メジロマックイーンとお兄様と愉快な元極道たち (ライステイオー)
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物語・人物設定(序)

6話を修正しつつ思った・・・アプリとアニメじゃマックイーンって中等部...読者と俺との間でマックイーンの年齢が変わっちゃうので人物設定しとかないと・・・ということで今更ながら登場人物設定Etcを...


トレセン学園

府中市にあるウマ娘育成学校。ウマ娘たちがレースに出るにはこの学園に入園する必要がある。地方にも分校があるが基本重賞などの大きな大会は府中にある本校で行う。授業は基本高校大学と同じだが45分授業を一日5限で受ける。授業を終えて放課後にトレーニングがある。アプリやアニメでは中高一貫校だが、この作品では高大一貫となる。入試難易度はそこまで高くなく、入学自体は書類に問題がなければ入れるくらいだ。しかし、入学してから卒業するまでが厳しく、留年する学生も少なくはない。

 

トレセン高校

トレセン学園の高等学科。トレセン学園に入学するウマ娘たちは大抵高等部からであり、普通科、総合学科の2つがある。普通科では主に文武両道を目指した授業内容となっているが、総合学科では将来的なことを見据えた授業を多く取り入れている。

 

トレセン大学

トレセン学園の大学学科。主に理系やスポーツ系の学科があり、大学に入ってもレースに出るウマ娘たちは大抵スポーツ系学科に入る。ウマ娘たちの中にはサポートに回りたいものもいるため、その子たちはほとんど理系学科に入る。

 

レース

レースは基本学年関係なく出走できるが、経験値や能力的に高等部はG3が一番上だとされている。しかし、まれにG1やG2でも活躍するウマ娘もいる。なお、高等部からサポートに回るウマ娘もたまにいる。

 

トレセン食堂

24時間営業であるが、生徒の健全な成長のために10時~4時に食事の提供はしておらず、飲み物のみの提供になる。提供方法はビュッフェスタイルであり、提供される料理の品数は朝昼夜すべてを合わせて400種類を超え、持ち帰りも可能である。ドリンクなども豊富で放課後にはスイーツも出る。ここ1か所で食生活職員も利用することができ、中にはここで夕食を選んで別の場所で食べたりするということをする者もいる。味は軽い3つ星レストランクラスであり、レパートリーも和洋中にフランス、イタリア、タイ、韓国、ロシアなどと多用途である。ちなみに行事に合わせた料理も出る。ちなみに生徒及び関係者であれば無料。

 

生徒の勉学に影響が出ないよう基本は実家での生活を推奨しているが、地方からのウマ娘のために寮も存在する。2人1部屋であり、食事をとることもできる(学食に少々劣ってしまうが・・・)一応インターネット環境も最低限整えられており、生徒は利用することができる。

 

人物紹介

 

主人公 桐生実

足が人並外れて強い20歳男性。幼い頃に両親は事故で他界し、親戚を転々、親父さんに拾われてようやく落ち着く。ウマ娘に劣らないほど早く、足蹴りを基本とした独自の戦闘スタイルを持つ。下半身は確かに強いが上半身は平均男性以下であり、本人も鍛えても鍛えても一向に良くなることがないから困っている。

 

親父さん

主人公実の養父。トレセン学園にてブラックウィドウのトレーナーを務める。大の酒好きだが、大酒のみというわけではなく、バーなどでちょびちょび味を楽しむ。実の蹴りを受けてもぴんぴんするほど鍛えられているが、おじさんらしくお腹は出てる。

 

メジロマックイーン

メジロ家の御令嬢。実が小さい頃から顔見知りであり、想い人でもある。容姿端麗で成績優秀だがどこかポンコツである。アニメでは中等部だったが今作では高等部生徒である。

 

トウカイテイオー

マックイーンと同じ高等部生徒。小柄な体と柔軟な体から繰り出される走りは重馬場でも活躍できる。寮に入って生活しているが親からの電話にうんざりしている。

 

サイレンススズカ

高等部生徒。衣食住より食べることが好きで気づいたら知らないところまできてしまっていたなんてことが頻繁に起きる。そのため走りたくなったらターフで走ることが日課になってしまっている。

 

ライスシャワー

高等部生徒。小柄だが大食いである。ライスという名前からご飯派かと思うが朝はパン派である。学食のパンの多さに感嘆しており、朝の食事量が増加気味で少々困っている。

 

ゴールドシップ

いつの間にかに入部していたやつ。学部も学年も不明。というか入学している以外何もわからない。理事長も疑問視するが疑問視した人は全員「まぁ、ゴルシだからいいか。」で終わる。溶接に屋台の運営権。キャタピラ車免許など資格を多数持っており、レースに出ない日にはしょっちゅう商売をしている。学園内でも利益の半分を学園に寄付して屋台営業を許可してもらっている。

 

ゴールドシチー

おととしからチームに加入した高等部3年。モデルの仕事しており、トレーニングに出れないことが多いため、前いたチームを抜けさせられて困っていたところを親父さんに拾われた。目立った戦績はないが安定してG3を1着で勝利するなどレース経験は豊富である。

 

アグネスタキオン

元ウマ娘兼現医務員及び研究者。在学中に出した論文が大いに注目を浴び、学園に勧誘され医務員になる。レース経験はほぼないが、シチーの感想などから最適な走り方を提案してくれるため、頼りにしている生徒も多い。しかし、実験などで謎の薬を出すなど厄介なところもある。実の体質に興味があり、ちょくちょく研究している。




とりあえずこんな感じですかね・・・またなんか必要かなぁと思ってきたら出します。ということで設定がわからなくなったらこちらをお読みください。


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悪夢から覚めるまで

 「約束だよ!実お兄様!」

 

 「うん!」

 

守れなかった、約束を... 俺と彼女には立場も位も生まれも違いすぎる... 彼女の横に立つのは俺ではない... もっと最適な人がいる... 夢ならばどれほどよかっただろう。いまだに彼女のことを夢に見る。うちは父と母と俺の3人家族だった。決して裕福ではなかったが、父の趣味でもある旅行には頻繁にいっていた。かといって遊園地に行ったりなどではなく、常に親が行きたいところだった。だけど俺は暇ではなかった。そこで起きたものや見たもの。感じたものをすべて彼女に伝えられたからだ。彼女は格式高い家に生まれた。幼いころから病弱で走り回って遊んでは熱を出すほどだった。それを彼女の執事から聞いたとき、俺はおとなしく遊べる遊びを考えた。それがこれだ。いろいろと話すものは旅行でできた。俺は一生懸命景色を見たりして彼女に言えるようにした、けど...

 

ある日を境に俺の人生は高空から落下して地面に衝突するかのようにどん底に落ちた。

 

その日、うちの家族は事故にあった。反対車線で前の車を抜こうとしたトラックと正面衝突したのだ。俺は顔に深い傷を負った。眼球に傷がつき、右目の視力は失われた。そして両親も... ここから俺の人生は一気に黒くなった。両親を失ったことで親戚の家に引っ越すことになったし、それを彼女に伝えられることはできなかった。そして大人の都合で親戚を転々を移された。それは中学になるまで続いた。名前を知る頃には転校だったために2回目の転校の時くらいから俺は友達を作るのをやめた。もともと物静かだったし、顔に大きな傷があるのは子供なら少しでも怖がるだろう。それが拍車となっていじめに発展した。やけくそになった。いじめてきた相手を殴り返そうとした。けど複数人に囲まれて勝てるような喧嘩上手ではなかった。俺は考えた。どうしたら勝てるか、そしてあるドキュメンタリーを聞いた。

 

そこにはなぜゼロ戦が徐々に弱くなったのか。ゼロ戦は登場した当初は無敵だった。軽量な機体と大きな翼からくる高い機動性、当時としては強力な機関砲を持って敵機を制した。だが、戦争が続くにつれアメリカは大馬力のエンジンを搭載した戦闘機を開発した。ゼロ戦はタイプによって違うが、最高速度は大体500Km後半程度だ。だがアメリカの戦闘機は早いやつで700Kmを超える。そいつは後半から日本機と相まみえたがそれ以前から大型エンジンを搭載した戦闘機がゼロ戦を蹂躙していた。

 

そしてそれを見て俺は感じた。戦いはすべて速度で決まると。俺は鍛錬した。早くなれるなら何でもした。筋トレ、ランニング、食事、幸いそのころにはもう誰も何も言わなくなってきていた。里親も過去一で俺のことを気にせず、食事はこっちでとるから金だけおいてくれといったらそうしてくれた。そして俺は食生活をも利用して足を鍛え続け、ある程度筋肉が発達したところで反撃を開始した。その日にいじめられ始めたところを仕掛け、攻撃に転じた。とにかく足を使った攻撃を行い、蹴り、タックル。かかと落とし。思いついた技はすべてだし、相手を半殺しにまで追い詰めた。もうここで今までの自分はいなくなったと感じた。死んだ父親は暴力はいけない、守るためだけに使えと言っていたが、これは過剰だった。でも後悔はしていなかった。だがそれをしたことによって相手は後遺症を残し、俺は少年院入りになった。そこでも同じことをした。だがそこはもっとひどかった。相手から売られた喧嘩を買って喧嘩すれば懲罰房入り、何か問題を起こしたら懲罰房行き。中学生になって出所するころには心は荒み切った。もう誰も親戚は俺を養おうとしなかった。そりゃそうだ、喧嘩が日常的なものを誰が欲しがる。それで刑務官のつてである男の家に養われることになった。その男は独身で、全体的に鍛えられた筋肉をしていた。早速俺は家を出て一人で街を歩いていた。そして朝になって帰ってくると男に殴られた。俺は蹴り返そうとしたが受け止められた。初めてだった、受け止められたのは。その後ぼこぼこに殴られた。だが殴る痛みよりも心の痛みの方が強く出た。

 

俺はその日からまじめに学校に行くようになり、その男を親父さんというようになった。だが学校の先生とは完全に相性が悪かった。特に年寄りの女性先生は俺が少年院入りしているのを悪く思ったのか、何か俺の周りで問題が起きれば俺のせいにし始めた。そのうち俺は学校に行きたくなくなった。学校に行きたくないことをおやじに説明もした。すると親父さんは仕事場に連れて行ってくれた。そこはトレセン学院。親父さんはそこでチームブラックウィドウのトレーナーをしていた。当時はレースに出るのにチーム人数の制限はなく、親父さんのチームには2,3人しかいなかった。だがその2人は学園内最速の異名を持っていた。学校に行きたくなかった俺はトレーナーとして働く親父さんの手伝いをした。親父さんは別に学校に行かないことを咎めなかった。俺は見ていて思った。みんな早いと。そこで俺は試しに追いかけてもいいかと親父さんに聞いた。親父さんは潔く許可した。そこで併せをしている二人を追いかけるようになった。最初は追いかけても追いつかなかったが、毎日追いかけていると徐々についていけるようになった。人間がウマ娘に追随できるという話は聞いたことがない。と親父さんは言った。そしてその噂は広まり、いろいろなウマ娘から併せをお願いされた。そこで俺は気づいた。ウマ娘には4通りの走り方があるって。試しにすべての走り方を真似してみた。

 

一つは逃げ、最初からフルで走るというもので、走ることにのみ集中できるだが、消費する体力と足が半端ではなかった。

 

次に先行、体力と足はそこまでだったが考えながら走るのでそこそこ疲れた。

 

その次に差し、体力の消費は一番少なかったがブロックされたら終わりだった。

 

そして最後に追い込みだった。これは一番楽しかった。一か八かの賭けのような走り方だったが、集団を一気に追い抜くのはどこか楽しかった。

 

そしてこの日に思った。トレーナーの仕事をしてみたい。親父さんにその相談もした。親父さんは喜んだ。そのためには学校に行けと言われた。学校で学問を学んで来いと。俺は中学3年から一生懸命学校にいった。そのころには相性が悪かった先生はいなくなっており、多少の環境は改善された。平日は学校、土日は親父さんの手伝いをした。学校では特にしゃべる人もいなかったから昼休みにトレーナー試験の勉強も始めた。高校に入って初めて友達ができた。そいつもトレセン学園で教員をしたいといっていた。俺らはウマが合った。高校2年でトゥインクルでのトレーナー資格を得た。もちろんニュースになった。なんせ大学も言っていない高校生が資格を取得できたのは大きかった。それを見たトレセン学園理事長は短大を卒業し次第うちにこいと言ってきた。もちろん二つ返事で快諾し俺はわざとFランクの大学を選び、時間に余裕を生ませた。その時間はすべてバイトや親父さんの手伝いをした。そして今日。俺はトレーナー補佐として親父さんのサブトレーナーとして正式に採用される。

 

「お前もついにトレーナーになったかぁ。」

 

親父さんは運転しながら物思いにふける。

 

「出会った当初はこうなるとは思わなかった。てっきりお前は格闘技の世界で活躍するかと思っていた。」

 

「親父さん。あの時親父さんに拾われなければ俺は人としてやってはいけないことをやっていたかもしれない... 親父さんには感謝している。」

 

 

「なんだよ。急にかしこまって。」

 

親父さんは照れる。けどその顔はどこか懐かしがっていた。

 

「それで?今日からお前は正式なトレーナーとなるわけだが... どこのチームで研修を受けようか考えてるのか?」

 

「もちろん親父さんのチー「やめとけ。」...え?」

 

唖然とする。てっきり俺はそのつもりだった。親父さんのチームは俺が継ぐと思っていたからだ。親父さんは真顔になっていた。そしてこういう。

 

「俺のチームで学べることは何もない。だから別のチームに行け。」

 

「...親父さん。トレーナーのウマ娘育成論は戦術、鍛錬、すべて徹底管理によるものだけれど、周りを見てもそれは半分間違っていると思う。」

 

「...どういうことだよ。」

 

「ウマ娘によってこの育成論は合うわないかもって思ってるんだ。現に他チームで活躍できずにチームを抜けたウマ娘が親父さんのチームに来たら活躍できたって話は多かっただろ?親父さんのチームの育成論は基本ウマ娘の考えを尊重する。どう戦いたい、このレースに出たい。この走りを真似してみたい。中には自分は走らず、研究に専念していうやつもいる。俺は少なくともロボットのようなウマ娘は作りたくない。あくまでもウマ娘たちがレースを楽しめるチームがいいんだ。だから頼む親父さん。俺を親父さんのブラックウィドウで研修させてくれ。」

 

「...ふふふ。」

 

親父さんの強張った顔がゆるばむ。するとすぐに大声で笑い始めた。

 

「ははははははははは!!いうじゃねぇかよ実。わかった。いいだろう。けど条件がある。」

 

「条件?なんだよ。」

 

「今度入ってくるウマ娘。俺が指名したやつで3冠を達成させろ。」

 

「...なるほどな。わかった。3冠だろうが6冠だろうが達成させてやる。」

 

親父は笑顔のまま車を動かす。なんてことない、やることは今までやってきたことと変わらないから、当時はそう思ってた...

 



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私にとってのあの人

マックイーンって野球にご熱心だけど自分野球に詳しくないのどうしよ・・・


あの方と離れ離れになって10年でしょうか。あの方は突然いなくなりました。おうち

を訪れても空き家であり、人を使って探してもどこに行ったか分かりませんでした。

おばあ様や周りの人たちはひどく悲しみました。あの方は私にとってはお兄様のよう

な存在でしたし、メジロ家の者たちとも親しくしていましたから...

 

みんな彼はどこかに消えたか、死んでしまったかと言いました。

 

ですが5年前にトレセン学園に学校見学で来た時に似たような方... いえ、あの方はおられました。顔に傷があってわかりづらかったですがあの顔はまさしく彼でした。列から抜けてあの方の行く先を追いかけましたが二度と見ることはできませんでした。私はきっとあの方に似たような人だと自分に言い聞かせました。そうしないとずっと探してしまいそうでしたから・・・ですがそれは間違いでした。2年後のある日、ふと車に搭載されたテレビを見ているとニュースで高校生がトゥインクルシリーズのトレーナー資格を取得したというニュースがやっていました。私は興味を持ってそのニュースを見続けました。すると高校生へのインタビュー映像に変わったとき、わたくしは固まりました。確かにあの人だったのです。顔には大きな傷跡があり、右目はずっと閉じていましたが、あの顔を忘れたことはありません。彼はトレセン学院にいたのです。ですが疑問が浮かびました。どうして彼はあそこにいたのか、そしてなぜ今まで連絡をしてこなかったのか。ですがそんな考えはすぐ吹っ飛びました。彼が生きていた。それだけで私は満足でしたのです。そして今日... 私はトレセン学園に入学します...

 

わたくしとあの人の出会いはまるでおとぎ話のようでした。わたくしが熱で寝込んでいるときにどこからか忍び込んだのかわかりませんが、部屋のバルコニーの方を見ると男の子がいました。当時の私は何を思ったのか無意識に窓を開けてその男の子を中に入れました。そしてどこから来たのか聞きました。するとその男の子は「君が苦しそうにしていたのが見えたから飛んできた。」とおっしゃいました。素っ頓狂な話ですが私はその話を信じました。そして次の日も、その次の日も、あの方は私の部屋へと窓から訪れました。爺やにその姿を見られたときは怒られるかと思いましたが、爺やは黙ってくれました。しかしおばあ様に見つかったときにはほんとに怖かったものです。おばあ様は優しいですが時に厳しい人でもありますから。ですがおばあ様も最初は叱責を男の子にしましたが私と友達になってくれたことがよほどうれしかったのか次からは玄関から来なさいと言って、飲み物を届けてくれました。それ以降はよくおばあさまの部屋へ行って昔ばなしなどをしてくださいました。一度だけ、外で思いっきり遊びまわったこともあります。ですがその次の日に熱を出しました。その方はその次の日からはおうちで遊ぶようになりました。わたくしはその方を王子様のように思っていました。いや、もう王子様といっても過言ではありませんでした。お父様やお母様に怒られて悲しいときには静かに隣にいてくれて、うれしいことがあったら一緒に喜んでくれて。あの方を好いておりました。しかし、ある日を境に彼は二度ときませんでした。

 

「...きっとここにあの方が...」

 

胸に置いた右手を握りしめる。今日わたしはトレセン学園に入園する、目標は、天皇賞勝利である。そして、彼を見つけて言いたいことを言うのだ。そう思って私は入学式に出る。入学生代表の言葉になると私は壇上に立つ。一礼をしたのちに会場を見渡す。けど彼はいない。冷静さを保ちながらあいさつ文をそつなく読む。入学式が終わり、下校する際に学園を回る。ふと一つのチームに目がいった。そのチームはターフの上で併せをしていたが、おかしかった。4人走っているのだが、ずば抜けて早い一人の格好がジャージではなく、普段着なのである。しかしその走りは早く、並みのウマ娘を超えているものがあった。だがそれはどうでもいいと思い、私はずっと探し続けました。ですが日の明るいうちに彼を見つけることはできませんでした。あきらめて帰ろうとすると部室に入っていく彼を見つけました。

 

「いた。」

 

そこからは自然に足が部室の方へ向かいました。部室にはチーム名が書かれていまし

た。名前は...

 

「ブラックウィドウ...」

 




メジロマックイーンを泣かせたい。次回は若干胸糞要素があります。けど主人公は誠型のクソやろうじゃないので許してください()


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拒絶

予定ではここで書かれた微胸糞展開は次回に回します。だから


「ただいまよりブラックウィドウ入団テストを行う。内容は簡単だ。こいつと走ってもらう。」

 

親父さんは俺の方を指す。この入団試験に意味はない。最も親父さんは来るもの拒まずの精神でチーム運営をしているが、学園の規則上入団試験は必ずやらなければならないため、仕方なしにやっていることだった。今年卒業した2人ともう2人しか今までチームにはいなかったが卒業した彼女たちの活躍のおかげで今年のチーム入団志望者は3人いた。一人はオレンジ髪の細身な子。もう一人は黒毛の背の小さい子。そして最後は茶髪のポニーテールの子だ。俺は親父さんよりも少し前に立つ。

 

「今から中距離を俺と走ってもらう。勝っても負けても関係ない。君たちはもう採用決定だ。だがこの試験は確認も並行している。君たちの走りを見てトレーナーは今後の計画を立てるからな。一生懸命走るんだぞ。」

 

ウマ娘たちの方を見ると唖然としていた。言っていた内容がわかんないのだろう。そう思っているとポニーテールの子が質問してきた。

 

「お、おにいさんが走るの?」

 

「あぁ、俺が走る。」

 

「・・・お兄さん普通の人間だよね?僕たちに追いつけれるの?」

 

にやりと笑いながらその子は言い始める

 

「僕たち一応ウマ娘だよ?お兄さん足が速いんだろうけどさすがに僕たちとの勝負じゃあ・・・」

 

「言っとくけど、中途半端に走ったら親父さんはすぐわかるからな。そしたら一発退団だ。ちゃんとやれよぉ。それに、俺は並みの人間よりかは早いからな。何か賭けてもいいぞ。」

 

「・・・もしお兄さんが負けたらどうするの?」

 

「そうだなぁ・・・君たちのうち1人でも俺に勝てばお前たちにフルーツ食べ放題ランチおごってやる。」

 

「「「スイーツ!」」」

 

みんなのやる気が上がったようだ。親父さんは何言ってんだというような顔で俺を見る。けどこれが一番やる気が出るらしい。やっぱり彼女たちもいっちょ前の若い子だから甘いものには目がないようだ。俺もまだ20の若造だが。

 

「そんじゃ位置につけぇ。」

 

そういって俺たちはレースの準備をする。うちから栗毛の子、黒毛の子、ポニーテールの子、俺だ。親父さんが気が入ってないようなよーいどんをいう。全員で一斉に走り始める。最初のコーナーに入るとき、俺はドベだった。一番にオレンジ髪の子、二番に黒髪の子、三番に茶髪の子。そして俺だ。時折さっきの子がこっちの方を見てくる。おそらくホラ見たことかというようなことを考えているのだろう。第二コー

ナー、第三コーナーの入り口まで順位が変わらなかった。だが、第四コーナー入り口

で俺は気合を入れてこういう。

 

「さぁ、追い込み開始だ!」

 

 

俺がそういうと一気に足に力を入れて踏み出す。空いた内側から一気に走り抜ける。ポニーテールの子はおそらくびっくりしたのだろう。えぇ!?って声が後ろから聞こえてきた。続けて黒毛の子も抜き去りオレンジ髪の子に迫る。第4コーナーを抜けて残り400m俺はオレンジ髪の子に並んだ。並んだままゴールまで近づく。俺は最後の力を振り絞って足をけって走る。ギリギリ前に出る。2分の1馬身差でゴールした

レースが終了するとポニーテールの子が叫ぶ。

 

「なんでだよぉ!お兄さんほんとに人間なの!?」

 

俺はそれを聞いてにやける。思った通りの反応をするからだ。そしてその子を見てこういう。

 

「あぁ、ごく普通の人間だよ。」

 

その後、部室で名前を聞いた。オレンジ髪の子はサイレンススズカ。黒髪の子はラ

スシャワー、そしてポニーテールの子はトウカイテイオーというようだ。名前を聞いた後、明日の集合時間を知らせ、解散する。その後俺は一度トレーナー達が出入りする事務室に戻って入部届を置いてくる。そしてまた部室に戻って片づけを始めた。片

づけをしていると親父が聞いてくる。

 

「オマエその走り方誰に教わったんだよ。」

 

俺はそのまま片づけを続けながら答えた。

 

「ゴルシの走り方を真似しただけ。誰からも教わってない。」

 

「・・・お前ほんとはもっとやろうと思えばオリンピック選手狙えたんじゃないのか?」

 

ごもっともである。いくら入学仕立てでとはいえウマ娘は人間よりも早く走れる。それをギリギリながら追い抜いたのだからオリンピック選手になることは可能だっただろう。

 

「まぁオリンピック選手になってもすぐやめたと思うよ。周りが遅いとかで。」

 

「はは、確かにな。」

 

「それにしても結局親父さんのチームは俺以外誰も研修生が来なかったよな。」

 

「そんなもんだ。俺の育成論は今は正しいとは言えないからな。結果を残していてもそれはウマ娘が強かっただけってことで終わりだ。」

 

「・・・まぁ、結局親父さんは来たとしても受け入れるつもりはなかったんだろ?どうせ何かしらの難癖をつけてやめさせてただろうに。」

 

「ちげぇねぇ。」

 

そのあとも片づけをしながら今後の予定を二人で考えている。すると誰かが扉をノックする音がした。

 

「どうぞー。」

 

俺はドアの方を見てそういった。すると失礼しますとなぜか聞き覚えがある声がしてそのあとすぐにドアが開いた。ドアから桜の花びらが入ってくる。そこにいたのは紫の髪をした覚えのあるウマ娘が立っていた。

 

「10年間...10年間ずっと探して...やっと、やっと見つけましたわ。実お兄様、メジロマックイーンです。覚えておられですか?」

 

入ったときには少しうつむいていた顔はそういうと同時に俺の方に顔を上げた。その眼は少し涙ぐんでいて、顔は笑っていた。

 

「なんだ実。お前の知り合いか?」

 

親父さんは俺の方を見て問いかけてくる。俺は片づけの準備に戻りつつこういう。

 

「いや、知らないな。人違いじゃないか。お嬢さんよ。」

 

俺は親父さんの質問に否定の返しをして片づけを続けた・・・

 




さぁ次は微胸糞ものだぞ!読者の諸君!誠を刺し殺す準備はできたか!


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親父さんから見た俺(犯罪者)

なんか・・・修正とかしてたらそこまで胸糞じゃなくなっちゃった・・・この誠どうしよ。


「悪いが俺はお前のことを知らない。メジロ家の御令嬢さん。」

 

胸が痛んだが、こういうしかなかった。あいつと別れて10年。一時も忘れることはなかった。けど俺はもうあいつの横にいてやれるものじゃない。

 

「ウソはやめてくださいまし...」

 

「ほんとさ、俺は君がメジロ家の令嬢としか知らない。」

 

「そんなわけありませんわ!」

 

「話はそれだけか?なら俺は変えるよ」

 

そういって俺は荷物をまとめる。彼女の横を通り過ぎると彼女は言う。

 

「お兄様。ほんとに忘れたのですか...」

 

その声を聞き流して俺はさっそうと帰宅する。前までは親父さんと暮らしていたが就職を機に一人暮らしをすることにした。もともとそのつもりはなかったが親父さんは「一人暮らしで見つかることもある。とにかく今は知識を得ろ。お前に今必要なのは経験だ。」といった。その考えに乗った形で俺は一人暮らしすることにした。駐車場に着いて、資格取得した後に必死にバイトして稼いだお金で買ったZX-R25にまたがると親父さんがこっちに向かっていた。

 

「実。あいつだろ?お前が昔言ってた子って。いいのか?あんな言い方して。」

 

「親父さん・・・いいんだ。親父さんだって俺が何で少年院入りしたのかわかってるだろ。あの日から俺はもうあいつと話す資格もなくなった。だからいいんだ。あいつに行っといてくれ。気分を害したならすまないって。」

 

そういってヘルメットをかぶって俺は家に帰る。親父さんはその背中が消えるまで見続けた。

 

「馬鹿たれ。お前は腐っていてもまだあの子にとっての王子様だったんじゃねぇか。」

 

実と引き取ったとき、あいつは根までは朽ちていなかった。だがいつ朽ちてもおかしくないほどあいつは腐りかけていた。経歴は親戚からいろいろ聞いた。あいつは事故と大人のせいですべて失ってしまったのだから。俺は何としてでもこいつを更生させたいと思った。もう大人に左右されないよう頑張った。相性の悪い先生がいたときには無理に学校に行かせなかった。あいつが道を間違えようとしていたら徹底的に叱ったけど自分が間違った行動をしていないと言った時には褒めた。おかげであいつが中学を卒業した時にはまだ色々と問題はあったが元通りの性格に戻ってくれたと思う。

 

けどあいつには天性の才能があった。脚力が尋常じゃないのだ。それを知ったのは卒業して高校への入学式に向かう途中だった。学校の駐車場は満杯で別のところに止めていたため、歩いて少し歩いて学校に向かうことになったのだが、低学年くらいであろうか、小学生が追いかけっこをしていて信号無視して飛びだした。すると左からものすごいスピードで迫ってくる車がいた。瞬きする間だけで20mは進むくらいの速度で小学生に迫る。左側はカーブで小学生の方はギリギリ見えない。小学生は気づいたが立ち止まってしまい。車の男はスマホを使いながら運転しているため気づいていない。危ないと思った瞬間車は通りすぎた。けど血しぶきや叫び声は聞こえないし、見えなかった。その小学生の隣には実がいた。信号が変わり実に近寄る。実の体には問題がなく、小学生にもけががなかった。俺は実に聞いた。いつ駆け出したんだと。そしたら実はこういった。

 

「わからない。けど俺が出たときにはあの車はもうあと数メートルで小学生にぶつかる距離だったと思う。」

 

理解できなかった。あいつはウマ娘じゃない。人間だ。コンマ数秒を反応できるかということはできるかもだが、そのコンマ数秒で助けることなど不可能だろう。けどあ

いつは何か違った。それが確信に変わったのはトレーニングを見ていた時だ。急にあいつは併せをしている生徒たちの後ろを追いかけてもいいかと言ってきた。普通なら意味がないだろうというが、例の件もあって俺はやらせてみた。そこで確信した。あいつは最初こそ追いつくのに精いっぱいだったが数日もすれば追い抜いていやがった。俺はあいつの足には神様、いやそれ以上の存在がもたらした何かがあると信じた。そして俺はお前は鍛え上げればオリンピックに出れるぞといったが実は興味なさそうに「面白くない。オリンピック選手も遅すぎるし俺はもう犯罪者だ。出る資格がないし、出るべきものではない。それにウマ娘と一緒に走ってトレーニングしたほ

が楽しい。」といった。その日以降あいつに併せを依頼するやつらはたくさん来た。実はすべて受けた。そしてウマ娘たちの走りを盗んで上達していった。そして学園内でひそかにこう呼ばれるようになった。

 

「人間の体を持ったウマ娘」と...

 



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爺やさん

この話を出してからいざ!UA見てみよう!感想見てみよう!「変な所で改行されてますよ」・・・すいませんでした!とにかく自分はまだハーメルンの使い方が初心者なのです!なので多めに見てください!お願いします何でもしますから!(ゴルシが)


家に向かう途中、俺は明日の朝ごはんを買う。夜ご飯は食べない。時間対効果で考えたら別のことにあてた方がいいと最近わかったからだ。さて明日は何を食べようと考えていると一人の男から声をかけられる。

 

「もしや・・・もしや実様ではありませぬか!!」

 

聞こえた方に顔を向ける。そこには知った顔がいた。そう、あいつの執事である爺やさんだった。

 

「爺や...さん?爺やさんか!」

 

「えぇそうです!大きくなられましたねぇ。」

 

「爺やさんは変わってないなぁ。10年ぶりか?」

 

「えぇ、あの時は別れも言われずに去られてしまわれましたから、探しておりました。」

 

「ごめんな爺やさん。俺も言う暇がなかったんだ。」

 

そういうと爺やさんは俺の胸元を見る。胸元には取り忘れてたサブトレーナーのバッジをつけている。爺やさんはそれに気づいたのだ。

 

「もしかして・・・トレセン学園のサブトレーナーに・・・」

 

「今日からな。といってもトレセン学園自体は中学のころから入り浸ってたから大して変わらないんだけどね。」

 

「実さま。その... マックイーンお嬢様にはお会いになられましたか?」

 

「あいつにはあったよ、むしろあいつからあってきた。けど俺は知らないふりをしたよ。」

 

「そんな、どうして...」

 

爺やさんは驚きのあまり言葉を失っていた。それもそうだ。あの頃の俺らはとても仲が良かった。こんな結果なんて誰も思いもしなかっただろう。

 

「爺やさん、俺はもうあいつの隣に立つ資格はないんだ。」

 

「お聞かせ願います。この10年間。実様に何が起きたのかを。」

 

「いいけど、爺やさん仕事は・・・」

 

「実は軽い肺炎を患いまして、完治はしましたが大事をとって1週間休みをいただいております故。」

 

「・・・わかった。近くに準喫茶がある。そこで話そう。」

 

 そうして俺は爺やさんに今までのことを教えた。親族を転々とさせられたこと、いじめっ子を半殺しにして後遺症を残させたこと。少年院のこと。親父さんのこと。資格試験のこと。すべて話した。途中から爺やさんは泣いていた。そりゃそうだろう。俺らはまるで孫のように扱ってくれた。そんな孫と大差ない子がひどい仕打ちを受けていたことを知ったら誰も涙をこらえられないだろう。

 

「そんなことが...」

 

「爺やさん。今は俺は満たされているよ。親父さんという尊敬すべき人やチームのこと。今やってる仕事とか充実した人生を送っている。」

 

「さようですか... ですが実様、お嬢様のことをどうかお願いします。」

 

爺やさんは深々と頭を下げる。

 

「爺やさん、いっただろ?俺はもう犯罪者。名家であるメジロ家の令嬢にかかわることはダメなんだ。できないんだ。」

 

「実様。それでもです。今マックイーン様は誰が見てもわかるほど無理をしておられます。私たちが少しお休みになられてもと言われても無理をおやめになられないのです。お嬢様にはメジロ家の悲願である天皇賞を3代で手に入れるという大役を背負われています。それに以前テレビで実様がトレセン学園のトレーナー資格試験に合格したというニュースを見られたようで。一生懸命頑張って成果を上げて実様のチームに入るといっておられました。実さま。使用人である私がお願いするなど図々しいかと思われますが、お願いします。マックイーンお嬢様をどうか...」

 

「爺やさん。頭を上げてくれ。俺はもう爺やさんが頭を下げてまで必要とされるような人じゃ「そんなわけありませぬ!」」バンッ

 

爺やさんがテーブルをたたく。

 

「実様!どうしてそこまで自分を卑下なされるのですか!お嬢様の隣に立てられるのは昔も今も実様しかおりませぬ!どうか自分を自虐されることはおやめくださいませ!」

 

「爺やさん...」

 

「すみません。つい声を荒げてしまいました。」

 

「いや、いいんだ。どっちにしても俺には無理だ。経験値も足りない。マックイーンはトレーナーたちでも名が知れているからもっといいところがあるだろう。そこに入ったほうがあいつは心理的にも楽になれる。だからあきらめてくれ...」

 

そういって伝票をとって店を出る。帰宅して仕事をする。仕事中も爺やさんのあの荒げた声を忘れることはできず、いつもより集中力が落ちている。

 

「俺にできることなんてない、きっと俺が犯した過ちを知れば。」

 

そして思いつく。俺の過去をあいつに話せばあいつは幻滅して、あきらめてくれるだろう。

 

そうしよう。それが一番なんだ。きっと...

 




果たしてマックイーンは主人公の過去を聞いてどう思うのでしょうか。というか主人公卑屈すぎませんか?


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マックイーンと俺。

とりあえず5話までの変なところはすべて直した・・・はず・・・スマホで読まれてる方も読みづらいなどがあれば教えてください。できる限り対処させていただきます。


マックイーンに俺がしたことを説明する。そうすればあいつはきっと俺のことを幻滅してあきらめてくれる。明日そうしよう。そうして俺は眠りについた。次の日、トウカイテイオーに朝あった。そしてマックイーンに放課後、屋上に来るよう言ってもらった。放課後まで俺は仕事をする。サブトレーナーはその日に課される課題のレポートをトレーナーに出すというものがある。だが親父さんはレポートとか論文は苦手な方だ。だからそれっぽく書いたらOKがもらえる。1時間くらいで仕事を終えて別のことをする。部室で筋トレしたり、掃除をしたり。時間が来るまでいろいろと暇を潰せそうなことを片っ端にする。放課後のチャイムがなると、俺は校舎の屋上へ向かった。屋上へ着くとそこにはまだ誰もいない。俺は落下防止用の柵にもたれかけて空を見上げる。夕焼けというにはまだ薄いオレンジ色の空が目の前を覆う。

 

(きっと、俺は今世界で最も最悪な男だよな... でもこれが一番なんだ。最善なんだ。そのためには俺は悪になる... ごめんなマックイーン。俺よりもいいやつはたくさんいるから見つけて幸せになってくれ。)

 

そう考えているとドアが開く音がした。マックイーンだ。俺はマックイーンの方に体を向けてこういう。

 

「久しぶりだな。マックイーン。」

 

「えぇ。やっぱり覚えていらしたんですね...」

 

マックイーンの目が涙で潤う。今から俺はこの子を泣かすだろう。けどこれが一番なんだ。俺の隣にいるということはあってはいけないことなんだ。

 

「爺やさんに昨日会った。俺、いや親父さんのチームに入ろうと思ってるんだろ?」

 

「そうですね。実お兄様はまだチームを作られておりませんようですし...」

 

「やめとけ。」

 

俺は冷淡に笑みを浮かべて言う。

 

「マックイーン。お前にあのチームは合わない。あのチームはあくまでも今のやり方に合わないやつらが活躍できるようにするチームだ。お前みたいなやつが来ても得られるものはない。」

 

「そ、そんなこと「それから、俺はもう犯罪者だ。」...え?」

 

「小学生のころに3人半殺し、中学で5人。全員後遺症を残した。そんな奴にまだついていこうとするのか?」

 

「...」

 

マックイーンは言葉を失う。一部を抜いただけだがよく思いついたと思う。こうすればよかったんだ。俺は...

 

「だからやめとけ。俺のチームに入るのも。俺にかかわることも。」

 

そうして俺は屋上を降りる。今日はチームの説明が主で特に俺がやることもなかったため少し事務室で休憩する。こうすればよかった。心が痛むがこれが一番なんだ。けどふと思う。

 

「もし俺があの時手加減できていれば... マックイーンを拒絶しなくてもよかったんだろうな。」

 




実よ・・・自己犠牲はよくないぞ()はてさてこれからどうなるんでしょうかね。続きはまた今度(そろそろワードに書き溜めてたストックが切れそうなので投稿頻度が落ちるかもです。ご了承ください)


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続 マックイーンと俺

うーんマックイーンにワンピ着させたい欲望出てきた()さて今回は屋上シーンの事後です。それではどうぞ。


「小学生のころに3人半殺し、中学で5人。全員後遺症を残した。」

 

 

「ってことあがったんだよトレーナー!あれほんとなの!?」

 

部室でテイオーがトレーナーに質問攻めをしていた。テイオーはマックイーンに実が屋上へ来てほしいと言ってると伝えた後、ドア越しに話を聞いていたのだ。テイオーの質問を聞いて親父さんは少しの間沈黙を守る。そして小さな声でこういう。

 

「あいつ大事なところ全部抜いて言いやがったのか。」

 

「大事なところ、ですか?」

 

スズカが聞く。顔を上げた親父さんは瞑っていた目を開く。そして言った。

 

「確かにあいつは小中で8人半殺しにした。けどそれは仕方なかったことなんだ。」

 

「ど、どういうこと?」

 

ライスが不審がる。親父さんは仕方なしに説明を始めた。

 

「小学校の時、あいつはいじめられていた。それをやり返すために反撃した結果半殺しにしてしまったらしい。もとから鍛えていたけど程度がわかんなかったんだろう。けど中学はほんとにあいつに否はない。いじめられていたやつを助けようとしたらそいつらは全員刃物を出してきたからあいつは手加減しようがなかったんだ。5対1で自らを守るためにはそうするしかなかった...」

 

「じゃあなんで実さんはそのことを...」

 

「おそらく...自分に負い目を持ってるんだろうな。あいつは少し自虐的なところがあるし、自分を追い詰めすぎる性格をしているんだ。メジロ家はウマ娘界隈でも名を知らない人はいないほどの名家だ。そんな家の娘と犯罪者である自分が釣り合うわけがないとでも思ってるんだろう。馬鹿な奴め。」

 

「でもマックイーン泣いてたよ。実さんがいなくなってから。」

 

それを聞いて親父さんは少し黙ってつぶやく。

 

「あほが、女泣かしてどうするんだ。」

 

部室に沈黙が続く。息が詰まるような場所に実はやってきた。

 

重苦しい雰囲気を察知してかドアの入り口で止まって少しして問いかける。

 

「なんか起きた?」

 

「実。おめぇあの子に一部誤魔化して伝えたそうだな。」

 

バツが悪いのか、実は少し黙って答えた。

「俺はあれが最善だと思ったんだ。」

 

そういうと親父さんは立ち上がり俺の方に向かって歩き、そして思いっきり殴った。俺は地面にたたきつけられる。そして親父さんは怒鳴る。

 

「てめぇ!このチームの育成論を忘れたか!」

 

俺は親父さんの顔を見て反論する。

 

「忘れてないさ!マックイーンは俺の作ったチームに入りたいと爺やさんが言っていた!けど俺はチームは作っていない!それに俺が隣にいたとしてあいつはどうなる!メジロのウマ娘と犯罪者の俺が釣り合えるか!」

 

「てめぇ!マックイーンに似合う男を家柄で決めるな!」

 

そうして親父は倒れた俺に馬乗りになり胸倉をつかむ。

 

「てめぇは大事なレースがあるウマ娘に心配させるのか!そんなトレーナーは俺のチームにはいらねぇ!いいか!お前がマックイーンを秋の天皇賞に導け!ほんとはサイレンススズカを充てようと思ったが今のお前に任せられん!」

 

そう言い切ると親父さんは立ち上がってこういう。

 

「お前は罪を意識しすぎてるんだ。お前がすべきことは贖罪ではなくてメジロマックイーンを幸せにさせることだ。誰かの幸せの裏には誰かの不幸があるんだ。それはレースの世界も普段の生活でも同じだ。お前は偶然そいつらが最も不幸な時を見ただけだ。」

 

親父さんの言葉聞いた後、俺は立ち上がって部室を出る。そして学園の外に出て壁にもたれ着く。確かにそうだ。俺はきっと意識しすぎてたんだろう。親父さんに説教されて少し納得がいった。けどもう俺はマックイーンとは一緒に走れないだろう。言い方的に俺はもう屑人間と言われても仕方ない。どうしようか長考していて、気づけば日は沈んでいた。部室に一回戻るかと思って移動すると、そこにはゴルシがいた。

 

「なぁ、お前。ほんとにマックイーンと一緒になりたくないのか。」

 

ゴルシが尋ねる。いつもは常時頭のネジが20本は抜けてるであろうゴルシは珍しく真顔でいた。俺は静かに言い始める。

 

「なりたいさ。今でも覚えてるよ。幼かったころのあいつの笑顔。見ていて幸せだった。できることなら今でも見たい。けど俺は...」

 

「あぁ?聞こえねぇよ。もっと大きな声で話せ。」

 

「俺は...俺はマックイーンと一緒にいたい!あいつの笑顔!笑い声!ずっと聞いていたいんだ!」

 

叫びにも近い大声で俺は話す。するとゴルシは少しの間黙った後、ニヤッと笑う。

 

「だってさ。マックイーン様よ。」

 

ゴルシは横を向いて人気のない電柱に話しかける。俺はそれを見て電柱の方を見る。すると泣きじゃくったかのような顔のマックイーンが出てきた。俺は唖然としていた。マックイーンは少しずつ話始める。

 

「ずっと、あなたにあうために頑張ってきました。トレーナーさんから聞きました。あなたが一部の情報を伏せて話したことを。実お兄様、私はあなたの隣にいられるだけで十分なんです。ただ一人の女として、私を隣にいさせてください...」

 

マックイーンは途中から大粒の涙を流していた。自然と俺も涙が出てきた。泣いたのなんていつぶりだろう・・・そして俺は大声でこういった。

 

「あぁ、マックイーン!俺はお前の専属トレーナーになる!」

 

マックイーンは笑顔で泣きながら俺を抱きしめた。俺も抱きしめ返す。

 

「ごめんなマックイーン。10年も待たしてしまって。」

 

「ほんとですわ、これからはずっと一緒にいてくださいまし...」

 

「あぁ、ずっとだ。」

 

俺たちは長時間ずっと抱きしめていた。けどこれは失態だった。ゴルシはにやにやと写真を撮っていたからだそれがわかったのは後日だった。

 




最後に若干甘めの展開来ましたね。自分は若干の甘めでもコーヒーを求めるタイプなので隣にコーヒーがないと死んでましたね。次回はゴルシが小さなことをしでかしてくれます。それでは次回もお楽しみに


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クレープ

前回ちょい甘でしたが今回は甘め要素はあまりないです・・・けどクレープが甘いから許してください()


その日俺はマックイーンが先に帰った後、親父さんに謝罪してマックイーンを鍛えるといった。親父さんは笑って「最初からそうすればいいんだよ。馬鹿野郎。」といって承諾した。そして俺は家に帰った・・・のだが・・・

 

「おかえりなさいませ!実お兄様!」

 

部屋を間違えただろうか。なぜか玄関にマックイーンがいた。とてつもない純度200%の笑顔を振りまいていた。もし笑顔から栄養剤を作れるなら世界中の飢餓はなくなるくらいにはすごかった。そっと扉を閉めて表札を見る。表札を見ても俺の家だった。俺はマックイーンに住所を教えた覚えはない。幻覚でも見たのだろうか...

 

「まぁあんなことがあった直後だ。きっと疲れてるんだろうな。」

 

そう思いつつ。扉を開きなおす。うん。いる。ひょっこりといた。

 

「マックイーン、なんで俺の家にいるんだよ...」

 

マックイーンは?を顔で示す。

 

「実お兄様?私言いましたわよ?これからはずっと一緒にいてくださいまし。そしたらお兄様は「あぁずっとだ」って言ってくださりましたじゃないですか」

 

うん、やられた。もう仕方ない。こうなったら多分マックイーンは家に帰るつもりなんて毛頭ないだろう。まぁかわいいから許す!

 

「まぁいいか、てかお前寝床はどうするんだよ。」

 

マックイーンは下を向く。そして顔を上げてこういう。

 

「そんなの...決まってますわ...」カァァァァ

 

マックイーンが顔を赤くする。この展開だと俺はマックイーンと添い寝をすることになるだろう...いやダメだろ普通。俺一応トレーナーだしあいつ高等部1年だぞ

「え、いやいやちょい待てよいくら何でも男と女がベッドで隣同士って...」

 

「...」

 

「黙ってないでなんかいってくださいお嬢様...」

 

結局俺が下に布団を敷いて寝るということになった。その日の夜には執事がマックイーンの衣服を持ってきた。そしておばあ様からの言伝も。その内容は・・・

 

「孫をお願いします。」

 

メジロ家なんか緩すぎませんか?おばあ様

 

そうして受け取った荷物を整理し、マックイーンが寝た後俺はある準備をする。クレープづくりだ。別に趣味というわけではないがこの前の入団試験であの3人組がスイーツを食べれなかったことに意外と来ていることを変えるときに親父さんから知り、どうにかできんかと言われた。そうなったら作るしかない。スイーツを。今回作るクレープはとにかくカロリー減と味に重きを置いたものである。生地は小麦粉のみ。米粉の方がもっちりするのだがカロリー、糖質的に外した。その次に水、塩、そして山芋を擦ったものを少し入れる。最後に味の調整でバニラエッセンスを入れる。生地を焼くときにはテフロンが十分についているものを選ぶ。そしてできた生地を覚ましつつ、クリームの準備をする。低脂肪乳を使い、砂糖を極力使用しないようにする。使うとしても羅漢果から得られるラカントSをメインに使う。ラカントS8割に対して上白糖2割に抑えることでカロリーダウン。普段使いするには少し割高だが、スイーツなど高カロリーが多いものに使うにはとてもコスパの良いものである。クリームは2つ用意する。フルーツ向けのノーマルと人参ジュースを少し練りこんだ人参クリームの二つ。以外にも人参クリームは初の試みだったがうまい具合においしくできた。そして冷蔵庫で冷やしていたフルーツをカットして準備する。イチゴ、キウイ、バナナ、この三つだ。5㎜くらいの厚さでカットしていき、クリームを塗ったクレープの上において巻いていく。20個ほど作って余った人参クリームの方を一つ食べてみる。人参の甘さが引き立ちながらもフルーツの甘味もある程度醸し出している。これは大成功だ。そう思っていたら時計が12時を過ぎていた。急いで片付けて寝る支度をする。そして眠りにつく。今日は一日が濃くて疲れた・・・

…次の日、学校に来るとたづなさんが理事長室に来るよう言われた。その途中、ゴルシが作ったであろう新聞を見る。・・・やられた・・・俺とマックイーンが抱き合ってる姿をばっちり映されていた。

 

「ウソっ!?あのメジロ家の令嬢とあの足の速い方が...」

 

「なんという... でもこのカップリングは尊い...」

 

掲示板に張られた新聞に人だまりができる。まだみんなが目線が新聞紙に集中しているだけましだ... さっさと理事長室に向かう。理事長室に入るとたづなさんと理事長がいた。

 

「うむ。来たかね。実君。」

 

「えぇ、お話はおそらく...」

 

「はい、この新聞についてですが...」

 

「説明させてください。これにはマリアナ海溝より深い過去がありまして...」

 

「無用!その話は聞いている。君とメジロマックイーンの関係とも。ブラックウィドウのトレーナーからすべて聞かせてもらった。君たちとの関係を否定することはなしない。否!このカップリングは素晴らしいと思っている!」

 

理事長!?

 

「熱愛!トレーナーと生徒が10年越しに再開するなどはかどる!」

 

「なにがですか!?」

 

思わず突っ込む。熱烈に語り始める理事長の口を無理やり封じ込めて手綱さんが話始める。

 

「と、とにかく。二人の過去もわかりますし、その後の関係をどうこういうつもりもありません。ただ学園内ではあくまでも生徒とトレーナーとしての関係でいてください。」

 

「はい、あいつにも深く、いや息の根を止めてでも従わせるようにしときます...」

 

理事長室を出ようとすると親父さんがいた。

 

「早速絞られたか。ハハハ。」

 

「別の意味でな...」

 

肩を落とす。朝起きてまだ3時間くらいしかたってないがもうすでに1日が終わった気分だ。

 

「まぁ、チームのことは気にすんな。そんな噂に惑わされるようなチームメンバーじゃないからな。」

 

「まぁな。そんな噂に惑わされる奴らじゃないだろ。あの三人以外はな...」

 

去年からいた2人(ゴールドシップ・ゴールドシチー)はよく知っている。噂話なんてへでもないやつらだ。むしろ噂話の対象になるやつの気持ちをよくわかってるやつだと思う。だが問題は昨日入ってきた3人だ。おそらく少しは噂に流されて...

 

「実さんとマックイーンって生き別れの家族だったの!?」

 

「あ、あと実さんとマックイーンさんってもうご結婚されてるとか...」

 

「思ってたより噂話がひどいことになってる...」

 

頭を抱える。そして彼女たちの方を見てはっきりと弁明する。

 

「答えはノー。俺はあいつの生き別れの家族じゃないし、結婚もしてないぞ。大体どっからその話が出てきたんだよ。」

 

「でも学園中で噂だよ!メジロの血統を継いだからあの速さなんだとか。」

 

唖然とする。

「とにかく俺はメジロ家の血筋じゃないし結婚もしていない!おけい?」

 

「う、うん...」

 

「それでよし。まぁ今回は噂話立てられるのは悪くはないな...」

 

そういって俺は鞄から昨日作ったクレープを出す。

 

「そういえばお前らに渡すものあるんだ。」

 

そういってクレープを入れていたタッパーを開けて出す。すると3人はすごい目を光らせて敷き詰められたクレープを見る。遠目から見ていたゴルシも近づいてきてこういう。

 

「オマエほんと料理得意だよなぁ。夏休みの合宿の時も結局お前が全部作ってたし。」

 

「料理なんて足し算だからそこまで難しくない。それより早く食ったほうがいいぞ。

 

そういうとウマ娘たちは一つずつ手に取る。そしておいしそうに頬張っていく。その顔を見ているとゴールドシチーが部室にやってきた。

 

「こんちゃー。」

 

開けてそうそう挨拶する。そして実の方を見てこういう。

 

「あ、実。あんた学園中で噂飛び回ってるらしいね。」

 

「おかげさまでな。この3人にも言われたよ。」

 

俺はクレープを頬張ってる3人を指さす。

 

「あの3人が新しい子?」

 

「あぁ、右から順にトウカイテイオー ライスシャワー サイレンススズカだ。」

 

親父さんが口にクレープを頬張っている3人に代わって説明する。3人は無理やり飲み込もうとするが

 

「あぁいいよいいよ。ゆっくり食べな。それにしても実また何か作ったの?」

 

「今日はクレープだ。おひとつどうぞ。」

 

そういってタッパーを差し出す。ゴールドシチーは一つ手に取って口に含む。そしてこういう。

 

「うん。今日もおいしい。どうせこれもいつものようにカロリー考えてるんでしょ。」

 

「ご名答。今回は通常通りに作る場合よりも20%のカロリー減と10%の糖質減に成功してると思う。」

 

「へー。にしても生地ふわふわ。何入れたの?」

 

「山芋だ。山芋の味がしない程度に入れてもっちり感出してる。」

 

「やるじゃん。そうだ、今度モデル仲間でちょっとした集まりするんだけど、なんか作れない?カロリー低くておいしいもの。」

 

「ん-ネタがあったら。」

 

「おっけい。頼んだよ。」

 

そうこうしていると新米3人がこっちを見ているのに気が付く。

 

「実さん、モデル相手に一切饒舌をかますとかそういうのがない...」

 

「ラ、ライスだったら緊張して何も言えなくなるのに。」

 

「根本的にこいつよりいいやつ知ってるからな。」

 

「それって...」

 

思いっきり地雷を踏んだ。やべぇと思い少し汗が出る。

 

「相変わらず地雷処理班班長の名は伊達じゃないね。」

 

「いうなシチー...」

 

そういって頭を抱える。そうしているとドアがゆっくり開いた。

 

「お、遅れました...」ゼェゼェ

 

そこにはいかにもさっきまで全力疾走してきましたというような疲れた顔をしたマックイーンがいた。

 

「その様子だと相当付け回されたみたいだな。」

 

いつの間にかいたゴルシがにやけながらいう。

 

「え、えぇ... ですので入団試験前に少し休ませてくださいまし...」

 

マックイーンが椅子に深く座り込む。もう座ってる姿が燃え尽きているが大丈夫なのだろうか。

 

「あぁ、そういえば。」

 

マックイーンが顔を上げる。そして息を切らしながらこういう。

 

「さっき生徒会長が実さんを探していましたよ。なんでも話があるとか。」

 

「ルドルフが?またなんで...」

 

「とにかく行った方がよさそうですわよ。どうせ私はまだ動けませんので...」

 

「それもそうだな、とりま行ってくるか。」

 

そういって部室を出る。

 

「そういえばその空のタッパーはどうしたのですの?」

 

「実さんがクレープの差し入れしてくれたんだよ。」

 

「なぜとってないんですの!?」

 

マックイーンの調子が絶不調になった。

 




クレープってたまに食べたくなっちゃうよね。個人的にはセブンイレブンなどで売られているような形のクレープが好きです。ちなみにクレープの中に里芋を少し入れるともっちり感が増すので自分で作ろうと思ってる方は試してみてください!


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ダービートレノ

「せっかくのトレーニング中にすまないな。」

 

「ルドルフから呼び出すなんて滅多にないからな。別にかまわない。」

 

シンボリルドルフ、入学当初はブラックウィドウに所属していて、3冠制覇後に現在のトレセン学園中最強のチーム。ベアキャットに移籍する。

 

「で、用件は?」

 

「いやなに。テイオーがそっちに入ったって聞いてな。」

 

「テイオー... あー、あのポニテの子か。あいつ、まだまだこれからだが体の柔軟性からくる安定性は抜群だな。」

「実はテイオーは私にあこがれていて、最初はベアキャットに入ると言っていたが私がブラックウィドウに最初在籍していたって言ったらあっさりそっちに行くと言ったんだ。」

 

「なるほどね。憧れの目標がたどった道を通りたいってわけか。よくある話だ。で、それだけじゃないだろ?会長さんよ。」

 

ルドルフは少し笑う。

 

「わかっていたか。実は今あるチームに悪いうわさが出ているんだ。」

 

「悪いうわさ?どんなだ。」

 

「ウマ娘たちをキャパオーバーなトレーニングを強制させて無理やりレースに出させているっていう噂だ。」

 

「強制ね... あまり聞かない話だな。で、そのチームの名前は?」

 

「ダービートレノ。昔からあるそこそこ古参のチームで君たちと同じようにウマ娘たちの意志を尊重したチームだが今のトレーナーになってから急に変な噂が出るようになった。」

 

「ダービートレノか。たまに見るな。けどその割にはまともな練習しかしてなさそうだが?」

 

「そうだろう。けどこの噂以外にもあるんだ。」

 

「なんだよ。もったいぶらないで教えてくれ。」

 

俺がそういうとルドルフは少し間をおいていった。

 

「レビュー前のウマ娘を使って賭け事をしている。」

 

「は?」

 

俺はあっけにとられた。ウマ娘にかかわる賭け事は問答無用で御用になる。

 

「それも誰が1着とかじゃなくてケガするかしないか。」

 

その情報が追加されて俺は余計に固まる。ルドルフは俺を見て説明し続ける。

 

「デビュー戦で転倒などで怪我したウマ娘たちのほとんどが体がボロボロだった。無理に無理を重ねたかのような状態の者ばかりだった。そしてその子たちは全員無所属だった。自主的なトレーニングではまずこのような状態にはならない。そしてその子たちは口をそろえてダービートレノについて言っていた。」

 

「まさかそれだけでダービートレノが確実に何かしていると思ってるのか?」

 

「いや、そうではないが... 私はどうもあの子たちが嘘や精神的な状況から言えるような言葉ではないと思っている。きっとまだあのチームに何人かデビュー前のウマ娘たちが同じようなことをやらされているのだろう。」

 

「なるほどな。もしその話が全て本当だとしたらわざと過酷な練習を与えて疲労がピークに達したときにレースに出させてケガするか賭けるってわけか。」

 

「...」

 

ルドルフは沈黙で返す。確かにあのチームは最近できたチームでマークはしてなかったが、ここのところレビューレース中に重大な怪我をするウマ娘たちが多いと聞く。中には転倒によって命を落としたというウマ娘もいるという。

 

「しかも厄介なことにそれには海外の資本家に国内の官僚、テレビ局や新聞社の社長、警察の上層部なども加わっているって噂だ。」

 

「摘発したところでもみ消されるってわけか。」

 

「あぁ。君ならどうする。」

 

「証拠撮ってレース中にばらまく。」

 

俺はふざけて答える。ルドルフは苦笑しながらも言う。

 

「はは、君らしい意見だ。」

 

俺は頭をかいてルドルフの言いたいことを予想する。

 

「要するにあれだろ?証拠集めて持ってきてくれって。」

 

「その通りだ。できるか。」

 

「どうせできませんといってもやらせるんだろ?わかった。ただこればかりは時間がかかる。その辺はいいか。」

 

「かまわない。時間をかけて濃い情報を頼む。」

 

俺はそれを聞くと立って部屋を出ようとする。

 

「あいよ。それと、お客が来るならお茶かコーヒーくらい置いといたほうがいいと思うぞ。何もないのは少し失礼だ。」

 

「む、そうだな。あ、今いいこと思いついた。」

 

「なんだよ。」

 

「コーヒーはオーシー。」

 

あまりのつまらなさに声が出なくなる。

 

「お前ギャグセンス落ちてねぇか?」

 

「むぅ、私としてなかなかだと思うが...」

 

「テイオーに言わない方がいいぞ。それ、だれが聞いても寒くなる。」

 

そういって生徒会室を出る。ルドルフは入学してから一向にギャグセンスが上がらないどころか下がってきているのは気のせいだろうか。そう思いつつ部室に戻る。部室にはなぜかふてくされているマックイーンとそれをなだめているやつらの集まりがあった。

 

「次は何...」

 

「いやぁーつい実さんのクレープがおいしすぎてマックイーンのために残すの忘れちゃってさぁ...」

 

テイオーがやっちゃったというような顔で説明する。確かに

 

「なんだ、そういうことか。しょげるなよマックイーン。また作ってやるからさぁ。」

 

そういって椅子に座ってしょげてるマックイーンの前でしゃがむ。マックイーンは涙目で俺を見た。

「ほ、ほんとですの...」

 

「ほんとだって・・・何なら入団試験のレースで勝てたらもっといいの「何してるんです皆さん!さっさと入団レース始めますわよ!」...ここまでちょろいのほかにいるだろうか。」

 

「「「いないね。」」」

 



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天才ウマ娘

朝起きてこの小説のUA数をふと見てみたら・・・なんと星10と星9入れてくれた人が・・・感謝感激です(真顔)このSSにやや自己満足的なところがあったので評価はそこまで気にしていなかったのですが、すごいうれしくなるものなんですね。もしよろしければ星10と星9を入れた方、この作品の感想も書かれてくだされば至極感激です。


スイーツを作る約束をした後、部室を出てコースに入る。そのままマックイーンと俺は並んでスタート地点に立つ。親父さんが前に来て言う。

 

「距離は2400mと言いたいところだが、マックイーンは長距離が得意だというのでここは思い切って3200mに変更する。いいな実。」

 

「あぁいいよ。やろう。」

 

「スイーツスイーツスイーツスイーツスイーツ...」ブツブツ

 

メジロマックイーンのやる気は過去一だ!

 

親父さんが横に退避する。そして手を挙げてよーいという。ドンと同時に手を下げる。マックイーンと俺は同時にスタートする。

 

「3200mって長距離の中でも長いほうだよね。これじゃあ実さんスタミナ切れ起こして失速するんじゃ?」

 

トウカイテイオーはコース横でレースを見守る。現状マックイーンが先頭、そのすぐ後ろに実がいる。

 

「みんな最初はそういうんだよね。確かに普通の人間なら3200mフルで走り切るなんて無理だよ。けど「彼は普通の人間じゃない。だろう?シチー君。」」

 

シチーの言葉をさえぎって話しかけてきたのは研究服を身にまとったウマ娘、アグネスタキオンだった。タキオンは在学中はブラックウィドウ所属だったが卒業後も医務室を抜け出して頻繁にここに通っている。

 

「タキオン。あんたちゃんと仕事来てたの。」

 

「ひどいなぁ。私は毎日仕事には来ているんだよ。」

 

「来ていてもほとんど医務室にいないで実験室にこもりっぱなしじゃん。」

 

「いやぁ、彼の研究はとても興味深くてね。つい学校に来て研究室に引きこもってしまうんだ。それでこの前彼に頼んで彼から採取した赤血球のDNAと私の赤血球のDNAを比較してみたんだ。すると驚愕の事実が発覚したんだ。」

 

「まさかウマ娘のDNAと酷似した点があるっていうの?」

 

「そのまさかだ。いやそれ以上だ。彼は人間のDNAを持ちつつウマ娘のDNAも持っている。比率で言うと5対5かな。これがどういうことかわかるかい?」

 

タキオンが不気味な笑みを浮かべる。シチーは思いつかない。テイオーは最初から理解できなかったからか、頭の周りをヒヨコが飛んでいるような状態になっている。少し無言が続いた後にタキオンが開設する。

 

「ウマ娘は生まれつき人間より足が脆いという研究結果が出ている。それは遺伝的なものによるという証明もできている。しかし、彼の場合ウマ娘と人間のDNAをほぼ均等に含んでいる。つまり、彼は人間並みの足の強度を持ちながらウマ娘と同じくらい走れるつくりをしているんだ。」

 

シチーは少し黙った後に口を開く。

 

「ウマ娘のDNAを持っている、ってことは実のお母さんはウマ娘だったってこと?」

 

「まぁ、それもあるけど、彼がウマ娘と対等に走れる要因はこれに尽きるんじゃないかって思ってるんだ。」

 

「じゃあ遺伝子的に私たちウマ娘と近いということ?」

 

「そう。人間とウマ娘の中間の存在。それが彼だ。」

 

タキオンはレースを眺めながら答える。レースは中盤に入り、以前マックイーンの後ろを実が潜む。

 

「まぁあんたがそういうならその通りね。でも気になることがあるんだ。」

 

「なんだい?」

 

「あいつ、喧嘩の時は常に足を使うんだ。なんで手を使わないか聞いてみたら使ったことはあるけど思った以上に力がなかったし、一般人以上に脆かったっていってた。それがどうしてもさっきの研究結果と気になるんだ。」

 

「ふむ、それは初耳だね。もしかしたら何らかの異常で足にのみ影響が出ているのかもしれない。今度もう一度彼に協力してもらおう。」

 

「あんたも飽きないね。と、そろそろレースも終盤か。」

 

レース終盤。まだマックイーンが優勢だ。第4コーナーすぎてマックイーンはスパートをかける。だが実はまだ食いつく。少々早めのスパートだったからか、マックイーンはゴール200m手前で少し速度が落ちる。そこを突いて実はスパートをかけ始めた。マックイーンは負けじと踏ん張るもスタミナを切らしている。結局4分の1馬身差で実の勝利だった。

 

・・・

「はぁ・・・はぁ・・・きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっっっっっっっっつ!!!!」

 

ターフに倒れこんだおれは荒れに荒れた息を整えようとする。そこに親父が近づく。

 

「お前マックイーンがスタミナ切れするまでずっと引っ付いてたが、わかってたのか?こうなるの。」

 

「まぁな。マックイーンは極度の甘いもの好きだ。さっき食べれなかったうえに勝てばクレープ以上のモノが食べられる。心理的には勝ちたくて仕方なくなる状況だ。その状況で常に後ろに付かれてると誰しも焦りが生じる。おそらくマックイーンは多少は俺がついていけるとしても最終直線ではばててるだろうと思ってたんだろう。読みが外れてあせって早めにスパート賭けてしまったんだろうな。結局はマックイーンの根負けってとこだ。多分あそこで冷静に適切な距離でスパート賭けられてたら負けてた。」

 

「心理戦に一か八かかけたってわけか。お前にしては随分頭を使う走り方をするな。」

 

「しないわけじゃないけど、今回はあいつの欠点を知ってたからな。」

 

そういってマックイーンの方を見る。俺よりもまだスタミナは残っていたのだろう、膝に手をついて息を整えようとする。悔しいという気持ちよりスイーツを食べられない気持ちの方が強いのだろう。顔はがっかりしていた。

 

「確かに素質はこのチームの中でもぴか一だけど心理戦に持ち込まれた時の対処の仕方がまだ全然だな。」

 

親父さんはマックイーンを見ながらそういう。

 

「心理戦はシチーが一番熟知してる。あいつとレースをさせた方がいいかもしれんな。」

 

「あぁ、デビュー戦は多分余裕で勝つ。問題は天皇賞だろう。俺後ろで走ってて少し思ったんだが体が細すぎる。最後ばてたのはスタミナ切れだがおそらく減量もしてるだろう。無理がたたるのは時間の問題だな。」

 

俺がそういうと、親父さんは俺を見ながらあきれ口調で言う。

 

「お前の観察眼も相当なものだな。」

 

「とにかくあいつに必要なのは経験値だ。現状のスペックはG2までなら十分通じる。デビュー戦からしばらくはトレーニングは多少おざなりにしてもいいからスタミナと経験値重視で鍛える。さすがにレースばかり出るのも士気にかかわるだろうから・・・シチーに併せ頼むか。それでいいだろ?親父さん。」

 

「完璧だ。なんだてめぇ、しっかり考えられるじゃねぇか。これなら別チームに学んだ方が何かしら役に立てたってのによ。」

 

「別にいいさ。管理主義は好きじゃない。俺は俺のやり方で決める。たまたまそれが親父さんの考えと合致してるだけだ。」

 

「ははは、まぁ中学から俺の隣で見てきたんだ。俺のやり方はもうマスターしてるだろうが。」

 




初タキオン先輩です。タキオン先輩は仕事してなさそう(偏見)けど能力のあるサボり魔って悪くはないと思います()今後タキオン先輩の実調査はどうなるんでしょうか


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嶋野の狂犬

どうも。また星10評価が増えて絶賛大興奮です。こんな作品に星10を入れてくれるなんて…感謝感激です!それではどうぞ~


入団試験レースの後、マックイーンのトレーニングに集中的に取り掛かるようになった。マックイーンに足りないものは体力と心理戦の経験値、そして例外への対処力だ。体力はおいおいつけていくしかないが、そのほかはシチーとの模擬レースをすれば粗方何とかなる。現にシチーとのレースはいい結果を生み出しており、徐々に心理戦に対する対処能力が強化されていき、シチーを抜いて勝つことが増えてきた。そうこうして2週間位たったある日。俺はいつも通りマックイーンのトレーニングを指導していた。

 

「やっとシチーと同等に走れる程度になってきたか。明日当たりから基礎トレーニングを入れても「みのるちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」...くっそ汚い黄色い声だから多分...」

 

俺は後ろを向く、するとぱっつん頭のおっさんがすごい勢いでけりかかろうとしてくる。実は足を上げてそのおっさんの金玉に足が命中するように仕向ける。しかしその男はにやりと笑ったと思いきや空中で体勢を変え、俺の上を飛び過ぎて着地した。

 

「また金玉狙ってきてぇ。お前喧嘩のだいご味忘れたんとちゃうかぁ?」

 

「真島の兄さんさぁ。いい加減後ろから蹴りかかってくるのやめてくれよぉ... 喧嘩ならちゃんと受けるからさぁ。」

 

真島吾朗。元東城会直系真島組の組長で、極道の世界では嶋野の狂犬と呼ばれていたらしい。今では東城会は解散しており、つてでチームマッドドッグのトレーナーをしている。ゴルシと対をなすほどのはじけっぷりでチームメンバーでさえも考えてることがわからないという。だがトレーナーとしての素質はいいらしく、G3連勝ウマ娘を常に排出している。兄さんは親父さんと知り合いでしょっちゅう俺にかまってくる。そして大体喧嘩に発展する。正直この人ドス使うから学園内はまだしも屋外で出会ったら厄介なことになる。現にこの前商店街で出会って喧嘩になった時には周囲に人だかりができた上に警察に厳重注意された...

 

「なんや、なんか疲れとる顔しとるなぁ。」

 

いったい誰のせいだよと思いつつも言う。

 

「何でもない。今トレーニング指導中だからあとにしてくれよ。」

 

そういって俺はコースの方に親指を指す。すると兄さんはそっちを見るや否やにやける。

 

「なんや、この子がお前の愛しの子かいな。写真じゃあ顔が見れなかったけぇよぉわからんかったがえらい綺麗な顔してるのぉ。」

 

そういって兄さんは自分の顎を触る。

 

「あまりいびったりしないでくれよ。俺らと違っていい家の育ちなんだから。」

 

「ほぉ、ええコちゃんなんか。お前もずいぶん上の子を狙ったもんやなぁ。」

 

「まぁな。で、用件はなんだよ兄さん。どうせ喧嘩じゃないだろ?喧嘩なら最初からドス手にしてるだろうし。」

 

「どうせカイチョーちゃんから聞いとるんやろうがい。」

 

兄さんは俺の方を見てそういう。すぐに察した俺はあぁといってこう言い続けた。

 

「場所を変えるか。」

 

そういって俺は親父さんの方へ歩いて言う。

 

「悪い親父さん。ちょっと兄さんと話があるからどっか行くわ。マックイーンのこと頼む。」

 

「あぁわかった。」

 

10分して真島の兄さんのチームの部室に向かう。中には誰もいない。

 

「チームの部員がいないなんて珍しいな。」

 

「さっき山に走らせに行かせたんや。1時間は誰も来ないやろ。」

 

そういって真島の兄さんは自分のソファに座る。俺は空いていた椅子に座ってこういう。

 

「で、ダービートレノがどうしたんだよ。」

 

「ワシもカイチョーちゃんからさっき頼まれてな。バラバラでやっても効率悪いって思おたわけで一緒にやろうと思ったんや。どうや。」

 

「まぁ、悪くはない話だな。真島の兄さんなら裏社会のネットワークが広いから一気にやりやすくだろうし。わかった、そうしよう。」

 

「よっしゃ、そしたら今からいくでぇ。」

 

「は?どこに。」

 

「コースや、今からナイトレースが始まるんや。」

 

そういって少し思考を巡らす。理解した俺はとっさに言う。

 

「まさかダービートレノのウマが?」

 

「せや。カイチョーちゃんに頼まれたときちょいと知り合いに連絡して聞いてみたんや。しかもレビュー戦やで。そうなると必然的に賭けレースが行われるんちゃうか?」

 

「確かにそうだな。そこを写真に収めればいいって話か。わかった。じゃあ今から行こう。」

 

「あの子のお守りはええんか。」

 

「親父さんがいるんだ。説明さえしてくれれば親父さんは快諾するだろう。」

 

「せやな。なら早いほうがええ。さっさとおやっさんに説明していこか。」

 

そういって部室を後にする。親父さんに説明すると二つ返事で承諾してくれた。承諾をもらってすぐに兄さんの車に乗り込んでレース場へ向かう。

 

「そういえば実ちゃんはカイチョーちゃんから何言われたんや?」

 

車を運転している兄さんが聞いてくる。俺は正面を向いたままルドルフとの会話を教える。

 

「なんや、あいつあの事隠していたんか。」

 

「あのこと?ほかに何かあったのか?」

 

「ダービートレノの裏には反社組織があるって話や。」

 

聞いてもそこまでびっくりしなかった。

 

「まぁあってもおかしくはないと思ってた。」

 

「ただの反社やないで、ヤンキー、マフィア、元極道の集まりや。」

 

「それもルドルフが?」

 

「いや、それはワシが調べた。」

 

「相変わらず耳がいいな。兄さん。」

 

「ワシの生きざまだとこんなもんやで。」

 

その後、会話もなくレース場に向かう。レースでの賭け事はご法度だ。法律でも禁止されているほど。それは1世紀以上前のウマ娘たちの扱われ方が背景にある。彼女たちは結果がいいウマ娘ほど待遇の良いチームに入ることができた。しかし、逆に結果が悪いウマ娘ほどその扱いはひどいものだった。性奴隷、賭け事の対象。そのほかにも多くある。第二次世界大戦後、その事情を知ったGHQはすぐさま憲法にウマ娘のレースによる賭け事を全面的に禁止することを命令した。それ以降表立った賭けレースは行われていなかった。

 

「さて、レース場についたわけやが。どうするんや?」

 

兄さんが俺の方を見てそういう。俺はレース場の方を見てこういった。

 

「ウマ娘の状態を見てから判断するしかない。まずはとにかく現状を証拠にする。どうせ今どきはテレビですべてのレースが見れる。生死にもかかわることで賭博してるやつらがわざわざ現場にいってまで観戦しようなんて気はさらさらないだろ。」

 

「は、そらそうやな。ほなウマ娘ちゃんたちを観察するで。」

 

そういって俺と兄さんはパドックに向かう。これと言って目立った新人がいないからか人気はまばらだ。デビュー戦は基本夕方~夜にかけて行われる。これはトレセン学院に入るウマ娘たちはこのレースには必ず出なければならないというルールがあり、平日でもウマ娘たちが参加しやすいようにとの配慮のことだ。逆に重賞レースなどは休日の昼間にしか行われない。

 

「にしても、デビュー戦から死刑宣告なんてやるせないだろうなぁ...」

 




実はこの話書いてて思ったんですけど、マクオリ主のストーリーなのにマックイーンと実のイチャイチャ話がほとんどないという... 詐欺じゃないよ!?ちゃんと後々書くから()というわけでいつかマックイーンでさえも甘すぎて食べれないような甘々話書こうと思いますので許してください何でもしますから(何でもするとは言っていない)


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地獄のレビュー

徹夜明けって結構しんどいですよね(唐突)さてこの話予定だと30話で終わらせようか考えてたんですけど書きたいことやりたいこと増えてきてどうも30話で終わりそうにないんですよね...とりあえず13話目。どうぞ。


パドック入り前の控室。私は椅子に座っている。1着を取れ。じゃなきゃ明日からトレーニングの内容を強化する。トレーナーにそう言われた。体からは冷や汗が止まらない。このレースで私はケガをするだろう。入学してからずっと無理な量のトレーニングをやらされてきた。このチームに入ってから休みをもらえたことは一度もない。最初はいいチームだと思った。そこそこに成績のある先輩たちはたくさん排出していて、私もここに入ればもっと早くなれると思っていた。けど違った。あくまでも先輩たちの成績は飾りのためであって、このチームの本来の目的は賭け事だったのだ。私は気づくのが遅すぎた。気づいたときにはもう逃げたくても逃げられなかった。そのチームは私たちを強制的に過酷なトレーニングをさせて疲労がピークに達したあたりでレースに出させる。そこでケガするかしないかでかけられる。チームに入るには入団届を出す必要があるのだが、言葉巧みに騙された私はまんまと書いた届をトレーナーに預けてしまった。きっと提出はしていないだろう。ケガしたこの大半は二度と走れなくなる。けがせずに走った子は1位を取ればまたトレーニングを課せられる。1位以下の子はもっとひどい量のトレーニングをさせられる。告発しようとしても学園側は飾りの方のチームしか見ないし、警察に行ってももみ消される。告発がばれたらそれこそ死よりも怖い結末が待っている...

 

「走りたくない... 走りたくないよ...」

 

そんな言葉を不意に口にする。けど走らないとよりきつい地獄が待っている。私伊選択肢などない。勝つか死ぬかしかない。係員がパドックに行くよう指示する。足がすごい重い。体全体が動くことを拒否している。けど無理して体を引っ張る。パドックまでの距離が長い。その時間が苦痛に感じる。パドックに出るととある人に目が行く。顔に傷のある男性だ。あぁ、彼がこの状況を救ってくれないだろうか。そう思って見つめ返す。神様、どうか私たちを救ってください...

 

 

パドックに出てくるウマ娘たちをずっと見る。今のところ全員なんも問題がなさそうな様子だ。

 

「ほんとに今日あるのかよ。真島の兄さん。」

 

「なんや、ワシの情報が信用できないっちゅうんか?」

 

兄さんが突っかかる。ここまでは日常茶飯事である。

 

「どっちにしても今の俺が信用できるのは兄さんの情報とウマ娘たちだけだ。」

 

そういうと兄さんは少し黙って正面のパドックに顔を移す。

 

「とにかく、今はウマ娘たちに集中するで。」

 

「あぁ。っと、次が最後か。」

 

最後のウマ娘がパドックに現れる。少し違和感を覚える。オレンジの髪はいたって普通のように見えるが体は服に見合わないほど痩せている。顔には生気が底をついているような感じもした。

 

「なんや、あの子だいぶやつれてへんか?」

 

少し黙ってその子を見てこういう。

 

「多分あの子だ。」

 

「ほーん。まぁお前さんが言うのであれば間違いはないな。」

 

なんてボロボロの体だ。こんな奴が学園にいるとは思わなかった。というかなぜ気づかなかったのだろうか。制服のおかげで少しは健全そうに見えたからか。正確にはわからないがおそらく栄養不足ではあるだろう。内臓器官へのダメージもあるかもしれない。ふと注意深く見ているとその子が見てくる。どこかとにかく楽になりたいというような顔をしていた。俺はそいつを少し見続けてコースの方を見る。

 

「兄さん。行こう。」

 

「なんや、もうええのか。」

 

「あの様子だと事故る可能性はかなり高いよ。さっさと最終コーナーあたりで場所とっておきたい。行こう。」

 

「はいはい、せかすなや。」

 

・・・

 

「さて、今日はこけてくれますかね。」

 

恰幅のよい男がワインを片手にテレビを見る。そこには数人の男がテーブルを囲んでいた。

 

「前々回からずっと外れてますからな。今日こそはこけてくれないと困るってもんですな。」

 

「えぇ、ところで、メジロ家の令嬢を今度の賭けに出すとはほんとですかな?」

 

「はい。そろそろ疲労もピークに達してると思いますので、明日は忙しくなりますよ。」

 

 

レースが始まって少し経つ。例オレンジの子は大逃げで最初からすごい速度で走っていた。

 

「なんや、お前の言うてた子、序盤からすごいペースやな。」

 

オレンジの髪の子はレース序盤から首位を取っている。そのペースはとても早く、果たして走り切れるのかと思うくらいだ。

 

「早すぎる。いくら2400mの良馬場とは言えこれじゃあ後でスタミナ切れ起こすぞ。」

 

そういってレースを見物していると中盤、予想通りにその子のペースが落ちていった。息は途切れ途切れになってフォームは崩れかけている。

 

「ほらやっぱり。どう走ってもあの走り方じゃあ並大抵のウマ娘はスタミナを切らす。」

 

あきれ顔でそういう。俺はずっとその子を見ていてわかった。序盤よりも走りのフォームが少しずれてきている。

 

「あれ怪しいぞ。」

 

そういって身構える。第3コーナー抜けて第4コーナーに入る。

 

 

ハァハァハァハァ... 息が途切れる。足に力が入りづらくなる。まだ半分しか走ってないのに体力が切れ始める。序盤で作った差も徐々に縮まっていく。第3コーナーで余裕は完全になくなった。

 

「走らなきゃ。走らなきゃ。」

 

体は完全にボロボロだ。けど走らないともっとひどいことになる。足を出さないと。第4コーナー終わり、内側から一人に抜かれたのをきっかけに私のフォームは完璧に崩れた。そして少しでも風を受けまいと戦闘の子の真後ろに着いて走る。すると足が滑った。

 

「あ、これ...」

 

そのとたん私は意識を失った。

 




オレンジの髪って誰でしょうか。マヤノかな?テイエムかな?フクキタルかな?さぁ次の話はどうなるでしょう。


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贖罪か正義か

「なんやまずくないか?あの子抜かれてから完璧に走りが劣悪になったで。」

 

兄さんが警戒する。その子の走りは後ろの子一人が先頭を取った瞬間ハチャメチャになった。とにかくもう前に出ることだけを考えているような走りだ。

「兄さん。あと任せるわ。」

 

「なんやて?」

 

俺は音もなく飛び立つ。例の子はおそらくスリップストリームを受けようとして戦闘の子の真後ろに着く。スリップストリームは空気抵抗の影響を大きく減らすことができ、カーレースでも頻繁に行われるテクニックだがウマ娘たちの場合は少し変わる。先頭を走る子の後ろを走るため馬場状態の悪いところを走る可能性ができるのだ。運が悪ければ転倒してしまう可能性もある。

 

「クソ、高く飛び過ぎた。頼むから持ってくれよ。」

 

そう思ってるとあの子の姿勢がより悪くなる。

 

「間に合わねぇ。一か八か・・・全力で走って助けに行けられるか賭けるか。」

 

そういったとたん地面に着く。瞬間地面をける。それと同時にあの子は足を滑らせた。距離は300mあるかないか。全身全霊を足にそそぐ。状態の悪い芝など関係ない。どんどん蹴り続ける。加速はどんどん続く。あの子の顔と地面との距離が1㎜になったあたりで俺は両手をあの子の良わき腹に潜り込ませ、再度両足で地面をける。すると地面が音を立てて土埃を舞う姿が見えた。少しして地面に着地する。女の子は気絶したままだ。間近で見てこの子が余計ひどい状態だってのがわかる。腕は骨の形がわかるほどに痩せており、足には小さな傷跡が無数にある。お腹もろっ骨がわかりかけている。端的に見て栄養失調に近い状態だと判断する。そして呼吸の仕方がおかしいのに気づく。吐く量と吸う量が釣り合わないのだ。

 

「救急車待ってたら危険だな。仕方ない。」

 

俺は女の子をおんぶで背負う。そして

 

「タキオンのやつに任せるしかないか。」

 

そういった瞬間にまた飛び立つ。ここからトレセン学園まで2Km。全力で走って6分ってところだろう。地表に着地して同時に走り始める。車道だろうが歩道だろうが関係なく走る。止まる車の横をすり抜け、右左折する車は飛び越える。そうこうしているうちに学園へ着く。学園の塀を思いっきり飛び越し、ついでに校舎も飛び越える。着地したときにはブラックウィドウの部室だった。

 

「タキオン!」

 

大声で呼びつつドアを開ける。タキオンと親父さん、シチーはびっくりした顔でこっちを見る。

 

「お前、その子どうした。」

 

「事情は後で話す。タキオン。こいつの容態を見てくれ。」

 

そういって背負っていた女の子を下す。タキオンはすぐに近寄り、容態を確認する。

 

「極度の疲労状態と過呼吸気味だ。医務室のボンベを持ってきてくれたまえ。酸素が足りないんだ。それで呼吸はどうにかなる。シチー君は救急車を呼んでくれ。一応のためにね。」

 

わかったというと同時に部室を出っていった。タキオンは運んできた子を見る。

 

「それにしても随分と痩せこけてるな。素人でもこんな状態で走ろうとは思わない。これはいったい...」

 

「あいつ、今度は何に首突っ込んだんだよ...」

 

 

酸素ボンベを使って呼吸を正した後、その子の呼吸は落ち着いた。柔軟用のマットの上に寝かせ、タオルをかける。

 

「モルモット実君。こればかりは説明が必要だよ。」

 

タキオンが解説を要求する。俺はタキオンを見てこういう。

 

「ここではしゃべられない。とりあえずこの子を病院に連れて行ってから俺の家に向かうぞ。そこで話す。親父、俺は救急車に乗るからこいつら乗せるために車出してくれ。」

 

「あ、あぁ...」

救急車が来てその子を載せる。俺は事前にマックイーンに電話してメジロ家お抱えの病院に準備してもらっていたため、救急隊員にそこに向かうようお願いする。病院に搬送される頃にはオレンジ髪の子はすでに状態は良好だったため、意識はまだ回復していないが脳への損傷もないためタキオンの監視付きで特別に帰宅を許された。

そしてシチー、タキオン、俺、親父さん、オレンジの髪の子で俺の家に向かう。

 

「おかえりなさい。すでにベッドは準備しています。その子が例の子ですわね。」

 

ドアを開くとマックイーンが迎えに来てくれた。けど抱えているオレンジの子の見るなり察するのはさすがの頭の良さだ。

 

「ありがとう。マックイーンはこいつを見ていてくれないか?俺は話すことがある。」

 

マックイーンは少し黙った後に承諾する。

 

「わかりました。」

 

 

「おめぇマックイーンと同棲してるのかよ。さすがにそれはやばくねぇか。」

 

親父さんはうちに来て早速そういう。俺は頭を抱えながらも答える。

 

「俺も正直寮生活してほしいとは思ってるよ。けどもうメジロ家の長でさえ許可しちゃってる状況だしな... マックイーンもこれだし...」

 

「実の事情は置いといて、とりあえず真島兄さんがこっちに来るまで待てばいいんだね。」

 

シチーが問いかける。正直兄さんがいなくても説明できるだろうが、兄さんに質問したいところもある。だからまとめてやりたいので待つ。

 

「そういえば、モルモット実君の血液DNAを解析が終わったよ。」

 

「なんだよその芸名みたいな名前。で、どうだった。」

 

「私の予想以上だったよ。まさか遺伝子に人間とウマ娘の両方が入っているとは。これは発表したらノーベル賞者だった。」

 

「発表するなよ。」

 

 

「はいはい。ただ、君の上半身が下半身と違って貧弱なのはまだ原因がわからない。こればかりはもう少し待ってくれ。」

 

「まぁ、上半身が使えなくたって足が使えりゃ何とでもなる。」

 

そう話していると兄さんが家に来た。開口一番こういった。

 

「とりあえずどこまで話したんや。」

 

「何も話していない。兄さんが来てから言おうと思ってたんだ。」

 

「そか。じゃあ始めようか。」

 

そして俺と兄さんはすべて話した。説明を終えて神妙な顔で聞いていた親父さんが言い始める。

 

「実、お前はどうしたいんだ。」

 

俺は少し無言になる。けどすぐに

「わかんね。けど正直できることなら救いたい。」

 

「贖罪でか。」

 

「贖罪ね... 本能的にはそうなのかもしんないけど、正直今は正義感ぶってるって感じのほうが正しいわ。」

 

親父さんは黙りこくるがしばらくすると顔を上げてこういった。

 

「しゃあねぇ。真島。」

 

「なんや。」

 

「こいつのこと頼むぞ。」

 

「何が頼むぞや。もうこいつは一人で何でもできるんや。喧嘩も救済も。」

 

「お前がそういうならいいか。とりあえず、あの子どうするんだ。」

 

「仕方ないから今日はここに置いて俺が看病しとく。マックイーンの練習メニューは親父、わかってるよな?」

 

「併せだけでいいのか?」

 

「今あいつに必要なのは経験値だ。それならシチーとあいつだけで行けるだろう。」

 

「わかった。しっかり看病しとけ。それじゃあみんな帰るぞ。」

 

そういってタキオンを除くみんなが帰っていった。俺はあの子がおかれている寝室へ向かう。タキオンはとりあえず起きたら教えてくれとだけ言って仮眠を取り始めた。俺は寝室に向かった。寝室ではマックイーンが星座で例の子を看ていてくれていた。

 

「実お兄様、この子は...」

 

「いわゆるブラックトレーナーの被害者ってところだ。」

 

「ブラックトレーナーですか。ちなみにチーム名は?」

 

「ダービートレノ。」

 

「ダービートレノ... あぁ、あそこですか。」

 

「知ってるのか?」

 

「実は入学前にスカウトされてたんです。」

 

「ほーん。で、どうしたんだ?」

 

「いろいろ見てから決めますと言って蹴らせていただきましたわ。それにしてもすごいしつこかったですわよ。うちのチームに入れば君は無敗の3冠を目指せるとか。ほかのチームは君を3冠にさえ立たせられないとか、とにかく私をチームに入れようとしてましたから。」

 

「まぁよかったわ。マックイーンがこっちに来てくれて。」

 

「えぇ、一歩間違えていたらこの子みたいに...」

 

「とにかくあとは俺が見るからマックイーンは寝な。あ、でも布団...」

 

「ベッドじゃなくても構いません。わかりましたわ。それではお言葉に甘えて」

 

そういうとマックイーンは布団に潜り込む。

 

「実お兄様。覚えていますか?私が熱を出して寝込んでるときのこと。」

 

「そういえばそうだったな。病弱のお前が心配でよくそばにいてた。俺も風邪ひいてたのにお前が寝込んでるって聞いて無理にお前の横に引っ付いて、夕方になっても隣にいるって言って動かなくて結局俺のかあさんに引きずられて帰っていったんだよな。」

 

「そうですね...」

 

マックイーンは少し暗い顔をする。そして俺に問いかける。

 

「お兄様。また無理していませんか?私はもうお兄様に無理はしてほしくないです...」

 

俺は少し考えたうえでこういった。

 

「今までのような無理はしていないな。マックイーン。お前は心配するな。俺は大丈夫だ。今度は必ずお前の隣にいる。だから安心して寝ろ。明日からのトレーニングに響く。」

 

マックイーンは安堵したのか少し顔を緩めて目を閉じる。

 

「えぇ、おやすみなさい。」

 

「あぁ、お休み。」

 




最後少ししっとりでしたね。さぁいつになったら甘々展開は訪れるのでしょうか・・・


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お粥

実はお粥食べたことない()おじやならあるんですけどねぇ。何が違うのか誰か教えてください


マックイーンが寝ついた後、気づけば俺もベッドにもたれて寝ていた。目を覚ました時、時刻は2時を少し過ぎたところ。例の子はまだ起きない。トレーニングの内容でも考えようかとスマホを取ろうとした瞬間例の子が目を覚める。

 

「ここは...」

 

「俺の家だ。自分がだれかわかるか?名前は?」

 

その子は少し黙ってこっちを見た後に自分の名前を言った。

「私は、マヤノトップガン...です。」

 

「そうか。ならよかった。俺は桐生実だ。」

 

「桐生、さん... 私、あの時何が起きたの?」

 

「お前、先頭の子が走った跡を踏んで滑りこけそうだったんだよ。そこを俺が助けたってわけ。」

 

「実さんは、マヤを叱らないの?」

 

「叱る要素ないだろ。第一俺は好きでやったんだ。だからこれは俺の自己満足。君に非は何もないよ。」

 

そういってスマホをいじる。しかしマヤノはまだ腑に落ちないようだった。そこで俺はその子を見つめてこういう。

 

「マヤノ、というかダービートレノのメンバーがひどい環境に置かれているのは知ってる。お前もその被害者だろ?よく頑張って生きてたな。えらいよ。君は。」

 

そういうと緊張がどっと取れたのかマヤノは急に泣き始めた。泣き終わるまで俺は待つ。少ししてマヤノは落ち着いてきた。

 

「マヤノ。腹減ってないか。軽い食事でもと思っておかゆを準備している。よかったら食べてくれ。」

 

「うん。」

 

そういってマヤノは起き上がり、立とうとする。しかしベッドから離れた瞬間に前へ倒れ始める。

 

「おっと。」

 

俺はとっさに足でマヤノを受け止め。ベッドに座らせる。

 

「そりゃそうだ。過度なトレーニングで無理していたところをさらに高負荷な運動をしたんだ。筋肉が完全に痛んでいてもおかしくない。仕方ないから俺がテーブルまで運ぶよ。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

そういって俺はマヤノをしょって部屋を出る。マヤノを席に座らせて俺はコンロに火を入れて、事前に作っていたおかゆを温めなおす。するとおかゆのにおいがしてくる。それに気づいたのかタキオンが起きる。

 

「んん。今何時だい…」

 

「まだ2時半だ。マヤノが腹減ってるみたいだからおかゆ温めなおしてる。」

 

「マヤノ... あぁ、例の子か。」

 

タキオンが起き上がってマヤノを見る。するとタキオンは察する。

 

「足がもうボロボロみたいだね。」

 

「ご名答。お前の観察眼はほんと気持ち悪いな。」

 

「君の目よりかはまともだよ。それより、その足の様子だと足の筋肉は刃物に切り刻まれたかのようにボロボロになっているね。修復不可能だろうね。」

 

「そ、そんな...」

 

マヤノは絶望する。

 

「タキオン肝心なこと言ってないだろ。」

 

「はは、何のことかね?」

 

「一般的な外科医からしたら修復不可能。だろ?どうせお前のことだ。マッサージと薬で完全復活させることができるだろ。」

 

ネギを切りながらそういう。

 

「はは、それを言ったら面白くないだろう?まぁどっちにしても簡単な処置で足は元通りになるだろうね。モルモット実君が彼女が転倒して地面に当たる前に救い上げたのが幸をそうしたね。」

 

「そりゃどうも。タキオンも食うか?おかゆ。」

 

「少しいただこうか。」

 

茶碗におかゆを盛る。その上にネギと梅干しを添える。テーブルに運んでいくとマヤノの顔がおかゆにくぎ付けなのが分かった。

 

「おいしそうだろ。お代わりもあるからな。たくさん食べて体力回復させとけ。」

 

「いただきます!」

 

元気そうに熱さに気を付けながらゆっくり食べる。その姿は子供のようだった。対照的にタキオンはゆっくりと食べる。それを見ていて俺はつい笑みを浮かべる。マヤノが食べ終わるまでその姿をコーヒーを飲みながらゆっくり見ていた。マヤノは食べ終わるとこう聞いてきた。

 

「私、これからどうなるんでしょうか。」

 

少し不安げな顔をして聞いてくる。おそらくこの先が不安なのだろう。

 

「この件についてはルドルフも把握している。あいつに直接説明して寮にでも行ってもらうよ。」

 

するとマヤノは安堵の表情を浮かべる。俺は当時の状況を聞き出そうと思ってこう言った。

 

「あそこはどんなことしてたんだ?」

 

するとマヤノは再び暗い顔になって説明を始める。

 

「あそこは常にトレーニングを無理やりやらされてたの。やらないと殴られたりひどい事された。食事もトレーニング量には少なすぎるものを出されてたし、休む時間ももらえなかった。」

 

その後もマヤノの告白は続いた。一部のウマ娘はあいつらの道具にされているという話も聞いた。そのあたりからマヤノは泣き始めたため、話をやめざるを得なかった。最後に俺はこう聞く。

 

「ダービートレノのアジトってかいつもトレーニングとかしていた場所とかわかるか?」

 

マヤノは下を向いたまま答える。

 

「わからない。いつも登下校時にはバスに乗せられてたから...」

 

「そうか。話してくれてありがとう。」

 

その後マヤノはタキオンに支えられてベッドに向かった。俺はコーヒーを飲みながらニュースを見る。やはり今日のレースの記事ばかりだった。「音速!正体不明の男が選手を誘拐!」「カメラでさえも顔はわからず。」どれも俺に関する記事ばかりだ。

 

「これはまた理事長にこっぴどく言われるなぁ。」

 




理事長なんか出るたびに実が何かやらかしてませんか?実君はいつになったら普通に理事長に呼ばれるのでしょうか


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おばあ様

・・・はい、すいません。昨日投稿しようと思ったら寝ちゃってました。またストックもきつくなってきてますので投稿頻度落ちます。ほんとすいません。また元の投稿頻度に戻れるよう頑張ります...


ニュースを見た後、俺は家でやろうと思っていた仕事をすべて終わらせようと一徹し、学園の部室でお昼まで昼寝をした。結局お昼までに呼び出されることはなく昼寝から目覚めると俺は腹が減ったため食堂に向かった。

 

「やっぱりここのグリーンカレーはうめぇなぁ。」

 

汗をかきながらグリーンカレーを口に進める。甘味が最初に口の中を覆い、その後すぐに辛味が襲い掛かってくる。ここの食堂は栄養価にも気を配ってか化学調味利用などを一つも使わないらしい。そのため一つ一つの味が丁寧でしっかりしていてすごくおいしい。特にここ最近はタイ料理の味がすごくよくなっているだけでなくレパートリーも増えており、下手したらこの食堂一つでタイのすべてを知れるかもしれない。そう考えながらグリーンカレーを楽しんでいた。

 

「ずいぶんおいしそうに食べるな。」

 

「おう、ルドルフ。」

 

「真島さんから聞いたぞ。早速一人救ったみたいだな。」

 

「まぁな。寮の手配とかそっち任せたよ。そういえば、理事長からなんか言われなかったか?てっきりなにしてんだって叱られるかと思ったが。」

 

「いや、これは理事長も協力してくれている。君が部室で寝ている時に理事長は記者会見して弁明してくれたんだぞ。あとで顔出しといたほうがいいぞ。」

 

「そうなのか。じゃあ後で顔出しとくわ。」

 

そういって再びグリーンカレーを食べ始める。辛さで汗が少し出てくる。しかしこれがいいのだ。この刺激が楽しいのだ。

 

「君も辛い物には目がないね。」

 

「辛いのが好きじゃなくてこの辛味がいいんだ。タイ料理特有の辛さがさ。」

 

「はいはい。」

 

あきれた顔で返答された。グリーンカレーのすごみを知らないとは可哀そうだ。

 

「お前も食ってみればいいよ。トブぞ。」

 

「言い方がずいぶん薬物のそれだな。」

 

「まぁ薬物より中毒性と安全性はあるな。特にご飯ともあうから夏にぴったりだぞ。」

 

「じゃあ夏に食べるとしよう。それじゃあ私はこれで。」

 

「なんだ食わないのか。」

 

「あいにくお昼はもう済ませたんだ。」

そういってルドルフは去っていった。俺は続けてグリーンカレーを堪能し始める。すると今度はマックイーンがこっちによってきた。

 

「実さん。ちょっとお話が。」

 

「今ご飯中だからここでもいいか?」

 

「えぇ。」

 

「どうした?」

 

「それが今朝登校中におばあさまからメールがありまして。」

 

「おばあさまから?」

 

「はい、それで今度の土曜日か日曜のお昼に食事に誘っておりまして。」

 

「土日か。まぁ今週ならマックイーンも出るレースはないな。わかった。土曜日にしようか。どうせだから早めに行っておばあ様と話でもしよう。」

 

「かしこまりましたわ。」

 

おばあ様か、すっかり会いに行くのを忘れていた。会って最初に何を言われるだろうか。というよりこの顔を見て何を思われるだろうか。

 

「まぁ、あのおばあさまがひどいことを言うような人ではないがな。」

 

 

さて、土曜日がやってきた。俺とマックイーンは早めにメジロ家へと向かった。屋敷に着くと爺やが出迎えてくれた。

 

「実様。ようこそメジロ家屋敷へと。」

 

「爺やさん。変わってないなここは。普通にこういうのって時がたつにつれ変化が出るけど、昔とほぼ同じだ。」

 

「ほほほ。おほめにあずかり光栄です。」

 

「おばあさまは?」

 

「自室でお待ちになられておられます。ささ、どうぞ。」

 

そういうと爺やさんは先導する。俺はボーイに車のキーを渡して駐車を頼む。ボーイは車に乗り込んで駐車場へ向かう。その姿を見た後、俺は爺やさんについていった。

 

「お嬢様とよりを戻していただいて何よりでございます。」

 

「チームのおかげで俺はマックイーンに謝れたんだ。親父さんとゴルシがいなかったらよりを戻せなかったよ。」

 

「さようでございますか。メジロ家一同、実様が無事とわかりましてほっとしました。」

 

「ありがとう。ごめんな、不安をかけてしまって。」

 

「いえいえ。実様が無事で何よりです。」

 

「おばあ様はお元気かい?」

 

「はい、実様が生きておられていたことを知ってからそれはもう調子がよろしいようで。」

 

「そうか。よかった。」

 

その後も話が続く。そうしているうちにおばあ様の部屋へとつく。俺は部屋の前に立ってこういった。

 

「なんも変わってない。10年前と同じだ。」

 

そういうと爺やさんは扉をノックしていった。

 

「御頭首様。マックイーンお嬢様と実様をお連れいたしました。」

 

すると部屋から声が出てくる。

 

「おはいりなさい。」

 

爺やさんがその声を聴いて扉を開ける。すると弱い70を超えたであろう白髪の老婆が椅子に座っていた。俺は部屋に入る。俺が入ると爺やさんは扉を閉めた。

 

「お久しぶりです。おばあ様。」

 

おばあ様はゆっくりと立って俺の方に向かってきた。そして俺の頬を触ってこういう。

 

「忘れもしません。その瞳と顔。よく無事でいてくれました。実さん。」

 

「おばあ様、長らくの消息不明。お許しください。」

 

「謝ることではありません。むしろ謝るのは私たちの方です。爺やから話は聞きました。辛かったでしょう。私たちは何もできませんでした。許してください。」

 

「おばあ様... 自分はまたマックイーンの隣にいれることを許してくださっただけで十分です。」

 

「そういってくれると肩の荷が下ります。どうぞ座ってください。昔ばなしをしましょう。」

 

そうして俺とおばあ様、マックイーンで昔ばなしをした。おばあ様はわざわざお汁粉を用意してくれた。10年前と変わらない。素朴で味わい深い味だ。この家は10年前から何も変わっていない。それがなぜか落ち着いた。そうして話していると...

 

「マックイーン。少し席を離れてください。」

 

「わかりました。おばあ様。」

 

そういってマックイーンは部屋を出る。するとおばあさまは少し暗い顔をしてこう言い始めた。

 

「実さん。ドーベルのことは覚えていますか。」

 




ドーベル綺麗だよね。メジロ家ってホント容姿端麗な子が多くて好き(ウマ娘全員美人だが)グリーンカレーは辛いのが一番いい(甘味があるのも悪くないですが。)


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ドーベル

...はい、お久しぶりです。かれこれ2週間位更新していませんでしたね...ほんとすいませんでしたぁぁぁ!!リアルの方が忙しかったという言い訳をさせてください()


「実さん。ドーベルのことは覚えていますか。」

 

「はい、覚えています。」

 

メジロドーベル。メジロ家の一人で、幼い頃からマックイーンと対をなすほどの整った顔をしていた。実はマックイーンはメジロ家の娘の中で末っ子である。といってもマックイーンと多くても2歳しか差がないが、それでも末っ子のマックイーンは皆から可愛がられた。特にライアンとドーベルからはかわいがられていた。

 

「実はトレセン学園に入学してから一通も連絡を受けないのです。ほかの子は少なくとも1回は連絡をしてくれていますので何かあったのかと心配で...」

 

俺は察した。きっとダービートレノが絡んでいるだろう。俺自身ライアンやパーマーには顔を出している。ただドーベルだけはどこにいるかわからなかった。ライアンたちに聞いてもわからずじまいで、いやな予感はしていた。

 

「ライアンやパーマーに聞いてもわからないみたいで。むしろ最近ではずっと休んでいて見てもいないと。」

 

「そうですか... 私もライアンやパーマーは見かけましたがドーベルは見ていません。」

 

「実さん。どうかドーベルを見つけてくださいませんか。」

 

俺は少し黙った後にこういった。

 

「おばあ様。もちろんやらせていただきます。この実、命を引き替えても探し出して見せます。」

 

俺がそういうとおばあ様は少し笑った。そしてこういう。

 

「命を引き替えてしまったら今度はマックイーンが悲しみますよ?」

 

そういうと俺はあっとなり少し照れた。

 

「私、実さんであればマックイーンをあげてもよろしいと思ってるんです。あなただったらあの子にどんなことがあっても守り切れると思います。だからどうかマックイーンも守ってあげてください。」

 

「おばあ様。感謝の極みです。」

 

「ただし、関係は清いままでいてくださいね。」

 

「婚前の男女が同じ屋根の下で生活するのが清いと言えるのでしょうか...」

 

「あら、私からしたらあなたたちの年齢であれば清い関係のうちになりますよ。私も若い頃はよく想い人の家にお邪魔しておりました。なんなら夜の営みも。」

 

「よっ!?」

 

一瞬顔が熱くなるのがわかった。しかしおばあさまは落ち着いて言い続ける。

 

「あ、でもちゃんと避妊はしてくださいね。」

 

あまりにも突拍子のないことを言われたので冷静さを失う。

 

「や、やりませんから!!」

 

「避妊しないで営むつもりなの!?」

 

「あぁもう違いますよぉ!!」

 

おばあさまが笑う。そうだった。このおばあ様は俺とマックイーンの仲をおちょくるのが好きだったのだ。10年たっても変わらない...

 

「とにかく、実さんが元気であって安心しました。マックイーンとドーベルのこと、頼みますね。」

 

「はい。」

 

おばあ様はそれを聞くとゆっくり椅子に座った。

 

「メジロ家はあなたに救われてばっかりね。本当に感謝しきれません。」

 

「自分だってメジロ家の方々に良くしてもらってます。このくらいはどうってことありません。」

 

するとおばあさまは少し黙って俺を見る。じっと見つめられて少し戸惑うがその後すぐおばあさまはこういった。

 

「あなたはほんとに優しいのね。」

 

「メジロ家の方々と比べたら全然です。むしろ畜生の塊ですよ。」

 

「もう、汚い言葉使っちゃって。」

 

そういうと爺やさんが昼食ができたと教えに来た。俺とおばあさまは部屋から出て食堂へ向かう。すると向かいから見知らぬ男性がやってきた。

 

「おばあ様。あの方は?」

 

俺は小声でつぶやく。

 

「現トゥインクル委員会倫理管理委員長の斎藤さんよ。」

 

「倫理管理委員長は木下さんじゃ?」

 

「木下さんはどうもあの方の言うことだと先一昨日に自宅で倒れてしまったらしくて、今病院で治療を受けているらしいわ。」

 

「そうですか...」

 

木下さんとは顔見知りだ。中学の頃に学園に入り浸っていた時に出会い、息子のように慕ってくれた。

 

「ただ、木下さんが倒れたことについては少しうわさが立っていて。」

 

「噂?」

 

噂を聞こうとする。しかしそれと同時に斎藤は俺たちに気づいたらしくこちらに向かってきた。ある程度近づいて斎藤はこういった。

 

「これはこれはおばあ様。今からなにかお話ですかな?」

 

「いえ、この人は昔からのお付き合いがあるものでして。」

 

おばあ様がそういう。俺は軽く会釈してこういう。

 

「桐生実といいます。メジロ家とは小さい頃から良くしておりまして。」

 

そういうと男性は笑顔でこういう。

 

「おぉあなたがメジロ家一同が言ってた人ですか。いやあえて光栄です。私、斎藤と申すものでありまして、この度トゥインクル委員会倫理管理委員長に任命されましたのでご挨拶をと。」

 

「それはおめでとうございます。ところで、木下さんはどうなされたのですか?」

 

「それが... 先一昨日に家で倒れたらしくて、今診療中らしいとのことで。」

 

「そうですか... 実は木下さんとは顔見知りでしたもので。」

 

「そうでしたか。となるとあなたが言っていた例の特殊な子ですか。」

 

「特殊と言いますと?」

 

「足が異様に早いようで。ウマ娘でさえも置き去りにできるといわれるほどと。」

 

「置き去りなんて、自分はただ中学のころからウマ娘たちの走りを見てきたのでそれで経験値が多いだけですよ。それに足が少し早いだけです。」

 

「ははは。ご謙遜を。それでは、私はこれから役員会の方に出向かわなければならないので。」

 

「そうですか。ご活躍をお祈りいたします。」

 

「こちらこそ。チームブラックウィドウの健闘をお祈りもうしあげます。」

 

そういうと男は俺たちを通り過ぎて行った。少ししてまた歩き始めてから俺はおばあ様に聞いた。

 

「それでおばあ様。うわさというのは?」

 

「それが、どうもあの人がなにかしたんじゃないかって話が出ているのです。」

 

「何かした...ですか。」

 

「あの方は承認欲求がとんでもなく強いそうで、認めてもらうなら何でもするほどらしいです。そして今回の倫理委員長もURA委員会会長から認めてもらうがための一策とも...」

 

「なるほど、どうも役員の世界はめんどくさいですね。認めてもらうとかどうとか。」

 

そういって俺は肩をすくめる。おばあ様はフフッと笑ってこう言った。

 

「年寄りたちが集まる世界はこういうものよ。みんな承認欲求を満たしたいものなの。」

 

そうして俺たちはマックイーンの両親とも交えて昼食をとった。久々にあったマックイーンの両親は昔と比べたら老けてしまったがそれでも昔と変わらずに俺と接してくれた。ほんとにこの家は優しい。こんな犯罪者と呼ばれても仕方ない俺を優しくしてくれているのだから... 食後また会話を続け、夕方になり俺たちはおいとますることになった。(なぜマックイーンが一緒に帰ろうとするのかはもう気にしないことにした。気にしたら負けそうだから)帰り際、おばあ様が車に乗った俺たちに近寄ってこういう。

 

「それじゃあ実さん。頼みますね。」

 

「はい、おばあ様。」

 

ドーベルの件を確認しあった後、おばあさまは視線をマックイーンに向ける。

 

「マックイーン。あまり実さんに迷惑をかけないようにね。」

 

「もちろんですわ。おばあ様。」

 

マックイーンがそういい終えた後、おばあさまは少し笑ってこういう。

 

「それと、赤ちゃんはまだ早いですからね。しっかり避妊はしなさいよ。」

 

「「なっ!?」」

 

二人して顔を赤くしているのを見ておばあさまは笑う。そしてごきげんようと言って家に入っていった。

 

「おばあ様、あの性格ほんと1ミリも変わってないな...」

 

「...」プシュー

 

そうして家に帰ったが、その日は結局お互い意識しすぎて落ち着けなかった。

 




ドーベルってマックイーン並みにかわいいよね(本音)おねぇさんキャラ似合いそう。さて次の更新はいつになるでしょうか...なるべく早めに投稿できるよう善処しますのでよろしくお願いします


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