がっこうぐらしー守るべきものー (三坂)
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第三十二話 きゅうけい

ランダルコーポレーションの精鋭軍との激戦‥
それは悪夢ような戦いだった。
なんとか僅差で勝つことができだ学園生活部
生き残った彼は新天地の聖イシドロス大学へと向かうのであった


荒廃した巡ヶ丘市内 

道路には事故車両や放置車両、建物もボロボロになっておりうめき声とともに彼らが散り散りに徘徊している。

 

そんな中ある道路のど真ん中に歩いている彼らの姿が‥

このような状況のため、車が一台も通らないはずだが‥

 

 

ドォン

 

 

突如して歩いていた彼らが一台のクラウンの警察車両に跳ね飛ばされる。そのまま道端に飛ばされ、少ししてゆっくりと

起き上がる。そんな彼らの目の前を先ほどの警察車両に続くように一台のハイエース、そしてセレナの警察車両も続くように通りすぎる。

 

 

「あちゃ〜‥、すみません跳ねちゃいました‥」

 

 

「気にするな、多少なら問題はないさ」

 

 

そのクラウンのハンドルを握っているのは直樹美紀という巡ヶ丘学院高校二年生の少女。そんな申し訳無さそうにしている彼女に気にしなくていいといっている助手席の男性は日野祐也。巡ヶ丘警察署所属の警察官だ。

 

 

「やっぱ散らばってるせいかちらほら見かけるねぇ‥」

 

 

跳ね飛ばされた彼らを見つつ、後部座席でそう溢しているのは美紀の同級生で親友、同じ巡ヶ丘学院二年生の祠堂圭。その横の席には美紀の愛銃バレットM107

と圭の愛銃HK416アサルトライフルが立てかけられていた。そして圭の膝には太郎丸が座っているようだ。

 

 

「っと、そこ右だな」

 

 

「了解です」

 

 

日野の指示に従って、クラウンのハンドルを回して交差点を右折する美紀、後続のハイエースやセレナも続くように曲がる。

 

 

「さっきから曲がってばっかだねぇ‥」

 

 

「そうなのだ〜‥」

 

 

先ほどから右にいったり左にいったりしているせいか

ハイエースの後部座席で巡ヶ丘学院三年生の丈槍由紀

そして巡ヶ丘小学校の生徒の若狭瑠璃が退屈そうにしていた。そんな彼女達を助手席に座っている姉の若狭悠里

、そして若き国語教師教師で日野の幼なじみの佐倉慈

がハンドルを操りつつたしなめる。

 

 

「仕方ないわよ、ここまで道路状況が変わればこうなるのも無理ないわ」

 

 

「そうねぇ‥、あと少しで休憩だからもう少し頑張って‥?」

 

 

「「はあい〜‥」」

 

 

 

 

「そういえばさ雪、どのへんで休憩するんだ?」

 

 

ハイエースの後方を走っているセレナを操る巡ヶ丘警察署所属でパンデミック前は訓練生だった湯月雪に助手席にいるアメリカ陸軍特殊作戦群所属で由紀などと変わらない年齢の黒田理琉が質問しているようだ。

余談だが訓練生時代、雪は日野と顔見知りで現在絶賛付き合っている。

 

 

「確か、この先のガソスタで休憩になってるはずよ」

 

 

セレナに搭載されているナビゲート用の地図をを見つつそう答える雪。その後ろの後部座席では由紀や悠里、理琉と同い年の巡ヶ丘学院所属で愛用のシャベルがチャー厶ポイントの恵飛須沢胡桃と理琉と同じ年で特殊作戦群の衛生兵を務める狭山小春がトランプをしているようだ‥。

 

 

「よっ!これで!」

 

 

「あっ!くそ!やらかした!?」

 

 

何やら楽しそうですね()わたしも混ざりた‥

 

 

「作者さんはちゃんと投稿しなさい」

 

 

ハイ

 

 

 

しばらく走った後、丁度日が暮れてきたこともありスタンドで補給をするついでにここで一泊することに。   

 

 

「レギュラーでいいよね?」

 

 

「うん、確かそれでいいはず」

 

 

「みんな〜、ここで飲料水見つけたよ〜」

 

 

「おぉ〜、でかした雪!」

 

 

3台にガソリンを補給しつつ、メンバーは就寝までの時間楽しそうに雑談をしていたのであった‥。

 

 

 

 

 

 

日が完全に落ちた夜‥、パンデミック後は明かりがなくなり月に照らされて薄っすらとなっていた。

 

 

「ふぁぁ‥」目を擦りつつ

 

 

「なんだ?眠そうだな?」

 

 

一同はハイエースの車内でぐっすりと寝ているのだが

セレナの車内では日野と雪が何やら作業しているようだ。

 

 

「眠いなら寝ていいんだぞ?マガジンのチェックならそっちの分もやっとくし」

 

 

「んじゃ‥zzz」

 

 

ウトウトしていた雪だが、日野のお言葉に甘えて肩に寄りかかり寝入ってしまう。

 

 

「やれやれ‥(汗)寝てはいいといったが‥まあいいか」

 

 

まさかの寄りかかってくるとは思ってなかったのか一瞬驚いた日野だが、特に気にせずに作業を進める。

 

 

「全く‥最近はとことん甘えてきやがって‥。

まあ‥そこが可愛いからいいんだが‥♪」

 

 

少し困り顔をしつつもなぜか嬉しそうにしつつ作業を勧めていくのであった‥。

 

 

 

 

そして翌日、出発準備が整った3台は一夜を明かしたスタンドを後に出発していくのであった。

 

 

「そういえば、大学までどれくらいかな?」

 

 

「えっとね‥、このペースで行けば明日にはつけるかな」

 

 

由紀が悠里にどれ位かかるのか聞いて、それに彼女が地図を見つつ答えているようだ。

実際、高校を出てからかなりの日にちが経っている。高校から持ってきた食料にも限りはあるため可能な限り早めに行きたいところでもある。

 

 

「ねぇねぇ?りーねぇ?」

 

 

「ん?どうしたのるーちゃん」

 

 

ふと瑠璃に声をかけられ後ろに振り向く悠里。どうやら何か言いたそうな感じだ。それにつられてか由紀も何か異変に気づく。

 

 

「ん?‥そういえばなにか聞こえるような‥はっ!」

 

 

途中まで首を捻って考えていた由紀だが、なにか気づいたのか身を乗り出してラジオの周波数を弄る。

 

 

「ちょ丈槍さん!?」

 

 

いきなり身を乗り出したことにびっくりして慌てて止めようとする慈。しかし由紀の弄ったラジオから何な声が聞こえてくる。

 

 

「ザーーーー‥、こちらワンワンワン放送局だよ〜。今日もいつもの時間に始めるね〜?」

 

 

「これって‥!」

 

 

「はい‥丈槍さんが弄ったのはAM‥つまり‥」

 

 

「生存者がいる!」

 

 

何ヶ月ぶりに自分達以外の生存者の声を聞いたせいかハイエースの車内は歓喜に包まれていた。それはクラウンとセレナの車内でも同様で車両に備え付けた無線機で情報を共有する。

 

 

「ありゃ間違いなく生存者がいるって証だ‥!」 

 

 

「まさかラジオからほかの生存者の声が聞こえるなんて‥」

 

 

「これからどうします?」

 

 

「とりあえずはこのラジオを放送している生存者を探しましょう。」

 

 

「とは言っても宛はないからラジオの性質を元に地道に探していくしかなさそうだな‥」

 

こうして一同はラジオの発信源をたどりつつ、街中を走行しているのであった。




新天地を目指す学園生活部

そして突如として流れたワンワンワン放送局という番組 

彼女達は無事放送の主を見つけられるのか!?


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第三十三話 ほうそうきょく

ワンワンワン放送局の主を探しつつ
一同は大学へと向かうのであった。


こうしてあれから走ること数時間 

休憩がてらコンビニ付きのスタンドに寄ることに。

周辺探索をしている最中理琉がふとあることに気づく。

 

「なあ、今日流れてた放送‥もしかしたらここかもしんねぇぜ?」

 

 

「それってどうゆう‥あぁ」

 

 

理琉の言ってることがいまいちわからない胡桃だったが指差された方向をみて、納得する。他のメンツも同じようにその方向に視線を向ける。彼らの視線の先には、災害用電波塔の姿が‥、ガソリンスタンドの店舗内になった地図で確認すると、少し先に電波塔とセットでシェルターがあるようだ。

 

 

「少し先に行けばありそうだな‥」

 

 

「行ってみますか?」

 

 

「だな、可能性は高そうだし。よし、俺と理琉、美紀と胡桃で行ってくる。あとはここの見張り頼んだ。」 

 

 

「了解、気をつけてね?」

 

 

「わかってる」

 

 

こうして、日野、理琉、美紀、胡桃の四人はシェルターへと足を運ぶことに。だが、日野と理琉は何やら考えているようだ。

 

 

「‥なあ日野、なんか違和感感じないか‥?」

 

 

「奇遇だな‥、俺もだ」

 

 

そう、ガソリンスタンド付近に来るまでは聞こえていた放送が途中から聞こえなくなっていたのだ。単純に電波が届かないだけかと最初は思っていたのだが、どうやらそうではなさそうだ。

そして敷地内に入り日野が扉に手をかけようとしたとき‥

 

 

ガタン!!

 

 

「‥‥この音‥、各自いつでも撃てるようにしておけ」

 

 

「了解‥」

 

 

「オッケ‥!」

 

 

中から扉越しになにか扉にぶつかる音が聞こえ、日野が咄嗟に20小銃を取り出す。それを見た理琉が、指示を出しそれに従って美紀がM9拳銃、胡桃がシャベルを取り出す。それを確認しつつ自身もウィンチェスターを取り出す。

 

 

「それじゃ‥行くぞ‥(ガチャ)」

 

 

準備できたのを確認するとゆっくりと扉のノブを開く。ギギッと音とともに扉が開き、理琉がウィンチェスターを構えつつ、戦闘で入っていく。

 

 

「‥‥」

 

 

中に入ってしばらく進んでいくと放送機器が置かれた部屋に辿り着く。生活の痕跡はあるのだが、今は誰もいないようだ‥。警戒しつつその部屋を探索していると美紀がある置き手紙を見つける。

 

 

ーこれを読んでいる人がいるということはすでに私はこの世にいないと思われます。そして、ここにいるということはきっと私のラジオを聞いて来た人でしょう‥。

出来れば会いたかった‥。でも読んでくれてるのはすごく嬉しい。メモの隣にキャンピングカーのキーが置いてあります。そして車の中には備蓄食料があるのでぜひ使ってくださいー

 

 

「‥手遅れでしたか‥」

 

 

置き手紙を読んだあと、そうポツリと呟いて置き手紙と車のキーを持って3人のもとに行き、説明する。

 

 

「‥つまり、やはりこの置き手紙の主は感染したということか‥」

 

 

「それで‥手紙の主は‥?」

 

 

「奥の部屋で自決していた‥。奴らになる前にケリをつけたところだろう‥」

 

 

「なるほど‥、あっそれと、置き手紙の横にこんなものが‥(渡す)」

 

 

「手紙にあったキャンピングカーのキーか‥、それに食料も‥、ありがたく使わせてもらおう」

 

 

 

 

 

「あっ、おかえりなさい〜」

 

 

「どうだった?ってそのキャンピングカーはどうしたのさ?」

 

 

日野達が帰ってきたため、出迎える一同だったが見慣れないキャンピングカーを見て驚きの声をあげる。

 

 

「とりあえずシェルターには誰もいなかった。だがキャンピングカーを使ってくれっていう置き手紙があってな。お言葉に甘えて拝借してきた。」

 

 

「なるほど‥、って食料もあるじゃないか‥!?」

 

 

「キャンピングカーに食料‥、これは使ってくれっていった人に感謝ですね。」

 

 

こうして車を乗り換えることにして、ハイエースから予備のガソリンを抜き取り、荷物を積み替える作業に追われることになった。  

 

 

「そういえば、セレナと並んでるあの新型カローラの警察仕様はどうしたんだ?」

 

 

そんな作業の最中ふと、セレナと並んで止まっている新型カローラを指差しつつ雪に質問する。

 

 

「あぁ、あれ?近くを探索してたら事故してた警護車列見つけて、その中の1台が自走できそうだったからかっさらってきた。」

 

 

「なるほど‥」

 

 

「それにセレナよりもカローラのほうが動きやすいってのもある。幸い、キャンピングカーがあるならセレナじゃなくてもいいかなって。」

 

 

こうして、積み替えが終わった車列はクラウン、キャンピングカー、カローラの順に出発して目的地を目指す。

 

 

「ここからだとどれくらいかな?」

 

 

「このままうまく行けばなんとか日が落ちるまでには見えてくるだろ」

 

 

 

そんなこんな‥キャンピングカーでは‥

 

 

バァァン!

 

 

「水洗トイレ最高〜!!」

 

 

「由紀ちゃん〜?行儀が悪いわよ〜」

 

 

「えぇ〜‥いいじゃん。久しぶりにこんなトイレ使えたんだし‥」

 

 

「男子がいないからいいものの‥、少しは言葉を選びなさいよ?」

 

 

「はあい‥」

 

 

勢いよくトイレから出てきたものの、すぐに慈と悠里から注意を受けて軽くへしょげてしまう。と、そんなこんなしていると国道の少し先に大学らしき建物が見えてくる。

 

 

「あっ、あれかな?」

 

 

「えぇ、あそこがどうやら目的地のようです」

 

 

道路標識に書かれているこの先1km先に聖イシドロス大学の表示を見つつ慈も確認する。

 

 

「けっこう大きいね?」

 

 

「だな‥、あの大きさだと高校と同じぐらいの設備は期待できそうだ」

 

 

キャンピングカーの後ろにいたカローラは少し位置を変えて大学を確認する。それをみた小春と胡桃が視線を向ける。

 

 

「さて‥問題は生存者がいるのか‥いたとしたらどんな奴らか‥」

 

 

「んまぁ、危害加える奴らなら始末するまでだがな」

 

 

「そんな物騒なことは言わないの‥(汗)」

 

 

大学まであと少しというところ、手前のコンビニ駐車場で一夜を明かすことにした一同。交代で見張りをしつつキャンピングカーの寝床でゆっくりすることに。

 

 

「ふかふかのベッド〜‥♪」

 

 

「いいねぇ‥♪」

 

 

「運転の疲れが癒やされるぅ‥♪」

 

 

「なのだ〜‥♪」

 

 

「やれやれ‥早速だな(汗)」

 

 

キャンピングカーの車内では、久しぶりのふかふかのベッドが嬉しいのか、雪、圭、由紀、瑠璃が毛布の上でゴロゴロしている。その様子を他のメンバーが苦笑いになりつつも微笑ましく見ていた。

 

 

「まあ、こんくらいしてもバチは当たらんやろ。とりあえず寝る前に明日の動きの確認をするぞ?」

 

 

理琉が集合の合図をかけ、一同はキャンピングカーのテーブル前に集まる。一部は布団の上で転がりつつ聞く。

 

 

「明日、いよいよ聖イシドロス大学に乗り込む訳だが‥なにか案とかあるか?」

 

 

「あっそれなら‥」

 

 

理琉の提案に雪が手を上げつつ話を続ける。

 

 

「とりあえず、今日軽く外から見てきたけど。人がいるのは確実。校門とか裏門にバリケードが敷いてあった。」

 

 

「つまり生存者がいるということか‥」 

 

 

「それで何だけど‥、持っていく武器を絞りたいの」

 

 

「いいのか?それ、相手が友好的とは限らないぞ?」

 

 

胡桃の疑問を聞きつつ話を続ける。

 

 

「確かにそう。でも武器を持ってることがバレることで誤解される可能性もある‥。」

 

 

「なるほどね‥、相手に可能な限り不信感を与えないようにしたいってことですか‥、確かにそれはありえますね‥、私は賛成です。」

 

 

「私もです。やはり武器を見せるのはあるい程度不信感が溶けてからにしたいですから」

 

 

そうして各自持っていく武器を絞ることに。内訳はこんな感じ

 

 

 日野 20小銃

 

 

雪 SFP9

 

 

 由紀 H&KUSP拳銃

 

 

 胡桃 シャベル

 

 

 悠里 (由紀のMP5)

 

 

 慈   M17拳銃

 

 

 美紀  M9拳銃

 

 

 圭   HK416アサルトライフル

 

 

 理琉  ウィンチェスター

 

 

 小春  グロッグ17

 

 

最悪戦闘になってもいいように各自武器を持つことになった。シャベルにした胡桃に対して、それでいいのかとみんなに聞かれたが本人曰く大丈夫だとのこと。

 

 

 

その日の夜‥一同はつかの間の眠りについていた。やはりキャンピングカーだと寝心地がいいのか‥みんなスヤスヤと寝ていた。

 

 

「ん‥(目を擦る)」

 

 

目が覚めてしまったのかむくりと目を擦りつつ起き上がる雪、隣にはグゥグゥ寝ている日野の姿が‥

 

 

「‥可愛い寝顔‥♪(静かに撫でる)あのハプニングで最終的に付き合うことになったけど‥、日野と出会えて良かった‥」

 

 

月に照らされている雪の表情はなんだか穏やかな顔になっていた。

 

 

「‥こんな日が‥ずっと続けばいいな‥」

 

 

 

 

 

そして翌日、車で大学近くの並木通りまでゆき、そこから徒歩で行くことに。

 

 

「どこか入れそうか?」

 

 

「入り口は塞がれてる‥、あっあそこのハシゴから行けそう」

 

 

そう言って小春が指差した先には上り下りできそうなハシゴがかけてあるのが確認できる。そこから中に入ることに。雪、胡桃、美紀、圭、理琉、悠里、瑠璃、慈、太郎丸、小春、日野の順で中に入ることに。

 

 

「よっと‥」

 

 

 

敷地内を進むメンバー

しかし‥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

動くんじゃねぇ!!!!!全員手を上げろ!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒュン!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直後どこからか怒号が聞こえ、茂みからクロスボウが飛んでくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狙いは瑠璃

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ!?」

 

 

 

 

 

「るーちゃん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

咄嗟に庇うように悠里が瑠璃に覆いかぶさる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




放送の発信源を見つけまたものの
その主はすでに感染し、自ら命を立ってしまっていた。
しかし彼女が残したキャンピングカーや食料
そして雪が事故を起こした警護車列から新型カローラの警察車両を手に入れ、なんとか大学へとたどり着いた学園生活部。
しかし‥そんな彼女達に危機が‥!


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第三十四話 だいがく

突如として飛んできたクロスボウ
新天地に来てそうそう手荒い歓迎をうけることに‥


「るーちゃん!(バッ!!)」

 

 

「センスねぇマネしやがって!!」

 

 

クロスボウが迷いもなく瑠璃に向かって飛んでくる。咄嗟に庇うように悠里が覆いかぶさり、理琉がショットガンで立ちふさがろうとする。

 

 

「っ!!」ガギィィン!! カラカラ‥

 

 

「圭!?」

 

 

しかし理琉よりも先に体が動いたのか圭が咄嗟にアサルトライフルをぶん投げクロスボウを当てた衝撃で弾き飛ばす。もちろん安全装置はロックした状態で

 

 

「ちっ‥!!何するんだよ!!」

 

 

クロスボウの飛んできた茂みからピストルボウガンを構えつつニット帽と眼鏡をつけている少年が出てくる。

 

 

「あぁ!?子供に向かって撃ったヤツが何いってんだ!!!」

 

 

理琉はショットガンを上に上げて発砲、少年を威嚇する。

 

 

「っ!?」

 

 

雪がニット帽と眼鏡をかけた少年にホルスターに手をかけつつ近づく。

 

 

「これでわかったでしょ?私達はあいつらじゃない、

ならそんな物騒なものをさっさとおろしなさい」ジリ

 

 

「くっ来るな!!!」

 

 

「どうして!!」(拳銃を取り出す)

 

 

「アイツらじゃなくても‥なりかけかもしれ

ないだろ!?」

 

 

「‥どうゆうこと‥?」

 

 

「あぁ!?」

 

 

理琉の堪忍袋が切れた。

 

 

「子供に向かって撃ってきてぇ!?それで空気感染かもしれねぇだと!?フザけたこと抜かしてるんじゃねぇぞ!!」バァン!!

 

 

怒りのあまり、再び上に向けて発砲する。それに怖気づいた少年はボウガンの狙いを理琉に変えて撃つ。

 

 

「んなぬるい攻撃当たるかよ!!」

 

 

しかし、理琉からすればそれは甘すぎる攻撃でなんなく避けられてしまう。さらに

 

 

「私を無視するな!!」ガギィン!!

 

 

次の攻撃をしようとした少年のボウガンを雪が

弾き飛ばす。飛ばされたボウガンは宙を舞って

少し離れた場所に落下する。

 

 

「くっ来る‥!?ガバ‥!!」

 

 

まだ抵抗しようとしていた少年だが、雪に思いっきり背負投され地面に叩きつけられる。

 

 

「ったく‥(起き上がる)」 

 

 

「なっなあ‥?空気感染ってどうゆうことなんだ‥?」

 

 

「ここに来る前に聞いた話なんだがァ、どうやら今回の発生したパンデミックの発生源のウィルスは空気感染をするようだなァ‥。おそらくこいつもそれ系列で感染している。顔色を見ればな‥、早ければ数日でくたばる」

 

 

「‥‥」

 

 

「まあ、精々腐った悪党として何もできず怯えて過ごすんだな。オマエら行くぞ、ここは危険だ」

 

 

「‥だな」

 

 

「りょ‥いっ‥!?」

 

 

「!?どうしたの圭!!」

 

 

「足が‥」

 

 

圭の左足からは血が流れていた。先ほどの

クロスボウを弾いた際に流れ弾がかすったの

だろう。

 

 

「早く手当しないと‥、雪さん手伝ってください」

 

 

「わかったわ、胡桃さん、圭さんの

アサルトライフル持っててくれない?」

 

 

「ん、わかった」

 

 

「佐倉さん、行きましょう」

 

 

「任せて」

 

 

出鼻をくじかれたため一同はキャンパス外に出る

ことにしたのであった。

 

 

 

 

「ンで?どうすんだこれから」

 

 

車の中で話し合う学園生活部たち。何人かは高校の災害用貯水塔から持ってきた水の入ったペットボトルを飲んでいる。

 

 

「まさか侵入そうそうクロスボウをぶちかましてくるとは‥」ため息

 

 

「先が思いやられますね‥」

 

 

「瑠璃ちゃんのときもそうだけど‥、クロスボウをいきなり撃ってくる相手に話が通じるなんてことは‥」

 

 

「クゥン‥」

 

 

「なんとか話を聞くだけでも‥」

 

 

「「「私は反対よ」」」

 

慈と悠里、雪は反対した。

 

 

「どんな理由が向こうにあったとしても、子供相手にクロスボウを撃ってくるようなクソ野郎だ。無理はする必要なない」

 

 

「ですね‥るーちゃんを危険な目に合わせるわけにはいかないし」

 

 

「そうなると私は留守番かな‥」

 

 

圭は太郎丸を撫でながらそう言った。

 

 

「そもそも全員で行く必要もないよな」

 

 

「あまり無茶はしないでくださいね?」

 

 

「わかってるよめぐねぇ」

 

 

理琉、胡桃、雪の3人がもう一度キャンパスに侵入して情報を聞き出す方針に出た。

 

 

「日野、美紀、佐倉先生。いつでも出せるように車のエンジンかけといてくれ」

 

 

「了解」

 

 

「わかりました先輩」

 

 

「気をつけて」

 

 

「よし、じゃあ再び行きますか〜」

 

 

3人は車を出て先ほど入った所に向かった。クラウン

の車内では日野が圭のアサルトライフルの調整を

行っており、助手席では圭が真剣に見ていた。

キャンピングカーでは慈が運転席でのんびりして

おり、悠里は由紀や瑠璃とボックスシートで

遊んでいる。小春は太郎丸とじゃれ合っており

カローラでは美紀が本を読んでいた。

数分後、慈がふと外に視線を移すとそこには3人が

慌てながらこちらに走ってくる様子が確認できる。

その後ろにはバイクのヘルメットを被った二人組

の人間が追ってきている。

 

 

「めぐねぇ‥?」

 

 

「!!(無線機に飛びつき)日野さん!直樹さん!」

 

 

【おっおう!】

 

 

【わかりました!!】

 

 

偵察班の3人が3台中で1番近かったカローラに

跳び乗る。

 

 

「美紀さん!早く出して!」

 

 

「はっはい!」

 

 

キャンピングカーを先頭に、クラウンとカローラが

急発進する。

 

 

「おい!!待て!!」

 

 

ヘルメットを被った二人組は足を止める。

 

 

「ったく‥なんなんだアイツら‥」

 

 

「雪さん、運転代わって貰えませんか?」

 

 

「ほいほい、じゃあどこかに止めプー!!!」

 

 

車のクラクションが鳴り響く。

 

 

「もう後ろにいます!」

 

 

「これじゃ交代が‥」

 

 

「めんどくせぇ!こいつで追い払ってやる!!」

 

 

後部座席の窓を開けて身を乗り出しM1887を追いかけ

てきてるセダンに向けて発砲する。しかし威嚇の

ためでありタイヤやフロントガラスは狙ってない。

県道を爆走するキャンピングカー、その後に続く

ようにクラウンとカローラ、セダンが続く。

 

 

「しつこいわね‥」

 

 

なんとか美紀とドライバーを交代した雪はバックミラーを見つつ追いかけてくるセダンを軽く睨む。

 

 

「どうにかしないと‥」

 

 

そんなさなか、キャンピングカーでは由紀が何かに

気づく。

 

 

「そういえばなんか聞こえない?」

 

 

「え?うぅん‥なんか聞こえるような聞こえない

ような‥」

 

 

由紀と悠里がどこからかかすかに聞こえてくる声に首を傾げていると小春がはっとなる。

 

「ゆきちゃん!ラジオ!ラジオの音量上げて!」

 

 

「圭!ラジオの音量上げてくれ!」

 

 

「美紀さん!音量!」

 

 

「ねぇ!キャンピングカーと警察車両の人、

聞こえてる?危なくなったら裏門きて!

待ってるよ!」

 

 

「佐倉さん!もう少しスピード上げてください!追いつかれます!」

 

 

「はっはいぃ!」

 

 

慈がさらにアクセルを踏み込み、それに続いて日野と雪も踏み込んでセダンから振り切ろうとする。

 

 

「めぐねぇ!この先!みぎに曲がって!その後左!」

 

 

「わかったわ!」

 

 

裏門に続く道を左折するキャンピングカー、その後に日野のクラウンもやってくる。

 

 

「圭、しっかり掴まってろ!!あとあんまり喋るなよ

舌噛むからな!!」

 

 

「え、それど(ギャァァァ!!!)あわわわ!?」

 

 

圭が聞こうとする前に日野がサイドブレーキを思っきり引く。直後クラウンの後輪がロック。白煙を上げつつ横滑りになる。そのままドリフトみたいになり速度が乗りつつ左折する。

 

 

「日野もなかなかやるねぇ‥、みんな!しっかり捕まってなさい!!」

 

 

「オウ!!」

 

 

「はい!」

 

 

「いいぜ!」

 

 

カローラは一瞬直進するように見せるために加速する。それに釣られて後ろのセダンも加速して追いすがろうとする。

 

 

「かかった!」

 

 

釣れたとことを確認次第すぐにサイドブレーキを引き怒涛のスピンターンを決めるカローラ、当然セダンのドライバーが対応できるはずもなくそのままカローラの横を通過してしまう。そして向きを変えたカローラはそのまま2台が曲がった道を左折して追いかけていく。

 

 

 

そしてしばらく走行していると、門が見えてくる。そこには大学生らしき女性たちが待機していた。扉の門を開けて待っている。すでに中にキャンピングカーとクラウンが入っているようだ。

 

 

カローラも入ったこと確認すると女性たちは門を

閉め始める。遅れてやってきたセダンは中に3台

が入ったのを確認するとそのまま来た道を引き返し

ていくのであった。

 

 

「とりあえず一難去ったか‥」

 

 

 

 

「お疲れ様、大変だったでしょ?」

 

 

車から降りると、先ほどの大学生3人が出迎えてくれた。一人は眼鏡をかけており、もうひとりは茶髪

ポニーテールでまとめており、もうひとりは

黒髪セミロングのようだ。

 

 

「えっと‥あなた達は‥?」

 

 

「えっと‥生き残り?」

 

 

眼鏡の子が適当に答える。

 

 

「違うっしょ‥、アタシたち、さっきの車の連中とは

別グループだよ」

 

 

「そうそう、武闘派の人とはどうも合わないん

だよねー」

 

 

「‥‥」

 

 

大学生組の話すペースに追いついていけてない

学園生活部のメンバー

 

 

 

 

 

 

「そんなわけで‥、まあ」

 

 

 

 

 

 

「聖イシドロス大学へようこそ!!!」

 

 

 

 

眼鏡の女性が握手を求めた。悠里が恐る恐る

手をのばす。

 

 

 

「お世話になります」

 

 

 

 

 

その後校舎内へと案内される。高校での経緯や簡単な自己紹介をおこなった。

 

 

 

「へぇ〜‥今まで高校にいたんだ。生徒に教師‥というか軍人さんもいるのか〜、車でなんとなくわかってたけどもう二人は警察官‥、片方は警官服来てないと警官なんて想像できないよ」ユキノタイケイミツツ

 

 

「グハ‥!?(5のダメージ)」

 

 

「軍人といえど今は完全な放浪者みたいなもんです

がね‥(汗)」

 

 

「んで私達は学園生活部っていうんだ〜」

 

 

「ゆきちゃん?一応年上なんだから敬語は

使わないと」

 

 

「別に敬語とか気にしなくてもいいよ〜?面倒だし、 そうゆうの。んで君達は学園生活部に入ってる

のか〜、うちと似たようなもんだね」

 

 

「と、なるとサークルみたいな感じですかね?」

 

眼鏡をかけた女性が、ドアの前に立ち止まると、

突然振り返る。

 

 

「ようこそ!僕たちのサークルへ!」

 

 

「案の定サークルでした‥(汗)」

 

 

「名前はどうようかなっていろいろ協議したんだ

【自堕落同好会】とか‥‥」

 

 

「まっまあ‥部屋を見ればなんとなく‥(汗)」

 

 

苦笑いしつつ雪が視線を部屋内に向けるとそこにはPS4やパソコン、PS3、Switchなどや、漫画、映画のDVDなどなどさまざまなものが少し汚く置かれていた。

 

 

「とりあえず座りなよ〜」

 

 

そう言ってくれるのはありがたいのだが、ちゃんと

した椅子が置いておらずクッションのようなものに

よだれかかったり、寝転がったり‥

完全にニートですねありがとうございます()

 

 

「同好会ってこんなもんだっけ‥?えっと‥眼鏡かけてるそこの子‥」

 

 

「あっ!自己紹介忘れてた‥!ほら!代表!」

 

 

眼鏡の女性は日野の手を取り

 

 

「僕はサークル代表、出口桐子だよ!」

 

 

自己紹介をし、満面の笑みを見せたのであった。

 

 

 




手荒い歓迎を受けたものの穏健派の彼女達に迎えられた学園生活部。
ここから徐々にこの大学について知ることに‥


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第三十五話 おんけんは

穏健派に出向かれられた学園生活部

そこで穏健派とは別の組織
武闘派について知ることになる


「じゃあうちのメンバー紹介するね、こっちが光里昌

んでこっちが喜来比嘉子」

 

 

 

 

「光里昌だ。アキでいいよ。」   

 

 

 

「喜来比嘉子‥、ヒカでいいよ‥。工作が得意なんだ‥」

 

 

 

「よろしくお願いします」

 

 

 

お互いの自己紹介が終わったところでトーコが本題に入る。

 

 

「とりあえず、君達がどうしてここに来ることになったのか詳しく説明してくれない?」 

 

 

「あっ‥、それなら」ガサガサ

 

 

 

そう言って、リュックから例の職員用緊急避難マニュアルを取り出し、桐子に渡す慈。

 

 

 

「うひゃ‥、こりゃたまげた‥」

 

 

 

「あんまりにも都合が良すぎるとは思ったけど‥」

 

 

 

「それで‥だ。コイツも見てほしい(裏の資料を見せる)ここに連絡先の一つにランダルコーポレーションって書かれてるだろ?」

 

 

 

「ホントだ‥」

 

 

 

「つまり、今回のパンデミックはランダルが絡んでいるってことさ。どうゆう経緯かはわからないが‥。だが俺達の住処に精鋭軍を送り込んできたのかその証拠だ‥」

 

 

 

「あんた達よく撃退できたわね‥」

 

 

 

 

「運が良かったとしか言えないな‥、誰がいなくなることも覚悟した‥、だがこうやってみんなでいれるんだ‥。今はそれだけでも幸せだな」

 

 

理琉を話を聞いてる学園生活部は少し重い雰囲気になる。特に圭や美紀など、命の駆け引きをしたものの雰囲気の重さは計り知れない。

 

 

 

「だが奴らがそう簡単に諦らめるはずがない。精鋭軍を潰した俺らは重要排除目標になってるだろう。そんな奴らと関係を持ったお前達も注意したほうがいい」

 

 

 

「そっちのほうが大変なのに‥気を使ってくれるとは‥わかってる。こっちも気をつける。」

 

 

 

「んでまあ、その戦闘のせいで学校の設備が使えなくてな‥」

 

 

 

 

 

桐子がマニュアルをマジマジと見つめている。

 

 

 

 

「なるほどね‥、このマニュアルをもとにうちにやってきたのか‥」

 

 

 

 

実際、この大学には高校と同じようにシャワー施設や太陽光パネル、そして地下区域などの設備が揃っているのも事実。そんなこんな話しているとふと雪が思いだした。

 

 

 

 

 

「そういえば、武闘派ってさっき行ってたけど‥あなた達となにが違うの?」

 

 

 

 

その発言を聞いて桐子の表情が険しくなる。

 

 

 

「ん〜‥、なんて言えばいいんだろ‥。まあ簡単に表すとしたら、武闘派は戦闘員の集まり。んでうちらは非戦闘員の集まりって感じかな」

 

 

 

「戦闘員と非戦闘員‥」 

 

 

 

「そっ、この事態が起こってたときはけっこうヤバかったからね‥。電気もない食料もあまりない‥、人は減りまくる一方‥。そんな中で規律第一に動き出したのがアイツ武闘派さ。最初の頃は生きるのに必死だからあんまり気にしてなかったけど‥」

 

 

「けど‥?」

 

 

 

「アイツらは戦える奴と戦えない奴を分け始めたんだ‥。戦える奴は優遇して‥戦力外だったら‥な?」

 

 

 

「それで武闘派か‥、下手すりゃヤクザよりも酷いんじゃないか‥?」

 

 

 

「んでまあ‥流石にそれは酷いんじゃないかって思ってね‥。文句言いに行ったら好き勝手しろって言われて‥。食料も水もつきかけてやばかったけど‥ヒカのお陰でなんとかなったわけさ」

 

 

 

 

「別に‥‥大したことじゃないよ‥」

 

 

 

 

「屋上の太陽光発電システムの線を辿っていったら非常電源と地下施設を見つけてね、そこで食料も見つけたんだ」

 

 

 

「なるほどなァ‥うちと似たような設備があった訳か‥」

 

 

 

「だからこうやって、のんびり過ごせてるのも地下施設のお陰なんだよねぇ〜」

 

 

 

 

「だったら武闘派の人たちもピリピリする必要ないのに‥」

 

 

 

話を聞きつつ不満を口に出す圭、その発言に頬杖をしつつ昌が難しい表情になる。 

 

 

 

「そうなればいいんだけどねぇ‥‥、なかなか一度決まった路線を変えるのって難しいんだよ‥」

 

 

 

 

「まっ‥いろんな人がいるからなね‥大学って」

 

 

 

 

とりあえずそれっぽいことを言う桐子

 

 

 

「それっぽいこと言ったでしょ?」

 

 

 

「あっ‥バレた?(汗)」

 

 

そして昌にツッコミを入れられしまうのであった。

 

 

 

その後も学園生活部と大学組は楽しげな雑談をしている。するとあっという間に時間が過ぎてしまい気づけば夜になっていた。

 

 

 

「おぉ‥♪」

 

 

由紀は夢の個室に目を輝かせていた。そんな由紀を見つつ慈が桐子に視線を向ける。

 

 

「本当にいいんですか‥?」

 

 

 

「いいよ、いいよ。どうせ部屋がくさるほど余ってたわけだし。じゃんじゃん使ってくれたほうがこっちも嬉しいから」

 

 

「しかも部屋内もなかなかの広さだな‥、流石大学‥」

 

 

部屋の中を見つつ、日野も驚きの声を上げていた。そんな楽しそうな学園生活部に比嘉子がある質問を投げかける。

 

 

 

「そういえばさ‥みんなが持ってるそれは何‥?」

 

 

「あ〜、これか?」

 

 

胡桃が背中にシャベルと背負っていたM4カービンを手に取り、見やすいように見せる。

 

 

 

「どこで手に入れたか話せば長くなるんだが‥(汗)

まあ護身用に一応持ってるやつさ」

 

 

「ランダルの精鋭軍との戦闘でもこれがあったお陰で切り抜けられたようなものですから‥(バレットを大切に持ちつつ)」

 

 

ほかのメンバーも銃を手に取りつつ、懐かしそうに見せてくる。

 

 

「もちろん、あなた方に危害が及べばしっかり守ってあげます。覚悟はできてますから」

 

 

「そう‥なんだ‥♪凄く頼もしい‥♪」

 

 

学園生活部の決心の表情を見て比嘉子が無邪気な笑顔をみせてくれる。そんな笑顔にメンバーも自然と笑顔が溢れてくるのであった。

 

 

 

そして本来なら寝静まっている夜‥、それぞれの部屋で寝ているはずだが、中には誰もいない。しかしプレートにゆきと書かれた部屋の中からは微かだか話し声が聞こえてくる。

 

 

「んで‥、部屋は別れてもこうなるんだな‥(汗)」 

 

 

寝袋に包まりつつ、周りを見渡して苦笑いの表情を浮かべる。まとまって寝ることの多かったため、やはり個室だと落ち着かない様子だ。そこで由紀の部屋に集まって寝ることに。窓側から理琉、由紀、胡桃、悠里、瑠璃、慈、雪、日野、美紀、圭(太郎丸)、小春の順に並ぶように寝袋が並んでいた。

 

 

「なんか‥一人だと落ち着かなくて‥(汗)」

 

 

「私もだな‥(汗)」

 

 

「こんなの初めてですよ〜」

 

 

そんなこんな雑談をしていると、自然と眠気が襲ってきて一同は眠りにつくのであった‥。

 

 

ー‥‥これから先どうなることやら‥ー

 

 

目を閉じつつそんなことを考える日野。しかし彼も眠気が襲いいつの間にか寝てしまったのである‥。

 

 

 

 

 

同時刻‥大学組部屋にて

 

 

 

「あのさ‥、思ったんだけど‥」

 

 

気長にお酒をたしなみつつ、ふと桐子が口にする。 

 

 

「今の私達のままじゃ‥いけないよね?」

 

 

「奇遇だね‥私もだよ」

 

 

 

「うん‥」

 

 

 

桐子の意見に同じくお酒を飲みつつ、同意する比嘉子と昌。

 

 

「だってあの子たちのほとんどがまだ高校生ぐらいの年齢で私達と変わらないんだよ?それで命の駆け引きを経験してる‥。ゲームざんまいの私達は相当なアホだね‥」

 

 

 

しばらく無言が続いたが、桐子が突如立ち上がる。

 

 

「これを機に変えよう!私たちも現実と向き合わないと!」

 

 

「そうだね♪」

 

 

「うん‥!」

 

 

こうして大学組3人は決意を向けに夜のお酒を楽しんでいたのであった‥。

 

 

 

その頃‥大学のある部屋で一人の男が無線機で話していた。

 

 

「‥一体なんのまねだ‥?」

 

 

無線の相手である女性は、笑みを深くしつつ語りかける。 

 

 

「あら、いい案じゃないの?あの子達を始末する代わりにあなた達を優遇してあげる。こんないい案はないわよ?それに‥邪魔者を始末できるチャンスじゃない?」

 

 

「‥ふっ‥、たしかにな。わかった、その案に乗らせてもらおう。要するに俺達武闘派でアイツらを始末すればいいんだな?」

 

 

「そう‥ね。私がやってもいいけど、今はそれどころじゃないから。じゃあ決まりね、無事成功したら教えて頂戴。それと、武器は明日敷地内に空輸しておくから」

 

 

そうして、どこかの誰かと無線を終えた男は夜空を見つつ悪笑みを浮かべていた‥。

 

 

「‥まさかこんなチャンスが来るとな‥、穏健派、そして邪魔者を潰せる。そして俺たちはのうのうと過ごせる‥、へへっ‥。楽しみだ‥」

 

 




こうして穏健派の仲間入りを果たした学園生活部

しかしその裏では武闘派が何か企んでいた‥


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第三十六話としょかんのあるじ

学園生活部のこれまでを知った穏健派組は
自分達の生活を見直して再スタートを切ることに


そして翌日、大学組は早速行動を起こしていた。

まだ学園生活部のメンツが起きてない早朝、コソコソと散らかっていた部屋の掃除を始めていた。

 

 

「ヒカ〜、これをそっちに」

 

 

 

「わかった‥」 

 

 

 

「しっかしこうして見てるとどんだけ散らかってたのかわかるねぇ‥」

 

 

 

掃除をしている部屋を見渡しつつアキがそう溢す。実際掃除をする前と比べて、まだ完全に終わっていないのに綺麗になりつつあった。それを見てどれだけ前の自分達が酷かったのか、改めて実感させられたのであった。

 

 

「全くだね‥、これからはちゃんとしないと‥」

 

 

「うん‥」

 

 

それから少しして、みんなが起床して朝食を食べ終えたあとある講義室に集まっていた。

 

 

「という訳で〜、とりあえず新たに仲間が増えたわけだし今後の方針とかの説明をしようかと」

 

 

トーコがホワイトボードの前に立ちつつ座っているみんなに視線を向けていていた。    

 

 

「一夜の間になにがあった‥(汗)」

 

 

「ホントだね‥(汗)」

 

 

「昨日の、様子が嘘のようだよ‥(汗)」

 

 

自分たちが知らない間に大学組が変わってしまったことに驚きを隠せずにいる学園生活部。そんな様子をみて心の中でガッツポーズを決めつつ話を続ける。

 

 

「まあ、奴らの正体について話し合いたいんだ。それに対処法とか、今後役に立つかもしれないし」

 

 

「たしかにそれもそうだな。といってもだいたいこっちはわかってるが‥(汗)」

 

 

こうして各自意見を出し合い、それをヒカがホワイトボードにまとめている。そこに書き出されているようだ。

 

 

「まあ、あいつらは基本動きがとろいから数体なら相手はできる。」

 

 

「あとは目が見えてないことですかね?音を頼りに襲ってきてそうです。あとは生前の行動をもとに動いてるとか」

 

 

「噛まれたりしたら数分後に、空気感染でも数日で彼らかしてしまうのもあるね」

 

 

「頭も弱点だよな」

 

 

「なるほど‥(カキカキ)」 

 

 

「それとパンデミック発生原因は言わずがなランダルコーポレーションの仕業で確定だろうな。」

 

 

「だけど、その理由がぱっとしないのよね‥。事故か‥故意で起こしたのか‥。」

 

 

「やはり本拠地に直接乗り込まないといけないだろうな‥。いずれかは」

 

 

 

 

 

「う〜ん‥」

 

 

 

「圭〜、なにか見つけた?」

 

 

 

「今は特に‥、あっあったあった(一冊の本をを引っ張り出す)」

 

 

会議が終わったあと、美紀と圭、そして由紀は図書館にやってきていた。なにかおもしろい本がないかと、由紀の提案でやってきていた。

 

 

「けーくん〜それってなんの映画〜?」

 

 

由紀が不思議そうに映画のタイトルが書かれた表紙を覗き込む。

 

 

「えっとね〜、ワイルド○ピードスカイミッションっていう映画だね」

 

 

「これって、車系のカーアクション映画だよね?圭ってこんなの興味あったんだ」

 

 

「あっいや‥、興味を持ち始めたのは最近かな。いろんな車の挙動体験してたら勉強したくて‥、それにこの映画、車を利用したダイナミックな作戦とか銃撃アクションがてんこ盛りなんだ〜。飛行機から飛び降りたり、有能AIをめぐったカーチェイス場面とか〜」

 

 

表紙を見つつ、少し目を光らせつつ嬉しそうに語っている圭を苦笑いで聞いている美紀と、よくわからないが凄そうなのは伝わっているのかうんうんと首を縦に振りつつ聞いている由紀、しかし微かな物音が聞こえてくる。

 

 

「っ‥!」

 

 

物音に反応して、素早くホルスターに手をかけつつ周囲に視線を向ける美紀。しかし誰かがいる雰囲気は見て取れない。

 

 

「どうしたの?美紀」

 

 

「みーくん表情硬いよ?」

 

 

美紀の異変に気づいたのか2人が心配そうに声をかけてくる。

 

 

「いえ‥、特には‥」

 

 

2人に問題ないと返事を返しつつ、ホルスターにかけていた手を離して警戒を解‥

 

 

 

 

 

「やぁ〜、君達なんのやつ見てるんだ〜?」

 

 

 

 

 

「「「うぉぉぉぉ!!!!!!??」」」

 

 

 

 

 

突如として背後からにょきっと現れた人物に驚き盛大に悲鳴?をあげる3人。そしてその悲鳴が聞こえたのか学園生活部のメンバーが駆けつけてくる。

 

 

「3人ともどうした!?」バァン(M1887を持ちつつ)

 

 

「まさか彼らが出たのか!?」20小銃持ちつつ

 

 

「すっごい悲鳴でしたけど大丈夫ですか!?」

 

 

 

勢いよく入ってきたのだが、3人の隣にいる人物と視線が合う。

 

 

「やぁやぁ、君達が学園生活部かい?」

 

 

 

「「ゑ?」」

 

 

初めて見る人物+想定外の事態のため一同の思考が一瞬フリーズしている。

 

 

 

「ちょっとリセさん〜、驚かしちゃいけないでしょ〜?」

 

 

頭をぽりぽりかきつつトーコが図書室に入ってくる。

リセと言われたピンク髪の女性。

 

 

「ごめんごめん〜(汗)普通に声かけたつもりだったんだけど‥、あっ自己紹介してないね。私はリセって言うんだ。あなた達のことは一通り聞いてるから大丈夫よ〜」

 

 

「昨日言い忘れてたけど、この子はリセっていうの。いっつも図書館にいるから私達は図書館の主っていうあだ名をつけてるよ〜」

 

 

「図書館の主って‥ずっとここにいるのか!?」

 

 

トーコの説明を聞いて、胡桃が驚きの声をあげるが、首を横に振りつつリセは否定する。

 

 

「ご飯食べたりするときとかはみんなと一緒にいるからずっとじゃないけどね‥(汗)」 

 

 

「でも、ほとんど図書室で過ごしてるじゃん〜」

 

 

そんなリセとトーコの雑談を聞いていると自然と緊張が解れていく学園生活部メンバー。

 

 

 

「そういえば、美紀‥さんかな?」

 

 

 

「あっはい‥、どうされました?」

 

 

 

リセに呼ばれた美紀が反射的に反応する。

 

 

 

「あなたも見た感じ本が好きそうね」

 

 

 

「そうですが‥、どうしてわかるんですか‥?」

 

 

 

「わかるわよ〜、そんなの。だってさっき本の選び方が慣れてたものの〜。せっかくだし、今度一緒に読書について語らない?」

 

 

 

「いいんですか‥!?私で良ければぜひ‥!」

 

 

 

同じ本仲間が出来たことに喜びを隠せずにいる美紀。そんな彼女を他のメンバーは微笑ましく見ていた。特に圭は友人の笑顔を嬉しそうに見ていたのであった。

 

 

 

 

そして少し長い雑談を終えて、図書館を後にして籠城しているキャンパスへと戻ってきた。

 

 

 

「しっかし、大学はいろんな本が置いてあるんだな〜」

 

 

 

「雪はどんな本にしたんだ〜?」

 

 

 

「ん〜、丁度翻訳の本があったから持ってきた。久しぶりに見たからさ」

 

 

 

「うぅ‥、この本小難しい‥」

 

 

 

「由紀は漫画とかのほうが好きそうだしな〜」ぺらぺら

 

 

 

「うォ、この本懐かしい。昔よく読んだなぁ」

 

 

 

「この本面白い〜。アメリカだとどうしても日本語訳手に入りくかったから〜」ぺらぺら

 

 

それぞれ思い思いに本を楽しんだりしつつ読んでいた。

なんだかんだ言いながら美紀も圭と一緒に例の小説を読み込んでいるようだ。

 

 

「そういえば‥、この本達‥。もう書く人いないでしょうね‥まるでいまの世界みたいに‥」

 

 

ふと、慈がそうつぶやきつつ置いてある本達を眺める。

しかしそんな暗い雰囲気を打ち破る美紀

 

 

「確かにそうかもしれません‥それでも‥本っていうのは終りがないんです。読めば読むほど可能性を導き出してくれる‥。人類もそうです‥!終わりなんて来ません‥!いつか‥可能性が出てくるんですから‥!」

 

 

 

「そうだな‥」

 

 

 

そんな少し興奮気味の美紀に、賛同するように理琉も加える。

 

 

 

「俺達‥いや、人類がこんなのでくたばってたまるか‥。諦めなければ必ず希望は見いだせる。ランダルの精鋭軍を潰した俺達に出来ないことはない‥だろ?みんな」 

 

 

「あぁ‥!」

 

 

 

「だね!」

 

 

 

「こんなので折れてたまるかってんだ‥!」 

 

 

 

「私達も諦めません‥!」

 

 

 

「可能性が1でもあれば、それに突き進まなきゃ‥!」

 

 

 

「るーも!」

 

 

 

「やりましょう‥!たどり着けなかった人達が見たかった未来を‥!」

 

 

 

「みんなで力を合わせれば学園生活部は不滅!!」

 

 

 

「ワン!!」

 

 

 

 

 

「‥‥、諦めなければ‥か‥」

 

 

 

そんな会話をトーコはドア付近で聞いていた。偶然通りかかったとはいえ、彼女には身に染みる言葉のようだ。

 

 

 

「やっぱり‥凄いや‥。あの子達‥、もしかしたら‥いや‥この先必ず人類の希望になるだろうな‥。」

 

 

 

そんなことを思いつつ、再び歩きだし後にするのであった‥。 

 

 

 

 

「んで‥なんで呼んだのさ‥」

 

 

 

その数時間後、日が暮れてきた頃にトーコは武闘派と穏健派の縄張りで接する会議室に来ていた。彼女は対面に座っている金髪で釘バットを持っている青年を睨みつけつつ見つめる。そう彼こそが武闘派のリーダーである頭護貴人。その隣には長髪で目つきの鋭い女性神時朱夏、

貴人の右側にいるのがサイドテールの女性、右原篠生の姿が

 

 

「そっちにポリ公を含めた何人かが来たそうじゃないか」

 

 

「確かに来たけど‥、だから何?」

 

 

 

「忘れたの?得たものは共有するのがルールでしょ?」

 

 

 

 

「知らないわよ。そんなの、そっちの子があの子達にクロスボウ撃ったそうじゃない。それで一人怪我したんだからね?」

 

 

 

「はぁ‥、あとで高上には説教と罰だな‥。だがなぜ高上が怪我をしてるんだ?」

 

 

「そこまで私が把握してると思う?」

 

 

「まあいい‥、こっちに不手際があったのなら謝ろう‥、だが独占はよろしくないなぁ‥?」

 

 

「それを決めるのはあの子達よ。とりあえず話せることはそれくらい‥。それじゃ、」

 

 

 

「また何か情報を得たら連絡をくれ」

 

 

「わかった」ガチャン

 

 

そう言い残してトーコは部屋を後にするのであった。その様子を見つつ貴人は悪笑みを浮かべ、何やら企んでいるような表情を浮かべていたのであった‥。

 

 

 

 

その日の夜‥静まり返った巡ヶ丘市内上空を暗闇にまぎれて飛行しているヘリの姿が‥、そのヘリは明らかに民間機などではなく‥ステルス容姿を、施された軍用ヘリに見える。そのヘリは聖イシドロス大学上空につくとある荷物を投下して飛び去っていく。

 

 

 

投下された荷物は途中パラシュートを開いてゆっくりと降下しつつ大学敷地内に着地する。数分後して、何人かの人物が建物から出てきて、荷物の確認をしたあと協力して運び込んでいくのであった‥。

学園生活部‥そして穏健派は知るよしもないだろう‥

再び魔の手が迫ろうとも‥。

 

 

 

ー同時刻‥某所にてー

 

 

 

巡ヶ丘市内のとある建物‥その真下の地下にあるガレージでは明かりに照らされ誰がゴソゴソしていた。

 

 

 

「よっと‥」ガチャガチャ

 

 

 

リフトに上げられた車両の下で部品を組み付けて作業をする黒に近い赤髪ショートの少女。おそらくまだ若いのだろうが慣れた手付きで作業をしている。

 

 

 

「さてと‥今日はこんなもんかな?」

 

 

 

そう言いつつ、リフトを下げて上げていた車両をおろしているようだ。その車の他にも何台か停められている車が数台ほどがブルーシートをかけらている。しかし形からしてスポーツカータイプだろうか‥。 

 

 

 

「あとは‥エンジン回して終了かな‥、そういえば‥大学の方に新しい仲間が増えたってトーコが言ってたな‥今度久しぶりに顔を出しに行こうか‥」

 

 

工具を片付けつつ、少し楽しそうに思っているのであった‥。

 

 




図書館の主であるリセという新たな仲間にであった学園生活部 


そんな彼女らとは別にある場所では新たな人物が動き出していた。


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第三十七話 りがくとう

徐々に馴染んできた学園生活部の面々

ある日由紀の提案で敷地内の散策をすることに‥


大学に来てからはや数日がたち、すっかり学園生活部と穏健派組は馴染めてきたようだ。そんなある日‥

 

 

「そういえば‥、トーコさん〜。大学の敷地内ってどこまでが安全なの〜?」  

 

 

ふと思い出したのか、由紀が何気なくトーコに質問をする。

 

 

「あっ(汗)そういえば言うの忘れてたね‥(汗)」

 

 

 

由紀の言葉を聞いてアキが思い出したようにはっとなる。その横ではトーコが大学パンフレットをテーブルの上に広げ、みんなに見せる。

 

 

 

「えっとね〜、一応校門とかの入口は封鎖してるから一通りは安全かな?でも、この区画と理学棟には近づかないようにね?」

 

 

 

「ん?なんでだ?」

 

 

 

一通り安全と言いながらなぜ近づいては行けないのか、それを疑問に思った理琉が問う。

 

 

 

「ん〜‥、簡単に言えば掃除がしきれてないんだよね‥。それにここのコンテナは墓場みたいなもんだから‥」

 

 

 

「つまり‥アイツらがうようよいるってことかァ‥」

 

 

 

「その捉えで間違いはないわ」

 

 

 

「じゃあそのへん以外は大丈夫なんだね〜?」

 

 

 

「もちろん〜♪というかその顔は久しぶりに外で遊びたい顔だね〜」

 

 

目をキラキラさせつつ聞いている由紀、そして瑠璃や太郎丸まで見つつ笑みを深くするアキ。

 

 

 

 

 

「イヤッホ〜♪外だ〜!」

 

 

 

「久しぶりに遊べる〜♪」

 

 

 

「わあい〜♪」

 

 

 

「わふ〜♪」

 

 

 

 

 

そんなこんなでグラウンドでは、由紀や圭、瑠璃や太郎丸が楽しそうにはしゃぎ回っており、他のメンバーは微笑ましく眺めていた。 

 

 

 

「いやはや〜、お宅の生徒さんは元気ですね〜」

 

 

 

「まあ、元気過ぎて大変ですけどね‥(汗)」 

 

 

 

トーコは元気そうにはしゃぐ3人と一匹を見つつ、元気過ぎて逆に心配になっている慈と話を、しているようだ。そんな彼女達の後ろの階段に座っている学園生活部のメンツも雑談を交えているようだ。

 

 

 

「しっかし、ここまで外でくつろげるなんていつぶりだろうなぁ‥」

 

 

 

楽しそうにしている由紀達を眺めつつ、胡桃がそんなことを言う。

 

 

 

「確かにねぇ‥、高校だと安全とかでグラウンドとかを走ることが出来なかったものねぇ」

 

 

 

そんな胡桃の発言に賛同して、はしゃいでいる自身の妹を眺める悠里も高校での生活を振り返る。

 

 

 

「軍にいたときもこんなに自由には過ごせなかったし‥、なんだかんだいいながらここにきて正解だったねぇ」

 

 

 

小春も自身の過去を振り返りつつ、改めていまの自分達は幸せだなというのを感じ取っていた。

 

 

 

「よっと‥(立ち上がる)」

 

 

少しして、理琉が立ち上がる。それに気づいて雪が声をかける。

 

 

 

「ん?どうしたの?」

 

 

 

「ちょっと、理学棟とコンテナ区画の近くまで見に行ってくるぜ。」

 

 

 

「それなら俺も行くか、」

 

 

 

日野に釣られて美紀も反応する。

 

 

 

「それなら私も‥!」

 

 

 

 

 

 

「‥という訳で来てみたもんだが‥、言った通りだなこりゃ‥」

 

 

 

コンテナがたくさん置いてある区画に来てみた3人だが

トーコの言った通り、中ならは彼らのうめき声が絶えず響いてきていた。

 

 

 

「墓場とはまさにこれだな‥」

 

 

 

「ここにいるほとんどがここの学生さんだったのでしょうね‥‥」

 

 

 

そんなことを言いつつ、美紀と理琉は静かに黙祷を捧げ日野は乱れる敬礼を送って後にする。そして理学棟にも3人は足を運ぶことに。

 

 

 

「ここが理学棟か‥」

 

 

 

「なんか薄気味悪いですね‥」

 

 

 

「そりゃ奴らがいるんだ。そんなところはだいたいこうなってるはずさ‥」

 

 

 

そんなことを話しつつ、少し理学棟を見てからそこを後にしようとする‥が‥

 

 

 

 

 

「待って!!そこを動かないで!」

 

 

 

「なっなんだ!?」

 

 

 

突然どこからともなく呼び止められて、3人は周囲を慌てて見渡す。しかし‥人の気配は全くしない。

すると再び声をかけられる。

 

 

 

「そっちじゃないわ!こっち!」

 

 

 

そう言われて声がする方角に視線を向けると、そこには理学棟が‥そしてよくよく見ていると理学棟入口に防犯カメラとスピーカーが‥、どうやらそこから声の主は話しかけて来てるようだ。

 

 

 

「一体なんのようだ‥?」

 

 

 

「なんの‥用かしらね‥」

 

 

 

パソコンの画面から理琉達を見つつタバコで一服する白服をきた女性。その後側には獲られられた彼らがとじこめられているようだ‥。マイク越しでも伝わってくる。

 

 

 

「なんの用かしら‥って、じゃあなんで呼んだんですか?」

 

 

呼ばれたのに、曖昧な言い方をされて、不満な表情を見せる美紀。そんな彼女をよそに、その主は話を続ける。

 

 

 

「というか‥あなたの声に混じって聞こえてるのはもしや‥」

 

 

 

「察しがいいわね。そうよ、あの日から私は彼らについて研究しているのよ。こいつらはそのサンプルで捕獲してるの」

 

 

 

そしてひと間隔あけて話しかける。

 

 

 

「それより、あなた達見慣れない顔ね。外から来たの?」

 

 

 

「あぁ、絶賛籠城中だけどな‥それより、どうして危険な理学棟にわざわざいるんだ?」

 

 

 

「簡単よ。ここで彼らの研究をしていると武闘派の奴らに知られたら何されるかわからない。だから、危険な場所と偽って貰ってるの。あいつらは生存者の管理に凄く厳しい、それはあなた達もわかってるでしょ?」

 

 

 

「まあなァ‥ンで?なんかわかったのか、研究して」

 

 

 

「えぇ、いつか成果はあるわ‥。教えてあげてもいいけど‥、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    「 知りたい? 」

 

 

 

 

 

 

 

「なんだよ‥、その不気味な言い方は‥」

 

 

 

さっきまでの声とは違う雰囲気に日野が少し怖じける。

息を飲み込みつつ美紀が勇気を振り絞り聞き出す。

 

 

 

「‥教えてください‥。もしかしたら‥この先役に立つかもしれないですから‥」

 

 

 

「そう‥、わかったわ。教えてあげる」

 

 

 

そしてひと間隔あけて理学棟の女性は話を、続ける。

 

 

 

「君達もすでにわかりきってるだろうが、すでにパンデミック発生から半年近くたつ。それなのに救助や国からの放送がないのはなぜかわかるか?」

 

 

 

「おそらくキャンパス外に生き残りはほぼいないだろう‥。そしてパンデミック直後は飽きるほどの放送があったのにそれが今はない‥、それを踏まえると‥」

 

 

 

 

「日本全土‥いや、世界中各地でー」

 

 

 

 

 

 

 

「国家‥いや政府と同等の組織は壊滅か消滅したと考えた方がいいー」

 

 

 

 

 

 

「ーーでさ〜、これがね〜‥って美紀聞いてる?」

 

 

 

「あっ‥ごっごめん(汗)聞いてるよ」

 

 

 

「んもう‥どうしたのさ‥、さっきから上の空だよ?」

 

 

 

 

あれからキャンパスにもどった一同だが、理琉や日野、そして美紀の3人は完全に上の空状態で珍しく話を聞き逃す場面をチラホラ見かけていた。

 

 

 

「なんか美紀が話逃すのって珍しいかも‥」

 

 

 

「日野と理琉もおんなじ感じだよね?」

 

 

 

「悪い悪い‥(汗)」

 

 

 

「大丈夫だから気にするな‥」(クソったれ‥)

 

 

 

理琉は問題ないと答えつつ、理学棟の女性が言ったことを思い出し、苛立ちを出しかける。それを見つつ美紀が圭に質問する。

 

 

 

「ええっと、それで‥何だったけ?」

 

 

 

「何って外に遠征に行こうって話だよ〜?」

 

 

 

「把握した‥、ありがと(汗)」

 

 

 

「じゃあ話を、進めるよ〜」

 

 

3人が話についてきたことを確認しつつトーコが会話を進める。

 

 

 

「今までは大学内で賄えたし、外は怖いというのはわかってたからあんまり行きたくはなかったんだ‥。でも君達と出会えた。だからきっと助けを求めてる人はいると思うんだ。それで決心したんだ。」

 

 

 

「だね♪困ってる人はほっとけないし!」

 

 

 

「「「‥‥」」」

 

 

 

外部遠征に気合の入ってるメンバーだが、理琉達3人は理学棟の女性の言ったことを思い出しすこし微妙な表情になるのであった。

 

 

 

それなら長いこと話し合って、遠征組と待機組の二チー厶に分けることになった。理由しては全員でいけないこともないがここキャンパスを守る人も必要との意見があり以下のメンバーになった。

 

 

遠征メンバー:日野祐也 黒田理琉 湯月雪 丈槍由紀

恵飛須沢胡桃 直樹美紀 祠堂圭 太郎丸

 

 

待機メンバー:佐倉慈 若狭悠里 若狭瑠璃 狭山小春 

出口桐子 光里晶 喜来比嘉子

 

 

「めぐねぇはいかないの‥?」

 

 

「ごめんね‥?ここも守らないといけないし‥。体力とかに自信がないから‥」

 

 

「小春、俺がいない間はここを任せたぜ?」

 

 

「もっちろん!任せなさい!」

 

 

「あんなとこいいながら任せっきりでごめんね〜(汗)」

 

 

「大丈夫だ。ここに残るのも充分に仕事だから」

 

 

「とりあえず最終確認するぞ。目的はランダルコーポレーション巡ヶ丘支社製薬会社に潜入、あいつらの情報をいただくことだ‥。」

 

 

「もしランダルコーポレーションで何かあれば何らかの情報があるはずだしね」

 

 

「車はどうするんだ?」

 

 

「待機メンバー用に俺のクラウンは置いていく。すでに鍵は佐倉さんに渡しておいた。」

 

 

「ということはキャンピングカーとカローラで行くんですね?」

 

 

「そうゆうことだ」

 

 

「んで出発日は明後日、武闘派の連中の動きによって日にちは多少変わるかもだけど、とりあえずはこの日程で行きます」

 

 

「じゃあ決まりだね〜。話もまとまったし、これからは出発に向けて準備をいろいろしておこうか〜」

 

 

 

そして‥その日の夜‥武闘派では‥

 

 

「ん‥」

 

 

武闘派の縄張りのキャンパス屋上ではシノウが静かに夜空を眺めていた。

 

 

「きれい‥‥、この子と見られるかな‥」

 

 

そうポツリと口に溢しつつ、下腹部を擦る。そう彼女には新たなる命が宿っていたのだ。あのクロスボウの少年レンヤとの‥。

 

 

同時刻‥その高上聯弥の寝室では、スヤスヤと寝静まっている彼の姿が

 

 

 

「‥‥」スヤスヤ

 

 

 

気持ち良さそうに寝ていた彼なのだが‥途中から容態がおかしくなっていく。

 

 

 

「ゼェ‥‥ゼェ‥‥ヴウ‥‥‥」

 

 

 

 

このとき‥学園生活部は知るよしもなかっただろう‥

この感染がきっかけであの大事件が起こるなどと‥

 

 

 

 

 




理学棟の主に現実をつけられた3人 

そんなモヤモヤの中一同は遠征に向け話し合うことに


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第三十八話 ぶとうは

準備を進める一同の裏では
武闘派の一人に異変が‥


そして翌日‥武闘派は会議室に集まっていた。しかし‥そこに高上聯弥の姿はない‥。そしてシノウの表情がいつもより暗い。  

 

 

「高上が彼ら化した‥か」

 

 

紅茶を飲みつつ、厳しい表情を見せるタカヒトそしてシノウに視線を向けて

 

 

 

「あいつが最後に外に出たのは‥?」

 

 

 

「えっと‥、6日前です。それに身体検査もしてますし‥」

 

 

検査表をめくりつつ答えるシノウ。それを聞きいて再び考え出す。

 

 

「そのとき噛まれてないのは確認済み‥、それなら完璧なはずなのだが‥」

 

 

「‥自殺‥、はありえない。そもそも彼にそんなことをする理由が見つからない。」

 

 

シノウは一瞬自殺という案を出したがすぐに否定した。そもそも彼がそんなことをするとは思えないことを知っていたからだ。

 

 

「だが、他殺にしても動機がない‥。‥」

 

 

「となれば‥答えは一つしかないだろ?」

 

 

「あぁ‥、わかっている。校内での感染でないとすると‥外部からの接触‥。つまり」

 

 

「穏健派の仕業に間違いないな‥それに‥、あいつらを仕留める口実ができた‥」

 

 

 

再び学園生活部に魔の手が近寄りつつあることを‥彼女達は知るよしもなかった‥。

 

 

 

 

同時刻、学園生活部と大学組は遠征のための準備に取り掛かっていた。銃のチェックや携行食料や飲料水など。そして車の動作チェックや燃料の確認などに追われていた。 

 

 

「アタッチメントを‥こうして‥」カチャ

 

 

「マサル〜、これのセットお願いできる?」

 

 

「イイぜ」ガチャンガチャン

 

 

「これがサプレッサーですか‥」

 

 

「そうそう、そいつを使えば音が響きにくくなるから奴らにも気づかれにくい。だから立ち回りも広がるはずだ。だから多少安心してぶっ放せるぜ、胡桃」

 

 

「なるほど〜」

 

 

 

別部屋では、大学組と悠里、慈が携行食料の整理をしていた。持っていくもの選別して、どのように分ければ持つかというのもしっかりメモっていた。 

 

 

「手伝ってくれてごめんね〜(汗)私こうゆうの苦手だから‥(汗)」カキカキ

 

 

ノートに書きつつ申し訳無さそうな表情を出しているアキ。そんな彼女に気にしないでと悠里は言う。

 

 

「いいのよ‥♪私こうゆうの好きだし」カキカキ

 

 

「でも、こうゆうのも出来とかないと行けないよねぇ‥(汗)今度教えて貰えないかしら?」

 

 

「もちろん‥♪」

 

 

 

 

「ゴクゴク‥、プハー!!作業終わりと久しぶりのコーラは最高だぜぇ!!」

 

 

コーラを勢いよく飲み干し、まるでビールを飲んだ新人社員みたいな感じに胡桃がなっている。そんな彼女を苦笑いで見つつ雪がツッコむ

 

 

「お酒飲んでるみたいね‥(汗)」

 

 

「でも久しぶりにコーラ飲んだよ〜」

 

 

同じくコーラを飲みつつ、由紀も久しぶりに飲む味を楽しんでいた。その横でも瑠璃が可愛くゴクゴク飲んでいる。

 

 

「それは同意〜、高校でもそんなにガブガブ飲めなかったからねぇ〜」

 

 

圭もコーラの味をたしなみつつ、高校での避難生活の際の飲み物を振り返っていた。そして珍しく日野もコーラを美味しそうに飲んでいた。

 

 

「ふふ‥♪なんだか子供みたい‥♪」

 

 

「なんだその言い方〜このこの〜」ツンツン

 

 

「んもう〜♪」

 

 

そして唐突に始まった2人のイチャイチャタイムを飲みつつトーコが慈に話しかける。

 

 

「聞いてはいましたが、お二人共本当にお付き合いされてるんですね〜」コソコソ

 

 

「そうなんですよ〜」コソコソ

 

 

「というかどのへんまでいったんだろ〜」コソコソ

 

 

「気になる〜」コソコソ

 

 

「気になるのだ〜」コソコソ

 

 

「でも、仲がいいことはいいじゃないですか〜」コソコソ 

 

 

「そうだね〜」コソコソ

 

 

「でも、イチャイチャを見てると弄りたくなる〜」コソコソ

 

 

「コレコレ、やめておけ」コソコソ

 

 

二人のイチャイチャタイムに突入していることをいいことに大学組と学園生活部はヒソヒソと弄り始めるのであった‥。

 

 

しばらく一同は楽しそうに雑談をしたり明日の予定を話したりしていた。

 

 

「そういえば明日出発か〜」

 

 

「ですね〜、久しぶりの外じゃないですかね?」 

 

 

「確かに〜、何日ぶりだ?」

 

 

「ここもなかなか快適だったから気にしてなかったよ〜」

 

 

「そう言ってくれると嬉しいな〜」

 

 

そんな盛り上がる話のなか、美紀がふと外に視線を移すと向かい側‥武闘派の縄張りであるキャンパスから誰がこちらを監視しているのが確認できた。

 

 

 

「‥(あれは武闘派の人ですかね‥、コソコソ監視とはなってませんね‥)」

 

 

監視をしてくる人物に軽く睨みの視線を送り返す。するとそんな美紀の異変に気づいたのか雪が何気なく話しかける。

 

 

「どうしたの‥美紀(コソコソ)」 

 

 

「あそこ‥、おそらく武闘派の人がこちらを先ほどから見てきてるんですよ‥(コソコソ)」

 

 

美紀が周りに気づかれないように監視してくる武闘派の人物のいる場所に指差す。その指先を確認して納得の表情をする。

 

 

「ホントね‥、なんだかきみが悪いわ‥(コソコソ)」

 

 

そして理琉や日野も気づいたのか会話に加わってくる。

 

 

「ああ言うのってだいたいいいことが起こらないからな‥(コソコソ)」

 

 

「マあな‥、本当‥ゲスな野郎だぜ‥(コソコソ)(中指をその人物に送り返す)」

 

 

「一応は警戒はしておきましょう‥。何だか胸騒ぎがします‥」

 

 

しばらくするとその人物は監視を終えたのか四人の視界から消えつつ立ち去っていく。しかし気になってしょうがないのか四人はしばらくその人物がいた場所を見つめ続けていたのであった‥。

 

 

 

「なるほど‥明日出発か‥」

 

 

 

「えぇ、盗み聞きした情報によれば確かにそう言ってました」

 

 

シノウが盗み聞きした情報をタカヒトに伝える。それを聞いた彼はやはりと言わんばかりに笑みを浮かべる。

 

 

「あいつらの仕業で確定ね‥」ニヤ

 

 

「全くだ‥。相変わらず悠長な奴らだぜ‥」ニヤリ

 

 

「発症する前にここを出ようって魂胆だろうが予想が見事に外れたな」

 

 

相変わらず勝手な仮説を立てて憶測を話し合っている武闘派。しかし、彼女達が動くとななれば動かないはずがない。

 

 

「よし、明日朝。あいつらが出発する前に動き始めるぞ。配置は?」

 

 

「いつもと変わらず。同じかと」

 

 

「よし、シノウとアヤカは図書館を頼む俺とタカシゲは穏健派のキャンパスを制圧する。それと外部から来た奴らは銃をもってる。気をつけろ」

 

 

「了解」

 

 

「任せろ」

 

 

「‥‥」

 

 

 

タカヒトの指示に反応を示す二人。しかしシノウだけは微妙な顔をしているようだ。それにアヤカが気づいて話しかける。

 

 

「どうしたのよ?そんな微妙な表情、嬉しくないの?」

 

 

「高上の仇を打てるんだぜ?こんな滅多なチャンスはないぞ」

 

 

「はい‥」

 

 

そして‥その日の夜‥

 

 

「‥‥」

 

 

キャンパス屋上で、静かに夜空を眺めている雪の姿が

 

 

ギィィ

 

 

しばらくしていると扉が開く音が聞こえて、その方角へ視線を向ける。するとそこには圭の姿が 

 

 

「あっ‥雪さん‥」目を擦りつつ

 

 

「圭ちゃん‥、もしかしてそっちもなかなか寝付けない感じ?」

 

 

「まあ‥そんな感じです‥」

 

 

少し眠たそうにしつつも、雪の横へやってきて手すりへ寄りかかる。

 

 

「なんか‥明日のことを考えると眠れなくて‥」

 

 

「大丈夫‥私もだから‥(汗)」

 

 

そんな他愛も無い雑談をしている最中、圭がふと思い出す。

 

 

「そういえば‥、雪さんってどうして警察官になろうって思ったんですか‥?」

 

 

「唐突な質問ねぇ〜‥(汗)う〜ん‥、私は親の影響かなぁ‥。父さんと母さんともに国家公務員だったし‥。それに憧れた感じかな、それに小さい頃から運動神経が良かったし‥」

 

 

「ふぅん‥そうなんですか‥」真剣に聞く

 

 

「でも、訓練生時代は大変だったのよ?」

 

 

「えっそうなんですか‥?」

 

 

 

「うん〜、私が入った代は女性警察官私一人だったからねぇ‥。最初の頃は少し心細かったなぁ‥」

 

 

「‥‥」

 

 

「‥でも、そんな中で最初に話しかけてくれたのが日野だったの‥。最初はパッとしない子だなって思ったけど‥、話していくうちに楽しくなって‥♪そこから友達もできて、お陰で後半はけっこう充実してたわね〜」

 

 

「そう‥なんだ‥♪だから日野さんに恋したんですね‥ ?」

 

 

「まあ‥// そう‥なのかな?//」照れる

 

 

「はい‥♪」

 

 

少し照れながらも少し嬉しそうにしている雪。そんな彼女は月の光に照らされいつもより輝いているように見えた。

 

 

「それに、この世界がどうなろうがあなた達はしっかし守ってあげるからね♪」

 

 

「えへへ♪それはありがたいですが、私だって負けませんから‥!」 

 

 

「ホント‥頼もしいねぇ‥」ニコッ

 

 

 

 

「よっと‥」ゴソゴソ

 

 

キャンパスから少し離れたコンビニの駐車場に一台の警察車両210系クラウンアスリートエアロホークverが停車しており、中では彼女が整理をしていた。

 

 

「にしても‥久しぶりに来たなぁ‥。というかあのガレージがある場所が遠いのよねぇ‥。もっとなんとかならなかったものなのかしら‥」ため息

 

 

キャンパスから少し離れたところの拠点に住んでるのだろう‥。不便さにため息を溢しつつ愛銃のM4カービンを手入れしつつある。

 

 

「でもなんだろう‥何か嫌な予感がするのよねぇ‥」

 

 

しかし、彼女も嫌な胸騒ぎをしているのかチラチラと大学側に視線を向けている。

 

 

「うぅん‥、まあ気にしてても仕方ないし。寝よっかな‥」

 

気にしてても仕方ないと切り替え、支度を済ませて座席を倒して眠りにつくのであった。




穏健派に濡衣を着せようとする武闘派‥
学園生活部に絶対絶命の危機が訪れようとしていた‥


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第三十九話 うらぎり

とうとう始まってしまった穏健派狩り

学園生活部はこの危機にどう乗り越えるのか‥!?


遠征組出発当日、かといって早朝から出るわけでもなく。お昼からの出発のため各自それぞれ気長に過ごしていた。あるものは勉強をしたり、あるものは車の最終チェック。はたまたあるものはまだ寝ているものもいた。

 

そんな中美紀と圭はリセのいる図書館に足を運んでいるようだ。

 

 

「リセさん〜?いますか〜」ガチャン

 

 

「はいはい〜、おや。圭に美紀じゃないか〜?いらっしゃい〜」

 

 

扉をあけて中に入るとリセが出迎えに来て、二人を見るなり中へ通す。

 

 

「今日は遠征に行くんだったよね〜?」

 

 

「はい、といってもまだ出るまで時間があるのでせっかくならと思いここに‥」

 

 

「君は相変わらず本が好きだな〜、圭もそうなのかい〜?」

 

 

「まあそうですかね〜。といってもあんまり難しい本は読めませんが‥(汗)」

 

 

「それでも充分大歓迎だよ〜」

 

 

こうして、3人は出発までの時間の間いろんな本を読んだりどの本がいいかなどの討論などに没頭して楽しむはずだった‥。彼女らが来るまでは‥

 

 

リセが本を選びにいってる間、二人は本棚の前で立ち読みをしていた二人だが微かに開く扉の音に反応する。

 

 

「あら?リセ以外にお客さんいるのね。」

 

 

声が聞こえる方向に視線を向けるとそこにはアヤカの姿が‥。そしてアヤカの手にはAK-47が握ってあった。

 

 

「「‥(しまった‥、敷地内だからって拳銃しか持ってきてない‥)」」

 

 

反射的にいつも背中に背負っている愛銃を取り出そうとしたが、ないことに気づいて軽く顔をしかめる。それを悟られないようにしつつ美紀が話しかける。

 

 

「見慣れない顔‥ということは‥、武闘派ですね‥?」

 

 

「えぇ、お初目にかかるでしょうね」

 

 

「‥そんな武闘派の人がどうしてここに‥?」

 

 

視線を外さず警戒しつつ、圭が気づかれないように拳銃のホルスターに手をかける。

 

 

「ちょっと穏健派に聞きたいことがあったのだけど‥、まあいいわ。丁度あなた達についてのことだったし‥」ニヤリ

 

 

「‥話すことはありませんよ‥?」

 

 

「どうかしらね‥?今のうちに自白した方が身の為よ‥?」

 

 

「なんのこと‥ですか?」

 

 

「しらばっくれるのね‥?せっかくチャンスを与えて上げたのに‥、まあいいわ」

 

 

 

 

 

「あなたちを苦しませてあげる‥」ニヤ

 

 

 

そう言い放ったあと素早くAKを構え、なりふり構わず乱射し始める。しかし幾度の戦闘を乗り越えた二人は咄嗟に左右に避けて遮蔽物へ滑り込んでいく。

 

 

「やはり‥!そうきましたか‥!」

 

 

「こんなことしたところで‥!何になるんですか!?」

 

 

「関係ないわ‥!私はあなた達を苦しませたいだけなのよ!」コロン

 

 

圭の説得に聞く耳を持たず、しまいには二人の隠れている遮蔽物へ手榴弾を投げ込むし始末。 

 

 

「なっ!?」

 

 

もちろん二人も気づいて慌てて避ける。直後爆破して周囲のものが吹き飛んでしまう。

 

 

「もっと楽しませなさい‥!もっと絶望しなさい!

もっと苦しみなさい!それこそが私の生きがいだわ!」

 

 

おおよそ狂喜に満ちた発言をしつつ、攻撃の手を緩めないアヤカ。乱射していたAKの弾が切れると今度は背後からミニガンを取り出し射撃を再開する。

 

 

「くっそ!ミニガンまで‥!一体どこから‥!」 

 

 

「明らかに普通の人じゃ手に入れられない武器まで‥!っ!(ミニガンの攻撃になんとか耐える)こっちは拳銃しかないのに‥!」

 

 

「正面からじゃほぼ無理か‥!なんとか回り込まないと‥!」

 

 

 

「これは‥不味いな‥」

 

 

リセも異変を感じて、こっそり気づかれないように移動していた、一応助けようと影から2人を見ていたのだがそれに気づいた美紀に、ここはいいから助けをよんでくれとの手合図に従って裏口から脱出しようとしていた。

 

 

「‥いち早くトーコ達に知らせ‥っ!?」

 

 

そう思いつつ裏口のある通路に差し掛かったときにリセの表情が固まる。彼女の視線の先にはあろうことかシノウの姿が‥

 

 

「どこへ行くんですか‥?」アイスピック片手に

 

 

「‥‥、甘くはなかったか‥。悪いが通してく‥」ドス

 

 

そう言いかけたリセだが、シノウの首の急所攻撃をくらいそのまま倒れて気絶してしまう。そして彼女をそっと寝かしつけたあと、シノウはアヤカの元へ戻っていくのであった。

 

 

 

「今日からめぐねぇと少しの間離れ離れか〜‥寂しいなぁ‥」

 

 

同時刻、キャンパスでは由紀と慈の二人が廊下を歩いていた。

 

 

「えぇ‥わたしもです‥。でも、大丈夫だと信じてますから‥♪帰ってきたら、たくさんお土産話聞かせてくださいね‥?」

 

 

「もっちろん!」

 

 

いつも通りドヤ顔を見せる由紀に、一安心したような表情を見せる慈。そして廊下を歩いていると通路の先の角からタカシゲが出てくる。

 

 

「‥あなたは‥?」

 

 

先ほどのほんわかな表情が嘘のように真剣な表情を見せる慈。そして由紀を自身の後ろに隠すように下がらせる。

 

 

「やぁやぁ、巡ヶ丘学院の先生さんですな?初にかかります。タカシゲと言います」

 

 

 

「トーコさんの言ってた‥武闘派の方ですね‥?」

 

 

 

「流石‥教師、察しがよろしくて」

 

 

「一体なんの用ですか‥?」

 

 

見せないように持ってるものの、明らかに銃を隠しているのがわかるようにシルエットが見えたのを見つつ愛銃のMP7を取り出す。

 

 

「ちょっと‥ご同行願おうかと思いましてな‥」

 

 

「いや‥と言ったら?」

 

 

「‥言わなくてもわかるでしょう」銃を構える

 

 

「‥っ!」スモークグレネードを地面に投げる

 

 

「ちっ!こしゃくな!」

 

 

銃で脅して指示をしようとしたタカシゲだが、まさかスモークグレネードを隠し持っていたことは想定外だったようで悪態をつく。

 

 

「丈槍さん!走って!」

 

 

「うっうん!」

 

 

相手の視界を眩ませたのを確認し、由紀に来た道を走るように伝えつつ自身も駆け足になる。

 

 

「逃がすかよ!」

 

 

そう言い放ち、AKを乱射するタカシゲ。だが視界を完全に奪われたためあらぬ方向へと撃つ始末。それを確認しつつ二人は廊下を全力疾走している。

 

 

「丈槍さん!そこの角を右に曲がってください!」

 

 

「わかった!」

 

 

そして廊下の突き当りを右に曲がろうとした直後、何かが床に転がっている丸いものに気づく。

 

 

「危ない!丈槍さん!」ドス

 

 

「きゃっ!?」

 

 

咄嗟の判断で由紀を突き飛ばす慈。直後丸いもの、手榴弾が爆発し、周囲は爆風に包まれる。

 

 

「ぁぁ!?」ドス

 

 

飛ばされたことで爆風の被害はなんとか回避できた由紀だが、突き飛ばした慈は喰らってしまい壁に叩きつけられる。

 

 

「めぐねぇ!!」

 

 

倒れている慈に気づいて駆け寄ろうとする由紀だが、タカヒトに拘束される。

 

 

「離して!!」

 

 

「騒ぐんじゃねぇ!」ドス!

 

 

「ぁ‥」ガクッ

 

 

力いっぱいに抵抗した由紀だが大学生で男性の力に勝てるはずもなくあっさり気絶させられる。

 

 

「丈‥槍‥さ‥」

 

 

朦朧としている意識をなんとか保ちつつ、近くに転がっている銃に手を伸ばそうとする。

 

 

 

「おっと、そうはさせないぜ」ドス

 

 

「‥」ガクッ

 

 

しかしそれも見抜かれており追いついてきたタカシゲにあっさりダウンさせられてしまう。

 

 

「ったく、手間かけさせやがって」

 

 

「行くぞ、ここにはもう用はない」

 

 

気を失っている由紀を拘束しつつ、その場から立ち去ろうとしたとき‥

 

 

「大丈夫か!」

 

 

先ほどの爆発音か悲鳴が聞こえたのだろう。残りの学園生活部メンバーが駆けつけ来る。倒れている慈と拘束されている由紀の2人を見るなり空気が完全に変わる。 

 

 

「っ!大丈夫ですか!?佐倉さん!(駆け寄る)」

 

 

「てめぇ!!由紀と慈に何したぁ!!」M1887を構える。

 

 

「ふっ、撃つのは構わないが、大切な仲間が気づいてもいいのか?」

 

 

「くっそ!」ダン!!

 

 

各自一斉に銃を構えるが、由紀を盾にしているため狙うことも撃つこともできない。その悔しさか理琉が壁を思いっきり殴る。

 

 

「なんだ。軍や警察も所詮こんなもんか‥、」由紀を連れて立ち去る。

 

 

 

「あっくそ!ま‥!」

 

 

追いかけようとした一同だが、煙幕をたかれてしまい視界を奪われて進めなくなってしまった。

 

 

「この先は何が!」

 

 

「えっと‥!確か駐車場に繋がってたはず!」

 

 

「まさか車で‥くそ!雪、胡桃、理琉は俺についてこい!なんとしてでもあいつらを止めるぞ!」

 

 

「了解!」

 

 

「ぜってぇ、地の果てまで追い詰めてやる!」

 

 

「めぐねぇまでにあんなことをしやがって‥!!」

 

 

「小春さんは、大学組と悠里さんと瑠璃さんとともに奴らを外に逃さないように校門や裏門でスタンバってください!!」

 

 

「わかった!!」

 

 

 

 

「うふふ!!あはは!!」ドドドドド

 

 

「‥相変わらず不気味‥!!」

 

 

「圭!!こっちが誘導するからお願い!!」

 

 

「わかった!!」

 

 

そう言うと美紀はアヤカを挑発するようにM9で射撃をして牽制する。それに乗ったような動きでミニガンの銃口をそちらに向ける。

 

 

「かかった!!」

 

 

それを確認しつつ、遮蔽物から勢いよく飛び出して背後を狙おうとする圭。不意打ちという形になり勝負ありかと思われた‥が

 

 

「そんなのも確認ずみなのよ!!」ドドドドド

 

 

まさかのこの動きも読まれており、アヤカはミニガンを軽々と向きを変えつつ射撃をする。狙いは圭ではなく背後の本棚。

 

 

「っ!!圭!避けて!」

 

 

「えっ‥?きゃぁぁぁ!?」ドスドス

 

 

咄嗟に美紀が声を上げたものの、一足遅く、ミニガンにより足場のバランスが崩れ本棚が倒れてきて圭が飲まれてしまう。直後、本棚が倒れた際に埃で視界を奪われてしまう。

 

 

「圭!」

 

 

視界を奪われつつも圭の安否を確認しようと声をあげる。しかしその行動が仇となり‥

 

 

「見つけた!!」

 

 

「なっ‥!(ドス)がっ‥」

 

 

声を元に、アヤカからの激しいタックルをくらい壁に叩きつけられる。さらにはその衝撃でM9が遠くに転がってしまう。

 

 

「うふふ♪もっと楽しませなさい♪苦しみなさい♪」ナイフを取り出し

 

 

「ひっ‥!」

 

 

サイコパスオーラ全開で狂喜満ちたアヤカを見て思わず顔を引きつる美紀。そんな彼女みてさらに笑みを増すアヤカ。

 

 

「いいわ♪その顔もいいわよ♪もっと、苦しませなさい‥♪」

 

 

「いやぁ‥ぁぁ‥」

 

 

今まで見たこともないような狂喜を見せられ、美紀でさえも恐怖で声が掠れてしまっている。

 

 

「もっと見たいわねぇ‥?じゃあこうしようかしら!」

 

 

「っ!」反射的に目を閉じる

 

 

そんな彼女を見てナイフを振りかざして刺そうとするアヤカ。それを見て反射的的に目を閉じる美紀。

 

 

グシャ!

 

 

やられた‥、と刺す音を聞いて一瞬思った美紀。しかし激痛は特に感じられない、恐る恐る目を開け自身の体を確認するがどこにも刺さったり傷などは確認できない。

そしてゆっくり視線を上に向けるとそこには振りかざしてかけたアヤカの姿が‥、だが様子がおかしい。

 

 

「なん‥の‥つもり‥?」

 

 

アヤカが朦朧としつつ視線を後ろには向けるとそこにはアイスピックを持ったシノウの姿が。そのアイスピックには血痕がついており、アヤカの首からは血が流れている。どうやら首元と一切りされたようだ。

 

 

「ごめん‥、私には‥できない」 

 

 

「う‥ら‥ぎ‥」バタリ

 

 

「え‥?」

 

 

何か言いかけたがそのまま横に倒れていってしまう。何が起こったのか把握できてない美紀、息を引き取ったのを確認したあと、シノウは美紀の前でしゃがむ。

 

 

「怪我‥とかない?」

 

 

「えっあっ‥はい」

 

 

 

「ごめんね‥?怖い思いさせちゃって‥」

 

 

「‥‥どうして‥?」

 

 

美紀の質問に少し考えてから答える。

 

 

「‥‥私には‥あなた達が殺したなんて考えられないから‥‥」

 

 

 

「え‥?」

 

 

 

「‥確かにそんなことを最初は考えてた‥。けど‥明らかに都合が良すぎるって思って‥‥。それに‥あなた達がそんなことをするように思えない‥。だから‥」

 

 

「‥‥‥」

 

 

シノウの話を聞いたあと、美紀は驚きを隠せずにいて少しの間静寂な空気が流れていた‥。しかしある人物がそれを打ち破る。

 

 

 

「いてて‥、びっくりしたぁ‥」ガサガサ

 

 

「!?圭!!」

 

 

倒れていた本棚の隙間から圭が抜け出してきて、それを見た美紀、遅れてシノウが駆け寄る。

 

 

「怪我とか‥ない?」

 

 

「なんとか‥、うまいこと隙間があったからサンドイッチされずに済んだ‥、って‥あなたは‥?」

 

 

「‥シノウって呼んで‥、武闘派‥だったものよ‥」

 

 

 

「だった‥?」

 

 

シノウの言葉に疑問の表情を浮かべる圭、

 

 

「今は武闘派は降りた‥。先ほどね‥、今まではなんとか耐えれた‥。けど‥やっぱり私には無理‥」

 

 

「そう‥なんですか‥」

 

 

話しているシノウの表情はどこか寂しそうにしつつ辛そうな雰囲気が醸し出していた。そんな彼女を見て美紀がある提案をする。

 

 

「だったら‥私達のところへ来ませんか‥?」

 

 

「‥?いいの?」

 

 

「もっちろんです‥!きっと穏健派のみなさんも歓迎しますよ!優しいですし‥!」

 

 

「でも‥元武闘派の私なんかが‥」 

 

 

「そんな肩書き‥捨てちゃってください!1からスタートすればいいんです‥!」

 

 

今だに迷っているシノウを押すかのように圭も説得する。そんな二人の後押しを受けて彼女は決心した表情を見せる。

 

 

 

「‥‥ありがと‥。やっぱり‥ふたりとも優しいんだね‥♪」

 

 

「えへへ‥♪あっそういえば‥リセさんは?」キョロキョロ

 

 

「彼女なら‥寝てもらってる‥。安全と誤解を防ぐために‥」

 

 

「じゃあ起こしに‥、って‥そうだ!みんなは!?」

 

 

起こしに行こうとした圭だが、異変を察知してシノウにメンバーの安否を確認する。それをみて思い出したのかシノウが悪態をつく。

 

 

「マズイ‥、キャンパスにも‥武闘派の奴らが‥」

 

 

「だったら‥!早く止めないと‥!」

 

 

「だね!まずはリセさんを起こして‥確認しましょう!」

 

 

3人は急ぎ足でリセを起こしに向かいつつ、他の場所の状況を確認するために図書館をあとにするのであった。




図書館の戦闘で危機的状況になった美紀、圭、リセ
しかしシノウの裏切りによって事なきを得るのであった‥。


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第四十話 ついせき

由紀を巡り武闘派との最終決戦の舞台は市街地へ‥!


図書館の決戦が終わったのと同時刻‥、タカヒトとタカシゲは由紀を連れて車へと急ぎ向かっていたのであった。

 

 

「なあ?なんでこいつにしたんだ?」

 

 

「簡単さ、二人があのルートをよく使うから人質に取りやすいってだけだ」

 

 

由紀を担ぎつつ、なぜ彼女にしたのかと問うタカシゲに当たり前のように答えるタカヒト。そんなことをしているうちに駐車場に出て車の元へたどり着く

 

「よし、こいつを後部座席に入れておけ。奴らが来る前に行くぞ」

 

 

「どこへ連れて行くんだ?」

 

 

「こいつを利用して奴らをおびき出す。」

 

 

何やらボソボソと話しつつ由紀をセダンの後部座席に放り込み、自身も車に乗り込む。直後エンジンが始動して

発進していく。

 

 

「!!車が動き出したよ!この向きだと裏門!」

 

 

その様子をトーコが屋上から見張っておりすぐに門組に報告する。それを無線で聞いた小春が、一緒にいたヒカやアキ、悠里や瑠璃に伝える。

 

 

「聞いたね!すぐに裏門に行くよ!」

 

 

「「「了解!!」」」

 

 

そして全速力で走りつつ裏門につくと、やはり外へ出るのか門がいつの間にか開いていた。少し奥からは武闘派のセダンが近づく音が聞こえてくる。

 

 

「早く閉めましょう‥!由紀ちゃんを助けないと‥」

 

 

車の近づく音に焦りを見せながら門を押して締めている悠里。他のメンバーも急いで閉めようとする。が、ヒカが珍しく声をあげる。

 

 

「っ!みんな!伏せて!」

 

 

その声の直後‥

 

 

ドドドドド!!

 

 

突然として銃弾が飛んでき、慌てて一同は伏せる。直後武闘派のセダンが銃を乱射しつつ閉めかけた門の隙間を縫うように通り過ぎる。

 

 

「やられた‥!」

 

 

アキが悔しそうに地面に拳を叩きつける。その横では小春が急いで無線機を取り出す。

 

 

「すみません‥!抜かれました‥!」

 

 

その少しあとに、クラウンとカローラが同じように間を縫ってセダンを追いかける。

 

 

「怪我は!?」

 

 

「悠里とるーちゃんともに無事です‥!」

 

 

「アキ。大丈夫です〜、ヒカも無事だよ〜」

 

 

「狭山も大丈夫です!」   

 

 

運転しつつ無線で安否の確認をする雪に、異常なしとの返答を聞いて安堵の表情を一瞬浮かべたもののすぐに切り替わる。

 

 

「あなた達は、図書館の方の安否確認とおそらく音で奴らがくるからバリケードの確認をお願い!」

 

 

「わかりました‥!ですがそっちは‥」

 

 

「こっちは‥大丈夫だから‥!」

 

 

「‥了解‥!ご武運を!」

 

 

 

 

「楽勝だったな」

 

 

セダンの助手席でAKの弾をリロードしつつ、笑みを浮かべるタカシゲ。

 

 

「あぁ、やはり相手に技量で勝てないときはこれに限るな‥」

 

 

バックミラーを少し下に向け、気を失っている由紀を見つつタカヒトは答える。そして再びバックミラーの位置を戻したとき、彼の目に後を追う2台の警察車両の姿が

 

 

「さっきの言葉は撤回だ。追っ手が来やがった」

 

 

「なに!?」

 

 

タカヒトの言葉を聞いて慌てて左サイドミラーに視点を移す。そこには白黒の警察車両が速度を上げて追いすがってきていた。

 

 

「諦めの悪いやつらだ‥!こいつで追い払ってやる!」 

 

 

「待て!」

 

 

そういって助手席のスライドドアを開けて身を乗り出

うとする。タカヒトが静止をしたが聞くはずもなく

身を乗り出したタカシゲは2台に向けて射撃する。 

 

 

 

「うおっ!?」ギュン!

 

 

タカシゲの反撃を受けた日野は慌ててハンドルを切りうまいこと中央分離帯を利用して射線を切る。

 

 

「どうすんだ!?これじゃ近づけないぞ‥!それに反撃しようにもこんだけスピードが乗ってれば狙いがブレる‥!下手すれば由紀に当たるぞ‥!」

 

 

M4カービンを取り出しつつクラウンの助手席で次の行動を問う胡桃。

 

 

「どうにかしてあの射撃手さえ仕留めれば‥」

 

 

ハンドルを握りつつ、打開策を考えている日野。そんな中無線機から雪の運転しているカローラの助手席に乗っている理琉から通信が入る。

 

 

「動きを鈍くできれば俺の腕で仕留める‥。もちろん由紀には当てないから安心しろ」

 

 

そんな理琉の決心した言葉を聞いて、一瞬考えていたもののすぐに返答を返す。

 

 

「‥わかった‥。やろう」

 

 

「ちょ!?日野!?」

 

 

まさかの返答に、胡桃が声を裏返らせるほど驚いて日野に視線を向ける。

 

 

「あいつはアメリカ陸軍、それに幾度の激戦をくぐり抜けてきた奴だ‥。ヘマはしないから安心しろ」

 

 

「でも‥」

 

 

まだ躊躇っている胡桃‥しかし日野がさらに後押しする。

 

 

「‥これ以上長引かせる訳にはいかん‥」

 

 

「わかった‥!」

 

 

胡桃の了承を確認すると再び無線機をオンにする。

 

 

「追跡は頼んだ!こっちは先回りする!」

 

 

「任せなさい!」

 

 

「マサル!由紀に怪我させたらただじゃおかないからな!!」

 

 

「当たり前だぁ!」

 

 

 

セダンの追跡を続けていた2台、しかし途中で日野がサイドを上げタイヤをロックさせつつハンドルを右に思いっきり切り、カウンターを当てる。白煙を上げ、ドリフトで進路を急に変えて左折する。

 

 

それと同時刻‥並走するバイパスをクラウンアスリートが爆走していた。そのハンドル横の画面にはマップが表示、昨夜武闘派の車につけた発信器の反応が点滅しつつ移動していた。   

 

 

「昨日の胸騒ぎが現実になるなんて‥!」

 

 

ハンドルを握りつつ焦りの表情を見せている女性捜査官ドライバー。朝の銃撃戦で飛び起きて、さらにはキャンパスから外へ爆走して出ていく3台を目撃して、今に至る。

 

 

「とりあえず‥!追いついてあのセダンを止めないと‥!」

 

 

さらにアクセルを踏み込み、速度メーターが跳ね上がるほど加速する。そしてクロスしている高架に差し掛かり橋下に視線を移すと下道で激しいカーチェイスを繰り広げている2台が

 

 

「一台減った‥?脱落か‥もしくは‥、考えるのはあと‥!なんとかおわ‥!?」

 

 

そういって視線を前に移した直後、彼女の目が大きく開く。そこには事故車両であるトレーラーが道を塞ぐように放棄されていた。本来ならこの先の道を通れば、あの道に降りれるのだがこれでは遠回りをしなければならなくなっていた。

 

 

「あぁもう!なんでここで事故るのよ!!」

 

 

予想外のトラブルに悪態を付きつつ地図を確認する彼女。

 

 

「正規のルートじゃないけど‥、仕方ない!!」

 

 

そう言ってハンドルを切り下道と並走する一本道に進路を変えるクラウン。セダンには少々狭いかもしれない幅だが問答無用で飛ばしている。

 

 

「このルートは初めて通るけど‥!気にしてても仕方ない!なるようになるしかない!‥って!?」

 

 

並走する道でカーチェイスを繰り広げている2台に視線を移しつつ、前に視線を戻すと目の前は工事中の行き止まりになっていた。

 

 

「あぁもう!今日は厄日だわ‥!」

 

 

そんなことを言い放ちつつもこのまま引き返すわけにもいかないため、さらにアクセルを踏み込む。

そして運転席と助手席の間にあるボンベのバルブを回して緩め、マップが表示されている画面にチャージとなにかを溜めていると思われるメーターが追加で現れる。 

かなり溜まってきたのを確認した直後にハンドルに増設された左右の赤いボタンを同時に押す。

直後、マフラーからアフターファイヤ。いやニトロの炎といったほうがいいのだろ。先ほどの加速より比べ物にならない瞬間加速になる。

 

 

「っ!!」  

 

 

瞬間加速のためもちろんGもかなり強い。一気にくる圧に耐えつつハンドルを握る。速度メーターも一気に180キロ手前に跳ね上がる。

 

 

「いっけぇぇ!!」

 

 

叫びつつ、工事用コーンなどを跳ね飛ばしてトラックの荷台にかかっているスロープをジャンプ台代わりに思っきり射出、宙を舞う。

 

 

「なっ‥!?」 

 

 

タカシゲの目には突然目の前に車が落ちてくるというあり得ない現象が起きていた。もちろんこんなことが起きれば人間は咄嗟の判断に頼ざる負えない。

 

 

「ぶつかる‥!?」

 

 

反射的に避けようとハンドルを切るタカヒト、しかし100キロ近く出してるときに急に進路変えればどうなるかおわかりだろう。

 

 

ギャァァァ!!

 

 

 

「コントロールが効かねぇ‥!!」

 

 

案の定コントロールを失いスピンしてしまう。必死で立て直そうとしているタカヒトだがすでに遅し、さらに‥

 

 

「うぁぁぁ!?」 

 

 

牽制するために身を乗り出していたタカシゲが急ハンドルの衝撃で外に投げ出されてしまう。そのまま思いっ切り壁に叩きつけられてしまいミンチよりもひどい有様になってしまい、周囲には肉片が散乱していた。

 

 

「なっ!?」

 

 

もちろん追いかけていた雪と理琉も目撃しており、何が起こったのか把握出来ずにいていた。だがこちらは落ち着いた操作でカローラを減速させていく。

 

 

 

「ぐぅぅぅ!!」

 

 

コントロールを完全に失ってしまったセダンは斜面に乗り上げつつ横滑りでしばらく滑り続けていた。タイヤも完全にバーストしており逃走はもう無理そうだ。

横滑りしていたものの、軽く柱にぶつかりようやく止まる。

 

 

「っと!」ギュン! 

 

 

ちなみにあの高さから飛び降りたアスリートはピンピンしており素早くセダンの逃走ルートを塞ぐように停車する。追いかけてきたカローラも同じように塞ぐ。

遅れて先回りしていたクラウンも合流、包囲網を形成する。

 

 

「くそ‥!こうなれば‥!」

 

 

事故の衝撃で、くらくらする頭を抑えつつ運転席から出てきて再び由紀を人質にしようとする‥が‥

 

 

ガシ

 

 

「あ?」

 

 

誰かに肩を掴まれて、振り返る。するとタカヒトの表情が真っ青になる。

 

 

 

「よぉ三下‥うちの仲間をかわいがってくれたそうじゃないか‥?」ガチャン

 

 

 

「あっ‥あぁ‥」

 

 

 

そこにはM1887片手に仁王立ちしてタカヒトを見下している理琉の姿が‥

 

 

 

「うちの仲間に手を出したんだ‥わかってるよなぁ‥?」

 

 

「うっ‥うぁぁぁ!?」

 

 

完全にパニックに陥り、運転席にあったAK-47を取り出して理琉に向けようとする。だが‥

 

 

ガギィィン!!

 

 

「‥!?」

 

 

どこからともなく飛んできた銃弾がAKにヒット、そのまま粉砕されるかのように壊れる。

 

 

「マサルさん、あとはお願いします」

 

 

「おう、任せとけ」

 

 

遠距離狙撃をした張本人、美紀との通信を軽くして再び銃口を突きつけようとする。 

 

 

「やっ‥やめろ!?撃つな‥!」

 

 

先ほどまでの威厳はどこへやら‥、完全に抜け腰状態になっており逃げ道がないのに逃げようとする。

 

 

「逃げるんじゃねぇ!!」ドス!!

 

 

「ガッ‥」ドサ

 

 

しかし理琉からの一撃をくらい車のボディに叩きつけられしまう。そしてM1887の銃口を再び頭に突きつける。

 

 

「今まで殺してきた奴らにお詫びでも入れてくるんだな‥!それと‥軍人ナメてンじゃねぇぞ三下風情が!!」ドォォン!!

 

 

そう言い放ち、ゼロ距離射撃をお見舞いする。射撃を喰らったタカヒトは頭が砕け散り周囲には肉片や骨の破片が飛び散っていたのであった‥。

 

 

「ん‥」

 

 

ゆっくりと目を開ける由紀、まだ焦点が定まらないが薄っすらと男性の姿が確認できる。それをみて自然と口からその人物の名前が出てくる。

 

 

「マーくん‥?」

 

 

「あぁ、マサルだ。ようやくお姫様がお目覚めになったな‥♪」

 

 

由紀の問いに安心させるように、頭を静かに撫でる理琉。撫でられることで由紀の表情が緩む。

 

 

「‥私‥頑張ったよね‥?」

 

 

「あぁ‥、あったり前だ‥♪よく頑張った‥♪」

 

 

「めぐねぇは‥?」

 

 

「めぐねぇならさっき意識戻ったって、軽い火傷だけだから大丈夫だ。」 

 

 

「良かった‥♪」

 

 

そして少し間を開けて

 

 

「ねぇ‥マーくん‥?」

 

 

「ん?なんだ?」

 

 

「もしかして‥私のこと好き‥?」

 

 

「なっ!?//」

 

 

まさかのこのタイミングで、そのセリフが出てくるとは思ってなかった理琉。さっきまでの表情が嘘のように変わる。

 

 

「だって‥最近マーくん私のこと見てたでしょ‥?」

 

 

「あ〜‥//バレてたか‥//」

 

 

「わかるもん‥♪私には‥//」

 

 

「ははっ‥//由紀には隠し事ができないな‥//」

 

 

恥ずかしそうに頭をかきつつ、一度深呼吸をして整え再び視線を合わせる。

 

 

「由紀の言うとおりだ‥//出会ったときから一目惚れしたよ‥//こんな感情になったのは初めてだよ‥//」

 

 

「だから‥さ//俺で良ければ付き合ってくんねぇか‥?//」

 

 

「えへへ‥//マーくんならいいよ‥//」

 

 

「ありがとな‥//」

 

 

 

そんないい感じな雰囲気を雪と胡桃、日野がほのぼのの眺めていた。

 

 

「いやぁ〜‥♪なんだかんだいいんじゃね?これ」

 

 

「だねぇ〜♪新たなカップル誕生か〜」

 

 

「でも意外だな〜。あの二人が繋がるなんて」

 

 

「ほほう〜?そうなのかい?」

 

 

「あぁ、だって性格がだいぶ違‥ん?」

 

 

しれっと話に混じっていた女性に3人の視線が一気に集まる。

 

 

「えっと‥あなたは‥?」

 

 

「あっ!あのアクロバットな着地披露した警察車両のドライバー!!」

 

 

日野が質問した直後、思い出したのか声をあげる胡桃

そしてなにか引っかかっていた雪も声をあげる。

 

 

「というか‥もしかして睦先輩!?」

 

 

「「先輩!?」」

 

 

雪の言葉に驚きを隠せずに視線を今度は雪に向ける日野と胡桃。睦と言われた少女は雪の顔をみてハッとなる。

 

 

「もしかしなくても雪ちゃんじゃない〜♪無事だったんだ〜」

 

 

「先輩こそ♪よく無事でしたね〜」

 

 

「いや〜、ここまで来るのにけっこう苦労したんだよ〜?」

 

 

「あの〜‥」

 

 

久しぶりの再開に熱くなっていた二人に追いつけてない日野がストップをかける。

 

 

「雪〜‥、そちらの方は‥?」

 

 

「おっと‥!そういえば日野は知らないんだった‥!」

 

 

思い出したかのように、熱くなりかけてた再開話から戻ってくる雪。丁度理琉と由紀も戻ってきたため紹介をする。

 

 

「改めて紹介するわね、訓練生時代の先輩でエリート警察官の‥」

 

 

「エリートは余計だよぉ(汗)っとはじめまして♪警視庁公安に所属してます彩月睦です♪(敬礼)」

 

 

「雪の先輩でしたか、K県警巡ヶ丘警察署所属の日野祐也です」

 

 

「アメリカ陸軍特殊作戦群の黒田理琉だ」

 

 

「巡ヶ丘学院高校三年生の恵飛須沢胡桃だ♪」

 

 

「同じく巡ヶ丘学院高校三年生の丈槍由紀だよ♪よろしくねつーちゃん♪」

 

 

「えぇ♪よろしく♪」

 

 

そして自己紹介が終わると睦は四人にある質問を投げかける。

 

 

「そういえば、あなたたちって聖イシドロスに最近来た新入りさんよね?」

 

 

「えっえぇ‥確かにそうですが‥。もしかしてあの大学をご存知ですか‥?」

 

 

「知ってるも何も、あそこの穏健派とは顔見知りだもん♪」

 

 

「えっ!?そうなんですか?」

 

睦の発言に驚きをかくせずにいる日野と胡桃、そして由紀。その3人を見つつ雪が提案を持ちかける。

 

 

「それなら、一緒にキャンパスの方へ戻りましょう♪せっかくですし」

 

 

「もちろん♪そのつもりだったし♪」

 

 

「新しい仲間が増えたな〜」

 

 

「ですな〜」

 

 

そうして3台は来た道を走り、大学へと戻っていくであった‥。残されたのは肉片になったタカヒトとタカシゲ

‥、そして血の匂いで寄ってきた彼らだけであった‥。

 

 

同時刻‥ランダルコーポレーション巡ヶ丘製薬会社地下施設。

 

 

パンデミックの発生源とされた巡ヶ丘支社には既に人の気配はなく、ましてや奴らの気配さえもないという始末であった。しかしそんな地下施設のある区画に大きなタンクがおいてある‥、そのタンクの表面にはB1

Tyrantと英語表記で、そして厳重に保管されているようだ。

激戦を終えて一安心した学園生活部‥しかし悪夢は終わらない‥。どん底へと叩き落されるような事態が起こるとも知らずに‥。

 




新メンバー
彩月睦
女性
23歳
わかくして警視庁公安部に所属しているエリート捜査官
雪の先輩であり、彼女の憧れの存在になっていた。
大学組とはパンデミック以降に知り合っている。
そして車の魔改造が得意で、追跡につかったクラウンにもニトロや強化サスペンションを組んでいる始末


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第四十一話 えんせい

武闘派との決戦を終えた学園生活部、穏健派
新たな仲間が加わり賑やかになってきたころ
目的地であるランダルコーポレーションの、本社ビルへ向かうことに


武闘派との決戦から数日後‥ 

 

 

荒廃した巡ヶ丘市内を2台の車が走行していた。一台はキャンピングカー、そしてその後ろにはトヨタクラウンアスリートの高速隊仕様の警察車両が続くように走っていた。

 

 

「‥‥ふぁぁ‥(あくび)」

 

 

そのアスリートの車両の助手席では雪が眠たそうに目を擦っていた。どうやら寝起きのようだ。

 

 

「あら、おはよ。よく眠れた?」

 

 

「おはようございます‥先輩‥(ウトウト)」

 

 

「まだ寝ぼけるわね‥(汗)」

 

 

そんな雪を苦笑いで見つつ、ハンドルを握る睦。武闘派がいなくなり、キャンパスの安全が確保されたことから

すこし遅くなったが遠征組はランダルコーポレーションの本社ビルに向けて出発することに。

そして‥新たな仲間も‥ 

留守番組には新たに元武闘派のシノウが加わり、戦力が大幅に強化されていた。

それは遠征組も同様、新たに彩月睦、そして理学棟の研究者である青襲椎子が加わっていた。

 

 

「この先左〜」

 

 

「了解〜」

 

 

キャンピングカーでは、圭が穏健派から貰った地図を活用して道案内をしており、それにしたがってキャンピングカーを美紀が操っている。そしてその後ろでは

日野が各員の銃のマガジンに弾を込めておりその隣では理琉も手伝っていた。そしてベットでは胡桃と由紀がじゃれ合っており、テーブルでは椎子がノートパソコンをつついており、その音がBGM代わりになっていた。

 

 

「にしても、まさか雪さんの先輩と出会うとは思いませんでしたよ〜」

 

 

地図を見つつ圭がふとバックミラーでクラウンをみてそう口に出す。それに賛同するかのように他のメンバーも口々に話し始める。

 

 

「たしかにな〜、よくここまでこれたよな?確か横須賀からだろ?」

 

 

「聞く限りじゃ判断力がなかなかいいらしいからそれ頼りで生き延びた感じやろうな」カチャカチャ

 

 

「それより警察車両魔改造してましたけど‥あれパンデミック前ならもれなくアウトですよね‥(汗)」

 

 

出発前、クラウンの車内に積んであったニトロボンベを見させて貰ったときのことを思い出して思わず苦笑いになってしまう美紀。

 

 

「まあ、今なら咎める人いないから大丈夫でしょ」

 

 

「そうゆう問題ですか胡桃先輩‥(汗)」

 

 

「でも♪新しく仲間が増えたのはいいことじゃん♪」

 

 

「まあ、それもそうだな」

 

 

 

 

 

 

「疲れたぁ‥!」

 

 

 

あれからしばらく走った後、休憩のため一同はセブンイレブンのコンビニに寄ることに。そして着くなり思いっきり背伸びをする雪。

 

 

「やれやれ、こんな長期的ドライブは大学に来るとき依頼だな‥」

 

 

胡桃も同じように背伸びをしつつ周囲を見渡している。

 

 

「よし、とりあえず俺と理琉、胡桃と由紀で中の確認をしてくるからここを頼んだぞ〜」

 

 

「わかりました〜」

 

 

「任せなさい!」

 

 

「手土産期待してますよ〜?」

 

 

「ワン!」

 

 

 

「うっひょぉ‥こりゃ酷いな」

 

 

コンビニの中に入ったのはいいもののやはり店内は荒らされており、血痕なども飛び散ってる有様であった。

 

 

「すでに先客がいたんだね‥」

 

 

「この感じだと‥物資が少ない中で取り合いになったんだろうな‥」

 

 

「それ以前にここにはあんまり物資無いように思えるがな‥っと」

 

 

そう言いつつ、近くに転がっていたペットボトルの麦茶5本を見つけて手に取る理琉。

 

 

「中身はあるな‥、まあないよりかはマシだろ」

 

 

「ねぇ‥?マーくん‥」

 

 

「ん?どうしたんだ?由紀」

 

 

ふと、袖を引っ貼られて振り向くとそこには店の奥を指差す由紀の姿が。それを見て3人は察する。

 

 

「これは‥いるな‥」

 

 

「あぁ‥」

 

 

「由紀、何体かわかるか?」

 

 

「そこまで声がしないから‥そんなに多くない‥けど‥足跡が多い‥」

 

 

由紀に何体いるか問いつつ素早く銃を取り出して構える。数分後店の奥から数体ほど彼らが現れる。

 

 

「おそらく、物資の取り合いをしてた連中だな」

 

 

「あぁ‥遺体がないときかからおかしいとは思っていたが‥やはり彼ら化してたか‥」

 

 

そう話しつつ3人はトリガーを引いて、現れた彼らを制圧していくのであった。

 

 

 

「ちょっといいかな?」

 

 

「‥はい?どうされました?」

 

 

その頃外の駐車場では見張りをしていた睦に椎子が声をかける。

 

 

「君は確か‥公安にいたと言っていたな?」

 

 

「えぇ‥そうですが‥」

 

 

「パンデミック前からランダルコーポレーションについて何か聞いてないのか?」 

 

 

椎子の質問に一瞬考えた睦だが、すぐに首を振りつつ否定する。

 

 

「いえ‥、うちにはそんな情報は全く‥。いや‥確か過去に1軒‥」

 

 

「あるのか?」

 

 

普段はあんまり喋らなそうにしている椎子だが、このときは珍しく食いついて来ていた。それに驚きつつも話を続ける。

 

 

「といっても‥、あんまり詳しくとまではいきませんが‥今から数十年前1968年‥巡ヶ丘市の旧市名

男土市で人口が半減したという原因不明の事案があったそうです。そのときにうちの公安が調査のためランダルコーポレーション含めた巡ヶ丘市内の会社にに立ち入り調査を行ったという記録が‥」

 

 

「確か、新聞にもそれについて報道する文書があったな。それで、調査した結果はどうなんだ?」

 

 

「そのときは‥特に異常が見られなかったそうです。」

 

 

「なるほど‥ありがとう。貴重な情報をもらったよ」

 

 

そう言い残して再びキャンピングカーへと戻っていく椎子、そんな彼女を不思議そうに睦は眺めていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどね〜、中に先客がいたんだ」

 

 

「そう言っても、簡単に制圧できたがな」 

 

 

その日の夜、キャンピングカーの車内では今日の戦利品の確認。そして見張りの報告と雑談をしていた。

 

 

「にしても驚いたよ〜。由紀ちゃんって五感いいんだねぇ」

 

 

「えへへ〜♪」

 

 

「倒したのはアタシらだけど、見つけたのは由紀だもんな〜」

 

 

「さすが、おれの相棒だナ」ナデナデ

 

 

「んにゅ〜」

 

 

そんなこんな話している中、美紀と圭は今日手に入れた麦茶のペットボトルを飲み物の入った箱に入れる作業をしていた。

 

 

「ん?」

 

 

箱詰めしている最中、圭がある水の入った大きなペットボトルを見つけて取り出す。

 

 

「どうしたんですか?圭」

 

 

「いや、これいつのやつだろって思って」

 

 

聞いてきた美紀にそう返しつつ、キッチンで作業している雪に声をかける。

 

 

「雪さん〜ちょっといいですか〜?」

 

 

「ん〜?どうしたの〜?」

 

 

 

「この水っていつのかわかりますか‥?麦茶しまってたら見つけたので‥」

 

 

「あ〜、それ高校の災害用貯水タンクから持ってきた最後の水だね。もしものために大きいペットボトルに入れて保管してたのよ」

 

 

「なるほど、じゃあこのまま閉まっときますね?」

 

 

「ほいほい〜」

 

 

その日の夜、一同が寝静まったあと布団の中では睦がスマホで何か調べていた。とは言ってもパンデミック後ではろくに通信が通ってないので、もともとある公安用の警察記録のアプリを使っているようだ。

 

 

「‥‥あった‥!」

 

 

記録を探していると1軒の情報がヒットする。そこには 

「1968年男土市で人口が半減する不可解な現象が発生

政府及び公安など、各機関が当時の男土市の企業に立ち入り調査を実施という異例の事態に」と書かれていた。

 

 

「やっぱり‥このときになにかあったんだ‥。それと‥今回のパンデミック‥、なにかありそうね‥」

 

 

そうボヤきつつ、しばらくの間情報収集に熱中しているのであった。

 

 

 

翌日‥

 

 

「(カキカキ)‥」 

 

 

「ん?美紀何書いてるの?」

 

 

みんなよりすこし早く目が覚めた雪の視線に映ったのは

何か真剣に書いている美紀の姿だった。

 

 

「あっ‥おはようございます‥」

 

 

「おはよ、ってこれって‥」

 

 

布団から出つつ、美紀が書いている内容を見てみるとそこには遺書らしき文書が書かれていた。

 

 

「‥この先‥どうなるかわからなくて‥。たどり着けなかったときを考えてたら‥。」

 

 

「‥‥」

 

 

美紀の話を聞いてると雪ももしもの時を考えてしまう。たどり着けなかったとしたら‥もしたどり着けても悪夢が終わらなかったら‥。そのたびに警察官だからしっかりしなきゃと割り切ってるものの、そんな考えは離れずについてくる。

 

 

「‥もしも‥そうなっても‥あなた達は何がなんでも守る‥。命をかけてでも‥」

 

 

「‥‥」

 

 

 

そして一同が全員起床し、軽く朝食を食べながら雑談をしていた。そんな中椎子がふと質問する。

 

 

「ところで‥君達に聞きたいのだが‥」

 

 

「ん?なんだ?」

 

 

「この事件のきっかけが想像できるかな?」

 

 

「う〜ん‥」

 

 

朝から小難しい質問が出され、一同は首を捻って考えつつそれぞれの仮説を立てる。

 

 

「ほら、あれじゃないか?バイオハザードみたいに研究所から細菌が漏洩したとか」

 

 

最初にいい始めたのは胡桃

 

 

「そうだとしても‥下手すれば生物兵器になりかねないやつを本社ビルに置くか?」

 

 

続いて日野がいい始める

 

 

 

「まあ確かにアンブレラ社でも巨大な地下施設で厳重にしてたよねぇ‥」

 

 

雪も乗っかるように話に加わる。

 

 

「それ以前にそんな大きなことしてたら政府とかにバレそうな気がするけどな‥」

 

 

「いや、もしかしたらうまいことかわしているのかもしれない。そうゆうけいの会社ってだいたいそうかその市長とか政府に賄賂わたしてるやつが多いし」

 

 

ある程度みんなの意見を聞いた上で再び椎子が話を再開させる。

 

 

「まあ、だいたいそんなものだろうな。わたしも同じ意見だ‥。」

 

 

「正解は何〜?」

 

 

由紀が前のめりになりつつ聞いてくる。そんな彼女を見つつ窓の外に視線を移す。

 

 

 

 

 

 

「その正解の‥答え合わせに行こうではないか」

 

 

 

 

 

 

 

そういった彼女の視線の先には、巡ヶ丘市中央にそびえ立つランダルコーポレーションの本社ビルの姿があった‥。

 

 

「ここがアイツラの拠点か‥」

 

 

 

 

いよいよ本社ビルに到着した一同はまず敷地の周囲確認をすることから始めることに。敵の拠点であった建物プラスショッピングモールなどと同様に一階入口に彼らがたむろってないのかの確認をするためであった。

 

 

本社ビルの向かい側の立体駐車場の屋上からバレットで確認を行う美紀、そしてアシスタントをする圭

 

 

「どう?美紀」

 

 

「建物敷地内及び周囲にあいつらはいない。侵入は二階からハシゴが出てるのでがあるのでそこから行けそうです。」

 

 

「了解、それじゃ戻ってきて」

 

 

そしてしまっていた門を開けて2台は敷地内へ侵入。すぐに出れるようにハシゴ前に車を止める。

 

 

「よぉし、んじゃ上がるか。足元気をつけろよ〜?」

 

 

そう言いつつ日野が先には上り、中に彼らがいないことを確認しつつ室内に入る。それに続いて理琉、由紀、胡桃、圭、美紀、椎子、雪、睦の順にハシゴを登る。

 

 

「しっかし‥もぬけの殻だなこりゃ‥」

 

 

廊下の左右を見つつそんなことを言う日野。確かにそのとおり、ランダルコーポレーションの本社ビルなら誰かいてもおかしくないはずなのだが誰一人もいない。ましてや警備がない時点でおかしい。

 

 

「‥何あるな‥」

 

 

 

 

「とりあえず二階には奴らはいない。というかそもそも奴らが入れるような場所はないからひとまずは安心だな」

 

 

それから少しして見張りがある程度住んだため一同は仮眠室に集まっていた。ちなみに椎子は情報収集のためここのパソコンと睨みっ子最中のためいない。

 

 

「となると落ち着いて探索ができそうですね」

 

 

イスに座りつつ睦がそう言う。それに頷いて理琉が話を続ける。

 

 

「それと、ここにも非常用発電システムがあるらしい(マニュアルを机に広げつつ)シャワー室もあるのか‥、こいつら準備だけは一人前にしてるんだよなぁ‥」ポリポリ

 

 

「それで‥これからどうするんですか?」

 

 

太郎丸に餌を与えつつ、理琉に今後の動向を聞く圭、その横では美紀も頷いている。

 

 

「今日はもう遅いから寝るとして‥、明日は2班に分かれて探索する。片方は地上階の探索、もう片方は地下の探索だ。」

 

 

「メンバーはこっちで決めさせてもらった。

地下は俺と理琉、由紀と圭、そして美紀

地上班は雪と睦、胡桃にわかれてもらう。それと地下には椎子さんが同行するそうだ。」

 

 

メンバー表を見せつつ説明を付け足す日野。彼の説明に一同はうんうんとうなずいていた。

 

 

「まあ、今日は各自ゆっくりしててくれ。長旅で疲れてるだろうし」

 

 

こうして説明が終わりとりあえず今日は各自自由に過ごすことになった。

 

 

「美紀〜、お風呂入ろ〜?」

 

 

「そうしましょうか‥♪」

 

 

「日野〜、ちょっと雪借りるわよ〜?」

 

 

「へいへい、ってなんで借りるんだ?」

 

 

「秘密〜」

 

 

「ちょ‥先輩?」

 

 

「今日はとことん聞いてやるからな〜?」

 

 

「胡桃まで‥(汗)//」

 

 

「マーくん〜、一緒にゲームしよ〜?」

 

 

「どっから持ってきた‥(汗)まあいいか、よし!やろう!今日は負けないからなぁ?」

 

 

「私だって‥♪目指せ!三連勝!!」

 

 

その頃‥椎子はランダルのパソコンで何か調べているようだ。少しすると画面表示が変わりある表示が出てくる。

 

 

「ピピピ システム キドウカクニンシタヨ ランダルコーポレーションAIシステム サイキドウ」

 

 

「ふふ‥やはりな‥」

 

 

パソコンから何やら機械式音声が聞こえてきて、確信したように椎子が薄暗い中笑みを深めていた。

 

 

 

同時刻‥太平洋沖

ランダルコーポレーション指揮下

強襲揚陸艦コメット

パンデミック指揮統制室

 

 

「‥!少佐!これを!」

 

 

指揮統制官であり、ランダルコーポレーションを支配下においているアンブレラ社のCSA少佐ティモシー・ケインがオペレーターの一人に声をかけられ画面を見る。

 

 

「これは‥?」

 

 

「先ほど巡ヶ丘市のランダルコーポレーション本社でAIシステムが再起動しました」

 

 

「再起動‥?本社の生き残りか?」

 

 

「いえ、発生源の本社で職員とは考えられないかと」

 

 

「そうなると‥、他のところから来た生存者‥。だが民間人で何も知らないのにここにくるとは考えづらい‥」

 

 

「つまり‥、数週間前に巡ヶ丘高校に送り込んだ精鋭軍を壊滅させた人物‥」

 

 

「それに、その精鋭軍が行った妨害作戦でアメリカ陸軍特殊作戦群所属の2名がその高校の生存者によって救助されている。そして聖イシドロス大学の内部抗争を利用した作戦も失敗させた奴らが一番怪しいな」ピラ

 

 

そういって一枚の紙をポケットから取り出して見つめる。そこには由紀達が飛ばして、メンバー達が描かれている絵手紙が丁寧に保管されていた。

 

 

「しかし‥私には到底彼女達に精鋭軍を倒せる力があるとは考えられません‥。たとえ銃を持っていたとしても‥」

 

 

「それはどうかな‥。普通の人が意外な潜在力を隠し持ってるのは確かだ。あの中には‥現役の軍人、そして警察官がいるんだ。彼らが主軸になってるのかもしれん」

 

 

「確か‥この本社ビルには‥」

 

 

「あぁ、例の試作兵器があったはずだ。とりあえず本社ビルの防犯カメラを起動させろ。それとカメラは動かすな。生存者がいるならそいつらにバレるかもしれん」

 

 

「わかりました」

 

 

そういった後、自身は足早に指令室を後にしつつどこかと無線で交信する。

 

 

「はい‥、こちらケイン少佐です。先ほどランダルコーポレーション本社ビルにて‥‥はい、はい。わかりました。B1計画を始動させます」

 

 

彼の言っているB1計画‥それはなんのことだろうか‥

しかし、それを知らない遠征組はのんびりと過ごしていたのであった‥。そんな彼女達を再び悪夢が襲うととは知る由もなかった‥‥。

 

 

 




ランダルコーポレーションを支配下においている世界的企業アンブレラ社
彼らは計画を始動させます‥。
そんなことを知る由もない学園生活部と椎子はいよいよ探索に乗り出すのであった


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第四十二話 ついせきしゃ はんたー

ランダルコーポレーションのAIシステム

パンデミックの真相

徐々に明らかになります。


「んで‥、これがこの本社ビルのAIなのか?」 

 

 

「ランダルコーポレーション  AIシステム ダヨ」

 

 

「そうだ。おそらく内部情報、そして人同士の共有のシステムを効率化するために作られたのだろうな」

 

 

携帯に移されたAIシステムの音声を聞きつつ椎子から説明を受ける日野。それを聞いて胡桃がある疑問を持ちかける。

 

 

「なぁ?一つ思ったんだけど‥こいつの名前はないのか?」

 

 

「調べてみたが‥どうやらないようだな」

 

 

「じゃあ!この子の名前決めよ♪」

 

 

「ワン!」

 

 

椎子の返答を聞いて由紀がみんなに提案を持ちかける。

 

 

「まあ、確かにそのほうが言いやすいもんな」

 

 

「じゃあエリ!」

 

 

「ブブ ニンカ シナイヨ」

 

 

勢いよく言ったもののあっさりと弾き返されて軽くしょげてしまう雪。その後今度は由紀が名前を言う。

 

 

「じゃあボーモン君!!」

 

 

「ピピ ニンカ シタヨ ボク ボーモン ダヨ」

 

 

「おぉ!認可した!さすが由紀!」

 

 

まさかのあっさり認可したことに驚きを隠せない胡桃。由紀の隣では少し悔しそうに雪がしていた。

 

 

 

「とりあえずそれがあれば探索は楽に進めることができるはずだ。」

 

 

椎子が睦のスマホに少し簡易化したボーモン君のプログラムを組み込みつつ説明を続ける。

 

 

「このボーモン君‥意外と重要な役割担ってるだね‥」

 

 

「複雑化しすぎても逆に管理や警備がややこしくなる。それを避けた結果、このAIが誕生したようだな」

 

 

そうこうしているうちに準備が整ったため二班は行動を開始することに。

 

 

「んじゃ、私達は5階と6階のオフィスと書類室の探索だね」

 

 

「罠とか‥ないよね?」

 

 

「んまあ、ボーモンがいるから大丈夫だろ」

 

 

「ワン!」

 

 

雪と睦、胡桃と太郎丸が行き先の最終確認を地図でしつつ支度を進める。

 

 

「そんで俺らは地下施設か‥、にしても広いな‥(地図を見つつ)」

 

 

「まあ研究すンなら地下の方がいいよな」

 

 

「といっても最深部までは安全の面もあるからいく必要はない。目的は地下二階の研究室にあるデータだ」

 

 

「正直‥室内戦はライフルが使いにくいから苦手なんですよね‥」

 

 

「でも、この感じだと彼らはいなさそうだからそこまで気を張らなくてもいいんじゃない?」

 

 

「確かに〜、気味悪いくらい誰もいないからねぇ」

 

 

地下組の椎子、日野、理琉、由紀、美紀、圭の6人も支度を終えて仮眠室から出てくる。 

 

 

「んじゃま、一旦お別れってことで〜」

 

 

「なんかいい情報見つけてこいよ〜、それと罠にも気をつけてな〜」

 

 

「そっちもね〜?」

 

 

2班は軽く雑談をし合ったあと、それぞれ分かれて探索に乗り出したのであった。

 

 

 

強襲揚陸艦コメット

パンデミック司令部

 

 

「少佐、やはりいました!生存者です!」

 

 

同時刻、使用できるカメラを使い本社ビル内を監視していたオペレーターが映り込む日野達を見つけ、声をあげる。それを聞いたティモシーは早足でそのモニターのところに来てマジマジと見る。

 

 

「ビンゴか‥、服装からして‥、学生‥それと‥巡ヶ丘署の警官‥例のアメリカ陸軍特殊作戦群の隊員‥、この白衣の人物は研究者か‥?」

 

 

「恐らくは‥」

 

 

オペレーターとともに映像を見ていた彼だがすぐにそのオペレーターに指示を出す。

 

 

「彼らが地下施設に来たのを確認次第B1計画を開始させろ、情報が他のやつに渡る前に仕留めろ」

 

 

「彼ら‥をですか?」

 

 

「そうだ、彼らがもし高校に送り込んだ精鋭軍を倒した相手なら容赦なく排除しないとならない。」

 

 

「わかりました‥」 

 

 

少々引っかかっていたオペレーターだがティモシー少佐の指示に止む終えずという形で従うことに。

 

 

「B1計画始動、セーフティロック解除用意。対象者設定。地下施設に来たのを確認してから解除、排除しなさい。それとB2計画も並行して始動」

 

 

 

そんな監視されていることも知らずに地下組は階段を降りて地下二階に降りていた。

 

 

「やっぱ電気がついてると多少安心感あるよなぁ‥」

 

 

周囲を警戒しつつ、明かりがあるありがたさを改めて実感する日野。

 

 

「とはいっても敵の住処だった建物だからあんまり気が抜けないよぉ‥」 

 

 

MP5を構えつつ、少し不安そうに歩いている由紀。そんな由紀のそばにいてあげつつ理琉がある箇所を指差す。

 

 

「どうやら目的の場所はあそこのようだぜ」

 

 

そう言われ、一同が視線を移すとそこにはいかにも厳重そうで、重要なやつがありますよオーラ全開の扉が佇んでいた。椎子がスマロを電子ロックにかざすと機械音とともにボーモンの声が聞こえてくる。

 

 

「ロック カイジョ コノサキ キミツ ショルイ アルカラ キヲツケテ」

 

 

「どうやらそのようだな」

 

 

椎子が笑みを深め、直後ロックが解除されたため扉が開く。警戒しつつ一同が入るとそこには何台かのパソコン、そして書類の入ったファイルが棚に並べられていた。

 

 

「いっぱいありますね‥」

 

 

大量の書類に圧巻されつつ、ファイルを手に取って中身を開く美紀。他のメンツも何個かの書類に手を出して見ていた。そんな3人を見つつ椎子はパソコンのに座り何やら調べている、理琉も続く形でついていく。

 

 

「‥‥」カチャカチャ

 

 

「なるほど‥」

 

 

「やはり‥か‥」

 

 

しばらく調べていた椎子だが確信したように手を止める理琉も確信したかのように、そしてファイルを見ている4人に視線を向けて‥

 

 

「そっちは何かわかったか?」

 

 

そう聞かれて、日野、美紀、圭、由紀の順に答える。

 

 

「ここで今回の件のウィルスの元になる細菌を研究してたのは確かなようだな」

 

 

「どうやらランダルコーポレーションの上にある組織が主犯格のようです」

 

 

「緊急避難マニュアルがここにもありました。この人たち‥相変わらず準備はいいようですね‥」

 

 

「難しくてよくわかんないけど‥」

 

 

4人の意見を聞いたあと、理琉が口を開く。

 

 

「そうだ。このランダルコーポレーションは実質

アンブレラ社の傘下の会社だ。アンブレラっていうのは世界的な製薬企業‥まあ、言わんでもなんとなく察してるだろうが製薬企業ってのは表向き、裏では生物兵器のウィルスの開発・研究をしているっていう噂が絶えないことで有名なんだ。んでその上でお前らに聞く。下手すりゃ世界が滅びかねないウィルスを傘下の会社に任せるか‥?」

 

 

「うぅん‥俺は嫌だねぇ‥。そんなウィルス保管するなら自社の会社で、しかも目が届いて厳重に保管できる場所がいいかな‥」

 

 

「わたしも〜‥」

 

 

「同じくです‥。自社以外の人間に任せるとなると‥不安ですし‥‥」

 

 

「美紀に同じく〜‥、というかどうしていきなりそんなことを‥、あっ‥」

 

 

どうしてそんなことを聞くのかと思った圭だがなにか察したようだ。その様子をみて3人も気づく。

 

 

「マサルさん‥まさか‥」

 

 

「あぁ‥、そのまさかだ」

 

 

そういって理琉が椎子に視線を向け、それに頷いて少しため息を零す。

 

 

「そう‥ここのウィルス管理者、そのバカの管理が杜撰だった上に、そのウィルスを扱ったあと、きちんと決められた処置をしなかったために人類は滅んだ‥」

 

 

同じ研究者として見過ごせないものがあったのか、少し憤りをあらわにしていた椎子。

 

 

「勘弁してくれよ‥ったく‥」

 

 

日野はまさかの真実に呆れて怒ることもできずにただ呟く。さすがの由紀も衝撃を受けており放心状態になっていた。

 

 

「‥じゃあ‥なんのために‥私達はここに来たんですか‥!!」ダァン!

 

 

美紀が悔しそうにファイルを思いっきり机に叩きつける。そうなるのも無理はない、騒動が起きどうにかこうにかして真相に辿り着こうと今まで動いてきたのに

その結果がこれだ。

 

 

「なんの‥ために‥命を‥かけたんですか‥(ポロポロ)」

 

 

「美紀‥」

 

 

涙を流すしかなかった美紀を心配そうに見つめている圭。そんな二人を見つつ日野が椎子に質問する。

 

 

「椎子さん、この騒動はどうにかならんのか?」

 

 

「それは現時点ではわからない‥。‥まて、そういえば数十年前におかしな事件が起こってたな‥」

 

 

「おかしな事件‥?そりゃなんだッてんだ?」

 

 

椎子の変な言い方に引っかかったのか理琉が首をかしげつつ質問する。

 

 

「1968年、まだ男土市っていう名前だった頃に人口が半減するという事件が発生したということだ」

 

 

「警察署の保管室で似たような書類を見たことがそういえばあったな‥、ってもしや」

 

 

「あぁ‥、その事件についての情報がこのパソコンにあった。このウィルス‥まあ簡単に訳してΩとでも表そうか、その最初の感染がこの年に確認されたそうだ。」

 

 

「その時に感染が確認された‥?それならどうして人類は滅ばなかったんだ?」

 

 

「さすが警察官、鋭いな。そう、Ωの感染が広まったのにも関わらず人類はなぜか滅ばなかった。いや正確には市外に感染が漏れなかったといったほうがいいだろう。

つまり、このパンデミックを終わらせる方法がどこかにあるはずということだ。」

 

 

「昔は医療技術はそこまで発達してなかった‥。なるほど‥収束の糸口は昔も今も同じってことか‥」

 

 

「そのようだなァ」

 

 

 

 

 

 

それから少しして一同は地下二階の各部屋を探索することにした。そんな中由紀がふと足を止める。

 

 

「ん?どうしたんですか由紀先輩」

 

 

由紀の異変に気づいた圭が足を止めて振り返る。他の4人も同様に足を止める。 

 

 

「ねぇ‥?なんか聞こえない‥?」

 

 

「何の音だ‥?」 

 

 

「ほら‥なんか‥なんかのロックが外れる音の後になんかが歩くような‥」

 

 

由紀に言われて一同は耳を傾けるが、特に何も聞こえてこない。

 

 

「特には聞こえてこないが‥」

 

 

「先輩の聞き間違えじゃないんですか‥?」

 

 

みんなにそう言われて、一瞬そう思いかけた由紀だがすぐに否定する。

 

 

「‥やっぱなんか聞こえてくるよ‥!それに‥足音が近づいてる‥!」

 

 

「‥‥」

 

 

由紀の言葉に一同は首を傾げたが、理琉は何か聞き取ったのか銃を構える。

 

 

「いや‥なにか微妙になにかが歩いてる音が聴こえるな‥」

 

 

「誰かいるのか‥?」

 

 

「彼らの音にしては足取りはしっかりしてラァ‥

だが人間にしては落ち着き過ぎてる‥

足音はその通路の角の奥からしてるな‥」

 

 

「人間でもない‥かといって彼らでもない‥。なんでしょう‥」

 

 

不思議な足音に耳を傾けつつ椎子以外の全員は素早く銃を構える。数分後近づいた足音はふと聞こえなくなる。

 

 

「とまっ‥た?」

 

 

「そのようですね‥」

 

 

「こっちに気づいたか?」

 

 

「うぅん‥なんか嫌なよかn‥」バァァァァンン!!!

 

 

由紀が何か読み取りかけた直後、いきなり目の前の壁が轟音とともに吹き飛ばされ、白煙に包まれる。

 

 

「なっなんだ!?」

 

 

「くっそ!みんな下れ!!」

 

 

理琉の掛け声とともに一同は狙いをつけつつ少し後退する。それから少しして白煙がゆっくりと晴れてきて壁を破壊した主が姿を表す‥。

 

 

「なに‥あれ」

 

 

その姿を見た圭が驚きのあまり一瞬棒立ちになりかける。いや彼女だけではない、ここにいた一同が衝撃に包まれていた。肌の色は人間にしては色白く、体型も人間ではあり得ないようなゴツさ、服装が全部黒ずくめの化

      ・・・

け物‥いや‥追跡者と行ったほうがいいだろう‥。ゆっくりとこちらに視線を向ける。

 

 

「おいおい‥何だこりゃ‥!?」

 

 

「見たことがない‥これも彼らなのか‥?」

 

 

「‥‥なんか‥怖い‥」 

 

 

「あんなのに‥攻撃されたら‥」

 

 

「何なんだコイツはァ‥!」

 

 

驚きに包まれていた5人だが、ゆっくりと近づき始めてきた追跡者をみてハッと我に帰る。

 

 

「きやがった!」

 

 

「人間じゃないのは確かだ!構うな!撃て!!」

 

 

日野の号令で各自一斉に射撃を開始する。何百発の銃弾を体に受けつつも全くびくともせずに歩き続ける。

 

 

「そんな‥効かない‥!」

 

 

「‥なら!」

 

 

美紀が背中にかけてたバレットを取り出して狙いをつける。室内でライフルは苦手と言っていた彼女だが直線的で動きの遅い相手なら当てるのは難しくない。 

 

 

バァァァン!!

 

 

同じ彼らなら頭が弱点のはず。そう確信した彼女は追跡者の頭めがけて一撃を放った。

 

 

ガァン!

 

 

直撃を喰らった追跡者は銃弾が命中した反動で動きが止まり頭が少し逸れる。

 

 

「よし‥!」

 

 

感触からして有効打が入ったのことを確信した‥しかしそんな美紀の希望は次の瞬間に打ち砕かれる。 

 

 

「え‥な‥んで‥」

 

 

美紀の目に映ったのは、先ほどの一撃が嘘かのように何事もなく佇んでいる追跡者の姿が‥ 

 

 

「う‥そ‥くそ!」

 

 

なぜ効いてないのか‥、そんなことを考える暇もなく再び頭にむけて射撃を続ける。しかし動きが少し鈍るだけで何事もなく近寄ってくる。さらには突如走る構えに入る。

 

 

「っ!!避けろ!!」

 

 

理琉の叫び声で慌てて左右に避ける一同、直後追跡者がもの凄い勢いで突進。先ほどまでいた場所の壁を破壊する。

 

 

「まさかこれほどの怪物を隠し持ってたとは‥!」

 

 

「なんでこのタイミングで‥まさか!」

 

 

日野が何か察したのか監視カメラにチラッと視線を向ける。そして一同に指示を出す。  

 

 

「とりあえず戦略的撤退だ!!このままじゃ埒があかん!」 

 

 

「同意見だ!」

 

 

日野の指示をうけて追跡者から急いで距離を取って逃げ始める。そして少し遅れて追跡者もゆっくりとおいかけ始めるのであった。

 

 

 

同時刻‥地上にて

 

 

「やっぱり‥か」

 

 

5階のオフィス室で調べ物をしていた3人だがこちらも真相にたどり着いていた。   

 

 

「管理ミスで人類滅んだとか‥勘弁してよ‥」

 

 

あまりにも悲惨な現実を突きつけられて雪と胡桃は少し項垂れている。なんとか保っている睦はさらにパソコンで調べていく。するとある報告結果に目が止まる。

 

 

「巡ヶ丘‥土着菌‥いったいなんなの‥これ」

 

 

「巡ヶ丘はここってわかるんだが‥土着菌‥って何だよ‥」

 

 

おそらく巡ヶ丘はここ巡ヶ丘市というのに当てはまるのだろうが土着菌という聞き慣れない言葉に首を傾げる3人。メモりつつ下にスクロールさせた直後睦の血相が変わる。  

 

 

「なに‥これ‥」

 

 

「先輩‥?」

 

 

「どうし‥っ!?」

 

 

睦の異変に気づいて二人も画面を除いた瞬間、同じように衝撃を受ける。そこに書かれていたのは‥

 

 

ーパンデミック緊急対策ー

感染拡大の防止及び歯止めのため

数日後にK県巡ヶ丘市を核ミサイルにより一斉消毒

使用弾頭N2誘導弾

弾数5発

協力 アメリカ空軍 フランス空軍 イギリス空軍

陸海空自衛隊 ロシア空軍 

 

「核ミサイル‥つまり」 

 

 

「ウィルス、そして証拠もろとも吹き飛ばすつもりね‥」

 

 

「そんな‥というか!これをみんなに知らせないと‥!」

 

 

そう胡桃が言いかけた直後、背後から何か視線を感じて慌ててそちらに銃口を向ける。

 

 

「どうしたの胡桃さん?」

 

 

「いや‥なんか‥背後から視線を感じたんだが‥気の所為だったかな‥」

 

 

気になりはしたが気の所為かと思い銃を降ろしかけた直後‥

 

 

ガァァァ!!

 

 

「っあ!?」ガシャァァァン!!

 

 

「胡桃!?」

 

 

突如そして胡桃が何者かに押し倒される。それに気づいて二人が慌てて銃口を何かがいる方角に向けつつフラッシュライトを当ててまたもや衝撃に包まれる。

 

 

フシャァァ‥!!

 

 

胡桃を押し倒して襲おうとしている生物はおおよそ人間とはかけ離れており、皮膚がなく体の全体は筋肉に覆われ脳も露わになっており長い舌を持った四足歩行の化け物の姿が‥   

 

 

「くっそ!」

 

 

胡桃が押し倒された反動で背中から落ちたシャベルを取り出して怪物に一撃入れる。それが効いたのかにげるように天井をつたってオフィスから出ていくのであった。 

 

 

「胡桃!!大丈夫なの!?」

 

 

「あぁ‥なんとかな‥」起き上がる    

 

 

「というか‥どうして本社ビルになんなの‥まさか‥」

 

 

何か察したのか睦が監視カメラをちら見する。パッと見た感じ動いてるようには見えないがよくよく見るとレンズがズー厶していたりしているようだ。それを見て確信する。

 

 

「これはかなり不味いかも‥」

 

 

「え?」

 

 

「不味いってなにが‥」 

 

 

「簡単よ‥!おそらく‥アイツらはうちらを本気で殺しにかかってる‥!」

 

 

 

「「‥!?」」

 

 

睦の衝撃的な発言を受けて二人の表情が強張る。この時点でようやく何者かに監視を受けていることに気づくのであった。




迫りくるカウントダウン

遠征組を襲う追跡者、そしてハンター

揺れる心

学園生活部は再び戦うのであった‥


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第四十三話 だっしゅつ

いよいよタイラントとリッカーに対する反撃が始まります!!


 

 

「監視されてた‥ってどうゆうことですか‥!?」

 

 

追跡者からなんとか振り切ることに成功してある一室に隠れてる一同。そんな中日野の発言に驚きの表情を見せつつ問う。 

 

 

「おかしいと思わなかったのか?あの怪物は俺たちここに侵入したときはこなかった。だがこの地下にきた途端に俺らを襲い始めた。あんまりにも偶然が重なり過ぎてる‥」

 

 

「オレもなんとなくおかしいとは思ってたよ‥。もとからあいつが動いてたとしたら、侵入した時点で襲ってくるはずだ。なのにここに来るまで一つも襲ってきてない‥。いや、正確には侵入した時点では気づかれてなかったんだろう」

 

 

「でも‥仮にそうだったとしても最初から監視していたなら‥あっ!」

 

 

どうやらなにか閃いた様子で手をポンと叩く圭、それに頷いて理琉が話を続ける。

 

 

「そうゆうことだ。奴らは最初から監視はしてなかったんだろう。んで気づいたのがこれだ」

 

 

そう言ってボーモンが入ってるスマホを取り出して一同に見せる。それを見て椎子が何か気づく。

 

 

「そうか‥ボーモンを再起動させたから奴らは侵入に気づいてカメラでチェックしていたのか‥!」

 

 

「その通りだァ。それで、情報が他に渡る前に仕留めたかったのだろうなァ。だからあの怪物を利用した訳だ」

 

 

「自分達のミスを隠蔽する気だったんですね‥。ますます許せないです‥」

 

 

犯したミスを帳消しにするためにこんなことをしたと聞いたらさらに美紀の怒りが増す。

 

 

「でも‥それを知ったとしても‥どうやって化け物を倒すの?‥この中で一番威力があるみーくんのライフルでも効かなかったのに」

 

 

「‥方法ならある」

 

 

由紀の疑問に、日野はあの部屋から持ってきた地下施設のマニュアルを取り出す。

 

 

「マニュアル‥か?」

 

 

「そうだ。んでこれにこんなことが書いてあったんだ」

 

 

そういってマニュアルをめくってあるページを指差す。

ほかのメンバーもつられてそのページを見る。

 

 

ー地下施設3階〜5階の処分のための爆破についてー

ウィルスの漏洩及び追跡者の制御が困難な場合 

地下の破壊を行うように。

操作は地下一階の制御室で行える。

爆破コードは15279

 

 

「なるほど‥銃が効かないならそれ以上の火力でやってしまえばいいと言うことか‥」

 

 

「そゆこと」

 

 

「いい案じゃねぇか、そうと決まれば。作戦会議を始めるぞ」

 

 

こうして地下組はあの追跡者を倒すための会議を始めたのであった。

 

 

 

 

地上

 

 

 

ドドドドド!!!

 

 

 

同じ頃5階では雪、胡桃、睦、太郎丸がハンターとの激戦を繰り広げていた。

 

 

「こいつ‥!ちょこまかと!」

 

 

先ほどからちょこまかと天井や壁を利用されて攻撃が全く当たらない。しかも隙を見ては飛びついてくる始末、そんなことに苛立ちを見せつつ射撃をする胡桃。

 

 

「これじゃ埒があかない‥先輩!!」

 

 

このままではいずれこちらがジリ貧になるだけだと思い雪が睦に指示を仰ぐ。睦もM4を射撃しつつ頭の中で思考を巡らせる。

 

 

「どうすれば‥いや‥、待てよ‥。動き回って当たらないのなら‥単調なときに当てれば‥」

 

 

そう呟いていた睦は二人に声をかけて指示を出す。

 

 

「二人とも!よく聞いて!もしかしたらこの案でいけるかも!!」

 

 

 

 

本社ビル5階をハンターはのっそのっそと先ほどの動きとはまるで嘘かのようにゆっくりと歩いていた。 

 

 

ガタン!!

 

 

直後廊下に響き渡る音に気づいて聞こえた方向に視線を向ける。そこにはシャベルを床に突き立てた胡桃の姿が。

 

 

「お前のお求めの獲物はここだぜ!!」

 

 

そう言い放ち、全力疾走で反対側へ走り出す。ハンターも気づいて先ほどののっそりが嘘かのようにもの凄い勢いでおいかけ始める。

 

 

「やっぱり‥!怪物でも音で探してるのは同じ見たいだな!!」

 

 

追いかけてくるハンターを見つつ、予想通りと思い全力疾走を続ける胡桃。元々パンデミック前は陸上部に所属しており体力には自身がある彼女。ハンターにも負けないような走りを見せつつ角を曲がる。

 

 

「こっちだぜぇ!!」

 

 

あえて声を定期的にあげてハンターを釣るように誘導する胡桃。もちろんハンターもそれに吊られて追いかけ続ける。

 

 

そして何個かの角を曲がった直後に向きを変えて立ち止まる。ハンターも止まったことを察して胡桃の前に立ちふさがる。

 

 

「いいことを一つ教えてやるぜ。確かにお前はすばしっこくて厄介だ‥」  

 

 

そしてひと間をあけ

 

 

「だけどな!お前の弱点は見切った!」

 

 

そう言って、シャベルを構えて突っ込んでいく。ハンターもそれを察知して胡桃に襲いかかる。あと少しで両者がぶつかるという直前で‥

 

 

「襲う直前は動きが単調ってことさ!」

 

 

体を滑らせつつ飛び上がったハンターと床の間にできた間隔を通り抜ける。もちろんハンターも気づいており向きを変えようとした直後

 

 

バァァン!!

 

 

ハンターのいた場所の横についていた粘着爆弾が起爆、怒涛の爆風に包まれてる。至近距離にいたハンターが無傷なわけがなく激しい爆発で頭部が吹き飛んだ状態で転がり落ちる。

 

 

「っと!」

 

 

同じく近くにいた胡桃は粘着爆弾の起爆スイッチを押した雪達が隠れている遮蔽物へ滑り込んで無傷である。

 

 

「どうよ!」

 

 

爆発が収まり白煙が晴れると、そこには無惨にも転がり落ちているハンターの姿が  

 

 

「ここまで損傷が酷ければ大丈夫でしょうね。ふぅ‥ここに粘着爆弾あって良かったわ‥」

 

 

近くにいき、確認をしてそう確信する睦。それを聞いて胡桃と雪、太郎丸が気が抜けたようにへたり込む。

 

 

「ヒヤヒヤしたぁ‥」

 

 

「あんな大口叩いたけど‥けっこう怖かったぜ‥」

 

 

「わふぅ‥」

 

 

そんな時間が続くはずもなく切り替えさせるように睦の表情が変わる。

 

 

「まだ終わりじゃないわ‥、地上にこんな化け物がいたってことは‥」

 

 

睦の言葉をきいて二人ともハッとなる。

 

 

「つまり地下も危ないってことかよ!」

 

 

「うかうかしてられないわ!急ぎましょう!それにあのことも伝えないと!」

 

 

こうし3人と一匹の犬は体制を立て直して地下へと急いで向かうことにしたのであった。 

 

 

 

その頃地下2階‥明かりだけがついて静まり返った通路

追跡者はおちついいた足取りで地下組を探していた。

 

 

バァン!

 

 

直後後頭部に銃弾を受け、一瞬怯むがすぐにむきを変えて撃ってきた相手に視線を向ける。

 

 

「お探しの相手はココだぜぇ」

 

 

そこにはM1887片手に仁王立ちしている理琉の姿が、

標的を確認した追跡者はさっきよりも少し早い足取りで追いかけ始める。それを確認して、あえて逃げられないように見せかけつつ誘導する。

 

 

「甘っちょろい!」

 

 

時々追跡者が突進をかますが、戦場での経験豊富な彼にすればそれは目を瞑っても避けられるほど、のらりひらりと避ける。

 

 

「オラァ!!」

 

 

バァンバァン!!

 

 

そして隙を見てM1887で一撃を加えつつ、エレベーター前の通路にたどり着く。二人は正対するように、睨み合う。

  

 

「こいよ‥!」

 

 

挑発するように手招きをする理琉、それに乗る形になったのか先ほどよりも明らかに速度が上った全力ダッシュで走り始める。

 

 

「へっ!ちゃんと走れるじゃねぇか!」

 

 

そう言って理琉も全力疾走でエレベーターにむけて走り出す。しかし現役軍人でも怪物に叶うはずもなくジリジリと距離を詰められていく。あと少し、あと少しでエレベーターに入るといったところで‥

 

 

「っと!」

 

 

ギリギリのタイミングで素早く左に避ける理琉、あまりにも勢いがあり過ぎたため追跡者はそのまま鋼鉄のエレベーター内に入り込んでしまう。

 

 

ガシャァァン!!

 

 

勢い余って入り込んだ衝撃で壁に激突してもの凄い轟音が響きわたる。

 

 

ガシャン!

 

 

さらに追い打ちを掛けるようにエレベーターの制御室でスタンバっていた由紀がエレベーターの扉を閉め、最下層の5階へとボタンを押す。追跡者が振り返った頃にはすでにエレベーターは降り始めていたのであった‥。

 

 

「よし!」

 

 

「今だ!!」

 

 

「あぁ!」

 

 

理琉の無線による合図を受けて一階のコントロール室にいた椎子が爆破コードを打ち込む。直後下方から轟音とともに爆発音が響き渡り5階から3階が爆風に包まれる。ここまでの威力にエレベーターにいた追跡者も耐えられるはずもなくあっさりと炎に包まれ、崩れてくる天井に埋もれてしまう。

 

 

「よし!」

 

 

「やった!!」

 

 

「良かった‥」

 

 

「ふぅ‥」

 

 

ようやく倒すことに成功したことに同じくコントロール室にいた3人は安堵の表情を浮かべる。椎子も疲労が募ったのか少しげっそりしているようだ。 

 

 

「マーくん!やったよ!私!」

 

 

「ヘヘ♪ナイスタイミングだったゼ」ナデナデ

 

 

「えへへ〜‥♪」

 

 

嬉しそうにしている由紀を見て撫でられずにいられない理琉は思わず撫でてしまう。撫でられた由紀は嬉しそうに表情になりすり寄っていたのであった。

 

 

「カワイイな‥♪流石はおれの相棒ダぜ」

 

 

 

 

 

こうしてなんとか追跡者を撃破することに成功した6人は取り忘れた資料を回収して地上2階に戻ると雪や睦、胡桃や太郎丸が駆け寄ってきた。

 

 

「あっ!胡桃ちゃんにみんな♪」

 

 

「おぉ!無事だったか!」

 

 

「良かっ‥って、再開に喜んでる場合じゃない!大変なの!!」

 

 

一瞬脱しかけた雪だがすぐに戻って焦った表情で地上で得た情報を伝えようとする。

 

 

「ん?パンデミックの真相なら、こっちでもわかったし、怪物や監視の件もわかってるぞ?」

 

 

「それもあるけど‥、それよりももっと重要なことなの‥‥!!」

 

 

 

 

「「「「一斉消毒!!!???」」」」

 

 

仮眠室で準備をしつつ話を聞いていた地下組、理琉以外は睦からの、ありえない発言に驚きをあらわにしていた。

 

 

「はい‥、この資料に書かれていたのは

「パンデミックの収束困難とされた場合、戦術ミサイルによって巡ヶ丘市を数日後に空爆する‥」って書かれてるのを発見して‥」

 

 

「ランダル ソシテアンブレラノ イトハ ココノ コウハンイ ショウドク ジャナイカナ?」

 

 

「くっそ‥、あの怪物よりも面倒なことになったぞ‥」

 

 

「となれば‥今すぐにもここから離れないと‥!例の監視が本当なら‥怪物を仕留めたこともバレてるはず‥!そうなれば‥、今度は直接軍を送り込んで来るはずです‥!」

 

 

「なんかいろいろごっちゃでわからなくなってきた‥」

 

 

「マサルさん!なんとかミサイル攻撃は阻止できないんですか‥!?」

 

 

「無いには越したことはないんだがァ‥、あるだとすれば治療薬を見つけてそれをもとに奴らと交渉すればミサイル発射は阻止できるかもしれん‥。だがそれが失敗すれば1発のミサイルでも都市まるまるを破壊しかねない戦術ミサイルを5発使われたらK県どころか下手すりゃ関東の7割ほどが吹き飛びかねない‥!」

 

 

「とんでもないことになったな‥」

 

 

理琉の言葉に普段は冷静な椎子でさえも驚きに包まれていた。

 

 

「そうなると逃げる用意をしなきゃ‥」

 

 

「‥でも‥どこに逃げるんですか‥?そんなミサイルを防げるところなんて‥」

 

 

「考えてても何も始まらん‥、今日はもう遅いし準備を整えて明日、ここを出よう。」

 

 

「行き先は‥?」

 

 

「地下トンネルだ‥、確か山手トンネルがあるはず‥。そこなら‥」

 

 

「もしかして‥死んじゃうのかな‥私達‥」

 

 

「そんなこと‥いやそのようなことがあってたまるか‥。市民を守るのが警察官である俺の役目だ」

 

 

「私だって‥!」

 

 

「公安だって、れっきとした警察よ‥!」

 

 

「軍人の俺も混ぜろよ‥?お前たちは命をかけてでも守ってやる‥!」

 

 

「マーくん‥」

 

 

「とりあえず‥今日はもう寝よう‥明日が早いからな‥ふぁぁ‥」

 

 

こうして一同は眠りにつくのであった‥。

 

 

 

 

「ん‥」

 

 

みんなが寝静まった深夜、目が覚めたのか雪が起き上がる。そしてみんなに気づかれないようにこっそり部屋をでて隣のオフィスに入る。そして紙を取り出してなにか書き始める。

 

 

「‥‥っ」

 

 

一瞬、内容に迷ったのか執筆を止めたが意を決して再びペンを動かしていたのであった‥。

 

 

 

そして翌日‥日が登る前に起きた一同は出発のために準備を進めていた。仮眠室や食堂にあった飲料水や非常用食料、更衣室にあった衣服や駐車場に止めてあった車からガソリンを抜き取って、2台に給油したり積み込んだりと準備に追われていた。

 

 

「全く‥休む暇がねぇな‥」

 

 

「ですね‥」

 

 

そして出発準備が整うとアスリートに雪と日野、それ以外キャンピングカーに乗り込んだあと2台はゆっくりと動き出して本社ビルを後にするのであった。

 

 

数時間ほど走行していた2台だが突如として止まる。するとその2台の上空を2機のヘリが音を立てて通過していくのであった‥。

 

 

「‥1機はランダルコーポレーションのヘリ‥もう1機は‥赤白の傘のマーク‥アンブレラか‥」   

 

 

双眼鏡で車内から上空のヘリを監視する理琉、2機の方角からして本社ビルに向かっているのだろう。

 

 

「この感じだと‥怪物倒したのはバレてるな‥」

 

 

「えぇ‥、なんとか見つからずに逃げないと‥」

 

 

 

ヘリが完全に行ったのを確認したあと、2台は再び発進

東京方面にむけて放置車両の合間を縫って走っていくであった。

 

 

 

 

「とりあえず‥今日はここで休憩しましょうか‥」

 

 

あれから長距離を休まず走ったため休憩でローソンに寄って駐車場に止める2台。

 

 

「んじゃ、俺と理琉で見てくる」

 

 

「了解、気をつけてね?」

 

 

「わかってるよ」

 

 

そう言って二人はコンビニ内へ入っていくのであった。

その間にも雪は残りの食料のチェックをしていた。

 

 

「食料は本社ビルのやつで問題ない‥飲料水も‥、でも‥この先の移動時間‥トンネル内での籠城を考えたら‥全然足りない‥」

 

 

持ち出した食料をチェックしつつこの先のことを考えて少し暗い表情を見せてしまう。しかしすぐに振りほどいてなんとか保たせようと計算しているのであった‥。

 

 

コンビニ内

 

 

「どうやら、ここは当たりのようだな」

 

 

店内の陳列棚を見て少し笑みを浮かべる日野。二人の目にはある程度並んでいる食料や飲料水の姿が

 

 

「だなァ‥。これが一番の救いか‥」

 

 

そういって二人はカゴに店内にあった食べれそうな食料や飲料水を片っ端から集めていくのであった‥。

 

 

 

 

「ん〜♪美味しい〜」

 

 

その日、キャンピングカーのテーブルには豪勢とまではいかないものの節制してる中では満足な食事。カップ麺が並んでいた。

 

 

「うめえ〜」

   

 

「だねぇ〜」

 

 

「こりゃ腹一杯喰えそうだぜ‥!」

 

 

朝から気が張りっぱなしだったためか、一同は美味しそうに食べたり、雑談をしていたのであった。

 

 

「あっ、日野〜。ほっぺに野菜付いてるよ〜?」とって食べる

 

 

「おっ、センキュ」

 

 

「本当二人ともラブラブねぇ〜?」

 

 

気が抜けたのか、うっかりみんなの前でイチャラブしてしまい、椎子を含むみんなから視線を受けて顔真っ赤にしてしまう二人だった。

 

そうこうしているうち就寝時間になり、交代で見張りをしつつキャンピングカーの中で夜を明かすのであった‥。

 

 

 

日野達が本社ビルを出る前の出来事‥

コメット

司令室

 

 

「なに‥!?タイラントとリッカーの反応が消失‥しただと!?」

 

 

「はっ!昨晩まで反応があった2体の反応が消失しました。それと地下3階から5階の防犯カメラが使用不能になったことを考えると‥」

 

 

「ウィルス漏洩対策の爆破装置を利用して撃破したか‥‥、これはマズイぞ‥」

 

 

まさかの新兵器のタイラントとリッカーを撃破されるとは思ってなかったティモシー少佐は頭を抱えて項垂れていたがすぐに部下に指示を出す。

 

 

「大至急、本社ビルに部隊を派遣して確認させろ。もし2体の撃破が確認されたら、ランダルコーポレーション及びアンブレラ合同艦隊に待機中の部隊を横須賀市にある地上部隊基地へ送れ!全部だ‥!」

 

 

「全部‥ですか!?あと数日後には国連軍による戦術ミサイルによる空爆が始まりますよ‥?下手すれば部隊まで被害が‥」

 

 

「構わん!奴らに生き残られたら我々が終わるのだぞ!?なんとしてでも仕留めろ!例の攻撃ヘリと無人機も使え!」

 

 

「‥はっ!」

 

 

ティモシー少佐の指示を受けた部下が一礼して、足早に部屋を後にするのであった‥。  

 

 

 

翌日‥‥

 

 

「ん〜‥」モゾモゾ

 

 

「おはよー‥」

 

 

「ふぁぁ‥」

 

 

カーテンの隙間から日差しが差し込んで、その光によって一同は目を覚ます。

 

 

「‥!みんな!ランダルコーポレーションの通信を傍受した!」

 

 

みんなより早く起きて何やらパソコンを弄っていた椎子が血相を変えてみんなに振り向く 

 

 

「なんだと‥!?内容は!」

 

 

「今ボーモンが解析してる‥!」

 

 

一同は慌てふためくようにパソコン画面に群がる。それを確認している最中に解析が終わったのか画面に無線の内容が表示される。

 

 

「やっぱりバレてたか‥」

 

 

「ということは昨日のヘリはその確認できたのね‥」

 

 

「いや‥それよりも問題なのが‥」

 

 

椎子が無線内容を下にスクロールさせるとそこには衝撃的な内容が書かれていた。

 

 

「ランダルコーポレーション及びアンブレラ社の戦力を全投入してでも排除しろ‥だと!?」

 

 

「クッソ‥!めんどくせぇことになりがって‥!」

 

 

「怪物を倒したのが効いてますね‥。意地でも私達を潰しにかかってます‥」

 

 

「戦術ミサイルで兵士がやられるのもお構いなしか‥‥」

 

 

ここにずっといるのは不味いということになり2台は素早く支度を済ませてコンビニをあとにして出発することにした。

 

 

 

ブロロロロロ

 

 

今までは静かだった空が今日はやけに賑やかだ。ヘリが来るたびに車を止めてやり過ごしては動き出すの繰り返しを先ほどから続けていた。

 

 

「なかなか思うように進めませんね‥」

 

 

「今頃、ちなまこになって俺らのことを探してるだろうな‥‥」

 

 

「今はヘリで済んでますが‥、これに地上部隊が合流したら‥逃げ場はありませんよ‥」

 

 

「その前にたどり着ければいいんだが‥」

 

 

こうして2台は見つかっても振り切れるだけの広さを確保した県道を走行していた。

 

 

「大学のみんな‥大丈夫ですかね‥」

 

 

「めぐねぇ‥」

 

 

「心配なのはわかるが‥、この距離だと無線が使えねぇ‥。なんとか無事なのを祈るしか‥それとどうにかあのことを伝えないとな‥」

 

 

そうこうしているうちに本社ビルからかなり離れてきたところまで来た2台‥しかしそれを狙う1機のヘリが‥   

 

 

「目標確認!2台います!」

 

 

「キャンピングカーに狙いをロックしろ!コイツらを始末すれば俺たちの地位は高くなるぞ!」

 

 

「ロックオン完了!!」

 

 

「ミサイルを放て!」

 

 

攻撃ヘリの機長の指示を受けてミサイルをキャンピングカーにロックオン、発射する。放たれた一発のミサイルは迷いもなくキャンピングカーにむけて飛んでいく。

 

 

「っ!」

 

 

気づかれないかと思われただが由紀が僅かなヘリのローター音に気づいて後ろを見る。

 

 

「ミサイル!ミサイルがきてるよ!」

 

 

「なっ!?」 

 

 

由紀に言われてキャンピングカーの一同は慌てて視線を後ろに向けるとそこにはこちらに突っ込んでくるミサイルの姿が‥     

 

 

「かっ回避!!」

 

 

「ダメ!!間に合いません!!」

 

 

胡桃がドライバーの睦に回避を促したが間に合うはずもなくあと少しで着弾‥しかけた。

 

 

「っ!」

 

 

しかし無線機でミサイルに気づいたのか雪がミサイルとキャンピングカーの間に割り込むように車を滑り込ませる。 

 

 

「日野!!」

 

 

「え!?あっ‥」

 

 

ミサイルに気を取られていた彼だがはっと我に帰ったときなぜか助手席のドアが開いて、外に押し出されていた。視界が暗転する最後彼の目には、自分と雪が乗っていたクラウンにミサイルが着弾していく様子であった‥。

 

 

「いてて‥!」

 

 

気を失って数分後、すぐに意識を取り戻した日野。起き上がり周囲の確認をする。キャンピングカーは爆発の影響で電柱に衝突しているもののあの損傷なら大丈夫そうだ。だが問題はクラウンのほうだ。あのミサイルを喰らって無事なはずもなく大破、横転炎上していた。

 

 

「っ!雪!!」

 

 

起き上がった直後、倒れている雪を見つけて急いで駆け寄る日野。

 

 

「おい!大丈夫か!?雪!!」

 

 

「っ‥‥ひ‥の‥」

 

 

意識朦朧としつつ、なんとか日野に視線を向ける雪。そして少し遅れて‥

 

 

「日野さん!雪さん!」

 

 

「大丈夫かァ!?」

 

 

「雪さん!」

 

 

キャンピングカー組が急ぎ足でこちらに駆け寄ってくる。パッと見た感じみんなに怪我はなさそうだ。一瞬安堵の表情がよぎったがすぐに切り替える。

 

 

「俺はこの通りなんとか‥、だが雪が‥」

 

 

「クソ‥!とりあえず手当するぞ!先ほどの攻撃であいつらは誤認撃破で帰ってたから戻ってくるまでに時間は稼げるはずだ‥!」

 

 




なんとかタイラント、リッカーをたおすことに成功、ランダルやアンブレラが来る前に本社ビルを脱出した学園生活部‥

しかし隙を突かれた攻撃で雪が負傷してしまう‥。

彼女はどうなってしまうのか‥



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第四十四話 さよなら

ヘリからの奇襲攻撃により負傷してしまった雪
遠征組はさらに残酷な現実を突きつけられてしまう‥
さらには‥ある人物に異変が‥





「クソ‥!とりあえず手当するぞ!先ほどの攻撃であいつらは誤認撃破で帰ってたから戻ってくるまでに時間は稼げるはずだ‥!」

 

 

「‥ま‥って‥」

 

 

急いで手当てをするために、医療キットを取りだそうとする理琉。しかし雪によって静止される。 

 

 

「待てねぇよ‥手当っていうのは初動が大事って小春が‥」

 

 

「‥‥(首を振る)」

 

 

理琉の言葉に首を振る雪、そして自身の腹部に手を当てる。そこには車の破片が刺さっており、かなり出血していた。

 

 

「‥‥そう‥ゆうこと‥か」

 

 

雪の言いたいことがわかってしまった日野は少し俯いていた。他のメンバーは何なのか全く理解できてない‥。だが理琉や椎子はわかったようだ。

 

 

「‥なるほど‥」

 

 

「くそ‥‥」

 

 

「マーくん‥どうゆうこと‥?」

 

 

由紀が理琉の服の袖を掴みつつ、泣きそうな表情で聞こうとする。そんな表情をみて一瞬言おうか迷ったものの諦めてみんなに振り向く。

 

 

「‥腎臓とか重要なとこがやられてる‥‥雪は‥もう‥助からない‥」

 

 

「え‥‥」

 

 

理琉の残酷な現実を突きつけられて圭の表情が固まり膝をつく。隣りにいた美紀は泣きそうになりかけながらもなんとか堪えていた。

 

 

「どうにか‥ならないんですか‥?」

 

 

「‥無理だ‥。医療設備がない現状では‥‥」

 

 

「くそ!」ガギィン!!

 

 

悔しさのあまりシャベルを壁につきたてる胡桃。その音に太郎丸でさえも驚く。

 

 

「‥なんで‥なんでだよ‥‥」

 

 

「雪‥‥うぁぁぁ!!」

 

 

ついに堪えられなくなり睦が崩れて泣き叫ぶ。それにつられてなんとか堪えていた人も釣られて泣いてしまう。

 

 

「‥何が‥軍人だ‥。人を一人も守れなかったクセに‥‥」

 

 

「‥‥」

 

 

そんなみんなを見ている日野雪がほっぺに手を当てる。

 

 

「ん?‥どうした‥」

 

 

「ねぇ‥日野‥、私‥日野と‥出会‥えて‥良かった‥」ポロポロ

 

 

「‥俺もだ‥くそ‥どうして‥先にいっちまうんだ‥」

 

 

「ごめん‥ね?‥こんな‥私で‥‥」

 

 

「なんで謝るんだよ‥‥。お前と出会えて‥良かったよ‥‥一緒に‥過ごせて‥‥」ポロポロ

 

 

日野でさえも堪えきれずに涙を溢してしまう。意識朦朧としている雪も頬から涙が流れていた。  

 

 

「最後に‥ひとつ‥いい‥かな‥?」

 

 

「‥‥いいぞ‥」

 

 

「大好き‥だよ‥♪」

 

 

それが彼女の最後の言葉だった‥。もう一度彼女ろ顔を見ると幸せそうに息を日野の腕の中で引き取った雪の姿であった‥。

 

 

「ひっぐ‥えっぐ‥‥」

 

 

「くそ‥なんで‥なんでだよ‥」

 

 

「わぅ‥」 

 

 

あれからどれだけ時間がたっただろうか‥、しばらくして日野はキャンピングカーに戻り、車内から毛布を取り出して雪の遺体に被せる。そして立ち上がった彼が行ったのは‥涙を流しながらの敬礼であった‥。

 

 

「日野‥」

 

 

そんな日野を見ていた睦だが、彼女も立ち上がり敬礼する。いや、彼女だけではない。理琉や、美紀、圭、胡桃、由紀、椎子でさえも雪に敬礼を送っていた‥。

 

 

「行こう‥‥、あいつがたどり着けなかった場所に‥‥」

 

 

 

可能なら遺体を火葬したいところだが、それをした場合

ランダルにバレる可能性がある。だがらせめて遺体がバレないように遺体を死角に隠すことに‥。

 

 

「‥‥よし‥‥」

 

 

「ねえ‥日野、これ‥」

 

 

少しすると睦がある手紙を持ってくる。それを受け取って開くとそこには雪の執筆で手紙が書かれていた。

 

ーみんなへー

この手紙を読んでるってことは私はもうここにはいないと思います。パンデミックからかなりの日にちがたっていろんな人達と出会うことができました‥。

日野や由紀ちゃん、胡桃、悠里さん、るーちゃん‥美紀さん‥圭ちゃん‥慈さん‥小春ちゃん、理琉‥先輩‥、太郎丸‥ヒカさん‥アキさん‥トーコさん‥リセさん‥シノウさん‥、みんな個性があって‥すごく良い子で‥

私は本当に恵まれてたな‥って思ってます‥。

でも‥私が死んだら‥みんな悲しむだろうな‥‥

特に日野‥、もしかしたら‥恨んでるかな‥?

置いていったこと‥。いや‥‥それはわからないな‥

それと‥最後に一つだけ‥

今までありがとうね、そして‥また

ー雪よりー

 

 

「さよならって言わない当たり‥アイツらしいな‥」

 

 

「はい‥」

 

 

手紙をポケットに大事にしまったあと睦と日野は黙祷を捧げてキャンピングカーに戻ってくる。

 

 

「あっ‥、おかえり‥」

 

 

「ねぇ、みーくん?この飲料水もいるかな?」

 

 

「はい‥、持っていけるものは‥持っていたほうがいいですし。」

 

 

キャンピングカーでは持っていけるもは全部持っていくことに。食料や飲料水、弾薬などをバックに詰め混んでいた。しかし‥ここでひとつ問題が‥

 

 

「この水のボトル‥どうしましょうか‥」

 

 

それは高校から持ってきた最後の水、しかし他の容器よりも大きいためバックに入らなくなっていた。

 

 

「おいていく訳にもいかないし‥」

 

 

「それなら‥、私のリュックに入れてもいいよ?」

 

 

悩んでいた美紀に自分がせよっていたリュックを降ろして由紀がチャックを開けてふたを開ける。

 

 

「先輩‥大丈夫ですか?これそこそこ重いですし‥‥」

 

 

「大丈夫大丈夫!先輩を信じて♪」

 

 

「ふふ‥♪頼もしいですね‥♪」

 

 

「わふぅ?」

 

 

こうして支度を済ませた一同はキャンピングカーを後にして全方位警戒しつつ移動を開始した。やはり先ほどの音に寄って来たのか、彼らがうようようろついていた。

 

 

「音に寄ってくるのが‥一番厄介ですね‥‥」

 

 

「やり過ごすのは無理そうだな‥。」

 

 

「そうなれば‥強行突破だな‥」

 

 

そう言って椎子以外各自銃を取り出して、狙いを定め射撃を開始。次々とやってくる彼らをなぎ倒していくのであった。

 

 

それから歩くこと数時間後、休めそうなファミレスのお店を見つけて今夜はここで休みを取ることに。

 

 

ギィィィ‥‥

 

 

「っと‥先客か‥」

 

 

中に入ると数体ほど彼らがいたが、あっさりと仕留めて入口に鍵をかける。

 

 

「今日はここで休むか‥」

 

 

「ですね‥いろいろと疲れました‥‥」

 

 

「うん‥」

 

 

そうして一同は店内の階段を上がり屋上駐車場へ向かう。屋上に出ると車は何台かあるがすべて鍵がロックされた状態だった。

 

 

「やっぱ鍵が掛かってるか‥」

 

 

理琉が確認をしている間にも、休めそうなスペースを見つけて腰をかける一同。しかしここでひとつ異変が‥

 

 

「ゲホッゲホッ‥!!」

 

 

「椎子‥さん?」

 

 

椎子の容態がおかしくなったことに気づいた美紀が声をかける。もちろん車の物色には…まや行っていた理琉も戻ってきて声をかける。

 

 

「大丈夫か‥?」

 

 

「ゲホッゲホッ!なんとか‥」

 

 

「‥‥」

 

 

本人は大丈夫と言っているが、明らかに症状が酷そうだ。さらには普通の咳込みとは明らかに違うのを見て理琉は察する。

 

 

「あんた‥まさか‥」

 

 

「‥いずれはこうなることがわかってた‥ゲホッゲホッ」

 

 

「どうゆうこと‥理琉君‥」

 

 

二人の会話に追いつけてない睦が恐る恐る質問してくる。

 

 

「‥簡単さ‥、この感じだと‥椎子さんも感染してる‥」

 

 

「‥え‥?」

 

 

「前に話したんだが、このウィルスは空気感染をするんだァ‥。この人は理学棟でゾンビの研究をしていた‥つまり実験体がすぐ側にあったってことさ‥」

 

 

「それじゃ‥‥」

 

 

「あぁ‥前々から感染してたってことは‥今夜あたりに発症するだろうな‥‥。」

 

 

「黙っててすまなかったな‥‥。ゲホッゲホッ」

 

 

「治療薬は‥ないか‥」

 

 

「あぁ‥」

 

 

終始無言の雰囲気が漂っていたが椎子が理琉に自身のスマホを渡す。

 

 

「コレは‥」

 

 

「この中にランダルから持ち出したデータを整理して保存している‥。ゲホッゲホッ君たちが最後の希望だ‥、頼んだぞ‥ゲホッゲホッ」

 

 

「まっ‥」

 

 

止めようとした理琉だが、それを聞かずに椎子は屋上を後にするのであった‥。それから数分後‥屋外から銃声が辺りに響き渡る。

 

 

「‥‥次から次へと‥‥本当に‥生き残れるのかな‥」

 

 

誰にも聞こえないような薄れた声でポツリと独り言を喋っている由紀であった‥。

 

 

翌朝

 

 

日差しが差し込む中、準備を進める一同。日野が地図を取り出して広げる。

 

 

「んじゃ‥最終確認だ‥。ここを出てこの裏道を通って踏切まで行く。んでそこから線路にそって東京方面まで行けばそこから山手トンネルまではこの路線でいける」

 

 

「ただ問題はそこに行けても、軍が待ち伏せをしている可能性もあるよね‥」

 

 

「アァ‥、核ミサイルを避けるならトンネルが一番っていうのはアイツらもわかってるはずだ‥」

 

 

「食料や飲料水は節制すれば問題ない‥だが一番の問題は弾薬だ‥。」

 

 

「ライフル弾はやハンドガンの余力はある‥、だがアサルトライフル系やサブマシンガンの弾の消費が激しい‥あと各マガジンそれぞれ4個か‥」

 

 

「いちいち撃ってたらすぐに無くなるね‥。可能な限り戦闘を避けるしかないか‥‥」

 

 

 

 

こうして出発準備を整えた一同はファミレスを後にして移動を開始することに。途中自決した椎子の遺体を見つけた。

 

 

「‥‥」

 

 

由紀が持っていた自身の毛布を被せて手を合わせ黙祷する。それにつられて他のメンバーも手を合わせることに。

 

 

「ありがと‥ね。ゆっくり休んで‥」

 

 

 

あれから完全に変わり果ててしまった巡ヶ丘、道路には事故車両や放置車両。事態の収集に当たっていたのであろう‥赤色灯が回った状態で放置された緊急車両や自衛隊、在日米軍の車両の姿も‥

建物の窓ガラスの殆どが割れ、さらには建物や道路にもひび割れが入っている。途中途中で、彼らになることなかった人の遺体が無造作に転がっていた。

 

 

「あれから‥なにも変わっちまったな‥」

 

 

「‥はい‥」

 

 

「一体‥どれだけの人が亡くなったんでしょうか‥」

 

 

踏切に差し掛かり、周囲に彼らや特殊部隊がいないことを確認してから線路沿いを歩くことに。

 

 

「にしても‥今日はヘリを1機も見かけませんね‥」

 

 

上空に目を向けつつ、静かすぎる空に首をかしげる美紀     

 

 

「たぶん燃料補給か点検でもしてるんだろうな‥‥

ヘリっていうのは一つの故障でも飛行に支障がでかねないからな‥」

 

 

「乗り物っていうのはどれもそんなもんなんだね‥」

 

 

「まあな‥」

 

 

 

 

「みんな‥止まって‥」

 

 

あれから歩き始めて2時間ほど‥高架に差し掛かった直後に由紀の表情が変わる。

 

 

「どうしたんだ?由紀」

 

 

気になって胡桃が声をかける。が、由紀は振り返らずに話を続ける。

 

 

「とりあえずみんなしゃがんで‥!」

 

 

明らかにいつもの由紀じゃないことに戸惑いつつも従ってしゃがみ込む。

 

 

「教えて下さい由紀先輩、一体なに‥」ブロロロロロ

 

 

質問しようとした美紀だが突如エンジン音が響き渡ったため口を閉じる。理琉と日野が格子状の鉄柵越しから下に通っている道路の様子を伺うと、そこには3台ほど黒塗りのバンが車列をなして通過していた。

 

 

「シボレー‥タホ、間違いない‥アンブレラの専用車両だ‥。もう探りをいれてきやがった‥」

 

 

「車内の奴ら見えたか‥?運転手以外はいかにも傭兵です〜っていう顔つきだったぜ‥?」

 

 

「やれやれ‥、過剰過ぎじゃないですかね‥」

 

 

相変わらずの物量に呆れつつ睦が会話に加わる。それから2、3台の車両が数分おきに通過していたため、完全に通り過ぎたのを確認してから再び歩き始める。

 

 

 

それからさらに歩き続けること数時間後、作業用の階段がある高架から下に降りることに。先に降りた日野や理琉、睦が周囲に彼らか特殊部隊がいないか確認を行う。

パッと見た感じ誰もいなさそうだが見通しがいいため見つかると厄介なことになる。

 

 

「行くなら今だ‥!」

 

 

「走るなら得意だぜ!」

 

 

「由紀、走れるか?」

 

 

「うん‥!大丈夫!」

 

 

「ライフル担ぎだと‥キツイですね‥(汗)」

 

 

「むしろよく今まで振り回せたね‥(汗)」

 

 

「え‥?そのライフルをぶん回してたの‥?今まで‥」

 

 

「ちょっと引いてませんか‥」

 

 

とりあえず休めそうなところを探しつつ走っていると丁度良さそうな一軒家を見つけて、中に誰もいない事を確かめるとそこで潜むことに。

 

 

「ぁぁ〜‥疲れだぁ‥」

 

 

「日野さん、おじさんみたいな感じになってますよ」クス

 

 

「シツレイナ、これでもまだ二十歳じゃわい()」

 

 

「言い方‥♪」クスクス

 

 

少し落ち着いてきたのかみんなの顔に少し明るい表情が戻ってきつつあった。

 

 

「とりあえず‥今日はもう寝ようかな‥」

 

 

「ですね‥‥」

 

 

 

 

 

「‥‥これからどうするればいいんだろうな‥‥‥

お前なら‥どうするんだ‥雪‥」

 

 

夜空を見つめつつそうこぼす日野。すでに彼女はこの世にいない。それはわかってるが、それでも何か救いの手がほしいという思いが強いのだろう‥。

 

 

 

 

「‥‥ねぇ‥マーくん‥?」

 

 

「‥なんだ‥?由紀ィ」

 

 

コンビニの外にあるベンチでは由紀と理琉が寄り添って座り、夜空を眺めていた。

 

 

「‥私達‥、何のために戦ってるんだろう‥。それさえもわからなくなっちゃった‥」

 

 

「オレもだ‥。こんな残酷な世界に疲れたよ‥‥。」

 

 

「‥いっそのこと‥心中しようよ‥‥。こんな世界より‥きっと幸せに暮らせるよ‥?」

 

 

「‥それも‥悪く‥ないだろうな‥」

 

 

 

あれからどれほど時間がたっただろうか‥、いつの間にか寝落ちしていた日野だが何かの音が聞こえ、目が覚ます。まだ寝ぼけているようだがそれは次の一声で吹き飛ぶ。

 

 

『外で寝てたら風邪引くし襲われるぞ〜!』

 

 

「アイェェェ!?ドローン‥!ドローンナn‥イデ!?」

 

 

そりゃ起きた直後にドローンが喋ったら誰でも驚くわな。飛び起きた反動でベンチから転げ落ちる日野。

 

 

「ひーくん!?」

 

 

「大声出してたけどどうした!?」

 

 

先ほどの驚いた声が聞こえたのか、由紀と理琉が急ぎ足でいや、彼らだけではない。美紀や圭、胡桃や睦、太郎丸が駆け寄る。

 

 

「何だ何だ‥!?ってなんじゃこのドローン!?」

 

 

『やぁやぁ〜、久しぶりだねぇ』

 

 

いきなりドローンがいることに驚いている胡桃。しかしドローンのマイクから聞こえてくる聞き慣れた声に睦が気づく。

 

 

「もっもしかして‥トーコさん!?」

 

 

『そう!自堕落同好会リーダーの出g‥』

 

 

『ヤッホー理琉♪お久しぶり〜』

 

 

「その声は小春かァ!?」

 

 

かっこよく自己紹介しようとしたトーコだが、あっさりと他の人と被ってしまう。

 

『うん♪』

 

 

『私もいます!』

 

 

「佐倉さん!?」

 

 

「めぐねぇ!!」

 

 

『るーもいるのだ〜。そしてりーねぇもいるよ〜』

 

 

「りーさんもか!?」

 

 

『えぇ!久しぶりね‥!胡桃!美紀!圭!!』

 

 

「「悠里先輩!!」」

 

 

『あ〜‥ワタシノカッコイイトコロガ』

 

 

『問題ないですよ』キッパリ

 

 

『ヒカサンヒドスギヤシマセンカネェ』  

 

 

ドローンからは少し離れたビル屋上から操縦しているトーコに加え、小春、慈、悠里、瑠璃、ヒカの声が聞こえていたのであった。




突如としてドローンのカメラ越しに、操縦者の出口桐子、そして喜来比嘉子、佐倉慈、狭山小春、若狭悠里、若狭瑠璃と再開を果たした
しかし雪や椎子を失い、さらにはランダルやアンブレラの兵士から狙われ、もはや後戻りができなくなった日野達、そして学園生活部。
しかしそんな中徐々に謎に包まれていたパンデミックのピースが埋まっていきます!

次回、いよいよ学園生活部最後、いやパンデミックを巡る最後の戦いが幕をあけます




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第四十五話 きぼう

ドローン越しに再開を果たした両者
仲間との再開で少しだが希望が見えてきたようだ。


「とういうか、どうしてめぐねぇ達がいるんだ?」

 

 

『そりゃ、君達が心配だからさ。アイツらが動いているのは薄々感じてた。だからいろいろと策を練ってたわけ』

 

 

なぜトーコ達がここにいるのかという胡桃の疑問に対して迷いもなく答えるトーコ。

 

 

 

 

 

 

 

時は遡り‥

大学地下施設

 

 

 

「ここが大学の地下施設‥けっこう広いですね」

 

 

「そうなんだよねぇ‥。と言っても食料は武闘派の連中がほとんどかっさらっていったけどな‥」

 

 

大学に残った大学組トーコ、アキ、ヒカ、シノウ、リセ

そして学園生活部の慈、悠里、瑠璃、小春の9人は地下施設に足を運んでいた。といっても食料などの殆どは武闘派と分け合ったため残っていない。しかしそれは関係ないと言わんばかりに今は空っぽな巨大冷蔵庫の扉を開ける。するとヒカが足早に冷蔵庫の壁に手を当てる。

 

 

ガチャン

 

 

すると、機械のロックが外れたような音がすると同時に壁の一箇所が開いて暗証番号のパネルが出てくる。

 

 

「でも、これだけは武闘派の連中には言わないでおいたんだよねぇ。もしかしたらこの先使えるかもって思って」

 

 

トーコがそんなことを言っている間にヒカがポケットから番号の書かれたメモ用紙を取り出してそれを見つつ慣れた手つきで打ち込んでいく。

 

 

「こんなところが‥」

 

 

「‥‥」

 

 

元々武闘派だったシノウと、図書館に殆どいたリセはここの存在を知らなかったようで、驚きの表情を浮かべていた。

 

 

ピピッ

 

 

「‥開いたよ」

 

 

そう言いつつヒカが呟くと冷蔵庫の奥の壁の一部が機械音を響かせながら開いていき、奥に広い空間が広がっているのがチラッと見えてくる。

 

 

「と言っても、ここまで見たのは始めてだよ」

 

 

冷蔵庫奥の壁が完全に開くとそこには大小多数の重火器や機関銃、ロケットランチャーなどおおよそどこから集めてきたのかというレベルでズラリと並んでいた。

 

具体的に言えばブローニングM2HMGなどの重機関銃、M249MINIMI・RPKの軽機関銃、

AR50などの対物ライフル、

サページM110BA・レミントンM40A3・ナイツアーマメントSPRMk12mod1を含む狙撃銃

SIG551A1・HK417・M4カービン・AK47・AK74・M4A1SOPMODをなどの自動小銃

フランキSPAS12・ケルテックKSG12などの散弾銃

MP5・MP7の短機関銃

FNPS90などのPDW

M9やグロッグ19などの拳銃

RPGなどのロケットランチャー

M32ダネルMGLなどのグレネードランチャーが揃っていた。

 

 

「高校のときよりも揃ってますね‥‥」

 

 

「というか‥これだけの武器どうやって持ち込んだのよ‥」

 

 

高校に似たような施設があったため、わかってはいたもののそれでもここまで装備が揃っていることに改めて驚きを隠せずにいる学園生活部のメンツであった。

 

 

中を見たわしていると、ヒカがある引き出しを引くとドローンと操縦機が入っていた。他にもリセが気になった引き出しを引くと一つのノートパソコンと何らかの書類が入っているのが確認できた。

 

 

「これは‥‥」

 

 

その書類をめくりつつあるページに目が止まる。それを読んで彼女は察した。

 

 

「なるほど‥な」

 

 

 

 

 

 

 

そして時は戻り‥

 

 

「なるほどねぇ‥、そんなことが‥」 

 

 

これまでの経緯をトーコから聞いた日野は納得の表情を浮かべている。そして日野はこちらの今までのいきさつを説明する。

 

 

『‥雪さんと‥アオちゃんが‥』

 

 

「すまねぇ‥みんなを守りきれなかった‥」

 

 

『日野‥さん‥』

 

 

カメラ越しに不安そうな慈の雰囲気が伝わってくる。それも無理はない、幼馴染みである彼女にとって日野が大切にしていた雪を失った衝撃は計り知れないというのは容易に想像できる。しかしそんな中でヒカが疑問を浮かべる。

 

 

『でもさ‥。話を聞く限り‥そのヘリはバレずにあらかじめ居場所がわかってたかのような動きをしてる‥。変だと思わない‥?』

 

 

ヒカの推測に胡桃が反応する。

 

 

「言われてみれば‥、あそこの通りは飛行しているヘリからは死角になってた‥。なんで気づいたんだ‥?」

 

 

「‥空から丸見えだったとか‥それか‥本社ビルのようにカメラで監視してたとか‥!」

 

 

由紀の発言にじっくり考えてた理琉が否定する。

 

 

「それなら最初からバレてるはずだ。普通のヘリの連中には見つからなかったのに、あのステルスヘリには見つかった‥。確かに‥おかしいな‥」

 

 

『そのことについてなんだけど‥』

 

 

ふとヒカの声が聞こえてくる。それを聞いて一同の意識はヒカへと向く。

 

 

『その地下施設である書類を見つけたんだ‥』

 

 

「ある書類‥?」 

 

 

『はい‥そこには‥アンブレラ新システム「ゴッドアイ」についてのマニュアルと書かれていました。』

 

 

「ゴッドアイ‥確か日本語訳は神の眼‥まさか!」  

 

 

何か引っかかるような言い方をしていた理琉だがどうやら気づいたようだ。それに頷いてヒカは話を続ける。 

 

 

『そうです、そのシステムは人や普通の探索システムが見逃すような少しな情報でも確実に見つけるという優秀なAIのようです。ただし複製ができないのとコンピュータシステムが優秀な端末でしか使えないみたいです』

 

 

「なるほど‥だからあのヘリだけが俺達を見つけて待ち伏せをすることができたのか‥」

 

 

あの待ち伏せに対する謎が解けたことでパズルのピースが一つ埋まる。しかしここで新たな疑問が     

 

 

「ですが‥それがわかったとしても‥。それがある以上下手に動けないんじゃ‥」

 

 

そんな美紀の疑問にヒカが書類と一緒に持ってきたノートパソコンをカバンから出す。

 

 

『方法はあります。そのゴッドアイを奪えばいいんです。このマニュアルには続きがあって、そこには万が一奪われた場合の取り返し手順が載ってます。それにこの辺にはランダルコーポレーションが立てた電波塔があり、それを利用すれば不可能ではありません』

 

 

「簡単にいうねぇ‥‥」

 

 

『でも、それしか方法がありません』

 

 

「‥‥」

 

 

ヒカの強い言葉に少し考え込んだ日野だが、決心した表情で顔をあげる。

 

 

「わかった‥やろう‥!!」

 

 

「「「!?」」」

 

 

まさかの発言に一同は驚いた表情で日野に視線を向ける。しかしそれに怖じけずに続ける。

 

 

「いまやらないでどうする‥?やらなくて後悔するならやったほうがいいに決まってる。それに‥‥このままじゃ、雪にあわす顔がない‥!」

 

 

「‥たしかにな‥わかった‥‥!やろう‥!」

 

 

少し無言の時間が過ぎたのだが決心した様子で胡桃が声をあげる。いや彼女だけではない、その場にいた一同それぞれが声をあげる。 

 

 

「だね!」

 

 

「このまま閉じこもるなんて‥絶対嫌!!」

 

 

『やりましょう!!』

 

 

「私だって‥!!もう逃げないよ‥!これからだってみんなといたい‥!学園生活部‥ファイト!!」

 

 

「「「『おぉ!!』」」」

  

 

 

 

 

「そんじゃ、そうと決まれば次はどうする?」

 

 

あれから場所は変わりスタンドの一室、トーコのドローンの誘導をうけて、特殊部隊を避けつつ、避けれない場合はドローンのスピーカーの音声で誘導しつつ少し離れたガソリンスタンドまで移動して改めて作戦会議を初めていた。

 

 

「例のゴッドアイを奪還したとしても‥核ミサイルの発射を阻止しないと‥‥」

 

 

「そうするためには治療薬が必須‥‥」

 

 

「‥そのことなんだけど‥」スッ

 

 

悩んでいると圭がそっと右手を上げて意見を具申する。

 

 

「アオさんが託してくれたスマホの内容を先ほど見てたらこんなものが‥」

 

 

そういってポケットから彼女のスマホを取り出してドローンのカメラ越しのトーコ達にも見やすいように画面を見せる。そこにはとある科学者の記録が乗っていた。

 

 

1968年に起きた最初のパンデミック、なぜあのときは広がらなかったのか‥。私はありとあらゆる方法で検証を重ねた。まずは偶然にも現存する薬がその細菌に効いたという仮説、だがこれはありえない。仮にそうだとしても全員が同じ薬を口にするとは限らない。

次に立てたのが広範囲焼却でウィルスが死滅したこと。

これもありえないことだ。そもそもこの細菌は空気感染をすることがわかってる。感染源を焼却したとしても他の地域で広がるのはわかりきってることだ。

何故、何故感染が広がらなかったのか‥どうやれば巡ヶ丘の殆どの人間が感染を免れたのか‥誰でも口にするもの‥誰でもあたり前のように使っているもの‥

ーーーーー

 

 

しかし肝心なところで途切れてしまっていて何を書いているのかわからなくなっていた。

 

 

「誰でも口にするもの‥‥‥うぅん‥」

 

 

『無意識に口にするもの‥』

 

 

何か引っかかるようだが思い出せずにいる一同。そんな中由紀がなにげにリュックを漁る。

 

 

「‥?先輩、どうしましたか?」

 

 

「喉乾いたから〜‥ちょっと」

 

 

そう言ってカバンに入っていた水の入った大きめのペットボトルを取り出してふたを開ける。まあ無理もないあれから節制していたため、満足に飲めずにいたのだ。

その様子を見て理琉が急に声を出す。

 

 

「由紀!まて!」 

 

 

「ふぇ!?」

 

 

いきなり大声を出されてたため、驚いて一瞬フリーズする由紀。

 

 

「どうしたんだ理琉‥!?いきなり声出して」

 

 

胡桃が驚きつつ理琉に問うが彼は答えない。そして由紀の元へ駆け寄る。

 

 

「由紀、その水どこの奴だ!?」

 

 

「ふぇ‥?えっと‥」

 

 

『確か高校の災害用貯水タンクから持ってきた水のはずです!』

 

 

由紀が答える前にカメラ越しで慈が素早く答える。それを効いて理琉はやはりと思う。

 

 

「胡桃!!確か高校のパンフレット持ってたよな!?」

 

 

「えっ‥おっおう!」

 

 

いきなり呼ばれたことに戸惑いを見せつつもポケットから高校のパンフレットを取り出して理琉に見せる。

 

 

「‥‥!!」

 

 

「理琉‥?」

 

 

真剣にパンフレットを開いて読んでいる理琉を心配したのか圭が心配そうに声をかける。しかし、それが聞こえないかのように集中して読んでいた彼だが、笑みを浮かべ、確信する。

 

 

「わかったぞ‥‥、治療方法がな‥!」

 

 

『本当!?理琉!!』

 

 

小春がカメラ越しに前かがみになり興奮した様子で聞いている。それに頷きつつ彼はみんなに視線を向ける。   

 

 

「あぁ‥!俺ごときがこんな単純なやつに気づかなかったとはな‥」  

 

 

「もったいぶらないで教えて下さい!どうゆうことですか!?」

 

 

美紀も多少興奮した様子で理琉に問いただす。

 

 

「‥まず、コイツは空気感染をするっていったよな?」

 

 

『うん、それで確かアオちゃんや武闘派の一部のメンバーが感染したんだよね』 

 

 

「それだけじゃありません‥。この町、いや‥空気感染で世界中に広がったんですよね‥?」

 

 

「ならどうして俺達は感染しなかったんだ‥?」

 

 

「あっ‥」

 

 

理琉の言葉に日野がハッとした表情になる。確かに何故自分たちは空気感染を免れたのか‥

 

 

「抗体という言葉では説明がつかない‥。となると‥キーはこいつさ!」

 

 

そう言って先ほど由紀の持っていたペットボトルの水を見せるように出す。

 

 

「これって確か高校の災害用貯水タンクの水だよな‥?これが‥か?」

 

 

「でも‥あの貯水タンクはどこにでもある簡易型のタイプみたい‥あっ!」

 

 

パンフレットを貰い見ていた圭もハッとした表情を見せてみんなに見せる。

 

 

「もしかして‥!これじゃないですか!」

 

 

そう言って指さした場所は高校の災害用貯水タンクではなく学校より更に少し奥にいったところにあり、なおかつ災害用のため池として指定され、朽那川の水源にもなっている沼‥

 

 

 

「「「「『『那酒沼!!!???』』」」」」

 

 

ドローン越しだというのに息ぴったりにタイミングが揃う。そして謎に包まれていた過去のパンデミック、そして現在のパンデミックのパズルが埋まってきた。

 

 

「そうか!昔のパンデミックが広がらなかったのに、今回のパンデミックが広がったのはこの数十年で各家庭の水道設備が整ってたから!!」

 

 

『パンデミック後私達が感染しなかったのは‥、高校の災害用貯水タンクの水に含まれていた細菌を撲滅する成分を偶然にも一緒に飲んでたから‥!』

 

 

「そしてその災害用貯水タンクは簡易型だから、浄化が甘い!だから偶然にも残ることができた!」

 

 

「これでようやくわかってきた‥!それにその水は由紀が持ってる‥!後はこいつをアイツらに知らせれば‥!」

 

 

「でもどうやってするんだ‥?今持ってる無線で交信できるとは考えられないけど‥」

 

 

『それも例の電波塔で可能です。このパソコンで調べてたら今も動いているそうです』

 

 

「決まりだな‥!あとは‥」

 

 

「隠密にいきたいけど‥おそらくそれは無理だろうね‥。ここまで特殊部隊がうようよしてると‥」

 

 

全部のパズルが揃ったが、やはり最大の壁はランダルとアンブレラが送り込んだ特殊部隊、そしてゴッドアイというAIシステムだ。

 

 

「どうにかいい方法があれば‥いいんだけど‥」

 

 

「‥あるわよ‥♪」

 

 

まさかのあるという発言に日野達の視線はその主である睦に集まる。

 

 

「要するにそれをするだけの移動力と武器があればいいんでしょ?それなら私に任せなさい‥!」

 

 

 

 

 

 

 

そんな睦の発言に一同は首を傾げつつ、睦の誘導をうけたトーコのドローンに続く形で進むこと数時間ある建物へつく。

 

 

「ここは‥」

 

 

「あなた達に会う前に仮の拠点にしていたところよ」

ガチャ

 

 

不思議そうに建物を見ている日野に対してそう答えつつ

入口の扉の鍵を開け、中に入る。

入ってすぐのところには階段があり、そこを降りていくと厳重そうな鋼鉄の扉が佇んでいた。 

 

 

「厳重‥ですね‥」

 

 

「そりゃ、中身が中身だからねぇ‥。私が見つけたときもこんな感じだったわ」ピッピッピッ

 

 

当たり前のように慣れた手つきでパスワードを打ち込んでいく姿を見てカメラ越しに見ていた小春がある疑問を口にする。 

 

 

『ちなみにパスワードはどうやって知ったんですか?』

 

 

「この建物を見つて、中に入ったとき扉の前に暗証番号が書かれたカードを見つけてね。それでこうして入れる訳」

 

 

『一体ここの管理者は何を考えていたのか‥(汗)』

 

 

ガバガバな管理体制に呆れている小春。そんな彼女をよそに扉のロックが解除されて暗闇が広がっている。

 

 

「うへぇ‥暗い」

 

 

「待っててねぇ明かりつけるから‥えっと‥」ゴソゴソ

 

 

そういって懐中電灯で周囲を照らしつつ明かりの電源を探す。

 

 

「おっ、あったあった」カチッ

 

 

意外とすぐに見つかり、スイッチを押すと暗闇が一瞬で明るくなり中の様子がわかってくる。

 

 

「‥え?」

 

 

「えっと‥これは‥」

 

 

「えぇぇぇ!?」

 

 

『あっえっ‥』思考停止中

 

 

「なんじゃこりャ‥!?」

 

 

中にあるものを見た瞬間、学園生活部や穏健派、さらには理琉でさえも驚く始末。そんな一同を満足げに振り返って見渡す。

 

 

「行ったでしょ?それをするだけの足と武器はあるって♪」

 

 

そんな彼女の後ろにには明らかに日本の車両ではない白色の車体と青のカラーが入りドアにはNYPDと書かれた文字。そしてカラフルなパトライトをつけた車両が2台。そして見慣れた日本警察カラーだが、明らかにスポーツカータイプの車両が2台の計4台。

さらには壁に立て掛けてる銃火器の姿も確認できた。

 

 

「どれもきれいに整備されてやがる‥、あんた一体なにもんだ‥?」

 

 

驚きつつ理琉が問うと、彼女は笑顔で振り向いて答える。

 

 

「言ったでしょ‥♪私は警視庁公安部所属、彩月睦‥ってね♪」

 

 

 

 




ようやく謎に包まれたパズルのピース
過去のパンデミックと現在のパンデミックの糸が繋がり希望への道が見えてきました。
そして睦の秘策も加わりいよいよ学園生活部は動き出します‥!


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第四十六話 ごっとあい

秘密の地下ガレージに案内された一同
そしていよいよ反撃の狼煙があげられます!
それと同時刻‥動き出す闇の組織も‥


「しっかしこの日までよく整備できたな‥」

 

 

たださえパンデミックで物資が不足しているというのに状態のいい4台を見て驚きを隠せない日野。そんな彼を自信満々に見つつ話を続ける。

 

 

「パーツとかはあらかた揃ってたからね〜♪それで定期的にエンジン回したり整備したりしてたから状態はいいはずよ」

 

 

そう言いつつ立てかけてあるM4カービン米軍仕様を取り、日野に渡す。

 

 

「その20小銃残弾あまりないでしょ?それならこっちを使いなさい」

 

 

「おっおう‥、サンキュ」

 

 

初めて見る彼女の手際の良さにただ従うしかない日野。他のメンバーにもM4を渡していく。

 

 

「誰が何のために、こんな地下ガレージを作ったのかはわからない。けど、このときの為にあるんじゃないか‥って思ってね」

 

 

そう言いつつ、武器や車両に視線を向ける睦。彼女の言うとおりなんのためにこんな施設を作ったのかは謎に包まれている。しかしこれだけはわかる。

ここを作った人はきっとこのパンデミックを予想して、あのアンブレラやランダルに一泡浴びせられる人物に託して作ったのじゃないか‥。それなら期待に答えない訳がない。

 

 

「それじゃ、作戦会議と行きましょうか‥!」

 

 

「あぁ‥!この悪夢を終わらせてやる‥!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻‥巡ヶ丘市の倉庫にて

 

 

敷地の広いスペースには例のステルス攻撃ヘリや通常の輸送ヘリなども止まっていた。そして倉庫の入口前にはアンブレラ御用達の車両、シボレータホ、サバーバンなどが何台か止まっていた。

 

 

「よぉし!ここにある弾薬は全部詰め込んでおけ!

それと手榴弾もだ!」

 

 

兵士達がせっせと弾薬パックと手榴弾の入った箱が詰った大きめの手さげバックパックを車のトランクに積み込んでいた。そんな兵士達を声を上げて指示を出しているのはモーゼ・ジャカンディ

あのステルス攻撃ヘリの機長でありこのアンブレラ・ランダルの特殊部隊の現地指揮官でもある。元は中東などでアメリカ軍の傭兵部隊として活躍、その後民間軍事組織に入り、アフリカでの内戦などの治安維持で再び活躍。それがアンブレラ社の目に止まり、特殊部隊の現地指揮官として迎え入れられたのであった。

 

 

「隊長!!各部隊準備が整いました!!」

 

 

そんな彼の部下で同じく傭兵出身のキエットが素早く報告に来る。それに頷いて準備が完了して整列している部隊の前に立つ。

 

 

「いいか!よく聞け!!今回の相手は!軍人や警察官を含めた民間人だ!!だが情けはいらん!!彼らは我々の同志の特殊部隊を返り討ちにした集団だ!!なんとしてでも見つけて始末しろ!!一人残らずだ!!」

 

 

「「「イェッサー!!!」」」

 

 

「よし!準備が出来次第各隊出発しろ!!核ミサイルの雨が来る前に仕留めるんだ!!」

 

 

モーゼの指示を受けた各特殊部隊の兵士は急いで車や輸送ヘリに乗り込んで各自出発していく。その様子を見つつモーゼ自身も攻撃ヘリに待機している部下の元へ向かおうとする。

 

 

「気合が入ってるな。流石はもと民間軍事組織のリーダー」

 

 

「‥!ウェスカー少佐!?」

 

 

先ほどまでの威厳はどこに行ったのか、黒メガネをかけた男を見るなり慌てふためくモーゼ。彼の名はアルバート・ウェスカー。アンブレラ社の特殊部隊の事実上トップでエリート士官とされている。(現設定ではウェスカーは軍人兼研究員という設定)

 

「敬語は構わん。それではこの先の戦闘でやっていけないぞ」

 

 

「こっこれは失礼しました‥!それより、少佐はどうしてここに‥?確か艦隊の司令部におられたはずでは‥」

 

 

「少しやることがあってな。ここはそのついでに視察に来たようなものだよ」

 

 

「やること‥ですか?」

 

 

「そうだ。だがそちらには影響はないから気にしなくて構わない。それじゃ、健闘を祈るぞ」

 

 

「はっ!少佐こそ!」

 

 

そういってモーゼと別れたウェスカーは愛車のブガッティ・ヴェイロンに乗り込んでその場を後にする。

同じくモーゼもウェスカーを見送ったのを確認してヘリに向かうのであった。

 

 

 

 

 

同時刻‥ガレージにて

 

 

 

 

「んじゃま、最終確認をするわね」

 

 

巡ヶ丘市の地図を広げつつ作戦の最終確認の説明を行う睦。一同は真剣にそれを聞いていた。

 

 

「と言っても単純な内容だけどね。ヒカさんのハッキングが完了するまで市内爆走して引っ掻き回す。んでその後は由紀を無線電波の届きやすい屋上に連れていく。以上!」

 

 

「ざっくりしすぎですよ‥(汗)」

 

 

しかし、あまりにもざっくりしすぎているため美紀がツッコミをする。それを聞いて一瞬不満そうな顔をしたが切り替えて再び作戦を説明する。

 

 

「ハッキングするといってもヒカ達は無防備に近いからバレた場合かなり不味い。だから私達が車で市内爆走して時間を稼ぐわけ。ゴッドアイを奪えば奴らはいろいろと狂うはずよ、その隙に高校の貯水タンクの水を持ってる由紀ちゃんを無線の届きやすい屋上まで連れてって交渉、ってね」

 

 

「うぅ‥けっこうわたしの役目重要‥‥」

 

 

「安心しろ、由紀のことはオレが護ってやるから」ナデナデ

 

 

「ありがと〜‥♪マーくん♪」

 

 

「あとは車の乗車メンバーの内訳か‥」

 

 

「それもこっちで決めさせて貰ったわ。と言ってももうだいたい決まってるようなもんだけど」   

 

 

 

フォードクラウンビクトリアNYPD仕様

日野・胡桃

 

 

ダッジチャージャーNYPD仕様

美紀・圭

 

 

日産フェアレディZ34警視庁仕様

理琉・由紀

 

 

日産GTR R35栃木県警仕様

 

 

「睦は一人で大丈夫なのか?」 

 

 

「大丈夫よ。あれをするにはこっちのほうがやりやすいから、」

 

 

「美紀!!私運転したい!」

 

 

「いいですが‥事故はしないでくださいね‥?」

 

 

「任せなさい♪」

 

 

「心配です‥(汗)」

 

 

「あ〜、今私のこと信用してないでしょ〜?」ムスゥ

 

 

「ふふ‥♪」クス

 

 

「お前のことはゼッテェ守ってやるからな‥!」

 

 

「私も‥!マーくんを守りたい!!」

 

 

「んじゃま‥、よろしくな‥!胡桃!!」

 

 

「あぁ‥!!」

 

 

「んじゃ、決行は夜で行くわよ。いいわね?」

 

 

「オッケーです!」

 

 

 

倉庫を離陸したステルス攻撃ヘリは学園生活部を探すため上空を飛行して捜索していた。

 

 

「各部隊からの報告は‥!!」

 

 

「未だに発見できていないとのことです」

 

 

操縦担当のパイロットの報告を聞き、彼は指示を出す。

 

 

「よし!ゴッドアイを起動して奴らを探せ!」

 

 

「わかりました!ゴッドアイを起動します!!」

 

 

指示を受けたコンピュータ担当がゴッドアイを起動街中を隅々まで捜索する。

 

 

「いました!!白黒のGTRです!」

 

 

するとゴッドアイの探索システムに町中を走る睦のGTRの姿が‥

 

 

「よし‥!すぐに部t‥」

 

 

「手を出すな。そいつは私が対応する、君達は引き続き捜索を続けてくれ」

 

 

地上部隊に指示を出そうとしたモーゼだが、それをウェスカーが止めて指示を出したあと無線機をきり交差点を左折、睦のGTRを追い始める。

 

 

「どうしますか‥!?」

 

 

「仕方ない‥!ヤツは少佐に任せろ。残りの奴らを探し出せ!!」

 

 

「了解!!」

 

 

 

「睦さん一人で大丈夫かなぁ‥」

 

 

Z34の助手席から外の様子を見つつ睦のことを心配そうに思う。

 

 

「分散するなら3台のほうがやりやすいから仕方ないさ‥なんとか無事なのを祈るしかないな」

 

 

運転しつつ、たしなめる理琉。現在Z34を先頭に2台にチャージャー、最後尾にクラウンビクトリアが並ぶ形で

市街地を走行していた。

 

 

「っと‥どうやらお出ましのようだぜ‥?」

 

 

助手席でサイドミラーを見ていた胡桃がなにかに気づいて窓を開けて直接見る。そこには夜の暗闇に紛れて接近してくるヘリの姿が、

 

 

「各車へ、お客さんだ」

 

 

無線で各車両に情報を共有する胡桃。同じ頃、攻撃ヘリの機内でも動きがあった。

 

 

 

「いました!!Z34及びチャージャー、CVPI(クラウンビクトリア)の3台です!」

 

 

「‥‥」

 

 

部下の報告を聞いて、並んで走行している3台を上空から見下ろすモーゼ。追尾してくるヘリをちら見で見つつ理琉が指示を出す。

 

 

「よし!合図で分散する!3!2!1!今!」

 

 

「っ!」ギュン!!

 

 

「っと!」ギュン!!

 

 

 

合図をうけて、日野のCVPIが右に、圭の操るチャージャが左へと急旋回で曲がり理琉のZはそのまま直進する。

ゴッドアイの探索システムには分散する3台の様子が表示される。

 

 

「無駄だ。ゴッドアイが見つける」

 

 

 

「引っかかりました!!ヒカさん‥!」

 

 

「わかった‥ハッキング‥開始‥!」

 

 

相手の意識がこちらに向いたことを確認して美紀がヒカに無線で合図を送る。それを聞いたヒカがパソコンを操作ハッキングを開始する。

もちろんモーゼ達が気づかないはずがなく‥

 

 

「っ!!ハッキングされてます!」

 

 

「何!?」

 

 

ゴッドアイを操作する乗員からの報告をうけて振り向くモーゼ、そして少し考えてから指示を出す。

 

 

「シグナルの発信源を潰す!!プレデターを放て!!」

 

 

「了解!!」

 

 

指示を受けたヘリの乗員の一人がコントロールパネルを開いて操作する。直後攻撃ヘリに懸架されていた無人機のロックが外れ、そのまま下方に降下

慣れた手つきでエンジンを起動、水面ギリギリでホバリングさせたあとエンジンのアフターバーナの向きを調整する。すると、水面に水しぶきをあげつつフル加速、上昇していくのであった。

 

 

 

「振りきった‥かな?」

 

 

あれから数十分経ち、助手席の窓を開けて確認する胡桃。そこにはヘリの姿や音は確認されずどうやら振り切ったようだ。

 

 

「いや‥ヘリより厄介なのが来たぞ‥!」

 

 

しかし日野がそれを否定する。現在日野のCVPIは陸橋を渡っているのだがその出口には塞ぐようにホバリングする黒い機体の姿が

 

 

「なっ‥なん‥だよ‥あれ」

 

 

得体のしれない機体、それは驚きは計り知れないだろう、胡桃の表情が固まる。無人機のカメラがこちらに向くと同時に反射的に日野がアクセルを踏み込む。

 

 

「どうするんだ‥!?」

 

 

「少し荒い手でいく‥!しっかりつかまってろ!」

 

 

そういった直後、無人機のバルカン砲が火を吹き数百発の弾丸がCVPIへ襲ってくる。

 

 

「っ!!」

 

 

反射的に目を瞑りかがむ胡桃。しかし日野は視線を外すことがなくしっかりと無人機を見つめている。そして撃たれることお構いなしにアクセルを踏み込んで突っ込む。

あと少しでぶつかる、その直前に無人機の衝突システムが作動、避けるように高度をあげる。その際にできた地面と機体の間に滑り込むように通過、そのまま走り去るのであった‥。

 

 

 

「‥‥」

 

 

その頃、睦のGTRは大通りの交差点に差し掛かっていたのだが正対する形で通りを挟んだ側にウェスカーのベイロンが停車していた。

 

 

「やれやれ‥いきなり大ボスですかい‥まあいいわ‥」

 

 

そうポツリと呟いた直後、アクセルを踏み込み急発進。交差点を左折する。ウェスカーも続くように少し遅れて急発進、睦を追い始める。

 

 

「‥ふっ、ようやく見つけた」

 

 

2台は放置車両の合間を縫うように爆走、激しいカーチェイスを繰り広げていた。

 

 

「ったく!まさか大ボスにモテるとはね‥!いいんだか悪いんだか!!」

 

 

更にアクセルを踏み込んで交差点を猛スピードで通過、後から続いてきたヴェイロンも速度上げて追いすがっていくのであった。

 

 

 

 

 

「圭!!もっと飛ばして!!追いつかれるよ!」

 

 

「わかってる!!」

 

 

同時刻、美紀と圭の二人が乗るチャージャーは何台ものアンブレラの車両に追われていたのであった。

 

 

「いやぁ!!ここまでモテるなんてねぇ!!最高じゃない!?」

 

 

「そりゃこんだけサイレン鳴らして爆走してたら寄ってくるよ!!というかこれヘイト集めすぎなんじゃないの!?」

 

 

「そのほうが賑やかでいいんじゃない!?どうせこの作戦の趣旨は誘導なんだし!!」

 

 

「その分の負担こっちに来るんだけど!!」

 

 

「ファイト!!」

 

 

「あぁもう!!この戦い終わったらなんか奢ってよね!!」

 

 

そう叫びつつ助手席の窓を開けて少し身を乗り出してひたすら追いかけてくる何台ものバンに向かって射撃を続ける美紀。そして相手も撃ち返して来るため激しい撃ち合いに発展していた。

 

 

「何台来てる!?」

 

 

「4台!!追ってきてる割には少ない!!可能な限り相手に進路を悟らせないで!!これたぶん先回りしてきてるやつ!!」

 

 

「わかった!!」ギュン!! 

 

 

美紀の指示をうけて圭がハンドルをきって左折、それに続くように後続の車両も追いかけるために左折していく。

 

 

 

地上での激しいカーチェイスが繰り広げられている中

上空ではあのステルス攻撃ヘリがシグナルの発信源である電波塔の元へ来ていた。 

 

 

「これだな‥!ミサイルを放て!!」

 

 

「了解!!ミサイル撃ちます!」

 

 

電波塔へ狙いをロックして、ミサイルの発射ボタンを押す隊員。直後左右につけられていたミサイルの一発が放たれて電波塔へと着弾。

 

 

ゴォォォン!!ギギギ

 

 

着弾した爆発音の直後、鉄柵が軋む音を響かせつつ電波塔が倒れていってしまう。それを横目に見つつヘリはその場を後にするのであった‥。

 

 

 

同時刻‥建物に身を隠してハッキングしているヒカも異変に気づく。

 

 

「っ‥!?」

 

 

「ん?どうしたんだ?ヒカ」

 

 

ヒカの様子がおかしいことにトーコが気づいて声をかける。珍しく焦りの表情を見せているようだ。

 

 

「ハッキングが‥止まりました‥」

 

 

「なっ‥!?」

 

 

まさかの言葉にトーコでさえも開いた口が塞がらない状態になっていた。ハッキングのメーターは90のところで止まっていた。さらに慈があることに気づく。 

 

 

「みなさん‥あれ!」

 

 

そう言われて視線を向けるとそこには燃えている電波塔だったものの姿が‥

 

 

「‥ちっ!やられた‥!」

 

 

思わず悪態をつく小春、悠里も少し悔しそうな表情を浮かべていた。

 

 

「それができるのは向こうもわかってましたか‥」

 

 

「しかもあれをやられたら‥交渉もできなく‥」

 

 

「どうしたら‥‥」

 

 

再び追い詰められしまった学園生活部、電波塔を破壊されたのはどうやら想定外だったようだ‥。あのヒカではさえも必死に頭の回転をフル活用して打開策を考えていたのであった。

 

 

 




一瞬は有利に動くことのできた学園生活部
しかし、あっという間に逆転されてしまう‥。
無事にゴッドアイを奪えることはできるのか‥


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第四十七話 さいかい

いよいよ最終回です!


「電波塔がやられた!?」

 

 

慈からの報告を聞いて驚きをあらわにする理琉。となりでは内容を聞いていた由紀も衝撃を受けていた。

 

 

「はい‥、おそらくハッキングされたのがバレたのかと‥‥」

 

 

「やっぱり一筋じゃいかんか‥」

 

 

 

「それよりも‥!このあとのことを考えないと‥ジリ貧になりますよ‥!?」

 

 

 

追ってくる車に射撃をしつつ、指示を仰ぐ美紀。隣では圭が必死でハンドルを握っていた。

 

 

 

「どう‥すれば‥」

 

 

ヒカや一同も必死で頭をフル回転させているもののいい案が思いつかない。というか、強力な電波塔がやられた場合、代理になるような施設がないといったほうがいい。

 

 

「‥心配することはないです!‥策はあります‥!」

 

 

「慈‥?」

 

 

しかしそんな空気を打ち破るようにの確信したような声が聞こえてくる。そんな彼を不思議そうに聞く小春。

 

 

 

「要するにその電波塔の代わりの役割を果たせるやつがあればいいんですよね?」

 

 

 

「うっうん‥、そうだけど‥」

 

 

 

「それなら‥ここの地区に携帯電話の中継塔があったはずです!!あそこなら非常用発電機があるのでそれを手動操作すれば‥!」

 

 

「そこだな‥!わかった!俺と胡桃で行く!」

 

 

慈の案に素早く反応した日野はCVPIを素早く右折させ、中継塔に向かわせる。しかし‥その会話でさえも盗聴されていたのであった‥。

 

 

「2名ほどが携帯電話の中継塔に向かいました!ハッキングを再開させるつもりです‥!」

 

 

「追うな!我々は残りの2台を仕留める!!」

 

 

まさかの発言に一瞬2度見してしまう部下、それをよそにヘリの無線を操作してある人物へ繋ぐ。

 

 

「キエット。2人ほどが携帯電話の中継塔に向かった。お前たちも向かって妨害しろ!」

 

 

 

その人物とはモーゼの部下で現在美紀達を追いかけているキエットである。指示を受けた彼は自車と2号車に指示を出して追跡を中断、中継塔に向かわせる。

 

 

 

「曲‥った?」

 

 

 

何故か追跡してきていたうちの2台が突如して追跡から外れたことに疑問を浮かべる美紀。しかし、その疑問は激しい銃撃戦にかき消されてしまうのであった‥。

 

 

 

 

あれから、一瞬見失いかけたウェスカーだがGTRが病院横の立体駐車場に入り込んでいくのを確認したため

自身も追う。そして立体駐車場内を上へ上へと上がり最上階につくとそこには向きを変えて正面からこちらをむいている睦のGTRの姿が。それを見て自身も正対させるようにヴェイロンを止める。

 

 

ブォォォン!!!ブォォォン!!

 

 

ウォォォン!!ウォォォン!!

 

 

互いに牽制しあうようにエンジンを激しく吹かし、睨み合う。それから互いに入れていたパーキングブレーキを解除、アクセルを奥まで踏み込む。

 

 

ギャァァァァァ!!!!

 

 

急なベタ踏みのため互いにタイヤが一瞬空回りした直後急加速、正対した状態でそのまま突き進む。

一歩も譲る気のないフル加速。そのまま両者急速接近しあいどちらとも左右に避けようとしない‥。 

となれば‥

 

 

 

ガシャァァァァンンン!!

 

 

一歩も引かなかった睨み合いは両者ともに真正面から正面衝突。互いにボンネットがへちゃげエアバッグが飛び出ているのが、衝撃の大きさを物語る。

 

 

「‥‥」ポキッ

 

 

衝撃で首が変な方向にいったのか少し首を回して直しつつ何事もなかったかのように車から出てくるウェスカー。

 

 

 

「いっ‥てぇ‥」

 

 

 

流石に睦はウェスカーほどではないもののなんとか車から出てくる。

 

 

 

「お初にかかりますな。彩月睦」

 

 

 

「なんであんたが私の名前知ってんのよ‥」

 

 

 

「私にとって公安は重要マークしてたものでな。そこに若いエリートが入ったとなれば話は別さ」

 

 

 

「やれやれ‥敵の大ボスに名前おぼられるのはいいんだが悪いんだか‥‥」

 

 

 

「悪いが君にはここで退場願おうか」グロッグ19を構え

 

 

 

「それはこっちのセリフよ」M4カービン 

 

 

 

そして少し見つめ合ったあと弾かれたようにお互い戦闘に突入していくのであった‥。

 

 

 

 

ブロロロロロ!!!

 

 

 

 

ハッキングを再開させるため、日野と胡桃の乗るCVPIが携帯電話の中継塔がある建物に到着する。

 

 

「ここか!?」 

 

 

「あぁ!!そのようだな!」

 

 

車から降りてトランクからM4カービンを取り出して建物内に入る胡桃と日野。その様子をドローンで見つつ悠里が案内する。

 

 

「ここの六階上、屋上に上がればそこに中継塔があります!」

 

 

「サンキュ!りーさん!!」

 

 

「よし!上が‥(バリィィン!!)!?」

 

 

屋上にむけて上がろうとした直後正面の窓ガラスが割れてキエットを含む何人かの特殊部隊が滑り込んで来て射撃してくる。

 

 

「うぉっと!?」

 

 

射撃をうけて慌てて左右に避ける日野と胡桃。しかし日野が避けた側は上に上がる方法がなく上がれるのは胡桃しかいない。 

 

 

「撃て撃て!!逃がすな!!」

 

 

勢いがついたキエットは部隊に射撃継続を命ずる。それを聞いた日野は合流は不可能と判断、胡桃に指示を出す。

 

 

「ここは俺が引き付けるから胡桃は先にいけ!!」

 

 

「えっあっ‥でも‥手動操作は苦t‥っとと!?」

 

 

知っての通り胡桃は細かい作業は苦手、そのため日野は自身の持ってた携帯を渡す。

 

 

「その携帯にボーモンが入ってる!!そいつを繋げばあとは勝手にやってくれるはずだ!」

 

 

 

「わかった!!」

 

 

 

「いかすな!!追え!!」

 

 

携帯を受け取ったあとM4を構えつつ階段へと向かう。当然キエット達も気づいており追いかけようとするが‥

 

 

 

「おっと!俺が残ってるぜ!!」

 

 

 

スキを見つけて日野が遮蔽部から飛び出し撃ちをする。その攻撃を受けて何名かの隊員が撃たれてやられいき、残った隊員も慌てて遮蔽物へ退避する。

 

 

 

「くそ!このままでは!」

 

 

 

「こっちに構うな!いけ!」

 

 

 

うまいこと妨害されて歯がゆい思いをしているキエットだったが、部下の後押しを受けて走り出す。しかし走り出した方向は何故か階段とは反対側

 

 

 

「ほっ!はっ!」

 

 

銃や防弾チョッキを脱ぎ捨てたキエットはまるでパルクールのように障害物を飛び越え、螺旋状のスライダー式ごみ捨て通路を利用して登っていく。

 

 

 

「‥!」

 

 

 

その頃胡桃も階段を伝って上へ上へと登っていく。5階に差し掛かり屋上への階段を使うためM4を構えつつ扉を蹴り破る。

 

 

 

「隙あり!!」

 

 

 

「なっ!?」

 

 

 

しかし先回りしていたキエットの奇襲を受けてM4が弾き飛ばされる。さらには一蹴り入れられてしまい壁に叩きつけられる。

 

 

 

「っあ‥!?」

 

 

 

怯んだのを確認して止めをさそうとするキエット。しかし胡桃はそう簡単にくたばる様な人間ではなかった!

 

 

 

「おらぁ!」ゴン!

 

 

 

「がっ‥!?」

 

 

 

背中に背負っていたシャベルを取り出して持ち手の部分で腹部へ一撃入れる。流石のキエットでも効いたのか顔をしかめて動きが鈍る。

 

 

 

「こんにゃろ!」

 

 

 

さらにひと蹴りいれて逆に弾き返す。しかし流石は元傭兵。素早く立て直し反撃に転じる。

 

 

 

「ふっ!」ドス

 

 

 

「オラ!」ドス!

 

 

 

もはやどっちが優勢がわからないような肉弾戦になりつつあった。だがやはり普通の高校生に比べるとやはり傭兵出身のキエットのほうが有利じわじわと押されていく。

 

 

 

「ァァ!!」ドス

 

 

 

「ガハ‥!?」

 

 

 

疲労困憊してきたタイミングを狙ってキツイ一撃をお見舞いするキエット。この攻撃が聞いたのか吹き飛んで倒れ込む。さらに追い打ちをかけるように馬乗りになり殴り始める。 

 

 

 

「ァ‥!ふぐっ!?」

 

 

 

殴られながらも手探りでキエットのベルトにフックを引っ掛ける。それと同時にキエットが近場にあったコンクリートブロックを持ち上げ落とそうとする。

 

 

 

ガッ!!

 

 

 

しかしその直前に胡桃が何か蹴ったのに気づいて後ろに視線を向ける。そこには筒状のものが転がっておりそのままエレベーター用の落下する。そしてそのタイミングでその筒状から出ている紐の元が自分に繋がってることに気づく。 

 

 

 

「あぁ!?」

 

 

 

紐がピンと伸びるのと同時に引っ張られそのまま地面に叩きつけられるキエット。その際にコンクリートブロックも一緒に地面に叩きつけたもののあっさりと胡桃によれられて、自身はそのまま引っ張られる。

 

 

 

「ノロマ!!」

 

 

 

胡桃がそういった後、キエットは重力に抵抗することができずに筒状のものと一緒に落下してしまうのであった‥。最後に響いたのは落下する彼の叫び声と落下したときに筒状のものが地面に当たった音であった‥。

 

 

 

 

 

 

「くそ!振り切れない‥!」

 

 

 

「圭!!例の無人機が来たよ!」

 

 

 

美紀の言葉を聞いて慌ててバックミラーを見る圭、そこには追いかけてくるタホの後方から接近する無人機が

 

 

 

「目標ロックオン!!」

 

 

 

「ミサイルを撃て!!」

 

 

 

「発射!!」

 

 

 

モーゼの発射命令を受けて部下がミサイルの発射ボタンを押す。直後胴体の下につけられていたミサイルがチャージャーに向けらて放たれる。

 

 

 

「っ!!」

 

 

 

ミサイルが放たれたことに気づいて慌てて回避する圭。直後ミサイルが着弾激しい爆風が巻き上がる。

 

 

 

ギャァァ!!!ガシャァァン!!!

 

 

 

しかし追いかけていたアンブレラ・ランダルの車両群の一部は避けることができずに爆風の影響をもろに受けてしまう。ある車は爆風の火を丸ごとかぶり、またある車は爆風を避けようとしてほかの車両や建物にぶつかってしまう。

 

 

 

「ミサイルが外れました‥!!これでは同士討ちに‥!!」

 

 

 

 

「構うな!!体制を立て直して射撃を続けろ!」

 

 

 

再びプレデターが攻撃体制に入り今度はバルカン砲が射撃を開始、再び襲いかかる。

 

 

 

「っ!?」

 

 

 

再びハンドルをきって今度は歩道に乗り上げて爆走するチャージャー、それを追うかのように弾痕が続いていく。さらには再びその攻撃に巻き添えにな車両が出てきてしまう。

 

 

 

「同士討ちをしてる‥?」

 

 

 

次々とミサイルの攻撃を喰らい、脱落していく車両を見つつ首を傾げる美紀。しかし圭にはそんな余裕がなく次々と襲いかかる攻撃をなんとか避けるので精一杯であった。

 

 

 

「あっ!マーくん!!あれ!」

 

 

 

交差点に差し掛かった直後由紀が声を上げ、それに気づいた理琉が視線を向ける。そこにはプレデターの攻撃を避けつつ目立つパトライトをつけたチャージャーの姿が‥ 

 

 

 

突然、美紀や圭はたまた無人機のカメラにも横切るZ34が確認される。

 

 

 

「例の特殊部隊所属の黒田理琉を確認!!あのZ34です!横には女性が乗ってるのが確認できます!!」

 

 

 

「目標を変更!!先にあのZ34を仕留めろ!!」

 

 

 

指示変更を受けたプレデターはチャージャーの追跡をやめて理琉達を追いかけ始める。

 

 

 

「しまっ‥!?このままじゃ!先輩と理琉さんが!!」

 

 

 

もちろん美紀も気づいておりかなりの焦りの表情を見せていた。すると圭が突如ハンドルをきって交差点を右折する。

 

 

 

「って‥圭!?」

 

 

 

「絶対に先輩達には手を出させない‥!!美紀!!やるよ!!」

 

 

 

圭の無茶ぶりに一瞬止めようとした美紀だが素直に諦めて表情を変える。

 

 

 

「わかった‥‥やろう!」

 

 

 

そうして一度シートベルトを外して身を乗り出し後部座席に置いてあった愛銃のバレットを取り出す。そして再びシートベルトをし直しつつバレットの最終確認をするのであった‥。  

 

 

 

 

 

「マーくん!!なんか変な飛行機が来てる‥!!」 

 

 

 

「しっかりつかまってろ‥!!この先の高架トンネルで振り切る‥!!」

 

 

 

そういってアクセルベタ踏みでトンネルへ逃げ込もうと爆走する。しかしプレデターはすでに狙いを定めているようだ。

 

 

 

「撃て!!」

 

 

 

再び放たれたミサイルは迷わずZ34に飛んでいき真後ろの地面に当たり爆発する。

 

 

 

「キャァァァ‥!!!」

 

 

 

「ぐっ‥!!!」

 

 

 

その爆発の衝撃はもちろん二人にも伝わってくる。さらにはその爆発の衝撃で後部バンパーやトランクが吹き飛ぶ。なんとかコントロールを立て直しつつしかしなんとかトンネルに潜り込むことに成功する‥。が‥プレデターは器用にもトンネル内まで入り込んで追跡してくる。

 

 

 

「くそ!振り切れねぇ‥!!」

 

 

 

 

「ロックオン完了!!」

 

 

 

 

「仕留めろ!!」

 

 

 

 

トンネル出口に差し掛かった直後、再びプレデターが満身創痍なZをロックオンミサイルを発射しようとする。

 

 

 

「「させるかぁぁぁ!!!」」

 

 

 

だか、トンネル出入り口の上に交差している道のコンクリート塀をぶち破りチャージャーが飛び出してくる。

 

 

 

「美紀!!」

 

 

 

落下する過程でプレデターと同じ高度になったことを確認すると圭が助手席でバレットを構えている美紀に合図をかける。

 

 

 

「‥外しません‥!!!」

 

 

 

そう言い放ちトリガーを引き、直後発砲。狙いはもちろん発射体制に入ったミサイル、迷いもなく放たれた銃弾はミサイルのど真ん中に命中

 

 

 

ゴォォォン!!!

 

 

 

激しい爆発音とともにプレデターが爆発四散、破片が地面に転がり落ちる。それを横目にチャ一ジャーは綺麗な着地を見せつけて停車、Zも停まる。

 

 

 

「はぁぁぁ‥疲れたよぉ‥‥」

 

 

 

「だなぁ‥‥」

 

 

 

ギリギリの攻防戦をしたせいか疲労困憊の状態でぐったりする理琉と由紀、しかし先ほどの戦いが嘘かのように美紀と圭はハイタッチをかます。

 

 

 

「「やったー!!」」

 

 

 

 

 

バァン!!

 

 

「はぁ‥!はぁ‥!これか!」

 

 

 

屋上の扉を蹴り破りたどり着いた胡桃はそびえ立つ中継塔を確認、発電機を動かして配電盤へ駆け寄り開ける。

 

 

 

「これで確か‥!デーモンを使えば‥」

 

 

 

そうぼやきつつ、携帯を配電盤の操作パネルに繋ぎ電源をつける。

 

 

 

「ボーモン!!ハッキングの手動操作お願い‥!!」

 

 

 

「ピピッ ハッキング アシスト カイシ スルヨ」

 

 

 

 

 

ハッキングが再開されるまでそわそわしていたトーコ達だったがハッキングメーターが再び動き出したことにヒカが気づく。

 

 

 

「ハッキングが再開された‥!!」

 

 

 

 

「「「やった!!」」」

 

 

 

それを聞いた一同は歓喜の声をあげる。その間にもメーターが100%になりゴッドアイ特有のシステムが画面に表示される。

 

 

 

「ゴッドアイを奪ったよ‥!」

 

 

 

そういった彼女はいつも以上に自信満々な表情をしていたのであった‥。

 

 

 

ゴッドアイを奪われたヘリではすでに異変が起こっていた。先ほどまで表示されていた探索システムが次々と画面から消えていた。

 

 

 

「‥‥!!ゴッドアイが‥消えました‥!」

 

 

 

「なんだと!?」

 

 

 

 

プレデターが撃墜され、さらにはゴッドアイまで奪われてしまったことにモーゼは驚きを隠せずにいた。

それに追い打ちをかけるように異変を察知した戦闘機が接近してくる様子がレーダーに映る。

 

 

 

 

「軍が接近中!!あと3分で到着します!逃げないと‥!!」

 

 

 

 

 

「ガハ‥!!」

 

 

 

ウェスカーの一撃を喰らい壁に叩きつけられる睦、すでにボロボロな彼女に対してじわじわと詰め寄っていく。

 

 

 

「いっただろ?私には勝てないと。いくら君が運動神経が良くてもな」

 

 

 

「‥だから‥何‥よ‥!」

 

 

 

ヨロヨロしつつもなんとか立ち上がる睦。その姿はどんなにやられても負けないという意志が見えてくる。

 

 

 

しかしその様子をモーゼの攻撃ヘリが眺めていた。

 

 

 

「いました。ウェスカー少佐もいるようです」

 

 

 

 

「仲間もこれで終わりだ‥やれ」

 

 

 

彼の攻撃合図で二人にむけてミサイルが放たれる。しかしゴッドアイを失ったミサイルが的確に当たるわけがなく手前で着弾する。その衝撃で二人の間を縫うようにひび割れが伸びる。

 

 

 

「ねぇ‥知ってる?ストリートファイトっていうのはね‥土地勘があるやつがあるのよ‥?」ニヤッ

 

 

 

微笑みながらそう発した直後、近くに転がっていていた手榴弾をひび割れの内側に放り込み、爆発。ウェスカーも気づいて爆風を回避する。しかし‥彼女の狙いはそれではなかった‥。

 

 

 

ガララララ!!!!

 

 

 

ものすごい音ともともにウェスカーがいた側、つまりひび割れの内側が崩れ落ち始める。彼が気づいたときにはすでに遅くそのまま瓦礫と一緒に落下していくのであった。

 

 

 

 

「っ‥‥!?」

 

 

 

 

なんとか瓦礫を避けようとしたが避けれるはずもなく次々と瓦礫が直撃、後に致命傷となる一撃が入り込み

そのまま埋もれてしまうのであった。

 

 

 

 

「‥‥!!」

 

 

 

落ちていったウェスカーを確認しつつ攻撃ヘリを睨む睦。

 

 

 

「終わりだ‥!」

 

 

 

そんな睦に悪笑みを浮かべつつミサイルの発射ボタンを押そうとした‥その瞬間

 

 

 

ヒュン!

 

 

 

ゴォォォン!!!

 

 

 

直後どこからミサイルが着弾、派手にヘリが吹き飛ぶのであった‥。何事かとミサイルの飛来方向を見ると

轟音とともに戦闘機が通過していく。

 

 

 

 

「‥‥良かった‥間に合ったのね‥」

 

 

 

上空を旋回しつつ生存者を確認している戦闘機を見て気が抜けたのか静かな笑みを浮かべる睦‥。

彼女が戦っている間。由紀が無線機を使い治療薬のこと、そしてパンデミックの真相を説明。その前から突如レーダーに映った不審なヘリで異変を感じ取っていた国連軍司令部はこれがすべてランダルコーポレーション及びアンブレラの陰謀だと確信。核ミサイルの発射を中断、両関係者の拘束に切り替えたのであった‥。

 

 

 

「終わった‥のか?」

 

 

 

「みたい‥ですね‥」

 

 

 

眩しい朝日が差し込む中、激闘を終えた学園生活部は静かに眺めていた‥。

 

 

 

「なんか‥あっという間‥だったね‥」 

 

 

 

「はい‥‥」

 

 

 

「‥‥ちゃんと‥たどり着けたんでしょうか‥‥みなさんが望んだ未来に‥」

 

 

 

 

「‥わからない‥‥でも‥これからじゃないんじゃないかな‥?」

 

 

 

そういった日野の右手には、高校でとった記念撮影の写真が握られておりその中には‥笑顔で写っている雪の姿があった‥‥。

 

 

 

ー見てるか‥雪‥お前の望んだ未来‥この先必ず守ってやるからな!‥ー




激闘の末に勝ち取った未来
だが戦いは終わってない‥
俺たちの戦いはこれからだ‥
ー日野の日記よりー

近いうちに新シリーズ
おたより編をスタートさせます! 
激闘を終えた学園生活部の数年後の姿を描きます


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〜おたより〜

激闘を終えた学園生活部
その先に見たものとは‥


あの悪夢のパンデミックから5年ほどの歳月がたち‥

 

 

 

ー新幹線車内ー

 

 

 

『新幹線をご利用いただきましてありがとうございます。まもなく終点東京、東京です。お出口は右側3番乗り場に到着いたします。お乗り換えのご案内ーー』

 

 

車掌のアナウンスを聞いた乗客は降りる準備をするために弁当のゴミを袋に纏めたり上の棚に上げていた荷物をおろしたりと忙しく動いていた。

 

 

 

「もう着くのか‥準備しなきゃ‥」

 

 

 

もちろん白髪の彼女も例外ではなく、降りるために読んでいた本を閉じて荷物の確認や忘れ物がないかチェックしていた。

 

 

 

 

そうこうしているうちに新幹線は東京駅の新幹線ホームにゆっくりとやってきて停車する。ホームにはいろんな人が行き交っているのが見て取れる。扉が開くと乗客がぞろぞろと降りて歩いていき、例の彼女も黄色と黒の旅行ケースを引いて降りてくる。

 

 

 

「東京なんて‥始めてきたなぁ‥」

 

 

 

ポツリとそうつぶやきつつ、案内標識を確認して外へ出るため改札へと歩みを進めていく。

 

 

 

駅を出てあるきつつ街中にふと視線を向ける。さまざまな人が行き交い、交通量も多いためか賑わいが戻ってきたように感じる。しかし、やはりまだ5年という歳月しかたってないためか未だに復興作業に追われている施設もあり、工事作業員が忙しく動いていた。

 

 

 

「‥やっぱり‥まだまだのところもあるな‥‥」

 

 

 

街の様子を見つつ歩くこと数分後‥東京駅からさほど遠くない場所の喫茶店に足を運ぶ。中に入ると店内の入口近くの席に見慣れた人物が、

 

 

 

「お待たせしました‥!リセさん」

 

 

 

「やぁやぁ〜久しぶりだねぇ」

 

 

 

 

そこには現在某有名出版社の編集長を務めるリセ(26歳)の姿が。そして見慣れた人物を見て安心した表情をしつつ駆け寄っているのが直樹美紀(22歳)。彼女は現在ジャーナリストとして日本各地を飛び回っているのだ。

 

 

 

「じゃあこれをお願いしますね」

 

 

 

「はいはい〜」

 

 

 

美紀から渡された写真の入ったファイルを受け取りパラパラとめくりつつ一通り目を通す。

 

 

 

「ありゃ、今回は中国地方全部回ったんだね」

 

 

 

「中国地方はこれを機に都市の再開発を始めてるみたいでけっこう街の雰囲気が変わってるみたいです」

 

 

 

「なるほどね〜、やっぱ各都市でだいぶ変わってるか〜」

 

 

 

そしてファイルを閉じつつ、軽い雑談に入る。

 

 

 

「そういえば、最近体調はどうだい?」

 

 

 

「ぼちぼちですかね。ようやく慣れてきたってところでしょうか」

 

 

 

「やっぱそうかぁ、君の親友の圭君は元気にしてる?」

 

 

 

「あっはい、ちょくちょく連絡は取り合ってます。今日から確か警察官として警視庁に配属となるそうです。」

 

 

 

「そうか〜、まさか圭君があの仕事を選ぶとはねぇ」

 

 

 

「私も最初は驚きました。でも今は応援してます‥♪」

 

 

 

「はは‥♪親友らしい言葉だな‥♪」

 

 

 

「それと太郎丸も元気にしているそうです。相変わらず私には懐いてくれませんが‥(汗)」

 

 

 

「そこは変わらないんだね‥(汗)」

 

 

 

 

 

 

そんなことを話していると喫茶店のテレビ画面に映った『巡ヶ丘市から世界中に拡大したパンデミックから5年。今日からその生物兵器の製造に関わったアンブレラ社、そしてその配下のランダルコーポレーション関係者の裁判始まる』というニュースの見出しに目が止まる。

 

 

 

「もう5年経ったんですね‥‥」

 

 

 

「だな‥。時の流れは早いもんだ‥」

 

 

 

5年のあの日、アンブレラ社とランダルコーポレーションはパンデミックの不祥事が露見したことにより完全に失脚。さらに内部対立が激化していたアンブレラ社が事実上崩壊したことが影響し、パンデミック前にあれほどあった力が見る影もなくなくなってしまっていた。

その後アメリカ合衆国、及びロシア連邦の研究機関が世界初のワクチンの開発に成功。その後に続き各国で機能していた研究機関も続々と続いて開発を成功させたのであった。しかし、殆どの政府機関が機能不全になっていたためワクチン提供は滞ると思われた。だが奇跡的にもスイス連邦の政府機関が機能していたことが判明。各国臨時政府は自国の政府機関が完全に回復するまでスイスに全体的な指揮を依頼。スイス政府もそれを引き受け、各国政府機関が回復するまでの2年間、最前線に立ち続けてワクチン提供を進めたのであった。

 

 

 

「なんていうか‥あっという間でしたね‥」

 

 

 

「そうだねぇ‥。あのときはいろいろあったよ‥本当に‥」

 

 

 

パンデミックから始まった悪夢、それは半年以上という長い戦いだったのにも関わらずいざ終わるとそれはあっという間に感じていた。

 

 

 

「あのときは、本当に怖かったです‥‥‥何度も命の駆け引きして‥、逃げたいと思ってたときもあります‥」

 

 

 

「でも、君たちは凄かったと思うよ?」

 

 

 

「そう‥ですかね?」

 

 

 

「そりゃそうさ。それに君だけじゃない。みんな逃げずに戦ったじゃないか。僕みたいに図書館に閉じもらずに

それだけでも充分なのに世界を救っちゃうんだから」

 

 

 

「なんか‥照れますね‥//」

 

 

 

 

「はは‥♪っとそういえば、みんなから手紙が来てたんだ。」

 

 

 

そういってリセがカバンからクリアファイルを取り出して中から何枚かの手紙を取り出す。

 

 

 

「最近はみんなも落ち着いてきたから手紙が一気に来て読むのが大変だよぉ‥(汗)」

 

 

 

ただでさえ編集長を勤めていて大変なのに手紙も読んであげないといけないという彼女の心の悲鳴が伝わってくる。 

 

 

 

まずは若狭悠里(23歳)と若狭瑠璃(15歳)からの手紙

 

 

 

「これは悠里先輩と瑠璃ちゃんの手紙ですね」

 

 

 

「ほほう‥災害対策本部の復興指揮地区リーダーになったのか〜」

 

 

 

「リーダーですか‥忙しそうですね‥」

 

 

 

「みたいだねぇ‥。それとなんか会議である先輩と気が合わなくてよく揉めてるみたい。」

 

 

 

「でも悠里先輩ならきっと圧力でねじ伏せてると思いますよ‥(汗)」

 

 

 

「あ〜‥、なぜだろう‥(汗)なんとなく想像できる‥」

 

 

 

「それと瑠璃ちゃんは今年から中学生三年生になって新学期だそうみたいで張り切ってるようです‥♪(笑顔に悠里と映る瑠璃の姿を撮った写真を見つめつつ)」

 

 

 

「相変わらず元気そうだね〜」

 

 

 

「ですね‥♪」

 

 

 

恵飛須沢胡桃(23歳)からの手紙

 

 

 

「っと、次は胡桃君か。おっ、自衛隊に入ったのか‥!こりゃ凄いな」

 

 

 

「今は駐屯地で訓練をほぼ毎日やってると書いてますね。その後は海外派遣部隊の一員としてトルコに派遣されるみたいです」

 

 

 

「トルコかぁ‥確かにあそこは今だ復興が進んでいないって聞くしねぇ‥。それ以外にも助けを求める国は山程あるって聞くし‥」

 

 

 

「これから忙しくなりそうですね‥」

 

 

 

「きっと彼女ならやっていけるさ‥♪君の先輩なんだろ?」  

 

 

 

「ですね‥♪後輩が先輩を信用しないでどうするんだってね‥♪」

 

 

 

 

丈槍由紀(23歳)と黒田理琉(23歳)より

 

 

 

 

「あっ、二人とも籍をいれて近いうちに結婚式あげるみたいですね。招待状が来てます」

 

 

 

「そりゃおめでたいね〜。となると今のうちになんかプレゼント用意しないと」

 

 

 

「由紀先輩は教師として今日から巡ヶ丘高校に務めるそうです。昔の先輩からは想像ができませんね‥(汗)」

 

 

 

「そうかな〜?彼女の性格なら生徒には好かれそうだけどね」

 

 

 

「んで理琉さんはアメリカに戻らないかって上からお声があったそうですが、断って在日米軍のトップとして日本に残るそうです。まあ理琉さんらしいといえばらしいですね‥♪」

 

 

 

「将来の奥さんを置いていくわけにはいかないものねぇ」

 

 

 

 

佐倉慈(30歳)より

 

 

 

 

「佐倉先生は今だに教師を続けてるみたいですが来月から教育委員会の会長に就任するそうです。」

 

 

 

「佐倉さんが教育委員会の会長かぁ。こりゃ日本の教育にいい風が吹きそうだねぇ」

 

 

 

 

「今後、あのような事態が起こらないように今よりもっと政府に働きかけますって書いてますね」

 

 

 

「佐倉先生‥以外と攻めますな‥(汗)」

 

 

 

「政府の間で知らない人はいなさそう‥(汗)」

 

 

 

狭山小春(23歳)より

 

 

 

「小春さんは軍を引退して今はロサンゼルスの医療病院の医師を勤めてるそうです。戦場で得た治療方法を医療に役立てて、全米ナンバーワンの医師として注目を集めてるんですって」

 

 

 

 

「あのかわいい子が‥、人生何か起こるかわからんなぁ。というか小春君ってたしかまだ23歳だよね?(汗)」

 

 

 

「はい‥(汗)15歳から衛生兵として戦場を飛び回り‥今度は全米トップの医師として活躍‥本当に由紀先輩達の同級生とは思えないぐらいですよ‥(汗)」

 

 

 

「だよねぇ‥」

 

 

 

彩月睦(28歳)より

 

 

 

「えっ!?睦さん総理大臣に就任するそうですよ!」

 

 

 

「あらあら‥(汗)とんでもない出世だねぇ‥。確かあの子元は公安にいたんでしょ?あの年齢で公安ってだけでも凄いのにまさかのそこから日本のトップに就任か‥。もうエリート超えてるんじゃない?」

 

 

 

「ですね(汗)。でも睦さんが日本のトップなら安心です♪」

 

 

 

「彼女ならいい日本を作ってくれそうだよ♪」

 

 

 

「はい‥♪」

 

 

 

「おっとそういえば、確か睦君には後輩警察官の雪って子がいたよね?その子は元気にしてるのか?」

 

 

 

 

「えっと‥‥リセさんは‥知らなかったですよね‥‥

‥実は‥遠征中のときに‥特殊部隊のヘリの攻撃を受けて‥その際に破片が当たって‥‥致命傷だったようで‥‥その場で‥‥」

 

 

 

「‥なんか‥すまないな‥」 

 

 

 

「いえ‥リセさんは‥悪くないんです‥‥。でも‥‥

悔しいです‥‥。雪さんは圭の命を護ってくれた恩人で‥‥いつも明るくて‥‥優しくて‥‥元気で‥‥」

 

 

 

「確か‥雪君には大切にしていた人がいたよね‥?名前は確か‥日野君だっけ‥?」 

 

 

 

「はい‥‥、本当‥雪さんは‥ズルいですよ‥‥日野さんを置いて‥‥先に行くなんて‥‥ズルい‥です‥」

 

 

 

溢れ出る涙を堪えつつ俯く美紀。それを見たリセがポケットからハンカチを取り出して渡し、受け取った美紀が涙をふく。

 

 

 

 

ランダルコーポレーションとアンブレラの激闘を終えたあと日野は迷いもなく雪の遺体がある場所に向かった。 

遺体の腐敗が進んでることを覚悟はしていたが奇跡的に腐敗はしていなかった。これには現場にやってきた軍の検視官が驚きをあらわにしていて見ていた。

その後落ち着くまでは遺体安置所に保管されることになった。それから一年後、彼女の命日にあわせて葬式が執り行われた。これには学園生活部だけではなく各国の臨時政府の官僚、各国軍のトップなどの高官クラスの人間も参列、日本臨時政府及び防衛省、そして警視庁からは国民栄誉賞、総理大臣賞、感謝状、アメリカ合衆国、ロシア連邦、イギリス、フランス、中国、ドイツなどの各国首脳から大統領栄誉賞が送られた。

 

 

 

「最後の最後まで‥崩壊しかけた世界になったとしても警察官として職務を全う‥か‥‥。本当‥私達大学生と変わらない年齢なのに‥凄いよ‥」

 

 

 

「それでも‥目指したこの世界を‥一緒に見たかったです‥‥」 

 

 

 

「‥例え離れた場所だとしても‥地球の裏側でも‥家族の絆は繋がっている‥」

 

 

 

「‥家族‥‥」 

 

 

 

「私からみたら学園生活部のみんなは家族みたいだった。お互い仲良くしていざとなれば団結して戦う‥

君もそう思ってるだろ?」 

 

 

 

「そう‥ですね‥」

 

 

 

「それに心配はなさそうだよ。ほら日野からも手紙が来てる。」

 

 

 

日野祐也(25歳)

 

 

 

「警視庁公安部に配属になったみたいですね。これたぶん睦さんが抜けた穴埋め的な感じみたいです」

 

 

 

「そうなると、彼は相当なプレッシャーになるだろうな‥(汗)」

 

 

 

「日野さんなら大丈夫です‥♪きっとやっていけますよ‥♪」

 

 

 

「相当な信頼があるんだねぇ」

 

 

 

「そりゃ♪雪さんが惚れた相手ですから‥♪」

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

そしてあれから数ヶ月後‥由紀と理琉は巡ヶ丘市の結婚式場で式を上げた。それには学園生活部だけではなく大学生組も参加して賑やかな式になったのであった。 

珍しく理琉が固まったり、胡桃が由紀のおかしなテンションにチョップをいれてツッコミを炸裂させたり

慈がいつもどおりな少し抜けたミスをして開場は笑いに包まれていたのであった。

そんな結婚式も終わりを迎えた次の日、学園生活部は久しぶりの再会を楽しむために砂浜にやってきていた。

 

 

 

瑠璃「ゆーねぇ〜♪こっちこっち〜」

 

 

 

由紀「るーちゃん待てぇ〜♪」

 

 

 

楽しそうにはしゃいでいる二人を微笑ましくみつめる学園生活部のメンバー。

 

 

 

慈「そういえば、睦さんここにいて大丈夫なんですか?

首相の仕事もあるわけですし‥」

 

 

 

睦「大丈夫大丈夫♪何のために副大臣とか秘書がいると思ってるんですか♪」グッジョブ

 

 

 

慈「そういう問題じゃない気が‥(汗)」

 

 

 

本当にこの人、総理に向いてるのだろうか。そんなことをふと思ってしまう慈。

 

 

 

由紀「マーくんも遊ぼうよ〜!!」

 

 

 

すると由紀が理琉に声をかけて誘う。最初は少し遠慮気味だった理琉だが日野が背中を押す。

 

 

 

日野「ほら、仕事だぞ」

 

 

 

理琉「お前‥うまいこと俺を扱いやがって‥(汗)そう言われたらいかざるおえないじゃないか‥」

 

 

 

困った表情をしているものの少し嬉しそうにしつつ由紀とるーちゃんの元へ駆け寄る。

 

 

 

小春「私が言いたいのは、こうやって太陽が出てるともともとホワイトな肌が焼けちゃうわけってことだよ〜。こんがりとねぇ」

 

 

 

流木に座りつつ何故か肌のことについて語っている小春を手で制する胡桃。

 

 

 

小春「なんで止めたのよぉ‥」ムス

 

 

 

胡桃「ちょっと小春、久しぶりの再開で嬉しいのはわかるが少し口閉じててくれ」

 

 

 

そして‥少し間を開けて

 

 

 

胡桃「んで‥目を開けてみろよ‥♪」

 

 

 

そう言われて視線を向けると、そこには今までの彼では考えられないほど楽しそうにはしゃいでいる理琉の姿が‥

 

 

 

小春「‥‥なんだろう‥美しい‥」

 

 

 

悠里「あれが彼の居場所ね‥」

 

 

 

日野「家庭が‥アイツの居場所だな‥」

 

 

 

小春「‥もう‥前とは違うんだね‥‥」

 

 

 

由紀「あはは〜♪マーくん早く来ないと逃げられちゃうぞ〜」

 

 

 

瑠璃「こっちなのだ〜」 

 

 

 

 

理琉「よォし!本気出すかァ♪」 

 

 

 

楽しそうにしている二人を見ていると自然に笑みが溢れてくる一同。しかし日野は少し寂しそうな表情をしていた。それからしばらくして立ち上がり少しの間みつめ、それからその場を後にしようとする。

 

 

 

圭「お別れ‥言わなくていいの‥?」

 

 

 

気になった圭がそう聞く。そう言われて一度立ち止まり振り返る。そこには楽しそうに浜辺を走る理琉と由紀、そして瑠璃の姿が‥その姿が一瞬自身と雪に当てはまるように見えた。

 

 

 

日野「確かに‥そうかもしれないな‥。でも世の中っていうのは狭いもんだ‥。どんなに離れていてもひょんなところで出会う‥。だから‥」

 

 

 

 

「また会える‥」

 

 

It’s been a long day without you, my friend

お前がいない日は とてもつらい

 

And I’ll tell you all about it when I see you again

もし会えたら そのことを話す

 

We’ve come a long way from where we began

お前と知り合って 遠くまで来た

 

Oh, I’ll tell you all about it when I see you again

再会できたら 思い出を語りたい

 

When I see you again

再会できたら

 

Damn, who knew? All the planes we flew

何をするのも一緒だった

 

Good things we’ve been through

不思議だよな

 

That I’ll be standing right here talking to you

お前にこうして語りかける日が来るなんて

 

About another path I know we loved to hit the road and laugh

俺たち笑って生きてたよな

 

But something told me that it wouldn’t last

ずっと悲しんではいられない

 

Had to switch up

思い出は思い出

 

Look at things different see the bigger picture

俺たちがやったことは報われる

 

Those were the days Hard work forever pays Now I see you in a better place

お前は天国で幸せにやってる そう信じて

 

How could we not talk about family when family’s all that we got?

何よりも大切な家族

 

Everything I went through you were standing there by my side

お前はいつでも俺の隣にいてくれた

 

And now you gonna be with me for the last ride

さぁ俺と最後のドライブに出かけようか

 

It’s been a long day without you, my friend

お前がいない日は とてもつらい

 

And I’ll tell you all about it when I see you again

もし会えたら そのことを話す

 

We’ve come a long way from where we began

お前と知り合って 遠くまで来た

 

Oh, I’ll tell you all about it when I see you again

再会できたら 思い出を語りたい

 

When I see you again

再会できたら

 

 

Aah ah aah oh

 

Wooooh-oh-oh-oh-oh-oh

 

(When I see you again)

 

Aah ah aah oh

 

Wooooh-oh-oh-oh-oh-oh

 

(Yeah)

 

 

使用曲( see you again FOR POUL)

 

 

 




ここまでご視聴いただいた読者の皆様!!
ありがとうございました!!
これでがっこうぐらしー守るべきもの―は終わりです!
‥と言ってもなんかしっくりくる終わり方ができなかったのでリメイク版を考えています。
早いうちに出そうと思ってるのでよければぜひ!


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