国立PG学園  (hitosi)
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新入学編
期待と異なる入学式


初めまして。ニコ動で動画アップした人がこっちで小説書いている人につられてここの会員登録して初めて小説をアップしました。
この話はpixivの方に提出した小説を改編したものをUPしています。



プロローグ

 

NGC(ネクスト・ジェネレーション・センチュリー)220年。

宇宙開発が進み人類は地球外に進出し各惑星に国家間や派閥間で散り散りになり生活を始めて200年以上経過した。

 

外の世界で栄華を極めた惑星もあれば、星間戦争で滅びた惑星国家もあるが、地球外に進出した人類全体で見ればまだ平和とも言える状況だった。

 

この状態であっても地球にのこり、そこで生まれ育ち、死んで地に帰る生活を行っている。

地球から火星間にあるメテオベルトにある鉱物小惑星からの掘削物と他惑星からの商談や外交で滅ぶ道は免れており、それだけでなく地球独自の技術がここのみで作られていて、汎用性の高いパワード・ギャリー正式にはPowered Worker Gary(パワード・ワーカー・ギャリー)で、通称PGと呼ばれる地球独自の技術で開発、量産されたロボットである。

 

パワード・ギャリーは、もともと作業用に開発されて、軍用や警察用と幅広く活用されているが、つい最近までは地球にあるJAXSION(ジャクシオン)社の独占的な技術で量産されていたが地球外の企業ARCT(アレクト)社が旧世代のパワード・ギャリーを解析しそれにより地球以外の惑星からパワード・ギャリーが誕生したが、操縦技術や整備技術まで向上した訳ではなく、地球以外の惑星国家はそれを向上させるためには地球にある唯一の操縦訓練を目的とした国立PG学園にパイロットやメカマンのエリート育成のために地球に送るしかなかった。

 

これはパワード・ギャリーに青春を捧げる若者達の物語である。

 

 

 

 

 

 

???:「――ちゃん!!起きろ。」「お兄ちゃん―――――。」

 

誰かが俺を揺さぶっているのは体感的に判るがまだ起きられない。

 

「まだ眠い。あと15分・・・・zzzzz」

 

???:「だぁぁぁ!!のんきな事言ってないで起きろ、馬鹿兄貴ぃぃぃ。」

 

罵声と共に俺はベッドから床に転がされてその傷みから目が覚めた。

 

「ふぁぁ、まだ眠いのに相変わらず粗暴な起こし方だな、サヨコ。」

 

サヨコ:「しっかりしてよね、お兄ちゃん。今日からPG学園に入学なんだから。」

 

「判っているって、着替えるからさっさと部屋を出てくれない?それとも一緒に着替える?」

 

軽い冗談を言ったら我が妹サヨコが顔を真っ赤にしてスカートがめくれ顔面めがけてのハイキックが飛んできたと同時に、乙女の三角形が見えた。もちろんそれは予想済みだったので左手でガードした。

 

「お、白か。」

 

サヨコ:「なに妹のパンツ見ていやがる、この馬鹿兄貴ぃ。」

 

今度は腹パンチが来たがほぼ零距離だったので不可避だった。

 

「ぐふっ」と悶絶し、両膝を付いた後サヨコは怒りが収まらない状態で俺の部屋から出て行った。

殴られたお腹をさすりながらすっと立ち上がりPG学園の制服に身を包んだあとリビングに向かい、そこで家事をしている父さんエイタ・ゴトウがいた。

 

「父さんおはよう。あれ、母さんは?」

 

エイタ:「おはよう、マサキ。母さんは惑星ドルフィードに大規模な商談があるって昨日の未明に出て行ったよ。」

 

ここでうちの家族構成と職を語っていこう。

母はリリアン・ゴトウ、惑星バーシスト出身で、バーシスト星人といっても地球から旅立った地球人が始祖の一族だが惑星環境のためか一族全てが黒髪赤眼である。地球にあるJAXSION社の外宇宙部門の営業部部長である。

父はエイタ・ゴトウ生粋の地球人で、元々軍でパワード・ギャリーの操縦教官をしており、当初は共働きだったが俺の姉ミヤコが生まれたのを機に父は教官を辞めて主夫になった。その姉ミヤコ・ゴトウも今では官民のどちらかのPG教官をしているのである。

妹は俺より2つ離れているサヨコ・ゴトウでまだ中2である。性格は姉妹揃って粗暴だが女性らしい振る舞いの出来る二人だが、妹はとある理由から少しばかり男性が苦手になり、父と兄である俺以外の男性とはあまり喋らないし俺や父さんと一緒に出歩いている時に、男性に声かけられると俺達を楯に隠れてしまうのが玉に瑕。

 

俺事、マサキ・ゴトウは、先に述べた地球人の父とバーシスト星人の母を持つハーフで、左目は地球にあるヒノモト諸島に良くある茶眼だが右目はバーシスト人特有の赤眼のため虹彩異色であるが、地球人とバーシスト人のハーフでは必ずオッドアイの症状が出るため至って普通である。

そのため姉と妹も左右が異なるが同じ虹彩異色である。

俺自身PGには興味はあったがあくまでPGの整備であり、俺の目指すのはパイロット科ではないのに何故が思い通りにならなかった。

願書も整備科を申請したのに何故かパイロット科で申請されていた。父母はPGに関わるならどこでもいいといって整備科を薦めてくれたがこれをしたのは恐らく姉だ。

あの人は俺に天性の操縦技術があると思い込んでいるが俺自身はそう思ってない、父だって天才肌ではなく地道な努力があってこそ太陽系統括連合軍のエースとして君臨していた時期があったのだ。

 

 

食事を終えて学園までの道のりをホバーバイクで向かおうとしたら同じくホバーバイクにまたがってきた友人フェイ・リンシーが近づいて来た。

フェイは小学生の時からの幼馴染みと言うより腐れ縁に等しいなかだが昔から俺の事をおっさんぽいマサキ君だからまっさんと呼んでいる。身体的な特徴をあげると身長は俺より低い165cmぐらいで生粋の華系人地球人ある。

俺がPG整備科を目指す切っ掛けをくれた女の子だ。彼女もPG学園の制服を着ており、俺とフェイの制服で男女別の部分を除いたら整備科所属を示すピンバッチを胸元に付けている。

整備科のピンバッチはメタリックブラックをベースに銀色で塗装されたスパナとメガネレンチが施されている。それに対してパイロット科は同じメタリックブラックに赤に塗装された操縦桿とフットペダルを簡略したデザインが施されている。

 

フェイ:「GOOD Morning まっさん、良い朝ね。」

 

「良い朝かどうか不明だが、まっさんは辞めろって、言っているだろ?」

 

フェイ:「そうかなぁ、マサキくんだからまっさんでいいと思うな。あ、それはそれでお互いPG学園に、科は異なるけど入れて良かったよ。」

 

「フェイ、そうかもしれねーが、せめてマサ君って呼んでくれよ。俺はまっさんなんて呼ばれる年じゃね-し。」

 

フェイ:「うんいいよ。まっさんがそう呼んでって言ったから、じゃあ今日からマサ君ね。」

 

「お、おう」と短く反応する事しか出来なかった。

 

俺たちはその後なんの変哲もない会話をしながらPG学園の門をくぐった。

 

国立PG学園

そこは地球人だけでなく各地のテラフォーミングした惑星や、本当の意味での異星人もPGの技術を学ぶために学びに来る発展途上惑星の技術者や王族、豪族などがここに集いているのである。

作業着やパイロットスーツは指定された物と学園指定の制服はあるが、私服登校が可能である。

そして最大の特徴がパイロット科のメンバーにのみ一人一機パワード・ギャリーを与えられるのである。1年生の時はPGJX-01 RAIUN(雷雲)とPGAX-01 SERC RIDE (サークレイド)のどちらかを選択出来るのである。

 

俺は不本意だがパイロットとしてRAIUN の方を選んだ。ちなみに整備科は10人で一班のチームで1台のパワード・ギャリー与えられてそれを分解整備や工学的の基礎をたたき込んで一人前の整備士を育成するためのプロ集団が揃っている。

パイロットは操縦や軽度の整備、基礎は重点的に教えてもらう学園である。

 

入学式が始まり学園長から入学の挨拶とこの学園の注意事項が述べられクラス割が決まった張り紙の所に案内された。

 

ここの学園のクラスは1~5組までの一クラス40人体勢で1学年200人は集まるが2年生だと脱落者が多かった為180人前後まで減っているがそれだけ厳しいのである。

 

クラス分けの乗ったエアスクリーンに自分の名前を探していると担任教師のなかに俺の姉ミヤコ・ゴトウが、割り振られたクラス1-3の担任をしているのを見た。

 

俺は心の中で(あの馬鹿姉貴が、俺をはめやがったな。)と思い進路工作したのを確信したのである。

入学初日はクラスメンバーの挨拶のみで終わったが基礎や工学、歴史等は明日からみっちりたたき込まれるのである。パワー-ド・ギャリーは1週間ほどで配布されるのでそれまではシミュレーター訓練が基本になる。

 

1-3はクラスの中での人数は男子21名、女子19名となっている、自己紹介の段階で気になった奴を男女不問で上げていこう。

 

まず、となりの女子は俺と同じタイプの虹彩異色で地球人とバーシスト人のハーフのカナエ・ヒノムラでセミロングのお団子頭でアクティブ系。

少し離れた席にとても地球生まれとは思えないぐらい肌が白く背中まである金髪でロール巻きの髪型で緑眼の美人でエルフ耳、名前はシルヴィア・テルーノと言って交流のある異星人ベルアット星人だ。

さらに、こちらはテラフォーミングした惑星の出身で惑星ベナスの第1王位継承者のお姫様で、名前はユナ・フェルボート・ベナスだ。特徴をあげると腰辺りまである青髪のストレートヘアで金眼なのは彼女の惑星環境で髪の色素が青くなる無害の粒子が充満しているからである。彼女曰く(王位につきたるもの、文武に長けて品位のあるものこそ王位に就ける。)をモットーとしてこの地球にPGのパイロットになるために数人の従者を連れて来星したのである。

この紹介した3人はPGのライダーセンスはかなりの高水準で整備を目指している俺には関係ないが、俺の親や経緯を調べれば判るけどあえて喧嘩を買いたいとは、思わない。

 

こうして俺は本来整備科に入学したかったのにパイロット科に不本意な入学初日を終了した。

 



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純心と慢心

翌日からPG学園では基礎工学とシミュレーターの授業が始まります。


  

 次の日から俺は普通に通学し授業では、一般教育のほかに、PGに関係した工学やシュミレートトレーニングなどとPG関連の授業が目白押しなのである。例えばメーンエンジンとなるパーシストドライブは中心にある人工鉱物、パーシストジェイルはマイクロボルト程度の電圧を与えると半永久的に高出力の電力を作る事が出来るだけでなく、このエネルギーを荷粒子砲として使う事も可能となった。

 パワード・ギャリーは基本工業用として設計・開発されたが、平均全長6.22m、平均重量7.08tと割と低く軽く設計されている。

 それだけなくオプショナルスロットがかなり設けており、FCS、マルチセンサー、ポータルモーター、アクチュエーターを交換したりすることでレース用や格闘用、建設用、海洋開発、宇宙開発、軍用と用途に応じた汎用性が高いマルチフォームロボットであり第3世代以降はオプションでフライトユニットを装備して空戦や空輸も対応できるようになった。

 

「よろしいですか。ランドスピーダはリニアホイールシステムを採用して高速走行が可能で、ブースターやスラスターを使わずとも300km/h まで加速が可能です。このシステムは第2世代以降から標準装備で二足歩行式だけでなく多脚式のPGでも採用されて多脚式の大半はオプションで取り付ける事が出来ます。」

 初回の授業はPGの開発経緯や基礎的なシャシやフレームの事に重点を置いた授業となった。ちなみに今教鞭に立っているのは内の馬鹿姉貴でなく副担任のアキナ・コバヤシ先生で彼女も地球人ではあるが、黒に近い赤髪のウルフカットでアクティブ系に見えるがPGのこと以外はおっとりしている女性で、胸も大きいが体型不相応のダボダボのカーディガンを着ておりその下はスタンダードなスカートスーツである。

 

 授業も終わり休憩中に近くの男子センイチ・シノミヤが話しかけてきた。このセンイチ・シノミヤは身体的な特徴をあげると、身長は俺と同じぐらいの170後半で凛とした顔立ちで肩ぐらいまである黒髪を1つにまとめている。

 

「センイチ・シノミヤと申す、PGの操縦士候補生同士仲良くしようではないか?」

 

 一見武士っぽい風体だったがしゃべり方も武士や侍そのものだった。

 

「マサキ・ゴトウだ。これからよろしく。本来なら整備科に入る予定だった男さ。」

 

「それは何故、その様な事態に?」

 

「俺にもよくわからん誰かが願書をすり替えたとしかない・・・いやこれ以上は辞めておこう。」

 

「うむ・・・そうですか。ところでマサキ殿は網膜の色彩が異なる故地球人との何処かの星の民との混血の民なのか?」

 

「言い方まるで武士か侍だな。地球人とバーシスト人のハーフだからオッドアイは気にしなくていい。」

 

「そうであったか、某(それがし)無知故、気に障ったならお詫び申す。」

 

「大丈夫そんな小さい事は気にしてないよ。まぁこれからお互い脱落しないように頑張っていこうか。」

 

「そ、そうですね。では、これからよろしくお頼み申す。」とお互いに握手した。

 

 実際の所俺の周りにはPG学園を志す男の友人は皆無だったため同姓の知人が居なかったのでこのPG学園に居る知り合いは整備科にいるフェイぐらいしかいない。

 俺自身パイロットとしての技能はないと思うけど・・・・・後からその考えは午後のシミュレーター訓練で完全に覆る状態になった。

 

 お昼前の授業は一般教育の一つで地球史を勉強することになった今回習ったのはNGC以前の西暦と呼ばれる時代の歴史で、まだ宗教宣教師が国家を動かしていた時代で、当時先進国だった貿易センタービルにジャンボジェットが二機突撃し大量の死者多数がでたテロ事件のことを習った。

 その後お昼でセンイチともう一人ユキト・フォールダートと昼食を食べていたらユキトが

 

「そういえば、マサキ君はゴトウ先生の知り合いなの?」

 

「ぶっ・・・げほっげほっ・・ユキト君いきなり何言ってくれる!!」

 

「いや何となく、バーシスト人と地球人のハーフはこのクラスだけども4~5人は居るし、先生もマサキもゴトウって名字だし同じオッドアイだし少々気になったから。」

 

 俺は遠い目をしてつぶやくように「あの女と出来れば血縁はない方がどれだけ良かった事やら・・・・一応姉だ。」

 それを聞いたユキトは慌てて両手をわたわたとさせて謝罪してきた。

 

「あ、ごめん。なんかゴトウ先生と確執があるみたいだね、悪い事聞いちゃったよ。」

 

「まぁ気にしなくて良いよ。」

 

 まぁ今のところ俺の進路を勝手にねじ曲げた犯人=家の馬鹿姉貴と断定したけど決定的な証拠がないから疑う事は出来ないから、今のところはどうとも言えない。けど俺を整備科でなくパイロット科に入学させた確信犯が必ずこの学園にいるはずだ。突き止めて一度ぶん殴らんと気が収まらん。

 

 午後の授業はPGのシミュレート訓練のファーストトレーニングとあって初心者向けのトレーニングにセットされている。もちろんお昼が終わってパイロットスーツに男女ともに着替え終わっている状態である。シミュレーター機体は全部で10機あるので50音順でなくランダムで選ばれて僕は4組目に選ばれた。

 さすがに初心者が多いけど、最低合格点30点を下回る者は居ないが、仮に居たらこのPG学園には入れない。シミュレーター訓練で200点満点をたたき出した生徒は居なかったが、第1グループにいた、カナエ・ヒノムラを始として俺が注目した3人はそれぞれ第2グループにユナ・フェルボート・ベナスが、第3グループにシルヴィア・テルーノと散り散り別れたが余裕で150点を超えた。

 男子も何人かクリアしているが150点以上をたたき出した人は2人いる。その内の1人は第2グループになったクウヤ・オキサキで髪をぴっちり貼り付けたオールバックの黒髪で、目つきは猛禽類のように鋭く男女ともに自分以外を見下している様に見える男だ。

 もう1人は俺とさっきお昼を共にしたユキト・フォールダートで彼は第1グループだ。

 

 

 俺の番のことを話すと、まずはシミュレーターの操縦席に座りペダルに足をかけ操縦桿を握りコックピットドアが閉じスタンバイOKになり、無線インカムに通信が入った。

 

(さぁ第4グループ皆がんばってみようか。)「はいっ」

 

 俺が威勢良く返事をすると家の馬鹿姉貴の雰囲気でなく教師ゴトウ先生がディスプレイ越しに凛としてデジキーボードに音声と同時にプログラムを起動させている。

 

(シミュレーションコードART―001 プログラムインストール開始。ヴァーチャルエリアフィールドPG用ハードトラック展開。使用機体PGJX-01 RAIUNを選択。)

 

 そう言い終わるとシミュレーターの全方位モニターがPG用ハードトラックに変わり

 

(それでは、まずは歩いてみろ。)「はい。判りました。」

 

 一応父からは(整備であれ、パイロットであれ、基本的な操縦を身につけて損はないからな。)と自宅地下にあったシミュレーター訓練を受けていたので歩く、走る、ジャンプするはお手の物だ。まるで歩くように左ペダルを踏み込みだして右ペダル踏む。それで歩き出した。しばらく歩いたりランドスピーダを使わずに走り続けていると

 

(よし、そこからランドスピーダを使用してトラック3周)「はいっ。」

 

 グリップにあるランドスピーダのスイッチを入れて、かかと部に埋め込まれているホイールを回した。

 それにより速度はぐんぐん上昇し、コーナーにさしかかりあえて減速せずにスピードスケートをするように体を方向け、カーブを乗り切った。

 ストレートに戻ると体を起こし勢いに乗ってトラックを楽々走破したら何故か歓喜の

 悲鳴が聞こえた。

 ん?歓喜の声が上がるような事はしていないが、俺の組は最後だから終わってない生徒はおらずシミュレーターが終わったメンバーは大型モニターを用いてシミュレーターで操縦席とCGで再現したPGが映し出され各モーションが判るようになっている。

 どうやら誰か初心者とは思えないランディングを見せたのだろう。

 

(トラック3周が終わった生徒は一度ランドスピーダを停止後、そこからブースターを使用して跳躍。そこから着地するまで何をしても良い。)「はいっ!!」

 

 俺は3周終わって一度ランドスピーダをカットし歩みを止めた後にスラスターの出力を上げて思いっきりジャンプをした後ある程度高く飛んだ後に空中で横回転を3回ほどして更に空中前転を1回転して両足で着地した。その後に思いっきり歓喜と驚がくの声が上がった。

 

(よし、第4グループ全員シミュレート終了。各員シミュレーターから降車後ポイントを確認せよ。)

 

 シミュレーターをドライブモードからスリープモードに切り替えて停止させてカードキーを抜き出しシミュレーターシートから出てきた後、俺自身の得点を確認したら技術点、起動法をトータルで見ると142点とかなり高得点がたたき出されていた。

 他の同時にシミュレーターに入ったメンバーは125点が最高だったから俺だけ少し頭1つ抜いた数字だったみたいだけど正直複雑だ。

 PGのパイロットになるのにはこの初心者向けのトレーニングを70点以上で通過すれば鍛えれば充分パイロットになれる数字だと父から聞いており、整備士になるには31点以上70点未満で充分なのだがその倍以上の得点をたたき出したので充分パイロット適正が高い事を証明できるのである。

  その後センイチとユキトが声をかけてきた。

 

「凄いではないかマサキ殿かなりの高得点であるでないか。」

 

「マサキ君もかなり適正とセンス有るじゃないですか。」

 

「どうだろ?俺は家の地下にある基礎的なシミュレーターはやった事はあるぐらいだよ。」

 

「とんでもない。シミュレートの点数だけで言えば貴殿は男子のみで5位以内ですぞ。」

 

「それにマサキ君は無自覚かもしれないけど、トラックでコーナーもかけるときにボディーを傾けて切り抜ける技はデルタエッジターンと呼ばれる高難易度の技術なんだよ!!凄い事なんだよ。」

 

 ユキトがここまでレーステクニックに熱く語っているのは不明だがどうやら俺は普通の初心者が披露しないテクを見せたらしい。

 

「すまん、俺にはよくわからないよ。」

 

 俺は父親から初心者向けのトレーニングを受けていただけだが。どうやら、父親のシミュレータートレーニングは中級者むけだったみたいだな。俺は知らず知らずに父親から英才まで行かずとも1ランク高いトレーニングを初心者用と偽って受けていたらしい。

 特にランドスピーダを使用して減速もしないでコーナーをPGのボディーを傾けて切り抜けたテクはレーシングPGライダーならいざ知らず。それ以外のパイロットはそうそう出来る技ではないらしい。

 俺はクラスのメンバーに囲まれて質問攻めに遭っていたが、その時に後ろから殺気に似た雰囲気を感じ後ろに視線を向けたら囲んでいるクラスメイト以外居なかったがあの殺気は一体だれが・・・・・

 

 

その日の放課後、上級生のPG同士の模擬戦をセンイチとユキトと一緒に見学してそれぞれのPGに関する将来を語る為に屋上に来ていた。

 

「ところでセンイチとユキトはパイロット科に志願したけど何を目指してここに居るのだ?」

 

「某は財も無ければ実力も無い、不器用な男故。ウォーリヤ-PGのパイロットを目指しここで勉学に励み、目指すべきは至高の極みアークウォーリヤ-PGのグランドチャンプの名が欲しくここの門を叩きし候。」

 

「僕は叔父がレーシングPGライダーだったけど、不慮の事故で3年前に・・・・・僕はライダーだった伯父さんが僕は好きだったから、目指すべきはワールドチャンピオン3連覇。・・・・・伯父さんが後1歩及ばなかった難攻不落の偉業、それをかなえたい。」

 

「うーん何か、俺はお前ら2人から比べると小さいかもしれないがまだぼんやりかな。」

 

「気にする事無いですよ、マサキ殿。何者の意思にせよ、事故にせよ本来整備科を目指した貴殿ですよ。ここで何をしたいかをゆっくり決めればいいと思う。」

 

「センイチ・・・・さんきゅな。」

 

「もし、何か決まらなくとも整備科に移り貴殿が叶えたい夢を目指せば良いと思います。そこに移っても何も無いなら某と共に世界を目指さないか?某がパイロットで貴殿が整備主任でそれも一興だと思うが。」

 

「こらこら(笑)出会って2日しかたってないのにいきなりだな。整備科に移るかも決断出来てないのにいきなりコースを決めないでくれよ。」

 

「いいんじゃないか?本気で決まってないなら僕はいいと思うよ。」

 

「まぁ他にする事が見つからなかったらな、考えておくよ。だけど約束は出来かねるぞ。」

 

「それでも充分です。貴殿が整備科に移るなら喜んで応援するぞ。」

 

「マサキが整備士になる夢を叶えるなら僕も一緒に世界目指せる腕利きの整備士欲しいな。」

 

 俺たちが夢を語りながら夢中になり、いつの間にか後ろからクウヤ・オキサキが近づいて来て少々見下したような態度で声をかけてきた。

 

「おい、そこのおまえ。」

 

「ん?誰の事?」「其では無いな。」「ユキトじゃないの?この中で150点たたき出したし。」とユキト、センイチ、俺の順番で

 

「お前だ、お前。お前ら3人の中でデルタエッジターンを決めたてめぇだ」。

 

 こいつは冷淡な目で俺を見下しながら思いっきり指を指したけど、俺は怒りも微塵だが感じたが冷静に言い返した。

 

「俺はてめぇって名前じゃない。マサキ・ゴトウって名があるんだけど。」

 

「ふんっ。てめぇの名前など覚える価値などない。だがお前はとても初心者とも思えないランディングは見事そこほめてやる。が、それとこれとは別だ、でめぇに一つ警告してやる。俺より出しゃばるな。」

 

「はぁ!俺が出しゃばるぅ?馬鹿言うな。俺はエリート街道行くお前と違って、PG整備士を目指して細々と学園生活送りたいだけだ。」

 

「てめぇが整備士?!アー、お似合いだ、お似合いだ。だったらさっさと編入手続き済ませて俺の前からさっさと消えろっ!!なんなら俺が代理申請してきても良いんだぜ?それだけじゃねぇ俺より成績の良いそこのチビも一緒に整備科に消えろ。その方が俺の行く道はバラ色だからな!!」

 

「なんで僕まで消えろと?ふざけるな。」

 

「はっ俺はふざけちゃ居ないぜ。俺はお前らの将来を心配して行ってるんだよ。レースだろうと格闘技だろうとしったことか!PGは軍用だから美しいのだ。それ以外のPGはカスだ。てめぇらのくだらない夢を見る前に自分の実力考えろ。そうすれば現実が見えてきて夢なんて見られなくなるからな。だぁーはっははは。」

 

 さすがに我慢に耐えかねてユキトが向かって行った。

 

「このクズ野郎、人の夢を馬鹿にするのも大概にしやがれ!!」

 

 クウヤに殴りかかろうとしているユキトを両脇で抱えているセンイチが必死になだめようと取り押さえた。

 

「ユキト殿。冷静に落ち着きなされ。この手の男の戯れ言聞き流すがよいぞ。」

 

「これが落ち着いていれられるか。僕の夢をここまで馬鹿にされて落ち着けって方が無理だ、一発殴らないと気が収まらん。」

 

「あーはははっ、馬鹿じゃねーの?お前ごときの矮小な夢なんて、この俺のようなスーパーエリートの実力を見て圧倒的実力差を思い知って、地に這いずり回ってる方がお似合いなんだよ。だから2人仲良く整備科に行って俺の機体でも黙って最高の機体に仕上げれば良いんだよ。最もお前ら程度の整備士候補生じゃ俺の機体すらさわらせねーけどな。」

 

 さすがに今のこいつ態度に怒りが思いっきりこみ上げてきた。俺みたいに不本意でパイロット科にいる俺を愚弄するぐらいなら笑って許せるが、ジャンル不問で純心かつ本気でパイロットを目指している奴を愚弄するのはさすがに許せん!!

 

「センイチ、悪いけどもう少しそこのぶち切れ坊主抑えといてくれるか?」

 

「そ、それは構わないがマサキ殿は一体・・・・。」

 

 センイチがユキトを抑えている時に間髪いれずに俺はクウヤ・オキサキの顔面に思いっきり左ストレートをぶち込んで2~3mほど吹っ飛ばした。

 

「いい加減にしろよ、腐れエリート様。自分の夢を叶えるために第1歩を踏み出した夢追い人を馬鹿にする態度にはさすがに頭にきたぜ。」

 

「マ、マサキ・・・君・・・・なにも、キミがそいつ殴らなくても良かったのに。」

 

 ユキトは俺がそこで伏している馬鹿を見て怒りが収まったみたいだ。

 

「あーーースッキリしたぜ。なぁユキト、センイチ、俺は反吐が出るほど大嫌いな奴がいくつかある。まずこいつみたいに他者の夢を塵芥程度に考えて息をするように愚弄するげす。それと夢を持っていながらそれをごまかして脆弱に生きている無能。人ならこれくらいだな。さてここで伸びている馬鹿はほっといて帰ろうぜ。」

 

「う、うんわかった、帰ろうか。」

 

「それが良さそうだ。」

 

 そう言い終わって俺たちは屋上から離れて下校の徒についた。

 

 

 マサキ達が屋上から出て行って40秒ほど伸びていたあとクウヤ・オキサキは復活しボロボロと泣きながら

 

「ちくしょー、あの野郎。このエリート様を思いっきり殴りやがった。ぜってー許さねー。親父に頼んでアノ野郎をPG界じゃ生きていけなくしてやる。覚えてろ、マサキ・ゴトウ!この俺に楯突いた事を死ぬまで後悔させてやる!!

 



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教師対クウヤ

PG学園で基礎的なことも習いだして数日経過し、専用機持ちと先生の実力把握のために模擬戦が開始される第一戦はクウヤ・オキサキが出てくるのである。


アノ馬鹿をぶん殴った後、奴は短絡的に復讐してくるほど愚かではないようだ。

殴られた事を暴漢に襲われた事にして平然としていたのが少々不気味だが今のところこっちは平和に学園生活を送れそうだ。

あれから数日経過し、この日は家の馬鹿あn・・いやゴトウ先生とコバヤシ先生のPGどちらかと1年3組にいる専用機持ちの模擬戦が行われる事になったため、俺たちはその模擬戦を見るために第3アリーナに移動して席に座りだした。

 

「凄いね。先生と専用機持ちの生徒と模擬戦ってなかなか見られないから。」

 

と声をかけてきたのは教室でとなりに座っているカナエ・ヒノムラである。彼女は入学試験をトップ10以内の成績でクリアしたけどPGに乗れるからと行って、それを鼻にかけて威張り散らすどこぞの馬鹿と違い謙虚である。

 

ちなみにその馬鹿がこの時期のクラスで数少ない専用機持ちの1人で、型式PGAX-C-020311 ODIN(オーディン)であり、PGAX-02S FOX TAIL(フォックステール)のカスタム機である。

基本武装は20mm6連型ガトリングシールド(PGS)に分かりにくいがシールドにダガーナイフがセットされている。

もう片方はマガジンカートリッジ式パイルバンカー(MPB)を装備しており、背中にある予備武装用サブラックはプラズエナジーランチャー(PER)に携行型グレネ-ドランチャー(HGR)と対PG戦用にしては過剰火力とも言える装備だ。

 

「それにしてもオキサキ君。模擬戦にしてはかなり火力多くないかな?アレだと殲滅戦やアングラPG格闘に使うタイプだよ。」

 

「俺もそう思うけど、オキサキの奴アリーナつぶしてでも勝ちたいのか?」

 

俺は生徒手帳に記載されている学則のページを開いた。

 

「えーとあったった。(学内のPGにおける模擬戦は格闘戦用PG国際ルールに則りコックピット潰しを可能とする装備、並びにPGの原型を著しく留めない過剰火力による攻撃を一切禁止とする。)だったな。あいつの機体どっちも違反している様に見えるけど、あのまま戦って殺したら、専用機没収で済めば軽い方で、最悪の場合退学、逮捕もあり得る話だぞ。エリートなのにそんな事もわからないのか?」

 

「たしかにね。ところでマサキ君?この勝負先生達が勝つか、オキサキ君が勝つか賭けてみない?」

 

「ヒノムラさんは何をBet対象に?乗るか降りるかはBetする物によるかな。」

 

「こらこら。せっかくあたいがフレンドリーに名前で呼んでいるのに名字で返さないでよ。あたいの事はカナエか、カナで良いから、同じバーシストのハーフ同士仲良くしようよ。」

 

「じゃあカナさんでいいか?」

 

「それでいいよ。うーん賭ける対象は今日のお昼代なんてどう?」

 

少し躊躇と思考をしていたら俺のとなりから「某は乗ろう、その賭けに。」「じゃあぼくも乗る、その賭け。」と何故か俺の左隣りに座っているセンイチとユキトがノリノリで賭けに参戦した。

 

「おまえらなぁ、いいだろう。その賭け俺も乗る。」

 

「へっへー。決まりだね。それじゃ、あたいはオキサキ君に賭けるよ。あっ、そうだ。先生に賭けるなら片方ずつね。」

 

「僕はコバヤシ先生に。」「某は(俺は)ゴトウ先生に。」一人称は異なるが、俺とセンイチはもののみごとにユニゾンした。

 

「数的不利だな。しかし今更だけど先生達のPG出てこないね。」

 

「カナエさんほら、出てきたみたいだよ。」

 

そう言っていると2台のPGが正面ゲートから出て来ると大きな歓声が上がった。片方はJXASION製でもう一機はARCT社製のPGだ。

アリーナのモニターに入場してきたPGと既に待っていたオキサキのPGの紹介がなされた。

先生達が乗車しているPGは、模擬戦用にチューンされた機体でPGAX-C-0210 AKAFUJI(赤富士)と、こちらもオキサキと同じアレクト社製PGAX-02S FOX TAILのカスタム機でパイロットはコバヤシ先生である。

ゴトウ先生はPGJX-C-0101 KOTETU(虎轍)で、PGJX-01 RAIUNのカスタム機である。

PGAX-C-0210 AKAFUJIの基本武装は70mmアサルトライフル(AFG)に66mmスプレッドショットガン(SSG)に左手には分かりにくいが超高振動型コンバットナイフ(HBN)を装備しており、サブラックには88mmスナイパーライフル(SRG)と更にエナジースナイプライフル(ESR)中近距離砲戦使用にカスタムしている。

 

一方、内の姉は手持ち武装を上げると左に高火力型180mm低反動砲(HFC)を、右には熱切断式かぎ爪(HSC)を装備しサブラックには家の姉の十八番の対PG戦闘用日本刀虎轍(APS)と低反動砲は別として全盛期の姉の武装そのものだ。

 

家の姉は今でこそこのPG学園で教鞭を執っているが4年ぐらい前まで女子PGファイターとして頂点まで上り詰めたが、グランドチャンプ3連覇を達成した後、官営教習所で1年ほど教え、その後にPG学園にスカウトされたと父から聞いた。

 

コバヤシ先生は元々警察用PGのパイロットで対装甲歩行車強襲鎮圧部隊(Anti-Powered Gary Astarte Team)通称APST(アパスト)と呼ばれる警察機構の特殊部隊出身らしいので詳しくは不明だが実力はたしかである。

 

『待ちくたびれましたよ、先生方。それでは始めましょうか模擬戦を。』

 

『まて、オキサキ。お前の装備しているのはMPBだろ?今回は模擬戦だから正規の格闘戦や非殺傷ルールに則った武装を使え!それを外さなければ無条件で反則負けにするぞ。』

 

『ああ-、そうでしたね。今回はただの模擬戦でしたね。・・・・・少しお待ちをパージしますから。』

 

そう言って地面下にMPBをパージするかと思えば、パージしたMPGを客席に俺達の居るシート近くに投げつけてきた。けど、格闘技やレース用のPGは観客に被害が出ないようにギャラリーシートには二重三重のエナジーバリアが展開されているので届く事は無かった。」

 

『おいっ貴様!!何のつもりだ。観客にパージした武器を投げつけるとは。』

 

『何言ってるんですか?ゴトウ先生。俺は捨てようとしたら手が滑って観客席に飛んだだけじゃないですか。』

 

『くっ!!・・・・・今後注意しろ。それとオキサキ、お前は在学中、MPBの使用所持は一切禁止とする。』

 

『はーい、判りましたよ。』

 

「オキサキ君顔と技能は良いのに、あんな振る舞い最低よ。」まぁ当然の反応だな。

 

「なによ、あの男。私達のミヤコ様に対してあの態度。私達がPG手に入れたらとっちめてやる。」あの姉貴にファンクラブか、それは否定しないがあの野郎に素人が団体で挑んでも負けるからやめとけ。

 

「ああっ、あの見下した態度で私を罵って欲しいわぁ。罵ってもらうだけでそれだけで大盛りご飯2杯は行ける。」おいおい。この年でもうドMの覚醒者がいるのか?勘弁してくれ。

 

と、後ろにいた感じで後ろの女子達は様々なとこを言っていたが、もっとやばいのがとなりにいた。

 

「あいつ!!ゴトウ先生まであんな悪態をつきやがってなんて野郎だ。」

 

「ユキト落ち着けよ。昨日の今日でアノ馬鹿があんな性格なのは把握しただろ。」

 

「そ、そうだけど・・・でも許せん。」

 

「へー、ユキト君って名前のように落ち着いた性格かと思ったけど、かなり熱い性格なのね。それで、昨日何があったの、オキサキ君と?」

 

その台詞を聞いてユキトは登りきった血が下がっておとなしく座り込んだ。

 

「うっ・・・ぼ、僕は何も・・・出来れば黙秘で。」

 

「マサキ君とセンイチ君は何か知っているの?」

 

「いまの某、女人にそれを語る言葉を用いておらぬ故、時が経てば語れるので、しばしお待ちを。」

 

「今は喋りたくないから、俺も後で。」

 

「つまり、知っているけど今は喋りたくないって事?」

 

俺たちは3人揃って首を肯定の方向に振った。

 

「まぁ、いいわ。その代わり話せるときが来たら代表1名の誰かが喋ってくれればOKよ。さて、そろそろ始まるよ。先生達の模擬戦。」

 

『ゴトウ先生、私が先に行きます。』『頼みましたよ。戦況次第では私が連戦します。』

 

ON your Mark Ready? 3・・・・2・・・・1・・・BATTLE START

 

試合開始のブザーが鳴ったので先に動いたのはコバヤシ先生で、いきなりランドスピーダを展開してバック走行でガードウォールギリギリまで近づきそこから垂直跳びをしたと同時にAFGとSSGをサブラックに収めてESRを両手持ちに切り替えて、上昇しながらオーディンの機動系装置の無効化させるスナイプショットを決めた。

 

いきなりの事だったので、オキサキは反応できなかったのか、わざと当たったのかは判らないが武装していない右腕の手の甲と左足ランドスピーダを爆散しないように打ち抜いた。

 

『なに、ばかな・・・・ランドスピーダは判ったが右手の甲はいつ打たれた?』とスピーカーから聞こえてきた。

 

「マ、マサキ殿。オキサキ殿のPGは何時手の甲を狙撃されたのだ?某見えなかった。」

 

「俺も正直なところ、いつ撃ったかまでは判らないがこの現象、いや技はクイックドローって言って生身でなおかつ拳銃なら早撃ち名人の技の一つですむけど、あれをPGで連射の効かないスナイプライフルでするのは事実不可能に近いが・・・・」と俺が思考しているとユキトが

 

「ぼくは聞いた事あるよ。PGで超がつくほどの精密射撃と連射が出来るスナイパーが居るって。」

 

「それがコバヤシ先生だと?」

 

「僕にもそこまでは判らないけど今、目の前で起こった事は事実だよ。それにコバヤシ先生が見せた技は、PGスナイプで上級テクの一つで逆L字ジャンプショット又の名を(トヨナカ)って呼ばれ、空中で的にされかねないハイリスクな技だけど、相手にピンポイントでダメージを与える事が出来る大技だよ。」

 

「ユキト殿、的確な解説ありがとうございます。」

 

「それだけじゃないわね。あたいの見立てだと、サブラックに搭載している武装がトリガーレスウェポンでなければ、オキサキ君はもう左腕武装のPGSのみで戦わざるを得ないよ。」

 

「トリガーレスウェポンとは一体何でしょうか?」

 

「グラップラーを目指しているセンイチ君には縁遠い事だけど、普通のPG武装は手で持って撃つのが基本だって教わったよね?」

 

「ふむ、先日のPGの基礎で聞いた事です。」

 

「軍用メーカーの一部で採用されているサブラックか脚部エクステンションに接続して砲撃体勢に持って行けばコックピットにあるトリガーを引けば打てるシステムよ。」

 

「カナエ殿は博識ですな。某、関心つかまつった。」

 

「やーだー、センイチ君、私が博識?ちがうよ。トリガーレスウェポンは本来なら軍や警察用のPG研修するときに聞く事なんだけど、お兄ちゃんからこっそり聞いたから知っていただけだよ。」

 

「こっそり教えてもらったのに俺たちに教えて良いのか?」

 

「いいじゃん。機密事項に触れる事じゃないし。」そう話し終わると

 

ボガァァアンだの、バシュゥゥゥン等と耳をつんざく爆音が聞こえてきた。

 

アリーナの方に視線を戻すとオーディンはPERとHGRを交互に打ち替えて乱発をしている。

 

「な、なんだ。あの野郎いきなり自棄になりやがった。」

 

「違うよ、マサキ君。アレは自棄になった風に見えるけど、アレは計画的に打ち込んでいるよ。本当に自棄ならHGRはもう既に弾切れを起こしているから。」

 

「それにしてもあの野郎。先生相手に火力で立ち回っていやがる。」

 

「これは、武人としての勘だが、コバヤシ先生は余裕を持ってあの砲撃をかわしているように見えるのは気のせいであろうか?」

 

「うーん。コバヤシ先生実力が判らないと僕にはどうとも言えないよ。」

 

「3人ともよく見て。先生もあれだけの火力をかわしつつスナイプショットを当ててダメージを与えているわ。」

 

『そのライフル鬱陶しい。爆ぜろ。』

 

ランドスピーダこそ片方しか使えないがそれのみで加速しPGSを連射してコバヤシ先生の所持しているESRにガトリングを乱射して撃てなくした。

爆散寸前のライフルを捨ててサブラックにしまったSSGを手に取りポンプアクションして装弾し、散弾を撃ち込みPGSを使用不能にした。

 

『くっ、しまった。シールドが壊された。』

 

「へーあいつ。テクは確かに一級なのは確認できたけど、態度と精神は三流以下だな。それに勝負は直につくと僕は思うよ。」

 

「ん?ユキト。そのこころは?」

 

「コバヤシ先生がショットガンに切り替えてあの野郎に接近しているからかな。」

 

なるほど一理あるな。ショットガンは近距離射程なら弾丸のシャワーをプレゼントするからな。

 

『馬鹿が、例え教員といえども、こんな近距離でHGRを食らえばひとたまりも無いだろうが。これで終わりだ。じゃぁな、エリート崩れ。』

 

HGRを発射態勢になったがグレネ-ド弾は一向に発射されないそれも当然である。

 

『ば、馬鹿なグレネ-ド弾がでない。何だとどうなっていやがる!!』

 

その後すぐにPERに切り替えて発射しようと思ったらしいがこちらも発射されずにいた。

 

何かおかしいと思ってオペラグラスで機体をみたら

 

「分かりにくいがPGとサブラックのリンクさせるための僅かに露出している電導線を打ち抜かれているぞ。」

 

「信かマサキ殿?しばしその双眼鏡お借りする。」

 

「ほいよ。」と短く答えてオペラグラスを渡して凝視して「某にはよくわからん。」と答えた。

 

「あたいにも見せて。」といってセンイチから俺のオペラグラスをぶんどり見た後に

 

「あー確かに、あの僅かな隙間を打ち抜くのは腕利きの狙撃手なら固定した状態なら可能だけど、あれだけ動き回っているのにそれを打ち抜くなんてコバヤシ先生って何者よ?」

 

『情けないわね、でも残念。私が僅かに露出している電導コードを打ち抜いただけ、そろそろお終いにするわよ。』

 

そう言っている間に先生が近づきショットガンのトリガーに指をかけてポンプ&ショットを数回行い、それと同時にオーディンのガードポイントが0になり試合終了のブザーが鳴り模擬戦は終了した。

 

(勝者!!コバヤシ先生 AKAFUJI)

 

『やれやれ私の出番はなかったか・・・・まぁ仕方ないか。』

と虎轍のスピーカーから聞こえてきた。

 

 



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自己紹介。そして愛機の配給

このお話はクウヤ・オキサキとコバヤシ先生の模擬戦が終了して主人公のメンバーとフェイを交えての昼食から始まります。


そのあとユキトが模擬戦の賭けに勝ったユキトの昼ご飯をおごる代表を決めようとしたらカナさんが

 

カナエ:「オキサキ君に賭けたあたいが3人分のお昼おごるよ。それに言いだしっぺの法則だしね。」

 

とあっさりユキトだけで無く俺やセンイチとの分まで出してくれた。さすがに大金つぎ込むような食事はしたくなかったので。カツカレーぐらいで収めておいた。

 

ここの食堂は設備の割に安価で大盛りの食事にありつけるだけでなく、地球人の料理や交流のある異星文化の料理も用意はしてくれるので他惑星の民からすれば至れり尽くせりである。テーブルについて食事を開始してすぐに

 

フェイ:「あれー、マサ君。なんのかんの言いつつパイロット科のメンバーと仲良く出来るね。」

 

そう言って整備用つなぎに身を包んだフェイ・リンシーが声をかけてきた。

 

「あっ、フェイ。ここあいているから一緒に飯食わない?」

 

「うんいいよ。」と返して俺の正面に座ってユキト達にフェイの紹介をした。

 

「この子はフェイ・リンシー。整備科所属のしている俺の幼馴染みで生粋の地球人だ。」

 

それを皮切りに各員が自己紹介をはじめた。

 

センイチ:「某はセンイチ・シノミヤと申す。グラップラー志望故、以後お見知りおきを。」

 

ユキト:「僕はユキト・フォールダートと言います。レーサー志望ですのでよろしくね。」

 

カナエ:「あたいはカナエ・ヒノムラよ。まぁ見てわかる通り、マサキ君と同じバーシストのハーフだけど、私はエアパイロット志望よ。」

 

フェイ:「フェイ・リンシーよ。マサ君と同じ整備士候補生よ。目標は僕の整備した最高のPGをどの分野でもいいから世界一にのし上げる事よ。」

 

その言葉を聞いた3人は固まっていた。

 

フェイ:「えっ?あれ?ぼ、僕何か変な事言ったかな?」

 

ユキト:「ううん、とんでもないよ。僕やセンイチ君には一緒にトップの取れる整備士に会えたことに喜んでいるのだよ。」

 

「おーいユキト君、それはまだ早いぞ。青田買いするにしても、もう少し育つのを待とうよ。」

 

フェイ:「ユキト君だっけ?僕の整備技術は高校生にしては抜きん出ているかもしれないけど、プロからすればまだまだ新芽同然だからここで勉強しないといけないのよ。」

 

フェイの奴はああ言っているが、フェイの実家の裏においてあった旧型のPGをリンシーPGファクトリーでおもちゃ同然に分解整備と改造を繰り返しFCSこそ積めないが農作業用に父が良く借りて使用しておりこんなことを言っていた。

(凄いな。リンシーさんとこの娘さん。旧型といえどもPGをここまで丁寧かつ高出力に仕上げるなんて天才だよ。)

と、かなりの才能が中学一年の時に片鱗を見ていた。

 

お昼を食べ終わってオキサキの模擬戦のあとアリーナ整備とメンバーチェンジの都合上、午後からの模擬戦を組まれており、成績が先行して専用機が配布されるメンバーはメーカーや軍からの推薦や入学試験の上位5人で入学した生徒のみに配布されるのである。授業で専用機持ちとして先生と模擬戦を行ったのはカナさんだった。

カナさんは入試試験で主席の成績だったため専用機が先行して配布された。

彼女の機体は、PGJX-C-2022 FUKOROU(梟)で元になった機体はPGJX-02FI KAGURA(神楽)である。この機体は空戦よりに設計された機体で、2脚式だが鳥獣類に見られる逆間接式を採用しており、フライトユニットをオプションで装備しなくても飛翔可能な数少ない機体であり、スラスターやブースター能力は通常間接に比べ1.6倍のあり、全長は6.30mと2脚式PGの平均全長と同じぐらいだが重量が6.28tとかなり軽めに作られている。

彼女のPGは、飛翔能力を駆使して善戦はしたけど相手が悪くKOTETUに両足首の関節を切られて白旗を揚げた。

 

他の専用機持ちは順をおって模擬戦が行われる事になった。ユナさんはPGAX-C-20221 DIAMOND FLOWER(ダイヤモンドフラワー)で元となった機体はPGAX-02B2 HONET SPEAR(ホーネットスピア)ではあるが、左肩にダイヤモンドで出来たバラがペイントされているぐらいで外見はどこをどうカスタムしたのか判らない。

元々HONET SPEARは格闘戦に重点を置いたパワード系のPGで重量も9tオーバーもザラである。彼女は教員模擬戦において唯一女子でゴトウ先生に勝利した生徒である。

 

最後にユキトの機体はPGJX-C-1061 GREEN TORNADO(グリーントルネード)であり、元になった機体は、PGJX-01FR SIPPUU(疾風)である。この機体は、外見だけならデータで見た彼の叔父ジョセフ・フォールダートの乗っていた機体PGJX-C-1005 BURST STREAM(バーストストリーム)と使用しているヘッドパーツを除けばほぼ一緒である。

先生との模擬戦は対戦相手のコバヤシ先生を速さで圧倒し勝利した。

 

先日コバヤシ先生にボコにされたオキサキはARCTから推薦らしくあいつに渡ったFOX TAILはかなり軍用強襲型にカスタムされていたのはそのためである。

 

ちなみにシルヴィアさんは成績こそ良いけど成績はベスト10ぐらいだったので専用機持ちではないけど皆と一緒にPGAX-01 SERC REIDを選択した。

 

あの事件から1週間経過し、何事もなく専用機を持っていない一般生徒各員にPGが配布されることとなった。

専用機を先行して受け取ったメンバー以外の生徒は、半日かけてフィッテイングやフォーマットやパーツ調整も行われる事となった。

 

次の日は早速届いたPGの基礎的な動きの学習とシミュレーターとの差分を実体験するなどして、PGになれていない大半の生徒がグロッキー状態だった。

その理由は単純でPGX-01シリーズは第2世代以降についているGキャンセラ-が未装備である為、何が起きたかと言えば単純にPG酔いである。

 

さすがにリバースしたメンバーは居なかったが、Gキャンセラ-を後ほど追加改修するまで我慢するか、慣れるかのどっちかをしなくてはいけないのである。

さすがにシミュレーターで120点以上たたき出している俺を含めた専用機を持っていないメンバーと、ユキトやユナさん達専用機持ちは平然としていた。

もちろんセンイチも126点をたたき出しているのでぴんぴんしておりそれどころか

 

センイチ:「大丈夫ですか?タオルと水です。」

 

学友A:「ああっ悪いな。」

 

センイチ:「お気になさらず」

 

学友B:「センイチ君優しいね。ありがとう。」

 

とつぶれているクラスメイト周辺に気を配りおしぼりや適度に冷たい水の入ったペットボトルを配布している。

 

 

それから、数日後・・・・

基礎的なPG操作も覚えてきたので、前もって申請しておいたアリーナ使用許可書とPG使用許可書を申請して、センイチとPGの格闘練習をするために専用機持ちのユキトとカナさんが立ち会ってくれた。

 

「このー!!パワーだけで押し切れると思うな。」

 

センイチ:『マサキ殿も、重量もパワーも劣る機体だからこそ良く粘りますね。』

 

俺はRAIUNだが、センイチはHONET SPEARと初期状態でも全長 6.87m重量 8.99tと俺のRAIUNが6.99mで8.02tと重量だけでも1t近くも差があるが、俺の出身地であるヒノモト諸島発祥の格闘技柔道の戦い方に(柔よく剛を制する)という言葉があるので、重量が下でも戦えるのである。

今の俺たちの状態は力比べで拮抗していた。

 

俺はセンイチのPG HONET SPEARの足払いをして力がゆるんで来たところで手を外し、少し距離を開けてからボディーチャージをかけた。

 

センイチ:『ぬおぉぉぉ!!足下が揺らぐ』HONET SPEARが思いっきりすっころび

 

「これで、終いだ。」

 

俺はコックピット寸前で寸止めして握った拳は開き、起こすためにHONET SPEARの左腕に手を近づけた。

 

「大丈夫か?センイチ。」

 

センイチ:『かたじけない。マサキ殿。』

 

HONET SPEARの左手が俺のRAIUN右手を握り彼の機体を起こした。

 

格闘練習と動きの復習がてらセンイチとPGで組み手をしたけど、辛うじて俺が勝利したけど、今のままだと10回戦って7回は負ける計算だ。どの分野に行くにしてももう少し強くなりたいと思った。

組み手終了後、俺たちはそれぞれのPGから降車するために片膝をついて胸部にあるコックピットハッチを開けてそこから降りた。

 

センイチ:「さすがですね、マサキ殿。無改造のRAIUNで某のHONET SPEARとここまで渡り合えるとは。」

 

「偶々だ、俺の見立てじゃ10戦したら3回しか勝てないと思うぜ。ところでよ、センイチ。今更だけどちょっと聞きたい事があるがいいか?」

 

センイチ:「某が答えられる範囲でなら何でも答えよう。」

 

「1年生の専用機持ち以外はSERC REIDかRAIUNを選んで支給されるはずなのに、何故HONET SPEARなのかなと思ってさ?」

 

センイチ:「マサキ殿、聞き及んではないのですか?今学年より専用機持ち以外で明確な目標のある生徒にはそれ相応に応じた量産機を配布する事になっているのですよ。」

 

俺は少しうつむきながら声のトーンを落として答えた

 

「聞き及んで無いも当然だよ。俺はPGのメカマンになる目的でこの学園の門を叩いたんだぜ。学校説明会でも整備科前提での話しか聞いてないから、知っているワケね-よ。」

 

センイチ:「ああっ、マサキ殿失礼仕った。某、とんだ失言をぉぉぉ。」

 

「いやっ、そこまで嘆かれるとこっちも申し訳ないから頭上げてくれ。」

 

センイチは己の失言を嘆き、己が拳を地面にたたきつけしばらくは悔やみ続けた。

それを見かねてユキトが少し前に出てきた。

 

ユキト:「マサキ君。センイチ君があんな感じだから僕の方で説明するね。」

 

「お、おう頼むよ。」

 

「実は今学年から入学時支給されるPGは従来のSERC REIDとRAIUNに加えて4種類に増えたのだよ。」

 

俺がほうほうと相づちし、その後も続けて

 

「建設や土木、更に言えば重量系のPG格闘大会を目指す生徒にはパワー系のPGAX-02B2 HONET SPEARを、地上レース系を目指している生徒にはPGJX-01FR SIPPUUが配布されるんだよ。」

 

「へー、そいつは知らなかったよ。」と返した後、ユキトは続けて語り出した。

 

「大丈夫だよ、マサキ君。SERC REIDとRAIUNのどちらかを選んだ生徒でも成績と方向性が決まった生徒には、さっき言った2機にプラスPGJX-02FI KAGURAか、PGAX-02S FOX TAILも選べるようになるんだよ。カナエさんが最初からKAKURAを愛機にできたのはそういうこと。」

 

「なるほどな、FOX TAILは機体で見ればいい物なんだけど・・・・あれは選びたくないな。」

 

俺たちが喋っているとアリーナに人影がありその人がこっちに向かって喋り出した。恐らくフェイだ。

 

フェイ:「マサ君センイチ君。あとでガレージに行ってレギュラーメンテナンスぐらいなら僕でも出来るから後で見せてね。」

 

センイチ:「フェイ殿、ご厚意痛み入る。ありがたくお願いする次第です。」

 

フェイ:「センイチ君ってしゃべりがずいぶん硬いけど、それじゃ後でガレージに行くから。」

 

そうしてガレージに戻した機体をレギュラーメンテナンスして今日は終了した。明日学園は休みだけど仲良くなってきたメンバーと街で過ごすのもありだと思いながら家路についたのであった。

 

 

三人称side

 

ここは地球某所・・・・そこは今時珍しいろうそくの灯でともったかなり暗い部屋に顔が分かりにくいが3人ほどが密談していた。2人は青年でもう1人は太り気味の中年男性だ。

その内の1人が計画の全容を聞いて中身を確認した。

 

???A:「なぁ―――さんよ。本当にそんなことやるのか?」

 

???B:「ふっ、当然だ。あの野郎に死んだ方がましなぐらいの苦しみを別けてやらなければ俺の怒りが収まらん。」

 

???A:「若。若の実力ならそんな青二才簡単に淘汰できるのに何もそこまでしなくても。」

 

???B:「あぁっ。おい、ヴァルド。てめー、この俺に意見しようって言うのか?」

 

???A:「も、申し訳ありません。出過ぎた発言でした。」

 

???C:「ヴァルドよ。若がこう言ったら意見具申は誰も出来ないよ。」

 

???B:「そうだ、ヴァルドにサイサリス俺がこうと決めたら意見を変えたか?」

 

???A:「そ、そうでしたね、若。では作戦決行時までしばしのお別れです。」

 

???B:「うむ、では頼んだぞ、お前達。」

 

それで行くと決まり密談が解散し、ヴァルドにサイサリスと呼ばれた2人は出て行き、そこに残った男に月明かりが入ってきて密談をしていた男の1人はマサキと同じくPG学園の制服を着ていた。

 

???B:「マサキ・ゴトウ。俺と最初の模擬戦がお前の最後だ。」

 



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異星間交流

マサキ達はシルヴィアさんの異文化交流のために、学園から少し離れた街に観光に行くお話しです。
※今回はPGは一切出てきませんのであしからず。


 

翌日は綺麗に晴れた休日でクラスのメンバーでカナエさんと仲良くなったメンバーは俺とセンイチにユキトも集まってシルヴィア・テルーノさんに地球案内をすることになった。

地球案内と言っても学園寮周辺とセンターターミナルから日帰りできるエリアのみだ。

 

俺にフェイだけでなく俺の妹サヨコも同行させて、学園の最寄り駅ホープバレー駅に来ていた。

 

「しっかし、フェイ。いくらシルヴィアさんの為にこの辺のみと言え地球見学にお前も付き合わなくてもいいと思うのだが?彼女だってここに来るのにそれなりに衣服は用意しているはずだよ。」

 

フェイ:「何言っているのよ、マサ君。地球案内するにしても、今後街を歩くにしても、やっぱり女の子なんだから、その土地にあった洋服もそろえないと行けないと思うし、それに女の子の服はマサ君じゃ見繕えないでしょ?」

 

「それは確かにそうだけどフェイよ、ありがとうな。家の妹外に連れ出してくれる切っ掛けをくれて。」

 

サヨコ:「ちょっとお兄ちゃん、私が引きこもりみたいに言わないでよ。」

 

「そうは言って無いけど、大丈夫なのか?ここにもう一人男子が来るけど・・・」

 

そう言った矢先に男が来ると思うと俺の後ろに隠れた。

 

「・・・・・お、男の人は・・・・・お兄ちゃんとお父さん以外苦手。」

 

休日という事も有ってさすがに学園の制服ではなく、フェイの格好はギンガムチェックワンピースに明るめのハイブーツを着こなしている。サヨコの格好は着物に似せて作られた水玉ジャケットと膝下まで隠れたセミロングスカートにショートブーツである。

俺達のやりとりをしている時に駅からカナさんにユキトが降りてきた。

 

カナさんはキャミソールの上にスプリングパーカーをはおり、膝丈当たりまであるキュロットスカートで足下はヒールインシューズを履いている。

ユキトの格好は、お前いくつだ!と言わんばかりに、ベレー帽にベストと真っ白のワイシャツに、7分丈ズボンと白い靴下に革靴と茶色ベースの黒チェック柄の中世イングランド風のクラシカル衣装でまとめてきた。

俺の格好?あえて言うなら、至って普通の無地のTシャツにデニム地でできたベストにカーゴパンツに赤一色のスニーカーだ。

 

カナエ:「やっほー、フェイちゃん、マサキ来たよ。」

 

ユキト:「マサキ君、フェイさん。おまたせしました。」

 

「それほど待ってないよ。あとはシルヴィアさんの到着待ちだね。」

 

ユキト:「あれ?マサキ君。センイチ君は?」

 

「あいつなら家の道場で門下生と修行と稽古をするからパスって、昨日夜にメールが来たよ。」

 

頭の上に???が浮かんでいるが俺が

 

「通信端末みてないのか?」

 

と言われて、ユキトは自分の通信端末を慌ててみたら未読メールが2件ありそれを見たら1件はただの企業メールマガジンだが、もう1件の方はこう書いてあった。

(前略。ユキト殿、マサキ殿にカナエ殿昨日のシルヴィア嬢を連れ街の案内する件につきて某、家の門下生達に稽古と修行を急遽賜らなくてはならぬ事情故、明日の案内には不参加致す。某、急な事につき日を改めて埋め合わせることで、これにて。)と書いてあった。

 

ユキト:「センイチ君らしいメールだね。ところで、マサキ君の後ろにいるレディーは妹さん?」俺の後ろに隠れているサヨコを見てそう言った。

 

「そうなんだけど、俺と父さん以外の男はあがって駄目らしい。ほらサヨコ。俺の友達に自己紹介ぐらいしなさいな。」

 

サヨコ:「で、でもぉ・・・男の人だもん。」

 

「大丈夫だ。もう一人は俺たちと同じバーシスト星人のハーフの女性だから、彼女には挨拶出来るよね?」

 

サヨコ:「う、うんそれなら。」

 

サヨコは俺から隠れるのを止めて顔を出してユキトがいて少々上がり気味だが自己紹介を始めた。

 

サヨコ:「は、初めまして。さ、サヨコ・ゴトウです。あ、兄がお世話になっています。よろしくおねがいしましゅ。」

 

最後の肝心なところで甘噛みし様子を見たら顔が真っ赤になっていた。

本当ならユキトに挨拶出来ただけでも上出来なのだから俺が良く出来たねと褒めて上げようと思ったら、カナエさんがいきなり俺を押しのけてサヨコに思いっきり抱きついてきたのだ。

 

「おわっ!か、カナさんいきなり何を!?」

 

カナエ:「この子、なんて、なんて、かわいいのぉぉ!!お姉さんが抱きしめて上げる。」

 

サヨコ:「きゃー!!お、お兄ちゃん助けてぇぇぇぇぇぇぇ。」

 

女の子同士の(一方的に抱きつかれている)ハグは絵になるけどこのまま続けていると、サヨコが自宅に帰った後で俺を罵声と打撃のラッシュコンボで死ねる自信があるため

 

「カナさん。確かに俺の可愛い妹だけど、このまま兄としてこの子を人間恐怖症にしたくないからこの辺で離れてあげてね。」

 

と、やんわり引き離すしか出来なかったけどすぐに離れてくれた。

 

カナエ:「ぶー。もう少し抱きついて居たかったのに、でもご免なさいあまりにもサヨコちゃんが可愛いかったから、(おほん)お見苦しい所見せたわね。あたいはカナエ・ヒノムラ。キミと同じバーシストと地球のハーフよ。以後よろしく。」

 

ユキト:「僕はユキト・フォールダート生粋の地球人だよ。よろしくね。」

 

ユキトが挨拶をすると今度は俺の後ろに隠れた。

 

「おいおいサヨコぉ。おまえいい加減に俺に隠れるくせを直して、男子と仲良くしようよ。」

 

そうこう言っていると学園の寮方面から男女が歩いてきた。

近づいて来た男女共にエルフ耳で有ったので恐らくベルアット星人だ。男は地球の燕尾服だが、もう1人の女性はシルヴィアさんだ。

彼女の身なりは白い日傘を持って、カーディガンやワンピース色は白だがあちらこちらに金や赤の波や渦と言った刺繍が服全体に縫われており、靴はヒールの低いパンプスで有った。

しかしここにいる男女ともに近づいてくる彼女見て胸元を見ると彼女は、制服の上から見ても充分に巨乳だが、ワンピースの薄い生地で一層強調されたビッグメロンがあらわになった。フェイもカナさんも自分の胸元を見て二人揃って気が沈んでいるのを見てしまった。

 

シルヴィー:「みなさんごきげんよう。わたくしに地球案内をするために集まっていただきありがとうございます。」

 

ユキト:「シルヴィアさんおはよう。」

 

「おはようシルヴィア。」

 

サヨコ:「うわっ!!すっごい、美人。」

 

「「・・・・くっ・・・・・」」

 

シルヴィー:「マサキさん、ユキトさんそれにカナさんにフェイ今日1日よろしくお願いしますわ。」

 

「ああ、よろしく。」

 

ユキト:「こちらこそ、よろしくね。」

 

「「・・・・・・・」」

 

シルヴィー:「マサキさん?そちらのバーシスト人のハーフ美少女は妹さん?」

 

「ああそうだけ「もー、やーだーこのお姉さん口がうまいのだから。兄がお世話になっています。妹のサヨコです。」・・・・割り込むなよ。」

 

シルヴィー:「うふふ、いい妹さんね。あのー、ところでフェイさんとカナエさんは先ほどからお加減よろしいとは思えませんが何かありましたか?」

 

フェイ:「(ぼそっ)ふっ、あれはただの脂肪の塊なのだから気にしちゃ駄目よ。胸が大きいぐらいじゃ女の価値は決まらないわ。僕は、確かに小さいけど・・・・・。」

 

カナエ:「(ぼそっ)気にしちゃ駄目だ。あたいはバーシストのハーフの中じゃ大きい方だよ。地球人サイズなら充分大きいのだから。だけど・・・・・」

 

「「(ぼそっ)あの大きさはあたい(ぼく)から見たら凶器です(だ)よ。」」

 

この二人はぼそっと聞こえないように喋っていたけど、二人の隣にいた俺からすれば丸聞こえで、シルヴィアさんにどう返答しようか躊躇していた。

ちなみに家の家系は母を筆頭に姉もわりと大きいからの妹はまだ発育途中なので特に驚いて無かった。

 

「あー、こ、これは気にしなくていいよ。」としか俺は返せなかった。

 

ユキト:「ところで、シルヴィアさんについてきたその人は執事?」

 

シルヴィー「イーガル。皆さんに挨拶を。」

 

イーガル:「申し遅れました。私テルーノ家に執事として使えております、イーガル・ダイアンと申します。本日はお嬢様のお財布兼荷物持ちとして、ご学友の皆様と同行致しますのでお気になさらず街をお楽しみ下さい。」

 

シルヴィアさんの執事イーガルさんが挨拶すると、脊髄反応よろしく。サヨコは俺を盾として後ろに隠れた。

 

 

そのあと俺たちはまず、この地球で一番活気があり地球の流行を発信する街レイクスターシティーに向かうためにリニアレールに乗り込み電車内ではとりとめの無い話が続きレイクスターシティーの駅前に降りた後妹は目を輝かせていた。

 

サヨコ:「わぁっ凄い。異星人がこんなにいる。」

 

このレイクスターシティーは衣服の流行の最先端だけでなく、異星文化推進特区となっており地球人用の衣食住だけでなく交流のある異星人達の食文化も体験できるのである。

この異星文化推進特区のエリアはこの星の貨幣、円とアースダラーに対応しているだけでなくベルアット通貨のベイリー、母の故郷バーシストの通貨ダブセンズにも対応している事が多いのである。

 

しかしいくらこの街が異星文化推進特区だからと言っても必ずしも対応していない店舗もあるのでそこはパンフを片手に、又は地域ガイドの案内にしたがって店を選んだ方が外れはない。

 

フェイ:「さて、ここなら私達の服も当然として、ベルアット星人でも着られる服が有るから気にせず買い物も出来るわね。それじゃあの店に行こうか。」

 

一同「「おーーー」」」

 

シルヴィー:「はいっよろしくお願いします。」

 

俺たちが向かったのはファストファッションの老舗ファションセンターとりむらである。このとりむらは西暦と呼ばれる時代から一般庶民に安い衣服を提供しており、地球のファストファッションを体験するには外してはいけないお店である。

女性陣はシルヴィアさんに会う服を見繕ってはいるけど、どうも彼女に着られる服のサイズが無いようだ。端から見てれば、ボトムスはいいサイズの物は見つかるけどトップスが見つからないのでイーガルさんが店員さんを呼んで

 

イーガル:「トップスのみベルアット星人にあう物が店頭にないので奥にないのか?」と確認したらこう返ってきた。

 

とりむら店員:「申し訳ありません。現在当店ではベルアット星人の婦人服トップス、当店では在庫切れでして。」

と帰ってきた。それを聞いた執事のイーガルさんが近隣に(ベルアット星人)婦人服専門店は無いのかと問い合わせたら

 

とりむら店員:「この近くにトータルコーディネートをしている総合婦人服店BANTORLと言うお店がベルアット星のご婦人御用達のお店がありますよ。ここよりは値ははりますが確実にお買い上げになれますよ。」

店員さんが勧めてくれたお店に行く前にここで見繕ったボトムス数点だけはお買い上げし、総合婦人服店BANTORLに向かった。

 

総合婦人服店BANTORLに入ったら驚がくした。男の俺達が入っていい物か逡巡していると、シルヴィアさんが俺の手を引っ張り半ば強引に入店されられた。それにつられユキトも入った。

ボトムスは普通に地球人でも大きめサイズの3Lまで揃っているけど、トップスの殆どが腰回りの布は普通なのに胸部の布が極端に多い地球人の一般婦人服の3LサイズのTシャツや伸縮性のあるリブ生地ぐらいならいいのだが、女性用下着のコーナーを見たらとんでもない光景を目にした。それはブラカップが最も小さいカップでDであり最大でLまで揃えている。

 

元々ベルアットの成人男性は平均身長が地球人より少し高いぐらいでさほど変わらないが、ベルアットの成人女性の平均身長は同じくらいだが胸囲が異常とも言えるほど大きいのである。ちなみに、地球人でも巨乳に値するDやEカップサイズはベルアット星人では貧乳に属する爆乳一族である。

 

この店に来てフェイは完全に意気消沈していた。フェイのよう地球人でも小さい方な胸で、この店は気分を沈めるには充分なブラがおいてあるみたいだ、俺はあまり凝視出来ないけど。

フェイは、昔カップ数に関しては乙女の秘密とはぐらかされたが、サヨコの見立てでは、Cは有ると言っているが聞く気にはなれない。

 

服も買い終えて丁度お昼になったので近くショッピングモールにあるフードコートで食事する事にして俺は皆に

 

「あ、そうだ。何食べてもいいけど加工品、生を問わずトマトの入った物だけは選ばないでね。」

 

ユキト:「どうゆうこと?」

 

カナエ:「あたいにもさっぱり。」

 

ユキトとカナさんは全くわからないって顔をしていたが、ベルアット星人の2人は少し驚いた顔をした後にシルヴィアさんが

 

シルヴィー:「マサキさん、わたくし達ベルアット星人がトマトは死に至る劇薬だと言うとこをご存じだったのですか?」

 

サヨコ:「はいはい。わたしも知っていたよ。」

 

「これは母さんから聞いた話だけど、ベルアット星人には地球人、地球出身のテラフォーミング惑星の出身者、更には俺たちのようなテラフォーミングの惑星と地球人のハーフには全く問題ないけど、トマトに含まれるリコピンが体内の機能を著しく低下させるだけでなく、筋弛緩作用をもたらすらしい。ちなみに致死量としては普通サイズトマト1個でベルアット星人1人毒殺できるから食べさせないでね。」

 

ユキトやカナさんがへーだの、ほうほうと相づちをうっているがそのまま続けて

 

「ここからはマナーになるけど、ベルアット星人達に食べさせるのは当然として、その席に同伴しているメンバーも食べるにはベルアットのお作法によると良くないんだ。」

 

更に、無知だった故に禁固刑になったトマト農家の話をした。内容としてはベルアット星にトマトを直に作るために移住した農家の人が大量に劇薬を生成していた大量殺人未遂で逮捕され裁判で禁固32年恩赦、保釈無しの厳しい刑が執行された。

 

お昼は各員がトマトの入っていない食べ物を選び出し、俺は牛丼大盛り豚汁セットを、ユキトは天かすうどん天丼付き、カナさんはフィッシュバーガーセットナゲット付き、サヨコとシルヴィアさんはチキンプレートセットをサヨコはライスをシルヴィアさんはパンズをそれぞれ選んで昼食にした。イーガルさんも同時に食べる事を許されたので、彼は麦飯とろろ定食を選び器用に箸を巧に使って刺身を簡単に食べていた。

 

昼食が終わりそれぞれの住んでいる所に帰って行くのは良かったけど、レイクスターシティーしか案内していないのを帰ってきて思い出した。

 



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体育祭事前準備

PGの操作も一通りの基礎の基礎をたたき込まれた。5月下旬にもなりPGにエクステンションパーツの授業も追加された。

 

ミヤコ:「いいか、お前達。エクステンションパーツ(以後EXP)とは腕部、腰部、脚部に装着できるユニットシステムであり、片手武器用のマガジンをセットして弾数を増やす為や、背面ブースター以外のサブブースター、ショベルアームや工業用パイルバンカー、キャタピラータイプランドスピーダ等と多岐にわたりスタンダードタイプ代表格のRAIUNやSERC REIDでもパーツ交換やEXP次第では如何様な行動も可能であると言う事を覚えておけ。」

 

今日一時間目授業はEXP基礎である。この授業で教鞭に立っているのは家の姉貴である。

 

ミヤコ:「EXPは元々従来から有る重機と共同で作業できるように設計されたパーツが初めてで、それの始祖とも言えるパワーアームは現在でもバージョンが変わってもその利便性は変わらずある。」

 

姉の授業は要点をまとめてわかりやすく授業を進めてくれるので、こちらもNOTE padにそれを書き上げてメモリーチップに記憶させていく。

え?NOTE pad ?あえて言うなら通信機能の無いタブレットだと思ってくれればいい。

 

まぁ話が思いっきりそれましたな。数日かけてEXPの講習とトレーニングをするのは6月の上旬に入るとPG学園の体育祭が催されるので、どうしてもPGのEXP講習が必要になるのである。

いくらここ国立PG学園が人類の進出した星と、交友のある惑星の生徒がパワード・ギャリーのノウハウ学ぶための学校だからと言っても、ここは国立の高等学校の為、体育祭、文化祭に修学旅行、更に部活動と高校生としてのお楽しみは充実しているのである。

 

体育祭は普通に100m走や400mトラック走×4周の1600m走、障害走、綱引き、騎馬戦と言った普通の人間のみで行う競技だけでなく、そこはやはりPG学園。PGを使用した競技もあるのでEXPを使用したパワーアームを使ってクラス対抗棒倒しなる競技がある為である。

それ以外にPGを使った射撃と生コン運びレースのみであるので、人とPG両方の訓練成果がでるのである。

 

きりの良いところで授業終了のチャイムが鳴り家の姉貴は

 

ミヤコ:「次の授業が始まったらSHRをはじめて体育祭に出る競技を決めるぞ。今のうちにどれに出るか考えておけよ。」

 

そう言って教室を出て行った後、各自がどの競技に出るかを思考している。ユキトとセンイチが俺の机に近づいて来た。

 

センイチ:「マサキ殿とユキト殿は何にでる予定でしょうか?」

 

ユキト:「僕はそうだね、100m走は全員参加だから仕方ないとして、100m障害とレーシングPG対抗ハードトラックレースにでてみようかな。」

 

センイチ:「某も400mトラック1600m走と生コン運びにでてみようと想う。」

 

「せっかくだから俺はクラス対抗PG棒倒しと騎馬戦に出ようと想う。それにシミュレーター実践にも出ることになりそうだ。」

 

ユキト:「それは確かにそうだね。シミュレーター成績上位者のメンバーはその競技は強制だからね。」

 

二時間目は予告通りSHRから始まり全員参加の100m走、100m障害走、綱引きを除いて各員がそれぞれの出たい競技を自ら手を上げてどの競技に出るかを明確にした。

 

その後の授業は普通に行われて、次の20分休憩に入り男女共にそれぞれの更衣室に向かって着替える事になっている。

3、4時間目は先ほど決まった体育祭の練習をするための体育だ。ストレッチや軽くランニングをして今日はトラック競技を中心に進んでいった。

各自が自身のペースでトラックを走り最低でも15周するようにと言われたので、俺はある程度スピードを出しつつもバテないように調整しながら、トラック17周で終了した。

他のメンバーはと言うと、ユキトはレーサー志願と言う事で、ジョギングペース17周で終了し、カナさんは同じくジョギングペースとして15周にてフィニッシュ。

アノ馬鹿こと、クウヤ・オキサキは短距離ランナー並みのスピードで20周して終了したが自分と同じペースではしって15周で止めた連中に無言で見下していた。

こいつ、一般生徒にすら見下す野郎なのは知っていたが、ここまで露骨に見下すのかよ。

 

俺が彼女の近くを通るとあの野郎からの視線を感じて

 

「あぁオキサキ君に見下されている。今日もご飯が美味しく頂けるわ。」とぼやいていた。

 

ちなみのこのドMお嬢さんはミレール・セルバスと言って生粋の地球人であり、茶髪で肩先までウェ-ブの掛かった髪で今時珍しいそばかすがチャームポイントにしているお嬢さんである。

 

しかし、それ以上にランニングでなく完全に全力疾走でトラックを走っている奴が居た。

 

「「ぬぉぉぉまぁーけぇ-るぅぅかぁぁぁ!!」」

 

と咆哮を上げながら走ってくる2人は、まるでギャグマンガなら膨大な土煙を上げて横並びで走ってきたのは、センイチと内のクラスのメンバー、メリッサ・リードである。

彼女は生粋地球人ではなく、地球人とベルガー星人のハーフで、彼女の特徴は男と間違えるほどのがっしりとした筋肉質の体型に褐色の肌で有るけど、女性らしい体つきと体型のわりに大きすぎず、小さすぎずの胸囲はある。自然なブロンドヘヤーにショートボブの髪型で右横に白と青のツートンカラーリボンをつけてはいるけど、下手な男より高身長で筋肉質なので女性とわかっていても女性ファンが多いのである。

ちなみに彼女の趣味は可愛い物を愛でる事と花を育てる事だ。

 

俺が運動後の軽いストレッチをしていたら、あの2人は400mトラックを25周してやっとゴールしたけど、二人とも大きく息を切らしていた。まぁ無理もないあれだけプロの短距離ランナー並みのスピードで400mトラックを25周もすれば、よほど走り慣れている人間なら息を切らさずに済むのだ。

 

センイチ:「はぁ・・・はぁ・・・そ、某と同じ持久力を持っている女人が居るとは驚いたぞ。」

 

メリッサ:「お、俺の方も驚いたよ。体力や持久力じゃ、はぁ・・・はぁ・・・右に出る者が少ないベルガー星人と同等の身体能力で対等に渡り合うなんて。」

 

「おいおい、センイチにメリッサさん。二人揃ってあそこまで馬鹿みたいに走らなくても良かったのに。」

 

メリッサ:「マサキ君にはわからないかもね。あそこまで来ると俺とセンイチ君との意地と意地のぶつかり合いだから引くに引けなくて、あははっ。」

 

「だからといってそこまでしなくてもいい気がするけど・・・・。」

 

シルヴィー:「まぁまぁマサキさん、良いではありませんか。わたくしは、メリッサさんほど体力はございませんけど、センイチさんの体力は地球人の身体能力を大きく凌駕しているように見えますわ。」

 

センイチとメリッサさんがトラックで全力疾走していた時に俺のとなりでストレッチしていたシルヴィアさんが二人に声をかけた。

 

メリッサ:「そうかもしれないけどよぅ、シルヴィア。俺にだって男女不問で譲りたくないモノがあるのでね。」

 

シルヴィー:「ベルガー星人の身体能力は女性といえども、鍛え上げた地球人の殿方以上に優れているのですからそちらは誇ってよろしいのですわ。」

 

メリッサ:「ま、まぁシルヴィアがそこまで言うならいいけど、それじゃセンイチ、この後一緒に飯食うか?」

 

センイチ:「某だけでなくマサキ殿達と一緒ならそのお誘い喜んでお受け致す。」

 

そうして体育の授業が終了し各自着替え終わって俺、カナさん、シルヴィアさん、ユキトにセンイチ、メリッサさん揃って食堂に向かって昼食を済ませた。

 

今日は体育の後は本日の授業はお終いなのだが、昼食を食べ終わって掃除の無い人は体育祭用に開放された第2アリーナでPG競技の練習ができるため、そこに集まってきた。

 

俺やカナさんも練習の為に第2アリーナに自分のPGを持ち込んで練習に来て見ると、ユナさんの専用機DIAMOND FLOWERが生コン運びの練習をしていた。

 

ユナ:『あら?マサキさんにカナエさんではありませんか。貴方たちも練習を?』

 

カナエ:『そうゆうこと。あたいだって専用機持ちの端くれなんだから練習しないと。』

 

「俺だってそうだよ。PG操作の復習も兼ねてね。と、言ってもEXP訓練は明日からだけど他の操作もしてみたいからね。」

 

ユナ:『それでしたら、わたくしとこちらの生コン運びなる競技の練習にお付き合い頂きたいのですがよろしくて?』

 

「ああ、いいですよ。俺で良ければユナさんの練習付き合いますよ。」

 

生コン運びはPGの建設業界に進むのに不可欠なスキルの一つであり、用意された生コン精製機からPG用の猫車に一定量の生コンを排出してゴールまで運ぶレースである。

ただし、練習や体育祭では軟化剤や硬化遅延剤を混ぜてはあるけど、一般的な生コンと同比重のため、猫車の扱いは人同様に繊細であるが、人以上にあちらこちらに神経を使うためランドスピーダを使用してのスピードレースではないのでいかにこぼさずに運ぶが重要である。

 

まずはPG用の猫車を空荷で押してみるとバランスは問題なく取れて楽にゴールは出来た。

 

カナエ:『それじゃマサキ君。今度は生コンいれて動かしてみようか?』

 

「おう」と短く返して精製機から生コンを3000kgほどいれて猫車の持ち手をあげて押してみたら

 

「あ、あれ?持ち上がるけど、バランスとるのが難しいぞ。」

 

ユナ:『気をつけて、マサキさん。この生コン運びは人間の一輪車と扱いは同じですが、生身以上にバランスコントロールが繊細ですから。』

 

「こ、これは・・・・・おととっ・・・・あぶねー。ふぃー、危うく生コン地面にぶちまけるかと思った。」

 

危うくバランスを崩して生コンを路面にぶちまけるのは回避できた。精製機から生コンを投入するバレットまで1000mは有るので、これをランドスピーダありなら楽に進めるが、この競技は逆にランドスピーダを使うとバランスが悪くなる為使えない、使うと猫車ごと転倒してしまうからである。

 

ユナ:『マサキさん大丈夫ですか?』

 

「おう、大丈夫。猫車持ったままころんだワケじゃないから。ユナさん心配してくれてありがとな。」

 

ユナ:『い、いえわたくしの練習にお付き合いしてもらっていますから、当然ですわ。』

 

四苦八苦しながらバレットに生コンを投入できたけど普通にPG操作しているより神経が削られた。

 

「ふぃー。これ難しいぞ、こんなのが建設業界には最低必須だなんてすげーなおい。」

 

ユナ:『マサキさんはこの後、どのPG業界に進むかは存じ上げませんけど、わたくし同様あらゆる物を吸収して自分の物に出来れば万能ですわ。』

 

「そうかもな、何でも挑んでみるか。」

 

ユナ:『そうですわ。何事も挑戦しなければ自分に何が適合しているのか判りませんからね。』

 

俺とユナさんがPGに乗車したまま何気ない話をしていると、掃除を終えてユキトとセンイチが、PGに乗り込んでアリーナに進入した。それぞれのPGはGREEN TORNADOと左肩に「鬼」と書かれた兜飾りのエンブレムを付けたHONET SPEARが近づいて来た。

 

センイチ:『マサキ殿。某達も自主練のために参上仕った。』

 

ユキト:『ヤッホー、マサキ君。僕も練習に参加するよ。』

 

「ユキトにセンイチも来たか。それにしてもセンイチ、お前らしいエンブレムをペイントしたな。」

 

ユキト:『某もこれが板につくと思いお願いしたのです。』

 

「俺は一端降りるぜ。」

 

その後俺はPGを降りて待機していた所にトラックを数周した後にユキトも降車してランドスピーダレースのため俺にデルタエッジターンのやり方を聞いてきたが俺も口下手で有る事を説明して

 

「今度家に来たら俺が父さんからたたき込まれたシミュレーター体験してもらうか、俺のランディング見て独学で学ぶかで勘弁してくれない?」

 

ユキト:「うーん、それじゃマサキ君のランディングを一度見てテクニック学ぶしかないのかな?」

 

???「ほほぅお前はデルタエッジターンをゴトウから学びたいのか?止めておけとは言わないが、ランディングも私に比べれば未熟だからな。」

 

そう言ってパイロットスーツを着て近づいて来たのは家の姉貴だった。

 

「あねk・・・いや、ゴトウ先生何か用でしょうか?」

 

ミヤコ:「ゴトウよ、一応公私をわきまえているようだな、関心関心。だが、フォールダートよ。デルタエッジターンに関して言えば一朝一夕で体得出来るモノではないが、コツはお前ぐらいなら数回見ただけで体得は出来ると思うが、楽な道ではないぞ。」

 

ユキト:「ゴトウ先生。何故パイロットスーツでここに?」

 

ミヤコ:「お前らの目は節穴か?あそこに私のKOTETUが降車待機状態にあるのを。」

 

「「あっ」」と俺とユキトがユニゾンで声を上げた後も続けて

 

ミヤコ:「PG競技の放課後練習は教員が3~4名専属アリーナに指導並びに監視が仕事だからな。それと贔屓してお前だけにデルタエッジターンを教え込む訳にはいかないからな」

 

そう言って家の姉貴はここから離れてKOTETUに再乗車して生徒達を指導するのであった。

その後、俺たちは体育祭の自主練習をアリーナ閉鎖時間まで行った。

 

三人称side

 

ここは地球某所。

明かり一つも灯っていない廊下をパイロットスーツと暗視スコープのみ付けて歩いている男1人が歩き、ある個室に暗号と合い言葉を言いあげてそこに入った。そこには通信モニターと監視員1人だけの殆ど何も無い部屋だった。

その部屋に入ってきたのは学園の制服を着た男と密談していた、コードネーム(サイサリス)と呼ばれ、ここでは別の人間とモニター越しに密談をしていた。

 

???『どうだった?サイサリス。アノ馬鹿がウンと言ったか?』

 

サイサリス:「ああ、上出来だよ。PG学園に襲撃するにはこの手のイベントが丁度いいからな。」

 

???『この1件が成功失敗問わずに終わったら、アノ馬鹿の元を離れて本来の任務に戻る事を許す。ただし生きて戻る事だ。いいな?』

 

サイサリス:「やっとアノ馬鹿のおもりから開放されるのか。それでは予定通り体育祭2日目に決行でいいですね?」

 

???『無論だ。‘’あのお方‘’のお気に入りとはいえ我々のおもりはもう不要だ。我々に栄光を。』

 

サイサリス:「我々に栄光を。」

 

とサイサリスが返した後に、モニターの電源は切れた。

 



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マサキVSクウヤ模擬戦開始

クウヤ・オキサキが今までの戦績を引き連れてマサキ・ゴトウに模擬戦の宣戦布告をしたところから始まります。
果たしてマサキはこの野郎に無事に勝利を勝ち取ることができるだろうか?


翌日はPGにおけるEXP実習も入ってくるので、PG実習においてはエクステンションパーツの有効な使用法を午前中に座学を午後から機体を使っての実習となるのが昨日から2~3日賭けて習うので後は2年生に上がってEXP専科が有るのでそっちで習うとこになる。そんな座学の休憩時間にあの野郎が珍しく声をかけてきた。

 

「お、珍しいなオキサキ。お前から俺に声かけるなんて。」

 

クウヤ:「お前とは少し話しておきたい事があるしな、次の体育祭まで少し時間がある。どうだ?お前の火器類の訓練も兼ねてガンズ・ブレイドで模擬戦しないか?」

 

ガンズ・ブレイドとは、PG同士で、近接射撃兵器、代表して例を挙げるなら片手持ち25mm小型マシンガン(HMG)や30mm連射式拳銃(HQG)と言った火力のやや低い片手持ち可の小型銃器類と形状不問でAPSの装備が出来てそれらで攻撃してアーマーポイントARPを0まで減らす事で勝利となる。

もちろん、国際PG格闘規約に乗っ取り当然ながらコックピットへの直接攻撃、過剰火力による攻撃は禁止である。

 

このAPSにもいくつか種類が有り、家の姉がこないだの模擬戦で装備していたのはモデル-Jで、日本人が中世の時代に侍達が所持していた日本刀を大きくしたサイズで、他のAPSと異なり重さのみで切るだけでなくまさに刃先で切るのでAPSはこちらのモデルを愛用するパイロットが多数派である。

このモデル-J以外にも、華人が使用していた青竜刀を大きくしたモデル-BDに、欧州において一般兵士が持っていた両刃刀のモデル-TEとポピュラーな物だけでも3種類はある。

APSは実態剣だけど20年ぐらい前にレーザーで装甲を斬る事の出来るレーザーブレードも開発、実用化はされて居るがそれを持っているのは軍のエースパイロットか、グラップPGの上位ランカーぐらいだ。

 

「・・・・んで。いつ模擬戦いつやるんだ?」

 

クウヤ:「同意が得られれば、3日後に第4アリーナで開催する予定だ。」

 

「OK、わかった。こちらもルールに応じた武器とチューンした機体を揃えておく。」

 

クウヤ:「よし、これでいい。(ニヤッ)」

 

ん?この野郎今一瞬口元が一瞬緩みやがったが何かありそうだが・・・こいつの事だ、何か仕掛けてくるな。

 

クウヤ:「それじゃあ3日後、第4アリーナでのガンズ・ブレイドを楽しみにしてるぜ、あ、言い忘れていた。今更逃げるなんて選択肢は持つな。逃げたあかつきには背後からパイr・・いや蜂の巣だ。」

 

「誰が逃げるか。お前こそ首洗って待っていろ。」

 

オキサキが俺の机から離れ、教室から出たと同時にセンイチやユキトが入れ替わるように俺に近づいて来た。

 

ユキト:「マサキ君いいの?あの野郎と1対1の試合するのって危険なんじゃないの?」

 

センイチ:「某にはマサキ殿が何か考えがあっての行動だと思われますが。」

 

「俺はただ、自分をスーパーエリートと勘違いしているアノ馬鹿の鼻っ柱へし折るのも一興かなと思っただけだ。それに、あの野郎にフルボッコにされたクラスメイトの敵取りも兼ねてな。」

 

センイチ:「確かにクウヤ殿は、1年生の中では1,2を争う実力の持ち主ではあるが、彼の性格が災いし力を発揮しておらぬからな。」

 

ユキト:「確かにそれは言えているよ。これは、僕の伯父さんが言っていたけど(頂点に立つには野心と謙虚さがバランス良く共存していた方が達成しやすい。)ってね。だけどあいつは謙虚さがカケラも無い。」

 

「良い言葉だ。しかしアノ馬鹿は入学式から数日たってすぐ、俺にぶん殴られたのをまだ根に持っているのか?」

 

「「うんうん、あり得る。」」とセンイチとユキトがユニゾンで返した。

 

ユキト:「ところでマサキ君PG用の武器とかはどうするの?」

 

火器類に関して言えば学園の貸与火器を使用すればいいかもしれないが、APSにはそうはいかない。

あれも使い方次第ではコックピットを直接攻撃できる代物のため学園の備品としてはあるが、素振り練習用に切れないカバーが掛けられており、そのカバー解除だけでも書類申請やら担任の承認など半日は要するため、APSは備品を借りるより自前品を用意した方がお手軽である。

 

「APSに関して言えば、家に日本刀タイプのAPSがあるからそれを使おうと思ってな。」

 

ユキト:「なるほどね。マサキ君のお父さんって主夫になる前は確か太陽系統括連合軍にパイロットに在籍してその後は教官だったよね?」

 

「そうだけど、俺の家にシミュレーターや旧式のPG、更には多少の武器もあるのは、軍からの払い下げを退職金代わりにもらったらしい。」

 

俺たちが話しているとメリッサさんがこちらに近づいて来た。

 

メリッサ:「あははっ。マサキ君、お前もずいぶんcrazyな事したな。俺ならそんな事はしないよ。」

 

「そうはいってもメリッサさん、あの野郎にひどい目に遭わされた奴が居るのも有るし、何より自称スーパーエリートの天狗鼻をへし折りたいと思ってね。」

 

メリッサ:「へー、マサキ君って整備士志願の黒子型の地球人かと思ったよ。」

 

メリッサさんは戸籍上地球とのハーフだけど生まれも育ちもベルガー星のため考え方は地球人よりでは無くベルガー星人の思考や強いため、彼女は考えるより行動派なのである。

 

「まぁ、その黒子型の地球人なのは否定しないよ。と、いっても俺は地球とバーシストのハーフだからね。地球人にもいろんな人間が居るし、それはベルガー星人でもしかりじゃない?」

 

メリッサ:「確かにね、まぁ母さんは地球人だから例外だけど、俺の従姉妹にもベルガー星人にしては理論派の人間が居たからね。」

 

そういった話をしていたらチャイムが鳴り座学の続きが再開された。

内容は操縦の仕方や、EXP操作のためにインストール作業の重要性をとかれた。もちろん各パーツの目的なども含まれていた。

 

この日はEXP操作の授業はショベルアーム、キャタピラータイプランドスピーダ、工業用パイルバンカーの3種類に分かれて1日1EXPの状態で各自が体験するのである。

昼食を済ませて午後から第3アリーナで、EXP実際に使っての体験操作を学ぶために全員PGに乗車し待機している。俺を始めPGの体育祭の種目に出るメンバーが他のメンバーより先行してEXP操作・実習をすることになった。

EXPショベルアームこれは二の腕のあるEXPソケットに挿入しグリップをマニュピレーターで握ることでパージしない限り、マニピュレーターは固定されショベルアームをダイレクトに操縦できるのであるが、普通にマニピュレーター操作した方が簡単だ。無理もないPGの基本構造は人間と同じで肘関節は1つしかないがこのショベルアームは2つ有るから感覚では判りにくいのである。

 

「これをもう少しアーム角度を開いて・・・ショベルを動かすっと・・・これ、意外とむずかしいな。」

 

ショベルアームを付けてPGの胸部ぐらいまで盛られた土をアームですくい上げて別の山を作る工程をしている。こ、これはかなり繊細だ、としか言いようがない土を掘る=土砂崩れさせないように慎重かつ大胆に掘るなどとこれもPGの土木業界に進むためのスキルだが、これは救助部隊にも必須スキルになりそうだ。

 

アキナ:『どうしたの?マサキ君。ショベルアームの扱い方そんなに複雑だったかな?』

 

インカム越しにコバヤシ先生が俺に話しかけた。

 

「大丈夫ですよ。コバヤシ先生使い慣れれば何とか為りそうです。」

 

アキナ:『それならいいけど、ショベルアームは武装タイプのEXPと比べて若干脆いから気をつけて下さいよ。』

 

「了解です。」と、短く返した。コバヤシ先生とのやりとりをしながらもショベルアームを使って土山を掘った土を別の所に積み終えて、ショベルアームをスタンバイモードにした。

 

「よし、クリア。」

 

アキナ:『はーい、マサキ君ショベルアーム実践講習初級クリアよ。ショベルアームを通常プログラムで外してラックに戻して下さい。』

 

「了解です。」と返しラック近くに戻りEXPパーツ用のラックにアクセスしてラックのマニピュレーターを操作して左のショベルアームを外したあと、フリーになった左手でラックマニピュレーターを操作して右のショベルアームを外した。

 

それから数日後。この日はシミュレーターを使用した授業と一般教養だけの半日授業となっていたので、昼食終了後俺とクウヤ・オキサキのガンズ・ブレイドが第4アリーナで開催されるとなりクラスメイトだけでなく、他のクラスでエースと呼ばれるメンバーも来ている。

 

クウヤはODINに乗り込んでいる。事前に渡された試合に使用する武装申請に嘘偽りがなければ、コバヤシ先生との模擬戦で使用した火器類はなくサブラックにはレーザーでトリガーレスタイプのチェインガン(LTG)とアックスタイプのAPSなので(APX)である。左腕の武装は前回同様PGSを装備し右腕はフリーである。

 

俺の方は、RAIUNに右腕にはAFGにフォースドラムマガジンを装備し、左腰部のEXPにAFGのマガジンを3セットして、右腰部のEXPにはレーザー系武装に必要なバッテリーマガジンを2セットと弾数だけならかなり用意した。

サブラックにはレーザータイプのショットガン(LSG)を、もう片方には家にあったAPSなのは間違いないが、正確に言えば対PG戦闘用日本刀出雲である。

俺はRAIUNのコックピット内で待機している。ちなみに俺の機体は今回のガンズ・ブレイド使用にFCSやグラップモーターでチューンナップした、今のところ正式なカスタムネームが無いのでPGJX-C-01(仮)のRAIUN KAIGATAである。

 

マサキ:『マサキ殿、奮戦を期待しています。』

 

ユキト:『マサキ君。頑張ってね。』

 

「OK。勝てずともあの野郎の天狗鼻をへし折るぐらいはしてくるぜ。」

 

フェイ:『マサ君。僕が丹精込めてチューニングしたんだから、負けたら又呼び方戻すからね。』

 

「ぐっ!・・・フェ、フェイ。それだけは勘弁してくれ。」

 

フェイ:『だったらしっかり勝つ、それだけよ。』

 

「わかった、訂正する。勝ってあの野郎の天狗鼻を綺麗にへし折ってやる。」

 

アキナ:『マサキ君そろそろアリーナに向かって下さい』

 

「了解!!マサキ・ゴトウ、RAIUN改型。フィールドオン!!」

 

ランドスピーダを作動させてピットエリアからアリーナに向かった。

 

先行して居るODINからオープンチャンネルでなくプライベート通信が入ってきた。

 

クウヤ:『良く逃げずに来たなほめてやんよ。』

 

「けっ、殴られた逆恨みで仕込んだ試合・・・・ではなさそうだが、悪いけど勝たせてもらうぜ。」

 

クウヤ:『だが、悪いなこっちも面子ってもんがかかっているかまずはでめぇの戦意とPGを粉々にしてやるぜ。』

 

「できるものならやってみろ!!俺の心はダイヤモンド並みに硬いぜ。」

 

アキナ:『各者、位置について下さい。』

 

「おうっ!!」

 

クウヤ:『ふっ、良かろう。』

 

オープンチャンネルに切り替えて俺とオキサキが同時に声を上げた。

 

開始位置に到着しスピーカーから(ON your Mark Ready?)と流れてきたので俺もオキサキも共に手持ちの銃器をsafeからfireに切り替えてスタートブザーに備えた。

電子音『3・・・・2・・・・1・・・・BATTLE START』

と同時にスタートブザーが鳴った。

 

俺は先手必勝と言わんばかりに左手のPGSに標準を会わせAFGを1トリガー3ショットモードに変えて、弾を30発ほどばらまいた。しかしそれは予想済みと言わんばかりにPGSのシールド部分で防いだ。

 

クウヤ:『思考が浅はかだな。わざわざシールドに弾くれてやるなんて馬鹿じゃねーのお前?』

 

こっちもシールドで防がれるのは予想済みだ。単純な攻撃すら防ぐか避けるかをしてもらわないとこっちの興が冷める。

 

クウヤ:『ならばこっちから行くぞ。』

 

ランドスピーダを展開し、スピードに乗りながらガトリングを撃ちまくっている。もちろんこっちも銃弾の雨に当たってやるつもりは全く無いのでこっちもランドスピーダを始動しPGSが左装備なので右側に回避しているが

 

『ほう、やはり動きは良いみたいだがそれだけでは俺様には勝てねーんだよ。くたばれぇ三下ぁぁぁ!!』

 

その時奴のフリーだった右腕の中にPG用のマガジンタイプのHQGがシールド内から出てきてそれを数発発砲した後に俺のRAIUN左肩アーマーを打ち抜いていた。そのせいでアーマーポイントが少し減った。

 

「ダメージチェック、左肩損傷小破、左腕部稼働に損傷無し。にゃろー味な真似しやがったな。こうでなくちゃ鼻っ柱を折る醍醐味がねーからな。」

 

俺がPGSとHQGの範囲外に出たらLTGを使用してうまく近づかせないように切り替えがうまく使っている。

こっちもAFGを1トリガー1ショットに切り替えてやっかいなチェインガンに銃弾を数発当てて、黙らせようとショットし、これを繰り返してあちらのARPを徐々に減らしていった。

 

クウヤ:『おらおらどうしたぁ!!でめーのポイントは減ってはいるが、俺はまだぴんぴんしているぞ、もっと近づいてかかってきやがれ。』

 

観客席side

 

メリッサ:「ほほう、マサキはガトリングの弾が当たらないように右に回りながら回避しながら射撃をしているよ。なかなかうまいな。」

 

ユキト:「それだけじゃないよ。AFGを使いながら重火器類を先に黙らせて接近戦に持ち込むみたいだよ。」

 

カナエ:「確かにLTGとPGS双方又は片方だけでも沈黙させないと接近戦はむずかしいね。」

 

フェイ:「マサ君、しっかりー!!ODINのアーマーポイントも徐々に減ってきているし0に近づいているよ。」

 

センイチ:「マサキ殿も銃弾が当たっている故、楽観的には見られないですな。」

 

カナエ:「たしかにね。マサキ君のアーマーポイントもイエローラインに入っているけど油断し泣ければ、勝てるよ。」

 

コックピットside

 

死角ギリギリの所で発砲してチェインガンのダメージポイントがレッドゾーンに入ったのをこちらでも確認したらあっちがLTGの射撃を止めてPGSに装備していたコンバットナイフが見る見るうちに赤くなっていった。

あれはヒータータイプのコンバットナイフみたいだ。ヒートダガー(HDS)は近接戦闘において相手の装甲を焼き切ってダメージを与える武装である為、これは家の姉が使っていたHSCのダガーナイフ版だ。

ODINがヒードダガーを持ってこっちに接近してきた。

やばっ!!あれに触れたら装甲が焼き切られると思い斬られるギリギリのところで、咄嗟に後ろにランドスピーダで緊急回避したので胸部装甲の一部を僅かにこがしただけで済んだ。

 

「あっぶねー、危うく胸部ばっさり切られる所だった。」

 

クウヤ:『ふっ、今のを良く避けたと褒めてやるよ。だが次はない。』

 

「それはこっちの台詞だぁぁぁぁ!!この間合い、待っていたぜぇ!!」

 

咆哮と同時に俺はAFGを一度地面に放り出しすぐに出雲を抜刀して奴の持っていたHQGとPGSの砲身を一刀両断にした。その後すぐにランドスピーダを使い急速後退をしつつ出雲を納刀し、さっき投げたAFGを回収した。それと同時に観客の方から歓声が上がった。

 

クウヤ:『こ、こいつ俺のガトリングの砲身とハンドガンを一気に斬りやがった。』

 

銃撃戦がほぼ無意味だと判断して右にHDSやAPXを使って長短の利を活かした2刀攻撃に切り替えてきた。

 

こっちは一度相手から間合いをとりAFGからLSGに切り替えてショットガンを2~3回撃った後ダガーナイフを散弾攻撃で遠くへ飛ばした。

 

『くっ、しまった。HDSが!!』

 

しかしまだ勝利宣言には早い。HDSこそ遠くに飛ばし俺が向こうに追い詰めなければアックスが近接武器のみになるので、まずはLTGを黙らせるためにショットガンをポンプアクションとトリガーに指をかけて連射した。その後すぐに奴のLTGを爆散させた。

 

 

クウヤside

 

こんなこと、冗談じゃね-ぞ。あの野郎はシミュレーターで俺より目立っただけだが、PG本体には素人同然の奴なのに何で・・・・・なんで・・・・さっきまで俺の勝利は揺るがなかったのにどこで俺は失敗した!?俺は・・・俺様はこんな素人に負けるのか?

冗談じゃねー!冗談じゃねー!冗談じゃねー!俺はPGに選ばれたスーパーエリートだ!!こんなどこぞの馬の骨に負けることなんざ有ってはならないのだ!!

 

警告音が鳴り武器を見たらPGSがレッドゲージになり又ショットガンを食らったのでPGSのシールド部分が粉々になった。

 

「しまった!!シールドが。」

 

マサキ:『よしっ。シールドは破った。一気にたたみかけるぜ。』

 

コックピットside

 

俺はシールドが粉々になったのを確認し、LSGをサブラックにしまい出雲を両手持ちしてブースターとランドスピーダを展開し一気にODINの間合いに入りPGSを装備した左腕を肩口から切り落とし、PG腹部に蹴りを入れようとしたらカウンターで奴の右ブローを暗いRAIUNのアーマーポイントが1000をきったけど相手の戦意とアーマーポイントを完全に削ぐ事が出来た。試合終了のブザーが鳴り響き

 

『勝者!!マサキ・ゴトウ RAIUN KAIGATA!!』

 

それがアリーナ場に響いて歓喜の歓声があがった。

 

「ふう・・・・何とか勝てた。」そう言ったと同時にクラスメイトが座っている所にPGでサムズアップした。

 



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祝勝会と妹登場

今回の話はマサキが辛くもクウヤに勝利した後のささやかながらの祝勝会開始したところから始まります。


 

模擬戦が終了し、俺達の機体はすぐピットに運んで装甲等のダメージチェックが開始されて、幸い俺のPGは外装交換だけで済み1日そこらで修理は終わる。オキサキのODINも外装交換と腕部ジョイントの交換だけで済みこちらも1日前後で修了する。

 

クラスメイトのみだが模擬戦の祝勝会と激励会が慎ましく学食で開始されて、こんな風に祝勝会をクラスのメンバーが開いてくれたのは少し理由がある。

それはクラスメンバーの十数人がさっきの俺みたいにオキサキの方が模擬戦をしようと声をかけて、15人ほど試合して対戦相手を完膚なきまで叩きのめされた生徒が10人、オキサキに苦勝したのが俺を含め3人で、俺以外のメンバーはユキトと、メリッサさんである。

逆にオキサキをフルボッコにして負かしたのがユナさんとカナさんの2人である。

アノ馬鹿に叩きのめされて自主退学した生徒はいなかったのは良かった事だ。

この祝勝会は俺だけでなく他のオキサキに勝ったメンバー全員の勝利を祝う為の小規模なパーティーである。

 

クラスメイト一同「「「かんぱーいっ!!」」」

 

ジュースの入ったグラスが景気よく触れた後にクラス委員長のオノデラさん(女子)が

俺に近づいて来て

 

ユウコ:「いやー、整備士志願のゴトウ君があのオキサキ君勝てるなんて思わなかったわ。」

 

「オノデラさん、俺だって勝てるとは思ってなかったぜ。実力じゃあっちが数段上だし、俺のアーマーポイントだってレッドラインに達していたからギリ勝った状態だよ。」

 

ユウコ:「謙遜なのかガチなのかは聞かないけど、でもいいじゃない。これこそ逆転劇よ。」

 

正直なところ、一方的展開で、こっちがODINの片腕を切り落としていなかったら間違いなく負けていたのは俺の方だった。

 

「それに、これは俺と言うよりユナさんとカナさんの2人の祝勝会と言った方が納得いく気がする。」

 

ユウコ:「そんな事、気にしないの。これはユナさんとカナエさんの提案よ、(マサキ君のために祝勝会をあたい達の分もまとめて祝おうよ。)ってね。」

 

カナさんはこう言った誰隔てなく接して仲良くなろうとするだけでなく、気遣いのうまい女性である。だからこそ入学してすぐにファンクラブが立ち上がったのみたいだけど、え?俺?会員になっていないぜ。そこまでミーハーにはなれないから。

 

俺が委員長のオノデラさんと話していると同時に生徒が俺に近づいて来た。

その人は、髪色は黒と茶の混じった姫ショートで、フレームレス眼鏡をかけて制服に英数字でⅡとペイントされたピンバッチを付けているところから2年生であることと、首からかけた一眼レフと左腕に新聞部と書かれた腕章を付けていたので、誰かの取材でここに来たのだろう。

 

アヤ:「こんばんは。学内新聞部のアヤ・イノウエです。スーパールーキー、クウヤ・オキサキ君を破ったマサキ・ゴトウ君にインタビューに来ました。」

 

俺に近づいて上からなめるように見た後に、

 

アヤ:「ほほぅ、あなたがマサキ・ゴトウ君ですね。」

 

「ん?マサキ・ゴトウは俺ですけど、新聞部の人が何か用でしょうか?俺以外にも取材する人はいるはず?」

 

アヤ:「それにはご心配なく、他の人は勝利したときにもう既に取材済みです。後はあなただけですので、それじゃあ早速インタビュー始めますね。」

 

彼女が喋り終わった後ICレコーダーを鞄の中からとりだし、RECボタンを押して

 

「なるべく長くならないようにお願いしますよ。」

 

アヤ:「OK。それじゃあ早速、最初の質問。PGパイロットを目指したきっかけは?」

 

いきなりの答えたくない質問だな。仕方ない、嘘は言わないがなるべく包み隠すか。

 

「元々は整備士志願ですけど、整備するのにパイロットも経験するのも悪くない、と思ったのでこっちに来ました。」

 

アヤ:「ほほぅ、整備士志願でパイロット精神を学びたいからですね。では次の質問を、PGの世界で尊敬している人は?」

 

「リュウ・バンセイさんですね。あの人の整備技術にはただ舌を巻くとしか言いようがないぐらい、すばらしい整備技術者です。」

 

こっちは即答できる質問だから間髪入れずに答えた。ちなみにリュウ・バンセイさんとはフェイの父方の祖父で、今では旧型になるタイプだが、レーシングPGのメカマンとして頂点に立った事のある超一流の整備士だった。今は整備士で生計は立てず晴整雨読(せいせいうどく)まぁ様は晴耕雨読の整備士版だと思ってくれ。

 

アヤ:「確かにあの人無くしてPGのメカマンは語れないですからね。それでは最後に今後PGでの最終目的は?」

 

「うーんそうですね。今のところ、私に明確な目的はないですけど、整備士とパイロットどちらに進んでも自分を偽らずに仕事がしたいですね。」

 

アヤ:「そうですか、ありがとうございました。おかげでいい記事が書けそうです。」

 

言い終わるとレコーダーの停止ボタンを押して更に

 

「それでは最後にオキサキ君に勝利したメンバーのみで写真を1枚下さい。」

 

「いいですよ。」と短く返したら一眼レフを構えて自然に笑った顔をしてすぐにシャッターを押した。

 

その後、20分前後で祝勝会がお開きに為り、俺は家路につくためにクラスのメンバーと挨拶を交わしホバーバイクを駐輪しているエリアはどうしても1-3用のガレージ前を通らなくてはいけないので、そこを歩いていたら人用の扉が少し開いておりそこを見てみるとガレージの内に明かりが灯っていた。

消し忘れか?1年生の誰かがまだ整備か調整でもしているのだろうか?しかし、それ自身は悪くはないけどそれにしては人が少ない気がする。

時刻は20時30分を過ぎており部活の練習時間は過ぎているから違うと思うが、いかなる生徒でもガレージに進入する時間は事前に許可を取っていれば翌日のホームルームまで戻れば夜通し使えるけど、それ以外は21時までにガレージを出て行かなくてはいけないのである。

俺のRAIUN KAIGATAの様子でも見に行くついでに声をかけておくかと思い俺はガレージに進入した。

 

「こんばんは。誰かいますか?」

 

と声を上げても俺の声がエコーしただけで反応無し。カツカツと俺の靴音だけがコンクリートの廊下とガレージ内に反響していた。

RAIUN KAIGATAの所まで来たら俺のPGはコックピットブロックとダメージが少なかった部分の外装は取り外されてはいないが、それ以外はシリンダーやボーンフレーム、アクチュエーター、シェイドモーターなどが表に出ていた。

これはこれで惹かれる姿だな。整備士志願だから外装を外された姿を見る事は整備士志願で無い限りあまり見られる物ではない。俺は外されていないふくらはぎ部分に手を添えて

 

「明日、外装が装備されたらもう少しマルチスロットにセンサー類付けてやるからな。」

 

さり気なく独り言を言ったけど周辺に人がいなくて良かったよ。

自分のPGを見たので帰ろうと思ったらここから3つ奥隣の収納エリアに明かりが灯っていた。

そこに近づいてみるとユナさんの専用機DIAMOND FLOWERを入念にチェックしている少女がいた。

彼女はパイロット科の生徒が任意で着る事がある作業用のつなぎを着ており、髪は作業用ぼうしで隠れているが、ベナス星人特有の青髪が見えたのでユナさんだと思い、俺は声をかけた。

 

「おーい、ユナさん。こんな時間まで愛機の整備とチェックかい?ご苦労様。でも時間外整備申請書出してないなら、そろそろ自室か自宅に戻った方がいいよ。」

 

そう言って振り向いたのはやっぱりユナさんだったけど雰囲気が少し違った。そして作業用のリフトから降りて俺に近づいて来た。

 

ユナ?:「ちょっとよろしいかしら?あたしをユナお姉様と間違えるなんて、どこのボウフラかしら?」

 

いきなり俺をボウフラ扱いって、ずいぶん言葉のひどいお嬢さんだ事で。

口の悪いお嬢さんに少々ムッとしたが、少し冷静に対応しようと思ったらすぐに疑問に思った。

 

「・・・・ん?さっきキミは、ユナさんを(ユナお姉様)って言っていたな。キミは誰だい?」

 

そう言って彼女は作業用ぼうしを脱ぎ捨て帽子の中に隠れていた髪が光にさらされてユナさんと異なり腰まである髪は変わらないが軽めのウェーブが掛かっていた。

 

ミナ:「あたしは、ミナ、ミナ・フェルボート・ベナス。先ほどあなたが間違えたユナお姉様の、双子の妹よ。覚えておきなさいボウフラ。」

 

「はぁー。俺をボウフラ扱いとはずいぶんと躾のなっていないお嬢さんだ事で。」

 

そう言った後に彼女は顔を真っ赤にして俺に食って掛かった。

 

ミナ:「なっ!なんですって?!あたしの躾がなってないとはどう言う意味ですか?!」

 

「いや、そのままの意味だよ。教育の行き渡っている淑女なら、初対面の男をいきなりボウフラ扱いはしないと思うけど。」

 

ミナ:「う。・・・・確かにあたしはいきなり貴男をボウフラ扱いしたのはお詫びしますけど、その前にあたしをユナお姉様と間違えた事をお詫びして欲しいわ。」

 

「ユナさんに双子の妹がいる事を知らなかったから、それはすいませんでした。」

 

ミナ:「す、素直に謝ってくれればそれでいいわ。えーとあなたは?」

 

「マサキだ。マサキ・ゴトウ。俺は自分の機体の様子を見に来たのさ。」

 

ミナ:「貴男の機体?それはどちらに?」

 

と聞かれたのですぐに

 

「俺の機体は仮名称だけどRAIUN KAIGATAになるぜ。場所はここからガレージゲート方面に三つ進んだ所にある。ただ、今は外装外しているから内部に興味ない人が見ても面白くないと思うな。」

 

ミナ:「いいえ。そうでなくあなたの機体データが欲しいのですよ。」

 

「それは冗談抜きで、断るっ!」

 

ミナ:「何故ですか?」

 

「そうは言ってもたった1~2ヶ月程度の機体データなんてたかがしれているし、それにそれ位なら自分の機体でも蓄積データとして残るから、必要ないと思うけどな。」

 

ミナ:「り、理由ならありましてよ。私の機体を仕上げるためにはユナお姉様のデータとお姉様の優秀なご学友の機体データがあれば、あたしの機体を完成させる事が出来ますのよ。」

 

「機体完成?おかしいな、量産機ならメーカーの人がきっちり丁寧に仕上げてくれるし、カスタム専用機ならその話何となく判るけど・・・」

 

ミナ:私の機体は入学前に自費で購入した機体でしてよ。それを相応しい機体に仕上げるのにデータが足りませんのよ。」

 

「うーん理由はわかったけど、ユナさんには許可とったの?」

 

ミナ:「お、お姉様には下さいとは言えませんでしたからだからこっそりとデータコピーを。・・・・っは、ごめんなさい。」

 

俺はその言葉を聞いて完全に沈黙した。何とか気力を搾って口を開いた。

 

「仮にも双子のお姉さんから無許可で機体データを盗むのは良くないよ。ユナさんに一言断って立ち会いの下データコピーするか、お姉さんからデータメモリーもらうとか、合法的に手に入るはずだけど。」

 

ミナ:「そうなのですけどあたしは、お姉様ほどPG操作は得意ではありません。もちろん上達するために努力は惜しみませんけど、お姉様は勤勉型の天才です。あたしにはお姉様の隣を歩くには距離がありすぎます。それを埋めるためにはお姉様のデータは、あたしには必要なのです。」

 

彼女は拳をぎゅっと手から血が出るぐらいに握っており、彼女がユナさんに追いつきたいと必死で努力しているのはわかった。こんな風に姉と共に歩きたいっていい妹じゃないか、俺は頭をかきながら

 

「わ、わっかったよ。さっきは頭ごなしに否定したけど、俺のデータでどこまで役に立つか判らないけど、良ければデータコピー上げるよ。」

 

ミナ:「ほ、ほんとですか?」

 

「ただし、ちゃんとユナさんとしっかり話してデータが貰えなかったら俺のデータを上げる。それにデータコピーするには時間が足りないから、明日以降にコピーしてだから最短で2日後に渡せるから。」

 

ミナ:「う、うんわかった。明日ユナちゃn・・・いえ、お姉様とお話ししてみますね。」

 

ミナさんって本当はユナさんの事ユナちゃんって呼ぶ可愛い子なんだと思ったけど口には出さなかった。

思い出したように時計を見たら時刻は20時45分そろそろガレージから出て行かなくてはいけないと思い出して

 

「あ、いけないミナさん。そろそろ俺はガレージから出て行かないと後で怒られる時間になったよ。」

 

彼女は時計を見て同意した後に1-3ガレージを出た。

 

翌日はホームルーム前にユナさんの所に赴いて、まずは昨日ガレージでの出来事を話した後に

 

ユナ:「あらあら、あの子もちゃんとわたくしに申してくれれば良かったのに。」

 

「つまり、ユナさんはミナさんにデータコピーを渡す事はやぶさかでは無いって事だね。」

 

ユナ:「うふふ、そういうことよ。」

 

そんな風にユナさんと話しているとクラスメイトがざわついていた。そっちの方を見るとミナさんが教室に入ってきた。

 

クラスメイトA:「あ、あれユナさんがもう1人いる?」まぁ知らなきゃ当然な反応だな。

 

クラスメイトB:「おおお、落ち着け彼女はドッペルゲンガーだ。この世に同じ顔の人間なんていない。」お前は双子や三つ子を知らないのか?

 

クラスメイトC:「おかしいな、ユナさんって双子だったっけ?」正解だけど疑問系で聞くな。

 

センイチ:「ユナ殿、ユナ殿と同じ顔したご婦人が貴殿を訪ねて参ったぞ。ご姉妹ですか?」

 

ユナ:「え、えぇ、そうよわたくしの妹ですわ。」

 

「・・・・もしかしてユナさん、双子の妹いるのをクラスのメンバーにも言って無かったの?俺だって昨日知ったばかりだから、他の奴が知っているとは一部を除いて、いないよ。」

 

ユナ:「練習とか色々重なっていて皆様に喋るのを忘れていましたわ。」

俺は完全に頭を抱えた。

 

ミナ:「お姉様にマサキさんおはようございます。今日はお姉様に折り入ってお話しがあり、お姉様の教室に参りました。」

 

ユナ:「話はマサキさんから伺いました。私の機体データが役に立つなら差し上げましょう。ただしこの後コピーをとりますので、地球時間で一日かかります少しの間お待ち頂けるかしら?」

 

ミナ:「それで構いませんわ。それとマサキさん昨日は失礼な発言をお詫びせずにすみませんでした。」

 

「俺はあれぐらいじゃ気にしないって、でも良かった。双子の姉妹で確執があるのかと思ってヒヤヒヤしたよ。」

 

「「マサキさんは心配しすぎですわ」」双子が綺麗にユニゾンした。

 

その後は、ユナさんはクラスのメンバーに双子の妹がいて1組にいる事をさらっと喋り

 

ユキト:「僕は友人が1組に居るから、ユナさんに双子の姉妹が居るのは何となく知っていた。」

 

メリッサ:「俺は初めて知った。俺の星じゃ双子なんてベルガー星人同士の親からは全く生まれないから、母さんから‘フタゴ’って単語初めて聴いたぜ。」

 

ユウコ:「クラス委員として当然知っていた。」

 

ユナさんに双子が居ると判った各自の反応である。

 



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体育祭~期末試験編
体育祭開始


お待たせしました。HITOSIです。この9話目で体育祭の裏で不穏か空気がいよいよ表に出ます。


あれから数日経過しユナさんのコピーデーターがミナさんに渡り、ユナさんのデータと俺とフェイで彼女に合うように作り上げた専用機はPGJX-02FC RAIGAKI(雷撃)の機動性をあげたカスタム機PGJX-C-020011FC PANCZAR Garuda(パンツァー ガルーダ)を完成させており体育祭期間中につき、トレーニングが行えなかったけどガレージでの調整は完璧に出来ている様だ。

俺はユナさんとともにミナさんカスタムした機体が置いてある1-1ガレージに来ていた。

 

「おー!!すげーな。これが完成したカスタム機PANCZAR GARUDAか。改めてみると感慨深いな。」

 

ユナさんのDiamond FLOWERとは異なり火力重視の機体ではあるが機動性を可能な限り底上げした機体だ。

 

ユナ:「わたくしの機体が近接格闘主体のPGだからミナちゃんの機体は砲戦使用ね、いい機体だ。」

 

PGJX-C-020011FC PANCZAR GARUDAは森林迷彩をカラーに取り込んで脚部のEXPにマルチミサイルランチャーを標準装備しており、肩部装甲の一部にマイクロミサイルポット(MMP)を装備して近接戦闘用のフェンシングに使用されるフルーレタイプのAPSを常に装備している。

それ以外は手持ちの高火力低反動バズーカ砲(HBZ)やAFG、STG、手持ちミサイル付きシールド(HMS)等を状況に応じて武装を変えている。

機動性に関しては、レーシング用の高出力ランドスピーダを汎用レベルまでデチューンした物のノンカスタムのレーシング用PG以上のスピードを出せるのである。

彼女の機体はあくまでディスプレイ上のデータスペックによる物だがかなりの高水準に仕上がっている。

 

ちなみにユナさんのカスタムした機体のベース機は、PGJX-02FC RAIGAKIは外見こそPGJX-01 RAIUNとほぼ一緒でヘッドアンテナがRAIUNに対して1本少ない2本で、最大の特徴はジェネレーター出力を1.25倍に向上させて、さらにFCS(ファイヤー・コントロール・システム)を標準装備しているため軍や武装警察といった火力を必要とするメンバーに重宝された。

 

ミナ:「ユナお姉様、マサキさんいらっしゃいどうですか、私の機体は?」

 

「外観だけだと良く判らないけど、火力と機動力をバランス良くチューンされているね。」

 

ミナ:「ありがとね、マサキ君。」

 

いきなりのむけられた笑顔に俺は少しミナさんに見とれてしまった。・・・・・・・・はっ!いかん、いかん。後は姉妹のみで話をした方がいいと思い、俺は静かにガレージを離れた。

 

 

翌日は体育祭初日で、PG本体を使用した授業は数日前にPG操作は体育祭練習以外の作動は出来ない状態であり、もちろん今日は体育祭の準備以外の稼働は出来ないのである。

体育祭運営委員会の生徒は自分の機体を土木用にチューンナップやデチューンしている機体がちらほらある中で新聞部のデータ取り用のPGEJX-1102 SCOPE EYE(スコープアイ)を更に撮影機能や感知センサー類をふんだんに取り込んだカスタム機PGEJX-C-01226 OWL DOREM(アウル ドーレム)で、こないだ取材に来たアヤ先輩の専用機である。

こないだの取材されたことの新聞は学園の掲示板に張り出されている物を読んだけど、良く書かれていた。

チーム分けはクラス別のため一組~五組に分かれて順位を競うのである。

選手入場の音声と共に俺たち生徒は入場し、整列した後に生徒を代表してユキトが選手宣誓を任されることになった。

 

ユキト:「宣誓。我々Powered Garyに整備、パイロット等に関わる候補生として心身共に鍛え上げた成果をこの2日間でだしてさらなる向上を目指すため、不正のない堂々と戦い抜くとこをここに宣言します。NGC223年6月10日 生徒代表パイロット科1年ユキト・フォールダート!!」

 

ユキトが高らかに選手宣誓を終えた後に盛大に拍手が起こり、国立PG学園体育祭初日が盛大に始まった。

 

第1種目は学年別全員参加100m走が始まった。もちろん地球人より身体能力の高い惑星出身生徒が多少手加減はしているけど、それでも勝ち数が増えていくのである。

 

センイチ:「マサキ殿、ユキト殿すばらしい走りであった。それに比べ、某の鍛錬が不足した故に学友の皆に迷惑をかけた。」

 

「サンキュー。まぁ相手が純血のベルガー星人が相手じゃ仕方ないって、それに落ち込むことはないって。地球人の中では群を抜いた体力なのだから、そこは誇っていいんだぜ。」

 

ベルガー星人はがっしりした筋肉でも俊敏な動きができるパワー&スピードを兼ね備えてある筋肉の持ち主なのであるためこういった身体能力が地球人以上だ。

そのことを踏まえてもセンイチはそんな彼らとひけを取らない身体能力を持っている。彼はかつて人間の限界を超えた戦闘能力や身体能力をもった戦国時代の侍や浪人の様だ。

それ故に他の地球人の生徒からすればセンイチも超人クラスである。

 

100m走は全員参加の為その後の学年別100m障害走が終了し、次から参加は任意の競技が始まるのである。

走り幅跳びの同時に資材運びもスタートし、走り幅跳びはセンイチとメリッサさんが出場してこの2人の身体能力に勝てるのは純血のベルガー星人と他に地球人より身体能力の高い異星人出なければこの2人に勝てる奴はそうはいないから見なくても勝敗は明確だ。

資材運びにはユナさんとミナさんが出てきてまさかの双子対決が資材運びで見られるとは思わなかった。

 

100m障害走、走り幅跳び、綱引き、資材運びと午前中だけでもいくつかのプログラムを消化して、午前中の成績はクラス別の順位は二組、三組、一組、五組、四組と内のクラスは2位である。

 

ユウコ:「さて皆、今の所私達のクラスは、シノミヤ君とリードさんが思いっきり引っ張ってくれたおかげで2位と健闘しているけど狙うは1位よ。」

 

クラス委員長のオノデラさんが皆に言うとそれに応えるようにおー!!とかけ声と友に拳を店に突き上げた。

 

お昼休憩になるとクラスメイトと食事する者、それとは別に学友のメンバーと昼食をとる者に別れた。俺たちはフェイ、ユキト、センイチ、フェルボート姉妹、メリッサさんで囲んで昼食を取っていた。

ユキトの昼食はミックスサンドイッチと何故か、弁当箱にたっぷり入った青椒肉絲を器用に箸で食べているし、センイチの方も外観こそ立派だがふたを開ければいたって普通な幕の内弁当だ。

驚いたのはフェルボート姉妹が持参した弁当はかなり豪華でスタミナ弁当で彼女たちだけではとても食べきれない量ではあったので俺たちが呼ばれた様だ。フェイの方はポテトやホットドッグとアメリカン風の食事で、どうやら自分で作ったらしい。

 

ユナ:「あらあら、フェイさんあなたのお弁当栄養分足りないのでは?」

 

ユナさんがフェイにさり気なく聞いてきたけど全く気にしていなかった。

 

ユキト:「マサキ君のお弁当は、学園近所にあるほっか飯屋のパワフル弁当だよね?」

 

ユキトがさり気なく俺の弁当の中身を聞いてきたので口に含んでいた物を飲み込んで

 

「そうなんだよ。父さんは昨日から不定期に開催しているPGの戦闘講習の講師で出ているからいないし、母さんがたまの非番だから弁当を作ろうかって聴いてきたけど、丁寧に断ってきた。」

 

フェイ:「あー確かに。マサキのお母さん家事はそつ無く出来るけど、料理だけはねぇ・・・・・。」

 

実際の所フェイの言うとおり、俺の母さんリリアン・ゴトウは仕事と家事は簡単にこなすことは出来るが料理だけはとんでもなく下手なのである。

どう下手なのかは一言では説明出来ない、調味料投入過多?調理工程不備?それで下手くそならどれだけ良かった事やら、それならさじ加減や調理工程を是正すればいいのだ。

うちの母は、どうやったら的確な油量と火加減をしている目玉焼きが、皿に盛られた瞬間に塵に帰すのかを教えて欲しいものだ。

メリッサさんの弁当は野菜とカルビ弁当特盛りだけど、明らかに弁当屋では出さないうさぎに模したニンジンやタコさんウインナーなどと自作するオプションが豊富だった。

 

オキサキはクラスからも孤立しているが他のメンバーがいないと言うより、ガードが周りを固めており、友人と楽しく食事をする雰囲気どころではない。

 

お昼が終わり午後からはトラック競技が主軸になっており400m×7週の2800m走にオキサキがでて圧倒的速さで勝ったのは喜ばしいけど正直複雑である。

そんなこんなで1日目の体育祭は順位だけ上げると内のクラスは2位のままで終了した。

翌日の体育祭はPGを使用したPGロードレースである。

 

1日目は人間主体だから非公開で体育祭は行われるが、2日目のPGロードレースは一般人や企業スカウト等を招待してのイベントとなるため、1年生のメンバーは入学してからの1~2ヶ月は基礎操作の集大成をお披露目するため、2年生は1年前からの成長度合いを確認するために、3年生はPG関連の企業や、自分の目指すPG後ろ盾をしてくれるスポンサー達に自分たちの腕をお披露目するために気合いが入るのである。

競技は1~2年生は同じ競技をするが、3年生は1ランク上の競技をパイロット並びに整備技術を見せるために専門の競技が用意されている。

 

その内の一つがエアーズガンブレイドである。これは、以前俺とオキサキが模擬戦をしたガンズブレイドを空中戦で行うため、地上のみの3次元戦闘だけで無く空中戦同士の3次元戦闘スキルが求められる。

PGのフライトユニットは、戦闘だけで無く成層圏内作業や空中曲芸等の飛行スキルもPGに乗れば要求されるためだ。

ちなみにフライトユニット訓練は、2年生の夏期休業が終了してから授業で行われるために1年生のうちはフライトユニットに関しては概要程度のみである。

 

1年生の全員参加の競技はシミュレーションで行ったことを実際のPGで操作できるかの基礎プログラム実践である。

この競技はシミュレーションコードART―001をPGでそれを実践し、いかにシミュレーター通りに動けたのと応用がどこまで出来るのかを競う物である。

 

俺がシミュレートした内容はPG用トラック1周2kmある所をランドスピーダで3周し、もちろんカーブではデルタエッジターンでタイム短縮。

 

『なんと今走っているRAIUN KAIGATA、1年生にしてデルタエッジターンを決めてきたぁぁぁぁ!!これはすごい。』

 

放送員の女生徒の実況が入ってきたけど気にする物ではない。レーサー志願の上級生といえどもこのデルタエッジターンを出来る生徒は数人しかいないからあそこまで熱血な実況であった。

トラックを3周し終えた後に一度停止した後に、ジャンプから着地までのモーション中にジャンプをした後に空中で横回転を3回ほどして更に空中前転を1回転して両足で着地を特にミス無しで終了した。

 

『これはすごい!!PGJX-01 RAIUNを殆どカスタムアップしていないのにこれだけの機動性はパイロットの腕がないと出来ないぜ。今の技はファクティブムーンと行って空中曲芸PGならそんなに難しくない技だぁぁぁ!!この技を逆間接PGや軽量級PGでやるなら問題ないが、中量級のRAIUNでこれをするのは並みじゃナァァァい!!』

 

三人称side

 

所変わってここはアリーナの最上階。

他の観客はマサキのデルタエッジターンとファクティブムーンを決めて大歓声をあげているギャラリーをよそに歓声を上げずにオペラグラスや双眼鏡で見ている男達がいた。

 

「どうする?ヴァーゴ?あの野郎、俺たちの組織に勧誘してみるか?」

 

「どうするって、サイサリス。本来の目的が終了してからだ。PGのパイロットは、余裕があったらそのついでだ。それなら構わない。」

 

「目的はあくまで、PG学園整備科所属のこいつ(マサキ・ゴトウ)だったな。」

 

彼らはマサキ・ゴトウの学生服写真をみながら作戦の詳細を話していた。(もちろん一般人人は判らないように隠語を使いながら、なおかつコードネームでなく偽名で呼び合っている。)

 

「さてと、ここはいいから整備科の方に行くぞ。あっちは第2アリーナでメカニカルコンテストをしているからな。そっちは企業関係者と親族しかいない俺たちは妹の晴れ舞台を見に行くぞ。シュライク。」

 

「そうだな、アリサの作業着姿をこのカメラに収めにいくか。ヴァッシュ。」

 

ヴァーゴとサイサリスと呼び合ったこの二人は自然に向かったのである。

 

Side out

 

ピットベースのところに基礎プログラム実践を終えた俺の機体と競技用にカスタムしたSIPPUUが戻ってきた。

SIPPUUのパイロットは内の委員長ことユウコ・オノデラであった。彼女自身もレーサー志願であるけど専用機はカスタムアップしていないが、入学時にSIPPUUでは無くKAGURAを選んでいたけど今回はクラスでSIPPUUを選んだ生徒から借りてレースに出ることからSIPPUUを選んだのである。

体育祭2日目はPGのみの競技しかないために、クラスメイト達は準備と待機はクラスごとに割り振られたピットスペースで行う事になっている。ここのピットにある機体は専用機持ち成績上位者の機体4機がありユキトのGREEN TORNADOと、カナさんのFUKOROU、ユナさんのDIAMOND FLOWER、俺のKAIGATAとなっている。

本来ならオキサキのODINが専用機持ちの機体で成績は俺より優秀なのだが、ODINは過剰火力だけでなく本来所持が禁止されているMPBを公式の試合で使用すると判断されて出場停止となった。

俺の機体KAIGATAを含めたカスタムの4機と、競技用にチューンされたRAIUN4機、クラスによってはRAIUNでなくSERC RIDEを選んでいるクラスもある。

HONET SPEAR2機、KAGURA2機、SIPPUU2機の計14機のみになる。そのため専用機をピットに運んでいない生徒は自分の出る競技に合わせて機体を変更している。

競技用チューンされたPGは、学年クラス別のエンブレムを左肩にペイントシールと、昨日クラス別のはちまきにタスキと同じカラーのクロスチェックペイントを右肩にしている。ちなみに1-3はヴァルキリーのエンブレムにオレンジのクロスチェックである。

 

センイチ:「マサキ殿、相変わらずすごい動きです。」

 

「サンキューなセンイチ、お前だってさっきの重資材運びすごい量持って勝っただろ?そっちの方がすげーよ。」

 

ユキト:「いやー、相変わらずマサキ君のライディングテクいつ見ても参考になるよ。」

 

「おいおいユキト、お前さんの方がレーサー志願なんだから、俺じゃなくてもスキルを盗める奴なんて上級生にいくらでもいるのに・・・・・・まぁいいや。俺からでも盗めるスキルがあるなら好きに盗んでも文句は言わないって。」

 

ユウコ:「私もレーサー志願としてマサキ君のランディングは舌を巻くしか出来ないよ。それだけに参考になるわ。だから私もマサキ君のテクは盗ませてもらうわ。」

 

「オノデラさんも・・・・・勘弁してよ。」

 

俺は恥ずかしさのあまりここから別の場所に向かおうとしていた。

 

ユウコ:「あれ?マサキ君どこ行くの?」

 

「午後まで出番ないからフェイの競技でも見てくる。」

 

ユキト:「あいよ。行ってらっしゃい。」

 

俺はピットルームを後にして整備科が行っているメカニカルコンテスト会場に向かった。

 

三人称side

 

マサキが整備科のメカニカルコンテスト会場に行くためには一般エリアを通らなくても行けるのだが、この時マサキはピットルームの自販機が自分の飲みたいエナジージンジャーが品切れだったので、一般人向けの自販機ならまだ売っていると思いそっちでエナジージンジャーを買うためだ。

他の炭酸飲料を買えば良かったのにと思うが彼がどうしてもそれを飲みたかったからである。

エナジージンジャーを買った後にメカニカルコンテスト会場の第2アリーナに向かうとフェイのチームはこれから整備パフォーマンス始まるため何処か空き席が無いかを探していると、先ほど整備を見に行くと第1アリーナの席を立ったヴァーゴとサイサリスの隣にマサキは座った。

 

マサキ:「よかったフェイのチームパフォーマンスには間に合ったな。」

 

ヴァーゴ:「ん?兄ちゃん。パイロット科の制服着ているけど、知り合いがこの後のパフォーマンスするのかい?」

 

マサキ:「そうなんですよ。俺の幼馴染みがこの後パフォーマンスするのですよ。貴方たちはどうして此所に?」

 

サイサリス:「妹が整備科にいてそれをビデオに収めようとおもって此所にいるのさ。」

 

ヴァーゴ:「ところでお兄さん、整備科のマサキ・ゴトウって男知っているかい?」

 

マサキはふと思った(おかしいな、俺は誰かの策略といえども、パイロット科に入学したのに。何でこいつは俺が整備科にいるなんてデマ信じているんだ。)それを毛ほどに感じず平然と答えた。

 

マサキ:「整備科にマサキ・ゴトウ・・・・・・そんな人、聞いたことないな。」

 

ヴァーゴ:「そうか、整備科のマサキ・ゴトウはいないか。そいつは失礼なことを聞きましたね。ヴァッシュ、水を買いに行くから少し付き合ってくれ。」

 

サイサリス:「あいよ、シュライク。そういうわけだからお兄ちゃんちょいとごめんよ。」

 

マサキ:「あっすいません。今、どきますから。」

 

ヴァーゴ:「すまねぇな。ちょっくら水でも買ってくるぜ。兄ちゃん何か飲みたい飲み物あるならついでに買ってくるぞ?」

 

マサキ:「ご厚意はありがたいですけど、さっき自分の飲み物買いましたから謹んでお断りします。」

 

マサキは会釈をした後シュライクとヴァッシュは自販機に向かい、マサキの聞こえない当たりまで来たらサイサリスが口を開いた。

 

ヴァーゴ:「間違いない。さっき隣にいた男、マサキ・ゴトウだ。」

 

サイサリス:「なんだって・・・・あの兄ちゃんが?だってあの兄ちゃんパイロット科の制服を着ていたのだぞ。なにかの間違いでは?」

 

ヴァーゴ:「そこには確信がある。俺があの野郎に接近していた時に、マサキ・ゴトウが整備科にいないのではないかって疑問が浮かんだけど、その後あの野郎が、マサキ・ゴトウをPGの世界で食えなくすると言う矮小すぎる目的のために俺たちを動かす案が出たときに奴の名前を聞いてピンときた、マサキ・ゴトウはパイロット科にいて、俺たちは偽の情報で動いていたに過ぎなかったのさ。」

 

サイサリス:「じゃあどうする?今からじゃ内の部隊を数名だけでも動かすには時間が無いぞ。」

 

ヴァーゴ:「俺たちはこのまま、あの野郎が整備科にいる偽情報に引っかかったふりをして、パイロット科に謝って忍び込んで午後の競技が始まる前に、偶然を装ってあいつを俺たちの組織に勧誘する。」

 

サイサリス:「なるほど、それなら奴もいきなり勧誘されるなんて思わないだろうな。」

 

ヴァーゴ:「万一に備えて奴がPGに乗って逃げてもいいように、こちらもPGを2機RAIGEKIとFOX TALLを重火力で用意しているが、あくまで逃走用のPGを破壊するためだからPB(パイルバンカー)系の武装は用意していないぞ。」

 

サイサリス:「俺としてはPGで逃げてくれないと面白くないな、ぐふふ。」

 

Side out




この辺で一度切ります。ここから少し2日目のゴタゴタが続きます。さぁここからどうなる!!


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不穏な空気そして、生きるための逃亡

前半はPGロードレースの流れてでのほほんとしていますが後半になったら一気に空気が重くなります。


整備科のパフォーマンスを簡単にまとめると、1年生は1チームごとに腕部か脚部を選んで分解、組み立てをするのを制限時間内に組み立てが出来るかを競い、2年生だとジェネレーター部分を本体から取り外しジェネレーターベルトの取り外し、分解、組み付け、を行う。3年生は1機のPGを分解、整備、改修を半日がかりで行う物だ。

常日頃からフェイの親父さんやチームクルーと整備を行っているから腕部にしろ、脚部であれ分解、組み立てはお手の物であるため彼女からすれば1を1にするのが面白くなく1,5に出来ないのが不満らしいけど嬉々として分解整備をしていた。そのおかげもあってフェイのいるクラスは学年トップメカニックチームに選ばれた。

 

あの兄さん達戻ってこなかったけどいいのかな。と思いながらも1-3ピットルームに戻ってきたら丁度生コン運びの準備が始まっていた。

 

センイチ:「あ、マサキ殿。今、戻られましたか。これからユナ殿が出場される生コン運びが始まりますよ。」

 

「ふー、間に合って良かった。」

 

ユウコ:「ところでマサキ君フェイちゃんのメカニックコンテスト結果はどうだったの?」

 

「どうもこうもないな、予想通りフェイのクラスが学年トップの成績だったよ。」

 

ユウコ:「大穴予想の甲斐もなしか。」

 

「外しようもないな。この賭は。」

 

ユキト:「フェイさんの整備技術を考えれば当然かな。」

 

「まぁ、あいつも空気読んで整備初心者連中に合わせつつ、他のメンバーのスキルを底上げしていたからフェイのチームは他の一年生整備チームに比べれば頭一つ抜きに出ているからな。」

 

センイチ:「フェイ殿の整備技能に関しては相も変わらず驚がくするばかりですな。」

 

そう言ってユナさんが出場するクラス別生コン運びレースが開始された。

生コン運びレースは1クラス5人一組で各PGに乗り込んでスタート位置から空の猫車を押して中間地点にある生コン精製機から手動操作で猫車にコンクリートを自分が運べる量を任意でおろし、折り返し地点にあるコンクリート用のバレットに移した後猫車を持ってスタートラインに戻りアンカーがゴールするまでの生コン量とタイムが競われるのである。

このPGを使用しての生コン運びは建設の分野で必要スキルなのは前もって言ったけど、実はこの生コン運びはPGの姿勢制御能力が試されるのである。

 

 

ピットルームにある大型ディスプレイに丁度試合の様子が移りだした。

 

アナウンサー:『さぁー始まりました。一年生によるPG生コン運びレース!!このレースはスピードより運んだコンクリート量に勝敗が左右されるためPGのバランス能力と運搬能力の試される試合だよ。』

 

クラス別のこの競技はRAIUNとSERC RIDEが主に使われるが、モニターにユナさんのDIAMONDFLOWERが移ったとき見えたけど、DIAMOND FLOWERは受け狙いなのかガチなのか判らないが、ヘッドパーツに中世の時代に工事現場で見られた安全第一と書かれた黄色いヘルメットに模したペイントをしていた。

俺はDIAMOND FLOWERの通信回路を開いて

 

「ユ、ユナさん、今時黄色いヘルメット風プリントは無しですよ。」

 

ユナ:『マサキさん。この星のヒノモト諸島ではこの作業する前にヘルメットに安全を祈ったと本に書いてあるのを思い出しそれを模してペイントしたのですわ。』

 

「いいや、それを悪いとは言わないけど、それをするなら土地の神様にするなら判るよ。ヘルメットに祈りは捧げないよ。」

 

ユナ:『あら、そうかしら?でもこのペイントは今回限りでしてよ。わたくしベストを尽くしてきます。』

 

「OK!!頑張ってきてね。」通信を切った。

 

こうして、レースは開始された。内のクラスはRAIUN2機、HONET SPEARがユナさんのカスタムも含めて3機とバランスの良い布陣である。他のクラスはスピード先行型でSIPPUUやKAGURAをトップバッターに持って来て残りはRAIUNでまとめるクラスもあれば、運搬量重視でHONET SPEAR 3機にSERC RIDE2機をビルドカスタムして出てくるクラスもあった。

結果だけで言えば、内のクラスのタイムは2位、運搬量は2位、総合2位で生コン運びは終了した。

 

ケン:「くやしー!!4組のKAGURAが、まさかスピードとパワーのバランスを上げて生コン運びに挑んでくるとは予想外だった。」

 

こいつはクラスメイトのケン=バーフィールド。黒い肌で赤い瞳で自は黒髪なのにあえて黒い部分の一部に白を混ぜた染めた髪色にしている。だけど生粋の地球人である。

彼はPGを使用した海洋開発を主な仕事にしているマリンネイチャーを目指している。海洋開発科は2年生に為ってからの科目変更出来るため、それまではパイロット科で基礎をしっかり学んでから海洋開発科に進むようだ。

 

ユキト:「まぁまぁケン、そこは僕たちも練習不足だったし、何よりそこまでの発想出来なかったから。」

 

ちなみにユキトとは幼馴染みでケンとユッキーと呼び合う仲だ。

 

ユナ:「わたくしも奮戦しましたけど、悔しいと言うことはそれだけの努力をして実らなかったからこそ出る感情ですわ。ここから反省し次に活かせば良いだけです。」

 

ケン:「ユナさんってかなり熱い人だったのは知らなかったな。そうだな、よっしゃ!!次に活かすぜ!!この悔しさ。」

 

これでアノ馬鹿がここに居たら、ケンだけで無く生コン運びに参加したクラスの生徒を罵倒しただろう。あの野郎は家の都合でPGロードレース出場は辞退している。というより俺や成績優秀者に模擬戦で敗北した後から授業に出ないことがたまにある。

 

「さてと、午後のイベントに備えてKAIGATAを点検がてら見てくるから後、頼んだよ。」

 

そういって俺は更衣室に入りパイロットスーツに着替えた後に自分のPGの元に向かった。

 

三人称side

 

マサキはパイロットスーツに着替え終わり自分のPG KAIGATAの所に向かっている少し前の話で、先ほどのコードネーム、ヴァーゴとサイサリスはこの学校の警備システムをうまく利用し、怪しまれないように偽装した家族IDカードを使い1-3ピットルーム入り口前に来ていた。

 

サイサリス:「よし、うまく潜入できたな。」

 

ヴァーゴ:「油断はするな、俺たちはあくまでIDをもって迷い込んだ一般人を装って入り込んだ一般人だ。あの男と接触して勧誘に失敗したら実力行使だ。」

 

サイサリス:「そ、そうだな。じっくり行くか。さてと、坊ちゃんに連絡しておくか。(道に迷ったから助けて)ってな。」

 

ヴァーゴ:「あー、それいいな。俺たちはあの小僧とはもう従者じゃねーけどそれ位のことはしてもらわねーとな。」

 

「「あはははははははっ」」

 

サイサリス:「といってもあのにーちゃん、ここ最近じゃ‘‘あのお方’’の直属の命令でここ以外でも工作行動してるみたいじゃねーか。」

 

ヴァーゴ:「ここと掛け持ちでって、いくら‘‘あのお方’’のお気に入りだからと言ってもここをおざなりにしていいわけねーんだがな。」

 

 

そうしてピットルーム入り口に到達していた。ここからの侵入は家族用のIDカードといえ進入不可だが、こいつらは懐から別の改変プログラムがインプットされたIDカードで進入し何も起こらずに侵入に成功した。そのあと物陰に潜んだと同時に光学迷彩ジャケットのスイッチを入れて周辺の風景に溶け込んだ。

 

それから数分後マサキがパイロットスーツに身を包んだ格好で入ってきたのを確認してしばらくは静観した。

 

マサキはこのピットルームに自分以外がいるような気がしていた。

(おかしいな。俺以外に誰かいるような気がするが、どっかにかくれているのか?)とは思うが隠れている輩を探すことはしなかった。

 

光学迷彩で隠れていたヴァーゴは手信号で中指と人差し指を立ててすぐ90度曲げて合図した。これは彼らが決めていた勧誘開始の合図だ。

物の影に隠れて光学迷彩を解除した後に偶然を装って近づこうとしてきた。

 

やっぱり誰かいる。マサキはそう思い

 

マサキ:「誰だ!!どこに居やがる、出て来やがれ。」声を荒げて叫んだ。

 

ヴァーゴ:「そう大きな声を上げなくてもいいじゃないですか。パイロット科のお兄さん。」

 

マサキ:「あんた達は、さっきメカニカルコンテスト会場にいた・・・・・」

 

ヴァーゴ:「ヴァッシュ・ソレノスだ。こっちは従弟のシュライク・バートンだ。さっきはまともな挨拶が出来なくて済まないな。実は迷っちまって一般口まで案内してくれないかな?」

 

Side out

 

フレンドリーに話しかけてきたけど、ここは一般人の侵入不可能なのにも関わらずここに居るのは絶対おかしいと思い、俺は悟られないように自分のKAIGATAに目を当ててPGとの距離感を目測で測った。いざって時はKAIGATAに逃げ込んでこいつらから逃げることも視野に入れた。

 

「挨拶出来なかったのは構いませんけど、一般人の進入は、家族といえどもパスがあっても入れない場所ですよ?普通は迷子でここに侵入するのは不可能なのに、何でここに居るのですか?」

 

ヴァーゴ:「ははっ厳しいな。確かにそうだけど、俺たちが学校から許可を取ったスカウトだと言ったら信じるかい?マサキ・ゴトウ君。」

 

スカウトの言葉と更に、学園を学校と言った時点で完全に確信した。こいつらは非合法でここに居ることを。

このPG学園においてパイロット並びに整備士のスカウトが解禁されるのは2年生の後期に入ってからだと、母方の親戚にPG学園のOGが居たのでその事を前もって聴いていたので一年生の前期にスカウトが来るなどあり得ないのだ。

 

「スカウトねぇ、俺以外にもスキルの高い学生はたくさん居るのに、何で俺を?」

 

ヴァッシュ:「本当だったら整備士としての君をscoutしたかったけど、整備科に居なかったからパイロット科に足を運んだのさ。どうだい?こんな所からescapeして俺達の所で整備技術学んでみないかい?」

 

ここ以上の整備技術がメーカー直営の整備工場以外はあり得ないのだ。その手のスカウトはこんな非合法な方法をとることは全く無く、学園からあてがわれた応接室とスタンバイルーム、それか各アリーナ観客席の何処かでスカウト交渉をするのがルールである。

もし、本物のスカウトマンなら会社と担当者のネームの書かれたIDカードと同時に学園から発行されたスカウト許可書も首に掛けるのが普通である。

 

「その話、断ったらどうなる?」

 

サイサリス:「別にどうもしないさ。俺達はここから出て行くだけさ。(ぼそっ)こっちとしてはむしろ断ってくれた方がありがたいけどな)」

 

ヴァーゴ:「(ぼそっ)よせ、シュライクそれ以上は・・・・・」

 

サイサリス:「(ぼそっ)わかっているそこは心得ている。」

 

「あんた達にいくつか言っておく。一つ、この学園のスカウト解禁は2年生の後半に入ってからだ。一つ、スカウトに必要な許可証と会社のIDをどちらかといえども首からかけていないこと。そしてもう一つ、スカウトマンだったらわざわざこんな所まで来てスカウトはしない。仮にあんたらが本物のスカウトマンなら応接室、スタンバイルーム、各アリーナの観客席と人目のつく開放された場所でスカウトするのが暗黙のルールだ。」

 

サイサリス:「つまり俺達のスカウトには応じないってことだな。」

 

「そういうことダッ!!」

 

俺はたんかを切ったと同時にパイロットスーツの上に着ていたカーゴジャケット仕込んでいた煙玉を足下に叩き付けて大量の煙が一瞬で充満し、贋スカウトマンの視界を一時的に奪って俺は投げ込んだと同時にゴーグルを付けて息も止めてKAIGATAに急いで乗り込んだ。

 

乗り込んですぐにPG起動に必要なイグニッションカードをスロットの挿入と同時にジェネレーター起動とディスプレイ起動スイッチを入力が起動パスワードを入力した。

 

俺はメーンモニター通常モニターでなくサーモスキャンにモードに変えて勧誘してきたヤツラとはいえ人間なので轢かないように避けた。

たしか、第1、第2アリーナはロードレースとメカニカルコンテスト会場だからいったら迷惑がかかる第3アリーナは改装中だから、俺がPGごと逃げられる場所はあそこしかないと思い、とっさにスタンバイルームに通信を開いた。

 

「ケン、ユウコさんきこえるか?緊急事態だ。応答してくれ!!」

 

ケン:『どうしたマサキ、いきなりKAIGATAの通信回路開いてどうした?』

 

「緊急事態だ。一刻も早く俺のKAIGATAが収納されているA-3ピットの第4アリーナ方面のゲートを開いてくれ。」

 

ケン:『いったいどうし・・・・・なんてことだA-3ピットから煙が。わかったすぐに開けるから10秒待ってくれないか!!』

 

どうやら俺のただならぬ雰囲気にA-3ピットの状態をディスプレイ越しに確認したらしくすぐに了承してくれた。

 

「助かる。後それと、先生達と生徒会警備部に連絡して不審者の確保要請を。」

 

ユウコ:「わかったそっちは私が連絡しておく、マサキ君はすぐに逃げて。」

 

「元よりそのつもり。」と、短く返したらKAIGATAの武装をチェックした。

EXP装備は49mmオートマ銃型のHQG1丁のみだがピットルームには俺愛用の出雲をサブラックに収納し周辺に使えそうな武器はないのかと見回すとAFGとSSGがあって手にとってチェックしたら、AFGはペイント弾しか装填されていないために近隣にも実弾のはいった対応マガジンはなかったのでこれはいらない。こっちのSSGに対応した散弾入りのマガジン10発入りを3セット見つけてこれを左腰部のEXPにセットし、HQGのマガジンも後腰部にセットし終えた頃にケンから通信が入った。

 

ケン:『マサキ。第4アリーナ方面のゲートは完全に開いた、早く脱出を。』

 

「サンキュー。さっさと脱出させて貰うぜ。あと、俺が脱出したらゲートを閉じてくれ。」

 

ケン:『了解!!』

 

通信を切った後に俺はゲートまでは早歩きで向かってゲートを越えたらランドスピーダを展開して脱出した。

 

三人称side

 

煙幕には催涙作用がありヴァーゴとサイサリスはむせると同時に目のかゆさと涙腺がやられていたが、マサキのKAIGATAが完全にエスケープした数分に催涙効果も切れてやっと動けるようになったがサイサリスはかなりのご立腹な様で近隣の乗車用のタラップ柱を折れんばかりに蹴っていた。

 

サイサリス:「このっ、このっ、あの野郎っ俺達を出し抜きやがってぜってー許さねーぞあのガキィィ!!」

 

ヴァーゴ:「サイサリス落ち着け。それにあの野郎がエスケープする前に発信器を付けてあるからそれを頼りにあいつを追うぞ。」

 

サイサリス:「そうだな、げへへへ。それじゃ脱出するか。」

 

ヴァーゴ:「急ごう、まごまごしていると警備の輩が来る。光学迷彩を入れておけ。それと、サイサリスお前はここの脱出後ベイクと合流してマサキ・ゴトウを実力でねじ伏せて勧誘(誘拐)してこい。おれは脱出のために別の工作行為をしている。しっかりやれよ。」

 

サイサリス:「了解しました。分隊長」

 

ヴァーゴとサイサリスは光学迷彩のスイッチを入れて警備の物がここに進入したと同時にエスケープした。

A-3ピット入り口近くの黒いスーツを着た男が様子を見ていた。

 

???「やはりマサキ君が狙われたか。サーモヴィジョン付けていたから彼らの突入と同時に犯人は脱出したか。」

 

彼はおもむろに懐中時計を開いて何処かに通信を始めた。

 

???「私です。血に飢えた狼が狩りを開始。兎は辛くも逃走、これより狩人は兎保護のために行動します。」

 

Side out

 




次の話はPG同士のバトルが中心になります。


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生き残るための抗戦

A-3ピットからKAIGATAで辛くも脱出できたマサキはストレートに第4アリーナに向かわず、あっちこっちに逃げ回ってから第4アリーナに到着したところからはじまります。


 

コックピットside

 

俺はランドスピーダで第4アリーナのPG用ゲートから進入してアリーナ内の壁越しに移動してランドスピーダを停止させて両ゲートが見られる位置で停止して右手にSSGを持ちポンプアクションをして弾は装填した。

 

「はぁ・・・はぁ・・・あいつら俺を拉致しようとした。俺がエイタ・ゴトウの息子だからか?それとも只の偶然か?どっちにしても俺が狙われたことに変わりなしか。」

 

ランドスピーダを停止させて少々思考した。

ハンドガンにショットガンだと中遠距離砲撃には不向きだし、近接戦闘するにしてもそれだけの間合いを詰めるとなると相手の武装次第だけど中破覚悟で一太刀浴びせてあっちを戦闘不能にする以外俺の生き残る道はない。警備部がこっちに気づいてくれて助けてくれれば儲けものだ。だけど、すぐに教員や生徒会警備部の精鋭が気づいて駆けつけてくれるとは思えない。それまでは時間を稼がないと抗いつつ逃げ回るしか無いな。

周辺を警戒していると敵襲を告げるアラームがやかましく響いた。

 

第4アリーナ西側ゲートからFOX TAILのカスタム機とRAIGEKIのカスタム機がそれぞれアリーナに進入してきた。それと同時に俺の使っている通信チャンネルに合わせてあいつらが通信をしてきた。

 

ベイク:『おい、サイサリス。マサキ・ゴトウって整備科じゃなかったのか?なんであいつRAIUNの改型乗ってSSGやAPS装備しているのさ?それにあのPGはさっきお前が唾付けたRAIUN KAIGATAだろ?』

 

サイサリス:『おれも最初はそう思ったけど、隊長と俺達が整備科をチェックしていた時に偶然隣に座ったから発見できた。だから隊長は偽情報に乗ったふりしてこいつの勧誘(誘拐)の方向に切り替えた。だけど、勧誘は失敗したから実力行使だとさ。でもまぁよかった。マサキ・ゴトウとさっきのPGパイロットを同時に確保できるからな。』

 

ベイク:『いえているぜ。俺達は命令通りマサキ・ゴトウを確保すれば良いだけだ!!』

 

言い終わるとFOX TAILはサブラックに収めてあるトリガーレスタイプの実弾砲を構えて撃ってきた。

咄嗟に左に避けたらそれはネット砲弾だった。どうやら俺をPGごと捕まえるらしいがそうはいかない、ランドスピーダでFOX TAILに近づきSSGの散弾をばらまいた。距離が少し離れていたので散弾でタコ殴りはできなかったが多少のダメージは与えた。

 

「冗談じゃないぜ!そんなのに捕まるかよ。」

 

ベイク:『損傷はやや軽め、作戦行動に支障なし。やれやれおとなしく捕まっていればこれ以上痛い目見ないで済んだのに。』

 

サイサリス:『イヤーハー!!そらそらぁ食らいやがれぇぇ』

 

RAIGRKIのカスタム機はこちらもトリガーレスタイプのチェインガンとHBZを交互に撃ってきた。

 

ベイク:『マサキ・ゴトウ、俺は忠告したぞ。(おとなしく捕まっていればこれ以上痛い目見ないで済んだのに)ってな。こいつは重火力系のPGに乗ると性格が豹変するからな。俺だってもう止められないんだな。』

 

こっちもSSGを乱発しつつ回避行動しているから相手に近づけないのは当然である。PGの戦闘に関してこっちは完全に素人。あっちはその手の訓練を積んだプロ、とは言いがたいが実力はあっちが上バズーカ弾はうまく回避できるがチェインガンは弾速が速く連続で同じ箇所にダメージを貰わないように避けるがギリギリだ。

 

「こんなネット弾切り裂いてやる。」

 

一度SSGをサブラックに収めて出雲を取り出し、意気揚々と向かってきたネット砲弾を出雲で切り裂きHBZやチェインガンを巧みにかわしつつネット砲弾を切り裂き、敵の砲弾をかいくぐるためランドスピーダを使い駆けながらのダッシュ&スラッシュを続けるにも限界がある。くそ、APSの間合いに入れない!!

 

ベイク:『この子、パイロットとしてのセンスも荒削りながら充分素質あるわ。分隊長が気に入る訳ね、こういうの嫌いじゃ無いわ。』

 

サイサリス:『おいおい、ベイク素が出ているぞ。少しは自重しろ!できねーならお前もこのガキ同様に蜂の巣だ。』

 

ベイク:『おっといけね。任務中カマ言葉は分隊長から止められていた。蜂の巣は勘弁で。』

 

なんなんだ、こいつら?俺を拉致に来ている割にはずいぶんフランクじゃねーかよ。こんなヤツラに捕まったら末代までの恥は言い過ぎだが、今後の人生において最大の汚点になる。なろー!あいつらのPGを四肢切断してでも逃げ切ってやる!!

 

さて、どうするここに逃げ込んでもう10分以上経過している。ダメージだけなら全体の装甲にかすり傷があり、両肩のショルダーアーマーは中破。やはり銃器だけで戦闘するには限界があるし、APS出雲でネット弾は切断できるがこいつらは近接戦闘の間合いを取らしてくれないから俺の有利な間合いが作れない。

 

「ウェポンズチェック。・・・・やばいな、ショットガンの銃弾カートリッジがあと1セットしかない。HQGの銃弾は65発。余裕はあるけどあいつら、HQG有効射程にはギリギリ間合いを外していやがる。俺の腕じゃ銃はきっちり有効射程範囲内で無いと当たらないからな。」

 

俺の今の腕だと、10発入りカートリッジ3セットにSSGに装填されていた弾8発と合わせてショットガン38発HQG装填済みの10発と10発入りのマガジン9コ、計100発ではPG単機なら対応できたが複数対応となると最低でも倍はいる。

それにさっきからRAIGEKIのカスタム機はやたらと弾幕を放って弾切れ狙いで近づいて両手とトリガーレスウエポンをAPSで切断すれば形成は逆転するが、FOX TAILのカスタム機は不定期にネット弾しか撃ってこないがそれ以外の武装も確認しているから油断できない。

特にあいつの左腕にリングカッターと射出台がセットになっている見たことのない武装があるし、その武装を使ってきてないから余計に不気味だ。

ん?RAIGEKIのカスタム機様子がおかしいと思いサーモヴィジョンで見るとチェインガンの砲身熱量が以上数値を示していたと同時に奴のHBZも弾切れだ。

 

サイサリス:『うをっ!!しまった』

 

好機。これならいけると思いSSGをサブラックにしまいAPSとHQGに持ち替えてハンドガンでFOX TAILカスタムを牽制しつつRAIGEKIのカスタム機両腕とトリガーレスウエポンを両断した。

これで逃げられると思ったら警告音が聞こえて咄嗟に右に避けたら、HQGを持っていた左腕の肘から下が綺麗に切断していた。

 

FOX TAILの方を見るとさっきの左腕にあったリングカッターが無かった。

 

「なにしやがったあのFOX TAIL?」

 

ベイク:『残念だったな。お前さんこれは近接戦闘武装だと思ったか?こいつは有線式のヨーヨーシューターだ。俺を警戒しつつハンドガンで牽制して近づけないようにしたのは良いセンスだが、サイサリスのPGは最初から囮よ。』

 

サイサリス:『そういうことだ、俺がトリガーハッピーのふりして乱発してれば近接戦闘が得意なお前さんなら弾切れやオーバーヒートの隙を逃さないと思ったからさ。』

 

RAIGRKIのカスタム機はサブラックの武装をパージして立ち上がった。

 

サイサリス:『しっかし、綺麗に両腕とサブラック武装が切り落とされているな。そこは天晴れだぜ。』

 

くそっ、一杯食わされた。こいつがトリガーハッピーだったのは俺を欺くための演技で俺はまんまと引っ掛かったってわけか。言葉に出さずに悪態をついた。

だが、まだだ。たかがハンドガンの持っていた肘から下切り落とされても出雲があれば何とか出来る。ハンドガンは拾えばまだ使えるがSSGは無理だ、あれはどっちかの腕でポンプアクションして装弾しないと撃てないから。

俺はSSGと残っていたショットガンマガジンをパージしてFOX TAILに斬りかかろうとしたら奴のヨーヨーシューターからリングカッターが射出されたあとに更に右腕にも同じ物を新たに装備してまるでリングカッターがまるでトリックを決めるように前後左右不規則に動いている。

これをかいくぐるには一度ハンドガンを拾い直してあのヨーヨーをたたき落としてそれからあの野郎の両腕を切断するしか無い。ランドスピーダを使わずにじりじりと斬られた左腕に近づこうとしたらFOX TAILが右側面に回り込み警告音なりヨーヨーがKAIGATAの右ランドスピーダを足の甲ごと貫き切り裂いた。

 

「しまった!!」

 

ベイク:『おっと、飛び道具は使わせねーぜ。まずは機動力を削ぐ。』

 

ベイクのリングカッターが俺のランドスピーダを斬った後、切り落とした左腕のハンドガンを真っ二つに裂いた。くっそ!!完全に詰んだ。

だとすると半壊覚悟で奴の腕を切り裂くしかないが、ここは素直に逃げるのが好手か悪手か判らないがどうする・・・

 

ベイク:『さてと、これ以上抵抗しないようにするか。』

 

そう聞こえると奴は俺のKAIGATA周辺を回り奴のリングカッターがKAIGATAの右腕、左膝関節、右太もも、頭部等とこちらが反撃出来ないスピードであちらこちらが切り裂かれ、FOX TAILのヨーヨーラッシュが終了し奴のFOX TAILは少し遠のいた。警告アラームが鳴りっぱなしで最早KAIGATAは立つことすらでき無い状態になり横倒れになってしまった。

 

「ダメージチェック・・・・右腕部手首切断により武器使用不能、左腕部切断大破、脚部外装と膝シリンダー損傷により歩行不能、頭部粉砕大破、ここまでか。」

脱出装置を使えば逃げられるが自力で走ってもPGの速度に追いつかれる。どうする?このままヤツラに投降するか?無駄なあがきと知りながらも抗うか?だけど抗うにもこのRAIUNには元々軍用設計RAIGEKIとは異なり鎖骨部分に小型追尾連射式回転銃が標準装備されて居ないからもう俺の機体に武装は無い。

 

ベイク:『さてさて、俺達の目的はお前自身だからコックピットには手は出さないけどここまでやっておいてアレだけど、これ以上抵抗しないと俺達は嬉しいぜ。』

 

辛うじて上半身にあるサブカメラのおかげで外の状況は判るがFOX TAILとRAIGEKI俺の様子が知りたく俺の機体に近づいて来た。

その時、FOX TAILの右肩に閃光が貫いた。俺は見たアリーナの屋根にフライトユニットを付けたPGがいた。

 

ベイク:『なんだ?警報は鳴らなかったぞ!どこから撃ってきた。』

 

サイサリス:『ベイク。9時の方向、遠方狙撃型のFOXT AILがこっちを・・・』

 

言っている矢先にRAIGEKIの両足がスナイパーライフルの閃光が貫いていた。これによりRAIGEKIは手も足も失った為奴自身の脱出装置を作動させた。

 

サイサリス:『しまった、足をやられた俺はもう動けん。先に脱出する。』

 

???:『悪いがそれはさせないよ。』

 

「あ、アレは・・・・コバ・・ヤシ先生の、あ、AKAFUJI。あと、誰のPGだ。な、なんとか・・・助かったのか?」

 

だけどそこから先は良く覚えていない。

 

 

三人称side

 

マサキは眼を覚ましたら見覚えの無い天井が目に写っていた。周辺を見渡すと医薬品の入った瓶を収納している薬棚に、メディカルチェッカーがあり、ここは保健室だとわかり彼自身療養ベッドに寝ていた。

 

マサキ:「ここはいったい、俺はたしか不審者のPGと戦闘してボコボコされて・・・・」

 

ミヤコ:「やっと眼を覚ましたか、全く心配したぞ。」

 

マサキ:「ゴトウ先生」

 

ミヤコ:「いまはお前の姉としてここにいる、だから先生と呼ぶな。」

 

マサキ:「ミヤコ姉さん。俺、襲われた後に何があったのです?」

 

ミヤコ:「順を追って話すぞ。まずお前がA-3ピットから脱出して2~3分後、つまり12:00に生徒会警備部と精鋭の教員数名でA-3ピットを制圧の為に強行突入。しかし犯人は光学迷彩といった装備を使用しそこには居なかった。それから5分後第3アリーナに爆発音を確認。その爆破を企てたバッシュ・ソレノスと名乗った工作員を隠密諜報部の教員がその男を確保。もちろん自害防止の猿ぐつわをかけてだが。爆破騒ぎも有り、来賓と一般人保護のため午後からのプログラムは非公開を条件に後日に延期。別行動をしていた諜報部のスタッフがKAIGATAと拉致を企てた奴らが乗っていた連中の乗車したPGが時間差で第4アリーナに進入するのを確認した後、私とコバヤシ先生に連絡が入りKOTETUとAKAFUJIフライトユニットを装備させて緊急発進し、第4アリーナに急行した。その時に別のRAIUN KAIGATAがコバヤシの狙撃を合図にショーテルタイプのAPSをつかいヨーヨーを振り回すFOXTAILと対峙し奴のPGを圧倒し四肢切断により行動不能にした後、被疑者2名を確保と同時におまえが脱出システムを作動させて不時着した後に、コックピットブロックから引き上げ治療のためここに運んで貰った。まぁこんな所だ。」

 

Side out

 

「俺が脱出装置を使った?覚えてないな。助けが来たとたん気を失ったみたいだし。それに、A-3ピットを出て行ってから通信傍受を防ぐためにどうも近距離通信はできたけど遠距離通信機能を切っていたから。あ、でもあいつら俺は偽装工作をしつつ、かなり紆余曲折してから第4アリーナに入ったから巻いたと思ったのに追ってきたのは何でだろう?」

 

「それはお前のパイロットスーツにこんな物が張り付いていたからだ。」

 

姉貴から受け取った物は一見すれば誰かが落としたシンプルデザインのピアスのようだが、よく見ると電波発信型の小型発信器だった。

ちなみに俺はパイロットスーツでは無く学園指定のジャージを着ていた。

 

「あっ、いつのまにこんな物付けられていた?」

 

俺は姉貴から受け取った発信器をすりつぶしもう少し横になろうとしたら、姉貴が俺に背を向け、肩をふるわせているのを見た。

 

「(ぼそっ)よかった。マサキが・・・・・死ななくて・・・・・ほんとに・・・良かった。」

 

「姉さん。何か言った?」

 

「いいや、何も言っていないぞ。」

 

「そう?何か聞こえたのは気のせいだったか。」

 

「そ、そうだ極度の疲労から幻聴でも聞こえたのだろ?今日はここでゆっくりしていろ。」

 

全く姉さんは相変わらずだな、姉さんがぼそっとつぶやいたのは俺には聞こえたけど、あえて聴いてないふりをしておこう、おかげで心配していたのが良く判った。それをあえて口に出すことはしないでおこう。

元々バーシスト人は聴覚が地球人より聴覚が優れていて、俺達バーシストと地球のハーフは純血のバーシスト人に比べれば劣るが、それでも地球人よりかは数段優れている。個人差はあるけど直径150m前後のひそひそ話は周辺がざわついていても楽に聞こえるが、よほどアホで無い限りそれを全部露呈する奴は居ない。防音施設にこもられたらさすがに聞こえないが障害が無ければ俺自身は170mがMaxではあるがそれ位は聞こえる。

俺がシルヴィアさん達と街観光するときにフェイとカナエさんの会話が聞こえたのは、バーシスト人の特徴が有ったからである。だからあのとき聞こえたからこそ、はぐらかすしかできなかった。

 

話が終わるとノックが3回聞こえた。

 

ミヤコ:「どなたです?」

 

アキナ:「コバヤシです。」

 

ミヤコ:「判った入れ。」

 

副担任のコバヤシ先生と黒いスーツに黒いネクタイとまさに黒ずくめが似合う高身長、黒髪短髪、さらに俺と同じバーシストと地球人のハーフである片方だけ赤い目の青年が入ってきた。しかし、このスーツの兄さんどっかで見たことあるような気がする。どこだろう?

 

アキナ:「失礼します。あ、マサキ君目が覚めたのですね。」

 

「コバヤシ先生がスナイプしてなかったら俺は誘拐されていましたね。助かりました。」

 

アキナ:「わ、私はきっかけを作っただけです。マサキ君を助けたのはこちらの諜報部の方ですから、彼にお礼を言って下さい。

 

諜報員:「全く、学園長の指示で君をガードするように頼まれていて、君を見張ってなかったらどうなっていたことやら。まぁ無事で良かったよ。」

 

っ!!声を聴いて思い出した。この人PG学園非常勤講師で担当は異星歴史のリョウヘイ・サカイド先生だ。

俺の知っているリョウヘイ・サカイド先生は、異星歴史の非常勤講師をやっている授業は面白く的確だけど格好が残念な人。アフロみたいに整えた髪型で無く、身だしなみに気をつけないタイプのボサボサヘヤーで今時珍しい黒縁メガネで灰色の瞳で、いわゆるメガネを取ったらイケメンタイプで全体的に教師とは思えないだらしないよれたワイシャツに裾を上げていないスーツパンツにサンダルがデフォの先生である。

 

「あの、コバヤシ先生。」

 

アキナ:「はい。何でしょう。」

 

「その人非常勤講師のサカイド先生ですよね?なんで諜報部の格好をして居るのでしょう?それ以前にサカイド先生は地球人で灰色の瞳で黒縁メガネでしたよね。それなのにバーシストと地球のハーフである虹彩異色なのか説明して下さい。」

 

アキナ:「あ、えっと・・・その、ごめんなさい。学内教員規定に該当するので私からは言えません。それにこの人がサカイド先生だと、思わなくって知らなかったわ。」

 

あんた、仮にもAPSTに所属している特殊部隊員だろ。そこんところ理解していろ!!とも思ったが恐らくコバヤシ先生には知らされていなかったのだろう。そんな風に思考しているとスーツのお兄さんがしゃべり出した。

 

リョウヘイ:「そこについては僕から語ろう。」

 

ミヤコ:「いいのか?お前の素性を生徒にばらすことになるのだぞ。」

 

リョウヘイ:「今回は緊急事態ですので彼だけです。」

 

ミヤコ:「判った。ゴトウ、この事は他言無用だぞ。」

 

俺が黙って首を肯定の方向に振りサカイド先生はしゃべり出した。

 

リョウヘイ:「非常勤講師のリョウヘイ・サカイドは世を忍ぶ仮の姿で、本来はこの学園の隠密諜報部所属で本名は同じです。地球人だというのはもちろん仮の姿で、本来は君やゴトウ先生と同じく地球とバーシストのハーフです。そして欺くためのカラーコンタクトと黒縁メガネだよ。」

 

ずいぶん簡易ではあるが手の込んだ変装だなと思ったが、口には出さずサカイド先生は話し続けた。

 

「私は学園長からマサキ・ゴトウ君を影ながら守るように指示を受け、そのために地球人の非常勤講師としてこの学園に教師の籍を貰ったのですよ。担任のゴトウ先生には隠語でこの事は伝えていまして、副担任にも他言無用という条件で了承してくれました。」

 

「アキナ:「えっ!私には情報無しなのは、情報漏洩の危険を可能な限り抑えるためなのは判りますよ。私だって仮にもAPSTのストライカーだからその手の情報が戦局を左右することぐらいは判りますよ。」

 

「ところで俺のKAIGATAはどうなりました?って聞かずとも直前にダメージチェックしましたから、あれは修理不能ですね。」

 

リョウヘイ:「PGに関しては後ほど学園長から話があるから呼び出しが有り次第学園長室に来てくれとお達しですのでお願いします。」

 

「判りました。」と短く返したあとにリョウヘイ・サカイドは保健室を出て行った。

 

その後、委員長とセンイチにユキトが見舞いに来てくれた。幸い俺の怪我はたいした物ではなく2~3日ガーゼと包帯を巻く程度で済んだ。

 

今回のことで判ったことはいくつかある。まず内の姉貴は俺をパイロット科に無理矢理入学させた犯人じゃ無いこと。これができるのはもっと学内で権力のある人間しかあり得ないからである。

この学校に爆破テロを表向きにして、俺を含め優秀なパイロット候補生と整備士候補生を勧誘と言う名の拉致をしようとしたこと。

 




体育祭とマサキ君の洗脳兵にされるか逃げ切るかの戦いもこの話で終わりです次回からは学園生活や休日の過ごし方を中心に展開します。
それでは又次のお話しでぐっらーく


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体育祭終了後、学園長室に呼ばれて

マサキのPGが大破し教員に救助されて数日後、教室で普通に過ごしているところに学園長室に呼び出されたところから始まります。


 

体育祭が中止になって数日経過して俺は学園長室に呼び出されて今、学園長室に向かっている。

呼ばれた理由としてはいくつかある。

まず一つは先日体育祭の時に起きたゴタゴタのせいで大破し修理不能までにボロボロにされたRAIUN KAIGTAの代替え機についての相談。

もう一つが本来整備科に入学希望していたのにパイロット科に強制入学された件の二つぐらいだが、こことは関係ないが体育祭の2日目に現れた鮮血の狼兵士が言っていた事、(あの連中が鮮血の狼の工作員だってことは後で知った。)

 

(ばかな、情報通りならマサキ・ゴトウは整備科にいるはずなのに、何故パイロット科の制服を着ている?)

(構うな。部隊長からの指示通りPG学園に通うマサキ・ゴトウを拉致してこいだ。)

 

どうやらあいつらは俺がパイロット科にいることが判らず、何処かで情報操作されてその情報を鵜呑みにしたため、対人拉致装備で俺を必死に探したが、フェイのメカニカルコンテストの時に俺がパイロット科の制服を着てあいつらの前に偶然といえ現れたことによって露呈したらしい。

 

その後、あんなことになり俺のKAIGATAは鮮血の狼兵士が操っていたPGAX-02S FOX TAILに一方的にやられて大破し、俺は覚えていないが無意識に脱出システムを作動させた後、学園長から指示のあった隠密機動の教員のPGと内の姉貴が操るKOTETU、コバヤシ先生の操るAKAFUJIの3機でそいつらを撃破したことで事なきを得た。

 

もし、学園長が俺の進路をねじ曲げた犯人なら、退学覚悟で1発ぶん殴る事は学園に入ったときに決めた事で、話を聞いて内容次第ではぶん殴るのは止めておこう。

 

学園長室の前に到着して三回ほどノックをして中から

 

学園長秘書:「ゴトウ君だね?入りなさい。」

 

「失礼します、学園長。あのお話しとは?」

 

学園長室に居たのは初老のスーツ姿の男性と若い男性がいて、若い男性の方が学園長である。学園長の名前はジェームス・アンダーソンJrであり、年の頃は30代後半当たりで俺より背の高く、白いスーツと赤いワイシャツとを凛と着こなして、年齢不相応の落ち着いた態度であるにもかかわらず、他の生徒には兄さん学園長と呼ばれても気にしない気さくな持ち主だ。

 

ジム:「まぁ長話になるのでそこに座りなさい。」

 

学園長に案内されて来客用のイスに座り「失礼します。」と断りを得て座りその後すぐに学園長の秘書が珈琲を持ってきた。

 

「ところで学園長俺をいえ、私をここ(学園長室)に呼び出した理由を教えて頂きたいのですが?」

 

ジム:「そうだね。まず、マサキ・ゴトウ君。今回の襲撃事件で大破したPGに関してはこちらで新しい物を用意しよう。それが届くまではPGの実習授業はシミュレーターのみの授業を受けて貰うけどかまわないね?」

 

「届くまでの間だけでしたらそこは我慢します。」

 

ジム:「そして、君には私の方から謝罪しなくてはいけない。」

 

「謝罪?何故ですか?」

 

ジム:「キミが整備科志望だったのに、キミを守るために私の権限でパイロット科に入学させたことだ。」

 

俺自身その言葉を聞いて怒りが湧いてきたけど、事の顛末を知るまでは怒りを抑えつつ平常心で話を聞くことにした。

 

「私を守るために?どう言うことでしょうか。返答次第では、学園長といえども殴りますよ。」

 

秘書:「マサキ君学園長になんて発言を。」

 

ジム:「ワタリ、いいのだ。私はそれ位されても文句は言えないことをしたからね。」

 

ワタリ:「判りました。私は席を外します、何かありましたらお呼び下さい。」

 

そう言った後ワタリと呼ばれた秘書が学園長室から退室した。

 

ジム:「さて、マサキ君。説明する前に、君は鮮血の狼についてどこまで知っているかね?」

 

「私をPGで襲ってきた連中ですよね。NEWS番組ぐらいの情報しか有りませんが、世界で起こっているテロリスト行為に対し依頼され、報酬さえ貰えばどんなテロイズムでもこなすテロリスト代行業者でしたね。」

 

ジム:「その通りだ。もちろんそれだけでなく、世界のあちらこちらで戦災孤児やPG関連に才能の有るもの達を勧誘という名の、拉致監禁して鮮血の狼の忠実な駒を育成という名の洗脳もしているのだ。」

 

開いた口が塞がらなかった。テロ代行業者だからろくな会社でないのは重々承知していたが、まさかここまで規模が大きくかつ、外道だったとは驚いた。

学園長はそのまま語り続けた。

 

「その鮮血の狼は頂点にエンペラーとよばれる鮮血の狼における最高責任者がいて、・・・・」

 

少し話が長くなったので要約するとこうなる。

 

-鮮血の狼-

それは復讐感情も思想もなく、依頼と報酬さえもらえば如何なる理由でも過激派テロを行うテロリスト代行業務を行う、闇業者である。

構成メンバーは末端社員まで含めると3000人以上はいるが、社員の構成メンバーは、六等星から一等星までの末端構成員に別れ、星が少ないほど上位社員である。

のピラミッドの頂点にいるのがエンペラーと呼ばれ、どこかの死の商人重役とも噂されているが真相は不明。

構成メンバーの4等星から分隊長を任される事があり2等星以上で大隊長の権利を与えられるみたいだ。

俺を襲撃した3人組のうちコードネーム サイサリスとベイクが5等星でヴァーゴは3等星だったらしく、まぁあんまり気にすることではないな、そしてこいつらを学園に手引きした奴のことも聞かされた。

 

ジム:「実は君のクラスメイト、いや元クラスメイトのクウヤ・オキサキがヤツラの手引きをしていただけで無く、彼自身も鮮血の狼の工作員と確認できた。」

 

「アノ馬鹿(クウヤ・オキサキ)が鮮血の狼と関わっていたのですか?」

 

ジム:「本来なら鮮血の狼と関わりのある人間を君と同じクラスにする予定ではなかった。奴と鮮血の狼との繋がりが全く判らなかったが、体育祭直前にやつらとの足跡が出てきてね。これ以上の君やこの学園の情報漏洩を防ぐためにやむなくクウヤ・オキサキを拘束し、体育祭終了を期に彼を退学処分にしたのだよ。」

 

「確か、あの野郎はMPGを所持し、学生に怪我はなかったけどコックピットに撃ったから退学になったって聴きましたけど。」

 

ジム:「それは表向きだ。だから大体的に退学させたなんてことは言ってないのだよ、君たちのクラスのメンバーを除いてね。失礼、話がそれてしまったね。君を整備科で無くパイロット科に入学させた話だったね。」

 

「はい、そうです。」

 

ジム:「その話だが、実は入学直前に体育祭に合わせて鮮血の狼社員が整備科のマサキ・ゴトウを勧誘(拉致)するという確定的な情報を内の諜報部が持ってきたのだ。もちろん裏付けを採る時間が無かったので急遽君の姉、ミヤコ・ゴトウ先生のクラスにパイロット科として入学させるという苦肉の策をうち、君の安全をはかったのだ。もちろん鮮血の狼にはマサキ・ゴトウが整備科にいるカモフラージュをあえて流したがね。」

 

俺が知らないところでそんな計画が動いていたとは思わず俺自身も近隣の鏡を見たら目が相当泳いでいた。そんなことも知らず学園長は話を続けた。

 

「マサキ・ゴトウ君、重ね重ね済まなかった。本来整備士志願の君を私達大人の都合でパイロット科に無理矢理入学させて君の人生を狂わせてしまった。いかなる形のお詫びしても許されることは無いのは重々承知している、私を許さなくてもいい。」

 

さてどうした物やら、俺は学園長が流した誤情報のおかげでパイロット科なら基礎的な操縦と護身程度ではあるがPGにおける銃器類の扱い方を習うから辛うじて対処ができた。おかげでそう言った修羅場の世界に身を置かず平和な学園生活を送れることには、恩を感じるがそれとこれは別である。整備科にいたらそのまま勧誘と言う名の拉致に引っ掛かって何もできなかっただろう。俺はこのパイロット科に無理矢理とはいえ入学してからふと思ったことがある。それは整備士としての俺に、パイロットとしての俺が両立のできる進路が一つだけあるのを資料で見たのを思い出した。

 

「ひとまず、学園長を一発殴る話は無しにします。おかげで誘拐されずに済みましたから、ただ今後自信の身の振り方を考えさせて下さい。」

 

ジム:「それは構わないよ。君が望んで整備科に編入学したいなら、この編入許可証を3日以内に私の元に提出すれば、君を1月以内に整備科に編入させることも可能ですよ。」

 

学園長は一度自分のデスクに戻り俺の目の前に編入学許可証と書かれた書類を出してきた。

紙面書類なんて電子書類が一般的になった時代には珍しい代物だ。

 

「ああこれかい?私はPG学園長なのに、この手の書類は紙でないと落ち着かない古い人間なのでね。それに、電子書類だと偽装が紙面に比べて簡易だと聞いたのでね、他の書類は電子書類だけど退学許可書と編入学許可書だけは紙製書類にしているのさ。」

 

古い人間ってそうは思わないから愛想笑いしかできなかった。

学園長の経歴だけだと父の訓練部隊を主席で卒業し軍において諜報部に在籍していたが、足の故障により退役。経歴は肝心な部分は公開していないが退役後、PG学園設立に尽力を尽くした人だ。そのため俺は父さんの教え子ガ作った学園に通っているのだ。

 

「たしかこの学園は2年生に昇格した時に自分の進みたい各分野に特化した科がいくつかあり、その中のエアパイロット科に整備とパイロットスキルの両方を必要とするエマージェンシーサイバーズエアパイロットがありましたよね。可能ならば、俺はそこを目指したいです。」

 

ジム:「確かにあるが、あの学科はPGを使用して空中での緊急メンテナンスを必要とした航空機やPG、最たる物は降下中の宇宙船を応急処置程度に直すパイロットと整備の高水準技術を両立させなければ、君だけで無く緊急メンテナンスを要する機体全員の命を預かる仕事です。無理とは言いませんが普通のパイロットとして生きていた方が楽に暮らせるのにわざと茨の道に進むのですか?」

 

「あれから考えたのですよ。無目的のままパイロット科に居るより本来の目的である整備科に編入学して、いい成績を収めて街工場みたいなところで細々とPG整備しながら人生を過ごすのも有りかなと思ったのですよ。」

 

ジム:「それが何故、エマージェンシーサイバーズエアパイロットに目指すことを目標に?」

 

「整備に関してはフェイやリンシーファクトリースタッフの皆に、それにリュウさんから

整備のイロハは教えて貰いました。もちろん、整備科に所属して更に整備技能を高めるのも有りだと思います。パイロットのスキルも父から最小限教えて貰い、ここの授業を受けてスキルが高いのを認めたくは無かったですけど、スキル有る以上その二つのどちらかを捨ててどっちかの道を究めることも有りですが、それだと母から怒られそうだし、何より俺自身がどちらかで無くどっちも選びたいって気持ちが高まりそれがどっちもできる道がエマージェンシーサイバーズエアパイロットと判りましたので、俺は2年に進学するまでパイロット科に所属し2年生ではエアパイロット科に進みたいです。」

 

ジム:「ふー。やっぱり教官のご子息だけ有って、一度こうと決めたらそこまで突き進む所と目の輝きが一緒ですね。・・・・(ぼそっ)私の取り越し苦労でしたね。・・・判りました、君の意見を最優先にして今後こちらから整備科への編入学を進めません。が、君の意思が変わって編入学したいなら在学中の3年間は整備科のイスは一つ空けておきますよ。」

 

「お気遣いありがとうございます。」

 

ジム:「何かあったら遠慮無く私を頼りなさい。君は恩師のご子息以前に、我が学園の生徒だ。困った生徒に手をさしのべるのは良識有る教師として当然だからね。PGのことも有るしもう下がっていいよ。」

 

「はい。失礼します。」

 

そう言って俺は学園長室を退室した。

 

三人称side

 

マサキが学園長室を出て行った後、しばらくしてジェームスはプライベート用の通信端末を取り出さしてとある人に連絡した。

 

???「はいもしもし。お、珍しいなお前から私にかけてくるなんて。」

 

ジム:「お久しぶりです。ゴトウ教官。実は教官のお耳に入れておきたいことがありまして。」

 

エイタ:「ん?マサキのことか?だったらいいよ、報告しなくて。俺はあいつにどのPG世界に進むことには反対してないし、PGからかけ離れた生活しても文句は言わないぜ。それと俺は退役したからもう教官って呼ぶなよ。」

 

ジム:「そうですが、私にとって教官は教官です。彼は我が校でもかなり難しいエマージェンシーサイバーズエアパイロットの道を目指すみたいですよ。」

 

エイタ:「また、ずいぶんハードな・・・・だが、あいつ自身が決断したことに干渉といちゃもんを付けるのは大人がすることじゃ無いな。見守ることと助け船は出してやれよ。」

 

ジム:「判りました。」

 

エイタ:「それとジム、理事長に伝えて欲しいのだが頼まれてくれるか?」

 

ジム:「何でしょう?」

 

エイタ:「たまには浴びるほど酒飲もうぜって、頼んだぞ。」

 

ジム:「教官、またですか?わざわざ私を介さずとも直接電話すればよろしいと思いますが。」

 

エイタ:「やだ。あいつとしらふで会話するとすぐ喧嘩になるから、知っているだろ?おれとあいつが軍に居たときからエースを競い合うライバルでそれが元であいつとは酒の席で無いと仲良くできないし誰か緩衝材にしてでないと奴とまともに酒が飲めん。」

 

ジム:「その緩衝材が私ですか?理事長と教官の板挟みにされて同席した私は美味しくお酒が飲めませんよ。」

 

エイタ:「ジム、そんなことは気にするな。禿げるぞ?」

 

ジム:「はげはしませんが、教官と理事長の飲み比べに付き合って後処理云々を考えると、胃に穴が空きそうですよ。」

 

エイタ:「・・・・・そいつはすまなかったな。今度はあいつ(理事長)を挟まず2人で飲もうぜ。まぁ、マサキのことは後で本人から聞く予定だったから。」

 

ジム:「そうでしたか、それでは理事長にはその事はお伝えしておきますので失礼します。」(ピッ)

通信を切った後に自分のデスクに座ってすぐに目が乾いたことを理由に目薬をさした後ジェームスは物思いにふけった。

教官も相変わらずだなと思いながら目薬もほどよく効いてきた後学内の書類に目を通しだした。

 

 

ここは衛星軌道上にある宇宙発着ステーションにある出国直前のシャトル内。

このシャトルは鮮血の狼が表向きの貿易会社が使用している為、このシャトルには鮮血の狼の人間以外は乗船不可なため隠語を使用せずとも報告が出来るのである。

 

???A:「で、どうかな。君の息子は?」

 

???B:「はっ!性格に難はありますが我々の技術を持って作り上げた自信作です。そこいらの戦災孤児や知識が中途半端に埋め込まれた子供より従順に働きました。」

 

???A:「彼は()よく働いたよ。これで我らの計画に役に立った物だ。今後は各地域から勧誘しなくても対象となる人間のDNAの通っている物さえ採取できれば同じ遺伝子を持った我らの先兵を作成できる物だ。」

 

???B:「この技術は、かつて医療目的以外使用禁止でしたが勧誘をして教育するより時間は掛かりますが特攻兵を作るにはうってつけです。」

 

???A:「クウヤ・オキサキは回収しておけ。奴自身まだ使い道があるからな、奴の技術は残して記憶だけは消して構わん。」

 

???B:「仰せのままに。」

 



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恋するベルガー星人が家に来た。

久し振りの投稿になります。
今回はマサキが自宅で過ごしている時に来客が来たところから始まります。


PGは次回からまた出てきます。


 

学園長から鮮血の狼のことと、俺を保護のするためにパイロット科にねじ込んだ事を聞いて俺自身の決意を披露してひと安心した後、普通にPG実習はシミュレーションのみで終了した。

その翌日は休校日のため外出でもしようかと思ったが、生憎の雨空で外に出て行けないから自宅でオンラインゲームにしゃれ込もうとしていたときにチャイムの電子音が聞こえたので部屋を出てリビングにあるドアモニター(親機)を確認したけど、しかし誰も居ないようだ。よく見ると傘だけが宙に浮いている状況で普通ならポルターガイストと思うが、こんな事が出来る知人は1人しか居ない。

 

「クリスちゃん?また透明になって家に来なくてもいいのに。」

 

クリス:『そう言っても、ご免なさい。リリアンさんの家族以外と顔合わせしづらいから。』

 

「謝ることでもないよ。鍵開けてタオルぐらい用意するから少し待って居てくれない?」

 

クリス:『はい、お邪魔します。』

 

そう言って俺はストックしてあるタオルを持ち出して玄関に向かい扉を開けるとそこには、インビジブルをといて、葉緑色したカメレオンっぽい顔をしているが、れっきとしたメレロン星人という獣人型異星人である。

彼女の服装はスプリングパーカーのジッパーを上まで閉めてフードを被る着かたをして、その下にフレアスカート風のキュロットにハイブーツ姿で黄色い布でカメレオンのペイント入り傘を持って玄関先に立っていた。

 

メレロン星とは、地球と交友関係にある惑星の一つではあるが、ここ数年は官僚や政治家の不正受給や、政権打倒と内乱でかなり焦げ臭い状況が続いており、母の故郷バーシスト星を介してこの地球に内乱から逃れてきたメレロン星人もこの地球ではそんなに珍しくない。

メレロン星人の特徴をあげると、身長は成人しても身長が150を越えないし、肌の色が深緑や黄土色と地球人と比べると肌の色が豊富だがメレロン星人からすれば地球人で言うホクロと同じような物だと言うことで全く気にしない。

それもそうだ。メレロン星人は地球に現存するカメレオンたちより擬態に優れ景色同化だけでなく気配も完全に消せるからである。ただし、衣服は一部同化できない素材もあるが同化できる素材で出来た服を着ることが多い。

彼ら自身はよほどのことが無い限り他者に怒りをぶつけることのないし、温和で人なつっこい性格であるけど、クリスことクリスティーヌ・ロメッタは、当初は重度の人見知りで近所の人も彼女が擬態を解いて街を歩くのは希であると語っている。

そのクリスが家に来るのはうちの母リリアン・ゴトウが、彼女の身元保証人だからであり、サヨコの学友である。もちろんサヨコやうちらゴトウ家の皆と出会って人見知りが改善された方である。

 

「クリスちゃんいらっしゃい。サヨコなら台所で皿洗っているけど構わず上がっていいよ。」

 

クリス:「お、お邪魔します。お兄さん。」

 

「おーいサヨコ。クリスちゃん遊びに来たぞ。」

 

リビングにクリスちゃんを通すとオフショルダーTシャツにレギンス姿にエプロンを着た妹、サヨコが賢明に皿を洗っていた。

 

サヨコ:「クリスちゃんいらっしゃい待っていたよ。」

 

「途中なら俺が変わるぞ?」

 

サヨコ:「大丈夫だよ。この一枚で終わりだから、お兄ちゃんはお茶を入れてくれる?」

 

「OK。カモミールでいいか?」

 

クリス:「お願いします。私、お兄さんが入れてくれたカモミール大好きです。」

 

サヨコ:「わたしもそれで。」

 

「そんじゃ、お湯湧かすから少し待っていて。」

 

ティーケトルに水を入れてIHで加熱を初めて、ティーカップに茶葉を用意したところでまたチャイムが鳴った。

 

こんな天気の日に誰だろう。とも思ったが、台所の窓から外を見ると、先ほどに比べ雨が小降りになっていた。

俺は台所に置いてあるドアモニター(子機)のモニタースイッチを入れると俺のクラスメイト、メリッサさんが写っていた。

 

「あれ?メリッサさんいきなりどうしたの?」

 

メリッサ:『すまねぇなマサキ。学校じゃ言いにくいことがあったから、アポなしで来ちゃった。』

 

「お茶とタオルぐらいなら用意できるからそっちいくね。」

 

俺はモニターのスイッチを切ってサヨコに火の番を頼んでタオルを取りに行き再び玄関に向かった。

別にサヨコに火の番を託さなくてもIH調理器だからガス漏れや吹きこぼれをすることはないけど、友人を招くのにリビングや自室に居座って手招きをするなんてあり得ないからサヨコに任せて俺は玄関に向かった。

 

玄関先に向かい、扉を開けるとそこには、黄色いリボンをポケット部分に縫い込んだブラウスに千鳥模様の膝丈ぐらいのスカートとにレイニーブーツの格好をしたメリッサさんがそこに立っていた。

改めてみると筋肉質で短髪、更には高身長で一見すると男の娘に見えそうだがちゃんと胸もそれなりに大きいものが付いておりれっきとしたボーイッシュガーリーである。

 

「いきなり来て、留守だったらどうするつもりだったの?」

 

メリッサ:「悪い、いきなり訪問しちゃってさ。ちょっと聴きたいことがあって。」

 

「まぁ立ち話も何だし、妹の友達が来ているけど上がってくれ。」

 

メリッサ:「そんじゃお邪魔しますよ。」

 

リビングに戻り俺は2人に

 

「サヨコ、クリスちゃん。俺の学友が遊びに来たから一緒にお茶同席させていいか?」

 

クリス:「私は構いませんよ。」

 

サヨコ:「私も男性でなければいいよ。」

 

「大丈夫、男っぽい性格だけど、れっきとした女性だ。」

 

サヨコ「うん、解った。」

 

「メリッサさん入ってきて。」

 

メリッサ:「なんか俺、男子クラスメイトの家に来るなんてあんまり無かったから少し緊張する。」

 

サヨコ:「兄さんこの人は?」

 

「今紹介する。彼女はクラスメイトのメリッサ・リードさん。ベルガーと地球のハーフだ。で、メリッサさんこっちは俺の妹でサヨコだ。」

 

軽く妹が会釈をした後続けてクリスさんを紹介した。

 

「彼女はクリスティーヌ・ロメッタ、訳ありで地球に滞在しているメレロン星人で、俺達はクリスちゃんって呼んでいる。(クリスちゃん挨拶して。)」

 

クリス:「(は、初めまして。クリスティーヌ・ロメッタです。)」

 

クリスちゃんはバーシスト語で挨拶をしたので俺達兄妹は普通に理解したがメリッサさんは???が頭に浮かんでおり理解できない顔をしていた。

 

メリッサ:「なぁマサキ、そっちのメレロン星のお嬢が自己紹介をしたのは雰囲気で判るけど、どこの言語で喋ったのだ?俺、地球語とベルガー語以外は判らなねーからさ。」

 

「あ、ごめん。彼女は、今の所メレロン語とバーシスト語しか喋れないけど少しずつ地球語覚えてきたけど、まだあまりしゃべれないから。今はバーシスト語で自己紹介したけど、俺が通訳入るからメリッサさんもクリスちゃんも普通に喋っていいよ。」

 

クリス:「(だ、大丈夫ですよ、お兄さん。挨拶ぐらいなら地球語でしゃべれるから。)」

 

「(クリスちゃんがそう言うなら、挨拶では通訳しないけど。)」

 

サヨコ:「(クリスちゃん頑張って。)」

 

クリス:「(判りました。頑張ってみます。)メ、メリッササンデシタネ、ハジメマシテ。メレロンセイジンノクリスティーヌ・ロメッタデス。」

 

クリスちゃんは前半の部分は流ちょうなバーシスト語の後にカタコトと言え、地球語でしゃべり出した。

 

メリッサ:「うんうん、クリスだな。俺はメリッサ・リード。マサキとはPG学園の学友だ、よろしくな。」

 

俺は2人の挨拶が終わったのでサヨコと火の番を変わり茶葉に目を向け、ティーカップをもう一つ用意した。

 

「メリッサさんもカモミールでいい?」

 

「ああいいぜ。」と、短く返したあと煮沸用と飲用のお湯が沸いていたので、まずティーカップを温めるためにお湯を入れた後、そのお湯を捨てて、カモミールの茶葉が入ったポットにお湯を注いで30秒から1分ほど蒸らして3人分のお茶を注いだ。

クリスちゃんは元々猫舌なので、これとは別に濃いめで出したカモミールを用意し、先ほどまで冷凍庫において冷やしておいたアイスグラスに氷を入れてより多く空気に触れさせるためにお茶をこぼさないギリギリの高さから注いでそれぞれにカモミールティーを出した。

 

「3人ともお茶が入ったよ。」

 

同じ言葉をバーシスト語でも伝え、サヨコ、メリッサさん、クリスちゃんの順でお茶を出したテーブルに着いた。

 

「(はい、クリスちゃんにはアイスカモミール。)」

 

クリス:「ア、アリガトウゴサイマス。オ、オニイサン。」

 

「(無理に地球語のみを使わなくてもいいよ。バーシスト語と地球語を合わせてしゃべって構わないから。)」

 

クリス:「(判りましたそうしてみます。)デモ、スコシヅツシャベレルヨウニナリタイカラ。」

 

クリスちゃんも最初にあったときに比べてしゃべるようになっただけでなく笑顔も見せるようになってきた。

まぁ無理もないな、彼女の母星は消炎と血の匂いでむせるほどひどい状態だから、バーシストを介して地球に来たときは異星人と喋るのだって困難だったから、そのことを踏まえると大分笑顔も増えてきたからこっちも嬉しい。

只、問題は彼女の母星メレロン星の方だ。こんな長続きしているからこんな状態で政権が変わってもしばらくは現政権の残党狩り等でしばらくはおとなしくは為らないだろう。

まぁ人道支援も満足に出来ない一介の学生が必要以上に干渉するのは野暮って物だな。

それぞれが出されたお茶を一口飲んでそれぞれの感想は

 

メリッサ:「お茶にはくわしくねーけど、こんなうまいお茶初めてだ。」

 

クリス:「(お兄さんのカモミール今日も美味しいです。)」

 

サヨコ:「うんうん、お兄ちゃんはお茶やハーブティーを入れるのだけは誇れるのよね。」

 

「入れるのだけって何だよ。それ以外にも誇れることはあるってーの。」

 

お茶の話題で少し盛り上がり、少ししてからお茶を飲んでメリッサさんに話を振った。

 

「それでメリッサさん。俺の家に来た理由教えてくれるかな。」

 

メリッサさんはカモミールティーを飲んで一息ついた後にティーカップをテーブルにおいからしゃべり出した。今のメリッサさんは妙にしおらしく頬を赤らめて足をもじもじさせている。

この状況で(トイレか?)の質問は一般的な女性の前では禁句だ。と言うより彼女は男子の前でも平気で隠語を使わず(トイレ行ってくる)と堂々と大声で言うぐらい図太い精神である。

 

メリッサ:「・・・・・少し言いづらいんだよな。まぁでもこういうことは体にためると良くないからな。マサキ、いくつか確認したいけど、まずお前って口は硬い方か?」

 

「まぁ、それなりに。」

 

メリッサ:「そっか。それなら次にさ・・・・お、お前って好きな女子、または気になる女子って居るのか?」

 

俺はそう言われて一瞬だがユナさんの双子の妹ミナさんが浮かんだ後

 

「・・・・・気になる女子なら別のクラスに居るかな。」

 

メリッサ:「・・・・・別のクラスかそれなら良かった。」

 

俺の頭にクエスチョンマークが浮かんでいる時にメリッサさんが少々だまりサヨコ達の方に目線を向けるとクリスちゃんにヒソヒソ話で今の状況をバーシスト語で喋っていると同時にクリスちゃんもサヨコも目を輝かせてこっちを見ている。

 

おいこら!!サヨコ。お前バーシストと地球のハーフの特製判っていてここでヒソヒソ話しているよな?さっきから何言っているか丸聞こえだぞ。

幸い、尾ひれの付いた話はしていないが、ねつ造し出すか判らないから気を配っておくぐらいしか出来なかった。

 

メリッサ:「ほ、本当はさ・・・・・仲のいい女子達に聞こうとしたけど、フェルボート姉妹は箱入り娘っぽいから聞いてもろくな答えが返ってこないし、ユウコに話したら顔を真っ赤にして逃げちゃったし、フェイには相談しようとしたけどPG整備中だったから話かけづらかったし、カナは連絡つかねーからさ、お前に相談に来た。」

 

「あっ、ユウコさんには話したのか。でも、顔を真っ赤にして逃げるって何を聞いたの?」

 

メリッサ:「特に何も、ただ{好きな男はいるのか?}って聞いたらユキトのGREEN TORNADOよろしく、全速力逃げ出した。あの速さは俺も舌を巻いたぜ。」

 

 

ユウコさんの好きな異姓はこの際無視でいいけど、さっきからメリッサさんは何で好きな人を聞いているのかはこの後判った。

 

メリッサ:「じ、実はさお、俺・・・・いや・・あ、あたしさ、き・・・気になる男が出来たからさ。・・・・・そのお前にさ、そ・・・そいつの・・・好みを聞きたいからさ。」

 

思わずメリッサさんを凝視してしまった。いつも一人称が(俺)のメリッサさんが(あたし)に変わっていたことも驚がくしたが、どうやらメリッサさんは俺の知っている誰かに恋したらしい。

サヨコ達の方を見るとクリスちゃんは話しに飽きた訳ではないが、いつの間に入り込んだハエを目で追っている。その内舌を伸ばして補食するだろうな。

サヨコの方は小声でしかもバーシスト語でつぶやいた。

 

サヨコ:「(ちぇ、せっかくお兄ちゃんに春が来たと思ったのに恋愛相談かぁ。つまんない。)」

 

「もしかしてユウコさんにも同じこと聞いたの?」

 

無言で否定の方向に首を振ったあと

 

メリッサ:「いや・・・・ユウコには好きな人を聞いただけで、あたしの好きな人は言ってない。」

 

「そ、それで好きな男子って誰なの?俺だってフェイ意外、PG学園に入ってから交流したメンバーがほとんどだからあんまり役に立つ情報提供できるとは思えないけど。」

 

メリッサ:「それでもいいよ。俺・・いや、あたしだって好きな人のこと知りたいし・・マサキ・・・えっと・・・あたしが・・・・す、好きな男だったよな。」

 

「ああ、そうだけど」

 

メリッサ:「絶対笑うなよ。」

 

「相談受けているのに指さして笑う神経がある奴の方がどうかしている。笑わないし、秘密も漏らさないから。」

 

メリッサさんは俺でも辛うじて聞こえるぐらいのか細い声で喋ってきた。

 

メリッサ:「・・・・・・(ぼそっ)センイチ・・・・・センイチ・シノミヤ。」

 

「えっセンイチだって?悪い趣味とは思わないけど、何でまたセンイチに?」

 

メリッサ:「あいつ・・・・ううん、センイチ君はさ、ベルガー星人のような強い男が好みのあたしにとっては、少々非力な地球人に心揺らぐことは無いと思っていた。この学園に入ってセンイチ君に会うまでは・・・・ね。」

 

確かにセンイチはヒノモト諸島で中世の世に生きた侍を彷彿させる肉体と精神を兼ね備えた強さを持っているのは判る。

 

そういえばセンイチは・・・・・・

 

―回想モード―

 

体育祭前のある日俺とユキトとセンイチの3人でパイロットスーツのまま昼食をとっていたときユキトがさり気なく聞いてきた。

 

ユキト:「そういえばセンイチもマサキも好みの女の子ってどんなタイプ?」

 

センイチ:「藪から棒ですな。」

 

「ほんと、いきなりだな。そういうユキトはどうなんだ?話を振ったからには居るのだろ?」

 

ユキト:「僕は気立てが良くて、僕の目標を理解して付いてこられる人かな。」

 

「なるほど一理あるな。俺は、容姿は問わないけど心清く一本槍を腹に持った人かな。」

 

センイチ:「某は、料理の出来る御仁が好ましい。例え、出会ってすぐの時はお料理が不得手でも美味なる物を食させるために努力を惜しまないご婦人だと尚いい。」

 

「それって、最初の内は料理下手でもちゃんと努力してうまい物食べさせてくれる人がいいてこと?」

 

センイチ:「はははかないませんな、マサキ殿には。」

 

―回想モード終了―

 

 

「そうだな。あいつは料理の出来る人か、料理が苦手でも向上心と努力を惜しまない女性が好みだ。」

 

それを聞いたメリッサさんはさっきまでのしおらしい乙女全開のメリッサさんでなく、いつものメリッサさんに戻った雰囲気に思えた。

 

メリッサ:「そっか。センイチ君は料理の出来る女性が好みか・・・・・よっしゃあ、早速帰り際にお小遣いが許す限り料理本を、特に和食物買って帰るぞ。」

 

「メリッサさんは料理得意だから大丈夫だと思うけど、後はセンイチの好みの味が出せればOKかもね。」

 

メリッサ:「なんか吹っ切れた。マサキ、お前の家にシミュレーター有ったよな?」

 

「ああ、地下にあるけどやってくの?」

 

メリッサ:「シミュレーター乗って気分落ち着けないと俺・・いやあたし、すんごい緩んだ顔を他の人に見せちゃいそうだから。」

 

「そういえば今更だけど、純血のベルガー男子にはなびかなかったの?」

 

メリッサ:「それがさ、俺の周辺にいるベルガー星人男子は肉体だけ強くて絹ごし豆腐並みのメンタルなヤツラばっかり。俺がなびく要素全く無し。それに引き替えセンイチ君の心身の強さはまさにあたしが追い求めていた男子像・・・・もー、マサキなんてこといわせんだよ。」

 

前言訂正。いつもの雰囲気に乙女モードが付加されている。

元々、地球人のハーフとはいえ、つり目で体躯のいいベルガー星人とは思えないほどメリッサさんは恋する乙女の顔をしておりこのまま帰るのは彼女の沽券に関わることだろう。俺はメリッサさんに気の済むまで家にあるシミュレーターを使わせた。

もちろん俺も対戦相手になって15戦し、結果だけ言えば7勝7敗1分けとなった。

 




作中でお茶の入れ方は緑茶や紅茶の入れ方を参考にしましたので、実際のハーブティーとは異なると思いますのでご注意。


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授業とお昼

三人称side

 

―土星衛星軌道上にある特殊犯罪刑務所―

 

この刑務所は太陽系近辺で軍紀違反やPGがらみの犯罪者を収容する刑務所である。

広さはサッカースタジアム6つ分の広さであり、20階建ての刑務所となっており、1階は宇宙港との接続エントランスで唯一の出入り口となっている。2階から5階までは囚人労働所となっており、6階から10階までは100年以内の懲役囚が多くいる。

11階から150年以上の懲役囚で上に行くほど罪は重い囚人が、15階以上は看守や獄卒も限られたメンバー以外は何重ものセキュリティーをクリアしないと進入することは不可能である。

そのなかでも特級秘匿事項犯罪者に指定された囚人を収監する設備16階B-78フロア(通称サイレントプリズンエリア)は懲役に関係なく世間に公表出来ない犯罪者を収監するエリアにクウヤ・オキサキは拘束されていた。

 

そんなクウヤを監視カメラ越しにみている看守達は、16階看守室第4分室、16階B-78フロア専用看守となっておりセキュリティーも20階以上に厳しいとも言われている。

 

モニターを見ながら勤務中の看守二人はモニターのクウヤ・オキサキをみながら

 

シャンロン:「なぁリック知っているか?」

 

リック:「なんだ、シャンロン?」

 

シャンロン:「この囚人番号D―6825 クウヤ・オキサキは少し前まで地球にあるPG学園の新入生で鮮血の狼に所属している先兵だったみたいだぜ。」

 

リック:「それは知っているけど、俺はこいつの身体検査の時に遺伝子情報みて驚いたぜ。」

 

シャンロン「それは確かに言えているな。何しろこいつの遺伝子はかの有名なあの提督の――」

 

この二人が談話していた時に異変は起きた。外の警備もかなり厳重なのにもかかわらず、警報が響いたと同時にここは宇宙空間なので地震は起きるはず無いのに揺れた。

 

シャンロン:「おわっ!!なんだ。」

 

リック:「外部監視棟、何があった?」

 

館内放送『各看守並びに獄卒員に連絡、何者かによる襲撃を確認。防衛部隊は緊急発進。各階のセキュリティーシステムは現状のグリーンからブラッドレッドに変更。看守各員はこの機に乗じて脱獄にしようとする者は拘束と鎮圧武装の発砲を許可する。』

 

シャンロン「こちら16階第4分室シャンロン・ゼンバー。了解しました。セキュリティーシステムブラッドレッドに変更します。」

 

 

16階看守室第4分室でセキュリティーシステムを変更している同時刻、所変わってここは16階B-78フロアを巡回中の獄卒ラギラ・ノス。表向きはこのサイレントプリズンエリアの獄卒ではあるが、実際は鮮血の狼5等星になる潜入兵でコードネーム(ペルギス)がことの状況を確認して

 

ペルギス:「よし、作戦開始だな。Let’s show thyme。」

 

そう言って彼はカメラの死角に入りあらかじめ用意していたハッキング用の回線を壁からだし、この16階エリアのみにコンピューターにハッキングを開始。開始数秒でプログラムが作動し、監視カメラやセキュリティーシステムは他の階から異常なしに見えるようなダミーシステムプログラムを流した。

もちろんここのシステムもそんなダミー映像は通常なら15分、レベルブラッドレッドでも5分もあれば回復するが、ペルギスからすれば5分あればこのエリアに催眠ガスを充満させてクウヤ・オキサキに看守服を着させて脱出出来るのである。

ハッキングしガスマスクを装備したペルギスはこのエリアのみたどっているエアダクトを介して即効性の催眠ガスを充満させた。

 

再び16階看守室第4分室。

シャンロンは通信を切ったら即座に

 

シャンロン:「聞いたとおりだ、リック!!急いでセキュリティーレベルを・・・」

 

リック:「大丈夫!!もうグリーンからブラッドレッドに変更開始している。」

 

リックとシャンロンは巡回中の監視や獄卒にブラッドレッド発令したことを伝達し武装許可の指示を出していたとき、二人揃ってエアダクトから入ってきた睡眠ガスを嗅ぎ昏倒した。そのせいもあり16階B-78フロアはブラッドレッドにセキュリティーシステムを変更する直前までプログラムは来ていたがキーを差し込んで作動させる前だった。

 

クウヤ・オキサキの収監されているエリアにペルギスは到着し、電子錠なので扉は簡単に開くが、もちろん電源か切断されても対応出来る物理的に施錠しているそれも予備の鍵を持ち出し簡単に開けた。

そこにいたクウヤ・オキサキはもちろんガスマスクを事前に渡されていたので昏倒していなかった。

 

ペルギス:「坊ちゃんご無事で?」

 

クウヤ:「親父の使いか?おいてめぇ、もっと速く俺を助けに来れなかったのかよ?」

 

ペルギス:「すみません、ここの警備網の把握に時間がかかりまして。まぁ、坊ちゃんのぼやきは後で聞きますけどとりあえずコレを来て下さい。さっさと脱出しますよ。」

そう言ってペルギスはクウヤ・オキサキにサイズの合う看守服を渡した後、クウヤは着替えだした。

 

クウヤ:「けっ、こんなゲス臭い服を着るのは耐えがたいが、まぁいいだろう。ルートは任せるから、俺をさっさとこんなゲス臭い場所から連れ出せ。俺はあのヤローに死ぬ方がましな苦しみをまだ与えてねーからな、さっさと外に戻ってあのやローに復讐だけじゃねー。PG学園の連中もそうだ。俺をこんなゲス共の掃きだめに送り込んだことを死んで後悔させてやるぜ。」

 

ペルギスは「判りました、早速脱出しますのでこちらへ。」と短く返したが彼の心の中ではこう思っていた。(どっちにしてもお前はここから脱出した後は、人格は消されて感情のない兵士にはなるのさ。それはお前が親父と慕っている副社長ではなくプレジデントの指示だぜ。)

 

ペルギスとクウヤは看守服と獄卒服に身を包んで警備の薄い4階まで一気に降りた後、一般的な服装に着替えて観光客に紛れて脱出した。

 

クウヤとペルギスが脱出して10分後、17階看守室が16階B-78フロアの異常に気づいて看守と獄卒を派遣した時にはB-78フロアは看守20人、囚人79人が催眠ガスにより眠らされていた。看守や獄卒達を起こして回った。

 

 

 

 

看守長:「まずはB-78フロアの被害は?」

 

看守A:「はっ報告します。まずB-78フロアは即効性の催眠ガスをエアダクトから噴出され囚人並びに看守もガスで眠らされました。その隙に、脱走したのは囚人番号D―6825 クウヤ・オキサキ1名で、それと同時にB-78フロア担当の獄卒1名ラギラ・ノスが行方不明。恐らく人質になったか、彼自身が鮮血の狼の潜入兵と思われます。看守並びに獄卒は負傷者なしです。」

 

看守長:「B-78フロアの負傷者はなしなら良かった。次に外部襲撃の被害を聞こう。」

 

看守B:「報告します。囚人番号D―6825 クウヤ・オキサキが脱獄する10分前ぐらい起きた爆撃ですが、爆弾は地球で陸海輸送に使われる一般的なコンテナ一杯に詰まれた時限式のプラスチック爆弾となります。飛来した爆弾は全部で70コですがその内2つほど不発により爆破物が判明しました。

こちらの警備網をかいくぐり7階フロアA-36エリアに到達した飛来爆弾は全部で15コ直撃し、空いた穴は即座にエアーウォール作動により宇宙空間に放り出された者はおりませんが、その爆撃に巻き込まれた職員15名死亡、負傷者25名となっています。」

 

看守長「囚人の死傷者は?」

 

看守B:「はっ?囚人の死傷者ですか?」

 

「そうだ。囚人の負傷者の報告は省いていいが、死亡者は報告しろ。」

 

看守B:「何故ですか?囚人はここに収監された時点でそれ相応の犯罪をしているのですよその時点で生死を気にする様な輩はいないはずですが。」

 

「馬鹿者っ!!収容囚人だろうと一般職員だろうと関係ない!!職員は当然として、この刑務所内で囚人は生きている内は囚人だが、死ねば皆同じ仏だ。敵味方関係なく対等に弔ってやるのが筋だろうが。」

 

看守B:「はっ失礼しました。改めて死亡者報告は、職員15名、囚人22名合わせて37名になります。」

 

「そうか、後で職員達の家族には死亡通知を出しておくが囚人の方はこちらで内々で処理しておこう。」

 

看守A:「ところで看守長?何故善人悪人を問わずに死んだら平等に弔うことにこだわるのでしょう?」

 

看守長:「ああそれか。私は地球の中世ヒノモトの人物に清水の次郎長という男の生き様を書いた本を読んだことがあってね。ヤクザ者ではあるが戦争のさなか死人となったら敵味方問わずに平等に弔う姿に感動してな。私もその考えでこの仕事を選んだのさ。まぁ、罪を憎んで人を憎まずという考え方は看守や処刑人には相反するがね。」

 

 

翌日の新聞には爆破事件のことは報道されなかったが、虚偽を書くことに定評のある週刊誌が珍しくこの事を嘘偽り無く報じた。

 

 

三人称side 終了

 

 

メリッサさんの突然の告白には驚いた。休校日にメリッサさんが俺の家に遊びに来てお茶を飲みながら雑談をしていたら突然しおらしくなって

 

(なぁマサキ。俺、いや・・・・あたし、・・・センイチ、いやセンイチ君のことが好きになったみたいだ。)

 

そんな風に言われてセンイチが料理の出来る女性が好みと伝えると完全に乙女モード。その後、家にあるシミュレーターで操縦技能磨いた後に一応大丈夫だけどメリッサさんを駅まで送るついでに買い出しに出かけた。

メリッサさんをとさっき言ったとおり和風物の料理本を中心にお買い上げした後、彼女は意気揚々と電車に乗り込み学生寮に帰って行った。

 

その翌日は終日座学の授業で一般的な数学、地球語学、地球史、今回歴史で習った事は、とある事情により南北に別れた半島の南側にある国の船舶が安全性より貨幣獲得に走って沈没させ、大量の死者をだした大惨事の沈没事件のことを習った。次の授業はPG基礎操作と授業の内容は一般教養が多めの日であった。

 

午前中の授業が終了し俺はユキトとセンイチといつもの3人で食堂に向かおうとしたときに、

 

メリッサ:「あ、マサキ、センイチにユキトお前らこれから飯か?」

 

ユキト:「そうだよ。メリッサさんも食堂に行く?」

 

メリッサ:「いいや、弁当持ってきたから。そ、それでさお前らいつも食堂飯だろ?た、たまにはさ、あたしとおまえらでさ、弁当食べないか?俺、い、いや、あたし自分の食べられる量考えないで多めに作ったからさ出来ればお前達に食べてもらった方がいいかなぁって思っただけで、無理にとは言わないけどな。」

 

ユキト:「珍しいね、メリッサさんが自分の食べられる量を見誤って多めに作るなんて。」

 

メリッサ:「あ、アタシだって人間だ、間違いぐらいするってーの。」

 

メリッサさんは顔を真っ赤にしてユキトに反論している。

センイチ1人にお弁当を食べさせるのはまだ恥ずかしいらしく、俺とユキトは二人きりをごまかすカモフラージュだろうけど、ここでメリッサさんのとこを思ってあえてパスするのも一手だけど・・・・・

 

メリッサ:「(ボソッ)マサキお前はいてくれ。センイチ君と二人きりだと、あたしまともにしゃべれない気がするから。橋渡しを頼みたい。」

 

などとぼそっと言われてしまった。元々作ってくれたお弁当を無駄にする気は無かったので

 

「俺はご馳走になるぜ。多めに作ったのを無駄にしたくないから。」

 

メリッサ:「(ぼそっ)マサキ、感謝するぜ。」

 

センイチ:「某もご相伴にあずかる。」

 

メリッサ:「ほ、ほんとかお前ら。いやー助かったぜ。」

 

ユキト:「僕はいいや、僕までご馳走になるとメリッサさんの分までなくなりそうだから気持ちだけ頂くね。」

 

メリッサ:「そうか、無理強いはしないよ。それじゃ屋上に行こうぜ。あそこなら風が気持ちいいから飯もうまいぜ。」

 

ユキト:「ぼそっ(マサキうまくやれよ。彼女、君のこと好きみたいだからセンイチ君をだしに二人っきりでお昼はまだ出来ないみたいだから。)それじゃ僕はケンでも誘ってごはん食べてくるよ。」

 

ユキト。悪いけど、だしにされたのは俺の方だと思ったが声に出さずにいた。

 

俺達は屋上に移動した。そこには委員長とカナさんが手招きしてくれた。

 

ユウコ:「メリッサ、こっち、こっち。一緒にお昼食べよ。・・・ってセンイチ君にマサキ君?なんでメリッサと一緒に来たの?」

 

「よっす、委員長。俺達はメリッサさんがお昼一緒に食べないかって誘われて。」

 

センイチ:「某も同上。」

 

「女子会込みのお昼なら俺達は退散するけど。」

 

ユウコ:「女の子同士でなきゃ話せない内容はないけど。」

 

カナエ:「あたいは全然問題ないよ。(ところで、マサキ君。コレってどう言うこと?)」

 

カナさんがバーシスト語に切り替えて俺に話しかけてきた。けど俺は地球語で返した。

 

「どうもこうも、俺達二人とも食事誘われただけだよ。」

 

カナ:「(ふーん、わかったわ。そういうことにしてあげるから、その代わりセンイチ君とメリッサがうまくいったら私に教えなさい。)」

 

「(えっ、ちょ・・・・おまっ、何で判った?あっしまった!!)」

 

カナ:「(やっぱり、カマかけて正解だったわね。メリッサの態度観てればバレバレよ、センイチのことが好きなのは。気付かないふりしてあげるからうまく離れるわよ。)」

 

「(ぜ、善処する。)」

 

ユウコ:「ちょっとカナちゃんマサキ君ここは地球なのだからバーシスト語で隠語使用は禁止よ。」

 

カナ:「ごめん」

 

「何で俺まで」

 

そうしてそれぞれが弁当箱を開けると、ユウコさんは卵焼きにミートボール野菜炒めに海苔弁当とスタンダードな弁当であった。

カナさんは焼き肉弁当に申し訳程度の野菜サラダとウサギカットしたリンゴが別容器に入っていた。メリッサさんはきんぴらごぼうやおひたしといったおかずに豚のショウガ焼きが上に乗った弁当が4人分の弁当箱が用意されていた。

 

ユウコ:「メリッサ、誰かに弁当上げるにしてもその弁当の量おかしくない?」

 

メリッサ:「そうか?あたしは普通に2~3人前だべるけど4人前作ったのは只作りすぎただけだぜ。」

 

カナ:「ふーん、誰かにあげるためにわざと多く作った訳じゃじゃないのね、まぁいいわ。普通にお昼食べましょうか。」

 

そうして俺達は普通に食事を開始した。

 

センイチ:「メリッサ殿が作ったこのきんぴら良く味がしみて美味ですぞ。」

 

メリッサ:「そ、そうか、よ、良かった。きんぴらごぼうはこないだ料理本買って初めて作ってみたから味は自信ねーけどな。」

 

センイチ:「とんでもない。手ほどき書を片手にとはいえ、これほどの味を出せるのはなかなか腕がある証、メリッサ殿に毎日食事を作って貰える殿方が羨ましいぞ。」

 

こいつメリッサさんが誰を好きなのかは気づいていないな。あーあメリッサさんが若干悲しい眼になっちゃったよ。

 

「メリッサさんごめんね。何かメリッサさんの弁当とったみたいで。」

 

メリッサ:「いいや気にするな、マサキ。今日のあたしは2人前でいいぐらいだったから。」

 

「このショウガ焼きもうめー」

 

ユウコ:「(ぼそっ)ねぇカナちゃん。メリッサってセンイチ君の事が・・・・・」

 

カナ:「(ぼそっ)さ、さぁ私には判らないな(震え声)。」

 

ユウコ:「(ぼそっ)マサキ君は何か知っているの?」

 

委員長が俺らバーシストと地球のハーフである特徴を活かしてかなり小声で問いかけたけど隣にセンイチがいるので、言葉には出せず否定の方向に首を振るしか出来なかった。

このお昼でメリッサさんがセンイチのこと好きなのをカナさんはお昼前に感づいて、委員長はうすうす気づいたと思うがセンイチはあまり気づいていないと思う。

 

午後はPGのシミュレーターで基礎行動を行った後、本日整備部はお休みなので俺はそのまま帰宅した。

 

 

三人称side

 

 

ここはとある地球にあるPGファクトリーでPG学園からのPG本体やカスタムパーツもちろん学生で手に負えない重度の整備が必要になるとここで製造、整備、重傷修理を行う工房である。

 

ファクトリー社員A:「しっかしこのRAIUN KAIGATAのパイロット、学生なのにどうやったらここまでひどく壊せるのさ?」

 

そこにはマサキ・ゴトウのこれから毎日動かして癖やワークパターンを覚えさせるはずだったPG RAIUN KAIGATAがクレーンとワイヤーにつるされていた。

 

そこに来たのはフェイ・リンシーと顔はよく似ているがフェイより身長が高く170後半はある男性だった。彼はコウ・リンシーでフェイの3つ上の兄である。

 

コウ:「まぁそう言ってやんな。テロに巻き込まれてパイロットは軽傷で済んだみたいだし、この機体のデーターの抜き取りは終わっているし、廃棄が決まっているからジャンクPG作っているお前からすれば取り放題じゃないかイチロウ?」

 

イチロウと呼ばれた整備士:「まぁそうなんだけどさ、それはいいけどあっちのFOXTAILカスタムタイプはどうなるのかね?」

 

コウ:「それは俺にも判らん、何でもPG学園を退学になった奴の機体で確か機体は、おーでん・・・・・いやオードブル・・・・・あっ、そうだODINだ。」

 

イチロウ:「こいつは解体許可一向に降りないから僕たちはアレには触れないでおこうよ。」

 

コウ:「そうだな。よしPGJX-C-01のデーターはこっちのPGJX-02CC SIMAKAZA(島風)に移すから手伝ってくれ。」

 

イチロウ:「おう任せろ。」

 

三人称side END

 



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