UNDER EDEN (サンサソー)
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プロローグ

ゴメンなさい、浮気です。「ゆらぎ荘の帝王様」の方を主に、こっちは息抜きでかきます。

日常編から見たい方はこちら
https://syosetu.org/novel/256217/4.html


この世界はゲームだ。

 

「ママ〜。まだできないの〜?」

「大人しく待っていなさい。もう少しで焼き上がりますからね」

「まったく、相変わらず待つことが出来ないんだな」

「あはは、でもその気持ちも分かるよ」

 

そして小説であることもわかっている。

 

「兄ちゃん!スパゲティができたぞ!前みたいにケチャップをかけないでちゃんと食べるんだぞ!」

「へへっ。今回の小言は骨身(・・)に染みるな。骨だけに!」

「さむっ!?」

 

作者の都合1つで、この世界は消えてしまう。

 

「ンガアアアアッ!これは、イイ!人間の世界にはこんなにも胸踊る伝説があったのか!」

「そ、そうなの!他にも色んなアニ……伝説があるから、沢山聞かせてあげるね!」

「頼むぞ!」

 

オレのこの在り方も、決められたものだ。

 

「アフフフフ。どうかしら、私がクモで作ったスパイダーパフェは」

「うん、とても美味しいよ。これなら、皆も気に入ってくれるだろうねぇ」

「………………」

「コチラのフライドポテトはいかがでしょう?だってさ」

「ふむ……ああ、これも美味しいねぇ」

「あら、なかなかイケるじゃない。これなら、合同の店もOKかしらね〜」

 

だが、それでも感謝してるぜ。平和な世界を作ってくれてさ。まあ、オレは散々な目にあってるけどな。

 

 

 

 

 

「だからよ、邪魔をするな。フロギーを殺したのはLvを上げるためだろ?その目はこれからも同じことをする目だ」

「………………」

「ああ、言いたいことを喋れないのは気の毒なもんだな。向こう側のお前が何を言ったところで……いや、その気になれば会話とかもできるが、オレはやりたくないぜ」

「…………」

「へへっ、まあいいさ。とにかく、1度このゲームをコンピュータから消して、もう一度入れ直せ。これ以上ライン(殺し)を越えるんじゃない。じゃないと、お前は最悪な目に合わされるだろうな」

 

ヤツがナイフを振り下ろす。オレのセリフが終わった瞬間に。ああ、これは……何度もclassicのGルートを経験したか、動画かなんかで見た感じだな。なら、ある程度の避ける技術はあるんだろうな。

 

NO EFFECT

 

「………………」

「へへっ、驚いたか?オレのこの目を見れば解るようなもんだろうに。さあ、最後のチャンスだ。今すぐオレがさっき言ったことを実行しろ。さもないと、なにもかも全部消しちまうぞ?」

「………………」

 

NO EFFECT

 

「そうかい。なら仕方ないな」

 

オレの頭にあった割れ目が広がっていく。目からは黒い模様がたれ、左目は三重の瞳になる。空間がブレ、身体に赤いerrorの文字が浮かび上がった。

 

「今日は素敵な日だ。皆が笑い、ひとつの不安も無い。こんな日には、お前さんのような異常者は……地獄の業火に焼かれてもらうぜ」

 

出ていけ。平和を望まないヤツに、この世界にいる資格はない。このクソ野郎が。

 

 

【挿絵表示】

 

 




完全な思いつきです。生まれつきの特殊能力がない普通のサンズが、他のAUのようにできる範囲で力を高める方法全てをし続けた結果という話になります。
ちなみに、パピルスと話しているサンズと殺人鬼と話しているサンズは別人…別骨です。
この世界の詳細は設定回で。

リクエストはこちら
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=275582&uid=345959


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設定

前回の後書きの通り、世界観やサンズの設定です。あまり本編に出てこないことも載ってるので、気になったらどうぞ。


地下世界の楽園

 

・たどった道

Nルート→Pルート→Gルート

これ以降はGがくり返され、たまにN・Pルートが挟まれた。

その後にサンズがルートごとに力をつけ続け、コンピューターのコントロールから脱したのがこのAUの話。

 

・タマシイの無い者たち

キャラやアズリエルは、サンズによってもたらされたタマシイで復活。あの博士も同様に復活している。キャラとアズリエルはフリスクと共に遺跡でトリエルと生活、博士は神出鬼没の部屋で実験したりしている。

 

・AU関係

他のAUから来客が来ることもあり、また移住する者もいる。呼称は、AUの名称と名前を一緒にして呼ぶことが多い。

例.UNDER SWAP のサンズ→スワップサンズ

 

・世界外からの主人公

たまに遺跡に人間が落ちてくるが、その人物が殺しをすれば、人知れず消えている。誰の記憶にも残らずに。

 

 

 

 

Empty Sans(エンプティーサンズ)

 

この小説オリジナルのサンズ。平和な世界に自分が存在することを認めず、classicの記憶を持つ自分のクローンを空いた枠に入れることで、パピルスたちが自分の不在に気づかないようにした。

 

攻撃はNO EFFECTとして一切効かず、空間を動かしたりコマンドを破壊したりできる。仮に攻撃がダメージを負わせたとしても、Lvは度重なるモンスターの虐殺・殺人鬼たちのLv・地上の人間たちの虐殺によりカンストしているため、ほとんどダメージを受けない。ケツイが強く、ケツイのタマシイを大量に確保しているためセーブ&ロードやリセットをすることが可能。

 

Lvを上げる、6つの人間のタマシイを取り込む、毎度毎度ケツイをみなぎらせ固める、リセットがあっても記憶や物が残る研究をする、ガスターフォロワーからガスターの遺骸を譲り受け取り込む、バリアを抜け人間を虐殺しタマシイを取り込む……などなど、やれる事を全てやった結果ケツイがフリスクたちのを超え、やっとGを止めることに成功した。

 

その後、新しく入ってきた殺人鬼たちを殺し、タマシイを奪いアズリエルたちに与えることで彼らを復活させた。

様々なタマシイを取り込んだり、設定などがあやふやなガスターの遺骸を取り込んだりと力をつけ続けたため、ついにはコンピューターの制御を抜けゲームバグのようなerror存在に変質。世界をコンピューターから切り離し、自立した世界に改変した。

 

殺しをするような者がいなくなった世界は、やがてこれ以上ないほどの平和な世界となり、世界外からのウイルスや殺人鬼などの危険を排除、その人のコンピューターのデータなどをことごとく破壊するようになった。




世界と大まかなサンズの設定です。おかしいと思った部分がありましたら、感想などでお知らせください。

リクエストはこちら
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過去編
世界は廻る


意外と早めに4票も入っててビックリしました。見てくださる方が少しでも面白く思えるよう、これからも精進します。

今回はちょっと同じような文章が続きます。


むかしむかし ちきゅうには

 

ニンゲンと モンスターという

 

2つのしゅぞくが いました。

 

ところが あるとき

 

2つのしゅぞくの あいだに

 

せんそうが おきました。

 

そして ながい

 

たたかいのすえ ニンゲンが

 

しょうりしました。

 

ニンゲンは まほうのちからで

 

モンスターたちを

 

ちかに とじこめました。

 

それから さらに

 

ながい ときが ながれ………

 

 

イビト山 201X年

 

それは 「のぼったものは

 

にどと もどらない」といわれる

 

でんせつの 山でした。

 

そこにあいた おおきなあな

 

ひとりの ニンゲンが

 

そのあなへと おちました。

 

ちかは モンスターたちが

 

せいかつしていました。

 

モンスターたちは

 

ニンゲンを みるやいなや

 

こうげきを してきました。

 

しかし どこかやさしさを

 

かくしきれていない

 

モンスターたちに ニンゲンは

 

とまどいながら おくへと

 

すすみます。

 

ながい ぼうけんのはてに

 

ついに ニンゲンは

 

おおきな かべをのりこえ

 

バリアを ぬけて

 

ちじょうへと かえっていきました。

 

 

 

 

 

むかしむかし ちきゅうには

 

ニンゲンと モンスターという

 

2つのしゅぞくが いました。

 

ところが あるとき

 

2つのしゅぞくの あいだに

 

せんそうが おきました。

 

そして ながい

 

たたかいのすえ ニンゲンが

 

しょうりしました。

 

ニンゲンは まほうのちからで

 

モンスターたちを

 

ちかに とじこめました。

 

それから さらに

 

ながい ときが ながれ………

 

 

イビト山 201X年

 

それは 「のぼったものは

 

にどと もどらない」といわれる

 

でんせつの 山でした。

 

そこにあいた おおきなあな

 

ひとりの ニンゲンが

 

そのあなへと おちました。

 

ちかは モンスターたちが

 

せいかつしていました。

 

モンスターたちは

 

ニンゲンを みるやいなや

 

こうげきを してきました。

 

しかし どこかやさしさを

 

かくしきれていない

 

モンスターたちに ニンゲンは

 

ラブを あたえました。

 

ニンゲンは すべてのモンスターと

 

ともだちに なりました。

 

ながい ぼうけんのはてに

 

ついに ニンゲンは

 

おおきな かべをのりこえ

 

すべての モンスターとともに

 

バリアを ぬけて

 

ちじょうへと かえっていきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

むかしむかし ちきゅうには

 

ニンゲンと モンスターという

 

2つのしゅぞくが いました。

 

ところが あるとき

 

2つのしゅぞくの あいだに

 

せんそうが おきました。

 

そして ながい

 

たたかいのすえ ニンゲンが

 

しょうりしました。

 

ニンゲンは まほうのちからで

 

モンスターたちを

 

ちかに とじこめました。

 

それから さらに

 

ながい ときが ながれ………

 

 

イビト山 201X年

 

それは 「のぼったものは

 

にどと もどらない」といわれる

 

でんせつの 山でした。

 

そこにあいた おおきなあな

 

ひとりの ニンゲンが

 

そのあなへと おちました。

 

ちかは モンスターたちが

 

せいかつしていました。

 

モンスターたちは

 

ニンゲンを みるやいなや

 

こうげきを してきました。

 

しかし どこかやさしさを

 

かくしきれていない

 

モンスターたちに ニンゲンは

 

LOVEを もらいました。

 

ニンゲンは すべてのモンスターを

 

ちかから すくいだしました。

 

ながい ぼうけんのはてに

 

ついに ニンゲンは

 

おおきな かべをのりこえ

 

ちりのつもる せかいを………

 

 

 

 

 

 

 

むかしむかし ちきゅうには

 

ニンゲンと モンスターという

 

2つのしゅぞくが いました。

 

 

 

 

 

むかしむかし ちきゅうには

 

ニンゲンと モンスターという

 

2つのしゅぞくが いました。

 

 

 

むかしむかし ちきゅうには

 

ニンゲンと モンスターという

 

2つのしゅぞくが いました。

 

 

むかしむかし ちきゅうには

 

むかしむかし ちきゅうには

 

むかしむかし ちきゅうには

むかしむかし ちきゅうには

むかしむかし ちきゅうには

むかしむかし ちきゅうには

むかしむかし ちきゅうには

むかしむかし ちきゅうには

むかしむかし ちきゅうには

むかしむかし ちきゅうには

むかしむかし ちきゅうには

むかしむかし ちきゅうには

むかしむかし ちきゅうには

むかしむかし ちきゅうには

むかしむかし ちきゅうには

むかしむかし ちきゅうには

むかしむかし ちきゅうには

むかしむかし ちきゅうには

むかしむかし ちきゅうには

むかしむかし ちきゅうには

むかしむかし ちきゅうには

むかしむかし ちきゅうには

むかしむかし ちきゅうには

むかしむかし ちきゅうには

 

 

 

 

 

「私はもう疲れたよ、サンズィ」

「誰だお前さん」

 




内容はpixivの方で上げているのとほぼ同じです。

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Last Breath Route

ラストブレスの開始。
pixivに投稿していた分のストックはある。しかしすぐに尽きそうです。


林が茂る雪道、''それ''はサンズというスケルトンに出会った。

いかにも旧知の仲のように、笑顔で。

 

「私はもう疲れたよサンズィ」

「誰だお前さん」

「!!?」

 

サンズが馴れ馴れしく近づいてくる男に言い放つと、男はピタリと止まり……号泣し始めた。

 

「き…君も私を忘れたのかサンズィイイッ!?」

「うおっ!?」

 

正体不明のモンスターは、目から滝のように涙を流しながらサンズに飛びついてきた。

 

サンズは突然のことに反応できず、男のドロリとした液状の身体にまとわりつかれ、頭を穴の空いた両手で掴まれてしまった。

 

「まずは記憶と知識だ!君に私の知ることを教えよう!」

「おい!何を勝手なことムグッ!?」

「すまない、すぐに終わるからねサンズィ」

 

男はサンズの口に触手をねじ込み塞ぐと、自身の持ちうる情報をサンズの頭に流し込み始めた。

 

「ム…ムウッ!?ング……」

「痛いだろうが我慢だ。あと少しで終わるよ」

 

無理やり頭に情報を詰め込まれることで、サンズを凄まじい頭痛が襲う。いよいよサンズが意識を手放しかけた頃、ようやく男はサンズの頭から手を離し、口にねじ込んでいた触手を引き抜いた。

 

「オグッ、ゲホッ!」

「さすがサンズィ。よく耐えたね」

「ゲホッゲホッ…ア…」

「……大丈夫かいサンズィ?私が誰かわか━━━」

「いきなり何すんだG!」

 

サンズがブラスターを召喚し男……ガスターへと発射した。放たれた光線をガスターは身体の形を変え受け流すと、攻撃されたにも関わらず飛び跳ねて喜びだした。

 

「思い出してくれたか!いやあ、よかった!」

 

男の名はW.D.Gaster。元王国科学者であり、コアなどを作り出した天才。

コアに落ちたことで命を落とし、グリッチとなって時空の彼方に消し飛んでしまった。それにより彼を知る全員からその存在を消去されてしまった男だ。

サンズは彼と働いていたこともあり、仲は良い方だった。

 

「クソッ、まだ頭が痛いな……」

「すまないねサンズィ」

「謝るぐらいだったら別の方法でもいいだろ。なんであんなことしたんだ」

「いやあ、私の中ですでに完結している情報を君に話すのも、新たな発見が無いし……面倒だったから」

「ふざけんなG!」

 

再びブラスターが火を噴く。ガスターは光線に手を添えてグリッチを放出。グリッチは光線を飲み込み消滅してしまった。

 

「酷いなぁサンズィ。私が死んでしまったならどうするつもりなのか」

「お前さんはもう死んでるんじゃないのか。そもそも、お前さんに攻撃をしても意味が無いことはわかってる。お前さんに教えられたからな」

「うんうん、しっかりと覚えてくれているようで安心したよ」

「ハッ、無理やり詰め込んだくせに」

「嫌いにならないでおくれよサンズィ」

「お、おま、離れろ!」

 

フラフラと寄ってきたガスターを振り払うサンズ。どうやら先程の件がトラウマになっているようで、表情が必死だ。

 

「そんな…サンズィィ……」

「お前さん必死すぎるだろ。泣くな泣くな、ほら、グリルビーにでも行こうぜ。飯でも食って落ち着けよ」

「……君のことだからどうせツケなんだろう?」

「へへ、まあな」

 

『近道』を使おうと指を鳴らそうとしたサンズ。その時、後ろで物音がした。

 

 

「……サンズ?」

 

 

すぐさまガスターがサンズを抱え、凄まじい速さで飛び去った。

 

突然抱えられ、超高速飛行。さすがのサンズも吐き気を覚えてしまう。サンズはガスターに抗議しようとするも、飛行するガスターは真剣な表情だ。面食らったサンズは言葉が出てこなかった。

 

(……ウップ)

 

ガスターが自分を下ろしたら、まずはブラスターをぶち込んでやろうと決めた。

 

 




EDEN世界の博士はフレンドリーで頭のネジがぶっ飛んでます。日常編を既読済みの方はすでにわかってるかな。

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もう怠け骨ではいられない

とうとう戦闘に突入。
ストックも残り少ないので、また亀更新になるやもしれませぬ。日常編のほうを頑張るかぁ。


モンスターたちの都、『ニューホーム』。

 

その玉座の間へと通じる『最後の回廊』にて、ニンゲンとサンズは再び向かい合っていた。

 

「よお、忙しそうで何よりだな」

 

ニンゲンはピクリとも動かず、サンズを見つめている。塵を被った髪から覗く赤い目は殺気を帯びてはいるが、どうやらサンズの話を待ってくれているらしい。

 

「……もう、気づいてるよな。このルートは変わってる。その原因は一人の男によるものでな、オレに色んなことを教えてくれたんだよ」

 

サンズが左手にオレンジ色の骨を出す。それをクルリと回すと、サンズの背後に大量のオレンジ骨が現れた。

 

「躱してみろ」

 

骨がニンゲンを襲う。しかし、オレンジ色の攻撃はすでに『コア』に配置されたビーム砲で知っている。

 

ニンゲンが前に歩くと、骨は威力を発揮せずにニンゲンを通り抜けてしまった。

 

「へへへ、お前も知ってたのか。まあいい、オレはこれ以外にも教わったぜ。例えば…お前がやってきたこととかな」

 

ニンゲンがまた一歩、サンズへと近づく。

 

サンズは愉快そうに笑うと、両手を上げてやれやれとでも言いたげに首を振った。

 

「悪い悪い。長々と噂話が過ぎたな。それに……当人の前でその人について話すのは失礼だよな」

 

周囲が点滅し、回廊から色が消える。無表情だったニンゲンの口が微かにつり上がり、手に持っているナイフをケツイで赤く染めた。

 

「今日はステキな日だ。鳥は歌い、花は咲きみだれ……こんな日こそ、お前みたいな子供は……おいかけっこでもして遊んでればよかったんだ」

 

ニンゲンが手を動かし、コマンドに触れる。

 

ACT

しらべる

 

サンズ AT1 DF1

既に知っているはずだ

 

「何も変わりはないぜ。無駄な行動だよ」

 

サンズが床と天井から骨を生やしニンゲンへ進ませる。骨と骨の僅かな合間をジャンプで避けながら、ニンゲンはナイフをサンズへ向けた。

 

「へへへ、次から攻撃するぞってことか?」

 

攻撃が終わり、ニンゲンがナイフでサンズへと斬り掛かる。サンズは軽やかに避け、お返しにブラスターを召喚し放った。

 

ニンゲンは斬り掛かった勢いのままその場を駆け抜け、光線を回避。急停止をかけ再びサンズへと駆けた。

 

「なんで、お前はそこまでみんなを殺したがるんだ?何がお前を駆り立てている」

 

ニンゲンは答えずにナイフを振るう。サンズはショートカットで避け、サンズが元いた空中にブラスターが三機現れた。

 

しかしニンゲンは、光線が放たれる前にブラスターを斬りつけ爆破させた。

 

「聞いたところによると、お前はオレたちと友達になって、みんなで地上に出たことがあったらしいじゃないか」

 

オレンジ色の骨と青い骨が、通常の骨と織り交ぜて放たれた。ニンゲンはナイフで骨を弾き、止まり、動き続けながら距離を詰めていく。

 

「みんなが笑顔になれる、ハッピーエンドだぞ……何が不満だったんだ?」

 

サンズは再びナイフを避け、重力操作でニンゲンを引き離すと大量の骨で串刺しにした。

 

ニンゲンの口から血が吐き出され、辺りを赤一色に染め━━━━

 

 

 

最後の回廊にて。

 

ニンゲンとサンズが対峙している。ニンゲンは微笑みを浮かべ、サンズは何かを悟り困り顔で。

 

「よお、楽しそうな顔だな。何がそんなに面白いのかは理解できないが……まあいい。オレはオレの仕事をするだけだ」

 

再び回廊の色が消える。

 

ニンゲンはサンズへ駆け出し、サンズは骨を飛ばして迎え撃つ。

 

骨を斬りながらニンゲンは縦横無尽に動き回り、四方八方からサンズに斬りかかった。

 

「へへへ、違うんだよな?不満なんかじゃないんだろ」

 

ナイフを避け、ブラスターを足場にして宙へ浮く。ニンゲンは柱を蹴り飛び上がり斬りかかるも、ブラスターがニンゲンを避け光線を発射。

 

空中にいたニンゲンは光線を避けれず壁に埋められた。

 

「こんな変わり様、ありえないよな。平和を捨ててまで、お前が殺戮を行ってしまうほどの''何か''があるわけだ」

 

壁から抜け出したニンゲンに再び光線が放たれる。ニンゲンは駆け出し、光線を避けるとサンズは地面から骨を生やした。

 

自身を貫こうと生えてくる骨を足場に、ニンゲンはサンズへと迫る。

 

「二重人格か?それとも、何かに憑かれでもしたか?」

 

サンズへ飛びかかったニンゲンの周囲にブラスターが展開され、いくつもの光線がニンゲンを飲み込んだ。

 

 

 

 

 

最後の回廊。

 

ニンゲンとサンズが向かい合っている。

 

「お前、また死んだな?死ぬのが怖くないのか……はたまた、死んでもオレを殺したいのか……オレのこと、そんなに嫌いなのか?」

 

回廊から色が抜けると同時に、ニンゲンが突貫する。

 

面食らったサンズはショートカットでナイフを回避し、ブラスターを召喚してニンゲンの背に光線を放った。

 

ニンゲンは振り向きざまに屈み光線を避けると、サンズへと再び迫る。

 

サンズは大量の骨を生やし視界を遮ると、ショートカットでニンゲンの背後に回りブラスターを展開する。

 

音で背後の状況を悟ったニンゲンは壁に向かって走る。ブラスターはニンゲンを追うように光線を放ち、ニンゲンは壁を蹴って大きく宙返りして避けた。

 

「お前はなぜこんなことをするのか……オレにはまだわからない。だが、狂気の笑みよりも、年相応に笑ってる方がいいと思うぜ?」

 

長く大きいオレンジ骨と青い骨が時計の針のように回り、大量のブラスターがニンゲンを囲み、時計回りに発射される。

 

ニンゲンはオレンジと青の骨を気をつけながらも回り続け、全ての光線を避けきった。

 

ニンゲンの背後で何かが崩れる音がする。

 

サンズは疲れ果て、片膝を床についていたのだった。

 




題名は曲名を少し変えてみました。

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フリスク

タグを直しました。UNDERTALEの文字を変に開けてたから検索に引っかからなかったのか…。


「なあ…お前、ほんとにナイフを振り回すの好きなんだな。そうやって、みんなを殺してきたんだろ?」

 

サンズは懐からケチャップを取り出し一気に呷る。息を整え、流れる汗を拭った。

 

「ふぅ…だがな、オレは思うんだ。お前は根は悪いやつじゃない。そうしなければならない理由があるんだろ?」

 

サンズは両手を広げた。通常のGルートでも行われた初見殺し。しかし今回は、通常とは違ったルートだ。

 

「来いよ、相棒。そんなもの捨てて、逃げちまえよ。オレはまだ、お前を信じてる。オレはまだ、お前の友達だ。一緒に逃げようぜ、フリスク」

 

サンズはみのがしてくれるようだ。

 

「……サンズ」

 

ニンゲン……フリスクはナイフを落とし、サンズへと近づいていく。フラフラとした歩き。無防備なフリスクを、サンズは……殺さず、優しく抱きしめた。

 

背中を優しくさするサンズを、フリスクも抱き返す。サンズはフリスクの頭をポンポンと叩きながら口を開いた。

 

「よく決断してくれたな。辛いだろ、今まで積み重ねてきたことを無駄にするっていうのは…だがお前は、後悔して正しいことができた。お前は立派だ。オレが保証するよ」

「……助けてくれ、サンズ…」

「……まずは終わらせよう。さあ、リセットしてくれ。次の時間軸で、また━━━━」

「違う!私は━━ごめんね、サンズ」

 

9.999999

 

鮮血が飛ぶ。サンズは数歩後退すると、その場に膝から崩れ落ちてしまった。

 

「な…に…!?」

「ねえ、サンズ。ボクは後悔なんてしてないよ。このループはボクの意思でやっていることなんだ」

 

フリスクはサンズの前で屈むと、愉快そうに笑った。その手にはナイフが握られている。

 

「お前…さっき落として……」

「あれは『おもちゃのナイフ』。ケツイで染めてたからわからなかったでしょ?本命はコッチだよ」

 

『ほんもののナイフ』を手の中でクルクルと回すフリスク。その目は先程までの赤ではなく、黄色に染まっていた。

 

「実はね、キミがさっきまで語りかけていたのはボクじゃない。ボクのタマシイを持ったキャラだ」

「キャラ…!?」

 

最初に落ちてきたニンゲン。アズリエル王子に助けられ、アズゴア王の養子としてモンスターたちの仲間入りを果たした者。それがキャラだ。

そして、ガスターが言うにはフリスクを操り虐殺を引き起こした張本人……だったはずだ。

 

「元々はキャラがボクを誘導して、初めの虐殺を引き起こした。溜まったLOVEやEXPはキャラを蘇らせ、ボクの身体を乗っ取った。そして、全てが消えてしまった世界を元に戻すために、ボクは自分のタマシイを材料にキャラと取引した。キャラはリセットで世界を戻し、ボクはソウルレスになった」

「ま、待て!」

 

語られていく新情報に頭が追いつかない。サンズは痛む身体にムチ打ちながら必死に口を開いた。

 

「そもそも、なぜキャラがお前の中に!?キャラが死んだのはお前が落ちてくるずっと前だぞ!」

「キャラはアズリエルにタマシイを取り込まれたことで、意識がアズリエルの身体に移った。そして、地上のニンゲンによって深手を負い死んだアズリエルは塵となり黄色の花とキャラの死体に降りかかった。キャラの死体はトリエルによって遺跡の奥に埋められ、その上には黄色の花が植えられた。そして、そこはボクが落ちた場所だ」

「っ!ということは…」

「そう、キャラの意識はその強いケツイの力で生きていた。そして、同じケツイのタマシイを持つボクの中に入り込み、復活するために暗躍していたんだ」

 

言葉を失うサンズ。フリスクは笑顔のままサンズを背もたれにして座る。しかしサンズはそんなことを気にする余裕は無かった。

 

「ボクはソウルレスになったことで、好奇心しか残らなくなった。でも、N・Pルートはやった後だし、キャラが身体を動かしているしでどうしようかと悩んでいたんだけど…気づいちゃったんだ。ボクとキャラの立ち位置が逆転していることに」

 

フリスクはより笑みを深め、興奮しているのかナイフを投げたりして遊び始めた。

 

「タマシイを手に入れたキャラは感情を手に入れ、Pルートでボクに代わってアズリエルたちと会おうとした。でも、ボクは無理やり虐殺を始めさせた。そして、ソウルレスの時のキャラのように増大する数字の感覚を味わって……満たされた。カラッポのボクを満たしてくれるその感覚が好きで、ボクは何度も虐殺を繰り返してきた。そして、最後にキミと戦った」

 

フリスクはうっとりとした顔で振り返ると、サンズの身体を強く抱きしめた。その吐息は熱っぽく、しかしその目には確固たる殺意があった。

 

「キミは強かった。アンダインよりも攻略するまでの死に数が多かったし、多種多様な攻撃や戦法で飽きさせてくれない。LOVEを上げる以外の方法で、キミはボクを満たしてくれたんだ。だから、ボクは何度もキミと戦っているんだ。キャラはそのための道具、ボクのタマシイを奪ったのがキャラのミスだ」

 

一際強く抱きしめると、フリスクは立ち上がりナイフを向けた。

 

「ボクはまだまだ満足していない。だから、もう終わりにしようか。次の時間軸でもボクを満たしてね、サンズ」

 

フリスクがナイフを振り上げる。しかし、サンズは動く気配がない。サンズの心は折れ、完全に諦めてしまっていた。

 

「……また、ダメなのか。オレは……」

「まだ諦めてはいけないよ、サンズィ」

「!?」

 

巨大な手が真上から落ちてくる。フリスクは直前で気がつき、かろうじて躱した。

 

サンズの隣にグリッチが湧き出す。中から現れたのはガスターだった。

 

「G……」

「私が手を貸したというのに、気づかず死のうとするなんて酷いなぁ」

「手を…?」

 

サンズは自身の状態を確認し……驚愕する。ガスターは微笑みながら頷き、サンズを立ち上がらせた。

 

サンズ HP 0,000001/1

 

「へへ…なるほどな」

 

サンズが立ち上がる。その顔には先程までの諦めは微塵も感じられない。

 

「お前はこれで本当に終わりだと思ったか?こんなところで諦めるわけにはいかないみたいだ」

 

左手に強度の高い骨を生成し握り、フリスクへと向ける。

 

「与えられたチャンスを台無しにできるか。たとえ何があったとしても……お前を良い方向へと導いてやる。オレにだってお前を倒せるってことを証明してやるよ」

「……はぁ、やっぱりキミは最高だ。どこまでボクを楽しませてくれるんだ」

 

フリスクはうっとりとした顔をしながらナイフをケツイで染めた。

 

「やっぱりキミが好きだ。もっと、もっと戦おう。楽しませてよ」

「へへ…そうかい。なら好いてくれたお礼をしなきゃな。覚悟しろよフリスク。お前はもう引き返せないところまで来てしまったんだからな」

 

サンズの背後にブラスターが召喚される。最悪の時間はまだ終わらない。

 

「お前を止めてやる。今回は本気だぜ」

 

サンズはかつてないほど本気のようだ。

 




今作のフリスクはソウルレスになってはっちゃけてます。


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サンズの本気

ラストブレス第2形態。
さて、ストックがなくなってきたぞぅ?


フリスクが駆け出すと同時に、サンズは足を床に勢いよく落とし大量の骨を床から生やしていった。

 

普通のニンゲンであればたちまち串刺しにされてしまうだろう攻撃を、フリスクは笑いながら回避していく。掠りもせず、骨の合間を凄まじい速度で進み……骨の森を抜けた瞬間、真上からブラスターが放たれた。

 

青い破壊光線がフリスクのそばに着弾。付近の骨ごと床を吹き飛ばすが、その勢いを利用してフリスクはサンズへと飛びかかった。

 

ナイフがいつものようにサンズへ振り下ろされる。しかし、サンズはいつものように避けず、手に持っていた骨をナイフに合わせた。

 

BLOCKED

 

「どうした?あと少しで殺れるぜ?」

「そうだね!」

 

ナイフを押し込み骨ごとサンズを斬ろうとするフリスク。もう片方の手も使おうとした時、サンズの背後から2つの手が現れ、フリスクの肩を掴んでサンズから引き離した。

 

「わっ!?」

 

突然のことに目を見開いたフリスク。一方サンズは驚く素振りすらみせず、ブラスターを展開。未だに手に引き離されているフリスクへと光線を放った。

 

肩を掴んでいる手をナイフで破壊し、光線をスレスレで回避。床に着地すると、再びサンズへと駆け出そうとして……床から生えた触手に拘束された。

 

「サンズィ!」

「ナイスだガスター」

 

複数のブラスターがフリスクを囲む。しかし、フリスクもやられっぱなしではない。ナイフを手首のスナップで振ると、触手が赤い光線(Knife Blaster)で切り裂かれた。

 

放たれた光線を屈んで躱し、未だに正体を知らないガスターと呼ばれたモンスターへと斬撃を飛ばした。

 

MISS

 

「うーん、効かないかぁ。誰?どのルートでも会ってないよね?」

「……答える義理はないね」

 

斬撃は液状化した身体を通り抜け、ダメージを与えられない。攻撃が効かないことをすぐさま理解したフリスクは狙いをサンズのみに定めた。

 

「……おいG。食らうフリもできないのか?オレにだけコイツの攻撃捌き続けさせるつもりかよ」

「あ、考えてなかった。次からそうするよ」

「へへ……遅いわ!」

 

サンズが手をフリスクへかざすと、フリスクのタマシイが青に染まる。床を隙間なく骨が走り、リフトが一定の間隔で流れ始めた。

 

「お前が簡単にやられるなんざこれっぽっちも思っていないが……どんな手段を使ってでも、お前を止めてやる」

 

背後に大量の骨が展開される。サンズが指を鳴らすと、浮遊していた骨がフリスクへと襲いかかった。

 

飛来する骨をナイフで切り落としリフトに乗り続けるフリスク。

骨が止むと、今度はブラスターが放たれた。これはジャンプで避けると、重力操作で天井に叩きつけられる。

すぐさま横に転がると、叩きつけられていた場所から骨が生えた。

 

「ちょ、ちょっと攻撃長すぎないかな!?」

「そうか?これでも良心的だと思うぜ」

 

サンズが腕を振り下ろすと、フリスクが床へと落ちる。すぐさまリフトのある場所に身体を誘導させたフリスクは、待ち受けていた骨柱を斬撃で破壊した。

 

リフトが終わり、フリスクはサンズへと一直線に迫る。振り下ろされたナイフを、サンズは再び骨で防いだ。

 

BLOCKED

 

「なあフリスク。オレは、本当はこんなことしたくない。戦いたくないんだ。だが、仕方ないよな?お前は止まるつもりは無いみたいだからな」

「うん!もっと、ずっとサンズと戦っていたいぐらい。ボクにとっては好都合だよ!」

「へへ、そうかい。なら覚悟しとくんだな。もう今までのような甘ちゃんじゃないから……オレも本気だ」

 

空間がブレ、フリスクの視界が90°回転する。そして重力操作によって壁に叩きつけられた。

 

「うっ!……なんか酔うねコレ」

 

口を押えるフリスクへ、無情にもブラスターが放たれた。視界がおかしいままフリスクは回廊を走り光線を回避していく。しかしやはり駆ける速さは半減しており、光線がかすり始めた。

 

「……ちょっと、サンズ!何これ、気持ち悪いしズルいんだけど!」

「へへ、ガスターから少しばかり力をな。それに、ズルいと言えばお前のケツイも十分ズルいだろ」

「うぐっ…ごもっとも」

 

骨がフリスクへと迫る。視界は変わっていても身体はそのままのため、ジャンプすれば視界が横に動き、横に動けば視界が上下に動く。実際の身体の動きとの違いに、脳がしっかりと追いついていなかった。

 

再び空間がブレ、視界が戻った。サンズを見ると少しばかり汗をかいている。

 

「へえ、あまり長くはできないみたいだね。使うとかなり疲れるんだ?」

「……へへ、ご名答」

 

フリスクがナイフを振るう。サンズも骨で対応し、再び鍔迫り合いの状態となった。

 

「お前、またタマシイを取り戻したいとかは思わないのか?ずっとそのままでいるつもりか」

「えぇ……だってタマシイを手に入れたら、ボクの元の性格だと大変なことになりそうだし。それにサンズと戦おうとしなくなっちゃうし」

「……そうかい」

 

その場で骨とナイフが何度も打ち合う。楽しそうに満面の笑みでナイフを振り回すフリスク。

サンズは忌々しそうに舌打ちをし、ナイフごとフリスクを押し崩し重力操作で廊下の端へと飛ばした。

そこへガスターがブラスターを展開し光線を放つ。フリスクはナイフを床に突き刺し張り付くことで光線を躱した。立ち上がり再びサンズへと迫ろうとするも、足を暗号が掬った。

 

「G。お前さんの攻撃ってウザいよな」

「え、ならなぜちゃっかり連携してるのかなサンズィ」

 

ガスターへ苦々しい笑いを向けながらも、倒れそうなフリスクの下から骨を生やすサンズ。フリスクは骨ごと床を斬撃で破壊することで串刺しを回避した。

 

「……あ、あはは。あはははは!いいね、いいよサンズゥ!!」

 

フリスクの目に黒が差し込む。やがて白目部分は完全に黒に染まり、黄色い瞳が一際輝き始めた。

 

瞬間、フリスクは一息にサンズとの距離を詰め斬りつけた。

 

「うっ!?」

 

BLOCKED

 

サンズはとっさに骨をナイフと自分の間に滑り込ませ防いだ。しかしフリスクの力が先程よりも格段に強くなっており、ナイフを少しずつサンズへと近づけていく。

 

「楽しいねえ、サンズ。サンズが抵抗すればするほど、サンズが強くなればなるほど、ボクは君を倒したくなる。そろそろ気付いてよサンズィ?君が止めようとするから、ボクは余計に止まれなくなるんだよ?」

「ぐ……お前に、その愛称を許した覚えはない…!」

「つれないなぁ…」

 

骨がサンズに付く。ナイフがもう眼前にまで迫っている。

 

一息に骨ごと切り裂こうとフリスクが力を込めたその時、背後からガスターの触手がフリスクに巻き付きサンズから引き離すと、床へと叩きつけた。

 

「まったく、異常な執着心だね。サンズ、思い切って付き合ってみたらどうだい?」

「ゲホッ……はぁ、冗談キツイぜG」

「別にいいよサンズ?一緒に虐殺しちゃう?」

「冗談キツイって言っただろ……で、G?準備はどうだ」

「ふむ……まだ時間がかかりそうだ。調整中だよ。手は貸すが、あまり期待はしないでくれたまえ」

「はぁ……だが、オレだけだと荷が重いぜ。あの状態のフリスクは…強い」

「ふむ……策はあるよ」

「ならすぐやってくれ」

「だが、これをすると君が君じゃなくなるかもしれないよ。精神が壊れるか、体が持たないか……」

「構わない!ここでフリスクを止める!」

「……そうか。それじゃあ、やるしかないか」

 

ガスターの手がサンズの頭に触れる。瞬間、フリスクが凄まじい速さで現れ、サンズを切り裂いた。

 




見てくださりありがとうございました。よろしければ、これからもどうぞよしなに。

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年貢の納め時

リクエスト・誤字報告ありがとうございました。
リクエストはアンケートの票が入った文やりつつ、回をはさんでいこうと思います。


ナイフがサンズを切り裂いた。

 

もはや露ほどにも残っていなかったサンズのHPは吹き飛ばされ、服を残して塵となっていく。

 

フリスクは満足気に笑ったあと、横で立ち尽くすガスターを見た。

 

「何か策があったの?でもダメだよー、敵の前で長々と会話なんかしちゃ。ボクもその策とやらに興味があったけど、疲れてるサンズなんて隙だらけなんだから、ちゃんと守ってあげないとダメじゃないか」

「……ははは、なるほど。ははははは」

 

突如笑いだしたガスター。しかしその声には悲嘆などの感情は込められておらず、まだ余裕を持っているようだった。

 

「どうしたの?まだ何かあるのかな?」

「ははは、いやなに。許してくれたまえよ。君の期待に、彼はちゃんと応えてくれるだろうさ」

「……!?」

 

空間が歪み始める。そして一瞬だけ視界が暗転し、暗闇が晴れると、そこには殺したはずのサンズが立っていた。

 

「……へ?え!?何が起きたの!?」

「……?オレは…殺されたはず…?」

「な、なら!」

 

状況を掴めていない無防備なサンズへ、フリスクが再びナイフを振るう。その刃は確実にサンズを殺しうる威力を持っていた。

 

NO EFFECT

 

が、無意味。ナイフはサンズの身体をすり抜け、傷どころかダメージを与えることができなかった。

 

「はあ!?」

「なんだ、何が起きた!?」

 

驚愕に染まる2人。不可思議な現象を確認し1人頷いたガスターは、策の成功を悟った。そして、サンズもまた悟る。

 

「……オレは、お前にさんざん止まるよう頼み、そして忠告した…が、お前は聞く耳を持たなかった。そのツケが回ってきたらしい」

 

ガスターの計らいによって、フリスクを押さえられるだけの状態にはなっただろう。そして、今この瞬間が、自分で吸う最後の息になるだろうことを。

そしてケツイする。たとえ自分がどうなろうと、どんな手を使ってでも、フリスクを止めてみせる。次は、もう気にしない。

 

「私は本来、こちらに出てくることはないはずだった……異常が起こっている。君の凶行を止めるために、私は時空の垣根を越えてやってきた」

 

空間がバグり、絶えず揺れ始めた。サンズの頭にヒビが入り、割れ目は右の眼孔にまで達した。

 

「想像したことはあるか?誰も死なない完璧な世界を。誰も傷つく必要のない平和が溢れる世界を」

 

サンズの身体が浮く。その背後に2体のブラスターが召喚された。

 

フリスクはその光景に目を輝かせ……ふと気づく。

 

ナイフが消えた。他のコマンドさえ見当たらない。

 

「完璧な世界は存在するはずだったんだ。そう、お前がいなければ」

 

ブラスターから光線が放たれた。フリスクは斬撃を飛ばし光線を少しの時間押しとどめることで回避。

 

そこへ、青とオレンジの骨が襲いかかる。止まり、動きを繰り返すフリスクへ、5体のブラスターが光線を放った。

 

「おっと」

 

フリスクは床に伏せて光線をやり過ごすと、手と足に力を入れてうつ伏せの状態のまま飛び上がる。少し遅れてフリスクが伏せていた床から骨が生えた。

 

空中にいるフリスクへ、ガスターの触手が伸びる。それに対し、フリスクはケツイの力で赤いナイフを作り触手を斬り払った。

しかし、次々と襲いかかる触手を身動きの取りづらい空中で捌ききるのは難しく、とうとう手足を捕らえられてしまう。

 

「うわ、気持ち悪い」

「失礼な……サンズィ」

 

身動きの取れなくなったフリスクへ、ブラスターの砲門が向く。フリスクは両手に大量のナイフを出現させ床に落とす。

床に当たったナイフは赤い光線(Knife Blaster)となり触手を切断。間一髪、放たれた光線から逃れた。

 

「ふう、危なかった」

「……しつこい」

 

ガスターの背後にブラスターが召喚され、口を開けて突進していく。

 

フリスクはナイフで迫り来るブラスターを両断するが、ブラスターを隠れ蓑に近づいていた手が飛び出し、フリスクの肩を掴むと壁へ叩きつけた。

 

フリスクは壁へと押し付けてくる手から逃れようともがくが、手はガッチリと掴んで離さない。さらに壁から骨が生え、フリスクを貫いた。

 

「おっ!?ご……」

「……終わりだ、フリスク」

 

サンズの目が赤く光る。背後に複数のブラスターが出現し、赤い光を蓄えていく。

 

フリスクは光線に飲まれ、その命を散らしたのだった。

 

 

その後も、フリスクは死に続けた。骨に貫かれ、ブラスターに消し炭にされ、触手に引きちぎられ……抵抗も虚しく、何度も殺された。

 

繰り返される苛烈な戦いの最中、フリスクは死ぬ直前に聞いた。

 

「サンズィ、そろそろ準備が整う。次で終わらせられる」

「……そうか。それはなによりだ」

 

次で終わらせられる。

 

その言葉を聞いた瞬間、凄まじい悪寒が襲った。どうやら、ガスターとやらは何かしらの対策を講じているらしい。

 

また、魂が砕ける。このまま死ねば、もう終わってしまうかもしれない。

 

終わる?この楽しい戦いが?空っぽの自分を満たしてくれている最高の時間が?

 

ははは……。

 

そんなのおことわりだ。

 

 

フリスクの死体が消えた。敵を見失ったサンズとガスターはすぐさま辺りを見渡すが、フリスクの姿はない。

 

ついに諦めたかと肩の力を抜きかけたその時、サンズの真上からナイフが振り下ろされた。

 




Last Breath Phase3突入。もう少しでこのルートも終わり……さて、ストックが無くなったぞゥ!!

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INSANE!

お待たせしました。
この作品の書き方を忘れかけていたので、文章が少し簡単になってるかも。


振るわれたナイフを咄嗟に骨でガード。重力操作でフリスクを引き離すとブラスターを展開した。

 

「まだまだ!」

 

大量の斬撃を放つフリスク。サンズは眼前に骨の壁を生やし防ぐ。そして壁を消すと同時にブラスターを放とうとするも、フリスクはナイフの刀身を赤い光で伸ばし、壁ごとサンズを切り裂いた。

 

NO EFFECT

 

「また…!」

 

サンズがフリスクの首を掴み床に叩きつける。フリスクが振るおうとしたナイフは逆の手で押さえられ、首を絞める手を引き剥がそうとするもサンズの手は動かない。

 

「が……ぐ…!」

「…死ね」

 

首を絞める手に力が込められる。フリスクの手から力が抜け始め、ナイフはカランと床に落ちた。

 

泡を吹いたフリスクはぐったりとして動かなくなる。それを確認したサンズは立ち上がると、背を向け━━━━━━━━

 

「ごぶっ!?」

 

背後へと複数の骨を飛ばし、復活していたフリスクを壁に張りつけた。

 

「よくやったサンズィ。あと少しで調整が完了する……あと少しで全てが終わる」

「…………ああ、ようやくだ」

 

サンズがフリスクへと振り返る。

ガキの見納めだと目を向けると、フリスクの姿はそこになかった。

 

「……は?」

「残念だったね、サンズ」

 

ナイフがサンズの胸から生えた。背後に回っていたフリスクは、ナイフを抜くと倒れかかるサンズへ一閃。壁に埋められた。

 

「はーあ、楽しかった」

「……なるほど、ロードか」

 

手に握られた黄色い光。それを見たガスターは極めて冷静に答えた。

 

「そうだよ。最後の切り札……フラウィーと同じことをしたまでだよ」

「……ふふ、クフフフ、ハハハハハッ!その可能性を忘れていた!私もまだまだ詰めが甘い!」

 

狂ったように笑い続けるガスターを無視し、フリスクは歩き始めた。

 

「ハハハハ……ん?こらこら、どこへ行く」

「どこって、アズゴアの所だよ?」

「アズゴア王のところか……ふふふ、なぜ?」

「なぜって、殺すからだよ。世界を壊した後にリセットをするんだ。知ってるんでしょ?」

「フフフフ、そうか。だが気づきはしないようだな?私は、『私()』と言ったのだよ」

「……っ、まさか!」

 

サンズが埋まっていた壁が爆発した。這い出て来たサンズ、しかしその様子はおかしい。

 

「ガ……ガガガガ…」

 

不自然に首が揺れ動き、目は高速で光が点滅している。

 

「え…何あれ」

「サンズも、最後の覚悟を決めたらしい。自分を犠牲にしてでも、キミを倒すつもりのようだ」

「……つまり、まだ遊べるってことだよね!」

 

完全に抜け出したサンズが浮き始め、体の周囲を7色の手が回り始めた。

 

次の瞬間、空間が激しくブレ、サンズの姿が無くなった。

 

「え……っ!?」

「ガギギギ……」

 

いつの間にかフリスクの真後ろに立っていたサンズ。振り向きながらナイフを振るうも、刃は緑色の光を放つ手に捕まれる。サンズはフリスクの顔を鷲掴みにし、その手に空いた穴を紫の光に染めた。

 

掌から紫色の光線が放たれる。壁に衝突したフリスクを縫いつけようと骨が飛来するも、ナイフの一振りで全て切り裂かれた。

 

が、骨は視界を潰す陽動。フリスクの目の前にはブラスターが口を開けエネルギーを溜め終わっていた。

 

「んっっな!?」

 

流石に避けきれず光線に飲まれるフリスク。割れたタマシイはすぐさまくっつき、自分の命を奪ったブラスターを両断した。

 

「サンズは……」

「ギギ…」

「っとお!?」

 

一度視界が暗転し、次の瞬間にはフリスクの眼前にサンズの顔が現れた。

 

驚いたフリスクが飛び退くも、浮いていた手から水色の光が伸びフリスクの胴体に巻き付くと、光はムチのようにしなりサンズの前へとフリスクを叩きつけた。

 

サンズは赤い骨を手に生成しフリスクへ振り下ろす。咄嗟にナイフで弾こうとしたフリスクだったが、骨にグリッチが湧きナイフをすり抜けた。

 

「え、ズルぐぶっ!?」

 

腹に突き刺さった骨を引き抜き、腕を掴むと空中へと放り投げる。そして手の穴を赤い光で満たすと、浮いていた全ての手が赤く光り赤い光線をフリスクへと放った。

 

フリスクは光線に飲まれるが、次の瞬間にはサンズの眼前でナイフを振りかぶっていた。もう片方の手にはケツイの光。ロードで不意をついたフリスクがサンズを切り裂いた。

 

NO EFFECT

 

3度目は流石に予想出来ていたのか、すぐさまケツイのナイフを複数展開し後ろに飛び退きながらサンズへと殺到させた。ナイフはサンズの腕や腹に突き刺さるが、グリッチに飲まれ消え去る。

 

それを見たフリスクは、床をナイフで破壊し塵煙で辺りを包んだ。視界を潰し、攻撃を当てる。フリスクが塵煙の中から赤い斬撃を複数放った。

 

サンズは前方に緑色の障壁を展開し斬撃を防いだ。そのままブラスターを展開し光線を放とうとする…が、赤く細い光線(Knife Blaster)がサンズを連続で切り裂き、障壁を力づくで破ったフリスクのナイフがサンズを襲った。

 

サンズの身体にもう一本傷ができる……かに思えたが、床から伸びたガスターの触手がフリスクの足を捕らえ引き倒した。触手を切り裂き、すぐに立ち上がろうとするが、それよりも早くフリスクを骨が貫き床に縫い付けた。

 

「サンズィ。準備は終わったよ…その状態も解除しておこう」

 

ガスターが指を鳴らすと、サンズの身体の揺れが止まり目の点滅がだんだんと収まっていく。倒れそうになるサンズを、ガスターはそっと支えた。

 

「……あ…G…」

「お疲れ様、サンズィ。すまないが、あともう少しだけ頑張っておくれよ」

 

サンズをその場に座らせたガスターは、フリスクへ振り返ると不気味な笑顔を浮かべた。

 

「キミはよくやった。まさか私が力を授けたサンズに対して、ここまで食らいつくとは思っていなかった。ケツイとはやはり凄まじい力を持つようだ」

 

骨に貫かれていることなど意にもかえさず、身体を起こそうとするフリスクへ、ガスターは余裕の態度で話しかけた。次の瞬間、フリスクの手に触手が巻き付き手首を外した。ケツイの光によるロードへの対策である。

 

「キミは知らないだろうが、私はあらゆる発明品を作っていてね……その中にとある装置があるのだよ。キミに対してこれ以上ないほどの効力を発揮する装置がね」

 

ガスターの背後でグリッチが溢れ出す。グリッチが収まると、そこには巨大で不気味な装置が現れていた。

 

「…あ……れは…」

「ああ、見たことがあったかい?ならばそれは、ラボに入った時……アルフィーと仲良くなった時かな。これの名はケツイ抽出装置。タマシイを取り出したり、力を抜き取ることができる。そう、ケツイでさえもね」

 

巨大な生物の顔を模した装置が動く。

 

眼孔に赤い光が点る。そのアギトが開かれ、赤い光を溜め始めたのだった。

 

 

 




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Corrupted RESET

他の小説を投稿すると、別の投稿が遅れる……という言い訳をしてみたり。



フリスクに身体の主導権を奪われてから……いや、取り戻されてから、私は中で外を見ることしかできていなかった。

 

未だにタマシイは私の手にある。しかし、今ではフリスクが思うままに身体を動かし、虐殺を繰り返していた。

 

何度殺し続けただろう。何度友人を斬り続けただろう。

 

裏切り者、なんて。そう思っていたのに、今ではアズにさえ縋りたい。

 

フリスクはタマシイを取り返すどころか、持っていろと言ってきた。ソウルレスから戻ればLOVEを上げる快楽も、戦いも楽しめなくなるからと。

 

ソウルレスだった私と同じ、いやそれ以上の悪魔に、フリスクはなってしまった。このモンスターを作ったのは、私だ。

 

何が裏切り者だ。何がモンスターたちを救うだ。

 

私がやったのは今なお笑いながらこちらを観測する怪物共よりもさらに許されざる行為だ。

 

でも何もできない。フリスクの言われるがままに殺し続け、あのコメディアンと戦う時だけ代わる。アレもフリスクを何度も止めようとして、殺され記憶を失う。最悪のループが起きていた。

 

もう、私は諦めた。二度と皆が笑い合うことなど無い。

 

そう、思っていた。

 

『よく決断してくれたな。辛いだろ、今まで積み重ねてきたことを無駄にするっていうのは…だがお前は、後悔して正しいことができた。お前は立派だ。オレが保証するよ』

 

だが、貴様は違った。真実を知ってもなお、お前はフリスクを、殺人鬼(私たち)を許そうとした。

 

私は気づけば、コメディアンの腕の中にいた。口から、『助けてくれ』などという言葉が出た。

 

奴は私を殺さなかった。

 

いつもと違う展開。もしや何かが変わったのか、地獄のループに希望の光が射し込んだのかと思った。

 

そう、まるで暗い泥の中から引っ張りあげられるように。

 

 

私の身体は外の様子を映す画面から飛び出した手に引っ張られ、鏡が割れるような音と共に色を認識した。

 

 

 

 

「成功したな」

 

いつの間にか、私がいるのは暗いセーブ画面ではなく。泣き付いたはずの、サンズの腕の中だった。

 

 

 

 

 

「あ…なんで……」

「簡単なことだよ、フリスク」

 

唖然とするフリスクへ、ガスターが微笑みながら事の次第を話した。

 

「ケツイ抽出装置は、対象のケツイだけを取り出すものというわけではない。タマシイをも取り出すことができる。君が話した内容を聞いて確信したよ。君はまだソウルレスだね?タマシイはキャラが持っている。であれば、装置の機能を少しばかり弄れば君から引きはがすことが可能だったというわけだ」

「へへへ、つまり今のお前さんはケツイのタマシイを持たない。ロードも何もできなくなったというわけだ」

 

サンズが腕を上げる。背後に大量のブラスターが展開される。フリスクはその場から逃れようとするが、青い骨が手足を貫いた。

 

「ちょ、ちょっと待ってよサンズ!こんな、まだ終わりたくない!もっと遊んで、もっと戦いたいんだよ!今回はもう終わりでいいからさ、リセットするから!」

「…言ったろフリスク。オレは、お前にさんざん止まるよう頼み、そして忠告したが、お前は聞く耳を持たなかった。そのツケが回ってきたんだ…ってな」

「……そっか。なら…仕方ないね?」

 

サンズは見た。絶体絶命の状態でフリスクの口が歪むのを。その手にケツイの光が握られていたのを。

 

咄嗟にキャラを重力操作でガスターへと押し付けた。

 

「な、サンズ!?」

「ぐっ、やむを得ないか」

 

そばで見ていたキャラもケツイの光に気が付いていたのか、ガスターに受け止められながらもサンズに手を伸ばす。しかし、すでにサンズとフリスクは光に飲まれていた。

 

「なら一泡吹かせれたかな?次のリセットで会おうね、サンズ」

「……はあ、いいぜ。とことん付き合ってやるよ、フリスク」

 

光は世界を飲み込んでいく。やがて二人の意識は溶け、再びその在り方を遡っていくのだった。

 

 

 

 

 

ガスターはキャラを抱え自分の部屋に転移することで、世界の再構成から逃れていた。彼はキャラを離すとすぐさまコードを入力し世界の観測にうつる。

 

「…何をしているんだ」

「今、世界がどうなっているのかを確認しているんだ。フリスクが行ったのは確かにリセットだった。けれど、ケツイのタマシイを持つ君を手放した状態で、残ったなけなしのケツイを使った強引なリセット。それがどのような結果をもたらしたのか想像もできないのでね。至近距離にいたサンズとフリスクには何かしらの影響があるだろう」

「そんな、二人は無事なのか!?」

 

キャラの問いかけにガスターが驚いたようにキャラへと振り返った。

 

「おや…」

「な、なんだっ」

「いや、サンズはともかくフリスクにまで気にかけていることに驚いてね…ああ、質問への返答は『わからない』の一択だ。今こうして世界と繋げようとしているのだけど…」

 

ガスターがコードを打ち込むと、エラー音とともにコードが赤く染まり消失する。

 

「どうやら新生した世界には、私が前回に使ったコードは合わないらしい。世界にこの部屋と接続ができない」

「なに!?どうするんだ!」

「フフフ、心配しないでくれ。もしものために緊急で繋げられるコードも用意してある。だがキッチリ整合が取れたものではないから、世界にいられる時間はかなり少ない。なんとか合うコードを見つけなければ」

 

ガスターが緊急用のコードを打ち込むと、部屋に扉が現れた。キャラはすぐさま扉を開け外へ出ようとしたが、ガスターはキャラの肩を掴んでそれを止めた。

 

「……何をする」

「なに、一度落ち着きたまへよ。今回は世界がどうなっているのかわからない。慎重に行くべきだ」

「そ、そうか。確かにそうだな」

 

ゆっくりと扉を開ける。そこはウォーターフェルの暗い岩肌の通路が広がっていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここ…は……」

 

地下の奥深くにある花畑。そこにフリスクは倒れていた。

 

「……あれ?なんでここ……に…」

 

『ねえ、サンズ。ボクは後悔なんてしてないよ。このループはボクの意思でやっていることなんだ』

 

「え…あ……」

 

『ボクは無理やり虐殺を始めさせた。そして、ソウルレスの時のキャラのように増大する数字の感覚を味わって……満たされた』

 

「違う……」

 

『そろそろ気付いてよサンズィ?君が止めようとするから、ボクは余計に止まれなくなるんだよ?』

 

「ちが、違う…!こんなのボクじゃ…!」

 

『なぜって、殺すからだよ。世界を壊した後にリセットをするんだ。知ってるんでしょ?』

 

「あ…ああ……」

 

 

 

 

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

 

叫び散らかすフリスク。その中に、ケツイのタマシイが輝いていた。

 

 

 

 

 

 

スノーフルの町で、サンズはベッドから起き上がった。

 

「………………」

 

頭が痛い。まるで割れるようだ、ホントに割れたら一大事だがな。

 

「……いいや」

 

頭に手をやる。どういう訳か、ガスターから力を貰った時にできた割れ目が、まだそこにあった。

 

きっと、力をもらいグリッチを起こし過ぎたことで何らかのバグが生じたのか?……いや、そんなことはどうでもいい。

 

サンズはベッドに寝転がった。普段なら渋々仕事に出ている時間だというのに。いつも以上のダラケ具合い。

 

 

「……思い出しちまったよ、全部」

 

 

ガスターから話は聞いていた。それだけでも信じられないような事だったというのに。

 

今までのルートを全て思い出してしまった。

 

「………………」

 

もう、何もしたくない。諦めていたのに、そこにトドメを刺された。嫌だ、何もかも嫌だ。

 

『お前が簡単にやられるなんざこれっぽっちも思っていないが……どんな手段を使ってでも、お前を止めてやる』

 

「ああ、うん。そうだよな。こんな途中で止めちゃあオレらしくないよな、ははは」

 

ゆっくりとベッド起き上がる。フラフラとした足取りで、外を目ざした。

 

「へへ…へへへ……」

 

その眼孔には、狂気に染まった()()()が覗いていた。

 

 

 




狂ったように叫んだり笑うのって、PCで閲覧すると大して長くもないものになるんですね。スマホで書いているのでそんな落とし穴に気づけませんでした。

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穴の受け皿

「とまぁ、ここまでが初めのルートだ。どうだ?オレにしては中々いい具合だと思わないか?」

 

暗い空間、1人のサンズらしき人物はチェス盤を前にして耳を傾けていた。

 

駒が動く。彼が指せば独りでに相手の駒が動き、再び彼のターンが来る。

 

「……随分と悲劇を詰め込むのだな」

「もちろんだ。大抵のAUは悲劇を経験させるほど比例して強さを増す。『楽園』を守るのであれば相応の破壊者であるべきだ」

「……破壊者に守護者としての役目。矛盾しているが、守れるだけの力を考えれば納得はいく。だが、随分と歪だな」

「上限だ。これ以上オレが踏み込んでしまえば、あれはまず形をとることすらできない。穴に飲まれて、『楽園』まで崩壊したら元も子もないだろう?どうせアレが来ればどのみち壊滅してしまうだろうからな」

「フン……」

 

彼は無表情のまま、物静かに思考する。チェスを指している相手は生半可では無い。しかし頭であれば確実に彼に分がある。

 

ナイトの駒を相手のキングの横に付ければ、包囲網は完成した。対し、相手はキング自身を動かしナイトを取ることで包囲網に穴を開ける。

 

「それに、『楽園』にはアイツがいる。自分で目覚めるまでは、平和の中でそっとしておいてやりたいのさ。兄弟だからな。そのために守護者には条件を満たした場合にのみ、オレへの干渉権を与えたよ」

「……大胆な」

「まあな。ただの延命なのはわかってるさ。チェスも、『楽園』もな」

 

相手のキングへと、彼のクイーンが狙いを定める。相手は自分のコマの後ろに退避させるが、そこは彼のもう一つのナイトの進路上であった。

 

「あー、そこにナイトを置いてたのか。話の方にソースの7割を割いてたから見れてなかったか」

「終わりだ」

「……思った通りだが、やっぱりオレには向かないな。チェスも、世界の作成も」

「初めてにしては上出来だ。所々に拙い部分や粗さが目立つものもあるが、まだマシとだけ言っておこう。だが……わかっているんだろう?」

「ああ。俺は無知無能の権化。全知全能の王たるお前みたいにはいかないだろうさ。おまけに俺の命を狙うアレも迫りつつある……『楽園』は受け皿、それをわかってさえいれば、俺もお前も飲み込まれることは無いだろうぜ」

「……ならばいい」

 

彼はチェス盤をしまうとさっさとこの空間を出ていってしまう。相手もまた、この場を去ったのだろう。暗い空間はゆっくりと崩壊していき、やがてコードの塵となって掻き消えたのだった。

 



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塵積もる遺跡

お待たせしました。また更新していきます。

このUNDEREDEN、YouTubeで活動中のダーチ村長さんのCheezeverseに所属することとなりました。
後に出すつもりのオリズなどもたまに出るので、興味があればそちらもどうぞ。


「あ……ああ…」

 

大穴の底、黄色の花が咲き乱れる場所。

 

フリスクはか細い声を出すばかりで全く動こうとしなかった。

 

「…め……い。ご……ん…さ…」

 

花に絶えず涙を注ぎながら、何かを呟いているようにも見える。しかしそれが何であれ、残念ながら此処にはそれを聞いてくれるものはいない。

 

 

 

 

「ひっ…ひっ……こ、ここまで来れば…!」

 

はずだった。

 

地面から生えて出てきたのは一輪の黄色い花。お花のフラウィ―だ。

 

本来の時間軸であればもう少し進んだ先の部屋で遭遇するはずなのだが、この時間軸では違うらしい。しかも見れば、花弁は散り葉も片方が千切れていたりとボロボロの様子だ。

 

「な、なんだ…?アイツ……じゃないみたいだな」

 

息を整えたフラウィ―が、警戒しながらもゆっくりとフリスクのもとへと移動する。フリスクの目にはフラウィ―がはっきりと見えているはずだが、全く反応しないまま呟きをこぼすままだ。

 

「ニンゲン…か?よ、よくわからないけど助かった!コイツを殺してタマシイを吸収すれば、あんな奴にだってやられるもんか!」

 

顔を禍々しく歪めるフラウィ―。地面からいくつもの根を出現させ、未だ動かないフリスクへと狙いを定める。

 

「アハハ!今までにないことばかりだけど、今回はボクにも月が回ってきたみたいだ!待っててねキャラ。この調子でほかのニンゲンのタマシイも──」

 

かつてないチャンスが到来したためか、勢い余り大声で叫ぶフラウィ―。刺し貫かんと根をフリスクへ殺到させるがしかし、その後の言葉がフラウィ―の口から紡がれることは無かった。

 

 

 

「ああ……見つけたぞ、花」

 

 

根は全て地面から生えた骨に貫かれ、フラウィ―自身は強引に地面からむしり取られた。青ざめたフラウィ―の顔が鷲掴みにされ、悲鳴を上げる暇もないままに握りつぶされた。

 

力も抜け、ただの花のようにバラバラとなったフラウィ―を踏みつけた乱入者。深く被ったフードから赤い瞳を覗かせるそれは、サンズだった。

 

「…………」

 

フラウィーは始末した。次にその眼光が向けられるのは、必然的にフリスクとなる。手に鋭くとがった骨を出現させ、フリスクの傍にかがみこんだ。

 

「ご…め……い」

「………………」

「なさい…さん……さん、ず…」

「……………………へっ」

 

しばらく様子を見ていたサンズであったが、ひとつ鼻で笑うとおもむろに立ち上がった。そのままもと来た道へと戻り始める。

 

「ごめ…さ……ご…んな…い…」

「…………」

「あ…ああ…」

「はぁ…」

 

ふとサンズが振り返る。その目は凄まじく冷えており、少しばかり落胆も含まれていた。

 

「………………」

「……ざまあみろよ」

 

服に付いた塵を払いながら、サンズはその場を後にする。所々に仕掛けられた罠を無視し、破壊し、踏み潰し。陰に隠れるモンスターを手当たり次第にその手にかけて行く。

 

Lv UP

 

「………………」

 

LVの上がった音を聞きながら、サンズは自分の手を見つめる。付着した塵がパラパラと落ち、罪を行ったことを実に雄弁語っている。

 

だというのに、だ。

 

「…………へへっ」

 

笑みがこぼれる。口角が上がる事が止められない。だって仕方ないじゃないか。滑稽なんだから。

 

「へへっ、へへへへ、へへへへへへへ」

 

最後の回廊にて、罪を見定める審判者であったはず。だというのに今やEXPを求める怪物だ。これが果たして笑わずにいられるか?いいや、笑うしかない。

 

だって目的は果たされていた。『フリスクを止める』というために殺し続けた。なのに肝心のフリスクはタマシイを取り戻し、かつての優しさを取り戻していた。その優しさ故に壊れてしまっていた。

 

なら、LVを上げた意味は?この長いループへの覚悟は?

 

何もかも、無駄になった。

 

「……いいや、無駄じゃない。何も無駄じゃない」

 

サンズはその無駄さえも笑う。目的?手段?もうそんな事を気にしているような状態じゃない。

 

一々気にしていたら壊れちゃうだろ。

 

「え?もうとっくに壊れてるって?へへへ、へへへへへ」

 

パーカーの中。普段はケチャップを入れているポケットに押し込んでいた物を取り出す。

 

サンズは愛おしそうにそれに頬ずりすると、首に巻き新たにケツイを抱いた。

 

「わかってるさ。少し段階が繰り上がっただけさ兄弟」

 

まずは強くなれ。強くなって、殺して、また強くなって。いつかガスターが教えてくれた奴らから全部を守る。

 

見つけなければならない。誰も死なない、完璧な時間軸を。

 



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日常編
1. オレは存在しないんだ


息抜きにやると言ったな。あれは嘘だ。
またしてもこちらを投稿してしまった。
やっちまった……私はド○クエを裏切ったも同然なのでは?ちょっと…いやかなり自己嫌悪。
取り敢えずどうぞポイ(っ'-')╮ =͟͟͞͞○


友達を殺した。確かにこの手で殺した。

 

「今日、グリルビーとマフェットのお店の…『スパイダーグリル』がオープンするんだ」

 

骨で貫いた、手で握りつぶした、ナイフで切った、ブラスターで吹き飛ばした、暗号で埋めつくした……数え切れないほどの友達を殺してきた。

いまや、オレのLvを超える奴なんていないだろう。それほどまでに、俺は罪深い。

 

背筋に罪が這い登るのを感じる。

 

Lvが上がれば上がるほど、人を傷つけることに慣れてしまう。人を殺すことに、なんのためらいも感じなくなる。

オレはもう、友達を殺すことに罪悪感を感じ無くなっている。寂しさ、悲しみ、そういった感情もあるにはあるが、もう慣れてしまった。

 

「ママや、アンダインたちも来るんだ。パーティだから盛り上げるんだってはりきってたよ」

 

こんなにもどうしようもない、最悪なスケルトンはいない方がいい。平和になった世界に、オレのような殺人鬼……いや、本当の怪物(モンスター)はいるべきじゃない。

 

だから、オレはクローンサンズを生み出し、俺の代わりに収まってもらった。俺が殺人鬼になる前の、記憶も罪もないLv1のサンズを入れれば、みんな元通りだと思った。なのに………。

 

「だからサンズ、一緒に行こうよ」

 

お前さんはなんで、こんなオレを連れ出そうとするんだ?

 

 

 

 

 

 

━━フリスク━━

コイツは、憎悪に狂い暴走したキャラや、世界外の人間に操られていた人間。いつも目も細めて無表情だが、何かあると年相応な表情をするガキんちょ。

その性格はPルート以外は行かないんじゃ?と思うような優しいヤツだ。オレも何度か飯に誘ったっけな。

 

コイツがなぜ、世界を監視する存在となったオレの場所にいるのか。それは、かなり前のルートでオレとパピルスの家の裏扉の鍵をあげちまったからだ。

もともと、オレが研究者だったころの機械とかを置いていたんだが、この世界外と地下世界のはざまにある監視部屋に繋げて有効利用しようと繋げたんだ。

 

なにか異変があった時、すぐに駆けつけられるように。

 

心を許していたとはいえ、気軽に渡すんじゃなかったと後悔している……というか、それも忘れていたオレにため息が出る。かなり前のルートとはいえ、普段と違うこと、しかもあの部屋の鍵を渡すんだから覚えておけよ……。

 

「ほら、サンズの好きなハンバーガーだってあるよ?」

「……オレは好きだったわけじゃない。何やっても無駄ならと、気まぐれにそればっか食ってただけだ」

「そうなんだ。ならポテト食べようよ!ボク、またサンズのケチャップをかけたポテト食べたいし!」

 

そうか、お前もケチャラー(コッチ)側に……今となっては、ケチャップは血を思い出すからあまり食ってはなかったな。血を思い出すと、オレの罪を、そして灰を思い出す。

 

「だからさ、サンズ。ここから出ようよ」

「……お前はいつまでオレの事をサンズって呼ぶつもりだ。サンズならもういるだろ」

「それは……彼もサンズだけど、君だって…」

「オレはエンプティー、空っぽだ。オレはもう…サンズじゃない。お前たちの知ってるオイラ(・・・)じゃないんだ」

「でも、サンズ!」

「……そろそろパーティが始まる頃だろ。行けよ、ガキんちょ」

「…………待ってるからね」

 

フリスクが扉から出ていく。オレは椅子に座り、データ群が凄まじい勢いで流れていくモニターを見た。この部屋に来たことで消えていたフリスクの位置情報などがしっかりと記録されている。

 

「忘れてくれ。このままで、いいようになるんだからな。オレは、オレ自身への嫌悪と、積み上げてきた罪を償わないといけない……この世界を守ることで」

 

突然警報が鳴りだす。遺跡にしかけた感知装置が発動したらしい。これが鳴ったということは、世界外からの来訪者が来た証拠だ。

 

「はぁ……これから皆が楽しいパーティをするんだ。もし邪魔するような殺人鬼(ヤツ)だったら…覚悟しろよ」

 

安心しろガキんちょ。お前たちの安全は絶対に守ってやる。

誰にも、この平和は壊させない。

 

楽園は終わらせない。

 

 

 

 




私は、私自身への嫌悪と、積み上げてしまった罪を償わないといけない……小説を投稿することで。
ただし、不定期更新とする。

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2. 敵であって友達

文字数が増えたり……たまに減ったり。
戦闘の際はたいてい長くなるかも。
今回、少し読みずらいと思います。


珍しい。普段ならばオレの前に現れる時はブラスターをぶっぱなすというのに。

 

「なンだ、そノ顔は。オレがタダ戦うためニこの世界に来るとでモ」

「違うのか?いつもいつもオレを攻撃してくるのに…なぁ、エラー?」

 

オレの問いに、エラー……Error!Sansの顔が忌々しげに歪んだ。

 

━━Error!Sans━━

Error Taleのサンズ。他のAUを嫌い、全て破壊しようと活動していた黒骨だ。その中でもグリッチである自分自身が1番嫌いらしく、同じような存在であるオレのことも好ましく思っていないヤツだ。

 

「別二、立チ寄ったダケだ。そうイエば、侵入者がまた出タラシいな」

「ああ。今回は不殺のヤツだった。めんどくさい事にならなくてよかったぜ」

「……メンドくさがリの怠け者メ」

「そうじゃないサンズはいないさ。お前さんもそうだろう?」

「…………まア、ナニモなかったナらいい」

「…お前さん、もしかして心配してくれたのか?」

「…………」

「へへっ。なんてな……」

「…………」

「フリーズしてやがる」

 

目がエラーだらけになり、胸の辺りで輪がクルクル回っている。

てめぇ図星かよ。可愛いヤツめ。

 

この状態になるとしばらく動かねぇからな……イタズラでもするか。

 

 

 

 

 

「……Aa、アッあ〜」

「よう、戻ったか」

「フリーズか、ヒサしぶリの感覚だ」

「プフッ、そうかい」

「…………何をワラッてィる」

「いやいや、別に……プフフフフ」

 

小一時間ほどで復活したエラーは頭を掻き……気づいたようだ。

 

「オイ、なんダコレは」

「たまたま見つけたんだ。似合ってるぜ…プフッ」

 

エラーの頭には今、可愛らしい黒猫の耳のカチューシャが付けられている。ツンツンでたまにデレるとことかまんま猫みたいだなって思ってたのさ。

 

羞恥か怒りか、エラーがプルプルと震えはじめた。お?チョコの禁断症状でも出たか?

 

「オイ、頼むからヤメてくレ……でないと…オレは…本気で怒るぞ」

 

エラーのブラスターが顔を出す。オレは軽く笑いながら、エラーごと削除ファイルのデータ群へとテレポートした。こうでもしないと、オレたちの攻撃で被害が出かねない。

 

「かるーいジョークだろ?それにお前、可愛さには自信があるんじゃなかったか?わぉ、もっと可愛くなっちまったな。そのままインクのとこにまで行ってきたらどうだ?スワップサンズでもいいかもな」

「…………今度こそ破壊シテやル」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チョコあるんだが食うか?」

「……貰おウ」

 

戦いが始まるとでも思ったか?残念、コイツはチョコに弱いんだ。たまにキャラと争奪戦をするぐらいには大好きらしい。

 

「…………ッ」

「まんまと勢いを削がれたことに気づいたか」

「……チッ!卑怯なマネを」

「チョコで懐柔されてるヤツが何言ってるんだか」

「うルせェ」

 

ははは、やっぱりコイツはからかうと面白いな。今度はワザとインクとフレッシュのヤツらに鉢合わせてやろうか。

 

「……美味カッた」

「お粗末さまでした」

 

こうやってちゃんと……礼?を返してくれるとこもまた健気だなぁ。

 

「モうカラかウンじゃネえぞ」

「まあまあ、それでこのあとはどうすんだ?」

「……そうダナ……ッ!?今すグ帰ル!」

「お?そっそうか。じゃあな」

 

エラーは血相を抱えて去っていった。まるで何かに気づいたみたいな……とりあえず帰るか。

 

「あいつ、結局ネコミミ付けたままだったな」

 

 

 

 

「やあインプティー!エラーはいるかい!!」

「久しぶりに会いに来たぜ兄弟!ファンシーなオレたちと遊ぼうZE!」

「…………ああ、コイツらがいたからか」

 

うるさいのが来ちまった。さて、どう対処したものか……。

 

 




これからしばらくは更新ができません。
もう一つの作品が一段落したら戻ってきます!

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3.The Murder

こちらを投稿するのはいつぶりだろうか。

戦闘回です。ちゃんとしたのも書かないとね…。


警報が鳴った。外の世界から人間が落ちてきた……いや、侵入してきた合図だ。

 

「はぁ…フリスクたちに被害が出る前に行かないと……ん?」

 

しかし、今回はどうも違うらしい。

 

「この数値……もう既に別の奴が接触してるな」

 

この表示された数値は人間のものでもなければこの世界のものでもない。AUから誰か来た時と重なっちまったのか。

 

「あーあー……とりあえず行くか」

 

戦闘になってたりしたら、殺しになる前に止めねぇと。この世界での殺しは御法度だからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あれ?ここでサンズに会うんだ…どんなストーリーなんだろ〜』

「…………………………」

 

遺跡に落ちてきた人間は温厚そうな顔をしていた。それこそLOVEを上げることなどしなさそうな、柔らかい雰囲気。

それとは対称的に、向かいにいるスケルトンは殺意に満ち溢れた笑いを向けている。

 

フードを被ったサンズ。クラシックと唯一違う点は、右の瞳は赤く、左の瞳は青と赤の二重になっていることか。

 

━━Murder!Sans━━

Dust Taleのサンズ。Gルートを繰り返す人間を止めるため、地下世界のモンスターたちを殺し周りLOVEを上げた。エンプティーと同じようなことをしているが、他の手段をする前に人間に記憶を消され、無限に同じ失敗を繰り返すループにはまってしまった。

 

そんな彼がなぜここに来れたのか。それは、エンプティーによってDust Taleの世界をコンピューターのコントロールから切り離してもらったからだ。

しかし、フラウィーのようにリセットしてもLOVEは残り、その力で自分の世界を守ると誓っている。

 

『え〜と、サンズ?』

「……へへっ。なあ、お前さんは殺しをやる予定か?」

『え?いや……Gルートはやるつもりは無いけど』

 

→いいえ

 

「……まあ、口だけならなんとでも言える。だから・・・」

『えっと…サンっ!?』

 

人間が地面にたたきつけられる。予告線が現れ、それよりも高く人間はジャンプした。予告線内に骨が生えたのを見て、人間は驚きの表情に変わる。

 

「ほら見ろ。これを初見で避けられるのはそうそういないぜ?どうせやったんだろ、Gルートを」

『う……たしかにやったけど…でも、いきなり攻撃するなんて!』

「おまえがGルートを始める前に、ここで始末してやる。エンプティーに小言をもらうかもしれないが、まあここにいない時点で決まったようなものだろ」

『だからGルートはやらないって…』

「さあ、やろうぜ」

 

骨が地面から生え、人間へと迫る。その上を一定間隔で、宙に浮かんだ骨が飛んでいった。

 

人間は骨の間を器用にすり抜け、飛んでくる骨を横や下に避けた。

 

→こうどう →しらべる

 

Murder!Sans AT?? DF??

Dust Taleから来訪したサンズだ。まともに戦っても勝ち目はないぜ。時間を稼げ。

 

『え、何このステータス!?というかこの文誰よ!』

「大人しく死んでおけ。エンプティーが来たら、おまえは今以上に最悪な目に合わされるかもしれないぜ」

『そのエンプティーってのも誰よ!?』

 

頭の中を?だらけにしながら、人間は必死に避けていく。

 

マーダーはガスターブラスターを召喚し待機させると、大量の火の玉を放った。

人間は火の玉を避けながらも、ガスターブラスターにヒヤヒヤしながらスパイダードーナツを取り出した。

 

『ほら、サンズ!スパイダードーナツをあげるから機嫌直して!』

「……なんだ?それをオレにくれるのか?」

『そうだよ!ほら、こっちにおいでよ!そして仲直りのあく…っ!』

「へっ。騙されるかよ」

『うがーっ!!』

 

騙してないもんとブツブツ呟きながらマーダーの放ったガスターブラスターを避ける。所々で受けたダメージは先程のスパイダードーナツを食べることで回復した。

 

「ワォ、まだ余裕がありそうだな?なら、もっとハードにしてもいいよな」

 

→いいえ

 

「拒否権はないぜ」

『やだーーっ!!』

 

マーダーがパチンッと指骨を鳴らすと、背後に大量のガスターブラスターが現れた。ブラスターは全てが人間を向き、口を開ける。

 

『ちょっ!本当に洒落にならないよ!?』

「へへっ。これで終わりだ、ガキんちょ」

『な、何か!何かないの!?』

 

→あなたは助けを呼んだ

 

「…………へっ、しかし誰も来なかった。残念だったな」

『なんでこうなるのー!?このゲーム嫌い!!』

 

ブラスターが放たれる。数十本もの光線が人間へと殺到し、その体を焼き付くそうとした。

 

 

 

 

「すまん、遅れちまったぜ」

 

そうは問屋が卸さないってんだ。三人称してんだと思ったか?残念!ずっとオレの視点だったのさ!

 

横から人間を抱き上げ、マーダーの後ろにテレポートする。

 

「よお、危なかったな」

『え?え?サンズが2人?何が起こって…』

「…………エンプティー」

 

急な出来事に頭が追いついていない人間を下ろし、マーダーと対峙する。マーダーはオレの行動が不満のようで、いかにも不機嫌ですよという顔をしてやがる。

 

「なぜ人間を庇うんだ?そいつはGルートに行ったことがある前科者だぞ」

「それでも、この世界でやろうとしないならいいさ。それに、お前さんも世界を守るのが半分、EXPとタマシイが欲しいのが半分だろ?」

「お見通しみたいだな。オレは、オマエがいいならそれでいい。だが、中途半端でちと暴れたりないな」

「そうかい。なら付き合うぜ?」

「そうか。ならやらせてもらうぜ!さあ、狂気の時間の始まりだ!!」

 

人間をおいて、オレとマーダーの戦闘が始まった。

 

 




だいぶ期間が空いてしまいすみません。
行事やらなんやらで疲れ果ててました。

『』内の言葉はプレイヤーの言葉です。エンプティーはパソコンなどの機器に接続し、カメラなどから外の状況を確認しているという設定です。

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4. ダスト系サンズ大集合!

お久しぶりです……ホントに。

この作品もちょくちょく更新していこうと思うので、気が向いたら確認してみてください。

今回、大量のダストサンズが出ます。



「あーあー、負けちまった」

「……なんだマーダー。ダメージ受けてるじゃねぇか」

「負けたって本当か?マーダーに勝てる奴なんて……結構いるな」

「おい」

 

ウォーターフェルのどこか。そこにはたくさんのサンズがくつろいでいた。

 

もちろん、彼らは皆がAUのサンズたち。その中でも、おそらく1番多いジャンルのDust系AUのサンズたちである。

 

そして、今マーダーと話しているのはDust Fell!SansとDust Outer!Sansだ。

 

━━Dust Fell!Sans━━

人間が滅んだUnder Fellの世界にいたフェルサンズが、唯一生き残った人間による虐殺を止めるために他のモンスターを殺し尽くした姿。黒いジャケットと金歯、赤と黄色の2重になった左目が特徴。

 

━━Outer Dust!Sans━━

地下ではなく宇宙を舞台にしたOuter Taleのアウターサンズが、宇宙にロケットをしょってやってきたフリスクによる虐殺を止めるために他のモンスターを殺し尽くした姿。星の模様がある青いジャケットと空色と赤の2重になった左目が特徴。

 

「人間が落ちてきたから、軽くGルート行ったか確認して殺そうとしたんだよ」

「うっわ、お前さんそんなにバカだったのか。よくエンプティーに殺されなかったな」

「まだプログラムから外されていないAU世界に行けばいいだろうが。というか、俺たちダスト系やキラー系の奴らはそうやって別世界で狩ってるだろ?」

「うるせぇよダストフェルにアウターダスト……ちょうどよくGルート行ってて殺せそうな奴が来たら、お前さんたちだって殺るだろ?」

「「まあ確かに」」

 

かなり物騒な話ではあるが、彼らは皆がダストサンズ。どうやってLOVEを上げるかしか頭にないのだ。

 

と、そうやって3人が話しているところにまた別のサンズがやって来た。

 

「よお、マーダーがエンプティーに喧嘩売って負けたんだって?」

「おいダストダスト!俺は喧嘩を売ったわけじゃねぇ!」

 

新たに来たのはDust Dust!Sans。ニヤニヤと笑いながらマーダーを煽り、マーダーはイラつきつつも諦めたように寝転がった。

 

━━Dust Dust!Sans━━

モンスターだけに飽き足らず、バリアを破壊し地上の人間をも狩り尽くした世界線のマーダーサンズ。骨の部分は全て黒く染まり、瞳と大きく歪んだ口が特徴。

 

「わかってるさ。お前さんは俺だからな……大方暴れたりなかったから相手してもらったんだろ?」

「……わかってるならいちいち煽るなよ」

「やめられねぇな!昔の俺を弄るのは楽しいからな」

「チッ、我ながらいい性格してるぜ……」

 

マーダーは寝転がりながらため息をつくと、ダストフェルは骨クソをほじりながらダストダストに話しかけた。

 

「なあダストダスト。今日はいつものメンバーはいねぇのか?」

「いつもの?……ああ、キラーダストとホラーダストならあそこだ」

 

ダストダストが指さした先には、2人のフードを被ったスケルトンと巨大なスケルトンがいた。ダストフェルとアウターダストは、頭と腕のみの巨大なスケルトンを目に入れると驚きの表情を浮かべた。

 

「おいおい、ウルトラダストまでいるじゃねぇか。あいつ、あまりコッチには来てなかったってのによ」

「珍しいこともあるもんだな……つまりマーダーが3人もいんのか」

「まだハイパーダストとかがいないぶんマシだろ」

 

━━Killer Dust!Sans━━

Killer Taleの殺戮を楽しむキラーサンズが、人間を止めるためにモンスターを殺し尽くした姿。黄緑色のジャケットと、目から溢れる黒い液体、2重になった左目と輪のタマシイが特徴。

 

━━Horror Dust!Sans━━

Nルート後に皆が狂ってしまったHorror Taleのホラーサンズが、アリザを止めるためにモンスターを殺し尽くした姿。巨大な斧と、血と塵が付いた深い青色のジャケットと割れた頭、2重になった左目が特徴。

 

━━Ultra Dust!Sans━━

6つの人間のタマシイを取り込んだ世界線のマーダーサンズ。巨大な頭と腕だけの姿で、2重になった左目とウルトラサンズよりも厳つい顔が特徴。人間を必ず殺し、1度も倒されずに殺戮を諦めさせた実績を持つ。

 

「さて、俺はアイツらとグリルビーズにでも行くかな。また後で会おうぜ」

 

ダストダストはキラーダストとホラーダストのところへ行き、3人でウォーターフェルを去っていった。

 

「……はあ、まさかこんなにも平和な時を送れるとはな」

「ああ、俺たちがこうやって寝転がってるのも未だに信じられないぜ」

「……平和ってのは、やっぱりいいもんだな」

 

マーダー、ダストフェル、アウターダストは寝転がりながら星空を見上げる。あれ、ここって地下だよな?とか思いながら、しばし戦いのことも考えずにダラダラと過ごした。

 




ダストフェルやダストダストなどの口調は完全に想像です。

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5. 博士は連れ出したい

たま〜に更新。カメよりも遅いが、それでも完結までは絶対に行かせる。


「サンズ、外に出よう」

「いきなり来て何を言うんだアンタは」

 

 

それはマーダーとの戦いから数日たったある日のこと。

 

椅子に座りながらモニターのデータ群を見ていると、扉をすり抜けてコシヒカリが勝手に入ってきた。

 

━━W.D.Gaster━━

元王立科学研究所のリーダーであり、コアに落ちて死んだとされているモンスターだ。

だが、その事故のおかげで次のステージへと進めたらしく、今やある程度の現象ならコードを使って操作できるようになった。

今は俺から与えられたタマシイによって完全に肉体を取り戻している……はずなんだが。タマシイが無かった時のドロドロとした身体へ自由に変身できるらしく、こういった不法侵入をしてくる犯罪者へと成り果ててしまった。

 

「おや、犯罪者とは失礼な。それに、私はコシヒカリではない」

「平気で地の文を読み取って抗議するな」

 

博士はオレのツッコミに軽く笑ったあと、オレの手をむんずと掴むと扉へと向かう。

 

「散歩に付き合ってくれないか」

「オレを巻き込むな。一人でいけ!おい、引っ張るな!」

 

扉から外へと出たオレは、すぐさまコードを使い不可視状態になる。これで他の奴らにはオレの姿は見えないはずだ。

 

「まったく……少しは顔を見せてやったらいいだろう」

「見せるわけないだろ。それに、オレの代わりなら……そら、そこにいるぜ」

 

オレが指さしたのは、元オレの家の入口。扉が開き、勢いよくパピルスが飛び出してきた。

 

「お?博士、来ていたのか!上がっていくか?おれ様のスパゲッティをご馳走するぞ!」

「いや、結構。それよりも、何か用事があったんじゃなかったのかい?」

「あ、忘れてた!アンダインの特訓があるんだ!それじゃあ、またに〜」

 

パピルスは駆け足でウォーターフェルへと向かって行った。空きっぱなしの扉をみかねたガスターが閉めようとすると、のっそりと何かが出てくる。

 

「お?ガスターじゃないか、パピルスならいないぜ」

「おや、キミか。パピルスならちょうど会ったよ。いつもながら慌ただしいことだ」

「そうだな……で、だ」

 

ソイツはオレを見た。不可視状態ではあるが、やはり元を見失うことはないか。

 

「久しぶりだな、エンプティー?」

「ああ、久しぶりだクローン」

 

━━Clone!Sans━━

オレが作り出したクローン。黒や灰色の格好を好み、右目は失明し、その代わり左目は常に光り輝いている。オレの代わりに元のサンズの立ち位置に置き、他の奴らの記憶もコイツがオイラだと書き換えてある。なぜかフリスクやキャラはオレのことを覚えているみたいだがな。

 

「今日はどうした?」

「別に、ガスターに引っ張り出さ……どこ行ったアイツ」

 

いつの間にかガスターの姿は無く、ただ1枚の手紙が残されていた。

 

「なんて書いてあるんだ」

「ちょっと待て……ええと」

『私はXガスターとの会合がある。キミは久しぶりの外を満喫するといい』

「……とりあえず上がるか?」

「そうだな、少ししたら帰る」

 

元オレの家に入る……ん、この香りは…。久しぶりに、ケチャップとスパゲッティの匂いを嗅いだ。

 

 

 

 

ガスターは、自室にてXガスターと会話していた。

 

━━X Gaster━━

X-eventという計画を進め、あらゆるAUからコードを盗み現実の、真の平和な世界を作ろうとしたガスター。それにより数多のAU世界が犠牲になった。

 

「つまり、プレイヤーを殺すということかね?アレは真の平和を一つの世界に実現することを目指しているだけだが」

「……ふむ、どうやら勘違いさせてしまったようだ」

「……どういう意味かな」

「私が言っているプレイヤー……それはフリスクたちを分身として物語を進めるものたち……では、ない」

「……では、君の言うプレイヤーとは何かね?勿体ぶらずに言いたまえ」

「……わからないか。まあキッカケも掴めないのであれば無理もない…か……」

「………………」

「私が……いや、この世界の者たちが認識しているプレイヤーとは……外の世界のものたち」

「……なんの違いがある?」

「君たちの知るプレイヤー……UnderPlayerがその例だ。そうあれと設定を加えられたキャラクターだ。今もなお、我々をこうして見ている……いや、彼によって見させてもらっている者たちこそが、私の言う真のプレイヤー」

「………………」

「君はただ一つの、現実の世界を作ろうとした。だが、それすらも彼らにとって設定された行動。全ては娯楽のために」

「……私の行ったことが……設定されていただと?」

「今はまだ、完全に断たれてはいない。我々も、君たちも、全ては彼らの思うままだ。奇しくもインクと同じような、感情と刺激を求める者たちだ。しかし、それももうすぐ終わる」

「……終わる…か……」

「そう、終わる。この世界を作り出したという設定を持つ彼自身が、満足させるのだ。本当の創造者を満たさせ、いざ物語の集結を。その時に、全てが分かたれる……さあ、そろそろこの話も終わりにしようか。ネタバレじみたことなんかしてしまったら、彼も上手く動けない」

 

2人のガスターは闇に溶け込み消えた。その時に、一瞬だけ……ガスターはあなたたちを見据えた。




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6. 久しぶりの我が家

日常編をやりつつ、過去編を書く。
そんな方針で行きたいと思います。
ルートを交えた本格的な進みはその後に。


ソファーに二人で座り、ぐでーっとくつろぐ。

 

ああ、懐かしい。このソファーで、こうやってだらけながらパピルスと言葉を交わしていたものだ。

 

だがこれだけでは味気ない。コードを打ち、手の中に二つケチャップを出現させると、片方をクローンへと放り投げた。

 

「お、サンキュー。気が利くじゃないか」

「客に出させるお前は気が利かないな」

「お前さんはケチャップが嫌いだと思ってたからな。もう大丈夫になったのか?」

「……ああ。どっかのガキんちょのせいだ」

「へへへ、なるほど。お前さんもアイツには敵わないってことだな」

 

クローンの返しに舌打ちをしつつ、キャップを開けてケチャップを呷る。久しぶりだが、この美味さも変わらないな……。

 

「で、いつごろ戻るんだ」

「ん?……すぐに部屋に戻る予定だが」

「へっ、わかってるくせに、ワザとそっちを言ったな?」

「……こっちに移るつもりはない」

「そう固いこと言うなよ。みんな、お前さんを待ってるぜ?」

「記憶は書き換えた。そしてオレの代わりにお前がいる。ならオレがこの世界にいる必要もないだろ」

「……本当にそう思ってるのか?」

 

ケチャップを飲み干したクローンが空のボトルを放り投げてくる。それをキャッチすると、オレのボトルも空にして削除した。

 

「そうだ。オレのようなモンスターは必要ない……それに、あの部屋で監視しないといけないからな。この世界の平和を守らねえと」

「……お前さん、もうとっくに気づいてるだろ」

「…………」

「予兆はあった。リセットが起こって、みんなの記憶が消されても……元は同じ世界。残るものはあった。アンダインがリセット後にフリスクにかけた言葉……覚えてるか?」

 

『貴様ともう一度友達になりたい…そんな気持ちだ』

 

「…………」

「お前さんは記憶を書き換えたって言ってるが、薄々はわかってるんだろ。フリスクたちがお前さんを覚えているように、他のやつも違和感を持ち始めてる。いや、もしかしたら……」

「だまれ」

 

距離を詰め、胸ぐらを掴みあげる。オレの目から黒い液体が流れ、ERRORの文字が湧き始めた。

 

「オレは戻らない。この世界、この平和の輪に加わることなんかない。いい加減に諦めろ。どこまでオレを困らせればお前たちは気が済むんだ」

「……エンプティー」

「お前はオレの代わりにいるだけでいい。お前の仕事は、アイツらと共に平和な時間を謳歌することだ。余計なことはするんじゃない……それとも、一度壊されなければわからないか?」

「だが、どうしようもないぜ。いずれ、みんな気づく」

「なら再び消すだけだ。アイツらの未来に、オレはいらない」

「……それはダメだ」

「なんだと…?」

「お前さんがそれをすることだけはダメだ。自分の目的のために、またリセットするなんて考えは……プレイヤーと変わらない」

「っ!!」

 

ナイフを取りだし振り上げる。そのまま、冷や汗をかきながらもニヤけた顔をするクローンへと振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

斬られた。()()()

 

後ろを振り返ると、そこには見知ったナイフ。何度も何度も殺した顔。

 

「何を、私抜きで楽しそうなことをしているのかな……ねえ?相棒」

 

一時期オレを苦しめた、キャラ・ドリーマーがそこにいた。

 




アンケートの上から順に、票が入ったキャラを出していこうと思います。

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7. Megalo Strike Back

こちらは投稿間隔が少しだけ短め。
リアルが一段落ついたので…。


「……不可視状態にしていたはずだが?」

 

ナイフをキャラへと向けながら問う。キャラは大袈裟に肩を竦めてみせた。

 

「さあね、私は最初からキミのことが見えていたが」

「へへへ、お前さんどうやら気づいてなかったみたいだな。ガスターに剥がされてたぜ、そのコードとやら」

「あのコシヒカリが…!」

 

次会ったらぶっ飛ばしてやる。

 

「そんなことよりぃ……私も混ぜてくれ!」

「チィッ!お前に構ってる余裕なんざない!」

 

クローンをぶん投げ、斬りかかってきたキャラのナイフへこちらも刃を合わせる。無理やり鍔迫り合いの状態にし、ショートカットでウォーターフェルへと移動した。

 

「んおっ!?エンプティーとキャラ!?」

「邪魔だあっ!」

「グボアッ!」

 

ダスト系サンズたちのたまり場となっていたウォーターフェル。突然現れた俺たちに驚いた一人のサンズは、振るわれたキャラのナイフに吹き飛ばされた。

 

「エンプティーとキャラの喧嘩だ!さあさ、お前らはどっちにかける!?」

「エンプティーにホットドッグ三個!」

「キャラにケチャップ五本!」

「勝手にかけるなぁ!」

 

ブラスターでサンズたちをなぎ払いながら、キャラへ骨を飛ばす。キャラはナイフで全ての骨を弾き飛ばすと、こちらへと凄まじい勢いで迫ってきた。

 

オレは骨を地面からはやし壁を作ると、キャラへと突進させる。避けるか迎撃するか、その隙を突くためにガスブラを待機させる。

 

手の中でクルクルとナイフを回転させていたキャラは、ナイフを赤く染め、即死攻撃(Erase Attack)を放った。

 

巨大な赤い斬撃が骨の壁を破壊し、オレへと迫る。咄嗟にブラスターをチャージし放つも、斬撃は光線をも両断しながら進む。スピードを少しも落とさずに迫るそれを、オレはすんでのところで避けた。

 

しかしキャラは、すでにオレの懐に入り込んでいた。キャラがナイフの一閃を繰り出してくる。

オレの身体に斜めの大きな切り傷を付けられるが、キャラのソウルを青く染め壁に叩きつけた。

 

オレは続けざまにブラスターを放とうとするが、キャラは壁を思いきり蹴ることでオレへと肉薄した。キャラの一閃を背後へと瞬時に回ることで回避し、チャージしていたブラスターを放つ。

 

光線がキャラを飲み込もうとして…… 即死攻撃(Erase Attack)が骨の壁を破壊しオレへと迫ってきた。

 

「っ!?」

 

ナイフを赤く染め、こちらも即死攻撃(Erase Attack)を繰り出す。赤い斬撃は互いを消滅させるが、キャラは()()()()()()懐に潜り込み、オレを切り裂いた。

 

ショートカットで距離をとり、様子を見る。キャラの左手の中に、黄色い光が瞬くのが見えた。

 

「ケツイの光……ロードしたのか」

「そう。さっきの傷も消えちゃったからもう一度付けさせてもらった。うん、キミはやはり血が似合う」

「こっちはもう懲り懲りなんだよ。血を被るのも、血を流すのも」

「でもキミは血を流すしかない。それが相手のであれ自分のであれ……それがキミの選んだ道だ。まあ、私にとっては好ましくない。キミは私と、こうして遊んでくれなくなったからね!」

「……確かにやらなくなったな。寂しかったか。退屈だったか。ならそんなこと感じられないようにしてやるよ」

「ほう、つまり私と定期的に遊んでくれるのか?」

「へへへ、まさか……ここで殺してやるって意味だ」

 

オレのソウルが黒く染まる。目から、口から黒い液体が溢れ出し、オレを包む。

 

球体となった液体が弾けると、俺の姿は変わっていた。オレンジのジャージに、HATEに染まった黒い身体。口は赤く染まり、眼孔には光の点滅と二重の瞳が変わらず残っている。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「さあ、やろうぜ。お前がもたらした結果、プレイヤーがもたらした罪……とくと味わえ」

 

黒く染まったブラスターが顔を出す。

ここに、本当の戦いが始まった。

 




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8. 第2フェーズ

うむ、ちょくちょくと書けてはいる。この調子で他のも更新していきたいなぁ。


「へえ、それがキミの本当の姿?見たことないけど」

「……そうだな、これはオレの罪を全て解放した状態。怪物のオレにはピッタリだろう?」

 

Empty!Sans (Phase2)

LV.Max ?? AT ?? DT

 

黒い骨を展開し、キャラへと放つ。キャラはナイフで弾こうとするが、突如真下から生えてきた黒骨を既で回避したことにより幾つか骨が刺さってしまう。

 

キャラのタマシイを青に染め、こちらへ引き寄せる。キャラはオレへとナイフを振るうが、それが届く前に引き離し壁へと叩きつけた。

 

「ぐっ!…またこれ…がっ!?」

 

壁から黒骨が生えキャラを串刺しにする。それと同時に壁からキャラが消え、無傷のキャラがオレの背後から迫ってきた。

 

地面から大量の骨を生やしていくと、キャラは骨を踏み台に高く跳躍。ブラスターで囲むも、キャラは空中で横に回転し斬撃を放ちまくる。次々とブラスターが撃ち落とされ、オレの方にも複数の斬撃が飛んできた。

 

オレの前に骨の壁を作ることで防ぎ、キャラへとナイフを向ける。キャラの周囲に無数の警告マークが現れ、オレが一度ナイフを振るうと赤く細い光線(Knife Blaster)が警告マークのあった空間を切り裂いた。

 

空中にいたキャラは何度も切り裂かれ、宙を舞っているところを下から巨大な骨で突き上げる。

高く打ち上げられたキャラは、上空に展開されたブラスターによって再び死を迎えた。

 

オレは見ずに後ろへと紫色の骨を放つ。弾かれる音がしたと同時に爆発音。骨がキャラに弾かれた瞬間に爆発を引き起こしたのだ。

 

舞い上がった土煙へと二つのブラスターと二つの大きな手を向ける。オレの手の甲にある穴が赤く染まると、ブラスターと手に赤い光がチャージされた。

 

煙が晴れてくる。四つの光線を放とうと左手を振るおうとするが……煙が晴れても、そこにキャラの姿は無かった。

 

驚きによる一瞬の隙。キャラはオレの背中へと即死攻撃(Erase Attack)を叩き込んだ。

 

「……忘れたか、キャラ」

 

NO EFFECT

 

「本気になったオレにそれは効かない」

 

キャラの肩を二つの小さな手が掴み攫う。地面に骨の壁を生やすと、手はキャラを押し付けるように叩きつけた。

 

キャラが手を払いのけようとするが、それより早く青骨がキャラを貫き動きを封じた。

 

「バカが。オレにちょっかいかければどうなるか、わかってただろう。正直、お前たちを消すかどうかはさほど違いは無かった……だが、お前はオレと戦おうとする。タマシイまで与えてやったというのに……残念だ」

「……確かに、私は平和な時を手に入れた。家族と、また過ごせるようになった……でも、そこにキミはいない。私にとっては、使命(天使)憎悪(HATE)も抜きで、『私』でいられたのは戦いだけだった。平和なルートじゃ、どうしても憎悪の方が邪魔をしてくるからね……キミとの戦いは、まさに砂漠の中で見つけたオアシスだった」

「へっ、お前がどう感じようと、どんな境遇だろうと知ったことかよ。オレにとっては、お前とアイツは憎しみの対象だ」

「そうかぁ……それにしては、フリスクに随分と甘いみたいだけど?」

「…………どいつもこいつもフリスクフリスク。あんなガキんちょがなんだってんだ。オレと会う度に…うっとおしい」

「キミを連れ戻してくれそうな、最有力候補だからね。羨ましいものだよまったく…」

「……オレは戻らない」

「……キミも頑固だ。だから無理矢理にでも連れ戻そうと思ったのに……また強くなったね」

「殺人鬼を殺せば殺すほどケツイもタマシイもLOVEも溜まる。当然だ……さて、お喋りはもういいな?またこんなことされちゃたまったもんじゃない。一度リセットを……」

 

『お前さんがそれをすることだけはダメだ。自分の目的のために、またリセットするなんて考えは……プレイヤーと変わらない』

 

「……いや、もういい。もう疲れた」

「え…?わっ!」

 

青骨を消し、肩を掴んだままの手でキャラを持ち上げる。空間をグリッチで穴を開け、その中へと放り投げた。行き先はルインズ、怪我はおばさんにでも任せるとしよう。

 

「…………くそっ、なんでオレがこんなに悩まなきゃならないんだ」

 

ショートカットで部屋の前に向かう。改めて示すように、オレの迷いを振り払うように……いつもよりも強く、部屋の扉を閉めた。

 




できれば感想とかくださると嬉しいです。モチベーションが上がります……が、最近はUAだけでも満足なので、時間がある時にまた見に来てくださるだけで嬉しいです。

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9. 平和の申し子

今回からアンケート結果からリクエストを消費していきます。



エンプティーは、データが流れる画面を見ながらも、どこか集中できないでいた。

 

それはクローンやキャラによって自身の心が揺れているから……ではなく。何か今の状態の自分にとって、好ましくないことが起きそうな一種の予感があったからだ。

 

こういう時はショートカットを使って別の場所に行っても無駄だ。何かしらの運命力が働いているのか、そんな余計なことをするとさらに酷い結果になる可能性が高い。

 

悶々としながらコードを読み解いていると、扉がノックされた。この部屋に来ようとする、または来れる手段を持つのは三人……と他のAUから来た者だけ。

 

一人目はコシ……ガスター。繋がりをたどってわざわざ空間を飛び越えて侵入してくる。偽のファイル群を掻き分けて無理やり来れるのはさすがとしか言いようがない。

 

二人目はキャラ。あいつ、いつの間にかこの部屋へ繋がる鍵で合鍵を作っていやがった。来たら来たでナイフを振りかざすか、チョコを貪るか、エラーや他のAUのキャラとチョコを取り合いナイフを振るか。アイツが来るとろくな事にならないな。

 

三人目は……フリスク。あのガキんちょが来る時は何事もなく終わるんだが……オレが苦手意識を持ってるから正直一番来て欲しくない。

 

さて、この三人の中でノックをするのはフリスクだけだ。だがオレはまだ希望を捨ててはいない。どうせAUから誰か来たんだろ。挨拶でもと戸を叩いたんだろそうなんだろ。

 

「サンズ〜。開けてよ、バタースコッチシナモンパイが冷めちゃうよ」

 

望みが絶たれた。

 

 

 

 

 

 

「なんですぐ開けてくれなかったの?」

「忙しいんだよ。コード見て状況を全部頭に入れるのはかなりの重労働なんだぞ。だってのに、どいつもこいつも結構な頻度で来やがって」

「ごめんね?」

「……混じり気なしの純粋な謝罪。皮肉の一つも返さねぇなんて、もうどうすりゃいいんだ」

「えっと、ダメだった?」

「ああもういい。オレには、お前のそれは眩しすぎる」

 

コードを打ち込んでケチャップを取り出す。オレが一気に呷るのを見て、フリスクは目を丸くした。

 

「あれ?サンズ、ケチャップ大丈夫になったの?」

「ん?……ああ、どっかの誰かさんのおかげでな」

「えへへ、そっか。良かったねサンズ」

「………おう」

 

ダメだ、こいつの屈託のない笑顔を直視できない。目を逸らしたオレを、フリスクは不思議そうにしながら覗き込んでくる。オレは何もかも流し込もうとケチャップを呷っていると、目の前でフリスクが突飛な行動を起こした。

 

「よいしょっと」

「……?…!?」

 

突然、オレが出したケチャップのうちの一本を掴むと、バタースコッチシナモンパイの上に中身をぶちまけ始めたのだ。

 

「おいおいおいおい待て待て待て待て!何をやってるんだお前!それ、お前はちゃんと食えるのか!?」

「これ?このパイはサンズのために持ってきたから、ケチャップをかけた方がいいかなって思って!」

「……ちなみにそれはいつ思いついた」

「…?今だよ?」

 

出た、こいつの悪い癖だ。良いと思ったことは即決行。その後の結果を大して考えずに、それはそれはとんでもないことをする。しかもやった理由が善意100%なのが余計にタチが悪い。

 

「サンズ、はいこれ!サンズの好きなケチャップをかけたバタースコッチシナモンパイ!」

「………………」

 

キラキラとした笑顔でケチャップまみれになってしまった哀れなパイを差し出してくる。正直、食いたくない。ケチャップは美味い。あのおばさんが焼いたであろうパイも美味いだろう。

 

だがな、何でもかんでも合わせれば良いってもんじゃあないんだよ!

 

エンプティー = ダスト×キラー×ラストブレス×エラー etc

 

「……なんか特大ブーメランを食らった気分だ」

「サンズ、大丈夫?気分悪い?お布団持ってくるね」

「待て待て。返事も聞かずに行こうとしないでくれ。オレは大丈夫だから心配するな」

「そう?なら良かった」

 

フリスクは心底安心したかのように胸を撫で下ろす。複雑な心境のまま残りのケチャップを飲み干し、まだケチャップの味が口内に残っているうちに、オレはパイを一切れ頬張った。

 

「…どう?サンズ、美味しい?」

「…………」

 

ったく、何をいまさら顔に不安を浮かべてるんだ。ケチャップをかけてた時の威勢はどこに行ったんだ。

 

「……美味いよ。ありがとな、フリスク」

「っ!うんっ!」

 

頭を撫でてやると、フリスクはいつもの屈託のない笑顔を浮かべた。やれやれ、少しは成長したかと思っていたが、どうやら気のせいだったらしい。まだまだガキんちょだ。

 

だから、少し景色が霞んで見えるのも気のせいだろう。

 

合う合わないはともかく、ケチャップはいつも通り、至高の味だった。

 

おばさんのパイも、変わらず美味かった。

 

 




よければアンケート投票お願いします。
アンテのオープニングのように一回でサラッとやるか、もうガッツリ過去編としてやるかどうかです。

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10. G

今回はガスター回。あの博士入れるとだいたいメタくてカオスな空間になっちゃう。ネタ画像やmemeを見すぎたかな。

博士によるメッタメタのメタ回です。


「題名の『G』って酷くないかな。確かに親しみを込めてそう言ってくれるサンズは多いが、やっぱりゴ〇ブリとしか……」

「おい、開幕早々何をぶち込んでくれてんだ」

 

急に部屋に来たかと思ったら、メタ発言&あっちのGの名前を言い出すとか頭ぶっ飛んでんじゃないかこのコシヒカリ。

 

「何度言えばわかるのかね。私はコシヒカリではない」

「さらっと心読むんじゃない。ほんとそういうところ変わらないなお前」

 

ため息をつきながらグチグチ言ってやると、ガスターは心底残念そうに、やれやれとでも言いたげに頭を振った。

 

「やれやれ」

「おいまた地の文読んだな」

「 ☟✌❄  ⚐ ✡⚐   ☜✌☠」

「おいWingdingsを使うんじゃない。オレにはわかるんだぞガスター語。な〜にが『なんのことかな?』だ」

「やれやれ、君もこんなに突っかかるようになってしま…あ、ちょうちょ」

「いないぞそんなもの。というかガスター語はやめてくれ。反映されずに空白が出来る部分もあるんだぞ」

 

 

 

 

 

 

 

「おい空白入れて流そうとするな」

「あ、バレた」

 

頭に手を置きながら笑うガスター。面倒くさそうにため息をついてやると、ガスターは顎に手を当てて考えこみ、何かを思いついたかのように指をピンと立てた。

 

「突然部屋にやってきて騒ぎ立てている者を相手にすることが心底面倒なんだね?」

「ああ、一言一句全部合ってるよ」

「そしてその相手は……ハハーン、キャラか」

「ちげぇよ。いや、違くないがそうじゃない。なんでそこだけ間違えるんだ、なぜ自分だと考えないんだお前」

「……フゥ…」

「おい、なんだそのやれやれとでも言いたげな仕草は」

 

こんな見当違いなことを言われてしまうとは……と幻聴が聞こえるほど、肩を竦め頭を振っている。

 

「あ、そうだ。実はね、新しい作品ができあがってね」

「作品?また何か作ったのか?」

「そう、これだよ」

 

一瞬だけ体をドロドロにすると、その中から少し長めの鉄棒を取り出した。

 

「……なんだそれ」

「これは釣り竿を改良したものだ。ゲップをすると、釣竿が不自然に動くもの……つまり泳ぐ魚をセンサーで捕捉し、先端から針のついた釣り糸を射出するという物だ。これで魚がかかるまで釣り糸垂らしている事は必要なくなった」

「……ん?ちょっと待て。何かおかしくなかったか?」

「む?いいや、どこもおかしくはないよ」

「もう一回やってみろ。その釣り竿の説明を」

「ふむ…… これは釣り竿を改良したもので、ゲップをすると……」

「やっぱりおかしい!」

 

そら見ろ!聞き間違いなんかじゃなかったじゃないか!

 

「なんでそんな方法にした!汚ない!」

「だって、安全じゃないかこの方法なら」

「そりゃあ小難しい操作がないのはいいかもだが……ん?待て、おい待て。今安全とか言わなかったか?それはつまり……」

「う、うむ…実はね?泳ぐ魚をセンサーで捕捉し、先端から針のついた釣り糸を射出するという物だと説明したが……このセンサーは判別がきかなくてね。その……モンスターやニンゲンも例外ではないのだよ」

「……おい、つまりそれは…」

「魚以外に、自分から動こうとする物にはもれなく針をプレゼント!」

「欠陥品どころか、とんでもない危険物じゃねぇか!?そんなプレゼントなんていらないし合わせて返品ものだわ!」

 

何が新しい作品だ。失敗作もいいところだこんなガラクタ!

 

「む、ガラクタとは失礼な。これでもポテト一皿分の費用はかかったんだぞ」

「金額が貧弱過ぎる!ならポテト食っとけよ!完全な無駄じゃないか!」

「いやあ、今はお腹すいてなくてねぇ…」

「…!……!!」

 

本当にこの米粒は!なぜオレがこんなにも振り回されなければならないんだ!?そもそもオレのところに来るな!こっちは忙しいっていうのに!

 

「怒りの吐露、スッキリしたかな?」

「お前のせいで怒りがぶり返しそうだよ」

「おやおや、それは良かったね」

「良くない……」

「ははは、まずはそのギラついた目をやめようか。鋭すぎて人を殺せそうだ」

「いい加減にしろ!!」

「ああああぁぁぁ……」

 

ブラスターを呼び出し、ガスターを扉ごと吹き飛ばした。星となったガスターを見送り、コードを使って扉を修復する。やっと悩みの種が一つ消えた……一時的なものだろうが。

 

「まったく、勘弁してくれよ。オレの所なんかに来て、何が楽しいのやら」

 

椅子に座り直し、画面を見る。この仕事はなかなか疲れるものだが、あのコシヒカリを相手にするよりはマシだ。

 

訪れた静寂に心底ホッとしながら、いつもの作業に取り掛かるのであった。

 

 

 

 

「あ?ガスターの情報が無い?」

「私はコシヒカリではないと何度言ったらわかるのかね?」

「戻ってくるのが早すぎんだろ!?」

 




アンケート締切は今週金曜日(12/10)までとします。
まだ投票していない、という方は投票お願いします。

ちなみに一番はホントにサラッと。一話に収まるぐらい。
二番は何回かに分けて。日常の流れでやるよりも、過去1.2みたいに唐突に生やす形にしようかと。
三番は、そのまま過去編として全部書きます。

リクエストはこちら
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11. 鮮やかでブレて

遅くなり申し訳ない。
今回はインクサンズとエラーサンズ回です。
この2人の絡みとても好き。

ミンミンさんから支援絵を頂きました!
Empty!Sans Phase1
【挿絵表示】

Empty!Sans Phase2
【挿絵表示】



「ん…ぐぐ……」

「おイ、お前そンナに不器用ダッタか?」

 

いつもの一室。エンプティーは、目から流れている黒い液体でドロドロになった糸であやとりをしていた。

 

しかし今まであやとりなんてやったことの無いエンプティー。上手くできず、たまたま訪れてきたエラーにあやとりを教わっているところだ。

 

「こんナもノはな、コウシてこウシてこウダ」

「…………」

 

エラーが器用に自身の指を動かし絵を作っていく。その滑らかな指の動きが出来ないからこそ、エンプティーは苦戦しているというのに。

 

「……お前さん、教えるの下手だな」

「なンだと!?お前ガ見テ覚えラレないノが悪いだろ!」

「なら、アドバイスをくれよ」

「アドバイス…………」

 

エラーの動きが止まった。エンプティーはため息をつくと、呆れ気味に言い放った。

 

「お前さん、手先は器用だが口先は不器用だな」

「チッ!お前ハ口だけは器用ダナ」

「はっ!そっちのが何倍もいいだろう?お前さんのような口下手よりかは断然な」

「………………」

 

エラーの手に力が入る。エンプティーはニヤニヤと笑いながらあやとりを再開した。

 

「……お前さんよりスワップに教えてもらった方が良かったかなぁ」

「お前ガあいツに会エバ、外を引きズり回されルぞ」

「だよなぁ、オレを意地でも引っ張り出して皆に会わせようとするに決まってる」

 

パピルスと同じ匂いのするSwap!Sans。エラーは彼にあやとりを教えてもらい、またグイグイと来る彼に苦手意識を持っていた。

 

エンプティーも何度か会ったことがあるが、平和の輪に加わろうとすることを良しとしない彼をスワップは無理やりにでも押し込もうとしてくる。パピルスのような雰囲気を纏うスワップは、エンプティーにとって天敵であった。

 

「マったく、もウスコし余裕を持てヨ。こコにゃ色んナものが揃っテるだロ。デカいモニター、食い物、娯楽ニ使えルCode、そしてインク……!?」

 

いつの間にやらニコニコ顔のインクがエラーのとなりに座っていた。微妙な顔で少々固まったエラーは、顔をしかめてインクから離れた。

 

「やあエラー!エンプティーとあやとりをしていたの?ボクも混ぜてよ!」

「失セろ。今すグ二だ」

「そんなこと言わずにさ!エンプティーもいいよね?」

「あ?あー、オレは別に……」

「オイ」

 

エラーが抗議の視線を投げかけてくるが、エンプティーは無視してCodeを入力し糸をインクに渡した。

 

「やった!ねえねえエラー、ボクにも教えてよ」

「やめとけやめとけ、エラーは教えるのが下手だからな」

「お前、ソんなニオレを怒らセタいか…!」

 

エラーの周囲にグリッチが湧き出し、ERRORの文字も増え始める。流石に怒らせすぎたかと、Codeでチョコを取り出したその時、インクがエラーに飛びついた。

 

「ダメだよエラー!エンプティーも!互いに仲良くしなきゃ!」

「……?っ!!?」

 

インクがエラーに抱きついている。この状況を理解するまでに少々時を要したエラーは、目をERRORの文字で埋めつくしフリーズしてしまった。

 

「おいおい、エラーは触られるのが苦手だって知ってるだろ?ほれ、離れろ」

「えー、いいじゃないかエンプティー。あっ、今のうちに猫耳でも付ける?」

「…………っ、あぶねえ、危うく流されるところだった。ワガママ言ってないで離れろ」

「はーい」

 

インクがエラーから離れようとした時、インクの背負っていた筆が外れ落ちそうになる。それに気づいたエンプティーは、咄嗟に支えようとして……。

 

「あ」

「え?ごふっ!?」

 

勢い余ってインクを押してしまった。バランスを崩したインクはエラーへと倒れかかり、エラーの肩がインクの腹に深々と刺さった。

 

「お、ウプッ」

「わ、悪いインク!我慢だ、がま━━━」

「ゲボォッ!」

 

インクの口から吹き出した黒い塗料。それはエラーに降りかかり元から黒かった身体をさらに真っ黒に染めてしまった。

 

「………………」

「………………」

「……逃げるか」

「……そうだね」

 

未だにフリーズしているエラーを残し、エンプティーとインクは早足で部屋を後にしたのだった。

 

 




エンプティーの過去はサラッとということで。
pixivに過去編が少しずつ投稿されています。ハーメルンにはサラッと、詳しく見たい方はpixivへどうぞ。

リクエストはこちら
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=275582&uid=345959


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12. 移住者

今回はベティー・ノワール回。
未だに全部を把握しきれてない子です。何かしら違っている部分がありましたらご指摘お願いします。


スノーフル近くの崖下には、複数の小屋が建てられている。

 

もともと一つだけあった小屋とはまた別の場所に建てられているそれらは、何かしらの問題で自分たちの世界に居られなくなった者たちが住む物。

 

その一つに彼女はいた。

 

先端に行くにつれて桃色になっている茶髪と、薄紫のタートルネックにマゼンタ色のスカートという服装が特徴。

 

その少女の膝には球体の生物が乗り、撫でられて喜んでいた。

 

彼女の名はBetty Noire(ベティー・ノワール)。Glitchtaleにて悪逆非道を尽くし、憎悪(HATE)に飲まれてしまったニンゲンでもモンスターでもない存在。

 

そしてピンク色の球体はAkumu(アクム)

ベティーとおなじ恐怖のタマシイを持ち、ベティーと生命を共にしている生命体。その身を変形させベティーを手助けする仲間だ。

 

そんな彼女のいる小屋に来訪者があった。戸が叩かれ、返事も待たずに開かれる。

 

入ってきたのはエンプティーだった。

 

「よお。暇そうだな」

「……戸を叩く意味あるかしら」

「無いな。何を言われようと入るつもりだったから」

「……そう。で、わざわざ出向いてなんの用かしら」

「なに、たまには顔を出してやろうと思っただけだ。ほれ」

 

エンプティーが取り出したのはケツイを抜かれたニンゲンのタマシイ。ベティーはそれを受け取るとアクムに食べさせた。

 

ベティーとアクムは食事を取らない。その代わりに魔力を原動力としている彼女らは、タマシイなどで魔力を補給することで生きている。

 

エンプティーが渡したのはプレイヤーが送ってきたアバターの物。彼女の命を繋ぐため、エンプティーはタマシイを定期的に届けていた。

 

「今まではタマシイだけを寄越していたのに。部屋から出て会いに来るなんて……ずいぶん長かったのね。泣き止むのにそんなに時間がかかった?」

 

楽しげな笑みを浮かべるベティーへ、エンプティーは何も言い返さない。気を良くしたベティーはさらに続けた。

 

「自分のしてきたことを嫌悪して、皆から離れて、気は晴れた?それとも、どこかの誰かさんにまた絆されでもしたのかしら?あんなに憎んでいたのに」

 

周囲が点滅し、暗くなる。

 

エンプティーに伸びる無数の手。トリエル、アンダイン、アルフィー、グリルビー、アズゴア……パピルス。

 

四方八方から、たくさんの手が伸びる。彼が殺したモンスターたち。その手がエンプティーを飲み込もうとする。

 

「………………」

「優柔不断、半端者。貴方はいつまでもカラッポ(Empty)のままよ。貴方は永遠に、自分の恐怖から逃げることはできないわ。同じ穴のムジナ同士、仲良くしましょう?」

 

溶けた友達たちの手がエンプティーを覆い隠した時、空間がブレ、幻覚が破られた。

 

「っ……」

「……そうさ。オレは半端者、未だに迷ってる怠け骨。だからこそ、やっぱり埋めたくなるんだよ。このカラッポの自分をな」

 

エンプティーは戸を開けると、ふと思い出したようにCodeを操作しケチャップを取り出した。

 

「いつかは、お前もそこに収まってもらう。お前の居場所はここにある」

 

エンプティーはケチャップをベティーに放り投げ、戸を閉めた。

 

キャッチしたベティーはしばらく動かなかったが、やがてケチャップの蓋を開けると中身を全て飲みほした。

 

アクムがギョッとしてベティーを見る。それを意にもかえさず、ベティーは空になったケチャップボトルをそばの棚に置いた。

 

「……どうかしてるわ。『赤』一色、味もそう。こんなのが好きなんて理解できない」

 

アクムを抱え、ベッドに転がるベティー。何をするでもなく、ボーッと天井を見続けた。

 

「……でも、悪くはないわね」

 

騙す、裏切るなんて当たり前。死を恐れ、敵をいたぶるのが好き。

 

全モンスターを皆殺しにし、ニンゲンを恐怖で支配しようとしていた彼女は、モンスターだらけの地下世界で平穏を噛み締めていた。

 




書いてて思った。なんだこれ。
ベティーってこんなんだっけ。イラストとかのを見すぎて混ざったかな。

このキャラクター出して欲しいなどなど、リクエストもお待ちしています。

リクエストはこちら
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13. イヌも歩けば撫でられる

今回は寿司さんからリクエストをいただいたレッド回!
他の方も何かリクエストがあれば御気軽にどうぞ。



一面の雪景色。

 

綺麗ではあるがやはり寒い。この場所で活動するのは、寒さに耐性のあるモンスターたちだ。

 

そしてよく目撃されるのが、アンダイン率いるロイヤルガード、その犬部隊である。

 

「キャンキャンッ!」

「待つッス!」

(捕まえてやるサ!)

 

犬は庭をかけめぐる。

 

言葉通り、雪をものともせずにレッサードッグがイヌッス・イヌッサのイヌカップルとかけっこをしていた。

 

それを遠巻きに見るのはほねっこジャーキーをキメているワンボーと鎧を脱いだグレータードッグ、そしてグレータードッグを撫でている桃髪の人形だ。

 

人形の名はレッド。AUの一つ、Undertale:Redから来たロイヤルガードの新米騎士であり、メタトンのように人形に宿った幽霊少女だ。

 

「今日も今日とて平和だな」

「そうだな。その分、みんな暇だよ……おれもほねっこジャーキーをキメるぐらいしかしてねぇしよ」

「ワンボー……ジャーキーをキメるのはいいが、そこらに捨てるのはやめてくれ。みんな寛容だからいいが、掃除するのも大変なんだぞ」

「一つキメたらもう一ついきたくなるんだ。キメた後のジャーキーに用はねぇ」

「だから掃除する側の苦労をわかれと言っているんだ」

「キャンッ!」

「あ、すまないグレータードッグ。手が止まっていたな」

 

ワンボーと口論じみた会話をしたことで、なでなでを忘れていたレッド。グレータードッグは一度フンスと鼻息を荒らげると、すぐさま舌を出して気持ち良さに顔を緩ませた。

 

「まったく、そんなに撫でられるのが好きなのか」

「そりゃあイヌだからな。撫でられるのが嫌いなイヌはいないさ」

「なら撫でてあげようか?」

「おれはほねっこジャーキーをキメるのに忙しいんだ。後にしてくれ」

「後でやって欲しいのか……ん?」

 

それを見て自分もしてもらいたくなったのか、かけっこをしていたレッサードッグがクルッと方向を変え、レッドへと突っ込んだ。

 

「ごふっ!?」

「ギャンッ!?」

 

レッサードッグに潰されるレッドとグレータードッグ。そんなの気にしないとでも言わんばかりにレッサードッグはレッドの手に頭を擦り付けながらキラキラとした目を向けている。

 

「く…ぐるじ…レッサードッグ…どいてく…」

「キャンッ!キャンッ!」

 

つい先程までかけっこしていたからか、かなり興奮しているレッサードッグは聞く耳を持たない。

 

「や、やっと追いついたッス…」

(大人しく観念するサ!)

 

イヌ故に二足歩行では限度があったのか、息も絶え絶えにイヌカップルたちが到着。二人がかりでレッサードッグを剥がしにかかった。

 

しかし、ここでなでなでをされないまま引き下がる訳にはいかない。レッサードッグはレッドから離れまいと、大口を開けてレッドの頭を丸かじりにした。

 

「ムッ!?ムー!?」

「おい!?それは洒落にならないぞレッサードッグ!?」

「やめるッス!」

(レッドの頭が取れちゃうサ!?)

 

レッドは人形故に生物よりも脆い。HPは犬部隊よりも多いとはいえ、これには堪える。

 

レッサードッグの噛みつきの恐ろしさは初撃ではない。離れまいと噛み続け、剥がそうと引っ張られることでさらにレッドへ負担がいくことにある。

 

言うなれば、サンズの(カルマ)を優に超える超連続小ダメージが襲いかかっているのだ。

 

10、5 5 5 5 5 5 5 5 5……

 

「ムグッ!ムッグー!!」

「離すッス!」

(レッドが死んじゃうサ!)

「おいイヌッスイヌッサ!レッサードッグの頭を撫でてやれ!そうすれば少しは力が緩むはずだ!」

「わかったッス!」

(了解サ!)

 

イヌカップルがレッサードッグから手を離す。すると、離されまいと込められていた力が噛むことのみに注がれた。

 

30、1 1 1 1 1 1 1 1 1……

 

「……!……!!」

「どっちにしろダメじゃないか!?」

「どうするッス!?」

(どうするサ!?)

 

興奮しきっているレッサードッグはただただ噛み続ける。もはや撫でても意味は無さそうだ。

 

その時、五人の背後に巨大な何かが迫る。ワンボーは動きで、イヌカップルは匂いで気づき回避。周りの見えていないレッサードッグと物理的に視界を塞がれているレッドは気が付かず……。

 

「キャンッ!キャンッ!」

「ギャンッ!?」

「ご……」

 

迫っていた巨大なもの……鎧に頭から突っ込んでいたグレータードッグが二人にのしかかった。

レッサードッグへのやり返しだろうか、それともただじゃれ合うためのマネだろうか。

どちらにしろ、巨体に潰されたレッサードッグはようやく口を離した。

 

「ヘッヘッ!キャンッ!」

「あー……」

「結果オーライッス?」

(レッドが不憫サ……)

 

 

 

 

 

気絶していたレッドは口に大量のシナモンキーを突っ込まれることで覚醒した。

 

「ワンワンッ!ワンワンッ!」

「興奮するとイヌみたいになるよな」

「子イヌみたいッス」

(子イヌみたいサ)

 

大好物のシナモンキーを、興奮のあまり吠えながら貪るレッド。すでにレッサードッグは起きており、申し訳なさそうに頭を俯かせている。

 

「むぐむぐ…レッサードッグ。私は別に気にしていない。ほら、頭をよこせ」

「ッ!キャンッ!」

 

バッと顔を上げて頭をレッドの手に押し付けるレッサードッグ。レッドが撫でてやると、レッサードッグは嬉しそうに首を伸ばし始めた。

 

伸びる。伸びる。ぐんぐん伸びる。ありえないほどに伸びる。首どうなってんだってぐらい伸びる。辺りを埋めつくしそうなほど伸びる。

 

レッドは一通り撫でると頭から手を離した。途端に元の長さにまで縮むレッサードッグの首。モンスターの身体はどこかおかしいものばかりだ。しかし一番恐ろしいのは、それを疑問にすら思わないほどの『慣れ』だろう。

 

イヌの毛並みを十分に堪能したレッドは、腰を上げ犬部隊の面々に別れを告げると、ウォーターフェルの方角へと向かった。

バッドサンズらの巡回がてらEDEN世界の師匠(アンダイン)に会いに行くつもりなのだろう。

 

イヌたちはまたかけっこに勤しみ、遠目にそれを見て笑うレッド。

 

地下世界は今日も平和であった。

 

 




癒し回を目指したらいつの間にか騒ぎが起きてた。これはほのぼのと言っていいのかわからないな。

しつこいようですが、再びアンケート。やはり他の作品と比べて見られる数も少ないと思うので、どちらかが三票入った時点を締切とします。
……三票も入るだろうか。

リクエストはこちら
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=275582&uid=345959


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14. サンスク

今回はフリスク回。
今はテンションがおかしいので内容もぶっ飛んでます。ご注意ください。


エンプティーの部屋、中に三人いるにもかかわらず、音はCodeが画面を流れるものしか無かった。

 

部屋の主エンプティー、問題を持ち込んだフリスク、そして問題そのものの子供。

 

子供はニンゲンの姿をしているが、左目はシアン色と黄色で輝いている。着ているのは青のパーカーと紫色のワンピース。子供はニコニコと笑顔を浮かべながら、エンプティーの出したケチャップを美味しそうに吸っていた。

 

どうやらエンプティー、絆されるだけじゃなくやることまでやったらしい。今日はお赤飯だ。

 

「シャーラップ!そもそもこんなにデカい子供がいる時点でおかしいだろ!?」

「パパ、おーきな声だしてどーしたの?」

「パパじゃない!フリスクも何か言ったらどうだ!なんだこの状況は!?」

「あはは、ボクにもわからないよ」

 

認知しろサンズ。もはや責任を取らないとは言うまいな?

 

「かつて、ここまで地の文がはっちゃけたことがあっただろうか。じゃなくてな、フリスク説明しろ。連れてきたのはお前だろう!?」

「う、うん。ええと、ボクが遺跡から出た時なんだけど……」

 

 

 

 

 

 

 

「今日はどうしようかな。またサンズのところに行こうかなぁ」

「ん、それなら私も行くぞ!アズも連れて暴れ散らしてやる」

「でもキャラはアズリエルと一緒にママにおつかい頼まれてるでしょ?」

「ついでだついで!」

「ダメだよキャラ。ママが寄り道しちゃダメって言ってたし、ボクとキャラはママから出された宿題が終わってないんだから!」

「ぬぐぐ……アズのくせに、私に楯突くとは生意気だぞ!!」

「え、ちょ、うわあああ!?」

 

キャラがナイフを振りかざし、顔を崩壊させながらアズリエルを追いかけていってしまった。一人残されたフリスクは、ため息をつきながらスノーフルへと足を進めようとした時。

 

「ママー!」

「ふぇ?」

 

林から飛び出した少女に抱きつかれ、そのまま倒れたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、今に至ると」

「うん」

「……なあガキんちょ」

「パパ!いつもみたいにサンスクって呼んで!」

「名前が安直すぎないか!?」

「あ、あはは……でも、『ありがとう』のサンクスみたいでよくない?」

「名前付けたの絶対お前だろ」

「ママが名前付けてくれたのー!パパは嫌そうだったけど、好きだって言ってくれたよー?」

「お、おう…そうか」

 

純粋さが苦手のエンプティー。そのために彼は子供が総じて苦手だ。頭を抱えるエンプティーは、サンスクが次にとった行動でさらに苦しむことになる。

 

ケチャップを飲み終わったサンスクがエンプティーの胡座の上に座ったのだ。

 

他人に触られたエラーの如く固まるエンプティー。それに気が付かず、サンスクは足をパタパタしてはしゃいでいた。

 

「……はっ!?おい下りろガキんちょ!」

「ガキんちょじゃない!サンスクだよ!」

「ええい、サンスク!オレよりママのところに行け!」

「やだよ!ママが、パパは寂しがり屋だからいっぱい構ってあげてって言ってたもん!」

「フリスク!?」

「え、言ってないよそんなこと!」

 

先程までの静けさとはうってかわり、騒がしくなる室内。サンスクはふんすふんすと鼻息を鳴らしながらポカポカとエンプティーを叩き始めた。

 

「パパ!ママのこともいつもみたいに呼んであげて!」

「おい待て、フリスクって呼んでないのかよ。どう呼んでるんだオレは」

「パパはいっつも、ママのこと『キャラ』って呼んでたもん!!」

「どっから生えてきやがったアイツ!?」

 

今までの言動から推測するに、サンスクはサンズとフリスクの体を乗っ取ったキャラとの子供のようだ。おそらく、家族の周りには塵が積もっているのだろう。

 

「とんでもない所から来たな……」

「あはは。サンスク、パパ可愛いね?」

「うん、慌ててるパパかわいい!」

「能天気め…!ならなんでオレのところに連れてきた。クローンのやつのところでもよかっただろ」

「うん……一度行ったんだけど…」

 

 

 

『サンズ〜』

『お?どうしたフリ……おい、そいつは…』

『ええと、この子は…』

『いや、皆まで言うな。それより、早くエンプティーのところに連れて行ってやれ。そうか、あいつもとうとう……』

『え?う、うん』

『バイバイ!パパみたいな人!』

 

 

 

「……というわけなんだ」

「あいつ、知ったかで自己完結しやがった…!しかもサンスクもあいつを父親と認めてないのかよ…!」

「だって、パパは血と罪の匂いがしてるから。あの人、綺麗だったね〜」

「ぐ……なるほど」

「パパ〜。次の虐殺はいつかな〜」

「やらない!虐殺はしない、この世界には殺しは必要ないからな!」

「だからって、ここでボーンっとしてるの?」

「ボーッとなんてしてな…あ?」

「つくてーん」

 

両手を上げて効果音を口で言うサンスク。その可愛さにフリスクはサンスクを抱き寄せ、頭を撫でながら一言。

 

「悪い影響が出てる」

「おい、ギャグのセンスはいいだろ。というか他のサンズの子供のことなんざ知るか!父親に言え!」

「パパ〜?」

「オレをパパと呼ぶなフリスク!?」

 

 

 

その後、サンスクはガスターに引き取られ元の世界に返されることになった。エンプティーは肩の荷がおりたと安心するが、一人残念がっていた者もいたことをここに記す。

 

サンズとフリスク(キャラ)の子供サンスク。再登場の予定は今のところ無い。

 

 




幸せに溢れた平和な地下世界が大好きです。
そのうち、アンダイン&アルフィーとかも書きたいなぁ。

リクエストはこちら
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15. Thank you for rushing me

受験が終わったので、ほかの小説も投稿していきます。後は結果を待つのみ……。

今回はsaneeeeeeees!!!!さんリクエストのサネス回です。皆さん、彼が出るということは汚く悪い単語が連続で出て、かつあの有名な猫も出ます。

ご注意ください。そして報告等はなしでお願いします。そういうキャラなんです…。



いつもの部屋にて、エンプティーは頭を抱えていた。

 

「来た……とうとう()()()がこの世界に来やがった…」

 

画面には凄まじい勢いでCodeが流れていく。しかし、それはEDEN世界の状況を示しているCodeではない。

 

FUCK YOU

FUCK YOU

FUCK YOU

FUCK YOU

FUCK YOU

FUCK YOU

FUCK YOU

FUCK YOU

FUCK YOU

FUCK YOU

FUCK YOU

FUCK YOU

FUCK YOU

FUCK YOU

FUCK YOU

 

TOM

 

 

「やめてくれ…これ以上はその言葉を出さないでくれ…」

 

彼の精神はもう限界に近かった。Codeのように綺麗に並んだ悪口雑言。これは来訪者の存在そのもの、個性だ。怒りと混沌が混じってしまった劇物だ。

 

「外に出て止めるべきか。いや、ここは全てを受け入れる最後の楽園。奴も受け入れなければ…受け入れ……」

 

TOM

 

画面いっぱいにCodeではなく猫の顔が映る。有名なトムとジェリーのあのトムだ。

 

「FUCK YOU!!」

 

ついにブチ切れたエンプティーは腹いせに壁をドンと叩き、本来ならあまり使わない扉をぶち壊して出ていった。

 

 

 

 

 

 

ウォーターフェル、そのダスト系サンズが集まっていた場所は気味が悪いほどに静かだった。

 

サンズたちが居ない訳では無い。いつも通り大量にいるのだが、その全ては痙攣しながら転がっていた。

 

ダスト系サンズたちが集まっていることを危険とみなした光AUの仕業か?否。

 

より強い者に打ち倒されたのか?否。

 

仲間割れでも起こったか?否。

 

これは全て、一人のキャラクターによって生み出された惨状だった。

 

ダスト系サンズたちが倒れている場所、その中心。そこに奴はいた。

 

 

 

さて、ここで一つ問おう。

 

真に恐ろしい存在とはなんだろうか?

 

虐殺を楽しむ者か?

精神が狂い果てた者か?

世界を破壊する者か?

 

否。否。否。

 

そういった次元の話ではない。

 

力はともかく、恐ろしさで言えば彼はGodverseの住人すらも超えるだろう。いや、その恐ろしさは神々ですら抗えず、その仲間に加えられてしまうかもしれない。

 

AUには、そしてキャラクターにはカテゴリが存在する。

 

守護者、破壊者、中立、虐殺、反虐殺などなど。

 

彼はそのどれにも当てはまらない。しかし、未だに増え続ける彼の仲間にはそのカテゴリごと取り込む者もいるだろう。

 

『カオス』

 

それは無限に仲間を増やし続ける災害のようなもの。誰であろうとその真理にはたどり着けず、そもそも真理など通じるのかすら不明の怪物。

 

その実態は文字通りの混沌であり、その存在もまた混沌じみた性質を持つ。

 

これ以上書くと作者の頭もバグりそうなのでここまでにしておく。FUCK YOU

 

そんなカオスカテゴリは、今のところ2つの派閥に分かれている。

 

1つは、巨大な頭に2本の腕が付いたUltra!Sans派。枠やコマンドすら破壊する混沌の怪物。彼は新しくオメガフラウィーのような戦闘ゲームが出たが、カオスに分類されるのはその旧作の方。

なんと、Ultra Murder!Sansに始まり、どんどんその数を増やして行ったのだ。その中には一時期最強のサンズと称えられたError 404!Sansすらも餌食となりUltra Error 404!Sansが生まれてしまった。

 

この波は衰えることを知らず、さらに数を増やしていくことだろう。

 

そしてもう1つこそが本命。カオスの代表、Ultraをも超える怪物。これこそダスト系サンズたちを落とした張本人。

 

極めて乱雑なタッチで描かれたサンズのようなナニカ。上下運動で有名。右手より左手のほうが大きく、口が伸びてえらい事になっている。

 

「へへへ、どうやら忙しそうだな?」

 

ソレは駆けつけてきたエンプティーをまるで挑発するかのように声をかけた。

 

「オレのことは知ってるよな?そう、オレは…SANESSS!!!」

 

怒鳴るように名乗りをあげる怪物。その目は焦点が定まらず狂気を感じさせる。しかし彼はこれがデフォルトなのだ。彼は狂っているのではない。

 

「YOU WANNA HAVE A BAD TOM!?!」

 

彼の名はサネス。Undertaleファンどころか、ミームとしてとある合衆国で絶大な人気を誇る''サンズのようなナニカ''である。

 

「あー……」

 

実際に対峙するとなると、これほどまでに腰が引けてしまうものか。超高速上下運動をしている彼は緊張感などまったく与えないようなカオスを纏っている。

 

しかし、それは何をされるかも分からないということで。なんでもありな彼の機嫌を損ねるのは絶対にしてはならない。

 

さもなくば、サネスの後ろに待機している笑顔のトムの頭、通称トムブラスターに消されてしまうだろう。

 

「よ、よお。お前さんのことは知ってるぜ。それで、なんでこの世界に来たんだ?旅行か、はたまた移住希望か?」

 

後者であったら嫌だなぁと思いつつ。エンプティーは慎重に、しかし恐れ等は勘づかれないように言葉を投げかける。対してサネスは上下運動をさらに早めるだけで返事は寄越さなかった。

 

「え〜っと……どっちなんだ?それとも、別の理由なのか?」

「FUCK」

「え、あ、何か気に触ったか?す、すまん…」

「FUCK YOU」

「え…ええと、何も気に触ってないってこと…か?」

「YEEEEESSSSS!!!!」

「そ、そうか…」

「YOU WANNA HAVE A BAD TOM!?!」

「結構です……」

 

上下運動をしながらピョンピョン跳ねてエンプティーに近づくという常軌を逸脱した行動をとるサネス。

 

後ずさりしそうになったエンプティーはぐっと堪え、動かずサネスと対峙した。

 

しかし、それがいけなかった。

 

サネスが目の前で止まる。エンプティーとサネスはそのまま見つめ合い……十数秒後、サネスが大声で歌い始めた。

 

「エゥデッデwwwwアッドゥドゥーワドゥワwwwwエゥデッデwwwwアッドゥドゥーワドゥワwwwwエゥデッデwwwwアッドゥドゥーワドゥワwwwwエゥデッデwwwwアッドゥドゥーワドゥワwwww」

「え、なんだ、何か嬉しいことでもあったのか」

「YEEEEESSSSS!!!!」

「そ、そうか。なら、そうだな…スパイダーグリルにでも行くか?奢ってやらんでもないぜ」

「FUCK YOU」

「なんでだ!?」

 

すると突然、サネスは頭に?を浮かべるエンプティーをガッと掴み、上下運動をしながら高速で移動し始めた。わけも分からずフリーズしたエンプティーはそのまま連れ去られ……開放されたのはそれから数日後のことだった。

 

エンプティーはそもそもサネスとのことが思い出せず、無理に思い出そうとするとガタガタと身体が震え始める。

 

 

 

サネスは物怖じせずに自分と接したエンプティーを好ましく思った。そのために彼はエンプティーを連れ去った。

 

ターゲットにされたエンプティーがこれから無事でいられるかどうかはサネス次第。

 

サネスに気にいられてはいけない。機嫌を損ねればその場で沈むだけで済むが、気に入られてしまえば一生付きまとわれることになるのだから。

 

次にカオスの矛先が向くのはどこか。彼が現れるのは、あなたの所かもしれない。




再登場の予定はリクエスト次第ですが、正直心配です。運営から何か来たらどうしよう…。

リクエストはこちら
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16.変わりそして間違い

お待たせしました。オリエンテーションにパソコンやスーツ…大学準備って忙しいんですね。
今回はお待たせしていたプリンの精霊さんのリクエスト、ストーリーシフトキャラ回です。



エンプティーが恐怖からなんとか持ち直した頃、再び部屋に来訪者があった。

 

数えて三人。方やチョコ狂いのキャラ、もう方やキャラとチョコを取り合っている別の世界のキャラ、それを眺めるのがこれまた別世界のキャラだ。

 

Storyshift!Chara

Storyshiftの世界で審判者を務めるキャラ。特徴は茶色のボロボロな服だ。AUとしては新生組に入る。

 

StoryShift!Chara

StoryShiftの世界で審判者を務めるキャラ。特徴は緑のパーカーで、よくオリジナルのサンズやスワップパピルスとつるんでいる。通称SS!Chara。

 

「そのチョコを寄越せ!」

「誰がやるか!手を離せえ!」

 

暴れる二人、しかしエンプティーは止めない。いや、止めることができない。あの事件からは立ち直れたものの、未だにその回復しきってはいないのだ。

 

『YOU WANNA HAVE A BAD TOM!?!』

「ぐふっ…」

 

そら見ろ幻聴聞こえちゃってるじゃん。

 

「二人とも、そろそろ止めたらどうなんだ。チョコなら分けるぐらい…」

「「だまれ」」

「え、ちょ、ぐぶぶぶ!?」

 

エンプティーの代わりに止めようとしたSSキャラ、しかしそれは二人の逆鱗に触れた。キャラがSSキャラを羽交い締めにしストーリーシフトのキャラがチョコソースを強引に流し込んでいく。

 

エンプティーへと助けを乞う視線を向けるも、彼は未だに幻聴に苦しんでいた。助けは期待できそうにない。

 

「ああああああああ!!」

「おおっ!?」

「貴様、下ろせサンズ!」

 

と思えば、エンプティーが重力操作でキャラとストーリーシフトのキャラを重力操作で浮かばせた。そのまま扉の外へと放り出した。

 

「……ふぅ、助かったよエンプ」

「FUCK YOU!」

「どわぁぁあああ!?」

 

助けたなどとんでもない。彼はただ幻聴へと攻撃したに過ぎないのだ。

 

ガスターブラスターを展開し光線を放ったエンプティー。不意を突かれたたSSキャラは、ギリギリのところで光線を躱した。

 

「FUCK YOU!」

「待て、落ち着けエンプティー!私だ!」

「ああああああ……あ?な、なんだ、お前か…」

 

SSキャラの叫びで我に返ったエンプティー。その場にへたりこみそうになり、咄嗟にSSキャラが支えた。

 

「一体どうしたんだ、こんなことになるなんて…」

「……聞くな」

「はあ、わかったよ」

 

SSキャラはエンプティーを椅子に座らせた。どうしたものかと思考していると、乱暴に扉が開き新たな訪問者が現れた。

 

「エンプティー!また移住区で……あ」

「え?あ」

 

さて、ここでSSキャラについて記そう。

 

SSキャラの特徴で、ほとんどの人が緑のフードを挙げるだろう。フードを被り、常時赤い瞳を持ち、パーカーのポケットに手を入れている。

 

初代Bad Time Trioなどに出てくるのがそれだ。が、これは誤りである。

 

本当はフードを被っていないし、瞳は茶色、そしてパーカーにポケットは無い。しかし、やはりSSキャラを知るものはだいたいが誤りの方を思い浮かべてしまう。

 

それにより、違うはずの姿でSSキャラは様々なファンゲームに登場してしまった。それにより存在が固定され、本来生まれるべきでない生命が出来てしまったのだ。

 

それを良しとしなかった誤りのキャラは、EDEN世界に移住した。たまにサンズやスワップパピルスと会うことはあれど、ほとんどAUのキャラクターたちと会うことは無い。

 

EDEN世界の中で完結させようとしている誤りのSSキャラと、本来のSSキャラ。察しの通り、やはり良い空気は流れない。

 

「「………………」」

「あ〜……で、移住区がなんだって?」

「あ、そうだった」

 

重い空気に耐えかねてエンプティーが続きを促す。ハッと我に返った誤りのキャラは、慌てていた事情を話し始めた。

 

「またアイツが暴れ始めた!今はベティー・ノワールが応戦しているが、このままだとマズイ。加勢に来てくれ!」

「はぁ…またか。ああ、今行く」

 

少しフラフラとしながらも椅子から立ち上がるエンプティー。部屋を閉めるため、SSキャラたちを外へと出した。

 

「それじゃあ行ってくるが……お前は好きにしていてくれ」

「わかった。私の手助けは必要ないんだな?」

「ああ。2人で足りる……じゃあな」

 

ショートカットを使うエンプティー。そこで見たのは、大量の赤い糸が移住者の家々を取り巻いているところだった…。

 

 




全部で3人もいるからどれを書けばいいのか分からなかった。なので、一人一人は短めに全員登場。呼び方の区別が難しい。

リクエストはこちら
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=275582&uid=345959


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17. バグる旅人の暴走

お久しぶりです。


移住区では、あらゆる世界から住処を失った存在が暮らしている。その中にはクリエイターが予期せぬことでそうなってしまった者もいるが、自身にとんでもない失敗が起こり何もかもを失った者も少なくない。

 

丁度、眠りから覚め暴れ散らかすこのグリッチのように。

 

「パピルス……お前は幸せになるべきなんだ…」

「あ…ぐぅ……」

 

溶けた眼孔をむき出しにしたサンズが、ボソボソと呟き続けている。その近くに、ベティー・ノワールは倒れていた。

 

「オレレレが怪物かーいー物?か、、か?ハハハははははははハハは!!!」

「この……化け物め!」

「ななんて愉快なと問いだは?ははは、はは、ははは!愉快だ!本当に愉快な問いだははははは!!おまままえもおお、ははハハはっは、おもししろい、なあははは…?」

 

笑い続けるソレはもはや精神が崩壊してしまった旅人。その様を、彼女は気味が悪いと吐き捨てる。

 

彼の名はFatal Error!Sans。エラーサンズが己の過去の存在であるジェノを破壊しようとするも失敗してしまい、強大なグリッチとなってしまった悲劇のサンズ。

 

パピルスを失ったことを壊れた心で受け止めてしまい、感情の歯止めが効かなくなってしまっている。パピルスを復活させるため他のAUからパピルスのコードをかき集めるも、自身のグリッチのせいでパピルスではないナニカとなってしまい、コードの略奪と破壊のループから抜け出せなくなったのだ。

 

「おお前にか彼れれのコードない、ない。もういい死ね」

 

フェイタルエラーと同じように眼孔が溶けたブラスターが数多に展開される。それに赤いエネルギーが充填されていく中、ベティーはニヤリと笑った。

 

「ラブドフォビア……」

「……?」

 

ベティーからピンク色の波動が放たれた。しかしフェイタルエラーには何も起こらない。虚仮威しかとブラスターを放とうとし……彼は気づいた。ブラスターの制御権が自身から切り離されていることに。

 

「死ね!!」

「おお、お、お?、」

 

全てのブラスターがフェイタルエラーへと光線を放つ。凄まじい爆発が辺りを包み込むが、次の瞬間には赤い糸が煙を突き破り空へと展開された。

 

「く…そ……」

「死ぬ。死ぬ、は、ははは、全部、ぜんぶ、ぜーーーーーーんぶ、ははは、死ぬ。死ぬ。死ね、死ね、死ね!!はははははははは!!」

 

ベティーの身体が突然浮かび上がる。その手足に赤い糸が巻きついており、それは空に広がる糸の天幕へと伸びていた。

 

悪寒を感じたベティは藻掻くが、糸は微動だにしない。アクムによって腕を刃物へ変えるも、切っては新たな糸が伸びキリが無い。

 

糸の天幕は触れた者をバラバラに分解しコードにしてしまう。それを知らずとも、ベティーはその危うさを本能的にキャッチできていた。

 

為す術なし。ファスモフォビアによって大量の魔力を使用してしまったベティーに、もはやその攻撃を防ぐ手段はなかった。

 

「はハハ、はははハハははは!」

 

狂笑はとめどなく響き渡る。そしていよいよベティーが天幕へと辿り着くかと思われたその時。

 

「ニェ?おいサンズ!何してるんだ!」

「…………?ナンだ、こノ声。誰だ」

「こっちだ!まったく、これは暴れすぎだぞ!」

「……懐かしい声。パピルス…なのか……?」

 

フェイタルエラーの背後。振り返った彼は目を見開いた後に、顔を残念そうに歪ませた。なぜならそこにいたパピルスは、サンズの上着を羽織っていた。つまりは自分の兄弟ではないからだ。

 

「……………… 彼を救わなきゃ。お前の中にパピルスがいる」

「ニェ?何を言っているんだ!オレ様はオレ様だ!」

「コード、そう、コードだ。よこせ、それを……パピルスを返せ。その欠片をあつああつ集めてて、繋ががぐぐぐ」

「何を言っているのか分からんぞ!サンズ、いったいどうしたんだ!」

「だまれ。喋るな。オレに、話しかけるな。何も、そう何も、言うな。何も。何も」

 

フェイタルエラーの拒絶。そのあまりにも一方的な態度と、見渡す限りの暴れた痕。パピルスは深くため息をつくと、天幕へとブラスターを放つ。

 

「キャッ……」

「離れていた方がいいぞ!これから戦闘になるからな!」

「……チッ。なら後は頼もうかしら」

 

ベティーが下がるのを見た彼は、フェイタルエラーへと向き直った。目を閉じたあと、右目だけを開ける。そこには青とオレンジの瞳が輝いていた。

 

「サンズ!お前は人の話も聞かない大馬鹿者だ。お前にはいいマナーを教えるヤツが必要なのだ!そう!!この偉大なるパピルス様が!!!お前の先生になってやろう!!そしてオレ様がお前に忘れることのできないレッスンをしてやろう」

「……… はは、ははははは。ははははは!これは、これは運命だ!また殺す機会ができた!これは運命だ!殺す機会がまたできた!助けたす助けて、またパパパピルスを作らななきゃ!はははハハは!」

 

フェイタルエラーと別AUのパピルス。その戦いの火蓋がいま、切って落とされたのだった。

 




次回はリクエスト回。


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