アウグスト「何!?」

 

上に異空間収納が現れ、無数のナイフが飛び出した。2人は猛ダッシュで避ける。

 

デリック「ちくしょう・・・!!」

 

アウグスト(くそ!一帯を破壊したのが裏目に出た!姿を隠して攻撃されては発射のタイミングが全く掴めん・・・!!)

 

 

 

 

外ではヒースが先回りしてる。

 

ヒース(魔力感知で俺の位置は把握出来るだろうが・・・目視されなきゃまあ問題ねぇ。)

 

 

 

 

砦内。

 

アウグスト「(下手に魔法を放てば、奴に攻撃のチャンスを与えてしまう。・・・仕方無い。覚悟を決めるか。)おいお前、デリックって言ったな?」

 

デリック「あ、あぁ。」

 

アウグスト「少し離れてろ。」

 

デリック「え?」

 

言われた通り少し離れる。そこにヒースが来た。アウグストは無防備のまま立ってる。

 

ヒース(何のつもりだあの野郎・・・足を止めた上に・・・デリックを離れさせて、障壁も魔道具のガードも使ってねェ・・・!?・・・まあ良いさ。お望みとあらばくれてやるよ。回避不可能な刃の雨を!!)

 

無数の刃を握った。

 

アウグスト(来た!!)

 

周囲に無数の異空間収納が出現した。

 

デリック「なっ!!おい!!逃げろ!!」

 

ヒース(喰らいやがれ!!!!)

 

アウグスト「ッ!!!」

 

無数のナイフがアウグストに直撃して大爆発を起こした。

 

デリック「なっ・・・!?」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子
グレア:高橋李依
ジェレミー=ダンクルク:前野智昭
ローランド:山本和臣

ガラン:竹内良太

テッサ:奥野香耶
イルゼ:楠田亜衣奈

ラドリー:小林竜之
ヒース:山本祥太
アメリア:佳村はるか
サイード:村田大志
エミール:高梨謙吾

デリック:福山潤

兵士:大泊貴揮
   安田陸矢

騎士:松田修平
   狩野翔
   石谷春貴

副官:野瀬育二

魔人:佐久間元輝
   田所陽向
   橘龍丸

ラルフ=ポートマン:小上裕通





次回予告

突如現れた離反魔人の力に圧倒されるアルティメット・マジシャンズ。果たして、彼らに勝てる術はあるのか。

次回ウルトラマンティガ

魔人領攻略中編=反撃の魔法師団=

お楽しみに


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第24話「魔人領攻略中編=反撃の魔法師団=」

魔人領攻略中編=反撃の魔法師団=
オリバー=シュトローム、離反魔人 登場



アウグスト「(下手に魔法を放てば、奴に攻撃のチャンスを与えてしまう。・・・仕方無い。覚悟を決めるか。)おいお前、デリックって言ったな?」

 

デリック「あ、あぁ。」

 

アウグスト「少し離れてろ。」

 

デリック「え?」

 

言われた通り少し離れる。そこにヒースが来た。アウグストは無防備のまま立ってる。

 

ヒース(何のつもりだあの野郎・・・足を止めた上に・・・デリックを離れさせて、障壁も魔道具のガードも使ってねェ・・・!?・・・まあ良いさ。お望みとあらばくれてやるよ。回避不可能な刃の雨を!!)

 

無数の刃を握った。

 

アウグスト(来た!!)

 

周囲に無数の異空間収納が出現した。

 

デリック「なっ!!おい!!逃げろ!!」

 

ヒース(喰らいやがれ!!!!)

 

アウグスト「ッ!!!」

 

無数のナイフがアウグストに直撃して大爆発を起こした。

 

デリック「なっ・・・!?」

 

ヒース(これで終わりだな。)

 

ナイフが全てアウグストに命中し、ヒースが笑う。だが。

 

ヒース「はっ!!」

 

展開していた異空間収納から電撃が放たれた。

 

ヒース「がぁっ!!!!」

 

その電撃がヒースに直撃した。

 

ヒース(何・・・だ・・・!?どっから・・・攻撃が・・・!?)

 

デリック「どうなってんだ?・・・異空間収納!?」

 

ヒース「まさかテメェ・・・!」

 

全てのナイフを受けたアウグストだが、彼は健在だった。

 

アウグスト「この傷に見合う分とは思えんが・・・一矢は報いたようだな・・・」

 

 

 

あの時アウグストは全てのナイフを避けながら、自身の得意とする電撃魔法をヒースが展開した異空間収納に撃ち込んだのだった。

 

 

 

デリック「おい、大丈夫か?」

 

アウグスト「あぁ・・・すまない。」

 

ヒース「ひ・・・他人(ひと)の異空間を利用しやがるとは・・・しかもそれだけのダメージを受ける覚悟の上で・・・何つー野郎だテメェ・・・」

 

アウグスト「異空間魔法の発現場所が何処だろうと、お前自身と異空間の出入り口・・・そして私の位置は必ず直線上になければならない道理になる!つまり・・・現れた異空間に真っ直ぐ魔法を撃ち込めば、必ずその先にお前が居るはずだろう・・・!?」

 

ヒース「・・・!!」

 

アウグスト(最も・・・シンとのピンポイント射撃の修行がなければ、不可能だったかも知れん策だがな・・・)

 

するとアウグストの戦闘服が光り、傷が徐々に修復されていく。

 

アウグスト「それにな、()()()の傷ならば、衣服に付与された”自動治癒”によって回復出来るんだ。我々は。」

 

デリック「傷が・・・!」

 

ヒース「は・・・!?付与・・・!?治癒魔法じゃ・・・ねーのかよ・・・傷だけじゃなく、血の汚れまで消えてっから妙だと思ったぜ・・・な・・・何なんだよお前らの・・・その魔道具・・・完全に反則モノじゃねーか・・・!」

 

傷が完全に修復され、アウグストが態勢を立て直す。

 

ヒース(彼処までのダメージも無効となると、奴をぶっ倒すには即死級の攻撃が必要・・・ラドリーの矢なら兎も角、俺のナイフじゃ難しい・・・おまけにデリックは回避の達人・・・俺のナイフやラドリーの矢も軽々と避ける・・・こっちとしても今以上のダメージは色々とマズい・・・ここで無理するメリットは何もねェな・・・)

 

アウグスト「さあ・・・行くぞ!」

 

ヒース「・・・悪り、逃げるわ!」

 

その場から逃げるヒースに、アウグストがポカンと見てる。

 

デリック「おい、見送ってる場合か?」

 

アウグスト「はっ!しまった!」

 

デリック「待ちやがれヒース!!!」

 

アウグスト「絶対に逃がさん!!!」

 

全速力でヒースを追う2人。

 

ヒース(うお〜〜〜〜!彼奴等恐ぇぇ〜〜〜〜!!)

 

砦の曲がり角へ入って行く。2人も曲がり角を曲がってヒースを追うが。

 

アウグスト・デリック「っ!」

 

ヒースが一瞬の隙に姿を消していた。

 

デリック「何処行きやがった!?」

 

アウグスト(気配が消えた・・・!?だが魔力の反応はそれ程離れていない・・・砦の外へ出た訳ではなさそうだが・・・)

 

デリック「くっ!見失ったか・・・!」

 

アウグスト「いや、彼奴はまだ近くに居る。砦の外に出ていないようだ。」

 

デリック「分かるのか?」

 

アウグスト「あぁ。魔力を感知した。」

 

デリック「お前は凄いな・・・そうだ、アンタ名前は?」

 

アウグスト「アウグスト=フォン=アールスハイドだ。」

 

 

 

 

 

 

その頃、マリア達は。

 

アメリア「っ!?(仕留めた手応えが・・・ない・・・!?)」

 

3人は姿を消していた。

 

マリア「はあ・・・自分の魔法で自分を吹っ飛ばしたり、無理矢理足元爆破して土まみれになったり・・・厄日だわホント・・・」

 

イルゼ「ちょっと派手過ぎたかしら?」

 

テッサ「口に砂が入っちゃったよ・・・」

 

3人はマリアが作った穴に落ちていて無事だった。

 

テッサ「もう口が気持ち悪い!」

 

魔法で生成した水を口に入れて漱ぐ。

 

テッサ「ぺっ!ふぅ、スッキリ!」

 

イルゼ「マリア、汚れ落してあげるわ。」

 

風の魔法で土まみれになったマリアを綺麗にしてあげた。

 

マリア「ありがとうございます。」

 

イルゼ「どう致しまして。」

 

アメリア「・・・・」

 

マリア「ねェ、ちょっと訊きたいんだけど。シュトロームが帝国民を虐殺していた時期、アンタもそれに参加してたの?」

 

アメリア「・・・まーね。平民よりもハンターの方が戦力になるって理由だろうけど・・・多分。私らにはかなり早い時期から魔人化に関しての誘いが掛かってたわ。シュトロームの幹部にも元ハンターだった人間が居るしね。」

 

マリア「元々の帝国の情勢はある程度知ってるし、平民が貴族に恨みを持つのは分かるわ・・・だけど何でアンタ達・・・自分達と同じ平民にまで手を掛ける事が出来たの・・・!?」

 

イルゼ「帝国民もあなた達と同じ人間なのよ。何か理由があるのかしら?」

 

アメリア「・・・・感覚よ。魔人化した時に最初に感じたの。『ああ自分は・・・人でないものになったんだな』って言う決定的な感覚。不思議でしょ?見た目も対して変わらないのに、価値観がまるで一変するの。人を人として見る事が出来なくなる。・・・まるで虫や家畜でも相手してるかのように思えて来る。」

 

マリア(・・・以前シュトロームが言ってた・・・)

 

 

 

 

シュトローム『この体になってからは、人間を何とも思わなくなった。』

 

 

 

 

マリア(あれはシュトローム個人の話じゃなくて・・・)

 

アメリア「唯一残っていた人間としての名残りは、ずっと抱いていた恨みや怒りから来る強い目的意識だけ。年寄りだろうと幼子だろうと、命を奪うのに何の抵抗も無かったわ。()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

テッサ・イルゼ「・・・・」

 

彼女の話を聞いたテッサとイルゼが黙るが、マリアは右手を握った。

 

マリア「分かった。アンタの言葉を借りるなら、私もアンタを倒す為の理由が出来たわ。」

 

アメリア「そーゆーのって、倒せる見込みがない時に言ってもカッコ付かないよ。」

 

マリア「負けないわよ!・・・私達はもう魔人になんか!!」

 

彼女は右手を掲げた。アメリアが何かを感じた。

 

アメリア(今・・・何をした!?魔法!?周囲に何かを・・・くっ!!!)

 

魔法を飛ばしたが、マリアが避けた。

 

イルゼ「避けた!」

 

アメリア(っ!?正確に・・・避けた・・・!?何で・・・!?はっ!!)

 

後ろを見ると、風が周囲に広がっていた。

 

アメリア(空気・・・いや、風・・・!?彼奴らの風の魔法がこの空間一帯を覆うように渦巻いて・・・!!)

 

マリア「不可視ってだけで、鋼線自体はそこにあるんだから、私と魔力で繋がった風と水蒸気が僅かでも抵抗を受けなければ、鋼線の位置と攻撃の軌道くらいはどうにか予測出来そうね。」

 

アメリア「(何なのよコイツ・・・!!常人にそんなマネ出来る訳が・・・!!)だから何よ!!予測出来るからってどうやって鋼線の合間を掻い潜って・・・!!」

 

次々と迫り来るアメリアの魔法を、マリアが避け続ける。

 

 

 

 

シン『威力や範囲を最小限に抑えて、極力獲物を傷付けずに倒す。』

 

 

 

 

風の弾丸がアメリアに向かって放った。風の弾丸が、アメリアの脾臓を貫いた。

 

マリア「・・・舐めないで!どれだけ”魔王”と”超古代の戦士”の下で訓練したと思ってんの・・・!?」

 

脾臓を貫かれたアメリアが仰向けに倒れた。

 

マリア「悪いけど・・・私がアンタの感覚を理解する事は、多分この先一生無いわ。だって私は人間だから。使命だとか、人類を守る義務だとか、私自身はそんなに大それた事言う気はないけど、守りたい人達は沢山居る!アンタ達魔人が人を人と思わず私の大事なものに手を掛けるって言うなら、何を置いても私は全力でそれを阻止する!!

 

アメリア「・・・・・」

 

マリア(アンタ達だって元々は人間で、誰だって少し位はそんな思いを持ってたはずなのに・・・魔人って悲しい存在ね。)

 

 

 

 

次の場所へ向かう途中。

 

イルゼ「マリア、大丈夫?」

 

マリア「えぇ、助けてくれてありがとうございます。」

 

テッサ「敬語は良いわ。普通に接してくれるかしら?」

 

マリア「え、えぇ。あの、2人は一体何者なの?」

 

テッサ「その話は少ししたら話してあげるわ。」

 

 

 

 

一方ヒースは、マリアに倒されたアメリアを発見していた。

 

ヒース「アメリア!!やられたのかよお前!?馬鹿野郎・・・!だから深追いすんなって・・・!!」

 

アメリア「ごほ・・・良いよ・・・やっぱり・・・ア・・・アルティマは強かった・・・戦って・・・負けて死ねるなら・・・それはそれで・・・

 

ヒース「オイ!マジで死ぬ気か!?しっかりしろ!!まだ目的果たせてねーだろが!!」

 

アメリア「・・・マシでしょ・・・人に利用されて死んだり・・・弄ばれて殺されるよりは・・・さ・・・

 

ヒース「・・・お前の・・・知り合いか何かの話か・・・?」

 

アメリア「難儀よねぇ・・・すぐに死ねない体ってのも・・・昔・・・依頼を受けた貴族の屋敷で・・・幼い頃に別れた・・・双子の妹をたまたま見付けたの・・・

 

 

 

 

彼女が人間だった頃、依頼を受けた貴族の屋敷の地下で生き別れになった妹と偶然再会したのだった。

 

 

 

 

アメリア「散々貴族共の慰みものにされた後の・・・心も体も壊された後の姿だったけどね・・・()()()()はこの国じゃ日常茶飯事だって・・・知ってたけど・・・戦う力を身に付けていなかったら・・・きっと自分もこうなっていたんだろうって・・・もう1つの自分の未来を見てしまった気がして・・・気付いた時には、その屋敷の貴族の、血溜まりの中に1人立ってたわ・・・

 

ヒース「・・・」

 

アメリア「協会を通して全て知られ・・・国から追われる身となった私は・・・頼みの綱だった当時のハンター仲間の所へ逃げ込んだけど・・・

 

 

 

 

ハンターA『俺達は他国へ亡命するよ・・・関係者である以上、俺達にも追っ手が来るかも知れない・・・』

 

ハンターB『悪いが・・・お前達を連れて行く事は出来ない・・・』

 

 

 

 

アメリア「アールスハイドやエルス・・・当時から帝国の・・・亡命者を受け入れる国はあったけど・・・それが貴族を手に掛けた人間となれば話は別・・・況してや帝国内で私達の力になってくれる人間なんて・・・誰1人居なかった・・・生き抜く為に・・・お金を得る為に・・・ありとあらゆる事をしたけど・・・地獄にも近いそんな日々でも・・・唯一の肉親を救い出せた事で・・・私は心を保ててた・・・でも・・・

 

 

 

 

数年前。アメリアと妹のリノンは小さな小屋で暮らしていた。

 

アメリア『じゃあ出て来るよリノン。朝には戻るから。』

 

リノン『アメリア・・・お姉ちゃん・・・もう・・・充分だよ・・・私は・・・もう言い・・・終わらせて・・・お姉ちゃんの手で・・・』

 

アメリア『・・・!?』

 

リノン『私達・・・何でこんな国に生まれちゃったのかな・・・?誰も助けてくれない・・・力になってくれない・・・弱ければ人としても扱われない・・・何で誰も見ないフリなの・・・?何で知らないフリをするの・・・?帝国の外には・・・豊かで幸せな国・・・いっぱいあるんでしょ・・・?まるで夢見たいだよね・・・幸せな国の人達は・・・何で不幸せな私達を誰も助けてくれなかったの・・・?』

 

彼女はリノンを救ったつもりだったが、リノンの心には何も救われてなかった。

 

 

 

 

アメリア「・・・その2日後だったわ・・・妹が自ら命を絶ったのは・・・妹を救えなかった自分を責めて・・・腐り切った貴族が搾取を続ける帝国を責めて・・・そんな状況を知りながら・・・まるで他人事のような他国を責めて・・・魔人になった今・・・結局何もかも許す事が出来なくなっちゃったみたい・・・だから・・・良い・・・のよ・・・順序は違っちゃったけど・・・私自身を殺す事も・・・魔人になった時の目的だったから・・・

 

ヒース「・・・安心しろよ。残りの目的は俺が代わってやる。」

 

アメリア「・・・ありがと・・・嘘でも・・・うれ・・・し・・・

 

彼女はヒースに感謝しながら、静かに息を引き取った。

 

ヒース「・・・・」

 

亡くなったアメリアを見てると、後ろにラドリーが現れた。

 

ヒース「居たのかよ。」

 

ラドリー「・・・・」

 

ヒース「ラドリー。悪いが少し、予定変更して良いか?」

 

彼らが次なる一手を下す。

 

 

 

 

 

 

その頃ティガは、何かを感じた方へ向かっていた。

 

ティガ(この感じ、シュトロームじゃないが・・・もしかしたら・・・)

 

辿り着いた場所は、大広間。

 

ティガ「・・・・」

 

その大広間に入ると。

 

???「〜♪」

 

誰かの鼻歌が聞こえた。

 

ティガ「っ!」

 

鼻歌を歌ってる者は・・・

 

 

 

 

 

 

???「ヤッホォー!タクト!久し振りだね!3年振りだっけ?」

 

 

 

 

 

 

椅子に座って足を組んで剣を拭いているボロボロの黒いドレスを纏ってる少女だった。

 

ティガ「お前は・・・ベルゼ。」

 

ベルゼ「そうだよ!魔人化した貴族少女のベルゼちゃんだよ〜!いやぁ〜、あの時戦って以来姿を消したんだよね〜。それにお気に入りのドレスもボロボロになっちゃったんだよねぇ〜。でも、物事はポジティブに考えないと、私の免疫力が低下するからね!あなたは、私に希望をくれた。」

 

ティガ「俺に、復讐する希望か?」

 

ベルゼ「昔の事なんかどーでも良い!それより、今日をどう生きるか!あなたがどう死ぬかだよ!!」

 

両手から血で生成した魔法弾を連射し、ティガが避けながらハンドスラッシュを連射する。

 

ベルゼ「よっと!」

 

彼女もハンドスラッシュを避けながら魔法弾を連射する。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

ウルトラ念力でベルゼを宙に浮かせたが、一瞬で解かれた。

 

ベルゼ「さぁ、来なさい!!」

 

同時にジャンプして、スラップショットと剣が激しくぶつかる。

 

ベルゼ「タクト、前より強くなったんじゃない?私見惚れちゃった。」

 

ティガ「巫山戯るな!!」

 

スラップショットで何度もベルゼとぶつかる。

 

ティガ「ベルゼ!お前はここで何を企んでるんだ!あの魔人達と共謀してるのか!」

 

ベルゼ「彼奴等?知らないよ?」

 

ティガ「何だと?」

 

ベルゼ「私はね、あなたとあなたの仲間達が来るのをずっと待ってただけよ。彼奴らはただ、私の別荘を勝手に陣取ってるだけ。」

 

ティガ「何?」

 

ベルゼ「それに、私はただある目的の為にあなた達を待ってたのよ。それはね、私の予知を外してくれる事。」

 

ティガ「お前の予知だと?」

 

ベルゼ「そうよ。ん?・・・そろそろね。」

 

彼女は後ろにステップして距離を取る。

 

ベルゼ「もうすぐここも終わりみたいね。」

 

ティガ「何?」

 

ベルゼ「終わる前に特別に教えてあげる。この後、あなたの国にとてつもない恐怖が舞い降りるわよ?」

 

ティガ「恐怖だと?」

 

ベルゼ「うん。それと、さっきまであなたと一緒に居たあの男が危ないわよ?あの男、もしかしたら死ぬかも知れないわよ?」

 

ティガ「シンだと?・・・」

 

ベルゼ「どうするの?」

 

ティガ「・・・ベルゼ、勝負はお預けだ!」

 

そう言って、ティガがその場を去った。

 

ベルゼ「・・・さてと、私もそろそろ行こうかな?」

 

 

 

 

 

 

同じ頃シンは、サイードと戦っていた。

 

サイード「何者なんだてめェはよォ〜。あんだけの魔法使いながら、剣も扱えんのかよ!」

 

彼はチラッと下を見て、シンから距離を取った。そして、足元にある地面を踏むと、その地面が凹み、シンの後ろの壁が開き、そこから無数の矢が飛び出した。

 

シン「ッ!!」

 

だがシンがそれに気付き、魔力障壁で防いだ。

 

サイード「まだだ!」

 

今度は真上から巨岩が落下した。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

そこに現れたティガが、フラッシングアタックで巨岩を斬り裂いた。

 

シン「タクト!」

 

ティガ「戻って来たぜ。」

 

サイード(ちっ!もう戻って来やがったか。なら!)

 

高速で横へ移動し、壁のスイッチを押した。すると2人の足元が消え、2人が落下した。

 

サイード「は、ははっ!落ちた!!落ちやがった!!ザマァ見やがれ!!ここは敵の潜入も見越して造られた特殊要塞だ!!こっちは何処に何の仕掛けがあるのかきっちり把握してんだよ!!」

 

落とし穴を確認しに行くと、サイードが驚愕した。

 

シン「小細工だけか?お前が出来るのは。」

 

ティガ「そんなんで倒せると思ったのか?」

 

2人が浮遊して戻って来た。

 

サイード「な・・・何だてめェらは・・・!!何なんだよ・・・!!に・・・人間だろ・・・!?な・・・何でそこまでの力が・・・!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ハンドスラッシュを連射する。

 

サイード「ちぃっ!!」

 

剣でハンドスラッシュを防いだ。その隙を見たティガとシンがサイードに急接近する。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

スラップショットとバイブレーションソードでサイードを斬り裂いた。

 

サイード「が・・・!!」

 

直撃されたサイードが倒れた。

 

シン「ここまでだ。」

 

サイード「くそ・・・ようやく存分に力を振るえる時が来たと思ったのによォ・・・慎重に動いた結果がコレかよ・・・やってられねぇぜ・・・

 

ティガ「シュトロームを探したが、何処にも居なかった。お前達の目的を教えろ。あの帝国を拠点にして、他国を侵攻するんじゃねぇのか?」

 

サイード「侵攻ねぇ・・・まあ、そんな目的で魔人になった連中が大半なんだろうけどなぁ・・・俺みたいにな・・・

 

シン「・・・シュトロームは違うのか?」

 

サイード「知らねぇよ・・・詳しくは・・・

 

彼は、あの時を思い出した。

 

 

 

 

ブルースフィア帝国を滅亡させた後。

 

シュトローム『帝国を滅亡させる事が、私の目標でしたからね。もうする事が無いんですよ。』

 

魔人A『何を仰っているのですか!!』

 

魔人B『そうです!この勢いで次は隣国を攻め取り、そのまま世界を統一し・・・』

 

シュトローム『世界統一?何の話です?何故そんな面倒な事をしなければいけないのです?』

 

 

 

 

サイード「全員じゃないが・・・俺らハンターもどっちかって言えば帝国を滅ぼした後は、世界侵攻が目的になりつつあったからな・・・(シュトローム)とはとっくに袂を分かってたんだよ・・・

 

ティガ「何だと?」

 

シン(そう言う事だったのか・・・魔人達(此奴等)は帝国滅亡の時点で目的意識の違いからの仲間割れを・・・スイードでの稚拙な襲撃にはそんな裏が・・・となると、クルト侵攻時は・・・恐らくだが2つの魔人の組織が動いていたと考える方が自然か。オーグ達が戦ったのは、シュトローム派の魔人達と言う事か・・・ただ・・・シュトロームに世界侵攻の意志が無いにも拘らず、俺達を狙って来たのは・・・っ!!シュトローム派の中にも・・・シュトロームの意志とは別の目的で動いてる連中が居る・・・!?)

 

サイード(くそ・・・結局・・・シュトローム側に付いてた方が得策だった・・・っつー事かよ・・・まあ、どの道(シュトローム)に魔人化させられてなければ・・・帝国の片隅でくたばってただけの人生だ・・・下らねーこの国をブッ潰せただけで楽しめたってモンか・・・感謝するなんてガラじゃねーが、せめて死ぬ前に手土産を置いてってやるよ・・・)

 

ティガ「ッ!!シン!!」

 

シン「ん?なっ!!」

 

倒れてるサイードが魔力を集束し始めた。

 

シン「魔力を溜め込んで・・・!!」

 

ティガ「お前まさか!!」

 

サイード「てめェらみたいな化け物を道連れにあの世へ行けんなら・・・魔人になった甲斐もあるってモンだ・・・!

 

ティガ「お前、自爆する気か!?」

 

 

 

 

 

 

外では、砦に巨大な魔力が漂っていた。

 

兵士「何だ!?砦の方で・・・!!」

 

 

 

 

砦内では。

 

リオ「オルァ!!」

 

リオが魔人を倒している。

 

アリス「これは・・・リオ君!」

 

リオ「どうした?・・・ッ!魔力が!?」

 

 

 

 

トニー「誰かが・・・」

 

リン「魔力を集中させてる・・・!?」

 

ジェレミー「この魔力・・・魔人が!?」

 

 

 

 

デリック「この異様な魔力・・・まさか・・・!!」

 

アウグスト「暴走させる気か・・・!?」

 

 

 

 

ローランド「ガァウ!!」

 

出入口でローランドが魔人を喰っている。

 

ナージャ「ッ!この力・・・!」

 

デイジー「何・・・!?」

 

ローランド「ん?誰かが魔力を集めてる・・・?」

 

グレア「タクト・・・!」

 

シシリー「シン君・・・!?」

 

 

 

 

砦正門。

 

サイード「くははっ!!!

 

ティガ「マズい!!魔力が急速に増えてる!!」

 

シン「タクト!もし付近に他のメンバーが居たら、暴走に巻き込まれるぞ・・・!!」

 

ティガ「どうする!!」

 

シン「止める方法は1つ・・・!!暴走前に奴の息の根を止める!!」

 

バイブレーションソードを握り、サイードに接近する。

 

ティガ「止せ!!シン!!」

 

そして・・・

 

 

 

 

ドゴーーーーーーン!!!!

 

 

 

 

魔力が暴走し、巨大な爆発が起こった。その爆発にティガとシンが巻き込まれた。

 

 

 

 

その大爆発は、外に居るガラン達も目撃した。

 

エドガー「な・・・何だ!?」

 

兵士「この規模の爆発・・・何者かが魔力を暴走させたのでは・・・!?」

 

ガラン「オイオイ・・・大丈夫かよ・・・!!」

 

 

 

 

崖の上からベルゼが大爆発を眺めていた。

 

ベルゼ「おぉ〜。凄い大爆発だねぇ〜。んじゃ、そろそろ次の行動を開始しよっか。」

 

彼女は不敵な笑みを浮かべ、馬に乗って何処かへ去って行った。

 

 

 

 

その近くでは、1人の少女が砦から出て来た無数の何かを捉えていた。

 

少女「・・・・・」

 

 

 

 

 

 

砦。

 

シシリー「シン君!!」

 

爆心地に駆け付けたシシリーがシンを探すが、何処にも居なかった。

 

シシリー「そんな・・・シン君・・・」

 

だがそこに、ティガとシンが魔力障壁の中に入って助かっていた。

 

ティガ「シシリー?」

 

シン「あ、無事だったかシシリー。良かった。」

 

シシリー「良かったじゃありませんよシン君!!シン君に何かあったかと思ったじゃないですか!!!」

 

シン「わぁ!シ・・・シシリー!?」

 

シシリー「シン君の事だから、きっと暴走に私達が巻き込まれないように敵の懐に飛び込んでトドメを刺しに行ったんでしょう!?しかも間に合わなかったんじゃないんですか!?」

 

シン(スゲェ・・・ピッタリ読まれてる・・・)

 

ティガ(完璧だ・・・)

 

シシリー「実際そうなっても、障壁を張る位なら私達だって出来ます・・・もっと私達を信じて下さい・・・それより・・・シン君に何かあったら・・・私・・・私ぃ・・・」

 

シン「ゴ・・・ゴメン・・・」

 

そこにアウグストとデリックが。

 

アウグスト「派手にやられたな、シン。大丈夫か?」

 

シン「オーグ。ん?そいつ誰だ?」

 

アウグスト「あぁ、彼は私を助けてくれた者だ。」

 

デリック「デリックだ。」

 

ティガ「ん?お前、魔人か?」

 

シシリー「え!?」

 

シン「オーグ!離れろ!!」

 

デリック「勘違いするな。俺は人間を殺す気は0だ。」

 

ティガ「どう言う事だ?」

 

デリック「奴等は俺の家族を殺したんだ。だから俺は自ら志願して魔人化した。家族を皆殺しにした魔人達を殺す為に。」

 

アウグスト「それがお前の事由か。」

 

デリック「そうだ。」

 

ティガ「ジェレミーとほぼ同じか。」

 

アウグスト「それと、魔力感知で確認する限り、味方は全員無事だ。敵は・・・後数体程か。先行してここへ来た部隊は発見出来たか?」

 

ティガ「あぁ。ダーム軍のラルフが発端だった。けど彼奴はもう殺されてしまった。それと、ラルフ達の近くに魔人達の遺体が転がってたが、あれは一体?」

 

デリック「あぁ、それ俺が殺した奴等だ。」

 

ティガ「お前だったのか。」

 

そこに、一部のメンバーも合流した。

 

ケイティ「ヤッホー皆!」

 

ティガ「ケイティ。皆。」

 

オードリー「へぇ〜、アルティメット・マジシャンズって結構強いのね。」

 

アウグスト「ん?イルゼにテッサか?」

 

テッサ「殿下!お久し振りです!」

 

イルゼ「ご無沙汰しております。アウグスト殿下。」

 

アリス「えっと・・・」

 

イルゼ「イルゼよ。宜しく。」

 

テッサ「私はテッサ。イルゼお姉ちゃんの妹。宜しくね。」

 

イルゼ「あなた、ティガ・・・タクト=クリスティかしら?」

 

ティガ「え?あぁ、そうだが。」

 

テッサ「やっぱり。お父さんの言った通りね。」

 

ティガ「お父さん?アンタ等の親父さん、俺の事知ってんの?」

 

イルゼ「えぇ。あなたの身近な人よ。」

 

ティガ「?」

 

シン「それより、シュトローム側の事情が少し分かったよ。」

 

アウグスト「?どう言う事だ?」

 

サイードが自爆する直前に言った事を話した。

 

アウグスト「そうか・・・奴等仲間割れを・・・確かにそれは貴重な情報だな。」

 

シン「問題はシュトローム自身への対処だよな。世界侵攻の意思が無いとは言え、奴がして来た事を考えると・・・」

 

アウグスト「放置は出来ん・・・が、恐らく、不戦協定を結んで終了だろうな。」

 

シン「良いのかよ?それで解決した事に出来るのか?」

 

ティガ「・・・・」

 

アウグスト「下手に刺激して、これ以上世界に混乱を招く事は決して得策とは言えん。それにシン、お前だって分かっているだろう?これ以上の魔人領侵攻はもはや現実的ではない。全軍を以って制圧した砦が本命ではなかたっと知った時の失望感は想像に難くない。兵の士気も、残された兵力も、正直最後まで保つとは思えん。超大型の災害級の存在が何よりの痛手だった。釈然としない気持ちは大いに分かる。だが、それが今に出来る最良の妥協案だ。」

 

ティガ(不戦協定じゃダメだ・・・シュトロームを救う事がこの戦いに終止符を打つ鍵なんだ。)

 

アウグスト「さあ、その前に!今はまず、この場に残った魔人の殲滅を・・・」

 

するとアリスから、驚きの言葉。

 

アリス「・・・ねぇ・・・ちょっと待って!?可笑しいよ!!残った魔人の魔力の反応が・・・急にこの砦から離れて行ってる!!」

 

全員「!?」

 

アウグスト「確かに・・・完全に砦の外へ出ているぞ!!逃げたのか!?」

 

アリス「ひょっとして、シシリーが居た出入口から出て行ったんじゃ・・・!?」

 

シシリー「い・・・いえ・・・結局出入口は・・・正面扉以外に1カ所しか無かったんです・・・だから、そこは今もユーリさんとオリビアさんとナージャさんとローランドさん達が居てくれる筈・・・」

 

シン「・・・どうなってんだ・・・!?」

 

ティガ「・・・・まさか!!」

 

先程のサイードの戦いを思い出して理解した。

 

アウグスト「タクト、何か分かったのか!?」

 

ティガ「さっきシンと一緒に戦った魔人が、砦の壁や床のスイッチを押して仕掛けを作動していた・・・もしかしたら・・・出入口は・・・!!」

 

 

 

 

 

 

遡る事数分前。ラドリーとヒースが砦内を歩いてる。

 

ヒース「すげー爆発音だったな。」

 

ラドリー「恐らくサイードだ。奴の相手だけは強さの次元が違ってたからな。魔力を暴走させる位しか手が無かったんだろう。」

 

ヒース「プライド高けー彼奴らしいぜ。タダでくたばるのが気に入らなかったのかね?」

 

ラドリー「待て、ここだ。」

 

砦の壁のスイッチを押した。すると壁が開き、秘密の隠し通路が現れた。

 

ヒース「アルティマの奴等、夢にも思わねーだろな。こんな仕掛けが砦中に無数にあるなんてよ。」

 

この砦には、無数の隠し通路があった。

 

ヒース「ま、お陰であの野郎から逃げ切れた訳だが・・・」

 

ラドリー「偶々俺達がこの地方の人間達の襲撃に派遣されたのが幸運だった。当時はこの仕掛けに俺達も一泡吹かされたものだがな。」

 

 

 

 

隠し通路。

 

ラドリー「それで?これから何処へ襲撃に向かうんだ?」

 

ヒース「アルティマはアールスハイドの部隊だったよなぁ。じゃあ決まりだろ。」

 

ラドリー「あのレベルの戦力が出払っている事実は確かに。王国を攻める唯一のタイミングとも言えるな。」

 

ヒース「良かったのかよラドリー?お前は別に・・・他国の侵攻や制圧なんて目的じゃなかっただろ?」

 

ラドリー「・・・人と魔人とが、永久に交われぬ存在だと言う事は、無論、魔人になる前から理解はしている。望まぬ争いは何れ必ず起こる。仮にそうなったとしても不必要に力を振るうつもりは無いが・・・それが”仲間の弔い”であるなら・・・二の足を踏む理由は無い。」

 

ヒース「・・・礼は言っとくぜ。俺はただ、感情で動いてるだけだからな。派手な花火上げてやろうぜ。帝国(ここ)からでもアメリア(彼奴)が見えるようにな。」

 

彼等は、次なる作戦に移った。

 

 

 

 

 

 

隠し通路を出た先には。

 

ラドリー「むっ。」

 

ヒース「おお!?こんな場所まで軍の包囲網が張られてんのかよ。」

 

複数の兵達が包囲網を張っていた。兵達が後ろに振り向くと、魔人の2人の魔力に気圧されて恐怖心が舞い上がった。

 

兵達「・・・ま・・・魔・・・人・・・!?」

 

 

 

殺されると思いきや、ラドリーとヒースは兵達の間を普通に歩いて無視する。

 

ヒース「アールスハイドはどっちの方角だ?」

 

ラドリー「この出口は砦から見て南西方面だったな。街道沿いにここまま進んでも良いが、追っ手を撒くなら少し山間に進路をズラすべきだ。」

 

ヒース「よっしゃ。んじゃ、いっちょ飛ばして行くかね。」

 

2人は猛ダッシュでアールスハイド王国へ向かった。

 

 

 

一方兵達は、2人が去ったが、恐怖心はまだ残ってる。

 

兵士A「じ・・・冗談・・・だろ・・・!?」

 

兵士B「あ・・・あんな魔力・・・と・・・止めようがねえよ・・・」

 

兵士C「・・・っ!!長官・・・い、いや!!部隊長に報告だ!!急げ!!魔人の逃亡を確認!!向かった先は・・・アールスハイド方面だ!!!」

 

 

 

 

 

 

砦では。

 

ティガ「くそっ!やられた!」

 

ラドリーとヒースが通った隠し通路を発見した。

 

シン「奴等・・・こんな物まで・・・!」

 

イルゼ「どうやらこの砦、幾つもの隠し通路があるみたいね。」

 

ティガ「残りの奴等は何処へ行ったんだ?」

 

透視能力で逃亡した魔人の行方を捜す。

 

ティガ「・・・っ!居た!何処かへ走ってるようだ。場所は・・・っ!?」

 

アウグスト「どうした!?」

 

ティガ「これは・・・ヤバいぞ・・・!」

 

リオ「どうしたのタクト!何がヤバいの!?」

 

ティガ「・・・悪い皆、俺先に行く。」

 

デリック「何?」

 

アウグスト「どう言う事だ!説明しろ!」

 

ティガ「奴等・・・アールスハイド方面へ向かってる!!」

 

全員「っ!?」

 

ティガ「先に行く!お前等は全員合流と同時に来い!!」

 

リオ「タクト!ナージャとローランドを呼びに行く!僕達も!」

 

ティガ「分かった!チャァッ!!」

 

飛翔した。

 

 

 

 

同じ頃砦の入り口では。

 

魔人A「が・・・・・」

 

燃やされた魔人が倒れた。

 

魔人B「た・・・助けてくれーーーー!!!!」

 

ローランド「逃がすか!!!」

 

パニックになって逃げ出す魔人を、ローランドが喰い荒らした。

 

オリビア「これで砦内の魔人は全て討伐・・・ですね。」

 

デイジー「しぶとかったわ・・・」

 

ユーリ「後は、外へ逃げた魔人2体を残すのみよねぇ。」

 

ナージャ「はぁ、疲れた・・・」

 

ローランド「ナージャさん、大丈夫ですか?」

 

グレア「無茶し過ぎたんじゃない?」

 

ナージャ「えぇ・・・」

 

オリビア「そろそろ皆と合流した方が良さそうですね。」

 

ユーリ「そうねぇ。急いだ方が良いかもぉ。」

 

ナージャ「ん?ねぇ、外見て。」

 

オリビア「え?」

 

外では、朝日が昇っている。

 

オリビア「朝日・・・」

 

ユーリ「出来たら魔人を討伐して、スッキリ朝を迎えたかったけど、どうも波乱の予感しかしないわねぇ。」

 

ローランド「兎も角急ぎましょう。皆さん待ってます。」

 

リオ「ナージャ!ローランド!」

 

そこにリオとケイティが来た。

 

リオ「タクトが逃げた魔人共を追ってる!僕達も行くよ!」

 

ユーリ・オリビア「え!?」

 

ローランド「何ですって!?」

 

ナージャ「隙を見て逃げたって訳ね・・・分かったわ!ローランド!」

 

ローランド「はい!乗って下さい!」

 

ケイティ「行こう!!ジェレミーも向かってる!」

 

ナージャ「グレア!おいで!」

 

グレア「うん!」

 

ローランドにナージャが乗る。

 

ナージャ「ユーリ、オリビア、私達は先に行く。後で合流して。」

 

オリビア「分かりました!」

 

ケイティ「行くよ!!」

 

ローランドとナージャとケイティが先に行く。

 

リオ「デイジー!急ごう!」

 

デイジー「えぇ!」

 

 

 

 

同じ頃、森の中では。

 

ベルゼ「あれれ?」

 

目の前に魔物達が立ち塞がっていた。

 

ベルゼ「もう、邪魔するのが好きなの?だったらそこを退いて貰うよ!!」

 

 

 

 

 

 

遠くの崖の上では、1人の少女がラドリーとヒースを追跡してるタクトを見ていた。

 

少女「ジネヴラ。」

 

ジネヴラ「えぇ。見えてるわ。」

 

猫のジネヴラもタクトの姿を見てる。

 

ジネヴラ「ジュリアン、どうする?」

 

ジュリアン「行くしか無いよ。行くよ!」

 

崖を飛び降りて、全速力でダッシュする。

 

 

 

 

 

 

ティガ、ナージャ、ケイティ、リオ、デイジー、グレア、ジェレミー、ローランドを除くアルティメット・マジシャンズが合流した。

 

アウグスト「我々は今すぐ魔人を追ってアールスハイドへ向かう!!各国軍は一時的に待機し報告を待て!!!」

 

各国軍に伝達し、アールスハイド方面へ飛翔する。

 

 

 

 

砦では。

 

デリック「奴等め・・・!!」

 

隠していた馬に乗り、ラドリーとヒースを追う。

 

イルゼ「テッサ、そろそろ行くわよ。ハンナ達は向こうで待ってるわ。」

 

テッサ「分かった。」

 

馬に乗って何処かへ向かう。

 

 

 

 

 

 

アウグスト「我々・・・いや!私の大失態だ!くそっ!」

 

シン「落ち着けよオーグ!」

 

トール「無線通信では王都に連絡出来ない・・・一度ゲートで戻りますか?」

 

ユリウス「しかし、それだと魔人の追跡を諦める事になるで御座る。奴等の目的地がアールスハイドとは限らんで御座る・・・」

 

オリビア「・・・あの、一部のメンバーのみ王国に戻るのは?」

 

マリア「上手く行けば挟み撃ち出来る・・・けど、当てが外れた場合、少数で彼奴等を相手するのは相当キツいわよ。」

 

トニー「逃げた連中は確実に手練れの魔人・・・!僕等でもあまりマトモに相手したい奴等じゃないよねぇ。」

 

マーク「それにこの時間差なら、浮遊魔法で追う方が恐らく早いッスよ・・・!!」

 

シン「・・・決まりだな!全員で索敵をかけながら魔人を追跡しよう・・・!!恐らくタクトと合流出来るだろう・・・!!」

 

だがそんな中、シシリーがある事に気付いた。

 

シシリー「・・・!!」

 

シン「っ!?どうしたシシリー?」

 

シシリー「シ・・・シン君・・・私達・・・大事な事を忘れています・・・!!魔人の向かった先がアールスハイドだと言う事は・・・つまり・・・その前に・・・」

 

シン「アールスハイド王国軍・・・!!!」

 

そう、彼処にはアールスハイド王国軍が居るのだった。

 

アウグスト「そうか!くそっ・・・!!追う事と到着場所だけでそこまで頭が回っていなかった・・・!!奴等が向かう先にはアールスハイド王国軍が・・・!!」

 

シン(くそっ・・・!!こんな事ならやっぱりジークにーちゃん達にも無線通信機を渡しておけば良かった・・・!!他国からの心証を考えると、アールスハイドのみ特別扱いするのはアルティメット・マジシャンズ(俺達)との関係上良く無い・・・!!そう思っての事だったが・・・完全に裏目に出た・・・!!いや、待てよ!?)

 

異空間収納から無線通信機を取り出した。

 

アウグスト「シン?」

 

シン「タクトなら連絡出来そうだ!テレパシーで・・・」

 

 

 

 

 

 

その頃ティガはラドリーとヒースを追跡中。

 

リオ「おーーい!!」

 

そこにリオ達が合流した。

 

ティガ「リオ!皆!」

 

リオ「お待たせ。行こう!」

 

ティガ「よし。っ?」

 

脳裏に何かが聞こえた。

 

リオ「どうしたの?」

 

ティガ「テレパシーだ。」

 

その声の主は、シンだった。

 

シン『タクト!聞こえるか!?』

 

ティガ『シン?どうした?』

 

シン『タクト!逃亡した魔人がアールスハイド方面に向かってる。けどアールスハイド方面に向かってるって事は・・・!』

 

ティガ『・・・っ!王国軍か!!』

 

シン『あぁ!だから王国軍と鉢合わせさせるな!!俺達も追跡してる!!急いでくれ!!』

 

ティガ『分かった!!』

 

声が消えた。

 

ティガ「くそっ!王国軍に犠牲者を出させてたまるか!!おい皆!スピードを上げるぞ!」

 

スカイタイプへタイプチェンジした。

 

リオ「うん!」

 

ジェレミー「ウオオオオォォォォ!!!」

 

ローランド「アウウーーーーン!!!!」

 

全員が高速化になり、ラドリーとヒースを全速力で追う。

 

 

 

 

 

 

一方アルティメット・マジシャンズは。

 

シン「タクトに伝えた!」

 

アウグスト「よし!皆!急ぐぞ!!」

 

シン(絶対に鉢合わせさせるか!!)

 

超高速でアールスハイド方面へ。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子
グレア:高橋李依
ジェレミー=ダンクルク:前野智昭
ローランド:山本和臣

テッサ:奥野香耶
イルゼ:楠田亜衣奈

エドガー:間宮康弘
ガラン:竹内良太

ラドリー:小林竜之
ヒース:山本祥太
アメリア:佳村はるか
サイード:村田大志

デリック:福山潤

ジュリアン:小松未可子
ジネヴラ:小宮有紗

リノン:八木侑紀

ベルゼ:澁谷梓希

ハンター:大泊貴揮
     安田陸矢

兵士:松田修平
   狩野翔
   石谷春貴

魔人:野瀬育二
    佐久間元輝

オリバー=シュトローム:森川智之





次回予告

逃げ出した離反魔人を追うアルティメット・マジシャンズ。アールスハイド王国に危機が迫る時、救世主が現れる。

次回ウルトラマンティガ

魔人領攻略後編=福音の時=

お楽しみに


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第25話「魔人領攻略後編=福音の時=」

魔人領攻略後編=福音の時=
ベルゼ=クラスティール、離反魔人 登場



アールスハイド方面へ逃亡するヒースとラドリーを追うティガ達だが。

 

ティガ「くそっ!見失ったか・・・奴等、索敵妨害魔法使いやがって・・・!ナージャ!索敵出来るか?」

 

ナージャ「ダメ・・・こっちでも索敵出来ない・・・」

 

リオ「このままじゃアールスハイドが危ない・・・!」

 

索敵妨害魔法で2人を見失って留まっている。

 

ティガ「アールスハイド王国軍は何処に居るんだ?」

 

???「おーーい!!」

 

ティガ「ん?」

 

下の方を見ると、1人の人物がこっちを見て叫んでる。

 

ティガ「あれ?彼奴!?」

 

リオ「ねぇ、どうしたの?」

 

急降下し、その人物の前に着地した。

 

ティガ「ジュリアン!何でここに!?」

 

ジュリアン「ヤッホータクト!7年振りだね。」

 

その人物の正体は、ジュリアンだった。

 

ジェレミー「お前、タクトの知り合いか?」

 

グレア「ジュリアン!」

 

ジュリアン「ヤッホーグレア!」

 

ナージャ「2人の知り合い?」

 

ティガ「あぁ。」

 

リオ「女?」

 

ティガ「いや、男だ。」

 

ジネヴラ「誰かと思ったらジェレミーにローランドだったのね。」

 

ジェレミー「ジネヴラ!?」

 

ローランド「ジネヴラ!無事だったんだね!」

 

2人は猫のジネヴラと面識がある。

 

ナージャ「喋る猫?」

 

ケイティ「可愛い〜!」

 

デイジー「もふもふしてるわね。」

 

ティガ「ジュリアン、どうしてここに?」

 

ジュリアン「実はね、あの砦にベルゼが潜んでるのを掴んでて。僕はそこへ行こうとしたんだけど、砦から現れた魔人達を追ってたらここまで来ちゃって。」

 

ティガ「お前、ベルゼを捜してたのか?」

 

ナージャ「ベルゼ?」

 

ジュリアン「うん。あれ以上させないと思ってね。」

 

グレア「彼奴、まだ自分の思想に・・・」

 

ジュリアン「ねぇ、タクトはあの魔人達を追ってたんじゃないの?」

 

ティガ「そうだった!けど見失ってな、丁度アールスハイド王国軍の居場所を確かめようとしてたんだ。」

 

透視能力でアールスハイド王国軍の居場所を特定する。

 

ティガ「見えた!っ!逃亡魔人が迫って来てる!お前等、いきなりですまないが一緒に行くか?」

 

ジュリアン「うん!連れてって!」

 

ジネヴラ「私も行くわ!」

 

ケイティ「早く行こう!」

 

ティガ「よし!」

 

アールスハイド王国軍の場所へ高速で向かう。

 

 

 

 

 

 

その頃、アールスハイド王国軍は魔人領へ移動中。

 

ジークフリード「はぁ・・・本来なら俺達が1番に旧帝都に辿り着いてたはずなのに・・・な〜〜〜んで別の場所に集まってやがるかな魔人共・・・」

 

クリスティーナ「何度目ですか?その愚痴は。馬にでも話し掛けてるんですか?」

 

ジークフリード「てめェなぁ!!」

 

クリスティーナ「何ですか?」

 

この2人の喧嘩は相変わらず。

 

ミランダ「ま・・・まあまあ。落ち着いて下さいお2人共・・・大事なのは、確実に魔人を討伐する事なんですから・・・」

 

喧嘩する2人をミランダが抑える。

 

セシリア「ミランダちゃんの方が大人ですね。」

 

シルビア「引率してる生徒に窘められてどうするんですか?ジーク先輩。」

 

ジークフリード・クリスティーナ「・・・・」

 

2人は顔を外方向く。

 

ジークフリード(最初っから俺1人馬飛ばしてたら、今頃シン達と合流出来てたよな・・・連合軍の大舞台だったのに、アールスハイドは一体何をやって・・・ん?)

 

前方に、ティガ達が着陸した。着陸と同時にティガがマルチタイプに戻った。

 

ティガ「皆!!」

 

クリスティーナ「タクト!?」

 

ジークフリード「タクト!?それにあなた達も!?何でここに!?それに、その娘は・・・?」

 

ティガ「その話は後だ!もうすぐこっちに来るぞ!」

 

ジークフリード「来るって何がだ?それよりシン達は何処に・・・っ!?」

 

何かの気配を感じたジークフリードが黙り込んだ。

 

クリスティーナ「どうしたんですか?」

 

ナージャ「ジークフリード。どうやら感じたみたいね。」

 

ジークフリード「あぁ。オイお前等。索敵しろ。」

 

馬車に乗ってるセシリア達が索敵魔法を発動する。すると彼女達に戦慄が走った。

 

セシリア「う・・・ふぅ・・・」

 

シルビア「な・・・何ですか・・・!?この・・・気配・・・!?」

 

兵士A「おい!進軍を止めろ!!魔法師団の様子が可笑しいぞ!!」

 

兵士B「こっちもだ!!」

 

すぐに進軍を停止させた。そこにルーパーが駆け付けた。

 

ルーパー「オイ!ジーク!!気付いたか!?」

 

ジークフリード「団長・・・ヤバいッスねコレ・・・」

 

ティガ「ルーパー団長!」

 

ルーパー「クリスティ君!?君達も!?何故ここに!?」

 

ティガ「話は後だ!」

 

クリスティーナ「・・・一体何なんです?さっきから・・・」

 

ティガ「クリス、落ち着いて聞け。」

 

ジークフリード「デカい魔力がすぐそこまで近付いて来てる。しかもこれは・・・魔人の魔力だ!」

 

クリスティーナ「っ!!魔人・・・!?」

 

ルーパー「反応は2つ・・・方向からしても発見した砦から来たに違いねェ。何処に向かってるかは知らねェが・・・」

 

クリスティーナ「っ!?シン達が・・・取り逃がしたって事ですか!?」

 

ルーパー「・・・ウォルフォード君達がそんなヘマするとは思えねェ・・・クリスティ君、砦で何があったんだ?」

 

ティガ「その2つの魔人は、砦に隠された隠し通路で脱出して逃亡してる。俺達はそれに気付いて、シンに頼まれて、一足先に俺達がここまで来たんだ。そして奴等が向かってる方角は、アールスハイド王国だ。」

 

ジークフリード・クリスティーナ「っ!?」

 

ルーパー「成る程なァ・・・随分賢い奴等だ。クリスティーナ!悪いがすぐに先頭のドミニクに現状報告して来てくれ!」

 

クリスティーナ「はい!」

 

ティガ「もうすぐ来る。皆、ここで奴等を叩くぞ。」

 

ジュリアン「うん!」

 

ルーパー(何てこった・・・少しでも早く連合軍へ合流する為、街道を外れたのが仇になるとは・・・)

 

拡声魔法を展開させ、王国軍に伝える。

 

ルーパー『全員よく聞きやがれ!!万が一の事態が起こりやがった!!魔人が数体こちらに向かって来ている!!』

 

 

 

兵士C「ま・・・魔人・・・!?」

 

兵士D「そんな・・・まさか・・・どうして急に・・・!?」

 

 

 

ルーパー『だが!!俺達はここから逃げ出す訳には行かん!!何故なら、ここを抜けられたら、後ろにあるのはアールスハイド王国だからだ!!ここは必ず死守する!!命を懸けてもな!!!』

 

 

 

王国軍「ウオオオオオオオ!!!!!」

 

ドミニク「我々と災害級の差がネズミと狼だとすると、魔人は象か獅子数当分にも相当するだろう。奇跡を起こしたとしても、勝てる相手ではない。」

 

クリスティーナ「・・・ですが。」

 

ドミニク「うむ。それでも祖国を守る為に一歩も引く訳にはいかん!!全力で畳み掛けて手足の1本でも奪い取ってやろうではないか・・・!!」

 

 

 

 

ティガ「これ以上行かせてたまるか!!」

 

ジェレミー「何処へでも来やがれ!」

 

ケイティ「私と遊べそうね!」

 

すると遠くから、悍ましい魔力を感じた。

 

ジークフリード「来た・・・!!」

 

遠くからラドリーとヒースがこちらに向かって来てる。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ルーパー「撃てェ!!!」

 

マルチ・スペシウム光線と魔法師団の魔力弾の同時発射。

 

 

 

 

迫ってくるラドリーとヒースに2つの攻撃が迫り来るが、2人はジャンプして避けた。

 

ヒース「ド派手な歓迎だねェ。だが、アルティマに比べれば、まだまだ人の域を出てねェなぁ。」

 

グレア「ハァッ!!」

 

ラドリー「!?」

 

グレアが地面に魔法を注ぐと、ヒースとラドリーの周囲に土の壁が生成された。

 

ヒース「何だぁ!?壁のつもりかこりゃあ!?」

 

ラドリー「それに、さっきの音は・・・」

 

グレア「閉じ込めたよ!」

 

ルーパー「よし!足を止めたな魔人共ォ!!」

 

ケイティ「よいしょーー!!」

 

閉じ込められた2人に、ケイティとドミニクがジャンプして立ち向かう。

 

ヒース(味方の魔法を足場にして・・・!!)

 

ドミニク「ぬぅん!!!」

 

剣をヒースに向けて振り下ろしたが、ヒースが魔力障壁を発動して防いだ。

 

ドミニク「ッ!!」

 

ヒース「クッ!!」

 

素早く避けた。

 

ケイティ「そーれそれそれそれそれーー!!」

 

連続で突き刺すが、ヒースの魔力障壁で防がれるばかり。

 

ケイティ「防いでるばかりじゃ面白くないよ?もっと遊ぼうよ〜!」

 

ヒース(此奴・・・あの裏切り者の娘か・・・!?)

 

その隙にラドリーが矢をこちらに飛ばしたが。

 

ジェレミー「フンッ!!」

 

両手の爪で矢を斬り裂いた。

 

ドミニク「ジェレミー君か!!」

 

ジェレミー「おい魔人、俺に肉寄越せよ。」

 

ラドリー(奴等め・・・!ここまで来たのか・・・!それにあの魔喰人も来やがったか・・・!!)

 

すると上空にジークフリードが現れ。

 

ジークフリード「これでも喰らっとけ!!魔人共ォーーーーッ!!!!!」

 

拡散魔力弾を連射した。

 

ラドリー・ヒース「!!!!」

 

だが間一髪で魔力障壁を発動した。

 

ラドリー「この程度で魔人の魔法障壁を破れると思ったか?」

 

クリスティーナ「でも魔法障壁(それ)を使ってる最中なら、物理攻撃を防ぐ手はありませんよね?」

 

真後ろにクリスティーナが現れた。

 

ラドリー(此奴等・・・最初から連携するつもりで・・・!!)

 

クリスティーナ「二重の障壁を張れるのは、シンくらいのものですよっ!!!」

 

剣を振り下ろしたが、ヒースの異空間収納が剣を受け止めた。

 

クリスティーナ「っ!?これは・・・!?」

 

すぐに後ろに退いた。

 

ヒース「退いたか。惜しいねェ。腕ご引き込んでやろうと思ったのによ。万策尽きたかい?度胸は認めてやるけどよォ・・・」

 

クリスティーナ・ドミニク・ルーパー「・・・・」

 

ジークフリード「・・・っ!?」

 

 

 

 

 

 

だがヒースの真上からミランダが迫って来る。

 

 

 

 

 

 

ヒース「何ィ!!??」

 

クリスティーナ「ミランダ!!??」

 

ケイティ「あなた!?」

 

ミランダ「はぁっ!!!」

 

勢い良く剣を振り下ろしてヒースに直撃させた。

 

ミランダ「・・・・!!くそぅ・・・!!」

 

だがヒースは指で剣を受け止めたのだった。

 

ミランダ(指の力だけで剣を・・・止められた・・・!!一旦離れてもう一度・・・!!っ!?)

 

後ろに退いたが、ヒースの放つ魔力に気圧され、戦慄が身体中に走った。

 

ミランダ(・・・・!!これ・・・が・・・魔人の・・・魔力・・・!?考えるより先にからだが動いてしまったけど・・・今更改めて実感した・・・!!私の目の前に居るのは・・・紛れもなく人間を超越した存在・・・!!)

 

ジークフリード「やべェぞ!!!」

 

ミランダ(ダメだ・・・体が動かない・・・怖い・・・!殺される・・・!!)

 

腰を抜かしてしまって、逃げ出す事が出来ない。

 

 

 

 

 

 

ジュリアン「ハァッ!!!」

 

 

 

 

 

 

ヒース「ごはっ!!」

 

しかし、駆け付けたジュリアンがヒースを蹴り飛ばした。

 

ジュリアン「大丈夫!?」

 

ミランダ「あ・・・!」

 

ティガ「ミランダ!怪我は!?」

 

ミランダ「だ・・・大丈夫・・・」

 

ナージャ「怪我、治してあげるわ。」

 

治癒魔法でミランダの怪我を治す。

 

ミランダ「ありがとう・・・」

 

ラドリー「!!」

 

ティガの後ろに回り込んで弓矢を2つ飛ばした。

 

ジークフリード「タクト!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ウルトラシールドで防いだ。

 

ラドリー「そこに入れたつもりか?」

 

ティガ「チャァッ!」

 

だがウルトラシールドを投げ、ヒースとラドリーの矢が彼に迫る。

 

ラドリー「ッ!?ガァッ!!」

 

ヒース「グアッ!!」

 

2人が脇腹と右肩を掠った。そこから血が流れた。

 

ヒース「これがティガって奴の力かぁ・・・中々だぜ・・・」

 

ラドリー「ヒース!!」

 

ヒース「あぁ。仕方ねェなぁ。他の()()()も来てるだろうし、本命以外は後回しにすっか。」

 

ラドリーが弓矢から放たれる魔法を撃つ。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ウルトラシールドで魔法を防いだと同時に砂煙りが蔓延した。

 

ドミニク「敵は!?」

 

ヒース「じゃーなお前等!!中々面白かったぜ!!」

 

2人はその場から猛ダッシュで逃げ出した。

 

リオ「逃げた!」

 

ルーパー「に・・・逃げやがった!?マズいぞ!!あの方向は・・・王都の方角だ・・・!!追うぞお前等!!」

 

ジークフリード「団長!!ムリッスよ。早馬でもあのスピードには追い付けない。」

 

ドミニク「本国に要警戒を伝えるのが先だ!!誰でも良い!!全速力で通信機の下へ行け!!魔人共が走って王国に辿り着くのが先か・・・国境付近に設置した通信機で危機を報せるのが先か・・・」

 

ティガ「ドミニク総長!その全部の役割、俺に任せてくれないか?」

 

ドミニク「え?」

 

ティガ「こう言う時に備えて、色々準備しておいたんだ。俺が奴等を追う。その間に陛下に通信して報せる。」

 

ドミニク「そうか・・・すまない、頼んだぞ!」

 

ティガ「あぁ!チャァッ!!」

 

ティガが飛翔し、ジェレミーが走り、ローランドがナージャとケイティを乗せて、リオとデイジーが馬に乗り、ラドリーとヒースを追跡する。

 

ジュリアン「すみません、馬をお借りして良いですか?」

 

兵士A「あ、あぁ。」

 

1頭の馬を借りて乗馬した。

 

ジュリアン「ジネヴラ!行くよ!」

 

ジネヴラ「えぇ!」

 

馬を走らせ、アールスハイド王国に向かうラドリーとヒースを追う。

 

ジークフリード「頼んだぞ・・・!タクト・・・!!」

 

 

 

 

 

 

とある場所では。

 

ハンナ「カーラお姉ちゃん、ウェンディお姉ちゃん、そろそろ近付いて来るよ。」

 

カーラ「テッサの予測通りだね。」

 

ウェンディ「よし、私達も備えるよ。」

 

 

 

 

 

 

そして、ベルゼは今。

 

ベルゼ「はぁ〜、やっと終わったよ。」

 

現れた魔物達を倒したばかり。

 

ベルゼ「ちょっと痛かったけど、これはこれで。そろそろ行かなきゃね。」

 

馬に乗って、ある場所へ向かう。

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王国・王都。タクトからのテレパシー通信が来た。

 

ディセウム「魔人がこちらに向かっているだと!?それは確かなのか!?」

 

タクト『あぁ!奴等はアールスハイド王国軍との戦闘を回避して、王国方面へ逃亡してる!奴等がこのまま王国へ行けば大惨事になる!』

 

ディセウム「シン君達は!?他の皆はどうしているんだ!?」

 

タクト『俺達を除いたアルティメット・マジシャンズを合流させてから向かうよう伝えておいた!俺は先に逃げた奴等を追ってる!奴等が王国へ来る前にケリを付ける!』

 

ディセウム「分かった!必ず王国を守ってくれ!だが、無理はするな!」

 

タクト『勿論だ!』

 

通信を切った。

 

メイ「お父様・・・」

 

ディセウム「・・・お前達は決して動くな。(タクト君・・・皆・・・頼むぞ!)」

 

魔人が王国へ迫ってる。果たして、アールスハイド王国の運命は・・・

 

 

 

 

 

 

一方、飛行中のシン達は。

 

シン「本当に方向はこっちで良いのか!?全く魔人の気配は・・・」

 

マリア「魔人の魔力は極力抑えて、最低限の身体強化のみで移動してるとしたら・・・見付けるのは容易じゃないって事ね。」

 

トール「魔人の目撃地点と奴等の目的地がアールスハイドと言う事を考えると・・・この街道を行った所しか思えないのですが・・・」

 

トニー「追っ手が来るのを見越して、別ルートに変えたか・・・或いは目的地を変えたのか・・・」

 

ユーリ「もしそうだとしたら、この追跡自体無意味なんじゃないのぉ?」

 

アウグスト「いざとなったら、ゲートでアールスハイドに先回りするしか無いが・・・奴等を取り逃がすのだけは絶対に避けねばならん!ギリギリまで奴等を追うぞ!」

 

シン(もう1つ気になるのは、アールスハイド王国軍だ・・・もうとっくに遭遇して良いはずなのに・・・一体何処に行っちまったんだ?それにタクトも先行して奴等を追跡している。多分今は奴等と戦っているか、もしくはまだ追跡してるのどっちかだが・・・)

 

考え込んだシンがアウグストに言った。

 

シン「オーグ、判断は早い方が良い。追跡はここまでだ。ゲートで一度アールスハイドに戻ろう!」

 

アウグスト「奴等を逃がす事になってもか!?」

 

シン「落ち着けよ!王国が滅ぼされるのとどっちを取るんだ?それにタクトは先行して追跡してる。」

 

アウグスト「・・・・・・」

 

シン「らしくないぞオーグ?何かあったのか?普段だったら、今の俺がお前に言われる台詞だろ?」

 

アウグスト「・・・逃げた魔人は、私とデリックが砦で仕留め損ねた奴だ。こうなったら全責任は私にある・・・」

 

全員「・・・・」

 

アウグスト「皆に『魔人を逃がすな』と言いながら、私自身がミスをしたんだ・・・!決して許される事ではない・・・!!」

 

先の戦いを思い出して悔しがるオーグに皆は。

 

マリア「私とオードリーさんとジェンナさんの戦った魔人も・・・クルトの時の魔人と比べても全く遜色無い相手でした。そんな相手に完璧に立ち回れるって言う方が無理な話ですよ。殿下。」

 

トニー「・・・と言うか僕等だって、言いようにやられて逃げられてるしねぇ。」

 

リン「殿下の方がマシ。」

 

シン「オーグ。責任って言うなら、体裁の為に各国に無線通信機を配らなかった俺にだって責任はある。だけど、今すべきなのは後悔する事じゃない。目の前の問題を解決する事だろ?」

 

アウグスト「・・・・そうだな、すまん。私とした事が、冷静さを欠いていたようだ。まさかお前に諭される日が来るとは思ってなかったが。」

 

シン「オイ!」

 

アウグスト「反省は一旦後回しだ。戻ろう。アールスハイドへ。」

 

地上を走ってる4人にシンが降下した。

 

シン「君も来るか?」

 

デリック「俺もか?」

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王国・王城。

 

兵士E「連合軍からの通信はまだか!?」

 

兵士F「警備局総動員で国民に緊急の避難勧告!!城壁付近の住民の避難を優先せよ!!」

 

兵士G「殿下達からはまだ連絡は入らないのか!!」

 

王城内では既にパニックに溢れていた。

 

シン「な・・・何だこりゃ!?何で王城がこんな大騒ぎになってんだ!?」

 

アリス「ま・・・まだ魔人が現れたって訳じゃなさそうだけど・・・」

 

アウグスト「オイ!一体何があった!?」

 

兵士E「静かにしてくれ!今殿下達が繋がるよう通信を・・・って、うわぁあ殿下!?何でここに!?」

 

アルティメット・マジシャンズが居る事にビックリ。

 

兵士F「殿下!?殿下が戻られたのか!?」

 

兵士G「ウォルフォード君達も居るぞ!!」

 

兵士H「本当か!?良かった・・・!!」

 

シン「何なんです!?この騒ぎは・・・」

 

兵士E「は・・・はい。さ・・・先程魔人領に派遣されている王国軍より連絡がありまして・・・魔人と遭遇。交戦後に魔人は逃亡し、こちらへ向かっていると・・・!」

 

アウグスト「何だと!?アールスハイド軍が魔人と交戦!?一体何の話だ!!」

 

シン「くっ・・・やっぱり俺達とは別ルートで・・・何処かで擦れ違ったんだ!?」

 

シシリー「・・・・・」

 

シン(くそっ・・・!軍の被害の有無を確認したいが、今はそんな時じゃない・・・!!)

 

アウグスト「魔人への対処は!?国民の避難以外に何か行動は起こしたのか!?」

 

兵士E「ええと・・・王国軍からの連絡で、魔人の出現区域を割り出せました!現在、その区域に急ぎ、我が国の予備兵団を派遣しております・・・!!で・・・殿下達がお戻りになられると言う確信がなかったので・・・連絡があってすぐに・・・」

 

ユリウス「マズいで御座るな・・・!」

 

トール「一般の兵士を魔人の前に送り込んでも・・・ものの数分で恐らく全滅させられてしまう・・・!!」

 

兵士E「そ、それと!先程タクト=クリスティ様が逃亡した魔人達を追跡しているとの連絡もありました!」

 

シン「タクトが!?」

 

アウグスト「本当か!?」

 

兵士E「はい!」

 

アウグスト「そうか!それで何処だ!その予想区域は!?」

 

兵士E「先の帝国との戦争にて戦場になった平原・・・王国と帝国の国境付近です!!」

 

シン「・・・一応訊くけど・・・誰も、そんな所行った事ないよな?」

 

全員が首を振る。

 

アウグスト「行けるとしたら、タクト達だけだろう・・・」

 

シン「ゲートは無理か・・・!飛んで行くしか無い・・・!急ごう!そこでタクト達と合流出来るはずだ!」

 

 

 

 

 

 

別の場所では。

 

ハンナ「ん?」

 

イルゼ「お待たせ!」

 

3人の元にイルゼとテッサが合流した。

 

ウェンディ「首尾はどう?」

 

テッサ「確実にこっちに向かってるわ。」

 

カーラ「もうすぐね。」

 

すると5人の元にある人物が来た。

 

ハンナ「っ!」

 

 

 

 

 

 

再び王城では。

 

ディセウム「おい!!アウグストとシン君達が戻ったと言うのは本当か!?」

 

兵士I「陛下!!は・・・はい!たった今・・・!」

 

ディセウム「それで何処に・・・?」

 

兵士I「予備兵団派遣の件をお伝えしたら、すぐに現地へ向かわれました!!」

 

ディセウム「()()・・・()()()()か・・・仕方無い。間に合わんだろう・・・な。シン君達は・・・」

 

 

 

 

 

 

国境付近では、予備兵団が配置に付いてた。

 

兵団A(もうすぐあの向こうから魔人が・・・)

 

兵団B「で・・・殿下達が・・・ひょっとして既に魔人を捕えてるって可能性は・・・」

 

兵団C「だったら王国軍と交戦なんかしねェよ。」

 

兵団E「じ・・・じゃあ、ゲートの魔法で既に王国に戻ってこっちに向かったりして・・・」

 

兵団G「だとしてももう間に合わねェよ。国境だぞここ。」

 

兵団E「何だよてめェ!」

 

兵団G「何だよ。」

 

兵団H「俺さ・・・この作戦が終わったら結婚しようって・・・恋人と約束したんだ。」

 

兵団E「・・・・!!バ・・・バカかてめェは!?そ・・・そう言うのは一番やっちゃダメな奴だろ!?」

 

兵団H「・・・スマン。」

 

兵団G「くそ・・・俺達の戦死する確率を更に上げやがって・・・!」

 

兵団E「・・・覚悟決めようぜ。でなきゃ今も魔人領で命懸けで戦ってる仲間達に・・・顔向けできねェよ。」

 

兵団G「・・・そうだよな。」

 

すると、1人の魔法使いが震え始めた。

 

魔法使い「・・・た・・・」

 

兵団H「ん?どうした?」

 

魔法使い「き・・・き・・・来ま・・・した・・・ま・・・ま・・・魔人・・・です・・・!!」

 

 

 

 

姿が見えなくても、魔力を感じられなくても、それは”魔人だ”と確信するのに充分な程の・・・圧倒的な威圧感。

 

ヒースとラドリーがそこに現れた。

 

それは、その場に居る者達の戦意を、闘わずして喪失させるには充分過ぎるものだった。

 

 

 

 

兵団達「う・・・あ・・・」

 

魔人が目に映り、次々と兵団達がパニックを起こし始めた。

 

ヒース「わざわざ出迎えてくれたみたいだなぁ。どーするよ?」

 

ラドリー「・・・もう王国は目と鼻の先だな。あれは恐らく王国の予備兵団。つまり敵の最後の戦力だろう。あれを潰しておけば、最早王国は陥落したも同然。俺がやる。下がってろ。」

 

弓を引き、魔力を集める。そして巨大な魔力弾を予備兵団に向けて放った。

 

兵団達(終わったーーーーー・・・・・・・)

 

”ドゴオオォォォン!!!!!”

 

煙が晴れると、兵団達は無傷だった。

 

兵団A(あ・・・あれ?)

 

無傷だった理由。それは・・・

 

 

 

 

 

 

ウルトラシールドが魔力弾を防いだからだった。

 

 

 

 

 

 

ティガ「間に合ったようだな。」

 

兵団A「ティガ・・・?タクト=クリスティ様!?」

 

リオ「皆ー!大丈夫!?」

 

遅れてリオ達も到着した。

 

兵団A「リオ様!皆さんも!」

 

ジュリアン「何とか間に合ったみたいだね。」

 

ティガ「あぁ。」

 

兵団A「タクト様・・・この方は?」

 

タクト「話は後だ。お前達は下がれ。ここは俺達がやる。」

 

兵団A「は、はい!!全員下がれ!!」

 

すぐに兵団達を下がらせる。

 

グレア「やあ2人共!鬼ごっこは終わりだよ!」

 

ヒース「チッ、しつこい奴等だ。」

 

ラドリー「・・・戦士共!まさか()()を全て倒すって言うんじゃないだろうな?」

 

すると2人の背後から、無数の魔人達と魔物達が出現した。

 

兵団達「・・・・!?」

 

ジュリアン「な・・・何あの数・・・!?」

 

ティガ「隠し球を持ってたってか・・・数えてみたが、全部で200匹だな。お前等、先に此奴等を片付けるか?」

 

リオ「ちょっと骨が折れそうだけど。」

 

ジェレミー「全て喰い尽くしてやるぜ。」

 

デイジー「私達なら。」

 

ケイティ「まだまだ遊び足りなかったし、丁度良いね。」

 

ジュリアン「そうだね。」

 

ラドリー「・・・殺れ。」

 

魔人達・魔物達「ウオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

 

200人の魔人達と魔物達がティガ達に向かってジャンプした。

 

ティガ「ッ!!」

 

構えたその時、両者の境目に巨大な魔力障壁が出現し、魔人達を押し返した。

 

ティガ「え?」

 

兵団B「な・・・何だ・・・!?」

 

ティガ「っ!!」

 

リオ「何なの!?」

 

彼等が後ろに振り向くと・・・

 

 

 

 

 

 

メリダ「悪いが、ちょいと邪魔するよ。」

 

マーリン「ほっほっ。」

 

リチャード「派手な出迎えだな。」

 

レイチェル「満員御礼ですね。」

 

 

 

 

 

 

それは、嘗てアールスハイド王国を守った4人の英雄達が立っていたのだ。

 

ティガ「マーリン様・・・!メリダ様・・・!リチャードにレイチェル・・・!!」

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王城。

 

ディセウム「見縊るなよ魔人共!我が国で魔人と戦える人間は、アルティメット・マジシャンズだけではないぞ!」

 

王国に福音が舞い降りた。

 

 

 

 

 

 

国境付近。

 

兵団A「・・・ま・・・まさか・・・賢者様・・・?」

 

兵団B「そ・・・そうだ・・・」

 

兵団C「ど・・・導師様も・・・!」

 

兵団D「大司祭様に・・・天士様も・・・」

 

4人の英雄が今ここに居る事に、兵団達が。

 

兵団達「オオオオオオオオオオオ!!!!!!」

 

一気に歓声を上げた。

 

兵団E「凄い!!伝説の・・・魔人討伐の英雄がここに・・・!!」

 

兵団F「奇跡だ!!信じられん!!」

 

兵団G「マーリン様!!メリダ様!!リチャード様!!レイチェル様ーーーーー!!!」

 

メリダ「あー、五月蝿いねぇ。」

 

レイチェル「あらあら。ウフフ。」

 

そこにティガが駆け寄った。

 

ティガ「皆、何故ここに?」

 

マーリン「なぁに、王城でディセウムに魔人逃亡の件と、タクト君が逃亡してる魔人の件を聞いてのう。」

 

メリダ「孫の不始末は私等の不始末だ。責任は取らせて貰うよ。」

 

ティガ「いや、でもそれは俺達アルティメット・マジシャンズの責任だが・・・」

 

リチャード「タクト君、ここは連帯責任だ。」

 

レイチェル「私達にもお手伝いさせて貰います。」

 

ティガ「・・・分かった。」

 

リオ「タクト、この2人は?」

 

ティガ「リチャード=ラドクリフとレイチェル=ラドクリフ。マーリン様とメリダ様と同じ英雄だ。」

 

リチャード「宜しくな。君達。」

 

レイチェル「以後、お見知り置きを。」

 

 

 

 

ヒース「あ?賢者様?何だ?知ってっかよラドリー?」

 

ラドリー「昔現れた最初の魔人を討伐したと言う人間だ。まだ生きていたとは。」

 

ヒース「・・・あのショボくれたジジィ共が?嘘だろ?」

 

2人はまだ4人の英雄の実力を知っていなかった。

 

 

 

 

メリダ「あれが魔人かい?」

 

ジェレミー「あぁ。砦から逃げ出した奴等だ。」

 

マーリン「見るのは何年振りかのう。」

 

レイチェル「如何にも今時の魔人と言った風貌をしていますね。」

 

リチャード「だが・・・当時の()と比べたらまだまだ序の口程度だな。」

 

彼等は、魔人と化してしまったあの男を思い出している。

 

ジェレミー「けど奴等、あれだけ多くの魔人や災害級を連れて来やがってる。恐らく砦に潜んでいた生き残りだろう。」

 

???「だったら私達も手伝わせて貰うよ!」

 

ティガ「?」

 

別のゲートが現れ、そこからハンナ達5人が出現した。

 

ハンナ「へぇ〜、今回は大物揃いだねぇ。」

 

ティガ「お前達は?」

 

カーラ「あなたがタクト=クリスティ。ティガって言う戦士。」

 

ティガ「そうだが・・・ん?テッサとイルゼ?」

 

テッサ「ヤッホー!また会ったね!」

 

イルゼ「ちょっと先回りして来たのよ。」

 

兵団A「おぉ!噂として名高いマジックシスターズが来て下さったとは!!」

 

ティガ「マジックシスターズ?まさか・・・マーリン様が言っていた弟子の魔法兄弟って言うのは!?」

 

ウェンディ「そう、私達よ!」

 

ジェレミー「はえ〜・・・マーリン様、若い子達を密かに教育してたんだな。」

 

マーリン「若気の至りじゃ。」

 

メリダ「にしても全く・・・何をやってるのかねえあの子達は。通信手段を持っていながら、こんなに後手に回るなんて。」

 

リチャード「メリダ、説教はこの戦いが終わった後にしよう。」

 

メリダ「それもそうだね。」

 

マーリン「さてまずは、一発お見舞いしようかの。」

 

ケイティ「おぉ!?賢者様の初手が見れそう!」

 

ヒース「無理すんなジィさん。現役引退して何十年目だよ?どうせ過去の栄光をダシにされて戦場に駆り出されたんだろうが。今すぐ引き返して家族にお別れでも告げて来な。どうせ明日には王国民は全員死ぬ。ただの1人足りとも逃がす気はねェ。」

 

マーリン「・・・はぁ・・・やれやれ、言う事だけは一人前じゃのう。・・・生意気抜かすな!クソガキが!!」

 

ヒース「ッ!?」

 

するとマーリンからとてつもない魔力が溢れ出て。

 

マーリン「はぁっ!!!!」

 

巨大な魔力弾が地面を抉り、大爆発を起こした。

 

兵団A「・・・・ううぉお!!い・・・一撃で丘の1つ吹っ飛んじまった・・・!!す・・・凄まじい・・・!!!」

 

メリダ「相変わらず芸の無い火炎魔法だねぇ。」

 

リチャード「全くだ。その魔法もまだまだ現役なのが少々ビックリだ。」

 

ティガ「これが・・・賢者の魔法・・・」

 

ケイティ・グレア「はわわわ・・・」

 

デイジー「これはは凄いわね・・・」

 

マーリン「・・・ふーむ・・・逃げ足は中々じゃのう。」

 

ヒース「・・・オイオイマジかあのジィさん・・・!?アルティマの連中にも全く引けを取らねぇじゃねーか!」

 

ラドリー「少なくとも同等以上だ・・・驚きだな。」

 

マーリン「その得物・・・ヌシ等元ハンターか?奇遇じゃの。ワシ等も昔は同業者じゃ。」

 

ラドリー「昔話に付き合う気は無い。行くぞ。」

 

弓矢から3つの魔力弾を一斉発射した。

 

マーリン「魔道具か。任せて良いかのメリダ。リチャード。」

 

リチャード「お前だけでも防げる程度だろ。」

 

メリダ「面倒臭がるんじゃないよ。」

 

リチャード「しょうがない。ーーーーー」

 

聖書を開いて唱える。

 

メリダ「ふん。」

 

杖を構えた。

 

リチャード「ハァッ!!」

 

2人の魔法が超巨大な防御障壁を生成した。

 

ラドリー「!?」

 

兵団B「な・・・何と言う巨大な防御障壁・・・!!」

 

3つの魔力弾を軽々と防いだ。

 

メリダ「分かったかい?坊や達。」

 

リチャード「そんな攻撃だけでは私達の防壁に傷すら付かないぞ。」

 

ラドリー「ッ!!ヒース!!」

 

気を取られている隙にマーリンが火炎魔法をヒースに向けて放った。

 

マーリン「元同業者同士、格の違いを見せてやろうかの。」

 

ヒース「ジ・・・ジジィッ!!!」

 

火炎魔法がヒースに直撃して爆発した。

 

テッサ「やった!」

 

ティガ「いや、まだだ!」

 

ヒース「・・・ちぃっ・・・アルティマと言い・・・!何でこんな連中がウヨウヨ居んだよこの国はよ・・・!!」

 

ラドリー「・・・魔人になれば・・・少なくとも人間と言う種に劣る事は無いと思っていたが・・・どうやらそうではなかったようだな。紛れもなく奴等も”人”を超越した存在だ。」

 

ヒース「・・・・・!!それでも今更引き返せっかよ!!俺等は全てを捨てて魔人になったんだからよ!!(人間の癖に・・・魔人以上の力を持ってるだと・・・!?巫山戯んじゃねェぞ・・・!!!)」

 

 

 

 

彼の過去。

 

ヒースの父『出来損ないが。貴様のような人間が、我が一族に居る事自体が恥だ。我々は代々、剣の腕によって国を仕えて来た名誉ある家系だぞ。他の兄弟達は皆既に自らの力で国に従事していると言うのに・・・それを貴様は・・・武芸な才は疎か、ロクに魔法も使えんとは・・・去れ。力の無い人間など不要だ。』

 

彼は元々貴族だったが、自分の力を発揮出来なかった理由だけで追放された。

 

 

 

 

ヒース(認めねェ!!!)

 

右手を掲げて、巨大な異空間収納を出した。

 

マーリン「ほっ、これはこれは・・・!」

 

ヒース「放て!!ラドリー!!」

 

異空間収納に向けて、ラドリーが魔力弾を一斉発射した。そしてティガ達の周囲に3つの異空間収納が出現し、そこからラドリーが放った魔力弾が現れ、一気に大爆発を起こした。

 

兵団C「なっ・・・!!何なんだ!?魔人のあの攻撃は・・・!!」

 

ヒース(退路も与えねぇ3属性の同時多角攻撃だ!防げるモンなら・・・)

 

だが、彼の考えはそれを裏切った。

 

マーリン「ほ。終わったかの?」

 

リチャード「全く、イカした威嚇だな。」

 

防御障壁を張りながら寛いでるマーリンと、聖書を読んでるリチャードが余裕な言葉を発していた。

 

ヒース「な・・・舐めてんのかクソジジィ!!おちょくるのもいい加減に・・・」

 

メリダ「アンタはムラッ気が多いねぇ。戦闘に於いてそれは余計さね。才能はあるのに勿体無い。」

 

レイチェル「常に冷静を保つのも戦いの基本ですよ?」

 

ヒース「(あっちも無傷かよ!巫山戯やがって・・・!!)才能だぁ!?生憎それが無ぇからこっちは魔人になってんだよ!!」

 

メリダ「バカ言うんじゃないよ!魔法の才が無い人間に異空間収納なんて使ってたまるかい!確実な空間認識能力と繊細な魔力のコントロールを要する高等魔法だよ。まさか誰もが使えるなんて思ってないだろうね?」

 

 

 

 

ヒースの父『異空間収納?そんな程度の魔法しか使えずに、どうやって戦場に立つつもりだ!役立たずが!』

 

 

 

 

メリダ「才能をきちんと見抜ける指導者に出会えていれば・・・進む道もまた違っただろうにねぇ。惜しい事だよ。」

 

ヒース(ふざ・・・けんなよ・・・!!あの野郎(クソオヤジ)は・・・!!戦う力がねぇってだけであっさり我が子を捨てやがったんだぞ・・・!!家を失い・・・頼る存在もない人間が生きるには、あの国は充分過ぎる程の地獄だった・・・何度も自分で命を絶とうと思ったか分からねぇ・・・!!それでも・・・!!自分を捨てたあの野郎(クソオヤジ)に復讐する為に・・・そして何より・・・力や金でしか人に価値を付けねェあの国をブッ潰す為に・・・!!今まで生き抜き・・・魔人にまでなったんだぞ・・・!!!)

 

メリダ「()()()()()()目を覚ますべきだったね。悪いがアンタは・・・二度と引き返せない場所に足を踏み入れちまったんだ。」

 

ヒース「知ったようなクチ利くんじゃねェよ!!テメェ等に何が解るんだよ!!!!おい!!!!このクソジジィとクソババァ共をぶっ殺せ!!!!!!」

 

待機していた無数の魔人・魔物が一斉に動き始めた。

 

マーリン「来おったか。」

 

ティガ「マーリン様、ここは俺達がやる。」

 

ティガ達が前に出た。

 

ハンナ「いえ、私達でしょ?」

 

リチャード「では、私も参加しよう。」

 

レイチェル「私も行きますよ。」

 

ジュリアン「僕も行くよ!」

 

ジネヴラ「えぇ!」

 

マジックシスターズ、リチャード、レイチェル、ジュリアン、ジネヴラも加わった。

 

ヒース「ハッ!!そんな人数で勝てんのかよ!!!!ハッハッハッハッハ!!!」

 

 

 

 

発狂しながら笑うヒースを他所に。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

マルチタイムからスカイタイプへタイプチェンジした。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ランバルト光弾・散弾バージョンで魔人・魔物の大群を一網打尽にする。

 

 

 

 

ケイティ「ジェレミー!ローランド!行くよ!」

 

ジェレミー「あぁ!」

 

ローランド「はい!」

 

リオ「デイジー!一緒に行くよ!」

 

デイジー「えぇ!勿論よ!」

 

ジェレミー・ローランド「ウオオオオオォォォォォ!!!」

 

咆哮を上げて魔人と魔物の大群に向かって走り出す。

 

ケイティ「アータタタタタタタタ!!!」

 

走りながら敵達を斬り裂き続ける。

 

リオ「僕達のコンビネーション!!」

 

デイジー「見せてあげるわよ!!」

 

同時に走り出し、走りながら敵達を斬撃で斬り裂き続ける。

 

ジェレミー「ヴオオオオオオ!!!」

 

両手の爪で敵達を斬り裂く。

 

ローランド「ガァウ!!」

 

牙で敵達の頭部や心臓を噛み千切る。

 

 

 

 

 

ハンナ「お姉ちゃん!俺達も行くぞ!!」

 

カーラ・テッサ・イルゼ・ウェンディ「えぇ!!」

 

 

 

ハンナ「ハァッ!!」

 

カーラ「ダァッ!!」

 

光線魔法と切断魔法で無数の敵を倒す。

 

 

 

テッサ「イルゼお姉ちゃん!」

 

イルゼ「えぇ!!」

 

テッサ「ヤァッ!!」

 

風の槍を生成し、無数の敵を串刺した。

 

イルゼ「ハァッ!!」

 

身体強化を発動し、肉弾戦で無数の敵を打ち砕いた。

 

 

 

ウェンディ「タァッ!!」

 

右手から光線を放ち、多くの敵を縛り。

 

ウェンディ「これでも喰らいなさい!!」

 

縛られた敵達を光輪で縦横無尽に切断した。

 

 

 

ジュリアン「ジネヴラ!陽動を!」

 

ジネヴラ「任せて!!ニャオ!!」

 

超高速で敵の注意を引き付けてる間に。

 

ジュリアン「ハアアァァァァ!!!」

 

素早く走りながら敵達の頭部と胴体を斬り裂き続ける。

 

 

 

 

リチャード「ーーーーーーーー!!!!」

 

詠唱を唱え、目の前の敵達の身動きを奪った。

 

レイチェル「ヤアアアァァァ!!!!」

 

超高速回転斬りで、身動きを奪われた敵達を一斉に斬り裂いた。

 

 

 

 

グレア「凄い凄ーい!皆頑張ってー!」

 

 

 

 

ヒース「・・・!?」

 

ティガ「チャァッ!!」

 

そして、ティガが最後の魔人1人を倒し、200匹の魔人・魔物の大群を一瞬で討伐した。

 

 

 

兵団A「あ・・・あの無数の魔人と災害級達を一瞬で・・・!!」

 

兵団B「す・・・凄い!!!!」

 

 

 

デイジー「呆気なかったわね。」

 

ケイティ「もう終わり?つまんないの。」

 

ハンナ「手応えが無いねぇ。」

 

ジェレミー「喰い足りねえなぁ。」

 

リチャード「レイチェル、まだまだ腕は落ちてないな。」

 

レイチェル「勿論です。」

 

ヒース「何だよ・・・何なんだよお前等は!!!!!!!!」

 

一瞬で倒された200匹の大群が倒された事に、ヒースの怒りが頂点に達した。

 

ジェレミー「さぁどうする?命を持って逃げるか?それとも命をここで投げ捨てるか?」

 

ヒース「巫山戯んじゃねーぞ!!!!俺だけでもお前等をぶっ殺す!!!!!」

 

リチャード「やらせん!!」

 

金縛り魔法でヒースを拘束した。

 

ヒース「なっ!?う・・・動けねぇ・・・!!」

 

メリダ「生まれ変わって出直して来な!勿論、魔人ではなく、人としてね!!」

 

彼女が放つ電撃が、ヒースの胴体を切断した。

 

ヒース(・・・これが・・・本物の・・・”力”・・・)

 

切断されたヒースが丘から落下した。

 

 

 

 

マーリン「お仲間は殺られたしもうたぞ。助太刀せんで良かったのか?」

 

ラドリー「・・・お前のような者に背を見せる程愚かではない・・・!」

 

マーリン「・・・どの道同じじゃ。」

 

立ち上がったマーリンに、ラドリーが弓矢を構えて魔力を集める。

 

マーリン「真っ向から来るか。潔いのう。」

 

ラドリー「策を弄する意味など無い。お前のような人間が相手ではな。この一矢に全ての魔力を乗せる!小細工は無しだ!」

 

マーリン「受けて立とう。」

 

同じくマーリンも魔力を集束し始めた。

 

 

 

兵団A「お・・・おお!何と・・・荒々しくも濃密な魔力・・・!」

 

兵団B「こ・・・これが賢者・・・マーリン様の・・・!」

 

 

 

そして、両者の魔力弾が一斉に放たれた。

 

 

 

 

遠くからティガ達を除いたアルティメット・マジシャンズがやって来た。

 

”ズウウウウン!!!!!”

 

巨大な大爆発を彼等が目撃した。

 

シン「あれは・・・!!」

 

 

 

 

 

 

ラドリーの過去。

 

貴族『どう言う事かね?魔物討伐の期限は昨日だったはずだが?』

 

ラドリー『報告にあった数の倍近い魔物が区域に生息していた。何か心当たりは無いのか?』

 

貴族『・・・知らんな。期限は過ぎた。言い訳は止めたまえ。約束は約束だ。協会に連絡して報酬は減額させて貰うよ。』

 

ラドリー『・・・別に構わん。だが、アンタとの仕事はこれで最後だ。精々今後は別の優秀なハンターを探してくれ。』

 

貴族『・・・良かろう。実は今、もう1つ少々手を焼いている件があってね・・・そちらの依頼を請けてくれるなら、今回の分も含め・・・倍額の報酬を支払おうじゃないか。移動用の馬車も此方で手配しよう。どうかね?ラドリー君。』

 

ラドリー『・・・・』

 

貴族『ふん・・・信用出来んか。所で・・・例の友人は元気にしているかな?私の知り合いに優秀な治癒魔法師が居てね。通常では難しい複雑な治療もお手の物だそうだ。討伐成功の赤宇津木には、君に彼を紹介してやっても良い。』

 

ラドリー『・・・・』

 

 

 

 

家に戻った。

 

フレイ『止めときなよラドリー。話が上手すぎる。また何時もみたいに利用されて報酬をケチられるだけだよ。』

 

魔物ハンターのフレイ。彼女は以前に右足を負傷して、松葉杖が無いと歩けない状態になっている。

 

ラドリー『それでも構わん。万が一話が本当なら。フレイ、お前の足が元に戻るかも知れない。』

 

フレイ『何時まで責任感じてんの?ラドリー。私が()()なったのは、当時私自身のハンターとしての力が欠けていたからだよ。相棒だったとは言え、そもそも君に私を守る義務なんて無いんだし。』

 

だがラドリーは話を聞かずに弓矢を修理する。

 

フレイ『頑固だなぁもう。じゃあ条件!その討伐依頼に私も連れてってよ!私の為にその依頼請けるって言うなら、フォローくらいさせてよね?』

 

ラドリー『片足全く動かないのに、どうやってフォローする気だ?』

 

フレイ『遠距離からの魔法支援に徹するよ。それに簡単な治癒魔法なら使えるし。』

 

ラドリー『・・・邪魔だ。止めとけ。荷物になるのが目に見えてる。犬でも連れてく方がマシだ。』

 

フレイ『君さぁ・・・昔から優しいんだが厳しいんだが分かんないよねぇ・・・』

 

ラドリー『急にどうした?』

 

フレイ『え?』

 

ラドリー『足手纏いにしかならんのは自分で分かってるはずだ。』

 

フレイ『・・・自分は何の役にも立ててないのに、”誰か”は毎日そんな自分の為に傷付いて帰って来て、ただ「おかえり」って言う事しか出来ない生活が、どうしても耐えられないって言うか・・・例え嫌がられたとしても、どうしても私もその”誰か”の役に立ちたいなって思っちゃうんだけど。ダメ?』

 

ラドリー『・・・そんな身勝手な理屈があるか。バカ。』

 

がしがしとフレイの頭を毟る。

 

フレイ『ぎゃっ!ちょ・・・止めてよ!』

 

ラドリー(此奴の・・・帝国平民の出とは思えん前向きで純粋な性格は、ハンターとして初めて会った頃から今も全く変わらん。お前は、ただ傍に居るだけで良い。それだけで俺はきっと・・・救われてる。)

 

 

 

 

 

 

2日後。魔物が生息する森に到着。

 

ラドリー『杖持参で狩り場に来るハンターが何処に居る。』

 

フレイ『いやいや、杖なら魔法使いは大体持ってるし?』

 

ラドリー『・・・もう良い。』

 

フレイ『目撃情報は、小型の熊だっけ?』

 

ラドリー『どうせデタラメだ。サイズなんか当てにならん。』

 

彼は弓矢を構え、上空に向けて矢を飛ばした。

 

フレイ『何してんの!?』

 

ラドリー『時間は掛かるが、魔力付与した矢で獲物を誘き寄せる。お前は索敵に集中してろ。そんな足で山中を歩かせられるか。』

 

フレイ(・・・前言撤回・・・表には出さないけど、やっぱり優しいよ君は・・・)

 

 

 

 

森の中をしばらく進み、小型の魔物達を討伐した後。

 

フレイ『ザコは釣れるけど、本命は中々来ないね。一旦休憩して・・・』

 

するとフレイの感知に変化が。

 

フレイ『待った!大きい魔力が来てる!ターゲットだ!』

 

遂に目当ての熊の魔物が迫って来た。だが・・・

 

フレイ『・・・ね・・・ねぇ・・・小型の熊・・・!?()()・・・どう見ても中型・・・いや・・・大型サイズの魔物じゃ・・・!?』

 

現れたのは、大型サイズの熊の魔物だった。

 

ラドリー『・・・違う・・・!!この魔力量・・・完全に災害級レベルだ・・・!!』

 

ターゲットは小型の熊じゃなく、災害級だった。

 

ラドリー『逃げるぞ!!急いで馬車まで・・・』

 

フレイ『ッ!?馬車が・・・居なくなってる!!何で!?』

 

貴族が手配していた馬車が消えていた。

 

ラドリー(まさか・・・!!)

 

災害級の爪が、ラドリーの額に切り傷を刻んだ。

 

 

 

 

一方、あの貴族は。

 

執事『あのラドリーと言う男、あからさまに公爵を疑っていたのでは?』

 

貴族『まあな。だが、仲間の治療にかねがいるお陰で、ある程度此方の要求が通るのも計算済みだ。そこそこ頭は切れる。腕も立つ。だが、やはり元平民風情のハンターにくれてやる金は惜しい。ハンター協会では、一部を金で抱き込んでおけば、どうとでも情報操作出来る。魔物の数やサイズの報告も思うままだ。しかし私が()()()()事をしていると世間に吹聴されるのは、今後のハンター達との関係上、あまり宜しくない。飼い犬で居る内は利用してやろうと思っていたが、手元から離れると言うのならもう用は無い。・・・と言うより、生きて居られる方が都合が悪い。あの男共々、仲間の女も、災害級のエサにする為、後で山中に放置してやろうと思っていたが、都合良く2人して山に入ってくれたようだ。これで私は無駄な金を使う事なく、不都合な人間を排除出来たと言う訳だ。』

 

全ては貴族の策略だった。

 

 

 

 

森の中では。

 

ラドリー『はぁ・・・はぁ・・・』

 

フレイ『はぁ・・・はぁ・・・』

 

負傷したものの、奇跡的に逃げ切れたラドリーとフレイが息を切らしていた。

 

ラドリー(俺はバカだ・・・!!騙されようが利用されようが・・・!!僅かな希望があれば、そこに賭けるべきだと思ってた・・・!!だが貴族達(やつら)が・・・自分を裏切った存在を放置しておくはずがなかった・・・!!これは討伐依頼なんかじゃない・・・!!奴等は災害級を利用して俺を・・・俺達を消すつもりだ・・・!!)

 

貴族の策略だと察したラドリーが。

 

ラドリー『良いかフレイ・・・!!使える魔力は、この場から逃げる為だけに使え・・・!!俺が奴の気を引く・・・!間違っても奴を攻撃するな・・・!!』

 

だがフレイが、予想しなかった行動に出た。

 

ラドリー『ッ!?』

 

彼女は治癒魔法でラドリーを治療し始めたのだ。

 

ラドリー『オイ!!何してる!?』

 

フレイ『その傷じゃ、奴の気は引けても、君が逃げ切れない!!ラドリー・・・君は今まで私の為にずっと1人で戦ってくれた!そんな君を残して・・・1人で逃げろって・・・!?出来る訳ないじゃんそんな事・・・!!今度は私が君の為に何かする番だ・・・!!』

 

だが、魔力を感知した災害級が現れた。

 

フレイ『(しまった・・・!!魔力を感知されて・・・!!)危ないラドリー!!!』

 

彼女はラドリーを庇い、災害級の爪を背中に受けてしまった。ラドリーの怒りが頂点に達し、矢で災害級の左目を突き刺した。左目を刺された災害級が逃げ出した。

 

ラドリー『う・・・うおぁああああああ!!!!!!!』

 

大切な親友を亡くしてしまい、ラドリーの叫びが響き渡った。

 

ラドリー(俺が人ならざる者になったのは、魔人となった瞬間か?いや、違う!救いなき帝国に、腐敗した協会に、許されざる貴族(にんげん)達に生きる希望を奪われ、己自身を呪ったあの瞬間に・・・恐らく俺は既に、”人”ではなくなっていた・・・)

 

 

 

 

 

 

現在。マーリンとの戦いでラドリーが敗れた。

 

ラドリー(・・・悪いなアメリア・・・お前の目的はどうやら継いでやれそうにない・・・ヒース・・・短い付き合いだったが・・・お前と肩を並べて戦えて良かった・・・フレイ・・・魔人になんかなっちまった俺に・・・お前は何て言うかな・・・?)

 

マーリン「・・・何か遺す言葉は?」

 

ラドリー「・・・くく・・・感謝するよ・・・呪われたあの国の外で・・・死ねる事になった・・・

 

マーリン「魔人と言葉を交わせるなど些か信じ難かったが・・・もしそんな事が可能なら、是非訊いてみたくての・・・人である事を止めてまで得られた物はあったかね?」

 

ラドリー「最初から何を得るつもりなど・・・無い・・・俺達・・・魔人の殆どは、元より・・・凡ゆる希望を奪われ続けて来たからな・・・

 

マーリン「別にそれは、お主等だけの話でもかなろう・・・失う痛みならば、ワシだってよう知っとる。思うに、全てに絶望した時、誰か・・・そう・・・たった1人だけでも・・・その者が道を誤らぬよう正しき道を示してやれる存在が傍に居れば・・・恐らくこの世に魔人など生まれて来たりしないのじゃないかのう・・・ワシは歯痒いわい。お主等のような者達が世を捨て、人である事も捨ててしまった事がな・・・出来るのならば、人である内に救ってやりたかった。」

 

ラドリー「・・・アンタは・・・きっと何があっても・・・魔人にはならないんだろうな・・・

 

マーリン「当たり前じゃ。バカタレが・・・」

 

ラドリー「・・・礼を・・・言うよ・・・ここで俺を・・・止めてくれた事・・・に・・・この先へ・・・踏み込んでいたら・・・きっと俺は・・・あの世で彼奴に・・・顔向け出来なくなってしまっていた・・・

 

彼はマーリンに感謝し、静かに息を引き取った。

 

兵士A「・・・お・・・」

 

兵士B「終わった・・・のか・・・?」

 

兵士達「おおおおおおお!!!」

 

魔人達が討伐され、兵士達が歓喜を溢れさせた。

 

シン「爺ちゃん!!」

 

マーリン「んぉ?」

 

丁度そこに、ティガ達を除いたアルティメット・マジシャンズが到着した。

 

マーリン「おお、シン。」

 

ケイティ「やっと来たの?」

 

リオ「遅いよ皆!」

 

デイジー「もう倒しちゃったわ。」

 

メリダ「今頃来て何やってたんだいアンタ等は!!!」

 

やって来たシン達に怒号をぶつける。

 

シン「わぁ!!ゴメン婆ちゃん!!」

 

ティガ「強烈だな・・・メリダ様の怒号・・・」

 

アウグスト「お待ち下さいメリダ様!これは全て魔人を取り逃がした私の責任・・・」

 

メリダ「残念だけどね殿下。世界規模の作戦に於いて、起きたミスは最早個人の責任でどうにかなるモンじゃないよ。アールスハイドに緊急の連絡を入れたのも王国軍だろう。本来はアンタ等が真っ先にしなきゃいけない事だったはずだ。けど、今回はタクトが一足先に追跡していたのは良い判断だったよ。」

 

ティガ「まぁな。」

 

メリダの言葉で、シン達は何も言い返せない。

 

リチャード「お前達、そんなに気を落とすな。」

 

シン「あ、あれ!?リチャードおじさん!?」

 

レイチェル「皆さん、お怪我とかありませんか?」

 

シシリー「レイチェル様まで!」

 

マリア「大司祭様に天士様!」

 

アウグスト「もしかして御2人方も・・・」

 

リチャード「その通りだオーグ。私達もタクト君の加勢に来たのだからな。」

 

ハンナ「勿論、私達も一緒だよ。」

 

アリス「あ!マジックシスターズのハンナさん!?」

 

ユーリ「他の御姉妹の皆さんも!」

 

トニー「それで、彼女は?」

 

ティガ「え?」

 

ジュリアン「初めまして。ジュリアン=フィッツバードです。タクトの仲間です。」

 

マリア「タクト、随分可愛い仲間じゃないの。」

 

タクト「いや、可愛いけど・・・」

 

ジュリアン「僕、男なんだけどね・・・」

 

マリア「え?」

 

そう。ジュリアンは外見は美少女だけど、性別は男だった。

 

ジネヴラ「見た目だけで判断しないでね?」

 

アリス「わぁ!喋る猫!ローランドと同じ!」

 

シシリー「凄くモフモフしてます!」

 

ジネヴラ「ゴロゴロ〜♪」

 

撫でられてゴロゴロ言ってる。

 

メリダ「そう言えばシン、アンタ、あの無線通信機はどうしたんだい?」

 

シン「・・・持ってるのは・・・俺達だけだよ。アレは・・・正式には世間に発表されていない物だから、他国には配られなかったのと・・・アールスハイドのみ特別扱いするのはマズいかと思って・・・それにチャンネル数も足りてなかったし・・・」

 

メリダ「常識知らずのアンタが、国同士の体裁を気にしたのは褒めてやる所かも知れない。けど、全員と話せるチャンネルはあったはずだろ?場合が場合だ・・・せめてアールスハイド軍には渡しといた方が良かったかもねぇ。」

 

シン「それも後で思ったんだよ・・・けど、魔人を逃がしてからは正直、タクトやリオ達を除いた全員が冷静さを失ってて・・・王国軍の件や、奴等の目的地がアールスハイドだって言う事実のせいで・・・何を一番にすべきか見えなくなってた気がする・・・」

 

トニー「・・・でも本当、急な事態だったし・・・仕方無いトコもあるよね。」

 

ユリウス「堂々と逃げられておいて追わないのも、少し癪に感じたで御座るしな・・・」

 

アリス「って言うか彼奴等、いきなり隠し通路から逃げちゃって。」

 

メリダ「・・・全く・・・」

 

そしてメリダがシン達に。

 

 

 

 

 

 

メリダ「このお馬鹿!!アンタ達のその冷静さを欠いた行動で、どれだけ混乱が起きたか分かってるのかい!!??

 

 

 

 

 

 

今まで以上の怒号が周囲に響いた。

 

メリダ「急な事態だろうが逃げた理由が何だろうが!あるのは王国が危機に晒されたと言う事実だけだ!!今回の事は良い教訓になっただろう?冷静さを失うとどう言う事が起きるのか!皆、肝に銘じておきな!!」

 

シン達「は・・・はい!!」

 

ティガ「メリダ様・・・」

 

シン(・・・思えば砦で魔人達を発見して以来・・・ミスばかりだったんじゃないか・・・ラルフ長官が先走って突入する可能性は僅かとは言え、分かっていたはずだし・・・アリス達を俺が直接迎えに行ってゲートで戻れば、日数が短縮出来たかも知れない・・・)

 

アウグスト「反省点ばかり・・・だな。」

 

シン「ああ・・・」

 

マーリン「もうそれ位で良かろう。この子等はまだ15〜16。失敗もあろうて。」

 

リチャード「そうだ。お前達が生じた失敗を糧にして成長すればそれで良い。だが、今までが少し上手く行き過ぎだったな。」

 

レイチェル「幸い、魔人逃亡に関する被害は今の所聞いておりません。良い勉強が出来たと思いなさい。」

 

???「そうそう。良い勉強になって良かったね。」

 

シン「っ?」

 

そこにベルゼが現れた。顔や腕に切り傷がある。

 

ティガ「彼奴・・・」

 

グレア「・・・」

 

シン「誰?あの娘もタクト達の仲間?」

 

ティガ「・・・・」

 

シン「ねぇ、君は一体・・・」

 

ジェレミー「ん?・・・・」

 

何らかの匂いを嗅いでる。

 

ジェレミー「おいシン、彼奴に寄るな。」

 

シン「え?」

 

ジェレミー「そいつ・・・魔人だ。」

 

シン「え!?」

 

ベルゼ「あらら?もうバレちゃったのね。」

 

自分の両目を赤く染めた。

 

シン「魔人!?」

 

ベルゼ「フフッ♪」

 

彼女は不敵な笑みを浮かべた。

 

ジュリアン「ベルゼ・・・!!」

 

ベルゼ「異様な魔力を嗅ぐ魔喰人。噂通りね。初めまして。私はベルゼ=クラスティール。あなた達、私の別荘で暴れ回ったようね。」

 

アウグスト「別荘だと?」

 

ベルゼ「さっきあなた達が魔人達と戦った場所だよ?」

 

トール「あの砦?」

 

ベルゼ「お陰で私の拠点が1つ大損しちゃった。ねぇあなた達、弁償の代わりに私と戦ってよ。」

 

リチャード「兵士全員下がれ!」

 

シン「皆!戦闘態勢を取れ!」

 

アリス「ッ!」

 

全員が戦闘態勢を取るが、ティガとジュリアンとジネヴラとグレアがゆっくりとベルゼの方へ歩く。ティガは歩きながらマルチタイムへ戻った。

 

アウグスト「っ?」

 

シシリー「タクト君?」

 

アリス「グレア?」

 

マリア「ジュリアン?ジネヴラ?」

 

デイジー「ねぇちょっと!」

 

 

 

 

ゆっくりと立ち止まって、ベルゼを睨む。

 

ティガ「どうしたその傷?喧嘩したか?」

 

ベルゼ「うん。でも、もう済んだんだ。一緒に来ていれば、見れたのにね。」

 

ジュリアン「ベルゼ、やっと見付けたよ。」

 

ジネヴラ「ここでケリ付けるわよ。」

 

ベルゼ「ジュリアン、ジネヴラ、相変わらずしつこいね。」

 

グレア「私達また心配しちまったぜ?またいじけてシクシク泣いてんじゃないかと思っていたよ。」

 

ベルゼ「タクト、グレア、ジュリアン、ジネヴラ。あなた達は私の予知を外してくれた。でもね、予知が外し過ぎて面白くないのよ!何時もこの繰り返しよ・・・!何処にでも出て来て予知を外しまくるのよ!!」

 

ティガ「お前も予知を外したんだろぉ?魔物に喰われる運命をな。」

 

ベルゼ「タクトォォォーーーーーー!!!!」

 

ティガ「さんを付けろよ黒焦げ女が!!!!」

 

ベルゼ「死ねーーーーーーーーーー!!!!」

 

魔力を集めるが、ティガがハンドスラッシュで妨げた。

 

ベルゼ「アアッ!!」

 

ティガ「ベルゼーーーー!!!」

 

ティガスライサーを放った。

 

ベルゼ「チッ!!」

 

ジャンプで躱した。

 

ベルゼ「ヘヘッ。」

 

ティガ「ッ!!」

 

周囲の岩が浮遊し、ティガが浮遊した。

 

ティガ「アァッ!!」

 

ベルゼ「ハッハッハッハッハ!!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ハンドスラッシュを連射した。

 

ベルゼ「うわっ!!」

 

右腕に直撃し、ティガ岩が落下した。

 

ティガ「ッ!!」

 

だがティガは着地した。

 

ベルゼ「ハァッ!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

銀色のウルトラシールドで衝撃波を防いだ。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ウルトラシールドが消えたと同時にマルチ・スペシウム光線をベルゼの足元に直撃させた。

 

ベルゼ「ッ!!」

 

足元に直撃し、土煙が蔓延した。

 

ベルゼ「邪魔だ!!はっ!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ゼペリオン光線がベルゼを貫いた。

 

ベルゼ「アアッ!!」

 

ジュリアン「やった!!」

 

だがベルゼの貫かれた胸に血が交わり、元通りに戻った。

 

ジュリアン「なっ!?」

 

ベルゼ「残念だったね!」

 

ジュリアン「自分の血を・・・!危険な事を・・・!」

 

ベルゼ「どう?これも私の予知通りだよ♪」

 

ティガ「ッ・・・!」

 

ベルゼ「どう?悔しいのタクト?悔しいってのがどんな気持ちか分かったかな!?」

 

ティガ「・・・だったら!!」

 

高速で空高く飛翔した。

 

ベルゼ「ん?上からの攻撃?甘い甘い!私が消してあげるわ!・・・え!?」

 

だが前を見ると、アルティメット・マジシャンズが魔力を集めていた。

 

ベルゼ「ちょっ!マジ!?逃げよ!」

 

だが空からウルトラフィックスが放たれ、ベルゼを拘束した。

 

ベルゼ「う、嘘!?ヤバい!!」

 

アウグスト「放て!!!」

 

巨大な魔力弾を発射した。

 

ベルゼ「ウワアアアアアアアア!!!!!」

 

魔力弾を受けたベルゼが断末魔を上げて爆発した。

 

シン「やったか!?」

 

アウグスト「まだだ!全員第2波に備えろ!」

 

空からティガが着地した。

 

ベルゼ「・・・・ッ!!」

 

左腕が無くなってしまった。

 

ベルゼ「タクト・・・!!」

 

ティガ「また予知が外れたな。俺達が時間を稼いで、後ろのシン達が魔力を溜めてからお前にぶつける作戦。お前が土煙に気を取られてる間に立てた作戦だったのさ。」

 

ジュリアン「この心理戦、僕達の勝ちだね。」

 

ベルゼ「・・・また私の予知が外れちゃったね。まぁ良いわ。今日はここまでにしておいてあげる。次に会えるの楽しみにしてるよ。」

 

マリア「待ちなさい!」

 

ベルゼ「何?」

 

マリア「アンタ、自分の予知を外してくれるとか、何が言いたいの?」

 

ベルゼ「ん〜・・・それはまた今度教えてあげるよ。無事に会えたらだけどね。それと、あなた達に良い事教えてあげるよ。あのオリバー=シュトロームに関係する者がアールスハイドに居るのよね。」

 

全員「ッ!?」

 

ティガ(まさか此奴・・・アリアさんの事を・・・!?)

 

シン「どう言う事だ!?シュトロームに関係する者がアールスハイドに居ると言うのは!!」

 

ベルゼ「それは、自分で見付けるしかないよ。それともう1つ。この魔人騒動に関わってるのはオリバー=シュトロームだけじゃないよ?」

 

アウグスト「シュトロームだけじゃない・・・!?」

 

ベルゼ「それも自分達で探る事だよ。じゃあね〜♪」

 

笑顔で右手を振って瞬間移動で姿を消した。

 

ティガ「・・・」

 

ジュリアン「ベルゼ・・・・」

 

 

 

 

その後。マジックシスターズの5人は帰って行った。

 

メリダ「・・・それで?実際今どう言う状況なんだい?」

 

アウグスト「砦に居た魔人達はこれで全滅ですが、やはり砦自体が魔人達の拠点の1つに過ぎなかったようです。シュトロームを始めとする一部の魔人達はまだ健在・・・侵攻状況から考えると、ほぼ間違いなく残りの魔人は帝都に身を潜めています。」

 

マーリン「・・・フム、ではまた帝都に向けて進軍を解すするかの?」

 

アウグスト「それが・・・」

 

砦で戦った魔人が発した言葉を言った。

 

マーリン「・・・成る程。今の所、シュトローム自身に世界侵攻の意思は無いと・・・」

 

リチャード「ブルースフィア帝国を滅ぼす事自体が、彼の本来の目的だったのか。」

 

メリダ「・・・もしかしたら、帝国を滅ぼしたい程強く何かを恨んだ事が、シュトローム自身の魔人化に繋がったのかも知れないねぇ。」

 

アウグスト「・・・・」

 

シン「え?」

 

タクト「・・・・」

 

 

 

 

アリア『ヘラルド皇帝は、主人に招待状を送って、帝都へ向かわせました・・・主人が帝都で会合を行ってる間に、皇帝の手下達が、領民達に嘘の情報を流し、自作自演で信頼を失わせました・・・』

 

 

 

 

以前にアリアから聞いた話を思い出していたタクトは黙ったまま。

 

タクト(奴が魔人化した理由・・・)

 

マーリン「これは仮設に過ぎんのじゃが、そもそも魔人化は、()()()()()()()()()()の魔力の暴走・・・そして、それを引き起こす為に、何か心の内に強い恨みや憎しみの念が存在する事がその切っ掛けとなる可能性があるのじゃ。」

 

シン「・・・でもさ、今まで見てきた魔人達が全員、そこまでの魔力を秘めていたとはとても・・・」

 

タクト「いや、シュトロームは実験で魔力量の低い人間を強制的に魔人化させる術を既に身に付けたと思う。ブルースフィア帝国の平民は、貴族達に虐げられ、搾取された存在。帝国に対し誰もが恨みを持っていても可笑しくない。」

 

シン「魔人化の切っ掛けとしては充分だな。シュトロームはそこを突いて仲間を増やしたのか・・・」

 

マーリン「飽く迄””仮初めの仲間」じゃ。そして今に至り、形だけの仲間は全て剥がれ落ち全滅した。」

 

レイチェル「恐らくですけど、今彼の下に残っているのは、恨みと憎しみを超えた真のシュトロームの信奉者でしょう。」

 

リチャード「手強いぞ。間違い無くな。」

 

まだゼスト率いる斥候隊が残存している。

 

アウグスト「兎も角、シュトロームに関して以後どうするかは、各国で改めて協議し、決めていく事になるだろう。今は、この作戦を一段落させる事が先決。一先ず連合軍に現状報告して来よう。」

 

メリダ「私等はアールスハイドに戻ってるよ。」

 

シン「ありがとう。爺ちゃん、婆ちゃん。」

 

マーリン「ほっほっ。ではまたの。」

 

アウグスト「リチャード様、レイチェル様、また後ほど。」

 

リチャード「あぁ。気を付けてな。」

 

レイチェル「行ってらっしゃい。」

 

タクト「そうだ、皆先に行っててくれ。」

 

シン「え?うん。」

 

先にシン達を行かせたタクトがリチャードとレイチェルに寄って、3人でコソコソ話す。

 

タクト「リチャード、レイチェル。

 

リチャード「あぁ。訊くまでもないが、砦にシュトロームは居たか?

 

タクト「いや、気配すら感じなかった。

 

リチャード「ではやはり、ブルースフィアに屯っている可能性があるな。

 

タクト「後でアリアさんに伝えようと思う。

 

レイチェル「分かりました。報告ありがとうございます。

 

話し終えたタクトは。

 

タクト「じゃあまた後で。」

 

ゲートを開いてシン達と合流しに行く。

 

メリダ「・・・」

 

リチャード「ん?メリダ、どうした?」

 

メリダ「魔人になる程、強く何かを恨んだ人間が・・・目標を失くし・・・もしこの世の全てに価値を見出せなくなったとしたら・・・考えたくないねぇ・・・」

 

離反魔人達の討伐は成功し、アールスハイド王国の危機は救われた。

 

 

 

 

 

 

魔人領では、連合軍が待機している。

 

エドガー「あ!!」

 

そこに、アルティメット・マジシャンズがゲートで戻って来た。少し遅れてタクトがゲートで戻って来た。

 

エドガー「アウグスト殿下!!アルティメット・マジシャンズの皆様も!お戻りになられましたか!!」

 

アウグスト「スマン。待たせた。」

 

エドガー「ご無事で何よりです殿下!それで、逃亡した魔人は?」

 

アウグスト「不甲斐ない事に、我々は捕らえる事が出来なかったが、タクト達が一足先に追跡し、更に王城から連絡を受けた賢者マーリン殿と導師メリダ様、大司祭リチャード様と天士レイチェル様が魔人を討伐してくれた。」

 

エドガー「何と・・・賢者様と導師様・・・そして大司祭様と天士様が・・・!!」

 

連合兵A「凄い・・・!!流石英雄にしてアルティメット・マジシャンズの師である方々だ・・・!!」

 

連合兵B「と言うかその場面見たかった・・・!!」

 

ジークフリード「ああ!!シン!!戻って来たのか!!」

 

シン「ジーク兄ちゃん!クリス姉ちゃんも!王国軍の皆も無事で・・・」

 

だがジークフリードがシンの顔にゴリゴリした。

 

ジークフリード「てんめェ!!何か起きたら起きたで何で早く連絡寄越さねェんだ!!急に魔人が現れたらビビるだろうが!!タクト達が駆け付けてくれたけどよォ!良いか!作戦行動に於いて、連絡の重要性はだなぁ・・・」

 

シン「あ、ゴメン・・・それさっき婆ちゃんにきつく言われた。」

 

ジークフリード「何!?メリダ様に?・・・んじゃ、これ以上の説教は酷だな。」

 

シン「それはそうと、俺達真っ直ぐアールスハイドを目指したのに、何で魔人も軍も見付からなかったんだろう?」

 

ジークフリード「ああそれか。砦への到着日数を縮める為、俺達は強行で進路を随分変更したんだよ。多分それが、魔人の逃走ルートとカチ合っちまったんだ。」

 

シン「そうだったのか・・・他の皆は?無事?」

 

クリスティーナ「これまでの犠牲は少なくはないですが・・・それでも、シンの考案した剣やブーツのお陰で魔物相手にも随分善戦出来たようには思います。」

 

ミランダ「マリア!!」

 

マリア「ミランダ!!」

 

ミランダ「聞いてよ!私、アンタとの修行のお陰で何とか魔物を・・・」

 

すると突然、マリアがミランダをギュッと抱き締めた。

 

マリア「無事で良かった・・・!心配してたんだからね!アンタの事・・・!!」

 

自分を心配してくれてるマリアに、ミランダの笑みが溢れた。

 

ミランダ「マリア・・・アンタだってボロボロじゃない・・・平気?」

 

マリア「うん・・・」

 

ミランダ「落ち着いたらまた、魔物狩り付き合ってくれる?」

 

マリア「・・・うん・・・!」

 

シシリー「お姉様!!」

 

セシリア「シシリー・・・!!」

 

2人の姉にシシリーが飛び込んだ。

 

デリック(エミールは居なかった・・・彼処に戻ったのか?)

 

タクト「作戦は無事終了したな。」

 

???「タクト君!」

 

タクト「?」

 

そこに、4人の男女が。

 

タクト「ニルス!モニカ!マナミア!アザレアまで!」

 

ニルス「怪我はなかったか?」

 

タクト「あぁ。何とかな。」

 

モニカ「ご無事で何よりです。」

 

マナミア「皆さん、大活躍だったようですね。」

 

アザレア「流石私の甥っ子達ね。」

 

リチャードとレイチェルの娘のモニカ、婿養子のニルス、孫娘のマナミア、マーリンとメリダの娘で、シンの叔母のアザレアと出会った。

 

 

 

 

その後、アウグストから連合全軍に対し、魔人追撃の件と、今後についての宣言がなされた。直接的な侵攻の動きは無い。魔人達(シュトロームたち)は一時的に放置し、当面は魔人領内の魔物の掃討に当たるらしい。

 

そしてこれをもって、アルティメット・マジシャンズと作戦参加に志願した学院生達はお役御免となった。

 

無線通信機は、オープンチャンネルのみの物を今後作成し、それを各国に配る事で合意された。それが導入されれば、各国がリアルタイムで情報交換可能になり、より効率的に魔物討伐を進められる事になるだろう。

 

旧帝都を除く地域で、可能な限りの魔物を討伐し、最終的にはシュトロームを刺激しない程度の距離を置いて陣を設置し監視する。それで、この作戦は一時的な終結となる予定だ。

 

こうしてアルティメット・マジシャンズの役目は終了し、アールスハイドへ帰還する事となった。

 

 

 

 

 

 

一方、魔人領・帝城では。

 

エミール「以上です。連中は今頃アールスハイドに着いた事でしょう。・・・ま、良くも悪くもハンター魔人共が上手く人間達を振り回してくれたって事ですかね。奴等が与えた連合軍へのダメージはゼロに等しいですが、クリスティを除いたウォルフォード達は冷静な判断力を奪われていたように見えましたし・・・結果、連合軍がここに来る事は無くなった訳ですから。」

 

シュトローム「・・・フム・・・」

 

ゼスト「人間達は・・・シュトローム様自身に他国侵攻の意志は無いと考えているんだな?」

 

エミール「王太子が砦でそう宣言していましたから。大方、砦に居た魔人の誰かが漏らしたんでしょう。」

 

ローレンス(大型の災害旧や見せ掛けの拠点で連合軍(やつら)を揺さぶり、兵力・士気を大幅に削れた。・・・実際、もう帝都まで進軍する余裕は無かったはずだ。『シュトローム様に侵攻の意志が無い』と言うのは、奴等にとって体の良い撤退理由になったな。逃げず、戦わず、事態を収める。こう言う意味だったのか・・・流石だぜ、ゼスト隊長。)

 

ゼスト(それでも尚、危険を承知で死地に踏み込んで来るか。それとも、被害を考慮し安全策を取るか・・・我々としてもそこは賭けだったが、どうやら上手く行ったようだ。)

 

エミール「それじゃ私は失礼しますよ。随分長い事連合軍に潜り込んでいたので。暫く休暇を頂きます。」

 

 

 

 

玉座の間から出たエミールは腰を抜かし。

 

エミール(はぁぁあぁ〜〜〜〜〜〜・・・・く・た・び・れ・たぁああ・・・)

 

完全に疲れ果ててしまった。

 

エミール(最初こそある意味でスリルも楽しめたが、何なんだよ!あの野郎共の広域・高性能な索敵能力はよォォ!極限まで魔力落として、尚奴らのレーダーに引っ掛からないか、終始冷や汗モンだったぜ・・・センス溢れる俺の魔力操作が無きゃ、絶対魔人の存在バレてたぞアレ・・・おまけに俺を殺そうとするデリックの野郎も彼処に居やがったとは・・・!シン=ウォルフォード・・・!!タクト=クリスティ・・・!!デリック・・・!!アルティメット・マジシャンズ・・・!!くそ・・・くそっ!!目論見通りに事を進めたのは魔人側(おれら)だってのに、こっちの方が一泡吹かされた気分だぜ・・・!!潜入なんて、もう二度とやらねェ・・・)

 

ふらふらしながら去って行った。彼の姿をカインとサイクスが目撃した。

 

サイクス「相当神経削ったみてーだな。エミールの野郎。」

 

カイン「そりゃそうだ。ウォルフォードとクリスティのすぐ側で何日も過ごさなきゃいけなかったんだろ?俺なら死んでも断る。」

 

廊下を歩いてると、フィンが居た。

 

サイクス「お。よォフィン。例のデケー魔人共はもう打ち止めか?」

 

フィン「あ”?・・・何スか?」

 

彼は何かにイライラしてブツブツ言ってる。

 

サイクス「ん?何で今度はあの野郎がキレてんだ?」

 

 

 

 

玉座の間。

 

ゼスト・・・さて、今後ですが。如何致しましょう?シュトローム様。」

 

シュトローム「人間達の動き・・・次第ですからねぇ・・・去る者に興味はありませんが、あまり身の回りに集られるのも鬱陶しいですしねぇ。・・・まあ取り敢えずは、例の実験結果が出る方が早そうですしねぇ。」

 

例の実験結果。そう言ってシュトロームが玉座の間を後にした。

 

 

 

 

向かった場所は、ミリアの部屋。ドアにノックする。

 

シュトローム「ミリアさん。私です。」

 

果たして、彼等が計画している例の実験とは・・・

 

 

 

 

そして、帝城を眺める人物が居た。

 

ベルゼ「これは面白くなりそうだね。」

 

先程の戦いで左腕を失ったベルゼだ。

 

ベルゼ「今後の展開が楽しみだねぇ〜♪」

 

その場から瞬間移動で消え去った。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子
グレア:高橋李依
ジェレミー=ダンクルク:前野智昭
ローランド:山本和臣

ジークフリード=マルケス:金子誠
クリスティーナ=ヘイデン:古賀葵

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高橋雅羅
リチャード=ラドクリフ:堀内賢雄
レイチェル=ラドクリフ:白鳥由里
ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭
ドミニク=ガストール:小山剛志
ルーパー=オルグラン:保村真
メイ=フォン=アールスハイド:雛乃木まや

ニルス=ラドクリフ:寺島拓篤
モニカ=ラドクリフ:佐藤聡美
マナミア=ラドクリフ:前川涼子

セシリア=フォン=クロード:佐藤利奈
シルビア=フォン=クロード:小澤亜李

ミランダ=ウォーレス:吉七味。
アザレア=ウォルフォード:新谷良子

ハンナ:伊波杏樹
カーラ:鈴木絵里
テッサ:奥野香耶
イルゼ:楠田亜衣奈
ウェンディ:藤田咲

アリア=フォン=ストラディウス:坂本真綾

エドガー:間宮康弘

ジュリアン=フィッツバード:小松未可子
ジネヴラ:小宮有紗

フレイ:上原あかり

ベルゼ=クラスティール:澁谷梓希

兵士:松田修平
   狩野翔
   石谷春貴

ラドリー:小林竜之
ヒース:山本祥太

ゼスト:津田健次郎

ローレンス:杉山紀彰
カイン:井上雄貴
サイクス:興津和幸
エミール:高梨謙吾
フィン:市来光弘

オリバー=シュトローム:森川智之





次回予告

ケイティ、ジュリアン、ジネヴラ、ラルフ、マジックシスターズ、デリック。この者達が抱えているものとは。

次回ウルトラマンティガ

それぞれの事情

お楽しみに


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第26話「それぞれの事情」

『PART1・裏切り者の娘』

 

魔人領攻略作戦後・ウォルフォード邸。

 

ケイティ「えっと、何で呼ばれたっけ?」

 

ナチュラルにナージャを抱きながらローランドを撫で撫でしてるケイティが疑問を抱いてる。

 

トール「ケイティ殿、教えてくれませんか?あなたが魔人達から、裏切り者の娘と呼ばれた理由を。」

 

ケイティ「あぁ、そんな約束してたね。」

 

アウグスト「裏切り者の娘?」

 

ケイティ「そうそう。」

 

タクト「俺達は昔聞いたが、改めて聞こう。」

 

ケイティ「じゃあ教えるね。コホンッ。」

 

彼女は、自分の過去を語った。

 

ケイティ「私はね、元々ブルースフィア帝国出身なの。」

 

シン「何だって?」

 

アリス「もしかして、貴族の?」

 

ケイティ「いいえ。平民出身。でも私の家庭は貧しくなかったの。」

 

シシリー「どう言う事ですか?」

 

ケイティ「お父さんがね、帝国イチのハンターだったの。誰からも信頼され、収入も他のハンターより多かった。だから私は、貴族みたいな生活を送ってた。でもね。」

 

シシリー「?」

 

ケイティ「その腕を、貴族達に見出されてね。貴族達から、私達に雇われたら、更に裕福な生活を約束するって。」

 

マリア「断ったの?」

 

ケイティ「最初はね。けど後に貴族に雇われば生活が変わるかもってお父さんが。」

 

リン「それが理由で?」

 

ケイティ「うん。それから私達は裕福な生活を送れた。でもその対照的に、平民達からお父さんを裏切り者と罵った。」

 

アウグスト「それが、裏切り者の娘と呼ばれた理由か。」

 

ケイティ「うん。でもお父さんはそれでも笑って居られた。」

 

トニー「どうして?」

 

ケイティ「お父さんはね、子供の頃からポジティブな性格をしてたの。だから何時も笑顔を絶やさず、時に相手を煽るみたいな行動をしてた。」

 

マーク「もしかして、ケイティさんが敵を煽ってるのって?」

 

ケイティ「そう!全てはお父さんから教わった事なの!戦う時パニックにならず、ポジティブ思考を持つ必勝法ってね。」

 

ユーリ「ケイティのお父さんって凄い人なのねぇ。」

 

オリビア「だからあんな笑顔で戦えるんですね。」

 

ケイティ「それから6年後に旅行へ行った時に魔物に襲われ、お父さんとお母さんが私だけを逃がして自ら犠牲になったの。その後も魔物に追われ、倒そうと思った所にタクトとリオとデイジーに出会ったの。」

 

リオ「そうそう。でもあの時も笑顔だったね。」

 

デイジー「本当にメンタルが強いわね。」

 

シン「両親が殺されても笑顔を絶やさなかったのか?」

 

ケイティ「お父さんに言われたの。身内が死んでも悲しむ顔をするな。死んでしまった者までも悲しくなるって。」

 

ナージャ「本当、何でもお父さんに影響されるのね。」

 

ケイティ「えへへ〜。それ程でも〜。」

 

デイジー「褒められてないわよ多分。」

 

タクト「けどまぁ、そこがケイティの良い所だな。」

 

ジェレミー「全くだ。お前の笑顔を見てるとこっちも元気が出る。」

 

ローランド「僕もケイティさんの笑顔が大好きですよ。」

 

ケイティ「おぉ!?ローランド!私が大好きなの!?ご褒美あげちゃう〜!」

 

急にローランドに抱き付いた。

 

ローランド「ギャン!?」

 

ケイティ「ご褒美のナデナデだよ〜!よ〜しよしよし〜!」

 

ローランド「うわあああ!!く、くすぐったい・・・!!そこは止めて!止めて下さーーい!!」

 

全員「あはははは!」

 

ケイティ「ねぇ皆、改めて私の仲間として受け入れてくれる?」

 

シン「勿論だよ!」

 

アウグスト「お前も私達の仲間だからな。」

 

シシリー「当たり前ですよ!」

 

マリア「アンタを見捨てる訳ないじゃない!」

 

ケイティ「えへへ〜。ありがと!」

 

過去を語ったケイティは、今後もタクト達と共に戦う。

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『PART2・ベルゼ』

 

ウォルフォード邸。

 

タクト「あの時お前達が見たベルゼの事なんだが。」

 

シン「その娘って、一体何者なんだ?」

 

タクト「彼奴は、俺達の嘗ての仲間だったんだ。」

 

シン「え!?」

 

シシリー「タクト君の仲間・・・?」

 

マリア「リオは知ってたの?」

 

リオ「僕も初めて知った。」

 

マリア「じゃあナージャとケイティとデイジーも?」

 

ナージャ「えぇ。初めて会ったわ。」

 

ケイティ「同じく。」

 

デイジー「私も。」

 

トニー「もしかして、ジェレミーとローランドも?」

 

ジェレミー「あぁ。俺達も彼奴とは初対面だ。」

 

ローランド「僕もです。」

 

ジュリアン「僕は彼女の事知ってるよ。」

 

ジネヴラ「私もよ。」

 

グレア「私も知ってるよ。」

 

タクト「ベルゼは俺達が初めて会った仲間だったんだ。リオとデイジー、ナージャとケイティ、ジェレミーとローランドの前にな。」

 

グレア「彼女はブルースフィアとは違う国の貴族出身で、予知能力を持ってるのよ。」

 

アリス「予知能力!?未来の事が見えるあの!?」

 

タクト「そうだ。生まれ付きの能力で、凡ゆる出来事などを予知して何度も未遂に防いだ実績を持ってる。周りから英雄視された時期があった。けどな。」

 

アリス「?」

 

タクト「ベルゼは殺人まで染め上げてしまった。」

 

ユリウス「ど、どう言う事で御座るか!?」

 

ジネヴラ「自分の持つ予知能力の過信で、これから起こる事件を未遂に防ぐ為、犯人となる人物を殺し続けたのよ。」

 

ジュリアン「僕達が止めようとしたんだけど、ベルゼは聞く耳持ってくれなくて。」

 

 

 

 

ベルゼ『私がやれば、全ての事件を未遂に終われるのよ!』

 

 

 

 

ジュリアン「何度もその言葉を繰り返した。」

 

タクト「後に彼女は焼死刑の判決が下された。だが彼女は魔人化した。」

 

トール「何故、魔人になったのですか?」

 

タクト「彼奴は自ら魔力を暴走させたんだ。魔力を暴走させて魔人化し、俺達以外の人間達を吹き飛ばした。それから彼奴は姿を消した。そして魔人領にあった砦・・・いや、別荘に潜んでいた。」

 

ジュリアン「彼奴とは約3年振りに会った。まさか彼処に潜んでいたとは思ってなかった。」

 

ユーリ「ねぇ、その娘は今度は何を仕出かすのかしらぁ?」

 

タクト「分からねえ。彼奴の思考が読めるなら苦労はしねぇ。」

 

アウグスト「それに、シュトロームに関係する人物が近くに居るのと、この騒動に関わってる人物がシュトロームの他にもう1人居る事が気掛かりだが・・・」

 

タクト「今後はシュトロームや魔物達と、ベルゼの警戒を怠るなよ?それとシン、ちょっと話がある。」

 

シン「え?」

 

アウグスト「シンだけか?」

 

タクト「あぁ。お前等はここで待ってろ。」

 

 

 

 

別室。

 

シン「え!?ベルゼが!?」

 

タクト「あぁ。俺達と同じ転生者なんだ。」

 

実はベルゼは、タクト達と同じ転生者だった。

 

タクト「ベルゼは元中学生。彼奴が転生した時は貴族の令嬢。」

 

シン「まさか、俺達の他に転生者が居たなんて・・・」

 

タクト「ベルゼは要注意だ。気を付けろよ?」

 

シン「あぁ。」

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『PART3・誤解』

 

ラドクリフ邸・貴賓室。

 

アリア「そうでしたか・・・主人は居なかったんですね・・・」

 

タクト「あぁ。気配とか探ったんだが、何処にも・・・だからやはり、ブルースフィアに屯っている可能性が大だ。」

 

リチャード「今後、本格的に帝都侵攻の目処が立つかも知れません。もうしばらくの辛抱です。」

 

アリア「はい。分かりました。」

 

タクト「そうだ、今後アリアさんの身分なんだけど・・・」

 

アリア「え?」

 

タクト「あなたがシュトロームの妻だと知られたら、王国中いや、世界中が騒ぐかも知れない。だから、オリベイラを救出するまで身分を隠した方が良いかと。リチャード、何か良い案は無いか?」

 

リチャード「だったら、ラドクリフ教の信者はどうだ?」

 

タクト「おぉ!ナイスアイディア!アリアさん、それで大丈夫か?」

 

リチャード「信者は何人でも大歓迎です。」

 

アリア「・・・ありがとうございます。私の為に。」

 

今後アリアの身分は、ラドクリフ教の信者となった。

 

 

 

 

廊下。

 

リチャード「そうだタクト君。彼の事を覚えているか?」

 

タクト「彼?」

 

リチャード「リッツバーグ家の嫡男の。」

 

タクト「カート?」

 

リチャード「実は当主のラッセル=フォン=リッツバーグは、ラドクリフ教の信者なんだ。カートが討伐された後に私に助けを求めたんだ。死でしまったカートと対話出来るようにと。」

 

タクト「死者と対話・・・確かにラドクリフ教は、1ヶ月に1度の死者との対話が出来ると評判がある。」

 

レイチェル「シュトロームがアールスハイドから去った後に、主人に頼んで、カートと対話したんです。カートは自分がシュトロームに心を漬け込まれた事を悔やんでラッセルに反省したんです。」

 

タクト「それからどうなったんだ?」

 

リチャード「ラッセルはカートを赦し、立ち直った。ディセウムの計らいで処分は放棄され、今は財務局の事務次官に復職している。リッツバーグ家には長女のステファニーが居る。彼女は兄のカートの意志を受け継ぎ、将来は財務局に入る予定だ。」

 

タクト「そうか。処分されなくて良かった。にしてもシュトローム、カートの心に邪心を漬け込むとは・・・」

 

リチャード「余程帝国を憎んでの事と、人為的に魔人化させる実験に没頭していたんだろう。」

 

タクト「今後とも奴の行動に警戒しないとな。もしかしたら、近くに来てる可能性も。」

 

レイチェル「ありそうですね。」

 

タクト「だが彼奴を助けないと、この騒動の連鎖は終わらない。」

 

リチャード「あぁ。我々も陰からサポートする。」

 

タクト「分かってる。そうだ、それとラルフ長官の事なんだが。」

 

リチャード「あぁ。オーグから聞いた。命令無視で踏み込んで死亡したと。」

 

タクト「長官は、俺達アルティメット・マジシャンズが自分達より戦功を上げる事に不安を抱えていたんだ。」

 

レイチェル「それで命令無視で踏み込んだと・・・」

 

タクト「それと、長官はシンが神の御使いだと信じちまっている。誤解を解く前に死ぬなんて、憐れ過ぎる・・・」

 

リチャード「エカテリーナから聞いてる。彼女が思わず発した言葉に激怒したんだろう。否定派の中では人一倍だからな。タクト君、一緒に来てくれるか?」

 

タクト「ん?」

 

リチャード「彼の誤解を解かなければ。」

 

 

 

 

ラドクリフ教会。

 

ニルス「リチャード様。」

 

リチャード「ニルス君。準備は出来ているかい?」

 

ニルス「はい。何時でも出来ます。タクト君、ようこそラドクリフ教会へ。」

 

タクト「ニルス。モニカにマナミア。また会ったな。」

 

モニカ「はい。またお会いしましたね。」

 

マナミア「お祖父様、例の儀式をお願いします。」

 

リチャード「ウム。では。」

 

水晶玉に両手を翳す。

 

リチャード「ーーーーーーーーー。」

 

詠唱を唱えると、水晶玉が輝き始めた。

 

リチャード「ーーーーーー・・・ハァッ!!」

 

水晶玉の輝きが収まると、祭壇の十字架からラルフ=ポートマンが現れた。

 

タクト「ラルフ=ポートマン・・・!」

 

ラルフ『ここは・・・』

 

リチャード「ラルフ。私だ。」

 

ラルフ『リ、リチャード大司祭様!!』

 

ニルス「久し振りだな。ラルフ。」

 

ラルフ『ニルス様!何故ここに!?』

 

リチャード「私が霊となったお前を呼び出した。ラルフ。貴様はシン君に対するあらぬ誤解を抱いたようだな。」

 

ラルフ『誤解?何の事ですか?』

 

タクト「惚けるな。アンタがシンを神の御使いと認識している事を。」

 

ラルフ『当然だ!!一個人の魔法使いが軽々しく口にしたんだぞ!!』

 

タクト「だがそれは猊下が世界の緊急事態の為だけに発した言葉だ!!」

 

ラルフ『巫山戯るな!!猊下ともあろう御方が・・・そんな事で発言するはずがない!!!』

 

タクト「目を覚ませ!!そんなに自分達の地位が欲しいのか!!」

 

ラルフ『そうすれば我々の戦功が上がって名を上げれる!!なのに・・・あの素人の魔人共の強さは何だ!!あんな強さなど・・・私は認めんぞ!!』

 

タクト「リチャード、この男をどうする?完全にイカれてる。」

 

リチャード「なら私が説得しよう。ラルフ。今ここでシン君が神の御使いの誤解を認めるなら解放する。さもなくば・・・」

 

ラルフ『リチャード様!!私は許せんのです!!神は絶対的存在!!あの小僧に神の御使いの称号を与えるなど狂っている!!私は誤解を抱いていない!!教皇猊下が誤解を抱いているのだ!!』

 

リチャード「そうか・・・折角のチャンスを捨ててしまったのなら。」

 

彼は十字架を翳した。

 

ラルフ『?』

 

リチャード「ーーーーーーーー!」

 

詠唱を唱えると、ラルフが十字架に吸い込まれて行く。

 

ラルフ『な、何を!?』

 

リチャード「お前は自分の誤解を認めなかった!そしてお前の命令無視の行為は連合軍の叛意に等しい!その行為はダーム王国に泥を塗るのと同じだ!!お前がシン君を呪うと言うのなら、私がお前を呪おう!!お前は永遠の十字架の磔の刑に処する!!覚悟しろ!!」

 

ラルフ『リチャード様!!お止め下さい!!これが大司祭様のやる事ですか!!』

 

リチャード「例え周りからそう言われようが構わない!!私は罪を認めない者は赦さない!お前もその内の1人だ!これからはお前を十字架に閉じ込め、エクソシストの為に尽くして貰う!!」

 

ラルフ『グオアアアアアアァァァァァァ!!!!』

 

そして、ラルフが十字架に完全に吸い込まれて行った。

 

リチャード「・・・・」

 

タクト「罪人を封じ込めたか。」

 

ニルス「ラルフは十字架の磔の刑で十字架に吸い込まれた。これからはラドクリフ教のエクソシストに役に立ってくれる。」

 

リチャード「我々が所有する十字架の半数は、罪を認めない者達が閉じ込められた十字架だ。恨みが強ければ強い程、エクソシストの成功率が高くなる。」

 

タクト「成る程。ラルフ、最後まで自分の誤解と行為を認めなかったな。」

 

レイチェル「でもこれで、シンさんが呪われる心配が無くなりました。」

 

タクト「何だか煮え切れないけどな。」

 

ラルフ=ポートマンは自分の誤解と行為を認めず、十字架の刑に処された。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『PART4・姉妹の親』

 

タクト「えっと・・・そろそろかな?」

 

行き着けの魔道具店『グリント』。

 

タクト「店長。」

 

店長「ようタッくん!いらっしゃい!」

 

タクト「例の品、仕入れたか?」

 

店長「あぁ。お望み通りの品物だ。」

 

仕入れた品物をタクトに渡した。

 

タクト「よし、後は俺の家が建てれば完璧だ。」

 

女将「そう言えばタクト君、娘達と一緒に魔人達と戦ったんだってね?」

 

タクト「娘達?2人に子供達居たっけ?」

 

店長「結婚してんだから居るに決まってるだろ?」

 

タクト「それもそっか。それで、その娘達って誰だ?」

 

???「父さーん。」

 

店の裏から出て来たのは、ハンナだった。

 

タクト「あれ!?ハンナ!?」

 

ハンナ「あぁ!!タクトじゃん!」

 

タクト「まさか娘達って・・・」

 

店長「あぁ。ハンナ達マジックシスターズさ。」

 

タクト「えええぇぇぇぇぇーーーーー!?」

 

何と、ハンナ達マジックシスターズは、タクト常連の魔道具店の子供達だった。

 

タクト「もしかして、マーリン様とリチャードが言ってた親友は・・・」

 

店長「俺達の事さ。バルト=グリントと。」

 

女将「ベル=グリントよ。」

 

2人の正体は、マーリンとリチャードの親友のバルトとベルだった。

 

タクト「はぇ〜・・・こんな事ってあるんだな。2人って確か、魔法師団だったってリチャードが言ってたな。」

 

バルト「あぁ。俺は元魔法師団長で、今は引退してベル達と魔道具店を経営してるんだ。」

 

タクト「成る程なぁ。ん?」

 

店の奥にある鎧に目を向けた。

 

タクト「店長、あの鎧は何だ?騎士団の防具でも取り揃えているの?」

 

バルト「あぁ、あれか。あれは鎧魔(がいま)だ。」

 

タクト「鎧魔(がいま)?」

 

ベル「魔力が強過ぎる者に使う魔道具よ。あれを装着すれば強い魔力を制御出来る。」

 

バルト「昔、アザレアが強い魔力を暴走しそうになるのを想定してアレを使ったんだ。そしたら彼女の魔力がジーク達と同じ魔力量になったんだ。」

 

タクト「ほうほう。便利な魔道具だな。」

 

代金を払った。

 

タクト「ハンナ達は店長の店を継ぐ予定なのか?」

 

バルト「いや、今は魔法師団に所属しているんだ。」

 

ベル「この子達は近い内に宮廷魔法師団に入る予定になっているの。」

 

タクト「じゃあジークの後輩になるって訳か。」

 

バルト「そう言う事だ。」

 

 

 

 

店を出た。

 

タクト「まさかハンナ達が店長の娘達だったとは。世の中は広いもんだねぇ〜。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『PART5・デリック』

 

アールスハイド王城・オアウグストの部屋。

 

アウグスト「デリック、詳しく話してくれるか?お前が魔人でありながら、魔人を裏切った理由を。」

 

デリック「あぁ。俺は元々ブルースフィアの平民だった。だが、突如現れた災害級と魔人達が平民や貴族達を殺したんだ。俺は家族と共に必死に逃げていた。けど、1人の魔人が俺以外の家族を皆殺しにしたんだ。父も、母も、妹も。俺は自ら魔人化に志願し、帝国を滅ぼしてシュトロームの配下から離反。それから俺は、魔人や魔物や災害級を殺し続けた。家族の仇を討つ為に。」

 

タクト「それがお前の魔人達を殺し続ける理由か。」

 

デリック「そうだ。俺は離反魔人を離反した魔人と言うべきか。」

 

アウグスト「デリック。お前の家族はどんな家庭だったんだ?」

 

デリック「明るい家庭だった。親父とお袋はとても気さくで優しかった。妹はロクサーヌって名前でな。明るい上にイタズラ好き。少々俺を困らせていたよ。」

 

シン「楽しい家庭だったんだな。」

 

シシリー「デリックさん、これからどうするんですか?」

 

デリック「俺はまた旅に出る。魔人や魔物達から人間を守る為に。それが俺の出来る事だ。」

 

 

 

 

王都・正面門。

 

デリック「じゃあ皆、世話になった。」

 

シン「あぁ。また何処かで会えるかな?」

 

デリック「生きてたらな。」

 

タクト「また会おうぜ。」

 

デリック「あぁ。じゃあな。」

 

彼はアールスハイド王国を発った。

 

ジュリアン「僕達も行こう?」

 

ジネヴラ「そうね。」

 

タクト「お前等、もう行くのか?」

 

ジュリアン「もう行くって言うより、ずっとベルゼを追ってたからあんまり観光巡りが出来なかったから。しばらくアールスハイドを後にするよ。」

 

タクト「そうか。満足したら戻って来てくれるか?」

 

ジュリアン「そうだね。ここに戻ったら、タクト達の仲間に入れてね。」

 

ジネヴラ「じゃあね。」

 

2人はアールスハイド王国を発って、他国の観光へ行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方遠く離れたとある国では、巨大な穴が出現していた。そこから魔力が溢れ出ていた。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子
グレア:高橋李依
ジェレミー=ダンクルク:前野智昭
ローランド:山本和臣
ジュリアン=フィッツバード:小松未可子
ジネヴラ:小宮有紗

リチャード=ラドクリフ:堀内賢雄
レイチェル=ラドクリフ:白鳥由里
ニルス=ラドクリフ:寺島拓篤
モニカ=ラドクリフ:佐藤聡美
マナミア=ラドクリフ:前川涼子

ハンナ=グリント:伊波杏樹

バルト=グリント:緑川光
ベル=グリント:高橋理恵子

アリア=フォン=ストラディウス:坂本真綾

ベルゼ=クラスティール:澁谷梓希

ラルフ=ポートマン:小上裕通





次回予告

タクトの思い出の亡国・ミスリラ帝国。だがそこで、巨大な罠が待ち構えていた。タクトを狙う謎の女の正体は。

次回ウルトラマンティガ

ミスリラ事変前編=変異の帝国=

お楽しみに


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##ミスリラ帝国編##
第27話「ミスリラ事変前編=変異の帝国=」


ミスリラ事変前編=変異の帝国=
サルウァトピア家 登場



魔人領攻略作戦の一時的な終止符が打たれた2日後。夜明け前のある日、タクトがウォルフォード邸から外を出た。

 

タクト「・・・・」

 

ゲートを開き、何処かへ向かった。

 

 

 

 

 

 

その日。シンが誰かを探している。

 

シン「あれ?何処行ったんだ?」

 

マーリン「シン、どうかしたのか?」

 

そこにマーリンが来た。

 

シン「爺ちゃん、タクト知らない?」

 

マーリン「タクト君?いや、見ておらんのう・・・」

 

メリダ「タクトを探してるのかい?」

 

アザレア「どうしたのシン?」

 

そこにメリダとアザレアが顔を出した。

 

シン「婆ちゃん、叔母さん、知らない?」

 

アザレア「タクト?」

 

メリダ「そう言や・・・」

 

 

 

 

夜明け前、メリダが手洗いから出た時。

 

メリダ『ん?』

 

窓の外を見ると、ゲートを入るタクトを見た。

 

メリダ『タクト?』

 

 

 

 

シン「何処かへ行った?」

 

メリダ「ええ。」

 

シン「夜明け前に何処へ行ったんだ・・・?」

 

 

 

 

 

 

午後。アウグスト達を招き入れた。

 

アウグスト「タクトが?」

 

シン「ああ。夜明け前に何処かへ行ったって婆ちゃんが言ってた。」

 

シシリー「何処へ行ったのですか?」

 

シン「それが分からないんだよ。俺達が起きる前に行っちゃったし。」

 

アリス「余程の急用かも知れないよ?多分今日か明日に帰って来ると思うよ?」

 

マリア「そうとは思わないけど?」

 

アウグスト「・・・・・」

 

 

 

 

 

 

タクトの部屋を物色。

 

シン「ん〜・・・何か手掛かりがありそうなんだけど・・・」

 

アウグスト「お前は泥棒か。」

 

マリア「人のプライベートを探るのはどうなの・・・?」

 

シン「彼奴の事だから大丈夫だろう。」

 

マリア「それはどうかと思うけど。」

 

 

 

 

数分後。

 

シン「何も無い・・・」

 

マリア「無線通信機で呼べば良いんじゃないの?」

 

シン「それだ!」

 

無線通信機でタクトを呼ぶ。

 

シン「・・・・・ダメだ。繋がらない。」

 

シシリー「・・・ん?」

 

ベッドの傍に落ちてる何かを発見した。

 

シシリー「シン君、あれは何でしょうか?」

 

シン「え?」

 

ベッドの傍に落ちてる何かを拾う。

 

シン「手紙?何でここに?」

 

アウグスト「どうした?」

 

シン「部屋に手紙が落ちてた。」

 

シシリー「本当ですか?」

 

マリア「タクトが置いて行ったのかしら?」

 

アウグスト「皆を連れて、父上と話してみよう。」

 

 

 

 

皆を連れて王城へ向かった。

 

ディセウム「タクト君が残した手紙?」

 

シン「うん。夜明け前にタクトが何処かへ行った時用のだと思う。」

 

アウグスト「よしシン、開けてみろ。」

 

シン「うん。」

 

手紙の入った封筒を開ける。

 

 

 

 

『シン、お前がこの手紙を読んでるって事は、今お前はオーグ達と一緒だって事かも知れない。俺は今日の夜明け前にある国へ向かった。それはミスリラ帝国だ。その国で、異変が起こってる事を聞いた俺は、すぐにミスリラ帝国へ向かった。その国は危険でもあり、俺の思い出の国なんだ。これは俺だけの出来事だ。お前達は危険で、来るのは止してくれ。それでも俺が心配なら来ても構わない。机の裏にミスリラ帝国までの地図がある。その道を辿って行けば到着出来る。そろそろ時間だ。行って来る。』

 

 

 

 

手紙の内容を全て読んだ。

 

シン「ミスリラ帝国って?」

 

オリビア「陛下、何かご存知ですか?」

 

ディセウム「確か、あの国は3年前の紛争で滅んだ亡国だ。だが、その国で異変が起こってる情報は我が国に届いてないはずだ。」

 

アウグスト「じゃあ一体、誰がミスリラ帝国の情報を知っているのですか?」

 

ディセウム「・・・・・・」

 

メイ「きっと、ミスリラ帝国の誰かがタクトお兄ちゃんの近くで情報を言ったのです?」

 

エリザベート「でもそこは亡国。亡国に人なんて居ないでしょう?」

 

???「話は聞かせて貰ったよ。」

 

全員「?」

 

そこに、リオ達が入って来た。

 

シン「皆!」

 

リオ「タクトがそのミスリラ帝国って言う国へ行ったんだね?」

 

ディセウム「そうだ。」

 

ナージャ「でも亡国って言ってたけど。」

 

ディセウム「うむ。さっきシン君から聞いた話だと、あの国はタクト君の思い出の国らしい。」

 

ローランド「タクトさんの思い出の国ですか?」

 

シン「グレアは知ってる?」

 

グレア「うん。私もそこへ行った事あるよ。フェオン達も。あの時は色々大変だったなぁ〜。」

 

ケイティ「きっと、私達が知らない素敵なガールフレンドと一緒に観光したとか?」

 

ジェレミー「それは無いだろう。」

 

シン「兎も角、そのミスリラ帝国へ行けば何か分かるかも知れない。」

 

アウグスト「シン、行くのか?」

 

シン「彼奴がその国の異変を聞いたんだ。俺達だけ置いて行くなんて、きっと危ない目に遭うに違い無い。」

 

アリス「そうだね!私達はアルティメット・マジシャンズ!同じ仲間だもんね!」

 

マリア「まっ、行くしか無いわね。」

 

シシリー「私も行きますよ。シン君。」

 

 

 

 

外に出た。

 

シン「地図によると、ここから西へ向かうようだ。」

 

リオ「うわぁ・・・物凄く遠いんだね・・・」

 

シン「浮遊魔法で行っても結構時間を費やすなぁ・・・」

 

グレア「だったら、私の記憶をシンにコピーしてあげるよ!」

 

シン「え?」

 

グレア「頭の中で浮かんだ場所へゲートを開けるんでしょ?」

 

シン「ありがとう。頼むよ。」

 

グレア「じゃあ行くよ!ーーーーー。」

 

詠唱を唱えて、シンにミスリラ帝国の場所の記憶をコピーさせる。

 

シン「見えた!」

 

ゲートを開いた。

 

シン「よし。じゃあ行こう!」

 

アルティメット・マジシャンズがゲートを通って、ミスリラ帝国へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、人々を救う力

 

 

それは、人々を支配する力

 

その2つが重なり、この世界がある

 

魔物

 

それは、生物が魔力制御を誤り暴走した存在

 

魔人

 

それは、人間が魔力制御を誤り暴走した存在

 

その2つの存在が、この世界中にある

 

 

ウルトラマンティガ

 

それは、1人の男が持つ超古代の戦士の名称

凡ゆる力を駆使し、人々を守る

 

アルティメット・マジシャンズ

 

それは、シン=ウォルフォードを中心とし

魔人の首魁オリバー=シュトロームが送り込む刺客達と戦う為に結成された

魔法使いの戦闘部隊

 

その2つの存在が、全ての危機を救う

 

世界は世界の未来を彼らに託した

 

 

 

ミスリラ帝国

 

嘗ては巨大な帝国として有名な大国

4つの地区に分かれており、国民達はそれぞれの地区で暮らしていた

だが、3年前にある男が起こした紛争により人口の大半が滅んでしまい

生き残った者達は他国へ逃げ延び、亡国となってしまった

そこに目を付けたとある大富豪があった。

 

 

大富豪サルウァトピア家

 

嘗てミスリラ帝国はサルウァトピア家によって

ある計画の実行場所となってしまった

 

プロジェクトD

 

この計画の詳細、目的、実態は

未だ謎に満ちたままである

 

 

それから3年

 

アルティメット・マジシャンズ

の重要人物の男は

 

再び、

ミスリラ帝国の地に立っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シン達がタクトを探している頃、ミスリラ帝国に降り立ったタクトだが、彼は突如現れた謎の兵士達と戦っていた。

 

タクト「ッ!」

 

ハンドスラッシュを連射し、謎の兵士達の足元に着弾させて牽制する。そのまま兵士達を肉弾戦で蹴散らす。兵士達は彼の実力に怯えたのか、早急に撤退した。

 

タクト「ふぅ・・・これで4度目か、あの兵士達の襲撃は。見た所、衛士隊には見えねえな。」

 

異空間収納から手紙が入った封筒を出した。手紙の内容は・・・

 

 

 

 

『俺だ。タクトだ。この手紙を読んでいるはシン達だろう。俺はさっきまで正体不明の兵士達に襲われた。けどすぐに片付いた。俺は今から調査を再開する。この国は4つの地区に分かれてるんだ。俺が今から向かうのはB地区だ。そこは俺の思い出の場所なんだ。もしかしたらそこで合流出来るだろう。それと分かり易いように、俺のジャケットの下に魔力感知の魔道具を入れておく。それで俺の居場所が特定出来る。じゃあな。』

 

 

 

 

手紙を近くの物陰に隠して、魔力感知の魔道具を起動してジャケットの内ポケットに入れた。

 

タクト「ミスリラ帝国・・・3年振りかぁ。あの頃が懐かしいな。よし、B地区へ行くか。」

 

荒廃したミスリラ帝国を歩く。

 

 

 

 

この国は広く、4つの地区がある。それぞれA地区、B地区、C地区、D地区に分かれてある。

 

 

 

 

中でもタクトの思い出の場所は、このB地区である。

 

タクト「もう、あの時の形も残ってないな・・・けど、あの頃は本当色々あったな。」

 

荒廃したB地区を歩いて当時を懐かしむ。

 

タクト「ん?」

 

ある廃墟の前に立ち止まった。

 

タクト「酒場・・・」

 

それは嘗て酒場だったと言う廃墟。

 

タクト「懐かしいなぁ・・・そうだ、彼奴らは。」

 

 

 

 

次に向かった場所は、B地区の中心にある墓地。紛争の時に巻き込まれてしまい、墓が半壊状態となっている。

 

タクト「お前ら、久し振りに帰って来たぜ・・・」

 

赤い墓の前にしゃがむ。

 

タクト「トモ。天国でサヨの両親に会ってるか?偶には帰って来た俺の前に現れてくれよな。」

 

次は、青い4つの墓の前にしゃがむ。

 

タクト「ようミカエル、リーアム、トーマス、コカトリス。あの時はサヨに自殺に追い込ませたよな。流石はフラミンゴ盗賊団だ。けど最後は彼奴の裏切りで惨殺されたもんな。あの世で罪を償えよな?」

 

緑の4つの墓の前にしゃがむ。

 

タクト「ニシ、アオイ、ハナ、トウゴウ。彼奴に騙された気持ちは俺でも分かる。けど、お前達の意思は、あの時一命を取り留めたアズマがずっと握っているから安心してくれ。でも俺は、今アズマや他の皆は何処で何してるか分からない。けど他国で頑張ってると思うぞ。」

 

最後は、白い墓の前にしゃがむ。

 

タクト「久し振りだな、コウ。お前が死ぬ前に一度手合わせたかったけど、残念だったな・・・俺は今新しい仲間に巡り会えたんだ。その仲間達と共に世界を救う仕事をしてるんだ。お前がまだ生きてたら、それを自慢したかったのになぁ・・・」

 

立って、墓地の前に止まる。

 

タクト「お前ら、喉乾いてるだろ?」

 

両手から水を放水し、墓地に注いだ。

 

タクト「水でも飲んで喉を潤せ。さて、調査始めるか。」

 

墓地から去った。その墓地に人影があった。

 

 

 

 

 

 

調査をするタクトだが、異常は何処にも無かった。

 

タクト「ん〜・・・異常が無いな?どう言う事だ?あの時の夢は嘘だったのか?・・・まぁ考えるのは後だ。そろそろ皆来てるかもな〜。」

 

すると、何かを感じた。

 

タクト「ん?何だ?風の音がする・・・向こうか?」

 

風の音がする方向へ歩く。

 

 

 

 

音のした場所へ向かうと、そこには・・・

 

タクト「何だこれ・・・?大穴?」

 

ミスリラ帝国の中心部に、巨大な穴があった。

 

タクト「何だこの大穴?9年前は無かったはずだが・・・もしかしたら、あの時の紛争で開いた穴なのか?」

 

すると後ろから炎が迫って来た。

 

タクト「ッ!?」

 

迫り来る炎をバク転して避けた。

 

タクト「誰だ!」

 

そこに、1人の人物が出て来た。

 

???「ようやく会えたわね。」

 

タクト「お前は・・・!?」

 

すると炎が戻って来て、タクトの右肩に直撃した。

 

タクト「ぐあっ!!」

 

炎が直撃し、バランスを崩したタクトが大穴に落ちてしまった。

 

???「フッフッフ。」

 

不敵な笑みを浮かべるこの女。一体何者なのだろうか?

 

 

 

 

 

 

その後、シン達がこのミスリラ帝国に降り立った。

 

シン「ここがミスリラ帝国・・・」

 

グレア「本当に懐かしいわ・・・」

 

フェオン「でも酷いわね・・・」

 

トニー「見た感じだと、廃墟だらけだね。」

 

ユーリ「亡国って陛下が言ってたからねぇ。」

 

イザベラ「タクトさんは何処に居るんでしょうか?」

 

ナージャ「皆、これがあったよ。」

 

タクトが置いた手紙を見付けた。

 

シン「タクトがが残した同じ手紙か。」

 

手紙を読む

 

 

 

『俺だ。タクトだ。この手紙を読んでいるのはシン達だろう。俺はさっきまで正体不明の兵士達に襲われた。けどすぐに片付いた。俺は今から調査を再開する。この国は広く4つの地区に分かれてるんだ。俺が今から向かうのはB地区だ。そこは俺の思い出の場所だ。もしかしたらそこで合流出来るだろう。それと分かり易いように、俺のジャケットの下に魔力感知の魔道具を入れている。それで俺の居場所が特定出来る。じゃあな。』

 

 

 

マーク「4つの地区って、かなり広いんッスね。」

 

エミリー「あぁ。」

 

シン「でも、タクトが魔力感知の魔道具持ってるって言ってたから、すぐに見付けられるだろうね。」

 

ナージャ「そうとは限らないみたいよ。」

 

シン「え?」

 

オリビア「どう言う事ですか?」

 

ナージャ「このミスリラ帝国は亡国って言ってたけど、亡国って言う雰囲気じゃないみたいよ。」

 

ユリウス「亡国の雰囲気じゃないで御座るか?」

 

ナージャ「うん。」

 

シン「ナージャ、タクトが辿った道分かるか?」

 

ナージャ「えぇ、分かるわ。付いて来て。」

 

 

 

 

一行はタクトが訪れたB地区に来た。

 

シシリー「ここがB地区ですか?」

 

ユリウス「街も殆ど崩壊しているで御座るな。」

 

オリビア「ここがクリスティ君の思い出の国・・・」

 

ナージャ「止まって。タクトがここで止まって横を見てる。」

 

立ち止まった位置の横を見る。そこにあったのは、タクトが見ていた酒場だった建物。

 

シン「何だここ?」

 

ナージャ「酒場・・・みたいね。」

 

アウグスト「何故酒場を見てたんだ?」

 

ナージャ「分からないわ。」

 

アウグスト「フェオン達は、何か分かるか?」

 

フェオン「勿論よ。だってこの酒場、タクトと関わり深い人達が営んでいたんだもの。」

 

シン「関わり深い人達?」

 

アンナ「はい。今は遠くへ移住してます。」

 

 

 

 

次に向かったのは、タクトが訪れた墓地。

 

シシリー「墓地ですね。」

 

ナージャ「彼はここで水をあげてるわ。」

 

トール「けど、殆どの墓が半壊してますね。」

 

マリア「それで、タクトは次は何処へ行ったの?」

 

ナージャ「・・・ダメ、途中で途切れてるわ。」

 

ヒナ「こっちもダメです。ここで気配が途切れています。」

 

マリア「何で?」

 

ナージャ「タクトはこの国の何処にも居ないわ。」

 

アウグスト「何?」

 

アリス「どう言う事なの?」

 

ナージャ「行ってみれば分かるわ。こっちよ。」

 

帝国の中心部へ向かう。

 

 

 

 

中心部。

 

シン「これは・・・!?」

 

そこに、巨大な大穴があった。

 

マリア「何この穴?」

 

ナージャ「タクトの気配はここで途切れているわ。その証拠に見て。」

 

タクトが持っていた魔力感知の魔道具を拾った。

 

ナージャ「彼がここでこれを落としたって言う事は、誰かの襲撃に遭って、この大穴に落ちた可能性が高いわ。」

 

トール「誰か襲撃・・・もしかしたら、先程タクト殿が言っていた正体不明の兵士達の事でしょうか?」

 

グレア「何なのこの大穴?前来た時にはこんなのなかったのに。」

 

アウグスト「もしくは、その兵士の他に、潜んでいた何者かの襲撃に遭ったのかも知れない。」

 

マリア「それで、タクトはこの穴に落ちたって言うの?」

 

ナージャ「可能性は高いわ。」

 

ローランド「では、この穴へ行きましょう。」

 

マリア「だ、大丈夫なの?」

 

ジェレミー「何かが来たら俺達が喰ってやるから案ずるな。」

 

シン「慎重に降りよう。」

 

と思ったその時。

 

”ガコッ”

 

シン「え?」

 

全員「あ。」

 

何と、シンの足元が崩れ、そのまま大穴へ落下してしまった。

 

全員「うわああああああああ!!!!」

 

グレア「えええ!?ちょっと皆待ってーーーーー!!」

 

唯一無事だったグレアが落下したシン達を追う。果たして、大穴の中はどうなっているのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大穴の底にある巨大な街。ここに、男達が睨み合っていた。

 

アナウンス『ミスリラ帝国で最も危険な場所、地下王国プルガトリウムシティー。力をぶつけ合い、力が無くなるまで使い果たし、勝ち残って栄光を掴み取るのはどっちだ!』

 

リュグナ「今日こそ決着を付けてやる。逃げ出すなら今の内だ。」

 

盗賊・リュグナ。チーム・アジリティのリーダー

 

シュトルツ「強い奴が勝ち残る。それだけだ。」

 

盗賊・シュトルツ。チーム・マハトのリーダー。

 

アナウンス『導火線に火の付いた爆弾は誰にも止められない!さぁ、バトルスタートだ!!』

 

双方のチームが剣で渡り合う。

 

アナウンス『今日も血で血を洗う戦いになるぞ〜!』

 

アジリティのメンバー「止めろ!!止めろー!!」

 

チーム・アジリティの1人がチーム・マハトのメンバーの剣で胸を斬られた。

 

アナウンス『おっと!早速死亡者が出た!!チーム・アジリティ!チーム・マハト!互いに一歩も引かない!だが、決着が付かないなんて事は無い。彼らには奥の手がある!それは此奴だ!!』

 

リュグナ・シュトルツ「デュナミスフォース!!」

 

首輪が光り、リュグナとシュトルツの身体能力が強化された。

 

リュグナ・シュトルツ「うおおおおおおお!!!!」

 

両者の剣がぶつかり合う。

 

 

 

 

その遠くに、2人の少女が監視をしていた。

 

アキ「マハトとアジリティの奴ら、また始めたようね・・・」

 

ミカ「アキ、どうする?」

 

アキ「決まってるよ。アズマに報告しないと。」

 

 

 

 

マハトのメンバー「オルァ!!」

 

アキ「しまった!!」

 

ミカ「うわっ!!」

 

気付かれたが、メンバーの持ってる剣を避けた。

 

リュグナ「何だ?今やじり貧のチーム、バーゼのアキとミカじゃねえか。たった5人で何が出来るんだぁ?」

 

アキ「冗談じゃないわよ!5人でも、私達にはアズマが居るわ!」

 

ミカ「そうよ!こんな所で死ぬ私達じゃないのよ!」

 

リュグナ「だったら、先にテメェらを始末して3人にしてやるぜ!お前ら殺れ!!!」

 

アジリティのメンバー達がアキとミカを襲う。

 

アキ「くっ!!」

 

ミカ「アキ!!」

 

握ってる剣で、アジリティのメンバー達を振り切ろうとする。

 

アキ「多過ぎる・・・!!ハァッ!!」

 

ミカ「待って!!」

 

大ジャンプして後ろに着地した。

 

アキ「こっちよ!!」

 

ミカ「ここまでおいで!!」

 

挑発して逃げ、アジリティのメンバー達がアキとミカを追う。

 

リュグナ「ハハハハ・・・オルァ!!」

 

シュトルツ「フンッ!!」

 

2人は激しい戦いを繰り広げる。

 

リュグナ「覚悟しろよ!」

 

シュトルツ「来いよ!」

 

2つの剣がぶつかり、衝撃波が走った。

 

 

 

 

 

 

別の場所では。

 

シン「う・・・ん・・・?ここは・・・?」

 

目が覚めると、何処かの家に居た。

 

???「気が付いた?」

 

シン「ん?」

 

そこに、1人の少女が様子を見に来た。

 

シン「君は?」

 

マチ「私はマチ。元ミスリラ帝国の人間よ。」

 

シン「ミスリラ帝国の元人間・・・?」

 

マチ「あなたと一緒に落ちた仲間達はもう起きてるわよ。」

 

シン「え?」

 

マチ「行きましょう。」

 

 

 

 

リビングに入る。そこにアウグスト達が目を覚ましていた。

 

アウグスト「シン、やっと起きたか。」

 

シン「皆、無事だったんだね。」

 

マリア「私達が倒れていた所を、彼女達がここに運んでくれたの。」

 

マチ「ヨーコ、アズマ達はまだ帰って来てないの?」

 

ヨーコ「えぇ。」

 

他にも5人の少女と、3人の少年が居た。

 

サヨ「皆さん、温かいスープをどうぞ。」

 

ケイ「お待たせ〜!」

 

全員分のスープを持って来た。

 

シン「ありがとう。」

 

グレア「本当に久し振りだね!皆!」

 

ケイ「うん!懐かしいねグレア!フェオン達も!」

 

レア「あぁ!滅茶苦茶久し振りだな!3年振りか?」

 

ケイ「うんうん!」

 

マモル「あなた達は、何処から来たのですか?」

 

ユイ「見た所、私達の国の人間じゃなさそうね。」

 

シシリー「私達は、アールスハイド王国から来ました。」

 

カオル「え?パパが言っていたあの三大大国の?」

 

シシリー「はい。」

 

シン「パパ?」

 

セイラ「それで、アールスハイド王国からここで何をしに来たの?」

 

アリス「えっと・・・タクト君を探しに来たんだよ。このミスリラ帝国に居るって言ってたんだよ。」

 

マチ「え?タクトを!?」

 

ユイ「嘘!?」

 

リオ「知っているの?」

 

マチ「ええ。私達の恩人なの。」

 

タカオ「ほうほう。タクト殿の仲間とは、これは驚きですね。」

 

ユーリ「それで、クリスティ君は何処に居るの?」

 

サヨ「私達もタクトさんを知らないんです。」

 

ユーリ「そう・・・」

 

シン「なぁ、君達はミスリラ帝国の元住人だよね?」

 

ケイ「そうよ。」

 

シン「元住人がどうして、この亡国となったミスリラ帝国に来たんだ?」

 

マチ「・・・・・」

 

ヨーコ「私達は、自分達の意志で戻って来た訳じゃないの・・・」

 

アウグスト「・・・詳しく説明してくれないか?」

 

ヨーコ「ええ。あれは・・・」

 

 

 

 

 

 

更に別の場所では。

 

タクト「・・・・・・ここは何処だ?」

 

真っ黒の空間に佇んでいるタクト。

 

タクト「っ!誰だ?」

 

後ろに振り向くと、パーカーを被った男が立っていた。

 

???「久し振りだな。」

 

タクト「久し振り・・・?お前は誰だ?」

 

???「お前、俺を忘れたのか?」

 

タクト「忘れた・・・だと?」

 

???「そうか、忘れたのか。それも良いかもな。お前にとってな。」

 

タクト「言ってる意味が分かんねえぞ。その覆面を脱ぎやがれ!」

 

パーカーを脱がそうとしたが、男は避けた。

 

タクト「お前、俺の事知ってるのか?」

 

???「勿論だ。」

 

男の内ポケットから何かを取り出した。

 

タクト「っ!?」

 

それは、タクトの持ってるスパークレンスだった。

 

タクト「お前、何故それを持ってる!?」

 

???「此奴は俺の物だ。」

 

タクト「巫山戯るな!俺のスパークレンスを返せ!!」

 

奪い返そうとしたが、男は避け続ける。

 

???「今のお前に、此奴を持つ資格は無い。」

 

タクト「待て!逃げるな!」

 

突如真っ黒の空間が剥がれ、白い輝きに包まれた。

 

 

 

 

 

 

タクト「っ!?はぁ・・・はぁ・・・」

 

目を覚ましたタクト。

 

タクト「夢か・・・っ!?」

 

ジャケットを手探りしたが、スパークレンスが無くなっていた。

 

タクト「無い・・・無い!?・・・無い!!今の夢じゃなかった・・・・けど彼奴は一体・・・・」

 

???「目が覚めたようだな。」

 

タクト「え?」

 

そこに、1人の男がやって来た。

 

タクト「アズマ・・・アズマなのか!?」

 

アズマ「ああ。久し振りだなタクト。」

 

彼の名はアズマ。タクトと縁のある男。

 

アズマ「お前が倒れていたから、死んだかと思ったよ。」

 

タクト「倒れていた・・・?うっ・・・!!」

 

立ち上がったが、右肩に痛みが走った。

 

アズマ「おい、無理するな。火傷の手当をしたばかりだからな。」

 

タクト「火傷?」

 

ジャケットを捲ると、右肩に包帯が巻かれてあった。

 

タクト「そう言えばあの時・・・誰かに炎を直撃されて・・・」

 

アズマ「多分お前は、襲って来た誰かに落とされたんだろう。」

 

タクト(俺を襲ったのは女・・・けどあの女は一体・・・)

 

アズマ「タクト?」

 

シイナ・ナナセ「アズマ隊長!!」

 

そこに、少女シイナとナナセが駆け付けた。

 

アズマ「シイナ?ナナセ?どうしたんだ?」

 

タクト「シイナ!?ナナセ!?」

 

シイナ「え?タクト!?目が覚めたんだね!」

 

ナナセ「無事で良かった!怪我は大丈夫?」

 

タクト「あ、ああ。」

 

アズマ「シイナ、ナナセ、どうしたんだ?」

 

シイナ「そうだった!大変です!アキとミカがアジリティとマハトの抗争に巻き込まれました!」

 

アズマ「何だって!?」

 

タクト「アジリティとマハト・・・!?それに・・・アキとミカ!?」

 

ナナセ「このままじゃ2人が!!」

 

アズマ「助けに行くぞ!」

 

タクト「待てアズマ!何処へ!」

 

アズマ「決まってる!アキとミカを助けに行く!」

 

タクト「お、おい待て!」

 

アキとミカを助けに向かった4人。

 

 

 

 

 

 

別の場所では。

 

リュグナ「ハァッ!!」

 

シュトルツ「フンッ!」

 

剣と剣がぶつかり合う。

 

マハトのメンバーA「シュトルツ!殺っちまえ!」

 

マハトのメンバーB「押し切れ!!」

 

アナウンス『これは一方的な戦いだ!一気に決着が付いてしまうのか!?』

 

シュトルツ「ハァッ!!」

 

リュグナ「ぐああああ!!」

 

力強い振り下ろしで、リュグナが倒れた。

 

シュトルツ「どうした!そんなもんか?」

 

リュグナ「甘く見てると・・・痛い目見るぜ!!」

 

アジリティのメンバー達が剣でシュトルツに攻撃する。

 

アナウンス『チーム・アジリティも負けてない!決着はまだまだ遠のくのか!?』

 

リュグナ「オラオラオラオラ!!」

 

縦横無尽に剣を振り、シュトルツを押す。

 

リュグナ「ドラァ!!!」

 

シュトルツ「ぐあっ!!」

 

強い一撃を喰らったシュトルツが膝を付いた。

 

リュグナ「さっさとテメェらもアキとミカを殺せ!!」

 

アキ「こんな所で死ぬのは御免よ!!トモ姉に申し訳無いわ!!」

 

ミカ「ここで死んだら私達の人生は水の泡よ!!」

 

だがアジリティのメンバー達の圧力で押されてしまった。

 

アキ「ああっ!!」

 

ミカ「きゃあっ!!」

 

リュグナ「あははははは!残念だったなぁ!ここで終わりだぁ。死ねええええええ!!!」

 

剣を振り下ろそうとした瞬間。

 

 

 

 

アズマ「待ちやがれ!!!」

 

 

 

 

アナウンス『おっと!ここでチーム・バーゼのリーダー!アズマが乱入だ!!』

 

アキ「アズマ!」

 

ミカ「アズマ!」

 

アズマ「アキ、ミカ、下がってろ。」

 

アキ「ゴメンね・・・」

 

ミカ「助かった・・・」

 

シュトルツ「アズマ。」

 

アズマ「シュトルツ!リュグナ!今日で終わりにしてやる!デュナミスフォース!」

 

首輪が光り、身体能力が強化された。

 

アズマ「絶対に俺達が勝ち残る!!」

 

3つのリーダーが激しくぶつかり合う。

 

ナナセ「アズマ隊長!」

 

シイナ「お伴します!!」

 

そこにシイナとナナセが乱入し、アジリティとマハトのメンバー達と戦う。

 

 

 

 

アズマ

 

シュトルツ

 

リュグナ

 

ヴァーテル

 

 

 

 

マチ

 

シイナ ナナセ

 

ヨーコ サヨ

 

アキ ミカ ケイ ユイ

 

カルマ ルブラ

カオル マモル タカオ セイラ

 

 

 

 

フェオン イザベラ
エミリー ヒナ
レア アンナ グレア

 

 

 

 

シン=ウォルフォード シシリー=フォン=クロード

アウグスト=フォン=アールスハイド マリア=フォン=メッシーナ

アリス=コーナー トール=フォン=フレーゲル

リン=ヒューズ ユーリ=カールトン

トニー=フレイド ユリウス=フォン=リッテンハイム

マーク=ビーン オリビア=ストーン

リオ ナージャ=オブシディアン ケイティ=グレイス 
デイジー グレア

ジェレミー=ダンクルク ローランド

 

 

 

 

スルビア=サルウァトピア

エレホス=サルウァトピア

 

 

 

 

 

 

タクト=クリスティ

 

 

 

 

アズマ「最後まで生きるのは俺達だ!この身体能力の力に懸けてな!」

 

タクト「アズマ・・・シイナ・・・ナナセ・・・」

 

シュトルツ「ハァッ!!」

 

リュグナ「ダァッ!!」

 

アズマ「クッ!!」

 

シュトルツとリュグナの強い一撃を防いだアズマだが、右手が痺れて膝を付いた。

 

シイナ「アズマ隊長!」

 

アズマ「構うな!続けろ!」

 

シイナ「はい!」

 

するとその時。

 

”ドゴォン!!”

 

彼らの足元に何かが直撃した。そこに現れたのは・・・

 

アズマ「何!?」

 

 

 

 

ウルトラマンティガだった。

 

 

 

 

シュトルツ「何だ!?」

 

リュグナ「ティガだと!?」

 

タクト「ティガ・・・!?」

 

ティガは、アズマとシュトルツとリュグナに圧倒的な力で押した。

 

アズマ「ぐあっ!!」

 

リュグナ「がはっ!!」

 

シュトルツ「くっ!!」

 

そしてタクトに右手を向ける。

 

タクト「っ!?」

 

ハンドスラッシュを、バク転で避けた。

 

アズマ「ハァッ!!」

 

剣でティガと戦う。

 

アズマ「タクト!逃げろ!」

 

タクト「アズマ!」

 

ティガ、3人にゼペリオン光線を放った。

 

アズマ・リュグナ・シュトルツ「ぐあああああ!!」

 

タクト「何故だ・・・ティガが・・・あの中に誰が・・・誰が居るんだ・・・」

 

アズマ「くっ・・・!」

 

シイナ「え!?」

 

ナナセ「ティガ!?」

 

アキ「でもタクトがここに・・・!?」

 

ミカ「じゃああのティガは何・・・!?」

 

駆け付けた4人も、ティガとそこに居るタクトの姿を見て驚いた。

 

リュグナ「くそっ!」

 

シュトルツ「チッ!」

 

2人がその場から急いで逃げ出した。

 

アズマ「埒が開かない・・・!!一旦引き返すぞ!お前達も!」

 

タクト達と共に逃げた。

 

ティガ「・・・・・」

 

残されたティガは、何処かへ姿を消した。

 

 

 

 

 

 

街の奥にある巨大屋敷の部屋。ここに、謎の女性スルビアが居た。

 

スルビア「状況の報告を。」

 

兵士「先頃勃発したチーム同士の抗争にて、タクト=クリスティの姿を確認致しました。調査を進めた結果、奴はティガの力を失っていると。」

 

スルビア「ティガの力を?」

 

兵士「恐らく、何者かが盗み出したかと思われます。」

 

スルビア「そう・・・自分の力が盗まれたとは、憐れね。」

 

兵士「すぐに編成部隊を送り込んで始末致します。」

 

スルビア「いえ、その必要は無いわ。彼は私が殺す。」

 

兵士「はっ。」

 

スルビア「絶対に許せないわ・・・私の大切な物を奪ったのよ。私はあなたを殺すまで、死ぬ訳には行かないわ。」

 

魔法兵士「スルビア様、これをご覧下さい。」

 

水晶玉に映し出されたのは、ティガに襲われてるタクトの映像。

 

スルビア「これは・・・」

 

魔法兵士「戦闘中にタクト=クリスティのティガが乱入しました。しかし彼は、ティガに命を狙われていました。」

 

スルビア「じゃあ、あのティガは誰なの?」

 

魔法兵士「不明です。力を奪われた形跡は残っていません。」

 

スルビア「そう・・・下がっても良いわ。」

 

兵士・魔法兵士「はっ。失礼します。」

 

部屋から2人の兵士が退出した。

 

スルビア「ウルトラマン・・・ティガ・・・」

 

彼女は一体、何者なのか。

 

 

 

 

 

 

何とか逃げ延びたタクト達は。

 

アズマ「怪我は無いか?」

 

タクト「アズマ・・・助かった・・・」

 

身体能力強化が解けた。

 

シイナ「あのティガ、一体誰なのかしら?」

 

アキ「見た所、タクトじゃないって事は確かね。」

 

ナナセ「ええ。だけど誰が変身しているのかは不明ね。」

 

ミカ「また新しい謎が増えちゃったね。」

 

アズマ「兎に角、その事に関しては後でゆっくり調べよう。」

 

シイナ・ナナセ「はい。」

 

アキ・ミカ「うん。」

 

タクト「なぁアズマ、何で他国へ移住したお前らが何故ここに?」

 

アズマ「・・・俺達は1年前に、謎の兵士達に襲われてしまった。」

 

シイナ「住んでいた家や店がその兵士達に無条件で燃やされてしまって・・・」

 

ナナセ「従う他が無く、そいつらに付いて行った・・・」

 

アキ「それでこの地下都市に送り込まれたの。」

 

ミカ「ここで戦いを強いられているの。」

 

タクト「じゃあ、マチ達や皆もここに?」

 

アズマ「ああ。今は隠れ家に潜んでいる。そして俺達はチームを結成して命を懸けた抗争を続けているんだ。このプルガトリウムシティーを抜け出す為にな。」

 

タクト「プルガトリウムシティー・・・つまりここは、天国と地獄の狭間の煉獄って事か。」

 

アズマ「そうだ。そしてあの兵士達の上層部の貴族達が、俺達にこの身体強化が付与された首輪を与えて戦わせているんだ。生き残ったチームだけを外の世界に連れ出すって。」

 

タクト「バトルロワイヤル・・・」

 

アズマ「ああ。」

 

タクト「それにあの2人、もしかしてシュトルツとリュグナか?」

 

アズマ「そうだ。彼奴等もここに連れて来られ、俺達と戦っている。」

 

タクト「って事は、お前達はあの時のように盗賊と戦ってるって事か。」

 

アズマ「そうだ。」

 

タクト「お前達の他にチームメイトは居ないのか?」

 

シイナ「いえ、私達5人だけで結成したわ。」

 

ミカ「身体能力や偵察能力の高い私達でね。」

 

アキ「皆を危険な目に遭わせない為に。」

 

タクト「そうか・・・」

 

ミカ「それに、その貴族達が私達を殺し合うのを楽しみにしている。」

 

タクト「その貴族は、このプルガトリウムシティーを牛耳る奴らの事か?」

 

ナナセ「ええ。この地下都市には、至る所に監視出来る魔道具が仕掛けられているの。そこから私達が殺し合うのを笑いながら見てると思うの。」

 

タクト「脱走は不可能か?」

 

ナナセ「そうよ。今まで脱走しようとした人が居たけど、その人は貴族達に殺されたわ。」

 

タクト「憐れなもんだな・・・それにこの地下都市、3年前には無かったはずだが。」

 

壁に手を当てる。

 

タクト「この掘り方・・・明らかに魔法で掘られたようだ。雑な箇所が多々あるようだが。」

 

アズマ「噂によると、2年前に掘られたらしい。」

 

タクト「2年前?ミスリラ帝国が亡国となった翌年に?」

 

ナナセ「恐らく上層部の貴族達が率いる魔法兵士達が掘ったと。」

 

タクト「・・・皆、マチ達に会いたい。隠れ家に連れて行ってくれ。」

 

アズマ「分かった。」

 

地面にあるマンホールを外した。

 

タクト「隠し通路か。」

 

アズマ「俺が偶然見付け、皆で掘ったんだ。付いて来い。」

 

隠し通路に入った。

 

 

 

 

 

 

しばらく進んで、地下にある隠れ家に到着。

 

アズマ「ここだ。」

 

隠れ家のドアを開ける。

 

アズマ「皆!」

 

マチ「アズマ!」

 

アキ「皆、戻ったわ。」

 

ミカ「ただいま〜!」

 

サヨ「アキさん!シイナさんにナナセさんも!」

 

ユイ・ケイ「ミカ〜!おかえり〜!」

 

タクト「皆!」

 

シン「タクト!」

 

アリス「無事だったんだね!」

 

タクト「お前達も!」

 

リン「今まで何処に居たの?」

 

タクト「あの大穴から落ちて、倒れた所をアズマ達に助けられたんだ。」

 

グレア「アズマじゃん!!久し振り!!」

 

アズマ「グレア!!フェオンも皆も!!」

 

アンナ「お久し振りですアズマさん!!」

 

マチ「タクト!!」

 

タクト「ようマチ。サヨにヨーコにカオル達。」

 

マモル「お久し振りですタクトさん!」

 

タカオ「タクト殿!」

 

サヨ「タクトさん、温かいスープをどうぞ。」

 

タクト「お!貰おうか。」

 

温かいスープを飲む。

 

タクト「ふぅ〜・・・生き返る〜・・・サヨ、腕上げたようだな。」

 

サヨ「ありがとうございます。」

 

ナージャ「それで、タクトは何でこの帝国に?それにこの地下都市は何なの?」

 

タクト「一昨日の夜、夢の中で目の前に現れた光からこのミスリラ帝国に異変が起こってると告げられたんだ。」

 

 

 

 

一昨日。

 

光『タクト。ミスリラ帝国に異変が起きている。』

 

タクト『ミスリラ帝国?彼処はもう亡国になったはずだろ?』

 

光『巨大な陰謀が動き出したようだ。』

 

タクト『巨大な陰謀・・・』

 

 

 

 

現在。

 

タクト「このミスリラ帝国で巨大な陰謀が動いていると聞いて、俺はこの地にやって来た。そしたら、この大穴の底にあるプルガトリウムシティーに落下したんだ。皆もここに落ちたのか?」

 

アウグスト「そうだ。シンがうっかりミスした事でな。」

 

シン「だから悪かったって!」

 

ジェレミー「プルガトリウムシティー?」

 

タクト「この地下都市の名称だ。この地下都市を牛耳る貴族達が造った街だ。2年前に掘られたと。」

 

ローランド「2年前・・・亡国になった翌年ですね。」

 

タクト「知ってるのか?」

 

オリビア「いえ、マチさん達に教えられました。」

 

タクト「そうか。」

 

ユリウス「その貴族達とは何者で御座る?」

 

アズマ「サルウァトピア家を知っているか?」

 

アウグスト「サルウァトピア家・・・」

 

シン「何だそれ?」

 

タクト「サルウァトピア家。この世界で噂されてる謎の大富豪。多くの企業を持っており、総資産は金貨800億枚。だが噂では、自分が味方する人間の理想を叶える為に暗躍するって言う話もある。その人間達の為ならば武器を与えたり、その人間達が憎んでる人間を殺してくれるなど。今では世界中で金貨7000万の懸賞金で指名手配されている。だが奴らの顔は複数あり、詳細や本拠地が未だに不明だと言う。だが何故そのサルウァトピア家を?」

 

アズマ「プルガトリウムシティーを牛耳る貴族が、そのサルウァトピア家じゃないかって言う噂があるんだ。」

 

タクト「何?」

 

トール「つまり、本拠地がこの地下都市にあるって言う事ですか?」

 

アズマ「可能性がある。」

 

タクト「サルウァトピア家・・・」

 

 

 

 

マチが用意してくれた個室のベッドで、タクトが休んでいる。

 

タクト(俺を襲ったあの女と、夢の中に現れたあの男、そして俺達の前に現れたティガ。一体、この地下都市に何が起きているんだ?)

 

目を瞑って眠りに入った。

 

 

 

 

真っ黒の空間。

 

タクト「・・・またここか・・・」

 

???「よう。また会ったな。」

 

夢の中で出会ったあの男が目の前に。

 

タクト「お前・・・!」

 

???「仲間達に助けられて良かったな。」

 

タクト「いい加減に顔見せろ!お前は誰なんだ!」

 

???「せっかちな奴だな。俺を忘れたのか?」

 

パーカーを脱いで顔を見せた。

 

タクト「っ!?・・・・コウ?」

 

”ヴオオオオオ!!”

 

そこに現れた人間達。

 

タクト「?」

 

するとコウと名乗る男がその人間達を殺し始めた。

 

タクト「おい!何してるんだ!!」

 

コウ「暴走した人間はもう助からない!!」

 

タクト「暴走化だと!?」

 

コウ「おい!後だ!」

 

タクト「っ!?」

 

後ろから襲って来る人間を抑える。

 

コウ「迷うな!殺せ!一度暴走した人間は元に戻る事は出来ない!!分かってるはずだろう!!」

 

タクト「何言ってるんだ!!お前!!」

 

コウ「言葉通りの意味だ!!お前も、死にたくなければ迷わず殺せ!!」

 

タクト「・・・うおおおおおおおおお!!!!!」

 

抑えている人間の握ってる剣を奪い取り、その人間を串刺した。

 

タクト「・・・・・・!」

 

 

 

 

 

 

???「・・・い・・・おい・・・おいタクト!」

 

タクト「っ!?はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

目を覚ましたタクトの顔は汗だらけになっていた。

 

シン「どうしたんだ?さっきまで魘されていたけど。」

 

タクト「魘されていた・・・?あの夢の影響か・・・」

 

シシリー「タクト君、大丈夫ですか?」

 

タクト「・・・大丈夫だ。ちょっと出て来る。」

 

ベッドから起き上がって、隠れ家を出た。

 

 

 

 

隠れ家前。

 

タクト「・・・コウ・・・お前、何で俺の前に・・・?」

 

しばらく黙り込むタクトだが、何かを考え付いた。

 

 

 

 

隠れ家に戻った。

 

タクト「皆、頼み事がある。」

 

トニー「頼み事?何?」

 

タクト「ああ、ティガを誘き出したい。」

 

シン「ティガ?それ、お前の事だろ?」

 

タクト「実は、何者かに奪われたんだ。」

 

シン「え!?」

 

タクト「・・・ティガは俺を狙っていた。俺はティガの正体を確かめたいんだ。だから協力してくれ。」

 

アズマ「だがタクト・・・」

 

リオ「分かってるよ。協力するのが仲間でしょ?」

 

ケイティ「そうよ!タクトの力を奪った奴の顔を暴いてあげようじゃない!」

 

デイジー「暴いて色々問い詰めてあげるわ!」

 

ユイ「私達も、あなたに借りを返さないとね!」

 

マチ「私も協力するわ。皆も協力してくれる?」

 

アズマ「そうだな。ここでジッとしていても何も出来ねえしな。」

 

サヨ「わ、私も頑張ります!」

 

全員がタクトの提案に賛同した。

 

タクト「ありがとう皆。」

 

アズマ「それともう1つ、シュトルツ達にも協力を申そう。」

 

シイナ「え!?」

 

タクト「シュトルツにも!?」

 

ナナセ「本気ですか!?」

 

アズマ「本気だ。彼奴らと協力すれば、生き残る確率は更に高くなる。」

 

タクト「だが彼奴はプライド高い奴だぞ。簡単に行くと思うのか?」

 

アズマ「信じるしか無い。」

 

シン「うん。じゃあ行こう!」

 

隠れ家に居る全員が、隠し通路を出た。

 

 

 

 

 

 

プルガトリウムシティーの奥に潜む巨大な屋敷。ある部屋に6人の女性と、1人の男が居た。

 

イディラ「スルビアお姉様、何処へ行ったのかしら?」

 

”コンコン”

 

スルビア『スルビアです。お父様。』

 

父「入れ。」

 

そこに、スルビアがドアを開けて入って来た。

 

父「何処に行っていた?」

 

男の名前は、エレホス=サルウァトピア。サルウァトピア家の頭首。

 

スルビア「彼らの様子を監視していました。」

 

エレホス「何時まで経っても自覚が無いものだな!貴族たる自覚を持て!」

 

持っている杖でスルビアを叩いた。

 

スルビア「うっ・・・!」

 

アリティア「スルビアお姉様!」

 

イラ「お姉様!」

 

6人の女性がスルビアを支える。

 

スルビア「大丈夫よ・・・」

 

エレホス「スルビア、お前はこのエレホス=サルウァトピアの亡き跡にこのサルウァトピア家を率いて行く身。ミスリラ帝国と、このプルガトリウムシティーの未来、そしてサルウァトピア家の未来はお前に委ねられている。この痛みと共に刻み込め!!」

 

再び杖で叩こうとしたが、スルビアがその杖を受け止めた。

 

エレホス「っ!?私に逆らう気か!?」

 

スルビア「私は・・・あの人の意思を継ぎます。」

 

エレホス「彼奴の事は忘れろ。死者の事を思えば黄泉の国に引き摺り込まれる。スルビア、そしてイラ、アリティア、イディラ、アケディア、グーラ、ルクリア。お前達は生きている。生きてその責務を果たせ。」

 

スルビア「あの方は何時も言っていました。自分の責務は自分で果たせと。そう教えられました。」

 

エレホス「奴の影響を受けおって。そんな世迷言は忘れろ。世界は支配する者、支配される者の2つしか無い。」

 

スルビア「・・・ある存在が現れました。」

 

妹達「?」

 

エレホス「ある存在?」

 

スルビア「ウルトラマンティガです。」

 

エレホス「タクト=クリスティか。」

 

スルビア「いえ、ティガがタクト=クリスティを襲っていました。」

 

エレホス「・・・何?どう言う事だ?」

 

スルビア「・・・不明です。失礼します。あなた達、行くわよ。」

 

イラ「は、はい!」

 

スルビアと、妹達が部屋から出た。すれ違うように1人の女が入って来た。

 

女「あなたが、私の雇い主?」

 

エレホス「そうだ。お前が傭兵のヴァーテルか。」

 

ヴァーテル「そうよ。依頼内容は子供達へのお持て成しみたいね。安い仕事内容ね。」

 

エレホス「高い仕事へ変更だ。ある男を殺して欲しい。」

 

そこに兵士が部屋に入り、ヴァーテルにタクトの写真を渡した。

 

ヴァーテル「ふ〜ん、中々良い男ね。」

 

エレホス「探し出して抹殺しろ。」

 

兵士がヴァーテルにケースを渡す。

 

ヴァーテル「何かしら?」

 

ケースを開ける。

 

ヴァーテル「・・・身体強化の首輪。私にこれを使えって言うの?・・・まぁ良いわ。ありがたく使わせて貰うわ。朗報を楽しみに待ってなさいね。」

 

彼女は部屋から出て行った。

 

エレホス「・・・希望の時代は終わった。これからは、我が理想の時代となる。この国・・・いや、世界はこのサルウァトピア家が支配する。それが我らと、あの方の理想だ。ハッハッハッハッハ!!」

 

高笑いするエレホス。

 

 

 

 

外から、スルビア達が聞いていた。

 

スルビア「お父様も知らない・・・あのティガは一体誰なの・・・」

 

イラ「お姉様、どうします?」

 

スルビア「私以外に、タクト=クリスティに恨みを持つ者が居る。だから、私達が先に彼を殺す。彼は誰にも殺らせない。傭兵にも、ティガにも。」

 

彼女達は屋敷から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

チーム・マハトの本拠地。ここにタクト達が訪問した。

 

シュトルツ「何の用だ?」

 

カルマ「勝ち込みに来やがったのか?」

 

ルブラ「殺るなら何時だってやってやるぞ!」

 

シュトルツ「止めろ。そう言うつもりは無さそうだ。」

 

アズマ「流石シュトルツ。話が早い。」

 

シュトルツ「要件を話せ。」

 

アズマ「ティガを誘き出したい。」

 

シュトルツ「彼奴をか?」

 

アズマ「お前も気になるだろ?彼奴の正体を。奴は俺達より強い。このままだと、俺達は奴に皆殺しにされてしまう。」

 

シュトルツ「つまり、生き残ってる奴らと協力して奴を倒す。そう考えてるのか?」

 

シン「倒すなんて考えていない。」

 

シュトルツ「お前達は?」

 

アウグスト「我々は、アールスハイド王国から来た者達だ。」

 

シュトルツ「アールスハイド?三大大国の1つか。その国のお前達が何故ここに?」

 

タクト「俺を捜しにここに来た。」

 

フェオン「久し振りね。シュトルツ。」

 

シュトルツ「タクト?それにお前達も?何故お前がここに?」

 

レア「久し振りだなシュトルツ!前の戦いで負けたのを根に持ってるからな!」

 

タクト「決まってんだろ?何者かにティガの力を奪われたんだよ。」

 

シュトルツ「何?」

 

タクト「ここに来た時、何者かにティガの力を奪われた。だから俺達は彼らと共に行動して力を取り戻そうと思っている。」

 

シュトルツ「成る程な。」

 

ルブラ「おい!タクト達と手を組まなくたってシュトルツさんは!!」

 

シュトルツ「恐らく、俺の力を持ってしても、奴に立ち向かうのは難しい。」

 

ルブラ「何弱気言ってんですか!?シュトルツさんの力なら!」

 

するとシュトルツが、ルブラの胸元を掴んだ。

 

シュトルツ「良いか?野生動物は敵の動きを的確に見極める。そうでなければ餌になる。奴の餌になって、死にたくなければ自分を知れ!」

 

そのまま地面に叩き込む。

 

ルブラ「すみません・・・・」

 

アズマ「じゃあ手を組んでくれるのか?」

 

シュトルツ「いや、断る。」

 

シシリー「どうしてですか!?」

 

マリア「アンタ、彼奴の力を分かっているんでしょ!?」

 

シュトルツ「勝てないとは言った!だがだからと言って逃げるつもりは無い。どんな邪魔が入ろうと、俺は俺の強さを示す!」

 

アズマ「けどな!」

 

シュトルツ「話は終わりだ。帰れ。」

 

アキ「ちょっと待ちなさいよ!」

 

シュトルツ「帰らないと言うのなら、今からここで始めても良い。」

 

タクト「おい行くぞ。」

 

ケイティ「ちょっとタクト!?」

 

ユイ「帰るの!?」

 

タクト「交渉決裂。ここに居るだけ無駄だ。じゃあなシュトルツ。」

 

アズマ「・・・行くぞ。」

 

シイナ「はい!」

 

他の皆も、マハトの本拠地から出て行った。

 

シュトルツ「・・・」

 

彼らが出て行ったと同時に、シュトルツが胸に痛みを感じた。

 

リュグナ「バーゼとタクトの奴ら思ったより早く動いたようだねぇ。」

 

チーム・アジリティのリーダーのリュグナがやって来た。

 

シュトルツ「お前が俺の所に来るのが早かったようだな。」

 

リュグナ「そりゃああのタクトとティガは驚異だからな。奴に暴れられたら、俺達の勢力は簡単に崩れてしまう。だから、ここは俺と組んで奴を一緒に倒して!」

 

シュトルツ「誰であろうが答えは変わらない!お前と組むつもりは無い。」

 

リュグナ「強気だねぇ。分かった。俺がバーゼの連中と組んでも知らねえぞ?」

 

シュトルツ「そうしたければそうすれば良い。お前達も。ティガも。俺達が纏めて叩き潰す。」

 

リュグナ「その自身は何処から来る?」

 

シュトルツ「怒りだ。」

 

リュグナ「怒り?」

 

シュトルツ「自分に対する怒り。弱気者に対する怒り。それが俺を強くする。俺は何れ貴族共を倒して、この国の頂点に立つ。」

 

リュグナ「頂点ねぇ〜。」

 

シュトルツ「だからお前など眼中に無い。」

 

リュグナ「その言葉に後悔しなきゃ良いんだけどなぁ。」

 

”ドクンッ!!”

 

シュトルツ「うっ!?」

 

突然シュトルツが苦しみ出した。

 

カルマ「シュトルツ!!!」

 

シュトルツ「な・・・何でも無い・・・!!」

 

リュグナ「あれれれ〜?この間の俺との戦いのダメージ、残ってたりする〜?」

 

シュトルツ「チッ、言ってろ。おい、行くぞ。」

 

リュグナ「まぁ良いや。お大事に。」

 

 

 

 

 

 

チーム・アジリティの本拠地。

 

リュグナ「自身過剰な奴め・・・何時だって自分が一番だって思ってやがる。まぁ良い。アズマ達と接触する。奴と手を組んでシュトルツを殺る。何だか調子悪そうだったしな。その後に俺とアズマでティガだ。出来るだけ彼奴に戦わせて俺は体力温存。最後に生き残るのは・・・この俺だ。」

 

???「それはどうかしらね?」

 

リュグナ「誰だ?」

 

そこに、傭兵ヴァーテルが現れた。

 

ヴァーテル「あなた、中々の策士ね。でも覚えておきなさい。どんなに策を巡らせても、弱者は生き残れない。死ぬわ。」

 

メンバー達「オルァ!!」

 

軽々と攻撃を避けた。

 

リュグナ「何者だお前?」

 

ヴァーテル「私はヴァーテル。ただの傭兵よ。」

 

リュグナ「傭兵。・・・って事は、貴族共に雇われたのか。」

 

ヴァーテル「察しが良いね。質問するわ。この男の顔に見覚えあるかしら?」

 

タクトの写真を見せる。

 

リュグナ「タクトか。今バーゼの奴らと一緒に居るな。」

 

ヴァーテル「じゃあ案内しなさい。」

 

リュグナ「はい。って言うとでも思ってるのか?」

 

ヴァーテル「じゃあはいって言わせてあげるわ。来なさい!」

 

挑発して、アジリティのメンバー達を軽々と避けながら蹴散らした。

 

ヴァーテル「どうしたの?そんな程度?」

 

リュグナ「オルァ!!」

 

ヴァーテル「遅い。」

 

腕を掴んで、背負い投げした。

 

リュグナ「がはっ!!」

 

ヴァーテル「そんなんでよくリーダーが務まるわね。」

 

高くジャンプして、近くの柱の上に着地した。

 

ヴァーテル「見せてあげるわ。私の新しい武器を。デュナミスフォース!」

 

首輪が光り、身体能力が強化された。

 

リュグナ「彼奴も!?」

 

ヴァーテル「邪魔者は眠って貰うわ。」

 

高速でアジリティのメンバー達を一斉に気絶させた。

 

リュグナ「お前達!?」

 

ヴァーテル「フッ!」

 

ジャンプして、リュグナの前に着地し、両手に剣を握る。

 

ヴァーテル「ハァッ!」

 

リュグナ「うおっ!?・・・この野郎!!」

 

避けてから殴ったが。

 

リュグナ「がはっ!!」

 

剣の鞘で防がれ、殴って痛がった。

 

ヴァーテル「私ね、卑怯な子は嫌いじゃないのよ。」

 

剣の持ち手部分でリュグナを殴った。

 

リュグナ「うわっ!!」

 

地面に突き刺して地下水が噴射された。

 

ヴァーテル「ハァッ!」

 

その地下水を利用して、剣を振ってリュグナに向けて飛ばした。

 

リュグナ「ちょ、ちょ!止めて!あばばばばばばば!!」

 

地下水で流された。

 

ヴァーテル「あなたの事、私が使ってあげるわよ。死にたくなければね。」

 

リュグナ「も、もう止めて下さい!命だけは!命だけは〜!」

 

ヴァーテル「じゃあ、案内する気になった?」

 

リュグナ「あ、案内します!いえ、案内させて下さい。」

 

ヴァーテル「あら、物分かりが良いわね。」

 

リュグナ「レディー、此方へどうぞ。」

 

ヴァーテル「助かるわ。」

 

 

 

 

 

 

隠し通路前。

 

ナナセ「シュトルツの分からず屋め!」

 

ユイ「今度会ったらボコボコにしてあげるんだから!」

 

アズマ「止せナナセ。」

 

ミカ「ユイも止しなさい。」

 

ナナセ「でも隊長、ティガの正体が分かるまでって言ってるのに断るなんて酷過ぎませんか!?」

 

ユイ「そうよ!戦いに来たんじゃないのよ!?私達は!!」

 

シイナ「仕方無いわよ。ずっと戦って来た相手なんだから。」

 

ナナセ「だからって、このままじゃ・・・」

 

フェオン「実際シュトルツはプライドが高い故に強いからね。」

 

エミリー「今まで何人もの衛士隊を殺して来たからな。」

 

シシリー「あのぉ・・・」

 

マチ「何かしら?」

 

シシリー「皆さんは、貴族の皆さんに連れて行かれたって言いましたよね?」

 

マチ「そうだけど。」

 

シシリー「もう1つ言い忘れた事があって・・・」

 

ヨーコ「言い忘れた事?」

 

シシリー「このミスリラ帝国は、何で紛争が起こって、亡国になったのですか?」

 

マチ「・・・」

 

アズマ「教えてやろう。」

 

マチ「アズマ?」

 

アズマ「亡国になる20年前から、ミスリラ帝国に盗賊団が頻発していたんだ。その中でも、卑劣な盗賊団が現れたんだ。」

 

ナージャ「卑劣な盗賊団?」

 

アズマ「フラミンゴ盗賊団だ。奴らは巧妙な手口で財宝を奪い、更に巧妙な洗脳口で相手に自殺や殺人を追い込む卑劣な連中だった。だが奴らはある男に殺された。」

 

リン「ある男?」

 

マチ「コウ。アズマと同じ元衛士隊で、私の生き別れた幼馴染み。」

 

アウグスト「?」

 

マチ「コウは、フラミンゴ盗賊団との戦いで負傷しながら、彼らを殺した。その後、自ら命を絶った・・・」

 

アウグスト「・・・・・」

 

アズマ「だがその1ヶ月後、今から丁度9年前に突如ミスリラ帝国が紛争に巻き込まれてしまった。国は壊滅され、生き残った者達は他国へ移住した。」

 

シン「何で紛争が起こったんだ?」

 

アズマ「今でも分からない・・・その紛争で、国王や、衛士長と総監達が巻き込まれてしまったんだ・・・」

 

シシリー「そうだったんですか・・・ごめんなさい・・・」

 

アズマ「いや、気にするな。」

 

タクト「・・・・・」

 

タカオ「タクト殿、どうかしました?」

 

タクト「いや、何でも無い。」

 

”ドクン”

 

アズマ「っ!?がはっ!」

 

突然アズマが苦しみ始めた。

 

シイナ・ナナセ「隊長!!」

 

カオル「アズマ!!」

 

マモル「アズマさん!!」

 

タクト「アズマ!?どうした!?」

 

アンナ「アズマさん!?」

 

シン「大丈夫か!?」

 

シシリー「アズマさん!?」

 

アズマ「だ・・・大丈夫だ・・・!!すぐに鎮まる・・・!!」

 

シイナ「また発作ですか!?」

 

アズマ「あ・・・ああ・・・!!」

 

ナナセ「メリルと一緒・・・」

 

シン「メリル?」

 

タクト「メリル?まさか、あの大事件の後に入隊した新人衛士?」

 

ナナセ「えぇ。居なくなる直前、苦しむようになって・・・」

 

タクト「居なくなる直前?どう言う事だ?」

 

”ウオオオオオオ!!”

 

タクト「何だ?」

 

セイラ「奴よ!奴が来る!」

 

タクト「奴?」

 

そこに現れたのは・・・

 

 

 

 

魔人「ウオオオオオオ!!」

 

 

 

 

髪の毛が長く、ボロボロの衣類を着た魔人だった。

 

シン「此奴は!?」

 

アズマ「魔人だ・・・!!」

 

タクト「魔人!?」

 

サヨ「最近になって急に現れたんです!」

 

ナナセ「形振り構わず私達を襲って来るの!」

 

ユイ「こんな時に!!」

 

リオ「ここは僕達に任せて!デイジー!」

 

デイジー「えぇ!リオ!」

 

剣を握ったリオとデイジーが魔人と戦う。

 

リオ「アズマを連れて早く逃げて!」

 

アズマ「いや!俺も戦う!」

 

デイジー「その体で戦っても体力に負担が増えるだけよ!!」

 

アズマ「でも!」

 

リオ「大丈夫!魔人退治はお手の物だ!逃げて!」

 

シン「分かった!頼むぞリオ!デイジー!」

 

デイジー「任せて!」

 

タクト「俺も行く!」

 

シン「タクト!?」

 

タクト「例え力を失っても、ある程度は戦える!魔人を見過ごす事は出来ねえ!」

 

アウグスト「・・・タクトを信じよう!皆行くぞ!」

 

シン「ああ!!」

 

すぐに逃げる。

 

リオ「おい!お前の相手はこの僕達だ!」

 

タクト「来やがれ!」

 

魔人「ウオオオオオオ!!!」

 

両腕を振って衝撃波を放つ。

 

タクト「くっ!」

 

リオ「うわっ!!・・・結構強い!」

 

タクト「ハァッ!!」

 

走り出して魔人に飛び蹴り。

 

魔人「ウオオオオオオ・・・!!」

 

リオ「デイジー!」

 

デイジー「えぇ!」

 

リオ「せーのっ!!」

 

同時にジャンプして、同時に剣を振り下ろす。

 

魔人「ウオオオオオオ!!!」

 

しかし口から放たれた風圧で飛ばされてしまった。

 

リオ・デイジー「うわあああああ!!」

 

吹き飛ばされたリオとデイジーが壁に激突した。

 

タクト「梃子摺らせやがって・・・!」

 

???「待ちなさい!」

 

そこに現れたヴァーテルが剣を振り下ろして魔人を攻撃した。

 

ヴァーテル「あなたを捜してたのよ。」

 

タクト「誰だお前。」

 

ヴァーテル「ヴァーテル。ただの傭兵よ。」

 

タクト「傭兵だと?」

 

ヴァーテル「あなたを抹殺しろと命令されたのよ。」

 

タクト「俺を殺すだと?誰に頼まれた!」

 

ヴァーテル「機密よ。」

 

タクト「成る程、どうやら貴族に雇われたのか。」

 

ヴァーテル「勘の良い男ね。命を貰うわ!」

 

ナイフを持ってタクトを襲う。

 

タクト「くっ!」

 

リオ「タクト!」

 

タクト「お前達は魔人に集中しろ!」

 

フェオン「死なないでよ!」

 

タクト「そっちもな!」

 

ヴァーテル「覚悟しなさい!」

 

タクトVSヴァーテル、リオ&デイジー&リュグナVS魔人の戦いが始まった。

 

魔人「ウオオオオオオ!!!」

 

だが魔人がタクトを襲う。

 

ヴァーテル「あなた邪魔ね!」

 

剣を振り上げて魔人を押した。

 

リュグナ「うおおおおおお!!!」

 

持ってる剣を振り下ろしたが、魔人が右手で破壊した。

 

リュグナ「おわっ!?折れたぁ!?」

 

デイジー「この!!」

 

剣と右手がぶつかり合う。

 

リュグナ「何で身体強化しないんだ!?」

 

ヴァーテル「過度の力は身を滅ぼすのよ!ハァッ!」

 

タクト「くっ・・・!!」

 

ナイフがタクトの右腕に傷を作った。

 

ヴァーテル「これで終わりね。死になさい!!」

 

しかしその時。

 

???「ハァッ!!」

 

突如現れた仮面を被った女が現れ、タクトとヴァーテルの間に入った。

 

リオ「何!?」

 

ヴァーテル「何!?」

 

リュグナ「誰だ!?」

 

デイジー「仮面の・・・女!?」

 

仮面の女「ハァッ!」

 

魔力弾で魔人を払い除けた。

 

仮面の女「あなた、大丈夫?」

 

タクト「お前は?」

 

ヴァーテル「あなた邪魔よ!」

 

仮面の女「ハァッ!!」

 

右手から魔法の鎖を飛ばした。

 

ヴァーテル「なっ!?」

 

鎖で拘束されてしまった。

 

仮面の女「逃げるわよ!」

 

タクト「お、おい!?」

 

無理矢理仮面の女に引っ張られた。

 

リオ「タクト!!あぁっ!!」

 

魔人の衝撃波で吹き飛ばされた。

 

ヴァーテル「リュグナ!追うわよ!」

 

リュグナ「お、おう!」

 

2人はタクトを追う。魔人はジャンプして何処かへ消えた。

 

リオ「シン達に知らせないと!」

 

デイジー「急ぎましょう!」

 

すぐにシン達の下へ。

 

『To Be Continued・・・』




次回予告

突如として現れた、正体不明のウルトラマンティガ。そしてそこに、サルウァトピアの7姉妹がタクトへの接触を仕掛けた。長女スルビアが語る、コウとの関係は・・・

次回ウルトラマンティガ

ミスリラ事変中編=復讐の傲慢=

お楽しみに


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第28話「ミスリラ事変中編=復讐の傲慢=」

ミスリラ事変中編=復讐の傲慢=
サルウァトピア家 登場



人気の無い廃墟。

 

仮面の女「ここまで来れば大丈夫ね。」

 

タクト「・・・」

 

仮面の女「どうしたの?怪我でもした?」

 

タクト「お前、一体誰なんだ?」

 

仮面の女「どう言う事かしら?」

 

タクト「初対面の俺を助けるなんて、どう言うつもりだ?」

 

???「お姉様!」

 

そこに、イラ達6人が来た。

 

タクト「?」

 

イラ「お姉様、無事だったんですね!」

 

グーラ「良かった・・・」

 

タクト「その子達は?」

 

仮面の女「私の妹達よ。」

 

被っている仮面を外し、スルビアが顔を出した。

 

スルビア「私の名はスルビア。妹達と一緒にプルガトリウムシティーに攫われたの。」

 

タクト「・・・そうか。ならお前達に質問がある。」

 

アケディア「何ですか?」

 

タクト「サルウァトピア家を知っているか?お前達を連れ攫ったと噂されている貴族の名家だ。」

 

スルビア「・・・私達も詳しく知らないの。何でこのプルガトリウムシティーに連れて来させられたのか、何で私にこの首輪の力を与えられたのかを。」

 

タクト「・・・そうか。」

 

スルビア「・・・ねぇあなた、この男の名前を知っている?」

 

タクト「男?」

 

スルビア「コウ。」

 

タクト「・・・何故コウの名前を?」

 

スルビア「幼い頃、私と一緒に遊んでくれた大切な人なの。」

 

タクト「・・・コウは3年前に死んだ。ある盗賊団との戦いで負傷した後、自ら命を絶った。」

 

スルビア「・・・そう・・・」

 

アリティア「ねぇ、詳しく知りたいかしら?」

 

タクト「何をだ?」

 

アリティア「この地下都市の中枢部を。私達が偶然見付けた所よ。」

 

タクト「・・・ああ。この地下都市の全貌を知りたい。」

 

スルビア「・・・そう。じゃあ付いて来て。」

 

タクト「分かった。」

 

彼女達に付いて行く直前。

 

タクト「ティガ。この名前を知っているか?」

 

スルビア「・・・超古代の戦士。でしょ?」

 

タクト「・・・ああ。」

 

 

 

 

スルビア達に付いて行くタクトを、カルマとルブラが見ていた。

 

カルマ「タクトが・・・シュトルツに報告しよう。」

 

ルブラ「ああ。」

 

 

 

 

 

 

チーム・トゥルバの本拠地。

 

シュトルツ「成る程な。」

 

カルマ「あぁ。あの顔は見た事がある。スルビア=サルウァトピア。そしてその妹達のイラ、アリティア、イディラ、アケディア、グーラ、ルクリア。奴らがタクトと接触していた。」

 

シュトルツ「ルブラ。」

 

ルブラ「はい。これです。」

 

資料をシュトルツに渡す。

 

ルブラ「スルビア=サルウァトピア。この地下都市を牛耳る貴族・サルウァトピア家の跡取り。」

 

シュトルツ「その女が妹達と共にタクトと接触を図ったと。一体何の目的があって。」

 

ルブラ「スルビア=サルウァトピアは恐らく、復讐をする為かと思います。」

 

シュトルツ「復讐?」

 

ルブラ「これです。」

 

ある男の写真を見せる。

 

ルブラ「スルビア=サルウァトピアの元婚約者のコウ。彼は幼少期にサルウァトピア家に引き取られ、3年前にミスリラ帝国で死んでいます。」

 

シュトルツ「それなら何故殺さない?」

 

カルマ「もしかしたら、全貌を語ってから殺す。そう考えているんじゃないのか?全ての全貌を語って苦しみと後悔の中で奴を殺す・・・それが目的。」

 

シュトルツ「成る程な。スルビア=サルウァトピア・・・タクト・・・ティガ・・・面白くなって来たな。何時まで奴らの言い成りになって戦い続けるのは、俺の流儀には合わない。タクトに接触する。行くぞ。」

 

 

 

 

 

 

その頃、シン達は。

 

アズマ「はぁ・・・はぁ・・・」

 

シシリー「アズマさん、しっかりして下さい!」

 

治癒魔法でアズマを癒す。

 

アズマ「す、すまない・・・発作が鎮まった・・・」

 

リオ「おーーーい!!」

 

そこにリオとデイジーが合流した。

 

シン「リオ!・・・あれ?タクトは?」

 

デイジー「連れ攫われたわ。」

 

シン「え!?」

 

リオ「仮面を被った女の人がタクトを攫った。」

 

アズマ「何だと・・・!?」

 

デイジー「魔人も何処か逃がしちゃって・・・」

 

ケイティ「じゃあタクトは何処に居るの!?」

 

リオ「それが分からないんだ。」

 

アウグスト「そうか・・・」

 

ヒナ「ならば早くタクトさんを捜しに・・・」

 

???「見付けたわよ。」

 

全員「っ!?」

 

そこに、ヴァーテルとリュグナが現れた。

 

リュグナ「アズマ!」

 

アズマ「リュグナ!?」

 

フェオン「ゲッ!リュグナ!」

 

リュグナ「フェオン!お前等!?」

 

ヴァーテル「あなたがアズマ?ヘロヘロじゃない。」

 

アズマ「リュグナ・・・誰だこの女?」

 

ヴァーテル「私はヴァーテル。貴族に雇われた傭兵よ。」

 

トール「傭兵!?」

 

ヴァーテル「あなた達と一緒に居た男を捜しているの。知っているわよね?」

 

シン「タクトの事か?」

 

ヴァーテル「タクト?成る程ねぇ。」

 

アズマ「タクトに何の用だ!」

 

ヴァーテル「私の雇い主が奴を始末するように言われている。それだけよ。」

 

アズマ「始末だと・・・!?」

 

シシリー「そんな・・・!タクト君は私達の仲間なんです!」

 

ヴァーテル「あなた達は?」

 

シン「俺達はアールスハイド王国から来た。」

 

ヴァーテル「三大大国の1つとして有名な王国じゃない。けど残念ね。あなたの仲間を殺すまで私は止まらないの。」

 

アズマ「だったら黙ってられないな!!」

 

ヴァーテル「だったらどうするのよ?」

 

アズマ「お前を倒す!」

 

ヴァーテル「へぇ〜。そっちがその気なら。」

 

ナナセ「ん?あれって・・・あの首輪!?」

 

シイナ「何で彼奴も!?」

 

アキ「身体強化が使えるって事ね・・・!」

 

ジェレミー「なら俺も加わるぜ!」

 

シン「俺も行こう!」

 

ジェレミー「ああ!」

 

ヴァーテル「面白い。リュグナ、あなたも手伝いなさい。」

 

リュグナ「分かってるよ。ヴァーテルが手伝ってくれるなら丁度良い。フィアンマの連中を倒せば一石二鳥だしな。覚悟しろよ!デュナミスフォース!」

 

だがその時。

 

”ドクン”

 

リュグナ「ぐっ!?」

 

突如発作が起こり、倒れてしまった。

 

アズマ「リュグナ!?」

 

リュグナ「はぁはぁはぁはぁ・・・!!ぐああッ・・・!!!」

 

ヴァーテル「こんな時に仮病かしら?情けないわね。」

 

アズマ「リュグナ・・・もしかしてお前もなのか!?」

 

ヴァーテル「お前も?それってどう言う事?」

 

アズマ「俺もさっき、急に胸が苦しくなったんだ。リュグナ!そうだろ!?」

 

ヴァーテル「え?どう言う意味なのよ!?」

 

リュグナ「・・・マハトの・・・シュトルツもだ・・・!!何で俺まで・・・!!」

 

アズマ「シュトルツも・・・!?」

 

グレア「どう言う事なの!?教えてリュグナ!!」

 

レア「教えろ!!」

 

リュグナ「ぐあああ!!」

 

急に立ち上がった。

 

アズマ「おい!!」

 

グレア「リュグナ!?」

 

マリア「ちょっと!どうしたのよ!」

 

リュグナ「ヴオオオオオオオ!!!」

 

ヴァーテル「リュグナ?どうしたのよ?」

 

リュグナ「・・・・・・」

 

するとリュグナが、ヴァーテルを襲い始めた。

 

ヴァーテル「っ!?」

 

アズマ「リュグナ!!」

 

迫り来るリュグナの拳を受け止めたが。

 

ヴァーテル「何よこの力・・・!!普通の人間とは桁違いね・・・!!」

 

拳を弾いて、腹に蹴りを入れた。

 

アズマ「どうした!!聞こえないのか!?」

 

マチ「リュグナ!!!」

 

ヴァーテル「何を言っても無駄のようね。少し躾が必要みたいね!」

 

ナイフを振り下ろそうとしたその時。

 

リュグナ「ヴオオオオオオオ!!!!」

 

右目が赤く染め上げられた。

 

カオル「な・・・右目が赤くなった!?」

 

ケイ「あれってまさか・・・!?」

 

アキ「魔人なの!?」

 

リュグナ「ヴオオオオオオオ!!!!」

 

咆哮を上げて、シン達を襲う。

 

シン「皆避けろ!!」

 

全員が避ける。

 

ケイティ「もう!お姉さんと遊びなさいよ!!」

 

マリア「ちょっとケイティ!?」

 

リュグナ「ヴオオオオオオオ!!!」

 

ケイティ「よっ!はっ!とおっ!!」

 

ナイフと剣の二刀流でリュグナと渡り合う。

 

ケイティ「もっともっと!良い感じだね!」

 

アズマ「うおおおおおおお!!!」

 

後ろからアズマがリュグナの両腕を掴んだ。

 

アズマ「止めろリュグナ!!!!」

 

リュグナ「ヴオオオオオオオ・・・・え?アズマ・・・?」

 

突然正気に戻った。

 

アズマ「リュグナ・・・・」

 

両腕を解放してあげた。リュグナが足元の水溜りに映ってる自分の顔を見る。

 

リュグナ「・・・っ!?何だこの目・・・!?俺の目・・・!?ま・・・魔人・・・!?あ・・・ああ・・・あああ・・・ああああああああああ!!!!!!」

 

パニックになって逃げ出した。

 

アズマ「リュグナ!!追うぞ!!」

 

ヴァーテル「待ちなさい!!・・・半端な強さじゃないわ・・・」

 

アズマ「けど只事じゃない!!」

 

ナナセ「あの人の言う通りですよ!」

 

アキ「そうよ!彼奴が可笑しくなったって事は、敵が1人減ったって事だよ!」

 

アズマ「そんな簡単な話じゃない!!これは俺や・・・ヴァーテル!!お前も無関係じゃない!!」

 

すぐにリュグナを追う。

 

ヴァーテル「・・・無関係じゃない?と言う事は・・・まさか・・・」

 

彼女もシン達を追う。

 

 

 

 

 

 

同じ頃、タクトはスルビア達に付いて行ってる。

 

タクト「ここは・・・?」

 

到着した場所は、無数の遺体が転がってる廃墟だった。

 

アリティア「プルガトリウムシティーで死んでしまった人達だよ。貴族達は、ここに遺体を放棄しているの。」

 

タクト「・・・?」

 

壁にある物があった。

 

タクト「・・・何の為にだ?」

 

スルビア「ここで実験って言う噂があるの。」

 

タクト「実験だと?」

 

スルビア「ある異形の存在にする為の実験って言う噂よ。」

 

タクト「異形の存在・・・魔人か。」

 

スルビア「・・・そうよ。」

 

タクト「なら質問良いか?」

 

スルビア「何かしら?」

 

タクト「お前達、俺に何か隠してないか?」

 

スルビア「・・・何でそんな事を?」

 

タクト「惚けても無駄だ。早く答えろ。」

 

スルビア「・・・私達はプルガトリウムシティーに連れてかれた人間よ。」

 

タクト「嘘吐け。・・・お前らの正体は見切ってんだ。」

 

スルビア「・・・・」

 

タクト「お前ら、サルウァトピアの娘達だろう。」

 

妹達「!?」

 

スルビア「・・・根拠は何処にあるの?」

 

タクト「根拠はある。あの刻まれているユニコーンの紋章だ。あれは救世主を意味する奴だ。そして、お前達の右の手甲にもあの紋章と同じタトゥーが刻まれている。世界中に貼られてる指名手配書にもユニコーンの紋章があった。そしてお前はコウを、幼い頃に一緒に遊んでくれたと言っていた。けどコウは昔俺に、幼い頃に幼馴染みのマチと遊んでたと言っていた。それが俺の言う根拠だ。お前達はサルウァトピアの人間だ。違うか?」

 

スルビア「・・・鋭いわね。あなた。」

 

タクト「俺と接触して、何をする気だ?」

 

スルビア「決まってるでしょ。ハァッ!!」

 

タクト「っ!?」

 

彼女の持つ剣が、タクトの右肩を突き刺した。

 

妹達「っ!?」

 

タクト「くっ・・・!!やはり・・・あの時俺を落としたのはスルビア・・・お前だったのか・・・!!」

 

スルビア「そうよ。」

 

突き刺した剣を引き抜いた。タクトが右肩を抑えるが、右肩から血が流れた。

 

タクト「お前・・・俺を殺そうとしてるのか・・・?」

 

スルビア「復讐よ。嘗てミスリラ帝国で衛士として活躍していたコウの仇打ちよ。」

 

タクト「コウの・・・だと・・・!?」

 

スルビア「コウは、私の婚約者だったの。」

 

タクト「何だと・・・!?」

 

スルビア「コウは、マチと言う子と生き別れになり、このサルウァトピア家に引き取られた。それ以来私は、彼を心から愛していた・・・けど、ミスリラ帝国で彼は命を絶った。でもそれは好都合でもあったの。」

 

タクト「好都合・・・?」

 

スルビア「コウが死んだのを確認した私達は、ミスリラ帝国で紛争を起こす準備に入ったの。」

 

タクト「コウが死んで1ヶ月後に紛争・・・まさか・・・コウの死が、紛争の合図だったのか・・・!?」

 

スルビア「コウが命を絶つ原因を作ったのは、フラミンゴ盗賊団。けど奴らはコウに殺された。私達は、コウと親交が深いタクト=クリスティ。あなたへの復讐を決意したのよ。」

 

タクト「何だと・・・!?」

 

スルビア「あなた達、殺りなさい!!」

 

イラ「で・・・でもお姉様!」

 

スルビア「早く!!」

 

イラ「・・・ハァッ!!」

 

タクト「ぐはっ!!」

 

グーラ「・・・フッ!!」

 

タクト「がはっ!!」

 

イディラ「・・・ヤァッ!!」

 

タクト「ごほっ!!」

 

アケディア「・・・ヤァッ!!」

 

タクト「ああっ!!」

 

アリティア「・・・タァッ!!」

 

タクト「ぐあっ!!」

 

ルクリア「・・・ハァッ!!」

 

タクト「があっ!!」

 

彼女達の剣がタクトの身体中に大ダメージを与えた。

 

タクト「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

身体中の傷口から流血する。

 

タクト「コウ・・・・・」

 

スルビアが剣先をタクトに向ける。

 

タクト「俺を恨むのは構わない・・・確かに彼奴は俺との親交が深かった・・・」

 

スルビア「やっと・・・自分を認めたようね・・・」

 

タクト「だがこれだけは言っておく・・・彼奴は自分の命を絶った!」

 

スルビア「都合良く自分の事実を歪めるんじゃないわよ!!!!!!!コウは!!!!!!!・・・・コウは・・・・・」

 

タクト「・・・殺したければ殺せ。」

 

スルビア「じゃあ・・・死になさいよ!!!!!」

 

剣を振り下ろしたが、タクトが剣先を掴んだ。右手から血が流れる。

 

タクト「だが!俺はまだ死ねない・・・」

 

スルビア「くっ・・・!!」

 

タクト「この世界を救う為には・・・」

 

”ドゴォン!!”

 

タクト「っ!?」

 

スルビア「っ!?」

 

足元に何かが直撃した。

 

スルビア「何よ!!!!!!」

 

現れたのは、ティガだった。

 

スルビア「ティガ・・・!!」

 

妹達「・・・!」

 

タクト「・・・・」

 

ティガがタクトにスラップショットを振り下ろしたが、タクトが避けた。

 

スルビア「くっ!!!あなた達!!早く殺しなさい!!」

 

妹達「は、はい!!」

 

魔法弾を連射したが、ウルトラシールドで防がれた。そしてティガがスルビアにスラップショットを振り下ろした。

 

スルビア「がはっ!!」

 

左腕が負傷した。

 

妹達「お姉様!!!」

 

タクト「スルビア!!!!」

 

ティガをスルビアから離した。

 

スルビア「退きなさい!!!!!くっ!!!」

 

炎を撃とうとしたが、左腕に激痛が走った。

 

タクト「おい!!逃げるぞ!!お前達も!!」

 

スルビア達を連れて逃げる。

 

ティガ「・・・・」

 

ティガテレポーテーションでその場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

同じ頃、シン達は。

 

アズマ「リュグナ・・・何処行ったんだ・・・?」

 

ユリウス「見失ったで御座るな。」

 

マーク「あれって、どう言う事なんッスか?」

 

ヴァーテル「あなた、最近胸が苦しくなるって言ってたわよね?」

 

アズマ「あ、ああ。そうだ。」

 

ヴァーテル「シュトルツって子もそうだって言ってたわよね?」

 

ナナセ「リュグナが言ってたよ。」

 

ヴァーテル「もしかして・・・その子も身体強化を?」

 

アズマ「そうだ。」

 

ヴァーテル「皆身体強化使えるになって戦う・・・もしかして、それが共通点かも知れないわ。」

 

オリビア「どう言う事なんですか?」

 

ヴァーテル「身体強化を使えるになった人間達は、皆ああなってしまうって事になるわね。」

 

アウグスト「確かに、そう考えるのが自然かも知れない。」

 

それを理解したアズマが驚愕した。

 

アズマ「そんな・・・!?」

 

マチ「じゃあ何時かアズマまで!?」

 

アズマ「そんなのって・・・じゃあ、ひょっとしてメリルも・・・!?」

 

ヴァーテル「メリル?」

 

シイナ「私達衛士隊の新人よ。けど、アズマ隊長と同じ身体強化が使えるになった数日後に苦しむようになって、消えた・・・」

 

ヨーコ「メリルも魔人になったって事なの・・・?」

 

ヴァーテル「そう考えるのが自然ね・・・」

 

アズマ「・・・くそっ!!!!」

 

ヴァーテル「あなた達も私も、貴族に一杯食わされたって事ね。」

 

魔人「ヴオオオオオオオオ!!!!」

 

そこに魔人が現れた。

 

リオ「魔人!!」

 

ジェレミー「やるしか無えみたいだな!」

 

アズマ「待ってくれ!」

 

ジェレミー「どうした?」

 

アズマ「メリルが居なくなってから、此奴が現れるようになったんだ!」

 

ジェレミー「何だと!?」

 

ナナセ「ま、待ってよ・・・」

 

シイナ「じゃあ・・・あの魔人がメリルなの!?」

 

ケイ「嘘っ・・・!?」

 

魔人「ヴオオオオオオオオ!!!!」

 

グレア「ん?」

 

首に目を凝らす。

 

グレア「首輪だ!」

 

アズマ「え・・・!?」

 

グレア「あの魔人、首輪がある・・・!」

 

アキ「そんな・・・本当に彼奴が・・・メリルなの・・・!?」

 

ユイ「そんな!?」

 

ジェレミー「くそっ!!」

 

両手の爪で魔人と戦う。

 

ジェレミー「おい!!お前メリルなんだろ!!返事しろ!!」

 

魔人「ヴオオオオオオオオ!!!!!」

 

ジェレミー「メリルなら返事しやがれ!!!!目を覚ませ!!!!!」

 

魔人「ヴオオオオオオオオ!!!!!」

 

ジェレミー「グゥッ!!!!」

 

右パンチを両手の爪を飛ばした。

 

ジェレミー「くそっ・・・!!」

 

魔人「ヴオオオオオオオオ!!!!!」

 

ジェレミー「ぐあっ・・・!!」

 

首を掴まれた。

 

シン「ジェレミー!!皆!!」

 

一斉に魔法弾を連射したが、魔人が振り向いて左手で弾かれた。

 

シシリー「そんな!?」

 

アズマ「・・・くっ!!」

 

ヴァーテル「止めなさい!!」

 

アズマ「何故止めるんだ!!」

 

ヴァーテル「それを使ってアンタもああなりたいの!?」

 

アズマ「だがこのままじゃジェレミーが!!!目の前の命を助けるのが先だ!!!デュナミスフォース!!」

 

首輪が光り、身体強化された。

 

アズマ「うおおおおおおお!!!」

 

剣を握り、魔人と戦う。

 

アズマ「メリル!!俺だ!!アズマだ!!目を覚ましてくれ!!」

 

魔人「ヴオオオオオオオオ!!!!!!!」

 

アズマ「ぐああああああ!!!」

 

連続パンチを喰らって倒れた。

 

ジェレミー「止めろ!!!」

 

両手の爪で槍を防ぐ。

 

魔人「ヴオオオオオオオオ!!!!!!!」

 

ジェレミー「ぐああああ!!」

 

衝撃波で吹き飛ばされた。

 

アズマ「・・・くっ!止めろおおおおおお!!!」

 

剣を振り下ろした。

 

魔人「ヴオオオオオオオオ!!!」

 

羽を斬り落とされて苦しむ。すると、魔人の前にメリルの幻影が。

 

メリル『アズマ隊長・・・』

 

アズマ「メリル・・・!!」

 

メリル『私が魔人になってしまった事をお許し下さい・・・あの時力に溺れてしまい、身体強化の力を酷使して魔人になってしまって・・・』

 

アズマ「・・・メリル・・・もう自分を責める必要は無い。今まで俺達と共に戦ってくれた仲間だ。」

 

メリル『隊長・・・』

 

シイナ・ナナセ「メリル!!」

 

メリル『シイナ先輩・・・ナナセ先輩・・・今まで楽しかったです・・・隊長、私の命を受け取って下さい・・・』

 

アズマ「・・・ああ・・・後は俺達に任せろ。」

 

メリル『隊長・・・』

 

アズマ「メリル・・・!!」

 

高くジャンプして、メリルに向かって落下する。

 

アズマ「ハァアアアア!!!!」

 

振り下ろした剣がメリルを斬り裂いた。

 

アズマ「・・・・・」

 

メリル『ありがとう・・・』

 

幻影が消え、魔人が倒れた。

 

ナナセ「メリル・・・・・」

 

シイナ「・・・・・・・・」

 

アズマ「メリル・・・・・・お前の命・・・・・受け取ったぞ・・・・・」

 

 

 

 

 

 

現れたティガから逃げ延びたタクトとスルビア達は。

 

タクト「・・・・・」

 

イラ「お姉様・・・」

 

スルビア「何なのよ・・・・・・彼奴は!!!!!!!!ぐっ・・・!!!!」

 

怒号で左腕の傷に痛みが走った。

 

タクト「喋るなスルビア。傷口が開くぞ。」

 

スルビア「馴れ馴れしく私の名前を呼ぶんじゃないわよ!!!!!!!ぐっ・・・!!!!!!あああああ!!!!!!」

 

剣先を自分の左腕に向けた。

 

ルクリア「スルビアお姉様!!」

 

アリティア「止めて下さい!!!」

 

だが、スルビアが自分の左腕を斬り落とした。

 

スルビア「あああああああ!!!!!!!」

 

グーラ「お姉様!!」

 

斬り落とした左腕をグーラが拾った。

 

タクト「・・・・・」

 

彼女達をタクトは無表情で見てる。

 

スルビア「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・あなたに助けられるなんて・・・・・屈辱以外の何ものでも無いわよ!!!!!!!!!!」

 

タクト「・・・・・・」

 

スルビア「コウを見殺しにしたあなたに!!!!!!」

 

タクト「彼奴は、お前の所に引き取られた時を話してくれた。俺を支えてくれた少女が居ると。」

 

スルビア「支えてくれた・・・・?コウには敵わないわよ・・・・・コウは何時も皆の事を考えてた!!!!!!私の事も!!!!!将来の事も!!!!!!・・・私達の子供の事も・・・・凄い人だった!!!!!!」

 

剣先をタクトに向ける。タクトはスルビアに歩み寄る。

 

タクト「ああ。凄い奴だったよ。」

 

スルビア「分かったような口を聞くんじゃないわよ!!!!!!!あなたに・・・・コウの何が分かるのよ!!!!!!!」

 

タクト「勿論、何も分からない。」

 

スルビア「だったら!!!!!!」

 

タクト「だが!!理解しているつもりだ。」

 

スルビア「・・・あなたの事はずっと調べてた・・・・ティガの力を持って・・・世界の為に戦っている・・・・ずっと独りで・・・・」

 

タクト「お前の言う通り、俺はティガの力を受け継いだ男だ。だが俺は独りじゃない。シンやシシリー、オーグやマリア達。俺には沢山の仲間達を持っている。俺は彼らと共に、オリバー=シュトロームから世界を救う為に戦っている。俺はそんな仲間達を、捨てる訳には行かない。」

 

スルビア「じゃあその仲間達も一緒に殺してあげるわよ!!!!!!」

 

タクト「無理な話だ。」

 

スルビア「どうしてよ!!!!!!!!」

 

タクト「彼奴らは俺と同等の力を持っている。災害級なんて一撃で討伐出来る程にな。」

 

スルビア「巫山戯るんじゃないわよ・・・・・!!!!!!」

 

タクト「・・・ん?」

 

だがそこに、テレポートしたティガが現れた。

 

タクト「お前達は逃げろ!!」

 

イラ「は、はい!!お姉様!!」

 

スルビア「逃げる・・・?馬鹿な事言わないでよ!!!!このままじゃ・・・引き下がれない!!!!!」

 

タクト「言う事を聞きやがれ!!!!!」

 

スルビア「五月蝿い!!!!!!!・・・ねぇ・・・あなたはどうして私の邪魔をするのよ!!!!!!!」

 

ティガ「ハッハッハッハッハ!」

 

スルビア「変身を解きなさいよ・・・・・正体を見せなさいよ!!!!!!!」

 

ティガ「俺か。俺の正体を知りたいか?」

 

スルビア「・・・ぇ・・・?」

 

タクト「その声・・・・まさか・・・・」

 

ティガ「教えてやろう。」

 

光りとなり、姿を現したのは・・・

 

 

 

 

 

 

嘗て死んだハズのコウだった。

 

 

 

 

 

 

妹達「え・・・・!?」

 

コウ「久し振りだな。タクト。」

 

タクト「コウ・・・・!?」

 

スルビア「コウ・・・・?どうしてなの・・・・?コウは死んだはずじゃ・・・・・?」

 

コウ「死んだ?そうだ、俺は死んだ。だがここに居る。スルビア、そんな危ない剣を手放せ。お前にその格好は似合わない。ん?右腕はどうしたんだ?失くしたのか?」

 

スルビア「私は・・・・・コウの仇を・・・・」

 

コウ「スルビア、もう良いんだ。」

 

彼はスルビアの左手を握った。

 

コウ「敵討ちなんてもう止めるんだ。ほら、俺はここに居る。」

 

スルビア「コウ・・・・・・・」

 

泣き崩れるスルビアをコウが慰める。

 

コウ「さっき、何故お前の邪魔をするのかと言ったよな?」

 

スルビア「・・・・・ええ・・・・・」

 

コウ「教えてやる。」

 

”ザスッ!!”

 

スルビア「あっ・・・!!!コウ・・・・・どうして・・・・・!?」

 

腹部を剣で刺されたスルビアが倒れた。

 

イラ「お姉様!!!」

 

グーラ「スルビアお姉様!!」

 

タクト「スルビア!!!!」

 

彼はタクトに剣先を向けた。

 

コウ「タクトをこの手で葬りたいからだ。スルビア。」

 

彼の両目が赤く変色した。

 

イラ「魔人・・・!?」

 

タクト「コウ・・・お前・・・」

 

コウ「タクト。あの時を理解したのか?」

 

タクト「・・・ああ。お前はフラミンゴ盗賊団との戦いで負傷し、自ら命を絶った。だがそれがミスリラ帝国に起こる紛争の合図だったって事をな。」

 

コウ「・・・・俺はサルウァトピア家当主、エレホス=サルウァトピアに申し出た。俺が幼い頃、ミスリラ帝国は1度目の戦争を起こした。それが原因で俺の両親は亡くなった。だから俺はあの国に復讐を果たす為に、エレホスにあの国を葬りたいと頼んだ。エレホスはそれを承諾した。その条件として、俺の死を、紛争の合図にすると言い出した。スルビア達に黙秘したままにな。」

 

タクト「お前がそれを承諾したのか?」

 

コウ「無論だ。あの国を葬りたい為ならば、自分の命なんてこれっぽっちだと思っていた。そして俺はあの国で衛士となり、フラミンゴ盗賊団に接触して仲間のフリをした。その後俺は、トウゴウ、ニシ、アオイ、ハナを殺した。最後にアズマを殺したが、彼奴は一命を取り留めた。そして盗賊団を裏切り、魔人になった俺は奴らを殺した。だがリーダーのミカエルが俺に負傷を与えた。その後に俺は自ら命を絶つ為に自殺した。」

 

スルビア「・・・・・・・!?」

 

タクト「・・・1つ訊くが、サルウァトピア家はどうやってお前の死を確認して紛争を起こしたんだ?」

 

コウ「国王だ。」

 

タクト「国王だと?」

 

コウ「そうだ。国王がサルウァトピア家に俺の死を伝えてくれたんだ。」

 

タクト「まさか・・・彼奴はサルウァトピアのスパイだったのか?」

 

コウ「そしてその口封じの為、国王は自ら紛争の中へ入り、自決した。」

 

タクト「そう言う事か・・・・じゃあ何故、死んだハズのお前がここに居るんだ?」

 

コウ「あの時自決した。だが俺は死ななかった。」

 

タクト「まさか・・・仮死状態!?」

 

コウ「そうだ。俺は周りに死んだと思わせて、密かに魔人として覚醒したのだ。」

 

3年前、コウは自ら命を絶ち、死亡し埋葬されたが、それは仮死状態だった。墓の中で魔人として覚醒して生き返り、誰にも見付からずに帝国を出て逃げ出した。

 

タクト「そんな事が・・・・」

 

コウ「そして俺は、ある力がある事を自覚した。」

 

するとコウの右腕が異形の形へ変貌した。

 

タクト「その腕は・・・・・!?」

 

コウ「そうだ。魔人となったと同時に、俺は持っていた生まれ付きの旧支配者の炎の力に覚醒したのだ。」

 

タクト「旧支配者の炎の力・・・まさか・・・クトゥグアか!!」

 

コウ「ハァッ!!」

 

右腕を振ってタクトを襲う。

 

タクト「くっ!!」

 

バク転して避けた。

 

タクト「おい、借りるぞ!!」

 

イラ「え!?」

 

彼は、イラの剣を借りてコウに立ち向かったのだが。

 

コウ「ハァッ!!」

 

タクト「くっ!!」

 

剣が折れてしまった。

 

タクト「お前が・・・旧支配者になるとは・・・」

 

コウ「俺でも最初は驚いた。だが、この力なら全てを統べる事が出来る!」

 

タクト「それがお前の本心なのか?」

 

コウ「当然だ。俺は両親を殺したこの世界が憎い。そして世界は支配する者と支配される者の2種類しか無い。それを確信し、この力を使って世界を支配する!」

 

タクト「・・・お前は変わったな。コウ。」

 

コウ「お前は変われずに居るんだな!」

 

炎を何度も避け続けるタクト。

 

コウ「変われぬ者に未来など無い!ここで死ね!」

 

スルビア「止めてええええええええ!!!!!!!!そんなのコウじゃない!!!!!!!!!」

 

コウ「死に損ない女め。妹達諸共楽にさせてやろう。」

 

タクト「止めろ!!!!」

 

だがそこにシュトルツが現れ、コウの右腕を受け止めた。そしてコウの顔面に2度殴った。

 

シュトルツ「貴様の相手はこの俺だ!!!」

 

タクト「シュトルツ!?」

 

そこに、遅れたカルマとルブラが駆け付けた。

 

カルマ「コウ!?」

 

ルブラ「じゃあティガの正体は!?」

 

シュトルツ「タクト!!貴様に用があって来た!!」

 

タクト「俺に!?」

 

シュトルツ「貴様は俺達が憎む貴族達に反抗する鍵だ!!こんな所で死なせはしない!!!カルマ!!ルブラ!!そいつらを避難させろ!!!」

 

ルブラ「は、はい!カルマ!!」

 

カルマ「あぁ!」

 

タクト「シュトルツ!!俺も戦う!!」

 

シュトルツ「今は逃げろ!!!すぐに追い付く!!!」

 

コウ「逃すと思うな!!」

 

シュトルツ「行けえええええ!!!」

 

カルマ「行くぞ!!!」

 

タクト「・・・くっ!!」

 

すぐに逃げる。

 

コウ「勇ましい奴だ。甘く見られたものだ。」

 

シュトルツ「うおおおお!!!」

 

殴ろうとしたが、コウが片手で払った。そのまま背中を掴んで、シュトルツの腹に膝蹴りした。

 

シュトルツ「があっ!!」

 

そして、右腕でシュトルツの腹を何度も殴り、足で転ばせた。

 

シュトルツ「くっ・・・!!」

 

コウ「オルァ!!」

 

シュトルツ「があっ・・・!!!」

 

右足でシュトルツを押し込んだ。

 

コウ「話にならない奴だ。何故身体強化しないんだ?強化すれば少しはマシになるだろう?」

 

シュトルツ「はぁ・・・はぁ・・・魔人になったとしてもか・・・?」

 

コウ「賢い男だ。気付いていたか。」

 

シュトルツ「自分の体の事ぐらい分かっているつもりだ・・・!!貴様ら貴族共は・・・俺達をモルモットにして何かをしようとしてるんじゃないのか・・・!?」

 

コウ「ハッハッハ。貴様らか。」

 

シュトルツ「何が可笑しい!!!!俺は・・・モルモットになって死ぬつもりは無い・・・!!!必ず貴族を殺す・・・・そして・・・・この世界をこの手に収める!!!」

 

コウ「面白い男だ。」

 

右足を退かす。

 

コウ「だが1つだけ言っておく。俺はそんな下らない事に興味は無い。」

 

シュトルツ「何・・・!?」

 

コウ「連れてってやる。お前達を戦いに導く張本人の下にな。」

 

シュトルツ「何だと・・・?」

 

コウ「付いて来い。」

 

 

 

 

 

 

そして、サルウァトピア家の屋敷では。

 

エレホス「生きていたのか!コウ!」

 

兵士「例の傭兵から連絡がありました!」

 

エレホス「どうした!」

 

兵士「契約を解消したいと!」

 

エレホス「何だと!?」

 

兵士「傭兵からの手紙です!」

 

 

 

ヴァーテル『エレホス=サルウァトピア。あなたが送り込んだ首輪。それを使えば、魔人に変貌する事を確信したわ。だから、私はあなた達サルウァトピア家との契約を解消したわ。この私まで騙すなんて、卑劣の他に言いようが無いわ。じゃあね。』

 

 

 

 

エレホス「ヴァーテルめ・・・!!傭兵の分際で・・・!!」

 

手紙をその場で破いた。

 

エレホス「・・・スルビア達は見付かったか?」

 

兵士「タクト=クリスティと地下の連中共と居るようです。」

 

エレホス「そうか。すぐに部隊を送ってスルビア達を保護しろ。地下の小汚いネズミ共の連中は殺して構わん!!私に刃向かうとどうなるのか、教えてやれ!!」

 

兵士「ハッ!」

 

エレホス「コウ・・・奴め・・・何を考えている・・・!!」

 

 

 

 

 

 

避難したタクト達は。

 

カルマ「ここまで逃げれば大丈夫だろう。」

 

タクト「カルマ、シュトルツは大丈夫なのか?」

 

カルマ「あぁ、シュトルツなら。」

 

タクト「だがコウを甘く見ない方が良い。奴はクトゥグアになった。」

 

カルマ「クトゥグア?」

 

タクト「単純に言えば・・・魔人を超えた、異形の魔物だ。」

 

スルビア「離しなさい!!!!!」

 

ルブラ「うわっ!!」

 

支えてくれたルブラを押して、その場に倒れた。

 

カルマ「おい!!!ルブラに何しやがる!!!」

 

スルビア「黙りなさい!!!!汚いネズミの分際で!!!!」

 

カルマ「何だと!?俺達に戦いを与えた癖に偉そうな事を言うんじゃねえぞ!!!!!どれだけの仲間が殺されたか分かってるのか!!!!!!」

 

スルビア「あなた達の気持ちなんか知りたくもないわ!!!!!」

 

カルマ「テメェ!!!」

 

スルビア「アァッ!!」

 

怒りを買ったカルマがスルビアを強く殴り、スルビアの胸倉を掴む。

 

カルマ「何ならお前を殺してやろうか?」

 

スルビア「こんな事して・・・貴族に楯突く平民風情が!!!」

 

アリティア「スルビアお姉様!落ち着いて下さい!!」

 

スルビア「私に指図するな!!!!」

 

妹達「・・・!!」

 

タクト「スルビア。」

 

スルビア「こんなの・・・・何かの間違いだ・・・・!!」

 

タクト「現実を見ろ。お前も見ただろ?」

 

スルビア「・・・チッ!!」

 

舌打ちしてカルマの腕を払って何処かへ行った。

 

タクト「何処行くんだ!!」

 

ルブラ「タクト!貴族の嬢ちゃんなんて放っておけよ!!野垂れ死んでも構わねえよ。」

 

イラ「あなた・・・お姉様を侮辱する気なの!?」

 

ルブラ「この戦いを仕掛けたのはお前等だろう!!俺達をこんな事にさせた報いだ!!」

 

イディラ「私達は!!!」

 

タクト「止めろ!!こんな時に喧嘩してる時じゃねえだろ!」

 

カルマ「そうだ!シュトルツの事が心配だ。助けに行った方が良いかもな。」

 

ルブラ「・・・・そうだな。」

 

ヴァーテル「あら、また会ったわね。」

 

グーラ「あなたは、あの傭兵!」

 

タクト「またお前か。」

 

カルマ「タクト、誰だあの女?」

 

タクト「貴族に雇われ、俺の命を欲しがってる傭兵だ。」

 

ヴァーテル「さっきまではね。」

 

タクト「どう言う事だ?」

 

ヴァーテル「こんな危ない物を与えて、私キレてるのよ。当然契約は解消。だからあなたの命を欲しがる事なんて考えてないわ。」

 

カルマ「危ない物って・・・」

 

ルブラ「どう言う意味だ!?」

 

ヴァーテル「あなた達は知らないようね。この首輪を使い続けると魔人になってしまう。心当たりはあるかしら?」

 

ルブラ「じゃあ・・・シュトルツさんが苦しんでたのって!?」

 

ヴァーテル「そう言う事よ。」

 

タクト「あの首輪の身体強化を酷使すると魔人になる副作用か・・・」

 

カルマ「・・・・・シュトルツを助けないと!!!」

 

タクト「止めておけカルマ!」

 

カルマ「でも!!!」

 

タクト「行っても無駄死にするだけだ。」

 

そこにシン達が現れた。

 

シン「タクト!!」

 

タクト「皆!無事だったのか!」

 

アズマ「ああ。・・・・・」

 

タクト「アズマ、どうした?」

 

アズマ「・・・あの魔人が、メリルだったんだ。俺が命を預けた。」

 

タクト「・・・そうか。後で弔っておこう。」

 

アリス「ああ!あの傭兵だ!」

 

レア「お前しつこいぞ!!」

 

ユーリ「またクリスティ君を殺しに!?」

 

ヴァーテル「勘違いしないで。私は契約を解消したわ。もう命を狙うなんて思ってないわよ。」

 

マリア「ねぇタクト、あの子達誰なの?」

 

タクト「ここを牛耳るサルウァトピア家の6姉妹だ。」

 

シン「え!?」

 

アウグスト「お前達が彼等を戦わせているのか!!」

 

イラ「た、確かに戦わせているけど・・・でも私達は知らないのよ!!」

 

アウグスト「何?」

 

グーラ「私達は、あれを使い続けると魔人になるって事を知らないのよ・・・」

 

ジェレミー「信用ならねえな。」

 

ローランド「知らないフリをするなら。」

 

イディラ「本当よ!!知っているのは多分・・・スルビアお姉様だけなの!!」

 

ナージャ「・・・嘘は無いみたいね。この子達は本当に知らなかったみたいね。」

 

タクト「これでハッキリしたな。お前達の敵は、お前達を戦わせているサルウァトピア家だって事をな。」

 

ナナセ「それは・・・」

 

タクト「俺は元々、この国の異変を探る為に来た。その異変の元凶がサルウァトピア家。だからこれ以上、この異変の元凶でもある奴等を見過ごす事は出来ない。」

 

すると突然、サルウァトピア家の兵士達が現れた。

 

アキ「此奴等・・・!!」

 

ミカ「兵士・・・!?」

 

サヨ「誰なんですか・・・!?」

 

ヴァーテル「サルウァトピア家の兵士達ね。私を始末しに来たようね。」

 

タクト「纏めて俺達を始末するつもりだろう。散開しろ!!」

 

兵士達「うおおおおおおお!!!!」

 

一斉に散らばって兵士達と戦う。

 

タクト「マーク!オリビア!グレア!ローランド!6人を頼む!」

 

マーク「わ、分かった!!」

 

オリビア「はい!」

 

ローランド「皆さん!こっちです!」

 

グレア「離れちゃダメよ!」

 

すぐにイラ達を避難させた。

 

アリス「ね、ねぇこの兵士達!目が赤いよ!?」

 

シン「此奴等、魔人なのか!?」

 

ジェレミー「なら、遠慮無く喰うまでだ!」

 

魔喰人に覚醒し、魔人兵士達を喰い荒す。

 

ヴァーテル「ねぇあなた、私を雇う気は無い?」

 

タクト「良いだろう!報酬は全て片付いてからだ!」

 

ヴァーテル「報酬にお金はいらないわよ。雇って私に命令するだけで十分よ。」

 

タクト「此奴らを討伐しろ!」

 

ヴァーテル「良いわよ!」

 

両手に剣を握り、魔人兵士達を討伐する。

 

タクト「アキ!ミカ!ケイ!ユイ!仲間を集めろ!生き残ってる奴ら全員をだ!」

 

アキ「分かった!」

 

ミカ・ケイ・ユイ「任せて!」

 

カルマ「待て!俺も行く!」

 

アキ「裏切らないでよね?」

 

カルマ「お前達もな!」

 

シン「ハァッ!!」

 

アウグスト「フッ!!」

 

マリア「タァッ!!」

 

アリス「オリャアアアアア!!!」

 

リオ・デイジー「ヤアアァァァ!!!」

 

フェオン・エミリー「タアアァァァァ!!!」

 

アルティメット・マジシャンズも加わり、魔人兵士達を討伐する。

 

タクト「片付いたようだな。」

 

アズマ「ああ。」

 

タクト「残りが居るかも知れない。別れて奴等を討伐するぞ!」

 

彼らは散らばって魔人兵士達と対峙しに向かった。

 

 

 

 

 

 

その頃シュトルツは、コウに付いて行っている。

 

シュトルツ「ここは?」

 

コウ「貴族の中枢。その中心人物の居る場所だ。」

 

エレホス「コウ・・・」

 

そこにエレホスがやって来た。

 

コウ「お久し振りです。エレホス様。」

 

シュトルツ「此奴が中心人物か?」

 

コウ「エレホス=サルウァトピア。このプルガトリウムシティーを牛耳るサルウァトピア家の頭首だ。」

 

エレホス「コウ・・・今まで何をしていた?何故今になって現れた!」

 

コウ「待っていたんです。タクトがこの国に現れる事を。彼奴を殺す。それが全ての始まりなのです。」

 

エレホス「始まる?何を始めるつもりだ?」

 

コウ「その話はどうでも良いのです。エレホス様に関係無い事です。」

 

エレホス「質問に答えろ!!!!」

 

コウ「彼の話を聞いてあげて下さい。エレホス様と話したがっている。」

 

シュトルツ「貴様か。俺達に殺し合いをさせているのは。」

 

エレホス「私は、貴様達のような薄汚いネズミにチャンスを与えただけだ。」

 

シュトルツ「チャンス?魔人になる事がか!!」

 

エレホス「そうだ。貴様達が人類を超えた魔人に進化する為の貴重な実験台になって貰う為、ミスリラ帝国出身のお前達を無条件でこの地下都市に導いてやったのだ!ハッハッハッハッハ!」

 

コウ「あの時と同じか。」

 

シュトルツ「あの時?」

 

コウ「3年前、俺の死が合図となり、サルウァトピア家がミスリラ帝国で紛争を起こした。俺の死を合図にした元凶はエレホス様だ。そしてお前達を攫い、お前達の家族や家を無条件で焼き払った元凶もエレホス様だ。」

 

シュトルツ「此奴は何をした!!」

 

コウ「プロジェクトDを実行した。」

 

シュトルツ「プロジェクトD・・・何だそれは!」

 

コウ「この世を全て魔人の世界にする為だ。」

 

シュトルツ「魔人の世界だと・・・!?」

 

コウ「エレホス様はその事に執着心を燃やし、ミスリラ帝国出身の人間達を集めて身体強化を付与された首輪を与えて戦わせ、それを使った者達を魔人にする為に奮闘している。違いますか?」

 

エレホス「知っていたのか?」

 

コウ「そしてあなたは、新たな過ちを犯そうとしています。」

 

エレホス「過ち?何故過ちだと分かる?間違っているのはこの世界そのものだ。人間の存在など、ただの虫螻以下だ。」

 

コウ「だがエレホス様は魔人と生み出そうとしたが、多くの亡骸を生み出してしまった。」

 

エレホス「何度失敗しようが諦めるつもりは無い。その為のモルモットは大勢居るのだからな。」

 

シュトルツ「答えろ!何故魔人の世界にしようとしているんだ!」

 

エレホス「それは、あのお方の理想の為にだ!」

 

シュトルツ「あのお方の理想だと?」

 

エレホス「名前を教えてやろう。貴様達が魔人になった後にな!」

 

シュトルツ「貴様!!!」

 

殴ろうとしたが、魔人兵士達が取り囲んだ。

 

シュトルツ「くっ!!」

 

エレホス「用済みのモルモットは始末させて貰う。」

 

コウ「俺まで殺すつもりですか?」

 

エレホス「お前は既に死んだ存在だ。今の私から見ればお前は邪魔な男だ。」

 

コウ「あんなに良くしてくれたのにですか?」

 

エレホス「お前は死んだ!私の跡取りはスルビアが居れば良い!」

 

コウ「何も変わっていないのですね。」

 

エレホス「私の思想に刃向かう奴に用は無い。ただそれだけの事だ。」

 

コウ「あなたの思想ですか。ですがあなたは何か勘違いしているようですね。」

 

エレホス「何?」

 

コウ「俺はサルウァトピア家に引き取られた人間だ。あなたの意志を継ぎ、この世界をこの手に収める!!」

 

エレホス「殺れ!!!」

 

コウ「屈め!!」

 

シュトルツ「っ!?」

 

魔人兵士達の魔法弾がコウに直撃した。しかし。

 

コウ「フッ!!」

 

起き上がって両目を赤くして魔力を高め、周囲の兵士達を炎の鎖で拘束した。

 

エレホス「な、何!?」

 

コウ「生憎だがな、俺は人間や魔人以上のとても素晴らしい力を手に入れたんだ!」

 

エレホス「な・・・何だそれは!!」

 

コウ「ならば教えてやろう。」

 

すると彼の影が大きくなり、影が異形の姿へ変貌した。

 

コウ「これは人間の力でも、魔人の力でもない!旧支配者・クトゥグアの力だ!」

 

右手を突き出して、念力でエレホスの首を絞める。

 

エレホス「ああっ・・・!!!」

 

コウ「もうアンタは用済みだ!」

 

エレホス「コウ!!!」

 

右腕がエレホスの背中から左胸に突き出した。

 

エレホス「お前・・・お前を支えた私を・・・!!」

 

コウ「もう俺は人間ではない。全てを超越した存在へとなったのだ。」

 

右腕を抜いて、そのまま心臓を握り潰して、エレホスが死亡した。

 

コウ「これから貴様等を束ねるのはこの俺だ!死にたくなければ俺に忠誠を尽くせ。」

 

魔人兵士達がコウに敬礼した。

 

コウ「死体を片付けろ。」

 

魔人兵士達が真っ二つにされたエレホスの死体を片付けた。

 

コウ「お前が望めば、俺はお前に力を与えてやる。」

 

シュトルツ「断ったら?」

 

コウ「ここで死んで貰う。」

 

シュトルツ「そうか。」

 

コウ「どうする?」

 

シュトルツ「断る。」

 

コウ「死を選ぶか?」

 

シュトルツ「死ぬつもりは無い!お前と戦って生き延びる。」

 

コウ「そうか。ならば仕方が無い!!」

 

炎で生成された槍を避けるシュトルツ。だが、コウの力に押されてしまった。

 

シュトルツ「・・・何故殺さない?」

 

コウ「お前は俺と同じ匂いがする。己の力で世界を支配する。そんな匂いがな。」

 

彼はこの場から去る。

 

シュトルツ「待て!!」

 

コウ「強さを極めて、再び俺の前に立ちはだかると言うのなら、次は容赦するつもりは無い。」

 

シュトルツ「・・・・強さか・・・・」

 

『To Be Continued・・・』




次回予告

サルウァトピアは戦う者達に魔人になる資格を与えていた。そしてティガの力を奪われたタクトと、戦う宿命を背負わされたアズマ達の運命は・・・

次回ウルトラマンティガ

ミスリラ事変後編=新しい居場所=

お楽しみに


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第29話「ミスリラ事変後編=新しい居場所=」

ミスリラ事変後編=新しい居場所=
コウ、サルウァトピア家 登場



その頃。

 

アズマ「くそっ!!」

 

魔人兵士達に追われているアズマが。

 

アズマ「止めろ!!俺達を殺しても何も無いぞ!!」

 

マリア「ハァッ!!」

 

そこにマリアが駆け付け、魔人兵士を討伐した。

 

アズマ「・・・!!」

 

マリア「アズマ!大丈夫!?」

 

アズマ「・・・あ!た、助かった!」

 

シイナ「アズマ隊長!!」

 

ナナセ「退きなさい!!」

 

ケイティ「こっちだよ!!」

 

レア「お前達の相手はレア達だ!!」

 

駆け付けた全員が魔人兵士達を討伐した。

 

タクト「奴等、何処までも懲りない連中だ。皆、聞いてくれ。」

 

全員「?」

 

タクト「コウは生きていた。」

 

マチ「え!?」

 

アズマ「本当なのか!?」

 

ヒナ「ですがコウさんは死んだはずじゃ!?」

 

タクト「ああ。だが彼奴は魔人となり、クトゥグアになった。」

 

シン「クトゥ・・・グア・・・!?」

 

タクト「要は魔人以上の力だ。奴はそのクトゥグアの力で、この世界を統べようとしている。」

 

アズマ「コウ・・・」

 

タクト「それと、謎が解明した。」

 

アズマ「え?」

 

タクト「この国で起こった紛争。その鍵をコウが握っていた。」

 

ヨーコ「どう言う事なの?」

 

タクト「3年前、コウは自ら死んだ。だがそれは仮死状態だった。墓の中で仮死状態が解かれ、魔人へと覚醒し、無自覚だったクトゥグアへと進化したんだ。そしてコウの死でサルウァトピア家が動いたんだ。」

 

アズマ「何だと・・・!?」

 

マチ「サルウァトピア家からって・・・どう言う事なの!?」

 

タクト「マチ、コウと別れた後、文通か何かしたのか?」

 

マチ「い、いえ・・・」

 

タクト「お前と再会するまでのコウは、サルウァトピア家に引き取られたんだ。」

 

全員「!?」

 

タクト「コウはサルウァトピア家に、過去に起こった戦争で両親を殺したミスリラ帝国を滅ぼして欲しいと願った。奴等はそれを承諾する交換条件として、コウの死を紛争の合図と言った。」

 

サヨ「じゃあ・・・コウさんが死んだ1ヶ月の間に・・・」

 

タクト「そうだ。奴等は紛争の準備をして、1ヶ月後に紛争を起こしたんだ。しかもコウの死を確認したのが、国王だ。」

 

マチ「国王!?嘘でしょ!?」

 

タクト「事実だ。国王はサルウァトピアのスパイ。真実を隠す為に自決したんだ。」

 

アズマ「そんな・・・馬鹿な・・・」

 

エミリー「じゃあ、ミスリラは始めからサルウァトピアの手の上で・・・!?」

 

アウグスト「サルウァトピア家・・・何処まで卑劣なんだ・・・」

 

シシリー「・・・・・」

 

イラ「ごめんなさい・・・私達のせいで・・・」

 

アリティア「お父様が・・・あなた達にこんな事をさせて・・・・」

 

彼女達は泣き崩れた。

 

タクト「・・・もう良い。事実を知らなかったのは仕方無い。お前達は何もしていないんだろう?」

 

イラ「う・・・うん・・・でもあの時お姉様の命令であなたを殺そうとして・・・」

 

タクト「あの時は仕方無い。お前達はスルビアに脅されただけだろ?」

 

イラ「うん・・・」

 

タクト「ならお前達を責めるつもりは無い。俺が許せないのは、俺を殺そうとするスルビアと、アズマ達に戦いを与えた張本人。そして、クトゥグアに覚醒したコウだ。」

 

イラ「・・・うん・・・」

 

だがそこに。

 

リュグナ「ウオオオオオオオオ!!!!!」

 

シイナ「リュグナ!!!」

 

自我を失ったリュグナが現れた。

 

リュグナ「コロス・・・ミンナコロス・・・!!!オレガ・・・イキノコル!!!!」

 

タクト「リュグナ!!!」

 

襲って来るリュグナと戦うタクト。

 

シン「タクト!!無茶だ!!」

 

タクト「俺もジッとするのは我慢ならねえ!!例えティガの力を失っても、俺は戦う!!!」

 

キックとパンチでリュグナを圧倒する。

 

リュグナ「ウオオオオオオオオ!!!!」

 

タクト「ぐはっ!!がはっ!!」

 

リュグナ「ウオオオオオオオオ!!!!」

 

タクト「ぐあああああ!!!」

 

アッパーを喰らい、倒れてしまった。

 

タクト「がはっ・・・!!くそっ・・・!!」

 

腹を抱えて苦しむ。

 

リュグナ「シネエエエエエエエ!!!!」

 

タクト「っ!!!」

 

振り下ろした腕が・・・

 

 

 

 

 

 

彼を庇ったイラの背中を引き裂いた。

 

 

 

 

 

 

タクト「なっ・・・!!!」

 

アリティア「イラお姉様!!!」

 

ルクリア「お姉様!!!」

 

タクト「止めろ!!来るな!!!」

 

リュグナ「ウオオオオオオオオ!!!!」

 

アリティア「ああっ!!」

 

イディラ「がはっ!!」

 

アケディア「ぐあっ!!」

 

グーラ「があっ!!」

 

ルクリア「ぐはっ!!」

 

リュグナの右腕が、アリティア達の腹部を貫いた。

 

タクト「なっ・・・・!!!!」

 

アズマ「くっ・・・うおおおおおおおおお!!!!!!」

 

イラが手放した剣を拾い、リュグナを斬り裂いた。

 

タクト「アズマ・・・!!!」

 

アズマ「リュグナ・・・すまない!!!!」

 

握ってる剣で、リュグナの首を斬り裂いた。

 

リュグナ「アズマ・・・・・・」

 

そして、リュグナの首が斬り落とされた。

 

アズマ「・・・・・・」

 

シシリー「イラさん!!」

 

倒れているイラに駆け寄る。

 

シシリー「イラさん!!しっかりして下さい!!」

 

ヒナ「今治療を!!」

 

治癒魔法で治そうとするが、イラが止めた。

 

イラ「・・・もう・・・良いのよ・・・これで・・・あなた達への少しの償いが出来たわ・・・」

 

タクト「イラ・・・・」

 

イラ「私達は・・・天国から・・・あなた達を見守るわ・・・・」

 

シシリー「・・・・!」

 

イラ「じゃあ・・・ね・・・」

 

力尽きて死んでしまった。

 

ヒナ「そん・・・な・・・」

 

シシリー「うっ・・・ううっ・・・・」

 

シン「・・・・・・」

 

アズマ「タクト・・・俺はまた・・・」

 

タクト「アズマ、お前は間違っていない・・・リュグナが魔人に覚醒して暴走すれば、俺達は終わっていた。・・・俺も、お前の気持ちは分かる・・・」

 

するとその時、上から光が舞い降りた。

 

タクト「何だ?」

 

シン「あれは?」

 

その光がタクトとアズマ達を囲み、人の形になった。

 

タクト「お前達は・・・!!」

 

 

 

 

トモ『タクト。』

 

タクト「トモ・・・お前達まで・・・!!」

 

それは、ミスリラ帝国で亡くなったタクトの仲間と宿敵達だった。

 

マチ「トモ姉!!どうして!?」

 

トモ『イラって人が、短時間だけ会わせてくれる魔法を与えられたの。』

 

タクト「彼奴らが・・・?」

 

トモ『タクト、あなたティガの力を奪われたんだってね?』

 

タクト「あ、あぁ・・・」

 

トモ『そんなんじゃ、私達が呆れるわね。』

 

タクト「フッ・・・相変わらずの説教だな。」

 

ニシ『アズマ隊長。お久し振りです。』

 

トウゴウ『元気してました?』

 

アズマ「ニシ・・・アオイ・・・ハナ・・・トウゴウ・・・お前達も。」

 

タクト「お前ら、あの世でも仲良くしてるか?」

 

ニシ『えぇ。私達は同じ衛士としてずっと仲良しだよ。』

 

アオイ『でも鍛錬とか欠かせないけどね。』

 

ハナ『それにトウゴウ、天国でも食いしん坊なのよ?』

 

トウゴウ『そ、それを言わないでよ・・・』

 

タクト「ハハハ。トウゴウ、ちゃんとダイエットしろよ?」

 

トウゴウ『分かってるよぉ。』

 

衛士長『お前達、久し振りだな。』

 

アズマ「衛士長!総監!補佐官!お久し振りです!」

 

総監『コホン。君達、元気そうで良かったじゃないか。』

 

補佐官『ですが総監、彼らは地下都市で戦いを強いられているんですよ。』

 

総監『コホン。そうだったな。ならば私から君達に命ずる。必ず生きて外に出るのだ。』

 

衛士長『お前達を今でも信じているぞ。』

 

アズマ・シイナ・ナナセ・カオル・マモル・タカオ・セイラ「はい!!」

 

タクト「えっとお前らは確か・・・あっ!白鳥!」

 

ミカエル・リーアム・トーマス・コカトリス『フラミンゴ!!』

 

息ぴったり地団駄を踏む。

 

タクト「おお!それそれ。そのやり取り懐かしいなぁ〜。」

 

ミカエル『お前、その為にわざと言ったのか?』

 

タクト「悪い悪い。」

 

ミカエル『はぁ・・・ったく、力を奪われた分際で無茶しやがって。』

 

コカトリス『全くだ!俺だったら奪った奴を、こうしてああしてやってるのによ!!』

 

ライナス『コカトリス、ちょっと五月蝿えぞ。』

 

コカトリス『す、すまない。』

 

リーアム『まぁでも、こんな所で挫けないのがお前の流儀だろう?』

 

トーマス『お前が死んだら、俺達が地獄へ突き落としてやるよ。』

 

タクト「そいつはゴメンだねぇ。俺はまだ死ぬ訳には行かねえよ。世界を救う為に戦い続けるのが俺の務めだ。」

 

ミカエル『そうだな。』

 

すると彼らが徐々に透け始めた。

 

トモ『もう時間のようね。じゃあタクト、後は頼むわね。』

 

タクト「任せろ。」

 

サヨ「トモ姉!」

 

トモ『サヨ、私はずっとあなたを愛しているわ。』

 

サヨ「・・・はい!」

 

トモ『じゃあね。』

 

そして、光となって天国へ戻って行った。

 

 

 

 

タクト「ありがとうよ。皆。」

 

シン「なぁ、さっきのって。」

 

タクト「俺と縁の深い奴らだ。まぁ一部敵だった奴も居たけど。」

 

イザベラ「会えましたね。また。」

 

???「タクト!!」

 

逸れたヴァーテルが合流した。

 

タクト「ヴァーテル、どうした?」

 

ヴァーテル「コウがあなたを呼んでたわよ。」

 

タクト「コウが?」

 

ヴァーテル「あなたに向けてメッセージを、この地下都市に流してあるわ。」

 

するとコウの幻が無数に出現した。

 

アズマ「コウ!!」

 

マチ「コウ!!」

 

 

 

コウ『エレホス=サルウァトピアは死んだ。俺が殺した。今この国の頂点には俺が立っている。タクト、お前が俺を止めたいと言うのなら、俺の下へ来い。決着を付けよう。この世界の頂点に立つのは、どっちが相応しいのか。待っているぞ。』

 

 

 

 

幻が消えた。

 

タクト「コウ・・・っ!シン、バイブレーションソードを貸せ。」

 

シン「あ、あぁ。」

 

異空間収納からバイブレーションソードを取り出し、タクトに渡す。

 

アズマ「タクト・・・行くのか・・・?」

 

タクト「・・・ああ。彼奴を止める為に。皆、ここは頼んだぞ。」

 

アズマ「分かった。無事を祈っている。」

 

タクト「じゃあ、行って来る。」

 

ヴァーテル「この子達の事は私に任せなさい。」

 

タクト「頼んだぞ。」

 

彼はコウの下へ向かう。

 

ヴァーテル「アキとミカとケイとユイとカルマが残った皆を集めているわ。」

 

アズマ「そうか・・・皆、行くぞ。」

 

ナナセ・シイナ「はい!」

 

シン「ああ!」

 

 

 

 

 

 

別の場所では、スルビアが苦しんでいた。

 

スルビア「くっ・・・!!はぁ・・・はぁ・・・」

 

そこに、コウが現れた。

 

スルビア「コウ・・・・・」

 

コウ「スルビア。」

 

スルビア「お父様を殺したのね・・・・」

 

コウ「そうだ。力無き者は散る運命にある。復讐に来たか?」

 

スルビア「・・・逆よ・・・コウの傍に居させて・・・コウのやろうとしている事を手伝いたい・・・」

 

コウ「さっき、俺に魔法と剣先を向けた女とは思えないな。」

 

スルビア「私はコウの婚約者よ・・・今でもコウの事を尊敬しているわ・・・だから・・・」

 

コウ「そうか。好きにしろ。」

 

スルビア「・・・・・」

 

そこに、バイブレーションソードを握ったタクトが現れた。

 

コウ「来たか。タクト。」

 

タクト「お前に来いって言われて断る理由は無い。お前がこの世界を支配しようとするのなら、俺がそれを止める。」

 

コウ「面白い。」

 

タクト「1つだけ訊く。」

 

コウ「?」

 

タクト「お前はそれで満足か?」

 

コウ「どう言う意味だ?」

 

タクト「ミスリラ帝国を壊滅させ、挙げ句の果てクトゥグアになった。お前はそれで満足なのか?」

 

コウ「当たり前だ。世界は強者と弱者の2つしか存在しない。だからこの世界を支配しようと心から決意した。」

 

タクト「それが今のお前の考えか?」

 

コウ「俺は手に入れた力を使い、全てをこの手に収める。人類の頂点に立つ!強者がその力を使って人類を導く!それが俺の今の考えだ。俺の使命だ。俺は俺の考えで世界を創る。その為に、お前をこの手で倒す。過去の自分の悲願を達成させる為にな!!!」

 

右腕でタクトを襲うとしたその時。

 

スルビア「あああ!!!」

 

後ろからスルビアに掴まれた。

 

タクト「ッ!?」

 

コウ「何をする!!!」

 

スルビア「私の炎であなたを跡形も無く燃やす!!!私と一緒に死んで!!!!」

 

コウ「俺を手伝いたいんじゃなかったのか!!」

 

スルビア「コウに近付く為の嘘よ!!今のコウは・・・コウじゃない!!」

 

タクト「止めろ!!決着は俺が付ける!!」

 

スルビア「これは私達恋人同士の問題よ!!!!私と一緒に死んで・・・コウ!!!!」

 

タクト「止めろ!!!!!」

 

”ドガーーーン”

 

彼女の炎が自分とコウ諸共爆破させた。だがコウは立ち上がり、顔の右半分、両腕、胴体、右足に炎の皮膚が浮かび、深紅のマントを羽織った。

 

タクト「炎の皮膚だと・・・!?」

 

コウ「残念だったな!これが今の俺の本当の姿だ!!」

 

スルビア「そんな・・・・・・!!!」

 

コウ「ハァッ!!」

 

スルビア「がはっ・・・!!」

 

炎の鎖でスルビアを拘束し、そのまま壁に向けて投げた。

 

コウ「タクト、始めるぞ!!」

 

タクト「来い!!」

 

バイブレーションソードと炎の槍が激しくぶつかり合う。

 

タクト「それが手に入れたお前の力か!!」

 

コウ「そうだ!!俺は人間と魔人を超えたクトゥグアになった!!この力を使って人類を導く!!行くぞタクト!!!」

 

タクト「ハァッ!!」

 

しかし、コウの圧倒的な強さにタクトが膝を付いた。

 

タクト「これで分かった・・・お前は何も変わってねえ!!!」

 

コウ「いや!俺は変わった!!」

 

タクト「変わってない!!!力に拘るお前に負けねえ!!」

 

バイブレーションソードの刀身を高速振動させて力強く炎の槍を押し返し、バイブレーションソードでコウに何度も斬り付ける。

 

コウ「無駄だ!!」

 

タクト「がはっ!!ぐあっ!!」

 

パンチとキックでダメージを負った。

 

タクト「・・・くっ!!」

 

逃げるタクトをコウが追う。

 

 

 

 

 

 

同じ頃シン達は。

 

シン「ハァッ!!」

 

ユリウス「フンッ!!」

 

トール「ハァッ!!」

 

幾多の魔法が残りの兵士達を蹴散らした。

 

アズマ「皆!聞いてくれ!!俺達は今までサルウァトピア家に虐げられて来た!!だがもう奴らの思い通りにはならない!!俺達の運命は誰にも決められない!!自分自信で決める事だ!!今からサルウァトピア家に反旗を翻す!!俺達の手で・・・俺達の未来を掴むんだ!!!!」

 

全員「オーーーーーー!!!!」

 

するとそこに。

 

カルマ「シュトルツさん!!」

 

ルブラ「無事だったんですね!!」

 

シュトルツ「1つだけ訊く!リュグナはどうした?」

 

アズマ「・・・魔人になり、俺が殺した・・・」

 

ナナセ「仕方無かったのよ!!」

 

シイナ「アズマ隊長は・・・リュグナを楽にさせる為に!!」

 

アズマ「言い訳をするつもりは無い・・・奴の命を奪ったのは俺だ!!」

 

シュトルツ「・・・貴様は正しい。だが、貴様と馴れ合うつもりは無い。」

 

アズマ「これ以上俺達同士で戦う理由などもう無いんだ!!」

 

シュトルツ「理由ならある!!俺は俺の強さを証明する!!そして・・・俺の求める世界を手に入れる!!」

 

アズマ「俺達の力で世界は変わる!!それでも戦うと言うのか!!」

 

シュトルツ「この世界を変えたくても!!!!力が無ければ・・・また別の力で俺達はまた踏み躙られる!!!!」

 

アズマ「シュトルツ・・・!!!」

 

シュトルツ「誰かを虐げる力じゃない強さで・・・俺はこの世界を手に入れてみせる・・・!!」

 

アズマ「・・・・・」

 

シュトルツ「アズマ・・・俺と戦え。どちらが此奴らを率いるのに相応しいのかを。決着を付ける・・・!!」

 

アズマ「・・・・・・・」

 

周囲の皆を見て、決意をした。

 

アズマ「分かった・・・!!俺はお前と戦う!!!」

 

シイナ「ちょっと待って下さい!!どうして戦わなきゃいけないんですか!!!」

 

ルブラ「そうですよシュトルツさん!!」

 

カルマ「俺達は騙されて戦わされているだけだ!!もう戦わなくても良いんだよシュトルツ!!!」

 

マチ「そんなの馬鹿げているよ!!!」

 

ヴァーテル「魔法使いになったら・・・皆魔人になっちゃうのよ!!!」

 

アズマ「それでも構わない!!!今まで死んで行った奴等の為にも!!!」

 

シュトルツ「そうだ!!!奴らの死を乗り越えて・・・俺達は前に進む!!!」

 

アズマ「皆は先に行け!!タクトの下へ!!」

 

アキ「アズマ・・・」

 

ケイ「アズマ・・・!」

 

アズマ「何が正しいか!!」

 

シュトルツ「何が間違っているか!!」

 

アズマ「全てを超えて!!」

 

シュトルツ「己の意志を貫き通す為に!!」

 

アズマ「お前を倒して証明してみせる!!ただの力だけじゃない!!本当の強さを!!行くぞシュトルツ!!」

 

シュトルツ「来い!!アズマ!!」

 

アズマ・シュトルツ「デュナミスフォース!!!!」

 

首輪が眩く光り、身体能力が最大強化された。

 

アズマ・シュトルツ「ウオオオオオオオオ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

サルウァトピア邸・地下大広間。

 

コウ「ハッハッハッハッハ!!」

 

タクト「はぁ・・・はぁ・・・」

 

コウ「そんな程度で俺に勝てると思っているのか!!!」

 

タクト「勝てる・・・俺はティガを受け継いだ男だ!!!」

 

バイブレーションソードで再びコウに立ち向かう。

 

コウ「だがお前はティガの力を失った!!ティガの力は未だに俺が持っている!!奪え返すのは不可能だ!!ハァッ!!」

 

タクト「ああっ!!」

 

右腕がタクトを叩き飛ばした。

 

タクト「はぁ・・・はぁ・・・俺はこの8年間で・・・新しい仲間達に出会った・・・!!」

 

コウ「フンッ。仲間だと?」

 

タクト「そうだ・・・そこで俺は彼らと共にチームを結成し・・・魔人達の脅威から人々の希望を守る為に戦っている!!!」

 

コウ「フンッ!魔人の脅威など、この俺が全て焼き払ってやる!!俺にはクトゥグアの力を持っているからな!!ハアアアア!!!」

 

右腕が、タクトのバイブレーションソードを粉砕した。

 

タクト「何!?」

 

コウ「終わりだ!!!」

 

だがそこに。

 

スルビア「うわあああああ!!!!」

 

現れたスルビアが、タクトの前に立って右腕を受けた。

 

スルビア「コウ!!今のあなたは・・・私が愛するコウじゃない!!!!」

 

コウ「これが俺だ!!!」

 

スルビア「うあああああああ!!!!」

 

力を振り絞ってコウに近付き、右腕が背中に突き出た。

 

スルビア「・・・ハァッ!!!!!」

 

左手の炎が大広間の奥にある台座に直撃した。

 

コウ「何!?しまった!!」

 

その台座からスパークレンスが飛び、タクトの手元に渡った。

 

タクト「っ!!」

 

コウ「死に損ないが!!!消え失せろ!!!」

 

右腕を引き抜いて、両腕でスルビアを斬り裂いた。

 

スルビア「あ・・・かはっ・・・・」

 

斬り裂かれたスルビアが倒れた。

 

タクト「スルビア・・・!!!」

 

 

 

 

遠くからシン達が駆け付けた。

 

シン「あっ!!」

 

シシリー「・・・!!」

 

マチ「タクト・・・!!」

 

 

 

 

スルビア「うっ・・・!!お願い・・・・・・・コウを・・・・・・・止めて・・・・・・・」

 

彼女が息を引き取った。

 

タクト「・・・・分かった。」

 

息を引き取ったスルビアの遺体をシン達の方へ。

 

タクト「彼女を頼む。」

 

シシリー「・・・はい。」

 

スルビアの遺体をシシリーに託し、コウの前に戻る。

 

コウ「お前は物好きなもんだなぁ。自分を殺そうとした女の亡骸を彼奴等に託すなんて。」

 

タクト「物好きで結構。コウ、ティガの力を何時奪ったんだ?」

 

コウ「お前が落下して気を失っている間に、俺が魔力で魔道具を密かに奪った。」

 

タクト「お前のティガも中々の強さだったぞ?」

 

コウ「光栄だねぇ。」

 

タクト「それともう1つ。サルウァトピアはあの首輪をどうやって製作したんだ?」

 

コウ「エレホスが、あの方から受け取ったと言っていた。」

 

タクト「あの方?それは誰なんだ?」

 

コウ「あの方は自分をこう名乗った。『実体のない存在』と。」

 

タクト「実体のない・・・存在・・・!?」

 

コウ「そうか。お前も知ってるのか。そしてエレホスは、ミスリラ帝国で計画を実行したんだ。」

 

タクト「計画?」

 

コウ「プロジェクトDだ。」

 

タクト「プロジェクトD・・・まさか・・・人間達を魔人化する計画か。」

 

シン「ッ!?」

 

コウ「鋭い考察だな。そう、プロジェクトDのDはDemon。魔人化の意味を指す。」

 

タクト「皮肉だな。」

 

コウ「皮肉かぁ。言ってくれるな。」

 

タクト「・・・コウ、あの時を覚えているか?」

 

コウ「あの時?」

 

タクト「俺はお前に手合わせしたいと言ってた。だからここで、最初で最後の手合わせを願いたいと思っている。」

 

コウ「・・・良いだろう。受けて立とう。」

 

タクトがスパークレンスを強く握り、天に掲げてスパークレンスを展開させた。タクトが光の柱に囲まれ、ウルトラマンティガへ変身した。

 

ティガ「行くぞコウ!!決着をつけるぞ!!」

 

コウ「ハァッ!!」

 

強力な光がティガに直撃。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

だがウルトラクロスバリヤーで防いだ。

 

ティガ「ハァッ!!!」

 

スラップショットでコウを斬り刻む。

 

コウ「くっ!ハアアァァァァ・・・・!!」

 

炎を収束させ、ティガの頭上に炎の球体を生成する。

 

コウ「ハァッ!!!」

 

ティガ「ハアアァァァァァァ!!!!!!」

 

炎の球体から火のような魔力弾が降るが、ティガトルネードで振って凌いだ。

 

ティガ・コウ「ハァッ!!!!」

 

マルチチョップと炎の槍が擦れ違いにぶつかった。

 

ティガ・コウ「ハアアァァァァァ!!!!」

 

同時にジャンプし、両者が激しくぶつかった。

 

 

 

 

 

 

アズマ・シュトルツ「ウオオオオオオオオ!!!!」

 

サルウァトピア邸の庭では、アズマとシュトルツが炎に囲まれ、激しい戦いを繰り広げていた。両者の剣が激しくぶつかり合う。

 

アズマ「ハァッ!!」

 

高速で接近し、シュトルツの右腕を捕まえた。

 

シュトルツ「ダァッ!!」

 

だがシュトルツが左腕の肘打ちで殴った。

 

アズマ「ぐあっ!!くっ!!ハァッ!!」

 

シュトルツ「ダァッ!!」

 

両者が剣の同時にぶつかった衝撃を受けて倒れたが、フラフラしながら起き上がる。

 

アズマ「シュートールーツーーーーー!!!!!」

 

シュトルツ「アズマーーーーーーーー!!!!!」

 

アズマ・シュトルツ「ウオオオオオオオオ!!!!!」

 

更に身体能力を強化し、剣が激しくぶつかり、周囲に衝撃波が走り、炎を消火した。そして。

 

アズマ・シュトルツ「ハァッ!!!!」

 

お互いを貫いて、着地した。膝を付いた。

 

シュトルツ「がっ・・・がはっ・・・!!」

 

口から血を吐いたシュトルツが倒れた。

 

シュトルツ「はぁ・・・はぁ・・・強いな・・・お前の勝ちだ・・・」

 

アズマ「俺は強くない・・・守りたい力のお陰だ・・・」

 

シュトルツ「後は・・・任せたぞ・・・・」

 

アズマ「・・・ああ・・・」

 

シュトルツ「・・・・・・」

 

彼はアズマに笑顔を見せ、静かに息を引き取った。

 

アズマ「シュトルツ・・・・お前の意志を無駄にしない・・・・そして、お前とリュグナの罪を背負って生きる・・・・お前達の分まで・・・・この先を生き抜いてみせる!!!」

 

彼は急いでタクトの下へ急ぐ。

 

 

 

 

 

 

サルウァトピア邸・地下大広間。

 

ティガ・コウ「ハアアァァァァァ!!!!!」

 

そこでは、ティガとコウの戦いは激しさを増していた。

 

 

 

シン達「・・・」

 

その戦いをシン達が見守っている。

 

 

 

 

ティガ「チャァッ!!」

 

コウ「ハァッ!!」

 

ティガスライサーがコウの炎の槍で粉砕された。

 

ティガ「ハァッ!!チャァッ!!」

 

ハンドスラッシュを連射し、コウの腹部にウルトラ・ライトナックルで殴り込んだ。

 

コウ「がはっ!!」

 

ティガ「チャァッ!!」

 

マルチ・スペシウム光線がコウの腹部に直撃した。

 

コウ「ぐああああああ!!」

 

ティガ「チャァッ!!」

 

ウルトラフィックスを放つが、コウが避けた。

 

コウ「フンッ!!そんな程度でこの俺に勝てると思っているのか!!笑わせるな!!」

 

ティガ「それでも俺は負けない!!世界を救う為に戦う!!それがティガ・・・ウルトラマンティガだ!!!!ハァッ!!!」

 

ブライトショットでコウを吹き飛ばした。

 

ティガ「お前の行為は・・・人類の裏切りにしか過ぎない!!」

 

コウ「裏切りだと!?」

 

ティガ「そうだ!!弱き者は・・・弱いからこそ強くなれるんだ!!誰かを信じる事が出来るんだ!!!」

 

コウ「信じるなど下らない!!!」

 

ティガ「下らないのはお前の思想だ!!!!」

 

両腕をクロスしてエネルギーを集める。

 

コウ「終わりだタクト!!人類は俺が導く!!」

 

ティガ「チャァッ!!!!」

 

コウ「ハアアァァァァァ!!!!」

 

タイマーフラッシュスペシャルと巨大な炎が激しくぶつかり、タイマーフラッシュスペシャルと炎が爆発した。

 

ティガ「ッ!?」

 

コウ「ハァッ!!!」

 

ティガ「アァッ!!!」

 

コウが炎の鎖でティガを拘束し、ティガを燃やした。

 

 

 

 

シン達「ッ!!!!」

 

 

 

 

ティガ「・・・・まだだ・・・!!!!」

 

力を振り絞り、鎖を破壊した。

 

コウ「なっ!?」

 

ティガ「ハァッ!!!!」

 

コウ「ぐあっ!!!」

 

マルチキックがコウを蹴り飛ばした。

 

ティガ「チャァッ!!!!」

 

ジャンプからのスラップショットがコウに直撃した。

 

コウ「ぐああああああああ!!!!!」

 

”ピコン”

 

着地したティガのカラータイマーが点滅を始めた。

 

コウ「ガハッ・・・・・!!」

 

吐血したコウが膝を付いた。

 

ティガ「ハァ・・・ハァ・・・」

 

コウ「馬鹿な・・・・・何処にそんな力が・・・・・・!!!」

 

ティガ「これが俺の力だ・・・・・・!!多くの仲間達と多くの絆が・・・・・俺の一番の力だ・・・・・・!!だから・・・・・世界は俺が救う!!!!!」

 

コウ「それは俺の責務だ!!!!!!」

 

同時に走り出し、コウの炎の槍をティガが前宙して避けた。

 

コウ「まだだ!!」

 

着地したティガに炎の鞭を飛ばした。しかしティガが炎の鞭を掴んだ。

 

コウ「何!?」

 

ティガ「チャァッ!!!!!」

 

全身を赤熱化させ、ウルトラヒートハッグで鞭を辿ってコウの体内を燃やした。

 

コウ「ガハッ・・・・・・!!」

 

腹部から血が溢れ出て、吐血した。

 

コウ「俺が・・・・負けるだと・・・・!?」

 

ティガ「俺の勝ちだ・・・・・!」

 

コウ「がはっ・・・・・!!はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・俺は・・・・・人間を超える力を手に入れた・・・・・・!!!なのに何故・・・・・・!!!」

 

ティガ「・・・・お前は独りだ・・・だが・・・俺は独りじゃない・・・・俺は、仲間のシン達を信じている。そして亡くなったトモ達や、スルビア達、そしてこれまで出会った多くの人達も信じている。そして・・・今でもお前を信じている。」

 

コウ「俺の事を・・・・・?」

 

ティガ「俺は全ての人々の為に戦っている。誰かの為に力を尽くし、誰かの為に命を替えても戦う。それが・・・それが俺の力だ。」

 

コウ「・・・・・フッ・・・そうか・・・・やっぱり俺は変われなかったな・・・・」

 

マチ「コウ・・・・・」

 

アズマ「コウ・・・・・」

 

コウ「マチ・・・アズマ・・・色々すまなかった・・・俺のせいでこんな事になってしまって・・・」

 

マチ「ううん・・・・コウは悪くないよ・・・・」

 

アズマ「ああ。それに・・・お前とまた会えて・・・嬉しかった・・・」

 

コウ「・・・ありがとう・・・タクト・・・俺の命を受け取ってくれ・・・」

 

ティガ「ああ・・・お前の思いは、俺の中で生き続けてくれる。」

 

コウ「頼んだぞ・・・この世界を・・・」

 

ティガ「任せろ・・・・」

 

両腕を前に突き出し交差させ、大きく横に広げてエネルギーを溜める。

 

ティガ「さらばだ・・・・・我が友よ!!」

 

ゼペリオン光線がコウを直撃した。コウは笑みを見せ、塵となって消滅した。

 

シン「タクト!!」

 

シシリー「タクト君!」

 

治癒魔法でティガを治療する。

 

ティガ「・・・ミスリラ帝国は・・・今度こそ終わった・・・」

 

すると、地震が起こった。

 

シン「な、何だ!?」

 

アズマ「地下都市の起爆か!?」

 

すると遠くから爆発が起こり始めた。

 

シシリー「爆発しています!!」

 

アウグスト「こっちに来る!」

 

ティガ「ッ!!」

 

爆発の中へティガが飛び込んだ。

 

シン「タクト!?」

 

マチ「タクト!!!」

 

アズマ「くっ!!皆逃げるぞ!!!」

 

シシリー「待って下さい!!タクト君が!!!」

 

アズマ「彼奴はきっと帰って来る!!俺を信じろ!!」

 

シシリー「アズマさん・・・!!」

 

アズマ「逃げるぞ!!!」

 

アウグスト「皆!こっちだ!」

 

ゲートで全員が脱出した。

 

 

 

 

 

 

ミスリラ帝国。

 

アズマ「脱出出来た・・・!!」

 

大穴から、巨大な爆煙が舞い上がった。

 

シン「地下都市が・・・崩壊した・・・」

 

マチ「タクト・・・・」

 

だがそこに、ティガがテレポーテーションで戻って来た。ティガが光となり、タクトに戻った。

 

タクト「皆!」

 

全員「タクト(君)(さん)(殿)!!!」

 

アズマ「やはりな。お前が帰って来ると信じてたぜ。」

 

ユリウス「一体何をしていたので御座るか?」

 

タクト「此奴等さ。」

 

後ろには、シュトルツ達とサルウァトピア家の者達の死体があった。

 

タクト「あんな煉獄で墓を作らせたら申し訳無えと思ってな。」

 

ヨーコ「本当、あなたって物好きよね。」

 

タクト「それコウにも言われたよ。」

 

シン「兎に角、皆無事で良かったな。」

 

タクト「ああ。」

 

アキ「あーーーー!!外に出れたーーーー!!!」

 

ミカ・ユイ・ケイ「外だーーーーーー!!!!」

 

カオル「やっと出れたーーーーー!!!」

 

アリス「空気が美味しいーー!!」

 

ケイティ「んーーーー!!!」

 

リオ「外に出れて良かったね。」

 

ヴァーテル「じゃあ、これでお別れね。」

 

タクト「行くのか?」

 

ヴァーテル「私はただの傭兵。次の仕事を探しに行くからね。」

 

タクト「ちょっと待て。お前達の首輪を外してやろう。」

 

アズマ「そうだった、忘れてた。」

 

タクト「ナージャ。」

 

ナージャ「ええ。」

 

オブシディアンから溢れる光で、アズマとヴァーテルの首輪を外した。

 

アズマ「取れた・・・ありがとう。」

 

ヴァーテル「助かったわ。」

 

アズマ「俺達は、これからどうするんだ・・・?」

 

サヨ「そうですよ・・・私達の家はもう・・・」

 

シイナ「サルウァトピア家に燃やされてしまっている・・・・」

 

アウグスト「なら、我が国に来ないか?」

 

全員「え?」

 

アズマ「え?良いのか?」

 

アウグスト「ヴァーテル。お前も来ないか?」

 

ヴァーテル「私も?」

 

アウグスト「私が父上に話してみる。」

 

アズマ「父上?」

 

タクト「オーグの本名はアウグスト=フォン=アールスハイド。アールスハイド王国の王子だ。」

 

ヨーコ「ええええ!?」

 

ナナセ「初めて聞いたよそれ!?」

 

アウグスト「我が国へ案内しよう。」

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王国で、アウグストはディセウムにアズマ達の事を話し、アズマ達をアールスハイド王国へ歓迎した。

 

タクト「ユーリ、すまないがアズマ達をお前のホテルへ宿泊させてくれるか?」

 

ユーリ「良いわよ。両親に話しておくわぁ。」

 

タクト「助かる。」

 

ユーリがアズマ達をカールトンホテルへ無償で宿泊させて、今までの戦いの疲れを癒させる。そしてシュトルツ達の遺体を墓地に埋葬して墓を作った。

 

 

 

 

翌日のアールスハイド王城。

 

タクト「陛下。」

 

ディセウム「ん?タクト君か。どうかしたのか?」

 

タクト「実はアズマ達の事なんだが。」

 

ディセウム「彼らの事か?」

 

タクト「彼奴らは嘗てミスリラ帝国で、衛士隊や酒場などをやっていたんだ。だから、彼らにこのアールスハイド王国で役に立つ事をさせたいんだ。」

 

ディセウム「ふむ・・・アズマ君達は衛士隊をやっていたと言っていたよな?」

 

タクト「そうだ。」

 

ディセウム「なら、騎士団内で衛士隊を創設すると言うのはどうだろうか?」

 

タクト「創設?」

 

ディセウム「ウム。君が衛士隊を創設すれば、衛士隊を君の権限で命令出来る。」

 

タクト「確かに良いかもな!そうすれば彼奴らも何時ものように活動出来る。」

 

ディセウム「それで、マチさん達をどうするんだ?」

 

タクト「陛下、この辺に使われていない店とかあるか?」

 

ディセウム「使われていない店・・・おっ!確か彼処にあるな。」

 

 

 

 

王都にある空き家。

 

タクト「空き家?」

 

ディセウム「ここは昔、人気の酒場だった場所だ。けど今は経営難で潰れてしまっているんだ。今は買い取ってくれる方を募集しているんだ。」

 

酒場だった空き家に入る。

 

タクト「結構良い構造だな。」

 

カウンター席に座ってみる。

 

タクト「お?何か居心地良い感じ!陛下!ここめっちゃ良い感じだ!マチ達に持って来いだ!」

 

ディセウム「そうか!では明日には道具や材料を手配しよう!予算は私が負担しよう!」

 

タクト「助かる!」

 

ディセウム「それともうすぐで完成だぞ。君の家。」

 

タクト「お!いよいよマイホームが完成か。それと、例のあの建設はどうだ?」

 

ディセウム「ウム。もう少し時間が必要だな。」

 

タクト「ま、業者達に無理せず建設するよう伝えておくよ。」

 

 

 

 

実は王都内にクリスティ邸の建設が進んでおり、更にクリスティ邸の隣にある建物の建設も進んでいた。

 

 

 

 

夜のカールトンホテル。

 

アズマ・ナナセ・シイナ・カオル・マモル・タカオ・セイラ「アールスハイド王国衛士隊?」

 

タクト「ああ。明日からお前達は俺が創設した衛士隊へ入隊して貰う。」

 

ナナセ「タクトが創設した!?」

 

タクト「お前達を良く知ってる俺が、衛士隊を創設したら良いかと思ってな。因みに内容は騎士団と警備局を併せた内容になってる。魔人・魔物の討伐と、犯罪者の逮捕が目的だ。」

 

アズマ「それって、国王陛下も了承してくれたのか?」

 

タクト「あぁ。陛下は俺の提案を承認してくれた。」

 

アズマ「そこまでしてくれて・・・良いのか?」

 

タクト「構わねえよ。お前は俺達の仲だしよ。」

 

シイナ「タクト・・・ありがとう!」

 

ナナセ「やったー!」

 

カオル「やったやったー!」

 

マモル「カオル様!落ち着いて下さい!」

 

タカオ「良いじゃありませんか。マモル。」

 

セイラ「えぇ。」

 

タクト「そしてマチ達とミカ達には明日、新しい酒場の経営者になって貰う。」

 

マチ「え!?」

 

ミカ「本当!?」

 

ヨーコ「本当なのその話!?」

 

タクト「嘘が何処にあるんだよ。陛下に頼んで予算の負担や、材料や道具を手配してくれたんだ。新しい魔道具や防犯対策など色々揃ってるぞ?」

 

サヨ「・・・ありがとうございます!」

 

アキ「これでまたお客様達を喜ばせる!!」

 

ケイ「やったね!」

 

ユイ「うん!」

 

タクト「フフッ。」

 

アズマ「そうだ、ヴァーテルは?」

 

タクト「彼奴は・・・」

 

 

 

 

アールスハイド王国・王城。

 

ヴァーテル「え?私が護衛に?」

 

アウグスト「そうだ。お前は傭兵の身だろ?だから私がお前を雇ってやろうと思っている。そうすれば、お前に相応しい給与を与える。主な仕事が、父上の護衛と城の見回りだ。」

 

ヴァーテル「へぇ〜。私に似合う内容ね。なら、それで頼めるかしら?」

 

アウグスト「あぁ。歓迎するぞ。」

 

 

 

 

 

 

翌日。アズマ達はタクトが創設した衛士隊に入隊する事となった。服装はミスリラ帝国の衛士隊の制服を着用している。それぞれアズマ隊、ボンボン隊と変わらずに編成した。他の生存者達は魔物ハンターとなり、魔物達を討伐し続ける。

 

ヴァーテルはアウグストの計らいで王城に雇われ、ディセウムと城の護衛兵となった。

 

その2日後、マチ達とミカ達は酒場の経営者になった。経営責任者はマチとなった。酒場は初日から好調となった。

 

酒場名は『クレージュ』。マチ達が嘗てミスリラ帝国で活動していた時に名乗った盗賊団の名前から取った。

 

ミカとユイとケイは酒場の傍ら、情報屋をやっている。

 

 

 

 

 

 

翌日、タクトは墓地で亡くなった者達を弔った。中にはメリルの墓もあった。花を手向けて墓地を出た。

 

タクト「皆、今度こそ安らかに眠ってくれ。」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

コウ:小野賢章

アズマ:榎木淳弥
シュトルツ:神谷博史
リュグナ:内山昂輝

シイナ:内田彩
ナナセ:白石晴香

マチ:逢田梨香子
ヨーコ:福原綾香
アキ:南條愛乃
サヨ:影山灯

ミカ:金澤まい
ユイ:徳井青空
ケイ:夏川椎菜

ヴァーテル:千本木彩花

カオル:国立幸
マモル:山谷祥生
タカオ:石谷春貴
セイラ:今井麻美

カルマ:神原大地
ルブラ:小野友樹

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子
ジェレミー=ダンクルク:前野智昭
ローランド:山本和臣
フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
グレア:高橋李依

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
アザレア=ウォルフォード:新谷良子
ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭
エリザベート=フォン=コーラル:南雲希美
メイ=フォン=アールスハイド:雛乃木まや

メリル:茅原実里

スルビア=サルウァトピア:豊口めぐみ
イラ=サルウァトピア:平田宏美
アリティア=サルウァトピア:沼倉愛美
イディラ=サルウァトピア:赤崎千夏
アケディア=サルウァトピア:宮本侑芽
グーラ=サルウァトピア:上田麗奈
ルクリア=サルウァトピア:小林愛香

トモ:種田梨沙
ニシ:村川梨衣
アオイ:安野希世乃
ハナ:朝日奈丸佳
トウゴウ:安里勇哉

衛士長:斉藤壮馬
補佐官:巽悠衣子
総監:石井マーク

ミカエル:松岡禎丞
リーアム:堀江瞬
トーマス:笹沼尭羅
コカトリス:高梨謙吾

アナウンス:二又一成

兵士:松田修平
   狩野翔
   野瀬育ニ

エレホス=サルウァトピア:山路和弘





次回予告

魔人領攻略作戦の一時的な終止符が打たれた世界。アルティメット・マジシャンズが聞いた、マーリン達から明かされる魔人の秘密とは・・・

次回ウルトラマンティガ

過去の魔人

お楽しみに


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##遊嬉宴楽の英雄生誕祭編##
第30話「過去の魔人」


過去の魔人



アールスハイド王国・王都。

 

国民A「聞いたかい?先日の魔人襲来の緊急事態宣言が出された時、王国に迫る魔人を討伐したのはティガ様達と・・・何と賢者様と導師様と大司祭様と天士様だったって!」

 

国民B「知ってるさ!結局その場に居た兵隊さん達、1人の犠牲も出なかったってね!」

 

国民A「いやぁ、流石だなぁ!」

 

 

 

国民C「アルティメット・マジシャンズも魔人領での活躍は相変わらず凄かったみたいよ!」

 

国民D「もう王国には戻られたのかしら?」

 

国民C「あ、ホラ!あっちでも魔人領討伐記念セールやってる!」

 

国民D「後でウォルフォード商会にも行かなくちゃ!」

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王城。

 

ディセウム「よくぞ戻った!世界を救った英雄達よ!」

 

アルティメット・マジシャンズが拍手で迎えられた。

 

シン「あれー・・・?てっきり俺達の失敗が問題視されて怒られるのかと・・・」

 

マリア「何かそう言う雰囲気でもないわね。」

 

アリス「皆に責められるのかと思ってたよ〜〜・・・」

 

ディセウム「アウグスト、シン=ウォルフォード、タクト=クリスティ。他の者もよくやった。拠点に潜伏していた魔人達を殲滅した事・・・比類なき功績である。」

 

称えられる彼等だが、アウグストが頭を下げた。

 

アウグスト「ありがたきお言葉ですが・・・我々は最後に詰めを誤りました。その結果、皆を危険に晒してしまう所でした・・・とても褒められたものでは御座いません。」

 

ディセウム「気にするでない。取り逃がした魔人達をタクト=クリスティ達、そして賢者殿と導師殿と大司祭殿と天士殿が討伐した事で、結果的に庶民は沸き立っておる。誰もお前達を責めたりはせん。」

 

他の官僚や貴族達もディセウムの言葉に頷いた。

 

シン・アウグスト「・・・・」

 

アリス「んーーー・・・コレって結果オーライって奴?」

 

マリア「・・・ま、それで良しとは言えないけどね。」

 

トール「この失敗から色々と学ばないとダメですね。」

 

シン(・・・そうだ。失敗は事実として受け止めなきゃ。)

 

ディセウム「今回の褒美なのだが、もう前回以上の勲章もないのでな。どうしたものか・・・」

 

アウグスト「陛下、我々は今回、軍事行動の一環として従軍したまでです。褒美を出されるなら、皆平等に。我等だけ特別扱いをされないよう願います。」

 

彼の言葉に、ディセウムが笑みを浮かべた。

 

ディセウム「そうか・・・分かった。軍が戻り次第従軍した全ての兵に報奨金と休暇を与えよう。お前達は皆、世界を救った英雄なのだからな。お、そうだ。タクト君。」

 

タクト「ん?」

 

ディセウム「君達に渡したい物があるのだが。」

 

タクト「渡したい物?」

 

ディセウム「タクト君。君は魔人領攻略作戦時に迅速な判断と、200以上の魔人と魔物の大群を彼等と共に討伐した功績として進呈しよう。」

 

2人に渡したのは、金色のバッジだった。

 

タクト「バッジ?金龍の紋章が刻まれてる。」

 

ディセウム「それは君の為に製作したアールスハイドバッジだ。超古代の戦士を受け継いだである君が受け取って欲しい。」

 

ジャケットの左胸にバッジを付けた。

 

タクト「おぉ、オシャレだな。」

 

アリス「良いなぁタクト君だけぇ〜。」

 

マリア「まぁでも仕方無いわよね〜。」

 

 

 

 

 

 

部屋に入ると。

 

メイ「シンお兄ちゃん!!おかえりなさいです〜〜〜〜〜!!!」

 

シン「げふぅっ!!」

 

入って来たシンにメイがロケットジャンプして激突。

 

シン「メイちゃん・・・し・・・身体強化は基本戦闘で使うものであって・・・・」

 

メイ「ん?全力でお出迎えしちゃダメです?」

 

ナージャ「メイ、身体強化は日常で使うものじゃないのよ?」

 

メイ「ナージャお姉ちゃん!分かったです!」

 

エリザベート「御無事で何よりですわ。アウグスト様。」

 

アウグスト「ああ。心配を掛けたな。」

 

タクト「2人共、街の様子は?」

 

エリザベート「街の様子を耳にしましたけど、マーリン様達の御活躍の件も含め大騒ぎらしいですわよ。」

 

メイ「アルティメット・マジシャンズの事も今まで以上に話題になってるみたいです!」

 

アリス「ま・・・また街を歩けなくなりそう・・・」

 

ユーリ「大変なのはオリビアよねぇ。公に所在が明らかになってるから、店に人が殺到しそう。」

 

オリビア「!!」

 

アリス「頑張れ〜!看板娘!」

 

ユーリ「人気者は辛いわねぇ。」

 

オリビア(他人事だと思ってぇ・・・)

 

ケイティ「どうしたの?元気無いねぇ?元気が無いなら、私がもふもふして元気パワーあげちゃう!!」

 

オリビア「ヒャッ!!」

 

ケイティ「もふもふもふもふ〜〜〜〜♡」

 

オリビア「ケ、ケイティさぁ〜〜ん!!」

 

ジェレミー「こりゃあ、外に出たら一瞬で子供達に囲まれちまうな。」

 

ローランド「またもふもふされてしまいそう・・・」

 

エリザベート「・・・・」

 

アウグスト「どうかしたのか、エリー?」

 

エリザベート「え?あ・・・いえ・・・今はまだ作戦の最中ですけど・・・何れ終結の宣言がされれば結婚式を執り行うでしょう?そうすると・・・私だけ浮いてしまいますわ・・・」

 

アウグスト「浮く?何故だ?」

 

エリザベート「だって2組の新郎新婦の内・・・私だけアルティメット・マジシャンズではないじゃありませんか・・・」

 

アウグスト「何だ、そんな事か。」

 

エリザベート「そんな事ではありませんわ!皆様は世界の英雄・・・!!私だけが凡人だと世間の目には映ってしまいますわ!!」

 

シン(そんな事気にしてたのか・・・)

 

タクト(エリザベート・・・)

 

シシリー(エリーさん・・・何時も殿下の傍に居るから余計に・・・)

 

不安を抱えるエリザベートに、シシリーが優しく励ます。

 

シシリー「気にし過ぎですよエリーさん。エリーさんは、誰もが羨む王子様のお嫁さんになる公爵家のお姫様ではないですか。それだけで十分特別ですよ。」

 

エリザベート「・・・そ・・・そうかしら?」

 

するとシシリーがエリザベートの両手を優しく握った。

 

シシリー「そうですよ。だから堂々と一緒にお式を挙げましょう。」

 

エリザベート「シシリーさん・・・そう・・・ですわね・・・ええ・・・分かりましたわ。」

 

元気が戻ったエリザベートを見て、アウグストが少しホッとした。

 

アウグスト「やれやれ。エリーの奴、まさかそんな懸念を抱えていたとはな・・・」

 

シン「将来の王妃だぜ?普通ならそんな事微塵も気にしないよな。」

 

タクト「特殊過ぎなんだよ。俺達が。」

 

シン「ははは・・・でも、世界の英雄・・・か。この国に来た当初はこんな事になるなんて夢にも思わなかったよ。」

 

アウグスト「お前は元々が英雄の孫だからな。功績を挙げればすぐに英雄視されるに決まっている。」

 

シン「功績は兎も角・・・王都に来た時の目的はほぼ達成出来たよな。友達も出来たし、彼女も出来たし、それに・・・大分常識も身に付いたしな。」

 

全員「・・・え??」

 

シン「ッ!?」

 

マリア「シン・・・アンタまさかアレで常識が身に付いたとか思ってるんじゃないでしょうね?」

 

シン「え?え?」

 

タクト「おい、オーグを見ろ。」

 

シン「え・・・?」

 

 

 

 

アウグスト「通信機のような非常識な魔道具を作り出し、更には世界の軍事力の均衡を崩し、おまけに魔石の謎まで解明し、世界全体の経済バランスにも影響を及ぼし兼ねない事態を引き起こしたお前の、何処が常識を知ったと言うのだ!!冗談も程々にしろ!!!!

 

 

 

 

怒りが爆発したアウグストの雷がシンに落ちた。

 

トール「無いですよね?国の経済を壊すような発明・・・まさか、もう無いですよね?」

 

シン「・・・・・・・・な・・・無いよ。」

 

トール「あるんだ・・・」

 

リオ「さっきの間は何だったの?」

 

タクト「シン、これ以上やらかしたら非常識ならぬ異常識になっちまうぞ。」

 

シン「それは嫌だ・・・」

 

アウグスト「兎も角、シンの常識に関しては最初から期待はしていない。ひたすら自重しろ。」

 

シン(ひっでぇ言われよう・・・)

 

アウグスト「さあ、落ち着いた所でマーリン殿達に報告に行こう。」

 

 

 

 

 

 

ウォルフォード邸。タクト達がゲートで来た。

 

マーリン「お、帰って来たか。」

 

リチャード「待っていたぞ。」

 

アザレア「おかえりなさい。」

 

シン「あ!アザレア叔母さん!」

 

アザレア「久し振りねシン。」

 

タクト「おや、ラドクリフ一家もお揃いか。」

 

マナミア「皆さん、お帰りなさい。」

 

アリス「あ!マナミア!そっちも無事だったんだね!」

 

マナミア「はい。」

 

シン「え?誰?」

 

マナミア「あなたがシン=ウォルフォードさんですね?お爺様とお婆様から話を伺っております。私はマナミア=ラドクリフです。騎士養成士官学院に通っています。以後、お見知り置きを。」

 

シン「あ、はい。シン=ウォルフォードです。騎士学院って事は・・・ミランダの?」

 

マナミア「はい。こう見えてミランダの先輩なんです。後輩が色々お世話になっております。マリア、ミランダと仲良くしていますか?」

 

マリア「はい。もうすっかり仲良しです。」

 

マナミア「そうですか。マリア、話す時は普通で構いませんのに。」

 

マリア「いえ・・・どうもそれが抜け切れなくて・・・」

 

マナミア「もう、しょうがないですね。」

 

ニルス「君がシン君だね?私はニルス=ラドクリフ。宮廷魔法師団に所属している。」

 

モニカ「妻のモニカ=ラドクリフです。近衛騎士団に入っております。」

 

シン「え?じゃあ、クリスねーちゃんとジークにーちゃんと一緒に仕事を?」

 

ニルス「勿論。」

 

モニカ「はい。」

 

”コンコン”

 

エスタ『エスタです。宜しいですか?』

 

タクト「エスタか!入ってくれ!」

 

ドアを開けたエスタがリビングに入って来た。

 

エスタ「皆さん、いらっしゃいませ。タクト様、お客様が来ております。」

 

タクト「お客様?」

 

エスタ「どうぞ。」

 

入って来たのは、アリアだった。

 

タクト「アリアさん!来てたんだね!」

 

アリア「はい。リチャード様が是非にと。」

 

マリア「タクト、この人は?」

 

タクト「この方は。」

 

リチャード「私が紹介しよう。この方はアリアさん。我がラドクリフ教の信者で、今は訳あって我が家で過ごさせて貰っている。」

 

タクト「俺は攻略作戦前に知り合い済みだ。」

 

シン「へぇ〜。」

 

タクト「オーグ、皆に報告を。」

 

アウグスト「そうだったな。」

 

 

 

 

4人に今回の報告を告げた。

 

 

 

 

マーリン「そうか・・・まあ、ある意味ここからが本当の世界連合の結束力の見せ所かのう。」

 

メリダ「残った魔人は・・・シュトロームは、本当にもう攻めて来ないのかい?」

 

タクト・アリア・リチャード「・・・・・」

 

シン「砦に居た魔人がそう言ってたよ。シュトロームの目的は帝国を滅ぼす事。世界侵攻に関しては前向きじゃなかったって。勿論、シュトローム側に付いてる魔人が全て同じ意志を持っているかは分からないけど・・・」

 

タクト(帝国の魔人達はシュトローム・・・いや、オリベイラを主として忠誠を誓っている反面、別の目的を心に秘めている。言ってみれば、極めて危ない関係にも思える。この先何も起こらない保証なんて、何1つ無い。)

 

アウグスト「確証がある訳ではありませんが・・・しかし、スイード襲撃に始まる騒動にシュトロームは関わっていなかった。それも事実です。」

 

メリダ「それは・・・まあ・・・そうなんだろうけどねえ・・・」

 

シン(・・・?どうも婆ちゃんの歯切れが悪いな・・・)

 

 

 

メリダ『もしかしたら、帝国を滅ぼしたい程強く何かを恨んだ事が・・・』

 

 

 

あの時の言葉を思い出し、メリダに問うてみる。

 

シン「婆ちゃんが気になっているのはひょっとして・・・過去の魔人とシュトロームに・・・何か共通する事実があるって事?」

 

その言葉に4人が黙り込んだ。だが。

 

マーリン「・・・もう話しても良いのかも知れんの・・・」

 

リチャード「何時までも隠すのは疲れるだろうな・・・」

 

レイチェル「そろそろ打ち明ける事にしませんか・・・?」

 

メリダ「そうだね・・・そろそろこの子達にも知っておいた方が良いのかも知れないね。」

 

シン「・・・聞かせてくれる?過去に爺ちゃん達が討伐した・・・魔人の事。」

 

マーリン「・・・うむ・・・」

 

マリア「ホ、ホントに聞かせて頂けるんですか!?4人の伝説の英雄譚!!」

 

アリス「やったぁ!!」

 

ユーリ「本でしか知らなかった物語を直接聞けるなんて感激〜〜〜〜!!!」

 

急に女子達が興奮し始めた。

 

メリダ「お、落ち着きな!あんな小っ恥ずかしい話なんざする訳ないだろう!!話すのは過去の魔人の事だけだよ!」

 

アリス「・・・・」

 

ユーリ「そ・・・そうなんですかぁ・・・」

 

レイチェル「今回は我慢して下さいね。」

 

メリダ「私等が倒した魔人はねぇ・・・物語にある通り、人も街も・・・見境なく破壊して暴れ回った。恐らく、周りの全てを憎んで・・・滅ぼす事が目的だったんだろう。」

 

シン(全てを・・・)

 

リチャード「シュトロームもどうやら、尋常じゃない『憎しみ』を帝国に対して抱いてたみたいだな。その結果・・・帝国は貴族から一般市民に至るまで皆虐殺されてしまった。」

 

メリダ「そんな事を仕出かしたシュトロームが・・・帝国に向けたその憎しみを、今度は世界に向ける可能性が無いと言い切れるのかい?」

 

タクト「・・・・」

 

シン「憎しみに溢れる魔人・・・かぁ。」

 

アリス「何て言うか・・・物語で読んだ魔人とは、少し印象が違うような・・・」

 

トール「自分もです。もっとこう・・・魔物や魔獣に近いものを想像していました。」

 

リチャード「物語と実際の話とは少し異なる箇所があるからな。」

 

マーリン「奴は憎しみに心を奪われていた。これは雑多いに倒さなければいけないと・・・心の底からそう思ったもんじゃ・・・」

 

 

 

 

『此奴は真に魔人だ・・・!人類の敵になる存在だ・・・!!』

 

『此奴はここで仕留めなきゃいけない!!』

 

 

 

 

シン(同じだ・・・俺がシュトロームと対した時の危機感と・・・)

 

アウグスト「シュトロームも恐らく同様でしょう。奴の目的は『帝国の支配』ではなく『帝国を滅ぼす』事だった。何があったにせよ、相当に強い恨みや憎しみを持っていた事は想像出来ます。」

 

アリア「・・・・」

 

マーリン「ワシらが過去に()()()()()()()()()()魔人・・・何故あの男が魔人となって国を襲ったのか。語るのも憚れる内容じゃが・・・お主等には話すとしようかの・・・」

 

4人は、皆に過去に討伐した魔人の男を話した。

 

 

 

 

夕方。外に出たアルティメット・マジシャンズが黙り込んでいた。

 

アリス「・・・いや、何てゆーか・・・非道い話だよねぇ!そりゃ魔人になっても無理ないって言うかぁ!?」

 

元気付けようとしたが、誰も無反応。

 

トニー「・・・ま、1つ言えるとしたら、4人が言ってた魔人の切っ掛け・・・『膨大な魔力の持ち主への過度なストレスが原因になる』って言う裏付けは・・・ちゃんと過去にあったって事だよねぇ。」

 

タクト・シン・マリア(過去の魔人・・・)

 

 

 

 

マーリン『シュトロームがどう言う経緯で魔人になったのかは分からん。じゃが・・・今後何も起こらんと言うのは、飽く迄希望的観測に過ぎんと思うぞ。』

 

メリダ『せめて・・・警戒だけは緩めないでおいで欲しいねぇ。』

 

リチャード『彼が今後何を仕掛けて来るか分からない。』

 

レイチェル『皆さん、今後もシュトロームの動きに目を向けて下さい。』

 

 

 

 

アウグスト「連合による帝国領包囲に関しては充分注意を払うよう全軍に通達しておこう。全てを詳細に伝える事は出来んが・・・」

 

シン「・・・あぁ。その方が良いだろうな。」

 

タクト「膨大な魔力・・・エリザベートとメイちゃんとケイティを除くここに居る俺達は、充分膨大と呼べる魔力量を常に秘めているよな。お前等、ストレスを溜めず常に平常心を保てよ。」

 

シン「皆・・・くれぐれもストレスは溜め込むなよ?」

 

全員「・・・・・」

 

シン「・・・ゴメン。冗談。」

 

マリア「冗談に聞こえるかぁっ!!」

 

トール「誰がこんなデカい魔力持たしたと思ってるんですか!!」

 

アリス「ってか自分が一番注意してよねシン君!!!」

 

マリアに蹴られ、トールに叱られ、アリスにビンタされた。

 

アウグスト「タクトに比べて、お前は案外キレやすいからな。クロードの事となると特に。今まで何度それで問題になり掛けたか・・・」

 

シシリー「・・・い・・・嫌ですよ・・・私・・・シ・・・シン君が・・・ま・・・」

 

シン「だ、だ、大丈夫だってシシリー!!俺も皆も絶対そんな事になったりしないから・・・!!」

 

マリア「泣〜かした泣〜かした!」

 

ケイティ「泣かしちゃいましたね若旦那〜!」

 

シン「黙れ!!」

 

タクト「シンは兎も角、世間にはシシリーと結婚する事を妬む輩が居るかも知れないな。」

 

マリア「まぁそうよねぇ。」

 

アリス「昔からモテそうだもんねぇシシリー。」

 

マリア「モテるなんてもんじゃないわよ。中等学院の時なんて学院中の男共が狙ってたわよ。」

 

シン「そ・・・そんなの・・・!?」

 

マリア「そうよ。告白だって一体何度されてた事か!」

 

シシリー「もうマリア!何でそんな事まで言っちゃうの!?」

 

シン(俺が知らない事のシシリー・・・か・・・な・・・何か少し複雑な気分になるな・・・)

 

シシリー「・・・あ、あの!勿論誰とも付き合ってませんよ!?わ、私にとっては何もかもシン君が初めてですから!!」

 

少々落ち込んでるシンに、シシリーが元気付ける。

 

シン「わ・・・分かってるよシシリー。変な心配なんかしてないよ。寧ろ、そんなにモテモテだった女の子を彼女に出来て凄え優越感を感じてる。」

 

シシリー「え?あぅ・・・そ・・・そうですか・・・シン君は中等学院に行ってなくて良かったです。」

 

シン「え?何で?」

 

シシリー「だって・・・そしたら私なんかより、もっとモテたはずです・・・きっと・・・色んな女の子に言い寄られて・・・わ・・・私なんか・・・気にも止められずに・・・」

 

シン「そんなにモテはしないだろ?」

 

シシリー「モテますよ!!だってこんなに格好良いのに!!」

 

シン「てい!」

 

シシリー「わぷっ!?」

 

急にシンに抱き締められた。

 

シン「恥ずかしいから、そう言う事言うな。」

 

シシリー「う〜〜〜・・・格好良いのに・・・」

 

シン「まーだ言うなら、もっとお仕置きを・・・」

 

2人のイチャイチャを皆がずっと見ている。

 

アウグスト「続けるなら気にせずやれ。この空気に耐えられるならの話だが。」

 

マリア「・・・ったくもう、真面目な話してたかと思ったら、結局何時ものコレよ。」

 

ナージャ「・・・・・」

 

オリビア「ナージャさん?」

 

ナージャ「・・・・・」

 

あの時の災害級を見て頭痛をした事をまだ抱えている。

 

ナージャ「・・・皆。」

 

全員「?」

 

ナージャ「私、魔人領へ行く途中に災害級を見て頭痛がしたって話してたわよね?」

 

アウグスト「あぁ。」

 

ナージャ「私・・・あの災害級達の事を知っているのかも知れない・・・」

 

シン「え!?」

 

ナージャ「でも私の憶測だけどね・・・でももしあの時と同じ災害級が出たら、きっと何か思い出すかも知れない・・・」

 

リオ「それ、また災害級が出てくれないかって思ってるの?」

 

ナージャ「違うわよ・・・そう言う意味じゃないのよ・・・」

 

アウグスト「ナージャ、お前は過去の記憶を失っていると言ってたな?」

 

ナージャ「えぇ・・・」

 

アウグスト「記憶を取り戻して、自分の過去を知りたいのが本望か?」

 

ナージャ「うん・・・だから、私の記憶を取り戻す為に力を貸してくれる?」

 

マリア「当たり前でしょ?」

 

アリス「そうだよ!ナージャは私達の仲間なんだから!」

 

ユーリ「魔道具の威力の増幅も助かるわぁ。」

 

タクト「ナージャ、お前の記憶を取り戻したいのは俺達も同じだ。」

 

デイジー「その為なら私達も全力で協力するわよ。」

 

シシリー「ナージャさん、頑張りましょうね!」

 

ジェレミー「お前に縋る不埒な輩共は俺達が喰ってやるからよ。」

 

グレア「だから元気出して!仲間である私達を信じて!」

 

ナージャ「・・・うん、ありがとう。」

 

アウグスト「まあどの道、シュトローム自身の意志や過去など本人か、余程奴に親しい者に直接訊かねば分かるはずもない。」

 

タクト(皆にシュトロームの過去を話すのは、遠くなりそうだ。)

 

アウグスト「やれる事は、各自何か起きた時に即時対応出来るよう気構えておく位だな。今日はこれで解散しよう。明日は久々の学院だ。遅刻するなよ。」

 

全員「はーーい!」

 

アウグスト「あぁ、シン、クロード、さっきの続けても良いぞ。」

 

シン「おい!」

 

 

 

 

 

 

翌日・高等魔法学院Sクラス。

 

アルフレッド「取り敢えずは皆ご苦労だったな。まだ作戦自体は継続中だが、自分達の任務を良く熟したとと思うぞ。名ばかりの担任だが、お前達を生徒に持てて誇りに思うぞ。」

 

シン「名ばかりだなんて・・・そんな事ないって先生。先生の助言が、皆実戦でも活かされたみたいだしさ。」

 

アルフレッド「しかし・・・お前達を受け持ってもう半年以上になるのか。」

 

マリア「もうすぐ冬・・・年末まであっと言う間ね。」

 

アウグスト「!」

 

そんな中アウグストが何かを思い出した。

 

アウグスト「そう言えば・・・そろそろじゃなかったか?」

 

シン「何が?」

 

アウグスト「お前(シン)の誕生日だ。」

 

シン「・・・!ああ・・・言われてみりゃそうか。魔人領攻略作戦の事で頭いっぱいになってて忘れてたよ。他の皆は?もう誕生日終わったの?(そう言えば俺、皆の事どころか、シシリーの誕生日すら・・・どうしよ、もう過ぎちゃってたら・・・)」

 

シシリー「私も年末です。マリアとも誕生日がすぐ近くなんですよ。」

 

シン(ホッ・・・良かった。まだこれからで・・・)

 

タクト「他の皆の誕生日は?」

 

アリス「私は終わったよ!春先に!」

 

リン「私も春生まれ。」

 

シン「お前等歳上だったのかよ!?」

 

タクト「先輩!?」

 

トール「自分達ももう終わってますね。」

 

トニー「僕は年明けだよ。」

 

ユーリ「私もぉ。」

 

オリビア「私も年明けですね。マークはウォルフォード君達と同じ年末です。」

 

マーク「そうッス!」

 

シン「もう過ぎちゃってる人も多いんだな。誕生日とか全然祝ってなかったけど・・・良かったのか?」

 

アウグスト「それは仕方ないな。魔人騒動や戦争のせいで派手な祝い事や催しは基本皆自粛していたからな。」

 

シシリー「タクト君のお誕生日は何日なんですか?」

 

タクト「俺?俺も年末だ。24日。シンの誕生日は?」

 

シン「えっと・・・一応年末の20日だよ。」

 

シシリー「え!?20日!?」

 

マリア「それシシリーと同じ誕生日よ!!」

 

シン「えぇ!?マジで!?」

 

マリア「凄い偶然ね・・・」

 

シン「・・・ただまあ・・・俺のは本当の誕生日じゃなくて、爺ちゃんに拾われたのがその日だったってだけだけどね・・・」

 

シシリー「あ・・・」

 

マリア「そっか・・・」

 

タクト「そう言えばそうだった・・・」

 

シシリー「で、でも!その日にお爺様に命を救われるだなんてやっぱり凄いです!!運命です!!」

 

シン「・・・!シシリー・・・」

 

アウグスト「・・・これは決まりだな。」

 

マリア「どうしたんですか殿下?」

 

タクト「今年のシンの誕生日会は、シン、タクト、クロード、メッシーナの4人合同で大々的に行おうではないか!!」

 

マリア「4人合同!!たのしそう!!殿下!それ良いです!!」

 

シシリー「是非やりましょう!!」

 

タクト「これは楽しくなりそうだ!!」

 

シン「え!?いや・・・だから皆自粛してんじゃないのかよ!?婚約披露パーティーと言い、何で俺の時だけ盛大にやるんだ!?」

 

アウグスト「お前とタクトは一般人と違い、魔人討伐の英雄だろう?お前の吉事を盛大に祝うのは、世界の不安を払拭する事にも繋がるんだ。」

 

シン「・・・はあ・・・そーゆーモンか・・・」

 

タクト「確かに。そうした方が最適かもな。」

 

アウグスト「と言う訳で、シンの婚約披露以来久々のパーティーだ!!派手にやるぞ!!」

 

全員「おおー!!」

 

タクト「ん?待てよ?そう言やマークも同じ年末だって言ってなかったか?どうせなら一緒にやろうぜ?」

 

マーク「ギクゥッ!?いや!!いいッス!!自分は身内だけでこぢんまりとやるんで気にしないで下さい!!」

 

タクト「ん?そう言うモンなのか?」

 

合同パーティーの参加を拒否するマークに、トニーが。

 

トニー「成る程!やっぱりマークは、誕生日イベントの期間中くらい彼女(オリビア)と2人きりでイチャイチャしたいと。分かる分かる!」

 

マーク・オリビア「!?」

 

シン「あー、そーゆー事かぁ。」

 

マリア「やらしいわねぇマーク。」

 

マーク「いやっ!違っ!!そ、そ、そうじゃなくて!!」

 

オリビア「マークのばかぁ・・・」

 

あたふたするマークと、顔を赤くして恥ずかしがるオリビア。

 

マーク「ウォルフォード君達と合同の主催だと!その・・・とんでもない人達が絶対来るじゃないッスか!!そんな緊張感、正直とても耐え切れないッスよ!!前だて剣聖様とか陛下とか・・・いや、下手したらもっと凄い人が来ても可笑しくないッス!!」

 

シン「あはは!ないない!誰だよ国王より上って・・・」

 

タクト(猊下じゃね?)

 

アウグスト「兎も角!それに向けて準備を進めよう!」

 

シン「何で何時になくやる気出してんだよオーグ・・・」

 

タクト「こりゃあ、賑やかになりそうだな。」

 

4人の合同パーティーの準備が今、始まる。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

リオ:土岐隼一
デイジー:寿美菜子
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子
グレア:高橋李依
ジェレミー=ダンクルク:前野智昭
ローランド:山本和臣
ジュリアン=フィッツバード:小松未可子
ジネヴラ:小宮有紗

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高橋雅羅
アザレア=ウォルフォード:新谷良子
リチャード=ラドクリフ:堀内賢雄
レイチェル=ラドクリフ:白鳥由里
ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭
エリザベート=フォン=コーラル:南雲希美
メイ=フォン=アールスハイド:雛乃木まや

ニルス=ラドクリフ:寺島拓篤
モニカ=ラドクリフ:佐藤聡美
マナミア=ラドクリフ:前川涼子

エスタ:島袋美由利

国民:難波佑香
   八木侑紀
   市川蒼
   松田修平

アリア=フォン=ストラディウス:坂本真綾





次回予告

年末に開催されるタクト達の合同パーティーの準備の為、トールの故郷・フレーゲルの街へ向かった。だがそこで、色々なハプニングが迫り来る。

次回ウルトラマンティガ

フレーゲルショッピング

お楽しみに


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第31話「フレーゲルショッピング」

フレーゲルショッピング
ベルゼ=クラスティール 登場



その日の夜。

 

エリザベート「皆さんでお買い物に行かれるんですの?シンさん達のお誕生日会の準備で?」

 

アウグスト「・・・その予定なんだが、1つ問題があってな・・・私はシンやタクトは兎も角、他のメンバーも王都での知名度が上がり過ぎて・・・恐らく買い物自体が困難になりそうなんだ。」

 

エリザベート「絶対に騒ぎになりますわね。マントの魔法で透明になったらお買い物も出来ないし・・・あ!」

 

そこで彼女に妙案が浮かんだ。

 

エリザベート「一層、遠くの街へ行ってお買い物してはどうですの?私としては、トールさんの領地であるフレーゲルの街などオススメですわ!」

 

アウグスト「成る程、フレーゲルの街か。それならゲートでの移動も可能だ。王都程我々の顔も知られていないだろうしな。」

 

エリザベート「それに何より!フレーゲルの街と言えば、有名なブランドの工房が軒を連ねる有数の職人街!!贈り物を選ぶのにこんな相応しい街はありませんわ!」

 

アウグスト「・・・確かにそうだな。よし。明日にでもトールに話してみよう。」

 

エリザベート「楽しみにしてますわ♡」

 

アウグスト「・・・やはりお前達も来るのか・・・」

 

呆れながら紅茶を飲んでると。

 

エリザベート「それにしてもアウグスト様・・・やっぱりシンさんの事となると熱心になるのですわね。」

 

アウグスト「ぶうっ!?」

 

口に含んでいた紅茶を吹き出した。

 

アウグスト「・・・オイエリー、その疑いは確か、お前の()()だったはずだよな?」

 

エリザベート「勿論冗談ですわ。うふふ。」

 

アウグスト「・・・・」

 

エリザベート「アウグスト様。ご無理をしておられませんか?」

 

アウグスト「?」

 

エリザベート「詳しくは存じ上げませんけど・・・魔人領での作戦途中の事・・・気にされていらっしゃるのでは・・・?わざわざシンさん達の合同のお誕生日会を率先して進めるなんて・・・普段のアウグスト様らしくないように思えて・・・少し・・・心配で・・・」

 

アウグスト(・・・そうか・・・だから私は・・・)

 

エリザベート「何かお力になれる事は御座いませんか・・・?私で良ければ何なりと・・・」

 

アウグスト「・・・・・」

 

エリザベート「行動する事で何かを振り払いたかったのか・・・失敗を不問とされ、納得の行かない気持ちを別の何かで覆いたかったのか・・・」

 

アウグスト「お前は良く見ているのだな・・・私以上に・・・良く私の事を理解している。」

 

エリザベート「・・・アウグスト様・・・?」

 

アウグスト「・・・エリー。」

 

エリザベート「はい?」

 

するとアウグストは、エリザベートの額に優しくキスをした。

 

アウグスト「ありがとう。」

 

自分を心配してくれるエリザベートに感謝した。エリザベートはキスされた事で顔を真っ赤に染めた。

 

エリザベート「ア、ア、アウグスト様!こ、今晩は・・・その・・・私・・・」

 

アウグスト「ふわぁ・・・さあ、もう屋敷に戻れエリー。明日も早いぞ。」

 

エリザベート「そ、そんなぁ〜〜〜〜・・・・」

 

 

 

 

 

 

そして数日後。アウグスト達の薦めでトールの故郷のフレーゲルの街を訪れたタクト達は、それぞれの買い物を済ませる為に何組かに分かれて街を散策していた。

 

 

 

この街では、多くの洋服店やアクセサリー店や骨董品店が数多くある。

 

シン「いやー、初めて来たけど流石生産の盛んな街だなぁ。木工、金物、装飾品に衣服に雑貨。何でも揃ってるじゃん。」

 

タクト「買い物するのに何時間も費やしちゃうな。」

 

アウグスト「しかも、それらの有名ブランドがほぼ全て軒を連ねているからな。」

 

リオ「女子の買い物が終わりそうにないようだね。」

 

デイジー「でも私、女の子系とかあんまり・・・」

 

タクト「男勝りだなぁ、相変わらず。」

 

今ここに居るのは、タクト・リオ・デイジー組、シン・メイ組、アウグスト・エリザベート組。そして

 

シン(・・・更にこう言う時に限って・・・よりによって女子側の戦力追加されてんだよなぁ・・・)

 

後ろには・・・

 

 

 

 

 

 

初対面の女性達3人が追加されていた。

 

 

 

 

 

 

しかも、トール、ユリウス、トニーと一緒に。

 

カレン「トールちゃん。今日は一緒に回りましょうね。案内してくれる?」

 

彼女の名はカレン=フォン=クレイン。クレイン男爵家の令嬢で、トールの婚約者。

 

トール「カ・・・カレン姐さん・・・皆の前ですから、ちゃん付けはちょっと・・・と言うかその前に・・・頭上の()()を・・・どうにか・・・」

 

彼の頭上にはカレンの豊富な胸が乗っけられている。カレンはトールより身長が高く、こうして見ると姉弟みたいだ。

 

カレン「気にしないで。収まりが良いんだもの。」

 

シン「いやぁ、トールも男だったんだな。」

 

デイジー「胸がトールの頭上に・・・どう言う状況よ・・・?」

 

アウグスト「あの光景は幼少時から全く変わらん。・・・まあ仲が良い証拠だが。」

 

タクト「ああやって見ると、婚約者と言うか姉弟みたいだな。」

 

カレン「ウォルフォード君、クリスティ君。あなた達にはずっとお礼が言いたかったの。トールちゃんにこんなにも気の許せるお友達が出来たのも。トールちゃんが国の英雄とまで言われるようになったのも。全てあなた達に出会えたお陰だから・・・」

 

シン「友人が出来たのは兎も角・・・実力はトールが自分で努力して手に入れたものですよ。」

 

タクト「そうそう。トールはそうやって俺達と共に戦って英雄と称えられるようになったんだ。」

 

サラ「いえ・・・カレン様の言う通りで御座います。私もウォルフォード殿とクリスティ殿には感謝してもし足りませぬ。我が主君となられるユリウス様がここまで有名を世に轟かせる事が出来たのは全て貴方達のお陰。敬服の至りで御座います。」

 

彼女の名はサラ=フォン=キャンベル。キャンベル伯爵家の令嬢で、ユリウスの婚約者。喋り方がユリウスと同じ武士の喋り方。

 

シン(ぶ・・・武士の奥方・・・!?と言うか・・・何か・・・武士に憧れてる外国人感がハンパねぇ・・・!)

 

タクト(2人に和服着せたら違和感なさそうだ・・・)

 

シン「いやは・・・俺としてはユリウスを導く方向を間違えた気がしてならないんだけど・・・」

 

タクト「何か、申し訳がない気がするんだが・・・」

 

サラ「・・・そ、それはその・・・願わくば、騎士として大成して欲しかった所では御座いますが・・・しかし、それは私の我儘と言うもの・・・結果的に英雄と称えられるまでに至った事を思えば・・・その手段や道程など、些末な事で御座います。」

 

タクト「お、おいおい。頭を上げてくれ。」

 

シン(良かった・・・武士口調でマッチョな魔法使いなんて・・・婚約者として怒ってらどうしようかと思ったよ。)

 

ユリウス「これ・・・サラ。あまりシン殿とタクト殿を困らせるでないぞ。」

 

サラ「面目次第も御座いませぬ。ユリウス様。」

 

シン(・・・やっぱり武将の夫婦っぽい・・・)

 

???「あ、あの!な、何で私はここに居るんでしょうか!?」

 

トニー「だって、他の皆は彼女連れて来るって言うし、君だけ除け者は可哀想だろ?リリア。」

 

リリア「トニー君!?私、今日はお買い物に行くとしか聞いてないんだけど!?」

 

彼女の名はリリア=ジャクソン。高等経法学院生で、トニーの恋人。

 

リリア「こ、こ・・・こんな人達と一緒なんて・・・き・・・聞いてないんだけど!?」

 

アウグスト「こんな人で悪かったな。」

 

頭に巻いてる布を少しズラした。

 

リリア「ぎょっ!?ヒッ!!ヒィィ!!で!殿下ぁ!?変装してる!?」

 

アウグストの前ですぐ土下座した。

 

リリア「ちち違いますぅ!!い、今のはこんな『凄い』人達と言う意味ですぅ!!御勘弁をォ!!」

 

タクト(な、何か可哀想・・・)

 

トニー「殿下。彼女は正真正銘の一般人なんですから、程々にしてあげて下さい。」

 

アウグスト「む?そうか。ここの所この面子だと身分の差をあまり感じなくてな。」

 

エリザベート「アウグスト様は怒っていませんですわよ?」

 

メイ「気にしなくて良いです!」

 

リリア「ひぇぇぇぇ!!エ、エリザベート様にメイ姫様ぁぁ!?」

 

シン(久々だなぁ、こう言う反応・・・)

 

タクト「おいトニー。リリアって子は前から付き合っていた女の子の中の1人なのか?」

 

トニー「いや、違うよ。リリアとは最近付き合い始めたんだよ。前に殿下から女関係を何とかしろって言われてたから真剣に考えてねぇ・・・それまで付き合ってた子全員と別れて、思い切ってずっと振られていた彼女にもう1回お付き合いをお願いしたんだよ。」

 

タクト「トニー、お前振られてた経験あるんだな。」

 

トニー「真面目な彼女はチャラチャラしてた僕が受け入られなかったんだろうねぇ。」

 

 

 

 

数日前。

 

トニー『今はアルティメット・マジシャンズの一員になって特別勲章も授与された。この先、一生女の子は君だけにするって約束する。』

 

 

 

 

現在。

 

トニー「・・・って言ったらようやく納得してくれてねぇ。」

 

リオ「ほぇ〜。」

 

シン(ん?何か・・・彼女って何処となく・・・)

 

リリア「ん?ひぃぇぇぇ!?あなた様は!!まま魔王様・・・いえ!世界の英雄・・・神の御使い様ぁぁ!?」

 

シン「俺にまでそう言う反応すんのかよ!!」

 

リリア「そそ!そしてあなた様は!!タクト=クリスティ・・・ティガ様!?」

 

タクト「今更気付いたのかよ・・・」

 

シン「あの・・・リリア・・・さん?俺達は君と同じ平民なんだから。そんなに畏まらなくても・・・」

 

タクト「そうそう。リラックスリラックス。」

 

リリア「お、同じなんてそんなご謙遜を!!私のような小物と世を牽引する英雄様の何処に共通点がありましょうか!!」

 

タクト「何か凄く極端過ぎるぞこの子・・・」

 

トニー「って言うか真面目なんだよ。僕と真逆。」

 

タクト「まさに優等生キャラだな。ん?リリア、君の髪型とそのスタイル・・・もしや、メリダ様に憧れを抱いてる?」

 

リリア「はぅ!!!」

 

シン「え?ウチの婆ちゃんに?」

 

エリザベート「経法学院の女子生徒には多いみたいですわね。導師様に憧れてスタイルを真似する女の子。」

 

タクト(現代の女子高生か。)

 

リリア「は・・・はひ・・・こ・・・心の底から尊敬しております・・・」

 

シン(やっぱりなぁ。クルトの街で一度見たあの絵の婆ちゃんにそっくりだったから。)

 

アウグスト「さぁ!何時までも話していては買い物前に日が暮れるぞ。我々も解散しよう。」

 

 

 

 

それぞれが解散し、ショッピングを楽しむ。

 

 

 

 

シン(シシリーやアリス達やナージャ達は内緒でプレゼント買うって早々に解散しちゃったし・・・マークやオーグ達の邪魔するのも悪いし、たまには1人でブラブラしますかね。)

 

1人で街中を歩く事にした。

 

シン(折角のシシリーの誕生日なのに、何処でも手に入るものあげるのもな・・・出来たらまだ世に出回っていない物を自作してプレゼントしたいなぁ・・・製作自体はまたビーン工房の親父さんに任せる事になるだろうし・・・どうせなら後々工房の利益にもなるものを・・・ん?魔道具屋?)

 

 

 

 

1軒の魔道具屋に入店した。

 

シン(給水の魔道具に・・・焜炉の魔道具・・・給湯の魔道具・・・どれもこれも過去に婆ちゃんが発明した物ばかり・・・人々の生活向上の為に今まで本当に尽力して来たんだな・・・俺と違って現代知識もなしにここまでの物を作り上げて普及させられるなんて・・・やっぱり凄ぇなあ。婆ちゃんは・・・)

 

改めてメリダに尊敬した。

 

シン「ん?」

 

ここで、ある魔道具に目を付けた。

 

シン(()()・・・何処の家にも1個はあるけど・・・改良・・・と言うか、発展型の物はこの世界じゃ見た事ないな・・・ん〜・・・っ!!!)

 

彼が思い付いたのは・・・

 

 

 

 

 

 

一方タクト・リオ・デイジー組は。

 

タクト「さてと。これで準備万端だな。」

 

リオ「後はお前達の合同パーティーが楽しみだね。」

 

デイジー「ナージャ達は今何処に居るんだろう?」

 

リオ「皆は何処かでタクトへのプレゼントを買い占めてる最中かもね。」

 

タクト「俺へのプレゼント、何だろうな?」

 

デイジー「それは当日のお楽しみって事ね。」

 

???「あれ?タクト。」

 

タクト「ん?」

 

そこに、他国の観光へ旅立ったジュリアンとジネヴラと再会した。

 

タクト「ジュリアン!」

 

ジネヴラ「久し振りね。」

 

タクト「観光は満喫したか?」

 

ジュリアン「うん。今からアールスハイドへ帰るつもりだよ。」

 

ジネヴラ「ここで何をしているの?」

 

リオ「実はね、かくかくしかじかよっこらほい。」

 

ジュリアン「タクトの誕生日会!?それは凄いね!僕も祝いたいな!」

 

デイジー「じゃあ今度の合同パーティーに招待してあげるよ。」

 

ジネヴラ「嬉しいわね!是非祝わせてね?」

 

タクト「そうだ!この後他の店を回るけど、一緒に行くか?」

 

ジュリアン「うん!」

 

タクト(あ!そうだ!アリアさんへのお土産でも買おうかな?)

 

 

 

 

 

 

一方、シシリー・マリア組は。

 

マリア「あ!!あれ、新作のバッグじゃない!?行ってみよ!」

 

シシリー「ちょ、ちょっとマリア!自分の買い物に来たんじゃないんだよ?」

 

マリア「わ・・・分かってるけど・・・でもあれ王都未発表の新作・・・うぅ・・・」

 

シシリー「・・・しょうがないなぁ。行くならプレゼントを選び終わってからだよ?」

 

マリア「やったぁ!!流石親友!!話分かるぅ!あ、そう言えばシンとタクトのプレゼントはどうするの?」

 

シシリー「えと・・・タクト君のプレゼントは決まったよ。それとシン君のプレゼントは、実はもう決めてあって・・・」

 

耳元でシンのプレゼントを言った。

 

マリア「・・・成る程ねぇ・・・そう言うのって恋人ならではだなぁ。」

 

???「あれれ?おーいお2人さーん!」

 

シシリー「ケイティさん!ナージャさん!ローランドさん!」

 

ナージャ・ケイティ・ローランド組と合流した。

 

ローランド「マリアさん、シンさんへのプレゼントはお決まりですか?」

 

マリア「まだ迷走中なのよ〜〜〜。そっちは決まったの?」

 

ナージャ「えぇ。良いプレゼントが手に入ったの。」

 

シシリー「どんなプレゼントなんですか?」

 

ケイティ「それはヒ・ミ・ツ。2人のプレゼントも秘密だよ。」

 

シシリー「そうでしたね。」

 

ケイティ「あ〜あ、ジェレミーも来れば良かったのにぃ。」

 

ナージャ「仕方ないわよ。また魔物の肉を求めに行ったんだから。」

 

マリア「ジェレミーってどんだけ食べれば懲りるの・・・?あ〜〜〜私どうしよう!迷うな〜〜〜・・・」

 

ケイティ「だったらローランドはどう?モフモフしてて気持ち良いよ?」

 

ローランド「ぼ、僕ですか!?ってか僕プレゼントじゃないですよ!!」

 

マリア「・・・本当にモフモフねぇ。」

 

シシリー「気持ち良いですぅ〜。」

 

ローランド「ちょ、お2人共・・・!?く・・・くすぐったいです・・・」

 

マリア「でも本当迷うなぁ・・・」

 

シシリー「私は決まってるからゆっくり付き合うよ。」

 

マリア「え!?私のももう決めてあるの!?」

 

シシリー「・・・あ、えー・・・と・・・」

 

目を逸らしてギクシャク歩く。

 

マリア「ん?・・・シシリー?ひょっとして・・・私の事忘れてた?」

 

シシリー「ご・・・ごめ〜〜〜〜ん!!!」

 

ケイティ「うんうん。仲睦まじいですな〜。マークとオリビアぐらいに。」

 

ローランド「ですね。」

 

5人が街中を歩いていると。

 

男A「・・・オイオイ・・・」

 

男B「あれは・・・」

 

2人組の男が寄って来た。

 

男A「ねぇ君達。見ない顔だけど、他の街から来たのかな?」

 

男B「もし良かったら、俺達が街を案内しょうか?」

 

ナージャ「え?」

 

ケイティ「ほえ?」

 

5人に迫る男達の正体は・・・

 

男A「良かったら俺達が街を案内しようか?」

 

ただの2人組のナンパだった。シシリー、ナージャ、ケイティは表情を変えず、マリアは睨み、ローランドは密かに牙を出してる。

 

男A「あれェッ!?何その顔。傷付くなぁ。別に変な下心なんて無いって!」

 

男B「買い物でしょ?だったら地元民の俺等に任せときなよ。」

 

ケイティ「本当!?じゃあ、あなた達の()()()()()()()()()教えてよ!!」

 

男A「店の名前・・・?えっと・・・何だっけ・・・?」

 

男B「と、兎に角良い店だよ!」

 

ナージャ(シシリー、マリア、ローランド、この2人領民じゃないわ。)

 

マリア(知ってるわ。ケイティナイス。)

 

ローランド(ナンパ目的らしいですね。)

 

ケイティ「ねぇねぇ教えてよ〜?店の名前〜。」

 

得意の煽りで2人に詰め寄る。

 

男A「え・・・えっと・・・」

 

???「オイテメェ等。何してんだ?」

 

男A「ああ!?」

 

そこに3人組の男が乱入した。

 

男C「どう見てもその子等嫌がってんだろ!とっとと消えろ!」

 

男A「んだコラっ!!」

 

助けに来たと思いきや。

 

男C「って事でさ!エスコートは俺達に任せて!行こっか!」

 

この男達もナンパ野郎共だった。マリアの不機嫌が上昇して行く。

 

男A「お呼びじゃねんだよこの猿共が!!俺等が先に声掛けたんだぞコラァ!!」

 

男C「あぁ!?」

 

男達同士の喧嘩が勃発したその横で。

 

男D「うおっ!すげー美少女発見〜〜〜!ねぇねぇ今ヒマ?ヒマ?ねえったら。」

 

男A「よぉ〜〜し!!じゃあそれぞれのグループが1人ずつ案内するってのはどうだ!!」

 

男D「良いじゃねぇか!だったら早速どの子にすんのか指名と行こうぜ!せ〜〜〜の!!」

 

満場一致でシシリー。

 

ナージャ「当然ね。」

 

ケイティ「あらら。」

 

2人は呆れたが、マリアの怒りが上昇中。

 

男A「何だよ全員被ってんじゃねぇか!!」

 

男D「しょうがねーだろ!!()()()()こっちの子の方が可愛いんだからよ!!」

 

男B「巫山戯んな!!()()()だろ!そっちの子達がよ!!」

 

男C「じゃあテメェ等が()()()()()よ!!!」

 

そして遂に・・・

 

 

 

 

 

 

”ゴン”

 

 

 

 

 

 

怒りが爆発したマリアが魔力を溢れ出した。

 

ナージャ「マリア!?」

 

ケイティ「ちょっと落ち着いて!!」

 

シシリー「!!」

 

 

 

 

シン『くれぐれもストレスは・・・』

 

 

 

 

男A「ひいいっ!!??」

 

恐ろしいマリアを見た男達が怖気付いた。

 

マリア「お〜ま〜え〜ら〜・・・こんの・・・!!」

 

シシリー「あの!私、婚約者が居るんです。だからごめんなさい。一緒には行けないです。」

 

怒るマリアを落ち着かせた。

 

マリア「・・・」

 

シシリー「マリア。街中での魔法攻撃は禁止だよ?」

 

ケイティ「そうそう!ここは冷静にね?行こ!」

 

マリア「え、あ、うん。」

 

ナージャ「ローランド、行くわよ。」

 

ローランド「ワン!」

 

彼女達は男達を他所に何処かへ去って行った。

 

シシリー「此間シン君に言われたでしょ?つまらない事でストレス溜めないの。」

 

マリア「そ・・・そうね。折角のお買い物だもんね。」

 

ナージャ「マリア、自分を落ち着かせるのも大切だからね?」

 

ケイティ「そうだよ!」

 

マリア「そうね。ごめんね。」

 

 

 

 

取り残された男達は。

 

男A「・・・ビビった・・・何だ今の・・・?」

 

男B「魔力・・・?魔法って奴か・・・?」

 

男C「死ぬかと思った・・・」

 

男D「・・・て言うか・・・彼氏持ちかよ・・・ん?」

 

今度は道を歩いてる1人の女性に目を付けた。

 

男D「おぉ!?あの娘も可愛いじゃん!」

 

男A「あ!ズルい!!」

 

その女性に駆け込んで行く。

 

男D「ねぇねぇ彼女!一緒に遊ばな〜い?」

 

女性「ん?」

 

 

 

 

 

 

その頃、アリス・リン・ユーリ組は。

 

アリス「ほぇぇ!色んな店があるね!」

 

リン「多過ぎて決め難い!もっと少なくて良い!」

 

ユーリ「それじゃフレーゲルの街に来た意味ないでしょぉ。」

 

アリス「ん?リン。」

 

リン「?」

 

ある店に目が止まった。

 

アリス「・・・」

 

リン「動物(アニマル)パーカー?」

 

ユーリ「ここお洋服の店だよぉ?ここで皆のプレゼント買うのぉ?」

 

アリス「違うよ。」

 

アリス・リン「私達が着る!

 

ユーリ「えぇ!?」

 

ただ2人が着たいだけだった。2人が早速洋服店へ。

 

ユーリ「ねぇプレゼントはぁ〜!?」

 

 

 

 

洋服店内。

 

アリス「ふわぁ!これ可愛い!」

 

リン「これは良いモノ!」

 

ネコパーカーのアリスとイヌパーカーのリンが気に入った。

 

ユーリ「まあ確かに2人には似合ってるけどぉ。じゃあ早く本命を買いに〜〜〜・・・」

 

だが2人に掴まれた。

 

ユーリ「え?」

 

アリス「実はさぁ、さっき表でユーリに似合いそうなの見付けたんだ!着てみてよ!」

 

リン「3人揃えて街を歩く方が自然。」

 

ユーリ「え?えぇ〜〜!?ちょっとぉ!!」

 

アリス「さあさあ!」

 

2人はユーリに似合うパーカーを試着させた。

 

ユーリ「こ・・・これ着てお買い物するのぉ〜〜〜〜!?」

 

そのパーカーとは、ウサギパーカー。サイズが合っておらず、胸がほぼ露出してる。

 

アリス「な・・・何かウサギの着ぐるみと言うより・・・」

 

リン「エロバニー?」

 

ユーリ「もう満足したぁ?」

 

アリス「う、うん!」

 

リン「じゃあそろそろ店を出て次へ。」

 

アリス「まって!・・・」

 

するとアリスは、ユーリのお尻をジッと見始めた。

 

ユーリ「なぁにぃアリス?人のお尻じっと見てぇ〜〜〜・・・早く行こうよぉ・・・」

 

アリス「・・・んにゃ。店に出る必要は無いよ。良いアイデアが浮かんだ。ここで買えるよ・・・!!シシリーへの・・・とっておきのプレゼント・・・!へっへっへっへっへ・・・」

 

何やら不気味な笑みを露わにしたアリスが何らかの計画を練っていた。

 

 

 

 

 

 

一方別の場所では。

 

トニー「あ!やあトールにユリウス!彼女達も。また会っちゃったね。」

 

トール「カップルで回っているから自然と同じような行き先になりますね。」

 

婚約者3人組がバッタリ会った。

 

トニー「作戦でしばらく国を離れててデートも出来なかったから、丁度良い機会になったねぇ。殿下に感謝だよ。」

 

カレン「ホントね。」

 

ユリウス「しかしまあ、そこそこ時間も経ったで御座る。残り時間は我々で共に回ってはどうで御座るか?」

 

トニー「それもそうだね。良いかい?リリア。」

 

リリア「モ・・・モチロン・・・(お・・・王族は居ないけど・・・それでも私とトニー君以外・・・皆貴族・・・緊張・・・)」

 

トール「皆、もう買い物は済みましたか?もし良ければすぐそこにオススメのカフェが・・・」

 

しかしそこに。

 

男「こんにちは〜〜。おチビちゃ〜〜〜ん。」

 

突然1人の男に絡まれた。それも2人の取り巻きも。

 

トール「!?」

 

男「俺等もちょ〜どそのカフェにでも行こうと思ってたんだけどさぁ。寂しい事に男3人しか居ない訳〜。所がよどうよ?丁度そこに可愛い女の子3人が居るじゃな〜い。つー訳でさ。ここらで相手チェンジ!しちゃわな〜い?」

 

トール「と・・・突然何を勝手な!」

 

男「黙りなおチビちゃん。君に意見は聞いてない訳。彼女等もその方が嬉しいだろぉ〜?何つっても俺等年明けからハンターデビューする戦闘のプロだぜぇ?君達もそこらでナンパされてその男共と居ただけなんだろ?じゃなきゃわざわざそんなチビとゴリラとヒョロい男選ばねーモンなぁ!!ひゃっひゃっひゃ!」

 

この男達は彼女達がトール達の恋人と婚約者だって事を知らない。

 

サラ「ユリウス様。許可を頂ければ3秒以内にこの者達の腕を落とす事が可能ですが。」

 

ユリウス「よい。落ち着け。」

 

カレン「何この人達・・・?トールちゃんがこの領地の時期領主だって知らないの!?」

 

トール「・・・多分流れ者のナンパ師なんでしょう。」

 

トニー「そう言えばこの街ってナンパ目的っぽい連中がチョロチョロ居るよねぇ。」

 

トール「買い物目的で国中から人々・・・特に若い女性が集まる街ですからねぇ・・・その女性達をターゲットにした者達もまた彼方此方から群がって来るんでしょう。」

 

リリア(ど・・・どうしたら・・・)

 

冷静なトール達とパニックになるリリア。

 

男「コラァ!!脇で何くっちゃべってんだオイ!!さあ彼女等もぉ!!モタモタしってと攫って連れてっちゃうよォ!!」

 

カレン「きゃあっ!!!」

 

トール「!!!」

 

だがそこである人物がその男の腕を掴んだ。

 

男「あ!?」

 

???「ハァッ!!!」

 

男「グアアッ!!!」

 

その人物は男を背負い投げした。

 

???「親友の婚約者に手を出すな!!」

 

男「こ・・・婚約者・・・だと・・・!?」

 

その人物の正体は・・・

 

 

 

 

 

 

アズマ「この不埒者が!!」

 

 

 

 

 

 

衛士隊のアズマだった。

 

トール「アズマ殿!」

 

アズマ「お前等、待たせたな。」

 

男達「ぐあああああ!!!」

 

取り巻きの2人は、シイナとナナセに取り押さえられていた。

 

ナナセ「逃がさないわよ!!」

 

シイナ「大人しくしなさい!!」

 

ユリウス「シイナ殿にナナセ殿も!」

 

トニー「来てたんだね!」

 

アズマ「ああ。ホラさっさと立て!!」

 

背負い投げした男を立たせて、懐からロープを出して縛った。

 

男「婚約者・・・なのか・・・?」

 

アズマ「ったく。そんな事も知らないのか?これだから不法入国者は。今カオル達も他の不法入国者共を退治しているだろう。」

 

 

 

 

他の場所では、カオル率いるボンボン隊が女性達にナンパしてる不法入国者等を退治している。

 

 

 

 

アズマ「トール、お前の領地は店が多いんだな。」

 

トール「えぇ。」

 

アズマ「特に女性が多い。若い女性を狙って性的行為や淫乱をする為だけにナンパする不法入国者が結構屯っているからな。」

 

男「そんな事はしねぇよ!!ただ一緒にカフェ行きたかっただけだ!!」

 

ナナセ「言い訳は領主様の前でお話しましょうね?」

 

シイナ「正直に話さないとどうなるか分かってるわよね?」

 

”ボキボキ”

 

自分の右手の指を鳴らして脅す。

 

男「ひぃっ!?す・・・すみませんでした・・・」

 

アズマ「シイナ、ナナセ、此奴等の連行を頼む。迅速にな。」

 

シイナ・ナナセ「了解!」

 

2人は男達を連行した。

 

カレン「凄いのねあなた・・・」

 

アズマ「俺達は衛士隊。あなた達を守るのが任務だ。じゃあ俺は徘徊を続けるから、また後でな。」

 

トニー「分かった。」

 

ユリウス「頼むで御座る。」

 

トール「お気を付けて。」

 

アズマは街の徘徊を続ける。

 

 

 

 

 

 

同じ頃、誰も居ない裏路地では。

 

男A「あ・・・ああ・・・」

 

先程シシリー達をナンパしていた男達が、ナンパを受けた女性に殺されていた。今残っているのは1人。

 

女性「ねぇどうしたのよ?私と遊んでくれるんじゃないの?」

 

男A「巫山戯んじゃねぇぞ・・・何でお前が・・・」

 

 

 

 

 

 

「魔人なんだよ!!!!」

 

ベルゼ「フフフ♪」

 

 

 

 

 

 

その女性の正体はベルゼだった。彼女は不気味な笑みを浮かべている。失った左腕は義手になってる。

 

ベルゼ「私をナンパしたんだから遊んでよ〜。ねぇお願い〜。」

 

男A「く・・・来るんじゃねえよ!!」

 

ベルゼ「もぉ〜。つれないなぁ〜。じゃあ代わりに私があなた達を遊んであげる!!!」

 

男A「止めろおおおおおおおおお!!!!!」

 

彼女の振り下ろした剣が男を両断した。

 

ベルゼ「これで終わりなんてつまんないなぁ〜。ん?」

 

男達が持ってる財布に目を付けた。

 

ベルゼ「あなた達の遺留品は私が保管しておくね。私を相手してくれたご褒美よ。」

 

彼女は殺した男達の死体の顔にキスをして、異空間収納で死体を放り込んだ。

 

ベルゼ「じゃあここも用は無いし、そろそろ行こうかな?」

 

フレーゲルの街からベルゼが姿を消した。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑

リオ:土岐隼一
デイジー:寿美菜子
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
ローランド:山本和臣
ジュリアン=フィッツバード:小松未可子
ジネヴラ:小宮有紗

エリザベート=フォン=コーラル:南雲希美

アズマ:榎木淳弥
シイナ:内田彩
ナナセ:白石晴香

カレン=フォン=クレイン:寺崎裕香
サラ=フォン=キャンベル:大橋彩香
リリア=ジャクソン:芹澤優

男:増岡大介
  松田修平
  狩野翔
  駒田航

ベルゼ=クラスティール:澁谷梓希





次回予告

遂に開催された合同パーティー。このパーティーに、世界の重鎮となる人物達も祝福に来てくれた。

次回ウルトラマンティガ

合同パーティー

お楽しみに


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第32話「合同パーティー」

合同パーティー
ベルゼ=クラスティール 登場



フレーゲルの街で徘徊を続けるアズマは。

 

アズマ「ある程度片付いたな。ったく、不法入国が多過ぎるぜここは。ん?」

 

ある店に目が映った。

 

アズマ「そうだ、プレゼントに買わなくちゃな。」

 

 

 

 

その店でプレゼントを買って出た。

 

アズマ「よし、後は渡せば・・・」

 

カオル「アズマ!!」

 

そこにボンボン隊が走って来た。

 

アズマ「カオル!それにお前達どうした!?」

 

タカオ「実は、我々が取り押さえた男達が逃げ出したんです!」

 

アズマ「何!?」

 

”キャアアアアアア!!!”

 

突然、女性の悲鳴が聞こえた。

 

セイラ「悲鳴!?」

 

アズマ「向こうだ!行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

悲鳴がした場所へ行くと。

 

アズマ「っ!!」

 

そこには、3人の男達を取り押さえているトール達の姿があった。トールは男を地面に抑え、ユリウスは男を胸倉を掴んで拳を振り被り、トニーは男の首に剣を向けた。

 

マモル「トールさん達・・・!」

 

 

 

 

トニー「来年からハンター?・・・になるんだっけ?オススメは出来ないねぇ。」

 

ユリウス「この程度の実力では、イノシシの魔物の人突きすら躱す事も出来んで御座る。」

 

トール「自分の命すら守れない者が、人を守る力を身に付けられるとは思えませんしね。渡せませんよ!そんな人間に自分達の大切な人は!」

 

3人の行動にカレン、サラ、リリアが惚れた。

 

男達「す・・・すんませんでしたぁぁぁ!!!!」

 

恐怖で逃げたが。

 

セイラ「ハァッ!!」

 

タカオ「トォア!!」

 

マモル「ヤァッ!!」

 

立ち塞がるセイラ達によって成敗された。

 

セイラ「カオル様、男達を確保しました。」

 

カオル「ありがとう。よくも逃げてくれたね?後でちゃんとお仕置きしてあげるからね?連行して。」

 

タカオ・マモル・セイラ「了解!!」

 

3人は男達を連行した。

 

トール「カオル殿。アズマ殿。」

 

アズマ「お前達、大丈夫だったか?」

 

トニー「うん。いきなり現れたからびっくりしたけどね。」

 

ユリウス「あの程度の男達、問題無いで御座る。」

 

カオル「すまないね。僕達が逃がしてしまった輩共を。」

 

トール「気にしないで下さい。ああ言う連中を取り締まる為にも、街の警備の見直しが必要ですね。」

 

アズマ「強化対策だな。」

 

トール「はい。さあ、気を取り直して・・・」

 

カレン「トールちゃあぁん!!!」

 

トール「うぐぅ!?」

 

突然カレンがトールを抱き締めた。

 

トール「く・・・苦しいですよ・・・カレン姉さん・・・」

 

カレン「私、改めて惚れ直しちゃったわよトールちゃん!!ちんまりして可愛いだけだったトールちゃんがこんな・・・こんな頼もしくなっちゃったてぇ!!」

 

抱き締めた後、トールを持ち上げてブンブン回した。

 

サラ「わ・・・私もユリウス様の勇姿を改めて拝見させて頂き・・・惚・・・い、いえ。更なる尊敬の念を・・・」

 

ユリウス「はっはっはっ!良い良い!」

 

リリア「あ・・・ありがとトニー君・・・す・・・少し見ない内に・・・本当に・・・あんなに強くなっちゃったんだね・・・(うーー・・・惚れたら負け!惚れたら負け!相手はあのトニー君・・・)」

 

トニー「まだまだ研鑽中だけど、君を守れるくらいの力は身に付けたつもりだよ。リリア。」

 

優しい笑顔でリリアの頭を撫でた。

 

リリア(惚れたら負・・・・・・・ま・・・負けても・・・良い・・・かも・・・)

 

今回ばかりは、負けてしまったリリアであった。

 

カオル「皆、熱々だね。」

 

アズマ「良い事だ。」

 

 

 

 

その後も衛士隊は、蔓延る不法入国の男達を次々と取り押さえた。

 

 

 

 

 

 

そして集合時間。

 

シン「オリビアはマークへのプレゼント一緒に選んだのかぁ。何かお付き合い上級者って感じだなぁ。」

 

オリビア「付き合いが長いですから・・・今更秘密にして・・・って言うのも。ねぇ?」

 

マーク「俺はどっちでも構わないけど・・・」

 

シン「所で、オーグ大丈夫か?あれ・・・」

 

ベンチの上で倒れてしまっているアウグストを発見。エリザベートとメイが心配している。

 

マーク「エリーさんとメイ姫様の買い物に延々付き合わされたみたいッスから・・・心中お察しするッス。」

 

シン「あっちの3組は気のせいか、さっきよりイチャイチャ度増してる気がするし・・・」

 

トール達は彼女達とちやほや。

 

シン「後はタクト達とシシリー達とアリス達・・・」

 

タクト「おーい!!」

 

そこにタクト達が合流した。

 

シン「あ!来た・・・あれ?ジュリアン!?ジネヴラ!?」

 

ジュリアン「シンだっけ?久し振りだね。」

 

ジネヴラ「元気そうね。」

 

タクト「買い物途中で再会したんだ。今日アールスハイドへ帰る予定だってよ。」

 

シン「そうだったんだ。」

 

ジュリアン「僕達、タクトから君達の合同パーティーに招待されたんだ。」

 

シン「歓迎するよ!」

 

マリア「おーい!お待たせー!」

 

そこにシシリー達が合流した。

 

シシリー「お待たせしてごめんなさい。」

 

マリア「自分の買い物、しっかり楽しんで来ちゃった!」

 

ケイティ「いやぁ〜楽しかった!」

 

ナージャ「結構満喫したわ〜。」

 

ローランド「フレーゲルの街、また行きたいです。」

 

マリア「あれ!?ジュリアンじゃん!」

 

ジュリアン「皆!また会ったね。」

 

シシリー「お久し振りです!」

 

マリア「それより聞いてよ。昼頃さー。」

 

シシリー(あ!マリア!)

 

昼間起こった出来事を言おうとしたが、シシリーが抑えた。

 

シシリー(声を掛けて来た人達の事ならシン君には言わなくて良いよ。結局何も出来なかったし・・・余計な心配掛けたくないの。)

 

マリア(分かったわよ。シシリーらしいわね。)

 

シン「何かあったの?」

 

シシリー「いえ!とっても楽しくお買い物出来ました!」

 

タクト「シシリー、マリア、ジュリアンとジネヴラも合同パーティーに来るってよ。」

 

シシリー「わぁ!ありがとうございます!」

 

マリア「盛大に祝ってね?」

 

ジュリアン「勿論だよ!」

 

ジネヴラ「祝っちゃうわよ!」

 

ユーリ「わぁ!ゴメ〜〜ン!私等最後だ〜〜〜!」

 

タクト「よう、アリス達も合流出来・・・た!?」

 

この3人、アニマルパーカーのまま買い物したのだ。

 

ユーリ「もぉ!結局最後までこの格好で街を回っちゃったじゃない!流石に恥ずかしかったよぅ!」

 

シン(な・・・何て姿で買い物してるんだユーリ・・・!!端的に言って・・・エロ過ぎだろそりゃ・・・!!)

 

シシリー「・・・シン君?

 

シン「はっ!!!」

 

シシリー「少しユーリさんの事、見詰め過ぎじゃないですか?うふふふふふ。

 

完璧にヤンデレ化したシシリーがシンをジッと見てる。

 

シン(うわぁ・・・シシリーの目が全く笑ってねぇええ!!)

 

シシリー「お屋敷に帰ったら・・・うふふ・・・少しお話があります・・・シン君。

 

彼女から魔力が溢れ出た。

 

リオ「おーいシシリー!!落ち着いてーー!!」

 

マリア「シシリー!!漏れてる!!魔力が!!溜まってる!ストレス!ストレスーッ!!」

 

???「コラ!」

 

シシリー「あうっ!」

 

誰かがシシリーの後ろから軽くチョップしてシシリーを制止した。

 

アズマ「気持ちは分かるが少しは自粛しろ。」

 

シシリー「アズマさん・・・」

 

シン「アズマ・・・助かった・・・」

 

アズマ「シン、お前も少しは弁えろよな?」

 

シン「わ、分かってるって・・・」

 

 

 

 

 

 

街の近くの丘の上にベルゼの姿が。

 

ベルゼ「合同パーティーかぁ。良いね。私も参加したいけど、今はこんな身だし。タクト、ハッピーバースデー。」

 

そう言い残して、完全に街から去った。

 

 

 

 

 

 

そして、合同誕生日会当日。会場は、ウォルフォード邸の奥のホール。

 

マリア「わぁ!結構豪勢ね!」

 

タクト「はぇー!こんなホール初めて見たぜ!」

 

アズマ「広いもんだなぁ。」

 

グレア「凄〜い!これなら自由に飛べるね〜!」

 

タクト「おいグレア。慎め。」

 

衛士隊も来ている。

 

シン「奥のホールなんて入った事なかったよ。何時の間にかこんな準備が進んでたんだね。」

 

マリーカ「ウォルフォード家とラドクリフ家主催のパーティーですから、抜かりはありません。」

 

タクト「え?リチャード達も?」

 

エスタ「はい。実は、マナミア様も年末誕生日なんです。」

 

アズマ「そうか!」

 

タクト「おぉ!これは祝わねばなるまい!」

 

シン「じゃあ5人の合同誕生日会だね。」

 

マリア「じゃあ私達着替えて来るね。」

 

シン「あ!2人共、髪だけセットしないで来てね?」

 

シシリー「?」

 

マリア「は!?何でよ?」

 

シン「まぁまぁ。理由はプレゼント渡す時分かるから。」

 

シシリー・マリア「??」

 

理解出来ないまま着替えに向かった。

 

アズマ「お前、何のプレゼントを用意したんだ?」

 

シン「秘密だ。じゃあマリーカさん、()()()()()()。」

 

マリーカ「畏まりました。」

 

アズマ「?」

 

アイリーン「あらあら。シシリーったら、シン君に何を貰えるのかしら?羨ましいわぁ。」

 

マルティナ「良いわねェ。そちらの娘さんはこんな立派な家に嫁げて。ウチの子達は何時になったら相手を見付けて来るのやら・・・」

 

後ろにシシリーの両親のアイリーンとセシル、マリアの両親のマルティナとアドルフが立っていた。

 

セシル「それを言うならウチだって同じだよ。上にまだ3人残ってる訳だし・・・」

 

アドルフ「浮いた話も聞かんしなぁ・・・」

 

シシリーの兄のロイスは参加してるが、姉のセシリアとシルビアは攻略作戦参加中の為欠席。

 

セシル・アドルフ「はぁ・・・」

 

アズマ「・・・」

 

タクト「アズマどうした?」

 

アズマ「いや、何でも無い。」

 

メリダ「シン、タクト、ちょっと良いかい?」

 

タクト「何?」

 

メリダ「シンの誕生日パーティーをするって教えたら、是非来たいって言う者達が居てねぇ。今から迎えに行って来るから、先に始めててくれるかい?」

 

タクト「あぁ、分かった。」

 

ゲートを開いて、参加したい者達を呼びに行った。

 

シン(誰だろう?わざわざ婆ちゃん達が迎えに行くなんて・・・)

 

 

 

 

しばらくして、多くの招待客がやって来た。中には、マチ達元盗賊団も招待されて来た。

 

 

 

 

リチャード「タクト君、シン君、誕生日おめでとう。」

 

レイチェル「おめでとうございます。」

 

2人にラドクリフ一家がやって来た。

 

タクト「おぉ!ラドクリフ家の皆さん!そしてアリアさん!」

 

アリア「お2人共、お誕生日おめでとうございます。」

 

シン「ありがとう皆。」

 

タクト「マナミア、誕生日おめでとう。」

 

マナミア「ありがとうございます。」

 

ニルス「今日は娘達の合同パーティーだからな。」

 

モニカ「盛大に祝わないといけませんからね。」

 

マナミア「そうだ、お2人に会いたい方が来ています。どうぞ。」

 

彼女の後ろから、ミランダが出て来た。

 

シン「あれ!?ミランダ!?」

 

タクト「久し振りだな!」

 

ミランダ「あ。こんにちは・・・ウォルフォード君、クリスティ君。」

 

タクト「そっか。マリアの招待で来たのか。」

 

シン「攻略作戦での活躍聞いたよ。ジェットブーツや軍用剣も相当使いこなしてるとか・・・」

 

タクト「ドミニク総長から聞いたぞ。災害級討伐に貢献したそうじゃないか。」

 

ミランダ「・・・・まだまだだよ私は・・・魔物相手には多少通用しても・・・魔人には手も足も出なかったし・・・」

 

マナミア「ミランダ、自身を持って下さい。あなたは良い戦果を得たんですから。」

 

ミランダ「マナミア先輩・・・」

 

シン「・・・ミランダが良ければだけど、使ってみる?俺と同じバイブレーションソード。」

 

ミランダ「!?」

 

シン「こんな場所で言う事じゃないけど、君に・・・もしこの先魔人と戦って行く意志があるのなら、新しく一振り用意するよ。」

 

そこにジークフリードとクリスティーナが話に入って来た。

 

クリスティーナ「コホン。・・・まあそれは勿論、今後の剣に依存せず、修行を怠らない事が第一ですけどね。」

 

ミランダ「クリスティーナ様!ジークフリード様!」

 

モニカ「2人共、お元気ですか?」

 

クリスティーナ「相変わらずです。モニカ様。」

 

ジークフリード「実際、今のシンの剣の腕だって、剣聖ミッシェル様との厳しい稽古を経て得たものに違いはねぇからなあ。」

 

シン「無理強いはしないよ。君が魔人と戦わなきゃいけない理由はないしね。どうする?」

 

タクト「決めるのはお前次第だ。」

 

ミランダ「・・・戦うよ!私だって!」

 

シン「よし、じゃあまた近い内に・・・」

 

ミッシェル「誕生日おめでとう!!シン!!」

 

後ろからミッシェルがシンの後頭部を強烈に叩いた。

 

シン「ってぇ・・・ミッシェルさぁん・・・」

 

タクト「ミッシェル・・・」

 

ミッシェル「おぉタクトじゃないか!誕生日おめでとう!」

 

マナミア「ミッシェル様。お久し振りです。」

 

ミッシェル「こ、これはこれはマナミア様!お誕生日おめでとうございます!そしてリチャード様にレイチェル様まで!」

 

リチャード「相変わらずの健勝だな。ミッシェル。」

 

レイチェル「元気が上がってますね。」

 

ミッシェル「恐れ入ります。そうだシン!プレゼント代わりだ!久々に稽古を付けてやろう!

 

シン「や、止めてよ・・・これからパーティーやるのに・・・」

 

ミッシェル「む。そうか。ではパーティーの後でどうだ!」

 

タクト「抜け目ないなぁ剣聖様は。」

 

シン(あ・・・相変わらずだな、この脳筋のオッサン・・・どうにかしてここは・・・)

 

ミランダ「剣聖様・・・」

 

シン「!!」

 

そこでシンが閃いた行動とは。

 

シン「ミ、ミッシェルさん!!彼女、騎士学院の生徒でマナミアの後輩で今回の作戦でも活躍したミランダさん!!ここはどうかな!?将来有望な彼女にも稽古を付けてあげると言うのは!?」

 

ミランダ「え!?良いの!?私なんかが・・・け・・・剣聖様に剣を教えて頂けるなんて・・・」

 

ミッシェル「ほう。君が!作戦での噂は聞いているぞ。よぅし分かった!君の才能が最大限まで伸びるよう、存分に私が鍛え上げてやろうじゃないか!!」

 

ミランダ「本当ですか!?お・・・お願いします!」

 

マナミア「ミランダ、良かったですね。」

 

ミランダ「先輩、ありがとうございます!」

 

クリスティーナ「シン・・・あなら、友人を売るような真似を・・・」

 

ジークフリード「鬼かよ・・・まあ本人喜んでっけど・・・」

 

タクト「完璧に買収じゃねぇか・・・」

 

シン「ひゅ〜〜・・・ひゅ〜〜・・・そ、そうだ!マナミアも、俺と同じバイブレーションソード使ってみない?」

 

マナミア「そうですねぇ・・・使ってみたいです。」

 

シン「本当?じゃあ・・・」

 

マナミア「でも、私にはお祖母様から代々使われている剣を大事に使っています。私はこの剣を死ぬまで手放す訳にはいきませんから。」

 

シン「そっかぁ。その方がレイチェルさんも喜ぶね。」

 

レイチェル「はい。マナミア、あなたの成長を楽しみにしているわ。」

 

マナミア「はい!お祖母様!」

 

リチャード「マナミア、強く逞しく成長するんだぞ。」

 

マナミア「はい!お祖父様!」

 

 

 

 

しばらくして、ドレスに着替えたシシリーとマリアが入場した。周囲から拍手が広がった。

 

シン「本日の主役の入場だな。」

 

タクト「ああ。」

 

ミランダ「良いなぁ。あの2人はドレスが似合って・・・」

 

マナミア「何言ってるんですか。タクトさん、シンさん、行きますよ?」

 

タクト「主役はどうすんだ?」

 

シン「あー!そうだったー!」

 

 

 

 

主役の5人が入場。タクトはマナミアと手を繋ぎ、シンはシシリーとマリアに腕を握って貰っている。

 

シン「何かコレ・・・えーと・・・良いのか?」

 

マリア「仕方無いでしょ!私1人除け者にするつもり?」

 

シシリー「今日だけ特別だよ?マリア。」

 

マリア「はいはい。分かってるわよ。シシリー。」

 

タクト「な、何か緊張するなぁ。マナミアと手を繋いで入場って・・・」

 

マナミア「私は嬉しいですよ。殿方と手を繋ぐの初めてですから。」

 

タクト「そうなのか?」

 

 

 

 

招待客達は。

 

アズマ「・・・・」

 

ナナセ「隊長?どうしました?」

 

アズマ「え、いや・・・シシリーとマリアとが綺麗だなぁって・・・」

 

シイナ「そうですね。お2人共、美しいですね。」

 

マーク(今の所、招待客は婚約披露パーティーの時とそんなに変わらないッスね・・・)

 

オリビア(ほらぁ、マークの心配し過ぎだったんだよ。)

 

ユーリ(王族来てる時点で、異常なメンツなんだけどねぇ。)

 

リリア(あれェ?メリダ様は・・・?)

 

 

 

 

ディセウム「さて、ではこれより合同パーティーを・・・」

 

開会宣言しようとした所、ゲートが出現した。

 

メリダ「ああ、どうにか間に合ったかい。」

 

ゲートからマーリンとメリダが戻って来た。

 

メリダ「音頭の途中に悪いねディセウム。もう2人だけ客に加えてやっとくれ。」

 

???「貴方が直前まで仕事でバタバタしてるからこんなにギリギリになったのよ。」

 

???「エエやないか。どうにか間に合ったんやし。」

 

ゲートから現れた2人に周囲が驚愕した。2人が連れて来た客は・・・

 

 

 

 

 

 

エカテリーナ「お久し振りね。アルティメット・マジシャンズの皆さん。」

 

アーロン「俺は初めましてやなぁ。君達が噂のウォルフォード君とクリスティ君か。」

 

 

 

 

 

 

教皇猊下のエカテリーナと、エルス自由商業連合の大統領のアーロンだった。

 

全員「エ・・・エ・・・エカテリーナ教皇猊下ぁぁ!!??」

 

招待客「それにエルスのアーロン=ゼニス大統領ォォ!!??」

 

突然の高貴な招待客に全員が膝を付いた。

 

ジークフリード(ヤベーよ!何で教皇猊下がこんな所に・・・!?)

 

クリスティーナ(知りませんよ!シンとシシリーさんの婚礼を執り行うから?でしょうか・・・!?)

 

マーク(それ見た事か!!やっぱりとんでもない人来ちゃったじゃないスか〜〜〜〜!!!)

 

その中でもマークが人一倍驚愕していた。

 

エカテリーナ「あらダメよ?今日はシン君達の誕生日パーティーであって、私達は一参加者。皆さん気にせず表を上げて下さいな。」

 

全員が言葉に甘えて立ち上がった。

 

マーク(俺、多分()()()()にもし立ってたら、今頃息の根止まってるッス・・・・)

 

タクト(やっぱり猊下と大統領か。)

 

リチャード(2人も流石に師匠の誘いを断れなかったようだな。)

 

ディセウム「では気を取り直して・・・救世の英雄とまでなったシン君と、その婚約者であるシシリーさん、超古代の戦士・ティガのタクト君、そして3人の親友であるマリアさん、更に大司祭様のお孫さんのマナミア様の誕生日を祝して・・・」

 

全員「乾杯!!」

 

こうして、誕生日パーティーが幕を開けた。

 

 

 

 

エカテリーナ「5人共、お誕生日おめでとう。」

 

マリア「あ!ありがとうございます!!猊下・・・」

 

アーロン「おめでとさん。君等の噂は予々聞いとるで。」

 

シン「ど・・・どうも。」

 

タクト「2人はどうしてここに?」

 

エカテリーナ「んー・・・まあ、それは取り敢えず後にしましょう。まずはパーティーを楽しまなくちゃ。」

 

マナミア「猊下、お久し振りです。」

 

エカテリーナ「マナミアさん、大きくなりましたね。」

 

シン「え?マナミアって教皇猊下の知り合いなの?」

 

マナミア「はい。ちょっとした縁があるんです。」

 

タクト(リチャード師匠のお孫さんだもんな。)

 

シン「・・・?」

 

 

 

 

その後、5人にプレゼントが渡された。シンは財布とブレスレット。タクトはダイヤモンドが埋め込まれたネックレス。マリアは新しいバッグ。マナミアは四葉のクローバーのブローチと髪飾り。シシリーは何故かベビー用品。

 

シン「って!何でシシリーへのプレゼントベビー用品ばっかなんだよ!?先走り過ぎだろ皆!!」

 

トニー「いやー。だってその内必要になると思うしねぇ。」

 

マナミア「確かに。シンさん達も近々必要になりますよ?」

 

シン「マナミア!?」

 

シシリー「(シ・・・シン君との・・・赤ちゃん・・・)最初は・・・男の子?ううん・・・女の子も良いかも・・・」

 

マリア「あ!シシリーがトリップし始めた。」

 

タクト「シシリー落ち着け。」

 

アリス「未来の赤ちゃんに思いを馳せるのも良いけどね!その前に()()()あるっしょ!!」

 

シン「え?」

 

アリス「と言う訳で私達からシシリーに、はい!」

 

小袋をシシリーに渡した。

 

アリス「これでシン君を存分に誘っちゃって!」

 

シシリー「誘う・・・?」

 

シン(な・・・何かそこはたとなく嫌な予感が・・・)

 

アリス「シシリー!開けてみてよ!」

 

リン「きっと気に入る。」

 

シシリー「は・・・はあ・・・」

 

シン(赤ちゃんに会う前にやる事・・・お・・・俺を誘う為のもの・・・はっ!!)

 

全てを理解したシンがシシリーを止める。

 

シン「ス・・・ストップシシリー!!それここで開けちゃ・・・!!」

 

だが既に遅かった。シシリーが開けた小袋の中には・・・

 

 

 

 

 

 

女性用のTバックだった。

 

 

 

 

 

 

シシリー「・・・・・・・あ・・・う・・・コ・・・コレ・・・は・・・」

 

アリス「どう!?良いっしょ!」

 

シン(16歳になる女の子に渡すプレゼントが過激なエッチ下着って・・・どう言うセンスしてんだよお前等!!!)

 

シシリー「・・・こ・・・これを着けて・・・シン君・・・と・・・?やだ・・・恥ずかしくて死にそう・・・でもでも・・・う・・・うん・・・そ・・・そう言うのも・・・」

 

シン(そして満更でもねぇのかよ!!)

 

マリア「・・・・ねえ、私にも同じものが入ってたんだけど。」

 

マナミア「これは何ですか?」

 

他の女子2人もTバックをプレゼントされていた。

 

タクト「うわぁ・・・」

 

シン(マ・・・マジか!此奴等・・・彼氏の居ないマリアとマナミアにこのプレゼントは・・・皮肉にしかならないだろーが・・・!!!)

 

アリス「それ穿いてれば、何時何があっても大丈夫っしょ!?」

 

リン「準備は大切。」

 

マリア「私達を男なら誰でも良い尻軽みたいに言うなあ!!!」

 

マナミア「アリス?リン?」

 

アリス・リン「はい?」

 

マナミア「この後、一緒に楽しくお話しましょうね?

 

アリス・リン「ヒィィ・・・・・!!!」

 

笑っているマナミアだが、その笑顔は笑っていないと確信したアリスとリンが恐怖心に侵されていく。

 

タクト「マ・・・マナミアさん・・・?」

 

ニルス「まだ言ってなかったけど、マナミアは我が家の中で一番怖いんだ。」

 

タクト「え!?娘が怖い!?」

 

モニカ「あの笑顔は恐怖心を醸し出してますね・・・」

 

レイチェル「どうやったらあんな風になってしまうんでしょうか・・・」

 

タクト「あははは・・・」

 

ハンナ「おーーーい!!」

 

そこに、マジックシスターズのハンナが来た。

 

タクト「ハンナ!」

 

ハンナ「タクト達!マナミア様!お誕生日おめでとう!それを祝して、私達が精魂込めて作った余興を是非堪能して!!」

 

テーブルの上に水晶玉を置き、それに手を翳すと水晶玉から花びらが舞い上がった。

 

タクト「おぉ!」

 

シシリー「綺麗・・・!!」

 

マナミア「ありがとうございます!ハンナ!」

 

 

 

 

 

 

アーロン「やれやれ。アルティメット・マジシャンズ言うても、こうして見るとやっぱり学生やなぁ。昔を思い出すわ。」

 

エカテリーナ「・・・・・」

 

そんな中エカテリーナは、自分達の師匠のマーリンとメリダを密かに睨んでいた。

 

 

 

 

 

 

エカテリーナ、アーロン、ディセウム、マーリン、メリダ、リチャード、レイチェル。嘗てパーティを組んでいたメンバーが再会を果たした。

 

 

 

 

招待客A「な・・・何なんだあの空間・・・!?とても近寄れん・・・」

 

招待客B「無理もない・・・お・・・大凡我々には与り知れない領域に居る方々ですから・・・神々しい・・・」

 

あの面子を見た招待客達が怖気付いてる。

 

マリア「何だか凄いわね。あっちの席・・・」

 

ニルス「私は流石に慣れてるけどな。」

 

モニカ「私もです。」

 

マナミア「はい。」

 

シシリー「あの・・・シン君。これ・・・私から・・・」

 

シン「俺に!?ありがとうシシリー!」

 

彼女から小箱をプレゼントされた。その小箱を開けると。

 

シン「おお!格好良いネックレス!!」

 

シシリー「・・・あの・・・実は、お揃いです。」

 

そのネックレスは、シシリーとお揃い。

 

シン「本当だ!そう言えば今までこう言うのなかったな・・・!凄い嬉しい!!」

 

アリス「良いなぁ。あーゆーの。」

 

ユーリ「恋人同士ならではよねぇ。」

 

タクト「本当、何処までも仲睦まじいようで。」

 

シン「・・・ありがとう。シシリー。」

 

シシリー「喜んで貰えて良かったです。シン君。」

 

マナミア「皆さん、私からのプレゼントもありますよ。」

 

ニルス「マナミア。」

 

異空間収納を開いたニルスが、マナミアが用意したプレゼントを出した。

 

マナミア「シシリー、マリア。」

 

シシリー「わぁ、可愛いワンピース!」

 

マリア「可愛い〜!」

 

それは、可愛い水色のワンピースと赤色のジャンパースカートだった。

 

マナミア「お2人の為に私がオーダーメイドしたんです。お2人にピッタリかと。」

 

シシリー「マナミア様、ありがとうございます!」

 

マリア「この感謝、一生忘れません!」

 

マナミア「もぉ、大袈裟ですねマリアは。タクトさん。」

 

タクト「ん?」

 

マナミア「タクトさんにもプレゼントですよ。」

 

箱をタクトに渡した。箱を開けると。

 

タクト「花?」

 

マナミア「はい。」

 

タクト「ん?この花・・・カルミアか?」

 

マナミア「カルミアには、希望と言う花言葉があります。タクトさん、あなたの希望の光が私達の心を満たしてくれる事を信じてます。」

 

タクト「これは嬉しいね!ありがとうマナミア!大事に育てるよ!」

 

カルミアを異空間収納に納めた。

 

 

 

 

しばらくして。

 

シン「えーと、それじゃあ2人にも俺からのプレゼントを受け取って貰おうかな?」

 

異空間収納から大きい箱を出し、シシリーとマリアにプレゼントした。

 

マリア「結構大きいわね。」

 

シン「説明がいると思うから、開けてみてくれる?」

 

箱を開けると、ドライヤー型の魔道具が出て来た。

 

シシリー「これは一体・・・」

 

マリア「何?」

 

タクト「ドライヤー?」

 

シン「そう。ブラシ付きドライヤーと、ヘアアイロンだよ。」

 

フレーゲルの魔道具屋で閃いて開発した魔道具。この世界には一応ドライヤー(温風を出すだけ)の魔道具はあるが、それ以上の機能を持ったものは発明されていない。その魔道具を主産業にしている職人が存在しないらしいと、シンがこれを発明しても経済に影響は出ないと確信してる。

 

マリア「・・・髪をセットする魔道具?・・・って事?」

 

シン「まあね。女性の髪の扱いは女性の方が熟知してるだろうと思って、事前にマリーカさんにサンプルを渡してあるから。後はマリーカさんにお任せするよ。」

 

マリーカ「では・・・失礼致します。」

 

まずはブラシ付きドライヤーでマリアの髪をセットする。

 

マリーカ「こちらのブラシ付きドライヤーですが、魔力を通して使って頂くと、自在に髪をセットする事が出来ます。」

 

そして、マリアの髪がフワフワになった。

 

マリア「わあっ!!」

 

アズマ(!!)

 

全員「おお〜〜〜!!」

 

マリア「凄い凄い!!ちょっと自分でもやってみたい!!」

 

マリーカ「ええ。どうぞ。では・・・若奥様はこちらを。」

 

ヘアアイロンをシシリーの髪に挟んだ。

 

マリーカ「こちらはこのコテの部分が熱を持ちます。そして、髪を挟んで頂きますと・・・」

 

一瞬にしてシシリーの髪が真っ直ぐでサラサラになった。

 

シシリー「髪が・・・信じられないくらい真っ直ぐに・・・!!」

 

マリーカ「更に、こちらでもう一手間加えますと・・・」

 

ヘアアイロンでシシリーの髪を巻く。するとシシリーの髪が巻き髪になった。

 

シシリー「わぁ・・・こんな・・・簡単に巻き髪が・・・!!」

 

タクト「おぉ!見事だな!」

 

シシリー「こ・・・こんな凄いもの・・・初めてですシン君!!ありがとうございます!!」

 

マリア「私も・・・こんな衝撃初めてだわ!ありがとうシン!!」

 

マナミア「シンさん、私にもその2つを貰えないでしょうか?」

 

シン「良いよ。もう1セットあるから、また後でプレゼントするよ。」

 

トール「・・・最早何がどうなってこんなモノ思い付くんだか理解が・・・」

 

アウグスト「考えるだけムダだ。私はもう慣れた。」

 

タクト「ん?おーいシン。」

 

シン「どうしたタクト?」

 

タクト「後ろ。」

 

シン「ん!?」

 

突然後ろから女性陣の気配を感じてぞわっとした。

 

エリザベート「シンさん!!一体何ですのそれはぁ!?」

 

アリス「シン君私も!!それ欲しいよ!!」

 

ユーリ「マナミア様だけずるい!!私にも頂けないかしら!?」

 

シン「どわぁっ!・・・って、ええ!?教皇さん・・・様まで!!」

 

他の女性陣から押し寄せられた。

 

シン「こ・・・これの製造をお願いしたビーン工房では後々販売用に量産する予定なので・・・後日ウォルフォード商会の方から御購入頂ければ・・・タダであげたらプレゼントの意味なくなっちゃうし・・・」

 

アリス「成る程ね・・・」

 

エリザベート「了解しましたわ・・・」

 

女性陣が後ろでブツブツと言ってる。

 

シン(こりゃ、女性陣全員購入するな・・・)

 

マチ「ホラホラアズマ!」

 

シン「?」

 

アズマ「ちょっ!押すなよ!」

 

ヨーコ「ここでも折角のチャンスを逃す気なの?」

 

アキ「そうだよ!ここに来て勿体無いよ?」

 

サヨ「アズマさんは男なんですよ?男ならビシッと決めちゃって下さい!」

 

アズマ「うわあっ!!」

 

クレージュのメンバー達に押されてやって来た。そんなアズマの内ポケットには、ある小箱が。

 

アズマ「・・・・・マリア!!」

 

マリア「ん?何アズマ?」

 

アズマ「・・・・・」

 

マリア「どうしたの?そんなに緊張して。」

 

アズマ「これを・・・受け取ってくれ!」

 

内ポケットから小箱を出して、マリアに差し出す。

 

マリア「プレゼント?」

 

小箱を開けると、ペリドットのブローチが入っていた。

 

マリア「ブローチ?綺麗・・・!ありがとうアズマ!」

 

アズマ「それで・・・お前に言いたい事があるんだが・・・」

 

マリア「言いたい事?言ってみて?」

 

アズマ「お・・・俺と・・・」

 

彼は右手を伸ばし・・・

 

 

 

 

 

 

アズマ「俺と付き合って下さい!!!!」

 

 

 

 

 

 

マリア「・・・え!?」

 

女性陣「ええーーーー!?」

 

何と、アズマがマリアに告白したのだ。

 

シン「アズマ!?」

 

タクト「急にどうした!?マリアに告白して!!」

 

アズマ「俺・・・あの時お前に助けられた時、勇敢で美しい方だと思ったんだ・・・」

 

嘗てプルガトリウムシティーで、魔人兵士に苦戦してる時にマリアに助けられた。その時にマリアへの恋心が芽生えたのだ。

 

アズマ「だから・・・」

 

マリア「で、でも・・・私以外にも好きな子とか居るんじゃないの・・・?私なんか・・・」

 

アズマ「マリアじゃなきゃダメなんだ!!!」

 

マリア「・・・!!」

 

アズマ「勿論、返事はもし拒否したいなら拒否しても良い・・・マリアの本心を聞かせてくれ!!友達からでも良い!!俺と付き合って下さい!!」

 

マリア「・・・・」

 

両親を見ると、両親は笑顔で頷いた。

 

マリア「・・・アズマ。」

 

アズマ「?」

 

 

 

 

 

 

マリア「宜しく・・・お願いします。」

 

 

 

 

 

 

そう言ってアズマの手を握った。

 

アズマ「・・・!!!!」

 

告白が成功したアズマが笑顔になった。

 

タクト「おめでとうアズマ!!」

 

シイナ「隊長ーーーーー!!!」

 

ナナセ「おめでとうございます!!!」

 

アズマ「マリア、こちらこそ宜しくお願いします!!」

 

シン「アズマ、良かったな。」

 

そこにマリアの両親が来た。

 

マルティナ「アズマさん。」

 

アドルフ「アズマ君。マリアを宜しく頼むよ。」

 

アズマ「はい!」

 

エカテリーナ「・・・ねえ、所でシン君。」

 

シン「?」

 

エカテリーナ「私の事・・・教皇様なんて堅苦しい言い方しないで・・・エカテリーナさんって呼んで良いのよ?」

 

シン「え!?・・・」

 

皆の方を見ると、皆が首を激しく横に振って拒否るように言わせてる。

 

シン「あの・・・流石にそれはちょっと・・・無理です・・・」

 

エカテリーナ「あら、そうなの・・・」

 

シン(・・・?何だろ・・・?少し残念そうな・・・)

 

エカテリーナ「ねぇタクト君?」

 

タクト「?」

 

エカテリーナ「もし良かったら、私の事を教皇様じゃなく、エカテリーナさんって呼んで良いのよ?」

 

タクト「ちょちょちょ、いきなり俺に鞍替えってどうすんだよ・・・」

 

全員「!?」

 

一部を除いた全員がタクトの言動にビビった。

 

マリア「ちょっとタクト!?教皇猊下に向かってタメ口ってどう言う訳!?」

 

トール「幾らタクト殿でもそれは!!」

 

マナミア「マリア、トール、落ち着いて下さい。」

 

マリア「これが落ち着ける訳ないでしょ!?」

 

マナミア「教皇様の言葉の意味が分かりますよ。」

 

トール「どう言う事ですか?」

 

マナミア「すぐに分かりますよ。」

 

シン「と・・・所で、お2人は爺ちゃんと婆ちゃんと叔母さんとリチャードおじさんとレイチェルおばさんの知り合いなんですか?さっきは訳あってここに来たって言われてましたけど・・・」

 

エカテリーナ「・・・」

 

アーロン(カーチェ。)

 

ディセウム(・・・頃合いだな。)

 

彼女は帽子を取り、アーロンとディセウムと一緒にシンに向かって頭を下げた。

 

シン「・・・は!?」

 

全員「!!??」

 

この場に居る全員もどよめき始めた。一部を除いて。

 

タクト「・・・」

 

メリダ「・・・」

 

アザレア「・・・」

 

エカテリーナ「ごめんなさい・・・シン君・・・私達は、未だ嘗てない世界の危機を迎えていたわ・・・そんな絶望的な状況に立ち向かうのは、旗頭となる人物が必要だった。そこで、旗頭となるのに打って付けの人物が居た。嘗て世界を救った英雄の孫で、自身も既に何体もの魔人を討伐している現代の英雄。シン君・・・あなたの旗頭にする事には、各国の国家元首のほぼ全員が異を唱えなかった。それ程圧倒的な支持を受けて、私はあの時演説したの。」

 

シン(あれは・・・教皇さんの独断じゃなかったのか・・・)

 

エカテリーナ「でも私達は・・・誰もが浮かれていたのね。シン君の了承を得る事を怠ってしまったわ。全世界が注目する場であんな事を言えば、シン君の人生を変えてしまうと言うのに・・・今日はそんな事を本人の許可なく行った事を謝罪しに来たの。本当に・・・ごめんなさい。」

 

アーロン「申し訳ない・・・この通りだ。」

 

ディセウム「悪かったね、シン君・・・」

 

メリダ「折角のアンタ達の誕生会を邪魔する形になって悪かったけど、この子等が謝罪する機会は今日この日ぐらいしかなくてね。」

 

タクト(そうか。だから遅れて2人を連れて来たのか。)

 

メリダ「信頼問題にも関わるから、公式の場で頭を下げる訳には行かない。ディセウムやアンタの関係者が集まる個人的な機会があると教えたら、連れてってくれって頼まれた訳さ。」

 

シン(俺を・・・”神の御使い”と認定する事で・・・ダームのラルフ長官のように人生を左右されてしまった人達が少なからず居るはず・・・それを思うと、気安く『気にするな』とは言えないけど・・・ただ・・・事前に『世界の為に』と承認を求められたとしたら・・・やっぱり断る事は出来なかったよ・・・)

 

今までの事を理解した。

 

シン「・・・分かりました。謝罪は受け入れますから、頭を上げて下さい。」

 

メリダ「一応保護者として私からも謝とっくよ。人の迷惑を顧みない小娘が迷惑掛けたね。」

 

そう言ってエカテリーナのお尻を叩いた。

 

”パチン!”

 

エカテリーナ「ひゃん!?」

 

リチャード「メリダ止せ。彼女も反省しているんだから。」

 

シン「・・・!?」

 

タクト(おぉ、良い音。)

 

全員(保護者!?小娘!?・・・と言うか今・・・導師様・・・教皇猊下の尻を叩いた・・・!?そして大司祭様・・・教皇猊下を彼女って言った・・・!?)

 

エカテリーナ「ったぁい・・・」

 

シン「・・・ねえ婆ちゃん、ちょっと訊きたいんだけど・・・爺ちゃんと婆ちゃんとリチャードおじさんとレイチェルおばさんと教皇猊下の関係って一体・・・?」

 

メリダ「共に旅をした仲だよ。大昔の話だけどね。」

 

全員「ええ〜〜〜〜〜〜!!??」

 

タクト(この反応、どうやら知らなかったみたいだな。)

 

招待客C(エ・・・エカテリーナ教皇猊下とエルスのアーロン大統領・・・それに導師様と賢者様と大司祭様と天士様にそんな繋がりが・・・!?)

 

ジークフリード(知ってたかよ!?)

 

クリスティーナ(いえ・・・陛下の過去だけは聞いてはいましたけど・・・)

 

エカテリーナ「弟子入りした当時はこんなに厳しい人だとは夢にも思わなかったわ・・・」

 

アーロン「俺もや。何回頭の形変わる程叩かれたか分からへんわ・・・」

 

ミッシェル「因みにシン。私も陛下の護衛として、その一行に参加してたんだぞ?」

 

シン「嘘ぉ!?ミッシェルさんまで!?」

 

マリア「じゃあタクトは?何でさっき教皇猊下にタメ口で返したの!?」

 

タクト「魔人領突入するあの日、トイレへ行ったって俺言ってたよな?」

 

マリア「え、えぇ。」

 

タクト「あれは嘘で。実は、リチャードとレイチェルに会ったんだ。」

 

マリア「ええ!?」

 

タクト「2人からエカテリーナの事を詳しく聞かせてくれてな。」

 

マリア「じゃあ何でトイレへ行ったって嘘言ったの!?」

 

タクト「いきなりあんな話してたら、俺が嘘吐いてるって思われちゃうだろ?だから黙ってたんだよ。」

 

アリス「シン君と言い・・・剣聖様と言い・・・教皇猊下やアーロン大統領と言い・・・」

 

マリア「メリダ様達に関わる人物って、皆とんでもない有名人になってるのね・・・」

 

アリス「これ・・・ある意味本当に凄いのは導師様なんじゃ・・・」

 

マリア・トール・マーク「しぃっ!!」

 

エカテリーナ「・・・ねえシン君、やっぱり私の事『教皇様』じゃなくて名前で呼んで欲しいわ。師匠のお孫さんに様付けで呼ばれると、何とも言えない気分になるのよ。」

 

シン「・・・はぁ、まぁそこまで言われるなら俺は別に・・・」

 

彼女がシンに自分をエカテリーナって呼んで欲しいのには、ある理由がある。

 

アリス「・・・ねぇメリダ様。それにマーリン様。何てゆーか・・・凄く根本的な質問があるんですけど・・・」

 

メリダ「ん?何だいアリス?」

 

アリス「・・・アザレア様はお2人の娘さんなんですよね?」

 

アザレア「えぇ、そうだけど。」

 

そこでアリスが、ある質問を言った。

 

 

 

 

 

 

アリス「何でお2人って、シン君の事を『息子』ではなく『孫』として育てたんですか?」

 

 

 

 

 

 

この言葉に7人が黙り込み、周囲にとてつもない空気が蔓延した。

 

マリア(・・・!?何!?この急に張り詰めた空気・・・!?)

 

アリス「そりゃまあ年齢的にだっちかって言うと・・・もがっ!?」

 

マリア(ア、アンタ!!それ以上余計な事言わなくて良いから!!!)

 

シシリー「シン君・・・」

 

シン「・・・」

 

メリダ「・・・まあ、色々あるさね。」

 

アザレア「色々とね・・・」

 

リチャード・レイチェル「・・・・」

 

ディセウム「・・・さ、さぁ!我々の話はここまでにしよう!!今日の主役はシン君達だ!盛り上げて行こうではないか!!」

 

 

 

 

その後も合同パーティーは盛り上がりを見せた。

 

ディセウム「そうだ!タクト君、君にプレゼントがあるんだ。」

 

タクト「俺に?」

 

ディセウム「君が設計した家が完成したんだ!」

 

タクト「本当か!!何て良いタイミング!!」

 

シン「え!?タクト、家造ったの!?」

 

タクト「だって毎日お前の家で過ごしてる内に気が滅入ってしまったらどうすんだよ。」

 

シン「いや俺に責任押し付けなくても・・・」

 

タクト「だから皆には内緒で家を建築したんだ。陛下から複数の使用人を手配予定だ。」

 

 

 

 

 

 

廊下。酔ってるアーロンとエカテリーナが歩いている。

 

アーロン「うぃっく・・・何処行くんやカーチェ?飲まへんのか?」

 

エカテリーナ「あなたは付いて来なくて良いわよ。ん?」

 

ベランダにマーリンとメリダが立っていた。

 

エカテリーナ「ここに居たんですね。」

 

メリダ「小娘・・・」

 

エカテリーナ「居た堪れなくなって、会場を離れたんですか?」

 

メリダ「・・・どう言う意味だい?」

 

エカテリーナ「先程のアリスさんの質問。先生も師匠も、まだシン君に秘密にしている事がありますよね?」

 

果たして2人が隠してる秘密とは・・・

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

リオ:土岐隼一
デイジー:寿美菜子
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
グレア:高橋李依
ローランド:山本和臣
ジュリアン=フィッツバード:小松未可子
ジネヴラ:小宮有紗

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
アザレア=ウォルフォード:新谷良子
リチャード=ラドクリフ:堀内賢雄
レイチェル=ラドクリフ:白鳥由里
アリア=フォン=ストラディウス:坂本真綾
ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭
セシル=フォン=クロード:田坂浩樹
アイリーン=フォン=クロード:岡本麻弥
マルティナ=フォン=メッシーナ:浅野真澄
アドルフ=フォン=メッシーナ:吉野裕行
ミッシェル=コーリング:川原慶久
マリーカ:難波佑香
エスタ:島袋美由利

ジークフリード=マルケス:金子誠
クリスティーナ=ヘイデン:古賀葵
ミランダ=ウォーレス:吉七味。

ニルス=ラドクリフ:寺島拓篤
モニカ=ラドクリフ:佐藤聡美
マナミア=ラドクリフ:前川涼子

ハンナ=グリント:伊波杏樹

アズマ:榎木淳弥
シイナ:内田彩
ナナセ:白石晴香
カオル:国立幸
マモル:山谷祥生
タカオ:石谷春貴
セイラ:今井麻美

マチ:逢田梨香子
ヨーコ:福原綾香
アキ:南條愛乃
サヨ:影山灯

カレン=フォン=クレイン:寺崎裕香
サラ=フォン=キャンベル:大橋彩香
リリア=ジャクソン:芹澤優

アーロン=ゼニス:内田直哉

ベルゼ=クラスティール:澁谷梓希

男:増岡大介
  狩野翔
  駒田航

エカテリーナ=フォン=プロイセン:斎藤千和





次回予告

もう1つの誕生日プレゼントは、タクトの新しい家・クリスティ邸。そこで二次会を行われ、タクトが自分の過去を語った。

次回ウルトラマンティガ

戦士の過去

お楽しみに


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第33話「戦士の過去」

戦士の過去
ヘラルド=フォン=ブルースフィア 登場



ベランダ。

 

エカテリーナ「ここに居たんですね。」

 

メリダ「小娘・・・」

 

エカテリーナ「居た堪れなくなって、会場を離れたんですか?」

 

メリダ「・・・どう言う意味だい?」

 

エカテリーナ「先程のアリスさんの質問。先生も師匠も、まだシン君に秘密にしている事がありますよね?」

 

マーリン「・・・シンには、直接関係のない事じゃからの・・・」

 

エカテリーナ「関係が・・・ない?本当に、そう思っているんですか?嘗て亡くなった()()()は・・・お2人の本当の息子なのに?」

 

2人には嘗てたった1人の息子が居た。だがその息子は、ある理由で・・・

 

エカテリーナ「実を言うと私・・・今日ここへ来たのは、それを確認する意味もあったんですよ。シン君は・・・先生と師匠を本当の祖父母だと慕っている。見れば分かります。なのに・・・お2人にとってはそうではないと仰るんですか?」

 

メリダ「なっ・・・!」

 

エカテリーナ「あまり弟子を失望させないで下さいね。師匠。」

 

挑発されたメリダの表情が険しくなり、アーロンは焦っている。

 

メリダ「・・・何時か話すさね。」

 

エカテリーナ「・・・そうですか。」

 

アーロン「・・・まあまあお2人さん!ちょ、ちょっと落ち着いてや!何をそんな熱なって・・・」

 

エカテリーナ「・・・ふぅ。すみませんでした師匠。生意気な事を。」

 

メリダ「・・・ふん。あの小娘が成長したもんだね。挑発紛いに私に意見するなんてさ。・・・確かにアンタの言う通りだ。訊かれなかったから言わなかった。酷い言い訳もあったもんさね。」

 

エカテリーナ「辛い気持ちは痛い程分かります。けど・・・」

 

メリダ「・・・家族であるシンに言わないのは違うか・・・」

 

マーリン「シンの事じゃ。敢えて訊かなかったのかも知れんが・・・ワシ等からしても進んで話したい内容でもなかったからの・・・」

 

メリダ「図星も良い所さ。何て情けないジジババだ。」

 

マーリン「成長したのぅ・・・カーチェ。ワシ等も見習わんとの。」

 

エカテリーナ「先生・・・」

 

アーロン「・・・俺は?」

 

メリダ「アンタは昔のまんまだよ。」

 

マーリン「さあ。暗い話はここまでにして戻るとするかの。今日は孫達のめでたい誕生会じゃ。」

 

エカテリーナ「今日くらい私もお酒を頂くわ。だって普段は全然呑ませて貰えないんだもの。」

 

 

 

 

パーティー会場に戻った4人に。

 

リチャード「どうだ?何か打ち明けれたか?」

 

エカテリーナ「・・・まぁ、色々と。」

 

リチャード「なら良い。マーリン、お前達の息子の事なんだが。」

 

メリダ「何だい?」

 

 

 

 

食事をしているタクトに。

 

ニルス「タクト君。」

 

タクト「ん?」

 

モニカ「お父様達が呼んでいますわ。」

 

タクト「リチャード達が?」

 

モニカ「マナミア。あなたも。」

 

マナミア「はい。お母様。」

 

タクト「俺に用?」

 

ニルス「アザレア、お前も。」

 

アザレア「えぇ。」

 

 

 

 

別室に連れて来られたタクトは、ラドクリフ一族と対面する。

 

タクト「リチャード。俺に話って何だ?」

 

リチャード「先程アリスが言ってた事なんだが。」

 

タクト「あぁ。シンを息子ではなく孫として育てた理由か?」

 

レイチェル「それには、深い訳があるんです。」

 

タクト「深い訳?」

 

レイチェル「お2人には嘗て息子さんが居たんです。」

 

タクト「息子?」

 

アザレア「そして、私の兄よ。」

 

リチャード「2人には最愛のたった1人の息子だ。ニルス君。」

 

ニルス「はい。この子がマーリン様とメリダ様の息子の写真だ。」

 

懐から2人の息子の写真を出し、それをタクトに見せた。

 

タクト「・・・面影がシンに似てる。」

 

リチャード「その子の名前はスイレン。モニカの幼馴染みでアザレアの兄で、エカテリーナの元婚約者だ。」

 

タクト「元婚約者!?」

 

アザレア「兄さんはとても明るく、誰にでも優しい子で、引き取られた私を妹のように可愛がってくれたのよ。」

 

レイチェル「私達はパーティを組んで旅をしていました。」

 

タクト「エカテリーナ猊下とアーロン大統領と一緒に?」

 

レイチェル「はい。ですが彼は・・・」

 

そこからスイレンに何があったのかをタクトに全て打ち明けた。

 

タクト「そんな事が・・・」

 

モニカ「お2人はとても悔やんでいて離婚を決断し、後にシンさんを保護して孫として育てたんです。」

 

タクト「そうか・・・お2人にそんな過去が・・・ってか、何で俺だけ教えたんだ?」

 

リチャード「君は色々な事情を秘密にしてくれると思って、マーリン達と話し合って君にだけ打ち明けたんだ。」

 

マナミア「このお話はメリダ様が後に語るそうなので、先にタクトさんに教えてあげたんです。」

 

タクト「そっか。何か気の毒な感じだが、理由が分かって良かった。お2人も苦悩を乗り越えたんだな。ありがとう皆。」

 

リチャード「あぁ。」

 

 

 

 

 

 

パーティー会場に戻った。

 

シン「タクト、何処行ってたんだ?」

 

タクト「ちょっとな。」

 

シン「・・・・・」

 

タクト「どうした?」

 

シン「いやぁ・・・」

 

シシリー「シン君・・・気にされてるんですか?先程の事・・・」

 

シン「え?んー・・・そこまで気にはしてないよ。大事な事なら、まあ何時かは話してくれるだろうし。・・・1年前の誕生日を思い出してたんだ。俺・・・去年の誕生日まで本当は王都の学院に通う予定じゃなくてさ・・・その先どうするかなんて具体的に何も決めてなかったんだよ。でも今は・・・改めてここに来られて良かったと思ってる。1年前は自分がこんな光景の中に居る未来なんて想像も付かなかった。まるで夢みたいだよ。本当に・・・王都に来て良かったなぁ・・・」

 

シシリー「私も。シン君が王都に来てくれて良かったです。」

 

タクト「俺もだ。こうして新しい仲間に巡り会えて良かったと思うぜ。まぁでも、お前のその常識破りな知識や行動はアレだと思うけど?」

 

シン「し、失礼な!」

 

シシリー「うふふふ。」

 

すると彼の後ろから・・・

 

 

 

 

エカテリーナ「シンくぅん〜〜〜〜呑んでるぅ〜〜〜〜〜?」

 

 

 

 

シン(げっ!!教皇様!?)

 

タクト「エ、エカテリーナ猊下どうかなされて?」

 

エカテリーナ「わらしねぇ・・・ほんとらったらぁ〜〜〜〜シンくんくらいのこどもがいてもおかしくなったのよぉ〜〜〜〜〜。」

 

タクト「よ、酔ってる!?」

 

シン(ベ・・・ベロベロに酔っぱらってる・・・)

 

エカテリーナ「あのひとがしんじゃってぇ・・・くににもどったら”せーじょ”なんてよばれるようになっちゃってぇ・・・けっきょくこのとしまでどくしんじゃないのよぉ・・・」

 

シン(な・・・何かネガティブモード入ってるし・・・)

 

後ろの皆はひそひそしてる。

 

シン(くそぅ!皆見て見ぬフリしやがって・・・!!)

 

タクト「エカテリーナ猊下!落ち着いて!」

 

エカテリーナ「きめた。シンくんあなた・・・わたしのことおかあさんってよびなさい!!」

 

タクト「ギョッ!?」

 

シン「お・・・お母さん!?な・・・何言ってんですか一体!?よ・・・呼べる訳ないでしょ!!」

 

酔ってるエカテリーナがシンにグイグイ寄る。

 

エカテリーナ「なんれぇ?ししょうのまごなんらからわらしのこどもれいいれしょう〜〜〜〜〜?」

 

シン「ど・・・どう言う理屈ですかそりゃ!?」

 

タクト「冷静に!!」

 

2人の間に入ってエカテリーナとシンから離した。

 

タクト「エカテリーナ猊下!冷静に!まずは水を飲んで!」

 

エカテリーナ「なにさぁ〜〜〜タクトくんいけすかないわねぇ〜〜〜〜〜。」

 

タクト「ど、どの口が言うんだ・・・?」

 

エカテリーナ「いいじゃないのよぅ・・・わらしらっていちどくらいはぁ〜〜〜〜・・・」

 

タクト「ダメだ。自暴自棄になった。」

 

ワインをグラスに注ごうとしたが、エカテリーナがテーブルの上に倒れた。

 

シン「!!??」

 

タクト「猊下!?」

 

マナミア「猊下様!大丈夫ですか!?」

 

リチャード「エカテリーナ、どうした?」

 

倒れたエカテリーナを見る。

 

リチャード「・・・酔い潰れたみたいだな。」

 

タクト「全く、人騒がせなお人だ・・・」

 

エカテリーナ「むにゃ・・・さみしいよぉ・・・スイ・・・レ・・・」

 

シン(・・・?)

 

タクト(スイレン・・・)

 

メリダ「日頃の疲れやストレスが溜まっていたんだろう。許してやっとくれ。」

 

マーリン「今晩はウチで休ませれば良かろう。ワシらで部屋に連れて行くとするかの。・・・そう言えばメリダ。」

 

メリダ「おっと。忘れる所だったね。2人にだよ。」

 

渡したのは黒い小箱。

 

シン「・・・俺達・・・2人・・・に?」

 

小箱を開けると、2つの指輪が入っていた。

 

シシリー「わぁっ・・・!」

 

タクト「結婚指輪!」

 

シン「爺ちゃん婆ちゃん・・・これって、ひょっとして・・・」

 

マーリン「シンとシシリーさんの結婚指輪じゃよ。」

 

メリダ「私らにはこんな事位しかしてやれないからねぇ。」

 

シン・シシリー「・・・」

 

メリダ「心待ちにしとるよ。アンタ達の結婚式。」

 

2人はエカテリーナを部屋へ連れて行った。

 

シン「・・・爺ちゃん・・・婆ちゃん・・・」

 

シシリー「ありがとうございます・・・!!お爺様・・・お婆様・・・」

 

 

 

 

しばらくして合同パーティーがお開きにになり、多くの客達が帰って行った。

 

ディセウム「タクト君。」

 

タクト「おう。おーい!アルティメット・マジシャンズ集合!!」

 

シン「?」

 

アルティメット・マジシャンズを集合させた。

 

マリア「どうしたのタクト?」

 

タクト「今から俺の家で合同パーティーの二次会の始まりだ。皆を招待するぜ。」

 

アリス「二次会!?タクト君の家で!?楽しみー!」

 

タクト「よし皆、俺に付いて来い。」

 

 

 

 

 

 

クリスティ邸前。

 

???「お帰りなさいませ。タクト様。」

 

タクト「ただいま。」

 

5人の使用人がお出迎えしてくれた。

 

フローレンス「アルティメット・マジシャンズの皆様、お招き頂きありがとうございます。」

 

メイド長のフローレンス。

 

エスタ「今日はどうぞお楽しみ下さいませ。」

 

メイドのエスタ。

 

タクト「早速だけど、料理を用意してくれ。その間に皆を色々案内させる。」

 

ヨナ・クララベル「畏りました。」

 

メイドのヨナとクララベル。

 

ビル「では、早速ご用意いたします!」

 

コック長のビル。使用人達が料理を用意しに行った。

 

タクト「皆陛下が手配してくれた使用人達だ。」

 

アウグスト「お前1人で生活するのかと思ってたぞ。」

 

タクト「んな訳あるか。さて皆、ちょっとこっち来てくれ。」

 

家に入らずに横へ移動した。

 

ユーリ「え?入らないの?」

 

タクト「まず見せて貰いたいものがあるんだよ。」

 

それは、クリスティ邸の横にある小さな家だった。

 

シシリー「これは?」

 

タクト「アルティメットギルド。俺達アルティメット・マジシャンズ用に建てた集会所だ。」

 

全員「集会所!?」

 

タクト「何時もは外や城やウォルフォード邸で会議とかやってるだろ?だからさ、俺達専用の集会所を建てたんだよ。」

 

 

 

 

アルティメットギルド内。

 

タクト「内装はシンプルで、暖炉やシャンデリアにソファーに、シンが開発したトイレ。そして俺が密かに開発したゲートの魔道具。漏洩されないように防音や完全防御の魔道具も取り揃えてある。」

 

ユリウス「素晴らしいで御座るな!」

 

タクト「会議をする時は皆この場所に集合するようにな。さて、そろそろ家に入るか。」

 

 

 

 

クリスティ邸内。

 

タクト「内装はウォルフォード邸と同じ広さで、部屋も沢山ある。」

 

それぞれ部屋を見て回る。

 

 

 

 

タクトの部屋。

 

リビング。

 

キッチン。

 

トイレ。

 

使用人達の部屋。

 

 

 

 

廊下。

 

タクト「使用人達の部屋はそれぞれ個室だ。プライバシーを守らないとな。」

 

シシリー「良いですね。タクト君は色々考えておられるのですね。」

 

タクト「まあな。お?」

 

目の前にエスタが待っていた。

 

エスタ「皆様、お食事が出来ました。」

 

タクト「ご苦労様。よし、行こうぜ!」

 

 

 

 

パーティー会場。

 

アリス「わぁ〜!」

 

豪華なご馳走がズラリと並んでいる。

 

アリス「凄い豪華〜!」

 

マリア「でも流石にこれは多過ぎなんじゃ・・・」

 

リン「残ったのは私が食べる!」

 

タクト「あはは。」

 

シン「じゃあ、二次会を始めようか!」

 

タクト「あ、待ってくれ皆!」

 

シン「ん?」

 

タクト「始める前に、皆に話したい事があるんだ。」

 

 

 

 

パーティー会場の隅のソファーでは。

 

シン「それで、話したい事って?」

 

タクト「あぁ。・・・魔人領攻略の時にシシリーにだけ話した事なんだが。」

 

マリア「シシリー、何か知ってるの?」

 

シシリー「え?えっと確か・・・」

 

タクト「今日は皆に話してやる。・・・実は俺、シンに出会う5ヶ月、ブルースフィア帝国に来た事があるんだ。」

 

全員「っ!?」

 

タクト「俺は、その国の残酷さや無慈悲さを多く見続けたんだ。平民達は飢えていて、苦しんで、殺し合って、殺した人間を喰う光景を見続けたんだ。」

 

アウグスト「・・・・」

 

タクト「俺は平民達に食糧を与え続けたんだ。けど、それが仇となったんだ。」

 

マーク「どう言う事ッスか?」

 

タクト「事の発端は貴族達だ。奴等は懸賞金肉1年分にして、俺を指名手配したんだ。俺は奴等から、『平民達は貴族の糧として生きるのは当たり前』、『平民達に食糧を与えているお前は我々に対する死神』 と罵った。」

 

アリス「でも何で?貴族達がそんな考えを?」

 

タクト「彼奴らは、貴族が平民達より優遇される事が当たり前だと言っていた。貴族に反する者は強制処刑も惜しまないと。例え同じ貴族であっても。」

 

シン「酷いな・・・」

 

タクト「俺はそこで、レジスタンスに助けられたんだ。」

 

トール「レジスタンスですか?」

 

アウグスト「貴族に対抗する組織か。」

 

タクト「そうだ。ラスティーって言う男が居てな。彼の両親が結成した組織。俺はそのレジスタンスに参加して、貴族や兵士達と戦い続け、帝国を解放しようと励んでいたんだ。けど・・・」

 

アリス「ん?」

 

タクト「レジスタンスの中に裏切り者が居たんだ。そいつは貴族達から『情報を提供すれば、食糧を与えてやる』と買収されて、隠れ家を教えてしまったんだ。俺とレジスタンスは貴族達に必死に抵抗したんだ。けど貴族達は俺を無視してレジスタンスに優先して殺した。子供達も躊躇無く。奴等は弱い者達を殺し続けたんだ・・・」

 

シン「酷過ぎるだろそれ・・・!?」

 

タクト「生き残ったのは、俺とラスティーだけになってしまった。俺は皇帝ヘラルドと対面したんだ。」

 

 

 

 

シンに出会う5ヶ月。

 

タクト『お前が・・・!』

 

ヘラルド『我が名はヘラルド=フォン=ブルースフィア。この帝国を束ねる皇帝だ。』

 

タクト『何故こんな真似をするんだ!!』

 

エミリー『そうだ!!罪の無い人間達を殺して何になるんだ!!』

 

ヘラルド『何を言う。此奴等は既に罪を犯し続けている。』

 

タクト『何だと!?』

 

ヘラルド『此奴等は、この国で生き続けている。それだけだ。』

 

タクト『まさか・・・それだけが罪なのか・・・!?』

 

ヘラルド『平民達は常に我々貴族の糧として生きている!!それを何故、赤の他人のお前が否定している?お前はこの国の人間でも貴族でもない。ただの異物に過ぎない!!』

 

タクト『巫山戯るな!!!』

 

だが貴族達と兵士達がラスティーに剣先を向けた。

 

タクト『なっ!!』

 

ラスティー『皆!!!』

 

フェオン『ラスティー!!』

 

ヘラルド『動くとこの此奴達の命は無いぞ。大人しく降伏すれば、命だけは助けてやろう。』

 

タクト『・・・嫌だと言ったら?』

 

ヘラルド『こうするのだ。おい!』

 

他の兵士達が平民達を連れて来た。

 

タクト『・・・まさか!!』

 

ヘラルド『殺れ。』

 

タクト『止めろおおおおおお!!!!!!!』

 

だが兵士達は聞く耳持たず、平民達を皆殺しにした。

 

タクト『っ・・・・・!!!!!!』

 

ヘラルド『さぁどうする?素直に降伏するか?』

 

ラスティー『タクト!僕に構うな!!早く逃げるんだ!!』

 

タクト『・・・・!!!』

 

ヘラルド『フッハッハッハ!!!無様な平民共だ!!ならば今すぐ殺して楽にさせてやろう!!殺れ!!』

 

タクト『止めろ!!!!!!』

 

ヘラルド『ん?』

 

遂に、タクトの怒りが爆発した。

 

タクト『これ以上・・・ラスティーに手出しするな!!!!!』

 

ヘラルド『なら、ここで素直に降伏するか?それともここでこの者達と一緒に死ぬか?』

 

タクト『第3の選択だ!!』

 

ヘラルド『ん?』

 

タクト『ラスティーを解放してこの国から逃げる!!』

 

ヘラルド『フッハッハッハ!!!』

 

兵士達『ハッハッハッハッハ!!!』

貴族達『ハッハッハッハッハ!!!』

 

ヘラルド『どうやって逃げると言うのだ?成す術も無い貴様に何が出来る!!』

 

大笑いするヘラルド達に。

 

兵士『グアッ!!!』

 

突然、1人の兵士が殺された。

 

貴族『な、何だ!?』

 

それは、タクトのハンドスラッシュが兵士を殺したのだった。

 

貴族『貴様!!何をした!!』

 

エミリー『黙れ!!!』

 

貴族『グハッ!!』

 

兵士『ギャア!!』

 

ヘラルド『ッ!?』

 

フェオン達が兵士と貴族達を殺めた。

 

レア『タクト!!!』

 

タクト『あぁ!!!ラスティー!!すぐに助けてやる!!』

 

懐からスパークレンスを出した。

 

ヘラルド『何だ?』

 

スパークレンスを天に掲げて光を解放し、ウルトラマンティガへ変身した。

 

ヘラルド『貴様!何者だ!?』

 

ティガ『ティガ・・・ウルトラマンティガだ!!』

 

そう言ってウルトラフィックスで貴族達と兵士達を拘束し、ラスティーを救った。

 

ヘラルド『何!?』

 

ティガ『ラスティー!!早く!!』

 

解放されたラスティーがティガに駆け寄った。

 

ラスティー『タクト・・・君は一体・・・!?』

 

ティガ『話は後だ!ヘラルド!!土産に持って行け!!』

 

ヘラルド『ぐあああああああああ!!!!!』

 

マルチ・スペシウム光線がヘラルド達の足元に直撃し、ヘラルドの右目を石ころの破片で貫かれた。

 

貴族『陛下!!!』

 

ティガ『チャァッ!!』

 

その隙に、ティガがラスティーと共にティガテレポーテーションして帝国から脱出した。

 

 

 

 

 

 

シン「そうだったんだ・・・」

 

タクト「それから俺は、ラスティーに食糧と金を与えて別れたんだ。」

 

アウグスト「そのラスティーは、今はまだ会ってないのか?」

 

エミリー「あぁ。彼奴は彼奴の人生を送っているだろう。」

 

アンナ「何時かまた会えますよ。」

 

タクト「さ!この話はお終い!今日は皆たっぷり盛り上がろう!」

 

シシリー「はい!」

 

イザベラ「行きましょう皆さん!」

 

合同パーティーの二次会が始まった。

 

 

 

 

 

 

二次会が終了し、皆をゲートの魔道具でウォルフォード邸に帰した。

 

 

 

 

ウォルフォード邸・シンの部屋。

 

シン「ふーっ、疲れたぁっ!!何だか色々想像以上のパーティーだったなぁ。」

 

シシリー「酔い潰れてしまった皆さんも協力して部屋にお連れしたし、タクト君の家での二次会も楽しかったですし、取り敢えずこれで終了・・・ですね。」

 

シン「にしても驚いたなぁ。タクトが1年前に魔人領へ行ってたなんて。」

 

シシリー「そうですね。私も初めて聞かされた時に驚きました。」

 

シン「シシリーは?今日はウチに泊まってく?」

 

シシリー「あ、はい。お父様も既にお部屋で寝てしまったので・・・私・・・も・・・」

 

言ってる最中にシシリーが言葉を詰まらせた。

 

シン「俺達の誕生日パーティーなのに、何で俺達疲れてんだろ・・・?」

 

シシリー(・・・あれ?えーーと・・・この状況・・・あれ?)

 

今この部屋はシンとシシリーの2人きり。シシリーはこの状況を読み込み中。

 

シン「どうしたのシシリー?」

 

シシリー「へっ!?あ、いえ!別に!・・・15年前の今日・・・私が1歳の誕生日をお祝いして貰っている時に、シン君はお爺様に命を救われていたんですね・・・」

 

シン「ひょっとしたら、その1年前の同じ日に本当に生まれてたかも・・・はは。」

 

するとシシリーが左手をシンの右手に添えた。

 

シシリー「シン君のお父様もお母様も、きっと本当はこうやってシン君の手を握ったり・・・抱き締めたりしたかったはずですよね・・・私は・・・幸せ者ですね。愛し合っている両親が居て・・・その両親から愛されて、今日まで育って来れました。そんな当たり前の幸せに・・・今日改めて気付かされた気がします。」

 

シン「シシリー・・・俺達は子供に悲しい思いをさせないようにしなくちゃな。」

 

シシリー「フフ。そうですね。」

 

2人は見詰め合い、キスをした。

 

シシリー「シン君を助けて下さった15年前のお爺様に・・・感謝を。」

 

シン「・・・シシリーをこの世に産み落としてくれた・・・16年前のシシリーの御両親に・・・感謝を。」

 

シシリー(今、こうしてお互いがここに居る事の奇跡を・・・)

 

2人はベッドの上で抱き締め合ってキスをした。

 

シン「・・・シシ・・・むぐっ!?」

 

言おうとしたが、シシリーに口止めされた。素晴らしい合同パーティーの幕が閉じた。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

リオ:土岐隼一
ケイティ=グレイス:山崎はるか
フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
グレア:高橋李依

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
リチャード=ラドクリフ:堀内賢雄
レイチェル=ラドクリフ:白鳥由里
ニルス=ラドクリフ:寺島拓篤
モニカ=ラドクリフ:佐藤聡美
マナミア=ラドクリフ:前川涼子

ラスティー:白井悠介

ヘラルド=フォン=ブルースフィア:家中宏

アーロン=ゼニス:内田直哉

エカテリーナ=フォン=プロイセン:斎藤千和





次回予告

合同パーティーを終えたアルティメット・マジシャンズは、それぞれの場所でそれぞれの日常を過ごす中、タクトの姉妹メイド、ヨナとクララベルに危機が訪れる。

次回ウルトラマンティガ

それぞれの日常

お楽しみに


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第34話「それぞれの日常」

それぞれの日常



シシリー(シン君・・・)

 

シン「シシリー・・・!?」

 

目を開けたシンは、ベッドの上で汗を流していた。

 

シン「・・・」

 

横を見ると、気持ち良さそうに眠っているシシリーの姿があった。

 

シン(夢・・・じゃない・・・俺・・・本当に昨日シシリーと・・・)

 

シシリー「・・・ん・・・」

 

眠っていたシシリーが起き上がった。

 

シシリー「・・・あれ?シン君・・・はっ!!」

 

身体を起こしたが、我に帰って布団に隠れた。

 

シシリー「・・・お・・・おはようごじゃいます・・・」

 

シン(可愛過ぎる・・・!!)

 

改めてシシリーの可愛い一面が見れてシンだった。

 

シン「お・・・おはよう・・・」

 

 

 

 

 

 

ウォルフォード邸。

 

マリア「やー、凄い夜だったわねー。」

 

アズマ「色々楽しかったなー。お陰で俺はマリアに告白出来てホッとしたぜ。」

 

マリア「アズマ、ありがとうね。こんな私を。」

 

アズマ「謙遜するな。俺が言ってるんだから自信を持て。」

 

マリア「それもそうね。」

 

エリザベート「それよりマリアさん、昨日の魔道具後で私にも・・・」

 

タクト「皆。」

 

アズマ「おう。タクト。」

 

マリア「あら?マナミア様まで。」

 

マナミア「おはようございます。皆さん。」

 

エリザベート「マナミア様?何故タクトさんとご一緒に?」

 

マナミア「そこでお会いしました。」

 

タクト「おい皆、あれを見てみろ。」

 

エリザベート「あら?」

 

 

 

 

リビングのソファーで寄り添ってるシンとシシリーを見せた。

 

 

 

 

マリア「な・・・何?何時も以上に甘ったるいこの空気・・・」

 

メイ「はわわ!大人の事情です!」

 

マナミア「立派な聖域ですね。」

 

マリア「ねぇ、シシリーって昨日あの夜・・・」

 

エリザベート「確か、お借りした部屋には御両親しか・・・」

 

マリア・エリザベート「・・・そう言う事か!!」

 

理解した2人が目を輝かせた。

 

マリア「そう・・・遂に階段を上ったのね。シシリー・・・」

 

エリザベート「おめでとうと言った方が良いのかしら?」

 

メイ「何の話です?」

 

マナミア「お2人共、落ち着いて下さい。」

 

シン・シシリー「?」

 

タクト「お2人さん。」

 

アリス「おはよー!朝から何してんの?」

 

アウグスト「む。早いなお前達。」

 

マリア「おはようございます。」

 

アズマ「ようオーグ。おはよう。」

 

アウグスト「悪かったな、シン。父上が呑んだくれたせいで世話になる事になって。」

 

アリス「同じく。」

 

マリア「ウチも同じく。」

 

シン「はは・・・別に良いよ。部屋は沢山あるし。」

 

アウグスト「?」

 

シンとシシリーを見て、アウグストが目を見開いた。

 

アウグスト「お前達ひょっとして・・・」

 

エカテリーナ「・・・おはよう・・・」

 

エリザベート「あ!教皇猊下!」

 

酔いから醒めたエカテリーナが頭を抱えながら来た。

 

シン「だ・・・大丈夫ですか?エカテリーナさん。」

 

エカテリーナ「う〜・・・私、昨日呑み始めた後の記憶がないんだけど・・・何か変な事しなかったかしら?」

 

シン「・・・い、いや。別に何も・・・」

 

エカテリーナ「そう・・・良かった。あー頭痛い・・・」

 

タクト(流石にあんな子供みたいな酔い潰れは言えないよなぁ〜・・・)

 

エカテリーナ「記憶が無くなるまで呑むなんて・・・端ない所を見せちゃったわ。早く国に帰らないと。」

 

シン「え!?もう帰るんですか!?」

 

エカテリーナ「夕食後に戻るって言ってあるから、朝私が居ないと騒ぎになり兼ねないわ。」

 

タクト「そりゃあ猊下だもんな。」

 

メリダ「お!ちゃんと起きてるね小娘。」

 

マーリン「さあ戻るぞい。」

 

エカテリーナ「フフ・・・シン君・・・それに皆も。次に会うのは研婚式の時かしらね?それまで元気でね。」

 

シン「・・・はい・エカテリーナさんも・・・どうかお元気で。」

 

エカテリーナ「それじゃあ・・・また。」

 

色々とまだ彼らの知らない秘密を抱えているのであろう教皇猊下エカテリーナは、眩い朝の光の中、笑顔のままゲート魔法の向こうへと去って行った。

 

シン「・・・・」

 

シシリー「どうかしましたか?シン君。」

 

シン「・・・いや、何でも・・・ない。(何だこれ・・・不安・・・?)」

 

心の中で不安を抱えていた。彼らとエカテリーナの再会は結婚式などではなく、その時には想像もし得ない形になるのだが、それはまだもう少しだけ先の話。

 

 

 

 

 

 

タクト達5人の誕生会は無事に終了し、しばしの間それぞれが元の日常に戻って行った。

 

 

 

ある日のアールスハイド王城。

 

召使い「アウグスト殿下。陛下がお呼びで御座います。」

 

アウグスト「そうか。分かった。」

 

 

 

 

ルーパー「最近、よく陛下のお呼びが掛かるな。」

 

ドミニク「少し前から積極的に国政に参加されるようになったからな。誰とは言わんが・・・御友人が騒動を起こす度にその尻拭い・・・いや、事後処理をされてきた事も影響しているだろう。」

 

ルーパー「世界を揺るがす騒動ばかりだから自然とそうなるわな・・・ま、誰のせいとは言わねェが。」

 

明らかにシンだと確信している。

 

ドミニク「加えて自らはアルティメット・マジシャンズの一員。実質世界トップレベルの実力を持つ魔法使いだ。正式に王太子となった今・・・特に軍事に関してアウグスト殿下の発言力はかなり大きい。」

 

ルーパー「殿下を取り巻く国のお偉方もその発言力に肖っておきたいって所か。」

 

ドミニク「・・・言いようによってはまぁ・・・そうだな。」

 

 

 

 

トール「魔人領攻略作戦についての話ですかね。」

 

アウグスト「「まあそうだろうな。一刻も早く終息宣言を出せるようにしなければな。それが終わるまではシンやタクトやアズマや私達の結婚式所じゃないしな。」

 

トール「・・・つかぬ事をお伺いしますが・・・それは、はやり殿下も早くエリー殿と結婚したいと言う意味ですか?」

 

アウグスト「・・・」

 

トール「それとも・・・シン殿の為に?」

 

アウグスト「・・・まあ確かにそう言った理由もあるが・・・」

 

ユリウス「おや?では他に何か早く結婚式を執り行いたい理由が?」

 

アウグスト「・・・私とシンとタクトとアズマの結婚式はエカテリーナ教皇猊下が執り行う。それはつまり、世界を救った英雄の結婚式を世界一親愛を寄せられている者が執り行うと言う事。それはどんな光景だろうな。」

 

 

 

 

シンとシシリー、アウグストとエリザベート、タクトとマナミア、アズマとマリアの結婚式を想像する。

 

 

 

 

トール「平和な・・・幸せな光景ですね。」

 

ユリウス「魔人騒動に心底疲弊している民衆にとっては、これ程喜ばしい事はないで御座るな。」

 

アウグスト「そう言う事だ。全ての事態が終息し、世界に平和が訪れた事を示すのに、私達の結婚式ほど()()()()()はない。」

 

トール(自らの結婚式すらも民衆を安心させる為の手段・・・ですか。)

 

ユリウス(自身の幸せを後回しにする姿勢が、あの歳でもう板に付いて来てるで御座る。これではこの先あまりにも・・・)

 

トール(やはりここは・・・)

 

コソコソと話し合って、ある事を閃いた。

 

トール「な〜るほど!殿下は御自身の結婚式を()()()()()にするおつもりなんですね!エリー殿が聞いたら何と仰るでしょうね!」

 

アウグスト「!?」

 

そう言われたアウグストは、トールの胸倉を掴む。

 

アウグスト「おい・・・エリーには言うなよ?教皇猊下に結婚式を執り行って頂けると言う事ですごく幸せそうなのだ。その幸せに水を差すんじゃない!」

 

トール「そうでしょうね。シシリー殿とドレスを選んでおられた時も心底楽しそうにしてましたからね。」

 

胸倉を掴まれたトールは笑顔で会話を続けた。

 

トール「エリー殿は本当に幸せそうです。それに引き換え、新郎である殿下と言ったら・・・」

 

ユリウス「結婚式を政治の道具としか見えてないで御座る。」

 

アウグスト「おいちょっと待て。別に私は・・・」

 

トール「殿下。殿下自身はエリー殿との御結婚の事、どうお考えなのですか?」

 

アウグスト「・・・」

 

今までのエリザベートとの触れ合いを思い返す。

 

アウグスト「望んでいるに決まっている。エリーを幸せにする事は私の使命だ。」

 

トール「・・・そう仰るのなら、まずは殿下もエリー殿との婚礼を喜び楽しみにしてあげて下さい。民衆を想う前にです。そうでなければ、エリー殿だけではなく・・・殿下も可哀想です。」

 

アウグスト「・・・私も?」

 

トール「お立場もありましょうが・・・殿下は御自身を蔑ろにし過ぎです。御結婚は殿下自身も幸せになるべきものですから。」

 

ユリウス「もっと自分の事を第一に考えても良いで御座る。」

 

アウグスト(私を慮っての事とは言え・・・ここまで遠慮なく意見するようになったのは、やはりシンの影響か・・・全く、変われば変わるものだ。)

 

 

 

 

 

 

幼少期。

 

トール『トール=フォン=フレーゲルです。ほんじつより、でんかのごえいをつとめさせていただきます。』

 

ユリウス『おなじく、ユリウス=フォン=リッテンハイムでごじゃる。』

 

召使い『間違えるなよ?飽く迄お前達の役目は、最も身近で、その身を持って殿下をお守りする盾なのだからな。』

 

トールとユリウスがアウグストの護衛として王城に連れて来られた。

 

 

 

 

少年期。

 

アウグスト『おい、退屈だ。何か遊びに付き合え。』

 

トール『それは出来ません・・・我々は護衛ですから。』

 

 

 

 

アウグスト『なあ・・・今日の授業の魔力制御の件で意見を聞きたいんだが・・・』

 

トール『お待ち下さい。すぐに魔法師団の者を呼んで参りますので、そちらにご相談を。我々は護衛ですから。』

 

 

 

 

 

 

そして今に至る。

 

アウグスト(シンとタクトと出会うまでは、対等な会話などろくにした事がなかったと言うのに・・・)

 

昔を思い返したアウグストが、優しく微笑んだ。

 

アウグスト「お前達の心遣いには感謝する。我々の結婚式にそう言った意味合いが含まれる事は変わらんが、その式自体は私も楽しみに待つとしよう。」

 

トール・ユリウス「ほっ・・・」

 

ほっと撫で下ろしたトールとユリウスを見て、アウグストがある提案を思い付いた。

 

アウグスト「よし!それならお前達の結婚式も盛大にやると言うのはどうだ?私ばかり楽しんでは悪いからな。」

 

トール・ユリウス「へ?」

 

アウグスト「お前達の時は式の後、王都中をパレードで練り歩く事にしよう。」

 

トール「え?ちょ・・・」

 

アウグスト「そうだな。オープンの馬車で・・・触れを出して沿道には人を集めようじゃないか!」

 

トール「で・・・殿下ぁ!!それはちょ・・・お許しを!!」

 

ユリウス「恥ずかしくて死んでしまうで御座る!!」

 

アウグスト「ははは。遠慮するな。感謝の気持ちだ。」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、クリスティ邸・廊下。

 

タクト「フェオン達はプチ旅行を行ったか。さてと、今日は暇だし散歩でもするかな。」

 

エスタ「タクト様。」

 

タクト「エスタ。」

 

前からエスタが歩いて来た。

 

エスタ「タクト様。」

 

タクト「ん?どうした?」

 

エスタ「タクト様にお手紙が来ています。」

 

1通の手紙をタクトに渡した。

 

タクト「手紙?差出人は・・・ザルム=フォン=レストレッド?王家の文官が何故?」

 

封筒を開けて手紙を読む。

 

タクト「っ!?・・・!!」

 

手紙の内容を読んだタクトが持っている手紙を強く握り締めて怒った。

 

エスタ「タクト様?」

 

タクト「エスタ。ヨナとクララベルは?」

 

エスタ「リビングの清掃をしております。」

 

タクト「分かった。」

 

すぐにリビングへ向かった。

 

 

 

 

リビング。

 

タクト「ヨナ。クララベル。」

 

ヨナ「あ、タクト様。」

 

タクト「仕事中にすまない。話がある。」

 

クララベル「話ですか?」

 

タクト「この手紙を見ろ。」

 

送られた手紙の内容を見せた。

 

ヨナ・クララベル「っ!?」

 

手紙の内容を見たヨナとクララベルが怯え始めた。

 

タクト「この事は俺に任せて貰うが、君達の力も少し借りたい。大丈夫か?」

 

ヨナ「・・・はい。」

 

クララベル「・・・分かりました。」

 

タクト「よし。じゃあ後で。」

 

 

 

 

 

 

魔物ハンター協会では。

 

マリア「えーと・・・今日はどの素材が高いのかな・・・っと。」

 

アズマ「マリア、どれにするんだ?」

 

ミランダ「・・・・」

 

ケイティ「どれも安い物ばかりだねぇ。」

 

学院帰りにマリアがアズマとミランダと一緒に魔物ハンター協会に来ていた。そしてケイティはたまたまここで会って一緒に行動してる。

 

ミランダ「マリア・・・アンタ貴族じゃなかったっけ?」

 

マリア「貴族よ。一応。」

 

ミランダ「・・・なら何で毎日のようにこんな所通ってんの?学院帰りに・・・しかもアズマさんも連れて。」

 

マリア「そりゃ、お小遣い稼ぎとか・・・後、普段のストレス解消とか・・・それにアズマは私の婚約者だし。」

 

アズマ「婚約者なら、どんな時でもコミュニケーションを高めないといけないしな。」

 

ミランダ「稼ぎ方とか解消の仕方が、最早貴族のそれじゃないんだけど・・・」

 

ケイティ「一般的なハンターの考え方だね。」

 

マリア「う、五月蝿いなぁ!元はと言えばミランダ!アンタの頼みで魔物狩り始めたんでしょーが!」

 

ミランダ「・・・ま、私はお陰様で。こうして実戦を積めてるからありがたいだけなんだけど。」

 

マリア「・・・って言うか、何をそんなにストレス溜める事があんのよ?」

 

ミランダ「いや・・・私の周りカップルとか婚約者居たりとか、そんなのばっかで・・・」

 

マリア「そんなのまだ良いじゃない!!」

 

ミランダ「私なんて周りの男から女扱いされてないんだよ!?マナミア様だけ女扱いされてるのに!!ホンットあの馬鹿共と来たら!!口にするのは女の話ばっかの癖に私みたいな筋肉質な女は女として認識してないし・・・!!子供みたいな遊びで馬鹿騒ぎしてばっかだし・・・!!本当少しはウォルフォード君を見習って欲しいよ!!」

 

マリア「お?何?ミランダ、シンに惚れちゃった?」

 

ミランダ「あんなに堂々と彼女とイチャイチャしてる人に惚れる程節操なしじゃないよ。純粋にそう思っただけ。」

 

マリア「あ、そう。何だつまんない。」

 

ケイティ「まぁまぁ何でも良いじゃん。ミランダも彼氏さんを作れば良いだけの話!」

 

ミランダ「ケイティだって彼氏居ないじゃん。」

 

ケイティ「それも作れば良いだけの話!」

 

アズマ「本当ポジティブだな。そう言えば聞くまでもないんだけど、ジェレミーとローランドは?」

 

ケイティ「毎日のように魔物の肉を食しに行ってる。」

 

マリア「何時もの事か。」

 

依頼の受付を済ませた。

 

 

 

 

 

 

依頼書の場所へ馬車で移動。

 

マリア「そう言えば、剣聖様に稽古を付けて貰えるようになったんでしょ?どんな感じ?」

 

ミランダ「そりゃ、もう最高だよ!!学院での剣術指導が子供のお遊びに思える程の厳しさでさ!!毎日ボロボロになるまで叩きのめされるんだよ!!」

 

マリア「!?」

 

ミランダ「学院が休みの日は朝から晩まで!!普段温和そうな剣聖様が丸で鬼のような形相でさ!!最高でしょ!?」

 

マリア「へー・・・え?それ最高なの?」

 

アズマ「変わってるな・・・ミランダ・・・」

 

 

 

 

依頼書の場所に到着。

 

ミランダ「ああ、早く修行の成果を試してみたい!」

 

マリア(この子、ちょっとドMなんだな・・・)

 

ケイティ「さてさて、お目当ては何処かなぁ〜?」

 

アズマ「たまには魔物を狩るのも良い鍛錬になるな。ミランダ、地図を。」

 

ミランダ「えぇ。地図で狩り場を確認して・・・」

 

4人が地図で狩り場を確認していると。

 

???「何だぁ?王都の協会はこんな子供までハンターやってんのかぁ!?」

 

4人「?」

 

そこに現れたのは、3人の柄の悪そうな魔物ハンターだった。

 

アズマ(ハンターか?)

 

ケイティ(如何にも柄の悪そうな連中だねぇ。)

 

ハンターA「狩り場が被って残念だったなぁ。ここら一帯は俺等が独占して狩らせて貰うぜ。ガキ共はさっさと帰った帰った。」

 

アズマ「一応聞くが、討伐区域と魔物ランク確認した上での討伐か?」

 

ハンターA「あぁ!?舐めてんのか!当たり前だろ!これ見ろやぁ!!」

 

小さいネズミの魔物の死骸が詰まれた袋を見せた。

 

ハンターA「ここら一帯で異常繁殖した魔物()()()共だぜ!!たった半日でこの討伐数!!凄えだろ!!」

 

ハンターB「誰だ!俺等に『ハンターは止めとけ』って言った野郎はよォ!!」

 

アズマ(・・・おいケイティ、此奴等ひょっとして。)

 

ケイティ(うん。ただの雑魚ハンターだね。丸でフレーゲルの街の流れ者みたいに。)

 

ハンターB「お嬢ちゃん達はとっとと家に帰っておベンキョーでもしてな!女の癖に男と一緒にこんな危険区域に遊びに来るんじゃねぇよ!」

 

ハンターA「こんな場所に踏み入って帰れる女が居るとしたら・・・そう!まさに()()()しかいねぇ!」

 

ハンターB「へへ・・・好きだねェ。お前も。」

 

ハンターA「世の凡ゆる戦う男達にとっての女神!!戦乙女!!マリア=フォン=メッシーナ様だあぁ!!」

 

マリア・ミランダ「!?」

 

アズマ(その本人ならここだが・・・)

 

ハンターB「メッシーナ様・・・顔は知らねぇが、確かに。俺達・・・ハンターにとっても憧れの存在だぜ。」

 

ハンターA「馬鹿野郎テメェ!マリア様ファン歴は俺の方が長ぇんだからな!!」

 

ケイティ(あ、ただのアホな流れ者だ。)

 

ハンターC「いや待てお前達!もう1人大事な存在を忘れてるぞ。先の魔人領攻略作戦に於いて・・・学生の身ながらもその実力で、八面六臂の活躍を見せたと言う陰の勇者・・・!!超災害級ハンター!ミランダ=ウォーレス様をな!!」

 

ハンターA「うぉお!お前も渋い所突くねぇ!!」

 

マリア・ミランダ「!?」

 

ケイティ(あはは・・・馬鹿過ぎてお腹痛い。)

 

ハンターA「さぁ!分かったらガキ共は消えな!!ネズミ狩りの邪魔邪魔!!」

 

3人のハンター達はその場を後にした。

 

アズマ「完全に誤解を招いたな。あの連中。」

 

ミランダ「どうしようマリア・・・アズマ・・・ケイティ・・・腹立たしいような・・・恥かしいような・・・」

 

マリア「うーん・・・その前にさ、彼奴等、絶対討伐依頼書をちゃんと確認してないよね。」

 

アズマ「だな。依頼内容は()()の討伐だしな。」

 

ケイティ「ちょっと身の程を弁えさせなくちゃね。」

 

 

 

 

4人は3人のハンターの後を付いて行く。

 

マリア「あのー。」

 

ハンターA「あ!?何だ、まだ居たのか!?」

 

マリア「・・・と言うかですね、この区域の依頼は大発生したネズミの討伐じゃなくて、そのネズミを狙って人里まで下りて来るようになった・・・魔物化した大型の山猫の討伐なんだけど。」

 

ハンター達の真後ろに大型山猫の魔物が現れた。

 

ケイティ「ホラ後ろ。」

 

ハンター達「・・・は?」

 

大型山猫の魔物がハンター達を襲い始めた。

 

ハンター達「ぎゃあああ!!!」

 

ハンターB「ヒィィ!!何だこのバケモンはぁ!!」

 

ケイティ「ああもう言わんこっちゃない。やる?」

 

マリア「えぇ。」

 

最初にマリアが魔力弾を放ち、大型山猫の魔物の胴体に直撃させた。

 

ケイティ「よいしょー!!」

 

2本のナイフを投げて、大型山猫の両目を潰した。

 

アズマ「ミランダ!」

 

ミランダ「えぇ!」

 

その隙にアズマが剣を握って大型山猫の魔物の足を切断し、ミランダが剣を振り上げて大型山猫の魔物の胴体を斬り裂いた。圧倒的な戦い方に、ハンター達が狼狽えた。

 

マリア「ヒューッ!アンタもやるようになったわねぇ。ミランダ。」

 

ミランダ「んー、まだまだ。取り敢えずの目標は1人で災害級を討伐する事かな。」

 

マリア「アズマ。アンタも良い戦法だったわよ。」

 

アズマ「良い鍛錬にもなったしな。」

 

マリア「ケイティは、まぁ何時も通りかな?」

 

ケイティ「ちょっとぉー!それって褒めてなくない?むぅ。」

 

マリア・アズマ・ミランダ「あははは。」

 

マリア「そーだ忘れてた!アンタにシンから預かってた物があったんだ。」

 

異空間収納からある物を出した。

 

マリア「シンのバイブレーションソード。柄はミランダの剣と共通で使えるから、刃の部分だけね。」

 

ミランダ「・・・・」

 

マリア「ん?どした?使うの気が引けて来た?」

 

ミランダ「・・・」

 

 

 

 

シン『もし、この先魔人と戦って行く意志があるなら、新しく一振り用意するよ。』

 

クリスティーナ『今後もその剣に依存せず、修行を怠らない事が第一ですけどね。』

 

 

 

 

ミランダ「・・・まさか!!」

 

快く受け取った。その一方でハンター達がぽかんとしている。

 

ハンターA「ア・・・アンタ等一体・・・」

 

マリア「あれ?まだ居たの?」

 

ケイティ「ねぇねぇ。早い所ネズミを持って帰った方が身の為だよ。」

 

ハンターA「・・・はい?」

 

アズマ「さっきの山猫の魔物がまた現れたんでな。」

 

先程と同じ山猫の魔物が複数現れた。

 

ハンターA「ヒャアア!!」

 

マリア「戦乙女様と超災害級ハンター殿に宜しく言っといてね♡」

 

ケイティ「さぁ!お楽しみの時間だよ!」

 

 

 

 

 

 

一方別の場所では、ジェレミーとローランドが何時も通り魔物の肉を頬張っていた。

 

ジェレミー「今回も悪くないな。」

 

ローランド「ジェレミー様、依頼内容に書かれていた素材は回収しましたか?」

 

ジェレミー「勿論だ。最初に依頼内容の素材を回収からの余った肉を喰う。最高の作法だ。」

 

ローランド「そう言えば、ジネヴラ以外にも逸れた魔物達が心配ですね・・・」

 

ジェレミー「あぁ。亡くなった奴も居たが、生き残ってる奴らが無事なら幸いなんだが・・・」

 

”ガサガサ”

 

ジェレミー「ん?」

 

ローランド「茂みから何かが来ます。」

 

ジェレミー「ローランド、警戒しろ。」

 

茂みから現れた影の正体は・・・

 

ジェレミー・ローランド「お、お前は!!」

 

 

 

 

 

 

石窯亭では。

 

常連客A「オリビアちゃん!注文良いかい?」

 

常連客B「オリビアちゃーん!こっちも〜!」

 

オリビア「はーい!少々お待ち下さぁーい!」

 

今日も石窯亭は常連客で大賑わい。看板娘のオリビアも大忙し。

 

 

 

 

オリビアの父「また増えたなぁ・・・お客。」

 

オリビアの母「・・・って言うか、『オリビア目当て』のお客ね。」

 

オリビアの父「・・・まあ無理もないわなぁ。世間じゃアルティメット・マジシャンズは憧れの英雄様だ。」

 

オリビアの母「その中でもあの子は唯一所在が知られちゃってるものね・・・『会いに行ける英雄』とかって勝手に噂が広まっちゃってるみたいよ。騒ぎが収まるまで見せには出なくて良いって言ったんだけど、自分が出る事で店の売上が伸びるならって、可能な時間はちゃんと顔出してくれるのよ。」

 

オリビアの父「健気だねぇ・・・我が娘ながら。さっ!それに応えるべく俺もせっせと働きますかね!」

 

オリビアの母「そうして頂戴な。」

 

 

 

 

だがこの店でトラブルが発生した。

 

女給「いらっしゃいませ。ご注文は・・・」

 

男「おい!!俺はオリビアを呼んだんだよ!!わざわざ噂のオリビアを見に足を運んでやったってのに!!他はお呼びじゃねえんだよ!!」

 

1人の男の客が大声で怒鳴り始めた。

 

女給「その・・・オリビアさんは別の接客中ですので・・・どうかご理解を・・・」

 

男「何でだよ!さっきはすぐそこで接客してただろうが!!この店は客を差別するのか!?良いからオリビアを呼べ!!」

 

騒ぎを聞いたオリビアの母が来た。

 

オリビアの母「失礼します。何か此方に不手際でも御座いましたか?」

 

男「不手際も不手際だ!何で俺の接客がオリビアじゃなくてこ此奴なんだよ!!」

 

 

 

 

すると石窯亭に2人の男が来店した。

 

 

 

 

オリビアの母「何でと仰られましても・・・彼女は当店のスタッフです。接客するのは当然なのですが・・・」

 

男「だから俺は!!オリビアを見に来たって言ってんだろうが!!」

 

オリビアの母「はあ・・・可笑しな事を仰いますね・・・」

 

男「は!?」

 

オリビアの母「ここは飲食店で御座います。指名制度など聞いた事がありませんが・・・お客様、どちらかのお店とお間違えでは?」

 

それを聞いた客達は男にくすくすと笑った。

 

男「な・・・な・・・」

 

笑われた男の怒りが頂点に達した。

 

男「何だその口の利き方は!!俺はこの国の官僚だぞ!!多忙な中わざわざ来てやったんだ!!分かったらさっさとオリビアを・・・」

 

オリビア「・・・お母さん、もういいよ。」

 

オリビアの母「あらオリビア。」

 

オリビア「その人お客様じゃないよ。営業妨害で出て行って貰おう。」

 

男「な・・・な・・・な・・・貴様!!()()()()()の分際で何て口を!!この俺に恥をかかす気か!!」

 

常連客C「なあ・・・あのオッサンひょっとして・・・」

 

常連客D「うん・・・そうだよきっと・・・」

 

男「こんな店!俺の権力で潰してやるからな!!」

 

???「お前の権力で店を潰すだと?聞き捨てならねぇな。」

 

男「あ!?」

 

突然2人の男達に絡まれ、金髪の男に胸倉を掴まれた。

 

カルマ「アンタみたいな木っ端微塵な人生しか送ってない奴がこの店を潰せると思ったら大間違いだぞ!!」

 

ルブラ「さっきから聞いていたらオリビアオリビアって、他人の娘を馴れ馴れしく呼び捨てで呼ぶんじゃねえぞ!!」

 

この2人の正体は、カルマとルブラだった。

 

オリビア「カルマさん・・・ルブラさん・・・」

 

男「な・・・何だ貴様ら!!この国の不埒者か!?だったら俺の権力で先にお前達を追放してやる!!」

 

カルマ「やってみろよ。今すぐ。」

 

男「・・・い・・・今は無理だ!!」

 

カルマ「良いから今すぐやれって言ってんだろうが!!」

 

男「・・・!!」

 

ルブラ「・・・なぁアンタ、身分証持ってるか?」

 

男「身分証・・・!?」

 

ルブラ「まさか、持ってないって言うんじゃねえだろうな?」

 

男「も・・・持って来るのを忘れたんだよ!!」

 

カルマ「忘れた?おいおい、自分の身分証を肌身離さず持つって、お袋さんから教わらなかったのか?」

 

男「な・・・何なんださっきから!!お前達は何者なんだ!!」

 

カルマ「こう言う者だけど?」

 

2人は自分の市民証を見せた。

 

男「魔物ハンターだと?」

 

ルブラ「こう見えて結構討伐数が3桁超えてるんでね。」

 

男「それがどうしたんだ?それが何になるんだ?」

 

カルマ「おまけに、お前の持ってる常識じゃあ気に入った女が接客するのが当然みたいと思ってるけどよ、もしやお前、その店の常連だったりするのか?生憎だがここは子供から大人まで楽しめる人気の飲食店なんだよ。そうだよな皆!」

 

常連客A「そうだそうだ!!」

 

常連客B「店に迷惑掛けんな!エセ官僚!!」

 

ルブラ「しかも、この店を潰すって言ったか?お前知らねえのか?この石窯亭の看板娘が彼女、アルティメット・マジシャンズの一員のオリビア=ストーンなんだよ。」

 

男「・・・ア・・・アルッ・・・!?」

 

カルマ「その部隊にどんなメンバーが居るのか知ってるよな?」

 

男「は・・・う・・・」

 

カルマ「至高の王族、希代の英雄、超古代の戦士、2つ名を冠する数々の魔法師団達だよ!」

 

常連客C「やっぱ知らずにこの店に来たのか。あのオッサン。」

 

常連客D「美人の店員が居るって程度の噂で来ただけなんだろ?道理で『たかが給仕』なんて言える訳だ。」

 

全てを理解した男が腰を抜かした。

 

男「あ・・・いや・・・あわ・・・」

 

カルマ「そんな繋がりがあるこの店を一役人のお前が潰すだと?やれるもんならやってみろよ。今すぐに。」

 

男「・・・こ・・・この事はどうか内密に・・・」

 

ルブラ「おやぁ?俺達は言い触らす事なんてしないよ?」

 

カルマ「最も、人の口には戸が立てられないけどなぁ。」

 

客達が男を睨み付けている。

 

男「し・・・失礼致しました〜〜〜〜〜!!!」

 

怖気付いた男が一目散に逃げ出した。

 

カルマ「二度と来んな。・・・ふぅ。すまないなオリビア。騒がしくしちまって。」

 

オリビア「いえ、お陰で助かりました。」

 

ルブラ「お袋さんもすみませんでした。」

 

オリビアの母「いえいえ。」

 

カルマ「皆も迷惑を掛けたな。申し訳ありませんでした。」

 

常連客A「いやいや!格好良かったぜ!」

 

常連客B「お陰でスッキリしたぜ!ありがとう!」

 

客達がカルマとルブラに拍手喝采を巻き起こした。

 

オリビアの母「あら、席が1つ空いてるわね。オリビア、お2人方を御案内して頂戴。」

 

オリビア「・・・!うん!」

 

カルマ「あ、オリビア。石窯グラタン頼む。」

 

ルブラ「俺石窯ハンバーグ!」

 

オリビア「畏まりました!」

 

 

 

 

 

 

店の外では、多くの人が店の前に立ってガヤガヤしていた。

 

マーク(流行ってんなぁ。相変わらず・・・)

 

中で何が起こったかは知らないマークであった。

 

 

 

 

 

 

その頃、王城に赴いたタクトを出迎えてくれたのは、レストレッド家のザルム文官と、その護衛達。

 

ザルム「初めまして!タクト=クリスティ殿!会えて嬉しいよ!」

 

タクト「此方こそ、会えて光栄だ。」

 

テンションの高いザルムに対し、タクトは不機嫌。

 

 

 

 

応接間。

 

ザルム「さぁ、座ってくれ。」

 

タクト「あぁ、失礼する。」

 

ソファーに座り、メイドが紅茶を淹れた。

 

タクト「・・・それで、俺に何のご用件だ?」

 

ザルム「先程君に手紙を送った通り、我がレストレッド家の元メイドであるヨナ君とクララベル君を雇い直そうとしていてな。」

 

タクト「あぁ、あの姉妹ね。」

 

ザルム「私は過去にあの2人をイジメてしまった・・・私はその事をずっと後悔している・・・だから私は心を入れ替えて、あの2人にきちんと謝罪の意を示し、待遇の良い仕事を与えたいのだ。」

 

タクト「・・・」

 

それでもタクトの機嫌は不機嫌のまま。

 

ザルム「だから、是非お2人に会いたいんだ。」

 

タクト「・・・分かった。おい!」

 

ドアが開き、ヨナとクララベルが入って来た。

 

ザルム「ヨナ!クララベル!」

 

ヨナ「ザ、ザルム様・・・」

 

クララベル「ご健勝で何より・・・」

 

ザルム「そう堅くするんじゃない。その前にまずは、君達にあんな事をしてしまった事を反省する。本当にすまなかった・・・」

 

頭を深く下げて謝罪の意を示した。

 

ヨナ「あ、頭をお上げ下さい・・・」

 

クララベル「もう昔の事は水で洗い流しましたので・・・」

 

ザルム「そうかそうか。それで君達を・・・ん?」

 

突然、ザルムが2人を凝視し始めた。

 

ザルム「・・・お、おい!お前達!」

 

ヨナ・クララベル「・・・!?」

 

タクト「おい。再会して連れて帰るって言っただろ?早く連れて帰れよ。」

 

ザルム「わ、分かってますよ!で、でも・・・お、おいお前達!アレはどうしたんだ!」

 

ヨナ「あれって・・・」

 

クララベル「何の事ですか・・・?」

 

ザルム「惚けるな!アレはどうしたんだ!」

 

タクト「もしや、これが目当てか?」

 

ザルム「っ!?」

 

視線をタクトに向けると、タクトの右手に2つの髪留めがあった。

 

ザルム「っ!」

 

タクト「アンタ、これが目当てなんだろう?」

 

ザルム「な、何故それをあなたが・・・!?」

 

タクト「既に知っていたからな。アンタがこれ目当てだって事が。何せこの髪留めには・・・」

 

 

 

 

 

 

「稀少宝石のレッドベリルとベニトアイトが埋め込まれているからな。」

 

 

 

 

 

 

ザルム「・・・!!」

 

タクト「しかもこの2つの宝石は、ヨナとクララベルの親御さんが託してくれた形見だ。俺は知ってるぞ?アンタは表では誰からも信頼される文官。しかしその裏では、面倒な仕事を後輩達に任せっきりで、その後輩達のやった仕事を自分の成績に書き換えてのし上がった。更にアンタは学歴主義で、初等学院すら行けなかったヨナとクララベルを見下してイジメを繰り返し、レストレッド家から追放する形で2人を追い出した。」

 

ザルム「・・・!!」

 

散々言われてザルムが苛立っている。

 

タクト「そしてアンタは金にがめつい性格で、2人の髪留めに稀少宝石が埋め込まれてる事を知って、手のひら返しと言う狡猾な手段で2人を連れ戻して売り捌こうと企んだ。どうせ売り捌いた後は2人を即捨てるつもりだろ?」

 

ザルム「・・・誰に・・・!誰に聞いたんだ・・・!!」

 

タクト「アンタの後輩から聞いたんだよ。」

 

ザルム「巫山戯やがって・・・!!私の人生を踏み躙りおって!!」

 

タクト「アンタの人生に同情する気なんて1ミリもねえよ。それにな、俺はそう言う手のひら返しをする奴が1番気に食わないんだ。と言う訳だから、金輪際俺達に関わるんじゃねえぞ。」

 

ザルム「くそっ!!その髪留めを寄越せ!!」

 

髪留めを盗もうとタクトに向かって走り出した。しかし。

 

タクト「ほいっ!!」

 

持ってる髪留めをザルムの後ろに投げた。

 

ザルム「なっ!!」

 

投げられた髪留めが、ドアを開けた人物の手元に渡った。

 

ザルム「それを寄越せーーー・・・・っ!?」

 

髪留めが乗ってる手の持ち主は・・・

 

 

 

 

 

 

ディセウムだった。

 

 

 

 

 

 

ザルム「へ・・・陛下・・・!?」

 

アウグスト「レストレッド。騒がしいぞ。」

 

更にアウグストがディセウムの後ろから顔を出した。

 

ザルム「殿下まで・・・!?」

 

ディセウム「ザルム。お前はとんでもない事をしたようだな。」

 

ザルム「へ、陛下・・・違います!これはあの男にハメられた状況ですよ!!全部あの男が悪いんです!!」

 

アウグスト「私の親友に濡れ衣を着せる気か?」

 

ザルム「し・・・親友・・・?」

 

ディセウム「お前、彼が誰かは知らないようだな。彼は我が国の英雄、アルティメット・マジシャンズの一員で、超古代の戦士・ティガの力を受け継いだタクト=クリスティ君だ。」

 

ザルム「ア・・・アルティメット・マジシャンズ・・・!?しかも超古代の戦士・・・!?この男が・・・!?ど、どうせハッタリだ!!ハッタリに決まってる!!私は信じないぞ!!そうだ!!陛下と殿下もこの男に嘘吐かれてるんですよ!!そうですよね!?ねぇ!!」

 

それでもザルムは事実を認めず主張し続ける。

 

タクト「ああもう見苦しくて見てらんねえ・・・そうだ、髪留めの代わりに渡すモンがある。」

 

内ポケットから数枚の写真を出した。

 

ザルム「な・・・何だこれは・・・!?」

 

タクト「アンタの不正を記した証拠写真だ。一昨日に部下達に話を聞いて、裏でやってる事をグレアに頼んで写真を撮って貰った。これで言い逃れは出来ると思ってるのか?」

 

ザルム「そ・・・そんな・・・馬鹿な・・・」

 

証拠を突き付けられたザルムが膝を崩した。

 

タクト「陛下、オーグ、色々頼んで悪かったな。忙しい時に。」

 

アウグスト「気にするな。実は私達も彼の不正に薄々気付いていたからな。」

 

タクト「彼は今後どうするんだ?」

 

ディセウム「ザルムの父を通して処分を検討する。タクト君、あの子達を頼んだよ。」

 

タクト「勿論だ。ヨナ、クララベル、帰るぞ。」

 

ヨナ・クララベル「は、はい!」

 

 

 

 

 

 

王城の外に出た3人。

 

ヨナ「あ、あの・・・」

 

タクト「ん?」

 

ヨナ「どうして、私達の為にここまでしてくれるんですか?」

 

クララベル「私達は生まれた時から身寄りも居ないのに・・・」

 

タクト「俺は、君達を失いたくないんだ。」

 

ヨナ「え・・・?」

 

タクト「実は陛下から君達を紹介されて雇った後に、陛下に君達について聞いたんだ。」

 

 

 

 

以前。

 

ディセウム『あの子達はザルムから散々なイジメを受けてしまってな。彼の父の計らいで城のメイドとして雇われたんだ。それからタクト君が自分の屋敷を建築すると言った後に、あの子達を君のメイドとして紹介しようとしたんだ。』

 

タクト『成る程なぁ。』

 

ディセウム『特にクララベル君はイジメを受けて心を閉ざしてしまっていてね・・・』

 

タクト『分かった。俺がクリスティ邸の当主としてあの子達の励みになってやる。彼女達の笑顔を取り戻してやるさ。』

 

 

 

 

現在。

 

タクト「だから、俺が君達の励みとして支え続けてやる。それにクララベル、君はイジメを受けて心を閉ざしてるだろ?少しずつ表情を取り戻そうな?」

 

クララベル「タクト様・・・」

 

タクト「そうだ、これ返さないとな。」

 

形見の髪留めを2人に返し、2人の頭を優しく撫でた。

 

タクト「その髪留め、死ぬまで手放すんじゃないぞ?もし君達が逝去してしまったら、一緒に埋葬してあげるから安心しろ。」

 

ヨナ・クララベル「・・・はい!」

 

タクト「さて、これで一悶着した所で・・・何か欲しい。」

 

ヨナ「え、ええ?」

 

タクト「何かザルムの顔を思い出すだけでムカムカするからなぁ・・・そうだ!癒しだ!癒しが欲しい!」

 

クララベル「・・・タクト様って、普段からそのお調子なのですか?」

 

タクト「まあね。癒しと言うなら・・・ペットショップへゴー!」

 

ヨナ「あ!お待ち下さい!」

 

ペットショップへ走るタクトをヨナとクララベルが追い掛ける。

 

 

 

 

 

 

同じ頃、カフェでは。

 

リリア「はふぅ・・・」

 

最近恋人同士になったトニーとリリアが居た。

 

トニー「どうしたのさリリア。そんなに大きな溜め息付いて。」

 

リリア「どうしたも何も・・・トニー君はよくそんなに平然として居られるね?」

 

 

 

 

以前の事。ジャクソン家。

 

リリアの父『か・・・彼氏を連れて来た!?そ・・・そんなものを認めた覚えはないぞ私は!大体・・・恋愛なんぞに現を抜かしてる時ではあるまい!経法学院での学業もまだまだこれから・・・』

 

リリア『高等魔法学院Sクラス在籍で、アルティメット・マジシャンズの一員の・・・トニー=フレイド君。因みに軍の方ではその活躍振りから”魔剣士”なる二つ名も頂戴しているそうです。』

 

彼氏となるトニーを家に連れて来たリリア。両親は驚愕した。

 

リリアの父『Sクラ・・・アルッ・・・!?ふ・・・二つ名・・・な・・・』

 

リリアの母『あらあらあらあら〜。ちょっと甘〜い感じだけど、すっごくイケメンじゃないのリリア♪他の娘に取られる前に早いトコ結婚しちゃいなさいよ〜♪』

 

驚愕する父と、嬉しそうな母。

 

リリアの父『フレイド君と言ったかな・・・?』

 

トニー『あ・・・フレイドです。』

 

リリア(肩書きしか聞いてなかったな、この親父・・・)

 

リリアの父『娘を・・・宜しくお願いする・・・!!』

 

こうして親公認のカップル即成立。

 

 

 

 

そして今に至る。

 

リリア「全く恥ずかしい両親だわ。大体まだ私達学生よ?貴族でもないんだし、結婚なんて早いよ。」

 

トニー「・・・そうだねぇ。僕ももう少し独身で居たいかなl?」

 

リリア「ふーん、独身で居て何するつもり?また女遊びしたりするんじゃないのかしら?後ろにキレーなお姉さん居るわよ。」

 

トニー「ちょ・・・ちょっとリリア!」

 

後ろの席に座ってるサングラスの女性。

 

トニー「今はシン達と遊んだり、魔法の訓練したりが楽しいからさぁ。結婚したら中々そう言う時間も取れなくなっちゃうだろ?」

 

リリア「・・・どうだか?もし浮気なんかしたら・・・その時は絶対離婚なんだから!」

 

トニー「・・・・」

 

リリア「・・・え?」

 

つい口を出したリリアが我に返った。

 

リリア「あ!違・・・!!言い間違えた!!り・・・離婚じゃなくて・・・別れる!!そう!別れてやるんだから・・・べ・・・べべ別にけ、結婚したくてそんな事口にした訳じゃ・・・」

 

我に返ってさっきの言葉を否定するリリアに、トニーが笑った。

 

トニー(浮気なんかしないよ、リリア。僕はもう・・・決めてるから。あの時の君の言葉を聞いてから・・・)

 

 

 

 

 

 

数日前。トニーが高等経法学院前でリリアを待っていた時の事。

 

女子生徒『ねぇ・・・あれ・・・ひょっとしてアルティメット・マジシャンズの・・・?』

 

トニー(折角付き合えたけど、学院が違うから会うのも大変だな・・・もう授業が終わる頃のはずなんだけど。)

 

ところが、何時まで経ってもリリアは来なかった。

 

トニー(・・・捜しに行くか。)

 

心配になったトニーが、学院の敷地内に入ってリリアを捜しに向かった。

 

トニー『あ、居た。』

 

校舎の裏でリリアが同級生と思われる2人の女子生徒と一緒に居た。トニーがリリアを呼びに行こうとしたが。

 

同級生A「意外と現金な女だったのねぇ。アンタ。」

 

彼女は今、2人の同級生に責められていたのだ。

 

同級生B『前は女遊びしてるからって理由でフレイド君を振った癖に。』

 

同級生A『彼が国の英雄になったら、手の平返したように今度は付き合うだなんて。肩書きしか見てないアンタに彼と付き合う資格ないよ!!』

 

同級生B「今からでも頭下げて別れて来たらどうなの!?」

 

実は経法学院では、トニーの素行をよく思わない女子生徒が多く居るらしい。

 

トニー『ちょ・・・!』

 

割り込もうとしたトニーだが、リリアが口を開いた。

 

リリア『あの、彼が英雄だとかアルティメット・マジシャンズだとか、私そんな事全く興味ないんですけど。』

 

トニー『・・・!』

 

リリア『だって、国から指令がある度に戦場の・・・しかも最前線へ行って戦うのよ?この前の魔人領攻略作戦の時だって・・・気が気じゃなかったわ!アルティメット・マジシャンズ!?寧ろ迷惑な位よ!!大体、肩書きがどうこうで関係を選ぶ人間なら、最初から迷わず付き合ってるでしょ?だって彼、中等部でも優秀だったし、高等学院に至ってはSランクよ。』

 

同級生A『はぁ・・・!?だったら何で今になって付き合い出してんのよ!!』

 

リリア『・・・だって彼・・・そんな立場になって・・・それこそ遊び放題なのに・・・他の娘全員捨ててまで・・・私を選んでくれたんだもん・・・それだけ本気で考えてくれてるって事でしょ!彼より私の方がよっぽどちっぽけな人間なのに・・・もう断れる理由なんてないじゃん!!』

 

同級生A『・・・何よそれ・・・結局アンタ、自分の意思で付き合う訳じゃ・・・』

 

リリア『・・・迷惑だとは言ったけど、彼がそこまでの立場になれたのは・・・紛れもなく彼自身の努力の結果。そこはちゃんと認めてる。況してや他の誰も手にした事のない勲章を得ると言う事は、他の誰も成し得た事のない努力をしたって言う事。』

 

 

 

 

『私は彼を・・・心の底から尊敬してる。』

 

 

 

 

トニー『・・・』

 

リリア『それが・・・私が彼を受け入れた理由よ・・・』

 

同級生A『・・・ふ・・・ふん!もういいわよ!行こ!』

 

何も反論出来ない同級生2人が去って行った。トニーは彼女の言葉を全て受け入れた。

 

 

 

 

 

 

そして今に至る。

 

トニー「・・・リリア、ありがとう。」

 

リリア「へ!?何が!?」

 

トニー「・・・いや、何となく。」

 

リリア「?」

 

トニー(感謝してるよ・・・シン。タクト。君達のお陰で今の僕があって、彼女は僕と向き合ってくれた。ありがとう殿下・・・殿下が忠告してくれなかったら、僕は運命の相手と呼べる女性を今も見付けられてなかった。)

 

 

 

 

2人の会話を聞いていた先程の女性の正体は、ユーリだった。

 

ユーリ(良いわねぇ。周りは皆楽しそうで。あ〜〜、私もそろそろ彼氏作ろっかなぁ?)

 

 

 

 

カフェから出たユーリを待っていた人物が居た。

 

???「ユーリさん!」

 

ユーリ「ん?」

 

その人物は、ジュリアンとジネヴラだった。彼はユーリに軽く手を振ってる。

 

ユーリ「あら?あなたはジュリアン君?と、ジネヴラちゃん?」

 

ジネヴラ「奇遇ね。ユーリ。」

 

ジュリアン「こんにちはユーリさん。カフェで何をしていたんですか?」

 

ユーリ「別に?」

 

ジュリアン「あ、もしかしてトニーとリリアさんの仲睦まじい光景に目を惹かれたとか?」

 

ユーリ「っ!?」

 

ジュリアン「僕、こう見えて相手の恋心とか分かるんですよ?」

 

ユーリ「そ、そうなのね・・・」

 

ジュリアン「ねぇ、今から僕とちょっとデートしませんか?」

 

ユーリ「え?」

 

ジュリアン「僕もそろそろ彼女さんが欲しいって頃合いだし、ね?」

 

ユーリ「・・・」

 

彼の眩しい笑顔に、ユーリが見惚れた。

 

ユーリ「・・・そ、そうね。1人で暇だったし。」

 

ジュリアン「じゃあ行こ?僕美味しいお店見付けたんだぁ〜!」

 

ユーリ(この子・・・本当に男の子かしら・・・?)

 

少々笑いながらそう思ったユーリであった。

 

 

 

 

 

 

クリスティ邸。この屋敷に新しい家族が増えた。

 

ヨナ「可愛い〜・・・」

 

それは、1匹の子猫だった。

 

クララベル「本当。可愛い子猫さん。」

 

エスタ「子猫を飼ったのですか?」

 

タクト「俺の家で1つでも癒しが欲しくてな。ペットショップへ行って子猫を飼ったんだ。名前はシュシュ。大切に育ててくれよな?」

 

ヨナ「はい!宜しくお願いします!シュシュさん!」

 

シュシュ「ミャァ〜。」

 

 

 

 

 

 

そして王城付近にある湖の畔にあるコテージの外。

 

リオ「ここも少々寒いねぇ。」

 

ナージャ「この時期になると、この湖に寒波が起こるらしいよ。」

 

デイジー「道理で寒い訳だわ。」

 

ここに残っているのは、リオとデイジーとナージャの3人だけ。

 

リオ「他の皆、楽しく過ごしてるだろうね。」

 

ナージャ「でも私達はここでずっと居るし。」

 

デイジー「まぁ、今日はケイティとジェレミーとローランドがハンター協会へ行く番だし。」

 

近くの茂みから、4つの人影が出て来た。

 

リオ「ん?コレ何?」

 

3人はそれに気付く様子もなく、4人の人影が3人を襲い始めた。

 

リオ「うわ、百足だ。」

 

そう言って、百足を後ろに投げた。百足がその3人の内の1人の人影の顔面に直撃した。

 

人影「ギャアアアアーーーーーーー!!!!!」

 

パニックになって3人の人影にぶつかり、そのまま湖に転落した。

 

リオ「ねぇデイジー、この時期になるとここの湖の温度は?」

 

デイジー「マイナス10度ね。」

 

4人の人影「寒いいいいぃぃぃーーーーーー!!!」

 

極寒の湖に耐え切れずすぐに上がって気絶した。その正体は、ただのチンピラだった。

 

デイジー「さっきからあの男達、何してるのかしら?」

 

ナージャ「さぁ?余興じゃないのかしら?」

 

 

 

 

 

 

シン達の魔法練習場。

 

アリス「可愛いですねぇ。メイ姫様の服。」

 

メイ「えへへ。シンお兄ちゃんに作って貰った特注の魔法服です!」

 

シン特製の魔法服を着てるメイが、アリスとリンと一緒に居た。

 

メイ「可愛いのが良いって言ったら、頑張ってくれたです!」

 

リン「戦場では目立つ事この上ない。」

 

アリス「まあ、メイ姫様は戦場に出ないし・・・でも、良いのかなー?」

 

メイ「?」

 

アリス「一応、世間一般では中等学院に入るまでは攻撃魔法を教えないって方針があるんだけど・・・メイ姫様からのお願いとあっては、私等も断るに断れないしなぁ・・・」

 

メイ「・・・でもシンお兄ちゃんはもっと小さい頃から使ってたです。」

 

アリス「あれは法でも縛られない天然素材だったから・・・」

 

メイ「やっぱりその・・・お2人も忙しいです?」

 

アリス「うんにゃ。ぶっちゃけ暇。授業後の研究会なんだけどね、今はシン君に魔法を教わるんじゃなくて・・・それぞれが覚えた魔法の精度を高めたり、自分の仕事を優先したりで個々で活動する時間が多いんだ。」

 

メイ「へぇ!皆さん何してるです?」

 

アリス「えっとね・・・シン君はビーン工房で新しい魔道具の開発。マークはその助手しながら自分の勉強。タクト君は自分のお屋敷で色々な手入れ。シシリーはアールスハイドの治療院を回って治療のお手伝い。マリアとミランダは魔物狩り。確かアズマも同行しているよ。オリビアは店の手伝い。ユーリはメリダ様の所で魔道具制作。トニーも最近は1人で魔物狩りに行くようになったね。殿下達は王城で政務に励んでるみたいだし・・・てな訳で、特に私等はやる事ないっつーか。」

 

リン「メイ姫様に魔法を教える時間は余る程ある!・・・まあ、後はバレた時殿下に何を言われるか・・・」

 

アリス「メイ姫様、殿下には内密にお願いします。」

 

そう切に願いたい2人だった。

 

アリス(シン君の『過程』をイメージする魔法の説明は・・・)

 

リン(それは流石にマズい。教えたら私達の命はない。)

 

 

 

 

早速魔法を教え込む。

 

アリス「ほいっ!!」

 

魔力弾を発射。

 

メイ「おお!」

 

アリス「まあ、まずは見様見真似で。イメージしながら魔法を使ってみて下さい。」

 

メイ「えと・・・こうです?」

 

両手を前に出して魔力を集めると、デカい火炎玉が出来上がった。

 

メイ「はうあっ!!熱い!!これはとっても熱いです!!」

 

パニックになってアリスとリンに火炎玉を向けた。

 

アリス「メイ姫様近い!もっと遠くで発動するイメージ!!」

 

メイ「こうです!?」

 

遠くで発動するイメージを浮かべると、火炎玉が少し距離を作った。

 

アリス「おお良い!!でも魔法が動いてない!!より遠くへ!その場から発射するイメージ!!」

 

メイ「はわ・・・わ・・・はぁっ!!」

 

火炎玉が遠くへぶっ放された。

 

メイ「おお!やったです!!」

 

それを見たアリスがポカーンとなった。

 

メイ「わーいわーい!!」

 

アリス「・・・あれ?10歳の子が初見の真似事で攻撃魔法成功って・・・一般的にはあり得ない事なんじゃ・・・」

 

リン「ウォルフォード君のせいで、全員感覚が狂ってる。」

 

その後もメイは順調に魔法を習得して行き、日暮れと共にその日は解散となった。

 

 

 

 

 

 

その夜。タクトが王室に呼ばれた。

 

タクト「陛下、俺に伝える事って?まさかザルムの奴がまた何か?」

 

ディセウム「いや、彼の事は心配ない。実はここ最近・・・」

 

”コンコン”

 

ドアのノックが聞こえた。

 

???「陛下、宜しいでしょうか?」

 

ディセウム「おぉ。入りたまえ。」

 

入って来たのは、1人の男性だった。

 

タクト「あ!エド!」

 

エド「やぁタクト君。君も来ていたんだね。」

 

彼の名はエド。本名はエドワード=フィッシャー。実はニルスの弟で、若くして王家の官僚長を務めている。タクトは以前に会った事がある。

 

ディセウム「エド、君が来たと言う事はもしや・・・」

 

エドワード「はい。今日も発生の報告が入りました。」

 

タクト「発生?」

 

ディセウム「ウム。実は君に伝えたいのは、その発生についてだが。」

 

タクト「それって?」

 

ディセウム「実はここ最近、傷害や暴行の事件が多発しておってな・・・」

 

タクト「傷害と暴行・・・」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、ヒューズ家。アリスがお邪魔している。

 

アリス「まあ、基本はあれでイケると思うんだけど、より才能を伸ばそうと思ったら、やっぱり実戦だよねぇ。」

 

リン「でも流石に王族を魔物狩りには連れて行けない。幾ら何でも罰せられる。って言うか殿下に殺される。」

 

アリス「何かこう・・・危険がなくお手軽に実戦を経験出来る事・・・ないかなぁ?」

 

リン「そんな都合の良い事ある?」

 

アリス(うー・・・折角メイ姫様に()()()()()として頼られてるんだ・・・何とか成長させてあげたい・・・)

 

そう考えてると、リンの父で宮廷魔法師を務めているベン=ヒューズが帰宅した。

 

ベン「ただいま・・・おやアリスちゃん。いらっしゃい。」

 

アリス「お帰りなさいおじさん。お邪魔してまーす。」

 

ベン「ゆっくりして行きなさいと言いたい所だけど、帰りはあまり遅くならない方が・・・ってアリスちゃんならゲートも使えるし大丈夫か。」

 

リン「ん?お父さん、何かあった?」

 

ベン「・・・実は最近、王都で傷害とか暴行とかの事件が増えていてね・・・その注意喚起を王都中に公示する事が決まったんだ。」

 

アリス「え?それ本当ですか?」

 

リン「・・・信じられない。アールスハイドは世界の中でも犯罪発生率が低い。」

 

ベン「それと注意喚起の公示の前に、タクト君が王城に招かれてね。」

 

アリス「タクト君が?」

 

ベン「うん。陛下が彼にそれを伝えて、衛士隊の指揮を執るように促したらしいんだ。」

 

リン「アズマ達を?」

 

アリス「確かに衛士隊の指揮の権限はタクト君が持ってるからね。」

 

ベン「まあ、2人には要らぬ心配かも知れないけどね・・・はは。」

 

アリス「でも何でそんな急に治安が・・・」

 

ベン「うーん・・・特別治安が悪くなってる訳じゃないんだけどね・・・犯罪の発生件数が増えてるんだよ。」

 

アリス「ひょっとして、何か大きな犯罪組織が王都に入り込んだとか・・・!?」

 

ベン「いやー、事件の加害者はそう言うのに縁のない一般市民なんだよね・・・」

 

アリス・リン(・・・うーん・・・じゃあ魔人は関係ない・・・か・・・)

 

ベン「・・・ま、兎に角気を付けるようにね。」

 

アリス「はーい!」

 

ベンは自分の部屋へ戻って行った。

 

アリス「魔人の事だけでも大変だってのに・・・何が起きてんだろうね?」

 

リン「さあ?まあそう言うのは考えるべき人が考えれば良い。」

 

アリス「そうだね。私等に出来る事と言ったら・・・」

 

するとアリスが何かを閃いた。

 

アリス「これだよ!!良〜い事思い付いちゃった〜〜〜〜♪」

 

リン「??」

 

 

 

 

 

 

衛士隊舎。

 

アズマ「アールスハイド王都の犯罪件数が増えている?」

 

タクト「そうなんだ。さっき陛下とエドにそう伝えられてな。だから明日からお前達をしばらくの間その犯罪を対処して欲しいんだ。」

 

シイナ「でもアールスハイド王国って、犯罪率が少ない治安の良い国なんでしょ?」

 

ナナセ「急に犯罪が増えたって・・・一体何があったのかしら?」

 

タクト「それを調べるのが俺達だ。まぁ、俺から命令を出す。明日から衛士隊は犯罪を防いで欲しい。もし加害者が抵抗するなら実力行使も構わん。ただし、犠牲者は出すなよ?」

 

アズマ「分かった。」

 

タクト「お、そうだ!お前達にこれを渡さなきゃな。」

 

異空間収納から人数分の紙袋を出した。

 

アズマ「何だそれ?」

 

タクト「フフフ。お前達の新しい防具だ。」

 

 

 

 

 

 

翌日の高等魔法学院。

 

シン「え?メイちゃんと同じ服を作って欲しい?良いけど、あれ戦闘には向かないぜ?何で今更そんなもの・・・」

 

アリス「え?あ、だってアレ超可愛いじゃん!私等だってたまにはああ言うの着てテンション上げたいんだよ!」

 

シン「・・・()()って事は・・・リンの分もか?」

 

アリス「うん!デザインは一緒で・・・色だけ変えて欲しいな。後さぁ・・・」

 

シン「・・・?まだ何かあんのか?」

 

アリス「何かこう・・・他人に私達の()()()()()()()()()ような魔法とか・・・付与出来ない?」

 

シン(・・・ちょっと待て・・・アリスの言葉の意味が理解出来ないのは俺だけか?顔?が分からなくなる???服着てテンション上げて顔隠す・・・?)

 

完全にちんぷんかんぷん。

 

シン「アリス、流石に意味が分からん。きちんと説明してくれ。」

 

アリス「う”・・・!(ま・・・まあシン君になら説明しても・・・多分大丈夫・・・)」

 

彼に分かるように事細かく説明してあげた。

 

シン「・・・成る程・・・そう言う事か。面白い事考えたな。」

 

アリス「・・・!本当!?シン君ならそう言ってくれると思ったよ!」

 

シン「しかし顔か・・・付与するなら『認識阻害』ってトコかな・・・でも見る人の視覚情報に介入して脳を誤認させる・・・のは危なっかしいよなぁ。」

 

アリス「ん??さっぱり何言ってるか分かんないけど、シン君でも難しいって事?」

 

シン「そうだな・・・顔周りをモヤを出す位なら簡単だけど・・・」

 

顔がモヤに覆われたメイを想像する。

 

アリス「・・・それは何かヤダ。」

 

シン「・・・そう言うと思った。ただまあ要するに、顔がバレなきゃ良いんだろ?そっちは任せとけって。」

 

その話をタクトとアウグストが遠くから黙って聞いていた。

 

 

 

 

 

 

その数日後。

 

シン「お!来たな?3人と・・・」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶
リオ:土岐隼一
デイジー:寿美菜子
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
ジェレミー=フォン=ダンクルク:前野智昭
ローランド:山本和臣
ジュリアン=フィッツバード:小松未可子
ジネヴラ:小宮有紗

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭
エドワード=フィッシャー:梶裕貴

クリスティーナ=ヘイデン:古賀葵
ミランダ=ウォーレス:吉七味。
オリビアの父:丹沢照之
オリビアの母:佐藤奏美
リリアの父:落合福嗣
リリアの母:増田ゆき
ベン=ヒューズ:山崎たくみ
リリア=ジャクソン:芹澤優

アズマ:榎木淳弥
シイナ:内田彩
ナナセ:白石晴香

エスタ:島袋美由利

カルマ:神原大地
ルブラ:小野友樹

ヨナ:新田恵海
クララベル:佳穂成美

ドミニク=ガストール:小山剛志
ルーパー=オルグラン:保村真
ザルム=フォン=レストレッド:堀曜宏

男:浜添伸也

同級生:大和田仁美
    松井恵理子

常連客:キヨ
    こーすけ
    フジ
    ヒラ

エカテリーナ=フォン=プロイセン:斎藤千和





次回予告

アールスハイド王国で発生した謎の傷害事件を対処する3人の魔法少女達と衛士隊。そしてシンは、マーリン達からある人物の秘密を打ち明けられる。

次回ウルトラマンティガ

悲しい話

お楽しみに


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第35話「悲しい話」

悲しい話
ヨシュア、ドルン、魔人集団 登場



あれから数日後。何時もの荒野。

 

シン「お!来たな?3人と・・・もぅお!?」

 

突然メイの突進で腹にジャストミートされた。

 

シン「メイちゃん・・・だから身体強化・・・」

 

メイ「シンお兄ちゃんに会うと嬉しくて、つい全力でちゃうです。」

 

シン「例の物、用意出来たぞアリス。ここなら誰にも見られないだろう。」

 

異空間収納から、アリスとリン専用の服を贈呈した。

 

アリス「わあ!ありがとうシン君!可愛い!」

 

リン「アリス、これは良いけどそろそろ説明して。何の為に私達までこんなものを?」

 

アリス「にゅふふふふ。それじゃあそろそろ2人にも発表しちゃいましょうかぁ〜〜〜。とっておきの作戦を・・・!!」

 

ごにょごにょと2人に作戦を告げた。

 

シン「誰も見てねーし聞いてねーから・・・」

 

リン「それは良い。アリスにしては良いアイデア!メイ姫様の訓練にもなる!」

 

メイ「はわわ!ド・・・ドキドキするです・・・!!」

 

シン「・・・で、例のブツだが。こんなのでどうだ?」

 

3人の為に用意したブツも贈呈。

 

アリス「・・・!!これは・・・!!良い・・・と思う・・・!中々斬新なデザイン・・・!!」

 

シン「サービスでサポート機能も付けといた。後で説明するよ。・・・それから、必要だと思ってメイちゃんのジェットブーツ仕様も用意してきたけど・・・くれぐれもメイちゃんに危ない事させるなよ?」

 

アリス「了解!」

 

リン「それじゃあ早速コレに履き替えて!」

 

メイ「特訓!です!」

 

 

 

 

 

 

後日。アールスハイド王都にて。

 

女性「はぁ・・・はぁ・・・!」

 

1人の女性が、見知らぬ男達に追われていた。だが行き止まりまで逃げてしまって逃げ場を失った。

 

男A「へっへっ・・・もう逃げらんねぇぞォ。」

 

女性「いや・・・来ないで・・・!!」

 

男A「観念しろや!!」

 

男B「大人しくしてりゃ命だけは・・・!!」

 

男C「グアッ!!」

 

男B「アァ?」

 

後ろで取り巻きの男が何者かに背負い投げされた。

 

男A「何だテメェ等は!!」

 

そこに立っていたのは、アズマ達衛士隊だった。

 

アズマ「アールスハイド王国衛士隊だ!!」

 

シイナ「その方を解放しなさい!」

 

ナナセ「じゃないと、どうなるか分かるわよね?」

 

男A「衛士隊だぁ?」

 

男B「フンッ!たった3人で俺達に敵うと思ってるのか?」

 

アズマ「だったら試したらどうだ?」

 

男A「良いだろう。後悔しても知らねえぞ!!」

 

ナイフを持った男がアズマを刺し殺そうとした。だが・・・

 

男A「な・・・何だよこれ!?」

 

ナイフがアズマの着ているジャケットで折られてしまったのだ。

 

アズマ「俺達のジャケットにはな、ナイフや剣、更に魔法すら効かない特注品なんだよ。」

 

男B「ふ・・・巫山戯んじゃねえぞ!!」

 

男A「このインチキやろうが!!!」

 

???「そこまでだよ!!!」

 

突然何処からか声が響いた。

 

男A「ッ!?あ!?何だぁ!?」

 

男B「誰だ!!」

 

男C「出て来やがれ!!」

 

???「ここだよ!!」

 

壁の上に立ってる3人の人影が見えた。

 

男C「な・・・何だテメェら・・・!!」

 

 

 

 

レッド「どんな悪事も見逃さない!!」

 

ブルー「魔法の力で無理矢理解決!!」

 

イエロー「わ、我等!!」

 

キューティースリー「魔法少女!!キューティースリー!!」

 

 

 

 

魔法少女キューティースリー爆誕。

 

アズマ「ア・・・アリス・・・!?」

 

レッド「嫌がるお姉さんを無理矢理襲おうとするその腐った性根!このキューティーレッドが叩き直してやる!!」

 

ブルー「イエロー、今。」

 

イエロー「は、はいです!やあ!!」

 

魔力弾をぶっ放した。

 

男C「へぶっ!!」

 

魔力弾が男Cに命中。

 

男A「な・・・何しやがった・・・!?」

 

男C「ま・・・魔法!?」

 

男A「巫山戯た格好で巫山戯たマネしやがって・・・!!」

 

男B「レッドがやるっつってイエローが攻撃してんじゃねぇか!!そんな場所から魔法を撃つなんて卑怯者かテメェ等!!下りて来やがれ!!」

 

アズマ「卑怯者はどっちだ!」

 

男達「!?」

 

ナナセ「か弱き女性1人に寄って集って襲おうとする犯罪者共め!」

 

シイナ「どの口が言うのかしら!!」

 

アズマ「この卑怯者共が!!」

 

男達「ぎゃあああああ!!!」

 

衛士隊により成敗され、気絶した。

 

アズマ「手加減はしてある。みっちり反省するんだな。」

 

気絶した男達をキューティースリーがロープで縛った。

 

レッド「衛士隊の皆さん、ご協力感謝します!」

 

アズマ「・・・いや、良いって事だ。」

 

シイナ「大丈夫ですか?」

 

腰を抜かしてる女性を立たせてあげた。

 

女性「あ・・・はい・・・あの・・・あなた達・・・は・・・?」

 

シイナ「私達は衛士隊。王都の治安を守る独立組織ね。それであの子達は・・・」

 

レッド「私達も王都の治安を守る!レッド!」

 

ブルー「ブルー!」

 

イエロー「イエロー!」

 

キューティースリー「魔法少女キューティースリー!!です!!」

 

レッド「それじゃあ此奴等は警備局に突き出しとくんで!お姉さんお気を付けて!」

 

女性「あ、は・・・はい!あ・・・ありがとう・・・」

 

縛った男達を運んで去った。

 

女性「・・・魔法・・・少女・・・って何??」

 

アズマ「ここも片付いたな。カオル達の応援へ向かうぞ。」

 

シイナ・ナナセ「了解!」

 

アズマ「その前にナナセ、彼女の護衛を頼む。」

 

ナナセ「了解!目的地まで行きましょう。」

 

女性「あ、ありがとうございます。」

 

 

 

 

一方あの3人は、男達を運びながら屋根の上を飛んで移動中。

 

アリス「くふふ!上手く行ったね!」

 

リン「犯罪も防げて、メイ姫様の訓練にもなった!」

 

メイ「は・・・恥ずかしかったです・・・」

 

アリス「人間相手なら魔物程の危険も無いし、何かあったって私達とアズマ達で対処出来る!何より治安も守れるし!」

 

リン「街の攻撃魔法の使用は咎められる可能性はある・・・けど、まあ犯罪者相手だし、正体がバレなきゃ良い。」

 

アリス「しかも、シン君が付けてくれたコレ!()()()()って言うの?無線通信の応用らしいけど、離れてても会話出来るからめっちゃ便利!!」

 

3人が装着してるヘルメットにはインカム機能も搭載。離れた場所からでも通話が可能。

 

リン「む!右前方に再び害意あり!」

 

アリス「了解!直行!」

 

メイ「はははいです〜〜!!」

 

 

 

 

 

 

そんな3人を遠くの塔の上から見守ってる3人の姿があった。タクトとシンとアウグストだった。

 

アウグスト「やれやれ・・・彼奴等、こそこそと何をやっているのかと思ったら・・・」

 

シン「流石に無断でメイちゃんを連れ回すのはマズいと思ってオーグには声掛けたけど・・・まあ、あの様子なら大丈夫だろう。」

 

アウグスト「しかしメイの奴、自ら犯罪者の制圧に乗り出すなど・・・もう少し王族としての自覚を持って欲しいものだな・・・」

 

タクト「オーグ、お前が言うと説得力の欠片ゼロだぞ。」

 

アウグスト「それより、やはり気になるのは犯罪件数の増加だな。警備局の報告通りだ。」

 

シン「具体的には?」

 

アウグスト「殆どの場合、単純な暴行や傷害だ。」

 

タクト「しかも計画的な犯罪や犯罪テロみたいな事件は一切起きてない。」

 

アウグスト「あぁ。言うなれば・・・瞬間的にストレスが爆発して行動に移してしまったと言う感じか。・・・どう思う?」

 

シン「・・・訊くなよ。同じ事考えてるくせに。」

 

タクト「()()()もバレないように動いてるかも知れないけど、証拠も揃い始めてるようだ。」

 

シン(魔人達は、まず間違いなく・・・人間の感情をコントロールする術を持っている。イースの指揮官さんの言葉が正しければ・・・恐らくはラルフさんも・・・)

 

アウグスト「人の魔人化の件も含め・・・放置は出来ん事実だな。」

 

シン「あぁ。つまり奴等は攻略作戦の裏で既に動いてたって事だからな。」

 

タクト「何処から攻撃を仕掛けて来るか不明だ。厳重警戒を常時しないとな。」

 

アウグスト「これまでは我々の方が後手に回ってしまっていたが・・・この犯罪件数の増加が、もし魔人共の仕業だとしたら・・・強ちメイ達の行動が意味が無いとは言えんかもな。」

 

 

 

 

 

 

そしてその後もキューティースリーは活動を続け・・・数日後。

 

カオル「ヤァッ!!」

 

男E「ぐはぁっ!!」

 

衛士隊のカオルが1人の男を背負い投げで成敗。

 

カオル「ふぅ・・・」

 

タカオ「大丈夫ですか?」

 

男F「あ、ありがとうございます・・・」

 

マモル「今日で何件目でしょうか?」

 

カオル「少なくとも30件以上はあるみたいだ。」

 

男E「ぐ・・・む・・・」

 

背負い投げで気絶していた男が気が付いた。

 

男F「お・・・おい・・・お前!!起きろ!!一体どう言うつもりだよ!?」

 

男E「・・・!?あれ・・・俺何してたんだ・・・?」

 

男F「何ってお前・・・街フラついてる途中に急に居なくなったと思ったら・・・戻って来て急に俺に殴り掛かって来たんじゃないか!!衛士隊が止めてくれなきゃ・・・どうなってたか・・・!!」

 

男E「・・・マジかよ・・・全く記憶がねぇ・・・」

 

男F「だ・・・大丈夫かお前・・・?」

 

セイラ「・・・!?」

 

裏路地を見たセイラだが、何もなかった。

 

セイラ(何?さっきの気配・・・?)

 

タカオ「カオル様、この方の発言は一体・・・」

 

カオル「・・・何かあるかも知れない。タカオとマモルはこの方達を連れて行ってくれ。セイラはタクトに連絡。僕は報告書を纏めておく。」

 

タカオ・マモル・セイラ「了解!」

 

セイラ(・・・さっきの、後でタクトにも。)

 

 

 

 

 

 

警備局前。アズマ達がタクトに加害者の事を話した。

 

タクト「・・・やはりな。」

 

アズマ「やはり?」

 

タクト「前にリチャードに加害者について調べて貰った。そしたら、気絶した後に目を覚ましたら暴行や傷害を起こした記憶だけが消えていたと。」

 

カオル「もしかしてこれは、魔人が関与している可能性が・・・」

 

タクト「魔人かも知れないし、この国を乗っ取ろうとするテロ組織の仕業か・・・あるいは、誰かが悪ふざけで行った事件かも知れん。」

 

タカオ「今回の事件は難しそうですね。」

 

タクト「あぁ。」

 

セイラ「そうだわ、タクト。」

 

タクト「ん?何だ?セイラ。」

 

セイラ「さっき、裏路地から人の気配を感じたんだけど・・・」

 

タクト「人の気配?」

 

セイラ「えぇ。でも姿はハッキリ見えなかった。」

 

タクト「・・・主犯格の可能性があるな。よし、引き続き巡回してくれ。俺とグレアも加わって対処する。」

 

衛士隊「了解!」

 

 

 

 

その後、連絡を受けたグレアも徘徊を始めた。

 

グレア「この国は治安が良いのに、何で今となって傷害事件が起こったんだろう?まさか、誰かの陰謀の一部なのかな?」

 

 

 

 

 

 

誰も居ない裏路地。

 

魔人A「ダメだ。またやられた。」

 

この傷害事件は、やはり魔人達が関与していた。

 

魔人B「・・・どうなってる?俺達が洗脳してる人間だけ判別して捕らえるなんて、奴等に可能なのか?」

 

ヨシュア「いや・・・関係のない連中も捕まってるみたいだが、洗脳した人間を優先的に捕まえてるフシはある。」

 

魔人A「・・・つまり?」

 

魔人B「・・・人間に対する『害意』の強さだな。奴等、索敵魔法でそれを読んでやがんだ。オマケに、あの衛士隊と言う連中だ。奴等は普通の人間にも関わらず、害意の持つ人間だけを優先的に・・・人間を魔人化させるには、相応のストレス・・・害意が仏様になる。・・・だが、その切っ掛けだけ与えても、俺等の魔力操作能力じゃ、対象が気を失う程度で洗脳が解けちまう。シュトローム様やゼスト様・・・せめてエミール位の操作能力があれば話はまた別だろうが・・・」

 

ヨシュア「踏ん反り返るからエミールにそれ言うなよ。」

 

魔人A「正直、俺等よりもあのチビ共や衛士隊の方が機動力は上だぜ。詰みじゃねえか。どうすんだ?ご丁寧に顔まで隠して、魔法や剣などの攻撃すら効かない。ウォルフォード達と繋がってんのかも分かりゃしねェ。」

 

ヨシュア「・・・今後の動きを考えて・・・正確なコントロールが出来る人材を増やしておけとゼスト様は仰せだ。何せ狙う相手が相手・・・これまでのようにチャンスが転がって来るとは限らん。」

 

魔人A「任務を優先すべきなのは分かるが・・・俺等の存在が明るみに出るのもマズいしな。偵察も兼ねてアールスハイドへ来たがよォ、少なくともこの国は離れるべきじゃねぇか?」

 

魔人B「兎に角一度・・・」

 

???「あ”ぁぁ五月蝿ェ!!!」

 

1人の魔人が突然怒りを爆発した。

 

ヨシュア「・・・どうした?ドルン。」

 

ドルン「お前等、よくそんな悠長に喋ってられんな・・・!?こんな平和ボケた国に居るだけで俺は気が狂いそうだってのによォ・・・!!目の前の!!ゴミ共を!!片っ端からブッ殺してけば良いだけの話じゃねェのかよォ!!!」

 

ヨシュア「それではウォルフォード達は倒せない。感情で任務を見失うな。」

 

ドルン「フーッ・・・フーッ・・・なあヨシュア・・・今気付いたぜ・・・魔人である俺が正気を保ってられるのは・・・帝都に満ちているあの魔素の中だけだ。一度外に出ちまったら・・・殺意も・・・破壊の衝動も・・・抑えられる気がしねぇ・・・!!」

 

ヨシュア「それは俺だって同様だ。ローレンスやアベル達だって例外じゃない。だが、今の俺達があるのは飽く迄ゼスト様やシュトローム様のお陰だ。指示なく勝手に行動を取るのは、彼等に対する裏切りに他ならん。」

 

ドルン「耐えろってのか・・・この衝動を・・・!!」

 

ヨシュア「・・・今はな。『正常』の皮を被って魔素を覆い隠してるのは、こっちの世界だって同じさ。俺たちが全て剥ぎ取ってやる。遠くない未来・・・必ずな。」

 

魔人達はアールスハイドから姿を消した。

 

 

 

 

 

 

あれから数日が経ったある日。ビーン工房にて。

 

シン「多発してた事件が起きなくなった?」

 

アウグスト「ああ・・・犯罪件数は以前の水準に戻ったらしい。」

 

シン「お手柄じゃないかアリス達。アズマ達も。」

 

タクト「だがその事件の真相は迷宮入りのままだ。」

 

シン「にしても、ちょくちょく俺の開発を見に来るよなオーグ達。」

 

トール「当然の監視ですよ。シン殿。」

 

シン「・・・まあ、丁度良かった。ホラ。新型の無線通信機完成したんだぜ。」

 

新たに開発された無線通信機をアウグスト達に渡した。

 

アウグスト「ほう・・・」

 

ユリウス「・・・何か改良点があるで御座るか?」

 

タクト「試すぞ。」

 

”ジリリリリリ!!”

 

ユリウス「おわぁ!音が鳴ったで御座る!?」

 

タクト「そいつは着信音って言う音だ。音量調節可能だから、敵地に居る場合は控えめにしとけよ。」

 

シン「後は発信先を相当数増やせるようにした。これなら、無線通信き自体の数も必要なだけ増やせるしね。」

 

タクト「オーグ。此奴を陛下に渡しといてくれ。マーリン様達の分は後で渡す予定だ。」

 

ディセウム用の無線通信機をアウグストに渡した。

 

アウグスト「それは良いが、流通はさせるなよ。」

 

シン「分かってるっての。・・・まだ有線通信すら整備出来てねぇよ。」

 

ユーリ「こんにちは〜〜〜〜。」

 

工房にユーリがやって来た。

 

アウグスト「ん?カールトン?」

 

タクト「ユーリ?」

 

マーク「ユーリさん!お疲れッス!」

 

ユーリ「あらぁ。殿下達もいらしてたんですかぁ。」

 

マーク「ユーリさん、ちょくちょくウチに来て例のドライヤーとヘアアイロンの付与を手伝ってくれてるんス。」

 

ユーリ「ウフフ。メリダ様から魔法付与の数をこなす事も必要だと言われましてぇ。アルバイトがてら練習させて貰ってるんですぅ。」

 

タクト「ほほう。」

 

トール「高威力の魔法を付与出来る魔法師って、実はそんなに居ないですもんね。」

 

シン「このままいけば充分に最前線で戦える戦力になるぜ。”導師の後継者”の名も伊達じゃないよマジで。」

 

ユーリ「ウフフ。ありがとぉ♡そんなに褒められたら照れちゃうわよぉ〜♡」

 

嬉しくなったユーリがシンの頬にキスをした。

 

タクト「ちょ!?」

 

トール「シッ・・・シシリー殿は居ないですよね!?よね!?」

 

タクト「大丈夫だ!居ないぞ!」

 

ユーリ「それじゃ、行って来ま〜す!ウォルフォード君、メリダ様に宜しくねぇ〜。」

 

マーク「工房の職人達も、彼女が来てからやたら気合を見せてるッス・・・」

 

トール「成る程・・・」

 

タクト「そうだユーリ。」

 

ユーリ「なぁに?」

 

タクト「お前、前からジュリアンと付き合い始めたけど、彼奴をどう思ってるの?」

 

ユーリ「ん〜・・・凄く女子力高いけど、頼りになる子ねぇ。」

 

タクト「破局にならないよう祈ってるぜ。」

 

ユーリ「ありがとぉ〜。」

 

シン「よしっと。じゃあ俺も1度家に戻ってシシリーや爺ちゃん達に無線通信機渡して来るよ。」

 

アウグスト「我々も城へ戻ろう。攻略作戦についての報告もあるようだしな。」

 

 

 

 

 

 

ウォルフォード邸。

 

メリダ「ほう・・・これが無線通信機と言う奴かい。」

 

マーリン「何やら見慣れぬ形状じゃのう・・・使いこなせるか心配じゃわい。老人用とかないかのう・・・」

 

シシリー「大丈夫ですよ。お爺様、お婆様。私達も不慣れでしたけど、すぐ扱えるようになりましたから。」

 

アザレア「シシリーが言うなら間違い無さそうね。」

 

リチャード「しかし、タクト君だけ所持していないが・・・」

 

タクト「それは心配ない。それ用のインカムブレスもあるから。」

 

レイチェル「なら問題ありませんね。」

 

シシリー「・・・あれ?シン君のほっぺに・・・」

 

タクト・シン(ドキッ)

 

シシリー「・・・キスマーク付いてる気がしたけど・・・気のせいですね。」

 

シン(鋭い・・・!)

 

タクト(危ねぇ・・・!)

 

メリダ「やれやれ。私等の分まで用意してくれるとは・・・気に使わせて悪かったね。」

 

シン「何言ってんの?当然じゃん。家族なんだし。」

 

その言葉を聞いたマーリンとメリダが、切ない顔をした。

 

マーリン「シン・・・シシリーさん。タクト君。ちょいと座りなさい。」

 

リチャード「君達に話したい事がある。」

 

 

 

 

ソファーに座った。

 

シン「・・・何?改まって。」

 

マーリン「・・・家族・・・か・・・ワシ等を家族と呼んでくれるお主達には・・・やはり話しておかねばならぬ事がある。タクト君には前に話したんじゃが、改めて聞いてくれ・・・」

 

シン「2人の・・・過去について・・・だね?」

 

その言葉に、マーリンとメリダとアザレア、リチャードとレイチェルが静かに頷いた。

 

タクト「2人の過去・・・か。」

 

メリダ「私等には、嘗て1人の息子が居た。名前はスイレン=ウォルフォード。」

 

アザレア「そして、私の兄さん。」

 

シン(・・・嘗て・・・と言う事は・・・)

 

マーリン「・・・じゃが、若き日の旅の途中・・・我々の不甲斐なさが原因で・・・息子は命を落とした・・・」

 

シン(若い頃・・・旅の途中・・・つまりエカテリーナさん達と旅をしてた頃・・・)

 

 

 

 

エカテリーナ『あの人が死んじゃって・・・寂しいよぉ・・・スイ・・・レン・・・』

 

 

 

 

シン「・・・そうか・・・その時亡くなった2人の子供が・・・当時のエカテリーナさんの・・・恋人だったんだね?」

 

マーリン「・・・察しが良いのう・・・」

 

メリダ「アンタ達の誕生日会の夜・・・他ならぬ、そのエカテリーナに諭されたのさ。家族であるシンに・・・隠し事をしたままで良いのかってね。」

 

アザレア「その話は事前にタクト君だけに打ち明け済みだけどね・・・」

 

シン「辛い話なのはよく分かるし・・・別に無理して打ち明ける必要は・・・」

 

マーリン「いや・・・ワシ等は家族じゃ。家族の間にあった事は、皆知っておかねばならん。」

 

シン「爺ちゃん・・・」

 

マーリン「スイレンが産まれたのは、ワシ等が魔人を討伐する数年前・・・」

 

メリダ「やんちゃな男の子でねぇ・・・アンタとは違う意味で目が離せなかった子だったよ。」

 

アザレア「引き取られた私を妹のように可愛がってくれてね。」

 

リチャード「前に君達に話したカイルに凄く懐いてたよ。」

 

シシリー「・・・息子さんにも・・・やっぱりお2人から魔法を・・・?」

 

マーリン「素質はあった。あったんじゃが・・・」

 

メリダ「私が影響与え過ぎちゃったんだろうねぇ。あの子はずっと魔道具師になりたがってたよ。」

 

タクト「メリダ様の影響力は凄いなぁ・・・」

 

アザレア「私はお父さんに憧れて魔法師団に入ったんだけどね。」

 

シン(はは・・・目指したものは違ったけど、気持ちはよく分かる。俺が魔法使いを目指したのは、やっぱり爺ちゃんの影響だし・・・)

 

レイチェル「その当時に私達の娘のモニカも産まれました。あの子はスイレンの幼馴染みでスイレンによくしてくれていました。」

 

リチャード「あの子は昔から優しくて、誰からも愛される自慢の娘でもある。」

 

シン「流石、リチャードおじさん達が愛情を持って育てられたから礼儀正しいんだね。」

 

リチャード「あぁ。」

 

マーリン「それから例の魔人騒動を経て・・・ワシ等は英雄扱いされるようになった訳じゃが・・・どうにも持て囃される事に耐えられなくての・・・スイレンが成人した後に旅に出る事を決めたのじゃ。」

 

リチャード「当時から私達を慕うようになった王太子時代のディセウム。護衛のミッシェル。途中で神子に成り立てのエカテリーナを拾い、ひょんな事から行商人だったアーロンも加わった。」

 

マーリン「はっきりとした目的のある旅ではなかったが・・・騒がしく楽しかったモンじゃわい・・・」

 

メリダ「あっと言う間だったよ。スイレンとエカテリーナが恋仲になるまでは。魔道具職人として独り立ちしたら・・・結婚もするはずだった。」

 

シン「モニカさんとニルスさんは一緒じゃなかったの?」

 

レイチェル「はい。モニカとニルスは学業に専念すると言って王都に残りました。」

 

マーリン「アザレアも学業に専念すると言っておった。」

 

メリダ「・・・だけど、スイレン・・・あの子は魔物に殺されてしまった。私等が守ってやれなかったんだ・・・」

 

シン「・・・・」

 

タクト「・・・・」

 

部屋中に沈黙の空気が漂った。

 

メリダ「ふぅ・・・終わりさ・・・旅はそれで。続ける理由も・・・意味も・・・全部失くしちまった・・・」

 

それを聞いたシシリーは涙を浮かべていた。

 

メリダ「正直、私等も相当堪え難くてねぇ・・・当時生業としてたハンターも辞めて・・・国も出る事にしたんだよ。」

 

マーリン「あの子を死なせてしまった事は、ワシ等2人の関係も変えてしまった・・・後悔ばかりで・・・共に居る事すら困難になってしまったんじゃ・・・」

 

リチャード「エカテリーナも酷く落ち込んだんだ・・・けど心が壊れずに済んだのが幸いだった・・・今も心の何処かで引き摺っている所があるんじゃないかと・・・」

 

シン「・・・じゃあ・・・爺ちゃんが俺を『息子』じゃなくて『孫』として育てた理由って、ひょっとして・・・」

 

マーリン「スイレンとエカテリーナが結婚していたら・・・丁度孫が出来ているであろう時期に・・・シン・・・お主を拾ったんじゃ・・・」

 

シン「・・・!?」

 

 

 

 

15年前、マーリンが1人で雨の道を歩いていると、魔物に襲われた馬車を発見した。その馬車の中に唯一無傷だった赤子を拾った。それがシンであると・・・

 

マーリン『これは天命かのう・・・』

 

 

 

 

メリダ「アンタの本当の両親んいは申し訳ないけど・・・アンタを見た時・・・私もそう思っちまったよ・・・この子は私等の孫だ・・・ってね・・・」

 

シン(そう言う事・・・だったのか・・・)

 

 

 

 

エカテリーナ『師匠の孫なんだから、私の子供で良いでしょう?』

 

 

 

 

シン「エカテリーナさんの言葉の意味も・・・これでようやく理解出来た・・・」

 

メリダ「私等がアンタに”祖父母”として接して来た事実がある以上・・・あの子にとってもシンを他人だとは思えないんだろう生まれて来るはずだった子供とシンを重ねて見ちまったから、改まって様付けで呼ばれたくなかったんじゃないかね。」

 

シン「・・・にしても『お母さんと呼べ』は無茶なんじゃ・・・」

 

タクト「俺もあの言葉に一瞬ビクッてなったけどな・・・」

 

メリダ「無茶苦茶だよ。教皇になったって、そう言う所は昔と変わっちゃいない。」

 

レイチェル「シンさん。大目に見てあげて下さいね?」

 

シン「分かった。」

 

マーリン「・・・話は終いじゃ。しんみりしていかんわい。」

 

メリダ「アンタ達は私等と違ってちゃんと幸せになるんだよ!」

 

リチャード「勿論タクト君も。孫娘を宜しく頼むぞ。」

 

タクト「あぁ。」

 

マーリン「・・・シン。言っておくがの・・・スイレンとエカテリーナに子供が出来なかった事は残念じゃが・・・ワシ等はシンの事を、その代替じゃと思うた事は1度もないからの・・・」

 

シン「分かってるよ・・・爺ちゃん・・・婆ちゃん・・・」

 

アザレア「シン、シシリー、あなた達の子供が生まれるの楽しみにしているわ。」

 

シン「ありがとう・・・アザレア叔母さん・・・」

 

メリダ「・・・だって、シンみたいな子供がこの世に他にも存在するはずないさねぇ。」

 

感動の空気に包まれたが、一気にコメディな空気に変わった。

 

シン「台無しにすんなよ・・・折角の感動を・・・」

 

タクト「あはは・・・」

 

こうしてシンは、スイレンとエカテリーナを全て知ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後の夜、遥か遠くに位置する国では、謎の実験が行われていた。そこに赴いたのは・・・タクトだった。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
アザレア=ウォルフォード:新谷良子
リチャード=ラドクリフ:堀内賢雄
レイチェル=ラドクリフ:白鳥由里
メイ=フォン=アールスハイド:雛乃木まや

アズマ:榎木淳弥
シイナ:内田彩
ナナセ:白石晴香
カオル:国立幸
マモル:山谷祥生
タカオ:石谷春貴
セイラ:今井麻美

ヨシュア:加藤渉
ドルン:高口公介

国民:難波佑香
   佐久間元輝
   田所陽向
   橘龍丸

魔人:松田修平
   野瀬育ニ

エカテリーナ=フォン=プロイセン:斎藤千和





次回予告

遥か遠くにある辺境の国・アストラル。そこでタクトが見た謎の集団と、襲い掛かる魔の手・・・

次回ウルトラマンティガ

アストラルSTAGE1=衝突する国=

お楽しみに


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##ウルトラマンティガVSアディウム=モオル編##
第36話「アストラルSTAGE1=衝突する国=」


アストラルSTAGE1=衝突する国=
アディウム=モオル、ベローナ、災害級 登場



辺境の国・アストラル。

 

タクト「・・・・」

 

この国の高い丘に、タクト=クリスティの姿があった。

 

タクト「・・・来たか。」

 

彼が待っていたのは、あのアルティメット・マジシャンズだった。だが彼等の目は魔人と同じ赤に染まっていた。

 

タクト「・・・よし。」

 

立ち上がってスパークレンスを握り、天に掲げて光を解放させた。

 

 

 

 

ウルトラマンティガが、アルティメット・マジシャンズの前に立ちはだかる。

 

ティガ「今度こそ、決着をつけるぞ!!」

 

 

 

 

その上空では、青と赤の閃光が飛び回っていた。赤の閃光が5つの青の閃光に魔力弾を連射するが、青の閃光がそれを回避する。だが、赤の閃光が魔力弾を展開した。魔力弾が青の閃光を包囲し、一斉に直撃させた。

 

 

 

 

地上では、トニーがバイブレーションソードを取り出した。

 

ティガ「ッ!」

 

トニーがバイブレーションから斬撃を放ち、アリスとリンが爆裂魔法、マークとオリビアが火炎魔法、トールが魔力弾を生成し、ユリウスがそれを殴り飛ばし、シシリーとマリアが風と水の魔法、ユーリが氷の魔法、アウグストが電撃、全員がそれぞれの魔法を放った。

 

ティガ「ハッ!」

 

ハンドスラッシュでバイブレーションの斬撃を撃ち落とした。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

アルティメット・マジシャンズの魔法をバク転で避け続ける。

 

ティガ「・・・ッ!?」

 

上空を見ると、青の閃光が落下していくのが見えた。

 

ティガ「ッ・・・!」

 

5つの青の閃光が地上に墜落した。

 

ティガ「皆!!」

 

助けに行こうとしたその時。

 

???「ハァッ!!」

 

ティガ「ッ!?」

 

両腕をクロスして何者かのキックを防いだ。その正体は、両目が赤く染まったシンだった。

 

ティガ「アルティメット・マジシャンズの魔人部隊・・・ッ!ハアアァァァ!!!」

 

走り出して、魔人アルティメット・マジシャンズに立ち向かう。

 

 

 

 

 

 

1週間前にタクトが忽然と姿を消した。アルティメット・マジシャンズはタクトの行方を追うべく、緊急出発を始めた。それから現在。

 

アウグスト「タクト、手紙を残さず突然姿を消して何をしているんだ?」

 

シン「ミスリラ帝国の時と違って、かなり極秘な何かの真っ最中かもな。」

 

アリス「その極秘ってのが気になるね。」

 

トニー「ナージャ、タクトの気配は感じる?」

 

ナージャ「・・・えぇ、微かに感じる。まだ北西の方へ続いているわ。」

 

アウグスト「よし、このまま向かうぞ!」

 

彼等はそのまま北西へと向かった。

 

 

 

 

北西にある広野の真上。

 

ナージャ「タクトの気配はここで途切れてるわ。」

 

トール「他の気配は?」

 

ナージャ「・・・いえ、この付近に魔物や魔人の気配は感じれない。もう少し感知範囲を広げてみる。」

 

シシリー「無理しないで下さいね。」

 

ナージャ「勿論。」

 

感知範囲を広げてタクトを捜索するが、反応はなし。

 

ナージャ「ダメね。」

 

アウグスト「ん?アレを見てみろ!」

 

シン「どうしたんだ?」

 

 

 

 

真正面には、謎の歪みがあった。

 

 

 

 

シン「何だアレ?」

 

アウグスト「分からないが、空間が歪んでいるな。」

 

マリア「何らかの魔力の影響でしょうか?」

 

アウグスト「それは分からない。」

 

ナージャ「待って!」

 

全員「ん?」

 

リオ「どうしたの?」

 

ナージャ「・・・あの歪みから、タクトの気配がする!」

 

アウグスト「何だと!?」

 

マーク「クリスティ君があの国に居るって事!?」

 

ナージャ「分からないけど、きっとそうよ!」

 

デイジー「・・・皆、行ってみましょう!」

 

アウグスト「あぁ。皆!あの歪みへ向かうぞ!油断するなよ!」

 

アルティメット・マジシャンズが、広野にある歪みへ入って行った。

 

 

 

 

 

 

歪みを抜け出した。

 

シン「・・・何だアレ!?」

 

歪みを抜けた先にあったのは、巨大なドーム状の建物が聳え立っていた。

 

リン「見た事ない建物・・・」

 

ナージャ「タクトの気配はここで途切れてる。この近くにタクトが居そうよ。」

 

アウグスト「一先ずここに降りよう。何があるか確かめる必要がある。」

 

この地へ降りようとした時、ナージャが何かに気付いた。

 

ナージャ「何かがこっちへ来るわ!!」

 

真下から2つの火球が迫り来ていた。

 

ユーリ「火球!?」

 

アウグスト「皆!散開しろ!」

 

全員が散開して火球を避ける。だが火球は彼等を追い続ける。

 

シン「あの火球、俺達を堕とそうって言うのか!?皆!!振り切るぞ!!」

 

超高速で火球から離れる。火球は追い付けず、そのまま爆発した。

 

シン「振り切ったか・・・」

 

アウグスト「よし、全員地表へ降りるぞ。」

 

 

 

 

地表へ降り立った。

 

シシリー「何でしょうか?この広野・・・」

 

シン「俺達が使っている広野じゃなさそうなのは確かだ。」

 

ジェレミー「ん?おい!隠れてないで出て来い!」

 

全員「!?」

 

そこに現れたのは。

 

フェオン「み、皆!?」

 

シン「フェオン!皆まで!?」

 

イザベラ「どうしてここに!?」

 

アウグスト「それはこっちの台詞だ。お前達、一体どう言う事か説明してくれるか?」

 

エミリー「実は、お前達の休暇を兼ねて少し旅行しに行った途端にこの国に。」

 

フェオン「それで私達はタクトにこれを通じて報せたの。」

 

首にあるペンダントを見せる。

 

シン「そっか。だから1週間前からタクトが忽然と姿を消したと言う事か・・・」

 

フェオン「私達はタクトと再会して、彼と共に戦ったけど・・・私達には彼奴等には・・・敵わなかった・・・」

 

アウグスト「それで、タクトは今何処へ?」

 

ヒナ「タクトさんは今、別の場所で戦ってるはず・・・」

 

アリス「ん?アアアーーー!!皆!!アレを見てよ!!」

 

シン「ん?どうしたんだアリス!?」

 

アリス「アレ!!アレ!!」

 

崖の上から何かを見たアリスが皆を呼んだ。

 

シン「なっ!?」

 

アウグスト「これは・・・!?」

 

そこで彼等が見た光景は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

串刺しにされたアリス、リン、ユーリ、トニーの魔人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリス「アレって・・・私達!?」

 

リン「いや・・・魔人になった私達・・・!?」

 

シン(どう言う事だ・・・!?まさか魔人になった俺達も存在するって言うのか・・・!?)

 

 

 

 

 

 

その後、この広野に聳え立つドーム状の建物を遠くから調べる。

 

レア「あれは、魔人の実験施設だ。」

 

シン「実験施設?」

 

エミリー「あの施設で行われている何かの実験が、私達をここへ呑み込んでしまったんだ。」

 

ケイティ「何かの実験が、フェオン達を呑み込んでしまった?」

 

ヒナ「はい。」

 

ローランド「その歪みは、他にも存在しているのですか?」

 

フェオン「分からないわ。少なくとも、ここへ呑み込まれしまったのは私達だけなのは確かよ。」

 

イザベラ「それにここは、元々は大きな国だったんです。」

 

シシリー「え?」

 

イザベラ「この広野を調べてみたら、廃れた魔道具や廃墟があったんです。その国の名前は・・・アストラル公国。」

 

アウグスト「アストラル?」

 

フェオン「あの実験施設が建設された直後に、多くの魔人集団によって滅ぼされてしまったのよ。タクトが来るまで、私達が懸命に戦ったけど・・・レオンとソフィーが・・・」

 

グレア「レオンとソフィーが!?」

 

エミリー「2人は実験施設を破壊しに行ったっきり、還って来ない・・・恐らく、奴等に囚われてしまった可能性が・・・」

 

グレア「そんな・・・!」

 

アリス「ね、ねぇ!魔人になった私達のアレって・・・一体何なの!?」

 

アンナ「・・・あれは、あの実験施設の天才魔道具師・ベローナが開発した人工魔人です。」

 

シン「人工魔人!?」

 

フェオン「外見を本物そっくりに造り、中身は魔道具で出来た物・・・このままだと・・・ベローナによって世界が崩壊されてしまうわ・・・」

 

アウグスト「・・・」

 

するとその時、先程の火球が迫って来た。

 

アウグスト「ッ!!危ない!!」

 

全員が火球を避けた。そして、崖の中から何かが現れた。

 

フェオン「あれは・・・!!」

 

 

 

 

 

 

それは、蘇ったティガとの戦いから逃げ出したドラゴンの災害級だった。

 

 

 

 

 

 

シン「ドラゴン!?」

 

ヒナ「あれは・・・蘇ったティガとの戦いから逃げ出した災害級・・・」

 

エミリー「まさか・・・ベローナに捕獲されてしまったのか・・・!!」

 

フェオン「イザベラ!エミリー!行くわよ!!」

 

イザベラ「うん!」

 

エミリー「あぁ!」

 

レア「アンナ!無理はするなよ!」

 

アンナ「うん!」

 

5人は武器を持って飛翔し、ドラゴンの災害級へ立ち向かう。

 

 

 

 

イザベラ「エイッ!!」

 

右手から蔦の魔法を射出し、ドラゴンの災害級を捕縛した。

 

フェオン「ヤァッ!!」

 

エミリー「ハァッ!!」

 

大剣と太刀を振り下ろしたが、ドラゴンの災害級は無傷。

 

アンナ「えいっ!!」

 

ボウガンを連射したが、ドラゴンの皮膚は硬かった。

 

ドラゴン『ーーーーーーー!!!!』

 

大きく体を動かして尻尾を振り回す。

 

レア「危ない!!」

 

施刃盤で防いだが、レアの腕に痺れが走った。

 

レア「クッ・・・!!」

 

フェオン・エミリー・アンナ「アアアッ!!」

 

イザベラ「キャアア!!」

 

レア「グアア!!」

 

再度尻尾を食らったフェオンとエミリーが叩き飛ばされ、イザベラが体を動かした影響で吹き飛ばされてしまった。

 

 

 

 

アウグスト「何て力だ!!」

 

ヒナ「皆さん!!」

 

 

 

 

フェオン「イザベラ!エミリー!合体技よ!」

 

イザベラ「分かった!」

 

エミリー「よし!」

 

3つの武器を重ね合わせて光の剣を生成し、大ジャンプする。

 

フェオン・イザベラ・エミリー「ハアアァァァァァ!!!!」

 

光の剣を振り下ろしたが、ドラゴンの災害級には傷すら付かなかった。

 

 

 

 

アウグスト「何!?」

 

 

 

 

 

 

実験施設内。そこには、1人の女が不敵な笑みを浮かべていた。

 

???「無駄よ。あのドラゴンの災害級には完全無傷の付与がされてあるわ。幾ら強い魔法でも傷すら与えられないわ。」

 

魔道具師・ベローナ。

 

 

 

 

 

 

ドラゴン『ーーーーーー!!!』

 

口から3つの舌を飛び出し、フェオン達を捕縛した。

 

フェオン「しまった!!」

 

そのまま後ろへ投げた。

 

フェオン・イザベラ・エミリー・レア・アンナ「アアアア!!!」

 

ドラゴン『ーーーーーー!!!!』

 

口から巨大な火球を放射し、フェオン達に攻撃した。

 

フェオン・イザベラ・エミリー・レア・アンナ「アアアア!!!」

 

 

 

 

 

 

ヒナ「皆さん!!!」

 

シン「何て力だ!!」

 

 

 

 

 

 

ベローナ「終わりにしてあげるわ。」

 

 

 

 

 

 

ドラゴン『ーーーーーーー!!!!』

 

火球でトドメを刺そうとしたその時。空から1つの光が急降下して来た。

 

全員「!?」

 

その光は、ドラゴンの頭部に直撃して着地し、ドラゴンは光の直撃を受けて倒れた。

 

???「お前の相手は・・・」

 

そして、その光の中から現れたのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティガ「俺だ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルトラマンティガだった。

 

シン「タクト!!!」

 

ヒナ「タクトさん!!!」

 

 

 

 

 

 

ベローナ「ウルトラマンティガ・・・タクト=クリスティ・・・私達の魔人アルティメット・マジシャンズを振り切ったようね。」

 

 

 

 

 

 

ドラゴン『ーーーーーーー!!』

 

ティガ「チャァッ!!」

 

接近するドラゴンの腹部にマルチキック。そのままドラゴンの右ほほにエルボーした。

 

ティガ「ハァッ!」

 

更にドラゴンの腹部にウルトラ・ライトナックルで攻撃した。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

ブライトショットで怯ませた。

 

 

 

 

ヒナ「皆さん!大丈夫ですか!?」

 

フェオン「え、えぇ・・・」

 

イザベラ「大丈夫・・・です・・・」

 

エミリー「流石にこれは・・・」

 

レア「う、腕が・・・!」

 

アンナ「コホッ!コホッ!」

 

シシリー「皆さん、ジッとしてて下さい。」

 

治癒魔法で5人の傷を癒した。

 

フェオン「あ、ありがとう・・・シシリー・・・」

 

シシリー「どういたしまして。」

 

シン「フェオン達はここで休んでて。」

 

フェオン「どうする気なの?」

 

 

 

 

ティガ「チャァッ!!」

 

ウルトラ・ライトパワーでドラゴンの災害級を撥ね飛ばした。

 

 

 

 

シン「このまま施設を攻撃する!」

 

シシリー「シン君!私も!」

 

シン「うん!」

 

2人が飛翔し、実験施設へ向かった。

 

 

 

 

ドラゴン『ーーーーー!!!』

 

口から火炎放射するが、ティガが連続バク転で避けた。

 

ドラゴン『ーーーーー!!!』

 

怒ったドラゴンの災害級が突進し始めた。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

突進を避けたティガが、ドラゴンの災害級の右の角をスラップショットで斬り落とした。

 

 

 

 

 

 

ベローナ「これ以上計画の邪魔はさせないわ!実験中の奴を目覚めさせなさい!」

 

部下A「危険です!ベローナ様!」

 

部下B「奴の力は未知数です!もし暴走したら!」

 

ベローナ「その為の鎧魔があるじゃない。」

 

部下A「しかし!」

 

ベローナ「鎧魔装着!!」

 

 

 

 

実験中の何かに、魔力を抑える魔道具・鎧魔が装着された。

 

 

 

 

ベローナ「さぁ、行きなさい。」

 

 

 

 

鎧魔を装着された実験体が飛翔した。

 

 

 

 

 

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ティガスライサーが、ドラゴンの災害級の両腕を斬り落とした。

 

ドラゴン『ーーーーーー!!!』

 

 

 

 

ケイティ「やった!!」

 

ナージャ「このまま行ける!!」

 

 

 

 

ティガ「フッ!!」

 

両腕を前に突き出し交差させ、大きく横に広げてエネルギーを集める。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

ゼペリオン光線を放とうとしたその時。

 

ティガ「ッ!?」

 

突然ティガが、ゼペリオン光線を中断した。

 

 

 

 

ケイティ「どうしたの!?」

 

ジェレミー「ッ!何!?」

 

 

 

 

ティガ「何だ・・・お前は・・・?」

 

ゼペリオン光線を中断した理由。それは。

 

ティガ「鎧魔だと・・・?力を制御してでも・・・俺を倒すって事か!!」

 

真上に鎧魔を装着した実験体が浮遊していたからだった。

 

ティガ「そうはさせるか!!チャァッ!!」

 

スカイタイプへタイプチェンジし、実験体に目にも止まらぬ速さで連続キックを繰り出すが、実験体も連続キックを繰り出して遥か上空へ。

 

ティガ「ハアアアァァァァ!!!!!」

 

 

 

 

遥か上空。

 

ティガ「ハアアアァァァァ・・・チャァッ!!!」

 

最後の一撃でお互い弾かれ、そのまま超高速で飛びながら激しく激突する。だが実験体が激突した瞬間にティガを捕まえた。

 

ティガ「ッ!!」

 

そのまま地上へ落下した。

 

 

 

 

 

 

ベローナ「・・・フフッ。残るは・・・」

 

 

 

 

 

 

上空では、アルティメット・マジシャンズが実験施設に攻撃を仕掛けていた。だが、全員の魔力弾が実験施設の周囲に張られている魔力障壁で遮られてしまった。

 

 

 

 

ケイティ「魔力障壁!?」

 

 

 

 

アウグスト「諦めるな!続けろ!!」

 

このまま魔力弾を連射し続けるが、魔力障壁が壊れる気配がない。だがその時、地上から火球が飛び出した。

 

シン「彼奴!!」

 

 

 

 

ドラゴン『ーーーーーー!!』

 

地上からドラゴンの災害級が火球を連射する。

 

 

 

 

アウグスト「皆!!散開だ!!」

 

散開して火球を避ける。だが、2つの火球がシンとシシリーに直撃した。

 

シン「うわああああああ!!」

 

シシリー「きゃああああ!!」

 

火球を受けた2人が、実験施設近くの崖に激突した。

 

アウグスト「シン!!クロード!!」

 

マリア「シシリー!!」

 

 

 

 

急いで2人を助けに行くが。

 

アウグスト「タクト!!」

 

 

 

 

ティガ「ッ!!」

 

崖の下では、ティガが実験体と戦っていた。

 

ティガ「アアッ!!」

 

壁に押し込まれたティガが、実験体のパンチを何度も受けている。だが、強い一撃を間一髪右手で受け止めた。

 

ティガ「・・・こんな所で負けるか・・・!!」

 

スカイタイプからパワータイプへタイプチェンジした。

 

実験体『!?』

 

ティガ「ハァッ!チャァッ!!」

 

力を振り絞って、実験体を壁にぶつけた。

 

ティガ「チャァッ!!!」

 

ウルトラ・ホイッパーで後ろへ投げてジャンプする。

 

ティガ「チャァッ!!!」

 

マルチタイプへ瞬時にタイプチェンジし、マルチ・スペシウム光線で実験体に叩き込んだ。

 

実験体『!!』

 

ティガ・電撃キックを受けた実験体が着地した。

 

実験体『・・・』

 

すると実験体が右手を強く握り締め、そのまま天に掲げる。

 

ティガ「!?」

 

 

 

 

フェオン「彼奴、何を!?」

 

 

 

 

実験体『・・・・ッ!!!』

 

熱が篭った右手を、なんと自分に装着された鎧魔に叩き付けてヒビを入れた。

 

 

 

 

 

 

ベローナ「何!?」

 

部下A「奴め・・・勝手に鎧魔を・・・!!」

 

 

 

 

 

 

そして、ヒビが入った鎧魔が破壊された。

 

ティガ「・・・ッ!?」

 

鎧魔を装着された実験体の正体を見て、ティガが驚愕した。

 

ティガ「お前は・・・!?」

 

その正体は・・・

 

 

 

 

エミリー「あれは・・・」

 

 

 

 

白銀と金色の衣装を身に纏った魔人女だった。

 

 

 

 

エミリー「女!?」

 

 

 

 

実験体「私の名は・・・アディウム=モオル。」

 

ティガ「アディウム・・・モオルだと!?チャァッ!!」

 

アディウム「ハァッ!!」

 

ゼペリオン光線が、アディウムの放つ魔力弾で相殺された。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

アディウム「フンッ!!」

 

両者が飛翔し、ティガがフラッシングアタックで迫り、アディウムが高速回転しながら迫る。

 

ティガ「チャァッ!!!」

 

両者が激突して大爆発が起こった。

 

 

 

 

イザベラ「タクトさん!!」

 

ヒナ「あっ!!」

 

 

 

 

ティガ「アアッ!!」

 

高速回転を受けたティガが地面に落ちた。アディウムは浮遊しながらティガを見てる。

 

ティガ「・・・ッ!!」

 

 

 

 

 

 

部下A「凄い!!あのティガを追い込ませた!!」

 

ベローナ「いえ、それ以上よ!」

 

部下B「ベローナ様、残存している8体が到着します。」

 

ベローナ「よし。」

 

 

 

 

 

 

フェオン「・・・ん!?」

 

エミリー「あれは!!」

 

 

 

 

 

 

そこに現れたのは、魔人アルティメット・マジシャンズの残存してる8体だった。

 

ティガ「もう来たのか・・・!クッ!!」

 

このまま残存してる8体と戦う。だが、ティガが8体の力に圧倒されてしまい不利な状態になってしまった。

 

アディウム「・・・」

 

突然アディウムがティガ達の真上へ移動し、胸の魔石が光り始めた。

 

ティガ「ッ!?」

 

胸の魔石から巨大なビームが放たれ、ティガ達を飲み込んだ。

 

ティガ「アアッ!!」

 

そのビームによって生じた巨大な竜巻が、上空に生じた歪みによって割れた空間へ呑み込まれてしまった。呑み込まれた後、空間は元通りに戻った。

 

アディウム「・・・・」

 

 

 

 

 

 

ベローナ「アディウム=モオル!想像以上の力だわ!!アッハッハッハッハ!!!」

 

 

 

 

 

 

フェオン「皆・・・何処なの?」

 

アウグスト「フェオン!!」

 

フェオン「皆!!」

 

そこにアウグスト達と合流した。

 

マリア「皆、あれを見て。」

 

フェオン「ん?あっ!!」

 

崖の下を見ると、先程のビームで半径1キロが消滅されてしまっていた。

 

イザベラ「タクトさん・・・!!」

 

 

 

 

 

 

空間の中、ティガが異空間の果てまで飛ばされていた。

 

『To Be Continued・・・』




次回予告

アディウム=モオルによって異空間へ呑み込まれてしまったティガ。行方不明となったシンとシシリーは、レオンとソフィーに出会った。アディウムの秘密とは何か・・・

次回ウルトラマンティガ

アストラルSTAGE2=ティガの決死圏=

お楽しみに


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第37話「アストラルSTAGE2=ティガの決死圏=」

アストラルSTAGE2=ティガの決死圏=
アディウム=モオル、ベローナ、災害級 登場



アストラル公国から遠く離れた丘の上に佇む謎の人影。

 

???「・・・」

 

その人物に、イノシシの魔物が迫って来る。

 

???「・・・ハァッ!!」

 

だがイノシシの魔物が、その人物の裏拳で討伐されてしまった。

 

???「タクト・・・」

 

 

 

 

 

 

魔人女・アディウム=モオルによって異空間へ飛ばされてしまったティガは。

 

ティガ「ッ!」

 

異空間にある抉られた大地に着地した。

 

ティガ「くそっ・・・異空間の狭間に飛ばされてしまったか・・・」

 

???「ハァッ!!」

 

ティガ「ッ!タァッ!!」

 

突如飛んで来た炎を避けた。そこに現れたのは、トール、ユリウス、マーク、オリビアの人工魔人だった。

 

ティガ「トールにユリウス・・・マークとオリビア・・・ッ!!」

 

パワータイプへタイプチェンジし、4体と対峙する。

 

ティガ(早く戻らないと・・・!何としても・・・ベローナの野望を・・・!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実験施設。アディウムが束縛され、胸の魔石から魔力を注いでる。

 

ベローナ「アディウム=モオル。鎧魔を破壊した時は驚いたけど、あなたは私の忠実な奴隷。命令には逆らえないわよ。フッフッフッ・・・ハッハッハッハッハ!!」

 

眠っていたアディウムが密かに目を開き、脳裏にある人物が浮かび上がった。その人物は、紺碧のマントを羽織っている魔人女だった。

 

アディウム(ッ!?メルヴィア・・・様・・・!?)

 

脳裏に浮かぶメルヴィアと言う魔人女を言った後、アディウムがそのまま眠りに入った。

 

 

 

 

 

 

???『おい!聞こえるか!』

 

シン「ッ!誰だ!?・・・気のせいか。」

 

シシリー「さっきの声は・・・一体・・・」

 

目覚めたシンとシシリーは今、独房で磔にされていた。

 

シン「クッ!!」

 

魔力を出そうとしたが、出せなかった。

 

シン「ダメか!」

 

シシリー「魔法が使えない!?」

 

???『今助けてやる!!』

 

シン「その声・・・誰だ!!」

 

すると独房のドアが破壊され、現れたのは。

 

???「ッ!!」

 

銀髪の少年だった。

 

シシリー「あなたは!?」

 

銀髪の少年「ちょっと待ってろ!!」

 

現れた銀髪の少年は、シンとシシリーを縛っている十字架を破壊して助けた。

 

シン「お前は一体!?」

 

銀髪の少年「俺はレオン!ソフィーは!?」

 

シシリー「あなたがレオンさん!?フェオンさんが言ってた!」

 

レオン「フェオン!?彼女達と知り合いか!?」

 

シン「あぁ、それとタクトもだ。」

 

レオン「そうか。2人は、あの人工魔人とは違うのか?」

 

シン「俺達は本物だ。俺はシン=ウォルフォード。」

 

シシリー「シシリー=フォン=クロードです。」

 

レオン「シンとシシリー・・・なぁ2人共、ソフィーを見なかったか?」

 

シン「ソフィー・・・いや。」

 

レオン「一体何処に居るんだ?」

 

シン「レオン。世界が崩壊しようとしているんだ。」

 

シシリー「ソフィーさんを探しながら行きましょう!」

 

 

 

 

 

 

外では。

 

アウグスト「シーーーン!!」

 

マリア「シシリーーーー!!」

 

アリス「2人共、何処行ったんだろう・・・」

 

リン「ん?皆!あれ!」

 

実験施設の近くの崖に、巨大な穴が空いていた。

 

フェオン「これは・・・そうか!」

 

アウグスト「ん?」

 

フェオン「さっきの2人の激突で、実験施設に穴が空いたんだわ!」

 

イザベラ「・・・お姉ちゃん!この先にシンさんとシシリーさん、それにレオンさん達を感じるよ!」

 

フェオン「よぉし、そうと決まれば乗り込むわよ!」

 

アウグスト「よし、我々も行くぞ!」

 

全員「了解!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異空間の狭間。

 

ティガ「タアァァァッ!!!!」

 

宙に浮かぶ巨岩をティガバーニングダッシュで押して急降下する。

 

魔人達「!?」

 

急降下する巨岩に驚愕している。

 

ティガ「ハアァァァァッ!!!!」

 

このまま押して急降下する。だが、途中で巨岩が止まった。

 

ティガ「ッ!?」

 

魔人ユリウス「ヌゥン!!!」

 

それは、魔人ユリウスが巨岩を受け止めたからである。そのまま巨岩を振り回して投げ飛ばした。

 

魔人マーク・魔人オリビア「ハァッ!!!」

 

2人の炎が巨岩を爆破した。その爆煙のなからティガが現れた。

 

ティガ「タァッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実験施設・通路。

 

レオン「ソフィー・・・何処に居るんだ?」

 

シン「なぁレオン、君はタクトの仲間だったよな?」

 

レオン「あ、あぁ。」

 

シシリー「タクトさんとの出会いを聞かせてくれませんか?」

 

レオン「・・・ソフィーは俺の幼馴染みで、誰にでも優しく強い子だった。以前にゴディ盗賊団に攫われた時、タクト達と一緒にソフィーと子供達を助けたんだ。それ以降タクト達と旅をしていたんだ。」

 

シン「そうか。」

 

シシリー「ソフィーさんって言うお方は、レオンさんの支えなんですね?」

 

レオン「あぁ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異空間の狭間。

 

ティガ「タァッ!!」

 

魔人達にティガ・ホールド光波で魔力を無効化させた。

 

ティガ「ーーーーー!!ハァッ!!!!」

 

そのままデラシウム光流で4体纏めて、浮遊している巨岩に向けて押し上げた。デラシウム光流を受けた4体の魔人達が爆発四散した。

 

ティガ「・・・人工魔人とは言え、アルティメット・マジシャンズとやり合うってのは・・・結構厳しいな・・・ッ!?」

 

だがその後ろには、魔人アウグストと魔人マリアが佇んでいた。

 

ティガ「オーグにマリア・・・」

 

そしてその後ろには、魔人シンと魔人シシリーが陰から現れた。

 

ティガ「シンにシシリー・・・まだ残っていたか・・・」

 

4体の魔人達がティガを囲んだ。

 

ティガ(右にはシン、左にはオーグ、後ろにはシシリー、前にはマリア・・・クッ!!)

 

地面に叩き付けて土煙を蔓延させた。

 

ティガ「タァッ!!!」

 

スカイタイプへタイプチェンジし、飛翔した。

 

 

 

 

高速で飛ぶティガを4体の魔人が追う。

 

ティガ「ッ!!」

 

魔人シシリーと魔人マリアの魔力弾を蛇行で避ける。

 

ティガ「何!?」

 

だが左右に魔人シンと魔人アウグストが。2体がティガに魔力弾を連射した。

 

ティガ「アアアァァァ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実験施設・最深部。

 

シン「こ・・・これは!?」

 

そこには、量産された人工魔人アルティメット・マジシャンズがあった。

 

シシリー「私達を模した人工魔人を・・・!?」

 

レオン「ベローナは何を企んでいるんだ!?」

 

ベローナ「ハッハッハッハ!!驚いたぁ?私の偉大な技術力を。」

 

シン「お前がベローナか!」

 

ベローナ「私の技術力は万能よ?世界中を監視し、あなた達アルティメット・マジシャンズを分析して、あなた達の人工魔人を造る事が出来たんだから。そしてレオン、あなたのガールフレンドも利用させて貰うわ。」

 

???「レオンくーーーーん!!!」

 

レオン「っ!!」

 

 

 

 

磔にされた銀髪の少女・ソフィーがそこに居た。

 

 

 

 

レオン「ソフィー!!ベローナ貴様!!」

 

だが2人の部下が3人を取り囲んだ。

 

ベローナ「辺境の国・アストラルへようこそ。」

 

シン「何の実験か知らないが、お前達は世界を崩壊しようとしているんだぞ!」

 

ベローナ「あれを見なさい。アディウム=モオルの異空間魔石。」

 

シシリー「異空間魔石・・・?」

 

ベローナ「一歩でも間違えれば、世界を跡形もなく消滅させてしまう禁断の魔石よ。でも私は成功した!異空間魔石の完全制御に!異空間をコントロールし、凡ゆる国を行き来する事が可能になったのよ。」

 

シン「凡ゆる国を!?」

 

すると量産された人工魔人アルティメット・マジシャンズの12体が転送台に立てられた。

 

シン「まさか・・・お前達!!」

 

ベローナ「そうよ。凡ゆる国々に私達のアルティメット・マジシャンズを送り込んで世界を破滅する事。それが私達の計画。英雄の象徴であるアルティメット・マジシャンズが、全世界を制圧する!!ベローナの手先としてね。そしてソフィー!あなたは私達が創り上げる国の王妃として迎えてあげるわ!!」

 

レオン「その為にソフィーを!!」

 

ベローナ「さぁ、転送開始!!」

 

アディウムの異空間魔石によって、転送のカウントダウンが始まった。

 

ベローナ「後1分で世界中へ転送されるわ。」

 

シン「何!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異空間の狭間。

 

ティガ「アァッ!!」

 

”ピコン”

 

戦いの疲労でティガが追い込まれてしまった。

 

ティガ「体力が・・・!!」

 

立ち上がろうとしたが、バイブレーションソードを握った魔人シンに掴まれてしまった。

 

ティガ「もう・・・ここで終わりか・・・」

 

魔人シンがバイブレーションソードを振り翳したその時。

 

???「最後まで諦めるな!!」

 

ティガ「ッ!?」

 

突然現れた光が4体の魔人に直撃し、更に緑色の光がティガに降り注ぎ、体力とカラータイマーが回復した。

 

ティガ「・・・ッ!!」

 

上を見ると、謎の人影が岩の上に立っていた。

 

???「希望の光を捨ててはダメよ!!タクト!!」

 

ティガ「アザレア!!!」

 

その正体は、マーリンとメリダの娘で、シンの叔母のアザレア=ウォルフォードだった。

 

アザレア「ハァッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実験施設・最深部。

 

ベローナ「転送まで30秒。もうすぐね。」

 

シン「止めろーーーー!!」

 

レオン「ソフィーーーー!!!」

 

だがその時、何処からか蔦が現れ、ベローナの部下達を束縛した。

 

ベローナ「っ!?」

 

???「オルァ!!」

 

???「よいしょ!!」

 

そして、ある人物達が部下達に飛び蹴りした。

 

ジェレミー「よう、また無茶したか?」

 

ケイティ「相変わらずだねぇ。」

 

シン「ジェレミー!!」

 

シシリー「ケイティさん!!」

 

 

 

 

アウグスト「シーーーン!」

 

マリア「シシリーーーー!」

 

 

 

 

上を見ると、アウグスト達が立っていた。

 

シン「オーグ!!皆!!」

 

全員が飛び降りた。

 

アリス「大丈夫!?」

 

シシリー「ありがとうございます!皆さん!」

 

ジェレミー「面白そうな代物達だな。喰い尽くすぜ!!」

 

魔喰人へ強化した。

 

ベローナ「何!?」

 

アウグスト「全員!一斉攻撃!!」

 

ジェレミー「おう!行くぜ!!」

 

アルティメット・マジシャンズが転送寸前の人工魔人アルティメット・マジシャンズを全て破壊した。

 

ベローナ「クッ!!」

 

イザベラ「ソフィーさん!!」

 

磔にされてるソフィーを蔦で引き寄せた。

 

レオン「ソフィー!!」

 

ジャンプして磔を破壊し、ソフィーを抱き締めた。

 

レオン「ソフィー、もう大丈夫だ。」

 

ソフィー「レオン君・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異空間の狭間。

 

ティガ「タァッ!!」

 

魔人アウグストと魔人マリアと戦うティガと・・・

 

アザレア「ハァッ!!」

 

魔人シンと魔人シシリーと戦うアザレア。

 

アザレア「甥っ子達を模して造られた人工魔人は言語道断!!」

 

2体の攻撃を躱して、しゃがみキックで転ばせた。

 

アザレア「この落とし前、高く付くわよ!!」

 

そのまま蹴り飛ばした。

 

ティガ「タァッ!!」

 

フラッシュボマーで魔人アウグストと魔人マリアに大ダメージを与えた。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ハンドスラッシュを連射した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実験施設・最深部。

 

ベローナ「ドラゴンを出せ!!」

 

ドラゴンの災害級を出した。

 

レオン「クッ!」

 

部下A「貴様!!」

 

レオン「邪魔だ!!」

 

部下B「小娘!!」

 

ソフィー「えいっ!!」

 

2人が部下達を呆気なく蹴散らした。

 

アウグスト「油断するな!!行くぞ!!」

 

全員「了解!!」

 

アルティメット・マジシャンズが、ドラゴンの災害級と戦う。ドラゴンの災害級は暴れ、実験施設の最深部を破壊しながらアルティメット・マジシャンズと戦う。

 

フェオン「ここも保たないわ!行きましょ!」

 

イザベラ「うん!」

 

エミリー「レオン!ソフィー!」

 

レア「逃げるぞ!」

 

レオン「あぁ!」

 

ソフィー「えぇ!」

 

グレア「皆こっちだよ!!」

 

9人がすぐに脱出する。

 

 

 

 

実験施設に巨大な穴が開き、ドラゴンの災害級がアルティメット・マジシャンズと戦う。

 

 

 

 

実験施設・最深部。

 

部下達「ベローナ様!!」

 

ベローナ「何をしてるの!!早く施設の機能を回復させなさい!!」

 

だがその背後から、巨大な黒い煙がベローナに迫った。

 

ベローナ「キャアアアアアーーー!!!!」

 

部下達「ベローナ様!!うわあああああ!!!」

 

崩壊した天井に潰されてしまった。

 

リオ「デイジー!こっち!」

 

デイジー「ん?リオ!あれ見て!」

 

リオ「あ!!」

 

 

 

 

巨大な煙でベローナを捕縛したアディウムが浮遊している。

 

ベローナ「何をする!!離せ!!離しなさい!!アディウム=モオル!!」

 

しかしアディウムは聞く耳持たず、左手から熱線を放射して最深部を破壊した。人工魔人アルティメット・マジシャンズが全て破壊されてしまった。

 

 

 

 

リオ「彼奴、ここを破壊してる!!」

 

レオン「どう言う事だ!?」

 

 

 

 

ベローナ「何故・・・何故だ・・・!!アディウム=モオル!!」

 

アディウム「思い上がるな。人間。」

 

ベローナ「・・・!?」

 

アディウム「命などと言う、儚いものに縋る貴様達に、この私が支配出来ると思っていたのか?フッフッフッ・・・アッハッハッハ!」

 

ベローナ「・・・・」

 

その言葉で戦意喪失し、落ちてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異空間の狭間。

 

アザレア「ハアアァァァァァ!!!!」

 

ティガ「タアアァァァァァ!!!!」

 

ダブルキックで4体纏めて押し込んだ。

 

アザレア「タクト!模造品なんかに構ってる時間はないわ!」

 

2人は、浮遊する岩の上に着地する。

 

アザレア「脱出よ。」

 

ティガ「けどどうやって?」

 

アザレア「私達の力を合わせるのよ。そして、異空間の穴を開ける!行けるわね?」

 

ティガ「分かった!」

 

両腕を胸の前で交差させて瞬時に左右に伸ばしてから上にあげてエネルギーを集め、アザレアも両手に魔力を集める。

 

魔人達「ハァッ!!」

 

前に魔人達が浮遊し、巨大な魔法を放った。

 

ティガ「タァッ!!」

 

アザレア「ハァッ!!」

 

ランバルト光弾と赤と青の魔力放射が重なり、4体の魔人達の魔力弾を押し込んで爆発させ、そのまま異空間の果てまで直撃した。そこから光が出現した。

 

アザレア「出口よ!タクト!脱出よ!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

ウルトラ・ボディーアタックでアザレアと共に異空間へ脱出する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アストラル公国。実験施設はアディウムの手により完全に沈黙してしまった。

 

ベローナ「・・・・奴は・・・・」

 

リオ「喋らない方がいいよ。」

 

ナージャ「大人しくしなさい。」

 

落ちたはずのベローナは、リオ達に介抱されていた。

 

ベローナ「・・・何故・・・何故私を助けたの・・・?」

 

デイジー「あなたに色々聞きたいのよ。」

 

ケイティ「素性とかね。」

 

フェオン「過去に私達と戦いで逃げたあなたが、この国の人達を殺したの?」

 

ベローナ「・・・この国に逃げ込んだ時は・・・既に国民や王族すら居なかった・・・寧ろ殺されていた・・・」

 

イザベラ「え?」

 

エミリー「どう言う事だ?」

 

ベローナ「その国にあったのは・・・アディウムだった・・・私は彼女の洗脳魔法によって自分の欲望を高めてしまった・・・そして私は彼女を捕まえて・・・世界を崩壊させる技術まで与えた・・・」

 

ヒナ「ベローナさん。アディウム=モオルとは何者なんですか!?」

 

ベローナ「・・・恐らく・・・別の・・・大陸から・・・」

 

フェオン「別の・・・大陸・・・?」

 

そして、ベローナは静かに息を引き取った。

 

レオン「ベローナ・・・」

 

アンナ「安らかに・・・」

 

 

 

 

 

 

アルティメット・マジシャンズは今、ドラゴンの災害級と戦っている。

 

シン「傷が付かねえ!!」

 

アウグスト「あのベローナが何か付与したのだろう。」

 

???「無駄だ。」

 

そこにアディウムが現れた。

 

アディウム「そのドラゴンには、完全無傷の付与がされてある。お前達でも倒す事は出来ない。」

 

アリス「何それ反則!!」

 

アディウム「ハァッ!!」

 

洗脳魔法で、ドラゴンの災害級を狂わせた。

 

ドラゴン『ーーーーーーー!!!!!』

 

両目から光の鞭を射出し、アルティメット・マジシャンズを束縛した。

 

シン「クッ!!」

 

マーク「このままじゃ俺達負けてしまう!」

 

オリビア「クリスティ君が居ない・・・」

 

フェオン「ハアアァァァァァ!!!」

 

そこにフェオン達が駆け付けた。

 

フェオン「ヤァッ!!」

 

エミリー「ハァッ!!」

 

レア「タァッ!」

 

大剣と太刀と旋刃盤を振り下ろし、シン達を束縛してる光の鞭を斬った。

 

フェオン「大丈夫!?」

 

マリア「ありがとう!」

 

だが光の鞭がすぐに復活し、シン達を再び捕縛した。

 

フェオン「え!?アアッ!!」

 

エミリー「何!?グアッ!!」

 

レア「フェオン!エミリー!ガッ!!」

 

別の光の鞭がフェオンとエミリーとレアを束縛した。

 

 

 

 

イザベラ「お姉ちゃん!!」

 

ヒナ「エミリーちゃん!!」

 

アンナ「レア先輩!!」

 

 

 

 

すると光の鞭が、シン達の魔力を吸い始めた。

 

アウグスト「我々の魔力を・・・!!」

 

リン「吸収してる・・・!!」

 

ユリウス「このままでは・・・!!」

 

トニー「僕達が殺られてしまう・・・!!」

 

アディウム「もうお前達には何もない。ここで絶望する恐怖を味わいなさい。」

 

ジェレミー「クッ・・・!!ん!?」

 

ローランド「あ・・・あれは!!」

 

突然空にヒビが生じた。

 

”バリーーーン!!!”

 

そしてヒビが割れて、異空間の入り口が出現した。

 

アディウム「!?」

 

その入り口から・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティガ「タアアァァァァァ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルトラ・ボディーアタックで突入したティガがアディウムに直撃した。

 

アディウム「グアッ!!」

 

ティガ「待たせたな!皆!!」

 

シン「タクト・・・!!」

 

ティガ「ッ!!」

 

透視能力でドラゴンの災害級の身体を透視する。

 

ティガ「タァッ!!」

 

腹部にランバルト光弾を放ち、腹部に埋め込まれた赤い水晶玉を破壊した。

 

ドラゴン『ーーーーーーー!!!!』

 

赤い水晶玉が破壊され、光の鞭が消滅した。

 

シン「助かった・・・!」

 

アザレア「皆!!」

 

シン「アザレア叔母さん!?」

 

シシリー「どうしてここに!?」

 

アザレア「話は後よ。あなた達を回復させないと。」

 

回復魔法でシン達の魔力を元に戻した。

 

ティガ「遅れてすまない。俺も戦う!」

 

マルチタイプへタイプチェンジした。

 

アウグスト「分かった!ドラゴンは任せろ!!アルティメット・マジシャンズ!行くぞ!!」

 

アルティメット・マジシャンズ「了解!!」

 

フェオン「私達も行くよ!」

 

イザベラ「うん!」

 

エミリー「あぁ!」

 

レア「よし!」

 

アンナ「っ!」

 

リオ「デイジー!」

 

デイジー「えぇ!」

 

レオン「ソフィー!俺達も!」

 

ソフィー「うん!」

 

ケイティ「ナージャ!待っててね!」

 

ナージャ「ケイティ!お願い!」

 

 

 

 

ティガ「皆、行くぞ!!」

 

シン「あぁ!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

アディウム「ハァッ!!」

 

ウルトラマンVSアディウム=モオル。

 

 

 

 

アルティメット・マジシャンズ「ハァッ!!」

 

フェオン・イザベラ・エミリー「ヤァッ!!」

 

レオン・ソフィー「タァッ!!!」

 

アルティメット・マジシャンズVSドラゴンの災害級。

 

 

 

 

ティガ「ハァッ!ハァッ!タァッ!!」

 

アディウム「フンッ!フンッ!ダァッ!!」

 

両者が激しい戦いを繰り広げ、アディウムが光の鞭を出した。

 

ティガ「光の鞭か!だがそんなものにビビらねえ!!」

 

アディウム「ハァッ!!」

 

大ジャンプでティガを飛び越え、光の鞭を伸ばした。

 

ティガ「タァッ!!」

 

だがティガスライサーで、光の鞭を斬り裂いた。

 

アディウム「ーーーーー!!」

 

両手に魔力を集める。

 

ティガ「ッ!!」

 

アディウム「ハァッ!!」

 

巨大な魔力弾をティガに向けて撃った。

 

ティガ「アアッ!!」

 

巨大魔力弾を受けたティガが消えた。

 

アディウム「フッハッハッハッハ!」

 

高笑いするアディウムの腹に何かが直撃した。

 

アディウム「ガアッ!・・・何!?」

 

それは、ティガのハンドスラッシュだった。ティガは間一髪避けたのである。

 

ティガ「避ければどうって事はない!!」

 

アディウム「貴様・・・!!よくも!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

迫り来るアディウムの腹部にマルチ・スペシウム光線を撃ち込んだ。

 

 

 

 

イザベラ「えいっ!!」

 

蔦の魔法でドラゴンを束縛した。だがドラゴンは暴れ狂う。

 

イザベラ「ち・・・力が強い・・・!!」

 

ナージャ「手伝うわよ!」

 

オブシディアンから溢れる魔力がイザベラの魔力を上昇させた。

 

イザベラ「ありがとうございます!お姉ちゃん!!」

 

フェオン「うん!エミリー!!レア!!」

 

エミリー「あぁ!」

 

レア「おう!」

 

フェオン・エミリー・レア「ヤァッ!!」

 

大剣と太刀と旋刃盤を振り下ろして、ドラゴンの羽根を斬り落とした。

 

レア「ッ!!」

 

ジェレミー「ウオオオオオオ!!!」

 

ローランド「アウウウウン!!!!」

 

ケイティ「行くよーーーー!!!!」

 

ジェレミーとローランドとケイティが超高速で走りながらドラゴンの全身に切り傷を刻んだ。

 

アンナ「ッ!!」

 

ボウガンを連射し、ドラゴンの傷に全て突き刺した。

 

リオ「デイジー!」

 

デイジー「分かってるわ!」

 

レオン「一緒に行くぞ!ソフィー!」

 

ソフィー「勿論!」

 

リオ・デイジー「ヤアアァァァァ!!!」

 

高速回転斬りでドラゴンの角を全て破壊した。

 

レオン・ソフィー「ハアアァァァ!!!」

 

ダブルパンチでドラゴンを吹き飛ばした。

 

ケイティ「皆!!トドメだよ!!」

 

シン「行くぞ!!!」

 

アウグスト「あぁ!!」

 

アルティメット・マジシャンズの魔法一斉発射がドラゴンに全て直撃した。

 

ドラゴン『ーーーーーーーー!!!!』

 

全ての技を受けたドラゴンが大爆発した。

 

シン「よし!」

 

フェオン「やったわね!」

 

イザベラ「うん!」

 

アンナ「や、やった・・・」

 

レア「おいアンナ、無理したな。」

 

アンナ「うん・・・」

 

レオン「ソフィー。」

 

ソフィー「レオン君。」

 

2人はハイタッチを交わした。

 

 

 

 

ティガ「ハァッ!ハァッ!ハァッ!タァッ!!」

 

ウルトラ・ライトナックルでアディウムに何度も叩き込む。

 

 

 

 

ナージャ「皆!」

 

ヒナ「皆さん!」

 

その場に居る皆が、ティガの戦いを見守る。

 

 

 

 

アディウム「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

 

光の鞭を出した。

 

アディウム「負けはしない・・・!!貴様などに・・・負けはしない!!」

 

ティガ「あぁ。俺もお前に負ける気はない!」

 

アディウム「何故だ・・・!!何故お前はそうまでして戦うんだ・・・!!」

 

ティガ「俺には・・・頼もしい仲間達が居るからだ!!」

 

右手を振り翳して走り出す。

 

アディウム「クッ!!」

 

光の鞭でガードする。

 

ティガ「タァッ!!!」

 

スラップショットで光の鞭を斬り裂いた。

 

アディウム「ク・・・クソッ!!」

 

胸の異空間魔石に魔力を集める。

 

ティガ「何度も受けてたまるか!!」

 

両腕を前に突き出し交差させ、大きく横にゆっくり広げてエネルギーを集める。

 

ティガ「タァッ!!」

 

アディウム「葬り去れ!!」

 

ゼペリオン光線と異空間放射線が激突する。

 

アディウム「ウアアアアアアア!!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

ゼペリオン光線が異空間放射線を押し、アディウムに直撃した。

 

アディウム「バ・・・バカな・・・!!!」

 

ゼペリオン光線を受けたアディウムが爆発した。

 

 

 

 

シン「よし!!」

 

マリア「やった!!」

 

ユーリ「やったぁ!!」

 

 

 

 

アディウム「ガハッ・・・!!どうして・・・どうしてそこまでの力を・・・!!」

 

ティガ「仲間達の絆が、俺の力だ。」

 

シン達はティガに笑顔を向け、ティガがサムズアップで応えた。

 

アディウム「・・・これで勝ったと思うな・・・」

 

ティガ「ッ!?」

 

アディウム「世界を揺るがす・・・恐怖と絶望のカウントダウンは・・・既に始まっている・・・やがて我々の世界から・・・強大な・・・!!」

 

だがその途中でアディウムの両目の瞳が消えて倒れ、大爆発した。

 

ティガ「・・・・・」

 

右膝を付いたティガが光となり、タクトの姿に戻った。

 

タクト「ハァ・・・ハァ・・・」

 

シン「タクト!!」

 

タクト「・・・皆・・・」

 

アウグスト「よく頑張ったな。」

 

タクト「・・・すまない皆・・・黙って行ってしまって・・・」

 

アウグスト「何を言ってる。お前が無事で良かった。」

 

タクト「・・・フェオン、皆。」

 

フェオン「相変わらず、凄いわねあなた。」

 

レオン「全くだ。」

 

ソフィー「タクト君。私達を助けに来てくれてありがとう。」

 

タクト「ソフィー、怖かったか?」

 

ソフィー「ううん。レオン君が一緒に居てくれたお陰で怖くなかったよ。」

 

タクト「そうか。後で治療受けろよ。なぁ2人さん、これからどうする?また旅でも続けるのか?」

 

ソフィー「旅も良いけど・・・そろそろ憩いの場所で暮らしたいかもね。」

 

アウグスト「ならば、我々の国に来ないか?」

 

レオン「え?あのアールスハイド王国へ?」

 

アウグスト「そうだ。是非我が国へ来てくれ。お持て成しを提供するぞ。」

 

ソフィー「レオン君、ここはアウグストさんに甘えようよ。」

 

レオン「・・・そうだな。お言葉に甘えて。」

 

アウグスト「よし、そうと決まれば。」

 

タクト「あ、ちょっと待ってくれ。」

 

アウグスト「どうした?」

 

タクト「フェオン、ベローナの遺体は?」

 

フェオン「彼処よ。」

 

 

 

 

ベローナの遺体を埋葬し、墓を作った。

 

タクト「安らかにな。ベローナ。」

 

 

 

 

 

 

翌日。アールスハイド王国・クリスティ邸。

 

タクト「どうだ?新しい家は。」

 

ソフィー「とっても快適!色々とありがとうね。タクト君。」

 

レオン「俺達自由になったぞ!」

 

タクト「良かったな。そうだ。なぁ、カサンドラはまだ会ってないのか?」

 

ソフィー「ううん。あの日から会ってないの。」

 

タクト「・・・まぁ、彼女も自分の旅を続けてるんだろうし。何時かまた何処かで会えるだろう。」

 

レオン「だな。」

 

タクト「さて皆、今日の夜はパーティだぞ?また来るからな!」

 

レオン「あぁ!楽しみにしてるぞ!」

 

ヒナ「それまで、料理を作りますね。」

 

こうしてタクトの仲間のレオンとソフィーが、アールスハイド王国に移住した。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子
ジェレミー=ダンクルク:前野智昭
ローランド:山本和臣
フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
グレア:高橋李依

アザレア=ウォルフォード:新谷良子

レオン:岡本信彦
ソフィー:櫻庭彩華

ベローナ:矢作紗友里
部下:狩野翔
   松田修平

アディウム=モオル:高垣彩陽





次回予告

2学年に進級したアルティメット・マジシャンズに、新しい仲間レベッカが加わった。だがイース神聖国で、恐ろしい事件が起きてしまった。

次回ウルトラマンティガ

凶報

お楽しみに





ここは、異世界の異世界。
嘗て巨神兵と呼ばれる存在が世界を破滅へと導いた。
それから1000年後。各地に発生した毒や菌類の海・菌海(きんかい)

この異世界に赴いたタクトが、未来を生き抜く少女・ジェシカと共に、奇跡を起こす。

ウルトラマンティガ 愛を呼ぶ少女


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##驚天動地の魔人襲来編##
第38話「凶報」


凶報
ベルゼ=クラスティール、斥候魔人 登場



ダーム王国。

 

ドミニク「魔人領攻略作戦開始から数ヶ月・・・魔人の首魁・シュトロームが潜伏していると思われる旧帝都の包囲はようやく完了しつつあります。加えて・・・嘗て我々を脅かした巨大な災害級・・・俗に”超災害級”と呼ばれる魔物は、その後姿を見せてはおりません。よって、疲弊の目立つ作戦参加中の寺院を各国共に削減する方向で考えております。」

 

閣僚A「旧帝都を除く魔人領の魔物も相当数減らしているようだし・・・」

 

閣僚B「問題ないかと思いますな。」

 

閣僚C「超災害級と呼ばれる魔物は、自然発生はしないと言う説は伺いましたが・・・魔人が何らかの方法で作り上げている可能性が高いようだな。」

 

閣僚D「ならば、今後出現するとしたら旧帝都から・・・か、それならば逆に対処もしやすいだろう。」

 

ガラン「作戦は予定通り・・・旧帝都へは踏み入らず、残った魔人の監視体制が築けた時点で一旦終了って事で良かったよな?」

 

ドミニク「その通りです。」

 

ナバル「・・・ま、下手に藪をつついて蛇を出す必要はありませんわな。魔人達の意図がさっぱり分からへん以上・・・釈然とせんモンはあるけどな。」

 

エドガー「あの・・・魔物も同様なのですが・・・今後、魔人が増えると言う可能性は?」

 

ドミニク「現在までに魔物に子が生まれたと言う報告はありません。恐らくは魔人も同様でしょう。魔人は何らかの手段で人を魔人化させる術を持っていると考えられていますが、それも包囲網が完成し奴等を旧帝都から出さなければ問題ないでしょう。」

 

この発言に誰も意義はなく、ドミニクは自分の秘書官に頷いて話を進めさせる。

 

秘書官「・・・では次の議題に移らせていただきます。以前取り決めた領土の分配を改め・・・()()()()()()()()()()()()件について・・・」

 

その議題が入った途端、ダーム王国の代表がギリっと歯を噛み締めていた。

 

秘書官「ダーム代表、宜しいですか?」

 

ダーム代表「・・・ええ・・・大丈夫です・・・」

 

 

 

(ラルフ前長官の暴挙のせいで・・・ダームは一気に肩身が狭くなりましたな。)

 

(・・・ま、仕方ないでしょう。)

 

(作戦を無視した個人行動を企てた上に帯同させた軍人は全滅・・・各国軍を混乱させ、結果的に軍の存在を魔人に報せる事になってしまった。)

 

(しかも聞けば、暴走の原因は教皇猊下がお決めになった”御使い”や”聖女”の呼び名に納得出来ず、アルティメット・マジシャンズの功を先んじて掠め取ろうとしたと言う事らしい。)

 

(おまけに死亡後は、リチャード大司祭様によって永遠の磔の刑に処されてしまった。)

 

(そのような危険人物を軍の代表に据えていたダームの責任は重い。お咎めなしと言う訳にはいくまい。)

 

 

 

ダーム代表(あの疫病神が・・・!!大人しく作戦に参加していれば黙っていても領土の拡大が出来ていたものを・・・!!)

 

秘書官「・・・では、ダームに分配される領土は元々の予定の半分。残った領土はその周辺国に再分配と言う事で・・・」

 

 

 

 

 

 

会議が終了し、閣僚達がそれぞれ帰って行った。

 

ナバル「やれやれ、今日の会議も終わりやな。」

 

ハミル「・・・はは。他国に泊まり込んで連日会議と言うのも骨が折れますな。」

 

ナバル「ホンマにな。」

 

 

 

 

物陰に謎の人影があった。

 

 

 

 

秘書官「マキナ様。今後の予定を確認したいのですが・・・」

 

ハミル「明日の会議が終わり次第、一度国に戻ろう。向こうでも随分仕事が溜まっているからな。(攻略作戦も終わりは近い・・・このまま何事もなく進めば必ず世界に平穏が戻るだろう。)」

 

 

 

 

物陰に潜んでいた人影が行動を移そうとした時。

 

???「相変わらず仕事熱心だねぇ。エミールちゃん。」

 

エミール「・・・その口調は止めろと何度言えば分かるんだ。ベルゼ。」

 

ベルゼ「ニヒヒヒ。」

 

その人影の正体は、斥候隊のエミールだった。そして斥候隊の制服を身に纏ったベルゼが彼の後ろに立って笑っていた。

 

エミール「お前、今まで何処へ行ってたんだ?」

 

ベルゼ「ん〜・・・ちょっと別荘へ帰省してたよ。でもあの離反の皆が勝手に乗っ取っちゃってね。」

 

エミール「元々お前の別荘でも何でもないだろ。」

 

ベルゼ「それもそうだね。」

 

エミール「そんな事より邪魔しないでくれ。今良い所なんだよ。」

 

ベルゼ「でも残念。ハミル=マキナ司教は害意の欠片が微塵も無いよ?」

 

エミール「・・・予知で調べたのか。」

 

ベルゼ「そうだよ。でも彼の代わりに良い標的を発見したよ。」

 

エミール「・・・丁度良いな。案内しろ。」

 

ベルゼ「はいはーい。」

 

 

 

 

 

 

とある屋敷。

 

ダーム代表「くそっ!!!はぁ・・・はぁ・・・」

 

そこでは、ダーム代表が苛立っていた。

 

ダーム代表(忌々しい・・・!!ラルフめが・・・!!自国の会議で・・・!!他国の代表の前であのような恥を・・・!!それに精神的宗主国であるイースからの信頼までも地に落とすとは・・・!!くそ・・・!!陛下に何と報告すればよいのだ・・・!?・・・やってられるか!!)

 

近くにあった酒を空になるまで飲み干し、そのままベッドへ眠った。

 

 

 

 

 

 

夢の中。

 

???『憎くないか?』

 

ダーム代表(っ!?何だここは・・・私は確か部屋で・・・夢・・・!?)

 

???『お前自身に何も非はないのに、非難され、貶められた。憎くないか?』

 

ダーム代表「憎いに決まってる!!こんな思いをする為に私は苦労して閣僚になるまで上り詰めた訳ではない!!」

 

???『ならば、その怒りに身を任せればいい。それが自然な姿だとは思わないか?』

 

ダーム代表「だが、誰を憎んだらいい・・・!?当のラルフは死に、リチャード大司祭様に磔の刑に処されてとっくにこの世には居ない・・・!!」

 

???『だが、お前は悪くない。悪いのは一体誰だ?』

 

 

 

 

そう諭している声の持ち主は、エミールだった。その後ろにベルゼが笑顔で立っている。

 

 

 

 

エミール『お前は悪くない・・・』

 

ダーム代表「・・・私は悪くない・・・悪いのは誰だ・・・私をここまで苦しめる事になった原因を作った者は・・・そうだ・・・悪いのは・・・あの時・・・あのような・・・宣言をした・・・!!」

 

怒りの矛先が、ある人物に向けられた。

 

 

 

 

 

 

ダーム王国・最北端。

 

???「?」

 

???「これは?」

 

2人の人物が何かの気配を感じた。

 

???「もしかしたら・・・危ないかも。」

 

???「・・・その可能性がある。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王国。マーリン達の過去の告白からしばしの時が過ぎ、春の季節が来た。タクト達は2年生に進級した。

 

タクト「まさかこのSクラスに新しい仲間が加わるとは驚きだな。」

 

マリア「凄いわね。」

 

アウグスト「その生徒は幾多の努力をぶつけたんだろう。」

 

タクト「新しいメンバーはまだ分からないのか?」

 

アウグスト「当然だろう。しかも噂だとタクト、お前の入試試験の点数と同じらしいぞ。」

 

タクト「俺と同じ?凄いなその子・・・」

 

シン「転校する事にならなくて良かったな。トニー。」

 

トニー「はは。まあね。」

 

トール「え?例の親御さんとの約束、まだ生きてたんですか?」

 

タクト「流石にもう許してあげても良いんじゃ・・・」

 

 

 

 

『きゃあああ!!』

 

 

 

 

シン「うおっ!何だ!?」

 

突然校舎から女子の黄色い歓声が溢れた。

 

 

 

 

「シン様ー!素敵ー!」

「タクト様格好良いー!」

「殿下ー!」

「アリス先輩可愛い〜〜!!」

「ああ麗しいわ!マリアお姉様〜!」

「聖女様ー!」

「トニー君〜〜〜!」

「ユリウスのアニキー!」

 

 

 

 

タクト「おぉ、黄色い歓声が響いてるね・・・」

 

マリア「・・・!!ああ、今年の新入生か。」

 

ユーリ「初日からすっごいわねぇ。」

 

アウグスト「今年の受験者数は過去最高だったらしいぞ。まあ、我々の影響だろうな。どんなアプローチがあっても、基本相手にはするなよ?一応、これでも国を代表する部隊なんだからな。」

 

タクト「それに相手したら面倒くなるな・・・」

 

 

 

 

高等魔法学院・廊下。

 

アウグスト「それはそうと、旧帝都を囲む監視網が完成目前らしいぞ。」

 

マリア「本当ですか!?」

 

アリス「その後はどうなるんですか?」

 

アウグスト「全世界に向けて終結宣言が出されれば、この作戦は終了だ。」

 

ユーリ「長かったわねぇ。」

 

トール「魔物を掃討しながらの進軍でしたからね。まあ、その後は我々が出向くような事態がなくて良かったですよ。」

 

シン「シュトロームと不戦協定を結ぶ・・・って話はどうなったんだ?」

 

タクト「・・・」

 

アウグスト「奴らに表立った動きがあれば、拡声魔法なりで交渉する手筈だったが、いかんせん。全くそんな気配を見せんからな。」

 

タクト「やはり魔人の動向は読めねえもんだな。」

 

アウグスト「あぁ。不気味な程にな。まあ、あれだけの包囲網があれば迂闊に奴等が動く事も出来なくなるだろう。もし何かあれば・・・その時は我々が対処すれば良い。」

 

シン(何か・・・か。)

 

 

 

 

 

 

学院内・Sクラス。

 

アルフレッド「皆、進級おめでとう。そして、このクラスに新しい仲間が加わる事になった。」

 

アリス「先生、どんな子なんですか?」

 

アルフレッド「そこで待機してるぞ。入ってくれ。」

 

Sクラスに入ったのは、水色のセミロングヘアの右側を纏めてサイドアップの髪型の新入生だった。

 

レベッカ「初めまして!Sクラスに入る事になりましたレベッカ=ホークです!宜しくお願いします!」

 

シン「元気いっぱいな子だな・・・」

 

アウグスト「ホーク?君はまさか、エルヴィン先生の?」

 

レベッカ「あ、そうです殿下。父がお世話になっております。それと、魔法師のルーパー団長は私の叔父なんです。」

 

アリス「凄い!魔法師団長様の姪御さんで、殿下の先生の娘さんなんて!」

 

レベッカ「えへへ。お褒めに預かり光栄です。あ!もしかして、タクト=クリスティ先輩ですか?」

 

タクト「あ、あぁ。そうだ。」

 

レベッカ「私、タクト先輩に憧れてSクラスに入る事が出来たんです!宜しくお願いします!」

 

タクト「あぁ。此方こそ宜しくな。レベッカ。」

 

こうしてSクラスに、ルーパーの姪で魔法師団の家系を持つレベッカ=ホークが加わった。

 

 

 

 

 

 

数日後のイース神聖国。

 

枢機卿「・・・いよいよですな。教皇猊下。」

 

エカテリーナ「ええ・・・(魔人達の意図がどうであれ・・・終結宣言によって世界の人々に安寧を齎す事が出来れば・・・今はそれで・・・)」

 

兵士「失礼致します。」

 

1人の兵士が、枢機卿に告げた。

 

枢機卿「・・・猊下。例のダームの使者ですが、直接謝罪がしたいとまた謁見に訪れているようです。」

 

エカテリーナ「またですか・・・謝罪は不要と何度も言ってるのに・・・分かったわ。終結宣言の前に互いのわかだまりを解消しておきたいのも確か。話を聞くわ。」

 

 

 

 

城内に謎の2人の影が入ってる。

 

 

 

 

謁見の間。

 

ドワイト「謁見の許可を頂き、心より感謝致します。親愛なる教皇猊下。ダーム王国を代表して参りました、ドワイト=フォン=モービルと申します。我々の太くを詫びる意味も込めて・・・まずは猊下に是非受け取って貰いたい物が御座います。」

 

異空間収納からナイフを取り出してエカテリーナを襲い始めた。だが、何者かがドワイトの腕を掴んだ。

 

エカテリーナ「!?」

 

ドワイト「な、何だ!?」

 

 

 

 

 

 

デリック「彼女に手出しするな!!!」

 

 

 

 

 

 

その正体は、魔人のデリックだった。

 

エカテリーナ「あ、あなたは・・・!?」

 

デリック「教皇猊下、この男は魔人に操られてる!!」

 

ドワイト「邪魔だ!!!」

 

腕を振り解いて、デリックの右肩に切り傷を刻んだ。

 

デリック「ぐあッ!!!」

 

切り傷を左手で押さえ込むが、全身に毒が流れ込んだ。

 

デリック「毒・・・だと・・・!?猊下!!逃げろ!!」

 

だがドワイトがエカテリーナの目の前まで迫っていた。

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王国・アルティメットギルド。

 

タクト「なぁオーグ。わざわざここに皆を集めて何を話すんだ?それにマーリン様達を呼び出して。」

 

アウグスト「・・・どうしてもマーリン殿とメリダ殿とリチャード殿とレイチェル殿にも直接お教えしたくてな。」

 

シン「だから何の話だよ。勿体付けんなって。」

 

アウグスト「・・・終結宣言の発表が決まった!教皇猊下の宣言をもって事態は終結だ!!」

 

タクト「本当か!!」

 

シン「おお!じゃあ旧帝都の監視網が完成したのか!!」

 

アリス「いえーい!やったね!」

 

トール「これで、取り敢えずは一安心ですね。」

 

メリダ「・・・まあ、何はともあれ・・・」

 

マーリン「これで世界が落ち着けばいいのう。」

 

リチャード「そうだな。平和への第一歩だな。」

 

マリア「良かったねシシリー!これで晴れて!」

 

シシリー「うん・・・あぇ!?」

 

”ジリリリリ”

 

皆が喜んでる中、無線通信機の着信音が鳴り始めた。

 

タクト「ん?誰の無線通信機が鳴ってんだ?」

 

アウグスト「ん?私か。」

 

タクト「多分陛下だろう。他の皆はここに居るし。」

 

ディセウムからの通話に出たアウグストが、固まった。

 

アウグスト「・・・」

 

シン「ん?どうしたオーグ?」

 

アウグスト「・・・シン!!お前も父上から話を聞け!」

 

シン「え?もしもしディスおじさん?」

 

ディセウム『おおシン君!そこにマーリン殿とリチャード殿は居るか!?』

 

シン「居るけど・・・それが一体・・・」

 

ディセウム『そうか良かった!今すぐマーリン殿のゲートでイースへ向かってくれ!!』

 

そして、ディセウムから告げられた言葉は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ディセウム『先程イースから緊急連絡が入った!!カーチェが・・・エカテリーナが刺されたのだ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エカテリーナが、ダーム王国の使者・ドワイトによって脇腹を刺されてしまったのだ。

 

シン「エカテリーナさんが刺された!?一体どう言う事だよ!?」

 

マリア「え・・・ちょっと!何の話よ!?教皇猊下が・・・!?」

 

ディセウム『詳しい事は分からん・・・刺された傷自体は治癒魔法で治療中らしいのだが・・・どうも刃物に厄介な毒が塗ってあったようでな!!』

 

シン(毒!?)

 

ディセウム『幾ら魔法を掛けても衰弱していく一方らしい!それで、シン君に救いを求めてきたのだ!』

 

シン「分かった!すぐに向かうよ!!」

 

ディセウム『シン君!タクト君に代わってくれ!』

 

シン「え?う、うん!タクト!ディスおじさんから!」

 

タクト「え?陛下!?」

 

ディセウム『タクト君!カーチェが刺された時に君の知り合いの男が駆け付けたのだが、彼もその毒に侵されてるようだ!!』

 

タクト「知り合いの男?誰なんだ?」

 

ディセウム『君が前に話した・・・離反魔人を離反した魔人・・・!!』

 

タクト「っ!?デリックか!?」

 

ディセウム『あぁ!幸い彼は自身の治癒魔法で毒は免れた!君もすぐにイースへ向かってくれ!』

 

タクト「分かった!ありがとう!シン!!」

 

シン「あぁ!爺ちゃん!!」

 

マーリン「準備出来とるわい!!行くぞ!!」

 

リチャード「レイチェル!マナミア!ここで待っててくれ!!」

 

レイチェル「はい!」

 

マナミア「お気を付けて!」

 

シン「オーグ!行って来る!」

 

タクト「無線通信機返すぞ!」

 

アウグスト「シン!タクト!何としても教皇猊下をお救いしろ!」

 

タクト「任せろ!」

 

ゲートを潜ってイースへ急いで向かう。

 

アウグスト「父上!では一度通信を・・・」

 

ディセウム『アウグスト!!よく聞け・・・!!緊急報告は・・・実は、それだけではないのだ・・・!!』

 

アウグスト「・・・!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、ディセウムがシン達に通信を数十分前。旧帝都城壁周辺・連合軍最前線のアールスハイド陣営。

 

兵士A「どうだ?」

 

兵士B「・・・ああ、特に異常は・・・ん?・・・・・・る・・・・」

 

兵士A「え?」

 

兵士B「何か来てる・・・!!城門の奥から・・・!!」

 

城門に現れた、無数の影の正体は・・・災害級の大群だった。

 

兵士A「な・・・!?」

 

兵士B「なっ・・・!!何だありゃ・・・!?や・・・やべぇぞオイ・・・!」

 

兵士A「まさか・・・ぜ・・・全部災害級じゃねえのかあれ・・・!?」

 

兵士C「どうした!?何かあったのか!?」

 

下に居る他の兵士の声で2人の兵士が我に返った。

 

兵士A「さ・・・災害級の魔物が旧帝都より多数出現!!至急駐留軍に伝達せよ!!緊急事態だ!!」

 

兵士D「災害級!?」

 

兵士E「おい!!直ちに王城にも通信を入れるんだ!!急げ!!」

 

兵士D「局長は!?」

 

兵士E「いえ今は・・・明日前線に合流する予定だったので・・・」

 

ルーパー「おぉい!何の騒ぎだこりゃあ!?」

 

そこに魔法師団長のルーパーが駆け付けた。

 

兵士D「ルーパー師団長!!!」

 

ルーパー「ったく、前線に来て早々よぉ!」

 

櫓に登って、望遠鏡で状況を見る。

 

ルーパー(確かにもれなく災害級だなありゃあ・・・以前のサイみてーなデカブツが居ねーのが唯一の救いだが・・・にしても俺らだけで手に負える事態じゃねぇ・・・)

 

どうするか考え込んで、決心した。

 

ルーパー「・・・数分もあればここまで来るな。すぐに臨戦態勢を整えろ。殿下達が来るまで死ぬ気で持ちこたえるしかねぇ。でなきゃここで王国軍(俺達)は全滅だ。」

 

兵士達「・・・・」

 

ルーパー「各国軍にも救援要請を入れとけ!まぁ、到着は魔物共の方が早いだろうがな!」

 

櫓から飛び降りて前線に立つ。

 

 

 

 

災害級の大群が、王国軍を目撃した。

 

ルーパー「さーて・・・腹ぁ括れよテメェら・・・」

 

 

 

 

 

 

ブルースフィア旧帝国・旧帝城。

 

ゼスト「・・・・」

 

ローレンス「ゼスト様。魔物の第一陣、解放始めました。予定通り、アールスハイドの連中が陣を張っている場所近くの城門のみ魔物を放出してますが、他の連合軍は放っといていいんですか?」

 

ゼスト「・・・対策はしてあるから、放置して構わん。場が混乱し過ぎると、個々の動きが追い難くなる。飽く迄も目的はその先だ。・・・ローレンス、この作戦はお前達の働きに懸かっている。改めて1つ訊いておくが、ウォルフォードとクリスティを除くアルティメット・マジシャンズの連中・・・お前なら勝てるか?」

 

それを聞いて、ローレンスがニヤリと笑った。

 

ローレンス「勝てますね。ガキ共相手に後れを取る気はないです。」

 

ゼスト「・・・フッ。ならいい。」

 

ローレンス(・・・まぁ正直、()りたかねーのが本音だが・・・)

 

本心では闘いたくないらしい。

 

ローレンス「・・・しかしまあ・・・シュトローム様もよくここまで動く事を許可しましたね。何かあったんですか?」

 

ゼスト「・・・・・」

 

ローレンス「ん?ゼスト様?」

 

ゼスト「・・・いや・・・シュトロームの御心は私にも分からん。以後も監視を怠るなよ。奴らに動きがあったら随時報告しろ。」

 

ローレンス「はっ!」

 

 

 

 

旧帝城内を歩くゼストは、数分前の事を思い出した。

 

 

 

 

 

 

シュトローム『フム・・・此方から打って出ますか・・・まあ、帝都周辺から監視され続けるのも正直気分は良くないですしねぇ・・・良いんじゃないですか?』

 

ゼスト『では・・・』

 

シュトローム『それに・・・実際の所、あれこれと策を弄する必要はもう無いかも知れませんしねぇ・・・』

 

ゼスト『・・・?それは・・・どう言う・・・』

 

シュトローム『以前からの・・・ミリアさんの実験の成果が出ましてね。』

 

ゼスト『・・・!?』

 

シュトローム『結果は・・・』

 

一体彼らが行った実験とは何か・・・

 

 

 

 

 

 

そして今。

 

ゼスト「・・・・」

 

???「ゼスト。」

 

そこに回復したミリアが現れた。

 

ゼスト「・・・ミリアさん・・・」

 

ミリア「必要があれば、私も出撃します。何時でも指示を。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在。アルティメットギルド。

 

マリア「ど・・・どう言う事ですか殿下!?災害級が旧帝国から出現したって・・・」

 

アウグスト「落ち着け!都合良くここにメンバーは揃っている!!すぐに魔人領へ向かうぞ!!」

 

シシリー「あの・・・シン君とタクト君は・・・」

 

アウグスト「彼奴らの帰りを待っている余裕はない!!向こうも同様に緊急事態なのだからな・・・!!」

 

マリア「・・・・」

 

トニー「考えてる事当てようか?マリア。”こんな異常事態が偶然2つも同時に起きるはずがない”・・・だろ?」

 

マリア「・・・」

 

自分が考えてる事を当てられて頷いた。

 

ユーリ「魔人が何時までも大人しくしてるとは思えないもんねぇ・・・あ〜〜〜あ、まだ秘密兵器の開発中だったのにぃ。」

 

トニー「それを言うなら僕もだよ。何か起きるのはもう少しだけ待って欲しかったなぁ。」

 

ナージャ「・・・・・」

 

リオ「ナージャ?」

 

ナージャ「私・・・またあの時のようになっちゃうのかな・・・?」

 

魔人領攻略作戦の時、災害級を見て頭痛をした事を思い出していた。

 

デイジー「・・・大丈夫よ。私達が付いてるから。」

 

ケイティ「だから気を落とさないで?」

 

ナージャ「うん・・・皆、私に何かあったら落ち着かせて欲しいの。」

 

マリア「勿論よナージャ。」

 

グレア「私達にお任せあれってね♪」

 

アウグスト「こんな事もあろうかと、前線近くまではゲートでの移動を可能にしてあるが・・・シンが居ない以上、リオ達以外の私達は飛行での移動は出来ないな。」

 

ユリウス「そこから現地までは走るしかないで御座る。」

 

???「困ってるようだな。」

 

アウグスト「!?」

 

そこに現れたのは、衛士隊だった。

 

アウグスト「アズマ!お前達まで!」

 

マリア「どうしてここに!?」

 

アズマ「陛下が衛士隊に連絡を入れてな。アルティメット・マジシャンズと共に急行してくれと。」

 

シイナ「終結宣言が転覆してしまうとはね・・・」

 

ナナセ「向こうも簡単に諦める訳ないか・・・」

 

アズマ「それと、マチ達に伝えた後、彼女達は先に魔人領へ向かってる。」

 

アウグスト「助かる。ありがとう。」

 

リオ「オーグ。途中で僕達は先に飛行で魔人領へ向かうから。」

 

アウグスト「すまない。頼む。」

 

レベッカ「まさかここで実戦なんて・・・私出来るかな・・・?」

 

アウグスト「コーナー、ヒューズ。ホークと同行を頼む。」

 

アリス・リン「了解!」

 

トール「急ぎましょう!」

 

マナミア「お祖母様。私も行きます。」

 

レイチェル「ご武運を祈るわ。マナミア。」

 

 

 

 

 

 

イース神聖国。ゲートからタクトとシンとマーリンとリチャードが出て来た。

 

シン「爺ちゃん!ここは!?」

 

マーリン「カーチェの自室じゃ!!」

 

リチャード「ここに居ないとなると・・・」

 

タクト「通信で確認する時間が無い!外で誰かに訊くぞ!」

 

 

 

 

エカテリーナの部屋を出て廊下を走る。

 

シン(広いなくそっ・・・!!そりゃそうだよな・・・教皇さんの居る大聖堂だし・・・誰も見付かんのかこれ・・・!?)

 

しかし、ある人物が出て来た。

 

マキナ「シン殿!!タクト殿!!マーリン殿!!リチャード様!!」

 

司教のハミル=マキナだった。

 

リチャード「ハミルか!!エカテリーナは何処だ!!」

 

マキナ「此方です!!」

 

マーリン「よくワシらが彼処に現れると分かったのう。」

 

マキナ「以前、唐突にマーリン殿が猊下の部屋から出て来られた事があったでしょう。それでもしやと思いまして。」

 

リチャード「ハミル、お前は有能な司教だ。将来の出世に期待出来るぞ。」

 

シン「マキナさん!教皇様の容体は?」

 

マキナ「・・・刺し傷自体も相当深く・・・血を大量に失っております・・・!!も・・・もし・・・傷が癒えても・・・くっ・・・!!」

 

マーリン(そもそも何をしとったんじゃ、護衛達は・・・教皇に逆賊が近付く事を許すとは・・・)

 

シン(俺が行くまで死ぬなよ・・・!!エカテリーナさん・・・!!)

 

タクト「そうだ!ハミルさん!ここに1人の男が来なかったか?」

 

マキナ「っ!確かデリックって言う若者か・・・?」

 

タクト「彼は魔人であるが、家族の敵討ちの為に魔人や魔物を討伐してる男だ。」

 

マキナ「そうでしたか・・・幸いにも彼は持ってる治癒魔法で完治されまして・・・」

 

タクト「そうか。兎に角急ごう!猊下の命が危ない!」

 

 

 

 

エカテリーナに向かうタクト達。

 

魔人領へ急行するアルティメット・マジシャンズと衛士隊。

 

災害級の大群に臨戦するアールスハイド王国軍。

 

旧帝都の魔人達。

 

 

 

 

シュトローム「フ・・・フフ・・・クク・・・どうやらほんの少しだけ・・・楽しい事になりそうですねぇ・・・そして、私の大切な人を返す絶好の機会ですね・・・」

 

 

 

 

 

 

イース神聖国。

 

マキナ「あの部屋です!!」

 

謁見の間の扉が見えた。

 

マーリン「謁見の間!!」

 

シン「じゃあエカテリーナさんを刺した犯人は・・・!!」

 

マキナ「・・・ええ・・・国外の人間・・・ダームの使者です!」

 

 

 

 

謁見の間に入った。

 

マキナ「皆の者!道を開けよ!御使い様とリチャード様がお通りになる!!」

 

聖徒「おお・・・!!御使い様とリチャード様が来て下さったぞ・・・!!」

 

リチャード「皆!待たせてすまない!」

 

シン「退いて下さい!エカテリーナさんを診せて!」

 

彼女は毒に侵され、呼吸困難に陥っている。

 

リチャード「そのまま治癒魔法を続けろ。今の状態を確認する。シン君。」

 

シン「うん!」

 

彼女の容体を確認する。

 

シン(意識がない・・・恐らく既に全身に毒が回ってる・・・!!時間はない・・・!)

 

タクト「っ!デリック!」

 

右腕に包帯が巻かれたデリックが立っていた。

 

デリック「久し振りだな。タクト。」

 

タクト「お前、腕は大丈夫か?」

 

デリック「あぁ。幸い毒は浅かった。タクト、あの男だ。」

 

タクト「え?」

 

デリック「猊下に毒を盛ったダームの使者だ。」

 

 

 

 

謁見の間の隅に、縄で縛られてるドワイトが居た。

 

ドワイト(ヒ・・・フヒヒ・・・私は悪くない・・・今までどれだけ苦労して、この立場を得たと思っている・・・凡ゆる手段と金を使って邪魔者を騙して排除し、上層部に取り入れる為に人を唆し、蹴落とし、ようやくこの地位を手にしたのだ。私に恥をかかし、地位を脅かす存在など断じて許されてはならん!!死にすら値する!!・・・あんな小僧を・・・神の御使いなんぞと・・・認定した教皇が悪いのだ!!)

 

彼の体内から悍ましい魔力が溢れ出た。

 

”ドゴッ!!!”

 

 

 

 

デリック「っ!!」

 

シン(この魔力・・・!?)

 

 

 

 

魔力が暴走したドワイトが、魔人と化してしまった。

 

ドワイト「そして小僧・・・貴様も同罪だ!!」

 

タクト「彼奴!!」

 

マーリン「気を付けよ!!そやつ魔人化しとるぞ!!」

 

聖徒「ま・・・魔人!?」

 

ドワイト「死ねェェッ!!!!シン=ウォルフォードーーーーーーー!!!!!!」

 

シン(くそっ!!このタイミングで!!)

 

マキナ「くっ!!!!」

 

咄嗟の判断でマキナがシンの前に立った。

 

シン「マキナさん!!」

 

リチャード「ハミル!!」

 

ドワイトが強力な魔力弾を放ち、マキナが魔力障壁を張った。

 

”ドゴーーーーーン!!!”

 

魔力弾を受けたマキナが爆発した。

 

シン「マキナさ・・・!!」

 

爆煙の中からマキナの姿があった。彼は無事だった。

 

マーリン「・・・やれやれ。こんな老いぼれでも付いて来た甲斐があって良かったわい。」

 

間一髪でマーリンの魔力障壁で助かっていた。

 

マキナ「マ・・・マーリン殿・・・!!」

 

タクト「彼奴許せねえ!!」

 

スパークレンスを出した時、デリックがタクトの肩に手を置いた。

 

タクト「デリック?」

 

デリック「彼奴は俺が殺る。お前達は猊下の治療に専念しろ。」

 

彼は高速でドワイトに接近する。

 

ドワイト「おぉのれェェ!!!」

 

接近するデリックの拳を魔力障壁で防いだ。

 

デリック「俺がお前を駆逐する。」

 

両目を赤く染め上げて魔人となった。

 

 

 

 

聖徒「ま・・・魔人・・・!?」

 

タクト「皆、デリックは魔人であっても人間を襲わない。俺達の味方だ。俺を信じろ。」

 

聖徒「魔人が・・・人間の味方・・・!」

 

 

 

 

ドワイト「貴様ァ!!同じ魔人の私を殺す気カァ!!」

 

デリック「所詮お前は魔人の成り掛けにしか過ぎない。そんなお前が、この俺を倒せると思うなよ!!」

 

ドワイト「黙れェェェ!!!!」

 

強力な魔力弾を放った。

 

デリック「無駄だ!!」

 

右手で魔力弾を掴み、握り締めて吸収した。

 

ドワイト「クソォ!!!」

 

魔力弾を連射するが、全てデリックが握り締めて吸収した。そのまま左拳に蓄積させる。

 

ドワイト「巫山戯るナアアァァァァァァ!!!!!!」

 

逆上したドワイトがデリックに急接近した。

 

デリック「ハァッ!!!!」

 

だが、デリックの魔力が蓄積された左拳がドワイトの腹に減り込んだ。そしてドワイトの背中から内臓が噴出した。

 

ドワイト「・・・ァ・・・・・・・」

 

そしてデリックが右手をドワイトに向ける。

 

デリック「失せろ!!」

 

炎を放射し、ドワイトを燃やし尽くした。噴出した彼の内臓も全て焼却した。

 

 

 

 

聖徒「おおっ!凄い・・・!!」

 

 

 

 

デリック「ふぅ・・・」

 

両目を元の色に戻した。

 

 

 

 

シン(・・・幾つかの内臓にまで傷が達している・・・!治癒魔法で出血は止まってるけど・・・傷自体は治癒しきれていない・・・!!)

 

リチャード「シン君。毒の浄化作業もある。一刻も早く治さなきゃ彼女の命はない。」

 

シン「分かってる。リチャードおじさん、手伝って。」

 

リチャード「あぁ。」

 

タクト「シン、俺の能力で毒を取り除く。」

 

シン「分かった。」

 

すぐにエカテリーナの治癒を開始した。

 

リチャード「ーーーーーーーーー。」

 

詠唱を唱えると、リチャードの体内から無数の御霊達が現れてエカテリーナを治癒する。

 

シン(傷付いた内臓を・・・同じ臓器から細胞を培養して修復・・・!)

 

 

 

 

聖徒「け・・・賢者様・・・」

 

マーリン「静かにしておれ。我々の大凡与り知れん領域でシンとリチャードとタクト君は治癒をしておるのだ。」

 

 

 

 

シン(早く・・・早く!!)

 

リチャード「ーーーーーーーー。」

 

治癒を続け、遂に傷が修復された。

 

聖徒「おお・・・!傷が・・・!」

 

リチャード「傷は完治した!残りは毒だ!」

 

シン「タクト!」

 

タクト「よし!」

 

両手を翳して、ウルトラ念力を彼女の体内に巡らせる。

 

タクト「このまま行く。治癒を続けろ。」

 

シン(傷口付近だけじゃなく、全身に浄化の効果を広げる必要がある・・・静脈を通して治癒魔法を流し込めば・・・!心臓から全身へ魔法を巡らせる事が可能なはず・・・!!俺達が来る前から治癒魔法を掛け続けてくれたお陰で、恐らく刺された時から現状維持は出来てる・・・!!)

 

タクトのウルトラ念力が彼女の体内の毒を1箇所に吸収し、シンの治癒魔法が全身を浄化させる。

 

 

 

 

メリダ『アンタ達の誕生日会の夜・・・他ならぬ、そのエカテリーナに諭されたのさ。家族であるシンに・・・隠し事をしたままで良いのかってね。』

 

 

 

 

タクト「よし良いぞ・・・このまま・・・!」

 

シン(自身の境遇から・・・俺と生まれて来るはずだった自分の子供を重ねてみていたのは確かだとしても・・・その言葉は間違いなく()を想っての事だろう・・・自分は死ぬ程辛い経験をして来たのに、それでも他人を思いやれる貴女は・・・きっと誰よりも優しい心を持ってる!死なせない!!絶対に間に合わせる!!間に合え!逝くなよ!貴女は婆ちゃんの弟子で、爺ちゃんとリチャードおじさん達の生徒で、俺に自分を母と呼べと言ったんだろう!?こんな毒なんかで死ぬな!!)

 

そして、ウルトラ念力が体内の毒を全て吸収し終えた。

 

タクト「よし!!」

 

吸収した毒を体内から取り除いた。

 

デリック「タクト、そのまま。」

 

炎で取り除かれた毒を跡形も無く焼却した。

 

タクト「シン!行け!!」

 

シン「ありがとうタクト!デリック!」

 

魔力を振り絞って全身を浄化した。浄化してしばらく経ったが、エカテリーナが目を覚まさない。

 

枢機卿「ダメ・・・か・・・」

 

タクト「嘘・・・だろ・・・」

 

シン「・・・そん・・・な・・・」

 

泣き崩れるシンに、エカテリーナの手が。

 

エカテリーナ「泣い・・・ているの?シン君・・・案外、泣き虫だったのねぇ・・・」

 

枢機卿「お・・・おお・・・!」

 

タクト「猊下が・・・!」

 

シン「エ・・・エカテリーナ・・・さ・・・ん・・・い・・・生きて・・・」

 

全員「ワアアアアア!!!」

 

聖徒A「奇跡だ!!御使い様が奇跡を起こされた!!」

 

聖徒B「凄い!!流石は教皇猊下が直々に二つ名を与えたお方だ!!」

 

マキナ「猊下・・・!!よくぞ御無事で・・・」

 

エカテリーナ「あらあら大騒ぎ・・・来てくれたのねぇ・・・シン君も・・・タクト君も・・・先生も・・・リチャード様も・・・」

 

マキナ「まだ相当消耗してます。急いで部屋に戻り安静にしないと・・・お・・・おい。至急担架を・・・」

 

シン「あ、いいですよ。俺が連れて行きます。担架で運ぶよりも・・・こうした方が負担は少ないはず。」

 

浮遊魔法でエカテリーナを軽く持ち上げた。

 

エカテリーナ「あら・・・あらあらあら・・・」

 

シン「このまま部屋に運びます。すみませんが、流動食の用意をお願い出来ますか?」

 

マキナ「は・・・はっ!直ちに!」

 

デリック「タクト、シンのあの魔法は確か・・・」

 

タクト「浮遊魔法だ。対象を浮かばせる魔法だ。」

 

 

 

 

部屋でエカテリーナが流動食を食べる。

 

エカテリーナ「不思議ねぇ・・・食べても食べてもお腹が空くわ。」

 

タクト「今シンが猊下の身体の血液を正常に巡らせてるから。しばらく休んだら正常になる。」

 

リチャード「エカテリーナ、無事で良かったな。」

 

エカテリーナ「はい。」

 

マーリン「しかしこの子の頭の中はどうなっとるのか・・・ハッキリ言って天才としか言いようがない。」

 

エカテリーナ「先生・・・本当にあの先生ですか?素直に人を褒めるような出来た人間じゃなかったはず・・・」

 

リチャード「本当だな。あの頃のマーリンが死んだとしか言いようがないな。」

 

マーリン「お前等・・・!帰るぞいシン。タクト君。もうすっかり元気になったようじゃ。」

 

エカテリーナ「え!?あ!嘘!冗談ですよぅ!待って先・・・せ・・・あれ・・・?」

 

起き上がったが急にフラついた。

 

マーリン「うぉっと!気を付けい。まだ血が足りとらんのじゃ。」

 

リチャード「ほら、大人しく寝ていろ。」

 

エカテリーナ「・・・帰っちゃいません?」

 

マーリン「・・・落ち着くまでちゃんと傍に居てやるわい。」

 

エカテリーナ「・・・へへ。ありがとう先生・・・」

 

シン(本当だったら、義理の父娘になってた2人・・・だもんな・・・微笑ましい光景に見えても・・・事情を知っていると、寂しく見えちゃうよな・・・)

 

エカテリーナ「・・・でも、シン君が天才って言うのは本当ですね。先生のゲートの魔法も元はシン君。」

 

タクト「それと通信機もだ。あれがなかったら猊下の命が奪われていた。」

 

エカテリーナ「・・・本当に・・・私が助けられた色々な要因の全てにシン君が関わっていたのね・・・ありがとうシン君。やっぱり私にとって貴方は紛れもなく・・・”神の御使い”だわ。」

 

シン「・・・」

 

タクト「そう言えばデリック、お前と一緒に居るその娘は誰だ?」

 

デリック「え?」

 

彼の傍に立ってる幼い少女。

 

デリック「あぁ、あの時居なかったな。」

 

少女「私はレオナ。デリックと一緒に旅してる。」

 

デリック「この娘はヴァイス王国出身でな。」

 

シン「ヴァイス王国?どんな国なの?」

 

タクト「ヴァイス王国。最も治安の悪い王国じゃないか。」

 

シン「え?そうなの?」

 

デリック「そうだ。あのブルースフィアを彷彿とさせる苛立たしい国だ。この娘の両親は娘であるレオナを働かせて、彼女が働いた金で自堕落な生活をしていたんだ。」

 

タクト「水商売。」

 

デリック「あぁ。収入が悪い時は殴られてた。」

 

リチャード「虐待か。」

 

デリック「俺は彼女を救って、彼女の許可を得て父親を殺したんだ。」

 

タクト「え?お前人間を殺すのは・・・」

 

デリック「普段は人間を殺さない。だが、誰かの許可があれば躊躇なく殺すんだ。クズな奴限定だけどな。」

 

シン「それで、その後どうなったんだ?」

 

デリック「王国を脱出したと同時に、ヴァイス王国は、王族達の仕掛けた爆発魔法に包まれたんだ。住んでいた人間達はその爆発に巻き込まれて全員死亡。王族達も自決した。国の秘密を永久黙秘する為に。そして生き残った生存者がレオナって訳だ。」

 

タクト「そうか・・・」

 

デリック「けどお陰で、この娘は呪縛から解放されたんだ。な?」

 

レオナ「うん。」

 

デリック「それで、たまたまイースへ来た時に殺意を感じたんだ。そしたらあの男が猊下を殺そうと仕向けた。レオナは周囲に不審人物が居ないか外で気配を感じ取って貰った。結果は、誰も居なかった。この娘、気配に敏感でな。」

 

タクト「成る程な。」

 

マーリン「・・・にしても、そもそも何故こんな事が起きたんじゃ?大国イースの教皇が・・・たった1人の賊に命を奪われ掛けるとは・・・」

 

エカテリーナ「・・・我々の油断が原因・・・と言ってしまえばそれだけです。ラルフ長官暴走の件で・・・ダームの使者が謝罪に来たんです。ダームは元々、創神教の本部が置かれていた国・・・友好国と信じて疑っていませんでした。」

 

リチャード「謁見の際に身体チェックはしなかったのか?」

 

エカテリーナ「勿論しました。その際は何も凶器を所持していませんでした。」

 

タクト「身体チェックに凶器を持っていなかった・・・」

 

シン「・・・と言う事は・・・」

 

タクト・シン・マーリン・リチャード・デリック「異空間収納か・・・!」

 

エカテリーナ「異空間収納魔法の使い手など、国にも極僅か・・・犯人であるモービルが使える程聞いた事もありません。」

 

マーリン「その結果、不意を突かれて凶行を許してしまった訳か・・・じゃがそこにデリック君が駆け付けてくれた。何にせよ締まらん話じゃ。」

 

エカテリーナ「・・・返す言葉もありません。」

 

タクト「・・・・・」

 

マーリン「ん?どうしたタクト君?」

 

タクト「これって証明は出来ないかも知れないけど、『この襲撃は、初めから魔人が関与していた』と。そう考えたら全ての筋が通るかもなって。」

 

シン「魔人が関与・・・確かにそう考えると・・・」

 

タクト「魔人には、相手の感情を操作出来る奴が居る。その中に予知を持つ奴も存在する。ベルゼがそうだ。」

 

エカテリーナ「ベルゼ?」

 

マーリン「その名前は確かタクト君の・・・」

 

タクト「そう。俺の元仲間で予知魔法を得意としている。だがある事が切っ掛けで魔人となって俺達の敵となったんだ。そして奴等は猊下に悪感情を持っている人間・・・或いは猊下に近しい人間に狙いを定めて接触。そしてチャンスを見極めて襲撃を決行させた。恐らくベルゼは予知を使ってダームの使者を利用して猊下を殺そうとした。その際に成功率を高める為に奴等が、魔力を与えたり魔法を教え込んだ・・・とか。」

 

マーリン「うむぅ・・・それなら、あのタイミングで魔人化したのも納得いくのぅ・・・教皇エカテリーナの命を奪う事が奴等の目的・・・か?」

 

タクト「実質、エカテリーナ教皇猊下は全世界のトップ。その可能性は高い。だが、今までの奴等の動向から考えても・・・どうも話はそんなシンプルじゃないって気がするんだ。」

 

”ジリリリリリ”

 

シン「ん?」

 

エカテリーナ「な・・・何?何の音?」

 

マーリン「通信機じゃ。ワシのじゃないぞい。」

 

シン「あ、俺か。」

 

”ジリリリリリ””ジリリリリリ”

 

デリック「あれが噂の通信機か。」

 

タクト「まあな。」

 

シン「・・・一体誰からだ?」

 

レオナ「っ!」

 

デリック「レオナ?どうしたんだ?」

 

レオナ「デリック・・・大変よ・・・!」

 

デリック「え?」

 

 

 

 

 

 

時は再び遡り、シンの通信機に通信が入る1時間程前。旧帝都城壁周辺・連合軍最前線のアールスハイド陣営では、災害級の大群により半数の兵士が殺されていた。そんな中、ルーパーは仰向けになって項垂れていた。

 

ルーパー(災害級・・・か・・・アルティメット・マジシャンズの戦いを見知ってるだけに・・・俺等だけでも何とかなるなんて思っちまったのが間違いだったか・・・束になった災害級がここまで脅威とは・・・にしても、此奴等、軍を蹂躙するばかりで先に進もうとしねぇ・・・魔人共が俺等を壊滅させる為に魔物を放った訳か・・・)

 

そこに熊の災害級がルーパーに近寄る。

 

ルーパー(いや・・・違うな。今更魔人にとって俺等なんか戦うべき対象にすらなってないはず・・・奴等が敵として見てるのは飽く迄・・・)

 

 

 

 

???「ハァッ!!」

 

 

 

 

熊の災害級の首が斬り落とされた。

 

ルーパー「!?」

 

マチ「ルーパー団長!」

 

駆け付けて来たのは、マチ達だった。

 

ルーパー「君達!?」

 

サヨ「御無事ですか!?」

 

倒れてるルーパーをゆっくり起こす。

 

ルーパー「どうしてここに・・・?」

 

ヨーコ「アズマから連絡が入ったのよ。」

 

アキ「先にアールスハイド陣営へ向かってくれって。」

 

ミカ「来てみたら、凄い事になってるわね・・・」

 

ケイ「団長様はここで休んでて。」

 

ユイ「私達も加勢するよ!アズマ達もこっちに来る予定だよ!」

 

マチ「サヨとミカとケイとユイは生き残ってる兵士達の援護に回って。ヨーコとアキは一斉に奴等を叩くよ!」

 

盗賊団「了解!!」

 

マチ「皆、油断しないでね?行くわよ!!」

 

クレージュとシオン。2つの元盗賊団が災害級に立ち向かう。

 

ルーパー(・・・あの娘達が加勢に来てくれたのは幸いだ・・・けど、俺等が災害級を倒し切れねェのは魔人共は計算の上のはず・・・つまりその先・・・通信によって救援が来る事も恐らく想定済み!!その結果考えられる事はただ1つ!これは罠だ・・・!!)

 

 

 

 

 

 

その戦いを壁の上から見物してる人物が居た。ベルゼだった。

 

ベルゼ「楽しそうな戦いだねぇ。さて、これもそろそろ出番かな?」

 

彼女の右手には、スパークレンスと酷似した赤い神器が握られていた。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓介
レベッカ=ホーク:有村蓮
マナミア=ラドクリフ:前川涼子

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子
グレア:高橋李依

アズマ:榎木淳弥
シイナ:内田彩
ナナセ:白石晴香

マチ:逢田梨香子
ヨーコ:福原綾香
アキ:南條愛乃
サヨ:影山灯
ミカ:金澤まい
ユイ:徳井青空
ケイ:夏川椎菜

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
リチャード=ラドクリフ:堀内賢雄
レイチェル=ラドクリフ:白鳥由里
ドミニク=ガストール:小山剛志
アルフレッド=マーカス:駒田航

デリック:福山潤
レオナ:高尾奏音

エドガー:間宮康弘
ガラン:竹内良太
ハミル=マキナ:高橋広樹
ウサマ=ナバル:田中敦子
ドワイト=フォン=モービル:小形満
枢機卿:広瀬淳

エカテリーナ=フォン=プロイセン:斎藤千和

ベルゼ=クラスティール:澁谷梓希
エミール:高梨謙吾

ローレンス:杉山紀彰

ゼスト:津田健次郎
ミリア:大原さやか

新入生:水谷麻鈴
    八木侑紀
    難波佑香

オリバー=シュトローム:森川智之





次回予告

次々と襲い掛かる災害級の大群。ベルゼが手にした神器とは、そして魔人達がアルティメット・マジシャンズに獰猛な牙を向ける。

次回ウルトラマンティガ

猛攻

お楽しみに


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第39話「猛攻」

猛攻
ベルゼ=クラスティール、斥候魔人 登場



アルティメット・マジシャンズより先に到着した元盗賊団は、災害級と死闘を繰り広げていた。

 

マチ「ハァッ!!」

 

ヨーコ「ダァッ!!」

 

アキ「ヤァッ!!」

 

連携攻撃で災害級の首を次々と斬首した。しかし、災害級は益々増えるばかり。そして3人は災害級に囲まれてしまった。

 

マチ「かなり数が多過ぎるんだけど・・・!!」

 

ヨーコ「これはちょっと危ないんじゃない・・・?」

 

アキ「私達を喰べようとしてるね・・・」

 

しかしそこに、ジェレミーと2匹の狼犬が現れ災害級達を喰い荒らし始めた。

 

マチ「ジェレミー!!」

 

ジェレミー「ようお前等。待たせたな。」

 

ヨーコ「ローランドも!」

 

ローランド「皆さん、大丈夫ですか?」

 

アキ「ん?ねぇ、あの子は?」

 

黒色の狼犬を初めて見た。

 

ローランド「彼女はラナです。僕と同じジェレミー様の飼い犬です。」

 

ラナ「初めまして。皆。」

 

アキ「わ!喋った!」

 

 

 

 

それは、アルティメット・マジシャンズの休日の期間。ジェレミーとローランドが魔物の肉を食べていると、茂みの中から黒色の狼犬が出て来た。それがジェレミーとローランドの生き別れたラナである。

 

 

 

 

ジェレミー「にしても、これだけの数を用意したもんだな。」

 

アキ「斬っても斬っても増える一方だよ・・・」

 

ジェレミー「だが、そろそろ来るぜ。」

 

ミカ「え?」

 

 

 

 

突如、巨大な落雷が発生した。落雷が辺り一面の災害級を討伐した。

 

 

 

 

マチ「うわっ!この落雷・・・まさか!」

 

ジェレミー「あぁ。雷神様のお出ましだ。」

 

 

 

 

それは、アウグストが発生した雷魔法によるものだった。

 

アリス「い〜〜く〜〜ぞっと!!!」

 

レベッカ「えいっ!!」

 

更にアリスとリンとレベッカが上空から落ち、下の災害級を爆破した。

 

トニー「ふっ!!」

 

そしてトニーが災害級の首を斬り裂いた。

 

 

 

 

タクト、シンを除いたアルティメット・マジシャンズが駆け付けてくれた。

 

 

 

 

マチ「オーグ!!皆!!」

 

グレア「皆!待たせたね!」

 

一方アウグストは、殺されたアールスハイド兵の亡骸に怒りが爆発した。

 

アウグスト「よくも・・・我が国の民を・・・!!聞け!!勇敢なる兵士達よ!!よくぞここまで耐えてくれた!!ここからは私達に任せろ!!」

 

兵士達「オオオオオオ!!!!」

 

 

 

 

サヨ「殿下の声がしました!」

 

ミカ「主役の登場ね!」

 

ケイ「これで形勢逆転!」

 

ユイ「私達もまだまだ行くよ!」

 

 

 

 

アウグスト「殲滅するぞ!!1匹残らずだ!!」

 

蔓延る災害級を殲滅し続ける。

 

リオ「オルァテメェ等!!俺達に殺られろ!!」

 

既に豹変済みのリオが災害級を次々と駆逐して行く。

 

デイジー「消えなさい!!」

 

ケイティ「それそれそれそれーーー!!」

 

デイジーとケイティが剣とナイフを縦横無尽に振りながら災害級を殲滅して行く。

 

マナミア「ハアアアァァァァ!!!」

 

華麗な剣捌きで、災害級を討伐し続ける。

 

アウグスト「クロード!負傷兵が多数居る!治療を任せるぞ!」

 

シシリー「はい!」

 

アウグスト「頼む。これ以上誰も死なせないでくれ・・・!!」

 

シシリー「・・・はい!!」

 

ケイティ「シシリー!私も行くよ!」

 

シシリー「お願いします!ケイティさん!」

 

負傷兵の手当てへ向かうシシリーとケイティ。

 

 

 

 

サヨ「殿下!」

 

アウグスト「お前達!大丈夫か?」

 

ミカ「何とかね。」

 

ユイ「あれ?アズマ達は?」

 

アウグスト「私達が先に着いたが、まだ遅れそうだ。」

 

ケイ「分かった。」

 

ルーパー「殿下ぁ!!」

 

アウグスト「ルーパー!!大丈夫か!?」

 

傷だらけのルーパーが駆け込んだ。

 

レベッカ「ルーパー叔父様!!」

 

ルーパー「レベッカか!」

 

アウグスト「重傷じゃないか!早く救護所へ向かえ!」

 

ルーパー「冗談止して下さいよ・・・後でドミニクに笑われちまう・・・」

 

アウグスト「仕方無いな・・・私が治療する。」

 

レベッカ「叔父様大丈夫?」

 

ルーパー「あぁ・・・姪っ子に無様な姿を見せちまったな・・・」

 

アウグスト「その間に話を聞かせてくれ。魔物共が現れたのは、我が国の駐留軍の所のみか?」

 

ルーパー「今の所そうです。恐らく各国軍の救援が此方に向かっていると思います。」

 

アウグスト「そうか・・・今アズマ達が遅れて来てる。彼等が来てくれれば、最早戦局は揺らぐまい。」

 

ルーパー「ただ・・・どうも()()()()は魔人共の目論見通りって気がしてならねェ・・・決して油断しない方がいいかと・・・!!」

 

アウグスト「・・・よし、私に出来る治療はこんな所だ。クロード程じゃなくて悪いが。」

 

ルーパー「とんでもねぇです・・・助かりました。」

 

アウグスト「ルーパー。お前は負傷者を救護所まで運んでくれ。」

 

ルーパー「はっ!了解です!!」

 

ミカ「サヨ、ルーパー団長と一緒に救護所へ行ってくれる?」

 

サヨ「は、はい!」

 

ミカ「殿下。私も全力を出して戦うよ。」

 

アウグスト「あぁ。だが油断はするなよ。」

 

 

 

 

 

一方ベルゼは、アールスハイド駐留軍へ向かっている。

 

ベルゼ「・・・」

 

彼女はあの時を思い返す。

 

 

 

 

ベルゼ『私はね、あなたとあなたの仲間達が来るのをずっと待ってただけよ。彼奴らはただ、私の別荘を勝手に陣取ってるだけ。』

 

ティガ『何?』

 

ベルゼ『それに、私はただある目的の為にあなた達を待ってたのよ。それはね、私の予知を外してくれる事。』

 

ティガ『お前の予知だと?』

 

ベルゼ『そうよ。』

 

 

 

 

マリア『アンタ、自分の予知を外してくれるとか、何が言いたいの?』

 

ベルゼ『ん〜・・・それはまた今度教えてあげるよ。無事に会えたらだけどね。それと、あなた達に良い事教えてあげるよ。あのオリバー=シュトロームに関係する者がアールスハイドに居るのよね。』

 

 

 

 

そんな事を思っている。

 

ベルゼ「何て軽々しく言っちゃったけど・・・まぁ、後はどうにかなりそうな感じ。さてと、戦いが楽しみだなぁ〜♪」

 

 

 

 

 

 

一方アズマ達衛士隊は、乗馬で駐留地へ向かっている。

 

アズマ「急げ!この丘を越えればアールスハイドの駐留地だ!」

 

シイナ「全滅されてなければ良いのですが・・・」

 

ナナセ「殿下達が先に行ったから、全滅は回避だと思うよ。」

 

カオル「皆、気を引き締めて戦うよ。」

 

タカオ「勿論です!」

 

マモル「ここで死んだら、総監達へ顔向け出来ませんからね!」

 

セイラ「急ぎましょう!」

 

アズマ「ん?皆、止まれ!」

 

全員を停止させた。その理由は・・・

 

 

 

 

前方に魔人ミリアが立っていたからだ。

 

 

 

 

アズマ「誰だお前は?」

 

シイナ「魔人・・・彼奴等の仲間ね。」

 

 

 

 

 

 

アールスハイド駐留軍・臨時の救護所。

 

シシリー「重傷の人から此方へ連れて来て下さい!」

 

重傷者を優先にシシリーが治療を行い。

 

ケイティ「結構傷が出来てるね。」

 

軽傷者達をケイティが傷薬を塗ってる。

 

兵士A「聖女様・・・以前にも増して魔法が洗礼されたように思える。」

 

魔法師団員「それはそうだろう。御使い様の下で治癒について学んでいるようだし、国の治療院でも魔法を実践されていたからな。」

 

兵士A「しかし、怪我人のこの数・・・」

 

魔法師団員「あぁ・・・」

 

兵士B「テメェ!俺が先だぞ!」

 

兵士C「何言ってやがる!重傷者が先だって言われてんだろうが!」

 

兵士B「だったら俺の方が!」

 

兵士D「オイ!お前等ちょっと落ち着け!」

 

シシリー「あ・・・あの・・・順番に・・・」

 

ケイティ「もう喧嘩は止めてよ!」

 

”ドゴ!!!!”

 

言い争いをしてる兵士達に謎の音が。

 

セシリア「アンタ達・・・私達の可愛い妹と大事なお仲間を困らせたら・・・タダじゃおかないわよ?」

 

そこにシシリーの姉のセシリアとシルビアが来た。さっきの音はセシリアの魔法が天井を突き破った音だった。さっきの音で全員が黙り込んだ。

 

セシリア「ホラ!動ける人は怪我人を運んで!味方同士で争ってる場合じゃないでしょ!」

 

シルビア「それでもまだ自分だけ最優先して欲しい方が居れば、私がこの場で重傷の患者にして差し上げても宜しいですよ?」

 

彼女のドスの効いた声で兵士達がゾッとした。

 

シシリー「お姉様・・・!!無事で良かった・・・!!」

 

ケイティ「はいはい軽傷者達は1列に並んで!傷薬はたっぷりあるからねー!」

 

他の兵士達が並んで治療を待っていると。

 

兵士E「おい!ちょっと通してくれ!一刻を争う重傷者だ!!早く聖女様に診せてやってくれ!!」

 

運ばれた重傷者は、腹部の皮膚が抉られ、内臓が出ていた。

 

兵士A「こ・・・これは・・・!」

 

ケイティ「皮膚が抉られてる・・・!」

 

シルビア「・・・!セシリア姉様・・・!」

 

ケイティ「これは・・・一筋縄じゃいかないみたいだね・・・」

 

セシリア「えぇ・・・シシリー・・・治療が無理でも・・・誰も責めたりしないわ。こ・・・これは幾らあなたでも・・・」

 

シシリー「・・・お姉様。心配は無用です。大丈夫です私。シン君とタクト君に色々と鍛えて貰いましたから。」

 

シルビア「・・・」

 

セシリア「シシリー・・・」

 

シシリー(・・・最も危険なのは避けた腹部・・・その他の臓器に損傷はない・・・まずは腸を除菌しながら修復・・・)

 

治癒魔法を発動し、重傷者を治療する。

 

シシリー(それが済んだら、腹腔内に腸を収め、腹部の裂傷を塞ぐ・・・!)

 

シルビア「う・・・」

 

 

 

 

 

 

数ヶ月前。森の中で。

 

シシリー『・・・す・・・すみませんシン君・・・タクト君・・・ちょっと・・・う・・・えっ・・・!!ごほごほ・・・』

 

重傷を負ったウサギの手術中にシシリーが気分を悪くした。

 

シン『大丈夫?』

 

タクト『やっぱり生物の臓器を見るのは慣れないか。少し休んだらどうだ?あんまり無理すると・・・』

 

シシリー『いえ・・・!いいんです。お願いしたのは私ですから・・・!』

 

シン(治癒魔法の技術向上・・・それにはどうしたって医学的な知識の習得が必要になる。他ならぬ俺自身もこうやって森に入り、実際目と手で触れて知識を得て来た。キツいだろうとは思うけど・・・)

 

シシリー『・・・続き・・・お願いします!シン君!タクト君!』

 

シン『・・・よし!じゃあ再開しよう!』

 

タクト『次は内臓損傷の治療から行くぞ。傷口の縫合まで・・・』

 

 

 

 

 

 

治癒魔法には、2つの特性がある。1つは医学知識を基にした肉体の再生法。もう1つは、イメージが魔法を発動するこの世界に於いて最も重要な要素。相手を癒したいと思う慈愛の精神から効果を得る治療法である。持って生まれた優しさに加え、守るべき者達が出来た事による精神力の向上と、治療院での経験やシンとタクトに施された数多の医学知識によって、高次元とも呼べるレベルでの2つの要素を、シシリーは本人すら気付かぬ内に獲得していた。

 

 

 

 

 

 

そして・・・重傷者の腹部の皮膚が元通りになった。

 

セシリア「凄い・・・!」

 

ケイティ「やったねシシリー!!あなたは最高だよ!!」

 

シシリー「終わりました!次の方を連れて来て下さい!!」

 

魔法師団員「治癒魔法の効力は人を想う力によって左右される・・・シシリー様の”人を救う”と言う精神は・・・私達とは既に別格のものなのですね・・・」

 

セシリア(・・・驚いたわ・・・シシリー・・・あなたは何時の間にか・・・この世界の誰より”聖女”と呼ばれる相応しい人間になっていたのね・・・)

 

 

 

 

治療を続けてから数分。

 

兵士F(シシリー様のお陰で少しずつ中が落ち着いて来たな・・・)

 

だがそこに、狼の災害級4頭が現れた。

 

兵士F「っ!!さ・・・災害級の魔物!!ま・・・魔物だー!!動ける人間は表へ出て応戦してくれーーー!!」

 

セシリア「っ!!行くわよシルビア!!」

 

シルビア「はい!!」

 

ケイティ「こんな時に災害級なんて・・・空気読んでよね!!」

 

シシリー(治療途中で離れる訳にはいかない・・・それにまだ負傷した人達も沢山残って・・・)

 

2頭の災害級が兵士達に襲い掛かるその時。何者かが2頭の災害級に魔力弾を撃ち込んだ。

 

兵士達「!?」

 

 

 

 

マーク「ギリギリセーフッスね!!」

 

オリビア「こっちの警護に来といて正解だったね!」

 

レベッカ「シシリー先輩!大丈夫ですか!?」

 

 

 

 

シシリー「マークさん!!オリビアさん!!レベッカさん!!」

 

???「ハァッ!!」

 

今度は緑色の蔦が残り2頭の災害級を捕縛した。

 

???「ハアアァァァァァ!!!」

 

そこにある2人の人物が武器を振り下ろして、捕縛された2頭の災害級の首を斬首した。

 

フェオン「こっちにも及んでるとはね。」

 

エミリー「奴等も懲りないもんだな。」

 

シシリー「フェオンさん!エミリーさん!」

 

イザベラ「シシリーさん、大丈夫ですか?」

 

ヒナ「助けに来ましたよ!」

 

シシリー「イザベラさん!ヒナさん!」

 

レア「魔物も結構来ているな。」

 

アンナ「うん。」

 

シシリー「レアさん!アンナさん!」

 

フェオン「タクトから連絡が来てね。急いで駆け付けてくれって。」

 

シシリー「ありがとうございます!」

 

エミリー「ヒナ、シシリーと一緒に治療を頼む。」

 

ヒナ「分かりました!」

 

レア「アンナも一緒に治療をしてやってくれ。」

 

アンナ「分かった!」

 

マーク「自分等このままここの警護に当たるんで!」

 

レベッカ「私も頑張ります!」

 

オリビア「シシリーさんとケイティさんとヒナさんとアンナさんは安心して治療を続けて下さい!」

 

ケイティ「はいはーい!アンナ、この傷薬で負傷者達の手当てをお願い。」

 

アンナ「分かりました!」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、アウグスト達は。

 

ユリウス「この一帯は片付いたで御座るな・・・」

 

トール「超災害級の魔物が居なかったのは救いでしたね。」

 

ユーリ「何気にリニューアルしてたのねぇ。私達の戦闘服。」

 

マリア「前の戦いで私や殿下の服ボロボロにされちゃったからね。『どうせだから』ってシンが新調してくれたのよ。アンタは着方間違ってるけど。」

 

アウグスト「・・・妙だな。」

 

トニー「・・・どうかしましたか?殿下。」

 

リオ「何かあるのか?」

 

アウグスト「他国の駐留軍や衛士隊が此方へ向かっていると言う話だったが、これだけ時間が経っても現れないのは何故だ?」

 

リオ「そう言えば・・・アズマ達が来る気配がないな。」

 

トニー「・・・嫌な予感がしますね。」

 

すると、禍々しい気配が城壁から流れた。

 

グレア「城壁の上・・・皆、何か居るよ。視える?」

 

トニー「いや、姿まで視えないけど・・・魔物じゃないね。」

 

その城壁の上で、何かが光り始めた。

 

ジェレミー「っ!!お前等避けろ!!来るぞ!!」

 

全員が離れた瞬間、巨大な魔力弾が地面に激突して巨大な穴が。

 

デイジー「何なのこれ!?」

 

アウグスト(城壁にあった気配が・・・)

 

マナミア「殿下!!後ろ!!」

 

アウグスト「!?」

 

彼の真後ろにリオネルが現れ、アウグストに両手を振り下ろそうとした。

 

 

 

 

 

 

アズマ「させるか!!!」

 

 

 

 

 

 

真横からアズマが現れ、アウグストを突き飛ばしてリオネルの攻撃を防御したが、下へ突き落とされる。

 

アウグスト「アズマ!!」

 

ユリウス「アズマ殿!!!」

 

アズマ「クッ!!」

 

地面激突寸前で着地した。

 

アウグスト(着地前にまた攻撃が来る!魔法で迎撃を・・・!!)

 

だが、魔人のフィンがアウグストの背中を掴んだ。

 

フィン「おやおやァ?少しばかり油断してたんじゃないのかい?王太子サマよォ。」

 

掴まれたアウグストに、ローレンスが魔力を集めた。

 

ローレンス「くたばりな!!」

 

両手を突き出して無数の魔力弾を連射した。

 

アウグスト「!?」

 

そしてフィンが魔力弾の着弾地点にアウグストを蹴り飛ばし、魔力弾が着弾して大爆発を起こした。煙が晴れると、着弾地点にアウグストは居なかった。その理由は・・・

 

リオネル「!?」

 

フィン「・・・!」

 

ローレンス「・・・」

 

 

 

 

 

 

間一髪ジェレミーがアウグストを抱えて着弾地点から離れたのだった。

 

 

 

 

 

 

ジェレミー「おいオーグ、怪我はないか?」

 

アウグスト「ジェレミー・・・すまない。」

 

ローランド「ジェレミー様!」

 

ラナ「大丈夫ですか!?」

 

ジェレミー「何の。」

 

アウグスト「・・・アズマ。」

 

アズマ「すまないオーグ・・・遅れてしまった。」

 

彼の後ろに衛士隊がやって来た。

 

アウグスト「ん?お前達、その傷・・・」

 

シイナ「ちょっと梃子摺ってしまいまして・・・」

 

マモル「お話は後でお願いします。」

 

 

 

 

ローレンス「やっぱりそう簡単にはいかねーか。」

 

フィン「まあ想定内でしょ。アイサツって事で良いんじゃないスか?」

 

斥候魔人「おいおい。先走って行くんじゃねェよ。俺等も()()()を任されてんだぜ。」

 

ローレンス「安心しろ。こっからが本番だ。」

 

 

 

 

マリア「大丈夫ですか殿下?」

 

アウグスト「ああ。2人のお陰で助かった。それよりも問題は奴等だ。今、旧帝都内に残っているのはシュトロームの信奉者のみ。魔物だけでなく、魔人共まで動き出したと言う事は・・・シュトロームが何らかの行動指針を得たと言う可能性がある。」

 

トニー「クルトの時は様子見って感じの戦い方だったけど、今のは明らかに全力で潰しに来てたよねぇ。」

 

 

 

 

 

 

2つが睨み合う光景を、ベルゼが物陰から覗いていた。

 

ベルゼ「ありゃりゃ、彼奴等に先越されちゃったかぁ。ちょっとここは様子見しとこっかな?ん?」

 

彼女は、ナージャを見て何かを感じた。

 

ベルゼ「あれ?あの子ってもしかしたら・・・」

 

 

 

 

 

 

アウグスト「よければ教えて貰いたい。離反した魔人達を利用して、スイードやクルトを襲撃させたのはお前達か?」

 

ローレンス「ああそうだ。俺が操った。」

 

アウグスト「旧帝都内に居るシュトロームの信奉者以外に魔人はもう居ない・・・と言う認識で良いのか?」

 

ローレンス「・・・さあねェ。残ってんのが”シュトローム様の信奉者”・・・ってトコだけは否定しないぜ。」

 

アウグスト「(・・・含みのある言い方だな。やはりここで此奴等を倒しただけでは終わりそうにないか・・・)最後の確認だ。『魔人側には不戦の協定を結ぶつもりはない』・・・と言う事で良いか?」

 

ローレンス「そんなつもりはない。端からな。」

 

トール「・・・!!くそっ・・・!」

 

トニー「折角連合軍がここまで追い詰めたのに・・・」

 

ローレンス「話は終わりだ。時間も限られてるんでね。」

 

横でリオネルが岩石を持ち上げている。

 

ユリウス「!!」

 

トール「彼奴はクルトの時の・・・!!」

 

リオネル「ん?あん?どっかで会ったか?覚えがねェな。」

 

ローレンス「いいよ別に。目の前で死んでく人間の顔なんて覚えても無意味だ。昔からそうだろ?」

 

リオネル「そりゃそうだ!!!ぬぅん!!!」

 

岩石を力強くアルティメット・マジシャンズに向けて投げた。

 

アウグスト「物理防御で防ごうとするな!!此奴等相手には通用しない!!」

 

飛んで来る岩石を全員が避けた。だが・・・

 

トール「!!」

 

真横にフィンが迫り、トールに強い蹴りを入れた。

 

マリア「トール!!」

 

だがマリアとユーリの真後ろにローレンスが現れ、拡散魔力弾を連射。マリアとユーリが防御障壁で防いだ。

 

マリア(戦闘服付与の防御障壁なら恐らく攻撃は防げる・・・!ただ・・・)

 

斥候魔人「ひゃっはっ!!」

 

他の斥候魔人の猛攻が止まらない。

 

マリア(防御魔法を解いて攻撃に転じるスキを与えてくれない・・・!恐らくその為にこの人数が送り込まれている・・・!!この人数・・・?可笑しい・・・この場に半数しか居ない私達に対して・・・)

 

 

 

 

 

 

物陰から覗いてるベルゼが。

 

ベルゼ「状況を甘く見てるように感じるね。皆が居るのは敵地で、常に最悪を想定するのが常識なんだけどなぁ〜。」

 

 

 

 

 

 

アールスハイド駐留軍に、複数の影が迫っていた。

 

 

 

 

 

 

戦闘地域の方で、突如風が巻き起こった。

 

ローレンス「何だ?」

 

フィン「何だこれ!?」

 

その風が、斥候隊を吹き飛ばした。

 

アウグスト「これは・・・!!」

 

 

 

 

 

 

レオン「噂に聞く斥候魔人は彼奴等の事か。」

 

ソフィー「予想以上の気迫を持っているのね。」

 

 

 

 

 

 

マリア「レオン!ソフィー!」

 

カサンドラ「私達も居ますよ!」

 

ティオ「皆大丈夫!?」

 

ジュリアン「カサンドラ!ティオ!」

 

ローレンス「まだ邪魔者が居やがったのかよ!」

 

レオン「邪魔者で悪かったな。」

 

アズマ「この戦い、俺達も加勢するぞ。」

 

ナージャの魔法で回復したアズマ達も参戦する。

 

カオル「今回は本気で行くぞ!!」

 

ローレンス「!?」

 

魔人達がナージャを見た。

 

ナージャ「・・・何?」

 

ローレンス「お前、何故ここに居るんだ?」

 

ナージャ「何?どう言う意味よそれ?」

 

ローレンス「お前は俺達に居るべき存在だろうが。」

 

マリア「え?」

 

ナージャ「何なの?何で私がそんな事しなきゃいけないのよ。」

 

ローレンス「・・・もしやお前、記憶がないのか?」

 

ナージャ「だったら何よ?」

 

ローレンス「ならば俺達が力付くでお前の記憶を蘇らせてやるよ!!」

 

拡散魔力弾を連射したが、ジェレミーが両手の爪で全て消滅させた。

 

ジェレミー「ナージャ、彼奴等に見覚えあるか?」

 

ナージャ「ある訳ないでしょ?彼奴等なんて初対面よ。」

 

ローレンス「魔喰人。お前は俺達にとって厄介な存在だ。」

 

ジェレミー「そりゃどうも。お前達を倒した褒美でお前達を喰わせてくれよ。」

 

ローレンス「良いだろう。俺達を倒した後でな!」

 

アウグスト「出撃して来ている魔人はまだ他にも居る・・・!クロードの所にはビーンとストーンとホークを向かわせたが・・・魔人の人数次第では不安が残るな。後、向こう付近で戦闘中なのは・・・」

 

マリア「アリスと・・・リンです。」

 

アウグスト「・・・不安が残るな。」

 

トニー「殿下!せめて僕だけでも今から向こうに・・・!!」

 

するとトニーの頭上から何かが迫って来た。

 

アズマ「トニー!!」

 

だがアズマがトニーに迫る何かに飛び込んだ。

 

アズマ「くっ!!」

 

トニー「アズマ!?」

 

それは、カラスの大群だった。

 

アズマ「カラスの魔物か!」

 

トール「アズマ殿!!」

 

するとアズマの足に何かが噛み付いた。それは狼の魔物だった。

 

アズマ「ちくしょう!!」

 

ローランド「アズマさん!!」

 

シイナ・ナナセ「隊長!!」

 

だがローランドが飛び込み、アズマの足に噛み付く狼の頸を悔い千切った。シイナとナナセがカラスの魔物を斬り続ける。

 

ローランド「此奴等まさか・・・!」

 

アズマ「トニーを庇った俺に集中して襲って来やがる・・・!」

 

フィン「はは。まあ精々仲良くやってくれよ。シュトローム様の研究を手伝う傍ら、()()に量産してみた俺の手足共だ。思うままに動いてくれる便利な奴等だぜ。」

 

この魔物達は、フィンが操ってる魔物達だった。

 

ジェレミー「へぇ。面白い手下(ばんけん)共だな。」

 

フィン「所で、こっちも1つ訊きたいんだが、俺が苦労して育てた”超大型の魔物”共をあっさり始末してくれたのはお前等か?」

 

ナージャ「・・・!?」

 

ローレンス「此奴等全員の所に送り込んだんだから全員そうだろ。つーかアレ作ったのはシュトローム様だろうが。オメーじゃねえ。」

 

フィン「指示受けて魔力操作しながら世話したのは俺ッスよ。冗談じゃねェ・・・!!どれだけ時間掛けて作り上げたと思ってんだ。傑作をよ・・・楽に死ねると思うなよお前等・・・!!」

 

ユーリ「愛情と言うよりは、自分のオモチャを壊されて逆恨みしてるだけに見えるわねぇ。」

 

マリア「イカれた連中だわ・・・」

 

アウグスト「・・・我ながら情けないな。こんな状況でも『シンやタクトが居れば』などと期待してしまう。」

 

トール「心配なさらずとも、自分達全員同じ気持ちです。」

 

アウグスト「まあ、彼奴は今頃・・・」

 

彼はローレンスの不敵な笑みを見た。

 

 

 

 

ルーパー『ここまでは魔人共の目論見通りって気がしてならねェ・・・』

 

 

 

 

アウグスト(シンがここに居ないのは、偶然の結果か?ひょっとしたらそれすら・・・)

 

この状況を理解したアウグストが。

 

アウグスト「まさか・・・!教皇猊下を刺したのは・・・お前達魔人の刺客か・・・!!我々とシンとタクトを引き離す為に・・・!!」

 

ローレンス「現状、俺達魔人とマトモに戦えるのはお前等だけだ。当然全員が始末するべき対象ではあるが、戦場にウォルフォードとクリスティが居ると居ないとでは戦況が天地程も変わって来る。ウォルフォードとの関係上、教皇がもし倒れれば奴自身に救援の声が掛かる可能性は高い。そして読み通り奴は今イースに足止めされてる。そしてクリスティをどう引き離すか考えていたが・・・案の定奴はウォルフォードと共にイースに足止めされている。これは俺達にとって好都合だった。」

 

トール「何・・・て事を・・・!」

 

ユリウス「教皇猊下をエサに使うとは・・・!」

 

斥候魔人B「万が一にもウォルフォードとクリスティを差し置いて、他の人間が救援に向かうとも思えんしな。」

 

斥候魔人A「はは。実に良く出来た作戦だろ?更に理想を言えば、人間達の頂点(トップ)である教皇がこの世から居なくなる事だな。そうすりゃ『救援に来たウォルフォードは結局、教皇を救えませんでした』って言うマイナスイメージを奴に与えるオマケまで付いて来るぜ。」

 

魔人共の発言に全員の怒りが爆発した。

 

アウグスト「もういい・・・!!充分だ!お前達魔人は、ここで私達が確実に葬ってやる・・・!!!」

 

???「ねぇ、その遊び私にも交ぜてよ。」

 

そこにベルゼが来た。

 

マリア「彼奴・・・!!」

 

リオ「ベルゼ!!」

 

ベルゼ「ハロー皆。久し振りだね。」

 

アウグスト「お前・・・その格好・・・!!」

 

ベルゼ「気付いた?私はね、この魔人達に所属しているスパイだったのよ。そして今はこの部隊に合流したって訳。」

 

ローレンス「遅いぞベルゼ。今まで何処行ってたんだ。」

 

ベルゼ「んー・・・彼処で皆の戦いを見物してたの。」

 

ローレンス「まぁ良いや。お前も奴等を始末してくれ。」

 

ベルゼ「勿論勿論。やっとこれを使う日が来たね。」

 

彼女は、赤いスパークレンスを取り出した。

 

トール「あれは!」

 

マリア「タクトが使ってるティガの魔道具・・・!?」

 

ベルゼ「私はティガにはなれない。でも、私に相応しい力を手に入れた。」

 

赤いスパークレンスの光を解放した。すると赤色の電撃が発生したベルゼの身体中に刺激して彼女の血液を解放した。解放された血液が彼女自身を纏い、黒と赤のゴシックドレスで赤いマントを羽織り、左目にトリカブトの眼帯が着けられた。赤色の模様には血液が循環している。

 

ベルゼ「フフッ♪」

 

デイジー「ベルゼ・・・その姿は・・・!」

 

ベルゼ「私は混血の戦士・ブラッディーベルゼ。人間の理性、魔物の凶暴、災害級の暴走、魔人の魔法の血液を一緒くたにした姿。」

 

カーテシーで挨拶した。

 

アウグスト(奴から溢れるオーラが凄まじい・・・!)

 

ベルゼ「さぁ、私の予知を外してみなさい!」

 

 

 

 

 

 

一方救護所付近では。

 

アリス「ふー。ようやく魔物は片付いたけど・・・何か私達だけ離れちゃったね。」

 

リン「なるべく急いで戻った方が良い。魔力の動きからして殿下達の方で何か起きてる。」

 

アリス「あ!ちょっと待って!アレ、救護所だよ!シシリー達も気になるし、ちょっと見て来るよ。」

 

リン「・・・仕方無い私も行く。」

 

 

 

 

救護所にやって来た。

 

アリス「おーい!」

 

オリビア「あ!アリスさん達だよ。」

 

レベッカ「アリス先輩!リン先輩!」

 

フェオン「2人共、お疲れ様。」

 

リン「フェオン達も来てる。」

 

イザベラ「今怪我人の手当てをしています。」

 

アリス「ヒナは?」

 

エミリー「ヒナはシシリーと一緒に重傷者を癒している。」

 

アリス「そっか。この様子だと、怪我人は大体治療出来たみたいだね。」

 

リン「とは言え、動けない人が殆ど。ここは戦場から遠避けた方が良い。」

 

ルーパー「怪我人より死人の数の方が多いのは悔やみ切れねェトコだな。」

 

サヨ「かなり酷い状況ですよ。」

 

そこにルーパーとサヨが怪我人を連れてやって来た。

 

レベッカ「あ!ルーパー叔父様!」

 

アリス「サヨも!」

 

ルーパー「こっちはいいからよ。君等も早い所殿下達の方へ向かってやってくれ。悲しい話だが、やはり戦場に於いては軍は大した役に立てん。その他の雑務は任せてくれて大丈夫だ。」

 

アリス「そうだね。じゃあ私等は・・・」

 

ケイティ「ヤッホーお2人共!」

 

アリス「ケイティ!」

 

ケイティ「こっちもそろそろ終わりそうだから、オーグ達の所へ戻った方がいいかも。」

 

アリス「OK。」

 

するとそこに数人の人物が。

 

マーク「ん?アンタ等どうかしたッスか?怪我なら中に入って・・・」

 

ケイティ「ん?マーク!そいつナイフ持ってる!!」

 

マーク「え!?」

 

その人物を見ると、ナイフが握られていた。

 

マーク「ッ!!」

 

間一髪マークが後ろに下がった。

 

ヨシュア「まだ生きてたのか。裏切り者の小娘。」

 

その人物達は、ヨシュア達魔人だった。

 

ケイティ「生憎だけど、私は裏切りを背負ったまま死ぬまで生きたいもんでね。」

 

ヨシュア「威勢は良いな。遠慮はいらないぞドルン。好きにやれ。」

 

ドルン「ウオオオオオ!!!」

 

ケイティ「ッ!!」

 

突進して来るドルンにケイティが剣を構えた。だがしかし、何かが急接近してドルンの突進を防いだ。

 

ケイティ「ッ・・・!!」

 

マーク「あ、あれは・・・!!」

 

ヨシュア・ドルン「ッ!?」

 

 

 

 

 

 

デリック「裏切り者ならここにも居るぞ。」

 

 

 

 

 

 

その正体は、デリックだった。

 

マーク・オリビア「デリックさん!!」

 

アリス・リン・ケイティ「デリック!!」

 

ヨシュア「チッ。死に損ない裏切り者が来やがったか。」

 

デリック「俺はしぶとい輩だからな。」

 

レベッカ「え?誰?」

 

フェオン「デリック。彼は魔人だけど、私達の味方よ。」

 

デリック「俺の仲間達を殺す前に、俺を殺したらどうだ?ヨシュア。ドルン。」

 

ドルン「良いだろう。後悔するんじゃねぇぞ!!」

 

2人の魔人にデリックが戦う。

 

 

 

 

アリス「デリックって、何でここが分かったんだろう?」

 

リン「そりゃあ魔人だからでしょ。」

 

レベッカ「人間に味方する魔人って居るんですね。」

 

ケイティ「・・・」

 

シシリー「ケイティさん?」

 

ケイティ「悪いけど、私も行くよ。」

 

シシリー「え?」

 

ケイティ「だって、私も帝国の裏切り者だし。他の皆はあの傷薬で負傷者達の手当てをお願い。」

 

両手の剣を抜き、高速で魔人達に向かう。

 

セシリア「アンタ達下がって!怪我人は早くここから退避させるのよ!(災害級相手に苦戦してる私達が居ても・・・魔人相手じゃ足手纏いにしかならない・・・!!)」

 

 

 

 

そして、デリックはヨシュアとドルンの激しい戦いを繰り広げていた。

 

デリック「彼奴等に不意打ちを仕掛けようとするとは、やる事が卑怯だな。」

 

ヨシュア「卑怯?妙な事を言うな。これは戦争だろ?魔人と人間の。そこに正義や美学を振り翳す価値はない。」

 

デリック「だろうな。お前らしい考えだ。」

 

ヨシュア「お前、俺と話してる場合か?」

 

デリック「何?」

 

ドルン「フンッ!!」

 

デリック「ッ!!しまっ・・・!!」

 

後ろからドルンに後頭部を掴まれ、そのまま地面に強く叩き付けられた。ドルンが持ち上げると、デリックの頭から血が流れた。

 

ドルン「見上げたモンだなデリック。流石のお前を叩き付けても簡単に死にはしないか。だが次はキッチリ頭蓋を砕く。今度こそ死ね。」

 

デリック「・・・それだけか・・・?」

 

ドルン「・・・あ?」

 

デリック「言いたい事はそれだけか!!」

 

 

 

 

ケイティ「デリックーーーーーー!!!」

 

 

 

 

ドルン「ッ!?」

 

上空からケイティが現れ、剣を振り下ろしてデリックを掴んでるドルンの右腕を切断した。

 

ドルン「グアアアアア!!!」

 

デリック「俺がただ単に突っ込んだと思ってたのか?」

 

そう言いながらドルンの右腕を焼却した。

 

ケイティ「流石だね。私が来る事を予想して。」

 

デリック「何となくな。ケイティ。裏切り者同士、奴等を叩くぞ。」

 

ケイティ「合点承知!」

 

グータッチして左右から2人の魔人の魔法が迫る。

 

ケイティ「よっと!」

 

デリック「ッ!」

 

2人は軽々と躱す。だがヨシュアの氷魔法がデリックに迫るが、デリックがキックで粉砕した。

 

デリック「クソッ!隙すらねぇな・・・!」

 

ヨシュア「色々と面倒な連携をしているようだが、行動する間さえ与えなければ丸裸も同然。」

 

ドルン「この・・・クソガキ共がアアアーーーー!!!!」

 

デリック・ケイティ「ハァッ!!」

 

後ろから迫るドルンの左の剛拳を左右に避けた。

 

ケイティ「ねぇデリック・・・これちょっとヤバそうじゃない?」

 

デリック「・・・彼奴等から怒りと力が溢れ出てる・・・一筋縄じゃいかねぇみたいだ・・・」

 

ケイティ「だね・・・でも私達が喰い止めなきゃ、被害が更に拡大すると思うよ。」

 

 

 

 

 

 

そして、戦闘地域では。

 

マリア「はあっ!!」

 

タクトとシンを除いたアルティメット・マジシャンズが斥候魔人達との戦いが続いていた。

 

ベルゼ「がら空きだよ!!」

 

だがブラッディーベルゼが右手に血液を集め、それを光線のように放った。

 

ユーリ「マリア!!」

 

前に出たユーリが魔法障壁を展開してマリアを守った。

 

マリア(今までは・・・攻撃を当てさえすればどうにか敵を倒す事が出来た・・・!だけど此奴等は・・・間隙を縫って魔法を放てたとしても・・・実力で魔法そのものを防がれてしまう・・・!)

 

アウグスト(つまり奴等に決定的なダメージを与えるには、より高威力な魔法を放つ為に魔力を溜め込む事が必要になる・・・!しかし当然ながら此奴等が、そんな間など与えてくれるはずがない!)

 

 

 

 

ジュリアン「ベルゼ!!君の相手は僕達だ!」

 

ジネヴラ「実力であなたを止める!」

 

ベルゼ「良いわよ。私の予知を外してみなさい!!」

 

ジュリアン「ベルゼ!!」

 

グレア「皆行くよ!!」

 

ブラッディーベルゼをジュリアン、ジネヴラ、レオン、ソフィー、グレアが戦う。

 

 

 

 

ユリウス(トール!『溜め』をほぼ必要としない身体強化なら、奴等に一撃をくれてやれるかも知れんで御座る!フォローを頼むで御座る!)

 

トール(物理防御力の高そうな大男は避けた方が良い。狙うとしたら単体で攻めて来る黒髪・・・!)

 

黒髪の魔人に攻撃を仕掛ける。しかしフィンのカラスの大群がそれを妨害した。

 

トール「うっ・・・!?くそっ・・・!」

 

そこにリオネルがユリウスに迫る。

 

ユリウス「ッ!!」

 

カオル「ユリウス!!」

 

だが横からカオルが飛び出し、ユリウスをタックルで突き飛ばしてリオネルのパンチを受けた。

 

タカオ・マモル・セイラ「カオル様!!!」

 

アズマ「カオル!!!」

 

ユリウス「カオル殿!!!!」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶
レベッカ=ホーク:有村蓮
マナミア=ラドクリフ:前川涼子

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子
ジェレミー=ダンクルク:前野智昭
ローランド:山本和臣

ラナ:黒木ほの香
グレア:高橋李依
ジュリアン=フィッツバード:小松未可子
ジネヴラ:小宮有紗

アズマ:榎木淳弥
シイナ:内田彩
ナナセ:白石晴香
マチ:逢田梨香子
ヨーコ:福原綾香
アキ:南條愛乃
サヨ:影山灯
カオル:国立幸
マモル:山谷祥生
タカオ:石谷春貴
セイラ:今井麻美
ミカ:金澤まい
ユイ:徳井青空
ケイ:夏川椎菜

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア;本渡楓
アンナ:近藤玲奈
レオン:岡本信彦
ソフィー:櫻庭彩華
カサンドラ:高田憂希
ティオ:村瀬歩

デリック:福山潤

ルーパー=オルグラン:保村真
セシリア=フォン=クロード:佐藤利奈
シルビア=フォン=クロード:小澤亜李

ローレンス:杉山紀彰
リオネル:内匠靖明
フィン:市来光弘
ヨシュア:加藤渉
ドルン:高口公介

ベルゼ=クラスティール:澁谷梓希





次回予告

魔人の獰猛は止まらない。しかしそこにティガとシンが駆け付け、形勢逆転。だが、予想を覆す事態が。

次回ウルトラマンティガ

逆転

お楽しみに


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第40話「逆転」

逆転
ベルゼ=クラスティール、斥候魔人 登場



リオネルに殴り飛ばされたカオルは、ユリウスに受け止められた。

 

カオル「これは・・・ちょっとキツイなぁ・・・」

 

ユリウス「カオル殿!お怪我は!?」

 

カオル「大丈夫。僕の顔は黒曜石並みに硬いからね。」

 

ユリウス「良かったで御座る・・・」

 

アウグスト「っ!!」

 

その間にローレンスが魔力を集めていた。

 

アウグスト(炎の魔法・・・!障壁を使って防戦一方になる位なら一層水魔法で相殺して・・・攻撃の切っ掛けにする!!)

 

すぐに水魔法を放つ。しかし、ローレンスの炎の魔法が氷に変化した。

 

アウグスト(属性を・・・一瞬で炎から氷へ変化させた!?)

 

ローレンスが氷魔法をアウグストに放った。アウグストの水魔法が凍結された。

 

アウグスト(水を凍結!?こちらの魔法を逆に利用された!!)

 

迫り来る氷。だがトニーとアズマが斬撃で砕いた。

 

トニー(風の斬撃!!!)

 

斬撃の衝撃波を放ったが、ローレンスが地面の壁を作って防いだ。その壁から岩の棘が生成され、アウグストとトニーに向かって伸びた。

 

アズマ「させるか!!」

 

シイナ・ナナセ「させない!!」

 

しかしアズマ達3人が岩の棘を粉砕した。

 

ベルゼ「フフッ♪」

 

アズマ「なっ!?」

 

だが後ろからブラッディーベルゼが迫り、血の鞭が迫る。

 

レオン「クッ!!」

 

しかしレオンが駆け付け、血の鞭を掴んだ。

 

カサンドラ「ハァッ!!」

 

その鞭をカサンドラが剣撃で斬り裂いた。

 

アウグスト「器用な奴だ。攻撃が読めん。」

 

トニー「魔法イメージと魔力コントロールが並外れてますね。今まで見なかったタイプだなぁ。」

 

斥候魔人A「ナメて掛からねェ方がいいぜ。彼奴ら、実働部隊の実力は斥候の中でも特に折り紙付きだ。他の軍部の連中よりよっぽど多くの死線を越えて来やがるからな。」

 

マリア「・・・意外ね。魔人になっても仲間意識みたいなのは残ってるんだ。」

 

斥候魔人A「あ?・・・まあ、シュトローム様の手足って意味じゃ仲間だからな。」

 

マナミア「随分な信頼ですね。余程帝国を滅ぼしてくれたシュトロームに感謝していますのね。」

 

ユーリ「魔人にまでされて・・・その人の何がそんなに気に入ったのかしらぁ?」

 

斥候魔人A「・・・”命”を与えられたのなら、無償の忠誠を誓うのは当然の事だ。この世の地獄を見て来た俺達意外に、この感情を理解する事は誰にでも出来んだろうがな。」

 

アウグスト「・・・確かに・・・我々は皆、お前達元帝国民に比べれば、余程安全で平和な場所で生きて来た事に違いない。故に、その狂気とも取れる忠誠心を理解は出来ん。」

 

ローレンス「・・・」

 

アウグスト「だが、お前達魔人が不戦を望まずここに現れたと言う事は、今度はその狂気を世界に向けると言う意思表示に思える。それが事実であれば、そこに”理解”など必要はない。止めるだけだ。我々は。」

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王国軍駐留地では。

 

デリック・ケイティ「はぁ・・・はぁ・・・」

 

魔人達の猛攻に防ぎ切れず、血を流してバテてる。

 

 

 

 

その戦いをフェオン達は見守るしかなかった。

 

 

 

 

デリック「野郎!!」

 

全力ダッシュで、ドルンの後ろに回った。しかしドルンの左拳で地面に叩き付けられた。

 

デリック「ガハッ・・・!!」

 

叩き付けられ浮いてるデリックにヨシュアが魔力弾を放つ。

 

ケイティ「デリック!!」

 

横からケイティがデリックを突き飛ばし、ヨシュアの魔力弾を受けた。デリックとケイティが倒れてしまった。

 

ヨシュア「・・・裏切り者の末路か。」

 

デリック「・・・クッ・・・」

 

ヨシュア「ん?」

 

デリック「・・・俺の末路は・・・まだ先だ・・・!」

 

ケイティ「へへへ・・・そう・・・だね・・・」

 

血を流しながら2人が立ち上がった。

 

デリック「俺は・・・お前達を駆逐するまで死んでたまるか・・・!」

 

ヨシュア「・・・お前ら、俺達ばっかり相手してる場合か?」

 

デリック「どう言う意味だ・・・!」

 

???「うわあああああ!!」

 

デリック・ケイティ「!?」

 

 

 

 

 

 

アリス達が何かに縛られてしまっていた。

 

 

 

 

 

 

デリック「皆・・・!?」

 

ケイティ「どう言う事!?」

 

そこに現れたのは、蜘蛛の災害級だった。

 

ケイティ「蜘蛛の災害級!?」

 

デリック「まだ隠し玉があったのか・・・!!」

 

 

 

 

 

 

フェオン「クッ!これ解けない!!」

 

イザベラ「お姉ちゃん!!」

 

マーク「クソッ!!」

 

アリス「もうネチョネチョして気持ち悪い!!」

 

リン「鳥肌が・・・!」

 

 

 

 

だが、オリビアとレベッカだけが間一髪縛られずに済んでる。2人はテントの裏に隠れてる。

 

オリビア(どうしよう・・・どうしよう・・・!助けなきゃ・・・!!アリスさん達を・・・でも・・・でも・・・私達が行った所で一体何が・・・誰か・・・誰か・・・)

 

レベッカ(この状況を奪回出来るのは・・・)

 

2人の脳裏に2人の人物が浮かんだ。

 

オリビア(ウォルフォード君!!)

 

レベッカ(タクト先輩!!)

 

すぐにオリビアが無線通信機を出した。

 

レベッカ(で、でもオリビア先輩!本当は連絡すべき時じゃないかもですよ・・・お2人だって大変な状況かも知れません!)

 

オリビア(でも・・・私達を助けてくれるとしたら・・・!!2人以外には誰も居ない・・・!出て・・・!お願い・・・!!)

 

無線通信機でシンに連絡する。

 

 

 

 

 

 

そして、シンの無線通信が入った時に至る。

 

”ジリリリリリ”

 

シン「ん?」

 

エカテリーナ「な・・・何?何の音?」

 

マーリン「通信機じゃ。ワシのじゃないぞい。」

 

シン「あ、俺か。」

 

”ジリリリリリ””ジリリリリリ”

 

デリック「あれが噂の通信機か。」

 

タクト「まあな。」

 

シン「・・・一体誰からだ?」

 

レオナ「っ!」

 

デリック「レオナ?どうしたんだ?」

 

レオナ「デリック・・・大変よ・・・!」

 

デリック「え?」

 

シン「もしもし?」

 

オリビア『ウォルフォード君!すぐ来て!皆が・・・皆が・・・!』

 

シン「オリビアか!?落ち着いて話して!何があった!?今何処だ!?」

 

タクト「シン、音量出せ!」

 

シン「あぁ!」

 

オリビア『ウォルフォード君とクリスティ君が・・・イースに向かってすぐに・・・魔人領から緊急連絡があったんです・・・私達で・・・現地へ向かって・・・そしたら・・・ま・・・魔物だけじゃなく魔人が・・・』

 

シン(魔人・・・!シュトローム直属の連中か・・・!)

 

タクト「オリビア、具体的な場所は分かるか?」

 

オリビア『ア・・・アールスハイド王国軍の駐留地・・・旧帝都の・・・城壁のすぐ近く・・・です・・・』

 

シン「分かった・・・!今すぐ行く・・・!」

 

タクト「それまでの辛抱だ!」

 

シン「爺ちゃん!リチャードおじさん!エカテリーナさん!俺達魔人領行って来る!魔人達が現れたらしい!!」

 

エカテリーナ「魔人が・・・!?それは大変だわ!だったら先生達も一緒に・・・!」

 

しかしシンがマーリンとリチャードを見た。マーリンとリチャードはそれを理解して動かなかった。

 

デリック「シン、タクト、俺も一緒に行く。」

 

レオナ「連れてって。」

 

タクト「分かった。シン、ゲートを。」

 

シン「あぁ。じゃあエカテリーナさん!無理しないようにね!」

 

ゲートを開き、4人が向かう。

 

エカテリーナ「あ、シン君・・・タクト君・・・い・・・いいんですか先生・・・!?大司祭様・・・!?」

 

マーリン「いいんじゃよ。シンとタクト君がおらねばワシが加勢に行ったかも知れんが。」

 

リチャード「あの2人が居るのなら、私達の出る幕などないからな。」

 

エカテリーナ「・・・・」

 

マーリン「それに・・・シンなりに()()()()()を気遣ってくれたのじゃろう。」

 

エカテリーナ「え?」

 

リチャード「実は先日、マーリン達の関係や死んだスイレンの事・・・全てシン君に話したんだ。」

 

マーリン「全てを理解した上でシンはワシに・・・義理の娘になるはずだったお主の事を・・・看病させたかったんじゃないかのう。ワシらの心にある蟠りを・・・ほんの僅かでも溶かす為にの・・・」

 

エカテリーナ「・・・あ・・・」

 

マーリン「カーチェ。実際の義理の父娘と言う関係にはなれなかったが、ワシらはお主の事を・・・本当の娘だと思っておる。じゃから、何も心配はいらん。今は2人を信じてゆっくり休みなさい。」

 

エカテリーナ「・・・お・・・おとう・・・さ・・・」

 

涙を流してお父さんと言った。マーリンは優しい笑顔を見せた。

 

マーリン「泣き虫じゃのう相変わらず。」

 

リチャード「あの頃のまんまだ。」

 

エカテリーナ「・・・い・・・今のはズルいですわ・・・!!」

 

リチャード「それだったらメリダにも看病に来て貰おうかな?」

 

エカテリーナ「え!?いえ、その・・・それはもう少し体調が戻ってから・・・」

 

リチャード「ははは。」

 

エカテリーナ(・・・ありがとうシン君・・・そしてタクト君・・・どうかあなた達アルティメット・マジシャンズに神のご加護があらん事を・・・)

 

 

 

 

 

 

ゲートを潜った4人が魔人領付近へ。

 

シン「ええと・・・どの辺りだったかなここ・・・」

 

タクト「オーグと一緒に来た前線近くだ。」

 

シン「そうだった。」

 

戦闘服を着る。

 

タクト「俺も。」

 

スパークレンスを掲げて光を解放し、ウルトラマンティガへ変身した。

 

 

 

 

上空へ浮遊する。

 

シン「旧帝都の・・・方面は・・・」

 

ティガ「今調べる。」

 

透視能力で旧帝都の方角を探る。

 

ティガ「彼処だ!」

 

シン「よし、行こう!」

 

ティガ「チャァッ!!」

 

スカイタイプへタイプチェンジし、シンと共に全速力で飛翔した。

 

 

 

 

地上では。

 

デリック「レオナ、しっかり掴まってろ。」

 

レオナ「うん。」

 

背中にレオナを背負い、魔人化してティガとシンが向こう方へ全速力で向かう。

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王国軍・駐留地。

 

ドルン「あ〜〜〜〜・・・何だろうな。頭ん中煮えたぎった部分と冷えた部分がゴチャゴチャ混ざり合ってやがる。お前らが生きてきたような生温い場所に一時でも足を踏み入れちまったせいだ。」

 

ケイティ「あれ?私達に冤罪着せてんのかな?」

 

ドルン「実感するぜ。やはり魔人の根底の部分は、帝国の呪われた地に根付いちまってんだな。どうしたって逃げられねェ・・・枷みてぇなモンだ。嘗てのオリバー=シュトロームは道を()()()()()()()()。外の世界に影響され、帝国の現状を変えようなんて夢見たせいでな。その結果、あの男の全ては崩壊し、復讐を遂げても今尚この場所に縛られてやがる。帝国貴族らしく自分の事だけ考えて生きてりゃあ・・・今頃全てを手に入れてただろうになぁ。」

 

デリック「・・・そう思うのはお前達が・・・縛られたまんまで動こうとしない腰抜けにしか過ぎねえからな。」

 

ドルン「・・・あ?」

 

デリック「シュトロームの過去は詳しくは知らない。どんな理由があると許されない事をしてしまったのは事実だ。けど!現状に納得せずに足掻こうとする行為が間違いだと俺は思わねえ!信じて進んだんなら、例え道を踏み外したって・・・それが意味のある一歩だったんじゃねぇのか・・・!!」

 

ドルン「・・・・」

 

デリック「進もうとする事すら初めからしないテメェ等は・・・腰抜け以外の何物でもない!!」

 

ドルン「いい度胸だ。裏切りが・・・!!次の一撃で今度こそ捻り潰してやるよ!」

 

 

 

 

斥候魔人B「・・・オイ。」

 

斥候魔人C「あん?」

 

斥候魔人B「向こうはドルンとヨシュアで充分だろ。さっさと残りを始末しとこうぜ。ターゲットはあっちにまだ数匹居るからな。」

 

他の魔人達が救護テントに狙いを定めた。

 

オリビア「・・・!!」

 

レベッカ「!!」

 

斥候魔人B「面倒くせぇ。デカいの一発放って片付けようぜ。」

 

マーク「オリビア!!逃げろ!!」

 

アリス「レベッカ!!逃げて!!」

 

しかし、2人は逃げない。

 

レベッカ「アリス先輩。私は逃げません!ここを守るのが私達の使命なんでしょ!オリビア先輩も!」

 

オリビア「・・・うん・・・戦ったとしても、きっと魔人には勝てない。だけど、私達の後ろには守るべき人達が居る!”弱さ”なんて・・・逃げる理由にはならない・・・!!レベッカさん!」

 

レベッカ「はい!!」

 

2人が両手を前に突き出して構えた。

 

斥候魔人A「奥に居るのはクロードだな。最優先の始末対象だ。手加減なしで撃ち込むぞ!」

 

オリビア(今のシシリーさんには自身を守れるだけの余力はない・・・!!)

 

レベッカ(他の皆さんは罠に嵌ってしまってる・・・!私達がここで攻撃を防がなければ・・・!!)

 

 

 

 

テント。

 

シシリー「セシリア姉様!!シルビア姉様!!ここを離れて下さい!!魔人の攻撃に巻き込まれてしまいます!!」

 

しかし2人はルーパーと共に逃げ出さない。

 

セシリア「役に立てるかは分からないけどね!!治療で動けない妹を見せてて逃げるなんて、私等に出きる訳ないでしょ!!」

 

 

 

 

斥候魔人達の魔法弾が迫った。

 

オリビア「くっ!!」

 

レベッカ「うっ!!」

 

魔法障壁で踏ん張って防ぐ。

 

斥候魔人A「・・・もっとだ。」

 

威力を上げた。2人の魔法障壁が限界に近付いた。

 

レベッカ「ダメ・・・!!後方まで障壁がカバー出来ない・・・!!」

 

別の魔法弾がテントに迫る。

 

ルーパー「うおおおお!!!」

 

3人が魔法障壁を展開。魔人達の魔法弾がテントを爆破した。

 

マーク「っ!!」

 

フェオン「っ!!」

 

シシリー「くっ・・・!!」

 

オリビアとレベッカは何とか防ぎ切れた。

 

レベッカ「はぁ・・・はぁ・・・オリビア先輩・・・」

 

オリビア「う・・・うん・・・」

 

斥候魔人A「流石の防御障壁・・・と、言いたい所だが、後ろの連中はどうかな?」

 

全員「!?」

 

 

 

 

ルーパーとセシリアとシルビアが倒れてしまっていた。

 

 

 

 

イザベラ「そんな・・・!!」

 

ルーパー「・・・ぐっ・・・!」

 

シルビア「うぅ・・・」

 

シシリー「私達を守る為に・・・い・・・今治療を・・・!!」

 

セシリア「シシ・・・リ・・・ゴメ・・・ドジった・・・」

 

深い重傷を負ってしまったセシリアがシシリーを見てる。

 

シシリー「い・・・いや!!お姉様!!し・・・しっかり・・・!!」

 

セシリア「あ・・・あなたが・・・無事で良かっ・・・み・・・皆は・・・」

 

シシリー「だ・・・大丈夫です!!い・・・今すぐお姉様を治します!!し・・・死なないで・・・!!」

 

エミリー「セシリアさん・・・!!」

 

ガタガタと震えが止まらないオリビアとレベッカだが、魔人達は容赦なく。

 

斥候魔人A「()()()は後回しで良いか?」

 

斥候魔人B「この様子なら、魔法を使う事すらままならんだろう。大した邪魔も出来ないさ。」

 

矛先がシシリーに向けられた。

 

レベッカ「止め・・・!!」

 

オリビア「ダ・・・ダメ・・・!!」

 

しかし魔人は聞く耳持たず、シシリーに魔法弾を放った。

 

レベッカ「シシリー先輩!!!!」

 

オリビア「シシリーさん!!!逃げて!!!」

 

アリス「シシリー!!!!!!」

 

しかし、魔人の魔法弾はシシリーに迫るばかり。シシリーは放心状態でどうしようも出来ない。

 

シシリー(・・・ああ・・・これはもう・・・間に合わない・・・)

 

彼女の脳裏にシンとの思い出がフラッシュバックした。

 

シシリー(・・・これで・・・全て・・・終わり・・・?シン君とも・・・永遠に・・・お別れ・・・?嫌だよ・・・そんなの嫌だ・・・!!)

 

彼女は渾身の力で叫んだ。

 

シシリー「シン君!!!!!!」

 

叫んだと同時に大爆発が起こった。

 

レベッカ「あ・・・ああ・・・」

 

シシリー(・・・?)

 

しかし、シシリーは無事だった。シシリーが目を見開くとそこには・・・

 

 

 

 

 

 

シンが立っていたからだった。

 

 

 

 

 

 

リン「ウォルフォード・・・君・・・!?」

 

アリス「シン・・・君・・・!!」

 

オリビア「・・・あ・・・」

 

レベッカ「シン先輩・・・!!」

 

シシリー「シン・・・君・・・」

 

シン「もう大丈夫だよ。シシリー。」

 

すると空から青い光弾が天下り、蜘蛛の災害級を撃破した。

 

レベッカ「あれは!!」

 

 

 

 

シンの横にウルトラマンティガが着地した。

 

 

 

 

ティガ「皆、大丈夫か?」

 

フェオン「タクト!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ハンドスラッシュでフェオン達を縛ってる蜘蛛の糸を切断した。

 

デリック「フッ!!」

 

そこにデリックが、ケイティともう1人のデリックを担いでシン達の元へ。

 

デリック「ったく、無茶するなよ。」

 

もう1人のデリック「悪いな。」

 

シン「え?デリックが・・・もう1人・・・?」

 

ケイティ「本当だ!え!?どうなってるの!?」

 

全員がデリックが居る事に驚く。

 

ティガ「お前、また変装してるのか?」

 

もう1人のデリック「あぁ。久し振りだな。タクト。」

 

すると彼は、首元を掴んで皮膚を剥がした。出て来たのは・・・

 

 

 

 

 

 

1人の男だった。

 

 

 

 

 

 

マーク「だ、誰だ?」

 

デリック「ご苦労だった。ラスティー。」

 

ラスティー「悪いな。」

 

その正体は、以前にタクトと共に戦ったレジスタンスのラスティーだった。

 

オリビア「ラスティーって・・・クリスティ君が言ったレジスタンスの・・・?」

 

ティガ「お前、デリックと知り合いだったのか?」

 

ラスティー「あぁ。その辺は後で話す。」

 

デリック「レオナ。此奴を頼む。後倒れてる3人の治療も。」

 

レオナ「分かったわ。」

 

ティガ「ヒナ。治療を頼む。」

 

ヒナ「はい!」

 

ティガ「シン。デリック。行くぞ。」

 

シン「あぁ。シシリー、ここから先は・・・俺達に任せろ!」

 

デリック「お前等、覚悟は出来てるか?」

 

シシリー「・・・シン・・・く・・・ん・・・」

 

駆け付けたシンを見て、今も放心状態のシシリーが。

 

シシリー「うあああ!シン君!!」

 

シン「おわっ!?シ・・・シシリー!?」

 

シシリー「お・・・お姉様が・・・怪我して・・・た・・・助けなきゃって・・・そしたら魔法が・・・うぅ・・・も・・・もうシン君にも会えなくなるんだって・・・」

 

シン「え?お姉様・・・!?ッ!!セ・・・セシリアさん・・・!?」

 

倒れてるセシリアを発見した。

 

シシリー「お・・・お姉様の・・・治療・・・しないと・・・」

 

シン「シシリー。俺がやるよ。」

 

急いでセシリアの治療を始めた。

 

 

 

 

斥候魔人A「ナメやがって・・・!!俺らを無視して仲間の回復か。そのまま敵に背を向けたままあの世へ行きやがれ・・・!マヌケが。」

 

魔力を集め始めた瞬間。シンとティガから異形の威圧が溢れ出た。斥候魔人達が震えた。

 

ヨシュア「迂闊に動くな。あのシン=ウォルフォードとタクト=クリスティだぞ。この先一瞬たりとも奴等から目を離すなよ。」

 

 

 

 

シン「よし・・・これで取り敢えずセシリアさんは大丈夫。後はシルビアさん達・・・」

 

オリビア「ウォルフォード君!他の方の治療は私達でやります!」

 

ティガ「だったらヒナ。一緒にやってくれ。」

 

デリック「レオナも頼む。」

 

ヒナ「分かりました!」

 

レオナ「任せて。」

 

シン「よし。じゃあ2人の治療は任せる。」

 

オリビア「あの・・・ウォルフォード君。クリスティ君。それとデリックさん。ありがとう・・・来てくれて・・・!」

 

ティガとシンはサムズアップで応え、デリックは笑みを浮かべた。

 

エミリー「皆下がろう。3人の邪魔になる。」

 

イザベラ「皆さん。お願いします。」

 

 

 

 

いよいよ、3人と魔人達の戦いが始まった。

 

シン「・・・お前等。俺達の仲間をどうするつもりだった?」

 

 

 

 

 

 

その頃戦闘地域では、シンの魔力を感じた全員が止まった。

 

アウグスト「ッ!!!待て!この魔力・・・!!」

 

カサンドラ「これは・・・!!」

 

ベルゼ「シン=ウォルフォードが来たね。それにタクトも。思ったより早い段階で。」

 

ローレンス「・・・仕方無い。次の作戦に移行だ。」

 

ベルゼ「はいはーい♪」

 

斥候魔人達がその場から撤退した。

 

トール「ッ!?奴等、シン殿の方へ・・・!?」

 

アウグスト「追うぞ!」

 

 

 

 

 

アールスハイド王国軍駐留地。

 

斥候魔人A「皆殺しだ。邪魔なんだよテメェ等。いちいちしゃしゃり出て来やがってよ。テメェ等さえ居なきゃ、とっくのむかしに世界侵略が実現してるってのによぉ。」

 

デリック「随分殺伐とした野望だな。」

 

斥候魔人A「チッ。裏切りのクソ魔人が。・・・序でに教えてやろうか。最優先の抹殺対象はそこに居るクロードだ。そいつを消せば、お前がキレて魔人化するかも知れねぇんだろ?」

 

ヨシュア(・・・喋り過ぎだバカが。)

 

斥候魔人A「試させてくれよ。」

 

シン「・・・やってみろよ。お前等にここを突破出来るってんならな。」

 

ティガ「どっちの力が上か。」

 

デリック「白黒付けようか。」

 

2人の斥候魔人が走り出した瞬間。先程の斥候魔人の胴体が切断された。

 

斥候魔人A「あ”!?」

 

デリック「消えろ!」

 

掌から炎を放射し、切断された斥候魔人の上半身を燃やし尽くした。

 

斥候魔人B「!?」

 

ヨシュア「速い!!」

 

デリック「俺は他の雑魚を殺る!お前達はヨシュア達を!」

 

ティガ「分かった!」

 

デリックがその場に居る他の斥候魔人を討伐しに行った。

 

ヨシュア「攻撃しろ!!!」

 

同時に魔法弾をぶっ放し、3人に命中した。しかし爆煙から電撃の矢とハンドスラッシュが飛び出した。

 

斥候魔人B「!!」

 

間一髪魔力障壁で防いだ。

 

斥候魔人B(電撃の矢と光!?)

 

しかし魔力障壁が割れた。だがしゃがんで避けた。

 

斥候魔人B(魔法一撃に対し全力の障壁で持ち堪えて1秒・・・いや、2秒ってトコか。攻撃を避けるには充分な時間・・・)

 

だが爆煙からティガ・ホールド光波が飛び出し、斥候魔人の魔力が失われた。

 

斥候魔人B「な、何だこれは!?」

 

そして爆煙が晴れると、驚きの光景が・・・

 

斥候魔人B「・・・・・・・冗談だろこの野郎・・・!!!」

 

 

 

 

 

 

シンが無数の電撃の矢を生成して、ティガが光のエネルギーを集めていた。

 

 

 

 

 

 

斥候魔人B「待・・・!!!」

 

それを待つ訳が無く。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

デラシウム光流と電撃の矢が一斉に斥候魔人に直撃し、斥候魔人が爆発した。

 

シン(後2体!)

 

真横にヨシュアが現れ、魔法弾がティガとシンに迫るが。ティガが片手でウルトラシールドを展開して防ぎ、シンが魔力障壁で防いだ。

 

ヨシュア・ドルン「!?」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

瞬時にマルチタイプへタイプチェンジしたティガのティガスライサーがヨシュアに迫るが、ヨシュアが避けた。

 

ヨシュア(魔法攻撃と防御魔法を同時に展開した・・・!やはり先程の違和感は気のせいじゃない・・・!!クロード救出の際、奴は転移魔法でこの場所に現れた・・・恐らく目視出来る範囲まで近付いてから転移に切り替えたのだろうが・・・奴は現れた時点で既に防御障壁を使用していた。魔力の気配から考えても、この場に来る直前までは浮遊魔法を使っていたはず・・・つまり・・・間違いなく奴は、複数の魔法を同時に使用している・・・!!)

 

ティガ(シン。この世界に於ける魔法の理論上、確かに魔法の複数同時使用は不可能に思える。)

 

シン(そうらしいな。俺も当初は諦め掛けたが、一度コツを掴めばそんなに難しい事じゃなかった。要はイメージの問題だ。これはパソコン上に複数のプログラムが並列起動している事に等しい。)

 

ティガ(つまり重要なのは、”そのイメージが出来るかどうか”って事だ。)

 

シン(それが分かれば、俺達に有利だ。)

 

 

 

 

フェオン「す、凄い・・・あれがタクトとシンなの・・・?」

 

マーク「ウォルフォード君。クリスティ君。何時の間にあんな技術を・・・」

 

アルティメット・マジシャンズに唯一通用する戦術が、この2人には通用しない。

 

 

 

 

シンが異空間収納からバイブレーションソードを取り出した瞬間、ドルンがシンの後ろに回り込んだが、シンがドルンの攻撃を魔法障壁で防いだ。

 

ドルン「ぬぅあっ!!」

 

今度はシンに膝蹴りを繰り出すが、シンが肘でガードした。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

接近したティガがスラップショットでドルンの腹を切った。

 

ドルン「がああ!!」

 

激昂したドルンがティガに襲うが、マルチハイキックで蹴り上げた。

 

ティガ・シン「ッ!!」

 

ヨシュア「ゼロ距離からの魔法だ。防げるものならやってみろ。」

 

後ろに回ったヨシュアがティガとシンにゼロ距離魔法を発射し、2人を爆破した。

 

 

 

 

マーク「無駄ッスよ。戦闘服の障壁を発動するのに・・・」

 

フェオン「どんな魔法に対して障壁を展開するのに・・・」

 

マーク「ウォルフォード君なら1秒も掛からない。」

フェオン「タクトなら1秒も掛からない。」

 

 

 

 

ゼロ距離なのに、ティガとシンはウルトラシールドと魔法障壁で防いだ。

 

ヨシュア(化け物め・・・!!)

 

ドルン「・・・気に入らねえなぁ・・・何なんだその力・・・テメェ等に分かんのかよぉ!光の射さねぇ肥溜めみてぇな場所で死ぬまで生きてく絶望が・・・!!肩並べて戦って来た戦友が日々目の前でゴミみてぇに死んでく光景が・・・!!それら全部を糧にして強さを得た魔人が!!人間であるテメェ等に劣ってたまるか!!!」

 

浮遊するティガとシンが力を集める。

 

ティガ「確かに俺達はお前達の持つ絶望を理解出来そうにない。」

 

シン「だけどそれでも、堕ちてはいけない場所に堕ちなかったのなら、お前達が帝国民を虐殺する事はなかっただろう。」

 

ティガ「お前達は強さを得たんじゃない。お前達は自らの選択で、人間として強くなれる最後の梯子を壊しただけだ!」

 

ドルン「ッ・・・!!」

 

ヨシュア「・・・なぁドルン・・・俺達は・・・魔人になって本当に前へ進んだのか・・・?」

 

ドルン「・・・ちっ・・・知るかよ・・・」

 

2人は何もせずに、ティガのゼペリオン光線とシンの巨大魔法弾を受けて消滅した。

 

 

 

 

デリック「向こうは終わったか。」

 

既に他の斥候魔人達を倒したデリックが肩を撫で下ろす。

 

マーク「流石・・・の一言ッスね・・・ウォルフォード君・・・クリスティ君・・・」

 

シシリー「シン君・・・」

 

 

 

 

ティガ「・・・」

 

”ピコン”

 

胸のカラータイマーが鳴り始めた。

 

???「ヤッホー♪」

 

ティガ「ッ!?」

 

ブラッディーベルゼが現れた。

 

シン「ベルゼ・・・なのか・・・?」

 

ベルゼ「ピンポンピンポーン♪」

 

ティガ「お前・・・その姿はまさか・・・」

 

ベルゼ「そうだよ!これを使って変身したのさ!」

 

ブラッドスパークレンスを見せた。

 

ティガ「俺の記憶からスパークレンスをコピーしたのか。」

 

ベルゼ「うん。砦で戦ってる最中にね。でも、ここに居るの私だけじゃないよ?」

 

シン「何?」

 

更に、アウグスト達と交戦していたローレンス達も現れた。

 

 

 

 

マーク「新手!?」

 

シシリー「いえ・・・!恐らく殿下達が戦っていた相手です・・・!」

 

オリビア「あ!マリアさん達も来ましたよ!」

 

遠くからアウグスト達が駆け付けた。

 

フェオン「レオン!ソフィー!カサンドラ!」

 

エミリー「グレア!ティオ!」

 

グレア「ごめん!遅くなっちゃった!」

 

マリア「シン!!タクト!!」

 

アウグスト「全員一定の距離を保って散れ!シンとタクトの戦いの邪魔になり兼ねん!!」

 

 

 

 

シン「タクト。回復を。」

 

ティガ「まだ大丈夫だ。」

 

デリック「俺も手伝う。」

 

シン「分かった。・・・前へ出ろよ。覚悟が決まった奴からな。」

 

斥候魔人C「生意気なガキ共に裏切り者が・・・!!」

 

斥候魔人D「ドルン達は!?」

 

ローレンス「聞くまでもねぇだろ。ここに居なけりゃ殺られたんだ。」

 

仲間が殺られた事に2人の斥候魔人の怒りが頂点に達した。

 

斥候魔人2人「ブッ殺す!!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

カラータイマーにエネルギーを集め、シンが両手で2つの竜巻を起こした。飛び出した斥候魔人2人がシンの竜巻に飲み込まれて消し炭になった。

 

 

 

 

マリア「瞬殺・・・!!」

 

アウグスト「基礎魔力量のケタが違う故に・・・我々に必要な『溜め』がいらんからな。彼奴・・・」

 

トニー「やれやれ。近付いたと思ったらすぐまた引き離してくなぁ。・・・ま、今は心強いけど。」

 

 

 

 

フィン「連携なしで行くからッスよ!バカだなぁ!」

 

2人の背後にフィンが操るカラスの魔物が一斉に迫った。

 

 

 

 

ユリウス「シン殿!タクト殿!」

 

トール「そいつは自在に魔物を操って・・・!!」

 

 

 

 

ティガ「ハァッ!!」

 

後ろに振り向いたティガが、集めたエネルギーを放出するタイマーフラッシュスペシャルでカラスの魔物を一斉に溶かした。

 

フィン「・・・は!?」

 

ローレンス「下がれフィン!!」

 

デリック「逃がすか!!」

 

目の前にデリックが現れ、手刀でフィンの左腕を切断した。

 

フィン「テメェ!裏切り野郎が!!」

 

激昂したフィンだが、リオネルに引っ張られた。

 

リオネル「下がって魔力を自己回復に集中させてろ!」

 

フィン「くっそ・・・メンドくせー体になったなぁ・・・」

 

 

 

 

アウグスト「・・・!?」

 

 

 

 

シン(ここに居る魔人はこの場で全滅させる!!)

 

デリック「ッ!!シン!下がれ!!」

 

シン「!?」

 

”ドゴーーン!!!”

 

突然巨大な爆発が起こった。

 

シン「何・・・だぁ!?」

 

マーク「うおあっ!!」

 

マリア「何よこの魔法・・・!?一体誰が・・・!!」

 

アウグスト「並の威力じゃないぞ・・・!!」

 

そこに、2つの影が現れた。

 

???「勢いは止めたわ。ああ・・・後、救援に向かっていた連中の足止めもね。」

 

???「・・・どうも。お陰で此方も準備を進められましたよ。」

 

この2人の正体は・・・

 

 

 

 

 

 

ミリアと斥候隊長のゼストだった。

 

 

 

 

 

 

シン(彼奴はあの時の・・・!)

 

ティガ(スイードを襲った女魔人・・・!!)

 

デリック「ミリア・・・ゼスト・・・!」

 

アウグスト「救援に向かっていた・・・まさか・・・!!アズマ!?」

 

アズマ「そうだ!俺達はあの女魔人に足止めされた!けど間一髪振り切れた。」

 

シン「・・・それで、次はお前等が相手ってワケか?」

 

ゼスト「冗談は止したまえ。彼女ならば兎も角・・・私に君の相手など務まるはずがなかろう。」

 

シン「・・・?」

 

ティガ「どう言う事だ?」

 

ゼスト「やれやれ・・・ここまで君達の参戦が早いのは少々予定外だった。浮遊魔法や転移魔法以外にもまだ・・・我々の知らぬ魔法か・・・魔道具を使っているようだな。」

 

オリビア「・・・・」

 

アウグスト(・・・事実シンとタクトの到着が後1時間も遅ければ・・・下手をすれば我々は全滅していた可能性もあった・・・しかし此奴等・・・やはりまだこの先に何か企みが・・・ッ!!)

 

突然アウグストがゼストを見て何かに気付いた。

 

アウグスト「・・・おいシン。タクト・・・あの男は確か・・・」

 

シン「ああ。三国会談の時スイードで擦れ違った奴だ。」

 

ティガ「そっちの魔人も擦れ違ったな。」

 

アウグスト「・・・・・」

 

ローレンス「何だよ。つれねーな。俺の顔に覚えは無かったのかよ。」

 

トール「これでほぼ証明されたってワケですか。」

 

ユリウス「フラーの一件はやはり魔人絡みだったで御座る。」

 

ゼスト「色々と推察している途中で悪いが・・・此方も不測の事態に備えて事前に張っておいた予防戦を使わせて貰うとしよう。」

 

アルティメット・マジシャンズ「!!??」

 

ティガ「まさか・・・グレア!!」

 

グレア「うん!!」

 

透視魔法で何かを調べる。するとそこに。

 

斥候兵「殿下!!アウグスト殿下ーーー!!!」

 

2人の斥候兵が駆け付けた。

 

トール「我が国の斥候兵です!!」

 

アウグスト「どうした!?何かあったのか!?」

 

斥候兵「か・・・各国より緊急通信が入りました!たった今です・・・!!我がアールスハイド王国及び周辺国に・・・ま・・・魔人が出現したとの事です!!」

 

シン「!!!」

 

アウグスト「なっ・・・!?」

 

ゼスト「ほぅら。我々の相手などしている場合かね?君達が守っていない国々など、簡単に堕とせるぞ?」

 

 

 

 

アールスハイド王国と周辺国が、別の斥候魔人達に襲撃されていた。

 

 

 

 

アウグスト「くっ・・・!!」

 

シン「お前等・・・!!」

 

ティガ「最初から仕組んでたのか・・・!!」

 

ゼスト「我々にはまだ()()()()()がある。ここらで1度お暇させて頂くとしよう。」

 

斥候魔人達が撤退した。

 

アウグスト「くそっ・・・!!急いで各国の防衛に向かうぞ!!魔人が現れたのは!?」

 

斥候兵「エルスとイースを除く旧帝国の周辺5カ国です!!」

 

アウグスト「・・・・」

 

グレア「でも皆朗報よ!!」

 

アウグスト「朗報?」

 

グレア「出撃していた兵士の皆、全員無事だよ!」

 

アウグスト「本当か!?だが何故!?」

 

グレア「5つの場所にはね、マジックシスターズとヴァーテルとレイチェルとクレージュとシエルが戦っているよ!!」

 

シン「皆が!!」

 

アウグスト「そうか・・・不幸中の幸いだな。」

 

ラスティー「なぁ。防衛を僕にも行かせてくれ。」

 

アウグスト「ん?お前は?」

 

ラスティー「僕はラスティー。ブルースフィア帝国でレジスタンスをやっていた。」

 

アウグスト「そうか。タクトが前に言っていたレジスタンスは。」

 

ラスティー「僕も手伝うよ。殿下。」

 

アウグスト「分かった。頼りにしているぞ。」

 

デリック「そうだオーグ。彼女も紹介しよう。レオナ!」

 

そこにレオナが走って来た。

 

デリック「俺が出会った仲間のレオナだ。」

 

レオナ「レオナよ。ここで怪我人の手当てをするわ。」

 

アウグスト「レオナ。任せたぞ。」

 

ティガ「フェオン達はここで待機してくれ。怪我人の手当てを頼む。リオとデイジーも。」

 

フェオン「分かったわ。」

 

リオ「うん!」

 

デイジー「任せて!」

 

カオル「オーグ。僕も救援に行かせてくれないか?思う存分ダメージ受けてるけど、擦り傷程度だから。」

 

ケイティ「それに、5ヶ国なら1組余る。マークとオリビアもここで待機した方が有利かも。」

 

アウグスト「・・・そうだな。ではビーンとストーンはここに残り各国との連絡係りを任せる。」

 

オリビア「はい・・・!」

 

マーク「了解ッス!」

 

アウグスト「カオル。無茶はするなよ。無理だったら下がるようにな。」

 

カオル「うん。」

 

アズマ「俺も一緒に行く。シイナとナナセ。それにタカオ達もここで待機してくれ。」

 

衛士隊「了解!」

 

シン「シシリー。君も疲弊している・・・本来なら・・・ここに残れと言いたいんだけど・・・」

 

シシリー「シン君。我儘を聞いて頂けるなら、離れたくないです・・・私。一緒に連れて行って下さい。」

 

シン「・・・そうか・・・分かった。うん。一緒に行こう・・・!!」

 

”ピコン”

 

徐々にカラータイマーの点滅速度が上がった。

 

ティガ「・・・」

 

アリス「タクト君。何かそろそろヤバそうなんじゃ・・・」

 

ティガ「いや、すぐに済ませる。シン!光を!」

 

シン「あ、あぁ。」

 

魔法で光を生成した。

 

タクト「ヒナ!レンズを出せ!」

 

ヒナ「はい!」

 

魔法で巨大なレンズを生成して浮かばせた。レンズがシンが生成した光を収斂してティガのカラータイマーに照らした。カラータイマーが赤から青に変わって回復した。

 

ティガ「・・・」

 

アリス「あ!青に戻った!」

 

ティガ「何時でも行ける。」

 

アウグスト「よし。ルーパー!支給動ける者を亜埋めて、各国駐留軍の安否を確認してくれ!まだ生存者が居るかも知れん!」

 

ルーパー「お任せを!」

 

レベッカ「叔父様!私も手伝うよ!」

 

ルーパー「頼むぞレベッカ!」

 

アウグスト「では5組に分かれて各国にゲートを開くぞ!!必ず生きて戻れ!!」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶
レベッカ=ホーク:有村蓮
マナミア=ラドクリフ:前川涼子

ケイティ=グレイス:山崎はるか

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
リチャード=ラドクリフ:堀内賢雄
エカテリーナ=フォン=プロイセン:斎藤千和
ルーパー=オルグラン:保村真
セシリア=フォン=クロード:佐藤利奈
シルビア=フォン=クロード:小澤亜李

アズマ:榎木淳弥
シイナ:内田彩
ナナセ:白石晴香
カオル:国立幸

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レオン:岡本信彦
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依

デリック:福山潤
レオナ:高尾奏音

ローレンス:杉山紀彰
リオネル:内匠靖明
フィン:市来光弘
ヨシュア:加藤渉
ドルン:高口公介

ゼスト:津田健次郎
ミリア:大原さやか

ベルゼ=クラスティール:澁谷梓希





次回予告

5つの場所が斥候魔人に襲撃された。救援に向かうアルティメット・マジシャンズ。オリバー=シュトロームから、衝撃の言葉が告げられた。

次回ウルトラマンティガ

押し寄せる重圧

お楽しみに





『特報』

この世界に、数多の災いがありふれていた。魔物、そして魔人。平和な世界に危機が訪れる。この危機を救うのは彼だけだ。

500年の時を超えて、究極の勇者が蘇った!

TRAVELER OF TIGA


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##不撓不屈の魔王さま##
第41話「押し寄せる重圧」


押し寄せる重圧
オリバー=シュトローム、実体のない存在 登場



5つの場所で魔人が襲来。アルティメット・マジシャンズが5手に分かれて救援へ向かった。

 

 

 

 

カーナン王国。

 

シン「俺達の行き先はカーナンだ!まずはガランさんを捜して・・・!」

 

そこに駆け付けたのは、シンとシシリーとデリック。

 

シン「ガ・・・ガランさん!?何でここに!?」

 

ゲートで駆け付けた時、目の前にガランと羊飼いのメンバーが待っていた。

 

ガラン「通信でお前らが来てくれるって聞いてな。だったらゲートを開くのは俺とお前らが最初に会ったここにしかねぇって思ったんだ。」

 

シン「ガランさん・・・」

 

羊飼い「まあ第2候補としてシェパード服飾店にも数人控えさせて・・・」

 

”ゴン!”

 

ガラン「余計な事言うんじゃねぇ!それより、兄ちゃん見ない顔だな。お前らの仲間か?」

 

シシリー「はい。デリックさんです。」

 

デリック「まぁ俺は人間じゃなくて・・・」

 

両目を赤くした。

 

デリック「・・・」

 

ガラン「そうか。お前が魔人を裏切った魔人か。噂で聞いてるぞ。安心しな。俺達はお前を伐ったりしない。」

 

デリック「感謝する。」

 

シン「それで、魔人は!?」

 

するとガランが3人の後ろに目を向けた。

 

シン「え?」

 

後ろに振り向くと、そこには・・・

 

 

 

 

 

 

エミール「あははははは♪」

 

 

 

 

 

 

斥候魔人のエミールが羊達とスキップで遊んでいた。

 

デリック「エ、エミール・・・?」

 

シン「な・・・何してんですか彼奴・・・!?く・・・国の危機だったんじゃ・・・」

 

ガラン「いやそれがよ。自分の存在を報せるように現れてすぐ空に魔法をブッ放したと思ったら、その後ずーっとあの調子よ。」

 

エミール「ん?」

 

ようやく3人に気付いたエミールがビビった。

 

エミール(テメェ等かよぉ!よりにもよってよぉぉ!!)

 

シン「何のつもりだ?旧帝都での襲撃に失敗したから他国の侵攻に切り替えたんじゃないのか?」

 

エミール「ふっくっくっくっくっくっ。アホが。足りてねぇぜ、頭の回転がよ。それをやんならお前等連合軍が帝都目指してる時にとっくにやってるっての。」

 

シン「・・・・何か腹立つ奴だな・・・・」

 

エミール「それにお前、よりによって俺の厄介者を連れ込むとはな。」

 

デリック「おいエミール。やっと会えたぞ。」

 

エミール「いい加減しつこいんだよお前。俺の気持ちを考えた事あるか?」

 

デリック「黙れ!俺の家族を殺した元幼馴染みのお前の言い分など反吐が出る!」

 

シン・シシリー「!?」

 

そう。エミールはデリックの幼馴染みで、デリックの家族を殺した男でもある。

 

デリック「俺はもう容赦しない。お前を討てば俺の因縁が消える!覚悟しろ!」

 

エミール「・・・えーと、何だっけ彼奴・・・あ。ラルフ長官?彼奴は俺達にとって中々良い働きをしてくれたよな。」

 

シン・シシリー「!!!」

 

デリック「あぁ知ってるぞ。お前にとってラルフは操り易い手駒。そしてエミール。お前はダーム王国軍に潜んでた。しかも他人の心を操る厄介者だって事もな。」

 

エミール「笑い堪えるのに必死だったなぁ。お前等連合軍がオタオタしてる様をすぐ側で見ながらさぁ。」

 

シン「く・・・!!」

 

エミール(ふっくっくっくっ・・・さぁ悔しがれ悔しがれ。俺のプライドを傷付けた罪は重いぞマヌケな人間共・・・!)

 

デリック「だったらお前をここで消す!!!」

 

巨大な魔法弾が放たれ、エミールに直撃して大爆発を起こした。

 

ガラン「や・・・やったか!?」

 

爆煙が晴れたが、エミールの遺体が何処にもない。

 

シシリー「デリックさん・・・」

 

デリック「わざと外した。彼奴は逃げた。そう簡単にくたばるようなヤワじゃない。」

 

シン(一体何が狙いだったんだ・・・?)

 

シシリー「・・・シン君。取り敢えずマークさん達に報告した方がいいですよね。」

 

シン「ああ・・・そうだな。一応。」

 

懐から無線通信機を出してマークに連絡する。

 

デリック・シシリー「!!」

 

シシリー「シ・・・シン君!!」

 

シン「え?」

 

マーク『はい。ウォルフォード君ッスか?』

 

シン「あ。もしもしマーク?」

 

ガラン「ん?」

 

マーク『ひょっとしてもう魔人倒しちゃったんスか?』

 

シン「いやそれが・・・おわっ!?」

 

突然シシリーが自分のマントをシンに被せた。

 

ガラン「!?」

 

シン「シ・・・シシリー・・・?」

 

マーク『ウォルフォード君!?どうしたんスか!?』

 

シン「あ・・・いや。えと・・・?何でもない・・・と思う。魔人は・・・何故か何もせずに逃げちゃったんだ。他のメンバーから連絡は?」

 

マーク『いや・・・まだッスね。』

 

シン「そうか・・・取り敢えず俺達は少し様子を見てからそっちに戻るから。何かあったら連絡頼む。」

 

マーク『了解ッス!』

 

無線通信機の通話を切った。

 

シン「ん?」

 

シシリーは頬を膨らませて少々怒ってる。デリックも腕組みして睨んでる。

 

シン「ど・・・どうしたのシシリー?それにデリックも・・・」

 

シシリー「もうシン君。」

 

マントを返して貰った。

 

シン「あれ?俺何かやらかした?」

 

デリック「はぁ・・・ガランにはお前から説明しとけ。」

 

ガラン「おいシン・・・お前それ無線通信機だろ・こんな人前で使って大丈夫なのかよ?」

 

シン「・・・・・」

 

手に持ってる無線通信機を見て、シンがやっと気付いた。

 

シン「あーーーーー!!いや!これはですねその・・・!!」

 

ガラン「・・・いや、そんなに焦らなくても俺は分かってるからいいけどよ・・・それの存在を知ってるのは、まだ各国の上層部だけのはずだろ?」

 

シン「あは、あはは!そそそうですよね!お、俺とした事が飛んだ失態を・・・!(やべぇ・・・前世のスマホ感覚で普通に人前で無線機使っちまってた・・・はっ!)」

 

後ろの羊飼い達がこっちを見てる。

 

シン「いや、皆さんこれはその・・・!」

 

シシリー「シン君!見られちゃったのは多分ガランさんだけですよ。シン君にマントをかぶせた直後に私が光学迷彩を起動しましたから。シン君自身のマントでは通信機を隠せるか不安だったので・・・」

 

シン「あ、成る程そう言う・・・」

 

デリック「お前って奴は・・・」

 

シン「わ、悪かったよデリック・・・」

 

シシリー「気を付けて下さいね?シン君の行動は今や全ての国の人々が注目しているんですから。意地悪な人とかに見られちゃったらどうするんですか?シン君に何かあったら私・・・」

 

デリック「お前はアルティメット・マジシャンズの中核人物だ。下手な行動を起こせば大惨事を招いてしまう可能性があるんだぞ。」

 

シン「シシリー・・・デリック・・・ゴメン・・・」

 

彼の身を案じてくれるシシリーの優しさを純粋に嬉しく思うと同時に、つい先程・・・その何も代え難い存在を失いそうになった恐怖が今になって一気に押し寄せ始め、気付くとシンは、震える手でシシリーを抱き寄せていた。

 

シシリー「え?あ・・・あの・・・シン・・・君・・・」

 

デリック「!」

 

シン「今更だけど・・・怖かったんだ・・・俺・・・シシリーを失うんじゃないかって・・・」

 

シシリー「シン君・・・同じですよ、私も・・・」

 

今、シンの腕の中にある温もりを絶対に守り抜いてみせるとシンは誓った。

 

シン・シシリー「・・・ん?」

 

デリック「お前達は凄いな。俺達の存在を忘れて抱き合うなんて流石英雄様だ。」

 

シン・シシリー「・・・!!」

 

ガラン「やれやれ。そう言うのは家に帰ってからシッポリとだな・・・」

 

シン「ガ・・・ガランさん!!」

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王国。アウグストとマリアとアズマが駆け付けた。

 

アウグスト「一体何が目的なんだ?お前等は。」

 

アズマ「このタイミング単独で各国を襲撃するとは何を企んでるんだ?」

 

カイン「襲撃?勘違いするなよ。お前にはこれが襲撃に見えるのか?」

 

周りを見ると。

 

ヴァーテル「はぁ・・・はぁ・・・」

 

戦っていたヴァーテルと兵士達は死んでおらず、街への被害は出ていない。

 

マリア「・・・確かに・・・魔人が大暴れしたにしては被害の規模が小さ過ぎますね。」

 

アウグスト(それに・・・我々が現れても奴は臨戦態勢に入る様子もない・・・)

 

その後ろには、マジックシスターズとレイチェルとドミニク率いるアールスハイド軍が立ってる。

 

ドミニク(そもそも最初から破壊が目的とも思えん。)

 

ハンナ(人的被害にしても、こっちから手を出した人以外は攻撃されていない・・・)

 

レイチェル(これはまるで・・・ただ”魔人の出現”そのものを示す事が目的のような・・・)

 

 

 

 

 

 

スイード王国は、トニーとユーリとケイティとラスティーが駆け付けた。

 

ダンテ「お前達がここに居ると言う事は、ウォルフォードとクリスティが旧帝都に救援に現れた・・・つまり、アルティメット・マジシャンズ撃破と言う我々の目的は冠水されてなかった訳か。」

 

ユーリ「気のせいかなぁ?その言い方。」

 

トニー「な〜〜んか。裏にまだ狙いがあるように聞こえるけど・・・違う?」

 

ダンテ「敵に策を漏らす愚か者に見えるか?」

 

ケイティ「おぉ。口が固い魔人だね君。」

 

ラスティー「まぁ、当然の事だろうけど。」

 

その後ろには、クレージュとシエルが立ってる。

 

マチ(何なのあの魔人?攻撃を仕掛けた兵士にしか攻撃しないなんて。)

 

ミカ(マチ。これは油断しない方が良いかもだよ。)

 

 

 

 

 

 

クルト王国。アリスとリンとカオルが駆け付けた。

 

アベル「またお前等かよぉ!前ここで闘ったのも確かお前等だろぉ!それにまたチビを連れて来やがって!オイオイオイ〜〜〜!」

 

何故かアベルが不機嫌全開。

 

カオル(な、何だあの魔人?かなり不貞腐れてる。)

 

リン(アリス・・・カオル・・・実際どう?叩けそう?)

 

アリス(や〜〜、ぶっちゃけキッツイね。戦おうとしても、気力は空っぽだからね。それに彼奴、さっきの連中より相当強いっしょ。)

 

カオル(何か今はやる気なさそうだけど・・・)

 

 

 

 

 

 

アーム王国。トールとユリウスとマナミアが駆け付けた。

 

ユリウス「あの男・・・あんな場所で何をしているで御座る?」

 

トール「さあ・・・寝てるようにしか・・・」

 

マナミア「起きる気配もありませんね・・・」

 

建物の上で寝ているサイクスを見て疑問を抱く。

 

サイクス(・・・アホくせぇ・・・)

 

 

 

 

 

 

そしてティガは、上空を飛行している。

 

ティガ「・・・・」

 

 

 

 

 

 

5組が救援に向かう直前。

 

ティガ『ん?』

 

アウグスト『どうした?タクト。』

 

ティガ『何か居る。』

 

マリア『え?』

 

ティガ『すまない、6組だ。俺は別の魔人が出てないか捜してみる。」

 

アウグスト『分かった。無理はするなよ。』

 

 

 

 

 

 

何かの気配を感じたティガが飛行中。

 

ティガ「ん?」

 

目の前を浮遊している影が見えた。

 

ティガ「ッ!」

 

その影の正体は、ゼストだった。

 

ゼスト「やはりここに来たようだな。」

 

ティガ「ベルゼ以外の魔人が飛行能力を持っているとは初耳だ。お前は・・・ゼストだったかな?」

 

ゼスト「覚えててくれて光栄だ。」

 

ティガ「アンタは俺と対話する為にここに?それとも俺をここに誘き寄せて戦って欲しいのか?」

 

ゼスト「いや、対話でも戦いでもない。」

 

ティガ(ッ!?)

 

突如、ゼストの全身から何かが溢れ出た。

 

ゼスト「ちょっとした時間稼ぎに過ぎない。」

 

ティガ(この男・・・魔力でも威圧でもなく・・・闇を溢れ出してる・・・!この男・・・一体何だ・・・?)

 

ゼスト「そろそろ時間のようだ。では、またお会いしましょう。」

 

するとゼストが瞬間移動で姿を消した。

 

ティガ「おい!待て!」

 

するとティガの脳裏に何かが聞こえた。

 

ナージャ『皆!来て!』

 

ティガ「ナージャのテレパシー?」

 

ナージャ『旧帝都で緊急事態よ!早く!』

 

ティガ「ッ!?」

 

彼女のテレパシーが切れた。

 

ティガ「旧帝都・・・何があったんだ?」

 

急いで旧帝都へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

アルティメット・マジシャンズが旧帝都へ戻った。

 

オリビア「あ!皆さん!」

 

シン「どうした!?こっちで一体何があった!?」

 

オリビア「そ・・・それがその・・・」

 

そこにアリスとリンとカオルが戻って来た。

 

アリス「だわぁっ!!」

 

トニー「どうしたんだい?アリス達・・・」

 

アリス「つっ・・・!通信機・・・敵にバレ掛けで・・・!詰め寄られそうになったから・・・慌てて一旦ゲートで逃げて来た・・・!!ちくしょー彼奴改めて・・・!」

 

カオル「落ち着けアリス!」

 

アウグスト「コーナー!ヒューズ!カオル!もういい。恐らく魔人は既に撤退した。」

 

カオル「撤退?」

 

アリス「どう言う事です?」

 

アウグスト「そもそも奴等の目的は各国の襲撃でも我々と戦う事でもない。恐らくは()()()から我々を遠ざけ、迅速に次の作戦へと移行する事こそ本命だったのだ。」

 

アズマ「だから俺達の動きを見極めて早々に各国から姿を消したに違いないんだ。」

 

ユーリ「魔人が逃げたの私達の所だけじゃなかったのねぇ・・・」

 

トール「成る程・・・」

 

ユリウス「それで納得したで御座る。」

 

するとそこにティガが着地した。

 

ティガ「皆!」

 

シン「タクト!」

 

ティガ「皆集まってるな。ナージャはどうした?」

 

シン「そうだ!ナージャが言ってた緊急事態って!?ナージャは何処に居るんだ!?」

 

オリビア「丘の上です。マークもそこに居ます。行きましょう。」

 

 

 

 

すぐに丘の上へ向かった。

 

シン「マーク!ナージャ!」

 

ナージャ「シン!皆も!」

 

フェオン「皆!」

 

同じくフェオン達も居た。

 

シン「こんな所で何を・・・」

 

マーク「・・・あれッス。」

 

旧帝都の城壁を指差す。

 

シン「旧帝都の・・・城壁?アレが一体・・・」

 

ティガ「待てシン。奥に何か居る。」

 

旧帝都の城壁から現れたのは・・・

 

 

 

 

 

 

巨大化した災害級の大群だった。城壁を破って現れたのだ。

 

 

 

 

 

 

全員「!?」

 

シン「オイオイ何だあれ・・・!?」

 

ケイティ「災害級・・・いや!超災害級の魔物も居るよ!!」

 

災害級と超災害級の大群がゆっくりと前進してる。

 

アウグスト「何と言う事だ・・・!!まさか旧帝都全域に魔物が潜んでいたのか・・・!?」

 

マリア「潜んでいた・・・と言うより・・・魔人達が隠していたって事じゃないですか?」

 

シン「恐らくそれが正解だな・・・奴等、城壁の内側に人間が入らない事を逆手に取ったんだ・・・!!」

 

アウグスト「しかしこの数・・・!!我々全員の力を持ってしても・・・討伐は容易じゃないぞ・・・!!」

 

ナージャ「っ・・・!!」

 

再びナージャに頭痛が走った。

 

ナージャ「ま・・・まただわ・・・この感覚・・・!!」

 

アウグスト「ナージャ!」

 

ナージャ「本当に何なの・・・!?彼奴等・・・!!」

 

イザベラ「ナージャさん!」

 

ヒナ「大丈夫ですか!?」

 

ティガ「イザベラ!ヒナ!頼む!」

 

イザベラとヒナが、ナージャの頭痛を和らげた。

 

ナージャ「ありがとう・・・」

 

アウグスト「シン・・・タクト・・・お前達でも流石にこの数は無理か?」

 

ティガ「そうだな・・・全部討伐するのにかなりの力がいる・・・」

 

シン「・・・対処した結果・・・地殻変動が起きてもいいのなら・・・」

 

アウグスト「よし。別の方法を考えよう。」

 

トール・ユリウス(即却下・・・)

 

シン(・・・ま、確かに。そんな解決法じゃ、今度は俺達の方が世界に脅威を与えちまうもんな・・・)

 

ローランド「ジェレミー様。あの数はどうでしょうか?」

 

ジェレミー「お前の言い分は分かる。だが無理に等しいな。」

 

ルーパー「殿下ーーー!!」

 

アウグスト「!」

 

丘の下からルーパーの声が聞こえた。

 

ルーパー「各国駐留軍の指揮官を集めました!!今後の指示を!!」

 

 

 

 

指揮官達をおかの上へ上らせて災害級の大群の光景を見せた。

 

ベーカー「な・・・何と言う光景・・・だ・・・」

 

エドガー「もはやこれは・・・人の手でどうにか出来る事態ではないのでは・・・」

 

アウグスト「念の為確認するが・・・魔物は各国が担当している区域の城壁からも出現しているのか?」

 

ルーパー「残念ながらその通りです。」

 

グレア「でも駐留していた兵士さん達は既に避難済みだから安心して。」

 

アウグスト「そうか。」

 

シン「オーグ・・・これは・・・」

 

アウグスト「・・・間違いないな・・・コイツ等は・・・世界に向けて進行するつもりだ・・・!!」

 

カサンドラ「こうして見ると、私達が動物園に入ってしまった感じです・・・」

 

ソフィー「怖い事言わないでよカサンドラちゃん・・・」

 

アンナ「ですが、カサンドラさんの言う通りですね・・・」

 

シン「動物園・・・待てよ?そうか・・・!!」

 

アウグスト「何だ?何か思い付いたのか?」

 

レオン「彼奴等を倒す方法か?」

 

シン「いや、彼奴等の進行速度はまだ遅い。今なら間に合うはずだ。」

 

全員「?」

 

シン「俺達全員で作るんだよ。彼奴等を隔離する為の”檻”を・・・!!」

 

アウグスト「成る程。現状、確かに他に方法はなさそうだな。」

 

トール「一時凌ぎかも知れませんが、やる価値はありますね・・・!」

 

ルーパー「・・・!?」

 

マリア「問題は何処から何処まで囲うか・・・よね。」

 

シン「この際旧帝都を丸ごと囲っちまおうぜ?1匹たりとも外に出すもんかよ!」

 

アウグスト「分かって言ってるのか?旧帝都の周囲を全て囲うと言う事は・・・いやスマン。お前相手に不要な心配だった。」

 

シン「へへ。話が早くていいね。ここをスタート地点として、俺が左回りに壁を作りながら回って来るから。オーグ達はここから右回りに壁を作ってくれ。」

 

アリス「2つの壁が繋がったら”檻”の完成だね!」

 

レベッカ「成る程!」

 

アウグスト「そう言う事だな。」

 

ティガ「なら、俺が奴等を牽制する。その間に檻を作ってくれ。」

 

デリック「タクト。俺も手伝わせてくれ。俺が魔力を放出すれば、奴等は俺に向かって邁進するだろう。」

 

ティガ「なら1列のように邁進させる事は可能か?」

 

デリック「やってみよう。」

 

ティガ「ナージャとレオナはシン達が作る檻を凝固してくれ。」

 

ナージャ「分かったわ。」

 

レオナ「任せて。」

 

ティガ「タァッ!」

 

デリック「フッ!」

 

ティガとデリックが、邁進する災害級の大群の前へ向かう。

 

 

 

 

その間にアルティメット・マジシャンズが配置に着いた。

 

アンナ「皆さん一体何を・・・?」

 

レア「大丈夫だ。シン達なら何とかなるさ。」

 

ルーパー(殿下・・・!!)

 

 

 

 

アウグスト「行くぞ!!!!」

 

全員が魔法を発動し、巨大な壁を作り上げた。ナージャとレオナが壁を凝固する。

 

 

 

 

エミリー「す、凄い!巨大な土の壁が!!」

 

フェオン「それをナージャとレオナが硬く凝固させて行くわ!」

 

ティオ「あれ見て!!」

 

 

 

 

旧帝都の周りを、シンが神速で飛行しながら右回りで壁を作り上げてる。

 

 

 

 

タカオ「凄い・・・!あれがシン殿の本当のお力・・・!」

 

セイラ「やはり凄いのね・・・賢者の孫は・・・」

 

マモル「はい・・・!」

 

 

 

 

シン『超災害級の体躯を考えると、最低でも高さ30メートル位。厚みも10メートル近くは欲しい。少なくとも旧帝都城壁以上の物は必要だからな。』

 

アウグスト『しかし、簡単に言うが1人でそんな壁を作れるのはお前位だぞ?』

 

シン『うん。だから皆には協力して壁を作り進めて欲しいんだ。その間に俺が旧帝都1周して来るからさ!』

 

 

 

 

アウグスト(やれやれ・・・奴の頼もしさを感じる反面・・・否が応にも力の差を思い知らされる作戦だな・・・)

 

 

 

 

そしてティガとデリックは。

 

ティガ「始めたか。デリック!」

 

デリック「あぁ!」

 

魔力を放出すると、超災害級の大群が1列に迫って来た。

 

ティガ「フッ!!」

 

両腕を前に突き出し交差させ、大きく横にゆっくり広げてエネルギーを集める。

 

ティガ「タァッ!!」

 

L字に組んで放つゼペリオン光線が、超災害級達の胴体を貫いた。

 

 

 

 

 

 

その光景を斥候魔人達が旧帝城の屋上から眺めていた。

 

フィン「・・・ちょっと訊きたいんスけど。あれも予定通りなんスか?」

 

ローレンス「んな訳あるか。」

 

ベルゼ「ほえ〜。みるみる壁が出来上がるね〜。それに可愛い災害級達も次々と朽ち果てていくね〜。」

 

ゼスト(・・・やってくれるな。異界人の分際で。)

 

ローレンス「おいフィン。」

 

フィン「はい?」

 

ローレンス「烏飛ばせるか?」

 

フィン「・・・はあ。」

 

ローレンス「一応アベル達に伝えろ。『城に戻るんなら気合い入れろよ』ってな。」

 

 

 

 

 

 

アルティメット・マジシャンズが巨大な壁を完成させた。

 

シン「よぉし!これで檻の完成だ!!!」

 

 

 

 

ティガ「デリック。戻るぞ。」

 

デリック「あぁ。」

 

2人が飛んで檻の外へ。

 

 

 

 

ベーカー「いや・・・はや・・・」

 

指揮官「最早開いた口が塞がらんわ・・・」

 

指揮官「しかし・・・本当にあの壁で巨大な魔物達を防げるものなのか・・・?城壁ですら容易く破壊されていたのに・・・」

 

ルーパー「恐らく心配ねぇッスよ。アレを見て下さい。」

 

檻の中には、巨大な溝があった。

 

エドガー「か・・・壁の内側に・・・深い溝が・・・!?」

 

ルーパー「内側の土を吸い上げて壁の材料にするように事前に打ち合わせたんでしょう。その為、実際の壁の高さは見た目以上のものになってる訳です。」

 

エドガー「信じられん・・・そんな発想・・・瞬時に思い付くものなのか・・・!?」

 

ベーカー「神の御使い・・・魔王・・・その名に恥じぬ器のようですなシン殿は・・・」

 

指揮官「魔王・・・いや、あの方はもう”魔王様”と呼ぶに相応しいのではないでしょうか?」

 

指揮官「魔王様かいな。良えなそれ。何か分からんがしっくり来るわ。」

 

 

 

 

 

 

壁の外にティガとシンとデリックが帰還した。

 

フェオン「おかえり皆。」

 

ティガ「ただいま。」

 

シン「さーてと・・・これでしばらくは時間を稼げるな。」

 

トール「ただ、逃亡した魔人達の事もありますしね。なるべく早く・・・」

 

『フフフフ・・・ハハハハハ・・・アハハハハハハハ!!』

 

全員「!?」

 

突然謎の声が響き渡った。

 

マーク「何・・・スかこれ・・・!?」

 

アウグスト「拡声魔法だ!それよりこの声・・・!」

 

『相変わらずとんでもない事を仕出かしますねぇ。』

 

シン「オーグ・・・!タクト・・・!」

 

アウグスト「ああ・・・!」

 

ティガ「間違いない・・・!」

 

その声の主は・・・

 

 

 

 

 

 

シュトローム「久し振りですねぇ。アウグスト殿下。そしてシン=ウォルフォード君、タクト=クリスティ君。」

 

 

 

 

 

 

シン「オリバー=シュトローム・・・!!」

 

アリス「シュトローム・・・!?この声が・・・!?」

 

ナージャ「シュトローム・・・!?」

 

ティガ「現れたか・・・!魔人の首魁・・・!」

 

 

 

 

エドガー「シュトローム・・・!以前アールスハイドに出現したと言う・・・!?」

 

ルーパー「ええ、間違いないです・・・!!」

 

 

 

 

シュトローム『この規模の魔物達相手にどんな対処をするのかと思えば・・・流石に楽しませてくれますねぇ。』

 

シン「楽しませる・・・だと・・・!?相変わらず巫山戯た野郎だな!!」

 

シュトローム『さて、これで私達の周りには壁に囲われ隔離されてしまった訳ですか・・・壁の内側は災害級が犇き合う楽しい状況になってますね。・・・まあ、分かっていると思いますが、これ位の壁を破壊するなど我々魔人にとっては造作もない事ですがねぇ。』

 

全員「!!!」

 

ティガ・シン「・・・・」

 

シュトローム『おや、流石ウォルフォード君とクリスティ君は焦りを見せませんね。』

 

シン「・・・当然だろ。」

 

ティガ「俺達が何も知らないとでも思ったか。」

 

シュトローム『さて、今日皆さんに声を掛けたのは1つ提案があるからです。実はですね、私はこの度、ある決意をしたのです。』

 

アウグスト「決意・・・この状況を見るに・・・遂に世界征服でも決意したか・・・!?」

 

だが彼の口から、衝撃の言葉が告げられた。

 

 

 

 

 

 

シュトローム『この世界の全てを”滅ぼす”決意をね!!』

 

 

 

 

 

 

全員「・・・!?」

 

世界征服ではなく世界滅亡を決意したのだ。

 

シュトローム『勿論、周辺国だけと言う意味ではありません。エルスもイースも。この世界にある全ての国々に・・・そして人間に・・・この帝国と同じ運命を辿らせて差し上げましょう!』

 

指揮官「・・・な・・・何を・・・言っているんだこの男は・・・!?」

 

指揮官「り・・・理解出来ん・・・!完全にイカれとるわ・・・!」

 

アウグスト「・・・!!」

 

怒りを露わにしたアウグストが拡声魔法でシュトロームに反発した。

 

アウグスト『巫山戯るな!!”征服”ではなく”滅亡”を望むと言うのか!!そんな行為に一体何の意味がある!?答えろ!!!』

 

シュトローム『・・・意味?そんなものはありませんね。滅亡を望む・・・意味も。この世界が存在していく・・・意味もね。』

 

ティガ(彼奴・・・!アリアさんと再会する前に滅ぼす気か・・・)

 

シュトローム『先程までの戦いを少し見せて貰いましたが・・・ウォルフォード君やクリスティ君以外の面々は、まあ・・・こちらの魔人と同等と言った所でしょう。つまり数で勝る我々は、その気になればあなた達の行動をどうとでも抑え込める訳です。その間に眼前の巨獣達を世界に放つのも良し。或いは、私自身が世界に出向くのも良し。要するに、私がその気になれば明日にでも世界は終わると言う事です。』

 

ルーパー(こんな奴が、よくもまぁ今まで大人しくしてたモイだぜ・・・)

 

シュトローム『・・・ただ、このまま簡単に世界を終わらせてしまっても・・・私自身が面白くないんですよねぇ。』

 

全員「・・・!?」

 

シュトローム『そこで、私からあなた方に2つの条件を差し上げましょう。』

 

アウグスト『その条件とは何だ!』

 

シュトローム『1つ目は、1ヶ月。』

 

アウグスト『は?』

 

シュトローム『1ヶ月の猶予をあげます。その時間をどう使いかはあなた方の自由です。修練に励むのか、親しい人間に別れを告げるのか、全てを諦め逃げ出すのか。兎も角1ヶ月後。私はあなた方の作った壁を破壊します。』

 

ティガ・シン「・・・・!!」

 

シュトローム『私が思い描いている、最も容易く訪れる破滅の未来を、あなた方の手でどうか変えて頂きたい。楽しみにしていますよ。』

 

デリック『おいシュトローム!残り1つの条件は何だ!』

 

拡声魔法を発動したデリックがシュトロームに言った。

 

シュトローム『おや、これはこれは。裏切り者のデリック君じゃないですか。ご健勝で何よりです。』

 

デリック『挨拶はいい!残り1つの条件を答えろ!他の皆も聞いてるんだ!』

 

シュトローム『もう1つの条件は、私の大切な人を2人用意する事です。』

 

シン「大切な人?」

 

シュトローム『そう。1人目は妻のアリアをね。』

 

アルティメット・マジシャンズ「!?」

 

ティガ(アリアさんを・・・!?まさか・・・生きている事を既に・・・!?)

 

シュトローム『私が何も知らないと思ったのですか?クリスティ君。残念ながらベルゼさんのお陰で既に把握済みです。』

 

ティガ「ベルゼ・・・!!彼奴・・・!!」

 

アウグスト「タクト!アリア殿がシュトロームの妻とはどう言う事だ!?」

 

ティガ「それは・・・」

 

マナミア「アウグスト殿下。落ち着いて下さい。それに関しては王都に戻ってから話します。」

 

アウグスト「マナミア・・・」

 

シン「それで、もう1人は誰なんだ?」

 

シュトローム『あなた方のすぐそこに居るじゃないですか。』

 

シン「俺達の・・・すぐそこ?」

 

ユリウス「・・・一体誰で御座る?」

 

シュトローム『黒い石を持って、囲いを固めた人ですよ。』

 

シン「黒い石で檻を固めた・・・っ!?」

 

アウグスト「まさか!!」

 

全員がある人物へ顔を向けた。その人物とは・・・

 

 

 

 

 

 

ナージャ「え・・・!?」

 

 

 

 

 

 

そう。ナージャだった。

 

ユーリ「ナージャが、シュトロームの大切な人・・・?」

 

ナージャ「どう言う事なの?私、あなたとは初対面のはずよ!?」

 

シュトローム『私は覚えていますよ。ただあなたには記憶がないだけです。』

 

ナージャ「私の・・・記憶・・・!?」

 

シュトローム『やっと見付けましたよ。”アナスタシア”。』

 

ナージャ「アナスタシア・・・?私が・・・?」

 

するとナージャの脳裏に何かが走った。

 

ナージャ「ッ!!・・・な・・・何これ・・・!?」

 

それは、身に覚えのないはずの記憶だった。

 

ナージャ「・・・そうだ・・・私は・・・私は・・・うわああああああああ!!!!!」

 

シン「ナージャ!?」

 

ナージャ「・・・・・・」

 

身に覚えのない記憶に絶叫したナージャが倒れた。

 

ケイティ「ナージャ!!」

 

倒れたナージャをケイティが支えた。

 

アウグスト「どう言う事だ・・・!?アナスタシアとは何だ・・・!?」

 

シュトローム『それでは皆さん、御機嫌よう。』

 

この言葉を最後に、シュトロームの声が消えた。

 

指揮官「・・・か・・・神よ・・・」

 

エドガー「わ・・・我々人類は・・・どうしたら・・・」

 

 

 

 

 

 

事態がひと段落した後。

 

フェオン「ナージャ、大丈夫なのかしら?」

 

タクト「戻ってマーリン様に診て貰おう。」

 

アウグスト「・・・奴の真意は掴めんが・・・最初から我々に選択肢などないふざけた提案だな。」

 

シン「あぁ・・・それに今ので改めて確信したよ。彼奴は毀れちまってる。人間としても・・・魔人としてもな。」

 

タクト「・・・・」

 

トニー「別に良いんじゃない?素直に提案に乗ってやっても。」

 

アリス「私もそう思う。」

 

タクト「トニー、アリス。どう言う意味だ?」

 

トニー「だって分かりやすいじゃない。平たく言えば1ヶ月後にここで全面戦争しようって事でしょ?人間と魔人で。」

 

アリス「わざわざ向こうから決着の場を用意してくれたんだから。後は勝つだけじゃん。」

 

2人の意見に他の皆も。

 

マリア「・・・うん。そうよね・・・!何も難しい事はないわ!」

 

ユリウス「言う通り。修練に修練を重ねてやるで御座る!」

 

トール「そうですね!後悔させてやりましょうよ!我々に時間を与えた事を!」

 

レベッカ「私も。皆さんと一緒に鍛えます!」

 

アウグスト「フ。」

 

シン「ヘヘ。」

 

タクト「ハハ。」

 

アウグスト「確かにその通りだ。こう言う時こそ我々が前向きにならねばな!」

 

シン「だな!まずは王都に戻ってこの事を報告しようぜ!」

 

タクト「本題はその後から始めようか!」

 

指揮官「何や・・・とんでもない事態に緊張しとるかと思いきや・・・」

 

指揮官「流石はアルティメット・マジシャンズ。精神面も一流・・・と言う事ですかな。」

 

ルーパー「(一流・・・か・・・どう考えても絶望的と言えるこの状況で・・・それでも変わらず強くあれるのは、他ならぬ彼等自身が数々の試練を乗り越えて来たからこそなんだろう。彼等が折れなければ、人類は何処までだって立ち向かえる。そんな気がするぜ。)嘆くにはまだ早い。俺達も目にもの見せてやりましょうや。世界の・・・我々人類の強さって奴を!」

 

シシリー「・・・・・」

 

シン「シシリー?どうした?」

 

1人考え込むシシリーにシンが声を掛けた。

 

シシリー「え?あ・・・いえ・・・魔人達は・・・彼等は、どうして急にこんな提案をして来たんでしょう?私達がこれまで別の魔人達と戦っている時も・・・全くそんな様子はなかったのに、どうして・・・」

 

シン「・・・」

 

アウグスト「・・・・人間を辞めた者の考えなど分からんが・・・案外、何か世界に絶望するような出来事でもあったのかも知れんな。」

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王国。タクト達はその場に居た各国の指揮官達と共にアールスハイドに戻って来た。『指定された1ヶ月の間にどうやって戦力を増強させるか』と言う点を取り急ぎ協議する為。

 

アウグスト「恐らくだが、近く再び連合会議も執り行われると思う。すまんが各自国に戻り次第、そちらの手筈も整えてくれ。」

 

指揮官達「はっ!了解致しました!」

 

出席するのはタクトとシンとアウグストとアズマと指揮官達。ナージャはシシリー達に任せてる。

 

 

 

 

会議室。

 

ディセウム「戻ったかアウグスト。シン君。タクト君。それと各国の指揮官達だな。通信兵から話は聞いている。座ってくれ。」

 

全員が席に座り、協議が始まった。

 

ディセウム「それにしても大変な事になったな・・・」

 

アウグスト「申し訳ありません父上。我々の力が至らぬばかりにこのような事態を招いてしまい・・・」

 

ディセウム「謝罪は無用だ。シュトロームからの一方的な話だったと聞いている。それよりも、この事態をどうするかだ。」

 

アウグスト「正直、今の段階では魔人以上に超災害級の存在を脅威に感じます。あれをどうにかしなければ・・・」

 

ディセウム「シン君やタクト君ですら手を焼く魔物が無数に・・・か。確かに絶望と言う他ないな・・・」

 

ルーパー「とは言え、1ヶ月と言う短い期間で出来る事など限られています。各国の魔法師達に出来る事はやはり”マーリン式”と言われる魔力制御訓練と無詠唱による魔法行使の会得位でしょう。攻略作戦に於いてアルティメット・マジシャンズ不在のアールスハイド王国軍が超災害級を撃破出来たのは、そこに秀でていた部分も大きいはず。」

 

ディセウム「ウム・・・そうだな。各国の魔法師達には一刻も早い技術の習得を目指して貰う他あるまい。・・・となると、後は剣士や騎士達か・・・」

 

エドガー「シン殿が開発された『ジェットブーツ』でアールスハイド軍は機動力を大幅に上げたと聞いています。それらを我々の国にも導入させて頂くと言うのは?」

 

シン「ああ・・・はい。構いませんよ。ジェットブーツは一般販売もしていますし。」

 

ディセウム「・・・シン君。どうだろう。条件付きで・・・バイブレーションソードを軍に提供すると言うのは。」

 

エドガー「条件付き・・・と言われますと?」

 

ディセウム「そもそもあの武器は導入されてしまえば、世界の軍事バランスを崩壊させてしまう程強力なもの・・・本来であれば広めて良いものでは決してないのだよ。だから例えば・・・1ヶ月後の戦いが終わり次第、全て回収。或いは付与を取り消す・・・と言った条件だな。分かりやすく言えば武器の貸し出しと言った所か。」

 

ドミニク「お待ち下さい陛下。以前クリスティーナとも話した事ですが、正直・・・剣士が扱うにはあの件は・・・凡ゆる意味で危険を孕みます。並外れた殺傷力に溺れて良からぬ考えを起こす人間が現れないとも限りません。」

 

アウグスト「・・・確かにな。」

 

ディセウム「うむぅ・・・」

 

バイブレーションソードの提供で議題が持ち上がったが。

 

タクト「だったらさ、俺に提案があるんだ。バイブレーションソードは一時的に軍に提供する。ただし、それを扱うのは各国軍の中で選考された上位実力者数名限定。その条件として、武器の使用法はこっちでしっかりレクチャーをする。シン、どうだ?」

 

シン「うん。その方が効率が良いかも。」

 

ルーパー「実力のある者が数名手にするだけでも、確かに戦闘は飛躍的に楽にはなるだろうな。」

 

ドミニク「うむ・・・まあそう言う事なら・・・」

 

シン「勿論ドミニクさんにも提供するので、訓練への参加をお願いします。」

 

ドミニク「なぬ!?わ・・・私もか・・・」

 

アウグスト「しかしシン。タクト。上位数名とは言え、7ヶ国ともなると、そこそこの人数になるぞ。お前達2人でレクチャー出来るのか?」

 

シン「大丈夫だよ。俺以外にもバイブレーションソードを扱える人間は何人か居るし。アズマもその内の1人だ。そっちにも手伝って貰うさ。」

 

タクト「アズマ。頼めるか?」

 

アズマ「勿論だ。使い方を徹底的に叩き込んでやるさ。」

 

ディセウム「・・・まあ何にせよ時間はない。各国とも人員の選別は早急に頼む。」

 

ガラン「その付与ってのは俺らの武器のハルバードにも出来るのか?」

 

シン「使用を少し変えれば可能だと思いますよ。」

 

ガラン「んじゃ、カーナン代表は俺らの仲間数人で決まりだな。」

 

 

 

 

 

 

その夜の帝城。

 

アベル「死亡者を除いた隊員はこれで全員揃いました。ゼスト様。」

 

斥候魔人達がゼストの前に集まった。

 

アベル「それで、話と言うのは?」

 

ゼスト「今回の作戦、疑問に感じている者も多いはずだ。」

 

アベル「シュトローム様が、何故急にあのような事を言い出したのか・・・と言う事ですね?」

 

エミール「確かに話が随分違ってきますよねぇ。元々私達は、シュトローム様に害を及ぼす可能性のある者を尽く排除し、最終的には種として人類の上に立つ事も視野に入れていたはず。支配や征服などと言った低俗な目的に興味がないのは私も同様ですが、それら全てを纏めて滅亡させてしまっては元も子もない。何よりまず・・・ゲフッ!!」

 

後ろからサイクスに蹴られた。

 

サイクス「うるせぇ!黙れエミール!」

 

カイン「喋り過ぎだてめーは!」

 

ベルゼ「お喋りになると熱心になるよねエミールちゃん。」

 

ダンテ「我々は元よりシュトローム様の駒。決定には全て従います。ただ・・・何か理由が?」

 

ゼストの「シュトローム様が、とある実験をしていたのは知っているか?」

 

フィン「実験?そりゃ動物の強制災害級化の・・・」

 

ローレンス「そっちじゃねェよ。俺ら魔人の、”今後に関わる実験”の方だ。」

 

フィン「ああ子作り・・・ブヘッ!!」

 

ローレンスに叩かれた。

 

ゼスト「その実験結果が・・・先日出たようでな。」

 

 

 

 

数日前。

 

シュトローム『以前からの・・・ミリアさんの実験の結果が出ましてね。・・・失敗です。』

 

実験が失敗。ゼストは表情を変えずに驚いてる。

 

ゼスト『それでは、我々魔人の行く末は?』

 

シュトローム『閉ざされてましたね。何度同じ実験をしても変わらないでしょう。”結果”がそれを証明しています。そもそも魔物同士では子を生さないのは世間でも周知の事実。結局人間とて同じだったと言うだけです。尤も、人から成り得たにも関わらず人に仇為す『魔人』と言う存在が、その種を存続出来ない事実は・・・生物学的に見ても至極当然の事のように思えますがね。・・・しかし、こうして改めて現実を突き付けられると、つくづく我々が存在する意味と言うのが分からなくなるんですよねぇ・・・と言うより、世界にとって我々が存在する意味は全く無い訳です。寧ろ、害悪でしかない。』

 

ゼスト『シュトローム様?』

 

シュトローム『・・・ふ、ふふふ・・・くく・・・ゼスト君・・・()()()が正しいと思います?この世界にとって害悪でしかない『我々』と、我々の存在を拒絶するこの『世界』。果たして、必要なのはどちらなのか。』

 

彼からとてつもない魔力が溢れ出た。その魔力は、闇の力も合わさっていた。

 

ゼスト『望んでおられるのは・・・世界の破滅ですか。』

 

 

 

 

これが、ゼストがシュトロームから聞いた言葉だった。

 

ゼスト「この事をお前達に伝えようと考えた時、1つ決めた事がある。ここから先、私はお前達にもう何も命じる事はない。”魔人の行く末に未来は無い”。その事実を踏まえた上で、各自で考えて行動しろ。」

 

彼は斥候魔人達から去って行った。

 

 

 

 

その後残された斥候魔人達は。

 

サイクス「根本的によ、俺らの事勘違いしているフシがあるよな。隊長も。シュトロームのダンナも。魔人になった時点でよ、俺ら全員命なんざ捨ててんだよ。魔人の行く末?存在の意味?知るかそんなもん。未来の事なんざ元より興味ねェんだよ。」

 

斥候魔人「・・・はっ。」

 

斥候魔人「そう言やそうだったな。」

 

アベル「何も変わらん。今まで通り俺達は俺達の意志で動くだけだ。ゼスト隊長の、シュトローム様の”武器”としてな。」

 

 

 

 

その後彼等は解散した。

 

斥候魔人「デリックにやられたのかよ。平気なのかフィン?」

 

デリックによって左腕を失ってしまったフィンに、仲間の斥候魔人が心配してる。

 

フィン「・・・平気・・・まあそうッスね。」

 

斥候魔人「本当かよ。」

 

フィン「・・・こっち6人殺られてんスよ。ウォルフォードとクリスティに。この程度で嘆いてる場合じゃねーでしょ。・・・各自で考えて行動しろ・・・ねぇ。面白ェ。絶対に一泡吹かせてやるぜ。あの野郎共。そしてデリックは俺が倍返しでぶっ殺す。」

 

 

 

 

 

 

その夜ベルゼは。

 

ベルゼ「クッ・・・!!」

 

彼女は苦しんでいた。

 

ベルゼ「ありゃりゃ・・・もうこんなに・・・」

 

足の痣が以前より濃くなっており、腰にまで広がっていた。

 

ベルゼ(アレが手に入るのが先か、私が死ぬかのどっちかだね。)

 

 

 

 

 

 

そしてシュトロームは、寝室で。

 

シュトローム「ハァ・・・ハァ・・・」

 

夢の中で、苦しそうに息を切らしていた。

 

シュトローム「何故・・・!?何故世界を滅ぼそうと促したんだ・・・!!」

 

実体のない者『お前は私と一心同体だ。私の言う事は絶対だと言う事を忘れるな。』

 

彼は今、嘗てタクト達が出会った実体のない存在に対抗していた。

 

シュトローム「私はただ・・・愛するアリアとアナスタシアを助けたい為に・・・!それに・・・魔人になったのは私の意志ではない・・・!!お前の意志のはず・・・!!もう私は・・・誰かを殺めたくない・・・!!これ以上・・・戦いを望まない・・・!!」

 

実体のない存在『お前の目的など私には無関係だ。もし私に逆らう事になったら、分かっているな?』

 

シュトローム「クッ・・・!!」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶
レベッカ=ホーク:有村蓮
マナミア=ラドクリフ:前川涼子

ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
ジェレミー=ダンクルク:前野智昭
ローランド:山本和臣

ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭
レイチェル=ラドクリフ:白鳥由里
ハンナ:伊波杏樹

ドミニク=ガストール:小山剛志
ルーパー=オルグラン:保村真
エドガー:間宮康弘
ベーカー:横島亘
ガラン:竹内良太

アズマ:榎木淳弥
カオル:国立幸
マチ:逢田梨香子
ミカ:小倉唯
ヴァーテル:千本木彩花
マモル:山谷祥生
タカオ:石谷春貴
セイラ:今井麻美

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩
レオン:岡本信彦
ソフィー:櫻庭彩華

デリック:福山潤
レオナ:高尾奏音
ラスティー:白井悠介

ローレンス:杉山紀彰
フィン:市来光弘
アベル:古川慎
カイン:井上雄貴
ダンテ:柳田淳一
サイクス:興津和幸

ゼスト:津田健次郎
実体のない存在:斉藤次郎

ベルゼ=クラスティール:澁谷梓希

オリバー=シュトローム:森川智之





次回予告

シュトロームの口から告げられたナージャの正体”アナスタシア”。記憶を取り戻したナージャが、自身の過去をタクト達に打ち明けた。彼女が語る過去とは・・・

次回ウルトラマンティガ

アナスタシア

お楽しみに


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第42話「アナスタシア」

アナスタシア



翌朝。クリスティ邸のとある部屋。

 

ナージャ「・・・ん・・・?」

 

気を失っていたナージャが、ゆっくりと目を醒ました。

 

タクト「ナージャ!!」

 

ナージャ「タクト・・・?マーリン・・・?」

 

マーリン「気が付いたか。良かった。」

 

彼女はゆっくりと身体を起こす。

 

ナージャ「ここは・・・?」

 

タクト「俺の家だ。お前は昨日から気を失ってたんだ。マーリン様が治癒魔法をやってくれた。」

 

ナージャ「そう・・・ありがとうマーリン。」

 

マーリン「礼なんぞ無用じゃ。しかし驚いたのう。まさかナージャがシュトロームの愛する者の1人だったとは。タクト君は知っていたのか?」

 

タクト「初めて会った時は既に過去の記憶が無かった。」

 

ナージャ「でも、見覚えのない記憶が今やっと理解出来たわ。」

 

タクト「そうか。教えてくれるか?お前とシュトロームの関係を。」

 

ナージャ「えぇ。皆に会ってから話すわ。」

 

 

 

 

リビングに戻った。

 

タクト「皆・・・」

 

そこにアルティメット・マジシャンズが居た。リチャードも。

 

リチャード「待っていたぞ。タクト君。ナージャ。」

 

タクト「リチャード。」

 

シン「ナージャ!大丈夫?」

 

ナージャ「えぇ。スッキリしたわ。」

 

シシリー「良かったです。」

 

マナミア「お祖父様。」

 

リチャード「ウム。皆、私の家へ案内しよう。」

 

ゲートを開き、ラドクリフ邸へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

ラドクリフ邸には、レイチェルとニルスとモニカ、エドワードも居た。

 

マナミア「お母様。お父様。叔父様。お祖母様。」

 

アリア「リチャード様・・・皆さん・・・」

 

エドワード「待っていたぞ。皆。」

 

タクト「アリアさん・・・」

 

マナミア「アリアさん。ごめんなさい。シュトロームに既に・・・」

 

アリア「いえ、気にしないで下さい。何れこうなる事は予想していましたから。」

 

ナージャ「あなたがアリアね?私はナージャよ。初めまして。」

 

アリア「はい。」

 

アウグスト「タクト。アリア殿がシュトロームの妻と言うのは本当なのか?」

 

タクト「あぁ。本当だ。この事は既にリチャード達も知っている。」

 

リチャード「私だけではない。マナミアやモニカにニルス君にエドワード君。それにマーリン達やディセウムもだ。」

 

シン「まさか爺ちゃんや婆ちゃんまで知っていたなんて・・・」

 

マーリン「すまないシン。リチャードに言われてな。」

 

メリダ「口外しないようにと頼まれたもんでね。」

 

リチャード「アリアさんは3年前まで、魔人になる前のシュトローム。オリベイラ=フォン=ストラディウスの妻として幸せな家庭を築いたんだ。」

 

マナミア「ですがある日を境に、オリベイラさんは領民達に裏切られてしまって絶望し、魔人オリバー=シュトロームとして君臨したんです。お祖父様がアリアさん達を助けて下さったんです。」

 

マリア「けど、どうして助かったんですか?」

 

ウェイド『私の予知がアリア達の死を視たんだ。』

 

トニー「ウェイド様。」

 

ニルス「アリアさんは生き残った使用人達と共にラドクリフの別荘へ移り、静寂な暮らしをしていた。」

 

タクト「だが、ベルゼの予知がアリアさんの存在を知ってしまったんだ。」

 

リチャード「うむぅ・・・予知能力を持ったタクト君の元仲間か。」

 

タクト「そこで皆。お願いがある。アリアさんの事を誰にも言わないでくれ。もしこの事が知られてしまったら、アリアさんの身に危険が及ぶ可能性がある。」

 

アウグスト「分かった。話してくれてありがとう。口外しないよう約束する。」

 

アリス「ナージャ。あなたもシュトロームの大切な人だよね?どう言う関係なの?」

 

ナージャ「教える前に、アリア。あなた子供は居るの?」

 

アリア「え、えぇ。彼処に。」

 

ベッドに眠ってるメアリーを見せた。

 

ナージャ「そう。この子が。」

 

彼女は優しい笑顔でメアリーを撫でた。

 

ユーリ「ナージャの笑顔が優しいわ・・・」

 

ケイティ「お姉ちゃんみたいな顔・・・」

 

ナージャ「私、こんな可愛い姪っ子に恵まれたんだね。」

 

タクト「え・・・?姪っ子・・・?」

 

シン「ナージャ、さっき姪っ子って・・・」

 

ナージャ「アリア・・・いえ、アリア義姉さんと呼ぶべきかしら?」

 

シン「姪っ子・・・義姉さん・・・」

 

アウグスト「ナージャ・・・お前まさか・・・」

 

ナージャ「・・・そうよオーグ。私はアナスタシア。アナスタシア=フォン=ストラディウス。」

 

 

 

 

 

 

「オリベイラ=フォン=ストラディウスの妹よ。」

 

 

 

 

 

 

全員「!?」

 

何とナージャは、オリベイラの妹だったのだ。

 

マリア「ほ、本当なの!?あなたがシュトロームの妹なの!?」

 

ナージャ「元々私は、ブルースフィア帝国のストラディウス家の長女として生まれたの。そこには、心優しい兄さんが居てくれたの。」

 

ジェレミー「それがオリベイラか。」

 

ナージャ「えぇ。でも私が6歳の頃に拉致されたの。ヘラルドによって。」

 

タクト「ヘラルドだと!?」

 

ローランド「何故奴に?」

 

ナージャ「私には特殊な力が宿っていて、ヘラルドがそれを利用する為に夜中に私を拉致して、彼直属の魔法使い達に記憶を消され、崇拝され続けた。」

 

ケイティ「でも、何でそいつに利用されてたの?」

 

ナージャ「私の力は、治癒、透視、攻撃と防御の強化など色々ある事を知って、彼奴は世界を統べようとする為に私を利用しようと企んでた。でも、そう長くは続かなかった。」

 

ラナ「何があったの?」

 

ナージャ「突然、1人の魔法使いが発作を起こして魔力を暴走させて、私を崇拝する教会を破壊したの。奇跡的に助かった私はすぐに逃げ出して、ロバイト王国でタクト達に助けられた。」

 

タクト「そうだ。その時は過去の記憶が無くなってた。」

 

ナージャ「それから私は、記憶を取り戻す為にタクト達と旅をしていたの。」

 

アウグスト「そう言う事か。しかし、ナージャと言う名前はタクトが名付けたのか?」

 

タクト「いや、ナージャと言うのは彼女自身が覚えてる名前だったんだ。ナージャ=オブシディアンのオブシディアンは、彼女の持ってる黒曜石のペンダントの名前から取ったんだ。」

 

マーク「けど、ナージャって名前は何が由来なんッスか?」

 

ナージャ「私の愛称よ。アナスタシアを捩ってナージャって呼ばれてた事が多かったから。この黒曜石のペンダントは、元々お母様が亡くなる時に私にくれたの。お守りとしてね。」

 

オリビア「ナージャさんにそんな過去があったなんて・・・」

 

ユーリ「じゃあ、あの時の災害級を見た時に起きた頭痛は?」

 

ナージャ「あの災害級達は、私が子供の頃に可愛がったペット達だったの。」

 

マリア・アリス・ケイティ「あれがペット!?」

 

ナージャ「元々はちっちゃかったのに、魔力を蓄えられたせいで凶暴になっちゃったみたい。」

 

ローランド「そんな事が・・・」

 

トニー「ナージャ、これからどうするんだい?」

 

ナージャ「決まってるわよ。兄さんの暴走を止める。それが今の私の目標よ。」

 

リン「シュトロームを止める?」

 

ナージャ「魔人になってしまったけど、兄さんは兄さん。私は兄さんを取り返したい。だから皆、協力してくれる?」

 

シン「・・・出来るかどうか分からないけど・・・協力するよ。」

 

タクト「もしオリベイラの暴走が止まらなかったら、お前はどうする?」

 

ナージャ「勿論駆逐する。それが私の覚悟よ。オーグ、良いわね?」

 

アウグスト「ああ、分かった。私もお前に協力する。」

 

ナージャ「ありがとう。」

 

アウグスト「皆、これは私達だけの秘密だ。この事は絶対に口外してはならん。」

 

トール「はい。」

 

ユリウス「了解で御座る。」

 

リオ「誰にも言わないよ。」

 

デイジー「言っちゃったら、私達も危ないかも知れないから。」

 

グレア「仲間の言う事は絶対だね!」

 

他の皆も賛同した。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後。ダーム王国では、多くの馬車が出発していた。

 

???「うおっ。仰々しいな。何事だ?」

 

騎士「アールスハイドで緊急の首脳会議があるそうです。恐らく魔人領でのシュトロームの宣言についてでしょう。」

 

???「魔人・・・かぁ。教皇襲撃の件は俺らにとっちゃラッキーだったよなぁ。真相は知らんが、ドワイトの奴が魔人化してくれたお陰で、襲撃自体は『魔人に操作されて引き起こされた』って事で落ち着いたんだろう。お陰でウチはお咎めなし。教皇も一命を取り止めて一安心・・・と。」

 

騎士「・・・まあ、元々我が国はポートマン元長官の件で肩身の狭い思いをしていますからね。先代のダーム王も、度重なる不祥事の責任を取って退位。実の息子にその座を譲り渡したばかりですしね。」

 

???「当然、会議にはお坊ちゃんが向かうんだろ?」

 

騎士「ええ。」

 

???「初の外交が世界首脳会議かぁ。いらねぇ事言わなきゃいいけど。」

 

騎士「・・・・」

 

???「・・・それより、教皇救出にはやっぱり()()()()が呼ばれたんだってなぁ。相変わらずの英雄っぷりだよなぁ。あ〜〜忌々しい。」

 

騎士「事実、彼らは世界の英雄ですから。滅多な事は口にせぬ方が賢明です。」

 

???「けっ。」

 

騎士「あなたもそこまでの立場になられた訳ですから、恐れながら・・・言葉は選ばれた方が宜しいかと。カートゥーン長官。」

 

 

 

 

 

 

そして、首脳会議当日。ここに、世界の代表となる方々が集結した。

 

シン(うわ〜〜・・・)

 

 

 

 

カーナン国王・セティス=フォン=カーナン

 

クルト国王・エデル=フォン=クルト

 

ダーム国王・アシム=フォン=ダーム

 

スイード国王・クレモール=フォン=スイード

 

エルス大統領・アーロン=ゼニス

 

アールスハイド国王・ディセウム=フォン=アールスハイド

 

イース教皇・エカテリーナ=フォン=プロイセン

 

 

 

 

タクト(荘厳だなぁ・・・)

 

アズマ(改めて緊張する・・・)

 

この首脳会議には、タクト、シン、アズマも出席。

 

シン(すっげぇ緊張感・・・だけど、この原因ってどう考えても・・・)

 

この首脳会議には、メリダも出席してる。彼女から放つ威圧感に空気が重く感じる。

 

ディセウム(・・・・)

 

アーロン(何や、急に招集や言うて兄さんの国に呼ばれたと思っとったら・・・何でまたお師匠さんが同席しとるんのん?)

 

エカテリーナ(どうやら会議の本題は、魔人領に出現した魔物対策ではなく()()()のようね。)

 

元弟子の3人は、メリダが出席してる理由を理解している。

 

メリダ「大凡その話はシンから聞いたよ。シンの開発した魔道具を・・・魔人領での魔物討伐に各国で使用したい・・・と言う事らしいね。」

 

ディセウム「魔物対策としての方向性は纏まったものの、これ以上はメリダ師の頭越しに話を進める訳にはいきません。どうか・・・許可を頂けないでしょうか・・・!!」

 

メリダ「・・・一部とは言え兵士にあの剣を持たせれば、確かに手っ取り早く戦力はアップするだろうね。一振りで数十人分の戦力になるような代物だ。それだけに扱う者の人間性は軽視出来ないものになってくる。良からぬ者が手にすれば、救い所か災いを齎す剣になりかねない。」

 

タクト(力に溺れた人の末路が目に見える・・・)

 

メリダ「魔人だ魔物だと言う前に、人の手によって世界を滅ぼし兼ねないんだよ。」

 

全員「・・・・」

 

メリダ「気軽に考えていると、必ず痛いしっぺ返しが食らう。その事・・・くれぐれも肝に銘じておきな。」

 

全員「はっ・・・!」

 

エカテリーナ「覚えておきます。」

 

アーロン「人選は充分に考慮させて貰いますわ。」

 

メリダ「・・・良いだろう。シン。皆の剣に付与してやりな。」

 

シン「・・・!」

 

彼女からの許可が下り、全員の緊張感が抜けた。

 

ディセウム「ふぅぅ・・・良かったぁ・・・」

 

アーロン「相変わらずやなお師匠さん。国家元首が揃ってガチガチやったやないかい。」

 

タクト「シン。アズマ達にも同じ物を付与してやってくれ。」

 

シン「アズマ達は大丈夫なの?」

 

アズマ「心配するな。俺達は過去に死線を潜り抜けた衛士隊だ。まぁ、改めてメリダ様の言葉を刻んでおく。」

 

しかしその時、1人の男がこの雰囲気を壊し始めた。

 

???「盛り上がっている所申し訳ないが・・・導師殿。1つ宜しいか?」

 

その男は、ダーム国王のアシムだった。

 

アーロン(誰やアレ?)

 

ディセウム(ダームの新国王だよ。退任された前国王の御子息だそうだ。)

 

アシム「剣の危険性は重々承知致しましたが。ならば何故、ウォルフォード君が使用している事は咎められないのですか?」

 

セティス(よく導師殿に意見が出来るな・・・)

 

エデル(ダームはこの所、各国からの信用を堕としていますからな・・・改めて存在を示したいのでしょう。)

 

クレモール(それは分かるが・・・)

 

エカテリーナ(噛み付く相手間違えてますねぇ・・・)

 

アシム「我々が所持し続ける事は駄目で、孫であるウォルフォード君についは()()ですか?孫可愛さからでしょうが、少々()()が過ぎるのでは?」

 

メリダ「・・・・」

 

アーロン(オイオイオイオイ・・・言葉を選べよ新米坊主・・・!!)

 

アシム「ここに居る皆様方もこの事に津居ては疑問に思っているはず・・・誰もそれを口にしないのは、ひょっとして英雄である導師殿の手前気が引けているのですかな?」

 

アーロン(俺らを巻き込むなや〜〜〜〜・・・)

 

アズマ(彼奴、元国王の息子だからって発言が巫山戯てるな。)

 

タクト(ああ。俗に言う世間知らずの坊ちゃんだな。)

 

メリダ「・・・何を言ってるんだいアンタは?」

 

アシム「ア・・・アンタ・・・!?」

 

返された言葉が『アンタ』にアシムが動揺した。

 

メリダ「シンには幼い頃から事の善悪について厳しく躾けてある。孫贔屓?ああ確かにそうかもね・・・だけど、シンが悪さをするだなんて私には全く想像出来ないんだよねぇ。」

 

シン(婆ちゃん・・・!)

 

メリダ「そもそも、シンが開発した事を本人が所持して一体何が悪いんさね。」

 

アシム「ぬっ・・・!!」

 

タクト・アズマ(確かに。)

 

メリダ「それに戦力的な意味え言うのなら、この子にとっちゃバイブレーションソードあんてあってもなくても大して変わりゃしないんだよ。」

 

ディセウム「ぶっ!?」

 

アーロン「それはそれでどうなんや・・・」

 

しかしアシムは、これでも懲りず反論を続けた。

 

アシム「危険極まりない武器を・・・持っていようがいまいが変わらぬ実力を秘めている・・・!?それはつまり・・・シン=ウォルフォードと言う・・・そこに居る人物は・・・剣以上に危険な存在と言う事ではありませんか・・・!!正直気が知れませんねぇ・・・そのような者が率いる集団を手放しで自由にさせているあなた方の気がねぇ・・・!!」

 

全員「・・・・」

 

シン(・・・うん。まあ言ってる事はごもっともだ。)

 

タクト(最も、この場でそれを言わない方が身の為だったみたいだな。)

 

2人の予想が的中し、ディセウムとアーロンがアシムに反論した。

 

ディセウム「ダーム王国はアルティメット・マジシャンズが謀反を起こすと考えている訳か?我が国所か世界の危機を何度も救ってくれた彼らの事を・・・!」

 

アーロン「就任したてで礼儀も世間も知らんのはまあエエわ。ただ、救世の英雄達に向かってその言い草はちっと看過でけへんなぁ。」

 

アシム「・・・これはこれは・・・大国と呼ばれるアールスハイドの王とエルス大統領ともあろうお2人方が・・・このような分かりやすい危険因子を擁護とは・・・ひょっとして既に彼らに取り込まれてしまったいるのではあるまいな?」

 

全員「・・・」

 

シン(俺達をよく知らない人達からしたら、こう言う反応はある意味自然だと思う・・・)

 

タクト(だが、彼奴のあのあからさまな決め付けは誰かの命令で言ってるようにしか聞こえない。)

 

アシム「・・・・・」

 

 

 

 

カートゥーン『アールスハイドにはね、英雄だ何だって騒がれている奴等が居るでしょ?アレ絶対真面な人間じゃありませんよ。だってあり得ます?あの若さで彼処までの立場に成り上がるって。』

 

 

 

 

アシム(彼奴の言葉を鵜呑みにする訳じゃないが・・・シン=ウォルフォードやタクト=クリスティに何か裏がある気がするのも確か・・・)

 

以前にカートゥーンからの助言を頭に叩き込まれている。

 

アーロン「兄さん。これはちょっとダームとの付き合い方を考え直した方がエエで。」

 

ディセウム「そのようだな。」

 

アシム「なっ・・・!!あなた達は分かっていない!!そのような危険な力を放置して・・・いつかそれが我々に向いたらどうする気なのだ!?」

 

するとアシムが何かを感じた。

 

アシム「ッ!?」

 

それは、教皇エカテリーナのこれまでにない威圧だった。

 

エカテリーナ「いい加減にしなさい。」

 

アシム「・・・き・・・教皇・・・猊下・・・」

 

アズマ(猊下?)

 

タクト(彼女、怒りが爆発してる。)

 

エカテリーナ「彼等は私達イースが認定した”神の御使い”と”光の戦士”です。その彼らが世界に災いを齎すと・・・本気で思っているのですか?」

 

アシム「・・・そこまでは・・・」

 

エカテリーナ「それにシン君とタクト君は私の命を救ってくれた大恩人・・・そんな彼等を、あなたは自分の思い込みで悪者にしようと言うのですか?」

 

アシム「い・・・いえ!決して思い込みなどでは・・・」

 

エカテリーナ「1つ言っておきますが・私を刺したのはあなたの国の人間ですよ。それについては棚に上げておくのですか?」

 

アシム「ぅ・・・いや・・・あ・・・あの者は・・・ま・・・魔人に操られていたのであって・・・我々の責任では・・・」

 

エカテリーナ「それはつまり、国の内部の乱れが原因となって魔人に付け入る隙を与えてしまったと言う事では?『危険因子』と言うのなら、あなたの国の情勢の方が余程危険なものに思えますが、違いますか?」

 

アシム「・・・ぐっ・・・!」

 

正論を言われ、アシムが項垂れた。

 

メリダ「はぁ・・・その辺にしときなアンタ達。1対1なら兎も角、寄って集って1人を攻撃するのは感心しないねぇ。まるで()()()じゃないかい。」

 

ディセウム・アーロン・エカテリーナ「い、いえ!決してそんなつもりは!!」

 

アシム(・・・イ・・・イジメ・・・!?余が・・・そんな風に見られた・・・だと・・・!?)

 

メリダ「確かにシンとタクトは異常とも言えるほどの力を持ってる。だけど人類の危機に今この子達がしようとしているのは、自らの知識を世界に提供し、そして自らが最前線に立つ事だ。この中には他にもシンの力を危険視している者が居るかも知れない。けど・・・ほんの少し・・・この子達のそう言った部分を見てやって欲しい。それに・・・もしシンとタクトが道を誤ったら、私とマーリン、リチャードとレイチェルが命を懸けて止めるさね。」

 

シン「ば・・・婆ちゃん俺そんな事・・・」

 

タクト「そうだよメリダ様・・・俺達は決して・・・」

 

メリダ「分かってるよ。私達はアンタ達の事を信用してる。だからこそ命を懸けるなんて簡単に言えるのさ。」

 

シン「婆・・・ちゃん・・・」

 

タクト「メリダ様・・・」

 

メリダ「・・・どうだろう。少しだけで良い。私とシンやタクトを信じてくれないかい?」

 

アシム「フン・・・」

 

メリダ「ホレ。この件についてはお終いだ。さっさと話を次に進めようじゃないか。」

 

全員「は・・・はい!!」

 

 

 

 

 

 

その夜。衛士隊舎。

 

シイナ「私達の剣に、シンの開発したバイブレーションソードが付与される?」

 

タクト「ああ。メリダ様の許可が下りたんだ。お前達の武器の威力が倍増する。」

 

ナナセ「でも大丈夫なの?もし私達がそれを手にしたら力に溺れそうになりそう。」

 

アズマ「そうだな。タクト、そこん所はどうなんだ?」

 

タクト「一応シンに話しておいた。お前達衛士隊のバイブレーションソードには抑制機能を付けておくって。」

 

アズマ・シイナ・ナナセ「抑制機能?」

 

タクト「まぁ、完成してのお楽しみって事で。」

 

 

 

 

 

 

そして、ダーム王国の王城では。

 

アシム「おのれ!!余がイジメられているだと!?平民風情が調子に乗りおって・・・!!大国のトップを手懐けて世界を掌握するつもりか!?あの女狐め・・!!」

 

首脳会議のストレスが爆発し、部屋を散らかした。

 

アシム(あの場にもしエカテリーナ教皇が居なければ・・・あのような人間にいいように振る舞われる事もなかったのに・・・!!)

 

”コンコン”

 

アシム「っ!・・・誰だ!?」

 

カートゥーン『私です。カートゥーンです。』

 

アシム「・・・入れ。」

 

カートゥーン「失礼しま・・・うわっ!何ですかこの有り様。」

 

アシム「五月蝿い!何の用だ?」

 

カートゥーン「え?ああ・・・軍部を預かる責任者としては・・・会議の結果をいち早く知る必要があると思いましてね。」

 

アシム「お前の意見のせいでいらぬ叱責・・・いや、抗議を受けたぞ!!どうしてくれる!!」

 

カートゥーン「あ、ひょっとしてウォルフォードとクリスティも出席してました?まあ世界は今彼ら寄りですから、反発の声もそりゃ出るでしょう。それで陛下、会議の内容はどうだったんです?」

 

アシム「ああ。」

 

彼は会議の内容をカートゥーンに全て伝えた。

 

カートゥーン「へぇぇ・・・バイブレーションソード・・・ねぇ・・・」

 

アシム「しかし終戦後に我々が所持する事は認めないそうだ。無論孫に関しては黙認。教皇猊下まで味方に付けて・・・何が導師だ・・・!」

 

カートゥーン「(・・・ど〜〜〜でもいいんだよなぁ。教皇だとか導師だとか・・・俺にとってそんなモンは・・・)ジェットブーツ・・・に続いて今度はバイブレーションソード・・・かぁ・・・”チート”だねェ。クックッ。」

 

アシム「・・・?」

 

カートゥーン(まあこの分だと向こうから何らかの形で接触して来てくれそうだし・・・取り敢えず今はその時を楽しみに待つとしますかね・・・)

 

この世界に概念がないチートと言う言葉を使ったカートゥーン。一体何者なのか。

 

 

 

 

 

 

数日後。アールスハイド王国・騎士養成士官学院に2人の人物が来訪した。

 

男子生徒「な・・・なああれ・・・!」

 

男子生徒「え?・・・あ・・・!」

 

女子生徒「クリスティーナ様とモニカ様だわ・・・!相変わらずお美しい・・・」

 

女子生徒「学院に何か御用かしら?」

 

 

 

 

 

 

騎士養成士官学院・Sクラス。ここにミランダとマナミアが読書をしていると、3人の男子生徒が寄って来た。

 

男子生徒A「おい、ちょっといいか?ミランダ。」

 

ミランダ「・・・何?」

 

男子生徒A「何?・・・じゃねぇだろうが・・・!お前何時になったら魔法学院の女子紹介してくれんだよ!!俺らずっと心の準備して待ってんだからな!!その為に気合入れてSクラスまで入ったってのによぉ!」

 

ミランダ「(あーバカばっかり・・・)アンタら、何時も色恋沙汰ばかり・・・悔しくない訳!?女である私が学院の首席の座に居るんだよ!」

 

マナミア「皆さんは、彼女からその座を奪い返そうとか言う気概はないのですか?」

 

男子生徒A「見くびってもらっちゃ困りますよマナミア様。自分達の実力位明確に把握していますよ・・・!無駄な戦いは挑まないからご安心を・・・!」

 

この3人の実力はC。一般兵士はB。ミランダとマナミアはA。トニーはS。タクトとシンはSSS。

 

マナミア「そうですか。」

 

ミランダ「って言うか分かって言ってんの!?私とマナミア様の魔法学院の知り合いって、全員アルティメット・マジシャンズだよ!?それを紹介しろっての!?」

 

男子生徒A「ア・・・アルティメット・マジシャンズの・・・当人達かよ・・・!!」

 

男子生徒B「か・・・神にも等しい存在だな・・・」

 

男子生徒C「流石に・・・俺達がお近付きになろうとするのは・・・烏滸がましいな・・・」

 

ミランダ「バーカ。だったらそれに見合う実力者になれば良いだけじゃない。」

 

男子生徒A「それが出来りゃ苦労しねんだよ!!」

 

男子生徒B「自分達の実力は分かってるっつったろうが!くそっ!」

 

男子生徒C「無駄な努力!」

 

マナミア「あらあら。賑やかですね。」

 

ミランダ(やっぱダメだコイツ等・・・)

 

するとそこに教員が。

 

教員「ミランダ=ウォーレス!マナミア=ラドクリフ!居るか!?至急学院長室へ来い!」

 

マナミア「私達に?」

 

 

 

 

 

 

2人が学院長室へ向かった。そこには。

 

学院長「おぉ、来たかウォーレス。マナミア様。まあそこに掛けなさい。」

 

クリスティーナ「久し振りですねミランダ。マナミア様。」

 

モニカ「ミランダ。お元気そうですね。」

 

ミランダ「ク・・・クリスティーナ様にモニカ様!?」

 

マナミア「クリスにお母様?どうしたんですか?」

 

学院長「君達に用があってわざわざ王城から来てくれたんだ。」

 

ミランダ「陛下から言伝を頼まれましてね。古巣の様子を見る序でに伺った次第です。」

 

学院長「学院史上たった3人しか居ない『女性の首席』である君達が揃い踏みとは・・・何と感慨深い・・・って言うか嬉しい。」

 

ミランダ「が・・・学院長・・・」

 

 

 

 

4人がソファーに座る。

 

マナミア「それで、私達に何か御用でしょうか?」

 

クリスティーナ「先日起きた魔人領での魔物の大量出現と、魔人の首魁オリバー=シュトロームの人類滅亡宣言の件は知っていますよね?」

 

ミランダ「は・・・はい。今や王都はその話題で持ち切りですから・・・」

 

マナミア「生徒達は皆不安や恐怖心に狩られています。」

 

モニカ「そして数日前、その対策を講じる名目で秘密裏に世界首脳会議が我が国で行われました。」

 

ミランダ(・・・・・ん?)

 

クリスティーナ「そしてその協議の結果を・・・ミランダ、あなたも所持するバイブレーションソードを各国の精鋭数名に一時的に配布する事が決定しました。」

 

ミランダ(・・・ちょっと待って?)

 

モニカ「知っての通り、バイブレーションソードは非常に強力で危険な武器だけに使用者には一定の指南が必要となります。」

 

クリスティーナ「ですが、その指南出来る人間が実際問題不足していましてね。」

 

ミランダ(マナミア様は兎も角・・・何で私今、こんな超国家機密級の情報を聞かされている?)

 

クリスティーナ「そこで、シンからの要望もあって。マナミア様と普段からこの武器を使用している・・・ミランダ。あなた方に各国軍代表者への指南役をお願いしたいのです。」

 

ミランダ「・・・!?」

 

マナミア「私達がですか?」

 

ミランダ「ムムム・・・ムリムリムリですクリスティーナ様!モニカ様!だって私如き若輩者が国をだいひょうする精鋭達にどんな顔して・・・!!」

 

クリスティーナ「安心しなさいミランダ。あなたも我が国を代表する精鋭の1人ですよ。堂々と指南に当たれば良いのです。」

 

ミランダ(そう言う問題じゃない・・・)

 

マナミア「では私は、ミランダの助手と言う立場に当たれば良いのですか?」

 

モニカ「そうなりますね。」

 

マナミア「でも、学院の授業は・・・」

 

学院長「なぁに、学院はしばらく公休にしてやるから心配いらんぞ。」

 

ミランダ「だからそう言う問題じゃない!!!」

 

マナミア「ミ、ミランダ!落ち着いて下さい!」

 

ミランダ「ハッ!し、失礼致しました・・・」

 

クリスティーナ「兎も角、近日中に自宅へ王城からの使いが行きます。詳しくはその使いの者にお聞きなさい。」

 

マナミア「分かりました。」

 

ミランダ(す・・・已に決定事項として扱われている・・・)

 

 

 

 

夕方。廊下をマナミアと、フラフラ歩くミランダ。

 

マナミア「ミランダ、元気出して下さい。私が付いてますから。」

 

ミランダ「うぅぅ・・・マナミア様・・・」

 

マナミア「あらあら。」

 

ミランダ「ウォ・・・ウォルフォード君めぇ・・・」

 

 

 

 

 

 

一方ウォルフォード邸。

 

シン「へっくしょん!」

 

メリダ「やだよシン。アンタ食事中に。」

 

シシリー「大丈夫ですか?シン君。風邪は引かないはずだし。」

 

シン「うー・・・誰か噂でもしてんのかな・・・」

 

タクト「多分あのダームの国王ぼっちゃんが裏でお前を罵ってんじゃねえの?」

 

シン「はは・・・」

 

今日のタクトは、今後の事をシンと話して長引いてしまった為一緒に食事してる。

 

マーリン「これからまた国同士が密になろうと言うタイミングでのう・・・ダームが妙な事を企まなければ良いがの。」

 

シン(妙な事・・・)

 

バイブレーションソードで妙な事が起こりそうと考えた。

 

シン「例えばだけど・・・バイブレーションソードを貸し出し中に真似して複製されたり・・・しないよね?」

 

マーリン・メリダ「・・・・」

 

シン「・・・あれ?何その反応・・・」

 

メリダ「そもそも全く原理の分からない付与を、アンタ以外この世の誰が出来るって言うんだい?」

 

タクト(俺だけど・・・)

 

シン(原理の不明な魔法を付与出来ない・・・まあ当然か。無用な心配だったかな。)

 

メリダ「・・・とは言え、世の中にはシンとタクトの魔道具以外にも・・・原理不明な魔道具が存在するからまた不思議なんだよねぇ・・・」

 

シン「え?何それ?」

 

タクト「原理不明の魔道具?そんな物まで?」

 

メリダ「2人もよく知ってる物だよ。」

 

マーリン「そして、国民が皆所持している物でもあるのう。」

 

シン「・・・あ。」

 

タクト「まさか!」

 

ポケットからある物を出した。

 

シン「コレか!」

 

タクト「市民証!」

 

それは、入学試験日に渡された市民証だった。

 

タクト「此奴には確か、所持者以外に起動は不可能。魔物の討伐記録も自動で記載される。そして個人の銀行口座の管理まで出来る万能アイテム。」

 

メリダ「そんな高性能な魔道具、私は他に知らないよ。」

 

シン「確かに・・・・」

 

タクト「・・・ん?いや待てよ?」

 

シン「どうしたの?」

 

タクト「なぁメリダ様。この市民証って、()()()()付与してるんだ?」

 

彼女は真剣な顔をした後言った。

 

メリダ「・・・市民証はね・・・今はもう失われた技術で作られている物なんだよ。」

 

シン「失われた・・・技術?」

 

メリダ「今から200年も前かね。ある小さい国に天才と言われた魔道具士が居たのさ。」

 

シン(あれ・・・?何か聞いた事あるような話だな・・・)

 

タクト「小さい国の天才魔道具士・・・」

 

シシリー「お婆様。それってひょっとして、天才魔道具士マッシータのお話ですか?」

 

タクト「マッシータ・・・あ!」

 

シン「ああそれ!!小さい頃トムさんが持って来てくれた本で読んだ!天才魔道具士コーノ=マッシータのお伽噺!!」

 

マーリンとメリダが頷いた。

 

タクト「コーノ=マッシータって実在の人物だったのか!?伝説かと思ってた・・・」

 

メリダ「勿論さ。市民証はね、他ならぬそのマッシータが作った魔道具なのさ。」

 

シン「えぇ!?(信じられない・・・前世にもなかったようなこんなとんでもない技術を・・・200年も前に実行出来た人間がこの世界に居たなんて・・・)」

 

タクト「そう言えば前に歴史書で読んだ事がある。マッシータの弟子は1人も居なかったと。」

 

メリダ「そうさ。孤高の天才。他に類を見ない才を秘めていた彼だが・・・その特殊過ぎる技術故に、誰もその技を継承出来ず生涯弟子を取る事もなかった。」

 

シシリー「何だか話だけ聞くと・・・シン君と共通する部分がありますね・・・」

 

タクト「・・・あれ?待てよ?市民証を開発したのがマッシータだろ?でも今現在でもアールスハイドで市民証は新しく製造され続けてるって訳だろ?」

 

シン「うん。それはつまり、誰かが実際に魔法を付与しなきゃ・・・」

 

タクト「ま・・・まさか!?」

 

シン「ひょっとして・・・マッシータは・・・今も生きてる・・・!?」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶
レベッカ=ホーク:有村蓮
マナミア=ラドクリフ:前川涼子

リオ:土岐隼一
デイジー:寿美奈子
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
ジェレミー=ダンクルク:前野智昭
ローランド:山本和臣
ラナ:黒木ほの香

アズマ:榎木淳弥
シイナ:内田彩
ナナセ:諏訪彩花

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭
クリスティーナ=ヘイデン:古賀葵
ミランダ=ウォーレス:吉七味。
リチャード=ラドクリフ:堀内賢雄
レイチェル=ラドクリフ:白鳥由里
ニルス=ラドクリフ:寺島拓篤
モニカ=ラドクリフ:佐藤聡美
エドワード=フィッシャー:梶裕貴
ウェイド=ワトソン:中村悠一
アリア=フォン=ストラディウス:坂本真綾

アーロン=ゼニス:内田直哉
セティス=フォン=カーナン:梅津秀行
エデル=フォン=クルト:飯島肇
クレモール=フォン=スイード:沢木郁也

アシム=フォン=ダーム:立花慎之介
カートゥーン長官:櫻井トオル

エカテリーナ=フォン=プロイセン:斎藤千和





次回予告

魔人との決戦に備えて、各国軍が修行を始めた。世界の未来の為、アルティメット・マジシャンズの各々も魔法の修行に励むのだが・・・

次回ウルトラマンティガ

決戦に向けて

お楽しみに


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第43話「決戦に向けて」

決戦に向けて



コーノ=マッシータ。嘗て200年前、天才魔道具士と称えられた偉大なる偉人。彼が開発したアールスハイド王国の市民証。タクトとシンは、マッシータがまだ存命していると推測した。

 

シン(普通に考えて・・・200年前の人物が今も生きている訳がない・・・でも・・・それだけの技術を持った人間もし何らかの形で寿命を延ばすような魔法を開発していたとしたら・・・!)

 

メリダ「なに馬鹿な事言ってるんだい。そんな訳ないだろう。」

 

シン「ですよね・・・」

 

タクト「まぁ、200年前の人物が今もご存命って訳じゃないよな。」

 

メリダ「市民証の発明が発表されると同時に、世界各国から大量の依頼が集まった。それこそマッシータ1人では付与に間に合わない程にね。それに、その類稀な技術はマッシータの死後も変わらず必要とされ続ける事も明白だった。」

 

タクト「死後も今も開発され続けてる理由って何だ?」

 

メリダ「それを危惧したマッシータは、ある物を作ったんだ。」

 

シン「ある物?」

 

メリダ「市民証の・・・自動魔法付与装置さ。

 

シン「自動・・・付与!?」

 

タクト「200年前にそんな魔道具が!?」

 

シン「何てこった・・・完全にオーバーテクノロジー・・・そりゃ当時の世間を騒がすはずだ・・・そんな人物が・・・」

 

タクト(ありゃま、この旦那は自分が現代と同じ事をやってるのに気付いていらっしゃらないご様子・・・)

 

メリダ「兎に角、その装置を各国に配った事で今でも市民証は作られ続けてる。だけど結局マッシータはその装置の事も秘匿したまま亡くなったから、今でもその技術は解明されてないんだよ。」

 

シン「・・・流石婆ちゃん。よくそんな話知ってるね。」

 

メリダ「魔道具士が過去の天才魔道具士の事を調べるのは当然さね。」

 

マーリン「いやいや、こんな事言っとるが、実際にここまでの事実を知っとる者はそうおらんぞ。当時、帝国の侵略を受けていたマッシータの祖国までわざわざ調べに行った位だからのう。」

 

シン「わざわざ戦争中に・・・とんでもねぇな。」

 

タクト「それを聞くと、よくぞ御無事で・・・」

 

シシリー「くすくす。」

 

シン「ん?どうしたのシシリー?」

 

シシリー「いえ。シン君はお爺様にそっくりだけど、やっぱりお婆様にも似てたんだなぁって。」

 

シン「え?似てる?」

 

タクト「どんな所が?」

 

シシリー「探究熱心な所とか、周りを気にせず突き進んじゃう行動力とか。やっぱりお2人を見て育ったんですね。」

 

急に全員が静まった。

 

メリダ「・・・何だり、誰か何か言いなよ。」

 

マーリン「ほほ。照れるわい。」

 

メリダ「照れんじゃないよ。気持ち悪い。それに・・・シン。アンタ、マッシータの技術に驚いてるけど・・・アンタだってマッシータと同じ位世間に評価されてるじゃないか。」

 

シン「!」

 

メリダ「一般に広めるにはまだ早計に思える発明品も多々あるけど、商会をと押して世界に広まった魔道具の中には最早なくてはならない物がある。人々に求められ、そして受け入れられる魔道具を開発する事は、魔道具を作る者にとって何時の時代も最も重要な事だよ。私も”導師”なんて呼ばれちゃいるが・・・マッシータやアンタの想像力はそれとはまた一線を画するものだ。見ている世界が、見えている事象が異なるのかと思う程にね。その技術は・・・私じゃ考えも付かない。アンタとマッシータ・・・何か共通する事でもあったのかねぇ・・・」

 

シン(・・・・)

 

タクト(・・・・)

 

 

 

 

 

 

夕食後。シンはタクトと一緒に自室に戻った。

 

シン「漠然とした予感だけど、多分・・・予想は当たってるかも。」

 

タクト「答えはコイツに付与された『文字』を見れば明白だ。」

 

シン「よし、タクト見よう。」

 

タクト「ああ。」

 

意識を集中して、市民証の文字を浮かばせた。

 

シン「・・・!!やっぱり・・・日本語・・・だ・・・!!」

 

タクト「魔力認証・・・本人確認・・・個人情報・・・口座情報・・・!!」

 

この4つの漢字が市民証に付与されてあったのだ。

 

シン「俺の前世でもなかったような個人認証システム・・・」

 

タクト「しかもそれを200年前に実現させた技術・・・」

 

シン「そして市民証に付与されたこの文字・・・間違いない。」

 

タクト「コーノ=マッシータは、俺達と同じ転生者だ・・・!!」

 

シン「けど明確な答えは出せそうにないけど・・・単純に考えて、地球とこの世界の輪廻は繋がっている・・・と言う事だろうか?マッシータの転生が200年も前だと言う事から時系列は関係ないのか・・・」

 

タクト「そう言えばメリダ様、マッシータは嘗て馬車に轢かれて生死を彷徨っていたって言ってた。」

 

シン「うん。それは俺の幼少期の経験との共通点・・・そこから察するに・・・前世の記憶が極稀に覚醒する条件・・・それは・・・その人間が何らかの形で死の淵から生還する事。」

 

タクト「けど俺は赤子からじゃなく、死亡した時に神様と出会ってその時点の年齢で転生された。何で俺だけが・・・?」

 

シン(・・・何だろう・・・この感覚・・・まるで・・・遥か遠い故郷の知り合いを見付けたような・・・居るんだろうか?この世界に・・・まだ他にも・・・俺やタクトやマッシータと同じ・・・遥か彼方の地球から転生した人間が・・・)

 

 

 

 

 

 

ダーム王国。

 

門番A「なあ、カートゥーン長官は?」

 

門番B「相変わらずだよ。飯も食わずに自室に篭って何かやってる。」

 

門番A「変わった男だよな。ついこの間まで俺らと騎士団で肩並べてたのに。」

 

門番B「半年程前だったか。急に魔法が使えるようになって・・・見る間に軍の戦力のトップに立っちまった。」

 

門番A「一体あの男の身に何が起きたんだ?」

 

 

 

 

そのカートゥーンは自室で、不敵な笑みを浮かべながらある本を黙読していた。

 

カートゥーン「『新・英雄物語』・・・かぁ・・・面白ェなぁ。楽しみだなぁ・・・」

 

この男は一体何者なのだろうか。

 

 

 

 

 

 

数日後。バイブレーションソード演習指南日当日。アールスハイド王国軍・練兵場に多くの騎士達が集まった。タクト、シン、トニー、ミランダ、マナミア、アズマがその様子を見に来た。

 

ミランダ「ア・・・私でも顔知ってる有名人がいっぱい・・・って言うか誰も彼も攻略作戦で活躍してた人達じゃない・・・」

 

トニー「『国を代表する実力者』だから、結局団長とかの隊長格ばっかりだからねぇ。」

 

アズマ「改めて見ると、本当壮観だなぁ。」

 

ミランダ「取り敢えず先に一言言わせて欲しいんだけどウォルフォード君・・・こう言うのはこれから必ず事前に()()に確認取ってからにしてね・・・?」

 

マナミア「ミランダ、気を確かに・・・」

 

シン「ゴメンゴメン・・・でもそんなに気後れしなくても、このメンバーの中じゃ実力的にはミランダがトップだぜ。」

 

ミランダ「ア・・・私が?何言ってんの?」

 

タクト「ドミニク総長から聞いた超災害級討伐の件や、マリアの話を聞く限りミランダは多分もう一般の軍人レベルを超えている。それに加えて今はバイブレーションソードを持っている。」

 

ミランダ「・・・そ・・・そうやって調子付けて上手く手伝わせようとしてるだけでしょ・・・こ・・・こんな・・・世界でトップ張ってる人達の前で・・・」

 

マナミア「あ、ここに居られるのはアールスハイドの方々だけですよ?」

 

ミランダ「え!?」

 

マナミア「他国の方々も回る予定ですよ。」

 

ミランダ「・・・・・・・・」

 

マナミア「あれ?」

 

トニー「マナミア様。シンが緊張解こうとしてるのに逆にプレッシャー与えてますよ。」

 

マナミア「ごめんなさいミランダ。」

 

アズマ「でもその後更に実地訓練もあるんだよな。」

 

トニー「それはまた機を見て伝えた方が・・・」

 

ミランダ(聞こえてるわよォッ・・・!!)

 

そこにドミニクとクリスティーナとモニカがやって来た。

 

ドミニク「スマン。遅れた。」

 

モニカ「皆さん揃ってますね。」

 

クリスティーナ「まだ始まっていないようですね。」

 

シン「ドミニクさん。モニカさん。クリスねーちゃん。」

 

マナミア「お母様。」

 

タクト「あれ?クリスとモニカは近衛なのに戦場に出るのか?」

 

ドミニク「恐らく本番だけな。クリスティーナとジークフリードとモニカ様は居ると居ないとで周りの兵の士気が随分と違って来るんだ。」

 

クリスティーナ「・・・ま、それにミランダとマナミア様のフォローも必要かと思いまして。」

 

ミランダ(クリスティーナ様・・・!!)

 

クリスティーナ「でも剣聖様とレイチェル様に直々に指導を受けている位だし、特に心配もいりませんよね。」

 

マナミア「はい!」

 

ミランダ(クリスティーナ様ぁっ!?)

 

 

 

 

その後。アールスハイド王国騎士団達のバイブレーションソードのデモンストレーションが始まった。

 

シン「難しいのは『魔道具を起動しながら剣を振るう』と言うその点に尽きます。兎も角慣れてしまうのが手っ取り早いです。各自、これから1日1000回の素振りを心掛けて下さい。」

 

騎士達「!?」

 

トニー(うわぁ・・・出た。シンのナチュラルなドS指導・・・)

 

ミランダ「え?私、剣聖様に毎日3000回振れって言われてるけど・・・」

 

シン「あー、俺もそれ言われてた。」

 

タクト(ドSはミッシェル譲りか。)

 

ドミニク「むぅ・・・なまじ剣技は身体に染み付いておるから・・・身体を動かす時に魔道具の起動を切ってしまうな。」

 

タクト「まあな。普段魔法を使わない人が殆どだから無理もない。」

 

ドミニク「それにしても・・・君達も忙しいだろうによく短期間でこれだけの本数の剣を用意出来たな。」

 

シン「あー・・・はは。」

 

ドミニク「何か特別な方法が?」

 

タクト「すまん。全部極秘だ。」

 

ドミニク「成る程・・・ならば質問を変えよう。シュトロームには勝てそうかね?」

 

タクト「・・・・」

 

シン「・・・正直言うと・・・分かりません。」

 

タクト「俺も。」

 

ドミニク「・・・意外な答えだな。1年前・・・練兵場での戦いを見た限りでは君達が優勢に思えたが。」

 

シン「彼奴、あの時・・・()()()()()()()()()()()()()使()()()()()んですよ。」

 

ドミニク「何?」

 

タクト「あの時のシュトロームとの戦い。奴は戦いを起こしてなかった。シュトロームは最初から逃げる前提でしか動いてなかった。仮に奴があの時に本気を出せば、アールスハイド王国は一瞬で全滅してしまうかも知れない。過去に現れた最初の魔人出現のように。」

 

シン「それに、全力のシュトロームがどの程度の力を秘めているのか、俺達には全く予想も付きません。」

 

ドミニク「・・・君達がそう言うと、唐突に生きた心地がしなくなるな・・・」

 

シン「勿論俺は・・・俺達は全力で戦います。シュトロームに・・・魔人に勝つ為に。今言える事は・・・それだけです。」

 

タクト(シュトロームに勝つのは表向き。本来はオリベイラを助ける事。それでも奴が世界を滅ぼす気なら、容赦なく倒す。)

 

 

 

 

騎士「・・・あー・・・やっぱ口で説明されただけじゃ感覚掴めねーや。ウォーレス。ちょっと実際にやって見せてくれ。」

 

ミランダ「え!?いやそんな・・・私如きが・・・」

 

騎士「手合わせしろって訳じゃねーんだ。流れだけで良いからよ。」

 

マナミア「ミランダ、お手本を見せれば皆さんコツを掴めますよ。」

 

アズマ「やってやれよ。先生。」

 

ミランダ「先生って・・・分かったわ。」

 

彼女は自前の剣を出して、剣を鞘から抜いた。

 

騎士「・・・おいウォーレス・・・お前それ・・・マジか・・・!?」

 

周囲の騎士達がミランダの剣を見て驚きを隠しきれない。その理由は、彼女が長剣を持っているからである。

 

騎士「す・・・凄まじい長剣だな・・・なあ・・・振れるか?あれ。」

 

騎士「難しいな・・・振れても標的に当たるかどうか・・・」

 

トニー(・・・あれが・・・シンがミランダに用意したって言う剣か・・・成る程。僕やシンと違い魔法を使えないミランダが・・・少しでも間合いを伸ばす為のの手段。そして、僕らよりも筋力バランスの良いミランダには、それを扱えるだけの能力(ちから)がある。身のこなし次第では相手が魔法の使い手だとしても互角に戦える。今のレベルのミランダが・・・それだけの力を振るうべき相手なんて限られてる。つまりアレは・・・シンがミランダの力を信じて託した・・・対魔人用の長剣(バスターソード)・・・!!)

 

 

 

 

クリスティーナ「シンの言うように未来はまだ闇の中・・・手を伸ばした先すら見えないような心許ない状況です。私達に出来る事は、その闇を照らすほんの僅かな灯りになる位の事でしょう。」

 

モニカ「ですが私達には、導きとなってくれる存在が居ます。背を押してくれる者達も。今はまだ暗くとも・・・私達には見える気がします。」

 

クリスティーナ「はい。何れその先で闇を祓う光明が。」

 

 

 

 

 

 

指南終了。

 

ミランダ「あ〜〜〜緊張した〜〜〜疲れた〜〜〜〜!」

 

マナミア「お疲れ様ですミランダ。」

 

トニー「でも軍人さん達、皆使いこなせそうで良かったよ。」

 

アズマ「それに、力に溺れそうな騎士は1人も居なかったな。」

 

シン「あれ絶対ミランダに触発されたんだぜ。」

 

クリスティーナ「明日からは他国回りでしょう?そちらで使う剣の用意はあるのですか?」

 

タクト「色々相談したんだ。けど他国の分は現地で各武器に付与する予定だ。」

 

シン「各国それぞれにやっぱり使い慣れた武器があるでしょ?それを魔道具化した方が本人達にとっても良いはずだし・・・その為の武器の改造(振動部と柄の切り離し)は事前にお願いしてあるんだ。」

 

タクト「迅速に付与する準備自体は完了してるんだが、本番での破損とか考えると大量に付与しておく必要があるんだ。その作業だけで俺達は手一杯になりそうなんだ。」

 

クリスティーナ「でしたら、私達軍人が数名訓練に付き添いますよ。まだ未熟ですが、今日学んだコツを伝える事は出来るはずです。」

 

シン「本当!?そりゃ助かるよ!」

 

タクト「そうだったらエミリーも指南役をお願いしとく。」

 

シン「助かるよ!ありがとう!」

 

クリスティーナ「なのでシン。あなた達は無理せず魔道具の製造に集中しなさい。分かりましたね?」

 

シン「はーい。」

 

ミランダ「くす。ウォルフォード君とクリスティーナ様って本当に姉弟みたいだね。」

 

トニー「羨ましいねぇ。クリスティーナ様が姉さんだなんて。」

 

クリスティーナ「思えばもう何年も面倒をみてますからね。手間は掛かりますが、可愛い弟ですよ。」

 

モニカ「それに、シンにはジークフリードも居ますしね。」

 

ミランダ(心底羨ましい・・・!!)

 

クリスティーナ「モニカ様。」

 

モニカ「はい?」

 

クリスティーナ「アレは身内ではありません。」

 

モニカ「うふふ。」

 

シン(相変わらず仲悪いなもう・・・)

 

タクト(喧嘩する程仲良いってか?)

 

 

 

 

 

 

演習指南2日目。スイード王国。

 

シン「良いよ!次!」

 

アズマ「よし!」

 

天幕から、付与出来た数本の剣を持って出て来たアズマが騎士達の方へ運んだ。

 

アズマ「ホラ!シンが付与された剣だ!所有者は取って訓練に移ってくれ!」

 

シン「オッケー!次!」

 

シイナ「早いね!」

 

ナナセ「凄いね!」

 

衛士隊のシイナとナナセも指南役兼運搬役を任されてる。

 

スイード騎士「い・・・一体中で何が行われてるんだ・・・幾ら御使い様とは言え・・・」

 

スイード騎士「こんな短時間で何故こんな大量に付与が出来るんだ・・・!?」

 

 

 

 

気になる天幕の中では。

 

シシリー「次こちらです。お願いしますシン君。」

 

フェオン「こっちもお願いねタクト。」

 

シン「よっしゃ!」

 

タクト「行くぜ!」

 

2人が持っているのは、スタンプ。そのスタンプの魔石が魔力を巡回させ、それを剣の刃に”バンッ”と押印した。魔力が収まってゆっくりと外す。すると刃に『超音波振動』と付与が完了した。

 

タクト「オッケー。」

 

 

 

 

ハイペースに大量の付与を行う為、シンが考え出した方法。それは、『付与の転写機』の開発。ヒントとなったのはコーノ=マッシータの話だが、シンの場合、構造自体は極めて単純。

 

1・超音波振動と概念転写の2つを鋼の板に付与。

 

2・魔道具(それ)を起動しながら武器に押印する。

 

3・バイブレーションソードの完成。

 

付与転写機の存在は、メリダに鬼の形相で釘を刺されトップシークレット。なので、訓練場の端に天幕を張ってその中で付与を行っている。

 

 

 

 

タクト「ふぅ・・・結構付与出来たな。」

 

シン「外の様子はどう?シシリー。そろそろ途切れそう?」

 

シシリー「えっと・・・」

 

外の様子を覗くシシリー。確認した後、シンにニコッとした。

 

シシリー「そろそろ休憩にしましょうシン君!もうお昼ですよ?」

 

フェオン「もうお昼なの?タクトも休憩しましょ?」

 

タクト「ああ。」

 

因みに、激務を心配したシシリーとフェオンが2日目からタクトとシンに付き添ってくれる事になった。

 

シシリー「お茶置いときますね。」

 

シン「あ、ありがとうシシリー。」

 

フェオン「タクト。これ食べてね。」

 

タクト「お。フェオンご自慢のサンドイッチ。これ美味いんだよな〜♪」

 

シン「うあ〜〜・・・肩凝るなこりゃ・・・」

 

するとシシリーがシンの両肩に両手を置いた。

 

シシリー「お疲れ様ですシン君。肩お揉みしますよ。」

 

シン「!!」

 

シシリー「・・・それとも・・・治癒魔法をお掛けする方が良いですか?」

 

シン「んー・・・今はシシリーに直接肩揉んで欲しい気分かなぁ?」

 

シシリー「了解です♡ゆっくり休んで下さいね。」

 

シン「あ〜〜〜〜気持ち良い・・・」

 

優しい肩揉みにシンが癒される。

 

タクト「お?奥様からのマッサージサービス。」

 

フェオン「あらあら。お熱いわね〜♪」

 

シン(な・・・何か、外に人がいっぱい居るとは言え、この空間でシシリーと密着してると思うと・・・ドキドキするし、何しろタクトとフェオンに見られて恥ずかしい・・・)

 

シシリー「・・・シン君。」

 

シン「へ!?」

 

シシリー「今はとても大変な時期だし・・・シン君が忙しいのも分かってるんです。けど・・・2人で居られる時間が少ないと・・・どうしても・・・我儘になってしまいそうな自分が居て・・・たまには2人きりでゆっくり・・・デートとかしたいです・・・」

 

後ろからシンを抱擁した。

 

タクト・フェオン「おやおや♪」

 

シン「・・・約束するよ。決戦の日までに絶対・・・何処かで予定を空けるようにする。」

 

シシリー「本当ですか?嬉しいです・・・」

 

タクト「なぁフェオン。俺達もデートとかするか?」

 

フェオン「そうね。もし2人と同じルートだったらダブルデートになっちゃいそうだしね。」

 

シンとシシリーが密着していると。

 

エミリー『シン!タクト!陛下が視察に来てるぞ!少し良いかー!』

 

外からエミリーの呼び声にシンとシシリーがビビった。

 

シシリー「あっ!」

 

シン「ちょっ!待っ・・・!!」

 

バランスを崩して倒れ、シンとシシリーがお茶を被ってビショ濡れになってしまった。

 

シン「はっ!!!」

 

目を開いたシンが見たのは、シシリーのスカートの中だった。

 

エミリー『シン!タクト!居ないのか!』

 

タクト「待ってくれエミリー!ちょっと準備に手間取ってる!」

 

気持ちを抑えて4人が出て来た。

 

ミランダ「・・・何であの2人ビショ濡れなの?」

 

トニー「やましい事してたんじゃないかなぁ?」

 

タクト(鋭いなトニーは。)

 

 

 

 

その後、クルト・カーナンでの演習も無事終了。エルス・イースに関しては直接的にタクト達と交流が少なかった為、送られて来た武器に付与だけを施し、マーリンとリチャードのゲートでアールスハイドから指導役や運搬役の兵士達を送る事になった。

 

そして残るのは1ヶ国。首脳会議での一件から万が一のトラブルを考慮し日程を伸ばしていたダーム王国。

 

 

 

 

ダーム王国・練兵場。

 

トニー「僕らがこの国へ直接来るのは・・・連合結成前の交渉の時以来か。」

 

ミランダ「私は初めて来たよ。」

 

エミリー「私達もだ。」

 

マナミア「ラルフ=ポートマン前長官の件で色々後ろ向きの話題の多い国ですけど。私達に対する雰囲気は他国とお変わりないですね。」

 

アズマ「何事も起こらなきゃ良いんだけどな。」

 

トニー「そもそもダーム自体が僕ら・・・と言うかシンやシシリーに対して肯定的な国のはずだからねぇ。」

 

シイナ「でも、文句を付けて来るのは一部の狂信的な宗教家とかのはず。」

 

ミランダ「有名になるのも難儀な話よねぇ・・・」

 

ナナセ(ミランダ。あなたそう言える立場なの?)

 

 

 

 

天幕の中で武器に付与しているタクトとシンに。

 

兵士「ウォルフォード殿。クリスティ殿。少し宜しいか?」

 

タクト「何だ?」

 

兵士「我が国の長官が貴殿と是非話をしたいとの事です。」

 

タクト(長官だと?)

 

シン(まさか例の王様の使いで文句言いに来たとか・・・)

 

タクト「分かった。すぐ行く。」

 

 

 

 

4人が天幕から出ると、1人の兵士が長官が何処に居るかを教えた。

 

シン「お待たせしてすいません。シン=ウォルフォードです。」

 

タクト「タクト=クリスティだ。アンタが新しい長官か。」

 

カートゥーン「・・・君達か。聞いたよ。此間の首脳会議ではウチの陛下が失礼な事を言ったみたいだね。すまなかった。」

 

シン「え?あ・・・いえ・・・」

 

カートゥーン「世界を救う英雄様相手にねぇ。あり得なくない?何考えてるんだろうね。ウチの陛下。」

 

シン(な・・・何だこの人・・・)

 

タクト(コイツ・・・自国の陛下をバカにしてるのか・・・?)

 

カートゥーン「おっと失礼。自己紹介がまだだったな。俺はヒイロ=カートゥーン。ダーム王国軍司令長官だ。」

 

シン「!!」

 

タクト(司令長官・・・ラルフ=ポートマンの正式な後任。しかもあの若さでトップの座に座ってる。名前からして平民出身か?)

 

シン「それで・・・カートゥーンさん。話と言うのは・・・」

 

するとカートゥーンがシンの肩を右腕で絡めた。

 

カートゥーン「う〜〜ン堅苦しいな。俺の事は”ヒイロ”って呼んでくれよ。敬語も禁止な?俺も”シン”と”タクト”って呼ぶからさ。」

 

不気味な眼差しに4人がぞわっとした。

 

シン「はっ!?いやいや!!初対面なのに・・・年上の人とそんな態度で話せませんよ!!!」

 

タクト(何だこの男・・・?初対面なのに馴れ馴れしい態度・・・)

 

カートゥーン「・・・まっいーや。分かったよウォルフォード君。君はクリスティ君で良いかい?」

 

タクト「あ、ああ。別に構わない。」

 

カートゥーン「それじゃあウォルフォード君。クリスティ君。俺からは1つ言っておきたい事があっただけなんだ。」

 

シン「・・・はあ・・・?」

 

タクト「言っておきたい事?」

 

カートゥーン「君達の事を敵視しているのは飽く迄陛下だけであって、ダーム王国は君達の味方だよ。ウチの者が二度に渡って最悪の不祥事を起こしかけた時に・・・君達がそれを止めてくれた事は皆知っているからね。」

 

タクト「2人への非難が少なくなったって事か。」

 

シン「そ・・・そうなんですか・・・」

 

カートゥーン「ああ。だから誤解だけはしないでくれよ。」

 

タクト「それはありがたい話だな。」

 

カートゥーン「ああ。何と言っても君達は世界を救う英雄・希望・光・・・それに、こんな可愛い婚約者と妻まで手に入れた・・・」

 

彼はシシリーとフェオンを不気味な眼差しで見詰める。フェオンとシシリーに恐怖心が上がった。

 

カートゥーン「正に”勇者”・・・なんだからね・・・」

 

シン「・・・!?」

 

タクト(勇・・・者!?何の話をしてるんだこの男は・・・!?)

 

カートゥーン「話はそれだけだよ。それじゃあ付与頑張って。俺も訓練参加するからさ。」

 

彼はそう言い残して去って行った。

 

シン(何なんだあの男・・・今までに会ったどんな人間とも・・・魔人とも違う・・・まるで相手に絡み付くような不気味さ・・・一体アレは・・・)

 

タクト(ヒイロ=カートゥーン・・・お前は一体何者なんだ・・・!?)

 

 

 

 

 

 

一方トニーとエミリーは。

 

トニー「ではまず初めに・・・魔道具。剣の付与魔法を起動して下さい。」

 

兵士「おお・・・これは・・・!?」

 

兵士「刃が・・・細かく動いているのか・・・!?」

 

エミリー「気を付けて下さい。刃に決して触れないように。」

 

その演習を見たカートゥーンが、持ってる剣の付与魔法を起動させた。

 

カートゥーン「・・・成る程。超音波振動か。」

 

兵士「・・・!分かるのですか長官!!御使い様の剣の秘密が・・・」

 

カートゥーン「秘密っつーか、効果だけな。そんな事より・・・」

 

彼は剣の刃を睨むように見始めた。

 

カートゥーン「なあ・・・この剣、『付与文字』は何処だ?」

 

兵士「え?」

 

他の兵士達が剣の付与魔法を探すが。

 

兵士「み・・・見当たりませんな・・・魔力は通しているのに・・・」

 

兵士「でも確かに魔法は付与されて・・・」

 

カートゥーン(付与されているのが『超音波振動』である事は間違いない・・・が、それをただの鉄の剣に付与するのは不可能だ・・・文字数が多過ぎる。疑問は2つ。一体どんな方法でその付与を可能にしているのか。そして何故、その付与された文字が何処にも存在しないのか。)

 

彼はチラッと天幕を見て、不気味に微笑んだ。

 

カートゥーン(なあ・・・勇者君。どんな手品を使ったんだ?)

 

 

 

 

天幕からこっそり覗くタクト達。

 

シン「な・・・何か、こっち見てる気がする・・・あの人・・・」

 

シシリー「わ・・・笑って・・・ますよね・・・?」

 

タクト「一体何なんだあの男・・・?」

 

フェオン「普通の人間とは思えなさそう・・・」

 

シン「いかんいかん。それより早く付与の方を進めないと。」

 

シシリー「あ。じゃあ次の武器を・・・」

 

フェオン「持って来たわよ。」

 

シン「待ってシシリー。フェオン。先に()()()の付与をしておくよ。」

 

フェオン「?」

 

タクト「シン。」

 

用意した2つの箱から付与転写機を出した。

 

シン「ありがとうタクト。」

 

超音波振動の付与文字は日本語。建前上はシンの創作文字と言う事になっている。それ故、基本的に他人に理解は不可能。だが、複製防止の為に念には念を入れて、タクトとシンは全ての武器の付与文字を()()事にした。そこで使うのが、もう1つの付与転写機。

 

それを押印すると、付与文字が消えた。

 

こうする事で()()()に剣から付与文字が消える。刃の交換等で柄から外された場合、付与文字は可視化されてしまう。バイブレーションソードはその特性上、刃だけを手に取って魔力を通す事は出来ない。つまりこれである程度は、バイブレーションソードに関する情報を伏せておく事が可能となる。

 

シン(正直穴は幾つかあるが、まあ、魔人撃破までの期限付きだし・・・)

 

タクト(後は連合軍の兵士達を信じるしかない。)

 

 

 

 

 

 

一方外の方では、カートゥーンがバイブレーションソードで試し切りをしていた。

 

ミランダ「す・・・凄いですね。演習を始めて僅かでもう魔道具を使いこなして・・・」

 

カートゥーン「ん?ああ・・・俺元から魔法使ってっからさ・・・慣れてんだ。」

 

ミランダ(剣と魔法の両刀使い・・・か。タイプ的にはフレイド君やウォルフォード君と同様・・・それにこの人・・・剣筋が恐ろしく安定してる・・・一体これまでどんな鍛錬を・・・)

 

カートゥーン(ふ〜ん・・・良いなぁコレ。手放したくねぇなぁ。)

 

兵士「長官。」

 

カートゥーン「あ?どうした?」

 

兵士「陛下が・・・」

 

耳打ちで陛下から呼び出しを受けた。

 

カートゥーン「・・・ちっ。良い所なのによ。」

 

バイブレーションソードを鞘に納めた。

 

 

 

 

天幕。外からカートゥーンの声が聞こえた。

 

カートゥーン「ウォルフォード君。クリスティ君。」

 

タクト「ん?カートゥーン長官か。どうした?」

 

カートゥーン「あー、そのままで良いよ。悪いけど休養が出来てね。これで失礼するよ。魔道具の提供感謝する。一月後の決戦・・・いや、もう数週間後か。互いの健闘を祈るとしよう。じゃあまた何れ何処かで。」

 

シン「・・・ええ。」

 

タクト「ああ。」

 

カートゥーン(俺が本当に用があるのは、”その先”に居るお前達なんだからさぁ。)

 

シン(ヒイロ=カートゥーン・・・この男は一体・・・)

 

 

 

 

こうして、他国を回るバイブレーションソードの演習指南は一通り完了した。魔人との決戦まで残り14日。

 

 

 

 

アールスハイド王国。

 

シン「皆お疲れ。今後の予定に関しては、また決まり次第連絡するよ。」

 

ミランダ「分かったわ。」

 

マナミア「皆さん、また。」

 

ここでトニーとミランダとマナミア別れた。

 

 

 

 

家路を歩く4人の中、シンは何かを考え込んでいる。

 

シシリー「・・・シン君?どうしたんですか?」

 

フェオン「あのカートゥーン長官の事が気になるの?」

 

シン「え?あ・・・いや。それもまあ・・・そうなんだけど。」

 

タクト「珍しいな。魔道具以外の事で深刻になるなんて。」

 

シン「まぁ。ここから魔人達の決戦までに、幾つか・・・考えなきゃいけない事があってね・・・」

 

タクト「?」

 

シン(時間はあまり残されていない・・・正直・・・気が進まない事もあるけど、やっておかない訳にもいかないしな・・・)

 

 

 

 

 

 

数日後。アールスハイド王城・アウグストの部屋。タクトとフェオンとシシリーがアウグストとエリザベートにシンの事で相談しに来ていた。

 

フェオン「実はね、シンが最近変なのよ。」

 

アウグスト「シンの様子が・・・変?」

 

シシリー「・・・はい。」

 

アウグスト「彼奴が変なのは元からだろ?」

 

タクト「ま、まぁそれはそうなんだが・・・いや、魔道具の事以外で深刻になってるんだ。何かこう・・・最近は思い詰めるように独り言を言うようになったり・・・俺とシシリーが気になってるんだ。」

 

シシリー「殿下は何かご存知ないですか?」

 

アウグスト「・・・その相談でわざわざ3人でここへ来た訳か・・・」

 

タクト「忙しいのに悪いな。」

 

アウグスト「気にするな。」

 

フェオン「オーグは何か知らない?」

 

アウグスト「何かと言われてもな・・・寧ろここ1週間シンと顔を合わせていない・・・」

 

エリザベート「・・・と言うかそれ心配するような事ですの?シンさん、昔から1人でブツブツ言って考え込んでいるイメージですわ。私。」

 

アウグスト「・・・それで?何について考えているとか・・・悩んでいるとかは心当たりもないのか?独り言の内容とか・・・」

 

シシリー「内容・・・『魔力』・・・がどうとか・・・『心』?後『言葉』が何だとか・・・」

 

アウグスト(・・・・・)

 

エリザベート「呟きが抽象的過ぎてさっぱりですわ。今後の戦いは人類の命運を懸けていると言っても過言ではありませんわよ。例えシンさんと言えど・・・プレッシャーを感じているのではなくて?」

 

それを聞いたアウグストはエリザベートを睨んだ。

 

エリザベート「な・・・何ですのアウグスト様!?」

 

タクト「婚約者を睨むな・・・」

 

アウグスト「甘いな。エリーはシンの事が何も分かっていない。彼奴がプレッシャーに潰されるような柔な神経してると思うか?」

 

エリザベート「むっ・・・アウグスト様は随分とシンさんを理解されているのですわね。」

 

アウグスト「茶化すな。いいか?ただ1つ確かなのは。今、彼奴の頭の中はシュトロームをどうやって助ける、もしくは倒すかで一杯だと言う事だ。」

 

エリザベート「・・・」

 

アウグスト「そして今までの経験上・・・彼奴が新しい何かを考えている時・・・ロクな事になった(ためし)がない。」

 

エリザベート「!?」

 

シシリー「彼処まで考え込んでいるのは初めてですから・・・どんな突拍子もない事を考えているのかと・・・」

 

タクト「おまけにそれを実行した結果、世界の常識を覆してしまうかも知れないのがオチだ。」

 

フェオン「何処まで異常なのか分からないしね・・・」

 

エリザベート「・・・アアアアア・・・アウグスト様!!すぐ!!今すぐシンさんを尋問するべきですわ!!ま・・・魔人以前に世界に何か起きてしまったら・・・!!」

 

タクト「おいエリザベート落ち着け!」

 

アウグスト「・・・尋問は大袈裟だが、事情は聞いておいた方が良さそうだな・・・」

 

シシリー「えっと・・・じゃあ今から皆でシン君の家へ向かいましょう・・・!」

 

アウグスト「ああ。」

 

 

 

 

 

 

その後ウォルフォード邸へ向かった。

 

マーリン「・・・うーむぅ・・・それについてはワシらにも心当たりはないのう。」

 

メリダ「まぁ確かに、それは放ってはおけない雰囲気だねぇ。」

 

アウグスト「・・・やはりそう思われますか。」

 

タクト「シンは今何処に居るんだ?」

 

マーリン「さてのう・・・午前中出掛けたきり見ておらんが・・・」

 

全員(・・・何だろう・・・一刻も早く彼奴を見付けなければヤバい気がする・・・)

 

フェオン「い・・・急いでシンを捜しましょ!手分けして!」

 

シシリー「は・・・はい!」

 

皆が手分けしてシンを捜すが、王都には居なかった。

 

タクト「王都に居ないって事は、彼処しかないな。」

 

 

 

 

 

 

当のシンは、荒野で1人座禅して意識を集中させていた。

 

エリザベート「あーーー!!!」

 

シン「!?」

 

後ろからエリザベートの声にビビった。

 

エリザベート「居ましたわ!!こんな所に!!」

 

メリダ「シン!!」

 

シン「な・・・何!?皆揃いも揃って・・・」

 

メリダ「ば・・・場所がこの荒野ってのが既に不吉な予感が止まらないねぇ・・・」

 

エリザベート「た・・・確かシンさんが・・・とんでもない破壊光線(?)を発射したと言うのもここでしたわね・・・」

 

アウグスト「単刀直入に訊く。シン!お前、我々に秘密で何か企んでいるだろう!?」

 

シン「んな・・・な、何を急に!?一体何の根拠があって・・・」

 

フェオン・エリザベート(わー。分かりやすい動揺っぷり。)

 

タクト「さっきシシリーから聞いたぞ。最近お前の口から妙な独り言を聞いたって。」

 

シン「独り言!?(や・・・やべえ俺・・・自分で気付かない内に何か口走ってたのか・・・!?)」

 

アウグスト「『魔力』だとか『心』だとか『言葉』だとか呟いてたんじゃないのか!?どうなんだ!」

 

シン「(あ・・・そ・・・()()()の話か・・・だったらギリギリセーフ・・・か・・・な・・・)わ・・・分かったよ!せ・・・説明するって!」

 

シシリー(・・・・)

 

再び座禅したシンが説明する。

 

シン「決戦を前にしてさ・・・改めて『魔法』について考えてたんだ。何故魔法がこの世に存在するのか。魔力とは何なのか。詠唱とは何なのかって・・・ね。」

 

アウグスト「ちょっと待て・・・詠唱?何故お前が今更そんな事・・・」

 

シン「うーん・・・考えてる内にどうしても釈然としない疑問に辿り着いちゃったんだよね。学院に入学した頃のオーグ達が・・・何故魔力制御の鍛錬なしてそこそこの魔法が使えてたのかってね。」

 

タクト(そこそこ?あれが?)

 

アウグスト「いや・・・だから当時は我々なりに詠唱によるイメージを工夫して・・・」

 

シン「そう言うけどさ。あれって、どう考えてもイメージ1つで出せる魔法の威力じゃなかったんだよ。無詠唱が主流だった爺ちゃん達の世代なら兎も角、詠唱が常識となって魔力制御の鍛錬を行わなくなったオーグ達の世代にとって、詠唱とは実は単なるイメージの補完ではなかったんじゃないのか?」

 

アウグスト「それはつまり、詠唱自体にもやはり意味があったと言いたいのか?」

 

シン「・・・少なくとも、()()()()()()()()()()()人間の詠唱にはね。」

 

メリダ「・・・世間にとっては疑う必要すらなかった事実だが・・・アンタはそこに明確な理由を求めた訳かい。」

 

シンはその言葉を聞いて首肯した。

 

メリダ「アンタの事だ。その上で、それえに関する理論的な仮説が既に浮かんでるんじゃないのかい?」

 

シン「『魔法』は、この世界にある”魔力”を集めて”イメージ”を作って発動する。イメージとは心に描いた事象。つまり、魔力は俺達の”心”に反応してる。そこから考えると・・・詠唱とはただの言葉ではなく、心を・・・意思を込めた言葉と魔力がリンクしたものとも考えられる。」

 

タクト(魔力を集めてイメージを作る・・・詠唱は心を込めた言葉・・・まさか。)

 

『言葉には力がある』。口にする事で、それを現実のものにする力が宿る。タクトとシンが前世でよく耳にした言葉を当て嵌めるとすれば・・・”言霊”

 

シン「それこそが、詠唱の本質であり練達した魔力制御を伴わずとも発動出来るもう1つの魔法の形。言ってみれば、新たな世代の新たな魔法の在り方だったんだ。」

 

メリダ「『言葉』に『魔力』が込もる・・・か。考えもしなかったねぇ・・・」

 

マーリン「ワシらからすると、決して思い至る事のない事実じゃな・・・まさか魔法自体の在り方が世代を超えて変化していたとは・・・」

 

アウグスト「2つの時代の魔法の形に触れたシンだからこそ辿り着いた結論・・・と言う事か・・・」

 

シシリー「何だか・・・凄く壮大な話ですね・・・」

 

シン「勿論詠唱に魔力を乗せるにもセンスはいるはず。オーグ達はそこに長けていたに違いない。」

 

フェオン「そう言われると、オーグ達が強いって納得出来るわ・・・」

 

タクト「最早学者レベルな結論だ。」

 

しかし、黙っていたエリザベートが口を開いた。

 

エリザベート「いえ!やっぱりそれは可笑しいですわ!色々と矛盾してますわよシンさん!」

 

シン「へ!?」

 

タクト「ど、どうしたエリザベート?矛盾って何のだ?」

 

エリザベート「だってそうじゃありません事?詠唱をしたら全ての魔法効果が向上するのであれば・・・結局世代問わず詠唱をした方がお得じゃありませんか!」

 

タクト・シン「お得・・・」

 

エリザベート「それこそシンさんの言う『練達した魔力制御を行える者』が詠唱を組み合わせたら・・・とんでもない事になるのではなくて?だけどシンさん達は相変わらず無詠唱で魔法を使用している訳でしょう!?コレは矛盾していますわ!!」

 

アウグスト「・・・エリーにしては中々考えたな・・・」

 

エリザベート「()()()()って何ですの!?人を馬鹿みたいな・・・」

 

タクト「シン、エリザベートの発言にどう思うんだ?」

 

シン「うーん・・・」

 

少し考えてから立ち上がった。

 

シン「半分正解・・・って感じかな?」

 

エリザベート「どう言う事ですの!?」

 

シン「詠唱を加える事で今以上に魔法の威力が上がるのは・・・確かだと思う。ただ、コレには少し不安要素・・・と言うかリスクが付き纏って来るんだ。例えば、戦闘においては使おうとする魔法が相手に悟られやすくなってしまう。それに、言葉に出す事によって、イメージの途中修正が出来なくなってしまうんだ。」

 

シシリー「治癒魔法にも言える事ですよね。治療中、予想外の怪我は見付かった時なんかは・・・無詠唱でないと咄嗟に対応出来ないと思います・・・」

 

マーリン「詰まる所、魔法自体の出力は上がるが・・・」

 

メリダ「応用は利かなくなる・・・と言う事だね。」

 

エリザベート「むぅ・・・成る程・・・」

 

アウグスト「だけどシン・・・お前、今度の戦いで詠唱も利用する気だろ?」

 

シン「!?」

 

アウグスト「さもなければこのタイミングでそれについて悩む必要などないからな。違うか。」

 

タクト(オーグは鋭いな。)

 

シン「ま・・・まあ・・・ね。(ど・・・どうしても気が進まない検証事項その1がこの『言霊による詠唱』だ・・・今まで一切やらなかった詠唱をいきなり戦闘中行うとか・・・小っ恥ずかしくて出来る気が・・・)」

 

アウグスト「お前自身が戦闘には不向きだと言ったのにどうする気だ?詠唱で魔法の内容がバレて対処されては元も子もないんだろ?」

 

シン「・・・例えば・・・だけど、詠唱しても()()()()()()()()()()()()()()()()対処のしようがない・・・と思わないか?」

 

タクト「・・・」

 

アウグスト「どう言う意味だそれは・・・」

 

今シンが言えるのはこれが限界。これ以上はアウグストやメリダ達の前では話せない事である。それが、彼の気が進まない検証事項の2つ目だった。

 

シシリー「・・・・・」

 

メリダ「・・・まあ兎も角、アンタなりに色々と考えてはいるんだろうけど、危ない事だけはしないでおくれよ。魔人との決戦は大変な事だけど、それで全てが終わりって訳じゃない。アンタにはその後も、守るべきものや守るべき人が居るって事だけは忘れるんじゃないよ。」

 

シン「・・・うん。それは分かってる。」

 

アウグスト「世界を滅ぼすような魔法だけは使ってくれるなよ。」

 

シン「・・・・・・それも分かってるっつーの!!」

 

タクト「おい何か変な間が入ったぞ。」

 

フェオン「使っちゃうフラグでも立ったんじゃないの?」

 

シン「そんな訳ねーよ!!信じてくれよ!!」

 

 

 

 

 

 

次の日の朝。アールスハイド高等魔法学院・Sクラス。

 

アリス「ほえぇ!詠唱ってそんな効果があったんだ!?」

 

トール「魔力は心に反応する・・・魔法に一番大事なのはイメージだと昔から言われているのに気が付かなかったなんて・・・」

 

リン「先生も知らなかった?」

 

アルフレッド「あのな、俺以前に魔法学術院のお偉方が引っくり返って驚くレベルの事実だぞ、それ。」

 

レベッカ「また新たな発見が出た訳ですね。」

 

アリス「・・・・・」

 

シン「ん?ど・・・どうしたアリス。急に真剣に考え込んで・・・」

 

アリス「ちょっと黙っててシン君。魔力が・・・自分の心に反応する・・・自分の思い通りになる・・・それってつまり・・・」

 

シン(・・・!アリスのこの反応・・・ひょっとして・・・アリスも俺と同じように言霊を戦闘に応用する術を思い付いて・・・!?)

 

アリス「今まで試した事もなかったけど・・・それを採用すれば・・・まさか・・・まさか・・・!!」

 

彼女が突然魔力を集め始めた。

 

シン「!?」

 

タクト「おいアリス!!急に魔力を集めて何しようとしてんだ!?」

 

マリア「ちょっと教室よここ!?」

 

アリス(”言葉”に”魔力”を込める・・・)

 

息を吸って、言霊を呟く。

 

アリス「我は求める。」

 

シン(これは・・・!)

 

アリス「我が身と、我が心。その全てを満たすべく。甘美にして、甘味なる。その神々しきまでの威容を我が前に示し給え!超幸福的甘味顕現魔法(スイーーーーーーーツ)!!!」

 

言霊を使ってスイーツを具現化しようとしたが、魔力が霧散してしまった。

 

アリス「・・・!?魔力が・・・霧散した!?そんな・・・!?バカな・・・!ケーキは・・・!?アップルパイは何処に・・・!?・・・はれ?」

 

後ろを見ると、皆がガクッとなってる。

 

マリア「や・・・やっぱり何時ものアリスだわ・・・」

 

トール「ちょっと真面目に何するか気になったんですけど・・・」

 

ユリウス「心と言うか、欲を口にしただけで御座る・・・」

 

リン「・・・アリス。流石に今のは恥ずかしい。」

 

アリス「・・・!!」

 

失敗及び羞恥をしてしまった事を理解したアリスが崩れてしまった。

 

シン「・・・・・・」

 

アリス「!!!」

 

怒りの矛先はシンに向けられた。

 

アリス「シン君の嘘吐き!!こんなに心から欲してるのにケーキ出て来ないじゃん!!」

 

シン「アホかーーーっ!!!出るかんなモン!!」

 

アリス「魔力が心の中を再現するなら、何が出来ても可笑しくないじゃん!!」

 

シン「そこまで複雑な物体まで具現化出来たら最早何でもアリだろーが!!いいか!?魔力とは恐らく世界の大気中に充満する精神感応性の高い物質なんだ!!その物質が心に反応してイメージした結果に合わせてその『質』を変容させるってのが俺の仮説なんだ!!つまり変容するのは『質』だけで物体のような様々な要素が絡まり合って構成されたものは質だけ変えようが具現化は不可能って事だ!!分かったか!!」

 

アリス「・・・分かるかーーーーー!!!」

 

シン「逆ギレすなっ!!!」

 

マリア「いやアリスは兎も角、今のシンの説明は普通に理解不能だわ。」

 

トール「いや凄いんですよシン殿は・・・ただ何と言うか・・・我々凡人の二歩三歩先を行き過ぎて逆に何が凄いのかよく分からないんですよ。」

 

タクト(まぁこれが現代人とこの異世界人の見解の相違だがな。)

 

シン・アリス「はぁ・・・はぁ・・・」

 

タクト「あれ?なぁアリス。」

 

アリス「何?タクト君。」

 

タクト「さっきのお前の詠唱だけど、あれお前が考えたのか?それとも誰かのを参考にしたのか?」

 

アリス「え?自分で考えたよ?」

 

タクト「あの一瞬で?」

 

アリス「そう。まあ正直な所、今までも詠唱内容なんて適当だったからねぇ。」

 

マリア「あはは。実は私もー。中等部2年性が考えそうな痛〜い詠唱もよくやってたわ当時。」

 

シン(詠唱は適当でもいい・・・そんな曖昧な認識でも発動はするのか・・・待てよ・・・そうか・・・コレってひょっとして・・・懸念していた事が1つ解決するかも・・・!!)

 

マリア「ああ・・・このパターン・・・また何かシンが・・・」

 

トール「思い付いたんですね。」

 

アリス「だね。」

 

シシリー「・・・」

 

アウグスト「シンはシンで何か考えがあるようだが、それはまあ良い。問題は()()の方だ。何せ先日のシュトローム直属の魔人との戦い・・・シンとタクト以外は誰も魔人を撃退出来ていないんだからな・・・分かっているとは思うが・・・このまま決戦に臨めば、少なくともシンとタクト以外のメンバーは生きて戻る事すら難しいだろう。各々が個別に戦えるだけの手段が必要だ。むろん、既にその準備に入っている者も居るだろうし。」

 

 

 

 

トニーとマナミアとフェオン達はジェレミーとデリックとローランドの3人と模擬戦をしている。

 

ユーリはビーン工房で魔道具を見ている。

 

 

 

 

アウグスト「逆に、戦いを望まない者に出撃を強制するつもりもない。」

 

 

 

 

マークとオリビアは、草原に居る。

 

 

 

 

アウグスト「だが忘れてはならないのは、この決戦は今までと同じではない。我々が退けられればその瞬間、人類は終わると言う事だ。皆、改めて覚悟を決めて欲しい。人類存続の為、我々に許された選択肢は、『救済』と『勝利』だけだ。」

 

 

 

 

 

 

魔人との決戦まで残り10日となった。

 

マーリン「さて・・・と。ここまで来ては流石に我々も。」

 

メリダ「茶を啜ってる場合じゃないかもねぇ。」

 

リチャード「覚悟を決めなくてはならないな。」

 

レイチェル「この戦いは容易ではなさそうですね。」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平

アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
トニー=フレイド:小林千晃
レベッカ=ホーク:有村蓮
マナミア=ラドクリフ:前川涼子

フェオン:内山夕実
エミリー:大橋彩香

アズマ:榎木淳弥
シイナ:内田彩
ナナセ:白石晴香

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
リチャード=ラドクリフ:堀内賢雄
レイチェル=ラドクリフ:白鳥由里
モニカ=ラドクリフ:佐藤聡美
クリスティーナ=ヘイデン:古賀葵
ドミニク=ガストール:小山剛志
ミランダ=ウォーレス:吉七味。
エリザベート=フォン=コーラル:南雲希美
アルフレッド=マーカス:駒田航

ヒイロ=カートゥーン:櫻井トオル





次回予告

魔人との決戦まで、残り10日が過ぎた。タクト達は各々の覚悟を決めて決戦に備え始める。そして、禁断の魔法を見出したシンは。

次回ウルトラマンティガ

馳せる思い

お楽しみに


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第44話「馳せる思い」

馳せる思い
オリバー=シュトローム、ミリア、ゼスト 登場



魔人達との決戦を10日に控えたアールスハイド王国。

 

 

 

 

アールスハイド王城・作戦会議室。

 

トール「ほ・・・本気ですか殿下!?」

 

ユリウス「そのような戦術・・・シン殿以外の人間に出来るとは到底思えんで御座るが・・・」

 

アウグスト「そう思って事前にシンに話を聞いておいた。・・・と言うか、試してみたら出来た。」

 

トール・ユリウス「ええっ!?」

 

アウグスト「無論相当苦労したがな。」

 

トール「さ・・・流石は天才魔法使い・・・」

 

ユリウス「シン殿が居なければ、殿下も十分怪物で御座る。」

 

アウグスト「ただ・・・コツを掴めただけで、実戦で使用するにはまだ心許ない。お前達には悪いが、残りの数日間修業に付き合って欲しい。」

 

トール「・・・はあ。それは構いませんが・・・」

 

アウグスト「所でお前達は?やはりペアで動くのか?」

 

トール「はい。そのつもりです。」

 

アウグスト「・・・そうだな。お前達2人の場合、お互いの短所を補いつつ、相手の長所を活かす戦い方が出来る。分かりやすい柔と剛。それがベストかも知れんな。」

 

トール「ただ、その上で殿下が仰ったように。個々で戦えるだけの戦力アップが必要とは思いますけどね。」

 

ユリウス「2対1でこちらが勝つのは当然・・・例え2対3だろうと2対5だろうと勝つ事が出来ねば、生き残る事は難しいで御座るからな。」

 

アウグスト「集団戦・・・か。戦闘開始後、しばらくは各自がそれを強いられる事に違いないな・・・何せ魔人の数はこちらの倍以上は居るだろうからな。」

 

トール「・・・実は殿下・・・集団戦に特化した戦術・・・自分に1つ考えがあるんです。」

 

アウグスト「?」

 

トール「ただ、その為にはシン殿が嘗て我々に見せた魔法のうち1つだけ・・・どうしても自分も会得しなければいけないものがありましてね。」

 

アウグスト「・・・どうやらお前達も色々と考えてはいるようだな。」

 

トール「・・・当然ですよ。」

 

彼は、以前戦った魔人リオネルから頭が離れなかった。

 

トール「こっちは命懸けで戦ったって言うのに、顔すら覚えられていないなんてやはり侮辱ですから。」

 

ユリウス「今度は嫌でも忘れられんようにしてやるで御座る・・・!!」

 

トール「ええ!」

 

アウグスト「・・・」

 

頼もしい側近に、アウグストが優しい笑顔を見せた。

 

 

 

 

 

 

森の中。

 

デリック「ハァッ!!」

 

ラスティー「クッ!!」

 

ジェレミー「ドルァ!!」

 

ローランド「ガァウ!!」

 

ケイティ「ウアッ!!」

 

リオ・デイジー「アアッ!!」

 

魔喰人に覚醒したジェレミーと、魔物化したローランドと、魔人化したデリックが、リオ達と模擬戦をしていた。

 

デリック「ラスティー。中々良い動きだ。」

 

ラスティー「ありがとう。」

 

ジェレミー「リオ。デイジー。前より腕を上げたみたいだな。」

 

リオ「ありがとう。でもまだまだだよ。」

 

ローランド「ケイティさん。相変わらず煽ってきますね。」

 

ケイティ「それが私の得意技だからね。」

 

ジェレミー「魔人共(奴ら)との決戦は近い。今俺達が魔人と同じ力を持ってる。」

 

デリック「俺達を本当の魔人だと思って、殺しに来い。」

 

デイジー「ええ。この世界を彼奴らに渡すわけにはいかない!」

 

リオ「ジェレミー。もう1度お願い!」

 

ラスティー「デリック!本気で行くよ!」

 

ジェレミー「よし、来い!!」

 

デリック「見せてくれ、お前達の力を!!」

 

 

 

 

模擬戦を見物してるナージャとレオナ。

 

ナージャ「・・・」

 

レオナ「シュトロームが心配?」

 

ナージャ「今は兄さんじゃないけど・・・必ず元の兄さんに戻してみせる。それでもダメだったら、本気で駆逐する。」

 

レオナ「兄思いの良い妹ね。」

 

ナージャ「レオナは、デリックを信頼しているの?」

 

レオナ「デリックは私を助けてくれた恩人。私はデリックが行く道を一緒に付いていく。ただそれだけよ。」

 

ナージャ「・・・」

 

 

 

 

 

 

フレイド家では。トニーは、父と剣術の稽古に励んでいた。

 

トニー「ふっ・・・はっ!」

 

トニーの父「はぁっ!!」

 

トニー「はぁ・・・はっ・・・やっぱり剣に関しては、騎士団でも活躍してた父さんに稽古付けて貰うのが一番だなぁ。」

 

トニーの父「・・・トニー・・・お前の力になれるのなら協力は惜しまんが、何故今になって剣を?」

 

トニー「・・・何より相手の強さがこれまでの比じゃない・・・って言うのが一番の理由だけど、何て言うか・・・ようやく自分の戦いのスタイルって言うのが見えてきた気がしてさ。」

 

トニーの父「・・・剣と魔法の併用・・・ではないのか?」

 

トニー「んー・・・それはどっちかと言うと全能(オールラウンダー)であるシンのスタイルなんだよね・・・自分の勝手で魔法学院選んどいて言うのも何だけどさ・・・やっぱり違うんだよ、僕の場合・・・幼い頃から身体に叩き込まれてきたのはあくまでも『剣』。『魔法』はほんの少し才能があっただけ。僕の中で『剣』と『魔法』は五分じゃないんだって・・・僕にとっての”武器”はあくまで剣。魔法はそれを活かす為の手段に過ぎない。」

 

トニーの父「・・・ふぅ・・・高等魔法学院に入る前にその言葉を聞ければ、私も母さんも入学を反対したりしなかったかもな・・・それがお前にとっての騎士道であるなら、最早何も言うまい。お前の信じる道を進め。恐らく、それが強さの極みへ続くただ1つの近道だ。剣に関してはウォルフォード君にだって負けはしない。それ程の存在(おとこ)になってみせろ!トニー!」

 

トニー「・・・うん・・・!!」

 

トニーの父「さあもう1本!!来い!!」

 

トニー「はい!!」

 

再び稽古を始めた。

 

 

 

 

2人の稽古を、リリアがトニーの母の部屋から見ていた。

 

リリア「い・・・今でもあ・・・あんな無茶苦茶な稽古してきたんですか・・・?トニー君・・・」

 

トニーの母「・・・そうよ。高等魔法学院に入るまでの10数年間。1日足りとも欠かさずにね。」

 

リリア「・・・・」

 

トニーの母「最愛の夫と息子が、自らの信念の為に凌ぎを削り合い成長していく。そんな様子を傍らで見ていられるなんて・・・妻として至上の幸福だと思わない?リリアちゃん。あなたもいつかそれを実感する日が来るわ。」

 

リリア「はい・・・えぇ!?」

 

トニーの母「見てよ。トニーのあの真剣な顔。普段はあんなにヘラヘラしてるのに・・・」

 

真剣な顔で稽古に励むトニーの顔を見て、リリアがキュンとなった。

 

トニーの母「あっ。今格好良いって思ったでしょ?」

 

リリア「う”っ・・・!!(あれ・・・?)」

 

稽古を見ていたリリアが、トニーの動きに違和感を感じた。

 

トニーの母「・・・気付いた?」

 

リリア「・・・は・・・はい・・・あ・・・あの・・・トニー君・・・何でわざわざ()()()()してるんですか?」

 

 

 

 

 

 

衛士隊舎。衛士隊が模擬戦をしていた。

 

シイナ・ナナセ・セイラ「はぁ・・・はぁ・・・」

 

カオル・マモル・タカオ「はぁ・・・はぁ・・・」

 

アズマ「よし、休憩だ。」

 

シイナ「隊長・・・今回ばかりはキツイですね・・・」

 

カオル「流石アズマ。本気になると容赦ないなぁ。」

 

アズマ「いや、あれはほんの一部だ。」

 

タカオ「アズマ隊長の力は、アールスハイドを守る為ですかね?」

 

アズマ「それもあるが、俺が一番守りたいのは・・・」

 

ナナセ「マリアですよね?」

 

アズマ「・・・」

 

セイラ「本当、あの告白以来ずっとマリアの事を思ってますもんね。」

 

マモル「まさに、マリアさんの将来の旦那様ですね。」

 

アズマ「俺がこの剣を振るうのは、俺達を救ってくれたタクト達やこのアールスハイド王国。そして、マリアの今と未来を守る為。例え自分の身体が朽ち果てようとも、愛する者達の為に戦い続ける。それが俺の使命だ。」

 

カオル「・・・だったらアズマ。その使命、僕達にも背負わせてよ。」

 

シイナ「隊長ばかりなんてズルいですからね。」

 

タカオ「隊長の命令なら、何でも従いますよ。」

 

アズマ「お前達・・・よし。休憩終わりだ。行くぞ!」

 

タカオ「ええ!?早くないですか!?」

 

アズマ「ん〜?俺の命令なら何でも従いますって言ったよな?タカオ。」

 

タカオ「鬼ですね・・・」

 

 

 

 

 

 

ビーン工房。

 

スタッフA「こんなもんでいいかい?ユーリちゃん。」

 

丹精込めて作った魔法の杖の数々。

 

ユーリ「やぁんありがとぉ!これだけあれば充分ですぅ!わぁ!このデザイン可愛い!あっ、こっちはすっごく使い心地良さそう!」

 

スタッフB「それ!俺がデザインしたんだ!」

 

スタッフC「ユ・・・ユーリちゃんこっちはどぉ?」

 

ハロルド「鼻の下伸ばしてねェで氏頃しろてめェら。」

 

スタッフA「いいじゃないスか親方ぁ。ムサ苦しい工場に突如湧き上がった癒しと潤いの泉・・・」

 

スタッフB「ちょっと位堪能したって。」

 

ハロルド「けっ。」

 

モーガン「親方。彼女の使うホルスターの試作・・・こんなモンでどうですか?」

 

ビーン工房で働いている青年モーガンが、ユーリの使うホルスターの試作をハロルドに見せた。

 

ハロルド「・・・ん。良いんじゃねェか。お前から彼女にも見せてやれよモーガン。」

 

モーガン「え!?お・・・俺がスか?」

 

他のスタッフ達に囲まれるユーリに近付く。

 

モーガン「あ・・・あの・・・ユーリちゃん・・・コレ・・・」

 

スタッフA「お!何だモーガン、ホルスター出来たのか!どれ貸してみろよ!」

 

スタッフB「ユーリちゃん!ホルスターの方も出来たってよ!」

 

ユーリ「えぇ本当ぉ!?見せて見せてぇ!」

 

スタッフB「ホラこれだってよ。」

 

ユーリ「わぁ!」

 

自分からユーリに渡すつもりが、先輩スタッフに貸されてしまって落ち込んだ。

 

ユーリ「後は(コレ)全部に魔法を付与してぇ、何処かで試射もしときたいなぁ!」

 

スタッフD「だったらウチの実験場使いなよ!」

 

ユーリ「え?良いのぉ?」

 

スタッフE「普段から世話になってるユーリちゃんなら何のエンリョもいらねぇよ!」

 

ユーリ「・・・それならコレ持って今から移動しよっかなぁ?」

 

スタッフA「お・・・俺案内するよ。」

 

スタッフB「つ・・・杖持つの手伝うぜユーリちゃん!!」

 

他のスタッフ達がユーリに着いて行く中、モーガンは工房に残る。

 

ユーリ「・・・あ!モーガンさぁん!ホルスターありがとぉ♡とっても格好良いよぉコレ!」

 

ホルスターを作ってくれたモーガンにお礼を言ってあげた。

 

モーガン「・・・・」

 

ハロルド「・・・不器用だなお前さんも。」

 

モーガン「え!?・・・ホルスター・・・まずかったスか!?」

 

ハロルド「そっちの意味じゃねェよバカ。嬢ちゃんが気になるなら休憩がてら付いてきゃ良いじゃねーか。」

 

モーガン「え・・・?気になる?別にそう言う訳では・・・」

 

ハロルド「ん?何だ違うのか?」

 

モーガン「何と言うか・・・純粋に・・・スゲーなあって思って・・・俺達より年下の・・・それも女の子が・・・世界の為にあんなにも前向きになって戦えるって・・・心から尊敬しちまいますよ。スゲーっす彼女・・・」

 

彼女に対するモーガンの思いを聞いて、ハロルドは笑った。

 

ユーリ「よぉ〜し!やるぞぉ〜〜〜!!」

 

 

 

 

 

 

一方、ジュリアンとジネブラは。リオ達が居る森の丘の上に居た。

 

ジネブラ「ねぇ。ベルゼはどうするの?」

 

ジュリアン「・・・」

 

ジネブラ「彼女を倒すか助けるか。あなたが決めなさい。」

 

ジュリアン「うん。今の彼女は魔人そのもの。おまけにスパークレンスをコピーして新しい力を持ってる。助けれるのは難しい。」

 

ジネブラ「なら、倒すしかないって事?」

 

ジュリアン「いや、きっと彼女を助けれる方法が見付かるかも。それまでは・・・」

 

ジネブラ「・・・なら、そうしなさい。」

 

 

 

 

 

 

同じ頃。リンの自宅では。

 

アリス「魔人と個々に戦える対抗策・・・か。そもそも私作戦とか立てて挑むタイプじゃないしなぁ。」

 

リン「・・・まあ、柵に頼るしかないのは仕方無い。決戦までの期日が短過ぎる。」

 

アリス「まあ・・・確かにねぇ。付け焼き刃の魔法が通じる相手でもないしなぁ。短期間でパワーアップ出来るような都合良い話なんて・・・」

 

2人が何か対策案を考える。

 

アリス・リン「・・・ッ!!」

 

リン「ある・・・!!たった1つだけ・・・私達だけに出来る()()の方法が・・・!!」

 

アリス「そうじゃん・・・!!私達には()()があるよ・・・!!」

 

異空間収納から取り出したのは、キューティースリーの時に使う衣装とヘルメットだった。

 

アリス「キューティースリー・・・!!」

 

リン「()()()じゃない。流石に決戦にメイ姫様は呼べない。」

 

アリス「あっそか!・・・じゃ、名前どうする?」

 

リン「私達2人でやるとしたら・・・えっと・・・期間限定出動!『キューティーツイン』で行く・・・!!」

 

アリス「キューティーツイン!!良いねそれ・・・!!」

 

リン「フッ・・・これで私達のパワーアップは間違いない・・・!!」

 

アリス・リン(・・・あれ・・・?パワー・・・アップ・・・するか??これ・・・)

 

リン「ッ!アリス。頭のパーツに付いてる例の機能・・・まだ戦闘で試した事なかった。」

 

アリス「あー!!あのシン君が付けてくれた奴!アレ意外と使えるんじゃないの!?えーと・・・何つったっけ・・・」

 

アリス・リン(何つったっけ・・・)

 

シンが付けてくれた機能を思い出せない。

 

アリス「ほ・・・本番までに何とか思い出そうよ!名前分からない機能使うの何かモヤモヤする!」

 

リン「ウォルフォード君に訊けば早い。もしくはクリスティ君。」

 

アリス「や・・・やだよ!今更そんな事訊くの恥ずかしいじゃん!!」

 

 

 

 

 

 

その頃、ホーク家では。フェオン達が招待されてティータイムを戴いている。

 

レア「まさかレベッカの両親と対面するとはな。」

 

エルヴィン「初めましてだね。皆さん。娘がお世話になっております。レベッカの父で、宮廷魔法師団のエルヴィン=ホークだ。」

 

シェリー「シェリー=ホークよ。夫と同じ宮廷魔法師団に所属しているわ。宜しくね。」

 

アンナ「宜しくお願いします。」

 

レベッカ「そして、私の婚約者のライナーです。」

 

ライナー「初めまして。ライナー=アディソンです。」

 

レベッカの婚約者のライナー=アディソン。

 

レア「レベッカの彼氏って確か、騎士学院に通ってるって言ってたな。」

 

レベッカ「はい。ライナーとは幼馴染みで、一緒に住んでいるんです。」

 

エミリー「ほお?もう同棲生活か。」

 

エルヴィン「いや、違うんだ。ライナー君の両親は、2人が初等学院の時に魔物に襲われて亡くなってしまってね。」

 

ヒナ「では、エルヴィンさんがライナーさんを引き取ったんですか?」

 

エルヴィン「そうだ。」

 

イザベラ「ライナーさん。苦労されていたんですね。」

 

ライナー「ええ。でも、お父さんとお母さんには感謝しているんです。僕を生んでくれた事と、僕を初等学院まで育ててくれた事に。」

 

フェオン「ご両親思いね。天国で喜んでくれてるわ。」

 

ライナー「ありがとうございます。それで、タクトさんは?」

 

ヒナ「タクトさんなら、シンさんと特訓に行っています。」

 

ライナー「そうですか。」

 

イザベラ「それでレベッカさん。私達を招待した理由は何ですか?」

 

レベッカ「はい。私は勿論ライナーも魔人達との決戦に向かうんです。それで、私達を鍛えてくれませんか?」

 

フェオン「ええ。勿論特訓に付き合ってあげるわ。」

 

エミリー「婚約者同士だもんな。強くなれるまで特訓に付き合ってやろう。」

 

ライナー「ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

 

そして、王都を歩くカルマとルブラ。

 

カルマ「魔人との決戦まで短いな。」

 

ルブラ「どうする?俺達も戦いに行くか?」

 

カルマ「当たり前だ。そうでもしないと、シュトルツにどんな顔を見せればいいか。マチ達はどうするんだろうな。」

 

ルブラ「彼女達も戦いに行くらしいぞ。」

 

カルマ「そうなのか?」

 

ルブラ「練兵場を借りて、ヴァーテルと模擬戦してるってミカが言ってた。」

 

カルマ「彼奴らも本気だな。だったら俺達も、ヴァーテルに特訓を付き合って貰おう。」

 

ルブラ「だな。お?」

 

石橋に立ってるマークとオリビアを発見した。

 

 

 

 

 

 

石橋。

 

カルマ「ようご両人。」

 

ルブラ「相変わらずデートですかな?」

 

マーク「あ!カルマさんルブラさん!」

 

オリビア「・・・・」

 

カルマ「って、デートって雰囲気じゃなさそうだな。どうしたんだ?」

 

マーク「実は・・・」

 

彼から衝撃の言葉を聞かされた。

 

カルマ「は?オリビア本気なのか・・・?」

 

ルブラ「アルティメット・マジシャンズを辞めるなんて・・・?」

 

何とオリビアは、アルティメット・マジシャンズを抜けると言うのだ。

 

オリビア「・・・マーク。こないだの・・・魔人領での戦いで・・・分かっちゃったんだ。私ね、何も出来ないんだよ。攻撃魔法に特化してる訳じゃない。治癒魔法が得意って言う訳でもないし、付与技術が人より優れている訳でもない。ウォルフォード君に魔法を教えて貰って、マークと一緒に・・・私にも人の為に出来る事があるかも・・・って。私に頑張ってきたけど・・・ここから先、私に出来る事は・・・多分もうない。皆の足を引っ張るだけだよ。メンバーの皆に、きっと迷惑掛けちゃう。私は、”英雄”なんて呼ばれるような人間じゃない。」

 

マーク(オリビア・・・)

 

彼女の真意を聞いて、マークは。

 

マーク「迷惑・・・うーん、迷惑かぁ・・・それだったら俺の方がよっぽど皆に迷惑掛けたけどな。だって俺、あの蜘蛛の災害級に捕まってしまったけど、ウォルフォード君とクリスティ君が助けてくれた。人より優れた才能なんて、俺だって持ってねーし。」

 

オリビア「・・・大丈夫だよマークなら。誰より頑張り屋さんだから。」

 

マーク「何だそれ?俺はガキか?」

 

オリビア「ふふ。」

 

マーク「・・・ま、俺としては、お前がそう言うなら反対はしないよ。戦場より安全な場所に居てくれた方がやっぱり安心だし、お前が魔人に酷い事されるなんて想像したくもねーもんな。」

 

オリビア「それを言うなら私だって・・・」

 

マーク「?」

 

オリビア(・・・・)

 

戦いに参加しない。それは、マークが皆の命が危ないかも知れない時に、オリビアだけ安全な場所に居ると言う事。だが、もしまたマークや皆があんな目に遭いそうになった時、オリビアはただマークや仲間達の無事を祈るだけ。あの時僅かに届かなかった手は・・・そんな場所に居たら、今度こそ絶対に届かない。オリビアは、その思いに葛藤していた。

 

オリビア「・・・・」

 

マーク「お前が何も出来ないなんて・・・俺は思った事ないけどな。戦いって・・・相手を負かすだけが全てじゃないし。俺はあると思うぜ。オリビアにも・・・誰にも負けない才能が。」

 

オリビア「マーク・・・わ・・・分からないよ私・・・自分に一体何が出来るかなんて・・・」

 

マーク「俺は単純だからさ。いちいち自分がそこに居るべき理由なんて考えた事ねーや。でも・・・ほんの少しだけでも、もし仲間が自分を必要としてくれたんなら・・・俺はそこに居ても良いのかもって思えるんだよな。自分の居場所は自分で決めれば良いさ。ただ俺は、お前が傍に居てくれると心強いけどな。」

 

オリビア「・・・・・」

 

何が出来るか出来ないは関係ない。例え何も出来ないとしても、この手の届かない所で、大事な人達が傷付くのを、ただ案じて待つか。それとも・・・すぐ傍で共に傷付きながら進むのかのどちらかだ。

 

オリビア「どうしようマーク・・・私・・・出来そうにない・・・皆の戦いを・・・ただ遠くから見守るだけなんて・・・」

 

不安になるオリビアの手を、マークが強く握った。

 

マークが「それはつまり・・・お前だってアルティメット・マジシャンズの一員って事だろ?オリビア!」

 

オリビア「・・・うん!探さなきゃ・・・私・・・残り時間がわずかでも・・・自分自身に出来る事・・・!!」

 

マーク「ああ!見付けられるさ!必ず!」

 

ルブラ「何か俺達、完全空気だったな。」

 

カルマ「良いんだよそれで。2人には2人の決意があるんだし。って、デートの邪魔して悪かったな。またなお2人さん。」

 

マーク「カルマさん。ルブラさん。オリビアの悩みを聞いてくれてありがとうございました。」

 

オリビア「私、頑張ってみます!」

 

カルマ「ああ。オリビア、頑張れよ。マークもな。」

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王国・王都付近の森。

 

ミランダ「はぁ・・・はぁ・・・」

 

ミッシェル「どうしたミランダ?お前の意気込みはその程度か?その程度じゃ、マナミア様には及ばないぞ。」

 

ミランダ「・・・まだです師匠・・・!!私はまだ・・・やれます・・・!!はあっ!!」

 

ミッシェル「うむっ!」

 

ミランダがミッシェルと激しい特訓をしている。

 

マナミア「激しい戦いですね。ミランダの成長に期待出来そうです。」

 

マリア(・・・修行を始めて既に3時間・・・気軽に見に行きますなんてマナミア様に言うんじゃなかった・・・)

 

傍らでマリアとマナミアが特訓を見物している。

 

 

 

 

 

 

とある場所。

 

タクト「シン。詠唱は言霊と同じで、言葉に魔力が込もるって前に話してたよな。」

 

シン「ああ。」

 

タクト「そこで閃いたんだ。攻撃だけでなく、ある魔法が使えるんじゃないのかって。」

 

シン「ある魔法?」

 

タクト「それはだな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

再びアールスハイド王国・王都付近の森。

 

ミッシェル「ホラどうしたぁ!!その程度で魔人に対抗出来るのかぁ!?呼吸を乱すな!相手の全てから集中を切らすな!!」

 

凄まじい剣技にミランダが圧倒されてる。

 

ミッシェル「視線の動きだけではない!重心の移動!筋肉の隆起!骨の軋み!指先一本に至るまで全て見極めろ!!それが行えれば魔人など恐るるに足りん!!」

 

ミランダ「あっ・・・ぐ!!」

 

ミッシェル「10分休憩!!」

 

ミランダ「あ・・・ありがとうございました!!」

 

10分の休憩に入った。

 

マリア(剣聖ミッシェル様・・・ぶっちゃけ魔人より恐ろしい・・・)

 

マナミア「ミランダ。平気なのですか?」

 

ミランダ「平気?何がですか?寧ろこの湧き上がる充実感・・・!!自分の高みへと導いてくれるこの瞬間瞬間に感謝しかありませんよ!!」

 

マリア(そー言やこのコ、こうだった。)

 

マナミア「満足しているようで何よりです・・・」

 

マリア「正直どうなのよ?ミッシェル様って。魔人より強かったりするんじゃないの?」

 

ミランダ「そりゃ、勿論よ。嘗ては賢者様や導師様、大司祭様に天士様と肩を並べた実力者だよ。戦争での活躍だって凄かったらしいわ。ですよねマナミア様?」

 

マナミア「はい。お祖父様とお祖母様からそう教えられました。」

 

マリア「・・・何か恐ろしい異名があるって聞いた事あるような・・・」

 

ミランダ「・・・ああ・・・()()ね。」

 

マリア「・・・にしても・・・ミランダ。アンタも・・・随分やるようになったわよねぇ・・・」

 

座り込んでるミランダの後ろには、真っ二つにされた巨大トラの災害級が横たわっていた。

 

マリア「準備運動で()()だもんね。」

 

ミランダ「・・・まだまだだよ。」

 

マリア(元々の戦闘スキルは決して高い物じゃなかった・・・だけど、幾度もの実戦を重ね、クリスティーナ様やミッシェル様に鍛え上げられ・・・シンの魔道具を得る事で、確実にミランダは”進化”した。剣士としては恐らく既に・・・マナミア様と同様世界でも屈指のレベル・・・!!・・・私は剣士じゃないから見立ては大凡だけど・・・スイードの時や魔人領の砦に居た平民魔人相手なら・・・今のミランダの敵じゃない。だけど、もし相手がハンター魔人やシュトローム直属の魔人だったら?その剣は敵に届くのか?・・・人の心配してる場合じゃないわね。殿下に言われた魔人対策・・・私だってまだ何も浮かんでないのに・・・残り後1週間足らず・・・一体どうしたら・・・)

 

ミランダ「・・・!・・・ア!!マリア!!!」

 

マリア「うわぁびっくりした!!」

 

ミランダ「何考え込んで突っ立ってんのよ!そこに居られると修行のジャマ!」

 

マリア「あ、ゴメンゴメン。」

 

10分の休憩を終えた時、ミッシェルが何かを思った。

 

ミッシェル「・・・決戦を前に色々と考える所があるようだな。マリア君。」

 

マリア「はっ・・・あ・・・あの・・・はい・・・」

 

ミッシェル「アルティメット・マジシャンズの中でも、君の実力はトップクラスと聞いている。ならばここへ来ての小細工など必要ないと思うがな。」

 

マリア「・・・・・・」

 

ミッシェル「まあ、とは言え、今度乗り込むのは敵の本拠地だ。強張るのも無理はないが。・・・ミランダ。君は決戦時は・・・軍に混ざって帝都周りの災害級を討伐する予定だったか?」

 

ミランダ「はい。ドミニク局長にはそのように言われています。」

 

ミッシェル「ふーむ・・・そうか・・・」

 

マリア・マナミア・ミランダ「?」

 

ミッシェル「・・・決まりだな。ミランダ!君はアルティメット・マジシャンズと共に帝都内に潜入し、マリア君と組んで魔人共を蹴散らして来い!」

 

マナミア「ミランダが、私達と?」

 

ミッシェル「はい!」

 

マリア・ミランダ「・・・・はい!!?」

 

ミッシェル「お互い1人じゃ不安も残るだろうが、そこは剣士と魔法使い!互いの弱点を補い合って挑めば、恐れるものは何もない!」

 

マリア・ミランダ「・・・・・」

 

2人は同時に互いを見る。

 

マリア(考えもしなかったけど・・・自分の背中を・・・このコに預けられるとしたら・・・ムチャクチャ心強いかも・・・!!)

 

ミランダ「で・・・でもドミニク局長には・・・」

 

ミッシェル「気にするな。あんな小童。私が一言言っといてやる。」

 

マリア「小童・・・」

 

マナミア「でしたら、お祖母様とお母様にも言っておきます。ミランダをアルティメット・マジシャンズに加えるように。」

 

ミランダ「マナミア様・・・」

 

ミッシェル「唯一懸念があるとすれば、ミランダに魔人との戦闘経験が乏しい事か。・・・うむ。マリア君。君も今から我々の特訓に参加しなさい。」

 

マリア「へ!?」

 

マナミア「ミッシェル。私も特訓の参加を希望します。」

 

ミッシェル「分かりました。マナミア様。」

 

マリア「マナミア様も!?」

 

ミッシェル「私を仮想『魔人』として、3人で死ぬ気で向かって来ると良い・・・!!」

 

本気モードに覚醒したミッシェル。

 

マリア・ミランダ(・・・魔人より恐えぇ・・・!!)

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王都・ラドクリフ教会。

 

シシリー『癒しを司る、慈悲深き光の神よ。我が”聖女”の御名においてここに願う。その大いなる安らぎの包容と祝福を。粛然たる救いの威光とその加護を、今一時我が前に示し与え給え。』

 

言霊を詠唱し、少女を癒した。

 

神子A「な・・・何・・・と言う・・・」

 

神子B「これまで以上に・・・治癒そのものの御力を増した・・・と言うのでしょうか・・・」

 

シシリー「もう大丈夫です。」

 

神子A「お疲れ様です。聖女様。」

 

少女はシシリーに手を振り、母親と共に家へ帰って行った。

 

リチャード「シシリー。上達したみたいだな。」

 

シシリー「ありがとうございます。リチャード様。」

 

神子A「せ・・・聖女様。後学の為に是非ご教授頂きたいのですが・・・何故詠唱を行う事で魔法そのものに変化が・・・?」

 

シシリー「シン君曰くこれは・・・”言霊”・・・と言う事です。変化が起きたのは、従来のようにイメージ補完として詠唱を行ったのではなく。詠唱自体に魔力を乗せる事で、より現実的に詠唱内容を顕現させた為です。」

 

神子A「へ・・・へぇ・・・」

 

何の事かさっぱり理解出来ない。

 

シシリー「ごめんなさい。全部シン君の受け売りですけどね。」

 

リチャード「やはりシン君は、我々より頭脳がズバ抜けているのか?」

 

シシリー(・・・とは言え・・・実際に”言霊”を使用する事で、ここまでの変化があるなんて・・・)

 

神子A「・・・」

 

シシリー「ん?どうかしましたか?」

 

神子A「・・・いえ。聖女様は常日頃から御謙遜されていましたが・・・詠唱の中に”聖女”の御名があった事に、少し感激してしまいまして・・・」

 

シシリー「・・・今でも自分が”聖女”と呼ばれるような人間だとは思えませんが・・・嘗てのエカテリーナ教皇がそう呼ばれ、御自身の力で今の御立場を得られたように・・・”聖女”の名を継ぐ覚悟を持つ事で、その名が宿す御力を私も借りられたらと思いまして・・・」

 

彼女の言葉に、神子達は感心した。

 

 

 

 

 

 

夜になり、シシリーは仕事を終えた。

 

シシリー「わあ・・・すっかり遅くなっちゃった・・・」

 

リチャード「シシリー。ご苦労だった。帰ってゆっくり休むといい。」

 

シシリー「はいリチャード様。」

 

 

 

 

家路を歩いていると。

 

タクト「ようシシリー。」

 

フェオン「夜遅くご苦労様。」

 

シシリー「タクト君。フェオンさん。お2人はデートですか?」

 

タクト「気分転換にな。シシリーはラドクリフ教会で手伝いか?」

 

シシリー「はい。」

 

フェオン「ねぇタクト。魔人領での決戦までどの位だったっけ?」

 

タクト「後5日だ。それまで皆鍛錬を積んでいる。」

 

シシリー「・・・・」

 

するとシシリーが、異空間収納から無線通信機を出した。

 

タクト「ん?」

 

 

 

 

 

 

一方のシンは、部屋で考え事をしていた。

 

シン(いよいよ時間がなくなって来たな・・・そろそろ例の魔法を試す時か・・・周りへの影響を考えると・・・実験場所は・・・海・・・だな・・・だとすると、ずっと宙に浮いている必要がある・・・浮遊魔法との同時使用・・・か。例の魔法に集中するなら、浮遊用の魔道具を用意した方が良いか・・・)

 

急いで浮遊用の魔道具の開発を始めた。

 

 

 

 

しばらく時間が経過し、マーリンとメリダとアザレアはぐっすり眠った。

 

シン「・・・よし、行くか。」

 

椅子から立ち上がった瞬間。

 

”ジリリリリリ!”

 

シン「っ!?だ、誰だ?こんなタイミングで・・・もしもし?」

 

ビビりながら電話に出た。

 

シシリー『・・・こんな遅くにごめんなさい・・・シン君。』

 

シン「シシリー!?ど・・・どうした!?」

 

シシリー『・・・シン君。何か・・・危ない事をしようとしていませんか?』

 

シン「・・・・・!!な・・・何で急に?」

 

シシリー『・・・少し待っていて下さい。』

 

ゲートが開くと、シシリーが出て来た。

 

シン「・・・シシリー?」

 

すると今度は。タクトとフェオンがテレポートで現れた。

 

タクト「ようシン。」

 

フェオン「あらシシリー。」

 

シン「タクト・・・?フェオンまで・・・?」

 

タクト「いやぁ、さっきシシリーが無線通信機出したから、ひょっとしたらお前に関係ある事かなって思って。」

 

シシリー「・・・ん?」

 

机に置かれてる浮遊用のブーツを見付けた。

 

シシリー「シン君。こんな時間に・・・何処かへ出掛けるつもりだったんですか?」

 

シン「え!?」

 

タクト「・・・これ、浮遊用のブーツか?」

 

シン「あ・・・」

 

シシリー「・・・少し前から気になっていました。シン君、”言霊”の件だけでなく・・・まだ他にも私達に秘密にしている事・・・ありますよね?」

 

シン(・・・・!!)

 

シシリー「・・・・・!」

 

シン(シシリー相手に誤魔化しは通じない・・・か。)

 

彼女の真剣な眼差しに、シンは打ち明けた。

 

シン「・・・ある魔法を・・・試す必要があるんだ。もしオリベイラを救えなかった時の為の、オリベイラを倒す・・・その為だけに使う魔法・・・」

 

フェオン「オリベイラを倒す為に使う魔法?」

 

シン「うん。今まで何体もの魔人と戦って来たけど・・・彼奴は唯一、俺の魔法とティガの力を障壁で防いだんだ。つまり今の段階では俺の魔法は・・・彼奴に通じない可能性がある。」

 

シシリー「・・・・」

 

シン「だから・・・より強力な魔法を考え出したんだ。下手をしたら相手所か、術者の俺も危ない・・・それこそ、この世界に大ダメージを残し兼ねない魔法を。」

 

タクト(世界に大ダメージを与える魔法・・・まさか・・・!)

 

シン「勿論そんな魔法の事を知ったら、オーグや婆ちゃんには止められる。だから・・・誰にも秘密で実験を行おうと思ってたんだ。・・・ゴメン。シシリーにも、タクトやフェオンにも・・・心配させたくなくて・・・」

 

シシリー「・・・シ・・・シン君の馬鹿!!」

 

シン「!?」

 

突然シシリーが怒り出した。

 

シシリー「そんな危ない事を1人でしようとしていたなんて!!もしシン君に何かあったらどうするんですか!!お婆様に言われた事・・・忘れちゃったんですか!?『危ない事はするな』って・・・それって決して・・・『戦いの時に』って言う意味だけじゃなかったはずです・・・!!シン君を失うような事になったら・・・私はどうすれば良いんですか・・・」

 

シン「・・・・」

 

シンは分かっていたつもりだった。守るべき者の為にも、自分を蔑ろにしてはいけない事。だが、誰にも伝えず実験を行おうとしていたと言う事は、心の何処かで彼自身が『失敗などあり得ない』と思っていたと言う事。もし本当に実験で自分に何かあった時、残された世界や残された仲間達がどうなるか、彼は想像していなかった。シンは目先の使命感に囚われ、何処か慢心していた。これまでのように実験は必ず上手く行くと。

 

シン「・・・ごめん・・・ごめんなシシリー・・・俺・・・」

 

シシリー「・・・私も行きます。」

 

シン「え?行くって、まさか・・・実験に?」

 

シシリー「はい。」

 

タクト「シシリーが行くなら、俺も行く。」

 

フェオン「私も行くわ。あなた達2人だけだと心配だから。」

 

シン「2人まで・・・」

 

シシリー「もしもシン君に危険が及びそうになった時は・・・私達が全力で守ります。」

 

タクト「念の為だが、実験の旨は書き残そう。最悪の場合、俺達4人がここに戻らなかった時の為だ。」

 

シシリー「その時は・・・きっと殿下やマリア達やアズマさん達が必ず魔人達を討伐してくれます!そう信じましょう!」

 

彼は驚いた。シシリーはシンよりとっくに決しの覚悟を決めていた。もしあのまま実験に成功してしまっていたら、シンは増長してしまっていたかも知れない。『力に溺れてはならない』と。シシリーに言われた気がしたと。

 

シン「・・・分かった。一緒に行こう。」

 

 

 

 

 

 

実験場所は海。4人が浮遊してる。

 

シシリー(海・・・それもこんな沖まで来て・・・一体どんな魔法を・・・)

 

フェオン(一体何の実験をすると言うの?)

 

タクト(・・・・)

 

シン「・・・まあ色々と大袈裟な事言ったけど、万が一の事態すら起こらないよう細心の注意を払うから。3人は取り敢えず下がって見てて。」

 

3人が距離を取った。確認したシンが魔力を集める。

 

タクト「凄い風圧だ・・・!」

 

そして、小さく言霊を呟いた。魔力が集まり、空に向かって放った。その魔法は巨大なビーム状に一直線に放たれた。

 

シン「は・・・はは。取り敢えずは・・・成功・・・かな?」

 

シシリー「はわ・・・シ・・・シ・・・シン君。そ・・・空・に・・・空に穴が空いてます・・・」

 

空の雲が巨大な円形に割れていた。

 

フェオン「な、なんて凄まじい魔法なの・・・!?」

 

タクト(さっきの言霊とビームと威力・・・まさか・・・核!?)

 

 

 

 

 

 

実験が終わり、4人はシンの部屋に戻った。

 

フェオン「凄い魔法だったわね・・・」

 

タクト「肌がまだ熱い・・・」

 

シン「冷やせば正常になるよ。」

 

冷気能力で熱い肌を冷やす。

 

タクト「俺の心配より、シシリーの心配したらどうだ?」

 

シン「え?」

 

当のシシリーはぽかん・・・となってる。

 

シシリー「あ・・・あ・・・あんなに凄まじい威力だなんて・・・」

 

シン「シ・・・シシリー?大丈夫?」

 

シシリー「こ・・・怖かった・・・です・・・」

 

今度は怯え始めた。シンがシシリーの隣に座って落ち着かせる。

 

シン「ちゃんと魔法の事、説明しとくべきだったな・・・ごめんね?」

 

シシリー「・・・許しません。」

 

シン「・・・え?」

 

タクト(許す気ないっぽい。)

 

シシリー「・・・ギュッ・・・てしてくれたら許してあげます。」

 

シン「っ!・・・ごめん。」

 

優しくシシリーを抱き締めた。

 

シン「・・・もう許してくれる?」

 

シシリー「・・・キスしてくれたら許してあげます。」

 

シン「・・・」

 

そう言われて、シシリーにキスをした。

 

シン「・・・じゃあこれで・・・」

 

シシリー「・・・まだです。」

 

シン「えぇっ!?こ・・・これ以上何を・・・」

 

シシリー「・・・・」

 

シン「あっ!・・・」

 

シシリー「・・・私に言わせないで下さい。」

 

フェオン「前途多難ね。シン。」

 

タクト「あはは・・・(まさかシンが核魔法を使うとは・・・)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブルースフィア帝国・帝城。

 

その女は、今でも時折夢に見る。炎に巻かれる家。原型すら留めぬ家族の姿。その時折の夢を見ているのは、魔人ミリアだった。

 

ミリア「帝国の貧しい家庭に生まれ、平民にありがちな苦しい日々を送りながらも。私はハンターとしての立場を得て、何時しか一線で活躍するようになっていた。離反した魔人の中に、元ハンターの人間が何人か居たでしょ?全員顔見知りよ。勿論、あのデリックもその1人。」

 

ゼスト「・・・・」

 

ミリア「元々の魔法の才のお陰か、組織内で上へ行くのは苦労しなかったわ。ただ、そのせいで目立ち過ぎてしまったのね。貴族に目を付けられて、情婦になるよう誘われたわ。その時の家業じゃ一生掛かっても手に出来ないような大金を積まれてね。」

 

しかし、彼女はそれを断った。当時若かったミリアは、()()()()()()()()()()()()()()()()を分かっていなかった。当然貴族達は、凡ゆる手段でミリアの立場を奪い失墜させようと画策を始めた。ハンターは国の飼い犬も同然。だが、当時、そんな中でも国からの依頼を着実にこなしていたミリアは、ある程度国の上層部からの信頼を得ていた。それが理由で、貴族達も大っぴらにミリアを手を出せずにいた。

 

ミリア「それがいけなかった。奴等の目が私の周辺に向けられる事になってしまったのだから。」

 

彼女には嘗て、愛する両親と妹が居た。

 

ミリア「奴等は何の躊躇いもなく、私の家を焼き払ったわ。私が魔物討伐で家を空けている時を狙って、私の家族が全員家に揃っている時を狙って。私は呪ったわ。自分達のプライドの為に他者の人生を踏み躙る貴族達を・・・そして、あまりに浅はかだった自分自身を・・・『魔法は精神力に大きく左右される』。家族を失って不安定になった私は、途端に仕事の依頼をこなせなくなった。・・・すると、どうなると思う?分かるでしょ・・・あなたなら。」

 

ゼスト「信頼を得ていたはずの国の上層部までもが・・・あっさりとアナタを切り捨てたワケだ。」

 

ミリア「その通り。文字通り私は全てを失った。それこそが、奴等の狙いだった。そうなればもう・・・後は・・・奴等の思うまま。」

 

 

 

 

だが、そんな時ミリアを救おうとある人物が現れた。それが、魔人化したオリベイラ、オリバー=シュトロームだった。彼は業火の魔法でミリアを弄ぶ貴族達を消し炭にした。後に聞いた話だと、その頃はシュトローム自ら帝国貴族の裏側を探っている最中で、偶然にもその暗躍を知ったと言っていた。

 

シュトローム『あなたがミリアさんですか。噂は予々耳にしていますよ。実は私これから・・・この帝国を打倒する為の同志を集めようと考えていましてね。あなたの中に、まだ復讐の炎が灯っているのなら、その為に人である事を捨てる覚悟があるのなら・・・私と共に来てみませんか・・・』

 

これが、ミリアがシュトロームに忠誠を誓う切っ掛けとなった。

 

 

 

 

ミリア「シュトローム様にとっては帝国を滅ぼす為に手駒が必要だっただけかも知れないけど・・・その時の私にとって、その手は唯一縋れるものだった。彼の目的の為に生きる事が・・・私の全てになったわ。その先はあなた達も見てきた通り。何故今シュトローム様が・・・あのような不安定な状態になってしまわれたのか。正確な事は私にも分からないわ。」

 

ゼスト「フム・・・成る程。貴重なお話・・・ありがとうございます。」

 

ミリア「・・・白々しいわね。」

 

ゼスト「え?」

 

ミリア「私の過去を聞きたいなんてただの建前で、実際は何らかの形でシュトローム様にお力添え出来るヒントを得たかっただけでしょう?」

 

ゼスト「いえいえ・・・考え過ぎですよ。」

 

ミリア「・・・もういいかしら?戦いまで日も近い。私は行くわ。」

 

ゼスト「・・・ミリアさん。()()はシュトローム様の手足であり駒。その命を主君の為に捨てる事は当然。・・・だがあなたは違う。数日後の決戦・・・あなたは何があっても生き残るべきだ。この意味・・・分かりますね?」

 

ミリア「・・・・・魔人なのに、あなたは優しいのね・・・ゼスト。」

 

ゼスト「誰よりも主に忠誠心を持っているだけです。当然の事じゃありませんか。何故なら我々にとって彼の方は・・・紛れもなくブルースフィア帝国皇帝なのですから。」

 

 

 

 

その会話を盗み聞きしてる人物が居た。ベルゼだ。

 

ベルゼ(忠誠心ねぇ〜。でもミリアだけ生き残させるなんて、何考えてるんだろうねぇ〜?・・・まぁミリアはシュトロームとある関係を持ってるんだし無理もないか。それよりも、早くこの痣を彼奴から何とかしなきゃいけないし。)

 

脚に広がる痣に少し焦っている。決戦まで残り・・・後3日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全てを決する戦いを目前に迎え、各国軍も徐々に魔人領へ向け進行を開始した。アルティメット・マジシャンズとその一部の関係者はゲートによる移動が可能な為、決戦直前にアールスハイドを発つ予定になっている。メンバーもそれぞれの修行や準備に追われ、しばらくは顔を合わせる機会が減っている。全員が後悔しない形で決戦に臨めればと願う。

 

 

 

 

タクトとシンは、大凡の準備が整い、切り札の魔法の実験も終える事が出来た。今日は僅かに出来た時間を使い、シシリーとフェオンとの『約束』を果たす事にした。

 

シシリー「お・・・お待たせしました。」

 

シン「おお!今日は一段と可愛いねシシリー!」

 

シシリー「あ、ありがとうございます!」

 

タクト「全くお熱い事。」

 

フェオン「流石未来の夫婦ね。」

 

 

 

 

4人はアールスハイド王国でダブルデートをする。栄えてる商店街を回り、カフェで一息付く。

 

 

 

 

タクト「夕日が綺麗だな。」

 

フェオン「ええ。」

 

展望台で夕日を眺める。

 

シン「・・・」

 

そんな中、シンは両親と楽しく歩いてる女の子の笑顔を見た。

 

シン「ああ言う小さな子供達の未来を守る為にも、負けられないよな・・・絶対に。」

 

シシリー「・・・はい。」

 

フェオン「そうね。将来生まれる私達の子供の未来も守らなきゃね。」

 

タクト「ああ。」

 

シン「・・・シ、シシリー。決戦が終わって・・・無事世界に平和が戻ったら・・・今度こそ結婚式を挙げて・・・それから・・・」

 

彼はシシリーに改めて告白をした。シシリーは、シンの告白を受けて嬉し涙を流した。2人はお互いを抱擁した。タクトとフェオンは優しい笑顔で見てる。

 

 

 

 

 

 

その夜。アールスハイド王城。

 

メイ「あれぇ?」

 

アウグストの部屋を出るエリザベートの姿を目撃したメイ。

 

メイ「エリー姉様!」

 

エリザベート「ドキッ!」

 

メイ「こんな時間までお兄様の部屋に居たんですか?珍しいです。」

 

エリザベート「そそそそうですわね!も、もう戦いまで日が無いので・・・ついゆっくりしてしまいましたわ!」

 

メイ「何慌ててるです?疚しい事でもあるです?」

 

エリザベート「い・・・いいから!それよりあなたは何の用ですの!?メイ!」

 

メイ「あ。お父様にお兄様を呼ぶよう言われたです。」

 

 

 

 

その後、アウグストはディセウムの部屋へ。

 

ディセウム「いよいよだなアウグスト。アルティメット・マジシャンズの方の仕上がりはどうなのだ?」

 

アウグスト「・・・そうですね・・・」

 

少々眠気気味のアウグスト。

 

ディセウム「ん?何か疲れとらんか?」

 

アウグスト「え!?い・・・いえ!我々に関しては特に問題ありません。私は、そう信じています。」

 

ディセウム「ほう。お前がそこまで言い切るとは・・・心強いな。」

 

アウグスト「これは確証ではないのですが・・・恐らくシンとタクトの奴が、我々には秘密で何かを企んでいるようですしね。」

 

ディセウム「秘密?」

 

アウグスト「何やら誤魔化していましたが、魔人対策の切り札的な魔法か何かだと思います。」

 

ディセウム「切り札・・・・・・・それ逆に懸念材料ではないのか?」

 

アウグスト「ははは。もう今更です。・・・2人を信じましょう。」

 

ディセウム「・・・そうだな。大丈夫か・・・シン君とタクト君なら。」

 

アウグスト「大丈夫でしょう。あの2人なら。」

 

ディセウム「お前がそこまで信頼のおける人物に出会えた事が・・・学院で得られた何よりの財産だな。」

 

アウグスト「・・・シンとタクトが居れば・・・今後、世界に何が起ころうとも。まあ何とかなるでしょう。」

 

ディセウム「(見据えているのは、飽く迄魔人を倒したその先・・・か。)そうだな。()()も・・・な。」

 

アウグスト「ええ。()()も・・・です。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔人領。遂に、決戦当日が訪れた。

 

 

 

 

アールスハイド陣営。衛士隊、エミリー達もここに着いてる。

 

ドミニク「あれがウォルフォード君達が打ち立てた『壁』か・・・壮観だな。」

 

アズマ「本当、あれがシン達が作り上げたと言っても驚くばかりだ。」

 

ルーパー「実際の所、魔物だけならほぼ通過は不可能な代物だからな。」

 

ジークフリード「魔物だけなら・・・ッスか。」

 

ルーパー「その通り。魔人の手に掛かれば・・・アレを破壊ですら造作もねェ事だろ。」

 

そこに、偵察に行ったティオとシイナとナナセが戻って来た。

 

シイナ「アズマ隊長!ドミニク局長!ルーパー師団長!災害級の姿が確認出来ました!」

 

アズマ「どうだった?」

 

ナナセ「1ヶ月前と違い、『壁』周辺には集まって来ておらず、半壊した城壁付近で帝都を守るように陣取っています。」

 

ティオ「もううじゃうじゃ徘徊してるみたいだよ。」

 

カオル「縄張りを守る事を優先してるって訳か。」

 

ドミニク「ウム・・・此方としては都合が良いな。」

 

ジークフリード「え?」

 

タカオ「ドミニク局長、それはどう言う・・・」

 

ドミニク「『壁』に穴が空いた途端、魔物が溢れ出て大混戦になるのを防ぎ易くなる。」

 

クリスティーナ「そう言えば・・・シュトロームは『一月後に壁を破壊する』と言っていましたが・・・そのあたりの想定はどうなっているのですか?」

 

ドミニク「ウォルフォード君やクリスティ君や殿下と相談して・・・結論が出た。『壁』は寧ろこっちから”穴”を空ける。」

 

クリスティーナ「!?」

 

ジークフリード「は!?」

 

エミリー「こっち側から空ける!?」

 

ヒナ「ドミニク局長!本気なのですか!?」

 

ドミニク「もし奴らの攻撃で同時に複数箇所穴を空けられてしまえば、嫌でも我々の戦力を分散せざるを得なくなってしまう。」

 

セイラ「・・・もしかして、先手を取って、私達が災害級を防ぐのに最も都合の良い広さで1箇所のみ空けるって事ですか?」

 

ドミニク「そうだ。それをウォルフォード君に『壁』を消滅させて貰う。そしてそれと同時に、アルティメット・マジシャンズが帝都を目指し突入する・・・!!」

 

クリスティーナ「確かにそれならば魔人達は・・・シン達が帝都を目指している最中、呑気に他の箇所の壁を壊している場合ではなくなりますね。」

 

ルーパー「奴らからすれば、何よりの障壁は、我々軍ではなく世界侵攻でhもなく、アルティメット・マジシャンズの18人だからな。」

 

イザベラ「そこにお姉ちゃんとグレアさんも加わっている。」

 

ティオ「後はデリックとレオナもね。」

 

ジークフリード「でも思ったんですけど、シン達って空中移動可能ですよね。壁に穴を空けたら、まっすぐ帝城辺りを目指して飛んで行く訳ですが?」

 

リオ「あ、僕もそう思った。その方が効率良いんじゃないかな?」

 

ルーパー「ジーク。それにリオよォ。シュトロームクラスの魔法の使い手が何処から狙ってるか分からない状態で、お前ら、気軽に飛んで移動なんか出来ると思うか?」

 

リオ「え?」

 

ルーパー「これまでと違い、()()()()()()()()()()()()()()は全部相手も分かってんだ。空中移動なんて目立つ事してたら、奴らの恰好の的だぜ。」

 

ジークフリード「・・・な、成る程・・・そりゃ無理だ・・・」

 

リオ「確かにそれは死ぬ確率が100%になるね・・・」

 

デイジー「流石ルーパー団長ですね。」

 

ドミニク「・・・さて・・・各国軍の隊列も整って来たようだ。そろそろだな。」

 

各国軍の隊列が整った。別の場所では、ジュリアンとジネヴラとラスティー、レオンとソフィー、アザレア、盗賊団クレージュとシエル、マジックシスターズも整っている。

 

 

 

 

アウグスト「全員揃っているか?」

 

シン「いや・・・2人程まだだな。」

 

タクト「アリスとリンが遅れてるな。」

 

アウグスト「・・・全く・・・」

 

アルティメット・マジシャンズが揃うまで、アリスとリンのみ。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶
マナミア=ラドクリフ:前川涼子
レベッカ=ホーク:有村蓮

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子
ジェレミー=ダンクルク:前野智昭
ローランド:山本和臣

ジュリアン=フィッツバード:小松未可子
ジネブラ:小宮有紗

リチャード=ラドクリフ:堀内賢雄
ミランダ=ウォーレス:吉七味。
ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭
ミッシェル=コーリング:川原慶久
ドミニク=ガストール:小山剛志
ルーパー=オルグラン:保村真
ジークフリード=マルケス:金子誠
クリスティーナ=ヘイデン:古賀葵

デリック:福山潤
レオナ:高尾奏音
ラスティー:白井悠介

アズマ:榎木淳弥
シイナ:内田彩
ナナセ:白石晴香
カオル:国立幸
マモル:山谷祥生
タカオ:石谷春貴
セイラ:今井麻美

カルマ:神原大地
ルブラ:小野友樹

リリア=ジャクソン︰芹澤優

トニーの父:桐本琢也
トニーの母:皆口裕子

ハロルド=ビーン:坂口候一
モーガン:小田柿悠太

ライナー=アディソン:深町寿成
エルヴィン=ホーク:木村良平
シェリー=ホーク:中尾衣里

ゼスト:津田健次郎
ミリア:大原さやか

ベルゼ=クラスティール:澁谷梓希

オリバー=シュトローム:森川智之





次回予告

遂に、魔人達との決戦の日を迎えた世界。次々と再会するタクトの仲間達。人間か魔人か。未来を手にするのはどっちだ。

次回ウルトラマンティガ

魔人大戦争

お楽しみに


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##一騎当千の新英雄##
第45話「魔人大戦争」


魔人大戦争
オリバー=シュトローム、魔人・魔物軍団 登場



遅れているのはアリスとリンのみとなっているアルティメット・マジシャンズ。

 

アウグスト「全員揃っているか?」

 

シン「いや・・・2人程まだだな。」

 

タクト「アリスとリンが遅れてるな。」

 

アウグスト「・・・全く・・・」

 

他の皆を見ると、全員覚悟を決めた表情を表している。

 

アウグスト「・・・フム。それぞれ一皮剥けたと見えるな。それよりも・・・ミランダ=ウォーレス。随分緊張しているようだが・・・大丈夫か?」

 

ミランダ「ッ!は、は、はいっ・・・!!」

 

トニー「まさかマナミア様と一緒にミランダも()()()に来るとはね。」

 

トール「驚きましたよ。」

 

マリア「平気ですって。私の頼れる相棒ですよ殿下。」

 

マナミア「そして、私の大切な友ですから。」

 

マリア「それに、見て下さいよこのコ。この事シンとタクトに伝えたら、事前に私達と同様の性能を持った装備を用意してくれたんですよ。こうなりゃもう百人力ですって。」

 

彼女は、シンとタクトから特注の装備を身に付けている。

 

アウグスト「心配するな。別に危惧している訳ではない。話を聞いた通りなら、充分に最前線で戦える戦力だろう。期待しているぞウォーレス。共に魔人を討伐し、世界を救おう。」

 

ミランダ「ありがたきお言葉。世界の為・・・延いては我らが祖国の為に。この剣に誓って全力で戦わせて戴きます。アウグスト王太子殿下。」

 

マリア「・・・硬いよアンタ。」

 

ミランダ「だっ・・・!だって王族よ相手は・・・!」

 

マナミア「緊張なさらないで。もっと気軽に。」

 

ミランダ「マナミア様まで・・・!」

 

レベッカ「マリア先輩!私も全力で戦いますので、お願いします!」

 

マリア「期待しているわ。レベッカ。」

 

アウグスト「それに期待と言えば・・・以前とは様相が異なる者はウォーレス以外にもまだ居るしな。」

 

ユーリは魔道具を備えたホルスターを腰に身に付け、ユリウスは特製のガントレットを両手に装着している。

 

タクト「頼もしいな。ユーリとユリウス。フェオンもどうだ?」

 

フェオン「ええ。バッチリよ。」

 

そしてフェオンも、タクトが完全防御を付与した戦士のマントを羽織ってる。

 

フェオン「完全防御が付与されたマント。ありがたく使わせて貰うわ。」

 

グレア「ピンチになった時は私が支援するから安心して。」

 

レオナ「デリックもどう?」

 

デリック「これまでの特訓が身に沁みている。全力で行ける。」

 

ケイティ「オリビア、脱退を考えてたってマークから聞いたけど、大丈夫?」

 

オリビア「もう私は決めたんです。ここで逃げ出すのはダメだって。」

 

ケイティ「そっか。ならば私は、マークとオリビアの未来の援護をしますかな。」

 

マーク「ケイティさん。」

 

ナージャ「私も一緒よ。私は兄さんを取り戻したい。だから。」

 

マーク「はい。俺達で頑張りましょう!」

 

シン(シュトローム・・・!いや、オリベイラ!お前が俺達に与えた1ヶ月間・・・ムダにした奴は1人も居ないぜ・・・!)

 

アウグスト「さぁ、ドミニクが号令を掛ける前に我々も・・・」

 

 

 

 

???「ちょっと待ったぁーッ!!」

 

 

 

 

上空からゲートが開き、2人の人物が降着した。

 

???「魔人の事で・・・お困りなら!!」

 

全員「?」

 

レッド「私達キューティツインが!!力になってあげちゃうよ!!」

 

キューティツインのアリスとリンが遅れて合流した。

 

アウグスト「いいから早く配置に就け。コーナー。ヒューズ。」

 

アリス「え"え"え"!?何でバレてんのーっ!?」

 

アウグスト「私なら最初から知っているぞ。・・・と言うか、既に全員知らせてある。」

 

タクト「衛士隊の皆も把握済みだ。」

 

アリス「いやあぁぁぁぁぁもおぉ!!」

 

タクト「緊張感ねぇな。」

 

シン「つーかお前ら、まさか1ヶ月前と違うのその格好だけじゃないだろうな?」

 

アリス「なワケないじゃん。ちゃんと特訓したもんね。そう。この()()()()を、使った特訓をね!」

 

リン「そういんかむ!!だったんだよ。重要なのは。」

 

アリス「いんかむ!!まあ本当便利だよいんかむはね!!」

 

シン「インカムインカムうるせーな。」

 

タクト「インカムって言いたいだけだろ。」

 

 

 

 

気を取り直して、全員が配置に付いた。

 

アウグスト「タクト。」

 

タクト「ああ。グレア。」

 

グレア「任せて!」

 

右手を上げて、信号弾を上げた。

 

 

 

 

信号弾を確認したドミニクが号令を掛けた。

 

ドミニク「全員準備は良いか!!いよいよこの時が来た!!我々人類が平和を手にする為の最終決戦だ!!相手は大量の災害級!!そして魔人の精鋭達だ!!だが臆する事はない!!諸君らはそれに対抗する術を持っている!!そして、それを与えてくれた救世の英雄が付いている!!自信を持て!!我らで世界を救うのだ!!」

 

”ウオオオオオオオオオオオオオ!!!!!”

 

 

 

 

シュトローム『・・・フフ・・・随分と勇ましいですねぇ。』

 

 

 

 

ドミニク「オリバー=シュトローム・・・!!」

 

突然、シュトロームの声が聞こえた。

 

ジークフリード「・・・この声の主が・・・」

 

クリスティーナ「魔人の首魁ですか・・・!!」

 

 

 

 

タクト(いや、あれはオリベイラだ。)

 

アウグスト「何故、このタイミングで・・・」

 

シン「・・・」

 

シュトローム『ようやくこの時が来ましたねぇ。待ち兼ねましたよ。見慣れた面々は勢揃いしているようで何よりです。恐れをなして逃げ出す者は居なかったようですね。ですがまぁ、怯えて祖国で縮こまっている方が、ほんの少しは寿命が延びたかも知れませんよ。何故なら、ただの1人たりとも、ここから生かして帰す気は私にはありませんからね。そう、国の重要人物達も。次代を担う王太子も。妹と騙る女も。あなた方の言う救世の英雄と超古代の戦士も。その婚約者である救いの聖女と女も。1人残らず、我々の手で葬り去って差し上げましょう。』

 

兵士達が一気に不安に満ちてしまった。

 

ルーパー(・・・マズいな・・・上がりかけた士気が・・・)

 

カートゥーン(面白ェヤローだ。絶頂からどん底に叩き落とす事で、少なくとも半端な連中の士気はさっき以上には上がらねぇ。)

 

シュトローム『壁の破壊はあなた方にお任せしますよ。その方が色々と都合が良いでしょう。では・・・私は帝城にてお待ちしています。』

 

この事を最後に、シュトロームの声が消えた。

 

トール「相変わらずですねシュトロームは・・・」

 

アウグスト「真面目なのか、こちらをおちょくっているのか・・・」

 

ユーリ「ただ・・・」

 

トニー「うん。・・・1個だけ、余計な事言っちゃったねぇ。」

 

そう、シュトロームは気付いていなかった。タクトとシンに対して言ってはいけない言葉を言った事を。

 

 

 

 

 

 

帝城。

 

シュトローム「ハァ・・・ハァ・・・!余計な事を・・・!」

 

実体のない存在「これで人間共の戦意が落ちるはず。最早我々に勝てる術は無かろう。」

 

シュトローム「だが・・・彼等なら・・・!ウォルフォード君とクリスティ君なら・・・!」

 

実体のない存在「ん?」

 

 

 

 

 

 

土壁の外。

 

アウグスト「・・・では予定通り土壁を・・・」

 

タクト・シン「待てオーグ!」

 

シン「俺にもアイツに”挨拶”させろ!」

 

タクト「俺もだ!」

 

 

 

 

 

 

兵士(今の声が・・・魔人の首魁・・・シュトローム・・・)

 

兵士(何と言う冷ややかで感情のない・・・)

 

兵士(1人残らず我々を・・・)

 

兵士(やはり魔人達も本気で・・・)

 

兵士(ほ・・・本当に勝てるのか・・・我々人類は・・・)

 

兵士「・・・おい、あれは・・・」

 

彼らが見たのは、ドミニクの所へ向かうタクトとシンだった。

 

 

 

 

アリス「あ〜〜〜・・・キレてるキレてる。」

 

マリア「シシリーとフェオンの事になるとすぐアレよ。」

 

アウグスト「何時もあれ程言っていると言うのに・・・」

 

 

 

 

タクト「ドミニク総長。」

 

ドミニク「ぅむ!?ど・・・どうした?」

 

タクト「土壁に開ける穴。方向はこのまま真っ直ぐ。幅は20から30メートル位で良いか?」

 

ドミニク「ん?ああ・・・それで構わんが・・・一体何を・・・」

 

タクト「許可が出た。行くぞ。」

 

シン「ああ。」

 

2人の壁の前に立ち止まる。

 

 

 

 

リン「・・・・」

 

アリス「シン君?タクト君?」

 

フェオン「一体何を?」

 

アウグスト「・・・彼奴らまさか・・・!」

 

 

 

 

シン「こっちからの挨拶代わりだ!!」

 

魔力を集め始める。

 

タクト「ありがたく受け取れ!」

 

ハンドスラッシュのエネルギーを集束する。

 

全員「!?」

 

シン(『詠唱』に魔力を乗せる。まずは集めた魔力を・・・)

 

タクト(ハンドスラッシュのエネルギーを集め、このまま形成させる!)

 

シン『可燃性物質。変換。』

 

 

 

 

トール「あれは・・・言霊!!」

 

アリス「つまりシン君の詠唱・・・!!」

 

 

 

 

シン『圧縮!!圧縮!!圧縮!!圧縮!!』

 

可燃性物質に変換された魔力が限界まで圧縮される。

 

タクト「・・・・・!!!」

 

ハンドスラッシュのエネルギーを限界まで集める。

 

シン『範囲!指定!』

 

タクト「タァッ!!!」

 

シン「ファイア!!!」

 

ハンドスラッシュと可燃性物質の魔法弾が同時に放たれ、土壁を貫き、無数の災害級達を巻き込ませ、巨大な穴が開かれた。

 

ジークフリート「あ・・・な・・・」

 

イザベラ「す・・・凄い・・・!」

 

エミリー「2人の本気が見れた気するぞ・・・」

 

ドミニク「な・・・何・・・と言う威力・・・土壁を撃ち抜いた上に、城壁まで到達させるとは・・・」

 

 

 

 

 

 

帝城。

 

シュトローム「ウォルフォード君・・・クリスティ君・・・」

 

実体のない存在『アハハハハ!実に面白い事をするものだな!シン=ウォルフォードにタクト=クリスティ!あの2人はまだまだ私達を楽しませてくれるだろう。奴らが来るまで首を長くして待とう。』

 

シュトローム「クッ・・・!」

 

 

 

 

帝城・バルコニー。

 

ベルゼ「ホエ〜!すっごい威力!これは面白くなりそうだね。っと、その前にアレを探さなきゃだね。」

 

 

 

 

 

 

土壁の外。

 

ユーリ「わあぁ!何だか今まで以上にキレのある魔法だったんじゃなぁい?」

 

トニー「僕らの進む『道』をしっかり作ってくれたよ。」

 

アリス「・・・と言うか今の・・・違うよシン君!何か違う!」

 

シン「どわっ!?なな何だよ!?」

 

タクト「何だいきなり!?」

 

アリス「今の・・・詠唱!?単語並べただけじゃん!!」

 

シン「ま・・・まぁな。アリスも言ってたろ?詠唱内容は割と適当だったって。結局の所、自分の中でしっかりイメージが出来てそれを口にしたなら、”言霊”の効果は充分に発揮出来るんだよ。」

 

アリス「ほぇ・・・そうなんだ・・・」

 

マリア「でも確かにそれで良いなら、その方が楽よね。色々と。」

 

アウグスト(ああ・・・こうやってまた世の魔法形態を変えていくんだ彼奴は・・・)

 

シシリー(フェオンさん。)

 

フェオン(何?)

 

シシリー(あの魔法は凄い威力だったけど・・・今のはあの夜に見た魔法とは違います・・・)

 

フェオン(そうね。あれはさっきの魔法より凄かった・・・じゃあ今のは、シンの小手調?)

 

 

 

 

壁の中の災害級達が一斉にこっちを見た。

 

 

 

 

トール「殿下。魔物が動き出しました。」

 

アウグスト「・・・よし!皆準備は良いな?帝都への道が塞がれる前に行くぞ!!」

 

アルティメット・マジシャンズが一斉に突入した。

 

ドミニク「いよいよ魔物共がこちらへ来るぞ!!1匹足りとも逃さず討伐せよ!!」

 

兵士「見たかよ・・・御使い様と戦士様のあの魔法・・・」

 

兵士「ああ!桁違いだぜ!」

 

兵士「やっぱり凄えよアルティメット・マジシャンズは・・・!」

 

兵士「これなら勝てるぜ魔人に・・・!」

 

兵士「そうだ!彼らなら必ずやってくれる!!我々は我々のすべき事を全力でやるだけだ!!!」

 

一斉に兵士達が突入した。

 

ドミニク「フッ・・・ウォルフォード君とクリスティ君は我々の士気まで呼び戻してくれたようだ。」

 

レア「よぉし!レア達も行くぞ!!」

 

アンナ「うん!!」

 

イザベラ「私達も行きましょう!」

 

エミリー「ああ!行くぞヒナ!イザベラ!」

 

ヒナ「はい!行きましょう!」

 

グレア「支援は任せて!」

 

ティオ「僕も付いてるから!」

 

 

 

エミリー達も突入する。

 

 

 

 

 

 

帝都へ突入したアルティメット・マジシャンズの前に、災害級達が立ちはだかる。

 

デリック「歓迎の出迎えか!」

 

アウグスト「魔物は無視しろ!連合軍を信じて前だけ見て進め!!」

 

タクト「行くぞ!!」

 

スパークレンスの光を解放し、ウルトラマンティガへ変身した。

 

ティガ「タァッ!!」

 

そのまま帝都へ飛翔する。

 

 

 

 

 

 

帝都へ突入するアルティメット・マジシャンズと同時に。

 

兵士「う・・・!!」

 

壁を破壊された事で、帝都の災害級達が壁の外へ這い出た。

 

兵士「これが・・・超災害級・・・!!」

 

兵士「ば・・・化け物だ・・・!!」

 

超災害級を目の当たりにした兵士達だが。

 

アズマ「狼狽えるな!!俺達には()()に対抗出来る武器が与えられているんだ!」

 

前に出た衛士隊が、バイブレーションソードへ改造された剣を握った。

 

アズマ「シイナ!ナナセ!行くぞ!」

 

シイナ・ナナセ「はい!!」

 

3人が飛び出し、熊の魔物を細切れに切断した。

 

兵士「うおぉ!あのデカい魔物を一瞬で細切れに・・・!!」

 

兵士「流石御使い様にその力を与えられるだけあるな!」

 

シイナ「あなた達!油断はダメよ!」

 

ナナセ「魔物はさっきのだけじゃないわ!!」

 

続々と災害級が這い出た。

 

兵士「くっ・・・!大きさが劣るとは言え、此奴等も災害級・・・!!」

 

するとクリスティーナとライナーが飛び出し、狼の災害級2頭の首を切断した。

 

クリスティーナ「流石ですね。ライナー。」

 

ライナー「クリスティーナ様も。」

 

クリスティーナ「壁の穴から1度通過出来る数は決まっています!後れを取らぬよう確実に仕留めていきますよ!!」

 

兵士「うおぉ!!クリスティーナ様!!ライナー!!続くぞお前らぁ!!」

 

しかし。

 

兵士「おい!!」

 

大猿の災害級達が壁をよじ登って現れた。

 

兵士「お・・・大猿の災害級・・・!!」

 

兵士「壁を登って来やがった!!」

 

大猿の災害級『アギャア!!!』

 

兵士「ちいっ!まさかあんな場所から・・・!!」

 

後ろから現れた。

 

ガラン「どけ。」

 

そこにガラン達羊飼いが前に立ち、迫り来る大猿の災害級の胴体をハルバードで一刀両断した。

 

ガラン「けっ。準備運動にもなりゃしねェ。」

 

兵士「ガラン!!」

 

兵士「よォし!俺らも行くぜ!!」

 

ガラン(・・・使ってみて分かる。確かにこりゃあ恐ろしい武器だ。)

 

ジークフリード「接近戦の兵士達と衛士隊達は大活躍ッスね!俺らの出番ありゃしねー!」

 

ルーパー「各国とも最前線にバイブレーションソード所有者を配置しているからな。当面は奴らだけで凌げるんじゃねーか?」

 

ティオ「ルーパー!!」

 

偵察へ向かったティオが戻って来た。

 

ルーパー「どうしたティオ?」

 

ティオ「ドミニクから伝令だよ!!大猿に山羊などの絶壁を登れる魔物が次々と出て来てるよ!地上到達前に魔法で応戦せよとの命令が下りたよ!!」

 

ルーパー「よし来たぁ!行くぞ野郎共ォ!!」

 

エミリー「ルーパー団長!私達も手伝うぞ!」

 

ルーパー「いや、君達は帝都へ向かってくれ!」

 

ジークフリード「ここは俺達が食い止める!」

 

ティオ「僕も魔法師団と一緒に食い止める!」

 

エミリー「分かった。皆行くぞ!!」

 

帝都へ走るエミリー達。

 

 

 

 

壁の外では、兵士や魔法師団達が応戦してる。

 

ハンナ「くっ!多過ぎるよこれ!」

 

ウェンディ「気を抜けちゃダメよハンナ!」

 

???「そうよ!私達で出来る限り食い止めるのよ!」

 

ハンナ「分かってるよ!ウェンディ姉ちゃん!ステイシー姉ちゃん!」

 

ステイシー「私達マジックシスターズの力、見せてあげるわ!」

 

テッサ「ヤァッ!!」

 

イルゼ「ハァッ!!」

 

カーラ「トォッ!!」

 

 

 

 

盗賊団クレージュとシエル。

 

ミカ「うへぇ!うじゃうじゃ居るよ!」

 

マチ「ミカ!後ろ!」

 

ミカ「はいよっと!」

 

後ろから迫り来る山羊の災害級をジャンプして避け、ナイフで頭部を細切れにした。

 

ユイ「相変わらずミカは凄いな〜。」

 

ケイ「私達の出番無くなるかもね〜。」

 

ミカ「ちょっとそこ!サボってないで戦いなさい!!」

 

ユイ・ケイ「は〜い!」

 

アキ・ヨーコ「ヤアアァァァ!!」

 

サヨを狙う大猿の災害級を、アキとヨーコが切断した。

 

アキ「サヨ、大丈夫?」

 

サヨ「ありがとうございます!」

 

ヨーコ「私達を休ませる気は無さそうね。」

 

 

 

 

別の場所では、ジュリアンとジネヴラとラスティー、レオンとソフィーが災害級達と戦ってる。

 

ジュリアン「流石元帝都のレジスタンスの実力だね。」

 

ラスティー「これ位朝飯前さ。」

 

ジネヴラ「ニャニャニャニャ!!!」

 

高速移動で災害級を翻弄させる。

 

ジネヴラ「2人共今よ!!」

 

レオン・ソフィー「ハアアァァァァァ!!!」

 

剛拳で災害級の頭部を陥没させた。

 

 

 

 

更には。

 

アザレア「行くわよヴァーテル!」

 

ヴァーテル「ええ!」

 

アザレア「そこっ!」

 

ヴァーテル「ハァッ!!」

 

魔法と剣で災害級達を討伐し続ける。

 

ヴァーテル「流石ね。シンの叔母は。」

 

 

 

 

 

 

兵士「・・・・」

 

カートゥーン「オイ。ちょっと1匹こっちに寄越せ。」

 

1匹の災害級がカートゥーンに向かって迫る。カートゥーンはバイブレーションソードで災害級を細切れに切断した。

 

兵士「おお!カートゥーン長官!!」

 

カートゥーン(たまんねェなコレ・・・魔法いらずじゃねぇか。俺まで『チート能力』得た気分だぜ。終戦後には剣の付与は全て解除される・・・つーか、1本や2本くすねた所で世界をひっくり返す程の力は得られねェ。だったら解き明かすしかねぇよなぁ。この戦いの最中に・・・この剣の秘密を・・・)

 

 

 

 

 

 

帝都に侵入したエミリー達。

 

エミリー「レア!カサンドラ!行くぞ!」

 

レア「おう!レア達の力を思い知れ!!」

 

カサンドラ「私達で世界を救います!!」

 

エミリー・レア・カサンドラ「ヤアアァァァァ!!!」

 

太刀と旋刃盤と双剣で、周囲の災害級達を倒し続ける。

 

イザベラ「えいっ!!」

 

蔦の魔法で災害級を束縛する。

 

イザベラ「アンナさん!」

 

アンナ「はい!そこです!」

 

ボウガンで、束縛された災害級の眉間を突き刺した。

 

ヒナ「ーーーーーーー!」

 

詠唱を唱えて、周囲の災害級を凍結させた。

 

ティオ「・・・・」

 

竪琴を奏でて、風の刃で災害級達の首を切断した。

 

エミリー「粗方倒したが、数が多い・・・!」

 

アンナ「私達ではどうする事も・・・!」

 

???「お困りのようだな!」

 

全員「!?」

 

そこに、2つの影が現れて災害級3体を討伐した。

 

カルマ「助太刀に来たぜ。」

 

ルブラ「相変わらず凄いなお前ら。」

 

レア「カルマ!ルブラ!」

 

???「ハァッ!!」

 

更に4つの影が、災害級達を討伐した。

 

カオル「僕達を忘れて貰ったら困るな。」

 

エミリー「カオル達か!」

 

衛士隊のボンボン隊も駆け付けた。

 

ルブラ「これだけの数、俺達が加勢したお陰で楽になるか?」

 

レア「だな。ルブラ、行くぞ!」

 

ルブラ「ああ!行くぜレア!」

 

カルマ「アンナ、援護を頼む。」

 

アンナ「はいカルマさん。」

 

カオル「行くよセイラ!」

 

セイラ「行きましょう!」

 

エミリー「行けるか?タカオ。」

 

タカオ「エミリー殿。当然です。」

 

マモル「ヒナさん、背中を預けてくれますか?」

 

ヒナ「はい。マモルさん行きましょう!」

 

 

 

 

 

 

一方アルティメット・マジシャンズは。

 

シン「城壁跡だ!この先が帝都か!!」

 

城壁跡を通り、無事に帝都に到達した。

 

ティガ「よし、無事に着いたな。」

 

ミランダ(ひぇぇ・・・ジェットブーツ無かったら絶対付いて行けなかったわ・・・)

 

マリア「・・・魔物・・・私達を追って来ませんね。」

 

アウグスト「恐らくシュトロームにそのように操作されているのだろう。魔物共は飽く迄連合軍の足止め。我々の命を脅かしに来るのはやはり魔人の精鋭達だ。」

 

デリック「お前達だけじゃなく、裏切りの俺を本気で殺しに来るだろうな。」

 

オリビア「・・・・・・!」

 

そんな中、オリビアが索敵魔法で帝都を調べた。

 

オリビア「・・・殿下。魔人達は・・・帝都内でかなり疎に散っているみたいです。」

 

アウグスト「っ!索敵か・・・早いなストーン。」

 

シン「どう言うつもりだ?彼奴ら・・・」

 

デリック「俺達の分散が目的だろうな。想定内だが。」

 

アウグスト「出来ればシュトロームの居る帝城を目指しつつ、魔人を殲滅したかったが・・・敵の配置に合わせて我々が動くしかあるまい。奴らにとっても、我々にとっても、『相手の殲滅』はこの戦いの絶対条件だからな。」

 

全員「・・・・・」

 

アウグスト「ここで一旦分かれよう。それぞれ魔人共を捜し出し討伐を目指せ。ただしシン、タクト。お前達は別で一緒に行動しろ。」

 

シン「!」

 

ティガ「オーグ?」

 

アウグスト「ここから真っ直ぐ帝城を目指せ。お前が見るべき相手は、シュトロームただ1人だ。」

 

フェオン「私達の事は大丈夫よ。」

 

グレア「私達は後で行くから。」

 

仲間達がティガとシンを見る。

 

シン「・・・分かった。皆、必ず生き残って、帝城で再会しようぜ。」

 

ティガ「俺達はお前達を信じてる。」

 

アリス(この戦いで万が一の事が起こっても、あの時のようにシン君とタクト君の助けはない。だけど、それで良い。『誰かが助けてくれる』なんて考えを持っていては、この戦いに勝てはしない。全力で、ぶつかるのみ・・・!!)

 

心の中でアリスがそう意気込んでいると、デリックが口を開いた。

 

デリック「そうだ、お前達にアウグストが1つ言いたい事がある。」

 

全員「?」

 

アウグスト「1つ朗報・・・と言うか、可能性の話をしておく。確証は無いし、下手な期待を持たぬようこれまでデリックと共に伏せていたが。」

 

デリック「奴ら魔人には、治癒魔法は不可能だ。」

 

トール「・・・!え!?」

 

マリア「そうなの!?」

 

デリック「飽く迄憶測だ。この前の魔人達との戦いで、シンが腕を切り落としたフィンと言う魔人に対し、誰も治癒魔法を使う素振りを見せなかった。」

 

アウグスト「得手不得手はあれども、あれだけの実力者が揃っていて、治癒魔法が使えないとは思えん。・・・にも関わらず、奴らがそれを放置したのは・・・」

 

トニー「・・・と言うかそもそも、これまでの戦いで魔人が魔法で治癒するのを誰か見た事は?」

 

今までの魔人の戦いで、魔人が治癒魔法を使う光景を見たのは誰も居ない。

 

シン「多分、その仮説は当たってるよ。昔1度魔物を試した事がある。その時も・・・魔物の傷を治癒する事は出来なかった。生物は魔物化する事で大きく魔力の質が変容する。純粋な魔力で相手の魔力に働き掛けて治癒を促すと言う方法は、魔物には通じなくなってしまうんだろう。」

 

マリア「・・・それって・・・つまり・・・」

 

アウグスト「ああ。相手を仕留めきれずとも、致命傷さえ与えてしまえれば、その魔人は討伐したと同意だと言う事だ。」

 

魔人の新たな発見が見出された。

 

マリア「・・・普通だったら、僅かな差かも知れないけど。」

 

トニー「拮抗した実力者相手にその事実は・・・かなりデカいね・・・!!」

 

マリア「ん?そう言えばベルゼって腕を切り落とされて、義手を着けていたよね?まさか義手のストックはまだあるんじゃ?」

 

ティガ「その可能性がありそうだ。シンに腕を切り落とされた魔人も義手を着けてるだろう。」

 

アウグスト「話は以上だ。では行くとしよう。」

 

全員「はい!!!」

 

それぞれ散開して斥候魔人の討伐に向かう。

 

シン「!」

 

そんな中、オリビアとケイティはマークと分かれて2人行動に移った。

 

シン(珍しいな。オリビアとマークとケイティ、3人で動くじゃないんだ。)

 

 

 

 

ユリウス「我々の立場的に、殿下とデリック殿とレオナ殿を行かせて大丈夫で御座るか?」

 

トール「それが殿下御自身からの命令ですから、仕方ありません。デリック殿は殿下と共に戦った事がありますから。それに、我々の同行を阻むと言う事は・・・ひっくり返せばそれは・・・殿下の絶対的な自信の現れのように思えますしね。」

 

 

 

 

帝城は、アールスハイドの王城と違い山手側、つまり帝都最奥に位置している。魔人を討伐しながらの移動を考えれば、ある意味それぞれが互いの動きを把握しやすい。

 

 

 

 

ティガとシンは、フェオンとシシリーと同行している。

 

シシリー「・・・!」

 

 

 

 

数分前。

 

アウグスト『クロード。フェオン。シンとタクトの関係上、お前達は敵に狙われやすい立場にある。戦場では基本的に2人に同行し、彼奴らのフォローに徹してやってくれ。』

 

 

 

 

シシリー(殿下は仰っていたけど・・・厳しいこの戦いで・・・全員が最後まで無事で居られるとは思えない。救助が必要なメンバが出たなら・・・その時は・・・)

 

 

 

 

一方マリア・ミランダ・マナミア組。

 

ミランダ「・・・廃墟ばかりね・・・当たり前だけど。」

 

マナミア「殆ど白骨化した遺体が転がっていますね。」

 

マリア「本当・・・少し前まで人が暮らしていたとは思えない光景ですね。今更言うのも何だけど、そうやって帝都の人間を残らず虐殺したのが、これから私達が戦う相手よ・・・!!」

 

ミランダ「・・・!」

 

マリア(・・・!!魔力反応・・・!!右後方の建物に2体・・・左瓦礫裏にも・・・2体・・・!!挟み撃ちか!)

 

索敵魔法が近くの魔人達を感知した。

 

マリア「ミランダ。敵がこっちを狙ってる。」

 

ミランダ「!!!」

 

マリア「合図で魔道具の障壁展開して。」

 

ミランダ「分かった。」

 

マリア「マナミア様は私達の後ろへ下がって下さい。」

 

マナミア「分かりました。」

 

マリア「3・・・2・・・1!今!!!!!!」

 

2人が障壁展開して魔法弾を防いだ。

 

マリア「不意打ちなんて小狡い手が今更通じると思ってんの!?さっさと出て来なさいよ!!」

 

4体の魔人達が降りて来た。

 

魔人A「生意気な女だな。後悔させてやるぜ。」

 

魔人B「この”魔都”に踏み入った事をな・・・!!」

 

マリア「わぁ。小物臭いセリフ♡」

 

マナミア「あなた達には、少しお仕置きが必要ですね。」

 

周囲の魔人の状況を確認。

 

マリア(武器所持は無し・・・恐らくは魔法メインの魔人・・・だとすれば、外せば味方に着弾するリスクがある。今の配置は向こうにとっても望むものじゃないはず・・・)

 

マナミア(マリア、どうしますか?)

 

マリア(このまま片側に集中攻撃を仕掛けつつ、まずは魔人の数を減らしましょう。ミランダとマナミア様による接近攻撃が可能になった今なら・・・行けます!)

 

マナミア(了解しました。)

 

マリア(ミランダ、まずは私が牽制するから・・・え?)

 

本物の魔人を目の当たりにしたミランダが震えている。

 

マリア「え!?ちょっとアンタ・・・大丈夫!?」

 

マナミア「ミランダ!気を確かに!」

 

ミランダ(マリアとマナミア様が何か言ってる・・・頭に・・・な・・・何も入って来ない・・・ああ・・・魔人だ・・・私の目の前に居るのは・・・紛れもなく、あの時と同じ・・・)

 

彼女は、本物の魔人の威圧に押されパニックを起こしていた。

 

マリア(完全に魔人の魔力に当てられてる・・・無理もないか・・・私達とは対等して来た魔人の数が違うんだから・・・)

 

魔人A「・・・オイ。あの2人の女誰だよ?」

 

魔人B「情報にねぇな・・・姿格好からしても、アルティメット・マジシャンズじゃなさそうだが。」

 

マナミア(私達の事は、魔人達のリストに入ってないみたいですね。)

 

マリア(まぁそうでしょうね。いきなり抜擢されたんですから。)

 

魔人A「ま、いーや。コイツら片付けてさっさと次だ。」

 

マリア「・・・!!ミランダ!!」

 

ミランダ「え・・・あ・・・」

 

魔人が魔法弾を放った。

 

マリア「くぅっ!!」

 

ミランダの前に立ち、魔法障壁で防いだ。

 

マナミア「っ!!」

 

後ろの2体の魔人に気付いた。

 

マナミア「マリア!!」

 

マリア「っ!!」

 

身体能力を発動し、2人を抱えて避けて退散した。

 

魔人A「はっ!傑作だな!魔法師が身体能力で魔法避けてやがる!」

 

魔人B「さっさとおそのお荷物見捨てた方が良いんじゃねェかぁ!!」

 

 

 

 

退散した3人。するとミランダが。

 

ミランダ「マ・・・マリア・・・マナミア様・・・!ダメだ・・・私・・・身体が・・・せ・・・せめて2人だけでも・・・ここから・・・」

 

弱気になるミランダに、マリアとマナミアが。

 

”バチィン!!!!”

 

マリアがミランダの臀部、マナミアがミランダの頬を引っ叩いた。

 

ミランダ「いっ・・・たいなぁ!!何すんのよ!!マナミア様まで!!」

 

マリア「ミランダ。どうして私が殿下でもシシリーでもユーリでもなく、アンタとマナミア様と・・・!!この場に来る事を選んだと思ってんの・・・!!」

 

マナミア「私達は、あなたと組む事が私達にとって1番心強いと思っているからですよ!!」

 

ミランダ「・・・・!!」

 

マリア「忘れてんじゃないわよ・・・!!シンやタクトと出会って1年数ヶ月!私らの中で1番成長したのは、間違いなくアンタなんだからね・・・!!」

 

ミランダ(・・・そうか・・・そうじゃん!ミッシェル様い言われたからって・・・マリアはマナミア様と一緒に別の誰かを選ぶ事が出来たんだ。少なくともマリアは、私の事を・・・対等な仲間だと思ってくれてる。なのに恐怖で固まって・・・信じてくれた仲間に迷惑掛けて・・・何してんだ私・・・)

 

追って来た魔人の魔法弾を、マリアが魔法障壁で防いだ。

 

マリア「このっ!!!!」

 

魔法弾の散弾を発射。魔人達が魔法障壁で防いだ。

 

魔人A「お前らの戦術や、情報は可能な限り集めてある。」

 

魔人B「相手の力量も考えず、無鉄砲に攻撃を仕掛ける・・・1月前と何も変わっていないようだな。」

 

マリア「・・・・・」

 

魔人A「それどころか、この人数差でも勝てると踏んでコイツらは分散した訳だろ。」

 

魔人B「舐めやがって・・・!ボロ雑巾みてェにズダズダにして!!ウォルフォードとクリスティの前にその死体を晒してやる!!!」

 

ミランダ「・・・・・・・」

 

まだミランダは恐怖心に陥っている。

 

マリア(ミランダとマナミア様に被弾させない為には・・・戦闘服じゃなく私自身で障壁を張るしか・・・!!)

 

魔人A「紙っぺらみてェな障壁だなオイ!!威勢が良いのは口だけかコラァ!!!」

 

ミランダ(・・・煩い・・・!!私の仲間を・・・友達を・・・馬鹿にするな!!!)

 

魔人C「面倒くせェ!!俺が直接その首ヘシ折ってやるぜ!!!!」

 

マリアの背後に魔人が迫る。

 

マナミア「マリア!!!!」

 

するとミランダがバスターソードを振り下ろした。そして。

 

魔人C「・・・あ”!?」

 

振り下ろしたバスターソードが、魔人の右半身を切断した。

 

マナミア「ミランダ・・・!?」

 

魔人A「構えろ!!あの女の剣・・・ただの剣じゃ・・・」

 

時既に遅し。ミランダがバスターソードを振り下ろし、1体の魔人の胴体を縦に切断した。

 

魔人A(・・・嘘だろ?あの女・・・あんな距離から・・・!?間合いが・・・剣士の()()じゃねェ・・・!!)

 

ミランダ「・・・マナミア様。」

 

マナミア「・・・はい!」

 

残る魔人は2人。ミランダとマナミアが向かって走り出す。

 

マリア「行け・・・!!」

 

ミランダ・マナミア「っ!!!!」

 

マナミアの剣とミランダのバスターソードが、魔人2人を一刀両断して討伐した。

 

ミランダ「・・・はっ・・・はっ・・・」

 

マナミア「どうですか?魔石で研磨された剣の切れ味を。」

 

ミランダ「倒・・・せた・・・私・・・ま・・・魔人・・・を・・・」

 

マリア「人のフォロー無しに勝手に終わらせてんじゃないわよ!」

 

ミランダ「え?ゴ・・・ゴメン。」

 

マリア「マナミア様も。」

 

マナミア「ごめんなさい。」

 

マリア「ご冗談です。ミランダ、もう大丈夫ね?」

 

ミランダ「う・・・うん!」

 

マリア「さぁ!だったらその調子でガンガン行くよ!!親友!!」

 

ミランダ(・・・親友・・・)

 

 

 

 

以前。

 

ミランダ『マリアと少し友好を深める事は出来ましたが・・・このままじゃ胸を張って彼女の友人だなんて・・・』

 

 

 

 

クリスティーナに言った言葉を思い出した。

 

ミランダ(ごめん・・・マリア・・・もう足踏みはしない。)

 

彼女は奮い立った。

 

ミランダ「マリア!アンタは私の仲間であり、親友だ!!」

 

マリア「ん?今更何当たり前の事言ってんの?変なコ。」

 

マナミア「うふふっ。」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、帝都に侵入したエミリー達は。

 

エミリー「クッ!!」

 

レア「ぐはっ!!」

 

無数の魔物達に苦戦を強いられていた。

 

タカオ「数が多い!」

 

マモル「このままじゃ消耗線になりそうです!」

 

カオル「怯むな!衛士隊の意地を見せるんだ!!」

 

1体の魔物がアンナに迫る。

 

アンナ「っ!!」

 

カルマ「アンナ!!」

 

横からカルマが現れ、魔物の首を切断した。

 

アンナ「カルマさん!」

 

カルマ「しっかりしろ!」

 

魔物達がエミリー達を囲んだ。

 

ヒナ「このままでは・・・!」

 

カサンドラ「私達・・・!」

 

魔物達が一斉に突進した。

 

エミリー「ッ!!」

 

 

 

 

???「ハァッ!!」

 

 

 

 

上空から無数の魔法弾が雨のように降り注ぎ、魔物達を討伐した。

 

カルマ「何だ?」

 

セイラ「さっきの魔法は?」

 

エミリー「この魔法・・・まさか!」

 

???「無事ですか?皆さん。」

 

そこに、ユエリアンの神子長のティエンフが現れた。

 

エミリー「ティエンフ様!!」

 

ティエンフ「お久し振りです皆さん。初めて見るお方も居りますね。」

 

ルリ「ヤッホー!」

 

パドメ「お久し振りです。」

 

シア「お元気してますか?」

 

ダイアナ「怪我はなさそうだね。」

 

レア「おお!ルリにパドメか!」

 

アンナ「シアちゃん!ダイアナさん!」

 

 

 

 

ローラ・ジェシー・ミウ・リナ・ユリア・ジリオラ「ヤアアアァァァァァァ!!!」

 

 

 

 

残ってる魔物達をローラ達が討伐した。

 

ローラ「皆、怪我はない?」

 

エミリー「ローラか!皆も!」

 

カルマ「お前達の仲間か?」

 

ヒナ「ティエンフ様はユエリアンの神子長で、エミリーちゃん達戦士の先生なんです。」

 

カオル「って事は、フェオン達の師匠?」

 

ティエンフ「私達だけではありませんよ。各地で他の仲間達も居ます。」

 

レア「それって・・・」

 

 

 

 

 

 

盗賊団クレージュとシエルの元に。

 

マチ「まさか、あなた達まで来るとは。」

 

フラワー盗賊団が駆け付けた。彼女達は戦いながら再会を喜ぶ。

 

テレサ「久し振りねマチ。ミカ達も。」

 

ミカ「今まで音沙汰無かったけど、旅続けてたの?」

 

ロスタリア「そうね。でもロバイト王国でタクト達と再会してね。」

 

ユイ「あら意外。既に再会済みなんだね。」

 

ジュリ「はい。」

 

アリシア「あなた達もアールスハイド王国に住んでるんだね。」

 

ヨーコ「も?って事はあなた達も住んでるの?」

 

ライラ「ええ。最近住み始めたの。」

 

サヨ「なら、この戦いが終わったら再会の祝杯します?」

 

テレサ「良いわね!じゃあ早くこの戦いを終わらせないとね!」

 

アキ「じゃあ一気に行くわよ!着いて来れるかな?」

 

 

 

 

 

 

別の場所。リオとデイジーが合流したジュリアンとジネヴラ、ジェレミーとローランドと共に魔物達と戦っている。

 

リオ「これじゃキリがない!」

 

デイジー「私達の体力が保たない!」

 

ジェレミー「面白い。もっと来いや!」

 

???「お2人さん、その程度でくたばるのか?」

 

リオ・デイジー「え?」

 

ジェレミー・ローランド「ん?」

 

ジュリアン・ジネヴラ「声?」

 

すると、熊の魔物の頭部から何かが飛び出した。

 

デイジー「まさか!」

 

ドノバン「久し振りだなお2人さん。」

 

リオ「ドノバン!」

 

 

 

 

ダヴィル・ジョセフ・ファラ・レパード「ヤアアアァァァァ!!!」

 

 

 

 

更に4人の小人が、周囲の魔物達の目を潰した。

 

デイジー「ダヴィル!ジョセフ!ファラ!レパード!」

 

ダヴィル「お久し振りですデイジーさん。リオさん。」

 

ファラ「相変わらず元気そうね。」

 

ジョセフ「初めての方達も居るね。」

 

ジェレミー「小人か。リオ達の知り合いか?」

 

リオ「うん。ロバイト王国で出会ったんだ。」

 

デイジー「あれ?レパード、雰囲気変わった?」

 

レパード「そお?私生まれ変わったのよ。」

 

以前の大人しい雰囲気から一転、勇ましい雰囲気になってる。

 

レパード「皆と別れた後、ドノバン達から戦い方を教わったの。」

 

ドノバン「お前ら、魔物はまだ居るぞ。お喋りはまた後にしろ。」

 

ローランド「味方なら心強いです。行きましょう!」

 

レパード「喋る魔物。面白い!」

 

残ってる魔物達が一斉に襲い掛かる。

 

ジュリアン「行くよ皆!!」

 

 

 

 

 

 

そしてレオンとソフィーの所では、歌が魔物達を束縛していた。

 

レオン「あれが噂の聖歌隊。」

 

ソフィー「歌声が綺麗ね。」

 

少女聖歌隊の5人が救援に駆け付けていた。

 

ドロレス「ハァッ!!」

 

更にドロレスも現れ、魔法で束縛された魔物達の頭部を破壊した。

 

ビヤン「初めまして!私ビヤンだよ!」

 

クラージュ「私はクラージュよ。」

 

ジャンティー「私はジャンティー。宜しくね。」

 

ルビア「ルビアよ。」

 

シオン「シオン=パルティです。」

 

ドロレス「ドロレス=ワイズマン。ドロシーって呼んで。後私、聖歌隊のメンバーじゃないから。」

 

レオン「にしても、巷で有名な聖歌隊が何故ここに?」

 

ビヤン「実はこの前タクトと再会してね。」

 

ソフィー「タクト君の知り合いなの?」

 

ドロレス「ええ。彼は私達の恩人なの。」

 

 

 

 

 

 

再び帝都。

 

ティエンフ「私達は、導かれたかのようにアールスハイド王国へ集まり、決戦前にタクトさんに会ったのです。」

 

エミリー「そうですか。タクト、私達に黙って・・・」

 

ミウ「今他の場所でもタクトの仲間達が駆け付けてるわ。」

 

レア「そうか!彼奴ら久し振りに会えるな!」

 

ティエンフ「さぁレア、呑気にしてる場合じゃないですよ。次が来ますよ。」

 

魔物達が続々と出現する。

 

ティエンフ「戦士達よ!力を1つにし、魔物達を倒すのです!」

 

 

 

 

 

 

帝城では、トールとユリウスが3人の斥候魔人から逃走している。

 

ユリウス「3体2・・・で御座るか。正攻法で何とか勝てるで御座るか?」

 

トール「いえ、油断は禁物ですよ。もっとも確実な手段で仕留めましょう。」

 

魔人「何時まで逃げ回ってんだァガキ共!!!」

 

氷の魔法を放つが、トールとユリウスがジャンプで避ける。その間にトールが後ろを見る。

 

トール(敵が1箇所に集まっている・・・!今なら・・・)

 

 

 

 

 

 

以前・荒野で。

 

トール『うーん、中々シン殿のように上手くいきませんね・・・』

 

シン『いや・・・トールの場合大雑把なユリウスと違って、繊細な魔力コントロールも得意そうだし。』

 

ユリウス『シン殿・・・』

 

タクト『ナチュラルにディスるな。』

 

シン『すぐに使いこなせると思うけどな。』

 

トール『何かコツみたいなものはありませんかね?』

 

シン『・・・コツ・・・ねぇ。そうだな。紙と絵の具・・・かな。』

 

 

 

 

 

 

あの時の会話を思い出したトールが、周囲を真っ黒に染めた。斥候魔人達は視界を失った。

 

魔人「何だこれは!?」

 

魔人「魔法じゃねぇ・・・奴の魔力か・・・!?」

 

トールは、自分と相手の居る空間を紙に、そして自分の魔力を絵の具に見立てて、絵の具(魔力)(空間)を塗りつぶしたのだ。

 

魔人「魔力の・・・膜か!?」

 

魔人「何のつもりだてめェ!!」

 

そして、塗りつぶした空間の中にある”異質な色”に、印を付けるイメージで照準を合わせた。

 

トール(マーキング!ロックオン!)

 

マーキングした斥候魔人達に魔法弾を放った。

 

ユリウス「見事で御座るトール!!」

 

以前、シンがサルやカラスの魔物にこの魔法を使ったように。これは集団戦でこそ最も効果を発揮する魔法。何故なら、この魔法で1度相手をマーキングすれば、仮に敵が何体同時に出現しようとも、放った魔法はその場の敵全てに命中するまで、自動で追尾するのだ。

 

魔人達「っ!!」

 

放たれた魔法弾を避けたが、魔法弾がマーキングされた斥候魔人達を追尾し続ける。

 

魔人「何だぁ!?避けた魔法が来やがったぞ!!」

 

魔人「ちっ・・・避けずに障壁で打ち消せ!!恐らく追尾効果のある魔法だ!!」

 

魔法障壁で魔法弾を防いだ。

 

トール「まだですよ!!」

 

魔法弾を放ち続ける。

 

魔人「オイ!障壁で防ぎ切れる数じゃねェぞ!!避けても隙を作っちまうだけだ!!どうする!?」

 

魔人「背中合わせになって固まれ!!それぞれの障壁で奴の魔法を防ぎ切るぞ!!」

 

3人の斥候魔人が背中合わせに固まり、トールの魔法弾を魔法障壁で防ぐ。

 

魔人「・・・へ、へへ。」

 

魔人「追尾魔法は意表を突かれたが・・・1発1発の魔法は俺達の障壁を削る程の威力じゃない。」

 

トール「・・・・・」

 

魔人「てめェの魔力が尽きた時が最期だと思えよ・・・!!」

 

トール「自分は戦いに臨む時、自分達の力も相手の力も、決して過小評価も過大評価もしないんですよ。慎重派なので。自分の力だけであなた方を倒し切れるとは、最初から思っていません。」

 

魔人達「・・・?」

 

その理由がすぐに現れた。

 

魔人達「はっ・・・!!」

 

 

 

 

ユリウス「魔法で足を止めて、近接で仕留める!!」

 

 

 

 

3人の斥候魔人の頭上にユリウスが現れたのだ。

 

ユリウス「戦術の基礎で御座る!!」

 

魔人「なぁっ・・・!?」

 

魔人「散れ!!物理防御に切り替えろ!!」

 

すぐに物理防御に徹する。だが。

 

 

 

 

”ドゴオォォン!!!!”

 

 

 

 

ユリウスのパンチが地面を爆発させた。その爆発が3人の斥候魔人達を巻き添えにさせた。

 

魔人「がはぁっ・・・」

 

魔人「・・・・」

 

魔人(な・・・何が起こった・・・!?単なる物理攻撃ではない・・・ば・・・爆発魔法も同時に・・・)

 

3人の斥候魔人は、その爆発に巻き込まれ討伐された。

 

ユリウス「・・・・」

 

彼の両腕には、ガントレットが。

 

 

 

 

 

 

以前・荒野にて。

 

タクト『成る程な!ユリウスは威力上昇付与のガントレット装備か。』

 

ユリウス『シン殿の言うように拙者、頭脳戦は得意とせんで御座る。やはりシンプルに攻撃力を重視したで御座る。』

 

タクト『攻撃重視。適材適所だな。それだったら、威力重視なら俺がシンに頼んで、ガントレットに魔法を付与して貰おうか?』

 

 

 

 

 

 

ユリウス「・・・シン殿・・・これは少々・・・やり過ぎじゃ御座らんか・・・?」

 

地面がかなり割れてる。

 

トール「ユリウス!平気なんですか!?あんなに敵に接した状態で爆発魔法なんて・・・」

 

ユリウス「・・・拙者は全く・・・無傷で御座る。恐らくコレに付与されているのは、シン殿得意の指向性爆発魔法で御座る。」

 

トール「・・・・・!?」

 

インパクトの瞬間に起きる爆発が、全ての相手に向かって拡散した。これならば実際攻撃を繰り出すユリウス自身に被害が及ぶ心配は無いと言う。

 

トール「・・・とは言え、何て恐ろしいモノを付与するんですかシン殿は・・・しかもそれを勧めたのはタクト殿ですし・・・」

 

ユリウス「・・・まあ何にせよ・・・強力な武器を得たのは確かで御座るな。引き続き我々は連携して敵の数を削るで御座る!!」

 

トール「了解!!」

 

 

 

 

 

その頃、アールスハイド王国軍の方は。

 

ドミニク(・・・マズいな・・・少しずつ・・・ほんの少しずつだが・・・魔物共に連合軍が押され始めている・・・!)

 

現在王国軍は、魔物の大群に押されつつあった。

 

ドミニク(壁の隙間から這い出て来られる数は変わっていないが・・・個々の魔物を討伐する時間が・・・各国共に少しずつ延びていってしまっている・・・!)

 

ルーパー(・・・疲労か。まぁ、そりゃそうだわな。バイブレーションソード所有者を中心に、順次休憩と回復をさせているとは言え・・・)

 

ドミニク(敵の数の底が見えないと言う、この圧倒的プレッシャーはあまりにも重い・・・!実際問題・・・ここから見えている範囲の魔物の数など、全体の半数にも満たないはず・・・ウォルフォード君達が全てを決するその時まで・・・果たして保つのか?我々は・・・)

 

兵士「し・・・獅子の超災害級・・・!!」

 

魔物の大群から超巨大の獅子の災害級が現れた。獅子の超災害級がアールスハイド王国軍に向かって突進する。

 

魔法兵士「うおお!!」

 

魔法弾で攻撃するが、獅子の超災害級は怯まず突進する。大きく口を開き魔法兵士達を喰べようとした時。

 

 

 

 

アズマ・シイナ・ナナセ「クッ!!」

 

 

 

 

駆け付けたアズマ達3人の衛士隊が魔法兵士達をタックルして助けた。

 

魔法兵士「衛士隊・・・!」

 

アズマ「皆下がれ!シイナ!ナナセ!行くぞ!」

 

シイナ・ナナセ「はい!!」

 

3人が獅子の超災害級に向かって走る。

 

アズマ「ウオオオォォォォ!!!」

 

シイナ・ナナセ「ヤアァァァ!!!」

 

3人の剣が獅子の超災害級を切り裂く。しかし、獅子の超災害級は平然としている。

 

アズマ「コイツ、今までの災害級より手強い・・・!」

 

ナナセ「硬過ぎるよ!!」

 

シイナ「やはり顔を・・・!」

 

クライス「衛士隊!ここは俺が!!」

 

シイナ「クライス隊長!!」

 

飛び出したクライス=ロイドがジャンプし、バイブレーションソードを獅子の超災害級の顔を切り裂いた。

 

超災害級『グルアアアア!!!』

 

クライス「ッ!!」

 

しかし獅子の超災害級は、顔を切られたにも関わらず超高速で走り出した。

 

クライス「なっ!?顔面を切り裂いてんだぞ・・・!!痛みも感じねェのかコイツは・・・!!」

 

ノイン「やべェ・・・ロイド隊長!!手ェ放せ!!」

 

クライス「はっ!!」

 

獅子の超災害級は壁に激突してクライスを潰そうとした。

 

アズマ「クライス!!!」

 

 

 

 

ラナ「アウーーーーン!!!」

 

 

 

 

クライス「っ!!」

 

現れた狼犬のラナがクライスをタックルで突き飛ばして救出。

 

ジェレミー「ウオオォォォ!!!!」

 

上空からジェレミーが落下し、爪で獅子の超災害級の首を切断した。

 

ジェレミー「ふぅー。」

 

ラナ「クライス。大丈夫?」

 

クライス「ラ、ラナか・・・すまない、助かった・・・」

 

ラナ「怪我が無くて何よりね。」

 

ジェレミー「成る程。かなり運動して身が引き締まって旨味が増している。」

 

ローランド「やっぱり超災害級は格別ですね。」

 

討伐した獅子の超災害級の肉を食べてる。

 

ラナ「あ!ズルーい!私にも食べさせて!」

 

クライス「・・・・」

 

アズマ「あはは、あの3人は相変わらずだな。」

 

ジェレミー「ふぅ、満足だ。と言いたいが、まだゾロゾロ出て来やがったな。」

 

他の災害級達がジェレミー、ローランド、ラナを取り囲んだ。

 

ジェレミー「お前ら、まだ余裕か?」

 

ローランド「はい。まだお腹は満たされていませんし。」

 

ラナ「最高のバーベキューになりそうね。」

 

アズマ「ジェレミー!俺達も加勢するぞ!」

 

ジェレミー「ああ!援護を頼む!」

 

シイナ「隊長。ここは私達に任せて、マリア達の援護に向かって下さい。」

 

アズマ「シイナ?」

 

ナナセ「隊長には、守るべき人が居るんじゃないですか?」

 

アズマ「・・・そうだったな。お前達、頼むぞ。」

 

シイナ・ナナセ「はい!」

 

アズマはアルティメット・マジシャンズが突入した帝城へ向かった。

 

ジェレミー「お前ら、喰い尽くすぞ!」

 

ローランド・ラナ「アウウウゥゥゥーーーン!!!」

 

 

 

 

 

 

戦場にフィンが立ってる。

 

フィン「俺のペット共は”特別製”だからよ。図体がデカいだけの奴らと一緒にしない方が良いぜ。さーて・・・と。じゃあ俺は、ゆっくりとこの中から探し出すとするかな?ウォルフォード達の仲間、家族、上官に部下。そしてクリスティの仲間諸共。まー知り合いなら何でも良いか。1匹でも多く血祭りに上げて、その首を奴らへの手土産にしてやる。思い知るが良いぜ。敵は目の前に居る奴らが全てじゃないって事をな。やっぱりまずは・・・アールスハイドの連中からだよなぁ。」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、帝城では。

 

ユーリ「ほよっと!」

 

ナージャ「・・・」

 

建物の屋根の上に着地したユーリとナージャの姿があった。

 

ナージャ「・・・この辺から魔人の魔力を感じるよ。」

 

ユーリ「ありがとうナージャ。私、あ〜〜んまり得意じゃないのよねぇ。索敵。それで、正確の位置は分かる?」

 

ナージャ「・・・近くに居るけど、何処から気配するかはまだ。」

 

ユーリ「しょーがない。荒技で行くかぁ。」

 

腰のホルスターから何かを取り出した。

 

ナージャ「?」

 

 

 

 

近くに隠れてる1人の魔人。

 

魔人(あんな目立つ場所で突っ立てやがる。ナメてるとしか思えねェ。言う間すぐブチかましてやりてェとこだが・・・()()()()の策が通用するなら、それが1番手っ取り早い。仕方ねェから少し潜んで、あの女共を引き付けてから・・・)

 

するとユーリから電撃が溢れ出た。

 

魔人「・・・!?」

 

そして2人の真上に巨大な魔法陣が出現し、そこから無数の落雷が落ちた。

 

魔人「!!!!」

 

その落雷は、魔人が潜んでる周辺を破壊し尽くした。

 

魔人「・・・な・・・何・・・だと・・・!?」

 

ユーリ「見〜〜〜付けたぁ!」

 

ナージャ「かくれんぼは終わりかしら?」

 

魔人(何だ・・・今の魔法・・・!?幾ら奴らの魔法が強力とは言え・・・こんな・・・広範囲に・・・均等に魔法を拡散させるなど・・・可能なのか・・・!?)

 

ナージャ「ユーリ、教えてあげちゃって。混乱してる彼に分かり易く。」

 

ユーリ「んふふ♪電撃系魔法付与のロッド。3本同時にイッちゃったぁ♡」

 

魔人「攻撃用魔道具を複数同時に使用したってのか・・・!!何て魔力量だ・・・(つまりさっきのは・・・本来の奴の魔法が3倍の威力になって発動した・・・!?)」

 

ユーリ「私、夢中になると周りの事見えなくなっちゃうしぃ。仲間を巻き込んじゃわないようにソロで戦う事にしたんだぁ。サポーター付きで。」

 

ナージャ「それソロで戦うって意味完全無視してるよね?」

 

魔人「・・・そうかよ。」

 

突然魔人が両手を挙げて降参した。

 

ユーリ「!?」

 

ナージャ「何のつもり?」

 

魔人「いいよ。こっちの負けだ。アンタらにゃ勝てそうにねェ。好きにしな。」

 

ユーリ「・・・えぇっ?本気ぃ?」

 

ナージャ(怪しいわね。)

 

魔人「だってよォ、もう充分だろ?()()()()()()()()()()()()。」

 

ナージャ「え?・・・はっ!ユーリ後ろ!!」

 

ユーリ「え?」

 

背後から手が現れ、ユーリの頭部を掴んだ。

 

ユーリ「・・・!!なぁっ・・・!?」

 

エミール「ふっくっくっくっ!」

 

それはエミールの手だった。

 

ナージャ「ユーリを離しなさい!!」

 

魔人「フンッ!!」

 

ナージャ「っ!?」

 

束縛魔法でナージャが縛られた。

 

エミール「このまま魔法ブッ放してアタマ破壊してやっても良いんだけどよぉ、もっと有用な魔力の使い方があってなぁ。今からてめェに制御不能な量の魔力を流し込む。その過程でてめェの中にある”負の感情”すべてを呼び起こしてやるのさ!するとどうなると思う?一瞬にして、人間に牙剥く”魔人”の誕生だ!!」

 

ナージャ「ユーリ!!」

 

エミール「さぁ!存分に味わえやぁーーーーーー!!!!!!!」

 

制御不能の魔力をユーリに流し込んだ。

 

”ドクン・・・!!”

 

魔人「勝った・・・!!」

 

ナージャ「ユーリ・・・!」

 

魔力を流し込まれたユーリが少しふらついて、ピタッと止まった。

 

ユーリ「・・・・・・の・・・に・・・」

 

エミール「・・・?あ?」

 

ユーリ「乙女の髪にぃタダで触れてんじゃないわよぉ〜〜〜〜〜〜!!!!!!!

 

あれ程の魔力を流し込まれたユーリに何の異常も無い。彼女はホルスターからステッキを取り出して魔法弾を連射した。

 

エミール「んなっ!なっ・・・!」

 

ナージャ「ユーリ・・・!?大丈夫なの・・・?」

 

ユーリ「ナージャ。私は正常よ。」

 

エミール「何でぇぇーーーー!?どうして魔人化しねェんだてめェは!!??」

 

ユーリ「制御不能な量の魔力を直接相手に流し込む・・・って言うのがあんた達の魔人化の方法なのぉ?だったら私達にその方法は通用しないわよぅ。だって、その程度の魔力難なく制御出来るもん!どれだけ修行したと思ってるのよぅ!」

 

エミール「だ・・・だとしても・・・!!俺の感情コントロールは・・・絶対だぞ・・・何ケロッとしてやがる・・・何かあんだろうがよ・・・揺さぶられた感情が・・・恨み・・・!嫉妬・・・!絶望・・・!何かしら負の感情は持ち合わせてるはずだ!!」

 

ナージャ「それは無理な話よ!!」

 

エミール「アァ!?」

 

ナージャ「彼女に負の感情なんて1ミリもないわよ!!どんな時もずっと前向き!!それが彼女の長所なんだから!!」

 

ユーリ「ナージャの言う通り!私は何時だってぇ!前だけ向いて生きてるのよぅ!!後ろなんて見てる暇は何処にもないわぁ!!」

 

エミール「・・・・!!」

 

魔人「おい!エミールてめェ!!何が『自分の策なら上手く行く』だよ!!全然失敗してんじゃねェか!!」

 

エミール「・・・うるせェ黙れ・・・」

 

魔人「前線に出る連中と違って戦闘力が音るから・・・俺はお前と組んだんだぞ!!何とかしろよ!!」

 

エミール「・・・黙れ・・・俺の魔力操作が効かない生物など・・・この世に絶対に存在しねェ・・・!!だったら先に死ぬ程絶望与えてから操作するまでだ!!後悔しやがれェーーーーー!!!!」

 

激昂したエミールが、仲間の魔人の顔を掴んで魔力を流し始めた。

 

魔人「むぐ・・・へ・・・へめェ・・・ぐ・・・がぁあああああ!!!」

 

ナージャ「彼奴、仲間に魔力を増幅させた・・・!?」

 

魔力を流し込まれた魔人が一瞬でユーリの後ろを取り、魔法弾を放った。

 

ユーリ「ッ!!」

 

ステッキで魔法障壁を展開して防いだ。

 

エミール(くそ・・・威力だけに気を取られていたふぁ・・・異空間収納ではなく、常時携帯した魔道具で戦闘を行う最大のメリットがまだありやがった・・・!魔力の集中も・・・詠唱も・・・魔法イメージもいらない分・・・魔法の発動が恐ろしく早い・・・!!)

 

彼女はステッキを自由自在に使いこなす。魔人の腕を掠った。

 

エミール(ちぃっ・・・!奴だけじゃ荷が重い!俺もフォローしねェと!)

 

ユーリ「わわ!ちべたっ!むぅ!」

 

水魔法でユーリを怯ませた。

 

ユーリ(2対1・・・どうしても片っぽがお邪魔虫・・・ナージャは魔人の束縛魔法で身動きを封じられてる。どうにか1人だけでも動きを止めないと・・・)

 

するとその時、上空から電撃魔法が降り始めた。

 

エミール「は?」

 

電撃魔法がエミールと魔人に直撃した。

 

ナージャ「電撃・・・?あ!ユーリ!上見て!」

 

ユーリ「オ・・・オリビア!!??」

 

上を見ると、別行動していたオリビアがゲートから現れた。

 

オリビア「ユーリさん!!今の内に攻撃を!!」

 

エミール(完全に隙を突かれた・・・!!背後からの電撃・・・!!か・・・身体が言う事を聞かねェ・・・!!)

 

???「ウオオオオオオオオ!!!!」

 

エミール「ッ!?」

 

1人の男がエミールの顔を鷲掴みした。

 

 

 

 

デリック「見付けたぞ。エミール。」

 

 

 

 

エミール(デ・・・デリックだと・・・!?)

 

ユーリ「デリック!!」

 

ナージャ「・・・!」

 

レオナ「ナージャ、大丈夫?」

 

ナージャ「レオナ!」

 

同じくレオナも現れ、束縛されてるナージャを解放した。

 

デリック「ユーリ!コイツは俺が!お前は雑魚を頼む!!」

 

そのままエミールと共にジャンプして何処かへ去った。

 

ユーリ「ナァ〜〜〜イス・・・!?」

 

ホルスターから全てのステッキを上に投げると、ステッキに魔力が通った。

 

ナージャ(ステッキ1本1本に魔力が通されていく。時間差魔力操作による、複数魔道具同時発動。あれがユーリの切り札!)

 

ユーリ「行〜く〜わ〜よぉっ!!!!」

 

全てのステッキから魔法弾が乱射し、身動きが取れない魔人を消し炭にした。

 

 

 

 

 

 

そしてデリックは、エミールを帝都の公園に突き落としていた。

 

エミール「クッ・・・!」

 

デリック「やっと出会えたなエミール。家族の仇をここで討つ!」

 

エミール「デリックてめェ・・・!フッ、まぁ丁度良い。お前に会わせたい奴がそこに居る。」

 

デリック「何?」

 

エミール「おい!」

 

そこに現れたのは、黒い服、白いジャンパースカート、赤いローファー、赤髪ポニーテールの女魔人だった。

 

デリック「な・・・!?ロクサーヌ!?」

 

エミール「そうだ。俺が殺したはずの、お前の妹だ。」

 

 

 

 

 

 

帝城・バルコニー。

 

カイン「あっちこっちド派手に始めやがったな。頃合いだ。行くぞ。」

 

遂に、彼らも動き出す。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶
マナミア=ラドクリフ:前川涼子
レベッカ=ホーク:有村蓮

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
ドロレス=ワイズマン:石見舞菜香
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子
ジェレミー=ダンクルク:前野智昭
ローランド:山本和臣
ラナ:黒木ほの香

ジュリアン=フィッツバード:小松未可子
ジネブラ:小宮有紗

アズマ:榎木淳弥
シイナ:内田彩
ナナセ:白石晴香

マチ:逢田梨香子
ヨーコ:福原綾香
アキ:南條愛乃
サヨ:影山灯

ミカ:金澤まい
ユイ:徳井青空
ケイ:夏川椎菜

テレサ:浅倉杏美
アリシア:愛美
ライラ:角元明日香
ロスタリア:若山詩音
ジュリ:村上まなつ

ヴァーテル:千本木彩花

カオル:国立幸
マモル:山谷祥生
タカオ:石谷春貴
セイラ:今井麻美

カルマ:神原大地
ルブラ:小野友樹

レオン:岡本信彦
ソフィー:櫻庭彩華

ジュリアン=フィッツバード:小松未可子
ジネヴラ:小宮有紗
ラスティー:白井悠介

ミランダ=ウォーレス:吉七味。
クライス=ロイド:松田修平
ノイン=カーティス:新祐樹
ドミニク=ガストール:小山剛志
ルーパー=オルグラン:保村真
ジークフリード=マルケス:金子誠
クリスティーナ=ヘイデン:古賀葵
アザレア=ウォルフォード:新谷良子
ライナー=アディソン:深町寿成
ガラン:竹内良太

デリック:福山潤
レオナ:高尾奏音

ハンナ:伊波杏樹
カーラ:鈴木絵里
テッサ:奥野香耶
イルゼ:楠田亜衣奈
ウェンディ:藤田咲
ステイシー:清水香里

ドノバン:梅原裕一郎
ダヴィル:山下誠一郎
ジョセフ:新井良平
ファラ:植竹香菜
レパード:伊月ゆい

ミウ:鈴木愛奈
ジェシー:照井春佳
シア:大野柚布子
ローラ:田中美海
リナ:花守ゆみり
スズ:種崎敦美
ユリア:大空直美
ルリ:田澤茉純
パドメ:宮原颯希
ジリオラ:諏訪彩花
ダイアナ:長縄まりあ

ティエンフ:平野綾

ビヤン:磯部花凜
クラージュ:堀内まり菜
ジャンティー:熊田茜音
ルビア:吉武千颯
シオン=パルティ:高木美佑

魔人:野瀬育二
   増岡大介
   田所陽向
   橘龍丸

ヒイロ=カートゥーン:櫻井トオル

ベルゼ=クラスティール:澁谷梓希

アベル:古川慎
フィン:市来光弘
エミール:高梨謙吾

実体のない存在:斉藤次郎

オリバー=シュトローム:森川智之





次回予告

エミールに殺された妹、ロクサーヌと再会したデリック。そして、ゼストの部下達が遂に動き出した。アルティメット・マジシャンズに危機が迫る。

次回ウルトラマンティガ

逆襲者

お楽しみに


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第46話「逆襲者」

逆襲者
魔人・魔物軍団 登場



ユーリ「ふうぅ・・・取り敢えずここは片付いたぁ・・・かなぁ?でもぉオリビア、よくピンポイントでゲートを使って私のトコ来れたねぇ。」

 

オリビア「・・・実は・・・っ!?ユ・・・ユーリさん!前!前!」

 

ユーリ「ッ!あらぁ!」

 

戦闘服が濡れていた。

 

ユーリ「そう言えば、さっき魔人に水の魔法かけられたような・・・」

 

ナージャ「早く乾かさないと。」

 

ユーリ「別にいいよぉ。渡しそんなに気にしないしぃ。」

 

ナージャ「自分が良くても周りが気になるわよ。」

 

温風魔法でユーリの戦闘服を乾かしてあげる。

 

ユーリ「それでぇ、ナージャが服乾かしてあげてる間に聞かせてよぉ。さっきの続き。」

 

オリビア「・・・あ、はい。えと・・・正直言って・・・私、自分が個人の力で上位クラスの魔人を倒すのは・・・難しいなって・・・思ったんです。最初は今まで通り、マークとペアを組んで動く事も考えたんですけど・・・彼は彼で個人で戦い抜けるだけの戦術を考え出したみたいなので・・・色々考えて決めたんです。だったら私自身は、徹底して皆のフォローに回ろうって。」

 

ユーリ「・・・そう言えば、さっきゲートで移動して来たけど、当然帝都に来るのは初めてでしょお?一体どうやって・・・」

 

オリビア「・・・解散後すぐにケイティさんと同行して・・・索敵で全ての魔人の気配を把握した上で、私達メンバーの動きを予想して、戦闘が起こり得る可能性が高い場所を優先して回りました。その事をケイティさんに伝えて、今別行動中です。勿論帝城まではまだ回れてないですけど・・・」

 

ユーリ「ちょ、ちょっと待ったぁ!す、全ての魔人の・・・配置と私達の動き・・・って、ま、魔力探知でそれが全部分かるって言うのぉ!?」

 

ナージャ「かなり高度な魔法使ったのね。オリビア。」

 

 

 

 

 

 

決戦前。

 

マーク『何時も戦いの度に思うんだけどさ。お前って、何気に索敵の精度高いよな。』

 

オリビア『え?そう?』

 

マーク『俺は、多人数の敵と戦う時いちいち敵の総数や位置なんて把握し切れてねーもん。お前得意じゃんそう言うの。最初の頃はクロードさんとかの方が技術が高かったけど、今は多分オリビアの方が上だと思うぜ。』

 

オリビア『・・・関係あるかは分からないけど・・・私、昔からお店の手伝いしてて・・・全体の人の流れを見てその先を予想して動くのが癖になってるんだよね。ひょっとして・・・それが魔力探知にも活かされてるのかな・・・』

 

 

 

 

 

 

そして今。

 

オリビア「索敵と魔力探知なら、私は誰にも負けないつもりです。渡しは、この力で可能な限り皆を助けます。」

 

ユーリ「・・・・そっかぁ。そっかそっかぁ!あのオリビアがこんなに頼もしくなっちゃってぇ!嬉しいなぁ!」

 

嬉しくなってオリビアを抱き締めた。

 

オリビア「ユ・・・ユーリさん。」

 

ナージャ「事実、さっきは危ない所だったから本当助かったわ。」

 

ユーリ「本当ありがとぉ。」

 

オリビア「・・・・・」

 

ユーリ「そうだ。レオナ、あなた1人でも大丈夫?」

 

レオナ「ええ。デリックは必ず勝つ。だって、私が信頼してる男だから。」

 

ユーリ「そっかぁ。」

 

ナージャ「じゃあ、そろそろ行こう。」

 

ユーリ「そだねぇ。」

 

オリビア「私は引き続きゲートの移動先を増やす為、帝城側を回ります。」

 

レオナ「オリビア。私も行く。1人より2人よ。」

 

オリビア「・・・ありがとうレオナちゃん。」

 

 

 

 

 

 

ブルースフィア帝国・公園。

 

デリック「ロクサーヌ・・・!」

 

ロクサーヌ「・・・・・・」

 

エミール「ロクサーヌ、裏切り者を始末しろ。」

 

するとロクサーヌが弓矢を構えた。

 

デリック「ッ?」

 

ロクサーヌ「・・・・・!」

 

2本同時に矢が放たれ、デリックに迫る。

 

デリック「ッ!」

 

その2本の矢をデリックが右手で掴んだ。

 

デリック「しれだけか。・・・ッ!?」

 

突然デリックが苦しんで膝を付いた。

 

デリック(ど・・・どうなってるんだ・・・!?まさか・・・あの矢に猛毒が!?)

 

エミール「ロクサーヌ。身動き出来ないデリックを殺せ。」

 

ナイフを構え、ロクサーヌがデリックを切り続ける。

 

デリック「クッ!!ガアッ!!」

 

ロクサーヌ「・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

一方アリスとリンとレベッカは、魔人達を討伐し終えていた。

 

アリス「順調だね!」

 

リン「この調子でどんどん帝城を目指す。」

 

レベッカ「ケホケホ!煙が凄い・・・先輩方、爆発魔法はやり過ぎですよ・・・」

 

アリス「そだね・・・凄い煙たい・・・」

 

リン「アリスがインカムで『爆発魔法』って指示出した。」

 

アリス「分かってるって・・・じゃあ次からはリンが指示してよ。」

 

リン「いいけど、さっき言ったように敵によっては・・・ッ!!アリス!!!」

 

アリス「ッ!?」

 

煙からカインが現れ、アリスのインカムが飛ばされた。しかしインカムが飛んで行っただけで、アリスは間一髪避けて無傷。

 

レベッカ「・・・!?」

 

カイン「何つーか、ここまで来るとよぉ、因果とか引き合わせみてーなの?信じざるを得なくなっちまうよなァ。それに今日は見慣れない顔が居るな。まぁ良いや。都合3度目だ。チビ共。今度は死ぬまで相手してやる。」

 

アリス「来やがったなぁ・・・!」

 

リン「レベッカ。あなたはフォローをお願い。」

 

レベッカ「・・・はい!」

 

 

 

 

 

 

その頃マリア・ミランダ・マナミア組は。

 

マリア「ッ!ミランダ!マナミア様待った!」

 

ミランダ「礼拝堂・・・?」

 

マナミア「あそこに何が・・・?」

 

マリア(・・・居る!!)

 

 

 

 

アウグスト(・・・・先程、散開した強力な魔力の気配・・・このまま進むと・・・)

 

 

 

 

マーク(ぶつかる事に・・・なりそうッスね・・・)

 

 

 

 

シン(向かって来てるな・・・避けては通れなさそうか。)

 

ティガ(ここからが正念場か。)

 

 

 

 

 

 

別の場所。

 

ベルゼ「おやおや。遂に動き出したみたいだね。んじゃ、こっちも行動しましょっか♪」

 

 

 

 

 

 

壁の外。

 

フィン「動いたな・・・アベルさん達。こうなると・・・なぁオイ。そろそろ吐けよ。居るんだろ?この中に。ウォルフォード達と親しくしてる奴らがよ。」

 

シイナ「新手の魔人ね。しかも壁のこっち側に来るなんて。」

 

ナナセ「あまり近寄らない方が身の為ね。隙を見て攻撃しないと。」

 

ヘクター「オイ!魔人が現れたってのはマジか!?」

 

シイナ「ヘクター!?何を!!」

 

ヘクター「仮にもバイブレーションソードを与えられてんだ!俺がやってやる!!」

 

シイナ「待ちなさい!!」

 

ヘクター「うおおおおおおお!!!!」

 

だがシイナの制止を聞かず、ヘクターがフィンに接近する。

 

フィン「・・・・・・」

 

しかし、フィンの右手がヘクターの右腕を切断した。

 

兵士達「ああ!!!」

 

ヘクター「ぐぅ・・・あぁあ・・・!!」

 

フィン「一度しか訊かねーぞ。ウォルフォード達の知り合いを捜してんだ。この戦場の何処に居る?」

 

シイナ・ナナセ「・・・」

 

???「俺の事か?」

 

シイナ・ナナセ「!?」

 

そこに現れたのは、ジェレミーだった。

 

シイナ・ナナセ「ジェレミー!」

 

ジェレミー「おい、大丈夫か?」

 

ヘクター「あ、ああ・・・」

 

ジェレミー「ここは俺に任せろ。お前達は別の魔物を頼む。」

 

ナナセ「わ、分かった!」

 

シイナ「気を付けてねジェレミー!」

 

他の魔物を討伐しに行った。

 

ジェレミー「そんなにシンの親友が欲しいなら、俺が相手してやるよ。」

 

両手の爪を伸ばした。

 

フィン「お前、あの魔喰人か。丁度良い。お前を殺れば後々楽になるからな。」

 

 

 

 

 

 

帝都。アリスとリンとレベッカがカインと激しい戦いを繰り広げる。

 

アリス(目で追えないレベルの連撃・・・!!物理防御を解いたら致命傷は確実・・・!!ぶっちゃけ怖い・・・けど!ここで退いたら負ける!!)

 

カイン(・・・・・)

 

持ってるナイフをリンに向かってナイフを投げた。するとリンが、インカムでナイフを弾き返した。

 

カイン「・・・!?」

 

驚いた表情を見せながら、弾かれたナイフをキャッチした。

 

リン「前と同じ手は通じない・・・!!」

 

レベッカ「頭突きでナイフを返した・・・!」

 

カイン(・・・コイツら、変わったな。魔法とか戦闘スキル以前に何つーか・・・戦いに対する姿勢が前とはまるで違う。)

 

アリス「・・・・」

 

落ちてるインカムを被って動けるかどうか確かめたが、故障している。

 

アリス「ゴメン。やっぱダメだ。リン。さっきの衝撃でインカムイカれたっぽい。」

 

リン「・・・気にしなくて良い。こっちのもさっきの頭突きでイカれた。」

 

アリス・レベッカ「ズコッ!」

 

レベッカ「リン先輩・・・」

 

アリス「ま、いーかぁ。相手は1人。」

 

リン「私らのコンビネーションなら、小細工無しでもやれる。」

 

アリス「レベッカ、ここは私達に任せて。」

 

レベッカ「はい。」

 

カイン「慢心じゃねェ。自信だな。死線を潜って来た奴らだけが得られるモンだ。その強さは。分かるぜ。今よりもっと強くなれるかもな。お前ら。勿論ここで、俺に殺されなきゃの話だけどよ。」

 

 

 

 

 

 

一方トニーは。

 

トニー「うん。イケるね。父さんとシンには感謝しなくちゃねぇ。」

 

1人の斥候魔人の討伐を終えていた。

 

トニー(さーて、敵の主力も動き出したみたいだし、こっからどうするかなぁ・・・取り敢えず僕の方へ来る気配は感じないけど・・・大きめの魔力だけ大凡で読み取ると・・・)

 

 

 

ティガ、フェオン、シン、シシリーは帝城へ向かっている。

 

オリビアとケイティは仲間達のフォローに回ってる。

 

アウグストとマークは個別に戦ってる。

 

マリア、ミランダ、マナミアは斥候魔人と交戦。

 

アリス、リン、レベッカはカインと交戦。

 

トールとユリウスは同行中。

 

ユーリとナージャは他の斥候魔人と戦ってる。

 

 

 

トニー(大体今の位置はこんなモノか・・・それぞれが順調に魔人を討伐出来ていると仮定すると・・・半数近くは片付いた感じかな?引き続き魔人達の数を減らす事に集中するか、それとも主力の魔人を相手する事になりそうなメンバーをフォローするか。・・・・・)

 

 

 

 

 

 

そしてマークは。

 

魔人「ぬぅああぁ!!」

 

マーク「ぐぎぎ・・・!!」

 

巨漢の斥候魔人と戦っていた。

 

魔人「くく・・・前情報より随分剣技が上達してるじゃあないか。だが残念。お前の細腕じゃ、そもそも力で魔人には敵わねぇ。」

 

マーク「・・・そりゃそうッスね。(だったら『力』以外で攻めるとするッス!!!)」

 

彼の持つバイブレーションソードが風を纏った。

 

魔人(・・・!?何だ!?剣に・・・風が・・・渦巻いて・・・)

 

マーク「はあぁっ!!!」

 

魔人(風に・・・押し返される・・・!!)

 

風が魔人の剣を押し返した。

 

マーク(今だ!!)

 

風から炎を纏った剣が、魔人の胴体を斬り裂いた。

 

魔人(今度は・・・炎・・・こいつ・・・剣に魔法を・・・纏わせて・・・)

 

そのまま魔人は息絶えた。

 

マーク(大元のアイデアはと言うと、授業で散々やったマジカルバレーなんスけどね。ボールに魔法を纏わせられるなら、武器にも可能なんじゃないかって考えたッス。実際上手く行ったッスね。)

 

サイクス「へえぇ、凄ぇな。ちょっと他にも見せてくれよ?」

 

マーク「なっ・・・!?」

 

突如現れた魔人のサイクス。マークが後退りする。

 

サイクス「ん?ああ、思い出したぜ。お前・・・前に1度遊んだ事あったな?」

 

マーク「(別の魔人に気を取られて”本命”の接近を許してしまった・・・!油断したッス・・・!!)そうッスね。クルトの時は・・・俺は遊ばれただけに過ぎなかったッス。」

 

サイクス「・・・で?今日は?」

 

マーク「え?」

 

サイクス「”遊び”か?”戦い”か?どっちだ?」

 

マーク(ッ!!)

 

サイクスから溢れ出る邪悪な視線にマークは驚いたが、密かに深呼吸して剣を構える。

 

マーク「答えは剣で示してやるッス・・・!!」

 

サイクス「・・・良い答えだ。来い。」

 

マーク「・・・?」

 

違和感を感じたマークがサイクスに問う。

 

マーク「剣は・・・抜かない気スか?」

 

サイクス「あん?」

 

マーク「前戦った時は・・・使ってたはず。」

 

サイクス「・・・こう見えて慎重派でな。()()()()()()()手ェ抜かねーようにしてんだ。一応。いいから気にせず来いよ。」

 

マーク(わざわざ話し掛けて接近して来た事といい・・・完全にナメられてるって訳ッスね・・・!!後悔させてやるッス!!)

 

高速でサイクスの後ろに回って剣を振る。だが。

 

マーク「!!??」

 

死角に入ったはずなのに、サイクスに殴られた。

 

サイクス「隙だらけだ。」

 

マークはそのまま剣を振るが、サイクスが避けてマークの顎を蹴り上げた。

 

サイクス「振りがでけェ。」

 

マーク(ッ!!魔法剣!!)

 

魔法を纏った剣を振る。だがサイクスはこれも避けた。

 

サイクス「気合いとは裏腹に、後1歩踏み込みが足りてねェな。ビビってんのか?」

 

マーク(恐れ・・・?違う・・・!!何だこれ・・・身体が・・・本能が軽快してる?危険を避ける為に・・・コイツ・・・今まで会ったどの魔人よりも・・・強い・・・!!)

 

サイクス「・・・ま、いーや。後がつかえるこったし・・・ちっとはマジでやるか。」

 

異空間収納から剣を取り出したサイクスだが、マークがその剣を見て驚いた。

 

サイクス「はは。覚えがあんだろ?」

 

マーク(俺と同じ・・・魔法剣・・・!?)

 

サイクス「お前も紆余曲折経て()()に至ったんだろうけどよ。辿り着いた先が同じとは気が合うじゃねーか。」

 

マーク(同じだからこそ分かる・・・剣を合わせる前でも・・・!!剣技と魔法・・・その組み合わせによる精度の差・・・!!)

 

 

 

 

 

 

一方オリビアはケイティと合流していた。

 

オリビア「・・・」

 

ケイティ「オリビア?どうかしたの?」

 

オリビア「複数箇所で大きな魔力がぶつかり始めてます・・・!」

 

ケイティ「じゃあ今は、そっちの援護に回る?」

 

オリビア「えぇ・・・私が・・・私達が向かうべき場所は・・・」

 

 

 

 

 

 

再びマークとサイクスの戦い。

 

サイクス「さぁ行くぜ坊主!!!」

 

魔法剣を握ったサイクスがマークに迫る。しかし。

 

オリビア「ッ・・・!!」

 

マーク「オ・・・オリビア・・・!!」

 

現れたオリビアが、サイクスの剣を魔法障壁で防いだ。

 

オリビア「マークは私が守る!!」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、デリックは。

 

デリック「ハァ・・・ハァ・・・」

 

ロクサーヌの攻撃を受け続け、瀕死の状態に追い込まれてしまった。

 

エミール「どうした?大切な妹を傷付けたくないから攻撃しないのか?」

 

デリック「・・・馬鹿馬鹿しい。」

 

エミール「何ィ?」

 

デリック「お前は誰かを操る事しか出来ず、自分からは戦いに臨まない・・・子供の頃からそうだったよな・・・自分は弱いから強い奴に媚を売ってばかり・・・本当、心底見損なったよ・・・」

 

エミール「フンッ。その減らず口もこれで終わりだ。あの世で裏切られた奴らに一生悔い改めろ。ロクサーヌ!殺せ!!」

 

ロクサーヌがナイフを握り、デリックに刃先を向ける。

 

デリック「ロクサーヌ・・・お前に会えて・・・良かった・・・」

 

その言葉と同時に、デリックがロクサーヌに刺殺された。

 

 

 

 

 

 

再びマークとオリビア。オリビアがサイクスの剣を防いでいる。

 

オリビア「うぅ・・・!!」

 

サイクス「(何だこの女・・・どっから現れやがった?魔力が接近する気配は無かったはず・・・例の転移魔法か?・・・にしてもどうやって都合良くここへ・・・まーいーか。分かんねェ事グダグダ考えてもしょうがねェ。)オイ女。1つ言っとくが。俺の剣、物理防御の障壁だけで防げると思ってんなら甘ぇぞ。」

 

オリビア「っ!?」

 

マーク(そうか!!)

 

魔法障壁が破れ始めた。

 

オリビア(障壁が・・・切り裂かれる・・・!?)

 

ケイティ「ホワッチャーーーーー!!」

 

サイクス「ッ!?」

 

真横からケイティが飛び蹴りで迫り、サイクスが後ろへジャンプした。

 

ケイティ「ちょっとー。2人ばかり相手しないで、私の相手もしてよー。」

 

サイクス「チッ、裏切り者の小娘か。」

 

ケイティ「2人共、大丈夫?」

 

オリビア「助かりました・・・」

 

マーク「オリビア・・・!こいつの剣は物理と魔法、両方の性質を併せ持ってる・・・つまり、どちらかの障壁だけでは防げないんだ!」

 

オリビア「・・・そんな・・・」

 

戦闘服付与の2重障壁なら攻撃の防御は出来る。だがサイクスの剣技は、攻撃を防げば勝てるなどと言う甘いレベルではない。

 

サイクス「面白い。裏切り者共々始末してやる!!」

 

マーク「うおっ!!」

 

ケイティ「ホッ!」

 

剣を振るうサイクスを、マークとケイティが避けた。

 

サイクス「・・・オイボウズ。考えなしに距離取って良いのかよ?俺は女だろうが、躊躇なく斬るぞ。」

 

真後ろのオリビアを見てそう言った。

 

マーク「てめェ!!!」

 

逆鱗を触れられたマークがサイクスに接近するが、サイクスに返り討ちにされた。

 

サイクス「そーらまた。安い挑発に乗って隙が出来る。」

 

オリビア「マーク!!!」

 

ケイティ「よくもマークを!!!」

 

双剣を握ってサイクスに攻撃するが、サイクスが障壁で防いだ。

 

サイクス「仕様変更と行くか。」

 

剣に風の魔法を纏わせた。

 

オリビア(風の魔法・・・!?)

 

サイクスが風の魔法を纏った剣を振り、風を巻き起こした。

 

マーク「ぐっ・・・!!」

 

オリビア「ああっ!!」

 

ケイティ「うわあ!!」

 

風を受けた3人が吹き飛ばされた。

 

オリビア「・・・う・・・」

 

マーク「く・・・そっ・・・」

 

ケイティ「やるねぇ・・・」

 

オリビア「マーク!!大丈夫なの!?」

 

マーク「・・・平気だよ。薄皮斬られただけだ。」

 

オリビア「は・・・早く治療を・・・」

 

ケイティ「待ってオリビア。今回復に徹したら、彼奴に隙を突かれてトドメを刺されるよ。」

 

オリビア「・・・!?」

 

マーク「ケイティさんの言う通り・・・オリビア・・・俺さ、こんなに強ェ魔人目の前にしてんのに、何故か今は不思議と落ち着いてんだ。」

 

サイクス(さっきの一振り・・・肋骨まで断つつもりで斬ったが・・・避けるだけの冷静さは残ってたって訳か?)

 

オリビア「マーク・・・一体何の話を・・・」

 

マーク「お前に何かあったらって恐怖は勿論あるんだけどさ・・・何て言うか・・・今はそれ以上に・・・すっげー心強ェんだ。だって、お前が傍に居てくれんだからさ。」

 

その言葉を聞き、オリビアが惚れた。

 

マーク「立ち向かえるよ・・・今なら。どんな奴が相手でも。」

 

彼は剣を異空間収納に仕舞った。

 

サイクス(剣を仕舞った?・・・なーんか企んでやがんなぁ・・・フッ、乗ってやるか。)

 

マーク(・・・・)

 

オリビア・ケイティ「!!」

 

ぼそっとマークが呟き、オリビアとケイティがそれを聞いて頷いた。

 

サイクス「さぁ、今度は電撃だ!!」

 

剣に電撃を纏わせて3人に迫る。

 

マーク「フッ!!」

 

サイクス「ッ!?」

 

接近するサイクスの前に土壁を展開した。

 

サイクス「土壁・・・だと・・・?ナメてんのか!!ガキ共が!!」

 

激怒したサイクスが土壁を粉砕した。だが。

 

ケイティ「舐めててごめんなさいね!!」

 

立っていたケイティが、サイクスの姿を見て高速で迫り、双剣を振った。

 

サイクス「っ!?」

 

咄嗟の判断でケイティの双剣を防いだ。

 

サイクス(壁の裏側に裏切り者・・・だが2匹が居ねぇ・・・!?)

 

しかし、彼の後ろにマークとオリビアがゲートを伝って現れた。ケイティが後ろへジャンプした。

 

マーク「アンタに教わったんだぜ!!冷静さは失っちゃダメだって!!」

 

サイクス「チィッ!!」

 

2人の魔法弾がサイクスに直撃した。

 

 

 

 

 

 

爆発音が、帝都に侵入したアズマの耳に入った。

 

アズマ「もう既に戦闘が始まってる。マリアを探さねえと。」

 

彼がマリアを探しに走っていると。

 

アズマ「ッ!」

 

目の前に6人の斥候魔人が現れた。

 

魔人A「オイオイ、人間が来て良い場所じゃねェぞ?ここは。」

 

アズマ「そこを退け。死にたくなければな。」

 

魔人A「死ぬのはテメェの方だァ!!!」

 

1人の魔人がアズマを襲った。だが。

 

魔人A「・・・へ?」

 

胴体が一瞬で斬られていた。

 

魔人B「な・・・何だよこれ・・・!?」

 

アズマ「言っただろ。そこを退けって。」

 

魔人B「人間の分際で!!殺っちまえェ!!!!」

 

5人の魔人がアズマに魔法弾を放った。魔法弾がアズマに全て命中した。

 

魔人B「俺達に歯向かった報いだ!!」

 

 

 

 

しかしアズマは無傷だった。

 

 

 

 

アズマ「・・・・」

 

魔人C「む、無傷・・・!?何でだよ・・・!?」

 

魔人B「オ、オイ!!何であれだけの攻撃を受けて無傷なんだよ!!!!」

 

アズマ「助かったぜタクト。お前の作った戦闘服、本当に魔法攻撃を完全防御するとは。」

 

魔人B「完全防御の服・・・だと・・・!?」

 

魔人D「卑怯だぞテメェ!!!強え力を持って俺達を殺したいのか!!!」

 

アズマ「これはただの力じゃない。仲間を守る為の力だ!!」

 

回転斬りで、周囲の斥候魔人を一刀両断した。

 

アズマ「恨んでくれても構わない。」

 

 

 

 

 

 

再びマーク達の方は。

 

マーク「はぁ・・・はぁ・・・あ・・・危なかった・・・流石に・・・今までの奴らとは訳が違う・・・たまたま石畳が剥がれてる場所があって良かった・・・」

 

オリビア「い・・・今なら大丈夫だよ。早く血を止めなきゃ・・・」

 

マーク「あ、ああ・・・」

 

ケイティ「マーク。傷薬もあるから塗ってあげるね。」

 

マーク「ケイティさん・・・」

 

傷薬をマークの傷を塗る。

 

ケイティ「これでよし。」

 

マーク「ありがとうございます・・・ッ!?」

 

爆炎から魔法剣が飛んで来た。

 

ケイティ「オオッと!!!」

 

剣で魔法剣を弾いた。

 

サイクス「オイオイ、勝手に終わった気になんなよ。こっからだぜ。命の奪い合いはな。」

 

まだサイクスは生きていた。服は剥がれ、右肩にドラゴン、左肩に魔法陣の刺青がある。

 

オリビア「そ・・・そんな・・・」

 

ケイティ「凄いね。あれだけの攻撃を受けたのに擦り傷なんて。結構運が良いのね。あなた。」

 

サイクス「多少なりとも優秀な付与を施された隊服だったんだがな。やってくれるぜ。・・・ま、これでこっちは文字通り障壁(ガード)なしの丸裸だ。お前らにとっちゃチャンスだろ?分かってると思うが、どっちかが死ぬまで終わらねぇぞ。生半可な覚悟は一切捨てて掛かって来い。」

 

マーク・オリビア「・・・!」

 

ケイティ「2人は下がってて。本気の覚悟を持ってる私と遊んであげるよ?」

 

???「・・・いや、僕もそれに混ぜてくれる?」

 

サイクス「ッ!?」

 

突如、サイクスの頭上から何者かが急降下し剣を叩き付けた。サイクスは間一髪後ろに避けた。

 

マーク「・・・あ。」

 

ケイティ「トニー!!!」

 

その人物の正体はトニーだった。

 

ケイティ「どうしたの?迷子になっちゃったの?」

 

トニー「いや、骨のない相手ばかりでちょっと拍子抜けしててさぁ。僕もこっちに混ぜてよ。」

 

サイクス「・・・へぇ。面白そうな奴が来たじゃねェか。歓迎するぜ。」

 

ケイティ「どうする?トニーに任せる?」

 

トニー「そうだね。ケイティは2人の方へ下がってて。」

 

ケイティ「頼むね。」

 

トニー「さぁ。」

 

サイクス「()ろうか。」

 

 

 

 

 

 

廃教会。マリア、ミランダ、マナミアの前にダンテが佇んでいる。

 

マリア「戦いの場に礼拝堂(こんなトコ)を選ぶなんて、魔人でも信仰心は残ってるワケ?」

 

ダンテ「逆だ。信仰心など元より我々には存在しない。帝国の醜さを象徴したこの場所に時折足を運ぶ事で、自分の中にある怒りの火が消えぬよう精神を改める事が出来る。久方振りだな。メッシーナ殿。」

 

マナミア「あのお方が、マリアと戦った事がある魔人ですね。」

 

マリア「見せてやるわよ!前とは違うって所をね・・・!!」

 

ダンテ「シュトローム様直属の魔人、ダンテだ。貴殿らの情報がこちらにはない。名をお聞かせ願えるか。」

 

マナミア「随分と礼儀正しい魔人ですね。」

 

ミランダ「・・・魔人なんかに名乗る名はないって言いたい所だけど・・・こうも礼儀正しくこられちゃなぁ・・・ミランダ=ウォーレス!アンタを倒す剣士の名よ・・・!!」

 

マナミア「マナミア=ラドクリフ!あなた方を祓う剣士です!」

 

マリア「わぁ。マナミア様は兎も角、アンタ大きく出たわね。」

 

ミランダ「もう腹は括ってる。命を捨てる覚悟もある。」

 

マリア「命ってアンタねぇ・・・」

 

マナミア「ミランダ。私もお供致しますからご心配なく。」

 

ミランダ「はい。マナミア様。」

 

マリア(・・・まぁ、それは兎も角として・・・)

 

ダンテがショートスピアを握った。

 

マリア(正直な話・・・相手はコイツじゃない方が良かった・・・敵の武器・・・ショートスピアとは言え、扱いによってはミランダの長剣を優に超える間合いになる。ミランダの最大のメリットを生かせない以上・・・私とマナミア様が徹底してフォローに回らなきゃ・・・!!)

 

ダンテ「いざ!!!」

 

走り出したダンテ。すると。

 

マリア『業炎よ。我が身を守りし赤き竜よ。眼前の魔を滅ぼすべく、怒れるその刃・・・我が力として行使せん事を許し給え。』

 

突然マリアが言霊を唱えた。

 

ミランダ(マリアが詠唱!?)

 

マナミア(一体何を!?)

 

ダンテ(どう言うつもりだ?奴らはウォルフォードやクリスティに師事して以降、無詠唱で魔法を使用していたはず・・・!)

 

戦闘中には使用困難な言霊。使うとしたら出端のこの一撃のみ。

 

マリア「はぁあっ!!!!」

 

炎の竜が現れ、ダンテに迫る。

 

ダンテ(何だ、この威力は!?)

 

迫る炎の竜に、ダンテが魔法障壁で防ぐ。

 

ダンテ(ウォルフォードの魔法にも引けを取らん!!)

 

だが魔法障壁が炎の竜を防ぎ切れず破壊され、ダンテが祭壇に吹っ飛ばされ壁に激突した。

 

ダンテ「ぐ・・・!ッ!?」

 

立ちあがろうとした瞬間、ミランダが目の前に現れ長剣を振り翳してた。

 

ダンテ(あの女の剣、ウォルフォードと同じ・・・!?槍の柄では受け切れん!!)

 

長剣を振り下ろしたミランダ。だが。

 

ミランダ「ごふっ!!」

 

ダンテのキックで蹴り飛ばされた。

 

マナミア「ミランダ!!」

 

マリア「物理防御発動してから行きなさいよ!バカッ!!」

 

マナミア「援護します!!」

 

ダンテに迫るマナミアが剣を振るうが、ダンテが避け、ミランダに槍を突き刺す。

 

ミランダ「ッ!!」

 

間一髪回避し、ダンテに長剣を振るうが避けられた。

 

マリア(やっぱり・・・!!槍の間合いじゃ攻撃が届かない・・・!!それに・・・アイツの魔力を乗せた全力の一撃は・・・戦闘服付与の障壁以外は恐らく容易く貫く・・・!!)

 

ミランダ「うっ・・・!!」

 

魔法障壁を発動して槍を防いだが、障壁にヒビが生じた。

 

ダンテ(予想通り。こちら(ウォーレス)の衣服にも防御付与(シールド)付きか。破るのは困難だな。・・・となると、狙うは障壁の発動しない露出箇所・・・つまり!首一点!!!)

 

槍でミランダの首を斬り落とそうと振るった。

 

ミランダ(横薙ぎ・・・!?しまった・・・突きのみに注意を払い過ぎた・・・あ・・・これ、死んだかも・・・)

 

死を覚悟したミランダだが。

 

マナミア「クッ!!」

 

ダンテ「ッ!?」

 

マナミアが下から剣を振って、ダンテの槍を上へ弾いた。

 

ミランダ「マナミア様!?」

 

マナミア「マリア!!」

 

マリア「はい!!」

 

ダンテ「何!?がっ・・・!?」

 

竜巻魔法がダンテに直撃した。

 

マリア「決死の覚悟で挑むのもアンタらしいけどね・・・私達が絶対に!!死なせるかぁっ!!!」

 

ミランダ(何コレ・・・竜巻!?・・・の内側!?マリアの魔法か・・・!!)

 

ダンテ(ちっ・・・槍を飛ばされた・・・!)

 

ミランダ(私をガードすると同時に、風が目眩しになって・・・)

 

マナミア「ミランダ、一緒に行きましょう。」

 

ミランダ「・・・はい。マナミア様。」

 

 

 

 

 

 

公園。妹ロクサーヌに刺殺されたデリックは。

 

デリック「・・・・・」

 

急所を刺され、倒れてしまった。

 

エミール「フッ。裏切り者に相応しい末路だ。ご苦労だったロクサーヌ。残りの人間共を殺しに行くぞ。」

 

”ザスッ!”

 

エミール「・・・え?」

 

何かを指す音が聞こえた。それは、自身の腹に矢が刺さった音だった。

 

エミール「な、何だこれは・・・!?」

 

ロクサーヌ「私が完全にあなたの道具(モノ)になったと思ったの?」

 

エミール「え・・・!?」

 

ロクサーヌ「ヤァッ!!」

 

エミール「グアアアアアア!!!!」

 

ナイフでエミールの両腕を斬り落とした。

 

エミール「な・・・何故だ・・・!!お前は俺の言いなりのハズ・・・!!」

 

デリック「夢見過ぎなんだよ。」

 

急所を刺され倒れたデリックが何事も無かったように立ち上がった。

 

エミール「何故だ!?お前は死んだハズ!!」

 

ロクサーヌ「気付かなかったの?私が飛ばした2本の矢。1本は猛毒。もう1本は解毒薬。つまり、お兄ちゃんの体内で猛毒が巡回し、後から解毒薬が流れ込んだって訳。」

 

デリック「相変わらず、悪戯好きだな。まぁそのお陰で助かったけど。」

 

エミール「ロクサーヌ・・・!!何故・・・!!」

 

ロクサーヌ「私は最初から、あなた達魔人の仲間になったフリをしてたのよ。証拠に。」

 

自分の両目から何かを外した。

 

エミール「カラーコンタクトだと・・・!?」

 

ロクサーヌ「あなた達が居ない間、私はカラコンを外して過ごしてたのよ。私の策略にまんまと騙されたって訳よ。」

 

エミール「この・・・!!巫山戯やがって!!!」

 

デリック「俺はお前達の裏切り者。だから俺は、その裏切り者のレッテルを貼られながら戦う。それだけだ。」

 

剣を握り、エミールの首に剣先を向ける。

 

エミール「な、なぁ待ってくれよ・・・俺達幼馴染みだろ?今までの事は誠心誠意謝罪するから!助けてくれよ!」

 

デリック「裏切りった俺が、お前を助ける義理はない!」

 

剣をエミールの首に突き刺した。

 

エミール「・・・デリッ・・・ク・・・」

 

最期は名前を言って、エミールが討伐された。

 

デリック「・・・ロクサーヌ。本当に無事で良かった。さっきお前の元気な顔を見てホッとした。」

 

ロクサーヌ「お兄ちゃん、魔人になっちゃったんだね。」

 

デリック「これは俺の代償だ。死ぬまで背負い続けるさ。」

 

ロクサーヌ「そう。お兄ちゃんの仲間達が居るんでしょ?私も手伝うよ。」

 

デリック「助かる。行こう!」

 

ロクサーヌ「うん!」

 

再会した兄妹が、アルティメット・マジシャンズの援護に向かった。

 

 

 

 

 

 

一方、アウグストはリオネルと出会っていた。

 

アウグスト「こちらに接近して来る気配は先程から感じていたが・・・奇襲も不意討ちもなしか。見上げたものだ。」

 

リオネル「軍に居た頃の俺は・・・潜入時、”盾”となって同行した仲間を生かす事だけを役目としていた。自分から策を弄する性分ではない。」

 

アウグスト「・・・・・」

 

リオネル「最も・・・上層部の連中からしたら、俺らはどいつも使い捨ての駒みてェなモンだったがな。自分(てめェ)の命なんざ、潜入時落として当然って認識を全員が植え付けられてたはずだ。そん中での”盾”の存在意義なんざ、あってないようなモンだったぜ。」

 

アウグスト「・・・・・”盾”となる存在ならば、私の身近にも居る。だが・・・国が異なるだけでこうもその認識が違ってくるのだな。・・・アールスハイドに潜入した事は?」

 

リオネル「あ?俺はねェな。・・・他の連中は何度か潜ってるはずだが。」

 

アウグスト「過酷な状況でも生き延びて来たお前ならば・・・もしアールスハイドに生まれていれば大きく立場は変わっていただろう。」

 

リオネル「何だそりゃ?遠回しなお国自慢か?」

 

アウグスト「死戦にて常に命を危険に晒し続けてきた”盾”と、温室育ちながらも揺るぎない信念を持って研鑽を続けて来た”盾”か。はたしてどちらが上かな?」

 

2人の元にトールとユリウスが駆け付けた。

 

リオネル「!!」

 

ユリウス「お待たせしたで御座る。殿下。」

 

トール「その御様子だと・・・自分達もここへ向かっている事は御存知だったようですね。」

 

アウグスト「お前達の因縁の相手だろう。横取りする気はないさ。」

 

リオネル「3対1か・・・構わんぜ。どうせそっちの2匹は物の数にも入らねェ。お前が強ェのは十分に感じて取れるがな。」

 

アウグスト「・・・待て。勘違いするな。お前の相手をするのは、この2人だけだ。」

 

リオネル「!?・・・どう言うつもりだ?お前と戦いたきゃ先にコイツらを倒せって事か?」

 

アウグスト「ああ違う。そう言う意味じゃない。()()()()倒すのはこの2人だけで十分だと言う意味だ。私が手を出すまでもない。まぁ、こちらに突き合わせるばかりでは悪いしな。こう言う条件でどうだ?」

 

そう言うとアウグストは、自身の戦闘服を脱いだ。

 

アウグスト「()()()この2人を倒せた時は、タダで私の命をくれてやる。この通り生身の状態で待機していれば信じられるだろう?」

 

トール・ユリウス(殿下・・・・)

 

アウグスト「ただ、こちらとしてもお前1人に時間を割くのは惜しい。・・・そうだな。トール、ユリウス。()()()()()()()。」

 

散々に煽られたリオネルの怒りが頂点に達した。

 

トール(煽りが過ぎます!殿下〜〜〜〜〜!!!)

 

リオネル「5分もいらねェ・・・30秒でコイツらミンチにしてやるからそこで見てろ・・・!!!」

 

トール「で・・・殿下。何故にわざわざ・・・殿下の命など懸けられたら我々は・・・」

 

アウグスト「おや?全力を温存した奴に勝利してお前達は満足なのか?」

 

トール・ユリウス「!」

 

アウグスト「お前達2人の誇りを懸けた戦いなんだろう?ならば私の命を天秤に掛ける位安いものだ。」

 

トール・ユリウス「・・・・・」

 

アウグスト「・・・始めろ。」

 

 

 

 

 

 

そして、ティガ・フェオン・シン・シシリーは。

 

シシリー「・・・シン君・・・」

 

シン「シシリー、俺の後ろへ下がって。」

 

ティガ「フェオン。ここは俺とシンが。グレア、2人を守れ。」

 

グレア「任せて!」

 

フェオン「頑張って。」

 

現れたアベルが、異空間収納から剣を取り出した。

 

シン(・・・こいつ・・・前に何処かで・・・?)

 

ティガ「シン。三国会談の時覚えてるか?」

 

シン「あ!お前・・・!三国会談の時の賊の1人・・・!?やっぱりお前も魔人だったのか・・・!」

 

アベル「・・・シン=ウォルフォード。そしてタクト=クリスティ。お前達は・・・一体何なんだ?我々魔人を滅ぼすべく生まれて来たとしか思えん。本当に人間なのか?お前達は。」

 

近くの建物の屋根の上から、シシリーとフェオンを狙う魔人の手が忍び寄っていた。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有紗
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶
マナミア=ラドクリフ:前川涼子
レベッカ=ホーク:有村蓮

ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
ジェレミー=ダンクルク:前野智昭
アズマ:榎木淳弥
シイナ:内田彩
ナナセ:白石晴香

ミランダ=ウォーレス:吉七味。

デリック:福山潤
レオナ:高尾奏音
ロクサーヌ:矢野妃菜喜

アベル:古川慎
カイン:井上雄貴
サイクス:興津和幸
ダンテ:柳田淳一
リオネル:内匠靖明
フィン:市来光弘
エミール:高梨謙吾

ベルゼ=クラスティール:澁谷梓希





次回予告

斥候魔人の猛攻は止まらない。アルティメット・マジシャンズはウルトラマンティガは最大のピンチを打ち破れるのか。

次回ウルトラマンティガ

不屈の力

お楽しみに


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第47話「不屈の力」

不屈の力
オリバー=シュトローム、実体の無い存在 登場



アールスハイド王国。王城。

 

エドワード「通信兵からの連絡は・・・うむ・・・うむ・・・分かった。陛下、他国からの現地への増援の確認が・・・」

 

ディセウム(・・・歯痒いものだ。国を治める立場でありながら・・・出来る事は前線で戦う者達の健闘と無事を祈るだけとは・・・)

 

タクト達は戦っているのに、ディセウムは無事を祈る事しか出来ない自分を責めていた。

 

エリザベート「・・・・・」

 

そんな中、エリザベートはそわそわして歩き回ってる。

 

メイ「・・・エリー姉様。少し落ち着くです。」

 

エリザベート「お、お、お、落ち着いてられらすれすわよ!!」

 

メイ「噛み噛みです。」

 

エリザベート「・・・・・」

 

落ち着いても不安いっぱいのエリザベートを見て、メイが後ろから彼女を抱き締めた。

 

メイ「きっと大丈夫。信じるです。お兄様を。シンお兄ちゃん達を。」

 

エリザベート「・・・わ、分かってますわよ。ま・・・負けるはずありませんものね。シンさんやタクトさんやアウグスト様が。メイにそんな事言われたら、まるで私の方が子供みたいじゃありませんか!もう!」

 

メイ「ふふ。何時でも胸を貸すです。あ、でもエリー姉様にそれ以上の胸は不要です。」

 

じゃれているエリザベートとメイを見て、ディセウムの不安は無くなった。

 

ディセウム(信じる・・・か。そうだな。不安や焦燥を抱えて待つより・・・皆で彼らの力を信じる方が今は・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブルースフィア帝国・魔人領。ティガ、シン、フェオン、シシリーがアベルと対面している。

 

アベル「以前に1度・・・賢者マーリン=ウォルフォードに接触した事がある。」

 

シン「っ!!祖父ちゃんに・・・!?」

 

アベル「所作。雰囲気。そして魔力の流れ。確かに似ている。だが、お前は賢者とは明らかに異なる。あまりに人として・・・異質過ぎる。」

 

ティガ(異質・・・転生者だからあり得る異質か。)

 

シン「・・・・魔人に人としてどうかと意見されるとは思わなかったな・・・」

 

シシリー「人と違う部分があったとしても、シン君はシン君です!」

 

フェオン「そうね!シンは私達の大切な仲間だものね!」

 

アベル(問題は、その()()()()()が、我々魔人の存在を脅かす程の影響を持つと言う点だ。)

 

するとアベルが、魔力の流れを揺らいだ。

 

シン「!・・・・」

 

ティガ(コイツ、急に魔力を揺らいだ?・・・まさか!!)

 

5人の背後の塔の上から、2人の魔人がフェオンとシシリーに狙いを定めて魔法弾を放った。

 

グレア「しまった!!」

 

シン「シシリー!!フェオン!!後ろだ!!他にも魔人が・・・」

 

だが、魔法弾はシシリーの魔法障壁とフェオンの大剣で防がれた。

 

シシリー「心配しないで下さいシン君。私、この魔人領に入ってから一瞬も油断なんかしていませんから。」

 

フェオン「タクトも大丈夫よ。ユエリアンで鍛えた私を甘く見ないでよ?」

 

ティガ・シン「・・・」

 

アベル(それでいい。)

 

剣を握ってシンに迫った。シンが魔法障壁でアベルの剣を防いだ。

 

シン「お前・・・!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

ハンドスラッシュを連射した。アベルがハンドスラッシュを避けた。

 

アベル「お前達はそのままクロードとフェオンを狙い続けろ!!ウォルフォードとクリスティとは俺が()る!!」

 

魔人「了〜〜〜解!」

 

2人の魔人がフェオンとシシリーを狙って魔法弾を連射する。

 

フェオン「しつこいわね!!」

 

大剣を振り回し、全ての魔法弾を粉砕してシシリーを守った。

 

シン「お前ら・・・!!」

 

アベルが魔法弾を連射する。

 

ティガ「ハッ!!」

 

ウルトラシールドで魔法弾を防いだ。

 

シシリー「シン君!!タクト君!!私に構わず戦って下さい!!」

 

シン「シシリー・・・」

 

ティガ「グレア!!2人の援護を頼む!!」

 

グレア「任せて!!」

 

2人の前に立ったグレアが、周囲に火炎魔法を放射した。2人の魔人は火炎放射を避けた。

 

ティガ「グレアが2人を守ってる。シン行くぞ!!」

 

シン「ああ!!」

 

ティガとシンがアベルに向かって飛んだ。するとアベルが、左手に魔力を集めた。

 

シン「ッ!!」

 

アベルの魔法弾が2人の横を過ぎた。

 

ティガ「ッ!?まさか!!」

 

魔法弾が、魔人と交戦中のシシリーに迫る。

 

シン「シシリー!!」

 

グレア「危ない!!」

 

結界を展開し、シシリーに迫る魔法弾を防いだ。

 

シシリー「グレアさん!!」

 

ティガ「・・・シン、奴の狙いはシシリーとフェオンだ。」

 

シン「何・・・!?」

 

ティガ「お前、優先的に2人を狙ってる。そうだろ?」

 

アベル「物分かりが早いな。褒めてやろう。お前達に教えてやる。揺るぎない事実をな。戦闘に於けるお前達の最大の弱点は、クロードとフェオンの存在そのものだ。」

 

ティガ(かなり有能な考え方をしているな。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔人領の外では、カートゥーンがバイブレーションソードで災害級を討伐し続けていた。

 

カートゥーン「ふぅ・・・ふぅ・・・ふぅ・・・はぁ・・・」

 

兵士A「カートゥーン長官・・・さ・・・流石だな・・・」

 

兵士B「一体、もう何匹災害級を討伐したんだ・・・」

 

カートゥーン(・・・つまんねぇ。コイツら魔物を何匹片付けた所で、所詮魔人1匹の価値もねぇ。俺がこの戦争で魔物を100匹殺したとしても、最終的に世間で祭り上げられるのは、魔人と戦った()()()()なんだろう。俺もアイツらを追って帝都へ入るか?・・・いやダメだ。指揮官が兵を放っぽって戦場を移動したとなれば、後々その責任を問われかねん。手に入れたこの立場を今失う事だけは、絶対に避けねばならん。)

 

虎の災害級を討伐すると、バイブレーションソードの刃が柄から飛び出した。

 

カートゥーン「・・・チッ、刃だけじゃなく柄もイカレやがった。オイ!誰か柄の替えは・・・ん?」

 

彼はある光景を目にした。

 

 

 

 

ジェレミーがフィンと戦っている光景だった。

 

 

 

 

カートゥーン(何だありゃ・・・何で人間同士で殺し合って・・・いや・・・人じゃねぇな、あの魔力・・・まさか魔人か?それにあの男は、噂に聞く魔喰人か。魔人が何で『壁』のこっち側に居る?ウォルフォード達の目を掻い潜ってこっちに来やがったのか!?コレ・・・ひょっとしてチャンスって奴か?たった1体とは言え、魔喰人を利用して魔人を討伐したとなればその功績は・・・)

 

魔人を討伐すれば脚光を浴びれると考えたカートゥーンが、フィンを討伐しようと企んだ。

 

カートゥーン「剣の柄の替えはねェのか!?さっさと持って来い!!」

 

兵士A「お・・・お待たせしました長官!別の兵が予備を用意しました!ただ・・・申し訳ありませんが、こちらは我が国で予備として用意した物でして・・・”御使い様”・・・ウォルフォード殿が演習に来られた際手渡した物とは異なるのですが・・・」

 

カートゥーン「あ!?どうだっていいだろそんなモン!肝心の付与が施された()の方は俺が持ってんだ!早く寄越せ!」

 

兵士から柄を貰い、刃を取り付けた。

 

カートゥーン(くく。相手が魔人とは言え、俺の力とこの剣があれば・・・ん?)

 

刀身を見たカートゥーンが固まった。『超音波振動』と言う例の付与文字が浮き出ていたからだった。

 

カートゥーン(・・・超・・・音波・・・振動・・・?な・・・何だこの文字?突然刀身に現れやがった・・・ウォルフォードが付与を行う際に・・・『刃』だけでなく、『柄』まで一旦回収したのは一体何故だ?まさか・・・柄にも別の付与が施されていた?刀身の付与文字を消す為に・・・そ・・・それにこの文字・・・これ・・・は・・・そうか・・・!!そう言う・・・事か・・・!!シン・・・そしてタクト・・・!!この文字・・・そんな付与の方法が・・・やはりお前らは・・・!!)

 

全てを理解したカートゥーンがブツブツと呟く。

 

兵士A「ちょ・・・長官?あの・・・」

 

彼はブツブツ言いながら何処かへ行ってしまった。

 

兵士A(な・・・何だよ。魔人と戦うんじゃないのかよ・・・)

 

 

 

 

 

 

一方ジェレミーとフィンは。

 

ジェレミー「結構やるじゃねェかお前。」

 

フィン「ハハッ、光栄だねェ。魔喰人に褒められるなんてな。だが・・・」

 

近くで魔物を戦ってるセシリアとシルビアに目を付けた。

 

フィン「こう言うのはどうだ!!」

 

セシリアとシルビアに向かって魔法弾を放った。

 

ジェレミー「何!?」

 

超高速で走り出した。

 

ジェレミー「セシリア!!シルビア!!」

 

セシリア・シルビア「え!?」

 

フィンの魔法弾が直撃し爆発した。

 

 

 

 

 

 

アールスハイド兵「はっ!はぁ!」

 

馬に乗ったアールスハイド兵が、クリスティーナを探していた。

 

アールスハイド兵「ク・・・クリスティーナ様!!」

 

クリスティーナ「ッ!?どうしました!?」

 

アールスハイド兵から報告を受けたクリスティーナが固まった。

 

 

 

 

 

 

魔法弾を受けたセシリアとシルビアは。

 

セシリア「あっ!!」

 

だが、ジェレミーが背中で魔法弾を受けて2人を守ったのだった。周囲の一部の兵士は先程の爆発で殺られてしまった。

 

シルビア「ジェレミー!?」

 

セシリア「大丈夫!?」

 

ジェレミー「ヘヘッ、コレ位屁でもねェよ・・・」

 

フィン「身を挺して人間を守ったか。何故お前は人間に加担するんだ?」

 

ジェレミー「お前に教える義理はないな・・・」

 

フィン「あっそ。それに、そこの2人は面影があんなァ。お前ら、クロードの姉妹ってトコか?」

 

セシリア・シルビア「!!!」

 

ジェレミー「おい待てよ!2人が欲しいなら俺を殺してからにしとけ!」

 

フィン「んじゃ、そうさせて貰うぜ!」

 

 

 

 

 

 

馬に乗ったクリスティーナが、急いでセシリアとシルビアの元へ。

 

クリスティーナ「セシリア!!シルビア!!」

 

すると、2人が居る場所が大爆発した。

 

 

 

 

 

 

だが、大爆発はフィンが起こしたものじゃなかった。

 

フィン「・・・!?何だァ!?どいつが魔法放ちやがった!?(あの2匹は魔喰人の介抱に夢中で魔法が使えない状態だった・・・魔法を使う余裕は無かったはず!)」

 

???「・・・俺だよ。」

 

そこに現れたジークフリードが、フィンを殴り飛ばした。

 

フィン「がっ・・・!!」

 

ジークフリード「俺の後輩達に随分好き放題やってくれたみたいだなぁ!オイ!!!」

 

フィン「・・・・・何だてめェは!!」

 

だが後ろからクリスティーナが迫り剣を振り下ろしたが、フィンがそれを間一髪避けた。

 

セシリア「ジークフリード様!!」

 

シルビア「クリスティーナ様も・・・!!」

 

 

 

 

アールスハイド兵『今ジェレミー様が魔人と交戦中ですが・・・セシリア様とシルビア様を庇って・・・』

 

 

 

 

ジェレミー「お前ら・・・」

 

ジークフリード「ジェレミー、大丈夫か?」

 

ジェレミー「あ、ああ。」

 

クリスティーナ「身を挺して2人を守ってくれたのですね?感謝します。」

 

ジェレミー「いや、コレ位大した事ねェよ。」

 

クリスティーナ「ジェレミー、まだ戦えますか?」

 

ジェレミー「ああ。コイツを食わずに死ぬ俺じゃねえ。」

 

クリスティーナ「よくも・・・未来ある有能な剣士達を・・・」

 

ジークフリード「ジェレミーだけじゃなく、セシリアとシルビアを殺そうとするなんて良い度胸だなァ!」

 

ジェレミー「お前を地獄を落とす前に食い尽くしてやる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、魔人領では。

 

リオネル「逃げてんじゃねェぞォ!!ザコ共がァッ!!!!」

 

怒りが頂点に達したリオネルが暴走している。

 

ユリウス「完全にブチ切れてるで御座る。」

 

トール「あの破壊力・・・真面に受けたら粉々ですよ・・・けど・・・(明らかに冷静さを失っているのは、こちらにとって付け入るチャンス!!マーキング!!)」

 

マーキングをリオネルの胸の中心部に定めた。

 

リオネル「アァ!!?」

 

拡散魔法弾を一斉発射した。だがリオネルは避けず佇む。

 

トール(・・・避けない!?)

 

発射された拡散魔法弾を、リオネルが右手の一振りで全て粉砕した。

 

トール(に・・・逃げるでもなく、障壁で防ぐでもなく、魔力を纏わせた拳で・・・払い除けた!?)

 

驚愕してると、リオネルがコチラに向かって飛んで来た。

 

トール(ま・・・まずい!!)

 

防御障壁を展開した。リオネルは防御障壁に何度もパンチを叩き込む。

 

 

 

 

アウグスト(戦闘服付与の防御障壁。確かに直接攻撃を防ぐにはそれしか手はない。だが、それを使い続ける事は身を守ると同時に・・・自ら攻撃の手段を捨てる事を意味する。打開出来る方法があるとすれば・・・)

 

 

 

 

ユリウスのガントレットがリオネルを大爆発させた。

 

 

 

 

アウグスト(おお!?あのガントレット・・・さてはシンの奴が何か付与を・・・)

 

 

 

 

リオネル「ふはッ!」

 

だがリオネルは、あの大爆発を耐えた。

 

トール(ダメージはある・・・が・・・それを意にも介していない・・・打たれ慣れている・・・)

 

 

 

 

アウグスト(流石は”盾”と言った所か。)

 

 

 

 

リオネル「お返しだぜ!!」

 

近くに居たユリウスの腹を左手で殴り、右手の裏拳でユリウスの顔面を殴った。そして、そのままユリウスを地面に叩き付けた。

 

トール「ユリウス!!」

 

リオネル「仕上げ(トドメ)だ!」

 

巨大な柱を持ち上げ、トールに向かってジャンプした。

 

トール「うあぁあっ!!」

 

パニックになったトールが魔法弾を乱射した。だが、柱で叩き付けられ、トールとユリウスが完全に倒れてしまった。

 

リオネル「さーあ。前座は終いだぜ。次はてめェだ。」

 

倒れてしまったトールとユリウスを見て、アウグストは冷静だった。

 

アウグスト「そうかな。私は自らの命をその2人に預けた。そして・・・2人はまだ死んでいない。この意味が分かるか?」

 

リオネル「・・・何だと?」

 

アウグストが言った言葉の意味とは何か。

 

 

 

 

 

 

その頃、帝城では。

 

シュトローム「皆・・・」

 

実体のない存在「アルティメット・マジシャンズ。無駄な足掻きを見せてくれるものだ。」

 

シュトローム「彼らは私達の暴走を止める為に戦っている・・・」

 

実体のない存在「ほう?」

 

シュトローム「私も覚悟を決めた・・・彼らに打たれる事を・・・取り返しのつかない事をしてしまった私を討ってくれる事を・・・」

 

実体のない存在「・・・残念だが、それは無駄だ。」

 

シュトローム「何・・・?」

 

すると、実体のない存在がシュトロームを縛って磔にした。

 

シュトローム「なッ!?何をするつもりだ!!」

 

実体のない存在「貴様が死ぬのは返って不利だ。貴様には私の最後の手駒として働いて貰おう。」

 

シュトローム「・・・!?」

 

 

 

 

 

 

そして、トニーとサイクスの戦いを見ているマーク達。

 

マーク「・・・なあ・・・オリビア・・・ケイティさん・・・アレ・・・目で追えるか?」

 

オリビア「ううん、全く・・・」

 

ケイティ「私も無理・・・目で追えない・・・」

 

 

 

 

両者の剣が鍔迫り合う。

 

サイクス「良〜い腕だ。あっちの坊主共と違って、お前は『剣』の方へ振り切れてる。さては元々魔法の使い手じゃねーな?」

 

トニー「まあねぇ。そう言う君も随分強いけど、それでも魔人にさせられる程シュトロームの実力は上って事なのかな?」

 

サイクス「誤解があるな。()()は別に魔人化させられた訳じゃねェ。自らそうなる事を選んだんだぜ?」

 

トニー「帝国を滅ぼす為かい?」

 

サイクス「ああそうだ。」

 

両者が互いに距離を取る。

 

トニー「目的を果たした今、君達がシュトロームに従う理由は?」

 

サイクス「理由?そんなモンそれぞれだ。義理を重んじて従い続ける奴も居れば、シュトロームのダンナの実力に惚れ込んで付いて来る奴も居る。仲間意識だけで残ってる奴らだって少なくねェしな。俺だって自分(てめェ)のやりてェようにやってるだけだ。」

 

トニー「・・・最後に1つだけ訊きたいな。まぁ、答えてくれるとは思わないけど。シュトロームが頑なにこの地を動かない理由・・・彼の本当の目的は一体・・・何なんだい?」

 

サイクス「・・・・・知ってんだろ。『世界の破滅』だよ。」

 

トニー「うーん。それね、どうも僕からすると、凄ーく()()()()()()()()に聞こえるんだけどなぁ。」

 

サイクス「・・・・・」

 

マーク・オリビア・ケイティ「・・・・・」

 

トニー「考えてもみてよ。人間を滅ぼしたいなら、黙って実行すれば良くない?何でわざわざ一月も前に宣言してこっちに準備させる訳?」

 

サイクス「・・・・くっくっ。性格悪りーなお前。薄々分かって訊いてんだろ?」

 

トニー「・・・・さあねェ。」

 

 

 

 

マーク(トニーさん・・・?一体何の話を・・・)

 

 

 

 

サイクス「もういいだろお喋りは。決着つけようぜ。」

 

握ってる剣に炎を纏わせた。

 

 

 

 

マーク「気を付けてトニーさん!!そいつの剣は魔法効果を・・・!!」

 

 

 

 

魔法剣を防いだトニー。だがサイクスに押されてる。

 

トニー「うわぁっ!こりゃ捌き切れないなぁっ!」

 

だがその時、何かが揺らめき、サイクスの腹が切り裂かれた。

 

マーク「!!?」

 

オリビア「え!!?」

 

ケイティ「何今の!!?」

 

 

 

 

 

 

それは、トニーが父と剣術の稽古に励んでいた頃の事。

 

リリア『トニー君、何でわざわざ()()()()してるんですか?』

 

トニーの母『あんな事・・・って?』

 

あの時リリアが見た違和感。それは・・・

 

リリア『右利きのはずなのに・・・さっきからずっと左手で剣を持って稽古してますよね?』

 

右利きのトニーが剣を左手に持って稽古していたからだった。

 

トニーの母『・・・強さを得る為に・・・必要な事らしいわよ。トニーなりに考えた結果なんでしょうね。』

 

 

 

 

 

 

そして今。サイクスが揺らめく何かに腹を切り裂かれている。

 

サイクス(・・・一体どんな手品使いやがった?・・・奴の剣は確実に俺の剣から離れてはいなかった。・・・魔法?いや違う・・・これは確かに剣による斬撃だ。)

 

トニー(このレベルの相手に二度も奇襲は通じない。一度戦法を見せたのなら、もう出し惜しみは意味ないな。)

 

サイクス(・・・成る程。そう言う事か。左手に・・・もう一刀の剣!!)

 

そう。トニーは二刀流を駆使していたのだ。

 

 

 

 

マーク「に・・・二刀流!?」

 

ケイティ「トニー!何時の間にそんな技術(ワザ)を得たの!?」

 

 

 

 

二刀流で挑むトニー。サイクスが押されてるが。

 

サイクス「チィッ!!」

 

隙を見てトニーの顔面にキックした。

 

トニー「くッ・・・!!」

 

 

 

 

ケイティ「でも、手数のトニーでも、奴は体術が高い。」

 

 

 

 

サイクス「お前、左は付け焼き刃だな。使い慣れちゃいるが、右程剣筋が走ってねェぜ。」

 

トニー(・・・御名答。修行を始めてまだ半年にも満たないよ。)

 

サイクス(・・・とは言え・・・さっきの一閃は流石に効いてるな・・・ここまで深手を負うのは久し振りだ。)

 

 

 

 

オリビア「・・・ねえマーク、ケイティさん。さっきから気になってるんだけど・・・」

 

マーク・ケイティ「ん?」

 

オリビア「フレイドさんの剣・・・ウォルフォード君と同じバイブレーションソードだよね。何で剣を起動して戦わないのかな・・・」

 

ケイティ「・・・そっか。そう言う事ね。マークは分かる?」

 

マーク「ええ。分かった気がします。トニーさんは・・・俺や・・・アイツと同様に剣に魔法を乗せて戦う事を得意としてる。だけど、付与された魔法を起動した上で、別の魔法を乗せようとしても・・・所謂魔法の()()()()になってしまうから併用は不可能なんだ。」

 

オリビア「・・・それってつまり・・・」

 

ケイティ「そう。トニーはバイブレーションソードによる攻撃を使うは毛頭ない。狙ってるのよ。最初から。」

 

 

 

 

トニー(・・・そう。()()こそが本命。二刀流による風魔法の斬撃・・・!!)

 

二刀流に風の魔法が纏った。

 

トニー(これが今の僕に出来る・・・最大にして最強の必殺剣・・・!!)

 

彼は最初から、風魔法を使う為だけに陽動していたのだ。

 

トニー「・・・行くよ。」

 

サイクス「最後の撃ち合いになりそうだなァ。受けて立つぜ。」

 

果たして、勝つのはどっちだ。

 

 

 

 

 

 

同じ頃。アリス・リン・レベッカ組。

 

一手謝れば瞬間、死へ直結する刹那の攻防。幾度重ねたか分からない中で生まれた一瞬の道筋。『肉を切らせて・・・』なんて意識があったかは分からないが・・・その瞬間アリスは、()()を選んだ。

 

アリス「・・・!!」

 

カインによる斬撃で腹を切られたアリスだが、チャンスを狙ってカインの顔に魔法弾をぶつけた。

 

リン「アリス!!」

 

レベッカ「アリス先輩!!」

 

負傷したアリスが倒れ、リンとレベッカが駆け寄る。

 

アリス「痛って〜〜・・・けど、へへ・・・1発・・・」

 

レベッカ「無茶し過ぎですよ!!」

 

カイン(不用意に振り上げた左腕・・・その死角を利用して魔法を撃たれた・・・くそ・・・俺がマヌケだったな・・・)

 

アリス「ゴメ・・・リン・・・レベッカ・・・後先考えずに・・・体動いちゃった・・・いてて・・・」

 

リン「い・・・今治癒魔法を・・・!」

 

アリス「ダ・・・ダメだよリン・・・今がチャンスでしょ・・・治癒はレベッカに任せて・・・攻めなきゃ・・・」

 

リン「ゴ・・・ゴメン・・・!私・・・ペアなのに・・・アリスの・・・わ・・・私が・・・ま・・・守れなかったから・・・」

 

アリス「アイツのダメージ・・・い・・・今ならリン1人で・・・やれる・・・」

 

リン「わ・・・私じゃダメ・・・アリスを・・・先に助けなきゃ・・・」

 

アリス「リン!!!」

 

パニック状態のリンを、アリスが声を挙げた。

 

アリス「らしくない・・・よ・・・何時もの・・・クールなリンは・・・何処・・・行ったの・・・」

 

リン「・・・ッ!?」

 

背後からカインの魔法弾が放たれたが、間一髪避けた。

 

カイン「はっ・・・命懸けてんだろうが・・・はっ・・・はっ・・・敵に背ェ向けてる場合かよ・・・」

 

レベッカ「先輩!今すぐ治癒します!」

 

治癒魔法でアリスを治癒する。

 

アリス「リン・・・もっと・・・自分に自信持って・・・良いんだよ・・・魔法が好きで・・・いっぱい勉強して来たんでしょ・・・誰よりシン君から学んで吸収して来たのは・・・リン・・・あんたなんだからさ・・・!!」

 

リン(・・・・・ウォルフォード・・・・・君・・・・・)

 

 

 

 

魔法が好き。幼い頃から父の傍で魔法を見て、魔道具に触れて、その可能性の広さに魅了され、彼女自身も追求を続けた。シンに会って以来、その想いはより強いものになった。それまで夢物語だったような魔法すらも現実になってしまった。だが・・・『魔法が好き』。それがイコールとして『強さ』や『結果』には繋がらない。魔人達と戦う中でリンは気付いてしまっていた。漠然とした魔法に対する夢や目標は、本当に才能のある仲間達を前にして、少し霞み始めてしまっていたのは事実。だが。

 

 

 

 

リン「もうこれ以上・・・アリスを傷付けさせない。私があなたを倒す。」

 

カイン「はっ・・・はっ・・・大きく出たな・・・だが減らず口じゃねェ・・・言葉に決意が宿ってる・・・(腐れ縁だったかも知れねェが、感謝するぜ。お前らと戦えた事を・・・)」

 

心の中でアリス達に感謝をし、超高速でリンに迫る。リンが構える。

 

リン(集中して狙え。1点だ。・・・・・・・・・・そこだ!!!)

 

魔法弾をカインの右肩に直撃させた。

 

カイン「がっ・・・!!(速ェ!!威力を絞る代わりに、今までにない発射速度で・・・)ッ!?」

 

怯んだカインに、リンが接近した。

 

アリス「っ!!リン・・・!?」

 

レベッカ「リン先輩・・・!?」

 

カイン(接近!?魔法使いが!?一体何を狙って・・・)

 

するとリンが魔力量を増大させた。周囲に衝撃波が走った。

 

 

 

 

シン『何かリンって、暴走魔法少女ってイメージだよな。』

 

あの時のシンの言葉に、深い意味が無かった事は分かっていた。だが、他人より特別秀でた事など無かったリンにとって、それは、尊敬に値する人が与えてくれた唯一の個性のように思え、彼女は少し嬉しかった。

 

リン『・・・その呼び名は気に入った。』

 

 

 

 

カイン「はっ・・・!放せてめェ・・・!!何を・・・!!」

 

離れようとするが、リンが離さない。

 

アリス「・・・・・!!ま・・・まさか・・・!!」

 

レベッカ「爆発する気・・・!?」

 

アリス「ダメだよリン!!そんな魔力量でそんな・・・!!」

 

リンが真剣な眼差しでカインを睨む。カインはその眼差しを見て悟った。

 

カイン(死ぬ気か・・・コイツ・・・!?)

 

リン「・・・私は・・・暴走魔法少女!!!」

 

その名に誇りを持つ事でリンは、前を向いて戦える。

 

 

 

 

 

 

同じ頃。廃教会でダンテと対峙しているマリア、ミランダ、マナミアでは。

 

ダンテ(竜巻が・・・消える・・・!!)

 

マリアが起こした竜巻が消えた。だが、ミランダとマナミアの姿が何処にも無かった。

 

ダンテ「・・・!?」

 

ミランダとマナミアは、ダンテの頭上に居た。

 

マリア(竜巻の消失に合わせて、ジェットブーツとジャンプで相手の頭上へ・・・!!)

 

ダンテ「甘く見るなよ!ウォーレス!ラドクリフ!」

 

だがダンテは既に気付いており、急降下するミランダとマナミアに向けて魔法弾を放った。

 

マリア「魔法・・・!!」

 

マナミア「くっ!!」

 

横の柱に足を付けて、壁ジャンプで魔法弾を避けた。だがミランダがダンテの魔法弾を受けてしまった。

 

マリア・マナミア「ミランダーーーーッ!!!」

 

マナミア(何故です!?攻撃を仕掛ける時に防御障壁を発動しなかったのです!?)

 

マリア(ッ!!バイブレーションソードが発動して・・・)

 

マナミア(・・・剣の付与を発動させるなら必然的に障壁の方は・・・)

 

ダンテ(守りを捨て、あくまで必殺の魔法を執る。覚悟なき者には出来ん真似だ。)

 

ミランダ「・・・・・」

 

魔法弾を受け、傷だらけのミランダが落下する。

 

 

 

 

一介の剣士であるミランダが、何故こんな場所で魔人と相対し戦う事が出来ているのか。それは、シンとタクトが戦う為の武器(ちから)を与えてくれた事、クリスティーナが剣を志す者として彼女を導いた事、ミッシェルが魔人と戦う為の技術(わざ)精神(こころ)を鍛えてくれた事、そして・・・彼女は沢山の人に力を与えられてここに居る。何1つとして無駄に出来ない。したくない。だから敵を倒す為、最善の手を選ぶ事に躊躇いはない。自分の命を守る事は、敵を前にしたら二の次。

 

 

 

 

ミランダ「アンタこそ甘く見るな!!!!!」

 

バイブレーションソードをダンテに叩き付けた。ダンテの右肩が切り裂かれた。

 

ミランダ「半端な攻撃で、私を止める事は出来ないよ・・・!!」

 

ダンテ「はぁ・・・はぁ・・・」

 

ミランダ「はっ・・・はっ・・・」

 

マリア「・・・離れてミランダ・・・!!トドメを刺すわ・・・!!」

 

マナミア「ミランダ、早く後退して下さい。」

 

しかしミランダが、予想もしない行動に出た。

 

ミランダ「っ!」

 

傍に落ちてあったダンテの槍を拾い、それをダンテに投げて返した。

 

ダンテ「・・・」

 

マナミア「え!?」

 

マリア「なっ・・・何してんの!?何でわざわざ敵に武器を・・・!?」

 

ミランダ「ゴメンマリア、マナミア様、今ここで最も確実に勝つ方法は、魔法じゃなく、私が敵を斬る事だ・・・!!」

 

マナミア「ミランダ・・・」

 

ミランダ「マナミア様、これは私と奴の戦いです。手出しは無用です。」

 

マリア・マナミア「・・・・・」

 

ミランダ「いざ・・・!!」

 

マリア「て・・・敵に武器を渡す理由になってないっつーの・・・き・・・騎士道精神・・・って奴?理解不能・・・」

 

マナミア「ですが・・・ミランダの気持ちは分かります。マリア、ここはミランダに任せましょう。」

 

マリア「マナミア様まで・・・」

 

ダンテ「・・・貴殿の考え方・・・振る舞いから察するに・・・貴族の家系ではあるまい・・・」

 

ミランダ「・・・当たり前よ。バリバリの平民だってーの。」

 

ダンテ「(最後の相手が、貴殿のような人間で良かった。)・・・行くぞ。」

 

ミランダ「来い・・・!!」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、リオネルにやられたトールとユリウス。

 

 

 

 

 

 

過去の記憶が脳裏に走っていた。

 

兵士『魔物の襲撃だー!!』

 

兵士『衛兵が殺られた!!』

 

兵士『殿下を・・・殿下をお守りしろ!!』

 

山道に突如現れた熊の魔物に襲われていた。

 

アウグスト『・・・熊か。』

 

ユリウス『で・・・殿下!早くここから離れるで御座る!』

 

アウグスト『『無駄だ。野生の獣・・・ましてや魔物相手に逃げ切れはしない。どうせ死ぬなら、戦って共に死ぬ。前を開けろ。』

 

自ら戦って死ぬ覚悟で挑もうとするが、トールとユリウスに止められた。

 

トール『そ・・・そ・・・そうはいきません・・・!!もし、我々の前に殿下が倒れるような事があっては・・・!!』

 

ユリウス『我々・・・殿下の力になるどころか・・・”盾”の役割すら果たせぬ役立たずになってしまうで御座る!!』

 

そうこうしてる間にも、衛兵達が次々と殺られてる。

 

トール『うあぁぁっ!!』

 

魔法で魔物を牽制し、ユリウスが魔物の左腕を掴んで受け止めた。

 

アウグスト『お・・・お前達・・・!!バッ・・・バカ止めろ!!お前達の身一つで魔物の攻撃を防げる訳ないだろう!!死ぬぞ!!!』

 

ユリウス『・・・本望で御座る。』

 

アウグスト『何!?』

 

ユリウス『戦いに於いて・・・!殿下より先に死ぬのならば・・・それは”盾”としての本意に他ならんで御座ろう・・・!!』

 

トール『覚えておいて下さい殿下・・・!!我々の命ある限りは・・・決して殿下が死ぬ事はありません・・・!!それが我々に与えられた・・・ただ1つの使命ですから・・・!!!』

 

アウグストは、トールとユリウスの覚悟に感銘を受けた。

 

兵士『見付けたぞー!!殿下は無事だ!!協力して魔物を討伐しろー!!』

 

そこに応援の兵士達が到着し、無事に魔物を討伐した。

 

 

 

 

 

 

そして今。

 

アウグスト「その風貌・・・お前も嘗て何度も身を挺して仲間を守って来たんだろう。我が身よりも他者を優先して守る・・・そのような事は、本当に強い者にしか出来ない芸当だ。」

 

リオネル「・・・何が言いたい。」

 

アウグスト「・・・いや、先に謝っておこうと思ってな。お前は強いよ。全力を出せる為、挑発するような真似をして悪かった。お前のような立場の人間が居るからこそ、組織が成り立つ事はよく知っている。だからこそ・・・私の”盾”も、見縊らない事だ。。」

 

倒れていたトールとユリウスが立ち上がり、リオネルを睨む。

 

リオネル「・・・成る程な。確かにちっとは・・・やす奴らみてェだ・・・」

 

ユリウス「殿下から離れるで御座る・・・!!」

 

リオネル「・・・安心しろ。先に息の根を止めんのはてめェらだ。しぶてェ奴らだ。覚えたぜ、その(ツラ)。」

 

立ち上がった2人に向かって急接近した。ユリウスが横に走り、トールが魔法弾の照準を合わせる。

 

リオネル「(さっき付けられた印が消えてねェ。恐らくだが、コレを的に見立てた魔法・・・!!やはり下手を打つより魔法を掻っ消した方が早ェ!!)ぬぅん!!!」

 

トールの放つ魔法弾を殴り消した。だがこれは、魔法弾ではなく水魔法だった。

 

リオネル(ッ!!?水・・・!?・・・いや!本命は水をカモフラージュにして、ほぼ同時に発射した・・・氷魔法(コイツ)か!!!)

 

水の次は氷魔法を受けた。

 

リオネル「ぐぅ!!ッ!?」

 

後ろを見ると、ユリウスが立っていた。

 

リオネル(あの野郎・・・何であんな離れた場所に・・・)

 

ユリウス「(一瞬の足止め・・・それで充分で御座る!!トール!!)むぅん!!!!」

 

ガントレットを嵌めた右腕で地面を強く殴り付けた。

 

アウグスト(ッ!!衝撃が・・・地中を伝って・・・)

 

衝撃が地中を伝って、リオネルとその周辺を大爆発させた。

 

リオネル(な・・・何・・・だと・・・!?)

 

ユリウス「済まんがこれで・・・終わりで御座る!!!!」

 

そして遂に・・・

 

 

 

 

 

 

トニー、リン、ミランダ、ユリウスが、斥候隊の中核となる4人の斥候魔人を見事討伐した。

 

 

 

 

 

 

旧帝城の屋上。サイクス、カイン、ダンテ、リオネル。4人の生気が消え、ローレンスが呆然した。

 

ローレンス「・・・・・・・お前・・・・・・ら・・・・・」

 

 

 

 

 

 

4人の斥候魔人討伐後。

 

マーク「す・・・凄いッス!トニーさん・・・!!」

 

オリビア「待ってマーク!その前に治療!」

 

ケイティ「傷薬もあるよ!」

 

 

 

 

 

 

ミランダ「た・・・倒せたぁ・・・何・・・とか・・・」

 

マリア「バカッ!早く創見せなさいよ!」

 

マナミア「立派な戦いでしたよ。ミランダ。」

 

ミランダ「マナミア・・・様・・・」

 

 

 

 

 

 

ユリウス「お・・・お待たせしたで御座る・・・殿下。」

 

アウグスト「・・・ああ。よくやったぞ2人共。お前達の”勝負”。私が確かに見届けた。」

 

トールとユリウスが、リオネルの亡骸を一瞥した。

 

ユリウス「忘れんで御座るよ。・・・我々も、お主の事を。」

 

 

 

 

 

 

 

しかし、アリスとリンとレベッカの方は。

 

レベッカ「リン先輩!!」

 

アリス「リン・・・リン・・・!!返事・・・してよ・・・ねぇ・・・!!」

 

立ちあがろうとするアリスだが、バランス崩してそのまま倒れ、大量出血を起こしてしまった。

 

アリス(・・・あれ・・・体・・・動か・・・血・・・出過ぎた・・・意識・・・ヤバい・・・かも・・・終わり・・・かぁ・・・私達・・・ここで・・・ごめん・・・皆・・・シン君・・・タクト君・・・後は・・・まか・・・せ・・・)

 

しかし、倒れてしまったアリスの元に2人の人物が。

 

ユーリ「・・・・!!ええっ!?アリス!!?ちょっとぉ!!生きてる!?生きてるのぉ!?」

 

それは、ユーリとナージャだった。

 

ナージャ「アリス!しっかり!」

 

アリス「・・・・・・」

 

声を聞いたアリスが、ナージャを見て何かを言っている。

 

ナージャ「ジッとしてて。今治してあげる。ユーリ、アリスを仰向けにして。」

 

ユーリ「う、うん・・・」

 

俯せのアリスを仰向けにし、ナージャがオブシディアンを用いてアリスを治癒する。

 

ナージャ「・・・・・」

 

アリス(違・・・う・・・ナージャ・・・私は・・・いいから・・・リン・・・を・・・)

 

治癒してるナージャの顔が、リンと重なった。

 

アリス「私よりリンを助けて!!あ・・・」

 

急に起き上がったが、すぐ倒れた。

 

ナージャ「え?リン?」

 

ユーリ「っ!!ナージャ!!彼処!!」

 

レベッカ「リン先輩!!しっかりして下さい!」

 

ナージャ「リン!・・・アリスは大丈夫。ユーリ、運んで。」

 

倒れたアリスをユーリが抱え、急いでリンの元へ。

 

ユーリ「う・・・!」

 

レベッカ「ユーリ先輩!ナージャさん!!」

 

ナージャ「レベッカ!リンを見せて!」

 

レベッカ「は、はい!」

 

ナージャ「酷い傷・・・爆発を受けたような・・・まさか自爆を・・・!?」

 

リンの容体を確認するが。

 

ナージャ「え・・・!?息してない・・・!!」

 

ユーリ「そんな・・・!?」

 

レベッカ「・・・・!!」

 

ナージャ「レベッカ!手伝って!」

 

レベッカ「はい!」

 

ナージャ「ユーリも手伝って!」

 

ユーリ「で、でも私の治癒魔法は得意じゃ・・・」

 

ナージャ「それでも良い!急いで!」

 

ユーリ「う、うん!!」

 

アリスをゆっくり降ろして、ナージャとレベッカと共にリンを治癒するが。

 

ユーリ「・・・・ダメだ・・・・」

 

ナージャ「くっ・・・!見た目の怪我だけ治してどうにかなるレベルじゃない・・・今の私達には・・・あの時のように完治出来ない・・・!」

 

レベッカ「目覚める気配がありません・・・!」

 

ユーリ「・・・近くに仲間の気配は・・・ない・・・どうしよう・・・どうしよう・・・!リンが死んじゃう・・・!」

 

ナージャ「ユーリ!弱気になっちゃダメよ!!リンを治癒しないと!!」

 

ユーリ「・・・でも・・・私達だけじゃ・・・!」

 

ナージャ「それでもやるのよ!!」

 

パニックになるユーリを他所に、ナージャが懸命にリンを治癒する。

 

ナージャ「今ここにはタクトとシンが居ない!私達で出来る事を全力で成し遂げるのよ!!」

 

ユーリ「ナージャ・・・・」

 

レベッカ「ユーリ先輩!皆生きて帰るのが私達の任務の1つです!!リン先輩を助けましょう!!」

 

ユーリ「レベッカ・・・・」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、ティガ・シン・シシリー・フェオン・グレア組は。

 

魔人「は、はは・・・!か細い容姿に似合わねーえげつない量の魔力と力を秘めてやがる。アベルよぉ、こりゃあ言う程楽じゃねーぞ!」

 

シン(戦闘のセンス。戦いの経験値。戦場での身のこなし。どれを取ってもシシリーとフェオンより魔人(あいて)が上なのは間違いない。)

 

ティガ(だが、今のシシリーとフェオンは、そんな連中と戦うだけの”覚悟”と、それを補って余りある程の魔力量と能力がある!)

 

アベル(・・・だが、魔法を使う隙さえ与えなければどうと言う事はない。)

 

そう考えたアベルが、2本の剣をシシリーとフェオンに向けて投げる。

 

グレア「おっと!」

 

気付いたグレアがバリアを展開しようとするが。

 

アベル「させるか!」

 

グレア「うわあ!?」

 

アベルが放った魔法弾を避けた。

 

シン「性懲りも無くお前は・・・!!」

 

ティガ「待てシン!」

 

シン「え!?」

 

シシリーとフェオンの顔を見る。2人はティガとシンに真剣の眼差しを見せた。

 

シン(そうだ・・・俺が信じなくてどうする!2人の”覚悟”を!シシリーは決して守られる為に魔人領(ここ)に来た訳じゃない。だとしたら、俺とタクトがすべき事は何だ?ちまちまとシシリーとフェオンに対する攻撃に気を配る事か?)

 

ティガ(違う・・・俺達がすべきは・・・

 

ティガ・シン(俺達の迷いを利用して攻撃を仕掛けて来るコイツを、1秒でも早く片付ける事だ!!!!!)

 

斬撃とティガスライサーが、アベルの腹を切り裂いた。

 

シシリー「ッ!!」

 

魔法障壁を展開して、アベルの投げた剣を弾いた。

 

フェオン「ハァッ!!」

 

大剣でアベルのもう1本の剣を切断した。

 

シン(シシリー・・・!!)

 

ティガ「フェオン!!」

 

魔人達「アベル!!!」

 

シシリー・フェオン「ッ!!」

 

動揺している魔人達を見た2人。

 

シシリー・フェオン(隙!!!)

 

魔力を集めるシシリーと、大剣を投げたフェオン。

 

魔人達「はっ・・・!!しまっ・・・!!」

 

気付いた時は、魔人達はフェオンの大剣で両断された。

 

シシリー「はぁああっ!!!!」

 

拡散魔法が、両弾された魔人達に降り注ぎ爆発させた。

 

アベル「・・・・!!」

 

シン「よし・・・!!」

 

シシリー「はぁ・・・はぁ・・・」

 

フェオン「ふぅ・・・ふぅ・・・」

 

シン「シシリー!」

 

ティガ「フェオン!」

 

シシリー「シン君・・・」

 

フェオン「タクト・・・」

 

シシリー「はっ・・・!」

 

シン「!!」

 

ティガ「どうした?」

 

シシリー「シン君!」

 

シン「・・・ああ・・・!!戦闘に集中してて気付けなかったが・・・マズいな・・・!!仲間の魔力が・・・消え掛かってる!これは・・・リンか・・!!」

 

リンの魔力が徐々に消えてる事に気付いたのだ。

 

ティガ「フッ!」

 

透視能力でリンの位置を特定する。

 

ティガ(シン。リンを見付けた。)

 

シン(何処だ!?)

 

ティガ(帝都中央辺り。そこから南東に向かった場所だ。)

 

シン(遠過ぎる・・・!!ゲートに戻るにしても・・・俺達が来たルートからは完全に外れてる・・・!くそッ・・・それでも凛の状態を考えると、俺かシシリー・・・どちらかが一旦戻ってリン達を捜すしか・・・)

 

ティガ(いや、俺のテレポートでリンの場所へ向かえば。)

 

シン(そうか。その手があったか!)

 

シシリー「シン君・・・!!」

 

シン「!?」

 

シシリー「私が行きます・・・!!」

 

ティガ・シン「!」

 

 

 

 

 

 

マーク「マズいッスよ!リンさんが・・・!!皆で向かった方が良いんじゃ・・・」

 

トニー「ああ・・・だけど、僕らの治癒魔法で助けられるのかな・・・」

 

ケイティ「ナージャなら・・・でもあの子の治癒魔法だけでは・・・」

 

マーク「オリビア!リンさん達の近くにゲート繋げないか!?」

 

オリビア「・・・・・・」

 

一瞬戸惑ったオリビアが意を決した。

 

オリビア「マーク!フレイドさん!ケイティさん!私、ちょっと行って来る!」

 

マーク「オリビア!?」

 

ケイティ「ちょっ!?」

 

1人でリンの元へ向かった。

 

 

 

 

 

 

オリビア(シシリーさんの魔力が帝都中央辺りに移動してる・・・!!多分リンさんを捜しに・・・計算しろ私・・・!!一刻の猶予もない・・・!間違いは許されない・・・!!シシリーさん達が通ったルート上と私が移動したルートが重なり、尚且つ、リンさんの元へ向かうのに最も適したポイントは・・・!!)

 

 

 

 

 

 

帝都中央辺り。そこにシシリーとオリビアがゲートで鉢合わせた。

 

シシリー「オリビアさん!?」

 

オリビア(正解(ビンゴ)!!)

 

 

 

 

 

 

同じ頃、ナージャとユーリが治癒魔法でリンを治癒している。だが、リンが目覚める気配がない。

 

ナージャ「クッ・・・・!!!」

 

ユーリ「魔力を送り続けて・・・ギリギリ生命力を維持するのも・・・限界・・・よぅ・・・!わ・・・私の方が先に・・・ぃ・・・逝っちゃうってぇ・・・!」

 

ナージャ「ユーリ!諦めちゃダメよ・・・!!」

 

ユーリ「も・・・もう・・・ダメ・・・ぇ・・・」

 

目眩がして倒れそうになった。

 

ナージャ「ユーリ!!」

 

だが、倒れそうになったユーリを誰かが支えた。

 

???「身を挺して仲間を治癒する。素晴らしいわ。」

 

ナージャ「え・・・?」

 

ユーリを支えたのは、ロクサーヌだった。

 

オリビア「ユーリさん!!大丈夫ですか!?」

 

するとそこに、シシリーとオリビアがゲートから現れた。

 

ユーリ「オリビア・・・シシリー・・よ・・・良かっ・・・たぁ・・・」

 

オリビア「あ、あなたは?」

 

ロクサーヌ「話は後よ。彼女を治すのが先決だよ。」

 

ナージャ「そ、そうね。シシリー、お願い。」

 

シシリー「はい!」

 

急いでシシリーに代わり、リンを治す。

 

 

 

 

そして、リンの呼吸が安定し魔力が戻った。

 

シシリー「ふぅっ。取り敢えずこれで心配ないと思います。」

 

ロクサーヌ「・・・うん。心臓と脈が正常に動いてる。呼吸も安定しているわ。」

 

ユーリ「良かったぁぁ〜〜〜〜!」

 

ナージャ「ふぅ・・・・」

 

ロクサーヌ「それにしても、流石噂通りのアルティメット・マジシャンズね。」

 

ユーリ「あなたは・・・」

 

???「ロクサーヌ!」

 

そこにデリックが駆け付けた。

 

ロクサーヌ「あ!お兄ちゃん!」

 

ナージャ「デリック!え?お兄ちゃん?」

 

シシリー「お兄ちゃんって事は、まさか・・・!?」

 

ロクサーヌ「そっ!私はロクサーヌ!デリックの妹でーす!」

 

 

 

 

その後アリスも治癒をした。

 

ナージャ「殺された妹さんが、魔人のフリをして生きていたなんてね。」

 

デリック「言っただろ?妹は明るい上にイタズラ好きだって。」

 

ロクサーヌ「魔人のフリの為にカラコン付けてたから。」

 

デリック「それで、アリスとリンは大丈夫か?」

 

シシリー「はい。直に目を覚ますと思いますけど、念の為もう少しだけここで様子を見ます。」

 

ユーリ「シシリー1人には出来ないから、私もここに残るよぉ。」

 

ロクサーヌ「だったら私にも手伝わせて。あなた達の役に立ちたいから。」

 

ナージャ「私も2人が心配だから一緒に看病するわ。」

 

オリビア「私は取り敢えずマーク達に合流して、無事を伝えてきます。」

 

シシリー「あ、オリビアさん。ユーリさん。ナージャさんも。リンさん達を助けられたのは、3人のお陰です。本当に・・・ありがとうございます。」

 

ユーリ「水臭いなぁ。シシリーったらぁ。」

 

オリビア「仲間を助けるのは当然の事ですよ。」

 

ロクサーヌ「うんうん。友情って良いわね〜。」

 

デリック「そうだな。ん?そうだオリビア。レオナはどうした?」

 

オリビア「あ、レオナさんは別行動しています。他の魔人を討伐しに行ってます。」

 

デリック「分かった。ロクサーヌ。俺はレオナの所へ行く。ここを頼むぞ。」

 

ロクサーヌ「任せて!」

 

オリビア「シシリーさん。じゃあまた後で。」

 

ゲートを展開し、マーク達と合流しに行った。

 

デリック「またな。」

 

ジャンプしてレオナの元へ向かった。

 

ユーリ「気を付けてねぇ。」

 

シシリー(シン君・・・すぐ戻ります。それまで、どうか無事で・・・)

 

 

 

 

 

 

そしてティガとシン、そしてフェオンとグレアは、アベルと交戦中。

 

ティガ「・・・・・」

 

光に包まれたティガが、タクトの姿に戻った。

 

フェオン「タクト?どうしたの?」

 

タクト「悪い。ちょっと力を温存したい。しばらく変身を解いとく。」

 

グレア「ずっとティガで戦ってたもんね。」

 

タクト「シン、頼んだぞ。」

 

シン「分かった。・・・戦う相手に・・・こんな事訊くのは野暮かも知れないが、まだ()るか?俺と1対1で。」

 

シンとアベルの戦い。

 

アベル「・・・愚問だ。退く気など毛頭ない。元よりここが、我々の死地と心得ている。」

 

タクト(死地・・・か。)

 

シン「確信したよ。やはり少なくとも・・・シュトロームを除くお前達魔人に世界を滅ぼす気なんかない。(いや・・・おそらくはあいつ自身さえも・・・)目的を失ったシュトロームと違い、お前達には元々世界侵攻や人類の支配が計画にあったはずだ。その為に障害となる俺達の抹殺を狙っていた訳だしな。だけど今は違う。」

 

アベル「・・・・・・」

 

シン「何かがあったんだな。お前達魔人の目的そのものが覆ってしまうような事が。」

 

アベル「・・・・・・!!」

 

”ドクンッ!!”

 

 

 

 

 

 

 

”帝国を滅ぼした時点で、魔人としての役割は終わったはずだ。”

 

アベル『違う。命を与えられた恩義を返す事・・・それが新たな使命だ。』

 

”既に仲間の殆どは死んだ。やえる事など何もない。”

 

アベル『最後の1人になろうとも、シュトローム様や・・・ゼスト隊長の為に戦うまでだ。』

 

”そんな行為に何の意味もない。何故なら・・・”

 

”ドクンッ!!”

 

”魔人の行く先にはもう・・・未来などないのだから!”

 

”ドクンッ!!”

 

 

 

 

 

 

”ドクンッ!!”

 

心臓の鼓動が大きく鳴り、アベルの魔力が増幅した。

 

シン「・・・・!!」

 

フェオン「な、何なのこの魔力・・・!?」

 

グレア「凄い力・・・!!」

 

タクト「ッ・・・!!」

 

シン(やっぱり可笑しいな・・・この男の魔力。安定しない・・・常に揺らぎのようなものがある。何だ・・・!?気のせい・・・じゃないな・・・魔力が・・・膨らみ始めている・・・!?)

 

魔人には最早、存在理由にはない・・・

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有紗
リン=ヒューズ:山口愛
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶
ケイティ=グレイス:山崎はるか
ジェレミー=ダンクルク:前野智昭
マナミア=ラドクリフ:前川涼子
レベッカ=ホーク:有村蓮

フェオン:内山夕実

デリック:福山潤
ロクサーヌ:矢野妃菜喜

ジークフリード=マルケス:金子誠
クリスティーナ=ヘイデン:古賀葵

ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭
エリザベート=フォン=コーラル
メイ=フォン=アールスハイド:雛乃木まや
セシリア=フォン=クロード:佐藤利奈
シルビア=フォン=クロード:小澤亜李
エドワード=フィッシャー:梶裕貴

ヒイロ=カートゥーン:櫻井トオル

ローレンス:杉山紀彰
アベル:古川慎
カイン:井上雄貴
サイクス:興津和幸
リオネル:内匠靖明
ダンテ:柳田淳一
フィン:市来光弘

実体のない存在:斉藤次郎

オリバー=シュトローム:森川智之





次回予告

魔人の存在に理由はない。魔力を増幅し暴走するアベルにシンは勝てるのか。そして、斥候魔人との完全決着が迫り来る。

次回ウルトラマンティガ

魔人の存在

お楽しみに


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第48話「魔人の存在」

魔人の存在
オリバー=シュトローム、実体の無い存在、斥候魔人 登場



アベル「うぅ・・・ぐぅ・・・あ”ぁ!!!!!」

 

シン「うおっ!!」

 

タクト・フェオン・グレア「ッ!!」

 

アベルが魔力を暴走させ、本来の理性を失った本当の魔人と化した。

 

シン「・・・お・・・おい・・・!?こいつ・・・意識が・・・!」

 

するとアベルがシンに高速接近し、魔法をぶつけるが、シンが魔法障壁で防いだ。

 

シン(魔法の威力が・・・さっきまでの比じゃない!!一体奴に何が起きた!?まるで動物が魔物化した瞬間のような・・・ッ!!)

 

暴走するアベルを見たシンが驚いた。アベルがある魔人の面影と重なった。

 

シン(自我を持たない魔人・・・!!嘗て祖父ちゃん達が対峙した相手のような・・・これは・・・恐らくそれに最も近い・・・!!)

 

アベル「ガアァ!!」

 

シン「クッ!!」

 

威力が増した魔法を何度も避ける。

 

 

 

 

フェオン「アイツ、まるで理性を失ったように暴れてるわ・・・」

 

グレア「アレが本来の魔人の行動・・・」

 

タクト(彼奴・・・あの魔人と似ている・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝都突入数日前。タクトがラドクリフ邸である男の写真を見せて貰った。

 

タクト『この男が、カイル=マクリーンか?』

 

リチャード『ああ。カイルは私達の大親友で、とても優秀な男だった。』

 

タクト『優秀な魔法使いだった男が、何故魔人と化したんだ?』

 

レイチェル『切っ掛けは、ある出来事から始まりました。』

 

リチャード『カイルは高等学院卒業後、魔法師団に入団したんだ。だが彼が所属してる部隊は、自堕落な者達ばかりだった。中でもその部隊の隊長は、自分が隊長だって事の権力を使ってカイルをコキ使い続けた。そして、カイルの手柄も自分の物に細工する事が当たり前だった。』

 

タクト『・・・・・』

 

リチャード『だがカイルを心配したバルトとベルが、彼を自分達の部隊にスカウトしたんだ。だが彼奴は、あの隊長に自分の実力を認めさせたい思いで居続けた。だがそれが、カイルを絶望に陥れてしまったんだ。』

 

レイチェル『カイルが魔物の大群の危機を察して本部に帰還しました。だがそれを目撃した1人の村人から、カイルが敵前逃亡したと勘違いしてしまいました。それが誤解だとも知らなかった本部は、彼を謹慎しました。』

 

タクト『酷い話だな・・・』

 

リチャード『更に、カイルには婚約者が居た。だがその婚約者が、同じ部隊の仲間に寝取られてしまった。次々と降り注ぐ絶望に耐えられなかった彼は、自らの魔力を暴走させて魔人化し、仲間と婚約者、そして周囲の人間達を虐殺。その後も各地に甚大な被害を齎した。』

 

タクト『カイルに殺された死者数は?』

 

リチャード『800人以上と記録された。』

 

タクト『そうか・・・』

 

リチャード『そして、私達が駆け付け、当時殿下だったディセウムを救出し、マーリン達と連携しカイルを討伐。事態収束後、私達はカイルが所属していた部隊の隊長を徹底的に追い詰めた。不正や横領、淫らな行為が暴かれ、彼は家庭や周囲から勘当された。』

 

レイチェル『そして軍内部の不正行為が徹底的に炙り出され、新たな人事評価基準が設けられ、バルト達は、多くの成績が認められ、魔法師団統括部隊になりました。』

 

タクト『その隊長さんは今は亡くなってるのか?』

 

リチャード『いや、アールスハイドの地下牢に収容されてる。』

 

タクト『え?』

 

リチャード『全てを絶縁されて発狂し、凡ゆる女子供に淫乱を繰り返した。警備局に逮捕され、無期禁固令が下されたんだ。』

 

タクト『自分が悪いのに、それを認めないとは人間の風上に置けないな・・・』

 

リチャード『あの時のように、世界を壊されたくない。タクト君、私達の未来を君達に託す。』

 

タクト『任せろ。そして、オリベイラを必ず救う。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在。

 

タクト(今の彼奴には、カイルの怨念に取り憑かれてるみたいだ・・・)

 

 

 

 

シン(意図的にああなったとは思えない、何が切っ掛けだ・・・!?)

 

 

 

 

魔人化のメカニズム自体、謎が多い。元は、『意志を持つ魔人』の存在が理に反する存在だった。”意志”。マーリンの話によれば、嘗ての魔人は全てを憎悪し、破壊衝動に駆られるだけの存在だった。つまりそこには、”意志”など伴わなくても良かったとも言える。逆説的に考えれば、意志を持つ魔人達は、魔人化の際、明確な『目的意識』を持っており、それ故に魔人化後も、それを維持する事が出来た。

 

シン(そうして生まれた意志ある魔人が、再びこうやって自我を失くす理由は!?推測だが・・・恐らく、間違いない。目的を!魔人である自らの存在意義を!全て失ってしまったんだ!!)

 

アベルの猛攻を避け続けるシン。だがアベルに左肩を掴まれた。

 

シン(掴まれた!!)

 

掴まれたまま、地面に叩き付けられた。

 

シン「くあっ・・・!!」

 

アベルの左手がシンに迫る瞬間。シンがバイブレーションソードで、自分の左肩を掴んでるアベルの右腕を切断した。だがアベルは怯まなかった。

 

シン(痛みすら意に介してない・・・息絶えるまでコイツは・・・止まらない・・・!!!)

 

そして、威力を高めた魔法を放ち、アベルの胴体を両断した。

 

シン「・・・悪いな、加減してたら、こっちが殺られちまいそうだ。」

 

アベル「が・・・ぐ・・・あっ・・・!」

 

残ってる僅かな意思で喘ぐアベル。すると彼は、我を取り戻した。

 

アベル(あれは誰だ・・・?俺は、こんな場所で何をしている・・・ゼスト隊長は・・・仲間は何処だ・・・?任務を遂行しなければ・・・国の為に・・・国の・・・為?・・・帝国の・・・為?帝国は・・・俺達が滅ぼしたのではなかったのか・・・あの方の力で・・・)

 

離れていく斥候隊の仲間達、滅ぼされた帝国、現れるオリバー=シュトロームの幻影が彼の脳裏に走った。

 

(そうだ、これからはあの方が帝国の皇帝となって、この国を導いていくんだ。あの方ならば・・・貧困や差別・・・くだらん思想を全て打ち払い、新たな帝国を築き上げていくれる。俺は、俺達はきっと、魔人となって戦いながらも、心のどこか奥底でそれを望んでいたんじゃないのか?その為に、あの方に付いてここまで来たんじゃないのか?そうだ・・・あれはシン=ウォルフォード、そして彼奴はタクト=クリスティ。俺達の・・・魔人の敵。つまりはシュトローム様の敵だ。)

 

目の前のシンと、彼の後ろのタクトを見て力を振り絞って左腕を伸ばす。

 

アベル(奴を倒さねば・・・帝国の未来は・・・ない・・・再びシュトローム様が立ち上がり・・・我々を導いてくれるその時まで・・・俺は戦わなければ・・・過去、犠牲になった仲間や・・・戦死した者達の為にも・・・!!俺は・・・・!!!!)

 

再びシンと戦おうとするアベルの左手に、誰かが手を添えた。

 

???『もう充分だよ。アベル。』

 

アベル(・・・!?)

 

彼に2人の人物の幻が現れ、アベルを鎮めた。その2人の正体は・・・

 

 

 

 

ザックの妹『祖国のこと、仲間の事、いつもあなたは何かの責任を負って生きてきたんですね。』

 

ザック『・・・けどさ、俺達をはじめ、死んでいった連中は、誰1人としてお前を恨んでなんかいやしないんだぜ?』

 

嘗て戦死した仲間のザックと、彼の妹だった。

 

ザック『魔人になるには、お前はきっと、心が優し過ぎたんだろうなぁ。もう休んだって良いんだ。お前は充分に戦ったんだからな。』

 

 

 

 

アベル(・・・・ザ・・・・)

 

涙を流しながら、アベルが息を引き取った。

 

シン「・・・・・・」

 

タクト「終わったみたいだな。」

 

シン「ああ。やっと終わった。」

 

 

 

 

アベルを倒し、奥へ進む。

 

シン「この先が帝城・・・だな。」

 

帝城への階段の前に着くと。

 

シシリー「シン君!タクト君!フェオンさん!」

 

シン「シシリー!」

 

救援に向かっていたシシリーが合流した。

 

シシリー「良かった・・・無事だったんですね。」

 

タクト「リンはどうだ?」

 

シシリー「容体は安定したので、もう心配ないと思います。今はユーリさんとナージャさんが見てくれています。」

 

フェオン「良かった・・・」

 

シシリー「それと、デリックさんの妹さんは生きていました。」

 

タクト「本当か!?」

 

シシリー「はい。ロクサーヌさんって言う方で、殺されたと思われていましたが、魔人のフリをして行動していたみたいです。」

 

グレア「そっかぁ。無事で良かったねデリック。」

 

シシリー「それでシン君・・・私が移動した後、魔人の魔力が異常に膨れ上がるのを感じたんですが・・・あれは・・・?」

 

シン「・・・・・」

 

先程のアベルの暴走をシシリーに事細かく話した。

 

シシリー「魔人が・・・自我を失くした・・・?シン君、それって・・・まるで・・・」

 

シン「ああ・・・恐らくは。昔爺ちゃん達が討伐したって言う魔人と同様の状態だ。」

 

タクト「マーリン様の話だと、俺達が戦っている魔人よりも、嘗ての魔人の方が手に追えない印象が強いらしい。」

 

シン「実際、自我を失くした魔人と戦ってみて俺も同じ印象を受けた。これまでに戦って来た魔人の全てが、もし同様に自我を持たない魔人だったら・・・俺達でも勝てなかったかも知れない。」

 

シシリー「・・・・・・」

 

タクト「残る魔人は、オリベイラとベルゼを含めて後数体・・・」

 

シシリー「・・・もう起きませんよね・・・?そんな事・・・」

 

フェオン「だと良いけど・・・」

 

残る魔人は、ローレンス、ゼスト、ミリア、ベルゼ、オリバー=シュトローム。

 

 

 

 

 

 

そして・・・

 

フィン「くっ・・・は、はは・・・どうやらそこらの人間とは一味違うみてェだが・・・やはり埋められねェよなぁ。魔人と人間との差は。」

 

ジェレミー「・・・・」

 

魔人フィンと戦っているジェレミー、ジークフリード、クリスティーナ。

 

 

 

 

シルビア「ジークフリード様・・・」

 

セシリア「クリスティーナ様・・・ジェレミー・・・」

 

 

 

 

ジークフリード「へっ・・・そうかぁ?その割には何発か攻撃貰ってんじゃねーか。」

 

クリスティーナ「私情で単独()()()()に攻め込む辺り・・・魔人の兵隊としては優秀でも・・・精神的にはまだムラが見られますしね。」

 

ジェレミー「もうちょっと鍛錬を積んでたら、俺達に勝ててたかもなぁ・・・」

 

『ワアァァァ!!!』

 

フィン「!?」

 

 

 

 

アールスハイド兵士「倒れた!!獅子の魔物がようやく止まったぞーーーー!!!」

 

ルーク「はっ・・・はっ・・・けっ・・・やっとかよ・・・しつけー野郎だったぜ・・・」

 

遂に兵士達が、獅子の魔物の討伐に成功した。

 

アールスハイド兵士「大丈夫ですか、ルークさん?」

 

ルーク「ワリ、無理だ。ちっと休ませろ・・・」

 

だが、喜びも束の間。

 

アールスハイド兵士「お・・・おい・・・あれ・・・」

 

無数の災害級が現れたのだ。

 

 

 

 

ジェレミー「残りカスか!」

 

フィン「折角だから教えてやるよ。一部の魔物は、俺が実験であちこち弄っててなぁ。異常に筋力が発達した奴、痛みの感覚を失ってる奴・・・部分的に中枢神経を操作して、どれだけ喰っても飢餓状態を保ってる奴なんかも居る。」

 

ジェレミー「要するに、お前の本当の操り人形って訳か・・・」

 

ジークフリード「・・・胸糞悪ぃぜ。」

 

クリスティーナ「命を・・・生物を一体何だと思っているのですか・・・!?」

 

ジークフリード「それに見てみろよ!魔物の数はここまで減ってんだ!もう数える程だぜ!てめェ自慢の魔物が最後の砦ってトコだ!俺達連合軍は、魔物共なんか負けやしねェんだよ!」

 

フィン「・・・・くっくっ、おめでたいヤローだ。俺達が用意した魔物がここに居る奴らだけだなんて、誰が言ったよ?」

 

ジークフリード・クリスティーナ「・・・!?」

 

フィン「元々この数の魔物を1ヶ所に集めて隠しておくなんて出来るはずもねェ。お前らが今相手してんのは、帝都南側に潜ませていた約半分・・・帝都北側の城壁の外にはもう半分が、今か今かと出番を待ってんだぜ!」

 

 

 

 

セシリア「そ・・・んな・・・」

 

 

 

 

フィン「今の時点でお前らの戦力は何割残ってる?『残り半分さぁやるぞ』なんて口に出来るタフな奴がまだどれだけいんだ?あ?精々絶望を噛み締めるが良いぜ。」

 

ジェレミー「・・・言いたい事はそれだけか?」

 

フィン「あぁ?」

 

ジェレミー「俺の信頼出来るアイツらを忘れちゃいねぇだろうな?」

 

 

 

 

 

 

””アウウウウウウウン!!!””

 

 

 

 

 

 

遠くから犬の遠吠えが響き、2つの影が迫り来る災害級達の脳を全て噛み千切った。

 

フィン「なッ!?」

 

ローランド「ジェレミー様!」

 

ラナ「ジェレミー!」

 

ジェレミー「来たなお前ら?」

 

それは、ローランドとラナだった。

 

ローランド「ジェレミー様、あの災害級の脳みそかなり濃厚で美味ですよ。」

 

ラナ「今まで喰べて来た災害級の中でダントツ美味しいわ。」

 

ジェレミー「そうか。満足出来て良かったな。」

 

フィン「チッ。テメェのペットか。」

 

ラナ「それと、北側の方にはエミリー達と衛士隊、盗賊団が待機しているわ。」

 

ジェレミー「判断が早い。」

 

ローランド「ですが、ここにまだ災害級が残っています。」

 

ジークフリード「・・・残り半分・・・か・・・だったら尚更よォ・・・絶望なんか感じてるヒマねェなぁ!!」

 

クリスティーナ「折れませんよ・・・私達は。シンを・・・仲間を。最後まで信じていますからね。」

 

ジェレミー「本気モードで行くぜ!」

 

自身の両目を赤から青、そして紫色へ変色させた。

 

ジェレミー「ローランド!ラナ!残りの災害級を全て喰い荒らせ!」

 

ローランド「はい!」

 

ラナ「合点!」

 

 

 

 

 

 

サイクス『何だお前。新入りの癖に生意気な野郎だなオイ。』

 

・・・・うるせェなぁ。

 

ダンテ『上下の関係や礼儀など押し付ける気はない。だが、真に自らが仕えると決めた者は絶対に裏切るな。』

 

大袈裟だぜ。結局大事なのは自分で生きる事だろ。

 

アベル『国に仕える立場だが、だからと言って祖国に魂まで売る必要はない。俺は救われた恩に報いる為・・・隊長の力になる為にここに居るだけだ。』

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

フィン(帝国(くに)他国(せかい)も、何もかも愚かで下らねェ。この場所に生きる意味なんて見出せるもんかよ。そう思ってたはずだった。だけど・・・虫ケラみたいに路上に転がってた命に、わざわざ手ェ差し伸べる人間に出会って、命預けても良いやって思える連中と何度も戦場を共にして、何時の間にか・・・『そこ』も悪くねェかって思えるようになってた。)

 

 

 

 

 

 

カイン『お前は俺らよりほんのちょっっっ・・・とだけ賢いんだからよ。そのすぐ感情で動くクセだけ止めろよ。何時か後悔するぞ?』

 

 

 

 

 

 

過去の記憶を思い出したフィンは。

 

フィン「・・・はは。最後までこのクセだけは直んなかったなぁ。・・・けど見てみろよ。その結果、アンタ達より俺の方が生き残っちまってるじゃねェか。」

 

魔物カラスの大群を呼び寄せた。

 

クリスティーナ「カラス・・・!?」

 

ジェレミー「今晩は焼き鳥になりそうだな。」

 

フィン(・・・バカ野郎。でけェ口叩くんなら、俺より先にくたばってんじゃねェよ。)

 

戦死した仲間達の為に、フィンがカラスの大群を特攻させた。

 

ジークフリード「下がれ!!!」

 

魔法弾で特攻する魔物カラスを討伐。

 

クリスティーナ「っ!!」

 

華麗な剣捌きで魔物カラスを一刀両断。

 

ジェレミー「ルルルアアァァ!!!!」

 

両手の爪で魔物カラスの大群を縦横無尽に斬り裂く。

 

ローランド・ラナ「アウウウーーン!!!!」

 

同じく2匹も魔物カラスの大群を喰い荒らす。

 

 

 

 

兵士「見たか魔人野郎!今更カラス程度その5人には・・・」

 

兵士「・・・お、おい!」

 

兵士「え?・・・何だあれ・・・!?」

 

全滅した魔物カラスだが、フィンの後ろから大群が押し寄せた。その数は、万を超えていた。

 

兵士「何なんだよあの数・・・」

 

兵士「や・・・やべェぞあれは・・・」

 

 

 

 

ジェレミー「おーお。まだまだ賑やかになりそうだな。」

 

ジークフリード「ああ。だが、こりゃち〜っとばかし・・・急いだ方が良さげだなぁ・・・」

 

魔物カラスの大群が再び特攻する。

 

クリスティーナ「ジーク!魔物の方を任せます!」

 

ジェレミー「ローランド!ラナ!任せたぞ!」

 

ジークフリード「無茶言いやがって・・・!」

 

ローランド「お気を付けて!」

 

ラナ「油断しないでよ!」

 

セシリア「私達も手伝います!ジークフリード様!」

 

魔物カラスの大群討伐開始。

 

 

 

 

 

 

フィンに特攻するジェレミーとクリスティーナ。

 

クリスティーナ(カラスの魔物がこの男の魔力で操作されているなら、魔力の供給を絶ってしまえばあるいは・・・!!)

 

ジェレミー「くたばれ!!!!」

 

右手の爪でフィンを斬り裂こうとするが、フィンが右腕で受け止めた。

 

フィン「惜しかったな。」

 

ジェレミー「どうかな?」

 

ジャンプしたジェレミー。

 

フィン「ッ!?」

 

バイブレーションソードを握ったクリスティーナが、バイブレーションソードをフィンに振る。だが、フィンが右腕で受け止めた。

 

クリスティーナ「っ!」

 

バイブレーションソードが振動した。

 

フィン「ッ!?」

 

咄嗟に気付いたフィンが右手を引いた。

 

フィン「お前・・・それ、ウォルフォードと同じ仕様の剣か!さっきまでは隠してやがったな!」

 

クリスティーナ(不意打ちで仕留められればベストでしたが、流石にそう甘くはないですね。)

 

フィン(・・・・来い!!!!)

 

魔物カラスの大群を操作し、ジェレミーとクリスティーナに特攻させた。

 

ジェレミー・クリスティーナ「っ!!」

 

 

 

 

ジークフリード「くっそ・・・!!数が多過ぎる・・・!!」

 

ラナ「消耗戦になりそうだね・・・!!」

 

 

 

 

クリスティーナ「くっ・・・!!」

 

ジェレミー「ルァ!!!」

 

両手の爪とバイブレーションソードで魔物カラスの大群を蹴散らす。だが・・・

 

フィン「貰ったぜ。」

 

ジェレミー「クリス!後ろ!」

 

クリスティーナ「え!?」

 

彼女の後ろにフィンが回り、クリスティーナの右腕を蹴り折った。

 

クリスティーナ「うあっ・・・!!」

 

ジークフリード「クリス!!!うおぉっ!!」

 

クリスティーナの後ろに立つフィンに魔法弾を放ったが、既に姿が消えていた。

 

ジークフリード(・・・!!野郎・・・何処へ行きやがった!?)

 

後ろから気配をキャッチした。

 

ジークフリード「後ろかっ!!」

 

後ろに魔法弾を放ってフィンを攻撃した。

 

ジークフリード「ッ!?」

 

だがそれは、2羽の魔物カラスだった。

 

フィン「残念。」

 

後ろに回ったフィンが、ジークフリードの背中に魔法弾を叩き込んだ。しかしジークフリードの背中に魔法障壁が張られてした。

 

フィン(っ!コイツ・・・あの状況で障壁張りやがったのか・・・まぁ防ぎ切れねーけど・・・)

 

ジェレミー「ッ!!」

 

真横からジェレミーが特攻する。だがフィンが体を逸らして避けた。

 

フィン「ガラ空きだ。」

 

魔法弾をジェレミーの首に直撃させて折った。

 

ジェレミー「・・・・・ヘヘッ・・・・中々良い攻撃だなぁ・・・・」

 

”ボキボキ!!”

 

折れた首の骨を強引に治した。

 

フィン(折れた首を自分で治すとは。魔喰人は計り知れないな。)

 

ジェレミー「クリス、ジーク、大丈夫か?」

 

クリスティーナ「ええ・・・」

 

ジークフリード「まぁな・・・」

 

フィン「ふぅ・・・魔喰人は兎も角。人間にしちゃ十分過ぎる程強ェなお前ら。ウォルフォードと無関係って事はねーだろ?どう言う繋がりだ?」

 

ジークフリード「はぁ・・・はぁ・・・兄貴だよ!」

 

フィン「は!?兄貴!?嘘吐け!そんな情報聞いた事ねーぞ!?」

 

ジェレミー(正確には、シンの育ての兄と姉だな。)

 

クリスティーナ(右腕を折られた・・・!!これでは剣を・・・く・・・やはり魔人と言うべきか・・・)

 

兵士「・・・・おい・・・!!」

 

兵士「ああ・・・もう耐えられねぇ・・・クリスティーナ様!!加勢致します!!」

 

兵士「みすみすお2人が殺されるのを見てはいられない!!」

 

兵士「ジークフリード様!!我々も共に戦います!!」

 

ローランド「ジェレミー様!!僕達も!!」

 

ラナ「私も助太刀するよ!!」

 

ジークフリード「来んな!!!!!」

 

加勢しようとする兵士達を止めた。

 

ジークフリード「辺りに転がってる仲間の死体が目に入んねェのか!!多勢で挑めばどうにかなるって相手じゃねェ・・・!!無駄に命を捨てるようなマネする事は許さねェぞ・・・!!ここで()()が殺られたら総員撤退だ!!下手すりゃコイツ1人に連合軍全滅させられかねねェ・・・!!」

 

クリスティーナ「()()()と言うべき所ですよ。ジーク。」

 

ジェレミー「俺も忘れて貰っちゃ困るぜ。」

 

ジークフリード「ダメだ・・・!!クリス、ジェレミー、お前らまで殺られたら、誰が冷静にこの場を指揮すんだよ。撤退の指示と局長への報告・・・!!今からそれがクリス、お前の役割りだ・・・!!」

 

クリスティーナ「お断りですね。」

 

ジークフリード「ああ!?」

 

クリスティーナ「あなた、腕の折られた私と、首を折られたジェレミーはこれ以上戦いに参加しない為に口実を作ってるだけでしょう!あまり舐めないで欲しいですね!」

 

ジークフリード「んだとコラ・・・こんな時まで・・・」

 

ジェレミー「お2人さん。痴話喧嘩は後にしてくれ。」

 

ジークフリード・クリスティーナ「おい!!」

 

ジェレミー「ジーク。仲間の事も、もっと信頼すべきじゃないのか?命を最優先すべきは、俺とジークとクリスと同意見だ。分かるよな?お前達も。」

 

兵士達「・・・・・・」

 

クリスティーナ「セシリア、シルビア、この場の指揮は任せます。」

 

セシリア・シルビア「・・・・!!」

 

ジェレミー「ローランド、ラナ。俺の分はいい。お前達で残りのカラス共(奴ら)を1匹残らず喰い尽くせ。その代わり、後で味の感想を聞かせてくれよ?」

 

ローランド・ラナ「・・・・はい!!」

 

ジークフリード「ったくよぉ。そもそも左腕1本で何が出来んだよ・・・」

 

クリスティーナ「満身創痍はあなたも同様でしょう。」

 

ジークフリード「つくづくお前とは反りが合わねェなぁ。」

 

クリスティーナ「嬉しいですね。全くの同意です。」

 

ジェレミー「んなら、俺がお前達2人の傷や骨を治してやろうか?そうすればマシだろ?」

 

手に持ってる薬を2人に見せた。

 

ジークフリード「嬉しいが、今はそんな気分じゃねェな。」

 

クリスティーナ「ジェレミー。それは後で戴きます。」

 

ジェレミー「そっか。」

 

薬を仕舞う。

 

ジークフリード「オイ・・・1つだけいいか?」

 

クリスティーナ「はい?」

 

ジークフリード「お前の死に様なんて見たら夢見悪ぃ。絶対俺の目の前でくたばらねェって約束しろ。」

 

ジークフリードにそう言われ、クリスティーナが密かに微笑んだ。

 

クリスティーナ「その言葉、そっくりそのままお返しします。」

 

ジークフリード「けっ。」

 

ジェレミー(良い2人じゃねぇか。)

 

フィン「どの道死ぬんだよ。お前ら全員な!」

 

魔物カラスの大群を特攻させた。

 

ジェレミー「行くぜェッ!!!」

 

率先して魔物カラスの大群を両手の爪で斬り裂く。

 

ジークフリード(口に出すのは癪だが、クリスの実力は誰より俺がよく分かってる。絶対に自己鍛錬は怠らねェし、軍の訓練も一度たりともサボったりしねぇ・・・生真面目の代名詞みてェな奴だ。それがハッキリとその実力に裏打ちされてる。全くもって俺とは正反対だよな。だからこそ・・・いざと言う時は、コイツに全てを託す事が・・・)

 

フィン「今度こそくたばりやがれ!!!!」

 

魔物カラスの大群の中からフィンが現れ、ジークフリードとクリスティーナの背後に落下する。

 

ジークフリード・クリスティーナ「!」

 

しかし、2人が背後のフィンを睨んだ。

 

フィン「何!?うっ・・・!!」

 

ジークフリードの魔法弾と、クリスティーナのバイブレーションソードがフィンの体にダメージを与えた。

 

ジェレミー「後ろがガラ空きだ!」

 

フィン「がはッ!?」

 

更にフィンの後ろから、ジェレミーがタックルで突き飛ばした。

 

ジークフリード「ワンパターンなんだよ!攻撃がよ!!」

 

クリスティーナ「同じ相手に二度も同じ戦術は通じませんよ!まだまだ甘いですね!」

 

ジェレミー「俺らの本気とくとご覧あれ!!」

 

フィン「るっせェんだよ!!!(こいつら)全部受け切ってみやがれーッ!!!!」

 

カラスの大群を突撃させた。

 

ジークフリード(全部防ぐのはまず不可能・・・だったらいっそ!!)

 

魔法弾を連射し、カラスの大群を討伐。だが、大群はまだ残っている。

 

ジェレミー・クリスティーナ「ッ!?」

 

ジークフリード「・・・・・」

 

横に立ってるジェレミーとクリスティーナに笑みを見せた直後、カラスの大群の激突を受けてしまった。

 

 

 

 

フィン「?」

 

ジークフリードに集中していたフィンの背後の煙から、ジェレミーとクリスティーナが現れた。

 

ジェレミー・クリスティーナ「ッ!!!!」

 

フィン「ッ!!」

 

爪と剣を振るうジェレミーとクリスティーナに気付いたフィンが、魔法障壁で間一髪防いだ。

 

クリスティーナ(防がれた!?)

 

フィンがクリスティーナを蹴り落とした。

 

ジェレミー「まだだッ!!」

 

左手の爪でフィンを斬り裂こうとするが、フィンがジェレミーの爪を蹴り上げて折った。

 

ジェレミー「ッ!!」

 

フィン「落ちろ!!」

 

右のパンチでジェレミーを落とした。

 

 

 

 

地面に叩き落とされたジェレミーとクリスティーナに、着地したフィンが迫る。

 

フィン「手こずらせやがって・・・はあっ・・・はっ・・・(一旦退かねェと・・・思った以上にダメージを受けちまった・・・!!)」

 

シルビア「お・・・お姉様・・・セシリア姉様・・・!!」

 

セシリア「・・・・・!」

 

動かないジェレミーとクリスティーナに、セシリアはどうする事も出来ない。だが。

 

フィン「・・・!?」

 

まだ体力が残っているクリスティーナが、バイブレーションソードを左手に持ってフィンに剣先を向ける。

 

クリスティーナ(力の入らない右腕は・・・左腕に添えるだけでいい・・・!)

 

フィン(何してんだ彼奴・・・あんな距離から・・・)

 

ジェレミー(・・・やれクリス!)

 

クリスティーナには、まだ打つ手があった。バイブレーションソードの柄のスイッチを押し、刀身を射出した。射出された刀身が、フィンの額に突き刺さった。フィンが倒れた。

 

セシリア「あ・・・あれはシン君達との軍事訓練の時見た・・・」

 

シルビア「強化バネによる刀身の射出・・・!!」

 

兵士達「やったぞ・・・!!」

 

クリスティーナ「・・・・」

 

ジェレミー「クリス、喜ぶのは早いぞ・・・」

 

クリスティーナ「え・・・?」

 

通常の魔人は、人間同様脳を破壊されて生命を落とす。だが、フィンは起き上がった。

 

フィン「ふぅ・・・ふぅっ・・・驚いたぜ・・・この期に及んでまだこんな切り札隠してやがったか・・・!!」

 

 

 

 

セシリア(魔人は・・・倒せないの・・・!?)

 

 

 

 

ジェレミー「彼奴・・・良い石頭を持ってやがったか・・・」

 

フィン「そんなに死に急ぐならよ・・・きっちりトドメ刺してやるよ。右腕も使えねェ・・・剣も爪ももうねェ・・・!!そのまま這いつくばってそこで待ってろ・・・!!」

 

クリスティーナ「・・・ふぅ・・・ダメ・・・ですね。ジェレミー・・・」

 

ジェレミー「・・・ああ・・・こりゃダメだな・・・」

 

遂に、フィンがジェレミーとクリスティーナの前に近付いた。

 

フィン(くそ・・・我ながら情けねェ・・・魔喰人は兎も角・・・人間相手に・・・魔力を集める余力すら残ってねェ・・・これじゃカラスも操る事も・・・)

 

ジェレミー「おい・・・あんまり調子に乗ってると・・・自分が痛い目見るぜ・・・?」

 

フィン「コケにしやがって・・・安心しろよ。首捻り落とす位の力はまだあるからよ・・・そうだな・・・まずは女、テメェから殺してやる・・・」

 

 

 

 

シルビア「セ・・・セシリア姉様・・・クリスティーナ様が・・・!!」

 

セシリア(指示を出さなきゃ・・・!!撤退か・・・それとも犠牲を覚悟で加勢するか・・・!!クリスティーナ様・・・!!私は・・・どうしたら・・・)

 

 

 

 

フィン「あばよ!」

 

クリスティーナの首に、フィンの右手が迫る。するとジェレミーがフィンに挑発する。

 

ジェレミー「おい石頭・・・俺のような魔喰人、甘く見るなよ?」

 

フィン「あ?」

 

すると上空から何かが降って来た。そして・・・

 

フィン「ガッ!?」

 

首に降って来た何かが刺さった。

 

フィン(な・・・何が起こったんだ・・・!?まさか・・・!!)

 

刺さったのは、ジェレミーの折れた爪だった。

 

ジェレミー「言っただろ・・・?調子に乗ると痛い目見るって・・・」

 

フィン(野郎・・・!(コレ)を知ってわざと・・・!?だが・・・まだ俺には余力がある・・・!このまま殺して・・・!!)

 

再びクリスティーナの首に迫る。

 

クリスティーナ「ふぅ・・・ダメですよ。剣の使い手に不用意に近付いては。」

 

すると突然、クリスティーナが持つ何かがフィンの胴体を切り裂いた。

 

ジェレミー「フッ・・・」

 

それは、バイブレーションソードと同じ機能を持ったバイブレーションナイフだった。

 

クリスティーナ「遠距離から攻撃されていたら私の負けでした・・・あなたの犯人は、ムキになって直接命を奪う事に固執し・・・私とジェレミーの間合いに入った事ですよ・・・」

 

ジェレミー「甘く見たお前の負けだな・・・」

 

胴体を切り裂かれたフィンが、遂に倒れた。

 

クリスティーナ(シン・・・結局最後は・・・あなたに助けられましたよ・・・)

 

心の中でシンに感謝し、力尽きたように倒れた。

 

兵士達「・・・お・・・うおぉぉ!!!!魔人を!!倒したぞーーーーー!!!!」

 

ジェレミー、ジークフリード、クリスティーナの活躍により、魔人フィン討伐。フィンの討伐と同時に、魔物カラスの大群が落ちた。

 

セシリア「クリスティーナ様!!大丈夫ですか!?すぐに治癒魔法をお掛けします!!」

 

クリスティーナ「セシリア・・・私より・・・ジークは・・・」

 

セシリア「大丈夫です。カラスに襲撃される瞬間、土魔法で地中に身を隠して負傷を最小限に抑えたようです。重傷ですが、命の心配はありません。それにあの魔人が操作していた魔物達も一斉に動きを止めたようです。」

 

彼が無事だと告げられ、クリスティーナは笑みを見せた。

 

ローランド「ジェレミー様!!大丈夫ですか!?」

 

ジェレミー「ああ・・・今回はちょいとばかし無茶したな。」

 

身体中の関節を自力で治しながら立ち上がる。

 

ジェレミー「そうだ。クリス。」

 

仕舞っていた2つの薬をクリスティーナに投げた。クリスティーナがキャッチした。

 

ジェレミー「お楽しみの薬だ。もう1つはジークの分だ。飲んで傷と骨を治しとけ。」

 

クリスティーナ「恩に着ます。」

 

 

 

 

事態が収束した後。

 

ジェレミー「そろそろかな?」

 

ラナ「美味しそう!」

 

止まった魔物カラスの大群を焚き火で焼いてる。

 

ジークフリード「・・・よォ。そのナイフまだ持ってやがったんだな。」

 

クリスティーナ「当然じゃないですか。シンがくれた大事なお守りですよ。・・・ジーク。私、約束・・・守りましたよ。」

 

ジークフリード「あ?約束?何が?」

 

覚えていないジークフリードにクリスティーナが怒った。

 

クリスティーナ「たまには人を褒めるとかしたらどうなんです!?」

 

シルビア「ホ、ホラ!ジーク先輩!こう言う時くらい・・・ね?」

 

ジークフリード「・・・・・・・・・・・まぁ、お前にしちゃよくやったよ。」

 

ジェレミー・ローランド・ラナ「ニヤニヤ♪」

 

ジークフリード「な、何だよお前ら!」

 

ジェレミー「普段クリスを褒めないお前にしては、上出来な褒め言葉だったぞ?」

 

ジークフリード「う、五月蝿ェなぁ!・・・それ、あのカラスの肉か?」

 

ジェレミー「ああ。魔物カラス共の肉だ。コイツを焼き鳥風にしてみた。モグモグ・・・おぉ!コイツぁ美味い!」

 

セシリア「一見美味しそうに見えるけど・・・それ魔物だよね?」

 

ジェレミー「正真正銘の魔物だ。お前らは食うなよ?」

 

セシリア「いや食べないよ・・・」

 

 

 

 

 

 

他の場所でも、兵士達が魔物や災害級を次々と討伐している。

 

 

 

 

一方ドミニク率いる部隊は、帝都北側区域の災害級の討伐に急行している。

 

ドミニク「・・・くそぅ・・・何と言う事だ・・・!!その魔人の言葉が正しければ・・・我々が相手していたのと同じ数の魔物がまだ帝都の近くに・・・く・・・予想はしていたが・・・連合軍の兵は現在どれ位残っている!?」

 

兵士「全体の把握は出来ていませんが・・・各国共に我が国と状況が同じであれば・・・約半数程かと・・・」

 

ドミニク(・・・・・戦況は絶望的と言う他ないな・・・だが、帝都の近くにはエミリー君達や衛士隊が応戦に向かっていると聞いている・・・だが向こうの戦況は分からない・・・)

 

兵士「局長!この辺りから帝都北側区域に入ります!!」

 

ドミニク「うむぅ・・・よもや戦場からここまで離れた場所に魔物を潜ませていたとは・・・丘の上へ出れば、恐らくその姿を確認出来るはずだ!そこにはエミリー君達や衛士隊が応戦しているはずだ!!気を引き締めよ!!」

 

 

 

 

北側区域に到着した。

 

ドミニク「・・・な・・・!?」

 

だがそこで彼らが目にしたのは、全滅した超災害級の大群の死骸が横たわっている光景だった。

 

ドミニク「これは・・・魔物が・・・全て死んでいる・・・!?」

 

兵士「もしかしたら・・・」

 

ドミニク「ん?あれは・・・!!」

 

超災害級の死骸に囲まれているエミリー達とタカオとマモルを発見した。

 

ドミニク「君達!!」

 

エミリー「ドミニク局長!」

 

タカオ「ご無事で!」

 

ドミニク「無事か!?」

 

ヒナ「はい。何とか。」

 

イザベラ「皆さんもご無事で何よりです。」

 

ドミニク「他の衛士隊は何処だ?」

 

マモル「今別の場所の災害級の討伐へ向かっています。」

 

ドミニク「そ、そうか。」

 

兵士「し・・・信じられん光景だな・・・」

 

兵士「おいこれ・・・殆どが超災害級だぞ・・・」

 

ドミニク「これを、君達が討伐したのか?」

 

レア「ああ!凄く手強かったぞ!」

 

アンナ「ドミニク局長。討伐したのは私達だけじゃありません。」

 

ドミニク「何?どう言う事だ?」

 

カサンドラ「彼処を見て下さい。」

 

ドミニク「!!」

 

遠くから5人の話し声がする方向を見た。

 

???「やれやれ・・・流石にちいっとばかし疲れたわい。」

 

???「全くお前は、無茶も程々にしろと言っただろ。」

 

???「そうだよ。ハッスルし過ぎなんだよアンタは。ジジィになって力のセーブってのを分かっちゃいない。」

 

???「はは・・・まぁまぁ。取り敢えず粗方片付いたので、良いではないですか。」

 

???「今回は大目に見てあげましょうよ。」

 

ドミニク「あ・・・あ・・・あなた達は・・・!!!!」

 

その5人の人物の正体は・・・賢者マーリン、導師メリダ、大司祭リチャード、天士レイチェル、剣聖ミッシェル。5人の英雄達だった。

 

マーリン「む?」

 

メリダ「ようやく来たかい。ヒヨッコ共。」

 

???「あれ?もう援護が到着したの?」

 

ドミニク「?」

 

そしてもう1人。

 

ベルゼ「遅いよもう。」

 

魔人のベルゼだった。

 

 

 

 

 

 

一方別の場所では、ルーパー率いる部隊が山羊の災害級と睨み合っている。

 

兵士(ようやく終わりが見えて来た・・・そう思ったのに・・・)

 

兵士(まだこれで半分・・・!?)

 

兵士(体が・・・重たい・・・動かない・・・)

 

兵士(気力が・・・保たない・・・)

 

災害級は残り半分。だがルーパーと兵士達は限界を迎えている。

 

ルーパー(情けねェ・・・周りを引っ張らなきゃいけねェ立場の俺が・・・声すら出せなくなってやがる・・・頭ん中で想像しちまってんだ・・・連合軍が全滅する未来を・・・この精神的な揺さぶりも、魔人共の策略の内だったのか・・・まぁそんな事、今考えても仕方ねーが・・・)

 

だがその時、山羊の災害級が突進を始めた。

 

ルーパー(力を振り絞って体動かせ!ここで死んだら、それこそただの無駄死にだぞ!!)

 

そう頭の中で叫んで動こうとした時、1人の兵士が剣を手放した。

 

兵士「・・・はは・・・ダメだ・・・もう・・・」

 

ルーパー「バ・・・!!」

 

だがその時、山羊の災害級の頭部が切断された。切断した人物が姿を現す。

 

ミッシェル「根性が足りとらんなぁ。今の若いのは。」

 

ルーパー「ま・・・まさか・・・”剣聖”ミッシェル様・・・!?」

 

イザベラ「皆さん、ご無事ですか?」

 

戦士達も駆け付けた。

 

ルーパー「君達・・・!いや・・・待て・・・剣聖様と君達だけじゃない・・・あ・・・あれは・・・」

 

マーリン「残りの魔物はどんなもんじゃ?」

 

メリダ「ざっと探知して20から30ってトコかね。」

 

リチャード「まだまだ大所帯になるな。」

 

レイチェル「油断は禁物ですね。」

 

そこに、英雄4人も合流した。

 

兵士「け・・・”賢者”マーリン様!!」

 

兵士「それに”導師”メリダ様に”大司祭”リチャード様と”天士”レイチェル様までーーーー!?」

 

ルーパー「・・・な、何でここに・・・」

 

ドミニク「もう心配いらんぞルーパー。」

 

ルーパー「っ!ドミニク・・・」

 

ドミニクも合流した。

 

 

 

 

 

 

数分前。

 

ミッシェル『おうドミニク。』

 

ドミニク『ミ・・・ミッシェル様・・・この魔物は・・・まさか・・・』

 

マーリン『元々はワシらも連合軍の加勢に入るつもりだったんじゃがの。事前にどうにも怪しい魔力の集合を感じ取ってのう。先にそちらに足を運んだら、この数の魔物を彼女達が奮闘しているのを目撃してな。苦戦しているのを見て加勢に入ったんじゃ。どうせ魔人の手先に違いないし・・・まぁ流れで潰しておいたってワケじゃ。』

 

ドミニク『な・・・流れで・・って、この数を・・・!?それに我々は・・・誰1人としてこんな離れた場所の魔力は察知出来なかったのに・・・』

 

エミリー『おいベルゼ。そろそろ聞かせて貰おうか。』

 

ドミニク『?』

 

エミリー『私達を手助けする理由を。』

 

ベルゼ『手助けねぇ。私はアイツらに借りを返そうと思ってね。』

 

イザベラ『借り?どう言う事ですか?』

 

ベルゼ『コレよ。』

 

自分の首元を見せた。

 

ヒナ『それは・・・!』

 

痣が首元まで侵食していた。

 

ベルゼ『私にこんな仕打ちをした奴が魔人達の中に居てね。ソイツに借りを返す為にあなた達に協力したって訳。』

 

カサンドラ『じゃあ、今は私達の味方って事ですか?』

 

ベルゼ『そう思ってて貰えれば良いよ。じゃあ私、そろそろ行くから。』

 

レア『何処へ行くんだ?』

 

ベルゼ『帝城の方。じゃあね。』

 

彼女は帝城へ向かった。

 

メリダ『・・・で、連合軍の方は?片付きそうなのかい?』

 

ドミニク『え・・・あ・・・後1歩と言う所ではありますが・・・苦戦しております。』

 

マーリン『・・・フム。ではそちらに行くとするかの。』

 

リチャード『急ごう。』

 

 

 

 

 

 

そして現在。

 

ルーパー「ご・・・5人でこの規模と同様の魔物をあの子達より多く・・・おま・・・それ・・・つまりあの5人の力は連合軍の総力に匹敵するって事じゃねェか・・・!?」

 

ドミニク「恐ろしい事にな。」

 

兵士達は5人の英雄に呆然としている。

 

メリダ「やれやれ。シケたツラしてるねぇどいつもこいつも。今にも心折れそうな様相でさ。ったく・・・」

 

深呼吸して、兵士達に叫んだ。

 

メリダ「アンタ達気合い入れなぁ!!!他で待機してた魔物共は私らが片付けた!!残すはアンタらの目の前に居るそいつらのみだよ!!!」

 

兵士達「・・・・!!!」

 

ミッシェル「アルティメット・マジシャンズは・・・後ミランダは、必ずや魔人達を殲滅させる!!彼らがここへ戻って来た時に!!そんな顔で出迎えるつもりか!!」

 

リチャード「今この瞬間がチャンスだ!!」

 

レイチェル「あなた達の力を見せる時です!!」

 

兵士「そ・・・そうだ・・・殿下や御使い様や超古代の戦士様が相手しているのは・・・魔物なんかよりもっと恐ろしい相手・・・」

 

兵士「我々が不甲斐ない様など見せる訳にはいかない・・・!!」

 

兵士「ましてや残る魔物がここに居るのみとなれば・・・!!」

 

ミッシェル「ささ。マーリン殿も何か一言。」

 

マーリン「ワシゃ別にいいわい。」

 

リチャード「私も言ったんだ。お前も何か言え。」

 

マーリン「・・・・・え〜〜〜〜・・・・と。まぁその・・・アレじゃ。そろそろ終わらせるとするかの。力を合わせて。」

 

この言葉に、兵士達の士気が一瞬で湧き上がった。

 

 

 

 

エドガー「何!?賢者様と導師様、大司祭様に天士様が・・・!?」

 

ガラン「へっ・・・生ける伝説が現れたとあっちゃ・・・恥さらす訳にゃいかねェなぁ!」

 

ベーカー「マジかいな!!そら生き残って挨拶行っとかな!!」

 

 

 

 

タカオ「エミリー殿、背中をお預けします。」

 

エミリー「頼むぞタカオ。」

 

マモル「ヒナさん、全力で援護します。」

 

ヒナ「ありがとうございます。マモルさん。」

 

レア「よっしゃ!行くぞアンナ!イザベラ!カサンドラ!」

 

アンナ・イザベラ・カサンドラ「はい!!」

 

ドミニク「実力や現状がどうと言う以前の話・・・『彼ら』の存在は・・・我々に立ち上がる勇気と気力を与えてくれる。」

 

ルーパー「ああ。・・・ドミニク・・・確かにおめェの言った通りだ。」

 

エミリー達戦士と、英雄達が残りの魔物を討伐する。

 

ルーパー「もう何も心配はねぇ。」

 

 

 

 

 

 

帝都・教会。

 

マナミア「これで大丈夫ですよ。」

 

ミランダ「ありがとうございます・・・マナミア様・・・」

 

負傷したミランダの腕を包帯で巻いてあげた。

 

ミランダ「申し訳ありません・・・私が調子に乗ったばっかりに・・・」

 

マナミア「いいえ。あなたは騎士学院の誇りです。もっと胸を張って下さい。」

 

ミランダ「・・・・・」

 

マリア「マナミア様。ミランダに甘過ぎなのでは?」

 

マナミア「マリア。褒める時に褒めるのが人間です。懸命に戦った彼女を労いもしないのはあんまりです。」

 

マリア「それはそうかも・・・」

 

マナミア「さて、そろそろ皆さんと合流しましょう。」

 

すると背後から、何かが接近し始めた。

 

ミランダ「ん?マリア後ろ!」

 

マリア「え?うわあっ!?」

 

足を掴まれ逆さ吊りにされてしまった。

 

ミランダ・マナミア「マリア!!」

 

マリア「いいっ!?」

 

足を掴んだのは、大蛇の魔物の尻尾だった。

 

ミランダ「大蛇!?」

 

マナミア「恐らくここに流れて来たんでしょう!マリア!今助けます!」

 

だがその時、1つの影が現れ、マリアを捕まえた大蛇の首を斬り落とした。

 

マリア「ぐっ!いたた・・・」

 

解放されたマリアが地面にお尻を打って痛がる。

 

ミランダ「マリア!大丈夫!?」

 

マリア「え、ええ・・・」

 

マナミア「あ、あなたは!」

 

マリアを助けた影の人物。それは・・・

 

 

 

 

 

 

アズマ「無事か。マリア。」

 

 

 

 

 

 

マリア「アズマ!?」

 

衛士隊隊長のアズマだった。

 

マリア「え!?外で魔物達と戦ってたんじゃ!?」

 

アズマ「シイナ達が持ち場を引き受けてくれてな。それに俺には、守るべき人を守る義務があるってな。」

 

マリア「アズマ・・・」

 

アズマ「マリア。お前は俺の大切な人だ。一緒に戦ってくれるか?」

 

マリア「・・・ええ!」

 

マナミア「青春ですね〜。」

 

ミランダ「私も運命の人が欲しいなぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

帝城。

 

実体のない存在「英雄達が加勢に入ったか。余計な事をしてくれる。」

 

シュトローム「どうやら・・・戦局はこちらが有利になりそうだ・・・彼らは必ず戦いを終わらせてくれる・・・」

 

磔にされているシュトロームが実体のない存在に言った。

 

実体のない存在「そう言っていられるのも、今の内だ。お前には最後の手駒として働いて貰う。」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、帝城前では。

 

フェオン「遂にここまで来たのね。」

 

タクト「ああ、行くぞ。」

 

城の門が開いた。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
マナミア=ラドクリフ:前川涼子

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
リチャード=ラドクリフ:堀内賢雄
レイチェル=ラドクリフ:白鳥由里
ミッシェル=コーリング:川原慶久

ミランダ=ウォーレス:吉七味。

アズマ:榎木淳弥
マモル:山谷祥生
タカオ:石谷春貴

ジェレミー=ダンクルク:前野智昭
ローランド:山本和臣
ラナ:黒木ほの香

ジークフリード=マルケス:金子誠
クリスティーナ=ヘイデン:古賀葵
セシリア=フォン=クロード:佐藤利奈
シルビア=フォン=クロード:小澤亜李

ドミニク=ガストール:小山剛志
ルーパー=オルグラン:保村真
エドガー:間宮康弘
ベーカー:横島亘
ガラン:竹内良太

ルーク:伊藤昌弘

アベル:古川慎
カイン:井上雄貴
サイクス:興津和幸
ダンテ:柳田淳一
フィン:市来光弘

ザック:相葉裕樹
ザックの妹:佐倉薫

実体のない存在:斉藤次郎

ベルゼ=クラスティール:澁谷梓希

オリバー=シュトローム:森川智之





次回予告

帝城に乗り込み、最後の魔人達と戦うアルティメット・マジシャンズ。そこで明かされる衝撃の真実。遂に、実体のない存在がその姿を現す。

次回ウルトラマンティガ

影の支配者

お楽しみに


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第49話「影の支配者」

影の支配者
オリバー=シュトローム、実体の無い存在 登場



帝城前。

 

フェオン「遂にここまで来たのね。」

 

タクト「ああ、行くぞ。」

 

城の門が開いた。

 

 

 

 

帝城に入った。

 

シン「敵の魔力は・・・感じないな。」

 

シシリー「・・・はい。取り敢えずこのフロアには・・・」

 

タクト「けど、何処かに潜んでる可能性がある。油断はするな。」

 

シン(ボスは最上階って相場が決まってる・・・取り敢えず上を目指すか。・・・とは言え、城の構造が分からない以上慎重に動くしか・・・)

 

 

 

 

周囲を警戒しながら、城の奥へと進む。

 

フェオン「気配は全くないわね・・・」

 

グレア「相手も慎重になっているかも・・・」

 

シン(彼処・・・階段だ。)

 

階段を発見した時、誰かに肩を叩かれた。

 

シン「うわあっ!!」

 

タクト「どうしたシン!!魔人か!?」

 

後ろに立つ人物に顔を向けた。

 

アウグスト「驚き過ぎだ。珍しく緊張していたと見える。」

 

シン「オ・・・オーグ!!」

 

魔人ではなく、アウグスト、トール、ユリウスの3人だった

 

シン「3人も城へ着いてたのか・・・!」

 

アウグスト「つい今し方な。状況報告をしながら先へ進もう。クロード、トール、索敵を頼む。」

 

タクト「グレアも索敵を頼む。」

 

 

 

 

状況報告しながら階段を上がる。

 

トール「そうですか、リン殿は無事で・・・」

 

ユリウス「流石シシリー殿で御座る。」

 

タクト「まさかデリックの妹さんが生きていたとは驚きだ。」

 

フェオン「そうね。」

 

アウグスト「・・・にしてもやはり気になるのは、シンの戦った魔人の変化だな。爆発的な魔力の増加、自我の喪失、この局面になってそのような事態が起きるとは・・・」

 

シン「この戦いが終わったら、国の機関で正式に魔人化について研究し直した方が良いと思うぜ。」

 

アウグスト「生物の()()()については無論、各国の研究機関や魔法学術院でも研究が進められているのだが・・・いかんせんその対象が()()となると前例がなさ過ぎてな・・・」

 

タクト「今回の魔人の大量出現で何か究明出来たりとかは可能か?」

 

アウグスト「期待はあまり出来んな。研究に付き合ってくれる気前の良い魔人でも居れば話は別だが。」

 

シン「やっぱりデリックかな?」

 

アウグスト「彼奴がそう安安と教えてくれる雰囲気を出してくれなさそうだが。ああそう言えば、そんな研究を熱心に行っている男も1人居たか。」

 

タクト「オリベイラか。」

 

シン(彼奴はたった1人で・・・しかも自らが魔人となりながら。『人間の魔物化』なんて言う禁断と言える実験と研究を続けて来たのか・・・)

 

 

 

 

 

 

階段を上り、一際大きい扉を開く。トールとユリウスが扉を開き、タクトが先に入って周囲を警戒する。周囲に沢山の柱が立っている。

 

シシリー「・・・!殿下!敵です!」

 

目の前に2人の人物が現れた。

 

ゼスト「・・・お着きのようだ。」

 

その2人の人物の正体は、ゼストとローレンスだった。

 

アウグスト「・・・!!」

 

シン「お前達か・・・!!」

 

タクト「王都ですれ違った彼奴らか・・・!!」

 

ゼスト「馴れ合う仲ではないが・・・ここまでの関わりを持った間柄だ。名乗らせて頂こう。魔人部隊幹部及び・・・元ブルースフィア帝国諜報部隊隊長・・・ゼストだ。そして元諜報部隊員・・・ローレンス。」

 

アウグスト「・・・光栄だな。我々の紹介は必要あるまい。悪いがお前達を倒し、ここを通らせて貰う。」

 

トール(5人全員で相手しますか?)

 

アウグスト(加減する意味はない。無論総力戦で。)

 

ローレンス「ははは。嫌になっちまうなぁ。魔人を誘導したり、司教を操ったり、教皇を襲わせたり・・・これで殆ど意味がなくなっちまった訳か。」

 

シン「・・・!!お前の・・・仕業だったのか・・・!!」

 

タクト「スイードへ魔人を誘導し・・・フラー大司教を操り・・・猊下を襲わせた元凶って事か。」

 

ローレンス「・・・俺のっつーか、シュトローム様直属の兵隊である俺らの作戦だよ。正直な話、主からは特に指示が下りて来ないんでね。」

 

シン「・・・・」

 

アウグスト(やはりシュトローム自身の意志では・・・)

 

ローレンス「所でよォ!惜しかったろあん時!なぁ!司教にお前の女襲わせた時だよ。あれでもし()()()()がキズモノにでもなってたらなぁ、お前間違いなく魔人化してたろ!?」

 

フェオン(え・・・!?)

 

グレア(彼奴らまさか、シンを魔人にさせる為に・・・!?)

 

シン「・・・・・・!!!」

 

アウグスト「乗るなよ。安い挑発だ。」

 

怒りが湧き上がるシンを、アウグストが宥めた。

 

ゼスト「いや・・・そもそもの話、あの失敗は我々が原因だ。やはり有無を言わさずクロードの命を奪う事を最優先に動くべきだったのだ。司教ではなく我々の手で直接な。」

 

タクト「なぁ、1つ聞きたい。フラー大司教が魔人化したのもお前らが原因か?」

 

ローレンス「・・・生憎、あれは俺らじゃなく司教(ヤツ)の暴走でああなっただけだ。」

 

タクト「何・・・?」

 

ゼスト「今にして思えば、そのチャンスなら幾らでもあった。なぁどう思う?クロード君。」

 

シシリー「・・・!?」

 

ゼスト「君がもし我々の手で殺されていたら、シン=ウォルフォードと言う人間は、果たして人間のままでいられたかね?」

 

トール・ユリウス「・・・・!!」

 

シン・アウグスト「・・・・・・」

 

タクト・フェオン・グレア「・・・・・・」

 

ゼスト「もし何なら今からでも試して・・・」

 

だがその瞬間、周囲に強大な魔力が充満し始めた。

 

シン「その薄汚い口を閉じろ・・・今すぐにだ・・・!」

 

それは、シンの怒りによる魔力だ。トールとユリウスが驚き、ゼストとローレンスはとてつもない魔力に少々怯んだ。

 

シン「トール、ユリウス、フェオン、グレア。皆はここでシシリーを守ってくれ。」

 

トール「え・・・あ・・・はい。そ・・・それは勿論・・・」

 

フェオン「無理はしないでよね?」

 

シン「オーグ、タクト。手ェ貸してくれるか?」

 

アウグスト「何気に初チームだな。3人で倒すぞ、彼奴らを。」

 

???「あ、グッドタイミングだね。」

 

全員「!」

 

そこにベルゼが現れた。

 

タクト「ベルゼか。」

 

ローレンス「遅ェぞお前。何処で油売ってたんだ?」

 

ベルゼ「ごめんごめん。ちょっと兵士達と遊んでただけだよ。ねぇねぇ!戦うなら私も入れてよ!楽しませてあげるから!」

 

タクト「シン、オーグ。ベルゼは俺が()る。お前達はゼストとローレンスを頼む。」

 

アウグスト「無茶するなよ。」

 

ベルゼ「やっぱりあなたと戦う運命からは逃れられないみたいだね。」

 

ブラッドスパークレンスの力を解放し、ブラッディーベルゼへと変身した。

 

タクト「ッ!」

 

スパークレンスの光を解放し、ウルトラマンティガへと変身した。

 

ベルゼ「さぁ、私の予知を外してみなさい!」

 

足元を爆破させ、下のフロアへ降りた。

 

ティガ「タッ!」

 

下のフロアへ降りたブラッディーベルゼを追うティガ。

 

ローレンス「・・・ゼスト隊長、さっきのはいらねェ挑発だったんじゃないですかね?」

 

ゼスト「いや、いい。お前の読み通りクロードの身に聞き迫る可能性があれば、奴は必ずそれを放置しない。我々としてもやはり多対1の局面は避けたいからな。さぁ、行くぞ!!」

 

遂にゼストとローレンスとの戦いが始まった。

 

 

 

 

先手としてアウグストが電撃を落とした。ゼストとローレンスが左右に避けた。

 

アウグスト「シン、分かっていると思うが・・・」

 

シン「ああ。大規模魔法や高威力な魔法は控えた方が良いな。」

 

帝都市街地と違い、ここは屋内の戦い。下手をすれば城自体が倒壊し自分達が巻き込まれてしまう可能性がある。つまりシンとアウグストがこの場で全力魔法を使う事は不可能。これがゼストとローレンスの計算の内である。

 

 

 

 

下のフロア。

 

ベルゼ「ハァッ!!トゥアッ!!ヤァッ!!」

 

ティガ「タァッ!ハァッ!フッ!」

 

ハンドスラッシュと血塊の光弾の激突が始まっていた。

 

ベルゼ「よっと!」

 

ティガ「ッ!」

 

血塊の光弾は、ティガの横の床に着弾した。

 

ベルゼ「ここ!ここにも!ここだね!」

 

光弾は、次々とティガとは関係ない所に着弾するばかり。

 

ティガ「ベルゼ何をしてる!巫山戯てるのか!」

 

ベルゼ「いや、私は至って正気だよ?最も、あなたと戦っている間はね。」

 

ティガ「何?」

 

 

 

 

上のフロア。

 

シン「ッ!」

 

バイブレーションソードを出した。

 

ゼスト「・・・フム、当然そう来るか。ではこちらも。」

 

同じくゼストもナイフを出した。

 

シン(・・・!!ナイフ・・・!?)

 

横からローレンスの魔法弾が迫るが、魔法障壁で防いだ。だがゼストに隙を見られ、接近を許してしまった。

 

シン「ッ!!」

 

ナイフを縦横無尽に振るゼストに、シンがバイブレーションソードで防ぎ続ける。

 

シン「ちっ・・・!!」

 

反撃しようにもゼストは隙を見せない。

 

ゼスト「どうしたシン=ウォルフォード、剣聖仕込みの剣がそれか?防戦一方に見えるが。」

 

シン「うるっ・・・せぇなっ!!(完全にナイフの間合いを保たれてる・・・!!一歩退けば自らも斬られるギリギリの間合い・・・!こいつ・・・胆力もある上にかなりの手練れだ!だったら!!)」

 

左手に魔力を集め、ゼストに爆発魔法を発動した。だがゼストが避けた。

 

ゼスト「驚いたな。それが話に聞く『一方向に放つ爆発魔法』か・・・全くもって面白い男だ。」

 

 

 

 

ユリウス「あの動き・・・ジョカの精鋭の魔人にも劣らんで御座る。」

 

トール「流石は敵の幹部ってところですね・・・」

 

フェオン「あの2人でも、一筋縄じゃ行けないみたいね・・・」

 

グレア「でも皆ならきっと。」

 

シシリー「・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

帝城・黒い部屋。ゼストとローレンスと戦うシンとアウグスト、そしてブラッディーベルゼと戦うティガの光景が流れている。

 

シュトローム「ゼストさんとローレンスさんとベルゼさんを、彼らが戦っている・・・」

 

実体のない存在「よくぞここまで来れたものだ。だが、()()()()が潜んでいる事を誰も知らないであろう。」

 

シュトローム「操り人形・・・?どう言う事だ!?」

 

実体のない存在「案ずるな。その答えはすぐにやって来る。」

 

 

 

 

 

 

ローレンス「ゼスト様!!」

 

ゼスト「むっ・・・」

 

アウグストの電撃を避けた。するとローレンスが両腕を上に上げた。すると床下から無数の光の柱が出現した。シンとアウグストが避けた。

 

シン「なっ・・・何だぁ!?下のフロアから攻撃が・・・」

 

アウグスト「奴だ・・・ローレンスの方の魔法だ!」

 

シン「別の部屋で魔法を発生させて、出所と方向性を掴めなくしてんのか・・・!!すげー発想だな。俺でも試した事ねーや。」

 

アウグスト(あの男(ゼスト)は・・・!?)

 

油断してしまい、ゼストに背後を取られた。

 

アウグスト「ッ!?」

 

ゼストがナイフを振る。だが気付いたアウグストが間一髪しゃがんで回避した。そしてシンにアイコンタクトをし、それを見たシンがアウグストと同時魔法攻撃を仕掛けた。

 

ゼスト「むぅっ・・・」

 

同時魔法攻撃を魔法障壁を展開して防いだ。するとローレンスが天井から無数の光を発動した。

 

アウグスト「うっ!」

 

シン「今度は天井からかよ・・・!!」

 

ローレンス「平気スか?」

 

ゼスト「ふっ。魔人(この体)になっていかなければとても付いて行けんな。シン=ウォルフォードとアールスハイド王太子。同時に相手するのは流石に生きた心地がせんな。」

 

ローレンス「事実上、人類のトップ2人を相手してる訳ですからね。そしてクリスティ。奴もトップの1人で、ベルゼと交戦している。そしてそれは同時に、コイツら3人が倒れれば人類が終わる事も意味する。」

 

ゼスト「・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

魔人になった後のゼストとローレンス。

 

ゼスト『ローレンス。何故お前は城に戻った?』

 

ローレンス『・・・そりゃ心情的に仲間(アイツら)と肩並べて戦いたかった所ですがね。主を守るのも、それ以上に重要な任務でしょ。』

 

 

 

 

 

 

ゼスト(一見軽薄そうに見えても・・・実際はお前のような男が組織には最も必要な存在だ。)

 

あの時のローレンスの覚悟を思い出したゼストが、提案を申した。

 

ゼスト「ローレンス。使うぞ、例の魔法。」

 

ローレンス「ッ!了解。」

 

 

 

 

 

 

下のフロア。

 

ベルゼ「ん?」

 

何かを感じたブラッディーベルゼが足を止めた。

 

ベルゼ「そろそろその時が来たかな?」

 

ティガ「ベルゼ?」

 

ベルゼ「ごめんタクト。私、そろそろ裏切るから。」

 

ティガ「何?」

 

ベルゼ「じゃあね。」

 

そう言うとブラッディーベルゼが上のフロアに向かって飛翔した。

 

ティガ「おいベルゼ!タァッ!」

 

飛翔したベルゼを追う。

 

 

 

 

 

 

上のフロア。ローレンスが走り出した。

 

シン(何だ!?何か一瞬違和感が・・・)

 

ローレンスが走り出しただけなのに、シンが違和感を感じた。

 

アウグスト「気を付けろシン!何かして来るぞ!」

 

シン「ああ・・・」

 

だが彼がある光景を見た。

 

シン(・・・え?ゼストが・・・消えた・・・!?)

 

煙が覆ってないにも関わらず、ゼストの姿が一瞬で消えていた。

 

 

 

 

フェオン「彼奴が消えた!?」

 

ユリウス「な・・・何が起きたで御座る!?」

 

トール「い・・・一瞬も目を離してないですよ・・・!!」

 

 

 

 

アウグスト「トール!ユリウス!フェオン!グレア!クロードから離れるなよ!!」

 

 

 

 

トール「はい!!」

 

 

 

 

ローレンス(さーて、災難は誰の元に訪れるかな?)

 

右腕を上に突き出した。下のフロアから無数の光の柱を発動した。

 

シン・アウグスト「!!!」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、帝城付近では。

 

オリビア「・・・ようやく辿り着いたわね。」

 

トニー「だねぇ。」

 

マーク「ウォルフォード君達はもう中ッスね。」

 

アズマ「中でもう戦っているかもな。」

 

マリア「さぁ踏み込むわよ!!」

 

ミランダ「この面子だとアンタが仕切る流れなの?ねぇ。」

 

マナミア「楽しそうですねマリア。」

 

アリス、リン、ユーリ、レベッカを除いたアルティメット・マジシャンズが帝城へ向かっていた。

 

 

 

 

 

 

城内。シンとアウグストがローレンスとゼストに苦戦している。

 

シン(ゼストが消えた・・・!?)

 

だが、ゼストの姿が見えず翻弄されている。

 

シン(くそっ・・・!魔力探知しようにも・・・アイツ(ローレンス)の魔法に集中を切らされる・・・!!)

 

その時、シンの脇腹にナイフが刺さろうとしてる。だがシンが間一髪気付いてバイブレーションソードでナイフを弾いた。助かったと思われたが、シンの脇腹から少し血が滲み出た。

 

シン「攻撃された!!オーグ!!やっぱりゼストはこのフロアの何処かに居る!!」

 

 

 

 

トール「シシリー殿・・・!!これは・・・」

 

シシリー「・・・はい・・・!私もさっきから魔力探知で周辺を探っているんですが・・・居ないんです・・・!!」

 

フェオン「・・・グレアは?」

 

グレア「・・・ダメ・・・!私でも探知出来ない・・・!!」

 

索敵魔法と探知魔法でもゼストが見当たらない。

 

 

 

 

ローレンス「ゼスト様・・・いや、もう()()で良いか。隊長は魔法に関しては軍でも一目置かれる実力者でな。思いもよらない魔法を自分で考え出しちまう。諜報に必要な魔法。戦闘に必要な魔法。俺ら隊員は皆、隊長に魔法を教わった。平民上がりの隊長が、諜報部隊隊長に就く事が出来た最大の理由がそれだ。まぁ、ただ今使ってるような・・・隊員(俺ら)じゃ理解も出来ねーような魔法も多かったがな。・・・所でオイ。良いのかよ?俺の話なんかに集中してて。」

 

次の瞬間、アウグストの腹と右足に切り傷が刻まれた。

 

アウグスト「・・・・・!!!」

 

 

 

 

トール「殿下!?」

 

フェオン「オーグ!?」

 

 

 

 

シン「ッ!?」

 

更にシンの右腕にも切り傷が刻まれた。

 

 

 

 

トール「なっ・・・!!」

 

シシリー「シン君!!」

 

グレア「ああもう!!ゼストは何処に居るのー!?」

 

 

 

 

シン(確かに目の前に居るはずなのに見えない・・・魔力探知にすら引っ掛からない・・・つまり単なる『姿を消す』類の魔法じゃない・・・!見えない・・・と言うより認識出来ない・・・!?そう言えば、戦闘服の付与を決める時・・・光学迷彩以外にもう1つ姿を消す魔法を考えていた・・・ただ、()()()の場合自分ではなく相手の脳に直接干渉する魔法なだけに、安全性の面から付与を断念していたんだ・・・!!)

 

それを全て踏まえ、シンが確信した魔法。それは・・・

 

シン「”認識阻害”か・・・」

 

アウグスト「・・・!?シン、何だそれは?」

 

シン「対象を他人に認識出来なくする魔法だよ。『見えない』んじゃなくて『認識出来ない』。ゼストは自分にその魔法を掛けたんだ。つまり俺達は魔力探知は出来てるはずだけど・・・それを認識出来ていないんだ・・・!!」

 

ローレンス(洞察力までズバ抜けてんのかよ。ズリーなぁ。)

 

シン「(心臓でも一突きされたら終わりだ・・・!!)オーグ!!今すぐ防御障壁を・・・」

 

だがその瞬間、シンとアウグストの目の前で爆発が起こった。

 

シン「ぐ・・・あっ!(何だ・・・!?唐突に・・・目の前で爆発が・・・)」

 

ローレンス「さっき言ったろ?魔法は隊長の十八番だよ。」

 

 

 

 

シシリー「シン君!!殿下・・・」

 

フェオン「このままじゃ2人が殺られちゃう・・・」

 

シシリー「トールさん!ユリウスさん!私達もシン君達と一緒に・・・」

 

トール「ダメです!」

 

フェオン「どうして!?このまま2人を見捨てるって言うの!?」

 

トール「シシリー殿・フェオン殿。あなた達を守る事がシン殿からの頼みであり、殿下からの命令です。今はここを動いてはいけません。(それに・・・殿下にはまだ・・・)」

 

 

 

 

爆発魔法に翻弄されるシンとアウグスト。透明のゼストが不適な笑みを浮かべてる。

 

ゼスト(障壁を発動したか・・・これでまず王太子からの魔法による反撃はない。問題はウォルフォード。奴だけは障壁を発動しながら同時に別の魔法も使えるからな・・・致命傷狙いだった初手を感覚だけで躱すセンスは、最早脱帽だ。)

 

シン「さっきからローレンスの方が大人しいな。」

 

アウグスト「当然。奴にもゼストの位置が分かっていないだろうからな。下手に攻撃して仲間が被弾するのを避ける為だろう。」

 

シン「・・・かと言って、俺達が四方八方魔法を撃っても当たったかすら判別不可能だからな・・・くそっ・・・何とか打開する手を考えないと・・・」

 

打開する手。それを聞いたアウグストが。

 

アウグスト「いや・・・シン。私に良い考えがあるぞ。」

 

何か閃いたと同時に、魔法障壁を解除した。

 

 

 

 

トール・フェオン・グレア「え!?」

 

 

 

 

ローレンス「!」

 

シン「オイオーグ!!障壁解くなよ!?狙われるぞ!!」

 

アウグスト「ああ・・・だからこうして最初から攻撃魔法を発動しておく。」

 

両手で炎魔法を生成する。

 

アウグスト「一撃は貰うかも知れんが、その瞬間反撃を喰らわせる。」

 

シン「バカ言うなよ!その一撃が急所狙いだったらどうすんだ!!」

 

アウグスト「・・・・・・」

 

ローレンス(冷静な王太子(アイツ)らしくねェなぁ。何でわざわざ自分で策をバラす必要があんだ?)

 

シン「オーグ!せめて俺の後ろに立て!それなら背中側は俺の障壁でガード出来る!」

 

アウグストの背中にシンが立つ。

 

シン(分かってると思うが、十中八九お前に攻撃して来るぞ。)

 

アウグスト(覚悟の上さ。)

 

ゼスト(愚かな・・・認識出来ないのを分かっていてどうやって反撃する気だ?攻撃された方向へ当てずっぽうで魔法でも放つつもりか?さて・・・私の選択肢は2つ。魔法でダメージを負わせるか・・・ナイフで急所(トドメ)を刺しに行くか・・・迷うまでもないな。仕留められる方を確実に1人仕留めておくのが最善!!!)

 

無防備のアウグストにゼストが急接近し、アウグストの首に向かってナイフを振るう。

 

ゼスト(()った!!!!)

 

勝利を確信したゼスト・・・だがその時、ゼストの全身に電撃が流れた。

 

ゼスト「!!??ぐ・・・あっ・・・!!」

 

全員「っ!?」

 

電撃を受けたゼストが実体化した。

 

ゼスト(何・・・だ!?奴の体にナイフが触れた瞬間・・・全身に電撃が・・・!?)

 

アウグスト「・・・おや?どうやら上手く掛かってくれたようだな。また顔を合わせられて何よりだ。」

 

彼の全身に電撃が纏っている。

 

シン「オーグ!?お前・・・」

 

ローレンス「彼奴・・・!!全身に・・・電撃の魔法を纏っていやがったな!!」

 

ゼスト(いや・・・!!重要なのはそこではない・・・!!この男・・・!!ウォルフォードと同じく2つの魔法を同時に使用している・・・!!)

 

 

 

 

シシリー「殿下・・・凄い・・・何時の間にシン君と同じ事を・・・」

 

トール「ふうっ・・・ハラハラさせてくれますよホント。」

 

フェオン「シンと同レベルの魔法を覚えてたなんて・・・」

 

グレア「さっすがオーグ!」

 

トール(魔法の同時展開・・・まさかこんな形で・・・!!)

 

 

 

 

シン「おま・・・一撃貰う気なんてさらさらないじゃねぇか!!真の狙いがあるならちゃんと言えよ!つーかもし魔法使われてたら・・・」

 

アウグスト「敵を騙すにはまず味方からだ。シン、中々良かったぞ。お前のリアクション。」

 

シン「・・・く、覚えとけよ後で・・・」

 

アウグスト「・・・さて。見ての通り私もシンと同様の戦術を覚える事が出来たワケだが。ここからは少し私のオリジナルをお見せしよう。」

 

炎の弓と、雷の矢を同時に構える。

 

ローレンス「ゼスト隊長!!」

 

走り出すローレンス。だが。

 

アウグスト(右手の『炎』に、左手の『電撃』を・・・混合(ブレンド)させる!!)

 

炎を纏った電撃の矢を放つ。

 

ゼスト「ちいっ!これは・・・!!」

 

 

 

 

トール「殿下が恐ろしいのは・・・この短期間でシン殿の技術を呼吸してしまった上に、更なる応用魔法を編み出してしまうそのセンスですよ。」

 

 

 

 

アウグスト(炎と電撃の混合魔法!!)

 

ゼスト「むうっ!!」

 

ローレンスとゼストが魔法障壁を展開。だが防ぎ切れず、2人が混合魔法を受けて吹き飛ばされてしまった。

 

ローレンス「がっ・・・!!」

 

ゼスト「・・・・・!!」

 

吹き飛ばされた2人がすぐに体勢を立て直す。

 

ローレンス(何て威力だ・・・!!俺達魔人の障壁で防げる代物じゃねェ・・・!!それに・・・複数の系統の魔法を混合(ブレンド)されると言う事はつまり・・・相手の魔法を利用して反撃したり、他系統の魔法で相殺するのはもうほぼ不可能・・・!!アウグスト=フォン=アールスハイド・・・!!ウォルフォードと同じく・・・この男も紛れもない天才・・・!!)

 

ゼスト「・・・戦術や小細工など諸共破壊するような・・・奴もまさしく・・・他社の上に立つ相応しい存在のようだな。」

 

ローレンス「・・・冗談じゃねェっすよ・・・!!こっちは何人仲間殺られたと思ってんだ・・・!!このままで済ませてたまるモンかよ・・・!!相手が王太子となれば尚更だ・・・道連れにしてでもブッ殺してやる・・・!!」

 

憎悪と怒りがローレンスの感情を支配する。

 

ゼスト(・・・・・・・)

 

ローレンス「他社の上に立つ・・・!?どうせコイツらは足元の人間なんて見ちゃいねェんだろ・・・見てんのは金と・・・!権力と・・・!!クソの役にも立たねェプライドだけだろうが・・・!!」

 

シン(・・・・・・)

 

アウグスト「お前もやはり、他の魔人同様、国や貴族への怒りを原動力にして動いているのだな。安心しろ。私にそんなプライドはないぞ。」

 

ローレンス「黙れ!!!」

 

ゼスト「落ち着けローレンス。」

 

ローレンス「・・・・・覚えてますか・・・ゼスト隊長。俺達が初めてアンタに会った日の事・・・俺は・・・()()はあの日確信したんですよ。この世の全ては所詮、人の上にふんぞり返ってる奴らの為だけに存在してるって。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数年前のブルースフィア帝国。身体の芯まで凍り付くような雪の夜。それは・・・孤児であるローレンス達にとって『死』を実感するには十分な状況だった。

 

サイクス「・・・・よォ。このまま朝になったら俺ら氷漬けだぜ?せめて屋根の下行こうや。」

 

アベル「この人数を一泊させてくれるお人好しなんてこの国には居ないさ。」

 

カイン「裏通の長屋に居たホラ・・・彼奴の家は?」

 

リオネル「ああ・・・何年か前に脱獄して来たモーラのオヤジか。」

 

ダンテ「とっくに貴族に情報売られて塀の中だぞ。」

 

カイン「んじゃマチルダのバァさんは?ホラ、前に菓子恵んでくれた。」

 

ダンテ「・・・半年前に死んだよ。視察に来てた子爵の馬車に轢かれてな。」

 

ローレンス「こう言う時、魔法とか使えたらさ。簡単にパッと火起こしたり出来んだろうな・・・あったけェだろうなぁ。ホラ、誰かやってみろよ。」

 

カイン「・・・知らねェよ。魔法の使い方なんて。」

 

住む家も、学ぶ場所も、自由に生きる権利さえ与えられていない。それがブルースフィア帝国の最下層に居る彼らだった。

 

ローレンス「ぜー・・・ぜー・・・」

 

突如ローレンスの呼吸が荒くなった。

 

ダンテ「・・・・!ローレンス!?お前、息が・・・」

 

カイン「オイ!コイツやべェぞ!すげェ熱だ!」

 

ダンテ「移動しよう。最悪何処かの置物にでも忍び込めば・・・」

 

彼らが生まれ育ったのは中流貴族が治める小さな町。病院などの目立った施設はほぼ存在せず、有事の際は最寄りの街への移動が必要だった。それは、彼らのように病に罹患されたら大半は助からないと言う意味だった。

 

 

 

 

最寄りの街へ移動中。

 

ダンテ「意識をしっかり保て!」

 

ローレンス「さ、寒い・・・」

 

アベル「寝るなよ。・・・オイ。彼処なら・・・どうだ?」

 

ダンテ「教会・・・か。」

 

幸運にも、1つの教会が彼らの目に映った。

 

サイクス「祈りを捧げるシュミなんてねーぞ。誰か入った事は?」

 

リオネル「ない。」

 

ダンテ「・・・行こう。」

 

 

 

 

教会の扉を叩いた。すると、1人の優しそうな神父が扉を開けた。

 

神父「・・・おやおや。こんな夜分にどうされましたかな?」

 

サイクス「コイツが寒さで肺やられてんだよ。少しの間凌がせてくれよ。」

 

神父「・・・ふぅむ。そう言われましても・・・明日には巡回視察で帝都のお偉方が来られる予定で・・・君らを匿うと・・・その・・・教会のイメージがですな・・・」

 

少し躊躇っている神父に、ダンテがペンダントを神父に見せた。

 

ダンテ「大した金にもならんだろうが、これで目を瞑って貰えないか?頼む。」

 

アベル「・・・ダンテお前それ、母親の形見じゃ・・・」

 

ペンダントを受け取った神父がレンズで鑑定する。

 

神父「・・・フム・・・まぁ・・・明日の早朝までならば・・・」

 

 

 

 

匿って貰う事に成功し、彼らが教会に入った。

 

サイクス「・・・マズいぜ。風雪がないだけマシだが、寒さはハンパねェ。」

 

カイン「くそ、毛布なんて気の利いたモンもねェし・・・」

 

ローレンス「わ・・・悪い。ダンテ・・・俺のせいで・・・」

 

ダンテ「気にするな。どうせ時期が来たら金に換えるつもりだった。」

 

アベル「薬と・・・せめて暖を取れる場所がなければ・・・」

 

カイン「こんな小せェ教会に暖炉なんかねェよな・・・」

 

するとサイクスが。

 

サイクス「羽織っとけ。」

 

ローレンス「・・・!」

 

自分の上着を脱いでローレンスに渡した。

 

ローレンス「サ・・・サイクス。これお前のじゃ・・・」

 

サイクス「五月蝿ェ。暑いんだ。」

 

それを見た他の仲間達も、自分の上着を脱いでローレンスに渡した。

 

カイン「これも被っとけよ。」

 

リオネル「これも。」

 

アベル「あー暑い。」

 

ローレンス「・・・すまねェ・・・お前ら・・・」

 

 

 

 

吹雪が強くなった深夜。2台の馬車が雪道を進んでいる。

 

???「ここでいい。」

 

御者「はっ。」

 

2台の馬車がローレンス達を匿ってる教会に停車し、1人の貴族が降りた。

 

貴族の男「・・・フン。相変わらず寂れた町だ。」

 

もう1台の馬車には、ある人物が乗っている。

 

貴族男「神父!おるか!」

 

扉を叩くと、神父が扉を開けた。

 

神父「おお!これはカーディ伯爵。御到着は明日の予定では・・・?」

 

カーディ「悪いが予定が押していてな・・・視察を早めさせて貰った。町長とも今し方話をして来たわ。相変わらずがめつい男だ。」

 

 

 

 

カイン(何だ?)

 

ダンテ(こんな夜中に・・・礼拝か?)

 

 

 

 

カーディ「それよりどうだ?”創神教”の普及具合は?こんな片田舎では寄付金も大して期待出来まいが。」

 

神父「いえいえ・・・それでも町の人口は僅かずつですが増えておりますし。案外懐に溜め込んでいる者は居るものですぞ。」

 

 

 

 

カイン(創神教?寄付金?)

 

サイクス(金持ちが貧乏人から搾取する為の手段なんじゃねーの?知らね。)

 

 

 

 

神父「こちら上納金です。お納め下さい。」

 

教会の上納金が入った袋をカーディに渡した。カーディが金を確認する。

 

カーディ「・・・少し増えたな。まあ上には報告しといてやる。」

 

神父「ありがとうございます。」

 

 

 

 

だがその時。

 

ローレンス「ごほごほっ!」

 

ダンテ「ローレンス!」

 

 

 

 

カーデイ「!?」

 

ローレンスの咳き込みがカーディに気付かれてしまった。

 

カーディ「・・・おい。何だこの小汚いガキ共は?」

 

気付かれてしまったローレンス。彼らの運命は・・・

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
トール=フォン=フレーゲル:志田有紗
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

フェオン:内山夕実
グレア:高橋李依

ミランダ=ウォーレス:吉七味。

ゼスト:津田健次郎
ローレンス:杉山紀彰
アベル:古川慎
カイン:井上雄貴
サイクス:興津和幸
リオネル:内匠靖明
ダンテ:柳田淳一

カーディ伯爵:斧アツシ

実体のない存在:斉藤次郎

ベルゼ=クラスティール:澁谷梓希

オリバー=シュトローム:森川智之


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##サイドストーリー##
第4・5話「ユエリアンの仲間」


ユエリアンの仲間



バイブレーションソード制作から2日後。

 

 

 

 

アールスハイド王国の学生食堂で、アリスがこんな事を言った。

 

アリス「ねぇタクト君。」

 

タクト「ん?何?」

 

アリス「タクト君って、3年間旅をして来たんだよね?」

 

タクト「まぁな。」

 

アリス「それで、フェオン達の事を教えてくれないかな?」

 

タクト「彼奴らを?」

 

リン「確かに。気になる。」

 

トニー「僕達は対面だけだったから。」

 

タクト「ん〜・・・シン。今日の研究会活動、俺の仲間紹介で良いか?」

 

シン「ああ構わないよ。皆に紹介してやってくれ。」

 

タクト「よし。じゃあ今日の研究会は俺の仲間達を紹介しますか。」

 

 

 

 

 

 

究極魔法研究会・研究室。

 

タクト「さて、皆を紹介しよう。今本人は居ないから、皆の写真で紹介しよう。」

 

7人の写真を机に置いた。

 

ユーリ「こうして見ると、クリスティ君ってハーレムねぇ。」

 

タクト「確かにな。まあでも気にした事ないし。まずは1人目。精霊のグレア。」

 

グレアの写真を見る。

 

タクト「俺が初めて出会った仲間だ。彼女は蝶々の精霊で、俺達のムードメーカーだ。」

 

マリア「精霊って本でしか登場しないと思っていたけど、本当に居るんだね。」

 

タクト「彼女の特徴は、伸縮魔法。体を人間と同じ大きさになったり、小さくしたりも出来る。グレアと出会った時は、かなり癖だったな。」

 

オリビア「癖ですか?」

 

タクト「俺が今持ってるウルトラマンティガの力、それを授ける前に出会ってな。あの時のグレアは、上半身が壁にめり込んでな。見てられなかったんだ。」

 

シシリー「おっちょこちょいなんですね。」

 

タクト「んで、俺がグレアを引っ張って助けた。実は俺、一度グレアと喧嘩した事があってな。」

 

マリア「え?そうなの?どんな時?」

 

タクト「ビリア共和国って言う国にある廃墟で、花瓶を風水や見栄えとかの見解の相違で喧嘩になったんだ。んで後に和解した。」

 

トール「風水や見栄え・・・どちらも大事ですかね。」

 

アウグスト「しかし、廃墟で寝泊まりするとはかなりの度胸だな。」

 

タクト「次は・・・の前に、皆に1つ教えておきたい事がある。」

 

マーク「何をッスか?」

 

タクト「今から話す6人の故郷についてだ。彼女達はユエリアンと言う村の出身でな、今は滅ぼされている。」

 

アウグスト「ユエリアン。父上が言っていた村か。」

 

タクト「そうだ。その村では娘達が戦士として育成されると言う風習がある。」

 

トニー「戦士?それって、魔物ハンターと同じ?」

 

タクト「殆どはそうだ。んで、まずはフェオンだ。」

 

フェオンの写真を見る。

 

タクト「今旅してる戦士の6人の中で最年長。皆を纏めるリーダー的な存在だ。」

 

アリス「何か品格あるね。お姉さんみたい。」

 

タクト「いや、実際は母親みたいな人だぞ。」

 

アリス「え?母親?」

 

タクト「女子力高いお姉さん目指してるって言ってるけど、武器は大剣だし。」

 

マリア「大剣って、恐ろしいわね。」

 

タクト「まぁ実際、将来母親になる娘だし。」

 

ユーリ「どう言う事なの?」

 

タクト「ホラ。」

 

左手の薬指のオキザリスのマリッジリングを見せる。

 

ユーリ「薬指のリング・・・まさかクリスティ君!」

 

タクト「ああ。俺結婚してる。フェオンと。」

 

アリス・リン・ユーリ・トニー・マーク・オリビア「えええええ!?」

 

シン(凄い反応・・・)

 

アリス「もう女房が居るの!?早くない!?」

 

タクト「んで、彼女の妹のイザベラ。」

 

イザベラの写真を見る。

 

タクト「俺の義妹で、優しくて良い子。武器は魔法で、蔦の魔法を得意としてる。実はフェオンとイザベラ、小さい頃から苦労しててな。」

 

アウグスト「そうなのか?」

 

タクト「両親は、2人が幼い頃に亡くなってな。フェオンは亡くなった親の代わりにイザベラを育てたんだ。料理とか洗濯とか。色々頑張って来た。んで、フェオンは妹を守るお姉ちゃんとして戦士になった。イザベラも、お姉ちゃんに憧れて戦士になったんだ。」

 

トール「お2人は苦労していたんですね。」

 

タクト「あ、言い忘れた事がある。フェオンは幽霊が苦手だ。」

 

シン「そうなの?」

 

タクト「ああ。切れない奴に勝ち目ないって。」

 

アウグスト「意外と子供っぽい一面だな。」

 

タクト「次はエミリーとヒナ。」

 

エミリーとヒナの写真を見る。

 

タクト「エミリーとヒナは幼馴染み同士で、どうやら赤ん坊の頃からずっと一緒らしくて。エミリーの武器は太刀で、ヒナは武器はないが、回復や治癒の魔法を持っている神子だ。」

 

アリス「神子?ユエリアンにも神子が居るんだ?」

 

タクト「そう。戦士の他に、戦士をサポートする神子も居る。ヒナは神子の中で上位に当たる実力を持ってる。ずっとエミリーにべったりでな、何か夫婦みたいな感じ。」

 

シン「女子同士で夫婦って・・・」

 

タクト「エミリーは今までの模擬戦で、俺だけ引き分け続きなんだ。」

 

シシリー「かなりの実力者なんですね。」

 

タクト「ヒナは包容力があって、皆のお母さんみたいな娘だ。エミリー曰く、彼女の膝枕は気持ち良いって。」

 

トール「まさに母親みたいですね。」

 

タクト「俺は膝枕で寝かされたけど、あれはかなり・・・ハッ!」

 

アリス「あ。正気に戻った。」

 

タクト「んん!じゃあ続けるぞ。レアとアンナ。」

 

レアとアンナの写真を見る。

 

タクト「レアは結構男勝りな娘で、猪突猛進であった。今は殆ど改善されて戦い方がマシになってる。武器は旋刃盤。アンナは俺達の中で体が弱くて、幼い頃から戦士として育てられた。」

 

アウグスト「ん?体が弱いのに戦士になったのか?」

 

タクト「彼女が志願したらしくてな。体質改善する為に戦士になったんだ。武器はボウガン。」

 

マリア「ボウガン?どんなの?」

 

タクト「前にアンナのボウガンを模造したのがある。」

 

異空間収納から模造ボウガンを出した。

 

タクト「ここに矢を装填して、ここのトリガーを引いて発射する武器だ。」

 

アウグスト「わざわざ引いて撃つ動作も必要ないのか。画期的な武器だ。」

 

タクト「アンナには打って付けの武器なのは納得出来る。」

 

アウグスト「それで、アンナは今も体が弱いのか?」

 

タクト「いや、模擬戦や体質改善のお陰で徐々に良くなったって。これからも改善されるのを楽しみにしてる。そして彼女は子供好きだけど、女の子に目がない性格でな。」

 

シシリー「可愛くてしょうがないんでしょうか?」

 

タクト「だと良いけど。それとレアだけど、オールバックでツインテールしてるだろ?」

 

マリア「うん。」

 

タクト「これ、髪下ろしたレアの写真。」

 

その写真を見せた。

 

全員「!?」

 

その写真には、美少女になったレアの姿が写っていた。

 

タクト「可愛いだろ?」

 

マリア「な、何これ・・・!?」

 

タクト「男勝りだけど、髪下ろすと絶世の美女。これぞギャップ萌え。でも本人はこの姿を嫌ってるし勿体無いなぁ〜。」

 

シン「レアは今の姿の方が性に似合ってるかもな。」

 

アリス「こうして見ると、個性的な仲間達だね。」

 

タクト「皆俺の大事な仲間だ。俺は仲間を一切手放さない。これからもずっと。」

 

オリビア「そう言えばクリスティ君って何処の国から来たんですか?」

 

タクト「ノーコメント。」

 

アリス「教えないの?」

 

リン「凄く気になる。」

 

タクト「人には言えない秘密ってのがあるんだよ。さて、改めて皆を紹介するからフェオン達の元へ行くぞ〜!」

 

リン「あ!逃げた!」

 

アリス「タクト君待てー!」

 

アウグスト「タクトは、私達に会う前に良い仲間に出会えて良かったな。」

 

シシリー「はい。とっても生き生きしています。」

 

シン「よし。皆ウチにおいでよ。」

 

『END』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶


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17・2「魔女に捧げを」

魔女に捧げを
マンティコア 登場



ここはとある国。この国で1人の黒髪の少女が。

 

少年A「おい誰だよ。こんな所に魔女呼んだ奴はよ。」

 

少女A「知らないわよ。あなたじゃないの?」

 

少年B「いや、待てよ?コイツが勝手にここに居るだけなんじゃねえの?」

 

少女B「そうね。じゃあ部外者に断定された魔女さん、とっとと消えなさい?」

 

黒髪の少女「・・・・・」

 

 

 

 

その少女は街を歩く度に。

 

男「おいまだ居るのかよ、あの魔女。」

 

女「本当気味悪いわねぇ。」

 

黒髪の少女「・・・・」

 

男「おい何睨んでんだよ。何か文句あんのか?あぁ?」

 

黒髪の少女はその男に暴力を振られた。

 

 

 

 

家に帰る途中でも、周りから陰口や泥や石を投げられるばかり。

 

 

 

 

家に帰っても。親は居ない。

 

黒髪の少女「・・・・・」

 

 

 

 

行く宛ても帰る場所もない彼女は、ただ街の裏路地で過ごすしかなかった。

 

黒髪の少女「どうして・・・どうして私がこんな事に・・・」

 

何故周りから迫害を受けなきゃならないのか。彼女は解らないまま泣くしかなかった。

 

 

 

 

 

 

クリミア王国を発ったタクト達が次に向かったのは、ラミレス王国。

 

アンナ「ラミレス王国。何の事件や異常もない国ですね。」

 

フェオン「まぁ、この平和が私達にとって都合が良いわ。」

 

イザベラ「ん?皆さんこれ見て下さい。」

 

街中にある掲示板に貼られてる紙を見付けた。

 

イザベラ「この国には、国の平和を保つ神獣が居る。その神獣が怒りに触れた時、生け贄を捧げれば怒りは静まり、再び平和が保たれる。」

 

レア「生け贄だって?平和と打って変わって残酷だなぁ。」

 

エミリー「でも、周りの様子だと生け贄を探してるって雰囲気じゃないようだ。」

 

カサンドラ「ただの迷信じゃないんですか?」

 

ヒナ「分かりませんよ?もしかしたら生け贄はあなたかも〜?」

 

カサンドラ「ヒィィ!もうヒナ!!怖がらせないで下さい!!」

 

ヒナ「冗談ですよ。ごめんなさいね?カサンドラさん。」

 

ティオ「ん?タクトは何処行ったの?」

 

グレア「トイレ行ってる。」

 

 

 

 

 

 

トイレからタクトが出た。

 

タクト「ふぅ〜。スッキリした。さて、ラミレス王国はどんな国なのか観光してみるか。」

 

男「あ〜、やっと魔女が居なくなったなぁ。」

 

女「全くね。あのガキが居ると何されるか分からないもんねぇ。」

 

通り過ぎるカップルのその会話を盗み聞きした。

 

タクト「魔女?」

 

 

 

 

一方フェオン達は。

 

レア「うっほほ〜!彼処の屋台で買ったトウモロコシ美味え!」

 

フェオン「もう、タクトが戻って来ない間に先に食べてるんじゃないよ。」

 

レア「だって腹減ってたんだし!」

 

フェオン「にしてもタクト遅いわね。いつまで待たせてるのかしら?」

 

エミリー「ティオ。すまないがタクトを迎えに行ってくれるか?」

 

ティオ「うん。分かった。」

 

 

 

 

皆と合流しに行くタクトが途中、街の裏路地に目を付けた。

 

タクト「・・・気のせいか。」

 

黒髪の少女「・・・・」

 

タクト「ん?」

 

裏路地からこっちを見てる黒髪の少女がタクトと目が合った。

 

黒髪の少女「・・・・・・」

 

タクト(女の子?何でここに?)

 

黒髪の少女「・・・・・・」

 

タクト(怯えてる?俺何かしたのか?)

 

ティオ「おーーい!」

 

タクト「あ、ティオ。」

 

ティオ「ここで何してるの?皆待ってるよ?」

 

タクト「悪い悪い。ティオ、あの子。」

 

ティオ「え?女の子?」

 

タクト「行ってみるか。」

 

 

 

 

裏路地に居座ってる少女に近付き、しゃがんで目線を合わせる。

 

タクト「君どうしたんだ?こんな所で。」

 

黒髪の少女「・・・」

 

タクト「服がボロボロだし、顔に泥が付いてる。」

 

黒髪の少女「・・・って・・・」

 

タクト「ん?」

 

黒髪の少女「あっち行って!」

 

タクト「うわあっ!?」

 

突然石を投げられたが、ティオが風魔法で防いだ。

 

ティオ「い、いきなりどうしたの?」

 

黒髪の少女「あっち行ってよ!私に関わると呪われるのに・・・」

 

タクト・ティオ「呪われる?」

 

2人はお互いを見て、また少女を見る。

 

タクト「何かワケありだな。なぁ、詳しく聞かせてくれるか?」

 

黒髪の少女「え・・・?」

 

ティオ「そうだね。まずは相談から。仲間達が居るから、彼女達も相談に乗ってあげれるよ。」

 

黒髪の少女「私を・・・助けてくれるの・・・?」

 

タクト「困ってる人を放っておける訳にはいかないんだよ。俺達は。さっ、一緒に行こ?」

 

黒髪の少女「待って!」

 

タクト「?」

 

黒髪の少女「ここから動けない・・・ここから出たら、またイジメられる・・・」

 

タクト「・・・お!だったら!」

 

異空間収納から、黒色のフードを出した。それを少女に被せた。

 

タクト「これで誰か分からないから安心しろ。」

 

ティオ「さっ、早く。」

 

黒髪の少女「・・・・」

 

 

 

 

 

 

チェックインしたホテル。

 

フェオン「んで、またイジメられるとこの子が言ったから、フードを被せたって訳ね。」

 

レア「タクトは本当に何でも拾うんだよな。」

 

タクト「余計な口叩くな。さぁ、ここでなら大丈夫だ。」

 

フードを外してあげた。

 

黒髪の少女「・・・・」

 

ヒナ「この子ですね。」

 

タクト「じゃあまずは名前を聞かなきゃだな。まずは俺達の自己紹介。俺はタクト=クリスティ。そしてフェオン、イザベラ、エミリー、ヒナ、レア、アンナ、カサンドラ、グレア、ティオだ。皆俺の仲間達だ。」

 

黒髪の少女「仲間・・・私はドロレス・・・ドロレス=ワイズマン。」

 

タクト「ドロレス。何で君はあの裏路地に居たんだ?」

 

ドロレス「実は私・・・」

 

目を覆ってる前髪を上げた。彼女の目は・・・

 

 

 

 

 

 

オッドアイになっていた。

 

 

 

 

 

 

タクト「オッドアイ?」

 

ドロレス「これ、魔眼なの。」

 

グレア「魔眼?じゃあ人の心が読める魔法を持ってるって事?」

 

ドロレス「うん。生まれ付きで、周りからイジメを受けてたの。」

 

レア「酷いな。親は居ないのか?」

 

ドロレス「親は亡くなった。ずっと私を守ってくれた。」

 

レア「何もしていないのにどうしてイジメる必要があるんだ?」

 

タクト「ラミレス王国は、大昔にコスペル王国と同じく魔女狩りがあってな。特に魔眼を持ってる女性。魔眼を持ってる魔女は全てオッドアイだった。だからドロレスも魔女にされてるって訳なんだ。」

 

カサンドラ「詳しいんですね。」

 

タクト「この国の歴史なんてさっき熟知した。」

 

イザベラ「あ、でしたら生け贄について分かりますか?」

 

タクト「何でも国の平和を保ってくれてる神獣が怒りに触れた時、生け贄を選び供物として神獣に捧げるって話だろ?」

 

ドロレス「・・・生け贄・・・次の生け贄は・・・私かも・・・」

 

全員「え?」

 

ドロレス「私が魔女だから・・・だから皆私を・・・」

 

タクト「・・・ドロレス。その神獣を俺達に任せてはくれないか?」

 

ドロレス「え・・・?」

 

ヒナ「タ、タクトさん!?まさか神獣を倒すと言うのですか!?」

 

タクト「いや、まだ倒すかなんて決めてない。姿はどんな感じか解らないから。エミリー。アンナ。国民に聞き込みをして、神獣の姿を絵に描いてくれるか?」

 

1枚のキャンバスと絵の具をアンナに渡した。

 

アンナ「分かりました。行って来ます。」

 

エミリー「任せろ。」

 

2人は聞き込みしに行った。

 

ドロレス「神獣を任せろって、どう言う事?」

 

タクト「俺達は、多くの魔人や魔物や災害級を倒した。そして、多くの困ってる人達を助けたんだ。」

 

レア「まぁタクトは差し詰め、お人好しな奴だ。」

 

ドロレス「・・・・・」

 

レア「ん?どうしたんだ?」

 

ドロレス「今、あなた達の心を読んだ。あなた達はこの国と違って、優しい心を持ってる。綺麗な心を持った人・・・初めてよ・・・」

 

自分の味方になってくれるタクト達に、ドロレスが涙を流した。

 

フェオン「大丈夫?」

 

ドロレス「ぐすっ・・・ううっ・・・ごめんなさい・・・」

 

フェオン「ドロレス。」

 

泣きじゃくるドロレスを、フェオンが優しく抱き締めた。

 

フェオン「辛かったでしょ?大丈夫よ。私達が、あなたを守ってあげる。」

 

ドロレス「・・・うん・・・」

 

そこにエミリーとアンナが戻って来た。

 

エミリー「戻ったぞ。」

 

アンナ「姿が判りました。これです。」

 

神獣の姿を描いたキャンバスをタクトに渡す。

 

タクト「ご苦労さん。・・・っ!マンティコアか!」

 

イザベラ「マンティコア?何ですかそれ?」

 

タクト「人間の顔、ライオンの胴体、蠍の尻尾、蝙蝠の翼、鮫の牙。人食いと言う意味を持つ怪物だ。」

 

イザベラ「ひ、人食い!?」

 

タクト「伝説によると、『マンティコアが一度食事を開始すれば、一国の軍隊が全滅するまでその空腹は満たされない』と記されてある。」

 

カサンドラ「それは厄介な神獣ですね!」

 

タクト「だが、一瞬で空腹を満たす条件があると書かれてあった。強い魔力だ。」

 

ドロレス「じゃあ本当に私を・・・」

 

タクト「・・・そうだ!俺に考えがある。」

 

グレア「考え?どんなの?」

 

タクト「これを使う。」

 

異空間収納から出した物とは・・・

 

 

 

 

 

 

その翌日。ドロレスが裏路地で居座っている。

 

男「お、居た居た。」

 

そこにカップルがドロレスを見付け、無理矢理裏路地から引き摺り出した。

 

男「おいドロレス。生け贄はお前に決まったぞ。」

 

女「早く祭壇へ行きなさい?」

 

ドロレス「何で・・・?」

 

男「あぁ?俺達に口答えするのか?」

 

女「いい?あなたに拒否権なんて一切ないの。早く行きなさい。」

 

男「もし行かなかったら、分かるよな?」

 

ドロレス「・・・・・」

 

脅しを受け、ドロレスが祭壇へ向かう。

 

 

 

 

 

 

湖前の祭壇では、国民達がドロレスが生け贄に捧げられるのを待っていた。

 

少年「あ!来たよ!」

 

そこにドロレスが来た。国民達はクスクスと笑い、更には陰口を叩く。

 

神官「ドロレス。こっちへ。」

 

祭壇にドロレスが立った。

 

神官「さぁ諸君!今この国の神獣様が怒りに満ち溢れている!このままでは、ラミレス王国は滅んでしまう!だが心配はない。ドロレス=ワイズマンが生け贄に選ばれた事で、国は再び平和が訪れる!さぁ神獣様!生け贄を食し、我がラミレス王国を救いたまえ!!」

 

すると湖から、神獣マンティコアが出現した。

 

マンティコア「ーーーーーーー!!!」

 

ドロレス「ッ・・・」

 

神官「神獣様、此方の生娘をお召し上がり下さい!」

 

マンティコア「ーーーーーーー!!!」

 

顔を近付き、ドロレスを食べようとした。

 

 

 

 

 

 

ドロレス「ッ!!」

 

 

 

 

 

 

しかし、ドロレスがボウガンを連射してマンティコアの牙を砕いた。

 

マンティコア「ーーーーーー!!!」

 

牙を砕かれたマンティコアが苦しむ。国民達がどよめき始めた。

 

神官「な、何だと!?」

 

ドロレス「いつから本物だと思ったのですか?」

 

神官「何!?貴様何者だ!?」

 

ドロレス「私は・・・」

 

自分の髪の毛を脱ぎ捨てると、アンナの姿になった。

 

アンナ「ただの観光客ですよ。」

 

男「あ!彼奴この国の観光に来た奴だ!!」

 

女「何で魔女に変装したのよ!!」

 

神官「ほ、本物のドロレスは何処だ!」

 

 

 

 

タクト「お探し者はここだぜ!」

 

 

 

 

国民達「!?」

 

そこに現れたタクト達。ドロレスも一緒だ。

 

タクト「良い演技だったぜ!アンナ!」

 

アンナ「光栄です!タクトさん!」

 

神官「どう言う事だ!!何故本物がお前達と一緒に!?」

 

タクト「匿ったんだよ。俺達が。昨日な。」

 

 

 

 

 

 

昨日の出来事。

 

タクト『これを使う。』

 

異空間収納から取り出したのは、黒髪のカツラと白いワンピース。

 

グレア『それでどうするの?』

 

タクト『これを使ってドロレスに変装させる。翌日の生け贄の儀式で現れた神獣マンティコアを倒す。それが俺の計画だ。』

 

エミリー『それで、変装は誰がするんだ?幾ら本物を演じると言われても、かなりの度胸が必要だが・・・』

 

アンナ『私にやらせて下さい。』

 

立候補したのは、アンナだった。

 

レア『アンナ!?』

 

タクト『アンナ。下手すれば神獣に食われるリスクが高い。いけるのか?』

 

アンナ『食べられるのは怖いですが、ドロレスさんを助けたい思う気持ちが1番です。タクトさん、その大任私に任せて下さい。』

 

フェオン『アンナ。初めて会った時から凄く成長したわね。』

 

レア『やっぱりお前はレアの妹だ!』

 

タクト『よし。そうと決まれば下準備だ。』

 

アンナ『お願いします。』

 

 

 

 

ドロレスに似せるように、ワンピースを汚し、黒髪のカツラをボサボサにする。

 

 

 

 

アンナ『どうですか?』

 

ドロレス『嘘・・・私・・・!?』

 

タクト『良いな。身長はドロレスと同じだ。ただちょっと胸が大きいのが・・・』

 

アンナ『嫌味ですか?』

 

タクト『すみません。』

 

 

 

 

 

 

そして現在。

 

タクト「って訳だ。」

 

神官「何故だ!何故お前達は忌まわしい魔女を助けるんだ!!」

 

少年「そうだよ!!そいつは僕達にとっては疫病神だよ!!」

 

少女「あなた達もそいつと同じ疫病神ね!!」

 

タクト「んな事はどうでもいいんだよ!!」

 

国民「!?」

 

タクト「目の前に困ってる人を放っておけない。ただそれだけだ!ドロレスを頼む。」

 

フェオン「分かったわ!アンナ!」

 

アンナ「はい!」

 

ドロレスを連れて一緒に逃げる。

 

マンティコア「ーーーーーーーー!!」

 

神官「クッ!神獣様!あの男をお召し上がり下さい!」

 

マンティコア「ーーーーーーーー!!」

 

国民「うわあああああ!!」

 

捕食のターゲットがタクトに変わった。国民達は一斉に避難した。

 

タクト「アンタ達の信じる神なんて、ただの魔物だ。」

 

スパークレンスの光を解放した。

 

 

 

 

 

 

ティガ「タァッ!」

 

 

 

 

 

 

ウルトラマンティガが宙返りし、マンティコアにマルチキックを蹴り込んだ。

 

マンティコア「ーーーーーーーー!!」

 

ティガ「タァッ!」

 

ジャンプしてマンティコアの背中に乗り、マルチチョップとマルチパンチを連続で叩き込む。

 

マンティコア「ーーーーーー!!」

 

ティガ「ドゥアッ!」

 

振り落とされ、湖に落ちた。

 

 

 

 

アンナ「タクトさん!援護します!」

 

ボウガンを連射した。

 

 

 

 

マンティコア「ーーーーーーー!!」

 

ボウガンの矢が、マンティコアの右目を刺した。

 

ティガ「タァッ!!」

 

苦しむマンティコアの前にティガが着地し、マルチキック、マルチパンチの連続攻撃。

 

マンティコア「ーーーーーーー!!」

 

尻尾から毒液を噴射した。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

宙返りして避けた。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

尻尾をハンドスラッシュで破壊した。

 

ティガ「タァッ!!ハァッ!!」

 

マンティコア「ーーーーーーー!!」

 

ティガ「アァッ!!」

 

マルチキックを繰り出すティガの右足をマンティコアが噛み掴み、後ろへ放り投げた。

 

ティガ「フッ!!」

 

何とか着地したティガが、破壊した尻尾を掴んで、胴体に何度も叩き込む。

 

マンティコア「ーーーーーーー!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

そのまま後ろへ放り投げた。

 

マンティコア「ーーーーーーー!!」

 

放り投げられたマンティコアが、転がりながら火炎放射した。

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

火炎放射を受けたティガが倒れた。

 

 

 

 

 

 

男「そうだいけ!!彼奴を殺せ!!」

 

神官「神の怒りを思い知れ!!」

 

少年「あの魔女と同じ報いを受けろ!!」

 

国民「殺せ!殺せ!」

 

 

 

 

 

 

ドロレス「・・・私は・・・」

 

 

 

 

 

 

マンティコア「ーーーーーーーー!!」

 

ティガ「アァッ!」

 

マンティコアの反撃でティガが苦しむ。

 

 

 

 

フェオン「タクト!!」

 

エミリー「フェオンさん!!」

 

 

 

 

飛び出したフェオンとエミリーがマンティコアに立ち向かう。

 

フェオン・エミリー「ヤアアァァァァァ!!!!」

 

振り下ろした大剣と太刀が、マンティコアの翼を斬り裂いた。

 

”ピコン”

 

ティガ「・・・・」

 

マンティコア「ーーーーーーー!!!」

 

フェオン「タクト!!今よ!!」

 

ティガ「ッ!!」

 

首肯したティガが、マンティコアに向かって走る。

 

ティガ「タァッ!!」

 

タックルでマンティコアを突き飛ばす。

 

ティガ「フッ!!」

 

力を振り絞ってマンティコアを持ち上げ、ウルトラ・ホイッパーで空高く放り投げた。

 

 

 

 

 

 

ドロレス「奴の弱点はお腹よ!!そこを狙って!!」

 

カサンドラ「ドロレス!?マンティコアの心を!!」

 

 

 

 

 

 

ティガ「ッ!!」

 

マンティコアの腹が黄色く光ってる。

 

ティガ「フッ!!」

 

両腕を前に突き出し交差させ、大きく横にゆっくり広げてエネルギーを集める。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ゼペリオン光線が、マンティコアの腹部に直撃した。

 

マンティコア「ーーーーーーーー!!!」

 

腹部を破壊されたマンティコアが、断末魔の咆哮を上げながら大爆発した。

 

ティガ「・・・・」

 

光となって、タクトの姿に戻った。

 

 

 

 

 

 

戦いの後。

 

ドロレス「ありがとう。私を助けてくれて。」

 

フェオン「気にしないでよ。この位当然なんだからさ。」

 

ドロレス「あなたのあの力は、一体何だったの?」

 

タクト「ウルトラマンティガ。超古代の戦士さ。それより、君はこれからどうする?ここで暮らすか?それとも・・・」

 

ドロレス「私は・・・」

 

するとそこに、国民達が現れた。

 

男「貴様・・・よくも・・・!」

 

彼等は、凶器を握っている。

 

レア「おいおい何だ何だ?」

 

タクト「トチ狂ってるな。神を殺した俺達を殺そうとしに来たんだろう。」

 

少年「何で僕達の神様を殺したんだよ!!」

 

少女「全部あなた達のせいよ!!あなた達が来たからこんな事になったのよ!!」

 

タクト「こんな奴等とおさらばしたいんだが、ドロレス。君はどうする?」

 

ドロレス「・・・私も行きたい!私をあなた達の旅に連れてって!!」

 

グレア「じゃあ決まりだね!よっと!!」

 

火を飛ばし、炎の壁を作った。

 

ティオ「ハァッ!!」

 

風の魔法でタクト達を包む。

 

神官「クソッ!!・・・なっ!?」

 

炎と風が晴れると、そこには誰も居なかった。

 

国民達「・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

ラミレス王国から離れた丘の上。

 

ヒナ「逃げれましたね。」

 

レア「ああ。」

 

テレポーテーションで丘まで逃げれた。

 

フェオン「?」

 

するとラミレス王国から、人々の争う声が聞こえた。

 

ドロレス「国の皆同士で責任転嫁して内戦を起こしてるみたい。」

 

タクト「何処まで自分の罪を認めない奴等なんだ。放って置けば何れ自滅する。これで君は解放された。もうあの国に未練なんてないだろ?」

 

ドロレス「うん。」

 

エミリー「宜しくな。ドロレス。」

 

ドロレス「宜しくね。」

 

 

 

 

 

 

その夜。森の中で野営する。

 

タクト「さてと、新たな仲間が入った事で、やるべき事が2つある。」

 

ドロレス「え?」

 

タクト「1つは、君の格好だ。」

 

ドロレス「あ・・・」

 

タクト「ヒナ。余ってる服全部出してくれ。」

 

ヒナ「分かりました。」

 

異空間収納から、余ってる服を全て出した。

 

タクト「俺とティオが向こう行ってるから、彼女を綺麗に洗って、皆で服を選んで着させてくれ。」

 

フェオン「任せて!」

 

 

 

 

木の裏に隠れる2人。

 

ティオ「また仲間が増えたね。」

 

タクト「まぁな。大勢居る方が俺にとっては好きだし。」

 

ティオ「分かるよその気持ち。」

 

フェオン『終わったわよー!』

 

 

 

 

タクト「はいはーい!どんな感じ?」

 

ドロレス「ど、どうかな?」

 

白いブラウス、赤いカーディガン(首結び)、青いデニム吊りスカート、ローファー。

 

ティオ「うん。似合う似合う。」

 

タクト「まずは服装OK。次は君の名前だ。」

 

ドロレス「名前?」

 

タクト「その、ドロレスって言うのも何だか俺にはしっくり来ないからな。何か良い愛称はないか・・・」

 

ドロレス「・・・ドロシー。」

 

タクト「ん?」

 

ドロレス「お父さんとお母さんが呼んでくれた私の愛称だよ。」

 

レア「ドロシー・・・おぉ!良い響きだな!」

 

グレア「改めて宜しくね。ドロシー。」

 

ドロレス「うん!」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩

ドロレス=ワイズマン:石見舞菜香

国民:狩野翔
   増岡大介
   難波佑香
   八木侑紀

神官:大泊貴揮





次回予告

キキリア連邦国の湖に打ち上げられた伝説の生物グロブスザウルスの死骸。軍隊による引き上げ作戦が始まった。

次回ウルトラマンティガ

恐竜が出てきた日

お楽しみに


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17・4「恐竜が出てきた日」

恐竜が出てきた日
グロブスザウルス 登場



ラミレス王国でドロレスを救出し、彼女が仲間に加わった。

 

 

 

 

夕方。次に向かった場所は、ラミレス王国の隣に存在するキキリア連邦国。

 

アンナ「騎士や魔法師団が多いですね。」

 

ヒナ「何でもこの国は、優秀な軍隊を厳選し、国の治安を守ってる優等生の国だと聞いています。」

 

レア「にしても、公にこれだけの兵士が居ると物騒に見えるな。」

 

ドロレス「でも、心を読むと皆心が綺麗よ。殆どの兵士が家庭を持ってる。」

 

タクト「なら良いんじゃねえの?兵士達はそれぞれ幸せな家庭を持ってるんだし。下手に詮索すると何されるか分からねえからな。ゴクゴク。」

 

フェオン「って、何ジュース飲みながら言ってんのよ。」

 

タクト「これ美味いぞ?カーナン王国産のリンゴジュース。結構甘さがある。」

 

レア「おお!レアも飲みたい!何処にあるんだ!?」

 

タクト「彼処の露店で売ってるぞ。」

 

レア「よっしゃー!」

 

露店に向かってダッシュした。

 

タクト「もう1つ特徴なのは、犯罪率や魔物襲撃率が低い。」

 

グレア「まぁそうだね。ヒナの言ってる言葉が正しいもんね。」

 

タクト「そして極め付けは、この国に巨大な湖がある。この国の人気スポット。」

 

 

 

 

 

 

その湖へ行ってみる。

 

エミリー「おー!綺麗な湖だな!コスペル王国と同じように綺麗だ!」

 

ティオ「サンタナの真相を探った時だね。」

 

ドロレス「サンタナ?」

 

カサンドラ「コスペル王国にある湖の島に住んでいた人で、元々は魔術師だったんですけど、それを認めない人達の意向で島を追いやられたんです。」

 

グレア「そして、人形を使って水難事故で死んだ少女を供養してたんだ。」

 

ドロレス「恐ろしい事件ね・・・」

 

タクト「もうすぐ夜だし。明日にまたここに来てみるか。」

 

イザベラ「ですね。早速ホテルへ戻りましょう。」

 

 

 

 

 

 

その夜。騎士と魔法兵士が湖の周りを巡回している。

 

騎士「今日も異常はないな。」

 

魔法兵士「魔物の出現無し。魔人の出現無し。犯罪の形跡は無し。本部に戻って団長に調査報告するか。」

 

”ブクブクブク”

 

魔法兵士「ん?」

 

騎士「どうしたんだ?」

 

魔法兵士「何か、湖から音が聞こえた。」

 

騎士「気のせいじゃないのか?」

 

魔法兵士「だと良いけど。」

 

”ブクブクブクブクブク!!!”

 

しかし、その音は次第に大きくなった。

 

魔法兵士「や、やっぱり気のせいじゃなかった!」

 

騎士「お、おいあれ見ろ!!」

 

魔法兵士「え!?」

 

湖の水面に巨大な物体が現れ、湖畔に打ち上げられた。

 

騎士「な、何だコレは・・・!?ウッ!?」

 

魔法兵士「ク、クセェ!!」

 

その物体から、強烈な悪臭が広がった。

 

魔法兵士「す、すぐに団長に報告を!!」

 

騎士「お、おい待ってくれ!!」

 

 

 

 

 

 

翌朝。湖に打ち上げられた物体が新聞で取り上げられた。

 

フェオン「昨夜遅く。湖畔で巨大な物体が打ち上げられたのを、巡回していた騎士と魔法兵士が発見。これがその写真ね。」

 

レア「な、何だこの物体?」

 

アンナ「何か生き物みたいな形をしているね・・・」

 

タクト(これは・・・)

 

 

 

 

 

 

その湖へ向かうと、兵士達が巨大物体の調査を行っている最中だった。タクト達は遠くから見物する。

 

グレア「うぅぅ・・・凄く臭い・・・」

 

ドロレス「かなり距離があるのにここまで悪臭が広がってるなんて・・・」

 

ティオ「それ。」

 

風の魔法で悪臭を防ぐ。

 

レア「ふぅ・・・助かったぞティオ。」

 

ヒナ「それにしても、大きな物体ですね。何かの塊でしょうか?」

 

エミリー「でも、表面は溶けている。一体どうしてこの湖に?」

 

タクト「・・・・」

 

透視能力で物体を調べてみると。

 

タクト「これは・・・!」

 

アンナ「何か分かったんですか?」

 

タクト「あの物体、グロブスザウルスだ。」

 

フェオン「グロブスザウルス?何なのそれ?」

 

グレア「聞いた事がある!正体不明の巨大生物の死骸のグロブスターが、海底に沈んでいる恐竜の骨に付着して誕生した体長10メートルの巨大生物。でも付着したけど、結局死骸として漂流し続けたって伝説がある。」

 

ティオ「それが何故ここに?」

 

タクト「それは分からない。」

 

ドロレス「あ、魔法兵士達が引き上げるみたい。」

 

タクト「引き上げ作戦か。」

 

 

 

 

 

 

団長「引き上げ開始!」

 

魔法兵士達「了解!」

 

重力魔法でグロブスザウルスを引き上げた。

 

団長「よし。そのまま慎重に。」

 

騎士「ん?団長!」

 

団長「どうした?」

 

騎士「物体が動いています!」

 

団長「何!?」

 

引き上げられたグロブスザウルスが突然動き、暴れ始めた。

 

グロブスザウルス「ーーーーーーー!!!!」

 

口から腐った肉が流れ出た。

 

魔法兵士「うわっ!!」

 

団長「全員退却!!」

 

魔法を解除し、その場から離れた。グロブスザウルスが湖に落下した。

 

 

 

 

 

 

レア「何だ!?何でいきなり動いたんだ!?」

 

タクト「まさか・・・生きてるのか!?」

 

 

 

 

 

 

グロブスザウルス「ーーーーーーーーー!!!!」

 

湖の中からグロブスザウルスが蘇った。湖はグロブスザウルスの体で一気に濁った。

 

 

 

 

 

 

アンナ「死骸じゃなかったんですか!?」

 

グレア「嘘でしょ!?」

 

 

 

 

 

 

グロブスザウルス「ーーーーーーーーー!!!!」

 

蘇ったグロブスザウルスが、何処かへ進んで行った。

 

団長「全隊員!奴を攻撃せよ!!」

 

騎士達が弓矢で攻撃するが、矢がグロブスザウルスの体内に取り込まれてしまい、魔法兵士達が魔法で攻撃するが、グロブスザウルスには効果がない。

 

 

 

 

 

 

ティオ「一体何処へ行くんだ!?」

 

ドロレス「ダメ、心が読めない。所詮は死骸ね。」

 

フェオン「ヒナ。奴の行き先は?」

 

魔法でグロブスザウルスの進行方向の先を読む。

 

ヒナ「ここから真っ直ぐ行くと・・・あ!見えました!鉱山です!」

 

エミリー「鉱山?そこに何があるんだ?」

 

ヒナ「・・・これは!鉱山にフローライトの原石が見えます!」

 

タクト「何だと!?フローライトは熱を加えると爆発する宝石だ!先回りするぞ!」

 

 

 

 

 

 

鉱山へ向かうグロブスザウルス。

 

グロブスザウルス「ーーーーーーーーー。」

 

団長「これ以上先へは行かせない!!ボムアロー!炎!発射!」

 

騎士団・魔法師団「ハッ!!」

 

爆弾を括り付けた弓矢・ボムアローを一斉曲射してグロブスザウルスに全て命中した。しかしボムアローがグロブスザウルスの体内に取り込まれた。炎魔法も命中したが、グロブスザウルスには効果がない。

 

団長「クッ!このままだと鉱山が!」

 

騎士「団長!彼処!」

 

団長「ん?」

 

 

 

 

先回りするタクト達を発見した。

 

 

 

 

団長「何だ?」

 

 

 

 

 

 

丘の上に着いたタクト達。

 

タクト「奴には水分が多くあって濡れてる。乾燥させて一気に叩き込む。イザベラ!奴を束縛しろ!」

 

イザベラ「分かりました!えいっ!!」

 

蔦の魔法を投げ、グロブスザウルスを束縛する。

 

グロブスザウルス「ーーーーーーー!!」

 

タクト「ヒナ!グレア!ティオ!今だ!」

 

ヒナ「はい!」

 

巨大なレンズを生成し、陽の光をグロブスザウルスを照らす。

 

ティオ「グレア!」

 

グレア「うん!」

 

炎と風で熱風を起こし、グロブスザウルスに浴びせる。

 

グロブスザウルス「ーーーーーーーー!!」

 

水分が外に流れ、徐々に乾燥されて行くグロブスザウルスが苦しむ。

 

レア「良いぞ!このまま固まれ!」

 

ドロレス「ん?」

 

しかし、グロブスザウルスの表皮を見たドロレスが異変に気付いた。グロブスザウルスが取り込んだボムアローが浮き出たのだ。

 

ドロレス「ヒナ!グレア!ティオ!解除して!爆発する!」

 

ヒナ・ティオ「え!?」

 

グレア「そんな!クッ!!」

 

すぐに魔法を解除したが、浮き出たボムアローが落ちて爆発した。蔦の魔法が爆発で千切れた。

 

グロブスザウルス「ーーーーーーーーー!!」

 

体だけ乾燥した程度のダメージしか受けず、グロブスザウルスが再び行動を開始した。

 

タクト「クソッ!水分が抜けた時に押し出されたのか。」

 

ドロレス「タクト。情報よ。奴の体は攻撃耐性がある。」

 

タクト「何だと?」

 

フェオン「外からの攻撃は全て無効って訳ね・・・」

 

ドロレス「でも、体内から爆発すれば焼き払われるわ。」

 

タクト「流石ドロシーの魔眼。何でもお見通しって訳か。鉱山へ向かおう!」

 

 

 

 

 

 

戦いは夕方まで進んだ。鉱山前では、兵士達が防衛に当たっていた。

 

団長「さぁ化け物め。来るなら来い!」

 

騎士「団長!発掘されたフローライトの原石、全部回収しました!」

 

団長「よし。そこの森林に隠せ。」

 

騎士「了解!」

 

回収されたフローライトの原石を乗せた荷車を引っ張って森林に隠した。

 

団長「フローライトは下手をすれば爆発する危険な宝石だ。奴に壊されてたまるか。」

 

グロブスザウルス「ーーーーーーーー!!」

 

団長「来たぞ!」

 

兵士達が全員構える。

 

グロブスザウルス「ーーーーーーーー!!」

 

しかし、グロブスザウルスの首が突然伸びた。

 

団長「何!?」

 

首が、森林に隠されたフローライトの原石を全て喰らい付いた。

 

魔法兵士「フローライトが!団長!」

 

団長「迂闊に手を出すな!爆発するぞ!」

 

魔法兵士「このまま見過ごすしかないのか・・・!!」

 

 

 

 

 

 

イザベラ「フローライトが!」

 

タクト「俺が行く!皆は兵士達を避難させろ!」

 

フェオン「分かったわ!」

 

タクトがスパークレンスの光を解放させ、ウルトラマンティガへ変身した。

 

 

 

 

 

 

ティガ「タァッ!!」

 

ハンドスラッシュでグロブスザウルスの首を攻撃した。

 

グロブスザウルス「ーーーーーーー!?」

 

 

 

 

団長「何だあれは・・・!?」

 

フェオン「皆さん!早く避難を!」

 

団長「き、君達は・・・!?」

 

レア「説明は後だ!早く逃げろ!」

 

 

 

 

 

 

ティガ「フッ!」

 

グロブスザウルス「ーーーーーーーーー!!」

 

フローライトの原石が全て、グロブスザウルスに呑み込まれてしまった。

 

ティガ「ッ!?」

 

グロブスザウルス「ーーーーーーーーー!!」

 

フローライトの原石を食したグロブスザウルスが、ティガに向かって走り出す。ティガは走り出すグロブスザウルスの鰭と頭部を掴んだ。

 

ティガ「タァッ!フッ!」

 

グロブスザウルスにマルチキックを2回蹴り込む。

 

ティガ「ハァッ!タァッ!」

 

マルチチョップとマルチキックの連続攻撃。

 

ティガ「フッ!!」

 

怯むグロブスザウルスの首を掴み上げる。

 

ティガ「タァッ!!」

 

そのまま巴投げで後ろへ投げた。

 

ティガ「タァッ!!」

 

倒れてるグロブスザウルスを無理矢理起き上がらせ、後ろへ放り投げた。

 

グロブスザウルス「ーーーーーーーーー!!」

 

ティガ「ハァッ!ハァッ!ハァッ!タァッ!」

 

連続マルチパンチからのマルチキックで蹴り飛ばした。

 

グロブスザウルス「ーーーーーーーーー!!」

 

ティガ「フッ!!」

 

グロブスザウルスを起き上がらせ、マルチキックを繰り出したが。

 

ティガ「ッ!?」

 

腐った肉に減り込まれた。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

マルチパンチでグロブスザウルスを攻撃し、足を抜けようとするが。

 

グロブスザウルス「ーーーーーーー!!」

 

口から悪臭のガスを吐いた。

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

ガスを受けたティガの足が抜け、そのまま後ろへ倒れた。

 

グロブスザウルス「ーーーーーーー!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

倒れてるティガに、グロブスザウルスがジャンプしてティガに乗った。

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

グロブスザウルス「ーーーーーーー!!」

 

立ち上がり、ティガを立たせて腹部にティガの頭部を呑み込もうとする。

 

ティガ「ッ!!」

 

呑み込まれそうになるティガの両腕が光った。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ウルトラ・ライトパワーでグロブスザウルスを押し飛ばした。

 

”ピコン”

 

ティガ「ッ!」

 

するとティガが、あの時の言葉を思い出した。

 

 

 

 

タクト『フローライトは熱を加えると爆発する宝石だ!』

 

ドロレス『体内から爆発すれば焼き払われるわ。』

 

 

 

 

グロブスザウルス「ーーーーーーー!!」

 

立ち上がったグロブスザウルスがティガに迫る。

 

ティガ「フッ!!」

 

両腕を前に突き出し交差させ、大きく横にゆっくり広げてエネルギーを集める。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ゼペリオン光線が、グロブスザウルスの腹部に呑み込まれた。

 

ティガ「・・・・・・」

 

グロブスザウルス「ーーーーーーーー!!」

 

ゼペリオン光線を呑み込んだグロブスザウルスが再び前進する。ティガは迫り来るグロブスザウルスから一歩も退かない。

 

グロブスザウルス「・・・・!?」

 

前進するグロブスザウルスの足が止まり、体内で爆発音が轟いた。そして・・・

 

”ドゴォォォォーーーーーーン!!!”

 

木っ端微塵に爆発した。

 

 

 

 

ドロレス「何でも食べるからよ。」

 

 

 

 

呑み込んだフローライトが、ゼペリオン光線の衝撃を受けてグロブスザウルスの体内で爆発を起こしたのだ。

 

ティガ「・・・・」

 

光になって、タクトの姿に戻った。

 

 

 

 

 

 

団長「す、凄い・・・!あの戦士は君達の仲間かい・・・?」

 

フェオン「はい。」

 

団長「君達のお陰で助かった。この国を救ってくれて、ありがとう。」

 

ヒナ「いいえ。評価なら、彼に与えてあげて下さい。」

 

そこにタクトが戻って来た。

 

タクト「ふぅ・・・」

 

 

 

 

 

 

その後。グロブスザウルスを倒してくれたタクトに対し、国王が勲章を授けた。

 

 

 

 

 

 

翌日。キキリア連邦国を出発した。

 

タクト「今後もあの国は、未知の敵が現れる事を想定して訓練を強化中だと。」

 

フェオン「でも不思議ね。海に漂流するはずだったグロブスザウルスが湖に流れ着くなんて。」

 

タクト「世界にはまだまだ未開の現象があるんだ。にしてもドロシー。今日も君のお手柄だったな。」

 

ドロレス「いや、私はただ奴を魔眼で調べただけよ。」

 

イザベラ「その魔眼のお陰で特徴を見出し、恐竜を倒せたんですから。」

 

レア「ありがとな。ドロシー。」

 

ドロレス「・・・やっぱり、お礼を言われるの慣れないなぁ・・・」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
カサンドラ:高田憂希
ドロレス=ワイズマン:石見舞菜香
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩

兵士:狩野翔
   増岡大介
   大泊貴揮

団長:島田岳洋





次回予告

人間と獣人が共存する花の国フィオーレイノ。争いの無いこの国に突如現れた山賊達が襲撃を開始した。命を狙われた王女ランの運命は。

次回ウルトラマンティガ

封印の遺物

お楽しみに


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17・6「封印の遺物」

封印の遺物
山賊、プラチナム 登場



ここは、沢山の花畑や美しい湖が有名な国フィオーレイノ。この国は、沢山の人間と獣人が共存する平和な国。

 

???「ここは・・・何処だろう?」

 

フィオーレイノの湖にある城。そこに迷い込んだ1人の少女が居た。彼女の名はファーリア。リスの獣人で、少し人見知りな少女。

 

ファーリア「・・・良い匂い。」

 

手に持っているリンゴを食べようとした時。

 

ファーリア「ん?」

 

遠くで遊んでいる2人の少女を発見した。

 

ファーリア「・・・」

 

気になったファーリアが、2人の後をこっそり追う。

 

 

 

 

 

 

彼女が見た2人の少女。

 

???「ラン〜!ここだよ〜!」

 

ウサギの獣人のノエル。お転婆で元気いっぱいの少女。

 

???「ノエル。はしゃぐと危ないですよ?」

 

フィオーレイノの王女ラン。この2人は幼少の頃からの幼馴染み。

 

 

 

 

遠くからファーリアがやって来る。

 

ファーリア「・・・・」

 

 

 

 

湖を眺める2人。

 

ノエル「綺麗だね〜。」

 

ラン「危ないですよー!」

 

柵の上に登るノエルをランが注意する。

 

 

 

 

石橋付近の。

 

ノエル「よいしょっと!」

 

ジャンプして向かい側の地面に飛び移った。

 

ラン「もうノエルったら。」

 

ファーリア「・・・・」

 

壁の陰からランを覗くファーリア。中々声を掛けれない。

 

ラン「ふふっ。」

 

元気に遊ぶノエルを眺めるラン。ファーリアが勇気を出して声を掛ける。

 

ファーリア「・・・あの!」

 

ラン「ん?」

 

後ろに振り向き、ファーリアを見る。

 

ラン「あら、あなたは?」

 

ファーリア「あの・・・えっと・・・これを・・・」

 

ラン「え?」

 

手に持ってるリンゴをランに差し出す。

 

ノエル「ん?」

 

遊んでいたノエルが、ランにリンゴを差し出すファーリアを不思議な目で見ている。

 

ラン「これを、私に?」

 

ファーリア「は、はい・・・」

 

差し出されたリンゴを受け取った。

 

ラン「ありがとうございます。」

 

ファーリア「・・・!」

 

渡したと同時に、陰に隠れる。

 

ノエル「ラン〜!誰なのあの子?」

 

ラン「さっき会ったんです。リスの子みたいですね。」

 

ファーリア「・・・・・」

 

こちらを覗くファーリア。ランとノエルがファーリアに寄る。

 

ノエル「ねぇ。あなたの名前は?」

 

ファーリア「えっと・・・ファーリア・・・です。」

 

ノエル「ファーリア!一緒に遊ぼ?」

 

ファーリア「え?」

 

ノエル「こっちこっち!」

 

ファーリア「わあっ!」

 

ノエルに手を引っ張られて行って、2人で遊んだ。

 

 

 

 

休憩し、柵の上に座る。

 

ノエル「ねぇ、ファーリアって何処から来たの?」

 

ファーリア「あの丘の上の家だよ。」

 

城から見える丘の上にある小さな家を指差した。

 

ファーリア「あの家で1人で暮らしているの。」

 

ノエル「へぇ〜。ねぇ、今度遊びに行って良い?」

 

ファーリア「うん!ラン様も!」

 

ラン「そうですね。是非招待されたいです。」

 

それから3人は、仲良く、時に喧嘩などをしたり幸せな日々を過ごした。

 

 

 

 

 

 

そして1年後の現在。

 

ファーリア「今日も良い天気〜。」

 

丘の上から、ファーリアが城へ向かっていた。

 

 

 

 

城下町に入った。

 

ファーリア「おはようございまーす!」

 

御者「おぉファーリア。おはよう。」

 

通り掛かる御者に挨拶をした。

 

 

 

 

フィオーレイノ城。3人の門番の騎士がファーリアに敬礼をした。

 

ファーリア「おはようございます。」

 

騎士「おはようございます。」

 

挨拶するファーリアに、騎士達が御辞儀をした。

 

 

 

 

 

 

寝室では、ランがぐっすり寝ている。そこにメイドが入って来た。

 

メイドA「ラン王女。おはようございます。」

 

彼女の声を聞いたランが目を覚ました。

 

 

 

 

目を覚まし、服に着替える。

 

メイドA「ラン王女。よくお眠りになられましたか?」

 

ラン「はい。」

 

 

 

 

 

 

着替え終えて、通路を歩く。

 

メイドB「おはようございます。ラン王女。」

 

メイドC「ラン王女。おはようございます。」

 

カーテシーでランに挨拶をする。

 

ラン「おはようございます。」

 

騎士2人「おはようございます!」

 

2人の騎士が扉を開けた。

 

ラン「おはようございます。」

 

 

 

 

 

 

城の入り口では、ファーリアが花の匂いを嗅いでいた。

 

ファーリア「良い匂い〜。」

 

ノエル「・・・それ!」

 

ファーリア「わああ!」

 

後ろからノエルに耳を触られてビックリした。

 

ファーリア「もおノエル!」

 

ノエル「どお?ビックリした?」

 

ラン「ノエル〜!ファーリア〜!」

 

ノエル「あ!ランだ!」

 

ファーリア「もお!待てー!」

 

ランに向かって走るノエルを追い掛けるファーリア。

 

 

 

 

 

 

花畑で遊ぶ3人。

 

ノエル「ラン〜!聞いてよ!ノエルがさ〜!」

 

ラン「ウフフ。困りましたね。」

 

フェオン「あら?今日も仲良しね。」

 

ノエル「あ!フェオンに皆!」

 

そこに、フェオン達がやって来た。彼女達はこのフィオーレイノに滞在して1週間である。

 

レア「お前達って本当仲が良いんだな。」

 

ノエル「当然だよ!私達は親友なんだから!」

 

ラン「あら?タクトは居ないんですか?」

 

グレア「タクトなら向こうの草原の上で眠ってるよ?」

 

エミリー「余程気持ちが良いのだろうな。」

 

ノエル「そっかぁ。あ!ちょっとイタズラしちゃおうかなぁ〜?」

 

そう言ってタクトが眠っている場所へ走って行った。

 

ドロレス「また始まったよ。ノエルのイタズラ。」

 

ティオ「まぁまぁ。楽しそうだし良いじゃん。」

 

 

 

 

一方のタクトは、近くの草原の上で眠っている。

 

タクト「zzz・・・」

 

こっそり近付くノエル。

 

ノエル「ニヒヒ〜♪おっはよーーー!!」

 

ジャンプしてタクトにダイブしようとした。

 

タクト「zzz・・・・」

 

しかしタクトが横に寝転がった。

 

ノエル「え!?ブヘッ!」

 

先程タクトが眠っていた地点に”ベターン”と着地失敗した。

 

ノエル「いたたたた・・・」

 

タクト「zzz・・・・」

 

ノエル「ぐ、偶然・・・なのかな?もう1回!」

 

もう1回ダイブしたが。

 

タクト「zzz・・・・」

 

またタクトが寝っ転がった。

 

ノエル「また!?ブフッ!」

 

そしてまた着地失敗した。

 

ノエル「ぐぬぬぬ・・・!今度こそ!!」

 

何度もダイブするが、その都度避けられるばかり。タクトはそのまま皆が居る場所へ寝っ転がり続ける。

 

ノエル「もう!待ってよ!!」

 

 

 

 

皆が居る花畑。

 

カサンドラ「あ!来ました!」

 

寝っ転がるタクトを追うノエル。

 

ノエル「はぁはぁはぁ・・・」

 

タクト「zzz・・・」

 

ノエル「追い詰めたよタクト!これでトドメーーーーー!!」

 

高くジャンプしてタクトにダイブする。すると。

 

”プクーーーーーー”

 

突然タクトが風船の様に膨らみ始めた。

 

ノエル「え!?な、何!?」

 

フェオン「タクト!?」

 

”パァーーーーン!!!”

 

膨らみ過ぎて破裂した。

 

ノエル「わわわわわわ!グヘッ!」

 

地面に激突した。

 

アンナ「タクトさんが・・・風船の様に割れた・・・!?」

 

???「プクククククク・・・!アーッハッハッハッハッハッ!!」

 

ノエル「え!?」

 

そこに、本物のタクトが現れた。

 

タクト「いやぁ〜、ノエル。傑作だったなぁ〜。」

 

ノエル「あれ!?本物!?」

 

タクト「サンキューな。ティオ。」

 

ティオ「エヘヘ♪」

 

ファーリア「ティオと共謀してたの!?」

 

ドロレス「やっぱり。心の中で嗤ってたんだね。」

 

ティオ「僕とタクトで作ったタクトバルーン。本物そっくりに作ったんだ。」

 

タクト「毎回毎回ノエルが俺にイタズラを仕掛けるから、ちょっと懲らしめようと思ってな。」

 

ノエル「クゥ〜!私の負けだ〜!」

 

バタバタと悔しがる。

 

タクト「大丈夫かよノエル。ホラ。」

 

ノエル「あ、ありがとうタクト・・・」

 

差し伸べたタクトの手を握った瞬間。

 

タクト「ん?・・・・痛ってェーーーーー!!!」

 

ノエル「フッフッフ〜♪騙されちゃったね〜!」

 

右掌に画鋲を貼り付けていたのだ。

 

ヒナ「ノエルさん。やっぱり策士ですね。」

 

ラン「タクト大丈夫ですか?」

 

タクト「チックショー!今回も負けた・・・」

 

フェオン「もう何時まで遊んでるのよアンタ達。」

 

ノエル「アハハ・・・ん?」

 

風が吹き、花びらが舞い上がった。

 

タクト「この国は平和で良いな。差別も無く、皆平等に暮らしている。」

 

ヒナ「はい。」

 

ラン「フィオーレイノは、私のご先祖様がこの国に革命を起こしました。そのお陰で、人間と獣人の争いは無くなり、今も平和です。」

 

フェオン「良いわね〜。争いが無い国って。」

 

エミリー「ミスリラやエルスティアに、噂のアールスハイドと同じだな。」

 

ノエル「ねぇ!皆で遊ぼうよ!」

 

ファーリア「遊ぼ遊ぼ!」

 

イザベラ「わあっ!引っ張らないで〜!」

 

2人に引っ張られたイザベラ。

 

ラン「もお〜。ウフフ。」

 

タクト「おいノエル!さっきの仕返しをさせてくれ!」

 

ノエル「ヘヘ〜!ここまでおいで〜!」

 

レア「皆も行くぞ!」

 

カサンドラ「はい!」

 

彼らは大いに遊んだ。

 

 

 

 

 

 

遊んでいる彼らの光景を、謎の群衆が覗いていた。

 

???「あれが王女か。ケッ!平和に暮らしてるなんて気に食わねえ。だが、彼奴を目覚めさせる鍵はヤツが持っている。」

 

 

 

 

 

 

その夜。ランが寝室で眠っていると、寝室に白い煙が蔓延し、謎の集団がランを攫った。

 

 

 

 

 

 

翌朝。城がパニックになった。

 

メイドA「ラン王女!!」

 

騎士A「何処ですか!?」

 

国王「ラン!ラン!」

 

 

 

 

一夜にして王女ランが行方不明となり、国民は不安と絶望に陥ってしまった。

 

 

 

 

この騒動に、タクト達も見過ごせなかった。

 

タクト「どう言う事だ?ランが一瞬で居なくなるなんて・・・」

 

フェオン「誰かに誘拐されたとか・・・」

 

タクト「そんなハズはない。この国は争いの無い国。誘拐なんて誰が・・・」

 

ノエル「皆!!」

 

ファーリア「おーい!!」

 

そこに、ノエルとファーリアが走って来た。

 

イザベラ「ノエルさん!ファーリアさん!」

 

ノエル「ねぇ!ランが行方不明ってどうして!?」

 

ファーリア「何処へ行っちゃったの!?ねぇ!!」

 

タクト「落ち着け2人共!兎に角、城へ行って手掛かりを探そう。」

 

 

 

 

 

 

城へ向かい、寝室に入り手掛かりを探す事に。

 

国王「皆さん、娘の為にありがとうございます・・・」

 

フェオン「いえいえ。ランを誘拐だなんて、許せませんから。」

 

女王「ランは一体何処へ・・・」

 

グレア「何処か手掛かりがあるはず・・・」

 

ヒナ「・・・ん?」

 

ベッドの近くに落ちてある黒い封筒を発見したヒナ。その黒い封筒を拾った。

 

ヒナ「皆さん!コレ!」

 

エミリー「どうしたんだヒナ!それは?」

 

ヒナ「分かりません。」

 

タクト「ヒナ。見せてみろ。」

 

ヒナ「はい。」

 

黒い封筒をタクトに渡した。

 

タクト「皆は下がってろ。何が起こるか分からない。」

 

全員がタクトから距離を取る。タクトが黒い封筒を開けた。中身は・・・

 

タクト「これは・・・山賊からの脅迫状か。」

 

『フィオーレイノのクズな家畜共。王女は頂いた。これより我々はこの国に眠る禁断の遺物を蘇らせる儀式を行う。もし儀式を妨げる行為を実行した代償には、王女の命を貰い受ける。』

 

タクト「フィオーレイノの遺物?一体何の事なんだ?」

 

国王「ま、まさか・・・!!」

 

イザベラ「知っているんですか?」

 

国王「あ、ああ・・・」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、誘拐されたランは。

 

ラン「っ・・・・・」

 

彼女は、山賊達の住処に囚われていた。

 

ラン「あなた達は山賊・・・なのですね?」

 

頭領「そうだ。俺がこの山賊の頭領だ。」

 

フードを被った頭領が、フードを取って自分の姿を晒した。

 

ラン「その姿・・・狐の獣人・・・!まさか・・・」

 

山賊は、皆狐の獣人だったのだ。

 

ラン「私をどうしようと言うのですか?」

 

頭領「威勢が良いな。俺達の目的は、鍵であるお前を使って、禁断の遺物を蘇らせる。」

 

ラン「禁断の遺物・・・まさか・・・!!」

 

 

 

 

 

 

城内。

 

フェオン「デザイアドール?」

 

国王「そうです。480年前、魔道具師達が、世界中の戦争を終結させる為、禁断の魔道具を作り上げたのです。」

 

タクト「それがデザイアドール?」

 

国王「はい。ですがデザイアドールは強大な力を有しており、暴走して世界を滅ぼそうとした。しかし、私のご先祖様がそれを阻止し、フィオーレイノに革命を起こしました。デザイアドールは5体開発されており、その内の1体がこの国に眠っているのです。」

 

タクト「1体って事は、まだ4体が?」

 

女王「デザイアドールは、ご先祖様達によって世界各地に封印されているのです。」

 

 

 

 

 

 

山賊の住処。

 

頭領「俺達の先祖は、そのデザイアドールの攻撃で朽ち果ててしまった。俺達は先祖達の無念を晴らそうとこの国に復讐を決意した。そのデザイアドールへの道を開く鍵を、お前達王族が持っている。」

 

ラン「それで私を・・・」

 

すると頭領が剣をランの首に突き付けた。

 

ラン「・・・・!」

 

頭領「案ずるな。殺しはしない。ただ俺達の命令に従えば、生命は保証する。お前だってまだ死にたくないだろ?」

 

ラン「・・・・・」

 

頭領「さぁ、どうする?」

 

ラン「・・・・・分かりました。」

 

頭領「そうだ。それで良い。」

 

剣を収めた。

 

頭領「さぁ、デザイアドールの在り処を教えて貰おう。」

 

 

 

 

 

 

 

城のバルコニー。タクトとドロレスとヒナが透視でランを捜索している。

 

ファーリア「ラン大丈夫かな・・・」

 

ノエル「ファーリア!ランなら大丈夫だって!」

 

タクト・ヒナ・ドロレス「・・・・」

 

エミリー「どうだ?何か見えたか?」

 

ヒナ「いえ、異常は見当たりません・・・」

 

ドロレス「視えるのは、人々の絶望と不安の心・・・」

 

タクト「・・・・ん?」

 

森林を歩く集団が見えた。

 

タクト「ヒナ。ドロシー。森林に誰か居る。」

 

ヒナ「え?・・・・あ!あれは!」

 

ドロレス「ランだわ!山賊も一緒よ!」

 

国王「何ですって!?」

 

タクト「行き先は・・・森林の遺跡?」

 

女王「大変!彼処にデザイアドールが!」

 

アンナ「え!?」

 

レア「それはヤバイんじゃないか!?」

 

グレア「早く行こう!」

 

タクト「・・・皆はここで待ってろ。グレア行くぞ。」

 

グレア「うん!」

 

ティオ「タクト!グレア!」

 

タクト「俺達が状況を確かめる。グレア。俺が合図したらティオにテレパシーを送ってくれ。」

 

グレア「分かった。」

 

タクト「行くぞ。」

 

2人は遺跡へ向かって走って行った。

 

 

 

 

 

 

 

森林にある遺跡前。

 

頭領「ここか。さぁ、扉を開けてくれ。」

 

ラン「・・・・」

 

扉の前に立ったランが、扉を見詰めると。

 

”ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!”

 

轟音と共に、扉がゆっくりと開いた。

 

頭領「いよいよだ。」

 

遺跡へ入って行った。近くの岩陰からタクトとグレアが覗いてる。

 

タクト「遺跡に入ったみたいだ。」

 

グレア「中に入るの?」

 

タクト「山賊の目的もそうだが、デザイアドールがどんな姿なのか気になる。」

 

こっそりと遺跡へ入って行く。

 

 

 

 

 

 

遺跡の最深部。

 

頭領「おぉ〜・・・!これかぁ・・・」

 

ラン「・・・!」

 

そこにあったのは、巨大な檻に閉じ込められた白と黒のドレスを身に纏った女型の人形だった。

 

頭領「これがデザイアドール!プラチナム!これを使えば、先祖達の無念を晴らせる!」

 

ラン「・・・あなた達はそれで良いのですか?」

 

頭領「ん?」

 

ラン「封印された遺物を解放させ、この国を滅ぼしてご先祖様の無念を晴らす。あなた達はそれで良いのですか?」

 

頭領「この国の事なんて、俺達が知ったこっちゃない。無念を晴らせれば良い。それ以外の本望なんてない。」

 

ラン「だったら私は、この遺物を目覚めさせません!」

 

頭領「そうか・・・フンッ!!」

 

ラン「キャァッ!!」

 

痺れを切らせた頭領がランを蹴り倒した。頭領は剣で自分の腕に傷を刻み、そこから流れた血を剣に付着させた。

 

ラン「・・・!!」

 

頭領「安心しろ。お前が死んでも、この血があれば蘇らせる。デザイアドールは人間の生き血を使えば蘇らせる代物。もうお前は用済みだ。死ねぇ!!」

 

ラン「ッ・・・!!」

 

”ガキン!!!!”

 

頭領「何!?」

 

ラン「・・・!!」

 

剣を防いだのは、タクトだった。ウルトラシールドで防いだのだ。

 

タクト「その辺にしとけ。でないと国の者達がお前達を殺すだろうよ。」

 

頭領「何だテメェは!!」

 

ラン「タクト・・・!!」

 

タクト「大丈夫か?ラン。」

 

超能力でランの傷を治した。

 

頭領「お前、昨日王女と一緒に居た奴か!」

 

タクト「察しが良いな。俺は彼女の友人だ。友人を汚すなんぞ、俺が許さねえぞ。」

 

頭領「腑抜けたヤロウだ。おい!コイツを殺せ!」

 

山賊「ウオオオォォォォ!!!!」

 

タクト「ハァッ!!タァッ!!」

 

次々と襲い来る山賊達を生身で蹴散らす。

 

 

 

 

グレア「ラン!こっち!」

 

ラン「グレア!」

 

やって来たグレアが、ランを連れて退散する。

 

 

 

 

タクト「数が多いな・・・しゃあねぇ!」

 

ジャケットの内ポケットからスパークレンスを出して、光を解放させた。

 

頭領「な、何だ!?」

 

光が晴れ、ウルトラマンティガが姿を現した。

 

ティガ「フッ!」

 

頭領「な、何だその姿は!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

ハンドスラッシュを地面に向けて連射し、山賊達を吹き飛ばした。

 

山賊達「うわああああああああ!!!」

 

頭領「く、クソォ!こうなったら!!」

 

血が付着した剣を、檻の南京錠に突き刺した。

 

ティガ「ッ!!」

 

血が檻の中を巡回し、南京錠が破壊され、檻が開きデビルプーパが目覚めた。

 

プラチナム「・・・」

 

頭領「遂に・・・遂に目覚めたぞ!!デザイアドール・プラチナム!!さぁ、今こそ我々の先祖の無念を晴らすのだ!!」

 

”ザスッ!!”

 

頭領「・・・へ?」

 

十字架型の剣が、頭領の左胸を突き刺したのだ。

 

プラチナム「失せろ。醜い獣が。」

 

左胸から剣を引き抜いた。頭領はそのまま倒れ死亡した。

 

山賊A「頭領!!!!!」

 

山賊B「貴様ァアーーーーー!!!!!」

 

プラチナム「穢らわしい。」

 

回転斬りで、周囲の山賊達を真っ二つにした。

 

ティガ「・・・・!」

 

プラチナム「あなたも死にたいようね。」

 

ティガ「ッ!!」

 

すぐに飛翔し、遺跡から脱出した。

 

プラチナム「フフッ♪」

 

 

 

 

 

 

遺跡を脱出したグレアとラン。

 

グレア「誰か来る!」

 

ラン「あ!」

 

遺跡からティガが飛び出した。

 

ラン「ウルトラマン・・・ティガ・・・!」

 

グレア「タクト!」

 

ラン「え!?」

 

ティガ「ここを離れろ!デザイアドールが!」

 

”ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!”

 

地震が起き、遺跡が崩れて森林が焼き払われた。

 

ティガ「!!」

 

崩れた遺跡から、デザイアドール・プラチナムが上空に舞い上がった。

 

 

 

 

 

 

フェオン「な、何あれ!?」

 

国王「デザイアドールが・・・目覚めてしまった・・・!!」

 

フェオン「皆!!行くわよ!!」

 

ファーリア「私達も行かせて!」

 

ヒナ「ダメです!危険です!」

 

ノエル「ランを助けたいんだよ!!だからお願い!!」

 

フェオン「・・・無茶しないようにね!」

 

ノエル・ファーリア「うん!」

 

急いで遺跡へ駆ける。

 

 

 

 

 

 

森林。

 

プラチナム「その力・・・ウルトラマンティガね。あなたはこの世界の守護者のつもり?それって烏滸がましいと思わないのかしら?」

 

ティガ「何が言いたい!」

 

プラチナム「480年前、私達は天才魔道具師達によって作られて、平和を作り上げようとした。しかし人間は愚かだった。いとも簡単にミスを起こしてしまい、私達を自立させた。解放された私達は平和の為に世界を綺麗にしようとした。だが突然、あなたが現れて私達を封印した。作られた他のデザイアドールは、あなたと人間達の力によって世界各地に封印された。あなたは招かれざる者に過ぎない!」

 

ティガ「・・・・!!」

 

プラチナム「見せてあげるわ。私達が起こす世界平和実現の戦いを!!!」

 

ティガ「ッ!」

 

プラチナムが剣を構える。

 

 

 

 

そこにフェオン達が到着した。

 

フェオン「あれがデザイアドールの正体!?」

 

イザベラ「悍ましい力を感じる・・・」

 

ラン「皆さん!」

 

ノエル・ファーリア「ラン!!」

 

2人がランに抱き着いた。

 

ノエル「無事で良かった!」

 

ラン「ありがとうございます。もう大丈夫ですよ。」

 

グレア「皆!ここから離れよう!奴から異常な力を感じる!」

 

フェオン「山賊め・・・」

 

 

 

 

一方ティガは、プラチナムとの戦いを繰り広げていた。

 

プラチナム「ヤァッ!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

振り下ろすプラチナムの剣を白刃取りで受け止めた。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

隙を見てプラチナムの腹にマルチキックを蹴り込む。

 

プラチナム「ダァッ!!」

 

ティガ「ッ!!」

 

振り回す剣を、ティガが避け続ける。

 

ティガ「ハァッ!」

 

プラチナム「グッ!?」

 

しゃがんで避けたティガが、プラチナムの腹にマルチパンチで叩き込む。

 

ティガ「タァッ!!」

 

そのまま腕を掴んで、ウルトラホイッパーでプラチナムを投げる。

 

プラチナム「ヤァッ!!」

 

前宙して着地した。

 

ティガ「ッ!!」

 

着地したプラチナムに迫るティガだが。

 

プラチナム「ヤァッ!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

ハイキックを受け、後ろの崩れた遺跡に倒れた。

 

プラチナム「フッフッフ♪」

 

ティガ「ッ・・・!!」

 

プラチナム「その程度かしら!?」

 

振り回す剣を、ティガが後退りしながら避ける。

 

プラチナム「タァッ!!」

 

ジャンプしてパンチしたが、ティガが右手でプラチナムのパンチを掴んだ。

 

ティガ「タァッ!!」

 

そのまま後ろに倒れて、ウルトラレッグホイップで後ろへ投げた。

 

プラチナム「クッ!」

 

ティガ「ハァッ!」

 

プラチナム「ッ!」

 

マルチパンチを避けたプラチナムが、右手でティガの顔を鷲掴みにする。

 

ティガ「・・・!!」

 

自分の顔を鷲掴みにしてるプラチナムの右手を握った。

 

ティガ「タァッ!!」

 

プラチナム「ウッ!!」

 

マルチエルボーでプラチナムの脇に打撃を与えて怯ませる。

 

ティガ「タァッ!!」

 

プラチナム「アアッ!!」

 

ウルトラホイッパーでプラチナムを投げた。

 

 

 

 

少し離れた草原。

 

ノエル「あれって、タクトなの?」

 

レア「そうだぞ!そして彼奴は、レア達の仲間のウルトラマンティガでもあるんだ!」

 

ファーリア「ウルトラマン・・・ティガ・・・」

 

 

 

 

ティガ「ハァッ!」

 

プラチナム「ッ!!」

 

マルチパンチを掴んだプラチナムが、ティガの腹にキックで蹴り込む。

 

ティガ「タァッ!!」

 

しかしすぐにマルチキックで反撃された。

 

プラチナム「ヤァッ!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

振り回されて投げられた。

 

ティガ「ッ!・・・タァッ!!」

 

ハンドスラッシュを連射した。

 

プラチナム「グアッ!!」

 

ハンドスラッシュがプラチナムの腹部に直撃した。

 

プラチナム「このぉ・・・!!」

 

ティガ「ーーーーハァッ!!」

 

立ち上がったティガが、マルチタイプからスカイタイプにタイプチェンジした。

 

 

 

 

ドロレス「色が変わった!?」

 

カサンドラ「スカイタイプです。」

 

 

 

 

ティガ「フッ!!」

 

プラチナム「クゥッ!!」

 

ティガ「ハァッ!!タァッ!!」

 

プラチナム「ガアッ!アァッ!!」

 

スカイタイプの高速攻撃で、プラチナムが怯む。

 

ティガ「タァッ!!」

 

怯んだプラチナムを、ティガが背負い投げで投げ飛ばした。

 

プラチナム「・・・・!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ジャンプしたティガが空中回転した。

 

プラチナム「クッ!!」

 

剣を構えるプラチナムだが。

 

ティガ「タァッ!!」

 

プラチナム「アアッ!!」

 

ウルトラかかと落としが、プラチナムの剣を粉砕した。

 

 

 

 

ファーリア「やった!!」

 

ラン「・・・!!」

 

 

 

 

ティガ「ハァッ!タァッ!」

 

連続スカイキックでダメージを与え、プラチナムの腕を掴んで背負い投げした。

 

プラチナム「ガハッ!!」

 

背負い投げされたプラチナムが倒れた。

 

プラチナム「ッ・・・!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

立ち上がったプラチナム目掛けて、スカイキックを繰り出した。

 

プラチナム「アアアッ!!!」

 

ティガ「・・・・」

 

プラチナム「招かれざる者の分際で!!!ハァッ!!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

右手からの光線を受けたティガが飛ばされた。

 

プラチナム「世界平和の為、お前を消す!!」

 

激昂したプラチナムがティガを掴み、ティガに連続攻撃を叩き込む。

 

ティガ「アァッ!ドゥアッ!」

 

プラチナム「ハァッ!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

そのままティガを投げ飛ばした。

 

プラチナム「まだだ!!」

 

右手から再び光線を放ち、ティガの前に着弾させた。

 

ティガ「ウッ!!」

 

”ピコン”

 

プラチナムの攻撃を受け、ティガのカラータイマーが点滅を始めた。

 

 

 

 

ノエル「ティガ!!負けちゃダメ!!」

 

ファーリア「頑張って!!」

 

 

 

 

プラチナム「ハッハッハッハ!!!傑作だなぁ!!これで貴様も終わりだ!!」

 

ティガ「ウッ!」

 

キックが腹部に直撃して倒れた。

 

プラチナム「ハァッ!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

背中を肘打ちされた。

 

プラチナム「ハッハッハッハ!!!」

 

倒れたティガの首を掴み、起き上がらせる。

 

ティガ「・・・・!!」

 

プラチナム「死ね!死ね!死ね!!」

 

ティガ「アァッ!!」

 

腹部に何度も殴り込まれた。

 

プラチナム「ハァッ!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

後ろへティガを放り投げた。

 

ティガ「・・・!!」

 

プラチナム「これでトドメよ!!」

 

ティガ「ッ!ハァッ!」

 

光線を左に避けた。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

両手にエネルギーを集中させ、右手でプラチナムの頭上に青色の光線を放った。するとプラチナムの頭上で光線が爆発して、プラチナムに降り注がれた

 

プラチナム「な、何だコレは!!さ、寒い・・・!!」

 

それは、冷凍光線であるティガフリーザーの冷気だった。

 

ティガ「ーーーーハァッ!!」

 

スカイタイプからマルチタイプへタイプチェンジした。

 

プラチナム「わた・・・し・・・は・・・せか・・・い・・・へ・・・いわ・・・を・・・・・」

 

冷気がプラチナムを完全凍結させた。

 

ティガ「フッ!!」

 

両腕を前に突き出し交差させ、大きく横にゆっくり広げてエネルギーを集める。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ゼペリオン光線が凍結したプラチナムに直撃した。

 

ティガ「・・・・」

 

プラチナムが爆散し、破片が周囲に散らばった。

 

 

 

 

ファーリア「やった!!」

 

ノエル「やったやったーーーー!!」

 

 

 

 

ティガ「・・・・」

 

光となって、タクトの姿に戻った。

 

 

 

 

 

 

その後。ランは無事に戻り、国民達は歓声を上げた。

 

国王「君達のお陰で、娘は無事に戻った。感謝します。」

 

アンナ「そんなそんな。私達は当然の事をしたまでですよ。」

 

ラン「私を救って下さった皆さんに、贈り物があります。どうぞ。」

 

それは、色取り取りの花束だった。

 

イザベラ「綺麗〜!」

 

エミリー「ありがとう。ラン。」

 

タクト「これは最高だな。」

 

 

 

 

 

 

存在するデザイアドールは、後4体。果たして、それらは何処に封印されているのか。もしかしたら、デザイアドールはまだ近くに封印されているのかも知れません。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
カサンドラ:高田憂希
ドロレス=ワイズマン:石見舞菜香
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩

ラン:中島由貴
ノエル:志崎樺音
ファーリア:西本りみ

国王:こぶしのぶゆき
女王:橘ひかり

頭領:高口公介

騎士:狩野翔
   増岡大介
メイド:難波佑香
    八木侑紀

プラチナム:米澤円




次回予告

フィオーレイノの片隅にある2つの村、ヴォルメリオ村とカエルレウス村。シャーラとキコアの禁断の恋が2つの村に危機を招いてしまう。

次回ウルトラマンティガ

赤と青の狭間

お楽しみに


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17・8「赤と青の狭間」

赤と青の狭間



花の国フィオーレイノ。この国の片隅にある2つの村。ヴォルメリオ村とカエルレウス村。

 

 

 

 

ヴォルメリオ村。タクト、フェオン、イザベラ、グレア、ティオグループ。

 

タクト「ヴォルメリオ村。赤色の村が特徴の観光スポット。原生のチューリップや彼岸花が咲いている。」

 

フェオン「赤くて綺麗な村ね〜。」

 

イザベラ「赤い果物も野菜もいっぱいありますね。」

 

ティオ「でも、目がちょっとアレだけど・・・」

 

グレア「まぁまぁ。いいじゃん。」

 

 

 

 

カエルレウス村。エミリー、ヒナ、レア、アンナ、カサンドラ、ドロレス組。

 

エミリー「カエルレウス村は青を基調とした村だな。」

 

カサンドラ「ここも綺麗ですね。」

 

ヒナ「ヴォルメリオ村では、タクトさん達が観光していますし。後であちらへ行ってみましょう?」

 

ドロレス「ここも賑やかで楽しそう。」

 

レア「お!このアイス美味いぞ!」

 

アンナ「こっちのジュースも美味しい!」

 

エミリー「もうすっかり食べ歩きしているな。」

 

カエルレウス村人A「聞いたか?キコア様が大金持ちと婚約したらしいぞ?」

 

カエルレウス村人B「本当か!いやぁ〜おめでたい事だな!」

 

エミリー「キコア様?一体誰なんだ?」

 

ヒナ「あの、キコア様って誰なんですか?」

 

村人A「ん?ああ!このカエルレウス村の大地主のアズラク家のご子息ですよ!」

 

カサンドラ「アズラク家のご子息?」

 

 

 

 

同じ頃、ヴォルメリオ村でもある噂話が広まっていた。

 

タクト「このリンゴ美味いな!」

 

フェオン「こっちのイチゴも新鮮で美味しいわね!」

 

ヴォルメリオ村人A「シャーラ様が、大金持ちの男と結婚するらしいわよ!」

 

ヴォルメリオ村人B「あ!聞いたぞその話!」

 

ヴォルメリオ村人C「なんとめでたい事なんだ!」

 

イザベラ「シャーラ様?」

 

タクト「シャーラ=クラースニイ。このヴォルメリオ村の大地主のクラースニイ家のご令嬢だ。」

 

グレア「あんな噂話を大声で話すとは、余程おめでたい事なんだろうね。」

 

 

 

 

 

 

その頃、ヴォルメリオ村の土地を所有する大地主のクラースニイ家の屋敷では。

 

シャーラ「キコア・・・あなたがヴォルメリオ村の人間なら、お父様は私達の結婚を反対する事はなかったのに・・・」

 

屋敷のバルコニーで呟くこの女性が、クラースニイ家の霊場・シャーラ=クラースニイ。

 

シャーラ「私達の恋は、途切れる運命なの・・・?」

 

するとそこに、ある男が現れた。

 

キコア「シャーラ!」

 

シャーラ「キコア!」

 

カエルレウス村の土地を所有する大地主アズラク家のご子息・キコア=アズラクだった。

 

シャーラ「どうしてここに!?」

 

キコア「君に会いたくて忍び込んで来た。」

 

シャーラ「こんな所をお父様に見られてしまったら!それに・・・私達には別の婚約者が・・・!」

 

???「ハハッ。」

 

すると彼女の背後から、クラースニイ家当主・アルベルト=クラースニイが現れた。

 

キコア「!!」

 

アルベルト「ん?キコア!」

 

キコア「アルベルト様・・・!」

 

アルベルト「お前、ここで何をしておる!?婚約者の居る娘に付き纏うとは!誰か!この男を追い払え!」

 

兵士「ハッ!」

 

キコア「クッ!!」

 

状況が悪いと判断したキコアが、フェンスを飛び越えて逃げた。

 

 

 

 

 

 

何とか逃げ切れたキコアは、隣り合うアズラク家に帰って来た。

 

ジュスト「キコア。」

 

キコア「父さん・・・!」

 

アズラク家当主・ジュスト=アズラクが立っていた。

 

ジュスト「何処へ行ってた?」

 

キコア「・・・・」

 

ジュスト「ん?お前!!」

 

彼の服に付着してる、薔薇の花弁に気付いた。

 

ジュスト「この薔薇の花弁・・・お前、ヴォルメリオ村に行っていたんだな?まさか、あの娘に会っていたんじゃないだろうな?」

 

キコア「それの何処がいけないんだ!」

 

ジュスト「お前には私が決めた婚約者が居るんだぞ!」

 

キコア「僕はシャーラを愛しているんだ!!」

 

ジュスト「・・・我がカエルレウス家とヴォルメリオ家の領地を繋ぐサゴール門を閉じろ!!」

 

奉公人「畏まりました!!」

 

キコア「・・・・」

 

 

 

 

 

 

ヴォルメリオ村。

 

アルベルト「サゴール村を閉じろ!2人を会わさせない為に!!」

 

奉公人「はい!!」

 

 

 

 

 

 

ヴォルメリオ村とカエルレウス村が通れる唯一の通り道、サゴール門を閉じる為、両家の奉公人が走り出した。

 

 

 

 

 

 

ヴォルメリオ村を観光しているタクト達は。

 

タクト「ふぅ〜。いっぱい歩いたな〜。」

 

イザベラ「どの料理も美味しかったですね。」

 

グレア「ここ、私達のお気に入りの観光地に入るかな?」

 

フェオン「当然よ。ここは長閑で豊か。申し分ない村よ。」

 

タクト「さてと、カエルレウス村へ行ってエミリー達と合流するか。」

 

 

 

 

しかしサゴール門では、両家の奉公人が門を閉めてしまった。

 

 

 

 

カエルレウス村。

 

エミリー「サゴール門はもうすぐだな。」

 

ヒナ「タクトさん達に、カエルレウス村の魅力を伝えましょうね。」

 

アンナ「ヴォルメリオ村がどんな村か楽しみです。」

 

 

 

 

サゴール門に着いたエミリー達だが。

 

エミリー「ん?門が閉まってる!」

 

カサンドラ「え!?何で!?」

 

ドロレス「・・・誰かが閉じたみたい。」

 

門を閉ざしてる南京錠を見る。

 

タクト「その声、お前達か!?」

 

エミリー「タクト!」

 

向かい側の門に、タクト達が居た。

 

エミリー「これは一体どう言う事なんだ!?」

 

タクト「俺も分からねえよ!何で門が閉まってるか!」

 

カサンドラ「そこから飛び越えたり出来ませんか!?」

 

タクト「やってみる!」

 

飛翔してカエルレウス村へ向かおうとしたが。

 

タクト「ガハッ!!」

 

見えない壁に激突し、ヴォルメリオ村の地に着地した。

 

フェオン「見えない壁だわ!」

 

ドロレス「恐らく、門を閉ざしてる南京錠の力。これ魔道具だわ。」

 

ティオ「そうか。誰も行かせないように完全に閉ざしているんだ。」

 

レア「嘘だろ!?じゃあレア達そっちへ行けないのか!?」

 

アンナ「一体誰が閉じたんでしょう?」

 

タクト「指紋を調べてみる。ドロシー!」

 

ドロレス「ええ!」

 

2人が南京錠に付着してる指紋を調べる。

 

タクト「ヴォルメリオ家の奉公人だ。」

 

ドロレス「こっちはカエルレウス村の奉公人よ。」

 

フェオン「となると、恐らく当主様の命令で閉じたに違いないわね。」

 

タクト「けど隙間がある。ティオ。エミリー達と同行を頼む。」

 

ティオ「分かった。」

 

隙間を潜って、エミリー達と合流した。

 

タクト「この状況の原因は何なのか、調べる必要がある。一旦別れよう。何かあったらグレアとティオを通して連絡してくれ。」

 

エミリー「分かった!」

 

グレア「・・・」

 

タクト「ん?グレアどうした?」

 

グレア「いや、コスモスの花が綺麗だなぁ〜って。」

 

タクト「花の観賞は後にしてくれ。行くぞ。」

 

それぞれ2つに別れた。

 

 

 

 

 

 

その頃、シャーラと交際を反対されたキコアは父に問い詰めた。

 

キコア「父さん!どうして勝手に婚約者を決めたんだ!!僕の自由を奪い取るのが目的なのか!?」

 

ジュスト「キコア。お前をシャーラと婚約させたいのは私の本心だ。」

 

キコア「じゃあどうして!?」

 

ジュスト「・・・これを読んでみろ。」

 

そう言って渡されたのは、収支報告書と書かれた本だった。

 

キコア「経営の収支報告書・・・」

 

その報告書を読むと、驚くべき事が書かれてあった。

 

キコア「我が家の経営が・・・こんなに悪化していたのか・・・!?」

 

ジュスト「そうだ。ある商会の令嬢が、お前との結婚を条件に財政支援を申し出たんだ。」

 

キコア「そんな・・・!?」

 

 

 

 

 

 

同じくシャーラも、父に経営悪化の事を告げられた。

 

アルベルト「これ以上・・・我が家の借金を膨らます訳にはいかないんだ・・・お前とキコアの結婚は私の本音だ。だが、お前が商会のご子息と結婚して金が入れば、またきちんと商売が出来る。」

 

シャーラ「お父様は、私をお金で売ったんですね・・・」

 

アルベルト「すまない・・・ヴォルメリオ家の娘として・・・幸せになるには・・・こうする以外ないんだ・・・」

 

シャーラ「私にはキコアが・・・」

 

 

 

 

アズラク家。

 

キコア「僕達の気持ちはどうなると言うんだ!!」

 

ジュスト「・・・・!!」

 

何も言い返せないジュストは、部屋から出て行った。

 

キコア「・・・・」

 

誰も居ないジュストの部屋を物色し、棚の引き出しから門の鍵を盗った。

 

キコア「・・・・」

 

その鍵を持って、サゴール門へ向かおうとするが。

 

ジュスト「・・・・・」

 

キコア「・・・・!」

 

ジュストに見付かってしまった。

 

 

 

 

 

 

クラースニイ家。

 

シャーラ「・・・・・!」

 

 

 

 

父の部屋に侵入したシャーラは、父の机の引き出しからサゴール門の鍵を盗った。

 

シャーラ「キコア・・・待ってて・・・」

 

部屋から出た瞬間。

 

アルベルト「シャーラ!!」

 

シャーラ「・・・!」

 

父に見付かってしまった。

 

アルベルト「お前と言う奴は・・・!」

 

シャーラ「お父様・・・!」

 

 

 

 

 

 

見付かってしまったキコアは、ジュストと奉公人に連行され、近くの牢屋に閉じ込められてしまった。

 

キコア「父さん!!!」

 

ジュスト「カエルレウス村を救うにはそれしか方法がないんだ!!頼む!!分かってくれ!!」

 

 

 

 

同じくしてシャーラも、アルベルトと奉公人に連行され、近くの牢屋に閉じ込められてしまった。

 

シャーラ「お父様!!お父様!!」

 

アルベルト「すまないシャーラ・・・!!」

 

 

 

 

キコアとシャーラが閉じ込められてしまった。

 

 

 

 

 

 

一方タクト達は、ヴォルメリオ村を歩いていた。

 

タクト「とは言っても、原因を探るにも何処から情報を集めれば・・・」

 

フェオン「門を閉じたのは両家の奉公人。何かしら理由があるんじゃない?」

 

イザベラ「例えば、両家は元々敵対しているとか。元々仲が良かったけど、不仲になって門を閉じたとか。」

 

グレア「だとしたら理由が安直過ぎるね。」

 

タクト「・・・なぁグレア。両家の敷地内って出入り可能か?」

 

グレア「そうらしいよ。ここは観光地だから。」

 

タクト「よし、敷地内へ行ってみるか。」

 

 

 

 

 

 

カエルレウス村。

 

ティオ「僕の推測だけど、両家との間に何かがあるって事は確かだね。敷地内へ行けば何かあるかも。」

 

エミリー「だが、無断で侵入するのは大丈夫なのか?」

 

ドロレス「エミリー。ここは観光地よ。屋敷の敷地内も観光地の1つとして数えられているの。でも屋敷内へは入れないけど。」

 

カサンドラ「でしたら早速、屋敷へ行ってみましょう。」

 

 

 

 

 

 

クラースニイ家・敷地内。

 

タクト「誰も居ないな。」

 

フェオン「何なの?この異様な空気・・・」

 

イザベラ「屋敷は入れないけど、外だけでも何かあるかも知れません。」

 

タクト「皆はそこに隠れてろ。俺が行く。」

 

 

 

 

敷地内へ潜入するタクト。

 

タクト「ん?」

 

赤い扉の建物を発見した。

 

タクト「何だ?この赤い扉?」

 

???「助けて下さい!」

 

タクト「っ!誰か居るのか!?今助ける!」

 

鍵を壊して扉を開けた。

 

シャーラ「ありがとうございます・・・!」

 

タクト「あなたは?」

 

シャーラ「私はシャーラ=クラースニイです。」

 

タクト「もしかして、クラースニイ家の令嬢か?」

 

シャーラ「はい・・・」

 

 

 

 

彼女を連れて敷地内を脱した。

 

フェオン「タクト!その方は?」

 

タクト「シャーラ=クラースニイだ。閉じ込められてたんだ。」

 

イザベラ「え!?クラースニイ家のお嬢様ですか!?」

 

タクト「何で閉じ込められてたんだ?」

 

シャーラ「話は後です。サゴール門へ行かせて下さい。。」

 

タクト「サゴール門?分かった。」

 

彼女と共にサゴール門へ向かった。

 

 

 

 

 

 

アズラク家・敷地内。

 

ドロレス「・・・・・」

 

レア「何か分かったか?」

 

ドロレス「・・・・・誰か閉じ込められている。」

 

ティオ「え!?」

 

エミリー「私が助けに行く。ドロシー。何処に居るんだ?」

 

ドロレス「敷地内にある青い扉の建物。そこに居るわ。」

 

エミリー「分かった。皆は外へ出てろ。」

 

 

 

 

青い扉の建物の前。

 

エミリー「ここか。」

 

鍵を魔法で壊し、青い扉を開ける。

 

キコア「あ、あなた達は?」

 

エミリー「私はエミリーだ。あなたは?」

 

キコア「僕はキコア=アズラク。」

 

 

 

 

キコアを連れて敷地内を出た。

 

カサンドラ「え?このカエルレウス村の大地主のご子息ですか?」

 

キコア「そうだ。僕をサゴール門へ連れてってくれないか?」

 

エミリー「何かあったのか?」

 

キコア「話は後で。早く!」

 

ヒナ「分かりました!」

 

彼と共にサゴール門へ向かった。

 

 

 

 

 

 

サゴール門へ向かうタクト達。その道中。

 

グレア「ん?」

 

道の端に建てられている石碑にグレアが見詰めた。

 

グレア「何何?赤と青の狭間により、黄金の光を手に入れる。何だろうこれ?」

 

タクト「グレア!何してるんだ!」

 

グレア「あ、待ってー!」

 

 

 

 

 

 

一方クラースニイ家では。

 

アルベルト「お待ちしておりました。」

 

婚約者の男・ゴードンがやって来た。

 

ゴードン「歓迎して下さりありがとうございます。では、失礼します。」

 

礼儀正しく屋敷へお邪魔した。

 

 

 

 

シャーラが閉じ込められていた牢屋の扉を開けた。

 

アルベルト「シャーラ。」

 

牢屋の中を見たが、シャーラの姿が何処にもない。

 

アルベルト「そんな・・・!?」

 

 

 

 

同じくアズラク家でも。

 

ジュスト「あのバカ息子が!!」

 

脱走したキコアに怒りを燃やしていた。

 

???「キコア様はどうなさいました?」

 

婚約者の女・ベロニカ。

 

ジュスト「・・・!今すぐキコアを探せ!!」

 

奉公人「はい!!」

 

 

 

 

その様子を見ていたベロニカとメイドは。

 

ベロニカ「あなた。例の物を探しなさい。隈なくね。」

 

メイド「分かりました。直ちに。」

 

 

 

 

クラースニイ家。

 

アルベルト「娘を取り戻すのだ!!」

 

奉公人「畏まりました!」

 

 

 

 

その様子を見ていたゴードンと執事は。

 

ゴードン「おい。お前は例の物を探せ。」

 

執事「御意。」

 

ゴードン「フフッ。」

 

 

 

 

 

 

ヴォルメリオ村。

 

タクト「急げ!奉公人達が君の捜索を始めた!」

 

シャーラ「え!?」

 

フェオン「急いで行かないと!」

 

タクト「っ!隠れろ!」

 

近くの茂みに身を潜めた。

 

タクト「見ろ。」

 

 

 

 

奉公人達がシャーラを探し回っている。

 

 

 

 

フェオン「このまま見付かったら、私達まで罪に問われそうね。」

 

イザベラ「どうするんですか?タクトさん。」

 

タクト「俺に任せろ。3人はここに。」

 

 

 

 

奉公人に近付くタクト。

 

タクト「あの、誰かお探しでしょうか?」

 

奉公人「あ、実はシャーラ様を捜しているんですけど・・・」

 

タクト「シャーラ?もしかして、クラースニイ家のご令嬢様の?」

 

奉公人「はい。シャーラを見掛けになりませんでしたか?」

 

タクト「シャーラ様なら見ましたよ。」

 

奉公人「本当ですか!?何処へ?」

 

タクト「あの山へ走って行くのを見ました。」

 

奉公人「あの山ですか?分かりました、ありがとうございます。皆さん彼処です!」

 

嘘に騙されたとは知らず、奉公人達を連れて山へ向かった。

 

 

 

 

タクト「もう大丈夫だ。」

 

サムズアップでサインを送った。

 

シャーラ「ありがとうございます。」

 

タクト「急ごう。サゴール門へ。」

 

 

 

 

 

 

一方でエミリー達も。

 

エミリー「キコア様なら、彼処の森へ逃げて行きましたよ。」

 

奉公人「ご協力感謝します。皆行くぞ!」

 

他の奉公人達を連れて森へ向かった。エミリーの嘘だと言う事も知らずに。

 

 

 

 

エミリー「もう大丈夫だ。」

 

キコア「あなた方は僕の恩人です。ありがとうございます。」

 

レア「気にするなよ。」

 

アンナ「サゴール門までもうすぐです。行きましょう。」

 

キコア「ああ。」

 

 

 

 

 

 

サゴール門。

 

フェオン「着いた!」

 

タクト「シャーラ!鍵を!」

 

シャーラ「はい!」

 

門の鍵で南京錠を開ける。

 

キコア「シャーラ!」

 

シャーラ「キコア!」

 

2人が再会を果たした。

 

タクト「皆!」

 

エミリー「タクト!」

 

アンナ「無事だったんですね。」

 

ドロレス「一時はどうなると思ったよ。」

 

タクト「アンタがキコアだな。アズラク家のご子息の。」

 

キコア「この方達は?」

 

シャーラ「私を助けてくれた観光客よ。」

 

キコア「君達のお陰だ。感謝する。」

 

タクト「良いって事よ。それより、ここに居るとマズいんじゃないか?ここから離れよう。」

 

キコア「ああ。」

 

彼らは急いでサゴール門から離れた。

 

 

 

 

 

 

誰も住んでいない廃墟内。

 

タクト「教えてくれるか?何で2人共閉じ込められたんだ?それに、サゴール門が閉じられた理由を。」

 

シャーラ「このままじゃ私達、別の相手と結婚させられてしまうんです。」

 

フェオン「別の相手と結婚?どうして?」

 

キコア「両家の経営が悪化していて、父さんとアルベルト様が経営を安定させる為に婚約者を勝手に決めたんだ。」

 

レア「じゃあまさか、サゴール門が閉じられた理由は!?」

 

タクト「2人を会わさせない為の止むを得ない手段だった、と言う訳だな。」

 

シャーラ「はい・・・お金さえあれば・・・私達は結婚出来たのに・・・」

 

キコア「そう言えば小さい頃、財宝伝説なんてあったね。」

 

シャーラ「財宝伝説?」

 

キコア「あの宝が、今ここで手に入ったら・・・」

 

シャーラ「そんな夢物語、本当にあったら良いのにね。」

 

タクト「財宝伝説?」

 

キコア「僕達が生まれるずっと前に、貴族が埋めた財宝が2つの村の何処かにあってね。それが今や、財宝伝説として伝われているんだ。」

 

カサンドラ「中には何が入っているんでしょうか?」

 

シャーラ「噂では、宝石や金塊など金銀財宝が入っていると。」

 

レア「それが本当なら、大金持ちになれるな!」

 

アンナ「でも、2つの村にあるとは限らないでしょ?」

 

レア「そうだな。探すの苦労しそうだ。」

 

グレア「・・・・」

 

ティオ「グレア?どうしたの?」

 

グレア「何か引っ掛かるなぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

アズラク家。

 

ベロニカ「キコア様はまだお戻りにならなくて?」

 

ジュスト「申し訳ありません・・・」

 

ベロニカ「気にする事はありませんわ。私は気長に待っておりますわ。」

 

 

 

 

 

 

クラースニイ家。

 

アルベルト「シャーラはまだ見付からないのか!?」

 

奉公人「すみません旦那様。実はサゴール門が開いておりまして・・・」

 

アルベルト「何だと!?」

 

奉公人「それで、ある男が屋敷をウロついているのが見えまして・・・」

 

その男の絵を描いた。その男とは、タクトだった。

 

アルベルト「コイツが・・・シャーラを逃したに違いない・・・!すぐに村中にこの絵を配れ!」

 

奉公人「はい!」

 

 

 

 

そしてアズラク家では。

 

ジュスト「この女か・・・」

 

エミリーの絵をジュストが見ていた。

 

奉公人「すぐに印刷して来ます!」

 

ジュスト「頼むぞ!」

 

 

 

 

タクトとエミリーの手配書が作られてしまった。

 

 

 

 

 

 

廃墟内。

 

タクト「何!?俺とエミリーの手配書が!?」

 

グレア「うん!奉公人の誰かが目撃したみたい!」

 

エミリー「まさか・・・あの時キコアを助けに行った時に見られたのか・・・!」

 

ヒナ「エミリーちゃん・・・」

 

タクト「皆は村へ行ってくれ。もし俺達の事を聞かれたら嘘の情報を言ってくれ。」

 

フェオン「タクトとエミリーは?」

 

タクト「ここで2人を守る。心配するな。必ず両家を救う手掛かりを見付けるさ。」

 

フェオン「分かったわ。皆、行きましょう。」

 

レア「2人共、無事でいてくれよ。」

 

タクトとエミリーを除いた全員が村へ向かった。

 

キコア「すまない・・・君達を巻き込ませてしまって・・・」

 

タクト「気にするな。俺達が勝手にやった事だ。」

 

エミリー「責任は私達にある。」

 

シャーラ「・・・これからどうすれば良いのかしら・・・」

 

キコア「僕が何とかする。」

 

タクト「キコア。俺達にも手伝わせてくれ。」

 

しかしそこに。

 

ゴードン「どうやって何とかするおつもりなんですか?」

 

全員「!?」

 

キコア「お前は!?」

 

ゴードン「シャーラさん。このゴードンの優秀な執事が、あなたを見付け出し、このゴードン自らお迎えに上がりましたよ。」

 

シャーラ「私は帰りません。この人と一緒に居たいんです。」

 

ゴードン「おやおや?私の申し出を断るとは、何を意味するのか分かるのか?借金まみれのお父様は、さぞお困りになる事だろうなぁ〜。家も売らないといけないだろうねぇ〜。クラースニイ家はあっと言う間に滅んじゃうんだろうねぇ〜。」

 

シャーラ「・・・・」

 

タクト(コイツ。精神的にシャーラを追い積んでやがる・・・!)

 

執事「・・・・」

 

タクト(ん?何だこの男?俺の声を読んだのか?)

 

ゴードン「さぁ、帰りましょう。」

 

シャーラ「・・・・・」

 

彼女は決心し、ゴードンへ歩む。

 

キコア「シャーラ・・・」

 

エミリー「・・・!!」

 

そのまま、ゴードンの手を握った。

 

ゴードン「ハッハッハッハ!!!良い子だねぇ〜シャーラ〜。そうすれば私と一緒に幸せになれるんだよ〜!可愛いねぇ〜。良い匂いだね〜。たっぷり愛してあげるからね〜。」

 

キコア「・・・・!!」

 

ゴードンのふしだらな行為にキコアが怒りを覚えた。

 

タクト「キコア。」

 

キコア「っ・・・タクトさん・・・?」

 

ゴードン「もう私から逃げられないよ〜!」

 

シャーラ「キコア!!!」

 

エミリー「ハァッ!!」

 

執事を殴り飛ばしたエミリー。

 

シャーラ「え・・・?」

 

ゴードン「っ!?」

 

タクト「テメェ!!!」

 

ゴードン「や、止めろ!!」

 

タクト「ドルァ!!」

 

ゴードンの胸倉を掴んで殴って気絶させた。

 

タクト「そのまま寝てろ。」

 

キコア「シャーラ!」

 

シャーラ「キコア!うぅぅ・・・!」

 

キコア「一緒に何処か遠い所へ逃げてくれるか?」

 

シャーラ「・・・はい・・・何処にでも・・・!」

 

タクト「駆け落ちか。」

 

エミリー「待て!それだとあなた達の家が!」

 

キコア「僕達は決心したんだ!もうあの家へ戻らない!親が勝手に決めた婚約者へ行く位なら、逃げる方がマシだ!」

 

タクト「・・・分かった。だったら俺が途中まで送ってやる。」

 

エミリー「途中まで護衛させてくれ。」

 

キコア「・・・すまない。感謝する。」

 

タクト「行こう!」

 

4人は走り出した。

 

 

 

 

 

 

アズラク家。

 

ジュスト「犯人は見付からないのか!?」

 

奉公人「すみません・・・」

 

 

 

 

クラースニイ家。

 

奉公人「犯人は見付かりません!」

 

アルベルト「クソッ・・・!」

 

 

 

 

一方フェオン達は。

 

グレア「嘘!?・・・うん・・・分かった。また後でね。」

 

テレパシーでタクトと会話した。

 

フェオン「どうしたの?」

 

グレア「キコアとシャーラが駆け落ちを決意したって。」

 

アンナ「え!?」

 

グレア「タクトとエミリーが途中まで護衛するって言ってた。」

 

ヒナ「救う手段が見付からなかったんですね・・・」

 

カサンドラ「そんな!きっと何かあるはずですよ!!」

 

グレア「う〜ん・・・・」

 

 

 

 

 

 

そして、逃げ出した4人は。

 

タクト「とは言っても、一体何処へ?」

 

キコア「この国を出て、別の国へ。」

 

エミリー「ん?タクト!」

 

タクト「おっと!どうしたエミリー?」

 

エミリー「見てくれ。」

 

シャーラ「ん?」

 

道の端にある石碑を見付けた。

 

タクト「石碑か?赤と青の狭間により、黄金の光を手に入れる。」

 

キコア「もしかしたら・・・本当に財宝伝説が・・・!?」

 

シャーラ「でも、赤と青の狭間って何?」

 

タクト「ちょっと皆を招集しよう。」

 

テレパシーでグレアに連絡する。

 

 

 

 

すぐに全員が集まった。

 

フェオン「この石碑?」

 

グレア「あ!さっき私が見た石碑じゃん!」

 

タクト「お前見たのか?」

 

グレア「うん。でもどう言う意味か分からないの。」

 

フェオン「赤と青の狭間って何・・・?」

 

ヒナ「難しいですね・・・」

 

全員が考え込んでいると。

 

タクト「赤と青・・・狭間・・・紫・・・紫?あ!!」

 

ティオ「ど、どうしたの?」

 

タクト「俺、解ったかも!」

 

イザベラ「本当ですか!?」

 

シャーラ「答えは何なんですか!?」

 

タクト「ヒナ。赤と青を混ぜたら何色になる?」

 

ヒナ「えっと・・・紫?」

 

タクト「そう。赤と青の狭間は紫色を表しているんだ。つまり紫色がある場所と言ったら・・・」

 

 

 

 

 

 

サゴール門。

 

グレア「サゴール門?」

 

アンナ「ここにあるんですか?」

 

タクト「グレア。さっきコスモスの花を観賞してたよな。コスモスの色は紫色。だとすると、この辺にあるのは確かだ。・・・あ、あった!!」

 

コスモスの裏の森の奥の地面を掘ると、大きい箱が発掘された。

 

タクト「よっと。」

 

ウルトラ念力で大きい箱を持ち上げた。

 

フェオン「これが財宝?」

 

タクト「開けるぞ。」

 

大きい箱の蓋を開けた。

 

タクト「こ、これは・・・!!」

 

中には、大量の宝石と金銀財宝が入っていた。

 

キコア「あった!」

 

ドロレス「これは凄い・・・!」

 

レア「凄い輝きだぞ!」

 

シャーラ「キコア。」

 

キコア「うん。行こう。」

 

タクト「俺が運ぶ。親御さんの所へ。」

 

キコア「ああ。」

 

 

 

 

 

 

一方両家の当主と婚約者達は、ヴォルメリオ村に集まっていた。

 

ゴードン「いつまで待たせるんだ!!」

 

ベロニカ「もういい加減にして下さい!!」

 

ジュスト「・・・・」

 

アルベルト「どうすれば・・・」

 

しかしそこに。

 

シャーラ「お父様!!」

 

キコア「父さん!!」

 

アルベルト「っ!!シャーラ!!」

 

ジュスト「キコア!」

 

アルベルト「あ、お前達は指名手配の!!すぐに捕らえろ!!」

 

シャーラ「待って下さいお父様!彼らは無罪です!」

 

キコア「父さん。僕達財宝を見付けたんだ。」

 

タクト「その証拠に、これを見ろ。」

 

箱を開けて金銀財宝を見せた。

 

ジュスト「何・・・!?」

 

ゴードン「何!?」

 

ベロニカ「何ですって!?」

 

ゴードン「私より先に見付けてしまったのか・・・!」

 

ベロニカ「私が狙っていたのに・・・!」

 

アルベルト「貴様ら!!それが目的だったのか!!!」

 

シャーラ「2人で使って下さい。これがあれば借金も返せるんでしょ?」

 

アルベルト「私達の為に財宝を・・・シャーラ。色々とすまなかった・・・」

 

ジュスト「キコア。愚かな私を許しておくれ・・・」

 

キコア「もう良いんだよ父さん。分かってくれるなら。」

 

アルベルト「君達にも迷惑を掛けたな。指名手配は撤回する。許して欲しい。」

 

タクト「いやいや。」

 

ゴードン「宝がないなら、こっちから願い下げだ。」

 

ベロニカ「婚約は破棄させて頂きます。」

 

2人が帰ろうとしたが。

 

執事「それは俺達の物だ。」

 

ゴードン「何言ってるんだ。もう宝は無いんだ。早く帰るぞ。」

 

執事「宝を寄越せ!!!」

 

すると執事の目が真っ赤に染まった。

 

ゴードン「な、何だ!?」

 

アルベルト「あれは!!」

 

フェオン「魔人!?」

 

ベロニカ「キャアアアーー!」

 

目の前の魔人にベロニカとメイドが一目散に逃げ出した。

 

魔人「ウオオオオオオオ!!!!」

 

口から魔法弾を放射した。

 

タクト「危ない!!」

 

魔法弾がキコアとシャーラに直撃しようとしたが。

 

ゴードン「クッ!!」

 

咄嗟に飛び出したゴードンが2人を押し倒して避けた。

 

魔人「グルルルル・・・!」

 

シャーラ「あなた・・・」

 

ゴードン「ヘヘッ・・・これで少しは役に立てたかな・・・?」

 

魔人「タカラヲヨコセ・・・!!」

 

ゴードン「まさか僕の執事が魔人だったなんて・・・」

 

タクト「・・・!お前達は逃げろ!」

 

飛び出したタクトが、魔人を掴んで広い草原へ飛んで行った。

 

キコア「タクトさん!!」

 

すると草原から眩い光が発生した。

 

アルベルト「何だ!?」

 

レア「タクト!!」

 

 

 

 

 

 

全員が草原へ向かうと。

 

ティガ「タッ!」

 

魔人「・・・・!!」

 

ウルトラマンティガと魔人が睨み合っていた。

 

ティガ「タァッ!」

 

魔人「グルゥ!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

マルチキックを避けた魔人が、ティガの背中をチョップした。

 

魔人「グルゥ!」

 

ティガ「タァッ!」

 

魔人のチョップを受け止め、マルチチョップでダメージを与えた。

 

ティガ「フッ!!」

 

側転からのバク転で魔人の背後を取った。

 

ティガ「タァッ!!」

 

魔人「ゴアァッ!!」

 

背中にマルチキックが直撃した。

 

ティガ「タァッ!!」

 

更に魔人の肩を掴んでウルトラホイッパーで後ろへ放り投げた。

 

魔人「グルルルル・・・!」

 

 

 

 

 

 

キコア「あの姿は・・・?」

 

グレア「ウルトラマンティガ。タクトが変身した超古代の戦士だよ。」

 

シャーラ「ウルトラマン・・・ティガ・・・」

 

 

 

 

 

 

ティガ「タァッ!!」

 

背負い投げで魔人を投げた。

 

 

 

 

魔人「グルゥ!!」

 

ティガ「ドゥアッ!」

 

飛び蹴りを喰らった。

 

 

 

 

ティガ「タァッ!」

 

魔人「ゴアァッ!!」

 

マルチキックを繰り出した。

 

 

 

 

魔人「グルゥ!!」

 

ティガ「アアッ!!」

 

持ち上げられて後ろへ投げられた。

 

 

 

 

ティガ「ハアアァァァァァ!タァッ!」

 

ジャイアントスイングで魔人を投げた。

 

 

 

 

ティガ「フッ!」

 

魔人「グルルルル・・・!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

走り出したティガを魔人がキックで止めた。

 

魔人「グルルルル!!」

 

ティガ「ウッ!!」

 

倒れたティガを踏み付ける。

 

ティガ「ッ!!」

 

転がって避けて起き上がった。

 

魔人「グルルルル!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

突進する魔人の腹をマルチパンチ。

 

ティガ「フッ!!」

 

怯んだ魔人の肩を掴んだ。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ウルトラホイッパーで投げた。

 

魔人「グルルルルルル・・・!!」

 

ティガ「フッ!」

 

大きく横にゆっくり広げてエネルギーを集め、更に両腕を前に突き出し交差させてエネルギーを集める。

 

魔人「グルルルル・・・!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

カラータイマーを中心にして、全身からから眩い光のエネルギーを放つタイマーフラッシュスペシャルを魔人に与える。

 

魔人「ゴアアアアアアァァァァァァ!!!」

 

その眩い光に、魔人が苦しむ。

 

ティガ「ーーーーー!!」

 

力を振り絞って威力を高める。

 

 

 

 

全員「・・・・!!」

 

眩い光に全員が眼を細める。

 

 

 

 

ティガ「ーーーー!!ウッ・・・!」

 

エネルギーを使い果たして疲れ果てるが。

 

魔人「ゴアアアアアアァァァ!!!」

 

タイマーフラッシュスペシャルの眩い光に苦しんでる魔人が跡形もなく溶けた。

 

 

 

 

フェオン「よし!」

 

カサンドラ「やった!」

 

 

 

 

”ピコン”

 

ティガ「・・・・・」

 

光となり、タクトの姿に戻った。

 

 

 

 

 

 

戦いが終わった後。

 

ゴードン「あなた達には迷惑を掛けてしまいました。申し訳ありません。」

 

アルベルト「いや、元々経営安定の為に勝手に婚約者を決めた私にも非がある。」

 

ゴードン「家へ帰って婚約破棄の事を父上に話します。私は私自身で婚約者を見付けます。ではこれで。」

 

彼はヴォルメリオ村から去って行った。

 

キコア「アルベルト様。シャーラと結婚させてくれませんか?」

 

アルベルト「勿論だとも。シャーラは、キコア君と言う男にこそ、貰ってもらいたい!」

 

シャーラ「・・・!」

 

結婚が認められたキコアとシャーラが抱き締め合う。

 

アンナ「良かったですね・・・」

 

カサンドラ「はい・・・」

 

フェオン「一件落着ね。」

 

タクト「キコア。シャーラ。幸せにな。」

 

こうして、キコアとシャーラはめでたく結ばれた。クラースニイ家とアズラク家の借金は財宝により全額返済出来、2つの村に再び平穏が訪れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。フィオーレイノを発ったタクト達。

 

ドロレス「私、ここから別の旅へ行く。」

 

タクト「行くのか?」

 

ドロレス「まだ私の知らない国がいっぱいあるから、自分の目で確かめたいの。」

 

フェオン「また会えるかしら?」

 

ドロレス「いつかね。皆の健康を祈っているよ。じゃあ。」

 

充分の食料と金を持って、タクト達と別れて自分の旅へ進んだ。

 

ヒナ「またいつか会えますよ。」

 

エミリー「ああ。ドロシーなら大丈夫だ。」

 

タクト「よし、じゃあ俺達も旅へ行くか。」

 

フェオン「ええ!」

 

グレア「次はロバイト王国だね。」

 

『THE END』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
カサンドラ:高田憂希
ドロレス=ワイズマン:石見舞菜香
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩

キコア=アズラク:橋本晃太朗
シャーラ=クラースニイ:新田ひより

アルベルト=クラースニイ:佐久間元輝
ジュスト=アズラク:橘龍丸

奉公人:狩野翔
    八木侑紀

ゴードン:西山宏太郎
ベロニカ:衣川里佳
メイド:難波佑香

魔人:野瀬育二


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24・3「闇カジノを照らせ」

闇カジノを照らせ
魔物 登場



夜のボーンヒルシュ王都。

 

客人「よっしゃぁ!」

 

ディーラー「お客様。羽振りが良いですね。」

 

客人「まぁな。」

 

ここは、王都に潜む闇カジノ。

 

???(・・・・)

 

この闇カジノに、ライルと言う男が来店していた。

 

ライル(今回の客数はおよそ16人。今日もかなり儲けてるな。今日の情報を整理しないと。)

 

椅子から立ってカジノから出ようとした時。

 

”パタッ”

 

ライル(しまった!)

 

身分証明書を落としてしまい、支配人に見られてしまった。

 

支配人「おやおや、ジャーナリストの方ですか。」

 

ライル「クッ・・・!」

 

支配人「ここを見られたからには。」

 

”パチンッ”

 

支配人が指を鳴らすと、2人のガードマンに詰め寄られた。

 

ライル「・・・!!」

 

 

 

 

 

 

翌朝。王都の公園。

 

シア「ローラさん、今日も良い天気ですね。」

 

ローラ「そうね。今日も長閑で気持ち良いわ〜。」

 

リオ「シア。花冠作ってみたんだけど。どうかな?」

 

シア「わあ!可愛いです!」

 

作った花冠をシアに被せた。

 

シア「素敵です!リオさんって、とっても器用なんですね!」

 

リオ「それ程でもないよ〜。」

 

アンナ「きゃあ〜ん!シアちゃん可愛い〜!」

 

デイジー「物凄いテンション・・・シアに首ったけね。」

 

ケイティ「でも分かるよアンナ。シアってとっても可愛いよね。」

 

アンナ「ですよね!」

 

イザベラ「向こうは楽しそうだね。」

 

フェオン「朝っぱらから元気ね。それに比べて向こうは・・・」

 

タクト「・・・・」

 

ルリ「・・・・」

 

一方でタクトとルリは、切り株をテーブル代わりにしてポーカーをやっていた。タクトがトランプをシャッフルし、真ん中に置いた。2人が山札から5枚カードを引いた。

 

タクト「ん〜・・・・・」

 

ルリ「フッフ〜♪」

 

タクト(手札にあるのはハートの2、クローバーとダイヤのQ、そしてスペードとハートの9。これでツーペアかぁ。ここでハートの2を捨てて、運が良ければ9かQが来ればフルハウス。けど・・・)

 

ルリ「〜〜〜♪」

 

タクト(ルリのあの表情、かなり余裕の表情だ。既に手札が良い方なのか、または逆転のチャンスを狙っているのか。まぁ、どっちにしろ今回こそ勝たせて貰う。)

 

手札のハートの2を捨てて、山札から1枚引く。

 

タクト(ラッキー!ダイヤの9が出てフルハウス!さて、ルリはどう出る?)

 

ルリ「フフッ♪」

 

彼女は、手札を全部捨てて、山札から5枚取った。

 

タクト(何!?手札全部捨てた!?さっきの表情は何だったんだ・・・!?)

 

ルリ「タクト。準備出来たかしら?」

 

タクト「え?あ、ああ・・・(あの表情、まさか勝ち確!?ええい!男なら勝負だ!)ベット!」

 

ルリ「コール!」

 

タクト・ルリ「勝負!」

 

勝敗の結果。タクト・フルハウス。ルリ・フラッシュ。

 

タクト「げえええ!?マジかよおおおおお!!」

 

ルリ「またまた私の勝ちだね〜♪」

 

タクト「え!?手札全部捨ててフラッシュ!?お前何か不正をやらかしたんじゃねえだろうな!?」

 

ルリ「不正なんてしてないわよ。最初にタクトがカードをシャッフルする時を見てただけだけど?」

 

タクト「・・・お前まさか、シャッフルを見切ってたのか!?」

 

ルリ「フフ〜ン♪賭博ならこれ位しなきゃ当然でしょ?」

 

タクト「クゥ〜・・・!凄腕ギャンブラーって呼ばれてる理由が解った気がする・・・!」

 

ルリ「と言う訳で、今回も私の勝ちだね。」

 

タクト「ええい!持ってけ泥棒!」

 

賭け金をルリに渡した。

 

タクト「あ〜あ。俺の金3分の1が取られっちまったな〜。」

 

ミウ「昨日からずっとそれね2人共。タクト、あなたいつか無一文になるわよ?」

 

タクト「無一文になってもルリに勝つまで賭けてやるさ。」

 

スズ「止めといた方が良いよ?私なんてルリさんに全敗してお金取られちゃったんだから。」

 

タクト「それってあれか?一方的に勝負したからだろ?」

 

スズ「ウッ!」

 

タクト「賭け事はな、一方的じゃなく頭脳で勝負するモンだ。」

 

ルリ「でも私に負けちゃったけどね。」

 

タクト「くぅ〜・・・煽ってやがる・・・!」

 

パドメ「タクト様。タクト様がルリさんに勝てる日が来る事を信じています。」

 

リナ「そうですよ!タクトさん、気を病んではダメですよ!」

 

タクト「あぁ〜・・・パドメとリナはなんて優しいんだぁ〜・・・」

 

ジェシー「そう言えば、カサンドラちゃんは何処?」

 

ユリア「カサンドラさんなら、少し散歩へ出掛けましたわよ?」

 

カサンドラ「皆さーん!」

 

フェオン「あ!お帰りカサンドラ・・・え!?」

 

帰って来たカサンドラだが、彼女はボロボロになった男を連れて帰って来たのだ。

 

男「・・・・」

 

ルリ「カサンドラ!?この人誰なの!?拾って来た場所に捨てなさい!」

 

パドメ「ルリさん!それはダメですよ!」

 

タクト「カサンドラ。何処から連れて来たんだ?」

 

カサンドラ「はい。王都の裏路地です。」

 

タクト「アンタ、大丈夫か?」

 

男「ああ・・・大丈夫・・・」

 

タクト「ヒナ。回復を。」

 

ヒナ「分かりました。」

 

回復魔法で男の傷を治す。

 

男「助かった。ありがとう。俺はライル=フォラスト。ボーンヒルシュでジャーナリストをしているんだ。」

 

シア「ジャーナリストとは?」

 

グレア「記者だね。新聞などの。」

 

ユリア「一体何があったのですか?」

 

ヒナ「先程の傷・・・もしかして、盗賊団にやられたんですか?」

 

ライル「いや、盗賊じゃない。カジノだ。」

 

タクト「カジノ?」

 

 

 

 

その後シアとヒナが作った弁当をライルに食べさせて、彼から理由を聞いた。

 

ライル「この王都には、夜な夜な営業している闇カジノの噂を聞いてな。俺はそこの情報を探る為に潜入調査をしていたんだ。だが身分証を落としてバレてしまったんだ。」

 

タクト「成る程。カジノのガードマンにやられて裏路地で倒れていた所を、たまたま散歩してたカサンドラが見付けてくれたって訳か。」

 

フェオン「闇カジノは王都の何処にあるんですか?」

 

ライル「闇カジノは王都の野外劇場の地下にあるんだ。そこでは貴族やハンター達が夜な夜な荒稼ぎや散財しているんだ。」

 

タクト「闇カジノかぁ。」

 

 

 

 

 

 

その日の夜。グレアとティオが闇カジノがある野外劇場の地下へ潜入していた。

 

グレア「ここが闇カジノの現場だね。」

 

ティオ「情報通り。殆どは貴族や資産家。それに凄腕ハンターも居る。」

 

グレア「見てるだけで悍ましい光景だねぇ。」

 

タクト『分かってると思うが、ここの内装写真が欲しい。』

 

 

 

 

当のタクトは、ホテルのベッドで寝ながらテレパシーで伝えている。

 

タクト『お前達の念写を写真機に転送してくれ。』

 

 

 

 

闇カジノ。

 

グレア「分かってるよ。」

 

ティオ「じゃあ、気付かれないように行こう。」

 

 

 

 

2人は支配人やディーラーやガードマン、そして客人達から気配を悟られないように内装を念写する。

 

ティオ(結構儲けてるみたいだね。)

 

 

 

 

一方グレアは、会場の奥へ向かっていた。

 

グレア(金庫の内装を拝借〜♪)

 

金庫の中に潜り込み、中身を念写する。

 

グレア(うひょ〜♪結構稼いでいるみたいだね〜♪これだけあれば豪邸買えるね。)

 

金庫から出た。

 

グレア(これで全部かな?さてとそろそろ・・・ん?)

 

更に奥の方から何かを感じた。

 

グレア(ん〜?何かありそう。ちょっと見てみよう。)

 

奥の方へ行ってみる。そこには・・・

 

グレア(・・・え?何これ?)

 

支配人「内見は楽しめましたか?」

 

グレア(え!?)

 

後ろに支配人が立っていた。

 

グレア「どうして私を!?」

 

支配人「ここの通路は気配感知の魔道具があります。精霊であるあなたもお見通しです。」

 

グレア「そうなんだぁ〜。もし私が逃げたらどうするの?」

 

支配人「ここを見てしまったあなたを始末します。」

 

グレア「そっかぁ〜。じゃあここは、大人しくしましょうかな?」

 

彼女は大人しく支配人達に捕まってしまった。

 

グレア(ティオ。ごめんしくじった。奥の通路で捕まっちゃった。先に戻ってタクトに伝えて。)

 

 

 

 

ティオ(分かった。後で助けに行くから。)

 

無事だったティオは、一目散に闇カジノから抜け出した。

 

 

 

 

 

 

翌朝。

 

フェオン「何ですって!?グレアが!?」

 

ティオ「あの闇カジノの一部には、気配感知の魔道具が仕込まれていたみたい。グレアはそれに。」

 

ローラ「それで、何か分かった事あるの?」

 

ティオ「内装は普通のカジノだったけど、隅々までは見てなかったから。」

 

タクト「・・・・・」

 

一方のタクトは、2人が念写した闇カジノの写真を見ている。

 

パドメ「タクト様、どうされたんですか?」

 

タクト「ティオ。グレアは何処で捕まったか知ってるか?」

 

ティオ「奥の通路の方だよ。そこで支配人達に拉致されたんだ。」

 

タクト「成る程。皆、この写真を見てくれ。」

 

1枚の写真を見せた。

 

ミウ「これは?」

 

タクト「グレアが念写した金庫の側面の写真だ。通路の奥に黄色い光が見えるだろ?」

 

スズ「え!?何この光・・・!?」

 

タクト「あの闇カジノ、奥に何かありそうだ。」

 

イザベラ「でもどうするんですか?あの闇カジノをどうやって・・・」

 

タクト「そこで考えがある。」

 

ルリ「考え?」

 

 

 

 

 

 

夜。闇カジノ前にタクト達が入った。

 

 

 

 

闇カジノに入る前。

 

タクト『作戦はこうだ。俺達が客人のフリをしてカジノで荒稼ぎして、客人やカジノの金を巻き上げるって事だ。金が無くなったら、客人達は帰るはず。』

 

ジェシー『お金を0にするって事だね。』

 

タクト『そうだ。皆は好きなものをやってくれ。』

 

 

 

 

闇カジノ。

 

リオ「色々あるんだね。」

 

デイジー「でもどれがやりやすいのか分からないわ。」

 

タクト「皆はあのビッグシックスがオススメだ。あれは初心者でも出来る奴だ。んじゃまずは・・・あのルーレットだな。」

 

 

 

 

カジノの女王様・ルーレット。

 

タクト「・・・・・」

 

目利きでディーラーが転がしたボールとルーレットの回転速度を計算する。

 

タクト「黒の26。」

 

黒の26にチップを置いた。ボールは的中通り黒の26に入った。

 

タクト「っし!」

 

彼は次々と数字を的中して当たりまくる。遂にはチップが山積みになった。

 

 

 

 

一方ルリは、ポーカーをしていた。

 

ルリ「コール!」

 

フォーカードで勝った。

 

ルリ「ベット!!」

 

ストレートフラッシュで勝った。

 

ルリ「オールイン!!!」

 

ロイヤルストレートフラッシュで圧勝。

 

 

 

 

一方ローラは。

 

ローラ「フッ!」

 

カジノダーツで次々と真ん中に命中した。

 

シア「わぁ!ローラさん凄いです!」

 

ローラ「これ位、大した事ないわよ。」

 

 

 

 

他の皆はと言うと。

 

スズ「また負けたーーー!!」

 

ビッグシックスでスズがボロ負けしている。

 

ユリア「スズさん。あなた完全に全敗ですわね。」

 

スズ「だってぇ〜!」

 

フェオン「スズ、あなたはもう止めなさい。」

 

スズ「うぅぅ・・・」

 

ミウ「それにしても・・・リオは凄いわね・・・」

 

そんな中リオは、ビッグシックスで全て大当たり。

 

リオ「凄いよこれ!全部大当たりしちゃったよ!」

 

デイジー「リオったら、何故か運が良いのよ。」

 

ジェシー「そうなんだぁ〜!」

 

パドメ「リオ様。凄いです。」

 

 

 

 

 

 

しばらくして、全員がカジノの金を全て荒稼ぎした。そこに支配人が数人のガードマンを連れてやって来た。

 

支配人「お客様。羽振りが良いようですね。」

 

レア「そう言う事も、あるな。」

 

アンナ「はい!いっぱい儲けちゃいました!」

 

タクト「さてと支配人。ここの闇カジノの摘発しに来た。既に証拠はがっちり収めてある。」

 

後ろには、ジャーナリストのライルが写真機を持っていた。

 

ライル「お前達が闇カジノを運営している所はしっかり撮らせて貰った。これを新聞に載せてお前達の悪事を公表する。」

 

支配人「フフッ。私はまだ終わりませんよ。とっておきのカジノをご用意しております。どうぞ此方へ。」

 

 

 

 

 

 

カジノの奥へ案内された。

 

支配人「では。」

 

”パチン!”

 

指を鳴らした支配人。突然照明が点いた。

 

タクト「ッ!?」

 

ここは、巨大な地下闘技場だった。

 

支配人「ではここで、最大の目玉。バトルロイヤルを開催します!」

 

するとひし形の檻が地面から出現し、タクトだけを閉じ込めた。

 

タクト「何!?」

 

フェオン「タクト!!」

 

エミリー「タクト!!」

 

ヒナ「ッ!?」

 

周囲の客席を見ると、先程の客人達が集まっていた。

 

ヒナ「先程の方々がここに・・・!」

 

ライル「・・・!!」

 

支配人「では対戦相手のご登場です!!」

 

 

 

 

グワーム『ーーーーーーーー!!!!』

 

 

 

 

現れたのは、宇宙鋼鉄竜グワームだった。

 

スズ「魔物!?」

 

タクト(グワーム!?何でここに別の怪獣が・・・!?)

 

支配人「さぁさぁ皆さん!どちらが勝つか賭けて下さい!!」

 

客人「魔物に金貨100枚!!」

 

客人「金貨600枚!魔物に!!」

 

ローラ「魔物に賭け金を!?」

 

グワーム『ーーーーーーー!!!!』

 

タクト「彼奴ら、俺を殺したがってるな?だが俺は・・・金で殺されてたまるか!!」

 

スパークレンスの光を解放し、ウルトラマンティガへ変身し、10メートルに巨大化した。

 

ティガ「フッ!!」

 

グワーム『ーーーーーーー!!!!』

 

 

 

スズ「ティガ!これで勝てるよ!」

 

ユリア「タクトさん!」

 

 

 

 

ティガ「・・・・!」

 

グワーム『ーーーーーーー!!!!』

 

しかし、グワームの頭部には攫われたグレアが閉じ込められていた。

 

グレア『タクト!!』

 

ティガ「ッ!?」

 

 

 

 

ユリア「どうしたんですの!?何故攻撃しないんですの!?」

 

フェオン「どうしたのよタクト!!」

 

 

 

 

グワーム『ーーーーーーー!!!!』

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

攻撃出来ないティガに、グワームがのし掛かって何度も打撃を与える。

 

ティガ「アァッ!!」

 

何とか抜け出し、ティガが起き上がる。

 

グワーム『ーーーーーーー!!!!』

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

グワームが口から大気改造ガスを放射した。

 

 

 

 

フェオン「コホッ!コホッ!何なのコレ!?」

 

ナージャ「皆!天井に穴を開けて!」

 

フェオン「天井!?」

 

エミリー「そうか!」

 

ケイティ「換気作戦だね?」

 

フェオン「イザベラ!天井を開けて!」

 

イザベラ「うん!」

 

ナージャ「ティオ!」

 

ティオ「分かった!」

 

魔法弾で天井に穴を開けて大気改造ガスを換気する。

 

カサンドラ「皆さん!大丈夫ですか!?」

 

ライル「凄い・・・!」

 

 

 

 

支配人「グゥゥ・・・!?何だこれは・・・!!苦しい・・・!!」

 

客人達「ウワアアアア!!!」

 

大気改造ガスで支配人や客人達が汚染されていく。

 

ケイティ「もう!世話の焼けるおじさん達だね!!」

 

ジャンプして天井を破壊し、大気改造ガスを換気した。

 

支配人「ハァ・・・ハァ・・・」

 

 

 

 

月の光がティガとグワームを照らした。

 

グワーム『ーーーーーーー!!!』

 

ティガ「タァッ!!」

 

突進するグワームの頭部を掴み、そのまま首を絞める。

 

グワーム『ーーーーーーー!!!』

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

後ろからグワームの打撃を受けた。

 

”ピコン”

 

グワーム『ーーーーーーー!!!』

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

縦横無尽に振るグワームの頭部がティガを投げた。

 

 

 

 

フェオン「一体何で攻撃しないの?」

 

イザベラ「お姉ちゃん!あの魔物の頭にグレアさんが!」

 

レア「そうか!グレアを人質にしてるのか!!」

 

シア「一体どうすれば・・・!」

 

 

 

 

ティガ「・・・!」

 

グレア『タクト!このままじゃ負けちゃうよ!私に構わず倒して!』

 

ティガ「・・・」

 

グレア『早く!!私に構わず早く!!』

 

ティガ「俺は・・・お前を救う!!」

 

走り出したティガがジャンプした。そして。

 

ティガ「タァッ!!」

 

スラップショットでグワームの頭部に閉じ込められたグレアを救出した。

 

グレア『タクト!』

 

ティガ「タァッ!!」

 

グワーム『ーーーーーーーー!!!!』

 

マルチ・スペシウム光線がグワームに直撃し、グワームが爆発した。

 

 

 

 

スズ「ヤッター!!!」

 

ミウ「流石ね。タクト。」

 

 

 

 

 

 

翌朝。闇カジノの全貌が新聞に大々的に掲載され、支配人やディーラー、そして客人達が逮捕された。

 

ライル「君達のお陰で闇カジノの摘発が出来た。感謝する。」

 

ヒナ「いえいえ。」

 

ライル「それと、危険な目に遭わせてしまってすまなかった。これはそのお詫びだ。」

 

謝罪の金貨を差し出す。

 

フェオン「そんな悪いですって!私達は当然の事をしただけですから。」

 

パドメ「はい。ライル様が責任を負う必要はありませんから。」

 

ライル「・・・君達は優しいな。」

 

金貨を仕舞った。

 

ライル「じゃあ、私はこれで。次の仕事がまだあるからな。」

 

彼は仕事場へ行った。

 

シア「ライルさん、元気が出て良かったです。」

 

スズ「闇カジノなんて最初怖そうだったけど、皆と一緒だから怖くなかったよ。」

 

ユリア「スズさん、散財したお金は戻って来ないんじゃ?」

 

スズ「もお!それを忘れてる所だったのに!ユリアさんの意地悪!」

 

ローラ「あら?タクトとルリは?」

 

ジェシー「2人なら彼処だよ?」

 

切り株をテーブル代わりにポーカーをしている2人。

 

ケイティ「またポーカーやってるよ。」

 

タクト「今度こそ!ストレート!」

 

ルリ「ストレートフラッシュ!」

 

タクト「嘘だろ!?まさか俺のシャッフルを見切ってたのか!?」

 

ルリ「ううん。適当にやったらたまたま。」

 

タクト「何・・・だと!?お前どんだけ運が強いんだよ・・・」

 

ルリ「どうやら、私に勝てる日は遠いみたいね♪」

 

タクト「俺の所持金・・・3分の1・・・」

 

ナージャ「懲りないわねタクト。」

 

 

 

 

 

 

その翌日。

 

ナージャ「リオ。デイジー。ケイティ。そろそろ。」

 

リオ「そうだね。」

 

タクト「お前達。もう行くのか?」

 

ナージャ「私の記憶を取り戻しに行かなきゃ。リオ達と一緒に。」

 

デイジー「今まで楽しかったわ。また会えると良いわね。」

 

ローラ「ええ。また会いましょう。」

 

リオ「じゃあね。皆。」

 

こうして、リオ・デイジー・ナージャ・ケイティ組が別れを告げて旅へ行った。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩
リオ:土岐隼一
デイジー:寿美菜子
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか

ミウ:鈴木愛奈
ジェシー:照井春佳
シア:大野柚布子
ローラ:田中美海
リナ:花守ゆみり
スズ:種崎敦美
ユリア:大空直美
ルリ:田澤茉純
パドメ:宮原颯希

ライル:今井文也

客人:佐久間元輝
   田所陽向
   橘龍丸

支配人:麻生智久





次回予告

ボーンヒルシュ王国の地図に存在しない集落・ヴォルフメンシュ。この集落に隠された秘密とは何か。地図から消された理由を解き明かせ。

次回ウルトラマンティガ

地図にない集落

お楽しみに


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24・6「地図にない集落」

地図にない集落
魔物 登場



ボーンヒルシュ王国・昼間の森林。

 

タクト「・・・」

 

フェオン「ううぅぅ・・・」

 

この森林を歩くタクト達の姿があった。

 

 

 

 

今朝に遡る。タクトが何かを見ていた時。

 

タクト『・・・・』

 

カサンドラ『タクト?何見てるんですか?』

 

イザベラ『王都の地図ですか?』

 

タクト『ここボーンヒルシュ王国には、嘗て地図に載っていた集落があったんだ。』

 

ミウ『地図に載っていた集落?』

 

タクト『だが、数年前に突然地図から消されたんだ。』

 

ジェシー『へぇ〜。どうして消されたの?』

 

ローラ『何か壮絶な事件があったからじゃないの?』

 

フェオン『・・・・・』

 

タクト『何で消されたのかは分からない。』

 

フェオン『ま、まさか・・・そこへ行こうって言うんじゃ・・・』

 

タクト『じゃなかったらどうする?』

 

フェオン『絶対何か居るよ!!』

 

タクト『本当、それ克服したら良いんじゃない?』

 

フェオン『怖いものは怖いの!』

 

シア『大丈夫ですよフェオンさん。私が付いていますから。』

 

アンナ『私達一緒ですよ。』

 

フェオン『・・・うん・・・』

 

 

 

 

 

 

こうして、皆でその集落へ向かう事になったのだ。

 

スズ「け、結構暗いよ・・・昼間なのに暗い・・・」

 

ユリア「スズさん。あんまりくっ付かないで下さいます?」

 

レア「それで、何処にその集落があるんだ?」

 

タクト「この辺りのはずなんだがなぁ・・・グレア、ティオ、周囲の捜索を頼む。」

 

グレア「分かった!」

 

ティオ「任せて!」

 

精霊2人が周囲を調べに向かった。

 

タクト「2人が戻って来るまで、ここで待とう。」

 

エミリー「しかしタクト、何故そこまで地図に存在しない集落に行きたいんだ?」

 

タクト「そりゃあ・・・冒険心?」

 

ルリ「冒険心?何でそうなるの?」

 

タクト「いやぁ、男って色々冒険したくなる事があるし。それに、地図にない集落があるって聞くと無性に行きたくなるって言う俺の性。」

 

リナ「でも分かります!私もそう言う時ってよくありますから!」

 

パドメ「殿方とは、結構無謀なのでしょうか?」

 

タクト「言っとくがパドメ。俺を無謀だと思うのは間違いだぞ。これでも仲間の為に命を賭す事だってあるんだぞ。」

 

フェオン「その仲間を危険そうな場所に連れて行こうとしてるのは何処の誰よ・・・」

 

タクト「ぐっ。」

 

グレア「おーーーい!」

 

ティオ「怪しい場所発見したよ!」

 

タクト「お?」

 

 

 

 

 

 

2人が見付けた怪しい場所へ向かった。

 

タクト「ちょっと霧掛かってるな。」

 

ティオ「入ろうと思ったんだけど、邪悪な何かを感じて。」

 

イザベラ「この霧の奥に、集落があるのでしょうか?」

 

ヒナ「行ってみましょう。」

 

フェオン「う、うん・・・」

 

タクト「ティオ。結界を頼む。」

 

ティオ「分かった。」

 

風の結界を発動し、タクト達を包んだ。

 

タクト「じゃあ、行くぞ。」

 

全員が霧の中を進む。

 

 

 

 

しばらく進むと、霧が少し晴れた。

 

エミリー「霧が晴れたな。」

 

フェオン「結構進んだのかしら?」

 

ジェシー「ん?ねぇ、何か違和感しない?」

 

ミウ「え?違和感?」

 

パドメ「・・・いえ、感じませんが。」

 

タクト「皆。」

 

ルリ「ん?あ!」

 

周りを見ると、森の木が枯れていた。

 

タクト「違和感の正体は、この枯れた森林だ。」

 

アンナ「でも、何でこんなに枯れているんですか?」

 

レア「誰かの悪戯か?」

 

タクト「悪戯にしては規模が大きい・・・まさか!」

 

ティオ「どうしたの?」

 

タクト「ティオ、結界を開けてくれ。」

 

ティオ「わ、分かった。」

 

タクト「その前に、ヒナ。これ預けておいてくれ。」

 

ヒナ「え?は、はい。」

 

スパークレンスをヒナに預けた。結界が開き、タクトが結界から抜け出した。開いた結界が閉じた。

 

ミウ「タクト?どうしたのかしら?」

 

彼は出てからしばらく佇む。

 

フェオン「どうしたのよタクト?何かあったの?」

 

タクト「・・・クッ。」

 

突然右膝を付いて苦しんだ。

 

フェオン「ど、どうしたのいきなり!?」

 

タクト「ティオ・・・!」

 

ティオ「うん!」

 

急いで結界を開け、タクトが結界に入る。

 

ヒナ「大丈夫ですか!?」

 

治癒魔法でタクトを治した。

 

タクト「ああ。ありがとうヒナ。」

 

治った後、ヒナに預けたスパークレンスを貰った。

 

フェオン「急にどうしたのよ?倒れそうになったけど。」

 

タクト「この霧、酸性だ。」

 

レア「酸性だと?」

 

アンナ「だからさっき苦しんで・・・」

 

グレア「じゃあ、この枯れた森林は・・・」

 

タクト「酸性霧の影響で枯れたんだ。恐らく集落は、この酸性霧の影響で・・・」

 

カサンドラ「あ!皆さんあれ!」

 

前に、洞窟があった。

 

タクト「洞窟?」

 

イザベラ「ひょっとしたら、この洞窟の向こうに集落があるんでしょうか?」

 

タクト「・・・あるかも知れない。行こう。」

 

洞窟へ入る。

 

タクト(何故この森林に酸性霧が?)

 

しばらく進むと、出口が見えた。

 

フェオン「あれ、出口じゃない?」

 

タクト「抜けるぞ。」

 

出口へ出た。

 

 

 

 

 

 

全員「・・・・・・」

 

出た場所は、自然に溢れる集落だった。

 

タクト「ここが、地図にない集落・・・」

 

カサンドラ「何でしょう?さっきの森林とは桁違いに綺麗・・・」

 

フェオン「・・・ねぇ皆、ここ何かユエリアンに似てない?」

 

パドメ「・・・あ!確かに!ユエリアンに酷似しています!」

 

タクト「え?ユエリアンに酷似?」

 

カサンドラ「あ!彼処に人が!」

 

農作業をしてる2人の村人を発見した。

 

タクト「ちょっと聞いて来る。」

 

村人に尋ねてみる。

 

タクト「あの、すみません。」

 

すると、1人の村人が消えた。

 

タクト「え?何だ?」

 

そして、鎌がタクトの首に。

 

タクト「いいっ!?」

 

村人A「あなた、どうやってここまで来たの?」

 

村人B「もしかして、盗賊!?」

 

タクト「ち、ちょっと・・・!?俺は怪しい者じゃ・・・!」

 

フェオン「あなた!タクトを離しなさい!」

 

村人「・・・ん?あれ?フェオンさん?」

 

突然フェオンの名前を言って、鎌を仕舞った。

 

フェオン「え?何で私の名前を?」

 

村人「私よ!」

 

フェオン「・・・あ!ジリオラ!!」

 

アンナ「と、ダイアナさん!!」

 

タクト「え、これってまさか・・・」

 

カサンドラ「フェオン達の仲間ですか?」

 

ジリオラ「フェオンさん、この人は誰なの?初めて見る顔だけど。」

 

フェオン「彼はタクト=クリスティ。私達の仲間よ。」

 

ジリオラ「そうだったの!?さっきはごめんなさい!」

 

タクト「いやぁ、このパターンは2度目な気がする・・・」

 

カサンドラ「カサンドラです。初めまして。」

 

グレア「蝶々の精霊のグレアだよ!」

 

ティオ「僕はティオ。風の精霊だよ。」

 

ジリオラ「ワオ!猫耳に精霊!初めて見るわ!」

 

タクト「君達もフェオンの仲間か。」

 

ジリオラ「そう!私はジリオラ!フェオンさん達と同じユエリアンの戦士よ!」

 

ダイアナ「ダイアナです。ヒナさんシアちゃんルリさんパドメさんと同じ神子をやっています。」

 

タクト「驚いたな。ここにもユエリアンの仲間達が居たなんて。」

 

イザベラ「お2人共、どうしてこの集落に?」

 

ジリオラ「私達だけじゃないわ。もう1人居るの。ダイアナ。」

 

ダイアナ「うん。」

 

信号弾を上げた。

 

タクト「信号弾?」

 

すると風が起こった。

 

タクト「ッ!?」

 

全員「ッ!!」

 

???「皆さん、ご無事で何よりです。」

 

その声の主が、風と共に現れた。

 

フェオン「・・・え・・・!?」

 

イザベラ「あ、あなたは・・・!?」

 

ヒナ「まさか・・・!!」

 

 

 

 

 

 

女性「元気そうで良かった。」

 

 

 

 

 

 

1人の神子だった。

 

フェオン達「ティエンフ様!!」

 

ティエンフ「うふふ。」

 

タクト「お知り合い?」

 

ヒナ「ティエンフ様は、ユエリアンの戦士の先生なんです。フェオンさん達を育てた方です。」

 

タクト「ユエリアンの戦士の師匠・・・」

 

ティエンフ「皆さん本当に来てくれました。どうやってここへ?」

 

フェオン「はい。彼らと共に来たんです。」

 

ティエンフ「彼ら?」

 

タクト「あ、えっと。タクト=クリスティ。」

 

カサンドラ「カサンドラです。」

 

グレア「グレアだよ!」

 

ティオ「ティオだよ。」

 

ティエンフ「私はティエンフです。フェオン達戦士の師匠で神子長をしておりました。」

 

カサンドラ「凄く気品のあるお方です・・・」

 

ティエンフ「あら?フェオン、そのリングは?」

 

フェオン「あ、これですか?実は、タクトと結婚しまして。」

 

ジリオラ「結婚!?」

 

ダイアナ「フェオンさんが!?」

 

ティエンフ「そうですか。タクトさんがフェオンと・・・」

 

急にタクトを睨み始めた。

 

タクト「え、えっと・・・(あ、これ離婚しろ案件か・・・?)」

 

ティエンフ「ん〜・・・」

 

タクト「・・・・・」

 

ティエンフ「あらあら〜♪フェオンにやっと春が訪れたのですね〜♪素敵な男性と結婚出来て良かったです〜♪」

 

タクト「認めたし。」

 

ティエンフ「タクトさん。末長く、フェオンを宜しくお願いします。」

 

タクト「あ、は、はい!任せて下さい!」

 

スズ「何なのコレ?」

 

エミリー「所でティエンフ様。どうしてここに?アステール達の襲撃の後に何が?」

 

ティエンフ「あ、そうですね。」

 

 

 

 

 

 

彼女は理由を話した。

 

ティエンフ「アステール達の襲撃の時、私はジリオラとダイアナを救出してユエリアンを離れました。幾つもの国を渡って、最終的に辿り着いたのが、この集落でした。」

 

タクト「けど、3人以外村人が居なかったぞ。しかも皆、ユエリアンと酷似してるって言ってたけど。」

 

ジリオラ「ここはね、ティエンフ様が若い頃修行していた集落だったの。」

 

ジェシー「え!?そうだったの!?」

 

ダイアナ「昔は第2のユエリアンと呼ばれていたらしいの。」

 

レア「でも、綺麗に保っているのは何でだ?」

 

ダイアナ「保存魔法のお陰で、昔と変わらず存在し続けているみたいなの。」

 

ティエンフ「昔はボーンヒルシュ王国の皆さんがよく来てくれていました。けど、今は何故か地図から消されていて・・・」

 

ミウ「成る程。だからあの酸性霧がここを地図上から消されたのね。」

 

ジリオラ「酸性霧?」

 

タクト「実は王都への道は、酸性霧で閉ざされていて。」

 

ティエンフ「酸性霧・・・何が原因でそれが・・・」

 

”ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!”

 

全員「!?」

 

タクト「何だ!?」

 

突然地震が発生した。

 

 

 

 

 

震源地は、酸性霧が蔓延する森林。

 

”ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!”

 

地震が発生し、地割れが起こった。

 

???「ーーーーーーーー!!!」

 

その地割れから、巨大な物体が出現した。

 

 

 

 

 

 

タクト「俺様子見て来る!」

 

エミリー「おい!彼処は酸性霧だ!」

 

タクト「心配するな!スパークレンスが俺を守ってくれるからな!」

 

彼は震源地へ向かった。

 

ティエンフ「スパークレンス?」

 

フェオン「実はタクトは・・・」

 

???「ーーーーーーー!!!」

 

スズ「ね、ねぇアレ!!!」

 

全員「!?」

 

10メートルを誇る巨体の正体。それは・・・

 

 

 

 

 

 

強酸怪獣リトマルス。

 

 

 

 

 

 

リトマルス「ーーーーーーー!!!」

 

フェオン「災害級!?」

 

リトマルス「ーーーーーーー!!!」

 

そのまま進軍するが、保存魔法の力にぶつかった。

 

 

 

 

 

 

震源地。

 

タクト「霧が晴れてる・・・それにこの巨大な穴・・・」

 

地面に右手を付けて、穴から出現した何かを読み取る。

 

タクト「・・・ッ!?リトマルス!?何処まで怪獣が居るんだ・・・進行ルートは?」

 

リトマルスが進んだ跡のルートを見る。

 

タクト「集落・・・マズい!皆が!!」

 

急いで集落へ走った。

 

 

 

 

 

 

集落。

 

リトマルス「ーーーーーーーー!!!」

 

体から強酸を噴射し、保存魔法を溶かした。

 

リナ「魔法が!!」

 

更に強酸が、集落の家や畑を溶かした。

 

ジリオラ「私の畑が!!」

 

フェオン「皆!!応戦するわよ!!」

 

エミリー「ああ!!」

 

フェオン達が飛翔し、リトマルスに立ち向かう。

 

フェオン・エミリー・ローラ・リナ「ヤアァァァァァ!!」

 

大剣と太刀と剣と双剣でリトマルスの胴体を切り裂く。

 

レア・ユリア「ハアァァァァァ!!!」

 

旋刃盤とハンマーを振り下ろして、リトマルスの頭を叩き込んだ。

 

ミウ・ジェシー「タアァァァァァ!!!」

 

鎌とパンチでリトマルスの胴体に深手を負わせた。

 

ジリオラ「ヤアァァァァァ!!!」

 

現れたジリオラの鎌が、リトマルスの触手を切り落とそうとするが。

 

リトマルス「ーーーーーーーー!!!」

 

触手が伸び、ジリオラに接近する。

 

ジリオラ「ハァッ!!」

 

空中回転で避け、触手に切り傷を刻んだ。

 

アンナ「っ!!」

 

ボウガンを連射し、リトマルスの全身を突き刺した。

 

フェオン「効いてるわ!このまま行くわよ!!」

 

 

 

 

ティエンフ「何故災害級がここを・・・」

 

ダイアナ「でもあの災害級、今まで見てきた種類より異端です。」

 

シア「はい。私達もあの災害級と同じような存在を見ました。」

 

イザベラ「誰かが生み出したものなのかな?」

 

パドメ「或いは、大昔から眠っていた可能性があるかと思います。」

 

ルリ「どちらにせよ、このままじゃ奴が集落を破壊してしまう。」

 

 

 

 

リトマルス「ーーーーーーーー!!!」

 

激怒したリトマルスが触手を縦横無尽に振り回した。

 

フェオン達「うわああああああ!!!」

 

触手を受けたフェオン達が飛ばされてしまった。

 

 

 

 

ティエンフ「あ!」

 

イザベラ「お姉ちゃん!皆さん!」

 

 

 

 

スズ「あわわわわ!」

 

リトマルス「ーーーーーーー!!!」

 

怯えてるスズを発見したリトマルスが、強酸を噴射した。

 

スズ「うわああああ!!」

 

盾が発動し、巨大なバリアが展開した。

 

スズ「ほんと止めてよね!?死ぬの嫌だから!!」

 

リトマルス「ーーーーーーー!!!」

 

だがリトマルスが向きを変えて、倒れてるフェオン達に突進する。

 

フェオン「クッ・・・!!」

 

リトマルス「ーーーーーーー!!!」

 

ローラ「ッ!!」

 

フェオン達が潰されると思ったその時。

 

 

 

 

 

 

ティガ「タァッ!!」

 

 

 

 

 

 

ウルトラマンティガが、マルチキックでリトマルスを横に蹴り飛ばした。

 

フェオン「タクト!」

 

スズ「ウルトラマンティガ!!」

 

 

 

 

ティエンフ「あれは・・・!?」

 

イザベラ「ウルトラマンティガ。タクトさんです。」

 

ジリオラ「タクトさん・・・なの・・・!?」

 

ダイアナ「ウルトラマン・・・ティガ・・・」

 

 

 

 

 

 

リトマルス「ーーーーーーー!!」

 

ティガ「フッ!!」

 

触手を払い除け、リトマルスを押す。

 

リトマルス「ーーーーーーー!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

2本の触手がティガを叩いた。

 

リトマルス「ーーーーーーー!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

更に2本の触手でティガを押し返した。押し返されたティガだが、すぐに体勢を立て直して立った。

 

リトマルス「ーーーーーーー!!」

 

体から強酸を噴射した。

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

強酸を受けたティガが膝を付いた。

 

リトマルス「ーーーーーーー!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

マルチタイプからスカイタイプへタイプチェンジして走り出す。

 

リトマルス「ーーーーーーー!!」

 

再びリトマルスが強酸を噴射した。

 

ティガ「ハァッ!タァッ!!」

 

強酸をしゃがんで避け、ジャンプからのスカイキックでリトマルスにダメージを与えた。

 

リトマルス「ーーーーーーー!!」

 

2本の触手が伸び、ティガの腹部を首を縛った。

 

ティガ「ドゥアッ!?」

 

触手で縛られたティガが苦しむ。

 

 

 

 

 

 

ジリオラ「大変!ウルトラマンティガが!」

 

アンナ「援護します!!ルリさん!!」

 

ルリ「任せて!」

 

魔法でアンナの攻撃力を高め、アンナがボウガンを連射した。

 

 

 

 

 

 

ボウガンを受けたリトマルスが怯み、ティガが触手から解放された。

 

ティガ「ウッ・・・!」

 

リトマルスが向きを変え、フェオン達に突進する。

 

ティガ「ッ!!」

 

 

 

 

リトマルス「ーーーーーー!!」

 

フェオン「く、来るな・・・!!」

 

ティエンフ「ッ!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

フェオン達に突進しようとするリトマルスを、ティガが引っ張る。

 

リトマルス「ーーーーーー!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

しかし触手がティガを払い除けようとしてる。

 

ティガ「タァッ!!」

 

リトマルスの頭をスカイパンチで叩き込む。

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

だが触手がティガを突き飛ばした。

 

ティガ「ッ・・・!!」

 

 

 

 

フェオン「どうすれば良いの・・・!?」

 

ダイアナ「・・・!!」

 

するとダイアナが走り出した。

 

ジリオラ「ダイアナ!!」

 

リトマルスの前にダイアナが立つ。

 

ダイアナ「こっちに来ないで!!あっち行って!!」

 

彼女は信号弾でリトマルスの頭を攻撃した。

 

リトマルス「ーーーーーーー!!」

 

信号弾を受けてリトマルスが激怒し、ダイアナに向かって猛進する。

 

ジリオラ「ダイアナ!危ない!」

 

 

 

 

ティガ「ハァッ!!」

 

猛進するリトマルスの前に回ったティガが遠くへ引っ張るが。

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

溶かされた畑に足を突っ込んで怯んでしまった。

 

リトマルス「ーーーーーーーー!!」

 

ティガ「ウッ!ドゥアッ!」

 

縦横無尽に振り回るリトマルスの触手が、ティガを徹底的に叩く。

 

”ピコン”

 

 

 

 

シア「ティエンフ様!どうすれば!」

 

ティエンフ「っ!」

 

リトマルスの強酸噴射口を見て、ティエンフが閃いた。

 

ティエンフ「アンナ。これを。」

 

アンナ「それは?」

 

渡されたのは、白い液体が入った小瓶。

 

ティエンフ「それはアルカリ性の液薬です。これを、奴の噴射口に打ち込めば。」

 

アンナ「・・・はい!」

 

ボウガンに、アルカリ性の液体を括り付けた矢を装填して狙いを定める。

 

アンナ「・・・そこです!!」

 

トリガーを引いて発射。液体が噴射口に入り、小瓶がリトマルスの体内で破裂した。

 

 

 

 

リトマルス「ーーーーーーー!!!」

 

液薬が身体中を巡り、中和され、リトマルスが苦しむ。

 

ティガ「ッ!」

 

リトマルス「ーーーーーーー!!!」

 

苦しむリトマルスが強酸を噴射しようとするが、強酸がただの霧になっていた。

 

ティガ「ハァッ!タァッ!」

 

スカイキックを2回命中。

 

ティガ「タァッ!!」

 

そのままリトマルスの頭を何度も殴る。

 

リトマルス「ーーーーーーー!!!」

 

霧を噴射するが。

 

ティガ「フッ!」

 

足で噴射口を塞がれた。

 

ティガ「タァッ!」

 

かなりのダメージを与え、ティガが側転して下がった。

 

リトマルス「ーーーーーーーー!!!」

 

触手を振り上げたリトマルスが。

 

ティガ「ッ!?」

 

触手を地面に叩き付け、その反動を利用してジャンプした。

 

ティガ「タァッ!!」

 

しかしティガは前転して、リトマルスの下を潜って避けた。

 

リトマルス「ーーーーーーーー!!!」

 

着地したリトマルスがティガの方へ振り向く。

 

ティガ「フッ!」

 

両腕を胸の前で交差させ、瞬時に左右に伸ばしてから上にあげてエネルギーを集める。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ランバルト光弾がリトマルスに直撃し、リトマルスが爆発した。

 

 

 

 

スズ「やったぁー!!」

 

 

 

 

ティガ「・・・・・」

 

光となって、タクトの姿に戻った。

 

 

 

 

 

 

戦いの後、集落はリトマルスによって破壊されてしまっていた。

 

タクト「折角の集落が・・・」

 

ジリオラ「私の畑が・・・」

 

ダイアナ「ティエンフ様、これからどうしましょう・・・」

 

ティエンフ「・・・ならば、また新しい居場所を探しに行きましょう。」

 

ジリオラ「え?」

 

ティエンフ「ここで落ち込んでいても、何も始まりません。また新しい居場所を見付け、そこからまた新しい生活を始めれば良いのです。」

 

ジリオラ「ティエンフ様・・・そうですね!」

 

ティエンフ「フェオン。皆さんも一緒に行きませんか?」

 

フェオン「・・・ティエンフ様、折角のお誘いですが。私達は私達の旅があります。その旅の果てに何があるのか、私達で見極めたいんです。」

 

ティエンフ「そうですか。では、また皆さんと会えるのを楽しみにしています。カサンドラさん、グレアさん、ティオさん。皆さんを宜しくお願いします。」

 

カサンドラ「はい!」

 

グレア「任せて!」

 

ティオ「勿論だよ!」

 

ティエンフ「タクトさん。フェオンを宜しくお願いします。」

 

タクト「ああ。しっかり受け取ったぜ。」

 

ジリオラ「じゃあ皆、また会おうね!」

 

ダイアナ「お元気で!」

 

2人は、ティエンフと共に集落を去って行った。

 

タクト「良かったのか?一緒に行かなくて。」

 

フェオン「私達は私達で、やりたい事いっぱいあるしね。それに、大切な夫を残して行く訳ないでしょ?」

 

タクト「だな。」

 

カサンドラ「しかし、ティエンフはアルカリ性の液薬を持っていましたけど。あれは一体。」

 

アンナ「ティエンフ様は、草や花の他に、物質で薬を調合すると言う変わった趣味を持っていまして。」

 

タクト「何それ怖い・・・怒らせたらやばそう・・・」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩
ミウ:鈴木愛奈
ジェシー:照井春佳
シア:大野柚布子
ローラ:田中美海
リナ:花守ゆみり
スズ:種崎敦美
ユリア:大空直美
ルリ:田澤茉純
パドメ:宮原颯希

ジリオラ:諏訪彩花
ダイアナ:長縄まりあ

ティエンフ:平野綾





次回予告

国民に愛され、癒しの歌を持つと言われる4人の少女聖歌隊。その歌声が、突如復活したデザイアドールに奪われてしまった。彼女達に隠された秘密とは。

次回ウルトラマンティガ

奪われた歌

お楽しみに


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24・9「奪われた歌」

奪われた歌
デザイアドール 登場



ボーンヒルシュ王国。

 

フェオン「ハァッ!!」

 

レア「ぐはっ!!」

 

模擬戦でフェオンがレアを飛ばした。

 

フェオン「前より中々になったわね。レア。」

 

レア「けどフェオン、もうちょっと手加減して欲しいぞ。」

 

フェオン「そんなんじゃ、強くなれるの遠くなるわよ?」

 

ヒナ「フェオンさん、レアさん。お疲れ様です。」

 

イザベラ「終わったみたいだね。」

 

アンナ「では、そろそろ行きましょうか。」

 

フェオン「行くって何処へ?」

 

アンナ「聖歌隊の歌を聴きに。」

 

 

 

 

 

 

野外劇場。

 

聖歌隊「ーーーーーーー♪」

 

この日は、4人の少女聖歌隊が歌を披露していた。彼女達の歌声で、国民達は癒されている。

 

フェオン「ん〜。良い歌声ね〜。」

 

アンナ「何でしょう?今まで戦った疲れが一気に飛ぶ感じです〜。」

 

レア「お?痛みが一気に消えたぞ?」

 

カサンドラ「しかし、聖歌隊の歌を聴く前に模擬戦なんて。」

 

グレア「まぁまぁ。レアが公演まで時間があるから時間潰しにって。」

 

ティオ「それにしても、本当に凄いなぁ〜。僕の竪琴と共演したいよ。」

 

タクト「・・・・・」

 

エミリー「ん?どうしたんだタクト?」

 

タクト「いや、何でもない。(何だ?彼女達から感じる違和感は。)」

 

アンナ「あの聖歌隊は、4人の女の子達で結成されたんですよ。元気で周りを元気付けてくれるビヤンさん。皆に勇気を与えてくれるクラージュさん。優しくて癒し系のジャンティーさん。自分の誇りが取り柄のルビアさん。」

 

ローラ「流石アンナ。物知りね。」

 

アンナ「そして、彼女達聖歌隊を支えているのは、バイオリニストのシオン=パルティさん。ボーンヒルシュ王国パルティ聖堂のお孫さんです。」

 

リナ「へぇ〜。」

 

 

 

 

 

 

聖歌隊の歌唱が終わった。

 

スズ「凄い良い歌だったね〜。私心が和んじゃいそうだよ〜。」

 

シア「はい〜。」

 

ユリア「今度お会いしたら、是非お礼を申し上げましょう。」

 

タクト「・・・・」

 

そんな中タクトは、劇場から降りる4人を見ている。

 

ルリ「どうしたのよタクト。」

 

タクト「え?何が?」

 

パドメ「さっきからずっと聖歌隊の方々を見てましたけど。」

 

タクト「ちょっと気になってな。」

 

ミウ「気になる?彼女達の事が?」

 

ジェシー「でも、気になる所なんて無いけど。タクトさんの勘違いじゃないかな?」

 

タクト「だと・・・良いんだけど。」

 

アンナ「タクトさん、明日も公演がありますよ。また聴きに行きましょう。」

 

タクト「ああ、そうだな。」

 

 

 

 

 

 

その夜。ボーンヒルシュ王国・パルティ聖堂の片隅の部屋。

 

ビヤン「疲れた〜・・・」

 

クラージュ「全く。あれ位でヘコたれるんじゃないわよ?」

 

ビヤン「歌は好きだけど、歌い続けると疲れるって言うか・・・」

 

ジャンティー「ビヤンちゃんは、もう少し腹式呼吸を鍛えたら長時間歌えるようになれるよ?」

 

クラージュ「ジャンティーは本当ビヤンを甘やかし過ぎよ。」

 

ルビア「情けないわね。そんなんじゃ、私みたいな世界一の聖歌少女になれないわよ?」

 

クラージュ「自称の癖によく言うわね。」

 

ルビア「五月蝿いわね!」

 

シオン「まあまあ落ち着いて。」

 

ビヤン「ん?ねぇ、今日の夜空綺麗だよ。見に行かない?」

 

 

 

 

 

 

丘の上。

 

ジャンティー「綺麗な星空。」

 

ビヤン「最初に見た時の事、覚えてる?」

 

クラージュ「覚えてるわよ。皆で世界一の聖歌隊になろうってビヤンが言ってたもんね。」

 

ビヤン「えへへ。」

 

そこに忍び寄る、黒い影が。

 

ジャンティー「ん?誰か居る。」

 

ビヤン「え?」

 

シオン「誰・・・!?」

 

その影が、彼女達の前に姿を現した。

 

影「見付けたわ。」

 

クラージュ「あなたは・・・!!」

 

ルビア「ど、どうしてアンタがここに居るのよ!!」

 

影「お前達に未来は、一生ない。」

 

その影が右手を伸ばした瞬間。

 

全員「っ!!」

 

ビヤン達4人が突然気を失って倒れた。

 

シオン「皆!どうしたの!?大丈夫!?」

 

影「あなた達の持ってる宝を頂くわよ。」

 

シオン「待って!」

 

4人に近付こうとする影の前に、シオンが立つ。

 

影「退きなさい。」

 

シオン「ああっ!」

 

右手で引っ叩かれてシオンが倒れた。

 

影「フフッ♪」

 

影が気絶したビヤン達の胸から、小さなカプセルを取り除いた。

 

影「これは頂くわ。」

 

そのカプセルを、影が飲み込んだ。

 

シオン「・・・皆に何をしたの・・・!?」

 

影「この子達の宝を奪ったまでよ。」

 

シオン「お宝・・・?」

 

影「安心しなさい。私は人間を殺さない主義なの。だから、あなたに危害を加えるつもりはないわ。最も、抵抗したら殺すつもりだけど。」

 

そう言い残し、影が去って行った。

 

シオン「・・・あっ!皆!」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、ホテルの一室に眠るタクトに異変が。

 

タクト「ムニャムニャzzz・・・・」

 

???『誰か・・・誰か助けて・・・!』

 

タクト「・・・ん・・・?」

 

声が聞こえ、タクトが起きた。

 

タクト「誰だ・・・?俺を呼ぶのは・・・?」

 

???『誰か助けて・・・!』

 

タクト「・・・ん?この声・・・聖歌隊のビヤン・・・?しかもテレパシーか?」

 

ビヤン『誰か聞こえて・・・』

 

タクト『聞こえる。君の声が。』

 

テレパシーで応えてみる。

 

ビヤン『あなたは・・・?』

 

タクト『タクト=クリスティ。君達の歌を聴いた客人の1人だ。君達に何があったんだ?俺に教えてくれ。』

 

ビヤン『実は・・・』

 

 

 

 

 

 

翌朝。フェオン達が起床したが。

 

フェオン「これは・・・」

 

『急に居なくなってすまない。声が聞こえて明朝に出てしまった。だが、俺が居る場所の地図を入れておいた。』

 

タクトからの置き手紙にそう書かれてあった。

 

フェオン「一体どうしたのかしら?」

 

グレア「タクトの事だよ。何かあったに違いない。」

 

カサンドラ「ですが、私達に置き手紙を置いて行くなんて。」

 

アンナ「皆さん!大変です!」

 

 

 

 

 

野外劇場。聖歌隊の公演中止の張り紙が貼られていた。

 

イザベラ「公演中止?」

 

フェオン「どうしたのかしら?昨日は元気に歌ってたのに。」

 

ジェシー「きっと、何か事情があったんじゃないでしょうか?」

 

レア「喧嘩か?」

 

アンナ「それはなさそうだけど・・・」

 

ミウ「タクトの居場所は?」

 

フェオン「この地図によると・・・丘の上だわ!」

 

 

 

 

 

 

丘の上にタクトがやって来た。

 

タクト「あ。」

 

青空を見てるビヤン達を発見した。ビヤン達がテレパシーでタクトに話し掛けた。

 

ビヤン『あなたがタクトさん?』

 

タクト「そうだ。タクト=クリスティ。ビヤンにクラージュ、ジャンティーとルビアだな。そして君がシオン=パルティ。教えてくれ。君達に何があったんだ?」

 

クラージュ『昨夜に奴が現れて、私達の声を奪ってしまったの。』

 

タクト「声を奪われた?だからテレパシーで助けを呼んだのか。君達の声を奪った奴は誰なんだ?」

 

ジャンティー『ロンズデーライトよ。』

 

タクト「ロンズデーライト?」

 

ルビア『奴はデザイアドールよ。』

 

タクト「なっ!?デザイアドール・・・!?何故デザイアドールが!?」

 

ビヤン『嘗て私達は、奴の配下だったの。でも私達は、デザイアドール達のやり方に嫌気が刺して裏切った。他にも反旗を翻した子達が居たけど、私達4人を除いて全滅してしまった。』

 

タクト「デザイアドールの配下・・・」

 

ジャンティー『デザイアドールの配下。私達はデザイアウォーリアと呼ばれていたの。』

 

タクト「人形達の近衛兵って訳か。」

 

ジャンティー『うん・・・』

 

タクト「それからどうするつもりなんだ?デザイアドールを裏切って、挙げ句の果て声を奪われて。もう君達には・・・」

 

ルビア『私達は諦めない。例え声を奪われても、私達には戦う力が残っている。ロンズデーライトを倒して声を取り戻し、再び人間達に歌を届けたい。その一心で自分達の人生を捧ぐ。それが私達聖歌隊のやるべき事よ。』

 

???「あなた達の人生はこれまでよ。」

 

全員「!?」

 

そこに現れたのは、紺碧のドレスを身に纏った女だった。

 

シオン「ロンズデーライト・・・!」

 

タクト「奴が・・・!」

 

ロンズデーライト「あなた達の声は私が持ってる。後はあなた達を処理するのみ。」

 

タクト(奴から酸性の匂いが・・・まさか・・・!!)

 

クラージュ『これ以上何をしようと言うの!?』

 

ロンズデーライト「あなた達は私達の裏切り者。裏切り者を始末するのが、私達デザイアドールの正義。さぁ、私達の正義の為に死になさい!!」

 

ショットガンの銃口をビヤン達に向けた。

 

ロンズデーライト「死ねぇ!!」

 

ショットガンを発砲した。

 

ビヤン『ッ・・・!!』

 

ショットガンの弾丸が、ビヤンの右肩を貫いた。

 

クラージュ・ルビア『ビヤン!!』

 

ジャンティー『ビヤンちゃん!!』

 

タクト「・・・・!!」

 

今度はシオンに銃口を向けた。

 

シオン「え・・・!?」

 

ロンズデーライト「我々への反逆は、死をもって償いなさい。」

 

ショットガンを握ってシオンに近付く。

 

シオン「・・・!!」

 

ビヤン『さ、させない・・・!』

 

左手でロンズデーライトの足を掴む。

 

ロンズデーライト「は、離せ!!」

 

タクト「ッ!!」

 

隙を見たタクトが、ロンズデーライトを殴り倒した。

 

ロンズデーライト「アアッ!!!」

 

タクト「自由と人生を踏み躙って・・・何が正義だ!!!」

 

ロンズデーライト「フッ。良いわ。あなた達全員皆殺しよ。」

 

ショットガンを仕舞って、巨大な斧を握った。

 

ロンズデーライト「さぁ、正義の為に死になさい!!!」

 

ビヤン『ッ!!!』

 

斧を振り下ろすロンズデーライトだが。

 

 

 

 

 

 

遠くからボウガンの矢が飛んで来た。

 

 

 

 

 

 

しかし、矢はロンズデーライトの体で弾かれた。

 

ロンズデーライト「ん?」

 

タクト「あ!!」

 

そこにフェオン達が駆け付けた。

 

フェオン「タクト!大丈夫!?」

 

タクト「ああ。」

 

ローラ「何なの彼奴?」

 

カサンドラ「あの姿・・・まさかデザイアドール!?」

 

スズ「何なのそれ?」

 

ヒナ「大昔の魔道具師達によって造られた、戦争を終わらせる為の魔道具です。ですが、その強暴の力故に封印されたはずですが・・・」

 

タクト「奴から酸性の反応があった。」

 

ジェシー「じゃあ、あの時の霧で・・・!?」

 

ロンズデーライト「邪魔が入ったわね。」

 

フェオン「ここは私達に任せて。タクトは彼女達を。」

 

タクト「分かった。こっち。」

 

急いでビヤン達を連れて避難した。

 

レア「お前の相手はレア達だ!覚悟しろ!」

 

ロンズデーライト「いいわ。あなた達から始末してあげるわ。」

 

フェオン「ハアァッ!!」

 

ローラ「フッ!!」

 

ユリア「タァッ!!」

 

3つの武器が、ロンズデーライトに直撃したが。

 

ロンズデーライト「どうしたの?この程度なんて片腹痛いわ。」

 

レア「だったらこれならどうだ!!」

 

カサンドラ「行きます!!」

 

リナ「ドリャアアアア!!!」

 

3人の攻撃を受けたロンズデーライトだが、傷1つすら付かなかった。

 

カサンドラ「か、硬い!?」

 

レア「頑丈な奴だ・・・!!」

 

ロンズデーライト「この程度とは残念ね。ハァッ!!」

 

巨大な斧を横に振って風を起こした。

 

フェオン達「うわああああああ!!」

 

イザベラ「お姉ちゃん!!」

 

ジェシー「どうなってるの!?」

 

ミウ「あれだけの攻撃を受けたのに、傷が付かないなんて・・・!」

 

グレア「ムムム・・・そうか!彼奴の体、ロンズデーライトで出来てる!」

 

アンナ「それってまさか、ダイヤモンドより硬い物質って事ですか?」

 

グレア「間違いないよ!」

 

ティオ「僕達の攻撃を受け付けないなんて・・・!」

 

 

 

 

 

 

丘の下。

 

タクト「皆苦戦してるみたいだ・・・」

 

シオン「どうするんですか?」

 

タクト「俺も戦う。」

 

ルビア『どうやって!?』

 

タクト「・・・・」

 

彼はスパークレンスを取り出して、光を解放した。

 

 

 

 

 

 

ティガ「タァッ!!」

 

ロンズデーライトの前に、ウルトラマンティガが現れた。

 

フェオン「タクト!!」

 

ティガ「フッ!」

 

ロンズデーライト「その姿・・・ウルトラマンティガか!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

ダッシュからの飛び蹴りがロンズデーライトに直撃した。

 

ロンズデーライト「ハアァッ!!」

 

斧を振り下ろしたが、ティガが側転で避けた。

 

ティガ「フッ!」

 

隙を見たティガがロンズデーライトの頭部を掴む。

 

ティガ「タァッ!ハァッ!」

 

頭部を掴みながら、腹部にニーキックを2回蹴り込む。

 

ロンズデーライト「離せ!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

右手の裏拳でティガを殴り飛ばした。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

起き上がったティガが、ロンズデーライトの両肩にマルチチョップを叩き込んだ。

 

ロンズデーライト「鬱陶しい!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

ショットガンで叩き飛ばされた。

 

ロンズデーライト「喰らえ!!」

 

ショットガンを連射した。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

横に転がってショットガンを避けた。

 

ロンズデーライト「すばしっこい奴め!!」

 

走り出したロンズデーライトが斧を振り下ろすが、ティガが前転で斧を避けた。

 

ロンズデーライト「ハァッ!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

立ち上がったティガをショットガンで殴った。

 

ロンズデーライト「ヤァッ!!」

 

ティガ「ハァッ!」

 

斧を再び前転で避けた。

 

ティガ「タァッ!」

 

ロンズデーライト「ガハッ!!」

 

近付くロンズデーライトをティガがマルチキックで止めた。

 

ティガ「タァッ!!」

 

再びマルチキックでロンズデーライトの脇腹を蹴った。

 

ロンズデーライト「ハァッ!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

ロンズデーライトのキックがティガを飛ばした。

 

ティガ「ッ!タァッ!!」

 

立ち上がったティガがロンズデーライトの首を掴む。

 

ティガ「タァッ!ハァッ!」

 

そのままロンズデーライトの腹部にニーキックを叩く。

 

 

 

 

 

 

ビヤン『あれは一体・・・?タクトさんなの・・・?』

 

グレア「え?テレパシー?」

 

フェオン「ウルトラマンティガ。超古代の戦士の姿よ。」

 

ジャンティー『ウルトラマンティガ・・・』

 

 

 

 

 

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

倒れたティガの首を、ロンズデーライトが締め上げる。

 

ロンズデーライト「ハァッ!!」

 

ティガ「アアッ!!」

 

首を締め上げられたティガが、後ろへ放り投げられた。

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

放り投げられたティガが倒れ、その場で起き上がる。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ロンズデーライト「グアッ!!」

 

ハンドスラッシュがロンズデーライトの左肩に直撃した。

 

ロンズデーライト「小癪な!!」

 

両目が発光した。

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

ティガの足元が爆発して炎が上がった。

 

ロンズデーライト「アッハッハッハ!!」

 

炎の中でティガがゆっくりと立ち上がった。

 

ティガ「ーーーーーーハァッ!!」

 

マルチタイプからパワータイプへタイプチェンジした。

 

ロンズデーライト「ん?」

 

 

 

 

フェオン「・・・・」

 

 

 

 

ティガ「フッ!」

 

走り出したティガ。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ロンズデーライト「アアッ!!」

 

パワーパンチがロンズデーライトの腰に命中し、ロンズデーライトを転ばせた。

 

ティガ「フッ!!」

 

倒れたロンズデーライトをマウントポジションで乗っかった。

 

ティガ「タァッ!!」

 

パワーチョップが、ロンズデーライトのショットガンを破壊した。

 

ティガ「タァッ!!」

 

パワーパンチでダメージを与えるが。

 

ロンズデーライト「ハァッ!!」

 

背中から煙が噴射した。

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

吹き飛ばされたティガが倒れた。

 

ティガ「ッ!」

 

ロンズデーライト「ハァ・・・ハァッ・・・!」

 

ティガ「フッ!ハアァァァァ!!!」

 

両腕を左右から上にあげ、胸の前に集めた超高熱のエネルギーを光球にした。

 

ティガ「タァッ!!」

 

デラシウム光流が、ロンズデーライトに直撃した。しかし。

 

ロンズデーライト「こんなものか!!!」

 

突如全身が輝き、デラシウム光流を打ち消した。

 

ティガ「ッ!?」

 

ロンズデーライト「私を本気にさせたわね・・・!!これを喰らいなさい!!!」

 

腹部が透け、4つのカプセルが浮き出た。

 

カプセル『ーーーーーーー♪』

 

そのカプセルから歌が響いた。

 

ティガ「ウアアアアアアア!!!」

 

その歌を聞いたティガが苦しむ。

 

ロンズデーライト「アッハッハッハ!!」

 

ティガ「ウッ!」

 

歌で苦しむティガを、ロンズデーライトが攻撃する。

 

ロンズデーライト「苦しめ!!苦しんで死ね!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

首を締め上げられた。

 

”ピコン”

 

 

 

 

 

 

エミリー「彼奴の外側は難攻不落の要塞そのものだ!私達が何百人で挑もうとも倒すのは不可能だ!」

 

スズ「じゃあこのまま放っておけって言うの!?」

 

シオン「外側・・・そうだ!皆、歌を歌って!」

 

ビヤン『え?』

 

シオン「外側からじゃダメなら、内側から攻撃するの。皆が歌えば、皆の声がロンズデーライトの体内から響くかも知れない!」

 

クラージュ『・・・やってみましょう!』

 

ビヤン『うん!』

 

彼女達は立ち上がった。シオンがバイオリンを奏でた。そして。

 

ビヤン・クラージュ・ジャンティー・ルビア『ーーーーーーー♪』

 

テレパシーで歌い始めた。

 

 

 

 

ティガ「ウアアアアアアア!!」

 

ロンズデーライト「あの時の苦しみを存分に思い知れ!!」

 

だが次の瞬間。

 

ロンズデーライト「うっ!?な・・・何だ・・・!?」

 

突然、ロンズデーライトが苦しみ始めた。

 

 

 

 

シア「見て下さい!様子が変です!」

 

 

 

 

ロンズデーライト「うああああああ・・・!!」

 

ティガ「ハァッ!」

 

苦しむロンズデーライトからティガが離れた。

 

 

 

 

ルリ「やった!賭けが当たったんだね!」

 

パドメ「ビヤン様達の歌声が、あのカプセルと共鳴したんですね!」

 

 

 

 

ロンズデーライト「や、止めろ・・・!!私を苦しめるな!!!!!」

 

斧を持って自分の腹部を叩き壊した。

 

ティガ「ッ!」

 

破壊された腹部からカプセルが飛び出した。

 

 

 

 

飛び出したカプセルが、ビヤン達の方へ戻った。

 

ビヤン「・・・あ!喋れる!」

 

ジャンティー「やったわ!」

 

ルビア「ロンズデーライト!!私達に不可能はないのよ!!」

 

 

 

 

ロンズデーライト「コ・・・ンナ・・・バ・・・カナ・・・」

 

思考停止して止まった。

 

ティガ「ーーーーーハァッ!!」

 

パワータイプからマルチタイプへ戻った。

 

ロンズデーライト「・・・・・・・」

 

止まったロンズデーライトが白目を向いた。

 

ティガ「フッ!!」

 

両腕を前に突き出し交差させ、大きく横にゆっくり広げてエネルギーを集める。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ゼペリオン光線が凍結したロンズデーライトに直撃した。

 

ロンズデーライト「・・・・・・・・」

 

後ろへ倒れたロンズデーライトが爆散した。

 

 

 

 

ジャンティー・シオン「やった!!」

 

ジェシー「勝った!!」

 

フェオン「彼女達の協力が無かったら、私達は勝てなかったわ。」

 

 

 

 

ティガ「・・・・・」

 

光となって、タクトの姿へ戻った。

 

 

 

 

 

 

翌日。野外劇場に聖歌隊が登壇した。

 

ビヤン「私達には、皆さんに言ってなかった秘密があります。」

 

クラージュ「私達は、人間ではなく、嘗て戦争を止める為に造られた魔道具の衛兵でした。」

 

ジャンティー「でも、その魔道具達のやり方に嫌気が刺し、私達は裏切って人間として生きて行く事を誓いました。」

 

ルビア「これを聞いた皆さんは、私達を危惧するかも知れません。ですが構いません。私達は、それを覚悟した上で公言しました。」

 

ビヤン「だから、それでも私達を愛してくれる事を信じています。」

 

聖歌隊が頭を下げた。すると。

 

”パチパチパチパチパチ!”

 

観客席から拍手が起こった。皆笑顔でビヤン達を信じてくれたのだ。

 

シオン「・・・!」

 

ビヤン・クラージュ・ジャンティー・ルビア「あっ・・・!!」

 

 

 

 

タクト(良かったな。皆。)

 

 

 

 

 

ビヤン「では、私達の歌を聴いて下さい。」

 

聖歌隊の歌が始まった。

 

 

 

 

 

 

公演後。ビヤン達はタクトに会った。

 

タクト「皆はこれからどうしたいんだ?」

 

ビヤン「決まってるよ!これからもずっと、皆の為に歌を届けるの!」

 

ジャンティー「うん!ボーンヒルシュだけじゃなく、世界中の皆に私達の歌をね!」

 

タクト「そうか。」

 

クラージュ「タクト。私達の為にありがとう。」

 

ルビア「私達からお礼を言うわ。」

 

タクト「俺は当然の事をしたまでさ。これからも、良い歌を世界中に届けてくれよ。」

 

ビヤン「勿論!」

 

タクト「じゃあな。」

 

シオン「ありがとうございました。」

 

 

 

 

 

 

皆が居る公園へ戻った。

 

フェオン「挨拶は済んだかしら?」

 

タクト「ああ。皆笑顔が戻って良かった。」

 

ヒナ「それにしても、驚きました。彼女達がデザイアドールの近衛兵だったとは。」

 

タクト「他にも仲間が居たらしくてな。結局皆殺しにされてしまったけど。」

 

カサンドラ「聖歌隊の皆さん、また会えますかね?」

 

タクト「会えるさきっと。」

 

 

 

 

その夜。ビヤン達は星空を眺めていた。

 

ビヤン・クラージュ・ジャンティー・ルビア・シオン「・・・・・」

 

 

 

 

 

 

その翌日。

 

フェオン「ローラ達は、まだ旅の途中?」

 

ローラ「はい。世界中を回るのが私達の旅ですから。」

 

スズ「何時かまた会おうよ。」

 

シア「皆さんに、神様のご加護がありますように。」

 

リナ「皆さん、お世話になりました!」

 

ユリア「ごきげんよう。」

 

ミウ「皆も元気でね。」

 

ジェシー「またね〜!」

 

彼女達も、それぞれの旅へ発った。

 

カサンドラ「ティオも。」

 

ティオ「うん。」

 

カサンドラ「皆さんと出会った時は忘れません。また何時か、何処かでお会いしましょう。」

 

ティオ「グレア。タクト達と元気でね。」

 

グレア「そっちも。元気でね。」

 

カサンドラ「皆さん、お元気で。」

 

ティオ「じゃあね。」

 

カサンドラとティオも自分達の旅へ向かった。

 

タクト「また、このメンバーに戻っちゃったな。」

 

ヒナ「はい。」

 

エミリー「そうだな。」

 

レア「何だか懐かしいメンツだな。」

 

フェオン「では改めて、次の旅へ出発するわよ!」

 

最初のパーティに戻ったタクト達が、次の旅へ向かった。

 

『THE END』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩
ミウ:鈴木愛奈
ジェシー:照井春佳
シア:大野柚布子
ローラ:田中美海
リナ:花守ゆみり
スズ:種崎敦美
ユリア:大空直美
ルリ:田澤茉純
パドメ:宮原颯希

ビヤン:磯部花凜
クラージュ:堀内まり菜
ジャンティー:熊田茜音
ルビア:吉武千颯
シオン=パルティ:高木美佑

ロンズデーライト:日笠陽子


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##キャラクター紹介##
キャラクター紹介タイプ1


「タクト=クリスティ」

 

声-綱啓永

 

 

年齢・16歳→19歳(3年後)

 

モデル・綱啓永

 

髪型・青髪ウルフカット

 

服・赤いシャツ、白いジャケット、青いジーンズ、白いハイカットスニーカー

 

制服・高等魔法学院の制服、白いスニーカー

 

性格・仲間思い

 

ウルトラマンティガに変身するアルティメット・マジシャンズの男。

ネオフロンティアスペースの歴史が得意の高校生だが、旅行中に旅客機ごとクリッターに消滅されそうになったが、突如現れた光に飲み込まれ異世界へ転生された。

この世界に転生後に精霊のグレアと6人の少女と出会い、森の中でウルトラマンティガの石像を発見した。

その直後に魔物に襲われた所、光となってウルトラマンティガになった。

 

転生してから3年間旅をし、アールスハイド王国で同じ転生者のシンと出会った。

アールスハイド王国高等魔法学院を第2位で入学し、Sクラスとなった。

超能力は可能で、牽制用として活用。

魔力障壁の代わりに、ウルトラシールドが使用可能。

 

3年もの間、多くの仲間達と出会っている。

これまでの旅で国を救い、王族を救うなどをした為数え切れない財力を持っている。

 

当初正体はカサンドラにしか明かさなかったが、ユエリアンの戦いでフェオン達に正体を明かされた。

仲間思いで、フェオン達を絶対に手放さないと誓っている。

ユエリアンとの戦いの後、フェオンに告白して正式に結婚した。

左手にオキザリスのマリッジリングを肌身離さず嵌めてる。

 

この世界の歴史事件に関してはかなりの博識だが、この世界のティガの歴史は未解明。

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『スパークレンス』

 

ウルトラマンティガに変身する為の神器。

元々はとある国のマーケットにある骨董店で化石として売られていたが、誰も買う者は居なかった。

だがそれを見たタクトが即座にそれを買って手に入れた。

辺境の森で発見されたティガと共鳴し、化石から復活した。

 

メリットとしては持っていると変身前の生身で超能力が使えるが、1ミリでも離してしまうと使えなくなるデメリットがある。

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『ウルトラマンティガ』

 

タクトがスパークレンスで変身する超古代のウルトラマン。

最初は辺境の森の奥で石像となっていた。

だが後にタクトが光となり、復活を遂げた。

3つのタイプチェンジで、魔物や魔人と戦う。

本来の身長にはなれず、等身大や魔物や10メートルの災害級に合わせた大きさで戦う。

 

 

形態

 

マルチタイプ・基本形態

スカイタイプ・俊敏形態

パワータイプ・剛力形態

 

グリッターティガ・最強形態

 

 

体型

 

マルチタイプ・権藤俊輔

スカイタイプ・岡部暁

パワータイプ・中村浩二

 

必殺技・ゼペリオン光線、ランバルト光弾、デラシウム光流

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『ヴォラーレリトス』

 

タクトが稀少宝石ジルコンを使って作り上げた首飾りの魔道具。

念を込めて光らせると、着けた人物を飛翔される事が可能。

11人分ある。

 

ヴォラーレはイタリア語で『飛ぶ』を意味する。

リトスとはギリシャ語で『宝石』を意味する。

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『フェオン』

 

声-内山夕実

 

 

 

年齢・15歳→18歳(3年後)

 

モデル・犬吠埼風

 

髪型・金髪ロングツインテール

 

服・黄色のマント、橙色のシャツ、灰色のキャミワンピ、茶色のブーツ

 

性格・正義感が強い、姉バカ

 

武器・大剣

 

タクトが出会った仲間。

 

ユエリアン出身でグループのリーダー。

幼少期の頃に両親を亡くしており、周りに助けを貰いながら妹のイザベラを育てた。

同じユエリアンの親友のエミリーとヒナとレアとアンナと戦士として育てられた。

今はイザベラとエミリー達6人と共に旅をしている。

料理が得意で、かなりの大食い。

誰からも頼れるお姉さん的存在だが、幽霊が苦手。本人曰く『斬れない相手』と語ってる。

かなりのシスコンで、イザベラを愛でてる。

 

女子力高いお姉さんに拘りを持っているが、タクトからは母親と評価されている。

ユエリアンとの戦いの後にタクトから告白され、快く受け入れ結婚した。

左手にタクトから受け取ったオキザリスのマリッジリングを肌身離さず嵌めてる。

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『イザベラ』

 

声-黒沢ともよ

 

 

 

年齢・13歳→16歳(3年後)

 

モデル・犬吠埼樹

 

髪型・金髪ショートヘアー

 

服・黄緑のマント、黄緑のワンピース、黄色のケープコート、紺色のブーツ

 

性格・優しい

 

武器・魔法

 

フェオンの妹。

両親は亡くなっており、姉であるフェオンに育てられた。

自分に優しくしてくれるフェオンをとても尊敬している。

姉のフェオンに憧れ、自身もユエリアンの戦士となった。

武器は魔法で、蔦の魔法で相手を束縛する戦法を得意とする。

まだ幼い頃に両親が亡くなっている為、両親との思い出は薄い。

タクトに憧れを抱いている。

 

ただフェオンのシスコン度にちょっと気が引けてるが、それでもフェオンを慕っている。

 

現在はフェオンがタクトと結婚し、彼の義妹になった。

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『エミリー』

 

声-大橋彩香

 

 

 

年齢・15歳→18歳(3年後)

 

モデル・乃木若葉

 

髪型・茶髪ポニーテール

 

服・青いマント、白いブラウス、黄色のジャケット、紺色のサスペンダーキュロットスカート、黒いブーツ

 

性格・正義感が強い

 

武器・太刀

 

フェオンと旅するユエリアンの少女。

太刀を武器とし、フェオンとの連携が得意。

男勝りが故に、女の子らしい事はあまりないらしい。

拳骨は鉄の鎧を砕ける程の威力を持つ。

タクトと模擬戦する事が多く、毎回引き分けになる。

女の子らしい服を着ると恥ずかしがる一面あり。

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『ヒナ』

 

声-高野麻里佳

 

 

 

年齢・15歳→18歳(3年後)

 

モデル・上里ひなた

 

髪型・黒髪ロングヘアー

 

服・黒い肩出しトップス、紺色の肩掛けコート(羽織り)、赤いハイウエストスカート、赤いペニーローファー

 

性格・優しい、世話好き、嫉妬深い

 

武器・魔法

 

フェオンと旅するユエリアンの少女。

エミリーの幼馴染みで、女でありながらエミリーに好意を寄せている。

世話好きで包容力があり、グループのお母さん的存在。

魔法を得意とする。

ユエリアンの神子の中では最上位クラス。

 

エミリーに好き過ぎるが故に、彼女に近付く女と男には物凄い威圧を放つ事も。

ただしタクトとシン達や知り合いにだけエミリーに近付く事を許している。

不安になるカサンドラを優しく抱擁して落ち着かせる事も。

羽織ってるコートには、魔法防御や防汚や衝撃緩和が付与されてる。

 

超絶なモデル体型で、タクト曰く『ミスコンで1発優勝』と称される程。

 

彼女の膝枕は柔らかくて気持ち良いとの事。

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『レア』

 

声-本渡楓

 

 

 

年齢・14歳→17歳(3年後)

 

モデル・土居球子

 

髪型・茶髪オールバックツインテール

 

服・オレンジのマント、青いシャツ、オレンジのジャケット腰結び、黒いショートパンツ、黒い靴

 

性格・元気

 

武器・旋刃盤

 

フェオンと旅をするユエリアンの少女。

メンバーの中で小柄で胸が小さい。

男らしい性格だが、髪を下ろすと超絶美女になるが本人は嫌っている。

アンナを妹のように可愛がっている。

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『アンナ』

 

声-近藤玲奈

 

 

 

年齢・13歳→16歳(3年後)

 

モデル・伊予島杏

 

髪型・クリーム色ロングヘアー

 

服・白いマント、白い服、白いボレロ、緑のサロペットスカート、緑のアンクレットフラットシューズ

 

性格・優しい

 

武器・ボウガン

 

フェオンと旅をするユエリアンの少女。

幼少の頃から身体が弱く、あまり外で遊べなかった。

戦士となったのは、身体を強くする為。

今は少しずつ改善している。

優しくて素直な子。

レアを姉として慕っていて、先輩付けで呼んでいる。

タクトに憧れを抱いている。

 

子供好きな一面があり、女の子に目がない時も。

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『カサンドラ』

 

声-高田憂希

 

 

 

年齢・不明

 

モデル・ネコ嬢

 

髪型・金髪ロングヘアー

 

服・白いブラウス、青いディアンドル風ジャンパースカート、白いパーカー、黒いブーツ

 

性格・生真面目、正義感が強い

 

武器・双剣

 

ネコ族の少女。

記憶を失っており、秘境に棲息する魔物から隠れながら生き延びていた。

後に秘境に訪れたタクト達によって助けられ仲間となった。

ネコ族であり身長が低く、アンナとソフィーに可愛がられてる。

小さな身体を利用した俊敏な戦いを得意とする。

 

カサンドラはタクトが名付けた名前。

 

後にフェオン達と共にリッテンハイムリゾートに訪れたタクトと再会した。

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「グレア」

 

声-高橋李依

 

 

 

年齢・300歳

 

モデル・胡桃(原神)

 

髪型・黒髪ツーサイドアップ

 

服・MHP3のファルメルシリーズ

 

性格・元気、活発

 

タクトが3年前に最初に出会った蝶々の精霊。

森の中で壁に埋められた所をタクトに助けられ、それ以降仲間として付いて行く事になった。

明るく活発なムードメーカーだが、ドジな一面もある。

回復魔法を得意とし、迷彩魔法で自身を透明化出来る。

 

現在も共に行動しており、フェオン達と共にクリスティ邸で暮らしている。

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「ティオ」

 

声-村瀬歩

 

 

 

年齢・300歳

 

モデル・ウェンティ

 

髪型・黒髪三つ編みツインテール

 

服・緑色の衣装、黒いローファー

 

性格・冷静

 

タクトが3年前に出会った風の精霊。

同じ精霊であるグレアとは古い友人。

タクトと別れた後は、カサンドラと共に旅をした。

格好は女の子で、一人称は僕だが、性別はない。

 

後にリッテンハイムリゾートでカサンドラと一緒にタクト達と再会した。

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「レベッカ=ホーク」

 

声-有村蓮

 

 

年齢・15歳

 

モデル・ソラ(モナ・リザの戯言)

 

髪型・青髪サイドテール

 

私服・青い服、黒いジャンパースカート、黒いフラットシューズ

 

性格・元気

 

アールスハイド高等魔法学院の新入生の女子生徒。

入試では好成績を収め、唯一Sクラスの新入生。

 

魔法使いの家系の生まれで、幼い頃から卓越した魔力を持っている。

そして、魔法師団長ルーパー=オルグランの姪。

両親は宮廷魔法師団に所属している。

 

アルティメット・マジシャンズに強い憧れを抱いており、特にタクトに人一倍憧れている。

 

因みに婚約者である幼馴染みが、騎士養成士官学院に入学してる。

 

入学成績・1位

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『リオ』

 

声-土岐隼一

 

 

年齢・17歳→19歳(2年後)

 

モデル・獅子原颯太

 

髪型・茶髪癖っ毛

 

服・白い服、オレンジ色のジャケット、青い長ズボン、赤いブーツ

 

性格・優しい、怖い

 

タクト達が2年前に出会った冒険者の少年。

普段は料理や裁縫を得意とする女子力高い癒し系男子。

だが身長が低い故に、チビや小さいと言われるとブチ切れる一面も。

実は過去に1人で1000人の盗賊を倒した過去を持っており、巷では”リトルライオン”と呼ばれている。

 

その一方で仲間には一切手を出さず、仲間からチビや小さいと言われてもブチ切れない。

 

スイード王国でタクトと再会し、アルティメット・マジシャンズの一員となった。

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『デイジー』

 

声-寿美菜子

 

 

 

年齢・17歳→19歳(3年後)

 

モデル・水戸百合香

 

髪型・黒髪ロングヘアー

 

服、白い服、水色のジャンパースカート、黒いメリージェーン

 

性格・男勝り

 

タクトの仲間で、リオと一緒に旅をする彼の幼馴染み。

女子力皆無な男勝りで、戦いを得意とする。

リオの事をよく知る人物。

男勝りだが、乙女な一面もあり。

 

スイード王国でタクトと再会し、アルティメット・マジシャンズの一員となった。

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「ナージャ=オブシディアン」

 

声-斉藤朱夏

 

 

年齢・16歳→18歳(2年後)

 

モデル・渡辺曜

 

髪型・黒髪ロングヘアー

 

服・白いワンピース、黒いポンチョ、黒いメリージェーン

 

性格・冷静

 

好きな物・ローランド、もふもふした動物

 

タクト達が2年前に出会った過去の記憶を失った少女。

ロバイト王国で魔女の道具にされていたがタクトに助けられ、記憶が戻るまで共に旅をする。

 

スイード王国でタクトと再会した。

魔力を持っており、透視魔法が得意。

治療魔法も得意とするが、抉られた傷の治療が不可。

現在はリオが購入した家を拠点としてる。

 

ただ一部記憶があり、過去に謎の集団に崇拝されたと言う。

 

ワンピースのブローチには、神秘的な力を秘めた宝石・オブシディアンが埋め込まれている。

 

後にアルティメット・マジシャンズに加入した。

魔人領攻略作戦では、エドガーから『黒曜の女神』の二つ名が付く。

 

その正体はオリベイラ=フォン=ストラディウス(オリバー=シュトローム)の妹であるアナスタシア=フォン=ストラディスだった。ナージャとは彼女の愛称。

幼い頃に自分の力を悪用しようと企むヘラルドの手先によって拉致され、記憶を消され崇拝されたと言う。

だが後に1人の魔法使いが発作を起こして暴走し、その際に手錠が破壊されて間一髪脱出出来た。

ブローチのオブシディアンは、亡き母から授けられた形見だと言う。

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「ケイティ=グレイス」

 

声-山崎はるか

 

 

年齢・15歳→17歳(2年後)

 

モデル・神崎灯代

 

髪型・赤髪サイドテール

 

服・赤い服、黒い吊りスカート、黒いドロワーズ、赤いブーツ

 

性格・活発

 

好きな物・ナージャ、ローランド、オリビア、もふもふした物

 

タクト達が2年前に出会った剣豪者を目指す少女。

実はブルースフィア帝国出身であり、1年前に家族と旅行へ行った際に、魔物の襲撃に遭い、自分の身代わりとなってくれた両親が逃がしてくれた為生き残った。

ロバイト王国で魔物を討伐しているタクト達と出会い、事件後に仲間となった。

 

亡国・ブルースフィア王国の唯一の生き残り。

ブルースフィア帝国で何故平民である彼女が優遇されていたのかは不明。

スイード王国でタクトと再会した。

タクトと並ぶ運動神経が大抜群でもある。

現在はリオが購入した家を拠点としており、魔物ハンターとして活躍してる。

 

戦う時は敵を煽る様な戦い方をする。

煽りは父親から「戦う時パニックにならず、ポジティブ思考を持つ必勝法」と教えられた。

後にアルティメット・マジシャンズに加入した。

何かとナージャとオリビアが大好き。

ローランドが居ない場合はナージャ及びオリビアをもふもふする。

料理が得意で、リオと一緒に自炊を担当してる。

 

その正体はブルースフィア帝国で最高ランクの魔物ハンターの父を持つ娘。

父は貴族達にその腕を買われ、家族と共に貴族の元へ移った。

その時に平民達から『裏切り者』と罵ったが、父はジョークをかました。

彼女はその名残から、魔人となった元ハンター達やシュトローム配下の斥候隊から『裏切り者の娘』と呼称されるようになった。

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「ジェレミー=ダンクルク」

 

声-前野智昭

 

 

年齢・23歳

 

モデル・辻伊吹

 

髪型・黒髪ポニーテール

 

服・黒の服、黒いズボン、黒ブーツ

 

性格・残酷、友好的、お調子者

 

好きな物・魔人の肉、魔物の肉

 

世界に1人しか居ない魔人や魔物を喰い荒す存在「魔喰人(ましょくじん)」の男。

タクト達とは1年前に出会った。

 

左手を顔に翳すと両目が赤に変色して魔人となり、右手を顔に翳すと両目青に変色し、対象となる魔人や魔物を喰い荒す。

 

両目が赤だとパワーが上昇し、両目が青だと移動速度が上昇する。

更に両手を顔に翳すと、両目が紫色に変色すると全ての力が最大限まで高まるが、体力が消耗するリスクがある。

 

両手の爪は伸縮が可能で、サイやワニの皮膚でも斬り裂く程の斬れ味を持ってる。更に爪を引っこ抜くと一瞬で新しい爪を伸ばせる。

 

人間に対しては友好的で、魔人や魔物に対しては容赦無い。

 

実は人間と魔人のハーフであり、人間の父と、魔人の母を持つ。

しかし両親を魔人達に殺され、生き残った狼犬のローランドと共に旅をし、両親の仇を討つ為に魔人達を喰い続けて来た。

 

父親譲りの動物に言葉を持たせる魔法を持っているが、気に入った奴しか使わないと言ってる。

 

魔人のみならず、シュトロームやブルースフィアの斥候隊にも優先標的にされてる。

以前にタクト達と出会い、共に両親を殺した本魔人を討伐した。

 

更にフラー大司教に性的暴行を受けたエスタを助けた人物でもある。

現在はリオが購入した家を拠点にし、魔物ハンターとして活躍している。

 

武器は両手の爪と身体強化。

両手の爪は引き抜き、瞬時に再生出来る。

常に不敵な笑みを醸し出してる。

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「ローランド」

 

声-山本和臣

 

 

種類・狼犬

 

性格・礼儀正しい、友好的

 

好きな物・ジェレミー、魔人の肉、魔物の肉

 

ジェレミーの家庭、ダンクルク家に拾われた元魔物。

最初は他の魔物同様に理性を持っていなかったが、ダンクルク総長の説得と魔法によって人間と同じ心を持った。

 

更にダンクルク総長の魔法で言葉を持つようになった。

戦闘時は自らの意思で両目を赤く変色させ、魔人や魔物の身体を食い千切ると言う残酷な戦いをする。

 

毛並みはもふもふで、アリスとナージャとケイティにもふられる事が多い。

体は大きく、人間を3人乗せても超高速で走れる。

魔人領攻略作戦では、エドガーから『狼魔(ろうま)』の二つ名が付く。

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『エスタ』

 

声-島袋未由利

 

 

嘗てフラー大司教の元にメイドとして配属されたばかりのイースの少女。

しかしシシリーを欲しがるフラーの性的暴行を受けたが、そこに居合わせたジェレミーによって救出された。

ジェレミーが追っ手から逃げる為、彼女をスイード王国の裏路地に残して去った。

その後はタクトに救われ、ウォルフォード邸のメイドとして雇われた。

 

現在はクリスティ邸のメイドとして雇われた。

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「リチャード=ラドクリフ」

 

声-堀内賢雄

 

 

年齢・50歳

 

モデル・若松俊秀

 

髪型・黒髪ロングヘアー

 

性格・仲間思い、家族思い、温厚

 

賢者マーリン=ウォルフォードの幼馴染みにして、数多くの信者を救った偉人で『大司祭』と呼ばれている。

嘗て世界を恐怖に陥れた魔人をマーリン達と共に征伐した実力者。

 

彼の力は、亡霊の力を借りてエクソシストや、負傷者や重い病気を患っている人々の治療をしている。

現在は妻のレイチェルと、娘夫婦と孫娘と今も幸せな日々を送っている。

タクトとシンとは面識があり、シンから『リチャードおじさん』と呼ばれてる。

 

若き頃は、極寒のエクソシストと呼ばれていた。

 

今でもラドクリフ教会で信者達の為に奮闘している。

アウグストの恩師で、アウグストが幼い頃から魔法に関する授業をしていた。

結婚式では神父を務めている。

更に罪を認めない極悪非道な幽霊には罰を下し、永遠の十字架の磔の刑に処している。

更に、オリバー=シュトローム(元・オリベイラ=フォン=ストラディウス)の妻のアリア=フォン=ストラディウスを救った人物でもあり、シュトロームの過去を知る数少ない人物。

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「レイチェル=ラドクリフ」

 

声-白鳥由里

 

 

年齢・49歳

 

モデル・さとう玉緒

 

髪型・茶髪ロングヘアー

 

性格・家族思い、仲間思い

 

リチャードの妻で、剣術士で天使の様な振る舞いをしており『天士』と呼ばれている。

実家は騎士の家系であり、現在は騎士養成学院の筆頭教官を務めている。

 

過去にリチャードが許婚になったのは、彼女と父親と彼の父親が親友同士であった為である。

今でもマーリンとメリダと家族ぐるみで付き合っている。

タクトとシンとは面識があり、シンから『レイチェルおばさん』と呼ばれてる。

 

夫と娘夫婦と孫娘と幸せな家庭を築いている。

容姿は年を重ねるごとに綺麗になっている。

リチャードと同じく、シュトロームの過去を知る数少ない人物。

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「ウェイド=ワトソン」

 

声-中村悠一

 

 

享年・52歳

 

モデル・小川輝晃

 

髪型・黒髪

 

服・黒いキャソック、黒いブーツ

 

性格・冷静

 

嘗ては予知者と呼ばれた神父。

多くの信者や人々の未来を予知し、救い続けた偉大な人物。

だが災害級の襲撃の際、信者や人々達の身代わりとなって命を落とした。今でも彼を讃える人は多い。

今は幽霊となり、リチャードが若い時から共に多くの信者達や人々を救い続けてる。

2年前、予知でオリバー=シュトローム(オリベイラ=フォン=ストラディウス)の妻、アリア=フォン=ストラディウスの未来を予知し、命を救った。

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『アリア=フォン=ストラディウス』

 

声-坂本真綾

 

 

オリベイラ=フォン=ストラディウス(現・オリバー=シュトローム)の妻。

嘗てはブルースフィア帝国に存在したストラディウス領で、夫と幸せな日々を過ごしていたが、当時公爵だったヘラルド皇帝の罠で殺されそうになったが、そこに訪れた大司祭リチャード=ラドクリフとウェイド=ワトソンよって、使用人共々命を救われた。

 

現在はラドクリフ邸で密かに暮らしている。

タクトと出会い、彼にオリバー=シュトロームを人間に願いを彼に託した。

その際にタクトからペンダントを託され、彼から勇気を貰い、涙を流した。

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「ニルス=ラドクリフ」

 

声-寺島拓篤

 

 

年齢・34歳

 

モデル・三上真史

 

髪型・青髪ショートヘアー

 

性格・家族思い、仲間思い

 

モニカの夫で、ラドクリフ家の婿。

元々はラドクリフ教の信者で、幼い頃から両親から差別を受けて育てられた。

差別を受けた理由は、優秀な弟と比べられたからだと言う。

弟はニルスと一緒に居たかったが、両親に阻まれたと言う。

 

両親と弟が自分だけ残して旅行してる最中に外に出て、そこで偶然リチャードと出会った。

事情を話すと、リチャードが家族の一員として迎えられた。

その後元家族が連れ戻しに来たが、リチャードの怒りで助けられ、元家族と絶縁した。

後に元両親の威圧に耐え切れなかった弟も逃げ出し、リチャード達とニルスに事情を話してラドクリフ家に迎えられた。

それからはリチャードからエクソシストと学問の英才教育を受けて貰い、毎日美味い料理を食べさせて貰った。

 

高等魔法学院卒業後に婿入りでモニカと結婚し、長女マナミアを授かった。

現在は宮廷魔法師団に所属している。

宮廷魔法師団の他にラドクリフ教でリチャードの助手も務めている。

リチャードと同じく、シュトロームの過去を知る数少ない人物。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「モニカ=ラドクリフ」

 

声-佐藤聡美

 

 

年齢・33歳

 

モデル・高梨臨

 

髪型・黒髪ロングヘアー

 

性格・家族思い、仲間思い

 

リチャードとレイチェルの娘で、ニルスの妻。

幼い頃に騎士である母のレイチェルに憧れを持ち始め、騎士養成士官学院に入学。

主席で卒業し、現在は近衛騎士団に所属している。

剣の腕は母と同等。

リチャードと同じく、シュトロームの過去を知る数少ない人物。

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「マナミア=ラドクリフ」

 

声-前川涼子

 

 

年齢・17歳

 

モデル・美嶋未羽

 

髪型・赤髪ツインテール

 

性格・仲間思い、家族思い

 

リチャードとレイチェルの孫娘で、ニルスとモニカの娘。

騎士養成士官学院の生徒で、ミランダ達の先輩。

シンの幼馴染みでもある。

育ちが良く、誰にでも丁寧語で話す。

学院では男子に圧倒的人気が高く、天使として崇められてる。

騎士の祖母と母に憧れを持っている。

将来は騎士団総長を目指している。

文武両道で、料理も得意。

実はラドクリフ家で1番怖いらしい。

リチャードと同じく、シュトロームの過去を知る数少ない人物。

 

高等魔法学院に通う婚約者が居る。

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『ラドクリフ教』

 

アールスハイド王国で200年続く歴史ある宗教。

信者はアールスハイドや、全国にも数多く居る。

人気の理由は、月に1度に死者と対話出来る。

エクソシストも行っており、悪魔に取り憑かれた信者やその他の人達も救っている。

沢山の十字架があり、大半は罪を認めず永遠の十字架の刑に処された死者達。

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『アザレア=ウォルフォード』

 

声-新谷良子

 

 

 

年齢・33歳

 

モデル・末永遥

 

髪型・赤髪ロングヘアー

 

性格・男勝り、家族思い

 

マーリンとメリダの娘。

元々は麻薬中毒の元両親から虐待を受けて捨てられた所を、マーリンに拾われた。

その後はウォルフォード家の養子となり幸せな生活を手に入れ、マーリンとメリダの息子のスイレンを兄として慕っていた。

 

だが後にスイレンが死亡した事を知った時は涙を流した。しかしすぐに立ち直り、兄の死を無駄にしないよう懸命に生きる事を誓った。

 

現在は宮廷魔法師団に所属している。

 

元両親は虐待と麻薬の罪で逮捕されたが容疑を否認。罪を認めないままこの世を去った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「エドワード=フィッシャー」

 

声-梶裕貴

 

 

年齢・32歳

 

モデル・古原靖久

 

髪型・黒髪ロングヘアー

 

性格・家族思い

 

アールスハイド王国で若くして官僚長を務めているニルスの弟。

親しい者やタクトから『エド』と呼ばれている。

幼い頃は両親の強い期待感に圧倒されながら育った。

本当は兄のニルスと仲良くしたかったが、両親から『無能な兄から伝染病が移る』と言われ拒否された。

 

後にニルスがラドクリフ家に引き取られた後、両親に反発して家出してラドクリフ家に転がり込んだ。

それからラドクリフ家でお世話になり、ようやくニルスと仲良くなった。

 

数日後に両親が凸って来たが、リチャードの怒りで助けられ、元家族と絶縁。

それからは兄のニルスと一緒にリチャードからの英才教育と援助を受け、高等経法学院へ入学した。

 

高等経法学院卒業後は王家の官僚になり、多くの功績が認められ、5年前にディセウムから若くして官僚長に抜擢された。

 

官僚長になった後に、高等経法学院から交際している女性と結婚して娘を授かった。

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鎧魔(がいま)

 

アールスハイド王国が極秘に開発された鎧の魔道具。

強力な魔力を持つ者に装着させ、その魔力を抑制させる役割を持つ。

 

以前にアザレアが魔力暴走まで追い込まれた時に使用され、克服が出来た。

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『マジックシスターズ』

 

長女・ウェンディ=グリント

次女・イルゼ=グリント

三女・テッサ=グリント

四女・カーラ=グリント

五女・ハンナ=グリント

 

CV

 

ウェンディ:藤田咲

イルゼ:楠田亜衣奈

テッサ:奥野香耶

カーラ:鈴木絵里

ハンナ:伊波杏樹

 

 

 

 

モデル

 

ウェンディ:園田美月

イルゼ:東條希

テッサ:笹目ヤヤ

カーラ:宮崎千紗希

ハンナ:高海千歌

 

 

 

 

魔法師団に所属している5人姉妹。

父親は元魔法師団長のバルト=グリント、母親は元魔法師団員のベル=グリント。

 

幼い頃から、バルトの親友で賢者のマーリンの元で修行を積んで来ており、姉妹息ピッタリの連携が得意。

 

長女ウェンディは、シンプルな魔法を得意としている。

 

次女イルゼは、肉弾戦魔法を得意としている。

 

三女テッサは、魔法を武器にする魔法を得意としている。

 

四女カーラは、切断魔法を得意としている。

 

五女ハンナは、スピーティーなや光線魔法を得意としている。

 

名前の頭文字を取るとWITCHとなる。

 

実家はバルトとベルが経営する魔道具屋『グリント』。

 

5人には父バルトの姉で叔母の娘である従姉のステイシーが居り、彼女は5人姉妹の魔法を凌駕する魔法を有している。

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『グリント』

 

元魔法師団のバルトとベルが経営する魔道具専門店。

タクトの行き付けの店。

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『ジュリアン=フィッツハード』

 

声-小松未可子

 

 

 

年齢・16歳→18歳(2年後)

 

モデル・戸塚彩加

 

髪型・銀髪メンズ癖っ毛

 

服・黒のセーラー、黒いサスペンダー半ズボン、黒いローファー

 

性格・心優しい

 

タクト達と出会った仲間。

見た目は女だが、実は男の子。

更にタクト、シン、ベルゼと同じ転生者で、前世は男子高校生。

 

元々は奴隷だが、中身が男だと言う理由で貴族達から捨てられる日々が続いてた。倒れていた所をタクトに助けられ仲間になった。

それ以降、タクトと共に旅をした。

嘗ての仲間のベルゼが姿を消し、彼女を追うようにタクトと別れた。

 

タクトに出会うまでは、飼い猫のジネヴラが唯一の仲間だった。

戦う時は、貴族から奪った剣を使ってる。

 

その後タクト達と再会し、アールスハイド王国で暮らす事にした。

現在はベルゼを追ってからあんまり観光が出来なかった為、しばらく他国へ観光巡りへ旅立った。

 

アールスハイド王国帰国後、ユーリに興味を持って付き合う事になった。

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『ジネヴラ』

 

声-小宮有紗

 

 

種類・ペルシャ猫

 

性格・凛々しい

 

ジュリアンの飼い猫で、ジェレミーの父親の魔法により、人間の心を持つようになった。

元々はダンクルク家の飼い猫だが、災害級の襲撃によって檻が破壊され、運良く脱出出来た。

その後奴隷のジュリアンと出会い、共に行動するようになった。

 

毛並みもモフモフしており、モフモフされると気持ち良くなる。

戦う時の攻撃は皆無だが、俊敏な動きを利用して油断させる事が出来る。

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『ベルゼ=クラスティール』

 

声-澁谷梓希

 

 

 

年齢・19歳→21歳(2年後)

 

モデル・ドロシー・ウェスト

 

髪型・焦げ茶髪ポニーテール

 

通常服・ボロボロの黒ドレス、黒いパンプス

 

現衣装・斥候魔人の服、上着(肩掛け)

 

性格・無邪気、残酷

 

2年前にタクト達と出会った貴族の少女。

予知能力を持っており、周囲の未来を読み取れる。

実はタクト、シン、ジュリアンと同じ転生者で、前世は女子中学生。

 

だが次第にその力に溺れ、事件発生前に犯人を殺すなどを犯して来た。

 

それが原因で周囲から危険視され、処刑される事となったが、自らの意思で魔力を暴走させて魔人化した。

その際にティガと死闘を繰り広げたが、隙を見て姿を消して行方を晦ませた。

 

魔人領攻略作戦の時にタクトとジュリアンとジネヴラと再会し、左腕を失いながらも再び姿を消した。

現在は左腕は義手になっており、ゼスト率いる斥候隊の一員となっている。

 

そして、赤色の神器が握られているが・・・

 

ボロボロの黒いドレスは、水樹奈々の『禁断のレジスタンス』で使用したドレスがモデル。

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『混血の戦士・ブラッディーベルゼ』

 

ベルゼが混血の神器・ブラッドスパークレンスで変身した姿。

 

姿は黒と赤のゴシックドレスで赤いマントを羽織り、左目に眼帯。

赤の部分は血液が流れている。

 

人間の理性、魔物の凶暴、災害級の暴走、魔人の魔法を一緒くたにした力を有しており、血液を飛ばす魔法も存在する。

 

眼帯にはトリカブトの模様が彫られてある。

 

トリカブトには、”あなたは私に死を与えた”と言う花言葉が込められている。

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『デリック』

 

声-福山潤

 

 

年齢・29歳

 

モデル・藤田富

 

髪型・茶髪癖っ毛

 

服・青いマフラー、黒い服、黒いズボン、黒いブーツ

 

性格・冷静

 

ブルースフィア帝国出身の魔人。

元々は家族を魔人に殺され、自ら魔人化に志願して帝国を滅ぼした。

帝国滅亡後は、離反魔人に離反した魔人として、蔓延る魔人や魔物や災害級を密かに駆逐して来た。

魔人領攻略作戦時に、連合軍に加担し、アウグストと共に元仲間のヒースと対峙した。

人間は殺さない主義だが、誰かからの許可を得た場合は殺す時もある。

斥候魔人達との関わりも深い。

アールスハイド王国に入国後は、世界中の魔人や魔物達を駆逐する為に旅に出た。

イース神聖国でタクト達と再会し、危機に陥ったアールスハイド駐留地へ向かった。

 

その後は家族を殺した魔人を駆逐する為、レオナと共にタクト達の仲間入りをした。

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『レオナ』

 

声-高尾奏音

 

 

年齢・10歳

 

モデル・リネーア

 

髪型・黒髪癖っ毛

 

服・ゴシックワンピース、赤いメリージェーン

 

性格・寡黙

 

最も治安の悪い国・ヴァイス王国出身の少女。

魔法の素質を持っている。

幼い頃から両親から強制的に風俗に働かされており、稼ぎが悪いと家を追い出される人生を歩んでいた。

そこでデリックと出会い、彼と共に逃亡する事を決意した。

両親はデリックに許可を与えて、デリックが殺した。

王国逃亡後は自由の身になり、デリックと共に旅を始めた。

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『ヨナ』

 

声-新田恵海

 

 

 

年齢・16歳

 

モデル・高坂穂乃果

 

髪型・赤髪ポニーテール

 

服・メイド服

 

性格・真面目

 

クリスティ邸で働くメイド。

両親は幼い頃に亡くし、レストレッド家に引き取られてメイドとして働いた。

しかし当主の息子のザルムに何度もイジメを受け、数ヶ月後に当主の計らいで妹と共にディセウムに引き取られた。

イジメを受けた理由は『学院すら行けないお前達は害虫同然』と罵られた。

その後クリスティ邸が建築され、ディセウムの紹介を受けてここで働く事となった。

 

ポニーテールの髪飾りには、レッドベリルが埋め込まれている。これは父親の形見だと言う。

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『クララベル』

 

声-佳穂成美

 

 

 

年齢・15歳

 

モデル・轟雷

 

髪型・青髪サイドテール

 

服・メイド服

 

性格・大人しい

 

姉のヨナと共にクリスティ邸で働くメイド。

同じくザルムからイジメを受け、最終的に姉のヨナと共にクリスティ邸で働く事となった。

両親が亡くなった事でショックを受け、更にザルムのイジメを受けて心を閉ざしたが、タクトの優しい心遣いのお陰で少しずつ表情を取り戻して行く切っ掛けとなった。

 

サイドテールの髪飾りには、ベニトアイトが埋め込まれている。母親の形見だと言う。

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『レオン』

 

声-岡本信彦

 

 

 

年齢・16歳→19歳(3年後)

 

モデル・アルト(ソプラノ漫画)

 

髪型・銀髪癖っ毛

 

服・白いシャツ、青いジャケット、黒いジーンズ、青いブーツ

 

性格・正義感が強い、仲間想い

 

世界中を旅する魔物ハンターの男。

仲間のソフィーとは幼馴染みで恋人同士。

普段は温厚だが、ソフィーに寄って来る不埒者には容赦なく鉄槌を下す一面も。

格闘術に長けており、災害級を単独で討伐出来る程。

3年前にタクト達と出会い、仲間として旅した事がある。

別れた後に辺境の国・アストラルでベローナに拉致されたが、駆け付けたシン達の活躍で救出された。

 

事件終息後はアールスハイド王国へ入国した。

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『ソフィー』

 

声-櫻庭彩華

 

 

 

年齢・15歳→18歳(3年後)

 

モデル・奏(ソプラノ漫画)

 

髪型・銀髪ロングヘアー

 

服・赤い服、紺色のジャケット、水色のスカート、黒いローファー

 

性格・心優しい

 

世界中を旅するレオンと共に旅をする魔物ハンターの少女。

レオンとは恋人同士。

臆病な一面もあるが、芯の強い心の持ち主。

とても美人であり、不埒者に寄られる事もしばしばあるが、レオンが必ず助けて貰っている。

3年前に盗賊に誘拐された所をタクトとフェオン達に助けられ、恋人のレオンと共に仲間として旅をした。

レオンと共に辺境の国・アストラルで、レオンと共にベローナに拉致されたが、シン達の活躍で救出された。

 

事件終息後はアールスハイド王国へ入国した。



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キャラクター紹介タイプ2

『アズマ』

 

声-榎木淳弥

 

 

 

年齢・28歳

 

モデル・小池亮介

 

髪型・黒髪癖っ毛

 

衛士隊制服・白いジャケット、黒いジーンズ、黒いブーツ

 

私服・白い服、黒いジャケット、青いジーンズ、黒い靴

 

性格・仲間思い

 

亡国・ミスリラ帝国の衛士隊。

アズマ隊の隊長として部下達を率いていた。

だが同僚の裏切りによって致命傷を負ったが、奇跡的に一命を取り止めた。

それ以降後遺症は全く出ていない。

だがその後サルウァトピア家に攫われ、プルガトリウムシティーでチーム・バーゼのリーダーとなり、身体強化を高める首輪を装着させられ戦う使命を強いられた。

 

その後事態が解決した後にアウグストの提案でアールスハイド王国へ移住し、タクトが設立したアールスハイド王国衛士隊の配属になった。

 

実はマリアへの恋心を抱いており、合同パーティーの時にマリアに告白した。

マリアは快く受け入れ、告白は成功を収めた。

 

最初にティガの正体がタクトだと言う事に気付いている。

 

チーム・バーゼのバーゼはイタリア語で『基本』を意味する。

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『シイナ』

 

声-内田彩

 

 

年齢・26歳

 

モデル・青葉初芽

 

髪型・金髪ロングヘアー

 

衛士隊制服・白いジャケット、黒いジーンズ、黒いブーツ

 

私服・赤いブラウス、黒いスカート、青いメリージェーン

 

性格・冷静

 

亡国・ミスリラ帝国の衛士隊。

アズマ隊の隊員として活動していた。

両親が衛士隊だった為、自分も衛士隊を志した。

元々は別の衛士隊に入っていたが、同僚のナナセ以外が殺されてしまい、アズマ隊へ移った。

 

その後事態が解決した後にアウグストの提案でアールスハイド王国へ移住し、タクトが設立したアールスハイド王国衛士隊の配属になった。

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『ナナセ』

 

声-白石晴香

 

 

 

年齢・26歳

 

モデル・日向葵

 

髪型・朱色サイドテール

 

衛士隊制服・白いジャケット、黒いジーンズ、黒いブーツ

 

私服・緑のジャケット、黒いズボン、黒いパンプス

 

性格・慌しい

 

亡国・ミスリラ帝国の衛士隊。

アズマ隊の隊員として活動していた。

盗賊に殺された両親の仇を討つ為に衛士隊に入隊した。

嘗てシイナと同じ部隊に入っていたが、後にシイナと共にアズマ隊へ移った。

かなり慌しい性格で、時にイライラする事もある。

 

その後事態が解決した後にアウグストの提案でアールスハイド王国へ移住し、タクトが設立したアールスハイド王国衛士隊の配属になった。

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『アールスハイド王国衛士隊』

 

創設者・タクト=クリスティ

 

衛士隊長・アズマ

 

ミスリラ帝国の元衛士隊達で再結成され、タクトが創設した組織。

所在地は、騎士団施設内の衛士隊舎。

主な任務は、犯罪者の確保、魔人・魔物の討伐、護衛任務。

騎士団や魔法師団や警備局とは違い、独自に活動が出来る。

 

時に騎士団と稽古をする事もある。

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『マチ』

 

声-逢田梨香子

 

 

 

年齢・25歳

 

モデル・桜内梨子

 

髪型・茶髪ショートヘアー

 

服・白い服、黒い吊りスカート、黒のロングブーツ

 

性格・活発

 

嘗てミスリラ帝国で酒場の店員兼女盗賊『クレージュ』のメンバーとして活動していた少女。

両親はミスリラ帝国の内戦で亡くなり、同じく両親を亡くしたトモと共に盗賊となった。

だがその後幼馴染みだった男と再会したが、彼と同じ道を歩む事を拒んだ。

その男は極悪盗賊団によって致命傷を負ってしまい、自ら命を絶った。

 

その後はプルガトリウムシティーの事態を経て、タクトの計らいによってアールスハイド王国の新しい酒場の店主の権限を与えられた。

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『ヨーコ』

 

声-福原綾香

 

 

 

年齢・26歳

 

モデル・渋谷凛

 

髪型・黒髪ロングヘアー

 

服・黒い服、黒いジャケット、青いショートパンツ、黒いブーツ

 

性格・冷静

 

嘗てミスリラ帝国で酒場の店員兼女盗賊『クレージュ』のメンバーとして活動していた少女。

盗賊の両親の間に生まれ、幼い頃から凡ゆる物を盗む人生を歩んでいた。

その後両親が処刑されて行き場を失いかけたが、トモと出会って盗賊として活動を再開した。

 

その後はプルガトリウムシティーの事態を経て、タクトの計らいによってアールスハイド王国の新しい酒場で働く事となった。

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『アキ』

 

声-南條愛乃

 

 

 

年齢・25歳

 

モデル・瀬乃宮あき穂

 

髪型・黒髪ツインテール

 

服・白い服、青いスカート、黒いフラットシューズ

 

性格・好戦的

 

嘗てミスリラ帝国で酒場の店員兼女盗賊『クレージュ』のメンバーとして活動していた少女。

赤ん坊だった頃に盗賊に誘拐され、その盗賊に育てられたが、自分を育ててくれた盗賊は衛士隊にう殺されてしまった。

その後両親と再会したが、勘当されてしまい両親を殺した。

それからトモと出会い、盗賊の道を歩む。

プルガトリウムシティーではアズマ、シイナ、ナナセ、ミカと共にチーム・バーゼを結成して、偵察員として活動していた。

 

その後はプルガトリウムシティーの事態を経て、タクトの計らいによってアールスハイド王国の新しい酒場で働く事となった。

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『サヨ』

 

声-影山灯

 

 

 

年齢・21歳

 

モデル・ベアトリス(プリンセス・プリンシパル)

 

髪型・茶髪ショートヘアー

 

服・赤い服、黒いジャンパースカート、黒いローファー

 

性格・大人しい

 

ミスリラ帝国で酒場の店員兼女盗賊『クレージュ』のメンバーとして活動していた少女。

同じ盗賊のトモ達との仲は良好だったが、両親を殺したのがトモだと知り、彼女から愛されながらもトモを殺してしまった。

だがそれが極悪盗賊団『フラミンゴ』に筒抜かれてしまい、マチ達の前で自殺するよう強制要求を受けた。

しかしその時にタクトに助けられ、マチ達にトモを殺した事を謝罪し、マチ達から再び仲間として迎えられた。

彼女の作るスープは絶品で、タクトがこれのお気に入り。

 

その後はプルガトリウムシティーの事態を経て、タクトの計らいによってアールスハイド王国の新しい酒場で働く事となった。

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『女盗賊団クレージュ』

 

ミスリラ帝国でトモ、マチ、ヨーコ、アキ、サヨの5人で結成した盗賊団。

高度な運動神経を持っており、高い建物など登れる。

普段は酒場の従業員を装っている。

正体を隠す為に仮面を装着する。

だがリーダーのトモが、同じメンバーのサヨの両親を殺した過去を持っており、それを知ったサヨにトモが殺されて4人となり、リーダーはマチになった。

 

現在はアールスハイド王国で『クレージュ』と言う酒場で働きながら暮らしてる。

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『ミカ』

 

声-金澤まい

 

 

 

年齢・20歳

 

モデル・小田切双葉

 

髪型・金髪ロングヘアー

 

服・白い服、赤いズボン、黒いローファー

 

性格・活発

 

ミスリラ帝国で盗賊『シエル』のリーダーとして活動していた少女。

同じメンバーのケイとユイは幼馴染みで、10歳の頃から盗賊として活動していた。

俊敏な動きを得意とし、凡ゆる障害物等を飛び越える程。

プルガトリウムシティーではアズマ、シイナ、ナナセ、アキと共にチーム・バーゼを結成して、偵察員として活動していた。

 

その後はプルガトリウムシティーの事態を経て、タクトの計らいによってアールスハイド王国の新しい酒場で働きながら情報屋も兼ねる事となった。

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『ケイ』

 

声-徳井青空

 

 

 

年齢・20歳

 

モデル・矢澤にこ

 

髪型・黒髪ロングツインテール

 

服・青い服、黄色いズボン、黒いローファー

 

性格・活発

 

ミスリラ帝国で盗賊『シエル』のメンバーとして活動していた少女。

ミカとユイの幼馴染みで、10歳の頃から盗賊として活動していた。

3人の中で力が強く、土管を片手で軽々と持ち上げれる程。

 

その後はプルガトリウムシティーの事態を経て、タクトの計らいによってアールスハイド王国の新しい酒場で働きながら情報屋も兼ねる事となった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『ユイ』

 

声-夏川椎奈

 

 

 

年齢・20歳

 

モデル・岬明乃

 

髪型・茶髪ツインテール

 

服・赤い服、青いズボン、黒いローファー

 

性格・活発

 

ミスリラ帝国で盗賊『シエル』のメンバーとして活動していた少女。

ミカとケイの幼馴染みで、10歳の頃から盗賊として活動していた。

心理を得意とし、相手の思考を正確に読める程。

 

その後はプルガトリウムシティーの事態を経て、タクトの計らいによってアールスハイド王国の新しい酒場で働きながら情報屋も兼ねる事となった。

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『女盗賊団シエル』

 

ミスリラ帝国でミカ、ケイ、ユイの幼馴染み3人で結成した盗賊団。

小柄な体を活かした素早い攻撃を得意とする。

金目の物ばかり集め、それを売りながら生活をしていた。

同じ盗賊団のクレージュとは良きライバル仲間。

 

現在はアールスハイド王国の酒場『クレージュ』でマチ達と働きながら、店内で依頼を解決する情報屋シエルを運営している。

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『カオル』

 

声-国立幸

 

 

 

年齢・20歳

 

モデル・蛍丸

 

髪型・赤髪癖っ毛

 

衛士隊制服・白いジャケット、黒いジーンズ、黒いブーツ

 

私服・赤い服、白いジャケット、黒いズボン、黒いローファー

 

性格・少々我儘

 

亡国・ミスリラ帝国の衛士隊。

ボンボン隊の隊長として部下達を率いていた。

父が公爵を務めてる貴族出身で、何でも我儘を言う性格で、何時も部下達を困らせている。

『パパに言い付けてやる』が口癖。

ミスリラ帝国紛争事件の時に家族を失った後、性格が180度変わった。

 

その後事態が解決した後にアウグストの提案でアールスハイド王国へ移住し、タクトが設立したアールスハイド王国衛士隊の配属になった。

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『マモル』

 

声-山谷祥生

 

 

 

年齢・25歳

 

モデル・古賀ニコラ

 

髪型・金髪ウルフカット

 

衛士隊制服・白いジャケット、黒いジーンズ、黒いブーツ

 

私服・紺色の服、オレンジのズボン、黒いローファー

 

性格・世話焼き好き

 

亡国・ミスリラ帝国の衛士隊。

ボンボン隊の隊員。

我儘言い放題のカオルに困っているが、その分彼を放っておけない。

タクトを『タクトさん』と呼んでる。

 

その後事態が解決した後にアウグストの提案でアールスハイド王国へ移住し、タクトが設立したアールスハイド王国衛士隊の配属になった。

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『タカオ』

 

声-石谷春貴

 

 

 

年齢・25歳

 

モデル・大好真人

 

髪型・茶髪ショートカット

 

衛士隊制服・白いジャケット、黒いジーンズ、黒いブーツ

 

私服・白い服、黒いズボン、白い靴

 

性格・元気

 

亡国・ミスリラ帝国の衛士隊。

ボンボン隊の隊員。

同じ衛士隊のマモルとは同期で、カオルの我儘に困っている。

両親を亡くした後のカオルに驚いたと言う。

タクトを『タクト殿』と呼んでる。

 

その後事態が解決した後にアウグストの提案でアールスハイド王国へ移住し、アウグストが設立したアールスハイド王国衛士隊の配属になった。

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『セイラ』

 

声-今井麻美

 

 

 

年齢・26歳

 

モデル・斑鳩

 

髪型・青髪ロングヘアー

 

衛士隊制服・白いジャケット、黒いジーンズ、黒いブーツ

 

私服・緑色のワンピース、白いパンプス

 

性格・冷静

 

亡国・ミスリラ帝国の衛士隊。

ボンボン隊の隊員。

伯爵家出身で、幼い頃から剣術を習っていた。

容姿端麗で、男子からの人気が高い。

 

その後事態が解決した後にアウグストの提案でアールスハイド王国へ移住し、タクトが設立したアールスハイド王国衛士隊の配属になった。

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『リュグナ』

 

声-内山昂輝

 

 

 

亡国・ミスリラ帝国出身の盗賊。

プルガトリウムシティーでチーム・ヴェントのリーダーとして身体強化の首輪を装着させられた。

 

性格は冷酷で、他のチームや人間を利用して自分だけが楽すると言う。

 

だが首輪の力を酷使してしまい、理性を失い、右腕が異形の形になった。

理性を失った跡はタクト達を襲い、スルビアの妹達を殺害した。

最期はアズマがイラの落とした剣で首を斬り落とされた。

 

名前のリュグナはドイツ語で『嘘吐き』を意味する。

 

チーム・アジリティのアジリティは英語で『俊敏』を意味する。

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『シュトルツ』

 

声-神谷浩史

 

 

 

亡国・ミスリラ帝国出身の盗賊。

プルガトリウムシティーでチーム・マハトのリーダーとして身体強化の首輪を装着させられた。

 

常にプライドが高く、強者が生き残ると主張している。

 

卑怯な手口を嫌い、正々堂々と戦う一面もある。

最期はアズマとの一騎打ちで致命傷を負い、アズマに強者と認めて息を引き取った。

 

名前のシュトルツはドイツ語で『誇り』を意味する。

 

チーム・マハトのマハトはドイツ語で『力』を意味する。

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『カルマ』

 

声-神原大地

 

 

 

チーム・マハトのリーダー、シュトルツの右腕。

仲間を大事に思っており、ルブラを突き飛ばしたスルビアに叱責する一面も。

 

プルガトリウムシティー壊滅後は、アールスハイド王国で魔物のハンターとして活動を始めた。

 

名前のカルマはスペイン語で『冷静』を意味する。

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『ルブラ』

 

声-小野友樹

 

 

 

チーム・マハトのメンバー。

勝つ事に拘りを持っており、どんな手口を使おうとするが、シュトルツから怒りを買われた事も。

 

プルガトリウムシティー壊滅後は、アールスハイド王国でカルマと共に魔物ハンターとなった。

 

名前のルブラはフランス語で『腕』を意味する。

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『ミスリラ帝国』

 

アールスハイド王国から遥か西方に位置する大国。

国自体は広く、A地区、B地区、C地区、D地区と分かれている。

 

タクトとグレア、そしてフェオン達が訪れた国でもある。

 

20年前から盗賊が続出し始め、国王は盗賊を執行する為衛士隊を組織した。

これまで現れた盗賊は数百に及んだと言う。

3年前に紛争が勃発し、国民の大半が殺され、生存者は他国へ逃げ延び亡国となった。

2年前にサルウァトピア家が地下にプルガトリウムシティーを造り上げた。

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『プルガトリウムシティー』

 

亡国・ミスリラ帝国に現れた地下都市。

大富豪・サルウァトピア家が2年前に造り上げた。

他国の者達が強制的に連れ攫われ、生き残る為の戦いを強いられている。

 

サルウァトピア家壊滅後に自爆が発動し、都市は跡形も無く崩れた。

 

名前の由来はプールガートーリーウム。ラテン語で”煉獄”を意味する。

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『サルウァトピア家』

 

総資産・金貨700億枚

 

懸賞金・金貨6000万

 

 

 

頭首・エレホス=サルウァトピア

 

 

 

娘達

 

スルビア=サルウァトピア

イラ=サルウァトピア

アリティア=サルウァトピア

イディア=サルウァトピア

アケディア=サルウァトピア

グーラ=サルウァトピア

ルクリア=サルウァトピア

エレホス=サルウァトピア

 

 

 

CV

 

エレホス:山路和弘

 

スルビア:豊口めぐみ

イラ:平田宏美

アリティア:沼倉愛美

イディラ:赤崎千夏

アケディア:宮本侑芽

グーラ:上田麗奈

ルクリア:小林愛香

 

 

 

 

世界の裏で暗躍する大富豪で、プルガトリウムシティーを牛耳る一族。

多くの企業を持っている。

その裏では、自分が味方する人間達の理想を叶える為に殺人、詐欺、暗殺などを実行して来た。

 

2年前にミスリラ帝国の地下にプルガトリウムシティーを造り上げ、アズマ達元ミスリラ帝国の人間達を強制的に攫い、身体強化の首輪を与えて戦わせた。

 

だが後にエレホスとスルビアは旧支配者・クトゥグアとして覚醒したコウに殺され、妹達はファントムとして覚醒寸前のリュグナに殺されてしまい、サルウァトピア家は崩壊した。

 

身体強化の首輪はある方から受け取った品物だが、詳細は不明。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『ヴァーテル』

 

声-千本木彩花

 

 

年齢・26歳

 

モデル・秋原雪花

 

髪型・茶髪ショートボブ

 

服・紫の服、吊りスカート、黒いブーツ

 

性格・冷静

 

嘗てミスリラ帝国でサルウァトピア家の傭兵として雇われた少女。

幼い頃から過酷な環境で育てられ、多くの戦闘技術を身に付けた。

15の時から傭兵として活動しており、多くの依頼を受け、多くの報酬を手にした。

サルウァトピア家の傭兵として雇われたが、サルウァトピア家の目的を知った途端に契約解消し、タクト達と共にプルガトリウムシティーから脱出した。

 

後にアウグストに雇われ、王城の警護隊に入隊し、新しい居場所を手に入れた。

 

名前のヴァーテルはオランダ語で『水』を意味する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『身体強化の首輪』

 

アズマ、リュグナ、シュトルツ、ヴァーテルが身体を強化させる魔道具。

大富豪・サルウァトピア家から与えられた。

 

掛け声の「デュミナスフォース」を唱えると発動する

 

だが、この力を使い続けると人体に影響を及ぼし、魔人化してしまう副作用がある。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『メリル』

 

声-茅原実里

 

 

 

3年前のミスリラ帝国のとある大事件の後に衛士隊に入隊した新人。

プルガトリウムシティーに入れられた後、サルウァトピア家から身体強化の首輪を受け取って戦った。

 

だがその力に溺れてしまって姿を消してしまい、魔人化になってアズマ達の前に姿を現した。

 

最期はアズマ達に自分の懺悔を告げ、アズマに倒されて消滅した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『コウ』

 

声-小野賢章

 

 

 

亡国・ミスリラ帝国出身の衛士隊。

嘗てコウ隊の隊長として部下達を率いていた。

盗賊団クレージュのマチと幼馴染み。

 

しかしその裏では、両親を殺したミスリラ帝国を人一倍憎んでおり、幼い頃にサルウァトピア家に引き取られ、頭首・エレホスに自分の命と引き換えにミスリラ帝国を滅ぼして欲しいと申し出た。

 

その後衛士隊に入隊して極悪盗賊団・フラミンゴ盗賊団に寝返り、そこで自分の2人の部下を殺し、アズマに重傷を負わせ、フラミンゴ盗賊団も殺そうとしたが致命傷を負い、彼等を殺した後に自ら命を絶った。

 

だが死亡直後にクトゥグアの自覚に目覚め覚醒し、プルガトリウムシティーでタクトと再会し、当主・エレホスを殺害した。

 

最期はウルトラマンティガとの一騎打ちで敗北を認め、世界の未来をティガに託してゼペリオン光線を受けて消滅した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『クトゥグア』

 

ミスリラ帝国でコウが落命後に自覚し、覚醒した旧支配者の力。

顔の右半分、両腕、胴体、右足に炎の皮膚が浮かび、深紅のマントを羽織ってる。



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キャラクター紹介タイプ3

「クラウド」

 

声-蒼井翔太

 

 

年齢・17歳

 

モデル・フジ(モナ・リザの戯言)

 

髪型・藤色ショートヘアー

 

私服・黒い服、灰色のジャケット、青いジーンズ、黒い靴

 

性格・冷静

 

北の山奥にある村。アウラー出身の少年。

妹のレインと共に悠々自適な生活をしていたが、突如として現れたマルクスと彼率いる3人の男達に誘拐されてしまった。

 

豪華客船でマルクス達と共に行動を余儀なくされたが、ジェームズ盗賊団の襲来で隙を見てレインと共に脱出したが、竜巻に飲み込まれてしまった。

 

だがマルクスから盗んだ水晶石で竜巻から脱し、リッテンハイムリゾートに打ち上げられた所をタクト達に救出された。

 

それ以降タクト達と行動を共にし、後に出会うジェームズ盗賊団と行動を共にする。

 

その正体は、大海原を歩む城・イージアの王族の末裔だった。

 

マルクスとの戦いに終止符を打った後は、アウラーに帰った。

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「レイン」

 

声-山崎エリィ

 

 

年齢・16歳

 

モデル・カスミ(モナ・リザの戯言)

 

髪型・霞色ショートボブ

 

私服・白いブラウス、紺色のスカート、黒いローファー

 

性格・大人しい

 

アウラー出身の少女で、クラウドの妹。

クラウドと同様にマルクス達に誘拐された。

 

豪華客船でマルクス達と共に行動を余儀なくされたが、ジェームズ盗賊団の襲来で隙を見てレインと共に脱出したが、竜巻に飲み込まれてしまった。

 

だがマルクスから盗んだ水晶石で竜巻から脱し、リッテンハイムリゾートに打ち上げられた所をタクト達に救出された。

 

それ以降タクト達と行動を共にし、後に出会うジェームズ盗賊団と行動を共にする。

 

その正体は、クラウドと同じく大海原を歩む城・イージアの王族の末裔だった。

 

マルクスとの戦いに終止符を打った後は、兄と共にアウラーに帰った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ジェームス」

 

声-森久保祥太郎

 

 

年齢・50歳

 

モデル・テツ(モナ・リザの戯言)

 

髪型・黒髪癖っ毛

 

私服・白い服、白いダウンジャケット、青いジーンズ、黒いブーツ

 

性格・荒々しい、仲間思い

 

自由を愛するジェームス盗賊団の頭領。

娘3人と数人の女部下と父ギルバートと共に海を渡っている。

妻は数年前に他界している。

 

当初はレインの持つ水晶石を狙って執拗に追い続けたが、後にタクト達と共にクラウドとレインを救出し、彼らと行動を共にする。

 

イージアへ向う途中アルニス軍の襲撃を受け、愛船のオクトパス号を大破された挙句アルニス軍に拘束された。

 

助けに来たタクトとティオのお陰で拘束が解かれ、唯一無事だったドルフィンに乗って全員脱出。

 

イージアの終止符後、帰還したタクト達に別れを告げて海の旅へ戻った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『アディウム=モオル』

 

声-高垣彩陽

 

辺境の王国・アストラルを支配するベローナが所有する人工魔人。

その姿は少女の顔立ちで、衣装はカミーラの衣装を模している。

しかし実際は、ある人物によって造られたが、その人物に捨てられた所をベローナに拾われた。

強い力を持っており、専用の鎧魔がベローナによって開発された。

体内には異空間魔石が埋め込まれており、相手を異空間へ送り込む兵器を有している。

 

最後はウルトラマンティガのゼペリオン光線を受け、世界に危機が迫っている事を言い残して大爆発した。

 

アストラルに彼女の墓が建てられた。

 

モデル・カミーラ(惑星テリオ)。

 

由来・ラテン語で愛憎を意味するアモルオディウムのアナグラム

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『災害級魔物・ドラゴン』

 

ベローナが育てている災害級。

その正体は、初めてティガに変身したタクトが逃したドラゴンの災害級であり、逃げてる最中にベローナに捕獲された。

アルティメット・マジシャンズと互角に渡り合ったが、最大魔力の集中攻撃によって討伐された。



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キャラクター紹介タイプY

『ユエリアン』

フェオン達の故郷の集落。
ここでは、少女達が大聖堂で戦士として育てられると言う仕来りがある。
戦士には証としてマントが授けられる。
マントには防御、攻撃、衝撃緩和、防汚が付与されてる。
しかしユエリアンは魔女アステール、リウシン、リテスの3姉妹の復讐により滅ぼされてしまった。
襲撃により多くの村人達が殺されたが、フェオンや他の戦士や神子達が生き残っており、彼女達はユエリアンを発った。
今では誰も寄り付かない廃墟と化している。

ユエリアンは中国語で『月』を意味している。




『戦士のマント』

デザイン元・ブラザーズマント

ユエリアンの戦士にのみ授けられる証。
魔法防御、防汚、衝撃緩和等の付与が施されてる。


『ミウ』

 

声-鈴木愛奈

 

 

 

年齢・18歳

 

モデル・郡千景

 

髪型・黒髪ロングヘアー

 

服・黒いマント、黒いワンピース、黒いメリージェーン

 

性格・冷静

 

武器・鎌

 

ユエリアン出身で、幼い頃から戦士として育てられた少女。

当初は引っ込み思案だったが、同じ仲間のジェシーと出会えた事で人見知りを克服した。

後にユエリアンが滅ぼされ、ジェシーと行動を共にする。

アステール達が起こした霧でユエリアンに飛ばされてフェオン達と再会した。

しかしアステール達の猛攻により死亡したが、ジムと名乗る男の力で蘇生された。

 

今でも大親友のジェシーと共に旅を続けている。

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『ジェシー』

 

声-照井春佳

 

 

 

年齢・17歳

 

モデル・高嶋友奈

 

髪型・赤髪サイドテール

 

服・ピンクのマント、ピンクのブラウス、青いジャンパースカート、赤いブーツ

 

性格・元気

 

武器・格闘

 

ユエリアン出身で、幼い頃から戦士として育てられた少女。

人見知りのミウと出会い、彼女の大親友として接して来た。

後にユエリアンが滅ぼされ、ミウと行動を共にする。

アステール達が起こした霧でユエリアンに飛ばされてフェオン達と再会した。

しかしアステール達の猛攻により死亡したが、ジムと名乗る男の力で蘇生された。

 

今でも大親友のジェシーと共に旅を続けている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『シア』

 

声-大野柚布子

 

 

 

年齢・16歳

 

モデル・国土亜耶

 

髪型・クリーム色ロングヘアー

 

服・白い修道服、黒いローファー

 

性格・天使

 

武器・なし

 

ユエリアン出身で、集落一の神子の力を持っている少女。

誰に対して優しく、皆の癒し系。

後にユエリアンが滅ぼされ、ローラ率いる戦士達と行動を共にする。

 

フェオン達と再会した時は、負傷したハンターのルインと彼の仲間達の手当てをしてあげていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『ローラ』

 

声-田中美海

 

 

 

年齢・17歳

 

モデル・楠芽吹

 

髪型・黒髪ツインテール

 

服・緑のマント、白いブラウス、紺色のジャケット、白いショートパンツ、黒いブーツ

 

性格・熱血、ストイック

 

武器・剣

 

ユエリアン出身で、戦士として育てられた少女。

戦士の中で熱血でストイックで、周りの仲間達と徹底的に鍛えてあげるなど。

後にユエリアンが滅ぼされ、生き残った戦士と神子達を率いて旅に出た。

 

フェオン達と再会した時は、シアを救出しルイン達ハンター集団と出会い、ガクマ討伐に協力した。

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『リナ』

 

声-花守ゆみり

 

 

 

年齢・15歳

 

モデル・三ノ輪銀

 

髪型・銀髪ポニーテール

 

服・赤いマント、ピンクのシャツ、赤いジャケット、青い半ズボン、赤い靴

 

性格・元気、活発

 

武器・双剣

 

ユエリアン出身で、戦士として育てられた少女。

生き残った戦士達の中では最年少で、元気いっぱいで健気。

現在はローラ率いるグループと行動を共にしている。

 

少し乙女心があるようだが・・・

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『スズ』

 

声-種崎敦美

 

 

 

年齢・17歳

 

モデル・加賀城雀

 

髪型・茶髪ショートヘアー

 

服・紺色のマント、緑色のブラウス、白いキュロットスカート、白い靴

 

性格・臆病

 

武器・盾

 

ユエリアン出身で、戦士として育てられてしまった少女。

戦士の中で物凄い臆病で、誰かに自分を守って欲しいと懇願する程。

現在はローラ率いるグループと行動を共にしている。

 

常に自分がいつ死ぬかとヒヤヒヤしている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『ユリア』

 

声-大空直美

 

 

 

年齢・17歳

 

モデル・弥勒夕海子

 

髪型・クリーム色ロングツインテール

 

服・金色のマント、白い服、黒いジャンパースカート、黒いローファー

 

性格・プライド高い、目立ちだがり屋

 

武器・ハンマー

 

ユエリアン出身で、戦士として育てられた少女。

集落で唯一の貴族の娘で、小さい頃からプライドが高いが、仲間思いがある。

現在はローラ率いるグループと行動を共にしている。

 

家は滅ぼされたが、いつか必ず貴族に返り咲くと夢見ている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『ルリ』

 

声-田澤茉純

 

 

 

年齢・18歳

 

モデル・安芸真鈴

 

髪型・茶髪三つ編み

 

服・黒い修道服、黒いローファー

 

性格・マイペース

 

武器・なし

 

ユエリアン出身で、神子の力を持つ少女。

神子の中では明るい性格で、周りの皆を引っ張って行った。

現在はローラ率いるグループと行動を共にしている。

ユエリアンがまだあった頃は、レアとアンナと遊ぶ事が多かった。

 

超凄腕のギャンブラーで、これまで博打に勝利した回数は数百に及ぶ。

ギャンブルで勝ち得た賭け金は旅の資金として利用してる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『パドメ』

 

声-宮原颯希

 

 

 

年齢・17歳

 

モデル・花本美佳

 

髪型・銀髪三つ編みツインテール

 

服・黒い修道服、黒いローファー

 

性格・物静か

 

武器・なし

 

ユエリアン出身で、神子の力を持つ少女。

物静かな性格で、感情をあまり出さない。

現在はローラ率いるグループと行動を共にしている。

 

戦士であるミウに強い憧れを抱いている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『魔女アステール』

 

声-折笠富美子

 

魔女3姉妹の長女。

嘗てフェオン達の故郷ユエリアンと彼女達の家族や友達を滅ぼした。

自身が発生した霧でタクト達を廃墟となったユエリアンへ連れ出し、蝙蝠型の魔物デトワールを無数に召喚した。

そして自ら表舞台に立ち、フェオン達を殺した。

 

実はユエリアン出身の少女で、強過ぎる力を持っていた。それが原因で周りから危惧されてしまった。

自分を捨てたユエリアンに復讐する為、禁じられた邪神崇拝の魔法を使って魔女として君臨した。

 

滅ぼされたユエリアンでの戦いでフェオン達を殺したが、彼女達は蘇生された。

 

リウシンとリテスとデトワールの力を吸収して戦いに挑むが、ウルトラマンティガに反撃され、最期はゼペリオン光線を受けて大爆発した。

 

アステールはギリシャ語で『星』を意味する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『魔女リウシン』

 

声-桑谷夏子

 

魔女3姉妹の次女。

姉のアステールと共に邪神崇拝し、魔女として君臨した。

 

最期はウルトラマンティガのゼペリオン光線を受けて大爆発した。

 

リウシンは中国語で『流れ星』を意味する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『魔女リテス』

 

声-中原麻衣

 

魔女3姉妹の三女。

姉のアステールとリウシンと共に邪神崇拝し、魔女として君臨した。

 

最期はウルトラマンティガのゼペリオン光線を受けて大爆発した。

 

リテスはラテン語で『隕石』を意味する『メテオリティス』から取った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『星屑デトワール』

 

魔女アステールが生み出した白い生命体。

その数は無限で、無数に召喚される。

リウシンの祝詞で合体して人型となれる。

フェオンの首を噛み千切って殺した事がある。

だがフェオンと他の戦士達も蘇生され、彼女達の連携で倒された。

 

倒された時に残った残骸をアステールに吸収されたが、ウルトラマンティガの反撃に敵わなかった。

 

フランス語で『星屑』を意味する『アマ・デトワール』から取った名。



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##TRAVELER OF TIGA##
0/光を受け継ぐもの


光を受け継ぐもの



小さな国・ライサ小国。ここのレストランにあるグループが居た。

 

フェオン「ん〜!やっぱりここの料理は美味しいわねぇ〜!」

 

イザベラ「お姉ちゃん、何杯食べてるの?」

 

アンナ「もう軽く10杯食べてますね・・・」

 

それは、フェオン達だった。彼女達は故郷を発ち、共に旅をしている。

 

女性A「ねぇ知ってる?この先にある辺境の森の奥に古代の戦士の石像があるって。」

 

女性B「知ってる知ってる。何かハンター達の間で噂されてるよね。」

 

エミリー「ん?戦士の石像?」

 

レア「あぁレアも前にハンターから聞いた事あるぞ。誰も居ない神殿にある戦士の石像。」

 

アンナ「でもどんな姿かまだ誰も見た事がないって。」

 

ヒナ「迷信なんじゃないですか?」

 

フェオン「・・・どんな姿なのか、何か興味が湧いたわ。」

 

イザベラ「お姉ちゃん、行くの?」

 

フェオン「1つの宝探しと思えばね。」

 

女性A「あなた達、その神殿に行くの?」

 

ヒナ「はい。そう決めた所なんです。」

 

女性B「気を付けた方が良いわよ。あの森は深くて恐ろしいし、何でも1度入ると生きて帰れないって噂だからね。」

 

アンナ「そんなに恐ろしい森なんですか・・・」

 

女性A「ここから出発するとなると、軽く3日は掛かりそうよ。」

 

フェオン「そ・・・そうなんですか・・・?」

 

イザベラ「あ、お姉ちゃんが怯えてる・・・」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、小さなマーケットでは、ある人物が歩いていた。

 

タクト「へぇ〜。賑わっているなぁ〜。」

 

それは、タクト=クリスティ。前世で飛行機墜落事件に巻き込まれて死亡し、この異世界へ転生した。

 

タクト「何か珍しい物とかないかな〜?」

 

???「よう!そこの兄ちゃん!」

 

タクト「ん?」

 

ある骨董店の店主がタクトを呼び止めた。

 

店主「兄ちゃん見ない顔だね。旅人さんかい?」

 

タクト「あ、あぁそんな所だ。」

 

店主「そうかそうか。ちょっと見て行かないかい?色んな代物が揃ってるぞ?」

 

タクト「ほうほう。結構歴史的な物が多いなぁ・・・ん?」

 

その中で、スパークレンスの化石に目が止まった。

 

タクト「(あれは・・・)店主、この品って何処で見付けたんだ?」

 

店主「これか?これはな、3年前に近くの山で見付けたもんでな。でも買う人は誰も居なくてずっとここに並べてるんだ。買ってくれる人が来てくれるまでね。」

 

タクト「(何か不思議な力を感じる。)・・・店主、これ、俺に売ってくれ。」

 

店主「本当かい!?毎度あり!」

 

代金を払い、スパークレンスの化石を買った。因みに金は、今まで盗賊退治の報酬として手に入れた報酬金。

 

店主「また何時でもおいでな〜!」

 

 

 

 

 

 

3日後。フェオン達は戦士の石像が眠ると言われる辺境の森に足を踏み入れた。

 

フェオン「や、やっぱりあんな事言うんじゃなかったわね・・・」

 

エミリー「もうここまで来たんだ。引き返す事も出来ないだろう。」

 

レア「アンナ。絶対にレアから離れるんじゃないぞ。」

 

アンナ「うん。絶対離さないよ。」

 

ギュッと手を繋いでる。

 

ヒナ「エミリーちゃん。私を置いて行かないで下さいね。」

 

エミリー「当たり前だ。」

 

ヒナに腕を組まれてる。

 

"ヒュン"

 

イザベラ「ん?」

 

フェオン「ど、どうしたのイザベラ?」

 

イザベラ「何か光ったような気がしたんだけど・・・」

 

フェオン「き、きき気のせいじゃないの?」

 

イザベラ「そう、かな?」

 

ゆっくりと森の奥へ進む6人に、3人の人影が迫って来る。

 

 

 

 

 

 

数分後。辺境の森を歩くタクトの姿があった。

 

タクト「結構深く入ったな・・・これは一体何なんだ・・・?」

 

ジャケットの内ポケットから、スパークレンスの化石を見る。

 

タクト「まあ考えるのは後だ。まずはこの森を抜けねえとな。」

 

"ヒュン"

 

タクト「ん?」

 

突然森の右から何かの気配を感じた。

 

タクト「何かあるのか?」

 

右の方へ進んで行く。

 

 

 

 

しばらく進むと。

 

タクト「ん?」

 

???「助けて〜〜!」

 

壁に埋められてる女が。

 

タクト(・・・壁から尻が生えてる・・・)

 

???「ん!?人の気配!そこの人!助けて下さ〜い!」

 

タクト「ま、待ってろ。今抜いてやるから。せーのっ!」

 

強く引っ張って、女を助けた。

 

???「痛たたた・・・」

 

タクト「大丈夫か?」

 

助けた女に手を差し伸べ、女はタクトの手を握って立ち上がった。

 

???「助けてくれてありがとう。私はグレア。あなたは?」

 

タクト「俺はタクト。タクト=クリスティだ。それでグレアとやら。何であの壁に埋められてたんだ?見た所、蝶々みたいな衣装を着ているが・・・」

 

グレア「私ね、蝶々の精霊なの。」

 

タクト「へぇ〜。」

 

グレア「向こうにある石像を目指そうととしたんだけど、実体化の魔法使っちゃって・・・テヘ☆」

 

タクト「随分なうっかり屋さんだな・・・ん?石像?その石像って何だ?」

 

グレア「何でも、大昔から存在する戦士の石像って噂だよ。」

 

タクト「戦士の石像・・・ちょっと俺も見てみたい。興味が湧いた。」

 

グレア「そうなの?なら一緒に行こ?」

 

タクト「あぁ。」

 

2人は戦士の石像を目指して森の奥深くへ行く。

 

 

 

 

 

 

森の奥深く。

 

タクト「まだなのか・・・?」

 

グレア「この辺りにあるって噂なんだけど・・・」

 

???「な、何なのアンタ達!」

 

タクト・グレア「ん?」

 

奥を見ると・・・

 

 

 

 

フェオン達が盗賊達に襲われていた。

 

盗賊A「嬢ちゃん達、ここで何してんだい?」

 

フェオン「何って・・・アンタ達に関係あるの?」

 

盗賊A「関係あるさ。嬢ちゃん達も石像に興味あるんだろ?」

 

フェオン「盗み聞きとか最低ね・・・」

 

盗賊B「何とでも言え!命が欲しけりゃ俺達に石像を譲ってくれないか?」

 

エミリー「何の為にだ?」

 

盗賊C「もしかしたら、その石像は高く金になるらしいぞ。」

 

ヒナ「お金にするとか・・・卑劣ですね・・・」

 

盗賊D「黙れ!さぁどうする?」

 

レア「クッ・・・!」

 

タクト「卑劣にも程があるな。」

 

そこにタクトが乱入した。

 

盗賊A「アァ?何だテメェ!」

 

タクト「俺?石像に興味がある者だけど。」

 

盗賊A「ハッ!石像は俺達のモンだ!興味があるって言うなら俺達がぶっ殺してやるよ!」

 

タクト「そうか・・・なら!!」

 

横にある木に勢い良くキックした。すると大量の落ち葉が盗賊達に落ちた。

 

盗賊達「ギャアアアアーーーー!!!」

 

タクト「その落ち葉は濡れてるから、かなり重量があるぞ。アンタ達、ここから逃げるぞ。」

 

フェオン「え?あ、うん!」

 

急いでその場から逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

タクト「・・・ここまで来れば大丈夫だろう。」

 

アンナ「えっと・・・あなたは?」

 

タクト「そうだ、自己紹介がまだだったな。俺はタクト=クリスティ。ただの歴史好きの風来坊かな?」

 

フェオン「助かったわタクト。私はフェオン。こっちは妹のイザベラ。」

 

イザベラ「ありがとうございます。」

 

エミリー「私はエミリーだ。」

 

ヒナ「ヒナです。」

 

レア「私はレアだ!」

 

アンナ「アンナです。助けてくれてありがとうございます。」

 

グレア「私はグレア!タクトの仲間で精霊だよ!」

 

イザベラ「精霊さん!?可愛い〜!」

 

グレア「え?エヘヘへ。照れちゃうよぉ〜。」

 

タクト「アンタ達、俺と同じく石像を探してるのか?」

 

フェオン「そうなのよ。この辺りのはずなんだけど・・・」

 

ヒナ「ん?」

 

エミリー「どうした?ヒナ。」

 

ヒナ「彼処から気配を感じます!」

 

フェオン「え?」

 

気配がした方を見ると、ピラミッド型の神殿があった。

 

タクト「ピラミッド?いや、神殿か?」

 

フェオン「何かあるかも知れないわね。行ってみよう!」

 

8人はその神殿へ向かう。

 

???(タクト・・・タクト・・・)

 

タクト(え?誰だ?)

 

彼の頭に、謎の声が聞こえた。

 

 

 

 

神殿前に着いた。

 

フェオン「入口は?」

 

イザベラ「何処にもない・・・」

 

タクト「・・・まさか。」

 

ゆっくりと神殿に触れると、すり抜けた。

 

タクト「!」

 

そのまま神殿へ入って行った。

 

レア「タクト!?」

 

グレア「入っちゃった!?」

 

彼女達も恐る恐る神殿へ入って行った。

 

 

 

 

神殿内。

 

ヒナ「タクトさん?」

 

タクト「・・・」

 

彼はある物を見詰めてる。

 

フェオン「あれって・・・!!」

 

そこにあったのは・・・

 

 

 

 

 

 

ウルトラマンティガの石像だった。

 

 

 

 

 

 

タクト(ウルトラマンティガの石像!?何でここに・・・!?)

 

エミリー「あれが戦士の石像・・・」

 

ヒナ「エミリーちゃん、遂に見付けましたね!」

 

レア「噂の石像だ!」

 

ティガの石像にタクトが触れると、何かを感じた。

 

タクト(これは・・・)

 

彼が知らない間に、内ポケットに仕舞ってるスパークレンスの化石が微かに光った。

 

盗賊A「ほう?あれが戦士の石像かぁ。」

 

落ち葉に埋もれていた盗賊達が追い付いて来た。

 

フェオン「アンタ達!?」

 

盗賊A「貴様!よくもやってくれたな!!その石像を渡せ!!じゃないとぶっ殺すぞ!!!」

 

タクト「・・・」

 

盗賊B「アアアアアーーー!!!!」

 

突然盗賊の1人が炎に包まれてしまった。

 

盗賊A「な、何だ!!おい!大丈夫か!?」

 

盗賊C「あ、兄貴!あれ!あれ!」

 

そこに現れたのは・・・

 

 

 

 

 

 

ドラゴンの災害級だった。

 

 

 

 

 

 

盗賊A「ド、ドラゴンの災害級だと!?」

 

盗賊D「た、助けてくれーーーーー!!」

 

更に1人の盗賊が、巨大な鳥に捕まれてしまっていた。

 

盗賊A「た、鷹の災害級!?」

 

盗賊D「ウワアアアアアーーーーー!!!!」

 

上空から放り投げられた盗賊が、木の天辺に串刺しにされた。

 

盗賊C「こ・・・この野郎!!!」

 

盗賊A「よくも!!!」

 

ドラゴン『ーーーーーーー!!!!!』

 

災害級が炎を吐き、森を焼き始めた。

 

盗賊達「アアアアアーーー!!!」

 

その炎に盗賊達が巻き込まれ、燃やされた。

 

 

 

 

森があっと言う間に焼き尽くされてしまった。

 

グレア「危機一髪だったね・・・」

 

フェオン「な、何なのよ一体・・・!?」

 

アンナ「災害級が居るなんて・・・!」

 

8人はグレアが張った魔力障壁のお陰で助かった。

 

エミリー「森が・・・」

 

タクト「このままじゃマズい・・・!!」

 

鷹『ーーーーーー!!!』

 

ドラゴン『ーーーーーーー!!!』

 

2つの災害級がティガの石像に向けて猛ダッシュした。

 

タクト「ッ!!止めろーーーー!!!」

 

咄嗟の判断でタクトが災害級ドラゴンの顔に飛び蹴りした。

 

フェオン「タクト!!」

 

鷹『ーーーーーー!!!!』

 

タクト「なっ!?」

 

後ろから鷹の災害級に掴まれた。

 

イザベラ「タクトさん!!」

 

グレア「タクト!!」

 

 

 

 

この森は断崖絶壁の上にあり、タクトは鷹の災害級に掴まれて外へ。

 

鷹『ーーーーーー!!!!』

 

タクト「止めろ!!!」

 

そのまま断崖絶壁へ放り投げられてしまった。

 

タクト「クッ!!このままじゃ!!」

 

???(タクト・・・受け取って・・・)

 

タクト「あの声・・・!?」

 

その時、タクトの身体が眩しい光に包まれた。

 

タクト「これは!?・・・っ!!」

 

ジャケットからスパークレンスの化石を取り出すと、化石から本物のスパークレンスへ変わった。

 

タクト「ティガの石像と共鳴したのか・・・!!」

 

???(スパークレンスの光を開放して・・・)

 

タクト「スパークレンス・・・よし!!」

 

スパークレンスの光を解放させた。すると光となったタクトが急上昇した。

 

 

 

 

フェオン・レア「ヤアアアァァァァ!!!」

 

上では、フェオン達が災害級ドラゴンと戦っていた。だが、ドラゴンが翼を羽ばたかせた。

 

フェオン・イザベラ・エミリー・アンナ「キャアアアアアア!!」

 

レア「おわああああ!!!」

 

吹き飛ばされた3人が壁に激突した。

 

ヒナ「エミリーちゃん!!フェオンさん!!イザベラちゃん!!」

 

グレア「レア!!アンナ!!」

 

そんな中、ティガの額のクリスタルが密かに光っていた。

 

ドラゴン『ーーーーーー。』

 

石像を壊そうとするドラゴンが足を下ろした。だが、ティガの両腕がクロスしてドラゴンの足を防いだ。

 

ドラゴン『ーーーーーー?』

 

そして、次の瞬間・・・

 

 

 

 

 

 

ティガ「タァッ!!」

 

 

 

 

 

 

ドラゴン『ーーーーーー!!』

 

両腕で押し上げられたドラゴンがバランスを崩して倒れ、ウルトラマンティガが蘇った。

 

 

 

 

ヒナ「戦士が!戦士が蘇りました!!」

 

エミリー「だが、どうやって!?」

 

 

 

 

断崖絶壁から転落しようとする危機一髪の瞬間、タクトの身体は光となってティガの体内に溢れた。タクトの生命を得る事で、ティガは永き眠りから目覚めたのである。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ジャンプしてドラゴンの頭部にチョップし、そのまま回転して首元にチョップした。怯んでる隙に首元に膝蹴りをした。

 

鷹『ーーーーーーー!!!』

 

後ろから鷹の災害級が迫って来るが、ティガがマルチキックで退けた。

 

ドラゴン『ーーーーーーーー!!!』

 

激怒した災害級ドラゴンが口に炎を集める。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

それを見たティガがドラゴンの口を閉じた。

 

鷹『ーーーーーーー!!』

 

その隙に鷹の災害級が翼を広げて飛翔し、ティガの背中に体当たりした。

 

ティガ「アァッ!!」

 

体当たりされたティガが地面に倒れた。

 

ドラゴン『ーーーーーー!!』

 

災害級ドラゴンが口から火炎放射を吐いた。ティガが火炎放射を側転して避けた。

 

鷹『ーーーーーーー!!!』

 

突進して来る鷹の災害級を受け止めた。災害級ドラゴンがティガの後ろに火炎放射を吐いた。

 

ティガ「ウワアアア!!!」

 

鷹『ーーーーーー!!!』

 

火炎放射を受けたティガが右翼で殴り飛ばした。

 

ティガ「アァッ!!」

 

2対1となる状況。するとティガの額のティガクリスタルが赤く光った。ティガクリスタルの前で両腕をクロスする。

 

ティガ「ーーーーーハァ!!」

 

両腕を下ろすと、ティガがマルチタイプから赤色のパワータイプへタイプチェンジした。

 

ドラゴン『ーーーーーー!!!』

 

鷹『ーーーーーーー!!!』

 

災害級ドラゴンの火炎放射と鷹の災害級の風起こしをウルトラシールドで防いだ。

 

ティガ「タァ!!」

 

走り出し、災害級ドラゴンの胴体にタックルした。そしてそのまま災害級ドラゴンの首を両腕で掴んで締め上げた。

 

ドラゴン『ーーーーーーー!!!』

 

首を締め上げられた災害級ドラゴンが苦しむ。

 

ティガ「タァッ!!」

 

そのまま災害級ドラゴンの頭部を掴んで背負い投げ。

 

鷹『ーーーーーーー!!!』

 

走って来る鷹の災害級をパワーキックで攻撃しようとしたが、鷹の災害級が飛翔した。

 

ティガ「ッ!!」

 

その隙にドラゴンの災害級が逃げ出した。ティガが追おうとしたが、鷹の災害級が風起こしで怯ませた。

 

ティガ「ウワァッ!!」

 

”ピコン”

 

胸のカラータイマーが赤く点滅し始めた。すると再びティガクリスタルに異変が。今度は紫色に光った。両腕をクロスして、紫色のスカイタイプへタイプチェンジし、高速ジャンプで鷹の災害級の顔面にスカイキック。

 

鷹『ーーーーーーー!!!』

 

スカイキックを受けた鷹の災害級が墜ち、ティガが着地した。

 

鷹『ーーーーー・・・!!!』

 

怯んでる隙に、両腕を胸の前で交差させ、瞬時に左右に伸ばしてから上にあげてエネルギーを集める。

 

ティガ「タァ!!」

 

右腕を突き出して放つランバルト光弾で、鷹の災害級を撃破した。

 

ティガ「タァッ!」

 

空の彼方へ飛び去った。

 

 

 

 

一方フェオン達は、ティガの戦いに唖然としていた。

 

フェオン「す・・・凄い・・・!」

 

グレア「これが戦士の力・・・!」

 

イザベラ「あ!お姉ちゃん!タクトさんは!?」

 

フェオン「そうだった!タクト!!」

 

エミリー「返事してくれー!」

 

ヒナ「タクトさーーん!!」

 

レア「タクトーーーー!!」

 

アンナ「何処に居るんですかーーー!!」

 

タクト「・・・っ!」

 

崖からタクトが登って来た。

 

グレア「タクト!!!」

 

フェオン「タクト!!」

 

 

 

 

崖からタクトを引き揚げた。

 

タクト「心配させてすまなかったな。」

 

フェオン「まさかここまで登って来たの?」

 

タクト「あぁ。俺身体能力高いからな。」

 

 

 

 

 

 

その後。

 

フェオン「色々と巻き込んじゃって悪かったね。」

 

タクト「いや、何だかんだで一件落着して良かったよ。」

 

フェオン「ねぇタクト、グレア。もし良かったら一緒に旅しないかしら?」

 

タクト・グレア「え?」

 

フェオン「私達は旅するハンターで、見ての通り女の子だけなんだけど。もしまた危険な事に絡まれたら助けてくれるかなって。」

 

レア「お前達が居ると楽しめそうだし!」

 

タクト「・・・」

 

グレア「良いね!私賛成!タクトは?」

 

タクト「・・・良いぞ。仲間に入れてくれるなんて嬉しいな。」

 

イザベラ「宜しくお願いします。タクトさん。グレアさん。」

 

エミリー「宜しく頼むぞ。2人共。」

 

タクト「此方こそ。」

 

ヒナ「それでは皆さん、タクトさんとグレアさんが仲間に入った事で、旅を続けましょう!」

 

こうして彼等は、長い旅を歩み始めた。

 

タクト(まさか俺が、ウルトラマンティガになれるなんて。)

 

ジャケットの内ポケットに隠してあるスパークレンスを見る。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

グレア:高橋李依
フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈

店主:松田修平

女子:難波佑香
   水谷麻鈴

盗賊:佐久間元輝
   田所陽向
   橘龍丸





次回予告

突如エルスティア皇国を襲った震災。タクトは出会った貴族少女と彼女の侍女を助けた。仲間達と共に皇国の復興に貢献する。

次回ウルトラマンティガ

復興への道程

お楽しみに


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1/復興への道程

復興への道程



共に旅を始めてから1ヶ月後。彼等は、エルスティア皇国を訪れていた。

 

 

 

 

ホテル。

 

タクト「zzz・・・・ん?」

 

ベッドから目が覚めたタクトが周りを見る。

 

タクト「皆は・・・そうか。今日から城下町の依頼をしに行くって言ってたな。んじゃ、俺も合宿へ行くか。」

 

 

 

 

 

 

魔物ハンター合宿に参加したタクトは、他のハンター達と一緒に馬車に乗って目的地の森林へ向かっていた。

 

 

 

 

目的地の森林。

 

リーダー「ここから別行動だ。期間は3日後の昼。時間が経ったら現地に集合。残留する場合はリーダーの私に申し出てくれ。では解散。」

 

タクト「んじゃ、素材集めしますかな。」

 

 

 

 

森林を歩いていると。

 

タクト「ん?」

 

1人の少年が、3人の男に絡まれていた。3人の男が、少年から素材を奪おうとしている。

 

タクト「不埒共めが。」

 

そう言いながら少年を助けに行った。

 

タクト「ダァッ!」

 

飛び蹴りし、リーダー格の男と少年の間に割り込み、男が奪った素材を取り返した。

 

男A「何だテメェ!!」

 

タクト「早く逃げろ。」

 

素材を少年に返して逃がした。

 

タクト「人の素材を奪うとか、ハンターの風上にも置けねえなぁ。」

 

男A「五月蝿え!ぶっ殺してやる!!」

 

ナイフを持った男がタクトを襲う。だが。

 

タクト「フッ!」

 

右手を突き出すと、ナイフを持った男が宙に浮いた。

 

男A「な、何だこりゃ!?」

 

タクト「他の2人も。」

 

今度は左手も突き出し、取り巻き2人もウルトラ念力で宙に浮かばせた。

 

男A「おい!何しやがる!!降ろせ!!」

 

タクト「反省の色なしか。ほい。」

 

両手を高く上げると、男達が高く舞い上がって、近くの木に落下して引っ掛かった。

 

タクト「俺を見て化け物とでも思うんだな。痛くも痒くもないけどな。」

 

そう言ってその場を去った。

 

 

 

 

森林を抜けると、先程の少年が立っていた。

 

タクト「君。」

 

少年「あ。助けてくれてありがとうございます。」

 

タクト「いや。無事で良かった。俺はタクト。君は?」

 

少年「僕はチャーリー。」

 

タクト「あの男達は何だったんだ?」

 

チャーリー「あの人達は、人が手に入れた素材を奪って売るんです。抵抗しようとするとナイフで脅して来るんです。」

 

タクト「とんだバカ共だな。君は強い方?」

 

チャーリー「はい。お父さんからハンターの知識や武術を教えられたんで。」

 

タクト「なら1人でも問題無さそうだな。」

 

チャーリー「はい。」

 

タクト「もうあんな奴等に絡まれるなよ。じゃあな。」

 

チャーリー「ありがとうございました。」

 

 

 

 

彼と別れた後。タクトは多くの魔物を討伐し、稀少素材を含めた多くの素材を手に入れた。

 

タクト「これだけあれば、結構値が付くな。」

 

 

 

 

 

 

それから4日後。タクトは1日残留後に、偶々近くに通り掛かった3両編成の観光馬車に乗って城下町へ帰る。

 

タクト「結構素材が手に入ったな。」

 

そんな事を言いながら景色を眺めていると。

 

少女「わぁ!気持ちが良いわ。」

 

前の馬車に、赤いワンピースの少女が1人のメイドと一緒に外に出た。

 

メイド「お嬢様。帽子が飛びますわ。」

 

少女「平気よ。」

 

タクト(貴族の娘か。)

 

すると突風が起こり、少女の帽子が飛んだ。

 

少女「あ!」

 

タクト「おわっ!!」

 

咄嗟に腕を伸ばし、少女の帽子をキャッチした。

 

タクト「ふぅ・・・大丈夫?」

 

前の馬車に移り、帽子を少女に返した。

 

少女「ありがとう。」

 

タクト「気を付けてね。」

 

少女「うん。」

 

メイドが一礼し、タクトも一礼する。少女とメイドは前の馬車に座った。

 

タクト「皇都までもう少しか。フェオン達、依頼終えてるかな。」

 

観光馬車が皇都まで後数キロ。

 

 

 

 

 

 

”ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!”

 

 

 

 

 

 

突然地震が発生し、観光馬車が揺れ、馬車馬が暴れ始めた。乗客達はしゃがみ、タクトは手摺りに掴まってる。

 

タクト「地震だ!」

 

町が揺れ、屋根が崩れ、地割れが起こった。更に観光馬車が居る場所は町にある渓流の石橋の上。しばらくして、地震が止まった。

 

タクト「・・・止まったか・・・」

 

観光馬車から乗客達がぞろぞろと降りて逃げ惑う。

 

御者「大洪水が来るぞ!!」

 

タクト「大洪水?そんな馬鹿な。・・・ん?あっ!」

 

先程の少女とメイドを見付けた。メイドが足を痛めて倒れている。

 

タクト「どうした!?」

 

少女「足が・・・」

 

タクト「見せて見ろ。」

 

メイドの右足を透視能力で診る。

 

タクト「・・・」

 

メイド「痛た・・・」

 

少女「ロージー。しっかり。」

 

タクト「骨が折れている。これでは歩けない。」

 

ロージー「エリスお嬢様、大洪水が来ます!早く逃げ・・・」

 

タクト「馬鹿な事を。」

 

ロージーを背負い、近くの斜面に座らせる。

 

タクト「ここは大洪水は起きない。ちょっと待ってて。」

 

彼は、2人が置いて行った荷物を異空間収納に入れて戻った。

 

タクト「待ってろ。」

 

異空間収納から、包帯と保冷剤を出した。

 

タクト「力を抜いて。さ。」

 

ロージー「・・・アッ!ウッ!」

 

包帯をロージーの折れた右足に巻き、その上に保冷剤を置いて更に包帯を巻く。

 

タクト「ヒナが居たら骨折は治せるのに・・・歩くのは無理だ。家は何処?」

 

エリス「皇都です。」

 

タクト「そこまで送ろう。」

 

”ゴゴゴゴゴ”

 

ロージー「ッ!」

 

タクト「余震?」

 

余震が起こり、乗客達が一斉にしゃがんだ。程なくして余震が止まった。それと同時に町から火が出た。

 

エリス「火事・・・」

 

タクト「行こう。」

 

ロージーを背負い、エリスが後ろからロージーを支えながら町へ向かう。

 

タクト「余震が来るかも知れない。気を付けて。」

 

エリス「はい。」

 

 

 

 

町では、徐々に火事が広がっていく。

 

 

 

 

エリス「・・・・」

 

タクト「ハァ・・・ハァ・・・」

 

汗を流しながら進む。

 

タクト「ウッ!!」

 

進んでる途中でバランスを崩して前に倒れた。

 

ロージー「すみませんすみません・・・」

 

タクト「すまない。痛かったか?」

 

エリス「しっかり。」

 

町の方は火事が広がり続け、空に黒煙が昇った。

 

タクト「フェオン達が心配だ・・・行こう。」

 

 

 

 

避難先の教会。観光馬車の乗客達と町の人々が一斉に避難してる。

 

”ゴゴゴゴゴ”

 

再び余震が起こり、教会が崩れた。

 

人々「わぁっ!!」

 

崩れる教会から逃げた。避難所に、水を浸したタオルを持ったタクトが戻って来た。

 

タクト「俺のタオルだけど、仲間が縫ってくれた新品だ。口を開けて。」

 

ロージーの開いた口に水を流し込み、ロージーがその水を飲む。

 

タクト「井戸が涸れてしまった。君は?」

 

エリス「はい!」

 

濡れタオルをエリスに渡し、エリスが顔を拭く。ロージーの顔にも拭いてあげた。

 

タクト「城下町の方は火事が起きてない。俺は宿泊してるホテルへ行く。あなた方は?」

 

エリス「私、家の者を呼んで来ます。」

 

タクト「分かった。俺も一緒に行こう。ロージーさん、ここで待っててくれ。」

 

ロージー「はい。」

 

タクト「きっと戻って来る。心配しないで。」

 

ロージー「はい!」

 

 

 

 

 

 

人々が避難所へ逃げ惑う中、タクトとエリスが走る。逸れないようにタクトがエリスの手を繋いでる。

 

 

 

 

人気の無い通りに入り、エリスがタクトに家を案内する。

 

エリス「あ!」

 

目の前に、エリスを探していた家の者達がやって来た。

 

タクト「ハァ・・・ハァ・・・」

 

エリス「お父様。この方が私達を助けてくれました。」

 

当主「ありがとう。君のお陰で娘が無事に戻って来れた。」

 

タクト「いや。」

 

異空間収納から2人の荷物を出した。

 

タクト「それと、ロージーさんを。」

 

エリス「お父様。ロージーが。」

 

当主「分かった。お前達、ロージーを頼む。」

 

執事2人「はい!」

 

タクト「こっち。」

 

2人の執事を連れて、先程の避難所へ向かう。

 

 

 

 

 

 

避難所で待っていたロージーを、ガタイの良い執事が背負う。

 

執事A「ありがとうございました。」

 

タクト「では宜しく。じゃ。」

 

執事A「あの、お名前だけでも!」

 

名前も言わずにタクトが手を振りながらホテルへ行ってしまった。

 

執事B「良い男じゃないか。なぁロージー。」

 

 

 

 

 

 

城下町のホテルへ行ったタクト。ホテルが炎に包まれており、魔法師団が水魔法で消火活動を行っていた。

 

タクト「・・・」

 

そこに、燃えずに済んだ荷物を纏めてるフェオン達を見付けた。

 

フェオン「タクトじゃない!酷い日に戻ったわね。」

 

タクト「ハンター協会は?」

 

フェオン「彼処は無事よ。」

 

タクト「ヒナとイザベラはどうした?」

 

エミリー「救護所だ。グレアもそこに居る。」

 

レア「くぅ・・・彼方此方色々燃えてるなぁ。」

 

アンナ「タクトさん。水飲みますか?」

 

タクト「あぁ。貰おうか。」

 

アンナから水袋を貰った。空を見ると、ドアが風で舞っていた。

 

フェオン「大きいわね。ドアか何かだわ・・・」

 

エミリー「火が移るぞ。皇都壊滅だ。」

 

タクト「そうと決まった訳じゃねぇよ。」

 

水袋の蓋を開けて水を飲む。

 

タクト「ふぅ〜・・・にしても、この国に震災が起きるなんてな。俺ですら予想すらしなかった。」

 

 

 

 

 

 

救護所。

 

イザベラ「重傷者の方を此方へ!」

 

ヒナ「もう大丈夫ですよ。」

 

グレア「かなりの大怪我ね・・・」

 

3人が重傷者達の手当てをしている。

 

イザベラ「これで50人目・・・どんどん来てます・・・」

 

ヒナ「イザベラさん。諦めてはダメですよ。」

 

グレア「1人でも多く助けなきゃ意味がないよ!」

 

イザベラ「はい!」

 

 

 

 

 

 

ハンター協会では、風が変わっていた。

 

レア「風が変わった!火がこっちに来るぞ!」

 

タクト「そう簡単に収まる気配はなしか!」

 

ウルトラ念力で火事を鎮めた。火災は夜まで続いた。

 

 

 

 

 

 

火事は明け方に完全に鎮火した。

 

タクト「収まったか・・・」

 

フェオン「酷い有様ね・・・イザベラ、重傷者は?」

 

イザベラ「殆ど手当て出来たけど、助けられなかった人も居た・・・」

 

ヒナ「ごめんなさい。」

 

エミリー「いや。それでも尽くしてくれた3人に感謝しなきゃだな。」

 

グレア「うん。」

 

アンナ「それで、これからどうしますか?」

 

レア「そうだぞ。ここでボーッとするなんて。」

 

フェオン「さっき受付の人に聞いてみたら、今日から復興のボランティアを募集をするって。今日からそこでボランティアに参加するわよ。」

 

イザベラ「うん。」

 

タクト「それで、俺達の宿泊はどうするんだ?」

 

フェオン「皇帝様がね、別のホテルを用意してるのよ。そこで宿泊するわよ。」

 

 

 

 

 

 

昼頃。墓地には震災で亡くなった人達の墓が沢山あり、遺族達が黙祷する。

 

 

 

 

その夜。別のホテルで皆が寝静まる中、タクトはハンター合宿で手に入れた素材を整理していた。

 

タクト「・・・」

 

1つは自分達用。もう1つは復興財源用に分けてる。

 

 

 

 

 

 

あれから5日後。皇都の復興は続いている。粗方復興済み。

 

グレア「後は私がやるから、皆ご飯食べに行ってて。」

 

フェオン「えぇ。タクト。行くわよ。」

 

タクト「おう。」

 

昼になり、7人がレストランへ行く。

 

エミリー「ここも大分、元に戻ってるな。」

 

タクト「道が大方広くなってるしな。」

 

ヒナ「村も復興が済みそうですしね。」

 

 

 

 

レストラン。タクトがペペロンチーノを食べてる。

 

イザベラ「タクトさん。またペペロンチーノですか?」

 

タクト「ペペロンチーノは美味いよ。俺の好物。」

 

エミリー「独特だな。それに私、ニンニクが苦手だしな。」

 

レア「男なら力付かなきゃ意味ないぞ?レアみたいに肉でも食べろ。」

 

タクト「・・・」

 

フェオン「ん?どうしたの?」

 

タクト「見てみろよこれ。結構良い楕円形だと思うぞ?」

 

アンナ「鷹の爪ですか?」

 

エミリー「本当お前は独特な男だな。」

 

 

 

 

 

 

昼食を食べ終え、復興に戻る。

 

タクト「・・・」

 

家の壁を補強している。

 

フェオン「タクトは本当、直すの早いわね。」

 

タクト「これでOKだ。そっち手伝うか?」

 

エミリー「丁度良かった。タクト、このセメントを運ぶの手伝ってくれ。かなり重いんだ。」

 

タクト「任せろ。」

 

重いセメントを軽々と持ち上げて運ぶ。

 

イザベラ「本当力持ちですね。タクトさん。」

 

レア「なんの!レアだって力持ちだぞ!」

 

負けじとレアもセメントを担いで運ぶ。

 

フェオン「レア〜!あんまり調子乗ってると転ぶわよ〜!」

 

 

 

 

 

 

復興が始まって1週間。その日の夕方にタクトが休憩所で寝ていると。

 

???「タクトさん。タクトさん!」

 

タクト「・・・・ん?」

 

目を開けると、アンナが頬を膨らませて怒っていた。

 

アンナ「やっと起きたんですか!」

 

タクト「あ、アンナ。ごめん。話があるってすっかり忘れてた。」

 

アンナ「もう。」

 

タクト「フェオン達は?」

 

アンナ「先に行ってます。」

 

タクト「ホテルにか?」

 

アンナ「はい。もう暗くなりそうです。」

 

タクト「戻りながら話をしよう。」

 

 

 

 

休憩所を後にし、ホテルへ戻る。

 

アンナ「その人、タクトさんが好きだったんですか?」

 

タクト「まさか。もう1週間前の事だ。」

 

アンナ「その後、家に訪ねたんですか?」

 

タクト「行ったよ。火が収まってから1度だけ。でもその路地で火が止まったんだ。」

 

アンナ「そう・・・」

 

タクト「でもその後、その一家と偶然会ってな。」

 

アンナ「え?」

 

タクト「その一家の中に、チャーリーが居たんだ。」

 

アンナ「タクトさんが前に話した男の子?」

 

タクト「彼、エリスの従弟でな。それで当主から、エリスとロージーを助けてくれたお礼で金貨をくれたんだ。貰った金貨は、復興財源に使ったんだ。」

 

アンナ「それからどうなったんですか?」

 

タクト「その一家は別の国にある別荘へ移住する事になってな。また何処かで会えるか分からない。」

 

アンナ「そう・・・」

 

しばらくして、風が吹いた。

 

アンナ「ううぅ・・・」

 

寒がるアンナに、タクトがジャケットを掛けてあげた。スパークレンスは異空間収納に移動してある。

 

タクト「寒くないか?」

 

アンナ「ありがとうございます。こんなに皇都が復興してるとは・・・」

 

皇都の復興が終わる頃になってる。

 

アンナ「あの、タクトさん。今日言ったお話なんですが・・・私体力を付けたいんです。」

 

タクト「体力付け?アンナって確か小さい頃から身体が弱かったよな?」

 

アンナ「はい。今も1日1回薬を飲まなきゃいけませんし。だから私、皆と同じ強い身体になりたいんです!」

 

タクト「体質改善か。アンナは熱心だからすぐ出来ると思う。」

 

アンナ「本当ですか?」

 

タクト「俺も協力するよ。君を鍛えてあげる。」

 

アンナ「嬉しい!ありがとうございます!」

 

タクト「ん?お。」

 

するとタクトがある店に寄った。

 

アンナ「ん?」

 

タクト「店主。まだ良いか?」

 

店主「おや。お帰りなさい旦那。今夜もご苦労様だね。そちらのお嬢さんは?」

 

タクト「旅の仲間だ。クレープ7つ頂戴。」

 

店主「はいよ。」

 

タクト「ん?」

 

横を見ると、3人の兄妹が誰かを待っていた。

 

アンナ「何でしょう?」

 

店主「はいお待ち。」

 

タクト「あの子達は?」

 

代金を払ってクレープを受け取る。

 

店主「親の帰りが遅くてね。何時もああして待ってるんだ。」

 

そこに、3人兄妹の両親が来て、家へ帰って行った。

 

タクト「成る程ね。ありがとな。」

 

店主「まいど。」

 

 

 

 

帰り道。

 

アンナ「クレープを買ったんですか?」

 

タクト「何時も1人コソコソ食べてたけど。今日は特別だ。帰って皆で食べようぜ?」

 

 

 

 

 

 

ホテルに帰って、フェオン達にアンナが話した事を伝える。

 

フェオン「アンナから聞いたのね?」

 

タクト「ああ。少し驚いたよ。アンナが体弱いって。」

 

ヒナ「良いですね。タクトさんが居れば、アンナさんの身体への心配は無くなるかも知れません。」

 

タクト「決まりだな。アンナ、一緒に頑張ろうな。」

 

アンナ「はい!」

 

レア「ん〜!美味い!」

 

そんな中、レアは先にクレープを食べてる。

 

グレア「あはは。1人だけクレープに食らい付いてるね。」

 

 

 

 

皆でクレープを食べる中、タクトが先程の兄妹の事を話した。

 

フェオン「私達もその子達と同じ子達見た事あるわ。前にお菓子とかあげようとしたんだけど、行っちゃってね。」

 

イザベラ「何で皆、喜ばないんだろう・・・」

 

タクト「腹を減らしてる子供なら、この皇都だけでも何十人も居るしな。俺が出した復興財源用の素材だけでも、その子達の家なら一月二月は暮らせる。」

 

エミリー「何故この国は親の帰りを待つ子供達に金は払えないのだろう・・・」

 

タクト「エミリー。このエルスティア皇国は裕福な国だ。今のミスリラ帝国や、噂の三大大国の1つのアールスハイド王国と類似してる。けど今、国は皇女のステラを筆頭に震災の復興に全力を尽くしてる。復興が終われば、全国民に金貨10枚の給付金が支払われ、親の帰りを待つ子供達に無償の食事を提供出来る。そうすれば、子供達や家族が救われる。」

 

エミリー「そうか・・・」

 

タクト「それに、皇帝は毎日朝から晩まで復興ボランティアに尽力してる俺達を墨付きしてる。終われば俺達に会いたいと言ってる。」

 

フェオン「私達が知らない間にそんな事があったのね。」

 

タクト「まっ、王城の家臣が俺に会った時に言った言葉だ。明日も早いぞ。早ければ復興は明日に完了する。」

 

 

 

 

 

 

その翌日。タクト達が今まで以上に作業した結果。無事皇国の復興が全面完了した。国民達は喜び、ボランティアに参加した皆も歓声を上げた。

 

 

 

 

 

 

王城の王室。ボランティアに参加した皆が入った。

 

皇帝「この度、復興のボランティアに参加してくれた君達に感謝の意を申す。震災が発生してから13日。皇国は元の国に戻れた。」

 

ステラ「皆さん、本当にありがとうございます。私達からの気持ちをお受け取り下さい。」

 

ボランティアに参加した者達に、記念のメダルが授与された。

 

 

 

 

 

 

王城から出た後。

 

タクト「やっと復興が完了し、皇国が元に戻って良かった。」

 

レア「それに、レア達に格好良いメダルを貰えたし!」

 

フェオン「来週行われる祭りも、通常通り開催するそうよ。」

 

タクト「良いな。俺達もその祭りに参加するか。」

 

イザベラ「どうするのお姉ちゃん。この国は何時まで滞在するの?」

 

フェオン「そうねぇ・・・ここは良い国だし。もう1ヶ月滞在しましょうか。」

 

タクト「だな。俺もこの国気に入ってるしな。」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
グレア:高橋李依

エリス:佳穂成美
ロージー:内田彩
チャーリー:小松未可子

店主:松田修平

ステラ=フォン=エルスティア:星守紗凪

皇帝:辻親八





次回予告

傷だらけの少女を1週間借りれるレンタル奴隷。しかし、彼女達には傷や痣やその痕跡すらなかった。奴隷にされた少女達の秘密とは・・・

次回ウルトラマンティガ

レンタル奴隷

お楽しみに


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2/レンタル奴隷

レンタル奴隷
魔人 登場



エルスティア皇国が復興してから3日後。城下町は多くの人々で賑わっていた。その中に、タクトとヒナが歩いていた。

 

タクト「賑やかに戻って良かった。あの時の震災直後は色々大変だったけど。」

 

ヒナ「はい。でもこうして楽しく過ごせてますし。」

 

2人は今、今後の為の食糧の買い出しに出掛けていた。

 

ヒナ「そう言えば、今週はいよいよお祭りが始まりますね。」

 

タクト「あぁ。フェオンが暴食する未来が見えるな。」

 

ヒナ「またお金が減っちゃいそうですね。」

 

タクト「自重してくれれば良いんだが。ん?」

 

そこに、1人の男と手を繋いでる傷だらけの女の子が通り過ぎた。

 

タクト「・・・・」

 

ヒナ「どうかしましたか?」

 

タクト「ヒナ。この国って奴隷居たっけ?」

 

ヒナ「奴隷ですか?いえ、この国で奴隷は見た事ないです。」

 

タクト「最近になって増えたのか?」

 

ヒナ「あ、タクトさん。彼処。」

 

タクト「ん?」

 

前を見ると、傷だらけの少女達が立っていた。その横に商人の男が立っている。

 

奴隷商人「さぁさぁ皆さん。見て行ってはどうですか?この娘達を1週間借りて服従させるレンタル奴隷は如何ですか?」

 

タクト「レンタル奴隷・・・初めて聞くな。」

 

ヒナ「1週間の期間であの娘達を借りれるって事ですか。」

 

タクト「・・・・」

 

ヒナ「どうかしました?タクトさん。」

 

タクト「何か、ちょっと違和感を感じる。」

 

ヒナ「違和感ですか?私は感じませんけど。」

 

タクト「・・・気のせいかもな。ちょっと寄ってみよう。」

 

 

 

 

2人は、そのレンタル奴隷に寄ってみた。

 

商人「お。やぁやぁそこのお2人方。どうですか?1週間借りれるレンタル奴隷。お2人も試してみては如何ですか?」

 

そう言われたタクトが、奴隷少女達を凝視する。

 

タクト(身体中が傷や痣だらけで痩せボソってる。服と髪がボロボロで首枷。でも、何か違和感を感じる・・・けどそれが何なのか・・・それに・・・)

 

ジロリと商人と助手を見る。

 

商人「どうかされましたか?」

 

タクト「え?いや、何でもない。」

 

商人「お2人はどの娘にしますか?どの娘も良い娘達ですよ?」

 

助手「お気に入りは居りますかな?」

 

タクト「・・・ん?」

 

そんな中、タクトが赤髪の少女に目を惹かれた。

 

赤髪の少女「・・・・」

 

タクト「手首に名前が書かれてるな。えっと・・・アグリ・・・商人。あの赤髪の娘を借りたい。」

 

商人「おぉ!ありがとうございます!では手続きをお願いしますね。おい。その娘をお2人に渡せ。」

 

助手「はい。」

 

手続きをし、赤髪の少女を借りる。

 

 

 

 

 

 

ホテルに戻った。

 

タクト「ただいま。」

 

フェオン「お帰り〜。・・・ん?」

 

イザベラ「え?タクトさん、どうしたんですか!?」

 

エミリー「ヒナ!何だその娘!?」

 

ヒナ「いえ、あの実は・・・」

 

タクト「実はだな・・・」

 

さっきまでの経緯を話した。

 

フェオン「レンタル奴隷?」

 

タクト「自分が気に入った娘を1週間の期間で借りれる商売らしいんだ。」

 

グレア「レンタルかぁ・・・でも奴隷をレンタルするって商売初めて聞いた。」

 

タクト「商人が言うには、1週間以上も借りる人が居るって。」

 

レア「余程人気があるんだな。」

 

アンナ「それで、このアグリちゃんどうします?借りて何もさせない訳にも・・・」

 

タクト「何かさせるんじゃなく、してあげるんだ。奴隷にされたなんて可哀想だ。ヒナ、アグリをまず風呂で綺麗にしてやってくれ。全身ボロボロで傷や痣だらけ。風呂から上がったら傷と痣の手当てだ。」

 

ヒナ「分かりました。アグリちゃん、お風呂へ行きましょ。」

 

風呂へ連れて行こうとしたが、アグリが嫌がる。

 

ヒナ「どうしたんですか?」

 

アグリ「・・・・・」

 

身体中が震えてる。何かに怯えてるように。

 

エミリー「どうしたんだ?風呂へ入れないのか?」

 

フェオン「きっと何かトラウマがあるんじゃないかしら?」

 

イザベラ「もしかしたら、ご両親から虐待を受けてたとか・・・」

 

レア「何だよそれ!酷い親だなぁ!」

 

タクト「・・・じゃあこれ使ってくれ。」

 

異空間収納から、タオルを出した。それを水に浸して濡れタオルにした。

 

タクト「これで顔と腕だけでも拭いてくれ。」

 

ヒナ「はい。」

 

濡れタオルで、アグリの汚れた顔と腕を拭いてあげた。

 

ヒナ「出来ましたよ。」

 

傷と痣は残っているものの、顔と腕が綺麗になった。

 

フェオン「よし。それじゃあご飯にしましょうか。ヒナ、手伝って。」

 

ヒナ「はい。」

 

タクト「アグリ。君はどうして奴隷になったんだ?親御さんから虐待を受けて売られたのか?」

 

アグリ「・・・・・」

 

その事については、何も言わない。

 

グレア「どうしたの?やっぱりトラウマで言えないの?」

 

タクト「グレア。あんまり言ってやるな。この娘にも事情はあるんだろうし。」

 

アンナ「そうですよ。アグリちゃん、こんなに可愛いのに。」

 

タクト「おいアンナ。どさくさに紛れて芽生えんな。」

 

アンナ「えぇ〜?」

 

レア「あはは。お前は本当子供好きだなぁ。」

 

 

 

 

夕食が出来た。

 

アグリ「・・・・」

 

躊躇いもせずに晩飯を食べまくる。

 

フェオン「食欲旺盛ね。」

 

エミリー「余程ご飯が食べられなかったんだろうな。」

 

タクト(・・・いや、初めて美味い飯を食べた子なら、涙を流して頬張ってるはず。けどこの子、普通の人間と同じ表情で飯を食べてる。どう言う事なんだ・・・?)

 

 

 

 

夕食後。ヒナがアグリを詳しく調べる。

 

タクト「どうだ?」

 

ヒナ「・・・暴行を受けた痕跡はありません。」

 

タクト「え?」

 

フェオン「ど、どう言う事なの?これだけの傷や痣があるのに暴行を受けた痕跡がないって・・・」

 

 

 

 

 

 

その夜。皆が寝静まる(アンナはアグリと添い寝)中、タクトは寝ながらアグリに対する疑問を抱いている。

 

タクト(あの子、本当に虐待されて捨てられた子なのか?他の奴隷の娘達も同じ感じだし。絶対何か秘密があるはずだ。)

 

 

 

 

 

 

そして、夜の誰も居ない廃城の中。

 

???「フフフフ。今日もまた収穫が出来たぞ。」

 

謎の人物が見てるのは、傷や痣だらけの少女達だった。

 

???「1週間借りれると言ったけど、期間を延長してくれる人が居ると儲かるなぁ。フフフフフ。」

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

タクト「・・・」

 

例の場所へ行くと、商人がまたレンタル奴隷の商売をしている。

 

タクト(見た事のない少女達が居るな。この国で虐待事件や暴行事件が起きたのか?でもその報せは来てなかったな。)

 

 

 

 

町中を歩いていると。

 

タクト「ん?」

 

掲示板に、迷子探しの張り紙があった。

 

タクト「あれ?この子って・・・」

 

それは、昨日タクトがレンタルしたアグリと酷似した子だった。

 

タクト「ん?」

 

その横で、2人の人物が何かを貼っていた。

 

タクト「あの。」

 

2人の人物「?」

 

タクト「何を貼ってるんだ?ん?」

 

それは、さっきタクトが見たアグリと酷似した子の張り紙だった。

 

タクト「え?アンタ達、この子の親か?」

 

母親「え?メイリーを・・・メイリーを知ってるんですか!?」

 

父親「メイリーは何処ですか!?」

 

タクト「え?メイリー?」

 

 

 

 

 

 

彼女の両親をホテルへ連れて、フェオン達に事情を説明した。

 

フェオン「それで、お2人はあの子のご両親。」

 

ダニエル「はい。メイリーの父のダニエルと申します。」

 

マリ「母のマリです。」

 

イザベラ「アグリちゃんは暴行や虐待を受けて奴隷として売られたんじゃ・・・」

 

ダニエル「そんな事はありません!あの子は素直でとても良い子で、我が家の癒しです・・・」

 

マリ「それが突然1週間前に行方不明になって・・・」

 

グレア「1週間前から!?」

 

アンナ「そんな最近に・・・」

 

そこにアグリが顔を出した。

 

ダニエル「メイリー!」

 

マリ「良かった・・・!探したのよ・・・!」

 

するとアグリが、2人を見ると突然。

 

アグリ「・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・!!」

 

過呼吸をし始めた。

 

ダニエル「ど、どうしたんだ・・・?」

 

マリ「メイリー・・・?」

 

アグリ「・・・・イヤアアアアアア!!!!」

 

今度は断末魔のような悲鳴を荒げた。

 

タクト「・・・!?」

 

フェオン「ど、どうしたの一体!?」

 

イザベラ「メイリーちゃん!!」

 

アグリ「アアアアア!・・・」

 

悲鳴を荒げた直後、アグリが倒れて意識を失った。

 

ダニエル・マリ「メイリー!!」

 

レア「す、凄かったな彼奴・・・!」

 

ヒナ「一体何が・・・!?」

 

タクト「・・・ダニエルさん。メイリーの張り紙見せてくれるか?」

 

ダニエル「あ、あぁ。」

 

メイリーの張り紙を見る。

 

タクト「・・・」

 

今度は商人に渡されたアグリの写真と見比べる。

 

グレア「どうしたのタクト?メイリーの張り紙をジッと見て。」

 

タクト「・・・やはりな。」

 

フェオン「やはりって何?」

 

タクト「この子、奴隷前と奴隷後の目の色が違う。」

 

アンナ「目の色?」

 

タクト「見ろ。」

 

2つの写真を見せる。

 

イザベラ「・・・確かに目の色が赤から緑色になってますね。」

 

レア「でもそれが何なんだ?」

 

タクト「催眠術だ。」

 

レア「催眠術?」

 

タクト「この緑色の目は、催眠術を掛けられてる証拠だ。恐らく何者かが、メイリーに催眠術を掛け、親元に帰させないようにしてるかも。さっきの断末魔。あれは多分、親が悪魔と見間違えたんだろう。」

 

ダニエル「そんな・・・」

 

エミリー「となると犯人は・・・あの商人に違いないな。」

 

レア「よし!そうと決まれば早速突撃だ!」

 

タクト「待てレア!」

 

レア「何だよタクト!何で止める!」

 

タクト「俺は何者かってしか言ってねえぞ。まだ誰が犯人か分からない。それとエミリー。犯人は商人だなんて、根拠もなくそう決め付けるのは早計だ。」

 

エミリー「うっ・・・すまない。」

 

フェオン「ならどうするの?」

 

タクト「安心しろ。目星は既に付いてる。」

 

 

 

 

 

 

その夜。廃城で謎の人物が新たな奴隷達を見てウキウキしてる。すると部屋に明かりが点いた。

 

???「ッ!?」

 

タクト「随分と楽しそうだな。」

 

???「!?」

 

そこにタクト達が居た。

 

タクト「このレンタル奴隷の犯人はお前だったみたいだな。」

 

 

 

 

 

 

「助手さんよ。」

 

 

 

 

 

 

助手「・・・」

 

タクト「にしてもまさか、この商人が知らない間に裏でこんな事やってたとはな。」

 

商人「お前・・・これはどう言う事なんだ!?」

 

助手「どう言う事って、見れば分かるだろ?こうやって普通の小娘達を集めて催眠術で親に捨てられて奴隷にされたって暗示を与えたんだ。そうすれば小娘達が沢山売れて簡単に大儲け。」

 

商人「この子達は・・・親に捨てられた子達じゃなかったのかよ!?」

 

助手「この国は治安が良すぎて、捨て子なんて居なかった。だから攫って無理矢理奴隷にさせたんだ。他の国へ行こうだなんて、そんなの面倒臭いだろ?」

 

商人「面倒臭いって・・・!?」

 

タクト「なぁアンタ。あの娘達の傷や痣はどうやって作ったんだ?暴行の痕跡すらなかったが。」

 

助手「簡単だよ。俺が作った特殊メイクさ。あれはお湯で簡単に剥がせる。勿論そうさせないように暗示しておいたのさ。」

 

フェオン「だからお風呂に入るのを嫌がったのね。」

 

イザベラ「でも何でこんな事をするんですか!あの子達に罪なんて・・・」

 

助手「黙れ!!!」

 

イザベラ「・・・!!」

 

助手「所詮ガキは大人の言いなりの道具にしか過ぎん。子供をレンタルで売り捌けば大儲けし、何れこの国の貴族になれる夢を実現出来るんだぞ!!しかしお前は・・・王になる夢を否定して、稼いだ金を誰かの為に使いたいだと・・・!?そんなの俺が許せると思うのか!!!!!」

 

突然助手の男の目が真っ赤に染まった。

 

エミリー「魔人!?」

 

タクト「ッ!!」

 

魔人「マアイイ・・・オレトオナジミチヲススマナイナラ・・・ココデシネエエエエエ!!!」

 

右手から赤い炎を飛ばした。

 

商人「っ!!」

 

フェオン「ハァッ!!」

 

大剣を握ったフェオンが、大剣を振り下ろして炎を斬った。

 

フェオン「それだけの理由で子供達を攫ってるんじゃないよ!!」

 

エミリー「お前のやってる事はクズの所業だ!!」

 

魔人「・・・ア〜ア。ドイツモコイツモオレヲコケニシヤガッテ。オレノキモチガワカルワケネェヨナァーーーーー!!!」

 

両手から剣を生成して握った。

 

タクト「アンタ、逃げろ。」

 

商人「あ、あぁ!」

 

イザベラ「えい!!」

 

蔦の魔法で魔人を縛る。

 

エミリー・レア「ヤアアァァァァ!!」

 

太刀と旋刃盤を縦横無尽に振る。

 

魔人「グオオオアアアアア!!!」

 

アンナ「タァッ!!!」

 

ボウガンを連射し、魔人の両手に突き刺した。

 

魔人「コンナンデタオセルトオモウノカーーーー!!!!」

 

魔力を暴走させ、廃城を崩壊した。

 

 

 

 

 

 

崩壊された廃城の跡地。フェオン達は倒れ、タクトは着地してる。

 

魔人「ハハハハハハ・・・・」

 

更にあれだけの攻撃の傷跡も回復し、アンナのボウガンの矢も消滅した。

 

フェオン「そんな・・・!」

 

イザベラ「私達の攻撃が・・・!」

 

商人「み、皆・・・!」

 

既に退避していた商人が見守ってる。

 

タクト「ッ!」

 

その場から離れて、壁の裏に隠れる。

 

タクト「俺が奴を止める!」

 

スパークレンスを掲げて光を解放し、ウルトラマンティガへ変身した。

 

 

 

 

魔人「!?」

 

ティガ「タァッ!!」

 

魔人「・・・・・」

 

両者が互いを睨み合う。

 

ティガ「ッ!!」

 

走り出した瞬間魔人が。

 

魔人「アァッ!!」

 

ティガ「ハァッ!」

 

氷を投げたが、ティガがジャンプで避けた。

 

ティガ「タァッ!!」

 

魔人の後ろからティガがドロップキックを与えた。

 

ティガ「・・・」

 

魔人「ヴオオオオ!!!」

 

足元にある廃城の瓦礫を蹴り飛ばした。

 

ティガ「タァッ!!」

 

だがその瓦礫をマルチチョップで砕いた。

 

魔人「キサマアアアアア!!!」

 

怒りが上昇する魔人がティガに迫って攻撃するが、ティガは避ける。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

隙を見て魔人の腹部にマルチパンチ。

 

魔人「ダァッ!!」

 

ティガ「ウッ!!」

 

しかし腹部にキックを受けた。

 

 

 

 

フェオン達はヒナの回復魔法を浴びながらティガと魔人の戦いを見守る。

 

 

 

 

ティガ「ハァッ!!」

 

魔人の首を掴み、背中にマルチチョップとエルボーを打ち込み。

 

ティガ「タァッ!!」

 

マルチキックで魔人の顔を蹴り上げた。

 

ティガ「タァッ!!」

 

更に回転キックで魔人を蹴り飛ばした。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

俯せに倒れた魔人の背中に乗って、マルチパンチを何度も背中に叩き込み、魔人の首を引っ張る。

 

ティガ「アァッ!!」

 

だが何かの衝撃でティガが突き飛ばされた。

 

ティガ「・・・ッ!?」

 

それは、魔人の背中から無数の触手が生えていたのだ。

 

 

 

 

フェオン「嘘!?」

 

 

 

 

ティガ「ッ!!」

 

触手を動かす魔人がティガに迫る。

 

魔人「ガァッ!!!」

 

両手から氷を投げた。

 

ティガ「タァッ!!」

 

しかしティガが宙返りで避け、氷はティガの後ろの木に命中して木が凍結された。

 

魔人「ハァッ!!」

 

ティガ「アァッ!!」

 

宙返りで避けたティガに触手が激突し、ティガが倒れた。

 

”ピコン”

 

カラータイマーが点滅を始めた。

 

ティガ「ッ!!」

 

立とうとしたが、魔人が触手でティガの足を掴んだ。

 

ティガ「タッ!!」

 

両足を掴まれたティガは身動き出来ない。魔人が右手から巨大な炎を生成した。

 

魔人「コレデシネエエ!!」

 

ティガ「ッ!!」

 

魔人「ハァッ!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

しかしティガが触手が緩んだ隙を見て前に転がり、魔人の炎が誤って触手を燃やしてしまった。

 

魔人「ガアアアアアアア!!!」

 

ティガ「フッ!!」

 

魔人「キサマアアアア!!!!」

 

激昂した魔人が触手をティガに飛ばすが、ティガがそれを掴んだ。

 

ティガ「ーーーハァッ!!」

 

左腕で額のティガクリスタルに添えると、パワータイプへタイプチェンジした。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

そしてそのまま魔人を触手ごと持ち上げてウルトラスウィングで振り回す。

 

ティガ「タァッ!!!」

 

振り回して遠くへ投げた。

 

ティガ「フッ!!」

 

両腕を左右から上にあげ、胸の前に集めた超高熱のエネルギーを光球にした。

 

魔人「ガ・・・ガハッ・・・!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

右手を突き出すして放つデラシウム光流が、魔人に直撃した。

 

魔人「グアアアアアアアアアア!!!!!」

 

デラシウム光流を受けた魔人が爆発した。

 

ティガ「タァ!!」

 

魔人を倒したティガが空の彼方へ飛んで行った。戦いが終わった直後に夜明けが来た。

 

 

 

 

 

 

その日。商人は奴隷にされた少女達を親の元へ返した。レンタル奴隷で少女達を借りた契約者達は事情を知ってすぐに少女達を親の元へ返した。少女達は催眠術から解放され、親達は自分達の娘との再会に喜んだ。

 

タクト「これで一件落着かな?」

 

フェオン「そうね。無事に戻って良かったわ。」

 

レア「タクト。お前が居なかったらどうなってたんだろうな。」

 

タクト「怖い事言うなよ。」

 

商人「あなた方に卑劣極まりない事をしてしまいました・・・心からお詫び申し上げます・・・」

 

深く頭を下げて謝罪の意を表した。

 

商人「それと、この金貨は慰謝料として受け取って下さい。」

 

今までの売上で稼いだ金貨が入った袋を差し出した。

 

タクト「それで、アンタはこれからどうするんだ?」

 

商人「裁きを受けに行きます。それが私に出来る唯一の償いです。例え皇帝陛下が罪を赦しても、私のプライドが赦せないでしょう。」

 

イザベラ「商人さん・・・」

 

商人「では、私はこれで。」

 

彼は王城へ向かって裁きを受けに行った。

 

アンナ「商人さん、どうなるんでしょうか?」

 

タクト「彼奴は罪を償うと言っていた。罪が消えれば、新しい人生を歩むと信じよう。」

 

ダニエル「皆さん。」

 

ヒナ「あ!ダニエルさん!」

 

メイリー「お兄ちゃん!お姉ちゃん!」

 

エミリー「お!すっかり元気になったなメイリー!」

 

マリ「あなた方のお陰で、娘が元に戻れました。何とお礼をしたら・・・」

 

グレア「そんなそんな。私達は当然の事をしたまでだよ。」

 

タクト「これからも3人で仲良く幸せな人生を歩んでくれ。」

 

ダニエル「はい。」

 

タクト「それと、さっき商人が慰謝料として貰った金貨だ。これを他の家族達に山分けさせようと思ってる。もし良かったら。」

 

マリ「え?」

 

その後タクトは、商人から受け取った金貨で奴隷にされた少女達の親達に山分けさせた。

 

 

 

 

 

 

その日の夜。開催されたお祭りに皆が参加した。フェオンはタクトの予想通り屋台の食べ物を暴食した。それは勿論レアも同様。

 

 

 

 

そして、夜空に無数の花火が満開した。

 

タクト「やっぱ綺麗だなぁ。花火は。」

 

グレア「うんうん。幻想的で素敵だよ〜。」

 

レア「お!そうだ!」

 

アンナ「何?」

 

レア「なぁなぁ!あの戦士の名前って何なんだ?」

 

イザベラ「名前ですか?何なんでしょう・・・」

 

タクト「その事なんだけど、俺が考えた名前があるんだ。」

 

イザベラ「どんな名前ですか?」

 

タクト「ティガ。ウルトラマンティガってどうだ?」

 

フェオン「ウルトラマンティガ・・・格好良いじゃない!」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
グレア:高橋李依

メイリー:立花日菜
ダニエル:小上裕通
マリ:田中那実
商人:浜田洋平

魔人:佐藤元





次回予告

火口湖で発見された、火山の少女・メイラン。メイランを追って魔物サラマンダーが現れる。そしてメイランに迫られるエミリーの運命は・・・

次回ウルトラマンティガ

火山の少女

お楽しみに


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3/火山の少女

火山の少女
メイラン、サラマンダー 登場



滞在1ヶ月目。エルスティア皇国の大会議室。そこにタクト達もステラの呼び掛けで参加している

 

調査団長「今から1ヶ月前。北方にある同盟国のシーライ王国の火山が、我が国の震災の影響で噴火を始めた。だが幸いにも、近隣の住民達は早期避難を開始した為、全員生存した。この活火山によって、噴火口は火口湖となった。シーライ王国の調査団が派遣された時、この火口湖に人が発見された。」

 

タクト「え?人が?」

 

フェオン「それって遺体ですか?」

 

軍事団長「そうだ。」

 

エミリー「昔の遭難者とか?」

 

皇帝「ウム。調査団も始めはそう考えていたのだが。」

 

調査団長「しかし・・・発見された場所は火口湖の奥深く。地層を調べた結果・・・10年以上前の事だ。」

 

エミリー「10年前!?」

 

ヒナ「そんな昔から!?」

 

皇帝「調査団長。例の物を。」

 

調査団長「はい。」

 

巨大な黒板に、巨大な写真を出した。そこに写っていたのは・・・

 

 

 

 

 

 

割れた岩石の間に倒れている少女だった。

 

 

 

 

 

 

タクト「少女・・・?」

 

イザベラ「何で岩石に・・・」

 

アンナ「綺麗・・・」

 

エミリー「・・・・・」

 

調査団長「名前はメイラン。発見者が思わず口ずさんで名付けたそうだ。」

 

レア「メイラン・・・」

 

アンナ「てっきり10年前って言ってたから、化石や遺骨かと思ってました。」

 

タクト「けど、幾ら火口湖だからって。10年前に火山に埋もれたとしても、溶岩で溶かされてしまうんじゃ・・・」

 

調査団長「ウム。そこが肝だ。未確認生命体も否定出来ない。今はシーライ王国の調査団と共に調査する事となり、城の研究室を利用する事となった。陛下。」

 

皇帝「あぁ。もうじき到着するようだ。」

 

 

 

 

 

 

調査室。

 

ステラ「研究チームが編成されるまで、1週間程管理して貰う事となっています。」

 

調査団長「ステラ様。彼女は本当に人間なのでしょうか?」

 

ステラ「詳しい解析は不明ですけど、髪の毛から採取したDNAは人間そのものでした。」

 

調査団長「そうですか・・・」

 

 

 

 

タングステンの棺で厳重管理されてるメイランをタクト達が見る。

 

タクト「丸で生きてるみたいだ。あの活火山の中を無傷で残ってるなんて。」

 

グレア「目、醒ましてくれないかな?」

 

イザベラ「ステラさんが言うには、内部は1200℃で保ってるって言ってました。」

 

タクト「溶岩と同じ温度か。このタングステンは熱に強い金属だ。」

 

レア「本当に死んでるのかぁ?人間の形を保ってるけどなぁ。」

 

フェオン「そ、そうよ。死んでる可能性もあるのよ・・・?」

 

イザベラ「お姉ちゃんが震えながら言ってる。」

 

フェオン「さ、さぁ皆。私達も退散しましょ。」

 

皆が退散したが、エミリーはメイランをジッと見ている。

 

タクト「エミリー?どうした?」

 

エミリー「あ、いや。何でもない。」

 

彼女も退散した。

 

 

 

 

 

 

その後城の書庫。

 

タクト「・・・・・」

 

フェオン「タクト何してるの?」

 

彼はメイランの写真をジッと凝視してる。

 

タクト「あのメイランについて調べてるんだ。まぁ所謂、学術的興味かな?」

 

レア「ほほう?じゃああのメイランが人類にとって大発見なのか教えてくれるか?」

 

タクト「そうだなぁ・・・10年前の岩石から発見されたからかな。」

 

グレア「それがどうして?」

 

タクト「おいおい押し付けんなよ・・・」

 

ステラ「このエルスティア皇国とシーライ王国は20年前の海底火山の活動によって島となり、自然が栄えたと言います。」

 

フェオン「ステラ様。」

 

ステラ「それから5年後。人類がそこに2つの国を築き上げました。つまり10年前に彼女が存在したと言う事実は。」

 

グレア「成る程!まさしく大発見だね!」

 

ヒナ「ステラ様はお詳しいのですね。」

 

ステラ「私はこう見えて考古学に興味がありまして。」

 

エミリー「・・・・」

 

そんな中エミリーは、メイランの写真を見てるばかり。

 

”カーンカーンカーン!!”

 

全員「!?」

 

索敵兵「ステラ様!!」

 

そこに1人の索敵兵が駆け込んだ。

 

ステラ「どうしました!?」

 

索敵兵「魔物が接近して来ます!!火口湖付近の海底から出現したと考えられます!!」

 

ステラ「え!?」

 

 

 

 

 

 

城の屋上にタクト達が駆け付けた。

 

軍団長「魔物の進行方向は!?」

 

索敵兵「エルスティア皇国に向かっております!上陸の可能性があります!今そこに別働隊が派遣されています!」

 

 

 

 

 

 

火口湖付近の海辺。

 

魔法班長「来るぞ!」

 

索敵魔法で魔物が接近するのを確認する。

 

魔法班長「放て!!」

 

一斉に魔法弾を放った。

 

 

 

 

海底を泳ぐ謎の魔物に魔法弾が直撃した。

 

魔物「ーーーーーーー!!!」

 

 

 

 

海辺。魔法班長の索敵魔法から魔物が消えた。

 

魔法班長「ッ!?」

 

 

 

 

 

 

城の屋上。

 

索敵兵「別働隊から伝令!魔物が索敵魔法から消滅した模様。魔物の撃退に成功したと。」

 

レア「何だぁ!随分弱い奴だったんだな!」

 

軍団長「いえ、まだ油断は出来ません。魔法兵。監視を怠るな。」

 

索敵兵「了解!」

 

 

 

 

 

 

研究室。メイランの保管所。

 

エミリー「何だ?タクトとイザベラも来てたのか。」

 

フェオン「急にどうしたのよイザベラ・・・彼女を急に見に行くなんて・・・」

 

イザベラ「お姉ちゃん。さっきの魔物がこのメイランさんと何か関係あるんじゃないかってタクトさんが言ってたから。」

 

エミリー「美女と魔物かぁ。」

 

タクト「彼女、何かを知ってる可能性が高いな。」

 

ヒナ「10年前のエルスティア皇国ってどんな国だったんでしょうか?」

 

アンナ「きっと、今と同じくとっても豊かな国かも知れませんよ。」

 

メイランの棺にエミリーの手が触れた。すると。

 

エミリー「ウッ!!」

 

突然エミリーに痛みが走った。

 

タクト「エミリー!」

 

エミリー「だ、大丈夫だ・・・」

 

グレア「気を付けて。温度1200℃なんて下手したら溶けるよ?」

 

エミリー「・・・あぁ。」

 

棺にエミリーの指紋が付着してる。

 

 

 

 

 

 

大会議室。

 

皇帝「震源地の地図を見せてくれるか?」

 

調査団長「はい。此方です。」

 

震源地を記した地図を広げた。南方に青い点がある。

 

皇帝「この青い点は、ここ数日間震源の深さが10キロ以下の小さな地震が起きた所だ。」

 

タクト「北上してるな。」

 

皇帝「よし。全兵に通達せよ!防衛体制に入れ!」

 

軍団長「了解!!」

 

皇帝「君達はここで待機していてくれ。」

 

タクト「分かった。」

 

 

 

 

 

 

エルスティア軍が火口湖の海辺へ向かった。

 

 

 

 

城に残ったタクト達は。

 

レア「なぁ、無駄足だったんじゃないか?魔物は兵達がやっつけたんだから。」

 

アンナ「でも、何かが移動してるのは確かだと思う。」

 

グレア「ん!?」

 

ヒナ「グレアさん?どうしました?」

 

グレア「来る!」

 

 

 

 

 

 

海底に魔物が出現した。それは、サラマンダーの魔物だった。

 

 

 

 

 

 

火口湖の海辺。

 

索敵兵「魔物が海底に出現しました!恐らく火口湖付近で出現した魔物と同じです!」

 

軍団長「よし。全軍!攻撃開始!」

 

全軍「了解!!」

 

魔法師団が海底に出現したサラマンダーに向けて魔法弾を一斉発射。

 

 

 

 

 

 

海底。

 

サラマンダー「ーーーーーーーー!!!」

 

魔法弾がサラマンダーに全弾直撃。

 

 

 

 

 

 

海辺。

 

索敵兵「全弾命中!魔物の生命反応が弱まっています!」

 

 

 

 

 

 

海底。

 

サラマンダー「ーーーーーーーーー!!!」

 

 

 

 

 

 

城の研究室。サラマンダーの咆哮に応えるように、メイランの手が動いた。

 

 

 

 

 

 

そんな事を知らないタクト達は、屋上から魔法師団とサラマンダーとの戦いを見ていた。

 

レア「良いぞ!このままトドメだ!」

 

エミリー「・・・ッ!!」

 

突然エミリーの脳裏にメイランが現れた。

 

ヒナ「ーーーーー?」

 

タクト「ーーーー?ーーーー?」

 

エミリー「・・・・ハッ!!」

 

タクト「どうしたエミリー?」

 

エミリー「・・・・・(何だ?今の・・・)」

 

 

 

 

 

 

海底。サラマンダーが即座に潜って姿を消した。

 

 

 

 

 

 

海辺。

 

索敵兵「魔物が海底に潜り、索敵から姿を消しました!」

 

 

 

 

 

 

大会議室。

 

レア「最近のエミリー、何か可笑しいぞ?」

 

タクト「エミリー。何かあったのか?」

 

エミリー「いや、何でもない。」

 

フェオン「あなたらしくもないわね。」

 

ヒナ「まさか、私に隠れて何かをしているとか?」

 

エミリー「そんな訳ないだろ!」

 

イザベラ「まぁまぁ皆さん。」

 

そこにステラが入って来た。

 

ステラ「軍の皆さんが戻って来ましたよ。」

 

アンナ「そうですか。」

 

グレア「どうやら、海底の地下深くへ戻ったみたいだね。」

 

タクト「らしいな。」

 

軍団長「いえ。奴は恐らく、何かを求めて城下町へ向かっているはずです。」

 

タクト「何?」

 

索敵兵「魔物は海底へ潜った位置から、真っ直ぐ城下町へ向かっていると考えられます。」

 

フェオン「じゃあやっぱり、メイランを目指して!?」

 

タクト「呼び寄せてるのか、それとも・・・」

 

アンナ「でも彼女は眠ってるままですよ?」

 

エミリー「・・・・・」

 

 

 

 

 

 

城の廊下を歩いているエミリー。すると。

 

???『エミリー。』

 

エミリー「ッ!?」

 

後ろに振り返ったが、誰も居なかった。

 

???『エミリー。こっちへいらっしゃい。』

 

エミリー「・・・まさか!!」

 

 

 

 

研究室の、メイランの棺の前に立つ。

 

エミリー「・・・・」

 

ゆっくりとメイランの棺に寄ると。

 

エミリー「ッ!?」

 

メイランの口元が微かに動いた。

 

エミリー「まさか・・・!!」

 

太刀を構える。すると棺の温度が消え、蓋がゆっくりと開いた。

 

 

 

 

 

 

そこから、メイランがゆっくりと現れた。

 

 

 

 

 

エミリー「・・・!!」

 

メイランは不敵な笑みを浮かべなら、エミリーへ接近する。

 

エミリー「・・・!!」

 

目の前にメイランが立ち、メイランの両手がエミリーの顔を触れる。するとエミリーが真っ白の光に包まれ、気を失ったかのように倒れた。

 

メイラン「エミリー。あなたはやはり、あの人にそっくり。」

 

彼女は謎の言葉を言って、研究室を出た。

 

 

 

 

 

 

王室。

 

索敵兵「陛下!!大変です!!」

 

皇帝「どうした!?」

 

索敵兵「何者かが、馬を奪って逃走しています!!」

 

皇帝「何!?何者か割り出せるか!?」

 

索敵兵「それが・・・メイランです!!」

 

皇帝「メイランだと!?」

 

 

 

 

 

 

大会議室。

 

レア「嘘だろ!?」

 

イザベラ「メイランさんが!?」

 

フェオン「い、生きてるの!?いやああーーーー!!」

 

タクト「何処へ向かってるか分かるか!?」

 

索敵兵「先程我々が魔物を迎撃した海辺です!それと同時に、先程の魔物もその海辺へ向かっています!」

 

タクト「やはりか。その魔物はメイランと関わりがあったんだ。」

 

軍団長「よし。全軍出動だ!」

 

アンナ「私達も!」

 

レア「あぁ!」

 

タクト「ん?エミリーは?」

 

 

 

 

 

 

研究室へ行くと、エミリーが倒れていた。

 

タクト「エミリー!!」

 

ヒナ「エミリーちゃん!!」

 

倒れてるエミリーをヒナが支える。

 

 

 

 

 

 

海辺に、魔物サラマンダーが出現した。

 

サラマンダー「ーーーーーーー!!!」

 

咆哮を挙げながら城下町へ進行中。

 

 

 

 

崖の上から、メイランがサラマンダーの進行を傍観。

 

メイラン「可愛いサラマンダー。思う存分暴れなさい。あの人を殺したこの国を焼き尽くしなさい。」

 

 

 

 

そこにタクト達とエルスティア軍が到着した。

 

軍団長「全軍!一斉発射!」

 

魔法師団「了解!!」

 

魔法弾を一斉発射。

 

サラマンダー「ーーーーーーー!!!」

 

魔法弾を受けたサラマンダーが倒れて息絶えた。

 

タクト「倒したか!?」

 

レア「やったぞー!倒したぞー!」

 

イザベラ「やりましたね!」

 

 

 

 

メイラン「・・・」

 

 

 

 

 

 

城。

 

エミリー「ッ!?」

 

治療室にエミリーが目を覚ました。

 

ヒナ「エミリーちゃん。」

 

エミリー「ヒナ・・・」

 

ヒナ「やっぱり、あのメイランさんの事が。」

 

エミリー「・・・ヒナ。行かせてくれ。メイランの元へ。」

 

ヒナ「相変わらず無茶をしますね。」

 

 

 

 

 

 

それと並行し、サラマンダーの全身が赤く光った。

 

グレア「マズい!!彼奴回復してる!!」

 

タクト「何!?」

 

 

 

 

 

 

城にある馬に、エミリーとヒナが乗馬した。

 

エミリー「ヒナ、しっかり掴まってろ。」

 

ヒナ「はい。何処までも。」

 

馬を走らせ、メイランが居る崖の上へ向かった。

 

 

 

 

 

 

回復したサラマンダーの背中から、6つの赤い突起が出現し、頭部に青い角が出現した。

 

サラマンダー「ーーーーーーー!!!」

 

 

 

 

 

 

一方エミリーとヒナは、馬でメイランの元へ急いでる。

 

 

 

 

 

 

タクト「彼奴、パワーアップしてやがる・・・」

 

アンナ「ッ!!」

 

ボウガンを連射してダメージを与える。

 

フェオン・レア「ヤアアアァァァァ!!!」

 

大剣と旋刃盤で全身を切り刻む。

 

 

 

 

 

 

崖の下に到着したエミリーとヒナが馬から降り、エミリーが太刀を握ってヒナと共に崖の上へ向かう。

 

 

 

 

 

 

サラマンダー「ーーーーーーーー!!!!」

 

角に電撃を帯びて、周囲に放電した。周囲の草木や森を燃やした。

 

サラマンダー「ーーーーーーーー!!!!」

 

イザベラ「凄い・・・!」

 

サラマンダー「ーーーーーーーー!!!!」

 

 

 

 

 

 

崖の上へ登った2人がメイランを発見し、エミリーが太刀を握ってゆっくりとメイランへ接近。

 

エミリー「メイラン!」

 

メイラン「エミリー。あなたは、私の愛しきお姉様と酷似している。」

 

エミリー「何?」

 

振り返ったメイランの目が赤く染まっていた。

 

エミリー「やはりお前、魔人だったのか!」

 

 

 

 

 

 

タクト「・・・ッ!」

 

遠くの崖の上を透視すると、エミリーとメイランが睨み合っていた。

 

タクト「・・・皆。あの崖へ行ってくれ。」

 

フェオン「え?」

 

タクト「エミリーとメイランが居る。ヒナもだ。」

 

アンナ「え!?」

 

グレア「・・・本当だ!」

 

フェオン「タクトはここから離れて!」

 

タクト「分かった!」

 

フェオン「皆行くわよ!」

 

イザベラ「うん!」

 

フェオン達が、エミリーの居る崖の上へ向かった。

 

タクト「・・・!」

 

走ってサラマンダーへ接近する。

 

 

 

 

サラマンダー「ーーーーーー!!!」

 

目の前にタクトが佇んだ。

 

サラマンダー「ーーーーーー!!!」

 

角に電撃を帯びる。

 

タクト「ッ!!」

 

スパークレンスを出して光を解放し、ウルトラマンティガへ変身した。

 

ティガ「タァッ!!」

 

宙返りからのマルチキックでサラマンダーの腹部に直撃した。

 

ティガ「ハァーーーーッ!!」

 

力強くサラマンダーの首を上に向けて、電撃を上へ放電させた。

 

 

 

 

 

 

崖の上。

 

メイラン「10年前。私とお姉様はエルスティア皇国で幸せ豊かに暮らしていた。」

 

そこにフェオン達が来た。

 

メイラン「けど、お姉様は盗賊が犯した罪の濡れ衣を着せられてしまい、処刑された。私は絶望し、持っていた小さな魔力を暴走させ、魔人へと変貌した。私はその力を使ってお姉様が可愛がっていたサラマンダーを魔物化させ、お姉様を処刑へ陥れた盗賊達を皆殺しにし、復讐を果たした。」

 

エミリー「復讐を終えたのなら、何故今となってまた!」

 

メイラン「エルスティア皇国は、私を悪魔と判断してしまった。私はこの国から逃亡したが、魔法師団が懲りずに追って来た。追い詰められた私は、誤って火山へ落下してしまった。けど幸いにも、私はサラマンダーの魔力によって岩石の中へ封印された。サラマンダーもまた、私が目醒めるを待つように眠りに就いた。」

 

エミリー「そうか・・・あの魔物が突然現れた理由がそれだったって訳か!」

 

メイラン「そして今、私が目醒めた。私はサラマンダーと共にエルスティア皇国を滅ぼし、お姉様の仇を取る。」

 

エミリー「止めろ!そんな事しても、お前の姉さんは喜んでくれないぞ!」

 

メイラン「あなたにお姉様の何が分かるの?お姉様と瓜二つの分際で。」

 

エミリー「・・・・!!!」

 

 

 

 

 

 

海辺。

 

ティガ「タァッ!!ハァッ!!」

 

サラマンダーと激闘を繰り広げるティガ。

 

ティガ「タァッ!!」

 

マルチキックで腹部に攻撃したが、サラマンダーが右腕でティガを払った。

 

ティガ「アァッ!!」

 

サラマンダー「ーーーーーー!!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

サラマンダーの右腕を掴んで背負い投げしようとしたが、サラマンダーが重過ぎて投げれない。

 

ティガ「アァッ!!」

 

振り払われて体当たりを受けた。

 

サラマンダー「ーーーーーー!!!」

 

すると魔法師団の魔法弾がサラマンダーの背中に全弾命中した。

 

ティガ「タァッ!!」

 

隙を見たティガが、マルチキックでサラマンダーの腹部にダメージを与えた。

 

ティガ「タァッ!!」

 

今度は体当たりをしたが、サラマンダーに跳ね返された。

 

ティガ「ッ!他ァッ!!」

 

マルチキックがサラマンダーの左腕に掴まれ、右腕で叩かれた。

 

ティガ「アァッ!!」

 

今度はサラマンダーの尻尾がティガに直撃した。

 

サラマンダー「ーーーーーーー!!!」

 

 

 

 

軍団長「あの魔物・・・どんどん強くなってる!」

 

 

 

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ハンドスラッシュを連射したが、サラマンダーの皮膚が硬く、砕かれた。

 

サラマンダー「ーーーーーー!!!」

 

大きく尻尾を振った。

 

ティガ「タッ!!」

 

尻尾を掴んだが、サラマンダーが身体を大きく揺らした。

 

ティガ「アァッ!!」

 

 

 

 

 

 

崖の上。

 

メイラン「ウルトラマンティガ。あなたの努力は無駄よ。」

 

エミリー「・・・・!!!」

 

 

 

 

 

 

ティガ「アァッ!!」

 

戦い続けるティガだが、サラマンダーの威力は強まるばかり。ティガでも太刀打ち出来ない。

 

サラマンダー「ーーーーーーーー!!!!」

 

帯びた電撃をティガに直撃した。

 

ティガ「ウワァッ!!!」

 

”ピコン”

 

 

 

 

 

 

メイラン「さぁ。究極の力を!!」

 

すると次の瞬間。

 

メイラン「ウッ!!」

 

躊躇いを振り切ったエミリーの太刀が、メイランを切り裂いた。

 

エミリー「・・・・・・」

 

フェオン「エミリー・・・」

 

ヒナ「エミリーちゃん・・・」

 

グレア「ん?皆!魔物の威力が低下してる!」

 

レア「え!?」

 

 

 

 

 

 

サラマンダー「ーーーーーーー!!!」

 

メイランが倒れた事で、サラマンダーの威力が低下した。

 

サラマンダー「ーーーーーーー!?」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

困惑してるサラマンダーの角をティガスライサーで切断した。

 

サラマンダー「ーーーーーーー!!!」

 

ティガ「フッ!!」

 

両腕を前に突き出し交差させ、大きく横にゆっくり広げてエネルギーを集める。

 

ティガ「タァッ!!」

 

L字に組んで放つゼペリオン光線が、サラマンダーの胴体に直撃した。

 

サラマンダー「ーーーーーーーー!!!」

 

ゼペリオン光線を受けたサラマンダーが爆発四散した。

 

ティガ「タァ!」

 

空の彼方へ飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

崖の上。

 

メイラン「・・・・」

 

最期はエミリーに優しい笑みを見せて息絶えた。

 

エミリー「メイラン・・・・」

 

 

 

 

 

 

夕方。エミリーは右手を強く握り締めた。

 

タクト「やはり、メイランは魔人だったんだな。」

 

エミリー「・・・あぁ。自分の姉を殺したこの国を滅ぼす為に。」

 

アンナ「何だか、可哀想な気がして来ました・・・」

 

エミリー「メイランは、お姉さんと会ったのかな?」

 

ヒナ「多分。天国で、お姉さんと幸せに暮らせるよう冥福をお祈りしましょう。」

 

エミリー「メイランは、本当はエルスティア皇国を滅ぼしたくなかったのかも知れない。」

 

ヒナ「え?」

 

エミリー「落命する時、彼女は私に笑顔を向けた。あの笑顔は、優しさに溢れていた。」

 

タクト「それは多分、エミリーに感謝してるかも知れない。」

 

エミリー「感謝?」

 

タクト「幾ら自分の姉を殺した国とは言え、あの国はメイランの故郷。故郷を壊したら、それこそ彼女の心に傷が残るかも知れない。もしかしたら、メイランはエミリーに自分の暴走を止めて欲しかったのかもな。そうする事でしか、自分を止められなかったんだろう。」

 

エミリー「・・・・メイラン・・・・」

 

夕焼けを眺めて、メイランを考え続けた。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
グレア:高橋李依

メイラン:田中実那

ステラ=フォン=エルスティア:星守紗凪

軍団長:小山剛志
調査団長:中澤まさとも
索敵兵:狩野翔

皇帝:辻親八





次回予告

発見された秘境には、神秘的な力が宿った森林だった。可愛い案内者の出現で、タクト達が見たものとは・・・

次回ウルトラマンティガ

幻の秘境

お楽しみに


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4/幻の秘境

幻の秘境
メガラニア、カサンドラ 登場



エルスティア皇国を発ったタクト達は、次の旅へ向かった。

 

 

 

 

草原で休憩する。

 

タクト「そう言や気になってたけど、フェオン達の身に付けてるそのマントは何だ?」

 

フェオン「これ?これはね、私達の故郷のユエリアンで戦士として認められた証なの。」

 

グレア「へぇ〜。証ねぇ。」

 

タクト「ユエリアン・・・初めて聞く名前だな。どんな所なんだ?」

 

フェオン「・・・・・」

 

タクト「ん?どうしたんだ?」

 

フェオン「いや、別に・・・」

 

レア「ん?アンナ、何見てるんだ?」

 

そんな中、アンナが数枚の写真を見てる。

 

アンナ「この写真は、写真家の方が撮った物です。」

 

その写真は、光が差して神秘的に満ち溢れてる森林だった。

 

イザベラ「まさかこの写真は、彼処の森林で撮られた物なの?」

 

アンナ「ううん。」

 

フェオン「凄い森林ねぇ。」

 

アンナ「写真家の方は数日前、霧の中を歩いていると偶然この場所を見付けて写真を撮ったんです。」

 

エミリー「それはまさか、エルスティア皇国で噂とされてる秘境なのか?」

 

アンナ「そうです。この先に樹海があって、そこで遭難した時に偶然。」

 

レア「と言う事は、その樹海へ行けばこの秘境に行けるって事なのか?」

 

ヒナ「興味深いですねぇ・・・」

 

グレア「そんな馬鹿な。」

 

タクト「いや、ありえるかもな。何らかの拍子で秘境に辿り着くケースは多い。霧の中を歩いて発見する例も多々ある。」

 

アンナ「これは何か凄い発見になるかも知れませんね。行ってみたいです。」

 

タクト「けど、行けたとしても如何なる危険があるかも知れねえな。」

 

休憩を終えて出発した。

 

 

 

 

 

 

その道中。樹海の前に着いた。

 

フェオン「す、凄く薄気味悪いわね・・・」

 

タクト「どんな秘境か見てみたいしな。皆、逸れないように気を付けろよ?」

 

8人が樹海へ入った。

 

 

 

 

歩いていると、徐々に霧が蔓延し始めた。

 

イザベラ「凄い霧・・・」

 

フェオン「皆・・・逸れてない!?逸れてないよね!?」

 

タクト「フェオン落ち着け。こうして手を繋いで進んでんだから。」

 

レア「・・・・」

 

アンナ「ん?レア先輩どうしたの?」

 

レア「こんな薄気味悪い樹海から、あんな綺麗な秘境へ行けるのは不自然だと思うんだ。」

 

グレア「確かにそうだね。でもレア。この世界には未知の世界が多くあるんだよ?今後の旅で色々な未知を見て行こうよ。」

 

レア「だな!」

 

タクト「ん?霧の向こうに光が。」

 

遠くに一筋の光があった。

 

フェオン「で、出口かしら・・・?」

 

タクト「行ってみよう。」

 

霧の向こうの光へ進んだ。

 

 

 

 

 

 

光を抜けると、森林が広がっていた。光が差し込んでる。

 

タクト「おぉぉ・・・」

 

フェオン「な、何なのここ・・・?」

 

アンナ「綺麗・・・!」

 

エミリー「噂の秘境は・・・やっぱりあったんだな。」

 

イザベラ「ん〜〜!空気が美味しいです!」

 

ヒナ「本当!木の良い香りもします!」

 

タクト「ちょっとここで散策して、色々発見してみるか。チームに別れよう。」

 

秘境を進んでみる。

 

 

 

 

まずは、タクト・グレア・フェオン・イザベラチーム。

 

タクト「鳥も飛んでるな。虫も飛んでる。何処に居るんだ?」

 

グレア「不思議だねぇ〜。」

 

タクト「何が?」

 

グレア「どう考えても不思議。私今まで多くの秘境を見て来たけど、こんなに光が溢れる秘境は初めてだよ。」

 

タクト「グレア。世界は広いってお前言ってただろ?未知な事が沢山あるって。」

 

グレア「あはは。そうだったね。」

 

イザベラ「本当に綺麗〜。まるで楽園みたいですね。」

 

タクト「・・・・・」

 

グレア「ん?タクトどうしたの?」

 

タクト「いや、果たしてここが楽園と呼べるのか疑問でな。」

 

”シュン”

 

すると、何かが横切った。

 

タクト「ん?」

 

フェオン「な、何今の!?」

 

イザベラ「何かの動物が通りました!」

 

タクト「・・・」

 

横切った何かを歩いて追ってみる。

 

フェオン「ち、ちょっとタクト。無理しないでよ。」

 

 

 

 

 

 

一方エミリー・ヒナ・レア・アンナチーム。

 

ヒナ「今まで以上に魔力が溢れていますね。」

 

アンナ「はい。私も感じています。」

 

レア「魔力も溢れてる秘境だなぁ。」

 

アンナ「あ!綺麗な花〜。」

 

咲いてる白い花を発見した。

 

アンナ「・・・スイレンに似てるけど、違う花かなぁ?」

 

ヒナ「酷似していますね。」

 

エミリー「1つ摘んでみるか?」

 

ヒナ「まぁ!エミリーちゃんからのプレゼント!私感激ですぅ〜!」

 

エミリー「そ、そう言う意味じゃない!」

 

レア「あはは。でも本当綺麗だなぁ。アンナ、お前にプレゼントだぞ。」

 

アンナ「ありがとう!」

 

 

 

 

 

 

一方タクトチームは、地面に落ちてる黒いレンガを拾っていた。

 

フェオン「これは・・・」

 

タクト「彼方此方に落ちてるなぁ。」

 

グレア「何かが破壊された残骸なのかも。」

 

”シュン”

 

フェオン「キャーーーー!!!な!何何!?何今の!?」

 

またもや何かが通り過ぎた。フェオンがイザベラの後ろに隠れてる。

 

イザベラ「お姉ちゃん苦しいよ!」

 

タクト「見付けたぜ!!」

 

通り過ぎた何かをタクトが追う。

 

フェオン「ちょ!ちょっとタクト!?」

 

グレア「ねぇタクト、さっきのは何だったの?」

 

タクト「人影みたいだったな。ん?」

 

目の前に洞窟があった。

 

タクト「洞窟だ!」

 

グレア「ん?皆見て!」

 

地面に足跡があった。

 

タクト「ここに逃げ込んだみたいだな。」

 

洞窟の中へ入る。

 

フェオン「ち、ちょっとタクト!ここは危ないんじゃない!?ねぇ聞いてる!?聞いてるタクト!?ちょっと!!」

 

イザベラ「もうタクトさん行っちゃったね。」

 

グレア「こうなったら行くしかないよフェオン。」

 

フェオン「もう・・・タクト、後で覚えておきなさいよ!」

 

 

 

 

 

 

一方エミリーチームは。

 

エミリー「何か変じゃないか?」

 

レア「変って何がだ?」

 

エミリー「これだけ鳥の鳴き声がするのに、姿が一切見えないんだ。それに、これだけの自然がありながら、虫1匹も見付からない。」

 

ヒナ「・・・そう言えば・・・」

 

するとレアが摘んでくれた花が一瞬で消えてしまった。

 

エミリー・ヒナ・レア・アンナ「消えた・・・!?」

 

 

 

 

 

 

洞窟へ入ったタクトチーム。

 

タクト「・・・お!皆行くぞ!」

 

フェオン「タクト!これは・・・そう!罠よ!罠に違いないよ!」

 

タクト「本当怖がりだなフェオンは。心配すんなって。」

 

フェオン「あ、あの小さい人が大きくなって口を大きく開いたらどうするの?」

 

タクト「んな訳あるかよ。ホラ行くぞ。」

 

イザベラ「もうタクトさんの冒険心が燃えてますね。」

 

グレア「凄い強心臓。」

 

フェオン「ねぇタクト・・・もうこれ以上は・・・止めよう・・・?き、キヤアーーー!!」

 

わざと転んだ。

 

イザベラ「お姉ちゃん!?」

 

タクト「もうフェオン。しっかりしろよ。」

 

フェオン「だってもうヤバい感じがするんだもん!!」

 

タクト「本当こう言う系は苦手なんだから。少しは克服したらどうなんだ?」

 

フェオン「だって・・・お化けは切れないんだもん!!」

 

タクト「はぁ・・・」

 

グレア「ん?あ!皆見てこれ!!」

 

タクト「どうした?・・・これは!!」

 

洞窟に、正方形の綺麗な柱が無数にあった。

 

フェオン「・・・この洞窟・・・自然で出来たものじゃなさそうね。」

 

タクト「あぁ。人為的に作られた柱だ。」

 

イザベラ「だとしたら、この秘境は嘗て・・・」

 

グレア「人が住んでいたとか・・・」

 

 

 

 

 

 

一方エミリーチームも。

 

エミリー「もしかしたらこの秘境は・・・」

 

ヒナ「えぇ・・・過去に誰かが住んでいた可能性が・・・」

 

 

 

 

 

 

洞窟を歩くタクトチーム。

 

グレア「ん?何この気配?」

 

フェオン「ん?ギャアーーーーー!!!!ガクッ・・・」

 

何かを発見したフェオンが倒れて気絶した。

 

イザベラ「お姉ちゃん!?どうしたの!?お姉ちゃん!!」

 

タクト「これは・・・!!」

 

岩の懐に白骨化した遺体が転がっていた。

 

グレア「人間の骨・・・?」

 

タクト「恐らくこの秘境の住人だろう。」

 

イザベラ「じゃあここは元々・・・」

 

タクト「ん?待て。」

 

イザベラ「ん?」

 

岩の後ろに蠢く何かに恐る恐る触れると。

 

 

 

 

 

 

???「キャア!!」

 

 

 

 

 

 

タクト・グレア・イザベラ「うわああ!?」

 

飛び出したのは、ネコ耳が生えた少女だった。

 

???「さ・・・さっきの・・・ッ!!」

 

ネコ耳の少女は洞窟の奥へ逃げた。

 

タクト「逃げた。」

 

???「ハァハァハァ!キャアア!!」

 

走って逃げるが、躓いて転んだ。

 

タクト「と思ったら転んだ。」

 

フェオン「うっ・・・ん・・・?」

 

気絶していたフェオンが目を覚ました。

 

イザベラ「あ、お姉ちゃん!良かったぁ・・・」

 

フェオン「あ、あれ・・・?私さっき何を・・・?」

 

グレア「ねぇタクト大丈夫?」

 

フェオン「ん?」

 

タクト「・・・大丈夫か?」

 

少女「来ないで!!」

 

ネコ耳少女が怯える。

 

少女「うぅ・・・うぅ・・・」

 

フェオン「何あの子?ネコ耳?」

 

タクト「・・・ん?」

 

彼は、少女の腕の血を見た。

 

タクト「お前、怪我してるのか?」

 

少女「え・・・?」

 

フェオン「ねぇタクト、その子大丈夫なの?魔物の一種かもだよ?」

 

タクト「ほっとける訳あるか。この子の腕怪我してるし。」

 

右手を伸ばすと。

 

少女「来ないで!!」

 

右手で引っ掻かれた。

 

タクト「痛ぇっ!!」

 

グレア「引っ掻いた!!」

 

少女「うぅぅぅ・・・・」

 

フェオン「お、恩を仇で返すかも知れないわよ!?」

 

タクト「もう。」

 

異空間収納から包帯を出した。

 

タクト「大丈夫だ。危害は加えないから信用しろ。」

 

少女「・・・」

 

するとネコ耳少女は大人しくなり、タクトがネコ耳少女の怪我をした腕に包帯を巻いた。

 

タクト「よし。これで大丈夫だ。」

 

少女「・・・ありがとう・・・ございます・・・」

 

タクト「気にするなって。」

 

少女「・・・・」

 

手当をして貰った少女は、洞窟の奥へ向かった。

 

タクト「ん?」

 

少女「あの、来て下さい。」

 

タクト「奥に何かあるのか?」

 

少女に案内され、洞窟の奥へ。

 

 

 

 

 

 

洞窟の奥へ行くと、扉があった。

 

タクト「扉みたいだな。」

 

グレア「やっぱりこの秘境には、何か秘密がありそうだね。」

 

 

 

 

 

 

一方エミリーチームがある光景を目にしていた。

 

エミリー「見ろ!!」

 

それは、破壊された街だった。

 

ヒナ「街!?」

 

レア「何だこの廃墟!?」

 

アンナ「この秘境は一体・・・!」

 

エミリー「急いで戻ろう!」

 

ヒナ「はい!」

 

急いで元の場所へ戻って行った。

 

 

 

 

 

 

一方タクトチームは、洞窟の扉を開けた。

 

タクト「これは・・・!」

 

扉の奥にあったのは、数多くの科学容器や魔道具の部品が無残に残されていた。

 

イザベラ「何なのここ・・・?」

 

フェオン「魔道具を作る工房・・・なのかな?」

 

タクト「そうじゃないみたいだ。」

 

グレア「え?うわっ!」

 

フェオン・イザベラ「ッ!!」

 

 

 

 

その中に巨大なカプセルがあり、中に大蜥蜴の遺体が閉じ込められていた。

 

 

 

 

タクト「そう言う事か。この秘境は自然で出来たものじゃない。嘗て生前の住人達が、魔道具で人工的の自然を作り上げたんだ。鳥の鳴き声や虫の音。あれは、唯一無事だったこの魔道具で鳴らしたものだったんだ。そして、生えてる植物が枯れてない理由。それは、この洞窟から出てるナノサイズの水。その水のお陰で何年も枯れずに済んだんだ。」

 

フェオン「成る程ね。じゃあ、あのカプセルに閉じ込められてる大蜥蜴は?」

 

タクト「あれは多分、元々この秘境に棲息していた生物だろう。もう出られないようにこの頑丈なカプセルで閉じ込めたんだ。」

 

イザベラ「棲息していた生物・・・」

 

少女「あの・・・」

 

タクト「ん?」

 

先程のネコ耳少女が後ろに居た。

 

タクト「お前、ここに居たのか。」

 

少女「これ・・・見て下さい。」

 

そう言うと少女は、テーブルの上の水晶玉に触れた。すると、カプセルに閉じ込められている大蜥蜴が暴れる映像だった。

 

タクト「そうか・・・お前の主人もこの大蜥蜴に。」

 

少女「・・・・・」

 

グレア「ねぇタクト。恐らくだけど、この秘境に辿り着いたのは偶然じゃないかも知れないよ。」

 

タクト「どう言う事だ?」

 

グレア「前に聞いた話だけど、この秘境は盗賊や秘境を我が物にしようとする貴族達が探しに向かった。でも、見付からず、白骨化してしまったって。だとしたらこの秘境は、邪悪な心を持った者は入れず、優しい心を持った者だけが入れるとか。」

 

タクト「・・・成る程。あの写真家のおっちゃんは誰にでも優しかったからな。だとしたら、俺達も?」

 

グレア「多分ね。」

 

少女「ハッ!!皆さん逃げて下さい!!」

 

フェオン「え?何?」

 

 

 

 

”ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!”

 

 

 

 

突然地震が発生し、大蜥蜴が目を開けた。

 

タクト「彼奴!死んでなかったのか!?」

 

イザベラ「それにあの目・・・魔物!?」

 

フェオン「ここは危ない!!早く逃げましょ!!」

 

タクト「急げ!!」

 

少女を連れてその場を退却した。

 

 

 

 

 

 

そして外では、森林が一瞬にして消えて荒地となってしまい、空が黒く染められた。

 

エミリー「全て消えた・・・!」

 

レア「あ!おいあれ見ろ!」

 

 

 

 

巨大なカプセルが競り上がって消え、大蜥蜴・メガラニアの魔物が目を覚ました。

 

メガラニア「ーーーーーーー!!!」

 

 

 

 

アンナ「魔物!!」

 

 

 

 

メガラニアは荒地の中を進んで行く。

 

 

 

 

 

 

洞窟。柱が少女に落下しようとした。

 

少女「キャア!!」

 

タクト「あ!危ない!!」

 

少女を突き飛ばし、タクトが柱に埋もれてしまった。

 

フェオン「タクト!!タクト!!」

 

イザベラ「お姉ちゃん危ない!!」

 

グレア「タクト!!!!」

 

しかし洞窟が崩れ、道を塞いでしまった。

 

 

 

 

 

 

地上で、メガラニアがエミリー達と交戦してる。

 

エミリー「ハァッ!!」

 

レア「タァッ!!」

 

太刀と旋刃盤で切り裂くが、傷が付かなかった。

 

アンナ「私がやります!!」

 

ボウガンを発射したが、メガラニアの皮膚が硬かった。

 

アンナ「武器が効かない!!」

 

 

 

 

 

 

洞窟。

 

グレア「ダメ!ビクともしない!!」

 

イザベラ「お姉ちゃん早く逃げないと!!」

 

フェオン「タクトーーーーー!!!!」

 

3人は止むを得ず退却した。

 

 

 

 

下半身が柱で動けなくなったタクトが、落としたスパークレンスに手を伸ばす。

 

タクト「ちくしょう・・・!!」

 

手を伸ばしたが、届かなかった。

 

タクト「届かねえ・・・!!・・・ッ!?」

 

だが、右足を怪我したネコ耳少女がスパークレンスを拾った。

 

少女「これ・・・?」

 

タクト「・・・そうだ・・・!それが必要なんだ・・・!」

 

少女「・・・分かりました。」

 

怪我をしてる右足を引き摺りながら、スパークレンスをタクトへ届ける。

 

少女「キャア!」

 

だがバランスを崩して転んでしまった。

 

タクト「頑張れ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

地上では、エミリー達がメガラニアと戦い続けてる。

 

エミリー「クッ!大蜥蜴なのに皮膚が硬い!!」

 

レア「諦めるな!!何度も切り刻むのみだ!!」

 

 

 

 

 

 

洞窟。

 

少女「ハァ・・・ハァ・・・」

 

スパークレンスを拾って、右足を引き摺りながらタクトへ届ける。

 

 

 

 

 

 

地上。

 

エミリー・レア「うわああああああ!!!」

 

メガラニアの尻尾でエミリーとレアが叩き飛ばされた。

 

アンナ「エミリーさん!レア先輩!!あっ!!」

 

目の前にメガラニアが2足歩行となって、そのまま地面に倒れた。

 

アンナ「キャアアアアア!!!」

 

倒れた風圧でアンナも飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

洞窟。

 

少女「お待たせしました・・・どうぞ・・・」

 

スパークレンスを無事タクトの手元に届いた。

 

タクト「・・・よくやった!ありがとう!」

 

少女「は、はい・・・」

 

タクト「ッ!!」

 

スパークレンスの光を解放させた。

 

 

 

 

 

 

地上では、エミリー達が倒れてる。

 

エミリー「クッ・・・」

 

フェオン「皆大丈夫!?」

 

そこにフェオン達が戻って来た。

 

ヒナ「このままじゃ私達が・・・!」

 

だがしかし、光の柱が出現した。

 

アンナ「あれは!!」

 

光の柱から、ウルトラマンティガが出現した。

 

レア「ティガ!!」

 

 

 

 

 

 

ティガ「タァッ!!」

 

メガラニア「ーーーーーーー!!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

2本足で立ったメガラニアに、走って側転したティガがマルチチョップを繰り出したが、メガラニアが右前足でティガを叩いた。

 

ティガ「アァッ!!」

 

更に左前足でティガの頭部を叩き付けた。

 

ティガ「ウワァッ!!」

 

叩き付けられたティガが地面に倒れた。

 

メガラニア「ーーーーーーー!!!」

 

今度は尻尾がティガの頭部に命中した。

 

ティガ「ウッ!!」

 

尻尾攻撃を喰らったティガが飛ばされた。

 

メガラニア「ーーーーーーー!!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

走り出したティガがメガラニアにドロップキックしたが、後ろに避けられた。

 

メガラニア「ーーーーーーー!!!」

 

体当たりでティガを突き飛ばした。

 

ティガ「アァッ!!」

 

メガラニア「ーーーーーーー!!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

起き上がったティガがハンドスラッシュを飛ばした。しかしメガラニアが両前足でそれを受け止めて弾いた。

 

ティガ「ッ!!」

 

弾き返されたハンドスラッシュを横に避けた。

 

メガラニア「ーーーーーーー!!!」

 

するとメガラニアの口に火が生成された。

 

ティガ「ッ!!」

 

胸のプロテクターに両手を添えた。

 

メガラニア「ーーーーーーー!!!」

 

口から火球を吐いた。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

火球にティガスライサーを打ち込んだが、ティガスライサーが火球で砕かれた。

 

ティガ「アァッ!!」

 

火球を受けたティガが後ろへ倒れた。

 

 

 

 

フェオン達は、メガラニアの圧倒的な強さに驚愕した。

 

 

 

 

ティガ「フッ!」

 

”ピコン”

 

カラータイマーが点滅を始めた。

 

メガラニア「ーーーーーーー!!!」

 

再度火球を吐いたが、ティガが前に転がって避けた。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

するとそこに。

 

 

 

 

少女「おーい!!!」

 

 

 

 

ティガ「ッ!?」

 

少女「これを見て下さい!!」

 

丘の上でネコ耳少女がある物をティガに見せた。

 

少女「ここを狙って下さい!!」

 

それは、水晶玉に収められてるメガラニアの弱点を写した画像だった。弱点は頭部にあった。

 

ティガ「ッ!」

 

ファイティングポーズを構えるティガが、メガラニアの頭部を見る。メガラニアの頭部にあったのは、埋め込まれた小さな赤い鉱石だった。

 

ティガ「ーーーーーーハァッ!!」

 

額のティガクリスタルの前で両腕をクロスして、パワータイプへタイプチェンジした。

 

メガラニア「ーーーーー!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

するとまたメガラニアが火球を吐いた。しかし。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ウルトラシールドで弾いて、メガラニアへ向かって走った。

 

メガラニア「ーーーーーーーー!!!!」

 

ティガ「タァッ!!!」

 

前へ倒れるメガラニアを飛翔して避けた。

 

メガラニア「ーーーーーーーー!!!!」

 

真上を見たが、ティガの姿が何処にも無かった。

 

メガラニア「ーーーーーーー?」

 

ティガ「ハアアァァァァァァ!!!!!」

 

空からティガが、ティガバーニングダッシュでメガラニアに向かって急降下した。

 

ティガ「タァッ!!!」

 

メガラニアの弱点の鉱石を破壊し、宙返りして着地した。

 

メガラニア「ーーーーーーーー!!!!」

 

頭部の鉱石を破壊されたメガラニアから大量の血が噴出した。

 

メガラニア「ーーーーーー・・・・・!!!」

 

大量の血を噴出して倒れ、メガラニアが爆散した。

 

 

 

 

 

 

レア「やったぞ!!」

 

フェオン「よし!」

 

 

 

 

 

 

”ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!”

 

ティガ「ッ!?」

 

だが再び地震が発生し、荒地が地割れを起こした。

 

 

 

 

ヒナ「地震が!!」

 

エミリー「クソッ!!あの魔物を倒すと滅ぶ代償があるのか!!」

 

 

 

 

ティガ「ッ!!」

 

何かを見たティガが飛んだ。

 

 

 

 

フェオン「タクト!!何処よ!!」

 

グレア「フェオン!!ここも危ない!!逃げようよ!!」

 

フェオン「嫌よ!!タクトが!!タクトーーーーー!!!!」

 

エミリー「脱出だ!!!」

 

フェオンを強引に連れて行き、霧の奥へ脱出した。

 

 

 

 

 

 

樹海の外。

 

エミリー「ハァ・・・ハァ・・・」

 

霧が空へ舞って行った。

 

グレア「皆怪我はない?」

 

レア「あぁ。何とかな。」

 

フェオン「無事じゃないわよ!!タクトが!!」

 

タクトが居ない事で、全員が黙ってしまった。

 

フェオン「タクト・・・!」

 

 

 

 

 

 

タクト「オーーーーイ!!!」

 

 

 

 

 

 

フェオン「・・・あ!!」

 

タクト「オーーーイ!!」

 

樹海からタクトが出て来た。

 

フェオン・エミリー・レア・グレア「タクト!!!」

 

イザベラ・ヒナ・アンナ「タクトさん!!!」

 

フェオン「もうバカ!!」

 

怒ったフェオンがタクトを叩き、タクトの胸で泣き崩れた。

 

フェオン「心配したんだから・・・!!」

 

タクト「すまないな。あ、そうだ。後助かったのは俺だけじゃないぞ。」

 

少女「どうも・・・」

 

あのネコ耳少女も一緒だった。

 

エミリー「な、何だ!?」

 

アンナ「わぁ可愛い!!」

 

レア「ネコ耳!?獣人・・・いや亜人か!?」

 

タクト「あの時この子が俺を助けてくれたんだ。助かったぜ。」

 

少女「そんな・・・」

 

タクト「そうだ・・・お前名前聞いてなかったな。」

 

少女「名前・・・ごめんなさい・・・私記憶が・・・」

 

タクト「記憶喪失。そっかぁ。ならお前はカサンドラ。カサンドラって名前だ。」

 

カサンドラ「カサンドラ・・・」

 

タクト「ん?ダメか?なら別の名前・・・」

 

カサンドラ「あ、いえ!気に入りました!ありがとうございます!」

 

タクト「よし。今日からお前の名前はカサンドラだ。」

 

カサンドラ「はい!皆さん、宜しくお願いします!」

 

フェオン達がカサンドラに笑顔で迎えた。

 

タクト「それと、さっきあの魔物と戦った戦士がティガ。ウルトラマンティガだ。覚えたか?」

 

カサンドラ「ウルトラマン・・・ティガ・・・はい。」

 

アンナ「いやぁ〜ん可愛い〜!」

 

どさくさに紛れてアンナがカサンドラを抱き締めた。

 

カサンドラ「わあああ!?」

 

タクト「あはは。アンナ、あんまり困らせるなよ?」

 

秘境で助けたネコ耳少女は、タクトによってカサンドラと名付けられた。

 

タクト(それとカサンドラ。俺がティガだって事を、誰にも言うなよ?)

 

カサンドラ(はい!約束します!)

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
グレア:高橋李依

カサンドラ:高田憂希





次回予告

子供達を奴隷として連れ去ろうとするゴディ盗賊団。誘拐された子供達を救え。

次回ウルトラマンティガ

子供略取

お楽しみに


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5/子供略取

子供略取
ゴディ盗賊団 登場



とある国の夜。2人の男女が道を歩いている。

 

???「お祭り、楽しかったね。」

 

???「いっぱい食って満足したぜ。」

 

2人の名前はレオンとソフィー。幼馴染みで、一緒に旅をしている。2人が夜道を歩いていると。

 

”カァー!カァー!”

 

木に止まってるカラスが鳴いてる。

 

ソフィー「何か、薄気味悪い・・・」

 

レオン「急いでホテルへ帰ろ。」

 

後ろから2人の少女が通り過ぎた。

 

少女A「お祭り楽しかったね!」

 

少女B「うん!お姉ちゃん!」

 

ソフィー「足音で驚いちゃった・・・」

 

レオン「本当ソフィーは怖がりだな。」

 

 

 

 

だが通り過ぎた少女2人の前に、ピエロの男が現れた。

 

 

 

 

少女A「な、何!?」

 

少女B「誰!?」

 

その男は、2人の少女に水晶玉を向けた。すると。

 

少女2人「ウワーーーーー!!!」

 

水晶玉に吸い込まれてしまった。

 

ソフィー「な、何あれ!?」

 

レオン「ソフィー!こっちだ!」

 

すぐに逃げた。

 

 

 

 

近くの裏路地に隠れた。

 

レオン「何なんだ彼奴・・・?」

 

ソフィー「さっきの子達・・・」

 

壁からそっと覗く。

 

レオン「・・・」

 

男は、先程の2人を探してる。だが見付けられずに去った。

 

ソフィー「行っちゃった・・・?」

 

レオン「あぁ。・・・何かあるかも知れない。」

 

ソフィー「え?レオン君まさか・・・」

 

レオン「尾行しよう。」

 

ソフィー「ま、待って!」

 

2人は男を尾行する。

 

 

 

 

 

 

一方タクト達は、城下町の掲示板にある手配書を見ていた。

 

タクト「ん?」

 

それは、ゴディ盗賊団の指名手配書だった。

 

フェオン「ゴディ盗賊団の指名手配書?懸賞金金貨900枚。」

 

エミリー「何者なんだ?その盗賊団は。」

 

レア「レアは初耳だなぁ。」

 

アンナ「何か怖そうな盗賊団ですね。」

 

タクト「ゴディ盗賊団か。」

 

グレア「タクト知ってるの?」

 

タクト「あぁ。噂で聞いた事があってな。奴等は子供だけを狙って、何かの方法で誘拐した。そして誘拐した子供を使って奴隷として働かせたり、子供の親に身代金を要求するなど卑劣極まりない手法で存在を見せ続けてる盗賊団。しかも証拠を残さないから、アジトを見付けられず仕舞いだ。」

 

イザベラ「怖い・・・」

 

タクト「しかも、子供を誘拐された家族の中に、絶望して自決するケースもある。」

 

エミリー「酷いなぁ・・・」

 

???「パメラ!ミク!!」

 

そこに1人の女性が誰かを探していた。

 

フェオン「どうかしましたか?」

 

女性「娘が・・・娘達が見付からないんです!」

 

フェオン「娘さんが!?」

 

女性「お祭りへ行ったっきり帰って来なくて・・・」

 

カサンドラ「フェオン。これは由々しき事態です。」

 

フェオン「そうね。お母様。私達が探してあげましょう。安心して下さい。」

 

女性「あ・・・ありがとうございます!捜してくれるなら、これを。」

 

差し出したのは、2人の娘の写真だった。

 

フェオン「分かりました。ヒナ、お母様をお家へ。」

 

ヒナ「はい。」

 

 

 

 

 

 

一方レオンとソフィーは、男を尾けてる。

 

ソフィー「あの人、何者なの?」

 

レオン「分からない。隠れ家を見付けてやるぞ。」

 

尾行を続く中、男は国の正門を出た。

 

レオン「出たぞ。」

 

正門を出て追跡しようとしたが・・・男の姿がなかった。

 

ソフィー「居ない・・・」

 

レオン「何処に行ったんだ?」

 

すると2人に、人影が迫った。その人影がレオンの肩に手を置いた。

 

レオン「ッ!!」

 

ソフィー「何!?」

 

 

 

 

 

 

それはタクト達だった。

 

 

 

 

 

 

タクト「あ、ごめん。脅かすつもりはなかったんだ。」

 

レオン「誰だアンタ達?」

 

フェオン「ねぇあなた達、この2人を知らないかしら?」

 

2人に、先程女性が渡してくれた娘達の写真を見せた。

 

レオン「ん?この子達って・・・」

 

ソフィー「さっきの男の人に吸い込まれた子達だわ!」

 

タクト「有力情報を発見だ。あ、俺はタクト。こっちはフェオンとイザベラ。エミリーとヒナとレアとアンナとグレアとカサンドラだ。」

 

レオン「俺はレオン。そして、幼馴染みのソフィーだ。」

 

ソフィー「初めまして。」

 

レア「なぁ、この2人が誰に吸い込まれたんだ?」

 

ソフィー「えっと・・・ピエロの男の人で・・・」

 

タクト「ッ!!」

 

 

 

 

上からあの男が飛び込んだ。

 

 

 

 

タクト「お前!!」

 

レオン「彼奴だ!」

 

男が水晶玉を持ってイザベラに向けた。

 

アンナ「ッ!!」

 

透かさずアンナがボウガンを発射。男が左肩に矢が刺さってバランスを崩した。

 

ソフィー「キャアアア!!!」

 

水晶玉の光がソフィーに命中した。

 

レオン「ソフィー!!」

 

ソフィーは水晶玉へ吸い込まれた。

 

男「チッ!」

 

舌打ちした男が再びイザベラに水晶玉を向けた。

 

タクト「危ない!!」

 

咄嗟の判断でタクトがイザベラを押して回避した。

 

男「チッ!」

 

またもや舌打ちして退却した。

 

レオン「ソフィー!!!ちくしょう!!!」

 

 

 

 

 

 

ホテルに戻り、レオンと一緒に先程の男の写真を見る。これは、グレアが念写した物。

 

ヒナ「これがソフィーさんと言う方を誘拐した男・・・」

 

タクト「間違いない。ゴディ盗賊団の1人だ。奴等は自分の顔を隠す為、こう言うピエロの格好をするんだ。」

 

フェオン「余計恐ろしい奴等ね・・・」

 

タクト「更に特徴的なのが、水晶玉から発する縮小光線。この縮小光線で目標を捉えて、水晶玉へ吸収する。」

 

エミリー「これを何とか防げる手段を探らないとだな・・・」

 

グレア「その手段は私が探すよ!任せてね!」

 

フェオン「レオンだっけ?あなたも協力してくれるかしら?」

 

レオン「勿論だ!ソフィーを必ず助けてみせる!」

 

 

 

 

 

 

翌朝。タクト達は手分けしてゴディ盗賊団のアジトを探す。

 

レオン「ソフィー・・・無事で居てくれよ・・・!」

 

 

 

 

 

 

一方ソフィーは。

 

ソフィー「・・・うっ・・・ん・・・?」

 

謎の部屋に居た。彼女は今、棺桶のような台の上で鎖で拘束されている。

 

ソフィー「・・・これは・・・!!」

 

周りを見ると、子供達がソフィーと同じように拘束されていた。

 

ソフィー「・・・ん!?」

 

上を見ると、ピエロの男がソフィーを見ていた。

 

ソフィー「キャアア!!」

 

ピエロの男は他にも複数存在し、誘拐した子供達を見る。

 

子供達「イヤアアーーー!!来ないでーーーー!!」

 

パニックになる子供達を他所にソフィーが冷静に考え込んでる。

 

ソフィー(どうすれば・・・この状況を打破するには・・・そうだ!)

 

ポケットから小さな球体を出した。それを光らせた。

 

 

 

 

 

 

城下町。

 

グレア「ッ!!皆!国の外から魔力を感じる!!」

 

タクト「本当か!?」

 

グレア「魔力を感じるのは・・・球体を持った女の子・・・」

 

レオン「ソフィーだ!!罠用の魔道具を持っているんだ!!」

 

グレア「場所は・・・城下町にある廃墟だ!」

 

レオン「廃墟か!よし行くぞ!」

 

急いで廃墟へ向かった。

 

タクト「おいレオン待て!!」

 

 

 

 

 

 

廃墟に到着。

 

グレア「あれだよ!」

 

そこは、元は魔道具工房だったと言う廃墟。

 

レオン「彼処にソフィーと子供達が・・・」

 

タクト「よし、皆はここに居ろ。俺とレオンで行く。何かあったらグレアと通して知らせる。」

 

アンナ「気を付けて下さいね。」

 

タクト「レオン、無理するなよ。」

 

レオン「分かってる。」

 

廃墟へ潜入したタクトとレオンが二手に分かれた。

 

 

 

 

廃墟へ潜入したレオンが、周囲を警戒しながら奥へと進む。すると1人のピエロがレオンに迫ったが。

 

レオン「ハァッ!!」

 

ハイキックでピエロを撃退した。

 

レオン「ソフィー・・・何処に居るんだ・・・?」

 

”カラン!”

 

レオン「ッ!!」

 

上から物音がして上を見た。ピエロの男が水晶玉を持ってレオンに縮小光線を浴びせた。

 

レオン「ウワッ!!」

 

縮小光線を受けたレオンが水晶玉に吸い込まれた。

 

 

 

 

 

 

子供達が囚われてる拘束部屋へレオンが拘束される。

 

ソフィー「レオン君!レオン君!!」

 

気を失っていたレオンが目を覚ました。

 

レオン「ソフィー!無事だったんだな・・・良かった・・・」

 

ソフィー「助けに来てくれたのに・・・誘拐されちゃったんだね・・・」

 

レオン「いや、面目無い・・・ソフィー。罠用の魔道具を起動してくれ。タクト達がここに居る。」

 

ソフィー「分かった。」

 

罠用の魔道具を起動した。

 

 

 

 

 

 

外で待機していたグレアに反応が。

 

グレア「また反応した!」

 

カサンドラ「ソフィー!?」

 

 

 

 

 

 

廃墟へ潜入したタクトの脳裏にグレアの声がした。

 

グレア『タクト!反応があったよ!この廃墟の奥の部屋だよ!』

 

タクト「サンキューグレア!」

 

 

 

 

 

 

拘束部屋。

 

ソフィー「レオン君!」

 

レオン「ッ!!」

 

そこに、血まみれのピエロの男が現れた。

 

ピエロ「気が付いたかね?あれだけ強い男でも、こうなればただのオモチャだな。」

 

レオン「お前達がゴディ盗賊団の首領か!子供達を攫って金儲けか!」

 

ゴディ「フッフッフ。話が早いものだな。我々は元々麻薬を製造したり売り捌き、国民達や犯罪組織に密輸させて大儲けした。しかし麻薬を製造する材料は日々激減している。そこで子供達を使って奴隷として働かせたり、子供達を使って身代金を手に入れた。」

 

レオン「何だと!?」

 

ゴディ「そうすれば楽に金儲けし、悠々自適を手に入る!ハッハッハッハッハ!!!」

 

レオン「ちくしょう・・・!!」

 

 

 

 

 

 

外で待機してるフェオン達は。

 

フェオン「あの2人、大丈夫かしら?」

 

グレア「ムムムムム・・・ム!?廃墟の奥に巨大な魔力を感じるよ!!」

 

ヒナ「物凄い魔力です!」

 

エミリー「突入するか?」

 

レア「待てエミリー。グレア、対策は?」

 

グレア「色々模索してるんだけど・・・」

 

アンナ「何か見付かりそうですか?」

 

グレア「・・・あ!1つだけあるよ!」

 

イザベラ「え?」

 

グレア「ヒナ、魔力障壁は展開出来る?」

 

ヒナ「はい。使えます。」

 

グレア「魔力障壁なら、あの光線を防げるか、運が良ければ跳ね返せる!」

 

イザベラ「成る程!」

 

エミリー「よし!早速突入だ!」

 

フェオン「でも良い?飽く迄救出が最優先よ!」

 

 

 

 

 

 

一方タクトは、廃墟の奥へ進んでいる真っ最中。

 

グレア『タクト!障壁を展開すれば光線は防げるよ!』

 

タクト「グレアサンキュー!よし。」

 

 

 

 

廃墟の奥へ慎重に進む。するとピエロが現れた。

 

タクト「ッ!!」

 

ピエロが水晶玉の縮小光線を発射。

 

タクト「ハッ!!」

 

ウルトラシールドを展開して防ぎ、ジャンプからのカカト落としでピエロを気絶させた。

 

タクト「まだまだだな。」

 

水晶玉を取り上げ、異空間収納からロープを出して縛った。

 

 

 

 

 

 

拘束部屋。ピエロ達が子供達を連れて行こうとする。

 

子供達「助けてーーーー!!」

 

タクト「待て!!」

 

駆け付けたタクトがピエロ達を蹴散らす。

 

レオン「タクト!!」

 

ソフィー「タクト君!!」

 

タクト「レオン!ソフィー!」

 

しかしピエロは次々と増え続け、タクトを妨害する。

 

タクト「クソッ!邪魔だ!」

 

近接格闘でピエロ達を蹴散らす。だが1人のピエロがタクトに縮小光線を浴びせようとする。

 

タクト「ッ!!」

 

 

 

 

ヒナ「ハァッ!!」

 

 

 

 

しかし間一髪で駆け付けたヒナの魔力障壁で防がれた。

 

フェオン「ヤァッ!!」

 

そしてフェオン達もピエロを気絶させた。

 

アンナ「大丈夫ですか!?」

 

タクト「助かった!フェオン!皆!ここを頼む!俺は他の子供達を!」

 

フェオン「分かったわ!」

 

 

 

 

廃墟内を捜索するタクトに、ゴディ盗賊団のピエロの集団が現れた。

 

タクト「数が多い!」

 

スパークレンスを出して光を解放させ、ウルトラマンティガへ変身した。

 

ティガ「フッ!!」

 

迫り来るピエロ達を。

 

ティガ「タァッ!!」

 

キックやパンチやチョップで次々と蹴散らす。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

更には背負い投げで蹴散らす。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ジャンプして2階へ上がり、2階のピエロ達も蹴散らす。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ジャンプして1階へ降りた。

 

ティガ「ッ!!」

 

ピエロの集団がティガを囲む。ピエロの集団が一斉にティガを襲う。

 

ティガ「タァッ!!!」

 

だがティガトルネードがピエロの集団を吹き飛ばした。

 

ティガ「ッ!!」

 

 

 

 

一部の子供達を攫ったゴディ盗賊団が大扉を閉めた。

 

ティガ「ーーーーーーハァッ!!」

 

マルチタイプからパワータイプへタイプチェンジした。

 

ティガ「タァッ!!」

 

飛翔して、ティガバーニングダッシュで大扉を破壊した。

 

 

 

 

 

 

子供達を救出したフェオン達が廃墟から出ようとする。

 

イザベラ「皆こっちだよ!早く!」

 

カサンドラ「落ち着いて下さい!」

 

フェオン「・・・あ!」

 

そこに大扉から子供達が出て来た。出て来た子供達の後ろからティガが走って来た。

 

フェオン「ウルトラマンティガ!!」

 

ティガがフェオンに子供達を任せるよう促す。

 

フェオン「分かったわ。イザベラ!手伝って!」

 

イザベラ「うん!」

 

急いで子供達を連れて行った。

 

 

 

 

ティガ「・・・」

 

後ろを振り向いたティガ。そこにゴディが立っていた。

 

ゴディ「貴様・・・!余計な真似を・・・!!」

 

ティガ「フッ!!」

 

ファイティングポーズを構えたティガを、ゴディが水晶玉の縮小光線でティガに浴びせた。

 

ティガ「アァッ!!」

 

縮小光線を浴びたティガが水晶玉へ吸い込まれた。

 

ゴディ「フッフッフ。」

 

 

 

 

水晶玉の中。

 

ティガ「・・・!」

 

そこは、何もない真っ白な空間だった。

 

ティガ「ーーーーーハァッ!!!」

 

エネルギーを溜め、ティガ電撃パンチで下を殴った。すると水晶玉に罅が入り。

 

 

 

 

ゴディ「ぐああっ!!」

 

水晶玉が破壊され、ティガが元の等身大に戻った。

 

ゴディ「何!?」

 

ティガ「フッ!」

 

ゴディ「クソッ!!」

 

双剣を握り、ティガと渡り合う。ティガはゴディの双剣を躱しながら徐々にダメージを与える。

 

ゴディ「ハァッ!!」

 

ティガ「ウッ!!」

 

双剣を横に避けた。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ゴディの左腕を掴んで、パワーパンチでゴディの腹部に殴り入れた。

 

ティガ「タァッ!!」

 

タックルでゴディを突き飛ばした。ゴディが後ろの大量の箱へ倒れた。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

宙返りからの。

 

ティガ「タァッ!!」

 

カカト落とし。だがゴディがそれを避けて空振り。

 

ゴディ「ダァッ!!」

 

ティガ「ウッ!!」

 

起き上がった瞬間にゴディの蹴りを喰らい、後ろへ投げられた。

 

ティガ「フッ!!」

 

しかしティガが宙返りして壁に着地からのジャンプで跳ね返り。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ゴディ「ぐああああ!!」

 

パワーキックでゴディの顔に大ダメージを与えた。

 

ゴディ「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・よくも・・・よくも!!」

 

するとゴディの被ってるピエロの仮面に罅が入って割れた。

 

ティガ「ッ!!」

 

その姿は・・・

 

 

 

 

 

 

痛々しい火傷を負った顔だった。

 

 

 

 

 

 

ゴディ「この顔を見た貴様は・・・消えて貰う!!」

 

右手から魔法弾を連射。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

連射された魔法弾を避け続けたが、その内の1発がティガに命中。

 

ティガ「アァッ!!」

 

”ピコン”

 

ティガ「タァッ!!」

 

ハンドスラッシュをゴディの足元に向けた。

 

ゴディ「ぐあああああ!!クソッ・・・こうなったら!!!」

 

彼は廃墟を出た。

 

”ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!”

 

ティガ「ッ!!」

 

それと同時に地震が起きた。

 

 

 

 

 

 

外へ脱出したフェオン達は。

 

”ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!”

 

フェオン「な、何!?」

 

廃墟が崩れ落ち、そこから現れたのは・・・

 

 

 

 

 

 

巨大な要塞だった。

 

 

 

 

 

 

エミリー「要塞!?」

 

レア「しかも動いてるぞ!?」

 

レオン「まさか!彼奴等あれで城下町を壊すつもりか!!」

 

 

 

 

ゴディ「ハッハッハッハッハ!!愚民共め!この力で平伏せ!!!発射ァ!!!」

 

要塞に乗ってるゴディ盗賊団のピエロ集団が魔法弾を一斉発射。

 

 

 

 

ヒナ「危ない!!」

 

魔力障壁で魔法弾を防ぐ。

 

ヒナ「くっ・・・!あぁっ!!」

 

だが防ぎ切れず倒れてしまった。

 

エミリー「ヒナ!大丈夫か!?」

 

すると今度は、巨大な魔法弾が迫って来た。

 

アンナ「キャアア!!」

 

全員が目を瞑った。

 

 

 

 

 

 

ティガ「タァッ!!」

 

 

 

 

 

 

しかしティガのデラシウム光流が巨大な魔法弾を破壊した。

 

フェオン「ティガ!!」

 

レオン・ソフィー「・・・!!」

 

 

 

 

 

 

ティガ「ーーーーーーハァッ!!」

 

パワータイプからスカイタイプへタイプチェンジし、ピエロ集団の魔法弾を超高速で避け続ける。

 

 

 

 

 

 

その戦いをフェオン達と子供達が見る。

 

 

 

 

 

 

ティガ「タァッ!!」

 

ハンドスラッシュで要塞に傷を入れた。

 

ティガ「ッ!!」

 

要塞の天辺にゴディの姿を発見した。

 

ティガ「タァッ!!」

 

宙返りして要塞の天辺に着地した。

 

ゴディ「な、何!?」

 

ティガ「タァッ!!」

 

スカイチョップでゴディを気絶させた。だがピエロ集団が現れ、ティガが高速でピエロ集団を次々と気絶させた。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ウルトラ念力で、気絶したゴディ盗賊団を要塞から取り除いた。

 

 

 

 

 

 

取り除かれたゴディ盗賊団は、フェオン達の前に降ろされた。

 

 

 

 

 

 

ティガ「フッ!!」

 

無人となった要塞を透視する。すると中核から巨大な魔力を溢れ出してる水晶玉を感知した。

 

ティガ「タァッ!!」

 

宙返りして浮遊し、無人となった要塞の中核に向けてランバルト光弾を発射。ランバルト光弾を受けた水晶玉が破壊され、要塞が爆発した。

 

 

 

 

 

 

フェオン達「やった!!」

 

子供達「やったーーーー!!!」

 

レオン「やったな!!」

 

ソフィー「やったね!!」

 

 

 

 

 

 

その後、子供達は無事親元へ帰還した。ゴディ盗賊団は憲兵団によって逮捕された。憲兵団長からゴディ盗賊団の逮捕に協力してくれたタクト達に懸賞金を与えた。タクトは受け取った懸賞金を使って子供達に上手い料理を与えた。子供達は料理を頬張る。

 

 

 

 

 

 

レオン「いやぁ〜ありがとう。一時はどうなる事かと思ったよ。」

 

ソフィー「ありがとうございます。」

 

タクト「気にすんなって。」

 

グレア「ねぇレオン。ソフィー。2人はまた旅を続けるの?」

 

レオン「そうだなぁ・・・行く当てもない旅だしなぁ。」

 

ソフィー「うん。私達は魔物ハンターで生計を立ててるから心配ないけれど・・・」

 

タクト「なぁ、良かったら俺達と一緒に旅しないか?」

 

レオン「え?良いのか?」

 

タクト「ここで会えたのも何かの縁。それに、今の所男俺1人だけだし・・・」

 

イザベラ「気にしてたんですね。タクトさん。」

 

レオン「ソフィーはどうしたいんだ?」

 

ソフィー「・・・うん!私達で良かったら!」

 

レオン「決まりだな。皆、今日から宜しくな!」

 

タクト「あぁ!此方こそ!」

 

アンナ「宜しくお願いします!」

 

こうしてレオンとソフィーはタクト達の仲間となり、一緒に旅をする事となった。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
レオン:岡本信彦
ソフィー:櫻庭彩華
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依

パメラ:八木侑紀
ミク:水谷麻鈴
母親:難波佑香

ゴディ:今村直樹





次回予告

浜辺に打ち上げられた3人の人魚。彼女達は、悪しき人魚・ラグアの手によって都が滅ぼされようとタクト達に告げた。都を救い出せ。

次回ウルトラマンティガ

人魚の都・前編

お楽しみに


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6/人魚の都・前編

人魚の都・前編
ラグア、ベガルタ、アガトラム 登場



遥か海底にある都。

 

兵士達「うわああああああ!!」

 

???「フハハハハハハ!!」

 

この都では、人魚達が住んでいる都だったが、突如現れた3体の悪しき人魚達の襲撃を受けていた。

 

???「相変わらず脆いものだな!」

 

そこに、3人の人魚の少女が。

 

3人の人魚「ヤアアァァァァ!!」

 

剣、槍、盾を握って悪しき人魚達を迎え撃つ。

 

???「また貴様等か。目障りだ!!」

 

右手を突き出すと、竜巻が発生して3人の人魚の少女達を吹き飛ばした。

 

3人の人魚「キャアアァァァァ!!!」

 

竜巻が3人の人魚の少女を飲み込んだまま上昇した。

 

???「どうする?このまま滅ぼすか?」

 

???「いや、数人は残しておこう。最後のお楽しみだ。」

 

???「では、今日はこの位で退却しましょうか。」

 

悪しき人魚達は姿を消した。

 

 

 

 

都の城。

 

兵士「サブリナ女王!バルジル大王!」

 

サブリナ「被害は・・・?」

 

兵士「兵士総動員で迎え撃ちましたが・・・大半が戦死・・・重傷者500名です・・・」

 

バルジル「そうか・・・ミア達は?」

 

兵士「ミア様、シメナ様、ビアンカ様は・・・奴等が発生した竜巻で・・・恐らく海面へ・・・」

 

バルジル「何・・・!?」

 

サブリナ「そんな・・・!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地上世界・ビリア共和国・浜辺。

 

タクト「どうだ!空を飛んでる気分は!」

 

フェオン「凄い気持ちが良いわね!」

 

エミリー「空を飛ぶと言うのは考えた事もなかったな!」

 

今彼女達は、タクトが作った首飾り・ヴォラーレリトスに秘められた飛行能力で空を自由自在に飛んでる。

 

ソフィー「レオン君!風が気持ち良いよ!」

 

レオン「あぁ!こんなの初めてだぜ!」

 

 

 

 

空を飛び終えて着地した。

 

タクト「皆早いな。使いこなせたの。」

 

イザベラ「ちょっと不安でしたけど。」

 

アンナ「でもタクトさん凄いです!空を飛ぶ事を思い付くなんて!」

 

タクト「ティガには飛行能力もあるからな。それをヒントに、その首飾りを作ったんだ。」

 

レア「なぁタクト!それだったら、力が増す魔道具とか作ってくれよ!」

 

タクト「それは自分の力で手に入れろ。何もせずにそんなの使ったら自分自身を制御出来ない。」

 

エミリー「タクトの言う通りだ。自分を磨き上げてこそ、新たな力を手に入れる。」

 

ヒナ「そうです。」

 

レア「そうだったな。ゴメンな。」

 

タクト「いや、良いんだ。・・・ん?」

 

 

 

 

浜辺の岩場に打ち上げられてる何かを発見した。

 

 

 

 

タクト「・・・・」

 

フェオン「ん?タクト?どうかしたの?」

 

タクト「なぁ、彼処。何か見えないか?」

 

フェオン「え?・・・何かしらあれ?」

 

タクト「行って来る。」

 

岩場へ向かった。

 

レオン「おいタクト!?」

 

グレア「危ないよ!?」

 

岩場へ向かうタクトを追う。

 

 

 

 

 

 

岩場。

 

タクト「・・・・・」

 

打ち上げられた物を見てタクトが驚いてる。

 

アンナ「どうかしたんですか?」

 

エミリー「タクト。」

 

タクト「お前等・・・見ろ。」

 

全員「!!」

 

打ち上げられた物。それは・・・

 

 

 

 

 

 

3人の人魚だった。

 

 

 

 

 

 

フェオン「に、人魚!?」

 

イザベラ「どうしてここに・・・!?」

 

タクト「ん?」

 

3人の人魚の腕を見る。

 

タクト「怪我してるな。イザベラ、ヒナ、ソフィー。この子達の手当てを頼む。」

 

イザベラ・ヒナ・ソフィー「はい!」

 

その日、浜辺に打ち上げられた人魚をタクト達が寝床にしている廃墟へ運ばれた。

 

 

 

 

 

 

廃墟。

 

人魚「・・・っ・・・」

 

打ち上げられた人魚の1人が目を覚ました。

 

人魚「・・・ここは・・・?」

 

目を開けると、水の入った湯船に入っていた。

 

人魚「あ!シメナ!ビアンカ!」

 

シメナ「・・・お、お姉ちゃん・・・?」

 

ビアンカ「ミア姉さん・・・?」

 

シメナ「・・・え?・・・お姉ちゃん、ここって?」

 

ミア「分からないの。ここが何処なのか・・・」

 

タクト「目が覚めたみたいだな。」

 

ミア・シメナ・ビアンカ「え?」

 

そこにタクトが顔を出した。

 

ミア「あなたは・・・?ん?・・・」

 

目に映ってるタクトの全身を見る。

 

ミア「まさか・・・人間!?」

 

タクト「そう言う君達こそ、人魚なんだろ?さっき浜辺に打ち上げられた所を見付けて、ここへ運んだ。」

 

ミア「浜辺に・・・打ち上げられ・・・あ!そうだあの時!」

 

 

 

 

悪しき人魚達の竜巻で吹き飛ばされた時を思い出した。

 

 

 

 

ミア「あの時私達は・・・あの竜巻で・・・」

 

タクト「多分その竜巻で、この地上世界へ来ちまったんだろう。」

 

シメナ「地上世界・・・ここが地上世界なんだね!生まれて初めて〜!」

 

タクト「・・・あ、そうだ。自己紹介がまだだったな。俺はタクト=クリスティ。タクトって呼んでくれ。」

 

ミア「私はミアよ。こっちは私の妹達。」

 

シメナ「シメナだよ!」

 

ビアンカ「ビアンカです。」

 

タクト「それと、俺の仲間達も居る。ちょっと呼んで来る。」

 

 

 

 

 

 

すぐにフェオン達を呼び、目を覚ましたミア達に自己紹介した。

 

カサンドラ「それで、あなた方人魚は何処から来たのですか?」

 

ミア「・・・私達の都が、ラグア達に滅ぼされようとしているの。」

 

タクト「ラグア?そいつも人魚なのか?」

 

ビアンカ「元々は私達と同じく、平和な都で暮らしていました。けど、100年前に突然力を欲するようになってしまって・・・」

 

タクト「君達に戦争を仕向けたと。」

 

シメナ「私達はずっとラグア達と戦った。でも、戦うごとに勇敢な兵士達が次々と敗れ・・・」

 

ミア「今も都を襲撃している・・・このままだと・・・」

 

フェオン「でもその都って海底にあるんでしょ?私達は人間だし、どうしようも・・・」

 

ヒナ「せめて、水の中でも息が出来る魔法があれば・・・」

 

グレア「あ、その魔法なら私あるよ!」

 

イザベラ「グレアさん持ってるんですか!?」

 

グレア「私を誰だと思っているの?私は蝶々の精霊!どんな魔法を兼ね備えてあるよ!」

 

レオン「いや、蝶々が水の中を呼吸出来る魔法があるのはどうかと・・・」

 

グレア「細かい事は気にしちゃダメ!」

 

タクト「ならば話が早い。ミア。俺達をその都へ連れてってくれないか?」

 

ミア「え?」

 

タクト「守りたい物があるのは、俺達も同じだ。だから、連れてってくれないか?」

 

ビアンカ「ミア姉さん!」

 

シメナ「お姉ちゃん!」

 

ミア「・・・ありがとう皆!私達が案内するよ!」

 

タクト「よし。」

 

 

 

 

 

 

浜辺にミア達を下ろした。

 

グレア「じゃあ行くよ!」

 

両手を翳すと、フェオン達の全身に泡が流し込まれた。

 

グレア「これで深海でも息が出来るよ。」

 

レア「サンキューなグレア!」

 

カサンドラ「では皆さん、行きましょう!」

 

しかし海中から、謎の集団が現れた。

 

アンナ「な、何あれ!?」

 

ミア「ラグアの兵士達!!」

 

兵士達がタクト達を襲い始めた。

 

イザベラ「ヤァッ!!」

 

蔦を飛ばして捕縛した。

 

フェオン「ヤァッ!!」

 

その隙にフェオンが大剣で斬り裂いた。

 

フェオン「ッ!!数が多い!」

 

タクト「ここは俺が引き受ける!先に行ってくれ!」

 

フェオン「分かったわ!!」

 

ミア「1人なんて無茶よ!」

 

ヒナ「大丈夫ですよ!タクトさん!お気を付けて!」

 

タクト「あぁ!」

 

ミア「・・・行こう!!」

 

浜辺にタクトを残して、フェオン達がミア達に付いて行った。

 

タクト「さぁ来やがれ!!」

 

ハンドスラッシュを連射し、ラグアの兵士達を次々と駆逐する。

 

 

 

 

 

 

海中。

 

ミア「ねぇ、タクトは大丈夫なの?」

 

レオン「心配するな!タクトなら!」

 

ビアンカ「え?」

 

イザベラ「そうですねぇ・・・私達と一緒に戦ってくれる仲間ですから。」

 

シメナ「一緒に戦ってくれる仲間・・・」

 

 

 

 

 

 

浜辺。

 

タクト「ハァッ!!」

 

迫り来る兵士達を肉弾戦で蹴散らす。

 

タクト「数が多過ぎる・・・!!これじゃ消耗戦だ・・・!!」

 

???「調子に乗っているのも今の内だ!」

 

タクト「誰だ!!」

 

海から1人の人魚が現れた。

 

タクト「お前は・・・悪しき人魚か!」

 

ベガルタ「僕はベガルタ。よくも僕の子分達を殺してくれたね。」

 

タクト「お前がこの兵士達の親玉か!」

 

ベガルタ「これ以上殺されると、腹の虫が収まらないからね。フンッ!!」

 

右手から水の鞭を生成し、タクトの首を絞めた。

 

タクト「何!?」

 

ベガルタ「幾ら人間でも、海の中では無力同然!このまま溺れさせてやる!!」

 

タクト「ガァッ!!」

 

束縛されたタクトが海中へ引っ張られた。

 

 

 

 

 

 

海中。

 

ベガルタ「苦しめ苦しめ!!」

 

タクト(いや、俺には・・・!!)

 

異空間収納からスパークレンスを取り出し、光を解放した。

 

ベガルタ「何だ!?」

 

 

 

 

 

 

海底に落下したベガルタが、ウルトラマンティガを目撃した。

 

ベガルタ「何だ貴様は!?」

 

ティガ「タッ!!」

 

ベガルタ「面白い!僕を楽しませてくれよ!!」

 

迫るベガルタをティガが受け止めた。

 

ティガ「タァッ!ハァッ!」

 

両足の膝蹴りでベガルタの腹部に叩き込んだ。

 

ベガルタ「邪魔だ!!」

 

左肘でティガの背中に叩き込んだ。

 

ティガ「ウッ!!」

 

ベガルタ「ハァッ!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

尾鰭で蹴られたティガが倒れ、ベガルタがティガにのし掛かった。

 

ベガルタ「喰らえ喰らえ!!」

 

両パンチでティガにダメージを与える。

 

ティガ「ッ!!」

 

左手でベガルタを退かそうとしたが。

 

ベガルタ「無駄な足掻きを!!」

 

簡単に払い除けられた。

 

ベガルタ「このまま死ぬが良い!!」

 

そのままティガの首を絞め始めた。

 

 

 

 

 

 

そして人魚の都へ急行するフェオン達は。

 

ミア「あ!見えて来たよ!」

 

遂に人魚の都へ辿り着いた。

 

 

 

 

人魚の都。

 

フェオン「ここが人魚の都・・・」

 

町が破壊され、戦場と化してる。

 

アンナ「酷い・・・」

 

レア「レア達の故郷と同じだ・・・」

 

兵士「ミア様!シメナ様!ビアンカ様!」

 

そこに、生き残った数人の兵士達がミア達を見付けた。

 

ミア「皆!」

 

兵士「ご無事だったんですね!」

 

ミア「うん。彼女達が私達を助けてくれたの。」

 

兵士「え?人間の皆さん・・・ですか・・・?」

 

フェオン「あ、はい。そうです。」

 

兵士「ミア様達を助けてくれた事を深く感謝申し上げます!」

 

地面に膝を付いて感謝の意を表した。

 

ビアンカ「お父様達は?」

 

兵士「ご無事です!」

 

シメナ「城へ行くわ!」

 

兵士「あなた方もご一緒に!」

 

エミリー「あ、あぁ!」

 

 

 

 

 

 

一方ティガは、ベガルタに首を絞められている。

 

ベガルタ「死ね死ね死ね死ねーーーー!!!」

 

嗤いながらティガの首を絞め続ける。

 

ティガ「ッ!!ーーーーーーハァッ!!」

 

左腕でティガクリスタルを光らせてパワータイプへタイプチェンジした。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ベガルタ「何!?」

 

のし掛かってるベガルタを巴投げで払った。

 

ティガ「フッ!」

 

ベガルタ「い、色が変わっただけで強くなるのかよ・・・!!」

 

ティガ「ハァッ!」

 

ベガルタ「ッ!?」

 

油断してる隙にティガがベガルタの腕を掴み。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ウルトラ・ホイッパーで投げ飛ばした。

 

ベガルタ「ふ・・・巫山戯るな巫山戯るな巫山戯るな巫山戯るな!!!!!」

 

ティガ「ッ!?」

 

突然ベガルタが激情に走った。

 

ベガルタ「俺より強い奴が居るのは認めねえぞ!!!!!」

 

両手から巨大な鞭を生成し、ティガを捕縛した。

 

ティガ「アァッ!!」

 

ベガルタ「死ね死ね死ね死ね死ね死ねーーーーー!!!!!!」

 

その鞭を利用して、ティガに電撃を流し込んだ。

 

ティガ「ウアアァァァァ!!!」

 

”ピコン”

 

悪しき人魚の侵略は、このまま海を制圧してしまうのか・・・立つのだ!ウルトラマンティガ!

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
レオン:岡本信彦
ソフィー:櫻庭彩華
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依

ミア:大坪由佳
シメナ:種崎敦美
ビアンカ:松浦愛弓

ラグア:豊永利行
ベガルタ:山本祥太
アガトラム:安里勇哉

兵士:松田修平

サブリナ女王:能登麻美子
バルジル大王:てらそままさき





次回予告

人魚の都を執拗に攻撃を続けるラグア達。ウルトラマンティガは、渾身の力を込めてラグア達と戦う。

次回ウルトラマンティガ

人魚の都・後編

お楽しみに


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7/人魚の都・後編

人魚の都・後編
ラグア、ベガルタ、アガトラム 登場



ベガルタ「死ね死ね死ね死ね死ね死ねーーーーー!!!!!!」

 

ティガ「ウアアァァァァ!!!」

 

”ピコン”

 

悪しき人魚のベガルタの激情は頂点に達し、ウルトラマンティガを滅しようとしている。立て!ウルトラマンティガ!

 

ティガ「・・・・・・ハァッ!!!」

 

エネルギーを集めてベガルタの鞭を破壊した。

 

ベガルタ「何!?貴様アアアァァァァァァ!!!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

走って来るベガルタをスピンキックで後ろへ流した。

 

ベガルタ「クソッ・・・!!!そんな・・・!!!」

 

ティガ「フッ!ハアァァァァ!!!」

 

両腕を左右から上にあげ、胸の前に集めた超高熱のエネルギーを光球にした。

 

ティガ「タァッ!!」

 

右手を突き出すして放つデラシウム光流が、ベガルタに直撃した。

 

ベガルタ「ーーーーーー」

 

何かを呟きながら爆発した。

 

ティガ「アァッ!!」

 

その爆風でティガが吹き飛ばされ、カラータイマーが消えたと同時にティガも消えた。

 

 

 

 

 

 

人魚の都・城。

 

バルジル「娘達を助けて下さり、誠に感謝します。」

 

フェオン「いえいえ。」

 

バルジル「それにしても、人間の皆様が海底へ赴くとは・・・」

 

イザベラ「それはグレアさんのお陰です。」

 

グレア「どうもどうも。」

 

ヒナ「グレアさんの魔法で、私達は海の中でも息が出来るんです。」

 

サブリナ「やはり人間の世界には、未知な魔法があるのですね。」

 

レア「それで、その悪しき人魚達は今何処に居るんだ?」

 

バルジル「実は、我々でも奴等を特定出来ないのだ。何処に潜伏しているのか・・・」

 

エミリー「そうか・・・」

 

そこに兵士が駆け込んだ。

 

兵士「バルジル大王!!」

 

バルジル「どうした!またラグアの襲撃か!?」

 

兵士「いえ・・・人間が都に!」

 

バルジル「何?」

 

フェオン「え!?ねぇ!その人間ってどんな姿をしてるの!?」

 

兵士「えっと・・・青い髪で赤い服を着てる・・・」

 

フェオン「タクト!?」

 

アンナ「案内して下さい!」

 

兵士「はい!此方へ!」

 

バルジル「タクト?そなた達の仲間かね?」

 

レオン「あぁ。俺達の頼もしい仲間だ。」

 

 

 

 

 

 

外に出て広場へ。

 

兵士「あの方です!」

 

そこにタクトが倒れていた。

 

フェオン「タクト!!しっかりしなさい!タクト!!」

 

しかしタクトは目を覚まさない。

 

アンナ「兵士達の戦いで力尽きたんでしょうか・・・?」

 

フェオン「まだ息があるわ。すぐに手当てするわ!」

 

兵士「では城へ!」

 

 

 

 

 

 

黒い空間。

 

???「ラグア様。」

 

ラグア「アガトラム。ベガルタはどうした?」

 

アガトラム「ベガルタは戦死しました。謎の男によって。」

 

ラグア「そうか。感情は激しかったが、良い奴だった。」

 

アガトラム「どうしましょうか?そろそろ行動を開始されては。」

 

ラグア「・・・声明宣言を出そう。準備を急げ。」

 

アガトラム「はい。」

 

 

 

 

 

 

城でタクトが看病されてる。

 

バルジル「ほう。彼が。」

 

カサンドラ「そうです。タクトは私達と共に戦っているんです。」

 

サブリナ「確かに。彼から特別な力を感じます。」

 

タクト「・・・っ・・・ん?」

 

ようやくタクトが目を覚ました。

 

フェオン「タクト!!」

 

イザベラ「良かった!目が覚めたんですね!」

 

レア「心配したんだぞ!」

 

タクト「・・・皆・・・ミア。シメナ。ビアンカ。って、この2人は?」

 

シメナ「あ、そうだったね。タクトは初対面だったね。」

 

ビアンカ「このお2人方は、私達3姉妹の親です。」

 

ミア「バルジルお父様とサブリナお母様。人魚の都の大王と女王だよ。」

 

タクト「そうか・・・あ、俺はタクト=クリスティ。タクトで構わない。」

 

バルジル「君の事はフェオン殿から聞いてる。ようこそ人魚の都へ。」

 

タクト「ありがとう。・・・そうだ。俺さっき、ベガルタを倒したんだが・・・」

 

ミア「え!?ベガルタを倒した!?」

 

タクト「うおっ!?顔近い!」

 

ミア「彼奴、感情が激しかったのに倒せたのね!」

 

タクト「あぁ・・・そう言えば戦ってる最中に感情が暴走してたな。・・・なぁバルジル。その悪しき人魚達って、元々この都の住人だったんだろ?何故力を欲したんだ?」

 

バルジル「・・・・・」

 

ミア「お父様?」

 

バルジル「・・・・・ミア。シメナ。ビアンカ。お前達に真実を伝える日が来たな。」

 

シメナ「真実?」

 

ビアンカ「どう言う事ですか?」

 

バルジル「付いて来なさい。あなた方もご一緒に。」

 

ソフィー「ん?」

 

 

 

 

 

 

城の裏にある墓地。

 

ミア「ここって墓地?ここに何があるの?お父様。」

 

そして、1つの墓の前に止まった。

 

バルジル「見なさい。」

 

ミア「ん?・・・え!?」

 

その墓地に刻まれた名前は・・・

 

 

 

 

 

 

ラグアだった。

 

 

 

 

 

 

ミア「嘘・・・!?ラグアは死んでたの・・・!?」

 

バルジル「ラグアだけじゃない。後ろの墓を見て見なさい。」

 

ビアンカ「これって・・・!?」

 

ラグアの墓の後ろの墓を見ると、ベガルタとアガトラムの名前が刻まれていた。

 

タクト「どう言う事だ・・・!?悪しき人魚は元々・・・!?」

 

サブリナ「そうです。ラグア達は200年前に亡くなった戦士達。ある日を境に現れた海底を這う要塞との戦いで命を落としたと。」

 

バルジル「その要塞の名は、ヌアザだ。」

 

レオン「ヌアザ?」

 

ソフィー「そのヌアザって言うのは、何なんですか?」

 

バルジル「我々でもヌアザの正体を掴めずにいる。そしてラグア達はこの墓地に埋められたが、ヌアザがラグア達の遺骨を回収して蘇らせたに違いない。」

 

タクト「そして彼等を使って、この都を襲撃したと。」

 

バルジル「襲撃する理由は不明だが、これ以上ラグア達の身体を使って悪用するのならば容赦はしない。」

 

 

 

 

ラグア『醜い人魚共!!』

 

 

 

 

全員「!?」

 

上にラグアの幻が出現した。

 

ラグア『今こそこの戦いに終止符を打つべきだ!我々がお前達人魚達を滅ぼせば終止符を打てる!さぁ、戦いを始めよう!!』

 

幻が消えた瞬間。

 

”ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!”

 

地震が起こった。

 

バルジル「何だ!?」

 

兵士「都に巨大な要塞が現れました!!」

 

バルジル「何だと!?」

 

 

 

 

 

 

人魚の都に、巨大な黒い要塞が出現した。

 

ミア「まさかあれが・・・!!」

 

バルジル「あぁ・・・大要塞ヌアザだ!」

 

大要塞ヌアザからラグアが現れた。

 

ラグア「現れたか!!バルジル!!」

 

バルジル「ラグア!貴様はそうまでしてこの海を支配したいのか!」

 

ラグア「そうすれば、あのお方へ献上出来る!」

 

ビアンカ「あのお方?」

 

フェオン「ちょっとアンタ!!そんな事をして許されると思ってるの!?海を支配するなんて私達も許さないわよ!!」

 

ラグア「フンッ!人間めが。海は我々が支配するのに相応しい庭だ!死にたくなければ大人しく降伏しろ!」

 

タクト「それは不可能だ!」

 

ラグア「何?」

 

タクト「海は世界の命そのものだ!命を蔑ろにするなんざ言語道断!お前達を悪用してる張本人を倒せば戦いに終止符を打てる!」

 

ラグア「ほう。俺達が死んでるって事を知りやがったのか。」

 

アガトラム「秘密を知ってしまったのなら尚更。お前達、行け!!」

 

悪しき人魚の人魚兵達が出現した。

 

ラグア「精々遊び続けるが良い。アガトラム、ここは任せたぞ。」

 

アガトラム「お任せを。」

 

ラグアがヌアザへ戻って行った。

 

バルジル「お前達、戦う準備は出来てるか?」

 

ミア「勿論!」

 

シメナ「うん!」

 

ビアンカ「はい!」

 

3人が剣と槍と盾を持った。

 

フェオン「私達も行くわよ!」

 

全員「オー!」

 

フェオン「タクトは要塞へ行って!」

 

タクト「分かった!」

 

走って大要塞ヌアザへ直行する。

 

バルジル「全軍!突撃ーーーー!!」

 

兵士達「ウオオオオーーーー!!!!」

 

フェオン・イザベラ・エミリー・レア・アンナ・カサンドラ・ソフィー「ヤアアァァァァァ!!!」

 

レオン「ウオオオオオオオ!!!」

 

 

 

 

 

 

大要塞ヌアザ内部。

 

タクト「兵士達が居ない。ラグア達が全部出したのか。」

 

しばらくすると、巨大な扉が見えた。

 

タクト「・・・あの奥からラグアを感じる。」

 

ハンドスラッシュで扉を破壊して、扉の奥へ向かった。

 

 

 

 

 

 

エミリー「ハァッ!!」

 

太刀で悪しき人魚兵達を斬り続ける。

 

ミア「そーれっと!!」

 

剣で悪しき人魚兵達を駆逐する。

 

エミリー「中々の腕だな!」

 

ミア「当然!」

 

 

 

 

イザベラ「えいっ!!」

 

魔法の蔦を伸ばし、悪しき人魚兵達を束縛する。

 

シメナ「ナイスイザベラ!!」

 

槍で束縛されてる悪しき人魚兵達を突き刺さした。

 

イザベラ「お強いんですね。」

 

シメナ「お父様に教えられたからね!」

 

 

 

 

アンナ「キャア!!」

 

レア「アンナ!大丈夫か!?」

 

悪しき人魚兵達に押されたアンナを支えた。

 

ビアンカ「そうはさせません!!」

 

駆け付けたビアンカが盾を投げて、悪しき人魚兵達の首を折った。

 

ビアンカ「大丈夫ですか?」

 

レア「ビアンカお前、結構エグいな・・・」

 

ビアンカ「へ?」

 

 

 

 

レオン「ソフィー!一緒に!」

 

ソフィー「レオン君となら!」

 

2人は息の合ったコンビネーションで悪しき人魚兵達を次々と倒していく。

 

 

 

 

フェオン「カサンドラ!」

 

カサンドラ「フェオン!」

 

フェオンが大剣を振り回して倒し、カサンドラが軽快な動きを駆使して悪しき人魚兵達を斬り続ける。

 

アガトラム「中々やりますね。では、私がお相手しましょう。」

 

フェオン「ッ!!」

 

 

 

 

 

 

大要塞ヌアザの中枢。

 

タクト「ッ!!」

 

そこは、廃墟のような場所だった。

 

ラグア「よく来たな。」

 

タクト「ラグア!」

 

???「お前はここで朽ち果てるのみだ。」

 

タクト「誰だ!?」

 

上から球体が現れた。

 

ヌアザ「我はヌアザ。」

 

タクト「お前、意思を持っているのか。」

 

ヌアザ「我は、この海を支配する為に這い続ける要塞。」

 

タクト「答えろ!お前は誰に作られたんだ!」

 

ヌアザ「我は、あのお方に作られた存在。だが、お前が知る必要はない。ここで死ぬが良い!」

 

するとラグアの目が消え、身体中から闇が溢れた。

 

タクト「もう死人同然になったか・・・」

 

ヌアザ「さぁ行けラグア。この男を始末しろ!」

 

タクト「させるか!」

 

スパークレンスの光を解放し、ウルトラマンティガへ変身した。

 

ティガ「タッ!」

 

ラグアに迫り、マルチパンチを連続で叩き込む。

 

ティガ「アァッ!!」

 

しかしラグアには通用せず、ラグアのパンチを受けた。

 

ティガ「タッ!ハァッ!」

 

今度は左右のマルチキックで腹部に攻撃する。

 

ティガ「タァッ!!」

 

マルチパンチをラグアが受け止め、ティガに電撃を流し込んだ。

 

ティガ「タァッ!!」

 

 

 

 

 

 

人魚の都。

 

アガトラム「遅い!!」

 

フェオン「キャアアア!!」

 

アガトラムの竜巻でフェオンが吹き飛ばされた。

 

カサンドラ「フェオン!!大丈夫ですか!?」

 

イザベラ「お姉ちゃん!」

 

フェオン「大丈夫よ・・・!」

 

アガトラム「人間と言えど、所詮はその程度ですか。これで終わりにしてあげます!!」

 

右手を天に掲げて、巨大な竜巻を生成した。

 

レア「おいおい何だありゃ!?」

 

レオン「何かマズいぞ!?」

 

ミア「大変!あれを受けたら都が滅んじゃう!!」

 

アガトラム「お別れです!!!」

 

しかし別の竜巻が発生し、アガトラムが生成した竜巻がかき消された。

 

アガトラム「な、何!?」

 

バルジル「私を忘れては困るな。」

 

ミア・シメナ・ビアンカ「お父様!!」

 

アガトラム「クッ!やはり・・・大王を相手にしたら厄介ですね・・・」

 

バルジル「貴様!弱き者を殺して強き者には敵前逃亡をするだと!?断じて許さん!!」

 

握ってる杖を天に掲げて落雷を発生させた。

 

アガトラム「グアアアアアア!!!」

 

落雷を受けたアガトラムが痺れた。

 

バルジル「トドメだ!!」

 

ミア・シメナ・ビアンカ「ヤアアァァァァァ!!!」

 

3人の武器がアガトラムを斬り裂いた。

 

アガトラム「・・・これで・・・またあの世へ・・・」

 

優しい笑顔になって消滅した。

 

 

 

 

 

 

要塞の中枢。

 

ティガ「アァッ!!」

 

ラグアの電撃を受けてる。

 

”ピコン”

 

カラータイマーが点滅を始めた。

 

ヌアザ「良いぞラグア。さぁ、その者にトドメを!!!」

 

ラグアがティガを掴み、要塞の壁を突き破って外へ。

 

ヌアザ「何!?」

 

 

 

 

 

 

外に出て人魚の都へ。

 

ティガ「アァッ!!」

 

 

 

 

フェオン「ティガ!!」

 

ミア「え?何あれ?」

 

レア「あれはウルトラマンティガ。レア達を助けてくれる光の戦士だ!」

 

ミア「ウルトラマン・・・ティガ・・・」

 

 

 

 

ティガ「・・・!!」

 

ラグア「・・・う・・・撃て・・・!」

 

ティガ「ッ!?」

 

ラグアの意識が戻り掛けてる。

 

 

 

 

ミア「ラグア!?」

 

 

 

 

ラグア「・・・お・・・俺を・・・撃て・・・!」

 

ティガ「・・・!?」

 

ヌアザ『何をしたおる!!早くトドメを刺せ!!』

 

ラグア「俺は・・・もう戦いなんて・・・うんざりだ・・・!俺は・・・この都が好きだ・・・!もうお前に・・・利用されてたまるか・・・!!」

 

バルジル「ラグア・・・!」

 

ラグア「バルジル様・・・!今までの罪を・・・お赦し下さい・・・!」

 

バルジル「・・・あぁ・・・」

 

ラグア「・・・早く!!」

 

フェオン「皆!!」

 

武器を持ったフェオン、イザベラ、エミリー、レア、アンナがジャンプし、ラグアを斬り裂いた。

 

ラグア「・・・ありがとう・・・皆・・・」

 

感謝をして消滅した。

 

ヌアザ『クッ!結局使えなかったゴミか!まぁ良い。別の奴を利用するか。』

 

大要塞ヌアザが都から離脱した。

 

ティガ「ッ!タァッ!」

 

離脱したヌアザを飛翔して追った。

 

 

 

 

フラッシングアタックでヌアザへ体当たりした。だがヌアザに傷が付かなかった。

 

ティガ「・・・」

 

両腕を前に突き出し交差させ、大きく横にゆっくり広げてエネルギーを集める。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ゼペリオン光線がヌアザに直撃した。

 

ヌアザ『バカナアアアアアア!!!!』

 

遂に大要塞ヌアザが大爆発を起こして消滅した。

 

 

 

 

 

 

戦いに終止符が打たれ、人魚の都に平和が訪れた。タクト達は人魚達の英雄となり、パーティに参加した。

 

その後、今度こそ墓に永眠したラグア達を供養する。

 

そして、人魚の都に別れを告げて地上へ帰って行った。

 

 

 

 

 

 

浜辺。

 

タクト「・・・」

 

フェオン「ラグア達は、あのヌアザの呪縛から解放されたかったのかもね。」

 

エミリー「あぁ。じゃなかったら、自分を撃てなんて言えないな。」

 

タクト「彼奴等は天国から、ずっと人魚の都を見守り続けるに違いない。さてと、次の旅へ行くか。」

 

レオン「何処へ行くんだ?」

 

タクト「それはこれから決める!」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
レオン:岡本信彦
ソフィー:櫻庭彩華
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依

ミア:大坪由佳
シメナ:種崎敦美
ビアンカ:松浦愛弓

ラグア:豊永利行
ベガルタ:山本祥太
アガトラム:安里勇哉

兵士:松田修平

サブリナ女王:能登麻美子
バルジル大王:てらそままさき

ヌアザ:咲野俊介





次回予告

世界中の精霊を集めるコレクターに囚われたグレア。彼女は、囚われた精霊達の中に古き友人ティオを発見した。

次回ウルトラマンティガ

精霊コレクター

お楽しみに


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8/精霊コレクター

精霊コレクター
精霊コレクター 登場



人魚の都を救った3日後のビリア共和国。

 

グレア「全くもう!タクトったら何であんな事しちゃうのかな!」

 

今日のグレアは怒ってる。実は先程タクトと喧嘩して出てしまったのだ。

 

グレア「それもこれもタクトが悪いのに・・・!もう・・・」

 

放浪するグレアを何かが覗く。

 

 

 

 

 

 

一方廃墟。タクトも不機嫌中。

 

タクト「・・・・」

 

フェオン「ねぇタクト。何時まで怒ってるのよ。」

 

タクト「別に?」

 

エミリー「普段仲が良いタクトとグレアが喧嘩なんて珍しいな・・・」

 

ヒナ「グレアさんは出て行ってしまっているみたいですし・・・後で探しましょう。」

 

ソフィー「タクト君・・・」

 

タクト「・・・・・」

 

 

 

 

 

 

同じ頃グレアは。

 

グレア「は〜あ・・・」

 

広場で日光を浴びてる。

 

グレア「本当ならあの時仲良く出来そうだったのに・・・何であんな事言っちゃったんだろう・・・」

 

???「フフフフフ。」

 

そこに謎の女が本を開き、グレアを本へ吸収しようとした。

 

グレア「え!?な、何!?イヤアアーーーーー!!!」

 

彼女は、女が持ってる本に吸い込まれてしまった。

 

女「また増えたわね。私のコレクション。」

 

その場を去った女。この広場に何かが落ちた。

 

 

 

 

 

 

街中。タクト達はグレアを探す事に。

 

タクト「ったく・・・世話の焼ける奴だなぁ。」

 

レア「いや元々お前とグレアが喧嘩したのが原因で出てっちゃったんだろ?グレアもそうだが、お前の責任でもあるんだぞ?」

 

タクト「まぁ確かにそうだな・・・」

 

アンナ「あの、何でグレアさんと喧嘩したんですか?」

 

タクト「・・・今は言えない。仲直りした時に話す。」

 

レオン「余程深刻な喧嘩だったんだろうな。」

 

 

 

 

その後グレアを探したが、何処にも居なかった。

 

 

 

 

イザベラ「居ました!?」

 

レア「何処にも居なかったぞ!」

 

フェオン「可笑しいわね・・・何処行ったのかしら?」

 

タクト「・・・まさか・・・ビリア共和国を出て行ったんじゃ・・・!?」

 

アンナ「まさか!」

 

タクト「ちくしょう・・・あの時素直に謝れば出て行かずに済んだのに・・・」

 

その場に落ち込んでしまった。

 

イザベラ「げ、元気出して下さい!もう1度探しましょうよ!きっと見付かります!」

 

タクト「イザベラ・・・」

 

 

 

 

 

 

一方、謎の女に囚われたグレアは。

 

グレア「・・・ん・・・?」

 

目が覚めた時は、巨大な瓶に閉じ込められていた。

 

グレア「何これ!?瓶の中!?」

 

???「目が覚めたかしら?」

 

グレア「!!」

 

彼女を覗く女が姿を現した。

 

グレア「あなた誰?」

 

女「私はレジーナ。精霊コレクターよ。」

 

グレア「精霊コレクター?私達精霊をコレクションしてるって事?」

 

レジーナ「そう。この世界の精霊は素晴らしい宝物。私は世界中の精霊達をコレクションにし、精霊達に囲まれた人生を全うする事。それこそが、私の本望!」

 

グレア「何か気持ち悪い事言ってるけど・・・生憎ここから出させて貰うよ!ンーーーーハァ!!」

 

魔力を発動したが、何も起こらない。

 

グレア「あれ?ンーーーーーーハァ!!」

 

もう1度試すが、何も起きない。

 

グレア「これってまさか・・・」

 

レジーナ「その通り!その瓶には魔力を封じ込める魔道具そのもの!幾らあなたが逃げようたってそうは行かないから!」

 

グレア「ありゃりゃ〜、こりゃ1本取られちゃったねぇ。」

 

レジーナ「でも安心なさい。あなたは1人じゃないから。」

 

グレア「え?」

 

部屋にある幕を開けた。

 

グレア「なっ!?」

 

 

 

 

 

 

世界中の精霊達が瓶に閉じ込められていた。

 

 

 

 

 

 

グレア「これ全部・・・あなたが・・・!?」

 

レジーナ「探すのに苦労したのよ。コレクター歴10年。これだけの精霊を集めた私を讃えて欲しい位だわ!」

 

グレア「・・・!」

 

レジーナ「言っておくけど、助けが呼べるだなんて思わない事ね。ここを見付け出すのは不可能よ!」

 

そう言いながら部屋を去って行った。

 

グレア「助けが呼べないだなんて・・・一体どうしたら・・・」

 

瓶に閉じ込められてる精霊達は、グレアを心配しそうに見てる。

 

グレア「このままだと、レジーナの思う壺・・・」

 

???「グレア!グレア!」

 

グレア「え?」

 

その声の主は、緑色の衣装を着た精霊だった。

 

グレア「あれ・・・?ティオ!?ティオじゃない!!久し振り!」

 

ティオ「まさかグレアも捕まっちゃったなんて・・・」

 

グレア「ティオも捕まっちゃったのね・・・何処で捕まっちゃったの?」

 

ティオ「1年前に木陰で竪琴を奏でていた時に、レジーナが僕を本に吸い込んで・・・それで目が覚めたらここに。グレアは?」

 

グレア「・・・私はちょっと喧嘩しちゃってね。」

 

ティオ「喧嘩?誰と?」

 

グレア「この前出会って一緒に旅をしてる仲間だよ。その人と喧嘩して飛び出して広場で日光を浴びてたら・・・」

 

ティオ「レジーナに捕まっちゃったって訳なんだね。」

 

グレア「うん・・・だから助けて貰ったら仲直りしたいの。」

 

ティオ「でもここから出る方法はあるのかな・・・」

 

グレア「ん〜・・・」

 

ティオ「・・・ん?グレア、翅どうしたの?」

 

グレア「ん?翅?」

 

ティオ「何か、少し欠けてない?」

 

グレア「え?そうかな?」

 

 

 

 

 

 

一方タクト達は、今もグレアを探している。

 

 

 

 

広場に集合。

 

アンナ「本当に何処にも居ませんね・・・」

 

カサンドラ「お手上げですね・・・」

 

ヒナ「やっぱり国を出て行ったのでしょうか・・・?」

 

レア「そんなまさか!」

 

タクト「・・・ん?」

 

地面に落ちてる光る物を発見。

 

タクト「・・・おい皆!」

 

フェオン「何?どうしたの?」

 

タクト「これ。」

 

拾ったのは、青色に輝く小さな翅だった。

 

イザベラ「翅・・・ですか?」

 

エミリー「その翅に何があるんだ?」

 

タクト「これ、グレアの翅だ。」

 

全員「え!?」

 

タクト「どうやらグレアはここで何者かに攫われた可能性がある。飽く迄俺の勘だけどな。」

 

ソフィー「でも攫われたって、一体誰に・・・」

 

タクト「やってみる。」

 

両目を閉じて翅の気配を感じ取る。

 

タクト「・・・ッ!!こっちだ!」

 

気配を読み取って走った。

 

フェオン「ちょっと待ちなさい!」

 

 

 

 

 

 

辿り着いた場所は、街外れにある廃墟だった。

 

タクト「ここでグレアの気配がする。」

 

フェオン「ま、また廃墟・・・?」

 

タクト「グレア・・・行くぞ。」

 

 

 

 

 

 

廃墟内。タクトとエミリーとレオンが先導し、女子達が後ろから付いて来る。

 

フェオン「こ、ここにグレアが居るの・・・?」

 

イザベラ「大丈夫よお姉ちゃん。私達が付いてるから。」

 

エミリー「異常無しだな。」

 

レオン「タクト、グレアは何処に居るんだ?」

 

タクト「2階から感じる。慎重に行くぞ。」

 

2階へ上がる。

 

 

 

 

2階の廊下を歩いていると。

 

タクト「ここだな。」

 

1つの扉の前に止まった。

 

フェオン「ここに・・・グレアが?」

 

タクト「グレアの他に、禍々しい気配を感じる・・・」

 

ヒナ「・・・!?」

 

タクト「・・・開けるぞ。」

 

扉を勢い良く開けた。

 

タクト「・・・な!?」

 

そこで見た光景は・・・

 

 

 

 

 

 

精霊達の剥製が無惨に転がっていた。

 

 

 

 

 

 

アンナ「こ、これは・・・!」

 

フェオン「何この部屋・・・!?」

 

レオン「剥製・・・!?」

 

タクト「・・・この剥製、全部精霊だ!」

 

ヒナ「そんな・・・!?一体誰がこんな事を・・・?」

 

タクト「精霊達を剥製にする奴・・・一体誰がこんな事を・・・!?」

 

???『タクト!?その声タクトなの!?』

 

タクト「ッ!グレアか!?何処だ!」

 

グレア『壁の裏だよ!!』

 

タクト「そこか!!」

 

目の前の壁を突き破った。

 

 

 

 

精霊達が閉じ込められてる部屋。

 

グレア「ここだよタクト!!」

 

タクト「グレア!!」

 

イザベラ「精霊達がこんなにも・・・!」

 

カサンドラ「皆さん!すぐに助けましょう!!」

 

エミリー「あぁ!」

 

皆が精霊達を閉じ込めてる瓶を全て破壊し、精霊達を解放させた。

 

タクト「グレア、無事で良かった。」

 

グレア「ありがとうタクト!助けてくれて。」

 

タクト「その・・・あの時は悪かった。ちょっと言い過ぎた。」

 

グレア「ううん。私もごめんなさい。」

 

ティオ「どうやら、これで一悶着かな?」

 

ソフィー「あなたは?」

 

ティオ「僕はティオ。グレアの友人さ。」

 

グレア「ティオは風の精霊なんだよ?」

 

イザベラ「へぇ〜!」

 

???「あら、全員助けに来たのね。」

 

そこに、精霊コレクターのレジーナが現れた。

 

フェオン「あなた何者!?」

 

レジーナ「精霊コレクターのレジーナよ。」

 

タクト「精霊コレクター?噂で聞いてるぞ。神出鬼没で、世界中の精霊を捕まえる輩ってな。」

 

レジーナ「私のアジトを見付けるとは。ここは特定阻害の結界が張られてるはずだが・・・」

 

タクト「これさ。」

 

手に持ってるグレアの翅を見せた。

 

グレア「あ!私の翅!」

 

タクト「この翅からグレアの気配を感じてここへ来たんだ。アンタ、精霊達をコレクションにしてる割に随分散らかってるようだが。」

 

レジーナ「精霊コレクターは表向きよ。本当はね・・・」

 

”ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!”

 

ヒナ「じ、地震!?」

 

タクト「皆!脱出だ!」

 

急いで廃墟から全員脱出。

 

 

 

 

 

 

廃墟へ脱出した瞬間、廃墟が崩れ、巨大な災害級が現れた。

 

災害級「ーーーーーーーーー!!!!」

 

タクト「孔雀の災害級・・・!?」

 

そこにレジーナが現れた。

 

レジーナ「私の両親は、この国の悪童が放った蜂に殺された。魔力を持たない私は悩んだ結果、母が残した魔道具を使って精霊達を集めて魔力をこの子に蓄積させて悪童達を殺して家族の仇を取ろうとした・・・けど・・・その悪童達は、1年前に起こった大洪水で溺死した・・・憎むべき相手が居なくなった私は途方に暮れてしまった・・・」

 

タクト「・・・そして今は精霊コレクターをやっていると?」

 

レジーナ「そう。でも敵討ちが出来なかった私は・・・捕まえた精霊達を使ってこの子に魔力を与え続けた。そしたらこんなに成長しちゃった。丁度良いわ。あなた達で試させてあげる!行きなさい!!」

 

災害級「ーーーーーーーーー!!!!」

 

咆哮を上げた孔雀の災害級が突進する。

 

 

 

 

タクト「ッ!!」

 

崩れた瓦礫の裏に隠れてスパークレンスを掲げて光を解放して、ウルトラマンティガへ変身した。

 

ティガ「タァッ!!」

 

突進する孔雀の災害級を受け止めた。

 

 

 

 

ティオ「あれは!?」

 

グレア「ウルトラマンティガ。超古代の戦士だよ。」

 

ティオ「ウルトラマンティガ・・・」

 

 

 

 

災害級「ーーーーーーー!!」

 

嘴で、ティガの胴体に噛み付いた。

 

ティガ「アアァァァ!!!」

 

噛み付かれたティガが苦しむ。

 

 

 

 

レジーナ「良いわよ。その調子よ。」

 

フェオン「アンタ!こんな事して、天国の家族が喜ぶと思ってるの!?」

 

レジーナ「・・・もう私には失う物は何もないのよ。だからせめて、あの子に思う存分暴れさせてあげたかった。」

 

 

 

 

ティガ「ハァッ!タァッ!」

 

ダブルマルチチョップで顔に叩き込むが、嘴が外れない。

 

 

 

 

アンナ「ティガ!援護します!」

 

ボウガンを連射したが、孔雀の災害級が羽を羽ばたかせて風を起こしてボウガンを落とした。

 

アンナ「風が・・・!」

 

エミリー「ならば私が!!」

 

飛翔してティガを助けに向かう。

 

災害級「ーーーーーーーーー!!!!」

 

周囲に風のバリアーを展開してエミリーを払った。

 

エミリー「アアァッ!!」

 

ヒナ「エミリーちゃん!」

 

落下するエミリーをヒナが受け止めた。

 

グレア「・・・ティオ!手伝って!」

 

ティオ「分かった!皆も!」

 

他の精霊達の協力を得た。

 

 

 

 

ティガ「アアアァァァァ!!」

 

嘴が力を増してティガを苦しめる。

 

グレア「ティガ!!」

 

ティガ「!?」

 

精霊達が駆け付けた。

 

グレア「行くよティオ!」

 

ティオ「うん!」

 

竪琴を奏でると、災害級の風のバリアーが消された。

 

災害級「!?」

 

グレア「今だ皆!羽を狙って!!」

 

精霊達が、孔雀の災害級の羽に向かって巨大な魔法弾を放射した。

 

災害級「ーーーーーーー!!!」

 

羽が破壊された孔雀の災害級がティガを離して落下する。

 

ティガ「ッ!!」

 

両腕を前に突き出し交差させ、大きく横にゆっくり広げてエネルギーを集める。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ゼペリオン光線が孔雀の災害級に直撃した。孔雀の災害級が爆発した。

 

ティガ「タァ!」

 

空の彼方へ飛翔した。

 

レジーナ「あの子が死んだのなら・・・私はもう・・・」

 

彼女の手には、既にナイフが握られていた。

 

イザベラ「あなた・・・まさか・・・!?」

 

レジーナ「もう失う物は何もない・・・あの世へ逝く覚悟は出来てる・・・」

 

刃先を自分の首に突き付ける。

 

フェオン「止めなさい!!」

 

レア「止めろーーーー!!」

 

レジーナ「・・・さようなら・・・」

 

ナイフがレジーナの首を突き刺した。しかし。

 

レジーナ「・・・え!?」

 

彼女は無傷だった。その理由は・・・

 

 

 

 

 

 

首元に小さなバリアーが張られてたのだった。

 

 

 

 

 

 

タクト「まだお前は、逝くの早過ぎるんじゃないのか?」

 

戻って来たタクトがそう言った。

 

レジーナ「早過ぎるって・・・私は失う物は何もないのに・・・どうしてなの・・・?」

 

タクト「まだ若い命を天に捧げるなんて、親御さんが喜んでくれるとは思わない。アンタは自分の過ちを償うチャンスはまだまだある。過ちを償えば、天国の親御さんが喜んでくれると思う。俺はそう思ってる。」

 

レジーナ「・・・そうよね・・・あんな事をしてしまった私がバカだったわ・・・皆、本当にごめんなさい・・・」

 

精霊達「・・・・」

 

 

 

 

 

 

戦いが終わった後、レジーナはビリア共和国を去って行った。

 

カサンドラ「これで良かったんでしょうか?」

 

ソフィー「分からない。でも、レジーナさんが良い人になれる事を願うばかりね。」

 

レオン「あぁ。」

 

フェオン「そう言えばタクト。」

 

タクト「ん?」

 

フェオン「アンタ、グレアと喧嘩した理由て何なの?物凄く気になってるんだけど。」

 

レア「そうだった!なぁタクト教えてくれよ!グレアと喧嘩した訳を!」

 

タクト「それはだな・・・」

 

 

 

 

 

 

今朝。

 

グレア『違うよ!ここに置けば見栄えが良いんだって!』

 

タクト『いや、ここだと風水が悪くなるからここに決まってる!』

 

グレア『ここだよここ!』

 

タクト『ここに決まってる!!』

 

グレア『もお!』

 

タクト・グレア『ーーーーー!!』

 

花瓶を何処に置くか揉めて喧嘩になったのだった。

 

 

 

 

 

 

フェオン「そ、それだけ・・・?」

 

タクト「あぁ。風水は大事だって言ったのにグレアが聞いてくれなかったんだ。」

 

グレア「でも廃墟を飛び出して分かったよ。確かに風水は皆の運気を上げてくれる物だって。」

 

タクト「帰ったら風水について色々教えてやるよ。」

 

グレア「うん!ねぇティオも一緒に来ようよ!」

 

ティオ「面白そうだね。僕も入れて!」

 

3人は廃墟へ戻って行った。フェオン達を残して。

 

エミリー「喧嘩の理由が、まさかの占いとは・・・」

 

カサンドラ「深刻な理由かと思ってましたが・・・」

 

フェオン「でも、あの2人らしいわね。」

 

イザベラ「うん!それに私、少し占いに詳しいからね。」

 

アンナ「じゃあ、私達も帰りましょう!」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
レオン:岡本信彦
ソフィー:櫻庭彩華
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩

レジーナ:小林ゆう





次回予告

現れた霧が、タクト達を廃墟となった集落へ連れ出した。しかしそこは、フェオン達の封印されたはずの忌まわしい記憶だった。

次回ウルトラマンティガ

少女達の心傷(ふるきず)

お楽しみに


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9/少女達の心傷(ふるきず)

少女達の心傷(ふるきず)
魔女アステール、魔女リウシン、魔女リテス 登場



ビリア共和国を発ってから数日後の草原の上。

 

アンナ「はぁっ!」

 

タクト「フッ!」

 

レア「やぁっ!!」

 

タクト「ダァッ!!」

 

そこでは、タクトとレアとアンナが模擬戦をしていた。

 

アンナ「えいっ!!」

 

レア「どりゃあ!!」

 

2人のパンチをタクトが受け止めた。

 

タクト「・・・よし。模擬戦終了だ。」

 

レア「くぅぅ・・・やっぱりタクトは隙がないなぁ・・・」

 

アンナ「ハァ・・・ハァ・・・」

 

タクト「レア、前より無駄な動きが少なくなってる。」

 

レア「本当か!?いやぁ〜、ここまで成長出来たなんてレア感激だなぁ!」

 

タクト「アンナ。身体の方はどうだ?少しは体力付いたか?」

 

アンナ「はい・・・最初よりは体力付いたみたいです・・・」

 

タクト「そうか。このまま行けば俺達と同じ体力が身に付けれるな。」

 

フェオン「どう?終わったかしら?」

 

タクト「今さっき終わった。」

 

ヒナ「ご飯出来てますよ。」

 

 

 

 

 

 

模擬戦を終えて晩飯。

 

レア「くぅ〜!やっぱり戦った後の飯は美味えなぁ!」

 

タクト「いや模擬戦だけどな。でも確かにな。運動の後の飯は美味いもんだ。」

 

レオン「フェオン達って、子供の頃から身体能力高かったのか?」

 

フェオン「そうね。8年前からだね。」

 

ソフィー「8年前から?」

 

カサンドラ「やっぱり、家族の皆さんが鍛えてくれたからでしょうか?」

 

フェオン・イザベラ・エミリー・ヒナ・レア・アンナ「・・・」

 

突然フェオン達6人が黙り込んでしまった。

 

グレア「あ、あれ?何か空気悪くない?」

 

ティオ「もしかして、君達の家族は・・・」

 

タクト「ティオ、止せ。彼女達にも言えない過去が1つや2つあるんだ。」

 

フェオン「う、ううん。気にしないで。ごめんね。」

 

タクト「今は飯を食いまくるぞ!」

 

レア「おうよ!タクト、今日も負けないぞ!」

 

タクト「何ぃ〜?俺の胃袋に限界はねぇ!」

 

 

 

 

 

 

その夜。

 

フェオン「・・・・」

 

座って夜空を見上げてるフェオンに、タクトが近付いた。

 

タクト「綺麗な星だな。」

 

フェオン「タクト・・・」

 

彼女の横にタクトが座る。

 

タクト「お前達の故郷のユエリアンって、どんな所だったんだ?」

 

フェオン「・・・」

 

タクト「無理に話さなくて良い。自分の思い出だけを語ればそれで良い。」

 

フェオン「ありがとう。・・・私達の故郷はね、凄く平和な村だったのよ。」

 

 

 

 

 

 

嘗てフェオン達は、ユエリアンと呼ばれる村で平穏に暮らしていた。この村の人々は皆優しく、お互いに助け合ったり、お互いに協力したりする事がある。

 

更には、この村にある大聖堂で戦士を育てる伝統があった。フェオン達も子供の頃から参加していた。

 

お互いを仲間であると同時にライバルと言う関係でもある。

 

 

 

 

 

 

タクト「そのマントは、戦士の証だったよな?」

 

フェオン「ええ。戦士になった者のみ授けられるマント。これには防御や攻撃、衝撃緩和と防汚が付与されてるの。」

 

タクト「俺もお前達の故郷へ行ってみたいものだな。どんな村なのか。」

 

フェオン「・・・・・」

 

タクト「あ、ごめん。」

 

フェオン「ううん、大丈夫・・・」

 

タクト「ふぁ〜〜〜・・・あぁ〜、眠い。過去の話はまた機会があってから皆に話してくれても良いから。早く寝ろよ。」

 

フェオン「う、うん・・・(やっぱり、話しておくべきなのかな・・・?)」

 

 

 

 

 

 

翌日。何時ものように旅をしていると。

 

ヒナ「?」

 

前方に濃い霧が見えた。

 

エミリー「何だ?あの霧は。」

 

グレア「ムム!?あの霧から不思議な力を感じる。」

 

ティオ「奇遇だね。僕も感じるよ。」

 

タクト「・・・皆、あの霧が消えるの待とう。」

 

だがその時。

 

タクト「!?」

 

霧から噴射した光がタクト達を囲んだ。

 

フェオン「な、何なのこれ!?」

 

レオン「俺達を閉じ込めた!?」

 

タクト「皆!手を繋げ!逸れたら危険だ!!」

 

全員が手を握り、霧の光に覆われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光が晴れ、タクトが目を開ける。

 

タクト「っ・・・?っ!?」

 

目を開けると見えたのは・・・

 

 

 

 

 

 

廃墟となった村だった。

 

 

 

 

 

 

タクト「廃村・・・?」

 

レオン「あの霧が俺達をここへ?」

 

ソフィー「でも何でなの?」

 

フェオン「・・・・・!」

 

そんな中、フェオン達6人はこの廃村を見て動揺している。

 

カサンドラ「フェオン?皆さん?どうかしましたか?」

 

グレア「皆どうしたの?何か、目が泳いでるよ?」

 

タクト「まさか・・・この廃村が、フェオン達の故郷ユエリアンなのか?」

 

フェオン「・・・えぇ・・・」

 

タクト「・・・グレア、ティオ。2人はここでフェオン達を守ってろ。俺はここを調べて来る。」

 

レオン「俺も行く。」

 

ソフィー「私も!」

 

カサンドラ「お伴します!」

 

タクト「分かった。二手に分かれよう。」

 

二手に分かれて廃村を調べる。

 

 

 

 

 

 

1つはタクト・カサンドラ組。

 

タクト「辺り一面コケだらけだな。」

 

カサンドラ「家屋や民家も荒らされてますね・・・」

 

タクト「あれが大聖堂か?」

 

廃墟となった大聖堂を見詰める。

 

タクト「俺、以前フェオンが教えてくれたんだ。あの大聖堂は戦士を育てる伝統もあるって。」

 

カサンドラ「戦士。って事は、フェオン達はここで戦士として育てられたと?」

 

タクト「かもな。」

 

そんな2人を、何者かが覗いてる。

 

 

 

 

 

 

もう1つはレオン・ソフィーの幼馴染み組。

 

レオン「川や湖も枯渇してる・・・」

 

ソフィー「花も枯れてる・・・ここは豊かな村だったんだね。」

 

レオン「それにしても、一体誰がフェオン達の故郷を・・・」

 

ソフィー「一旦戻って訊いてみたらどう?」

 

レオン「そうだな。元の場所へ戻るぞ。」

 

元の場所へ戻る2人を何者かが覗いてる。

 

 

 

 

 

 

フェオン達が居る場所。

 

レオン「おーい!」

 

そこに4人が戻って来た。

 

タクト「どうだった?何か見付かったか?」

 

レオン「いや、誰1人も居なかった。川や湖が枯渇してる位だ。」

 

ソフィー「花も枯れてる・・・そっちは?」

 

タクト「大聖堂を見付けた。」

 

カサンドラ「民家や家屋も荒れ果てています。」

 

フェオン「そうよね・・・」

 

タクト「なぁフェオン、そろそろ皆に・・・」

 

その時、何者かがタクトの首を絞め上げた。

 

タクト「ッ!?」

 

全員「!?」

 

タクト「だ・・・誰だ・・・!?」

 

???「動かないで!」

 

その人物は、タクトの首にナイフの刃先を向けた。

 

フェオン「・・・え!?」

 

エミリー「お前・・・ミウか!?」

 

ミウ「え?」

 

???「ミウちゃん?どうしたの?」

 

そこに赤髪の少女がやって来た。

 

レア「おぉ!ジェシーじゃねぇか!」

 

ジェシー「あぁ!レアちゃんに皆!久し振り!!」

 

タクト「え?何?知り合いなのか?」

 

 

 

 

 

 

その後タクトを解放してあげた。

 

ミウ「ごめんなさい。私が先走ったせいで。」

 

タクト「いや、大丈夫大丈夫。それで、2人はフェオン達の?」

 

ジェシー「そうだよ!私はジェシー!こっちは私の大親友のミウちゃん!」

 

ミウ「宜しくね。」

 

タクト「ほぇ〜。フェオンの仲間が再会するなんて何と言う運命だ。あ、俺はタクト=クリスティ。んでレオンにソフィーにグレアにティオにカサンドラ。俺達はフェオン達と出会って一緒に旅をしてるんだ。」

 

ジェシー「そうなんだ!何時もフェオンさん達がお世話になっております!」

 

深々と頭を下げた。

 

ソフィー「そんなに畏まらないで下さい・・・」

 

レオン「それで、ここはフェオン達の故郷だよな?ここで一体何があったのか教えてくれるか?」

 

フェオン「・・・良いわ。教えてあげる。」

 

タクト「無理すんなよ。」

 

フェオン「いえ、大丈夫よ。」

 

彼女は、過去を話した。

 

 

 

 

 

 

2年前、突如としてユエリアンに白袋を胴体に持ち、口と触手も持った生命体が無数に襲撃した。

 

その生命体は、村人達を次々と喰い荒らした。

 

育てられた戦士達がこれを駆除。だがその生命体を操る3人の魔女が魔法を駆使して村人と戦士達を虐殺。

 

生き残ったのは、フェオン達戦士と数人の神子達だった。3人の魔女はフェオン達を見て、不気味な笑みを見せて姿を消した。

 

それからフェオン達は故郷を離れて旅立つ事に。ミウとジェシーと他の仲間達は別行動となった。

 

 

 

 

 

 

そして今に至る。

 

タクト「他にも生き残りが居るって訳か?」

 

フェオン「えぇ。ミウとジェシー以外にも数人。」

 

タクト「3人の魔女・・・名前は分かるか?」

 

イザベラ「はい。アステールとリウシンとリテスです。しかも姉妹です。」

 

カサンドラ「魔女3姉妹ですね。」

 

グレア「でも何でその魔女達が、ユエリアンを滅ぼしたの?」

 

フェオン「分かる訳ないでしょ!襲われた理由も分からないし!何で・・・何でこんな事に・・・!!」

 

彼女達は涙を流した。タクトはグレア達5人を見て頷く。グレア達も頷いた。

 

タクト「皆。この村と亡くなった人達の敵討ち、俺達にも手伝わせてくれ。」

 

ティオ「僕達は無関係な存在だけど、君達を放って置く訳にはいかないよ。」

 

レオン「お前達の悲しみ、俺達にも背負わせてくれ。」

 

ソフィー「私達は皆さんの仲間なんですから!」

 

カサンドラ「だから、元気出して下さい!」

 

アンナ「皆さん・・・」

 

ヒナ「・・・ありがとうございます。」

 

ミウ「優しいのね・・・あなた達・・・」

 

タクト「まぁな。」

 

 

 

 

 

 

???「おやぁ?あの無垢な娘達が集まってるなんてね。」

 

 

 

 

 

 

全員「!?」

 

空から、黒い霧が舞い降りた。

 

タクト「何だ?」

 

フェオン「あの霧・・・まさか・・・!!」

 

黒い霧が消えると、現れたのは・・・

 

 

 

 

 

 

3人の魔女だった。

 

 

 

 

 

 

エミリー「アステール!リウシン!リテス!」

 

レオン「此奴等が!?」

 

アステール「見た事のない者達も居るね。あなた達の仲間かしら?」

 

タクト「あぁそうだ!俺達はフェオン達の仲間だ!」

 

アステール「私が作った霧に飲み込まれてここへ来たって訳ね。」

 

タクト「あの霧はお前達が作った奴だったのか!お前達がユエリアンを滅ぼした魔女達か?」

 

リウシン「滅ぼしたなんて人聞きの悪い。私達は、この村を食料庫にしただけよ。」

 

タクト「食料庫?どう言う意味だ!」

 

リテス「答えは簡単!それ!」

 

右手を天に掲げると、小さな白い生命体が無数に召喚された。

 

リウシン「星屑デトワール。」

 

リテス「この子達を育てる為の食料庫だよ!ここの村の人達は皆栄養素が高くて、この子達を育てるのに最適な場所にしたって訳!」

 

リウシン「戦う人間は皆肉が鍛えられ、栄養分が高く摂れる。」

 

アステール「寧ろ感謝してるわ!高い栄養素を含んだこの村を私達の標的にしてくれて!アハハハハハハ!!!」

 

この言葉にフェオンの怒りが頂点に達した。

 

フェオン「黙れ!!!!アンタ達のせいで私達の家族や友達が殺されたのよ!!!それを感謝してるって・・・巫山戯るんじゃないわよ!!!」

 

アステール「えぇ?何をそんなに怒ってるの?まるでトチ狂った犬みたいに吠えて。」

 

エミリー「貴様・・・!!!!」

 

リテス「でも相手は私達じゃなくて、この子達よ!行きなさい!たっぷり栄養素を摂りなさい!!」

 

無数のデトワールがタクト達を襲う。

 

タクト「避けろ!!」

 

全員が避けた。

 

 

 

 

デトワールが、避けたタクト達を襲う。

 

タクト「クソッ!」

 

そのまま転がり続け、倒木の後ろに隠れてスパークレンスを掲げて光を解放し、ウルトラマンティガへ変身した。

 

ティガ「タァッ!!」

 

マルチ・スペシウム光線でデトワールの大群を撃破する。

 

 

 

 

レオン「ドリャアア!!」

 

ソフィー「セイヤー!!」

 

回転キックでデトワールの大群を撃破する。

 

 

 

 

カサンドラ「ハァッ!!」

 

グレア「それっと!!」

 

ティオ「はぁっ!!」

 

カサンドラが高速でデトワールを斬り裂き、グレアとティオが炎と風でデトワールの大群を撃破する。

 

 

 

 

フェオン・エミリー・ミウ・ジェシー「ハアアァァァァッ!!!」

 

レア「ドリャアアアア!!」

 

アンナ「ッ!!」

 

フェオン達も各々の武器を持ち、デトワールの大群を駆逐し続ける。

 

 

 

 

アステール「ほう。中々やるわね。リウシン、アレを。」

 

リウシン「はい。ーーーーーーー!」

 

詠唱を唱え始めた。

 

 

 

 

 

 

デトワール「ーーーーーー!!!」

 

するとデトワールが1つに合体し、人型となった。

 

フェオン「何!?」

 

デトワール「ーーーーーー!!!」

 

右手を突き出した瞬間、フェオンの首が締め上げられた。

 

フェオン「ッ!?クッ・・・!!!」

 

イザベラ「お姉ちゃん!!!」

 

 

 

 

リウシン「滅びなさい。小娘。」

 

 

 

 

デトワール「ーーーーーー!!!」

 

口を開いたデトワールが、フェオンの首を噛み始めた。

 

フェオン「ああああああああああ!!!!!」

 

首を噛み千切られたフェオンが死んでしまい、デトワールが屍となったフェオンを手放した。

 

 

 

 

ティガ「ッ・・・!?」

 

レオン「フェオン!!!!」

 

 

 

 

イザベラ「お姉ちゃん・・・?お姉ちゃん!!!」

 

屍になってしまったフェオンを揺するが、反応はない。

 

イザベラ「そんな・・・いや・・・いやあああああああ!!!!」

 

レア「・・・・お前えええええええ!!!!!!」

 

大切な仲間が殺されたレアの怒りが頂点に達し、デトワールに立ち向かう。

 

デトワール「ーーーーーーーー!!!!」

 

だがデトワールの全身から無数の触手が生え、イザベラ達を束縛した。

 

イザベラ「きゃあ!!」

 

レア「何だこれは!!」

 

エミリー「クッ!解けない!!」

 

 

 

 

リウシン「思う存分食しなさい!!」

 

 

 

 

デトワール「ーーーーーーーーー!!!!」

 

咆哮を挙げ、無数の棘を生み出してイザベラ達に飛ばした。

 

イザベラ・エミリー・ヒナ・レア・アンナ・ミウ・ジェシー「あああああああああ!!!!」

 

デトワールが生み出した無数の棘が彼女達の全身に突き刺さった。

 

 

 

 

グレア「皆!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

 

 

 

ジャンプしたティガがデトワールへ立ち向かうが。

 

デトワール「ーーーーーーーーー!!!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

展開した結界がティガを突き飛ばした。

 

 

 

 

グレア「ティオ!!」

 

ティオ「うん!!」

 

グレア・ティオ「ハアアァァァァッ!!!」

 

巨大な炎と竜巻の魔法で結界を破壊しようとした。

 

 

 

 

しかし結界がそれを掻き消してしまった。

 

 

 

 

ティオ「そんな!?」

 

グレア「嘘でしょ!?」

 

 

 

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ゼペリオン光線でも掻き消されてしまった。

 

ティガ「ッ!?」

 

棘が貫き血まみれになったイザベラ達が死んでしまい、その場に放り投げられてしまった。

 

 

 

 

アステール「アハハハハハハ!!イイザマね!!呆気なく命を吸われるなんてね!!」

 

 

 

 

ソフィー「そ・・・そんな・・・!!」

 

レオン「テメエエエェェェェェ!!!!」

 

走り出したレオンがアステールにパンチを繰り出す。

 

アステール「無駄よ。」

 

見えない結界がレオンのパンチを受け止めた。

 

アステール「私に攻撃しようとするなど言語道断。ハァッ!!」

 

目から発する衝撃波がレオンを吹き飛ばした。

 

レオン「グアアアアア!!」

 

ティオ「危ない!!」

 

風の魔法でレオンを受け止めた。

 

ティガ「・・・!」

 

デトワール「ーーーーーーーー!!!」

 

口から巨大な黒い球体を生成した。

 

 

 

 

リテス「残る残骸は片付けてね!!!」

 

 

 

 

デトワール「ーーーーーーーー!!!!」

 

黒い球体を放った。

 

グレア「ヤバイヤバイヤバイ!!!」

 

ティガ「ーーーーーータァッ!!!!」

 

咄嗟にティガテレポーテーションで全員をテレポーテーションした。

 

 

 

 

リウシン「逃げたみたいね。」

 

リテス「あぁ〜あ。折角全員食べれる所だったのにぃ。」

 

アステール「大丈夫よ。デトワールはお腹いっぱい。お腹が空いた時はあの残骸達を食べに行くわ。」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
レオン:岡本信彦
ソフィー:櫻庭彩華
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩

ミウ:鈴木愛奈
ジェシー:照井春佳

アステール:折笠富美子
リウシン:桑谷夏子
リテス:中原麻衣





次回予告

3人の魔女が使役するデトワールの手により、落命してしまったフェオン達。仇を討つ為、単独で魔女に挑むティガ。そんな中、フェオン達に異変が・・・

次回ウルトラマンティガ

信じる男

お楽しみに


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10/信じる男

信じる男
アステール、リウシン、リテス、デトワール 登場



滅ぼされたフェオン達の故郷ユエリアン。そこで、3姉妹の魔女と使役のデトワールに襲われた。デトワールがフェオン達の命を奪い、フェオン達が命を落とした。

 

 

 

 

 

 

大聖堂・地下の戦士の修行部屋。テレポートされたタクト達がそこに居る。

 

レオン「くそッ!!」

 

怒りを露わにしたレオンが壁を殴った。

 

レオン「何なんだよこれ・・・!!何の冗談なんだよ・・・!!」

 

落命したフェオン達が目を開き、血まみれに倒れてる。

 

ソフィー「フェオンさん・・・皆さん・・・起きて下さい・・・!!」

 

グレア「ソフィー・・・もうダメだよ・・・」

 

ティオ「僕達でも、蘇生出来る魔法はないよ・・・」

 

カサンドラ「そんな・・・私達の仲間を手放すなんて・・・出来ませんよ!!!」

 

ソフィー「カサンドラちゃん・・・」

 

カサンドラ「フェオン達は私達の掛け替えのない仲間なんです!!それなのに・・・!うわあああああ!!!」

 

大きな声で泣いた。

 

ソフィー「ううっ・・・っ・・・」

 

タクト「・・・フェオン・・・皆・・・」

 

皆が哀しむ中、タクトは落命したフェオン達の手をお互い握らせた。

 

 

 

 

 

 

地上に居るアステール達は、デトワールに村を食べさせてる。

 

アステール「思う存分食べなさい。中に居る遺骨も全て。」

 

デトワール「ーーーーーーー!!!」

 

地面にある人骨も全て食い尽くす。

 

リテス「でもあの小娘達を食い損ねたのが残念だったねぇ〜。」

 

リウシン「安心なさい。残る残骸が現れれば、それを食うだけ。」

 

アステール「小娘達はメインディッシュに取っておきましょ。」

 

 

 

 

 

 

その光景を、ティオが映した風の映像で見てた。

 

レオン「残骸って、俺達の事かよ・・・!」

 

グレア「私達をガラクタ扱いするなんて・・・」

 

タクト「・・・・!」

 

黙っていたタクトがフェオンの亡骸を抱き締めてから、立ち上がった。

 

ソフィー「タクト君・・・?」

 

タクト「俺、行って来る。」

 

ソフィー「行くって・・・?」

 

部屋のドアを開ける。

 

レオン「待てよ!」

 

後ろからレオンに呼び止められ、タクトが止まった。

 

レオン「お前まさか・・・1人で戦いに行く気なのか・・・!?」

 

タクト「だったら何だ?」

 

レオン「彼奴等に殺されるかも知れないんだぞ!!」

 

ティオ「そうだよ!!君だけで行くなんて死にに行くようなものだよ!!」

 

タクト「・・・心配するな。俺には。」

 

ジャケットの内ポケットから、スパークレンスを出した。

 

ティオ「え?それって・・・」

 

レオン「お前・・・まさか・・・」

 

タクト「あぁ。今まで黙っててごめん。だから俺は行く。フェオン達の敵討ちの為に。お前達は傍に居てやってくれ。」

 

彼は部屋を飛び出した。

 

レオン「タクト・・・お前が・・・」

 

ソフィー「・・・レオン君。フェオンさん達を見守ろ?」

 

レオン「・・・あぁ。」

 

 

 

 

 

 

地上。

 

デトワール「ーーーーーーーー!!!」

 

村を食い尽くしたデトワールが咆哮を上げた。

 

リウシン「満腹になったみたいね。」

 

リテス「それじゃ、残りの残骸を探しに行こうかね!」

 

アステール「あら?」

 

 

 

 

 

 

遠くからタクトがゆっくりと歩いて来た。

 

 

 

 

 

 

リテス「おやおや?残骸が1匹来たみたいね。」

 

タクト「・・・お望み通り来たぞ。」

 

アステール「他の残骸はどうしたのかしら?」

 

タクト「ここに居るのは俺1人だ。」

 

アステール「強がりなのね。あなた。」

 

タクト「なぁ、1つ訊きたい。何故お前達はフェオン達の故郷を滅ぼしたんだ。」

 

アステール「・・・ここはね、私達の故郷なの。」

 

タクト「え!?」

 

 

 

 

 

 

10年前、アステール達はユエリアンの戦士として育てられた。

 

しかし、戦士として育てられてる時に強さの欲しさから全ての魔物達をたった3人で次々と討伐した。

強さが認められると思いきや、村人達は彼女達3人を危惧し始めた。

その理由は、強過ぎる力で何れ村や世界中を支配してしまうからと。

村長は彼女達を追放した。

 

アステール達3姉妹は、自分達を追放した村に復讐する為、魔女として君臨して村を滅ぼした。

 

 

 

 

 

 

アステール「どう?醜い話でしょ?」

 

タクト「・・・・」

 

リウシン「その反応、もしかして私達に共感したのかしら?」

 

タクト「・・・・」

 

リテス「黙ってるって事は、共感してるんだね?だったら私達の仲間になろうよ!ね?ねぇ?」

 

手を伸ばしたリテスの手を、タクトが払った。

 

リテス「え?」

 

タクト「誰がお前達の仲間なんかになるか!俺はフェオン達の敵討ちの為に来ただけだ!お前達の仲間になるだなんてただの戯言だ!」

 

アステール「・・・」

 

タクト「俺がこの手で、お前達を倒す!!」

 

アステール「そう。」

 

リテス「私達に刃向かうなんて・・・報いを受けてよ!!!」

 

両手を突き出し、タクトに魔法弾を連射した。

 

タクト「ハァッ!!」

 

宙返りして避け、着地と同時にスパークレンスの光を解放した。

 

アステール・リウシン・リテス「っ!?」

 

 

 

 

光から、ウルトラマンティガが現れた。

 

 

 

 

ティガ「タァッ!」

 

リウシン「さっきの者か。」

 

リテス「もう!デトワール!やっちゃって!!」

 

デトワール「ーーーーーー!!」

 

 

 

 

 

 

地下から、レオン達が映像で見てる。

 

ソフィー「タクト君・・・」

 

 

 

 

 

 

ティガ「タッ!」

 

デトワール「ーーー!!」

 

最初にティガが飛び蹴りしたが、デトワールが避けた。

 

デトワール「ーーー!!」

 

ティガ「ッ!!」

 

デトワールの両腕をティガが掴み、すぐにお互いが距離を取る。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

デトワール「ーーーー!!」

 

マルチチョップがデトワールに掴まれた。

 

ティガ「ドゥア!!」

 

そのまま腹を蹴られた。

 

デトワール「ーー!!」

 

怯んだティガを投げた。

 

デトワール「ーー!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

飛び込むデトワールを避けた。

 

ティガ「フッ!!」

 

避けたティガに側転で迫り、後ろからティガの首を絞め上げる。

 

ティガ「ドゥア!!」

 

デトワール「ーーーー!!」

 

ティガ「ーーーー!ハァッ!!」

 

ウルトラヒートハッグでデトワールを離させ、デトワールの腕を掴む。

 

ティガ「タァッ!!」

 

そのままウルトラ・ホイッパーで後ろへ投げた。

 

デトワール「ーーーーー!!」

 

ティガ「ーーーーハァッ!!」

 

マルチタイプからパワータイプへタイプチェンジした。

 

 

 

 

アステール「デトワール!」

 

 

 

 

デトワール「ーーーーーー!!」

 

するとデトワールの胴体が、白から赤へ変色し、両腕に爪が生えた。

 

 

 

 

 

 

地下。

 

グレア「ティガに対抗してる・・・!」

 

 

 

 

 

 

デトワール「ーーーー!!」

 

ティガ「アァッ!!」

 

パワータイプのティガを圧倒してる。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

しかしティガが負けじと、デトワールのパンチを受け止めてから腹にパワーパンチとパワーキックを打ち込む。

 

デトワール「ーーー!!」

 

ティガ「ドゥア!!」

 

しかしデトワールは怯まず、ティガを圧倒し続ける。

 

デトワール「ーーーーー!!!」

 

右腕の爪を振り下ろした。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

それをティガが避けた。デトワールの爪がティガの後ろにあった柱を切断した。

 

 

 

 

 

 

地下。

 

レオン「彼奴・・・滅茶苦茶強いぞ・・・!!」

 

カサンドラ「タクト・・・!!頑張って下さい・・・!!」

 

そして、フェオン達の遺体に小さな光が発した。

 

 

 

 

 

 

白い空間。

 

フェオン「・・・ん・・・?ここは・・・?」

 

イザベラ「お姉ちゃん!!」

 

エミリー「フェオンさん!!」

 

フェオン「皆!!」

 

そこには、亡くなったフェオン達が居た。

 

ヒナ「ここは一体何処なんですか・・・?」

 

フェオン「私にも分からないわよ・・・」

 

アンナ「私達、本当に死んだんでしょうか・・・」

 

???「残念ながら、君達は落命してしまった。」

 

そこに、白いフードを被った謎の人物が現れた。

 

レア「誰だお前!?」

 

フードの人物「私は奇跡の力を持つ者。ジムと呼んでくれ。」

 

レア「ジム?奇跡の力を持つ者?」

 

ジェシー「あなたは誰なの?私達をここへ呼んだの?」

 

ジム「厳密に言えば、君達の魂は私が呼び止めた。そしてここへ連れて来た。」

 

ミウ「私達をここへ呼んで、何を企んでるの?」

 

ジム「その前に、君達に見せる物がある。」

 

上に円形の穴を開けた。そこには、ティガがデトワールと戦う光景が映った。

 

フェオン「ティガ!!」

 

ジェシー「戦ってる!」

 

 

 

 

 

 

ティガ「タァッ!!」

 

スピンキックを躱したデトワールが、右腕の爪を振り下ろした。

 

デトワール「ーーーー!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!!」

 

デトワール「ーーーー!!」

 

ティガ「アァッ!!」

 

更に爪でティガの腹部を切った。

 

”ピコン”

 

カラータイマーの点滅が始まった。

 

ティガ「ーーーーハァッ!!」

 

スカイタイプへタイプチェンジした。

 

ティガ「タァッ!!」

 

高速で飛翔した。

 

デトワール「ーーーーー!!!」

 

するとデトワールの胴体が青に変色して翼が生えた。

 

デトワール「ーーーーー!!!」

 

飛翔してティガを追う。

 

 

 

 

 

 

白い空間。

 

フェオン「翔んだ!?」

 

ミウ「彼奴、速いわ!」

 

イザベラ「ティガ!!危ない!!」

 

 

 

 

 

 

ティガ「ッ!!」

 

速度を上げるが。

 

デトワール「ーーーーー!!!」

 

超高速で翔び、ティガにマッハパンチを与えた。

 

 

 

 

”ドゴーーーーン!!!”

 

 

 

 

上空で爆発が起き、ティガが地上へ落下した。

 

ティガ「・・・ッ!!」

 

ボロボロになりながらもティガが立ち上がる。

 

アステール「ハァッ!!」

 

ティガ「ドゥア!!」

 

立ち上がった瞬間、アステールの蹴りを受けて倒れた。

 

アステール「何故なの?この村に無関係なお前が、何故そうまでして私達に刃向かう!!それにあの娘達は死んだ。なのに何故?」

 

ティガ「・・・言ったはずだ・・・!!俺はフェオン達の敵討ちの為に来たと・・・!!例えこの村の人間じゃなくても・・・亡くなった人達の無念を晴らす・・・!!それが・・・俺のやるべき事だ!!」

 

アステール「穢らわしい!!!」

 

ティガ「ドゥア!!」

 

再びアステールの蹴りを受け、首を絞め上げられた。

 

アステール「あなたに私達の何が分かるって言うのよ!!追放された私達の気持ちが理解出来ないゴミが!!!」

 

リウシン「姉さん、もうこの男は私達の気持ちを理解出来そうにないわよ。」

 

リテス「早く殺そうよ!!」

 

アステール「・・・それもそうね。フンッ!!」

 

ティガ「アァッ!!」

 

強く投げられ、後ろの壁に激突して前に倒れた。

 

ティガ「・・・!!」

 

アステール「私達の報い、その身に受けなさい!!」

 

3人が両手を天に掲げる。上空に巨大な魔法弾が生成された。

 

 

 

 

 

 

地下。

 

レオン「マズイぞ!!」

 

ソフィー「助けに行かなきゃ!!」

 

ティオ「うん!!行こう!!」

 

 

 

 

 

 

地上。

 

アステール「ん?」

 

そこにレオン達が駆け付けた。

 

リテス「残りの残骸だよ!」

 

リウシン「デトワール!捕えなさい!!」

 

デトワール「ーーーーー!!」

 

着地したデトワールが、触手でレオン達を束縛した。

 

カサンドラ「アアッ!!」

 

レオン「クソッ!!」

 

アステール「そこで見ておきなさい!!この者が消え去る瞬間を!!!アハハハハハハハ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

白い空間

 

フェオン「私達の仇を討つ・・・まさかティガって・・・!?」

 

イザベラ「タクト・・・さん・・・!?」

 

レア「彼奴・・・ずっとレア達と一緒に戦ってたのか・・・!?」

 

ジム「どうする?君達はこのまま天に召されるか、それとも再び戦う道を選ぶのか。」

 

フェオン「ジムお願い!私達を戦う道へ行かせて!ティガは・・・タクトは私達の為に戦ってくれてる!!だから!!」

 

エミリー「彼奴は私達の掛け替えのない仲間だ!!仲間が消えるなんて私達が許さない!!」

 

レア「頼む!!!」

 

ジム「その意志、確と受け取った。私の力で、君達を。」

 

ペンダントの眩い光がフェオン達を包み込んだ。

 

ジム「頼むぞ。」

 

 

 

 

 

 

地下。フェオン達の遺体が光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

ティガ「・・・・!!」

 

力を振り絞って立ち上がるが、バランスを崩して膝を付いた。

 

アステール「さぁ!!消え去りなさい!!!!」

 

巨大な魔法弾がティガに向かって飛ぶ。

 

 

 

 

レオン「止めろおおおおおおおおおお!!!!」

 

ソフィー「嫌あああああああああああ!!!!」

 

カサンドラ「・・・・・!!!」

 

グレア・ティオ「タクト!!!!」

 

 

 

 

ティガ「・・・皆・・・ごめん・・・」

 

”ドゴーーーーン!!!”

 

魔法弾を受けたティガが大爆発した。

 

 

 

 

レオン・ソフィー・カサンドラ・グレア・ティオ「・・・・・・!!」

 

 

 

 

アステール「アハハハハハハハ!!あの小娘達への冥土の土産が出来たわ!!!」

 

リウシン・リテス「アハハハハハハハ!!!!!」

 

デトワール「ーーーーーーー!!!」

 

嗤う魔女達。すると。

 

???「そう居られるのも今の内よ!!」

 

アステール・リウシン・リテス「っ!?」

 

爆煙が晴れると、そこには・・・

 

 

 

 

 

 

蘇生されたフェオン達の姿があった。

 

 

 

 

 

 

ティガ「・・・フェオン・・・皆・・・!?」

 

イザベラ「タクトさん。」

 

エミリー「待たせたな。」

 

ヒナ「大丈夫ですか?」

 

レア「レア達が来たからには、もう大丈夫だぞ!!」

 

アンナ「心配させてごめんなさい。」

 

ティガ「・・・・!」

 

ミウ「今度は私達の番よ。」

 

ジェシー「任せて!」

 

ティガ「・・・あぁ!」

 

アステール「何故・・・何故なの・・・!?お前達は死んだはずじゃ・・・!?」

 

フェオン「それがさ、天国から追放されたんだよね。私達。」

 

レア「その通り!天使達から、お前達はまだここに来るべき者じゃないって!」

 

アステール「・・・腹立たしい・・・!!デトワール!!もう1度小娘共を食い荒らせ!!」

 

デトワール「ーーーーーーー!!!」

 

怒り狂ったデトワールがフェオン達を襲う。

 

フェオン「行くわよ皆!!」

 

ヒナ「イザベラさん!」

 

魔法でイザベラの魔力を高める。

 

イザベラ「ハァッ!!」

 

最初にイザベラが蔦の魔法でデトワールを束縛した。

 

アンナ「えいっ!!」

 

そこにアンナがボウガンを連射し、デトワールの胴体を突き刺す。

 

レア「おりゃああああ!!」

 

続けてレアが旋刃盤でデトワールの胴体に無数の切り傷を刻む。

 

エミリー「ハアアァァァァァ!!!」

 

続いてエミリーが太刀で触手を全て斬り裂く。

 

ジェシー「それえーーーーーー!!!!」

 

高速でデトワールに接近したジェシーが、顔面にパンチを打ち込んだ。

 

ミウ「ヤアアアァァァァァ!!!!」

 

大鎌を持ったミウが、縦横無尽に振り回して、デトワールの両腕を切断した。

 

エミリー「フェオンさん!トドメを!!」

 

フェオン「私達の家族!そして、仲間達を殺した報い!今こそ受けろォーーーー!!!!!!」

 

大ジャンプしたフェオンが大剣を振り下ろし、デトワールを一刀両断した。

 

デトワール「ーーーーーーーー!!!!」

 

一刀両断されたデトワールが真っ二つに割れ、大爆発した。

 

フェオン「・・・」

 

リウシン「ば・・・バカな・・・!!」

 

フェオン「残るはアンタ達よ!!覚悟なさい!!」

 

アステール「まだだ・・・まだ終わりじゃないぞ!!!!!」

 

爆発したデトワールの残骸を体内へ吸収した。

 

アステール「ハァッ!!」

 

フェオン・イザベラ・エミリー・ヒナ・レア・アンナ・ミウ・ジェシー「あっ!!」

 

アステールが魔法のロープで、フェオン達を縛った。

 

ソフィー・グレア・ティオ「皆!!」

 

レオン「野郎!!」

 

アステール「まだまだこれからだ!!リウシン!リテス!私に力を!!」

 

リウシン・リテス「はい!!」

 

自身の持つ全ての魔力をアステールへ注いだ。

 

アステール「ウオアアアアアアアア!!!!」

 

3つの力を取り込んだアステール。その姿は、デトワールの両爪と、漆黒のマントを羽織ってる。

 

アステール「素晴らしい・・・!素晴らしいぞこの力!!さぁ、お前達を一瞬で消し炭にしてくれる!!」

 

フェオン「クッ・・・!」

 

ティガ「待て!!」

 

アステール「ん?」

 

ティガ「お前の相手は俺だ!!」

 

アステールが、立ち上がったティガに振り向いた。

 

ティガ「ーーーーハァッ!!」

 

スカイタイプから、マルチタイプに戻った。

 

アステール「良いだろう。まずは貴様から消し去ってくれるッ!!!」

 

力を解放したアステールにティガが挑む。

 

アステール「ハアアァァァァァ!!!」

 

ティガ「ッ!!」

 

連射するアステールの魔法弾をティガスライサーで消した。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ジャンプしてアステールの顔を掴む。

 

ティガ「タァッ!!!」

 

アステール「アアア!!!」

 

そのまま放り投げられた。

 

アステール「貴様アアアアア!!!!」

 

ティガ「フッ!!」

 

アステールのチョップを受け止め、肘にマルチチョップ。今度はアステールの左腕にマルチキックを2回蹴り込む。

 

ティガ「タァッ!!」

 

スピンキックでアステールをダウンさせた。

 

ティガ「ハァッ!ハァッ!タァッ!!」

 

ダウンしたアステールにマルチパンチを2回叩き込み、ドロップキックでアステールの腹に蹴り込んだ。

 

ティガ「ッ!!」

 

倒れたアステールを無理矢理立たせて。

 

ティガ「タァッ!!」

 

スピンキックで再び倒れさせた。

 

リウシン「姉さん・・・!!」

 

リテス「早くアステール姉さんを助けなきゃ!!」

 

レオン「そうはさせないぞ!!」

 

リテス「ッ!?」

 

レオン・ソフィー「ハァッ!!」

 

リテス「アアアアア!!」

 

ダブルパンチがリテスを殴り飛ばし、壁へぶつけた。

 

カサンドラ「この村の方々の仇!今こそ受けなさい!!!」

 

グレア「カサンドラ!!」

 

ティオ「行って!!」

 

炎と風の魔法をカサンドラへ集中させた。

 

カサンドラ「ヤアアアァァァ!!!」

 

リウシン「グアアアアア!!」

 

超高速キックがリウシンを蹴り飛ばし、壁に激突したリテスへ倒れた。

 

リテス「リウシン姉さん・・・!!」

 

リウシン「・・・つ・・・強い・・・!!」

 

ティガ「ッ!!」

 

倒れたアステールをティガが持ち上げる。

 

ティガ「タァッ!!!」

 

壁に倒れるリウシンとリテスに向かって投げた。

 

リウシン・リテス「姉さん!!」

 

投げられたアステールを受け止めた。

 

アステール「ば・・・バカな・・・」

 

ティガ「フッ!!」

 

両腕を前に突き出し交差させ、大きく横にゆっくり広げてエネルギーを集める。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ゼペリオン光線が魔女3姉妹を直撃した。

 

魔女3姉妹「グアアアアアアアアァァァ!!!」

 

ゼペリオン光線を受けた魔女3姉妹が爆発した。

 

 

 

 

ティガ「・・・・」

 

戦いが終わり、ティガが光になって、タクトの姿へ戻った。

 

フェオン「タクト!!!」

 

そこにフェオン達が駆け付けた。

 

タクト「・・・」

 

フェオン「相変わらず凄いわね。アンタ。まさかアンタがティガだったなんて。」

 

タクト「・・・!」

 

フェオン「何?どうしたの?」

 

ゆっくりとタクトがフォエンへ近付き、突然フェオンを抱き締めた。

 

フェオン「え!?ちょ、ちょっとタクト!?」

 

タクト「良かった・・・!!生き返って・・・!!」

 

嬉し涙を流しながらフェオンを抱き締める。

 

フェオン「タクト・・・・フフッ。」

 

最初は困惑したフェオンだが、笑顔になってタクトの背中を撫でた。

 

レオン・ソフィー「フフッ。」

 

グレア「良かった良かった。」

 

ティオ「うん。」

 

カサンドラ「皆!!」

 

ヒナ「わぁ!」

 

泣きながら飛び込むカサンドラをヒナが受け止めた。

 

カサンドラ「おかえりなさい・・・!」

 

ヒナ「ただいまです。」

 

タクト「おかえり・・・」

 

フェオン「ただいま。」

 

2人はお互いを見詰め、接吻した。すると霧が出現し、タクト達を包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

霧が晴れると、先程の場所へ戻っていた。

 

タクト「本当に良かった・・・皆が戻って来てくれて・・・」

 

フェオン「戻って来たと言うか・・・ある人に蘇生してくれたんだ。」

 

タクト「ある人?」

 

ジェシー「何かね?フードを着た男の人で、ジムって言う人が私達を生き返らせてくれたんだ!」

 

タクト「ジム・・・聞いた事がない名前だ。」

 

ミウ「その人のお陰で、私達はこうして生きてるもの。」

 

イザベラ「ジムさんには感謝ですね!」

 

タクト「そうか・・・それと、今まで黙っててごめん。ずっと正体を隠してて。」

 

フェオン「気にしないで。ずっと私達を助けてありがとう。」

 

レア「タクトがティガなら百人力だな!」

 

 

 

 

それから、ミウとジェシーは別れて2人の旅を続ける事に。

 

レア「しっかしタクト。お前は度胸あるな〜。」

 

タクト「え?」

 

アンナ「忘れたんですか?フェオンさんとキスしたじゃないですか。」

 

タクト「・・・」

 

フェオン「・・・」

 

レオン「恥ずかしがらなくても良いぞ?」

 

ソフィー「うんうん!」

 

タクト「・・・なぁフェオン。」

 

フェオン「な、何・・・?」

 

タクト「こんな時に言うのはどうかと思うけど・・・俺の傍に居てくれますか?」

 

フェオン「・・・ええ。此方こそ。」

 

イザベラ「お姉ちゃん・・・おめでとう・・・」

 

こうして魔女達は倒された。タクトとフェオンが正式に結ばれ、次の旅へ向かった。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
レオン:岡本信彦
ソフィー:櫻庭彩華
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩

ミウ:鈴木愛奈
ジェシー:照井春佳

アステール:折笠富美子
リウシン:桑谷夏子
リテス:中原麻衣

ジム:林勇





次回予告

1度入ると出られない噂の幽霊屋敷・フェルペスハウス。タクトが地下で出会った謎の少女ララ。屋敷に隠された大いなる秘密を暴け!

次回ウルトラマンティガ

難攻不落の幽霊屋敷(フェルペスハウス)

お楽しみに


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11/難攻不落の幽霊屋敷(フェルペスハウス)

難攻不落の幽霊屋敷(フェルペスハウス)
ララ、ジャネット 登場



嵐が吹き荒れる森に佇む不気味な屋敷。

 

男「ハァハァハァハァ!!」

 

何かから必死に逃げる男の姿があった。

 

男「何なんだよ・・・何なんだよこの屋敷はァ!!!」

 

彼は仲間達と一緒に屋敷に入ったが、その仲間達は何者かに殺されてしまった。

 

男「早くここから出ないと!!」

 

 

 

 

急いで屋敷の入り口へ向かった。

 

男「ッ!!ッ!!」

 

しかし、入り口の扉が開かない。

 

男「何で!?何で開かないんだよ!!」

 

するとドアノブが真っ赤になり、男を炎上させた。

 

男「アアアアアアアアアア!!!!!」

 

断末魔を上げながら、男は燃えながら倒れた。

 

???「フッフッフッフ・・・アハハハハハハハ!!」

 

屋敷中に響き渡る不気味な笑い声。

 

 

 

 

 

 

翌日。嵐が吹き荒れ続けてる。タクト達が嵐の中を走ってる。

 

タクト「クッ!嵐が止まなねぇ!」

 

グレア「私吹き飛ばされそう!!」

 

フェオン「絶対吹き飛ばされないでね!」

 

ティオ「僕の風の護りでも耐えれるか心配だよ!」

 

エミリー「ヒナ!何処かないか!?雨宿り出来る場所は!」

 

ヒナ「そう言われましても・・・あ!皆さん!彼処!」

 

森の中に佇む、不気味な屋敷が見えた。

 

アンナ「何でしょう?このお屋敷・・・」

 

レア「何か不気味な屋敷だなぁ・・・」

 

イザベラ「周りは森なのに。」

 

タクト「ならしょうがない。嵐が過ぎ去るまで雨宿りさせて貰おう。」

 

フェオン「ちょ、ちょっと!?ここで雨宿りするの!?」

 

レオン「それしかないだろ。」

 

ソフィー「うん。ここに来たんだし、引き返せないよ。」

 

カサンドラ「フェオン。絶対に逸れたりしないで下さいね。」

 

フェオン「勿論逸れないわ!!ずっと付いて行くから!!!」

 

イザベラ「お、お姉ちゃん・・・手握り過ぎ・・・」

 

タクト「じゃあ、入るぞ。」

 

錆びだらけの門を開けて、敷地内へ。

 

タクト「うわぁ・・・」

 

墓石のような石が無数に転がってる。

 

ティオ「こうして見ると、ほぼ墓地だね。」

 

フェオン「・・・・」

 

木々に止まってるカラスがジッとこっちを見てる。

 

 

 

 

 

 

古びた屋敷へ入った。

 

タクト「・・・」

 

屋敷内は、蜘蛛の巣や物が散乱してる。

 

タクト「ふぅ・・・」

 

アンナ「あ〜あ、もう服がびしょ濡れ・・・」

 

カサンドラ「ブルブルブルブル!」

 

濡れた身体を震わせて水を飛ばす。

 

グレア「皆、すぐ乾かすね。ドライ!」

 

乾燥魔法で、全員の服を一瞬で乾かした。

 

ソフィー「ありがとうグレアさん。」

 

レア「何なんだこの屋敷?不気味だなぁ・・・」

 

フェオン「ガクガクブルブル・・・・・・」

 

イザベラ「あの、これ見て下さい。」

 

壁にある絵画を発見した。

 

ヒナ「このお屋敷の方々でしょうか?」

 

フェオン「この子達は姉妹かしら?」

 

2人の小さな女の子も描かれていた。

 

カサンドラ「絵画の下に名前が彫られています。名前は・・・フェルペス一族?」

 

タクト「フェルペスかぁ・・・」

 

エミリー「タクト、知ってるのか?」

 

タクト「知ってるって言うか、噂で聞いたんだ。エルスティア皇国でな。」

 

 

 

 

 

 

エルスティア皇国。

 

国民A「フェルペスハウスって知ってるか?彼処は危険らしいぞ?」

 

国民B「何でも、入った人は2度と出られないって噂よ?」

 

国民C「その屋敷へ向かった盗賊達も犠牲になったらしいぞ。」

 

 

 

 

 

 

タクト「ってな。」

 

カサンドラ「フェルペスハウス?」

 

タクト「巷で噂になってる幽霊屋敷。この屋敷こそがそのフェルペスハウスらしい。」

 

フェオン「・・・・・・・・・・」

 

イザベラ「お姉ちゃん・・・?」

 

タクト「フェオン?おーい。大丈夫かー?フェオーン?」

 

フェオン「・・・・・・・・・・」

 

タクト「ダメだ。あまりの怖さに固まってる。」

 

フェオン「ハッ!!ねぇタクト・・・ここから出ようよ・・・」

 

タクト「気が付いたか。フェオン、外に出ようにも外は嵐だ。出た瞬間ぶっ飛ばされるだけだ。」

 

フェオン「た、確かにそうだけど・・・」

 

レオン「でもタクト、外を見たけど嵐が止んでるみたいだぞ。」

 

タクト「え?」

 

フェオン「嵐が止んだ!?なら早くここから出ましょうよ!」

 

扉のドアノブに触れようとした瞬間。

 

タクト「ッ!フェオン!ドアに触れるな!!」

 

フェオン「え?・・・え!?」

 

扉が突然炎に包まれてしまっていた。

 

グレア「扉が燃えてる!?」

 

ティオ「消火しよう!」

 

風の魔法で消火しようとしたが、扉が結界を展開し始めた。

 

ティオ「嘘!?」

 

エミリー「扉が結界を張った・・・!?」

 

タクト「俺達を出してくれない訳か・・・」

 

フェオン「う、嘘でしょ!?じゃあ出られないの!?」

 

タクト「いや、窓を突き破れば出れるかも。試してみる。」

 

扉の横の窓にダッシュする。

 

タクト「ハァッ!!」

 

しかし、見えない何かがタクトを弾き返した。

 

タクト「何!?」

 

弾き返えされたタクトが着地する。

 

エミリー「弾かれただと!?」

 

すると先程の窓や、別の窓に謎の歪みが発生した。

 

タクト「ハァッ!!」

 

ハンドスラッシュを飛ばしたが、その歪みに掻き消された。

 

タクト「・・・なぁ皆、1つ結論が出た。」

 

イザベラ「何ですか?」

 

タクト「・・・脱出不可能だ。」

 

フェオン「どうするのよ!!このまま私達呪い殺されるって言うの!?」

 

タクト「落ち着けフェオン!ここは冷静になれよ!」

 

イザベラ「お姉ちゃん!私達が付いてるから大丈夫だよ!」

 

フェオン「それはそうだけど・・・でも怖いよ・・・!!」

 

”ガシャン!ガシャン!”

 

全員「え!?」

 

 

 

 

 

 

巨大な甲冑が現れた。

 

 

 

 

 

 

フェオン「な、何なのーーーー!?」

 

タクト「皆!避けろ!!」

 

甲冑「ーーーーーーー!!!!」

 

巨大な手を振り下ろしたが、全員が避けた。

 

イザベラ「えいっ!!」

 

蔦の魔法で甲冑の身動きを奪った。

 

エミリー「出来したぞイザベラ!!ヤアァァァ!!!」

 

大ジャンプして太刀を振り下ろした瞬間、甲冑の姿が消えた。

 

エミリー「何!?」

 

タクト「消えた!?」

 

その甲冑は、一瞬にしてタクトの後ろに現れた。

 

カサンドラ「タクト!後ろ!」

 

タクト「しまった!!」

 

甲冑はタクトを捕まえた。

 

タクト「ガハッ!!」

 

フェオン「タクト!!」

 

甲冑「ーーーーーーー!!!」

 

そのままタクトを壁の奥へ投げた。

 

タクト「グアアアアア!!!」

 

するとタクトが、壁の中へ消えた。

 

ヒナ「消えた!?」

 

甲冑「ーーーーー・・・・!!」

 

それと同時に、甲冑がバラバラに崩れた。

 

レア「崩れた!」

 

グレア「・・・」

 

バラバラになった甲冑を調べる。

 

グレア「中身がない。これは・・・誰かが操っていたみたいだね。」

 

ソフィー「じゃあやっぱり、幽霊屋敷なんだね・・・」

 

フェオン「ねぇタクトは!?」

 

投げ飛ばされたタクトを探しに行ったが、何もなかった。

 

フェオン「タクト!!返事しなさいよ!タクト!!!」

 

しかし、タクトからの返事はない。

 

フェオン「まさか・・・幽霊に捕まったの!?ギヤアアアアア!!!」

 

絶叫してバタンと倒れた。

 

イザベラ「お姉ちゃん!!」

 

レオン「忙しいリーダーだなぁ・・・」

 

カサンドラ「ティオ!タクトの居場所は!?」

 

ティオ「・・・地下みたいだね。危なっかそうだね。」

 

フェオン「地下!?それも危なっかそう!?何でよりによって・・・」

 

イザベラ「あ、起きた。」

 

アンナ「兎も角、タクトさんを助けに行きましょう!」

 

レア「そうだぞ!レア達の大事な仲間を放って置けるかよ!」

 

フェオン「もう・・・皆・・・逸れたりしないでよ・・・?」

 

グレア「任せて♪」

 

 

 

 

 

 

そして、地下へ送り込まれたタクトは、謎の部屋に転送されていた。

 

タクト「よっ!!」

 

何とか着地した。

 

タクト「あの甲冑野郎・・・俺を何処へ送り込んだんだ・・・え?」

 

その部屋でタクトが目にしたのは・・・

 

 

 

 

 

 

無数の人形だった。

 

 

 

 

 

 

タクト「何だこの部屋・・・?」

 

四方の壁一面に無数の人形が飾られ、天井に無数の人形が首吊りになってる。

 

タクト「人形・・・しかも全部アンティーク人形ばかり・・・何なんだここは・・・?」

 

???「ケケケケケケケケケ!」

 

タクト「!?」

 

部屋中の人形達が動き始めた。

 

タクト「何だ・・・!?」

 

人形達「ケケケケケケケケケ!!!」

 

その人形達は、タクトに向けて糸のような物を飛ばした。

 

タクト「ハァッ!!」

 

糸を避け続けるタクトだが、次第に糸の数は増えていく。

 

タクト「何だ此奴等!?」

 

人形達「ケケケケケケケケケ!!!」

 

糸の速度が上がり、タクトの両腕と両足を縛った。

 

タクト「しまった!」

 

人形達「ケケケケケケケケケ!!!」

 

糸がタクトから赤い光を吸収した。

 

タクト「何だこの光?ッ!?」

 

するとタクトが膝を付いた。

 

タクト「この光・・・此奴等・・・俺の血を吸ってる・・・!!こうなったら・・・!!」

 

ウルトラ念力を使おうとした瞬間、タクトの両腕が糸で傷を刻まれた。

 

タクト(グッ!?・・・まさか・・・糸鋸・・・!?それも糸見たいにミクロサイズの歯で作られてやがる・・・!!下手をしたら切断されてしまう・・・!!だがその間に俺の血が・・・!!クッ!!どうしたら・・・!!)

 

”コツン”

 

人形達「!?」

 

1体の人形の頭に何かが当たり、人形達がタクトを縛ってる糸鋸を解いた。

 

タクト「え・・・?何だ・・・?ん?」

 

下を見ると、人形の頭に当たった物が落ちてた。

 

タクト「?」

 

そこに現れたのは、赤いドレスを身に纏った金髪の少女だった。

 

少女「・・・」

 

人形達「ケケケケケケケケケ!!!」

 

少女に狙いを定めて、人形達が糸鋸を射出した。

 

タクト「させるか!!」

 

ハンドスラッシュを連射し、人形達の胴体を破壊して少女を助けた。

 

タクト「ふぅ・・・ッ!」

 

人形達を倒したが、身体中に激痛が走る。

 

タクト「あれだけ血を吸われて、おまけに傷だらけ・・・ヒナが居たら・・・」

 

少女「大丈夫?」

 

タクト「え?」

 

先程の少女がタクトに話し掛けた。

 

少女「そのままにしてて。」

 

両手を翳すと、タクトの傷が治り、血の巡りが良くなった。

 

タクト「あ・・・痛みが引いた。それに血が戻ってる。ありがとう。助かったよ。」

 

少女「あなたはどうしてここに?」

 

タクト「あぁ。実は外が嵐で、雨宿り出来る場所を探していた時に偶然ここを発見してね。」

 

少女「そうなんだ。」

 

タクト「あ。俺はタクト=クリスティ。タクトって呼んで。」

 

少女「私はララ。」

 

タクト「なぁララ。この部屋にずっと居るのか?」

 

ララ「ううん。私はずっとこの部屋に閉じ込められてるの。」

 

タクト「部屋から出られないのか?」

 

ララ「うん。」

 

タクト「何らかの力で出られないのか?」

 

ララ「違うよ。この部屋・・・扉が無いの。」

 

タクト「何・・・!?」

 

 

 

 

 

 

その頃フェオン達は、タクトを探すべく地下を目指していた。

 

フェオン「もう地下はまだ着かないの・・・?」

 

イザベラ「この階段、何処まで続くんだろう・・・?」

 

レオン「薄暗い階段だな・・・」

 

ソフィー「何か怖い・・・」

 

グレア「ん〜・・・」

 

ティオ「グレア、どう?」

 

グレア「奥まで照らさないと分からないね。ちょっと別の照明を飛ばしてみるね。」

 

照明弾を奥へ飛ばした。

 

ヒナ「かなり続きますね。」

 

グレア「あ!止まったよ!」

 

奥に扉があった。

 

エミリー「扉か。」

 

アンナ「彼処にタクトさんが居るんですか?」

 

グレア「分からないけど、行くしかないね。」

 

 

 

 

階段を下って扉の前。

 

レア「タクトー!居るのかー?」

 

大声で呼ぶが、返事がない。

 

レア「中で何が起こってるんだ?開けてみるぞ。」

 

扉のドアノブに触れた瞬間。

 

全員「!?」

 

突然扉が跡形もなく消滅した。

 

アンナ「消えた!?」

 

ティオ「・・・そんな!?さっきのタクトの反応は誰かのダミー!?」

 

フェオン「嘘!?じゃあタクトは何処に居るのよ!?」

 

ティオ「分からないけど・・・また戻って確かめる必要があるね。」

 

すると左右の壁から、黒い手が出現した。

 

フェオン「え!?な、何!?」

 

無数の黒い手が、フェオン達を包み込んだ。

 

フェオン達「うわああああああ!!」

 

黒い手が消え、フェオン達も消えた。

 

 

 

 

 

 

別の場所では。

 

???「フッフッフッフッフ。罠とは知らずにノコノコとやって来たわね。さぁ、これからの展開が楽しみね。」

 

 

 

 

 

 

地下の部屋。タクトとララが部屋から脱出する為、部屋中を調べてる。

 

タクト「ララ。君はどうしてここに閉じ込められたんだ?」

 

ララ「分からないの。気が付いたらここに。」

 

タクト「もしかして、閉じ込められる前の記憶が無くなったとか?」

 

ララ「う〜ん・・・」

 

タクト「まぁ、何れにせよ記憶は蘇る事はあるし。深く考えずに今は脱出の手立てを考えよう。」

 

ララ「そうだね。」

 

タクト「にしても、何でこの部屋は人形ばかりなんだ?何だか呪われた部屋だな。フェルペスって貴族は人形が趣味なのか?」

 

ララ「・・・・・・」

 

タクト「ん?ララ?どうしたんだ?」

 

ララ「え?私どうしてた?」

 

タクト「何か固まってた。」

 

ララ「どうしたんだろう?」

 

タクト「・・・なぁララ。フェルペス一族と何か関係あるのか?」

 

ララ「・・・・・・・」

 

タクト「ララ?おいララ?」

 

ララ「・・・フェルペス・・・何か聞いた事がある・・・でも何でだろう・・・」

 

タクト「もしかして君、フェルペス一族と深い関わりが?」

 

ララ「分からない・・・」

 

タクト(もしかしたらこの子、フェルペス一族の血筋か何かか・・・?)

 

するとタクトが、テーブルの下に光ってる物を発見した。

 

タクト「ん?何だ?」

 

テーブルの下を探ると。

 

タクト「これは!」

 

液体が入った小瓶だった。

 

タクト「小瓶?」

 

ララ「ん?それ、聖水じゃない?」

 

タクト「聖水?・・・本当だ。微かに十字架が彫られてる。・・・ちょっとやってみるか。」

 

ララ「何を?」

 

タクト「こうする。」

 

小瓶の蓋を開け、聖水を少し零した。聖水から光が溢れた。すると部屋中の歪み出現し、聖水の光で消滅した。

 

タクト「・・・!?」

 

歪みが消えたと同時に、扉が出現した。

 

タクト「扉が!これで出られる!」

 

扉を開けた。

 

タクト「・・・え!?」

 

ララ「・・・何これ・・・?」

 

2人が見た光景は・・・

 

 

 

 

 

 

山積みになった無数の人骨だった。

 

 

 

 

 

 

タクト「・・・」

 

ララ「骨・・・?」

 

タクト「人骨・・・それも全部焦げてる。もしかして、この屋敷に閉じ込められて殺された人達なのか?」

 

ララ「タクト!これ見て!」

 

タクト「ん?日記か?」

 

部屋にある日記を見付けた。

 

タクト「『私はあの子を蘇生する事に頭がいっぱいだった。自重しなくちゃならないのに、もう自分を抑え切れない。だから私の邪魔をする者は誰であろうと消すと誓った。それが例え、家族だろうとも。』・・・残酷な内容だ・・・書いたのは・・・ジャネット=フェルペス!?」

 

ララ「ジャネット・・・!?うっ!!」

 

タクト「ララ!?どうしたんだ!?」

 

ララ「・・・・タクト・・・・私・・・・思い出したよ・・・・」

 

タクト「記憶が戻ったのか?」

 

ララ「うん。私は・・・・」

 

 

 

 

 

 

そして、黒い手に包み込まれたフェオン達は、真っ赤な部屋へ誘われた。

 

フェオン「痛たたたた・・・」

 

レオン「何だこの部屋・・・?」

 

???「あら。来たわね。」

 

レア「誰だ!?」

 

そこに居たのは、黒いドレスを身に纏った黒髪の女だった。

 

女「ようこそフェルペスハウスへ。私はジャネット=フェルペス。フェルペス一族の娘よ。」

 

レオン「フェルペス!?」

 

ジャネット「あなた達は、自分の足でここに来たって訳ね。」

 

アンナ「違います!!私達は嵐の雨宿りの為に来ただけです!」

 

ジャネット「あぁ。私が起こした嵐ね。」

 

レア「あれはお前が起こしたのか!?」

 

ジャネット「そう。あなた達がこの屋敷に入ったと同時に私が嵐を止めた。あなた達は今ここで、私の生贄になるのよ!」

 

イザベラ「そ、そんな事・・・!!」

 

???「させねぇよ!!」

 

全員「!?」

 

そこに現れたのは・・・

 

 

 

 

 

 

タクトとララだった。

 

 

 

 

 

 

フェオン「タクト!!」

 

ジャネット「ララ!?何故ここに!?」

 

ララ「止めて!お姉ちゃん!」

 

フェオン・イザベラ・エミリー・ヒナ・レア・アンナ・レオン・ソフィー・グレア・ティオ「お姉ちゃん!?」

 

タクト「まさかこの子が、アンタの妹だったとはな。」

 

ジャネット「・・・あの部屋からどうやって抜け出せた!?」

 

タクト「あの部屋のテーブルの下に小瓶があった。そこにあった聖水を使ったら、歪みが消えて扉が開いた。その扉を開けたら、アンタが今まで殺した人々の人骨が山積みになっていた。そして、これを見付けた。」

 

懐から、ジャネットの日記を出した。

 

ジャネット「それは!!」

 

タクト「アンタは自分の妹を蘇生する為に、邪魔となる者達を排除した。その中にアンタの両親も含まれていた。その殺した人々の人骨や血液を使って、亡くなった妹の蘇生に使おうとした。」

 

ジャネット「・・・・」

 

エミリー「ど、どう言う事だ?」

 

タクト「ジャネットは愛する妹を病気で亡くしてしまい、また妹と一緒に過ごしたい為に独学で蘇生魔法を学んだ。けどその為には生贄が必要だった。だから屋敷に入って来た見知らぬ者達を殺し、更には両親や使用人達も殺して生贄に捧げた。だが生贄の数が足りず、俺達を殺して蘇生しようと企んだ。そうだろ?」

 

ジャネット「・・・そうよ。ララの病気は不治の病。治す事も出来無い憎っくき病・・・それを聞いた時、私は我を失った・・・」

 

ララ「お姉ちゃん・・・」

 

ヒナ「ち、ちょっと待って下さい!亡くなっているはずなのに、ララさんが何故タクトさんの隣に!?」

 

タクト「ララ。君は人形に魂を宿してるんだろ?」

 

ララ「気付いてたの・・・?」

 

タクト「君の髪。人形の髪に使う素材のサランだからな。」

 

ララ「・・・」

 

ジャネット「そこまで調べてるとは話が早いね。あなた達を殺して、ララを生き返らせる!」

 

ララ「お姉ちゃん止めて!そんな事したら、皆が悲しむよ!」

 

ジャネット「ララ!私の方が悲しいわよ!大切な妹を亡くした私の方が・・・」

 

ララ「お姉ちゃん・・・」

 

ジャネット「さぁ・・・行きなさい!!」

 

”ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!”

 

突然フェルペスハウスが崩壊した。

 

レア「地震か!?」

 

タクト「ッ!!」

 

壁に穴が空いた。

 

タクト「皆逃げるぞ!!」

 

 

 

 

 

 

崩壊するフェルペスハウスから間一髪脱出した。

 

アンナ「皆さん!無事ですか!?」

 

フェオン「何とかね!」

 

すると雨が降り始めた。

 

グレア「雨が・・・!」

 

エミリー「おい!何だあれは!?」

 

崩壊したフェルペスハウスの瓦礫から、蝙蝠の魔物が出現した。

 

ジャネット「アハハハハハハハ!!さぁバット!思う存分甚振りなさい!!」

 

バット「ーーーーーーー!!!」

 

タクト「クッ!」

 

スパークレンスの光を解放し、ウルトラマンティガへ変身した。

 

ララ「あれは・・・」

 

グレア「ウルトラマンティガ。タクトが持つ超古代の戦士よ。」

 

ジャネット「新手か。バット!!殺りなさい!!!」

 

 

 

 

バット「ーーーーーー!!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

マルチキックから、2回連続マルチパンチを叩き込む。

 

バット「ーーーーーーー!!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

しかしバットに掴まれ、腹に膝蹴りを受けた。

 

ティガ「アァッ!!」

 

そのまま後ろへ放り投げられた。

 

バット「ーーーーーーーー!!!」

 

ティガ「ッ!!」

 

光のエネルギーを集める。

 

バット「ーーーーーーーー!!!」

 

しかしバットが、大きな翼を羽ばたかせて風を起こした。

 

ティガ「ウッ!!」

 

強風でティガが怯んでしまった。その隙にバットが飛び、ティガの後ろを取った。

 

ティガ「ッ!!」

 

バット「ーーー!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

後ろを掴まれてしまい、バットがティガの首を噛み付いた。

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

 

 

 

ヒナ「噛み付きました!!」

 

フェオン「急いでタクトを援護するわよ!!」

 

全員「了解!!」

 

 

 

 

ティガ「ッ!!」

 

”ピコン”

 

バットがティガを離した。

 

ジャネット「ハァッ!!」

 

倒れたティガに向けて両目を光らせた。

 

ティガ「・・・・・・」

 

ジャネット「あなたはもう、私の操り人形そのもの。思う存分遊んであげるわ。」

 

両手を縦横無尽に振り、ティガを縦横無尽に操る。

 

ジャネット「倒れろ!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

両手を高く上げてティガを転ばせた。

 

バット「ーーーーーーー!!」

 

倒れたティガをバットが踏み付ける。

 

イザベラ「えいっ!!」

 

蔦の魔法でバットを束縛する。

 

バット「ーーー!?」

 

フェオン「ヤアアアァァァ!!!」

 

エミリー「タァッ!!」

 

レア「ドリャアアアア!!!」

 

後ろから3人が現れ、バットの背中に攻撃した。

 

バット「ーーーーーーー!!!」

 

しかしバットには効果が無く、イザベラの蔦の魔法が千切れた。

 

イザベラ「キャアッ!!」

 

レオン「ダメだ!歯が立たないぞ!」

 

アンナ「どうしたら・・・」

 

ララ「お姉ちゃん。」

 

アンナ「ん?何?」

 

ララ「そのボウガン、私に貸して。」

 

アンナ「どうするの?」

 

ララ「これを使う。」

 

それは、先程の聖水が入った小瓶だった。これをアンナのボウガンの矢に括り付けた。

 

ララ「手伝って。」

 

アンナ「うん。」

 

ボウガンを2人で持ち、バットに狙いを定める。

 

ララ「彼奴の目を狙って。」

 

アンナ「分かった。グレアさん。引き付けて下さい。」

 

グレア「ガッテン!おーい!こっちだよー!」

 

バット「ーーーーーー?」

 

声を聞いたバットがこっちを見る。

 

グレア「今だ!!」

 

2人がバットの右目に狙いを定める。

 

ララ「おやすみなさい!」

 

ボウガンを発射。

 

バット「ーーーーーーーー!!!!」

 

ボウガンがバットの右目を突き刺し、そこから聖水が流れ込んで苦しむ。

 

ジャネット「何!?ララ!あなた・・・!!」

 

ティガ「ッ!!」

 

正気に戻ったティガが立ち上がる。

 

アンナ「もう1発!!」

 

再びボウガンを発射し、今度はバットの左目を潰した。

 

バット「ーーーーーーーー!!!!」

 

悶え苦しむバットが空へ羽ばたいて逃げる。

 

フェオン「逃がさないわよ!!!」

 

大剣を投げて、バットの背中に突き刺した。

 

バット「ーーーーーーーー!!!!」

 

それでも逃げるバットにティガが。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ウルトラフィックスでバットの動きを止めた。

 

ティガ「フッ!!」

 

両腕を前に突き出し交差させ、大きく横にゆっくり広げてエネルギーを集める。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ゼペリオン光線がバットを直撃し、バットを燃やした。

 

フェオン「よっと!」

 

燃えたバットから大剣が戻って来た。そして雨が止み、空に太陽が出た。

 

ティガ「・・・・・」

 

光となって、タクトに戻った。

 

ジャネット「こんな・・・こんなはずじゃなかったのに・・・」

 

ララ「お姉ちゃん・・・」

 

悔しがるジャネットに、ララが歩み寄った。

 

ジャネット「ララ・・・私はあなたの為に・・・あなたを生き返らせたいだけなのに・・・どうして・・・!?」

 

しかしララが、ジャネットを優しく抱いた。

 

ジャネット「・・・ララ・・・?」

 

ララ「お姉ちゃん。もう良いの。私はね、お姉ちゃんの傍に居るだけで幸せなの。だからもう、これ以上他の人達の犠牲なんていらないの。また一緒に居てくれる?お姉ちゃん。」

 

ジャネット「ララ・・・ごめんなさい・・・本当にごめんなさい・・・」

 

泣きながらララを抱き締め、ララは涙を流しながらジャネットを抱き締める。

 

ジャネット「ごめんなさい皆・・・私のせいで・・・」

 

タクト「もう良いんだ。亡くなった人達は俺達が代わりに供養する。アンタ達はこれからどうする?」

 

ララ「お姉ちゃんと一緒に還ります。お姉ちゃん、行こう?」

 

ジャネット「えぇ。」

 

2人は光となって、天に召された。遺されたのは、ララが憑依していた人形だけだった。

 

 

 

 

その後崩壊したフェルペスハウスの瓦礫を片付け、地下に放置された人骨達を回収し、ララが憑依していた人形を埋葬して供養した。因みにフェオンは人骨が苦手な為見物した。

 

 

 

 

全てが終わった後。

 

カサンドラ「ジャネットとララにも、複雑な心境が残っていたのですね。」

 

タクト「だがもう、2人は解放されたんだ。天国で幸せになれるよう祈ろうぜ。」

 

イザベラ「ふぁ〜〜・・・・お姉ちゃん・・・・眠いよ・・・・」

 

フェオン「そう言えば、さっきの騒動で眠れなかったわね・・・」

 

タクト「どうする?ここでキャンプして仮眠取るか?」

 

エミリー「そうだな。」

 

彼等はキャンプをして仮眠を取った。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
レオン:岡本信彦
ソフィー:櫻庭彩華
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩

男:高橋伸也

ララ=フェルペス:東山奈央
ジャネット=フェルペス:田村奈央





次回予告

謎の女ヴィエラはアンナを誘拐し、亡き姉を蘇生しようと画策する。しかしヴィエラには、自身すら知らないある秘密があったのだが・・・

次回ウルトラマンティガ

鳥かごの姫

お楽しみに


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12/鳥かごの姫

鳥かごの姫
ヴィエラ 登場



ある日。

 

レオン「皆。色々旅して楽しかったぜ。」

 

ソフィー「また会えるかな?」

 

タクト「きっと会えるだろう。」

 

フェオン「こっちも楽しかったわ。元気でね。」

 

レオン「あぁ。じゃあな。」

 

ソフィー「またお会いしましょう。」

 

2人はタクト達と別れて、自分達の旅を出発した。

 

レア「何か短かったな。」

 

アンナ「うん。」

 

イザベラ「でも、また何れ会えるかも知れませんよ?」

 

エミリー「あぁ。」

 

タクト「よし。俺達も出発するか。」

 

彼等も次の旅へ出発した。

 

 

 

 

 

 

しばらくして、小さな国に着いた。コスペル王国。ここは花が豊かな国で、沢山の観光客が訪れる国である。

 

 

 

 

ホテルにチェックインした。

 

タクト「どうだ?」

 

コスペル王国で買ったオキザリスのマリッジリングをフェオンの左手の薬指に嵌めた。

 

フェオン「ありがとうタクト。私、あなたに出会えて良かったわ。」

 

タクト「俺も同じさ。フェオンと、皆と出会えて嬉しい。」

 

イザベラ「タクトさんは私達の大切な仲間ですから。」

 

タクト「ああ。」

 

レア「なぁ皆見ろよ。観光客で賑わっているぞ。」

 

ヒナ「ここは花が盛んな国ですからね。皆さん癒しを求めて訪れているんですよ。」

 

ティオ「それに、綺麗な花園まであるんだよ。」

 

カサンドラ「ねぇ、花園へ行ってみませんか?きっと綺麗ですよ?」

 

アンナ「うん!行こう!」

 

タクト「じゃあ早速花園へ行ってみるか。」

 

 

 

 

 

 

コスペル王国・花園。

 

イザベラ「わぁ〜!」

 

そこには、美しい花の数々が一面に咲いている。

 

イザベラ「綺麗〜!」

 

フェオン「本当ね〜。」

 

レア「うおっほ〜!一面に咲いてるなぁ!まるで畑だ!」

 

グレア「それにホラ!フラワーガーデンまであるよ!」

 

タクト「本当綺麗だなぁ〜。皆で散策するか。」

 

それぞれ別れて散策する。

 

 

 

 

まずはタクト。フラワーガーデンの椅子に座っている。

 

タクト「フラワートンネル良いなぁ。噴水も綺麗だし。カメラがあったら撮ってたのになぁ。」

 

 

 

 

次はフェオンとイザベラ。スミレの花畑を歩いている。

 

フェオン「スミレも綺麗ねぇ。」

 

イザベラ「お姉ちゃんにピッタリだね。このスミレって。」

 

フェオン「そう?」

 

イザベラ「うん。あ。彼処に売店があるよ。」

 

フェオン「あら本当だわ。」

 

イザベラ「そうだ!ちょっと待ってて?」

 

売店へ行って、何かを買って戻って来た。

 

イザベラ「お待たせお姉ちゃん!」

 

買って来たのは、花かんむりだった。その花かんむりをフェオンに被せた。

 

イザベラ「うん!お姉ちゃん可愛いよ!」

 

フェオン「・・・イザベラ・・・ありがとーーー!!」

 

嬉し泣きしてイザベラを抱き締めた。

 

フェオン「やっぱりあなたは私の天使だわ〜!」

 

イザベラ「お姉ちゃん・・・皆が見てるよ・・・」

 

周りからの視線に恥ずかしがるイザベラであった。

 

 

 

 

次はエミリーとヒナ。フラワーガーデンのトンネルを歩いている。

 

ヒナ「エミリーちゃん。とっても綺麗ですね。」

 

エミリー「そうだな。」

 

レア「お!エミリーにヒナ!」

 

そこにレアとアンナと会った。

 

アンナ「お2人もここを歩いてたんですか?」

 

エミリー「あぁ。このフラワートンネルは本当に綺麗だ。水も流れているし、何だか癒される気分だ。」

 

ヒナ「私も。エミリーちゃんと一緒に居ると心が癒されます。」

 

レア「ヒナは相変わらず、エミリーにベッタリだな。」

 

 

 

 

そしてカサンドラとグレアとティオ。花園にある丘の上に居た。

 

カサンドラ「ん〜。風が気持ち良いです〜。」

 

グレア「本当。このまま風に乗せられちゃう気分ね〜。」

 

ティオ「〜〜〜♪」

 

竪琴を奏でながら鼻歌を歌っている。

 

グレア「あ〜〜〜・・・本当に流され〜〜〜・・・ってティオ!!」

 

ティオ「ん?何だい?」

 

グレア「何風に乗って流される詩弾いてるの!?」

 

ティオ「え?そうかい?」

 

グレア「もう!」

 

カサンドラ「うふふふ。仲良しですね。」

 

 

 

 

 

 

その後に皆集合し、草原でピクニック。

 

タクト「本当に良い国だな。」

 

ヒナ「えぇ。」

 

レア「ずっとここで暮らしたい気分だぜ!」

 

タクト「ん?フェオン、その花かんむりどうした?」

 

フェオン「これ?これはね、愛しの天使からの贈り物なのよ?」

 

イザベラ「違うよ!妹からのプレゼント!」

 

タクト「ほう。自分を守ってくれるお姉ちゃんへのプレゼントか。」

 

イザベラ「私への愛は凄まじいけど、私に大切なお姉ちゃんですから。」

 

タクト「本当。良い妹を持てたな。イザベラはフェオンの妹で俺の義妹。可愛い義妹が持てて良かった。」

 

イザベラ「私も。タクトさんみたいなお兄ちゃんが持てて良かったって。」

 

タクト「そっか。」

 

優しくイザベラを撫でる。

 

イザベラ「えへへ。」

 

アンナ「私も。カサンドラちゃんを妹にしちゃおっかな?」

 

カサンドラ「止めて下さい。」

 

アンナ「どうして?」

 

カサンドラ「アンナ。あなたのスキンシップが強烈ですから。」

 

アンナ「えぇ〜?」

 

 

 

 

 

 

その後も花園を散策する。

 

アンナ「〜〜〜〜♪」

 

鼻歌を歌いながら花を見詰めてるアンナ。

 

アンナ「あ!綺麗な花。レア先輩を呼びに行こうかな?」

 

歩き出したその時。

 

”ヒュン”

 

アンナ「ん?」

 

何かが足に引っ掛かった瞬間。

 

”ガサッ!!”

 

アンナ「え・・・!?」

 

突然花園から巨大な花が出現。

 

アンナ「キャアアアアーーー!!」

 

その花にアンナ呑み込まれ、口が引っ込んだ。

 

 

 

 

一方何も知らないタクト達は。

 

タクト「よし。色々見て回ったな。夕方になったしそろそろホテルに戻るか。」

 

フェオン「そうね。」

 

レア「あれ?アンナは?」

 

カサンドラ「本当ですね。アンナが居ません。」

 

タクト「何?何処かでまだ花見てるのか?」

 

エミリー「手分けして捜そう。」

 

 

 

 

その後8人がアンナを捜すが、何処にも居なかった。

 

 

 

 

エミリー「そっち居たか?」

 

タクト「何処にも居なかった。」

 

レア「彼奴、何処行ったんだ?」

 

タクト「もう夜だ。仕方無い。明日の朝にもう1度捜索しよう。」

 

イザベラ「そうですね・・・」

 

 

 

 

 

 

翌朝、花に呑み込まれたアンナは。

 

アンナ「・・・っ・・・ん・・・?」

 

目を覚ますと、彼女は鳥かごのような牢屋に入れられていた。

 

アンナ「ど・・・何処なのここ・・・?ん?」

 

鳥かごの中に、不審な棺もあった。

 

アンナ「棺・・・?」

 

???「あら。目覚めたみたいね。」

 

アンナ「っ!?」

 

そこに現れたのは、赫いドレスを着た赫い髪の女だった。

 

アンナ「あなたは・・・?」

 

ヴィエラ「私はヴィエラ。魔人よ。」

 

自身の赤い両目を見せた。

 

アンナ「っ・・・!私をどうするつもりですか・・・?」

 

ヴィエラ「決まっているわ。あなたを殺すの。」

 

アンナ「っ!?」

 

ヴィエラ「あなたを殺せば、私の願望が実現するの。」

 

アンナ「あなたの願望・・・?」

 

 

 

 

 

 

同じ頃。タクト達が花園へ向かってアンナを捜した。

 

タクト「やっぱり何処にも居ない・・・」

 

フェオン「可笑しいわね・・・」

 

???「あの・・・」

 

タクト「ん?」

 

そこに声を掛けて来たのは、1人のポニーテール少女だった。

 

タクト「あなたは?」

 

???「私シエラと言います。誰かをお捜しなんですか?」

 

フェオン「あ、はい。私達の仲間を捜しているんです。昨日この花園から姿を消していて。」

 

シエラ「実は、私の妹もこの花園から姿を消したんです。」

 

タクト「え?」

 

ヒナ「妹さんはどの辺で姿を消したんですか?」

 

シエラ「此方です。」

 

 

 

 

 

 

一方アンナは。

 

アンナ「あなたの願望・・・?それって何ですか?」

 

ヴィエラ「それはね。私の心の傷を癒してくれる願望よ。」

 

アンナ「あなたの心の傷を癒す願望・・・」

 

ヴィエラ「あなただけ教えてあげるわ。」

 

彼女は、鏡の傍に置いてある写真立てをアンナに見せた。

 

アンナ「・・・!?」

 

その写真には、アンナと瓜二つの少女が写っていた。

 

ヴィエラ「あなたを見て、私は驚いたわ。まさか亡くなった姉にそっくりだったなんて。」

 

アンナ「私が・・・あなたの姉と瓜二つ・・・」

 

ヴィエラ「亡くなった姉は、その棺に眠っているわ。」

 

アンナ「え・・・!?」

 

ヴィエラ「あなたを殺してその棺に捧げれば、姉は蘇る事が出来る。」

 

アンナ「・・・!!」

 

 

 

 

 

 

数分前、タクト達がシエラの妹が消えたとされる場所に着いた。

 

シエラ「ここです。」

 

フェオン「ここが妹さんが消えた場所ね。」

 

カサンドラ「ん?アンナの匂いがします。」

 

レア「本当か!」

 

イザベラ「流石カサンドラさん!」

 

タクト「猫の嗅覚は人間に比べ約数万倍〜数十万倍。人間の匂いが薄れても嗅覚で察知出来る。」

 

レア「アンナー!何処だー!」

 

シエラ「何処に居るのー!返事してー!」

 

フェオン「何処にも居ないわね・・・」

 

エミリー「本当にここで消えたのだろうか・・・」

 

タクト「・・・ん?」

 

石畳を見て違和感を覚えたタクトが、石畳をじっくり見る。

 

タクト「・・・・」

 

グレア「タクト?どうかしたの?」

 

ヒナ「石畳がどうしたんですか?」

 

タクト「・・・なぁ皆。石畳を見ろ。」

 

カサンドラ「え?・・・何があるんですか?」

 

タクト「よく見ろ。1つだけ色が黒いだろ?」

 

ティオ「あ!本当だ!他は白なのに真ん中に1つだけ黒いのがある!」

 

レア「何!?まさかこの石畳に仕掛けが!」

 

黒い石畳を押してみようとしたが、ビクともしない。

 

レア「ありゃ?ビクともしないぞ?」

 

タクト「皆、ちょっと退いてろ。」

 

皆を下がらせ、黒い石畳の上を歩いてみる。

 

”ヒュン”

 

”ガサッ!!”

 

黒い石畳の上を歩いた瞬間、花園から巨大な花が出現した。

 

フェオン「な、何あれ!?」

 

シエラ「あ、危ない!!」

 

タクト「ダァッ!!」

 

しかしハンドスラッシュでその花を破壊した。

 

タクト「ブービートラップか。」

 

エミリー「ブービートラップ?」

 

タクト「罠を作動させる仕掛け。この黒い石畳は足の裏に感知すると作動する仕組みのようだ。」

 

イザベラ「あ!皆さん見て下さい!」

 

巨大な花が破壊された跡には、謎の空洞があった。

 

カサンドラ「空洞・・・っ!ここからアンナの匂いがします!」

 

ティオ「成る程。アンナと妹さんはここに吸い込まれたって訳だね。」

 

タクト「っ!」

 

ヒナ「どうしました?タクトさん。」

 

タクト「魔人の気配が!」

 

全員「え!?」

 

タクト「アンナ!!」

 

すぐさまタクトが空洞に飛び込んだ。

 

フェオン「タクト!!」

 

 

 

 

 

 

そして現在。

 

アンナ「・・・!!」

 

ヴィエラ「ん?」

 

タクト「っと!!」

 

空洞からタクトが落ちて着地した。

 

アンナ「タクトさん!!」

 

タクト「お前、アンナに何をする気だ?」

 

ヴィエラ「何って、この子を殺すのよ。」

 

タクト「殺すだと?俺の大事な仲間を殺すなど言語道断だ!」

 

ハンドスラッシュで檻を破壊するが、ハンドスラッシュが消えた。

 

ヴィエラ「無駄よ。その檻には特殊な結界で護られてるわ。」

 

アンナ「タクトさん!!」

 

そこにフェオン達も降りて来た。

 

フェオン「アンナ!大丈夫!?」

 

アンナ「皆さん!」

 

レア「アンナ!!」

 

アンナ「レア先輩!」

 

レア「良かった!無事で!」

 

ヴィエラ「余計な邪魔が入ったわね。」

 

シエラ「ヴィエラ!」

 

ヴィエラ「ん?」

 

アンナ「え?」

 

タクト「な・・・?あの魔人がアンタの・・・」

 

ヴィエラ「誰なのあなたは?」

 

シエラ「私よ!シエラよ!」

 

彼女はポニーテールを解いた。その姿は、アンナと酷似してる。

 

フェオン「ア、アンナ!?」

 

ヒナ「アンナさんと酷似してます・・・!」

 

ヴィエラ「う、嘘・・・シエラ・・・お姉様・・・?」

 

シエラ「そうよ!あなたの姉のシエラよ!」

 

ヴィエラ「そ、そんな・・・!シエラお姉様はもう・・・」

 

シエラ「いいえ・・・それはあなたの方よ!」

 

タクト「え・・・!?」

 

シエラ「私じゃなくてヴィエラ!あなたが亡くなっているのよ!」

 

ヴィエラ「じ・・・じゃああの棺に眠っているのは誰なの・・・?あれはシエラお姉様のじゃないの・・・?」

 

シエラ「教えてあげるわ。あなた!その棺を開けなさい!」

 

アンナ「は、はい!」

 

棺の蓋を開けると、アンナが驚愕した。

 

アンナ「これって・・・」

 

 

 

 

 

 

棺にヴィエラが眠っていた。

 

 

 

 

 

 

ヴィエラ「どう言う事なの・・・!?シエラお姉様の棺じゃなく・・・私の・・・!?」

 

タクト「ん?」

 

落ちている写真を拾って見る。

 

タクト「そう言う事か。」

 

ヴィエラ「!?」

 

タクト「アンタの姉は彼女と瓜二つだ。アンタがアンナを殺そうとした理由。それは、遺体になったアンナを棺に移して姉を蘇らせる。そう言う計画だったんだろ?」

 

シエラ「ヴィエラ・・・」

 

ヴィエラ「・・・・・」

 

シエラ「私は、あなたが死んだ時は誰よりも悲しんだ・・・でも私は信じている。あなたが私達をずっと見守ってくれる事を。だから・・・」

 

ヴィエラ「・・・嘘だ・・・!」

 

シエラ「ヴィエラ・・・?」

 

ヴィエラ「嘘だ嘘だ嘘だ!!私は生きている!!死んでなんかいない!!死んだのはお姉様の方だ!!」

 

シエラ「お願いヴィエラ!!真実を受け止めて!!」

 

ヴィエラ「気安く止めるな!!そうか・・・分かった・・・あなたは偽物!!本物のシエラお姉様を殺して騙ってるんだ!!だったら私が・・・私があなた達を殺す!!!お姉様の仇!!!」

 

暴走したヴィエラが我を失った。

 

シエラ「ッ・・・!」

 

アンナ「タクトさん!!」

 

タクト「ん?」

 

アンナ「ヴィエラさんを止めて!楽にさせてあげて下さい!!」

 

タクト「・・・っ!」

 

決心して頷き、スパークレンスの光を解放してウルトラマンティガへ変身した。

 

 

 

 

ヴィエラ「ウアアアアアア!!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

突進するヴィエラを受け止めたが、力強く後ろへ押された。

 

ティガ「タァッ!!」

 

右へ投げてヴィエラを転ばせた。

 

ヴィエラ「ウアアアアアア!!!」

 

ティガ「アァッ!!」

 

しかしすぐに起き上がったヴィエラがティガに打撃を与えた。

 

ヴィエラ「ウアアアアアア!!!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

顔を掴まれ、前へ放り投げられた。

 

 

 

 

シエラ「ヴィエラ・・・!!」

 

 

 

 

ティガ「ハァッ!!」

 

突進するヴィエラの肩を使って側転で避けた。

 

ヴィエラ「ウアアアアアア!!!!」

 

ティガ「タァッ!ハァッ!」

 

攻撃し続けるヴィエラに、ティガは両手で受け流す。

 

ティガ「ハァッ!タァッ!」

 

少しずつキックとパンチでヴィエラに攻撃を加える。

 

ヴィエラ「ウアアアアアア!!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

隙を突かれたティガがヴィエラのタックルで突き飛ばされた。

 

アンナ「ッ!!」

 

鳥かごからアンナがボウガンを連射する。

 

ヴィエラ「ウアアアアアア!!!」

 

ボウガンの矢がヴィエラの身体に擦り傷を刻んだ。

 

アンナ「ヴィエラさん!!目を覚まして下さい!!」

 

シエラ「復讐してはダメよ!!!誰かを殺しても、あなたは蘇らないのよ!!!」

 

ヴィエラ「・・・・・・」

 

しかし彼女には説得は通じなかった。

 

ヴィエラ「ワタシガ・・・オネエサマヲ・・・ヨミガエラセル!!!!!」

 

両手から炎を放ったが、ティガが横に避けた。炎が後ろの壁に直撃し、何かが飛んだ。

 

ヴィエラ「・・・・ッ!?」

 

それは、生前の自分とシエラとの思い出の写真だった。

 

ヴィエラ「・・・・・!!!!」

 

 

 

 

 

 

子供の頃。ヴィエラは悪童達からいじめられ、泣きながら帰る。

 

ヴィエラ『・・・』

 

シエラ『ヴィエラ。』

 

ヴィエラ『お姉様・・・う・・・うわああああ・・・』

 

泣きながらシエラに抱き付いた。

 

シエラ『またあの子達に嫌がらせされたの?』

 

ヴィエラ『だって・・・私は弱虫だから・・・』

 

シエラ『そんな事言っちゃダメ!』

 

ヴィエラ『え・・・?』

 

シエラ『いい?ヴィエラ。そんな弱気な事を言ってるから、何時まで経っても弱虫のままなんだよ?自分に自信を持てば、あの子達と戦えるんだよ?』

 

ヴィエラ『自信・・・?』

 

シエラ『そうだよ!自信を持てば、自分が強くなれる!大丈夫。あなたなら出来るよ。何たって、私の大事な妹だもの!』

 

ヴィエラ『・・・うん・・・ありがとう!お姉様!』

 

シエラ『うんうん。』

 

笑顔になったヴィエラが、シエラと笑い合った。

 

 

 

 

 

 

ヴィエラ「・・・・・!」

 

涙が流れたヴィエラが、両手を重ねて炎を作り上げた。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ハンドスラッシュで炎を打ち消そうとした時。

 

ヴィエラ「・・・・・」

 

炎を消して両手を広げた。

 

ティガ「ッ!?」

 

ハンドスラッシュがヴィエラの胸に直撃した。

 

ティガ「ッ!!」

 

 

 

 

全員「ッ!!」

 

シエラ「ヴィエラ!!」

 

 

 

 

ヴィエラ「・・・・・・」

 

ハンドスラッシュを受けたヴィエラが倒れた。

 

シエラ「ヴィエラ!!」

 

倒れたヴィエラにシエラが走る。

 

シエラ「ヴィエラ!!」

 

ヴィエラ「・・・お姉様・・・」

 

彼女の目が元に戻り、涙を流しながらシエラの方を見る。

 

シエラ「・・・・」

 

ヴィエラ「ごめんなさい・・・私のせいで・・・」

 

シエラ「もういいの・・・もういいのよ・・・」

 

ヴィエラ「・・・私を・・・赦してくれるの・・・?」

 

シエラ「当たり前じゃない・・・あなたは・・・私の大切な妹だもの・・・」

 

ヴィエラ「・・・ありがとう・・・お姉様・・・」

 

優しい笑顔をシエラに見せ、そのまま光となって消滅した。

 

シエラ「ヴィエラ・・・・」

 

 

 

 

 

 

その後、ヴィエラの遺体をコスペル王国の墓地に埋葬された。

 

 

 

 

 

 

翌日。花園へ訪れた。

 

フェオン「ヴィエラはシエラを蘇らせる為に奔走してたって事は、魔人になってもお姉ちゃん思いだったのかも知れないわね。」

 

タクト「ヴィエラはやっと、報われたような気がする。シエラは彼女が死んでも、ずっと想い続けてるんだ。」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
レオン:岡本信彦
ソフィー:櫻庭彩華
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩

シエラ:金澤まい
ヴィエラ:杉山里穂





次回予告

生前、コスペル王国の湖の小さな島に住んでいた男サンタナ。彼の身の回りで起こった不可思議な現象。サンタナが遺した怖ろしい記録とは・・・

次回ウルトラマンティガ

湖のサンタナ

お楽しみに


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13/湖のサンタナ

湖のサンタナ
サンタナ 登場



50年前・コスペル王国。その男は、ある罪を犯して罪人となった。人々はその男を湖の小さな島へ隔離させた。男はその島で孤独に生きて来た。だが、彼の身の周りで起こった不可思議な現象に、男は苛まれ続けた。

 

 

 

 

 

 

その男が亡くなって9年の時が経った現在。タクト達はコスペル王国の図書館に居た。

 

アンナ「わぁ。このお花綺麗〜。」

 

レア「どれどれ?レアにも見せてくれ。」

 

フェオン「この国は、観光名所がいっぱいあるのね。」

 

ヒナ「はい。私達が見て来た観光名所はまだ一部ですが。」

 

イザベラ「まだ沢山あるんですね。」

 

エミリー「私は花園が1番気に入ってるな。」

 

タクト「・・・・」

 

女性陣が観光名所の図鑑を読んでる中、タクトはある本を黙読している。

 

タクト(死者行方不明者・・・その遺体は未だ発見せず・・・神隠しか何者かの犯行の可能性がある・・・)

 

レア「お?タクト、何読んでんだ?」

 

タクト「・・・・」

 

レア「ん?おいタクト。」

 

タクト「え?あぁレアか。いや、この本でちょっと気になる事があってな。」

 

レア「お?新しい観光名所の図鑑か?」

 

タクト「違う。この国で不可思議な事件を記した本だ。」

 

フェオン「不可思議な事件?」

 

タクト「死者行方不明者の遺体は発見されず、神隠しか何者かの犯行って言う噂もあってな。」

 

エミリー「遺体が発見されてない事件?」

 

フェオン「な、何なのそれ・・・?」

 

グレア「それってどんな事件なの?」

 

タクト「詳しくは書かれてないんだ。その現場へ行けば、何か分かるかも知れない。」

 

 

 

 

 

 

一行は、その現場となる大きな湖へ向かった。

 

グレア「へぇ〜。綺麗な湖ね〜。」

 

ティオ「ここも元々コスペル王国の観光名所の1つだったけど、今は立入禁止になってるね。」

 

フェオン「こ、こんな綺麗な湖で事件なんて起きる訳ないでしょ・・・?」

 

イザベラ「ねぇお姉ちゃん。あの島は何?」

 

湖の真ん中に存在する島を発見した。

 

カサンドラ「何でしょう?あの島。」

 

グレア「ムム?あの島からとてつもない力を感じるよ。」

 

タクト「何か秘密がありそうだな。ん?」

 

左を見ると、1人の女性が双眼鏡で湖の島を見てる。

 

???「あれが噂の島ね。彼処に何か秘密があるかも。」

 

タクト「なぁ。」

 

???「ん?あなた達は?」

 

タクト「この国の観光客だけど、アンタはあの島に何の用があるんだ?」

 

???「えぇ。あの島にはね、サンタナの記録が遺されてるって噂があるの。私はそれを確かめる為にこの国に来たのよ。」

 

フェオン「サンタナ?」

 

???「ノーラン=サンタナ。嘗てある罪を犯してあの島へ隔離された男。」

 

タクト「そうなのか。」

 

???「あ、まだ名乗ってなかったわね。私はローリー=マクレーン。ジャーナリストよ。」

 

タクト「ジャーナリストか。俺はタクト=クリスティ。こっちはフェオン、イザベラ、エミリー、ヒナ、レア、アンナ。それでこの2人が精霊のグレアとティオだ。」

 

ローリー「精霊!わぁ!初めて生で見るわ!」

 

グレア「私達って珍しいの?」

 

ローリー「子供の頃、お母さんから聞いたの。この世界には精霊が存在しているって。」

 

ティオ「光栄だね。」

 

イザベラ「あの、ローリーさん。あの島にそのサンタナさんって方が遺した記録があるって。」

 

ローリー「あ、そうよ。私は今からあの島へ行って記録を探すの。これもジャーナリストの仕事だから。」

 

タクト「なぁ、あの島俺達も行かせてくれないか?」

 

フェオン「え!?」

 

ローリー「え?あなた達は観光客なんでしょ?」

 

タクト「一見すればな。でも俺達はこれまで魔人や魔物と戦い続けた御一行だから。護衛が付いといた方が安心だろ?」

 

ローリー「そうねぇ・・・じゃあ付いて来なさい。」

 

タクト「ありがとう。」

 

フェオン「わ、私はここで留守番してるわ・・・終わったら帰って来てね・・・?あは、あははは・・・」

 

ティオ「けどフェオン。もし僕達があの島へ行って一生帰って来なかったら独りぼっちだよ?」

 

フェオン「そ、それも嫌だ!行けば良いんでしょ!?行けば!」

 

エミリー「それでローリーさん。あの島はどうやって行くんだ?」

 

ローリー「あのボートで行くわ。」

 

一艘のボートがそこにある。

 

ローリー「あれであの島へ行くわ。」

 

 

 

 

ボートに乗り、湖の島へ。タクトが漕いでる。

 

タクト「なぁローリー。サンタナって男の記録を見付ける目的はアンタの意志か?」

 

ローリー「いいえ。依頼されたの。王妃様に。」

 

エミリー「王妃様に?」

 

ローリー「王妃様は、50年前にサンタナに助けられた事があるの。だからジャーナリストの私に、サンタナが何故亡くなったのかその真実を暴いて欲しいって。」

 

アンナ「サンタナさんは王妃様の恩人なんですね。」

 

ローリー「だから王妃様の願いを請け負い、サンタナの死の真相を暴くの。」

 

レア「ジャーナリストの鑑だな。」

 

タクト「お。そろそろ着くぞ。」

 

湖の島へ近付いた。

 

 

 

 

島へ降りると、異様な光景が。

 

ヒナ「な、何でしょうかこれは・・・?」

 

それは、夥しい数の人形が木々や石像に縛られている光景だった。

 

フェオン「ギャアアアーーーー!!!!」

 

絶叫したフェオンがエミリーの後ろに隠れた。

 

エミリー「フェオンさん!」

 

ローリー「あ、あの子どうしちゃったの・・・?」

 

カサンドラ「フェオンはこう言った怖いのが苦手なだけなので。」

 

ローリー「そうなんだ・・・」

 

タクト「それよりも、この島は何なんだ?何でこんなに人形達が吊るされてるんだ?」

 

吊るされてる人形を凝視する。

 

タクト「特に何の力も感じられないし。何の為にこんな・・・」

 

イザベラ「あ!皆さん!これ見て下さい!」

 

タクト「どうした?イザベラ。」

 

イザベラ「これです!」

 

ヒナ「これは?」

 

彼女が見付けたのは、2つの墓石だった。

 

レア「これは、墓か?」

 

フェオン「名前が彫られてるわ。」

 

タクト「ノーラン=サンタナ。」

 

ローリー「ここでサンタナが亡くなったのね。それで、その隣の墓は誰の墓かしら?」

 

アンナ「名前が彫られてませんね。」

 

エミリー「彼の親族か誰かの墓なのか?」

 

ローリー「いえ。王妃様から聞いたけど、彼は天涯孤独だったそうよ。」

 

タクト「親族が居ないとなると、一体誰の墓か・・・グレア。ティオ。この墓を調べてくれ。」

 

グレア・ティオ「うん。」

 

精霊2人が、名前が無い墓を調べてみる。

 

グレア「少女?」

 

タクト「何?」

 

ティオ「1人の少女のお墓らしいね。」

 

フェオン「その少女はサンタナとどう言う関係なの?」

 

ローリー「この島に記録があるはず。探ってみましょ?」

 

 

 

 

島の奥へ進む。フェオンはイザベラの後ろに隠れながら進む。

 

タクト「ん?小屋だ。」

 

目の前に1つの小屋があった。

 

イザベラ「サンタナさんが住んでいた小屋でしょうか?」

 

ティオ「生活感が残っているね。」

 

グレア「そうだね。隣に畑もあるし。」

 

エミリー「もう1つ小屋があるぞ。」

 

近くに別の小屋もあった。

 

タクト「誰の小屋だ?ちょっと見て来る。」

 

 

 

 

もう1つの小屋へ入ってみる。

 

タクト「人形がびっしり貼り付けられてる。ん?」

 

壁にある綺麗なアンティーク人形があった。

 

タクト「アンティーク人形?綺麗に残ってる。ん?右腕に何か書いてある。・・・あの娘への供養の為。どう言う事なんだ?」

 

 

 

 

小屋を出た。

 

ローリー「何か見付かった?」

 

タクト「あの娘への供養の為。」

 

ローリー「何それ?」

 

タクト「あの小屋に飾られてる額縁に書かれてあったんだ。恐らく、あの墓に眠ってる少女と関係あるのかも知れない。」

 

エミリー「だったら、あの小屋へ行けば何かあるかも知れない。」

 

 

 

 

最初に見付けた小屋へ入ってみる。

 

フェオン「ベッドやソファーや机等の家具が風化してるわね。」

 

ローリー「ここにサンタナの秘密があるかも知れないわ。」

 

するとカサンドラが机の中から1冊の赤色の本を見付けた。

 

カサンドラ「ありました!」

 

その本は、綺麗に保存されていた。

 

タクト「50年経ってるのに、コイツだけ新品同様に遺されていたのか。」

 

ヒナ「いえ。見た限りだと9年前からあるみたいですよ。」

 

タクト「diary。サンタナの日記みたいだ。鍵付きか。」

 

鍵で開錠し、日記を開く。

 

タクト「この日記を読む者は、恐らく私が死んだ後の人間だろう。」

 

カサンドラ「サンタナが未来を予知していたのでしょうか?」

 

タクト「多分な。」

 

 

 

 

 

 

サンタナ『私は嘗て、コスペル王国の魔術師だった。人々の病気を治療し、疫病を収束させた英雄だった。だが、私を良く思わない者達が私を危惧し、暴行し、この島へ追いやった。』

 

 

 

 

 

 

エミリー「サンタナは偉大な魔術師なのに、何故この島へ?」

 

タクト「聞いた事がある。コスペル王国は昔、魔女狩りが多発していたんだ。サンタナは魔術師だった故に、魔女の類だと勘違いされたんだ。」

 

フェオン「だから迫害されたのね・・・酷い話ね・・・」

 

ローリー「サンタナはその後どうなったの?」

 

タクト「読んでみる。」

 

 

 

 

 

 

サンタナ『この島へ追放された私は、自分の持つ魔術で作物を育ち、自給自足の生活を送った。だがある日、近くに一艘のボートがやって来た。そのボートには、3人の娘達が乗って遊んでいた。私はその娘達を微笑ましく眺めていた。だが突然、1人の娘が湖へ転落してしまった。私が助けに行こうとしたのだが、娘は水面に上がらず沈んでしまった。』

 

 

 

 

 

 

タクト「この湖の水面に上がって来なかった・・・?水難事故か・・・?」

 

ヒナ「どう言う事なんでしょう・・・?」

 

タクト「ティオ。湖の中を調べてくれるか?」

 

ティオ「何か気味悪そうだけど、行ってみる。」

 

 

 

 

湖の中をティオが調べてみる。

 

ティオ「水面も水中も綺麗だけど・・・水面に上がって来なかった少女は何処に・・・?ん?」

 

湖の底で光る何かを発見した。

 

ティオ「あれは・・・!タクトに知らせなきゃ・・・!」

 

 

 

 

 

 

ティオが湖の底を調べに行ってる間。

 

サンタナ『その娘が転落し、2人の娘はパニックになって逃げ出した。それから数日後の夜、私は何かに引き寄せられるように湖畔へ向かった。そこで私は、転落した娘が島へ這い上がる姿を目撃してしまった。しかしふと見た瞬間、娘は消えていた。恐れた私は、その娘を供養する為、魔術を使って人形を生成した。その人形で呪いを祓い続けた。』

 

 

 

 

 

 

フェオン「ね、ねぇ・・・あの人形で呪いを祓うって何考えてるの・・・?」

 

タクト「一部の宗教で、不気味な人形を祀る事で災いや呪いを祓い除ける儀式が行なわれている地域もあるそうなんだ。恐らくサンタナはその宗教の信者だろう。」

 

カサンドラ「その儀式は有効だったのでしょうか?」

 

イザベラ「分からないよ。」

 

 

 

 

 

 

サンタナ『私は何度もその人形を生成し、島の木々や岩や小屋に結び付けてこの島に潜む呪いを祓い退け続けた。それから私は、沈んでしまった娘の為にもう1つの小屋とアンティーク人形と墓を作った。小屋は死んだ娘の為にと思って作り、墓は娘を供養する為に作った。私はそれから恐怖に苛まれながら長年この島を生き続けた。』

 

 

 

 

 

 

タクト「そうか。あの小屋とアンティーク人形は転落した少女の為に作った物なのか・・・」

 

 

 

 

 

 

サンタナ『そして私は、癌に罹ってしまった。もう私は解放される。この世の苛酷から。亡くなった娘に会えるかも知れない。私はあの世へ逝き、助けに行けなかった事を謝罪したい。そして、嘗て私に助けられた公爵のご令嬢様にこれを書き遺す。幸せであれ。ノーラン=サンタナ。』

 

 

 

 

 

 

日記が終わり、タクトが日記を閉じた。

 

エミリー「何だか、煮え切れない内容だったな・・・」

 

ローリー「うん。でもサンタナが亡くなった真実が解明出来た。王妃様にこの日記を・・・」

 

ティオ「タクト!!」

 

そこに慌てた様子のティオが戻って来た。

 

タクト「ティオ?どうした?」

 

ティオ「この湖、何かが潜んでる!」

 

タクト「何だと!?」

 

 

 

 

すぐに外へ出て、湖畔から湖を見る。

 

タクト「・・・・」

 

透視能力を使って湖の底を探る。

 

ローリー「タクトは何してるの?」

 

フェオン「シッ。今集中してるの。」

 

タクト「影が見えた。」

 

カサンドラ「どんな姿ですか?」

 

タクト「海蛇のような姿・・・かなり全長が長い・・・そうか・・・転落した少女が這い上がれなかった理由が分かった。」

 

イザベラ「本当ですか?」

 

タクト「この湖には、魔物が潜んでる。」

 

全員「え!?」

 

グレア「魔物が!?」

 

アンナ「けど、潜んでいるならどうして今まで発見されなかったんですか?」

 

タクト「恐らくそいつは、厄介な事に自身の気配を消す力も会得していたに違いない。気配を消して、転落した人間を引き摺り込んで捕食してしまう残酷な魔物。」

 

エミリー「どうやってそいつを討伐するんだ・・・?」

 

タクト「餌を使おう。フェオン、持ってる魚を全部出せ。」

 

フェオン「え?う、うん。」

 

異空間収納から現状持ってる魚を全部出した。

 

ローリー「どれも豊富ね。」

 

タクト「・・・コイツだ。」

 

1匹のウツボを手に持った。

 

タクト「んでコイツを。」

 

ウルトラ念力でウツボを浮遊させ、湖の上へ。

 

ローリー「何してるの?」

 

すると水面に巨大な影が現れた。

 

タクト「来た!!」

 

左手を突き出して、巨大な影をウルトラ念力で掴んで釣り上げた。その正体は・・・

 

 

 

 

 

 

巨大な海蛇だった。

 

 

 

 

 

 

フェオン「な、何よあれ!?」

 

タクト「ハァッ!!」

 

ウツボを海蛇に食べさせた直後にハンドスラッシュで頭部を貫いて討伐した。海蛇は水面に浮かんだ。

 

 

 

 

海蛇を湖畔へ打ち上げた。

 

タクト「やはりな。」

 

イザベラ「な、何ですかこれ・・・?海蛇・・・ですか・・・?」

 

タクト「デビルズ・レイク。湖に存在する幻の海蛇。」

 

ローリー「これがデビルズ・レイク・・・初めて見るわ・・・」

 

タクト「恐らくコイツの体内には。エミリー、コイツの胴体を斬ってくれ。」

 

エミリー「わ、分かった。ハァッ!!」

 

太刀でデビルズ・レイクの亡骸を切断した。デビルズ・レイクの体内から、遺骨が出て来た。

 

アンナ「っ!?」

 

レア「遺骨・・・!?」

 

タクト「そうだ。転落した人は、デビルズ・レイクに掴まれ、底へ連れて行かれた時捕食された。サンタナの日記に書かれてあった娘。その子もコイツに食われたんだ。」

 

ローリー「じゃあ、日記に書かれてあった湖から這い上がったあの子は?」

 

タクト「当時。その子はまだ死を自覚せず、サンタナの前に現れて助けを求めたんだろう。だけどサンタナは呪いだと勘違いしてしまい、人形で供養し続けた。その結果、少女は湖へ這い上がる事が出来なかった。そしてコイツは、どうやら大昔から潜んでいた。転落した人間を食い続けた。」

 

ヒナ「ですが、潜んでいたのなら何故対処出来なかったんですか?」

 

タクト「それはだな・・・ん?」

 

デビルズ・レイクの体内から光る何かがあった。

 

タクト「これは・・・!」

 

カサンドラ「どうしたんですか?タクト。」

 

タクト「コイツを飲み込んだんだ。」

 

それは、小さな水晶玉だった。

 

ローリー「感知防御の水晶玉!」

 

タクト「何かの弾みでこの水晶玉を飲み込んだ。その結果、誰からも気配を感じ取られず潜み続けた。」

 

フェオン「じゃあ、もし私達が転落してしまったら・・・」

 

タクト「恐らくコイツの腹の中。」

 

フェオン「うぅぅん・・・・」

 

気絶してぶっ倒れた。

 

イザベラ「お姉ちゃん!!」

 

タクト「あらら。」

 

 

 

 

その後、デビルズ・レイクの亡骸は財源として利用された。サンタナの島は国王直属の神父にお祓いをして貰い、ローリーはサンタナの日記を王妃に渡して彼の死の真相を教えてあげた。

 

 

 

 

ローリー「あなた達のお陰で、サンタナの死の真相を知れたし、王妃様も真相を知れて涙を流したけど・・・」

 

タクト「そりゃあ、彼が長年苛まれ続けたからな。」

 

ローリー「でも王妃様は、彼の死を無駄にしないように精一杯生きて行く事を誓ったわ。」

 

フェオン「それは何よりね。」

 

ローリー「ジャーナリストとしての収穫も手に入ったし。私はそろそろ行くね。」

 

ティオ「また次の取材?」

 

ローリー「私はジャーナリスト。どんな困難な場所へ行こうとも、真実を伝えるのが私の仕事!じゃあね!」

 

彼女はコスペル王国から旅立った。

 

アンナ「ローリーさん、また会えますかね?」

 

カサンドラ「きっと会えますよ。」

 

タクト「よし。俺達も出発するか。」

 

彼らもまた、新しい旅へ進んだ。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩

ローリー=マクレーン:引坂理絵
ノーラン=サンタナ:三上哲





次回予告

ある日、クリミア王国に女性を襲うウイルスが蔓延し始めた。

カサンドラ「大変です!フェオン達が!」

タクト「何?」

謎のウイルスを収束させろ!

次回ウルトラマンティガ

疫病が来る

お楽しみに


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14/疫病が来る

疫病が来る
謎のウイルス 登場



クリミア王国の地面の中に、何かが赤く光った。

 

???「フフッ・・・♪」

 

 

 

 

 

 

コスペル王国を後にしたタクト達は、クリミア王国へ訪れた。

 

タクト「クリミア王国か。」

 

グレア「美味しい物がいっぱいあるグルメな国らしいよ?」

 

レア「美味い物がいっぱいあるのか!?うっひょー!早速食べに行こうぜ!」

 

アンナ「レア先輩、もう食べに行くの?もう昼過ぎてるよ?」

 

レア「何言ってんだよ!色々美味いもん食べて完全制覇したいんだぞ!」

 

ティオ「あはは・・・ここに来る前に昼ご飯食べたのにもう空腹状態・・・」

 

タクト「まぁでもここはグルメな国。食べ歩きでもしてみるか。」

 

先にホテルへチェックインして荷物を置いた。

 

 

 

 

その後出店が並ぶマーケットへ行き、食べ歩きをする。

 

タクト「ん〜。ここの焼き鳥、今まで食った中で絶品だなぁ!」

 

イザベラ「ここのメロンパン美味しい!」

 

レア「うっほほ〜!肉も野菜もどれも絶品で美味えなぁ!」

 

アンナ「本当。どれも美味しいね。」

 

フェオン「このトウモロコシ美味しいわね!」

 

ヒナ「エミリーちゃん。このソフトクリーム、1口如何ですか?」

 

エミリー「あぁ、ありがとう。・・・うん!これも美味いな!」

 

カサンドラ「このドーナツ、甘いですね!」

 

タクト「他の国に比べて、グルメに関して凄く拘ってるみたいだな。」

 

フェオン「今度ちょっと再現してみようかしら?」

 

レア「お!あっちにりんご飴もあるぞ!」

 

アンナ「まだ食べるの!?」

 

レア「完全制覇だーーー!!」

 

 

 

 

 

 

そんな中、あるカップルがクリミア王国の丘の上でデートをしていた。

 

???「気持ちが良いね〜。」

 

彼女のツムギ。

 

???「今日も良い天気だな。」

 

彼氏のゴウ。

 

ツムギ「ねぇゴウ。私達、いよいよ結婚式ね。」

 

ゴウ「あぁ。2週間後に僕達は結ばれる。楽しみにしてるよ。」

 

2人は今、2週間後の結婚式を控えていた。

 

ツムギ「コホッコホッ。」

 

ゴウ「どうしたの?」

 

ツムギ「ううん。大丈夫。」

 

 

 

 

 

 

その日の夜のホテル。

 

レア「ぷっは〜!色々食べ過ぎてもう食べれないぞ・・・」

 

アンナ「もう、あんなに沢山食べるからよ。無駄遣いし過ぎ。」

 

タクト「良いじゃねえかアンナ。クリミア王国は美味いもんばっかり。俺も少し奮発しちゃったし。」

 

アンナ「タクトさん。レア先輩に甘いんじゃないですか?」

 

タクト「んな事ねえよ。」

 

フェオン「さぁ皆、早く寝なさいよ?」

 

レア「zzz・・・・」

 

イザベラ「って言ってる間に、レアさんがもう寝ちゃってるよ。」

 

エミリー「じゃあ私達も寝るか。」

 

ヒナ「はい。」

 

タクト「俺はもうちょっと起きてるよ。先に寝てて。」

 

ヒナ「分かりました。」

 

女性陣が寝静まり、タクトはベランダから夜空を眺める。

 

グレア「綺麗だね。」

 

ティオ「夜空が綺麗だ。」

 

タクト「なぁグレア。ティオ。俺達がフェオンと共に旅をしてもうすぐ1年が経つんだ。」

 

ティオ「え?もう1年目なの?」

 

タクト「思えば色々あったよな。エルスティアの震災やレンタル奴隷やメイラン。秘境でカサンドラと出会い、レオンとソフィーと出会ってゴディ盗賊団を壊滅したり、人魚の都を救ったり、グレアとティオの再会や、ユエリアンでの戦い。フェルペスハウス事件。コスペル王国のヴィエラとサンタナ。」

 

グレア「うんうん。」

 

ティオ「君達と出逢えて良かった。あのままだったら、僕はレジーナに剥製にされる所だったよ。」

 

グレア「タクト。喧嘩したのは良い思い出だよ?」

 

タクト「それ良い思い出じゃねえぞ。」

 

グレア「そう?」

 

タクト・グレア・ティオ「あははははは。」

 

 

 

 

 

 

深夜。丘の上から、目に見えない何かが国中に蔓延し始め、隙間を通って人々に入り込んだ。

 

 

 

 

翌朝。タクトの部屋。

 

タクト「ん〜・・・!ふぃ〜・・・あ〜良く寝た〜。」

 

グレア「おはよ〜タクト〜。」

 

タクト「ようグレア。ティオも。」

 

するとそこにカサンドラが。

 

カサンドラ「タクト!グレア!ティオ!」

 

タクト「ようカサンドラ。朝から元気だな。何だ?昨日のドーナツがまた食べたいのか?」

 

カサンドラ「大変です!フェオン達が!」

 

タクト「何?」

 

 

 

 

すぐに隣のフェオン達の部屋へ。

 

タクト「皆、どうしたんだ?」

 

フェオン「タ、タクト・・・」

 

イザベラ「苦しいです・・・」

 

タクト「おい!何があったんだ!?」

 

額に触れてみる。

 

タクト「熱っ!!まさかエミリー達も!?」

 

エミリー「すまないタクト・・・」

 

ヒナ「ごめんなさい・・・」

 

レア「うぅぅ・・・怠いぞ・・・」

 

アンナ「コホッコホッ!」

 

タクト「どうなってんだこれは・・・!?昨日はあんなに元気だったのに・・・カサンドラは何ともないのか?」

 

カサンドラ「はい。何故か私だけ・・・」

 

タクト「グレア。ティオ。フェオン達を治療出来るか?」

 

グレア「やってみる!」

 

ティオ「分かった!」

 

タクト「カサンドラ。窓を開けて換気だ。」

 

カサンドラ「はい!」

 

すぐに部屋の窓を開けて換気する。

 

タクト「ん?」

 

外を見ると、男性達が女性達を抱えて慌てる様子が見えた。

 

タクト「何が起こったんだこれは・・・!?」

 

カサンドラ「タクト!ホテルでも異常が起きてます!」

 

タクト「何!?」

 

 

 

 

ホテルのエントランスを見ると、女性達が咳き込んで倒れてる光景が見えた。

 

男性「おい!しっかりしろ!」

 

男性「大丈夫か!?すぐに治療院へ運んでやるから!」

 

タクト「どうなってんだこれは・・・?何で女性ばかりが・・・?」

 

カサンドラ「分かりません・・・私も女なのに無事なのが・・・」

 

 

 

 

部屋に戻った。

 

タクト「2人共。治療はどうだ?」

 

グレア「ダメ・・・変わらない・・・」

 

ティオ「これは、普通の病気じゃなさそうだ・・・」

 

フェオン「コホッコホッ!」

 

タクト「治療院へ連れて行こう。グレア。皆の着替えを。」

 

グレア「分かった!」

 

魔法でフェオン達を瞬時に服に着替えさせた。

 

 

 

 

その後、ウルトラ念力でフェオン達を運ぶ。

 

タクト「おいおい何だよこれ・・・?」

 

治療院が女性達で埋め尽くされていた。

 

カサンドラ「クリミア王国の女性達全員収容されています・・・」

 

ティオ「けど、かなり逼迫してる・・・」

 

タクト「ここはダメだ!何処でもいい。何処か空いてる場所は・・・あ!」

 

 

 

 

空いてる場所は、治療院の隣にある小さな小屋。フェオン達をそっと下ろした。

 

カサンドラ「かなり廃れてますけど・・・」

 

タクト「逼迫した治療院よりはマシだ。皆、大丈夫か?」

 

フェオン「何とかね・・・」

 

アンナ「コホッコホッ・・・」

 

タクト「アンナ・・・」

 

アンナ「大丈夫です・・・すみません・・・」

 

タクト「気にするな。俺達がお前達を治してやる。それまでの辛抱だ。」

 

ヒナ「タクトさん・・・」

 

エミリー「すまない・・・頼んだぞ・・・」

 

タクト「グレアとティオはここでフェオン達を守ってくれ。その間に俺達が治す方法を探す。」

 

グレア・ティオ「うん!」

 

 

 

 

フェオン達をグレアとティオに任せて小屋を出た。

 

タクト「とは言っても、まず状況を把握しないとな。」

 

カサンドラ「はい。朝に目が覚めたら、フェオン達が高熱に侵され、更には国中の女性達がフェオン達と同じように高熱や倦怠感、咳に侵されています。」

 

タクト「だがカサンドラは無事だと。」

 

カサンドラ「はい。その点に疑問を抱いています。」

 

タクト「しかし、一体どう言う事なんだ?何故女性達だけが罹患しているのか・・・」

 

カサンドラ「誰かの陰謀なのでしょうか?」

 

タクト「それもありえるかもな。」

 

???「クソッ!このままじゃ・・・」

 

タクト・カサンドラ「ん?」

 

目の前に、女性を抱えてる男性が焦ってる。その正体は、ゴウだった。彼はツムギを抱えている。

 

タクト「おいアンタ!」

 

ゴウ「き、君達は?」

 

タクト「俺はタクト。こっちはカサンドラだ。」

 

カサンドラ「慌ててる様子を見掛けたので。」

 

ゴウ「僕はゴウ。彼女はツムギだ。君は、大丈夫なのか?」

 

カサンドラ「私ですか?はい。何故か解りませんが・・・」

 

タクト「もうかなり逼迫してる。彼処の小屋ならまだマシだぞ。」

 

ゴウ「本当かい?」

 

タクト「あぁ。」

 

 

 

 

小屋へゴウを連れて行き、ゴウがツムギを寝かせた。

 

グレア「途中で知り合ったんだね。」

 

タクト「あぁ。彼、2週間後に彼女と結婚する予定なんだ。」

 

ティオ「本当なのかい?」

 

タクト「フェオン達も勿論、ツムギも救ってやらないとな。」

 

ゴウ「あの、僕も手伝うよ。」

 

タクト「本当か?」

 

ゴウ「うん。僕も君達と同じ、大切な人を救いたい一心だから。」

 

カサンドラ「ありがとうございます!」

 

ゴウ「でも、これからどうするんだ?救う方法を探すか、発生源を探すか・・・」

 

タクト「それも山々だが、まず彼女達に感染してるウイルスを解明しないとな。」

 

カサンドラ「そうですね。発生源を探す前に確認した方が得策かと・・・」

 

タクト「まずは。」

 

異空間収納から、7本の試験官と試薬を取り出した。

 

タクト「それで次は。」

 

今度は水が入った水筒とコップを7つ取り出し、コップに水を注ぐ。

 

タクト「ゴウ。カサンドラ。このコップでフェオン達をうがいさせて、コップに戻してくれ。」

 

カサンドラ「はい。」

 

ゴウ「分かった。」

 

タクト「フェオン。ちょっと濯いでくれ。」

 

フェオン「ありがとう・・・」

 

水をフェオンの口に入れ、フェオンが濯いでコップに戻した。

 

カサンドラ「イザベラもどうぞ。」

 

イザベラ「カサンドラさん・・・」

 

他の皆も口を濯いでコップに戻した。

 

ゴウ「ツムギ。」

 

ツムギ「ゴウ・・・ありがとう・・・」

 

彼女も口を濯いでコップに戻した。

 

ゴウ「持って来たよ。」

 

タクト「ありがとう。」

 

スポイトで濯いだ水を吸ってから、7つの試験官に入れた。

 

タクト「これでどんなウイルスかハッキリするな。」

 

7つの試験官を揺らすと、試薬が赫色に変わった。

 

ゴウ「赫くなった・・・!」

 

タクト「これは・・・ミテラキラーか!?」

 

ゴウ「え!?」

 

カサンドラ「ミテラキラー?」

 

タクト「通称・母体殺し。女性だけに感染し、発熱や倦怠感などを引き起こすウイルス。コイツに感染した人の中には、不妊症になってしまうケースがある。」

 

カサンドラ「不妊症!?」

 

ゴウ「そんな!?」

 

カサンドラ「でも、何で私だけ感染されてないんですか?」

 

タクト「亜人でも感染してしまうケースがあるが、カサンドラは何故無事なのか不明だ。」

 

カサンドラ「亜人の私でも感染しない・・・?」

 

タクト「潜伏期間はおよそ4〜5日。中には軽症や無症状の人も居る。」

 

カサンドラ「それで、そのミテラキラーを治療する方法はないんですか?」

 

ゴウ「あるんだ。ミテラキラーに特化した薬草がこのクリミア王国にも売ってるんだ。」

 

カサンドラ「ではそれを買いに・・・」

 

タクト「それが出来れば苦労しない。」

 

カサンドラ「え?」

 

タクト「ミテラキラーの薬草は金貨70枚とかなりの高値だ。」

 

カサンドラ「金貨70枚!?」

 

タクト「俺ちょっと買いに行って来る。」

 

 

 

 

薬草を買いに行ったタクト。

 

タクト「ッ!!」

 

だがそこでは、男性達が薬屋に押し寄せていた。

 

男性「おい押すなよ!どけ!」

 

男性「お前がどけよ!」

 

タクト「こっちも逼迫してやがる・・・」

 

そう言ってから、男性達の間を潜り抜ける。

 

 

 

 

薬屋。

 

タクト(クソッ!押し寄せて苦しい・・・!お!あった!)

 

薬草を7本手に取り、金貨490枚出して買った。

 

 

 

 

薬草を買ってすぐに小屋へ戻り、フェオン達に飲ませた。

 

タクト「このまま安静にすれば完治出来るはずだ。」

 

レア「タクト・・・ありがとう・・・」

 

アンナ「助かります・・・」

 

タクト「俺はお前達を失いたくない。アステール達に命を奪われた時の二の舞にしたくないんだ。」

 

ヒナ「タクトさん・・・」

 

ゴウ「ツムギ、薬草飲ませたから大丈夫だ。」

 

ツムギ「ありがとうゴウ・・・皆さんも・・・」

 

カサンドラ「いえいえ。」

 

タクト「よし、次は発生源を探そう。」

 

 

 

 

 

 

外へ出て、発生源を探しに向かう。

 

カサンドラ「まずは何処から探します?」

 

タクト「なぁゴウ。ツムギが感染した場所は分かるか?」

 

ゴウ「それは・・・あ!」

 

 

 

 

昨日、丘の上でツムギが咳き込んでるのを思い出した。

 

 

 

 

ゴウ「もしかしたら、丘の上かも!」

 

 

 

 

 

 

すぐに丘の上へ向かった。

 

タクト「ほう。結構良い眺めだな。」

 

ゴウ「そう。ここでツムギが咳き込んだんだ。多分それで感染を。」

 

タクト「隈なく探そう。」

 

3人は手分けして、発生源を探る。

 

 

 

 

森の中。

 

タクト「この森にあるはずだ・・・」

 

 

 

 

デートスポット。

 

ゴウ「一体何処に発生源が・・・」

 

 

 

 

崖の周辺。

 

カサンドラ「何処にも見当たらない・・・ん?」

 

彼女があるものを発見した。

 

 

 

 

カサンドラ「タクト!!ゴウ!!」

 

タクト「見付けたか!?」

 

ゴウ「何処だ!?」

 

 

 

 

カサンドラ「あれです!」

 

崖の下に何かが埋まっていた。

 

タクト「何だあれ?」

 

透視能力で埋まっている何かを調べる。

 

タクト「ッ!あれ、ミテラキラーの塊か!」

 

カサンドラ・ゴウ「!?」

 

タクト「成る程。あの塊からミテラキラーが風に乗ってクリミア王国を覆い尽くしてるのか。」

 

カサンドラ「早く破壊しないと。」

 

タクト「そうだな。行くぞカサンドラ!」

 

カサンドラ「はい!」

 

タクト「タァッ!」

 

カサンドラ「ハァッ!!」

 

タクトのハンドスラッシュとカサンドラの斬撃で塊を破壊しようとしたが。

 

カサンドラ「クッ!」

 

タクト「硬い!?」

 

塊に傷1つすら付かなかった。

 

ゴウ「そんな・・・!?」

 

すると塊が発光した。

 

カサンドラ「な、何!?」

 

タクト「カサンドラ!退避しろ!」

 

カサンドラ「はい!」

 

崖をジャンプで駆け上って退避した。

 

ゴウ「何が起こったんだ・・・!?」

 

すると塊から、赫色のドレスを纏った女が現れた。

 

タクト・カサンドラ・ゴウ「ッ!?」

 

女「アハハハハハハ!私に逆らう輩が居たもんだね!」

 

タクト「お前は!?」

 

女「私はクイーンミテラ。ミテラキラーの根源とでも言うべきかしら?」

 

カサンドラ「あなたは何故ミテラキラーを撒き散らすのですか!?」

 

クイーンミテラ「何故って、あのお方に言われたから撒き散らしてるだけよ。」

 

ゴウ「あるお方って誰なんだ?」

 

クイーンミテラ「Dr.ミテラ。ミテラキラーを開発した偉大な魔法学者。ドクターは自分の醜い顔を恨み、自分以外の女共を消し去る一心で私を作った。私はドクターの意のままに従うだけ。」

 

カサンドラ「でしたら、そのドクターに合わせて下さい!」

 

クイーンミテラ「残念だが、ドクターは10年前に他界した。だから私は死んだドクターの命令に従うだけ。私を止めたいのなら、私を倒すのみだ!!」

 

タクト「クッ!」

 

クイーンミテラ「手始めに、この国を完全に覆い尽くしてやる!!」

 

赫い粒子を巻きながら上昇して、街へ飛翔した。

 

カサンドラ「タクト!奴はミテラキラーで飛んでます!」

 

ゴウ「ツムギ達が危ない!!」

 

急いで小屋へ向かった。

 

タクト「カサンドラは塊を壊し続けてくれ!」

 

カサンドラ「はい!」

 

 

 

 

街中。

 

クイーンミテラ「ハァッ!!」

 

両手を広げてミテラキラーを撒き散らした。

 

男達「ウッ!ぐああああああ!!!」

 

突然男達がミテラキラーに感染してしまった。

 

クイーンミテラ「アッハッハッハ!!女だけ感染すると思ったか!!私のミテラキラーは男共でも感染させれるんだよ!!!」

 

 

 

 

丘の上。

 

タクト「何だと!?カサンドラ!急いでくれ!」

 

カサンドラ「はい!」

 

タクト「奴を止める!!」

 

スパークレンスを掲げて光を解放した。

 

 

 

 

 

 

街中でクイーンミテラがミテラキラーを撒き散らしてる。

 

クイーンミテラ「アッハッハッハ!!」

 

すると青い光がミテラキラーを遮った。

 

クイーンミテラ「何だ!?」

 

ティガ「タァッ!!」

 

上空からティガが現れ、ブライトショットでクイーンミテラを落とした。

 

クイーンミテラ「ガハッ!!!」

 

倒れたクイーンミテラの前にティガが着地した。

 

ティガ「フッ!」

 

クイーンミテラ「クッ!新たな邪魔者か!ならば!!」

 

両手を天に掲げる。

 

 

 

 

 

 

塊から赫い光が射出された。

 

カサンドラ「これは!?」

 

 

 

 

 

 

赫い光がクイーンミテラに吸収された。

 

ティガ「ッ!?」

 

クイーンミテラ「漲る!力が漲る!!」

 

ティガ「ーーーーーハァッ!!」

 

マルチタイプからパワータイプへタイプチェンジした。

 

ティガ「タァッ!ハァッ!タァッ!」

 

クイーンミテラにパワーパンチとパワーキックの連続攻撃。

 

ティガ「タァッ!!」

 

顔面にパワーパンチを喰らわしたが、クイーンミテラはノーダメージ。

 

クイーンミテラ「その程度かしら?」

 

ティガ「ッ!?」

 

クイーンミテラ「ハァッ!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

顔面を殴られて飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

カサンドラ「まさか、この塊から力を吸収してる!?」

 

 

 

 

 

 

ティガ「アァッ!!」

 

反撃するティガだが、クイーンミテラには通用しなかった。

 

クイーンミテラ「死ね!!」

 

ジャンプしてティガにマウントしたが。

 

ティガ「タァッ!!」

 

パワーキックで蹴り返された。

 

ティガ「タァッ!」

 

クイーンミテラ「無駄よ!」

 

パワーキックを受け止め、ティガの腹部を殴る。

 

ティガ「アァッ!」

 

 

 

 

 

 

カサンドラ「ハアアァァァァ!!!!」

 

両手に剣を握って、塊を斬撃するが。

 

カサンドラ「はぁ・・・はぁ・・・やっぱり普通の武器は敵わない・・・!」

 

尚も塊からミテラキラーが噴出する。

 

 

 

 

 

 

ミテラキラーがクイーンミテラへ吸収される。

 

クイーンミテラ「アハハハハハハ!最早私に敵う奴は誰も居ない!!お前もその1人だ!!」

 

ティガ「ッ!タァッ!」

 

クイーンミテラ「アァッ!!」

 

ジャンプしたティガが、パワーキックでクイーンミテラを叩き付けた。

 

ティガ「ハァッ!ハァッ!」

 

腕を掴み、腹部にエルボーを叩き込む。

 

クイーンミテラ「鬱陶しい!!」

 

ティガ「ドゥアッ!」

 

逆に掴まれ、後ろへ投げられた。

 

クイーンミテラ「これでどうよ!!」

 

ティガ「アァッ!!」

 

背負い投げされたティガが倒れた。

 

”ピコン”

 

ティガ「・・・!」

 

 

 

 

 

 

カサンドラ「・・・そうだ!フェオンの大剣があれば!でもフェオンはまだ・・・」

 

???「私の大剣なら行けるって言うのね?」

 

カサンドラ「え!?」

 

崖の上に、完治されたフェオン達が立っていた。

 

カサンドラ「フェオン!皆さんも!」

 

ゴウ「カサンドラさん!僕が呼びました!」

 

ツムギ「大丈夫ですか!?」

 

カサンドラ「ゴウ!ツムギ!」

 

フェオン「よくも私達を苦しめたわね。たっぷり礼をしてあげるわ!!」

 

崖の上からジャンプし、大剣を振り上げる。

 

フェオン「砕け散れェェーーーーーーーー!!!!!」

 

振り下ろした大剣が、ミテラキラーの塊を粉砕した。

 

 

 

 

 

 

クイーンミテラ「何!?」

 

塊が破壊され、クイーンミテラが弱体化した。

 

クイーンミテラ「そんな馬鹿な・・・!?」

 

ティガ「ッ!!」

 

クイーンミテラ「クソッ!!人間の分際で!!」

 

両手を広げてミテラキラーをティガに向けて放射した。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

だがティガがウルトラシールドを展開して防いだ。

 

クイーンミテラ「忌々しい忌々しい!!死ねえええええ!!!!」

 

怒り狂ったクイーンミテラがティガに猛ダッシュする。

 

ティガ「タァッ!!」

 

しかしティガが猛ダッシュするクイーンミテラをタックルで押し返した。

 

ティガ「タァッ!!タァッ!!」

 

弱体化したクイーンミテラに何度も打撃を与える。

 

ティガ「タァッ!!」

 

パワーキックがクイーンミテラを蹴り飛ばした。

 

クイーンミテラ「こんな・・・馬鹿な事が・・・!」

 

ティガ「フッ!ハアァァァァ!!!」

 

両腕を左右から上にあげ、胸の前に集めた超高熱のエネルギーを光球にした。

 

ティガ「タァッ!!」

 

右手を突き出すして放つデラシウム光流が、クイーンミテラに直撃した。

 

クイーンミテラ「ドクタアアァァァァーーーーーー!!!!!」

 

最期は生みの親を叫びながら爆散した。

 

 

 

 

 

 

フェオン「やった!!」

 

レア「やったぞ!!」

 

 

 

 

 

 

ティガ「・・・・・」

 

光となって、タクトに戻った。

 

 

 

 

 

 

クイーンミテラが倒され、破片となった塊が光となって消滅した。同じくして、ミテラキラーに感染してしまった男女達が一瞬で回復した。こうしてミテラキラーは収束を遂げた。

 

 

 

 

 

 

収束後。

 

ツムギ「皆さんのお陰で助かりました。ありがとうございます。」

 

フェオン「いえいえ。ゴウさんのお陰でもあるんですよ。」

 

ゴウ「うん。大切な人を守るのが僕の務めだからね。」

 

ツムギ「ゴウ・・・」

 

タクト「お2人は結婚式挙げるんだろ?御幸せに。」

 

ツムギ「あの、その事なんですけど・・・」

 

タクト「ん?」

 

ツムギ「実はゴウと話し合ったんです。それで。」

 

ゴウ「君達を、僕達の結婚式に招待してあげようかと。」

 

タクト「え!?」

 

イザベラ「良いんですか!?」

 

ゴウ「勿論!ツムギを救ってくれた恩返しとして!それに、僕達の両親も君達を気に入ってくれてるんだ。」

 

レア「おぉ!これは2人を盛大に祝わねばならないな!」

 

アンナ「是非お願いします!」

 

2週間後。ゴウとツムギの結婚式にタクト達が招待され、タクト達は2人を盛大に祝った。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩

ゴウ:長井新
ツムギ:上原あかり

男達:野瀬育二
   増岡大介
   田所陽向
   橘龍丸

クイーンミテラ:桑島法子





次回予告

クリミア王国に訪れた、歌劇団・Nights。しかし演目直後に火災や客達の暴動が勃発した。Nightsの演目に隠された恐ろしい事実とは・・・

次回ウルトラマンティガ

悪魔のレヴュー

お楽しみに


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15/悪魔のレヴュー

悪魔のレヴュー
Nights 登場



ミテラキラーが無事終息し、ゴウとツムギの結婚式を祝福したその3日後。

 

ヒナ「タクトさん、知っていますか?」

 

タクト「何を?」

 

ヒナ「タクトさんが私達と一緒に旅をして1周年ですよ?」

 

タクト「そうか。もう1年経つのか。」

 

フェオン「早いわね。タクトとグレアと一緒に居るの。」

 

レア「お前達と一緒に居ると、楽しくてしょうがないんだよ!」

 

グレア「うんうん!私も楽しいよ!皆と一緒に旅して!」

 

エミリー「はは。グレアは相変わらず元気だな。」

 

タクト「1年かぁ・・・色々あったもんな。エルスティアの震災やレンタル奴隷やメイラン。秘境でカサンドラと出会い、レオンとソフィーと出会ってゴディ盗賊団を壊滅したり、人魚の都を救ったり、グレアとティオの再会や、ユエリアンでの戦い。フェルペスハウス事件。コスペル王国のヴィエラとサンタナ。クリミア王国で起こったミテラキラー。思い出してみると、よくここまで来れたなって感じがするな。」

 

イザベラ「はい。」

 

タクト「でも、1つだけ怖かった事があったんだ。」

 

イザベラ「怖かった事?」

 

タクト「ユエリアンの時、お前達を失いそうになった事。」

 

フェオン・イザベラ・エミリー・ヒナ・レア・アンナ「あ・・・」

 

タクト「アステール達と戦ってる時、俺はお前達の仇討ちの為に戦ったんだ。けど本当は怖かった。もうお前達を手放してしまうのかって。」

 

フェオン「タクト・・・」

 

タクト「でも、お前達が生き返った時は嬉しかったんだ。大切な仲間達が戻って来たんだ。」

 

エミリー「タクト・・・」

 

タクト「俺はもう絶対にお前達を手放さない。どんな事があっても、絶対に。」

 

フェオン「・・・ありがとう。」

 

タクト「?」

 

フェオン「私達の為に戦ってくれた事。今でも感謝してるわ。」

 

タクト「フェオン・・・」

 

感謝するフェオンに、タクトが撫でた。

 

フェオン「ち、ちょっと止めてよ・・・恥かしいじゃない・・・」

 

顔が赤くなって照れる。

 

タクト「いや、何時も母親みたいなフェオンも可愛いからさ。」

 

フェオン「何おォ!?私はお母さんじゃないわよ!!女子力溢れるお姉さんよ!?」

 

タクト「まずその女子力を磨いたらどうだ?大剣持って戦ってるんだしさ。」

 

フェオン「これは私の武器だからしょうがないじゃない!それに何よ妻に向かってその言い方は!」

 

タクト「ごめんごめん。」

 

全員「あははははは!」

 

アンナ「それでね、タクトさんにある情報を持って来たんですよ。」

 

タクト「ある情報?」

 

アンナ「これです!」

 

1枚のチラシを見せた。

 

タクト「歌劇団・Nights来国。翌日新作公演?」

 

アンナ「はい!世界中で人気の歌劇団Nightsがクリミア王国で新作公演するんですよ!」

 

タクト「へぇ〜、Nightsかぁ!アーサー達今でも人気だな。」

 

レア「何だ?タクト、Nightsを知ってるのか?」

 

タクト「お前達に会う前に、会った事があるんだ。」

 

ティオ「へぇ〜!意外な境遇だね!」

 

カサンドラ「どんな時に知り合ったんですか?」

 

タクト「歌劇団長のアーサーの娘のミリアムが盗賊団に攫われた時に偶然知り合って、そして2人でミリアムを助けた。それ以来仲を深めたんだ。また会えるなんて楽しみだ。」

 

エミリー「タクトの良い思い出が増えたみたいだな。」

 

ヒナ「はい。」

 

 

 

 

 

 

翌日。クリミア大劇場へ来場し、客席に座った。

 

エミリー「私達はここか。赤色の座席もあるんだな。」

 

アンナ「新作公演楽しみ〜♪」

 

タクト「アンナはNightsのファンなのか?」

 

アンナ「はい!幽玄溢れる舞台は魅力の1つですから!」

 

ヒナ「皆さん、始りますよ。」

 

 

 

 

Nightsの新作公演・拝啓リオスタ=エンリオ。

 

シャーロット「私は・・・私の命であなたに捧げます!リオスタ!」

 

歌劇団のバイオリニストのチャックがバイオリンを奏で、歌姫のシャーロットが華麗な歌声を披露する。

 

 

 

 

タクト(劇団の皆、華麗に舞ってるなぁ。幽玄さも伊達じゃないな。)

 

 

 

 

新作公演が終わり、劇団員達に拍手喝采が起こったその時。

 

”キャアアアアア!!!”

 

全員「!?」

 

客達の中に、数名が暴動を起こしたのだ。

 

タクト「な、何だ!?」

 

更にそこに。

 

館長「皆さん大変です!大劇場に火が!」

 

何と、クリミア大劇場で火災が起きたのだ。

 

観客達「キャアアアアア!!!」

 

火災が起きた事で、観客達がパニックになって逃げ惑う。

 

館長「皆さん!落ち着いて下さい!!」

 

観客「どけよ!!」

 

観客「早く出して!!」

 

タクト「ダメだ!皆パニックになってやがる・・・!」

 

カサンドラ「どうしましょう?」

 

タクト「グレアとティオは魔法で客達のパニックを抑えてくれ!」

 

グレア・ティオ「任せて!」

 

タクト「ヒナは外へ出て水魔法で鎮火を頼む!」

 

ヒナ「分かりました!」

 

タクト「フェオンとイザベラとレアとアンナとカサンドラは火災源を調べてくれ!」

 

フェオン「分かった!」

 

レア「おう!」

 

イザベラ・アンナ「はい!」

 

タクト「俺は放火犯を探しに行く!」

 

別々に行動を開始した。

 

 

 

 

劇場のステージに立った。

 

タクト「何処だ?放火犯は?」

 

透視能力で放火犯を探す。

 

タクト「・・・・・」

 

しかし、それらしき人物が見当たらない。

 

タクト(何処にも居ない・・・既に逃げたのか・・・?)

 

ヒナ「タクトさん!」

 

外からヒナが戻って来た。

 

ヒナ「何とか鎮火しました!」

 

タクト「ありがとう。向こうも収まったようだな。」

 

パニックになった観客達を落ち着かせたグレアとティオが戻って来た。

 

グレア「ふぅ〜。」

 

ティオ「終わったよ。」

 

タクト「後はフェオン達か。」

 

フェオン「タクト!!」

 

丁度そこにフェオン達が戻って来た。

 

タクト「どうだった?火災源は?」

 

イザベラ「探し回ったんですけど・・・」

 

レア「何処にもないんだ。」

 

タクト「火災源が何処にもない・・・」

 

アンナ「もしかしたら、放火犯が火災源を魔法で消し去ったとか?」

 

タクト「いや、それらしき人物が居なかった。」

 

レア「じゃあ一体・・・・」

 

???「タクト君!!」

 

タクト「ん?」

 

そこに、1人の男が来た。

 

タクト「アーサー!」

 

Nightsの歌劇団長のアーサー=ハーヴェイ。

 

アーサー「久し振りだね。君も観に来てくれたんだね。」

 

タクト「けど、災難な目に遭ったな。」

 

アーサー「そうなんだよ・・・ん?そちらの方々は?」

 

タクト「俺の仲間達だ。」

 

???「あなた!」

 

???「お父さん!」

 

そこに1人の女性と少女が来た。

 

アーサー「マギー!ミリアム!」

 

タクト「よう!マーガレット!ミリアム!」

 

マーガレット「あ!タクト君!」

 

ミリアム「お久し振りです!」

 

その後ろから、劇団員達が来た。

 

タクト「新作公演なのに、悲惨な目に遭ったな。」

 

アーサー「あぁ。長年も公にされてなかった演目だったからな。」

 

フェオン「長年も公にされてなかった?それってどう言う事ですか?」

 

シャーロット「実はこの拝啓リオスタ=エンリオは、逝去された舞台脚本家エリスタ=オリオン氏が書いた演目なんです。」

 

歌劇団Nightsの歌姫のシャーロット。

 

タクト「エリスタ=オリオン・・・」

 

グレア「それで、何で公に出さなかったの?」

 

チャック「この台本は、エリスタ氏が完成したと同時に逝去してしまって、最近になって彼女の遺品の中にこれが発見されたんです。」

 

Nightsのバイオリニストのチャック。

 

ヒナ「何か遺書とか遺されたんですか?」

 

アーサー「いや、ただ彼女の親族からエリスタが亡くなる直前に不可思議な言葉を口にしたと。」

 

ティオ「不思議な言葉?」

 

アーサー「確か・・・」

 

 

 

 

 

 

『クリミアに命を捧げて悪魔を呼ぶ・・・』

 

 

 

 

 

 

アーサー「と言っていた。」

 

タクト「クリミアに命を捧げて悪魔を呼ぶ?」

 

アーサー「それが何なのか、未だに分からないんだ・・・」

 

タクト「・・・なぁ、その台本あるか?俺に見せてくれ。」

 

アーサー「分かった。」

 

拝啓リオスタ=エンリオの台本を読む。

 

タクト「・・・・」

 

レア「何か分かったのか?」

 

タクト「面白い演目だが、何か引っ掛かるんだよなぁ・・・」

 

グレア「引っ掛かるって、何が?」

 

タクト「何だろう・・・かくれんぼ的な?」

 

全員「かくれんぼ?」

 

タクト「この台本に、何か秘密がありそうなんだが・・・ん?」

 

台本の中に、不可思議な台詞があった。

 

タクト(シャーロットさんの歌唱台詞のDead。死を意味する言葉。何か違和感を感じる・・・)

 

ステージを歩きながら考える。

 

タクト(公演終了直後に火災と観客達の暴動・・・ん?)

 

観客席を見ると、赤い座席が7席あった。

 

タクト(客席が7つ赤い・・・そう言えばさっきエミリーが。)

 

 

 

 

エミリー『赤色の座席もあるんだな。』

 

 

 

 

タクト「・・・もしかして!」

 

全員「ん?」

 

タクト「なぁ、誰か覚えてないか?赤い座席に座った観客を。」

 

アーサー「いやそれは・・・」

 

シャーロット「あ、私覚えています!」

 

タクト「どんな人だ?」

 

シャーロット「厳つい男性と、温厚な女性と、若い男性と若い女性、老人と10代の男の子と女の子、そして老婆の方でした。」

 

タクト「さっき暴動を起こした7人だ。あの赤い座席に秘密が?」

 

 

 

 

7つの座席をタクト達が調べる。

 

フェオン「何か気も引ける調査だけど・・・」

 

イザベラ「何か隠されてるかも。」

 

”ガコッ!”

 

エミリー「ん?」

 

ヒナ「エミリーちゃん?どうかしました?」

 

エミリー「この座席、隠しスイッチで外れたぞ!?」

 

タクト「隠しスイッチ?」

 

エミリー「座席の下のナットだ!それを回してみてくれ!」

 

赤い座席の下のナットを回すと。

 

”ガコッ!”

 

タクト「外れた!」

 

赤い座席を外すと、そこにあったのは。

 

タクト「箱?」

 

フェオン「こっちもあったわ!」

 

 

 

 

7つの赤い座席の下から、それぞれ1つずつ箱が出て来た。

 

カサンドラ「何ですかこれ?」

 

タクト「・・・開けてみよう。皆離れてろ。」

 

ウルトラ念力で7つの箱を開けた。異常はない。

 

タクト「・・・ん?」

 

ゆっくりと箱の中を覗く。

 

タクト「!?」

 

その中身は・・・

 

 

 

 

 

 

人間の骨と心臓らしき物体が入っていた。

 

 

 

 

 

 

レア「な、何でこれが・・・!?」

 

アンナ「うぅっ・・・」

 

フェオン「・・・・・」

 

イザベラ「お姉ちゃんが気絶してる・・・」

 

タクト「右腕、左腕、胴体、右足、左足、頭蓋骨、心臓・・・一体誰のだ・・・?」

 

アーサー「・・・ん?」

 

心臓が入ってる箱に、1枚の紙があった。

 

アーサー「タクト君、紙が。」

 

タクト「紙?」

 

その紙を手に取った。

 

タクト「手紙・・・いや、遺書か?書き出し人は・・・エリスタ=オリオン!?」

 

全員「!?」

 

遺書を読み上げる。

 

タクト「・・・」

 

 

 

 

 

 

『私の父は、このクリミア大劇場の設計に没頭する為に家族を捨てた男。私はそんな父を赦す訳がない。だが父は、クリミア大劇場を完成した翌日に急逝した。父に復讐出来なかった私は、父が造ったクリミア大劇場を崩す決意を固めた。私が死んだ後は、極秘で火葬され、大劇場の赤い座席に納められる。その座席に座った者は、私が書いた呪文で操られ暴動を起こす。暴動が終わる頃には記憶も消し去る。そして、私の髪の毛が埋め込まれた場所から火が発生する。これで準備が整った。家族を捨てた父よ、自分が造った大劇場が崩れる様を見物するがいい。』

 

 

 

 

 

 

タクト「エリスタは自分の父に復讐する為に・・・この計画を・・・」

 

ヒナ「じゃあ、あの遺骨はまさか・・・」

 

エミリー「エリスタ氏本人だろう・・・」

 

マーガレット「あなた、この台本を処分するしか。」

 

アーサー「・・・そうだな。同情はするけど、周りの人達に危害を加えたくないからな。」

 

シャーロット・チャック「はい。」

 

『愚か者めが!!』

 

全員「!?」

 

突然、女の声が劇場内に響いた。

 

フェオン「だ、誰!?」

 

レア「何処から!?」

 

『私の作り上げた台本を処分するなど言語道断!!』

 

タクト「っ!!」

 

その声は、心臓からだった。すると心臓が浮遊した。

 

タクト「お前・・・エリスタなのか?」

 

心臓『お前達は気付いていないだろう?私が丹精込めて作り上げた台本。あれは私へ送る台本なのだ。』

 

ミリアム「エリスタ氏へ送る台本・・・?どう言う事ですか?」

 

タクト「・・・まさか!リオスタ=エンリオ・・・エリスタ=オリオンのアナグラムか!!」

 

心臓『如何にも。』

 

レア「アナグラム?何だそれ?」

 

アンナ「文字を入れ替えて別の言葉にする言葉遊びよ・・・」

 

心臓『シャーロット!』

 

シャーロット「っ!?」

 

心臓『お前が歌唱したDead。あれは死と言う意味ではない。』

 

シャーロット「え!?」

 

心臓『あれは、悪魔へ変貌を遂げた私を降臨させる言葉だ!』

 

シャーロット「Deadが・・・悪魔を降臨させる言葉・・・?」

 

タクト「そうか。あれは、悪魔召喚の頭文字を取ってDeadにしたのか。」

 

心臓『理解が早いな。この劇場を守りたいのなら、私を倒すがいい!Devil Advent!』

 

呪文を唱えると、心臓が光り輝いた。

 

チャック「・・・!」

 

アーサー「何が起きるんだ!?」

 

そして、エリスタの遺骨が心臓に吸収され、人の形となった。

 

エリスタ「・・・・」

 

両目が黒く、宝石が装飾された白のドレスを着たエリスタ=オリオンがゆっくりとステージに降り立った。

 

エリスタ「ご機嫌よう。私はエリスタ=オリオン。偉大な舞台脚本家である。」

 

カサンドラ「あなたがエリスタ=オリオン。お父上に復讐する為に・・・」

 

エリスタ「だが父は私が鉄槌を下す前に急逝した。だから、憎い父が造り上げたこの大劇場を破壊する!」

 

右手から光弾を発射した。

 

タクト「ッ!!」

 

前に出たタクトが左手で跳ね返した。

 

エリスタ「ほう?人間が私に刃向かうのか!」

 

接近したエリスタがタクトに攻撃を仕掛けるが。

 

タクト「ッ!!」

 

バク転で避けられ、ハンドスラッシュで左肩を掠められた。

 

エリスタ「・・・ならば、これはどうだ!!」

 

ステージに巨大な結界が張られた。

 

フェオン「な、何よこれ!?」

 

ミリアム「お父さん!出られません!」

 

エリスタ「フッフッフ・・・」

 

右手で赤い光を膨張させる。

 

アーサー「まさか、私達諸共爆発するつもりか!?」

 

タクト「ッ!!」

 

”ドゴオオォォォン!!!”

 

ステージが大爆発した。

 

 

 

 

 

 

すると観客席に光が降り注ぎ、フェオン達やアーサー達Nightsが転移された。

 

シャーロット「あ、あれ?」

 

マーガレット「生きてる・・・!?」

 

フェオン「タクトは!?」

 

レア「まさかタクトが!」

 

 

 

 

エリスタ「・・・・」

 

ステージの爆煙が晴れると、エリスタが立っている。そして彼女の目線には、佇むウルトラマンティガの姿があった。

 

ティガ「フッ!!」

 

ファイティングポーズを取り。

 

ティガ「タァッ!!」

 

走り出してエリスタの両肩を掴むが。

 

エリスタ「フンッ!!」

 

ティガ「ウッ!!」

 

膝蹴りを喰らい、後ろへ倒れた。すぐにティガが立ち上がり。

 

ティガ「タァッ!!」

 

マルチキックでエリスタの腹部を蹴り込んだ。

 

ティガ「タァッ!!」

 

怯んでる隙にティガがエリスタの右腕を掴み、背負い投げで投げ飛ばした。

 

エリスタ「・・・」

 

しかしエリスタは何事もなかったかのように立ち上がり、ティガを睨む。

 

ティガ「タァッ!」

 

走り出すティガ。だがエリスタが華麗に舞い上がり、ヒールでティガの背中を蹴った。

 

ティガ「アァッ!」

 

背中を蹴られたティガが膝を着いた。

 

ティガ「・・・ッ!?」

 

すぐに周りを見たが、エリスタの姿がなかった。

 

ティガ「・・・!?」

 

だが後ろから羽交い締めにされた。

 

ティガ「アァッ!!」

 

自身を羽交い締めにしてるエリスタの腹部にエルボーで離させて顔を掴む。

 

ティガ「ハァッ!」

 

そのまま巴投げで後ろへ投げ飛ばした。

 

ティガ「!?」

 

だがエリスタの姿が消え、すると。

 

”〜〜〜♪”

 

突如オーケストラが劇場に響いた。

 

 

 

 

『BGM:夜の女王のアリア』

 

紺色のライトが照らされた漆黒の羽が無数に舞い散るステージに、エリスタとティガが佇む。

 

2人が同時に走り、お互いが擦れ違う。

 

同時に回りながら真ん中へ進み、ティガがブレーンチョップを繰り出したが、エリスタが顔を横に傾けて避けた。

 

2人がお互いの距離を取って再び接近し、ティガのブレーンチョップをエリスタが避けた。

 

 

 

 

ティガ「タァッ!」

 

今度はバックに月が浮かぶ夜のステージになった。

 

エリスタ「フンッ!!」

 

ティガ「ッ!」

 

攻撃を仕掛けるエリスタを、ティガが側転して躱した。

 

ティガ「フッ!!」

 

振り向いたエリスタの腹部を掴んで押し返すが。

 

エリスタ「ハッ!!」

 

腹部に膝蹴りされた。

 

エリスタ「フッ!!」

 

そのままティガの首を右手で掴み上げる。

 

エリスタ「ッ!!」

 

苦しんでるティガに左手で生成した魔法弾を打ち込もうとしたが。

 

ティガ「ッ!!」

 

スラップショットがエリスタの魔法弾を破裂させた。

 

”ピコン”

 

ティガ「タァッ!!」

 

マルチキックがエリスタの顔面に直撃し、エリスタが後ろへ倒れた。

 

エリスタ「グゥゥ・・・!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

起き上がったエリスタにマルチパンチを繰り出したが避けられ、エリスタに膝を蹴られてバランスを崩した。

 

エリスタ「ッ!!」

 

ティガ「アァッ!!」

 

起き上がった瞬間に右肩にカカト落としされ、顔を掴まれて後ろへ投げられた。

 

ティガ「ッ!!」

 

飛び蹴りするエリスタを、ティガが前へ転がって避けた。

 

エリスタ「フンッ!!」

 

ティガ「ッ!!タァッ!!」

 

魔法弾を連射しようとするエリスタにウルトラシールドを展開。1発の魔法弾がエリスタの胸に直撃した。彼女の胸から心臓が現れた。

 

ティガ「ッ!!」

 

両腕を前に突き出し交差させ、大きく横にゆっくり広げてエネルギーを集め、ゼペリオン光線がエリスタの心臓に直撃した。心臓を破壊されたエリスタが優しい笑顔になって光となり消滅した。

 

ティガ「・・・・・」

 

消滅したエリスタを見届けたティガが、光となってタクトの姿に戻った。

 

『BGM END』

 

 

 

 

 

 

エリスタ=オリオンとの戦いの後、クリミア大劇場で再びNightsの公演が始まった。

 

タクト「やっぱり、Nightsは幽玄で美しいなぁ。」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩

アーサー=ハーヴェイ:代永翼
マーガレット=ハーヴェイ:西墻由香
ミリアム=ハーヴェイ:遠藤璃菜

シャーロット:河野ひより
チャック:狩野翔
館長:星野充昭

観客:野瀬育二
   増岡大介

エリスタ=オリオン:渡辺明乃





次回予告

クラスティール公爵の令嬢・ベルゼ。国民達は、彼女の生誕祭で賑わいを見せた。だが王国に、殺人事件が勃発し始めた。

次回ウルトラマンティガ

溺れた力

お楽しみに


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16/溺れた力

溺れた力
ベルゼ=クラスティール 登場



クリミア王国滞在1ヶ月。

 

フェオン「もう滞在1ヶ月目かぁ。明後日は出発ね。」

 

ヒナ「楽しかったですね。Nightsの演目が素晴らしかったです。」

 

アンナ「はい!何時かまた鑑賞したいですね!」

 

カサンドラ「そう言えば昨日、ゴウとツムギと会いましたよ。」

 

エミリー「そうなのか?2人は今どうしているんだ?」

 

カサンドラ「家族達と引っ越しするんです。別の国で新居を買ったって。」

 

レア「そっかぁ。また会えると嬉しいな。」

 

エミリー「あぁ。」

 

ティオ「皆、明後日の出発前にまたイベントがあるらしいよ?」

 

イザベラ「どんなイベントですか?」

 

グレア「この国のクラスティール公爵令嬢のベルゼ様の生誕祭があるんだって。」

 

ヒナ「クラスティール公爵は確か、クリミア国王陛下の弟さんでしたね。」

 

そこにタクトが戻って来た。

 

タクト「何の話してるんだ?」

 

ヒナ「あ、タクトさん。今・・・え!?」

 

突然ヒナが驚いた。

 

エミリー「どうしたヒナ?ええ!?」

 

フェオン「ちょ、ちょっとタクト!何してるの!?」

 

タクト「何って何?」

 

フェオン「その娘よ!」

 

タクト「え?あぁ。」

 

彼の横には、ボロボロの少女が居た。

 

タクト「紹介しよう。彼はジュリアン=フィッツバード。奴隷らしくてな。裏路地で倒れてる所を俺が助けたんだ。」

 

フェオン「助けたって・・・え?彼?」

 

ジュリアン「えへへ。実は僕男なんだ。」

 

エミリー「男だと?見るからに・・・」

 

タクト「ならば証明させる。」

 

そう言って服を”バッ”と脱がせた。胸がない男の体。

 

女性陣「えええーーー!?」

 

タクト「な?」

 

イザベラ「た、確かに男の方ですね・・・」

 

タクト「人間、誰しも誤解を招くからな。このジュリアンの外見と同じように。」

 

フェオン「いや何の話?」

 

???「それは私でもあるかもよ?」

 

フェオン「え?誰?」

 

そこに、1匹の猫が現れた。

 

猫「私の声よ。」

 

レア「し、喋った!?」

 

アンナ「喋る猫!?もしかして・・・カサンドラさんのお知り合い・・・?」

 

カサンドラ「い、いえ・・・本物の猫が喋るなんて初耳です・・・」

 

猫「私はジネヴラ。ジュリアンの相棒よ。宜しくね。」

 

タクト「俺ちょっとジュリアンを浴室で洗って来るから。」

 

 

 

 

浴室室へジュリアンを連れて、洗いながら会話する。

 

タクト「ふぅ・・・まさかお前が、俺と同じ転生者だったなんてな。」

 

ジュリアン「うん。まさか君も転生者だったなんて驚いたよ。」

 

実はジュリアンは、タクトと同じ転生者である。

 

タクト「それで、お前は現代世界では高校生だよな?」

 

ジュリアン「そうそう。それでタクトは元の世界だと。」

 

タクト「俺は歴史が得意な高校生でな。飛行機の墜落事故に遭った瞬間光に飲み込まれてこの世界へ転生された。ちょっと若返った。」

 

ジュリアン「君は今、ウルトラマンティガの力を持っていると。」

 

タクト「そうそう。何故この世界にティガが存在してるのか不明だ。お前は奴隷になったけど、男だと判明されて捨てられ続けた。」

 

ジュリアン「でも僕は屈しなかったよ。ジネヴラも居たし、悪い人達と戦えるし。」

 

タクト「にしても、喋る猫が居るとは驚いたな。」

 

ジュリアン「彼女、逸れた仲間を探してるみたいなんだ。」

 

タクト「へぇ〜。ご主人様かな?」

 

ジュリアン「もしくは、彼女と同じ喋る動物とか。」

 

 

 

 

数分後。

 

タクト「よし。洗ったぞ。」

 

ジュリアン「サッパリした。」

 

綺麗になったジュリアンが浴室から出た。

 

イザベラ「こうして見ると、本当に女の子ですね・・・」

 

タクト「それで、戻る途中で買ったジュリアンの服。早速着替えてくれ。」

 

ジュリアン「うん。」

 

服を着替えに別室へ行った。

 

 

 

 

着替え後。

 

ジュリアン「どうかな?」

 

黒のセーラー、黒いサスペンダー半ズボン、黒いローファー。

 

レア「おぉ!似合ってるな!」

 

タクト「少年らしくて良いな!」

 

フェオン「それでジュリアン。あなたは奴隷よね?今まで貴族に何かされたの?」

 

ジュリアン「されたって言うか、捨てられてね。」

 

ジネヴラ「ジュリアンはね、外見は女だけど中身は男の子。それを知った途端に捨てられる毎日だったの。」

 

ジュリアン「けどそんな僕をタクトが助けてくれた。ありがとう。」

 

タクト「良いって事よ。そうだフェオン。さっき何の話をしてたんだ?」

 

フェオン「そうだったわね。実はね、クラスティール公爵のベルゼお嬢様の生誕祭があるんだって。」

 

タクト「へぇ〜。皆はそれに参加するのか?」

 

グレア「参加しようよ!絶対楽しいに決まってるよ!」

 

タクト「そうだな。どんな姿が見たいし。生誕祭は何時だ?」

 

ティオ「今夜だよ。急だけど。」

 

タクト「今夜か。よし!」

 

 

 

 

 

 

夜。クラスティール邸の庭に国民達が集まった。

 

儀仗官「皆様、お待たせしました。ベルゼ=クラスティール様のご登場です!」

 

会場にクラスティール公爵令嬢のベルゼが登場した。国民達が拍手でお迎えした。

 

イザベラ「凄く可憐ですね!」

 

ヒナ「はい!」

 

ベルゼ「皆さん。私の生誕祭にお集まり頂き、ありがとうございます。本日で私は17歳となりました。皆さん、盛大に楽しんで下さい。」

 

 

 

 

パーティーが始まり、国民達が賑わう。

 

タクト「皆大盛り上がりだな。」

 

フェオン「そうね。」

 

タクト「レアなんて見ろよ。すっごい食ってるぞ。」

 

フェオン「相変わらずね。あの子も。」

 

タクト「あのベルゼって娘。凄く綺麗だな。」

 

アンナ「綺麗で慕われるなんて、人気者なんですね。」

 

エミリー「まぁ公爵の令嬢だからな。信頼されるのも当然だろう。」

 

タクト「?」

 

貴族達と話しながらキョロキョロしてるベルゼに疑問を抱いた。

 

タクト(何してんだろう?)

 

ヒナ「タクトさん?」

 

タクト「え?何?」

 

ヒナ「どうかしたんですか?」

 

タクト「いや、何でもない。」

 

するとベルゼがこっちへやって来た。

 

ベルゼ「皆さん、来て下さりありがとうございます。」

 

フェオン「いえいえ。」

 

ベルゼ「今日は盛大に楽しんで下さいね。」

 

ヒナ「ありがとうございます。」

 

ベルゼ「・・・」

 

タクト「ん?」

 

ジッとタクトを見てるベルゼ。

 

ベルゼ「何か、不思議な力を感じますね。」

 

タクト「そ、そうか?」

 

ベルゼ「似てるかも・・・」

 

タクト「え?」

 

ベルゼ「いえ、気にしないで下さい。では、ご機嫌よう。」

 

カーテシーをしてから、その場を後にした。

 

フェオン「何か、見ただけで不思議だったわね。」

 

タクト「あぁ。(彼女が俺と似ている?どう言う事だ?)」

 

 

 

 

 

 

パーティーが終わった後。

 

レア「プッハ〜!」

 

タクト「お前本当よく食うよな。」

 

カサンドラ「私も食べ過ぎました・・・」

 

タクト「珍しいな。カサンドラにしては。」

 

カサンドラ「はいぃ・・・」

 

ジュリアン「あんなに食べたの久し振りかも・・・」

 

レア「お前良い食いっぷりだったぞ?今度レアと大食いバトルするか?」

 

ジュリアン「それは遠慮しとく・・・」

 

フェオン「さて、帰って寝ましょ。」

 

イザベラ「うん。」

 

タクト「ん?」

 

立ち止まり、裏路地をジッと見る。

 

フェオン「ん?どうしたのタクト?」

 

タクト「・・・何か居る。」

 

そう言って裏路地へ行った。

 

グレア「タクト?どうしたの?」

 

フェオン「待ちなさいよ!」

 

 

 

 

裏路地へ行くと。

 

イザベラ「タクトさん。」

 

何かをジッと見てるタクトを発見した。

 

アンナ「何かあった・・・え?キャアアアアアーーーーー!!」

 

突然アンナが悲鳴を上げた。その理由は・・・

 

 

 

 

 

 

1人の男が倒れていたからだ。

 

 

 

 

 

 

タクト「・・・・」

 

フェオン「タクト・・・その人どうなったの・・・?」

 

タクト「ダメだ。亡くなってる。」

 

エミリー「流血してる・・・殺人か?」

 

タクト「恐らくな。刃物で刺された跡がある。」

 

ティオ「犯人はまだこの国に居るはず。」

 

建物の陰から覗く人物が。

 

タクト「ッ!誰だ!!」

 

その人物がタクトから逃げる。

 

 

 

 

表に出たタクトだが、その人物を見失った。

 

タクト「逃げ足が速い奴だ・・・」

 

 

 

 

その後。警備隊が駆け付けた。

 

隊員「殺害された男は、以前に殺人未遂で逮捕された男でした。」

 

フェオン「殺人犯?」

 

隊員「はい。1週間前に釈放された後、消息が途絶えてて・・・」

 

タクト「彼と関わりがある者か、もしくは身内の誰かか。」

 

 

 

 

 

 

翌日。衝撃の出来事が連発した。次々と殺人事件が勃発し、被害者は数十名に及んだ。

 

タクト「どうなってるんだ?何故この短時間でこんなに・・・」

 

フェオン「魔人の仕業かも知れないわ。」

 

タクト「あり得るかもな。魔法を使って殺害したと。」

 

グレア「被害者を見て来たよ。」

 

タクト「どうだった?」

 

ティオ「全員刃物で刺されたみたい。」

 

グレア「躊躇い傷もなしに。」

 

レア「魔法でナイフを操って刺したのか?」

 

グレア「いや、それが人の手で刺されたみたいなんだ。」

 

タクト「何?指紋は?」

 

グレア「検出されなかった。」

 

イザベラ「もしかしたら、手袋を使って犯行に及んだのでは?」

 

エミリー「確かに。その手口だと指紋は検出されないな。」

 

ヒナ「出発の前日に、不吉な予感がします・・・」

 

カサンドラ「犯人を誘き出すのはどうですか?」

 

タクト「どうやって?」

 

カサンドラ「良い作戦があります。」

 

 

 

 

 

 

その日の夜。夜道に歩く1人の男の後ろから、そっと近付く謎の人物が。その人物の右手にはナイフを持ってる。忍び足で近付いてナイフを振り上げた瞬間。

 

???「ッ!?」

 

男がその人物の腕を掴んだ。

 

タクト「まんまと騙されたな。」

 

その男は、タクトが変装した姿。

 

タクト「俺達の罠に嵌まったな。」

 

周囲にフェオン達と警備隊や憲兵団が現れ、その人物を取り囲んだ。

 

???「クッ!」

 

タクト「正体表せ!!」

 

その人物のフードを脱いだ。

 

タクト「なっ!?」

 

全員「!?」

 

その正体に驚いた。その正体は・・・

 

 

 

 

 

 

ベルゼ「ありゃりゃ。」

 

 

 

 

 

 

何とベルゼだった。

 

タクト「お前・・・!?」

 

ベルゼ「バレちゃったね。」

 

憲兵「ベルゼ様!?まさかあなたが・・・!?」

 

ベルゼ「うんそうだよ。私がこの事件の犯人だよ。」

 

隊員「な、何故このような事を・・・!?」

 

ベルゼ「皆には言ってなかったけど、私はね予知能力を持ってるの。」

 

ジュリアン「予知能力・・・」

 

アンナ「未来が見える能力・・・ですか?」

 

ベルゼ「そうそう。私はこの予知能力を使って、殺人を犯そうとしてる人を犯す前に殺したの。」

 

タクト「お前、まさかあの時周囲を見ていたのは・・・」

 

ベルゼ「うん。犯そうとしてる人を探してたの。予知でね。」

 

タクト「お前・・・」

 

ベルゼ「まぁでも、これで私の計画は終わったね。素直に降伏するわ。」

 

武器を捨てて両手を挙げ、憲兵団に連行されて行った。

 

フェオン「まさかあの子が、予知能力を持っていたなんて・・・」

 

タクト「予知能力は世界で極少数の人しか持ってない特殊な力。その内の1人がベルゼだったとは・・・」

 

カサンドラ「これからどうなるんでしょうか?」

 

タクト「恐らく処刑は免れないだろう。」

 

 

 

 

 

 

クリミア王国滞在最終日。遂に、ベルゼの処刑執行が始まった。場所は、山奥の処刑場。

 

国王「ベルゼ=クラスティール。貴様は我が国に犠牲者を出した。最期に言い残す事はないか?」

 

ベルゼ「陛下。私は自分の力に溺れてしまい、殺人者でもあり国民でもある人達を殺め続けました。私はその罪と言う罪悪感に目覚めてしまいました。だから、もう私には何もありません。」

 

国王「全兵!構え!」

 

魔法兵士達が一斉に構える。

 

タクト「・・・ッ?」

 

そんな中タクトが、ベルゼがニヤリと笑ってるのが見えた。

 

タクト「おい皆、何か隠してるぞ。」

 

フェオン「え?」

 

ベルゼ「でも、新しい私なら何でもありますよ?」

 

国王「?」

 

ベルゼ「ウワアアアアアアア!!!!!」

 

叫んだと同時に、ベルゼの魔力が暴走し始めた。

 

国王「な、何だこの力は!?」

 

タクト「皆!伏せろ!!!」

 

 

 

 

 

 

”ドゴオオォォォーーーン!!!!!”

 

 

 

 

 

 

周囲が大爆発し、処刑場は焼かれた。

 

タクト「・・・・!?」

 

ただ、タクト達と国王達は奇跡的に無事だった。

 

ベルゼ「これが魔人の力ね。良いねコレ♪」

 

魔人と化したベルゼが、魔人の力に満足してる。

 

国王「ベル・・・ゼ・・・?」

 

タクト「まさかお前・・・こうなる事も予知していたのか・・・!?」

 

ベルゼ「だから言ったでしょ?私は予知能力を持っている。だから自分の未来位お見通しなの。」

 

カサンドラ「あなたは人間に戻れないんですよ!こんな事をして良いと思っているのですか!?」

 

ベルゼ「それは私自身で決める。誰かが決めるものじゃない。フフッ♪」

 

エミリー「クッ・・・!!」

 

ベルゼ「ねぇ、私と戦いましょ?ウルトラマンティガ。」

 

タクト「ッ!!」

 

ベルゼ「あなたの力なんて、あのパーティーからお見通し。ねぇ、私と遊ぼ?」

 

タクト「・・・お前を倒して、クリミア王国の仇を討つ!!」

 

大ジャンプして、スパークレンスの光を解放させてウルトラマンティガへ変身した。

 

 

 

 

ティガ「タァッ!!」

 

ベルゼ「ガハッ!!」

 

マルチキックがベルゼに直撃した。

 

ベルゼ「不意打ちとは卑怯ね。」

 

ティガ「ッ!」

 

魔法兵士「ベ・・・ベルゼ・・・様・・・」

 

1人の魔法兵士が倒れながらも、ベルゼの名を呼んだ。

 

ベルゼ「もう、まだ生きてたの?しつこいね!」

 

魔法兵士「あああああ!!」

 

右手から魔法弾を放ち、魔法兵士を殺した。

 

ティガ「ッ!?」

 

国王「あ!!」

 

フェオン「クッ!!」

 

倒れる魔法兵士をフェオンが支えた。

 

フェオン「しっかり!」

 

魔法兵士「・・・ベルゼ様・・・を・・・頼み・・・ま・・・す・・・」

 

涙を流しながら、息を引き取った。

 

フェオン「そんな・・・!」

 

イザベラ「ううっ・・・!」

 

ベルゼ「ハハハ♪」

 

ティガ「・・・!!!」

 

嘲笑うベルゼに、ティガの怒りが爆発した。

 

ティガ「ッ!!!」

 

ベルゼ「遊ぼうよ。ティガ!!」

 

ティガ「フッ!!」

 

同時に走り出し、ティガとベルゼの激突が始まった。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ベルゼ「遅い!」

 

ティガ「アァッ!!」

 

マルチキックを避けたベルゼが、ティガの背中を蹴った。

 

ベルゼ「まだまだ行くよ!それ!」

 

ティガ「フッ!ハァッ!!」

 

ベルゼ「あぁっ!!」

 

彼女のキックを避けたティガが、ベルゼの腹にマルチキックを蹴り込んだ。

 

ティガ「ハァッ!ハァッ!」

ベルゼ「ヤァッ!トアッ!」

 

2人のキックがぶつかり合う。

 

ベルゼ「それっ!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

お互いが距離を取る。

 

ベルゼ「ハァァァァァ・・・!!」

 

両手を広げて魔力を集める。

 

ティガ「フッ!!」

 

両腕を前に突き出し交差させ、大きく横にゆっくり広げてエネルギーを集める。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ベルゼ「ハァッ!!」

 

ゼペリオン光線とビームが激突し、両者の光線が爆発した。

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

ベルゼ「ああっ!!」

 

ティガは倒れたがすぐに立ち上がり、ベルゼはバックドンキーで起き上がる。

 

ベルゼ「フフッ♪」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

両者がキックした瞬間、フェオンがベルゼのある物が見えた。

 

 

 

 

フェオン「あの子、足に痣があるわ。」

 

それは、ベルゼの足に小さな痣だった。

 

グレア「戦いの最中に出来たとか?」

 

ヒナ「いえ、痣にしては黒いです。」

 

 

 

 

ティガとベルゼが激しくぶつかり合う。だが。

 

ベルゼ「それっ♪」

 

ティガ「ッ!!」

 

隙を突かれたティガがベルゼに首を絞められた。するとティガとジュリアンにテレパシーが。

 

ベルゼ(ねぇタクト。やっぱりあなたも私と同じね。)

 

ティガ(どう言う事だ・・・!!)

 

ベルゼ(ジュリアンも私と同じね。)

 

ジュリアン(テレパシー?ベルゼ、それってどう言う意味?)

 

ベルゼ(だって2人は、私と同じ現代世界の人間だもの。)

 

ティガ・ジュリアン(え!?)

 

ベルゼ(元は女子中学生だね。でもこの世界で生まれ変わって、クラスティール家の令嬢として生まれた。その時に私は、予知能力に目覚めた。私はこの力を酷使するあまり、力に溺れてしまった。殺人犯を殺す快感が癖になってね。)

 

ティガ(お前・・・!!)

 

ベルゼ(ねぇタクト。あなたで良ければ私の仲間にならない?世界中の悪人達を懲らしめる為に。)

 

ティガ(俺はお前の仲間にならない!何れお前は罪の無い人間達を殺そうとする!俺はお前なんかに屈し無い!!)

 

ベルゼ「ガハッ!!」

 

マルチチョップが頚動脈に命中し、ベルゼが怯んだ。

 

ティガ「タァッ!!」

 

そのまま巴投げでベルゼを後ろへ投げ飛ばした。

 

ベルゼ「アアッ!!」

 

ティガ「ッ!!」

 

ベルゼ「よくも・・・!!」

 

”ピコン”

 

ティガ「ッ!!」

 

カラータイマーが点滅し始めた。

 

ベルゼ「こうなったら・・・ヤァッ!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

両者がジャンプした。

 

ベルゼ「ハァッ!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

ウルトラブレーンチョップとキックが擦れ違いざまに直撃して、両者が着地して止まる。

 

ベルゼ「・・・・・」

 

ティガ「・・・・・ドゥアッ!!」

 

先にティガが膝を付いた。

 

ベルゼ「アハハハハハハハ♪・・・ウッ!?」

 

嗤うベルゼが苦しむ。

 

ベルゼ「カハッ・・・!」

 

そのまま前へ倒れた。

 

ティガ「ッ!!」

 

すぐにティガが起き上がり、倒れたベルゼを見る。

 

ベルゼ「中々・・・やるわね・・・でも私はこれで立ち止まらないわ。また会いましょ。」

 

魔法で姿を消して、クリミア王国から去った。

 

ティガ「・・・・」

 

 

 

 

 

 

戦いの後、タクト達はベルゼに殺されてしまった魔法兵士を供養する。

 

タクト「まさか魔人になるとは・・・」

 

フェオン「また会ったら厄介になりそうね・・・」

 

ジュリアン「タクト。皆。僕は行くよ。」

 

レア「行くって何処へだ?」

 

ジュリアン「ベルゼを追うんだ。あの子は僕が止めないと。」

 

ジネヴラ「私も行くわ。」

 

タクト「そうか。頼んだぞ。」

 

ジュリアン「うん。行こうジネヴラ。」

 

ジネヴラ「えぇ。」

 

馬に乗り、ベルゼを追いに去って行った。

 

ヒナ「ジュリアンさん、大丈夫なんでしょうか?」

 

タクト「信じようぜ。よし皆、出発しよう。」

 

彼等は、クリミア王国を発った。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩

ジュリアン=フィッツバード:小松未可子
ジネヴラ:小宮有紗

国王:稲田徹

国民:野瀬育二
   増岡大介

ベルゼ=クラスティール:澁谷梓希





次回予告

その歌を聴けば眠ってしまう神秘の森。タクト達の前に現れる少女シャーリー。誰も知らない森の奥の秘密を解き明かせ。

次回ウルトラマンティガ

眠る森の歌

お楽しみに


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17/眠る森の歌

眠る森の歌
シャーリー 登場



クリミア王国を発ってから3日後。

 

タクト「フッ!」

 

フェオン「ハァッ!」

 

この日も模擬戦は欠かせない。

 

フェオン「ヤァッ!!」

 

タクト「クッ!!」

 

彼女の振り下ろす大剣を、タクトが白刃取りで防いだ。

 

フェオン「相変わらずの馬鹿力ね・・・!」

 

タクト「お前も相変わらず良い腕してやがるぜ・・・!だがな!!」

 

大剣を上げた瞬間に回転キックで大剣を蹴り飛ばした。

 

フェオン「キャアアアーーーーー!!」

 

大剣と共にフェオンが飛ばされた。

 

タクト「ふぅ。」

 

フェオン「いたたたた・・・」

 

倒れてるフェオンに、タクトが手を伸ばす。

 

タクト「立てるか?」

 

フェオン「ありがとう。」

 

彼の手を握って立ち上がる。

 

フェオン「本当に強いわねタクトは。」

 

タクト「当たり前だ。仲間とお前を守る為だもの。今日の模擬戦は以上だ。」

 

 

 

 

 

 

模擬戦を終えて、馬車に乗って旅を続ける。

 

タクト「エミリーは寝てるか?」

 

イザベラ「もうぐっすり寝ています。」

 

エミリーは模擬戦で疲れて眠ってる。膝枕してあげてるヒナも。

 

タクト「今日もエミリーとの模擬戦は引き分けだな。」

 

レア「本当、あの2人は仲良しだなぁ。」

 

カサンドラ「幼馴染みですよね?」

 

アンナ「赤ん坊の頃からずっと一緒ですからね。」

 

タクト「ん?」

 

馬車を止めた。

 

グレア「どうしたの?」

 

目の前に森があった。

 

ティオ「森?地図によればここに森はなかったはずなのに。」

 

タクト「ここを抜けないと次の国へ進めないな。通るぞ。」

 

馬車が森の中へ入って行った。

 

 

 

 

???「・・・・」

 

森の中へ入る馬車を、謎の少女が見てる。

 

 

 

 

森の中。小鳥が鳴き、光が差し込んでる。

 

フェオン「綺麗な森ね。」

 

タクト「秘境の時とちょっと違うな。」

 

グレア「ん〜。何だろう・・・暖かくて気持ち良い〜。」

 

”〜〜〜〜〜〜♪”

 

突然、森に歌が聞こえた。

 

フェオン「歌?」

 

グレア「ん〜・・・心地良い歌〜〜・・・zzz・・・」

 

ティオ「グレアが寝ちゃった。あれ・・・?僕も急に・・・zzz・・・」

 

精霊2人が眠った。

 

タクト「2人が寝ちゃった。」

 

フェオン「本当に不思議な森ね。ここで休憩しましょ?」

 

 

 

 

森の中で休憩を挟む。

 

”〜〜〜〜〜〜♪”

 

タクト「にしても、この歌は良い歌だな。」

 

サンドイッチ食べながらそう言った。

 

イザベラ「綺麗な歌声。誰が歌ってるんでしょうか?」

 

フェオン「オペラの方じゃないかしら?」

 

レア「歌が大好きな人かもな。」

 

アンナ「どっちにしても、心が癒されますね。」

 

カサンドラ「ふぁ〜〜・・・」

 

アンナ「カサンドラさん、眠い?」

 

カサンドラ「はいぃ・・・」

 

彼女はアンナの膝枕で眠った。

 

アンナ「可愛いなぁ〜・・・あれ・・・?私も眠くなって・・・zzz・・・」

 

そしてアンナも眠った。

 

レア「zzz・・・」

 

タクト「もう皆眠っちゃったな。」

 

フェオン「そうね。私達も少し寝ましょ?」

 

イザベラ「うん。」

 

3人も眠に入った。

 

 

 

 

 

 

しばらくして。

 

タクト(zzz・・・ん?何か、柔らかい感触がする・・・)

 

ヒナ「タクトさん。」

 

タクト「・・・ん・・・?」

 

目を開けると、ヒナが居た。

 

ヒナ「やっと起きましたね。」

 

タクト「・・・ん?」

 

今彼は、ヒナの膝枕で眠っていた。

 

タクト「うわああ!?ヒナ!?」

 

ビックリして起き上がった。

 

タクト「俺に膝枕を仕出かすとは・・・」

 

ヒナ「うふふ♪どうでしたか?私の膝枕。」

 

タクト「エミリーの言った通りだ。柔らかくて気持ち良かった。ってか、お前の膝枕は彼女達限定じゃないのか?」

 

ヒナ「いいえ、タクトさんもですよ。」

 

タクト「そっか。もう眠気は覚めたか?」

 

ヒナ「はい。お陰様で。」

 

タクト「エミリーは?」

 

エミリー「私も起きてるぞ。」

 

起きてるエミリーが返事した。

 

タクト「模擬戦の疲れは取れたか?」

 

エミリー「あぁ。今日は夜遅くまで起きてそうだ。」

 

ヒナ「では、私がエミリーちゃんにあれこれして差し上げましょう♪」

 

タクト「あはは。ヒナは本当エミリーに執念深いって言うか・・・幼馴染みだから当たり前・・・かも?ヒナにとってエミリーは特別なんだな。」

 

ヒナ「そんな事はありませんよ?フェオンさん達や勿論、タクトさんも特別の1つですから。」

 

タクト「ありがとな。んじゃ、そろそろ出発するか。」

 

ヒナ「はい。」

 

タクト「おーい皆ー。そろそろ行くぞー。」

 

起こそうとしたが、目覚める気配がない。

 

タクト「ん?おーい起きろー!出発するぞー!」

 

強く揺すっても起きない。

 

タクト「まだ眠たいのか?」

 

ヒナ「レアさん。アンナさん。起きて下さい。」

 

エミリー「カサンドラ。起きろ。」

 

しかし、彼女達が眠りから目覚めない。

 

エミリー「何故だ?何故皆目を覚まさないんだ?」

 

タクト「グレアとティオは?」

 

2人もまだ眠ってる。

 

タクト「少し雑が・・・ほいっと。」

 

ウルトラ念力で2人を縛り、そのまま縦横無尽に振り回した。

 

グレア・ティオ「ウワアアアアアーーーー!?」

 

振り回されて起きた。

 

タクト「起きたか。」

 

グレア「もうタクト!!気持ち良く眠ってたのに!!」

 

ティオ「幾ら何でも雑過ぎない!?」

 

怒った2人がタクトに怒る。

 

タクト「悪い悪い。それより2人共、フェオン達を調べてくれ。」

 

グレア「え?」

 

タクト「一向に起きる気配が無いんだ。」

 

ティオ「・・・本当だ。僕達が大声出したのに起きないなんて。」

 

タクト「ちょっと調べてくれ。頭の中がどうなってるのかを。」

 

グレア「分かった。」

 

2人がフェオン達を調べてみる。

 

グレア「・・・・」

 

ティオ「目覚める気配がない。何かの効果かも。」

 

タクト「何かの効果・・・」

 

”〜〜〜〜〜〜〜♪”

 

タクト「ッ!そうか。この歌か!」

 

エミリー・ヒナ「歌?」

 

タクト「あぁ。お前達が眠ってる間、この歌を聞いた瞬間に眠ったんだ。勿論俺も。それで俺は、さっきヒナに起こされた。この森に何かあるのか調べよう。グレアとティオはフェオン達を守ってくれ。」

 

グレア「任せて!」

 

ティオ「分かった!」

 

タクト「エミリー、ヒナ。行くぞ。」

 

エミリー「あぁ!」

 

ヒナ「はい!」

 

 

 

 

3人は森の奥へ進む。

 

エミリー「この森、カサンドラと出会った秘境とは違う雰囲気があるな。」

 

ヒナ「はい。嫌な予感がします。」

 

”ザザッ!”

 

タクト「ん?」

 

茂みから音が聞こえた。

 

エミリー「どうした?」

 

タクト「シッ!」

 

その茂みにゆっくり近付き、手を伸ばした瞬間。

 

 

 

 

 

 

少女「来ないで!!!」

 

 

 

 

 

 

タクト「うわっ!?」

 

1人の少女が出て来てナイフを構えた。

 

少女「はぁ・・・はぁ・・・あ、あなたは・・・」

 

タクト「君は?」

 

少女「私、あなた達がこの森に入って来るのを見た。」

 

タクト「俺達を?」

 

少女「早くこの森から出た方が良いわよ。じゃないとあなた達も・・・」

 

エミリー「どうなるんだ?」

 

少女「・・・死ぬわ。」

 

タクト・エミリー・ヒナ「!?」

 

タクト「死ぬって、どう言う事だ?」

 

少女「この歌よ。」

 

”〜〜〜〜〜〜〜♪”

 

少女「この歌を聞けば・・・」

 

エミリー「まさか・・・永久に眠りに・・・?」

 

少女「それだけじゃない・・・眠ってしまったら最期・・・」

 

タクト「まさか・・・フェオン達が!?」

 

少女「でも大丈夫!まだ動く気配がないわ。」

 

ヒナ「どう言う事ですか?」

 

少女「私は自然と対話が出来るの。まだ動く気配はない。」

 

タクト「この森に関しては君が詳しいみたいだ。何か知っているのか?」

 

少女「あなた達はどうするの?」

 

タクト「この森の秘密を暴きたい。君に協力をお願いする。」

 

少女「・・・仲間の為に?」

 

タクト「そうだ。今俺達には眠ってる仲間達が居る。その仲間達を助けるまで、この森から出ない。」

 

少女「・・・私はシャーリー。あなた達は?」

 

タクト「俺はタクト=クリスティ。」

 

エミリー「私はエミリーだ。」

 

ヒナ「ヒナです。」

 

シャーリー「宜しく。案内するわ。付いて来て。」

 

 

 

 

彼女に付いて森の皿に奥へ。

 

タクト「なぁ。眠ったら誰かに殺されるとか?」

 

シャーリー「ここに人は居ない。居たとしても死ぬだけよ・・・」

 

タクト「この森から抜け出せるとか?」

 

シャーリー「無理よ。特殊な結界が張られてる。出ようにも出られない。」

 

”カラン”

 

エミリー「ん?」

 

足元に何かが当たった。

 

エミリー「こ、これは!?」

 

足元に足の骨が転がっていた。

 

ヒナ「・・・!」

 

エミリー「まさか、何者かに襲われたのか・・・?」

 

タクト「いや、微かに歯型がある。それも人間の歯型だ。」

 

エミリー「まさか・・・食人族か・・・?」

 

タクト「もしくは、出られなくなって食糧が底をついて生き延びる為に犯した行為だろ。」

 

シャーリー「見て。」

 

辺りに無数の人骨が無残に転がっている。

 

シャーリー「この奥に、元凶が居るわ。」

 

奥から黒い霧が漂っている。

 

タクト「・・・」

 

 

 

 

 

 

黒い霧の前。

 

”〜〜〜〜〜〜〜♪”

 

エミリー「この空気な割に似つかわしくない歌だな。」

 

シャーリー「彼処。」

 

開けた場所をこっそり覗く。

 

タクト「ッ!!」

 

 

 

 

 

 

石の上で歌っている女の周囲に人間の遺体が無数に転がっていた。

 

 

 

 

 

 

女「〜〜〜〜〜〜♪」

 

 

 

 

タクト(あの女が・・・)

 

エミリー(歌で人々を眠らせ・・・)

 

ヒナ(眠った人達を食糧に・・・)

 

 

 

 

歌ってる女の背後から、無数の蔦が現れた。その蔦が、遺体達を縛って血を吸収し始めた。

 

女「美味しいかしら?私の可愛い子達。」

 

血を吸収された遺体達が干からびた。

 

 

 

 

タクト(あの蔦が血を吸って栄養を・・・)

 

 

 

 

女「あなた達。そこに隠れている者達もどうかしら?」

 

 

 

 

タクト・エミリー・ヒナ「!?」

 

気付かれた3人が飛び出した。

 

タクト「お前は!?」

 

女「ベロニカ。この森を牛耳る歌姫よ。」

 

エミリー「牛耳る?お前、貴族の者か?」

 

ベロニカ「貴族?生憎貴族とは無縁な存在よ。私。」

 

ヒナ「では、何者なんですか?」

 

ベロニカ「こう言う者よ。」

 

両目を赤く染め上げた。

 

タクト「やはり魔人か・・・!」

 

ベロニカ「この子達はね、私の友達よ。でも、魔力の吸い過ぎで森と化しちゃったけどね。」

 

タクト「何!?」

 

シャーリー「ベロニカ!いい加減私の聖域から出てって!」

 

ベロニカ「また小娘かい。いい加減なのはあなたなのよ?私はね、あなたみたいな地縛霊は信じない性格なのよ?」

 

シャーリー「地縛霊じゃない!自然神よ!」

 

タクト「自然神?」

 

ベロニカ「どっちも同じじゃない。神なんて所詮は架空。あなたに私を追い出せる力はあるのかしら?」

 

シャーリー「・・・・」

 

ベロニカ「出来る訳ないわよね。あなたの力はあの子達が食べてあげたもの。」

 

シャーリー「私の魔石を・・・!!」

 

ベロニカ「あなた達も怪我しない内に逃げた方が身の為よ?」

 

しかしタクトはスパークレンスを握り、エミリーは太刀を握り、ヒナは両手を構える。

 

ベロニカ「?」

 

タクト「生憎、俺達はシャーリーの聖域から逃げられないんだよね。」

 

エミリー「お前を倒せば、この森から抜け出せるかもな。」

 

ヒナ「シャーリーさんの聖域から、あなたを追い出します!」

 

ベロニカ「どうやら、この子達に喰われたいみたいね。さぁ、新しい食糧だよ?行きなさい。」

 

すると蔦が、ベロニカを縛った。

 

タクト・エミリー・ヒナ・シャーリー「!?」

 

ベロニカ「な、何すんのよ!!食糧はあっちよ!?」

 

???「此奴等はお前を欲しているみたいだぞ?」

 

ベロニカ「だ、誰よ!?何処から!?」

 

???「私は実体のない存在。お前達の目に見えないのは当然。」

 

ベロニカ「私をどうするつもりなの!?まさか私を喰べるんじゃないでしょうね!?」

 

実体のない存在「それは此奴等に聞けば納得するぞ?」

 

ベロニカ「あなた達!私を喰べようとしないよね?ね?」

 

だが蔦が、ベロニカをキツく縛った。

 

ベロニカ「うぅぅ・・・!!」

 

実体のない存在「どうやら、此奴等はお前を欲しているみたいだな。」

 

ベロニカ「い、嫌!止めて!嫌あああああああああ!!!!!」

 

蔦に引っ張られ、森の奥へ飲み込まれてしまった。

 

タクト「クッ・・・!!」

 

実体のない存在「これで私の計画は完遂する。さぁ出でよ!!我がしもべよ!!!」

 

”ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!”

 

エミリー「地震か!?」

 

すると森の奥から魔石が飛んで来た。

 

シャーリー「あ!魔石!」

 

魔石をキャッチした。

 

タクト「逃げるぞ!!」

 

 

 

 

グレア「な、何が起こったの!?」

 

ティオ「皆!!起きて!!」

 

タクト「おーーーい!!」

 

そこにタクト達が戻って来た。

 

エミリー「まだ起きないのか!?」

 

グレア「うん!」

 

シャーリー「任せて!」

 

ティオ「君は?」

 

シャーリー「話は後!」

 

魔石から溢れる魔力を、フェオン達に浴びせた。

 

フェオン「・・・う・・・ん・・・?あれ・・・?」

 

眠っていたフェオン達が起きた。

 

イザベラ「ふぁ〜・・・眠ってしまいました・・・」

 

タクト「おい皆!早くここから逃げろ!」

 

レア「どうしたんだタクト?」

 

”ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!”

 

アンナ「地震!?」

 

カサンドラ「一体何があったんですか!?」

 

ヒナ「説明は後です!早く!」

 

 

 

 

 

 

森から抜け出した。

 

フェオン「私達が眠ってる間に一体何が・・・?」

 

実態のない存在「逃げても無駄だぞ!我がしもべがお前達を駆逐する!」

 

森から5メートルの巨体を持つ者が現れた。それは・・・

 

 

 

 

 

 

ギジェラ『ゴオオォォォ!!!』

 

 

 

 

 

 

超古代植物ギジェラだった。

 

タクト「な!?」

 

フェオン「何あの魔物!?初めて見る姿だわ!?」

 

タクト(ギジェラ!?何でこの世界にも・・・!?)

 

フェオン「皆!戦闘態勢!!」

 

タクト「ッ!!」

 

スパークレンスの光を解放させ、ウルトラマンティガへ変身した。

 

 

 

 

ギジェラの前に、5メートルに巨大化したウルトラマンティガが立ちはだかる。

 

ティガ「・・・・」

 

ギジェラ『ゴオオォォォ!!!』

 

ティガ「・・・・」

 

咆哮を上げるギジェラにゆっくりと近付き。

 

ティガ「タァッ!!」

 

マルチチョップで花に攻撃した。だが蔦が地面から飛び出してティガに攻撃した。

 

ティガ「アァッ!!」

 

フェオン「タクト!!蔦は私達に任せて!!」

 

ティガ「ッ!!」

 

頷いたティガがギジェラ本体へ攻撃する。

 

フェオン・エミリー「ハァッ!!」

 

大剣と太刀を振り回し、襲い来る蔦を斬り裂く。

 

アンナ「ッ!!」

 

ボウガンを連射して蔦を突き刺して動きを鈍らせる。

 

レア「ナイスだアンナ!!」

 

旋刃盤で動きが鈍くなった蔦を斬り裂く。

 

イザベラ「えいっ!!」

 

蔦の魔法を射出し、ギジェラの蔦を捕縛する。

 

イザベラ「カサンドラさん!!」

 

カサンドラ「はい!!」

 

剣で捕縛された蔦を斬り裂いた。

 

 

 

 

シャーリー「光の戦士ティガ・・・そしてその仲間達・・・」

 

 

 

 

するとギジェラの花が開いた。

 

ティガ「!?」

 

ギジェラの顔がティガを見た。

 

ティガ「アァッ!!」

 

蔦で首を絞められ、ギジェラの花粉がティガに直撃した。

 

ティガ「ドゥアッ!!!」

 

更に別の蔦がフェオン達を束縛した。

 

フェオン達「キャアアア!!」

 

ティガ「ッ!!」

 

エミリー「クソッ!!」

 

レア「この野郎!!放しやがれ!!」

 

カサンドラ「身動きが・・・取れない・・・!!」

 

実態のない存在「苦しむが良い!苦しんであの世へ行くが良い!!」

 

 

 

 

すると白い光がギジェラの蔦を破壊した。

 

 

 

 

フェオン「ああっ!!」

 

蔦から解放されたフェオン達が地面に落ちた。

 

イザベラ「痛たたたた・・・」

 

レア「あ!」

 

それは、シャーリーの魔法による光だった。

 

シャーリー「大丈夫!?皆!」

 

エミリー「シャーリー!!」

 

シャーリー「ティガ!今助けるよ!」

 

白い光の魔法を放ち、ティガの首を絞めてるギジェラの蔦を破壊した。

 

ギジェラ「ゴオオォォォ!!!」

 

解放されたティガがバク転して距離を取る。

 

ティガ「フッ!」

 

再びギジェラが蔦を飛ばしてティガを絞めようとするが。

 

ティガ「タァッ!!」

 

マルチチョップで弾き返された。

 

ティガ「フッ!!」

 

両腕を前に突き出し交差させ、大きく横にゆっくり広げてエネルギーを集める。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ゼペリオン光線がギジェラの顔を直撃した。

 

ギジェラ「ギイイエエエアアアアア!!!!!!」

 

花粉を吐きながら火花を散らしながら爆散した。

 

”ピコン”

 

ティガ「ウッ!」

 

膝をついて息を切らす。

 

フェオン「タクト!根っこ!」

 

ティガ「ッ!!タァッ!!」

 

逃げようとするギジェラの蔦を掴み。

 

ティガ「ーーーーーハァッ!!」

 

ウルトラヒートハッグでギジェラの蔦を渡って、ギジェラの根っこを燃やして死滅させた。地面から炎が上がり、聖域となる森が炎上した。

 

ティガ「・・・・・」

 

シャーリー「ありがとうティガ。」

 

そこにシャーリーがティガが歩み寄った。

 

ティガ「すまない。君の森まで壊すつもりはなかった。」

 

シャーリー「良いのよティガ。私はこれから、新しい場所で森を創るわ。」

 

ティガ「新しい場所?」

 

シャーリー「うん。ベロニカか実体のない存在に干渉されない場所で新しい森を創り、自然と動物達と平和に暮らすわ。それが自然を愛する神の新しい使命だから。」

 

光となって、新しい場所を求めて去って行った。

 

 

 

 

 

 

戦いの後、出発する。

 

フェオン「いやぁ〜、何かスッキリしたわね。」

 

アンナ「そう言えば、エミリーさんとヒナさんは何で眠くならなかったんですか?」

 

タクト「簡単さ。模擬戦で疲れて眠って、俺達が眠った後に起きたんだ。眠くならないのは当たり前さ。」

 

レア「あ〜成る程な〜。」

 

 

 

 

 

 

謎の黒い空間。

 

実体のない存在「まぁいいだろう。ギジェラは計画のほんの一部にしか過ぎない。私の計画は、あの男だ。フッフッフッフ・・・」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩

シャーリー:福原香織
ベロニカ:伊瀬茉莉也

実体のない存在:斉藤次郎





次回予告

ロバイト王国で出会ったリオとデイジー。そんな中、タクトは女盗賊団フラワーにスパークレンスを盗まれてしまった。彼女達は次々と光る物を盗み続ける。

次回ウルトラマンティガ

盗まれたスパークレンス

お楽しみに


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18/盗まれたスパークレンス

盗まれたスパークレンス
フラワー 登場



ロバイト王国。ここは採石場が沢山あり、凡ゆる宝石や鉱石や石炭が採掘されている。

 

 

 

 

その夜。

 

女性「ハァハァハァ!」

 

男性「早く!逃げて!」

 

2人のカップルが、何者かに追われていた。

 

蝙蝠「キィーキィー!!」

 

それは、蝙蝠の大群だった。

 

 

 

 

だが逃げた先は、行き止まりだった。

 

男性「クソッ!!」

 

女性「来るわ!!」

 

蝙蝠の大群は容赦なく迫り来る。

 

男性「クッ!!」

 

彼女を後ろに隠して守る。

 

ゾンビ「ウァアアアアアア!」

 

2人「・・・!!」

 

もうダメかと思われた時。

 

???「ハァッ!!」

 

突如現れた1つの影が、蝙蝠達を光で追い払った。

 

2人「・・・!?」

 

その影は、蝙蝠を追い払った後姿を消した。

 

 

 

 

 

 

翌朝。ロバイト王国のマーケットにタクト達の姿があった。

 

フェオン「どれも綺麗ね。」

 

イザベラ「うん。」

 

ここのマーケットには、採掘された宝石や鉱石で作られた指輪やネックレス等のアクセサリーが売られている。

 

ヒナ「エミリーちゃん、このネックレスとっても綺麗ですよ?」

 

エミリー「アクアマリンかぁ。綺麗だな。」

 

ヒナ「エミリーちゃん。知っていますか?アクアマリンの石言葉は勇敢なんですよ?これは、私からのプレゼントです。」

 

エミリー「ありがとうヒナ。大切にするよ。」

 

レア「これはどうだ?アンナ。」

 

アンナ「ピンク色の宝石の指輪?何て言う名前の宝石なの?」

 

レア「クンツァイト?って言うらしいんだ。これ、お前にピッタリだなと思って。」

 

アンナ「ありがとうレア先輩!じゃあ先輩には・・・これかな?」

 

レア「ダイヤモンドのブレスレット?レアにはちょっと荷が重いかも・・・」

 

アンナ「そんな事ないよ!ダイヤモンドにはね、永遠の絆って言う宝石言葉があるんだよ?先輩と私の絆は永遠に不滅だよ。」

 

レア「そう・・・なのか。ありがとうアンナ。」

 

カサンドラ「あれ?タクトは何処行ったんですか?」

 

グレア「タクトは他の店へ行ってるよ?」

 

 

 

 

一方タクトは、別のマーケットに来ていた。

 

タクト「ピアスにチョーカーにイヤーカフにブローチ。アクセサリーが豊富だな。お!このパパラチアのブローチ良いな!」

 

パパラチアのブローチに手を掛けた時、誰かの手に当たった。

 

タクト「ん?」

 

???「あ、ごめんなさい。」

 

それは、1人の少年だった。

 

タクト「いや、こっちこそごめん。あの、このブローチが欲しいの?」

 

少年「もうアクセサリーは買ったけど、このブローチを見ようかなって。」

 

タクト「そうなんだ。」

 

???「ようお嬢ちゃん。俺達と遊ばない?」

 

タクト・少年「ん?」

 

1人の少女が、3人の男達にナンパされていた。

 

少女「あの、私彼氏が居るんですけど。」

 

男A「彼氏だ?そんな見え透いた嘘吐いちゃダメじゃないか。」

 

男B「そんな男なんか放っといて俺達と遊ぼうぜ?」

 

タクト「ナンパか?」

 

少年「デイジー!」

 

タクト「え?知り合い?」

 

デイジー「リオ!!」

 

少女デイジーを助ける為、リオと名乗る少年が駆け付けた。

 

男C「あぁ?何だお前?」

 

男A「もしかして、このチビがお前の彼氏か?」

 

するとリオの中で何かがブチ切れた。

 

リオ「あぁ!?」

 

彼から異形なオーラが溢れ出た。

 

リオ「誰だ!?俺の事をチビと言ったのは!!」

 

男B「な、何だ此奴!?」

 

これには男達も恐怖した。

 

タクト「な、何だ彼奴・・・?」

 

デイジー「リオ!!」

 

隙を見たデイジーがリオへ走った。

 

リオ「俺の大事な彼女に手を出した挙句・・・俺をチビと呼ぶとは良い度胸だなぁ!!」

 

”バキバキ”と指を鳴らす。

 

リオ「覚悟は出来てるんだろうな!?」

 

男A「ヘッ!ガキが調子に乗ってんじゃねえぞ!!!」

 

 

 

 

だが、あっさり倒された。

 

リオ「もう2度と現れるんじゃねえぞ。」

 

タクト「す、凄え・・・」

 

こっちに振り向いた時はさっきの形相が嘘みたいに戻った。

 

リオ「デイジー!大丈夫だった?」

 

デイジー「うん。あの人達がちょっと気の毒だけど。」

 

リオ「大丈夫大丈夫。手加減したから。」

 

デイジー「もう、あんまりやり過ぎないでよ?」

 

リオ「分かってるよ。」

 

タクト「えっと・・・」

 

リオ「あ、さっきの人。」

 

タクト「君、さっきの形相は一体・・・」

 

デイジー「リオ。この人は?」

 

リオ「さっきそこで出会ったんだ。あ、僕はリオ。こっちはデイジー。」

 

タクト「俺はタクト=クリスティ。タクトで構わない。2人はこの国の人か?」

 

リオ「僕達は冒険者だよ。ここに来たのは3日前かな?」

 

タクト「じゃあ2人が先輩だな。そうだ、あのブローチ買わなきゃ。」

 

 

 

 

ブローチを買ってマーケットを後にした。

 

タクト「にしてもリオ。さっきの形相は何だったんだ?」

 

リオ「あぁ、あれはね。」

 

デイジー「リオはね、禁句ワードがあるの。」

 

タクト「禁句ワード・・・もしかして、さっきあの男達が言ってたチビとか?」

 

リオ「うん。僕こう見えて背が低いから。」

 

タクト「コンプレックスか。」

 

デイジー「それにリオは、昔、1人で1000人の盗賊を壊滅させた事から”リトルライオン”と呼ばれているの。」

 

タクト「1人で盗賊1000人を!?凄えな・・・」

 

フェオン「おーい!タクトー!」

 

タクト「お?」

 

向こうからフェオン達が来た。

 

リオ「誰?」

 

タクト「俺の仲間達だ。紹介するよ。おーい!」

 

イザベラ「遅かったですね。」

 

タクト「まぁ色々あってね。」

 

ティオ「ん?タクト、そちらの2人は?」

 

タクト「さっき知り合った冒険者のリオとデイジーだ。さっきナンパ野郎共に絡まれたけど。」

 

ヒナ「タクトさんってナンパに絡まれたり?」

 

タクト「んな訳あるか!デイジーの方だ。でもリオが一瞬で片付いてな。」

 

レア「へぇ〜!小ちゃいのに凄いんだなお前!」

 

リオ「小ちゃいって言わないでよ・・・」

 

デイジー「リオ、身長がコンプレックスなの。私達以外の人がチビって言うと恐ろしくなるの。」

 

エミリー「それは・・・見てみたいな?」

 

タクト「ん?何か良い匂いがするな。」

 

フェオン「これこれ。ミントが香るミントガーネットよ。」

 

タクト「へぇ〜。」

 

すると誰かがタクトとぶつかった。

 

タクト「おっと。」

 

???「あ、ごめんなさい。」

 

フードを被った少女とぶつかった。

 

タクト「ああ、お構いなく。」

 

少女はすぐに去った。

 

 

 

 

 

 

その夜。デイジーをナンパした男達が苛立っていた。

 

男A「クソッ!!あのチビ!!調子に乗りやがって!!」

 

男B「また現れたらブッ殺そうぜ!」

 

男C「でもまあ、宝石とか盗めたし。これを売り捌いて大儲けだぜ!」

 

蝙蝠『キィーキィー!』

 

そこに蝙蝠の大群が迫っていた。

 

男A「な、何だこの蝙蝠共は!?」

 

男C「逃げるぞ!!」

 

迫り来る蝙蝠の大群から逃げる。しかし前に別の大群が逃げ道を塞いだ。

 

男B「く、来るな!!」

 

蝙蝠『キィーキィー!!!』

 

男達「うわああああああああああ!!!!!」

 

蝙蝠の大群は、男達を襲った。

 

 

 

 

 

 

その後。悲鳴を聞いたタクト達が広場へ駆け付けると、蝙蝠に襲われた男達の亡骸があった。

 

タクト「・・・・」

 

フェオン「どうなってるの・・・?」

 

カサンドラ「まさか、誰かが殺害した・・・?」

 

タクト「ん?」

 

亡骸の周りに宝石やアクセサリーが落ちていた。

 

タクト「この亡骸の持ち主は、強盗だったみたいだ。」

 

ヒナ「では、同業者の方々に殺されたとか?」

 

タクト「この近くに居るかも知れない。調べてみよう。」

 

蝙蝠『キィーキィー!!』

 

全員「!?」

 

そこに蝙蝠の大群が現れた。

 

イザベラ「蝙蝠!?」

 

アンナ「まさか、あの蝙蝠が!?」

 

タクト「そうらしいな。皆!行くぞ!」

 

スパークレンスを取り出そうとしたが。

 

タクト「・・・あれ?」

 

レア「ん?どうしたタクト?」

 

タクト「ない!?スパークレンスがない!?」

 

フェオン「ええ!?何で!?」

 

タクト「まさか!?」

 

 

 

 

昨日、フードを被った少女にぶつかったのを思い出した。

 

 

 

 

タクト「あの子が俺のスパークレンスを盗んだのか!?ん!?」

 

フードを被った少女を見付けた。少女はすぐに去った。

 

タクト「彼奴か!!ここを頼む!!」

 

フェオン「タクト!うわ!!」

 

蝙蝠が追う道を塞いだ。

 

フェオン「やるしかないわね!行くわよ!!」

 

 

 

 

逃げた少女を追うタクトだが、少女は驚異のジャンプで建物の屋根へ飛んだ。

 

タクト「逃したか・・・けど、あの驚異のジャンプ力・・・まさか・・・」

 

蝙蝠「キィーキィー!!」

 

タクト「!?」

 

蝙蝠の別の大群が現れた。

 

タクト「別働隊か!」

 

蝙蝠「キィーキィー!!」

 

タクト「追って来やがる!!」

 

蝙蝠の大群から逃げる。

 

 

 

 

タクト「ハァ・・・ハァ・・・」

 

裏路地に逃げ込んだが、蝙蝠の大群はタクトを逃しはしなかった。

 

タクト「しつこい奴等だ・・・!!」

 

すると彼の前にフードを被った5人の少女が現れた。

 

タクト「!?」

 

5人「ハァッ!!」

 

懐から剣を抜いて、蝙蝠の大群を全て斬り殺した。

 

タクト「・・・・」

 

少女「危なかったようね。大丈夫だった?タクト。」

 

タクト「その剣・・・その声・・・お前だったか。テッサ。」

 

テレサ「えぇ。」

 

5人の少女がフードを抜いで顔を見せた。

 

タクト「フラワー盗賊団がここで再会とはな。」

 

この5人は、フラワー盗賊団。嘗てミスリラ帝国で活動していた盗賊団。

 

タクト「あの事件以来だな。ロバイト王国に移住していたとは。」

 

ロスタリア「うん。タクトも元気そうで良かったよ!」

 

タクト「お前ら、この国はどうなってるんだ?夜に蝙蝠が大量に現れて。」

 

アリシア「この国はね、夜になるとイシコウモリが現れるのよ。」

 

タクト「イシコウモリ?石を食料にする蝙蝠か。」

 

ライラ「そう。彼奴らは石や宝石を食べる習性を持っている。」

 

タクト「けど何で人間も襲うんだ?石が好物なはずだろ?」

 

ジュリ「イシコウモリは、チスイコウモリの遺伝子も持っているんです。」

 

テレサ「それに嗅覚が物凄く敏感。人間に付着した石や宝石の臭いも分かるから。」

 

タクト「成る程な。」

 

蝙蝠「キィーキィー!!」

 

しかし、斬られた蝙蝠達が蘇生し始めた。

 

タクト「ッ!?」

 

テレサ「やはり、死なないのね。」

 

タクト「死なないのか?」

 

ジュリ「この蝙蝠達は何者かに操られています。大本を叩かないと。」

 

ロスタリア「そうだタクト。ごめんね。」

 

そう言って、スパークレンスをタクトに返した。

 

ロスタリア「それ、宝石か石で出来るかなって思って。あなたの事を思って盗んじゃって。」

 

タクト「そう言う事か。」

 

蝙蝠「キィーキィー!!」

 

タクト「ハァッ!!」

 

ウルトラ念力でイシコウモリ達を遠くへ押し返した。

 

タクト「皆が危ない!!」

 

急いでフェオン達の元へ戻る。

 

テレサ「私達も!」

 

 

 

 

 

 

一方フェオン達は。

 

フェオン「何なのこの蝙蝠!?斬っても蘇生される!?」

 

アンナ「執拗に襲って来ます!」

 

タクト「おーーーい!!」

 

レア「タクト!!」

 

イザベラ「何処行ってたんですか!!」

 

タクト「話は後だ!!」

 

ウルトラ念力でイシコウモリ達を追い払った。

 

タクト「怪我はないか?」

 

エミリー「何とかな。」

 

テレサ「あなた達も来てたのね。」

 

フェオン「テッサじゃない!!それに皆も!!」

 

グレア「久し振り!」

 

カサンドラ「お知り合いですか?」

 

ヒナ「フラワー盗賊団です。ミスリラ帝国で戦った事がある方々ですよ。」

 

ロスタリア「お!猫の亜人だ!可愛い〜!」

 

アンナ「ロスタリアさん!カサンドラさんを困らせないで下さい!」

 

ティオ「皆。雑談は後にした方が良いよ?」

 

 

 

 

上空に、イシコウモリよりデカイ巨大コウモリが群れを連れて現れた。

 

 

 

 

ジュリ「あれが大本・・・!」

 

巨大コウモリ「ギィーギィー!!!」

 

アリシア「目が赤い・・・災害級みたいね!」

 

タクト「ッ!!」

 

ジャンプしてスパークレンスの光を解放し、ウルトラマンティガに変身し、スカイタイプへタイプチェンジして飛翔した。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ハンドスラッシュを飛ばしたが、コウモリが避けた。

 

巨大コウモリ「ギィーギィー!!」

 

ティガ「アァッ!!」

 

突進を受けたティガが突き飛ばされた。

 

ティガ「ッ!!」

 

コウモリの群れがティガを覆った。

 

 

 

 

フェオン「タクト!!」

 

グレア「このままじゃ食べられちゃう!!」

 

ライラ「ん?クンクン。」

 

フェオン「な、何ライラ?何嗅いでるの?」

 

ライラ「フェオン。ミントの匂いがする。」

 

フェオン「あ、これの事?」

 

内ポケットからミントガーネットを出した。

 

テレサ「それよ!フェオン、それ貸してくれる?」

 

フェオン「ど、どうするの?」

 

ミントガーネットをテレサに貸した。

 

テレサ「コウモリはミントの匂いが弱点!!これでも嗅ぎなさい!!」

 

勢いよくコウモリ達に投げた。

 

巨大コウモリ「ギィーギィー!!」

 

しかしコウモリが目から発する光線で弾き返された。

 

テレサ「あ!!」

 

 

 

 

リオ「はぁっ!!」

 

 

 

 

そこに現れたリオが、弾き返されたミントガーネットを掴んだ。

 

フェオン「リオ!!」

 

リオ「お返しだよ!!!」

 

力強くミントガーネットをコウモリに投げた。

 

巨大コウモリ「ギィーギィー!ッ!?」

 

ミントガーネットがコウモリの口に入った。

 

巨大コウモリ「ギャーギャーギャーギャー!!」

 

ミントの香りが体内に広がり、コウモリが苦しみ悶える。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

親玉がパニックになって混乱してるコウモリ達をフラッシュ・ボマーで弾いた。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ランバルト光弾がコウモリを直撃した。

 

巨大コウモリ「ギャアアアーーーーーーーー!!!!!」

 

爆発四散し、コウモリの群れは正気を取り戻して帰って行った。

 

 

 

 

 

 

翌日。タクトがフェオンにミントガーネットをプレゼントした。

 

タクト「ホラ。」

 

フェオン「ありがとうタクト。ん〜。やっぱり良い匂いね。」

 

リオ「皆〜。」

 

タクト「ようお2人さん。昨日はありがとな。」

 

デイジー「ううん。気にしないで。」

 

レア「おいリオ。宝石の指輪嵌めてるのか?」

 

リオ「えへへ〜。良いでしょ〜?」

 

タクト「何て言うかお前・・・女子力高いな。」

 

リオ「そうかな?」

 

タクト「あぁ。」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩

リオ:土岐隼一
デイジー:寿美菜子

テレサ:浅倉杏美
アリシア:愛美
ライラ:角元明日香
ロスタリア:若山詩音
ジュリ:村上まなつ

ナンパ:佐久間元輝
   田所陽向
   橘龍丸





次回予告

家畜を喰い荒らし、人間を襲う5人の小人。彼等の正体は、魔人メルヒンの支配から逃れた難民だった。メルヒンから彼等を救え。

次回ウルトラマンティガ

小人が襲う

お楽しみに


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19/小人が襲う

小人が襲う
メルヒン、小人 登場



ロバイト王国に、ある不穏な情報が溢れていた。

 

タクト「王国に魔人出現。被害が相次いでいる。」

 

魔人出現が新聞の記事にされていた。

 

フェオン「まさか魔人がロバイト王国に居たとはね・・・」

 

ヒナ「それに、その魔人が現れた所で死者は出ず、人々が凶暴化する事件が相次いでいると。」

 

イザベラ「魔人なら、人間を殺すはずなのに。」

 

レア「ある意味優しいんじゃないのか?」

 

アンナ「何呑気に言ってるのよ。魔人が現れた場所では国民が凶暴化するって記事に書いてあるんだから。」

 

ティオ「何処から現れるか分からないし、警戒は必要だね。」

 

 

 

 

 

 

夜のロバイト王国の見回りをしている2人の兵士の姿があった。

 

兵士A「よし。今日も異常無しだな。」

 

兵士B「そんじゃ、帰って寝ますかな。」

 

兵士A「ん?」

 

兵士B「どうした?」

 

兵士A「あれ見ろ。」

 

広場に停められてる1台の馬車があった。

 

兵士A「誰だ?こんな所に馬車を停めたのは。」

 

兵士B「馬が居ない。不法投棄か?」

 

兵士A「調べてみよう。」

 

不審な馬車を調べてみる。

 

兵士B「・・・ん?おい!人が倒れてるぞ!!」

 

兵士A「何!?」

 

馬車の中に人が倒れていた。

 

兵士B「怪我をしているみたいだ。搬送の準備だ!」

 

兵士A「了解!」

 

だがその時。

 

”ガチャ”

 

兵士B「ん?」

 

小さな2つの影が、突然兵士を襲った。

 

兵士B「うわあああああああ!!!」

 

兵士A「お、おい!何だコイツ等!?おい!今助けてやる!!」

 

しかし、別の小さな2つの影がその兵士を襲った。

 

兵士A「ぐああああああああ!!!」

 

 

 

 

 

 

翌朝。

 

フェオン「小さな生物が、突如兵士を襲った。兵士と怪我人に命の別状はない。ねぇ・・・」

 

昨晩に起こった出来事が新聞に掲載されていた。

 

グレア「小さな生物って、魔物化したネズミなのかな?」

 

カサンドラ「いえ、リスかも知れません。」

 

レア「カラパイアかも知れないぞ?小さい癖にかなり凶暴って聞いてるぞ。」

 

エミリー「もしくは、子猫か子犬か。」

 

ヒナ「フェオンさん。兵士さん達が見た影の形って何なんでしょうか?」

 

フェオン「読んでみるわね。えっと、インタビューによると・・・人?」

 

ティオ「え?人?」

 

イザベラ「人の形をした小さな生物って・・・」

 

タクト「恐らく小人だな。」

 

カサンドラ「小人?」

 

タクト「小さな人の形をした伝説の生物。しかし、このロバイト王国に生息しているとは珍しいな。ここは採石場が盛んだから、森や森林が少ない。」

 

イザベラ「もしかしたら、他の国から移住して来たんでしょうか?」

 

タクト「うん。イザベラの言葉に一理ありそうだ。その記事通り、小人は人間を襲う可能性がある。」

 

レア「しっかし、魔人の次は小人か?訳の分からん記事だなぁ。」

 

 

 

 

 

 

その夜、牧場では。

 

小人「・・・!」

 

そこに、5人の小人が家畜の牛を殺して肉を頬張っている。

 

小人「ドノバン・・・僕達何処まで逃げれば自由を得られるんだろう・・・」

 

ドノバン「さぁな。生き残ったのは俺達5人って訳か。ファラ。レパードは?」

 

ファラ「ぐっすり眠ってるわ。」

 

レパード「zzz・・・」

 

ドノバン「ジョセフ、ダヴィル、ファラ。奴が何処から現れるか分からない。気を付けろよ。」

 

ダヴィル「はい。」

 

ジョセフ「うん。」

 

ファラ「えぇ。」

 

男性「な、何だこれは!?」

 

そこに、牧場の主人が殺された牛の肉を食べてる小人を見て叫んだ。

 

ドノバン「ッ!逃げるぞ!!」

 

小人達一斉に逃げ出す。

 

男性「待て!!逃がすか!!」

 

ドノバン「これでどうだ!!」

 

周りの木材を倒して道を塞いだ。

 

男性「なっ!?」

 

 

 

 

5人は牧場から逃げ切った。

 

ジョセフ「何とか逃げれたね・・・」

 

ドノバン「あぁ。また隠れる場所を探さないとな・・・」

 

レパード「・・・ドノバン・・・」

 

ファラ「ん?ドノバン!」

 

ドノバン「どうした?ファラ。」

 

ファラ「レパードが!」

 

レパードの身体が光っていた。

 

ドノバン「まさか!!」

 

???「見付けたぞ!!」

 

 

 

 

1人の魔人が、小人を見付けた。

 

 

 

 

ドノバン「マズい!!逃げるぞ!!」

 

俊足で魔人から逃げる。

 

ドノバン「何としてもレパードを護るんだ!!」

 

ダヴィル「はい!!」

 

魔人「フフッ。」

 

両目から光弾を放ち、小人達の逃げ道を爆発させた。

 

魔人「逃がさん!!!」

 

光弾を連射し、ドノバン達の逃げ道を妨害する。

 

ドノバン「ジグザグに走れ!!」

 

5人がジグザグに逃げ続ける。

 

ドノバン「殺されてたまるか!!!」

 

魔人「逃げても無駄だ!!地獄の果てまで追い続ける!!!」

 

光弾を前の木に直撃させ、ドノバン達の逃げ道を塞いだ。

 

ドノバン「何!?」

 

ファラ「そんな!?」

 

魔人「さぁどうする?私の為に働くか?」

 

ドノバン「巫山戯るな!俺達はお前の道具じゃない!!」

 

魔人「そうか。なら!!私から逃げた罪を、その身をもって償え!!!」

 

光弾を巨大化させ、ドノバン達に向けて放つ。

 

ジョセフ・ダヴィル・ファラ「うわああああああ!!」

 

ドノバン「ッ!!」

 

 

 

 

 

 

しかし横からハンドスラッシュが現れ、巨大光弾を粉砕した。

 

 

 

 

 

 

魔人「何だ!?」

 

そこに現れたのは、タクトだった。

 

タクト「お前が例の魔人か。ここでお前を止める!」

 

魔人「邪魔が入ったか。」

 

魔法で自分の姿を消した。

 

タクト「消えた・・・!?」

 

ドノバン「人間・・・」

 

タクト「っ。」

 

小人に顔を向けたタクト。ドノバン達が構える。

 

タクト「あの魔人に追われたのか?」

 

ドノバン「だったら何だよ。」

 

タクト「・・・話を聞かせてくれるか?」

 

 

 

 

 

 

翌朝のホテル。テーブルの上にドノバン達5人の小人が立ってる。

 

ドノバン「あれは、1年前から始まったんだ。俺達は、遥か遠くの小さな森で暮らしていたんだ。」

 

ダヴィル「僕達はその森で、平和な生活を送っていたんです。沢山の仲間達や、美しい自然に囲まれて。」

 

ファラ「でもある時。突然メルヒンが現れたの。」

 

タクト「昨夜の魔人か?」

 

ファラ「えぇ。メルヒンは、私達の故郷を破壊し、私達を攫った。小人達を支配して道具にさせた。抵抗したら、容赦なく捨てると言う残忍な魔人。」

 

ジョセフ「生き残ったのは、僕達5人だけ。奴から逃げ出したまでは良かった。」

 

ドノバン「けどメルヒンは、俺達を執拗に追い続け始めた。俺達は奴から逃げ続ける為、凡ゆる国を転々としながら逃げた。食料は家畜達を殺して食べた。」

 

ティオ「でも、人間を襲う理由なんてなかったのに。」

 

ドノバン「魔人は元々人間なんだろ?だから・・・」

 

ティオ「人間不信になったんだね。」

 

レア「ん?抵抗したら捨てるって言ったんだろ?」

 

ドノバン「メルヒンの狙いは、レパードなんだ。」

 

ティオ「彼女が?」

 

レパード「・・・・」

 

フェオン「でも、あなた達と同じく普通の小人でしょ?何で追う必要があるの?」

 

タクト「グレア。」

 

グレア「うん。」

 

魔法を使って、レパードを調べてみる。

 

グレア「成る程ね。謎が解明したわ。」

 

アンナ「どうだったんですか?」

 

グレア「この子、凶暴化を弱める魔力を持っているわ。」

 

カサンドラ「凶暴化を弱める魔力?」

 

ティオ「実は僕達、国の皆に聞き込みをしてたんだ。魔人から発する紫の煙で凶暴になってしまうって。」

 

グレア「その魔人の持つ凶暴化させる煙を打ち消す力を、レパードは持っているって訳。」

 

タクト「つまりメルヒンは、自分の魔法を打ち消す力を持つレパードを殺す為に追い続けていると。」

 

レパード「・・・私にそんな力が・・・」

 

タクト「あの様子だと、今まで自覚がなかったんだな。」

 

ドノバン「俺達はそのとばっちりって訳なんだ。でも俺達はレパードの仲間だ。どんな危険が来ようとも護る。」

 

ダヴィル「そうです!僕達は固い絆で結ばれています!」

 

タクト「俺達と同じだな。」

 

ドノバン「え?」

 

タクト「俺達も固い仲間の絆で結ばれているんだ。お前達が人間を信用しなくとも、俺達にだけは信用しても良いんじゃねえの?」

 

ドノバン「タクト・・・」

 

ジョセフ「ドノバン。昨晩彼に助けられたんだし、少し位は・・・」

 

ドノバン「・・・分かった。」

 

レパード「あ、また・・・」

 

彼女の身体が光っている。

 

レア「お、おいレパード!?光ってるぞ!?」

 

ドノバン「メルヒンだ!メルヒンが来てるんだ!」

 

”キャアアアアアア!!!”

 

全員「!?」

 

ホテルの窓を開けて外を見る。

 

タクト「逃げ惑っている!ん?」

 

紫の煙が見えた。

 

タクト「彼処か!皆行くぞ!」

 

フェオン「えぇ!ドノバン達はここで待ってて。」

 

彼等は急いでメルヒンの元へ向かう。

 

レパード「・・・・」

 

 

 

 

 

 

メルヒン「何処だレパード!!出て来ないと王国を破壊するぞ!!」

 

暴れ狂うメルヒンが魔法弾を乱射してる。

 

メルヒン「グアッ!!」

 

魔法師団の魔法弾が直撃した。

 

魔法兵士「紫の煙で照準がぶれます!真上から打ち込めば!」

 

魔法団長「いや、下手をすれば周囲に危害が及ぶ!」

 

 

 

 

 

 

ホテル。

 

レパード「・・・・」

 

ドノバン「彼奴等・・・俺達の為に・・・」

 

ジョセフ「どうするのドノバン?僕達ここで待ってても良いの?」

 

ファラ「ジョセフ何言ってるのよ!フェオンがここで待っててくれって言われたんでしょ?動く必要はないわ!」

 

ダヴィル「でも、人間の皆さんをこのままにしても良いんですか!?」

 

ファラ「人間の問題でしょ!?私達は小人だから関係ないの!!」

 

ドノバン「喧嘩は止せ!」

 

レパード「・・・ドノバン!」

 

ドノバン「レパード?」

 

レパード「私を行かせて!」

 

ドノバン「レパード?」

 

ファラ「何言ってるのよ!凶暴化するのは人間が制御しないのが悪いんでしょ!?」

 

レパード「だとしても!!相手はメルヒン!!それは私達の問題でもあるのよ!!・・・私の力で、皆を救いたい!だから!!」

 

ファラ「レパード・・・」

 

ドノバン「・・・分かった!」

 

 

 

 

 

 

紫の煙を吸ってしまった国民達が暴徒化してしまい、街を壊している。

 

タクト「くそっ!!暴れ狂ってる!!」

 

フェオン「ここはもう手遅れみたいね!!」

 

イザベラ「キャッ!!」

 

人々がタクト達を襲い掛かる。

 

レア「クゥッ!!避けても避けてもキリがないぞ!!」

 

アンナ「ッ!!迂闊に攻撃出来ない!!」

 

デイジー「えいっ!!」

 

そこには、リオとデイジーも暴徒化した人々に襲われていた。

 

リオ「デイジー!!傷付けちゃダメだよ!!避け続けて!!」

 

デイジー「分かってるわよ!でもキリがないわよ!!」

 

 

 

 

すると、光の粒子が街中を覆った。

 

 

 

 

タクト「これは!?」

 

レパード「ッ!!」

 

それは、レパードの光だった。光が暴徒化した人々を解放させた。

 

タクト「レパード!!」

 

リオ「小人!?」

 

レア「彼奴・・・武器もないのに・・・!」

 

メルヒン「フフッ。見付けたぞ。レパード。」

 

レパード「メルヒン!!」

 

メルヒン「自ら死にに出たか。お望み通り、ここで死ねえ!!!」

 

光弾を放ち、レパードに直撃した。

 

レパード「キャアアアーーー!!」

 

エミリー「よくもレパードを!!!許さん!!!」

 

全員が武器を握り、メルヒンに立ち向かう。

 

グレア「皆!」

 

フェオン・エミリー・レア「ハァッ!!」

 

大剣と太刀と旋刃盤がメルヒンの身体を切り裂く。

 

アンナ「ッ!!」

 

ボウガンの矢がメルヒンの右胸を突き刺した。

 

カサンドラ「ヤァッ!!ハァッ!!」

 

双剣を高速で振り回し、メルヒンの身体中に切り傷を刻む。

 

メルヒン「その程度か!!ハァッ!!」

 

光弾を拡散させ、フェオン達に直撃した。

 

フェオン・エミリー「アァッ!!」

 

レア・アンナ・カサンドラ「うわっ!!!」

 

リオ「皆!!」

 

デイジー「危ない!!」

 

光弾で飛ばされたフェオン達を受け止めた。

 

デイジー「大丈夫!?」

 

フェオン「ありがとうデイジー・・・」

 

エミリー「すまない・・・」

 

リオ「無茶しないで!」

 

レア「あぁ・・・」

 

アンナ・カサンドラ「はい・・・」

 

メルヒン「フッハッハッハッハ!!苦しめ人間共!!」

 

 

 

 

タクト「ッ!!」

 

スパークレンスの光を解放させた。

 

 

 

 

 

メルヒン「苦しんで死ぬが良い!!」

 

すると頭部にハンドスラッシュが直撃した。

 

メルヒン「グハッ!!何だ!?」

 

ウルトラマンティガが現れた。

 

ティガ「タァッ!!」

 

メルヒン「邪魔だ!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

光弾を喰らったティガが倒れた。

 

メルヒン「誰だか知らないが、邪魔をするならこうだ!!」

 

両肩の装飾から、紫の煙を放出した。

 

ティガ「ウッ!?ウアアアアアアア!!!」

 

紫の煙に苦しむティガが倒れ、目が紫に変色した。

 

メルヒン「苦しめ苦しめ。そしてこの街を破壊するのだ。」

 

しかし、光の粒子が街全体を優しく包んだ。

 

メルヒン「な、何!?」

 

 

 

 

ヒナ「フェオンさん!煙が消滅していきます!」

 

フェオン「レパード!レパードはまだ生きているんだわ!」

 

 

 

 

レパード「・・・!!」

 

立ち上がったレパードが、力を振り絞って光を溢れさせる。

 

ティガ「・・・!!」

 

紫に変色した目が、元に戻った。

 

メルヒン「この死に損ないが!!!」

 

再びレパードに光弾を放ったが。

 

ティガ「フッ!!」

 

その光弾をティガが左手でキャッチした。

 

メルヒン「ッ!?」

 

ティガ「タァッ!!」

 

メルヒン「グアアアア!!」

 

返された光弾がメルヒンに直撃した。

 

 

 

 

レパード「・・・・・」

 

光を使い果たしたレパードが倒れた。

 

 

 

 

ティガ「ッ!」

 

 

 

 

ドノバン「おい!レパード!」

 

ダヴィル「しっかりして下さい!レパード!」

 

ジョセフ「おい!レパード!!」

 

ファラ「レパード!死んじゃ嫌だよ!レパード!」

 

 

 

 

ティガ「・・・」

 

メルヒン「貴様!!よくも!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

メルヒン「死ねえ!!」

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ウルトラシールドで光弾を防ぎ、そのままパワータイプへタイプチェンジした。

 

メルヒン「色が変わっただけで!!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

急接近したティガが、メルヒンの腹部にパワーキックを打ち込む。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ウルトラ・ホイッパーでメルヒンを投げた。

 

ティガ「タァッ!!」

 

無理矢理立たせて、再度ウルトラ・ホイッパーでメルヒンを投げた。

 

メルヒン「フンッ!!」

 

両手を突き出してフェイント。

 

メルヒン「ダァッ!!」

 

隙を見て蹴るが、ティガが両手で防いだ。

 

メルヒン「死ね!死ねぇ!!」

 

左右で蹴るが、ティガが連続で防いだ。

 

ティガ「タァッ!ハァッ!!」

メルヒン「ダァッ!ダァッ!!」

 

両者のキックがぶつかり合う。

 

ティガ「ハァッ!!ハァッ!!」

 

しゃがんでメルヒンの腹部に連続パワーパンチを打ち込んだ。

 

ティガ「タァッ!!」

 

パワーチョップがメルヒンの首元に命中し、メルヒンが吹っ飛んだ。

 

ティガ「タァッ!!」

 

起き上がろうとするメルヒンを、パワーキックで妨害した。そのまま無理矢理立たせてから。

 

ティガ「タァッ!!」

 

巴投げでメルヒンを後ろへ投げ飛ばした。

 

メルヒン「グッ・・・!!」

 

ティガ「タァッ!!ハァッ!!」

 

ダブルパワーチョップが、メルヒンの装飾を破壊した。

 

メルヒン「貴様!!!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

鋭い爪がティガの首に直撃し、ティガが苦しむ。すぐにティガが起き上がった。

 

メルヒン「よくも私の大事な武器を!!!」

 

光弾を連射する。ティガが避け、光弾が建物等に直撃した。

 

メルヒン「逃がさん!!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

3発の光弾がティガに直撃した。

 

”ピコン”

 

メルヒン「アハハハハハハハハ!!!!!」

 

狂い出したメルヒンがティガを襲う。

 

ティガ「アァッ!!」

 

掴まれて投げられた。

 

メルヒン「シネェ!!シネェ!!シネェ!!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

怒涛のパンチとキックでティガを苦しめる。

 

メルヒン「アハハハハハハハハ!!!」

 

ティガ「アァッ!!」

 

巴投げでティガが投げられた。

 

メルヒン「オマエモジゴクユキダアアァァァァ!!!!」

 

ティガ「ッ!!ハァッ!!」

 

ジャンプからの。

 

ティガ「タァッ!!」

 

パワーキックがメルヒンの頭部に直撃した。

 

メルヒン「グゥッ・・・!!」

 

ティガ「・・・・」

 

着地したティガが起き上がるメルヒンを見る。

 

メルヒン「こ・・・こうなったら!!!」

 

魔法を使ってテレポートしようとする。

 

メルヒン「フフフフフ。」

 

ティガ「ッ!!」

 

両手にエネルギーを溜める。

 

ティガ「タァッ!!」

 

集めたエネルギーでティガ・ホールド光波を放った。

 

メルヒン「悪足掻きか!!!」

 

しかしこれは、相手の能力を一瞬で掻き消す技である。メルヒンの魔法も例外ではない。

 

メルヒン「な・・・何だと・・・!?」

 

魔法が掻き消されたメルヒンが撹乱する。

 

ティガ「フッ!!」

 

両腕を左右から上にあげ、胸の前に集めた超高熱のエネルギーを光球にした。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

メルヒン「グアアアアアアアアアア!!!!!」

 

デラシウム光流が、メルヒンに直撃して爆発した。

 

 

 

 

 

 

戦いが終わった後。

 

フェオン「ドノバーーーン!!」

 

ドノバン「皆・・・」

 

イザベラ「レパードさんは・・・?」

 

ドノバン「・・・」

 

首を横に振った。

 

アンナ「そんな・・・死んだんですか・・・?」

 

カサンドラ「嘘・・・」

 

グレア「レパード・・・」

 

死んでしまったレパードを皆が悲しむ。

 

タクト「・・・・・」

 

 

 

 

 

 

翌日。タクト達に1通の封筒が届いた。

 

タクト「・・・」

 

それは、4人を写した写真。

 

フェオン「レパードは居ない・・・」

 

レア「彼奴は、立派な奴だったな・・・」

 

エミリー「・・・・ん?」

 

封筒の中に、もう1枚手紙が入っていた。

 

エミリー「?」

 

その手紙には、『皆、元気』と書かれてあった。

 

エミリー「・・・ッ!タクト、写真見せてくれ。」

 

写真を凝らして見ると、ドノバンの後ろから覗くレパードの顔が。

 

エミリー「ッ!!」

 

ヒナ「レパードさん!!」

 

 

 

 

 

 

魔物ハンターの乗る馬車の片隅にドノバン達小人が乗っている。

 

ダヴィル「もうドノバンには騙されましたよ!」

 

ジョセフ「良いじゃないか!しかしドノバンとレパードの演技、凄かったなぁ!」

 

ファラ「流石の演技ね。それに、私達はこれでメルヒンの支配から解放されたんだし。」

 

レパード「うんうん!また会えるかな?タクト達に。」

 

ドノバン「会えるさ。彼奴等にメルヒンを倒してくれた恩返ししなきゃだな!」

 

 

 

 

 

 

グレア「良かったよ!レパード!」

 

ティオ「うん!生きてて良かった!」

 

タクト「生きろよ皆。この世界で。」

 

 

 

 

小人達の新たな旅が、始まったのであった。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩

リオ:土岐隼一
デイジー:寿美菜子

ドノバン:梅原裕一郎
ダヴィル:山下誠一郎
ジョセフ:新井良平
ファラ:植竹香菜
レパード:伊月ゆい

兵士:増岡大介
   狩野翔

メルヒン:鳥海浩輔





次回予告

ケイティ=グレイスは、笑顔を絶やさず、相手を煽る戦法を得意としている。彼女の性格には、父親からの言葉によって生まれたのだった。

次回ウルトラマンティガ

ラフ・ハンター

お楽しみに


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20/ラフ・ハンター

ラフ・ハンター
人狼 登場



この世界には、多くの魔法が有り触れている。魔力によって暴走した存在・魔物や魔人もその1つ。人々は、世界中に蔓延る魔物を討伐し続けている。

 

 

 

 

1年前。とある森の中。

 

ウィルバー「ハァッ!!」

 

リーレ「ヤァッ!!」

 

魔物「グオオアアアア!!」

 

2人が、襲い来る魔物を討伐した。

 

ウィルバー・リーレ「・・・・」

 

しかしその後ろにトラの魔物が現れた。

 

トラの魔物「グオオアアアア!!!」

 

しかし、その後ろから少女がトラの魔物を斬り裂いた。

 

ウィルバー「ケイティ!!」

 

ケイティ「お父さん!お母さん!」

 

この3人は家族で、迫り来る魔物達を討伐し続ける。

 

リーレ「数が多いわ!」

 

ケイティ「でも結構、遊び応えがあるよ?」

 

ウィルバー「そうだな。久し振りに快感を得た感じだ!」

 

 

 

 

その魔物達を使役する謎の人物が、ウィルバーに向けて矢を放った。

 

 

 

 

ウィルバー「ぐあああっ!!!」

 

矢がウィルバーの胸に刺さった。

 

リーレ「あなた!!」

 

ケイティ「お父さん!!」

 

ウィルバー「来るな!!まだ来るぞ!!」

 

リーレ「キャアアア!!!」

 

今度はリーレの胸に矢が刺さった。

 

ケイティ「お母さん!!」

 

リーレ「・・・大丈夫よケイティ・・・!私はまだやれるわ!!」

 

災害級「グオオオオオオオオ!!!」

 

しかしそこに、ライオンの災害級が現れた。

 

ケイティ「また来たよ!?超大物が!」

 

ウィルバー「・・・ケイティ。」

 

ケイティ「ん?何?お父さん。」

 

ウィルバー「すまない!!」

 

ケイティ「え!?うわあああああああ!!」

 

自分の娘を遠くに投げた。

 

ケイティ「お父さん!?お母さん!?」

 

ウィルバー「ケイティ!私達の分の人生を精一杯生き続けてくれ!」

 

リーレ「あなたは誇りの娘よ!」

 

ケイティ「逝っちゃうの!?」

 

ウィルバー「もうちょっと遊んだらな!」

 

サムズアップでケイティに笑顔を送った。

 

ケイティ「分かった!!地獄に落ちたら承知しないからね!!」

 

彼女は森から走り去った。

 

リーレ「お別れの挨拶は済んだ?」

 

ウィルバー「我ながら良い出来だったなぁ。」

 

リーレ「じゃあ、最後のお遊びに付き合ってあげよ?」

 

ウィルバー「そうだな。おーいライオンちゃん!!ちょっと私達と遊ぼうか!!」

 

ライオン「グオオオオオオオオ!!!」

 

 

 

 

 

 

ケイティ「・・・!!」

 

森を出たケイティの前に、ウィルバーを刺した矢が飛んで来た。

 

ケイティ「・・・」

 

 

 

 

 

 

それから1年後のロバイト王国。タクトがエミリーと買い物をしていた。

 

タクト「物資はこれでOKかな?出発は5日後だし。」

 

エミリー「あぁ。」

 

男「なぁ、そこのお2人さん。」

 

タクト・エミリー「ん?」

 

1組のカップルが尋ねた。

 

男「ここ最近、人狼が出没してるって噂があるんだ。」

 

エミリー「人狼?」

 

女「私達と同じ人間に化けて潜んだり、徘徊して人を襲うって噂があるの。」

 

タクト「人狼かぁ・・・」

 

男「お2人も気を付けた方が良いぞ。」

 

カップルは忠告して去って行った。

 

タクト「人狼・・・魔物じゃないのか。エミリーは人狼に遭遇した事は?」

 

エミリー「それはないな。人狼自体初めて聞いた。狼男とは違うのか?」

 

タクト「似ているようだが、中身は違う。」

 

 

 

 

 

 

ホテルに戻り、フェオン達に人狼の話をした。

 

ヒナ「狼男じゃなく、人狼が潜んでいるんですね。」

 

レア「人狼なんて初めてだぞ・・・」

 

イザベラ「私もです。」

 

グレア「実際私達、最初に出会った時にドラゴンに遭遇してるし。」

 

タクト「人狼は誰に化けてるか不明だし、日夜問わず徘徊してるって噂だ。」

 

フェオン「・・・・・」

 

アンナ「あのぉ、フェオンさんがさっきから怯えてますけど・・・」

 

ティオ「もしかしたら、僕達の誰かに化けてる可能性が〜?」

 

フェオン「こ、怖い事言わないでよティオ!!」

 

カサンドラ「と、兎に角!人狼の事は保留にして、明日は魔物討伐に行く日ですよ?」

 

フェオン「そうだったわね!今日から魔物に専念するわよ!」

 

タクト「恐怖から逃れたい為の気持ちの切り替え・・・」

 

 

 

 

 

 

翌日。森の中。

 

タクト「タァッ!」

 

ハンドスラッシュで熊の災害級を誘導させる。

 

タクト「フェオン!そっち行ったぞ!」

 

フェオン「任せて!!」

 

大剣を振り下ろして地面を叩き、熊の災害級を浮かせた。

 

フェオン「アンナ!!」

 

アンナ「はい!!」

 

ボウガンを連射し、熊の災害級の両手両足を刺した。

 

エミリー「レア!カサンドラ!」

 

レア「おう!」

 

カサンドラ「一緒に!」

 

エミリー・レア・カサンドラ「ヤアアァァァァァ!!!!」

 

太刀、旋刃盤、双剣を振り下ろして熊の災害級を倒した。

 

 

 

 

討伐後。

 

タクト「手強かったなぁ。」

 

ティオ「何とか倒せたし良かったじゃん。」

 

タクト「んじゃ、帰って飯にするか。」

 

イザベラ「ん?皆さん、あれ。」

 

全員「?」

 

森の切り株に座って肉を食べてる少女を発見した。

 

フェオン「ハンターかしら?」

 

 

 

 

しかしその少女の後ろから、トラと狼の魔物が忍び寄る。

 

 

 

 

レア「おい!彼奴危ないぞ!助けるぞ!」

 

タクト「待てレア!」

 

レア「何で!?」

 

タクト「あの子、気付いてないフリをしてるように見える。」

 

レア「え?」

 

 

 

 

トラ「グオオオオオオオオ!!!」

 

ケイティ「よいしょ。」

 

後ろ向きに2本のナイフを投げた。ナイフがトラの右目に刺さり、もう1本が狼の前の右足に刺さった。

 

トラ「グオオオオオオオオ!!!」

 

右目を刺されたトラが苦しむ。

 

ケイティ「ちょっと?ご飯の真っ最中に邪魔しちゃダメじゃない。」

 

肉を食し、骨をナイフで削る。

 

狼「グルルルル・・・!!」

 

身の危険を感じた狼が退散した。

 

トラ「グオオオオオオオオ!!!」

 

怒り狂ったトラがケイティに迫る。

 

ケイティ「メッ!」

 

削った骨を投げた。今度はトラの左目に刺さった。

 

トラ「グオオオオオオオオ!!!」

 

両目が失明し、トラが倒れて苦しむ。

 

ケイティ「さてと、お腹いっぱいになった事だし。下拵えしよっか!!」

 

剣を握って、苦しむトラの首を切断した。

 

ケイティ「ふぅ〜。やっと終わった。あ、そうだ。そこの諸君?出て来ても良いんじゃない?」

 

茂みからタクト達が出て来た。

 

フェオン「私達の存在に気付いていたとは、中々のハンターみたいね。」

 

ケイティ「でしょでしょ?私って凄い!」

 

アンナ「自意識過剰でしょうか・・・?」

 

ケイティ「そうだ、自己紹介しなきゃ。私はケイティ=グレイス。ケイティで良いよ。ここでハンターをやってるの。」

 

タクト「タクト=クリスティ。タクトで構わない。そして、ユエリアン出身で俺の仲間達。」

 

それぞれ紹介した。

 

ケイティ「へぇ〜。ユエリアンから。1度行ってみたかったんだね〜。」

 

フェオン「え?私達の故郷を知ってるの?」

 

ケイティ「うん。お父さんが来た事あるって言ってた。でも、滅ぼされたのは残念だね・・・」

 

イザベラ「ケイティさんのお父さん、どんなお人だったんですか?」

 

ケイティ「明るくて、私の自慢のお父さん!でもね、1年前に魔物に襲われた時に亡くなったの。お母さんと一緒に。」

 

イザベラ「あ、ごめんなさい・・・」

 

ケイティ「ううん。気にしないで?お父さんとお母さんは天国で見守ってるし、それに約束したんだから。お父さんとお母さんの分まで生き続けるって!」

 

タクト「親御さんが亡くなっても、笑顔なんだな。」

 

ケイティ「お父さんに教えて貰ったの。『戦う時は平常心を保つ事。人はパニックになると脳が整理出来ない。常に平常心を保ち、笑顔になればどんな戦いも乗り越えられる。』って。」

 

グレア「凄いんだね!あなたのお父さん!」

 

ケイティ「えへへ〜。お父さんを褒めてくれてありがと〜。」

 

タクト「なぁケイティ。何処の国から来たんだ?」

 

ケイティ「ブルースフィアだよ?」

 

タクト「ブルースフィア?三大大国の1つじゃないか。」

 

ケイティ「でも、彼処は行かない方が身の為だよ?」

 

タクト「え?」

 

カサンドラ「どう言う事ですか?」

 

ケイティ「彼処はね、私腹を肥す貴族達によって平民達が蹂躙されてるの。食糧すら与えてくれず、餓死する人が続出してる。」

 

エミリー「酷いな・・・天と地の差か・・・」

 

ヒナ「ですが、ケイティさんは飢餓しているように見えませんが。」

 

ケイティ「あ、私?私は凄腕ハンターの父を持ってるの。お金もたんまりあったの。貴族がお父さんをスカウトしててね、貴族直属のハンターになった。それ以来、私達一家は仲間だったハンター達から裏切り者と罵った。でも、お父さんは何時も笑ってた。悔やんでたら負けるって。」

 

ティオ「メンタルが強いんだね。」

 

ケイティ「それで、1年前にお父さんが身の危険を感じて私とお母さんを連れて国外脱出を決行。でも脱出出来たのは良いけど、2人の人物に狙われて、お父さんとお母さんが私を逃がして犠牲になった。そして、私は今タクト達に出会った。これが私の経緯ね。」

 

タクト「ブルースフィアが貴族に蹂躙されているとは・・・それで、お前はここで飯を食って休憩中なのか?」

 

ケイティ「そうだね。これが目当て。」

 

1本の矢を見せた。

 

アンナ「矢ですか?」

 

ケイティ「この矢はね、お父さんとお母さんを殺した矢。私はこれの持ち主を捜して、お父さんとお母さんの無念を晴らしたいと思って。」

 

フェオン「ご両親の敵討ちって事ね。」

 

ケイティ「そっ。」

 

”ガサガサ”

 

タクト「ん?」

 

茂みの中から、あのカップルが出て来た。

 

タクト「アンタ達。」

 

ヒナ「お知り合いですか?」

 

エミリー「昨日、人狼の噂を教えてくれた2人だ。」

 

男「あなた達もここで狩りをしていたんですね。」

 

タクト「うん、まぁな。今帰る所だ。ん?腕どうしたんだ?」

 

右腕に包帯が巻かれてあった。

 

男「これ?ちょっと擦り傷入れられて。」

 

レア「魔物にか?大丈夫なのか?」

 

女「大丈夫です。すぐに治りますので。」

 

男「じゃあ僕達はこれで。」

 

2人は去って行った。

 

タクト・ケイティ「・・・・」

 

フェオン「さ、そろそろ帰りましょ?」

 

タクト「フェオン。俺ちょっと用事思い出した。」

 

フェオン「え?」

 

タクト「先帰っててくれ。」

 

彼はそのまま何処かへ去った。

 

フェオン「ちょっとタクト!」

 

イザベラ「行っちゃった・・・」

 

ヒナ「どうしたんでしょう?」

 

グレア「急に行っちゃって。」

 

フェオン「まぁ良いわ。タクトの事だからすぐ帰って来るでしょう。」

 

ケイティ「そうとは限らないんじゃない?」

 

フェオン「え?」

 

グレア「どう言う意味?」

 

ケイティ「何か気付いたかもよ?彼。あの2人の事。」

 

 

 

 

 

 

そのタクトは、あのカップルを追っていた。

 

タクト「おい!」

 

男・女「ん?」

 

タクト「ちょっと、話したい事がある。」

 

男「僕達に?一体何の?」

 

タクト「アンタの右腕、見せて貰えるか?」

 

男「え?まだ怪我してるんですよ?」

 

タクト「いや、もう充分治ってるだろ。去って行く時、腕の振りが大きかった。あれは一般な歩き方だ。」

 

男「・・・」

 

タクト「それに、さっき狼が茂みの中へ消えて行った。しばらくしてからお前達が茂みから出て来た。お前達が噂していた人狼の正体は、お前達だ。」

 

男「・・・」

 

女「・・・よく分かったわね。」

 

すると女が、弓矢を構えた。

 

タクト「それがケイティの親御さんを殺した矢か。形状は同じ。」

 

女「私達はね、私達の住処に侵入した者を殺しただけよ。」

 

男「あの森は、僕達の故郷だ。それを土足で踏み入れたあの親子が悪い。」

 

タクト「なら追い払えば良かったんじゃないのか?」

 

男「追い払う?ほざけ。追い払えばまた侵入するのが当たり前だろ。だから殺した。」

 

タクト「お前達を血眼になって捜してるだろうぜ?ケイティが。」

 

男「そうか。なら。」

 

瞬間移動した。

 

タクト「ッ!?ガッ!?」

 

後ろに回った男が、タクトを手刀で気絶させた。

 

女「近付いて来るわ。行きましょ。」

 

男「あぁ。」

 

2人が一目散にジャンプして去って行った。

 

タクト「ぷはぁ!」

 

気絶していたタクトがすぐに復活した。

 

タクト「気絶のフリ作戦成功。彼奴ら、逃がすか。」

 

スパークレンスの光を解放し、ウルトラマンティガへ変身した。

 

 

 

 

男「行くぞ。」

 

女「ええ。」

 

2人が手を繋ぐと、全身から黒い光が溢れた。

 

 

 

 

一方ケイティは、去って行った2人を馬で追ってる。その後ろからフェオン達が馬に乗って追ってる。

 

アンナ「ケイティさん!待って下さい!私達も手伝います!」

 

ケイティ「あなた達の気遣いはありがたい。でもこれは私の敵討ちの戦い。付いて来れるかしら?ん?」

 

前方に黒い光が溢れていた。

 

ケイティ「何これ!?」

 

アンナ「ケイティさん!危ない!」

 

 

 

 

人狼男・人狼女「グオオオオオオオ!!!」

 

その光から、2人の人狼が現れた。

 

 

 

 

イザベラ「何あれ!?」

 

ケイティ「あ!お父さん達を殺した人狼じゃん!」

 

フェオン「あれが、ケイティのご両親を殺した・・・!」

 

人狼男・人狼女「ーーーーーーーー!」

 

両手を掲げると、その両手から光が放出された。

 

エミリー「何だこれは!?」

 

レア「何も見えないぞ!!」

 

グレア「ここから離脱して!」

 

急いでその場から離脱した。

 

人狼2人「ガハッ!!」

 

突然2人の人狼が、何かを受けて倒れた。

 

ティガ「・・・・・・」

 

現れたウルトラマンティガが、人狼の放つ光を妨害したのだ。

 

人狼男「き、貴様!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

ジャンプからのダイブで人狼男に乗っかった。

 

ティガ「タァッ!ハァッ!」

 

マウントポジションで人狼男の背中にマルチチョップを連続で叩き込む。

 

人狼女「邪魔だァ!!」

 

起き上がった人狼女がティガを掴み、後ろへ投げた。投げられたティガだが、受け身して起きた。

 

ティガ「ッ!」

 

人狼女「カアァァァァ!!」

 

口から火炎放射。

 

ティガ「タァッ!!」

 

飛翔して火炎放射を避け、上空でムーンサルトを披露する。

 

ティガ「タァッ!!」

 

マルチキックが人狼女の頭部に直撃した。

 

人狼女「グゥゥゥゥ!!」

 

ティガ「タァッ!ハァッ!」

 

連続マルチチョップ。

 

人狼男「生意気な!!」

 

後ろから人狼男に掴まれた。

 

人狼女「燃えろ!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

火炎放射がティガに直撃した。

 

人狼男「俺達に刃向かった報いを受けろ!」

 

口から白い煙を放出し、ティガを束縛した。

 

ティガ「ッ!!」

 

人狼男「誰も邪魔させぬぞ!!」

 

背中から黒い光を放出し、誰も近付けさせないようにした。

 

 

 

 

ケイティ「流石、見事な連携ね。」

 

ヒナ「このままではタクトさんが!」

 

カサンドラ「ですが、あの光に入るのは無理です!」

 

フェオン「グレア!ティオ!2人であの光を払えない?」

 

ティオ「やってみる!」

 

グレア「任せて!」

 

2人が炎と風の魔法で黒い光を掻き消そうとするが、逆に炎と風が掻き消されてしまった。

 

グレア「うへぇ〜!効かないなんて!」

 

ケイティ「・・・よし!」

 

矢を握ったケイティが、黒い光へ飛び込んだ。

 

フェオン「ケイティ!?」

 

アンナ「無茶です!」

 

レア「ケイティ!止めろ!!」

 

 

 

 

黒い光へケイティが飛び込む。

 

ケイティ(身体中が痛い・・・でも、お父さんとの稽古に比べればまだマシ!)

 

 

 

 

ティガ「ッ!!」

 

”ピコン”

 

黒い光から、ケイティが現れた。

 

ケイティ「それっと!!」

 

双剣を握って、人狼2人の両腕を斬り落とした。

 

人狼2人「グアアアアアアアア!!!!!」

 

ティガ「ッ!」

 

白い煙からティガが解放された。

 

ケイティ「ティガだね?私が援護するよ!」

 

ティガ「ハァッ!!!」

 

マルチタイプからスカイタイプへタイプチェンジした。

 

ティガ「タァッ!ハァッ!ハァッ!」

 

人狼男「グオオォォォォ!!」

 

高速打撃で人狼男にダメージを与える。

 

ケイティ「そりゃりゃりゃりゃーー!!」

 

人狼女「グゥゥゥ!!」

 

双剣を縦横無尽に振り回し、人狼女の全身に斬り傷を刻む。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ウルトラホイッパーで人狼男をケイティに投げた。

 

ケイティ「よっと!」

 

人狼女で飛んで来た人狼男を受け止めた。

 

ケイティ「さぁ、これで敵討ちだよ!!」

 

握り締めた矢で、人狼女の腹部から人狼男の腹部まで突き刺した。

 

人狼男・人狼女「ガァッ!!」

 

ケイティ「これで敵討ちだよ!!」

 

双剣の回転斬りで、人狼男と人狼女の胴体を切断した。

 

ティガ「フッ!」

 

両腕を胸の前で交差させ、瞬時に左右に伸ばしてから上にあげてエネルギーを集める。

 

ティガ「タァッ!!」

 

人狼男「・・・!!!」

 

ランバルト光弾が人狼男と人狼女の上半身を破壊した。

 

ケイティ「ふぅ〜。終わった終わった〜。お父さん、お母さん。敵討ちに成功したよ。」

 

 

 

 

 

 

戦いの後の夕方。

 

ケイティ「あなた達のお陰で、両親の仇を打てたわ。ありがとう。」

 

タクト「いやいや。」

 

ケイティ「ねぇ、お願いがあるんだけど。」

 

フェオン「何?」

 

ケイティ「私を仲間に入れてくれない?」

 

タクト・フェオン「え?」

 

ケイティ「私、1人でずっと旅をしてたから。これを機に、仲間を探そうかと思って。もしお邪魔だったら別の所へ行くけど。」

 

タクト「フェオン、決めたか?」

 

フェオン「そうね。ケイティ。ようこそ私達のパーティへ。」

 

ケイティ「え?良いの!?やったー!イエーイ!」

 

こうして、ケイティが新しい仲間となった。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩

ケイティ=グレイス:山崎はるか

ウィルバー=グレイス:岩永哲哉
リーレ=グレイス:比嘉久美子

人狼男:坪井智浩
人狼女:千葉妙子





次回予告

ハロウィンにオープンした写真スタジオ。モデルになった少女達に魔の手が忍び寄る。その時タクトは、ある少女に遭遇した。

次回ウルトラマンティガ

ハロウィンの魔女

お楽しみに


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21/ハロウィンの魔女

ハロウィンの魔女
魔女 登場



ある日の夜のロバイト王国。

 

ヒナ「かなりの魔力が溢れています。」

 

グレア「それに、ただの気象現象とは思えない程に。」

 

フェオン「これは、魔人の仕業かも知れないわね。街中に強力な魔力が発生しているわ。様子を探るわ。」

 

イザベラ「うん!」

 

フェオン「あ!そうだわ!皆待って!」

 

レア「何だフェオン?」

 

フェオン「今日は特別な日よ。」

 

アンナ「今日は?」

 

タクト「あ、そうか!今日はハロウィンか!」

 

ティオ「あ〜!」

 

エミリー「そうか!そうだったな!」

 

カサンドラ「ハロウィンって?」

 

ケイティ「お菓子を貰ったり、仮装したりする楽しいお祭りだよ?」

 

フェオン「皆年に1度のハロウィンを楽しみにしているのよ。だから今日は特別に行こうって話よ。」

 

アンナ「もしかして、衣装を?」

 

フェオン「そうそう。街の皆と楽しく触れ合えるようにね。」

 

 

 

 

街へ向かう途中。

 

レア「ガオォー!」

 

カサンドラ「うわあっ!」

 

狼の仮装をしたレアがカサンドラを驚かす。

 

アンナ「レア先輩凄く似合ってるよ!」

 

シスターの仮装をしたアンナ。

 

イザベラ「でもハロウィンだからって、ちょっと可愛過ぎないかな?」

 

魔法使いの仮装をしたイザベラ。

 

フェオン「何言ってるのよ。折角のハロウィンなんだから思い切って楽しまなきゃだよ。」

 

ドラキュラの仮装をしたフェオン。

 

エミリー「何れヴァネッサデーみたいに、ハロウィンも世界中に定着する日が近いかもな。」

 

勇者の仮装をしたエミリー。

 

ヒナ「お子様達も楽しめますしね。」

 

お姫様の仮装をしたヒナ。

 

ケイティ「あ!皆見て!もう盛り上がってるよ!」

 

騎士の仮装をしたケイティ。

 

 

 

 

街へ行くと、子供達が仮装して賑わいを見せていた。

 

子供達「トリックオアトリート!」

 

1軒の家の前でトリックオアトリートと言った。

 

女性「あらあら。可愛いオバケさん達ね〜。はいどおぞ。」

 

お菓子を持ったカゴを子供達にあげた。

 

子供達「ありがとー!」

 

 

 

 

リオ「オバケだぞ〜!」

 

子供達「きゃー!」

 

リオ「がお〜!」

 

デイジー「リオ。楽しんでるね。」

 

リオ「だってハロウィンだよ?こんな楽しい日を楽しまなきゃね。」

 

狼の仮装をしたリオと、猫の仮装をしたデイジー。

 

タクト「よう。お2人さん。」

 

冒険者の仮装をしたタクトがリオとデイジーを見付けた。

 

リオ「あ!タクト!」

 

デイジー「あなたも来てたんだね。」

 

タクト「ハロウィンだからな。フェオン達も楽しんでる。それに、楽しんでるだけじゃない。」

 

リオ「え?」

 

タクト「実はこの街に、魔力が発生している情報をヒナが掴んだんだ。」

 

デイジー「魔力?私達には感じないけど。」

 

タクト「目に見えない魔力。楽しみながら警戒しているんだ。」

 

そこに2人の少女がやって来た。

 

リオ「あ!美味しそうなロリポップ!何処で貰ったの?」

 

2人の少女が指差した。

 

リオ「よぉし!僕も貰いに行こう!」

 

デイジー「ちょっとリオ!」

 

タクト「行ってみようぜ?デイジー。」

 

 

 

 

 

 

ロリポップを貰って来た場所。それは、噴水広場にある写真スタジオだった。

 

女性「さぁさぁ皆!このお店で可愛らしく撮りましょう!」

 

その写真スタジオは、大きなケーキやお菓子のセットを背景にお菓子の妖精のモデルを撮る不思議なスタジオだった。子供達がモデルとなり、モデルとなってくれた子供達には先程のロリポップが貰えると言う。

 

リオ「1本お〜くれ〜!」

 

女性「ごめんなさいね。子供にしかあげられないんですぅ。」

 

リオ「そうなの〜?それは残念。」

 

デイジー「こんな所に写真館があるなんて初めてだわ。今日限定なのかしら?」

 

タクト「お菓子の妖精のモデルかぁ。何か可愛らしいな。」

 

デイジー「あ、見て?イザベラよ。」

 

写真スタジオでイザベラが妖精のモデルになっていた。

 

タクト「本当だ。モデルをやってる。」

 

リオ「フェオンさんも居るね。何かテンション凄いけど。」

 

タクト「重度な妹思い・・・ん?んん?」

 

写真スタジオを凝視すると、ありえない光景が。

 

タクト(窓に映ってない?)

 

それは、カメラマンの女性が窓に映っていない光景だった。

 

タクト(まさか・・・あの人・・・)

 

イザベラ「リオさん。デイジーさん。」

 

リオ「イザベラ。どうだったの?」

 

イザベラ「ちょっと恥ずかしかったけど、楽しかったですよ。」

 

ロリポップを持ったイザベラがフェオンと一緒に出て来た。

 

デイジー「可愛かったわよ。イザベラ。」

 

フェオン「そうでしょそうでしょ?イザベラは私の自慢の妹だから当然よね!」

 

イザベラ「ベタ褒め過ぎ・・・」

 

女性「さぁさぁ今日はここまで。皆、今日はありがとね。」

 

写真スタジオと共に去って行った。

 

女の子「2つ貰ったからお姉ちゃんにあげるよ。」

 

デイジー「え?良いの?」

 

女の子「うん。弟が大好きなんだって言ったら2つくれたんだ。」

 

デイジー「弟さんに怒られないの?」

 

女の子「お姉ちゃん美人だから。」

 

デイジー「この正直者〜。」

 

撫で撫でする。

 

フェオン「ねぇ2人共。お菓子沢山あるから皆で食べない?」

 

リオ「良いの?嬉しいな〜!」

 

フェオン「ねぇ。タクトも・・・あれ?」

 

そのタクトは今、去って行った女性を追っていた。

 

フェオン「ちょっとタクト!?」

 

リオ「ロリポップが欲しいんじゃないのかな?」

 

イザベラ「タクトさんに限ってないと思います。」

 

デイジー「ん〜。これ美味しいわね。」

 

 

 

 

 

 

去って行く魔女を追うタクト。街の裏路地まで追う。

 

女性「ハハハハハハハ!」

 

タクト「待て!!」

 

女性「ハハハハハハハ!」

 

 

 

 

追い続けてある場所に着いた。それは、立ち入り禁止の看板が立てられてる何もない平地。

 

タクト「何処行ったんだ?」

 

すると何もない平地に、突如大きな屋敷が出現した。

 

タクト「!?」

 

 

 

 

その屋敷に潜入する。

 

タクト「・・・」

 

物は散乱され、蜘蛛の巣が張られてる不気味な屋敷。

 

女性(ハハハハハハハ!)

 

タクト「あの女!?」

 

2階へ駆け上がる。

 

 

 

 

構えながら廊下を進むと、奥の部屋のドアが開いた。

 

タクト「・・・!」

 

奥のドアを勢い良く開いた。中は真っ白な空間。その空間にタクトが入った。

 

 

 

 

 

 

その先にあったのは、公園だった。

 

タクト「何処だ・・・?ここは・・・」

 

ドアが閉まり、消滅した。

 

タクト「公園か?いや・・・ん?」

 

蹲っている3人の女の子が居た。

 

タクト「おーい!君達!」

 

その女の子達がタクトの方を振り向いた。女の子達の顔は真っ白になっていた。

 

タクト「!?」

 

女の子達は立ち上がって、逃げるように去って行った。

 

タクト「どうしたんだ!?」

 

???「無駄よ。」

 

タクト「!?」

 

後ろに振り向くと、1人の少女が立っていた。

 

少女「あの子達は、夢を吸い取られたの。」

 

タクト「夢?どう言う事だ?君は、あの女の仲間か?」

 

少女「仲間・・・と言うよりは、拾われたが正解ね。」

 

ペンダントの宝石から光が放ち、タクトを包んだ。

 

タクト「グアアアアァァ!!!!」

 

 

 

 

 

 

その頃フェオン達は。

 

ヒナ「ここが魔力の中心地ですね。」

 

エミリー「だが、何もないな。」

 

デイジー「恐らく、目に見えない何かがここから強力な魔力を発しているみたいね。」

 

リオ「でも、何の影響も出てないよ。」

 

ティオ「地下を調べてみよう。」

 

ヒナ「はい。」

 

そこにグレアが戻って来た。

 

グレア「嫌な予感がする・・・」

 

フェオン「どうしたの?グレア。」

 

グレア「街の人達に聞き込みした結果。毎年ハロウィンの日になると、ロバイト王国で女の子達が大量に蒸発しているって。」

 

フェオン「大量に?・・・ねぇ!そっちはどう?」

 

ヒナ「地下を調べてみたんですが・・・異常が見当たりません。」

 

レア「そっか。」

 

アンナ「リオさん。デイジーさん。街の女の子達は無事ですか?」

 

リオ「うん。皆楽しそうに賑わっていたよ。」

 

フェオン「なら良いけど、念の為女の子達が無事に帰り着くまで見張っててくれるかしら?」

 

デイジー「分かったわ。リオ行こ?」

 

リオ「うん。」

 

カサンドラ「あれ?そう言えばタクトは?」

 

フェオン「そうだったわ。彼、写真家の女性を追っていたわ。」

 

アンナ「フェオンさん!後ろ!」

 

フェオン「え?うわっ!?」

 

後ろに、タクトが立っていた。

 

フェオン「もう。心配しちゃったじゃない。」

 

 

 

 

 

 

しかし、本物は今。

 

タクト「・・・・?っ!?」

 

人形の部屋にあるガラスの筒に閉じ込められていた。

 

女の子「〜〜〜♪」

 

鼻歌を歌いながら人形とお飯事をしている女の子と先程タクトを光で包んだ少女。そして、テーブルの上にスパークレンスが置かれていた。

 

タクト「・・・クッ!」

 

”ギイイィィィ・・・”

 

ドアが開き、あの女性が現れた。

 

タクト「おい!お前は誰だ!!ここは何処だ!!おい!!!」

 

女性「フフッ♪」

 

その女性が、一瞬で老婆に変貌した。

 

タクト「魔女・・・!?」

 

お飯事としている2人の少女。魔女は鼻歌を歌っている女の子の顔を触る。

 

タクト「止めろ!!その子に触れるな!!」

 

魔女「美味そうだ。」

 

口を開けて、女の子の耳から光が吸い取った。

 

女の子「・・・・・」

 

光が吸い取られた女の子が倒れてしまった。

 

タクト「止めろ!!その子に何をした!!」

 

魔女「夢を全部吸い取ってあげただけさ。」

 

タクト「夢!?おい!!夢を返せ!!夢はお前が奪って良い物じゃないん!!」

 

魔女「子供に夢はいらない。どうせ大人になるまで、人形やおもちゃのように夢を捨ててしまうのだ。」

 

少女「・・・」

 

ペンダントの宝石から光を放ち、夢を吸い取られた子供達をペンダントに吸い込んだ。

 

タクト「な!?何をしたんだ!!」

 

少女「・・・・」

 

魔女「夢の墓場さ。」

 

タクト「夢の墓場!?さっきの公園の事か!!」

 

するとガラスの筒に煙が蔓延し始めた。

 

魔女「大人はいらない。大人の腐った欲望を吸っても、人生を壊すだけだ。」

 

タクト「うっ!?毒ガス!?おい!!待て!!ここから出せ!!」

 

魔女「アハハハハハハハハ!!!」

 

苦しむタクトを置き去りにし、魔女は部屋から出て行った。

 

タクト「ゴホッ!ゴホッ!・・・おい!君!!」

 

少女「・・・」

 

タクト「ここから出してくれ!!」

 

少女「・・・その筒は、魔女の持ってる水晶を壊さないと出られない。」

 

タクト「何・・・だと・・・!?」

 

 

 

 

 

 

一方国では、突如起きた女の子達が一斉に何処かへ向かっていた。

 

 

 

 

そしてホテルでも、ある人物が何処かへ向かっていた。トイレから出たレアがその人物を目撃した。

 

レア「ん?」

 

それは、パジャマ姿のイザベラだった。

 

レア「おい?イザベラ?どうしたんだ?何処へ行くんだ?イザベラ?」

 

するとイザベラが突然倒れた。

 

レア「おい!?イザベラ!?」

 

 

 

 

すぐに全員を起こして、イザベラの身に何があったかを聞く。

 

フェオン「キャンディー?」

 

イザベラ「うん。あの写真家の女の人が、モデルになってくれた女の子達にキャンディーを配っていたの。」

 

フェオン「まさか、あの時に?」

 

イザベラ「うん。」

 

アンナ「もし、夢遊病の原因がキャンディーだとしたら、それを食べた女の子達もイザベラちゃんのようになっていたと言う事でしょうか?」

 

ケイティ「もしそうだとしたら、街が大変になる!」

 

するとそこに、リオとデイジーが来た。

 

リオ「皆!」

 

フェオン「あなた達?どうしたの?」

 

リオ「さっきデイジーが・・・」

 

その話を聞いた。

 

ケイティ「じゃあ、あなたもそのキャンディーを食べたせいで。」

 

デイジー「私の身にそんな事が・・・」

 

カサンドラ「フェオン。確かタクトは、その写真家の女の人を追っていたって言ってましたよね?」

 

フェオン「えぇ。でも戻って来たわよ。」

 

 

 

 

 

 

そしてタクトは、毒ガスに苦しんでいた。

 

タクト(クソッ・・・!!出ようにも、あの魔女が鍵を持ってやがる・・・!!このままじゃ・・・!!)

 

 

 

 

 

 

ホテルでは。

 

グレア「タクトは部屋に居なかったよ!」

 

アンナ「え!?」

 

ティオ「あったのは、タクトが仮装に使っていた衣装だけだった。」

 

リオ「そんな!?確かにあの時僕達と・・・」

 

ヒナ「あ!皆さん大変です!」

 

エミリー「どうした!?」

 

ヒナ「魔力の中心地に空間が歪んでいます!まるで・・・下へ引っ張られるみたいに!」

 

 

 

 

 

 

魔力の発生地には、巨大なジャック・オ・ランタンが現れた。そのジャック・オ・ランタンに向かう女の子達。

 

エミリー「何だあれは!?」

 

駆け付けたフェオン達が、巨大なジャック・オ・ランタンを目撃した。

 

レア「おい見ろ!国中の女の子達を誘拐しようとしてるぞ!!」

 

魔女「さぁ皆!箒に乗って夢の国へ行こう!アハハハハハハハハ!!」

 

フェオン「止めるわよ!!」

 

急いで女の子達を止めに向かう。

 

レア「おい!目を覚ませ!」

 

エミリー「あの魔女に騙されるな!!」

 

女の子達「離して!行かせてよ!!」

 

魔女「ほれ見ろ!大人は敵だ!大人は何時でもお前達の邪魔をする害虫だ!夢も自由も全部!大人は子供の凡ゆる物を奪うんだ!」

 

イザベラ「そんな事ありません!!」

 

アンナ「そんな事、許せない!!」

 

ボウガンが、魔女の持ってる水晶を破壊した。

 

魔女「うわあっ!!・・・クッ!!」

 

水晶を破壊され、魔女が姿を消した。

 

女の子達「・・・?」

 

それと同時に、女の子達が夢遊病から目を覚ました。

 

ヒナ「逃げて!!皆さん早く!!」

 

女の子達「キャアアーーーー!!!」

 

 

 

 

 

 

人形の部屋。水晶が破壊された事で、タクトを閉じ込めてるガラスの筒が破壊され、タクトが脱出した。

 

タクト「助かった・・・!」

 

九死に一生を得たタクトが倒れた。

 

少女「大丈夫!?」

 

タクト「ありがとう・・・なぁ・・・君が吸い込んだ子達は・・・?」

 

少女「あの公園は、私のイメージで生まれた場所。大丈夫。すぐに解放出来るわ。」

 

タクト「そうか・・・脱出の前に・・・あれを・・・」

 

 

 

 

 

 

外では、ジャック・オ・ランタンが空間へ逃げようとしていた。

 

ヒナ「空間へ逃げようとしています!」

 

ケイティ「このままじゃ逃げちゃう!」

 

グレア「こうなったら!」

 

ティオ「待ってグレア!下手に撃ったら閉じ込められてる子達が!」

 

グレア「そうだった・・・!」

 

 

 

 

 

 

人形の部屋。

 

タクト「・・・頼む・・・!あれを・・・!」

 

少女「・・・うん!」

 

テーブルにあるスパークレンスを持って、タクトに届けた。

 

タクト「ありがとう・・・!」

 

 

 

 

 

 

ジャック・オ・ランタンの姿が見えなくなった。しかし、すぐに地上へ戻った。

 

アンナ「え!?」

 

デイジー「あ!あれ!」

 

 

 

 

ティガ「タァッ!」

 

それは、ウルトラマンティガが巨大なジャック・オ・ランタンを持って飛んだからである。

 

 

 

 

フェオン「ティガ!!」

 

イザベラ「タクトさーん!!女の子達を助けて下さい!!」

 

 

 

 

ティガは頷き、ジャック・オ・ランタンを置いた。

 

少女「・・・」

 

中から少女が出て来た。

 

フェオン「あなたは?」

 

少女「私のペンダントに、閉じ込められてる子達が居る。すぐに解放してあげる。」

 

ペンダントから、閉じ込められてる女の子達を出してあげた。

 

 

 

 

魔女「おのれぇぇ!!!」

 

怒りに満ちた魔女が、魔力を使って若返った。

 

 

 

 

ティガ「ッ!!」

 

振り向くと、若返った魔女が現れた。

 

魔女「フッフッフッフッフ。」

 

ティガ「ッ!」

 

両者が互いを睨み合う。

 

魔女「フンッ!」

 

ティガ「ッ!」

 

両者が走り出し。

 

ティガ「タァッ!」

 

魔女「ハァッ!」

 

両者のキックがぶつかった。

 

魔女「ハァッ!」

 

ティガ「フッ!」

 

マルチチョップで魔女の杖を防いだが、魔女が左手でマルチチョップを弾いた。

 

魔女「ハァッ!」

 

ティガ「ウッ!」

 

隙を突かれ、腹にパンチを受けた。

 

魔女「ハァッ!ハァッ!」

 

ティガ「ドゥアッ!」

 

杖を後頭部と腹に受けた。

 

魔女「フンッ!」

 

ティガ「フッ!」

 

振り下ろす杖をマルチチョップで防ぎ。

 

ティガ「タァッ!」

 

マルチキックで蹴り飛ばした。魔女は蹴り飛ばされたが、すぐに起き上がった。

 

魔女「フフッ♪」

 

ティガ「タァッ!」

 

マルチキックを魔女が避けた。

 

ティガ「ハァッ!」

 

後ろからマルチパンチを繰り出したが、魔女が避けてティガの腕と首を掴んで身動きを奪った。

 

ティガ「タァッ!」

 

しかしティガが立ち上がって魔女の腕を蹴り上げ、首を掴んだ。

 

ティガ「タァッ!!」

 

巴投げで後ろへ投げた。

 

魔女「クゥッ!」

 

すぐに起き上がった魔女。

 

ティガ「タァッ!」

 

マルチキックを、上半身を逸らして避けた。

 

魔女「フンッ!」

 

ティガ「ッ!」

 

後ろからティガの首を絞める。

 

魔女「このまま死ぬが良いぞ!!」

 

ティガ「ッ!」

 

左肘で魔女の腹を何度も殴る。

 

ティガ「ハァッ!」

 

両腕が緩んだ瞬間に立ち上がり。

 

ティガ「タァッ!!」

 

そのまま魔女を放り投げた。しかし魔女は見事に着地した。

 

魔女「その程度か!」

 

ティガ「タァッ!」

 

ジャンプからのマルチキックを繰り出したが、魔女が瞬間移動した。ティガは木に激突して木を蹴り倒した。

 

ティガ「ッ!?」

 

魔女「ハハハハハハハ♪」

 

笑い声は聞こえるが、魔女の姿が何処にもない。

 

魔女「ここよ!」

 

ティガ「ドゥアッ!」

 

真後ろを取られて3連続キックを喰らった。

 

魔女「フンッ!」

 

ティガ「タァッ!」

 

チョップを受け止めて後ろへ投げた。

 

ティガ「タァッ!」

 

マルチキックを魔女が瞬間移動で避けた。

 

ティガ「ッ!?」

 

慎重に魔女を探すが、真後ろに魔女が現れてティガに忍び寄る。しかしティガは気付いていない。また瞬間移動を発動した。

 

ティガ「ッ!」

 

後ろを向いたが手遅れ。

 

魔女「これはどうだ!」

 

真後ろに魔女が現れたと思いきや、今度は6つに分身してティガを囲む。

 

魔女「フフフフフフフ♪」

 

嘲笑いながらティガに攻撃を仕掛ける。

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

一斉にティガに攻撃を繰り返す。

 

ティガ「・・・!!」

 

”ピコン”

 

カラータイマーが鳴り、左膝を付いた。

 

魔女「アハハハハハハハハ!!!!」

 

高速で回りながらティガを嗤う。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

起き上がってエネルギーを集めて光を放出するタイマーフラッシュで分身を消した。

 

魔女「何!?」

 

残ったのは魔女本体のみ。その本体はティガの右後ろに居た。

 

ティガ「タァッ!!」

 

動揺している魔女に3連続マルチキックを蹴り込む。

 

ティガ「タァッ!!」

 

4発目のマルチキックで魔女を倒し、倒れた魔女の両脚を掴み。

 

ティガ「タァッ!!」

 

勢いよく空中に放り投げられた。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ウルトラフィックスで魔女の身動きを止めた。

 

ティガ「フッ!」

 

両腕を前に突き出し交差させ、大きく横にゆっくり広げてエネルギーを集める。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ゼペリオン光線が空中に停止している魔女を直撃した。

 

魔女「グアアアアアアアァァ!!!!」

 

断末魔を上げながら光となって消滅し、夜空にオーロラが輝いた。

 

 

 

 

 

 

夜が明け、朝陽の光がジャック・オ・ランタンを消滅させた。そして、夢を吸い取られた女の子達に夢が戻り、皆が目を覚ました。

 

イザベラ「あ!皆目を覚ましました!」

 

タクト「ふぅ・・・」

 

フェオン「あの子達の宝物が、盗まれる所だったわね。」

 

タクト「あぁ。」

 

リオ「うん。子供達には大きな夢に向かって進む。」

 

エミリー「そうだな。」

 

タクト「そうだ。君、名前聞いてなかったな。」

 

少女「え?・・・ごめんなさい。私、記憶がなくて。」

 

カサンドラ「では、覚えている事とかありますか?何でも良いので。」

 

少女「・・・名前は・・・ナージャ。ナージャよ。」

 

タクト「ナージャか。じゃあ今日から、ナージャ=オブシディアンだ。」

 

ナージャ「ナージャ=オブシディアン?」

 

タクト「君のペンダント。それは黒曜石。だからオブシディアンと名付けた。どうだ?」

 

ナージャ「うん。悪くないわ。」

 

ケイティ「宜しくね!ナージャ!」

 

フェオン「よし。じゃあ事件も収束したし、次の旅へ向かうわよ!」

 

ヒナ「はい!」

 

ケイティ「あ、ちょっと待って?ねぇ、2人も一緒に旅しない?」

 

リオ「え?僕達?」

 

ケイティ「うん!大人数で旅した方が楽しめるし。ねぇ、どうかな?もし嫌だったら良いけど。」

 

デイジー「リオ。」

 

リオ「じゃあさ、途中まで旅の仲間として付き合ってあげるよ。」

 

ケイティ「本当に!?ヤッター!」

 

タクト「宜しくな。リオ。デイジー。」

 

リオ「此方こそ。」

 

デイジー「宜しく。」

 

ハロウィン事件は収束し、リオとデイジーが仲間に加わった。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩
ケイティ=グレイス:山崎はるか
リオ:土岐隼一
デイジー:寿美菜子

ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏

魔女:れいみ/難波佑香





次回予告

貴族に蹂躙される帝国・ブルースフィア。反抗組織レジスタンスと共にこの帝国を解放せよ。

次回ウルトラマンティガ

最悪の帝国

お楽しみに


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22/最悪の帝国

最悪の帝国
ヘラルド=フォン=ブルースフィア 登場



世界には、4つの大国が存在する。

 

『アールスハイド王国』

国民に教育を施す大国

 

『イース神聖国』

創神教の総本山の大国

 

『エルス自由商業連合国』

商業を主流とする共和制国家

 

しかし、1つの大国が貴族に蹂躙されていた。それが・・・

 

『ブルースフィア帝国』

 

王国と勢力を二分する大国。しかし帝国貴族は、平民を自分の私腹を肥す為の道具としている。その帝国に、1組のグループが訪れた。

 

 

 

 

フェオン「ここがブルースフィア帝国・・・」

 

帝国に訪れたタクト達は、飢餓状態の平民達を歩きながら眺めてる。

 

レア「酷いなこりゃ・・・」

 

タクト「・・・・」

 

 

 

 

訪れる前。

 

タクト『あれがブルースフィアか。』

 

目の前に、ブルースフィア帝国が見えた。

 

アンナ『何か、居た堪れない雰囲気がします・・・』

 

ナージャ『・・・・・』

 

ケイティ『ナージャ?どうかしたの?』

 

ナージャ『強い魔力を感じる・・・うぅぅ・・・』

 

突然ナージャが苦しんだ。

 

イザベラ『ナージャさん?大丈夫ですか?』

 

ケイティ『う〜ん・・・ナージャは私達が見るわ。』

 

タクト『だったら二手に分けよう。フェオン達は俺と一緒にブルースフィアへ行く。リオ達はここでナージャを頼む。良いな?』

 

リオ『分かった。』

 

デイジー『気を付けてね。』

 

二手に分かれて行動を開始した。

 

 

 

 

そして今。

 

エミリー「殆どが死んでいる・・・」

 

ヒナ「恐らく、貴族に蹂躙されているかと思われます。」

 

タクト「ん〜・・・お、そうだ!」

 

 

 

 

一行は、丘の上へ。

 

フェオン「タクトどうするの?」

 

タクト「フェオン。食料はあるか?肉と野菜。」

 

フェオン「あるけど。イザベラ。」

 

イザベラ「うん。」

 

異空間収納から肉と野菜を出した。

 

タクト「コイツを。」

 

ウルトラ念力で肉と野菜を平民達の居る街へ飛ばした。

 

 

 

 

平民達は、降って来た食料を手にしてかぶり付いた。

 

 

 

 

タクト「お〜皆かぶり付いてる。」

 

グレア「余程飢えていたんだね。」

 

レア「このまま皆を満腹にさせるのか?」

 

タクト「しょうがないだろ?飢餓してる奴を見てたらほっとけなくて。」

 

しかし彼等を、ブルースフィアの貴族が見てしまった。

 

 

 

 

丘を下りて街に戻ると。

 

タクト「ん?」

 

平民達が、タクト達を睨んでいる。

 

フェオン「何?」

 

タクト「あれ?与えた量が足りなかったのかな?」

 

平民「肉を寄越せえええええ!!!」

 

1人の平民がタクト達に飛び込んだ。

 

タクト「うわあ!!」

 

全員が避けた。

 

タクト「おい!俺は肉じゃねえぞ!人肉が所望か!?」

 

グレア「ん?あーー!!皆コレ!!」

 

ある張り紙を見付けた。それは。

 

エミリー「な、何だこれは!?」

 

それは、タクト達の指名手配だった。

 

エミリー「私達の指名手配!?しかも懸賞金が肉1年分だと!?一体誰がこんな事を!?」

 

レア「もしかしたら、貴族共か!?」

 

???「その通り。」

 

そこに1人の貴族が現れた。

 

貴族「お前達を指名手配にしておいた。」

 

タクト「何故俺達を指名手配するんだ!」

 

貴族「平民達は貴族の糧として生きるのは当たり前。平民達に食糧を与えているお前は我々に対する死神。それだけだ。」

 

タクト「何だと・・・!?」

 

貴族「悠長に抗っている場合か?お前達の敵は私だけじゃないぞ?」

 

後ろには、肉を欲する飢餓した平民達が居る。

 

タクト「こうなったら・・・逃げるぞ!!」

 

フェオン「うん!!」

 

全員が一斉に逃げ出す。

 

 

 

 

裏路地まで逃げたが、平民達が執拗にタクト達を追う。

 

イザベラ「囲まれちゃったよ!!」

 

フェオン「このままじゃ私達死んじゃう!!」

 

するとそこに、1人の男が。

 

男「おい!こっちだ!!」

 

全員「!?」

 

その男は、裏路地の隠し通路から出てタクト達を連れた。

 

 

 

 

裏路地にある隠れ家。

 

タクト「助かった。アンタは?」

 

ラスティー「僕はラスティー。レジスタンスの1人だ。」

 

ヒナ「レジスタンス?もしかして、貴族に反撃する組織ですか?」

 

ラスティー「そうだ。僕達はそのレジスタンスの一員となって、ブルースフィア帝国を解放する為に活動しているんだ。」

 

リーダー「君達も大変だったろう。水でも飲みなさい。」

 

渡された水を飲む。

 

タクト「ふぅ。なぁ、俺達にもレジスタンスとして参加させてくれるか?」

 

ラスティー「え?」

 

タクト「この帝国を解放したいんだろ?俺達も一肌脱ごうと思って。」

 

リーダー「それはありがたい。皆!我々レジスタンスに新たな仲間が加わった!彼等と共にブルースフィア帝国を解放するぞ!!」

 

レジスタンス「オーーー!!!」

 

 

 

 

その後準備をし、貴族の居る屋敷へ向かう。

 

リーダー「では、行くぞ!!」

 

 

 

 

レジスタンスとタクト達が共闘し、貴族達に立ち向かう。

 

タクト「ッ!!」

 

そんな中タクトは、とある貴族のある部屋に突撃した。

 

貴族の娘「な、何だお前は!?」

 

タクト「レジスタンスだ!お前の親は何処だ!」

 

貴族の娘「クッ!レジスタンスなら、ここで死ねぇ!!」

 

握った剣でタクトを襲う。

 

タクト「させるか!!」

 

ハンドスラッシュで娘の右目を潰した。

 

貴族の娘「アアアアアア!!!チッ!!」

 

すぐに退散して姿を消した。

 

タクト「行ったか・・・」

 

 

 

 

この家の貴族達を倒した。

 

ラスティー「よし。これで全員か。」

 

レア「彼奴ら、かなり腕が良かったぞ。」

 

エミリー「手古摺ったな。」

 

リーダー「よし、次へ行くぞ。」

 

しかしその時。

 

グレア「え!?そんな!!」

 

タクト「グレア?どうした?」

 

グレア「皆!!隠れ家が!!」

 

全員「!?」

 

 

 

 

 

 

急いで隠れ家へ戻ると。

 

リーダー「どうした!」

 

ドアを開けると、レジスタンスのメンバーと子供達が殺されていた。

 

リーダー「な、何だこれは・・・!?」

 

貴族「おやおやこれはこれは。レジスタンスの皆さん、ご機嫌麗しゅう。」

 

ラスティー「どう言う事だ!?隠れ家は僕達以外知らないはず!!」

 

???「俺が教えたんだ。」

 

貴族達の傍に、1人の男が出て来た。

 

ラスティー「ベンジャミン!!」

 

イザベラ「どうして!?レジスタンスが貴族を裏切るなんて!」

 

ベンジャミン「限界だったんだよ!毎日毎日質素な飯にうんざりしてた!だから貴族達にここを教えあげたんだ!そしたらこんなに肉を貰ったんだ!」

 

情報提供の報酬として大量の肉を受け取ったと言う。

 

タクト「貴族に寝返ったって訳か・・・」

 

貴族「ベンジャミンご苦労。」

 

その言葉と同時に、貴族がベンジャミンを切った。

 

ベンジャミン「・・・え?」

 

貴族「我々の為に尽力を尽くしてくれた。けど、肉が食べれなくて残念だった。所詮お前は平民だ。平民は平民らしく、貴族の糧となれ。」

 

ラスティー「ベンジャミン!!」

 

ベンジャミン「・・・ラス・・・ティー・・・」

 

切られたベンジャミンが殺された。

 

貴族「さぁお前達!レジスタンスを抹殺しろ!!」

 

兵士達がレジスタンスを襲う。

 

リーダー「ラスティー!ここは私達に任せて、彼等を早く!!」

 

ラスティー「リーダー!!」

 

リーダー「心配するな!私達も後で合流する!行くんだ!!」

 

ラスティー「・・・分かった!皆、こっちだ!!」

 

急いでタクト達を連れて隠れ家から抜け出した。

 

 

 

 

 

 

隠れ家を出て外へ。しかしタクト達を捕まえて肉を手に入れようとする平民達も襲って来た。

 

タクト「執念深いな!!」

 

フェオン「ラスティー!外で仲間達が待ってる!」

 

ラスティー「分かった!」

 

アンナ「キャアッ!!」

 

脱出しようとした時、アンナが転んで倒れた。

 

レア「アンナ!!」

 

ラスティー「アンナ!!」

 

転んだアンナを助けに走るラスティーが、魔法兵士に拘束された。

 

ラスティー「グアッ!!」

 

フェオン「ラスティー!!」

 

グレア「今助けに行くよ!!」

 

???「助けるなど無粋な輩め。」

 

貴族達と共に1人の男が現れた。

 

タクト「お前は・・・!」

 

ヘラルド「我が名はヘラルド=フォン=ブルースフィア。この帝国を束ねる皇帝だ。」

 

タクト「何故こんな真似をするんだ!!」

 

エミリー「そうだ!!罪の無い人間達を殺して何になるんだ!!」

 

ヘラルド「何を言う。此奴等は既に罪を犯し続けている。」

 

タクト「何だと!?」

 

ヘラルド「此奴等は、この国で生き続けている。それだけだ。」

 

タクト「まさか・・・それだけが罪なのか・・・!?」

 

ヘラルド「平民達は常に我々貴族の糧として生きている!!それを何故、赤の他人のお前が否定している?お前はこの国の人間でも貴族でもない。ただの異物に過ぎない!!」

 

タクト「巫山戯るな!!!」

 

だが貴族達と兵士達がラスティーに剣先を向けた。

 

タクト「なっ!!」

 

ラスティー「クッ!!」

 

フェオン「ラスティー!!」

 

ヘラルド「動くとこの男の命は無いぞ。大人しく降伏すれば、命だけは助けてやろう。」

 

タクト「・・・嫌だと言ったら?」

 

ヘラルド「こうするのだ。おい!」

 

他の兵士達が平民達を連れて来た。

 

タクト「・・・まさか!!」

 

ヘラルド「殺れ。」

 

タクト「止めろおおおおおお!!!!!!!」

 

だが兵士達は聞く耳持たず、平民達を皆殺しにした。

 

タクト「っ・・・・・!!!!!!」

 

ヘラルド「さぁどうする?素直に降伏するか?」

 

ラスティー「皆!僕に構うな!!早く逃げるんだ!!」

 

タクト「・・・・!!!」

 

ヘラルド「フッハッハッハ!!!無様な平民共だ!!ならば今すぐ殺して楽にさせてやろう!!殺れ!!」

 

タクト「止めろ!!!!!!」

 

ヘラルド「ん?」

 

遂に、タクトの怒りが爆発した。

 

タクト「これ以上・・・ラスティーに手出しするな!!!!!」

 

ヘラルド「なら、ここで素直に降伏するか?それともここでこの者達と一緒に死ぬか?」

 

タクト「第3の選択だ!!」

 

ヘラルド「ん?」

 

タクト「ラスティーを解放してこの国から逃げる!!」

 

ヘラルド「フッハッハッハ!!!」

 

兵士達「ハッハッハッハッハ!!!」

貴族達「ハッハッハッハッハ!!!」

 

ヘラルド「どうやって逃げると言うのだ?成す術も無い貴様に何が出来る!!」

 

嗤うヘラルド達に。

 

兵士「グアッ!!!」

 

突然、1人の兵士が殺された。

 

貴族「な、何だ!?」

 

それは、タクトのハンドスラッシュが兵士を殺したのだった。

 

貴族「貴様!!何をした!!」

 

エミリー「黙れ!!!」

 

貴族「グハッ!!」

 

兵士「ギャア!!」

 

ヘラルド「ッ!?」

 

フェオン達が兵士と貴族達を殺めた。

 

レア「タクト!!!」

 

タクト「あぁ!!!ラスティー!!すぐに助けてやる!!」

 

懐からスパークレンスを出した。

 

ヘラルド「何だ?」

 

スパークレンスを天に掲げて光を解放し、ウルトラマンティガへ変身した。

 

ヘラルド「貴様!何者だ!?」

 

ティガ「ティガ・・・ウルトラマンティガだ!!」

 

そう言ってウルトラフィックスで貴族達と兵士達を拘束し、ラスティーを救った。

 

ヘラルド「何!?」

 

ティガ「ラスティー!!早く!!」

 

解放されたラスティーがティガに駆け寄った。

 

ラスティー「タクト・・・君は一体・・・!?」

 

ティガ「話は後だ!ヘラルド!!土産に持って行け!!」

 

ヘラルド「ぐあああああああああ!!!!!」

 

マルチ・スペシウム光線がヘラルド達の足元に直撃し、ヘラルドの右目を石ころの破片で貫かれた。

 

貴族「陛下!!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

その隙に、ティガがラスティーと共にティガテレポーテーションして帝国から脱出した。

 

ヘラルド「貴様ァ!!逃げるなァァァァ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

テレポーテーションで脱出した。ティガが光となってタクトの姿に戻った。

 

リオ「皆!!」

 

デイジー「大丈夫だった?」

 

フェオン「何とか、ね・・・」

 

カサンドラ「ん?このお方は?」

 

タクト「ラスティーだ。レジスタンスをしていた。」

 

ティオ「レジスタンス?他にレジスタンスは居ないの?」

 

ラスティー「殺されたんだ・・・」

 

リオ「え!?」

 

ラスティー「あのブルースフィア帝国は、貴族達に蹂躙される最悪な国だ。僕はレジスタンスに参加して、帝国を解放する為に戦い続けたんだ。けど・・・仲間の中に裏切り者が居た。貴族達は隠れ家を破壊し、僕の仲間達を殺した。」

 

デイジー「そんな・・・」

 

ケイティ「やっぱりあの帝国は最悪だったんだね。」

 

タクト「生き残ったのは、彼だけだ。」

 

ラスティー「僕は帝国から解放されたけど、最後までやり遂げなかった・・・」

 

フェオン「ラスティー。あなたはこれからどうするの?」

 

ラスティー「僕は・・・皆の分を生きて行く。強くなったら、帝国に戻って仲間達の仇を討つ。」

 

タクト「そうか。なら、お前にアイテムをやろう。」

 

異空間収納から、大量の食糧と金を出した。

 

タクト「これだけで十分だろう。これでお前の旅しろ。」

 

ラスティー「こんなに・・・ありがとう・・・」

 

食糧と金をバッグに入れた。

 

ラスティー「皆、また会えるかな?」

 

レア「会えるさ!レア達信じてるからな!」

 

ラスティー「あぁ。じゃあな。」

 

彼は、ブルースフィア帝国を去って旅を始めた。

 

タクト「・・・そうだ。ナージャは?」

 

ティオ「彼女は大丈夫だよ。」

 

ナージャ「少し楽になった。ありがとう皆。」

 

タクト「よし、俺達も行くとするか。ブルースフィア帝国の北東へ。」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩
ケイティ=グレイス:山崎はるか
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
リオ:土岐隼一
デイジー:寿美菜子

ラスティー:白井悠介
リーダー:松田修平
ベンジャミン:狩野翔

貴族:島田岳洋

ヘラルド=フォン=ブルースフィア:家中宏





次回予告

ボーンヒルシュ王国の公爵令嬢が、魔人ジェレミーに連れ攫われてしまった。しかしジェレミーは、彼女を喰べる所か襲わず匿い続けた。彼の狙いとは。

次回ウルトラマンティガ

美女と魔人

お楽しみに


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23/美女と魔人

美女と魔人
ジェレミー 登場



ブルースフィア帝国の北東に位置し、海が魅力のボーンヒルシュ王国。ドイル公爵家で緊急事態が発生がしていた。

 

家臣「ネビル公爵!シーダ様が攫われました!」

 

ネビル「何だと?誘拐犯は誰だ?」

 

家臣「ジェレミーです!」

 

ネビル「ジェレミー・・・あの魔人め・・・!次々と貴族のご息女を誘拐し、挙げ句の果てに娘を・・・」

 

家臣「現在捜索隊が行方を追っております。」

 

ネビル「ウム。全力でジェレミーの居所を掴み、シーダとご息女達を救出せよ!」

 

家臣「はっ!」

 

ネビル「・・・・・」

 

彼の娘のシーダには、ターナー侯爵家の長男マシューとの結婚式を控えていた。

 

 

 

 

 

 

その翌日。このボーンヒルシュ王国に入国したタクト達は公園に居た。

 

イザベラ「綺麗な国。」

 

アンナ「皆賑やかだね。」

 

デイジー「あら?タクトが彼処で何かやっているわ。」

 

離れた所でタクトが、構えるカサンドラの前に立っている。

 

タクト「・・・・・」

 

カサンドラ「・・・・・」

 

真剣に睨み合う2人。するとタクトが。

 

タクト「ホイッ!」

 

懐からマタタビを出した。

 

カサンドラ「ニャッ!?」

 

タクト「そらっ!」

 

そのマタタビを投げるとカサンドラが。

 

カサンドラ「マタタビー!」

 

マタタビに飛び込んで食べてキャッチした。

 

カサンドラ「ニャ〜〜〜〜〜・・・・」

 

マタタビを食べたカサンドラがその場で転がり、完全な猫になってしまった。カサンドラにタクトが近付き。

 

タクト「ホレホレホレ〜♪」

 

カサンドラ「ゴロゴロゴロ〜。」

 

顎を撫でた、カサンドラがゴロゴロ鳴った。

 

タクト「よ〜しよしよし〜。」

 

カサンドラ「ニャ〜。」

 

完全な猫になったカサンドラをタクトが撫でまくる。

 

レア「お前何してんだ?」

 

タクト「何って、カサンドラを撫でてんだよ。」

 

エミリー「だからって、マタタビあげて堕とすなど・・・」

 

タクト「何言ってんだ。マタタビには猫のストレス解消、食欲を促進させ、老化を防ぐ効果があるんだ。」

 

カサンドラ「ニャ〜♪」

 

タクト「ここん所、カサンドラは俺達と戦い続けた。だから褒美とリラックスをあげなきゃな。」

 

グレア「だね。仲間思いだからねカサンドラは。」

 

ティオ「タクトと同じだね。」

 

タクト「まぁな。」

 

リオ「ん?」

 

デイジー「リオ?どうしたの?」

 

リオ「あの人見て?何か掲示板に貼っているよ。」

 

1人の執事が掲示板に張り紙を貼っていた。

 

デイジー「何かしらあれ?ちょっと聞いてみよう?」

 

リオ「すみません。この張り紙は何ですか?」

 

執事「これですか?ここ最近、貴族のご令嬢様方が攫われる事件が起きているので注意喚起を貼っているんです。このお方は、ドイル公爵家のご令嬢様であるシーダ様で御座います。私達はシーダ様の行方の手掛かりを捜しておりまして。」

 

ケイティ「攫われた?誰に?」

 

執事「ジェレミーと言う者です。」

 

ナージャ「そのジェレミーって、何者なの?」

 

執事「魔人です。」

 

全員「!?」

 

執事「シーダ様にはご婚礼が控えておりまして。ご婚礼直前に攫われたと。」

 

 

 

 

 

 

そして、真っ暗な洞窟の中。

 

シーダ「・・・っ・・・?」

 

公爵令嬢のシーダ=フォン=ドイルが目を覚ました。

 

シーダ「ここは・・・?」

 

???「気が付いたか?」

 

シーダ「・・・?」

 

焚き火をしている黒髪をポニーテールで結んでる男の姿があった。

 

シーダ「あなたは・・・?」

 

???「ん?」

 

その男がシーダに顔を向けた。目付きの鋭い魔人の男。

 

シーダ「っ・・・!!」

 

???「俺が怖いのか?」

 

シーダ「まさかあなたは・・・魔人ジェレミー・・・!?」

 

ジェレミー「ほう?俺を知っているのか。あの娘達と同じだな。」

 

シーダ「え・・・?・・・ッ!?」

 

近くには、ジェレミーが攫った貴族の娘達が倒れていた。

 

シーダ「・・・・・!!」

 

その光景に、シーダが怯え始めた

 

ジェレミー「さて、次はお前の番だな。」

 

彼の手には、ナイフが握られていた。

 

シーダ「ヒッ・・・!?ッ!!」

 

涙目になり、目を瞑った。しかし。

 

ジェレミー「ホラ。」

 

シーダ「・・・・・?」

 

恐る恐る目を開けると、ジェレミーがシーダに肉を差し出していた。

 

シーダ「・・・え・・・?」

 

ジェレミー「どうした?食わないのか?」

 

シーダ「な、何故・・・?私を殺さないん・・・ですか・・・?」

 

ジェレミー「俺をクソ魔人と一緒にするな。」

 

シーダ「でも・・・あなたはあの子達を・・・」

 

ジェレミー「よく見ろ。彼奴ら生きてる。」

 

彼女達を凝視すると、寝息を立てていた。

 

シーダ「寝ている・・・?」

 

ジェレミー「早く食え。」

 

シーダ「・・・・」

 

 

 

 

 

 

一方フェオン達は、攫われたシーダの手掛かりを捜すべく行動していた。

 

フェオン「どうだった?」

 

ヒナ「何処にも見当たりません。ただ、国の皆さんはジェレミーと言う魔人に怯えているとしか。」

 

エミリー「そのジェレミーって魔人は危なそうだ。一刻も早く捜さないと、また誰が攫われるのか。」

 

レア「ヤバイぞ!?早くしないと!」

 

アンナ「でも、手掛かり無しでどうやって・・・」

 

グレア「ん?そう言えばタクトとカサンドラは?」

 

ケイティ「カサンドラなら、ここ。」

 

カサンドラ「ニャ〜♪」

 

ナージャ「マタタビの効果が切れてない・・・」

 

ティオ「タクトは、まだ戻って来てないみたいだ。」

 

 

 

 

 

 

同じ頃タクトは、街中の隅から隅まで捜している。

 

タクト「街の人達の聞き込みだけじゃダメだ。隅から隅まで捜さなきゃ。ん?そう言えば・・・」

 

 

 

 

執事『シーダ様にはご婚礼が控えておりまして。ご婚礼直前に攫われたと。』

 

 

 

 

タクト「結婚式や縁談の話が来た途端に攫われたとしたら・・・ん?」

 

先程の執事が通り過ぎた。

 

タクト「おい!」

 

執事「あ。先程の。」

 

タクト「なぁ、結婚式が控えている時に攫われたと言ってたよな?相手は?」

 

執事「ハッ。ターナー侯爵家のマシュー様で御座います。」

 

タクト「そのマシューって男について何か知っている事があったら教えてくれないか?」

 

執事「そうは言われましても・・・マシュー様はターナー家で重宝されておられるお方ですし・・・」

 

タクト「そうか・・・分かった。ありがとう。」

 

その場を後にし、街中を歩く。

 

タクト「ジェレミーとシーダじゃなく、マシューについて聞いてみよう。何か分かるかも知れない。」

 

 

 

 

マシューと言う侯爵の息子について聞き込み調査をした。

 

女性A「マシュー様でしょ?彼はとっても人気なのよ?」

 

女性B「国の女達からモテて、更に仕事は完璧で博識。国の女性達の憧れなの。」

 

タクト「成る程なぁ・・・」

 

 

 

 

しかしそんな中。厳つい男達からある噂を聞いた。

 

男性A「マシュー様ねぇ。今のあの人には悪い噂があるんだ。」

 

タクト「悪い噂?」

 

男性B「ここだけの話だが、何でも大の女好きで、複数人の女を家に招き入れてヤッたらしいぞ?」

 

タクト「淫乱か。」

 

男性C「そうだ。それも貴族のご令嬢様方に対してだ。気を付けた方が良いぞ。」

 

タクト「女好きで、家で淫らな行為・・・ん?マシューって確かターナー家で重宝されてるよな?」

 

男性C「あぁ。昔は完璧なお人だったんだけど、1ヶ月前に事故に遭ったが、一命を取り留めたんだ。だがその直後に淫らな行為に目覚めたらしいって俺の友人が言ってたんだ。」

 

タクト「・・・・・」

 

 

 

 

 

 

一方シーダは、ジェレミーから貰った肉で空腹を満たした。

 

シーダ「・・・」

 

ジェレミー「ん?」

 

彼がかぶり付いてる肉にシーダが疑問を抱く。

 

シーダ「そのお肉、何ですか?」

 

ジェレミー「これか?魔物の肉だ。」

 

シーダ「魔人が・・・魔物のお肉を・・・」

 

ジェレミー「お前ら人間は食うなよ。食ったら即死だからな。」

 

シーダ「食べませんよ!・・・それより、何故私達を攫ったんですか?」

 

ジェレミー「お前、結婚するんだってな。」

 

シーダ「え?あ、はい・・・」

 

ジェレミー「相手は誰だ?」

 

シーダ「え?マシュー様ですが・・・」

 

ジェレミー「ターナー侯爵の息子か。なぁ、彼奴は俺が喰う。」

 

シーダ「え!?どうしてですか!?彼は私の婚約者ですよ!?」

 

ジェレミー「確かに婚約者だ。あの事故に遭ってなければな。」

 

シーダ「・・・どう言う事ですか?」

 

ジェレミー「あの男、魔人が変身した姿だ。」

 

シーダ「え・・・?」

 

ジェレミー「お前、マシューが事故から一命を取り留めたって話は知っているか?」

 

シーダ「は、はい・・・マシュー様を乗せた馬車が、目の前の人にぶつかりそうになって、誤って崖から転落したって・・・」

 

ジェレミー「その目の前の人は、魔人だった。そいつは、転落して亡くなったマシューの血と髪の毛と肌を喰って変身した。亡骸は魔人が近くに埋め、そいつは恰も転落して意識不明の状態を演じた。そして意識を取り戻した演技をして、貴族の娘達に淫らな行為を実行した。その淫乱を受けたのが、あの娘達だ。」

 

彼が攫った他の貴族の娘達は、その魔人の淫乱を受けた娘達だった。

 

シーダ「そんな・・・!?」

 

ジェレミー「奴は俺が必ず・・・まだ喰い損ねてるしな・・・」

 

シーダ「え?」

 

ジェレミー「その魔人は、俺が狙っている奴だ。」

 

 

 

 

 

 

一方タクト達は。

 

フェオン「事故直後に淫らな行為に?」

 

タクト「聞き込みの結果がそれだ。1ヶ月前にマシューは馬車の転落事故で意識不明の状態に陥っていたんだ。だが奇跡的に一命を取り留めた。その時に、淫らな行為に目覚めてしまったんだ。」

 

アンナ「転落事故の原因は何だったんですか?」

 

タクト「街の人によると、目の前に男が現れて馬車が誤って横切って転落したと聞いてる。」

 

イザベラ「その人、大丈夫だったんでしょうか?」

 

タクト「分からない。」

 

レア「それで、淫らな行為って具体的にどんなんだ?」

 

タクト「強姦、淫乱、酒やその他諸々だろうな。」

 

デイジー「酷い・・・」

 

リオ「許せないよ!」

 

フェオン「でも、他に攫われた方達はどうなったのよ?」

 

タクト「そうなんだよなぁ。シーダの他に貴族の娘達も攫われて・・・ん?待てよ?」

 

フェオン「どうしたの?」

 

タクト「なぁ、あの執事が言った言葉覚えてるか?攫われた方々の事。」

 

フェオン「確か、ここ最近ご令嬢様が魔人ジェレミーに攫われる事件が起こっているって。」

 

タクト「もしかしたら、ジェレミーはただ娘達を攫ったんじゃなかったとしたら・・・」

 

カサンドラ「何か理由がありそうですね!」

 

タクト「うわぁビックリした!マタタビの効果が切れたんだな。」

 

 

 

 

 

 

一方シーダとジェレミーは。

 

ジェレミー「なぁ。これからどうする?」

 

シーダ「え?」

 

ジェレミー「ずっと俺に守られ続けるのか?お前は公爵の娘だろ?結婚を断るなら、今がチャンスなんじゃないのか?」

 

シーダ「私は・・・正直、マシュー様が事故死したのは信じられません・・・」

 

ジェレミー「だろうな。魔人の俺がそう言ったら信じられないような。」

 

シーダ「でも、事故の顛末を聞いた時は確信しました。今のあの人はマシュー様ではありません。ジェレミーさん。私をマシュー様の元へ連れて行って下さい。」

 

ジェレミー「フッ。よし、まずはあの娘達を起こさなきゃな。」

 

 

 

 

 

 

ボーンヒルシュ王国・ターナーの屋敷。

 

執事「マシュー様。落ち着いて下さい。」

 

マシュー「落ち着ける訳がないだろ!明日は私とシーダの結婚式なのに・・・」

 

執事「あ!マシュー様!あれを!」

 

マシュー「ッ!!」

 

敷地内の門を開くジェレミーと、その後ろにシーダと貴族の娘達が居た。

 

マシュー「シーダ!!」

 

 

 

 

街中では。

 

国民「攫われた皆さんが戻って来たんだって!」

 

その話を聞き付けた国民達が、急いでターナーの屋敷へ走って行った。

 

グレア「どうしたんだろう?」

 

エミリー「攫われたご令嬢様達がジェレミーと一緒に帰って来たのか?」

 

タクト「行ってみよう!」

 

 

 

 

ターナーの屋敷。

 

マシュー「シーダ!無事だったんだな!」

 

シーダ「・・・」

 

一方のジェレミーは、騎士達に拘束されていた。

 

ジェレミー「・・・」

 

シーダ「マシュー様。」

 

マシュー「何だい?」

 

シーダ「私、マシュー様との結婚を破棄します!」

 

マシュー「え!?」

 

 

 

 

国民達「ええ!?」

 

タクト「結婚を破棄?」

 

 

 

 

マシュー「何をいきなり言い出すんだ!?」

 

シーダ「あなたはマシュー様じゃない!マシュー様は転落事故で死んだんです!」

 

マシュー「何を言ってるんだ!私は一命を取り留めてここに居るんだ!」

 

シーダ「いいえ、あなたは偽物です!事故前のあなたは仕事を完璧に熟すお方!ですが今のあなたは、貴族の娘さん達に淫乱を与える不潔な男です!」

 

マシュー「し、証拠はあるのか!?私が淫乱をしてる証拠は!」

 

シーダ「そ、それは・・・」

 

ジェレミー「証拠ならあるぜ。」

 

シーダ・マシュー「ッ!?」

 

ジェレミー「おいお前。俺のポシェットに数枚の写真がある。それを出してくれ。」

 

騎士「え?あ、あぁ。」

 

彼のポシェットから、数枚の写真を出した。

 

騎士「こ、これは!!侯爵様!これを!」

 

ターナー侯爵「ん?・・・な、何だこれは!?」

 

そこには、ジェレミーが攫った娘達がマシューに淫乱されている時の写真だった。

 

ターナー侯爵「マシュー・・・お前・・・」

 

ジェレミー「俺が貴族の娘達を無差別に攫ったと思ったら大間違いだ。その偽物は、死んだ人間の血や肌、そして遺伝子をコピーして変身する魔人だ。」

 

ターナー侯爵「何だと・・・!?」

 

マシュー「・・・」

 

ジェレミー「そして俺のターゲットの魔人だ。」

 

マシュー「・・・そこまで言われちゃあ仕方がねぇな。」

 

突然、マシューの両目が赤くなって髪の毛が黒髪から銀髪に変色した。

 

シーダ「・・・!」

 

 

 

 

国民達「魔人だああああーーーー!!!」

 

突然の魔人出現に、国民達がパニックになって逃げ出した。

 

タクト「彼奴魔人だったのか!!」

 

フェオン「行くわよ皆!!」

 

タクト達が魔人に向かって走る。

 

 

 

 

魔人「ジェレミー・・・お前は魔人の癖に魔人の俺を裏切るってのか?」

 

ジェレミー「生憎だが、俺は魔人だが魔人でもない。」

 

魔人「何?」

 

ジェレミー「俺は、こう言う奴だ。」

 

右手を顔に翳すと、ジェレミーの目が赤から青へ変色した。

 

タクト「青い目!?」

 

魔人「な、何だその目は・・・!?魔人じゃない・・・お前は何なんだ!!」

 

ジェレミー「そうだなぁ。この目を持つ俺を、魔人共はこう呼んでる。魔喰人(ましょくじん)と。」

 

ヒナ「魔喰人・・・?あんな魔人初めてです・・・」

 

魔人「魔喰人・・・!まさか、魔人と魔物を喰い荒す存在・・・お前だったのかよ・・・」

 

ジェレミー「さぁて、お前から良い匂いがするんだよなぁ。その肉分けてくれよ。」

 

魔人「クッ・・・クソッ!!」

 

すると魔人がシーダを人質にして剣を出した。

 

全員「ッ!!」

 

魔人「動くな!!この娘を殺すぞ!!」

 

ターナー侯爵「シーダ様!!」

 

ジェレミー「ほう?人質とか面白い事するなぁ。」

 

不敵な笑みを浮かべながら魔人に近付く。

 

魔人「く、来るな!!この娘を殺すぞ!!」

 

ジェレミー「やってみろよ。殺せるならな。」

 

魔人「後悔するなよ・・・死ねぇええええ!!!!」

 

”ザスッ!”

 

全員「ッ・・・!!」

 

魔人「アハハハハハハハ!!!!!公爵の娘はこれで息絶えたな!!!アハハハハハハハ!!!!!・・・え?」

 

しかしシーダは生きている。それ所か、出血すらしてなかった。

 

魔人「何でだ!?何で生きてるんだ!?ん?」

 

自分の右腕を見ると、右腕が無くなって流血している。

 

魔人「な、何だ・・・?何があったんだ・・・?」

 

”アウウウウウウウン!!!”

 

魔人「!?」

 

そこに現れたのは、魔人の右腕を咥えている狼犬の魔物だった。

 

狼犬「グルルルルルル!」

 

ジェレミー「紹介しよう。俺の相棒のローランドだ。」

 

ローランドは、咥えてる魔人の右腕を平らげた。

 

ジェレミー「さて、悠長はここまでだ、なっ!!!」

 

姿が消え、一瞬で魔人の頸を切断した。

 

ジェレミー「フッ。」

 

ターナー侯爵「魔喰人・・・我々の知らない存在がまだ居るとは・・・」

 

ジェレミー「侯爵。こうなってしまったのも、俺の責任だ。責任を持って罰を受ける。」

 

執事「旦那様・・・」

 

ターナー侯爵「・・・いや、君のお陰で被害が出ずに済んだ。感謝する。」

 

ジェレミー「・・・」

 

ターナー侯爵「息子が亡くなってしまったのは残念だが・・・あの子は私の中で生きている。」

 

シーダ「ターナー侯爵・・・」

 

 

 

 

 

 

その後、ジェレミーが攫った貴族の娘達は親の元へ帰った。シーダも父ネビル公爵の元へ帰った。

 

 

 

 

 

 

事件が終結した後。ジェレミーとローランドは討伐した魔人の肉を食べてる。

 

ジェレミー「うん。かなりの美味だな。ローランド、美味いか?」

 

ローランド「はい。美味しいです。」

 

タクト「喋った!?」

 

ティオ「凄いなぁ。言葉を持つ魔物なんて。」

 

ジェレミー「コイツの他にも喋る俺のペットが居る。彼奴らは離れ離れになってるが、会えると信じてるしな。」

 

ローランド「生きていたら嬉しいですね。」

 

ジェレミー「あぁ。ふぅ〜、喰った喰った。」

 

リオ「魔人と魔物を喰べるなんて、考えられないなぁ・・・」

 

ジェレミー「魔喰人だからな。俺は。人間を喰うのは性に合わない。そう言えば、お前タクトと言ったな?」

 

タクト「あぁ。」

 

ジェレミー「お前から、特殊な力を感じるんだ。何を持ってるんだ?」

 

タクト「もしかして、ティガの事か?」

 

ジェレミー「ティガか。なぁ、俺と戦ってくれるか?」

 

タクト「戦う?」

 

ジェレミー「殺し合いじゃなく、まぁ模擬戦みたいにな。ちょっと試してみたいんだ。お前達も、少し付き合ってくれるか?」

 

イザベラ「お姉ちゃん、どうするの?」

 

フェオン「ん〜・・・そうね。今後の魔人との戦いに備えるのに丁度良いし。」

 

ケイティ「うん!何か楽しそうだしね!」

 

ナージャ「魔喰人がどんな力なのか、見てみたいし。」

 

ケイティ「それにしてもローランド。」

 

ローランド「はい?」

 

ケイティ「あなたってモフモフしてるのね〜!気持ち良い〜!」

 

ローランド「ギャウン!?」

 

ナージャ「本当だ。気持ち良い〜♪」

 

ローランド「や、止めて下さい・・・!くすぐったいです・・・!」

 

ジェレミー「良いじゃねえかローランド。お前はそこでモフモフさせてやれ。」

 

ローランド「そ、そんなぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

模擬戦。

 

ジェレミー「ふぅ。」

 

フェオン「はぁ・・・はぁ・・・」

 

レア「お前・・・強いなぁ・・・」

 

女性陣達がバテてる。

 

ジェレミー「いや、中々良い腕だ。さてと、次はタクト。お前だな。容赦はなしだ。思いっ切り来い。」

 

タクト「あぁ。手加減無しだ。」

 

スパークレンスの光を解放し、ウルトラマンティガへ変身した。

 

ティガ「フッ!」

 

ジェレミー「ウオオオオオオオ!!!」

 

ティガ「ハアアァァァァァァ!!!!」

 

両者がダッシュし、激しく激突した。

 

 

 

 

 

 

模擬戦が終わり、ジェレミーとローランドが旅立った。

 

タクト「まさか引き分けとはな。」

 

フェオン「互角だったわね。」

 

アンナ「またジェレミーさんとローランドさんに会えますかね?」

 

ケイティ「会えるよきっと!またローランドモフモフしたいし〜。」

 

リオ「ケイティはローランドが好きなんだね。」

 

新たな存在、魔喰人ジェレミーと言葉を持つ魔物ローランドと出会った。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩
ケイティ=グレイス:山崎はるか
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
リオ:土岐隼一
デイジー:寿美菜子

ジェレミー=ダンクルク:前野智昭
ローランド:山本和臣
シーダ=フォン=ドイル:金元寿子

ネビル=フォン=ドイル:山口太郎
ターナー侯爵:高橋伸也

マシュー=フォン=ターナー/魔人:村田大志





次回予告

ユエリアンの仲間達と再会したフェオン達。彼女達から、神子の少女シアがハンター達に攫われたと告げられた。攫われたシアを救い出せ。

次回ウルトラマンティガ

戦士の神子

お楽しみに


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24/戦士の神子

戦士の神子
ハンター集団 登場



ボーンヒルシュ王国の花畑に、1人の少女が居た。

 

少女「〜〜〜♪」

 

彼女は歌を歌いながら、花を摘んでいる。

 

???「・・・・」

 

そこに、1人の男が少女に近付いた。

 

少女「?」

 

 

 

 

一方タクトは、森の中で寝ていた。

 

タクト「zzz・・・・」

 

フェオン「ぐっすり眠ってるわね。」

 

カサンドラ「ずっと戦って来ましたからね。疲れるのも無理はありません。」

 

リオ「皆見て〜!」

 

そこにリオが何かを持って戻って来た。

 

リオ「彼処のお花畑で花かんむり作ったよ〜!はいデイジー。」

 

その花かんむりをデイジーに被せた。

 

デイジー「嬉しいけど、何か照れるね・・・」

 

イザベラ「良いじゃないですか。デイジーさん可愛いですよ?」

 

デイジー「そ、そう?ありがとう・・・」

 

グレア「ねぇねぇ。その花畑行ってみたい!」

 

ケイティ「私も行きたい!」

 

ティオ「タクトはどうするの?」

 

グレア「一応メモを置いたらどう?私達はここに居るよって。」

 

ヒナ「では、メモは私が書きますね。」

 

フェオン「じゃあ行ってみましょうか。」

 

ケイティ「ナージャも行こ?」

 

ナージャ「うん。」

 

書いたメモをタクトの横に置いて、彼女達は花畑へ向かった。

 

 

 

 

花畑でフェオン達が遊んでいると。謎の集団が現れた。

 

フェオン「ん?」

 

 

 

 

1時間後。タクトが目を覚ました。

 

タクト「ん・・・?ふあぁ〜〜・・・あぁ〜よく寝た。ありゃ?皆は?」

 

横に置かれてるメモを読む。

 

タクト「花畑へ行って来ます。あの花畑か。にしても、何か遅過ぎじゃね?俺が寝て起きるまで1時間あるのに、まだ遊んでんのか?」

 

起き上がって花畑へ向かう。

 

 

 

 

花畑へ向かったが、フェオン達の姿が見当たらない。

 

タクト「おーーい!フェオーン!皆ー!何処に居るんだー!」

 

幾ら呼んでも、反応すらなかった。

 

タクト「一体何処行ったんだ?まさか、ヴィエラの時のように誰かに攫われてしまったとか・・・そうなったら大事態だ!ん?」

 

足元に何かがあった。

 

タクト「メモ?何でまた?えっと・・・私達はこの場所に居ます。あの村か?」

 

花畑の向こうにある村。

 

 

 

 

その村へ向かったが、村は廃墟になっていた。

 

タクト「廃墟・・・何でこんな所に彼奴らが・・・?」

 

すると何者かがタクトの両手を縛った!!

 

タクト「な、何だ!?」

 

???「動かないで!」

 

そこに現れたのは、数人の少女達だった。

 

タクト「・・・!?」

 

リーダー格の少女が剣先をタクトに突き付ける。

 

少女「あなた、シアを攫った奴の仲間ね?」

 

タクト「シア?攫った?何の事だ?」

 

少女「惚けても無駄よ。さぁ白状なさい。」

 

タクト「聞く耳を持たないって訳か・・・」

 

するとそこに、ある人物が。

 

???「あれ?タクトさん?」

 

タクト「え?ジェシー!ミウ!」

 

それは以前出会ったミウとジェシーだった。

 

少女「知り合いなんですか?」

 

ミウ「彼は私達を助けてくれたタクト=クリスティよ。」

 

少女「え!?」

 

 

 

 

その後、タクトを解放した。

 

少女「ごめんなさい。私の勘違いみたいだったようで・・・」

 

タクト「いや気にしないでくれ。ジェシーとミウと一緒って事は、君達はもしかしてユエリアンの?」

 

ローラ「そうよ。私達はユエリアンの生き残りの戦士よ。私はローラよ。」

 

リナ「私はリナ!宜しくな!」

 

スズ「スズだよ。こんな弱者だけど宜しくね。」

 

ユリア「ユリアでございますわ。以後お見知りおきを。」

 

タクト「生き残りは君達だけなのか?」

 

ローラ「えぇ。奥にまだ居るわ。」

 

タクト「あ、そうだ!フェオン達は何処だ?ここに居るってメモがあってな。」

 

ミウ「皆なら彼処に居るわ。」

 

廃墟の屋敷があった。

 

 

 

 

 

 

屋敷に入った。

 

タクト「皆!」

 

フェオン「タクト!」

 

タクト「全く、いなくなったと思ってヒヤヒヤしたぞ。」

 

フェオン「ごめんごめん。花畑で遊んでた時、この子達と偶然再会してね。」

 

エミリー「そしたらここを拠点としているんだ。」

 

タクト「成る程。それで、君達2人もユエリアンの?」

 

パドメ「はい。パドメと申します。」

 

ルリ「ルリだよ!」

 

タクト「その格好、神子か?」

 

ルリ「そうだよ?私達2人は、神子として活動しているんだ。」

 

レア「因みにルリは、レア達と仲良しなんだ。」

 

アンナ「上手く出来なかった事とか、色々相談してくれてたんです。」

 

タクト「へぇ〜。」

 

リオ「パドメさんはミウさんに憧れを抱いているんだって。」

 

パドメ「リ、リオ様!?」

 

タクト「仲が良いんだな。」

 

パドメ「・・・・」

 

タクト「そうだ。さっきローラからシアを攫った奴の仲間って間違えられたんだが。」

 

エミリー「あぁ。シアはユエリアンで特殊な力を持っている最上級の神子だ。彼女がハンターの男に攫われたと聞いてな。」

 

スズ「私が見たんだよ。シアがハンターに付いて行ったの。あれは多分誘惑されたんだよ・・・」

 

イザベラ「私達はここで、シアちゃんを取り戻す作戦会議をしていたんです。」

 

タクト「そうか。なぁスズ。そのハンターはどんな姿をしていた?」

 

スズ「後ろ姿だったけど、ポニーテールをした男だったよ?それと、右腕で左腕を抑えてた。あの腕に武器を仕込んでるらしいんだ・・・」

 

アンナ「もしかしたらシアちゃんが・・・」

 

タクト「スズ。シアは攫われる前は何処に居た?」

 

スズ「え?あの花畑だけど。」

 

タクト「ティオ。あの花畑でシアの気配を感じ取って居場所を突き止めろ。」

 

ティオ「任せて!」

 

ローラ「え?居場所がまだ分からないのにどうやって?」

 

タクト「心配すんな。ティオは風の精霊だ。」

 

 

 

 

 

 

花畑でティオがシアの気配を探る。

 

ティオ「・・・見付けた。あの森へ向かったみたい。」

 

タクト「よし行くぞ。」

 

 

 

 

森の奥へ進む。

 

ティオ「ん?タクト。下を見て。」

 

タクト「足跡か。」

 

地面に足跡があった。

 

タクト「1つは大きい。もう1つは小さい。この先に居るな。」

 

ティオ「そのお目当てなら、あの廃墟に居るよ。」

 

奥に佇む廃墟。

 

 

 

 

廃墟に潜入。

 

タクト「・・・」

 

先導するタクトの後ろから、フェオン達が入る。

 

フェオン「な、何か出て来るかも・・・」

 

ローラ「フェオンさん。しっかり。」

 

”バァン!!”

 

フェオン「うぎゃああ!!」

 

突然ドアが閉まり、謎の男達が現れた。

 

レア「何だお前ら!?」

 

男A「お前達、侵入者か?」

 

男B「生きて帰れると思うなよ?」

 

リオ「やるしかないみたい・・・」

 

デイジー「えぇ・・・」

 

タクト「皆!!」

 

アンナ「タクトさん!ここは私達に任せて、シアちゃんを探して!」

 

タクト「分かった!殺られるなよ?」

 

ティオ「こっち!」

 

シアを探しに階段を駆け上がる。

 

 

 

 

 

 

ティオ「ここからシアの気配がするよ。」

 

タクト「・・・準備は?」

 

ティオ「大丈夫。」

 

タクト「よし。」

 

ドアを思いっ切り開けて構える。中には複数の男達がおり、一斉にタクトを睨む。

 

リーダー「何だお前は?」

 

タクト「お前達、シアを攫ったみたいだな。」

 

リーダー「シア?それって、あの神子の娘の事か?」

 

タクト「そうだ。怪我したくなければ、大人しくシアを解放してやれ。」

 

リーダー「そうか・・・」

 

拳を振り翳してタクトに迫る。

 

タクト「ッ!!」

 

迫るリーダーにタクトが構えた。だが・・・

 

 

 

 

 

 

リーダー「すまなかった!!!」

 

 

 

 

 

 

膝を付いて急に謝罪した。

 

タクト・ティオ「へ・・・?」

 

リーダー「まさか君達の仲間だとは知らなくて・・・本当にすまない!!」

 

タクト「お、落ち着けよ・・・それで、シアは?」

 

リーダー「そうだった。おい、彼女を連れて来い!」

 

男C「おう!」

 

急いでシアを奥の部屋から呼び出した。

 

シア「はい。どうかされましたか?」

 

タクト「君がシアか?」

 

シア「はい。そうですが、あなたは?」

 

タクト「話は後だ。君の仲間達が心配しているんだ。」

 

シア「そうだったんですか!?」

 

リーダー「仲間は居るのか?」

 

タクト「今入り口前で、アンタの仲間達と戦っていると思う。」

 

リーダー「大変だ!すぐ止めさせねぇと!」

 

ティオ「あ、その必要はないみたいだよ?」

 

リーダー「え?」

 

そこに、フェオン達がリーダーの仲間達と一緒に入って来た。

 

フェオン「お待たせ。」

 

タクト「皆大丈夫だったのか?」

 

ユリア「詳しく話したら、すぐ理解してくれましたわ。」

 

イザベラ「凄く親切なハンターの皆さんですよ。」

 

タクト「ホッ・・・」

 

ローラ「シア!」

 

シア「ローラさん!」

 

ローラ「心配したのよ?攫われたと思って。」

 

シア「攫われた?いえ、私はあの方に助けを求められたんですよ。」

 

ローラ「あの方?」

 

奥の部屋から、左腕に包帯を巻かれてるハンターが出て来た。

 

シア「ルインさんです。彼が私に助けてくれって求めたんです。」

 

ルイン「そうか・・・君達がシアの・・・」

 

 

 

 

その後、リーダーから事情を聞いた。

 

タクト・フェオン「災害級?」

 

リーダー「そうだ。俺達はその災害級に仲間達を殺され、今は俺達だけになったんだ。」

 

タクト「それで、ルインって男が偶然にもシアを見付けて助けを求めたら、彼女が応じたと。」

 

リーダー「そうだ。俺も最初、ルインが神子の子を連れて来た時は戸惑ったけど、彼女が俺達を治癒してくれるって言ってくれたんだ。」

 

タクト「成る程な。」

 

リーダー「彼女の力は素晴らしい。全治何ヶ月の大怪我も、一瞬で治せる。あの子の仲間である君達が羨ましい位だよ。」

 

ローラ「あの子は私達の仲間です。皆さんの怪我が治って良かったです。」

 

フェオン「それで、あなた達が戦っている災害級ってどんな姿をしているの?」

 

リーダー「角が1本生えた災害級なんだ。奴は、人間を石にして食べてしまうんだ。」

 

フェオン・ローラ「人間を石に!?」

 

スズ「ええ!?何それ怖い怖い怖い!!私達が石にされたらもう命落としちゃうじゃん!!」

 

タクト(人間を石に変える・・・まさか!!)

 

リーダー「奴のせいで、俺の仲間達が石にされて・・・」

 

フェオン「2人共、どうする?」

 

ローラ「どうするって言われても・・・」

 

タクト「俺は行く。」

 

ローラ「本気?石にされるかも知れないのよ?」

 

タクト「だからって、リーダーの仲間の死を無駄にしても良いってのか?俺達もアンタの仲間達の仇を討たせてくれ。」

 

リーダー「・・・すまない。ありがとう。」

 

ローラ「仕方ないわね。皆、私達も行くわよ。」

 

スズ「冗談でしょ!?何で私達まで行く必要があるの!?私無理!絶対無理!」

 

カサンドラ「大丈夫ですよスズ。私達が付いてますから。」

 

スズ「じゃあ私を守ってくれる!?守ってくれるよね!?」

 

カサンドラ「あはは・・・はい。」

 

リオ「スズさんって、弱いの?」

 

ユリア「お恥ずかしながら。」

 

 

 

 

 

 

仲間達が石にされた現場へ向かう。

 

リーダー「この森の奥に、石切場がある。そこで殺られたんだ。」

 

 

 

 

石切場へ向かうと、人型の石が無数にあった。

 

タクト「あれが石にされた?」

 

リーダー「そうだ・・・」

 

”ギャオオオオオオ!!!”

 

全員「!!」

 

地面から、岩石怪獣ガクマが現れた。大きさは3メートルある。

 

ガクマ「ギャオオオオオオオ!!!」

 

スズ「あれが人間を石に変える災害級!?」

 

タクト(ギジェラに続いてガクマまで・・・!?どうなってるんだ一体・・・!!)

 

リーダー「仲間の仇を討たせて貰う!!お前ら行くぞ!!」

 

ハンター達「オーーーーー!!!!」

 

ローラ「私達も行くわよ!!」

 

一斉にガクマに走る。

 

 

 

 

ガクマ「ギャオオオオオオオ!!!」

 

だがガクマが地面を叩き付けて地震を起こしてローラ達とハンター達を吹き飛ばした。

 

スズ「ギャアアアアーーーーー!!!」

 

ガクマ「ギャオオオオオオオ!!!」

 

口から放つ石化光線が、地震で吹き飛ばされた木を石に変えた。

 

 

 

 

フェオン「何て奴なの・・・!行くわよ皆!!」

 

タクト「待て皆!」

 

フェオン「え!?」

 

タクト「アンナ。ボウガンを貸せ。」

 

アンナ「え?あ、はい。」

 

ボウガンをタクトに貸すと、彼はボウガンに矢を装填してガクマに照準を合わせてエネルギーをボウガンに流す。

 

シア「タクトさんは何を?」

 

イザベラ「静かに。見てて。」

 

タクト「・・・・・」

 

 

 

 

下では、ローラ達とハンター達がガクマと戦っている。

 

スズ「来ないで来ないで来ないで!!」

 

盾を構えて怯えてる。

 

ガクマ「ギャオオオオオオオ!!!」

 

怯えてるスズに石を飛ばした。

 

スズ「ギャアアアーーーー!!!」

 

盾で石を防いで、後ろへ弾いた。

 

ローラ・ユリア・リナ「ハアアァァァァァ!!!」

 

ミウ・ジェシー「ヤアアァァァァァ!!!」

 

彼女達の武器がガクマに攻撃するが、ガクマには傷すら付かない。

 

ハンター「リーダー!!コイツやっぱり強いぞ!!」

 

リーダー「怯むな!!ここで死んだら仲間達に顔向け出来ない!!例え石に変えられても戦い続ける!!」

 

ガクマ「ギャオオオオオオオ!!!」

 

しかしガクマが口に石化光線のエネルギーを集め始める。

 

リーダー「クッ!!」

 

ルイン「リーダー!!逃げろ!!」

 

 

 

 

タクト「ッ!!」

 

エネルギーが集まったボウガンを放つ。

 

 

 

 

エネルギー弾が、ガクマの角を粉砕した。

 

ガクマ「ギャオオオオオオオ!!!」

 

ルイン「角が!」

 

 

 

 

タクト「・・・」

 

再装填してエネルギーを流す。

 

タクト「喰らえ!!」

 

エネルギー弾を放つ。

 

 

 

 

ガクマ「ギャオオオオオオオ!!!」

 

エネルギー弾を喰らったガクマが倒れ、爆散した。

 

 

 

 

 

 

戦いが終わった後。

 

リーダー「君達のお陰で助かった。ありがとう。」

 

ローラ「いえ。」

 

シア「私達が見た事ない未知の災害級が存在しているなんて・・・」

 

ジェシー「うん。似たような災害級が現れたら大変な事になるね。」

 

フェオン「そうね。」

 

スズ「もうあんな奴見たくもないよ。怖いし強いし。もう勘弁してよね。」

 

ユリア「そう仰っていると、また現れるかも知れませんわよ?」

 

スズ「ユリアさんの意地悪!!何処まで私を苛めるの!?」

 

ユリア「ご冗談ですわ。」

 

リーダー「良い仲間達だな。」

 

パドメ「はい。皆さん頼もしい仲間達です。」

 

ルリ「私達は無敵の戦士達と神子達だからね!」

 

”ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!”

 

だが突如地震が起こった。

 

デイジー「え?な、何?地震?」

 

リオ「一体何が?」

 

レア「土砂崩れか!?」

 

ルイン「リーダー!!アレ!!」

 

リーダー「・・・何!?」

 

 

 

 

 

 

地面からガクマβが這い上がって来た。

 

ガクマ「ギャオオオオオオオ!!!!」

 

 

 

 

 

 

フェオン「もう1匹!?」

 

リーダー「彼奴の別個体か!?」

 

スズ「嘘でしょ嘘でしょ!?もう1匹だなんて聞いてないよ!!」

 

ローラ「こっちに来るわ!逃げましょ!!」

 

皆が一斉に逃げ出す。

 

タクト「・・・!!」

 

しかしタクトが、1人離れて行った。

 

ガクマ「ギャオオオオオオオ!!!」

 

徐々に迫り来るガクマ。

 

タクト「ッ!!」

 

スパークレンスを取り出した。

 

タクト「この世界で何故怪獣が現れてるのか分からない。だけど、今は倒すだけだ!!」

 

スパークレンスの光を解放した。

 

 

 

 

光に包まれたウルトラマンティガがガクマの前に現れた。

 

ガクマ「!?」

 

ティガ「タァッ!!」

 

 

 

 

ローラ「何あれ!?」

 

スズ「ええ!?また敵!?もう何なのよ!!」

 

フェオン「心配ないわ。あれはウルトラマンティガ。タクトが助けたのよ。」

 

リナ「え!?タクトさんが!?」

 

スズ「もしかして・・・私達の味方!?」

 

リーダー「・・・!」

 

 

 

 

突進するガクマを、ティガが受け止めて押し上げる。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ガクマの腹にマルチキックを蹴り込んで転ばせた。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

そのままガクマの背中に乗り、背中にマルチチョップを連続で叩き込む。

 

ガクマ「ーーーーー!!!」

 

ティガ「アァッ!!」

 

しかしガクマの背中から発する電撃がティガにダメージを負わせた。

 

ガクマ「ギャオオオオオオオ!!!」

 

石化光線を放射したが、ティガが側転して避けて、ジャンプして姿を消した。

 

ガクマ「ーーーーーー!?」

 

ムーンサルトで宙を舞って、ガクマの後ろに着地した。

 

ティガ「タァッ!!」

 

振り向いたガクマの首を掴んで持ち上げ、ガクマの首にニーキックを蹴り込んでから再び掴む。ガクマが身体を振ってティガを振り解こうとしたが、ティガは離れない。するとガクマが角から電撃を放射した。

 

ティガ「ウアアアアア!!!」

 

電撃を受けたティガがガクマの角を手放した。

 

ガクマ「ギャオオオオオオオ!!!」

 

足の爪が伸ばしてティガに迫る。

 

ティガ「ッ!!」

 

迫り来るガクマの角を掴んで押すが、ガクマがティガの両太ももを爪で引っ掻いた。

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

爪で引っ掻かれたティガが倒れた。ガクマの2本の角が前に曲がった。

 

ガクマ「ギャオオオオオオオ!!!」

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

角がティガの足に直撃した。痛がってるティガをガクマが身体を使って持ち上げて後ろへ放り投げた。

 

ティガ「・・・!!」

 

ガクマ「ギャオオオオオオオ!!!」

 

怯んでる隙を見たガクマが、石化光線をティガに直撃させた。

 

ティガ「ウアアアアア!!!」

 

石化光線がティガの両足に直撃し、ティガの両足が石にされた。

 

 

 

 

ローラ「あ!タクトさんが石にされてしまう!!」

 

スズ「ローラどうするの!?石にされちゃうよ!!」

 

 

 

 

”ピコン”

 

石化が胴体にまで侵食し、カラータイマーが鳴り始めた。

 

ガクマ「ギャオオオオオオオ!!!」

 

石化で動けないティガにガクマが迫る。しかし。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

パワータイプにタイプチェンジしたと同時に、胴体の石化が吹き飛ばされた。

 

ティガ「フッ!!」

 

ガクマの顔を持ち上げ。

 

ティガ「タァッ!!」

 

パワーパンチがガクマの腹部に命中した。

 

 

 

 

スズ「やった!!行け行け!!」

 

 

 

 

ガクマが電撃をティガに浴びせるが。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

振り解かれた。

 

ティガ「タァッ!!」

 

パワーチョップがガクマの2本の角を折り、ティガがガクマを持ち上げた。

 

ティガ「タァッ!!」

 

ウルトラリフターでガクマを投げ飛ばした。

 

ティガ「フッ!ハアァァァァ!!!」

 

両腕を左右から上にあげ、胸の前に集めた超高熱のエネルギーを光球にした。

 

ティガ「タァッ!!」

 

右手を突き出すして放つデラシウム光流が、ガクマに直撃した。

 

ガクマ「ギャオオオオオオオ!!!」

 

力尽きたガクマが自ら石となって砕かれた。

 

ティガ「・・・・・」

 

光となってタクトの姿に戻った。

 

 

 

 

 

 

その日の夕方。

 

リーダー「本当に、色々ありがとう。」

 

タクト「これからも頑張れよな。」

 

リーダー「あぁ。君達も。」

 

ハンター達はタクト達にお礼を言って去って行った。

 

 

 

 

 

 

それから数日後。

 

ナージャ「リオ。デイジー。ケイティ。そろそろ。」

 

リオ「そうだね。」

 

タクト「お前達。もう行くのか?」

 

ナージャ「私の記憶を取り戻しに行かなきゃ。リオ達と一緒に。」

 

デイジー「今まで楽しかったわ。また会えると良いわね。」

 

ローラ「ええ。また会いましょう。」

 

リオ「じゃあね。皆。」

 

こうして、リオ・デイジー・ナージャ・ケイティ組が別れを告げて旅へ行った。

 

 

 

 

 

 

更に数日後。

 

フェオン「ローラ達は、まだ旅の途中?」

 

ローラ「はい。世界中を回るのが私達の旅ですから。」

 

スズ「何時かまた会おうよ。」

 

シア「皆さんに、神様のご加護がありますように。」

 

リナ「皆さん、お世話になりました!」

 

ユリア「ごきげんよう。」

 

ミウ「皆も元気でね。」

 

ジェシー「またね〜!」

 

彼女達も、それぞれの旅へ発った。

 

カサンドラ「ティオも。」

 

ティオ「うん。」

 

カサンドラ「皆さんと出会った時は忘れません。また何時か、何処かでお会いしましょう。」

 

ティオ「グレア。タクト達と元気でね。」

 

グレア「そっちも。元気でね。」

 

カサンドラ「皆さん、お元気で。」

 

ティオ「じゃあね。」

 

カサンドラとティオも自分達の旅へ向かった。

 

タクト「また、このメンバーに戻っちゃったな。」

 

ヒナ「はい。」

 

エミリー「そうだな。」

 

レア「何だか懐かしいメンツだな。」

 

フェオン「では改めて、次の旅へ出発するわよ!」

 

最初のパーティに戻ったタクト達が、次の旅へ向かった。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩
リオ:土岐隼一
デイジー:寿美菜子
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか

ミウ:鈴木愛奈
ジェシー:照井春佳
シア:大野柚布子
ローラ:田中美海
リナ:花守ゆみり
スズ:種崎敦美
ユリア:大空直美
ルリ:田澤茉純
パドメ:宮原颯希

ルイン:狩野翔
ハンターA:松田修平
ハンターB:市川蒼

リーダー:江口拓也





次回予告

ドレイス伯爵家に伝わる魔王退治伝説。初代ドレイス伯爵に封印された魔王が、永き封印から再び覚醒する。

次回ウルトラマンティガ

よみがえる楽園

お楽しみに


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25/よみがえる楽園

よみがえる楽園
魔王 登場



ボーンヒルシュ王国・森林。

 

レア「おーい!待て待てー!」

 

男の子2人「こっちだよー!」

 

公園で、レアが男の子2人を追い掛けてる。

 

 

 

 

森林の川の石。

 

男の子A「よっと!」

 

男の子B「よいしょ!」

 

レア「おわわわわわ!」

 

石に飛び移るレアだが、バランスが乱れ。

 

男の子A「ふー。」

 

レア「おわああーーーー!!」

 

軽いひと吹きで、レアのバランスが崩れて川に仰向けに落ちた。

 

タクト「おいレアwww大丈夫かよwwwあはははははははははwww!」

 

落ちたレアを見て、タクトがガチ笑いしてる。

 

フェオン「おーい!こっちこっちー!」

 

アンナ「早く捕まえないと〜!」

 

イザベラ「アレックス君、ジョージ君行こ?」

 

アレックス・ジョージ「うん!」

 

これは鬼ごっこで、タクトとレアがフェオン達とアレックスとジョージを追い掛ける鬼になってる。

 

 

 

 

何とか復活したレアだが、既に皆は逃げた後だった。

 

レア「ハックション!!くぅぅ・・・酷い目に遭った・・・」

 

タクト「頑張れよ。後で乾かしてやるから。」

 

レア「うぅぅ・・・」

 

タクト「ん?」

 

レア「ん?何だタクト?皆が見付かったのか?」

 

タクト「いや、あれ見ろよ。」

 

レア「ん?」

 

彼が見付けたのは、壊された祠だった。

 

レア「祠?」

 

壊された祠に2人が駆け寄る。

 

タクト「誰かが壊した後だ。」

 

レア「酷いなぁ。一体何処の不埒な奴がやったんだ?」

 

タクト「・・・いや、誰かが壊したんじゃない。地震で壊れたんだ。」

 

レア「どう言う事だ?それ。」

 

タクト「この前現れた魔物を覚えているか?」

 

 

 

 

 

 

以前、ボーンヒルシュ王国に現れた岩石怪獣ガクマ。そのガクマが出現した時の地震で祠が破壊されたのだ。

 

 

 

 

 

 

タクト「この祠はもう何年も存在していたらしい。年月が経つにつれ、劣化したんだろう。」

 

レア「一体何を祀ってたんだ?」

 

タクト「分からない。」

 

レア「って!それより皆を捕まえに行くぞ!おい行くぞタクト!」

 

タクト「あ、おい待てよ!」

 

2人が鬼ごっこを再開しに走り出した。誰も居なくなった祠から、謎の手が出現した。

 

???「おのれ!恨みを晴らすぞ!ドレイスめ!この恨みを貴様に!」

 

 

 

 

 

 

森林を抜け出したタクトとレア。

 

タクト・レア「あ!」

 

彼女達は2人を置いて昼食を食べていた。そこには、4人の家族も同伴している。

 

レア「おいお前達ズルいぞ!!」

 

アンナ「2人が遅いんだもん!」

 

エミリー「もう先食べてるぞ。」

 

タクト「この野郎!俺達にも食わせろ!」

 

鬼ごっこを中断し、昼食を食べる。

 

男性「いやぁ、息子達と一緒に遊んでいただきありがとうございます。」

 

フェオン「いえいえ。この子達が私達と遊ぼうって言ってたので。」

 

ヒナ「はい。それに、ドレイス伯爵家のご子息様だなんて驚きました。」

 

ドレイス伯爵「はっはっは。そんなに畏まらないで下さい。」

 

伯爵夫人「アレックス。ジョージ。楽しかった?」

 

アレックス「うん!お姉ちゃん達優しいよ!」

 

ジョージ「面白かった!」

 

ドレイス伯爵「そうか。良かった。」

 

タクト「?」

 

突然タクトが森林に顔を向けたが、何の異変もない。

 

フェオン「ん?どうしたのタクト?」

 

タクト「ああ、いや。何でもない。」

 

 

 

 

昼食後。再びタクトとレアが鬼になってフェオン達を追う。

 

タクト「待てー!」

 

レア「待て待てー!」

 

 

 

 

アレックス「この森で隠れてよ?」

 

ジョージ「ここなら見付からずに済むね。」

 

しかし、2人を見詰める人物がそこにあった。

 

アレックス「ん?」

 

ジョージ「え?」

 

その人物は、王冠を被って天使の羽を生やし、尻尾がある青年だった。

 

アレックス「誰?」

 

青年「・・・・」

 

その青年は、不気味に微笑んでこっちを見詰めてる。

 

ジョージ「お兄ちゃん・・・あの人怖い・・・」

 

アレックス「・・・僕も怖いよ・・・」

 

青年は、微笑みながらゆっくりと双子に近付く。

 

アレックス・ジョージ「・・・・・」

 

すると双子の背後に人の手が。

 

アレックス・ジョージ「!!!!・・・あれ?」

 

その手は、タクトの手だった。

 

タクト「捕まえた。これで全員だな。」

 

アレックス「ビックリしたぁ・・・」

 

ジョージ「もう皆捕まっちゃったの?」

 

タクト「フフン♪」

 

アレックス「・・・あれ?」

 

さっきまで居た青年の姿が忽然と消えていた。

 

ジョージ「え・・・?」

 

タクト「ん?アレックス、ジョージ、どうした?」

 

アレックス「ねぇ、そこに居なかった?王冠被って尻尾を生やした男の人。」

 

タクト「いや、見てないけど。」

 

ジョージ「・・・・」

 

 

 

 

 

 

夕方になった。

 

ドレイス伯爵「皆さん、ありがとうございました。」

 

伯爵夫人「私達はこれで失礼しますね。」

 

フェオン「お気を付けて。またお会いしましょうね。」

 

伯爵一族が、馬車に乗って行った。

 

タクト「よし。俺達も帰るか。」

 

イザベラ「ですね。」

 

レア「はぁ〜。疲れた〜。アンナ〜、負ぶってくれ〜。」

 

アンナ「レア先輩子供じゃないんだから。」

 

エミリー「帰ったら飯にしよう。」

 

ヒナ「今日は私の手料理を期待して下さいね。」

 

グレア「楽しみ〜。」

 

タクト「・・・・」

 

皆が晩飯の話をする中、タクトは破壊された祠が気になって森林を見る。

 

タクト(何か嫌な予感がする・・・)

 

フェオン「タクトー!何してるのー!」

 

タクト「あぁ!今行く!・・・」

 

彼らは、ホテルへ帰って行った。

 

 

 

 

 

 

風を切り馬で駆け行く1台の馬車があった。それはドレイス伯爵一族。伯爵夫妻は双子の息子を腕にかかえしっかりと抱いて温めている。

 

アレックス・ジョージ「!!」

 

ドレイス伯爵「アレックス。ジョージ。何を恐れて顔を隠すんだ?」

 

アレックス「お父さんには魔王が見えないの?」

 

ジョージ「王冠とシッポをもった魔王が!」

 

ドレイス伯爵「アレックス、ジョージ。あれはただの霧だよ。怖がる事はない。」

 

 

 

 

魔王「可愛い双子や、私と一緒においで?楽しく遊ぼう。キレイな花も咲いて、黄金の衣装も沢山ある。」

 

 

 

 

アレックス「お父さん!お母さん!聞こえないの?」

 

ジョージ「魔王が声を潜めて僕達に約束しているのが?」

 

ドレイス伯爵「落ち着くんだ2人共。」

 

伯爵夫人「枯葉が風で揺れているだけよ。」

 

 

 

 

魔王「素敵な双子よ、私と一緒においで。私の娘が君の面倒を見よう。歌や踊りも披露させよう。」

 

 

 

 

アレックス「お父さん、お母さん!あれが見えないの?」

 

ジョージ「暗がりにいる魔王の娘達が!」

 

ドレイス伯爵「確かに見えるよ。あれは灰色の古い柳だ。」

 

 

 

 

魔王「お前達が大好きだ。可愛いその姿が。嫌がるのなら、力尽くで連れて行くぞ!」

 

 

 

 

アレックス「お父さん、お母さん!魔王が僕を掴んで来るよ!」

 

ジョージ「魔王が僕達を苦しめる!」

 

しかし、抵抗も虚しく、アレックスとジョージは魔王に魂を奪われてしまい、力尽きてしまった。伯爵夫妻は恐ろしくなり、馬車を急がせた。苦しむ息子達を腕に抱いて。疲労困憊で辿り着いた時には、腕の中の息子達は息絶えていた。

 

 

 

 

 

 

翌朝。アレックスとジョージの葬儀の準備が始まっていた。

 

 

 

 

ドレイス伯爵邸。

 

ドレイス伯爵「すまない・・・私が気のせいと思ったばっかりに・・・」

 

伯爵夫人「あなた・・・」

 

そこに、タクト達がやって来た。

 

タクト「伯爵。」

 

ドレイス伯爵「皆さん!来てくれたんですね・・・」

 

ヒナ「アレックスさんとジョージさんは?」

 

伯爵夫人「・・・・・・」

 

息絶えてしまった2人の遺体を見せた。

 

イザベラ「昨日は元気だったのに・・・何で・・・?」

 

レア「今日も遊ぶって約束したのに・・・!!」

 

アンナ「アレックス君・・・ジョージ君・・・」

 

タクト「・・・・ん?」

 

2人の遺体に違和感を感じたタクトが、アレックスの胸に耳を近付ける。

 

タクト「・・・・!」

 

グレア「どうしたのタクト?」

 

タクト「心臓が動いてる。」

 

全員「え!?」

 

タクト「フェオン!ジョージの心臓は!?」

 

フェオン「ちょ、ちょっと待って?」

 

ジョージの心臓を調べると。

 

フェオン「動いてる!?」

 

グレア「どう言う事!?亡くなってるのに心臓が動いてるなんて!」

 

タクト「・・・体が温かい。平熱なのに目覚める気配がない。どう言う事だ?」

 

ヒナ「伯爵。アレックスさんとジョージさんが亡くなる直前に何かありましたか?」

 

ドレイス伯爵「あぁ、2人は我々には見えない何かに怯えていたんです。」

 

伯爵夫人「王冠と尻尾を持った魔王って言ってました。」

 

タクト「昨日アレックスが言ってたのは、この事だったのか?」

 

ドレイス伯爵「ん?王冠と尻尾を持った魔王・・・もしかして!!」

 

するとドレイス伯爵が部屋から飛び出し、何かを持って戻って来た。

 

イザベラ「それは?」

 

ドレイス伯爵「あの子達が言った言葉で、思い出したんです。これを。」

 

それは、1冊の本だった。そこに記されているのは。

 

ドレイス伯爵「嘗て初代ドレイス伯爵である私のご先祖様が、魔王を退治したと言う伝説を残しているんです。」

 

アンナ「魔王退治伝説?」

 

ドレイス伯爵「ご先祖様は、自身の魔法を駆使して辛うじて魔王を森の中に封印したと。」

 

タクト「ん?伯爵、その森って何処にあるんだ?」

 

ドレイス伯爵「昨日、私達が遊んでいた森林です。そこに魔王を封じ込めてる祠があったはず。」

 

タクト「ッ!!まさか!!!」

 

 

 

 

 

 

急いでその公園の森林へ向かった。

 

ドレイス伯爵「何て言う事だ・・・」

 

タクト「以前出現した魔物が起こした地震が、この祠を破壊したんだ。」

 

伯爵夫人「それが切っ掛けで封印が解かれてしまったと・・・」

 

レア「それで、その魔王は何をしたんだ?」

 

ドレイス伯爵「大昔。魔王は子供達を誘拐して、自分の理想の楽園を創ろうとしていたんです。私のご先祖様が魔王を退治して封印したんです。誘拐された子供達は奇跡の生還を遂げたんです。」

 

フェオン「じゃあ、アレックスとジョージはその楽園に攫われたと?」

 

ドレイス伯爵「そう断言出来るのは難しいですが・・・」

 

タクト「・・・調べてみよう。グレア!」

 

グレア「任せて!」

 

両目を瞑って意識を集中させる。

 

グレア「・・・2人はその楽園に居るよ。」

 

ドレイス伯爵「本当ですか?」

 

グレア「2人の気配を辿ってみたら、この祠に繋がる楽園に魂を攫われたみたい。」

 

レア「そうと分かれば助けに行くぞー!・・・っで、どうやって行くんだ?」

 

アンナ「考えってなかったの!?」

 

ドレイス伯爵「あ、私の祖父から聞いたんです。この祠に眠る魔王が落とした水晶玉を使えば、楽園へ行けると。」

 

タクト「水晶玉。」

 

壊された祠の瓦礫を退かして地面を掘る。

 

タクト「あった!」

 

土が付着した小さな水晶玉を発見した。

 

タクト「これを使えば、楽園へ行けるんだな。」

 

水晶玉を壊された祠の前に置くと、水晶玉が光って異空間が開かれた。

 

タクト「開いた!」

 

フェオン「彼処に2人が居るのね。」

 

タクト「俺が行く。お前らはここで待ってろ。」

 

フェオン「何言ってるのよ!私達も行くわ!」

 

レア「レア達のアレックスとジョージを攫った奴を懲らしめなきゃ気が済まないんだ!」

 

ヒナ「お2人を助けに行きましょう!」

 

タクト「分かった。グレアはここで伯爵夫妻を守ってくれ。」

 

グレア「OK!」

 

彼らは異空間へ入って行った。

 

 

 

 

 

 

異空間が楽園に繋がった。

 

フェオン「ここが楽園・・・?」

 

その楽園は、花畑が咲き、透明な水が流れている美しい場所だった。

 

イザベラ「これが魔王の創る楽園だなんて思えないよ・・・」

 

エミリー「2人は何処だ?」

 

ヒナ「皆さん!彼処!」

 

花畑に眠るアレックスとジョージを発見した。

 

フェオン「アレックス!アレックス!」

 

アンナ「ジョージ君!起きて!ジョージ君!」

 

アレックス・ジョージ「・・・ん?」

 

2人が目を覚ました。

 

アレックス「皆・・・?どうしてここに・・・?」

 

エミリー「助けに来たんだ。」

 

ジョージ「本当に・・・!?」

 

エミリー「あぁ。急いでこの楽園から出よう。」

 

???「そうはいかないよ。」

 

全員「ッ!!」

 

上空から、魔王と魔王の娘達が舞い降りた。

 

魔王「その2人は私が選んだ楽園に相応しい兄弟。帰す訳にはいかない。」

 

アンナ「あなた達の思い通りにはさせません!!」

 

ボウガンを撃つが、魔王がそれを右手で弾いた。

 

魔王「私に刃向かうとは、中々な人間共だ。」

 

エミリー「お前は何故アレックスとジョージを攫ったんだ?」

 

魔王「復讐だ。その2人の先祖は私達を封印した元凶。祠が破壊された事で封印が解かれ、ドレイス伯爵に復讐する為にその双子の魂を奪って楽園を創ろうとしたんだ。この私から逃げ切れるのは不可能だ!」

 

フェオン「逃げるわよ!!」

 

襲い来る魔王達から逃げる。

 

 

 

 

森の中に逃げ込んでる最中、タクトが1人の男の姿を発見した。

 

タクト「フェオン!!」

 

フェオン「どうしたの!?」

 

タクト「人を発見した!俺が救助に向かう!」

 

フェオン「本当!?分かったわ!」

 

アンナ「私も行きます!」

 

タクト「ありがとう!でもアンナはフェオン達と一緒に逃げろ!後で加勢に行く!」

 

アンナ「分かりました!気を付けて!」

 

二手に分かれた。

 

 

 

 

タクト「おーい!アンタも魔王に攫われた人間か?早く逃げろ!」

 

すると男が剣を抜いてタクトに剣先を向けた。

 

タクト「おわっ!?」

 

男「お前は、人間ではないな。別の存在か?しかし、邪気を感じない。」

 

剣を鞘に収めた。

 

男「先程のご無礼、お詫び申し上げる。」

 

タクト「アンタは一体・・・?」

 

男「私の名は、アルバード=フォン=ドレイス。ボーンヒルシュ王国初の伯爵を務めていた者だ。」

 

タクト「アンタが・・・初代ドレイス伯爵・・・」

 

 

 

 

 

 

その頃フェオン達は、襲い来る魔王と娘達と戦っている。

 

 

 

 

 

 

アルバード「嘗て私は、子供達を我が物にする魔王と戦って辛うじて封印に成功したのだ。」

 

タクト「それで、魔王を封印したアンタがどうしてこの楽園に?」

 

アルバード「封印には成功したのだが、私は子供達を優先して生還させた。私はこの楽園に何年も潜んでいる。楽園に蔓延る魔王と娘達に隠れながら。息子は、私の帰還を祈る為に祠を建てた。魔王が落とした楽園への道を開く水晶玉を祠の地面に埋めた。しかしどうやら、魔王が復活したのは理由がありそうだ。」

 

タクト「そうだ。魔物が起こした地震が祠を壊してしまったんだ。」

 

アルバード「成る程。だから元の世界の道が開かれたのだな。」

 

タクト「アンタの子孫が攫われた理由は、ドレイス家の復讐の為に攫って楽園を創ろうとしたんだ。」

 

アルバード「そうか・・・あの子達を巻き込ませてしまったな・・・しかし奴は、復讐心に取り憑かれ力を増している。最早私の力だけでは奴等は倒せぬ。」

 

タクト「随分と冷静なんだな。アンタ。」

 

 

 

 

一方フェオン達は、魔王の娘達との激闘を繰り広げていた。

 

フェオン「コイツら、魔王の娘だけであって強い!」

 

娘の1人が口から火炎を吐いた。

 

エミリー「危ない!」

 

ヒナ「ヒャッ!」

 

火炎を切り裂いてヒナを守った。

 

魔王「そうだ苦しめ。戦い続けて苦しむのだ。」

 

レア「貰ったぞ!」

 

魔王「ん?」

 

真後ろにレアが現れた。

 

レア「オリャアアアアアア!!!!」

 

旋刃盤を振り下ろそうとした時。魔王の王冠が輝いた。

 

レア「ん!?」

 

その王冠から冷気魔法が放たれ、レアが旋刃盤で防いだ。

 

レア「何だと!?」

 

 

 

 

 

 

アルバード「さぁ、行ってあげなさい。それとすまないが、私の体を元の世界へ返してやってくれ。これで私も懐かしの、あの世界へ舞い戻れるだろう。」

 

そう言った直後、アルバードが倒れた。

 

タクト「お、おい!ちょっと待て!もう無責任な伯爵様だな・・・はぁ。」

 

ため息した後、スパークレンスの光を解放した。

 

 

 

 

 

 

『BGM:魔王(シューベルト)』

 

戦場にウルトラマンティガが出現した。

 

魔王「ッ!?」

 

ティガ「タァッ!」

 

迫り来る魔王にティガが挑む。

 

ティガ「ハァッ!ハァッ!」

 

マルチパンチを魔王の腹部に叩き込む。

 

魔王「グゥゥ・・・!!ハァッ!!」

 

ティガ「フッ!」

 

ハイキックをティガがしゃがんで避ける。

 

ティガ「ハァッ!タァッ!」

 

立ち上がって魔王の顔を掴み、巴投げで後ろへ投げた。

 

魔王「貴様・・・!!」

 

ティガ「ハァッ!ハァッ!タァッ!」

 

3連続マルチキックが魔王の顔に直撃した。

 

ティガ「タァッ!」

 

再び魔王の顔を持ち上げて、後ろへ投げた。

 

魔王「ハァッ!」

 

しかし魔王が浮遊してゆっくりと着地した。

 

魔王「喰らえ!!」

 

口から火炎放射を吐いた。

 

ティガ「タァッ!」

 

しかしティガが飛翔して避け、魔王の真後ろに着地した。

 

ティガ「ハァッ!」

 

魔王「グアッ!」

 

後ろ首にマルチチョップが直撃して魔王が怯み、ティガが魔王の顔を掴む。

 

 

 

 

レア「タクト気を付けろ!!」

 

 

 

 

魔王の王冠が輝き。

 

ティガ「ッ!?」

 

王冠から冷気魔法が放出された。

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

冷気魔法を受けたティガが後ろに倒れた。

 

魔王「そろそろ本気を出すとしよう。はぁっ!!」

 

黒い魔力が溢れ出し、娘達を自身に取り込んだ。両目が赫色になり、右手に黒い剣が握られた。

 

ヒナ「あ!自分の娘さん達を・・・」

 

魔王「フッフッフッフ。」

 

剣を華麗に振り回して風を起こした。

 

魔王「行くぞ!!」

 

剣を握ってティガに向かって走る。

 

ティガ「タァッ!」

 

だがティガが避け、魔王の剣が木を伐り倒した

 

魔王「何!?」

 

飛翔したティガが逃げる。

 

魔王「逃がさん!!」

 

逃げるティガを魔王が追う。

 

 

 

 

 

 

逃げたティガは、噴水広場に着地した。

 

ティガ「フッ!」

 

そこに魔王が追ってやって来た。魔王が剣を振るが、ティガが避け続ける。

 

ティガ「タァッ!」

 

魔王「アァッ!!」

 

マルチキックが魔王の後ろ首に直撃した。

 

魔王「小癪な!!」

 

ティガ「フッ!」

 

再びティガが魔王の剣を避ける。

 

ティガ「ハァッ!」

 

魔王「ヌゥン!!」

 

ティガ「タァッ!!」

 

何度も剣を避けるティガが、マルチキックを魔王に直撃させる。

 

魔王「・・・・・」

 

ティガ「・・・・・」

 

すると魔王の尻尾が動き、ティガの腹に当たった。

 

ティガ「アァッ!!」

 

魔王「フンッ!!」

 

天使の羽を羽ばたかせてティガを転ばせた。

 

魔王「ハァッ!!」

 

倒れてるティガに剣を刺そうとするが、ティガがすぐに立ち上がって避けた。

 

ティガ「タァッ!!」

 

マルチキックを避けた魔王が、裏拳でティガを倒す。

 

ティガ「アァッ!!」

 

魔王「どうした?この程度か。死ねえ!!」

 

ティガ「ッ!!」

 

振り下ろす剣をティガが避けた。

 

魔王「逃がさん!!」

 

振り下ろした剣が、噴水を切断した。

 

 

 

 

魔王「今度こそ息の根を止めてやるぞ!!」

 

ティガ「ッ!」

 

魔王「死ねえええ!!!」

 

迫り来る魔王に、ティガが胸の前で腕を組んでからエネルギーを集中させる。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

両手を突き出して光の刃を飛ばして敵を斬り裂くティガスライサーが魔王の剣と首を貫通し、魔王の剣をティガが白刃取りで止めた。

 

ティガ「・・・・」

 

ゆっくりとティガが立ち上がると、ティガスライサーを受けた剣が折れ、魔王の首が落ちた。

 

エミリー「やったぞ!」

 

魔王「ウアアアアアアアアア!!!」

 

断末魔を上げながら、魔王の胴体が消滅した。

 

ティガ「ッ。」

 

落ちてる首にティガが近付くと。

 

首「貴様ァ!!」

 

ティガ「ッ!!」

 

突如首が動き、ティガの左肩に噛み付いた。

 

ティガ「ドゥアッ!!」

 

噛み付いた魔王の首を離そうとするが、首が離れない。

 

イザベラ「何あれ!?首だけ動いてる!!」

 

グレア「あの首、娘達の魂が取り憑いてる!」

 

アンナ「タクトさん!援護します!」

 

ボウガンを連射するが、首は離れない。

 

首「貴様を殺してやる!!私の計画を台無しにした罪は重いぞ!!」

 

アンナ「効かない!?」

 

ジョージ「復讐心・・・」

 

”ピコン”

 

首「苦しめ苦しめ!!苦しんで死ねぇ!!」

 

アレックス「頑張って!!!」

 

 

 

 

すると何処からか剣が飛んで来た。

 

 

 

 

首「ウアアアアアアアアア!!!」

 

フェオン「何あれ?」

 

その剣は一直線に飛び、魔王の首の眉間に突き刺さった。そして、魔王の首が娘達の魂諸共消滅した。

 

アルバード『頭1つなら、今の私でも倒す事が出来る。さらばだ、光の戦士よ。』

 

ティガ「・・・」

 

頷いたティガが光となって、タクトの姿に戻った。

 

『BGM END』

 

 

 

 

 

 

元の世界に全員が生還した。

 

ドレイス伯爵「アレックス!ジョージ!」

 

伯爵夫人「良かった!」

 

アレックス「お父さん!お母さん!」

 

ジョージ「怖かったよ!」

 

全員が生還し、楽園への道が完全に塞がった。

 

タクト「伯爵。彼がご先祖様のアルバード伯爵だ。」

 

ドレイス伯爵「このお方が・・・お会い出来て光栄です・・・」

 

その後、アルバード=フォン=ドレイスの遺体を墓地に埋葬した。

 

 

 

 

 

 

ボーンヒルシュ王国を発って数時間。夜の森で皆が寝静まった。

 

タクト「皆寝たか。さてと、俺も寝るとするか。ふぁ〜・・・」

 

彼も気持ち良く眠った。そして彼の夢では、ある少女が起こす奇跡を目撃した。

 

 

 

 

 

 

翌朝。

 

フェオン「タクト!タクト!」

 

タクト「っ・・・ん?」

 

目を開けると、フェオン達がタクトを見ていた。

 

タクト「あれ?お前等・・・?」

 

フェオン「もう何時まで寝てるのよ。そろそろ起きなさい。」

 

タクト「何でお前等がここに・・・?」

 

レア「おいおい何言ってんだよ。レア達と一緒じゃないか。」

 

タクト「そう・・・だったな。(あの世界は俺の夢だったのかもな・・・)」

 

エミリー「ん?どうしたんだお前?」

 

タクト「いや、何でもない。」

 

ヒナ「あら?タクトさん、左手に持ってるそれは?」

 

タクト「ん?」

 

左手には、チコの実が入った袋が握られていた。

 

タクト(え?チコの実?さっきのは夢?それとも現実?)

 

アンナ「タクトさん、その袋は何ですか?」

 

タクト「・・・あぁ、これはお前達に出会う前に譲り受けたチコの実って言うんだ。これを思い出しながら寝てたみたいだ。食べてみるか?」

 

チコの実を食べさせた。

 

イザベラ「ん〜!何だか不思議な味ですね〜!」

 

タクト「あぁ〜、やっぱりこの味癖になるねぇ〜。」

 

グレア「どんな味なのか私も食べてみたいなぁ〜。」

 

タクト「それじゃあ皆、次の旅へ行くか。」

 

地図を開いて行き先を決める。

 

タクト「えっと・・・アールスハイド王国だな。」

 

フェオン「三大大国の1つね。」

 

タクト「よし、じゃあ行くぞ!」

 

彼等はアールスハイド王国で新たな出会いを果たすのだった。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
グレア:高橋李依

アレックス=フォン=ドレイス:松田利冴
ジョージ=フォン=ドレイス:松田颯水

ドレイス伯爵:稲田徹
伯爵夫人:れいみ
アルバード:二又一成

魔王:安里勇哉





次回予告

三大大国の1つ、アールスハイド王国へ訪れたタクト達。彼等はその国で、英雄の祖父母を持つ男シンと出会う。これが、運命の始まりだった。

次回ウルトラマンティガ

賢者の孫

お楽しみに


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26/賢者の孫

賢者の孫



現代世界・東京都内。

 

同僚A「あ〜・・・終わったぁ・・・」

 

同僚B「そっちはどうよ?」

 

同僚A「終わったんなら飲みにでも行かね?」

 

男「いやこっちは全然っすよ。時間掛かりそうなんでお先にどうぞ。」

 

同僚B「そっか。じゃあお先。」

 

同僚A「お前も程々にな。」

 

 

 

 

仕事を続けるが、作業が終わらない。

 

男「終わらねぇ・・・まぁ早く帰った所で待ってる人も居ないし、録り溜めたテレビを見るかやり残したゲームするくらいだしな・・・」

 

 

 

 

やっと仕事が終わった。

 

男(やっと帰れる・・・この地球には俺みたいな奴いっぱい居るんだよな・・・)

 

通行人「ん?おいアンタ・・・」

 

しかし男は考え事をしていて聞こえてない。

 

通行人「危ないぞ!!!」

 

 

 

 

 

 

東京都内のある夜に起きた事故

それが、この物語の始まりだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔法がありふれた異世界。

 

老人「降って来おったか・・・この先に森があったな・・・雨宿りをして行くかの。」

 

この老人の名は、嘗て世界を恐怖に陥れた存在を討伐した稀代の英雄・マーリン=ウォルフォード。

 

 

 

 

森に向かって雨宿りをしようとした時。

 

マーリン「・・・・!!」

 

彼が目にしたのは、複数のバラバラ遺体と破壊された馬車だった。

 

マーリン「・・・これは・・・魔物に殺られたのか・・・惨い事を・・・せめて弔って・・・」

 

???「ああーっ・・・」

 

マーリン「ッ!?赤ん坊の泣き声・・・!?何処じゃ!?」

 

馬車の中を見ると、泣いている赤子が居た。

 

マーリン「おお・・・魔物に襲われて生き残っておるとは・・・奇跡じゃ。怪我をしておるな。どれ・・・」

 

魔法で赤子の傷を治すと、赤子は眠った。

 

マーリン「・・・何と強い子じゃ。」

 

するとマーリンに何かが降りた。

 

マーリン「この子を・・・育てろと言う事か・・・?これは天命かのう・・・」

 

その赤子は、英雄の子として育てられる事になった。

 

 

 

 

 

 

8年後。2羽のニワトリに何かが迫った。

 

少年「ハッ!!」

 

茂みの中から風魔法が吹き荒れ、2羽のニワトリに直撃した。

 

少年「よし!食糧ゲット!!」

 

この少年の名は、シン=ウォルフォード。この森で祖父と2人で暮らしてる。

 

 

 

 

彼には前世の記憶がある。地球の日本で育った記憶。死んだ理由の記憶は残っていない。

 

 

 

 

森にある小屋。

 

シン「たっだいまー!」

 

マーリン「おう、おかえり。どうじゃ?今日の狩りの成果は。」

 

異空間収納から、狩った獲物達を出した。

 

マーリン「ほほう、鳥が3羽に猪か。」

 

シン「あんまり獲り過ぎても良くないしね。」

 

マーリン「風の刃か。見事なもんじゃのう。」

 

シン「狩りには一番向いてるからね。」

 

この世界には、魔法がありふれている。シンは幼い頃からマーリンに魔法を教えて貰っている。

 

マーリン「では炎はどうじゃな?シン火を点けてみ。」

 

シン「うん!」

 

この世界の魔法は無詠唱で成立する。イメージを掴めば魔法が具現化する。

 

マーリン「おお!」

 

炎の魔法で焚き火に火が点いた。

 

シン(正直これには助かった。向こうの記憶があるだけに呪文の詠唱とか魔法名を叫ぶとかちょっと抵抗があるもんな。)

 

すると遠くから4人の人物がやって来た。

 

シン「あ!メリダ婆ちゃんにミッシェルさん!リチャードおじさんにレイチェルおばさんも来た!」

 

マーリン「シンよ。ワシの魔法だけじゃなく、魔道具や剣術について学ぶが良い。」

 

シン「うん!」

 

 

 

 

やって来た4人に、今日の獲物を見せた。

 

メリダ「獅子狩りだって!?シン!アンタなんて危ない事してるんだい!」

 

彼女の名はメリダ=ボーウェン。マーリンの知り合いで、よくこの小屋に訪れる。彼女にはマーリンとある関係があるのだが。

 

シン「別に危なくないよ。この前婆ちゃんと一緒に作った魔道具だってあるし。」

 

メリダ「やれやれ、何処の世界で8歳で猪を狩る子供が居るんだい。」

 

リチャード「もうここにしか居ないな。目の前に。」

 

彼の名はリチャード=ラドクリフ。マーリンの幼馴染みで、ラドクリフ教会の大師祭を務めている。

 

レイチェル「流石、マーリンさんが教えただけはありますね。」

 

そして彼女はレイチェル=ラドクリフ。リチャードの妻で、騎士養成士官学院の筆頭教官を務めている。

 

マーリン「シンの魔法の腕はお前達も知っておろう。この森はシンにとっては庭みたいなもんじゃ。」

 

リチャード「その庭を作ったのはお前だけどな。」

 

ミッシェル「しっかし猪まで仕留めるとは武術の鍛錬次からもっと厳しくするか。」

 

シン「えぇー!やだよー!」

 

そして彼はミッシェル=コーリング。シンに武術を教えてる先生でもある。

 

 

 

 

 

 

あれから2年後。シンが10歳になったある日。

 

シン「魔物狩り?」

 

マーリン「シンも10歳になった事じゃし そろそろ経験しておいた方が良いじゃろう。」

 

シン「魔物か・・・」

 

マーリン「この世界に充満する魔力。全ての生き物はその恩恵を受ける事が出来る。だが制御に失敗すると生き物は凶暴になり辺り構わず攻撃するようになる。それが魔物じゃ。人も例外ではないぞ。」

 

シン「昔、一度人が魔物化して国が1つ滅び掛けた。それを救ったのが爺ちゃんなんだよね?今でもその国では英雄なんでしょ?」

 

マーリン「ほほほほっ!ではそろそろ始めようかの。まずは魔物を探すんじゃ。」

 

崖の上に立つ。

 

シン「どうやって?」

 

マーリン「魔力を周囲に薄く広げていくのじゃ。そこに別の魔力が触れるとその存在を感じられる。生き物は全て魔力を持っておるから何処に何がおるのかすぐに分かる。これを索敵魔法と言う。」

 

シン「・・・・」

 

マーリン「とは言え、これはある程度魔力を制御出来んと難しいが・・・な!?」

 

既にシンが索敵魔法を発動していた。

 

シン「はっ!凄い・・・森中の生き物が・・・!家にいるメリダばあちゃんの魔力も!それにリチャードおじさんにレイチェルおばさんまで!」

 

マーリン(ふむ・・・予想はしておったが1回で成功しよるか。)

 

シン(っ!?何だ・・・この禍々しい・・・)

 

森の中に潜む禍々しい魔力を感知した。

 

マーリン「見付けたかの。それが魔物の魔力じゃよ。」

 

シン「爺ちゃん早く行こう!あんなもん放っておいたら大変な事になる!」

 

マーリン「そうじゃのう・・・これはちとマズいかも知れぬ・・・」

 

 

 

 

 

 

2人は急いで現場に向かう。

 

マーリン「ん!?シン・・・そのブーツ、魔道具か。」

 

シン「うん。メリダ婆ちゃんに色々作り方教わったんだ。これは俺のオリジナルだけどね。」

 

そのブーツには、空気噴射の文字が浮かんでいた。

 

マーリン(・・・見た事のない文字じゃな・・・何て読むんじゃろう・・・)

 

この世界には、漢字と言う概念は存在していない。

 

 

 

 

 

現場に着くと、熊の魔物が動物を喰い荒らしていた。

 

シン「怖ええ・・・これが・・・魔物・・・けど・・・!!こんなヤツ放置してたら・・・!!」

 

魔物に向かってシンが突撃する。

 

マーリン「ま、待つんじゃ!シン!!!」

 

魔物がシンに向かって走り出し、爪を振り下ろす。しかしシンは間一髪避けれた。

 

シン「あっ危ねぇ〜〜〜!魔道具がなかったら死んでたかも・・・よーし。」

 

マーリン(・・・!あれもシンのオリジナルの魔道具か・・・!?一体何の効果を付与・・・)

 

その剣には、『超音波振動』が彫られてある。

 

マーリン(・・・!!読めん・・・!!)

 

襲い来る魔物を、シンがジェットブーツの空気噴射で躱した。

 

シン(この敏捷性・・・魔法で身体強化してやがるな・・・!!だったら先に・・・!!)

 

超音波振動の剣を振り、魔物の両腕を切断した。

 

シン「もう邪魔出来ねえだろ!!!」

 

超音波振動の剣が、魔物の首を斬り落とした。

 

マーリン「・・・・」

 

戦いの一部始終を見てたマーリンがあんぐり顏をしてる。

 

マーリン「っ!?」

 

斬り落とされた魔物の目を見ると、あの時の記憶が重なった。

 

シン「やったよ!!爺ちゃ・・・」

 

マーリン「・・・・」

 

シン「爺ちゃん?」

 

マーリン「お?おお!すまんすまん。ちょっとボーっとしてもうた。」

 

シン「あれで良かった?失敗してないよね?」

 

マーリン「勿論じゃ!これ以上ない程完璧じゃったぞ!」

 

シン「本当!?じゃあ、魔物狩りは成功?」

 

マーリン「勿論じゃ!」

 

シン「やったー!早く家帰ろ!お腹空いちゃったよ!」

 

マーリン(まさか・・・これ程とは・・・楽しみじゃの・・・)

 

 

 

 

 

 

その夜。

 

メリダ「何だって!?魔物化したレッドグリズリーを・・・シンが瞬殺した!?」

 

マーリン「あぁ。ワシが助ける間も無くじゃ。」

 

リチャード「レッドグリズリーはベテランハンターでも苦労する程の力を持っている。それをあの子が?」

 

メリダ「全く。一体何者なんだろうね?あの子は・・・」

 

レイチェル「はい。魔法を習得するスピードは尋常ではありません。ミッシェルさんの武術や私の剣術を簡単にマスターしています。」

 

メリダ「それに、付与魔法に至ってはオリジナルの言語だ。案外あの子、別の世界か何かから来たんじゃないのかい?」

 

マーリン「はは・・・何者でも構わんよ。ワシを爺ちゃんと呼んでくれて、ワシが修めた魔法の悉くを素直に吸収してくれておる。元は拾い子じゃが・・・ワシは本物の孫だと思っとる。ワシはあの子が可愛うてしょうがない。強くなるのは、あの子自身が身を守る事にもなる。何も問題はありゃせんよ。」

 

メリダ「おやおや。嘗て『破壊神』と呼ばれた男のセリフとは思えないねぇ。」

 

リチャード「お前がそう言っても、私達から見たら説得力ないな。」

 

マーリン「ぬあっ!止めてくれ!黒歴史を掘り返すのは・・・」

 

ミッシェル「ははっ。それが今では賢者様では御座いませんか。」

 

レイチェル「そうですよ。実際皆さんに慕われてるのも事実ですし。」

 

メリダ「まぁ、あの子が可愛いのは私も同じさ。たまにしか会えないけど・・・それでも、私にとっても本当の孫だよ。あの子は。」

 

マーリン「・・・」

 

メリダ「・・・」

 

ミッシェル「・・・?」

 

リチャード(この2人・・・)

 

ミッシェル「しかし魔物を単独で撃破出来るとは!これは更に稽古をグレードアップしても良さそうですね!レイチェル様、お伴して下さいますか?」

 

レイチェル「勿論です。」

 

マーリン・メリダ「・・・・」

 

ミッシェル「・・・ん?あれ?どうかしましたかな?」

 

メリダ「あの子も災難だねぇ・・・こんな脳筋に気に入られちまって。」

 

マーリン(・・・そろそろ話す時期かのう・・・)

 

 

 

 

 

 

後日。シンはミッシェルとレイチェルから稽古を学んでる。

 

レイチェル「今日はここまでです。お疲れ様ですシン。」

 

マーリン「稽古は終わったか?」

 

シン「最近またキツくなって来たんだけど・・・」

 

リチャード「そう言いながら頑張ってるじゃないか。」

 

マーリン「所でシン。」

 

シン「ん?」

 

マーリン「ちょっと話がある。」

 

 

 

 

 

 

誰も居ない丘の上。

 

シン「爺ちゃんの・・・本当の孫じゃない?俺が?」

 

マーリン「うん。スマンのう。今まで黙っておいて。」

 

シン(・・・まー知ってたけど。)

 

彼は既に気付いていたのだった。

 

マーリン「お前を見付けた時、馬車は無惨に破壊されておっての・・・身元が分かるものは何もなかった。お前の・・・両親が誰なのかも・・・」

 

シン「・・・そっか。」

 

マーリン「・・・気にならんのか?」

 

シン「だって両親って言われても覚えてないし・・・それに俺には、爺ちゃんが居るもの。」

 

マーリン「・・・!!」

 

シン「それにメリダ婆ちゃんもミッシェルさん、リチャードおじさんにレイチェルおばさんも居る。他にも色んな人がウチに来てくれるし。・・・両親が居なくたって寂しいと思った事なんか1度もないよ。だからさ・・・ありがとう爺ちゃん。俺を拾ってくれて。ありがとう。何時も俺を可愛がってくれて。俺・・・爺ちゃんに拾われて幸せだよ。」

 

マーリン「シン・・・う・・・うぐ・・・う・・・う・・・うおおおお〜〜〜〜〜!!」

 

シン「あ、泣いちゃった。」

 

 

 

 

 

 

それから2年後。小さな国・ライサ小国。ここのレストランにあるグループが居た。

 

フェオン「ん〜!やっぱりここの料理は美味しいわねぇ〜!」

 

イザベラ「お姉ちゃん、何杯食べてるの?」

 

アンナ「もう軽く10杯食べてますね・・・」

 

それは、フェオン達だった。彼女達は故郷を発ち、共に旅をしている。

 

女性A「ねぇ知ってる?この先にある辺境の森の奥に古代の戦士の石像があるって。」

 

女性B「知ってる知ってる。何かハンター達の間で噂されてるよね。」

 

エミリー「ん?戦士の石像?」

 

レア「あぁレアも前にハンターから聞いた事あるぞ。誰も居ない神殿にある戦士の石像。」

 

アンナ「でもどんな姿かまだ誰も見た事がないって。」

 

ヒナ「迷信なんじゃないですか?」

 

フェオン「・・・どんな姿なのか、何か興味が湧いたわ。」

 

イザベラ「お姉ちゃん、行くの?」

 

フェオン「1つの宝探しと思えばね。」

 

女性A「あなた達、その神殿に行くの?」

 

ヒナ「はい。そう決めた所なんです。」

 

女性B「気を付けた方が良いわよ。あの森は深くて恐ろしいし、何でも1度入ると生きて帰れないって噂だからね。」

 

アンナ「そんなに恐ろしい森なんですか・・・」

 

女性A「ここから出発するとなると、軽く3日は掛かりそうよ。」

 

フェオン「そ・・・そうなんですか・・・?」

 

イザベラ「あ、お姉ちゃんが怯えてる・・・」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、小さなマーケットでは、ある人物が歩いていた。

 

タクト「へぇ〜。賑わっているなぁ〜。」

 

それは、タクト=クリスティ。前世で飛行機墜落事件に巻き込まれて死亡し、この異世界へ転生した。

 

タクト「何か珍しい物とかないかな〜?」

 

???「よう!そこの兄ちゃん!」

 

タクト「ん?」

 

ある骨董店の店主がタクトを呼び止めた。

 

店主「兄ちゃん見ない顔だね。旅人さんかい?」

 

タクト「あ、あぁそんな所だ。」

 

店主「そうかそうか。ちょっと見て行かないかい?色んな代物が揃ってるぞ?」

 

タクト「ほうほう。結構歴史的な物が多いなぁ・・・ん?」

 

その中で、スパークレンスの化石に目が止まった。

 

タクト「(あれって・・・スパークレンス?何でここに?)店主、この品って何処で見付けたんだ?」

 

店主「これか?これはな、3年前に近くの山で見付けたもんでな。でも買う人は誰も居なくてずっとここに並べてるんだ。買ってくれる人が来てくれるまでね。」

 

タクト「・・・店主、これ、俺に売ってくれ。」

 

店主「本当かい!?毎度あり!」

 

代金を払い、スパークレンスの化石を買った。因みに金は、今まで盗賊退治の報酬として手に入れた報酬金。

 

店主「また何時でもおいでな〜!」

 

 

 

 

 

 

3日後。フェオン達は戦士の石像が眠ると言われる辺境の森に足を踏み入れた。

 

フェオン「や、やっぱりあんな事言うんじゃなかったわね・・・」

 

エミリー「もうここまで来たんだ。引き返す事も出来ないだろう。」

 

レア「アンナ。絶対にレアから離れるんじゃないぞ。」

 

アンナ「うん。絶対離さないよ。」

 

ギュッと手を繋いでる。

 

ヒナ「エミリーちゃん。私を置いて行かないで下さいね。」

 

エミリー「当たり前だ。」

 

ヒナに腕を組まれてる。

 

"ヒュン"

 

イザベラ「ん?」

 

フェオン「ど、どうしたのイザベラ?」

 

イザベラ「何か光ったような気がしたんだけど・・・」

 

フェオン「き、きき気のせいじゃないの?」

 

イザベラ「そう、かな?」

 

ゆっくりと森の奥へ進む6人に、3人の人影が迫って来る。

 

 

 

 

 

 

数分後。辺境の森を歩くタクトの姿があった。

 

タクト「結構深く入ったな・・・本当にこの世界にあるのか・・・?」

 

ジャケットの内ポケットから、スパークレンスの化石を見る。

 

タクト「この世界にティガが居るのか?いや、もしかしたら誰かが作って遊び半分で埋められただけかもな。」

 

"ヒュン"

 

タクト「ん?」

 

突然森の右から何かの気配を感じた。

 

タクト「何かあるのか?」

 

右の方へ進んで行く。

 

 

 

 

しばらく進むと。

 

タクト「ん?」

 

???「助けて〜〜!」

 

壁に埋められてる女が。

 

タクト(・・・壁から尻が生えてる・・・)

 

???「ん!?人の気配!そこの人!助けて下さ〜い!」

 

タクト「ま、待ってろ。今抜いてやるから。せーのっ!」

 

強く引っ張って、女を助けた。

 

???「痛たたた・・・」

 

タクト「大丈夫か?」

 

助けた女に手を差し伸べ、女はタクトの手を握って立ち上がった。

 

???「助けてくれてありがとう。私はグレア。あなたは?」

 

タクト「俺はタクト。タクト=クリスティだ。それでグレアとやら。何であの壁に埋められてたんだ?見た所、蝶々みたいな衣装を着ているが・・・」

 

グレア「私ね、蝶々の精霊なの。」

 

タクト「へぇ〜。」

 

グレア「向こうにある石像を目指そうととしたんだけど、実体化の魔法使っちゃって・・・テヘ☆」

 

タクト「随分なうっかり屋さんだな・・・ん?石像?その石像って何だ?」

 

グレア「何でも、大昔から存在する戦士の石像って噂だよ。」

 

タクト「戦士の石像・・・ちょっと俺も見てみたい。興味が湧いた。」

 

グレア「そうなの?なら一緒に行こ?」

 

タクト「あぁ。」

 

2人は戦士の石像を目指して森の奥深くへ行く。

 

 

 

 

 

 

タクトはこの森でフェオン達と出会い、森の奥のピラミッドの神殿へ向かった。そこには、ウルトラマンティガの石像が存在していた。災害級に襲われた時、タクトは光を受け継ぎ、ウルトラマンティガの力を得た。彼は、フェオン達の仲間入りをし、3年の旅を始めた。

 

 

 

 

 

 

そして3年後。マーリンの小屋に数人の客人がやって来た。

 

ディセウム「さて、我らが英雄マーリン殿のお孫さんがこの度めでたく15歳になり成人した。これを祝って乾杯したいと思う。皆、杯を持って頂きたい。」

 

皆が杯を持つ。

 

ディセウム「それでは、シン君の15歳の誕生日を祝って、乾杯!」

 

全員「乾杯!!」

 

今日この日は、シン=ウォルフォードが15歳となり成人した誕生日である。

 

メリダ「あのちっこい赤ん坊だったシンが成人するとはね・・・」

 

マーリン「あっと言う間じゃったのう。」

 

アザレア「甥っ子が健やかに成長して嬉しいわ。」

 

彼女はアザレア=ウォルフォード。シンの叔母である。

 

アザレア「もうシンは社会に出る年頃とはね。」

 

シン「生活するのに何の支障もないし・・・別に家出しなくても良いのに。」

 

メリダ「ダメだよ!大人になる為にも社会のルールは守りな!」

 

ディセウム「マーリン殿の魔法の卒業試験は無事クリアか。おめでとう。」

 

シン「ありがとうディスおじさん。」

 

トム「これからどうするかは決めたんですか?」

 

彼はトム=ハーグ。ハーグ商会を経営している商人。

 

マナミア「シンにはやりたい事とか、やってみたい事とかあるんじゃないですか?」

 

彼女はマナミア=ラドクリフ。リチャードとレイチェルの孫娘。

 

シン「俺、1度も森を出た事ないし・・・取り敢えず街へ行ってみようかなって思ってるよ。」

 

マナミア「それから?」

 

シン「それから?」

 

ジークフリード「何かあるだろ?都に行けばシンなら魔物ハンターになれるだろうし、付与魔法で魔道具屋だって出来る。それに・・・それだけ男前なら女の子と仲良くなって養って貰えるかも知れないし。」

 

クリスティーナ「そんな考えを持ってるのはアナタだけですね。」

 

ジークフリード「アァ!?」

 

クリスティーナ「何ですか!?」

 

ジークフリード=マルケスとクリスティーナ=ヘイデン。この2人は喧嘩が絶えない。

 

ニルス「クリス。ジーク。喧嘩も程々にしろよ。」

 

モニカ「相変わらず仲良しですね。」

 

ニルス=ラドクリフとモニカ=ラドクリフ。マナミアの両親。

 

シン「ハンター?魔物って討伐したらお金が貰えるの?」

 

マナミア「そうですよ?魔物ハンター協会に入れば、魔物を討伐した分の報酬が貰えるのです。」

 

シン「そうなんだ。それに魔道具屋って・・・すぐ店なんて持てないでしょ?」

 

この言葉に全員が固まった。

 

トム「・・・まさかとは思いますが・・・シンさん・・・今まで買い物とかした事・・・あります?」

 

シン「買い物はトムさんからしかした事ないですね。お金のやり取りは爺ちゃんがしてたからやった事ないです。」

 

メリダ「マーリン・・・!?アンタ・・・!」

 

リチャード「お前・・・まさか・・・!」

 

マーリン「そう言えば、常識教えるの忘れとった!」

 

全員「何ぃ〜〜〜〜〜〜!?」

 

今のシンには常識がなかったのだ。魔法ばかり教えて貰ってる代償として、常識を教えて貰った事は1度もなかったのだ。

 

マーリン「まっ。何とかなるじゃろう。」

 

リチャード「お前は・・・あれ程常識を習得させろって散々言っただろうに・・・」

 

 

 

 

 

 

翌日。アールスハイド王国にタクト達がやって来た。

 

レア「ここがアールスハイド王国かぁ。」

 

フェオン「来たのは良いけど、ここは荒野かしら?」

 

ヒナ「取り敢えず、魔物や魔人の気配はないみたいですね。」

 

アンナ「三大大国の1つですから、余程治安が良い国なんでしょう。」

 

イザベラ「王都は何処にあるのかな?」

 

タクト「・・・地図を見た限り、向こうだな。」

 

グレア「ん?見て?誰か来るよ?」

 

全員「ん?」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、この荒野に魔法陣が出現した。その魔法陣からシン達が現れた。

 

ディセウム「何と!一瞬でこのような場所に・・・」

 

ジークフリード「まさか転移・・・」

 

マーリン「シンのオリジナルじゃよ。」

 

トム「これは世界の流通を、いや常識そのものを覆しかねませんね。」

 

メリダ「こんなとんでもない魔法が使えるだけでも驚きなのに。」

 

マナミア「お祖父様が言った通りですね。」

 

ミッシェル「こんな場所まで来ると言う事は何か理由が?」

 

マーリン「まぁこれ位周囲に何もない場所でなければ危険じゃからのう。」

 

メリダ「危険!?」

 

アザレア「お父さん、どう言う事!?」

 

マーリン「ワシとリチャードはもう知っとるからな。くれぐれも驚かんように。」

 

リチャード「腰を抜かすのではないぞ?」

 

マーリン「シン、卒業試験のようにアレを見せてやるのじゃ。」

 

シン「アレ?取り敢えず火で良いかな?」

 

魔法を見せてみる。

 

シン(イメージは燃焼。火種を生み出し酸素を加えて燃焼を促す。)

 

炎が赤から青へ火力が上がった。

 

ジークフリード「青白い炎なんて初めて見たぞ・・・!」

 

シン(酸素と水素の混合気・・・それを空気の壁で包んで着弾と同時に火種から引火させる!)

 

炎がまっすぐに放たれ、遠くに着弾して大爆発が起こった。地面に地割れのように抉られてる。

 

シン「今はこの位かな?」

 

全員「あ・・・あぁ・・・」

 

一部始終を見た全員が呆然としてる。

 

シン「あれ?どうしたの皆?」

 

アザレア「やり過ぎにも限度が・・・」

 

メリダ「マーリン!アンタ何でこの子に自重ってもんを教えなかったの!」

 

リチャード「それでもシンの祖父か!!」

 

マーリン「だって教えた事は皆吸収しよるんじゃ。何処まで出来るのかつい見たくなったんじゃもん!」

 

メリダ「何がじゃもんだい!!気持ち悪いんだよ!!」

 

シン「婆ちゃん!そんなに怒ると体に悪いよ!?」

 

メリダ「誰のせいだい!誰の!」

 

すると何かが、シンの頭に落ちた。

 

シン「痛っ!・・・ん?」

 

落ちたのは、スパークレンスだった。

 

シン「何これ?」

 

リチャード「ん?皆、誰か居るぞ。」

 

 

 

 

 

 

そこに現れたのは、爆煙魔法を受けたタクト達だった。

 

 

 

 

 

 

タクト「ゲホッ!ゲホッ!」

 

フェオン「何なのよもう・・・」

 

イザベラ「うぅぅ・・・口に砂が入っちゃった・・・」

 

エミリー「何だ今の爆発は・・・」

 

シン「あれ?人居たの?」

 

タクト「・・・ん!?」

 

彼の持ってるスパークレンスを見た。

 

タクト「おいアンタ!それ俺の!!」

 

シン「え?これ?」

 

タクト「そうだ!」

 

シン「あ、ごめんごめん。」

 

スパークレンスをタクトに返した。

 

タクト「ったく。さっきの爆発はアンタのせいか?」

 

シン「え?そうだけど・・・」

 

ヒナ「世界広しと言えど、あんな魔法は生まれて初めて見ました・・・」

 

ディセウム「ん?あれは・・・」

 

スパークレンスを見て、ディセウムが何かを思い出したような表情をした。

 

メリダ「すまないねぇ。こんなバカな孫が迷惑掛けて。」

 

タクト「いやいや。でもかなり良い魔法だったぞ?今まで旅して来た中で。」

 

シン「旅?」

 

タクト「あぁ。俺達はここ3年の旅をして、このアールスハイド王国にやって来たんだ。俺はタクト=クリスティ。そして、俺の仲間達だ。」

 

 

 

 

 

 

小屋に戻った。

 

マーリン「成る程。君達は旅の途中で色々あったのじゃな。」

 

アンナ「はい。その途中でタクトさんとグレアさんと出会い、一緒に旅をして来ました。」

 

レア「でもレア達には、他にも仲間が居るんだぞ?今は離れてるけど。」

 

マナミア「精霊さんまで居るとは、驚きました。」

 

グレア「フフ〜ン♪もっと褒めて褒めて?」

 

タクト「自意識過剰か。」

 

ディセウム「タクト君だったかな?」

 

タクト「あぁ。」

 

ディセウム「君が持ってるそれを見せてはくれぬか?」

 

タクト「え?あ、あぁ。」

 

スパークレンスをディセウムに見せた。

 

ディセウム「これは・・・君はもしや、ティガの力を?」

 

タクト「え?知ってるの?」

 

シン「ティガ?」

 

ディセウム「遥か500年前。6つの罪深き女神達を封印した超古代の戦士の名だ。以前にそう言う伝説を聞いた事があってな。」

 

クリスティーナ「その超古代の戦士の力をどうやって得たのです?」

 

タクト「遠くの国にある森の奥の神殿で、ティガの石像があったんだ。石像がそのスパークレンスと共鳴したと同時に俺がウルトラマンティガの力を受け継いだんだ。俺は仲間達と共に、ティガの力を使って幾つもの戦いを潜り抜けたんだ。」

 

ディセウム「そうかぁ。ありがとう。」

 

スパークレンスをタクトに返した。

 

ディセウム「さて、次の問題はシン君だな。これはおいそれと世に出せなくなったな。これ程の攻撃魔法にゲートの様な転移魔法・・・使い方次第では世界征服すら可能なレベルだ。」

 

クリスティーナ「加えて、ミッシェル様に武術。更にレイチェル様に剣術の稽古も付けて貰っています。」

 

ジークフリード「接近戦も出来て、遠距離の魔法はこの威力・・・」

 

クリスティーナ「これが知れたら、各国がシンを取り込もうと躍起になりますね。」

 

ミッシェル「争いの火種になる。」

 

リチャード「世界中で戦争が起こりかねないな。」

 

シン(そんな大事なの?)

 

ディセウム「マーリン殿。シン君の力は正直異常。世の勢力分布を狂わせる程です。」

 

トム「加えて彼はこの森以外を知らない世間知らず。」

 

ディセウム「このまま社会に出れば、各国の思惑に踊らされかねない。特に軍事力拡大を狙う帝国に知れれば・・・シン君を利用しようとするのは目に見えている。周辺の小国も彼を放っておかないでしょう。それは彼自身の為にも世界の為にもなりません。」

 

シン(思惑に踊らされるって・・・確かにここに居る人達以外と会った事ないけど・・・マナミアと今さっきタクト達と会っただけしか・・・)

 

ディセウム「そこで考えがあります。シン君を、我が国にある高等魔法学院に入学させませんか?」

 

シン「え?」

 

マーリン「それは、お前の国にシンを取り込もうと言う考えか?」

 

ディセウム「シン君を軍事利用しない事はこの場で誓いましょう。私自身、甥っ子同然の彼を戦いに巻き込みたくはない。」

 

タクト(この国にも学校があるのか。タージル島と違って大きそうだな。)

 

シン「高等魔法学院って?」

 

ディセウム「王都にある魔法学校だよ。中等教育が終わった者の中で、魔法が優秀だった者が進学を許される高等教育機関。そこならシン君が如何に”一般の優秀な魔法使い”と比べて規格外か・・・知る事が出来るでしょう。」

 

シン(俺って・・・規格外だったの?)

 

ディセウム「それに、シン君にとって同世代の友人を得る良い機会にもなります。」

 

マーリン「・・・成る程のう・・・どうじゃシン?ディセウムの言う事は最もじゃし・・・ワシも良いと思うが。」

 

シン「(ディセウム?・・・ああ、ディスおじさんの本名か。)俺もそれで良いよ。学校って通ってみたいし。同い年の友達出来るなら・・・楽しそうだし。」

 

ディセウム「どうかな?君達も通ってみては。」

 

フェオン「私達は、小さい頃に英才教育を受けておりますし・・・」

 

シン「英才教育?」

 

タクト「彼女達は、ユエリアンで生まれたんだ。」

 

ディセウム「ほう。ユエリアンかぁ。彼処は確か、戦士を教育する集落だったな。」

 

ヒナ「はい。ですが、ユエリアンは亡ぼされてしまって・・・」

 

ディセウム「そうか。残念だったな・・・」

 

タクト「なぁ。俺も通いたいんだ。」

 

フェオン「タクト?」

 

タクト「戦いは身に沁みてるが、学力が劣っちゃダメだと思って。それに、同世代であるシンと通えたら楽しくなりそうだし。」

 

ディセウム「分かった。タクト君も入学を許可しよう。」

 

シン「宜しくなタクト。」

 

タクト「此方こそ。」

 

ディセウム「学院には私から言っておこう。入学後の()()()()()は入試結果をもとに決められるから・・・形式上、君達にも入学試験を受けて貰う事になるだろう。我が国の魔法学院は貴族の権威を一切受け付けない完全実力主義でね。。私が便宜を図る事も出来んのだ。」

 

タクト「つまり、貴族と平民は皆平等って事だな。」

 

ディセウム「その通りだ。」

 

シン「もし権威を利用した場合はどうなるの?」

 

ディセウム「厳罰に処する。」

 

シン「恐っ!!」

 

ディセウム「ふふふ。優秀な魔法使いの芽を刈り取る行為だからな。」

 

シン「・・・所でさっきから便宜だとか厳罰だとか・・・ディスおじさんって実は権威のある人なの?」

 

ディセウム「おお。そう言えば言ってなかったな。」

 

彼は、シンに自分の身分を明かした。

 

ディセウム「私の本名はディセウム=フォン=アールスハイド。我がアールスハイド王国の国王だ!!」

 

シン(まさかの王様!?)

 

タクト(国王目前でこのリアクション・・・)

 

シン「じ・・・じゃあクリスねーちゃんとジークにーちゃんは・・・」

 

クリスティーナ「私は近衛騎士団所属の騎士で、陛下の護衛としてここに居るの。」

 

ジークフリード「俺は宮廷魔法師団所属の魔法使いさ。俺も陛下の護衛だよ。」

 

シン「えーーー!?クリスねーちゃんは兎も角、ジークにーちゃんは嘘だぁ!!」

 

ジークフリード「ちょ、待てコラ!嘘って何だ!?それよりクリスは兎も角って何だ!!」

 

クリスティーナ「フフ・・・やはりシンは見る目がありますね。」

 

ジークフリード「何だとコラ!!」

 

クリスティーナ「何ですか?あぁん?」

 

イザベラ「お2人って仲が良いんですね。」

 

ジークフリード・クリスティーナ「何処が!!」

 

シン「まぁあの2人は置いといて・・・」

 

ジークフリード・クリスティーナ「おい!!」

 

シン「じゃあミッシェルさんは?」

 

ミッシェル「俺はもう何年か前に騎士団を引退したが・・・引退前は騎士団総長をしていたよ。」

 

シン「ニルスおじさんとモニカおばさんは・・・」

 

ニルス「私はジークと同じく宮廷魔法師団に所属している。ジークは私の部下だ。」

 

モニカ「私は近衛騎士団に所属している騎士です。クリスは私の部下です。」

 

シン「じゃあアザレア叔母さんも・・・」

 

アザレア「勿論。私も宮廷魔法師団。ニルスは私の上司よ?」

 

シン(何この王国の重鎮勢揃いな状況・・・)

 

メリダ「アンタ。シンに何も話してないんだね。」

 

マーリン「いやぁー・・・」

 

シン「でも・・・じゃあ何で王様が何時もウチの爺ちゃんを訪ねて来るのさ?」

 

ディセウム「マーリン殿が昔魔人を討伐した話は?」

 

シン「聞いてるよ。」

 

ディセウム「あれは、私がまだ高等魔法学院の生徒だった頃だ。」

 

 

 

 

 

 

嘗てアールスハイド王国で初めて人が魔物化した存在・魔人が現れた。村や街が魔人に襲撃された。前例がない事態に王国の上層部は大混乱に陥った。

 

国王『討伐隊は全滅!?新たに強力な部隊を再編成して現場に向かわせろ!!』

 

 

 

 

生徒『聞いたかよ。再三送り込んだ部隊もほぼ全滅したって。高等魔法学院生にも討伐要請が来てるらしいぜ。・・・ま、王太子にはカンケーない話か。』

 

ディセウム『・・・・』

 

 

 

 

彼は国王である父に発言した。

 

国王『討伐隊に志願した!?ディセウム!お前自分の立場を分かって・・・』

 

ディセウム『友人達が死地に赴こうとしているのに学院のトップの私には安全な場所に居ろと!?ここは実力主義の学院ではなかったのですか!?』

 

プライドだけがそう言わせたものの、彼には恐怖心があった。

 

 

 

 

そして、ディセウム達は魔人の討伐に赴いた。

 

騎士『騎士団総員前へ!!魔法師団は距離を保って魔人の周囲に配備!!学院生は最後尾から部隊をフォローせよ!!』

 

一斉に立ち向かったものの、魔人によってディセウム以外の討伐隊と徴兵された学院生達は全滅。

 

ディセウム『・・・あ・・・ああ・・・』

 

彼は恐怖で足が動かず、死を覚悟したその時。

 

 

 

 

4人の英雄が現れた。

 

 

 

 

リチャード『ディセウム!怪我はないか!?』

 

ディセウム『・・・!!』

 

マーリン『テメェ・・・好き勝手暴れんのもそこまでだ!!』

 

彼等は卓越した魔法と剣術を駆使し、そして。

 

マーリン『おぅら!!!!』

 

戦いは熾烈を極めたのだが、苦戦の末、彼等は魔人を討伐した。

 

 

 

 

 

 

ディセウム「妖艶的な容姿で魔道具を操るメリダ氏と、猛烈な勢いで敵と相対するマーリン殿と、御霊を駆使して敵を圧倒するリチャード殿と、華麗に踊る剣術を得意とするレイチェル殿。その姿に震えが来る程の憧れを持ったものだ。」

 

シン「妖艶?熾烈?御霊?華麗?」

 

マーリン「若気の至りじゃ。」

 

メリダ「私はまだまだ捨てたもんじゃないだろう?」

 

リチャード「まだまだ現役だがな。」

 

レイチェル「あの頃が懐かしいですね。」

 

ディセウム「魔人を倒した上、王太子である私を救った事で国から英雄として取り上げられてな。以来、マーリン殿とは立場を越えた友人として付き合いが続いている。今もちょくちょく政治の愚痴を聞いて貰っとるんだ。」

 

シン「そう・・・って愚痴!?愚痴言いに来てたのかよ!!」

 

ディセウム「国の政治は私の仕事だ。マーリン殿にはその責任を負わせられんよ。」

 

シン「英雄って事は・・・マナミアは?」

 

マナミア「ですね。私は英雄の祖父母を持つ孫娘になります。」

 

シン「へぇ〜。凄いなぁ。」

 

ディセウム「そう言う訳で、大恩ある人の孫を利用する気などある訳がない。安心して王都に来たまえ。・・・にしても、私が王と分かっても君の態度は変わらんな?」

 

シン「だって昔から知ってるし、親戚のおじさんだと思ってたよ。」

 

ディセウム「よいよい!こんな砕けた会話が出来るのはシン君だけだ。くれぐれも変わらないでくれよ。」

 

グレア「砕けた会話となると、タクトも同じだね。」

 

タクト「まぁ、今まで訪れた国の国王にもそんな態度だったし。」

 

ディセウム「はっはっはっ。君らしいな。これからもシン君と同じく変わらないでくれよ。」

 

シン「所で、爺ちゃん達は昔一緒にパーティー組んでたんだね!ん?」

 

マーリンとメリダの表情が曇ってる。

 

シン「え?何?」

 

クリスティーナ「一緒のパーティーと言うか・・・お2人は元夫婦ですよ?」

 

シン「え・・・?え・・・!?え!?マジ〜〜〜〜〜!?」

 

そう。マーリンとメリダは元夫婦だったのだ。

 

 

 

 

 

 

それから半月経ったアールスハイド王国の王都では。

 

シシリー「うーん・・・どっちが似合うかなぁ・・・」

 

クロード子爵家令嬢・シシリー=フォン=クロード。彼女は部屋で服を選んでいる。

 

”コツン”

 

窓に小石が当たった。

 

マリア「シシリー!準備出来たー?」

 

メッシーナ伯爵家令嬢・マリア=フォン=メッシーナ。シシリーの幼馴染み。

 

シシリー「ち、ちょっと待って!すぐに行くから!!」

 

”ドンガラガシャーン!”

 

バタバタしながらも、服を着てマリアと合流。

 

シシリー「お待たせー!」

 

マリア「じゃあ行こっか。今日は久し振りのお買い物だからね!アチコチ回るわよー!」

 

ゴゴゴゴと燃えるマリアに、シシリーは少し引いてる。

 

 

 

 

アールスハイド王都でアチコチ回る。

 

市場で野菜選び。

 

服選び。

 

シシリーの顔にクレープのクリームが付いて、マリアが笑う。

 

ペットショップで可愛い子犬に惚れた。

 

 

 

 

カフェで一休み。

 

マリア「はーあ、何時か彼氏とこうやって買い物行きたいなぁ〜・・・」

 

シシリー「そう?私はマリアと一緒に買い物するの楽しいよ?」

 

マリア「そりゃ私だってそうよ。でも憧れるじゃない?買い物デートって・・・」

 

シシリー「そうなの?」

 

マリア「はぁ・・・これだからこの子は・・・(初等学院の頃からこの子はこう言う話にはてんで関心が無いのよねぇ・・・好きな男子を聞いても。)」

 

 

 

幼少期のシシリー『好きってよく分からない・・・』

 

 

 

マリア「(だし・・・ま、そこが悪い所でもあり、良い所でもあるんだけど・・・)そう言えば・・・」

 

シシリー「?」

 

マリア「最近、王都に戻っていらした賢者様と導師様に男の子のお孫さんが居るの知ってる?後、最近王都にやって来た戦士さんが居るの知ってる?」

 

シシリー「そうらしいね。」

 

マリア「それが何と私達と同い年で、今度アールスハイド高等魔法学院の入学試験を受けるらしいわよ!」

 

シシリー「へぇ・・・そ、そうなんだ。」

 

マリア「何よ、気にならないの?」

 

シシリー「だって、その人達知らないし・・・」

 

マリア「私だって知らないわよ。でも”あの”賢者様達のお孫さんなのよ?どんな人か気になるでしょ?」

 

シシリー「そうかなぁ・・・?」

 

マリア「全く・・・そんなんだから何時までたっても好きな男の1人も出来ないのよ・・・っ!あ、これは・・・」

 

シシリー「・・・だって、好きってよく分からないよ・・・お父様やお兄様に対する好きとは違うんだよね?」

 

マリア「一緒だったら大問題よ・・・」

 

シシリー「やっぱりよく分からないなぁ・・・」

 

彼女は恋の概念には鈍いのである。

 

マリア「なら、シシリーの理想の人ってどんな人なのよ?」

 

シシリー「理想?」

 

マリア「恋した事なくても、こんな人が良いなぁ〜ってのあるでしょうよ。」

 

シシリー「うーん・・・優しい人が良いのかぁ・・・」

 

マリア「何で疑問系なのよ!」

 

シシリー「むー。じゃあマリアの理想の人ってどんな人なのよぉ。」

 

マリア「私?そりゃやっぱり、見た目は格好良いに越した事は無いわね。」

 

シシリー「あるんだ・・・」

 

マリア「それで剣か魔法の達人でー、しかもお金もすっごい持っててー、それでいて、私以外は眼中に無い男かな?」

 

シシリー「そんな人居るの・・・?」

 

マリア「だから理想なんじゃない!そんな男が沢山居たら、お姉様みたいな独身女なんて居なくなるっての!」

 

シシリー「それ聞かれたら殺されるよ?」

 

マリア「・・・・絶っっっっ対内緒だからね〜!?」

 

シシリー「えー?どうしようかなー?」

 

マリア「何でも言う事聞くからお願い〜!」

 

シシリー「じゃあ今日のカフェ奢りねー?」

 

マリア「ちぇー、余計な事言うんじゃなかったー!」

 

シシリー「得しちゃったかな?」

 

マリア「はいはいそーですねー・・・」

 

満面な笑顔のシシリーを見て、マリアは微笑む。

 

 

 

 

カフェを後にした2人。

 

マリア「あーあ、何時か運命の人が現れるのかしら?」

 

シシリー「そうだねぇ。現れるかなぁ?」

 

マリア「あは。アンタはまず恋を知る所からでしょ?」

 

シシリー「むー。」

 

すると、2人の横を2台の馬車が通った。シシリーはその馬車を見る。

 

マリア「あっちが舞台やっててー・・・」

 

 

 

 

 

 

王都に訪れたタクト達。

 

シン「へぇー。ここが王都かぁ〜!」

 

タクト「観光するのに最適な場所だ。」

 

フェオン「綺麗ね〜!」

 

この街は王城を中心に区画分けされている。王城、貴族や豪商達の区画、平民達の区画と3つに分けてある。マーリン達の家は丁度貴族・豪商と平民達の区画の間辺りにある。

 

 

 

 

彼等は、1つの豪邸に着いた所だった。

 

レア「おぉ〜!」

 

シン「でかっ!!俺達、こんな所に住んで良いの!?」

 

メリダ「住んで良いって言うか、元々私らの家だよ、ここは。」

 

シン「え!?」

 

メリダ「この爺さんと夫婦だった時の貰い物だけどね。」

 

アンナ「壮大ですね!」

 

シン(こりゃあれだ、前世でも悪い事しないと住めない系の家だ・・・)

 

豪邸に入ると・・・

 

 

 

 

「お帰りなさいませ!!」

 

 

 

 

沢山の使用人達が出迎えてくれた。

 

シン「え!?何これ!?え!?」

 

マーリン「ディセウムが派遣してくれたようじゃのう。」

 

メリダ「これがあるから、ここは嫌なんさね。」

 

マリーカ「メイド長のマリーカでございます。」

 

スティーブ「執事長のスティーブと申します。」

 

コレル「料理長のコレルです。」

 

シン「り・・・料理人まで居るの!?じゃ・・・俺、家の事何したら・・・」

 

マリーカ「シン様は何もなさらなくて結構です。全て私共にお任せ下さい。タクト様やフェオン様方もごゆっくりしていて下さい。」

 

シン「シン・・・様ぁ!?」

 

マリーカ「皆が尊敬する英雄殿のお孫様です。当然のお呼びの仕方かと。」

 

シン「で・・・でも今まで全部自分でやってたんだから・・・」

 

スティーブ「私共も陛下より御下命を受けて参っておりますので。ましてや英雄様の御家族なのです。無碍に扱う事など我々に出来るはずもございません。」

 

この言葉で、シンは”ぽかん・・・”とした。

 

マーリン「ま、そう言う事じゃ。家の事はワシらに任せて、シンとタクト君は街を見てきたらどうじゃ?」

 

タクト「そうだな。フェオン達もどうだ?」

 

フェオン「私達は明日にするよ。ちょっと疲れたし。」

 

タクト「そうか。じゃあ今度一緒に観光しようぜ?」

 

2人は街へ見に行った。

 

 

 

 

 

 

王都。

 

シン(思った以上のVIP待遇・・・もう狩りも必要なければ、漁師もしなくて良いのか・・・この世界のお金って、硬貨のみなんだ・・・)

 

マーリンから貰った小遣い。屋台を発見。

 

店主「らっしゃい!」

 

シン「えーーーと・・・こ・・・これで1本貰える・・・?」

 

タクト「俺も1本同じの。」

 

店主「毎度!」

 

小遣いで串焼きを買って食べる。

 

シン(初めて自分で買い物してしまった・・・)

 

タクト「うん。この串焼き美味いな。」

 

途中である店を見付けた。

 

シン「ここは・・・魔道具屋か。ジーク兄ちゃんが言ったな。」

 

魔道具屋に来店。

 

シン「試して良い?」

 

店主「良いけど、大事に扱ってくれよ?一級品揃いだから。」

 

シン(この皮手袋は・・・えっと・・・吸引の魔法付き?うおっ、値段高え・・・)

 

皮手袋を嵌めて試してみる。

 

シン(嘸かし凄い効果が・・・)

 

吸引出来たのはリンゴ1個のみ。シンは”ポイッ”と捨てた。

 

店主「あー!コラー!!」

 

タクト「捨てるな。」

 

 

 

 

 

 

公園で一休み。

 

シン「それにしても広いなぁ・・・やっぱり王都は凄いや。」

 

タクト「・・・・」

 

シン「タクト?」

 

タクト「・・・・」

 

ベンチに座ったタクトがボーッとしてる。

 

シン「タクト!」

 

タクト「ん?あぁ、何だシン?」

 

シン「何って、何上の空状態になってんだよ。」

 

タクト「悪い悪い。今までの旅の思い出がフラッシュバックしててな。フェオン達の思い出と。」

 

シン「それだけ良い思い出だったんだろう。」

 

タクト「まぁな。あ、言っとくけどフェオンに手出しするなよ?彼奴は俺の妻だからな。」

 

シン「分かってるって。」

 

タクト「んじゃ、観光を再開するか。」

 

シン「あぁ。」

 

 

 

 

観光を再開すると、ある行列があった。

 

シン「ん?」

 

タクト「何?」

 

シン「何か行列がある。」

 

ぞろぞろ並んでる行列を発見。

 

タクト「劇場があるな。」

 

シン「あの、これ何の列ですか?」

 

平民「舞台さ!賢者マーリンと導師メリダの物語!」

 

シン「ええ〜〜〜〜〜!?」

 

タクト「ワオ。」

 

シン(ぶ・・・舞台までなってんのかよ・・・!!どんだけリスペクトされてんだ?祖父ちゃんも祖母ちゃんも・・・)

 

 

 

 

観光再開。

 

シン「祖父ちゃんも祖母ちゃんもリスペクトされ過ぎだろ・・・」

 

タクト「流石賢者様と導師様だぜ。お2人の活躍が舞台化されるなんて。リチャードやレイチェル編もあるって噂だぞ。」

 

シン「嬉しいのか、嬉しくないのか・・・」

 

タクト「自慢の祖父母持ってるんだぞ?もっと誇らしくしろ。」

 

シン「そう言われてもなぁ〜・・・」

 

 

 

 

するとその道中。

 

タクト・シン「ん?」

 

 

 

 

???「イヤ!!止めて下さい!!」

 

???「あんた達、好い加減にしなさいよ!!」

 

3人の男達に絡まれてる2人の少女を発見した。

 

男A「おぉコワ。そんな怒んなよぉ。一緒に遊ぼうって言ってるだけじゃん。」

 

男B「いい事教えてやっからさぁ。気持ちい〜い事をよ。」

 

 

 

 

路地で2人の少女が3人のチンピラ達にナンパされていた。

 

シン(おおぉ!この世界にもこんなテンプレな展開が・・・凄ぇ。)

 

タクト(困ったナンパが居るな。)

 

 

 

男C「いいから来いっつってんだよ!!」

 

強引に連れて行こうとする。

 

???「きゃあっ!!誰か!!」

 

 

 

周りは見て見ぬ振りをするばかり。

 

タクト「シンどうする?俺は行くが。」

 

シン「俺も行くよ。困ってる所を助けないとな。」

 

タクト「じゃあ行くか。」

 

2人は少女達の助けに行った。

 

シン「あーーー、そこのお嬢さん方、お困りですか?」

 

タクト「困り事があったら思いっ切り叫んでくれ。」

 

チンピラ達はタクトとシンを睨む。

 

???「はい!!超お困りです!!」

 

シン(どんな返事だよ。)

 

タクト(良い返事だ。)

 

男B「何だぁガキ共!!何か用か!!正義の味方気取りかあぁ!?俺らは何時も魔物狩って此奴らを守ってやってんだ!!正義の味方は寧ろ俺らの方だろ!!」

 

男達「ひゃっはっはっはっはっは!!!」

 

シン「お兄さん達、魔物を狩るのは正義の味方かも知れないけど、女の子まで狩っちゃったら悪人だよ?」

 

タクト「少しは理解しろ。」

 

この言葉を聞いた男達がブチンと切れた。

 

男B「んだとガキゴルァ!!死ねや!!!」

 

殴ろうとしたが。

 

シン(えぇ〜〜〜何これ・・・!!遅!!)

 

殴り掛かろうとする男の腕をシンが掴んで、そのまま地面に叩き落とした。

 

シン(あれ!?受け身取らないの!?タクト、これって死んでないよね?)

 

タクト(かなり筋肉があるから死んでねえだろ。見ろ。腹抱えて痛んでる。)

 

男B「ぐおぉぉぉ・・・!!」

 

シン(なら安心だね。)

 

男A「て・・・てめぇ!!」

 

タクト「ハァッ!」

 

襲って来る男Aの攻撃を避け続ける。

 

男A「この野郎!!調子に乗んじゃねえ!!」

 

激怒して剣を握って斬り掛かる。

 

タクト「よっと。」

 

しかしタクトが回し蹴りで男Aを倒す。

 

男A「いってぇ・・・!!」

 

タクト「これ以上止めろ。」

 

男C「く・・・この野郎!!」

 

ナイフを持ってタクトを刺そうとするが。

 

タクト「ほいっ。」

 

ジャンプして、ナイフの刃の上に着地した。

 

男C「う・・・嘘ーん・・・!?」

 

タクト「あらよっと!」

 

腹キックして倒し、男達を見事に成敗した。

 

タクト「テメェ等、女の子と遊ぶ暇があったら魔物でも狩って来いやゴルァ!!!」

 

男達「ひえええええええ!!!ごめんなさーーーい!!!」

 

恐怖心が舞い上がった男達が一目散に逃げ出した。

 

タクト「あ〜終わった終わった。」

 

シン「ミッシェルさんの修行に比べれば、遊びみてーなレベルだな。)大丈夫?怪我してない?」

 

???「あ、はい平気です!あなた達こそ大丈夫!?」

 

タクト「何が?」

 

???「だって彼奴ら、剣まで抜いて・・・しかもナイフの刃の上に乗るなんて・・・」

 

シン「(へー、結構可愛い子だったんだ・・・)平気だよ。」

 

タクト「俺の結構軽量だから。」

 

???「え、結構鋭いと思ったんですけど・・・」

 

シン「・・・・・っ!!」

 

するとシンに雷が落ちた。何故なら・・・

 

 

 

 

 

 

可憐な青髪の少女に見惚れてしまったからだった。

 

 

 

 

 

 

???「どうかしましたか?」

 

シン(か・・・可愛過ぎる・・・!!)

 

彼等の運命が、ここから始まった。

 

『THE END』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
グレア:高橋李依

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
リチャード=ラドクリフ:堀内賢雄
レイチェル=ラドクリフ:白鳥由里
ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭
ニルス=ラドクリフ:寺島拓篤
モニカ=ラドクリフ:佐藤聡美
マナミア=ラドクリフ:前川涼子
トム=ハーグ:最上嗣生
ミッシェル=コーリング:川原慶久
ジークフリード=マルケス:金子誠
クリスティーナ=ヘイデン:古賀葵

スティーブ:伊原正明
マリーカ:難波佑香
コレル:広瀬淳

門番:駒田航
男:増岡大介


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##大海の城イージア編##
プロローグ「再会のビーチ」


レオン、ソフィー。嘗てタクトと共に旅をした仲間達。

2人は辺境の国・アストラルでタクトやシン達と出会い、ベローナの野望を阻止した。

現在はアールスハイド王国に移り、新しい生活を手に入れた。


リッテンハイムリゾート。

 

ソフィー「わぁ〜!」

 

この地に、タクトがレオンとソフィーを連れてやって来た。

 

ソフィー「海だよレオン君!とっても綺麗!」

 

レオン「アールスハイド王国にこんなリゾート地があったなんて・・・!」

 

ソフィー「ん〜!風が気持ち良い〜!」

 

タクト「フフッ。」

 

 

 

 

 

 

2日前。

 

レオン・ソフィー『リッテンハイムリゾート?』

 

タクト『あぁ。お前達の入国と再会を兼ねて、リッテンハイムリゾートに招待しようと思ってな。』

 

ヒナ『ユリウスさんに頼んだんですか?』

 

タクト『あぁ。自由に使ってくれって。』

 

レオン『ユリウス?』

 

タクト『2人が会ったアルティメット・マジシャンズの中に筋肉質な男が居ただろ?彼だよ。』

 

レオン『えぇ〜!?結構ムキムキなのにリゾート地を持ってるだなんて!』

 

タクト『まぁ彼奴はリッテンハイムリゾートの領主のご子息だからな。今回は俺達だけでリッテンハイムリゾートへ行く。』

 

フェオン『他の皆は来ないの?』

 

タクト『色々仕事とかあるからな。出発は2日後。それまで準備しとけよ?』

 

グレア『リゾートにまた行けるなんて楽しみ〜!』

 

 

 

 

 

 

そして現在。

 

タクト「このビーチの近くにデカいコテージがある。そこで宿泊する。」

 

 

 

 

コテージ。

 

タクト「荷物を置いた事だし、おい皆、泳ぎに行くか?」

 

フェオン「そうね。まずは楽しまなきゃね!」

 

 

 

 

全員が水着に着替えてビーチへ。

 

フェオン「やっぱり水が綺麗ね〜!」

 

エミリー「あぁ!まさに宝箱だな!」

 

ヒナ「それ!」

 

エミリー「うわっ!?」

 

突然ヒナがエミリーに水を飛ばした。

 

エミリー「やったなヒナ!お返しだ!」

 

ヒナ「きゃあっ!やりましたわね〜!」

 

レア「それっ!」

 

アンナ「キャア!」

 

同じくレアもアンナに水を飛ばした。

 

アンナ「やったなぁ〜!それ!」

 

レア「おわあ!行くぞアンナー!」

 

イザベラ「お姉ちゃーん行くよー!」

 

フェオン「さぁ来い!!」

 

姉妹でビーチバレー。

 

 

 

 

浜辺では。

 

レオン「いやぁ〜・・・日差しが気持ち良いなぁ〜・・・」

 

ソフィー「レオン君、泳がないの?」

 

レオン「俺はこの日差しが好きだからね。」

 

するとレオンの頬にグラスが。

 

レオン「うわあ!?」

 

タクト「ホレ。お2人さん。」

 

レオン「あ、ありがとう。」

 

ソフィー「ありがとうタクト君。」

 

ジュースを受け取った。

 

タクト「グレア、お前も泳がないのか?」

 

グレア「私蝶々の精霊だから泳ぎが苦手。」

 

タクト「だよね〜。・・・本当、お前達に会うのは何年振りだろう。」

 

ソフィー「ん〜・・・かれこれ2年振りかな?」

 

タクト「時が経つのって早いもんだな。」

 

レオン「確かに。でもまたお前に会えて嬉しいよ。」

 

タクト「あぁ。」

 

 

 

 

海で遊ぶフェオン達を眺める。

 

 

 

 

タクト「どうだった?俺達と別れた後の旅は。」

 

レオン「色々あったなぁ〜。また盗賊だったり災害級の襲撃だったりと。」

 

ソフィー「うん。」

 

タクト「そうか。ずっと心の中でお前達が心配だったんだ。でも、こうして皆が無事だって思うとホッとしたよ。」

 

レオン「タクト・・・」

 

タクト「また、あの時みたいに一緒に戦おうぜ?」

 

レオン「あぁ!勿論だ!」

 

ソフィー「心強いよ!タクト君!」

 

するとビーチボールが飛んで来た。

 

タクト「ブヘッ!?」

 

レオン「ああ!」

 

ソフィー「タクト君!?」

 

タクト「・・・!!」

 

レア「おーいお前等ー!一緒に遊ぼうぜー!」

 

タクト「クッフフフフ・・・!良い度胸してるなレアさんよぉ!俺の豪速球を喰らいやがれーー!」

 

ビーチボールを持って飛び入り参戦。

 

ソフィー「・・・私達も行こ?」

 

レオン「あぁ。」

 

3人もフェオン達に混じり、一緒に遊んだ。

 

 

 

 

 

 

夕方。

 

タクト「ふぅ〜!いっぱい遊んだ〜!」

 

レア「相変わらず強いなぁタクト。」

 

レオン「いやぁ〜、久々に海で遊んだな〜。」

 

ソフィー「タクト君、本当にありがとう。」

 

タクト「いいって事よ。でも、今日からまだ始まったばかりだ。ここ1週間、沢山遊ぼうぜ!」

 

イザベラ「はい!」

 

 

 

 

コテージに戻ると。

 

タクト「ん?」

 

コテージのドアの前に、帽子を被った小さな人物が立っていた。

 

タクト「客人か?あの。」

 

???「ん?」

 

タクト「俺達のコテージにお客が来るなんて。俺達に何か?」

 

???「皆さん、私のこの声を聞いて思い出しませんか?」

 

タクト「声?・・・ま、まさか!」

 

ソフィー「その声って・・・もしかして!!」

 

???「私ですよ。」

 

そう言って帽子を取り出したその人物は・・・

 

 

 

 

 

 

猫耳が生えた亜人少女だった。

 

 

 

 

 

 

タクト・レア「カサンドラ!!」

 

カサンドラ「お久し振りです皆さん。ご無沙汰しております。」

 

アンナ「お久し振りです!」

 

???「僕も居るよ!」

 

そこに現れたのは、緑色の衣装を着た精霊。

 

グレア「あー!ティオじゃん!!久し振りー!」

 

ティオ「グレア、相変わらず元気だね。タクト、また会ったね。」

 

タクト「元気そうだな。ティオ。」

 

レオン「お前、何でここに?」

 

カサンドラ「このペンダントですよ。」

 

それは、以前タクトから託されたフェオンが持ってるのと同じペンダントだった。

 

カサンドラ「フェオン、あなたの報せが私にも共鳴し、急いで駆け付けたのですが、既に解決されていました。その後ティオの風の気配で行方を追って行ったら、アールスハイド王国からここへ辿り着いたんです。」

 

フェオン「そうだったんだね・・・」

 

タクト「じゃああの時から、俺達は集められる運命だったのか。」

 

カサンドラ「これも縁ですね。皆さんはどうしてここへ?」

 

タクト「実はな、今までの疲れを癒す為にリッテンハイムリゾートに来たんだ。この領地、俺の親友がご子息だから。」

 

ソフィー「だったら、カサンドラちゃんも遊ぼうよ!明日から!」

 

カサンドラ「いいんですか?ありがとうございます!」

 

グレア「ティオ!今までの旅、全部聞かせてね?」

 

ティオ「うん。勿論だよ。」

 

こうしてタクトは、嘗て旅をした仲間達全員と出会った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その一方、海の上では新たな事件が起きようとしていた。

 

『To Be Continued・・・』




次回予告

大海原を征く豪華客船。そこに謎の盗賊団が襲撃。そして、謎の男達と共に行動する兄妹の正体は・・・

STAGE1・漂流の兄妹

お楽しみに


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STAGE1「漂流の兄妹」

タクト達がリッテンハイムリゾートを満喫したその日の夜。大海原で事件が起きた。


大海原を進む1艘の船。その船は、何かを探してるようにも見える。

 

”カァンカァン!!”

 

突然船が警鐘を鳴らし、船から数人の人物が出て来て外を見る。遠くに見えたのは、白い豪華客船。

 

男「フフフフ。」

 

1人の男が不敵な笑みを浮かべ、数人の人物達に合図して船尾に移動した。この船の船尾には、4艘小型船が備わっており、男達がその小型船に乗って豪華客船へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

豪華客船。船内にある1つの部屋で椅子に座る兄妹が居た。その兄妹は謎の男達に囲まれていた。1人の男がその兄妹に食事を差し出したが、兄妹は食べようとしない。赤ジャケットを着た男が何かを言われ、食事を下げた。妹が外を眺めていると、地平線の向こうから4つの影が迫って来た。

 

妹「!!」

 

その影の正体は、小型船に乗った男達だった。小型船から足が生え、カエルのようにジャンプして豪華客船の操舵室の前に着地した。

 

船長・船員「ああっ!!」

 

小型船に乗った男が操舵室に魔法の杖から放つ魔力弾を撃ち込んだ。

 

 

 

 

操舵室。ガラスが破壊され、室内に煙が充満した。

 

船員A「海賊だーーー!!」

 

船員B「襲撃だーーー!!ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ!」

 

 

 

 

他の小型船も豪華客船に乗り込み、操舵してた人物達が船内に乗り込んだ。

 

船員C「クソッ!!あああ!!」

 

乗り込んだ海賊達と戦うが、海賊達によって蹴散らされた。海賊達はそのまま乗客達を殺さず船内のある部屋へ走った。

 

 

 

 

その部屋がある廊下に入った瞬間、謎の男達が雇った魔法団が魔力弾で応戦した。

 

赤ジャケットの男「食い止めろ。君達は床に伏せていたまえ。」

 

その男は、ケースを開けて菱形の杖を立てて、黄色いボタンを何度も押して何処かへ送信する。これは、情報を伝える魔道具・信号機。現在は極少数しか出回っていない貴重な魔道具。

 

兄「・・・・っ。」

 

男がそれをやっている中、兄が傍に落ちてあるワインの瓶を音を立てずに持って、男に向かって・・・

 

兄「っ!!!」

 

強く振り下ろした。

 

 

 

 

廊下では、男が魔法の杖から白い光を飛ばした。その光は爆発し、白い煙が充満した。

 

魔法団A「催涙弾だ!!」

 

催涙弾で魔法団達が倒れてしまい、そして他の男達も倒れた。

 

 

 

 

部屋では、妹が赤ジャケットの男から透明の宝石を奪って首に括り付けた。その間に海賊達がドアを突き破ろうとしていた。

 

男『何をグズグズしてるんだ!さっさと蹴破れ!!』

 

兄「こっち!」

 

妹「っ!」

 

部屋の窓を開けた。そこは2階の外。2人はそこから脱走を試みた。

 

 

 

 

部屋では、海賊達がドアを突き破って侵入した。

 

海賊A「何処行ったのよ!」

 

1人の海賊が外を見る。

 

海賊A「居た!!」

 

外から隣の部屋へ逃げようとする兄妹を見付けた。

 

海賊A「お父さん!居たよ!隠れてた!」

 

父親「早く捕まえるんだ!!」

 

兄妹を捕まえようとしたが、兄妹は隣の部屋の窓へジャンプしてしがみ付いた。

 

海賊A「うわああ!!お父さん!落ちちゃう!!」

 

落ちそうになったが、父親が海賊の腹部を捕まえて落ちずに済んだ。

 

父親「あれだ!あの石だ!早く隣の部屋へ!」

 

海賊B「わ、分かった!」

 

父親「水晶石だよ!」

 

 

 

 

隣の部屋の窓。

 

兄「もう少しだ・・・!!」

 

しかし。

 

兄「っ!!」

 

豪華客船の前方に竜巻が発生し始めた。

 

兄「っ!!」

 

その竜巻に、兄妹が吸い込まれた。

 

兄・妹「うわああああああーーーーーー!!!!」

 

父親「しまった!水晶石が・・・!!」

 

竜巻はその兄妹を飲み込み、遠くへ去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、400年前の昔

 

大海原にある島の島民達は、水の力を使った魔道具を開発し、海の水で豊かな生活を手に入れた。

 

その技術は徐々に進歩していき、海の地面下まで掘れる魔道具も開発出来た程。

 

そして、島が大海原を歩む技術まで進歩して行った。島民達はその技術力を維持し、大海原を歩む島を幾つも発展した。その中には、軍用兵器までもあった。島民達はその力に溺れ、凡ゆる世界を支配して行った。

 

そして最後に、魔道具師達が叡智を結集して巨大な城を築いた。

 

しかし、突如として流行した謎の疫病。島民達はその疫病を克服する技術力が無かった為、島民達は一部を残して呆気なく病死した。

 

生き残った一部は巨大な城を捨て、大陸世界へ逃げた。

 

そして、その城はどうなったのかは、誰も分からない・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竜巻に飲み込まれた兄妹は意識を失っていた。しかしその時、妹が自分の首に括り付けた水晶石と呼ばれる宝石が輝き、兄妹を包み込んで竜巻を容易く抜けて大陸へ流された。

 

 

 

 

 

 

アールスハイド王国・リッテンハイムリゾート。商店街では多くの屋台で賑わっていた。

 

タクト「店主、焼き鳥18本くれ。」

 

その中にある焼き鳥店で、タクトが焼き鳥を注文した。

 

店主「今日はパーティーかい?」

 

タクト「あぁ。仲間達とリゾートパーティーさ。」

 

焼き鳥を買った。

 

タクト「えっと次は・・・彼処だ。」

 

今度はクレープ屋でクレープを購入した。

 

 

 

 

買った物を異空間収納へ納め、タクトがコテージへ戻る。

 

タクト「パーティーが楽しみだぜ。」

 

コテージへ戻る最中、タクトがある光景を見た。

 

タクト「ん?」

 

それは、海の奥から蒼色の光がビーチへ来てる光景だった。

 

タクト「何だあれ?」

 

その光を見たタクトが急いでビーチへ向かう。その光の正体が徐々に見えた。

 

タクト「人!?」

 

光に包まれてる2つの人影が見えた。

 

 

 

 

ビーチ。

 

タクト「あれか!」

 

浜辺に打ち上げられた光を見付けた。

 

タクト「ん?」

 

光が消え、中からあの兄妹が倒れていた。

 

タクト「少年と少女・・・兄妹かな・・・?」

 

2人の容体を確かめる。

 

タクト「息がある。死んでないみたいだ。」

 

 

 

 

フェオン「タクトー!」

 

 

 

 

タクト「フェオン!」

 

そこにフェオンがタクトを見付けてやって来た。

 

フェオン「そこで何してるの?夜の海でも眺めてたの?」

 

タクト「フェオン、ちょっと手伝ってくれ。」

 

フェオン「手伝うって何を・・・え?」

 

倒れてる兄妹を見て驚いた。

 

フェオン「え・・・?どう言う事・・・?人魚でも釣れたの・・・?」

 

タクト「んな訳あるか!さっき戻る最中に打ち上げられた光が見えたんだ。その正体が、この2人だ。」

 

フェオン「・・・意識は失っているみたいね。」

 

タクト「息はある。フェオン、少女を頼めるか?」

 

フェオン「分かったわ。」

 

少女をフェオンが抱き上げ、少年はタクトが背負ってあげた。

 

 

 

 

 

 

コテージ。兄妹を個室のベッドへ寝かせた。

 

レア「海を漂流してたって事か。」

 

タクト「多分、何らかの現象で光に包まれてそれから・・・いや、考えるのは明日にしよう。」

 

ヒナ「戻りました。」

 

個室からヒナが出て来た。

 

タクト「ヒナ、2人の容体は?」

 

ヒナ「傷はありませんでした。でも念の為に治癒魔法を掛けておきました。」

 

タクト「そうか。すまないな。」

 

ヒナ「いえいえ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海では、小型船に乗った海賊達があの兄妹を捜していた。だが見付かる事がなく、船に戻った。

 

海賊A「ダメだよお父さん!一生懸命捜したんだけど居なかったよ!」

 

父親「しょうがない!明るくなってから出直しだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コテージでは、タクト達がパーティーを開いていた。

 

『To Be Continued・・・』




次回予告

漂流中にビーチに打ち上げられた兄妹を介抱したタクト達。このコテージに飾られてる絵を見て、兄妹が小さく呟いた言葉とは。

STAGE2・伝説の城

お楽しみに


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STAGE2「伝説の城」

翌朝。コテージでタクトが目を覚ました。

 

タクト「・・・ん?」

 

ベッドから起きて、個室を覗く。兄妹は安静になってる。

 

タクト「・・・」

 

 

 

 

コテージの2階のベランダに出た。

 

タクト「あぁ〜〜〜・・・!!」

 

両手を大きく挙げて背伸びした。

 

タクト「あぁ〜〜〜気持ちの良い朝・・・はまだか。」

 

今はまだ夜明け寸前の朝。

 

タクト「ふぅ〜〜〜。」

 

フェオン「おはよう。タクト。」

 

そこに起きたフェオンが顔を出した。

 

タクト「ようフェオン。もう早起きか?」

 

フェオン「たまたまね。」

 

タクト「他の皆は?」

 

フェオン「まだ寝てるわよ。」

 

タクト「お、陽が登るぞ。」

 

太陽が顔を出した。

 

タクト「あぁ〜〜〜気持ちの良い朝だぁ〜〜〜。」

 

 

 

 

個室。

 

兄「・・・ん・・・?」

 

意識を失っていた兄が目を覚ました。

 

兄「あれ・・・?ここは・・・?」

 

妹「ん・・・」

 

そして同じく妹も目を覚ました。

 

妹「あ・・・お兄ちゃん・・・」

 

兄「良かった。無事だったんだな。」

 

妹「ねぇ、ここは何処なの・・・?」

 

 

 

 

個室を出ると、レオン達がまだ熟睡中。

 

兄「この家の人達かな・・・?」

 

妹「悪い人達じゃなさそう・・・」

 

 

 

 

フェオン『ねぇ、あの2人が起きたら一緒に観光しない?』

 

タクト『良いな。まずは朝飯食わないとだな。』

 

 

 

 

2階のベランダから2人の会話が聞こえ、ベランダへ向かった。

 

タクト「ん?おぉ!目が覚めたか!」

 

フェオン「気分はどうかしら?」

 

兄「あなた達は・・・?」

 

タクト「俺はタクト。」

 

フェオン「私はフェオンよ。」

 

タクト「ここのコテージに宿泊してるんだ。その表情だと、どうやら人間みたいだな。さっきまでひょっとすると人魚じゃないかって心配してたんだ。」

 

兄「ありがとう。助けてくれ。僕はクラウドって言うんだ。」

 

妹「妹のレインです。」

 

タクト「クラウドとレイン。良い名前だな。にしても驚いたな。ビーチに流されたんだもん。」

 

クラウド「そうだ!僕達どうして助かったんだろう・・・実は豪華客船から竜巻に吸い込まれたんだ・・・」

 

タクト「覚えてないのか?」

 

レイン「はい・・・」

 

タクト「成る程。まぁ、何れ記憶は戻るだろうし。無理せずにな。なぁ、それちょっと見せてくれるか?」

 

レイン「これですか?」

 

タクト「あぁ。」

 

彼女の持ってる水晶石をタクトに見せた。

 

タクト「水晶みたいな宝石だな。」

 

クラウド「僕達の家に、古くから伝わる物なんだ。」

 

フェオン「綺麗ね。」

 

レア「ちょっと貸してくれ。」

 

タクト「ほえ?お前何時の間に起きた?」

 

レア「まあまあ。」

 

水晶石を自分の首に括り付けようとするレア。

 

レア「ん?・・・んん?あれ?」

 

括り付けようとするが、上手く結べない。レインが結んでくれた。

 

レア「フフフフ♪。見てくれ!」

 

そう言うとベランダからジャンプして飛び降りた。

 

レイン「え!?」

 

”ドゴオオーーーーン!!!!”

 

レイン「レアさん!!」

 

フェオン「レア!?」

 

タクト「おい!!!」

 

下を見ると、石畳に穴が空いてた。

 

タクト「ったく何やってんだよ彼奴!!」

 

レオン「おーーいどうした!?」

 

そこにレオン達が起きた。先程の轟音で目が覚めたらしい。

 

タクト「レアが落ちた。」

 

ソフィー「ええ!?」

 

グレア「自殺なの!?」

 

アンナ「何で!?」

 

タクト「ったく!」

 

 

 

 

ベランダから飛び降りて、レアが無事か覗く。

 

レア「えへへ。やっぱり、このせいじゃなかったみたいだな。」

 

タクト「俺が話した通りにやろうとしてたのか?」

 

レア「悪い悪い。」

 

タクト「ほら掴まれ。」

 

レア「あぁ。」

 

手を掴んだ瞬間、レアが足を滑らせた。

 

レア「うわあああ!?」

 

タクト「ちょおお!?」

 

 

 

 

レイン「っ!?」

 

イザベラ「タクトさん!?レアさん!?」

 

急いで地下へ降りる。

 

 

 

 

地下。

 

タクト「痛てててて・・・」

 

頭を押さえながら起きた。

 

タクト「おいレア!何処だ!レア!」

 

レア「んんーーーーー・・・」

 

タクト「ん!?」

 

瓦礫からレアの下半身が生えてる。レアの下半身がばたつく。

 

タクト「はぁ・・・全くお前は・・・それでもアンナの先輩か。」

 

そう言いながら瓦礫を退かしてレアを助けた。

 

レア「我ながら情けない・・・」

 

そこにフェオン達が来た。

 

フェオン「レア!大丈夫?」

 

レア「う、うん・・・」

 

エミリー「タクトも無事か?」

 

タクト「大丈夫。無傷だ。レア、その宝石返せ。」

 

レア「おう。」

 

水晶石をタクトに渡し、それをレインに返した。

 

タクト「レイン、ごめんな。色々と。」

 

レイン「いえいえ。お2人って頑丈なんですね。」

 

レア「そうなんだ。レアの頭は黒曜石のように硬いんだ。」

 

タクト「いやそれ初耳だわ。」

 

レイン「・・・くすっ。」

 

全員「あははははは!」

 

タクト「あ!そうだ!ポット沸かしてるんだった!」

 

フェオン「お腹減ってるでしょ?ご飯にしましょ!彼処で顔洗えるわよ!タオルもあるから使ってね。」

 

クラウド「ありがとう。」

 

タクト達は急いで1階へ登った。

 

レイン「皆良い人達だったね。」

 

クラウド「うん。」

 

顔を洗いに行くと、2人はある物に目を向けた。

 

クラウド・レイン「?」

 

それは、霧で覆われた城の写真。その下にAEGIAの文字が書かれてあった。

 

クラウド・レイン「イージア・・・?」

 

 

 

 

 

 

1階では、フェオン達が朝食を食べ終えてた。

 

フェオン「じゃあタクト。先行ってるね。」

 

タクト「あぁ。後で合流な。」

 

レオン「じゃあな。」

 

ソフィー「行って来ます。」

 

フェオン達は領地へ観光しに行った。

 

タクト「・・・遅いな2人共。朝飯冷めちゃうぞ。」

 

 

 

 

地下へ行くと、クラウドとレインがイージアの写真を見ていた。

 

タクト「あぁ。」

 

地下へ降りて、2人の横に立った。

 

タクト「そいつはな、陛下が学生の頃に撮った写真なんだ。イージアって言う海を歩む島だ。」

 

クラウド「海を歩む島?」

 

タクト「あぁ。今じゃ伝説って言われてるけど、陛下はその姿を見たんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

30年程前、高等学院生時代のディセウムが夏休みの時にリッテンハイムリゾートへ訪れていた。

 

ディセウム「ん〜。気持ちの良い日差しだ。」

 

だがその時、突如として霧が発生した。

 

ディセウム「な、何だ!?」

 

家臣「殿下!」

 

ディセウム「どうした!」

 

家臣「あれを!!」

 

霧を凝らして見ると、巨大な城が見えた。

 

家臣「あの城は一体・・・」

 

ディセウム「おい!写真機を出してくれ!」

 

家臣「は、はい!」

 

写真機をディセウムに渡した。

 

ディセウム「ッ!」

 

その城を写真に収めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在。コテージ。

 

タクト「その時撮った写真なんだ。賢者マーリンの活躍を描いた英雄物語で、作者がイージアの事を書いてるけど、あれはただの空想だったんだ。これは、陛下が描いた想像図。」

 

ディセウムが描いたイージアの想像図を見せた。

 

タクト「今は誰も住んでいない宮殿に、沢山の金銀財宝が眠ってるんだ。その事に皆は期待を膨らませてる。その城を見付けて大金持ちになろうとしてる人も居た。勿論!俺も期待を膨らませてる1人だ。今座標を解析してる。きっと俺がイージアを見付けてみせる!」

 

その時、外から謎の音が。

 

タクト「ん?」

 

1階へ登る。

 

 

 

 

その音は、黒い馬車を牽いている馬の足音あった。その馬車が止まり、窓から1人の男が顔を出して此方を見た。

 

 

 

 

レイン「っ!」

 

タクト「装甲馬車!珍しいなぁ!」

 

クラウド「彼奴ら海賊だ。」

 

タクト「ほえ?」

 

クラウド「豪華客船を襲った連中だ。」

 

タクト「まさか2人が狙いか?」

 

クラウド「分からない・・・」

 

タクト「よし、俺に付いて来い!」

 

 

 

 

装甲馬車を降りたシスター姿の2人組の女がコテージに迫って来る。1人は地下へ向かい、もう1人は玄関へ。

 

タクト「Good Morning!!」

 

玄関からタクトと帽子を被って変装したクラウドと、男の子風に変装したレインが飛び出した。

 

女A「ちょっと!待ちなさい!」

 

タクト「何?何だよ急いでんだから早く!」

 

女A「双子の兄妹がこの辺に来なかったかしら?」

 

タクト「昨日来たかな・・・?石窯亭のオリビアちゃんが!」

 

女A「っ!!このっ!早く行きなさい!!」

 

タクト「Good-by!」

 

急いでその場から走り去った。

 

 

 

 

タクト「やっぱりお前達を狙ってやがる!」

 

 

 

 

だがしかし。

 

女B「フェリ!女の子の服よ!」

 

フェリ「何!?化けてたのね!!あなたはお父さんに知らせて!!」

 

女B「分かった!」

 

 

 

 

タクト「気付かれたか!街へ逃げろ!」

 

急いで街へ逃げ込む。

 

『To Be Continued・・・』




次回予告

豪華客船を襲った海賊達が再びクラウド達の前に現れた。タクトは2人を連れて脱走を試みるが、謎の組織も介入した。

STAGE3・追跡者

お楽しみに


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STAGE3「追跡者」

街では、フェオンが謎のシスター2人組に聞き込みを受けていた。

 

フェオン「見掛けないわねぇ。」

 

シスター「可愛い双子でね、共に銀髪の髪色をしているのよ。」

 

 

 

 

タクト「フェオーーーン!!緊急事態だーーー!!」

 

 

 

 

遠くからタクト達が走って来た。

 

レオン「タクト?」

 

シスター「丁度あの位の年頃でさ。」

 

 

 

 

しかしクラウドが躓いてバランスを崩して帽子が脱げてしまった。

 

クラウド「しまった!!」

 

 

 

 

シスター2人「ん!?」

 

 

 

 

タクト「おい逃げるぞ!!」

 

フェリ「姉さーーーん!!その2人よ!!!」

 

遠くからフェリが追って来た。

 

 

 

 

シスター2人「ハアアァァァ!!!」

 

タクト「マジかよ!!滑ろ!!」

 

クラウド・レイン「うわあ!!」

 

飛び込んで来る女2人をスライディングして避けた。

 

フェオン「ちょっとタクト!これどう言う事!?」

 

タクト「彼奴ら海賊だ!この2人を狙ってる!」

 

レア「何ぃ!?」

 

女海賊3人が揃った。

 

イザベラ「海賊!?」

 

グレア「初めて見るー!」

 

ソフィー(皆こっち!)

 

密かにソフィーがクラウド達を裏路地へ避難させた。

 

フェオン「これ以上寄るんじゃないわよ!」

 

シスター「渡して貰おう。」

 

フェオン「海賊ね?」

 

フェリ「ジェームス一家よ!」

 

フェオン「帰りなさい。ここはあなた達に相応しくないわよ。」

 

タクト「おわ!?」

 

 

 

 

裏路地。ソフィーに無理矢理引っ張られた。

 

タクト「ソフィー?お前ら?」

 

ヒナ「タクトさん、この隙に裏から逃げて下さい!」

 

タクト「いや、俺も戦う!」

 

ティオ「ここは僕達が引き受けるから。」

 

タクト「けど!」

 

エミリー「・・・本当に良い兄妹だ。タクト、お前が守ってやってくれ。」

 

タクト「ん?・・・分かった!後で合流な!」

 

 

 

 

表では、野次馬が集まっていた。

 

シスターA「どうしても退かないのね!」

 

フェオン「女なら女らしく戦いなさい。」

 

シスターA「フンッ!面白いわね!」

 

シスターB「マリンお姉ちゃんやっちゃって!」

 

マリン「ハァッ!!」

 

懐から剣を取り出して上へ投げ、ジャンプしてキャッチして華麗に着地した。

 

マリン「フフ〜ン♪」

 

グレア「やってフェオン!見せてやって!」

 

フェオン「おりゃあああ!!」

 

懐から大剣を取り出して豪快に振り回して構えた。

 

マリン「す・・・凄い・・・」

 

フェオン「どうかしらぁ〜?」

 

レア「フェオン、女子力の欠片もないぞ?」

 

フェオン「え?」

 

マリン「どりゃあ!!!」

 

急にフェオンを殴ろうとしたが、間一髪受け止められた。

 

フェオン「不意打ちとは・・・卑怯ね!!」

 

そう言ってマリンの顔にチョップしたが、これも受け止められた。

 

マリン「そう言ってるあなたも・・・感心しないわね!!」

 

膝蹴りでフェオンを蹴り飛ばした。

 

フェオン「やったわね!!そりゃああ!!」

 

ハイキックでマリンを蹴り飛ばした。

 

フェリ・妹「姉さん負けないで!!」

 

マリン「よくも!!!」

 

2人の女子力の欠片もない肉弾戦が幕を開けた。

 

妹「行けえ!行けえ!!」

 

女「ちょっと?」

 

1人の女が、マリンとフェリの妹を蹴り飛ばした。

 

フェリ「それっと!!」

 

蹴り飛ばされた妹を受け止め、そのまま押し返した。だがフェリが後ろから別の女に殴られたが、すぐにカウンター。他の女達もその戦いに参戦した。

 

グレア「凄い・・・しっちゃかめっちゃかだよ・・・」

 

ティオ「被害が多そうだね・・・」

 

イザベラ「お姉ちゃん・・・」

 

 

 

 

 

 

高い崖の上から、3人の父親のジェームスが装甲馬車から望遠鏡を覗いている。街では女達の戦いが繰り広げられており、左を見ると、タクトがクラウドとレインを連れて道を走っていた。

 

ジェームス「この俺を騙せると思ったのか?追うんだ!」

 

女御者「はい!!」

 

装甲馬車を走らせた。

 

 

 

 

 

 

一方タクトは、クラウドとレインを連れて何処かへ逃げていた。

 

タクト「おーーーーい!!!」

 

途中で多くの4台の荷台を引っ張る荷馬車を発見して手を振った。

 

タクト「乗れ!」

 

クラウド・レイン「うん!」

 

その荷台に乗り込んだ。

 

タクト「ようジャスティン!ローサ!」

 

この2人は元魔法師団のジャスティンとローサのアンドラーデ夫妻。バルトとベルの後輩で、現在は牧場を営んでいる。

 

ジャスティン「ようタクト、朝っぱらから危険行為か?」

 

ローサ「それも2人の男女を連れて。」

 

タクト「悪漢共に追われてんだよ!アレを見ろ!」

 

ジャスティン・ローサ「ん?」

 

崖の上を突っ切る装甲馬車を指差した。

 

タクト「ジェームス一家だ!」

 

ジャスティン「へぇ〜!盗賊かぁ!」

 

タクト「王都まで乗せてくれ!警備局へ行く!」

 

ジャスティン「よし分かった!ローサ!全速前進だ!」

 

ローサ「OKよ!」

 

 

 

 

 

 

街中では、装甲馬車が走っていた。

 

ジェームス「マリン!!フェリ!!アリーザ!!」

 

 

 

 

フェリ・アリーザ「ん!?お父さん!!」

 

装甲馬車が2人の前に止まった。

 

ジェームス「このバカ娘共!さっさと乗れ!」

 

フェリ「え?だって、兄妹は彼処に・・・」

 

ジェームス「裏口からとっくに逃げ出したんだ!出せ!」

 

フェリ「姉さん!!」

 

すぐに装甲馬車にしがみついて、装甲馬車が走り出した。

 

フェオン「待ちなさいよーーーー!!」

 

イザベラ「お姉ちゃん!落ち着いて!」

 

追い掛けようとしたが、イザベラに止められた。

 

レオン「フェオン、凄い殴られたね・・・」

 

フェオン「ううぅぅ・・・女子力が高い私が・・・」

 

アンナ「大丈夫ですか?」

 

ヒナ「フェオンさん、すぐに治しますよ。」

 

回復魔法で傷等を治した。

 

ソフィー「タクト君を追いましょ?」

 

フェオン「そうね。行くわよ!」

 

 

 

 

この街に、謎の男が潜伏していた。その男はすぐにこの街を去った。

 

 

 

 

 

 

一方タクトは、アンドラーデ夫妻の荷馬車に隠れていた。道は長い橋に差し掛かった。

 

ジャスティン「ん?タクト!来おったぞ!!」

 

遠くからジェームス一家が迫って来てる。

 

タクト「おいジャスティン!もっと加速出来ねえのか!?」

 

ジャスティン「この子達年寄りだからなぁ!」

 

 

 

 

 

 

迫り来るジェームス一家。

 

ジェームス「代われ!」

 

女御者「え!?うわあ!?」

 

急にジェームスが御者になり、馬を操る。一気に加速し、長い橋を突っ走る。

 

フェリ「お父さん!落ちちゃう!」

 

 

 

 

 

 

そして遂に、装甲馬車がアンドラーデ夫妻の荷馬車の後ろを取った。

 

ローサ「このままじゃダメ!追い付かれちゃう!」

 

ジャスティン「タクト!荷台を切り離すんだ!!」

 

タクト「クラウド!レイン!こっち!」

 

荷台に隠れてる2人を荷馬車に避難させた。

 

タクト「そこに隠れてろ!」

 

クラウド「うん!」

レイン「はい!」

 

荷台の連結部分を外した。

 

タクト「手土産だ!!持って行け!!」

 

4台の荷台を蹴り飛ばした。4台の荷台が装甲馬車に激突するかと思いきや、馬車馬が前足を荷台に乗っけた。

 

ジェームス「負けるなーーーー!!!!」

 

4台の荷台をそのまま押し返した。

 

タクト「嘘だろ!?」

 

4台の荷台が荷馬車の後ろに激突した。2つの馬車がトンネルに入った。

 

ジャスティン「しつこい奴等だ!タクト!ブレーキだ!」

 

タクト「よし!!」

 

荷台に取り付けてあるブレーキレバーを回す。

 

ジェームス「押せ!!押しまくれ!!」

 

マリンとフェリが荷台をジャンプで走り抜ける。

 

レイン「お兄ちゃん!下がって!」

 

マリン・フェリ「それええーーー!!」

 

レイン「えいっ!!」

 

マリン・フェリ「ああっ!!」

 

彼女の投げたシャベルがマリンとフェリの顔面に直撃して倒れ、荷台にブレーキが作動した。

 

 

 

 

トンネルを抜け出したと同時に、タクトが荷馬車に飛び移って脱出した。

 

ジェームス「待てーーーー!!!」

 

ブレーキで動けなくなり、ジェームス一家が立ち往生してしまった。

 

ジェームス「逃がしはしないぞ!グズグズしてないでこの荷台を谷底へ捨てるんだ!」

 

マリン・フェリ「ほえ?」

 

 

 

 

荷馬車。

 

ジャスティン「ハッハッハッハ!!」

 

ローサ「さぁ突っ走って!!」

 

タクト「2人共大丈夫か?」

 

クラウド「うん。大丈夫。」

 

レイン「ありがとうございます。」

 

 

 

 

ジェームス一家は、荷台を谷底へ放り投げていた。

 

マリン・フェリ・アリーザ「よいしょー!よいしょー!よいしょー・・・」

 

ジェームス「待て!!」

 

何かの音を聞いたジェームスがマリン達を止めた。

 

 

 

 

 

 

その音は、遠くから聞こえる赤い馬車の走る音だった。

 

 

 

 

 

 

フェリ「奴等よ・・・お父さん、どうしよう?」

 

ジェームス「このまま引き下がれるか。すぐ出発だ!!」

 

 

 

 

 

 

一方タクト達は、王都へ向かっていた。

 

ジャスティン「ん?」

 

ローサ「ジャスティン、どうしたの?」

 

ジャスティン「あれ・・・」

 

遠くからこっちへ来る何かを見付けた。

 

 

 

 

それは、大型馬車を囲みながら前進する謎の軍隊だった。

 

 

 

 

ジャスティン「これはたまげたなぁ!アルニス王国軍だ!」

 

ローサ「北西にある小国の王国軍が?」

 

両者の馬車が停車した。

 

ジャスティン「おーい!この子達を保護してやってくれ!盗賊共に追われてるんだ!」

 

すると向こうの青い馬車から、1人の魔法使いと黒服の男が降りた。

 

クラウド・レイン「っ!」

 

その男に、クラウドとレインが後ろへ下がる。

 

タクト「ん?お前達?どうした?」

 

クラウド「レイン!逃げるぞ!」

 

レイン「うん!」

 

タクト「え!?」

 

黒服の男「なっ!待てーーー!!」

 

逃げた2人を追い始めるが。

 

タクト「そう言う事か!!」

 

黒服の男・魔法使い「おわっ!?」

 

理解したタクトが黒服の男と魔法使いの足を蹴って転ばせて、クラウドとレインを追い掛ける。

 

タクト「クラウドー!レイーン!」

 

魔法使い「止まれ!!止まらんと撃つぞ!!」

 

ジャスティン「させるか!!」

 

黒服の男・魔法使い「うわあ!!」

 

煙幕魔法で視界を遮らせた。

 

 

 

 

クラウド「あっ!!」

 

 

 

 

だがジェームス一家が1台の荷台を押して迫って来た。

 

フェリ「アルニス王国軍よ!!」

 

ジェームス「構うものか!突っ込め!」

 

 

 

 

タクト「彼奴ら!!」

 

レイン「っ!!」

 

パニックになったレインが右の橋を走り出した。タクトとクラウドが追う。

 

タクト「レイン!一体どうしたんだ!!」

 

レイン「来ちゃダメーーーー!!」

 

 

 

 

青い馬車から降りた別の魔法使い達が、ジェームス一家に向けて一斉発射した。

 

 

 

 

タクト「なあっ!?」

 

 

 

 

魔力弾を避け、魔法の杖からビームを放射して橋に溝を作った。その溝に沿って左の橋へ入った。

 

 

 

 

再び魔法使い達が魔力弾を一斉発射した。その魔力弾が橋に直撃し、装甲馬車が走った後ろの橋がどんどん崩れ始めた。

 

タクト「嘘だろ!?」

 

装甲馬車がどんどん迫って来る。

 

クラウド「くっ!!」

 

レイン「きゃああ!!」

 

突然クラウドがレインを掴んでジャンプして谷底へ落ちそうになった。

 

タクト「クラウド!レイン!」

 

咄嗟の判断でタクトが飛び、クラウドの右手を掴んで左手で橋にしがみ付く。装甲馬車が通り過ぎた。

 

タクト「捕まれ!離すなよ!」

 

クラウド「タクト・・・!!」

 

 

 

 

装甲馬車はそのままトンネルの壁に激突し、バラバラになった。ジェームス達は無傷で生還し、崩壊する橋にしがみ付くタクト達を見物する。

 

フェリ「落ちちゃうよ!!」

 

ジェームス「静かに!よーく見てな!」

 

 

 

タクト「待ってろ!すぐに!」

 

ウルトラ念力を使って飛ぼうとしたが、スパークレンスがタクトがしがみ付いてる橋の上にあった。

 

タクト「しまった!!」

 

超能力が使えなくなってしまった。

 

クラウド「タクト・・・!!」

 

タクト「くそ・・・!このままじゃ・・・!」

 

左手の限界が頂点に達し、3人が落ちてしまった。

 

タクト・クラウド・レイン「うわああああーーーーーー!!!!」

 

 

 

 

ジェームス「・・・!!」

 

 

 

 

谷底へ落下する3人。するとそこから一筋の光が現れた。

 

 

 

 

ジェームス「おおー!!」

 

 

 

 

その光の正体は、レインの持ってる水晶石の光だった。光は3人を包み込み、ゆっくりと降下していく。

 

クラウド「っ!」

 

レイン「あ・・・!」

 

タクト「浮いてる・・・!」

 

 

 

 

ジェームス「見ろ!水晶石の力だ!」

 

他の者達もその光景を目の当たりにした。

 

 

 

 

タクト「やっぱりその宝石の力なんだ!凄えや!」

 

クラウド「じゃあ・・・僕達が助かったのは・・・」

 

レイン「この石が・・・」

 

タクト「ん?」

 

上からスパークレンスが落ちて来た。

 

タクト「キャッチ!」

 

スパークレンスをキャッチし、ジャケットの内ポケットに入れた。3人はそのままゆっくりと降下して行く。

 

タクト「大丈夫だ。このまま底まで行こう。」

 

3人は谷底へゆっくりと姿を消した。

 

 

 

 

 

 

ジェームス「凄い!欲しいぞ!」

 

 

 

 

魔法使い「撃てーーー!!」

 

すぐに魔法使い達が魔力弾を一斉発射した。

 

マリン達「うわああーーーー!!!」

 

ジェームス一家がすぐにトンネルへ逃げ込んだ。

 

 

 

 

トンネル内。

 

ジェームス「素晴らしい!必ず手に入れてやる!!」

 

トンネルの奥へ逃げ込んだ。

 

 

 

 

そして迫り来る赤い馬車の正体は・・・

 

『To Be Continued・・・』




次回予告

谷底へゆっくりと降りたタクトとクラウドとレイン。その洞窟で出会った者からイージアの伝説を伝えられる。

STAGE4・進め!洞窟探検隊

お楽しみに


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STAGE4「進め!洞窟探検隊」

谷底の奥深くの洞窟。

 

タクト「よっと。」

 

飛び降りたタクトが周囲を見る。

 

レイン「あ、消えてく・・・」

 

タクト「あ、ちょっと待ってろ。」

 

超能力で光の球を作って照らし、宙に浮かせた。

 

タクト「2人が流された時もそうだったな。」

 

上を見ると、小さな光があった。

 

タクト「入口があんなに小せぇなぁ。」

 

クラウド「酷い目に遭ってないのかなぁ・・・?フェオンさん達やジャスティンさんやローサさん・・・」

 

タクト「心配すんな。アールスハイドの皆はそんなにヤワじゃねえよ。さぁ行こう。出口を探さなきゃ。」

 

3人は洞窟の奥へ進む。

 

タクト「この辺りは、大昔に鉱山があったから洞窟がチラホラあるんだ。」

 

 

 

 

洞窟奥にある水が流れる空洞。タクトが異空間収納から何かを出した。

 

タクト「ほれ。」

 

それは、食べてなかった朝食だった。メニューはベーコンエッグとサラダ。

 

レイン「嬉しい!お腹ペコペコだったんです。」

 

タクト「後リンゴ2個に焼き鳥が1本。」

 

クラウド「へぇ〜!異空間収納って凄く便利なんだな。僕達も使いたいなぁ〜。」

 

タクト「フフッ。」

 

???「タクトーーー!!」

 

そこにフェオン達がやって来た。

 

タクト「よう皆!大丈夫だったか?」

 

ティオ「うん。何とか退けたよ。」

 

フェオン「ねぇタクト、私って女子力あるかしら・・・?」

 

タクト「何だよ今更・・・」

 

イザベラ「気にしないで下さい。さっきレアさんに女子力の欠片もないって言われてて・・・」

 

レア「ごめんなフェオン。」

 

レオン「ん?今から飯か?」

 

タクト「2人が食い損ねたからな。2人共、召し上がってくれ。」

 

クラウド「ありがとう。遠慮なく頂くよ。」

 

朝食を食べてる最中、クラウドとレインが生まれ故郷の話をした。

 

タクト「アウラー?ずーっと北の山奥だな。」

 

クラウド「うん。僕達、両親も亡くなっちゃったけど、家と畑を残してくれたから何とか2人で生活出来てたんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数ヶ月前。北の山奥にあるアウラー。そこで悠悠自適な生活を送っていたクラウドとレイン。だがある時、謎の男4人組が訪れて来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カサンドラ「じゃあ、その男達に攫われて来たんですね?」

 

レイン「はい。」

 

タクト「さっきの男もその1人か。」

 

クラウド「うん。」

 

タクト「何者なんだ?アルニス軍と一緒に居るなんて・・・ジェームスもその男達もその宝石を狙ってるって事は確かだな。」

 

レイン「でも、この石に不思議な力があるなんて私達知らなかったんです。ずーっと昔から家に伝わって来たので、お母さんが死ぬ時に私にくれたんです。決して人に渡したり見せたりしちゃいけないって。」

 

タクト「成る程なぁ〜。・・・俺達皆親無しなんだな。」

 

クラウド「ごめんね。僕達のせいでタクト達を酷い目に遭わせて・・・」

 

タクト「いやいや。2人が海から流された時に確信したんだ!きっとまた素敵な事が始まりそうなんだって!」

 

クラウド「ありがとう・・・」

 

 

 

 

 

 

”ザッザッ”

 

 

 

 

 

 

カサンドラ「ん?誰か来ます!」

 

タクト「っ!2人共隠れろ!」

 

遠くから足音が聞こえた。クラウドとレインを下がらせ、タクトが前に出て構える。洞窟の奥から2つの影が徐々に迫って来た。その影の正体は・・・

 

 

 

 

 

 

カルマ「あれタクト?お前何してんだ?」

 

 

 

 

 

 

タクト「カルマ!ルブラ!大丈夫。俺の仲間だ。おーいお前達!道に迷っちまってな。」

 

ルブラ「へぇ〜。お前が道を迷うなんて珍しいなぁ。それにフェオン達も居るとは何かあったのか?」

 

タクト「俺達盗賊にも追われてるんだ。それにアルニス軍まで追われてるんだ。」

 

カルマ「アルニス・・・そいつは興味深いなぁ。」

 

 

 

 

一行はカルマとルブラに付いて行く。

 

 

 

 

洞窟の中にあるテント。カルマが皆にココアを淹れてあげた。

 

カルマ「ほら、ココアだ。温まるぞ。」

 

クラウド「あ、ありがとう。」

 

レイン「カルマさんとルブラさんってずっと地下で暮らしてるんですか?」

 

カルマ「まさかな。俺達キャンプにハマっててな。色々な所で野営しながら魔物ハンターをしてるんだ。」

 

ルブラ「それに、1週間前からこの洞窟の石達が妙に騒いでるって噂を聞いてな。こう言う時に下に居るのが最近の日課になってな。」

 

タクト「岩が騒めくのか?」

 

周りを見ても何の異変も感じない。ただ、水が落ちる音が聞こえるばかり。

 

カルマ「明るくしても変わらないか。」

 

ルブラ「暗い時に騒ぐって噂だったな。」

 

ランプの火を消した。

 

 

 

 

 

 

すると洞窟が、蒼白く輝いた。

 

 

 

 

 

 

レイン「っ!!」

 

タクト「な、何だ!?」

 

レオン「石が光ってる・・・!?」

 

周囲の石がまるで結晶のように輝き始めた。

 

ソフィー「凄い・・・」

 

レイン「お兄ちゃん!上を見て!」

 

クラウド「え?うわぁ!」

 

上を見ると、夜の星のような輝きが無数にあった。

 

クラウド「さっきまでただの岩だったのに。」

 

レイン「綺麗・・・」

 

カルマ「んじゃ、ちょいと見せてやるかな。」

 

落ちてる石を拾って剣を持つ。

 

カルマ「見てろよ?」

 

その石を台座の上に乗せ、剣で斬った。その断面は蒼い光が。

 

カサンドラ「わぁ・・・」

 

その光は3秒程で消えた。

 

カサンドラ「消えました・・・」

 

ルブラ「実はこの辺りの岩には水晶石が含まれていてな。」

 

タクト「水晶石?」

 

ルブラ「あぁ。この通り、空気に触れるとすぐにただの石になってしまうんだ。」

 

レイン「・・・ん?」

 

服の中に隠してる水晶石を出すと、光っていた。

 

レイン「光ってる・・・」

 

カルマ「ッ!?おいおいマジかよ・・・!!アンタそれ・・・水晶石の結晶じゃねぇか!俺達も見るのは初めてだ・・・!!」

 

ルブラ「道理で石が騒ぐ訳だ・・・!!」

 

レイン「この石には、不思議な力があるんです。」

 

カルマ「その昔、イージア人だけが結晶にする技を持っていたと聞いた事があってなぁ・・・」

 

クラウド・レイン「イージア人?」

 

カルマ「それで、デケェ島を海に歩ませたとか何とか・・・」

 

タクト「イージアは本当にあるんだな!?クラウド!レイン!やっぱりあるんだ!」

 

クラウド「カルマさん、ルブラさん、その島は今でもあるんですか?」

 

カルマ「あぁ・・・」

 

ランプに火を点けた。水晶石の光が消えた。

 

カルマ「ガキの頃、俺の曾祖父ちゃんが言ってた。岩達が騒ぐのは海の果てにイージアが来てるからだと。」

 

タクト「成る程!その時に海へ出ればイージアを見付けられるんだ!クラウド!レイン!重要な手掛かりが見付かったぞ!」

 

ルブラ「なぁ、お2人さん。話がある。」

 

クラウド「はい。」

 

レイン「何ですか?」

 

ルブラ「その石には強い力がある。最近俺達は魔物やこの石ばかり相手に暮らして来たからよく分かるんだが、力のある石は人を幸せにも出来るが、時に不幸を招く事がよくある事なんだから、忘れないでくれよ。」

 

クラウド・レイン「はい。」

 

カルマ「ましてその石は人の手で作り上げた代物。その、気になってなぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

外では、赤い馬車が遠くの草原へ駆けて行くのが見えた。

 

フェリ「行っちゃったよ・・・」

 

アリーザ「お父さん、船へ帰ろうよ。」

 

ジェームス「静か過ぎる。こう言う時は、動かない方が得だな。」

 

マリン「お腹空いたなぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

洞窟。

 

フェオン「大丈夫よ!行こう!」

 

レイン「カルマさん、ルブラさん、ありがとうございます。」

 

カルマ「気を付けてな。」

 

ルブラ「無事を祈るぞ。」

 

 

 

 

 

 

洞窟を出て、草原に出た。

 

イザベラ「わぁ〜!海が綺麗〜!」

 

ビーチの海が陽の光で宝石のように輝いている。

 

タクト「あの海の果ての向こうに、見た事のない島があるんだな。っしゃやるぞ!!俺達がイージアを見付けてやるぜ!!」

 

クラウド「タクト。それに皆。」

 

タクト「ほえ?」

 

エミリー「どうしたんだ?」

 

クラウド「僕達、まだ話してない事があるんだ。」

 

ヒナ「何ですか?」

 

クラウド「僕達の家に古い秘密の名前があって、この石を受け継ぐ時にその名前も僕達が継いだんだ。」

 

ティオ「古い秘密の名前?何て言う名前なんだ?」

 

クラウド「僕の名前はクラウド。クラウド=ヴェリテ=ビスマルク=イージア。」

 

レイン「私は、レイン=ヴェリテ=ビスマルク=イージア。」

 

グレア「イージア!?じ、じゃあ2人ってまさか・・・!!」

 

だがそこに。

 

タクト「ッ!!」

 

赤い馬車が迫って来た。

 

タクト「アルニス軍だ!!皆走るんだ!!」

 

赤い馬車から全力で逃げる。

 

タクト「洞窟へ逃げろ!!」

 

だがしかし、アルニス軍が逃げ道を包囲した。

 

レイン「っ!!」

 

レオン「囲まれた!?」

 

兵士「動くな!」

 

フェオン「何なのよアンタ達!!」

 

レア「やる気か!?」

 

タクト「止めろフェオン!レア!抵抗するな!ここは大人しくした方が良い。」

 

赤い馬車から、赤ジャケットの男が降りた。

 

兵士「収容しました!」

 

赤ジャケットの男「手こずらせたな。」

 

『To Be Continued・・・』




次回予告

アルニス軍に囚われてしまったタクト達。クラウドとレインは、赤ジャケットの男から2人とイージアの関係が明かされる。

STAGE5・隠された関係

お楽しみに


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STAGE5「隠された関係」

海に囲まれた国・アルニス王国。海辺にある要塞。

 

 

 

 

その要塞にある牢獄。

 

グレア「・・・ダメ。魔力結界が張られてる。」

 

ティオ「僕もダメだ・・・」

 

タクト「無理に脱走しても殺されるだけだな。」

 

カサンドラ「タクト、クラウドとレインは大丈夫なんでしょうか?」

 

タクト「分からない。アルニス軍が何を企んでるのかも不明だ。」

 

カサンドラ「・・・あのタクト、少し相談があるんですが。」

 

タクト「どうした?」

 

カサンドラ「その・・・ソフィーをどうにか出来ませんか?」

 

彼女は今ソフィーに抱っこされてる。

 

ソフィー「カサンドラちゃ〜ん♪」

 

フェオン「ソフィーったら、本当にカサンドラが好きね。」

 

ソフィー「だってぇ、可愛いじゃないですか〜♪」

 

 

 

 

 

 

司令官室。赤ジャケットの男が将軍らしき人物と会話していた。

 

将軍「手緩い!あんな兄妹締め上げればすぐ口も割るわい!」

 

赤ジャケットの男「制服さんの悪い癖だ。事を急ぐと元も子もなくしますよ。パスカル将軍。」

 

パスカル将軍「ふん!初めから軍隊が出動すれば、ジェームス如きに出し抜かれずに済んだのだ!」

 

赤ジャケットの男「将軍が不用意に打たれた暗号を解読されたのです。」

 

パスカル将軍「何!?」

 

赤ジャケットの男「これは、私の機関の仕事です。将軍は兵隊を必要な時に動かして下されば良い。」

 

パスカル将軍「ーーーー!!マルクス!!私がイージア探索の指揮官だぞ!!忘れるな!!」

 

マルクス「勿論。私が政府の密命を受けている事もお忘れなく。」

 

彼は部下と一緒に司令官室を出た。

 

パスカル将軍「クソッ!憲兵の青二才が!」

 

 

 

 

 

 

別の部屋では、クラウドとレインが居た。クラウドが蹲っているレインの傍に座っている。

 

”カチャ”

 

クラウド「!!」

 

鍵が開く音が聞こえた。ドアが開き、マルクスが入って来た。

 

マルクス「よく眠れたかな?」

 

クラウド「タクト達は!?タクト達に会わせてくれ!」

 

マルクス「流行りの服は嫌いですか?彼らなら安心したまえ。無傷で収容されてるから心配ない。来たまえ。是非見て貰いたい物があるんだ。」

 

 

 

 

 

 

この要塞の地下深くにある部屋へ案内された。

 

マルクス「入りたまえ。」

 

その部屋は真っ暗。マルクスが灯りを点けると。

 

レイン「っ!!」

 

クラウド「・・・!!」

 

そこには、巨大な人形が仰向けになって倒れていた。左腕と右足首が切断されている。

 

レイン「これは・・・?」

 

マルクス「凄まじい破壊力を持つ人形の兵隊だよ。此奴が海から打ち上げられなかったら、誰もイージアを信じはしなかっただろう。」

 

 

 

 

 

 

数年前。アルニス王国の海岸で人形の兵隊が打ち上げられた。その人形はすぐにアルニス軍へ引き取られた。

 

 

 

 

 

 

マルクス「此奴は、池上で作られたものではない。この身体が金属なのか粘土なのか。それすら我々の研究では分からないのだ。ここを見てくれ。怯える事はない。此奴は初めから死んでいる。」

 

恐る恐る人形に近付く。

 

マルクス「そこだ。」

 

その人形の胸には、水晶石に刻まれてる紋章と同じ石が埋め込まれていた。

 

クラウド・レイン「!?」

 

マルクス「同じ印が、君達の家の古い暖炉にあった。この石にもね。此奴は君達の手にある時にしか働かない。石は持ち主を護り、何時の日にか大海原のイージアへ帰る時の道標として君達に受け継がれたんだ。」

 

レイン「そんな!私達何も知りません!」

 

クラウド「石が欲しいなら渡すよ。だから僕達を解放してくれ。」

 

マルクス「君達は、イージアを宝島か何かのように考えているのかね?イージアは嘗て、恐るべき技術で大海原を這い、全ての大陸を支配した恐怖の帝国だったのだ!そんなものがまだ海を彷徨っているとしたら、平和にとってどれだけ危険な事か君達にも分かるだろ?私に協力して欲しい。水晶石にイージアの位置を示させる呪文か何かを、君は知っているはずだ。」

 

レイン「本当に知らないんです・・・タクトさん達に会わせて・・・」

 

マルクス「私は手荒な事はしたくないが、あの少年達の運命は君達が握っているんだよ。」

 

クラウド「何!?」

 

レイン「え・・・!?」

 

マルクス「君達が協力してくれるなら、あの少年達を自由の身にしてやれるんだ。クラウド=ヴェリテ=ビスマルク=イージア。そして、レイン=ヴェリテ=ビスマルク=イージア。」

 

クラウド「何故それを・・・!?」

 

マルクス「ヴェリデとビスマルクは貴族の間で使われてる姓の名。君達はイージアの正当な王位継承者。クラウド王子とレイン姫だ。」

 

クラウド・レイン「・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

一方牢獄では。

 

タクト「あぁ〜〜〜・・・暇過ぎる。」

 

フェオン「凄い呑気ね。アンタ。」

 

タクト「何言ってんだよ。人類皆暇してんだろ?暇だから俺は寝るぜ。」

 

カサンドラ「ん?誰か来ます。」

 

牢獄のドアが開いた。

 

看守「出ろ。」

 

 

 

 

牢獄から出た。

 

タクト「あ!クラウド!レイン!」

 

クラウド「タクト!皆!怪我は?」

 

タクト「大丈夫だ。お前達は?酷い事されなかったか?」

 

マルクス「タクト君。皆。君達を誤解していた。許してくれたまえ。君達がこの方々から盗賊を守る為に奮戦してくれたとは知らなかったんだ。」

 

タクト「お前達、一体・・・」

 

レイン「皆さんお願いがあります。イージアの事忘れて下さい。」

 

レオン「どう言う意味だ?」

 

マルクス「イージアの調査は、クラウド君とレインさんの協力で軍が極秘に行う事になったんだ。君達の気持ちは分かるが、どうか手を引いて欲しい。」

 

タクト「お前達、本当なのか?」

 

レイン「ごめんなさい色々迷惑掛けて・・・ありがとう。皆さんの事は忘れません。」

 

タクト「まさか!さっき約束したじゃないか!」

 

クラウド「そうだけど・・・でも・・・」

 

タクト「・・・分かった。」

 

フェオン「え?」

 

タクト「そう言う事なら、行ってくれ。」

 

クラウド「ありがとう・・・」

 

2人はマルクスの部下と一緒に去って行った。

 

タクト「・・・」

 

マルクス「これは僅かだが、心ばかりのお礼だ。取っておきたまえ。」

 

9枚の金貨を渡した。

 

 

 

 

 

 

要塞を出たタクト達は、振り向きもしないままゲートを潜って、アールスハイド王国へ帰って行く。

 

 

 

 

 

 

クラウド・レイン「・・・」

 

ゲートへ消えて行ったタクト達を見守るしか出来なかった2人。マルクスがレインに水晶石を返した。

 

マルクス「思い出したまえ。この石を働かせる言葉を。約束さえ果たせば、君達は自由になれる。」

 

そう言い残し、マルクスが部屋を出て行った。

 

クラウド「タクト・・・」

 

レイン「お兄ちゃん・・・ごめんなさい・・・私・・・」

 

クラウド「いや、僕も悪かったよ・・・」

 

泣きじゃくるレインを、クラウドが抱擁する。

 

 

 

 

 

 

夜。リッテンハイムリゾート。この地に買い出しに来たアンドラーデ夫妻。

 

ローサ「よし、帰って晩御飯の支度しなきゃ。ん?あ!」

 

遠くからタクト達が帰って来た。

 

ローサ「あなたー!タクトよ!タクトが帰って来たわ!」

 

ジャスティン「何?あ!タクト!心配してたんだぞ。あれっきり姿が見えなくなっちゃって。・・・あれ?あの子達はどうしたんだ?」

 

タクト「もう済んだ事だ。」

 

ジャスティン「え?」

 

タクト「クッ!」

 

彼は走り去ってしまった。

 

ジャスティン「タクト!」

 

ローサ「・・・あなた達、タクトどうしちゃったの?」

 

フェオン「色々あったんです。」

 

レオン「俺達はこれで。」

 

フェオン達もタクトを追う。

 

 

 

 

途中で立ち止まるタクトを見付けた。

 

タクト「・・・」

 

イザベラ「タクトさん・・・」

 

アンナ「・・・」

 

タクト「・・・もう、考えるの止めた。帰るぞ。」

 

エミリー「タクト・・・」

 

ヒナ「・・・」

 

 

 

 

コテージに入ろうとした時、何者かがドアを開けた。

 

タクト「何だ!?」

 

そのドアを開けた人物に引っ張られた。

 

フェオン「タクト!?」

 

別の人物がフェオン達を引っ張った。

 

グレア「皆!!」

 

ティオ「助けよう!!」

 

助けに向かうが、コテージに入った瞬間に力尽きた。

 

グレア「な、何これ・・・?」

 

ティオ「力が・・・」

 

マリン「騒ぐんじゃないわよ!」

 

タクト「おい止めろ!!痛てててて!!」

 

その人物達の正体は、ジェームス一家の娘達だった。ジェームス達は肉や魚介類など頬張っていた。

 

ジェームス「ちょっと借りてるぞ坊や達。」

 

タクト「貴様ら!!ここは俺達のコテージだぞ!!」

 

彼らはロープで縛られてしまった。

 

ジェームス「偉そうな口を利くんじゃないぞ。兄妹も守れないこの子供が。」

 

レオン「何だと!?」

 

イザベラ「グレアさん!ティオさん!」

 

レア「どうしたんだ!?」

 

ティオ「精霊を気力なくす十字架か・・・」

 

壁に精霊の気力をなくす十字架かあった。

 

ソフィー「そんな!」

 

アリーザ「この子達金貨持ってるよ!」

 

ジェームス「やれやれ。あの兄妹を金で売ったのか?」

 

エミリー「違う!そんな事をするものか!」

 

ジェームス「その金で手を引けって言われたんだろうが?」

 

カサンドラ「クラウドとレインがそうしろって言ったんです!だから・・・」

 

ジェームス「んで、いじけてノコノコと帰って来たって訳か。それでもお前達は戦士か!え!」

 

タクト「威張ってんじゃねえ!お前達だってクラウドとレインを狙ってる癖しやがって!!」

 

ジェームス「当たり前だ!盗賊が財宝を狙って何処が悪い!」

 

ナイフでハムを突き刺した。

 

ジェームス「可笑しなのはあの軍達だ。何故あの2人をコソコソと攫ったりするんだ。」

 

突き刺したハムを噛んで、そのまま引っ張った。

 

ジェームス「お前達、彼奴らがあの子達を生かしておくと思うのか?」

 

タクト「え・・・?」

 

1枚のハムを丸々食べるジェームス。

 

ジェームス「クラウドとレインがそう言っただと?馬鹿野郎。お前達を助ける為に脅かされてやったに決まってるじゃないか!」

 

フェリ「よく分かるね。お父さん。」

 

ジェームス「伊達に男を50年やってるんじゃねえよ。泣かせるじゃないか。仲間を助ける為のつれない仕草。俺の若い頃にそっくりだ。お前達も夫にするならああ言う息子にしな。」

 

ワインの蓋を開けてゴクゴク飲む。

 

フェリ「え?お父さんのようになるの?」

 

マリン「あの子?」

 

”ピコンピコンピコン”

 

信号機が鳴り出した。

 

”ガシャアアーーーン!!!”

 

ジェームスがワインでテーブルの上の食料を払い除けた。

 

フェリ「あああ!!」

 

マリン「勿体無いよ・・・」

 

信号機で音を読み取る。

 

ジェームス「フフフ。暗号を変えたって無駄だぞ。・・・ん?大型戦艦を呼び寄せたのか?」

 

 

 

 

今、アルニス王国に向かってる巨大な大型戦艦の信号だった。

 

 

 

 

ジェームス「あの兄妹を乗せて出発する気だ。急がないと手が出せなくなる!出掛けるぞ!何時まで食べてるんだ!」

 

フェリ・マリン「は、はい!お父さん!」

 

タクト「おい、2人を攫う気か?」

 

アリーザ「兄妹じゃないのよ。水晶石さ。」

 

タクト「いや!水晶玉だけじゃダメだ!あの水晶玉はクラウドとレインが持たないと働かないんだ!!親父さん!俺達も仲間に入れてくれないか!2人を助けたいんだ!」

 

ジェームス「甘ったれるんじゃないぞ。そう言う時は自分の力でやるもんだ。」

 

タクト「あぁそうだ。俺達があんな事をしなきゃずっと守れたはずだ。イージアの宝なんかいらない!お願いだ!」

 

マリン「ヒューヒュー!泣かせるねぇ〜。」

 

ジェームス「五月蝿い!」

 

マリン「は、はい!!」

 

ジェームス「・・・」

 

真剣な眼差しのタクト達を見て、ジェームスが閃いた。

 

ジェームス(その方が2人が言う事を聞くかも知れないね。)

 

そう確信したジェームスがタクト達に寄る。

 

ジェームス「2度とここへは帰れなくなるかもだぞ。」

 

タクト「分かってる。」

 

ジェームス「覚悟の上だな?」

 

タクト「勿論!」

 

ジェームス「よし!」

 

剣を抜いて、タクト達の縄を切ってあげた。

 

ジェームス「3分で支度しな!」

 

タクト「よし!」

 

 

 

 

外に出たタクト達が準備を始める。

 

タクト「皆、準備は良いか?」

 

フェオン「えぇ!何時でも行けるわ!」

 

タクト「よし、俺も!」

 

スパークレンスを出して、光を解放した。光の柱に包まれたタクトが、ウルトラマンティガへ変身した。

 

フェオン「行くわよ!」

 

そしてフェオン達は、身に付けてる首飾り・ヴォラーレリトスを光らせて浮遊した。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

飛翔して待機する。

 

 

 

 

下では、ジェームス達が小型船を準備していた。

 

ジェームス「彼らも準備出来たようだな。よし、お前達は本船で待機しろ!」

 

 

 

 

小型船がビーチの海に浮いた。

 

ジェームス「よし、行くぞ!!」

 

ティガ「チャァッ!!」

 

彼らはアルニス王国へ急行した。

 

 

 

 

 

 

そして、アルニス王国に大型戦艦が停泊しようとしていた。

 

『To Be Continued・・・』




次回予告

クラウドとレインを助ける為に急行するティガ達。しかし、アルニス軍の要塞で緊急事態が起きてしまっていた。

STAGE6・要塞崩壊

お楽しみに


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STAGE6「要塞崩壊」

アルニス王国。ここに、大型戦艦が停泊準備に入っていた。

 

パスカル将軍「素晴らしい艦だ!!マルクス!2人は白状したか?」

 

マルクス「もう少し時間が必要です。」

 

パスカル将軍「構わん。水上でたっぷり締め上げてやれ。夜明けと共に兄妹を乗せて出発だ。」

 

大型戦艦が停泊した。

 

 

 

 

 

 

海上では、ティガ達がジェームス達と共にアルニス王国へ急行している。

 

ジェームス「グズグズしていると夜が明けるぞ!」

 

ティガ「クラウド!レイン!」

 

 

 

 

 

 

アルニス王国・要塞。

 

クラウド・レイン「・・・」

 

何もない夜景をただ見てる2人。そんな中レインは、幼い頃を思い出した。

 

 

 

 

 

 

幼少期。レインは可愛がっていた子ウサギを飼っていたが、突然現れたクマに連れ攫われてしまい泣きながら帰って行く。

 

 

 

 

家の近くに住む老婆にこの事を泣きながら話した。

 

老婆『それは困ったねぇ・・・』

 

レイン『うぅ・・・』

 

老婆『そうだ、レイン。いい事教えてあげよう。困った時のお呪い。』

 

レイン『お呪い・・・?』

 

老婆『そう。古い古い秘密の言葉。ザ・ライト・オブ・ホープ・トゥ・セーブ・ミー。』

 

レイン『ライト・・・?』

 

老婆『我を救う希望の光と言う意味なの。』

 

 

 

 

 

 

そして今。

 

レイン「ザ・ライト・オブ・ホープ・トゥ・セーブ・ミー・・・」

 

クラウド「それ、お婆さんが言ってたお呪い?」

 

レイン「うん・・・」

 

そのお呪いを唱えたその時。

 

 

 

 

 

 

水晶石が激しい光を発し始めた。

 

 

 

 

 

 

クラウド「な、何だ!?」

 

レイン「ああ・・・!!」

 

その光は周囲を振動させ、風を巻き起こした。

 

クラウド「何だ・・・!!この光は・・・!!」

 

 

 

 

 

 

そして、地下に眠っていた人形の両目が見開いた。

 

 

 

 

 

 

異変に気付いたマルクスが、クラウドとレインの部屋に駆け付けた。

 

マルクス「素晴らしい・・・!!」

 

 

 

 

 

 

地下では、人形の腕と足が動き始めた。

 

 

 

 

 

 

部屋では。

 

マルクス「古文書にあった通りだ!この光こそ、聖なる光だ!」

 

レイン「聖なる光・・・?」

 

水晶石に触れようとしたが。

 

”バリンッ!!!”

 

マルクス「ああっ!!」

 

激しい衝撃波で遮られた。

 

クラウド「・・・!!」

 

マルクス「どんな呪文だ?教えろその言葉を!」

 

 

 

 

 

 

地下。遂に、人形が動き始めた。立ち上がろうとしたが、バランスを崩して転んだ。

 

 

 

 

その部屋の門番2人が、転んだ音に気付いた。

 

兵士A「おい。」

 

兵士B「あぁ。」

 

部屋の扉を開けると、人形の顔が此方を見ていた。

 

兵士2人「うわぁ!?」

 

人形はゆっくりと前進して行く。

 

兵士2人「動いた!!」

 

すぐに扉を閉めるが、人形の首と腕で引っ掛かった。

 

兵士A「人形が!!人形が生きています!!」

 

伝声管で異常事態を知らせる。その時、人形の両目から細長いビームが放たれ、部屋の周囲の壁を貫通した。

 

兵士2人「うわああーーー!!!!」

 

すぐにその場から逃げ出した瞬間、壁が大爆発を起こした。

 

 

 

 

 

 

部屋。

 

クラウド・レイン「はっ!!」

 

マルクス「何だ今のは・・・!?」

 

 

 

 

 

 

地下では、火の海で燃やされていた。

 

兵士2人「助けてくれーーー!!」

 

逃げ出した2人の兵士は間一髪抜け出せた。人形が立ち上がり、上を見る。

 

 

 

 

兵士C「動いてるぞ!!」

 

兵士D「火を消せ!!」

 

兵士E「人形だ!!」

 

 

 

 

パニックになる要塞の中、人形はゆっくりと石階段の方へ進んで行く。

 

 

 

 

 

 

上の方では。

 

マルクス「人形が?」

 

部下「彼処です!」

 

マルクスがクラウドとレインを連れて人形の方へ向かう。

 

 

 

 

石橋の上から下を見る。石階段をゆっくりと上がる人形が見えた。

 

マルクス「・・・ここへ来る気か!?」

 

 

 

 

下では魔法師団が魔法で迎え撃っていた。しかし人形にはそれは通用しなかった。

 

士官「急げ!!」

 

地下への道を巨大なシェルターで閉める。しかし、人形が大きく目を開いて巨大なビームを発射した。ビームを受けたシェルターが赤く腫れ上がった。

 

士官「全員退避!!退避だーーー!!!」

 

兵士達が急いで退避したと同時に、シェルターが大爆発を起こした。

 

 

 

 

 

 

マルクス「凄い・・・!!」

 

 

 

 

 

 

シェルターが溶け、人形が地下から抜け出した。

 

 

 

 

 

 

マルクス「そうか・・・その光だ!聖なる光で、人形の封印が解けたんだ!イージアへの道が開けた!来い!」

 

レイン「嫌ーー!!」

 

クラウド「止めろ!!」

 

 

 

 

 

 

レインの悲鳴を聞いた人形が、石橋に向かって細長いビームを発射した。

 

 

 

 

 

 

マルクス「うわっ!?」

 

石橋がクラウドとレイン、マルクス達が立ってる位置を分断した。

 

マルクス「うわあーー!!」

 

後ろの通路にジャンプし、部下がマルクスの腕を掴んだ。

 

クラウド「レイン!こっちだ!」

 

レイン「お兄ちゃん!」

 

先程通った通路へジャンプして落ちずに済んだ。

 

 

 

 

 

 

下では、人形が大きく両手を広げて魔法の翼を展開した。

 

 

 

 

 

マルクス「飛ぶ気か!?」

 

 

 

 

 

 

人形が魔法の翼で飛翔し、マルクスに向かって突進する。

 

マルクス「うわあ!!」

 

部下が急いでマルクスを引っ張り上げて回避した。人形が通路前の下の壁に激突した。

 

部下達「化け物だーーー!!」

 

マルクス達は急いでその場から逃げ出した。

 

 

 

 

そして人形は、向かい側に立つクラウドとレインに顔を向けた。

 

クラウド「まさか・・・こっちに!?」

 

人形がクラウドとレインが立つ通路に向かって飛翔したが、身体が大きかった為痞えた。

 

クラウド「っ!!」

 

痞えた人形が2人に右手を差し伸べた。

 

クラウド「レイン!逃げよう!」

 

レイン「っ!!」

 

2人は近くの階段へ駆け逃げる。

 

 

 

 

 

 

出た場所は、要塞の西側の塔の上。

 

クラウド「ここまで来れば大丈夫・・・」

 

すると再び水晶石が光り出し、小さな光の線が海の果てを指した。

 

レイン「地平線を指してる・・・!?」

 

 

 

 

別の塔では、マルクスがそれを目撃していた。

 

マルクス「あの光の指す方向に、イージアがあるのだ!まだか?早くしろ!」

 

 

 

 

司令官室。

 

パスカル将軍「爆薬を使うだと?馬鹿者!要塞を吹き飛ばす気か!」

 

すると伝声管が遮断された。

 

パスカル将軍「ん!?おい!どうした!何があった!」

 

 

 

 

別の塔。

 

部下A「いいぞ!」

 

部下B「準備完了です!」

 

原因は、マルクスの部下達が伝声管をこっちへ繋がらせたのだ。

 

マルクス「私はマルクス長官だ。人形によって伝声管が破壊された。緊急事態に着き、私が臨時に指揮を執る。人形は西の塔の兄妹を狙っている。姿を現した瞬間に仕留めろ。照準を人形に向け、兄妹を傷付けるな。」

 

 

 

 

外では、魔法師団が準備を始めていた。

 

 

 

 

西の塔。人形が2人の前に現れた。クラウドがレインを守る。

 

 

 

 

魔法師団「目標!西の塔の人形!照準を合わせろ!」

 

 

 

 

西の塔。

 

クラウド「・・・!」

 

立ち止まった人形が、胸の紋章に右手を添えた。すると水晶石の光が人形の胸の紋章に流れた。

 

レイン「・・・?」

 

そして、人形が2人に右手をゆっくりと伸ばした。

 

 

 

 

魔法師団「放て!!」

 

魔力弾を一斉発射した。

 

 

 

 

魔力弾が人形の胸に凹みを刻んだ。

 

クラウド「ぐあっ!!」

 

レイン「キャーッ!!」

 

爆風で2人が倒れ、気を失った。更に、水晶石が西の塔から地面へ落ちて行った。魔力弾を受けた人形が、後ろへ倒れた。

 

 

 

 

兵士達「ヤッターーーー!!!」

 

士官「急げーーー!!」

 

 

 

 

西の塔へ登った兵士達が人形を警戒するが、人形が動く気配がない。

 

兵士A「ヘヘッ!ペッチャンコだ!」

 

兵士B「凄ぇ!」

 

士官「2人を捕らえろ!」

 

気を失っている2人に駆け込む。

 

兵士A「死んだのか?」

 

兵士B「ちょっと待ってろ。」

 

2人の容体を確かめる。

 

兵士B「気を失ってるだけだ。運ぶぞ!」

 

だが人形が動き出した。

 

兵士達「う、動いた!!」

 

起き上がった人形がクラウドとレインに近寄った兵士達にビームを放射した。兵士達はすぐさまその場から逃げ出した。そして、細長いビームで要塞を破壊し始めた。

 

 

 

 

マルクス「ああっ!!」

 

 

 

 

西の塔で、人形がクラウドとレインを右手で抱えながら要塞を縦横無尽に破壊し続ける。要塞は一瞬にして火の海と化してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、ティガ達はアルニス王国へ向かってる最中。

 

ティオ「もうすぐでアルニス王国だよ!」

 

アルニス王国に着き、小型船を変形させて高速で走り出す。

 

フェオン「ん?何か向こう赤くない?」

 

ティガ「ッ!」

 

 

 

 

 

 

炎に包まれてる要塞が遠くから見えた。

 

 

 

 

 

 

ジェームス「どうしたんだ!?内戦が勃発したのか!?」

 

レオン「ジェームス!行こう!」

 

ジェームス「船長と呼べ!」

 

要塞へ向かう。

 

ジェームス「マリン!列を乱れるなよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

要塞・西の塔。

 

レイン「・・・ん・・・?あっ!!」

 

クラウド「・・・?・・・なっ!?」

 

気を失っていた2人が目にしたのは、火の海と化してしまった要塞だった。

 

クラウド「誰がこんな事を・・・!?」

 

レイン「お兄ちゃん!上!」

 

クラウド「っ!?」

 

人形は止まる事なく要塞を破壊し続けている。

 

クラウド「止めろ!止めてくれ!!お願い!!!」

 

人形の顔を止めて静止させたが、ビームが要塞を飛び越えて無関係な市民の街に被害を齎らした。

 

 

 

 

 

 

要塞へ直行するティガ達。

 

フェリ「お父さん!ポセイドンが動き始めた!!」

 

 

 

 

 

 

大型戦艦・ポセイドンが出航していた。乗船していた魔法師団が魔力を集める。

 

 

 

 

 

 

ジェームス「このまま行くと奴等の弾幕に飛び込んでしまう!出直しだ!」

 

グレア「彼処!クラウドとレインが!」

 

ジェームス「何!?何処だって!?」

 

グレア「このまま真っ直ぐ進んで!小さな塔の上に居るよ!」

 

西の塔に居るクラウドとレインを発見した。

 

ジェームス「タクト行け!俺達が援護する!」

 

ティガ「分かった!エミリー来てくれ!」

 

エミリー「承知した!」

 

ティガ「フェオン達も援護を頼む!一気に行くぞ!」

 

 

 

 

2人が要塞に乗り込んだ。

 

ティガ「クラウド!!レイン!!」

 

クラウド「・・・っ!タクト!!」

 

レイン「エミリーさん!!」

 

ティガ「待ってろ!すぐ助ける!!」

 

助けに飛翔するが、人形がビームで応戦した。

 

ティガ「ッ!!」

 

エミリー「何だ彼奴は!?」

 

クラウド「タクト!!エミリー!!」

 

だが人形が2人を捕まえた。

 

レイン「いや!!離してーーー!!」

 

しかし人形は、2人をゆっくりと塔の端に立たせてあげた。

 

クラウド・レイン「・・・?」

 

そして、胸に右手を添えようとした時。巨大な魔力弾が人形の胸を貫いた。

 

クラウド「うわああっ!!」

 

レイン「キャーッ!!!」

 

次々と魔力弾の雨が降り注ぎ始めた。

 

 

 

 

爆煙の中からティガとエミリーが上昇した。

 

ティガ「クソッ!どうすれば!」

 

エミリー「があっ!!」

 

ティガ「ッ!?」

 

横では、爆発で飛んだ岩がエミリーの頭部に直撃し、エミリーが気絶し、海へ落下する。

 

ティガ「エミリー!!」

 

スカイタイプへタイプチェンジし、落下するエミリーを追う。

 

 

 

 

クラウド「タクト!!エミリー!!」

 

レイン「お兄ちゃん!」

 

クラウド「あ!!」

 

先程の魔力弾で魔力が抜け、力尽きようとする人形が最後の力を振り絞って右手を差し伸べた。

 

クラウド「ッ・・・!!」

 

レイン「タクトさん!!エミリーさん!!」

 

 

 

 

ティガ「ッ!!」

 

落下するエミリーの腕を掴んで背中に乗せ、海面ギリギリの所で飛んだ。後ろでは巨大な水飛沫が飛んでる。

 

ティガ「負けるかーーーー!!」

 

エミリー「・・・ッ!!タクト!!」

 

ティガ「エミリー!!」

 

気が付いたエミリーが再び飛翔し、ティガと共に再び要塞へ乗り込んだ。

 

エミリー「タクト!レインが私が受け止める!お前はクラウドを頼む!」

 

ティガ「分かった!!」

 

 

 

 

クラウド「あ!!タクト!!エミリー!!」

 

 

 

 

ティガ「行くぞ!!」

 

エミリー「よし!!」

 

2人がクラウドとレインに向かった。

 

 

 

 

 

 

マルクス「退け!しまった!」

 

 

 

 

 

 

ティガ「クラウドーーーーー!!」

 

エミリー「レイーーーーーン!!」

 

クラウドとレインをがっちり受け止めて要塞から脱した。

 

 

 

 

 

 

マルクス「くそっ!ポセイドンは何をしてる!なっ!?」

 

 

 

 

 

 

ポセイドンは今、マリン達が撒き散らす煙幕で翻弄されていた。フェオン達が縦横無尽に飛び回って煙幕を拡大させていた。

 

 

 

 

 

 

マルクス「煙幕か!」

 

 

 

 

 

 

2人を救出したティガ達が、一気に退却した。

 

 

 

 

 

 

要塞では、パスカル将軍がマルクスに駆け付けた。

 

パスカル将軍「マルクス!人形はどうした!」

 

マルクス「破壊しました。兄妹は彼処です。」

 

パスカル将軍「何!?」

 

ただ煙幕だけが残って、他には何もなかった。

 

パスカル将軍「クッ・・・!何をボヤボヤしている!火を消せ!追跡隊を組織しろ!」

 

魔法師団が水魔法で要塞の消火活動を開始した。

 

 

 

 

西の塔の下。瓦礫の中に水晶石があった。マルクスが恐る恐る触れたが、何も起きなかった。水晶石を拾い上げた。

 

マルクス「聖なる光を失わない・・・」

 

水晶石が再び地平線の彼方へ光を指した。

 

マルクス「イージアの位置を示している。将軍に伝えろ!予定通りイージアへ出発すると。」

 

西の塔の上では、破壊された人形が無残に残っていた。

 

『To Be Continued・・・』




次回予告

イージアへ向かうべく、ジェームス盗賊団の仲間入りを志願するタクト達。そこで彼らは、船の手伝いをする事となったのだが・・・

STAGE7・オクトパス号

お楽しみに


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STAGE7「オクトパス号」

無事にクラウドとレインを救出したタクト達は、海の上を飛翔していた。

 

レイン「っ・・・っ・・・」

 

クラウド「・・・・」

 

ジェームスの小型船に乗せて貰ってるクラウドは、泣いてるレインを優しく抱擁する。

 

フェリ「・・・いいなぁ。」

 

マリン「信じられるかな?あの子がお父さんみたいになるんだよ?」

 

 

 

 

しばらく進むと、リッテンハイムリゾートが見えた。

 

ジェームス「お前達の街だ。全くとんでもない無駄足だったぞ。」

 

タクト「・・・なぁジェームス。俺達を船に乗せてくれるか?」

 

ジェームス「船長と言え!水晶石も持たないお前達を乗せて何の得があるんだ?」

 

タクト「勿論働く。」

 

レイン「イージアの本当の姿を、この目で確かめたいんです!」

 

ジェームス「・・・」

 

しばらく黙り込んだジェームスが口を開いた。

 

ジェームス「ふん。宝はいらないとかイージアの正体を確かめるとか。海賊船に乗るには動機が不純だよ。」

 

フェリ「お父さん!連れて行くの?」

 

ジェームス「ただし変な真似したらすぐ海に放り込むからな?」

 

タクト「承知!」

 

フェリ「やったー!掃除洗濯しなくて済むよ!」

 

アリーザ「皿洗いもだ!」

 

マリン「芋の皮剥きもね!イヤッホー!!」

 

アリーザ「ヤッホー!」

 

フェリ「ヤッター!!」

 

急に3人の娘達がはしゃぎ始めた。

 

マリン「あなたパンナコッタ作れるの?」

 

クラウド「うん・・・」

 

フェリ「私はね!アップルパイが好きなんだよ!」

 

アリーザ「私ね!えーと、えーとね・・・何でも食べる!!」

 

ジェームス「いい加減にしろ!!全く何時まで経っても子供なんだから・・・」

 

タクト「でもいいじゃねぇか。何だか楽しそうだし。」

 

フェオン「何だか小さい頃のイザベラを思い出すわねぇ。」

 

イザベラ「お姉ちゃん!その話は止めて!」

 

カサンドラ「お?フェオン、そのお話聞きたいです!」

 

フェオン「船に乗せて貰ったら教えてあげるわよ?」

 

イザベラ「もう止めて下さい〜!」

 

ソフィー「ウフフ。イザベラちゃん可愛いね。」

 

ヒナ「私達の癒し系です。」

 

ジェームス盗賊団の船に乗せて貰う為、リッテンハイムリゾートを遠ざかった。

 

ティオ「またお別れしなくちゃだね。」

 

レオン「あぁ。でも、俺達にはまだやる事がいっぱいあるからな。」

 

グレア「うん。イージアの姿とかも気になるし、それにアルニス軍の企みを阻止しなきゃね。」

 

 

 

 

 

 

巨大な岩陰から現れたジェームス盗賊団の船・オクトパス号。船尾が開き、そこへ小型船を格納する。

 

ジェームス「降りな!」

 

小型船を降りて下を見ると、床がガラスになっていた。

 

クラウド「あ!ガラスだ!一部だけガラスになってる!」

 

ジェームス「壊すんじゃないぞ。」

 

フェリ「グズグズしないで!狭いんだから。」

 

 

 

 

オクトパス号にタクト達が着地した。

 

タクト「ほう。これがジェームス一家の船か。」

 

グレア「あ。船名が書いてある。えっと・・・オクトパス号。海賊にぴったりな名前だね。」

 

ジェームス「2人共こっちだ。」

 

タクト「ん?」

 

ジェームス「ここへ入ってくれ。」

 

オクトパス号の船首にある部屋へ連れて行く。

 

フェリ「あなた達はこっちよ。」

 

タクト「あ、おう。」

 

イザベラ「私達に何をさせるんだろう?」

 

フェリ「レオン、あなたの持ち場はここよ。」

 

船の真ん中にある部屋。

 

 

 

 

そこには、船を動かす魔道具があった。

 

レオン「へぇ〜。凄い魔道具だな。」

 

フェリ「何処へ行っちゃったんだろう・・・祖父ちゃん!お祖父ちゃん!!」

 

下から1人の老人が出て来た。

 

レオン「うわっ!!」

 

フェリ「お祖父ちゃん!ホラ!欲しがってた助手だよ!」

 

祖父「デケェ声出すな!聞こえてるわい。」

 

工具を持って下に潜って、手招きする。

 

フェリ「気を付けて。お父さんより怖いんだ。無事を祈るよ。」

 

 

 

 

下に潜って、祖父の助手をする事に。

 

祖父「狭くて手が入らねぇ・・・」

 

レオン「この元栓だな?」

 

祖父「名前は?」

 

レオン「レオン。」

 

 

 

 

他の皆の持ち場は掃除と言う雑用だった。

 

グレア「何で私達が掃除役なのぉ?」

 

レア「レア達何か雑じゃないか!?」

 

フェオン「我儘言うんじゃないわよ。暇を潰せるだけ感謝しなさいよ。」

 

アンナ「そうだよ!」

 

ティオ「見て?汚れとか結構あるよ。」

 

タクト「んじゃ、オクトパス号クリーニング作戦開始!」

 

 

 

 

船首。ジェームスが地図に線を書いてる。

 

ジェームス「殆ど真東だな?水晶石の光が指したのだ。間違いないだろうな?」

 

クラウド「うん。」

 

レイン「私達の居た塔から日の出が見えました。」

 

クラウド「今は最後の草刈りの季節だから、日の出は真東よりちょっと南へ動いてるんだ。」

 

レイン「そして光は、日の出た海の左端を指したから・・・」

 

ジェームス「いい答えだ。そっちはどうだ?」

 

部下A「うんともすんとも反応しません。」

 

ジェームス「魔力封鎖をして行方を晦ます気だな?」

 

アリーザ「お父さん!ポセイドンの方が脚が速いよ!どうするの?」

 

ジェームス「俺達は奴らから100キロ離れてるんだ。貿易風を捕まえれば・・・」

 

手に取った算盤で計算を始めた。

 

ジェームス「これはね、アールスハイドの計算器だよ。風力が10・・・と。うん。何とかなりそうだ!」

 

伝声管のチューブを伸ばした。

 

ジェームス「皆!よく聞いてくれ!ポセイドンは既にイージアへ出発した!本船はこれより追跡を開始する!風を捕まえれば明日には接触出来るはずだ!奴を最初に見付けた者には金貨100枚を出すぞ!」

 

マリン『100枚!?』

 

ジェームス「イージアがどんな島だろうが、全うな海賊を慰めてくれる財宝位あるはずだ!さぁ皆!しっかり稼ぎな!!」

 

 

 

 

この演説を聞いた娘達と部下達が一斉に働き始めた。オクトパス号の帆が開かれた。

 

 

 

 

動力室。マリン達の祖父でジェームスの父のギルバートが魔道具を操作する。

 

ギルバート「それ!!」

 

レオン「よっと!!」

 

レバーを倒し、オクトパス号のスクリューが動き始めた。

 

 

 

 

ジェームス「進路98!速力40!」

 

 

 

 

オクトパス号が加速してイージアに向かう。

 

 

 

 

船首の部屋から出たジェームスがクラウドとレインを連れて、自室に入って亡き妻の服を出した。

 

ジェームス「レイン。その格好じゃ何も出来やしないぞ。」

 

今彼女が着てる白いワンピースの代わりを漁る。

 

ジェームス「これを着な。」

 

レイン「これは?」

 

ジェームス「妻の若い頃に着た服だ。」

 

 

 

 

外では。

 

フェオン「結構綺麗になったんじゃないかしら?」

 

ヒナ「結構疲れますねぇ。」

 

ジェームス「フェオン。」

 

フェオン「ん?」

 

ジェームス「お前達、料理は得意か?」

 

フェオン「えぇ。」

 

ヒナ「そうですが。」

 

ソフィー「どうかしたんですか?」

 

ジェームス「なら話は速い。一緒に来てくれ。」

 

 

 

 

オクトパス号の2階にある部屋。

 

ジェームス「お前達の持ち場だ。」

 

その部屋へフェオン達を入れてあげた。

 

 

 

 

その部屋は台所だった。しかもかなり汚れている。

 

フェオン「うわぁ・・・何よコレ・・・」

 

ヒナ「臭いが凄いですね・・・」

 

ソフィー「うぅぅ・・・」

 

ジェームス「食事は1日3回だ。水は自由に使ってくれ。」

 

ドアを開けて出ようとしたが。

 

 

 

 

マリン達「うわああ!!」

 

覗き見してたマリン達が転んだ。

 

ジェームス「・・・」

 

マリン・フェリ「エヘヘヘヘ・・・うわああ!!」

 

すぐに逃げ出した。

 

ジェームス「この馬鹿共が!さっさと仕事しないか!!」

 

 

 

 

台所。

 

クラウド「酷いな・・・」

 

レイン「・・・皆さん、まずは掃除しましょう!」

 

やる気を出したレインが腕捲りした。

 

 

 

 

 

 

1時間後。掃除を終えたタクト達は、少し広い船尾で模擬戦をしていた。

 

タクト「ハァッ!ヤァッ!チャァッ!」

 

カサンドラ「フッ!タァッ!トウッ!」

 

グレア「2人共凄いね。」

 

レア「前より激しさを増してるな。」

 

タクト「カサンドラ、前より強くなったな。」

 

カサンドラ「光栄ですね。でもまだまだ行きますよ!」

 

 

 

 

 

 

一方フェリは、1人台所へこっそり行ってる。

 

 

 

 

台所では、フェオン達が料理を作ってる。大きな鍋に具材を入れて煮込んでる。食器や壁は綺麗サッパリ。

 

 

 

 

フェリ「フフッ♪」

 

ドアにノックする。

 

レイン「はい。」

 

ドアを開けて台所に入る。

 

レイン「あ、ごめんなさい。ご飯まだなんです。」

 

ヒナ「船の台所って私初めてなんです。」

 

クラウド「ん?あの、何か?」

 

彼の顔を見て、フェリの頬が少し赤くなってる。

 

フェリ「良い・・・」

 

クラウド「え?」

 

フェリ「あ!いやいや!暇だから、何か手伝おうかなんてね・・・」

 

クラウド「あ、ありがとう!じゃあさ、その皿を仕舞ってくれる?」

 

フェリ「ヘヘッ。お安いご・・・!?」

 

そこには既にジェームスの部下がジャガイモの皮剥きをしていた。

 

フェリ「あなた!さっきお腹痛いって・・・」

 

更に今度は。

 

マリン「私暇なんだ!何か手伝・・・あ!」

 

フェリ「姉さん!?」

 

 

 

 

しばらくして殆どの女部下達もやって来て手伝う事に。

 

マリン「退きなさいよ!」

 

部下B「狭いわねもう!」

 

部下C「何がお腹痛いよあなた!」

 

アリーザ「ヤッホー!何か手伝おうかな・・・!え!?あーっ!!」

 

フェオン「もう五月蝿いわねぇ・・・」

 

 

 

 

 

 

夕方。ジェームスがギルバートの部屋で2人でチェスをしてる。

 

ギルバート「ジェームスも変わったな。ポセイドンなんかに手を出すとはな。勝ち目はないぞ?」

 

ジェームス「ふんっ。イージアの宝だ。無理もするさ。」

 

ギルバート「ヘヘッ。確かに良い子だぞあの子達はなぁ。」

 

ジェームス「何が言いたいんだ!このクソ親父!」

 

ギルバート「カタギに肩入れしてもよ、尊敬はしてくれねえぞ。」

 

ジェームス「どう言う意味だ!」

 

ギルバート「いやほら。チェックメイトだな。」

 

ジェームス「あれ!?」

 

チェス対決はギルバートの勝ち。

 

 

 

 

 

 

台所では、皆が夕食を頬張っていた。その中にタクトの姿はない。

 

クラウド「えっと・・・おかわりあるから。」

 

部下D「ん。」

 

クラウド「はい。」

 

娘達「おかわり!おかわり!おかわり!」

 

 

 

 

 

 

その頃タクトは、別の部屋で夕日を眺めていた。

 

”コンコン”

 

タクト「ん?入ってくれ。」

 

ドアを開けたのは、フェオンだった。後ろに皆が立ってる。

 

ソフィー「タクト君。ご飯持って来たよ。」

 

タクト「あぁ。すまないな。」

 

夕飯を食べる。

 

タクト「美味い。このビーフシチュー絶品だな。」

 

ヒナ「ありがとうございます。これ、フェオンさん達と一緒に作ったんですよ?」

 

タクト「成る程。何か病み付きになるな。」

 

ティオ「ねぇタクト。」

 

タクト「ん?何だ?」

 

ティオ「あのアルニス軍って、何者なの?タクトは知ってるの?」

 

それを聞いたタクトが手を止め、ビーフシチューをテーブルの上に置いた。

 

タクト「・・・彼奴らは、正規の軍じゃないんだ。」

 

カサンドラ「正規の軍じゃない・・・?」

 

タクト「奴らは元々民間人だが、軍を持たないアルニス王国で自らをアルニス軍を創設した。」

 

全員「・・・・」

 

タクト「その軍の指揮官のパスカル将軍は、イージアを見付けて乗っ取ろうとしてる。」

 

グレア「じゃあ、彼奴らの目的って・・・」

 

タクト「イージアの新たな王として君臨する。それが奴らの目的だ。」

 

フェオン「その為にイージアを・・・」

 

タクト「そうだ。」

 

レオン「それって誰から聞いたんだ?」

 

タクト「ジェームス達と一緒にアルニス王国へ向かってる最中に透視能力でアルニス軍の要塞を全て調べたんだ。そしたらパスカル将軍の日記を発見したんだ。」

 

エミリー「お前って、本当に色々持ってるもんだな。」

 

タクト「俺にはティガの力を持ってる。生身でもある程度使えるさ。」

 

グレア「ねぇ、話が逸れるけど。海の旅って久し振りじゃない?」

 

タクト「あー確かに。島を巡ったり海底都市とか色々。」

 

レオン「え?そうなのか?」

 

タクト「ああ。その時はカサンドラとティオ、リオとデイジー、それにナージャとケイティも一緒だった。」

 

 

 

 

 

 

その夜。マリンと女部下1人が船首から周囲を監視してる。

 

 

 

 

寝室では、女部下達がベッドの上で寝ている。タクト達は下で寝ている。

 

フェリ「おい、起きなさい。」

 

タクト「・・・?」

 

フェリ「当直の時間だ。これ使いなさい。寒いわよ。」

 

コートをタクトに渡した。

 

タクト「見張りか?」

 

フェリ「えぇ。」

 

 

 

 

その話し声を聞いたクラウドとレインが起きた。2人はジェームスの部屋で寝ていた。

 

 

 

 

フェリ「いやぁ〜寒いわねぇ。あなた上よ。」

 

タクト「おう。」

 

 

 

 

 

 

オクトパス号の上の見張り台。アリーザが体をブルブル震わせていた。

 

アリーザ「うぅぅ・・・・」

 

タクト「交替だ!」

 

アリーザ「あ、ありがとう・・・」

 

 

 

 

クラウドとレインは、ジェームスの部屋から出てタクトの元へ向かう。ドアを開けた音を聞いたジェームスが起きて、ドアの方を見た。

 

 

 

 

見張り台では、タクトが周りを見張ってると。

 

タクト「・・・ん!?」

 

下を見ると、クラウドとレインが梯子を伝って登って来てる。

 

タクト「クラウド!レイン!」

 

クラウド「やぁタクト・・・」

 

レイン「ごめんなさい。来てしまいました。」

 

クラウド「わぁ〜、広いなぁ〜。」

 

大海原が周りに広がっている。

 

レイン「・・・っ・・・」

 

寒くなったのか、レインが震えてる。

 

クラウド「寒いのか?」

 

レイン「うん・・・」

 

タクト「2人共、これ使え。」

 

コートを2人に被せた。

 

タクト「眠れないのか?」

 

クラウド「うん・・・」

 

レイン「暖かい・・・」

 

タクト「2人は後ろを見張って。」

 

クラウド「うん。」

 

 

 

 

その3人の会話を、ジェームスがたまたま開いてる伝声管で聞いてる。

 

 

 

 

レイン「タクトさん・・・」

 

タクト「何?」

 

レイン「私達、怖くて眠れないんです・・・本当はイージアなんか行きたくなかった・・・ポセイドンなんか見付からなければいいのにって思ってるんです・・・」

 

タクト「じゃあ!」

 

レイン「ううん、光の指した方向は本当。でも・・・」

 

タクト「あの人形の事か?・・・残念だったな・・・」

 

レイン「はい・・・」

 

クラウド「レインがお婆さんから教わったお呪いで、あんな事が起こるなんて・・・僕達、他にも沢山お呪いを教わったんだ。物探しのお呪いや、病気を治すお呪いや、絶対に使ってはいけないお呪いだってあるんだ。」

 

タクト「使ってはいけないお呪い?」

 

クラウド「亡びの呪い。良い呪いに力を与えるには、悪い言葉も知らなければいけないって・・・でも決して使うなって。」

 

レイン「それを教わった時怖くて眠れなかったんです・・・あの石は外へ出しちゃいけないものだった・・・だから何時も暖炉の穴に隠してあって・・・結婚式にしか近付けなかたったんです・・・お母さんも、お婆さんも、お婆さんのお婆さんも皆そうして来たんです・・・あんな石早く捨ててしまえば良かったかも!!」

 

タクト「違う!水晶石のお陰で俺達は2人に逢えたんだ!」

 

クラウド・レイン「?」

 

タクト「水晶石を捨てたって、イージアが消える訳がないもの。魔法の技術が進歩してるから、何れは誰かに発見されてしまう。けど、どうしたらいいか分からないけど、本当にイージアが恐ろしい城なら、マルクスみたいな連中に渡しちゃいけないんだ。それにさ、今逃げ出したらずっと追われる事になるんだぞ。」

 

クラウド「でも僕達の為にタクトを盗賊にしたくないんだ!」

 

タクト「俺は盗賊になんかならねえよ。ジェームスだって分かってくれるさ。見掛けより良心な心を持ってんだもの。全て解決したら、きっとアウラーへ送って行ってあげる。それに見たいんだ。2人が生まれた古い家や、谷やヤク達を。」

 

クラウド「タクト・・・」

 

レイン「タクトさん・・・」

 

 

 

 

会話の一部始終を聞いたジェームスが、笑みを浮かべながら伝声管を閉めようとした時。

 

タクト『何だあれ!?』

 

ジェームス「!?」

 

 

 

 

見張り台。

 

タクト「西の方!何か来る!」

 

西の方角から、霧の中から巨大な黒い影が徐々に大きくなっていってる。

 

タクト「ポセイドンだ!!西の方角だ!!」

 

 

 

 

全員が西の方角を見る。すると霧の中から大型戦艦・ポセイドンが現れた。

 

ジェームス「面舵逃げろーーーー!!!」

 

オクトパス号がすぐに逃げ出す。ポセイドンの魔法師団がオクトパス号に向けて魔力弾を一斉発射する。オクトパス号は東へ逃げ、霧の中へ潜り込んだ。オクトパス号を見失ったポセイドンが先程の霧へ入って行く。

 

 

 

 

艦内。

 

パスカル将軍「マルクス!何故追わん!逃すと厄介だぞ!」

 

マルクス「霧の中では無駄骨です。手は打ちます。どうせ奴らは遠くへは逃げません。航海は極めて順調ですよ。」

 

霧の中へ消えたポセイドン。

 

 

 

 

 

 

霧の中へ入ったオクトパス号の船首。

 

ジェームス「予想より針路が北だったか。タクト時間がない!よく聞きな!」

 

 

 

 

見張り台。

 

ジェームス『ポセイドンに振り切られたらお陀仏だ。お前は目が良い。見張り台だけ霧から出して追跡する。』

 

タクト「どうすればいいんだ?」

 

ジェームス『その見張り台は凧と船になる。中にレバーがあるだろ?』

 

タクト「これか!」

 

ジェームス『時計回しに回すんだ。』

 

見張り台にあるレバーを時計回しに回す。

 

ジェームス『フックが出て来たら上のレバーを回せば翼が開く。』

 

上のフックのレバーを回して翼を広げる。

 

ジェームス『その後ろに少し広い見張り台があるだろ?そこにフックで連結するんだ。』

 

タクト「此奴か。」

 

フックで後ろの少し広い見張り台に連結する。

 

ジェームス『クラウドとレイン!そこに居るな?』

 

クラウド「はい!」

 

ジェームス『お前達は戻って来い。』

 

レイン「何故?」

 

ジェームス『え?・・・何故ってお前達は危険だからだよ!!』

 

レイン「あら。私達は大丈夫ですよ。それに私達、山育ちげ目が良いんですから。」

 

タクト「お前ら?」

 

クラウド「お願い。タクトもそうしろって!」

 

ジェームス『・・・アハハハハ!!上がったら伝声管は使えないぞ?それにフェオン達がまだ起きてないぞ?』

 

フェオン「あら?呼んだかしら?」

 

ジェームス『っ!?』

 

ヒナ「先程タクトさんに呼ばれて来ちゃいました。」

 

既にフェオン達が後ろの見張り台に乗ってた。

 

タクト「それにジェームス。アンタの前を見ろ。」

 

ジェームス『前?・・・ん?何だこの星?』

 

タクト「小型通信機だ。これで遠くでも連絡出来る。」

 

ジェームス『何時の間に・・・用意周到だなぁ・・・』

 

タクト「ジェームス、準備出来てるぞ。揚げてくれ。」

 

ジェームス『よし、行くぞ!』

 

2つの見張り台が上昇した。

 

 

 

 

霧を抜けて上から見張る。

 

イザベラ「居ないですね・・・」

 

エミリー「霧が濃くて見えないなぁ。」

 

ジェームス『油断するんじゃない。前に居るとは限らないぞ。』

 

タクト「あぁ。」

 

すると突風が発生した。

 

クラウド「うわっ!」

 

レイン「キャアッ!!」

 

カサンドラ「ああっ!!」

 

タクト「しっかり掴まれ!!」

 

突風はすぐに止んだ。

 

ジェームス『どうしたんだ!』

 

タクト「突風だ!大丈夫!ちょっと煽られただけだ!このまま見張りを続ける。2人共怖いか?」

 

クラウド「大丈夫。」

 

レイン「私もです。」

 

タクト「少し荒れるが、頑張ってくれ。そうだ。」

 

異空間収納から数本のロープを出した。

 

タクト「クラウド、このロープを使え。」

 

クラウド「え?」

 

タクト「それでお前とレインの腰を縛って離れずにしてくれ。」

 

クラウド「分かった。」

 

タクト「お前らも使ってくれ。」

 

レオン「あぁ。ソフィー。」

 

ソフィー「うん。カサンドラちゃんも。」

 

カサンドラ「あ、はい。」

 

エミリー「ヒナ、絶対に離れるなよ?」

 

ヒナ「離れようにも離れられませぇ〜ん。」

 

イザベラ「結んだよ。お姉ちゃん。」

 

フェオン「ありがとうイザベラ。」

 

 

 

 

 

 

オクトパス号・船首。

 

フェリ「水銀柱がどんどん下がってるよ!お父さん!」

 

ジェームス「付いてねぇな。こんな時に時化るとは。夜明けまでは?」

 

マリン「後1時間!」

 

 

 

 

 

 

1時間後。徐々に夜明けがやって来た。

 

グレア「夜明けだよ。」

 

ティオ「あれ?タクト、可笑しいよ。」

 

タクト「何が?」

 

ティオ「夜明けが横から来るなんて。」

 

タクト「そうか!俺達は東へ進んでるはずだ!ジェームス!」

 

 

 

 

 

 

ジェームス「何!?北へ向かってるだと!?」

 

マリン「コンパスは東を刺してるよ!」

 

ジェームス「風が変わったんだ。流されて針路が狂ってしまった。」

 

レイン『見てあれ!!』

 

ジェームス「どうしたんだ!ポセイドンか!?」

 

タクト『霧だ!それも巨大な塊になってる!』

 

ジェームス「霧の塊?」

 

 

 

 

 

 

凧。

 

クラウド「こっちへ近付いて来る!!」

 

彼らが見たのは、全長10キロ程ある霧の塊だった。

 

タクト「・・・海の城だ。」

 

 

 

 

 

 

ジェームス「そいつは危険かも知れない!風に船を立てるんだ!全速力だ!!飲み込まれるぞ!!」

 

 

 

 

 

 

凧。霧の塊が徐々に迫って来てる。

 

タクト「かなり近付いて来る!!」

 

ジェームス『踏ん張れ!!収容は出来ない!!』

 

 

 

 

 

 

マリン「舵が動かない!!」

 

ジェームス「何時ものの馬鹿力はどうしたんだ!」

 

ギルバート『ジェームス!!動力が燃え尽きるぞ!!』

 

ジェームス「泣き言を嘆く暇があったら何とかするんだ!ん?霧から出るぞ!」

 

 

 

 

 

 

凧。

 

ティオ「皆!海だよ!」

 

フェオン「え!?」

 

下の霧が晴れ、オクトパス号が見えた。そしてオクトパス号も巨大な霧の塊を目の当たりにした。

 

ジェームス『巨人の巣だ!』

 

タクト「巨人の巣?これが・・・」

 

巨大な霧の塊の正体、巨人の巣と呼ばれる現象だった。

 

タクト「陛下の言った通りだ。あれは幻じゃなかったんだ。」

 

ジェームス『すぐそこに風の壁があるぞ!!』

 

マリン『お父さん!ダメ!飲み込まれちゃう!』

 

ジェームス『長女が簡単に諦めてどうするんだ!』

 

タクト「ジェームス!イージアはこの中だ!」

 

ジェームス『何だと!?』

 

タクト「陛下は巨人の巣と一緒にイージアを目撃したんだ!」

 

ジェームス『馬鹿な!入った途端何があるか分からないんだぞ!』

 

レイン「お兄ちゃん!彼処!」

 

クラウド「あっ!!」

 

 

 

 

 

 

オクトパス号の後ろにポセイドンが現れた。

 

 

 

 

 

 

ジェームス「ええい!このクソ忙しい時に来やがったか!!」

 

ポセイドンの魔法師団が魔力弾を連射した。オクトパス号が徐々にダメージを負って行く。

 

タクト『ジェームス!行こう!陛下が見た光景だ!陛下は無事だった!』

 

ジェームス「よぉし!行こう巨人の巣へ!ぐあっ!!」

 

だが魔法師団の魔力弾が船首に直撃し、更に船体と上の見張り台のワイヤーが破壊された。

 

 

 

 

 

 

タクト「何!?」

 

イザベラ「キャアッ!!」

 

ワイヤーが破壊されてしまい、霧の方へ流されて行く。

 

 

 

 

 

 

ポセイドン。

 

パスカル将軍「ん?」

 

オクトパス号が爆発した。

 

パスカル将軍「おおぉ!!やったぞ!!」

 

兵士「本艦も危険です!退避します!」

 

マルクス「このまま進め。」

 

兵士「え!?」

 

マルクス「光は常に霧の渦の中心を指している。イージアは霧の中にある。聞こえないのか?このまま進むんだ。必ず入り口がある。」

 

 

 

 

 

 

流されたタクト達は巨人の巣へ。

 

フェオン「このままじゃ私達バラバラになっちゃうわよ!!」

 

タクト「こうなれば!!」

 

スパークレンスを掲げて光を解放し、ウルトラマンティガへ変身して飛翔した。そして凧のワイヤーを掴んで飛行する。

 

ティガ「皆突っ込むぞ!!」

 

グレア「うん!!」

 

クラウド「皆掴まって!!」

 

レオン「おう!!」

 

そのまま巨人の巣へ入り込んだ。

 

 

 

 

 

 

巨人の巣では、霧にも関わらず、雷や雨などの気象が多発していた。ティガは凧を引っ張ってその気象を突っ切る。だが目の前に雷が直撃した。

 

ティガ「アアッ!!」

 

しかし諦めず突き進む。

 

ティガ「ッ!!」

 

進んでいくと、目の前に小さな光が見えた。

 

ティガ「出口だ!!」

 

その光へ直行する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巨人の巣を抜けると、青い空と雲が広がっていた。

 

ティガ「ここは・・・ん?」

 

下を見ると、浜辺があった。

 

ティガ「よし、着地する。」

 

ゆっくりと浜辺へ着地し、光となってタクトに戻った。

 

タクト「何とか抜け出したな。っ!皆は!」

 

フェオン「タクト。」

 

皆は無事なようだ。

 

タクト「良かった。落とされずに済んだな。」

 

イザベラ「はい。」

 

ソフィー「でも、何も見えないよ・・・」

 

カサンドラ「ここは一体・・・何でしょうか?」

 

すると徐々に霧が晴れ、この場所の全貌が見えた。

 

タクト「これは・・・まさか・・・」

 

レイン「本当に・・・」

 

クラウド「これが・・・」

 

全員がその全貌に驚愕した。それは・・・

 

 

 

 

 

 

巨大な城の全貌が見えたからだった。

 

 

 

 

 

 

タクト「・・・ここが・・・イージア・・・」

 

クラウド「本当にあったんだ・・・イージア・・・」

 

『To Be Continued・・・』




次回予告

巨人の巣を抜け出し、遂に伝説の城・イージアを見付けたタクト達。そこには多くの秘密が残されていた。そして、裏で蠢く騒動が・・・

STAGE8・イージア

お楽しみに


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STAGE8「イージア」

巨人の巣の果てにあったのは、伝説の城・イージアだった。そのイージアに、タクト達が辿り着いた。

 

タクト「・・・」

 

フェオン「ここが・・・イージア・・・」

 

クラウド・レイン「・・・やったーーー!!」

 

突然クラウドとレインが喜びを上げた。

 

レオン「ど、どうしたんだ!?」

 

グレア「・・・物凄く喜んでるねぇ。」

 

ティオ「物静かなあの2人があんなに喜ぶなんて・・・」

 

タクト「・・・ん?」

 

”ゴォンゴォン”

 

謎の音が聞こえた。その正体は、アルニス軍の要塞に水晶石の聖なる光で蘇った人形と同じ人形が歩いてる音だった。

 

タクト「2人の出迎えか?」

 

レイン「でも私、水晶石持ってません・・・」

 

タクト「皆ジッとしてろ。ロープを斬る。」

 

ハンドスラッシュでロープを斬ってあげた。人形がフェオン達が乗った凧の前に立ち、それを持ち上げようとした。

 

エミリー「何をするんだ!」

 

レイン「待って。お願い、それを壊さないで!それがないと帰れなくなるの!」

 

人形は両目を赤く光らせて、凧を持ち上げた。その下にあったのは・・・

 

 

 

 

 

 

ウミガメの卵だった。

 

 

 

 

 

 

イザベラ「ウミガメの卵!」

 

フェオン「この為に?」

 

カサンドラ「良かったぁ。卵が割れてなくて。」

 

ソフィー「人を怖がらないね。」

 

すると人形は、タクト達に顔を向けて両目を赤く光らせてその場を歩いて去る。

 

クラウド「おいでって。」

 

レオン「言葉分かるの!?」

 

クラウド「そんな気がするだけ!」

 

彼らはその人形に付いて行く事にした。

 

 

 

 

しばらく進むと、庭園のような場所に入った。

 

タクト「ん?おぉ!」

 

湖を覗くと、街のような光景が広がっていた。

 

タクト「街だぁ!海底都市みたいだ・・・」

 

レイン「ん?」

 

人形はドーム状の建物へ歩いて行ってる。

 

 

 

 

ドーム状の建物の前。人形が奥へ歩いて行ってる。タクトが先導し、他の皆がタクトに付いて行く。その建物の中は、沢山の植物や昆虫が複数あった。

 

タクト「建物の中のはずなのに・・・」

 

ソフィー「ん?皆!上を見て!」

 

タクト「上?」

 

上を見ると、ドーム状の建物から青空が見えていた。外からでが、レンガで建てられている為中が見れない。

 

タクト「立派な街だったんだな。技術も進歩していたのに何故・・・?」

 

建物の奥へ進んで行く。

 

 

 

 

 

 

しばらく進んで、建物の中心に着いた。

 

タクト「っ!!」

 

そこにあったのは、50メートル程ある大樹だった。

 

レイン「・・・・」

 

ティオ「立派な大樹だね・・・」

 

グレア「大樹に何かあるよ?」

 

大樹にあったのは、巨大な鋼の石板だった。

 

ヒナ「お墓ですね。彫ってある字が読めるといいんですけど・・・」

 

タクト「・・・」

 

両目を光らせて墓の文字を読む。

 

フェオン「何て書いてあるの?」

 

タクト「・・・どうやらこの墓は、疫病で亡くなったイージア人の墓だ。」

 

アンナ「疫病?」

 

タクト「あの墓を読む限りだと、水を使った魔道具で豊かな生活を手に入れたけど、謎の疫病を克服出来なかったらしい。それを、さっきの人形と同じ人形達が造ったんだ。」

 

レイン「・・・ん?花が供えてある。」

 

下に埋め込まれた石板の上に花が供えてあった。

 

レイン「あなたがしてくれたんですか?」

 

そこに居た人形に話し掛けたが、反応がなかった。

 

レイン「っ!お兄ちゃん!」

 

クラウド「さっきの人形じゃない!」

 

この人形は、大昔に壊れて苔と花が生えている。

 

タクト「ずっと昔に壊れてたのか・・・ん?」

 

壊れた人形の後ろには、大樹に侵食された複数の人形があった。

 

タクト「きっと園丁の人形だったんだろう。人が居なくなってからも、ずっとここを護っていたんだな。」

 

イザベラ「勇敢な方達だったんですね・・・」

 

レイン「っ!」

 

遠くから、先程の人形がやって来た。その人形の手には、墓に供えられてあった同じ花があった。その花を、レインに優しく差し出した。

 

レイン「お墓に供える花を摘んで来てくれたんですね・・・」

 

その花を手に取った。

 

レイン「ありがとう・・・」

 

受け取った花を、墓に供えてあげた。

 

ティオ「ーーーーーーー。」

 

その墓にティオが詠唱を唱えて供養してあげた。

 

レア「お前、1人ぼっちなのか?ここにはもう他の人形は居ないのか?」

 

するとそこに、4匹のリスがやって来た。

 

フェオン「うわっ!リスだ!」

 

タクト「おっと!」

 

そのリスはタクト達を走り回り、レインの方に登って頬をスリスリした。

 

レイン「可愛い・・・」

 

彼女の頬をスリスリしたリスは、人形の肩に乗った。人形はタクト達に顔を向けて両目を光らせた。

 

レイン「僕には大切な仲間居るって言ってます。」

 

そして人形は、墓を去って行った。

 

タクト「あの様子だと寂しくないみたいだな。友達と仲良くしてるし、ウミガメの卵を見守ったりしなきゃならないから退屈もしないな。」

 

クラウド「うん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし。

 

”ドゴーーーーーン!!!”

 

突然城が揺れ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

急いで墓から外へ出た。多くの鳥達がその振動で驚いて飛び回ってる。

 

”ドゴーーーーーン!!!”

 

タクト「こっちだ!!」

 

振動の発生源の元へ走る。その発生源は、城の裏にあった。

 

タクト「裏側が崩れてやがった!」

 

 

 

 

城の裏は船着場になっていた。そこにポセイドンが停泊し、乗船してた兵士達が一斉に降りた。その近くには、破壊されたオクトパス号があった。

 

 

 

 

塔の上からその状況を見ている。

 

タクト「オクトパス号が大破されてる。」

 

レオン「彼奴らが城を壊してるのか。」

 

クラウド「ジェームスさん達大丈夫かな?」

 

タクト「・・・ん?おい皆!彼処見ろ!」

 

レイン「あ!皆捕まってる!」

 

 

 

 

ジェームス盗賊団は拘束されていた。

 

 

 

 

タクト「盗賊団はすぐ処刑されてしまう!」

 

フェオン「助けなきゃ!」

 

タクト「行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

船着場。1人の士官が駆け込んだ。

 

士官「街への突入口が開きました!」

 

パスカル将軍「ご苦労。」

 

士官「ご覧下さい!中は宝の山です!」

 

彼が持っていたのは、ルビーで出来た肩掛け。

 

パスカル将軍「な、なん・・・!」

 

その宝にパスカル将軍が言葉を失った。

 

フェリ「凄い・・・!」

 

パスカル将軍「どうだ!欲しいか?お前らにはたっぷり縄をくれてやるわい!本国にイージア発見の報告をしたか?」

 

マルクス「これからです。」

 

パスカル将軍「精々難しい暗号を組むんだな。こらーーー!ネコババするなーーー!!」

 

宝をネコババしようとする兵士達を落ち着かせようと走った。

 

マルクス「・・・馬鹿共には丁度良い目眩ましだ。」

 

 

 

 

 

 

その上では、タクト達が階段の上から下を覗いてる。

 

レイン「凄い樹の根・・・」

 

タクト「ちょっと複雑な樹だな。」

 

試しにタクトが樹の根に乗った。

 

タクト「行けそうだ。」

 

そのまま樹の根を伝って下へ行く。

 

 

 

 

下へ果てしなく生えてる樹の根。途中で止まって、大きな窓から中を覗いた。

 

 

 

 

そこでは、兵士達によって荒らされていた。そこでは、兵士達が綺麗に遺されてる宝や宝石などを集めていた。ここは宝物庫らしい。

 

 

 

 

タクト「酷い事しやがるぜ。先祖達の宝を荒らしやがって。」

 

レイン「あの人達が上の庭へ行ったら・・・」

 

クラウド「動物や植物達が焼かれてしまう・・・」

 

レア「それだと大惨事になりかねないぞ・・・」

 

グレア「ねぇ、これからどうする?」

 

タクト「・・・クラウド、レイン。水晶石を取り戻そう。」

 

クラウド・レイン「え?」

 

タクト「ここを奴等から守るにはそれしかないんだ。どうして霧が晴れたのか気になってたんだ。こんな風に晴れてなければ、彼奴ら上陸出来なかったはずなんだ。」

 

レイン「私のお呪いのせい・・・」

 

タクト「マルクスが言ってた。封印が解けたって、これの事だ。きっと。もうこの城は永き眠りから目覚めたんだ。嵐に乗って水晶石を持つ者を迎えに来たんだ。このままだとマルクスが大王になってしまう。略奪や殺戮より更に酷い事が懸念されてしまう。」

 

クラウド「でも、水晶石を取り戻したって、僕達どうすれば・・・あ!あの言葉が・・・」

 

タクト「あの言葉って・・・亡びの!?まさかお前・・・ッ!!」

 

 

 

 

近くに2人の兵士が出て来て、周辺を警戒している。タクト達は2人の兵士の真下に居た。

 

 

 

 

タクト「ここから二手に分かれよう。俺はクラウドとレインを連れて行く。フェオン達は?」

 

グレア「私もタクトと一緒に行くわ。」

 

ティオ「僕も行くよ。精霊の力も少しは借りなきゃ。」

 

フェオン「じゃあ、これで決まりね。私達は裏から行くわ。後で合流ね。」

 

タクト「分かった。」

 

ここから二手に分かれた。

 

 

 

 

しばらく進んだタクト達が、ポセイドンの近くにまで来た。

 

タクト「さて、近くまで来たが・・・ここからどうすれば・・・」

 

グレア「ねぇタクト、彼処から行けない?」

 

タクト「何処だ?」

 

船着場の近くに壊れた橋に繋がった柱があった。

 

タクト「何とか回れそうだ。」

 

 

 

 

その柱に繋がる壊れた橋の前まで着いた。

 

ティオ「・・・彼処から上へ登れば行けそうだけど・・・」

 

クラウド「下は渦潮が起きてるな・・・」

 

グレア「飛べば楽だけど、彼奴ら魔力感知の魔道具を持ってるから無理だね。」

 

タクト「自力で行くしかないな。先に飛ぶぞ。」

 

レイン「はい。」

 

タクト「グレア、ティオ、来い。」

 

グレア・ティオ「うん。」

 

助走を付けてジャンプで飛び移った。

 

 

 

 

タクト「おわっ!!」

 

橋の上に乗ったがすぐに崩れた。

 

タクト「危ねえ!!」

 

 

 

 

レイン「っ!!!」

 

 

 

 

タクト「脆すぎるぞこの橋・・・!!」

 

そのまま柱を登って行く。

 

 

 

 

クラウド「タクト・・・!!」

 

 

 

 

マルクス「この辺りだ。」

 

 

 

 

クラウド・レイン「っ!!」

 

後ろにマルクスの声が聞こえ、2人が壁に隠れた。

 

 

 

 

グレア(タクト、マルクス達だよ。)

 

タクト(何だと?・・・音を立てずに登るか・・・)

 

ゆっくりと、音を立てずに登る。

 

 

 

 

マルクス「ん?これだ。」

 

黒い壁に埋め込まれた紋章に水晶石を翳すと、水晶石と紋章が光って通路が現れた。

 

部下達「おぉ!」

 

 

 

 

クラウド(何だあの通路?)

 

”ゴゴゴゴゴゴ!!”

 

レイン(っ!!)

 

 

 

 

部下達「なっ!?」

 

 

 

 

タクト「しまった!!」

 

音の正体は柱が崩れる音だった。タクトが壁の穴に潜り込んだ。

 

 

 

 

部下A「あの小僧だ!!」

 

杖から魔力弾を放った。

 

 

 

 

グレア「危ない!!」

 

魔力障壁で魔力弾を防いだ。

 

 

 

 

クラウド「くっ!!」

 

レイン「えいっ!!」

 

部下A「ぐあああ!!」

 

咄嗟の判断で飛び出した2人が、杖を持ったマルクスの部下に体当たりした。

 

 

 

 

ティオ「しまった!!」

 

 

 

 

クラウド「逃げるぞ!!」

 

レイン「うん!!」

 

すぐに逃げ出した。

 

マルクス「撃つな!捕えろ!!」

 

だがすぐにマルクスに腕を掴まれてしまった。

 

クラウド「ああっ!!」

 

マルクス「これはこれは王子様と姫様ではないか。」

 

 

 

 

タクト「クラウド!!レイン!!ちくしょう・・・!!」

 

 

 

 

兵士A「長官!!何事ですか!!」

 

上の兵士達がマルクスに叫んだ。

 

 

 

 

マルクス「海賊の残りだ。もう1匹その足元に隠れているぞ。」

 

 

 

 

兵士A「はっ!捜せ!!」

 

 

 

 

クラウドとレインがマルクスの部下達に引っ張られた。

 

 

 

 

タクト「クラウド!!レイン!!待ってろ!!」

 

 

 

 

クラウド「タクトーーー!!!」

 

通路へ入ったと同時に通路の入り口が消えた。

 

 

 

 

タクト「なっ!!」

 

ティオ「タクト隠れて!!」

 

 

 

 

上から魔法師団がタクトに魔力弾を連射した。

 

兵士A「爆弾を持って来い!!」

 

 

 

 

フェリ「タクト達かな?」

 

 

 

 

1人の魔法使いが、タクトの隠れてる穴に向けて爆弾を投げて爆発させた。

 

 

 

 

それと同時に。

 

”ボスン!!”

 

突然ジェームスの下から煙が溢れ出た。

 

フェリ「ん?何?」

 

マリン「え?お父さんまさか・・・」

 

ジェームス「勘違いすんじゃねえ!!・・・ん?」

 

下を見ると、レンガが外れた。

 

ジェームス「何だ?」

 

 

 

 

一方ポセイドンでは、兵士達がパニックを起こしていた。

 

調査兵「将軍閣下は彼方です!」

 

士官「衛兵集まれ!!急げ!!」

 

周囲の兵士達全員を集合させた。

 

アリーザ「どうしたんだろう?」

 

フェリ「ん?あれ?」

 

ジェームスの下のレンガがまた外れ、そこからタクトが顔を出した。

 

タクト「ジェームス。クラウドとレインが攫われた。」

 

ジェームス「何だと?」

 

タクト「俺達が助けに行く。縄を切るからそこから逃げるんだ。ティオ、頼む。」

 

ティオ「任せて。」

 

風の魔法でジェームス達を縛ってる縄を切ってあげた。

 

タクト「上手く逃げろよ。」

 

ジェームス「タクト、ちょっと待て。」

 

周囲を見てから、穴に右足を入れて、ズボンの丈を捲った。

 

ジェームス「持って行け。役に立つかも知れない。」

 

そこから出たのは、隠し持っていた小さな真珠だった。

 

タクト「ありがとう。行くぞ。」

 

グレア「うん。」

 

3人は穴の奥へ進んで行く。

 

ジェームス「フッ。有能な部下を持ったもんだな。」

 

満足な顔でそう言った。

 

 

 

 

 

 

宝物庫では。

 

パスカル将軍「何だと!?マルクスが信号機を全部ぶっ壊しただと!?」

 

調査兵「はい!艦内が手薄になった隙を突かれました!当直の兵士、数名が重傷です!」

 

士官A「長官は、下部の黒い壁の中です。兵が目撃しました。」

 

パスカル将軍「青二才め、本性を現しおったな?兵を集めろ!スパイ狩りだ!」

 

士官A「小隊集まれ!!」

 

士官B「こら!早くしろ!」

 

兵士達を集結させ、マルクスの捜索に当たった。

 

士官A「抵抗する場合は殺害して構わん!!」

 

士官B「入り口を探せ!!」

 

 

 

 

 

 

近くに隠れて聞いていたタクトとグレアとティオが居た。

 

タクト「早く皆と合流しなきゃな。」

 

ティオ「タクト、気になった事があるんだけど。」

 

タクト「何だ?」

 

ティオ「この城って、何で下部分だけ壁が黒いの?」

 

タクト「確かに。それも全部黒曜石で出来てるようだ。何かを封印してるようにも見える。」

 

グレア「何か秘密があるかも知れない。黒い壁に沿って行ってみようよ。」

 

タクト「そうだな。途中で皆と合流出来るかも。」

 

『To Be Continued・・・』




次回予告

イージアの下部の黒い壁に閉じ込められたクラウドとレインを助ける為、入り口を探すタクト達。同じくして、黒い壁に閉じ込められたクラウドとレインが目にした光景とは・・・

STAGE9・王の君臨

お楽しみに


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STAGE9「王の君臨」

黒い壁に閉じ込められたクラウドとレインは、マルクスと部下達と一緒に立方体に乗って降りてる最中に、不思議な光景を目にした。それは、巨大な空間の中心に浮かぶ複数の巨大な立方体だった。

 

部下A「長官、ここは一体・・・」

 

マルクス「イージアの中枢だ。上の城などガラクタに過ぎん。イージアの技術は、全てここに結晶しているのだ。」

 

 

 

 

しばらく降りていると停まり、別の通路が開いた。

 

マルクス「お前達はここで待て。」

 

部下A「長官!」

 

部下B「長官!」

 

2人の部下を残し、マルクスはクラウドとレインを連れて通路の中へ入って行った。通路はすぐに閉ざされた。

 

 

 

 

通路の中。

 

マルクス「ここから先は、王族しか入れない聖域なのだ。」

 

 

 

 

しばらく進んで通路が開いた。そこは。

 

マルクス「何だこれは!?」

 

樹の根が無数に生えてる場所だった。

 

マルクス「樹の根がこんな所まで・・・」

 

メモ帳を見て確かめる。

 

マルクス「一段落したら、全て焼き払ってやる。来たまえ。こっちだ。」

 

 

 

 

奥へと進んで行く。

 

マルクス「あれか!」

 

途中で壁を見付けて走った。その壁は、無数の樹の根で覆われていた。マルクスはその根を両手で払う。

 

マルクス「クソッ!!・・・あった!これだ!」

 

壁に彫られてる紋章に水晶石を翳すと、紋章が光って壁が開いた。

 

クラウド・レイン「・・・!!」

 

 

 

 

壁の先にあったのは、草木で生い茂った大部屋だった。その真ん中に樹の根で覆われた球状の塊があった。

 

マルクス「ここもか!・・・あっ!!」

 

下を見ると、浅い水が広がっていた。

 

マルクス「クソッ!!」

 

草木を払いながら奥へ走り、球状の塊の樹の根を払う。その塊の中にあったのは。

 

マルクス「あった!!おお・・・!!」

 

巨大な菱形の青い宝石だった。

 

マルクス「見たまえ!この巨大な水晶石を!これこそ、イージアの力の根源なのだ!素晴らしい・・・400年もの間・・・王の還りを待っていたのだ!」

 

レイン「400年・・・?」

 

マルクス「君達の一族は、そんな事も忘れてしまったのかね?」

 

彼は巨大な水晶石の横へ走って行く。そこにあったのは、黒い石板だった。

 

マルクス「黒い石板だ・・・!」

 

メモ帳を開く。

 

マルクス「伝承の通りだ・・・!」

 

そのメモ帳を比較しながら、黒い石板に彫られてる文字を読む。

 

マルクス「はっ!あっ!え!?・・・読める・・・読めるぞ!!」

 

彫られてる文字が突然読めるようになった。

 

クラウド「マルクス・・・お前は一体何なんだ!?」

 

マルクス「私も古い秘密の名前を持っているんだよ。クラウド。レイン。私の名はマルクス=オットー=イージアだ。」

 

クラウド・レイン「え!?」

 

何と彼もイージア一族の者だった。

 

マルクス「君達の一族と私の一族は、元々1つの王家だったんだ。だが大陸世界へ行った時に2つに分かれたがね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして外では。

 

”ドゴーーーーーン!!!”

 

謎の爆発が起こっていた。

 

タクト「何だ!?」

 

ティオ「黒い壁が爆発したみたいだ。」

 

 

 

 

その爆発は、近くに居た兵士達も目撃していた。

 

士官「ヒビ1つも入ってないぞ。ただの石じゃないな。」

 

パスカル将軍「爆薬をありったけ仕掛けろ!!」

 

マルクス『将軍。そんな事をせずとも入れますよ。』

 

突然マルクスの声が響き渡った。

 

パスカル将軍「なっ!?マルクス!!何処に居る!!」

 

 

 

 

その声はフェオン達にも。

 

フェオン「誰の声かしら?」

 

ソフィー「もしかしたら、マルクスかも。」

 

カサンドラ「でも姿が見えません。」

 

 

 

 

彼は今、石板に彫られてる文字に水晶石を翳していた。石板の文字は赤く光っている。

 

 

 

 

中枢では、無数の巨大な立方体が動き始めていた。

 

部下達「うわあーー!!」

 

自力で登っていた部下達が振り落とされた。

 

 

 

 

 

 

外では、地震が起きていた。

 

”ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!”

 

タクト「地震か!?」

 

グレア「何かヤバくない・・・!?」

 

すると上から瓦礫が降って来た。

 

ティオ「2人共!!逃げないと!!」

 

すぐに走り出し、空洞へ飛び込んだ。

 

タクト「ふぅ・・・危ねぇ・・・ん?」

 

すると今度は、黒い壁から7つの柱が出現した。

 

タクト「柱・・・?」

 

 

 

 

裏側では。

 

レオン「何だあれ・・・?」

 

イザベラ「柱・・・?」

 

ヒナ「嫌な予感がします・・・」

 

 

 

 

 

 

一方、パスカル将軍は固まっていた。黒い壁が大きな通路が出現していたからだった。

 

パスカル将軍「・・・・!?」

 

マルクス『さぁ!何を躊躇うのです?中へお進み下さい将軍。』

 

パスカル将軍「ええい!来い!パスカルに続け!!」

 

 

 

 

 

 

タクト「ん?」

 

下の方で異変が起きていた。突然イージアが発生した魔力障壁が開き、周囲の海が押し返された。黒い壁の全貌は、球体になっていた。

 

タクト「これは・・・」

 

そして、城の黒い球体の下に謎の空間が出現した。

 

タクト「何だあれ?」

 

フェオン「タクト!!」

 

タクト「皆!」

 

そこでフェオン達と合流した。

 

フェオン「タクト、これは一体・・・」

 

タクト「分からない。あの空間も何なのかも。」

 

グレア「それより皆見てあれ。」

 

カサンドラ「どうしたんですか?」

 

グレア「あの空間の下の海。」

 

 

 

 

謎の空間の下の海には、無数のサメの魔物があった。

 

 

 

 

グレア「何かヤバくない?あれ・・・」

 

エミリー「行ってみる必要がありそうだな。」

 

タクト「よし、皆。浮遊するんだ。」

 

彼らはウルトラ念力と首飾りで浮遊した。

 

 

 

 

 

 

謎の空間。

 

パスカル将軍「続けーーー!!」

 

そこに突入したアルニス軍。

 

パスカル将軍「な、な、何だここは?マルクス!出て来い!」

 

マルクス『お静かに。』

 

すると空間の天井から、クラウドとレイン、そしてマルクスの幻が舞い降りた。

 

パスカル将軍「な、何の真似だ!?」

 

マルクス『言葉を慎みたまえ。君はイージア王の前に居るのだ。』

 

パスカル将軍「貴様正気か!?」

 

マルクス『これから王国の復活を祝って、諸君にイージアの力を見せてやろうと思ってね。』

 

 

 

 

 

 

イザベラ「あ!クラウドさん!レインさん!」

 

タクト「何!?」

 

 

 

 

 

 

マルクス『見せてあげよう。イージアの雷を。』

 

石板の文字を光らせた。

 

 

 

 

 

 

レオン「クラウド!レイン!今行くぞ!」

 

タクト「っ!レオン!止まれ!!」

 

レオン「え?」

 

黒い球体の柱から赤色の電撃が走った。

 

レオン「うわっ!!」

 

 

 

 

 

 

兵士達「うわあーっ!!」

 

赤色の電撃が1つに集まって西の空に向けて発射した。すると西の空に黒雲が発生し、巨大な雷が発生した。その雷は、海の上に火を発生させた。

 

 

 

 

 

 

フェオン「何なのよあれ・・・!?」

 

タクト「海が・・・燃えてる・・・」

 

 

 

 

 

 

マルクス『嘗て400年前、大陸世界を火の海に陥れた海の怒りだよ。イース神聖国ではソロモンの矢とも伝えているがね。全世界は再びイージアの元に平伏す事になるだろう。』

 

パスカル将軍「素晴らしいマルクス君!君は英雄だ!大変の功績だ!」

 

そこに居た魔法師団が魔力弾を連射。しかし、幻である為効果が無かった。

 

パスカル将軍「あ、あれ・・・?」

 

マルクス『君のアホ面には心底うんざりさせられる。』

 

クラウド・レイン『っ!!』

 

石板に触れようとした所を、レインが顔でマルクスの手を踏んだ。

 

マルクス『ああっ!!』

 

クラウド『だぁっ!!』

 

マルクス『ぐあっ!!』

 

そこにクラウドがマルクスに体当たりした。

 

クラウド『皆逃げろ!!死ぬぞ!!』

 

マルクス『邪魔だ!!』

 

クラウド『ぐあっ!!』

 

レイン『きゃあっ!!』

 

2人を払い退けた彼が、最悪の文字を光らせた。

 

マルクス『死ねぇーーー!!!』

 

そして・・・

 

パスカル将軍「ああああーーーーーー!!!!」

 

足元が消え、パスカル将軍と兵士達が海へ転落した。更に海に落ちた直後にサメの魔物に喰い殺された。

 

 

 

 

 

 

タクト「クッ・・・!!」

 

イザベラ「うぅぅ・・・」

 

アンナ「っ・・・」

 

その一部始終を見てたタクトが怒り、イザベラとヒナとアンナとソフィーが顔を隠した。

 

 

 

 

 

 

マルクス『ハハハハハ!!』

 

 

 

 

 

 

そして通路の方では、あの空間から逃げた兵士達が走っていた。そして壁から人形が出現した。その人形は蜘蛛のように走り出して、逃げる兵士達を追う。

 

 

 

 

ジェームス「あの化け物共だ!!」

 

フェリ「いっぱい居るよ・・・!」

 

ジェームス「皆逃げるぞ!!」

 

フェリ「は、はい!!」

 

すぐに大破したオクトパス号へ逃げ込んだ。

 

 

 

 

兵士達は、停泊してるポセイドンへ次々と乗り込んだ。

 

 

 

 

オクトパス号・船尾。

 

ジェームス「ドルフィンを調べろ!」

 

小型船のドルフィンを調べる。

 

マリン「お父さん!動けるよ!」

 

フェリ「早く逃げようよ!」

 

ジェームス「静かに!声を立てるとバレるぞ。」

 

 

 

 

ポセイドンでは、生き残った兵士達全員が乗り込み出航した。

 

 

 

 

オクトパス号・船尾。

 

ジェームス「何をグズグズしてるんだ。あの子達は。置いて行っちまうぞ。」

 

 

 

 

 

 

大部屋。

 

マルクス「私をあまり怒らせない方が良いぞ。」

 

クラウド「ああっ!!」

 

マルクスに殴られ、地面に倒れた。

 

レイン「お兄ちゃん!!」

 

マルクス「当分3人でここに住むのだからな。」

 

石板の文字を光らせ、ポセイドンの状況を映した。

 

マルクス「ハハッ。さっさと逃げればいいものを。」

 

ポセイドンから魔法師団の魔力弾が連射された。

 

マルクス「ハハハハハ!私と戦うつもりか!」

 

後ろでは、クラウドがレインを縛ってる縄を齧って切ろうとしてる。

 

 

 

 

 

 

外では、ポセイドンがイージアの黒い球体に魔力弾を連射して撃ち込んでる。だが傷すら付かない。

 

 

 

 

 

 

その球体には。

 

タクト「クソッ!!」

 

ソフィー「きゃあっ!!」

 

タクト達が魔力弾の弾幕を避けるのに精一杯だった。

 

レオン「彼奴ら、無茶苦茶過ぎるぞ!!」

 

フェオン「早くここから逃げないと!!」

 

すると1つの魔力弾が球体を直撃した。

 

イザベラ「キャアーーッ!!!」

 

フェオン「イザベラ!!」

 

魔力弾の爆風を受けたイザベラが、先程の空間の外側にある穴に放り込まれた。

 

フェオン「イザベラ!大丈夫!?」

 

イザベラ「う、うん・・・」

 

ヒナ「イザベラさん。」

 

すぐにイザベラの傷を治した。

 

レオン「何だこの穴?」

 

カサンドラ「ん?上に何かあります!」

 

ティオ「あれって・・・!!」

 

その穴の上にあったのは・・・

 

 

 

 

 

 

樹の根で縛られた別タイプの人形だった。

 

 

 

 

 

 

タクト「人形だ!」

 

すると人形の目が光り、落下した。

 

タクト「なっ!!避けろ!!」

 

カサンドラ「うわあ!!」

 

全員が飛んで避けた。この穴は他に3つあり、計4つ。その4つの穴から無数の人形が海に落下して行く。

 

 

 

 

海に落ちた人形は、サメの形に変貌してポセイドンを襲う。

 

 

 

 

グレア「あの艦・・・墜ちる運命になるわ・・・」

 

タクト「ん?」

 

穴の上を見る。

 

タクト「中へ入れそうだ。」

 

レオン「本当か?」

 

タクト「こっからが正念場だ。」

 

スパークレンスを掲げて光を解放し、ウルトラマンティガへ変身した。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

先導するティガを、フェオン達が後に付いて行く。

 

 

 

 

 

 

辿り着いた場所は、工房と思われる場所だった。

 

レオン「人形の工房・・・?」

 

ヒナ「ここであの人形達を製造してたみたいですね・・・」

 

周囲には、開発中の人形が複数あった。

 

ティオ「皆、ここで作られたんだね。」

 

ソフィー「兎に角、先へ急ごう。」

 

工房の入り口は、瓦礫で防がれていた。

 

ティガ「ハァッ!」

 

パワータイプにタイプチェンジし、ティガ・電撃パンチで瓦礫を粉砕した。

 

ティガ「クラウド・・・レイン・・・!」

 

『To Be Continued・・・』




次回予告

クラウドとレインを救うべく、黒い球体に潜り込んだティガ達。そして遂に、王として君臨したマルクスとの最終決戦が始まる。果たしてイージアの運命は・・・

LAST STAGE・存亡の戦い

お楽しみに


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LAST STAGE「存亡の戦い」

イージアの球体と戦うポセイドンだが、サメに変貌した人形達によって堕ちてしまった。

 

クラウド「あ・・・!!」

 

爆煙を上げ、徐々に沈没していく。

 

マルクス「素晴らしい!最高のショーだと思わんかね?おぉ!」

 

ポセイドンが海に沈没した。

 

マルクス「ハハッ!見ろ!人が家畜のようだ!ハハハ!!」

 

クラウド「マルクス!!」

 

ロープが解かれ、クラウドがマルクスに飛び込んだ。

 

マルクス「何をする!!」

 

クラウド「ぐあっ!!」

 

殴り飛ばされたが、水晶石の奪取に成功してレインと共に逃げ出す。

 

マルクス「クソッ!」

 

水晶石が奪われ、ポセイドンの映像が消滅した。

 

 

 

 

先程の入り口へ逃げようとしたが、閉ざされてしまってる。

 

マルクス「返したまえ!良い子だから!さぁ!」

 

クラウド「頼む!開いてくれ!」

 

その声が届いたように、壁が開いた。

 

レイン「開いた!」

 

クラウド「早く!」

 

早く逃げ出し、マルクスが早歩きで追う。

 

 

 

 

球体の通路。

 

マルクス「ハハハ!何処へ行こうと言うんだ?」

 

クラウド「しつこい奴だ!レイン!絶対に離れるな!」

 

レイン「うん!お兄ちゃん!」

 

 

 

 

 

 

工房を出たティガ達は、潜伏していた蜘蛛歩きする人形と出会していた。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

だが、デラシウム光流で粉砕された。

 

フェオン「早く急ごう!」

 

捜してる最中、ジェームスから受け取った真珠が光った。

 

グレア「これ・・・」

 

レア「光ってるぞ?」

 

ティオ「そうか、これは2人の場所を教えてるんだ!」

 

カサンドラ「急ぎましょう!」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、2人はマルクスから逃走してる。

 

マルクス「ハハハハハ!」

 

 

 

 

レイン「何で振り切れないの・・・?」

 

クラウド「とんでもない男だ・・・!」

 

 

 

 

ティガ「クラウドーーーーー!!」

 

ソフィー「レインさーーーん!!」

 

 

 

 

レイン「この声!」

 

クラウド「タクトとソフィー!?」

 

 

 

 

ティガ「クラウドーーーーー!!」

 

ソフィー「レインさーーーん!!」

 

 

 

 

クラウド「僕達はここだ!!何処に居るんだ!!」

 

ティガ「そこか!!」

 

クラウド「あっ!!」

 

ティガ「クラウド!レイン!」

 

壁の向こうにティガが立っていた。

 

クラウド「タクト!!」

 

ティガ「クラウド!今行く!・・・下がってろ!道を開ける!」

 

クラウド「時間がない!これを頼む!マルクスが来る!」

 

 

 

 

遠くからマルクスが走って来る。

 

 

 

 

クラウド「海に捨ててくれ!」

 

ティガ「ッ!」

 

投げた水晶石をティガがキャッチした。

 

クラウド「あっ!!」

 

ティガ「クラウド!レイン!」

 

壁から杖が出て来て、ティガに魔力弾を放った。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

だが間一髪ウルトラシールドで防いだ。

 

ティガ「マルクス!!」

 

マルクス「その石を大事に持ってろ!双子の命と引き換えだ!」

 

彼はクラウドとレインを再び追跡する。

 

ティガ「ソフィー、頼む。」

 

ソフィー「うん!」

 

水晶石をソフィーに預けた。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

マルチタイプに戻り、マルチ・スペシウム光線で壁を破壊して道を作った。

 

フェオン「彼奴、2人を殺す気だわ!」

 

エミリー「早くしないと2人が危ない!」

 

ヒナ「こっちです!早く!」

 

ティガ「ッ!」

 

全速力で走り、クラウドとレインを助けに向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人が逃げた先は、何もない巨大な空間。マルクスが魔法の杖の魔力弾を放ち、2人を足止めした。

 

マルクス「立て!鬼ごっこは終わりだ!」

 

クラウド・レイン「・・・」

 

覚悟を決めたかのように、クラウドとレインがマルクスを睨む。

 

マルクス「終点が玉座の間とは上出来じゃないか。ここへ来い!」

 

クラウド「ここが玉座だと?ここはお墓だ。僕達とお前の。」

 

マルクス「・・・」

 

クラウド「国は亡びたのに、王族だけ生きてるなんて滑稽だ。お前に石は渡さない!お前はここから逃げる事も出来ずに、僕達と死ぬんだ!」

 

レイン「今、イージアが何故亡びたのか私達はよく分かるわ。アウラーの谷の歌にあるもの。土に命を植え、風と共に生きよう。種と共に冬を越え、鳥と共に春を歌おう。どんなに恐ろしい武器や魔道具を持っても、沢山の可哀想な人形や動物を操っても、大地から離れては生きられないのよ!!」

 

マルクス「ッ!!」

 

魔法の杖の魔力弾で、レインの服の右袖を破いた。

 

マルクス「イージアは亡びぬ!何度でも蘇るさ!イージアの力こそ人類の夢と理想だからだ!」

 

今度は、魔力弾でレインの左袖を破いた。

 

マルクス「次は胸だ!跪け!命乞いをしろ!小僧共から石を取り戻せ!」

 

 

 

 

ティガ「待てーーーーー!!」

 

 

 

 

そこにティガ達が駆け付けた。

 

ティガ「石は隠した!2人を撃ってみろ!石は2度と戻らねえぞ!」

 

 

 

 

クラウド「皆ダメだ!奴は僕達を殺す気なんだ!」

 

マルクス「超古代の戦士!双子の命と引き換えだ!石の在り処を言え!それとも、君の力と私の魔法で勝負するかね?」

 

ティガ「・・・クラウドとレインと話しがしたい!」

 

 

 

 

クラウド「来ちゃダメだ!!石を捨てて早く逃げてくれ!!」

 

マルクス「・・・3分間待ってやる!」

 

3分間の猶予が与えられた。

 

 

 

 

ティガ「・・・皆、頼む。」

 

フェオン「うん。」

 

ティガがここに残り、フェオン達がクラウドとレインに歩み寄る。

 

 

 

 

クラウド「皆・・・」

 

レイン「皆さん・・・」

 

ソフィー「怪我はありませんか?」

 

レイン「はい・・・」

 

エミリー「クラウド、レイン、落ち着いてよく聞くんだ。あの言葉を教えてくれ。」

 

レイン「え・・・?」

 

イザベラ「大丈夫。私達も一緒に言います。」

 

フェオン「私達の手に、2人の手を乗せて。」

 

水晶石を持ったフェオンの左手をイザベラ達が重ね合わせ、クラウドとレインも重ね合わせる。

 

ティオ「ジェームス達の縄は切ったよ。」

 

ヒナ「大丈夫です。私達を信じて。」

 

クラウド「・・・」

 

レイン「・・・」

 

耳元で亡びの言葉を教えた。

 

 

 

 

マルクス「時間だ!答えを聞こう!」

 

 

 

 

フェオン達がマルクスを見て、それぞれの武器を収めた。

 

 

 

 

マルクス「ん?」

 

そして・・・

 

 

 

 

 

 

「タナトス!!!」

 

 

 

 

 

 

巨大な水晶石が眩しく光り、そして水晶石も眩しく光った。

 

全員「うわああーーー!!」

 

その光でフェオン達が後ろの樹の根に飛ばされた。

 

マルクス「うわあーーー!!!」

 

そして水晶石から巨大な手が現れ、ティガを捕えようと接近する。

 

ティガ「ッ!!」

 

両腕を前に突き出し交差させ、大きく横に広げてエネルギーを集める。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

ゼペリオン光線でその手を消滅させた。

 

 

 

 

 

 

大部屋では、巨大な水晶石が天高く舞い、イージアの中枢となる空間を破壊し、球体を崩壊させる。

 

 

 

 

 

 

巨大な空間。

 

マルクス「ああー!目が・・・目があーーーー!!」

 

先程の光で失明してしまったマルクスが彷徨い歩く。

 

ティガ「マルクス・・・自身の目が潰れたか・・・ッ!!」

 

フェオン達は意識を失っている。

 

ティガ「皆!!」

 

だが樹の根が動き、フェオン達を包んでくれた。

 

ティガ「フェオン達を守ってくれるのか・・・?」

 

1本の根がティガに何かを語り掛けた。

 

ティガ「・・・ッ。」

 

それを聞いたティガが頷いた。

 

 

 

 

マルクス「ああ!ああー!目が!ああーー!ああぁ!!」

 

 

 

 

 

 

外では、壁の崩落が始まっていた。崩れた壁で人形達が押し潰される。

 

 

 

 

 

 

オクトパス号・船尾。

 

マリン「お父さん!崩れちゃうよ!」

 

ジェームス「仕方無い脱出だ!急げ!」

 

アリーザ「早く!」

 

ドルフィンに乗り、崩壊するイージアから脱出した。オクトパス号は海へ沈没して行った。

 

 

 

 

海上。

 

アリーザ「お父さん見て!球体が崩れていくよ!」

 

 

 

 

ビクともしなかったイージアの底の球体が崩落した。その球体の中から、無数の樹の根が生えた。

 

 

 

 

海上。

 

フェリ「クラウド・・・レイン・・・良い子達だったのに・・・」

 

ジェームス「きっと亡びの言葉を使ったんだ。あの子達は奴等からイージアを守ったんだ。」

 

マリン「・・・ん?崩れが止まった!」

 

 

 

 

崩壊が止まったイージアの樹の上に蒼色の光が輝いた。

 

 

 

 

フェリ「水晶石だよ!とびっきり大きい奴だよ!」

 

部下A「遠退いて行く・・・!」

 

 

 

 

イージアは遥か地平線の彼方へ徐々に遠退いて行ってる。

 

 

 

 

ジェームス「樹だ!!あの樹が皆持って行ってしまう!」

 

追おうとしたが、4艘のドルフィンが連結してる為上手く小回り出来ない。

 

ジェームス「おおおい!皆降りろ!」

 

フェリ「そんな無茶な!!」

 

 

 

 

 

 

地平線の彼方へ遠退いて行くイージアの樹の根の中では。

 

ティガ「クラウド。レイン。」

 

意識を失っていたクラウドとレインが目を醒ました。

 

クラウド「タクト・・・」

 

レイン「皆さん・・・」

 

フェオン「2人共、周りを見て。」

 

クラウド・レイン「あ!」

 

カサンドラ「樹の根が、私達を守ってくれたんです。」

 

グレア「私達に感謝してるみたいだね。助けてくれてありがとうって。」

 

 

 

 

イージアの浜辺へ向かうと、凧がまだあった。

 

レオン「ラッキー!あったぞ!」

 

ソフィー「タクト君、誘導をお願い。」

 

ティガ「あぁ。」

 

ワイヤーを握って待機する。

 

 

 

 

全員が凧に乗った。

 

ティガ「よし、行くぞ!」

 

フェオン「えぇ!」

 

ティガ「チャァッ!!」

 

飛翔してワイヤーで凧を引っ張ってイージアから離れる。

 

 

 

 

イージアの庭園では、人形が動物や昆虫達に囲まれながら花の手入れをしている。

 

 

 

 

彼等は地平線の彼方へ消えて行くイージアを見守った。

 

 

 

 

 

 

一方ジェームス達は、連結状態のドルフィンを前進させているがあまり進んでいない。

 

ジェームス「何してるんだ!ちっとも進めないじゃないか!」

 

アリーザ「無理だよ!こんなに乗ってるんだもの!」

 

ジェームス「ん?待て停めろ!」

 

空を見ると、ティガと凧がこっちにゆっくり降りて行ってる。

 

フェリ「クラウド!レイン!」

 

ギルバート「生きてる!!」

 

マリン「あの子達も!!」

 

 

 

 

凧が着水し、ティガがワイヤーでドルフィンにくっ付けた。

 

クラウド「ジェームスさん!」

 

レイン「おじ様!」

 

2人がジェームスに飛び込み、ジェームスが2人を抱き締めた。

 

ジェームス「よく帰って来てくれた!」

 

ティガが光となり、タクトに戻った。

 

タクト「皆!無事だったか?」

 

ギルバート「無事なもんか!ワシの可愛いボロ船が・・・しくしくしく・・・」

 

ジェームス「メソメソ泣くな親父!もっと良い船造れば良い話だろ!よく頑張ったな・・・彼奴らに蹂躙から解放されてお前達は自由を手に入れたんだ・・・」

 

クラウド「ジェームスさん痛い・・・」

 

ジェームス「おぉ、すまない。」

 

抱き締めてるクラウドとレインを離して、腰のポーチから何かを出した。

 

ジェームス「情けねぇじゃないか。散々苦労した結果がこれだけさ。」

 

それは、小さな宝石5つだった。

 

盗賊団「二ヒヒヒヒヒ!」

 

他の盗賊団も手に入れた宝や宝石を見せた。

 

マリン「何しろ時間が無くてね。」

 

タクト「・・・あ!」

 

マリン「アハハハハハ!!」

 

全員「アハハハハハ!!!」

 

大いに笑い合った。

 

 

 

 

 

 

その夕方。遂にリッテンハイムリゾートへ帰って来た。ジェームス盗賊団はタクト達と別れて、新しい旅に出た。

 

 

 

 

リッテンハイムリゾート。

 

タクト「いやぁ〜、何か久し振り。」

 

レア「帰って来たぞぉ〜!」

 

レオン「本当、色々大変だったなぁ〜。」

 

フェオン「でもお陰で、2人を助ける事が出来たんだし。結果オーライね。」

 

グレア「ねぇタクト、1週間の宿泊って言ってたけど後何日あるの?」

 

タクト「・・・後3日あるな。よし、じゃあ残りの3日間遊びまくるぞー!」

 

全員「おーー!」

 

タクト「クラウドとレインもどうだ?」

 

クラウド「僕達も?」

 

タクト「折角来たんだし、パーっと楽しもうぜ?」

 

レイン「お兄ちゃん、ここは皆さんの言葉に甘えよ?」

 

クラウド「うん!僕達も遊ぼう!」

 

こうしてクラウドとレインを入れて、残りの3日間を遊びまくった。

 

 

 

 

 

 

そして最終日、タクト達はクラウドとレインを連れてアウラーへ送ってあげた。

 

 

 

 

 

 

アウラーで、谷やヤク達と出会い、更に2人が住む近くの方達と出会った。

 

 

 

 

別れの時。

 

クラウド「僕達の為に助けてくれて、本当にありがとう。」

 

タクト「いいって事よ。こっちこそ、色々楽しかったぜ。」

 

レイン「また皆さんとお会い出来たら嬉しいです。」

 

フェオン「勿論よ。また何時か会いましょ。」

 

レオン「また2人で静かに暮らせよな?」

 

クラウド「うん。」

 

タクト「よし、そろそろ行くか。」

 

イザベラ「はい。」

 

ゲートと開いた。

 

タクト「クラウド、レイン、また会おうぜ。」

 

ヒナ「お世話になりました。」

 

エミリー「またな。」

 

ソフィー「元気でね。」

 

ティオ「じゃあね。」

 

グレア「バイバーイ!」

 

アンナ「またお会いしましょう。」

 

カサンドラ「お元気で。」

 

タクト達がゲートへ入り、リッテンハイムリゾートへ帰って行った。

 

クラウド「ありがとう・・・皆・・・」

 

レイン「お兄ちゃん、この子達の世話をしなきゃ。」

 

クラウド「うん。今行くよ。」

 

『THE END』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

クラウド:蒼井翔太
レイン:山崎エリィ

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
レオン:岡本信彦
ソフィー:櫻庭彩華
カサンドラ:高田憂希
グレア:高橋李依
ティオ:村瀬歩

ジェームス:森久保祥太郎
マリン:花澤香菜
フェリ:飯田里穂
アリーザ:諏訪ななか
ギルバート:中村浩太郎

カルマ:神原大地
ルブラ:小野友樹

ジャスティン=アンドラーデ:東地宏樹
ローサ=アンドラーデ:川澄綾子

ディセウム=フォン=アールスハイド:細谷佳正

パスカル将軍:小杉十郎太

兵士:狩野翔
   松田修平
   市川蒼
   野瀬育二
 
マルクス=オットー=イージア:赤羽根健治


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##愛を呼ぶ少女編##
STAGE1「菌海」


タクト=クリスティ。彼は仲間達と旅をしてる中、謎の声に導かれて別の世界へ吸い込まれた。


灰色の霧に覆われた村。そこに、マスクを着けた1人の男が、同じくマスクを着けた2頭のダチョウの姿をした馬と共に訪れた。この村には、無数の菌類が彼方此方に付着しており、中でも巨大な胞子が周囲にピンク色の粒子を散らしている。

 

 

 

 

村に入ると、そこは菌類の巣窟と化していた。男はダチョウの姿をした馬から降り、銃を持って大きな家の前に立った。

 

 

 

 

ドアを蹴り破って中を見渡す。そこでも菌類が充満していた。家の隅には、3人の人骨が遺されていた。

 

男「・・・・・」

 

人骨を睨む男。そして足元に落ちてある人形を拾ったが、バラバラになった。

 

男「また村が1つ死んだ・・・」

 

 

 

 

上空では、巨大な蟲が無数に飛び回っていた。

 

男「行こう。ここもじき菌海に沈む。」

 

彼は馬に乗ってこの村を去って行った。

 

 

 

 

 

 

巨大産業文明が崩壊してから1000年

錆とセラミック片に覆われた荒れた大地に

黴菌の海・菌海と呼ばれる有毒の瘴気を

発する菌類の森が広がり衰退した

人類の存在を脅かしていた。

 

 

 

 

 

 

ここは、異世界の異世界。この世界は我々と同じ文明が栄えていた世界。しかしある時、人類が造り出した異形の物・巨神兵が現れた。巨神兵は凡ゆる世界を僅か1週間で焼き尽くして人類を破滅へ導いた。この事件は、後にセブンスインフェルノと呼ばれた。

 

それから生き残った人類は、菌海と蟲達の脅威に怯えながら懸命に生き延びた。それから幾年の時が経ち、ある男とある少女の存在が奇跡を起こそうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上空を飛んでいる2つの影があった。その影は、青色の飛行用装置に乗って飛んでいる少女と、ウルトラマンティガだった。少女の名はジェシカ。2人は巨大な菌海の前に降り立ち、少女は飛行用装置に備えてる銃を持って、ティガと共に樹海へ赴いた。

 

 

 

 

 

 

菌海の中。ここでは多くの菌類や蟲が無数に棲息している。ティガとジェシカは樹海の更に奥へ進んだ。

 

 

 

 

途中で光る胞子を発見し、ジェシカがポーチから試験管を取り出し、1つの光る胞子を入れた。

 

 

 

 

しばらく進むと、広い道に出た。

 

ジェシカ「あ!ヴルグの道!」

 

ヴルグとは、蟲の中でも最大の大きさを誇る蟲の1種。

 

ティガ「まだ新しいな。」

 

ジェシカ「・・・」

 

2人は奥へと進む。そして。

 

ティガ・ジェシカ「あ!」

 

 

 

 

 

 

巨大なダイオウグソクムシの姿をした蟲の抜け殻が聳え立っていた。

 

 

 

 

 

 

ジェシカ「ヴルグの抜け殻!!」

 

2人はヴルグの抜け殻の前まで走った。

 

ティガ「凄え!完全な抜け殻なんて初めて見た。」

 

ジェシカがヴルグの顔の突起まで登り、ティガが飛翔した。

 

ティガ「結構硬そうだな。」

 

ジェシカ「試してみよう。」

 

セラミックの剣で、抜け殻を叩く。

 

”キイイィィィーーン”

 

周囲に剣の音が響いた。

 

ジェシカ「フフフ。良い音ね。ハァッ!!」

 

今度はセラミックの剣を突き刺したが、硬い為貫けなかった。逆に自分に振動が巡られた。

 

ティガ「おいジェシカ、大丈夫か?」

 

ジェシカ「平気よ。それにしてもセラミックの剣が欠けちゃったね。」

 

ティガ「これだと、谷の皆が喜ぶな。」

 

ジェシカ「道具作りの材料に、ずっと困らなくて済むもの。」

 

上まで登り、抜け殻の目を見た。

 

ジェシカ「凄い目。タクト、これ1つなら持って飛べそうよ。」

 

ティガ「じゃあ、早速取るか。」

 

早速ジェシカがポーチから小さな赤い筒を取り出して蓋を開ける。中に火薬が入っており、火薬を抜け殻の目の周りに撒く。そして銃のボルトハンドルを開けて、火薬の前に置いてトリガーを引いた。ボルトハンドルが火花を起こし、火薬が爆発した。

 

ティガ「フッ!」

 

爆発して柔らかくなった箇所をティガがウルトラ念力で切れ目を作った。

 

ティガ「よし。」

 

最後にジェシカが目を取った。

 

ジェシカ「取れた!わぁ!なんて軽いんだろう!アハハハ!」

 

ティガ「ん?」

 

ジェシカ「あ。」

 

上を見上げると、無数の胞子が雪のように降り始めた。

 

ジェシカ「ムシゴヤシが午後の胞子を飛ばしている。」

 

 

 

 

胞子はしばらく降り続き、雪のように積んだ。ジェシカは座り、ティガは立ってる。

 

ジェシカ「綺麗・・・マスクをしなければ、5分で肺が腐ってしまう死の森なのに・・・」

 

ティガ「・・・・」

 

 

 

 

しばらくして胞子が止んだ。ジェシカは寝ている。

 

ティガ「・・・ん?誰だ?」

 

突然ティガが何かの声を聞いた。

 

ジェシカ「・・・どうしたの?タクト。」

 

タクト「ジェシカ、何か聞こえないか?」

 

ジェシカ「え?・・・あ、何か聞こえる。」

 

耳を澄まして音を探る。

 

ジェシカ「何かしら?胸がドキドキする。」

 

”バシューーン!!”

 

ジェシカ「あ!!」

 

ティガ「蟲封じの銃声だ!」

 

ジェシカ「誰かが蟲に襲われてる!行こう!」

 

ティガ「あぁ!」

 

ジェシカが走り、ティガが飛翔して向かう。

 

 

 

 

途中でジェシカが蟲を誤って踏んだ。

 

ジェシカ「あ!ごめん!」

 

蟲は無事だった。

 

 

 

 

樹海の天辺から音の正体を探る。すると遠くに巨大な胞子の煙が爆発した。

 

ジェシカ「彼処だ!」

 

望遠鏡で覗く。

 

ジェシカ「凄い胞子の煙・・・」

 

煙の発生地から、ヴルグが姿を現した。

 

ティガ「ヴルグか!」

 

ジェシカ「きっとあの抜け殻の主だわ!」

 

何かを追っているヴルグが菌海の胞子の煙を起こしながら向こうへ向かった。

 

ティガ「あっちへ逃げてるぞ!」

 

ジェシカ「あっちはダメだ!」

 

火薬を出し、銃に装填して信号弾を発砲。

 

ジェシカ「気が付いて!」

 

すると菌海から信号弾が上がった。

 

ティガ「応えた!こっちへ来るぞ!」

 

ジェシカ「急ごう!」

 

 

 

 

 

 

菌海から出たジェシカが、抜け殻の目を置いて飛行用装置・コンドルを起動して全速力でヴルグに追われてる人物の元へ向かう。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

同じくティガも飛翔し、ヴルグに追われてる人物の元へ向かう。

 

 

 

 

胞子の煙が出口付近まで止まり、ティガとジェシカが高速で向かった。

 

ジェシカ「あの人は!」

 

追われていた人物の正体は、2頭のダチョウの姿をした馬を連れた男だった。

 

 

 

 

”ドゴーーーーーン!!!”

 

 

 

 

菌海からヴルグが姿を現し、男を全速力で追う。

 

ジェシカ「なんて立派なヴルグ・・・」

 

ティガ「ジェシカ、あの人を助けるぞ!」

 

ジェシカ「えぇ!」

 

追われてる男にティガが近付く。

 

ティガ「風上へ!」

 

男「すまん!」

 

その間にジェシカがヴルグを説得する。

 

ジェシカ「ヴルグ!森へお帰り!この先はお前の世界じゃないのよ!ねぇ!良い子だから!」

 

だがヴルグは聞く耳持たない。理由は、目が赤いから。

 

ジェシカ「怒りに我を忘れてる。鎮めなきゃ!タクト!」

 

ティガ「分かった!」

 

ヴルグの前を飛行するティガが振り返った。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

胸のカラータイマーからタイマーフラッシュを放ち、ヴルグを気絶させた。

 

 

 

 

ダチョウの姿をした馬が倒れ、男が気絶したヴルグを見る。

 

男「光でヴルグが目を回した。」

 

”フォンフォンフォンフォン”

 

男「蟲笛・・・」

 

気絶したヴルグを、ジェシカが蟲笛で目を覚まさせる。

 

ジェシカ「ヴルグ、目を覚まして!森へ帰ろ?」

 

”フォンフォンフォンフォン”

 

しばらく鳴らし続けると、ヴルグの目が青く光って動き出した。

 

ジェシカ「気が付いた!」

 

青い目は平常の証拠。

 

男「おぉ!」

 

ヴルグはそのまま森へ帰って行った。

 

男「ヴルグが森へ帰って行く。光と蟲笛だけでヴルグを鎮めてしまうとは。」

 

コンドルからジェシカが手を振り、男もそれに応えるよう手を振った。

 

 

 

 

 

 

その後彼は、風が吹いている場所に向かった。ダチョウの姿をした馬から降りて、ジェシカを待ってる。遠くからコンドルにぶら下がって飛んでるジェシカと、その後ろからティガがやって来た。ジェシカは着地して、マスクとヘルメットを外して男に向かって走った。

 

ジェシカ「ダリル様!」

 

ダリル「おぉ!ハハハハハ!」

 

飛び込んだジェシカを抱き締めた。

 

ダリル「ジェシカ、見間違えたぞ。」

 

ジェシカ「1年半振りですもの!父が喜びます!」

 

ティガ「ダリル、久し振りだな。」

 

光となったティガが、タクトに戻った。

 

ダリル「タクト、元気そうだな。」

 

タクト「とは言っても、1年半前に1回だけあったっきりだもんな。」

 

ダリル「礼を言わねばならん。良い風使いになったな。」

 

ジェシカ「いいえ、父がまだまだだって。・・・ん?」

 

彼のポーチが動いてる事に気付いた。

 

ダリル「お、そうそう。此奴の事をすっかり忘れておった。」

 

ポーチを開けると、小さな猫が顔を出した。

 

ジェシカ「まぁ!スナネコ!私初めて!」

 

タクト「スナネコ!?結構ちっちゃいなぁ!」

 

ダリル「此奴が羽虫に攫われたのを人の子と間違えてな、つい銃を使ってしまったのだ。」

 

タクト「成る程。だからヴルグが怒ったって訳か。」

 

ジェシカは手袋を外して、スナネコに手を伸ばす。

 

ダリル「気絶しておったので毒を吸わなかったようだ。手は出さん方が良い。チビでも凶暴だ。」

 

ジェシカ「おいで。さっ。」

 

興奮してるスナネコが、ジェシカに飛び込んだ。

 

ダリル「お、おい!」

 

タクト「大丈夫か?」

 

興奮が収まらないスナネコがジェシカの右肩に乗って威嚇する。

 

ジェシカ「ほら、怖くない。」

 

スナネコ『ーーーーーー!!』

 

ジェシカ「怖くない。」

 

左手を伸ばした時、スナネコがジェシカの人差し指を噛んだ。

 

ジェシカ「っ。」

 

それでもジェシカは笑顔でスナネコを説得する。

 

ジェシカ「ほらね。怖くない。・・・ね?」

 

するとスナネコが落ち着きを取り戻し、噛んでしまったジェシカの人差し指を舐めた。

 

ジェシカ「怯えていただけなんだよね。アハハハ。」

 

その場で回ると、スナネコがジェシカの両腕を何度も往復する。

 

タクト「凄え・・・もうあんなに懐いた・・・」

 

ジェシカ「ダリル様!この子を私に下さいな!」

 

ダリル「あ、あぁ。構わんが。」

 

ジェシカ「わぁ!ありがとう!ケイにライ!私を覚えてる?」

 

馬に走って抱き締めた。

 

ダリル「不思議なだ。」

 

ジェシカ「アハハ!疲れたでしょ?いっぱい走って。」

 

ダリル「皆に変わりはないかな?」

 

それを聞いたジェシカが黙り込んだ。

 

ダリル「どうした?」

 

タクト「ダリル、実は・・・」

 

ジェシカ「父が・・・父はもう飛べません・・・」

 

ダリル「ギャビンが・・・森の毒がもうそんなに・・・」

 

ジェシカ「はい。菌海の畔に生きる者の運命とか・・・」

 

ダリル「もっと早くに訪れるべきであった・・・」

 

ジェシカ「いえ・・・本当によく来て下さいました。・・・先生、後で是非見て頂きたいものがあるんです!私の秘密の部屋。」

 

ダリル「ほう・・・」

 

ジェシカ「皆には内緒。怖がるといけないから。私達先に知らせに行きます!先生も急いで!」

 

走ってコンドルの方へ向かった。

 

ジェシカ「ダリル様ー!これ運んで下さるー?気流が乱れて上手く飛べないのー!」

 

 

 

 

抜け殻の目をダリルに預け、コンドルに乗って飛んだ。

 

タクト「んじゃ、俺も!」

 

ウルトラ念力を身体中に流し込み、飛翔してジェシカに付いて行く。

 

 

 

 

ダリル「ハハハ。それにしてもよく風を読む。さ、もう少しだ。」

 

山と山の間にある風車を通り抜けると、小さな谷が見えた。

 

 

 

 

ここはアネモスビレッジ。風が吹いている辺境の谷。実はタクトは2年程前にこの異世界に飛ばされて初めて訪れた谷であり、谷の者達と知り合い。

 

 

 

 

谷にある湖で水を飲む。

 

ボブ「おお!ダリル様!」

 

チャド「ようこそ!」

 

住人のボブとチャドがダリルと握手した。

 

ダリル「おぉ。皆も息災か。」

 

 

 

 

3人が村へ向かう。

 

ボブ「ハハハハハ。水も風も滞りなく穏やかです。」

 

 

 

 

アネモスビレッジの村。

 

少女「ダリル様!」

 

ダリル「やあ皆元気だね。」

 

 

 

 

 

 

谷の者達がダリルを出迎えてくれた。

 

 

 

 

近くの風車の屋根の上。

 

バリー「タクト殿!お着きになりましたぞ!」

 

タクト「分かった!」

 

風車を直してるタクト。

 

バリー「ダリル様ー!」

 

ダリル「バリー!精が出るな!」

 

バリー「今宵はまた異国のお話をお聞かせ下さい!」

 

タクト「よし、回してくれ。」

 

風車を回す。順調に回った。

 

バリー「良い様ですな!」

 

タクト「あぁ。」

 

 

 

 

ボブ「おお!本当に良い品じゃ!」

 

チャド「早速明日にでも人手を繰り出して取りに行かねばな。」

 

ジェシカ「さあ、ロッタ。」

 

ロッタ「えぇ。」

 

そこにジェシカが赤ん坊を抱き抱えてダリルの方へ。

 

ジェシカ「ダリル様。今年生まれたロッタの子です。」

 

ダリル「おお。どれどれ?」

 

ロッタの子を抱き抱える。

 

ダリル「おぉ、良い子だ。幼い頃のジェシカを思い出す。」

 

ロッタ「どうか、この子の良い名付け親になって下さいませ。」

 

村人A「何時も良い風がその子に吹きますように。」

 

ダリル「引き受けよう。良い名を贈らせて貰うよ。」

 

ロッタ「ありがとう!どうか姫様のように丈夫に育ちますように・・・」

 

バリー「うむ。丈夫と言うのなら姫様は折り紙付きじゃ。だが菌海遊びまで似ると困るぞ。」

 

ジェシカ「でも、お陰でヴルグの殻を見付けたのよ?」

 

タクト「それも最上級の品物だ。」

 

バリー「しかしだ。城オジのワシの身にもなってみろ。心配でオチオチしておれんわい。」

 

ボブ「ハハハ。ヴルグの殻となりゃ、姫様とタクト殿の菌海遊びも無駄とは言えんのう。」

 

ダリル「そうとも。ワシもそれで助けられたのだからな。」

 

村人達「ハハハハハ!」

 

 

 

 

 

 

この村の真ん中にある巨大な城。ジェシカはこの谷の王族の姫君である。

 

 

 

 

 

 

その夜。城のギャビンの部屋。

 

ギャビン「ハハハハハ。負うた子に助けられたか。」

 

このお方がギャビン。アネモスビレッジの王。以前に毒に侵され、今は寝たきり状態。

 

ダリル「この谷は良い。いつ来ても心が和む。」

 

ギャビン「今度の旅はどうじゃった?」

 

ダリル「・・・酷いものだ。南でまた2つの国が菌海に呑まれてしまった。菌海は着実に広がっている。なのに何処へ行っても戦に飢え。不吉な影ばかりだ。何故この谷のように暮らせぬのか。」

 

大婆様「ここは海から吹く風様に護られておるからのう。菌海の毒も谷へは届かぬ。」

 

そしてこの老婆が谷の大婆様。凡ゆる知性を持っており、古い言い伝えなどを知っている。

 

ギャビン「どうだダリル。そろそろこの谷に腰を据えぬか?ワシはこのザマだ。皆も喜ぶが。」

 

ダリル「ふむ・・・」

 

大婆様「ヒヒヒヒ。無駄じゃよ。ダリルは探し続けるよう運命を受けた男じゃ。」

 

ダリル「運命か・・・」

 

ジェシカ「大婆様、探すって何を?」

 

大婆様「おや、ジェシカは知らなかったのかい?ほれ、あの壁の旗にあるじゃろ?ワシにはもう見えぬが、左の隅に居るお方じゃよ。」

 

壁に飾られている旗の左の隅に、杖を持った男が立っている。

 

大婆様「その者、青き衣を纏いて金色の野に降り立つべし。失われし大地との絆を結び。」

 

タクト「遂に人々を青き清浄なる地に導かん・・・かぁ。」

 

ジェシカ「ダリル、私古い言い伝えだとばかり思ってました。」

 

ダリル「婆様、からかわれては困る。」

 

大婆様「ヒヒヒ。同じ事じゃろうが。」

 

ダリル「私はただ菌海の謎を解きたいと願っているだけだよ。我々人間はこのまま菌海に呑まれて滅びぬよう定められた種族なのか。それを見極めたいのだ。」

 

タクト(・・・俺の元居た世界とは違う・・・)

 

 

 

 

 

 

その後。ジェシカの部屋。

 

ジェシカ「私も、ダリル様のお手伝いが出来れば良いのに・・・」

 

 

 

 

そしてタクトは城の屋根裏に座っていた。

 

タクト「この世界を救うまで帰れないのか・・・それとも条件を満たせば帰れるのか・・・」

 

『To Be Continued・・・』




次回予告

夜明け前に起きた不可解な嵐。アネモスビレッジに似付かわしくない存在が現れた。

STAGE2・異変の嵐

お楽しみに


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STAGE2「異変の嵐」

夜明け前。外では嵐が吹いている。

 

バリー「姫様!姫様!」

 

ドアをノックしてジェシカを起こす。

 

ジェシカ「バリー、どうしたの?」

 

バリー「ボブが風が臭うと言っております。」

 

ジェシカ「もうすぐ夜明けね?すぐ行くわ。」

 

 

 

 

その頃タクトは、城の空き部屋で寝ている。そこにバリーがドアをノックする。

 

バリー「タクト殿!起きてますか?」

 

タクト「・・・ん?どうしたバリー?」

 

バリー「ボブが風が臭うと言っております。」

 

タクト「風が?」

 

窓を開けて確かめる。

 

タクト「・・・違和感を感じる。」

 

バリー「姫様が外で待っております。」

 

タクト「分かった。すぐに向かう。」

 

 

 

 

3人は外に出て、展望台へ上った。

 

ジェシカ「ご苦労様!」

 

ボブ「良い嵐なんじゃが、どうも可笑しい。」

 

吹き荒れる嵐に何かがあるのか。タクトが透視能力で周囲を見渡す。

 

タクト「・・・ッ!!ジェシカ上だ!」

 

ジェシカ「上!?」

 

 

 

 

上空の雲から白い光が現れた。

 

 

 

 

ジェシカ「彼処!ほら!また!」

 

白い光は、どんどん遠くへ行ってる。

 

ジェシカ「船だわ。」

 

バリー「何故このような辺境に船が?」

 

そこにダリルが来た。

 

ダリル「何事かね?」

 

バリー「ダリル様!船です!」

 

ダリル「船?」

 

ジェシカ「来るわ!」

 

 

 

 

正面から船が迫って来てる。

 

 

 

 

バリー「大きい!」

 

船がどんどん迫って来る。

 

バリー・ボブ「うわー!!」

 

だが船は通り過ぎて行った。

 

ダリル「イベリーゴの大型船だ!」

 

タクト「戦艦クラスか。」

 

ジェシカ「飛び方が可笑しい。不時着しようとしてる!ボブ!上げて!」

 

ボブ「え?」

 

展望台にあるコンドルに乗る。

 

バリー「姫様!無茶じゃ!」

 

ジェシカ「海岸に誘導する!」

 

コンドルを起動する。

 

タクト「俺も行く!船の状況を知りたい!」

 

スパークレンスを掲げて光を解放し、ウルトラマンティガへ変身して、スカイタイプへタイプチェンジした。

 

ダリル「回って来たぞ!」

 

ボブ「ええい!行きますぞ!」

 

そこにスナネコのエクがジャンプし、ジェシカの肩に乗った。

 

ジェシカ「エク!」

 

ボブ「おりゃあ!!」

 

レバーを倒してコンドルを射出した。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

コンドル射出と同時にティガも飛翔し、大型船へ接近する。

 

 

 

 

ティガ「あの船、何があるんだ?」

 

大型船に近付くと、驚くべき光景が目に映った。それは・・・

 

 

 

 

 

 

前面に無数の蟲が張り付いていたのだ。

 

 

 

 

 

 

ティガ・ジェシカ「あっ!!」

 

兵士達が武器を持ち、張り付いてる蟲を払う。

 

ジェシカ「なんて事を!菌海に降りて蟲を殺したんだわ!」

 

ティガ「酷い奴等だ・・・罪のない蟲を・・・あっ!!」

 

前方に崖が。

 

ティガ「マズい!このまま行くと激突する!」

 

ジェシカ「舵を引けー!ぶつかるぞー!舵を引けー!」

 

彼女の声は聞こえるはずがない。大型船が崖にぶつかろうとしてる。

 

ジェシカ「舵をーーー!!あっ!!」

 

大型船の窓に、1人の少女の姿があった。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

高速で接近し大型船を止めようとしたが、兵士が払った蟲が飛んで来た。

 

ティガ「アアッ!!」

 

その蟲に激突し、怯んだ。そして・・・

 

 

 

 

 

”ドゴーーーーーン!!!”

 

 

 

 

大型船が崖に激突し、大爆発した。

 

 

 

 

 

 

展望台からでも、大爆発した船の爆煙が見えた。

 

ダリル「落ちた!」

 

バリー「姫様・・・タクト殿・・・」

 

ボブ「海際の崖だ!」

 

バリー「行こう!」

 

 

 

 

村人A「動ける者は皆出ろー!」

 

村人B「早くしろー!」

 

先程の大爆音で谷の者達が目を覚ました。

 

 

 

 

 

 

大爆発した大型船にティガとジェシカが向かった。

 

ジェシカ「・・・」

 

大型船は無残に散り、炎に包まれてる。更には蟲と兵士や乗船してた者達もこの炎に包まれてる。

 

ティガ「酷い有様だ・・・」

 

ジェシカ「タクト、船に乗ってた子を見たの。」

 

ティガ「何?」

 

ジェシカ「その子を捜すの手伝って。」

 

ティガ「分かった。」

 

炎の中を掻い潜り、ジェシカが見た少女の行方を探る。

 

 

 

 

奥へ進むと、ジェシカが見た少女が倒れてるのが見えた。彼女は瓦礫に埋もれているが、僅かに動いてる。

 

ジェシカ「あの子だわ!生きてる!」

 

ティガ「今助ける!」

 

ウルトラ念力で瓦礫を退かす。

 

ジェシカ「ハッ!!」

 

その少女は手枷で拘束されていた。

 

 

 

 

すぐに少女を救出し、草原の上にゆっくりと下ろして服の中を調べる。

 

少女「・・・ここは・・・?」

 

ジェシカ「アネモスビレッジよ。喋ってはダメ。」

 

服の中にあったのは。

 

ジェシカ「あっ!・・・」

 

ティガ「これは・・・」

 

悍ましい光景だった。

 

ティガ「まだ間に合いそうだ。すぐに治す。」

 

治癒能力で少女を治そうとしたが。

 

”バチンッ!!”

 

ティガ「アアッ!!」

 

ジェシカ「タクト!?」

 

ティガ「ダメだ・・・この子の身体が拒絶反応を起こしてる・・・もうこの子は・・・」

 

ジェシカ「・・・・」

 

少女「私は・・・うっ・・・!リベリオのエイダ・・・」

 

ティガ「リベリオ?巨大な工房都市か。」

 

エイダ「積荷を・・・積荷を燃やして・・・」

 

ジェシカ「積荷?」

 

エイダ「お願い・・・燃やして・・・」

 

ティガ「積荷だな?分かった。でも心配するな。皆燃えたよ。」

 

エイダ「・・・良か・・・った・・・」

 

彼女は微笑んで息を引き取った。

 

 

 

 

バリー「姫様ー!タクト殿ー!あっ。」

 

そこにバリーが駆け付けた。

 

バリー「この方は、リベリオ市の王族の姫君ですな。」

 

ティガ「・・・」

 

エイダを縛ってる手枷の鎖をティガが引き千切り、ジェシカがエイダを黙祷する。

 

 

 

 

一方大型船の残骸から。

 

村人C「蟲だ!ウシアブが生きてるぞー!」

 

残骸の中から、蟲の一種のウシアブが生きていた。

 

”ーーーーーー!”

 

村人C「マズい!仲間を呼んでる!」

 

ボブ「傷付いて飛べないんだ。」

 

村人C「銃を持って来い!」

 

村人D「ダメだ!撃てばもっと仲間を呼ぶぞ!」

 

村人E「即死させる!」

 

ボブ「ウシアブが銃で死ぬか!」

 

村人E「じゃあどうするんだ!」

 

ジェシカ「待って!」

 

そこにジェシカが駆け付けた。

 

ジェシカ「バリー、コンドルを持って来て。」

 

バリー「はい。」

 

彼女はゆっくりとウシアブに近付く。

 

ボブ「姫様!」

 

そして、蟲笛の紐を持って蟲笛を振り回す。

 

”フォンフォンフォン”

 

ジェシカ「森へお帰り。大丈夫。飛べるわ。」

 

蟲笛とジェシカの声を聞いたウシアブが仲間を呼ぶのを止め、翅を広げた。

 

ジェシカ「そう。良い子ね。」

 

そこにバリーとダリルがコンドルを持って来た。

 

バリー「姫様。」

 

ジェシカ「ありがとう。」

 

蟲笛をゆっくりと上に上げる。ウシアブの身体がゆっくりと上に上がる。そして。

 

ジェシカ「ッ!」

 

蟲笛を天高く投げた。ウシアブが羽ばたいて空を飛ぶ。ジェシカがコンドルに乗って飛ぶ。

 

 

 

 

上空では、蟲笛をキャッチしたティガが待機していた。

 

ティガ「ジェシカ!」

 

蟲笛をジェシカに投げて渡し、そのままウシアブを連れて森へ向かう。

 

 

 

 

村人達「やったーーーー!!」

 

バリー「良かった・・・たった1匹を殺しただけでも何が起こるか分かりませんからな。」

 

 

 

 

 

 

夜明けが訪れた遥か彼方の砂漠地帯。ティガとジェシカがウシアブを連れて森へ向かってる。ウシアブは途中で止まったが、諦めず翅を動かして飛ぶ。

 

 

 

 

遠くに森が見えた。

 

ジェシカ「よし。」

 

蟲笛を止め、砂漠に着地して森へ帰って行くウシアブを見送った。

 

ティガ「これでもう安心だな。」

 

ジェシカ「えぇ。・・・あっ!」

 

遠くにヴルグの姿があった。

 

ジェシカ「ヴルグ・・・」

 

ティガ「寝ているみたいだ。」

 

するとヴルグの目が光り、森へと帰って行く。

 

 

 

 

 

 

同じ頃遥か遠くの上空では、1機の戦闘機と、4機の大型船が何処かへ向かっている。5機の船がモールス信号で通信し合っている。そして彼等が向かっている先は・・・

 

『To Be Continued・・・』




次回予告

アネモスビレッジに墜落した大型船の胞子を駆除する村人達。そして大型船から出た巨大な塊と、謎の襲来者が現れた。

STAGE3・襲来者達

お楽しみに


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STAGE3「襲来者達」

その日の朝。谷の皆が草原や果樹園等を隈なく捜索している。大人達は火炎放射器を持ってる。

 

少年「あった!来てー!」

 

1人の少年が、果樹園に何かを発見した。

 

少年「こっち!」

 

男性を呼んで、木に付着してる白い物体を見せる。

 

少年「やっぱりあの船に胞子がくっ付いてたんだね。」

 

男性「まだ毒は出してないな。」

 

探していたものは、胞子だった。昨夜の船に張り付いてた蟲に付着した物がこの果樹園に落ちたのだった。男性が火炎放射器で胞子を焼却した。

 

男性「もう一踏ん張りだ。」

 

少年「うん。1つでも残すと大変だからね。」

 

 

 

 

そして一方では、船の残骸跡から巨大な赤い塊が残されていた。

 

村人A「何だろう?この塊は。」

 

村人B「あの炎でも燃えないとはなぁ。」

 

バリー「さぁ皆、此奴の詮索は後回しだ。胞子を焼く手伝いに行ってくれ。」

 

村人達「おう。」

 

バリー「念入りに頼むぞ!」

 

村人達が胞子を焼きに行った後。

 

バリー「全く厄介な物を持ち込みおって・・・」

 

ダリル「バリー、ここを見ろ。」

 

バリー「は?」

 

塊を見ると、心臓の鼓動みたいに動いている。

 

バリー「動いとる!まるで生きとるようだ。・・・ダリル様、これは?」

 

ダリル「旅の途中で不吉な噂を聞いた事がある。リベリオ市の地下に眠っていた旧世界の怪物が掘り出されたと。」

 

バリー「旧世界の怪物?」

 

ダリル「巨神兵だ。」

 

バリー「巨神兵!?あのセブンスインフェルノで世界を焼き尽くしたと言う!?此奴が・・・」

 

ダリル「巨神兵は全て化石となっているはずだった。だが、地下で1000年も眠り続けていた奴が居たのだ。」

 

バリー「そう言えば、此奴は人の形にも見えます。」

 

ダリル「イベリーゴは遥か西方の凶暴な軍事国家。死んだリベリオの虜囚と言い、気になる。」

 

 

 

 

 

 

墓地の方では、ジェシカが村人達と亡くなったイベリーゴの兵士達やリベリオの虜囚達を埋葬していた。その時ジェシカが何かを感じ取った。

 

ジェシカ「後をお願い!」

 

風使いの杖を持って墓地を後にした。

 

 

 

 

一方タクトは、船の残骸の後始末をしている。

 

タクト「ん?・・・何か来る。」

 

彼も何かを感じ取ってその場を後にした。

 

 

 

 

何かを感じ取った2人が合流した。

 

ジェシカ「タクト、どうかしたの?」

 

タクト「何か感じるんだ。ジェシカは?」

 

ジェシカ「私も同じよ。ん?」

 

タクト「ん?」

 

谷の向こうから何かが来る。

 

ジェシカ「何かしら?」

 

すると、謎の音が谷中に響いた。

 

村人達「ん?」

 

その音の正体は・・・

 

 

 

 

 

 

1機の戦闘機と4機の大型船のエンジン音だった。

 

 

 

 

 

 

村人達「うわあああーーーー!!逃げろーーーー!!!」

 

 

 

 

タクト「イベリーゴ帝国の船か!!」

 

ジェシカ「皆を城へ!!」

 

タクト「分かった!!」

 

すぐに村人達を城へ避難するよう叫ぶ。5機の船が谷に着陸した。

 

ジェシカ「皆城へ!!」

 

タクト「皆城へ避難しろーーー!!早く!!」

 

ジェシカ「あっ!!」

 

1機の戦闘機が城へ近付いてる。

 

ジェシカ「お父様!!」

 

タクト「クッ!!」

 

すぐにギャビンを助けに走る。4機の大型船からイベリーゴの兵士達が降りた。更には戦車も降ろした。

 

 

 

 

 

 

城では、ギャビンが剣を握った。

 

ギャビン「婆様は隠れておれ!」

 

大婆様「私はここに居るよ。」

 

外に1機の戦闘機が着陸しようとしてる。

 

 

 

 

タクトとジェシカが走って城へ向かう。

 

 

 

 

城の敷地内に戦闘機が着陸し、複数の兵士達が降りて城へ侵入した。そして・・・

 

 

 

 

”バシューーーン!!!”

 

 

 

 

タクト・ジェシカ「ッ!!」

 

銃声を聞いた2人が急いで城へ駆け付ける。

 

 

 

 

ギャビンの部屋。

 

ジェシカ「はっ!!」

 

そこには4人の兵士と1人の男と大婆様。更に・・・

 

 

 

 

 

 

銃殺されたギャビンの遺体が。

 

 

 

 

 

 

タクト「ギャビン・・・!?」

 

殺された父を見て、ジェシカの怒りが爆発した。

 

ジェシカ「おのれ!!!!!」

 

タクト「ジェシカ!!」

 

彼女は怒りに身を任せ、3人の兵士を風使いの杖で叩き殺した。

 

男「っ!!」

 

そこに居た男が剣を握った。

 

タクト「ッ!!させるか!!」

 

気付いたタクトが男の剣をキックで折った。

 

男「ガァッ!!」

 

その反動で男が飛ばされ、壁に激突した。

 

タクト「ッ!!」

 

残った兵士がタクトに剣を振るうが、タクトが避ける。

 

タクト「ジェシカ!冷静になれ!」

 

ジェシカ「ハァッ!!!」

 

だが彼女は我を忘れて、タクトが戦ってる兵士を殺した。そこに鎧を纏った兵士達が侵入した。

 

タクト「新手か!」

 

ジェシカ「ハァッ!!!!」

 

風使いの杖で戦うが、鎧の兵士達の銀色の盾で破壊された。鎧の兵士の振り下ろす剣を宙返りで避けた。着地したジェシカが、ギャビンの形見の剣を握った。

 

大婆様「ジェシカ・・・!!」

 

タクト「止めろ!止せ!!」

 

ジェシカ「アアアッ!!!!」

 

剣を握って走り出す。だがそこにダリルが現れ、ジェシカの握ってるギャビンの剣を左腕で刺し受け止めた。

 

ジェシカ「ハッ!」

 

タクト「ダリル!」

 

そしてダリルの右手には、短刀が握っており、鎧の兵士の隙間に剣先を向けてる。

 

ダリル「双方動くな!動けばヴルグの皮より削り出したこの剣がセラミック装甲をも貫くぞ!」

 

兵士「あの男、ダリルです。」

 

ダリル「イベリーゴ兵に聞く。この谷の者達は、昨夜そなた達の船を救わんと必死に働いた。今もまた、死者を丁重に葬ったばかりだ。小なりとは言え、その国に対するこれがイベリーゴの礼儀か!」

 

彼の左腕から血が流れ、ギャビンの剣にも伝わり、ジェシカの足元に血が落ちた。

 

ダリル「戦を仕掛けるならば、それなりの理由があるはずだ。まず使者を立て口上を述べるべきであろう。」

 

ジェシカ「・・・!」

 

ダリル(ジェシカ。落ち着くんだジェシカ。今戦えば、谷の者は皆殺しになる。生き延びて機会を待つのだ。)

 

男「えーい・・・クソ・・・小娘共が!」

 

起き上がった男が拳銃を向ける。

 

女「止めろアンソニー。」

 

アンソニー「しかし!・・・あ〜あ、なんて奴だよ。皆殺しちまいやがった。」

 

女「諫言耳が痛い。辺境一の剣士ダリルとはそなたの事か。我等の目的は殺戮ではない。話がしたい。剣を収められよ。」

 

それに応じたダリルが剣を収める。落ち着きを取り戻したジェシカが倒れそうになったが。

 

タクト「ジェシカ!」

 

すぐにタクトが支えた。壁の穴から一部始終を見てたスナネコのエクが怒りを覚えた。

 

 

 

 

 

 

城の外では、谷の者達が集められていた。武器は全て没収されてる。

 

バリー「ッ!姫様だ!」

 

村人達「姫様!タクト殿まで!」

 

イベリーゴ軍の前にタクトとジェシカが立った。その後ろにアンソニーと上司と思われる女が戦車の上に立ってる。

 

アンソニー「聞け!イベリーゴ帝国・辺境派遣軍司令官。スカーレット殿下の御言葉だ!」

 

スカーレット「我等は!辺境の国々を統合し、この地に王道楽土を建設する為に来た!そなた達は菌海の為に滅びに瀕している。我等に従い、我が事業に参加せよ!菌海を焼き払い、再びこの大地を蘇らすのだ!」

 

チャド「菌海を焼き払うだと!?」

 

ベガ「そんな事が出来るのか!?」

 

スカーレット「嘗て人間をしてこの大地の主と成した奇跡の技と力を我等は復活させた。私に従う者は、最早森や毒や蟲共に怯えぬ暮らしを約束しよう!」

 

谷の者達は黙るばかり。そこに。

 

大婆様「待ちなされ!」

 

口を開いた大婆様が前に立った。

 

大婆様「菌海に手を出してはならぬ!」

 

アンソニー「何だこのババア?おい!連れて行け。」

 

スカーレット「いや、言わせてやれ。」

 

大婆様「菌海が生まれてより1000年。幾たびも人は菌海を焼こうと試みた。だが・・・その度にヴルグの群れが怒りに狂い、地を埋め尽くす大波となって押し寄せて来た。」

 

 

 

 

嘗て人間達は菌海を焼き払う活動を続けた。だがそれがヴルグの怒りに触れてしまい、大波となったヴルグが世界中を埋め尽くした。

 

 

 

 

大婆様「国を滅ぼし、町を呑み込み、自らの命が飢餓で果てるまでヴルグは走り続けた。やがてヴルグの骸を苗床にして胞子が大地に根を張り、広大な土地が菌海に没したのじゃ。菌海に手を出してはならん。」

 

アンソニー「黙れ!そのような世迷言許さぬぞ!」

 

大婆様「おや?どうするんじゃ?ワシも殺すのか?」

 

アンソニー「なっ!?き・・・貴様!」

 

大婆様「殺すが良い!盲の年寄りさ!簡単なものだよ!ギャビンを殺したように。」

 

バリー「ギャビン様を!?」

 

村人A「なんて酷い!!ギャビン様は病人なのに!!」

 

村人達「出て行け!!人殺し!!」

 

ギャビンが殺された事を知った谷の者達が怒りを爆発して、イベリーゴ軍を責める。

 

アンソニー「黙らせろ!!逆らう奴は容赦するな!!」

 

戦が始まろうとしたが。

 

ジェシカ「皆待って!私の話を聞いて!」

 

彼女の呼び掛けが谷の者達を制止した。

 

ジェシカ「これ以上犠牲を出したくないの。お願い。」

 

タクト「俺からも頼む。アンタ達を失いたくはない。だから冷静になってくれ。」

 

バリー「姫様・・・タクト殿・・・」

 

ジェシカ「大婆様も分かって。この人達に従いましょう。」

 

タクト「ギャビンの死を無駄にしない為にも。」

 

谷の者達の中に泣く者が居た。タクトとジェシカがその場を去った。

 

 

 

 

 

 

そして、谷の者達はイベリーゴ軍に従った。

 

イベリーゴ兵A「もたもたするな!」

 

男達は、戦車と共に昨晩爆発した船の残骸から残った巨大な塊を引っ張る作業に入る。そして物資を運ぶ作業に入ってる。

 

 

 

 

城の展望台からスカーレットとアンソニーが見物している。

 

スカーレット「中々良い谷ではないか。」

 

アンソニー「私は反対です。本国では一刻も早く巨神兵を運ぶようにと命令しています。」

 

スカーレット「命令は実行不能だ。大型船すら彼奴の重さに耐え切れず墜落してしまった。」

 

アンソニー「しかし、まさか本心でこの地に国家を建設するなどと・・・」

 

スカーレット「だとしたらどうなのだ。お前はあの化け物を本国の馬鹿共のオモチャにしろと言うのか。」

 

アンソニー「そりゃま、分かりますがね。あ、私は一軍人に過ぎません。そのような判断は分を超えます。」

 

スカーレット「フンッ。狸め。」

 

2人は城へ戻って行く。

 

スカーレット「私はリベリオに戻る。留守中巨神兵の復活に全力を注げ。」

 

アンソニー「ハッ!」

 

スカーレット「このガンシップは使えるのか?」

 

アンソニー「はい。拾い物です。」

 

アネモスビレッジのガンシップ。

 

 

 

 

 

 

その夜。

 

スカーレット「間違えるな!私は相談しているのではない。」

 

バリー「しかし!姫様とタクト殿をリベリオへ連れて行くなど・・・」

 

ボブ「人質6人にガンシップに食糧とは・・・」

 

スカーレット「人選は任せる。明朝の出発までに準備を完了しろ。」

 

 

 

 

その後。アネモスビレッジのガンシップが大型船に格納され、バージに食糧などの物資が積まれた。

 

ダリル「人質ご苦労。」

 

バリー「ワシらは兎も角。見て下さい。奴等何もかも持ってっちまうつもりですぞ。」

 

ダリル「ワシは一度この地を離れ、密かに戻って機会を待つ。何としてもあの化け物の復活を止めさせねばならん。」

 

バリー「はい。」

 

 

 

 

彼はその後、ジェシカの部屋に尋ねる。

 

ダリル「ジェシカ。」

 

しかし彼女の返事はない。ドアを開けると、ジェシカの姿は何処にもなかった。

 

”ガリガリ”

 

だが部屋にスナネコのエクが、壁に爪を引っ掻けている。

 

ダリル「エク。お前の主は何処に居るのだ?」

 

壁の前を走り回るエク。ダリルが壁に触れると隠し扉が開いた。その奥は階段となっている。

 

 

 

 

長い階段を下りると、灯りが点いてる部屋が見えた。その部屋を覗くと。

 

ダリル「おおっ・・・」

 

 

 

 

 

 

無数の胞子の花があり、テーブルの椅子にタクトとジェシカが座っている。ジェシカは眠っている。

 

タクト「・・・ん?ダリル。」

 

ジェシカ「・・・あっ。」

 

ダリル「ジェシカ、タクト、これはどう言う事だ?菌海の植物ではないか!」

 

ジェシカ「私達が胞子を集めて育てたんです。」

 

タクト「けど心配はない。瘴気は出してない。」

 

ダリル「毒を出さぬ?確かにここの空気は清浄だが・・・何故だ?猛毒のヒソクサリが花を付けておるのに。」

 

ジェシカ「ここの水は、城の大風車で地下500メートルから上げている水です。砂は、同じ井戸の底から集めました。綺麗な土と水では、菌海の木々も毒を出さないと分かったの。汚れているのは土なんです。この谷の土ですら汚れているんです。何故・・・誰が、世界をこんな風にしてしまったのでしょう・・・」

 

ダリル「そなた達、それを自分で・・・」

 

タクト「あぁ。ギャビンや皆の病気を治したいと言う彼女の意思受け止めて俺も手伝ったんだ。」

 

ジェシカ「でも・・・もうここも閉めます・・・さっき水を止めたから・・・やがて皆枯れるでしょう・・・」

 

彼女は泣いてダリルに飛び込み、ダリルが右腕でジェシカを強く抱擁する。

 

ダリル「ジェシカ・・・」

 

ジェシカ「私・・・自分が怖い・・・憎しみに駆られて・・・何をするか分からない・・・もう・・・誰も殺したくないのに・・・」

 

タクト「・・・・」

 

 

 

 

 

 

明朝。出発の刻が訪れた。大型船にエンジンが噴いた。大型船に向かうタクトとジェシカとバリーに、谷の3人の少女達が。

 

少女達「姫姉様ーーー!!」

 

走ってジェシカに向かった。

 

少女A「これ皆で集めたの!」

 

少女B「チコの実!」

 

少女C「姫姉様にあげます!」

 

ジェシカ「皆・・・」

 

チコの実が入った袋を受け取った。

 

ジェシカ「こんなに沢山・・・大変だったろうに・・・」

 

少女達「わあああーーん!!」

 

泣いた少女達をジェシカが抱擁する。

 

ジェシカ「ありがとう。大事に食べるからね。」

 

少女A「姫姉様可哀想・・・」

 

イベリーゴ兵「搭乗急げ!出発だ!」

 

タクト「待ってくれ。彼女に猶予をくれてやれ。」

 

ジェシカ「さあ。皆もう泣かないで?大丈夫よ。私はすぐ帰って来るわ。」

 

少女A「本当に・・・?」

 

ジェシカ「あら。私が嘘吐いた事あった?」

 

少女A「ない・・・」

 

ジェシカ「ね?」

 

少女C「うん・・・」

 

少女A「本当ね?」

 

ジェシカ「うん!さっ。危ないから。」

 

少女達「うん!」

 

すぐに皆の所へ戻って行く。

 

少女達「きっとねーー!!」

 

ジェシカは笑顔で手を振る。

 

タクト「さぁ、乗るぞ。」

 

3人は大型船に搭乗する。

 

 

 

 

そして5機の船が離陸した。

 

村人A「姫様を頼むぞー!」

 

村人B「後は宜しくなー!」

 

 

 

 

こうして船がリベリオに向かって飛び去った。

 

『To Be Continued・・・』




次回予告

タクトとジェシカを乗せた船がリベリオに向けて出発した。そこに現れた謎のガンシップが彼等に迫る。

STAGE4・災いの連鎖

お楽しみに


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STAGE4「災いの連鎖」

5機の船がリベリオに向けて出発したその数時間後。雲の上に1機のガンシップが飛行していた。そのガンシップのパイロットの男が周囲を見渡す。そして下を見ると、リベリオに向かう5機の船が見えた。

 

 

 

 

5機の船は密集して飛行してる。ワイヤーで繋がれてるバージでは。

 

ボブ「リベリオはまだかいな。」

 

チャド「腰が痛くなっちまったわい。」

 

ダウト「やれやれ。姫様も惜しげのない者ばかり選んだわい。」

 

ボブ「なぁ、可笑しくないか?何でこんなに密集して飛ぶんじゃ?」

 

ダウト「確かに。」

 

ベガ「まるで襲撃に怯えてるようだ。」

 

 

 

 

ワイヤーでバージを牽いている大型船では。

 

タクト「・・・」

 

雲の下を見ると、落雷が発生している。

 

ジェシカ「雲の下は、凄い瘴気の渦だわ。」

 

タクト「・・・ん?」

 

上の太陽を見たタクトが、太陽に移る小さな黒点に気付いた。

 

タクト「何だあれ?」

 

バリー「ん?」

 

兵士A「動くな!」

 

その黒点の正体が近付いた。

 

 

 

 

1機のガンシップだった。

 

 

 

 

ジェシカ「ガンシップ!!」

 

ガンシップが機関銃を連射し、1機の大型船を大破した。

 

ジェシカ「ああっ!!」

 

兵士B「敵襲!!2番艦がやられた!!」

 

 

 

 

ボブ「言った通りじゃ!」

 

ベガ「ひゃー恐ろしい!」

 

大破した2番艦が爆発した。

 

 

 

 

兵士C「防御円陣!!」

 

兵士D「あれはリベリオのガンシップです!」

 

タクト「リベリオ!?」

 

4機の船が機関銃を一斉発射する。しかしガンシップがそれを避けながら、もう1機の大型船に機関銃を撃ち込んだ。

 

兵士B「クソッ!3番艦も食われた!コルベットは何をしてるんだ!」

 

バリー「なんちゅう脆い船じゃ。」

 

大破した3番艦が爆発したと同時に、4番艦の船もその爆発に巻き込まれてしまった。

 

兵士D「わあっ!!殿を巻き込んだ!!」

 

ジェシカ「あ!!」

 

ワイヤーが切れたバージが離れて行く。

 

ジェシカ「バージのワイヤーが!」

 

再びガンシップが接近した。

 

ジェシカ「タクト!エクを!」

 

タクト「分かった!」

 

超能力で球体を作り、その球体でエクを包んだ。

 

タクト「来るぞ!!」

 

ガンシップが機関銃を連射し、1番艦を大破した。

 

バリー「ッ!!」

 

タクト「クッ!!」

 

バリーがジェシカを守り、タクトがしゃがんだ。兵士達が艦内爆発で死亡及び気絶した。動けるのはタクトとジェシカとバリーのみになった。

 

バリー「ダメじゃ!これも墜ちる!」

 

タクト「クソッ!」

 

ジェシカ「ッ!」

 

バリー「姫様!タクト殿!」

 

 

 

 

2人が船の外に出た。ガンシップがコルベットに追われてる。

 

ジェシカ「止めて!もう殺さないで!」

 

タクト「これ以上殺して何になるんだ!」

 

ガンシップが接近し、機関銃を連射した。

 

ジェシカ「止めてーーーー!!」

 

男「うわっ!!」

 

ジェシカの姿を見て驚き、機関銃を止めて通り過ぎた。コルベットがミサイルを発射してガンシップのエンジン部を破壊した。

 

ジェシカ「ああっ!!」

 

タクト「・・・!!」

 

ガンシップが雲の中へ消えて行った。

 

バリー「姫様・・・!」

 

タクト「ちくしょう・・・!!」

 

 

 

 

艦内に戻ったジェシカが2人を連れて何処かへ向かう。

 

ジェシカ「タクト!バリー急いで!」

 

バリー「あちちち!ひ、姫様!もうダメじゃ!」

 

向かった場所は格納庫。アネモスビレッジのガンシップがあった。

 

ジェシカ「飛べるかも知れない!」

 

バリー「何ですと!?」

 

彼女はジャンプし、ガンシップに着地した。

 

ジェシカ「タクト!バリー!早く!」

 

タクト「おう!!」

 

バリー「は、はい!!」

 

2人もジャンプし、ガンシップに着地した。

 

ジェシカ「エンジン始動!砲で扉を破る!」

 

バリー「は、はい!!」

 

急いで後部席に移動してエンジンを起動する。だが格納庫もう1人の生き残りがやって来た。

 

タクト「ッ!」

 

それは、スカーレットだった。彼女は不敵な笑みを浮かべている。

 

タクト「来い!!早くしろ!!」

 

促されたスカーレットがジャンプし、ガンシップの前のメインシートに入った。

 

ジェシカ「早く中へ!バリー!行ける!?」

 

バリー「どうにか!!」

 

タクト「そろそろ爆発するぞ!」

 

ジェシカ「発砲と同時にエンジン全開!!」

 

バリー「了解!!」

 

ジェシカ「よーい!撃てぇ!!」

 

砲撃で扉を破り、ガンシップで脱出した。

 

タクト「よし!ダァッ!!」

 

格納庫からジャンプして落下するタクトがスパークレンスの光を解放し、ウルトラマンティガへ変身した。それと同時に1番艦が爆発四散した。

 

ジェシカ「瘴気マスクを着けろ!雲下に降りてバージを救出する!」

 

ティガ「ジェシカ!俺が前に出る!」

 

ジェシカ「分かった!」

 

 

 

 

 

 

雲の中。ティガがウルトラシールドを張りながら飛行する。そのティガの後ろにガンシップが飛行してる。

 

ティガ「もうすぐで抜けるぞ。」

 

雲を抜けると、山が黒い世界に降りた。

 

バリー「何と言う世界だ!こんなに濃い瘴気は初めてだ。」

 

ジェシカ「後席、右後方に注意!近くに居る!」

 

バリー「へ?」

 

ジェシカ「まだ飛んでる!」

 

崖を抜けて右後方を見ると、バージが見えた。

 

バリー「あ!本当だ!本当に居た!」

 

全速力でバージに接近する。

 

 

 

 

バージに接近し、エンジンを逆噴射してゆっくり飛行する。

 

ボブ「おぉ!姫様じゃ!」

 

ベガ「タクト殿もじゃ!」

 

ジェシカ「皆!頑張って!今ロープを伸ばす!」

 

ダウト「フックが壊れとるんじゃ!空中収容は無理じゃ!」

 

ボブ「不時着して蟲に喰われるのは嫌じゃ!」

 

ベガ「一思いに死にます!」

 

バリー「落ち着けー!荷物を捨てるんじゃー!」

 

ボブ「姫様ー!」

 

ベガ「お元気でー!」

 

バリー「言う事を聞け!荷物を捨てろー!」

 

ティガ「完全に諦めてる・・・」

 

ジェシカ「後席!エンジンを切れ!」

 

バリー「な、何と!?」

 

ジェシカ「エンジン音が邪魔だ!急げ!」

 

バリー「は、はい!」

 

エンジンを切ったと同時にジェシカがシートを立ち、マスクとヘルメットを外して笑顔を見せた。

 

ボブ「ひ、姫様何を!?」

 

ティガ(それで説得する気か!?)

 

ボブ「姫様マスクを!」

 

ベガ「死んじまう!」

 

ダウト「マスクをしなされ!」

 

ジェシカ「皆!必ず助ける!私を信じて!荷を捨てなさい!」

 

ボブ「な、何でもしますから!」

 

ベガ「お願いじゃ!早くマスクを!」

 

彼女は笑顔を絶やさずにサムズアップして離れて行く。

 

ボブ「姫様笑うとる・・・」

 

ベガ「助かるんじゃ・・・」

 

チャド「急げ!荷物を捨てろ!」

 

 

 

 

バリー「機首が落ちてる!」

 

ジェシカ「エンジン点火!不時着地を探す!少し肺に入った・・・!」

 

ティガ「無茶し過ぎだ。」

 

治癒能力でジェシカの肺の瘴気を浄化した。

 

ジェシカ「ごめん。無茶し過ぎたわ。」

 

 

 

 

バージでは、ボブ達が積まれてる荷物を全て捨ててる。

 

 

 

 

一方下の方では、無数の蟲が群れとなり飛び始めた。

 

 

 

 

 

 

菌海の奥にある湖。ここで不時着する。ガンシップが水面に着地して旋回し、バージに接近する。

 

ボブ・ベガ・チャド・ダウト「姫様ー!」

 

ジェシカ「皆無事?」

 

ティガ「ッ。」

 

ガンシップの翼の上にティガが着地した。

 

ボブ「タクト殿!ご無事で何よりじゃ!」

 

 

 

 

スカーレット「動くな!!」

 

 

 

 

ボブ「ああっ!!」

 

機首からスカーレットが拳銃を構えて出て来た。

 

バリー「貴様・・・!!」

 

スカーレット「先程はご苦労。」

 

ボブ「姫様!何でこんな奴を!?」

 

スカーレット「甘いな。私が這い蹲って礼を言うとでも思ったのか?」

 

ティガ「いや、そんな気微塵もない。」

 

ジェシカ「あなたは菌海を何も分かっていない。ここは人間の世界じゃないわ。銃を使うだけで何が起こるか分からない所よ。」

 

ティガ「それにさっきの戦闘で4機の大型船の破片が森に落ちたお陰で蟲達が激怒してる。上を見ろ。」

 

上には、無数の蟲が群れとなって飛んでる。

 

ティガ「大王ヤンマは森の番人だ。他の蟲達を呼び寄せる。」

 

ジェシカ「すぐ脱出する!予備のロープを早く!」

 

ボブ「は、はい!」

 

ジェシカ「バリー!フックを直して!」

 

バリー「はい!」

 

”バシュン!!!”

 

しかしスカーレットが拳銃を発砲して制止させた。

 

ボブ・ベガ・ダウト「うわっ!!」

 

スカーレット「動くな!命令は私が下す!」

 

ティガ「お前は何を怯えてるんだ?迷子のスナネコみたいだ。」

 

スカーレット「何だと!?」

 

ティガ「怖がるな。俺達はただアンタを自分の国へ帰って欲しいだけだ。」

 

スカーレット「貴様!!」

 

すると突然波が起こった。

 

スカーレット「うわっ!?」

 

ボブ・ベガ・ダウト「うわああ!?」

 

ティガ「ジェシカ。」

 

ジェシカ「えぇ。来るわ。」

 

 

 

 

海中から、3頭のヴルグが現れた。

 

 

 

 

スカーレット「っ!!」

 

ジェシカ「静かに!怒らせてはダメ!」

 

ボブ「こ、ここはヴルグの巣じゃ・・・!!」

 

ベガ「か・・・囲まれた・・・!!」

 

1頭のヴルグがガンシップに近寄る。目はまだ青い。

 

スカーレット「・・・!!」

 

ティガ「俺達を調べてる。」

 

ジェシカ「えぇ。」

 

彼女はガンシップの機首に立ち、ヴルグ達を説得する。

 

ジェシカ「ヴルグ、ごめんなさい。あなた達の巣を騒がして。でも分かって。私達はあなた方の敵じゃないの。」

 

するとヴルグが無数の金色の触手を伸ばして、ジェシカを優しく包み込んだ。スカーレットは怯えてる。

 

ティガ「ジェシカ・・・」

 

 

 

 

触手に包まれたジェシカが見たものは・・・金色の野と白い雲と青空の光景だった。そして、立派な木々の光景も。

 

 

 

 

するとヴルグが触手を引っ込めて何処かへ向かった。

 

ジェシカ「え!?あの人が生きてるの?待って!ヴルグ!」

 

ヴルグ達の目が瞬時に赤くなり、他の蟲達と共に何処かへ向かった。

 

ボブ「何が始まるんじゃ!?」

 

ダウト「ヴルグの目が真っ赤だ!」

 

ボブ・ベガ・ダウト「うわーっ!!」

 

すぐにしゃがんだ。その間にジェシカがバージに格納されてるコンドルを取り出した。

 

ティガ「チャァッ!!」

 

そしてティガがスカイタイプへタイプチェンジした。

 

ボブ「姫様!タクト殿!コンドルなどでどうなさる気じゃ!」

 

ジェシカ「水が鎮まったら、すぐ離水して上空に待機!1時間して戻らなければ谷に帰りなさい!」

 

バリー「し、しかし!」

 

ボブ「姫様!タクト殿!」

 

ティガ「チャァッ!!」

 

2人が飛翔し、蟲の群れに混じって奥へ姿を消した。

 

ボブ「行ってしまわれた・・・」

 

バリー「渡して貰おう。」

 

呆然とするスカーレットの拳銃を没収した。

 

バリー「さぁ皆。お2人の言われた通りにするんだ。姫様・・・タクト殿・・・」

 

 

 

 

 

 

菌海の奥では、リベリオのガンシップが墜落していた。パイロットの男は奇跡的に軽傷で済んだが、怒りに満ちた蟲達に襲われていた。今残っている銃で襲って来る蟲達を牽制しながら逃げる。

 

 

 

 

逃げた先は。

 

男「ああっ!!」

 

断崖絶壁だった。

 

男「クソッ・・・!!」

 

迫り来る蟲達に銃を向けるが、弾切れを起こした。

 

男「た、弾切れ・・・!?」

 

蟲達が男に向けて一斉ジャンプした。

 

男「わあっ!!」

 

覚悟を決めた男が断崖絶壁を飛び降りる。

 

男「うわあーーーー!!!」

 

 

 

 

落下中に蛇型の蟲に喰われそうになった。だが、高速で駆け付けたティガによって救われた。

 

ティガ「ジェシカ!」

 

その男をジェシカに渡した。ジェシカが男をコンドルに掴ませて蟲から逃げる。

 

ティガ「こっちだ!」

 

追って来る蛇型の蟲を自分に引き寄せる。

 

 

 

 

男「君は!?」

 

ジェシカ「あなたは殺し過ぎる!」

 

後ろに別の蛇型の蟲が接近して来る。

 

ジェシカ「もう閃光も蟲笛も効かない!」

 

口を開いた蟲を避けてスピードを落としたが、蛇型の蟲の尻尾に激突してしまった。

 

ジェシカ「あーっ!!」

 

 

 

 

ティガ「チャァッ!!」

 

マルチタイプに戻り、ゼペリオン光線・セルチェンジビームで蛇型の蟲を落ち着かせた。

 

ティガ「ッ!!」

 

落下するコンドルに気付き、急いで向かう。

 

 

 

 

コンドルは菌海へ落下した。

 

 

 

 

菌海に落ちた2人は、砂の上に倒れてる。そこにティガがゆっくりと着地した。

 

ティガ「ん?」

 

落ちて来たジェシカのマスクをキャッチした。

 

ティガ「おい、大丈夫か?」

 

男「ん・・・ん?」

 

倒れていた男が目を覚ました。

 

ティガ「アンタ、怪我は?」

 

男「き、君は?」

 

ティガ「話は後だ。まずは。」

 

気絶してるジェシカを見てすぐに駆け付けるが、下半身が砂に埋もれた。

 

ティガ「な、何だ!?」

 

男「流砂だ!」

 

砂が徐々に下へ流されて行く。ジェシカもその流砂に飲まれて行く。

 

男「クソッ・・・!!」

 

ティガ(この下に、何があるんだ・・・?)

 

3人はコンドルと共に流砂に飲み込まれてしまった。

 

 

 

 

 

 

数時間後。菌海の上に蟲の大群が飛行している。

 

 

 

 

その上空にガンシップがバージを牽いて谷へ戻って行く姿があった。

 

ベガ「もう2時間になるぞ。」

 

ボブ「蟲が増えるばかりじゃ。」

 

ベガ「姫様ーーー!タクト殿ーーー!」

 

『To Be Continued・・・』




次回予告

流砂に飲み込まれた3人が見た光景は。そしてアネモスビレッジでは巨神兵の復活目前と最悪の事態が迫っていた。

STAGE5・兆候

お楽しみに


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STAGE5「兆候」

ここは、ある少女の幼い頃の記憶。その幼き少女は、草原で花を摘んでいた。

???『ジェシカ・・・ジェシカ・・・』

彼女を呼ぶ男の声が聞こえた。

ギャビン『おいで・・・おいで・・・』

それは、生前のギャビンの声だった。

ジェシカ『お父様・・・?』

彼女は父の乗る馬に乗って、男達と共に何処かへ向かってる。

ジェシカ『お母様も居る・・・』

その中に生前の母の姿もあった。そして彼女は、今向かってる方向に見覚えがあった。

ジェシカ(嫌・・・私そっちに行きたくないの・・・)




その理由とは。

ジェシカ『来ちゃダメーーーー!!』

男達がある木の後ろに手を伸ばしてる。ジェシカがその木の何かを庇ってる。

ジェシカ『何も居ないわ!何も居ないったら!』

すると彼女の足元に何かが出て来た。その正体は、ヴルグの幼生だった。

ジェシカ『出て来ちゃダメ!』

すぐに後ろに隠した。

バリー『ヴルグの幼生です。』

ギャビン『やはり蟲に取り憑かれていたか。渡しなさいジェシカ。』

ジェシカ『嫌!何も悪い事してない!』

ギャビン『蟲と人とは、同じ世界には住めないのだよ。』

男達がジェシカからヴルグの幼生を強引に奪った。

ジェシカ『ああ!』

そして、ヴルグの幼生を持って何処かへ行った。

ジェシカ『お願い!殺さないで!お願い・・・!ううぅ・・・』

彼女はその場で泣き崩れた。


そして今。落下で気を失ってたジェシカが目を覚ました。

 

エク『ミー。』

 

スナネコのエクが、目を覚ましたジェシカの顔に頬擦りした。

 

ジェシカ「エク・・・」

 

タクト「ジェシカ、大丈夫か?」

 

横にタクトが座っていた。

 

ジェシカ「タクト・・・ん?」

 

今2人が居る場所は、沢山の白い木々と光が差した不思議な世界だった。

 

ジェシカ「・・・」

 

この世界には、透き通った水が流れている。

 

ジェシカ「不思議な所・・・」

 

タクト「凄いだろ?」

 

ジェシカ「タクト、ここは何処なの?」

 

タクト「その前に、戻って来たぞ。」

 

ジェシカ「え?」

 

後ろから、コンドルを持った男が来た。

 

男「やあ!やっと見付けて来たよ!気分はどう?」

 

ジェシカ「ここは何処?」

 

男「まずお礼を言わせてくれ。僕はリベリオのイーサンだ。助けてくれてありがとう。」

 

ジェシカ「私はジェシカ。アネモスビレッジから来たの。・・・ねぇ、ここは何処なの?」

 

イーサン「アハハハ。驚くのは当たり前さ。僕達は菌海の底に居るんだよ。」

 

ジェシカ「菌海の底?」

 

タクト「彼処から落ちて来たんだ。流砂と一緒にな。」

 

上の光ってる箇所を指差した。

 

ジェシカ「・・・あっ!私達、マスクしてない!」

 

タクト「気付いたか。でも心配ない。ここの空気は澄んでいるんだ。」

 

イーサン「僕も驚いた。菌海の底にこんな所があるなんてね。」

 

ジェシカ「・・・・・」

 

イーサン「どうした?」

 

彼女は唖然としながら遠くへ向かった。

 

イーサン「ジェシカ!あんまり遠くへ行くなよ!」

 

タクト「どうしたんだ一体?」

 

 

 

 

 

 

彼女は、大木の前に立った。

 

ジェシカ「なんて立派な木・・・」

 

その木に耳を当てる。水の音が聞こえた。

 

ジェシカ「枯れても水を通している・・・」

 

すると上から流砂が流れて来た。

 

ジェシカ「・・・!」

 

流れた流砂に歩み寄り、砂の塊を持った。少し力を入れると砂の塊が砕けた。

 

ジェシカ「井戸の底の砂と同じ・・・石になった木が、砕けて降り積もっているんだわ。」

 

 

 

 

 

 

一方タクトとイーサンは、ジェシカを探している。

 

タクト「あ!」

 

イーサン「っ!」

 

光が差してる所にジェシカが倒れている。

 

イーサン「ジェシカ・・・」

 

彼女は嬉し涙を流していた。

 

タクト「お前・・・泣いてるのか?」

 

ジェシカ「・・・うん・・・嬉しいの・・・」

 

タクト「・・・・」

 

 

 

 

 

 

その後。タクトとジェシカがイーサンに今まであった事を話した。

 

イーサン「エイダは僕の双子の妹なんだ。傍に居てやりたかった・・・」

 

ジェシカ「ごめんね。話すのが遅れて。」

 

イーサン「いや・・・すまなかった。妹を看取ってくれた人達を僕は殺してしまう所だった。」

 

タクト「気にするな。」

 

イーサン「そうか・・・彼奴はアネモスビレッジにあるのか。」

 

そう言って、ジェシカから貰ったチコの実を食べる。

 

イーサン「ん!?ンーーーー!ぷはぁ!不思議な味のする実だね!」

 

ジェシカ「チコの実と言うの。とっても栄養があるのよ。」

 

イーサン「ふーん。」

 

タクト「あぁ〜、この味癖になるなぁ。」

 

イーサン「・・・あむ!」

 

チコの実を全部口に放り込んだ。

 

イーサン「味は兎も角、長靴いっぱい食べたいよ!」

 

タクト「どう言う意味だよ!」

 

ジェシカ「フフフ。」

 

 

 

 

 

 

その夜。イーサンがコンドルを修理してあげた。

 

 

 

 

就寝前。

 

イーサン「菌海が生まれた訳か。君達は不思議な事を考える人だな。」

 

ジェシカ「菌海の木々は、人間が汚したこの世界を綺麗にする為に生まれて来たの。大地の毒を身体に取り込んで、綺麗な結晶にしてから死んで砂になっていくんだわ。この地下の空洞は、そうして出来たの。蟲達は、その森を守っている。」

 

イーサン「だとしたら、僕等は滅びるしかなさそうだ。何千年掛かるか分からないのに、瘴気や蟲に怯えて生きるのは無理だよ。せめて、菌海をこれ以上広げない方法が必要なんだ。」

 

タクト「イーサン、それスカーレットと同じ思考だな。」

 

イーサン「違う!僕等は巨神兵を戦争に使う気なんかない!明日皆に会えば分かるよ!」

 

ジェシカ「もう寝ましょう。明日・・・沢山飛ばなきゃ・・・」

 

そのまま彼女は眠った。

 

タクト「ふぁ〜・・・俺も寝るか・・・」

 

3人はそのまま眠りに就いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所が変わって、アネモスビレッジ。城から煙が蔓延してる。

 

兵士A「異常ありません!」

 

アンソニー「うむ。」

 

城の巨大な部屋に、内臓のような管が無数にあった。

 

アンソニー「順調か?」

 

兵士B「ハッ!上体はほぼ固まりました!」

 

壁の小さな穴から、ダリルが覗いてる。この部屋にあったのは・・・

 

 

 

 

 

 

巨大な塊の中で眠って培養されている巨神兵だった。

 

 

 

 

 

 

アンソニー「全く、見れば見る程可愛い化け物だぜお前は。貧乏軍人の俺ですら久しく錆び付いてた野心が疼いてくらぁ。」

 

その声を聞いたかのように、眠っていた巨神兵が目を開けて細める。

 

アンソニー「ケッ!笑ってやがる。テメェなんざ、この世の終わりまで地下で眠ってりゃ良かったんだい。」

 

するとそこに、1人の装甲兵士が駆け込んだ。

 

装甲兵士「参謀!」

 

アンソニー「どうした?」

 

装甲兵士「殿下の編隊がリベリオの残党に襲撃され、コルベット1艦を残して全滅しました!」

 

アンソニー「何!?殿下はどうなされた!?」

 

装甲兵士「艦は空中で四散したそうです・・・」

 

アンソニー「・・・・」

 

兵士A「参謀!

 

アンソニー「村の者にはまだ気付かれていないな?」

 

装甲兵士「はい。」

 

アンソニー「よし、すぐ行く!他の者はこのまま作業を続けろ!」

 

兵士達「ハッ!!」

 

 

 

 

だがこの会話をダリルには筒抜けだった。彼は速やかにここから退散。

 

 

 

 

アンソニー「うだつの上上がらねえ平民出にやっと巡って来た幸運か。それとも破滅の罠か。」

 

 

 

 

 

 

退散したダリルを2人の少年が待っていた。

 

少年A「バリーじい達が戻って来たんだって!」

 

少年B「酸の湖でダリル様を待ってます!」

 

 

 

 

谷の反対側にある酸の湖にある大破した船へ案内した。

 

 

 

 

廃船内。

 

バリー「ワシらだけおめおめ戻って・・・」

 

ダリル「いや、無事で何よりだった。」

 

 

 

 

廃船の奥の部屋で、スカーレットが幽閉されてる。

 

スカーレット「釈放だと?」

 

ダリル「巨神兵を酸の湖深く沈め、本国へ帰ってくれぬか?谷に残る兵は少ない。今戦うは優しいが、これ以上の犠牲は無意味だ。」

 

スカーレット「奴には火も水も効かぬ。歩き出すまでは最早動かす事も出来ない。分からぬか?最早後戻りは出来ないのだ。巨大な力を他国が持つ恐怖故に私はリベリオ攻略を命じられた。奴の実在が知られた以上、列国は次々とこの地に大軍を送り込むだろう。お前達に残された道は1つしかない。巨神兵を復活させ列強の干渉を排し、奴と共に生きる事だ。見ろ。」

 

彼女は左腕の装甲を外した。中には腕や骨や内臓すらなく空っぽだった。

 

バリー・ボブ・ベガ・ダウト「・・・!?」

 

ダリル「蟲にか。」

 

彼女の左腕は過去に蟲に喰われてしまってる。

 

スカーレット「我が夫となる者は更に悍ましきものを見るだろう。菌海を焼き、蟲を殺し、人間の世界を取り戻すに何を躊躇う!我が軍がリベリオから奪ったように奴を奪うがいい。」

 

ダリル「巨神兵は復活させぬ。」

 

するとそこに1人の少年が焦って駆け込んだ。

 

少年C「大変だ!!」

 

少年B「おい!合言葉を言え!」

 

少年C「急いでるのに!」

 

少年B「風。」

 

少年C「谷!!」

 

少年B「よし。」

 

少年C「胞子が残っていたんだ!!!」

 

バリー「何だと!?」

 

少年C「凄い瘴気を出して村中大騒ぎになってる!!」

 

 

 

 

 

 

胞子が、村の森にある大樹に付着していた。成長し過ぎて巨大化になっていた。

 

 

 

 

村人達が火炎放射器を求めにイベリーゴ軍に責める。

 

 

 

 

城内。

 

装甲兵士「火炎放射器は武器にもなります。渡すのは・・・」

 

アンソニー「仕方あるまい。銃以外は戻してやれ。」

 

装甲兵士「ハッ!」

 

司令官「コルベット出発します!」

 

アンソニー「今度は抜かるな?リベリオに残る兵力を全てこの谷に集結させろ。」

 

司令官「ハッ!」

 

アンソニー「やれやれ。面倒な事になって来やがったぜ。」

 

 

 

 

 

 

夜明け前。酸の湖でガンシップが出発準備に入ってる。

 

ボブ「姫様とタクト殿をお願いします。」

 

ダリル「谷を頼むぞ。戻るまで自重してくれ。」

 

ガンシップが2人を探しに離陸した。

 

ボブ「ワシ等は谷へ行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

森では、火炎放射器を持った村人達が胞子を燃やしてる。

 

 

 

そして他の木の幹を斧で切り、断面を触った。すると白い液体が出て来た。

 

村人A「ダメだ!こんな所まで菌糸が来ている!」

 

村人B「こっちもやられているぞ!」

 

村人C「ああ・・・ここも・・・」

 

森林の木はほぼ全滅されていた。

 

村人A「大婆様・・・」

 

大婆様「・・・燃やすしかないよ。この森はもうダメじゃ。手遅れになると谷は菌海に呑み込まれてしまう。」

 

村人B「何とかならんのかのぅ・・・貯水池を300年も守ってくれた森じゃ。」

 

村人C「クソッ!彼奴等さえ来なければ・・・」

 

森は全て焼かれてしまった。

 

 

 

 

 

 

ボブ「こりゃあこのままじゃ収まらんぞ。ワシ等も行こう。」

 

 

 

 

 

 

廃船内で幽閉されているスカーレットが、持っていた隠しナイフを出して、自身を縛ってるロープを切った。

 

 

 

 

 

 

遥か遠くの菌海の上空。ティガとジェシカとイーサンが飛行していた。イーサンはジェシカのコンドルに乗せて貰っている。

 

イーサン「そうかな?僕には何時もと同じにしか見えないが・・・」

 

ティガ「蟲が居ない。何だ?何か不快な予感がする。」

 

イーサン「もうすぐだ!あの山を越せば僕の仲間が居る!」

 

 

 

 

山を越え、谷を越えて砂漠地帯を飛行する。すると遠くに灰色の靄が見えた。

 

イーサン「リベリオの方が可笑しい。何だろうあの靄は?」

 

近付くにつれ、無数の黒い何かが見えた。

 

ジェシカ「ッ!イーサン!マスクを着けて!」

 

その正体は、無数の蟲の死骸だった。

 

イーサン「蟲だ!死んでる!?」

 

ティガ「リベリオへ行くぞ!」

 

イーサン「気を付けて!彼処にはイベリーゴ軍が居るはずだ!」

 

 

 

 

 

 

リベリオ市。多くの船の残骸や蟲の死骸、人間の遺体、そして菌海の胞子が大量に蔓延している。

 

ティガ「酷い有様だ・・・」

 

イーサン「ッ!」

 

曲がり角にあった階段を駆け上る。

 

イーサン「ああっ!!」

 

 

 

 

 

 

巨大な城らしき建物に、ヴルグの死骸があった。

 

 

 

 

 

 

ジェシカ「ヴルグまで・・・」

 

イーサン「センタードームが喰い破られるなんて・・・・」

 

 

 

 

展望台でイーサンが項垂れる。

 

イーサン「リベリオはもう終わりだ・・・イベリーゴ軍を全滅させたってこれじゃ・・・」

 

ティガ「全滅させた!?おいイーサン!どう言う事だそれは!」

 

すると上空に1機の船が飛行した。

 

ジェシカ「ブリッグだわ。」

 

ティガ「敵か?」

 

イーサン「いや!仲間の船だ!降りるぞ。行こう!」

 

 

 

 

 

 

リベリオ市の外で、ブリッグが着陸した。ティガが光となってタクトに戻り、ジェシカがコンドルを持ち上げてブリッグの方へ。

 

市長「イーサン!生きていたか!」

 

ブリッグから男達が降りてイーサンの無事に喜んだ。

 

イーサン「何て事をしたんです!あれじゃ再建も出来ない!」

 

市長「街を見たんだね?大丈夫。菌海に呑まれてもすぐ焼き払える。」

 

イーサン「でも巨神兵はここには居ないんだ!」

 

市長「分かっている。アネモスビレッジだ。」

 

イーサン「何故それを!?」

 

市長「ハハハ。我々も遊んでいた訳じゃない。作戦の第2弾も発動したよ。今夜にもアネモスビレッジのイベリーゴ軍は全滅だ。」

 

イーサン「何だって!?」

 

ジェシカ「全滅って何をするの!?」

 

タクト「今の話は本当なのか!?」

 

市長「イーサン、このお2人方は?」

 

イーサン「・・・ジェシカとタクト。命の恩人で、アネモスビレッジから来たんだ。」

 

市長「アネモスビレッジ・・・」

 

ジェシカ「教えて!何があるの!?」

 

市長達は黙り込む。

 

タクト「チッ!おいイーサン!お前知ってんだろ!?俺達に教えろ!!」

 

彼の口から、恐ろしい言葉が出た。

 

 

 

 

 

 

イーサン「蟲に襲わせるんだ・・・」

 

 

 

 

 

 

タクト「何だと・・・!?」

 

ジェシカ「リベリオを襲わせたのもあなた達なの!?・・・なんて酷い事を・・・・」

 

市長「・・・どうあっても復活する前に巨神兵を取り戻さなければならないのだ。」

 

男A「世界を守る為なんだよ。分かってくれ。」

 

ジェシカ「それで谷の人達を殺すと言う訳!?」

 

タクト「俺達がそれに納得すると思ってるのか!!」

 

ジェシカ「お願い!すぐ止めて!!お願い!!」

 

男B「もう遅いんだ!」

 

市長「走り出したら、誰にも止められない。」

 

ジェシカ「・・・!?」

 

市長「イベリーゴ軍に我々は殆ど殺されてしまった。もう他に方法がないんだ。」

 

ジェシカ「・・・!!」

 

パニックになったジェシカがコンドルに乗ってアネモスビレッジへ向かおうとしたが。

 

市長「抑えろ!!」

 

男達がジェシカを抑えてしまった。

 

ジェシカ「放して!!行かせて!!」

 

タクト「クソッ!!」

 

走り出したタクトがスパークレンスを掲げた瞬間。

 

タクト「ガアッ!!!」

 

男が投げた痺れ玉で痺れてしまった。スパークレンスは掲げた瞬間に後ろへ投げてしまって、イーサンの足元に落ちた。

 

タクト「痺れ玉・・・やるもんだな・・・」

 

彼も拘束されてしまった。

 

市長「今は辛くても、巨神兵を取り戻せば菌海を焼き、人間の世界を取り戻せるのだ。」

 

ジェシカ「嘘だ!あなた達はイベリーゴと同じよ!」

 

市長「違う!彼等は破壊に使うだけだ!」

 

タクト「アンタ達だって、井戸の水を飲むだろ?その水を誰が綺麗にしていると思ってるのか?世界の湖も川も人間が全て毒水に変えてしまったのを、菌海の木々が綺麗にしてくれていたんだ。」

 

ジェシカ「その森を焼こうと言うの!?巨神兵なんか掘り起こすからいけないのよ!!」

 

市長「ではどうすれば良いのだ!?このままイベリーゴの言いなりになるのか!?」

 

ジェシカ「違う違う!!!イーサン!皆にも言って!菌海の生まれた訳を!蟲は世界を守ってるって!」

 

イーサン「・・・・・・」

 

タクト「イーサン!何か言えよ!」

 

決心したイーサンが、市長から拳銃を奪って銃口を向けた。

 

市長「うわっ!何をする!!」

 

イーサン「動くな!2人を行かせてやれ!」

 

市長「落ち着けイーサン!」

 

彼は足元に銃を発砲した。

 

イーサン「僕は本気だ!手を離せ!ジェシカ!タクト皆に知らせろ!!」

 

しかし後ろから男の持ってる銃に殴られ、気絶して倒れてしまった。

 

ジェシカ「イーサン!!・・・放して!!」

 

タクト「・・・アンタ達、こんな事して俺達が黙ると思ってるのか?」

 

男C「今はこうするしかないんだ。すまない・・・」

 

タクト「・・・」

 

2人はブリッグに収監されてしまった。

 

『To Be Continued・・・』




次回予告

アネモスビレッジの森が焼かれ、村人達がイベリーゴ軍と戦う。そして、ブリッグに収監されてしまったタクトとジェシカは谷へ帰れるのか。

STAGE6・乱戦

お楽しみに


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STEGE6「乱戦」

廃船から抜け出したスカーレットが、崖の上へ登る。その崖の上から谷を見下ろす。森からは煙が舞い上がり、更に谷の者達がイベリーゴ軍との乱戦を繰り広げていた。

 

スカーレット「愚か者が!」

 

 

 

 

アネモスビレッジの果樹園の外を駆けるボブ達3人は。

 

ボブ「始まっちまったものは仕方無え!」

 

ベガ「だが自重しろと言われたのに・・・」

 

 

 

 

城の方では。

 

アンソニー「ジタバタしねえで戦車で兵を救出しろ!」

 

装甲兵士A「ハッ!」

 

装甲兵士B「参謀!最後の1人が殺られました!」

 

アンソニー「こっちへ来るか?」

 

装甲兵士B「分かりません!村中が集まりつつあります!」

 

アンソニー「やだねぇ〜。森の1つや2つで殺気立ちやがって。リベリオの二の舞だぜ・・・ん?」

 

下の橋を見ると、ボブ達が現れた。

 

アンソニー「ええ?」

 

 

 

 

ボブ「うりゃああ!!」

 

3人が持っている黒い玉を戦車に向けて投げた。投げたが何も起きないと思いきや。

 

”バシュン!!!”

 

兵士2人「わあーー!!」

 

黒い玉が眩く光った。これは閃光玉だった。閃光玉で怯んだ兵士達から戦車を奪取した。

 

 

 

 

アンソニー「せ、戦車を取りやがった!?」

 

 

 

 

戦車を奪われた。

 

ボブ「早く動かせ!」

 

ダウト「そう急くな。」

 

チャド「うわー!来るぞー!」

 

 

 

 

駆け付けた装甲兵士達が現れた。

 

装甲兵士C「前へー!」

 

前列の3人が盾を構えながらゆっくりと行進する。

 

 

 

 

ボブ「ほれほれ!早うせい!」

 

ダウト「これかな?」

 

握っているレバーを前に倒した。

 

ダウト「動いた!」

 

ベガ「どっちへ行くんじゃ!?」

 

戦車が後ろへバックする。

 

装甲兵士達「うわあああーーー!!!」

 

迫り来る戦車から全力で逃げた。戦車が城の門に引っ掛かった。

 

ボブ「前へ行くんじゃ前へ!!」

 

ダウト「分かっとるがな!」

 

戦車を前進させた。

 

 

 

 

アンソニー「クソッ!戦車を全部出せ!ん!?」

 

そこに生きてるスカーレットが現れた。

 

アンソニー「あ、生きてたよ・・・短けえ夢だったな。」

 

自分の野望を自嘲した。

 

アンソニー「殿下!!」

 

 

 

 

 

 

戦車を奪ったボブ達が、谷の者達を援護する。

 

ベガ「ワシ等が食い止めるから皆を酸の湖に避難させてくれー!」

 

村人達「分かったー!!」

 

 

 

 

男達が谷の者達を酸の湖へ避難誘導する。

 

チャド「姫様とタクト殿がガンシップで戻るまでの辛抱じゃ!!」

 

村人A「皆急げー!早くしろー!」

 

 

 

 

ボブ「ボヤボヤせんとお前も手伝え!」

 

ベガ「ワシはぎっくり腰じゃ。ん?来た!戦車が来たぞー!」

 

遠くから戦車の編隊が現れた。

 

ベガ「急いで!」

 

ボブ「早うせい!」

 

ダウト「分かっとるがな!」

 

向きを変えたが、戦車の編隊が砲撃した。

 

ボブ・ベガ・ダウト「うわあーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遥か遠くの上空にコルベットが飛行している。

 

司令官「間違いないか?」

 

コルベット兵「リベリオのブリッグです!あの雲の向こうにチラッと見えました!」

 

司令官「よし!」

 

コルベットがブリッグへ向かう。

 

 

 

 

 

 

一方そのブリッグでは。収監されたタクトとジェシカは船内の奥にある小さな部屋に閉じ込められていた。

 

タクト(スパークレンスがないし、看守が居るし、下手に出れない。どうすれば・・・)

 

考え込むタクトと、項垂れるジェシカにチャンスが訪れる。

 

看守『気を付けて下さい。さっきまで暴れていたから。』

 

タクト「?」

 

ドアが開き、入って来たのは2人の女性と1人の少年だった。

 

タクト「?」

 

女性「急いで。」

 

すると少女が服を脱ぎ始めた。

 

タクト(へ!?)

 

突然の事でタクトが外方向いた。

 

タクト(何だよ!?ルームサービス!?・・・って、リベリオの服の下はズボンだから平気か・・・)

 

女性「ジェシカさん。タクトさん。ここから出してあげます。」

 

タクト「え?」

 

女性「谷へ知らせに行って。あなたの凧なら、まだ間に合うかも知れない。用意してあります。」

 

ジェシカ「え・・・?」

 

女性「タクトさん、これを。イーサンから預かって来ました。」

 

スパークレンスをタクトに返した。

 

タクト「・・・」

 

女性「イーサンから皆聞きました。」

 

少女「私達が身代わりになるから。早くこれを。」

 

少年「お2人は早く行って下さい。」

 

ジェシカ「あなたは?」

 

女性「エイダの母です。」

 

ジェシカ「・・・お母様・・・」

 

エイダの母「本当にごめんなさい・・・私達のした事は皆間違いです・・・」

 

少女「早く。」

 

タクト「よし、瞬時に着替えさせて気配を消そう。」

 

 

 

 

3秒後。タクトの超能力で着替え終え、少女に変装したジェシカがエイダの母に付いて行く。気配を消したタクトも付いて行く。あの2人は項垂れるフリをしてる。看守はそれに気付く事なくドアを閉めた。

 

 

 

 

ジェシカ「あの2人は?」

 

エイダの母「大丈夫。心配しないで。」

 

しばらく進んで。

 

タクト「よし、これで良いだろう。」

 

気配を元に戻した。

 

 

 

 

ブリッグの大部屋。ここではリベリオ市の女性達と子供達が居た。

 

タクト(女性と子供達・・・男達は戦闘要員か。)

 

女性A「気を付けてね。」

 

老婆「酷い仕打ちを許しておくれ。」

 

タクト「いや、彼等は良い腕を持ってる。怒っちゃいないさ。」

 

イーサン「ジェシカ!タクト!こっちだ!」

 

女性B「さぁ!」

 

抜け穴からイーサンが2人を呼ぶ。

 

イーサン「急げ!」

 

ジェシカ「皆さん!ありがとう!」

 

頭巾を脱いで抜け穴に入る。

 

タクト「ありがとう皆!恩に着る!」

 

彼も抜け穴へ入る。

 

 

 

 

抜け穴の通り道。

 

イーサン「すまない。遅くなっちまって。」

 

タクト「いや、グッドタイミングだな。」

 

 

 

 

ブリッグの倉庫。

 

イーサン「ここから飛べるか?」

 

ジェシカ「やってみる!」

 

イーサンがハンドルを回して倉庫の扉を開ける。

 

タクト「用意は良いか?」

 

扉が開いた。だが、コルベットが雲から現れた。

 

タクト・ジェシカ「コルベット!!」

 

コルベットが機関銃を連射する。

 

タクト「クッ!!」

 

前に出たタクトがウルトラシールドで機関銃を防ぐ。

 

 

 

 

ブリッグ・ブリッジ。

 

市長「退避!雲の中へ急げ!!」

 

ブリッグが雲の中へ逃げ込んだ。

 

 

 

 

コルベット兵「撃ち方止め!!」

 

ブリッグが逃げ込んだ雲を見物する。

 

コルベット兵「バカめ!雲の中は乱流と電気の地獄だ!!」

 

 

 

 

雲の中で、ブリッグが乱流と雷に翻弄されていた。

 

操舵員「ダメだ!!舵が効かない!!」

 

女性達「キャアーーー!!!」

 

ブリッグの装甲が剥がれ始めた。

 

イーサン「船が分解するぞ!!」

 

市長「皆止むを得ない!雲を出て戦おう!」

 

 

 

 

雲を抜け出したブリッグの前にコルベットが待ち構えていた。

 

操舵員「ああっ!!」

 

市長「読んでいたな!?」

 

迫り来るコルベットを降下して躱したが、コルベットがブリッグを追うように降下する。

 

イーサン「クソッ!どうする気だ!?」

 

ジェシカ「雲よ!雲に押し付けて乗り移る気だわ!」

 

ブリッグが雲に乗り、コルベットがそれを押し付けた。ロープを腰に巻いたコルベット兵達が、ブリッグの扉を銃と剣で抉じ開ける。

 

イーサン「奴等が来る!飛び出すのは今しかない!」

 

タクト「ダメだ!俺達も残る!身代わりになってくれた2人と、エイダのお袋さんを見捨てる訳にはいかないんだ!!」

 

イーサン「谷の人を救えるのは君達だけだ!頼む!行ってくれ!僕等の為に行ってくれ!」

 

タクト「イーサン・・・お前・・・」

 

 

 

 

上では、リベリオの男達が懸命に闘っている。だがコルベット兵の圧倒的な強さに次々と殺された。

 

司令官「船は貰う!捕虜を作るな!根切りにしろ!」

 

 

 

 

倉庫に1人のコルベット兵が現れた。

 

タクト「何!?」

 

コルベット兵に立ち向かったタクトとイーサンが戦う。

 

イーサン「行けジェシカ!行けーー!!」

 

コンドルを蹴ってジェシカを行かせた。

 

ジェシカ「イーサン!!」

 

彼女は雲の中へ入って行った。

 

タクト「いい加減にしやがれ!!!」

 

飛び蹴りでコルベット兵が吹き飛ばされ、積荷に押し潰された。

 

タクト「フゥッ!」

 

イーサン「タクト!君も行ってくれ!」

 

タクト「無論だ!また会おう!」

 

倉庫からジャンプして落下し、スパークレンスの光を解放してウルトラマンティガへ変身した。

 

 

 

 

雲からティガとジェシカが抜け出した。ブリッグでは男達が戦ってる姿があった。

 

ティガ「・・・ジェシカ、急ごう。」

 

ジェシカ「うん!」

 

2人は急いでアネモスビレッジへ向かう。だがコルベットがそれに気付き、2人を追う。

 

ティガ「来やがったか!」

 

ジェシカ「タクト。加速するわよ。」

 

ティガ「あぁ。」

 

2人は加速し、コルベットから振り切ろうとする。しかしコルベットも加速し、2人に追い付いた。

 

ティガ「しつこい奴等だ!」

 

1人のコルベット兵が機関銃を連射する。2人はジグザグに避けながら逃げる。

 

ジェシカ「!!」

 

目の前に見覚えのある機体が見えた。

 

 

 

 

バリー「姫様ーーー!!」

 

 

 

 

それは、アネモスビレッジのガンシップだった。

 

ジェシカ「バリー!!」

 

ガンシップの砲撃が、コルベットを撃墜した。

 

バリー「ヒャッホーーー!!!」

 

撃墜されたコルベットが雲の中へ消えた。

 

ジェシカ「バリー!ダリル様!」

 

バリー「姫様!タクト殿!」

 

ティガ「助かった!けど早くしろ!じゃないと皆が!」

 

バリー「今収容フックを出します!ダリル様!右の赤いレバーを!」

 

 

 

 

 

 

ブリッグでは、コルベット兵が大部屋の扉を鉄骨で破壊しようとしている。

 

司令官「残るはここだけだ!急げ!」

 

 

 

 

大部屋では、生き残ったリベリオ市民達が避難していた。イーサン達が家具や積荷で扉を抑え込んでる。

 

イーサン「ドアが砕けるぞ!」

 

市長「何時でも来るがいい!リベリオの誇りを思い知らせてやる!」

 

松明でダイナマイトに着火する準備に入った。玉砕の覚悟を決めた彼等に救いの手が。

 

少年「ん?見てあれ。」

 

少女「え?何かしら?鳥?」

 

外に、ブリッグに近付く影があった。

 

 

 

 

コルベット兵A「船だ!アネモスビレッジのガンシップ!」

 

司令官「何!?」

 

 

 

 

アネモスビレッジのガンシップが接近している。そのガンシップにぶら下がってるダリルが手を離し、ブリッグへ落下する。

 

コルベット兵A「うわああ!?」

 

落下するダリルのキックを受けて気絶した。ダリルは双剣を握った。

 

コルベット兵B「き、貴様!!」

 

他のコルベット兵達の剣を防ぎ、一瞬で切り裂いた。

 

コルベット兵達「うわああーーーー!!!」

 

司令官「ダリルだ!討ち取って名を挙げろ!!」

 

コルベット兵達がダリルに迫り来るが、ダリルが大ジャンプして司令官に接近する。

 

司令官「おお!?」

 

剣を振る司令官を圧倒し、壁まで追い込ませた。

 

司令官「うぐっ!?」

 

ナイフが司令官の首元にくっ付く。

 

ダリル「降伏しろ。コルベットは最早戻らぬ。」

 

司令官「つ・・・強い・・・!」

 

 

 

 

 

 

ティガとガンシップは全速力でアネモスビレッジへ向かってる。

 

バリー「姫様!無茶だ!エンジンが爆発しちまう!」

 

ジェシカ「谷まで持てば良い!300まで上げて!!」

 

時速を300キロまで上げた。

 

ジェシカ「神様。風の神様。どうか皆を守って。」

 

『To Be Continued・・・』




次回予告

アネモスビレッジへ全速力で向かうティガ達。だが、彼等は最悪な光景を目にしてしまった。

STAGE7・大進撃

お楽しみに


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STAGE7「大進撃」

酸の湖では、静寂な空気に包まれていた。イベリーゴ軍が廃船の前に待機している。廃船では、谷の者達が武器を構えて待機している。

 

アンソニー「テコでも動きそうにありませんな。」

 

スカーレット「帰りを待っているのだ。」

 

アンソニー「帰り?」

 

スカーレット「あの2人がガンシップで戻ると信じている。」

 

アンソニー「ガンシップは厄介ですなぁ。今の内に一当てやりますか。」

 

スカーレット「お前はあの船が何だか知っているのか?」

 

アンソニー「セブンスインフェルノの前に作られた奴でしょ?嘘か本当か知らねえが、星まで行ってたとか何とか。」

 

あの廃船は元々は宇宙船だった。

 

アンソニー「偉く硬いから砲撃も効かねえが。なぁに。穴に打ち込めば・・・」

 

スカーレット「私も待ちたいのだ。」

 

アンソニー「え?」

 

スカーレット「本当に菌海の深部から生きて戻れるものならな。あの2人と一度ゆっくり話をしたかった。」

 

彼女は戦車から降り、人質となってるボブ達に訊く。

 

スカーレット「どうだ?決心は付いたか?降伏を勧めに行くなら放してやるぞ。・・・リベリオの二の舞にしたいのか?」

 

ベガ「アンタも姫様だじゃろうが、ワシ等の姫様と大分違うの。」

 

ボブ「この手を見て下され。」

 

右手に腫れや疣が出来てる。

 

ボブ「ギャビン様と同じ病じゃ。後半年もすれば石と同じになっちまう。じゃが、ワシ等の姫様はこの手を好きだと言うてくれる。働き者の綺麗な手だと言うてくれましたわい。」

 

スカーレット「菌海の毒に侵されながらそれでも菌海と共に生きると言うのか?」

 

ベガ「アンタは火を使う。そりゃあワシ等もちょびっとは使うがのう。」

 

ボブ「多過ぎる火は何も生みやせん。火は森を1日で灰にする。水と風は100年掛けて森を育てるんじゃ。」

 

ベガ「ワシ等は水と風の方がええ。」

 

ダウト「あの森を見たら姫様とタクト殿は悲しむじゃろうのう・・・」

 

この話を聞いたスカーレットが前を歩き出す。

 

兵士A「参謀殿。命令はまだですか?」

 

アンソニー「引っ込んでろ。」

 

兵士A「ハッ。」

 

彼女は谷の者達をジッと見ている。

 

アンソニー「何があったか知らねえが、可愛くなっちゃってまあ。」

 

スカーレット「アンソニー!その者達を解放しろ!」

 

アンソニー「ハッ?んじゃ待ちますか?」

 

スカーレット「兵に食事を取らせろ!1時間後に攻撃を開始する!」

 

アンソニー「飯ねぇ。ゆっくり食う事にしますか。」

 

 

 

 

廃船では。

 

村人A「ん?誰か来る!」

 

村人B「ボブ達だ!」

 

 

 

 

解放されたボブ達が廃船へ向かっていると。

 

ボブ「ん?」

 

ベガ「どうしたんじゃ?」

 

ボブ「風がない。」

 

ベガ「風が?・・・本当じゃ。風が止まった。」

 

 

 

 

船内では、大婆様が苦しんでいる。

 

少女A「婆様どうしたの?」

 

女性「大婆様?」

 

大婆様「誰か・・・誰かワシを外へ連れ出しておくれ・・・」

 

 

 

 

廃船の外へ大婆様を連れ出してあげた。

 

少女A「風が止むなんて初めて・・・」

 

酸の湖の風が止んでいる。

 

少女B「婆様、耳が痛い・・・」

 

大婆様「大気が・・・大気が怒りに満ちておる・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上空を飛行するティガとガンシップ。ガンシップの燃料が半分以下まで減っている。

 

ジェシカ「・・・近い!」

 

バリー「菌海を切れた!酸の湖まで3分!」

 

ジェシカ「エンジンスロー!雲の下へ降りる!」

 

雲の下へ降下した。そこで異様な光景を目にした。

 

バリー「何じゃこの光は!?」

 

地上に無数の赤い光があった。

 

ティガ「ヴルグ!?」

 

その光の正体は、ヴルグの大群だった。

 

ティガ「怒りに満ちている・・・!?」

 

バリー「菌海が溢れた!アネモスビレッジに向かってる!」

 

ジェシカ「何故?どうやってヴルグを?」

 

ティガ「ん?」

 

南の方角に、何かを感じた。

 

ティガ「誰かが大群を引き寄せてる。」

 

ジェシカ「バリー!南方に向かって飛べ!」

 

バリー「はい!」

 

南の方角へ飛行する。

 

 

 

 

ティガ「・・・ジェシカ!」

 

ジェシカ「えぇ!バリー!照明弾!用意・・・撃て!!」

 

照明弾を発射。照明弾が光ると、何かが見えた。

 

バリー「何だあれは?」

 

1台の飛行ポッドが、何かを吊るして移動している。

 

ジェシカ「あっ!!」

 

 

 

 

吊るしているのは、ヴルグの子供だった。数本のフックが刺さっており、身体中から体液が溢れ出ている。

 

 

 

 

ジェシカ「なんて酷い事を!」

 

ティガ「あの子を囮にして群れを呼び寄せてるんだ!」

 

バリー「クソッ!!叩き落としてやる!!」

 

ジェシカ「ダメよ!!!!」

 

飛行ポッドが機関銃を連射する。

 

ティガ「バリー止めろ!!撃つな!!」

 

ガンシップが飛行ポッドから離れる。

 

バリー「何故じゃ!!何故撃たせんのじゃ!!」

 

ティガ「あの子を殺したら暴走は止まらねえぞ!!」

 

バリー「どうすれば良いんじゃ!!このままでは谷が全滅だ!!」

 

ジェシカ「落ち着いてバリー!ヴルグの子を群れへ返すの!やってみる!タクト!」

 

ティガ「あぁ!」

 

両手を挙げるジェシカをティガが握って飛行する。

 

バリー「姫様!タクト殿!何をするんじゃ!」

 

ジェシカ「バリーは皆に知らせて!!」

 

ティガがジェシカをコンドルに乗せた。

 

バリー「姫様!!武器も持たずに!!」

 

ティガ「チャァッ!」

 

ハンドスラッシュでワイヤーを切った。

 

バリー「ああっ!!」

 

2人がヴルグの子の救出へ向かった。

 

 

 

 

 

 

酸の湖では、兵士達が照明弾を確認している。

 

偵察兵「我が軍の照明弾ではありません。」

 

スカーレット「距離は?」

 

偵察兵「約20リーグ。湖の対岸と思われます。」

 

スカーレット「ガンシップだと思うか?」

 

アンソニー「恐らく。」

 

すると上空に信号弾が2つ打ち上げられた。

 

アンソニー「救援を求める信号です。やはりガンシップですな。」

 

スカーレット「1時間経った。行こう。」

 

アンソニー「待たないんで?」

 

スカーレット「所詮血塗られた道だ。」

 

イベリーゴ軍が進行を開始した。

 

装甲兵士「装甲兵!前へ!」

 

アンソニー「殿下は中へ。」

 

スカーレット「ここで良い。」

 

 

 

 

右側に小さな光が接近してる。

 

 

 

 

兵士A「ガンシップだ!」

 

アネモスビレッジのガンシップだった。

 

兵士A「空襲!!!」

 

ガンシップに向けて一斉発砲を開始した。ガンシップが着陸しようとしてる。

 

スカーレット「あっ!撃つなーー!!止めろ!止めんか!!」

 

ガンシップがバランスを崩して不時着した。

 

 

 

 

村人達「クソー!!」

 

ボブ「姫様ー!」

 

 

 

 

スカーレット「この場で待機!発砲するな!」

 

アンソニー「殿下!!」

 

 

 

 

不時着したガンシップ。

 

スカーレット「あの2人はどうした!」

 

ボブ「姫様とタクト殿は!?」

 

ベガ「後ろに乗っとらんぞ!」

 

バリー「ヴルグだ!ヴルグの群れがこっちへ来るぞ!」

 

ボブ「何じゃと!?」

 

チャド「ヴルグが!?」

 

バリー「姫様は暴走を食い止める為に、タクト殿と共に向かった!戦なんぞしてる暇はない!皆高い所へ逃げろ!!急げ!!」

 

 

 

 

廃船の上では。

 

少女A「あ!婆様!赤い光が見えます!」

 

地平線にヴルグの大群の怒りの目が見えた。

 

少女B「どんどん増えてるみたい。」

 

少女A「こっちへ来るんだわ!」

 

大婆様「婆にしっかり掴まっておいで。こうなってはもう誰も止められないんじゃ。」

 

 

 

 

船内では、谷の者達が廃船の高い所へ避難している。

 

老婆「バリー、どうせ死ぬんじゃ。谷で死ねよ。」

 

バリー「ダメじゃ!姫様とタクト殿が諦めない限り諦めるな!」

 

 

 

 

イベリーゴ軍では。

 

スカーレット「良いか?出来るだけ時間を稼げ!私はすぐ戻る!」

 

アンソニー「殿下!まさかあれを!?まだ早過ぎます!」

 

スカーレット「今使わずに何時使うのだ?行け!」

 

戦車に乗って谷へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてティガとジェシカは、ヴルグの子を囮にしてる飛行ポッドを説得している。

 

ジェシカ「撃たないで!!話を聞いて!!」

 

だが相手は話を聞かずに機関銃を連射するばかり。更に飛行ポッドからミサイルが発射された。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ウルトラシールドでミサイルを防いだ。

 

ティガ「このままじゃあの子の命が危ない!」

 

ジェシカ「タクト!私が気を引かせる!その間に!」

 

ティガ「何!?お前!」

 

 

 

 

男A「クソッ!鳥みたいな奴等だ!」

 

男B「あの人達は敵じゃないよ。何か叫んでいた。」

 

男A「作戦を邪魔する奴等は皆敵だ!早く囮を谷に放り込まないと俺達が危ないんだ!」

 

コンドルが接近する。

 

男A「来るぞ!よく引き付けてから撃て!」

 

照準をコンドルに合わせたその時。

 

男B「ああ・・・!」

 

コンドルに乗ったジェシカが立ち上がって両手を広げた。

 

男B「あ・・・!」

 

男A「今だ!撃て!」

 

男B「嫌だー!!エイダさん!!」

 

男A「退け!!」

 

コンドルから降りたジェシカが飛行ポッドに向かって落下する。だが男が機関銃を連射し、ジェシカの左肩と右足首に傷を負わせた。ジェシカはそのまま飛行ポッドに落下した。

 

男A「うわああ!!」

 

コンドルはそのまま遥か上空へ飛んで行った。

 

ティガ「ッ!!」

 

ヴルグの子を吊るしてるワイヤーを掴み、酸の湖の中州へ引っ張った。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

マルチチョップでワイヤーを切り、飛行ポッドが墜落した。墜落した衝撃で、ジェシカと2人の男が放り出された。

 

ティガ「ジェシカ!」

 

倒れているジェシカにティガが駆け寄る。

 

エク『ミー。』

 

ジェシカ「っ・・・!」

 

ティガ「ジェシカ!大丈夫か?」

 

ジェシカ「大丈夫・・・あの子は・・・?」

 

ヴルグの子は苦しんでる様子だった。

 

ジェシカ「ヴルグ・・・うっ!!」

 

ティガ「おい大丈夫か!?すぐに傷を・・・」

 

ジェシカ「私に構わないで・・・!あの子を早く・・・!」

 

ティガ「・・・分かった。」

 

彼はすぐにヴルグの子に駆け寄る。ジェシカは右足を引き摺りながらヴルグの子に寄る。

 

ティガ「チャァッ!」

 

ゼペリオン光線・セルチェンジビームでヴルグの子を落ち着かせ、更に刺さっているフックを消滅させて傷口を防いで止血する。だがヴルグの子の怒りは収まらない。

 

ティガ「怒りが収まらない・・・!でも・・・!」

 

セルチェンジビームをこのまま流し続ける。

 

ジェシカ「怒らないで・・・怖がらなくていいの・・・私達は敵じゃないわ・・・ごめん・・・ごめんね・・・許してなんて言えないよね・・・酷過ぎるのよね・・・」

 

”ピコン”

 

セルチェンジビームの消耗でエネルギーが減り、カラータイマーが鳴り出した。

 

ティガ「まだだ・・・!!」

 

するとヴルグの子が動き出した。

 

ジェシカ「あっ!動いちゃダメ!!体液が出ちゃう!!」

 

動いた事でヴルグの子から体液が噴出し、ジェシカの服を青く染め上げた。

 

ジェシカ「良い子だから動かないで!」

 

動くヴルグの子を抑える。

 

ジェシカ「・・・あっ!」

 

 

 

 

対岸にヴルグの大群が押し寄せて来てる。

 

 

 

 

男A「大変だ!見付けられた!」

 

男B「ああ!こっちへ来る!」

 

 

 

 

動くヴルグの子をジェシカが頑張って抑えるが、ヴルグの子の力が強く、逆に押されてる。ティガはセルチェンジビームを流し続けている。

 

ジェシカ「ダメよ!そんな怪我で入ったら!この湖の水はダメだったら!!」

 

だが彼女の傷が生じた右足が酸の湖に入ってしまった。

 

ジェシカ「ああああーーーー!!!!!」

 

ティガ「ジェシカ!!!!」

 

するとヴルグの子の怒りが消え、後ろへ下がった。

 

ジェシカ「っ・・・・!!!」

 

倒れて右足を強く抑える。

 

ティガ「・・・」

 

エネルギーを使い続けたティガが光となり、タクトに戻った。ヴルグの子の傷が修復され止血した。

 

タクト「ジェシカ・・・!!」

 

倒れてるジェシカに歩み寄る。ヴルグの子が触手を伸ばし、傷を負ったジェシカの顔に近付けた。

 

ジェシカ「お前・・・」

 

タクト「ヴルグ・・・」

 

別の触手がタクトの頬を触った。

 

タクト「俺達を信じてくれてる・・・」

 

ジェシカ「うん・・・優しい子・・・私は大丈夫・・・今皆が迎えに来るからね。」

 

 

 

 

 

 

だが彼女の願いが届かなかった。ヴルグの大群が横に逸れて進軍して行った。

 

 

 

 

 

 

タクト「逸れた!?こっちへ来ない!?」

 

ジェシカ「ヴルグ!ダメよ!そっちは谷があるのに!!」

 

タクト「怒りで我を失ってる・・・!早く鎮めなきゃ!」

 

ジェシカ「あ!」

 

 

 

 

イベリーゴ軍の戦車の砲撃がヴルグの大群を攻撃している。

 

 

 

 

男A「ハハハハハ!馬鹿め!自分で招き寄せていやがる!」

 

男B「助かった・・・」

 

男A「すぐ脱出だ!エンジンを調べ・・・アッ!よ、止せ!は・・・話せば分かる!」

 

機関銃を持ったタクトが男達に銃口を向けてる。その後ろにジェシカが左肩を抑えて立っている。

 

ジェシカ「私達を運びなさい!あの子を群れに返します!」

 

男A「そ、そんな事をしたってもう無駄だ!群れは止まりはしない!」

 

タクト「黙れ!!」

 

”ズドドドドド!!!”

 

男達「うわあああ!!」

 

機関銃を連射して脅す。

 

タクト「俺達を群れの先に降ろすだけで良い!運べ!!」

 

男B「し、しかし!君達も死ぬぞ!」

 

タクト「谷を救えるなら命を惜しまない!さっさとしろ!」

 

『To Be Continued・・・』




次回予告

怒りに満ちたヴルグの大群の進軍が止まらない。果たして、タクトとジェシカは谷を救えるのか。

LAST STAGE・愛の奇跡

お楽しみに


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LAST STAGE「愛の奇跡」

イベリーゴ軍が戦車の砲撃でヴルグの大群と戦っている。だがヴルグにはそれは通用しない。

 

 

 

 

廃船の上では、谷の者達が避難済み。

 

少女A「婆様、皆死ぬの?」

 

大婆様「運命ならね。従うしかないんだよ。」

 

 

 

 

アンソニー「ビクともしねえな。」

 

兵士A「退却しましょう!」

 

アンソニー「馬鹿野郎。逃げるたって何処へ逃げるんだよ。」

 

しかし他の兵士達が一斉に逃げ出した。

 

アンソニー「ああ!こら逃げるな!待て!おーい!殿下が戻るまで踏み止まれ!!殿下・・・あ!殿下だ!!」

 

他の兵士達が止まった。

 

 

 

 

斜面の上にスカーレットの姿があった。その後ろから、巨神兵の末裔が地を這い蹲って現れた。

 

 

 

 

兵士達「うおおおーー!やっつけろーー!!」

 

 

 

 

村人A「巨神兵だ!!」

 

 

 

 

だがその巨神兵はまだ不完全で、胴体が溶けた。

 

アンソニー「腐ってやがる・・・早過ぎたんだ・・・」

 

 

 

 

スカーレット「焼き払え!!・・・どうした!それでも世界で最も邪悪な一族の末裔か!!」

 

巨神兵が口からビームを放ち、ヴルグの大群を一気に爆発させた。

 

 

 

 

アンソニー「うお!!」

 

村人達「うわああーーー!!」

 

爆風が広範囲に響いた。

 

アンソニー「凄え・・・世界が燃えちまう訳だぜ・・・」

 

兵士達「スカーレット殿下!バンザーイ!」

 

 

 

 

しかし焼き払えたのはほんの一部で、他の大群が進軍を続ける。

 

 

 

 

スカーレット「薙ぎ払え!!・・・どうした化け物!さっさと撃たんか!!」

 

巨神兵の身体が溶け続ける。放ったビームの威力が小さかった為、数体のヴルグを焼き尽くしただけだった。エネルギーを使い果たしてしまった巨神兵が倒れそうになる。

 

スカーレット「っ!!」

 

兵士達「うわあーー!!」

 

戦車に乗った兵士達全員も脱出し、戦車が溶けた巨神兵に潰されてしまった。

 

 

 

 

兵士達「ダメだ!!逃げろーーー!!」

 

巨神兵が倒れ、希望を失った兵士達が一斉に逃げ出した。

 

 

 

 

少女A「巨神兵が死んじゃった・・・」

 

大婆様「その方が良いんじゃよ。ヴルグの怒りは大地の怒りじゃ。あんな物に縋って生き延びて何になろう。」

 

 

 

 

するとそこに、飛行ポッドに乗ったタクトとジェシカがヴルグの子と共にやって来た。

 

 

 

 

少女A「姫姉様!!」

 

少女B「タクト様も!!」

 

 

 

 

飛行ポッドが大群の先にヴルグの子をゆっくりと下ろしてワイヤーを切った。そこにタクトとジェシカがヴルグの子の左右に立った。

 

 

 

 

村人A「あ!あんな所に!」

 

村人B「無茶だ!」

 

村人C「姫様!」

 

村人D「タクト殿!」

 

 

 

 

進軍するヴルグの大群から逃げずに立ち止まる2人。そして、大群の進軍がタクトとジェシカと子供を上へ突き飛ばした。

 

 

 

 

村人達「あああっ!!」

 

 

 

 

突き飛ばされたタクトとジェシカが大群の中へ落下した。

 

 

 

 

大群はイベリーゴ軍の戦車、アネモスビレッジのガンシップをも破壊して廃船に突進したが、硬かった為貫けなかった。

 

他の大群がアネモスビレッジへ向かっている。しかし途中で大群が一斉に止まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜明け前。上空を飛行するリベリオのブリッグでダリルとイーサンが見たのは、怒りに満ちたヴルグの大群の目が一斉に青くなった光景だった。

 

ダリル「ヴルグの攻撃色が消えていく!」

 

 

 

 

 

 

ヴルグの大群の全ての攻撃色が消えた。更に奇跡的にアネモスビレッジへ突入前に止まったのだ。

 

 

 

 

タクト「・・・っ・・・っ?」

 

エク『ミー。』

 

倒れていたタクトが目を開けると、エクが頬擦りしていた。

 

タクト「エク・・・?ジェシカは・・・?」

 

そして、ヴルグの子もタクトの前に現れた。

 

タクト「お前・・・ジェシカは何処だ?彼女は?」

 

するとヴルグの子が触手で手招きして、ジェシカの居場所へ案内する。

 

タクト「エク、行こう。」

 

エク『ミー。」

 

 

 

 

 

 

大婆様「大気が怒りが消えた・・・」

 

バリー「止まった・・・ヴルグが止まったぞ。」

 

 

 

 

 

 

大群がある方向へ顔を向けてる。それは、倒れているジェシカだった。そこにタクトとヴルグの子が近付いた。

 

タクト「ジェシカ・・・?おい!ジェシカ!起きろよ!おい!」

 

呼んでも返事がない。右で心臓を音を確かめるが。

 

タクト「・・・嘘だろ・・・!?」

 

 

 

 

少女A「姫姉様が!!」

 

村人達「ああっ!!」

 

 

 

 

タクト「おい!!しっかりしろよ!!生きて帰るんじゃなかったのかよ!!」

 

ウルトラ念力で心臓マッサージをしながらジェシカに何度も叫ぶ。

 

タクト「・・・頼む・・・!!起きてくれよ・・・!!」

 

 

 

 

少女A「姫姉様が・・・死んじゃった・・・」

 

大婆様「身を以てヴルグの怒りを鎮めて下されたのじゃ・・・あの子は谷を守ったのじゃ・・・」

 

村人達の泣き声が響き渡った。

 

 

 

 

タクト「クソッ!!クソッ!!クソーーーーーー!!!!!!」

 

ジェシカが死に、タクトの叫び声が轟いた。

 

タクト「すぐ帰るってあの子達と約束したしただろ・・・!!あの子達を放って置くのかよ・・・!!」

 

すると風が吹き始めた。そしてヴルグ達の触手がジェシカとタクトを高く持ち上げた。

 

タクト「え?おわっ?」

 

 

 

 

 

 

村人A「見ろ!」

 

 

 

 

ダリル「おお!」

 

 

 

 

アンソニー「な、何だこの光は?」

 

ヴルグの触手から光が溢れた。

 

 

 

 

その光は、死んでしまったジェシカの右足と左肩の傷を治した。更に止まった心臓を再起させた。

 

ジェシカ「・・・?」

 

タクト「ジェシカ・・・!?」

 

ジェシカ「タクト・・・?」

 

蘇生されたジェシカにタクトが驚き、エクがジェシカの顔に頬擦りした。

 

ジェシカ「エク・・・」

 

起き上がったジェシカが周りを見る。触手の光が金色の草原みたいに揺らめいてる。

 

ジェシカ「ここは・・・?」

 

タクト「ヴルグがお前を蘇生させたんだ。」

 

ジェシカ「皆が?・・・タクト、あの子は?」

 

タクト「心配するな。あの子なら。」

 

ジェシカ「?」

 

下を見ると、ヴルグの子が触手を振ってる。

 

ジェシカ「良かった。ヴルグありがとう。ありがとう。」

 

彼女は立ち上がり、両手を広げて歩き回る。それをタクトが見ている。

 

タクト(彼女の愛が、奇跡を起こしたんだな。)

 

 

 

 

 

 

ボブ「奇跡じゃ・・・!奇跡じゃ!」

 

生き返ったジェシカに村人達が歓喜の涙を流してる。

 

大婆様「なんと言う労りと友愛じゃ・・・!ヴルグが心を開いておる・・・子供達よ・・・ワシの盲た目の代わりによく見ておくれ・・・!!」

 

少女A「姫姉様、真っ青な異国の服を着てるの。」

 

少女B「まるで、金色の草原を歩いているみたい。」

 

大婆様「おお・・・!!」

 

その姿はまさに、金色の野に降り立った男と酷似している。

 

大婆様「その者、青き衣を纏いて金色の野に降り立つべし・・・おお・・・!」

 

少女A「婆様?」

 

大婆様「古き言い伝えは真であった・・・」

 

少女B「あ!見て!」

 

上空にコンドルが飛行している。

 

村人A「コンドルだ!」

 

村人B「風だ!風が戻って来た!」

 

止まっていた風が再び吹いた。

 

 

 

 

 

 

地上に降りたタクトとジェシカは。

 

タクト「お前達のお陰で彼女と谷が救われた。ありがとう。」

 

するとヴルグがタクトに何かを言った。

 

タクト「・・・え?」

 

ジェシカ「タクト?どうしたの?」

 

タクト「ジェシカ、俺・・・」

 

そこに村人達が駆け込み、蘇生されたジェシカを抱き締めた。そしてイーサンとも再会し、彼に胴上げして貰って大喜びした。

 

 

 

 

ヴルグの大群が森へ帰って行く。

 

 

 

 

その後、タクトとジェシカがイベリーゴ軍と交渉を進める。

 

 

 

 

翌日。スカーレットとアンソニーが大型船に乗り、イベリーゴ帝国へ帰って行った。

 

 

 

 

数日後。新たな風車が完成し、地下の水を地上へ流れた。そして村人達は胞子で全滅させられた森の跡地に新しい芽を植えた。

 

タクトはここ2ヶ月間アネモスビレッジへ滞在する。

 

 

 

 

翌日。タクトはアネモスビレッジに別れを告げて旅立った。その際に3人の少女達からチコの実を貰った。

 

その後イーサンはダリルと共に旅に出て、ジェシカも旅に出た。

 

 

 

 

 

 

そしてタクトが着いた場所は、ジェシカと共に訪れた森。ヴルグの道があった場所。

 

タクト「あ。」

 

そこに3体のヴルグがタクトの前に現れた。

 

タクト「皆。俺を元の世界へ返してくれるのか?」

 

すると3体のヴルグが触手を高く伸ばし、そこに光を集中させると金色の空間が出現した。

 

タクト「これで元の世界へ帰れるんだな。ありがとう皆。それに色々と迷惑掛けてすまなかった。」

 

ヴルグが彼の頭に何かを言った。

 

タクト「ありがとう。許してくれて。じゃあな。」

 

彼は金色の空間へ入って行った。その際にヴルグが何かを言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元の世界。

 

???「タクト!タクト!」

 

タクト「っ・・・ん?」

 

目を開けると、フェオン達がタクトを見ていた。

 

タクト「あれ?お前等・・・?」

 

フェオン「もう何時まで寝てるのよ。そろそろ起きなさい。」

 

タクト「何でお前等がここに・・・?」

 

レア「おいおい何言ってんだよ。レア達と一緒じゃないか。」

 

タクト「そう・・・だったな。(あの世界は俺の夢だったのかもな・・・)」

 

エミリー「ん?どうしたんだお前?」

 

タクト「いや、何でもない。」

 

ヒナ「あら?タクトさん、左手に持ってるそれは?」

 

タクト「ん?」

 

左手には、チコの実が入った袋が握られていた。

 

タクト(え?チコの実?さっきのは夢?それとも現実?)

 

アンナ「タクトさん、その袋は何ですか?」

 

タクト「・・・あぁ、これはお前達に出会う前に譲り受けたチコの実って言うんだ。これを思い出しながら寝てたみたんだ。食べてみるか?」

 

チコの実を食べさせた。

 

イザベラ「ん〜!何だか不思議な味ですね〜!」

 

タクト「あぁ〜、やっぱりこの味癖になるねぇ〜。」

 

グレア「どんな味なのか私も食べてみたいなぁ〜。」

 

タクト「それじゃあ皆、次の旅へ行くか。」

 

地図を開いて行き先を決める。

 

タクト「えっと・・・アールスハイド王国だな。」

 

フェオン「三大大国の1つね。」

 

タクト「よし、じゃあ行くぞ!」

 

彼等はアールスハイド王国で新たな出会いを果たすのだった。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:綱啓永

ジェシカ:嶋村侑
イーサン:鈴村健一

ダリル:井上和彦
大婆様:仲村かおり
バリー:木村昴
ボブ:立木文彦
チャド:楠大典
ダウト:西村知道
ベガ:田中進太郎

リベリオ市長:千葉繁
エイダの母:井上喜久子
リベリオの少女:諏訪彩花
リベリオの少年:河西健吾

エイダ:八木侑紀

少女達:水谷麻鈴
    八木侑紀
    難波佑香

兵士:狩野翔
   松田修平
   市川蒼
   野瀬育二
 
アンソニー:村上裕哉
スカーレット:斎賀みつき

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
グレア:高橋李依


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