火埜翔織のHーEROACADEMYANOTHERLIFE (完全怠惰宣言)
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Another 1

耳郎ちゃんはカワイイ。
異論は認めない。


反省会から数日、耳郎響香は1人のクラスメートを凝視するようになった。

 

「(火埜の個性があればウチの願いが叶う)」

 

凝視されていることに気が付いていない件の生徒「火埜翔織」は戦闘訓練以降スキンシップが激しくなった「葉隠透」に後ろから抱きつかれながら、「緑谷静空」の個性学の勉強を見ていた。

 

葉隠透・緑谷静空。

この2人の存在により、耳郎は長年の苦しみから解放される光を見つけたのだった。

 

「火埜、明日何してるの」

 

1週間を無事に過ごし、最後の授業であったヒーロー学の授業が終わり、眠そうに目を擦り教室に戻る最後尾の火埜に耳郎が声を掛けたのは金曜日の放課後だった。

 

「明日ですか?特に予定もないので家にいるとおといますが?」

「じゃあ、明日あんたウチの家に来な」

 

唐突に切り出された自宅への誘い。

前方集団から離れていることが幸いして誰にも気付かれていなかった。

 

「えっと、耳郎さん?」

「訳は当日話す、で来るの来ないのどっち」

 

火埜と耳郎。

クラス内でも話をする方であり、感性“女の子”な耳郎が話をしてても楽な異性の火埜。

音楽の話になると殊の外饒舌で、旧代のアニソンがメインの火埜に話を会わせてくれる少女の耳郎。

そんな関係な2人だったのだが、火埜の目の前には何か覚悟を決めた少女が立っていた。

 

「僕じゃなきゃダメなんですね?」

 

その言葉に思い詰めていた耳郎の顔に若干の明るさが戻ってきた。

 

「うん、あんたじゃなきゃダメなんだ」

 

火埜と耳郎、見つめあっていたのはほんの数秒だったはずなのに、耳郎はとても長く感じた。

 

「いつ頃、お邪魔して良いですか?」

 

火埜は後に語っている。

その日初めて見た耳郎の無邪気な笑顔を独占したい黒い欲望にかられたと。

 

 

翌日、土曜日の昼下がり。

閑静な住宅街一軒家の玄関に火埜は立っていた。

思い起こせば女子の家に来たのは初めて(緑谷は幼馴染みなので除外)で、チャイムを押し後なのに急に整えた筈の髪やジャケットの下に着たYシャツの色味などが気になり始めた。

 

「いらっしゃい、悪いね休みの日に」

 

出てきた耳郎はハーフパンツにサマーセーターとラフな格好だった。

これは“男”として意識されていないと残念な気持ちになった火埜だが、なぜ残念に思えたのかよく解らなかった。

 

「ウチの部屋、2階の突き当たりだから先いっててよ飲み物持ってくから」

「それじゃ、お言葉に甘えて」

 

初めて入る異性の部屋(緑谷は幼馴染みだしガチオールマイト記念館状態なので認めない)はところかしこに楽器がおかれており、部屋の主が如何に音楽というものが好きなのか物語っていた。

しかし、どこか良い香りのするその部屋は紛れもなく女の子が生活する部屋であることを火埜に訴えていた。

 

「お待たせ、コーヒー飲めたっけ?一様砂糖とミルク持ってきたよ」

「あ、どうも。有りがたく頂きます」

 

そこから30分、日頃の学校でのことや中学時代のこと等、他愛ない話に花を咲かせていた。

すると、耳郎が真剣な面持ちで火埜を見つめた。

 

「火埜、お願いがあるんだ」

 

その真剣な眼差しに対して誠意をもって答えなければならないと覚悟した火埜。

 

「どうぞ、僕にしか頼めないことなんでしょ?」

 

相手を緊張させないために意識的に笑顔を作り、耳郎の話の続きを待った。

 

「う、ウチの」

 

意を決して口を開く耳郎、その姿には覚悟が現れていた。

 

ウチの胸を揉んでくれ

 

そんなに大声ではなかった。

むしろ、恥ずかしさで消え入りそうなその声は何故か部屋に響いたのだった。

 

「帰る」

 

瞬間的に立ち上がるとドアに向けて歩き出す火埜。

 

「待て待て待て待て待って、お願いだから話を聞いて」

 

耳郎も逃がさんと火埜の腰に抱き付き動きを止めた。

 

「耳郎さんなに言ってんですか?え、痴漢冤罪とか嫌なんですけど僕」

「お願い、ちゃんと説明するから待って」

 

数分後、服と息を乱した二人が椅子に座り直していた。

 

「まずは、この写真をご覧ください」

 

そう言って耳郎が机に置いたのは耳郎とよく似た女の子の写真だった。

 

「こちらはどなた?」

「ウチのお母さんの高校の時の写真」

 

そう言われてみると、雰囲気が柔らかそうなのと胸のサイズ以外は耳郎の面影がある、というか耳のプラグから血縁者であることは明白だった。

 

「見て解る通り、ウチと比べ否、同年代の平均と比べても明らかにデカイ」

 

何がと聞かなかったことに火埜は自分を褒めてあげたくなった。

何故なら目の前の少女からは並々ならぬ怒気が発生していたからだ。

 

「この人から産まれたのになんでウチは平均未満なんだと常に思っていた」

 

何やら演説が始まってしまい逃げ出す状況を逃した火埜。

変な覚悟が決まったのか、耳郎の演説を聞くことにした。

 

「だがしかし、遂にウチは希望の光を見つけた」

 

その言葉と共に火埜を指差す耳郎。

 

「火埜翔織、あんたの“晴の焔”の力でウチの願いを叶えてくれ!!」

 

この時、火埜の心は叫んでいた。

 

「(無茶言うなやボケー!!)」

 

何故なら、火埜の使用するオーラ“天空の気焔(ウェザーブレイズ)”は火埜以外の人間に使用する場合、適応率が発生するのである。

大概の場合、大空を除く七属性の内1つしか適応せず、適応率が低い焔を使用する場合でも、大空の焔の特性である調和を併用することで害無く使用している。

しかし、世の中そんなにうまく出来ておらず、如何に調和させても適応率が低ければ効果は薄いし、もう1つどうしても無くすことが出来ない難点が発生するのである。

 

「耳郎さんは確か」

「そう、不幸にもウチが適応できたのは鎮静を表す雨だった。でも、ウチは諦めたくないんだ」

 

場面が違えばとてもカッコいいのに、いま現状はとてつもなく残念な少女の姿がそこにはあった。

 

「それじゃ、また来週」

「おい、ウチにここまで言わせといて帰るのか」

「いや、動機が不純過ぎる。何かの治療とかならともかく胸をでかくしたいってだけで僕の今後の人生賭ける要素どこにもないですよね」

 

その一言に耳郎は悲しみのあまり項垂れてしまった。

その隙にさっさと帰ろうとした火埜の耳に悪魔が囁いたのだった。

 

「緑谷と葉隠に有ることないこと言ってやる」

 

ドアノブまで手を掛けた火埜の首が音を立てて耳郎の方に向く。

そこにはテンパり過ぎて顔を真っ赤にして目がぐるぐる回っている耳郎が服に手を掛け立っていた。

 

「ウチに協力しないなら2人に有ること無いこと言ってやる!!」

 

戦闘訓練以降何かにつけて抱き付いてくる、なんなら意識して胸を押し付けてきている疑惑を感じる葉隠。

つい数日前プチ闇堕ちしたヤンデレの気質があることを知っている(さっさと爆豪が手を出せば良いのにとか思っている)緑谷にばらされる、ということは凄惨な光景がありありと想像させられた。

 

「鬼か!!」

「胸のためならウチは悪魔にだって魂を売ってやる!!」

「そんなことで安売りするなアホか」

「安売りじゃないもん」

 

ヒートアップしていく火埜と耳郎。

その時、火埜は気付いてしまった。

耳郎の目に涙が浮かんでいることに。

個性社会になっても、そういったところは変わることがなく、からかいの対象になりやすかった。

火埜が思っている以上に、耳郎は悩んでいたのではないか。

そう思ってしまった瞬間、火埜は根負けしていた。

 

「耳郎さん、約束できますか」

「んぐ、何を?」

「①“これ”は2人だけの秘密である

 ②施術時間は(火埜)に一任する

 ③効果がでなくても騒がない」

「この3つは何があろうと守れますか」

「女に二言はない」

「それじゃ、ご両親が帰宅されるまでに終わらせましょう」

 

 

 

「いや、“やる”とは言ったけど、これは無いんじゃないかな」

「うるさい、タダで女の子の柔肌にさわれるんだから我慢しな」

「(そうじゃないんだけどな)」

 

現在、火埜はアイマスクとタオルで目隠しをされ、胡座をかいた股にはクッション、その上に上半身裸の耳郎。

 

「(ぶっちゃけ理性が持つ自信がない)」

「ほら、さっさとしな」

「(もう知らん)」

 

火埜は意を決して両手に“晴の焔”を灯し、更に“大空の焔”でコーティングし耳郎の胸に手を当てる。

 

「あぁー、暖か気持ちいい」

「(解ってたけどちゃんと女の子なんだよな、全体的に柔らかい)」

 

耳郎は自分の体を包み込むオーラの暖かさに気持ち良さを感じ、火埜はオーラを集中させた恩恵により、女性特有の身体の柔らかさを感じていた。

しかし、耳郎は知らなかった。

視覚を封じたことにより、火埜の身体は自己防衛のために残された4感を鋭敏にさせていることに。

 

「んっ、くぅあぁ」

 

時間が経つにつれて耳郎は徐々に、別の感覚を味わっていた。

火埜の個性にとってオーラは副産物に過ぎない。

しかし、本来であれば肉体と入れ替わる形で精神の器となるべき物、その一部であるオーラは言ってしまえば火埜自身である。

そして、大空の焔は火埜その物と言っても過言でない物であった。

つまり耳郎は今、肉体的にも精神的にも火埜翔織という存在に包まれ精神の繋がりが出来てしまったいる状態であった。

 

「(あぁ、なんだろうこの感じ。凄い気持ちいぃ)」

「(あ、まずい。そろそろダメだな)もしもし耳郎さんそろそろ終わりですよ」

「んぅん、やだぁ。もぉちょっとぉ」

「ウソ、相性良すぎやしませんか」

 

今、耳郎は15年生きてきて初めての感覚に襲われていた。

快楽を流し込まれ、後ろにいる男に全てを預けてしまいたい衝動に身を任せていた。

当初は隙間を空けていた身体を自分から密着させた耳郎からは女性特有の甘い香りが汗と共に漂っていた。

それは15歳の少女が醸し出してはならない極上のワインのような芳醇な色気だった。

そうなると当然クル物があり。

 

「あ(え、これって)」

「くっ(峰田のこと言えねえ)」

 

クッション越しとはいえ、耳郎は確かに固いものが自分の下に有ることを感じ取った。

 

「あぁ(ウチに“女”を感じてくれた)」

 

普段なら大騒ぎをする状況なのに、この状況に喜びを感じている自分に誇らしさを、ちゃんと自分を“女”と認識してくれている火埜に愛しさを無意識に耳郎は感じていた。

ふと、火埜は自分の視界か明るいことに気が付いた。

瞼をあげると目の前には瞳を潤ませ、頬はうっすらと朱く染まり、草木が放つような甘さを漂わした汗に濡れた耳郎が此方を見上げていた。

恐らく無意識にだろうが、腰をくねらせているのは自身の下半身が感じる固いものを意識して納まりのいい位地に誘導している。

互いに視線が交わる、耳郎は自分の胸にある火埜の手をゆっくりと掴み指を絡ませると、お互いが向き合う形に座り直した。

風邪を引いた時のように全身が熱を帯び、頭が思考をすることを拒否しているようだった。

しかし、2人はあの嫌な倦怠感とは別の心地好さに浸っていた。

徐々に近づく2人の顔、あと数cmの距離となった。

 

コンコン

 

窓をスズメが叩く音が部屋に響いた。

2人の瞳に徐々に理性の光が戻り始める。

 

「あぅ」

「落ち着いて耳郎さん、この距離でそれはまずい」

 

頬の朱色が顔全体へと伝わり、赤く染まった顔と混乱の色が見てとれる瞳。

 

「うぅあ、ああああぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「ちょ、マジでダメだってばぁぁぁぁ」

 

火埜の悲鳴に近い声は耳郎に届くことなく、火埜の身体にジャックが突き刺さり、猛スピードで轟く耳郎の心音が音の暴力となって火埜に響き、それと同時に左頬に強烈な平手打ちが打ち込まれた。

 

「(理不尽)」

 

火埜の記憶はここで途切れた。

 

 

「ん、あれ?」

 

火埜が目を覚ますと、外は夕暮れ時になっていた。

というのも気絶した時に見た耳郎の部屋はもう少し明るかったと記憶にあったからだ。

 

「あ、起きた」

 

そして、火埜は今の自分の態勢を知ることになる。

枕だと思った物は耳郎の“太もも”であり、俗にいう膝枕の状態だった。

必然的に顔が近くなるのだが、耳郎も落ち着いたようであった。

 

「顔、近いですが大丈夫ですか?」

 

さっきは殴られたけど“僕”は殴られないよな、という言葉が空けて見える言い方だった。

 

「さっきは“色々”あったからちょっとパニクっただけ」

 

その言葉を信じるかのように、火埜は耳郎のから離れていく。

 

「ねえねえ、気が付いた?」

「うれしいのは解りますが、僕に言わせないでください」

「だって、嬉しいんだもん。下に目をやっても直に景色が見えないんだから」

 

着替えた耳郎はワンピースにも見える丈の長いティシャツを着ており、そこにはハッキリと分かる程度には育った胸部があった。

 

「はぁ、当分はサラシ生活ですよ」

「え、なんで?」

「急激に育ったなんてそれこそバラしてるようなもんでしょう、それに適合率が低いんですから時間と共にゆっくりと萎んでいきますよ」

「え、絶対嫌なんですけど」

 

火埜の宣告にこの世の終わりの様な表情をする耳郎。

頭を掻き、深い溜息をついた火埜は本当に嫌そうに告げる。

 

「見たところ、2・3週に1回くらいのペースで施術すれば育っていきそうですね。心臓ドックンもビンタも無しならまた考えておきます」

 

その一言に神を拝むような目を向ける耳郎。

 

「火埜、ありがとう!!

 

正面から抱き着かれ、火埜は遠く空を眺めた。

 

「(ああ、なんか蟻地獄に嵌ったようなきがする。けど)」

 

火埜のすぐ傍には純粋に喜ぶ愛らしい少女の笑顔と以前はそれほど感じられなかった確かな膨らみを二つ感じた。

 

「(まぁ、役得かな)」

 

火埜は気が付かなかった。

後に馴れと調子に乗った耳郎の下半身の悩みにも付き合わされ、数人の肉食系少女たちによる夜の戦闘訓練への幕開けだったことを。




被害者
耳郎響香
作者のエロ作品第一の被害者。
色々と出てないけど、ちゃんと女の子なところが好き。
今回のことで調子に乗ってエロい進化を遂げていく。
実はママもイワさんのホルモンで育ったという裏設定あり。


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Another 1-2

ぬるいエロパート2


その身を包む衣服を全て脱ぎ去った少女が少年に優しく抱きついたいた。

 

「翔織ならウチは良いよ」

 

何故二人がこんな状況になったのか、それは数時間前に遡る。

 

「よ、今日もよろしく」

「はいどうぞ」

 

いつもは耳郎宅で行われている耳郎響香発育促進会(ジロちゃんの欲望を満たす会)なのだが、本日は両親が在宅ということで火埜のマンションで行われることになった。

体育祭も無事に終わり、所々の都合により本日行われることになった。

 

「響香おっぱい良い形に育ったね」

「でしょでしょ、ブラのサイズがDに届きそうなんだよね」

 

恋人でもない男になんの躊躇もなく肌を晒す耳郎。

USJ事件の際に露見した火埜の好みを調子に乗った峰田が漏らしたこともあり、クラス女子内で浸透していた。

元から積極的であった葉隠は密着率が上がり(実技の後などブラせず飛び付いている)。

芦戸も身体接触率が増え(火埜の近くにいる時高確率で制服のワイシャツのボタンが外れてる)。

八百万は何かある度に腕に抱きつき(明らかに意識して胸に挟み込んでいる)。

最近では麗日も怪しくなってきた(お弁当のおかず交換の際にあーんが常態化している)。

噂だと他クラス、上級生もその毒牙(峰田視点)にかかっているらしい。

そんなこと関係ないとばかりに平静を保っている耳郎はこの歪な関係が続いているからこそだと認識はしていた。

 

「はい、終わり」

「はぅぅぅ、いつもながら気持ちいぃぃぃ」

 

経験回数が増えれば馴れるもので、火埜は施術中雪の焔を己にかけることで精神の安定を図っていた。

しかし、精神を凍結しようとも肉体は正直で。

 

「(今日もスゴかったな、男の人って“あんな”になるのか)」

 

毎回の施術で火埜の陰部の凄さを実感している耳郎。

よく、男家族とは違うというが、初期は自分みたいな奴を女としてみてくれてることに舞い上がっていた耳郎であったが最近は“あれ”が“自分”の中に入ったらどうなるのだろうかと考える余裕ができていた。

そんな彼女に悪魔が囁くのだった。

 

「(もうダメ、早く帰ってもらって処理しないとヤバイ)」

 

施術だけでなく豊胸体操も行っている耳郎の胸は火埜の予想に反して確りと育っていた。

施術する度に自分の中の何かが目覚めそうというか毎回火の鳥化して光速で家に帰っては処理しているのだが、出る量が恐ろしいことになっている。

 

「ねぇ、火埜」

 

名を呼ばれ振り向く火埜。

そこには、その身を包む衣服を全て脱ぎ去った耳郎が火埜に優しく抱きついてきた。

 

「はい?」

「この前の実技の後、偶然聞いちゃってさ」

 

遡ること体育祭前。

オールマイトの微妙なさじ加減の実技が終わりシャワーを浴びていた時だった。

耳郎は自分の目の前の壁の向こうが男子シャワー室であることを思いだし興味本位でジャックを指したのだった。

 

「上鳴、最近筋肉ついてきたな」

 

男子のバカな会話が聞こえてきた。

 

「なんだよ峰田、お前そっちの趣味に」

「ふざけんじゃねぇよ」

「だろうな、まぁ放課後訓練始めてから筋肉ついてきてな」

「砂藤や障子もスゴいけど以外なのは轟と火埜だよな」

「あぁ確かに、あの2人パッと見は細身なのに脱いだら凄いもんな」

「股間の聖剣と凄いよな」

「いや、火埜のはエグいだろ。あの顔であんな物付いてんだぜ。ありゃ処理が大変なんじゃねえか?」

 

「ウチのせいでいつも我慢させてるでしょ?そんな無理させるくらいなら」

 

意を決して覚悟が決まった耳郎が火埜を見上げる。

 

「翔織ならウチは良いよ」

「(精神が・・・死ぬわ!!)」

 

そんなことになっているが悲しいかな思春期真っ盛りな男の子の身体は正直で。

 

「あ、おっきくなった」

「嬉しそうにいうなや」

 

耳郎の手が火埜の陰部に伸びる。

サリエルパンツの様なパンツを好む火埜、その理由の一つが自らの性剣と称される陰部に合った。

峰田曰く、エロ漫画でもそうそうお目にかかることのないサイズと美しさを兼ね備えた性剣。

スタンドアップする前でこれならスタンバイモードになったらどうなるのか、とのことだった。

そんな性剣に耳郎の両手が触れた。

 

「うえ、あ、え、うぇぇぇぇぇぇぇん」

「あ、コラ泣くな握るな力いれるな落ち着け、マジで」

 

数分後。

未だ上半身裸の少女を後ろから抱きしめ落ち着かせる顔面偏差値上位の少年。

 

「あ、あの、ゴメン」

「気にしないで、これも役得だから」

「だって、あんなにスゴイと思わなかったから」

「解ったからお尻で刺激しないで」

「でも、悔しいからやめない」

 

二人の会話から解る通り、火埜の性剣を見事なヒップラインを誇るお尻でイタズラしている耳郎。世間一般で“ケツズリ”と称される行為なのだが、耳郎本人は自分の行為で反応する火埜の性剣によく解らない愛しさを覚えていた。

火埜の施術を受ける前、異性から性の対象として見られることが少なかった耳郎。

自分をその対象として認識してくれている火埜の反応が嬉しくて最近2人だけになると性的悪戯に走る傾向が出てきた。

行為におよんで数分、思春期健全男子ならここまでやられれば当然。

 

「うゎ、凄い!?」

「ははは、だからやめろって言ったのに」

 

耳郎の股から火埜の性剣がスタンドアップしていた。

 

「(うーーー、うちをちゃんとそういった対象として見てくれてるのは嬉しいけど、まだちょっと怖いしなぁ)」

「(あ、また変な方向に思考がいってそうな雰囲気だな)」

 

すると、何を思ったのか耳郎は太股内側に力をいれて火埜の性剣を圧迫し始めた。

 

「あれ、響香さん?」

「負けないもん、皆と同じくらい翔織のこと好きだけど、うちはひねくれてるから、だから出遅れたくないから、負けたくないから、ちょっと頑張る」

 

そう言うと火埜の性剣を太股で圧迫したまま身体を上下に揺らしはじめる耳郎。

数秒経つと彼女の陰部も性剣と擦れあい、愛液で圧迫した太股を濡らし始めた。

 

「あは、何かスゴいエッチィねコレ」

 

俗に言われる「素股」と言われる行為、耳郎にその知識は無かったが、彼女の本能が目の前のオスと共に満たされたいと導きだしてしまった行為だった。

 

「(うゎ、ヤベェ。響香スゲェ、エロい)」

 

火埜は自身の性剣でいたし始めた耳郎の顔を、後から“目の前の”消されたテレビの反射を通して確りと見ていた。

今で、時折雰囲気に流され火埜が耳郎の陰部に指を挿入したことは何度かあった(その度に心音ドックンされてたけど)。だが、今回は耳郎が自発的に行為におよんでいた。

その顔は少女のそれでなく、一人の女性としての艶やかさが滲み出ていた。

テレビの反射には顔だけだなく、火埜の育て上げた確定Cカップの胸が揺れていた。

火埜の喉がゴクリと音を立てて鳴った。

気が付くと火埜は宝物を扱うように耳郎の育った胸を優しく触れていた。

 

「ん、翔織のスケベ」

「響香に言われたくない」

 

施術を始めて以降、耳郎は火埜に話していない秘密があった。

それは、火埜に胸を触られるだけで軽く達してしまうようになっているのだった。

耳郎の口から漏れる艶やかな声。

それに呼応するかのように、火埜の口からも何かを耐えるような声が漏れていた。

 

「ねぇ翔織、チューして」

「本当に響香ズルいよね」

 

優しく右胸をイジメていた火埜の右手が耳郎の後頭部に触れると、互いの顔を近づけ、互いに唇を塞いだ。

オスとメスの本能からか、相手の口内に舌が侵入し貪りあう火埜と耳郎。

かといって行為が疎かになるわけでもなく、むしろ火埜の腰がタイミングよく動くことで、互いに未知の高みへといたろうとしていたのだった。

 

「あ、とぉり、も、ごめん」

「うん、いっしょに、いこ」

 

互いを貪りながら行われる行為。

二人の気持ちが高まるのと同じく身体が到ろうとしていた。

 

「「ん、あ」」

 

身体の相性が余程良いのか、2人が達したのは同時だった。

大量の白濁液で汚されていく耳郎の身体。

その大半は彼女の腹部、子宮がある位置を汚していた。

数秒の間、荒い息を繰り返す火埜と耳郎。

 

「あは、やっちゃったね」

「でも、嫌じゃなかったよ響香」

 

その後、互いを貪りあうようなキスがまた始まるのだった。

 

翌日、教室では上の空になりがちな耳郎が机に頬杖をつきながらため息をついていた。

 

「ねぇ、何か今日の耳郎ちゃん変やない?」

「確かに、先程も珍しく相澤先生に注意されてましたしね」

「ジロちゃんどしたの?風邪?」

「ケロ、具合が悪いなら保健室まで付き添うわよ?」

「顔も赤いし、耳郎さん本当に大丈夫?」

「辛くなる前に保健室行った方がいいよ」

 

女子に囲まれ心配される耳郎。

 

「大丈夫、ちょっとフワフワしちゃってて、それが抜けないだけでね」

 

耳郎の理解しがたい答えに首をかしげる女子陣。

 

「(ハッ!!)せい「黙れ峰田」

 

何かに気が付いたような峰田が危うい発言をする前に爆豪により止められた。

 

「ただいまぁ~、疲れたぁ~」

 

昼休みを利用し職場体験先の選定を職員室で行っていた火埜が教室に戻ったきた。

 

「あ、とっ火埜」

 

その姿を見つけるやいな、嬉しそうに駆け寄っていく耳郎。

その姿に蛙吹と緑谷以外の女子が何か得たいの知れない感覚を感じ取った。

駆け寄ってきた耳郎といつも通りに話す火埜。

そんな火埜に何時もよりほんの少し近い耳郎。

耳郎の顔には同年代の女子が浮かべることのない女としての笑みが浮かんでいたのだった。




さて、次の被害者は誰にしようかなぁ


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Another 1-3

全部常闇君が悪い


火埜翔織は尻派である。

クラス内で馬鹿話する際には美乳派と言っているが、実際のところ彼の性癖で重きを置いているのは尻であった。

それは前世から刻まれた性癖であると同時に、己が己たる確固たるモノである。

基礎体力向上のためにヒーロー科でも普通に体育の授業があり、現在A組は長距離走が行われていた。

クラス内でも後ろから数えた方が早いであろうスタミナの無さを誇る火埜は必然的にマイペースに走ってスタミナの向上に勤めていた。

だから、さっきからいくら飯田や爆豪、緑谷に蛙吹といったメンツに追い抜かされ続けてもちっとも悔しくなんかないと自分に言い聞かせながら走っていた。

そんな時、ふと彼の目にカーブを曲がる耳郎響香の姿が写った。

自分が育ててきた胸もそうだが最近は尻にも良い感じで肉ついてきたなぁと考えながら、施術中に密かに揉みし抱いている感触を思いだし、思わずエアニギニギしてしまった。

ふと視線を前に向けると頬を染めこちらを見ている耳郎と目があった。

すると、彼女の口が何かを話しているように動いた。

そして、彼女が言っていたことに気が付いた。

 

()()()

 

と言っていたことに。

思わずギョッとした顔になる火埜だったが、その火埜を見て舌を少しだしておどけたような感じで走っていく耳郎だった。

週末、火埜宅にていつもの施術を終え一緒に湯船に浸かる火埜と耳郎。

互いになれたもので、湯船に浸かると火埜の股の間に耳郎が座り耳郎が足を伸ばすついでにイタズラするように火埜の性剣を自分の美尻で挟み込むようになっていた。

浴室を出て身体の熱を冷ますためにひとまず座る2人。

ただ、いつもと違うのは2人が全裸であるということそして、座っているのが火埜のベッドだということだった。

 

ギシ、とベッドが軋む音に反応して横を向く火埜。

そこには頬を上気させタオルも外し生まれたままの姿になった耳郎が潤んだ瞳でこちらを見上げてきていた。

そっと、壊れ物を扱うように耳郎の頬に手を当てその僅かに濡れた唇を自身の唇で塞ぐ火埜。

最初はただ塞ぐだけのそんなキスだったが徐々にそれは変わっていく。

それは小鳥が餌をついばむように徐々に口内に侵入していく。

それは獣が餌を貪るように口内を蹂躙していく。

いつしか耳郎はそれだけで身体の奥底にマグマのような熱を感じていた。

 

「響香のスケベ」

 

口を離され、空気を求めることしか意識が向いていなかった耳郎の目には見せびらかせるように何かに濡れた火埜の指があった。

その正体とそして自分の股下に感じる気持ち悪くない濡れた感触。

 

「なんか馴れた感じする」

「そうかな(今世では)そんなに経験ないんだけどね」

 

そう言うと誤魔化すように耳郎に戯れ付く火埜。

首筋にうっすらと咬み痕がつく程度に噛みつき。

肩にしっかりと痕がつくまで噛みつき。

自身が育てた美乳に吸いつき。

綺麗なお腹にも吸いつき。

自分の性癖で一番重要なお尻に噛みつき。

耳郎の身体の様々な場所に自分の刻印を刻んでいく。

そして、火埜の目の前には淡く照りつく蜜壺が姿を現した。

 

「ふぅん、生えてないんだ」

 

その果肉に吸いつき、中から零れ落ちる蜜を逃さぬように態と音を立てて吸い付く火埜。

 

「うるさぁいなぁ、きにしてんのにぃ」

 

態と音を立てていることに気がついているが、そのせいで恥ずかしさもこみ上げてきて思考が上手く纏まらない耳郎。

彼女は今、火埜の口に犯され、両手ではりと弾力のある尻を揉みしだかれ、意識が快楽で塗りつぶされていた。

耳郎の口からは熱い吐息しか漏れ出してこなかった。

だからこそ気がつかなかった。

くちゅ、と音を立てて自分の蜜壺にあてがわられた火埜の性剣に。

 

「もう、大丈夫、だよね?」

 

言外に我慢できないと言われているのが理解できてしまうほどに肌を合わせてきた火埜と耳郎。

 

「うん、ウチのハジメテ、翔織にあげる」

 

耳郎の中にグニュッと差し込まれていく火埜の性剣。

ヒーロー科として戦闘訓練を行うこともあるため、処女膜(乙女の証)が無いことは既に確認済みであった。

そんな些細なことよりも耳郎は今好きな男に身を捧げる快楽に酔いしれていた。

馴らしてきたからか、火埜の全部を飲み込めた自分の膣に多少の驚愕はあったがそんなことよりも、今まで以上に近い距離で火埜を感じる幸せに耳郎はただただ酔っていた。

突き上げられるたびに頭に電気が流れるような快楽が弾ける。

ただ突かれているだけだと思ったら、時々抉る角度を変えて突き動かしているのに気がつき少しだけその余裕にムカつきそうになったがそんな余裕もすぐに奪われてしまう。

互いに向き合う形だった体勢は気がつけば抱きかかえられ下から突き上げられるようになっており、しがみ付くことに気を回していたら無理矢理顔の向きを変えさせられ口を塞がれてしまう。

酸素を求めて口を開くたびに舌が口内に押し寄せ自分の舌が巻き取られ口内も蹂躙されていく。

今回のことで解ったことは火埜がスタミナが無いというのは嘘だということだ。

心身共に蹂躙されていく自分に対して執拗に求めてくる火埜の勢いに押されて耳郎は心地よい疲労感が蓄積していくのが解った。

 

ピル(・・)飲んでるでしょ」

 

火埜が誰を選んでも文句を言わない、というか共有財産にするために依存させることを皆で決めたあの日からピルを飲むようになった。

中には「良いじゃん出来ちゃおうよ」とか言ってのける過激派もいたが、一緒にヒーローとして活動したいという思いから自重することにした。

だから

 

「うん、だからウチにちょうだい」

 

その言葉をまってましたとばかりに耳郎の最奥に突き刺さる火埜の性剣。

そして、耳郎は人生で始めて自分の身体の中に自分以外の生命の熱を感じたのだった。

互いに息も絶え絶え、でも抱き合うことを止めず、そのままベッドに倒れ込んだ。

 

「翔織がスタミナ不足って嘘でしょ」

 

そう呟くのがやっとの耳郎、それに対してなぜか笑い声を上げる火埜。

 

「本当だよ、今日は響香が可愛すぎただけ」

 

異性にそういう対象にされることなんて遠い未来だろうと思っていた耳郎にその言葉は深い深いどこかに馴染んでいくように思えた。

 

「だから、ROUND2てことで」

「は?」

 

未だ繋がったまま、堅いままのそれに気がついた耳郎は一転顔を青くしていく。

 

「言ったでしょ、響香が可愛いのが悪い」

「イヤちょっと待って、少し休ませて」

「ゴメンね、ムリ」

 

その言葉を皮切りに始まるもう一戦、なお友達の家に泊まるというお決まりの言い訳をして出かけている耳郎は本日タイムリミットというモノが存在しない。

 

「ゴメンね、オレが満足するまで付き合ってね」

 

普段は可愛く感じる笑顔が今日は野獣の笑みを思い起こした。

なお、耳郎の意識が保てたのは5回戦までであり、実際は2桁いったとか。

 

翌日のとあるグループラインに呟かれた耳郎の一言にグループメンバーは戦慄することになる。

 

【ウチ1人じゃ無理】

 

その日、目覚めさせてはいけない性獣が目を覚ましてしまった。



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Another 2

今回は見えるようになったインビジブルガールの話。
時系列的には戦闘訓練直後、休日勉強会前です。


葉隠透にとって他人と触れ合うことは自己の証明でもあった。

両親ともに透明で、自身も生まれた頃から透明。

大袈裟な仕草も、必要以上に明るく振る舞うのも、全ては他者に認識されるためであり、認識されることで自身の存在を確認していた。

そんな彼女は、今人生最大の喜びを両親と共に分かち合っていた。

 

「じ、じぬ゛」

「ヴァナータが悪いのよトーリボーイ」

 

火埜とイワの視線の先には抱き合う男女がいた。

 

「あぁ、ダーリンたらこんなに素敵な西洋顔だったなんて」

「おぉハニー、君の美しさの前では“ヴィーナス”だって“ただのナス”同然さ」

「もう、お父さんもお母さんもいい加減にしてよ」

 

そんな美男美女に挟まれて苦しそうにしながらも、何処か嬉しそうな美少女。

 

「うむ、ご両親の個性因子は安定しているな。お嬢ちゃんに関してはもう少し経過観察が必要だな」

 

キャマバッカ事務所御用達の病院『蛞蝓総合病院』にて院長である千手綱手の診察を受け、個性因子の安定の診断を受けたのは葉隠夫妻だった。

娘のためにと、自分達を検体に大空の焔を浴び透明化のオンオフが可能となった夫妻は、結婚してから17年経ち初めてお互いの顔を確認したのだった。

それに挟まれ苦しそうにしながらも、娘である透も初めて見る両親の顔に顔が綻んでいた。

なお、短時間で高濃度の天候の焔を使用した火埜がぐったりしているが、そんなこと知ったこっちゃない。

 

「というわけで、悪いが透さんは明日の再検診まで翔織のオーラを浴び続けてもらって、個性因子の安定性を視ることにしよう」

 

そんなこともあり、火埜が気がついた時には葉隠と手を繋いでビジネスホテルの一室に放り込まれていた。

 

「え、なぜ?」

「えへへ、あたしの個性因子が落ち着くまでに何か起きた時のために一緒にいるべきだって」

 

握られていた手は火埜が気がついた時にはほどけており、葉隠は後から火埜を抱き締めるように自分を押し付けていた。

混乱した火埜は、制服のポケットから取り出したスマホの通話履歴の一番上、そこにある電話番号を押す。

 

『もしもーし?』

「イワさん!年若い男女を二人きりにして良いのかよ!?」

『安心なさい、トールガールのダディ&マミーからは娘を宜しくって言われてるから』

「オレの理性が持たないの!!」

『まぁ、そん時はちゃんと責任とりなさいよ。あ、トールガールのダディ&マミーからは手出しOKて言われてるわよ』

「アホか!?」

 

そして切られる通話。

火埜の顔の横には本当に嬉しそうに笑顔を浮かべる美少女が制服も脱ぎ去り、ラフな格好で抱きついていた。

自身の腕に当たる感触から、火埜は葉隠が下着をつけていないことに気がついた。

 

「葉隠さんや、一様聞くけど襲われたいの?」

「ん?んーーー、火埜君なら良いかも」

 

とりゃーの掛け声と共に疲れて動きが鈍い体を押し倒さる火埜。

その上に蠱惑的な笑みを浮かべ馬乗りになるように股がる葉隠。

 

「一人ぼっちだったの」

 

そして、ぽつぽつと語り始める葉隠。

 

「生まれた頃から透明で、気付いて欲しくて大袈裟に動いて、声を挙げて。でもね、1人で鏡の前に立つと誰も居ないの」

 

瞳に涙を浮かべ、ぽつぽつと心に溜め込んだ何かを吐き出すように、葉隠は語り続ける。

 

「“こんな個性”だから、いつか誰からも忘れられて、誰にも見つけてもらえないで、消えていくんじゃないか、そんな風に考える日もあった」

「わたし今日まで親の顔すら知らなかったんだよ。それがどれだけ怖かったか、想像できる?」

 

瞳を濡らした涙は流れ落ち、火埜のワイシャツを濡らしたいた。

 

「だけど、今日。貴方がわたしを見つけてくれた。貴方がわたしに“普通”をくれた、これがどれだけ嬉しかったか火埜君は解る?」

 

葉隠の右手は火埜の心臓の位置に置かれ、左手は火埜の右手をとり自身の心臓がある左胸へと押し付けていた。

 

「貴方がわたし以外の誰かを好きにっても構わない。だけど、貴方に嫌われて、この“普通”がわたしから奪われるなら」

 

様々な感情が混ざり、葉隠自身も制御仕切れていない現状。

その姿を、火埜は黙って見ていた。

 

「貴方をわたしに縛り付けて、わたしから離れられなくしてやる」

 

その瞳には一種の狂気のようなものが宿っていた。

それに反して葉隠の鼓動は途轍もなく乱れていた。

だから、気付けなかったのだろう。

火埜の左手が葉隠の肩に置かれていたことに。

ほんの少し力で押された葉隠は簡単に転ばされ、先程とは逆の火埜に押し倒された状態になっていた。

葉隠の両手首は気が付けば火埜の右手で拘束され、互いに見つめ合うように顔が近づいていった。

そして。

葉隠の額に、瞼に、頬に、唇の端に火埜の唇が押し付けられていく。

 

()

「あ、名前」

「今から君はオレのモノだ」

 

僅かに垂れ下がる髪が周囲の光を遮断し、火埜の顔に影を作る。

男に色気を感じると言うことを、葉隠は初めて体感していた。

 

「はい、わたしは今から貴方のモノです」

 

誰が見ても狂っていると言われるが、その日2人は書面も何もないがお互いを縛り付ける確かな契約を結んだ。

その答えに満足したように火埜は葉隠の唇を啄むようなキスをしていく。

徐々に長くなっていくキスの時間。

気が付くとぎこちなくしかし互いを食べるように深くなっていくキス、押し倒され主導権を握られた葉隠はボーッとする頭で目の前の男に貪られる快楽に浸っていた。

突然、大量の酸素が葉隠に送り込まれた。

目の前には自分から顔を遠ざけた火埜の顔があった。

よく見たら口の端が少し切れていた。

それを知覚したのと同時に、葉隠の口に血の味が広まっていった。

しかし、なぜか葉隠はその血の味に嫌悪感を抱くことが出来なかった。寧ろ、目の前の男の一部を自分が取り込む感覚に悦楽を感じていた。

 

「透もまだ女の子だったんだな」

「へ?」

 

火埜がずらした視線の先は葉隠のまだ生えてない恥丘があった。

下着を全て脱ぎ、アンダーウェアーとして着ていた薄手のティシャツだけになったいた葉隠の下半身はまる見えになっていた。

 

「こっちはこんなに綺麗なのに」

 

火埜の右手で優しく撫でられるのは、葉隠にとって誰に見せるつもりも見られることもないと思っていた自慢のロングヘアー。

手櫛で労るようにすかれるだけなのに葉隠は何度目か解らない軽イキをさせられていた。

火埜に触れられる、ただそれだけのはずなのに葉隠の脳はそれを快楽と捉えるように作り替えられていた。

 

「あ、あのさ火埜君、今日は」

「ん」

 

何かを促そうと葉隠が口を開くが、その口に火埜の中指を射し込む。

 

「んむぅ、あむ、ちゅう」

 

その中指を何も言われていないのにも関わらず、葉隠は丁寧に味わうように舐め始めた。

その光景を見つめる火埜、その視線を感じ葉隠は知らないうちに股を濡らしていた。

 

「今日はダメ」

「だめぇ?」

 

葉隠が濡らした指で割れ目を弄っているが、その指を入れることはなかった。

そして、葉隠は見てしまった。

火埜の股間に反り立つ年不相応の性剣を。

 

「(あ、“あれ”は無理!!)」

「何となく、何考えてるかわかるけど近いうちに射し込むからね」

 

火埜の顔に浮かぶ笑顔に葉隠の背中に寒気が走るが、それと同時に火埜に支配される感覚に興奮を覚えていた。

そして、その夜裸で抱き合い同じベッドで眠る火埜と葉隠がいた。

葉隠の寝顔は満たされたように美しかった。

その日から、葉隠透は変わった。

誰かに見つけてもらうためにではなく、ただ1人に見ていてもらうために。

今日も葉隠透は女を磨く。




依存系ワンコガール 葉隠 透
忠犬系メス犬に進化した元インビジブルガール。
肉体接触の比率が主人公にガクンと傾いた。
主人公が望むならどんなアブノーマルなプレイにも答える所存。


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Another 2-2

火埜は思う。

 

「うむ、個性因子も安定しているようだな」

「えへへ、そうですか」

 

チラチラこっち向くな、シャツの端を嬉しそうに握るな。

 

「それに体つきも少し変化したな」

「あ、解ります?“人”に見られると思ったら少し肉付きが良くなったんです」

 

握った手を離せ、指を絡めようとするな。

 

透、スティ

「うふふ、わんわん

「?(やはり、姿が見えると言うのは嬉しいことなのだろうな)」

 

名前を呼ばれたからか、黒髪ロングの美少女は途端に大人しく医者と会話を始めるのだった。

 

「「「さぁ、お買い物の時間です!!」」」

「はしゃぐな、一端落ち着け“葉隠家”」

 

透明化の個性が家族全員制御できるようになった葉隠家。

翌日に控えた反省会を前にデパートに今まで必要なかった品々を買いに来ていた。

スキンケア用品と化粧品等と嗜好品である。

 

「まぁまぁまぁまぁ、奥様本当にお肌が素晴らしい!!」

「肌年齢10代ですって!?どこの化粧品をおつかいで?」

「お嬢様も化粧のりが素晴らしいですわ」

 

個性の関係か、肌が非常に綺麗でパッと見では姉妹にしか見えない葉隠母娘コンビは始めての化粧品売場で店員による質問攻めにあっていた。

 

「いやぁ、はははは。火埜君のお陰で妻も娘も嬉しそうだ」

「まさか、透明化の個性の影響でシミシワ肌荒れと無縁の人生を歩んでいらっしゃったなんて」

 

遥か昔から女性の買い物は吟味する時間もあり、男性に比べて長いと言われてきた。

単純に男がそういった体力が無いからなのか、例に漏れず火埜と葉隠父はベンチで休憩していた。

 

「でも、本当に君にはお礼を言わせて欲しい」

「?」

 

ベンチに座る前に買ったコーヒーを片手に淡々と葉隠父が喋り始めた。

 

「娘は僕らの個性を完全に受け継いでね、この世に生まれた時から“透明”だったんだよ。

 だから、僕ら夫婦は昨日まで娘の顔を知らなかったんだ」

 

手にしたコーヒーを一気に飲み干す葉隠父、その姿を火埜は黙ってみていた。

 

「こんな個性だからと正直諦めていたけど、妻も僕も互いの顔を知らなくても一緒になれたし、娘を愛しているのはこの先も変わらない」

 

そう、告げるとまるで姉妹のように化粧品売場ではしゃぐ葉隠母と葉隠を愛おしそうに見つめる葉隠父。

 

「改めて、ありがとう火埜君。娘に“普通”を与えてくれて」

 

娘と同い年の小僧になんの忌避もなく頭を下げる葉隠父。

すると、件の少年から盛大に溜め息が漏れているのに気がついた。

 

「別に、今までだってその“普通”だったじゃないですか」

「え?」

 

もう一度、盛大に溜め息をつくと火埜は遠くを見ながら喋りだした。

 

「葉隠さんは愛嬌がありました。

 皆に好かれてました。

 愛される努力をしていました。

 それは、ご両親がそうあれと教えたからではないんですか?」

 

コーヒーを飲みきったのか、火埜は手の中の紙コップに視線を移しながら淡々と呟いていた。

 

「見えていなかったでしょうけど、そこには確かにご家族の繋がりがありました。

 彼女が人の機微に人一倍敏感で誰とでも分け隔てなく接することが出来るのは、あなた方がご自分の娘が幸せであれと願ってそうあれと願って育てられてきたからではないんですか?

 それって、あなたの言う“普通”の事なんじゃないんですか?」

 

茫然とする葉隠父の手から紙コップを拾うとゴミ箱に一緒に捨てそして、火埜は目を合わせた。

 

「“個性”を含めて、あなた方は“普通”の幸せな家族だと僕は思いますよ?」

 

日も暮れ、春とはいえまだまだ肌寒いそんな時期。

 

「で、なんでいるの透」

「え、だって先生が月曜日までは一緒にいた方がいいって言ってたじゃん」

 

火埜の部屋にはというか火埜の腕には葉隠がくっついていた。

あの後、葉隠父の奢りで夕飯を終え、各々帰宅となった。

しかし、葉隠は上記の理由を盾に火埜宅についてきたのだった。

なお、夕飯時に妻と娘にしこたま飲まされた葉隠父は泥酔状態で帰宅した。

 

「にゅへへへへ、ご主人様暖かいなぁ」

「・・・、風呂行くぞ」

「はぁい」

 

昨晩で慣れたのか、バスルームへと向かう2人。

 

「あい、ご主人様トールちゃんを脱がし「はい、バンザーイ」むぅ(思ってたとのと全然違う)」

 

そこそこ広いバスルームで体を洗い終え、火埜が湯船に浸かる。

その上から当然のように髪を纏め上げた葉隠が浸かる。

 

「ぬはぁぁぁぁぁぁぁ、ご主人様のお風呂広くて気持ちいい」

「にしても、綺麗な肌だな。湯にあてられた肌がうっすらと紅色に染まってまるで和菓子みたいだ」

 

後ろから葉隠の胸の前で腕を交差させ、見事に実った2つの桃を揉みし抱く火埜。

 

「にゃぁん、エッチ」

「うるさい、甘えたがり」

 

浴槽の中、バシャバシャと水音が響くバスルーム。

どちらからともなく顔を近づけ、すっとキスをする。

啄むようなそれは徐々に互いを貪るように激しくなっていき、それに反応するように、火埜の股間は固くなっていく。

 

「はぁはぁはぁはぁ、すごいおおきいね」

「ふぅ、はぁ、洗い場の壁に手をついてお尻こっち向けて」

 

朦朧とする意識の中、葉隠は火埜に促されるまま浴槽の壁に手を着き、お尻をつき出す姿勢になる。

火埜はボディーソープのボトルを手に取ると、ポンプ部分を外し中の液体を葉隠の背中に垂らし始めた。

 

「にゃうぅ、冷たいよぉ」

「もう少し我慢して」

 

ボディーソープが垂れ落ちていき、つき出したお尻を濡らしていく。

ボディーソープで濡れた葉隠の下半身を今度は火埜がその綺麗な肌に塗り込むようにその手で広げていく。

 

「うわぁ、なんかやりなれてるよねぇ」

「気のせいだ」

 

背中のボディーソープでその綺麗な胸を撫で回し、そのまま両手は葉隠のお腹へと回される。

ボディーソープを刷り込むように撫で回されるその部分は葉隠の子宮の位置だった。

 

「(あぅ、優しく撫でないでぇ。おなか(子宮)が勘違いしちゃってるよぉ。卵出そうとしてムズムズするよぉ)」

 

声を出そうともせず、自らの本能に飲まれていく葉隠。

意識が朦朧とする中、本能は自分の身体の使い方を理解しているようで、火埜の固くなった逸物をボディーソープで濡れたお尻で挟み込むようにして身体を上下させ始めた。

 

「なんだ、透の方がエッチじゃん。今自分が何してるか解ってる?」

「わかんない、わかんないよぉ。でもこうした方が良いと思ってぇ」

 

自発的に身体を擦り付け、後ろから抱きつく雄を自分に縛り付けようとする雌の本能なのか、葉隠は理解できなかった。

お腹を撫で回していた右手で葉隠の顔を無理矢理自分に向けさせ、また

貪るようなキスが始まる。

自分のペースで呼吸が出来ず、本格的に頭がクラクラしてきた葉隠の耳にボソリと呟かれる火埜の声。

 

「太股、きゅって絞めて」

 

葉隠は言われるがままに太股を締め付けるようにとじる。

すると、そこに何かが射し込まれる感覚が葉隠を襲った。

朦朧とする意識の中、顔をしたに向けるとそこには、昨晩恐怖すら覚えた火埜の反りたつ逸物が自分の太股の間から顔を覗かせていた。

 

「あ、あのご主人様」

「だいじようぶ、まだ(・・)入れないから。今日は透の綺麗な身体を沢山味合わせてもらうから」

 

そう言うと火埜は腰を前後に振り始めた。

左腕で葉隠の腰をガッチリ掴み、火埜の逸物と葉隠の恥丘が擦れ、右手は葉隠の形良い胸を揉みし抱き、固くなった乳首を苛めていた。

擬似的とはいえ、雄に後ろから犯される感覚。

終始冗談で「ご主人様」と呼んでいた葉隠ではあったが、一突き毎に自身が屈服させられていくのを快楽として感じてしまっていた。

 

「あう、ん。いゃぁだぁ」

「なにが嫌なの?」

 

肩に吸い付かれる度、脳が蕩けていく。

左胸をあそばれる度、心臓が速くなっていく。

お腹を撫でられる度、子宮が屈服していく。

火埜の逸物に擦られる度、身体の準備が整っていく。

 

挿入されていないにも関わらず、葉隠の身体は火埜に孕まされる準備を着実に整えていった。

火埜の動きが速くなるのと葉隠の快感が登り詰めていく感覚がシンクロしていく。

 

「透、汚すよ。お腹の上からでもママ(・・)になっちゃうくらい汚してあげるからね」

「あ、だめ!今それ言っちゃだめ!お腹キュンキュン言ってる!だめなのに、勝手にママになる準備しちゃってる」

 

葉隠の言葉を合図に大量に放出される火埜の精液。

手でお腹を隠そうとした瞬間だったのだろうか、その全てが葉隠の両手を汚していく。

葉隠の身体を支えながら風呂の縁に腰を降ろす火埜。

初めての感覚に息も絶え絶えな葉隠。

火埜は大量の自身の精液を受け止めた葉隠の両手を持つとその手を葉隠の腹部に撫でるように擦り付けていった。

 

「あうぅ、おなかあついよぉ」

 

様々な熱に犯され、夢心地な葉隠。

 

「お疲れ様、ママ」

「あうぁ、またおなかキュンキュン言ってるよぉ。おなかすいたってキュンキュン言ってるよぉパパ(・・)

「それは、またいつか、ね」

 

身体を襲う心地よい倦怠感に身を任せながら、温くなってしまったお湯に浸かる二人。

その手は互いを離さぬように指を絡めていた。



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Another 2-3

ある日。

火埜は自室のソファに座り料理の雑誌を読んでいた。

ダッチオーブンも常備する火埜は自身が底無しに食べれることから自炊生活が普通でレパートリーも多い。

最近では放課後に砂藤と共にお菓子をつくったりしてそちら方面でもレパートリーが増えている。

そんな火埜の膝の上には、ソファに寝転がるようにして身体を横断させてスマホを弄っている葉隠がいた。

“火埜の忠犬(牝犬)”を自称する彼女は、時折朝から火埜の部屋に上がり込み何をするでなく一日中くっついて離れないことが増えていた。

そして、彼女の行動は徐々におかしくなっていった。

 

「(この太股に感じる確かな感触、こいつ()“また”着けてないな)」

 

無意味に火埜の太股の上で胸部を押し付けゴロゴロしている葉隠。

“女”として自覚してから身体がそれに答えるようになり、いくら筋肉を着けようとしても女性特有の柔らかさを無くすことを出来ずにいた。

本人曰く胸と尻も程よく育ったとクラスで話しているのを見たことあるが、定期的に触診していれば解ることだ。

変な癖がついたのか火埜の部屋に遊びに来る時は基本的に下着は上下共に着けずに来るようになった。

そして、さらにその方向はぶっ飛んでいき。

 

「ご主人さまぁ」

 

甘えた声で火埜を呼ぶ葉隠。

火埜の視線が雑誌から下、葉隠の方に向けられる。

そこにはカーディガンのボタンを全て外し、中に着ていたフリルのついたワイシャツもボタンを全て外し、自身の形良い胸とお腹をさらけ出し上向きに寝転がる葉隠の姿があった。

そして、葉隠は火埜の空いている右手を取ると自身のお腹にその手を当て撫で回すような動きをした。

その動きは徐々に火埜の暖かく優しく撫でるそれに変わっていき、次第に葉隠は自身の子宮が火埜を求めていくことに顔を赤らめ目を潤ませることで知らせていった。

以前のお風呂場での一件以降、葉隠は火埜と直に触れあうことが出来なくなっていた。

何故なら、火埜から触れられてしまうと自分の身体か瞬時にスイッチをいれて火埜を迎え入れる準備を終えてしまう、つまり“発情”するようになってしまったのだった。

そんな状況下になったのは単に葉隠が生殺しにあっているからである。

あれから、素股で幾度となく腹部を汚されてきた葉隠だが、その先に行けていない。

一時とち狂って学校の物陰でと以外と死角のある雄英で火埜を襲おうとしたがなぜか全て失敗に終わった。

そして、今日もまた一緒に汗を流すため風呂場へと行ったのだが、気が付くと葉隠は全裸で火埜に後ろから抱きしめられた状態で火埜のベットの上に座らされて居たのであった。

 

「あれぇ?」

 

少し濡れた髪が火埜の顔に当たるのだが、そんなこと気にする素振りすら見せずに火埜は葉隠の首筋に顔を埋め、交差して抱きしめた腕で見事な形の胸を揉みしだき、張りのある尻で自分のモノを挟み込んでしごいていた。

 

「えぇっと?あれ?」

「透」

 

火埜に名前を呼ばれた、それも耳元で囁かれるように名を呼ばれた葉隠の身体は瞬時に発情した。

触れてもいないのにあふれ出る蜜を掬うように後ろから火埜の指が蜜壺を掻き乱す。

クチュクチュとワザと葉隠に聞こえるように音を鳴らして弄ばれる葉隠の身体。

本来であれば嫌悪感を示さねばならないはずの葉隠の身体は喜んで受け入れていた。

抱きしめられたままベッドの上に一緒に寝転がる火埜と葉隠。

不安で向けた顔は貪られるようなキスで閉ざされ。

優しく揉みしだかれる胸は心音に呼応するように乳首を尖らせていく。

愛おしく撫で回される腹部は既に調教された後で火埜の体温を感じただけで排卵準備に取りかかってしまう。

形良い尻は火埜のモノを挟み込みながら微妙に揺れ葉隠の脳に火埜のモノをありありと映し出す。

体中で火埜を感じさせられている間も口内を嬲られ、酸素を求めてより深く口を開くため更に嬲られていく。

葉隠透の脳はこの時既に火埜翔織に支配されていた。

 

「ぷぁ」

 

体勢を変えられ、火埜に押し倒される形になった葉隠はやっと火埜から解放され酸素を求め思い切り息を吸ってしまった。

口だけでなく鼻からも吸った空気には火埜が発している“女を滾らせる香り”が混じっていたのか脳と膣に尋常じゃない快楽による痺れが葉隠を襲った。

 

「さぁ、透“ママ”になる練習でもしようか」

 

そう言い放つ火埜には同世代の男子が放ってはならない淫らな香りがしていた。

葉隠の両腕を交差させるとお腹の上で右手で拘束する火埜。

それを手綱のようにして葉隠の膣へと自身のモノを押し入れていく。

すると半ばで何かに引っかかったように火埜が止まった。

 

「そうか、透はまだ残ってるんだっけ」

「だって、だって私の放課後訓練は基礎体力向上が目的だからそんなに暴れ回ることないから」

 

そんな会話の中でも火埜は葉隠の処女膜を自身のモノで撫でるように腰を動かしている。

今からコレを破くよ、とでも言いたそうに優しくゆっくりとした動きで。

それだけの動きで葉隠は腰に甘い痺れを感じる。

顔が蕩けてきたのを見計らい、火埜は思い切り腰を打ち付けた。

ブチッと何かが破れる音がした。しかし、その音は聞こえるはずのない音だ。

音を体感すると言えば良いのだろうか、葉隠は痛みよりも身体を駆け巡る制御できない痺れから逃れるために火埜に全身を絡みつかせ、火埜も今度は小鳥が餌を啄むように葉隠の体中にキスの雨を降らしていく。

しばらくの間、動けなかった葉隠は自身でも気付かぬうちに腰を動かしていた。

そして思い出す。

主人はどちらかと言うことを。

 

「まだ、痛いでしょ?」

 

葉隠がふと見上げるとあの日、自分を見つけてくれた瞳が自分を見ていてくれた。

それを自覚したとき、フワッと身体から痛みが消えていくのを感じた。

 

「もう、大丈夫だよ。だから」

 

私が上に、と言おうとした口を再び火埜の口が塞ぐ。

今度は優しく、ただ口を塞ぐだけのキス。

 

「透、好きだよ」

 

そっと口を離され、微笑みの中に紡がれる言葉。

葉隠が気が付くと、拘束され両腕は両腕は自由になっており繋がったまま抱き起こされる。

そうすると葉隠の軽い体重でもその自重で火埜のモノが身体の奥へと突き刺さる。

痛みと快楽が同時に押し寄せ思わず火埜に抱きつく葉隠。

“怖い”。

一体何に対してなのか、何がなのか本人も定かでないが多種多様な恐怖が感情の濁流となって葉隠を襲う。

すると、背中を撫でられ頭をポンポンと叩く感覚を感じた。

 

「大丈夫、大丈夫だから」

 

顔を見合わせ、再びキスをする。

そのキスで身体の力が抜けたのかベッドに背中から倒れる葉隠。

互いに手をつかみ合うとそれを起点に腰を動かし始める火埜。

どうにも“馴れている”感じが否めないがそんなこと今更気にするような乙女はもう卒業したと思っている葉隠。

ゆっくりと徐々に早くなる腰の動きに互いの息を荒くしていくが、ある瞬間から腰の動きが緩くなりそして徐々に早くなりを繰り返していく火埜。

 

「ごしゅじんさまぁ」

 

快楽の激流が葉隠に押し寄せ、自分では制御が出来なくなってきてしまったのか葉隠は蕩けきった思考と顔を火埜に向ける。

 

「透は可愛いから他の誰かに持ってかれないように、徹底的に躾けておいてあげる」

 

その台詞に葉隠の膣内はキュッと締まる。

目の前に居るのは自分の主人であると身体と脳に教え込むように膣が痙攣し始める。

繰り返される快楽の波、葉隠からしたら数時間じらされているように錯覚しそうなそれは僅か数分の出来事だった。

そして、火埜の動きが徐々に速くなっていく。

その動きはつい先ほどまで無理矢理遅くなっていた間隔も通り越して葉隠と共に上り詰めようとする動きだった。

 

「んちゅ、んみゅしゅきぃ。ごしゅじんさま、しゅきぃ」

 

既に体力の限界を迎えてしがみ付くこともかなわない葉隠は火埜に押しつぶされるように打ち付けられ魂に刻まれる快楽に為す術無く受け入れるしかなかった。

 

「好きだよ、透」

 

その言葉と葉隠の中に火埜の性が放たれるのと、葉隠がその熱を感じて意識を飛ばしたのは同時だった。

翌日、ヒーロー学の訓練を葉隠は体調不慮を理由に見学となった。

ただ、休み時間の度にどこかにいなくなり、授業前に現れる時にはなんとも言いがたい女性的な笑みを浮かべて戻ってくる。

それは、葉隠が1人に慣れる場所でひっそりと喜んでいること。

腹部だけを透明化させて、自分の中に自分以外の熱を再確認しているからであることに気付いたモノは少ない。



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Another 3

今回の被害者、まだ直接接触はしてないけど許してください。
新年早々、お前は何を書いているんだ。


「しかし、三奈ちゃんが雄英生になれるなんて去年の今頃まで想像してなかったよ」

 

地元の高校に通っている同級生の言葉からわかる通り、芦戸三奈は"まあまあアホの子"として認知されていた。

難関校である雄英高校、いくら実技試験に重きを置いていても学科の成績も振るわないことには試験は落第だったであろう。

しかし、芦戸は持ち前の根性と運の良さにより学科試験を切り抜けたのであった。

 

「ひどいなぁ、言うほどアタシ頭悪くないもん」

「そうだけどさぁ、授業中に居眠りして先生に怒られてるんじゃないの」

「ヴェ」

 

つい先日、エクトプラズムが担当する授業で眠りかけ少し厳しめに怒られていたこともあり、苦い顔をしてごまかす芦戸。

同級生たちも何となく察したのか、話題を変更させ互いの現況報告に移っていった。

 

「あ、見てあの人カッコ良くない?」

 

カフェを後にしショッピングモール内を歩いていると音楽ショップに近付いた際に、同級生が目ざとく見つけた。

そこには店の前のワゴンに並んだレコードを選んでいる同い年と思われる少年がいた。

長く伸びた銀髪を軽く後ろで括り、梅雨に近付いた季節に合わせたような七分丈のジャケット。

所々から覗くアクセサリーも嫌味がなく、綺麗にまとめられていた。

顔にかけたメガネが理知的に少年を彩り、男の子から男性にかわる瞬間の独特の色気を放っているようであった。

 

「火埜、お待たせぇ」

「いやぁ~買った買った」

「別に待ってないが、しかし瀬呂はともかく峰田に音楽ショップに付き合わせられるとは意外だ」

「お前、おいらの事どう思ってるんだよ!!」

「1から10まで言われたいか?」

「ゴメンナサイ」

 

音楽ショップからヒョッコリと出て来たのはクラス内精神年齢が高い瀬呂と煩悩と色欲のかたまりの峰田。

そして、自分たちが注目していた少年はつい最近、様々な意味で気になり始めていた火埜であった。

 

「んっ?あれ芦戸じゃねぇか」

「ホントだ、買い物かな?」

「おぉ、周りの女子レベル高!!」

「「峰田STAY!!」」

 

そんな3人が芦戸達に向かって歩いてきた。

 

「ちょちょちょちょっと三奈、知り合い?(小声)」

「今のクラスメート?銀髪の方、良いねぇ(小声)」

「元クラスメートでしょ、お願い紹介して(小声)」

 

そんな少女達の言葉は芦戸の耳には届くことはなかった。

教室では席が離れていることもあり、あまり見ないメガネ姿の火埜。

芦戸の目はその姿をとらえて離さなかった。

芦戸の目が、耳が、鼻が、火埜の存在を逃さず捉えていると頭に最近馴れた感触が彼女に覚醒を促した。

 

「や、芦戸も買い物?」

 

至近距離で芦戸の頭を撫でる火埜の姿がそこにはあった。

 

「あ、ぅ、うん」

 

自分でも自覚できるほどに顔が熱い芦戸は下を向いたまま返事をするので精一杯だった。

体格(キャラデザ)の関係で下から覗き込む形になってしまった峰田が血の涙を流している事を無視して。

その後の事はよく覚えていないが、そこから一緒にショップを巡り、峰田がカッコつけて色々やらかしたのを火埜がフォローして、瀬呂が女子を気遣って、それで火埜と瀬呂の株が上がり峰田の株が下がりを繰り返し、最寄りの駅にて解散となった。

帰り際に火埜に頭を撫でられ、それを嬉しそうに享受していた芦戸に友達が生暖かい笑みを浮かべてみていたこと、解散する時に応援すると言ってくれたことから芦戸は自分がやらかしたことを察した。

家に帰りついた後も、気が付くと火埜に撫でられた頭に今まで感じたことのない“熱”の様な何かを感じ、夕飯時にもにへらと笑顔になってしまった芦戸。

そんな彼女を見て何かを察したのか終始ニマニマしていた母とそんな女性陣を不思議そうに見ている父親がいた。

芦戸家は全員が風呂好きということもあり、バスルームは一見ものである。

広々と洗える洗い場に足を延ばせる浴槽、シャワーヘッドも各々お気に入りの物を使用するほどである。

そんな芦戸家は必然的に長風呂であり、今日はたまたまボーッと考え事をしていた娘が最後になったのである。

 

「あ、三奈ちょっと」

「何?お母さん?」

 

浴槽へと向かう娘に母親が手渡したのはテカテカした液体の入った瓶である。

 

「コレ、今あたしが使てるアロマオイルなんだけど、間違って2本買っちゃって、もしよかったらあんたも使う?」

「え!!良いの?前使おうとしたら怒られたのに?」

 

そう言うと母親から渡された瓶を大事そうに抱え込む芦戸。

その姿に母親も笑みを深める。

 

「三奈も高校生だからもう良いかなっと思ったんだけど、要らないならあたしが使っちゃうけど」

「ありがとお母さん、早速使うね」

 

そう言うと風呂場へと消えていく芦戸。

母はそんな娘の後姿を慈愛の籠った眼差しで見ていた。

 

「・・・・・・・・、眠れん」

 

お風呂でさっぱりした芦戸は身体の熱りを覚ますことなくベッドに入った。

スマホを弄りながらいつもなら眠くなるはずの時間になっても身体の奥が熱を持ち、身体が熱り眠れずにいた。

ころころごろごろと寝返りをうってもさっぱり眠気はやってこない。

スマホの時計を暗がりの中で目を細めてみると十二時になろうかというところであった。

 

「(眠れないし、それになんか身体が熱い気がする)」

 

下腹の辺り、具体的に言うと膣腔から子宮にかけてがキュンキュンと夜鳴きして、身体と頭が悶々ともどかしい感じがしていた。

眠れないことでついたため息は、熱く湿り、寝返りの度に肌の上を滑るパジャマの生地がむずがゆく寝る時はブラをしないためにパジャマに直接乳首が当たり、そこから痺れる様な感覚が全身に広まっていく。

 

「(どうしちゃったんだろう)、んっ」

 

普段はそれが痛かったりするのだが、何故か今はとても気持ち良く感じられた。

 

「(私感じてるの?)」

 

さすがにこうなると初心な芦戸も、何故か自分が性的に興奮していることがわかった。

派手な見た目に反してとても初心で乙女な芦戸。

嘗ての同級生からにオナニーを教えて貰ってから、ちょくちょくはしているのだ。そのため、女の子でも無性にオナニーしたくなる日があることも知っていた。

今、芦戸の身体は熱く火照り乳首が勃起し、陰部の奥が刺激を求めている。

気が付くとパジャマのボタンはいくつか外され左手が乳首を撫でまわし、右手はお腹を滑りながら下腹部へ移動していた。

頭とは別に体は既にオナニーをする為に、動き始めていた。

気が付くと、芦戸の指は一本だけだったが、膣の中に入ってしまっていた。

普段はただ弄るだけで良かったはずなのに、今日はいっこうに収まる気配がなかった。

その時不意に今日会った火埜の顔がフラッシュバックされた。

何時ものように自分を気遣うような顔、でもいつもと違いメガネをしていて普段あまり見ることのない理知的な雰囲気を匂わす火埜。

そんな火埜に撫でられた頭に左手を置く。

すると、頭から温かい熱が全身に伝わり、火埜に抱きしめられたあの日の感覚が甦ってきた。

気が付くと普段よりスムーズに、より深く指が膣の中にうずもれていく。

気持ち良い、とにかく気持ち良いと思考の一切が埋め尽くされていく。

愛液にまみれた指を深く受け入れる度に腰が打ち震えた。

普段は奥に入り過ぎることが怖いと中途半端な場所を弄っているが、今はそんな恐怖さえなく、芦戸は自身の感じる一番気持ちいいところを探していたのだった。

ただただ気持ち良くなりたい、その一心で。

 

「あっぐ、いっあ、いぐ、うぅ。ぁっ!!」

 

来たと、その絶頂が来たと芦戸は腰を跳ねあげグッと奥歯をかみしめた。

 

「んぐぅ、んぅッ!!ひぅ!!」

 

絶頂の悦びの声を抑えることも出来ず、体全体が悦びに打ち震えていた。

既に指は根本近くまで膣の中に埋もれており、膣が自分の指を吸い付いて離さないでいるのがわかった。

その行動が、好いた男からの全てを搾り取る為にと気づいてしまい、芦戸はまた絶頂する。

 

「ぁっ、くぅん!!」

 

芦戸の中で真っ白な大きな波が過ぎ去り、小さな波が幾度となく打ち寄せるように身体が小さく痙攣し続ける。

 

「(はひゅぅ、イッちゃった。今までで、一番気持ち良かったぁ、でも)」

 

脱力し枕に涎をたらし、頭が真っ白になり視界までぼやけるなか、それでもまだ体の熱は収まろうとはしてくれなかった。

普段は一度イケば収まるのに、入ったままの指をまだ膣壁がちゅうちゅうと何かに甘えるように吸い付いてきた。もっと欲しい、まだ欲しいと体が快楽を求め続けている。

既に芦戸は何故だろうとは、もう考えなかった。

左手でスマホをとり操作して、目的の写真を見つけ出した。

そこには、放課後訓練で流した汗を着ているジャージの上着で拭う火埜の姿が映し出されていた。

 

「ぁぅ、翔織、とーりぃ。私結構、大きいよ。大きな胸の娘は嫌い?」

 

芦戸は気付いていないがパジャマの上着はボタンが全て外れており、自身が言った通り、絶賛育っている最中の胸を自分で揉みしだき、スマホに映る火埜へと熱く漏れる吐息と共に語り掛ける。

彼女の想像の中ではどのように答えられたのだろうか、その答えられた言葉に顔を赤らめ、膣の中に入ったままの指をくにくに動かす。

 

「わ、私も翔織が好き、私が一番翔織のことが好きなの」

 

昨年の自分が今の自分を見たらなんと言うだろうか、それほどまでに芦戸は変わった。

その後、彼女の記憶のなかで3回ぐらいイッた後には気絶して朝になっていた。

母親の声に目を覚まし、時計を確認すると完全に遅刻な時間であった。

急いで制服に着替え、母の手作り弁当を鞄に仕舞うと猛ダッシュで学校へと向かう芦戸。

 

「あ、おはよう芦戸」

 

全力で飛び乗った電車内で息を整えていると、不意に聞きなれた声を捕らえた。

 

「あっ」

 

そこには、昨晩大変お世話になってしまった火埜が向かい合う形で立っていたのだった。

 

「お、おおおおおおおおはよう」

「え、何どした?大丈夫?」

 

あまりのことで口が回らずどもってしまう芦戸。

そして、意識してしまうとどうしても気になってしまう。

 

「あのさぁ、本当にどうしたのさ。何さねこの微妙な距離は」

「いや、ちょっと」

 

背負っていたリュックを抱えるようにし前に抱きかかえ、少しでも火埜との距離を取ろうとする芦戸。

 

「(あぁぁぁぁぁぁぁぁ、最悪!!あたし今絶対に汗臭いよ)」

 

全力で走ってきたからか、汗は拭ったが匂いが気になり絶妙に距離を開ける芦戸。

そんな彼女を知ってか知らずか、再び悲劇が襲う。

次の駅に到着した電車、本日に限って大人数が乗り込んできたことで必然的に芦戸は開けたはずの距離を詰められ、火埜に抱き着く形になってしまった。

 

「うぐぅぅぅぅ、ごめんな火埜」

「本当にどうしたよ、具合悪いんか」

 

何とも言えない羞恥心に襲われて思考回路が暴走したのか思わず芦戸の口から思考が漏れてしまった。

 

「あたし全力で走ってきたから汗臭いだろ?」

 

顔を真っ赤にし、羞恥心に悶える芦戸の耳には予想に反する答えが聞こえてきた。

 

「え、そうか?花のような香りがして気にならなかったけど」

 

芦戸三奈。

恋に恋する初心な乙女はこうして射抜かれ堕ちていったのだった。

 




爆発健康美 芦戸三奈

全体的に肉厚、かつ動ける系美少女。
ヒロコスもヤオモモというアホの子がいるから目立ってないけどそこそこスゴイと思っている。
こんな子が奥さんになるなら幸せだろうな。
火埜君シリーズではおバカ系ではなくアホの子として扱われる。


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Another 3-2

よっしゃ、書いたぞ書いちまったぞ。
てか本編より字数多いなお前。


ふわふわとする思考の中、芦戸は目の前にある頭を撫でることを止められなかった。

自分の胸に吸い付き、時に転がし。

それは幼い子供が母親に甘えるようであって、捕食者にむしゃぶられる非捕食者のようであって。

それでも、目の前に来る男の頭を愛おしく撫でることを止められなかった。

背中に回されていた以外と男している手は、気が付くと自分の肉付きの良い尻を厭らしくそして愛おしく撫で回していた。

そんな芦戸はお風呂で温まり、ベッドの上で昂ぶらされた頭で今回の経緯を思い出していた。

 

「うげぇ、さいあく」

 

職場体験を目前に控えた休日、新作のよう服を見に1人で出かけていた芦戸はずぶ濡れになりながら高架下で雨宿りをしていた。

お目当ての新作も買えたし、偶々入った喫茶店のケーキは美味しかったしと気分はサイコーという状況で突然の大雨。

戦利品こそ濡れていないが服は、というか全身ビショビショで気分は駄々下がりだった。

そんな高架下に別の人間が走り込んできた。

 

「んだよ、天気予報って意外と当たるんだな」

 

芦戸が目を向けるとそこには最近、自分にとっての悩みの種というか妄想の材料というか大事なおかずというか大好きな同級生が雨を服で拭っている姿があった。

 

「あ、火埜」

「うん?なんだ芦戸も雨宿りか」

 

不機嫌そうにしていた顔が一瞬で笑顔になった男。

火埜翔織は普段掛けていない眼鏡を掛け直しながら芦戸へと向き直った。

 

「お互い、災難だな。こういう時は天気予報が当たるもんだし」

「そ、そだねぇ」

 

雨に濡れて服が張り付く火埜は普段からは想像できないほどに色っぽく感じた。

そして、そういった対象で見ていることに気が付かれないようにチラ見している自分はこんなにスケベだったかと自問自答しながら、それでも芦戸は見ていた。

織ってまくり上げた白いワイシャツと下に着ている無地の黒いティーシャツ。

その2つが雨に濡れて男にしては細いと思っていた以外と筋肉質な身体に張り付き上半身の形がはっきりと解ってしまう。

そして、濡れた頭から零れ落ちる滴を鬱陶しそうに拭う仕草ですら色気を感じさせ芦戸は心臓の鼓動が同級生の個性のように大音量で相手に聞こえている気がした。

 

「しかし、芦戸はそれ拙いな」

「え、拙いって?」

「自覚なしかよ。よく今まで無事だったな」

 

そんな火埜の声に意識を浮上させられ当人に言われていることに疑問符を浮かべる芦戸。

芦戸の私服は可愛さと動きやすさを重視したかのようなガーリーファッションが多い。

必然的に肌の露出も増えるし季節的に布が薄くなるわけで。

 

「(エッッッッッッッロ。無自覚かよ)はぁ」

「え!?な、なんでため息つかれてるの私」

 

ただでさえメリハリきいた体つきをしてるのに雨で濡れ布が身体に張り付き、薄い布地で下着が若干透けて見えている。

こういったところに無自覚というか無頓着というか芦戸という存在は良くも悪くも女の子なのであった。

 

「雨止まないな」

「だねぇ、クシュ」

 

なんとなく互いに空を見上げてなんとなく会話していた。

そんな中、芦戸の可愛らしいクシャミが響く。

 

「あぁ、仕方ないか。芦戸もう少し走れる?」

「え、なんで」

 

脈絡もない会話、不思議そうに火埜の顔を見上げる芦戸。

 

「うち、近いから寄って暖まってけ」

「ふふぇ?」

 

チャプンと湯船に張ったお湯に蛇口から滴が落ちた音が浴室内に響く。

家主に先に入れとタオルと家主のジャージを押しつけられ湯船にゆっくりとつかる芦戸。

 

「ふぇぇぇぇ、気持ち良いぃぃぃぃぃぃぃぃ」

 

元々お風呂大好きな芦戸は適度に暖まれる状態の湯船に全身を浸していた。

暖まり落ち着きを取り戻すと色々な場所に目が行くようで、ふとボディーソープの置かれている棚に目が止まった。

それが、きっと本日の火埜の運命を決めたのであろう。

 

「お風呂ごちそうさま」

「うぃ、ほれホットミルク」

 

火埜は基本的にゆったりとした服を好む。

そのため、部屋着のジャージは3サイズデカいのを買っている。

つまり自分でもデカいのに自分よりも小柄な芦戸が着ると上着だけでワンピースのような格好になってしまうわけで、そのままでも問題と思ったのか芦戸はズボンを履かずに出てきた。

そして、幸せそうにホットミルクを冷ましているところだった。

 

「そういえば、この前女子の間で使ってるボディソープの話になってね」

 

唐突に脈絡もない話が始まったと思っていた火埜、だから気が付けなかった。

芦戸の瞳に暗い光が灯っていることに。

 

「耳郎と葉隠が同じメーカーのボディーソープ使っててさ」

「普通じゃない、かぶることぐらい」

「まぁ聴きなよ。それが結構お高いメーカーのこれまた結構お高いボディソープでさ」

「ふーん」

「個人特定用にボディーソープにQRコードが描かれてるんだよね利用者以外には解らないような描かれ方しているんだけど」

「そうなんだ」

「で、なんで2人の“専用”のが浴室にあるのかな?」

「!?(やべ、しまい忘れた)」

 

耳郎と葉隠と関係を持ってしまってから何となく2人が持ち込んだモノをそれぞれ分けて仕舞っていた火埜。

そのボディーソープは偶々風呂掃除をしていて外に出してしまったモノで、火埜には珍しく片付けるのをど忘れしてしまったモノだった。

 

「あれだよ、あれ」

「どれだよ!!」

 

ソファに深く腰掛けていた火埜、言い訳を考えようと頭をフル回転させていたその時、自分の腰に人一人分の重さを感じた。

目を前に向けるとジャージのチャックを僅かに下げて潤んだ瞳でこちらを見つめる芦戸が跨がっていた。

そして、葉隠の経験から気が付いてしまった。

芦戸は下着を着けずにジャージだけ着ていると。

 

「悔しいな、私も火埜のこと好きだって気が付いたのに」

「あ、芦戸さん少し落ち着こう」

「落ち着いてるよ、だから言い逃れできないような状況を作ろうとしてるんじゃん」

 

ジャージのジッパーを少しずつ下げていく芦戸。

火埜の予想通り下着は着けておらず、健康的な肉体が徐々に露わになっていく。

 

「さぁ、説明して」

「あい、マム」

 

静寂が支配する部屋、しかしその部屋でかすかに水音がする。

 

「ん、んう」

「こら、逃げるな」

 

そこには覚悟を決めて全て話した結果、服を全て溶かされた火埜が全裸になって襲いかかってきたはずの芦戸を逆にやり込めている姿があった。

前世今世併せて経験値が違う火埜、特に覚悟決めたし可愛い子といたせるならと別の覚悟も決め込んだモノだから初心(ウブ)な芦戸をやり込めるのに時間はそう必要なかった。

ただ啄む様なキスが一転、芦戸は自分の口内に異物が這いずってきたことで顔を下げようとした。

しかし、気が付いたら自分の頭を押さえられ逆に自分が逃げ場を失ったいた。

芦戸の口の中に入ってきたのは火埜の舌であり、気が付くと自分の舌を絡め取られ逆に火埜の口に引きずり込まれていた。

何度となく逃げようとするがその都度、舌を吸い付かれ頭を優しく拘束され、寧ろ角度を変えて口腔内を蹂躙される始末であった。

 

「ん、はぁ」

「おっと、終わりじゃないよ」

 

酸素をやっと取り込んだ頭が未だに朦朧とする意識の中、芦戸は敏感になった皮膚の上を舌が這いずり回る感覚を覚えた。

 

「芦戸って動けるからちゃんと筋肉の上に脂肪が乗ってるって感じかな?スゴイ“美味しい”よ」

 

その言葉が意味することを理解する前にここ最近の自己トレーニングで敏感になった乳首が甘噛みされる感覚で達しそうになる芦戸。

 

「ちょっ、待って」

「待たない、自分で始めたんだから覚悟決めて」

 

右側を舌と歯で嬲られいつも以上に固くさせられ、左側は慣れた手つきで撫で回されそちらも痛くなるほどに固くなっていた。

その様はまるで赤ん坊が母親に甘えるようでありながら、雄が雌を蹂躙する厭らしさを持っていた。

 

「あぁ、もうそんな一生懸命に。ひ、と、トーリ美味しい?」

「うん、甘くてお菓子みたいに美味しい」

 

少し子供っぽい声で囁かれた言葉。

その言葉を全て聞き終えるよりも早く、芦戸は両目をつぶり天を仰いだ。

自分で始めたこととはいえ、ここまでやられ返されている現状。

その上で、自分は何を聞いてしまっているのだろうかという迷走思考。

羞恥心が上手く働かず快楽が天元突破してしまい意識が混濁してしまっている。

芦戸は思考しようとする自身の全てが億劫であった。

思考の全てを現状に向けたため、触覚と聴覚が余計に鋭敏となり、しゃぶりつかれている感触と音が鮮明に感じられる。

火埜の唇、舌の動きから口の中の蠢き前歯の甘噛みに至るまで、全てが乳房、その先端から把握させられてしまっていた。

 

「(あぁ、ダメだ。翔織の何もかもが可愛くて愛おしい)」

 

一人の女の子として、それ以上に雌として捉えられ、性的に求められ、好きな相手から与えられる極上の快楽が嫌いな女の子はいないと芦戸はいま断言できる。

そして、その行動以上に自分という一匹の雌を覚え様として弄られ、雌として自分を雄が求めてくる様は、快楽と同じくらい自尊心が満たされていた。

獣の様に貪られたい。

しかし、自分の全てを髪の毛の一本に至るまで目の前の雄に与えたくなる。

芦戸は初めての行為で雌として満たされる快楽と、母性が満ちる充実感を同時に味わっていた。

何分、もしかしたら何時間。

逆に何秒という時間がたったのか時間の流れすら把握できなくなるくらい互いに求め合った。

芦戸の胸は常に火埜に嬲られ、空いた火埜の手は背中に回され、肉付きの良い尻を撫で回すようになった。

芦戸も股にあたる火埜の陰部を自らの陰部に擦りつける様に腰をくねらせていた。

そんな時だった。

 

「あぅん」

 

一段と艶めかしい声が響いた。

それは、偶然であった。

腰を前後に振っていた芦戸は気が付けば尻で火埜の陰部を挟み込むようなかなりマニアックな態勢になっていた。

そして、火埜の陰部の先端が丁度芦戸の穴の位置に少し刺さったのだった。

 

「・・・・・、三奈さんよう」

「あう、だって気持ちよかったんだもん」

 

膜持ちの処女(おとめ)な芦戸最大の秘密、それは既に自分でアナル開発が済んでいたことであった。

自家発電をするようになりやり方をネットで探すようになった芦戸。

そんなある日、彼女を衝撃の出会いが襲った。

 

「え!?お、お尻の穴でセックス?」

 

そこにはアナルセックスの準備とそのやり方が丁寧に書かれていた。

性的興味が勝っていた当時、芦戸は禁断の扉をあっさりと開けてしまったのだった。

元々素質があったのか、2週間と経たずに芦戸のお尻は茄子を飲み込むまでに成長してしまったのだった。

 

「まぁ、今日は準備してないからダメだね」

「え、準備してれば良いの」

 

火埜の漏らした言葉に目を光らせる芦戸。

お互い、興味はあった。

火埜の場合、頼めばやらせてくれそうだけどまだノーマルプレイでいいかなと思っていた。

芦戸の場合、相手が居なかった。

しかし、今ココに相手が見つかったのであった。

 

「また、後日ね」

「うんうん、あたしがちゃんと準備してあげる」

 

だから、と呟いた火埜は芦戸の胸を口で嬲りながら互いの陰部を擦りつける。

徐々に速くしながら。

 

「あう、んくとーりぃ」

「今日は、まだこっちで。ね」

 

そして、芦戸が達してしまったすぐ後、芦戸の陰部に少し自身の陰部を差し込み膣の入り口で果てたのであった。

芦戸は初めて、自分以外の暖かさを感じ2度目の本イキをしてしまったのであった。

 



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Another 3-3

ベッドの上、男が女の腕を掴み女はその体を貫く快楽で感電しているように体を痙攣させていた。

火埜と芦戸は今日初めてのSEXに及んでいた。

朝、覚悟を決め“全ての”準備を終えた芦戸が火埜の部屋を訪れた。

 

「いらっしゃい」

 

朝だからか、若干気怠げな火埜。

髪も整えて折らず、寝癖がついた頭で出迎えられてムードも何もないと不満を持った芦戸だったが玄関戸が空き自分の腕を掴まれ玄関へと迎入れられたと同時に貪られるようなキスで黙らされた。

 

「あぅ、む、ちょ、いき、できな」

「可愛いよ“三奈”」

 

名前で呼ばれた。

たったそれだけの筈なのに子宮が甘く痺れる感覚を芦戸は受けた。

その感覚は直ぐに全身へと伝播していき、脳に達する頃には芦戸は目の前の男に貪られることしか頭になかった。

思考に靄がかかったような、それでいて心地良い疲労感が体を包む。

馴れて手つきで脱がされていく服。

 

「ふぅ~ん、結構なお手前で」

 

意味深に笑い、脈絡のない言葉が紡がれる。

芦戸は本日かなり攻めた紫の下着を着けていた。

誰がどう見ても“それ”を目的ににした下着としての機能を一切無視したその下着はするりと脱がされ、芦戸は俗に言うお姫様抱っこの状態にされお風呂場へと連れて行かれてしまった。

全身を隈無く洗われ、当然膣内もアナルも丁寧に洗われ、マッサージされ何度となくイカされた芦戸は気が付くとベッドの上に寝かされていた。

 

「感じやすい体質なのかな?部屋が完全防音で良かった」

 

幾度となく絶頂を迎えその度に獣のような声を上げ気をやる芦戸。

ぐったりと体をベッドの上に投げ出し、膣からテラテラと透明な蜜が流れ出る。

多少意識の戻った芦戸はデリケートな膣内粘膜に熱い接触を感じた。

その次の瞬間、狭い膣口が火埜のペニスの先端、その形に押し広げられる。

愛液の潤滑油に、一気に膣奥まで突き刺さる青年とは思えない凶悪なペニス。

その荒々しい拡張感にビクビクと芦戸はベッドの上で弓なりに仰け反った。

 

「おぐぅぅぅぅぅ、ふかいぃぃぃぃぃぃ」

「スゴいな、初めてなのに全部飲み込んじゃってるよ」

 

結合は前戯に潤んでいた芦戸の膣内。

子宮口まで深く到達し、刀と鞘のようにぴったりと噛みあった2人の性器はたちまちにえもいわれぬ甘い充実感と多幸感をお互いに与えていた。

 

「おっ、おっ、おっ、おっ、おっ」

「うっ、ぐっ、ふっ。良いよ、スゴイ気持ちいいよ三奈」

 

仔犬の洩らす様な喘ぎを続ける芦戸に、火埜の荒い息遣いが重なる。

ベッドの上、互いの火照った吐息が満たしていく。

名前で呼ばれる度に思考が快楽に犯されていく。

 

「あっ」

 

歳不相応に育った乳房を火埜は腰を大きく揺さぶりながら交互にしゃぶり、口の中に吸い上げた桃色の突起を前回と同様に舐め回し味わう。

甘噛みを受けてぷくと勃ち上がった乳首に、芦戸の開花した瑞々しい裸体に、淫らな反応に、火埜のペニスを邪に張り切らせた。

幼い肉にうずめたペニスが膨張を増し、それに合わせるように無意識にゆっくりと芦戸の腰もうねり始める。

 

「翔織、とーりぃ、あ、あたし、もう」

 

芦戸の唇から漏れる言葉、その言葉の続きを黙らすように再び口を蹂躙するようなキスが芦戸を襲う。

火埜の唾液が芦戸の口いっぱいに広がっていく、その味は思考を塗りつぶされ脳裏を焼き尽くす媚薬のようであった。

目元が艶っぽく朱に染まり、瞳は潤んでいった。

もっともっと、と芦戸の本能が舌を長く伸ばし火埜の口内に侵入してくる。

初めての事に驚く火埜であったが、夢中になっている芦戸は火埜の頭に抱きつくと火埜の唾液を飲み干す勢いで口内に侵入してきた。

 

「三奈」

「とぉりぃ」

 

互いの味がするキスは濃厚に舌を絡ませあうもので、息苦しげにもらす鼻息が、甘ったるく続く。

まだ日のある時間、男の寝室で素直に寧ろ貪欲になって、その快楽を求める芦戸。

たっぷりと唾を飲ませ唇を開放すると、自分を見失うほどに陶然としてしまった芦戸は力なくベッドに首を横たえ、何をされても嬉しそうに啼くばかりとなっていた。

 

「とぉりぃ、“ここ”。“ここ”がとおりがほしいってないてるの」

 

あどけなさの残る顔をくしゃくしゃに歪めて、自らの下腹部を撫でる芦戸。

 

「・・・・、今日は大丈夫なんだよね」

「だいじょうぶ、だいじょうぶだから!!はやく、はやくちょうだい!!」

 

とびきりの嬌声が上がった。

火埜の同年代から見ても細く綺麗な手が、健康的に肉の付いた芦戸の両脚を肩に担いぎ、角度を調節して再度深く挿入し直したのだ。

 

「おおぉぉぉぉぉぉぉ!!それ!!それぇぇぇ!!」

「すっご、締め付けがヤバい」

 

背中が浮き上がるほどに腰を折り曲げ、深い結合を果たした芦戸の膣は、本能のままに臼を回すにも似た腰使いにダラダラと蜜を垂れ流し、肉の悦びに咽び鳴く。

 

「ひゅぅぅぅぅぅ!」

 

突如として持ち上げられた腰、股間から逆向きにお腹へと垂れ流れた淫液を少女は自身の肌を通して下腹部へと塗り込んでいく。

 

「とおり、とおり!もう、もう!!」

「あぁ、一緒にいこうな」

 

その言葉に芦戸の膣は芦戸を置き去りにしたかのように別の生き物のようにウネウネと動き始めた。

それは子孫を残そうとする雌の本能。

それと同時に目の前の雄に貪られたいという被虐的な思考。

 

「イケよ、三奈」

「あぅぐ、くるぅ、なにかくる」

火埜の背中に爪を立ててしがみ付き、自分が飛んでいきそうな感覚に耐える芦戸であったが、自分の中、その深奥に自分以外の熱を感じるのと同時に頭が弾け飛ぶような感覚と共に意識を手放したのだった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

「ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ」

 

甘い疲労感が二人を襲う。

どちらかと言えば肉体派な芦戸は“2人”に比べて体力を消費させられたが、火埜はまだまだその瞳に獣欲を宿したままだった。

 

「うぅん!?」

 

くちゅり、という音をたてて芦戸は自身のアナルに異物が浅く入ってきたことに驚きを露にした。

 

「あ、あの翔織さん?」

「まだ、終わらないよ三奈」

 

すると、芦戸のアナルに2本の指がゆっくりと侵入してきた。

くちゅくちゅと音をわざとたててほじくりかえされるのは本来排泄する場所であり何かを入れる場所ではなかった。

だが、火埜にほじくりかえされる度に芦戸は意味不明な痺れを全身に駆け巡らせていた。

 

「おっ、おっ、おっ、おっ(な、何これ。自分でやるよりも気持ちいい)」

 

腸液をタラタラと垂れ流し、ぱっくりと空いた“穴”。

ふぅ、吐息を吹き掛けられた芦戸は今まで以上の痺れが脳まで昇ってきたことを感じてしまった。

 

「ふふふ、本当に楽しみだったんだね。スゴく綺麗だよ」

「いやぁ、見ないでぇ」

 

この先、誰にも見せることはなかった筈の場所。

ぱっくりと空いたまさに穴。

息を吹き掛けられ、淵をなぞられ、この度に芦戸の脳は理解しがたい痺れを憶えていた。

 

「かっ、はぁ」

 

思考も穴も弛んだその時、突如として今まで以上の異物感が芦戸を襲う。

 

「はぁ、ふぅ、はぁ、ふぅ、はぁ、ふぅ」

「うっはぁ、すげぇなにこれ」

 

それは火埜も体感したことの無い挿入感。

芦戸は今までに味わったことのない異物感に頭が混乱していた。

異物に体内から貫かれる不快感と同時に今までに味わったことのない快感に襲われていた。

「じゅぽじゅぽ」と穴を抉る音とともに「ぱちんぱちん」と肉をぶつけ合う音が室内に響く。

 

「と、とおり」

「ごめん三奈、止まらない」

 

火埜は気付かないうちにゴリゴリと腸越しに子宮を刺激していた。

初めての刺激に芦戸は混乱の極みにいた。

膣とは違う外に押しだそうとする締め付け。

抉られ、それでいて排泄行為に似た奇妙な快感。

いつしか2人はこの快楽の虜になっていた。

 

「三奈、いくよ。出すよ」

「だして、早く出して翔織」

 

そして、大量に放出される精液。

数分とも思える時間が終わり、勢い良く引き抜かれたアナルからはボタボタと大量の精液が漏れだしていた。

 

「あぁ、やばい」

「うぅ、まずい」

「「クセになりそう」」



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Another 4

やっとこさ彼女の出番だよ。


拝啓、あの世でバカップル継続して居るであろう今世の両親様。

お二人が亡くなられてから時が経ち、息子も立派に大人になりました。

女の子も何人か手を出していますが、これは予想外です。

 

「あら?ひーちゃん私以外の事を考えてはダメですわよ」

 

あの世の両親に思いを向けるほどに現実逃避している火埜に対して蠱惑的な笑みを浮かべる八百万。

火埜は何故かキングサイズを軽く超える成人男性が5人は平気で寝られそうなベッドに寝かされ、その股ぐらの上に童貞を殺すセーターを着た八百万が跨がっているのであった。

何故、こうなったのか。

八百万に招かれる形で数年振りに訪れた八百万家。

ショタトーリ時代を知っている方々は穏やかな笑みで出迎えてくれるし、執事長と女中長にいたっては

 

「「若様、若様、わかさま」」

 

と猫可愛がりしてくる始末。

そして、大広間に案内された火埜はものすごい勢いで男女に抱きつかれた。

 

とーりくーん(我が義息子)

とーりちゃーん(私の小鳥ちゃん)

 

目元が娘そっくりな男性、鍛え上げられた肉体はビジネスマンという印象より闘える漢という印象を与える八百万家家長「八百万(やおよろず)九十九(つくも)」。

タレ目な所以外は娘にそっくり、否!!

娘を越える形と美しさを誇る胸部装甲を持った傍目に見ても20代にしか見えない女性「八百万(やおよろず)百花(ももか)」。

そんな二人から高速頬スリスリでお出迎えされていた。

気のせいかスリスリされ過ぎて煙が見えるのだが。

そこからずーっと2人に抱きつかれ、引っ付かれ続けてさしもの火埜も疲れを見せ始めたときだった。

 

「お父様、お母様、少し休憩いたしましょう。ほら、ひーちゃんはこちらですわ」

 

そう言って颯爽と火埜の手を取り移動していく八百万。

そんな娘の姿を見ながらGJハンドサインをする夫婦とそのサインに答えるようにGJハンドサインを返す娘。

疲れきっているせいか火埜は気が付けずにいた。

八百万の瞳に宿る肉欲獣の気配を。

 

そして事態は冒頭に帰るのだった。

 

「あのぉ、なぜオレはこんな状態に?」

 

部屋につくなり淹れてもらった紅茶を飲んでから意識がはっきりしない火埜。

 

「あら、これでも頑張りましたのよ“無味無臭”の筋弛緩剤と睡眠薬を創造するの」

「いや、それ犯罪」

「それに、こうなってしまったのも全部貴方が悪いんですのよ」

 

八百万は語り始める。

始まり、それは火埜によって開花した少女達が原因であった。

ある日の放課後、図書室の一角。

完全な死角であるこの場所は見つけた生徒達によって快適なサボりスペースとして受け継がれていたようで布団と毛布があった。

その死角を覗ける位置にあった本棚に用事があった八百万はそこで衝撃の光景を目の当たりにしてしまった。

 

「うんむ、んんんん」

「あむぅ、んちゅ」

 

布団に押し倒され少女にのし掛かられて動けない少年。

本棚の隙間に日が射すとその二人の姿が露になっていく。

 

「ぷぁ、ちょっとマズイから落ち着きな“響香”」

「無理、それにナニ良い子ぶってんのさココ(・・)こんなにしちゃってさぁ」

 

両腕を拘束され押し倒され身動きが取れない火埜。

そんな火埜を自身の個性の象徴である“イヤホンジャック”で両腕を縛り上げブラウスの前ボタンを上から4つ外した普段からは見せない“女”を感じさせる耳郎。

よくよく見ると、彼女の近くには女性ものと思わしき紐紐しい下着が落ちていた。

 

「いや、流石に学校では拙いでしょ!?相澤先生だって見回りに来るんだよ」

「大丈夫っ!!壊理ちゃんにお願いして書類仕事は寮でやって貰うようにしてるから」

「あの親馬鹿、本当にもう何考えてるの」

 

ギャグ空間が展開され雰囲気をぶち壊そうとしている火埜であったが、そんなことは当の耳郎にはお見通しのようで。

 

「もう、“みんな”協力してくれてるんだから覚悟決めなよ」

「あぁ、最近“みんな”仲いいなと思ったらこういうことか」

「ちなみにミッドナイト先生は味方だよ」

「オレの知り合いに味方がいない」

「だ・か・ら、覚悟決めなダーリン」

 

そこからは八百万が本の中でしか知らなかったことが行われることになるが、最終的に耳郎がダウンして負けを認めてるのに火埜に攻め続けられ腰が抜けてしまい、背負われて学校を出て行くという全てを八百万は見ていた。

また、別の日。

新たに取り入れたサポートアイテムに関して確認しにサポート科のラボに向かう途中。

 

「ほら、ダーリンこっちですよ」

「・・・・、もうなれたよ」

 

嬉しそうに火埜の手を引いて最近作られた個人ラボに連れ込もうとしている発目を目撃した八百万。

興味本位で尾行してラボに併設された倉庫が少し空いていたので中を覗いてみた。

 

「にゅふふ、ダーリン良い匂いです」

「“みんな”そう言うけど、今日体育後だから汗臭くない?」

「まったく、寧ろ私はもう辛抱たまりません!!ほら、触ってみてください」

 

発目に促され、というか握られた火埜の手は発目の下着の中、ぐちょ濡れの膣に触れていた。

 

「私、驚きました。まさか私が“ダーリン限定の匂いフェチ”だったなんて。抱きついた瞬間もう濡れました」

「明さんや、乙女は恥じらいを持ってこそ可愛らしいと思うのですが?」

「??なぜダーリン相手に取り繕わなければならないのですか?」

「本当に、なんで“こう”なっちゃったかな?」

「初っぱなでダーリンが虐めすぎたのが原因です」

 

その言葉を最後に火埜と発目は言葉を交わす事は無くなり、お互いの身体を抱きしめあい立ちながら愛し合うという高難易度のプレイを行い始めた。

結局その後、発目がダウンして負けを認めてるのに火埜に攻め続けられ腰が抜けてしまい、背負われて学校を出て行くという全てを八百万は見ていた。

なお、八百万が握りしめていた壁にヒビが入っていたことは誰も知らない事であった。

また別の日には葉隠と校内の雑木林の葉の中で隠れて。

また別の日には芦戸と放課後自主トレ日に訓練場の建物の死角で。

更に別の日には屋上の貯水塔の上という死角で麗日と。

ある休日には皆で出かけたプールで波動と。

八百万は気が付けば火埜が自分以外の女と交わる現場を目撃し続けたのであった。

 

「というわけで、“みなさま”にご相談させていただきまして、本日ひーちゃんを美味しくいただくことにいたしましたの」

「・・・・・、オレに拒否権は?」

「あら、私同年代の中では大変美味しく実っていると自負しておりますし、なによりひーちゃんは乗り気でしょう?」

 

そう言うと八百万は臀部で火埜の一部を擦り上げるように腰を動かし始める。

ユルい服が好きな火埜、そのせいか身体は正直にそそり立ってしまった。

 

「それに、もう薬は分解してしまったでしょう?」

「まぁ、責任は取るけどさ」

 

火埜は力で押すタイプでなくテクニックで制圧するタイプである。

ということは。

 

「あら?」

 

気が付くと上下が逆転し押し倒されている八百万。

顔には慈愛と肉欲の混在した笑みを貼り付け、右手で八百万の歳不相応に育った胸を優しく撫で回す火埜が目の前に居た。

 

「どうなっても知らないぞ」

 

あれからどれほど時間が流れただろうか。

 

「あ、あのひーちゃん」

「黙れ“百”。まだ許したわけじゃないぞ」

 

固く尖った乳首は飴玉を舐め回すように火埜の口内で舌で歯で弄ばれ神経が快楽に研ぎ澄まされていき。

柔らかく大きな乳は風船を弄ぶように、それでいて宝物を扱うように丁寧に絆され。

八百万の子宮の真上に位置するお腹は火埜の高まった体温で丁寧に愛撫され。

不可略とされる尻穴に指を差し込まれ、自身で感じたことすらない快楽を押しつけられ。

洪水の如く愛液を垂れ流す膣は指を入れられもどかしく動かされるだけ。

それだけの筈なのに八百万は幾度となく絶頂の手前まで押し上げられ、その都度絶頂を迎える僅かな手前で辞められるを繰り返していた。

 

「も、もうおゆるしくださいまし。わたくしがわるかったですかりゃ」

「何が悪かったのか本当に解っているのかな百?ただ許して欲しくて、愛して欲しくて、逝かせて欲しくて言っている訳じゃないだろ?」

 

今まで見ること無かった、それこそ他の少女達と交わっている時でさえ見せることなかった加虐的な笑みを浮かべる火埜に八百万は謝ることしか出来ずにいた。

その度に、絶頂の寸前で辞められてしまい、また別の箇所を虐められを繰り返し繰り返し続けるある種の快楽地獄で八百万の脳は正常な判断を放棄していた。

 

「“みんな”大切なんだ。百も大切だからこんな形でなんて嫌だったのに。百がそう望むなら“そう”してあげるよ」

 

嘗て見た子供特有の愛らしい笑みでもなく、普段見せる温かな笑みでもなく、敵対者に見せる根本的な恐怖を喚起させる笑みでもなく。

初めて八百万は捕食される快楽を捕食者の笑みを向けられ続けていた。

 

「ご、ごめんなさい」

 

それに気が付くと自然と八百万の口から言葉が漏れていく。

 

「ひとりよがりでおそってごめんなさい、かってにいそいでごめんなさい、あなたをうたがってごめんなさい、だから。だから」

 

気が付くと八百万の瞳から涙がこぼれ落ちていた。

その涙を火埜は舌で嘗め取ると次の言葉を言わすものかとキスをしてその唇を塞ぎ、その舌を自身の舌で絡め取り八百万から言葉も奪い取ってしまった。

長く、永く身体も心も思考も陵辱されあと一歩のところで留まらされ続けた八百万は限界だった。

 

「おねがいです、い、いかせてください“あなたさま”」

 

その言葉を合図にしてか今まで八百万が受けてきた全ての愛撫が再び開始される。

徐々に高まっていく快楽の波に飲まれつつ、次もまた今まで通りと思っていた八百万の耳に甘く蕩ける言葉が聞こえる。

 

「ほら、逝きなよ百」

 

身体中の性感帯から八百万の脳をめがけて高電圧の電流を流されたような快楽が強制的に流れ込んでくる。

今まで無理矢理押しとどめられていた快楽も一緒に流されてきたように感じるそれは八百万の意識を一瞬で刈り取るには十分であった。

 

「・・・・あら、ここは」

「備え付けのバスルームがあるとか本当にどうなのよ百?」

 

八百万が気が付くと自身の部屋に最近備え付けたバスルームの人一人がゆったり浸かれるバスタブに火埜に抱きしめられながら浸かっていた。

そうなると必然的に二人は裸なので。

 

「“みんな”から聞いてるなら、“これ”は次の機会までお預けだよ」

 

そう言うと火埜は湯船に浸かりながら八百万へと腰を打ち付けた。

それは八百万の太股の間、膣の入り口を抉るようにそそり立っていた。

 

「はい、あなたさま」

 

八百万百。

今日初めて好きな男に全てを奪われる快楽を知ってしまった少女は湯船に溜まったお湯の温かさと好きになった男の心音を聞きながらまた眠りに就いてしまった。

次の機会を楽しみにしながら。




純正天然系お嬢様 八百万百
歳不相応の肉体に無垢な魂を受け入れた天然お嬢様。
本文にあるとおりタイトルナンバーよりも後、具体的には一番最後に食べられた。
あと少し実行に移すのが遅かったら病んでいた。
“みんな”の中では数少ない両親を味方に付けている存在。


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Another 5

皆、エッチで可愛らしくて綺麗な年上のお姉さんは好きですか?


怏々にして男と言う生き物は母性に弱いと断言していい。

フェチズムの関係があるため断言してこなかったが今ここに断言して構わない、と本気でバカ考えている。

色欲魔人峰田は勿論のこと、自身の幼馴染みに恋い焦がれる男子諸君は見事に実った果実に目が行くのを何回も見てるし、彼女持ちも大小の忌避なく皆が思わず揉んでしまうらしい。

つまり何が言いたいかと言うと。

 

「あん、トーリったらあまりいたずらしちゃダメよぉ」

「信乃ねぇのおっぱいおいしい」

 

母性高めの巨乳なお姉さんって最高ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

 

時は遡り火埜翔織中学三年生の冬。

 

「はい、お鍋出来たわよぉ」

「やっふぅ、信乃ねぇの手料理久し振りぃ」

 

合格通知を受け取り、だらだらと生活していた火埜の怠け具合を心配したイワさんが知り合いに連絡しまくった結果、火埜の幼少期から知っている者達の壮絶なお世話の取り合いが行われた。

そして、本日はワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ全員が来るはずであったが。

 

「柔の姐さんは解るよ、旦那が合わせて休み取るぐらいにはまだラブラブなんだし」

「うふふふ、そういってあの子に今日私達が休日になる事伝えたの翔織でしょ」

 

信乃特製つみれ鍋(一つ目)を目の前にしてひょいひょいと平らげていく火埜。

見慣れていたはずの光景に送崎は懐かしさを覚えていた。

 

「知ねぇも、何やかんやまさかあの人と付き合ってたのが今バレるのってどうなんよ」

「それは、ほら。気を遣ったんじゃないの」

「それが原因で精神状態崩した流ねぇやが大酒呑んでダウンって。なんか年々酷くなってない流ねぇや?」

「あははははは、なんか焦っちゃってるのよ適齢期的なアレで」

「家事全般得意だし、美人で気も効くし、お酒の飲み方を変えるかそれでもいいよって人じゃないともう無理じゃない。おかわり」

「ん~、それは流子には内緒ね。と言うかもう食べきったの!?相変わらず何処に消えてるのよ!!」

「まぁまぁ。ほい、信乃ねぇも一献」

「熱燗なんていつの間に。それじゃ、お言葉に甘えてっと。・・・・・・くぁ~、染みるわぁ」

 

そこからは2人で楽しくおしゃべりしながら食事は進んでいった。

 

「らいたいねぇ、あたしだって(ヒック)。けっこんしようとおもえばれきるんりゃからねぇ」

「なんでこうなったし?」

 

つい数分前までは、互いに楽しんでご飯を食べ送崎は熱燗を傾け、雄英というか高校生活に向けての有りがたい話を聞いて、なんとなしにテレビを着けた時だった。

 

 

『緊急特番!!なぜ結婚できない女性ヒーロー!!』

「(おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!)」

 

思わず内心でツコッミを入れてしまった火埜。

あまりにもタイムリーな内容で思わずという感じであった。

 

「にゃはははははは、いいじゃんいいじゃん。とーりろくがしてりゅうこにみせたげようよ」

「(こっちはこっちで出来上がってるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!)」

 

久方ぶりに見たマジ酔いモードの送崎に内心驚きつつ、遂面白そうで録画し始めた火埜も火埜だが。

番組にはコメンテーターとして様々な業種の見識者が出ていたが、とある人物の発言が送崎の導火線に火を付けたようだ。

 

『まず、えぇこれが日本の結婚平均年齢推移グラフになります』

『個性婚も含まれてしまっていますが、個性黎明期に比べて格段に落ちているのが解りますね』

 

フリップを出したのは全国に何カ所も結婚相談所を設けている会社の社長であった。

 

『そしてこちらがヒーロー全体の男・女・無性の結婚年齢データになります』

『こうしてみますと、異性婚のデータだけ見ますと男性ヒーローがキャリアを積むにつれて成婚率が上がっているのに対して、女性ヒーローはキャリアを積むのにつれて成婚率が下がっていますね』

『男性側が活躍している女性ヒーローに尻込みしていると思われていましたが、昨今ではプッシキャッツの虎さんのようにキャリアを積んでも成婚されている方もおりますからなんともいえませんね』

『てか、他3人は結婚しないのか出来ないのかはっきりして欲しいっすよね』

 

その時、結婚相談所社長の発言に反応した芸人の言葉がテレビから流れた瞬間、机にダンッという音と共に火埜邸に隠してあったイワさん取って置きの大吟醸の一升瓶が置かれた。

 

「えっと、信乃ねぇ?」

 

火埜の言葉に反応することなく、キュポっと指で蓋を外す送崎。

そして、そのまま一升瓶を口にくわえ、風呂上がりの瓶牛乳よろしく腰に手を当て一気に飲み干してしまったのだった。

 

「あらららら(これ、クッソ高いんだけどなぁ)」

できるもん

「ん?」

 

立った体勢のまま、下を向いてブツブツと何か呟き始める送崎。

 

「できるもん」

「ん?信乃ねぇどしたの?」

 

プルプルと震えキッとテレビを睨み付ける送崎。

指をテレビに向かって指すと顔を上げ睨み付ける。

 

あたしだってけっこんできるもん!!

「えぇぇぇぇぇぇぇ(そこかぁぁぁぁぁぁぁぁ)」

 

そして、数分後。

 

「ふじゃけんじゃにゃいわよ、けっこんしようとおもえばれきるんりゃからねぇ」

「あ、そうですか」

「あいてなんかすぐにみつりゃれりゅうだかれにぇ」

「えっと」

 

解りやすく酒乱状態に陥ってしまった送崎。

気が付くと、大人用にストックしておいたアルコール類は全て空になっており、送崎は空の一升瓶を片手に火埜を胸元に抱きしめながら狂乱していた。

 

「はぁ(しっかし、信乃ねぇのオッパイ良い気持ち。ん?まさかこの人)」

「そうおみょうでしょ?とーりだっておとこのこだみょん。あたしののーぶらおっぱいきもちいでしょ」

「(やっぱりかぁぁぁぁぁぁ、ごちそうさまです!!)」

 

アルコールの力はスゴイ、ということかダイブ酔って気が大きくなっている送崎はここでまた更にスゴイ行動に出た。

 

「あぁん、もう暑い!!脱ぐ」

 

そう言うと送崎はニットセーターだけでなく、下に着ていたロンTも脱ぎ去り上半身は完全に裸になっていた。

 

「あぁ、涼しい」

「(あぁ、お酒様有り難うございます!!)」

 

火埜の眼前には綺麗に整った撓わな胸がさらけ出されており、アルコールによるのか気も大きくなった送崎はそのまま火埜にヘッドロックをかけてきた。

 

「睡の影響もあるでしょうけど、トーリは美乳派とか言ってるけどしっかり大きい方が好きだもんねぇ」

「否定はしない」

 

火埜は今頃、婚約者に甘えているであろう姉的存在を思い浮かべたのだが突如、頬を潰されて送崎と顔を合わせられてしまった。

 

「トーリ覚えてるかにゃあ?あんた、アタシが30までに結婚できなかったら貰ってくれるっていってたんだよぉ」

 

そう言うと今度は顔ごと胸元に抱きしめて髪に頬擦りを始める送崎。

 

「あぁ、うん覚えてる」

「うれしかったなぁ、キャマバッカで修行した女性ヒーローは大概にトーリのこと好きになっちゃうんだもんねぇ」

「(ご褒美、あざっす)」

 

その後もなすがままにされている火埜であったが、その時彼の目に飛び込んできたモノに驚嘆した。

 

「うわぁ、エッロ」

「んにゅ、どしたの?」

 

アルコールによる作用か、肌は薄桃色に染まり、乳首は立っており、それは美味しそうに送崎の胸は火埜を誘うように主張していた。

 

「うん、いただきます」

「ん?よくわからにゃいけど召し上がれ」

 

ちう、と音をたてて甘噛みされ送崎は急激に意識を覚醒させた。

 

「(あれ、あたしもしかしてやらかした?)」

「信乃ねぇのおっぱい美味しいよ」

 

口に含まれながら喋られて微妙な刺激が送崎の脳を蕩けさせる。

 

「(あれ、これって淫行罪に引っかかるんじゃ)トーリちょっとまって」

「信乃ねぇは頑張りすぎだよ」

 

そう言うと送崎の胸に顔を埋めて感触と味を堪能していた火埜が顔を上げる。

 

「別に良いじゃん、信乃ねぇが30ってことはオレ18だよ」

「ん?そうよね」

「それまで1人でいてくれないとオレが困るよ」

 

上目遣いで甘えるように見上げられ女性を司る全ての部分が甘え鳴きし始めるのを実感した送崎。

 

「ふふふ、それなら期待せずに待ってるわ」

「あ、アルコール抜けてきたみたいだね」

 

そう言うと、火埜は突然立ち上がり座り込んでいる送崎の膝裏に腕を差し込み、肩腕を首の裏に回させる。

いわゆるお姫様抱っこの状態になる。

 

「あれ?」

「きょうは一緒に寝よ。久しぶりに甘えさせてよ“信乃”」

 

態とあねと言う呼称を外し名前だけを呼ぶ火埜。

 

「あ(私、ヤバいかも)」

「【愛してるよ、信乃】」

 

思考と言語が完全に一致した火埜の顔。

そこには弟扱いしていた少年はいなくなり、青年期に差し掛かろうとする男の色気を醸し出す雄がいた。

そう言うとセミダブルのベットに卸されパンツ1枚を残して全てを剥かれ、本当にそのまま2人は眠りについた。

 

「(あぁ、やっちゃったぁ。何してるのよ私!!)」

 

数ヶ月後、プッシーキャッツ事務所にてヒロコスに着替えず事務作業に勤しむ4人の姿があった。

 

「信乃、この間頼んでた資料出来た?」

「え!?ちょっとまって。って、きゃあ」

 

ここ数ヶ月、真面目な送崎には珍しく簡単なミスが目立つようになった。

たいした事故に繋がるわけでなく、直ぐにリカバリーできる事務作業だけであり、メンバーもそこまで心配していなかった。

 

「本当に大丈夫?具合悪いの?」

「信乃にしては事務作業でのミスが目立つな。我も気をつけてはいるが風邪か?」

「本当に大丈夫だから心配しないで(言えない)」

 

送崎はこの数ヶ月、事務仕事の折にふとよぎるあの晩の男としての火埜の顔を思い浮かべてしまう。

 

「はぁ(一回り年下の男の子を異性として意識してしまって仕事にならないなんて言えないわよ)」

 

彼女の苦悩をよそに一本の電話が事務所に掛かってくる。

 

「あ、あちしが出る」

 

偶々近くにいた知床が代表して電話に出る。

 

「はぁ」

「ちょっと、柔。信乃ったら本当に大丈夫なの?」

「うぬ、我も知らぬがここ最近、事務仕事で上の空になることが増えたように思うが」

「皆、ちゅうもーーーーーーーーく!!」

 

電話を終えた知床が大きな声で3人の注意を引く。

 

「今、根津校長から連絡があって今年の雄英1年生の林間学校の場所にウチを使いたいって」

「へ」

 

送崎信乃、弟みたいなモノだったはずの男の子と起きるこれからを彼女はまだ知らずにいた。



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