ウルトラマンオタクと怪獣使いの居候 (ボルメテウスさん)
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これ終わったらもう帰っていいの?

SSSS.DYNAZENON内での台詞から、思わず書いてしまった作品です。
興味がある方はぜひ、感想などお願いします。


俺の名前は朝倉陸。

 

どういう偶然か分からないが、ウルトラマンジードの主人公である朝倉リクと同じ名前のただの大学生である。

 

最近になって親元から離れて、大学に通う為にアパートを借りて一人暮らしを始めた。

 

アパートは一人暮らしをするには十分すぎるぐらいの広さで、設置されている本棚には、バイト代を溜めて買った歴代のウルトラマンシリーズのBlu-rayが飾られていた。

 

残念ながら、変身アイテムはさすがに買えないが、それでもその日の気分ですぐにウルトラマンが見れるのは、とても良い。

 

「さて、こんな感じで良いか」

 

そう言いながら、俺はできた料理を運び、二人分の皿と箸を持ちながら、晩飯の準備をしていた。

 

その準備を行っている間、既にテレビにはウルトラマンティガが流れていた。

 

「できたよ、ムジナ」

 

そう言いながら、俺のベットの上に座りながら、ティガを見ていた女性、ムジナに話しかけた。

 

「・・・んっ」

 

それと共に俺が食事の準備を待っていた女性を見つめる。

 

この人はムジナ。

 

世に言う絶世の美人とも言え、そこそこあるお胸と大胆に晒した太腿が目を向けてしまう程の女性だ。

 

今は俺の部屋にある適当な服を着ているが、俺が出会った当初や、どこかに出掛ける時にはなぜか白い軍服を思わせる衣装を着ている謎の女性だ。

 

そんな彼女がなぜ俺の家にいるかと言うと、それは一ヶ月前の出来事に理由がある。

 

この町に引っ越したばかりの俺は、この町の地理を覚える為に歩いていた。

 

その時、謎の事故に巻き込まれ、死にかけたのだ。

 

事故の詳細は未だに分からず、あの時何が起きたのか、未だにマスコミが騒いでいた。

 

その奇妙な事件はこの前起きた謎の怪獣同士の戦いのように、まるで怪獣が暴れた跡だけが残っていた。

 

一瞬の出来事で何が起きたのか分からなかったが、気絶した俺を助けてくれたのがムジナだった。

 

なぜ、その時にムジナがいたのか、どうして助けてくれたのか分からない。

 

だけど、その時俺は何か御礼はできないかと尋ねた。

 

「だったら、家に住まわせて」

 

その一言がきっかけだ。

 

それから俺の家に住むようになったムジナは、ほとんど俺の家で過ごしていた。

 

「それにしても、ムジナは住む家はないのか?」

 

「5000年前の家なんて、もうない」

 

「5000年前って、ティガのような超古代から復活したのか?」

 

「復活というよりも、生き返った」

 

そう言って、未だにどこから来たのか教えてくれない。

 

未だに笑った顔を見たことがない彼女だが、

 

「まぁ、あの時に命を助けてくれたし、こうして一緒に食べてくれるの、結構嬉しいかも」

 

一人暮らしは思ったよりも寂しく、一人で食べる食事はつらかったが、ムジナと一緒に食べてくれる食事は以前よりもずっと美味しかった。

 

「んっ、そう」

 

ムジナは無表情で、そのまま食べ続ける。

 

「私も、好きだな」

 

----

 

陸が出掛け、ムジナも出掛けていた。

 

彼女は怪獣が世界を導く存在と主張する集団、怪獣優先思想というメンバーの一人である。

 

そのメンバーは、ムジナと同様5000年の時を経て現代に生き返った存在であり、怪獣を操る事ができる怪獣使いだった。

 

彼女自身は隠し事をしているつもりはなく、陸に対しては全て本当の事を話しているつもりだった。

 

それでもあまり信じて貰えないようだったが、ムジナは特に気にした様子はなかった。

 

目の前で、怪獣思想のメンバーが操るグレージョムという怪獣と敵対するダイナゼノンが戦いを繰り広げていた。

 

分離したダイナゼノンの一部である直立したままのダイナソルジャーを何となしに眺めていて、ムジナはポツリと呟いた。

 

「そういえば、陸、今日、大きなカニカマ買ってきて欲しいって言っていた」

 

その赤い身体を見て、ふと陸の一言を思い出したのだ。

 

偶然見たカニカマの天ぷらが美味しかったから、試しに作りたいと言っていた。

 

だからこそ、ムジナも興味を持っていた。

 

「早く終わらないかな」

 

その戦いは既に終わりに近づいており、結果が見えていた。

 

だからこそムジナは、今は使命よりも家に帰る事に意識が向いていた。

 

ムジナにとって、最近はメンバーと共に行動するよりも、家で過ごす日常を大切だった。

 

5000年前にはなかった陸が作った料理に、一緒に過ごす時間。

 

それらは経験した事がなかった。

 

そうして、その日の戦いを終えると共に、

 

「これ終わったらもう帰っていいの?」

 

ムジナは家に早く帰りたがる。



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だったら、怪獣じゃないんじゃない

とりあえず、ムジナの気に入った一言と共に連載を行っていきたいと思います。
興味がある方は感想など、お願いします。


「ムジナっ、あの、そろそろ寝相どうにかなりませんかっ!?」

 

俺はその日の朝食時、ムジナに向けて呆れたように質問する。

 

目の前にいる居候であるムジナは俺と同じ部屋で寝ている。

 

普通、男女が一緒に寝ている事に関しては、だいたいの人は少し戸惑うはずだが、ムジナさんは、それが一切ない。

 

俺と同じ部屋で寝ている事になんの抵抗もなく、服を買いに行った時にも、安かったという理由でTシャツなど、部屋で着る服を決めていた。

 

出掛ける時には下が結構気になり、結構中二臭い白い制服を着て、出掛けている。

 

それはまだ良い。

 

だけど

 

「何が問題があった?」

 

「いや、俺の布団の上で寝ているのを」

 

ムジナは寝相が悪いのか、よくベットの上から落ちて、俺を抱き枕代わりにして寝る事が多い。

 

薄いTシャツという事もあり、目が覚めると、柔らかな胸の感触が直接覆われるのはさすがに心臓が悪い。

 

「一ヶ月も続けているのに、今更?」

 

「その一ヶ月間、直せなかったのも問題ですが」

 

それは何も今回が初めてな訳ではない。

 

一ヶ月間、俺が夜勤などで家にいない時以外で、寝ている時は絶対に寝転がって、俺を抱き枕にしている。

 

「それって、迷惑?」

 

「いや、迷惑なのは、迷惑ですが」

 

さすがに目が覚めると、心臓に悪いのは正直な話だけど

 

「でも、寝ている時、結構嬉しそうだったけど」

 

ムジナはそう言いながら、特に気にした様子もなく、首を傾げながら呟く。

 

「へっ!?」

 

その一言に俺は戸惑う。

 

「私が先に目を醒めた時、結構気持ちよさそうに寝ていたけど」

 

「そっそれは、その、なんというか」

 

確かに心臓に悪いのも本当だけど、正直に言うと、ムジナに抱き締められた時、結構嬉しかったりする。

 

バイト代のほとんどをウルトラマンのBlu-rayに当てている為、他の娯楽には一切手を出しておらず、それは性欲でも同じ。

 

だからこそ、ムジナと住み始めて、それが少し困った事でもある。

 

「とっとにかく、その、なんというか」

 

俺はどう答えようと必死に考えていると、ムジナはテレビの方を見ていた。

 

「んっ、これって」

 

そこに映し出されていたのは、以前現れた怪獣同士の戦いだった。

 

それも、以前戦ったロボを思わせる怪獣と、今度は別の怪獣の戦いだった。

 

「ダイナゼノンって、なんだと思う?」

 

「ダイナゼノン?

何それ」

 

「赤いカニカマみたいな奴」

 

「いや、どっちかと言うと、ドラゴンでしょ。

それにしても、ダイナゼノン、ウルトラマンダイナとウルトラマンゼノンが合体した感じの名前だな」

 

その名前を聞いて思い浮かべたのは、ウルトラマンダイナとウルトラマンゼノンだった。

 

「ダイナは分かるけど、ゼノンって?」

 

そして、それを聞いたムジナは案の定、ゼノンの方は知らなかったのか、思わず首を傾げる。

 

「マックスに出てきたウルトラマン。

まぁ出番は結構少ないけど、それでダイナゼノンだっけ?

怪獣なのかな、どっちか言うと、ロボットに近くない」

 

「ロボット?」

 

「あぁ、メカゴモラとか。

でも、あの感じはどっちかと言うとサイバーゴモラかな?

怪獣のデータを元に作り出された感じで」

 

「ふぅん、じゃあ、怪獣じゃないんだ」

 

「まぁ、そうかもしれないね」

 

それを考えると、こういう特撮のお決まりとしては、怪獣は何かの目的で生み出されて、それに対抗する為に作られたロボット怪獣が、そのダイナゼノンか?

 

「それにしても、なんでダイナゼノンの名前知っているんだ?」

 

「なんか、言っていた気がするけど」

 

そう言いながら、ムジナは特に気にした様子もなく呟きながら、既に白い制服に着替えていた。

 

「あれ、今日は出掛けるの?」

 

「うん、少し用事で」

 

そう言いながら、出掛ける準備を終えたムジナはそのまま玄関前に向かっていた。

 

「どこまで?」

 

「千葉」

 

「あぁ、千葉か」

 

そう俺は呑気に茶を飲んでいたが

 

「千葉っ!?」

 

思わず振り返るが、既に出掛けていた。

 

「ムジナって、結構アグレッシブなんだなぁ。

まぁとにかく、俺もバイトの準備しないと」

 

そう言いながら、俺も準備していた。

 

「そういえば、バイト先に変な人が入ったな。

確か名前は、ガウマさんだっけ?

まぁ、ムジナも似たような感じか」



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すいません、追加でこの白だし茶碗蒸し

「お土産、落花生」

 

そう言いながら、ムジナは手に持ったエコバックをこちらに渡してきた。

 

俺は思わずエコバックの中を確認すると、本当に落花生が入っていた。

 

「ムジナって、普段は何をしているの」

 

「普段?

なんかよく分からないけど、声に従って行動している」

 

そう言いながら、ムジナは特に気にした様子もなく、そのまま部屋の中に入っていった。

 

「まぁ、もう別に良いけど。

とりあえず、晩ご飯はできているよ」

 

「今日は何?」

 

そう言いながら、料理を確認すると

 

「厚焼き卵に、かに玉に、茶碗蒸しだよ」

 

「卵ばっかり」

 

「今日のスーパーで卵が大安売りだったからな。

いやぁ、本当に助かった」

 

「そう、まぁ美味しいから良いけど」

 

そう、特に気にした様子もなく、食べていた。

 

「そういえば、今日はいつもよりも遅かったね」

 

「あっ、それか」

 

そう料理を食べていた時に、ふとムジナが出した話題。

 

「いやぁ、実は今日のバイトの引き継ぎの人が来るのを遅れてしまったんだ。

まぁ、向こうも謝っていたし、普段は助けて貰っているから、特に気にしていないけど」

 

「そう」

 

そう、俺が話していると、すぐに興味が無くなったように、茶碗蒸しに手を伸ばすが

 

「確か、ガウマさんだっけ」

 

その名前を言った瞬間、ムジナの手が止まった。

 

「・・・ガウマ」

 

「あぁ、ガウマさん。

知り合いか?」

 

そう言いながら、俺は質問するが、ムジナはその手に伸ばしていた茶碗蒸しを零した。

 

だが、同時に俺は謎の浮遊感に襲われる。

 

「へっ」

 

何が起きたのか分からない間に、俺はそのまま寝転がっていた。

 

疑問に思っている間に俺はベットの上に吹き飛ばされており、ムジナが俺の上に馬乗りになって、こちらを睨んでいた。

 

「陸、あんた、ガウマの仲間か」

 

「えっ突然、どうしたんだ」

 

それは普段の様子からは考えられない程に怖い表情をしていた。

 

「答えて」

 

「えっと、仲間というかバイト先でよく知り合う人だよ」

 

「それ以外は」

 

「えっ」

 

「ガウマとの関係」

 

その言葉に、俺は恐怖を覚えた。

 

「いや、俺とガウマさんは本当にただのバイト仲間だよ。

どっどうしたんだよ、ムジナ」

 

俺は何が起きているのか分からず、言う、

 

目の前にいるムジナが本当に先程まで、一緒に食べていたムジナと同一人物なのか、どうか。

 

「・・・嘘、言っていない」

 

「あぁ、本当だよ」

 

俺がそう言うと、ムジナはそのまま俺に抱きつく。

 

「っ!!」

 

何時ものように寝ている間に行われたのではなく、正面から抱き締められ、俺は思わず身体が固まる。

 

「むっむじなさんっ、一体何を」

 

身体が動かせない間、ムジナはそのまま強く抱きついたまま、動かけなかった。

 

「マーキング」

 

「まっマーキング!?

一体、どういう事ですかっ!?!?」

 

「5000年前にはこんな感じでやっていたような気がする?

よく覚えていないけど、別にどうでも良い」

 

そう言いながら、ムジナは抱き締める。

 

「向こう側に行かないように。

ガウマは別にどうでも良いけど、陸はそっちには行かせない」

 

「ムジナ?」

 

そう、俺はどう声をかけたら良いのか分からなかった。

 

結局、その日、最後に残っていた茶碗蒸しだけを残して、その日の食事は終わった。



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インスタンス・ドミネーション

「ウルトラマンって、いるのかな?」

 

「・・・急にどうしたの」

 

ムジナの驚きの行動から翌日。

 

俺達は朝食を食べながら、例の怪獣の事についてニュースをムジナと一緒に見ていた時、思わず俺はぼそりと呟いた。

 

それについて、今まではあまり反応しなかったムジナも質問してきた。

 

「だって、怪獣が実在しているから、もしかしたらウルトラマンも存在するのかなって?」

 

「さぁね。

怪獣は5000年前から存在したから知っているけど、ウルトラマンなんて、知らないよ」

 

「そうか、だったらティガはいないのかなぁ。

でも、もしかしたら宇宙にいるかもなぁ」

 

そう言いながら、俺は窓の外の光景を見る。

 

「もしも、存在したら、陸はどうしたいの?」

 

「もしもいたらかぁ」

 

その言葉に俺はどう応えたら良いのか、分からなかった。

 

「怪獣が今、実際にいるけど、まだ俺は実物を見ていないから、実感が湧かないからな。

だから、どうしたいか、なんて分からない」

 

「そう。

けど」

 

「んっ」

 

ムジナはそのまま俺を真っ直ぐとみる。

 

「陸は怪獣には襲われない。

私が、襲わせない」

 

そう、真っ直ぐと俺に向けて言った。

 

「ムジナ?」

 

その言葉の意味が分からず、俺は首を傾げるが、同時にムジナは近くにあるスマホを取り出す。

 

「どうしたの?」

 

「・・・陸」

 

「んっ」

 

その言葉と共にこちらを見ていたムジナの表情はどこか真剣だった。

 

「今日、バイトは」

 

「休みだけど、どうしたの」

 

「だったら、今日はバイト先の周辺には絶対に近づくな」

 

「どうしたんだよ、そんな急に」

 

まるで意味が分からず、俺は言うが

 

「そこに行けば、死ぬかもしれないから」

 

「えっ?」

 

その一言はあまりにも重かった。

 

何を言っているのか分からない間、ムジナはそのまま出て行った。

 

「ムジナっ、おい!」

 

俺はすぐにムジナの後を追うように、ドアを開いた。

 

だが、そこには既にムジナの姿はなかった。

 

「はぁ、たく、ムジナは本当に何を」

 

そう言いかけた中で、俺の中には疑問が思い浮かんだ。

 

それは

 

「そもそもムジナって、何者なんだ?」

 

それは、最初に出会った時に出るべき疑問だったかもしれない。

 

だけど、最初は恩返しで、それからムジナと過ごしていた日常は楽しくて、もしもその疑問に目を向けると、無くなってしまうような気がして

 

「気がして、だよなぁ」

 

そこまで思って、俺は空を見上げる。

 

今、この世の中で何が起きているのかなんて、正直言って、分からない。

 

怪獣とか、本当に特撮やアニメの中に入り込んだような出来事が続いているけど、結局の所、俺に何ができるんだろうか。

 

ムジナが何かを行っているのかも知らないし、それに関わって、俺が何をしたいのかもよく分からない。

 

ウルトラマンだったら、それは迷いなく行動できるかもしれないが

 

「力も、そんな意志もないのに」

 

俺はそう何気なく呟くと、空から何かが降ってきた。

 

それも、遠くからではなく、真っ直ぐと俺のアパート近くに落ちた。

 

「・・・隕石ぃ!?」

 

何が起きているのか分からず、俺はその隕石が降り注いだ場所に向かった。

 

「まったく、なんで、こうも急に動き出すんだ!」

 

何が起きているのか分からず、その場所に行くのは危険だと分かっている。

 

それでも、今は自分の中にある疑問がそこにあるような気がした。

 

だからこそ、俺は



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フュージョンライズ

隕石が落ちた場所に、俺は近づく。

 

そこには、巨大な一つのカプセルがあった。

 

「なんだ、これは」

 

疑問に思いながら、俺はそのまま手を伸ばした時だった。

 

「っ!?」

 

カプセルから出てきたのは一つのケーブルだった。

 

ケーブルは俺の身体へと伸び、腕を突き刺す。

 

「がっ!?」

 

何が起きたのか分からず、俺は倒れ込む。

 

同時に身体の内側から壊されるような痛みが襲い掛かる。

 

身体が沸騰し、別の何かに書き換わるような感覚と共に俺は徐々に意識が朦朧になっていく。

 

『俺の力を手にして、お前は何を望む』

 

「っ」

 

それと共に聞こえた声、見てみると、そこには三日月を思わせる赤い目が俺を見つめていた。

 

その目の正体も

 

「お前はベリアルっ!?」

 

「ほぅ、俺の事を知っているか。

だからこそ、聞く、お前は何を望む」

 

そう、俺を試すように聞いてくる声に対して

 

「だったら、力を寄こせ」

 

「ほぅ、力を望むか、それはなぜ」

 

「そんな大それた事はない。

ただ、もしも、ムジナを助ける為に力が必要だと言うなら、俺は力が欲しい!」

 

「ふっ、まぁ良いだろう。

元々、貴様に渡すつもりだったからな」

 

「それって、どういう」

 

そう、俺が言い終える前にベリアルはその姿を消した。

 

「今のは一体」

 

そんな疑問に思っている間に、カプセルは開き、そこから現れたのは間違いなくジードライザーとウルトラカプセルだった。

 

「まさか本物」

 

俺は恐る恐る、それを手に取ると、おもちゃとは思えない質感があり、プラスチックではない確かな金属の感触があった。

 

そして、一緒に並んでいるウルトラカプセルだが、見るとジード本編で出ていないウルトラカプセルが見られる。

 

どの組み合わせが合っているかどうか分からないが・

 

そうしていると、遠くから何かが崩れる音が聞こえ、急いで見る。

 

そこには肩から2本の突起が突き出した亀のような、四足歩行の怪獣がおり、町を暴れていた。

 

そこは確かに俺のバイト先だった。

 

次第に怪獣と戦う為か、あのダイナゼノンだと思われる潜水艦や車が現れ、戦い始めている。

 

だが、数が揃っていないのか、劣勢の様子だった。

 

「何が起きているのか分からないし、これが動かせるかどうか、分からないけど、ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」

 

それと共に、俺はテレビで見たジードの動きを真似るように、ウルトラカプセルを起動させる。

 

「融合!」

 

それと共に俺が起動させたのはウルトラマンとティガの二人のウルトラマンの力を宿したウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオンのカプセル。

 

「アイゴー!」

 

オーブのカプセルを起動させ、スキャナーにカプセルを装填させた後、続いて作動させたのはウルトラマンの中でも特に人間達と深い絆で結ばれたウルトラマンメビウスのカプセル。

 

「ヒアウィーゴー!

繋ぐぜ、絆!!」

 

そうして、メビウスのカプセルを起動させ、そのままスキャナーに装填すると同時に、ジードライザーに二つのカプセルを読み込ませ、そのまま自身の胸元にライザーを構える。

 

『フュージョンライズ!

ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオン!ウルトラマンメビウス!

ウルトラマンジード!ブレイブチャレンジャー!】

 

その音声と共に、俺の全身は光に包まれ、その姿を変えていき、そのまま怪獣とダイナゼノンの前へと降り立つ。

 

-ガァッ!?

 

突然現れた俺に対して驚きを隠せない怪獣を余所に俺はふと、近くの川を見つめる。

 

そこに映し出されていたのは、ジードと同じく青く鋭い目だったが、身体はオーブスペシウムゼペリオンに近い印象だが、手足はメビウスに近く、左腕にはメビウスブレスが装着されていた。

 

『本当にジードになっているっ』

 

その事に驚きを隠せなかったが、そんな俺を待ってくれないのか、怪獣はドリルを回しながら、襲い掛かってくる。

 

その雄叫びを聞き、動揺していた俺の思考はそのまま怪獣に向く。

 

『とにかく、今はこいつをどうにかする!!』

 

その声と共に近づく怪獣の顔を掴み、押さえる。

 

『こいつっ力が強いっ、けど!!』

 

それと共に思い浮かんだのは、ウルトラマンオーブの戦い方だった。

 

それは一瞬だけだが、ティガのパワータイプ、スカイタイプの力を発揮する事ができる能力だ。

 

『はああぁぁ!!』

 

叫び声と共に、頭を掴んでいた怪獣をそのまま持ち上げ、そのまま地面へと叩きつける。

 

それによって、亀のようにひっくり返った状態になっており、手足を必死に動かしているが、身動きが取れない状態になっている。

 

-キエエェェ

 

悲鳴にも似た声が俺の耳元へと届くが、俺はすぐに押さえつけるように怪獣へと近づくが

 

-グオォォォ

 

『えっうわっと!?』

 

怪獣はなんとドリルを回転させると、自身を回転させて、俺に攻撃する。

 

その尻尾の攻撃を受けて、俺はそのまま吹き飛ばされ、一瞬だけ怯んだ。

 

『ぐっ』

 

それを見て、怪獣はそのままドリルを回転させながら、こちらに近づく。

 

既に立ち上がっても間に合わない程、近づいており、既に躱す事は

 

『えっ』

 

だが、怪獣の攻撃が当たる直前、怪獣が謎の爆発が起きた。

 

それは、俺よりも前に戦っていたダイナゼノン達だった。

 

『何が起きているのか分からないけど、助かった!!』

 

その言葉と共に立ち上がり、俺はそのまま構える。

 

『一気にとどめをさす!!』

 

腕に装着されているメビウスブレスに手を重ねる。

 

それと共に作られたのは、巨大な光のギロチンであり、それをメビウスブレス部分に重ねる。

 

『そっちかっ!!』

 

光線を出せるかと思っていたので、少し驚きを隠せなかったが、俺はそのままギロチンを怪獣に向ける。

 

『メビュームギガ光輪』

 

それと共に、俺が投げると、そのまま地面を切り裂きながら、怪獣を真っ二つに切り裂く。

 

『はぁはぁ、なんとかなったか』

 

俺はそれを確認すると共に、そのまま空へ向かって飛ぶ。

 

空へと飛ぶと同時に、俺の身体は光に変わり、そのまま俺はアパートに戻ってきた。

 

「まさか、本当にジードに変身できるとは」

 

そう、俺は疑問に思いながら、その手にあるジードライザーを見つめる。



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終わったら、戻って来て良い

「・・・本当にウルトラマンに変身したんだな」

 

俺はそう言いながら、未だに現実味のない感想を言いながら、腰にあるナックルに手を当てる。

 

あの変身の後、俺の手元にあったジードライザーはそのまま飛ばされた。

 

一瞬、なくなったのか疑問に思ったが、もう一度ナックルに手を当てると、再びジードライザーとウルトラカプセルが現れた。

 

どういう仕組みか分からないが、普段はベルトにナックルを装着していたら、意外と分かりにくい。

 

「にしても、結局、ダイナゼノンというの怪獣のも謎だらけだったし」

 

そう言いながら、俺は初めての戦いでの疲労もあって、そのままベットに倒れてしまった。

 

「けど、あの後、ムジナ?

なんというか、変な感じだったな」

 

俺はそんな疑問もあったが

 

「陸」

 

「んっ、どうしたんだ?」

 

その日、ムジナが突然話しかけたが

 

「明日、ここに行かない」

 

そう言いながら、ムジナが取り出したのはチケットだが

 

「このチケット、どうしたんだ?」

 

それは、最近になって開いた東京ピーチランドのチケットだった。

 

なぜ、そのチケットがあるのが疑問だが

 

「なんか知らないけど、仲間から貰った。

どう?」

 

「まぁ、別に良いよ」

 

そう返事をしたのは良いが、まさかムジナから誘ってくれるとは思っていなかった。

 

そうして次の日まで楽しみにしていたが

 

「・・・そういえば、水着ってあったけ?」

 

正直に言えば、水着など必要ないと思って、中学以来は買っていなかった。

 

「プールで適当に買えば良いか」

 

そう言いながら、次の日の日曜日。

 

ピーチランドへ行く前に近くのショッピングセンターで適当に水着を買った俺達はそのままピーチランドへと向かった。

 

「よぉ、ムジナぁ、来たか」

 

「誰?」

 

目的地である東京ピーチランドに行くと、そこにはムジナと同じように白い制服を着た赤いモヒカンの男の人がいた。

 

俺は思わずムジナへと目線を合わせると、凄く嫌そうな顔をした後、すぐに無表情へと変わり

 

「さぁ?」

 

「はぁ!!

お前、何巫山戯ているだっ!!」

 

モヒカンの人はすぐにこちらに詰め寄ってきた。

 

「いや、知らない訳ないだろ、お前!!」

 

そう言いながら、モヒカンの人はそのまま怒った表情で近づくが

 

「まったく、何をしているんですか」

 

そう、モヒカンの人に話しかけているのは眼鏡の人だった、

 

その人もまた白い制服を着ているようだったが、もしかしてムジナの知り合いか?

 

「おい、ムジナが変なことを言い出しているぞ、なんとか言え」

 

「何を言っているんですか、あなたは。

さっさとプールに行きますよ」

 

「はぁ!!」

 

眼鏡の人は呆れたように呟くと

 

「すいません、この人は少し馬鹿でして、ご迷惑をかけました」

 

「いえいえ、気にしないでください」

 

「それでは」

 

「おい、ちょ待ちやがれ!!」

 

そう、眼鏡の人とモヒカンの人はそのまま離れていった。

 

「知り合い?」

 

「・・・眼鏡の方は知り合い」

 

「そうなんだ」

 

どういう関係なのか分からないが、とりあえずあの人と関わらないように気をつけよう。

 

そうして、俺達はピーチランドへと、そのまま入場していった。

 

「にしても、あまり人はいないようだが」

 

まだ、6月という事もあって、あまり人はいないようだが

 

「まぁ、遊びやすくて良いかも」

 

「そうだっねぇっ!?」

 

俺はそう言いながら、ムジナの方を見ると、その格好は色々と刺激的だった。

 

紫色の水着だが、普段から見るのに困っている身体がこれまで以上に大胆に出ており、俺は思わず目を逸らしてしまう。

 

「それにしても、凄い。

5000年前には、こんなのなかった」

 

「まぁさすがに5000年前だとねぇ」

 

未だに言っている、5000年前という言葉に俺は思わず苦笑いする。

 

「とにかくい「おい、出たぞ」・・・」

 

「んっ?」

 

後ろを見ると、先程の赤いモヒカンの人がこちらに近づいていた。

 

それを見たムジナはすぐに無表情へと変わり、そのままモヒカンの元へと向かうと

 

「んっ、どうしぐはぁ!!」

 

「えぇ!?」

 

ムジナはそのままモヒカンの人の腹を殴った。

 

それも周りに見えないようにすぐに。

 

何が起きたのか分からない俺だったが、ムジナはそのまま俺の元へと来ると

 

「ごめん、少し用事ができた」

 

「用事って?」

 

「すぐに戻るから、場所取っておいて」

 

「んっ?」

 

そう俺は疑問に思っている間にムジナはそのまますぐにどこかへ行った。

 

「あっ先輩!!」

 

「あれ、ガウマさん?」

 

それと合わせるようにバイトの後輩であるガウマさんが、なぜか何人か連れていた。

 

「丁度良かった!

先輩、すいませんけど、俺達の鍵、預かっていてくれませんか!!

すぐに取りに来るので」

 

「ちょ」

 

そう言うとガウマさんはそのまますぐにその場を去って行った。

 

「嵐のような出来事だな。

んっ」

 

そうしていると、何か騒いでいるのが聞こえ、俺は気になって近くにあるテレビを見る。

 

そこには

 

「怪獣!?

たくっ」

 

俺はそう言うと、人があまりいない温泉エリアに行くと、そのままナックルに手を伸ばす。

 

同時に目の前にジードライザーとウルトラカプセルが現れ、俺はそのまま構える。

 

「融合!」

 

それと共に俺はウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオンのカプセルを起動させる。

 

「アイゴー!」

 

続いてウルトラマンメビウスのカプセルも起動させ、そのままスキャナーに装填する。

 

「ヒアウィーゴー!繋ぐぜ、絆!!」

 

ジードライザーに二つのカプセルを読み込ませ、そのまま自身の胸元にライザーを構える。

 

【フュージョンライズ!

ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオン!ウルトラマンメビウス!

ウルトラマンジード!ブレイブチャレンジャー!】

 

その音声が鳴り響くと同時に俺はウルトラマンジードへと変身すると、同時に怪獣の元へと飛んだ。

 

そこではダイナゼノンだと思われる飛行機が、戦っている怪獣に追われている場面だった。

 

『アタックスラッシャー!』

 

俺はすぐにダイナゼノンに向けて攻撃を放つ怪獣に向けて、光線を放つと、そのまま地面に降り立つ。

 

目の前にいる怪獣は、これまで以上に奇妙な怪獣であり、ゆるキャラのような怪獣だった。

 

『なんだ、この怪獣は』

 

そんな疑問に思っていると、後ろから何か聞こえ、振り返るとそこにはニュースでよく見る合体したダイナゼノンの姿があった。

 

「えぇっと、確かジードだよな!

よく分からないけど、一緒に戦おうぜ」

 

『ガウマさん!?』

 

なぜかダイナゼノンから聞こえたガウマさんの声に俺は一瞬、驚きを隠せなかった。

 

そうしている間にも、ゆるふわ怪獣はこちらに向かって突進してくる。

 

今から避ける時間がない以上、そう思いダイナゼノンを見ると頷く。

 

同時に突進してくるゆるふわ怪獣の突進を同時に受け止め

 

『おらぁ!!』

 

そのまま俺達は怪獣を後ろの方へと吹き飛ばす。

 

怪獣は悲鳴をあげながら、ビルに激突するが、なんとその皮の下には凶悪な表情を隠していた。

 

『なっ』

 

驚きを隠せず、そのまま怪獣はこちらに向かって巨大な口を開いて、襲い掛かる。

 

だが、同時に俺の懐にあるウルトラカプセルが光り輝いていた。

 

「これはもしかして、試してみるか」

 

それと同時に、俺はジードライザーを手に取る。

 

「融合!」

 

それと共に俺が起動させたのは大地と空の二つの力を使う事ができる地球のウルトラマン、ウルトラマンガイアのウルトラカプセル。

 

「アイゴー!」

 

そして、ガイアのカプセルの次に作動させたのは、数々のウルトラマンの変身アイテムを開発してきて、ジード本編でもアクロスマッシャーのウルトラカプセルの一つとして登場したウルトラマンヒカリのウルトラカプセル。

 

「ヒアウィーゴー!咲かすぜ、騎士道!」

 

その二つのカプセルを起動させ、そのままスキャナーに装填すると同時に、ジードライザーに二つのカプセルを読み込ませ、そのまま自身の胸元にライザーを構える。

 

【フュージョンライズ!

ウルトラマンガイア!ウルトラマンヒカリ!

ウルトラマンジード!フォトンナイト!!】

 

その音声と共に俺の姿は先程の赤を中心にしたブレイブチャレンジャーから一転、ガイアのスプリーム・ヴァージョンを思わせる身体にヒカリのもう一つの姿であるハンターナイトツルギを思わせる鎧を身につけ、マントが特徴的な姿へと変わる。

 

「姿が変わった!?」

 

その事にダイナゼノンは声を出すが、俺はそれよりも早く怪獣に向かって走る。

 

怪獣もそれに合わせて、口を開いて飲み込もうとするが、俺はその怪獣を踏み台にして、そのまま後ろへと回り込む。

 

『フォトンビームブレード』

 

俺の声と共に俺は左腕にあるナイトブレスを思わせる部分から青く輝く光の剣を作り出し、そのまま怪獣から生えている全ての触手を切り裂く。

 

その痛みに怪獣は叫ぶながら、真っ直ぐとこちらに向かって突撃してくる。

 

それに合わせて、俺はすぐにファトンビームブレードを剣の形から鞭を思わせる形へと変え、怪獣を縛る。

 

鞭へと変わったフォトンビームブレードで、そのまま怪獣を拘束する。

 

「ナイス!

こっちも決めるぜ!!」

 

同時に後ろではダイナゼノンの姿が大きく変わっており、その姿はまさにドラゴンを思わせる姿へと変わった。

 

「必焼大火炎レックスロアー!!」

 

それと共に拘束されている怪獣に向けて、ダイナゼノンはその炎を直撃させる。

 

炎を喰らい、さすがの怪獣もそのまま燃え尽き、その姿を消した。

 

それを確認すると共に、俺は既に限界時間という事で、そのまま姿を消し、元のプールへと戻った。

 

「ふぅ、なんとかなったか」

 

俺は先程までの出来事を思い出しながら、頭を抱える。

 

ムジナの事もそうだが、まさかダイナゼノンに乗っていたのがガウマさんだとは思わなかった。

 

「とりあえず、場所、取っておくか」

 

俺はそう言いながら、ムジナに言われた通り、場所取りを行う事にした。



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「それにしても、ムジナ、彼は一体誰なんですか?」

 

その日、ジードとダイナゼノンが怪獣を戦っている間、ムジナは怪獣同盟のメンバーと一緒にいた。

 

そのメンバーの一人であるジュウガはムジナと一緒にいた陸の事が気になり、質問した。

 

「一緒に住んでいる相手」

 

「という事は彼の家に一緒に?

だけど、どういった経緯で?」

 

5000年前、一緒に蘇った彼女がどういう考えを持って、青年の家に居候したのか気になり、ジュウガは聞くと

 

「数ヶ月前の怪獣、覚えている?」

 

「えぇ、まさか自爆するとは思いませんでしたよ。

誰も予想できませんでしたからね」

 

数ヶ月前に出現した怪獣、彼らはさっそく操ろうとしたが、戦う力もなく、すぐに自爆したのはジュウガも驚きを隠せなかった。

 

「その時、偶然通った道でたまたま陸を見つけた。

最初は放っておこうと思ったけど、なんか気になって、助けた。

そしたら、御礼をさせてくれって、言われたから一緒に住んでくれって頼んだ」

 

「また、なぜ?」

 

「家事、面倒」

 

「はぁ」

 

元々、子供っぽい性格なムジナから出た一言として、ジュウガは納得する。

 

同時に

 

「もしかして、彼の事が好きなんですか?」

 

「うん」

 

何気ない一言をムジナに尋ねた。

 

それに対して、ムジナは何の迷いもないように頷く。

 

「それから一緒に住んだ。

最初は特になんとも思わなかったけど、一緒にいる時間が長くなれば、なるほどどんどん好きになった」

 

「そうですか、確かに彼はとても人柄が良さそうだ」

 

それには納得するジュウガだが

 

「はぁ、あの男の前で変だと思ったら、そういう事かよ」

 

そんな会話を聞いていたのか、赤いモヒカン男でもあるオニジャは

 

「それで、もしもあの男が敵だったらどうするだぁ」

 

そう言いながらあ睨んだのは、ジードだった。

 

「あの訳の分からない巨人の正体が、さっきの奴だった場合、ムジナ、どうするつもりなんだ」

 

そう乱暴に聞いてくるオニジャに対して

 

「食べるよ」

 

「はぁ?」

 

ムジナの一言にオニジャは首を傾げる。

 

「敵で、全てが消えて無くなってしまうならば、陸の全てを私の中に取り込む。

思い出も、味も、全てを忘れないように。

生まれ変わっても、忘れない為に」

 

その言葉とその光のない目を見ると、オニジャは後ろへと下がる。

 

「それって、好きっていう事」

 

そう戦いを終えたシズムがムジナに聞くが

 

「好きでは足りない。

多分、愛かな?」

 

その一言だけ呟くとムジナは戦いを終えたのを確認すると同時に立ち上がり、そのまま去って行った。

 

「愛、よく分からないな」



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私自身の事だって、何も

「色々と聞きたい事があってな」

 

「俺にですか?」

 

そう言って、疑問に思ったのかガウマさんは首を傾げたが

 

「ダイナゼノンって、何なんだ?」

 

「なっなんで、先輩が、その事を!?」

 

俺が質問すると、驚きを隠せない様子のガウマさんだったが、俺はそのままライザーを呼び出し、見せる。

 

「まぁ、俺がジードだったからかな?」

 

「ジード?

ジード、ジードって、確かちせの奴が言っていた、あの巨人の名前がっ!

なんで先輩が」

 

「いや、それが、俺にも分からなくて」

 

そう言いながら、俺は以前起きた出来事について話した。

 

現実味のない話だと思いながらも、信用して貰う為にと思って

 

「空から降ってきて、それを掴んだら、なぜかジードに変身できたっと。

まぁ、奇妙と言ったら奇妙で信じられないが、やっぱり嘘じゃないよな」

 

「信じてくれるのか?」

 

「まぁな。

ですが、先輩が嘘をついているとは思えないし、本当だったら、頼もしいので」

 

「ガウマ君、ありがとう」

 

「けど、なんでそんな話を?」

 

「いや、その、俺もよく分からない内に戦っていたけど、結局怪獣って何なのか分からなくてな。

あいつらの目的もなんなのか。

だから、この前、ダイナゼノンからガウマさんの声が聞こえたから、確かめる為にもっと」

 

「あぁ、なるほど。

まぁ、俺が話せる範囲だけで良いんなら」

 

そう言い、ガウマさんは、それまでのダイナゼノンと怪獣の関係について話してくれた。

 

怪獣が世界を導く存在だと主張し、人類の敵と言われる怪獣優生思想。

 

そんな彼らが操る怪獣がなぜ現れるのか、その理由についても

 

「だから、すいません。

これからも頼らせて貰うかもしれませんが、力を貸して下さい」

 

そう言い、頭を下げる、ガウマさん。

 

話を聞いていても、決して悪い人ではない。

 

「あぁ、こちらこそ。

ただ、まぁ、俺も戦える時間は3分程度しかできないから」

 

「あぁ、それも同じなのか。

あいつの言っていた情報は当たりだったのか」

 

そう言いながら疑問に思ったように頷く。

 

「それじゃ、俺は家に帰るわ」

 

「えぇ、また今度」

 

それと共に、俺はバイトから家に向かって帰って行った。

 

「あぁ、思った以上に遅くなったか」

 

時計を見れば、既にムジナに言っていた帰る時間をとっくに過ぎていた。

 

これからの為とは言え、約束を破りそうだ。

 

「とにかく、お詫びを買わないと」

 

俺はそう言おうとした時、なぜか言葉が遮られた。

 

後ろから誰かが、首を締め付けられた。

 

「っ」

 

声を出す事ができず、驚く事しかできない。

 

「陸」

 

掠れる声で、ようやく確認でき、後ろを見れば、そこには傘もさしていないムジナさんが俺を抱き締めていた。

 

その腕は首を絞めるように、腕を回しており、なんとか見えたのも髪で顔が見えない。

 

「あんた、なんでガウマと一緒にいた。

バイト仲間だって、言っていたけど、なんでそんなに仲が良さそうだったの」

 

それは腹の底から冷えそうな声だった。

 

彼女が、なぜそのような声を出すのかも分からず、俺はただ聞く事しかできなかった。

 

「私はあんたがいないと、なんにも」

 

そう、声が聞こえた。

 

何を言ったら良いのか、正直に言うと分からないけど、俺ができる事は。

 

それと共に彼女の手を触れる。

 

「りくっ」

 

それに気づき、ムジナは手の力を緩める。

 

「ガウマさんとはただのバイト仲間だよ。

少し気になる事があって、聞いていただけだよ。

まぁあの職場では歳が近いからね」

 

俺はそう、彼女に言える範囲の事を伝える。

 

これまでの出来事、ガウマさんから聞いた話だけでも、ムジナが怪獣優先思想なのは分かりきっている。

 

それを止める為の説得の方法も、どうすれば良いのかなんて、今は分からない。

 

だけど

 

「俺は、ムジナの事が大切だから」

 

「大切」

 

「あぁ」

 

「誰よりも」

 

「まぁ、そうかも」

 

「なんで、そこで曖昧」

 

「俺も分からない。

けど、大切なのは本当」

 

その言葉を聞く度にムジナが締め付ける力は徐々に弱くなっていく。

 

「あいつの言っていた事、少し分かるかも」

 

「ムジッ」

 

何を言おうとしたのか、分からなかった。

 

ただ、俺はそのまま振り返ろうとしたら、今度は壁際まで押される。

 

そして、両手で逃げ場を無くしたムジナはそのまま

 

「だから、逃がさない」

 

「えっと、逃がさないって、どういう事ですか」

 

俺がそう言うと、そのままムジナは俺に顔を近づけさせ、そのままキスをしてくる。

 

頭が追いつかない俺に対して、ムジナはそのまま何度も求めるようにキスを続ける。

 

酸素を奪われながら、舌を絡ませ、何度も角度を変えながら、キスを行った。

 

それに対して俺はムジナの肩に手を置き

 

「むじな」

 

「悪い、だけどもう「いや、その」んっ」

 

ムジナはすぐに表情が見えた。

 

こちらを睨み付けるように、既に止まるつもりはない様子だった。

 

だけど

 

「そういうのは家でやらないか。

さすがに、その、この場で続けるのは」

 

「・・・それって、家だったら、良いって言う事」

 

「あぁ」

 

俺自身も恥ずかしくなって、顔を逸らす。

 

こんな事、生まれて初めてだから。

 

「そう、それだったら、早く家に帰ろう。

いつものように」

 

その言葉と共にムジナは俺の手を掴むと、歩き出す。

 

少し早足で、俺達は家に帰っていった。

 



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これ、どうしたら良い?

「朝か」

 

俺はゆっくりと目を覚ます。

 

昨日行った出来事。

 

それを思い出すと、俺は自然と顔を赤くさせながら、自身の格好を見た。

 

明らかに事後だと思われる乱れたベット、その上には未だに裸で寝ているムジナ。

 

それらを見るだけで、昨夜何が起きたのは明白だった。

 

「はぁ、とりあえず、洗濯しよう」

 

そう言いながら、俺は昨日放っていた洗濯物を取ると、何か硬い感触があった。

 

「んっ、これって」

 

俺は何が落ちていたのか、確認すると何か車のような何かだが

 

「あれ?

これって、ダイナゼノンのパーツ?」

 

疑問に思いながら

 

「陸」

 

「んっ、ムジナ」

 

後ろから声をかけられ、振り返ると、そこにはムジナがいた。

 

「それ、どこにあった」

 

「あぁ、さっき落ちていたけど、ムジナの?」

 

俺は、言い出せず、質問する。

 

これが彼女のではないのは明白なのに

 

「・・・昨日、落ちていたのを拾った。

たぶん、ガウマの持ち物だと思うから、返しておいて」

 

「ムジナ?」

 

そう言ったムジナの表情はどこか暗かった。

 

同時に彼女は

 

「陸の前だけは」

 

そう言った彼女の一言に俺はそのまま言い出せなかった。

 

何がどう間違っているのか、正直分からないけど。

 

「分かった。

ガウマさんに渡しとくよ、ありがとうムジナ」

 

そう言い、俺は洗濯物を入れ、そのまま朝ご飯を作る準備をする。

 

「陸」

 

「んっ」

 

「服、着たら」

 

「あっ、そうだな」

 

思わず流れで話をしていたが、俺達は未だに裸のままだった。

 

そうして、俺は着替え、ムジナは出掛け、ガウマさんを探していた。

 

「無くしただぁ!!」

 

「んっ、この声って、ガウマさん?」

 

俺は気になり、その場所へと向かった。

 

そこは河川敷だったのか、ガウマさんと、見たことのないジャージの子と小柄の子だった。

 

「お~い、ガウマさん」

 

「あぁ、って先輩、なんでここに?」

 

「誰?」

 

小さい子も思わず疑問に思ったのか、首を傾げていたが

 

「これ、落とし物だって」

 

「って、ダイナストライカー!?

マジですか」

 

「まぁ、昨日の帰り道で」

 

そう俺は思わず空笑いするが

 

「はぁ、良かったわ、マジで。

あいつらが盗んでいたら、やばかったわ」

 

「あの、ガウマさん、彼は一体?」

 

「えっあぁ、そうだった。

一応紹介しないとな。

この人は俺のバイト先の朝倉陸さんだ」

 

「朝倉陸!?

えぇ、ウルトラマンジードの主人公と一緒の名前じゃないですか!?」

 

「マジでっ!!

というか、なんでダイナストライカーが、ガウマさんのだって?」

 

「うおっと、そういえばそうだったな。

一応、先輩はまぁ、今後の戦いでも助っ人になってくれるからな」

 

「助っ人って、えっもしかして」

 

「あっあぁ、一応、俺、ウルトラマンジードです」

 

「「・・・えぇ!!!」」

 

「お前ら、五月蠅いぞ」

 

「いやいや、それは驚きますよ!!」

 

「まぁとにかく、今後は絶対に無くすなよ」

 

「はい、肝に銘じておきます」

 

そう言い、落ち込んでいる様子だった。

 

「んっ」

 

そう、話していると、何か嫌な気配を感じた。

 

「なんだ」

 

「どうしたんだ」

 

「なんか、嫌な予感がする」

 

「嫌な予感?」

 

俺はそう言いながら、真っ直ぐと、見つめる。

 

それと共に見つめた先に突然雷が降り注ぎ、同時に現れたのは怪獣。

 

その見た目は俺には見覚えがあった。

 

頭はゴモラ、胴体はベムスターを思わせる腹部が特徴的で、背中は大きく開いた翼を見て、まるでドラゴンを思わせる怪獣がその場にいた。

 

「なんだっ、こいつはっ」

 

「あれって、見た目的には」

 

「ベリアル融合獣?」

 

その存在に後ろにいた二人も同じ結論が出た。

 

「今、ダイナゼノンは」

 

「いや、今は他の二人がいないから」

 

「分かった、だったら、俺がなんとかする」

 

「えっ陸さん!」

 

後ろから聞こえる声を無視し、俺はそのままジードライザーを呼び出し、構える。

 

「ヒアウィーゴー!繋ぐぜ、絆!!」

 

【フュージョンライズ!

ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオン!ウルトラマンメビウス!

ウルトラマンジード!ブレイブチャレンジャー!】

 

その音声と共に、俺はすぐにウルトラマンジードへと変身し、ガウマさん達に迫るベリアル融合獣を蹴り飛ばす。

 

『お前は一体っ』

 

『どうやら、誘いには乗ったようだな』

 

『っ、その声はっ』

 

俺はベリアル融合獣を睨みながら、叫ぶ。それに答えるように脳内に響いた声には俺は聞き覚えがあった。

 

『極悪のヴィラニアスっ』

 

それは、ウルトラマンベリアルの配下であるダークネスファイブの一人であるテンペラ-星人の声に似ていた。

 

『なるほど、平行世界とは言え、俺の名を知っているようだな』

 

『だったら、それは』

 

『あぁ、お前が予想している通り。

これこそ、ベリアル様の遺産、ジードライザー。

そしてこの姿はゴモラとタイラントでフュージョンライズした姿、ストロング・ゴモラント』

 

その答えを聞き、俺は冷や汗を垂らす。

 

『まさかこの星に流れ落ちた実験品であるジードライザーとウルトラカプセル、そしてベリアル様の遺伝子に適合した奴があるとはな』

 

『それじゃ、あの時刺されたのは、ベリアル因子』

 

ウルトラマンジードで倒された後にも、ベリアルの力は遺伝子レベルで厄介な事は描写されており、そこからニセウルトラマンベリアルやベリアル融合獣が生まれたのは知っていたが、まさか本当に関係していたとは。

 

『まぁ、実験には丁度良い。

このストロング・ゴモラントの力の実験をさせて貰う!!』

 

ヴィラニアスの言葉に合わせるようにストロング・ゴモラントは雄叫びを上げながら、襲い掛かる。

 

俺はそれに対抗するようにストロング・ゴモラントに突撃する。

 

だが、その力は大きな差があり、俺はそのまま吹き飛ばされる。

 

『ぐっ』

 

地面に倒された事で、少し動きが止まっている間に、ストロング・ゴモラントはそのままこちらに向けて、尻尾を向ける。

 

同時にまるで尻尾は意志を持ったように、俺に向かって襲い掛かる。

 

『うわっとっ!!』

 

すぐに地面を転がりながら、避けるが、尻尾はそのまま俺を執着に襲い掛かる。

 

その動きはまるでEXゴモラの攻撃を思わせる動きで、少しでも油断すれば、瞬く間に串刺しになる。

 

『はぁ!!』

 

それに対抗するように、俺は右腕を振り上げると同時にメビュームブレードを作り出し、その剣を切り払う。

 

ストロング・ゴモラントはそれでも攻撃の手を止めず、執着に襲い掛かる。

 

『ぐっ』

 

これまでとは違い、俺と相手の使うウルトラカプセル同士ならば、確実にこちらの方が上だ。

 

それでも、使い手としては、これまで戦ったのは2回のみの俺とジャン兄弟の二人のミサイルを切り払い、確かな実力のある極悪のヴィラニアスと比べればその力量が大きく開くのは当たり前だ。

 

『この程度か。

だったら、ハイパァ』

 

そうストロング・ゴモラントが次の攻撃を放とうとした瞬間、ストロング・ゴモラントに向けて、ミサイルが襲い掛かる。

 

俺はその方向を見れば、ガウマさんが乗っているダイナダイバー、そして同じく先程一緒にいた人が乗っていると思われるダイナストライカーがストロング・ゴモラントに攻撃を仕掛けていた。

 

『おい、大丈夫かっ』

 

俺はそれに対して、頷くが、どう戦う。

 

下手な攻撃は行えない。

 

けど

 

『俺はウルトラマンだ。

例え、これが貰い物だろうと、なんだろう戦ってやる』

 

『調子に乗るなよ、小僧!』

 

その言葉と共にストロング・ゴモラントの角が光り輝き、俺の身体に大きな負荷がかかる。

 

その中でも、俺はメビウスブレスに手を翳し、そのまま手を大きく右腕を上に、左腕を横にそれぞれ伸ばすことでL字を描き、そのエネルギーを溜める。

 

そこにはメビウスを象徴とする∞のエネルギーが貯まり、両腕を十字に組む。

 

その攻撃を真っ直ぐと、ストロング・ゴモラントに向ける。

 

『その程度の攻撃は』

 

そう言い、ストロング・ゴモラントが大きく身体を広げる。

 

正直に言うと、このまま必殺技を放ったら、確実にベムラーの腹部に光線が吸収されてしまう。

 

だが、その背中は大きく爆発する。

 

『なぁっ』

 

それは、後ろにいたガウマさんが行ったミサイル攻撃によってできた爆発。

 

それを受け、ストロング・ゴモラントは俺とは反対方向を向く。

 

『今だっスペリオンシュート!!』

 

その言葉と共にストロング・ゴモラントに当たる。

 

『ちっ、覚えてろ』

 

その言葉と共にストロング・ゴモラントはそのまま爆風の中に消えていった。

 

『やったのかっ?』

 

『・・・』

 

倒せたとは思えない。

 

だけど、なんとか退かせる事はできた。

 

周りを確認しても、ヴィラニアスの気配はない。

 

『ふぅ』

 

俺はそれを確認すると、そのまま空へと飛んでいき、その姿を消した。

 

「おい、無事だったか」

 

そう言いながら、俺は地上へと降り立つと、ガウマさん達がいた所に合流した。

 

「なぁ、さっきのベリアル融合獣って、一体」

 

「べっなんだ、それ?」

 

「あぁ、そういえば言っていなかったわ。

ベリアル融合獣ってのは、陸さんが変身しているウルトラマンジードの敵で、あれ、そういえばなんで出てきたんだ?」

 

「さぁな。

ただ、どうやら思った以上に厄介な事になった。

まさかダークネスファイブが実在していたとはな」

 

「はぁ、あんな奴らが、本当にいるのか」

 

「だから、さっきからなんの話をしているんだよ!?」

 

事情を知っている俺達は共通した情報で意見を言い合う。

 

「だから、どういう意味なんだ?」

 

その中で、ガウマさんだけ話を置いて行ってしまう。




今回の話で登場したベリアル融合獣の他に登場して欲しいベリアル融合獣を募集しています。
皆様の応募、お待ちしています。
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重ねる面影

「はぁ、これから、どうなるのか」

 

そう言いながら、俺は部屋の中でウルトラマンジードを見ていた。

 

それは、隣で一緒に見ているムジナも一緒だった。

 

「ムジナが、こんなにウルトラマンを見るとは」

 

「ベリアル融合獣が実際に出たから、興味が出たから」

 

そう言いながら、ムジナはスカルゴモラが暴れているシーンを睨みながら言う。

 

「陸、ベリアル融合獣ってのは、一応は変身者がいるんだよね」

 

「まぁ、劇中設定だとな」

 

だが、今回出てきたのはダークネスファイブだった。

 

ウルトラマン本編でもマルチバースについては語られていたので、こうして見ているウルトラマンジード自体も、こことは別の平行世界で実際に起きた出来事かもしれない。

 

そして、考えてみれば、劇中ではベリアルに忠誠を誓っていたはずのダークネスファイブの存在が消えていた。

 

それは、未だに謎が多いがもしかして

 

「実験の為に?」

 

俺はそのまま言うが

 

「実験って、何のこと」

 

ムジナはそのまま俺へと詰め寄る。

 

「えっ、どっどうしたの」

 

「さっき、陸が呟いた言葉。

実験って、どういう事」

 

そう言いながら、ムジナは俺に詰め寄ってくる。

 

「いや、なんていうか。

もしかしたら、ベリアル融合獣のような奴を生み出す宇宙人がここに来ていたりしてるかなぁなんて」

 

「・・・」

 

そう俺は、どう答えたら良いのか分からず、呟く。

 

その言葉に対して、ムジナはそのまま何も言わず、俺を抱き締める。

 

「むっムジナ!?」

 

「宇宙人だろうとなんだろうと関係ない。

余所から来た奴らに、陸は奪わせない」

 

「ちょっ」

 

そのままムジナは人間が出せる力を遙かに超えて、俺を抱き締める。

 

締め付けられ、俺は苦しみ出すと

 

「っ、ごめん」

 

それに気づいたムジナはそのまま離れる。

 

「ははっ、大丈夫だよ。

それにムジナもそんなに心配しなくても大丈夫だから」

 

「そうだね。

大丈夫、陸は死なないから」

 

そう俺は必死に笑っていると、ムジナは真っ直ぐと俺を見つめながら

 

「私が守るから」

 

「むっムジナさん」

 

その言葉と共に、俺に近づくムジナ。

 

「あの、俺、明日も仕事があるけど」

 

「だったら、早くやろう」

 

そう、俺の言葉を聞くと、既にムジナは止まるつもりはなく、そのまま俺は彼女に押し倒され、0時頃まで行う事になった。

 

そして、翌日

 

「えっと、それで、そのこの人がウルトラマンジードなんですか」

 

「おぉ、俺のバイト先の先輩でもある朝倉陸だ」

 

俺はガウマさんに呼ばれて、そのまま紹介された。

 

聞けば、残りのダイナゼノンのパーツを持っている二人らしく、麻中蓬君と南夢芽さんらしい。

 

「んっ、南?」

 

「どうかしました?」

 

「いや、なんでもない、気のせいだと思う」

 

どこか聞いた事がある名前だと思ったが、俺はそのまま頭を傾げる。

 

「んっ、もしかして知り合いか?」

 

「いや、知り合いじゃないと思うけど、なんだろう、どっかで聞いた事があるような?」

 

「えっと、もしかして、陸さんって、フジヨキ台高校出身ですか」

 

「えっ、よく分かったな」

 

卒業して、両親は引っ越していったが、俺はこっちで大学を通う事もあって、アパートへと引っ越した。

 

元々は実家暮らしだったが、せっかくこちらの大学に通っていたので、一番安かったアパートに引っ越したが

 

「あの、南香乃さんって、知りませんかっ」

 

「南香乃?

それって」

 

同時に俺は思い出したのは。

 

「っ」

 

だが、それを思い浮かぶと共に、後ろから爆音が聞こえた。

 

その方向を見る。

 

「あれはベリアル融合獣っ」

 

「こんな時にっ」

 

俺はそのままジードライザーを取り出す。

 

「えぇ、そんな便利な機能なの!」

 

「まぁ、そこは気にしない」

 

それと共に彼女を見ると共に脳裏に思い出すのは、あの後輩の姿だった。

 

「融合!」

 

それと共に俺はウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオンのカプセルを起動させる。

 

「アイゴー!」

 

続いてウルトラマンメビウスのカプセルも起動させ、そのままスキャナーに装填する。

 

「ヒアウィーゴー!繋ぐぜ、絆!!」

 

ジードライザーに二つのカプセルを読み込ませ、そのまま自身の胸元にライザーを構える。

 

【フュージョンライズ!

ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオン!ウルトラマンメビウス!

ウルトラマンジード!ブレイブチャレンジャー!】

 

その音声が鳴り響くと同時に俺はウルトラマンジードへと変身すると、同時に怪獣の元へと飛んだ。

 

「本当にウルトラマンに変身した」

 

「おい、俺達も行くぞ!!」

 

「あっはい!」

 

同時に後ろから聞こえてきた声と共にダイナゼノンが出てきた事に気づく。

 

『やっと来たぜ』

 

そう言いながら、先程まで暴れていたベリアル融合獣は俺を見つめると共にこちらを見つめる。

 

『お前もダークネスファイブなのか』

 

『そう、俺は氷結のグロッケン!

そして、この姿はアイスファイアエヴォ!!』

 

『なるほど、確かに厄介だ』

 

僅かに見ただけでも分かりやすい特徴としては、怪獣らしい2足歩行型だが、身体の各部に、何よりも特徴的なのが、両手の巨大な鋏。

 

そして、名前から想像するに

 

『ラゴラスエヴォとレイキュバス』

 

炎と氷を使い分ける強力な怪獣として有名で、ウルトラマンを追い詰めた事のある怪獣だ。

 

だとすれば油断はできない。

 

『さぁ行くぜ!』

 

その言葉と共にグロッケンは口から次々と氷の弾丸を放っていく。

 

氷の息での攻撃を思っていた俺は驚きを隠せなかったが、俺はすぐに腕で振り払うように弾丸を叩き落とす。

 

『ぐっ』

 

腕に痛みが走るが、あのまま氷の弾丸が町に降り注げば、それこそ、町の被害は大きい、

 

咄嗟に行った行動だったが、俺はすぐにメビウスブレスに光を集め、腕を光で包み込み、すぐに氷の弾丸を振り払う。

 

『まだまだぁ』

 

『てめぇの好きにはさせねぇよ!!』

 

その雄叫びと共に俺を通り過ぎたのは無数のミサイルだった。

 

振り返れば、そこには合体したダイナゼノンが脚からミサイルを放っている姿だった。

 

『さぁ行きますよ』

 

『あぁ!』

 

『えっと、こっちの声って、伝わっているのかな?』

 

『向こうの声は分からないけど』

 

どうやら、こちらは声が分かるが、向こうにはウルトラマン特有の声に変換されているようだ。

 

それでも、今は頼もしい。

 

『ちっ、邪魔なロボットだなぁ!

今度は火炙りにしてやる!!』

 

そう言うと、グロッケンはそのまま放たれたのは炎の息だった。

 

すぐに俺はメビウスブレスで作り出した光の壁で、その攻撃を受け止める。

 

『陸さん!!』

 

『行け!!』

 

俺の方から声は届かないとしても、ダイナゼノンは

 

『なんとかビーム』『あぁペネトレーターガン』

 

そう、南さんが言った言葉をガウマさんが訂正した後、両肩に備えられたキャノン砲から光線を放つ。

 

『ぐわぁ』

 

『今だぁ!!』

 

『ダイナセイバー!』

 

同時に俺はメビウスブレスからメビュームブレードを、ダイナゼノンも手のひらにある赤いパーツから緑色の光の刃を展開し、同時にグロッケンへと向かう。

 

『てめぇら、やってくれたなぁ!!』

 

それと共にグロッケンは接近した俺達に対して、腕にある鋏で反撃する。

 

元々レイキュバスの鋏という事もあって、俺のメビュームブレードも、ダイナゼノンのダイナセイバーも傷付けられない。

 

『これでも喰らえぇ!!』

 

『一体っ何をっ』

 

そう思っていると、奴が氷の息を吐いた次の瞬間、ダイナゼノンの一部が爆発した。

 

『なっ』

 

『喰らえ!!』

 

『うわぁ!!』

 

その爆発に動揺している間にグラッケンが俺達を吹き飛ばした。

 

『今っ何が起きやがったっ』

 

そうガウマさんが叫んでいたが、見ればダイナゼノンの爆発した部分を見る。

 

『爆発?

そんな能力、ラゴラスエヴォとレイキュバスも『水蒸気爆発』えっ?』

 

そう疑問に思っていると暦さんが何かに気づいたように呟く。

 

『どっかで聞いた事がある。

確か、ドロドロに熔けた金属のような高温の物質と水などのような低温の物質に当たったら爆発するって』

 

『まさか、ダイナゼノンの溶けたパーツを狙って』

 

だとすれば、下手にダイナゼノンを近づけさせたら、危険だ。

 

『だったら、試すしかないな』

 

俺はそう言い、二つのカプセルを取り出す。

 

『融合!』

 

一つ目のカプセルは超古代から蘇った巨人であり、平成でウルトラマンを蘇らせた存在でもあるウルトラマンティガ。

 

「アイゴー!」

 

続いて起動させたのは、ウルトラマンダイナミラクルタイプとウルトラマンコスモスルナモードの二つの能力を備えた超能力戦士ルナミラクルゼロ。

 

その二つのカプセルを装填し

 

「ヒアウィーゴー!繋ぐぜ、絆!!」

 

ジードライザーに二つのカプセルを読み込ませ、そのまま自身の胸元にライザーを構える。

 

「挑むぜ、神秘!」

 

【フュージョンライズ!

ウルトラマンティガ!ウルトラマンゼロルナミラクルゼロ!

ウルトラマンジード!ムゲングロッサー!!】

 

その言葉と共に俺の身体は紫と青を中心にした身体へと代わり、頭部はゼロスラッガーの意匠がある。右胸部はティガのアーマー状で左腕から左胸部は機械化されている。

 

『姿が変わった所で』

 

その言葉と共にグロッケンは、俺に向けて炎の息を吐いて、襲い掛かる。

 

だが、この姿になった俺ならばと思い、俺はその炎の息に向けて手を翳す。

 

それと共に炎の息は俺の手の中に集め、そのままグロッケンに向けて跳ね返した。

 

『ぐわぁっ』

 

『やっぱり、この姿は』

 

先程のルナミラクルゼロはウルトラマンゼロがコスモスのルナモードとダイナのミラクルタイプの力が使える姿だ。

 

だからこそ、ダイナのレボリウムウェーブが使えると思い、試してみたら、上手くいった。

 

『舐めるなよっ小僧!』

 

そう言いグロッケンは鋏を大きく開きながら、襲い掛かる。

 

俺はすぐに両手を構えると、頭にあったゼロスラッガーだと思われる武器が宙を舞いながら、その手に収まると、そこにはスパークレンスにゼロツインソードをつけたような武器があった。

 

『これはっ、よく分からないが』

 

そう言い、俺はそのまま手に持った武器を構え、襲い掛かるグロッケンと対抗する。

 

先程まで圧倒的な攻撃力を誇っていた奴の鋏だが、手に持った剣の切れ味は鋭く、身体がこれまで以上に身軽になった事もあり、攻撃をそのまま受け流す。

 

『ぐっ』

 

『これで一気にとどめだ!』

 

その言葉と共に剣に自身のエネルギーを込め、そのまま宙に浮かばせる。

 

『ツインソード斬!』

 

その言葉と共に剣は無数に分裂し、そのままグロッケンに向けて放つ。

 

グロッケンはそのまま攻撃を受けていき、最後に俺は手元に戻った剣をそのまま振り上げ、とどめを刺した。

 

『倒せたの』

 

『いや、まだだ』

 

俺はそう言いながら、周りを見る。

 

だが、やはりグロッケンの姿はなかった。

 

それでも、なんとか今回の戦いは終わらせる事ができた。

 

『それにしても、あれからもう5年になるのか』

 

そう言いながら、俺の脳裏に思い浮かべた彼女。

 

そして、ムジナ。

 

「なんで、重ねるんだろうな」

 

俺はそう言いながら、拳を強く握り締める。



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謎の巨人

「ねぇ、陸」

 

「んっ」

 

俺はその日、未だにベリアル融合獣との戦いの疲れが取れない中で、ムジナと一緒に部屋で過ごしていた。

 

「もしも、私がこの世界を滅ぼす存在だとしたら、陸はどうする?」

 

「いきなり、何の話だ?」

 

いきなりの事で俺は思わず首を傾げる。

 

「もしもの話だよ」

 

「もしもか」

 

俺はそれに対して

 

「まぁ、ムジナごと、世界を救うかな」

 

「何それ」

 

「その言葉のままの意味だよ。

ムジナが世界を滅ぼすんだったら、そんなの関係なく、全部救うよ」

 

「意味が分からないし、現実的じゃないよ」

 

「そんなの分かっているよ。

けど、もしもだろ?

だったら、俺はそんなもしもの方法を必死に考えるだけだから」

 

そう、もしもウルトラマンの力が作り物でも、それを越えてみせる。

 

「そう、だったら、少し期待しておく」

 

「ムジナ?」

 

「出掛けてくる」

 

その言葉と共に、ムジナはそのままドアで、外へと出て行く。

 

「・・・」

 

俺はそのままムジナがいなくなったのを確認すると、そのままウルトラカプセルを取り出す。

 

「今の所、持っているウルトラカプセルは9個。

だけど、1個は空白のまま」

 

この世界にリトルスターがない以上、このカプセルを起動させる方法は分からない。

 

「だったら、これは一体何なんだ?」

 

そう思っていた時だった。

 

「んっ、これは暦さんからの?」

 

俺はスマホを取り出すと、そこには怪獣が出た事の知らせだった。

 

「ジーッとしててもドーにもならねぇ」

 

俺はそう叫ぶと、そのままジードライザーを取り出す。

 

「融合!」

 

それと共に俺はウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオンのカプセルを起動させる。

 

「アイゴー!」

 

続いてウルトラマンメビウスのカプセルも起動させ、そのままスキャナーに装填する。

 

「ヒアウィーゴー!繋ぐぜ、絆!!」

 

ジードライザーに二つのカプセルを読み込ませ、そのまま自身の胸元にライザーを構える。

 

【フュージョンライズ!

ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオン!ウルトラマンメビウス!

ウルトラマンジード!ブレイブチャレンジャー!】

 

そのまま俺はウルトラマンジードへと変身すると同時にダイナゼノンと一緒に目の前にいる巨大な四足歩行の怪獣に目を向ける。

 

『行くぜ、先輩!!』

 

『あぁ』

 

そのまま地上へと辿り着くとダイナゼノンはそのまま真っ直ぐと怪獣に向かって走り出して、そのまま怪獣へと突撃する。

 

だが、怪獣はそのまま叫びながら、ダイナゼノンを吹き飛ばす。

 

そして、怪獣はそのまま吹き飛ばされたダイナゼノンに向けて、光の粒子を周りに展開する。

 

『なっこれはっぐっ!!』

 

怪獣の力の影響もあって、そのまま地面へと沈ませる。

 

『皆っ、ぐっ』【フュージョンライズ!ウルトラマンジード!フォトンナイト】

 

俺はすぐに近接戦闘が最も得意となるフォトンナイトへと変わり、そのまま怪獣に向けて剣を振り上げる。

 

剣に斬られた怪獣はそのまま怯んだのか、ダイナゼノンは能力から解放される。

 

『よしっ、今の内にっ』

 

そう俺も怪獣への戦闘を再開させようとしたが、俺の肩に強烈な痛みが襲い掛かった。

 

『がっぐぅ!!』

 

それは肩が怪獣に噛まれていた。

 

『先輩っおい、一気にやるぞ!!』

 

『っはい!!』

 

その言葉と共にダイナゼノンの姿は人型からドラゴン型へと変形する。

 

『合体強竜ダイナレックス!!』

 

ダイナレックスへと変形した彼らはそのまま俺の肩を噛んでいる怪獣に向けて、次々とレーザーを放ち、接近する。

 

だが、それらのビームに対して、怪獣は自身で放ったレーザーで反撃し、圧倒し窮地に追い込み、遂には半壊状態に追い詰めた。

 

『皆っ!!』

 

そうしている間にも、俺の肩から力が抜けるような感覚がずっと襲われる。

 

「陸?」

 

それと共に聞こえたのはムジナの声。

 

見つめると、そこには丁度怪獣を操っていると思われるムジナと目が合わさった。

 

だが、そんな俺達を余所に、上から突如として空から紫の装甲を纏った巨人が降り立った。

 

『えっ、ウルトラマン?

いや、違う、誰だ?』

 

そう俺が疑問に思っている間、ウルトラマンによく似た巨人はそのまま噛んでいる怪獣に向かって、飛び蹴りを放った。

 

『ぐっ』

 

『無事か、ウルトラマン』

 

肩から感じる痛みで肩を押さえていると、なんと紫色の巨人が話しかけてきた。

 

『あなたは』

 

『俺はグリッドナイト。

この世界を守る為に来た』

 

『グリッドナイトって、何?』

 

俺は思わず言ってしまったが、そうしている間にも、怪獣は再び動き始めた。

 

『話は後だ。

今は奴を止める』

 

『っあぁ、そうだな』

 

グリッドナイトの言葉に賛同するように立ち上がり、そのまま俺はマントを翻しながら、構える。

 

それと同時に怪獣は一気にビームを放ち、襲い掛かってくる。

 

だが、俺はマントを身に纏ったまま、真っ直ぐと怪獣へと向かって行き、それに対して、グリッドナイトは身軽な動きで、次々とビームを避けていく。

 

俺はそのまま一気に接近すると同時に

 

『フォトンビームブレード!』

 

俺はそのまま怪獣を真っ二つに斬るように振り上げる。

 

それに怯んだ怪獣に対して、グリッドナイトはそのまま蹴り上げ、そのまま構える。

 

『合わせろ!』

 

『あぁ!』

 

その言葉と共に俺はグリッドナイトに合わせるようにガイアのクァンタムストリームとヒカリのナイトシュートのものを合わせたような溜めポーズを取る。

 

『ナイトストリーム』

 

『グリッドナイトストーム』

 

それと共に俺達の光線を合わせて、怪獣に放つ。

 

その光線を受け、怪獣は後ろへと大きく退いた。

 

『一気にとどめを刺すぞ!!』

 

そう言い、俺達が向かおうとした瞬間、怪獣の身体から大きく光り始める。

 

『はぁはぁ、なんとかなったか』

 

『さて』

 

『んっ』

 

 

一端、息を落ち着かせていると、グリッドナイトはそのままダイナゼノンへと向かって行く。

 

『グリッドナイト?』

 

『はぁ!!』

 

『っ!!』

 

なんと、グリッドナイトはそのままダイナゼノンに攻撃を仕掛けた。

 

『なにをしているんだ!!』

 

『怪獣は倒さなければならない。

お前もその為になったのだろう』

 

『それはそうだけど!

この人達は違うんだ!!』

 

『人だと?』

 

俺の言葉に疑問に思ったのかダイナゼノンを見つめるが

 

『そういう事かよ!!』

 

『待ってくれ、ガウマさん!!』

 

そう言い、ダイナゼノンの行く手を阻むように前に出る。

 

『先輩っ、そいつは敵じゃないのか!!』

 

『違うっ、ただ勘違いなんだ』

 

俺は言葉が伝わらないと分かり、首を横に振る。

 

『・・・エネルギー切れだ。

ウルトラマン、お前には後で話がある』

 

『グリッドナイトっ』

 

そうしている間にも、俺自身も既にカラータイマーが鳴っていた事に気づいており、身体は崩れ落ちるように倒れる。

 

「はぁはぁはぁ」

 

変身が解け、倒れた俺はそのままゆっくりと壁に持たれる。

 

「このままっ」

 

そうして、ダメージの限界を迎えたように、俺はゆっくりと目を閉じる。



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並行同位体

「んっ」

 

「おっ目覚めたか!」

 

俺がゆっくりと目を開けると、そこはどこかのベンチなのか、硬い感触に俺はそのままゆっくりと起き上がる。

 

「んっ、あれ、怪我は」

 

「いや、それがなぁ」

 

それと共に、俺の肩の方を見る。

 

俺も肩の方を見ると、包帯が巻かれてり、その包帯は既に取れており、そこには血の跡があったが、俺の肩には怪我の跡はなかった。

 

「えっ、もしかして」

 

「あぁ、寝ている間に治った」

 

その言葉にさすがに俺は信じられず、肩を触る。

 

あの怪獣との戦いで明らかに怪我をしていたはずの部位が、今では怪我が全くない状態で、触れても、痛みは全くない。

 

「これがウルトラマンの力の影響か?」

 

そう、俺は人間では無くなっているのか、という恐怖があった。

 

「ようやく起きたか」

 

「っ」

 

聞こえてきた声、その方向を見ると、見覚えのないスーツの男と女の二人がいた。

 

「お前達があの怪獣と、そっちにいる奴がウルトラマンか」

 

「えっと、もしかして、グリッドナイト?」

 

「グリッドナイトって、もしかしてあの時の巨人か!」

 

「なんで、名前を」

 

「いや、なんかあの時、話す事ができたから」

 

「話せたって、えっ、もしかしてウルトラマン同士みたいな感じで?」

 

そう言っている間にも、会話は続いていく中で

 

「まぁ良い。

本題はこれからだ。

なぜ、ウルトラマンジードがこの世界にいる」

 

「それって、やっぱり本物は別の世界にいるという事ですよね」

 

なんとなく分かっていたが、グリッドナイトことナイトさんはウルトラマンの事を知っているようだ。

 

「あぁ、数々の世界の中で共闘した事もある。

だが、ジードは今はデビルスプリンターの事件を追っている。

だからこそ、今はこの地にいないはずだ」

 

「なんだか、よく分からない単語が出てきたけど」

 

「そこら辺はまぁ、あとで説明するよ。

まぁ、簡単な話で、俺が、その偽物だというだけですから」

 

「偽物だと?」

 

そう俺はあの時、起きた出来事をゆっくりと話し始める。

 

あの時、偶然だが、ウルトラマンとしての力を手に入れた時の出来事を。

 

だが

 

「それは不可能だ」

 

「えっ?」

 

ナイトさんはその言葉を否定した。

 

「なんだよ、先輩が嘘をついているとでも言うのか?」

 

「いいや、だが、俺の知識でも知っているが、例えベリアル因子を持っている人間だとしても、僅かなベリアル因子だけではあそこまでの力を発揮する事はできない」

 

「いや、だけど」

 

「だからこそ、俺の結論から言わせて貰う。

お前はウルトラマンジードであって、ウルトラマンジードではない存在だ」

 

「はぁ、えっとつまりはどういう事でしょうか」

 

それらの言葉を並べられて、全員が疑問で首を傾げる中で、俺は心当たりが一つあった。

 

「平行同位体」

 

「平行なんだ、それは」

 

「歴史のどこかで分岐して、時間軸を越えてきた存在らしいけど、でも、俺は」

 

「分かっている。

だが、それで合点がいく。

お前は本来ならばウルトラマンジードの世界で生まれるはずだった朝倉リクだったが、何かしらの影響でこの世界で生まれ育った事になった。

そして、ベリアル因子が注ぎ込まれた事によって、お前は本来のウルトラマンとしての力に覚醒した」

 

「っ」

 

その言葉に俺は少なからず、驚きを隠せなかった。

 

「えっと、その、そんなに落ち込まないでください。

別に悪い事をした訳じゃないのですから」

 

「あぁ、だが、この世界で起きている出来事は、我々だけでは対処できない。

ウルトラマンジード、君の力を貸して欲しい」

 

「おい、さっきから訳の分からない話ばかりするんじゃないよ!

今の先輩は、そんな話をできる状況じゃないだろ」

 

そう俺が今、話を聞けない状態を知ってか、ガウマさんが止めてくれた。

 

「・・・確かにな。

少し失礼する」

 

「えっと、それでは」

 

そう言いながら、ナイトさん達はそのまま去って行った。

 

「えっと、朝倉さん」

 

「えっおぉおぉ、悪い。

少し、戸惑ってしまってな。

いや、別にショックじゃないし、実際にそうだったのかと聞かされると、うん、少し嬉しいという事もあるけど」

 

そう言いながら、俺が思ったのは

 

「俺は本物のウルトラマンジードのように戦えるのかな」

 

これまで、偽物だけど、それでも戦ってみせるという思いで戦ってきた。

 

だけど、突然、本物だったと言われても、どう思えば良いのか分からない。

 

「そんな難しく考える事ですか?」

 

「ちょガウマさん」

 

そう言いながら、ガウマさんは俺に言ってくる。

 

「俺は正直、ウルトラマンとか、そういうのは分からないけど、先輩がこれまで俺達と一緒に戦ってきた姿しか知りません。

けど、優しくて、頼もしい。

それで十分じゃないんですか?」

 

「私も、正直、ウルトラマンなんて、全然知らないからね。

あの時、朝倉さんに助けて貰わなかったら、本当に危なかった」

 

「皆」

 

その言葉を聞き、俺はゆっくりと受け止める。

 



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目指せ、新たな光

怪獣と戦った次の日の朝、その日、陸達はとある場所へと向かっていた。

 

そこには朝焼けの海に再び現れた怪獣の姿だった。

 

「来やがったか」

 

その光景を見た、ガウマ達もまた、ダイナゼノンに乗り込もうとしていた。

 

「そうか、だったら、そっちは頼む」

 

「えっ、陸さん?」

 

そう言いながら、陸は怪獣とは別の方向を睨みながら言う。

 

それに合わせて他のメンバーも見つめると、そこには謎のフードを身に纏った人物がいた。

 

「ふふっ」

 

同時にフードの人物が取り出したのはジードライザーだった。

 

それと同時に、その姿は大きく代わり、現れたのは巨大な怪獣が空に現れた。

 

それは無数の怪獣が一つに集まったと思える存在であり、その怪獣の身体は山を思わせる程の巨体だった。

 

「なっなんだよ、あれは」

 

「ギガキマイラとイズマエルか。

これは厄介だな」

 

その言葉と共に取り出したのは二つのウルトラカプセルだった。

 

「悪いが、あっちの怪獣は頼む。

俺はあいつをどうにかする」

 

「どうにかって、そんな無茶な」

 

「大丈夫だ」

 

そう陸はガウマ達を見る。

 

「だから、そっちを任せた」

 

「っあぁ、分かりましたよ。

ただし、終わったらすぐにそっちを手伝いますから!!」

 

「あぁ」

 

その言葉と共にガウマ達はダイナゼノンへと乗り込み、そのまま怪獣に向かって行く。

 

「ふむ、信じているか。

本当に信じているんだな」

 

「ナイトさん」

 

後ろから聞こえた声に俺は見つめる。

 

「あの怪獣、相当強い力を持っているが、本当に一人でできると思っているのか?」

 

「さぁ、分からない。

だけど」

 

その言葉と共に

 

「最後まで諦めず不可能を可能にする。

それがウルトラマン、俺にもしもウルトラマンと名乗れるならば」

 

同時に陸の手にあるウルトラカプセルが黄金に輝く。

 

「だからこそ、ナイトさんも、あいつらを信じて下さい」

 

「・・・」

 

それと共に陸はジードライザーを構える。

 

それに合わせるようにグリッドナイトもまた変わる。

 

「融合!」

 

それと共に起動させたのはウルトラマンカプセル。

 

始まりの巨人と言われる存在であり、ウルトラマンジードの基本形態であるプリミティブでも使われたウルトラカプセルである。

 

「アイゴー!」

 

続いて起動させたのは、シャイニングウルトラマンゼロカプセル。

 

存在自体は確かに存在したが、実際に登場しなかったウルトラカプセル。

 

だが、その能力は歴代ウルトラマンの中でも持っていない時間を操る事ができる能力を持つウルトラマン。

 

「ヒアウィーゴー!目指すぜ、天辺!!!」

 

ジードライザーに二つのカプセルを読み込ませ、そのまま自身の胸元にライザーを構える。

 

【フュージョンライズ!ウルトラマン!シャイニングウルトラマンゼロ!

ウルトラマンジード!シャイニングミスティック!!】

 

それと共に、陸の姿は変わっていき、黄金に包まれながら、その姿を地上に現す。

 

『なっ』

 

『あれは、黄金に輝く』

 

『ウルトラマン』

 

その姿と共に現れたのは全身が黄金の光に包まれており、見た目はウルトラマンジードプリミティブを思わせる面影があるが、その両腕にはウルトラマンゼロのゼロスラッガーを思わせる刃が装着されていた。

 

『へへっ、どうやら、その姿を現したようだな、ウルトラマンジード!!』

 

『ジャタールか、確か、ダークネスファイブの一人だけど、忘れられていた奴だな』

 

『貴様、馬鹿にしているのか!!』

 

その言葉と共にジャタールは、そのまま無数の炎とエネルギー弾を陸に向けて放った。

 

それを見ながら、陸はそのままゆっくりと手を振り上げる。

 

同時に迫っていた全ての攻撃が止まり、そのままジャタールの元へと戻っていく。

 

『なっぐがぁ!!』

 

突然の事で驚きを隠せないジャタール。

 

だが、そんなジャタールに向けて、無言のまま近づき、両腕にある刃を振り上げると、そこから無数の黄金の刃がジャタールの胴体にある怪獣達を次々と切り落としていく。

 

『なんだよ、あれっ!

とんでもない隠し球じゃないか』

 

『だが、その分、消耗が激しいようだな』

 

『あっ』

 

グリッドナイトの言葉に疑問に思った蓬が見たのは陸の胸にあるカラータイマーだった。

 

変身したばかりのはずなのに、まだ一分も経っていないはずだが、それは既に点滅し始めていた。

 

『そりゃ、当たり前ですよ!

多分、あの姿っ、シャイニングゼロで、とんでもチートですから』

 

『ちっチートって、どういう能力なんだ?』

 

『やばすぎる力という事ですよ。

多分、あれは時間を操る力を持っていまして、さっきの攻撃もあの攻撃だけ時間を戻して、あの怪獣に戻したんだと思いますよ』

 

『はぁ?!

なんだよっ、それ!!』

 

ちせから持たされた情報に思わずガウマは叫ぶ。

 

『だが、これで問題ない。

あの怪獣はジードに任せる』

 

『おい』

 

そう言いながらグリッドナイトは再び怪獣と向き合う。

 

『奴が任せろって言った。

ならば、俺達は彼から託された使命を果たさないといけない』

 

『ぐっあぁ分かっているよ!!

先輩、そっちは頼みますよ!』

 

その言葉を受けた陸はゆっくりと頷くと同時にジャタールと向き合う。

 

『貴様如きにぃ!!』

 

そう叫んだジャタールは再び攻撃を仕掛けようとした。

 

それも、これまでとは比べものにならない程のエネルギーを抱え、放とうとした。

 

だが、それよりも早く、陸は頭上に太陽のような光球を召喚する。

 

同時に陸以外の全ての時が止まる。

 

『スペシウムスタードライヴ!!』

 

それと同時にウルトラマンにとっては基本的な構え、スペシウム光線を真っ直ぐとジャタールへと放つ。

 

放たれた光線は真っ直ぐとジャタールを貫き、同時に時が動き始める。

 

『負けるっ』

 

ジャタールは攻撃を再び行おうとした瞬間、自身が既に倒された事に気づくと同時に爆散する。

 

それを確認すると共に、陸自身もエネルギーが切れたのか、そのまま変身は解除される。

 

「はぁはぁ、まだやらなければならない」

 

陸はそのまま解除されると共にジャタールがいると思われる場所へと向かった。

 

「はぁはぁ」

 

「ちっ、まさか、あのウルトラカプセルを使えるとはな」

 

陸が必死に向かった先には、そこにはボロボロになっているヒッポリト星人のジャタールがそこにいた。

 

「お前には聞きたい事があるっ」

 

「へへっ、それはどうかな!!」

 

「っ!!」

 

そう言うと共にジャタールは一瞬で陸の元へと来ると、そのまま触れようとする。

 

「しまっ」(そうだっジャタールは触れただけでブロンズ像に変える能力がっ)

 

その事に後悔しそうになった時だった。

 

「あがぁ!?!」

 

「っ!?」

 

聞こえた悲鳴、それはジャタールが一瞬で丸焼けになった光景だった。

 

同時に聞こえてきたのは、空中で何か爆発した音だった。

 

一体何がと思い、疑問に思っていると

 

「陸っ!!」

 

「えっムジナ」

 

それは怪獣を操っていたはずのムジナだった。

 

陸を抱き抱えたムジナはそのまま身体を見る。

 

「なんでっここにいるんだよ!!」

 

「いや、それは」

 

必死に、陸を見つめるムジナ。

 

その目は涙で溢れており、怪我を確認する。

 

「とにかくっ、ここは危ないから、部屋に帰るよっ」

 

「えっいや」

 

何が起きているのか分からない陸を連れて、ムジナはそのまま離れていった。

 

---

 

「帰ったね、ムジナ」

 

「あぁ、あともう少しだったのに」

 

そんなムジナと一緒に操っていたオニジャは苛つくように呟く。

 

そんなオニジャとは別にジュウガは先程までの光景を見て、ため息を吐く。

 

先程まで、ダイナゼノンとグリッドナイトの二人を相手に戦っていた怪獣。

 

その巨体を活かした戦いで、有利に保っていたが、危機的状況に陥った。

 

その中でも諦めないオニジャだったが、ムジナはその時、別の場所を見つめていた。

 

「陸っ」

 

「んっ?」

 

聞こえてきたのはムジナと一緒に暮らしている人物。

 

同時にムジナは目を大きく開き、怪獣で攻撃を放った。

 

それはグリッドナイトでも、ダイナゼノンでもなく、陸に襲い掛かろうとしたジャタールに対してだった。

 

「陸っ!!」

 

そのままムジナはその場から離れた。

 

怪獣が倒された事よりも、陸の方を優先して。

 

「あいつも、いきなりあんな事をするなんて」

 

「そう、僕としては面白いのが見れて満足だけど」

 

「満足って、あの男か?

どうせ、その内、殺すんだろ」

 

そう言いながら、オニジャは呟くが

 

「そう?

僕としては、彼も僕達の仲間になる素質があると思うよ」

 

そう、シズムは笑みを浮かべながら呟く。

 

「はぁ何を言っているんだ」

 

その言葉に呆れながら呟くが

 

「ムジナから教えてもらったけど、ウルトラマンジードって、確かウルトラマンベリアルの息子で、ベリアルは怪獣を操るレイオニクスらしいよ。

つまり、ジードをこちら側に迎える理由はあるよ」

 

「いえ、それとなぜ仲間にって、まさか」

 

「うん、ばっちりと撮れている」

 

そう言いながら、シズムは自身のスマホを彼らに見せた。

 

そこには変身を解いて、ジャタールの元へと走る陸の姿だった。

 

「おいおい、マジかよ。

だったら、ムジナの奴、喰っちまうぞ」

 

それと共にオニジャは少し顔を青くさせながら言う。

 

「そうかな?

反対にムジナのおかげでこっち側に引き込む事ができるかもしれないよ」

 

「それも可能性の話です。

とにかく、この事はムジナには話さない方が良いかもしれません」

 

「あぁ、確かにな。

こっちでも掴む事ができないあの怪獣達を倒すには、悔しいがジードの力がいる。

始末するのは、その怪獣達を倒した後だ」

 

「だから、こっち側に引き込むよ。

まぁ、今はムジナに任せよ」

 

そう言い、オニジャ達はそのまま陸がムジナに連れて行かれる光景を見つめた。



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一歩も動けない一日

「想像以上にやばかった」

 

それは、俺が変身したシャイニング・ミスティックの感想だった。

 

シャイニングゼロ自体の力が時を操る能力という事もあって、1分程度しか変身する事ができず、さらには今はこうしてベットで寝ている事しかできない程に疲労が激しい。

 

指一本、動かす事ができず、今はただ体力の回復を行う事しかできない程に疲労している。

 

「それにしても、ムジナ、良いのか、どっか出掛けなくても」

 

そう、先程までムジナが電話をしている相手とどこか出掛けるはずだった。

 

だが、俺がずっとベットで寝ている事に気づいたムジナはそのまま電話の相手に来れない事を伝えると、そのままベットの横にある椅子に座りながら、ぼーっとしていた。

 

「別に。

ずっと動いていない陸を置いて、出掛けたくないし」

 

「そうなのか?」

 

「うん」

 

それだけ言うとムジナはそのまま何も喋らなかった。

 

あの時、なぜ俺がいたのか、そういう事をムジナは話さず、ただ一緒にいてくれた。

 

「・・・前に私が5000年前から蘇ったって、話したよね」

 

「あぁ、聞いた」

 

ムジナが5000年前から蘇った事も、彼女達が所属している怪獣優生思想の事も。

 

「正直、どうでも良いと考えていた。

もう5000年前の事だから、オニジャ達は積極的に人類を皆殺しにしようと言っているけどね」

 

「はぁ、人類をですか」

 

そう言いながら、俺はそのままムジナの話を聞く。

 

「陸は、そういうのを止める力があったら、私達と敵対するの」

 

そう、俺を見つめながら、そう呟く。

 

それに対して俺はただ

 

「・・・する」

 

そう、正直な言葉を言う。

 

それを言った瞬間、さっきまで少し笑っていたはずのムジナが少し悲しそうな声が出た気がする。

 

それでも

 

「人類の為とか、正義とか、そういう事の為に戦うというのは、正直に言うと俺は分からないと思う。

ただ、俺はそれ以上にムジナを守りたいから、敵対する」

 

「訳が分からない」

 

「まぁ、俺も全然分からない。

だって、全然想像できないから」

 

そう、俺は現状、そうなっているはずなのに、答えを濁す。

 

「だけど、人類を皆殺しにしたら、その先は全部無くなるから。

全部無くなって、思い出も何もかも無くなるのなんて、一番悲しいじゃないか。

だから、俺は」

 

「もういいよ」

 

それだけ呟くと、ムジナは俺の瞳を見つめていた。

 

「陸が、本当に馬鹿で良かった」

 

「馬鹿って、何をいきなり」

 

「別に、ただ言いたかっただけ」

 

それだけ呟くとムジナもまた、そのまま動けない俺の腹を枕にしながら、そのまま天井を見る。

 

「今だったら、あいつの言っていた事も分かる気がする。

そっか、こういう気持ちなんだね」

 

「ムジナ?」

 

その言葉と共に俺は見つめると、ムジナから聞こえたのは寝息だった。

 

「この体制で、たく」

 

そう呟きながら、俺もどんどん睡魔に襲われていく。

 

ゆっくりと、こくりと



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隠し事

『了解した。

それではしばらく怪獣はこちらでなんとかしておく」

 

「えぇ、すいません。

こちらも全快したら、なんとか行きますので」

 

シャイニングミスティックの後遺症が未だに完全に治っておらず、変身しても今の体調では十全に戦えない。

 

俺はそう思い、既に交換しているナイトさんにその事を伝えると共に電話を切る。

 

「さて、これからどうしよう」

 

そう、既に体調は万全ではないというだけで、身体事態は動かせる。

 

「動けるようになった」

 

そう俺が体調の確認をしていると、帰ってきたのかムジナが部屋の中へと入っていた。

 

「あれ、ムジナ、集まりはどうしたの?」

 

「解散しても問題なかったから、帰ってきた。

それでさ、陸」

 

「んっ?」

 

何やら俺に顔を見せないように背けるムジナは

 

「これから、どっか出掛けない」

 

「えっ、うん別に良いけど、どうして?」

 

突然の誘いに俺は思わず首を傾げてしまう。

 

「一緒に住んでいて、一緒に歩いた事ないなと思って。

なんというか、恋人としては変だなと」

 

「あっ、おっぉぉ。

そうだな、うん、そうだよな」

 

恋人、という言葉。

 

それを聞いた俺も顔を赤くさせながら、返答する。

 

この前まで年齢=彼女いない歴のオタクな俺としてはデートなどやった事はなかったので、俺は思わず困ってしまう。

 

「それじゃ、どこに行く?」

 

「そう、この辺りは?

全然知らないし」

 

「そうだな、行こうか」

 

俺達はそれと共にゆっくりと家から出て行く。

 

周りの景色はこれまでの怪獣騒ぎがあった事も関係しているのか、壊れている道路などがあって通れない道は多いが、こちらに引っ越してきたばかりの頃とは変わらない景色が多く見えた。

 

「なんというか懐かしいな」

 

「こっちに引っ越してきたのって、そんなに前じゃないでしょ?」

 

「それはそうだけど、だって、ムジナと会ったのもまだ半年も経っていないのに、なんというか、ずっと一緒にいたような不思議な感じだから」

 

「不思議か」

 

これまでの人生で、ムジナと過ごしたのは、きっとそれ程多くない。

 

それでも、確かに彼女と出会った半年はとても濃く、俺にとっては大切な時間だと思える。

 

「うん、私も。

5000年前と比べたら、この世界の方が全然好き」

 

「そう、だったら良かった!!」

 

その言葉に嘘はないのか、彼女は自然な笑みを浮かべている。

 

それに俺も嬉しくなり、思わず詰め寄る。

 

「はぁ、少し落ち着いてよ」

 

「あっ悪い悪い!!」

 

俺も思わず詰め寄り過ぎた事に謝りながら、下がる。

 

先程までの彼女の言葉が本心から出ているような気がして、俺は思わず笑みを浮かべてる。

 

「ねぇ、少し昔の事を、話しても良い?」

 

その中でムジナはそのまま空を眺めながら、ふと呟いた。

 

「昔?」

 

「そう、5000年前の事。

あの時の事」

 

「・・・うん、良いよ」

 

「ありがと。

そうだね、5000年前から、私はどうも奇妙な力があったんだ。

怪獣を操る」

 

「怪獣を」

 

「そう、黙っていたけど、これまで怪獣を操っていたのは、私達」

 

その言葉が出ていたのは驚きがあった。

 

なぜ、このタイミングでと?

 

「怖い?」

 

「少し、けどそれだけでムジナが好きな事には変わりないから」

 

「良かった。

でも、陸とは違って他の連中は違ったみたい。

私達の力を恐れて、あいつらは殺そうとした」

 

それを覚えているのか、その目は少し怒りが僅かに見えた。

 

「だから、私達はあいつらを全員殺そうとした。

けど、ガウマの奴が裏切って、私達を全員、殺した」

 

「ガウマさんが」

 

どうも何か関係があるとは思っていたが、まさかガウマさんがムジナ達を殺したとは。

 

どう答えたら良いのか分からず、戸惑いしかなかった。

 

「仲間だと思っていた奴の裏切りというのは結構きつかったよ。

守ろうとした国も、仲間だったはずのガウマの奴も、そんな裏切りがあって、私は全部分からなくなった。

何を信じたら良いのか分からず、私は、僅かに残っていた仲間を信用するしか道はなかった」

 

その言葉と共に、俺へとゆっくりと寄り添う。

 

「あの時も、本当は助けたんじゃない。

私はあの時、失敗して、そこにたまたまあんたを拾っただけ。

助けるつもりはなかったし、なんだったら、あれは全部私のせい」

 

「ムジナ、なんでそれを?」

 

「分からない。

けど、ここまでの間で私、ガウマの奴がなんで裏切ったのか分かった気がする」

 

その言葉と共に、僅かだが俺の服が濡れていた。

 

「大切な人が殺されるって、どんなにつらいのか、あの時、初めて分かった。

自分よりも大切な者の為に戦ったガウマの気持ち、今になってようやく分かった。

国の奴らは今でも嫌いだけど、それ以上に、もぅこれ以上陸に「良いんだよ」っ」

 

それ以上、言葉を遮るように、俺は彼女を抱き締める。

 

「ムジナが怪獣を操っていたとしても、あの時の事件がムジナの仕業だろうと別に良い。

それ以上、俺はムジナの事が大好きだから」

 

「そんなに」

 

「あぁ、5000年前の住人で、怪獣を操る人だろうと、関係ない。

俺はムジナだから惹かれた。

ただ、それだけだから」

 

「陸」

 

そう、俺の背中に手を回しながら、抱き締め互いの体温を確かめ合う。

 

「俺も、ムジナには話していない事がある。

それも、結構大切な事を」

 

「大切な事?」

 

「あぁ、俺はっ」

 

そこまで言おうとした時だった。

 

ふと、前を見つめると、そこに立っていたのは

 

「デスローグっ」

 

「デス、何を」

 

そう俺の言葉に気づいたのか、ムジナも後ろを見る。

 

それは彼女も驚きを隠せなかったのか、そこに立っていたのはダークネスファイブの一人である、炎上のデスローグだった。

 

デスローグはそのまま手にはライザーを手に持ち、そのまま振り上げた。

 

【ベロクロン!ネオジオモス!フュージョンライズ!デスペラードジオモス!】

 

その音声と共に奴の身体はそのままネオジオモスの身体をベースにベロクロンの要素が加わったベリアル融合獣へと

 

「何、なんでこの前の奴もそうだけど、なんで」

 

「ムジナ、これが俺が隠していた事なんだ」

 

そう俺はジードライザーを手に取る。

 

「俺は、どうやらこの世界の人間じゃないみたいなんだ」

 

「陸、一体何を」

 

そう、俺は彼女に伝えると共にゆっくりと離れる。

 

同時に手に取ったジードライザーを構える。

 

「だから見ていてくれ、俺の変身をっ」

 

その言葉と共に、俺は構える。

 

「融合!」

 

それと共に俺はウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオンのカプセルを起動させる。

 

「アイゴー!」

 

続いてウルトラマンメビウスのカプセルも起動させ、そのままナックルに装填する。

 

「ヒアウィーゴー!繋ぐぜ、絆!!」

 

ジードライザーに二つのカプセルを読み込ませ、そのまま自身の胸元にライザーを構える。

 

【フュージョンライズ!

ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオン!ウルトラマンメビウス!

ウルトラマンジード!ブレイブチャレンジャー!】

 

その音声が鳴り響くと同時に俺はウルトラマンジードへと変身すると、同時に怪獣の元へと跳ぶ。

 

「陸がっジード」



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「無くなる」ぐらいならば「食べる」

お待たせしました。
そして、今回からオリジナル展開になっていきます。
原作とは違う展開になるかもしれませんが、申し訳ございません。


「陸が、ジード」

 

それと共にムジナは目の前で起きている光景が未だに信じられなかった。

 

先程まで自身の過去を告白し、本当の意味で一緒に過ごせると思っていた。

 

だが、それを打ち消すように陸が明かした秘密。それは自身がこれまで戦ってきた相手であるウルトラマンジードの正体だという事。

 

それで自分が傷つけた相手だという事に、ムジナは未だに呆然と見つめる事しかできなかった。

 

「という事は、私がっこれまで傷つけたのは、殺そうとしたのは」

 

それと共にムジナは急に足下が消えそうな喪失感が襲い掛かった。

 

自分の居場所を、自分で無くそうとしていた。

 

「どうすれば、どうすれば」

 

それと共に思い浮かべるのは、陸との日々。

 

その日々が無くなる事に。

 

「・・・無くなるならば」

 

そう言葉に出しながら、彼女の服にある物が光り始める。

 

「食べる」

 

それと共に光り始めた物に手を伸ばす。

 

「陸がいなくなる前に食べる。

思い出も、全てを食べる。もう2度と離れない為に」

 

その言葉と共にムジナはゆっくりと立ち上がり、取り出したのはジードライザーだった。

 

かつて、陸をあと一歩まで追い詰めたジャタールが使っていたジードライザーであり、あの時、偶然彼女が手にした物だった。

 

「やり方は散々見た。

そして、これも」

 

そう言いながら、握り締めたのは二つの怪獣カプセルだった。

 

怪獣カプセルを手に持ちながら、ムジナはゆっくりとジードライザーに怪獣カプセルをスキャンさせる。

 

「EXゴモラ、EXレッドキング」

 

その言葉と共に手に取った二つのカプセルをそのままスキャンさせ、そのまま真っ直ぐと陸とデスローグが戦っている方に向かって歩いて行く。

 

「これで終わらせる」

 

【フュージョンライズ!EXゴモラ!EXレッドキング!ウルトラマンベリアル!マグマゴモラ!】

 

その音声と共にムジナの姿は徐々に変わっていく。

 

皮膚は怪獣へと2体の怪獣の要素が合わさるが、元の怪獣に比べたらすらっと女性を思わせる姿だった。

 

だが、その皮膚の隙間にはマグマを思わせる光が溢れており、何よりも特徴的なのは尻尾だった。

 

その尻尾の長さはマグマゴモラよりも大きく、自由自在に動いていた。

 

「陸っ!!!」

 

変身を完了したムジナはそのまま真っ直ぐと陸に向かって走り出す。

 

「っ、スカルゴモラじゃないっ」

 

突然の声と共に陸はすぐに振り返ると共にムジナによって、押し倒される。

 

「2体目っ、まさか最後の」

 

「陸っ陸っ!!」

 

「えっ」

 

何が起きているのか分からず、戸惑っていた。

 

「一緒にいよう、ずっとずっと」

 

「ムジナっ」

 

何が起きているのか分からず、困惑する陸だったが、ムジナの背後には未だに戦っているデスローグが、全身から溢れるばかりのミサイルをこちらに向けて放った。

 

「・・・ジャマ」

 

その一言と共にムジナの一言と共に目にも止まらない速さで彼女の尻尾が全てのミサイルを貫いた。

 

同時に尻尾は真っ直ぐとデスローグの胴体をそのまま貫き、宙へと追い込む。

 

「マグマ震動波」

 

その冷たい言葉とともにムジナの角は赤く燃え上がると共に、尻尾の先にはエネルギーが伝わり、そのままデスローグの身体に衝撃を与える。

 

しばらく痙攣していたデスローグだったが、やがて静まり、ムジナはそのまま宙へと捨てた。

 

同時にデスローグはそのまま呆気なく爆発した。

 

(これはやばいっ、スカルゴモラは確かにやばいが、ウルトラマン本編ではほとんど負ける事がなかったEXゴモラに加えて、EXレッドキングの怪力が合わさったこのゴモラはやばいっ)

 

身体の特徴、尻尾の動きから推察した陸はすぐにムジナが変身に使った怪獣の正体が分かった。

 

「ムジナっ、なんで、その姿に」

 

「陸を食べる為だよ」

 

その言葉に陸は驚きを隠せなかった。

 

「何を言っているんだ、ムジナ」

 

「だって、陸。

私が敵だと分かれば、いずれいなくなる。

ならばっ」

 

それと共にムジナはそのまま陸にそのまま襲い掛かろうとした。

 

「ぐっ」

 

【フュージョンライズ!ムゲングロッサー!!】

 

それと共に陸はムゲングロッサーにフュージョンライズすると同時に手に持ったゼロツインソード・ネオで、大きく口を開いたムジナの攻撃を止めた。

 

同時にムゲングロッサーの分身能力でムジナを吹き飛ばす。

 

「陸っ、そこまで拒むならっ」

 

それと共にムジナはそのまま構える。

 

「たくっ、ムジナ。

こんな時に言う台詞じゃないけど」

 

そのまま陸もまた覚悟を決めるように構える。

 

「お前を止めてやる、ジーッとしててもドーにもならねぇ!!」



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愛の果てに

「ぐっ!!」

 

戦いから既に1分が経過していた。

 

先程まで戦っていたデスローグとの戦いを含めても既に2分の時間が経過していた。

 

それはウルトラマンが地球上で戦える3分というタイムリミットの中でも特に危機的状況であった。

 

胸にあるカラータイマーからは既に残り時間が少ない事を示すように、青から赤へと代わり、点滅し始める。

 

それが分かっていながら、陸は目の前で戦っているムジナに対して、未だに攻撃を仕掛ける事ができず、手に持った武器で、その攻撃を受け流す事しかできなかった。

 

「あと1分っ、1分!!」

 

それは戦う相手であるムジナも分かっており、その目は大きく見開きながら、口を大きく開かせながら、見つめる。

 

怪獣の姿になっているからこそ、その口は大きく不気味であり、ゆっくりとそのタイムリミットを待つのか、それとも自身の制御できない欲望に従うように喰らうのか。

 

それが、今の彼女の中で思考が支配されており、その時を待っていた。

 

「ムジナっ、お願いだから、聞いてくれっ!

俺は、絶対にお前から離れないっだから」

 

「駄目だよ。

ウルトラマンと怪獣。

もぅ、それだけで離ればなれなのは決まっているような事っ!!

だから、絶対にっ」

 

そう言ったムジナの言葉と共に鋭い尻尾の一撃が陸の手に持つ武器を大きく吹き飛ばす。

 

「これでっ!!」

 

それと共に拘束しようと、そのままカラータイマーへと向けて、鋭い一撃が襲い掛かろうした。

 

「ここでっ負けてたまるか!!」

 

その一言と共に、陸の姿はムゲンクロッサーからブレイブチャレンジャーへと姿を変わり、その一撃を腹部で受け止める。

 

カラータイマーという急所を避け、ダメージを最小限へと留めると共に

 

「見様見真似だ!!」

 

その言葉と共に陸の身体は突然燃え始める。

 

「なっ」

 

その現象を見て、驚きを隠せないムジナは目を見開き、驚きを隠せなかった。

 

陸が行った手段、それはウルトラマンの中でも最も危険な技の一つである『ウルトラダイナマイト』である。

 

ウルトラマンタロウの代表的な技の一つとして、全身の炎を身に纏い、相手に突っ込み爆発させるという自爆技に近い技である。

 

陸の現在の姿であるブレイブチャレンジャーに使われているウルトラマンメビウスはそのウルトラダイナマイトを使用する事ができるが、それはあくまでもバーニングブレイブという形態だからこそできる事。

 

それをオーブ・ウルトラマン・ティガの3人のウルトラマンの力で無理矢理活性化させる事で、無理矢理再現した技である。

 

「そんなっ陸っ」

 

「はああぁぁ!!!」

 

その雄叫びと共に、陸は真っ直ぐとムジナの尻尾を引き寄せ、そのまま彼女を抱き締める。

 

「一人なんて、させないからな」

 

「っ」

 

陸のその一言と共にムジナの目の前は巨大な爆発が起きる。

 

爆風に巻き込まれ、周りの建物は溶ける中、爆心地の中心であるムジナは無傷だった。

 

EXレッドキングの性質もあり、炎には強い身体を得ている彼女にとって、無理矢理起こしたウルトラダイナマイトに大きなダメージを与える事はできなかった。

 

だが、それはあくまでも身体だけだった。

 

「りっく」

 

その言葉と共にムジナは目の前で起きた出来事を信じられないように周りを見る。

 

最後に行った自爆とも言える行動に驚き、そして一瞬だけ感じた彼の温かさ。

 

だが、それは爆発の中でなくなった。

 

それがムジナにとって、心に大きなダメージを与えていた。

 

「あっあっあっああぁぁ」

 

そうして、ようやく自身に何が起きたのか分かったムジナは悲しみの雄叫びをあげた。

 

怪獣がウルトラマンに勝利した。

 

その光景を見た人々はきっと絶望的だっただろう。

 

雄叫びをあげながら、ムジナの変身は解かれ、元の人間の姿になると共に周りを見る。

 

「りく、どこ」

 

そこから行った彼女の行動は溶かれた街の中を歩き始めた。

 

先程まで変身に使っていたジードライザーは地面に捨てられ、周りを探す。

 

ふらふらと、ゆっくりと姿を消した陸を探し求めていた。

 

「どこにいるの。

ねぇ、自爆なんて、嘘だよね。

あの技だって、タロウだって、メビウスだって。

ウルトラマンは再生したんだから。

陸だって、再生しているよね」

 

そう、かつて、陸と一緒に見たウルトラマンの内容を思い出しながら、まるで縋るように探す。

 

火傷しようと、傷つこうと、関係ないように。

 

「ムジナ、何をしているの?」

 

そう、彼女に話しかけたのは、彼女の怪獣同盟の仲間であるシズムだった。

 

「陸がいないの。

どこにも、さっきまでいたのに、どこにも」

 

「陸?

誰それ?」

 

「ウルトラマンジード。

さっきまで、ここにいて、まだ再生しないの」

 

「はぁ何を言っているの、ムジナ。

ウルトラマンは、ムジナが殺したんでしょ」

 

「殺した」

 

その一言を聞くと共にムジナはゆっくりと目を見開く。

 

「そんな訳ない。

陸は死んでない。陸は私を置いて行ったりしない。

だって、陸は何時までも一緒に、私と一緒に」

 

そう言い、ムジナは事実を信じられないように走って行った。

 

「ムジナ、変わったね。

けど、まぁ、思った以上にとんでもない力だったな」

 

そう言いながら、ムジナが落としたジードライザーを手にする。

 

「それでそっちはどうするの?」

 

「私からは何も」

 

そうシズムの声に合わせるように現れたのはダークネス・ファイブ最後の一人であるメフィラス星人 魔導のスライだった。

 

「ベリアル陛下の後継者という事で、死力を尽くしましたが、まさかあのような結末になるのは、非常に残念だ」

 

それだけ言い、スライは呆れたように呟く。

 

「それじゃ、どうするの?

このまま地球を去る?」

 

「そうですね。

それも良いかもしれませんが、あのウルトラマン擬き、それにダイナゼノンでしたか?

あれはその内、私達の行く手を阻むでしょ。

ならば、この世界で始末するのも一つの手」

 

「へぇ、それは僕もかい?」

 

そう、スライに尋ねるようにシズムは尋ねる。

 

「ふふっ、まさか。

私としては君のような考えも実に興味深い。

それにその目的が達成されたとしても、我々の邪魔にはならない。

ならば、それを見届けるのも余興」

 

そう言い、スライが手にしたのは一つの注射器だった。

 

「それは?」

 

「ベリアル陛下の細胞。

実験体の覚醒の為に施した奴とは違いますが、あなたのその身体ならばこの量でも問題ないはず」

 

「そうだね」

 

その言葉と共にシズムはそのまま手に持った注射器を自らの身体に刺す。

 

同時にその身体は光輝き、その手には新たな怪獣カプセルが出来上がる。

 

「これは予想外!!」

 

「そう、だったら、もう行くね。

これも今度試してみるよ」

 

それと共に、シズムはそのまま姿を消した。

 

「さて、あとはあの実験体のジードライザーを回収したい所ですが、果たして、どこに消えたのやら」

 

それと共にスライもまた姿を消した。



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ウルトラタッチ

おそらく長い間待っていた皆様、お待たせしました。
という事で2話、投稿させて貰いました。
ある意味、一番の山場というべきストーリーであまり長く引き延ばさず、書きたい事もあって、時間がかかってしまいました。
これからもよろしくお願いします。


ウルトラマンが怪獣に倒された。

 

そのニュースが流れてから数ヶ月の間、怪獣の姿は現さなかった。

 

ガウマ達を初めとしたメンバーはその怪獣の正体を探っていたが、未だに見つける事ができなかった。

 

その中で新たな怪獣が姿を現した。

 

銀色のオブジェのような体に背中から赤いアンテナが突き出した四足歩行の怪獣。

 

その怪獣が現れると共に、光の粒子を撒き散らして、物体や人間を地面に影やシミのような黒い痕跡だけを残して音もなく消滅させる。

 

それに対して、ガウマ達も次々と姿を消していた。

 

その中でムジナもまた、過去に飛ばされていた。

 

「どこにもいない」

 

その光景は彼女がいた5000年前の光景でも、彼女にとって最も幸せだった頃の記憶でもなく、陸が自爆したその日の光景だった。

 

あの日の後悔。

 

直感的に、伝わったそれが過去に戻れる力だと知ったムジナは望んだ。

 

陸が死ぬ前に、自身が彼を食べようなどと考えを抱く前に。

 

そうすれば、愛する人と何時までも一緒にいられるという幸福な時間を望んでいた。

 

だが、訪れたそれは、彼女自身の後悔を思い出させるような光景だった。

 

「私、なんで、こんな感情、持ったんだろ」

 

苦しい、もうどこにもいないならば死にたい。

 

それでも、彼女の身体はまるで死ぬ事を拒否するように動かなかった。

 

死んだら、彼との思い出が全て消え去る。

 

そんな恐怖に支配されていた。

 

「いやだっ、死ぬのが怖い。

けど、陸がっ陸がっいないのなんてっ」

 

「ならばっ貴様が死ねば良いっ」

 

その言葉と共に後ろに聞こえたのは、あの日、ムジナを襲ってきたデスローグだった。

 

その身体はボロボロであり、今にも死にそうなデスローグは真っ直ぐとムジナを睨んでいた。

 

「あの時っ貴様がいなければっ、あのお方はベリアル陛下の後継者に相応しい存在になれるはずだった!

その為ならば、この命は惜しくなかったが、貴様に殺される事は絶対に許さない!」

 

『マガタノオロチ!Uキラーザウルス!フュージョンライズ!禍々キラーザウルス!』

 

それと共にデスローグの身体は徐々に変化していく。

 

Uキラーザウルスの身体をベースにマガタノオロチの特徴的な禍々しい赤黒いボディカラー。

 

触手の先端がマガオロチの頭部、マガタノオロチの頭部の口からUキラーザウルスの頭部が出てきたような姿をしている。

 

それは真っ直ぐと、恨むようにムジナを睨む。

 

『貴様が死ぬ事をあの実験体も望むだろ!!

それは貴様にとっても幸福だろ!!」

 

「それはっ」

 

その言葉と共にのし掛かっているデスローグの言葉にムジナは否定ができなかった。

 

「そうだよね。

陸が私が生きている事を望む訳ないよね。

もう疲れたよ」

 

そう、今にも襲い掛かろうとしていたデスローグに対して、ムジナは抵抗しなかった。

 

「ごめんね、陸」

 

その言葉と共にムジナは踏み潰される。

 

はずだった。

 

「諦めるな!!」

 

「えっ」

 

聞こえてきた声、それに驚きを隠せず、ムジナは周りを見つめる。

 

先程までの地獄のような光景ではなく、光に溢れている空間にムジナは驚きを隠せなかった。

 

何よりも驚いたのは

 

「陸」

 

そこには、確かに数ヶ月前、自身が殺したはずの陸だった。

 

「ごめん、待たせたな」

 

その一言を聞く前に、ムジナは陸を抱き締めた。

 

「暖かいっ、やっぱり陸だ。

間違いないっ」

 

それを確かに感じたムジナは涙を流していた。

 

「どこにいっていたの、私」

 

「ずっと一緒にいたよ。

俺も少し予想外だったけど」

 

「一緒にって、どういう事」

 

その言葉にムジナはゆっくりと見つめる。

 

「あの時、俺も少し覚悟を決めてウルトラダイナマイトをやった。

だけど、見様見真似だし、尻尾が俺の腹を貫いた後だったから、どうやら爆発した後、そのままムジナの中に吸い込まれたらしい」

 

「それじゃ、私、ずっと陸と一緒に」

 

「そういう事だな」

 

それは、計らずも、ムジナが望んだ結果だった。

 

「そこで、回復するまで時間がかかっていたんだ。

ムジナを死なせたくなかったから、必死に呼び止めたけど、ようやくこうやって話せるようになった」

 

「ううぅん、私こそっごめんっ」

 

そう言い、ムジナはそのまま強く抱き締める。

 

「食べれば、一緒にいられると思ったっ!

けど、それは陸が生きていてっ一緒にいないと意味がなかったっ、だからっ」

 

「あぁ、分かっている。

俺もだ、例え5000年だろうと、ウルトラマンの寿命だろうと足りないよ」

 

それと共に陸とムジナが抱き締める中で彼らを中心に一つのカプセルが現れた。

 

それは、これまでのウルトラカプセルとは違い、光輝いていた。

 

「だから、今は」

 

「戦う、一緒に!!」

 

【アルティメットエボリューション!】

 

その音声と共にムジナを踏み潰した禍々キラーザウルスの足下から光が溢れ出す。

 

「これはっ」

 

それと共に禍々キラーザウルスを吹き飛ばし、現れたのはウルトラマンジードだった。

 

だが、その姿は赤、銀、黒、紫の4色がメインとなっており、円や直線が主体で幾何学的な模様が特徴的な姿だった。

 

体形は男性的な骨格と女性的なボディラインを併せ持つ、どこか現実離れした細身のものとなっており、その頭はまるでウルトラマンエースを思わせる頭部だった。

 

「なっなんだっ、その姿はっ」

 

「決まっているだろ!

お前が散々言っていた、ウルトラマンだ!!」

 

「その声はっ実験体!!」

 

「実験体じゃない、俺は陸だ!

そして」

 

「ムジナ。

二人が合わさったのが、このウルトラマンの姿」

 

「二人合わせてだとっ」

 

そう言いながら、デスローグは雄叫びを上げながら、レーザー攻撃を陸達に向けて、仕掛けてきた。

 

その過去の光景は大爆発が起きた中と言う事もあり、その憎しみのエネルギーを真っ直ぐと陸達に襲い掛かる。

 

「「 ウルティメイトファイナルバリア!!」」

 

その雄叫びと共に形成したバリアで、その攻撃を受け止める。

 

「「フォトンホイップエッジ!!」」

 

それと共に両手に赤と黒、紫と白のビームの鞭を作り出し、そのまま禍々キラーザウルスの身体を次々と切り裂いていく。

 

「これは一体っ、どういう事だっ!

実験体如きがっ、これ程の力をっ」

 

「俺は実験体じゃない!

俺は朝倉陸!この世界のっウルトラマンだ!!」

 

その言葉と共に、二人は構え、動作は本来のウルトラマンジードの必殺技であるレッキング・バーストを思わせるように両手に赤、黒、紫の雷を交わる。

 

そして

 

「「レッキング・ノバァ!!!」」

 

その叫び声と共に最強の一撃が禍々キラーザウルスの身体を貫く。

 

「あぁ、ベリアル陛下っ万歳!!」

 

それと共に倒れ、デスローグは今度こそ爆散し、その姿を消した。

 

「さて、あいつを倒した事だし、早く家に帰ろうか」

 

「そうだね。

ねぇ、陸」

 

「なんだ?」

 

「一緒だね」

 

「あぁ」

 

その言葉と共に陸達はそのまま飛び出す。

 

同時に怪獣によって作り出された空間を飛び出した。

 

「あれって、まさか先輩なのか!!」

 

「久し振りだな、皆っ!

話したい事は結構あるけど、今はこの怪獣が先だ」

 

「お前は過去にいたジードという事ではなさそうだな」

 

「色々と訳ありだけど、復活しました、ナイトさん!」

 

「ならば、この場を切り抜けるぞ」

 

その言葉と共に、戦いが始まろうとした。



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その恋は

何ヶ月ぶりの投降です。
今回の投稿と共に、活動報告で少し変更します。
皆様の応募、お待ちしています。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=260413&uid=45956


「恋愛相談?」

 

「まぁ、そうなります」

 

そう言いながら、俺はその日、カフェで呼び出された相手である蓬君から聞いた話題に首を傾げる。

 

「それは、またなんで?」

 

「いや、なんというか、周りでこういう相談ができるのが、陸さんしかいなくて」

 

その言葉と共に思い出すのは、ダイナゼノンに乗るガウマ隊のメンバーやナイトさん達を思い浮かべる。

 

「ガウマさんはどうなんだ?」

 

「いや、ガウマさんの恋愛観はなんというか」

 

「まぁ、そうかもしれないけど、それを言うと、俺だってあまり参考にならないぞ」

 

そう言いながら、俺は現在は恋人であるムジナとの関係を思い出す。

 

あの戦いの後、ガウマさん達に改めてムジナの事についてを紹介した。

 

最初は元怪獣同盟のメンバーという事で警戒していたが、それでも今はある程度は警戒を解いてくれている。

 

「そもそも、蓬君が好きな相手って確か夢芽ちゃんだよね?」

 

「はい。

 

その」

 

「んっ?」

 

俺がそうジュースを飲んでいたら、何か気になったのか、蓬君は

 

「以前、南さんのお姉さんを知っている様子でしたよね」

 

「・・・あぁ、そうだな」

 

その言葉と共に、俺はそのまま天井を見上げる。

 

「恋人だったのかな」

 

「恋人。

 

えぇ!!」

 

「うわぁ、びっくりするなぁ!?」

 

いきなりの事で、俺は思わず立ち上がる。

 

「いえ、その、ずっと探していた人が、まさか陸さんだったなんて」

 

「あぁ、そうなの」

 

そう言いながら、俺は思わず蓬君はそのまま座る。

 

「その恋愛話は良いのか?」

 

「いや、それも気になりますけど、それよりも、何か知らないんですか。

 

香乃さんの事について」

 

「・・・たぶん、君達が知っている事が全部だと思う。

 

俺自身も、未だに分からない事が多いからな」

 

それと共に思い出すのは、当時の彼女との思い出だった。

 

あの時、俺は何を思っていたのか? 彼女は今、何をしているのか? そんな疑問が頭の中で渦巻くがただ一つ言えるのは

 

「ただ言えるのは、たぶん、後悔があったな」

 

「後悔ですか」

 

その言葉に蓬君は見つめる。

 

「彼女が死んだ原因は未だに分からない。

たぶん、ほとんど無気力になって、何かにのめり込む事しか生けていけなかった」

 

だからこそ、未だにウルトラマンで現実逃避をしていた。

 

空想上のヒーローに、子供の時の無邪気な気持ちを思い出させる為に、無意識で。

 

「だからかもな。

ムジナを見た時、無意識に香乃の面影を重ねたのは。

今度こそ、守りたいって」

 

それは、子供じみた考えだと自分でも思う。

 

だが、それでも彼女を守りたいという気持ちだけは本当なのだ。

 

そして、同時にムジナへの愛情もある。

 

どちらにせよ、もう彼女を手放すつもりはない。

 

「だからまぁ、俺から言える事は一つ。

蓬君。

君は、後悔しない選択をしろ」

 

「後悔しない選択」

 

俺の言葉を繰り返す蓬君を見ながら、俺は続ける。

 

「少なくとも、俺にとってはムジナは大切な存在だ。

だから、君は、夢芽ちゃんに正直な気持ちを伝えたら良いよ」

 

「はい」

 

俺の言葉に素直に従うように返事をする蓬君を見て、俺は微笑む。

 

(それにしても)

 

このカフェに来た時は驚いた。

 

何せ、目の前にいる知り合いが、かつての恋人の妹に告白しようとしていたから。

 

そう思っていた時だった。

 

聞こえてくる地響き、同時に窓の外を見ると、そこには怪獣の足があった。

 

「なんでっ、怪獣がっ」

 

そこには、既に存在しないはずの怪獣だった。

 

驚きを隠せない蓬君だったが、俺はその怪獣の特徴を見る。

 

「見た目はディノゾールとマジャッパの要素がある。

それに、あの胸の紫色のカラータイマー、もう出てきたか、ベリアル融合獣」

 

「それって」

 

あえて、名前を付けるならばディノジャッパだな。

 

「とにかく、ここは俺がなんとかする。

蓬君はガウマさん達に連絡を」

 

その言葉と共に、俺はすぐにジードライザーを取り出し、そのまま走り出す。

 

「掴むぜ、絆!」

 

その言葉と共に俺はすぐにブレイブチャレンジャーへとフュージョンライズする。

 

そのまま俺は目の前で暴れるディノジャッパに向かって、蹴りを放つ。

 

それによって、ディノジャッパはこちらの存在に気づいたのか、背中から無数の鞭で攻撃してくる。

 

だが、それを俺はメビウスブレスで防ぐ。

 

その際に鞭の先端は溶解し、やがて鞭は消滅する。

 

やはり、鞭による攻撃は脅威だな。

 

そう思いながら、俺は腕のメビュームブレードを展開して構える。

 

それと同時に、ディノジャッパは口から高圧水流を放ち、さらに鞭のように振るってくる。

 

それに対して、俺はメビュームブレードを横に振り、相殺する。

 

それにより発生した水蒸気を目くらましに使い、一気に距離を詰める。

 

しかし

 

「それは読んでいるだよっ!」

 

「なっ」

 

ディノジャッパから人間の声が聞こえ、そのまま俺を体当たりで吹き飛ばす。

 

「まさかっ、人間がフュージョンライズしているのかっ」

 

そう言いながら、俺は目の前にいるディノジャッパへとゆっくりと構える。

 

「てめぇには何度も邪魔されたからな、ここで始末する!!」

 

その言葉と共にディノジャッパは再び高圧水流を放ってくる。

 

それに対し、俺は腕の剣で切り裂く。

 

さて、どうする。

 

このままじゃ

 

「陸っ」

 

「ムジナっ!」

 

その言葉と共に俺は振り向くと、そこにはムジナが立っていた。

 

「いたな、裏切り者がぁ!!」

 

その声と共にディノジャッパはムジナに目を向けた。

 

「させるかよ!!」

 

それと共にムジナの元へと駆け寄る。

 

同時にムジナの手を取る。

 

「「ウルトラタッチ」」

 

【アルティメットエボリューション!】

 

それと共に俺とムジナはウルティメイトファイナルへと変身する。

 

その姿を見ても、怯む様子のないディノジャッパはそのまま背中の触手を振り回す。

 

「ムジナ、多分あの怪獣は」

 

「なんとなく分かっている。

 

たぶん、オニジャの奴が変身している姿だよ」

 

そう言いながら、俺達はその攻撃を避けながら、見つめる。

 

「たぶん、私のようにどっかでジードライザーを拾ったかもしれない。

だけど」

 

「あぁ、これ以上は好きにさせない」

 

その言葉と共に、俺達はそのまま手を前に出す。

 

同時に迫り来る触手を弾き飛ばすように現れたのは金棒状のアイテム、ギガバトルナイザーだ。

 

「なっなんだよ、それはっ」

 

それを見て、驚きを隠せない様子のディノジャッパだが、それを無視するようにムジナは手に何も描かれていないウルトラカプセルを起動させる。

 

ウルトラカプセルに描かれたのは、かつてムジナが操る怪獣の一体であるディドラスであり、そのまま俺の持つギガバトルナイザーに挿入する。

 

【ディドラス!モンロード!】

 

その音声と共に、ギガバトルナイザーから現れたカードはそのまま半透明な怪獣、ディドラスに変わる。

 

「怪獣を召喚しただとっ」

 

驚きを隠せないディジョジャッパに向けて、ディノドラスは自身の武器である牙を向け、ディノジャッパに飛びかかる。

 

ディノジャッパは飛びかかってきたディドラスに対して、鞭を振るうが、ディドラスは尻尾を使って鞭を防ぎ、そのまま噛みつく。

 

「どうなっているんだっ」

 

「さぁな。

 

ただ、ベリアルのレイオニクスの力とムジナの力が合わさった事でできた力とだけ言えるな」

 

その言葉と共に、俺達はそのままギガバトルナイザーを構え、そしてディノジャッパに向かっていく。

 

手に持ったギガバトルナイザーからは雷の鞭が現れ、そのままディノジャッパの体に巻き付く。そのまま電流を流して動きを止めている間に、ディドラスの丸ノコがディノジャッパの体を貫く。

 

その光景を見ながら、俺はギガバトルナイザーを変形させて、ディノジャッパを拘束する。

 

「一気に」「決めるよ」

 

【モンスターアタック!】

 

その音声と共にディドラスはそのまま俺達の左腕に一体化する。

 

それと共に巨大なギロチンへと変わる。

 

「「ディドラスギガ光輪」」

 

その刃がディノジャッパの体を切り裂き、それにより、ディノジャッパは爆発する。それを確認した後、俺とムジナは元の姿に戻る。

 

「オニジャの奴は」

 

「・・・いない」

 

すぐに変身したと思われるオニジャの姿を探す。

 

しかし、そこにはオニジャはいなかった。

 

「それにしても、どこでジードライザーを」

 

そう言いながら、疑問に思うが

 

「たぶん、私が使っていたジードライザーだと思うけど、一体」

 

その言葉と共に疑問に

 

「どうやら、まだ戦いは終わっていないようだな」

 

おそらく、これから起こるだろう戦い。

 

だが、それらの戦いの終わりはすぐ近くだ。

 

そんな予感があった。



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